1 :
本当にあった怖い名無し:
【スレのお約束】
1 基本的にsage進行でお願いします。
2 作品投稿のage・sageは、作者の判断にお任せします。
3 作品には感想をお願いします。感想についての批判は作者・読者ともに控えましょう。
「感想・意見・批評」と「誹謗中傷」は異なります。
よけいな争いごとを持ち込まぬよう、表現にはくれぐれも気をつけましょう。
4 煽り・荒らしは放置、反応なしでお願いします。
【マナー。その他】
1 連続投稿数は5〜10レスを目安にしましょう。
2 作品投稿は間隔に気をつけてください。場合に応じて間隔をあけましょう。
投稿前と投稿後に宣言すると、スレの流れがスムーズになります。
3 自分の意見に返事を期待する作者は、トリップを付けたほうがいいでしょう。
4 個人攻撃、的外れな批難の類は流したほうが無難です。
5 496KBで警告メッセージが出力されます。
512KBでスレッドが終了なので、950からか450KBを過ぎた時点で新スレッドへの
移行を話し合いしましょう。
なんか間違えた。すいません。
17かな?
mms://59.87.47.244:9023/ ぞんび
スマン 小説スレだったか
我流さん乙です!
俺が最後だったんでスレたてようと思ったんですが、立てれなかったんです。
我流さん!ありがとうございますm(__)m
ジンロさん、ひろしさん、すばらしい作品をありがとうございますm(__)m
住人のみなさん、寒くなりました。ご自愛なさって、ゾンビにならぬように、お気を付けください。
11 :
ジンロ:2006/11/06(月) 05:25:29 ID:ky29mnVp0
今日も早いですが投下です。
ホッと一息つくが、しかし、茂みからはまだ気配は消えてはいなかった。
俺は無線を取り、怒鳴る。
「まだ、来るぞ!!援護しろ!救出作業に入る!」
その言葉にライフルが銃声が答える。
茂みからはケルベロスではなく、ゾンビが出てきていた。
その姿を確認すると親子の元に走り寄る。
「立て!!君達を保護する!」
しかし、娘の方はたったが母親は腰が抜けたのか、立ち上がれずこちらに手を伸ばすばかりだ。
「た・・・たてな・・・」と言うか言わないかの内に、俺がその手を掴み背負うと走り出す。
「お・・・お母さん・・・」
心配げな娘に「何をしている!あのロープまで走れ!」っと言って走り出す。
ロープの所に着いて、振り向くとゾンビの数は増え続け、今や十数体がこっちに向かってきていた。
いずれはジリ貧になることは目に見えていた。
(間に合うか?)
母親を降ろして、急ぎロープに体を固定する。
無線機を手に取るとコールボタンを押した。
「こちらアンディ!聞こえるか?」
しばらくの沈黙の後『コールマンです。感度良好。』
「よし!固定完了した。母親を先に引き上げろ。」
『了解。』
「それと弾をくれ!時間稼ぎする。」
『はい!』
少しして上から防寒ブランケットに包まれた。固まりが重い音を立てて落下してくる
「落ち着いて、身を任せて下さい。上で部下が引き上げます。」
母親の不安を紛らわすためにも笑顔でそう言うと母親は強ばった顔で頷いた。
12 :
ジンロ:2006/11/06(月) 05:26:30 ID:ky29mnVp0
そして、ブランケットの中から弾の入ったバックを引ったくるように取り上げると、俺は娘にここにいるように言ってゾンビに向かい駆けだした。
上からの援護、ブライアンの射線に入らぬように気を付けながらゾンビに接近する。
ゾンビを引きつけるため親子と離れて攻撃を開始する。
タンタンタンタン・・・・・・
確実に仕留めるためフルオートからセミオートに切り替えて確実に頭を打ち抜いていく。
ふと母親の方を見ると3分の2まで引き上げられていた。
ゾンビも後は数える程に減っている。
(次に娘を引き上げて、後はどうするか・・・・だ。)
後々の事を考えて、色々手を考えてるときにそれは起こった。
パァァァァァン!
スナイパーライフル独特の後を引く音が辺りに響いた!
「・・・・あさん!?お母さん!!!いやぁぁぁぁぁぁ!」
(何だ?何があった!?)
咄嗟に攻撃の手を止めて振り向いた。
見ると残りあと少しで母親がぐったりとしている。
その頭からポタポタと血と脳漿が垂れていた。
塀の上に視線を走らせる。
しかし、暗闇+逆光でよく見えない。
そうこうしているうちに機械のハウリング音が聞こえてきた。
『あーあー!聞こえるか?ヘロゥ?』
(人を挑発するような、人を見下したこの声は・・・・)
エレナが、茂みを照らしているサーチライトとは別のライトが声の主を照らす。
そこには思った通りの人物がスナイパーライフルを担いでそこにいた!
「ダリオォォォォ!!」
俺は無意識にあらん限りの声で叫んだ。
13 :
ジンロ:2006/11/06(月) 05:27:25 ID:ky29mnVp0
パァァァァン!
再び銃声が響き、俺の足下で土埃が舞う。
『ダリオ中尉様だ。口には気をつけな!お前の命は俺が握ってるんだぜ?』
今の狙撃はダリオでは無い。
おそらく、塀のどこかに部下を配置しているんだろう。
(うかつにうごけんな・・・)
俺は銃を持ったまま、手を挙げる。
『お前は二つの違反を犯した!一つ、汚染区域の進入!二つ、脱走者の幇助!』
「・・・だ!・・・・れ・・・・ガッ・・・・」
さっきまで援護していた。ブライアンが上で何かを言っているが良く聞き取れない。 パァァァァン!
そしてまた銃声が聞こえ、今度は塀のブライアンの付近のコンクリートが削れる。
「大丈夫か!?」
無線機にそう叫ぶと『大丈夫・・・ッス・・・腕を掠めただけですから・・・』っと、ブライアンが応答する。
「ブライアン大人しくしていろ。冷静に機会を待つんだ。俺がな・・・・」
そこまで言った瞬間、銃声と共に手の中の無線機が吹き飛びバラバラになる。
(チッ!こちらの連絡手段を断ってきたか・・・)
しかも、正確に無線機だけを打ち抜くあたり、かなりの腕前のようだ。
(コールマンと同等かそれ以上か?)
『おいおい!妙な真似はしてくれるなよ?こっちはお前を殺したくてウズウズしてんだからよ?』
俺は大声で「何がしたいんだ!?」と叫ぶ。
『俺だって辛いんだぜ?仲間を殺したくねぇ!だが、お前は汚染区域に進入してしまった・・・つまりは汚染者となるわけだ。』
そこでわざとらしく大きな溜息を吐く。
『残念だ!お前を助けたら汚染者の脱走を助けたことになる。』
(なるほど・・・そういうことか・・・)
「そうだな!ダリオ中尉、貴殿の言われる事は至極当然!」
俺はそこまで言うとゆっくりと手を挙げたまま、娘の元に歩いてゆく。
娘を見ると母の亡骸にすがりつき今だ泣きじゃくっている。
「すまない・・・こんな事になるとは・・・」
娘は首を横に振ると「あなたの・・・せいじゃない・・・だけど、こんなの酷すぎる・・・」、それだけ言うとスックと立ち上がって涙を拭いた。
俺はその姿に黙って目を伏せた。
(強い子だ・・・だが、見てられん・・・)
偽りの強さは凛々しくも儚く、見ていられなかった。
14 :
ジンロ:2006/11/06(月) 05:29:36 ID:ky29mnVp0
今日はここまでです・・・・
何か話がグダグダになってきているような・・・・・
文才が欲しい今日この頃です。
感想&励まし下さった方々ありがとうございます!
皆様を楽しませる物を提供出来るように頑張りたいと思います。
ジンロサマ、面白いですよ!自信を持ってくださいな。バイオも好きな私は大好きですよ。ありがとうございます。
16 :
本当にあった怖い名無し:2006/11/06(月) 18:36:04 ID:gWkL7uwQO
まずとりあえず前スレ埋めようぜ
>16
埋まってるから大丈夫だよ。
勢いで書いた。反省はしたりしなかったり。
ゾンビのいる日常
三枝勇一はある疑問を抱いていた。
それはここ数日の間に渡り彼の明晰な頭脳を悩ませ、そのおかげで他の様々な『やるべき事』も手付かずになるほどだった。
「ふう・・・」
整った口元からため息が漏れる。窓辺に寄りかかり、外をまんじりと眺めるその立ち姿はどこか儚げですらある。
童顔ともとれる面立ちに似合わぬ怜悧な眼差しを持つ彼だったが、今はその眼光も力無さげに眼下を覗くばかり。
アンニュイなその姿は普段の彼からは想像もつかぬものだった。同級の女子が見れば思わずうっとりと溜め息をついたことだろう。
「どうした?元気ないんじゃね?」
傍らから不意に声をかけてきたものがいた。
「よう、大村・・・あっち片付いたのか?」
「ああ、あっさりとね。それよりお前だよ。最近変だぞ。なんか悩みでもあるのか?」
三枝と気安く話し始めたのは大村友一だった。二人は中学以来の友人である。互いが相手を認め合うよき親友同士だ。
大村は三枝にとって、悩みを包み隠さずにいえるただ一人の相手だった。大村にとっても三枝は同じ立場の友人だ。
この時も三枝はなにも隠すことなく親友に全てを打ち明けた。
「聞いてくれよ。最近このことばっかりが頭を悩ませててさ・・・。全然答えが出ないんだ」
「何だよ?お前がそんなに頭抱えるなんて珍しいな・・・。言ってみろよ、俺で答えられるかわからないけどさ」
三枝は大村に感謝した。たとえ答えが出なくとも、自分のことの様に共に悩んでくれるこの友人を得たことを幸運に思う。。
「じゃあ言うぜ?あのさ・・・ゾンビ共いるだろ?今までに何百と見てきたけどさ、俺はある共通点に気が付いたんだ」
いつに無く真剣に語る。事の真相に関わる発見とでも言うかのように。大村はごくりと生唾を飲み込んだ。
「あいつらさ、絶対に下半身の服が破けてないんだ・・・。男のゾンビはまず股間の部分がなぜか無事なんだ。
女ゾンビは股間のみならず、胸の部分まで衣服が残ってんだぜ?これどうよ?」
さも重大な発見をしたと言わんばかりの三枝を前に、大村は口をあんぐりと開け、しばしの間固まった。
そんな事で何日も悩んでいたのか?そう考えたのだろうか。ならば大村が固まってしまった理由も説明がつく。
しかしそうではなかった。
「・・・すげえ!!三枝お前すげえよ!よくそんなとこに気付いたな・・・!そういやそうだよな、なんでだ?!」
「だろ?!変だよな?色んなとこ食われてんのに股間だけ無事なんだぜ?明らかになんらかの作為が働いてるよな?」
大村はただ感心しただけだった。しかし力強い友を得た三枝はここぞとばかりに自らの推測を吐露する。
「明らかに不自然。これは調べる価値がありそうだ」
「ああ、今すぐ調べよう。善は急げだ!」
何が善かはわからないが、二人は既にやる気満々といった風情だ。
「あ、あそこのゾンビなんかちょうどいいんじゃないか?下にジャージ穿いてるから脱がしやすそうだ」
「ほんとだ。じゃああいつ脱がそうぜ」
最早中学生のズボン脱がしの遊び、といった様相を呈してきたが、二人ともそんなことはちらりとも思わず、バリケードをどかして道路の飛び出す。
「へい、そこの飢えたおにいさん!ちょっとこっちであそばな〜い?」
三枝が飢えたお兄さんに声をかけて誘う。心無しかおかま口調ともとれる。
飢えた(ryはお誘いお受けしますとばかりに勢いよく近づいてきた。
そこへ待機していた大村がロープをもって襲い掛かる。
後ろからお兄さんの頭を越えてロープをかけ、そのまま両腕の上腕部を固定。背中で一度結び足払いをして転ばせる。
あとはゾンビを転がすだけで簡単にぐるぐる巻きの状態になる。仕上げにフルフェイスのヘルメットをゾンビにかぶせれば噛まれる心配もない。
これで準備は整った。残るはジャージを脱がせるばかり。
「大村いい仕事!」
「まかせな!さあ、仕上げといこうぜ!」
ハイタッチをかわし、視線と両の手は飢えたお兄さんのジャージへとのびる。
「いくぜ・・・これで全ての謎は解けるはずだ・・・。3・2・1・フゥハァ!!!」
気合の掛け声と共に、一気にジャージを脱がした。
そして二人が目にしたものは。
股間には星が描かれていた。輝きなど一つも無い、黒々とした星が。
「こ、これは・・・・一体・・・?」
「よ、予想guyで〜す・・・・」
大村の口から、どこか聞き覚えのある言葉が漏れた。
と、三枝が何かに気付く。
「ここに何か書いてある・・・え〜と『大人の事情』って・・・・」
星の横、太ももの付け根にその言葉は刻まれていた。
「なるほど。『大人の事情』か・・・。それで衣類が無事だったんだな」
「ああ、『大人の事情』なら仕方ない。これが答えだったのか・・・納得だぜ」
二人はしきりに頷き、謎は全て解けたと言わんばかりにすっきりした表情をしている。
周りにはゾンビ達が集まり始めていたが、何を思ったのか(はたして思考力があるかは疑問であるが)互いの大事な部分の衣服を破き始めた。
しかしやはりそこには黒い星が描かれている。大きさは個体によってまちまちのようだ。
「あ〜」だの「う"〜」だの言いながらそれぞれの星を比べているようだ。
大村も三枝も、その光景を見てやはり頷くばかりだった。
彼らが篭もっていたビルの2階から、その光景を眺めているものがいた。彼女は呟く。
「あの人達と一緒に行動してて大丈夫かな、あたし・・・・」
福永真奈美の囁きはしかし、彼らの耳に届くことのないまま、吹き抜けた一陣の風によって虚空へと飛ばされていった。
バタリアンでは全裸のお姉さん出てましたね。
サイドストーリーってことで。
ではノシ
我流さん、まったく予想guyでしたw
こういう好きです。面白い〜
我流さん、トラッシュの事ですねw懐かしいwwwトゥナイト〜骨まで愛して♪いい曲ですな。なぜか、ゴミ文さんを思い出しました。ゴミ文さん、お元気ですか?我流さん、いつもありがとうございますm(__)m
ジンロさん最高!
ジンロさんオリジナルのゾンビ小説も読みたい!
28 :
ジンロ:2006/11/07(火) 18:11:42 ID:Mxyn3cQx0
>>26さん>>27さん
ありがとうございます。
オリジナルは今も考えています。
取り敢えずはこのバイオを完結させてからと思っていますので頑張りたいと思います。
それと毎日一回投下しようと思ってたんですが、今日はちと残業で泊まりになりそうなので明日の夕方に投下したいと思います。
29 :
帰ってきた男 ◆3pKabM1O5Q :2006/11/07(火) 22:44:39 ID:C8jKcQLBO
それはある日。まさしく異常と呼ぶに相応しい町の装いは艶やかな陰惨に染まっている。
飛び散る血や肉があたかも花のように咲く。恐ろしく美しい丹色である。
逃げまどう金切り声と獲物を見つけ本能のまま原始的に喜ぶ呻き声。
神に帰依するも意味を成さず、そして蝋燭が消え、紅花が咲き、呻き声がまた一つ増える。
―――11月23日。
「急げ!急げ!」
走る若者達。学生服をはためかせて走る。
―――PM1時37分。
「ぎゃぁぁぁぁっ!離せ、離―――ぐぼっ」
一人が捕まり喉を抉られる。口から漏れるのは叫びでは無く、血泡。
―――町の中心部。
「貴弘ぉぉぉぉっ!」
「また一人・・・」
「これで残り四人・・・くそったれ!」
少年達は叫んで唇を噛みしめた。
「美沙、大丈夫か?」
ある少年が背中に背負う小柄な少女に声を掛けた。
「ちょっと、苦しいかな・・・」
少女は苦しそうに呟く。
「何処かに隠れる場所は・・・あそこに病院があるな。みんな、病院で休憩だ!」
そして、物語が始まる。綴られる文字は赤色。血で綴られる物語。
30 :
本当にあった怖い名無し:2006/11/07(火) 22:53:05 ID:C8jKcQLBO
携帯から参加します。以後よろしくお願いします。
そういや評価の人まだ居ます?
何?この期待が膨らむ出だしは…。
携帯だのPCだの関係ないさ!続きヨロ!!
>>29-30 乙です!わくわくするオープニングですね。
病院っていうのも、いろいろ想像できて☆(ゝω・)bぐっ!
携帯からの書き込みは大変でしょうが、
楽しみに待っています。
ジンロさーん・・・。
一番人間くさくていい奴ブライアンを生き延びさせてくらさい・・・。
34 :
ひろし:2006/11/08(水) 23:43:36 ID:E7gvKR6O0
投下します
35 :
ひろし:2006/11/08(水) 23:46:16 ID:E7gvKR6O0
もし母親が生きているとすれば、一体どこで、どのようにして生きて
いるのだろうか。もし生きていたとすれば、恐らくこの日本のどこかで、
狭く暗い、人目につかぬひっそりとした場所で、絶望感に苛まれながら
も、一所懸命に命を繋いでいるに違いない。自分と同じように・・・・・・。
そう思うといたたまれない。母親を探し出したい。そして彼女を支え
てやりたいと思う。しかし、その熱いほどの焦燥感を解消する術を、すで
に建都の精神は失っていた。
コンクリートの壁に力なくもたれて、何もせずに夜まで過ごす。夜に
なればこの地上世界は冥界となる。死霊共の血肉を求める呻き声が、夜
空に反響する。そういう時、決まって建都はこう思う。
果たしてこの世界は、元のように平和な賑わいを取り戻すことができる
だろうか?と。
前のように、街で人の賑わいを、平和な世界を感じることができるだろ
うか。と
しかしそれは夢想に過ぎなかった。もはや世界のどこへ行っても、荒れ果
てた街が続き、路地裏や無人の建物の中では、ゾンビが夜になるのを待っ
ている。
もう永遠に元のような生活を取り戻すことはできないだろう。
ゾンビさえ現れなければ、このようなことにはならなかった。ソンビさえ
現れなければ、今ごろは学校へ行って机の臭いを嗅ぎながら、授業を受
けているはずだった。勉強は嫌いだったが、今ではその勉強ですら恋しい。
単調な生活は時が過ぎるのを早くする。暗闇が空に半分降りてきて、すでに
風のうねりのような悪霊共の声が辺りに響きだした。その声は地の底から聞こ
えてくるようで、この世の、空間全てを震わせていた。建都はその響きを、体
全体で感じながら、目を閉じて眠りについた。だがなかなか眠れない。
今にもこの部屋の入り口の影から、ゾンビが姿を現すのでは
ないかと思う。
いつものように空に向かって祈りを捧げる。無意味なことだとわかっていて
も祈りを捧げずにはいられなかった。心の中で祈りつづけ、次第に心が落ち
着いてきた。緊張が解け体からスーッと力が抜けていく。建都の心は、鮮
明で暖かい夢の世界へと溶けいっていった。
36 :
ひろし:2006/11/08(水) 23:48:46 ID:E7gvKR6O0
日の光と朝の冷気を感じ、目を覚ます。ゾンビの声はすでにやんでいた。
棒のようにやせ細った足で立ち上がり行動を開始する。階段をおぼつかない
足取りで降り、外へ出てバイクにまたがり、セルモーターを回しエンジンを
始動する。バッテリーはまだ十分でスムーズにバイクは発進する。
至る所に車が放置されている。フロントガラスにはペンキで塗ったような
血が大量についていた。電柱にもアスファルトの道路にも、至る所にどす黒
いが撒かれていた。血を流した張本人は今は動く死体と化して、どこかに潜
んでいるのだろう。
視界を流れて行く建物には木の板で入り口を塞いでいる所が少なくなか
った。その中には、まだ生きている人もいるのだろうか?
マンホールが外されている所があるので、注意して走らなければならな
らない。そこを通り過ぎるとき、コオオオッと風の音が聞こえてきた。しか
しそれは風の音ではなかった。やつらは暗闇に潜んでいる。暗闇はやつら
の安息の地だ。やつらは太陽の光を好まない。建都は太陽の光が好きだった。
風が冷たい。脂肪と筋肉のなくなった建都の体にとって、この風は骨身に染み込
んでくるようだ。建都はしばらく、この寒い風に意識をまかせていた
37 :
ひろし:2006/11/08(水) 23:57:29 ID:E7gvKR6O0
自衛隊の基地のほとんどが壊滅したからといって、ゾンビ掃討作戦が
中止されたわけではなかった。それはごく微細な抵抗かもしれないが、
生き残った少数の、正義を重んじる人間によって、最後の希望は
保たれていた。
「うわああああああああああああああああ!」
「吉村!なにしてる!早く逃げろ!」
乾いた炸裂音が連続して響く。
吉村准陸尉は89式小銃のトリガーから手を離さなかった。本当は銃から
手を離し逃げ出したかったのだが、体が硬直し動かない。
手も足もまるでマネキンになったようだった。
ゾンビは3体。
ゾンビは、獣のように吼えながら、猛スピードで迫ってくる。弾丸はゾン
ビの体を吹き飛ばすが、それでも立ち上がり、ドス黒い血に染まった歯を剥
き出しにして襲ってくる。やつらの白濁した目は、恐怖を知らないようだった。
この港の廃工場で生存者を探している所で、ゾンビと遭遇した。彼らにと
って生存者を探すことは、危険な賭けだった。ゾンビがどれほど危険か
わかっていた。それでも生き残りの義務として生存者を探さなければなら
なかった。
38 :
ひろし:2006/11/09(木) 00:01:36 ID:Ck7L1lXi0
弾が切れた。吉村の体からふっと力が抜ける。銃を捨て、急いで工場の
出口へ向かって走り出す。やつらは速い。とてつもなく速い。血に飢えた
咆哮を後ろに感じ、今にも後ろ髪をつかまれそうだった。しかし吉村の生
存本能は彼にすさまじいまでの力を与え、なんとか工場の外へ逃げること
ができた。工場の建物から20m程行った所で、ようやく立ち止まり冷静
さを取り戻す。
ゾンビの方を見ると、やつらは日の光のあたる所で突然立ち止まり、
生気のない目でこちらを見つめた後、ゆっくりと暗闇の向こうへ消えて
いった。
吉村は、放心したようにその場にへたりこんだ。
「ひどいぜ、まったく」
「吉村准尉、見事な逃げっぷりだったな。50m走世界記録だ」
低い声に吉村は顔を上げ、ぞの人物の顔を見上げた。須田一等陸佐
がそこに立っていた。
「ふざけないでくださいよ。一体なんなんですか、あいつら?
まるで死人みたいだ」
「さあな。とにかく立て。拠点のデパートに帰ろう」
そう言って須田は無線機を耳にあて、各地で生存者を探している仲間達に
引き返すように指示し、歩き出した。
書いてみました。うざかったらごめんなさい。
これからもよろしくお願いしますm(__)m
自衛隊員がどのように関わるのか楽しみで仕方ないです。
一等陸佐まで現場の任務に駆り出されてる事から、自衛隊の状況も伺えますね…
ひろしさんのゾンビはヴァンパイア風ですな。
これからどうなうのか楽しみです。がんばって下さい。
42 :
通勤電車男:2006/11/09(木) 16:56:30 ID:QJZnuARiO
ジンロ様・我流様・帰って来た男様・ひろし様、続編&新作の投稿お疲れ様です!。
ジンロ様、お母さん...。なんという事をすんでしょこのダリオって人!。
アンディさんもピンチですがベテランらしい機転を活かし&部下の方々と
協力して、ピンチを切抜けてくれる事を祈ります(`・ω・)ゞ。
我流様、外伝?ですね!。本編の緊迫感はどこへやら。
突っ込み無用で突っ走った先に待っていた衝撃の事実(^_^;)。
後向きな発想に全力を尽す二人がとても輝いてみえました(o^-')b!!。
帰って来た男様、プロローグからして「そこ行っちゃダメー!」的な
場所へ導かれていく主人公達。美紗さんは既にゾンビによって
噛まれちゃってるのでしょうか(;・ω・)。wktkです!。
ひろし様、生者達それぞれの生存劇が展開されてますね。建都くんには
「母をたずねて三千里inゾンビ世界版」として頑張って欲しいです(^。^;)。
新スレ立っているのに気付かず感想が長文になってしまい失礼しました。
続編の投稿お待ちしております!。ありがとうございました!!。
43 :
ジンロ:2006/11/09(木) 19:22:24 ID:a0swll320
残業地獄から生還!
ゾンビにならずにすみました・・・・・
今日はこれを投下して永眠します。
「俺達は汚染者だ・・・塀の外には出ることは許可されないだったな!」
俺は上に向かってそう言い放つ。
(ゾンビ共に食われて死ねってことか・・・・)
『そうだ!ラクーンシティへ戻れ!』
俺はその言葉を背に母親の遺体を担ぐとバーストして止まっている車へ向かう。
そして、丁寧に車の後部座席に母親の遺体を乗せると弾薬の入ったバックを取りに行く。
しかし・・・・
『待て!そのバックは持ってゆくことはゆるさねぇ!銃も・・・・と言いたいところだが仲間の最後の情けだ。』
(ふん!よく言う!)
俺はダリオを一瞥だけくれて車へと戻る。
その途中茂みに目をやるとゾンビがまた湧いていた。
しかも、ゾンビは茂みからだけでは無かった。遠くから先程からの騒ぎを聞きつけてか続々と集まりつつあった。
(タイヤの交換をしてる暇は無さそうだ・・・)
運転席に俺が乗り込むと「だ・・・大丈夫なんですか?」近付いてくるゾンビ共から視線を外さず聞いてくる。
「心配するな。それよりもタイヤの交換している暇がない。何とかこの状態で街へ戻るつもりだが・・・・少し、揺れるだろうからしっかりとシートベルトを締めておけ。」
小さくコクンと頷くのを横目で見るとキーを回す。
微かに車体が振動し、少しくたびれたエンジン音が響き出す。
「行くぞ!」
アクセルを徐々に踏み込んでいく。
車が進むにつれハンドルが右に引っ張られる。
(いけるとこまでいくしかないか・・・)
何とかハンドルを調整しつつ、車は走り出した。
地獄の根源・・・・ラクーンシティへと・・・・・
44 :
ジンロ:2006/11/09(木) 19:23:02 ID:a0swll320
あれから30分程走ってきた。そろそろ街の外郭に辿り着こうかと言うとき・・・
今まで何とか持っていたホイールまでもが音を立てて割れると車は、またもそこを支点にスピンする。
しかし、そのスピンですら、俺に取っては想定内だ。むしろ、ここまで良く持ってくれた方だろう。
ハンドルを反対に切りアクセルを開け、回転しようとする慣性を殺す。
そして、ブレーキ・・・・すると、車は斜めになって止まる。
俺は少し歪んで開きにくいドアを蹴り開けると外に出る。
外に出て耳を澄ますが例の気味が悪い声は聞こえない。
おそらく、ゾンビ達は街の中心地か塀側に獲物を求め移動をしたのだろう。
ふと地面を見るとあまり綺麗とは言い難い路面の所々に赤黒い血の後がついていた。
「残念だがここからは歩きだ。母親の遺体はここに置いてゆく。」
運転席から娘に声を掛ける。
「そうですか・・・」
娘も俺の後を続いて運転席側のドアから外に出る。
2度の衝撃でドアが歪み完全に開かなくなっていたのだろう。
降り立った娘は名残惜しそうに後部座席の亡骸に視線を送っている。
「この騒ぎが収まればキチンと埋葬してやる・・・」
ぶっきらぼうに言って、辺りを警戒する。
「・・・はい」
娘の振り向きもせず、辺りの様子を探る。
辺りは不気味なほど静まりかえっていた。
少なくとも電気は、まだ供給されているのだろう、街灯が煌々と辺りを照らしている。
まばらに建つ家々を見るが室内は明かりは灯されていない。
まるで街まで死んでしまったかのようだ。
「これからどうするんですか?」
おずおずと聞いてくる。
「これから・・・か・・・」
俺はふと考え込むように黙り。
「まずはいくつか調べたいことがあるから警察に行く。」
45 :
ジンロ:2006/11/09(木) 19:23:56 ID:a0swll320
「警察!?」
娘は驚いたようにそう言うと、俺の側まで駆け寄ってくる。
「何か不味いのか?」
可愛い首をこれでもかと縦に振ると「無理です!」
「無理?何が?」
「お母さんと二人で警察に行ったんです!」
「それで?」
付近の安全を大まか確認して、初めて娘に向き直った。
「警察署の塀の周りは化け物が一杯で近寄ることもできませんでした。」
それを聞いて、一つ大きく頷くと「それは良かった。」と答えた。
「え?」
俺の言葉に驚いた声をあげる。
「考えてみろ?警察署の周りがゾンビで一杯だったと言うことはちゃんと防衛されてると言うことだろう?」
「あっ!と言うことは生存者が!」
やっと気付いたのだろう。嬉しそうな声をあげる。
「そこまでは言わないが中は安全である可能性は高い。」
俺はそう言うと銃を肩にかけ直した。
「ここにいるよりも安全だ。」
付近にゾンビのいる気配は無かったがだからといって安全とはほど遠いだろう。
「取り敢えずはここは離れた方がいいだろう。」
そう言うと腰を手で探りマグを確認する。
(M16のマグが3本か・・・)
塀の戦闘の際に1本消費し、バックから補充していなかったのだ。
ハンドガンの弾は4本あるが・・・心許なかった。
46 :
ジンロ:2006/11/09(木) 19:24:36 ID:a0swll320
では、みなさんお休みなさい。
よい、ゾンビライフを・・・・
>>46 乙。完結するまではゾンビになんなよ。
いや、まあ、最初はバイオ厨の思いつきばったりかと思ってたが、、、
こりゃいいや。今後の展開にwktk!!
夜に火を見つめていると色々と考えてしまう
火というものはそういう作用でもあるんだろうか?
日本という便利で恵まれた国に生まれた人間でも、こんな酷い状況になると自然と慣れるものだなと
最近特に思うようになってきた
男でも女でも老人でも若者でも子供でも、この酷い日常を生きていけてると言うことは
生きるための何かに秀でていると言うことだ
特に何かに秀でているわけでもなかった俺は、ゾンビに殺されそうなところを
さっきからそこで蛇を焼いている保田茂という男に救って貰い難を逃れた
保田茂は三十の男で格闘技の経験とサバイバルの知識があり、俺にとっては頼りがいのある兄貴のような存在だ
助けられた日の夜に俺が不安で眠れないでいるときも、彼の何気ない日常話に助けられた
「なぁ、純平お前は卵が好きか?卵の白身を泡立てるとなメレンゲになるんだ知ってたか?
昔なぁ…食品工場で働いていたときに、ふざけてメレンゲをズボンに塗ったらカビカビになってなぁ…まるで夢精後のパンツみたいになるんだこれが」
ガッハッハと豪快に笑い語る保田を見て妙に安心して眠れたのだった
「保田さん、俺に生きるための術をたたき込んでくれ!」
少し前から考えていた決意を口にする
「……純平いいのか?こんな世界だ例え生きるための術を身につけても…」
保田の言いたいことも分かる、生きていても何か希望があるわけでもないし
さらなる地獄を目にするだけの可能性のほうが高いだろう…そこで死を選んだ人間も多くいただろう
でも俺は!
「俺に生きるための術を!」
「ふむ……分かった、ただしどんなことでも耐える覚悟はあるな?蛇は大丈夫か?焼き蛇とは限らないぞ
生でも喰えるようになれ、蜘蛛だって喰わなきゃな蛙は美味いからお前にはやらん!そのかわりミミズバーガー
を作ってやる体づくりは食事からだからな、あとは訓練だが…」
「わかったわーかったから何でも耐えますよ俺は本気ですってば」
この人は喋りだすと長いのでここらで話を終わらせて寝ることにした
「pい!…ぺい!…純平!おい起きろ!」
朝に弱い俺はいつも起こされる立場だ
「今日から始めるんだろ?しっかり目を覚ませよ」
「……あ〜大丈夫ですよ目も体も完全には覚めてませんけど動けば覚めますって」
確かに完全な目覚めとは行かなかったが、目標が出来たからか悪くない目覚めだった
俺はこんな世界でもこの人と一緒なら生き残れるかも知れない
また自分だけでなく誰かを助けることが出来るかも知れない
一つの希望がまた一つ希望を呼ぶ事を学んだ瞬間だった
「純平!まずは俺の中でリトルジョンしろ!小便だ急げ」
ッこ、こいつ
「捕まえちゃうぞ〜ゾンビより腕力のある俺だ逃げれんぞ」
……!こいつゲイ!
「救命阿ッッッ!!!」
完
>>49 イントロがやたらかっこよくて歌が入ると急にダメになる曲ってあるよな。
そんな感じ。
もちろんそれを狙ったんだろうけど、出たしからの盛り上がりといきなりのショボオチ、
その落差感がいい。
最近、好作が続いてるけれど、その幕間の一時をありがとうww
52 :
ジンロ:2006/11/10(金) 05:12:57 ID:v5TmX/yx0
復活!
今日も早いですが投下です。
「警察署に行く前にガンショップに寄ろう。」
ガンショップの場所を検索しようと、ポーチからGPSを取り出す。
「ガンショップなら知ってます!」
役に立てることが嬉しいのだろう。少女は勢いよくそう答えた。
「そうか?なら、案内を頼めるか?・・・そう言えば自己紹介がまだだったな・・・・」
「えっ?あ、そうですね。私の名前は『エリシア・バートン』です。エリーって呼んでください」
「俺の名前は『アンディ・ラズフォード』だ。アンディでいい。」
ライフルに新しいマグと交換して装弾してセーフティを掛ける。
「あと、おしゃべりはこれくらいにしよう。声が近付いてきてる。」
「?」
エリーは俺の言葉に耳を澄ませる。
ヴヴァ・・・ァァ・・・・ア゛ヴォオ・・・ォォ・・ォォ・・・・
いつの間にか風に乗りさっきまで聞こえなかった声が・・・怨嗟の呻きが聞こえてきていた。
しかもそれは段々と近付いてきている様だった。
「は・・・はい!」
そして、俺達は足早にその場を離れ街へと入っていった。
街は形容しがたい程、酷い状態だった。
道路は事故した車で溢れかえり、所々で黒煙があがり、死者がうろつく。
時折、ゾンビと交戦していたのだろうか。バリケードが築かれ、血塗れの制帽が落ちていた。
(まさに地獄・・・いや、死者が生者を喰らわない分地獄の方がマシか・・・)
たまにゾンビを見かけるが、気付かれぬように時には隠れ、見つかってもこちらとの間に事故車のせいで近づけなかったりと、予想よりゾンビと交戦せずにガンショップまで辿り着けた。
しかし、問題は着いてから起きた。
今俺達は、ガンショップのウインドウガラスの死角にいる。
53 :
ジンロ:2006/11/10(金) 05:14:25 ID:v5TmX/yx0
俺はライフル銃身の先端に付けた鏡の反射で、店の中を覗いていた。
暗くて良くは見えないが、薄暗い店内には人間がいた。
体格からしておそらく男性だろう。ゴソゴソと店内で何かを物色しているように見えた。
「あの・・・どうかし・・・」
不安になったのか口を開き掛けた、エリーの口を素早く塞ぐ。
俺は無言で口に人差し指を立てると、鏡を再び覗き込む。
しかし、鏡からは人影が消えていた。
(チッ!気付かれたか?もしくは行ったのか?)
俺はしばらく鏡で店内をくまなく探したが、鏡で探すには死角が多すぎた。
不安げな、エリーの耳に口を近づけると、そっと耳打ちする。
エリーがコクリと頷くと、俺はM16のセーフティを外してドアの横へと移動する。
俺はタイミングを見計らい、さっき拾っておいた石を店内に投げ込む。
何か金物にあたったのだろう。カラーンっという音が響くと同時に店内に踏み込む。
俺が死角にM16を向けた時!
「動くな!」
後頭部に堅い感触が当たる。
俺は黙ってライフルにセーフティを掛けて足下に落として手を挙げる。
(今日何度目だ・・・)
そんなことを考えつつ、ゆっくりと振り向く。
そこには警察官支給のベレッタを構えた。警察官が立っていた。
「格好からして軍人の様だがこんな所で何をしている?」
声こそ荒げてはいないが声に微かな怒気が含まれている。
(やれやれ、隠れていたことがバレてたようだな・・・)
黙ってそんなことを考えていると、俺の額に銃が押しつけられた。
銃から熱くは無いが暖かさと硝煙が臭ってきた。
視線を一瞬だけ動かして店の奥を見ると人の足がカウンターの端から出てるのが見えた。
「人を殺した直後か?」
俺は質問には答えず、そう言うと彼は微かに表情を変えた。
「既にゾンビ化していた・・・」
その言葉に手を挙げたまま、肩を竦めて答える。
54 :
ジンロ:2006/11/10(金) 05:15:16 ID:v5TmX/yx0
警官は俺の態度に黙って銃を押しつける。
しかし、俺は顔色一つ変えずに心の中でカウントしていた。
(30・・・29・・・28・・・)
「一つだけ忠告しておこう。」
俺は銃を押しつけられながらそう言う。
「なにを・・・」と、彼が言いかけたその時。
ガシャーン!
ウインドウガラスが派手な音を立てて割れた!
そちらに気を取られ、警官に一瞬隙ができた。
俺にはその一瞬の隙で充分だった。
突きつけられていた銃を、左手で握り込む。
警官は咄嗟に引き金を引こうとするが、引き金は引けなかった。
「無駄だ。銃をスライドさせると引き金は引けん。」
言葉と同時に左手で銃を掴んだまま、右手で相手の襟を掴み。そのまま投げる。
咄嗟に受け身を取ったが、背中から地面に叩きつけられ、短い息が彼の口から漏れる。
痛みに耐え、立ち上がりかける彼の額に、俺は腰から抜いていたCZ75を突きつけた。
「それともう一つ。銃はターゲットの間合いの外から突きつけるモノだ。警官さん?」
俺に勝てないと気付いた警官は、諦めたように溜息をつくと、起き上がり掛けた身体で大の字で寝ころぶ。
「もういいぞ?」とドアへ声を掛けると、エリーがビクビクしながらドアの向こうから顔を覗かせた。
銃を腰にしまうと、警官へと手を差し伸べる。
「次からは気を付けるんだな?」
その言葉に男は差し伸べられた手を握り、苦笑する。
「今度人間に銃を突きつける機会があったら、そうさせてもらうよ。」
警官の手を思いきり引っ張ると勢いよく立ち上がり、服についた埃をパンパンと払う。
俺は警官に銃を返すと少し驚いたような顔をして受け取る。
「いいのか?」
と言いながらも銃をホルスターにしまう。
55 :
ジンロ:2006/11/10(金) 05:22:03 ID:v5TmX/yx0
俺は銃を腰から抜き放つと一瞬で、警官に突きつけた。
その早さに警官はついて行けずホルスターに手を置いた状態で固まった。
その姿に苦笑するとまたホルスターに銃をしまう。
「何、撃たれる前に撃つだけだ。」
固まっていた、警官は肩を竦める。
「確かに。アンタには敵わないようだ。」
お互いに苦笑を漏らすと握手を交わす。
「俺の名はレオン。『レオン・S・ケネディ』だ。」
「俺はアンディ、そして、こっちの女の子がエリーだ。」
紹介された、エリーがペコリと頭を下げる。
お互い自己紹介が終わったところで、レオンはカウンターに腰掛け、俺も近くにあったがらくたに腰掛ける。
明かり取りの窓からはのぼり掛けた朝日が店内に入り始めていた。
今日はここまでです。
今日は休みなので書けるところまで所まで書こうかと思います。
>>33さん
ブライアンですか・・・・・
アイツはやられキャラで・・・・・うわ!こら・・・・なにをす・・・・・・
かゆ・・・うま・・・
通勤電車さん
俺は貴方の小説が呼んでみたいw
>>47さん
ゾンビになっても、俺は進化してみせる。
そして、書き上げますからご安心を・・・・・
乙です
ジンロさん乙です!
レオンまで出てきてこの後どうなるのか凄く楽しみです。
ところでエリーという女の子は何歳ぐらいの設定なんでしょうか?
あと、ブライアンはやられキャラなんですか?ひ、ひどい・゚・(⊃Д`)・゚・
>ジンロさん
いや、マジでいいわ、これ・・・
59 :
ジンロ:2006/11/10(金) 22:10:59 ID:ir8/cpUzO
エリーは13歳ですよ。
ブライアンは……その……ゴニョゴニョ…
新スレに入ってジンロ大人気ね〜
面白いからね〜
あれだ、ジンロさんがオリジナル小説を書いたときに、ブライアンを登場させてもらえばいいんじゃ?
いや、俺はブライアンにそこまで思い入れはないけど。
63 :
ジンロ:2006/11/11(土) 04:13:07 ID:c19xardG0
投下です・・・
書けば書くほど書きたいことが多くてかなりな長編になりそうです^^:
少し明るくなった店内の中で埃が舞う。
「所でアンディさん?アンタは軍人か?」
先に口を開いたのは、レオンだった。
頭をボリボリ掻く。
「ああ、今は元雇われ傭兵だがな。」
そう言って苦笑する。
「誰に?」
俺は煙草を取り出すと火を付ける。
埃に混じって煙が陽の光に漂う。
少し考えた後「アンブレラ社だ。」と告げる。
レオンの顔が一瞬険しい顔になる。
「まぁ、今じゃフリーだがな。経緯は聞くなよ?話が無駄に長くなる。」
煙を深く肺に入れる。エリーは退屈なのか店内をウロウロと物珍しげに見て回ってる。
「まぁ、それは聞かないようにするよ。最後の質問だ。」
手でどうぞっと示す。
少し躊躇うように・・・・
「この町で何が起こっている?」
その言葉に、俺は眉を寄せる。
下に落ちていた。丸い缶を足の裏で弄ぶ。
「それはどういう意味だ?警官である。お前の方がこの町で起こっている事には詳しい筈だが?」
レオンは少し肩を竦めて「昨日配属されるはずだったんだ。」
ハッっと笑うと「そいつぁ、ツいてなかったな?」
「ああ、歓迎会を受け損ねたよ。」っと冗談を飛ばし、ガッカリしたような顔をする。
「はははっ!そう言うことなら、俺より彼女の方が詳しい筈だ・・・・」
俺の言葉にエリーが振り向く。
64 :
ジンロ:2006/11/11(土) 04:13:42 ID:c19xardG0
エリーに手招きすると、何やらゴソゴソとしていたのを止め、こっちに走り寄ってきた。
そして、俺の近くに座る。
「言いたくないかもしれんがこの町で起こったことを、レオンに教えてやってくれんか?」
エリーはコクッと頷いて街の詳細を話し始めた。
「最初はみんな暴動か傷害事件だとおもっていたんです。」
それからしばらく店内にエリーの声だけが響いた。
話を要約すればこうだ。
二日前にどこからか奴等があらわれ。
最初は市警も対応していたらしいが、所詮警察の装備では止められるべくもなく、増殖を続け今に至るそうだ。
「・・・にわかには信じがたいけど・・・・事実この状態・・・」
夜は完全に明け、辺りは穏やかな陽の光で包まれているはずだ。
しかし、今なお怨嗟の声は聞こえている。
「それで、アンディさんはこれからどうするつもりなんだ?」
その言葉に、俺は3本目の煙草を足で踏み消すとゆっくりと立ち上がる。
「確認したいことがあってな、警察署の方に行こうかと思ってる。」
「その前に弾薬を補充したくてここに立ち寄ったのだが・・・」
レオンもカウンターから降りると店の奥へと歩いていく。
そして、頑丈そうなロッカーの前で立ち止まり、俺に手招きしてくる。
手招きに従って近づくとロッカーには電子錠がかかっていた。
「おそらくここに銃が保管されてると思うんだが、この手の機械には弱くてね。」
レオンは人差し指でこめかみをコリコリ掻く。
電子錠を見てみるとコンソールがあり、どうやらパスワード式の鍵のようだ。
しかし、そのパネル部分には『OPEN』と表示されていた。
「開いてるじゃないか?」
「・・・は?・・・」
俺の言葉にレオンは一瞬、間の抜けた顔をするとバッと電子錠を見る。
「ば・・・馬鹿な!俺が見た時は確かに『CLOSE』だったのに・・・」
パネルを見たまま、レオンは呆然としている。
その時、俺の袖をエリーが引っ張る。
振り向くと、エリーが「ごめんなさい・・・私が開けました・・・」と申し訳なさそげに言う。
65 :
ジンロ:2006/11/11(土) 04:16:49 ID:c19xardG0
(そうか、さっきゴソゴソして他のはこれをいじっていたのか・・・)
「いや、壊す手間が省けたからいい。それより、どうやってあけたんだ?」
8桁のパスワード入力式の電子錠を開けるためには、単純に一億通りのパターンがあるはずだ。
それをあの短時間で開けるなど不可能に近い。
「あ!いえこれで・・・」
そう言って背中に背負っていた薄型リュックからノートパソコンを取り出した。
「これで役所の住民データベースにアクセスして、それでこの店の人のデータを全部抜いたんです。」
パソコンを開いて見せてくる。
そこにはここの主人の生年月日から家族のデータ、銃の許可証ナンバーまで全てが表示されていた。
「・・・ハッキングしたのか・・・?」
俺がそう言うとビクッとして身を竦める。
叱られるとでも思ったのだろう・・・
その頭に手のひらを乗せ、クシャクシャっと撫でる。
「凄いな!俺には到底真似できん。」と褒めると、エリーは恐る恐る俺を見上げる。
「叱らないの?」
おびえた眼差しでそう聞いてくる。俺はエリーに笑顔を向ける。
「何故だ?これは凄いことだ。もっと誇りに思っていいんだぞ?」
俺の言葉で途端に笑顔になると大きく「うん!」と答え、満面の笑みになる。
(父親の気持ちはこんな感じなのか?いいもんだ・・・)
今日はここまでです。
応援してくださっている方々ありがとうございます。
応援を糧にもっと頑張りたいと思います。
ジンロさーん乙です!
エリー13歳、ハッキングできるって、まさか天才少女!?
そしてアンディとエリーが今後どうなるのか続きが気になり夜も眠れません〜。
ジンロさん乙です。
これからアンディ、エリー、が無事町を脱出できるかどうか気になりますね。
ダリオ中尉がどうなるかも気になりますね。
ジンロさん乙です!
とても面白いですね。
いつの間にかこちらのスレに移行してたんですね…。
69 :
通勤電車男:2006/11/11(土) 22:33:47 ID:o215vOyAO
49様・ジンロ様、新作&続編の投稿お疲れ様です。
49様、「...俺にとっては兄貴の様な存在だ...」
「様な」から「ホントのアニキ」へ(^_^;)。純平さんのいろんな意味での
極限のサバイバル♪。彼の未来に幸あれ('ー`)ノ~。
ジンロ様、レオン登場ですね!。とは言えこの頃はまだ新人警官でしたっけ?。
ならむしろエリーちゃんの方が頼もしいかも(^_^;)。
あれ?なんかゲーム中で子供を操作した様な...2?・3?。
覚えてない...orn。よし!武器弾薬の調達は三人にまかせて私は
Boo@ offでソフトを調達してまいります(^。^;)!。
続編の投稿お待ちしております。ありがとうございました!。
電車男乙
>>69 >あれ?なんかゲーム中で子供を操作した様な...2?・3?。
バイオ・ハザード2でG-ウィルスを作ったウィリアム研究員の娘のシェリーだっけ?
72 :
ジンロ:2006/11/12(日) 02:58:36 ID:olgxAj040
今日もこれから投下です。
明日はちょっと用事があり投下できないかも・・・・・・
「・・・親子のコミニュケーションはそれぐらいしてくれ。」
後ろでレオンがロッカーを開けて中を物色しながら、そう言う。
「すまん、それと俺とエリーは親子じゃないぞ!?」
俺は少し慌てたように言いながら、レオンの隣でロッカーの中を覗き込む。
「そうなのか?それより見てくれ。」
言われなくとも既に覗き込んでいた。
ロッカーの中にはライフルやショットガンが綺麗に並べられ、その横の棚状になっている所に各種の弾が並べられていた。
「商品棚のモノはあらかた持ち去られていたが、ここは無事だった様だな?」
レオンはライフルを手に取ると構え、遠くの方に狙いを定める様にして引き金を引く。
俺は弾の棚にざっと目をやる。
CZ75の9ミリパラペラムはあるのだが、流石にM16の5,56ミリは置いていなかった。
「仕方ない・・・コイツで我慢するか?」
ショットガンを手に取り、同じく作動を確認する。
(スパス12とは、ここの主人はいい趣味している。)
内心そう思いつつ、ショットガンに装弾する。
そして、9ミリ弾を腰のポーチに入るだけ詰めると近くにあった。ショットシェルの弾帯に弾を詰めて肩に掛ける。
レオンも同じようにライフルにマガジンを装弾する。
「私も何か武器を・・・・」
エリーもロッカーまで来ると棚にあった。ベレッタを手に取る。
彼女の手を添え止めると、俺は首を横に振った。
「銃なんか持たなくてもいい。むしろ、自分を傷つけるだけだ。」
エリーは小首を傾げると「何故?」と言いたげな視線を送る。
ショットガンをロッカーに立てかけるとその場にしゃがみ込み、エリーの目を真っ直ぐ見つめる。
「君には君しか出来ないことがあるはずだ。お前は俺が守る。だから、そんなモノは持つんじゃない・・・」
「はい!」と嬉しそうにエリーは頷く。
それに釣られるように、俺も大きく頷いた。
73 :
ジンロ:2006/11/12(日) 02:59:37 ID:olgxAj040
「アンディさん!マズイいぞ!」
入り口の横で隠れるように外を見ていたレオンが、突然叫んだ。
俺はエリーにここにいるように言うと、レオンの反対側の壁に隠れ、外を探る。
大通りに面したガンショップの入り口は、事故車が多重に入り組んで上手く俺達の姿を隠してくれていたのだが・・・・
その事故車と事故車の間からゾンビが、次々とこちらへと向かってくる。
フラフラとしているものの、その歩みには迷いがない。
俺達がここにいるのを知っているかのような足取りだ。
「続々と集まってきてる・・・」
ざっと見ただけでも五・六十はいるだろうか?
さらにその後方から、影は確実に増えてきている。
「どうしてここが・・・」
だがレオンの質問に答えられる者は、ここにはいない。
俺は急いでエリーの側まで駆け寄り、ショットガンを肩に掛けM16を手に入り口に戻る。
レオンも既にライフルを構え、発砲を始めていた。
隣に並び、俺もライフルを構えセミオートで打ち始める。
これまでも塀でヤツらを何度も迎撃した。
来るものは片っ端から撃ち殺せば済む問題だった。
だが、今はこちら側の状況は不利。
横転した車や歩道に乗り上げた車が邪魔で、一撃で仕留めるのは不可能に近かった。
ヤツらは身体に弾丸を喰らいながらも、ジリジリと近づいてくる。
既にその距離は、7ヤード(6,5b)程まで近づいてきていた。
少しずつだがゾンビ達は倒れてゆく。
しかし、倒れたゾンビを踏みつけながらも近づいてくる。
「クソ!キリがない!」
「アンディさん、店の奥に裏口がある!」
74 :
ジンロ:2006/11/12(日) 03:02:29 ID:olgxAj040
その言葉に振り返り店の奥に目をやると、確かに裏口らしきモノが見えた。
「よし!わかった!」
レオンの言わんとしている事は察して、裏口まで走るとドアを開け、外の様子を探る。
外は路地になっていた表とは一変し、まだ、ゾンビの影も形も無かった。
「こっちは大丈夫だ!エリー!レオン!」
エリーは焦り、転びながらも走り寄ってくる。
しかし、レオンはライフルを打ち続けている。
「レオン早くしろ!裏口もいつ嗅ぎつかれるか分からんぞ!」
レオンはライフルの弾が切れるとライフルを捨て、ベレッタを抜いた。
「行ってください!ここは俺が食い止めますから!それに・・・」
ベレッタの、マグを交換しながら「連れの女性を捜しているんで一緒には行けません!」
見ると路地の端にある金網の破れ目から、ゾンビがこちらにも入り始めてきていた。
それを見た、エリーが服の裾をギュッと掴む。
「レオン!」
名前を呼ばれ振り向いたレオンに、自分が持っていたM16を投げる。
レオンはそれを空中で受け取める。
俺はレオンの足下に残りのマグも放り投げた。
「死ぬなよ?」
俺の言葉にレオンは左手を挙げて親指を立てて答える。
その姿を最後に、エリーの手を引き路地をゾンビ達とは逆の方に走り出した。
もう見えなくなった銃砲店の方角から・・・M16の発砲音を聞いた気がした。
レオンはここでお別れです。
あまり本作(ゲーム)とかけ離れるとつまらなくなりそう&主人公を乗っ取られそうなので・・・・
それに元々、ゲストのつもりで出しましたし・・・・
明日投下出来ればいいのですが・・・
ジンロさん乙です。
レオンとはついにお別れですか・・・
でもアンディが警察署に行くんだったらもしかしたらレオンに合えるかもしれませんね。
まあ気が向いたら、つか是非また出してやってくださいよ
77 :
本当にあった怖い名無し:2006/11/13(月) 12:02:23 ID:xGyVsXZb0
ジンロさん乙です!
ますます面白くなって来ましたねー。
次がめちゃくちゃ楽しみです。
ジンロさーん!
ブライアン出番まだですか?w
みんな結局バイオ好きやね
バタリアン4のDVDが出たみたいだけど買った人いる?
特典映像とかはないのかな?
新作の投稿がないので寂しいなあ・・。
窓を開けると晩秋のやさしい日差し共に
ひんやりとした風が部屋を吹き抜けた。
俺がベッドを振り返り美紀の顔を眺めると
オデコにかかる前髪が風に揺れている。
ー美紀。もう秋も終わるみたいだー
風をひかないように窓を閉めてやると
いつものように朝の仕事に取り掛かる。
まず、パジャマを脱がせオムツを
交換する。便を見ると調子がいいようだ。
ペンで日誌にチェックする。
新しいオムツを穿かせ痰を吸引してやると
ベッドのハンドルを回し外の景色が見える
高さまで頭を上げてやった。
とは言っても美紀には何も見えないだろうが・・・
食事を与え一通りの朝の仕事が終わると俺もポットの
コーヒーをカップに注ぎ窓の外を眺めた。
屋敷の外の国道にはゾンビ達が腕を上げ
営業を中止してしまっても動き続ける
遊園地のアトラクションのように
いつまでも動きつづける。それもまた変わらぬ風景だ。
俺は美紀のベッドの横に座り、妹の顔を撫でる。
三年前、不慮の事故で植物状態になってしまった妹、美紀。
あれから外の世界がゾンビによって大きく変わっても何も知らずに
眠る君。人々は狂い、町は死んで、嵐のような時間が過ぎた
あとの安らかな静寂。
そのとき一枚の落ち葉が天井から落ちてきて
白いシーツの上で回転したかと思うと
また舞い上がり美紀の頬に落ちて止まった。
ー美紀?−
俺は落ち葉を取って落ち葉を眺め
美紀の瞳に答えを求める。
ーお姫様?その答えは?−
静か過ぎる世界の中で窓を風が叩く音だけが聞こえる。
俺は、美紀の顔をしばらく見つめ
落ち葉をテーブルに置くと
手を握ってやる。そして頬にキスをした。
おやすみ美紀。おやすみ妹。
嘆きの予感が胸に押し寄せ、やがて去っていった。
また今日も神に祈ろう。行き先を、世界と俺の行き先を。
おわり
84 :
通勤電車男:2006/11/16(木) 21:08:34 ID:IuT4HfxYO
ジンロ様・ken様、続編&新作の投稿お疲れ様です。
ジンロ様、原作主人公レオンとの邂逅。原作がある作品だからこその
展開で、これから警察署にって事ならば直接ではないにしても何らかの
絡みがありそうですね!。グリーンハーブハノコシテオイテアゲテー(^_^;)。
ken様、季節感と騒乱後のある種の虚脱感。それを目覚める事のない
妹の世話という「彼」にとっての日常風景に織りまぜる事で、独特の
空気を感じさせるショート作品ですね!。
彼の妹さんが再び目覚める時こそが、彼の人身の終焉「嘆きの予感」
たりえるのでしょうか...(´・ω・)。
あと
>>71様、わさわざありがとうございます。boo@ offになかったので
ずーっと胸につかえてました(^。^;)。
続編の投稿お待ちしております。ありがとうございました!。
それは既に腐敗を始めていた。肉が腐り始めると発する、甘ったるいアルコールのような香り。
風に乗って漂い、すぐ横に座りこむ彼の鼻孔をくすぐった。
何故こうなってしまったのか。それは既に己の言葉を発する術を持たない。舌が崩れ落ちているから。
かろうじて喉の奥から絞り出されるザラザラとしたうめき声。それだけが、この腐敗した肉がまだ生きている事の証となっていた。
言葉を伝えようとする意思を持っているのだと示していた。
「なあ、もういいだろう?もう眠りについてもいいんだよ。君は僕の為に生きているのだろう。死を迎えてもなお生きているのだろう?
だけどさ、もういいんだ。僕は大丈夫だよ。君が居なくてもなんとかやっていけるさ。
ありがとう、心配かけたね。そんな姿になっても君の事は愛しているよ」
青年は心からの言葉をそれに語りかける。腐りかけの恋人に。最愛の女性に。
しかし彼女は首を振る。それは違うのだ。それだけが理由ではないのだと。
喉の奥から必死に言葉を絞りだす。意味を持たないうなり声を。青年に自らの心情が伝わらないもどかしい気持ちを抱き。
「何故そこまで?君の愛は十分僕に伝わっているよ。僕は君を愛した。君は僕を愛した。それは互いがどんな形になっても変わらないだろう?」
青年は彼女の髪を優しく手鋤く。いつものように。残り少ない頭髪がさらに少なくなるのも構わずに。
彼女は腕を振り上げる。違うの、そうではないのよ。貴方は全く分かっていない。
彼は突然激昂した彼女に驚き、身を離す。彼女の腕は肘から千切れ落ちた。
私が死体となって生きているのは何故だと思うの?強い意思を持ってなおあなたを愛しているのは?
ここに来て。私の側に。貴方の温もりを感じさせて。
彼女は残った腕を持ち上げる。彼を招く様に手首を上下に折り曲げて。
青年は彼女の側に寄り添う。
「どうしたんだい?腕が千切れてしまったじゃないか。無理をしないで。君はそんな姿でも美しいのだから」
青年は優しく語りかける。そう、君はいつだって美しい。死してなお。腐り、過去の面影を無くしても、それでも。
彼女が囁く。力なく。それは微かなうめき声であったが。
青年は彼女の手をとりそっと口づけ、口元に耳を寄せる。
「なんだい、言ってごらん?君の声はいつだって聞こえているから」
彼女は微笑み、半分なくなってしまった唇を醜く歪める。
そう、聞こえているのね。ではこうなる事も分かっていたのね。
ゆっくりと、慈しむ様に青年の首筋に歯を立てる。残った腕をしっかりと彼に巻き付けて。逃がさぬ様に。
悲鳴は美しい音楽。血は命を産み、肉は命を育てる。全てを全霊をかけて味わった。
貴方は分かっていなかった。全く分かっていなかった。愛しているから側にいた。それも真実ね。だけどそれだけじゃないの。一緒に死んで欲しかった。私と同じ姿になって欲しかった。だって私だけ醜くなるなんて不公平ではないかしら?
それはいつからか。そう思ってしまったのはいつからだったか。醜くなる自分に耐える事ができなくなっていた。彼が羨ましかった。心臓が脈打ち、命を嘔歌する彼が。私はくちていくというのに。
青年は息をする事をやめた。心臓も徐々に活動を止めるだろう。そして彼女と同じく死体となる。いずれ腐乱し、土となる。しかし。
ああ、もうすぐよ。すぐにあなたは目覚めるわ。私と同じく、生きた死体となって。これからも愛しあいましょう。動かぬ肉となっても。風に吹かれる土となっても。
でも何故か満たされないわ。どうしてかしら。そうよ、きっとまだ足りていないのだわ。血が。肉が。ああ、あなたの目覚めが待ちどおしい。
二人で出かけましょう。ランチを一緒に楽しみましょう。街に出ればいくらでも食べていいのだわ。他の人達もやっているのだから。
私は片腕がないけれど、きっと貴方が代わりをしてくれる。またエスコートをしてちょうだい。
彼女は青年の目覚めをただ待ち続ける。生前の頃、二人で摂った食事風景を思い出しながら。
終わり
ではノシ
>我流さん
うん、いい話だ。
本編のほうもお忘れなくw
91 :
ジンロ:2006/11/18(土) 07:54:05 ID:HAi8G9zFO
長いことお待たせしました。
しばらく出張で投下出来なかったんですが、今日の夜には帰れそうなので、明日の明け方には投下出来そうです。
お待たせしました方々には申し訳ありませんでした。
>我流さん
新作きたー!けど目覚めた後のランチってひょっとして・・・(((゚∀゚;)))
極秘
警告
このファイルを関係者以外の閲覧を禁ず。
これを許可無く入手、閲覧した場合には
新政府規定により処罰される。
ゾンビファイル J-4-1-0491
拾得人 新政府第二部隊 隊長
拾得場所 東京都港区元麻布2丁目
拾得年月日 2007年7月18日
著述者 不明
著述者の消息 不明
以上
以下記録
やあ、皆また会えたね。
元気だったかい?俺はこの通り元気だよ。
見ろよ、この贅肉の無い美しい体を
とは言っても食べるものが無いからしょうが
無いけどな。それは皆同じだ。
窓の外を見てみろよ。まだ君が生きているのならさ。
そうゾンビだよ。どうだい、食われてみるかい?
俺は、悪くないと思ってる。もう希望は
すべて消えたから。政府?自衛隊?国立予防センター?
うん?友よ、いい加減眼を覚ましてくれよ。
やつらにはもう何もすることは出来ないよ
俺たちは今、崩れ落ちる世界の真っ只中にいるんだ。
俺は夜中にその音が聞こえるような気がするんだよ。
ガラガラと人類が築きあげた城が崩れる音をさ。
何日か前までは確かに上空をヘリや戦闘機が
飛んでいた気がする。でも今はどうだい?
時折、何かが爆発するような音がして
散発的な暴動の声がするだけ。
いや、悪かった。喧嘩するつもりは無いんだよ。
これっぽっちもね。ごめんよ。暴力はたくさんだ。
もう涙も残っちゃいない。
本題に入ろう。
今日は折入って話があるんだ。
良く聞いてくれ。手元にクッキーとコーヒーなんかが
あると俺もうれしいんだが、何かあるかい?
長い話になりそうだから君に飽きないで聞いてもらえると
うれしいんだ。惨めな男の一生って奴を。
俺はキャンプが好きだったからガスコンロが沢山あって
コーヒーを沸かすには
助かってるんだけど君はどうかな?卓上コンロのガスは残ってるかい?
前々から俺が言っていたように上の階に石原さとみが
住んでいるんだよ。石原さとみを知ってるよね?
まあ、俺はトップアイドルが住むようなマンションに住めるから
お金持ちってわけ。
親の金だけどね。情けないことに。高級マンション
だから俺の力じゃ住むことなんか夢のまた夢さ。
近くに有栖川公園があって
環境も抜群だ。六本木ヒルズの坂を降りていったところにあって
散歩すると木々の間をくぐり抜けた光が
美しい模様をかき、木々独特の香りが溢れている。
どこからか外国人の声が聞こえる、そんな場所。
俺はファンだったんだ。
彼女の性格、顔(特に眉毛)、元気なところ。
俺の持ってない部分をすべて持ってる気がして
あこがれてたし、たぶん女神様みたいなものだったのだと思う。
そのときまではね。
それがある日マンションの地下駐車場で
マネージャーと思われる女性と出てきたときは
びっくりしたね。その日は彼女の生放送があって
俺はいつものように家で、それを
見ていたんだ。その時と同じ服装をしていたから
すぐにわかった。暗い駐車場に光が溢れる感じがした。
膝が震えるのがわかった。
ここに住んでいるのか、打ち合わせか
恋人でもいるんじゃないか、いろいろ考えたよ。
それで声をかけようと足が行きかけた。
でも、その瞬間、ちょっと待てと脳のどこかが
言ってるのがわかって、その足で車の後ろに回り
すぐハッチを開ける振りをした。
(俺は車に乗って出るところだったんだ。
車はワーゲンビートルの新しい車で)
ハッチを開け中を探す振りをしながら石原さとみの様子を
探っていた。するとどうやら、雰囲気的に
住んでいるらしい感じだった。
なんだか胸が熱くなって息が詰まりそうになった。
TVの中の人物が、現実世界に出てきた
匂い、生身の感覚、下半身に血液が集中する原始的な感覚。
分けのわからないこの先にあるかもしれない
現実的な予感と空気が
あふれてエンドルフィンが体中を
半鐘をならしながらぐるぐるかけ巡っている。
どうする?考えろ?今すぐお前の脳を
フル回転させろ。俺は彼女の方を見ずに考えた。
そのとき俺がとった行動は今でも正しいか正しくないかわからない。
俺はテニスラケットを探した振りをして
それを持ちながらハッチを閉め運転席に戻ったよ。
その時、運転席に座るまでの数十秒間
俺が考えたのはたぶん異常と正常の
中間あたりのことだったと思う。
だぶん男子なら誰でも描く妄想さ。
言わなくてもわかってもらえると思う。
つまり、その想像のためには
友人にあわよくば恋人になりたかったら今は声を掛けるな。
今、声を掛ければ間違えなく気味悪がられるってこと。
ストーカーと間違えられるってこと。
それで、俺はエンジンを掛けた。
今まで経験したこと無いくらい
勃起したペニスがズボンを圧迫する痛みに気づいたのはその時さ。
何日か、いつもと同じような日常が続いた。
俺はこれまで以上にコレクション(画像、
写真集、DVD、TVの録画)に励んだけど
なんだか、行為と相反するように
あのグラビアを見るたびに感じた熱いもの
以外の感情が生まれているのに気づいた。
それはもう別世界の人間じゃないんだ。
手の届く場所にいる女の子なんだっていう
冷めた感じにも似たリアルな感覚。
だけど天井を見上げれば彼女の息遣いが感じられる気がした。
馬鹿な、はなしだけどマスターベーション中の
妄想の中では天井が透明になって彼女の股の下の白いレースのついた
パンティが見え、その中の熱く濡れる
ワギナが発する匂いが感じられる気がした。
そしてその想像の香りを胸いっぱいに吸い込み、右手を
気が狂うぐらい上下した。
そんな時は、果てた後の白い汚濁液を見ながら
涙が溢れそうになる。
空しさと後悔、そして人間としてのプライド。
(なあ友よ、どう思う?俺は狂っているのかい?)
俺は彼女がいると思われる最上階まで
行ったりもした。俺が2階で、どうやらそのすぐ上の
最上階って言うことまで
わかったけど(デザイナーズマンションで3階までしか無いんだ)
どの部屋かは分からなかった。
最上階にはオーナーの部屋とそれ以外に3部屋あるんだけどね。
最上階に行って、人のいない間接照明の効いた廊下を眺めて
人に発見され警戒される前に帰ってくるのが常だった。
運命の日、その日は、雨が降っていたはずだ。
俺が、外出先から帰って車でスロープを降り
駐車場に車を入れたとき
数台横のベンツの中で人影が動くのを発見した。
前からそれが彼女の乗るベンツだってうすうす
気づいていたんだ。前にテレビ局のロゴが入った袋が
車内にあるのを見つけていたからさ。
俺は車を止めた後、横にある何台もの車の窓を
通して彼女の乗ってるベンツを見ることが出来たと
思うけど横は向かなかった。その現実を
完全に認めることが怖かったのか社会人としての
(社会人だって?)マナーだったかわからない。
俺が車を入れるまでに見たのは彼女の眼を閉じて
キスをする顔と男の肩にまわされた腕、後ろ姿の男の髪だった。
彼女はうっとりとし、キスするときの男性を
信じきった女性の美しさが溢れていた。
俺は震える足でブレーキを踏み
エンジンを切って車外に出ると地下まで続いているエレベーターには
乗らずスロープを上がって外に出る振りをし
彼女の視線から俺の姿が認められない場所まで来ると
身を屈めながら陰になった柱と車づたいに車の陰に入り
そこで様子を伺うことにした。
情けなさと裏切られた感情と大人の女性なんだから
当たり前なんだという感情と覗き見をするエロティックな
感情が胸の中で渦を巻いていた。尿意がした。
何分だろう、気がつくとドアを開ける音がして
彼女と男が降りてきた。彼女の顔はまだとろけるような笑顔のままで
赤く上気していて美しかった。それは打ちっぱなしの
殺風景な駐車場の蛍光灯の下でもはっきり分かる。
彼女はエレベーターに向かう途中、体を男性に預けるように腕を組み
(男は胸の柔らかい感触を感じているだろう)
買い物したであろう袋を左手に持ち替え
やがてエレベータホールに消えた。
一人残された駐車場には
雨の匂いと排気ガスの匂いがした。
いや、いちばんしたのは負け犬の匂いだ。
生物の男としての。
鼻の奥が殴られたときのような
モーターが発するようなのなつかしい匂いを感じた。
その後、行く後もなく街を歩いて
目に付いたファミレスに入ったんだけど
そこで飲んだコーヒーがうまかったな。
たぶん今思えば俺は吹っ切れてんだと思う。
窓の外のタクシー
のテールランプ見ながら、
ここから引っ越せ。新しい生活を始めろ。
仕事をして親に甘えるのをやめろ。ってもう一人の
自分の声が叫んでたっけ。
ごく当たり前のことだけどね。
俺は20代半ばまで気づかなかった。
っていうか、この何ヶ月かあまりに身の回りに起きた
現実に振り回されすぎたんだと思う。
想像してくれ、ある日、君の好きなタレントが
同じ屋根の下で生活している。
どうだい?どんな感じだ?
いや、言い訳はやめよう。
俺のしたことはゲスにも近い行為だ。
俺は、店を出て有栖川公園までジョギングしたよ。
そしてジーンズとTシャツのまま
疲れ果てて体の中の汚いものが出るまで
走り続けたよ。マンションに帰って
シャワーを浴びていたら東の地平線上に
白い一本の線が見えた。
希望の光だ。新しい生活のね。
翌日の月曜日、マンションの不動産に
行って解約の手続きをしようとした。
でも、不動産の前まで来ると足が動かないんだ。
あきらめ切れてないんだな。情けないことだよ。
あれは唯の男友達じゃないかって
日曜日に考えたことがまた浮かぶ。
でも、あれが男友達として今後お前に彼女と付き合う
望みはあるのかい?
いやないね。お前の身の程を考えろ。
ぬるま湯の妄想から縁を切れ。
そして俺は、自動ドアを開けた。
もうすぐ、この話も終わりだ。もう少し
付き合ってくれ。
マンションの解約をすると出て行く最終日は
9月末の30日だった。
すぐにでも出たかった俺は、その足で電車に乗り
代々木に小さなアパートを
借りた。そして、その夜、俺にとっても人類にとっても
運命的な日がやってきたんだよ。
そう9月16日だ。
俺が解約をした日の夜
荷造りをしながら運び出す手間を考え自分で代々木まで運ぶのをあきらめ
運送会社にしようかと考えてるとき
BGM代わりにつけていたTVの
番組が突然変わり報道スタジオから
臨時ニュースを告げるアナウンサーの
切羽詰った口調からすべてが始まった。
アメリカ合衆国で奇妙な事件が発生しました。
アメリカ合衆国メイン州ポートランドで
現地時間の早朝から死者と思われる
人間が蘇り人間を襲い多数の死者がでてアメリカ陸軍
海兵隊が出動した模様。ただし現場付近は広範囲によって
封鎖され詳しい状況はわからない様子。
なお現地時間の19時(日本時間、朝8時)より
ブッシュ大統領による会見が始まる模様であります。
繰り返します・・・
俺は残り少ないであろうバッテリーを
気にしつつ、ここまで書いた文章を読み返してみた。
自己正当や歪曲、誇張はないか。
いや、いまさらそれがどうだっていうんだ。
それこそ自己美化じゃないか?
俺は10月20日現在、まだ麻布のマンションにいて
(いやゾンビのために外に出れずあれ以来
閉じ込められたというべきか?)
そしてこれを書き終えた後、
上の階の石原さとみに会いに行こうとしてる。
それで何を期待する?セックス?強姦?
それとも生き残った人間同士のつながり?
いや・・・違うんだ。性的なものじゃない。
そうか、そういえるのか?神に誓えるのか?
廃墟になった世界に立つ神に。
また上の階で音がした。俺の部屋の真上が
彼女の部屋だ。
そのノックがしたとき俺はベッドの中にいた。
外はもう暗くなっている。
ゾンビか?いやオートロックのこのマンションに
ゾンビがやってきたことは無い。
それなら・・・
彼女は管理人とずっと最上階にいたが
今日、管理人が死んだので生き残った住人は
いないか、一部屋ずつノックしてきたという。
最上階、二階にはもう俺以外誰もいないらしい。
俺は複雑な胸のうちを隠し彼女の話を聞いていた。
そのとき、彼女を見てわき上がってきた思いは
性的なものというより
人としてこの崩れかけた世界になって
久しぶりに感じた温もりのようだったともう。
いや・・・言い切れるか?
もうどうでもいいことだ。たぶん。
俺は話を聞きながら、ちらと後ろを振り返り
ノートパソコンのほうを見た。
モニターが開きっぱなしになっている。
夜が深まっていつものように手製の食用油を使った
ランプに火をつけると親密な空気になった。
残りわずかになった食料を分け合いながら
俺は、すべてを、パソコンを
彼女に渡し読んでもらいたい気持ちになるのを
感じた。俺は、こんな人間なんだ。
それでも、まだここにいるのかい?さとみさん。
外にいる生き物より危険な生き物なんじゃないかい?俺は。
何千回かの逡巡のうち、彼女にパソコンを
渡した。すべてを読み終わった彼女は
微笑(彼女は、あの日に駐車場で見せたのと別な
達観した生き残った人間ならではの慈悲深い微笑)した。
「だいじょうぶよ。だいじょうぶ何も言わないで」
ふと気がつけば熱いものがこみ上げてくるのを感じた。
眼の奥でロウソクの炎が乱反射した。
彼女の姿がぼやけ一筋の何かがこぼれた。
それは「罪」だったのだろうか?
「救い」だったのだろうか?
彼女はテーブルを立つと俺を後ろから抱きしめた。
背中に当たる乳房から母とマリアとすべての人間を
支える根源的なエネルギーの熱
あたたかみを感じた。
彼女は俺の顔に自分の頬をあて言葉では
表せない気持ちを伝えようとしている。
長く暗い夜の中で。
おわり
107 :
ken ◆r7Y88Tobf2 :2006/11/19(日) 03:38:30 ID:U4Yj/DMa0
ところどころにある表現に不愉快な思いを
感じた方がいらっしゃったらすいません。
エピローグ
俺はここを出て行くか迷っている。
暗い部屋の天井を見つめても
何も答えなんかでやしないのに
網膜が描く幾何学的な不思議な線を見ながら
自問自答した。
はっきりしろ。お前のしたいことは何だ。
すると胸の奥の暗闇から(それはずっと以前に
生まれ育ち認知されるのを待っていたのだろう)
ある、はっきりした思いが
浮かび上がってくるのを感じた。
それは、エピタフに書かれた文字のように
はっきりとした輪郭で俺の心に立ち上がった。
俺は読んだ。
《俺はこの女を憎んでいる》
そこにはそう書かれていた。
というわかりやすい事実だった。衝撃を受けた。
それで俺にも分からぬ自身の
心の動きかたの何もかもが合理的に説明できるような気がした。
なぜ、そのことに今まで気づかなかったのだろう?
いや、深く愛している。それは間違いない。
でもその心の天秤の片方の皿に載って
バランスをとっているのは憎しみという
マイナスの思いだった。憧れが転じた曲がりくねった
愛情の裏返しの憎しみ。人ならそういうだろう。
俺はそれを気づくのが怖かっただけなのかも知れない。
俺は体を反転させ横で寝ているさとみの顔を眺める。
だめだ・・・出て行くことなんて・・・愛しすぎる・・・
それでも俺は力を振り絞ってベッドの縁に座った。
窓からは月が見える。
あまりにも静かな夜だ。
心から浮かび上がるエネルギーのまま
俺は力の限り絶叫した。音の無い心の声で。
それはゾンビさえも揺さぶるものだった。
月が水の上のビニールのように揺れやがて収まる。
夜は明けるのだろうか?もちろん明ける。
それまでに俺は答えを見つけなければならない。
酒を・・・いや酒はだめだ。
俺はベッドから立ちテーブルに腰かけ
さっきまでの夢の残り香をテーブルの上に探した。
酒が欲しい。俺はウイスキーのボトルのふたをあけると
その匂いをかいだ。麻薬。喉がごくりと上下する。
やめてくれ・・・わが地獄と外の地獄の
二重の檻の中で俺は再び叫ぶ。
やめてくれ!俺を解放してくれ!
声にならぬ声はやがて部屋全体を揺らし始めた。
彼女が起きる気配は感じられなかった。
ー起きて欲しい?−
わからない、もう沢山だ、もう沢山なんだ。
俺を逃がしてくれ。牢屋からこの救いの無い牢屋から。
エピローグ おわり
111 :
通勤電車男:2006/11/19(日) 21:34:27 ID:DWrBHr13O
我流様・ken様、新作の投稿お疲れ様です。
我流様、お互いに少しずつ歪んでしまった愛情の結末。
どうぞ末永く寄り添い合い、支え合いながらランチでもディナーでも
思う存分召し上がって下さい(((>_<)))。
ken様、このアダルトな雰囲気に圧倒されそうですが、
最初から読み直すと「...もう希望は全てきえたから」とあり、
この二人だけの空間、愛憎に心を持て余す主人公に一体どんなドラマが
あったのか。いろいろ想像しておりますが...ガクブルデス(((∋_∈)))。
新作の投稿ありがとうございます!。またの投稿お待ちしております!!。
>>111 ちょっと構成が分かりにくかったですね。
>>93の
以下記録から
>>103の
>>ブッシュ大統領による会見が始まる模様であります。
>>繰り返します・・・
までがゾンビファイルで主人公がノートパソコンに
書き残した記録。その後に
>>拾得人 新政府第二部隊 隊長 が元麻布2丁目で拾ったという意図です。
第二部隊はゾンビに関するデータを収集する係りのイメージです。
ちょっと心理描写に無理があるかなと?
思い始めてるので時間があればリライトしたいです。
消して〜♪
114 :
ジンロ:2006/11/20(月) 04:46:17 ID:vL+3xTRo0
出張が長引いて中々投下出来ませんでしたが、今日から復帰です。
皆さんよろしくお願いします。
もう見えなくなった銃砲店の方角から・・・M16の発砲音を聞いた気がした。
網の目のようにはしる路地を、エリーの指示に従って進む。時には塞がれた路地を迂回し、ゾンビの集団を隠れてやり過ごしながら・・・
「大丈夫か?」
俺は少し立ち止まると疲れが見えてきた、エリーを気遣う。
「ハァハァ・・・だいじょ・・・です・・・」
一瞬でさえ油断出来ないこの状況、さらには度重なる緊張の連続で疲れが出るのは仕方が無い。
ましてや彼女は戦闘経験も無ければ、訓練を積んだ人間でもない。
数日前までは「普通」に生活していた少女である。
(このままでは、どこかでヤツらに見つかるのも時間の問題だ。)
路地沿いに無秩序に並ぶ、建物の一つ一つに注意深く目を向けてゆく。
ふと、工場と思われる建物が目に入った。
幸いにも頑丈な鉄扉は、内側に向けて僅かにだが隙間が開いている。
「エリー、こっちだ」
彼女の手を引き、扉の隙間から気配を探る。
ゆっくり、扉を開き中を見回す。
どうやらここは、自動車整備工場の様だ。
車は無いが、整備用の工具や部品、油圧ジャッキが無骨に置いてあるだけだった。
(どうやら、ここは安全のようだな)
死角が無いその空間が、現段階では安全だと一目みただけで把握できた。
俺達は中に身体を滑り込ませるとドアに鍵を掛ける。
手際よく、今度は工場内に設置されている休憩室の安全を確認する。
ソファーやデスク、冷蔵庫があるだけの小さな部屋だったが、安全であるという事実だけでも充分なものだ。
115 :
ジンロ:2006/11/20(月) 04:47:19 ID:vL+3xTRo0
休憩室にエリーを連れて行く。
「しばらくここで休憩だ。」
その言葉にエリーはソファーにへたりかけた体で立ち上がると「私なら・・・大丈夫です!」
「俺が疲れたんだ。」
立ち上がろうとする彼女の隣で、ドカッとソファーに体を沈める。
「それに疲れていると注意力が落ちる。」
俺がそう言うとエリーは渋々ながらも、再び溜息と共に力無く腰掛けた。
「ありがとうございます・・・」
俺はソファーから立ち上がると片手をヒラヒラさせて答える。
冷蔵庫を開けると中にあったボルヴィックを2本、取り出しソファーの前にあるテーブルに置いて、もう一本を開けて口に含む。
「3時間だけ、ここで休むから寝ておけ。」
返ってきたのは彼女の声では無く、小さな寝息だった。
(余程、疲れていたんだな・・・)
エリーに上着を掛けると、俺も腕時計のアラームをセットして静かに目を閉じた。
どれぐらい経っただろうか?
ドンドン!
目覚めはアラームの音ではなく、鉄製のドアが乱暴に叩かれる音だった。
俺は瞬時に立ち上がると、ショットガンを手に扉に音も静かに近寄る。
「ねぇ!早くして!奴等がもう、そこまで・・・」
「開かないんだよ!くそ!」
扉の外から男と女の言い争う声が聞こえてくる。
どうやら生存者のようだ。
俺は扉の鍵を外すと即座にその場から飛び離れた。
乱暴に扉が開き、外の男女が転がり込むように入る。
「あ・・あんた・・!?」
男が俺に向かって何かを言おうとしているが、今はそれどころではない。
銃口を扉の外に向けたまま開いた鉄扉に駆け寄り、状況を確認する。
外は車1台半程の幅しかない細い路地になっていて、大通りと繋がっているようだった。
その大通りからはゾンビが群をなしてこちらに向かってきていた。
116 :
ジンロ:2006/11/20(月) 04:49:00 ID:vL+3xTRo0
今日はここまでです。
新作も増えてきていい感じですね。
では、また明日同じ時間ぐらいに・・・・
>>116 乙 wktkwktkwktkwktkwktkwktkwktkwktkwktkwktkwktkwktkwktkwktkwktk・・・・
そろそろかな?
119 :
ジンロ:2006/11/21(火) 05:37:13 ID:xWspaAZk0
これから投下です。
(チッ!奴等に感づかれた!)
俺は急いで扉を閉めると鍵を掛ける。
中には安堵からか床にへたり込む男女の姿と騒ぎで目が覚めたのか、エリーの心配げにこちらを見つめる視線があった。
「大丈夫だ・・・そう心配した顔をするな。」
エリーの横を通り過ぎる際に頭をクシャッと撫でて、優しく言って冷蔵庫まで行き中から、残っていた最後のボルヴィックを取りだして黙って男の側に置く。
それを男は手に取ると蓋を開け、女性に手渡す。
余程喉が渇いていたのか、むさぼるように水を飲むと半分も残っていない水を男が飲み干す。
そこまで黙って見てから、俺が口を開いた。
「さて、自己紹介と行こうか?俺はアンディ、この子はエリーだ。」
男女は戸惑うように顔を見合わせると男の方が立ち上がると俺に右手を差し出す。
「俺の名はテリー、彼女はシンシアだ。助けてくれてありがとう。」
俺がその手を握ろうとした瞬間。
ドンドンドン、
ガン・・・ドンッ、ガンガン・・・・・・・・
男達が入ってきた鉄扉が激しい音を立てて殴り付けられる。
音からして鉄扉の外はおそらく、無数のゾンビ達で埋め尽くされてるだろう。
絶え間なく打ち鳴らされる鉄扉怯え、エリーを始め3人は這うように休憩室に逃げ込む。
俺は鉄扉に近づくと鉄扉に手を触れる。
手のひらに伝わる振動と圧力は相当なものだ。
(音に惹かれて、さらにゾンビ共が集まってきている!?)
そして、休憩室に入ると「悪いがアンタ等の客が益々増えてきている。場所を移すぞ?」
と二人に告げて、最初に俺達が入ってきた扉に駆け寄ると扉の鍵を開けてそっとノブを回す。
120 :
ジンロ:2006/11/21(火) 05:40:35 ID:xWspaAZk0
バンッ!
内開きのドアは勢いよく開くと外からゾンビが飛び出してきた。
(!?)
俺は急いでショットガンを構える・・・・が、
ゾンビに一瞬早く、組み敷かれた!
ッツ!
背中に鈍い痛みが走り、息が詰まる!
しかし、痛みに呻いている暇はない。地面を背にしてショットガン越しにゾンビを突き放そうとする。
だが・・・誤算だった。俺はたかが死体とゾンビ共の力を舐めていた。
力一杯押しても引き離せない。
不利な体勢もあるだろうが、ゾンビの力は相当なモノだ。
「お・・・い!テリー!手を貸せ!」
精一杯の声で叫ぶが・・・・休憩室から出てくる気配はない。
ジリジリとゾンビの口が、近づいてくる・・・
ふとゾンビの脇から扉の外が見えた。
その光景は絶望的なものだった。
ズチャ・・・ズチャ・・・
まるでそんな音が聞こえてくるような足取りで、別のゾンビが微かに見えた気がした。
(クソ!)
俺は必死に突き放しながら右手でCZ75 を取り出そうと試みるが片手ではゾンビの力は押さえきれない。
「テリー!テリー!聞こえないのか!?手を貸してくれ!!」
だが叫びもむなしく、工場の埃舞う中で響くだけだ・・・
ゾンビの口を見るとヌラヌラと嫌な涎と、黄色く薄汚れた歯がむき出しに近づいてくる。
扉の外は先程チラッと見えた。ゾンビはその姿を確実に見せ始めていた。
ジワリジワリと死神の這い寄ってくる音を聞こえるような気がする。
とうとう、ネタが・・・・・・・
多すぎて全部書ききろうと計算したら少なくとも今年中に終わらない事に・・・・・・
長々と続くと思いますがよろしくお願いします!
それだけ長く楽しめるって事ですね。
お疲れさまでした!次回もヨロw
すいません。なんか空気読んで無かったですか?
エロはまずかったかな・・・
>>122 実名使ったのと、構成がちょっと難しかったのが???だが、実験的試みとしてはいいんじゃね?
物語としては興味深いがゾンビが関係なさ杉なのが痛いかなww
今日で16歳記念&授業が暇なので続き投下します。
前回
>>29のあらすじ
仲間一人が死んだ。それらから逃げる為に病院へ駆け込む一行。
病院。静けさが静けさを殺め、音に関しては無と言っても過言ではない。
その中にある監視室。監視カメラを通して内部と敷地周辺を見る事が可能な部屋である。
「よし、これであいつらが居るか確認出来るな」
陽気そうな少年がそう言ってやれやれと深い溜め息を吐く。
「あいつらは・・・居るのか?居ないのか?」
がっしりした体型の少年がモニターを不安そうに見渡しながら言う。
やがて何も居ない事を確認すると、ほっと息を吐く。しかし警戒心は消えない。
無論警戒せずとも監視カメラを通して見ればそれを見逃す事は無い。
更にこの静寂の中で足音がすればすぐ気付くだろう。だが恐怖から警戒せずには居られないのだ。
「監視カメラがあるから大丈夫だろう。臆するな」
流麗な姿見の少年が背中から少女を静かに椅子へ下ろす。
「美沙、大丈夫か?」
「さっきよりは」
美沙と呼ばれた少女は弱々しく応える。
「一馬、竜也。モニターは頼んだ」
「はいはい」
「悠夜は美沙ちゃんの相手してな、シスコン」
一馬、竜也と呼ばれた少年は嘲りつつ応える。対して悠夜と呼ばれた少年は
「恩にきる」
と、意に介した様子もなく抑揚の欠けた声で感謝の言葉呟いた。
事の始まりは本当に何でもないただの授業中。その光景は不変の絵のはずだった。
だが突如、非日常的な色が蝕み始め当然の事であった事が少しずつ削られていった。
人々は異形と化した絵の部位を嘲ていた。所詮は修復可能だと思いこんで居たからだ。
―――変な奴が―――キチガイが―――どうせ警察が―――
そんな甘い認識の上に立つ人々がその危険性に気付く頃には絵の色彩は再現不可となっていた。
―――いたいイタいイたイいタイ―――ギ・・・!―――あ っ ?―――
不滅の断末魔が響く度に狂気が生まれ平常な容姿を壊し崩していく。
もう紙上の絵は廃棄し、もう一度描き直さなければ直る事はないだろう。言わば破壊と再生。
もはや末期の病気に日常は掛かっていた。それは浸食と汚染を繰り返し肥大する。
同時に広がる惨劇と殺戮。その因果は本能と呼ばれる悦楽。
皮を破りそこから見えた肉を彼等は貪欲かつ無欲に千切り千切っては飲む。
血と内臓が零れても、叫び声も、口から出た汚物も気にしない。
彼等は何も知らないのに。彼等は自分達が食べた肉の味も知らないのに。
当然食べる意味も知らないが理由を知っている。食べたいから、と。
だから欲する。彼等は欲する。
悠夜達はそんな町を逃げ回っている。最初は二十人程居た集い。
だが途中で別れたり、捕らわれ残酷に食われたりして人数は減り今では四人しか居ない。
途中で別れたグループはまだ生きてる可能性はあった。だが連絡は取れない故、絶望視している。
町中でまだまともな人間を見かけていないのも一つの理由である。
町は屍が歩き回り、腐敗臭と血の匂いが漂い、死のみが存在し歩いている。
その中で希望など見いだせるか。いや、見いだせない。僅かな希望など時間と共に消えるのだから。
「・・・」
悠夜はそれを重々理解していた。故に希望を持たず、だからと言って絶望もせずただ考えるのだ。
彼は心の中で笑みなど無しに馬鹿にする。人々の哀れさという下らなさを。
大丈夫と何故決めつけるのか。必ず全てに確率が存在するというのに。悠夜は理解出来なかった。
逆に他の三人はきっと悠夜の考え方を解せないだろう。考え方としては異端だからだ。
しかし一秒後に何かが起きる起きないで分岐するように分岐の確率は一秒ごと無数にあるのだ。
だからこうなる確率は当然あったのだ。無論、逆も然り。
不審者扱い程度の認識では無くもっと危ういと認識していたなら今の状態でない確率もあった。
その認識不足がこの惨状を導く可能性を増大させたと言って良いのだと考える。
「おい、モニター見ろ」
悠夜の思考はその一馬の一声で中断された。言われた通りに顔を上げモニターを見た。
監視カメラの視界に明らかに人影があった。それらは意味も無く左右にたゆたいながら歩く。
「いいさいいさ。気にする事はねぇだろ。どうせここまではこれねぇさ」
「それもそうだな」
一馬と竜也の会話と聞いて悠夜はため息を吐く。それは断定出来る事ではない、と。
病院に駆け込む前に死んだ貴弘が頭の中にふと浮かぶ。
「奴は危険性を認識していたな・・・」
奴らは俺達が勝手に設定した値より危険だと思う。悠夜が聞いた貴弘の死ぬ約一時間前の言葉である。
それを理解していながらも死んだ。首を千切られ頸椎を噛み砕かれて。
そして、苦しみ喘ぐ声を血泡に消されながら最後を迎えた。
沈む意識の中で何を考えていたのか。家族の事か、友達の事か、自分の事か。解る事はない。
そんな数時間前の事に首を巡らせて悠夜は不条理な結論に至り深い溜め息を吐く。
結局、死ぬ人は死に、生きる人は生きるのが世の常なのだと。
ふと、義妹の美沙を見る。疲れたのか死んだように寝息を立て眠っている。
非常に…イイ(゚∀゚)!!
130 :
帰ってきた男 ◆3pKabM1O5Q :2006/11/22(水) 14:20:42 ID:rXkzP+JeO
「・・・俺も寝よう」
悠夜は目を瞑る。一馬と竜也にカメラを任せ、そっと目を閉じた。
悠夜。意味は長い夜。その名の通り悠夜が次に目を覚ました時、長い夜が始まる事を知らぬまま。
監視カメラに映らぬ病室の中。闇を待つ陰が蠢いている。
いや。闇を待っているわけではない。その知能も無いのだ。
彼らは、獲物を待っているだけなのだ。
131 :
帰ってきた男 ◆3pKabM1O5Q :2006/11/22(水) 17:40:17 ID:rXkzP+JeO
本日はここまでです。
読まれた方、読まれてる方、読まれる、ありがとうございます。
132 :
通勤電車男:2006/11/22(水) 21:32:50 ID:6Ua7dgxjO
ジンロ様・帰って来た男様、続編の投稿お疲れ様です。
ジンロ様、生存者を助ける→ゾンビの襲撃という王道的な展開。
そのツボを外さないアンディもまた、主人公らしい活躍でこのピンチを
切抜けてくれると信じております!。...いや、この場合エリーちゃんが
何とかしてくれるのか(^_^;)?。
帰って来た男様、そそるプロローグに引続き今後の惨劇を予感させる
舞台設定ですね(o^-')b!。美沙さんのケガは?、カメラに映らない
部屋にいるであろう捕食者との遭遇は?。気になる要素満載で、
電車の中でwktkしております(*^_^*)!。あとお誕生日おめでとうございます。
死者達のスレで誕生を祝うのは不思議な感じですが(^。^;)。
続編の投稿お待ちしております。ありがとうございました!。
最近の中高生は、臆するなとか恩にきるなんて言葉を使っているの?
オジサンは子供の頃に読んだ北斗の拳という漫画のラオウを思い出して
懐かしかったよ
16才ならネタになりそうな素材が身の周りにいっぱい転がっているんじゃない?
オジサンも、もう一度10代に戻りたいよorz
気を悪くしたらスミマセン
応援してますんで頑張ってください
134 :
本当にあった怖い名無し:2006/11/23(木) 13:26:17 ID:EJTRy365O
>>133 時代劇とか、ミステリーを読み漁った影響ですかね。多分。
多少は電撃文庫とかの影響もありますが。
間違えてageちゃいました、ごめんなさい。
キャラクターがたってていいと思った。
俺も表現とかが古臭いと思った。
でも読んでいてひっかかるんじゃなくて、読んだ後で「そういえばなんか変だな」
「今時あんな言葉使う若者いるかよw」って思い出す感じ。
文章のリズムとうまくマッチしていて読みやすい文体になってるからかな。
なかなかよいです。がむばってください。
柱に潰され、炎に焼かれる人…俺に何かを叫んでる。
爆発…閃光…それに巻き込まれる人影。
暗い…洞窟?…水に押し流される俺。
何かに追い掛けられ、必死で梯子を昇る俺。
これは…夢?それとも現実…?
「…ん…ここは…いった…っつうううううう」
目が覚めると、全身、特に後頭部に激しい痛みを感じた。
触ってみるとヌルっとした感触。
周囲が真っ暗で見えないが、おそらく血であろう事は察しがつく。
目が闇に慣れてくるにつれ、ここが何処かの部屋らしい事が分る。
…そして、天井には大きな穴。そこから星空が覗く。
呆けたようにしばらく星空を眺める。
ギ・・・ギィ・・・
すぐ横のドアが開いた。そこから誰か覗いてる。
「…誰だ?…ここは何処だ?」
覗いてたのは小さい女の子のようだ。
女の子は俺と目が合うと、俺の問いかけには答えず、走って何処かへ行ってしまった。
しばらくすると足音がこちらへ向かってくる。今度は一人じゃない、二人分だ。
足音の一人がこちらをライトで照らす。まぶしくて相手の姿は見えない。
「おい!お前、誰だ!!外にいる奴の仲間か!?」
声は乱暴な言葉遣いだが、まだ声変わりもしていない、ガキの声だ。
「…すまんが、何の事か分らん。それより、ここは何処だ?お前さんは誰だ?」
「お前こそ一体誰なんだ!?答えろ!!」
「俺は…?」
俺は…一体誰だ??
「人ん家に勝手に入ってきて、お前泥棒だろ!!」
人ん家?
「俺がここに入ってきたのか?」
「そうだ!ここは僕ん家だぞ!!」
まいった…まったく記憶が無い。それどころか自分が何処の誰だかも分らない。
「そうか…そりゃあ悪かったな。悪いが、救急車とパトカー呼んでくれ。それと、
顔をライトで照らすのを止めてくれ、まぶしくてたまらん…。」
ガキはライトの光源を顔から外した。
「電話が通じないんだよ!おまけに電気もつかないし、外に変な奴らはウロウロしてるし。
母ちゃんは帰ってこないし、部屋でDSやって遊んでたら急に大きな音がして…ドジな泥棒だな!!」
あの大きな穴は俺が踏み抜いて落ちたのか?踏み抜いて落ちたにしちゃあ、随分と大きい穴だな。
「OK、分った。自分で歩いて出て行く…警察に行くぜ。」
自分が泥棒かどうか分らんが、何処の誰だか分らん以上、警察に保護してもらうのが得策だろう。
四肢に力を込め立ち上がろうとする…が上半身を起こすのがやっとだ。
幸い、骨折はしていないようだが左腕に力が入らない。ひょっとしたら脱臼しているかもしれん。
一呼吸置き、右手で体を支えながら立ち上がる。
何とか立ったものの、まともに真っ直ぐ立てない。よろめいて窓枠に右手を着いて体を支えた。
その時、窓の外の風景が目に入った。真っ暗で街灯もない路地に不似合いなぐらい多くの人がウロウロしている。
そいつらはユラユラフラフラと酔っ払いのように行き交う。
そして周囲の家も真っ暗だ。電気が点かないのはこの辺一体が停電しているからだろう。
「おい…変な奴ってのは今、外を歩いてる連中の事か?」
「…そうだよっ!あいつら気持ち悪いんだ。まるでバイオに出てくるゾンビみたいで。」
ゾンビ…?その言葉が頭の中のモヤモヤしている部分から少し顔を出す。
「なんだバイオって?漫画か?」
「違うって!知らないの?バイオはゲームだよ、ゲーム。ゾンビってのはそれに出てくる
Tウィルスによって化け物になった人で、人を襲って食べるんだ。」
「…あっそ」
ガキのゲームの話かよ、くだらねぇ。
「早く出て行けよ!でないと酷いぞ!!」
ガキは手に木製のバットを持っていた。それを俺に向かって突きつける。
「…お兄ちゃん、このおじちゃん怪我してるよ。お母さん帰ってくるまで置いてあげようよ…。」
ガキの後ろに隠れるように立ってた女の子が口を開いた。
「里香!こいつ泥棒だぞ!?情けは無用だ!!」
「でもぉ…お母さんが『困った人には優しくしなさい』って…。」
「困ってるのはボクと里香だろ!こいつは泥棒なんだから!!」
おじちゃん…ね。そういや、俺ってどんな顔してるんだっけ?自分の顔まで思い出せないなんて、
こんなことってあるんだな。
顔を触ってみたが、ジャリジャリとしたと無精髭の感触と顔の脂が手についただけだった。
「まあ、にーちゃん。警察に行こうにも警察の場所が分らんし、外は真っ暗だ。体も痛い。
取りあえず夜が明けるまでここに居ちゃ駄目か?」
「泥棒を置いておける訳無いだろ!とにかく出て行けよ!!」
さっきから泥棒、泥棒って…ま、否定しきれねぇのが辛い所だが。
「頼むぜ。夜が明けるまででいい。大人しくしてるし、どうせ体が痛くて何もできねぇよ。
にーちゃん武器も持ってるし、こんなズタボロの奴なんて怖くねぇだろ?」
「あ、当たり前だ!お前なんて怖いもんか!!」
やっぱ子供だねぇ…。俺はニヤッと笑う。
「じゃあ、構わねぇだろ?この部屋から動かねぇし…心配なら見張っててもいいぜ。」
「う、うるさい!…分った、朝までだな!朝までは居てもいい。その代わりここに閉じ込めるぞ!!」
「OK。じゃあ、世話になるぜ。」
「世話なんかするもんか!お前は拘束されるんだ!!」
拘束ね…まあ、何でもいい。俺は眠いんだ。体の痛み以上に酷い疲労感が襲ってくる。
ガキは妹を背中に隠し、俺をバットで威嚇しながら部屋の外へ出ていく。そして扉を閉めた。
「里香!ボクは紐持ってくるから、お前あいつが出てこないように見張ってろ!もし出てきたら
大声で呼ぶんだ、いいな!」
ドアの外でガキが妹に見張りを命じたようだ。
紐って…あのガキ、俺の事縛るのか?勘弁してくれよ、ったく。。。
あー、しかしなんだな。記憶喪失ってやつは気持ち悪いな。自分の事が何一つ思い出せねぇ。
俺は何処の誰で、今までどんな人生を送って、今なんでここに居るのか?
多分、俺はあの穴から落ちて頭を怪我した衝撃で記憶喪失になっちまったんだろうが。
その前は一体何をしていたんだ?そもそもなんで俺はあの穴からここに落ちる破目に?
次々と疑問が浮かぶがその回答は思い浮かばず、気持ち悪さが堆積していくだけだった。
…止めた。とにかく休もう。俺はゆっくり腰を下ろし、横になる。
下は絨毯だ。埃っぽい。あまり掃除は行き届いていないようだ。人が生活してる気配もないし、ここは物置部屋だろうか?
廊下を何か引きずる音がしてドアがゆっくり開いた。そこにいたのはガキの妹だ。
「…おじちゃん…これ…。」
ガキの妹が恐る恐る差し出したのはタオルケットだった。
「…ありがとよ、お嬢ちゃん。」
俺はありがたくタオルケットを受け取り、礼を言う。ガキの妹はサッと差し出した手を引くと、すぐに扉を閉めた。
さて…寝るか。
そう思ってタオルケットを被り、横になり掛けたその時、何処からか悲鳴があがった。
「うわぁあああああああああああああ」
今のは…さっきのガキか!?
俺はタオルケットを跳ね除け、痛む体の事を忘れ、部屋の外へと飛び出した。
初参戦です。
欲求を満たす為に書きました。
話を完結させられるかどうか分りませんが頑張ります。
ぜひ完結してほしいwww緊迫した出だしいいですね。
期待大です!
乙です!子供達の親はどうなってるのか気になるところですねー・・・
主人公にも謎が有りそうだし、今後どうなっていくのか期待してます!
_ ∩
( ゚∀゚)彡 投下!ゾンビ!
⊂彡
とにかく、女の子が寝ている部屋にいつまでも男が居座るのも何かといかがわしいだろうということで、彼女の荷物をベッドの脇に置いて部屋をあとにした。
荷物は彼女が乗っていた車からひっぱりだして運んでいた物だ。
そうしたわけで、俺は頬に氷を当てているといったまぬけな状態でいるってこと。
「参った…暴れたあげくに寝ちまうとはな…」
俺のぼやきに、大村がああそうだ、といった感じで疑問を口にした。
「そうそうそれだよ。なんでいきなり寝ちゃったんだ?あんだけ興奮して暴れてたのに。おかしくない?」
「いや、テレビで観たことがある。人間てさ、自分の脳が受け入れられないショックな事実とか出来事があると防衛本能つーのかな?
そういうのが働いて自らの意識を外界からシャットダウンしちゃうんだってさ。それは眠りだったり、記憶障害だったりするらしい」
そう、真奈美さんのもたぶんそれだろう。だから俺は彼女が急に意識を失っても冷静でいられた。
ああ、これがそうか、そんな感じで対処できたってわけ。
「じゃあ真奈美さんのことは安心していいのか?」
「ああ、大丈夫だろ。いつ起きるかはわかんないけど、何日も寝込むってことにはならないはずだ」
楽観的ではあるが、そうでなくては困る。この家に立てこもるといったってそう何日も、何週間も居られるわけじゃない。
なんとかして安全な場所…できれば市外までは行っておきたい。
それまでに彼女が目覚めなければ困ったことになる。そう…とても困難な事態になる公算が大だ。
だからといって置き去りにはできないけど。
「真奈美さんが大丈夫なのはわかった。あと心配なのはお前だな」
不意に大村が、予想だにしなかった言葉を投げかけてきた。俺が心配だって?
「どういうことだ?俺のどこが心配だっていうんだよ。怪我もしてないし、精神的にも落ち着いてるぜ?」
「いや、いつものお前らしくないよ…。コンビニの件からずっと変だ。あの時はほんとに助かった。だけどな、あのことが原因でお前がさ…、その…。
なんていうか、落ち着きがないっていうよりか、冷静さが失われてるっていうか。状況が見えてないっつーか…。原因を作った俺が言えた義理じゃないんだけど…」
驚いた。確かに俺は不快感を持っていた。あの店員を殺した事がずっと頭に残っていた。あの感触も未だに手の中に残っている。
だけどそれらの感情はしっかり自分の内にしまっていられたと思っていた。今大村に指摘されるまでは。
掌を見つめ、開き、閉じ、また開いて溜め息を一つ。
「…どうしてそう思った?」
ためらいがちに大村が答える。
「真奈美さんに説明したときだよ。いつものお前ならあんな性急に結論を急いだ話し方はしないと思ったんだ。相手の反応を見ながら徐々に核心に近づけていく。
そんな話し方をするだろ。途中から彼女が震えてたの気付いたか?」
言われても思い出せなかった。震えていた?そうだったか?
「その顔つきだと気付いてなかったみたいだな。俺が気付いたのにお前が気付かなかったなんてのも珍しいよ。ってか、今までそんなことはなかったかな…。
後からお前に言われて俺が気付くなんてのはしょっちゅうだったけどな。もし気付いてたら、その時点で何か対処してたはずだ。いつもの三枝なら」
何も返せない。そうか、彼女は震えていたのか。それは怒りによるものだったのか?それとも恐怖か、悲しみか。
今となっては知る由もないけれど。
「だからおかしいと思った。最後の方では真奈美さん、顔面蒼白になってたからさ。まあ暴れるとは思わなかったけどよ…。
もしかしてあのココアも、自分の為にも必要だったんじゃないのか?」
図星だった。真奈美さんを落ち着かせる為というのは勿論本心だったけど、自分の感情を抑えるために用意したというのも事実だ。
大村はそこまで見透かしていたんだ。だからといって怒りは沸かなかったし、むしろ感心するとともに感謝もした。
「だからさ、心配だったんだ。お前が自分を見失って、なんか自暴自棄になったらどうしようとか、そんなしょうもないこと考えちゃってさ…」
まったくこいつは。見ていないようでしっかりこっちを見ている。相手の心情を読むことに長けているんだね。
それは大村の心根が優しいからか?きっとそうだろうな。付き合いが長いってのもあるだろうけど、親でさえわからないだろう心の機微を敏感に察してくれる。
それが恥ずかしくもあり、心地よくもあった。俺は本当にいい親友をもてたと思う。
「そうだな…ちょっと俺らしくなかったかもな。らしいっていうのもわかんないけど、自分を見失ってたってのはあるかもな。正直、あのことが忘れられないんだよ。
あの時は強がってたんだな。家に戻ってからなんかほっとしちゃってさ、そのせいか頭の中をぐるぐる回ってんだ、ずっと。あの感触も離れない」
「俺のせいだな、ごめん…。俺がぼーっとしてなきゃ…」
「それは違うぜ大村。俺が自分で判断してああしたんだ。お前のせいじゃないよ」
そう、断じてこいつのせいなんかじゃない。
「でもさ…!」
まだ言うかこいつは。責任感が強すぎるってのも善し悪しだな。
「じゃあ俺がお前を助けたのは間違いだったのか?放っておけばよかったか?ダチが目の前で食われるのを?お前ならそうするのか?」
「そ、それとこれとは…!」
「同じだろ。俺の思い上がりじゃなきゃ、お前も同じ事態になったら俺を助けるためにそうしたと思うぜ、違うか?それで俺に謝られたとする。どういう思いになる?」
「そりゃまあ…確かにそうするし、謝られたくはないな」
俺の断固とした口調に気圧されたのか、大村はしぶしぶといった体で同意した。
「つまりはそういう事だよ。お前を助けたことに後悔なんて微塵もかんじてないよ。ただ、人を殺したことで気分が落ちてたんだ。
もともと死んでるっていってもなぁ。なかなか割り切れないんだよな」
詭弁だ。それはわかっている。だけど大村を納得させるにはこういった方法で煙に巻くのが一番だと思った。負い目を感じてほしくはなかった。
「わかった。もう謝らないけど、これだけは言わせてもらう。助けてくれて有り難う。お前が同じ事態に陥ったら、俺も同じ事をするからな。いいな!?」
むきになる大村がおかしくて、ありがたくて、俺は笑ってああ、頼むと、そう言った。
「さあってと、じゃあそろそろ休むか〜。もうこんな時間だしな。なんたってこれからは体力勝負になりそうだし、しっかり眠っておいたほうがいいもんな」
時計は深夜の1時をまわっていた。今日だけでいろいろなことがありすぎて心身ともに疲れ果てていた。
「そうだな…真奈美さんのことが心配だけどこっちも眠らないとやばいもんな。朝になっても目を覚まさなかったらなんか考えようか。で、どこで寝る?」
ああそうか、それを考えてなかった。母さんの部屋は父さんと一緒だ。ダブルベッドに真奈美さんを寝かせてる。後は俺の部屋と客間が二つ。
だけど今から客間に布団を敷くのも面倒だしなぁ。一応外の警戒もしておいたほうがいいかも知れないし…。
仕方ないな。ここに敷布団とタオルケット持ってきて寝るか。幸い夏で風邪をひく心配も少ない。
「ここで雑魚寝する…」
言いかけてふと気付いた。家の前から微かに音がする。ガラスのせいで聞こえにくいが、全く聞こえないというわけでもない。
窓に走り寄り、外の様子をうかがった。大村も横に並ぶ。
窓から見えたのは二つの光源、たぶん車のライトだ。それが左右に激しく揺れながら家の前の道路を走ってくる。
片側にずれる度に激しい火花が散っていた。どんどん近づいてくる。
街灯に照らされて見えたのは一台の乗用車。そのフロント部分に人影があった。一人…いや、二人が窓に張り付いている。
車が家の近くまで来たとき、ライトに照らされた路上に新たな人影が姿を見せた。昼間に見たのとは段違いの数だ。いったい何人いるのか、いつの間にこんなに増えたんだ?
乗用車は何とかそれらを避けようとしたのだろうが、数人を跳ね飛ばしたところで左にそれて、真っ直ぐに俺の家に向かってきた。
門に側面をぶつけ、車体が回転しながら玄関に迫る。まずいと思った時には既に遅く、車は回転の勢いを失わずに頭から扉に激突していった。
ここまでで。久々に本編を投下した気が・・・。
次回ゾンビが出そうです。
ではノシ
>仲野さん
歓迎!!
戦闘機が空母からカタパルトで射出されるようなパワフルな出だしです。(なんのこっちゃ)
今後にwktk!!
>話を完結させられるかどうか分りませんが
それは困ります。まあ諸事情で無理なら無理で無理強いはしませんが、せめて終わる時は
打ち切りが決まったショボイ連載漫画のようなとってつけたような強引な終わり方でいいから
エンドクレジットをだしてください。
投稿が途絶えたまま自然風化、というのが一番つらいです、、、
そう、腹立たしいとか不快とかじゃなくて寂しい、つらい、ですね。
なんて暗いことはよして、とりあえずパワーが続く限り書きたいことを書いていってください。
>我流さん
お久ww
わかります。結構なめてかかってた友人が思いがけないところで鋭い洞察力をもっていたことに
気がついたときって、、、嬉しいし安心するけど、これからどう付き合っていこうかうろたえるやらww
話はあまり前進しませんでしたがその辺の機敏とかいろいろ考えさせられましたww
とある軍陣地。士官用兵舎の一室に、部隊指揮官である中佐が軍曹を前にして椅子にふんぞり返っていた。
ケースからハバナ産の葉巻を取り出し、火をつけずに口にくわえようとしたが寸前で手を止め、おもむろに口を開いた。
「おい、軍曹」
「なんでありましょうか、サー」
「腹が減った」
「自分も、兵達も空腹であります、サー」
「そんな事はわかっとる!」
淡々とした軍曹の返答に、苛立ちを隠さずに怒鳴りつける。
「旅団本部にはまだ連絡はつかんのか!補給が途絶えて3ヶ月、連絡がつかなくなって2週間だ!本部の怠け者は何をしている!」
「自分にはわかりません、サー。推測は可能ですが」
なぜこいつはこうなんだ…。中佐はこめかみをもみしだきながら、この男を補佐官として推薦してきた上官の顔を思い浮かべた。彼の部隊は事態の発生後間もなく壊滅したと聞いている。
本人に苦言を呈する機会は永久に失われた訳だ。
部隊の最先任下士官はこの一等軍曹しか生き残っていない。本部とも連絡のつかない今、彼を使うしか選択肢はなかった。
全く忌々しいゾンビ共め…。あいつらさえ現れなければ、こんな酷い事態にはならなかったものを…。今頃はグアンタナモで休暇を満喫できていたのに。
中佐はようやく葉巻に火を着けると、4ヶ月前の出来事に思いをはせた。
招集は突然だった。西海岸で発生した大規模暴動は異常なスピードで全米に広がり、警察や州兵では対処できないところまできていた。そもそも暴動の原因すら不明という異常事態だったのだ。
やがて軍の調査チームが鎮圧に成功した地区(小規模な街ではあったが)に乗り込み、そこで予想だにしない結論が得られた。
これは暴動ではなく、大規模なバイオハザードであると。つまりは伝染性の新種のウイルスが原因だった。発生場所は定かではなかったが、西海岸から広がりをみせた事から海外からの貨物にウイルスが付着、なんらかの要素がからみ感染者が増大したと考えられた。
勿論テロの可能性も大いにあったため、大統領はマーシャル・ローを宣言。軍も非常警戒体制に入り、デフコン2の体制が維持された。
そして中佐の部隊も当然現地に派遣され、前線で感染者を掃倒するという不名誉な任務が与えられた。国内で前線が形成された事自体が、この災害の異常性を示していた。
まさか自国民を撃ち殺す命令を部下に下す事になろうとは。士官学校に入学したころは思いもしなかった。軍は国と国民に尽くすものと固く信じていたのだから。
だが中佐は命令に忠実であった。模範たる士官が堂々と抗命するなどもっての他であると考えたからだ。
やがて感染者はゾンビと呼ばれるようになった。非感染者を襲い、その血肉を喰うという異常性から、映画のゾンビのようだとまことしやかに囁かれ始めた。
耐久力も映画のそれとなんら変わる事がなかったのも、その呼称の広がりに拍車をかけた。
始めは上層部もその呼称をやめさせようとしたが、マスコミがこぞってゾンビ報道を始めた為に、その呼び名は定着してしまった。今では彼等もゾンビの呼称を使用している。
そして4ヶ月。中佐の部隊は前線の内側、感染者達のど真ん中に陣地を形成している。旅団はおろか、師団、軍団ともまともに連絡がつかず、一指揮官としては対処の限界にきていた。
補給も届かず、食料は底をついている。兵も、士官も、部隊全体が飢えに見舞われていた。準備期間が幸をそうしたか、弾薬類だけは豊富であったが。
このままでは反乱が起きる。中佐は焦燥も露に、葉巻を荒々しく灰皿に押し付けた。
「軍曹、食料の件だが…。補給が当てにならない今、我々は自力でそれを確保しなきゃならん。そこでだ…あれ、食えると思わんか?」
窓の外を指指す。軍曹はその指の先を見つめ、珍しく眉根に皺を寄せた。
「サー、あれとはつまり、あれでありますか?」
「そうだあれだ、ゾンビだ。食えない事はないだろ。太平洋戦争では、日本人は食ってたそうじゃないか」
「サー、確かにそうですが…。しかしあれは感染者です。食べて感染しない保証はあり…」
「しっかり火を通せばいいじゃない!!ママに教わらなかったの!?」
机を叩きつけ、大声で怒鳴りつけた。軍曹は踵を打ち付け、模範的な敬礼を返す。
「サー、失礼いたしました、サー。直ちに準備致します!」
「わかったなら早く行け。毒味は兵卒を一人選んで食わせろ。できれば新しい女性の肉にしろよ。おやじの肉なんぞ試す気にもならんからな」
一方的な命令を押し付け、中佐は追い出すように手を降った。
不幸にも毒味役に選ばれた者は、マックイーン上等兵だった。理由は、胃腸が丈夫そうな面構えだから、だそうだ。
彼は焼きたての肉を前にして喜色満面であった。5日間もレーションしか食べていないのだから尚更に。
勿論なんの肉かは知らされていない。
「どうだマック、美味いか?貴様が記念すべき試食第1号だ。感想を言え」
「う…」「う?」
「(゚д゚)ウマー サイコーです軍曹!程良く熟成された肉だけが持てる芳醇でフルーティな香り、溢れる肉汁、最高級の肉です!」
興奮を隠しもせず、卑しくがっつく上等兵。その様子を見て満足そうに軍曹は頷いた。
「そうか、何よりだ。では兵隊共、久々の肉だ。思う存分に食え。幾らでもあるからな」
軍曹は配給の兵士に命令を伝え、中佐の元に戻っていった。
「で、兵共は何の肉か気づいたか?」
「サーイエスサー。気づいていません。捕獲から解体まで全て自分が行いましたので」
「それはご苦労だったな。で、これがその肉か…。美味そうじゃないか。どれ軍曹、貴様も食え」
湯気を上げる肉を軍曹の前に差し出し、自分は早速口に運び始めた。
「イエスサー…自分は食欲が…」
中佐は方眉を上げ、フォークをカチャリと置いた。キッと軍曹を睨み、硬い口調で告げる。
「軍曹、残念ながらここは軍で、君は軍人。そして私は君の上官だ。食べたまえ、これは命令だよ」
軍曹は冷や汗をかきながらも、抗命できずに肉を口にした。
翌日、部隊全体が感染した。中佐の大隊はバタリアンからゾンビになった。
死霊の軍団結成前夜の話である。
大隊=バタリアン
の呼称を使いますた。
>>153 リアルでもたまにありますよね。ビックリしますあれは。いや、見くびってはいないんだけどねw
よく見てるな〜とwww
ではノシ
最先任下士官
最先任いらないな。
前線の内側
外側か…方角にもよるかな?
161 :
通勤電車男:2006/11/24(金) 21:52:21 ID:XBnW+w7JO
仲野様・我流様、新作&続編の投稿お疲れ様です。
仲野様、..ム?。私事で恐縮ですが上司が同じ名字なもので緊張します(^_^;)。
主人公にもいろいろありそうですが、幼い兄妹の為に一肌脱いであげて下さい。
また、仲野様御自身のペース&展開で結構ですので是非続きを♪。
ソレト...キノウノショルイニサインヲ(^。^;)。
我流様、三枝君と大村君の会話は何故だか読んでいて癒されます(*^_^*)。
そして新たなアクシデントが!。
主人公達には悪いのですが、読手としてはお待ちかねの時!楽しみです!。
ショート作品の方もミリタリーな味付けでありながら読み進めると
「しっかり火を通せばいいじゃない!!...」と中佐が微妙にオネエだったりと
短い内にも読みごたえがありました(`・ω・)ゞ!。
新作&続編の投稿ありがとうございました!。またの投稿お待ちしております!!。
部屋の外へ出てみると、左に下へと降りる階段、正面にドアがある。
どっちだ…何処から聞こえたんだ。。。
俺が迷っていると、階段の下からドタバタと騒々しい気配がする。
「下か!」
俺は急な階段を小走りに下へと降りた。暗くて足元がヤバイが慎重に
降りる気持ちの余裕などない。階段の降り口の壁に勢い余って激突する。
「っつうう…おい!にーちゃんどうした!?何かあったのか!!」
呼び掛けたが返事は無い。すぐ左を見るとドアが半開きになっており、そこから僅かに明かりが漏れている。
部屋の中を覗き込むと壁際に張付き、しゃがみこんで虚空を見つめたまま動かないガキがいた。
「なんだ…何かあったのか?いきなり悲鳴あげやがって…ん?」
ガキの視線の先には窓があり、窓の外には人影があった。
その人影は窓に張り付くように顔を押し付け室内を覗いているようだ。
「なんだ?にーちゃん、そいつは知り合いか?」
ガキは顔を横に振り、否定の意思を示す。
「ノゾキかよ…どれ、俺が一発注意してやる。」
俺が窓を開けようと近寄ると突如ガキが大声を出した。
「駄目だ!やめろ!!窓を開けちゃ駄目だ!!!」
「大丈夫だ…こういう奴は直接ガツンと言ってやりゃ尻尾巻いて逃げ出すさ。」
「そいつは人間じゃない!ゾンビだ!!」
「はぁ?」
またゲームの話か…最近のガキはこれだから。。。
俺がガキを無視して窓を開けようとしたその時、ガキが手にしていたライトで
窓の外の人影を照らした。
そこに照らし出されたのは、頭の皮が剥がれ、頬肉が抉れ、唇が無くなり歯が剥き出しになっている
…そう、バケモノだった。
バケモノは血塗れた歯を剥き出し、三本ほど指が欠損した手で窓ガラスを叩く。押し付けられた部分には
血の跡がベットリついている。光の無い目でこちらを見つめ、低い唸り声が窓ガラスを震わせている。
「そいつは…ゾンビだ…間違いない…。ボク達、食べられちゃうんだ…。」
「ば、馬鹿野郎!ゾンビだが何だか知らねぇが、中に入ってこれねぇじゃねぇか!
大丈夫、大丈夫だ!!こんな奴無視すりゃどうってことねぇよ、心配ない!!!」
これはガキに言った言葉じゃない…俺自身に言い聞かせる為の言葉だ。
俺は取りあえずカーテンを閉めた。そしてガキを抱えあげて立たせる。
「おい、上に行くぞ。妹がお前を待ってる。…兄ちゃんがそんなブルってちゃ、妹に笑われるぞ!」
「ブ、ブルってなんかない!お前こそ、部屋を出るなと言ったのに勝手に出てきて!!とっとと部屋へ帰れよ!!!」
ガキの兄貴としての責任感を利用し、恐怖から解放した。
…何故俺はガキの扱いに慣れてるんだ?俺にも子供が居るとか…まさかな。
「ああ、悪かった。じゃあ、一緒に上に上がろう。…その前に、そこの茶ダンスで窓を塞ぐぞ」
丁度窓の横に古めかしい大きな茶ダンスがある。いくら今割って入ってこないとはいえ、普通の窓ガラスだ。
何時割れたって不思議は無い。…クソっ、左腕に力がはいらねぇ。怪我してなきゃ楽勝なのに。
俺が苦戦してると、ガキが押すのを手助けしてくれた。
「…ありがとよ、にーちゃん。」
「…のり」
「ん?何か言ったか?」
「松本 靖典(やすのり)だ!にーちゃんって呼ぶな!!」
「へっ…そうかい。ありがとよ、靖典。よし、もう一押しだ!せーの、せっ!!」
ズリ・・・ズリ・・・・
茶ダンスはすっぽり窓を隠した。これで仮に窓が割れても、奴が入って来るまで時間が稼げる。
俺と靖典は二階に上がった。
「里香!何処だ!!」
靖典は妹の里香の姿を探した。奥の部屋に入るとそこには二段ベッドがあり、下の段の布団が
こんもり盛り上がってる。
靖典が布団を捲ると、そこには丸くなって震えている里香の姿があった。
「里香!なんでこいつをちゃんと見張ってなかったんだ!!」
「だって…里香一人で廊下に居るの怖かったんだもん…。」
「こいつぅ、兄ちゃんの言う事が聞けない奴はこうだ!」
靖典は里香の尻を平手で叩く。
「いったーい!…う、うわあああああああああんお兄ちゃんがぶったああああああああ!!」
里香が火が点いたように泣き始めた。
「おいおい、よさねぇかぃ。靖典、男は自分より力の弱い奴に暴力振るうもんじゃねぇぜ。」
「うるさい!里香がボクの言う事聞かないからだ!!」
「もう、いいじゃねぇか。…あんまり妹泣かすと外の奴らが寄って来るぞ。」
「うっ…。」
「ほら、里香ちゃんも…兄ちゃんもう怒ってねぇから、泣き止んでくれ…な。ほら、チーンしろ、チーン。」
里香は鼻をスンスンいわせながらも泣き止んでくれた。俺は枕元にあったティッシュで涙を拭いて鼻をかませてやる。
「靖典、今何時だ?」
靖典は二段ベッドの上に登り、目覚ましを持ち出し俺の方に突き出す。ボタンを押すとライトが点灯した。
「午前3時か…。お前ら、もう子供が起きてる時間じゃないだろう、寝ろ。」
「こんな状況で寝られないよ!母ちゃんは帰ってこないし、ゾンビはうろついてるし、泥棒はいるし!!」
「安心しろ、俺は泥棒じゃない…多分。とりあえず、俺はお前達の味方だ。」
「泥棒が、自分で『泥棒です』って言う訳ないだろ!!ボク達を油断させてその隙に盗むんだろ?」
まったく…疑り深いガキだ。
「まあ、眠くないなら無理に寝ろとは言わねぇよ。…でも、里香ちゃんはもう限界みたいだぜ。」
里香は何時の間にやら枕を抱え込んで寝てる。俺はそっと布団を掛けてやった。
「で…もし泥棒じゃないなら、誰なんだよ?」
靖典は二段ベッドの梯子に腰掛けて俺に詰問する。
「さあな…嘘だと思うかも知れんが、自分が何処の誰で、なんでここに居るのか思い出せないんだ。」
「それって…記憶喪失ってこと?」
「よく知ってるな。…多分、落ちた時に頭を強打したんだろう。まだ頭がズキズキするぜ。」
「へぇ…漫画とか、テレビではよく聞くけど、本当にあるんだ。」
疑り深い割りに、こういう事は素直に信じるのか。分らんガキだ。
「…まあ、臭くて怪しいおっちゃんだけど、悪い人には見えないし…泥棒じゃないってのは信じるよ。」
臭い?そういや、俺の服は水を含んでおり、多少異臭がする。
「そんなに臭いか?」
「臭いよ!自分で分らない?部屋の外からでも臭うよ。」
そうか。嗅覚疲労ってやつだな。自分じゃそんな酷いとは思わないし。
「ところで、ここは何処だ?」
「S市北神楽町1の18。」
S市?…何かモヤモヤの中でその言葉が引っ掛った。しかし、スルリとその言葉はモヤの中へ消えていく。
「で、お前の母ちゃんは何処へ出かけたんだ?」
「今朝、仕事に行った。そのまま帰ってこない。」
「親父は?」
その質問に靖典は顔を曇らせる。
「…1年前に病気で死んじゃった。」
「そうか…悪かった、嫌な事聞いて。」
「別に…もう慣れたし…。」
言葉とは裏腹に靖典の表情は曇ったままだった。
「母ちゃんは帰ってこない時あるのか?」
「たまに…仕事が忙しい時は会社に泊り込んだりするから。」
「連絡は?」
「何時もはあるけど、今日は無い。電話してみたけど電話が通じないし。」
電話が通じないか…。表をウロウロしてる奴と関係あるんだろうな、やっぱ。
「靖典、お前さっき『ゾンビ』って言ってたけど、それの事詳しく話せよ。」
第二回分です。
勢いのある内に頑張って進めます。
何せこういう創作をするのは10年ぶりくらいなのでかなり見苦しいですが、
完成目指して努力します。
おいちゃんのイメージが固まってきた、乙保守
保守
保守
∩(・ω・∩)age
hossyu
午前三時。とあるタクシーにて。
「運転手さん、この辺出るらしいね」
と霧が出てきた外を見て俺が言う。
「出るって、何がですか?」
と、そ知らぬふりの運転手。
「食肉人。ゾンビですよ」
バックミラーに向かって説明する俺。
「なるほど。それは興味深い」
と暗い車内、帽子を深くかぶった運転手が前を見たまま言う。
「いや。それがほんとにほんとなんだよ
同僚が見たって言うんだから
なんでも、眼がぎらっと光ってるらしいよ」
「へえ。でも私も目がぎらっとしてますよ」
と運転手が覗き込んだバックミラーには虚空の闇にふたつの赤い眼が光ってる
俺は覚悟を決めてこう言った
「皮膚は緑で、口は大きく牙が生えてるらしいよ。」
俺は汗をかいて震えていた。
「それは、こんな感じですか?」
運転手は振り向きざまにブレーキをかけ
俺の腕を取った。
「なーんてね。冗談ですよ。」
と運転手はお面を外した。
おもむろに俺は人間の顔の形のお面を外した。
おわり
>Kenさん
なかなかやるなぁ、、、
kenさんいいねぇ。
この読み終わった後に「にやり」としてしまうSS。
俺こういうの大好き。
トワイライトゾーンって映画思い出したw
仲野さん!面白いよ!ありがとう!kenさん!あなたの作品は都築道夫テイストが素敵!ここ見るようになってから、本買わなくなったわ。家計節約できて助かってますm(__)m寒くなってきました。作者サマも読者サマもご自愛下さいm(__)m
【7:46】メリーさんからの着信で起床。「家の前にいる」等とほざいてやがる。
おかげで寝起きが悪い。
【8:02】朝食で使った油の容器にゴキブリが入ってた。気にせず捨てた。
今まで気がつかなかった事に腹が立つ。
【8:36】出勤。ダルい。家を出るときに電話が鳴る。うるせぇシカトだ。
【9:07】車で走っていると、後ろからババアがダッシュで追いかけてくる。
アクセル全開で振り切る。あくびが出た。
【9:30】デスクに向かっている。下を見ると白い手がオレの足をつかんでいる。
ふりほどき蹴りをいれる。大人しくなった。
【10:39】窓際に立ち空を眺めていると、女が落ちてきて目があった。この不細工が。
【12:24】交差点を歩いてて、すれ違う時に男が「よくわかったな」と言ってきた。黙れ池沼が。
【14:26】携帯に着信記録16件。かけてみる。「わたしメリーさ…ブチッ…ツーツーツー」
【16:12】外回りをしているとマスクをした女が声をかけてきた。
「わたしきれい?」右ストレートをいれる。
うずくまったまま動こうとしない。こっちは急いでるんだよ。
【17:30】公衆便所に行くと人形が落ちている。
「わたしリカちゃん。呪われているの」うるせぇ黙れ。
【20:32】車で走行中、バックミラーを覗くと上半身だけの女がついてきている。
急ブレーキをかけてバンパーにぶつける。もう着いて来ていないようだ。
【21:25】帰宅、着信記録が49件。またアイツか。
【21:42】ベッドの下に男がいたのでボコっておいだした。大の男が泣くな。
【22:10】メリーさんからの電話に出る。
「わたしメリーさん、今あなたの後ろにいるの」後ろは壁だ。
【23:34】着信が鳴り響く。電話線を抜いた。
【0:12】就寝。今日一日でかなり疲れた。
【2:40】急に目が覚める。金縛りのようだ。
女が天井にへばりついている。睡魔には勝てない
いくらなんでも、古すぎるコピペだよ。
180 :
通勤電車男:2006/12/01(金) 09:13:22 ID:wtygBAaSO
仲野様・ken様、続編&新作の投稿お疲れ様です。
仲野様、「・・・チーンしろ、チーン。」何故だかこの辺りが個人的に
萌ポイントです(*^_^*)。父親の居ない子供達を救えるのは
記憶のない主人公だけ。大切なものを失った者同士の生存劇に期待します!。
Ken様、どこかにありそうな都市伝説をゾンビ風味のあっさり味で。
忘年会シーズンで疲れた胃にぴったり。おいしくいただきました(o^-')b!。
178様、・・・ナツカシス(^。^;)。
続編の投稿お待ちしております。ありがとうございました!。
保守
師走は忙しいな
ゾンビ関係ない小説ならスレ違いだろ。
まあ宣伝乙!ってことでw
謝んなくていいからまた何かうpしてください
186 :
本当にあった怖い名無し:2006/12/03(日) 22:12:24 ID:achvuWgg0
スレ落ちりし世界は死霊の世界
スレ上げりし世界は人の世界
賢者に光りあれ
ラダトームの爺さんみたいなこと言うなよwwww
保守あげ
ーこんこんー
クリスマスパーティーが終わったあと
パパが台所の換気扇の下でタバコを吸ってると
玄関でノックする音が聞こえた。
「鈴木さん忘れ物かな?」
パパは居間で片付けをしている不審な顔した
ママにそう言うと流しにタバコを突っ込み玄関に向かった。
「メリークリスマス」
ドアを開けたパパに帽子をかぶり
長いひげを生やしたゾンビは
パパに世にも変わったクリスマスプレゼントとばかりに
脳天に斧で一撃を与えた。
パパは積もったばかりの雪の上に
赤い花を咲かせるとその場に倒れた。
190 :
ken ◆r7Y88Tobf2 :2006/12/07(木) 01:54:16 ID:CZIyTajR0
「パパ?」
居間から駆けつけたママにサンタクロースは
ブルペンでピッチング練習をする投手さながら
第二投を頬に食らわすとパパにつまずき倒れる前に
第三投を食らわせた。ふたりは互いに重なり合ったまま
赤い池で眠り始めた。
「メリークリスマス!」
ゾンビはうれしそうにそう言うと
玄関に二人を残し居間に入り込むと
食べ残しのケーキを指ですくって舐めた。
「良い子はどこかな?」
斧をテーブルに置くと子供部屋を
探し始めた。
正弘は、夢の世界にいたが
物音がしたので眼を覚ました。
ーいけない。眠っちゃった。
プレゼント、サンタさんにお願いしないとー
やがて子供部屋のドアが開きゾンビが
やってきた。正弘は飛び起きると
ママの言いつけを守らずに
暗がりに立つサンタに話しかけた。
「サンタさん。プレステ3ちょうだい!」
サンタはニヤッと笑うと正弘の方に歩み寄る。
「それよりも、もっと良いものをお前に上げよう」
サンタは正弘の首に手をかけると暴れる正弘の力が抜け
ぐったりする直前に手を放した。
「おもしろいか?」
肩で息をしながら涙を流す正弘にそういうと
また高笑いをした。
フッ
パパはそこまで読むとケーキに残るろうそくを
かき消した。
ママと達也の肩がびくっと揺れた。
「パパ!」
心臓がまだ高鳴っているママは照明のスイッチを押した。
「冗談が過ぎる」
達也の目はまだ瞳孔が開いていた。
「パパ?その子どうなっちゃうの?」
達也が絵本を閉じたパパにそう言った。
「続きはねえ・・・」
「やめてください!」
ママが怒って絵本を取り上げる。
達也を寝かしつけたママがパパに言う。
「パパ。またおねしょが始まったらどうするの」
パパは台所でタバコを吸いながらママのお小言を
聞いていたが内心、ママを怒らせるまで怖がらせたことに
喜びを感じていた。
その時
ーこんこんー
二人は顔を見合わせた。
雪は降り続いていた。
おわり
いいねぇ いいねぇ いいねぇ、、、、
これって、ただの殺人鬼じゃね?
いやいや、俺の気のせいだw
乙、乙、乙!!
196 :
194:2006/12/07(木) 11:42:39 ID:q3i2vxwv0
>>195 だな、、、褒めてはみたものの別にゾンビじゃなくてもフレディでもジェイソンでも
中国人でもよかったわけだしorz
でもこういうの好きだな。またよろ!!
198 :
通勤電車男:2006/12/07(木) 23:28:43 ID:rrtAYoK+O
ken様・ショート作品の投稿お疲れ様です!。
街はすっかりクリスマスムード一色ですね〜(*^_^*)。
まぁ一人身なんでウチに帰って冷や飯で作った炒飯食って寝るのが
毎年のクリスマスなんですが(^_^;)。
なので作中にあるような家族そろってのクリスマスにはあこがれます。
そしてクリスマスにホラー話するパパってイカス♪。もう「だいなし」って感じで!。
季節ネタ乙でした!。
クリスマスプレゼント投稿お待ちしております。ありがとうございました!。
>>194-198 ども。私もずっと一人身でございます。
こういうほのぼのした?
家庭が築けたらいいんですが無理でしょうねw
保守
「ウイルスの開発に成功したんだってな?おめでとさん」
笑う声と陽気な声。白衣を着た男が二人怪しげに光るパソコンのモニターを見ながら談笑する。
そこに映るのはUSBの繋がれた先にある顕微鏡の映像だろう。蠢く拡大された原始的な生物を二人は讃えていた。
「いやいや。君が手伝ってくれたおかけだよ」
胸に掛かった名札に山口と書いてある男は言う。
「あとは実験を重ねて実用化まで辿り着くだけだ。頑張れよ」
名札に桐生と書かれた男の言葉に山口が頷く。
「当然。完成すれば不死身とまではいかないが人間の相当寿命を伸ばす事が出来るからな」
二人はその時笑っていた。
「逃げろ、早く!」
叫び声と呻き声が轟く部屋。
「うぁぁぁあ゛っ!!」
そんな悲鳴を聞きながら山口と桐生は多量の血で埋め尽くされたタイルを走る。
白衣の裾を赤く染めるのを、気にすることも出来ない異常事態だった。
「俺は、俺のせいで、こんな事になるなんて」
「相手は未知のウイルスだ。こういう確率だってあったさ。仕方ないだろ。それより早くここを封じなければ」
「当然だ。銃は持ったか?ワクチンの実験体は?」
「搬送用エレベーターで地上に運んだ。ここを封鎖するぞ。急げ」
その時二人は決意した。
「早く、行け・・・俺はもう、駄目、だ」
血を流す体を壁に預けて言う山口。白衣はズタズタに裂け、引き千切られ無残な傷口を晒している。
「山口、何言ってる!早く歩け、馬鹿!」
遠くから聞こえる獲物を求める呻き声が近付いてくる。それは何を狙っているのか重々承知しているはずだった。
桐生は焦る。だが、山口はそんな気も知らないかのように、にやりと笑う。
「馬鹿はお前だ、桐生。早く行け。ワクチン、の実験台だけは死なせる訳には、いかないからな」
「だが・・・」
「行け!二人共倒れしても意味がないだろ!それに、俺は娘を死なせたくない」
「・・・解った。任せてくれ」
「すまない・・・さぁ、行け!ここは、俺が、食い止める!」
その時二人は別れをした。
桐生は走る。銃声を背にして。それは出来事から14年前のある病院地下の話。
そして14年後、出来事から三日前の話。
「地下で何があったか知りたい。これだけの人数なら大丈夫だ。山口君が居たら連れ帰ろう。そして供養しよう」
「解りました。ここは閉めないでおきますから危険を感じたらすぐさま引き返して下さい。俺が危険の度合いを保証します」
それは事の起こりの出来事。とある病院で起きた出来事。
ある病院にあったある医師の手記。血が付着して一部読めない。日付は事の起こり、23日を示している。
11月23日
あれから14年。叫び声という地下室のメロディーが響いたあの光景を今でも忘れない。
あれは俺達が自分の子供を実験に使うという狂気沙汰をした天罰だったのだろうと俺は思う。
山口はまだ当時一歳にも満たない娘を、俺は息子である当時三歳の悠夜にワクチンを実験的に打ったのだ。
こんな酷い親はきっと何処にも居ないだろう。あぁ、そうさ。居るわけがない。
幸いにも表面上では二人に変化は無い。ただ、悠夜に関しては異常 点が裏面に存在している。
これは間違いなく、ワクチンがもたらし 災い 悠夜 心理状況が に至った際に 殺害衝動が増幅
事はあれど は絶対に 防がなければ で 死ぬ人 紅贄 。
このウイ ス 山口 よると い事で ある 場所はかつ という民俗学 に有名 場所であ たという。
それについて よく解らないが だと思わ る。
そう言えば地下 院長達が向かって 三日経 。どうしたんだろう。そう言え 外が騒がし 。
誰か来た。
あくまでも保守代わりの番外である。クォリティーは低いのはサーセンwww
いや、普通にクオリティ高いと思うよ。続きが気になる。
町の外れの電柱に怪しい影がまたひとつ。
月が見えないこの夜に塾の帰りの子供たち
食ってやろうと待っている。
たらこたらこ たっぷりたらこ
たらこたらこたっぷりたらこがやってくる
たらこたらこ つぶつぶたらこ
たらこたらこつぶつぶたらこがやってくる
たらこたっぷりたっぷり たらこ
たらこたっぷりたっぷり たらこ
ちょwwたらこかよッッッ!!!
wktkさせといてこの野郎〜・・・フェルエリア・フォン・エターナリティ!!!!
★☆楽しぃ☆★ィェ─ィ♪(*^。^*)★☆楽しぃ☆★ィェ─ィ♪
【愚民から脱出ミーム】【無関心・エゴミーム】【恥知らずミーム】【邪悪なミーム】を駆除し
【犯罪が無くなれミーム】【政治腐敗無くなれミーム】【真実を知るミーム】【賢くなるミーム】
等の【普遍的な善良ミーム】に皆の意識を向け世界一杯に増殖させ満ち溢れさせましょう!!
209 :
本当にあった怖い名無し:2006/12/13(水) 11:57:41 ID:bPEG4yvtO
どこが普遍的なわけ?
210 :
通勤電車男:2006/12/13(水) 23:58:16 ID:H8CsQiC0O
帰って来た男様、ショート作品お疲れ様です。
事の始まりとその発端。
個の寿命を延ばす研究は結果的に種の存続を危うくさせる事態に...。
wktkしつつこれが保守代わりとの事で...orz。
206様、私事で恐縮ですが私の部屋にたらこ人形がありまして(^_^;)。
部屋に帰って来た時、「何故か」変な場所に転がってる時が何度か...。
今日帰ってまた変な場所にあったらどうしようかとガクブルしております。
ショート作品の投稿ありがとうございました。またの投稿お待ちしております!。
211 :
本当にあった怖い名無し:2006/12/14(木) 04:31:01 ID:HIRsbN4WO
その三点リーダーは新しいな>半角3つ
ここって専用の絵師さんはいないんですか?
専用はないです。
欲しいですが。
>>213 残念・・・
いたら一層面白くなると思ったんですが(´・ω・`)
(2/2)
その後私は部屋に篭りっきり。 一度ドアの外から硝子の割れる様な音がしました。
暫く何も聞こえなくなりましたが、ドアの下の隙間から覗かれている感覚がします。
少しした後パキッパキッと云う音がしつこく鳴り始め、隙間から覗かれている感じが顕著になりました。
それであまりにもしつこいものだから・・・奇声を上げてドアを叩き開けて階段を駆け降りて、暗くて区別がつかないので塩と砂糖を引っ付かんで辺りにぶちまけたら、気配も音もなくなりました。
塩と砂糖まみれの床は本日清掃予定です。
【終】
申し訳ない!書き込む場所を間違えました・・・orz
なんか1/2が気になるな・・・
1/2は百物語に・・・
順番なんてどうでもいいから1/2をウプ汁!
(26/26)
「おい、待て!置いていかないでくれ!! こら、離せ、ゾンビども!!うわぁぁぁぁぁーーーーー・・・・」
「・・・・」
こうして私の旅は終わった。
<終>
(1/2)
あれはまだ残暑がきびしくジットリとして寝苦しい夜の出来事だった…
俺はふと喉の渇きを感じて目を覚ました。冷蔵庫を開けるが、あいにく飲み物を切らしている。
やむなく、俺は近所のコンビニへと買い出しへ出ることにした。
(ちなみに俺は二階建ボロアパートの二階に一人暮らしをしているのだが、
築ン十年を数える木造ボロアパートの二階の住人は俺一人である。)
俺が玄関を出ようとすると、遠くのほうでドアをノックする音が聞こえる。
どうやら二軒隣のドアのようだ。誰も住んでいないはずのドアが
ギィィィと軋みながら開く音が聞こえる…
『ココジャナイ』弱々しくも恨めしそうな声が聞こえる。
しばらくすると、さっきより大きな音でノックが聞こえる。
どうやら隣の部屋のようだ。さっきと同じようにドアの軋む音が聞こえ、
哀しげな声が聞こえてきた。
俺は恐怖に耐えかねてそっと玄関を開け、隣の様子を伺った。
そこには全長1mはあろうかと思われる巨大なナメクジがいた。
俺は思わず悲鳴をあげてしまい、一瞬だが奴と目が合ってしまった。
俺は足元にあったビールの空瓶を奴に目がけて投げ付けると、
瓶が割れる音が響くとほぼ同時にドアを締め、鍵をかけた。
>219
若干実況気味の実体験
(1/2)
昨日8時頃、家族経営の岩盤浴に父の知り合いが訪ねてきたんですが、その人の目付きがやばかった。
独特の臭いはしなかったけど、ポン中みたいな雰囲気で気持悪い。そして恐いのは、事務所に行くその人とすれちがう時にいきなりゾワッとしたから驚いて振り替えったら、その人の斜め後ろに黒い人影が張り付いてるのを見た事。
悲鳴をあげそうになりました・・・。
その人が帰った後父に聞いた所、その人は二十年程前に自分の子供を殺して刑務所に入っていたそうです。
精神的に色々危ない人らしく、お前は絶対に近付くなよ、と言われました。
でもなにより恐いのは、来る時にその人に付いていた黒い人影が、事務所から出る時にはいなくなっていた事です。
その後事務所で一人浴衣たたみをしましたが、 背筋がゾクゾクして、正直気絶しそうでした・・・ 。
日付の変わる頃、お風呂に入っていたら脱衣所からガチャン!と硝子の割れる音がして、思わずドアを開けて見たんです。
でも何も割れてない。そもそも脱衣所に鏡か洗面台以外に割れそうな物は置いてない筈。
それで不思議に思いながら髪を洗っていて気付いたんですが、風呂場の鏡の上方に黒い曇がかかってるんです。
でも私はうつ向いてるから鏡は下側しか見えてない。
なのに鏡の全体が分かるんです。そこに何か写ってるのが。
そこでゾワッと鳥肌が立ったんですが、霊に自分が見えているとバレるとまずいので、見えてないふりをしながら手早く髪と体を洗って風呂場から出ました。
それで二階への階段まで小走りで行って階段の電気を付けようとしたんですが、電気が付かない。
それどころか階段の一番上の暗闇が動いて見えたんです。
その階段を上がりきった所に明らかに何かいる気配がするんですが、もうどうしようもないので目を瞑って手摺をつたって登りました。
山田正紀の「ナース」(ハルキ・ホラー文庫)
を先日読んだ。正統派のゾンビじゃないけど、
ゾンビVS看護婦さん、という組み合わせに
ちょっと萌えw
結構おすすめです。
>>223 コワー
227 :
本当にあった怖い名無し:2006/12/20(水) 18:40:11 ID:Mg293csSO
>>226 君はアホすぎる。会話の流れとかわからんのか。
なんかこないかな
来たよ、気づかない?後ろ後ろ・・・
志村〜、後ろ!後ろ!
hosshu
musshu
保守
ゾンビ騒動で北海道に逃げた日本政府と本州に取り残された民間人を主とする新日本政府…
日本の所有権を巡っての争いにパワーアップ! したゾンビが割って入り三つ巴の争い…
ずっとそんなのを待っていたけれど………
自分で書けよ
俺だったら
ゾンビ騒動で比較的被害の少なかった
北海道に総理大臣を含む自民党の一部と
それを擁護する自衛隊の一部の精鋭A軍が北海道に逃げて
北海道の生き残りの民間人を殺して町を占領し新たな独裁的日本政府を作る
時期を待っている。
壊滅状態の本州から分裂した自衛隊B軍が打倒A軍を目指し
北海道を北上していく。
上陸後、風の噂で自分達の身の安全のため多くの民間人を
犠牲にしたことを聞く自衛隊B軍。怒りの炎が燃え上がる。
いよいよA軍を追い詰めた時、空から現れたのは
B軍を壊滅するため組織された
アメリカの戦闘機だった!
B軍も壊滅させられるのか?
いや・・・奴は死んではいなかった。
ダイハードのジョンマクレーンのような男と
生き残った数人の男達。
彼らは夜にまぎれて占領した町を覆っているバリケードの鉄条網を
破ると中に潜入した。
総理大臣と自衛隊の元上官を探す兵隊達。
やっと見つけた明かりのつくショッピングセンター。
巨大な駐車場に並ぶアメリカ軍ヘリと旭川駐屯地からの戦車、ジープ、
装甲車、輸送車。
しかし、破られた穴からはゾンビが次々に進入しているのを
誰も知るはずは無かった・・・
やはりゾンビには勝てなかった。
ショッピングセンターの屋上で元上官と対峙する
ジョンマクラーレン似の男。
「上官。私達の使命はなんですか?日本と
国民を守ることです。それを教えてくれたのは
あなただった。それなのに・・・私は聞きました。
貴方がこの町でした数々のこと。
私は悔しい。上官何か言って下さい!」
徐々に朝日が差しゾンビが屋上への階段を上る音。
しかし元上官は何も言わない。
朝日をバックに銃声が響く。死んだのは元上官か?
マクラーレン似の男か?
いや、ゾンビをかいくぐり上ってきたB軍の仲間が
ゾンビに撃った銃声だった!
元上官は言う。
「もうすぐ、アメリが軍の救援ヘリが来るはずだ」
マクラーレン似の男と仲間は二人顔を見合わせる。
屋上にやってきたすごい数のゾンビ。
その中には総理大臣もいる。
マクラーレン似の男は引き金を引いた。
終
241 :
本当にあった怖い名無し:2006/12/25(月) 23:45:49 ID:Y1a5kKUXO
被害の少なかった北海道の自衛隊に殲滅されると思うんだが>A軍
途中で主人公がマクレーンから別の人になってしまってる点
ハイライト乙
>>244 関係ないと思いつつ最後まで読んだ。
気が重くなったじゃねーか・・・・・
>>236 判った。
だが自分で書くのと読むのは違うと思うのだが…
背景をまず投下します…
(背景)
200X年、全世界中にて謎の暴動が発生。(原因は勿論ゾンビなのだが、マスコミや政府は「暴徒」としている。)
最初は小規模だった暴動も2,3日で警察が対応しきれなくなっていた。
勿論日本政府の対応は後手に回り、自衛隊の出動も無いまま、1週間後には都市部にはゾンビが溢れかえっている状態となる。
自衛隊の主力部隊、政府のお偉方は北海道に逃亡、という噂も流れた。
某電子掲示板の行動は早かった。
インターネットでは暴動の一部始終が流れており、一日目の時点で郊外へ逃げ、暴動の混乱に乗じて田舎に国を建国する。
『現実逃避の政府より、名無しの集団』
それが新政府二本のスローガンであった。
だが人口数十万人(現在某電子掲示板の利用者は990万人相当)の二本には問題が山積みになっていた。
248 名前: 本当にあった怖い名無し [sage] 投稿日: 2006/12/26(火) 22:55:20 ID:
さっきコンビニ行った帰りにふらふら歩く
変な奴発見。徘徊老人か?
>>1 後で雪見大福うpします。
249 名前: 本当にあった怖い名無し [sage] 投稿日: 2006/12/26(火) 22:57:30 ID:
>>248 ありがd。
徘徊老人画像うpキボン
250 名前: 本当にあった怖い名無し [sage] 投稿日: 2006/12/26(火) 22:58:30 ID:
>>249 遠くて分からなかったが老人では
無かった模様(服装が若者風)
障害者の恐れもあるのでupは無理かも?
262 名前: ゾンビ?◆5uGe0yeQxG [sage] 投稿日: 2006/12/26(火) 23:30:30 ID:
画像見てくれ。
俺には分けが分からん。鳥つけた。口に血が付いてない?
【建国初期…戦闘部隊の場合1】
「さ…さっ…刺又で抑えろ!」
俺は慌てながら叫んだ。
隊長だと言うのに、正直ゾンビには慣れていない。
こちらに逃げて来る時も単体のゾンビを見た事はあっても、目の前のように群れているゾンビと対峙したのは初めてだからだ。
目の前には数十のゾンビ。
眼球が無い者も居れば、腸を引きずっている者も居る。
まさに十人十色。
「動けなくしてから、頭を割れッ! 頭を割れば殺せるッ!!」
「隊長ッ! 殺すと言う表現は間違いです、この場合は…うぎゃぁっ!」
俺の言葉に副長が間髪入れず、言い返す。
自分が隊長に向いていない事なんて判っている。
でも軍隊召集が掛かった時、自分が求められてると思ったから軍隊に入った。
自分は今までの社会の中で求められていただろうか?
「くだんの小説のように決して刺又で殴るなッ! 折れるぞッ!!」
何処からかそんな声がする。
出来ればゾンビに近寄りたくない。
だが刺又で抑えているだけでは駄目である。
隊長がやらなくて誰がやるッ!!
勇気を出して……
「うぉりゃっ!」
俺は刺又で動けないゾンビの頭を、金属バットで殴りつけた。
その時、ドン、ゴロゴロ、と変な音がした。
首が悪くなっていたのであろう。
首がちぎれ、頭が転がった音だった。
失禁した…
◎二本軍について
スローガン
『こどもでもはいれるぐんたい』
『こどもでもわかるぐんたい』
『こどもにきびしいぐんたい』
二本にまず最初に求められていたのは戦闘員と非戦闘員に分け、戦闘員を部隊ごとに分割、役割を明確にする事だった。
二本軍は国内の治安活動、国境外への物資回収、領土拡大のための軍事活動が主である。
二本軍の軍人には従来の軍隊のように難しい制度等はない。
階級は司令(全部隊に命令を下す。 一番えらい。)
隊長(部隊ごとに一人居る。 二番目にえらい。)
副長(部隊ごとに一人、隊長を補佐する役。 三番目にえらい)
隊員(大隊に200人。 普通部隊に150人。 小隊に50人。)
のみとなっている。
これには『こどもでもわかるぐんたい。』が軍隊設立のスローガンとなっているためである。
勿論指揮系統を簡略化出来、寄せ集めの民間人にはちょうどいい。
部隊の標準装備は金属バット、刺又が主となっている。
自衛隊では敬礼について色々とあるようだが、二本軍ではそれを見習わず、一人一人違う「自己流」敬礼を許した。
また戦闘能力であるが、当初はゾンビに慣れておらず、寄せ集めの民間人で構成、武器も貧弱なため百以上のゾンビと交戦するのは苦戦が強いられる。
251 :
通勤電車男:2006/12/27(水) 21:57:09 ID:VM+9rDXyO
237様・あの様、ショート&プロット?の投稿お疲れ様です。
237様、あっさりとしていながらゾンビ物のツボを外さない。
忘年会&年末進行で疲れている時にはこの位がいいのかも(^_^;)。
あの様、背景を投下との事ですがこのまま続けていっても十分読み応えが
ある気がします(o^-')b。
お忙しいとは思いますがwktkしながらお待ちしてます!。
続編の投稿お待ちしております。ありがとうございました!。
【建国初期…戦闘部隊の場合2】
「た…隊長を見習え!」
副長が叫んだ。
今の俺はゾンビに初めて果敢に立ち向かった英雄(失禁していたとしても)なのだ。
俺は続け、続け、と叫びながら次々と刺又で動けないゾンビの頭をかち割っていく。
「よぉし、俺達も!」
そんな声がして数人の隊員達が刺又を持っている隊員の後ろから現れ、戦い始めた。
勝てる…。 そう俺は思った。 ゾンビ数十の群れと交戦し、帰還した小隊は未だない。
数分すると、もう皆が動けないゾンビの頭をかち割り始めていた。
だがいつまでも一方的な攻撃は続かなかった。
ゾンビ達が一斉に叫んだ。
声と言うよりも、爆発音に近かった。
一瞬、隊員たちが怯む。
刺又を持つ隊員達の腕力も限界に来ていたのだろうか?
ゾンビ達が刺又を避け、あるいは破壊し、突撃してきた!!
【建国初期…戦闘部隊の場合3】
雪崩のように押し寄せるゾンビの群れ。
「刺又」という堤防が決壊した今、押し寄せる群れを食い止める手立ては無い。
ゾンビ映画で腐るほど見てきた場面が現実のものになっていた。
「ゾンビの腕につかまれる前に頭を叩き割れッ!!」
誰かの声。
確かにゾンビの腕力は物凄かった。
腕が腐りかけているくせに、目の前の隊員を掴んで離さず、遂には噛み付いてしまう。
目の前の隊員を殺したゾンビは標的を俺に定めてきた。
生前金髪の若い男だったようである。
まだ新しい方なのか、体はあまり腐っていない。
「くッ、くらぇぃ!!」
苦し紛れに声が自然と出、腕で掴まれる前に頭を殴ってやった。
さっきの様に頭は吹っ飛ばなかった。ただ頭蓋骨が陥没した様である。
目の前のゾンビが右腕を伸ばし、掴みかかって来る。
後ろに飛び、また頭を狙う。
ガスッ!
鈍い音がする。
今度も止めを刺すに至らなかった。
それどころか、右肩を掴まれ、その距離、口まで十数cmというところまで体が持っていかれる。
左腕が大丈夫だが、バットのリーチではない。
黄色い歯が眼に入る。
ここで人間としての人生は終わってしまうのであろうか…
>>251 有難うございます。
まさかレスしてくれる人が居るとは…
遊び半分でやっているので更新がいつ途切れるかわからない状態になりますが応援よろしくお願いします。
【建国初期…戦闘部隊の場合4】
その時である、今更ながら左腰の異変に気付く。
いつもとは少し違う、重い感覚。
俺はすぐにそれが何なのか悟ると、ベルトに挟めてあるその異物を左手で抜き、何度もやつの頭を殴った。
手にあったのは、血まみれの金槌であった。
目の前のゾンビは激しい衝撃で脳が壊れたのか、一瞬フリーズした後、バタン、と倒れた。
今左手に握っている金槌は大工であった父の形見だった。
某電子掲示板を見、都市を脱出する際、とっさの判断でベルトに挟めたのだ。
有難う親父――――――。
「皆、押しもどせっ!!」
隊員達は俺より少し後ろの方に居た。
俺を確認すると、ゆっくりゾンビの群れを押し戻し始めた。
ヴォーーーッ!!
怒りに燃えるゾンビ達が早足で寄ってくる。
だがもう慣れた。
立て続けに三つの頭を潰す。
慣れればこっちのもので、ゾンビは動く的でしかない。
「野球ボールだと思え、ゾンビの頭は野球の球だっ!!」
唸るゾンビ達に抗議でもするかのように、俺は吠えていた……
あれから数時間が経つ。
数時間前まで俺達が戦っていた地獄は柵の外にある。
国境内に戻ってこれたのは50人中32人。
8名が食い散らかされた肉片になり、10名が動く屍となった。
それだけの犠牲を払ってでも、今回掃討出来たゾンビは数十体。
このゾンビの数は氷山の一角に満たない。
だが何時の日か、出世して、大隊の隊長となり、全てのゾンビを掃討してみせるのだッ!!
ええと…これは一応新日本政府VS旧日本政府の対決を本編として…ですね。
その本編の構想が出来上がるまで、新日本政府の「二本」の苦労を書こうと思うわけです。
「お前は対決を書きたいんじゃないのか。」と言う人、判ってやってください。
【建国初期…物資回収隊の場合1】
「早くしろ! この地域はまだゾンビ密度が高いッ!! 急げッ急げ!!」
回収隊も楽じゃない… 僕はそう思っていた。
僕は今13歳。
昔日本なら、まだ『子供』であるが、この国では『大人』らしい。
『大人』である以上何か仕事に就かなければ成らない。
選択肢は数えるほどしかなかった。
苦悩の末、就いたのはこの「物資回収隊」である。
「物資回収隊」は国内、また国外に眠る物資を回収する、運び屋である。
「何、手を休めているッ! まだ一つ倉庫があるのだぞッ!!」
隊長は五月蝿い。
五月蝿すぎて、いつも作業中にはゾンビが集まって来る。
それをいつも僕達、隊員の作業が遅いからだ、と文句をつける。
まぁゾンビは護衛に就いてくれる部隊が蹴散らしてくれるんだけど。
降ろした運搬用リュックに使えそうなものを放り込んでいく。
缶詰とかは賞味期限を見る。
あまりかさばりそうな物は入れない。
257 :
本当にあった怖い名無し:2006/12/29(金) 11:30:16 ID:5wF/7lWdO
全世界で同時多発ならどこ逃げても一緒
全世界同時多発=環境を問わずに世界中にまで行き渡る位の確率で、
感染経路なしでランダムに発症
→噛まれなくても発症する(噛まれなきゃ発症しないなら世界規模は無理)
→都市・郊外問わず、何もわからない内に人類の大部分がゾンビになる
→北斗の拳
逆に文明が残る位の発症率なら局地的な騒動
>暴動の混乱に乗じて田舎に国を建国する。
内乱罪:首謀者→死刑又は無期禁固、指揮者→無期又は3年以上の禁固、参加者→3年以下の禁固
つかそんな派手に扇動してたら建国前に破防法でアウツ
しかもネットで
本編の対決って言っても
反政府民兵組織(刺又、バット)vs正規軍(自動小銃)
の日本赤軍より悲惨な結末しか見えない
>>257 細かい事気にすな。
こう考えてみれば、大丈夫…
>感染経路なしでランダムに発症
まだゾンビ発生の原因は判らず、『ウィルス』ではないかもしれん。
ただ単にゾンビという生物?が世界中に現れたのである。
そのゾンビの繁殖の方法が「噛む」事だとしたら…
タイムテーブル?
200X年1日 ゾンビ発生
ねらーの諸君は田舎に集合す。
2日 都市部を中心にゾンビが急激に増加。
3日 警察の手が回らない状態までゾンビ増加。
4日〜? 自衛隊の主力、政府のお偉方北海道に逃亡?
4日〜? 『現実逃避の政府より名無しの集団』新政府「二本」発足
?〜7 都市部は完全にゾンビの山。
このこじつけのやつを見れば判るだろうが、政府と警察が上手く機能していない状態の中で「二本」は建国された。
だから警察も手が回らなかった、と考える事も可能であろう。
>反政府民兵組織(刺又、バット)vs正規軍(自動小銃)
の日本赤軍より悲惨な結末しか見えない
北海道に逃げたのは人数の限られた主力部隊。
さらに北海道で安全な居住をするために弾薬を消費している。
こちらは探索すれば、全滅した自衛隊基地でも見つけることが出来るであろう。
(全部隊が北海道に退却したわけではない)
なのでそれほど悲惨な闘いになるとは思えない。
とりあえず
ソ 連 機 甲 部 隊 と 「一 ヶ 月」「ガ チ で」 殴 り あ う
ために作られた北部方面隊(の備蓄弾薬の量)なめんな。
てか、日本の自衛隊の主力はぶっちゃけ北海道ですがなにか?
今では貴重な自衛隊の出てくる話しなので頑張って欲しいです
なぜそこまで細かい設定にこだわるかがわからない。
楽しく読んで書いている。それでいいじゃん
別に自分たちの今いる世界の話ではない、と思えばいいんじゃない?
微妙なパラレルワールド。
この「二本」の世界は、現実の自衛隊より微妙に弱く、微妙に装備が少ない。
これでいいんじゃない?
…ダメかな?
オイラはそう脳内変換するけど…
>>261他数名
スマン。
ちょっと軍板で色々やりあってたから過剰反応なってたかもしれん。
265 :
本当にあった怖い名無し:2006/12/30(土) 11:33:41 ID:d1QgkrP0O
あのは中学生か?
>細かい事気にすな。
細かい事じゃないだろ
整合性が皆無、基本が破綻してる
>ただ単にゾンビという生物?が世界中に現れたのである。
質量保存の法則すら崩壊してるってことですか
しかも、MOBみたいに沸くんならいくら駆逐しても無駄ですね
>そのゾンビの繁殖の方法が「噛む」事だとしたら…
宿主予定のターゲットに攻撃する様な欠陥生物は進化の過程で淘汰される
>ゾンビ発生の原因は判らず、『ウィルス』ではないかもしれん。
>>そのゾンビの繁殖の方法が「噛む」事だとしたら…
生物であるなら、寄生か感染以外の選択肢がない
又、生物じゃないなら繁殖しないし、捕食もしない
弱点の下か上から攻撃出来ないゾンビに戦車撃破出来るわけないし、
陸自が壊滅してる時点でゾンビのスペックは人類じゃ対抗出来ない
ゾンビ設定にエイリアン並かそれ以上のスペックが必要
その化け物相手に百姓一揆以下の民兵が対抗出来るわけがない
軍板で散々議論されたと思いますが、ガチな事をいい出すとゾンビの大量発生なんて有り得ない
ゾンビ力を軍事力は圧倒的に上回ってしまうので
でもそれを言い出すと小説自体が成り立たなくなってしまう
本末転倒です
敢えて嘘だと確信しながらここの作者さん達は上手く発生状況を創出して行きます
あのさんも巧に状況を創りだしたと思いますので続きが楽しみです
後、
>>625さん
sageでお願いします
それがルールなので
中学生でも守れますよw
私もルール違反を犯しているので立ち消えます
>>265 設定破綻してるとか無駄とか
否定ばかりでうざいな
自分で完璧な話が作れないで否定するなら
巣にかえれ
もともとゾンビの存在に無理があるんだから
作品が完結したあとで批評を言え
見ていてむかつくならNG ワード入れればいいじゃねえか
作品投稿する人のやる気をそぐ発言はやめれ
ゾンビになって傍観してろ
ボートが波のリズムに合わせ
砂浜に当っている。
日に焼けた目は大きく腫れ、僅かに開いた
視界から見える青空には南国特有の
はっきりとした輪郭を持つ入道雲が映っていた。
ここはどこだろう?
私は、ぼんやりとした頭で考える。
早く逃げなくてはゾンビがやってくるだろう。
でも、私には少しの体力も残っていない。
立ち上がろうと指に力を込めるが
固まった筋肉は動かす意思と潰えさせる。
何日漂流した?一週間?二週間?
唇はざらつき、舌は水を求めて大きく膨らんでいる。
熱い8月の太陽によって焼く尽くされた
肌は何の感覚も残っていない。
来るならこい。私はもう逃げられない。
天国に限りなく近い地獄でそう覚悟したとき。
風にのって子供の声がしたような気がした。
空耳だろうか?ゾンビだろうか?
死を覚悟したばかりの体にも生存本能の僅かな緊張が走る。
首を僅かに動かしても視線はボートのヘリが見えるばかりだ。
天使だろうか?悪魔だろうか?
砂を踏む音とともに声が近づいてくる。
感情を含んだ人間だけの声色に
心配が杞憂に終わったと確信した時
深い闇の底に再び沈んでいった。
「火傷は、まだ痛みます?」
私は沖縄本島をゾンビに追われ脱出した時
着ていた衣服から露出し直射日光を浴びた
首、顔と肘から下に巻かれた包帯を撫でながら
幸枝さんの言葉を聞いていた。
「いや、痛くは無いです。ただ猛烈に痒いだけで」
そういうと幸枝さんが笑った。
冗談のつもりではなかったのだが私もあわせて笑った。
痒み。そう、昨日の夜中、この小さな診療所で島に漂着して以来はじめて
眼を覚まさせたのは痒みのせいだった。
私は毛布を跳ね除けると、すでに夢の中で掻き
結び目のゆるくなった包帯をすべて剥ぎとり
指の裏で掻き毟った。爪を立てるのは良くないと思ったからだが
気が狂うぐらいの痒みの中で自制心が薄れていき
気づいた時には腕に書かれた何本もの筋に
赤い線が浮かんでいた。
「ご飯、食べる?缶詰、魚、貝、海草、ヤシガニ
なんでもあるわよ」
その声を待っていたかのように
涎が溢れてきた。胃が食べ物を求めてうねり始めた。
「何でもいい。胃がブラックホールになったみたいに食物を求めてるよ」
今度は二人して笑った。
胃が少し痛かった。
茹でたヤシガニのマヨネーズ和え、海草のサラダ
スパゲティーミートソース、焼き魚、、貝の煮物
という山盛りの料理を載せた皿を綺麗に平らげて幸枝さんが
コーヒーとホットケーキを持って来てくれたとき、少し恥ずかしくなった。
「ごめんなさい。デザートまで・・・」
「いいのよ。元気になったら、働いてもらうから。
今はエネルギーつけてもらわないと」
幸枝さんは向かいの椅子に座ると眼を細めて
そう言った。
「それにしても平らげたわねえ」
自分でもビックリするぐらい食べ物が胃の中に
入っていった。なんせ十日ぶりの食事だったから。
私は一週間、漂流していたのだ。体の細胞が
栄養を求めて飢えている音が聞こえるようだったのだ。
「ヤシガニっておいしいですね」
私は皿に添えられた真っ赤な頭を持ち上げる。
「これから好きなだけ食べれるわよ。嫌になるぐらい。
お刺身もハブもね。食べ物だけは豊富なの。
やぎだって牛だっているのよ」
幸枝さんが笑った。幸せな気分で食事を終えた。
273 :
通勤電車男:2006/12/31(日) 20:21:53 ID:v7eZ0SQ2O
本年中は様々な作品を読ませて頂きありがとうございます。
完結し一休み中の作者様方、続編製作中の作者様方、
共に来年も絶望感と恐怖をここに撒散らして頂ける事を期待しつつ、
年末のごあいさつとさせていただこうと思います。
寒い日が続くと思いますが風邪など引かれません様、御自愛下さい。
あの様・ken様、感想は新年に書かせていただきます。スミマセン(>_<)
今年一年本当にありがとうございました!m(_ _)m。
明けましておめでとうございます。
作者のみなさん、今年も色々なゾンビ話を楽しみにしてます。
本年がみなさんにとって、良い年になりますようにm(_ _)m
275 :
本当にあった怖い名無し:2007/01/03(水) 05:18:00 ID:v1mc1WyXO
新年保守age
食事を終え、島の案内をしてくれると言う
幸枝さんの後をついて空港に向かっている時
一台のトラックが私達を追い抜いていった。
荷台の後方から流れ落ちる血が太陽に焼けた
アスファルトに飛び散りいくつものシミを作りながら
抜いて行く一台の青いトラックが見える。
「ゾンビを山の麓に捨てに行くの。」
私の視線に気づいた幸恵さんが答える。
私は彼方へと小さくなるトラックを見ながら思う。
この美しき島の太陽の中の小さな死。
かつては泣き笑い絶望しながらも懸命に生きた人々。
ゾンビとなって死んでやっと人間に帰れた気がする
尊厳を取り戻せた気がする人々。
彼らに私はどんな言葉をかければいいのだろう?
夏の南の島の太陽が中空に在る時刻には
死はあまりにも不自然に思えた。と同時に
あまりにも調和しているようにも見える。
ゾンビという理解を超えた自然と対を成す
無限の太陽。
時間は止まり、絵画の一場面のように詩的に
切り取られた風景。
私は不思議な気持ちで祈りの言葉を捧げた。
滑走路に引かれた長い焦げ後の先に
原型を留めないほど崩れてしまった飛行機があった。
芝生に飛んだいくつもの金属片は茶色に芝生を焼き
回収されないまま放置され太陽の下で鈍い輝きを見せていた。
私達は自転車を降りるとゲートを越え
滑走路内に入る。
どこかで鳴いている海鳥の声ががらんとした飛行場に
こだましている。風にのってセミの声がする。
私は足元の焦げた金属片を手に取ると
汚れを払ってみた。現れたのはいくつもの
ボタンだった。カバーは高熱によって溶けてしまったが
かつては誰かの携帯電話だったのだろう。
「もっと近くに行ってみる?」
私は、うなずくと携帯電話をそっと芝生に戻し
飛行機に近づいていった。
「ちょうどゾンビが発生した日に那覇から
飛んだ飛行機だと思う。パイロットが感染してしまったのか
乗客の中にゾンビがいたのか分からないけど。」
眼を上げれば焦げたジェラルミンの先に剥き出しの客室が見え
椅子にはシートベルトをしたまま亡くなってしまった乗客や
通路で死んでしまったのだろうか人としての形を
失ってしまった人間も見える。
ー死
さっきのトラックの映像がフラッシュバックする。
きっと今まで現代社会にも死は
日常的に溢れていたに違いない。
しかしそれは私達の知らない場所で覆われて
何事もないようにマニュアルにのって処理されていたのだ。
しかし人間もひとつ別の世界へ足を踏み出せば路上で轢かれた
一匹の猫に過ぎない。
ゾンビが発生し露になった死というあまりにも
現実的な事実。これが真の姿のだろうか?
それとも真の姿など、どこにも無いのだろうか?
私には考えることは出来なかった。
ただありのままを眼に映すことしか。
私は理解するにはあまりにも越えた日常の中にいる。
飛行場を後にして巨大な資本が投下された観光ホテルの
案内をしてくれるといって
入り口を通った時、そんな予感はあった。
幸恵さんとセックスをした後、私は窓の外に
寄せては返す波の行方を追う。
振り向けば幸恵さんの寝姿が見える。
彼女は寂しかったのだろうか?結婚してるのか?
あるいは大切な人をゾンビにしてしまった?
亡くしてしまったのだろうか?
ただ分かるのは、こういう行為をしたことが
間違っているとは少しも思わないことだ。
死んだ世界の死んでしまったホテルの中で
する営みの最中、私はずっと彼女の人生の中にいた。
そこで私は彼女の流した涙を見、彼女のかつての
人生に触った。だれが不埒な行為と非難することが出来よう?
新しい倫理の中でそれは正しくゆるぎない
コミュニケーションだったのだ。
彼女がみちびいたことにせよ私は全然後悔していなかった。
それでもすべてのセックスにつき物のように
灰色の雲が胸をかすめたのは言うまでも無い。
私は彼女が起きないので諦めて
一階に降りロビー脇の通路から外に出ると小道を通って
海岸に出た。白い砂浜には満ち潮の線に沿って
細かいごみがいくつも打ち上げられたいる。
中国語で書かれた洗濯機の絵の描かれたプラスティックボトル。
ハングル語で書かれたポテトチップの袋。
そんなものを興味深げに散策しながらホテルが見えなくなるくらいの
距離まで散歩した。砂が終わりが石の混じった海岸まで来ると
さっき食べた海草が足元に揺れているのが見える。
彼女の言っていた食物が豊富にあるという言葉が
理解できるような気がした。
私は平らな石を見つけると尻を濡らしながら腰を下ろし
自分の身にあったことを考える。
私は沖縄本島に一人で休暇と移住のための
住居を探すのをかねて遊びに来ていただけなのだ。
そこで起こったこの不可思議な事件。ゾンビの発生。
防波堤で釣りをしている時に那覇に向かって
低空飛行で飛んでいった何台ものアメリカの戦闘機が起こした爆音。
不審に思って釣りをやめ旅館に帰る最中
通りに不自然な歩き方をする老人が見えた。
逆光で見えなかったが、あれが私の見た初めてのゾンビだったのだろう。
旅館に戻ってTVを見ると那覇からの生中継は
アメリカ軍と自衛隊がゾンビとの市街戦を行ってるのをうつしていた。
何も言わず唖然とTVを凝視する旅館を営む
老夫婦に私がアナウンサーの言葉や識者の言葉から
得た情報を教えなければならなかった。
「誰も何も分からないようです。映画ではないようです。
戦争でもありません」
この沖縄地上戦を体験したであろう老夫婦は
画面の中に何を見たのだろう?
戦争が起こったと考えてると思うのが一番自然な気がしたが
そんなことは分からない。
私はその時この那覇から遠い村が静か過ぎる
夏の午後の村とはいえ静かすぎることを考えていた。
誰もが家の中に入り
TVを見てそこにあるものを理解しようとしていたに違いない。
普段聞こえる車の音も人々が開け放った玄関
からの話す声も聞こえなかった。
夜になっても、もちろんゾンビの報道は続いていた。
東京と那覇に中心を置き変わりばんこにスタジオを
映していたが夜が深まるにつれて成田空港で
ゾンビが発生したとの一報が入った。
ゾンビは海外からのものだという識者コメントが終わらぬうちに
長野で大阪で秋田から発生のニュースが飛び込み
夜が明けるころには混乱のきわみのスタジオから
今や何も言わず事態を静観するしか
無くなってしまったアナウンサー、識者が映る画面の下に日本中、世界中に
ゾンビ発生のニュースが画面下のテロップが流れていた。
すでに確認はしていたが私はTVの前を立つと
戸締りをしているかもう一度玄関や窓を見に行った。
もともと住んでいる人数の少なかったこの村でも
二階の窓から大通りを見れば両手をだらんとさせた
ゾンビ特有の歩き方をする人が街灯の影になりながら
歩いていくのが見えた。私は何も言わず窓を閉め
TVの前に戻ると最後まで放送していた局のスタジオに
ゾンビが現れるまでいつまでもそこを動かなかった。
気が付けばもう次の夜になろうとしていた。
ゾンビに追われ海岸から小さなボートで漕ぎ出した時
まさか生き残れるとは思っていなかった。
旅館を出て村の様子を見に行ったのが間違いだったと
沖から海岸で海に入ろうとするゾンビを見て思ったがそのまま
漂流し灼熱の太陽に体を焼かれ、この八重山諸島の島にやってきた。
幸恵さんは不思議だと言う。
私が何故不思議なのかと聞くと海流の具合から
南下するのはありえないと言うのだ。
ここ石垣島は沖縄本島のはるか南にある。
神の導きか私はここにやってきて少女姉妹に発見されたのだ。
私が死ぬのが少し延びただけさというと。
幸恵さんは黙って悲しい顔をした。
考え事を長くしすぎた。
私はそう思うと座ってから少し満ちた
海から足を上げホテルに向かって歩き始めた。
幸恵さんが起きたら心配するだろうと
駆け足でホテルに向かって走り始めると
砂浜の先にこっちに向かって歩いてくる
幸恵さんの姿が見えた。
「ごめんなさい。寝てたみたいだから」
「ううん。ここんところ熟睡できなかったけど
よく眠れた。何か面白いものはあった?」
「岩場に海草が沢山あったよ。」
髪を解き微笑んだ幸恵さんは、なぜだかとても幼く見えた。
私はホテルに向かって歩いてる途中、何度か手握ろうとしたが
うまく握ることが出来なかった。
自転車に乗り夕焼けが私達や南国の木々道路を
染め上げる中、町に向かって帰る途中
彼女がホテルでのことについて何か言おうと
口の中で何度も言葉を探してるような
気がした。
ー何もあやまることは無いよ。
私は彼女の隣まで自転車を漕いで追いつくと
小学生がする悪ふざけのように彼女の肩を片手で持ち
ペダルから足を離すと慣性の法則のままに
自転車をコントロールし夕焼けがつくるマジックの中で
永遠を探そうとしていた。
次の日から私は自動車でバリケードを作る
仕事を任されるようになった。
もし島でゾンビが発生した時のために
町から離れた井戸がある集落に日用品や
食料を運び海と自動車で隔離するのだ。
持ち主がいなくなった自動車を運び
海岸から海岸へ200mほどの長い列を作る。
「こうやって鍵をつけたままにしとけば
門の代わりにもなる。ゾンビは運転は出来ないだろ?」
そう言って新垣さんは笑った。
私が竹富島や西表に逃げればいいんじゃないかと
聞くと、その対策もしてあるとのことだった。
でも島同士、こういうゾンビが発生してから
協力的でなくなったと呟いた。
まあ時間はあるし何もしないよりは少しでも
先のことを考えて行動することは悪いことではないだろう。
そう思って自動車を探している見たものの
予想以上にこの作業は大変だった。
私はカブという小さなバイクで空き家を探すと
鍵を探し自動車の後ろにカブをぶち込み
バリケードまで運転するのだった。
日が沈むころまでに数人でバリケードの半分ほどが
出来上がった。私が車の外に出て
汗を拭いていると新垣さんが
ぬるいビールを持ってやって来た。
「山本さん。ビールは飲みますか?」
私は、あまりビールは日常的に飲むほうでなかったが
差し出されたビールはあまりにも魅力的で
喜んで受け取った。
「幸恵さんと住んでいるんですか?」
そうきたか。
狭い島だ。なんでも情報が行き渡るのだろう。
「いえ、一緒に住んでいるのではなく
港近くのペンションに住んでいます。
彼女の家から歩いて2,3分ですが・・・」
「誤解なされたようでしたらすいません。
私は非難しているのではなく我々としても
港の近くにいてもらうほうがありがたいのです。
幸恵さんから聞いたかもしれませんが
4万人ほどいた島の人間も今は千人ほどで
そのうち観光客で遊びに来てるうちに
ゾンビが発生して逃げられなくなった方が
70人ほどいます。もっとも島の奥の方にいて
孤軍奮闘してる人もいるので正確な数は分かりませんが。
あとで町に戻ったら一緒に
市役所に行き書類を作りましょう。
住んでいる場所、人数など。めんどくさいでしょうが
いろいろ管理しないと大変なのです。分かってください」
私は、もちろん承知してビールを飲み干した。
それから何日かして仕事が休みになったとき
幸恵さんが私に話があるといって自動車に乗せると
山に向かって運転していった。
私が来たことも無い場所で島の大きさを改めて考えていると
山を少し登ったところで車を止めた。
「ここからは歩くの」
幸恵さんは雑草に覆われた山道に足を踏み入れると
私が質問する間をあたえず先へ先へと歩いていく。
山の斜面を確認するようにちらちらと見ていると思うと
木につかまりながら日中でも日が差さない
山の中を上っていく。
「なんだよ?」
私が少し怒って言ってもただついて来てと言うばかりだ。
手のひらが草によって細かい傷ができ
私が立ち止まろうとした時、木々の彼方で姿の見えない
彼女から声がした。
「着いたわ」
彼女の目の前には山の斜面に不自然な感じで
生えている草木があった。
眼を凝らせば草木の後ろに人工的な建築物が見える。
「ここは第二次大戦中の防空壕よ。」
「私が父とキノコを探しているとき見つけたの。
父は死んでしまったけれど。この場所は今じゃ
たぶん私と戦中に島にいた一部の島民しか知らないと思う。
でも皆と市役所で今後のことを考えてるとき
誰も言わないのを考えると私しか知らないのでしょうね。」
そう言うと幸恵さんはリュックからバールを出すと
草に隠れた羽目板を剥がし始めた。
私があわてて手を貸すと幸恵さんは
少し開いた隙間に手を突っ込み
「えい」という気合入れて羽目板を引っこ抜いた。
腐った木は簡単に剥がれ落ち
やがて人が通れるほどの空間ができると
「小さいときに来たきりなの。今でも残ってるといいけど」
と言ってリュックから出した懐中電灯たよりに
防空壕の中に入っていった。
私が恐る恐るついていくと
幾年もの間、閉じ込められた空気の
奇妙な匂いとひんやりとした温度が私を捕まえる。
さらに奥へ進むと
懐中電灯をつけた先の暗がりの中に
木枠で作られた箱がいくつもあった。
《DANGER》
幸恵さんはそう書かれた文字に
懐中電灯の明かりをあわせる。
「大きい音を出さないでね。大丈夫だと思うけど。
ダイナマイトよ。
昔、おばあちゃんに聞いたの。
アメリカ軍と戦うためにここに立てこもる
計画を立ててたんだって。
実際には使わなかったみたいだけどね」
ダイナマイトという言葉の意味を理解したとたん
胃が縮んで胃液がせりあがってくるような感じがした。
ダイナマイト?
ゾンビと戦うのか?
私は、こんな状況になってもかつての
都市生活者のさがだろうか、こんなところに
いたくないという気持ちで逃げ出したくなった。
「幸恵はこれで戦う気なのかい?」
幸恵さんに対して初めて敬称を付けずに話してることも
忘れ私は目の前のものに慄きながらそういった。
「わからないわ。ただ確認しときたかったの。」
私達は逃げるように防空壕を出た。
新鮮な空気を吸うと眼の中で星がスパークし
安堵のため息が自然と口から出て行った。
しかし次の瞬間、このままの弱い人間であることを
否定する気持ちが生まれた。
ダイナマイトで怖がっていてどうする?
生き延びたくは無いのか?
いや、生きていたいかさえ今は分からないが
恐怖から逃げてはいけないのだ。
直視してから考えろ。
私は振り返ると、黒く光る暗黒を見つめてこういった。
「使えるかどうか試してみようか?」
後部座席に置かれた機関銃に眼をやり
私は考える。
ーいつかこれを使う時が来るのだろうか
いや、来るのだろう。そのつもりで心を準備しろ。
ダイナマイトは危険だからと木枠の中に
入った幾丁もの機関銃からひとつを取り出し
車を止めてある場所まで来ると
仕組みも分からないまま撃ってみようということになった。
「映画では安全装置というのがあって
主人公がよくヘマをするけど・・・」
私は丁寧に銃を観察し安全装置と思われる
場所をはずすと森に向かって引き金を引いた。
予期しない反動のため銃口が上を向き
幸恵の驚愕した声が破裂音の中で聞こえると
後ろを振り返り幸恵が奇妙な半笑いで肯いているのが見えた。
もう一度、引き金に指をかけ私は力で銃身を抑えるとようやく狙いを
定めた木が粉々になるのを涙で滲んだ視界の中で
あほのように見つめていた。
やがて気を取り直すと引き金から指をはずし
あふれ出たアドレナリンの海で膝が震え心臓が波打つ体で
あたりに漂う火薬の匂いを嗅いでいた。
人は何故爆笑するのだろうか?
私達は緊張が切れた興奮の中で分けもわからず
爆笑を続けていた。
涙が頬を伝い口に塩気を感じても笑いの波は
一向に衰える気配を見せず何度も我に返っては
爆笑を始めるという不思議な体験をしていた。
遠くで私達の声を聞いた人は新種のサルを発見したと
思うだろうか?
そう思った瞬間、新たな爆笑の渦がやってきて
腹が文字どうり捩れるまで
と思うまで四つんばいになっていた。
銃の暴発の危険性を認識し笑いを押さえ込み
安全装置を戻しても笑いの渦は腹の中で
出口を探そうと、躍起になって飛び跳ねている。
四つんばいになったまま幸恵と見詰め合うと
ホテルの日以来のキスをした。
そこには異性ではない友情のようなものを
感じていた。
その時でも笑いのため歯が幸恵の唇に当たりそうになるのを
我ながらあきれた顔で見ている自分を発見していた。
きのこ狩りの消費カロリー>きのこ食べての摂取カロリー
芝刈りの消費カロリー>芝を食べての摂取カロリー
うまい棒を買いにいく消費カロリー>うまい棒を食べての摂取カロリー
激しい衝撃と耳をつんざくような轟音。家が、まるで地震が起きた時のように揺れた。
何かが割れるような、崩れるような音がしたけれどどうだろう?さっきの轟音のせいで耳鳴りがひどい。大村が俺の方を向いて何かを叫んでいる。
後ろ・・・?その指先は窓ガラスを指していた。まさか…。振り向いて確認してみた。
ああ…まずい…。ガラスがひび割れて、所々に穴が小さく開いている。もう少し衝撃を与えれば直ぐにでも崩れ落ちそうだ。
側にはタイヤがゴロンと転がっていた。そうか、激突の衝撃で外れたタイヤが窓ガラスを直撃したのか。
泥棒がハンマーで叩くのとは訳が違う。あれだけの重量に速度が加わってるんだ、相当の力が加わってんだろ。
割れなかっただけでもありがたいと思わなきゃ。
「大村、大丈夫か!?」
聴力も戻ってきた。急いで家の状態を確かめなきゃ。
「ああ…かなりびびったけど、怪我はないよ。それよりこれ…やばくないか?」
「わかってる。玄関を見てこよう。急げ」
返事を待たずに、俺は駆け出した。
その有様はひどい…なんていうか、凄まじいの一言に尽きた。
車は玄関扉を2枚とも押し倒し、周りの壁をも崩して家の中にその車体の半分を突き入れていた。
運転手だろう人物の様相も見ていられなかった。あきらかに生きていない。フロントガラスを突き破っている頭部からは、なにか赤く、どろっとしたものが垂れてきていた。
その物体のことはあえて考えないようにしよう。
「うげ…まじかよ…。この人死んでるよな…?」
「ああ、駄目だろうな。他に人は乗ってなかったのかな?調べてみる」
それにしても、大村も感覚が麻痺してきたんだろうか。顔色は悪いが、最初のころみたいに吐きそうにはなってないし。…まあ俺も一緒か。
非日常が日常になりつつあるってことか?思わず苦笑が漏れた。順応性が高いね、俺らって。
車の屋根越しに外をうかがうと、あいつらがわらわらとよって来ていた。
車がバリケードの役割を果たすだろうけど、長居できる状況ではなさそうだな。
「他には誰も居ない!この人だけみたいだ。だけど今の騒ぎであいつらが寄ってきてる!」
「どうする?」
小走りに大村の元に戻ったが、正直どうしたらいいものか俺にも分かっていなかった。
あのガラスは長くはもたないだろう。玄関だって、車を越えてこられたら終わりだ。乗用車の車高なんて大した高さはない。
やっぱりこれしかないか。気は進まないんだけどな。
「家を出よう」
大村も同じ結論にたどり着いていたのか、驚きはしなかった。ただ、残念そうに一言、
「いいのか?」
と言っただけだ。
「かまわないさ。父さんには悪いけどな。まあ俺が立てたわけじゃないし、死ぬよりはいい」
死ぬ、か。口に出してみて、その恐ろしさに改めて気付かされた。
そう。ここで選択を誤ると、間違いなく死ぬ。それは分かりきった答えだ。それも『喰われる』という最悪の形で。
映画なんかでは、行動を躊躇った者が真っ先に死ぬ。そして考え無しの行動をとった者が。彼らを反面教師にしなきゃならない。上手くいくかはわからないけど。
「まず時間を稼ごう。割れた窓のとこ、なんでもいいから物を重ねて塞ごう。ここも勿論」
俺たちは頷きあい。行動を開始した。
時間との勝負だった。奴らはもう敷地内に入り込んでいたし、その数は半端なかった。
バリケードの完成が5分遅かったら、家の中になだれ込んでいただろうね。
車の上に靴箱、食器棚、タンス、持てるものを何でも載せて隙間を塞いだ。一応サラダ油もかけておいたけど、効果はあるだろうか?
つっかえ棒をしかけておいたけど、1時間はもたないだろうし、急いで窓の方も同じ様に塞いだ。
後は家を出るだけだったけど、そこで大事なことを思い出した。
真奈美さんだ。まずいな…まだ昏倒したままなんだろうか?
急いで大村と共に部屋に駆け込んだけど、ベッドの上に彼女の姿は無かったけど、直ぐに横から声が聞こえた。
「び、びっくりさせないでよ!あいつらかと思ったじゃないですか!!」
驚かせて悪いとは思ったけど、悠長に話している余裕なんてないんだ。
「急いで荷物持って。逃げるから。着替えるなら5分でよろしく。準備するからまたあとで」
必要なことだけを最少の言葉で伝えてその場を後にしようとしたら、彼女が慌てた様子で話しかけてきた。
「ま、待ってよ!逃げるって…それに下に居る人達って…何が起こってるの?!」
時間がないんだけどな…。大村に行け、と一言告げると、それだけで察して階下に下りていった。食料を準備してくれるんだろう。こいつがツレで本当に助かる。
さて、こっちは…。詳しく説明していられないしな。仕様が無い。また怒るかもしれないけど。
「だから言っただろ、ゾンビだよ。つかまれば喰われる、だから逃げる。早くしてくれ。嫌だっていっても一緒にきてもらうよ?死ぬとわかってる場所に置いていけないし。まあでも、着替える間怖かったら一緒にいるよ?」
真奈美さんはしばらく固まっていたけど、言葉の意味を最後まで飲み込んだのか、顔を真っ赤にして
「馬鹿!早く出て行ってよ!」
と叫んで側にあった鉛筆立てを投げてきた。
さっと避けると、それは扉に当たって床にガシャンと落ちた。出て行けも何も、ここ俺んちなんだけどね。
死ぬってことより、着替えを見られるほうが大変なのか?
まあ他のものを投げつけられるのも怖いし、さっさと出て行くにかぎる。
「じゃあそうゆうことで。急いでね」
そう言って扉を閉めると、扉越しにもう一度馬鹿って叫ばれた。まあこれくらい元気なら大丈夫だろう。
うじうじされるよりはよっぽどやりやすい。急いで準備をしないと。
ゾンビ共がバリケードを壊そうとしているのか、何かを叩く音と、呻き声が階下から響いてきた。
明けましておめでとうさまです。遅ればせながら。
おろしければ今年もお付き合い下さいm(_)m
ではノシ
山からの帰り、私はずっと考えていた。
この武器のことを皆に知らせたら
混乱を作る種になるだけじゃないだろうか?と。
私は幸恵さんに言って寂しい顔をされたが
人類に未来は殆ど残されていないように思える。
時間が早いか遅いかだけで、いずれ絶滅してしまうんじゃ
ないだろうか?
だとしたら武器を持ち込んで少しの時間生きているのが
延びるより、緩い力でありつつも
まとまっている共同体の輪を大事にするほうが大切なんじゃないか?
「俺、思うんだけどしばらく武器のことは
黙ってたほうがいいんじゃないだろうか?
皆を混乱させるだけのような気がする。
第一、後部座席の銃はさっきのとおりきちんと
動作したけど他の銃が暴発する危険性はなくなったとは
いえない。俺は銃なんて今日始めて触ったよ。
たぶん他の人も一緒だろう。
だから、詳しいことは分からない
けど・・・どう思う?」
「私も同じかもしれない。今日、案内したのは
私一人でこのことを知っているのが
重くなってきたのと町で話しても理解が難しいと思って
直接見せたかったからなの。変な話、私が死んでも
あなたか他の誰かが知ってれば役に立つ日が
来るかもしれないじゃない?
私一人で判断するのは気が重いの。
情けない話だけど」
私が死ぬと言うことに対して何か
否定的な意見を言わなきゃならないような
気がしたが、その思いはすぐに消えた。
感傷はやめろ。死は私達のすぐ隣にある
影のようなものだ。不自然ではないし
避けるものでも逃げられるものでもない。
それは太古から変わらないし
ゾンビがやってきてより身近になっただけなのだ。
生ぬるいメロドラマは消えた。
世界とともに消えたのだ。
「とりあえず、新垣さんか高良さんに
聞いてみようか?」
と私達の地区のリーダーの名前を出す。
「高良さんって剛志さん?そうね・・・
今日、新垣さんを食事に誘って見る?
あの人は酒飲みだから焼酎を持って
尋ねれば、なにか判断してくれると思う」
もう一度、後部座席にある銃を振り返る。
鈍く輝き第二次大戦以来、初めて
人の手に触れられた銃は早く撃ってくれ。
力のすべてを引き出してくれと言ってるようにも
見える。頼りがいがあるようでも
危険なものにも見えた。銃は人を撃つものなのだ。
私は嫌な予感がする。
それさえも昔の世界の価値観なのか
人間として普遍的な思いなのか分からない。
ゾンビがいることに間違いはなく。
ゾンビに許しの言葉が通じるわけでもない。
だとしたら銃を使うのは
間違いではないんじゃないだろうか?
私は分からなかった。
幸恵さんと私は焼酎と簡単な食事を持って
新垣さんの家に伺うと熱い歓迎を受けた。
「やあよく来たね」
私は新垣さんに会うたびに沖縄の人の
大らかさとやさしさにびっくりする。
こういうこと言うのは間違ってるかもしれないが
私が住んでいた東京、いや日本のどこにも
こんな気持ちにさせてくれる人たちはいない。
それは人種と言うものなのか
絶え間なく降り注ぐ太陽が作った性格のせいなのか
あまりにも隔たれた東京との距離のせいなのか
私には分からない。
でも私が移住しようと思い本島に家を探しに来たのは
この大らかな性格が要因のひとつだった。
食事が終わると新垣さんは三味線を
持ち出し歌を歌ってくれた。
開け放たれた窓から夏の夜の甘い香りが
風に乗って吹き抜け歌声を乗せて
窓に抜けていく。
昔TVでみたラテンアメリカのどこかの国
の映像を思いだす。南国の人は
皆、こんな生活に自然になるものなのだろうか?
焼酎でしびれてきた頭でそう思った。
「新垣さんは戦争のころいくつでした?」
幸恵さんが切り出した。銃のことを聞くのだろう。
コップに注いだ焼酎を飲むと
昔を懐かしむように椅子を揺すりながら新垣さんは答える。
「私は小学生でした。アメリカの兵隊は
やってこなかったので殺された人は殆どいませんが
西表に疎開させられマラリアで多くの人が死にました。
マラリアは今は島では無くなってしまいましたが
かつては恐ろしい病気だったのです。
ずいぶん多くの人が死にました。
薬は軍の連中だけが使っていたようで
私達には回ってきませんでした。そのことで
兵隊と喧嘩になり父親は大きな痣をもらってました。」
濃密な夏の夜の中、おとぎの国の昔話のように
新垣さんの言葉を聞いていた。
酔いが心地よかった。自制してダイナマイトの
ことを聞かなくてはいけないと思うながら
この時間を楽しんでいた。
ゾンビも遠い未来にこのように夏の闇の中で
語られる昔話になるのだろうか?
私は、心からそう願う。
そして出来ることなら話すのが年老いた自分で
あればこれにまさる喜びは無いだろう。
昔々、青い海の名も無き島で・・・
「新垣さん、オモトの防空壕知ってる?」
新垣さんの動きが止まった。
私達の顔をかわるがわる見つめると
少なくなったコップに焼酎を注いだ。
何も言わずコップを握り締める
新垣さんと私達の部屋に沈黙が徐々満たし始めた。
新垣さんは三味線を取ると
メロディーにならない音をはじき考えを
まとめているような様子でいる。
「あれを見たのですか?」
私達がうなずいたのを確認すると
新垣さんは続けた。
「私は言わないでおこうと思ってました。
誰かが口にするのは時間の問題だと
思いましたが・・・。あれは日本軍が作った
防空壕です。中も行ったのですよね。
ダイナマイトがあったでしょう。
私は昔、友人と入ったことがあります。
その後、父には怒られましたが。
あれを使うつもりですか?」
「新垣さんはどう思います?」
幸恵が聞く。
「使わないほうが良いでしょう。
ゾンビが来たらまた防波堤におびき寄せれば
いいとおもいます」
私が不思議な顔して幸恵のほうを向くと
幸恵が説明する。
「防波堤のこと?忠は不思議に思わなかった?
この島にどうしてゾンビがいなくなったか?」
いや、そんなこと考えもしなかった。
そういえば不思議だ。4万人いた人間が
千人に減った。なのにゾンビがいない。
不思議なのか?私には分からない。
「防波堤にゾンビを引き寄せて、ゾンビが
十分集まった後バスを走らせてゾンビを海に落としたの。
あいつらは溺れたわ。時間はかかったけど
すごく有効な方法だったわね。」
そんなことがあったのか。私は知らなかった。
ゾンビに寿命が来たと思っていた。
本島ではただ逃げるだけでゾンビを
殺す方法や頭を割るなどと言うのは石垣島に
来てから知ったものだ。
「またゾンビが発生しても千人の人口なら
問題はありません。ダイナマイトで別の危険が
増えるほうが問題が多いと思います。
山本さんはどう思いますか?」
私は防波堤のことを知ったばかりで
ここのことを何も知らない異邦人だと
気がつかされた今、答えを窮するのは
止む得なかった。
「私は銃の扱いに詳しい人がいる場合を除いて
使うのは反対です。こういう時ですから
曖昧な意見は言わないほうが良いと思うので
あえてはっきり言います。幸恵さんは?」
「そうね。知ってる人はいないのかしら?」
「今度の集会の時、心あたりのある人に
聞いてみます。」
そう新垣さんが言ってこの話は終わりになった。
私達は新垣さんに別れの挨拶をすると
港に向かい話の続きをした。
かつては別の離島に行っていた
船が係留してある港に来ると埠頭の先端まで来て
腰を下ろすと海に足を投げ出した。
遠くに誰かが話す声が聞こえた。同じように夕涼みに
来ているのだろう。
「ゾンビを追い込んだのはここ?」
「市役所のほう。ここからは見えないわ」
私はタバコを抜き取ると火をつけた。うまかった。
幸恵はタバコの煙を嫌がらないのでありがたかった。
あまり吸わないが時々吸っているという。
何気ない振りして私は聞いた。
「昔のこと聞いてもいい?」
幸恵が振り向く。
「幸恵さんのこと。結婚してた?
恋人はいたの?」
「結婚してたわ。子供はいなかった。
旦那さんはゾンビになってしまったけどね。
私はガイドで川平湾のほうに行ってたの。
人が少ないところだから助かったけど
町にいたら死んでたでしょうね」
そう言うと微笑んだ。
予期してたこととはいえ胸が少し痛んだ。
結婚してたのか・・・まあ27歳だし美人だから当然と
言えば当然だがこんな世界になっても嫉妬するのは
おかしなものだ。
「忠は?結婚してた?」
「俺は結婚して無かったよ。妹にそのことで
よく馬鹿にされてたけどね」
幸恵が眼をつむった。私は幸恵の肩に
手をかけ唇を重ねる。柔らかい感触が私の心を
癒していくのを感じた。幸せな気分だった。
この世界でも幸せを感じることが出来るのだ。
涙が溢れる予感がした。
これは愛情なのだろうか?私は幸恵が好きなのだろうか?
ただ生き残った者どうし、慰めあってるだけなのだろうか?
どうでも良かった。ただ幸恵をこのまま抱きしめていたかった。
次の日、集会の行われているホールに行った。
幸恵さんの姿が見えなかったので二階の席に一人で座り
会が始まるのを待っていた。椅子に置かれた
ホッチキスで閉じられた冊子には今後の予定と
終わった事項が書かれている。今日の大きな議題は
略奪された食料や日用品を返して配給制にするのかが
大きな目玉のようだった。
会が始まり議題が次々と読み上げられ賛否の表が
数えられたが、ほぼ私の想像とおり反対意見もなく
静かに進行していく。
私の心配だった電力の供給は今まで通り行われるらしい。
ただし必要な時意外は必ず電気をオフにすることと
強く念を押された。食料はやはり一部配給制になることに
決まった。空き家になった家からの取得はかまわないが
良識の範囲内とし皆の自主性が尊重された。
ただし、スーパーや食料品店、日用品店、酒店など
商店は出入りが禁止され希望の商品を書いた書類を
提出し受理を受けなければ
持ち出すことが出来なくなった。
集会の後、グループごとの話になった。
グループは仕事の分担単位で私は最初にバリケードを作り
その後、逃げ場に食料を運ぶ仕事をした。
次は決められた地区の家をすべてまわり生存者の確認と
書類を作る作業をすることになった。
グループの話が終わった後、新垣さんと話していると
幸恵がやってきた。彼女は看護士の資格を持っているので
病院に勤務している。
「ごめんなさい、知り合いがいたので一階にいたの
いつもの席にいた?」
私はうなずいた。
「新垣さん。昨日のこと・・・」
「では家に帰りながらにしましょうか。
ここでは人に聞かれます」
ホールを出る歩いていると暑さでくらくらした。
電気を止められないというのがありがたかった。
私は良く知らないが発電所の技師は死ななかったのだろうか?
新たに仕事を覚えている人間がいるのだろうか?
「結論から言えば、私の知っている二人の
老人に聞きましたが知らないようでした。
銃の扱いはもちろん防空壕のことも。
ここの人間は戦争中、飛行場を作ったぐらいですからね。
飛行場作る時ダイナマイトは使用したそうですが
朝鮮人がその作業をやらされたそうです。
まったくひどいことです。」
>>315 幸恵さん = 幸枝さん ですか?
くだらん質問ですいません。
乙。
あと、イチャモンつけるようで悪いんだが。
いくら沖縄の乾燥した気候と防空壕という暗く冷たい場所に置かれてたと言っても、60年もしたら流石に使えなくなってないか?
放置されてたなら錆まみれになってるだろうし………
>>マイトや機銃や弾薬やジープ?
時代設定が違うとかならスマン。
>>317 近年まで誰かが手入れしていたと脳内保管してる
旧日本軍が秘密裏に開発していた。特殊な防錆剤を試験運用していた。と脳内保管済み
>>317 イチャモンつけるようで悪いんだが、沖縄って乾燥した気候なのか?
>>320 旅行に行ったときそんな印象を受けた。
少なくとも俺の住んでるとこ[関東某県山中]よりは乾燥してるかと。
322 :
本当にあった怖い名無し:2007/01/06(土) 14:40:29 ID:vairl4mPO
沖縄の湿度は一年を通して70〜80%で本土より湿度が高いはずですがw
引っ張らないでよろしい。
適当に脳内補完していなさい。
>>316 そうです。
IMEが学習してくれませんでした・・・って自分が悪いんですが。
私は集会が終わるとペンションの
本棚にある重そうな石垣島の歴史書のページを開いた。
漫画や文庫本は幾人もの旅人に
触れられ手に取るとページは扇子のように広がったが
この本はしっかり閉じられページを捲ると
ナイフのように手が切れそうだった。
無理も無い。私もこんな機会じゃなきゃ
この本を取らなかったろう。
太陽と青い海の中で誰がこんな本を読む?
余程の変わり者か真冬にやって来た
日本語の読めない外国人ぐらいだろう。
私は背表紙のほこりを掃うと
硬い表紙の厚みを確かめた。
目を惹いたのは第二次大戦中の記述と写真だ。
爆破装置を持つ兵隊の先に高く噴水のように
飛んでいく土砂が見える一枚のモノクロの写真。
これが新垣さんが言ってた飛行場をつくるために
使用したと言うダイナマイトだろうか?
剥き出しの土の地面と背景が林の写真は
これからつくられるであろう飛行場の姿はどこにも
感じられなかった。
数十ページ読んで防空壕についての
記述を探しているとき玄関のベルが鳴った。
私は石垣島の歴史が書かれた本をテーブルに置き
玄関のドアを開けると幸恵さんが手に何かを持って
立っている。
「台風が来るわよ。ロウソクは持ってる?」
幸恵さんは手にしたロウソクを私のほうに差し出した。
開かれた玄関のドアの外では
さっき集会が終わって帰ってきたときと違い
空は少し暗くなり木の葉が風になびいているのが見えた。
「進路をどう取るか分からないけどね。
用心するに越したことはないわよ。」
台風特有の湿った風の匂いがする。
東京で感じる甘い南国の匂いがしないのは
もうここが南国だからだろう。
「上陸はいつぐらいになりそう?」
「夜中か明け方ぐらいね。心配だったら
うちに来てもいいのよ。旦那の服もあるし
ご飯もつくるの面倒でしょ?気を使わないで」
「今、石垣島の歴史の本を読んでるんだ」
そう言うと駆け出してテーブルの本を持って来ると
幸恵さんに見せた。
幸恵さんは珍しそうに本を取ると
頭の上でぶんぶんと本をふる。
「ゾンビも殺せそうね」
「新垣さんが言ってた飛行場の記述があるよ。
防空壕のことは書いてないみたいだけど」
私は幸恵さんの開いた本のページを捲ってみた。
飛行場の建設の写真を見ると幸恵さんの顔色が変わった。
興味深げにさっきまで私が何度も繰り返し読んだ
場所を同じように眼で追っている。
手で重そうにバランスを取りながら文章の一端を読む。
「1942年 独立混成第45旅団は日本軍・・・」
私が風の具合を良く見ようと背伸びして
外の様子を見ていると本を閉じた幸恵さんが言った。
「私も今日これ読みたいから。うちに来て。
食事サービスするから」
私の前で手を合わせた幸恵さんに
私は複雑な気持ちで承諾した。
幸恵さんへの気持ちが大きくなるにつれて
死んでしまった旦那さんの存在も大きくなっている
のに気がついた。
食事は結局、私が作ることになった。
幸恵さんが熱中して本を読んでいたからだ。
生鮮食料品の無くなった冷蔵庫を開け
使えそうな海草と小さなカニ、乾物のうどんを
茹でている間も一心不乱にテーブルの席に
座り字を追っている。
私は窓を開けると手を伸ばし雨が降っていないか
確かめたがまだ降っていないようだった。
あいかわらず風は吹いていて台風が近づいているのは
間違いないように思える。
沖縄の台風は私が体験した台風と違うのだろうか?
窓を閉めうどんを鍋から出した。
ずっと気になっていた写真を食器を取る時に
さりげなく見る。
その食器棚の横のフォトケースの
笑う二人の男女の写真は幸恵さんと旦那さんだろうか?
私の知らない時間の幸せそうなカップルの
笑顔がそこにある。アロハシャツを着た焼けた肌に
白い歯を浮かべる男性。幸恵さんは今より若く髪型も違っている。
幸せだったんだろうな。私はそう思い食器を出した。
食事をテーブルに並べて私がテーブルに
ついても幸恵さんはまだ本を読んでいる。
「お嬢さん。食事の用意が出来ました」
少し嫌味を込めて言ってやった。
本から顔を上げた幸恵さんが真剣な顔をしている。
なんだ?なんか面白いこと書いてあったか?
何も言わず私の顔を眺めている幸恵。
おい。何か言ってくれよ。
突然、幸恵さんは立ち上がるとフォトケースを伏せ
立ち止まったまま私を見つめている。
「今は二人きりよ」
雨が窓を叩く音がしたような気がした。
ゾンビを何百人も乗せた難破船は潮流と
台風の風に揺られ南西諸島海域にやってきた。
荒れ狂う海の中、ゾンビは肉を
ふらつく足で船内に捜し求めていたが
乗員がすべてゾンビになった今、それは
叶うはずも無かった。彼らは飢え血を求めていた。
生きた人間の叫びを聞きたかった。
温かな内臓に食らいつきたかった。
ゾンビがしゃべれたのならこう言っただろう。
お前の肉をくれ。ここから出せと。
高い波に煽られゾンビが壁に叩きつけられる。
転んだゾンビは立ち上がろうと他のゾンビの
足につかまるがやってきた波に傾いた船内の床に
滑っていく。
それでも徐々に北上する台風と難破船は
石垣島に近づきつつあった。
忠と幸恵のいる島に・・・
生きた人間のいる島に・・・
酒を飲んでいたらそのまま寝てしまったようだ。
私はしびれる腕の痛みが取れるまで
雨の音を聞いていた。
大粒の雨と風が窓を揺らしている。
向かいの椅子で寝ている幸恵は起きないのだろうか?
沖縄の人にとって台風なんて日常茶飯事なんだろうな。
時計は3時を指していた。真夜中だ。
窓の外では大きく椰子の木が揺れ巨大な魚の骨のような
葉はばさばさと音を立てていた。
私は流し台に行き水を飲みタバコに火をつけると
しばらく伏せたフォトスタンドを見つめた。
翌朝もまだ、風は唸りを上げ島を征服しようと
戦いを続けていた。
コーヒーを入れてくれた幸恵は、頬杖をついてうんざりした顔で
つぶやく。
「明けない夜は無い。明けない台風は無い。
だけど何だか気がめいる」
タバコに火をつけると大きく息を吸い込むと
ごほごほとむせている。
午前、午後とトランプをして過ごした。
負けたほうが、昔の思い出を話すという遊びだ。
沖縄に来て以来、連絡の取れない両親のこと。
友人のこと。昔付き合った彼女の癖。
彼女の好きだったバッグ。
「東京は一回しか行ったことが無いの」
ディズニーランド、お台場、東京ドーム
冷たい雨のかかる副都心のビルディングが
ブレイドランナーという映画を思い出させる。
私はブレイドランナーを一回見たけど
難しかったという幸恵に
エイリアンとスピルバーグの魅力について
たっぷり教えてあげた。
「スピルバーグは馬鹿にされたるけど・・・」
そんな遠い世界の話。東京の魅力的な街の話。
今となっては失われてしまった故郷。懐かしきふるさと。
次の日の夕食は彼女が作った。
「まあ、見てなさいよ」
私が旦那さんの趣味だったと言うギターを弾いていると
肉の匂いがし始めた。ステーキだろうか?
私は昔よく弾いていたディープパープルやビートルズ
やボウイを思い出し思い出し弾いた。
高校時代に覚えた曲は指が進行を覚えていてびっくりした。
自転車は一度乗ると忘れないって言うけど
不思議なものだ頭では忘れているのに。
あまり使われてない弦に触った指は錆の匂いがしたけど
良いギターだった。バランスよく音が鳴った。
キッチンから出来たとの声が聞こえた。テーブルにはうまそうな
生姜焼きと昆布の煮物。そして焼酎が並ばれていた。
「肉なんてよくあったね」
「隠しといたの。とっておきよ」
風の弱くなった台風の中乾杯をすると
食事を始めた。
二人の食事が終わり夜が来て暗くなった
北の海岸に打ち上げられた難破船の
車や貨物の搬入口の扉が開きゾンビが
出てきたのを誰も知らなかった。
ゾンビ達は肉の匂いをかいだ。
忠や幸恵が食べてる冷凍された肉ではない
本物の肉だ。血の滴る骨の間の肉とゼラチン質。
雨と夜に紛れ灯のついた一軒の家の玄関を破ると
そこにいた三人の若者に歯を立てた。
抵抗する時間もなく骨になった三人は
ゾンビ達の胃袋に消え着ていたシャツとズボンとスカートが
血まみれになって畳の上に残るだけだった。
獲物にありつけなかったゾンビが怒りの声を上げた。
それはやがてありつけなかった他の何百という
ゾンビの声をよんだ。
風の中、唸る声に気づいた周辺の住人が
家を出てると暗闇から突き出た腕につかまれ
顔に歯を立てられる。突然の痛みに力が抜け
緑色した懐かしき顔にゾンビと理解した時には腹からさっき食べた
魚が見えるだけだった。
あるものは餌になり、あるものはゾンビになり
深夜の大行進はより肉のある港周辺に集まる
人間を求めて南進を続けた。
彼らの通った後には生きた人間は誰もいなかった。
一人の人間さえも。
ゾンビの緩やかな足取りは太陽が水平線上を
染めたころ港にあと2kmと言うところだった。
ゾンビは千を超える数になり島の人間は
三分の二になった。太陽の中に悲鳴が混じり始めた。
悲鳴は眠りを破りまだ覚めぬ頭は見ていた悪夢を
蘇らせる。そして夜明けの訪問者。
起き出したセミが鳴きだしたころ
先頭にいたゾンビが新垣さんの家を発見した。
彼は家を浸水した水を吐き出すのに一晩じゅう起きていて
眠りについて間もなかった。ゾンビに
気づくはずもなかった。
何が起こったのか理解できなかった。
目覚まし時計ではなく外で鳴っている音と
気づいた時、幸恵が妙に落ち着いた声で
ゾンビと言いながら
信じられないスピードで服を着だした。
やがてスピーカーから聞こえてきたのは
ゾンビが発生したとの屋外スピーカーが発する
緊急放送を告げる怒鳴った男の声だった。
その瞬間、スイッチが入って電気ONになった。
心臓が波打ち手のひらから汗が出てきたが
不思議と冷静だった。最前線で
弾が空気を裂く音を聞いている兵士はこういう気分なのだろうか?
死が体を包むと冷静になる。私の体の半分は
すでに死んでる気がした。
ずっと前に覚悟は出来ていたのだ。
風景はしっかり見え知覚ははっきりしている。
スタートラインに立った気分で
にやりと笑ったのに自分でも気づいていなかった。
私が服を着ている間幸恵は注意深く外をうかがうと
車のドアをトランクを開け山に行って以来
置きっぱなしだった銃を取ってきた。
「二階、二階」
幸恵は階段を上がると、通りの見える窓から
外を見た。台風一過の気持ちの良い朝の濡れた
道路をゾンビが歩いていくのが見えた。
「わけがわからない。どうしたのだろう。
わからないわ。なんで。また生き返ったのかしら?」
私達の耳にドアや窓が割れる音が聞こえ
悲鳴と逃げ惑う音がした。
考えろ。考えろ。推理しろ。何がどうなった。
私は増え続ける通りのゾンビを見ながら
考え続けた。一度殺したゾンビが蘇る?
いや、本島で中継を見たときそんなことを言う
人間はいなかったし、ゾンビの捨て場に行った時も
ゾンビは微動だにせずそんなそぶりは見せなかった。
彼らは完全に死んでいた。それはありえない。
じゃあなんだ台風が彼らを呼び覚ました?
台風?
頭の中の一つ目の鍵が音を立てて掛け金を外すのを聞いた。
「幸恵。やつらはやって来たんだよ。
俺と同じように。船に乗って。
台風が運んできたんだ。
やつらの着てるものをごらん。
あれは日本人じゃない。南からやって来たんだよ。
台風に乗って南からやってきたんだ」
私は興奮していた。
日本人によく似たその顔も今では色が変わり
分かりにくかったが着ているものは
どこか垢抜けないものだった。
台湾?中国?香港?どこかは分からないが
彼らは間違いなく異国の人間だった。
幸恵は呆然として俺の顔を見ている。
私はさらに考える。考えろ考えろ
灰色の脳細胞をフル回転させろ。
なにかあるはずだ・・・
「あっ」
幸恵が指をさした先にゾンビになった新垣さんが
腕を振り上げ歩いてるのを見つけた。
あれは、見覚えのあるアロハシャツだ。間違いない。
呆然としている我々に気づくと腕を上げ緑の顔の奥にある
歯を見せた。
私達は冬用のジャンバーを着て車に乗り込むと
エンジンをかけた。
「ガソリンはOK。忘れ物は無い?」
幸恵が車内に眼を走らせるが私も必要なものが
なにか想像もつかなかった。
でも走り出してからじゃ遅すぎる。
考えろ何が必要だ?私の貧弱な脳細胞は
どこかに遊びに出かけたらしく返事は無かった。
私は考えをやめアクセルを踏み
通りに出た。とたんに眩しい日差しに包まれた。
港に散らばったゾンビの中を突破するのは
難しいことではなかった。これが数万の人間だったら
すぐに立ち往生し何もすることできないまま
死を待つだけだったに違いない。でも獲物を探すのに
夢中なゾンビたちは我々に関心が無いようだった。
突然飛び出してきた同じように逃げ出す途中の
車に乗った人に手をあげて挨拶すると防空壕に向かった。
もう躊躇する暇は無かった。
山に向かう道に入るとゾンビの姿は見えなくなった。
私は少し減速し冷静になった。
まだ何か考える余地はあるのだろうか?
後悔しないために考える余地・・・
「幸恵。この前言ってた。防波堤作戦は有効?」
「無理だと思う。あれは何台もバスが必要なの。
私達が、町に戻れるまでに何人生き残ってるかしら?
あの時だって、ずいぶん人が死んでしまった。
島の殆どの人・・・」
どうすりゃいい?有効な作戦。ゾンビを絶滅させる作戦。
やはりダイナマイトを使うしかないだろう。
防波堤におびき寄せ、爆破させる。
使い方も知らない人間が成功するだろうか?
別の方法は無いか?時間が無い。やるしかなかった。
町で爆破させるなんて生き残ってる人間のもしもの
ことを考えて出来るわけは無かった。屋外スピーカー?
私はアクセルを踏み込んだ。
盛り上がってきますたね〜wktk
私達はこの前と同じ場所に車を止めると
エンジンを切った。
鳥は平和に鳴いている。世界は周り続けているのだ。
この間、打ち抜いた葉がピースがはまるのをまっている
ジグソーパズルのように揺れていた。
もう後戻りは出来ない。死ぬか、やるかのみだ。
と思ってもどこかで暴発したダイナマイトによって
わが身が千切れるのを脳裏に描くのは
自然のことだった。
ドアを閉め、気合を入れると
再び山道を歩き急な斜面を木につかまり登っていった。
疲れは露ほども感じなかった。
防空壕は前と同じように不気味にその口をあけ
私達を歓迎しているのか、拒否しているのか
暗い闇をさらしている。考え直せよ。
そう言ってるようだった。
ーあと戻りは出来ない
私達は深呼吸して足を踏み入れた。
「これが予備の弾丸かな?」
私は小さな箱を手に取る。
幸恵の持つ懐中電灯に照らされ反射している
紙を外すとタバコのような
ケースが現れた。弾丸だった。
「これを、どうやって下に下ろすかね」
私達は斜面の上で考え込んだ。
さっき上るのに苦労した斜面では24本入りジュースの
ダンボールほどの大きさのダイナマイトの
木箱は危険すぎ手に持って降りるのは不可能だった。
ならばしょうがない
私は木箱からダイナマイトを取り出すと
防湿防腐用の紙に巻かれたダイナマイトを
丁寧にリュックに詰め幸恵の手をかりながら
斜面を降りた。
リュックの中でカタカタとダイナマイト同士が
ぶつかり合ってる間、私は前と同じような
爆笑の予感が腹に生まれてくるのを感じた。
笑いを消すように大声で歌った。これはモーニング娘。だっけ?
日本の未来は・・・
私達は何度も往復してダイナマイト、機関銃
弾丸を運びトランクにつめ暴発しないようにガムテープで
固定した。
仕事を終えた後、汗を拭いていると
幸恵が意味ありげな笑みを見せ森の中に入っていった。
「幸恵?」
幸恵は何も言わず笑いながら森に消えた。
服の擦れる音がし続いて草が水に濡れる音がした。
私も笑みを作ると山道入りに陰部を露出すると
開放感に包まれ生理現象を楽しんだ。
山の神様ごめんなさい。
町に向かうときの不思議な多幸感はきっと
だれにも分からないだろう。
ひと仕事終えた安堵感、好きな人といる幸せ。
このときが永遠に続くことを願ったが
町に近づくにつれそんな気持ちも無くなっていた。
海岸線に車を止めると私は言った。
「ダイナマイトがちゃんと利用できるか試しておこう」
トランクを開け、防湿防腐の紙を取りソーセージのような
ダイナマイトを出すとついてこようとする幸恵を制止し
私は砂浜に降り穴を掘ってロウソクのように導火線を上にすると
一段高くなった道路に立つ幸恵を振り返った。
ここじゃ危ないな。私はダイナマイトを掘り出し
100m近く歩きトランクのダイナマイトに引火する
危険が無いところまで行き埋めた。
少し戻り幸恵にトランクを閉めてと大声で怒鳴ると
幸恵は頭の上で指をあわせOKのサインをした。
ためらってる時間は無い。
私はリュックから線香を取り出すと器用に
導火線に巻き時間の調節の役目にした。
ー点火だ
ライターが風に吹かれ消えてしまう。
ええい馬鹿。線香を外すと手で囲い火をつけてから
導火線にくくりつけ砂浜を駆け出した。
夢の中のように砂が足を取る。
線香が導火線に達するまで5分はあると分かっていたが
風に吹かれ動いた線香が導火線をショートカットする
危険もあったのであせらずにはいられなかった。
海に飛び込もうか?一瞬、そう考えたが
息が続かないのは分かっていたので
あせる体をなだめ幸恵のいる車までやってきた時は
筋肉が鉄のように硬くなっていた。
息を整え足に感覚が戻って
ダイナマイトがある場所を何度見つめても
爆発する様子は無い。
私達は学習している。ここで不発と勘違いし
降りていって近づいたとたん爆破し死んでしまうのだ。
そんなのは脇役に任せておけばいい。
俺達は主役なのだ。最後に笑うのは俺達なのだ。
何も起こらない。心配だ。火が消えたか?
いかんいかん、敵のトリックにだまされるな。
今、主役は誰かと確認したじゃないか。
忠さんよ。所詮、お前は主役になれない男よ。
ちんけなさ三流の主役を引き立たせる
名も無き出演者なの。
いや。そんなことはない。誰もがみんな
自分という映画の主役なのさ。
私が反対方向へダイナマイトを埋めようかと
トランクに眼を移したとたん
眼の隅に太陽が生まれたような光がきらめき
続いて風と音がやってきた。心臓を叩かれたような
衝撃と風で顔と足、末端部分の血の気が一気に引くような気がした。
耳が直角に急降下する飛行機に乗ったように痛みと衝撃波に
見舞われ何も聞こえなくなった。
空が暗くなりパラパラと音がしたかと思うと
頭に砂が降ってきた。
何も聞こえない耳で
幸恵を抱きしめると握手をし成功をたたえ合った。
ほらみろ。俺達は主役なのさ。
もう一人の自分に言う。
しかしそいつが言ったのを聞き逃すわけには
いかなかった。
今だけさ。きっと失敗する。ハッピーエンドなんてありえないんだよ。
眼を覚ませ。
俺はこわばった顔を幸恵には見せず車に乗った。
屋外スピーカーの発信するスタジオのある市役所に行くために
玄関ドアの前まで来たが自動ドアはもちろん閉まっていた。
まだ誰かいるのだろうか?
クラクションと叫び声を上げても
誰かいる様子は無い。このままここにいるのは
危険すぎた。ドアを銃で割ってしまおうか?
それも身勝手すぎる。誰か中に避難してたらどうする。
その時三階の窓が開いた。誰かが顔を覗かせている。
「玄関のドアを開けてくれませんか?」
窓を開けた人間は考えている様子だったが
顔を振ると窓を閉めてしまった。
「降りてくるのかな?」
さっきの叫び声に集められたゾンビが集団になって
やってきた。時間が無い。彼は私達を市役所に入れる
つもり無いのだろう。車をスタートさせると
今来た道を戻り始めた。作戦を立て直さなくては。
「忠。もういいよ。諦めよう」
町から遠く離れた場所に車を止めて私が
考え込んでいると幸恵が言った。
諦める。それも悪くなかった。
ダイナマイトを使ってこのゾンビを殺せたとしても
新たなゾンビがまたいつかやってくるだろう。
そしてそのゾンビを殺しても・・・
それでも諦めるのは時期早尚じゃないか?
そんなことを言おうとする私の顔に唇を近づけると
幸恵は私のキスをした。
唇を離し私の瞳を見つめると
再びキスをした。
ーお姫様。まだ日が出てるよ。
セックスが終わっても幸恵は服を着ずに
布団のように体にかけると私の膝を枕にして
体を横にした。
幸恵は私の腕をとり自分の乳房に導いた。
私の指を取り乳首に円を書く。
私は右手で幸恵の頭を撫でていた。
ーいいんだよ。お姫様。好きなようにして。
ゾンビなんて知るものか。
誰かが車を揺する振動で目が覚めた。
ゾンビだ。何百ものゾンビは最後に生き残った獲物を誰が奪うか
興奮し我先にとフロントガラスを叩き
ひび割れはじめたガラスから指を突っ込み
私達の体に触ろうとするのを私は落ち着いた気持ちで
眺めていた。
ーほらみろ。ハッピーエンドにならないと
俺が言ったじゃないか。俺には分かっていたんだよ。
何もかも。お前は女に騙された。
彼女は最初からそのつもりだったんだよ。
気がつかなかったのか?
俺はゾンビが指で広げボロボロダッシュボードに
落ちるガラスの音を聞きながら思う。
それが、どう知ったっていうんだ?
お前はうれしいのか?いや違うね。
彼女は俺を道連れにしようとしてない。
違うんだよ。お前は間違ってる。
ーそうかね?おいらは関係ないけどね。
俺は闇が好き。お前が死んでも闇に帰るだけさ。
お前は用なしだ。
私はバックシートの機関銃を取ると
安全装置をはずした。
ゾンビを見つめる幸恵に言う。
「幸恵。大好きだよ。この世の誰より」
そういうとダイナマイトが満載されたトランクに
焦点をあわせた。
「とっびきりのショーの始まりだ!」
俺はそう叫ぶと弾丸がダイナマイトに引火して車が爆発するまで引き金を引いていた。
おわり
>>350 >幸恵は私の腕をとり自分の乳房に導いた。
>私の指を取り乳首に円を書く。
この後に
「あなたが好きよ。忠。大好きよ」
という一文を入れて読んでください。スイマセン
読んでくれてありがとうございます。
町を爆発して二人は生き残る予定で書いていたのですが
こんな風になってしまいました。
お疲れ様です!
予想外の終わりかただった。
素晴らしかったです。
やはりゾンビ物はバッドエンドがいいと思います。
357 :
本当にあった怖い名無し:2007/01/07(日) 19:01:19 ID:tjwFBIdt0
細かい話だが・・・・
独立混成第45旅団は、編成は昭和19年5月3日です。
358 :
本当にあった怖い名無し:2007/01/07(日) 22:40:31 ID:QM9oBMS00
なんか急転直下。。
設定に事細かに突っ込み入れすぎ。
少ししつこい。楽しめればそれでいい。
「ジェイソンX」なんて台詞と舞台設定無茶苦茶じゃねぇか。
昨日ミートオブザデッド見たが・・・・・テラヒドス
361 :
本当にあった怖い名無し:2007/01/09(火) 10:34:02 ID:7W/bisnOO
強引な極論だな
362 :
通勤電車男:2007/01/09(火) 14:14:13 ID:FUtD52iEO
あけましておめでとうございます!m(_ _)m
あの様・ken様・我流様、続編&新作の投稿お疲れ様です。
あの様、様々な場所で色々な人達が戦ってますね。その分纏めるのが大変かと
思いますが、本編では人間同士の戦いにゾンビがどう絡んでくるのかとても楽しみです!。
ken様、短い間にもかかわらずすごい投下量ですね!。
南国の強い日差しとゆっくりと流れていく時間。そこに南国特有の台風とゾンビを
からませてくるとはお見事です。ハイビスカスの真っ赤な花を見る度に、そして
台風が来る度にきっとこのお話を思い出して一人ガクブルする事でしょう。
完結お疲れ様でした!。
我流様、遂に脱出ですね!。頭の回転の速い三枝君なら何か上手い作戦を
考えてくれそうですが、家の周りはゾンビまみれ・・・どうすんだろ。
今年も通勤時間にここを見るのが楽しみになりそうです!。
今日はこっそりお昼休みに会社から見ちゃってますが(^_^;)。
続編の投稿お待ちしております。ありがとうございました!。
あと三日で世界(2ちゃんねる)が終わるよ!!
そりゃすげぇ!!!
365 :
・・・・・:2007/01/13(土) 18:15:09 ID:GvDRnDM30
下手だと思いませけど投下させていただきます。
2XXX年突如世界規模に起こった伝染病によって世界の人口は半分以下になった。
そして生き残ったものたちは山、無人島、地下へ避難した。
その伝染病にかかったものは1時間すると死にそれから2〜3分後には生き返る。
しかし生き返ったものは周りの人間を関係なく襲いその肉に喰らい付く・・・
生き残ったものたちはそれをゾンビと呼んだ
時間開きすぎww
萎え萎え萎え萎え萎え萎え萎え萎え萎え萎え
ケンさん乙!
内容も面白かったけど、最期まで書き上げてくれた事に感謝
期間は短かったけど、あれだけの内容と量を書くのは本当に大変だったと思います
いきなりのバッドエンドもたまには良いね
次回作がある事を心待ちしています
>>365 なんか北斗の拳ぽい始まり方だけど、早く本編に突入してくれ
俺をお前の世界に引きずり込んで欲しいw
370 :
萎えるss:2007/01/15(月) 21:45:31 ID:juu7xK6D0
はらたいら
2XXX年突如世界規模に起こった伝染病によって世界の人口は半分以下になった。
↑
ここまでが序盤
そして生き残ったものたちは山、無人島、地下へ避難した。
↑
ここ中盤
その伝染病にかかったものは1時間すると死にそれから2〜3分後には生き返る。
しかし生き返ったものは周りの人間を関係なく襲いその肉に喰らい付く・・・
↑
ここクライマックス
生き残ったものたちはそれをゾンビと呼んだ
↑
エンドロール
じゃね?wショート作品乙w
373 :
昔々…:2007/01/16(火) 16:05:29 ID:xsfe614S0
1
「吉田さん〜…これからどうしますか〜…」
「気の抜けた声だすな、自衛官だろ。」
まったく、ついてねぇな…
俺は車体にタバコを押し付けて消しながら顔をしかめた。
異常事態が起きたのが3日前、自衛隊が、俺達が出動したのが16時間前…
16時間!たった16時間で俺の部隊は壊滅だと!?ちくしょう!
上の馬鹿共がもっと早く発砲許可をよこせば…!
「吉田さん?」
クソがッ!おかげで馬鹿の佐藤と二人で立ち往生だ!
それも高速のど真ん中でだ!クソ重いアーマーを着て!!銃まで持って!!!
「吉田陸曹!」
佐藤の呼び声にハッと我に返り前方を見る。
そこには、あの死体共がいた。…ゆうに百は超える数で。
374 :
昔々…:2007/01/16(火) 16:06:22 ID:xsfe614S0
2
…死んだな、これは。間違いなく。
「なにしてるんですか!?逃げましょう!」
…佐藤、やっぱりお前は馬鹿だよ。追いかけられてトラックで逃げてきたんだぞ?
そのトラックが壊れてどこに逃げる?ここは高速だぞ?横道は無いんだよ、少なくとも視界内にはな。
来た道戻ればあるが…誰かが足止めしなけりゃ無理なんだよ。
「佐藤陸士、来た道を徒歩で戻り高速を降りろ。そしてなんとしても北海道までいけ。
…なんとしてもだ。」
「!……了、解。……すんませんッ…!」
敬礼をして走っていく佐藤。
…気にすんな。多分、お前も高速から降りられないだろうから。忘れたのか?
来た道もゾンビで溢れてたろ?まぁ。前方よりマシだけどな。
ま、部下の脱出を助けて死ぬんだから、何も出来ないでくたばった仲間連中よりなんぼかマシだな。
俺は新品同様の89式を構えた。…たった一人残った最後の部下を死人共から守るために。
やれやれ――――――――
続く。……かも?
昔々様乙です。
簡潔にまとめられていい感じです。
最近希少な自衛隊ものなので続き、もしくは別話しの投下お願いします。
>昔々…さん
おを!!これで終わりでも十分よかったぞ。続いてくれたらなお面白そうだ。
377 :
通勤電車男:2007/01/16(火) 22:19:46 ID:f7LHtgvPO
・・・・・様・昔々・・・様、新作の投稿お疲れ様です。
・・・様、直球な感じの設定ですね。でも2XXX〜って事は
現代じゃなく未来の話になるかもでしょうか?。今まで未来の世界の〜
ってお話はあまりなかったと思うので、そうだといいなぁ〜と
まったり妄想しております(* ̄ー ̄)!。
昔々・・・様、高速道路とゾンビの組合わせかぁ・・・。おやじさん元気かなぁ・・・。
っと失礼しました。
いきなりの絶望的な状況に読んでいるこちらも力が入ります(;・ω・)!。
吉田陸曹の御武運を祈ります(`・ω・)">!!。
続編の投稿お待ちしております。ありがとうございました!。
378 :
・・・・・:2007/01/17(水) 21:46:02 ID:vO5HgY330
2XXX年
日本 7月12日
宮城県仙台市
俺の名前は北村新二。歳は26歳だ。
俺は普段は地下にこもっているのだが今地上にいる。
理由は地下の食料が無くなってきたからだ。初めは10人くらいの人数で探していたが、
デパートに入って食料品コーナーに向かっている途中にゾンビを発見した。
数は2〜3体だったので持っている武器などで倒したのは良かったのだ。
だがその音を周りにいたゾンビどもに聞かれてしまったのだ・・・
その数は10〜15体。俺は途中まで戦ったが仲間がどんどんゾンビに食われていくのを見て怖くなって逃げ出した。
そして俺は今そのデパートのトイレの中でこれを書いている。
ああ・・・ついにやつらのうめき声が近づいてきた。
この書いた紙を見つけてくれたものに言っておきたいことがある。やつらには油断するな・・・
379 :
・・・・・:2007/01/17(水) 21:47:40 ID:vO5HgY330
下手ですけど書かせてもらいました。
すいません
>>379 乙です。なかなか良いですね。(・∀・)
話は違いますが、レンタルで「東京ゾンビ」観ました。
基本お笑いなんですが、以外にちゃんとゾンビで面白かったです。
今日、親戚の子供と怪獣映画をビデオ屋に借りに行って思った
自衛隊よ
怪獣や戦国武将だけではなくゾンビとも戦ってくれorz
自衛隊がゾンビ集団をミンチにする映画なんか見て楽しいと思うのか?
ばかやろう!
ゾンビが自衛隊をミンチにするんだよw
どうせ悪い師団長が鹿賀丈史で主役の隊長が真田広之でそれを助ける傭兵あがりの民間人が千葉真一で
最後助けに来る海自が佐藤浩市と中井貴一
388 :
・・・・・:2007/01/23(火) 23:28:51 ID:fqbNee6Z0
また投下させていただきます。
日本 6月14日
大阪府
私は宮崎大介。職業は警察官でした。そうあれは一ヶ月前の暴動鎮圧作戦のときです。
私は警察署で同僚の斉藤とパトロールのために装備を整えていた。
最近、暴動が各地で発生しているため拳銃の装備が必ず義務づけられている。
「なあ、斉藤新聞読んだか?」宮崎は拳銃ニューナンブM60を拭きながら聞いてきた。
「ああ、知ってるよ。人が人の肉を喰らうとかだろ。あんなのマスコミのでっち上げだろ。」
斉藤はそんなことも気にせずに缶コーヒーを飲んでいた。確かに今のところそれと言った通報は受けていない。
「斉藤そろそろパトロールに行くか。」宮崎は拳銃の手入れを終わらせてホルスターの中にしまった。
「ああ、そうだなそろそろ行くか。」斉藤は残っていた缶コーヒーを飲み干して近くのゴミ箱に捨てた。
そして宮崎たちはいつもどうりにパトロールに出かけた。
389 :
・・・・・:2007/01/23(火) 23:29:23 ID:fqbNee6Z0
すいません。下手ですが投下させてもらいました。
390 :
・・・・・:2007/01/23(火) 23:31:07 ID:fqbNee6Z0
すいません。下手ですが投下させてもらいました。
391 :
・・・・・:2007/01/23(火) 23:37:57 ID:fqbNee6Z0
すいません。下手ですが投下させてもらいました。
392 :
・・・・・:2007/01/23(火) 23:39:22 ID:fqbNee6Z0
本当にすいません。390と391間違えました
刮目して待つ!