【改変スレ】ジョージと愉快な仲間たち【別館】

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1送り狼 ◆weJoc1mo9Y
ジョージ系改変の専用スレです。

<関連スレ>
有名な怖い話をクールに反撃しよう11
http://hobby7.2ch.net/test/read.cgi/occult/1156063737/
有名な怖い話を更に怖くするスレ
http://hobby7.2ch.net/test/read.cgi/occult/1150814803/
2本当にあった怖い名無し:2006/10/26(木) 12:52:52 ID:b8BwuFaRO
わーい(^o^)
初2!
3送り狼 ◆weJoc1mo9Y :2006/10/26(木) 12:55:22 ID:tMBCLL4k0
ジョージ初登場(有名な怖い話をクールに反撃しよう11 104レス目)
俺の名前はジョージ、しがない探偵なんて稼業をしている。

ある日、俺は森に迷ってしまった。
夜になり腹も減ってきた。

そんな中、一軒のお店を見つけた。
「ここはとあるレストラン」
変な名前の店だ。

俺は人気メニューの「ナポリタン」を注文する。

数分後、ナポリタンがくる。俺は食べる。

……なんか変だ。しょっぱい。変にしょっぱい。頭が痛い。
俺は苦情を言った。

店長:「すいません作り直します。御代も結構です。」

数分後、ナポリタンがくる。俺は食べる。今度は平気みたいだ。
俺は店を出る。

しばらくして、俺は気づいてしまった……
あの味……あのしょっぱさはまるで…そう、涙の味だ。

俺の脳裏に、あいつの横顔が浮かんで消えた。

タバコに火をつける……
ちくしょう…やけに、煙が目にしみるぜ……
4本当にあった怖い名無し:2006/10/26(木) 19:21:20 ID:8cvpOspfO
ジョージ楽しみにしてたから専用スレが立って嬉しいよ。
…で、そろそろ事務所の大家の名前が知りたいな。
5本当にあった怖い名無し:2006/10/26(木) 22:48:13 ID:muwRZ8+Z0
ジョージネタもいいが本業の方も忘れないでくれヨ?
6本当にあった怖い名無し:2006/10/26(木) 23:25:01 ID:SXjBsajSO
6get+繁栄期待age
7本当にあった怖い名無し:2006/10/27(金) 00:14:26 ID:AqRP8mb20
>5
そのカキコはジョージに言ってるのか? それともジョージネタを書いている中の人に言っているのか?
8改変スレより移動:2006/10/27(金) 02:10:10 ID:6xd6ftBG0
俺の名前はジョージ、しがない探偵なんて稼業をしている。

俺は今、ターゲットを追っている。
今回のターゲットは久我山に住む29歳の主婦、依頼主はその旦那。

まあ、ありきたりの浮気調査ってやつだ。

ターゲットは赤いワンピースに白い日傘を差していた。
遠目にもはっきりわかる。簡単な尾行だった。

俺は今日こそターゲットが男と接触すると睨んでいた。

一見、駅に向かって歩いているようだが…少しずつ郊外へとずれていく。
間違いない。どこかで男と会う筈だ。俺はポケットの中のカメラを確認した。

 ……ふと、交差点の向こう側の男が気になる。

明らかに周りの人間と雰囲気が違う。あれが相手の男…か…?いや、違うな…

信号が青に変わり、ターゲットが歩き出した。
後を追う俺と、先ほどの男がすれ違う。すれ違いざまに男が言い放った。

「よくわかったな。」

「まあな、同業者ってのはニオイでわかるもんさ。」
「ん?いや、俺は……。」

俺は男に右手を上げ、軽く振るとターゲットを追った。
少し話したい気もしたが、仕事中だ。
9改変スレより移動:2006/10/27(金) 02:10:52 ID:6xd6ftBG0
俺の名前はジョージ。流行らない探偵なんて仕事をしている。

事務所は立地はいいが、かなりガタがきている。
床も軋むし、窓も風が吹くたびにガタガタ泣きやがる。
俺が寝ているソファーも、もう綿なんてあって無いようなものだ。

まあ、俺にはお似合いだ。

こんな事務所だが、ひとつだけ気に入っているものがある。

電話だ。
この事務所を開くときに古道具屋を巡ってやっと探し出した黒電話。
もちろんダイヤルも受話器を置く部分も鉄製だ。
澄んだ呼び出し音も、受話器の重さも俺は気に入っていた。

 ……電話が鳴る……

依頼だろうか…コールは3回目と決めている。
それ以外で受けた依頼にはろくなものがないからだ。

3回目のコール、俺は受話器を手に取った。
顔の無い闇の向こうから女の声がした。


「もしもし、あたしメリーさん。」


俺は受話器を叩きつけた。
ちくしょう、貧乏だからって馬鹿にしやがって。
10改変スレより移動:2006/10/27(金) 03:21:42 ID:6xd6ftBG0
俺の名前はジョージ、しがない探偵なんて稼業をしている。

仕事柄、時々変わった人に出会うことがある。
あの季節外れの妙に寒々しい夜も、そんな出来事のひとつだ。

大抵の仕事は一人でこなす俺だが、張り込みだけはそうはいかない。
生理現象がある。

その夜、俺はマコトという相棒を連れて、ある屋敷を見張っていた。

用を足して戻ると、マコトが背の高い女と話しているところだった。
女は胸元の開いた少し派手な格好、そして口元には大きなマスクをしていた。
マスクでよく見えないが、かなりの美人だ。

俺はマコトを蹴り飛ばした。
 ─馬鹿野郎、張り込み中は対象から目を離すな。

「あ、ジョージさん、すいません、道を聞かれちゃって…。」
 ─嘘付け、『私、キレイ?』って聞かれてたろ?鼻の下伸ばしやがって。

 俺はタバコに火をつけた……
 苦い煙がため息と共に遠ざかってゆく。

「すまないな、どっか他所を当たってくれないか?仕事中なんだ。」

もういいです、という寂しげな声が聞こえた。
女の瞳が伏せられていた。その瞳の端に光るものが浮かんでいたかも知れない。

くるりと踵を返し走り去る。女の姿がみるみる小さくなる。
俺はマコトの手からオペラグラスを奪い取ると、ターゲットの家の監視を始めた。

それにしても足の速い女だったな。陸上でもやっていたのか?
11改変スレより移動:2006/10/27(金) 03:22:18 ID:6xd6ftBG0
俺の名前はジョージ、しがない探偵なんて稼業をしている。

依頼された仕事をかたずけて帰路に着いたとき、もう時刻は午前1時を過ぎていた。
愛車のメイフェアも疲れているようだ。俺も疲れていた。

 ─後味の悪い仕事だったぜ…

早く帰ってバーボンでもひっかけるとするか。俺はアクセルを吹かした。
青山霊園の前に差し掛かったとき、道端に佇む一人の女性の姿が目に留まった。

俺もつくづく女に甘い。
その女性の前で車を止めた俺の口元に、自嘲の笑みが浮かんでいた。

女は名前も名乗らず、ただ、行き先だけを俺に告げた。

色の白い女だ。透き通るように白い肌が妙に白い服に溶け込んでいた。

あまりの顔の青白さに、体調が悪いのか?と尋ねると、女は小さく頭を振った。
無言のまま、車は内堀通りを進んでゆく。
何故、こんな夜更けにあんな場所で…疑問はあったが俺は何も聞かなかった。

 ただ、タバコの煙だけが、ゆったりとした時間の流れを告げていた。

女の目的地は下谷の一軒の家だった。ここが私の家です。そう言って女は家の中に消えた。

どうやら通夜をしているらしい。
ふと女の座っていたサイドシートに視線を落とすと、シートがぐっしょり濡れていた。

俺はまた、タバコに火をつけた。
メイフェアのドラムを叩くようなエンジン音が、俺に何かを語っていた。

そうだな…世の中にはひどい事をする奴がいやがる。
12改変スレより移動:2006/10/27(金) 03:22:49 ID:6xd6ftBG0
俺の名前はジョージ、暇な探偵だ。

俺は事務所のデスクの前で、パズルをいじくりながら依頼の電話を待っていた。

午前中に三十代前半の美女が俺を訪ねてきた、が、残念ながら客じゃない。
大家が家賃を取り立てに来ただけだ。が、無い袖は振れない。
前回の依頼の報酬が現金じゃなかったからだ。

 仕方ないね。

大家はそう言って深くため息をつき、バケットを置いていってくれた。
どうやら全部お見通しだったらしい。

報酬は大根が20本だったこともある、米だっこともある。
そういえば、飴玉ひとつだったこともあった。

俺はあの小さな依頼人の事を思い出した。

俺の手の中にあるこのパズルが前回の依頼の報酬だ。
20cm四方の寄木細工の箱、かなりの年代物と見ている。

島根県までわざわざ出向いて、報酬の代わりにもらってきたものだ。

報酬が払えない、と聞き、またか、と天を仰いだ俺に、
依頼人は、この家にあるものでしたら何でも持っていって結構です。と言った。

そこで、納屋の奥から俺が見つけ出したものがこの箱だ。

振るとカサカサと音がする。
これがいいと俺が言った時の依頼人の狼狽ぶりからしても、この箱は値打ち物に違いない。

中身が楽しみだ。なかなか開かないが、まあ、気長にやるさ。
13改変スレより移動:2006/10/27(金) 03:24:54 ID:6xd6ftBG0
俺の名前はジョージ、馬鹿な探偵だ。

俺は仕事のためにシンガポールへ飛んだ
今回の客はかなりの金持ちで、俺が仕事をしている間、
100階建ての最上階、つまり最上のホテルを取ってくれたそうだ。

もっともシンガポールに着くのは午前一時ごろ、
着いたらすぐにホテルへ向かうとするか
14改変スレより移動:2006/10/27(金) 03:26:28 ID:6xd6ftBG0
僕の名前はマコト、時々ジョージさんの手伝いをしている見習い探偵だ。
ジョージさんは僕の尊敬する凄腕の探偵、しかもニヒルで喧嘩が強い。

ただ、ジョージさんにもいくつか困ったことがある。いつも金欠で、よく飯をおごらされること。
女の子に弱く、時々騙されて事件をかえって複雑にしちゃうこと。

そして、恐ろしく機械に弱い事だ。

「あ!また録画になってますよ!」 ……これで3度目。
今日、ジョージさんは一本のビデオテープを持っていきなり僕の部屋を尋ねてきた。
理由は簡単だ。ジョージさんはビデオデッキを持っていないから。

 最近連続して発生している殺人事件に何か関係がある─

ジョージさんはそう睨んでいるらしい。確かに変なビデオだった。
ケースもないし、手書きのラベルには「ハンマー」とだけ書かれている。
録画禁止用のツメもそのままだったけど、これがいけなかった。

もうビデオの内容はところどころタモリの顔が挟まっている。

「もう、貸して下さい。僕がやりますから。」
「あ?いいんだよ大丈夫だよ、貸せって…」

しかもジョージさんはリモコンを手放そうとしない。ため息も出るってものだよ。

ビデオは走っている人を映していた。正確には走っている人の視線で撮影されていた。
画面は、上下に小刻みに動き「はあはあ」と走っている者の息遣いが聞こえ進んでゆく。

タモリの顔が消えて元の画面に戻ると、小さく「ちくしょう・・」と声が聞こえた。

そういえば朝から何百回も巻き戻している。ジョージさん途中で寝ちゃうし。
ビデオの人の息もつらそうだな、なんか気のせいか疲れているような……
15改変スレより移動:2006/10/27(金) 03:39:54 ID:6xd6ftBG0
ここらで元ネタを整理

>>3 ナポリタン
>>8 すれちがいざま「よくわかったな」
>>9 メリーさん
>>10 口裂け女
>>11 青山墓地の女幽霊
>>12 コトリバコ
>>13 高層ビルのエレベーター停まって…
>>14 シンクロするビデオ

参考 死ぬ程洒落にならない怖い話をあつめてみない? まとめサイト・投票所  
ttp://syarecowa.moo.jp
16本当にあった怖い名無し:2006/10/27(金) 04:52:36 ID:2ml6LY2D0
>>8-15
乙です
全部移動して下さるのですか?ジョージファンとしては嬉しい限り
6xd6ftBG0さん、ありがとうございます
17本当にあった怖い名無し:2006/10/27(金) 06:09:43 ID:NI/cZ2G3O
俺の名前はジャージ、金がないDQNなんて稼業をしている。
18本当にあった怖い名無し:2006/10/27(金) 12:30:04 ID:szqszcrH0
移動手伝います


俺の名前はジョージ、ただの探偵だ。

俺は今、雪山にいる
俺と相棒のマコト、それに立会いの刑事に犯人の四人。
今回手がけた事件の証拠を、犯人が雪山に隠したと言うのだ

しかし、山登りの経験が無かったためか、いささか山を舐めていた。
急に吹雪いてきたのだ。

俺達は必死の思いで山小屋を見つけ、そこへ避難する。
吹雪は朝までやみそうに無い、しかしこのままでは全員眠ってしまいそうだ。

そこで俺は、あるアイディアが思いついた。
19本当にあった怖い名無し:2006/10/27(金) 12:30:40 ID:szqszcrH0
俺の名前はジョージ、今はゴミ溜めの探偵さ。

俺としたことが、とんだドジ踏んじまった。
あの依頼人、ターゲットがやくざと絡んでいるなんて一言も言わなかったじゃねぇか。

 ─また、自分の血に濡れた手を見ちまった。何度目だ、糞。

どうやら追手はうまく撒いたらしい。
掃き溜めの臭いの中で、俺は座り込んだ。

あんな流れ弾に当たっちまうんて、とんだお笑い種だな。
……腹が熱い……弾は貫通しているようだが、血が止まらない。

 ─電話…

立ち上がろうと思ったが、立てなかった。
ゴミバケツの中身と一緒に、俺は地面にぶちまけられた。
思わず笑みが浮かぶ、こんなゴミ捨て場で死ぬのかよ、俺らしいぜ。

震える手でタバコに火をつけた。
立ち上る煙と入れ違いに、静かに雪が舞い降りてきていた。

見上げた頬に当って溶ける雪は冷たく、心地いい。

目もかすんできた、が、不思議と恐怖は無かった。

何か音がした。
奴等か?と顔を向けた俺の目の前を、上半身だけの男がひじを突いて走り去っていった。

急に元気が出た。身体を起こして立ち上がる。

人間、なかなか死なないものなんだな……、寝てる場合じゃないぜ。
20本当にあった怖い名無し:2006/10/27(金) 12:31:31 ID:szqszcrH0
俺の名前はジョージ、今、ある事件を追って事務所で打ち合わせ中だ。

俺の前でコーヒーを啜っている白髪の男の名は近藤という。
俺の横に座っている美女は、このアパートの大家だ。

近藤さんは、俺の実の親父の親友。親父がまだ刑事だった頃の同僚だ。
親父が死んでからも俺に情報を流してくれたり、助けてくれたりする。
ベテランの刑事だ。

まぁ、俺の唯一、頭の上がらない人ってところかな。

「そうか……とりあえずそいつを追ってみるか。」
近藤さんは事務所のソファーに深く腰掛け直し、俺の目を正面から見た。

きっと親父ともこうして、この部屋で語ったことだろう。

俺は大家の方に顔を向け、笑みを見せた。
青ざめた大家の顔が、わずかに朱に染まる。

よかった。少しでも安心してくれ。犯人は必ず俺が捕まえてやる。

昨夜、このビルで殺人事件が起こった。
俺の住む建物で事件を起こすとは無謀な奴だ。

だが俺もミスを犯していた。
昨夜、酔って帰った俺は、エレベーターのところで男とぶつかった。

酔ってなければ、きっとエレベーターの壁の血も見落とさなかったはずだ。

 ちくしょう……俺は苦いコーヒーを噛み締める。

……チャイムの音がした。
21本当にあった怖い名無し:2006/10/27(金) 21:41:16 ID:KfR/4l0P0
僕の名前はマコト。時々ジョージさんの手伝いをしている見習い探偵だ。
ジョージさんは僕の尊敬する凄腕の探偵、僕の目標だ。

でも、最近のジョージさんはちょっと変だ。

ジョージさんはもともとあまり食べ物にこだわる人じゃない。
賞味期限が過ぎた牛乳なんかも平気で飲んじゃうし、味はどうでもいいところあるし。
リンゴ1個と固ゆで卵なんて朝食を毎朝3年も続けていたっけ。

お腹が膨れればなんでもいい、どころか、

 ─あの人、タバコとコーヒーだけで一週間くらいは生きてるときあるよな。

それが、ここのところよく食事に付き合わされる。
「なあ、奢ってやるから美味い店探してくれよ。」  

 ……そんなこと言う人じゃないんだけど。

どうしたんですか?と聞くと、
なんだかわからないが、朝起きると無性に腹が減っている。だそうだ。

おとといはお刺身の美味しい店。
ちょっと値段は張ったけどヒラメの活け作りは絶品だった。

昨日はカブト煮の美味しい店を探した。
そう言えばジョージさん目玉まで食べてたなぁ……

今日はなんだろう…と、思っていたらジョージさんが扉を開けて入ってきた。
今日はハンバーグに決めたそうだ。

もう、いくら仕事のお金が入ったからって贅沢しすぎですよ。
22本当にあった怖い名無し:2006/10/27(金) 21:41:49 ID:KfR/4l0P0
俺の名前はジョージ、しがない探偵なんて稼業をしている。

あの事件のことはあまり思いだしたくない。嫌な事件だった。
変死した男、失踪した女。その真相を追って、俺はある辺鄙な山奥の村に辿り着いた。

場所は言えないが、東北のどこか、とだけ言っておく。閉鎖的な村だった。
よそ者の俺の言葉なんかには耳を貸そうとしない。

調べてゆくうちに、俺はまた不思議な事実を見つけた。
こんな老人ばかりの村でここ1年で子供が二人も行方不明になっている。
俺は、何かを隠し続けている村人達に、軽い苛立ちを覚えていた。

「あまり根を詰めてはいけませんよ。」 背後から声がかかった。

考え込んでいるうちにいつの間にか夜も更けてしまっていたらしい。

長い黒髪の女性の笑顔とコーヒーの香りが、振り向いた俺を包み込んだ。
この閉鎖的な村で、俺の唯一の協力者だ。

 敷き詰められた赤い天使たちと燃えるような山々。
 橙のロングスカートに白いトップ、出逢った時の彼女はまるで… まるで…

調査は順調ですか?の問いに、俺はああ、と曖昧な返事を返した。
変な慣わしが多い村だ。田舎のせいかいやに家と家との上下関係がはっりしている。
それに、庭にある置石を妙に崇めている、いや、恐れているのか?
そのあたりに、俺は事件を解決する鍵が隠れていると睨んでいた。

「あなたは…もうすぐ都会へ帰ってしまうんですね……。」
いきなり、俺の手に彼女の白魚のような手が添えられた。

何もかもかき消してしまうほどの虫の音。猫も鳴いていたが、もう耳に入らなかった。
彼女の長い睫毛が、そっと、俺に、近づいて…来…た………
23本当にあった怖い名無し:2006/10/27(金) 21:43:48 ID:KfR/4l0P0
俺の名前はジョージ、
虎舞龍のボーカル…





ゴメンナサイ…orz
24本当にあった怖い名無し:2006/10/27(金) 21:44:26 ID:KfR/4l0P0
俺の名前はジョージ、しがない探偵なんて稼業をしている。
その夜、ひなびた裏通りのバーには今夜も客は俺独りしか居なかった。

バーボンのグラスを傾ける俺の携帯が鳴った。

「もしもし、私リカちゃん。今アナタの後ろに居るわ・・・。」

理香…か、ここのところ頻繁に電話があった、来ると思っていた。

 ─だが、お前とはもう終わったんだ

俺は振り向くことすらしなかった。携帯をポケットに捻じ込み、グラスを煽る。
俺に、今更何の用があるって言うんだ。

肩にそっと置かれた手は驚くほど小さかった。
そして俺は今更ながら理香の事を何も知らなかった自分を知る。

こっちを向いてよ……そう言われも俺は振り向かなかった。
ひどい事をしているのはわかっている……だが…もう、終わったんだ。

「……しつこい女は…嫌いだ。」
やっとそれだけを搾り出した俺の背に、走り去る靴音が叩き付けられた。

泣いていた─。そんなことはわかっていたことだ。

「…ジョージさん……いいんですか?」
マスターがグラスを拭く手を休めて歩み寄ってきた。

  ─いいのさ

俺はグラスを置くと、もう一杯、今度はマティーニを注文した。
ここの店のマティーニはとびきり辛い。俺はそれを知っていた。
25本当にあった怖い名無し:2006/10/27(金) 21:44:56 ID:KfR/4l0P0
俺の名前はジョージ、しがない探偵なんて稼業をしている。
見たら一週間後に死ぬ、そんな呪いのビデオを見て今夜でちょうど一週間。

もちろん俺は呪いなんて信用しちゃいない。
だが、確実にガイシャは増えている。確実に、だ。

ビデオの内容も意味の無いものだった……するとこの事件は……
突然、風が吹き抜けた。立て付けの悪い窓が勝手に開き、呼び込んだらしい。
続いて事務所の電気が落ちる。
逆にテレビの電源が勝手に入り、あのビデオに映っていた井戸が映し出された。

 ─凝った演出だな

俺はテレビを見つめていた。井戸から一人の女が這い出てきて、そして出てきた。

黒髪の間から俺を睨みつける眼光……こいつはプロだ。

俺の読んだとおりだった。一週間後に、殺し屋が来る。
まさかこんな手品師のような女だとは思わなかったけどな。

俺はタバコに火をつけた…

「単刀直入に聞こうか。何処の組のモンだ、何故俺を狙う?」
「??……少しは私の事を調べてくれているものと思っていたわ。」
「まさか。」

俺は肩を竦めて見せた。待ってれば来るものをわざわざ追いかける趣味は無いぜ。
不敵な笑みを浮かべる俺は、さぞ忌々しい奴に見えた事だろう、だがお互い様だ。

「噂どおりの男ね……。」 
これが、俺と彼女との始めての出会いだった。
                             to be continued...
26本当にあった怖い名無し:2006/10/27(金) 21:45:27 ID:KfR/4l0P0
俺の名前はジョージ、探偵とは名ばかりで、実際には何でも屋さ。

今、俺は相棒のマコトを連れて岩手のある寺まで来ている。
なんでも近くの寺が解体された時に出てきた即身仏を運んで欲しいそうだ。

思ったより小さな箱だった。これなら車をレンタルしなくてもよかったな。

「この箱は絶対に開けちゃいかんぞ。」
そう言い終わった住職と、箱の蓋を持ち上げた俺の目が合った。
そういうことは早く言えよ。

箱の中身は首が二つついている奇妙なミイラだった。
蓋に確か「リョウメンスクナ」と書いてあったか……

「…干物……買って帰るか。」
そう呟いた俺をマコトが睨みつける。洒落の通じない奴だな。

住職は白目を剥いて固まってしまったが、まあいい、問題はそんなことじゃない。
依頼の品、確かに預かったぜ。

そもそもおかしな依頼だ。
依頼料がべらぼうに高い、それに文化財専門の運送屋だってある。
それをわざわざゴロツキに頼んでくるんだ。ヤバい臭いがぷんぷん漂ってやがる。

 ─ったく、あいつの持ってくる依頼はこんなのばかりだな。

山門をくぐった所でもうお出ましかよ。3人…いや、4人か。

振り向くなよ、こんなこともあるかと思ってわざわざ二人で来たんだ。

駐車場まで、あと100m……50m…
楽しもうぜ、面白くなってきたじゃねぇか。
27本当にあった怖い名無し:2006/10/27(金) 21:46:04 ID:KfR/4l0P0
俺の名前はジョージ、今夜は最低の酔っ払いだ。
とにかく早く酔ってすべて忘れてしまいたい、だが、酔えない。

 昼間、調査報告をした帰り道、俺は人気の無い並木道を歩いていた。
 今日は突き抜けるような秋晴れの空だ。
 こんなに空が遠いと、…あいつのことをつい思い出しちまう。

 俺が追憶に浸っていると、またあの女が現れた。
 最近、妙に俺に付きまとってくる女の殺し屋だ。名前は貞子とか言ったか。
 証拠が無いので手が出せないが、連続殺人鬼だと俺は睨んでいる。

 最初は俺の命を狙っているのかとも思った。だがそうでもないらしい。
 ここのところの奴の目的は、自分が幽霊だと俺に信じてもらうことのようだ。

 馬鹿馬鹿しい。

 自分は幽霊だとか、超能力があるとか、念じただけで人が殺せるとか。
 その主張のすべてを俺は無視して歩いた。  ─本当に馬鹿馬鹿しい。

 散々無視していたが、奴が「私は自由に生まれ変わることもできるのよ。」
 と自慢気に喋った時、とうとう俺は自分を抑えることができなくなった。

お替りを注文した俺に、マスターは黙ってバーボンのグラスをくれた。

 ねぇ、もし私が死んだらさ─     …あいつの口癖…

最低だ。早く酔ってしまいたかった。
生まれて初めて女を殴った。それはきっと… 空はあんなにも高く、遠い…

 奴は何もわかっちゃいなかった…幽霊でもいいのさ…たとえ幽霊でもいいから…

 もう一度、会いたいひとがいるなんてことを、さ。
28本当にあった怖い名無し:2006/10/27(金) 21:46:35 ID:KfR/4l0P0
俺の名前はジョージ、時に超法規的な手段をとる俺に周囲は辛辣な言葉を浴びせやがる。

俺はいつものように、事務所のいすに腰掛けて仕事のない退屈さを満喫していた。
そんなときだ、テーブルの上の電話が鳴ったのは。
仕事か…それとも……俺は受話器を取った。

「……理香…か?」
「もしもし、私メリーさん。今あなたの後ろにいるの。」

俺はポケットから煙草を取り出して火をつけた。
……メリー…最近頻繁に電話をかけてくるストーカーまがいの女だ。
いや、事務所内にいるってことはすでにストーカーだろう。

俺は振り返りもせず、ただ指をパチンと鳴らした。
次の瞬間、メリーと名乗った女の体は粉々に吹き飛んだ。

さすがは劣化ウラン弾、破壊力が違う。
それに放射性物質を使用しているにもかかわらず、人体に影響がないのも魅力だ。

俺の名前はジョージ、今はしがない合衆国大統領をしている。


ジョージ好きのひとゴメンナサイ
29本当にあった怖い名無し:2006/10/27(金) 21:47:08 ID:KfR/4l0P0
 「じいさん、じいさん…」 壁の中から婆さんの呼ぶ声がする

俺の名前はジョージ、しがない探偵なんて稼業をしている。
最近近所のガキどもは俺のことを「心霊探偵」とか呼びやがる。笑えない冗談だ。

婆さんの姿が見えないことに心配した娘が、今回の依頼人だ。
婆さんは爺さんと長年二人暮し、近所でも評判のおしどり夫婦だったらしい。

どこかに出かけた様子も無い、まだ死亡届も出されていない。
爺さんに聞いてもお茶を濁される。

そこで俺に依頼が回ってきたってわけだ。

楽な事件だ。当然だが人が一人、そう簡単に消えてしまうわけは無い。

俺は爺さんの話を聞くふりをして家に上がりこみ、チャンスを待った。
しばらくして、爺さんは用があるとか言って俺に留守番を頼んで出て行った。

案の定、そのうちに婆さんの声が聞こえてきた、というわけだ。

俺は最近塗り直されたばかりの壁を見つけた。
恐らくここに隠し部屋への入り口があるんだろう。

 「じいさん、じいさん…」

壁の中からはまだ婆さんの声がする。目的は保険金だろうか…嫌な事件だ。

俺は声に何も答えず、気配を殺してその部屋から立ち去った。
別人が居ると気付かれたらヤバい。

俺の依頼も完了だ。あとは婆さんの無事を娘さんに報告するだけだ。
元気そうだった、と言っておくか。
30本当にあった怖い名無し:2006/10/27(金) 21:47:37 ID:KfR/4l0P0
俺の名前はジョージ、しがない探偵なんて稼業をしている。

雨に濡れるのは嫌いじゃない。
雨は…すべてを洗い流してくれる気がする。

 俺の過去も…悲しみも…そして罪さえも……

俺は傘も差さずに川沿いの土手を歩いていた。
濡れて重くなった服を引き摺る感覚はまるで枷のようだ。
夏の終わりの雨はもうすでに細く、しかし火照った肌をやさしく冷やしてくれる。

 心地よかった。

ふと、前から白い服を着た女が走ってくるのが見えた。
背の高い女だ。長い髪を振り乱し一心不乱に走ってくる。

 ─傘も差さずにこんな雨の中を…

俺は声を掛けようとした、つくづく俺は女に甘い。

だが、俺は女の様子がおかしいことに気付いた。服がボロボロだ。
何かをつかんで引っ張っている。しかもそのせいか蟹走りだ。

 俺はすべてを悟り、声を掛けるのをやめた。

どこかの運動部が特訓でもしているのだろう。
すれ違う前に俺は目を伏せ、頑張れよ、と心の中で小さく呟いた。

女はただ走り去る。

雨の日は嫌いじゃない。
そうさ、雨は…すべてを洗い流してくれる気がする。
31本当にあった怖い名無し:2006/10/27(金) 21:48:10 ID:KfR/4l0P0
俺の名前はジョージ、しがない探偵なんて稼業をしている。

「じゃあ頼んだわよ、ジョージ。」
蜜のようなキスと仕事を置き去りにして、女は俺の事務所を出て行った。

とびきり綺麗な薔薇にはとびきり鋭い棘がある、そんな女だ。

中学生4人が死亡した。グループのうち残る1人も錯乱状態。
幽霊だ呪いだと騒ぐ奴もいたが、これはそんな単純な事件じゃない。

俺は人目を避けるように、事件の発端となった屋敷へと忍び込んだ。

問題の部屋。俺はなんなく隠し扉を見つけて中へ入る。
噂の黒く塗りつぶされた写真も、御札に包まれた髪の毛もそのままだった。

壁紙を剥がし、さらに一面に貼られた御札をも剥がす。
その下にあったものは、防音材などではなくビニール袋に詰められた粉だった。

 ─幽霊話で誤魔化すとは…古い手だな。

壁に隠されていた何百キロもの白い粉がこの事件をすべて説明してくれた。

血液検査で引っかからなかったところを見ると恐らくは新種のドラッグ。
この部屋で最初に錯乱した少年の様子から、強い幻覚作用があることがわかる。
恐らくは好奇心で舐めたか吸うかしたのだろう。

 俺はこの事件の裏に巨大な組織の蠢く気配を感じていた。

 不意に隠し扉が閉められた。もう押しても引いても動きはしないだろう。

俺はタバコに火をつけた。
どうやら絶体絶命ってやつが近づいてるようだ。面白くなってきやがった。
32本当にあった怖い名無し:2006/10/27(金) 21:48:48 ID:KfR/4l0P0
俺の名前はジョージ、しがない探偵なんて稼業をしている。

銀座、白い大きなデパートを過ぎて少し歩くと、美を競い合う二つのビルがある。
その脇道をほんの少し入り込んだ先、裏通りの空気と独特の匂い。

そこは俺に仕事を世話してくれる女弁護士の事務所だ。
手を触れたら火傷じゃあ済まない……そんな女。

食事の誘いを丁重にお断りして、俺はポケットに仕事を詰めて帰る。

タバコを取り出して思い留まり、俺は代わりに空を見上げた。
鱗雲の隙間が灰色に塗り直されていた。忙しそうに、とても忙しそうに。

日比谷線の駅を越えたところで、灯されたばかりの赤提灯を見つける。
わざわざこの屋台に来るのも久しぶりだな。
背中しか見せない店主の話を聞き流し、ラーメンを啜っていると男が駆け込んできた。
年の頃四十代のサラリーマンがこの世の終わりのような顔をしてやがる。

何を言ってるんだかわからない男に、俺はコップの水を渡した。

「女を見たんだ!、お、女!!そ、そしたら、その…か、顔…。顔が!!」
慌てふためく男に店主はゆっくりと振り返り

 「ふーん、お前さんが見たのは…こんな顔ですかい?」

風が乾いた音を立てた。
…まだやってるのか…と尋ねる俺に、店主は何も無い顔で意地悪く笑った。
可哀想に、鞄も眼鏡も落として逃げちまったじゃねぇか。

ちゃんと交番に届けておけよ、と釘を刺して俺は屋台の暖簾を跳ね上げた。

悪い癖を持ってはいるが腕のいい店主だ、今度行ってみるといい。
33本当にあった怖い名無し:2006/10/27(金) 21:49:48 ID:KfR/4l0P0
俺の名前はジョージ、しがない探偵なんて稼業をしている。

トイレの花子さん?ああ、聞いたことはある。
だが小学校の女子トイレに、俺は何の用も無いな。



さあ、この話はもう終わりだ。
34本当にあった怖い名無し:2006/10/27(金) 21:50:22 ID:KfR/4l0P0
俺の名前は悟、用務員なんて時代遅れな仕事をしている。

ったくジョージの野郎、昔一緒に仕事をした中だからとか言ってこんなもん押し付けてきやがって。
しかもなんだこりゃ?「トイレの花子さん」かよ、時代錯誤も・・・あ、俺もか。
ま、下のほうに「礼は弾む」って書いてあるからな、じゃあやってみますか。

さて、学校のガキ共にも聞いたんだがどうやらただ問題の場所に行くだけではだめならしい。
どうやら、ある女子トイレのドアの前に立って、あることをしなければならないようだ。
まあ、得られた情報はそれだけだが、まあいいだろう、後は勝手にやれってか。よし、始めるか。

そして2時間後。
35本当にあった怖い名無し:2006/10/27(金) 21:52:45 ID:KfR/4l0P0
俺は「花子さんが出る」と言われているトイレの前に立っていた。
なるほどこいつはぎゅんぎゅん来る、だが依頼は早く済ませないと、お礼をもらわんと。
そして俺はガキ共に教えてもらった「ある事」をした。すると・・・

花子さんは現れた、しかしそれは、子なんて名前のつくようなものではなかった。
大人、大人の女なのだ、しかし俺は、動じずに・・
「俺は大人の女なんかには興味がわかねえ、むしろ萎える。じゃあな、今度会うときは、子供の姿で頼むぜ」

どうやら年月がたつにつれて、花子さんも年をとり、花さんとでも言うようになってしまった。
後ろから啜り泣きが聞こえるが気にしない、もし襲ってきても撃退する自身はある、俺のロリロリコレクションを見せればいいだけだ。

そして俺は用務員室に戻った、ったく、あの野郎下調べはしとけよ。
今度あったら金ふんだくってやる。
36本当にあった怖い名無し:2006/10/27(金) 21:53:47 ID:KfR/4l0P0
俺の名前はジョージ、しがない探偵なんて稼業をしている。
行きつけのバーには今夜も邪魔な客は居ない。俺と、連れの女二人だけだった。

「あたしが馬鹿だったの……。」 女が言った。

「あの人の心を試すなんて…馬鹿よね…。」

古いレコードの掠れた音と、バーボンに氷が身体を許す官能的な音。
女は静かなジャズの音色に酔いながら、俺に昔の出来事を語った。

「一度はカレも許してくれたの…、嬉しかった…。
あんな大事なものを壊して許されるなんて思っていなかったから…。

でもね、結局フラれちゃった。
馬鹿よね…、カレの悔しい気持ち、今ならわかる気がする…

あたしは自分が許せなくて… でも、カレの事も許せなかった…
若かったわね、あたしも。」

そう言って笑う女の目は、涙こそ無かったが、確かに泣いていた。

俺は黙って女の肩を抱き寄せた。
タバコ臭いわ、と言いながらも女は俺の肩に身を預けた。

 この間の事件で姫路城まで行ったときに知り合った女だ。
 まだ、お互い名前も知らない。いや少なくとも今夜は名乗ることは無いだろう。

「やさしいのね…」

そう言って見上げる女の目が、揺れるタバコの煙の中で静かに閉じた。

井戸の上で何か数えていた、ちょっと変わった女だが、いい女だ。
37本当にあった怖い名無し:2006/10/27(金) 21:54:27 ID:KfR/4l0P0
俺の名前は悟、用務員なんて時代錯誤な仕事をしている。
ちなみに花子さん、もとい、花さんの方はすでに片付けた。あの女、ケリくれたら逃げていきやがった。

プルルルルルル・・・プルルルルルルルル・・・

おっと電話だ、こんな夜遅くに誰だよ、間違いだったら怒るぞ俺は、

「私メリーさん、今学校の前にいるの。」ツーツーツー・・・。

どうやら間違いではないらしい、しかもメリーさんときた。やつの名前はジョージから聞いたことがある。
覚えているのは名前だけだが・・・。まあいい、次の連絡を待つか。

プルル・・・ガチャ。  次の連絡か。

「私メリーさん、今学校の一階にいるの、もうすぐ着くから待っててね」

まあいい、用務員室は一階だ、もうすぐ来るってこった。まったく長い夜になりそうだ。

「私メリーさん、今お部屋の前にいるの、入るよ?いいよね?」ちょっと萌えた、妹みたいだ。

しかしいつまでたっても入ってこない、俺はとうとう部屋の扉、(引き戸)を開けた。
38本当にあった怖い名無し:2006/10/27(金) 21:54:58 ID:KfR/4l0P0
メリーなんて女の子の姿はどこにもいない、不思議に思って、次の連絡を待つ。
すると・・・・

プルルル・・・ガチャ

「私メリーさん、今あなたの部屋にいるはずなんだけど・・・」
「俺の部屋は用務員室だぜ、早く来いよ、ジュースでもおごっちゃる」
「うん、でも・・場所間違えたのかなあ、第一小学校だよね?」
「第一?違う違う、第二小学校だ、間違えちゃったのか、まあ早く来い」
「うん・・もうちょっと待っててね」

数十分後・・・・・・・・・・

ガララララララララララ・・俺の部屋の引き戸が開き、メリーさんが入ってきた。
こんなキャラだったか?と思ったものの、冷蔵庫にあるジュースをコップに注いだ。

「まあ飲め、疲れてるんだろう?」
「それはいいんだけど・・・もう一人入れて良い?」メリーと言う少女は小首をかしげて尋ねた。
「ああ、いいよ、夜は長いし、三人の方がいいだろ」
「いいの?やったあ?じゃあ入ってきて、花さん」

「花さん」と言う言葉に少し動揺しながらも、俺は酒の準備をした。

全く、長い夜になりそうだ、三人で世通し飲むなんて、しかもこいつらドンだけ飲むんだよ。
ああメリーが酒に手を出した。未成年だろが・・・

   撃退もとい、飲み会は続く・・・・。
39本当にあった怖い名無し:2006/10/27(金) 21:55:53 ID:KfR/4l0P0
デートのあとカレに送ってもらっていたときのことです。
その夜は遅くなったので、いつもは避けている近道を通る事にしました。
その道は50mほどですが、小さな祠やお地蔵さまが計7つも密集しているんです。

少し進むとY字路になっていて、私の家に帰るには左の方の道です。
左側の道に足を踏み入れた瞬間、何か急にあたりの雰囲気が変わりました。
物音が一切しなくなって、心もち明かりが暗くなりました。

足が寒いところにずっと立っていたあとのように痺れて引きつり、上手く歩けません。
力も入らないのでその場に座り込んでいてもおかしくなかったのですが、
なぜかその引きつった足が体を支えていて、私はその場に立ち尽くしました。

いきなり前方からゴッと突風のようなものがきました。
感覚としては、すぐ横を電車や大型車が通過したときのあの感じです。そしてその瞬間

「サリョ(鎖虜?左路?)じゃ!サリョじゃ!」

という大小の声があたりに鳴り響きました。近いものは私のすぐ耳元で聞こえました。
突風のようなものが過ぎ去ったあと、私は呆然と立ったままでした。

その時、カレが言いました。

「小夜?…人違いか…。」

私は、そうね、と言ってドサクサ紛れに腕に抱きつきました。
少し驚いたようでしたが、カレ=J君はそのまま腕を貸してくれました。

J君とはまだ特別な関係ではないけれど、時々私を甘えさせてくれます。
私の主人がまだ生きていた頃には、よく3人でお酒を飲みに行きました。

私の管理しているアパートで探偵事務所を開いているJ君。
ちょっとだらしない所もあるけれど、頼りになります。
40ぽんぽん:2006/10/27(金) 21:59:38 ID:eVKOHuPz0
 やったー、悟まで移動されてるよ。
ってことはこの次からこっちに貼れってことなのかな?
41本当にあった怖い名無し:2006/10/27(金) 22:06:51 ID:KfR/4l0P0
 ─ジョージ対くねくねに挑戦してみた。


「ジョージさん、コーヒー買って来ましたよ。」
「お、サンキュー。」
「…で、その横の白いのは…何なんです?」

  くねくねくねくねくねくねくね

「知らねぇ、なんかなつかれちまったんだよ。」
「ヤバい奴じゃないんですかぁ?なんか田んぼで働いていた人たち、みんな逃げるように帰っちゃいましたよ。」
「そうか?愛嬌ある奴だとおもうけどな。」

  くねくねくねくねくねくねくね

「なぁマコト。踊りたくなってこないか?」
「…別に。」
「よし、踊り行くか、こいつ連れて。」
「嫌ですよっ、何でこいつも連れていかなきゃいけないんですか。」
「だって、いい腰の振りしてるぜ。ほら。」

  くねくねくねくねくねくね

「なっ。」
「まぁ確かに…なんか踊りたくなってきましたね。」
「だろ?なんかカラダを動かしたい気分なんだよな。くねくね。」
「じゃあ、行きますか。くねくね。」

  くねくねくねくねくねくねくねくねくね


その後、二人の姿を見たものはいない─
42本当にあった怖い名無し:2006/10/27(金) 22:07:41 ID:KfR/4l0P0
「ジョージさん。あれ見えますか?」

「・・・ん?」

俺はマコトの言葉で二日酔いのせいでガンガン痛む頭を上げた。
しかし見えるのは一面の田んぼだけ。
吸いたくもないタバコに火をつけると軽くマコトをにらみつけながら煙を吐いた。

「いや!あれですよ!あの遠くでくねくねしてる白いの!」

俺は黙ってマコトが指差すほうへ視線を戻した。
確かに白いものが動いているように見える。くねくね、くねくね、と。

「理香・・・」

あの透き通るような白い肌、腰使い。間違いない、理香だ。
昨晩、俺の行きつけのバーにまで押しかけてきた。

「……しつこい女は…嫌いだ。」

そうつぶやくと俺は理香のほうを見ないように歩き出した。

「ちょ、ちょっと!どこ行くんですか!」

「どこでもいいさ・・・。自分の過去さえ清算できればな・・・」

今日はとびきり辛いマティーニでも飲みたい気分だ。
43本当にあった怖い名無し:2006/10/27(金) 22:08:40 ID:KfR/4l0P0
大家「ねぇジョージさん、昨日理香って人から変な電話が掛かってきたんだけど。
…余計なお世話かもしれないけど、けじめはちゃんとつけなきゃ駄目よ。」
44本当にあった怖い名無し:2006/10/27(金) 22:13:43 ID:KfR/4l0P0
俺の名は近藤、刑事やってウン十年になる。

仕事を終えた俺は、その日も行きつけのバーへ向かっていた。
秋の日は何とやら、すっかり日の暮れた通りに冷たい風が吹いている。
俺は、裏通りへと続く細い路地へと歩を進めた。

 路地の奥から甲高い悲鳴が響く。

駆けつけてみると、派手な格好の女が倒れていた。
口元のマスクでよく見えないが、かなりの美人のようだ。
そしてその女の前では、全裸で白目を剥いた男が発狂したように何度も飛び上がっていた。

「びっくりするほどユートピア!びっくりするほどユートピア!びっくr」
「貴様ァッ、公然わいせつ罪違反で現行犯するッ!」

俺はその男を組み伏せた。男は取り押さえた後も抵抗するように暴れていたが、
手錠をかけた途端、大人しくなった。

「お嬢さん、大丈夫ですか?」
「ア、ア、……ハ、ハイ」

完全に動揺しきっている。俺は女性に同情した。
純粋な女ほど、このような事で心に受ける傷は大きい。
救急車を呼ぶかと尋ねたが、女を首を横に振って立ち上がった。

「……強く、生きなさい」

こんな言葉が慰めにならない事ぐらい分かっている。だが、声をかけずにはいられなかった。
女はありがとうございます、と呟くと俺に背を向けその場を去った。
女の小さくなる背を見つめた後、俺は全裸の男を半ば引き摺る様にして今来た道を戻った。
ふと、バーで待たせている探偵の事が頭に浮かんだが―
    ―まあ、あの男はいくら待たせても退屈はしないだろう。
45本当にあった怖い名無し:2006/10/27(金) 22:14:18 ID:KfR/4l0P0
× 〜現行犯するッ!」
○ 〜現行犯逮捕するッ!」

スマソ
46本当にあった怖い名無し:2006/10/27(金) 22:16:59 ID:KfR/4l0P0
ジョージのコテの人ではないけど投下します!(`∀´)ゝ


僕はマコト。時々ジョージさんの手伝いをしている見習い探偵だ。
最近寒くなってきたのでジョージさんの提案で鍋パーティーをする事になった。せっかくなので大家さんや近藤さん、小学校で用務員の悟さんにもすでに声をかけてみたらしく、頼まれた買い出し(土鍋とコタツ含む)の量はハンパではない。
やっぱり大きなリュックを持って来て正解だった。
しかし背中が重くて歩く速度が思うように上がらない。
マズい。このままじゃパーティーの時間に間に合わないかもしれないな・・・。僕は近道をするために路地裏へ足を進めた。
しばらく細い道を通っていると不自然に広い道に出た。
ん?あんなところに誰かいるぞ。
小さな女の子が何やら楽しそうにマンホールの上を飛び跳ねている。
『9、9、9、.....。』
キュウ・・・?数字の9かな。
何してるんだろう?
47本当にあった怖い名無し:2006/10/27(金) 22:17:33 ID:KfR/4l0P0
「ねぇ君、何してるの?」
しかし女の子は僕を無視して飛び跳ね続ける。
『9、9、9....。』
僕は無視されたことに少し腹が立ったがそのうち段々、もしかしたら数字を言いながらマンホールの上を飛び跳ねるのは凄く楽しいことなんじゃないかと思えてきた。
だから女の子は夢中で僕に気付いてないのかも・・・。
「ねぇ、僕にもやらせて!」
僕は女の子を押し退けるようにマンホールの上に立った。
「せーのっ・・・!」
僕は思いっきりジャンプした。
その時だった。
女の子がマンホールの蓋をサッと退け・・・ーーー


「だからっ、女の子がマンホールの蓋をどけようとしたみたいなんですけど荷物が重くてあんまりジャンプ出来なかったから途中で蓋の上に降りちゃったんですよ。
そのせいで女の子の指、蓋で詰めちゃったみたいで・・・ちょっ、ジョージさん!
だからっ、わざとじゃないですよ!
あ、はい。え?いや、大丈夫だって言うんですけど念の為病院に連れて行くんでちょっと帰るの遅れ・・・あ!
君、どこ行くんだよ!
ちょっと待っ・・・とにかくっ、また後で連絡入れます!
はい、じゃあ電話切りますね。」


その後、逃走した女の子を追跡して病院に連れて行ったせいで結局鍋パーティーは翌日の夜に持ち越されたのだった。
48本当にあった怖い名無し:2006/10/27(金) 22:19:48 ID:KfR/4l0P0
俺の名前はジョージ、今夜はガス欠の探偵さ。
こんな峠道で身動き取れなくなるとはな、また誰か通るまで待つとするか。

愛車のメイフェアとも長い付き合いだ。
故障も多いがなんとかやっていっている。

時々フロントガラスの内側に手の跡を付けていく奴が居る。
まぁ、それも近所の糞餓鬼どもの悪戯だろう。

 そう言えば、昔も似たようなことがあったな。

 あれは…俺がまだ駆け出しの頃だった。
 
 俺はその頃毎晩黒いメットで首を隠したバイカーを追っていた。
 青臭い正義感に突き動かされた、そんな頃もあったな。

 バイクは圧倒的に早い。俺は必死でメイフェアを駆った。
 これ以上、あの首なし野郎に犯罪を犯させるわけにはいかなかった。

 峠に差し掛かると道から少しそれた茂みの中にテールランプが光るのを見た。
 事故車かと思ったがそうじゃないみたいだ。

 そして、車の横を通過した時、「ベタベタベタベタベタッ」
 ガラスに人の手がいくつも張り付いた。

 器用な奴等だと思ったがそれどころじゃない。
 俺はアクセルを吹かしてバイクを追った。

 その夜も、もうテールランプが見えなくなりかかっていた。

木の葉を揺らす風が揺らいでいたタバコの煙と俺の追憶をかき消した。
粋な悪戯に笑みがこぼれる。見ろよ相棒、星が綺麗だぜ。
49本当にあった怖い名無し:2006/10/27(金) 22:21:16 ID:KfR/4l0P0
僕の名前はマコト。ジョージさんの右腕だ。   …自称だけど…

ジョージさんと一緒に仕事をしていると本当に危険な目にあう。
命を狙われた事も何度もあるし、人質にされた事だってある。

 ジョージさんは危ないものを呼び寄せる。
 しかも、それを本人が楽しんでるのだからたちが悪い。

けどそれ以上に深刻な問題は女運が悪いことだ。
ジョージさんと一緒に居るせいか、最近では僕までフラれ続けてばかりだ。

今日解決したばかりの仕事も何かどろどろした愛憎劇だった。

逃げた男に追いかけた女、辿り着いたのは長野の山奥。僕の目の上のあざは修羅場の証拠だ。
愚痴ったら、探偵の仕事なんてそんなもんだ、とか言われそうだな。

帰り道を急いでいると不意にジョージさんが立ち止まった。

先日の台風で木が倒れていた、下敷きになった道祖神も倒れていた。
剥きだしになった地面が何処か気になるらしい。僕の目にはわからないけど…

僕はポケットからツールナイフを取り出して地面に突き立てた。
その下に埋まっていたものは4cm四方くらいのボロボロの木の箱。

箱を開けてみると黒いビロード?の腕輪が入っていた。
艶々しているのは綺麗だけど、あまり価値があるもののようじゃない。
手にはめてみたらちょうどぴったりのサイズだった。

ジョージさんはもう興味を無くしたようだ。
彼女にでもやれよ、そう言って歩き出してしまった。

そうしようかな、これで僕の女運も少しは上がってくれるといいんだけど…
50本当にあった怖い名無し:2006/10/27(金) 22:23:19 ID:KfR/4l0P0
俺の名前はジョージ、しがない探偵なんて稼業をしている。

「へへへ、旦那、いつもどうも。」
男は下卑た、それでいて人懐っこい笑いをすると懐に俺が渡した金を捻じ込んだ。

俺はその間周囲を警戒する。
俺とこの男が親しくしていることはあまり知られないほうがいい。

見るからにホームレスのこの男、実は新宿一の物知りだ。
表のことから裏のことまで新宿のことなら何でも知っている。
それにどんなルートを持っているのか、……俺に計るすべは無いが……
俺が受け取った大きな茶封筒、こんなものまで手に入れてきやがる。凄い奴だ。

この大きな茶封筒の中身、古ぼけた写真こそ今度の失踪事件の証拠になる筈だ。
俺はまるで人の目を盗むように、一人っきりの事務所で封筒を開いた。

どこかの湖を車の中から写した連続写真が数枚入っていた。
一枚めくるごとに黒い服の男が近づいてくる。だんだん近づいてくる。

俺は最後の一枚をめくり落胆した。そこには何も写っていなかったのだ。

俺は無言でまた写真を戻した。一枚づつめくる、男が近づいてくる。
そして最後の一枚、やはり何も写されていない、風景だけだ。

俺は懲りずに写真を元に戻した。

え?とどこからか声が聞こえたが空耳だろう。

俺はあきらめなかった。本来探偵の仕事なんて地味なものさ。

たまには立ち回りを演ずることもあるが、こうして細かい作業をするのも仕事だ。
こうなったら何か掴むまで何度だって見てやる。隅々までな。
51本当にあった怖い名無し:2006/10/27(金) 22:24:08 ID:KfR/4l0P0
俺の名前はジョージ、売れない探偵だ。
俺が暇なことを皆知っている。もちろん近所のガキも。

ことあるごとに俺に悪戯を仕掛けてくる小生意気な外国人のガキだ。
だがつい苦笑してしまう。寝顔も笑顔もまるで天使のようだ。

普段は無愛想なガキなのだが、それも仕方ないことだろう。
聞いた話では小さな頃に乳母の自殺を目撃してしまったらしい。

こんな小さな目で…こんな小さな手で…すべて抱えているのだから…

  だから今日は、子守の探偵だ。

今日は神父さんごっこをしようと言い出した。
何のことだかよくわからないが、外に出ると急に避雷針が落ちてきた。

危なかった。俺じゃなかったら串刺しにされていたところだ。

しっかり取り付けろと文句を言いに行こうとしたがやめた。子供の前だ。
怖くなかったか?と聞くと小さく頷いた。

だが急に今度はカメラマンごっこにしようと言い出した。

まったく気まぐれなガキだ。
俺は苦笑しながらガキの髪の毛をくしゃくしゃにしてやった。

本人は知っているのか知らないのか、髪の毛を掻き分けると刺青が見える。
親にでもやられたのだろうか、酷いもんだ。

俺はカメラを構えるポーズを取りながら勤めて明るく振舞うように気をつけた。

トラックが近づいているぞ。飛び出すなよ、気をつけろよ。
52本当にあった怖い名無し:2006/10/27(金) 22:24:39 ID:KfR/4l0P0
俺の名前はジョージ、しがない探偵なんて稼業をしている。

今度という今度は俺も年貢の納め時かも知れないな。
そんなことを考えて、俺はタバコの火をつけた。

俺に向けられた外しようの無い3つの銃口。
いろいろと危ない橋を渡ってきた、そのツケを支払う時が来た様だ。

逃げ場は…無い。後ろは荒れ狂う断崖絶壁だ。

騒ぎ立てる無粋な風たちが、俺の最後のタバコの煙すらなびかせない。

俺は覚悟を決めた。
あばよ、そう言い残して、俺は崖から飛び降りた。

 身体はまっすぐ、白く打ち付ける波の中へ吸い込まれてゆく。

 気を失いそうな風と音の中、水面から無数の白い手が一斉に上がるのが見えた。

シンクロの練習か?こんなときに!なんて命知らずな奴らだ!
俺は夢中で、危ないからどけ、と叫んでいた。

そこから先の記憶は無い。
気がついた時、俺の身体はベッドの上だ。

近藤刑事の顔が見えた。
マコトの顔も見えた。

 俺は……まだ、生きているのか。

後から聞いた話だが、俺は近くの海岸に漂着していたそうだ。
あのシンクロの選手たちが助けてくれた。俺は今でもそう信じている。
53本当にあった怖い名無し:2006/10/27(金) 22:26:44 ID:KfR/4l0P0
俺の名前はジョージ、しがない探偵なんて稼業をしている。
期待して取った事務所の電話は、また仕事の依頼じゃなかった。

「あなたキュルキュルでしょ?」
「いや、別に。」

我ながら取り付く島も無く、俺は受話器を置いた。
肝心な所が聞こえなかったがどうでもよかった。セールスの電話に答える気は無い。

また、電話が鳴った。
黒電話の音は嫌いじゃないのだが、同じ相手かも知れないと思うと気が重い。
こういうとき古い電話機は不便だ。

しつこい、と怒鳴り返すこともできる。
何か説教じみた事を言うことも出来る。

だが、相手も仕事でやっているのだろう。
同じ相手のところに2度もかけて来るなんて根性は立派じゃないか。

俺は苛苛した気持ちを落ち着けてから、受話器を取った。

「あなた…キュルキュルでしょ…?」 
 ──控えめな声がした。

「いえ、結構です。」

俺は丁寧に答えてから受話器を置いた。
また肝心の内容が聞き取れなかった。かなり悪質なやり方だったな。
そんなマニュアルがある…とは聞いたことがないが…

次に電話がきたら聞いて見るか…
そう考えていたのだが、それきり電話がかかってくることは無かった。
54本当にあった怖い名無し:2006/10/27(金) 22:27:15 ID:KfR/4l0P0
俺の名前はジョージ、しがない探偵なんて稼業をしている。

俺は寝返りをうち、またむせ返るような匂いの中に顔を埋めた。
すべてを溶かし、包み込む。女の肌は常に魔物だ。

再び眠りに落ちそうになったとき、俺は激しい違和感を感じて起き上がった。

  そう、無いのだ。女の首が。

俺は散らかった上着から携帯を取り出した。

俺が電話をしてから5分少々で、管轄の警官がホテルに到着。
その十数分後には数名の警官により出入り口が封鎖され、宿泊客のチェックが始まった。
一時間もしないうちに鑑識の奴らが作業を始める。日本の警察は優秀だ。

もちろん俺は第一発見者であり容疑者の一人だ。

だが、最初の警官が到着するまでの数分、俺もただ手をこまねいていた訳じゃない。
必要な情報はすべて手に入れた。

俺が寝ているうちに、俺の真横で、つい数分前におこなわれた殺人。
どうやったのか、血も一滴も出ていないし切り口もつるんとしていた。

あの女、身元がわかるようなもは何一つ持っていなかった。
警察がどこまで調べてくれるか…いや、それを俺にどこまで流してくれるか…

「ジョージ、もういいぞ。ご苦労だったな。」  

近藤刑事は俺への型通りの質問をすると、すぐに帰っていいと言ってくれた。
署へ連行する様子すらない。流石よく俺のことを解っているぜ。

みてろ、犯人は絶対に俺の手で捕まえてやる。絶対に、だ。
55本当にあった怖い名無し:2006/10/27(金) 22:27:46 ID:KfR/4l0P0
俺の名は近藤、刑事やってウン十年になる。
長いことこの職業をやっているせいで、いろんなツテや知り合いも出来た。
まぁ、それが年の功ってやつなのかも知れないな。

「ジョージ、もういいぞ。ご苦労だったな。」 

俺がそう言うと、ジョージは軽く会釈をして部屋を出て行った。
相変わらずな奴だ。やんちゃなところは子供の頃から少しも変わっていない。

恐らく本気で犯人を追うつもりだろう。
一見無愛想で冷たい奴と思われがちだが、あいつの熱い心は俺が一番良く知っている。

 ……だんだんあいつの親父に似てくる。

俺は子供に恵まれなかった。あいつは親父を失った。
親友の子だから、じゃない。
俺はまるで自分の子を見るように目を細めてその背中を見送った。


 さて…と……


俺はそれから急いで鑑識を中断させ、警官隊もすべて引き上げさせた。
もう捜査も必要ない。調書を取る必要も無い。

ゴネる警部補を部屋から追い出して、俺は女の遺体と二人っきりになった。

本当に焦って司法解剖にまわさなくて良かった。
俺は頭をボリボリと掻きながら窓を開けにいく。

ああ、ああ、泣くんじゃないよ。もう大丈夫だからな。
さ、入んな。
56本当にあった怖い名無し:2006/10/27(金) 22:29:24 ID:KfR/4l0P0
 俺の名は悟、用務員なんて時代遅れなしごとをしている、が、最近は用務員が減ってきて、機械に頼っているそうだ。
そろそろ俺も引き際かな・・・?

 ガキ共がみんな帰って先生もほとんど帰ったころ、俺は見回りをしていた。
異常なんてない・・、そう思っていたが、甘かった。異変が起こったのだ。

 それは倉庫の前で起こった、扉の周りに「赤いテープ」が貼ってあったのだ。

「ガキが、まーたこんな悪戯をしやがって、後で絞めたろか?」ベリベリベリ・・・。

 テープも回収したし、後は屋上を回るだけだ、後何回この仕事ができるやら・・。
そう思って階段を一段一段上っていく、倉庫の方から人が出てきたようだが気にしない、大方閉じ込められてたガキが出られただけだろ。

 気をつけて帰れよ。ガキ。
57本当にあった怖い名無し:2006/10/27(金) 22:30:22 ID:KfR/4l0P0
俺の名前はジョージ。流行らない探偵だ。

探偵が自由業だなんて、役人の世間知らずにも程がある。
仕事の九割はクライアントの都合と事件のなりゆきで決まる。
こっちはそれに合わせて対応するだけ。つまり、不自由業ってことだ。

メイフェアの助手席に座ってるこの女も、不自由の象徴さ。
大富豪の家出娘とくれば、高慢、自暴自棄、ひねくれ者が通り相場。
おまけにこの女、足が速い上に機転も利いて、なかなか捕まらない。
すんでの所で痴漢と叫ばれ、鉄格子のついたホテルで食い逃げ犯と同宿までさせられた。

家路についた今でも、助手席でむくれて口もききやしない。美人が台無しだ。
プライベートなら放り出すところだが、報酬を思い浮かべてハンドルを握る。
割増料金を貰わないと、今回の家出人捜索は割に合わな……危ないっ。

ぎりぎりでブレーキを掛けつつ、ハンドルを切る。なんとか白い影に衝突せずにすんだ。
停車したすぐ目の前に崖。ガードレールはない。危なかった。おい、無事か。怪我は。

返事は――死ねば良かったのに、だとさ。久しぶりに声を聞いたと思ったらこれだ。

俺はため息をつき、煙草に火をつける。視線を前に向けたまま、口を開く。
自分一人が悲劇のヒロインかよ。ぜんぶ滅茶苦茶にしてやりたいってのは勝手さ。
でも、そんなことをこの先ずっと続けるつもりか? やめにしようぜ、そろそろ……。

彼女はバックミラーを見つめて硬い表情のまま。身動きもしない。無駄だな、こりゃ。

――ごめんなさい。あなたの言う通りね。もうしないわ。
生暖かい風と共に、そんな声。拍子抜けして助手席を見る。家出娘と目が合う。

――かっこいいのね、あなた。信じられない。
ようやく気付いたか。メイフェアをスタートさせる。楽しい帰路になりそうだ。
もう一つ教えてやろう。おどろおどろしい作り声は君に似合わないぜ。
58本当にあった怖い名無し:2006/10/27(金) 22:30:53 ID:KfR/4l0P0
僕の名前はマコト。ジョージさんの一番弟子さ。……多分、一番弟子だと思う。

色々へまはするけど、実は、僕にも一つだけ得意なものがある。
パズルだ。

ぷよぷよが何連鎖かなんて一目見れば充分さ。
ルービックキューブなら、30秒あれば六面を揃えられる。
バラバラの状態から6面きれいに揃え、机の上に置くときの快感は何物にも変えがたい。

そんな僕でも、今回見つけたパズルには興奮した。なにせ、手ごわいんだ。
しかも、驚くほど精巧な作りなんだ。段階ごとに色々な動物に変わってゆくみたい。
ソフトボールくらいの大きさなのに、この世のものとは思えないほどうまくできている。

あとちょっとで完成なんだけど……。

このパズルにはまってちょうど7時間。ここまで長くかかるパズルは初めてだ。
もう二段階はクリアした。僕の勘だと、今が最終局面ってところかな。

電話の音だ。もしもし。
「ヤメテ……」
大勢のざわめきからかすかに聞き取れる声。電話を叩き切る。

だれだか知らないが、今日えらく頻繁にかかるいたずら電話だ。ダシテだの何だの。
まったく。いいところで邪魔しないで欲しいな。本当に、あと、少し、なんだ、から。

……できた!

均整のとれた正二十面体を、そっと机の上に置く。7時間と2分と3秒。
ゴミとして捨ててあったのもうなづける。普通の人じゃ歯が立たないだろう。
ダンゴの状態から、鷲、熊ときて最後は正二十面体だ。大げさに言えば、美の極致、かな。

あ、悪いけど、これからパズルについちゃマコト「様」と呼んで欲しいな。
59本当にあった怖い名無し:2006/10/27(金) 22:31:24 ID:KfR/4l0P0
 俺の名前は悟、用務員なんて時代遅れな仕事をしている。

 最近では「お悩み相談室」のようになってしまっているがまあ、いいだろう。
そんな俺が生徒の悩みを終え、まったりしていると、最近感じるのだ。

 視線を。こちらをじっと見ている視線を。

 (おなやみか・・・・、)そう思って視線の方に目を傾ける。もちろん目を合わせる。

 見つめあう二人………ぽっ……ぽっ。

 「ば、馬鹿野郎、子供は帰って宿題でもしろ!!」
あぶねえ、思わずこそばゆい感情が湧き上がってきちまった・・・、不覚だぜ。

 と、視線のした方から、消え入る声で何かしゃべっているのが聞こえた。

「………いくじなし………バカ」

 それ以来「視線」は感じない、せっかく仲間が増えると思ったのに、そんな俺は一人酒。
60本当にあった怖い名無し:2006/10/27(金) 22:31:55 ID:KfR/4l0P0
俺の名前はジョージ、タキシードに蝶ネクタイなんぞしているが、一応探偵だ。
今夜はミキに連れられて、ある有名な政治家のパーティに呼ばれている。
ミキは女だが一流の弁護士だ。大胆なドレス姿に今夜はまわりの女が霞む。

パーティは東京湾を一周する船の上で行われていた。
どうも俺はこういう場が苦手だ。俺は一人で甲板に逃げた。

 ──生暖かい風が流れた。すると海の中から大きな黒い人影が現れた。

「ひしゃくをよこせ。ひしゃくをよこせぇ。」

確か鏡割りをした筈だ。俺はスタッフに頼んで柄杓を一本持ってきてもらった。
渡すと、黒づくめの男は底を確認して、にやりと笑った。

黒づくめの男は柄杓で海の水をすくっては甲板に投げ入れる。
何度も何度も投げ入れて、甲板がびしょぬれになってきた。

 …こいつは何がしたいのだろう…   俺も酔っていた。

こいつが何の目的でこんなことをしているのか、俺にはまだ理解できなかった。
まさか、この船を沈めようとしているのか?

いや、そんな筈は無い。全長80m、2,000トンを越える客船だ。
柄杓一本でどうこう出来る代物ではない。

パーティが終わりに近づいていた。男の水を入れる速度が早くなった。
必死に海水をすくっては甲板に投げ入れる。だが、水は空しく排水溝に流れるのみだ。

間に合わないのだろうか。手伝おうか、と言ったが断られた。根性はあるらしい。

船が港に戻る少し前に、男は俺に柄杓を返して泣きながら海へと沈んでいった。
本当にあいつは何がしたかったんだ。
61本当にあった怖い名無し:2006/10/27(金) 22:32:26 ID:KfR/4l0P0
俺の名前はジョージ、しがない探偵なんて稼業をしている。
人が居付かない部屋というものがある。今回の依頼はその原因の究明だ。

その部屋というのはあるアパートの2階の端、7段ある階段を上ったすぐの所。
聞いた話によると毎晩、子供の声で階段を1段づつ上る声がするらしい。

 初日は「かいだんひーとつのーぼった」
 2日目「かいだんふーたつのーぼった」

いままでの住民は全員、7日目、つまり子供が上りきる前に逃げ出していた。
気味が悪い、という理由だ。

だが、ついに7日間耐え切った男が現れ、そしてその男は7日目に変死した。
死因は心臓麻痺。“何か”を見てショック死した説が濃厚で事故扱いとなった。
その“何か”は不明。何が起こったのか、それを知るのは死んだ男だけだ。

ここまでは警察の捜査で判明したことだ。
だが事故では困る保険会社から俺に依頼がきたというわけだ。

 まったく、…せちがらい世の中だぜ。

俺は客に成りすましてその部屋の賃貸契約を済ませた。
もちろん、一週間だけそこに住んでみるつもりだ。

俺が住み始めてから確かに毎晩子供の声がした。
毎晩一段づつ上ってくる。律儀に毎晩、同じ時刻に。……そして7日。

特殊なメイクをし、鉈を持って登ってきた大家は俺に簡単に取り押さえられた。
事前に連絡を入れて警官を配置してもらっていたから話は早かった。
俺の調査で大家には随分と借金があったことがわかっている。

 ふん……、まったく、せちがらい世の中だぜ。
62本当にあった怖い名無し:2006/10/27(金) 22:32:56 ID:KfR/4l0P0
私の名前はミキ。弁護士よ。
自分で言うのもなんだけど、まだ一度も負けたことは無いわ。

この間、5月に仕事の打ち合わせに行ったら不思議な出来事にあったわ。
降りてくるエレベーターの中から子供のはしゃぐ声が聞こえてきたのよ。
私は1階で待っていたのだけれど、ドアが開いても誰も出てこなかったのよね。

打ち合わせの相手は私が困ったときに手を貸してくれる探偵。ちょっといい男。

それからしばらくして彼に電話して報告を聞くと、そのあとで彼がこんな話を始めた。
「最近ガキが夜中に廊下で騒ぐんだが、叱ろうと思っても誰も居ないんだよな…」

私は5月の出来事を思い出して、何か言おうとしたその時。
「おい、来てるぞ。…しかも入ってきやがった。」

受話器の向こうで子供の笑い声がしたと思うと、電話はそれきりプツッと切れたの。
私は急に怖くなったわ。こんな話をどこかで聞いたことがあるのよ。
確かその話の中で、男は殺されたとか、行方不明になったとか……

冗談じゃない、私はすぐに彼の仕事仲間に連絡を取ったわ。

五分…十分…連絡は来ない…もう、何してるのかしら。
私は爪を噛みながら自分でもおかしいくらいに事務所の中を歩き回った。
どんどん嫌な予感が膨らんでゆく。私がこんなにも取り乱すなんて、ふふっ、変よね。

電話が鳴った。相手はすぐに「マコトです。」と名乗った。

「いやぁ、連絡していただいて助かりました。
ジョージさん、子供相手にお説教始めちゃってて。
何しろもうこんな時間ですからね、……もしもし?聞いてます?」

私は無言で受話器を置いた。そうね、そういう奴だったわ。
63本当にあった怖い名無し:2006/10/27(金) 23:09:41 ID:q81y1T+r0
うわ、連続投稿規制に引っかかって、仕方なく仕事行ったら残り全部移動してる。
乙でした。

これからジョージはこっちでってことですよね。
とりあえず繁栄age
64本当にあった怖い名無し:2006/10/27(金) 23:59:50 ID:Zq2PQo1WO
私立探偵ジョージ
相棒兼助手マコト
探偵事務所の大家(名前不明)
ベテラン刑事近藤
弁護士ミキ
用務員悟

…登場人物増えてきたなw
65本当にあった怖い名無し:2006/10/28(土) 02:17:35 ID:qyHWIR0E0
実は大家の名前が決まらなかったりします(苦笑)
66本当にあった怖い名無し:2006/10/28(土) 02:40:30 ID:prtyn2Is0
>>65
あ〜っ!元祖ジョージの作者さんですか?
ジョージが登場してから、オカ板で最も楽しみなスレになりました。
こちらに移動しても素敵な作品お願いします。

大家さん・・・。そういえば「サリョじゃ」の時も名前出てなかったんですね。


67本当にあった怖い名無し:2006/10/28(土) 12:38:53 ID:6eiuj2t1O
女弁護士がミキなら、もういっその事大家はアヤでもいいんじゃないかと思った
68本当にあった怖い名無し:2006/10/28(土) 14:20:48 ID:kyPIuuDF0
ハンバーグ工場の第4製作ラインにジョージが来てた
…無事に出れたんだろうか…
69本当にあった怖い名無し:2006/10/29(日) 01:50:00 ID:MbTFoYJ60
ジョージの本名は城島健二説をとなえてみる
70本当にあった怖い名無し:2006/10/29(日) 03:21:44 ID:dRyDL/3oO
城島射蹴流

ううん、なんでもない
71本当にあった怖い名無し:2006/10/29(日) 03:28:03 ID:aBbEgRNj0
(lll゚Д゚)ヒィィィィなんでジョージがあのハンバーグ工場に…
と、思ったらしっかり話しになってんのね。

ジョージ、生きて帰ってこいよ!
72本当にあった怖い名無し:2006/10/29(日) 03:31:43 ID:aBbEgRNj0
ジョージ生還祈願ついでにこれも移動

俺の名前はジョージ。

あれはちょうど一年前にこの道を通った夜のことだった。
まるで昨日のことのように今はっきりとその事件を思い出す。
大雪が降ったせいで車は長い列を作り、どこまでも続く赤いテールランプが綺麗だった。

何でもないような事が 幸せだったと思う。
何でもない夜のこと 二度とは戻れない夜


73本当にあった怖い名無し:2006/10/29(日) 16:49:14 ID:qjBOPcOtO
この流れなら言える。ハンバーグ工場スレにジョージを書いたのは俺。
74本当にあった怖い名無し:2006/10/29(日) 22:30:41 ID:HxmsCIkyO
誰か 元ネタまとめ たのむ
75本当にあった怖い名無し:2006/10/29(日) 23:36:30 ID:hvLd4MS80
では、ジョージ書き始めたものとして責任もって元ネタ編集させていただきます。
えっと、私を含めて6〜8人くらいの方が書いていますでしょうか。もしも元ネタが間違っていたときには指摘をお願いします。

元ネタが怪談ではない場合、またジョージ違いなどお笑いネタには(・∀・)この顔文字を。

それでは>>15さんに引き続き>>18から

>>18 雪山で四隅で一人多い
>>19 テケテケ
>>20 ガキの使い 今田から聞いた怖い話
    ttp://www.youtube.com/watch?v=iEgyNqA-bT0
>>21 猿夢
>>22 ウヅガアさん
>>23 (・∀・)
>>24 呪いのリカちゃん人形(電話)
>>25 リング
76本当にあった怖い名無し:2006/10/29(日) 23:40:49 ID:hvLd4MS80
>>26 リョウメンスクナ
>>27 リング
>>28 (・∀・) メリーさん
>>29 長年連れ添った仲の良い老夫婦が…
>>30 ひきこさん
>>31 自己責任
>>32 むじな
>>33 トイレの花子さん
>>34-35 トイレの花子さん
>>36 番町皿屋敷
77本当にあった怖い名無し:2006/10/29(日) 23:48:33 ID:hvLd4MS80
>>37-38 メリーさん
>>39 サリョじゃ!サリョじゃ!
>>41 くねくね
>>42 くねくね
>>43 (・∀・)
>>44 口裂け女
>>46-47 マンホールの上を…
>>48 フロントガラスの内側に手の跡
    首なしライダー
    ベタベタベタベタベタッ
>>49 かんひも 
78本当にあった怖い名無し:2006/10/29(日) 23:55:36 ID:hvLd4MS80
>>50 怪談新耳袋 「水辺の写真」
    ttp://www.youtube.com/watch?v=XAJvvApE3Po
>>51 オーメン
>>52 写真を撮ったら手がいっぱい
>>53 キュルキュル
>>54 ろくろ首
>>55 ろくろ首

あら、ここで>>56の元ネタを知らないことに気がつきましたorz
なんかそのまますんなり読んでしまいましたが…

作者さんかどなたか元ネタを教えてくださいm(_ _)m
79本当にあった怖い名無し:2006/10/30(月) 00:01:42 ID:y4VQuDVt0
>>57 良い人と思ったら「死ねばよかったのに」
>>58 リンフォン
>>59 隙間女
>>60 舟幽霊
>>61 かいだんひーとつのーぼった
>>62 稲川淳二の怪談〜先輩の話〜

あら、ようつべ消されてますね^^;
まぁ、大手に売られた宿命。仕方の無いことですが…

>>72 (・∀・)
80本当にあった怖い名無し:2006/10/30(月) 00:13:48 ID:y4VQuDVt0
これで全部…かな。
もしも抜けていたり、ミスがあったときにはご報告いただければ嬉しいです。

>>62 のもとの話はご想像通り、マンションの住人である稲川さんの先輩が、子供の声を最後に失踪してしまうという話です。
(実際には電話の時点ですでに部屋には居なかったらしい。)

最後の展開と子供の声が確か

「ねえ、この人寝てるの?」
「ううん、死んでるんだよ。」

プツッ、ツーツーツーツー

だったかな。それで折り返して電話しても出ない…という話だったかと。


応援してくれる方、どうも有難うございます。いつも嬉しく思っています。
ちょっと仕事が忙しくなってきたのと、なによりネタが少なくなってきたのでぼちぼちと細々と投稿していきたいと思っています。
よろしかったら、また読んでやってください。

ジョージ系(こう呼ばれて嬉しかったです^^)書いているものの代表としてお礼を申し上げます。

では、また何か書きあがりましたら投稿します。
引き続き、大家さんの名前募集中(笑) このままだと>>67さんの意見を採用することになるかも…
81本当にあった怖い名無し:2006/10/30(月) 14:55:17 ID:gue4koWa0
>>75-80
乙です。
お仕事が忙しいそうですが、投稿を楽しみにしていますのでこれからもよろしくお願いします。
やはりコテは付けないんですか。
ジョージの生みの親の作者さんには特別な思い入れがあるんだけどなぁ。
気持ち悪かったらゴメンナサイ。
82ぽんぽん:2006/10/30(月) 20:35:38 ID:WOl9zzDt0
 >>56の元ねたは、「回路」という加藤晴彦、小雪が出演した映画です。
「赤いテープ」は開かずの間を作るために使われたもので、
それをはがすと、中にいる人(?)が出てきてしまうと言うものです
83本当にあった怖い名無し:2006/10/31(火) 00:28:49 ID:cxR1G7KBO
どなたかトミノをジョージ系に改変して下さい(´・ω・`)
84本当にあった怖い名無し:2006/10/31(火) 19:33:03 ID:AsbWgPaB0
俺の名前はジョージ、しがない…いや、今はそんなことはどうでもいい。
この山小屋に閉じ込められてもう3日。そろそろ限界、か。

外は何時止むとも知れない猛吹雪。電気も通信手段もとうの昔に切れている。
燃やせるものも燃やし尽くして、いまや炎すら乏しくなってきた。
こんなひと部屋しかない小さな山小屋じゃ、もう何も燃やせるものは残っていない。

食料と水はある。問題は寒さだ。
この猛吹雪の中で捜索が進んでいるとも思えない。

自然は絶対だ。人間の力など、この自然の猛威の前にはまったくの無力だ。
ただ、俺たちはじっと息を潜めて耐えるしかなかった。

時間のわからない薄暗い部屋の中に、重くるしい空気が漂っていた。

ヤバい。俺はともかく、他の登山者たちがもたない。
中でも一番高齢の、あの年寄りは果たして今夜を越えられるかどうか。

毛布にくるまっていても解る。寒さに震えている。

登山家の仲間同士で身を寄せ合って暖を取っているが、震えは止まらない。
だからといって、俺に何が出来るでもない。
ただ、耐え切ってくれることを願うのみだった。

明日になれば……そんな儚い希望に誰もがすがりついていた。

皆が寝静まった頃だろうか、俺は老人の様子を見に起きた。
山小屋の扉が開いているのに気が付いたのはそのときだ。

咄嗟に誰か出て行ったのか、と見回し、全員居ることを確認する。
そして、一人増えた影にじっと視線を向けた。
                             to be continued...
85本当にあった怖い名無し:2006/10/31(火) 19:33:35 ID:AsbWgPaB0
あの老人の上に誰かが屈み込んでいる。暗くてよく解らないが、女、か?
山小屋の中に女は居なかった。するとあの女が…入ってきたのか?

俺はわざと音を立てて扉を閉めた。驚いたように女が振り返る。
薄暗い部屋の中でも解る。ぞっとするほどのいい女だった。

老人は死んでいた。殺人だ。着ていた衣服が濡れていた。

都会でも凍死は起こる。濡れた服では3時間もすれば体温がすべて奪われる。
ましてやこんな雪山では。

ざっと検死を終えると俺は女を振り返った。
凍りつくような目。こいつが犯人なのか…
俺が問いただそうとした時、先に女が口を開いた。

「私じゃないわよ。」

「正直に言うけど、私が殺すつもりで入ってきたのよね。」
復讐、か、女の目がそう語っていた。そのためにこの猛吹雪の中を。

「でも一歩遅かったわ。私が来たときにはすでに…」

俺はタバコに火をつけた。よく見るとなんて薄着の女だ。
こんな着物一枚でこの雪山を。まったく、女は怖い。

「つまり、犯人は…この中に居るのよ。」

外は相変わらずの吹雪だ。この山小屋は自然の密室になっている。
ひと目で殺人だと見抜いた。この女、いい女の上になかなか切れる。

とんだ相棒が出来たもんだ。俺たちは顔を見合わせて笑みを浮かべた。
それじゃ、寝た振りしている犯人を追い詰めるとしようぜ。
86本当にあった怖い名無し:2006/10/31(火) 19:34:48 ID:AsbWgPaB0
俺の名前はジョージ、しがない探偵なんて稼業をしている。
あいつと出逢ったのも、こんな静かに雪の降る夜だったか。

あいつは寂しくて、悲しくて、そして美しい女だった。

あいつは子供の頃娼婦として売られた。まだ15歳の頃だ。
姉と妹が居たが、姉は病気を患って寝たきり。
妹はまだ幼かったし、あいつほど綺麗な顔立ちをしていなかったからだ。

姉は健康なあいつの身体を羨み。
妹はあいつの綺麗な顔立ちを羨んだ。

姉は事あるごとにあいつを罵倒し。
妹は事あるごとにあいつに辛くあたった。

酒びたりの父親と気の弱い母親。

そして、あいつは売られていった。
貧しくて、寂しい家庭。そんな思い出しか無かったという。

 ──こんな姿で出会いたくなかったな

そう言ったあいつ。

 ──ねえ、もし私が死んだらさ、ずっと一緒に居られるね

そう言ったあいつ。

いつも俺をわざと苛立たせるあいつ。

そして、雪を待たずに逝ってしまったあいつ。
もう決して会うことの出来ない赤いピアス。俺は一人で雪を踏みしめる。
87本当にあった怖い名無し:2006/10/31(火) 19:39:11 ID:AsbWgPaB0
ぽんぽんさん、元ネタどうもです。
それにいつも応援してくれる方、嬉しく思っています。

コテや鳥はつけるつもりはありません。
今までそれでやってきちゃいましたし、他の方にもネタ使っていただきたいので^^

あと>>56の元ネタ間違ってましたね、自分で書いたのにorz

>>56 番町皿屋敷 ではなく、播州皿屋敷でした。すみません。

>>84 トミノの地獄
をジョージ風に解釈してみましたが…あまり反撃になってないような…
88本当にあった怖い名無し:2006/10/31(火) 19:40:19 ID:AsbWgPaB0
しかも安価間違えてるしorz

>>56 ×
>>36 ○ でしたorz
89本当にあった怖い名無し:2006/10/31(火) 19:52:10 ID:AsbWgPaB0
>>84 も間違えてるしorz
>>86 でしたね^^; 何やってるんだ私orz

>>84-85 雪女
>>86 トミノの地獄

ですorz
90本当にあった怖い名無し:2006/10/31(火) 21:18:09 ID:cxR1G7KBO
>89
ありがとうございます!
まさかとは思いますけどトミノ音読とかはしてませんよね?
因みに私は怖くて出来ませんでした^_^;
91本当にあった怖い名無し:2006/10/31(火) 22:30:16 ID:K9yIoN6L0
>>84-89
乙です。
コテ鳥なくても、いつも最初の作者さんと分かれば良いのですが・・・
早速リクエストに答えてさしあげるとはさすがですね。

──ねえ、もし私が死んだらさ── この台詞、前にもありましたね。
なんとなく気になっていましたが、こういう形で来ましたか。

アンカーミスはご愛嬌w
92本当にあった怖い名無し:2006/11/01(水) 01:43:54 ID:q0l+TXuf0
>>83
俺の名前はジョージ。
どうやらこれは死にまつわる詩らしい…

姉は血を吐く、妹(いもと)は火吐く、
可愛いトミノは宝玉(たま)を吐く。
ひとり地獄に落ちゆくトミノ、
地獄くらやみ花も無き。
鞭(むち)で叩くはトミノの姉か、
鞭の朱総(しゅぶさ)が気にかかる。
叩けや叩きやれ叩かずとても、
無間(むげん)地獄はひとつみち。
暗い地獄へ案内(あない)をたのむ、
金の羊に、鶯に。
皮の嚢(ふくろ)にやいくらほど入れよ、
無間地獄の旅支度。
春が来て候(そろ)林に谿(たに)に、
暗い地獄谷七曲り。
籠にや鶯、車にや羊、
可愛いトミノの眼にや涙。
啼けよ、鶯、林の雨に
妹恋しと声かぎり。
啼けば反響(こだま)が地獄にひびき、
狐牡丹の花がさく。
地獄七山七谿めぐる、
可愛いトミノのひとり旅。
地獄ござらばもて来てたもれ、
針の御山(おやま)の留針(とめばり)を。
赤い留針だてにはささぬ、
可愛いトミノのめじるしに。
何でもないような事が 幸せだったと思う。 
何でもない夜のこと 二度とは戻れない夜 
93本当にあった怖い名無し:2006/11/01(水) 01:49:15 ID:3HYpgZiA0
次スレのタイトルは
【ロード】ジョージと愉快な仲間たち【禁止】にすべきだな。

やられちまったよ、>>92…。
94本当にあった怖い名無し:2006/11/01(水) 02:03:55 ID:qv/vBysc0
>>92
ちくしょう、不覚w これはやられたww
ロード禁止っwww
95ぽんぽん:2006/11/01(水) 20:35:11 ID:pBL1kVcn0
まさかこんな手でくるとはな・・・。
96本当にあった怖い名無し:2006/11/01(水) 23:49:22 ID:qv/vBysc0
何度読んでもロード凄いな。最後まで声出して呼んでも呪われる気がしない。
そのうち誰かが「みちのくひとり旅」もやりだす気がするがな。
97本当にあった怖い名無し:2006/11/02(木) 04:21:54 ID:LDsabpdqO
ジョージ大好きなんだが、作者や住人同士の馴れ合いレスは正直、気持ち悪いな…
多少殺伐してたほうがクールでいいよ
作品はいいのに、やり取りが同人ぽくてガッカリする
98本当にあった怖い名無し:2006/11/02(木) 11:41:00 ID:179q4qoT0
まぁそれも隔離スレの弊害ってことかな・・・すまんね、ジョージも好きだが雑談も好きなんだ
過疎ってるし、ageで
99本当にあった怖い名無し:2006/11/02(木) 16:32:59 ID:BbQaUto60
>>97
言いたい事をハッキリ言うねw
ならクールに反撃スレに戻すか?あそこなら殺伐と出来るぜ。
100本当にあった怖い名無し:2006/11/02(木) 17:03:01 ID:W/9UFm9d0
100物語
101本当にあった怖い名無し:2006/11/02(木) 21:25:33 ID:acfZiQZCO
101人ジョージ
102本当にあった怖い名無し:2006/11/02(木) 23:44:42 ID:mHhVIvLY0
ロード第102章
103ぽんぽん:2006/11/02(木) 23:49:29 ID:i4+XzmZR0
 俺の名は悟。用務員なんて時代遅れな仕事をしている。

 ちなみに俺が今いる場所は、ちょっと変な用務員室、ではなく、和風趣味ムンムンの校長室だ。
今日は校長の爺(ちょっと失礼か?)が飲もうと言うので、こうして飲んでいる。

 (それにしても、普通の人間と飲むのは久しぶりだな・・・)
ここんところ、殆ど普通のやつとはは飲んでなかった所為か、こんなことをつい思ってしまう。

「そういえば悟君、いや、そう硬くしないでくれ、別にリストラの話ではない」
俺はそんなことはしていないのだが、どうやらそう見えてしまったらしい、こいつは残念だ。
そしてどういう用件かを切り出したところ、校長は、

 「じつは、これのことなんじゃが」
と言い出して、机の中から取ってきたのは、「オルゴール」それも結構な値段がしそうなやつだ。
だが、同時に妙な感じもする。
 
 「じつはな、このオルゴール、青森への出張の帰りに買ってきたんだが、まあ詳しい話はこれを聞いてからだ」
と言うや否や、早速校長はねじを回し始めた。

 キリキリ・・キリキリ・・聞いてて和む曲が流れる。
104ぽんぽん:2006/11/02(木) 23:50:00 ID:i4+XzmZR0
「校長、綺麗な曲じゃないですか」
「そう聞こえるだろうねえ、でも、よ〜く聞いてごらん、女の人の声に聞こえてこないかい?」
「そうですかねえ。じゃもう一回聞きますか」

 キリキリ・・・キリキリ・・・また同じ音楽が流れる。

 ん?俺はすぐに異変に気づいた。
確かに女がうめいてるように聞こえる、しかしもうひとつ異変があった。

 足音が聞こえてくるのだ。それも駆け足をするような音が。

「校長、そういや買ってから開くのってこれで何回目ですか?」
「ああ、そういやこれで3回目くらいか、最も最初の2回はすぐに閉じてしまったんだけどね」
「その間足音とかは聞こえなかったですか?」
「いいや、どうだったかな〜、覚えてないな、なんか起こりそうで今日までしまっておいたんだから、ってそういう事は足音が近づいてるってことなのか?」
「まあ、そうです。いったん閉じてみますか」
 
 パタン、俺はオルゴールを閉じた、すると突然、足音がやんだ。そのとき、俺の中にある考えが浮かんだ。

「校長先生、面白い考えがあるんだがいいかな?」ちょっと口調が変わっちまった、まあ気にするな。
「まあいいだろう、でどんな考えなんじゃ?」

 俺は校長にアイデアのすべてを説明した。

 そして決行。
105ぽんぽん:2006/11/02(木) 23:50:32 ID:i4+XzmZR0
まず俺たちは、オルゴールを開けて、やつが来るのを待った。すべてはあけないと始まらない。

 鳴り響く心地よい音色、部屋で待つ二人の男、オルゴールから響く女のうめき声、そして一目散にこっちへくる足音。それがこの状況のすべてだ。

 そしてオルゴールからの声とかぶるように、廊下のほうから女のうめき声が聞こえてきた。

 「今です、校長!!」
 「わかった、悟君」

 そういうと校長はふたを閉める、しかし閉めても閉めても、開けようと蓋があがってくる。
だが、当然予想済みだ、そして校長と俺はガムテープでオルゴールをぐるぐるに、何重にも巻いた。

 そして、足音は止まった。

 校長室から出て廊下を見渡して見ると、いた。女が、しかも走っている姿勢のまま硬直している。
さすがにこいつはおかしすぎる、いや、面白すぎる、俺は校長を呼んで、これを見せた。
笑っている校長、ニヒルっぽく微笑む俺、すっごい悔しそうな顔でこちらをにらむ女、これが今の俺らの状況だ。
106本当にあった怖い名無し:2006/11/03(金) 00:04:35 ID:ZEGaL8V50
怪談新耳袋 第14話 『現場調書』より
ttp://www.youtube.com/watch?v=7sqsNFI0mvk


「もう一度、聴きます。深夜一時四十分頃、
あなたは国道222号線を東京方面に向かって走っていた。
すると、若い女性があなたの車めがけて走ってきた。…間違いないね?」
「はい、出張の帰りに遅くなって急いでたんですけど、
カーブも多いし、そんなに、スピードは出ていなかったと思います。」

「気付いたら助手席に縛られた女が転がっていた…で、女は…?」
「怖くなって目を閉じて、目を開けると消えていました。」
「で、ここまで歩いてきた、と。」

「…内藤さん…あなたの言っていることが嘘だとは思わない。
ただ、調書には、小動物を人間と見間違えて急ブレーキを踏んだと
書いておくけども、いいかね。…ん?内藤さん?どうされました?」
「は、はい…そ、そう書いておいてください。」


「近藤さん…どう思います?」
「どうもこうもないだろう。早く行って女性を救出だ。」
「するとやはり…」
「最近は変な、ええと、その、なんだ、プレイ?が流行っているらしいからな。
その一環だろう。頭を強く打って混乱しているんだな、ありゃあ。」
「わかりました。」
「助手席に居る女性は不自然な体勢らしいからな、これで死なれでもした日には、
それこそ化けて出てくるかも知れんぞ。」
「またまた〜、ご冗談を。」

「はははははは」
「あははははは」
107本当にあった怖い名無し:2006/11/03(金) 12:29:19 ID:JMyimvc/0
>>103-105
ぽんぽんさん、すみません。これは元ネタは何でしょうか?


>>106
乙です。
知らないネタだったので、元ネタを載せていただいて助かりました。
「水辺の写真」の映像も終わりの頃にギョッとしましたが、これも怖い・・・
108ぽんぽん:2006/11/03(金) 17:29:46 ID:8YKvdfpx0
元ねたは、新耳袋の「オルゴール」というやつです。設定を学校風に変えました。
どうだったでしょうか、評価お願いします。
http://www.youtube.com/watch?v=EeWu7CSMSa8←元ねた。
109本当にあった怖い名無し:2006/11/04(土) 01:02:34 ID:+ygvt2xK0
うーむ、悟がだんだん鬼畜の本性を現してきているような気が…
110107:2006/11/04(土) 01:08:28 ID:axAQcQPK0
>>108
ぽんぽんさん、ありがとうございます。
これも新耳袋なんですね。やはり元ネタを知ってからのほうが読みやすいですね。

思い切り反撃してますねw
走っている姿勢のまま硬直している彼女はその後どうなるのでしょうかw
111107:2006/11/04(土) 01:12:06 ID:axAQcQPK0
ジョージの作者さま

大家さんの名前、
時々登場する?ロードの高橋ジョージ嫁の名前「美佳」はどうかと思ったのですが、
弁護士さんが「ミキ」さんですからね。
それに「理香」さんもいるし・・・。まぎらわしくてダメですね。


1121/4:2006/11/04(土) 01:55:17 ID:Oqxp6M8p0
俺の名前はジョージ、しがない探偵なんて稼業をしている。

『私立探偵』なんて聞こえがいいが、舞い込む依頼は浮気の調査に失踪人の捜索が主だ。
ああ、あと裁判に有利な証人を探し出したりもするな。こいつは主に弁護士のミキからの依頼だが。

とどのつまり、探偵なんてものは警察よりも地味な調査と捜索の繰り返し。
――もっとも、仕事なんてものは、大概ルーチンワークと相場が決まっているもんだ。

「よろしくお願いします」

会釈して帰っていった依頼人は、マコトの中学時代の同級生で、今はテレビ局に勤めているらしい。
俺は彼が置いていった取材テープをビデオデッキに挿し込んだ。
古びたブラウン管に、ある廃ビルに入った学生が相次いで失踪した事件を伝える女性リポーターの姿が映る。

「わ。けっこう、可愛い子ですね」

……お前の頭には女の事しかないのか。
寝ぼけたことを言ってるマコトのことはさておくことにしよう。

依頼人の話では、このリポーターとカメラマン、そしてディレクターの三人もこのドキュメンタリーを撮影中に失踪してしまったという。
彼はこの『お蔵入りフィルム』を再構成して、放送しようと考えているそうだ。
で、その当時の状況を再調査するために、俺に依頼を持ちかけてきたということだ。

資料として借りたテープには、様々なものが映っていた。
4人目の被害者の、失踪直前のインタビュー。彼らが立ち入った廃ビルの、3Fに描かれていた『Z』の文字。
3番目に失踪した看護学生のノートに殴りつけるような筆記で記された真っ赤な『Z』。
そして……ビデオの最後には、事件の鍵を握る男の姿が映っていた。
1132/4:2006/11/04(土) 01:55:48 ID:Oqxp6M8p0
「……まさか」

俺はすぐさまビデオを止めた。俺の考えが正しければ、これはただの失踪事件じゃないかもしれない。
未だに状況を飲み込めていないマコトに、二つ三つの調べ物を頼むと俺は愛車のメイフェアに乗り込んだ。
アクセルを踏み込みながら、タバコに火をつける。低いビートを刻むエンジン音とニコチンが、俺の思考をクリアーにしてくれる。

問題の廃ビルの前に着いた頃には、陽は半分近く沈み、辺りに街中だというのに深い夜の帳が降りようとしていた。
ペンライトを片手にビルに侵入しようとした矢先、携帯電話が鳴った。マコトからの着信だ。
まったく、アイツはタイミングが悪い。俺はビルの中に入りながら、マコトの話に耳を傾けた。

「ジョージさんの言ったとおりでしたよ! あのディレクター、借金で首が回らなくなってたみたいです!」
「ああ。やっぱりな」

電話の向こうで早口にまくし立てるマコトは、かなり興奮した様子だった。
だが、逆に俺の心は深く深く冷え込んでゆく。
ああ、くそ。俺の推理が正しいって事は、失踪した連中は皆――

壁に描かれたZの文字が、ペンライトの弱い光の中に浮かび上がる。
俺は身を強張らせた。問題の3Fに着くやいなや、自分のものではない足音が階段をゆっくりと上がってきていた。
1143/4:2006/11/04(土) 01:57:39 ID:Oqxp6M8p0
ははっ。キナ臭くなってきたじゃないか。

「マコト、1時間して俺から電話が無かったら……近藤さんに連絡しろ。いいな」
「えっ!? ちょ、ちょっとジョージさ――」

携帯を切り、階段を上がってきた人物に俺は振り返って言った。

「ここは取引にはうってつけの場所――そうだろ?」

相手は答えない。だが、俺は言葉を続けた。

「あの学生たち、いや第一の失踪者はお前たちの取引現場を見てしまった。だからその場でいなくなった。違うか?」

暗闇の中、奴が首肯したのが雰囲気で分かる。さらに俺は続けた。

「他の三人の居所は、最初の一人から情報を得たんだな。そして、一人ずつ失踪に見せかけて誘拐した。
 一気に三人もの人間がいなくなれば、誰だって怪しむ。それを懸念したんだろうが、結果は同じだった。
 最後の一人がテレビ局に自分の現状を話してしまったからな」
「……ああ」

低い声で、奴はうなずいた。
ゆっくりと、こちらに近づいてくる。俺はポケットの中の携帯電話を握り締めた。

「だから、あんたたちはあのディレクターに取引を持ちかけた。
 奴が借りた総額を調べるのは難しいことじゃない。人を使って調べればすぐに分かることだ。
 そして、奴の借金をチャラにする代わりに、取材中に事故があったように見せかけさせたんだ」
「その通りだ。正直なところ、あんな子供だましのトリックと臭い演技で騙されてくれるか心配だったがね」

近寄ってくる男を牽制するようにペンライトの光を当てる。
果たして効果があったのか、男は見えない壁でも出来たかのように歩を止めた。
1154/4:2006/11/04(土) 01:58:52 ID:Oqxp6M8p0
ペンライトの先に映るのは、灰色の作業着と黒色のズボンと、恰幅の良い体格。
奴は、かすかな光の中でおかしそうに笑ってた。

「それで、君はどうするのかね?」
「……こうするだけ、さ!」

その腹立たしい笑み目掛けて、俺は持っていた携帯電話を力いっぱい投げつけた。
奴が怯んだ隙に、俺はすぐさま駆け寄り、ベルトの上に乗った贅肉たっぷりの腹へ膝蹴りを叩き込む。
ウシガエルが潰れたような声を上げて、男は膝を折って床に崩れ落ちる。
青汁でも飲んでいたのか、緑色の反吐を吐き、男は苦悶の声をあげてのた打ち回っていた。

「お前らに消された人たちの苦しみを、少しでも味わっておくんだな」

足元で痙攣する悪党に吐き捨て、俺は投げた携帯電話を拾い上げた。



後日――
俺は応接用のソファーに寝転びながら、暗鬱な気分でタバコをふかしていた。
結局、失踪者の消息は最悪の形で判明することとなった。
世の中の全てにハッピーエンドを期待できるほど、俺は餓鬼でもロマンチストでもない。
けれど、あのビデオの中で一生懸命にレポートしていた彼女の努力が報われないのが、不公平で、ただ、許せないだけだ。

元ネタ:放送禁止「ある廃ビルにかかわり失踪者続出」
ttp://swfblog.blog46.fc2.com/blog-entry-800.html
116本当にあった怖い名無し:2006/11/04(土) 08:57:34 ID:aZlNrooU0
ジョージ長編ktkr!しかもめちゃくちゃカッコイイ(・∀・)
さらに約50話目にして初めて「推理」なんて探偵らしいことをしてるなw
117本当にあった怖い名無し:2006/11/04(土) 18:43:30 ID:7lJ1qOt60
クールに反撃の次スレは?
118本当にあった怖い名無し:2006/11/04(土) 18:54:19 ID:LVT6ImcoO
>>117
誰も立ててないみたいですよ。
立てる前に『もうすぐ1000だから、埋めよ〜っ』て、流れに・・・。
119ぽんぽん:2006/11/04(土) 20:35:26 ID:/3kt55nZ0
http://hobby7.2ch.net/test/read.cgi/occult/1162637853/1-100
立ちましたよ、次のすれ。そろそろ次の悟でも書くか。
120本当にあった怖い名無し:2006/11/04(土) 21:21:06 ID:NKHAkxoNO
大家の名前、サオリとかシオリとか
何となくそんなイメージ
121送り狼 ◆weJoc1mo9Y :2006/11/04(土) 23:32:40 ID:IgIn0WJc0
僕は岡島、まだまだ駆け出しの新米巡査です。
近藤のおやっさんのような渋い刑事になるのが僕の夢なんです。

僕は今、小学校近くの竹林にある小屋での、中年女性の首吊りについて調査しています。
まぁ、状況からみて自殺に間違いはなさそうなのですが、一応調査です。

実は最近、現場が小学校に近いこともあって、面白半分に悪ガキが覗きに来るんです。
鑑識も実況見分も済んで警備役もついてはいないんですけど、まだ立ち入り禁止中。
そういうわけで事件後にあの中に入った悪ガキからも事情を聞かなきゃなんないんですよ。
事件の調査っていうより、子どものお守り任されたみたいなんですね。

で、何人かの少年に聞いてるんですけど、そのうちの一人がどうも歯切れが悪い。
何か隠しているような様子だったんです。
そこでしつこく食い下がって聞いてみることにしたんです。
僕はペンと手帳を取り出して―――――ありゃ? 書きこめん。
あはは……ボールペンのインクが切れてました。

ゴホン…気を取り直して、少年にしつこく聞いたんですよ。「何か見たの?」って。
そしたら「うん」とだけ…じゃあ「何を見たの?」って聞くとやっぱり「うん」。
ちょっといらいらしちゃって「あのさぁ、うんじゃわかんないから! 何を見たの!?」
って怒鳴っちゃったんです。そしたらその子涙目になっちゃって…
「絶対ママには言わない」って約束で、やっと話してくれたんです。
「あの小屋の中でOがすげー叫んでた。」
Oって言うのは死んだ中年女性の息子さんのことで、やっぱりショックなんでしょうね。
結局O君のことは次に小屋に来たとき保護して、セラピーさんに任せちゃいました。

結局、事件は夫の失業による借金苦を背景にした自殺として捜査が終了しました。
僕の出る幕なんてほとんどなかったですね……近藤のおやっさんにはまだ遠いや。

そうそう、あの小屋は今では竹林ごと取り壊されて、工場になっています。
その工場が雇用を生み出して、今回のような悲しい事件が出ないことを願うばかりです。
122本当にあった怖い名無し:2006/11/05(日) 00:01:34 ID:/lZVJhRD0
やはり雑談中ネタ投下がROMには一番読みやすいか
ネタ振りするから、気に入らんならスルーして
50作を超えるジョージ系のうち、一番のおすすめはどれ?
漏れは、「よく分かったな」
後のジョージ系を凝縮したような名作だと思う
他のROMや職人さんの意見(自他薦、苦労話)をそれぞれ聞きたいな
123本当にあった怖い名無し:2006/11/05(日) 01:22:28 ID:T6YAB0wO0
>>121 
送り狼さん新キャラだw 新米巡査いいですね〜しかも本スレで改変依頼のあった「竹林にて」ですね。

・ジョージ&マコトの探偵視点
・近藤&岡島の刑事視点
・悟は学校担当
・大家と弁護士の一般市民視点

でかなりカバーできる?あとは若い子が欲しいかな。次回も期待してますー

>>122
俺は>>12のコトリバコ編がインパクト大きかった。元の話が有名だからかな、本スレでの反響も大きかったし。
最近の>>84-85>>112-115の長編もけっこう好きですね、読み応えあって。
124【竹林改変希望者】:2006/11/05(日) 01:47:27 ID:syJBIVsbO
>>121送り狼さん、ありがとうございます。
【クールに改変11】961です。仕事早いっす。職人さんっす。
【竹林で】は、ほんと怖いですね。【呪怨】の子供みたいなイメージがこびりついて、どうしてもとれないんです。
よくわからないけど怖いっていうのは、頭に残ります・・・。
T○N○の【ぼく ごろう】ってのも、いま思い出しても・・・(((゜Д゜;)))
125送り狼 ◆weJoc1mo9Y :2006/11/05(日) 02:51:34 ID:7rinUITY0
僕は岡島。近藤のおやっさんに憧れる新米巡査です。
今度の仕事はまたしても小学生から持ち込まれました。
僕は少年課じゃないのに、なぜかこういう仕事が多いですね。

どうやら今回は、ストーカー…というかいたずら電話のようです。
被害者は小学生の女の子で、家に独りでいると電話がかかってくるそうです。
電話の声は4〜5歳の男の子で、毎回同じことの繰り返しだと言います。
「もしもし ぼく ごろう いまから いくからね」
それが何度も続くし、ごろうなんて知らないということで警察に相談したとのこと。

まぁ、やることは簡単です。電話してきた相手さえ特定できればいいわけですから。
僕は電話会社に連絡して通話記録を送ってもらいました。
相手は携帯でしたが、番号を照合してすぐに犯人を割り出すことができました。

鈴木 吾郎  38歳  ○○市在住  無職

犯人は変声機まで使って電話をかけていました。
なんでも、ずっと無職で両親と暮らしていたらしいのですが、
その両親が交通事故で亡くなってしまい、途方にくれたのだそうです。
親しい友人もおらず、相手が成人女性では話すのも怖い。
そんなだから、たまたま知った少女の家に電話したのだと……

迷惑行為でしたけど、初犯だし反省もしているようなので、
とりあえず一晩檻の中に泊まってもらってお灸をすえました。
今回は、現代社会の抱える問題をひとつ浮き彫りにしただけでした。
彼が一日も早く社会復帰することを望みます。
126本当にあった怖い名無し:2006/11/05(日) 04:47:31 ID:u7Pe4og1O
乙です!
しょーもねぇー話になってるw

岡島君は社会派!?w
127本当にあった怖い名無し:2006/11/05(日) 06:11:39 ID:syJBIVsbO
>>125お疲れさまっす。
124です。送り狼さん、ほんと仕事が早い。職人魂を見ました。
職場じゃ、『手が遅い』と言われ続けるあっしは、送り狼さんにあこがれまさぁ
128本当にあった怖い名無し:2006/11/05(日) 11:01:16 ID:o+L8dJeQO
自分の中でマコトと岡島君のキャラが被ってるw
129本当にあった怖い名無し:2006/11/05(日) 20:51:09 ID:ZuYHsgoC0
>>128 
壁ノ
キャラクターは職業とかより話の中でどんな役割を果たすかが大事だから。
常識通り普通に対処するマコトも岡島もその点では同じに見えちゃう。
口調や立ち位置も似てるから被るのは仕方ないといらん分析。
逆に後片付けの役割を近藤さんに与えた>>55にはつくづく感心した。
130ぽんぽん:2006/11/05(日) 23:27:58 ID:kSF7hD/f0
相変わらず女は走った姿勢のまま止まっている。
しかしこうして近寄ってみるとまた走ってきそうな感じもするし、こっちをすごい見てる、しかも怖い。
こんなのが普通に生きていたら目だけで2,3人は殺してそうだ。俺の心臓もバクバクしてやがる。


だが、今は動いていない、とりあえず安心だ、俺と校長はそう思った。と、同時にまたお茶目なアイデアが浮かんでしまった。

 「校長先生、ま〜た面白いのができました。」
 「本とかね悟君!!、どんなのなんだい?」
 「それはね・・・・と言うわけですよ」
 
 その後、校長室に戻り、オルゴールを持ち、俺と校長はある場所へ向かった。

「しかし大丈夫なのかね?私たちを襲ってこないのかね」
「おそらく大丈夫でしょう、もしものときは、抑えるだけです。テープも持ってきたしね」

 そうして俺はオルゴールを開けた。綺麗な曲が耳に響く、このままこの曲を聞いていたいくらいだ、くそう、昔の女を思い出すぜ、何で別れやがった。
おっと、こうしちゃいられねえ、女がこっちに向かって走ってきやがる、さて、準備をするか。

 「おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉ!!」

 やばい、唸り声が聞こえてきた、しかもなんか怒っている、よし、ここをこうして、おし!!できた。

 「校長、隠れますよ」
 「ああ、しかし久しぶりだな、こういうのも、悟君はいつもこういうことをやっておるのかね?」
 「ええ、もっとも今では飲み会も開けますがね・・。」
 「ふうむ、そうか・・・、ほうほう、おっと、標的が来ましたよ」
131ぽんぽん:2006/11/05(日) 23:28:56 ID:kSF7hD/f0
ドバン!!
     ・・
 荒っぽく屋上のドアが開いた、どうやら俺らを狙っていたわけではなく、あのオルゴールが欲しかっただけだったようだ、が、しかしそう簡単には取れないようにしておいた。
屋上の柵の向こう側に置いたのだ。

 「さて、どうなりますかね〜、校長」
 「う〜ん、ことによっては悟君が頑張らないといけないかもな」
 「え?」

 校長の発言を少し気にしつつ、女の方を見たが、様子が違っていた。
柵に手を掛け、膝を落とし、それどころか少し泣いてる様にも見える、まったく、難儀な仕事をさせてくれるぜ、昔を思い出しちまうじゃねえか、元気かな、奈津美。

 「え〜っと、どうしたのかな?」ああ、結構きついぜこの役。
 
 すると女は返事をしてくれた、しかも普通に。

 「誰かが、誰かが、私の大切な物を、あんな所に置いてしまって、青森から探してきたのに、ふえ〜ん」
と、あんなところを示した。無論そこは俺たちが悪戯した場所だ。ちょっと悪かったかな、と思いつつ。
132ぽんぽん:2006/11/05(日) 23:40:18 ID:kSF7hD/f0
「ふ〜ん、じゃあとって来てやるよ、これで良いんだろ?」
 「う、うん良いけど・・・、あ!ちょっと!大丈夫なの?」なんか慌てている、何だ可愛いじゃねえか。
 「よっと、で、これだろ?あんたが欲しかったものは。」
 「うん、青森からずっと探してて、ようやく見つけて、嬉しかった。ありがと、えっと・・」
 「悟、悟で良いよ、あんたは?」 
 「由佳、由佳でいいよ」
 「そうか、じゃあ、そのオルゴール、こっちに置いても良いかな?」
 由佳はオルゴールを抱きしめ、少し考えていたが、ゆっくりと首肯した。

 それからの俺の生活は少し潤ったような気がする、由佳もあいつらと意気投合してくれたし金銭面でもなぜか本当になぜかよくなったような気がする。
しかしガキ共の間では「突如聞こえる音」など、七不思議の話題で盛り上がってるようだ。

 ホンと、俺って悪い男だな。
133ぽんぽん:2006/11/05(日) 23:41:20 ID:kSF7hD/f0
 なんか怖くなくなっちゃってすいませんでした。
でもこういう落ちもここだからできることだしなって思い、俺の中ではありです。
134本当にあった怖い名無し:2006/11/06(月) 00:51:45 ID:ye/C5zjMO
>>133
おもしろかったっすw
悟君はプレイボーイでつねwww
135本当にあった怖い名無し:2006/11/06(月) 01:04:55 ID:ABNm/eD+O
悟ドSですねww
ジョージタイプも好きだけど、この手の男も好きかもしれない
136本当にあった怖い名無し:2006/11/06(月) 20:53:12 ID:ddn2v3RI0
俺の名前はジョージ、失踪した女子大生を追って、俺は今、熱海に来ている。

失踪した日が友人たちと熱海の民宿に遊びに行った日のことだったからだ。
友人たちは先に帰ったと言ったがそれきり、行方が知れなくなった。

この依頼が来たのが1月前。
調査を進めていると、熱海で裸の女が犬を食べている、なんて情報が入ってきた。

俺の中で何かが引っかかった。そこで熱海まで足を運んで来てみたわけだ。

とりあえず民宿に宿を取り、温泉と食事を満喫した。
ほろ酔いになってふと、窓の外を見ると向かいの小屋の2階から男が手を振っている。

俺は男に呼ばれ、そのまま二人で酒盛りを始めた。
男はこの土地ではよそ者らしい。そのせいかどうも地元の人たちと巧くいってない様だ。

夜も更け、随分と酒が回った頃、俺は千鳥足で1階のトイレに行った。

戻って見ると部屋がうす暗い。
月明かりの中で、手錠をはめられた裸の女が俺を見ていた。

 ……何だ、捕まっているのか。よし、今助けてやるからな。

俺も酔っていた。近くで寝ている男を起こさないように手錠を外す。
部屋の隅に落ちていた服を着せ、大通りまで逃がすと俺は小屋へと戻った。

これは事件なのか?問いただそうと戻るとまた電気が点いていた。
男は何事も無かったかのように酒盛りを続けていた。何もかも元通りだ。
遅かったな、と言われた。

あぁ?、酔っ払って夢でも見たか?
まあいいか。まだ酒はあるしな。
137本当にあった怖い名無し:2006/11/06(月) 20:53:44 ID:ddn2v3RI0
俺の名前はジョージ、しがない探偵なんて稼業をしている。
こんな仕事をしてはいるせいか、人間って奴が本当にわからなくなる。

十人十色とはよく言ったものだ。
一人一人、全員違う。誰もに良さがあり、そして闇がある。

人の闇は計り知れない。事件の陰の動機、意図、そこに触れるたびにそう感じる。

俺はそんなことを考えながらアパートに着いた。
築40年は経とうという古いビルだ。一応、エレベーターも付いている。

俺はその一室を事務所にし、そしてそこに寝泊りしている。

歳経たポストを確認して振り返るとエレベーターのボタンが押してあった。
こんな古いビルなのに対人センサー完備とは、便利なものだ。

エレベーターが降りてきた。だがほぼ満員だ。
こんな夜中なのに家族連れで一杯になっていた。

「下に行くんだけど、乗るの?乗らないの?」
「ああ、俺、上だから。」

そう言うと、太った母親は怪訝そうな顔をしてこう言った。

「だったら止めないでよね。まったく。」

俺はすみません、と反射的に謝った。エレベーターは地下へと消えていった。
そんなことはセンサー作った奴に言ってくれ、と心の中でだけ愚痴を言った。

まったく機械って奴は、便利なんだか、不便なんだか。
138本当にあった怖い名無し:2006/11/06(月) 20:54:22 ID:ddn2v3RI0
俺の名前はジョージ、しがない探偵なんて稼業をしている。

俺はあまり携帯電話が好きじゃない。
連絡用に一台持ってはいるが、電話帳に載せてある番号は事務所の黒電話だ。

この携帯の番号を知っているのは限られた人だけだ。
だが、たまに知らない人から不意をついて架かってくる事もある。

 そんな電話は大抵、ヤバい仕事の前触れだ。

 誰かから俺の噂を聞いて、そして駆け込んでくる電話。

 ──あんたがジョージさんか…?助けてくれ……
 そんなこともあったな。

突然携帯電話が金切り声をあげた。相手は非通知だ。

俺は確信していた。この電話は取らないほうがいい。
何か背筋が寒くなるものを感じる。この電話はヤバい。

だが俺は、電話を取ることに決めた。
もし助けを…そう考えると無視することなんてできなかった。

3回目のコール、俺は通話のボタンを押した。
顔の無い闇の向こうから男の声がした。


 「ははははは、私は怪人アンサー、さあ何でも…」


とりあえず切った。
やっぱり今度、マコトに非通知拒否って奴をしてもらうことにするかな…
139本当にあった怖い名無し:2006/11/06(月) 20:57:19 ID:ddn2v3RI0
>>137の元ネタは

怪談新耳袋 第7話 『エレベーター』
ttp://www.youtube.com/watch?v=epuaYXRx4fY

です。なんか投稿規制に引っかかって書き込めませんでしたorz
送り狼さん、ぽんぽんさん乙でした。私は岡島くんのキャラは好きですよ。

おやっさん。この響きだけでおなかいっぱいです。
140本当にあった怖い名無し:2006/11/06(月) 21:10:18 ID:9yKzLpeE0
乙です。
>>136>>138も元ネタ分からない・・・orz

お願いがあります。
どなたかジョージが思い切り痛めつけられる話を投下して下さい。
元ネタは何でもかまいません。当方ドS・・・


141本当にあった怖い名無し:2006/11/06(月) 21:12:56 ID:ddn2v3RI0
あ、書くの忘れてましたorz
>>129 近藤刑事の役割のアイデアはやっぱり>>44さんの功績ですかね〜
142本当にあった怖い名無し:2006/11/06(月) 21:14:50 ID:ddn2v3RI0
>>140 リロードしないで投稿したらorz

>>136 ヒサルキ
>>138 怪人アンサー(都市伝説)

です。>>138はネタ使い回しです、すみませんorz
143140:2006/11/06(月) 21:27:01 ID:9yKzLpeE0
>>142
ありがとうございます
「怪人アンサー」って知りませんでした・・・orz
144本当にあった怖い名無し:2006/11/07(火) 01:16:42 ID:MoM0vlx60
>>143 説明不足ですみませんorz
そう言えば、>>111さん>>120さん大家さんの名前をありがとうございました^^

>サオリとかシオリ
この辺りがしっくりきますかね。弁護士はキツイ韻に、大家は柔らかい韻にしたいと思っていました。

ところで、ミキ・アヤって…ググってみてやっとわかりました。何のことかと思ったら(苦笑
145本当にあった怖い名無し:2006/11/07(火) 02:10:41 ID:oJfZ8dcu0
>128,129
岡島巡査はジョージとは違うベクトルに鈍感なのが面白いと思った。
あんまりキャラが増えてもスレの旨味が薄れるけど…。
ところで最近は誰も「反撃」してないな。
146本当にあった怖い名無し:2006/11/07(火) 02:46:04 ID:Fd6a3nnWO
ジョージは最初から「スルーという反撃」だよ。
147本当にあった怖い名無し:2006/11/07(火) 17:32:23 ID:LO7FxMbI0
俺の名前はジョージ、しがない探偵なんて稼業をしている。

最近、仕事とは関係のない知り合いが出来た。
彼女は身体が不自由で、まともに動かすこともできない。

手も足も失っている、口を利くことも出来ない。
だが、強く生きていた。

名前は知らない。だが、そんなことは些細なことさ。
俺たちはよく、鉄橋の上から遠く走り去る電車を眺めて過ごした。

言葉も交わさない、が、俺は彼女に優しくしてやりたかった。
これは…軽薄な同情……なのだろうか。

通りがかった高校生が「鹿島さんだっ!」と何度も叫んで逃げた。

殴ってやろうと思ったが逃げられた。
身体が不自由なことが悪いことか?    ──やりきれないぜ。

彼女、鹿島さんはがっくりと肩を落としている。
そりゃそうだ。身体が不自由とはいえ彼女も年頃の女なんだからな。

俺は二言三言、慰めの言葉をかけた。
彼女は上半身だけで礼をして、またずりずりと這って行った。

手を貸そうと思ったのは最初だけだ。
彼女は一人で、力強く生きている。

だが……人間ってのは本当になかなか死なないものなんだな……
手足も首も無いってのに、あんなに元気だ。

かえってそういう奴のほうが、精一杯生きてるものなのかもな。
148本当にあった怖い名無し:2006/11/07(火) 17:35:55 ID:LO7FxMbI0
>>147 元ネタは「かしまさん」です。
ジョージがいたぶられる話にも挑戦しようと思ったのですが……なかなか難しい^^;
149ぽんぽん:2006/11/07(火) 22:47:45 ID:eXAPwY0k0
ザ・ブック

 俺の名は悟、用務員なんて時代遅れなしごとをしている。 

 最近俺は国語の涼子先生からもらった本に夢中になっている。先生曰く、

 「この本、最後まで、まあ、百羽まで読むと大変なことが起こるそうよ」

 とのこと、俺はすかさず、「あなたとなら起こっても良いでしょうね」と返そうとしたが、できなかった、別の先生と一緒に行ってしまったのだ。
ちくしょう、せっかくのチャンスを・・・。

 にしても、この本気味悪いな、題名が・・?何々・・・?

 「新耳袋」

 「しんみみぶくろ・・・・とでも読めばいいのかなあ?」

 そうして俺はこの本を読んでいる、まあ俺なりの工夫としては、百話あるって聞いたから、最後を残そうと3話ずつ読んでることかな。
途中で花や奈津子が邪魔してくるが3話ずつだからそんなに支障をきたすことはない。
150ぽんぽん:2006/11/07(火) 22:49:13 ID:eXAPwY0k0
しかし、この本面白いな、なかなか怖いし、幽霊ものでも面白いものもある、つい進んでしまいそうになるが3話でやめておく。
まあ、途中に俺が体験したのと似たようなことが書かれているが気にすることでもないだろう。

 読み進むにつれ、俺はある愕然とした事実に気づいた。
本が、話が、「七十七話」で止まっているのだ、その後は白紙だった、それ以上続いていないのだ・・・・。

 俺は本を読み終えて涼子先生に返した。ああ、やっぱり今日も綺麗だ、涼子先生。

 「先生、これって最後まで読めないんですけど・・・」
 「あれ?あ、そういやそうでしたね」
 「全く、話はいいんですけどこれじゃあなあ」
 「あははははは」

 結局あの本はそのまま図書室入りとなった、その後ガキ共から聞いた話じゃ、誰もいなくなると、何かものを書く音が聞こえるとか聞こえないとか。
まあ、もう少ししたら最後まで読めるんだろうな、それまで楽しみにしてるよ。頼むから俺が驚くやつ、頼むぜ?
  
151本当にあった怖い名無し:2006/11/07(火) 23:30:53 ID:ejh8o4hdO
>>149
奈津子って新キャラ?
152ぽんぽん:2006/11/07(火) 23:49:01 ID:eXAPwY0k0
ああ、新キャラとして先に出してしまいました、生徒役として出します、いずれ書くということで。

 元ねたは、新耳袋の「同じ傷」というもの、ちなみに、七十七話までしかないのは、
http://www.actcine.com/sinmimi/100.htmlこれを見ればわかります
153送り狼 ◆weJoc1mo9Y :2006/11/08(水) 01:00:47 ID:iUi4st2Y0
……岡島です……殺人事件がおきました。
被害者は○○市内に住む29歳の専業主婦。
まだ幼稚園に通う幼い息子さんが一人います。

この事件は犯人の自首によって発覚しました。
犯人は30歳の会社員で、被害者の夫でした。
彼が警察に駆け込んできたとき、妙なことを口にしていました。
「妻が背中に……妻が背中に……」と。
詳しい事情を聞くと、殺害した妻を庭に埋めてから1週間後、
息子さんが「どうしてパパはママをおんぶしているの…」
と言ったらしいのです。

その言葉を聞いて以来、後ろに妻がいるような気がして夜も眠れず、
そのままでいることがたまらなくなって自首したそうです。

僕はその真意を確認すべく、彼の息子さんに話を聞きました。
「どうしてパパがママをおんぶしてるって言ったの?」
すると息子さんは、あぁなんだそのことか…というような
歳に似つかわしくないそぶりを見せました。
「いや、違うんだよ。ボクはね、
 『どうしてパパはママをおんぶして夜中に庭まで運び、花壇の下に埋めたりなんかしたんだい?』
 と言おうとしたんだよ。そしたらパパが早合点しちゃってさぁ……
 まぁ、あの二人相性よくないって思ってたから、いつかはこうなる気がしてたけどね。」
……息子さんのあまりの冷静さにびっくりしました。世間擦れしすぎです。
この子なら新しい生活にもすぐに適応することでしょう。

事件のほうは、庭から死体を掘り返して調書作ってハイ終わりです。
あとは検察にお任せです。まず10年以上の懲役は免れないでしょうけどね。
154本当にあった怖い名無し:2006/11/08(水) 01:13:52 ID:cOFXX5GF0
乙でした。新キャラだー
若い子が欲しいって書いたからですかね^^;

どうしても怪談話は子供が出てくる話が多くって、絡みづらいですからね。


コテさんの自キャラ確立してきましたね、GJ!です。
155本当にあった怖い名無し:2006/11/08(水) 01:26:35 ID:cOFXX5GF0
ついでにまとめ。
しっかし、岡島君出てくると事件がしょーもない方向に流れてゆきますねwww


では>>79のまとめに続きまして>>84から

>>84-85 雪女
>>86 トミノの地獄
>>92 (・∀・) トミノの地獄
>>103-105 怪談新耳袋 第五十三話「オルゴール」
        ttp://www.youtube.com/watch?v=EeWu7CSMSa8
>>106 怪談新耳袋 第十四話「現場調書」
     ttp://www.youtube.com/watch?v=7sqsNFI0mvk
>>112-115 放送禁止「ある廃ビルにかかわり失踪者続出」
        ttp://swfblog.blog46.fc2.com/blog-entry-800.html
>>121 竹林で
156本当にあった怖い名無し:2006/11/08(水) 01:35:46 ID:cOFXX5GF0
>>125 ごろう
>>130-132 オルゴール(103-105の続編)
>>136 ヒサルキ
>>137 怪談新耳袋 第7話 「エレベーター」
     ttp://www.youtube.com/watch?v=epuaYXRx4fY
>>138 怪人アンサー(都市伝説)
>>147 かしまさん
>>149-150 怪談新耳袋 「同じ傷」
>>153 何でお父さんはお母さんをおんぶ…


ですね。ぽんぽんさんの「同じ傷」を観たことがないのが残念でなりませんorz
ようつべ探して見ましたがありませんでした; ;

参考 死ぬ程洒落にならない怖い話をあつめてみない? まとめサイト・投票所  
ttp://syarecowa.moo.jp

157本当にあった怖い名無し:2006/11/08(水) 02:07:55 ID:WlBEqQpN0
>>148
乙です。
「かしまさん」が敵ではなく、こういう形で出て来るとは意外でした。
ジョージらしいような気もしますね。

ジョージがいたぶられる話もぜひお願いします^^;

>>149-150
ぽんぽんさん、乙です。
花さんはこれからも登場するんですね。

>>153
送り狼さん、乙です。
なんて可愛げのない子供だw 
それに比べて岡島君てなんかほのぼのとしていいですね。

>>155
まとめ乙です!
158本当にあった怖い名無し:2006/11/08(水) 02:25:22 ID:Luln8kk10
俺の名前は悟。学校の用務員なんて仕事をやっている。
この仕事をやる楽しみは、毎日若い娘…いや、少女の中にいても
問題ない事さ。

いつものように戸締りを確認する。
窓から夕焼けが差し込む。
こんな季節には、俺みたいな人間でもちょっとセンチメンタルになってしまう。

かいだんひーとつのーぼったー。

そんな声が聞こえた。少女の声だ。
俺は懐かしい歌を思い出した。

『大人の階段昇る君はまだシンデレラさ』

慌てなくても、いずれはその階段を昇るんだよ。

いけねえ、やっぱりこの季節はセンチメンタルになって、聞こえるはずの
ないものまで聞こえてしまう。
仕事だ仕事。戸締りをしっかり確認して、怪しい連中から少女を守るんだ。
159本当にあった怖い名無し:2006/11/08(水) 11:39:06 ID:wTgNuJkl0
>>158
総ツッコミ来そうだな。
一番怪しいのはお前だっ!てさw
160本当にあった怖い名無し:2006/11/08(水) 13:05:13 ID:3fvIxm3LO
そういえば悟はロリでしたね
でも学校の先生口説こうとしたり…
要は女好きかよwww
161本当にあった怖い名無し:2006/11/08(水) 13:11:18 ID:cOFXX5GF0
うは、H2Oナツカシスw
悟何歳なんだww
162本当にあった怖い名無し:2006/11/08(水) 14:19:27 ID:e4kpvmjG0
では>>31 の続き、ということで。



「おい、起きろ!」
激しい罵声とぶっ掛けられた水が、俺の意識をまた、呼び戻す。

呼び覚まされた傍から俺に刷り込まれるのは、全身を襲う悪寒のような衝撃。
押し付けられた掌ほどの大きさの機械のせいだ。

スタンガンの強力な改良型として流行った奴だ。なんて…いったかな。

「あんまり麻痺させるなよ、こっちがつまらなくなるから、な!!」

ぶん殴られた勢いで、俺は壁まで飛ばされた。
ちくしょう、口の中が血の味しかしねぇ。

こいつら、縛ることすらしなかった。
が、もちろん俺に反撃する力なんか残っちゃいない。

マコトの奴、地下室への入り口をまだ見つけられねぇのか。
近藤さんも…待たせやがる…ぜ…

「最初の元気はどうした?あ?!」

倒れたわき腹に靴先が突き刺さる。顔・肩・腹、場所を選ばず蹴り込まれた。
こいつ、最初に俺がノシた奴じゃねぇ…か……

気を失いそうになると、誰かが言う。
「早く水持って来いよ。」   

 ──この繰り返しだ。
163本当にあった怖い名無し:2006/11/08(水) 14:21:39 ID:e4kpvmjG0
「なあ、探偵さんよ。いい加減に吐いちまいな。」
サングラスをかけた一番兄貴分のこの男を俺は知っている。
渋谷、新宿をシマにしている組のちょっとした顔だ。

「何のことだ?」
くぐもった俺の返事に嬉しそうに笑い、男は顎を振った。

また、無理やり立たされる。ちくしょう、こいつら覚えてやがれ。
俺が吐かない事なんてわかっているハズだ。
吐いたところで結果は一緒だからな。

だが、俺ももう少しだけ時間が欲しかった。

そろそろ…いつもの時間だ。

 ──突然、部屋の隅に転がった俺の携帯が鳴り出した。

電波なんか届くはずも無い地下だ。奴らも驚いてやがる。


 いつでも何処でも、どんなセキュリティも掻い潜る天才が居る。
 姿は幼い少女だが、気付くと毎日必ず背後に立っている。

 しかもそいつは……

「おい、出て見ろ。」
サングラス野郎が弟分に指示を出した。

俺の口元に、不敵な笑みが浮かぶ。
へへっ、馬鹿な奴らだぜ。
164本当にあった怖い名無し:2006/11/08(水) 14:34:24 ID:wTgNuJkl0
すげぇ!
今後の展開にwktkだぜ!
>>162-163氏GJ!
165ぽんぽん:2006/11/08(水) 20:18:26 ID:BTTxfpRb0
えーっと、「同じ傷」は俺も前にようつべで見たことがあるのですが、消えていました。
>>158さん、面白いです!!
166本当にあった怖い名無し:2006/11/08(水) 23:27:30 ID:e4kpvmjG0
>>164
え…つ、続き?(何も考えてなかった、ここでオチをつけたとry)

あまりに凄惨な光景ですので自主規制・・・と、いうことで。

『平和なマコトの映像でお楽しみください』

とか…

ジョージ「ちょっと待て!本当に死んじまう!」
メリー「…殺しているの。」

とか…

すみません。私には無理のようですorz
どなたか職人さん、あとを頼みますorz
167本当にあった怖い名無し:2006/11/09(木) 00:49:30 ID:XJdI3HkCO
>>163の終わり方はこれでイイと思う。その方がこのスレっぽいし。
ジョージがメリーさんに殺られるとも思えないしww
168本当にあった怖い名無し:2006/11/09(木) 18:07:45 ID:SztrrGJJO
なんか大沢在昌っぽくてよかったわwww
169本当にあった怖い名無し:2006/11/09(木) 19:07:31 ID:7bkKruCq0
>>168 読んだこと無いのでわかりませんが・・・面白い?
新宿サメとか、面白いなら読んでみようかな。
170本当にあった怖い名無し:2006/11/10(金) 00:39:24 ID:gFinu/vL0
>>158
乙です。
ダメだ〜。「想い出がいっぱい」が頭の中でグルグル回ってます・・・。
それも「H2O」ではなくてナイナイ岡村の・・・。
あっ、内容は面白かったんですよ。

>>162-163
乙です。
>>31の続編を書いて欲しいと思っていたのでウレシイ!
私もオチはこれで良いと思いますが、ジョージがいたぶられるのをもっと見たかった・・・。


続編ということで、
>>26 の「リョウメンスクナ」 の続きをぜひ読みたいので、どなたかヨロシクです。
できればジョージを痛めつけてください。お願いします。

171本当にあった怖い名無し:2006/11/10(金) 00:42:35 ID:HVYg1Ep2O
痛め付けろ痛め付けろうるさいなぁ。
あんたの趣味なんか知らないよ
172本当にあった怖い名無し:2006/11/10(金) 01:03:30 ID:ADlSV3Y/0
>>170 
いや、いいと思うけどね。多少リクエストあったほうが職人さんも燃えるだろうし。

しかしホント、ドSですねぇw
173本当にあった怖い名無し:2006/11/10(金) 01:22:03 ID:v5/awwWXO
職人さん、いつも乙です。
で、軽くリクエストしたいんですけども。
ジョージと大家と亡くなった大家の旦那が出て来る話が読みたいです。
1741/3:2006/11/10(金) 09:45:17 ID:otlRbtNU0
俺の名前はジョージ。しがない探偵なんて稼業をしている。
いや、探偵なんて浮ついた仕事しか出来ない、けちな野郎さ。

毎年、この日だけは必ず晴れる。

照りつける初夏の日差しと蝉の声に混ざり、青臭い新葉の香りが鼻腔をくすぐる。
そうだな、毎年そうだ。

育ち始めた入道雲も、伸び盛りの雑草が綺麗に刈り込まれた様も。

何も変わらない。
何も変えてくれない。

墓前には、まだ新しい花束と線香が置かれていた。

よく知った香水の匂いがかすかに残っていた。

毎年、この日だけは必ず晴れる。
あいつの、あの野郎の、澄み切った目のような空だ。


 ──あれは、何年前のことだ──?

俺は、その頃荒みきっていた。
親父が刑事を辞め、自宅を事務所にして探偵なんて仕事を始めた。

俺には何も説明してくれなかった。
ただ、さらに昔、俺が警察学校に行くことに反対したことがある。
きっと、その辺りに理由があるのだろう。

俺は仕事も長続きせず、喧嘩をしちゃあ辞めるの繰り返し。
酒とドラッグ、そして女と喧嘩が俺の一日のすべてだった。
1752/3:2006/11/10(金) 09:46:17 ID:otlRbtNU0
ある夜、俺はこれ以上ないほど叩きのめされた。
俺の半端な人生の中で、本当に身動き取れなくされたのは後にも先にもあの時だけだ。

アキヒコ……

優男を絵に描いたような奴だとばかり思っていたが、喧嘩がこんなに強いとはな。

痛ぇよ…

「もうやめて!」 
「やらせとけって、サオリちゃん。」

悟が彼女を抑えてニヤついてやがる。
糞、動けていたらぶっとばしてやるところだぜ。

痛ぇ…

「痛っ!」
「あ、ごめんなさい…。」
アキヒコは今更ながら、サオリの治療を受けながら痛がっている。
顔中腫れ上がった俺は先に治療を終えて、そんな二人を眺めていた。

こいつらとは高校のときからの付き合いだ。
アキヒコとはもっと餓鬼の頃から。
俺の家が奴の親の管理するアパートにあったからだ。

痛かった…誰との喧嘩より。
初めて知ったがアキヒコは悟よりも、誰よりも強かった。
殴ったアキヒコの手のほうが酷い怪我だが、そんなことはおかまいなしだった。

殴られた訳も、俺が意地を張ったわけも。
俺たちには何もかもあった。
1763/3:2006/11/10(金) 09:47:18 ID:otlRbtNU0
「アキヒコもサオリちゃんも、明日は会社休むだろ?」
そう言いながら、悟は缶ビールを投げて配る。
自分勝手な奴だが、こんな時、一番気が利くのはこいつだな。

「おばさん…いや、お袋さん…泣いてたぞ…。」
やがて、酔えないビールの痛みを味わいながら、アキヒコが喋りだした。

「前に会った時には、『内緒』なんて、おどけていたのにな。」

時々、こいつは訳のわからない事を言う。
俺のお袋は、俺がまだ餓鬼の頃に死んでいる。それを何が……

悪ぃ、と呟いた俺を悟が小突いた。ふん、馬鹿なのは承知の上だ。

……いい奴だな、……心の底からそう思った。

抱きしめられているような気がするのは錯覚だろうか。

もう何故か、傷も痛くない…

ただ、この時、サオリの心はもう決まっていたんだろうな……


 ──風が追憶と俺の感傷を掻き消していった。

本当に悪戯好きな風だ。
タバコに火をつけて墓前に添える。線香の中に、飛ばないように。

そして俺は今年も、花束で墓石の横っ面を張り飛ばしてやった。

少しは効いてるのか、親友。
177本当にあった怖い名無し:2006/11/10(金) 09:50:13 ID:otlRbtNU0
三人でお酒を・・・という話とはちょっとずれましたが、
若い彼らでイメージが膨らんだので^^

元ネタは洒落怖まとめサイト「心霊ちょっといい話 Part8」の「素敵な親子」です。


>>170
リョウメンスクナのその後でいたぶられる展開は思いつきませんでしたorz
すみません、どなたか御願いします。
178本当にあった怖い名無し:2006/11/10(金) 09:54:44 ID:5E7eMoiNO
【クールに改変前スレ】テケテケのやつ面白かった。
短くすっきりボケ倒し。秀逸。
ああいうのが、また見たいです。
179170:2006/11/10(金) 11:22:49 ID:gFinu/vL0
>>171
不愉快な気分にさせてすみませんでした。気をつけます。

>>172
お恥ずかしい・・・orz

>>177
仕事速いですねぇ。面白かったです。
悟も登場するとは思いませんでした。

リョウメンスクナの件、変なリクエストをしてすみませんでした。
いたぶられる展開でなくて結構です。よろしくお願いします。

180本当にあった怖い名無し:2006/11/10(金) 12:38:49 ID:KHrjpNKyO
>>169

俺的お勧め大沢作品

「新宿鮫」シリーズ
「ザ・ジョーカー」
「らんぼう」
「標的は一人」
「砂の狩人」
「アルバイト探偵」シリーズ


こんなとこか。
スレ違いスマソ。
181本当にあった怖い名無し:2006/11/10(金) 13:35:38 ID:v5/awwWXO
>>177
ありがとうございます。
仕事速くてびっくりw
なんかイイですね。
ジョージと悟とアキヒコ、それとサオリの関係
182本当にあった怖い名無し:2006/11/10(金) 13:47:30 ID:4iJbtJ+N0
俺の名は悟。学校の用務員なんて流行らない仕事をやっている。

「今度のスキー研修の下見に行ってくれんかね?
教師で手の空いてる奴がいないんだよ」
校長に頼まれて、山奥までやってきた。
俺の隣にいるのは、合同でスキー研修をやる学校の用務員。
じいさんだ。いわゆるシルバー人材って奴だ。
シルバー人材は時給が安いから、いずれ用務員って職業は
こんな連中に乗っ取られていくんだろう。
俺もいつかは…首? 冗談じゃない!

吹雪で山頂近くにある山小屋に避難した。
ゲレンデからそう離れていないはずだが、誰も助けに来ない。
何故だ?
じいさんは、
「わしが満州の塹壕にいた頃は」
なんて昔話をひとしきりやった後、寝ちまった。
ちぇっ呑気なもんだ。

俺もうとうとし始めた頃、山小屋の扉が開いた。
入ってきたのは、えらく薄着の女だ。
女はすっかり寝入っているじいさんの顔を覗き込んだ。
じいさんの顔がたちまち霜に覆われる。
女は次に俺の顔を覗き込んだ。畜生、体が動かねえ。
183本当にあった怖い名無し:2006/11/10(金) 13:48:19 ID:4iJbtJ+N0
「あんたは若くて私好みだから、助けてあげるわ」

女は口の端に冷たい笑みを浮かべて言った。
俺は渾身の力を振り絞り、

「残念だな。俺はもうちょっと若い女が好みなんだ」

「ひどいっ! 確かにこの山に住んで数百年経つけど」

それまでの冷酷な顔が哀れに崩れていく。
こういう景色を眺めるのは、相手の年齢に関わらずいいもんだ。

「でも、例外的にお前は俺の好みに合う。
どうだ? 寒いから温め合わないか?」

不思議だ。さっきまで石みたいに重たかった体が動く。

女の冷たい肌が熱を帯び、赤く染まっていく。
こういう景色を眺めるのも、いいもんだ。

じいさんはやっぱり体力がないので使いものにならない、という
結論も出て、俺には一石二鳥の下見旅行だった。
184本当にあった怖い名無し:2006/11/10(金) 14:32:08 ID:N41objsb0
ロリコンの好みに合う雪女・・・

ドロロンえん魔くんのゆきちゃんかーっ!w
185本当にあった怖い名無し:2006/11/10(金) 17:02:18 ID:h5mLapLdO
ジョージって佐久間公+ジョーカーを足して2で割ったっぽいな。
186送り狼 ◆weJoc1mo9Y :2006/11/10(金) 23:48:26 ID:IsM2TqSd0
こんにちは、新米巡査の岡島です。
今日は非番なので駅前のショッピングモールまで買い物に来ました。
以前おやっさんの知り合いの探偵さんに食べさせてもらった珍味、
干物…まあジャーキーなんですが、それを探してました。
でも、どの店で聞いてもわからないそうです。
かなりあの箱なんかは特徴的でわかりやすいと思うんですけど…。

ないものは仕方がないので、他の買い物を済ませて岐路につきました。
そのとき、駅のコインロッカーの前で泣いている女の子と、
その子に話しかけている若い女性を発見したんです。
女性は「どこから来たの?」とか「お父さんは?」とか聞いていたので
その子が迷子なんだとわかりました。

僕も警察官の端くれですから、それを放っておくことはできません。
「お母――」と言いかけた女性に声をかけてその場を引き取りました。
女の子はなんだか戸惑ったような表情ですが、
急に知らない男がやってきたので驚いたんでしょうね。

ここからだと交番に行くより、駅構内でもあるので鉄道警察隊です。
僕はまず話を通すために、外に女の子を待たせて事務所に入りました。
で、婦警さんを連れて来たんですけど女の子はどこかへ消えてました。
大方母親の姿でも見つけて走っていったんでしょう。
迷子の問題はすぐ解決しちゃいました。

うーん…それにしてもあの干物どこにも売ってないんですよねー。
確かなんとかスクナとかいう商品名だったと思うんですけど……。
今度あの探偵さんに会ったら聞いてみることにしましょう。
187本当にあった怖い名無し:2006/11/11(土) 00:18:55 ID:IFCQUI1p0
ちょww喰ったのかwww
って、届ける依頼は?


短くすっきりボケ倒し、お見事でしたw
188本当にあった怖い名無し:2006/11/11(土) 00:55:29 ID:maxPlxFgO
岡島君、恐ろしい程天然だよ岡島君
189本当にあった怖い名無し:2006/11/11(土) 06:57:05 ID:ddTI+UX80
>>183
>>じいさんはやっぱり体力がないので使いものにならない
あんた・・・これはなぁ、流石にどうかと思うが・・・。
190本当にあった怖い名無し:2006/11/11(土) 12:02:33 ID:BV6yWHRP0
駄目だ・・・悟好きなキャラだったのに、嫌いになってしまったorz
遠まわしに老人は使えないので死ねってか?作者さんよ。
191本当にあった怖い名無し:2006/11/11(土) 12:35:06 ID:JtPe03jaO
>>184
つ魔雪


>>185
いっひっひ。いいトコつきますなぁw
「氷の森(だっけ?)」の尾形か40代の佐久間公っぽくもあるね。
父親とその親友とか。
ということは悟は沢辺…?
192本当にあった怖い名無し:2006/11/11(土) 16:32:23 ID:+mSjqbwrO
ブラックジョークをマジに取ってる人は何?
193178:2006/11/11(土) 16:56:00 ID:BiB7pouxO
>>186
職人さん、ありがとう。いい話ス。
『ぶはっ』っと笑えた良作品。
だって、食っちゃうんだもん(笑)。
しかも>>179のリョウメンスクナも、こなしつつ・・・
脱帽(´・ω・`)/▽。
なので、誉めage
194本当にあった怖い名無し:2006/11/11(土) 17:08:28 ID:XsgbSA7c0
>>192
ごめん(´・ω・`)・・・
今回はリアルで笑えなかった・・・皆空気汚してスマンorz

195本当にあった怖い名無し:2006/11/11(土) 17:31:46 ID:bF+i3WYMO
悟・・・
外見性格共に遺作を思い描いている漏れって・・・一体・・・
(´・ω・`)
196ぽんぽん:2006/11/11(土) 22:02:23 ID:ZRlhZ+A80
 どんな感じのやつ?>>195さん

 と言うことで俺も書いてみます。

 
197本当にあった怖い名無し:2006/11/11(土) 22:21:01 ID:bF+i3WYMO
>>196知らないほうがいいよ。
用務員が木造の旧校舎でおりなす、エロゲーだから
198ぽんぽん:2006/11/11(土) 22:54:32 ID:ZRlhZ+A80
俺の名は悟、用務員なんて時代遅れな仕事をしている。

 最近は校長との楽しいひと時を味わったが、俺だって一端の用務員だ、学校の見回りなどちゃんとした仕事はしている。
ガキ共が返った夕方の学校、う〜ん夕焼けが美しいな。

 が、しかしあれは何だ?

 そんな俺の視線の先にあるのは、赤いテープで止められた扉、またこれかよ、しかも結構厳重だ。

 「まったく、最近こんなのが流行ってるのかよ、悪戯にしちゃあやりすぎだろ。
  最近はただでさえこういった事実には敏感なのに」

 ビリビリ ビリビリ テープがはがれていく。

 赤いテープをすべて剥がすと、普通の扉になった。うん、やっぱりこっちの方がいい。

 「中に誰かいるのかな?おーい、もう出られるぞ〜」

 返事がない、どうやら寝ているようだ。俺は意を決して、扉を開け、中へ入った。
199ぽんぽん:2006/11/11(土) 22:55:03 ID:ZRlhZ+A80
すると、俺が入ってすぐに、扉が閉まった、しかも開かない。

 「畜生、閉じ込められたか、やっぱり仕掛けたのもガキか?あいつらこれ見て笑ってんだろうな〜、しかし誰もいないってのは
  あっ、いた」

 俺が指差した先には、女が一人、立っていた。なかなか良いかも、こんな状況なのにこんなことしか思えないとは…しょうがない男だ。
すると女が、
 
 「あなたは『開かずの間』を開けた」か細い声で語る。

 (開かずの間?ああ、あの赤いテープのことかな?てっきりガキの悪戯かと思ったら、こいつはちと危険かな?)

 「だから、あなたは私と同じ、孤独に負けて、そして死ぬ」

 (死ぬか…いきなりこんな話になるとはな…いや!!打開策はある、相手が女なら。これでいいはずだ!!)

 「死ぬか・・いや、その前にやることはあるよなあ、薄暗い部屋、密室、その中には男女が向かい合ってる、とくれば!!」

 「まさか・・嫌ああああああああああああ、来ないでええ!!!」

 バチバチバチバチバチバチバチ…

 16ビートで叩かれる俺の頬、正直滅茶苦茶痛い。
 
 「出てって!!ここから!もう私こんな所に来ないよ〜うえ〜ん」

 中の女は出て行った、おっ、扉が開いた、これでようやく戻ることができる。
あ〜、女って怖い、もうあんな手は絶対使いたくねえな。頬を染めるのは良いんだが、泪ってやつはどうも苦手だ、あいつを思い出しちまう。
200ぽんぽん:2006/11/11(土) 22:59:04 ID:ZRlhZ+A80
 >>56と同じねたです。色々といじってみました。
遺作ってエロゲーの名称?
 >>183の「あんたは〜」のくだりを言ったのは悟ではないと思うんだが。
201本当にあった怖い名無し:2006/11/12(日) 00:35:27 ID:6cf/k0Ep0
>>183
あれ?・・・・・・じいさんはどうなった?
202本当にあった怖い名無し:2006/11/12(日) 00:46:46 ID:v4b4b0IdO
じいさん死んでないよね。悟が雪女に絡みだしてから雪女じいさんの事放ったらかしだし、その時点でじいさんが氏んだ描写もないし。
じいさん、悟のお陰で命拾いしてない?w
203本当にあった怖い名無し:2006/11/12(日) 00:50:13 ID:v4b4b0IdO
あ、一個書き忘れてた。
そろそろマコトの話が読みたい気がしないでもないです。
彼は癒しキャラです。
204本当にあった怖い名無し:2006/11/12(日) 00:52:18 ID:6cf/k0Ep0
>>202
安心した・・・良かったよw
初?の死亡者が出たのかと思って鬱になる所だったww
205本当にあった怖い名無し:2006/11/12(日) 02:27:23 ID:caLLVuB30
今日はなんか(このスレにしては)盛り上がってますね。

>>189さんの意見もわからないではないけど、ネタスレの悟という悪役がらみの話ですからねぇ…私はいいと思いますよ。
でも実際、高齢の方も見る可能性もありますし、職人さん達もちょっとだけ気を使ったほうがいいかも、です。
ブラックジョークといえば昔の悪ノリしてたビートたけしを思い出しますねw

>>186
>>198-199
ふふん、ニヤリ( ̄ー ̄)、がスジのジョージスレで久々にちょwwなんて笑える話でした。GJ!
かっこいい話や社会問題皮肉った話もいいけど、やっぱり笑える話がいいね。
206本当にあった怖い名無し:2006/11/12(日) 10:48:36 ID:FjcbiETc0
>>205
話自体は面白かったです。
本当にすみませんでした・・・。
207本当にあった怖い名無し:2006/11/12(日) 21:15:14 ID:PBZ/BF9x0
俺の名前はジョージ。眉毛の下にフシ穴が開いた探偵だ。

依頼者が犯人だともっと早く気付いておけば、被害者が二人減っていた。
むろん、連続殺人犯とはいえ依頼者だ。調査結果は報告するのが筋だ。
依頼者は、双眼鏡を首から掛けて田んぼのほとりで俺を待っていた。

「調査結果をお知らせします。……犯人は、あなたですね。」
いきなり胸元へ直球勝負だ。相手はせせら笑い、失敬なと呟いて田んぼの方を向く。

「一連の犯行に使われたのは、いくつかのライフルでした。」
警察も言ってたな、だから何なんだ、そう言いながら依頼者は双眼鏡を覗きこむ。
田んぼでシラサギが群れて喧嘩でもしているんだろう。遠目では蠢く白い塊だ。

「あなたの隠し部屋から、何種類ものライフルを見つけました。一つ持ってきました。」
みるみる顔面が蒼白になる。それでも双眼鏡は手放さない。

「本物かどうか試してみましょうか?」
無視だ。こちらを見ようともしない。しかし、首筋にしたたる脂汗は雄弁だ。
「……あなたの恋人も、今回の被害者の一人でした。」
返事がない。依頼者を見据えたまま、片手でライフルを田んぼに向ける。

ライフルの発射音。シラサギが仲間に警戒を呼びかける声。静寂。

「あなたを信じたまま狙撃されたんですよ。」
ようやく依頼者が双眼鏡を下ろす。こちらを振り向く。
「彼女はあなたしか目に入らなかった。それなのに、あなたは何を見ていたんです。」

「……分からない方がいい……」
ああ、分かりたくもないよ。

苦い思いを抱えながら、田舎を後にする。
それにしても、シラサギの声ってまるで人間の悲鳴だな。知らなかった。
208本当にあった怖い名無し:2006/11/12(日) 21:17:02 ID:PBZ/BF9x0
俺の名前はジョージ。愛と勇気と貧乏の探偵さ。

昨日、近所のばあさんが亡くなった。大家の話じゃ、脳卒中らしい。

「で、同居していたばあさんの方は、居所が分からないままか。」
大家からの電話を受けながら、確認する。

妙な話だ。葬式の手配、親族への電話、大家への電話、遺体の清拭。
後始末をきっちり済ませた上で、同居人は忽然と姿を消した。
金目のものには何一つ手をつけていない。
通帳類は一まとめにした上、一覧表を作って机の上に置いてあったという。

「そうなの。亡くなった谷川ケイ子さんとすごく仲良しだったみたいなんだけど。」

それは知っている。名前を呼び合う二人の声を窓越しに聞いて、ぞっとしたことがある。
ケイちゃん、ミイちゃんだぜ。とある年代のファンが聞いたら卒倒するな。

「私、ミイさんって人と直接面識がないの。電話だとお話したことがあるんだけど。」
俺も同居人の顔はおろか、亡くなった谷川ケイ子の名前すら知らなかった。
ミイってばあさんを探し当てるのは絶望的だ。

なら、あのコに聞くしかないか。
俺は窓際でまどろんでいる老いた三毛猫を見やる。
若い頃変質者にでもやられたんだろう。尻尾の先は二つに割れてしまっている。

同居人にもケイちゃんにも置いていかれ、見かねた大家がさっき俺に預けていった。
――きれいな娘だけど、手を出しちゃ駄目よ。
いくらキレイでも、猫はムリだ。お嬢さん、お名前は。
みー。大家の腕の中で、三毛猫がしなを作って鳴いた。

あれから数時間。もうすっかり慣れたようだ。
二人暮しってのも悪くない。ミイちゃんが見つかるまで、よろしくな。
209ぽんぽん:2006/11/12(日) 21:24:23 ID:GKZD7odx0
えっと、一つ目は「くねくね」だとおもうんですが、二つ目は何でしょうか?
210本当にあった怖い名無し:2006/11/12(日) 21:28:05 ID:PBZ/BF9x0
ものすごーく亀だが、独立スレ、オメでございます。
独立化を知らなかったので、危うく向こうに書込むとこでした。

言わずもがなだけれど、元ネタは以下。
>>207 くねくね
>>208 ねこまた
211本当にあった怖い名無し:2006/11/12(日) 22:38:32 ID:vxvBB9gz0
俺の名前はジョージ。自己紹介をするのにも飽きてきた探偵だ。

ある昼下がり、日差しに誘われて公園のベンチで雑誌を読んでいた。
誰かが折角の日差しを遮った。

「私キレイ?」

マスクをした女が目の前に立っていた。
失礼な奴だと説教しようと思ったが、面倒だったのでやめた。
やや時代遅れの格好をしているが、美人であるのは間違いない。

「ああ、キレイだな」
「これでもキレイ?」

女はマスクを外した。
女の口は、哀れにも耳の近くまで裂けていた。先天性のものか
後天性のものかなんて、素人の俺には判らん。
俺は丁度開いていた雑誌のページを女に突きつけた。

「……高○クリニック?」
「ああ、どんな傷でも判らないようにしてくれる名医さ。
俺も昔お世話になった。今のところ手術したなんてばれちゃいない」

女はくすりと笑った。

「何処を手術したのやら…」
「う、うるさいっ! いいからこの雑誌を持っていけ」
「うふふ…ご親切にどうもありがとう」

俺の名前はジョージ。人には言えない過去を持つ男さ。
212本当にあった怖い名無し:2006/11/13(月) 03:40:41 ID:+6FyniKcO
>>207>>208>>211
『〜〜の探偵さ』の自己紹介で、まず笑った。
213本当にあった怖い名無し:2006/11/13(月) 10:33:37 ID:wtpOxCzK0
口裂け女って、整形手術の失敗で生まれたんじゃなかったっけ?
214本当にあった怖い名無し:2006/11/13(月) 12:19:00 ID:tlcJdcO6O
>>213説は色々あるな。
漏れらの所(南信)では、生まれた時に口が左右に2つあって、
親が鎌で真ん中を斬ってああなったって聞いてた。
215本当にあった怖い名無し:2006/11/13(月) 13:19:49 ID:aCYkOxXI0
>>213
私らのところでは5人姉妹で、末娘を母が溺愛し、整形手術を
させようとしたところ失敗して口が裂け、ショックで頭がおかしく
なった母が、残る4人の口を鎌で裂いた、という設定だった。
だから口裂け女は5人いる。
ちなみに九州北部。
216本当にあった怖い名無し:2006/11/13(月) 21:49:43 ID:8Vl43LnEO
>>215
九州の人達は大変だなwwwww
217本当にあった怖い名無し:2006/11/13(月) 22:44:09 ID:lDQhffkDO
なるほど…
オレがよく資料にしている書物では
口裂け女は三姉妹、先祖が富と名声を得る為に
狗神を使った為に、狗神つきの呪いを受けた。

一般的に知られている口裂け女の姿は次女のもの。
妹二人は少し知能が足りないが、長女は理性も保っていて
二人を抑えたり屋敷を訪れた霊能力者を接待したりする。

昼下がりの休日には三人供綺麗なドレスに身を飾り
ポッキーを囲んで談笑していたりする。
218本当にあった怖い名無し:2006/11/13(月) 22:47:57 ID:+6FyniKcO
>>217
クールに改変向きかも。笑った。
219本当にあった怖い名無し:2006/11/13(月) 22:53:52 ID:g/2TINwx0
ぬ〜べかよ!
220本当にあった怖い名無し:2006/11/13(月) 23:05:26 ID:rhUpX2Ss0
ぬ〜べ〜にそんな話しあったなw
221本当にあった怖い名無し:2006/11/14(火) 12:58:45 ID:ySHE3ttS0
俺の名前はジョージ。駆け出しの探偵だ。
今夜はアキヒコに呼ばれて新宿のあるホテルのバーに来ている。

45階からの夜景は俺を惹き付ける。
狂ったように輝く墓標が、まるで俺を吸い寄せているようだ。

呼ばれた理由はわかっていた。
だが俺は自分の言葉に耳を貸さず、ウェイターの招くままに歩いた。

アキヒコとサオリが笑っていた。
俺を見つけたときの二人は、まるでパレードの主役のようだ。

軽く手を挙げて笑みを返す。

「わかってるとは思うけど…俺達、結婚することにしたんだ。」
アキヒコは俺の目を真っ直ぐに見て、そう言った。

最初から、すべてわかっていたさ。

席に着く前から俺は二人の指輪に気付いていた。
座ると同時にロックのバーボンが出てきたこともそうだ。

よかったな、と微笑み窓の外を見る。墓標達に笑われるために。

その俺の目の前を、逆さまになった女が落ちていった。
落ちてゆく瞬間に俺と目が合った。少し笑っていやがった。

普段の俺なら駆けつけるところだが、気分じゃない。
警察に任せよう。ただの自殺ならそれこそ俺の出る幕じゃあない。
そのうち騒ぎになるだろうが、まだ二人とも気付いてないようだしな。

今は…二人のために……乾杯
222本当にあった怖い名無し:2006/11/14(火) 13:01:29 ID:ySHE3ttS0
僕の名前はマコト。ジョージさんを目標にしている見習い探偵だ。
などと、言ってみても普段はただのフリーターだ。

今日はバイトも休みの日。PCをつけてふらふらとネットの中を彷徨う。

そして面白そうなサイトを見つけたんだ。 タイトルは『好き好き好き好き』
クリックすると、一瞬フラッシュしてにやりとした女の顔が映った。

でもそれも一瞬のこと、すぐ消えて「ページを表示できません」の表示。

その日からおかしなことが始まったんだよ。
「好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き…」 ってメールが毎日きたり、
勝手に銀行口座から五万ほど引き落とされてたり・・・

クラッキング、かな。セキュリティにはお金をかけていたのになぁ。
とりあえず口座もメールアドレスも全部変更。泣けてくるよ。

ある夜、ついに決定的な事件が起こった。犯人(?)から電話がかかってきたんだ。

怒鳴りつけたら、
「ひどい・・・なんでそういうの?
・・・私をだましたのね、五万円もする高いネックレス買ってくれたのに、
私は毎日あなたにメールを送り続けたのに・・・。」

あれ?話が変だぞ。もしかして酔っ払って女の子に声でもかけたのかな。
記憶にはないけど、これってもしかして出会いの予感?

即座に平謝りして今度会う約束まで取り付けた。上出来上出来。
あのHPの人ならちょっとキツめだけど美人のお姉さんのハズだ。

なんか今、一瞬、またPCにあの顔が映ったような気がするけど…
まあいいか。僕の女運もついに上昇するときを迎えたようだし、ね♪
223本当にあった怖い名無し:2006/11/14(火) 13:10:15 ID:ySHE3ttS0
なんか毎週、日曜から週始めがアクセス規制中orz 何もしてないのに; ;

元ネタは 洒落怖まとめサイト(ttp://syarecowa.moo.jp )より
>>221 part1の「飛び降り自殺」またはPart60の「高層マンション」
>>222 part99の「検索エンジン」です。

>>208はもしかしてジョージに新しい相棒が!?猫又いいですねー
ますます影が薄くなっていくマコトww
224本当にあった怖い名無し:2006/11/14(火) 18:04:36 ID:n8Hxfh3r0
>>221-222
ちょwwwマコトの方は大丈夫か。
ある意味マコトはジョージより肝据わってるんじゃないか?w
225本当にあった怖い名無し:2006/11/14(火) 22:50:18 ID:uJV34Cq7O
>>221
サオリはジョージにとって初めてフられた女性なのかな
そんな雰囲気ですよねw
>>222
ちょww
マコト大丈夫なのマコトwww
226本当にあった怖い名無し:2006/11/14(火) 23:03:31 ID:ZOuT8Psi0
マコトは反撃も半人前ってところがカラーになるかなw
227送り狼 ◆weJoc1mo9Y :2006/11/15(水) 01:25:27 ID:9C5iGhap0
こんにちは、捜査一課所属のはず……の岡島です。
今日も今日とて捜査一課の仕事を外れて、交通課のお手伝いです。
はぁ……これじゃあいつまでたってもおやっさんみたいな刑事になれないや。

今回の仕事は、最近多発している高速道路での交通事故の調査です。
事故の共通点は、きまって同じ時間・同じ場所であること、
そしてすべての事故が単独事故で、何もない直線で起こることです。
一連の事故を起こした人のほとんどは亡くなっていますが、
生存者2名から同じ証言を得ることができました。

僕はその話に基づいて、覆面パトカーで高速を流していました。
道路は空いていたので100`は出していたでしょう。
問題の場所に差し掛かって、僕はバックミラーを確認しました。
……いました! 生存者の証言通りです。
物凄い速さでお婆さんがこの車めがけて走ってきます。

僕は赤色灯を出してサイレンを鳴らし、路肩にお婆さんを寄せました。
「高速道路に進入なんてしちゃダメじゃないですか!!」
僕は強い口調でお婆さんに注意をしました。
車やバイクではないのでスピード違反の切符は切れませんが、
高速道路を走るなんて非常識な行動にはキツイお灸をすえておきました。
後のことは応援を呼んで、本職の高速交機にお任せしました。
実際お婆さんに驚いて事故を起こしている車があるわけですから、
何もお咎め無しとはいかないでしょうね……

まぁでも、あんな元気なお年寄りもいるものなんですね。
高齢社会日本といえども、老人パワーはなかなか侮れません。
228本当にあった怖い名無し:2006/11/15(水) 02:14:28 ID:EeZqkWb80
能天気なマコトも凄いけど、岡島君相変わらずの天然っぷりだなぁwww

マコトと岡島君がタッグ組んだら凄い事になりそうだw
229本当にあった怖い名無し:2006/11/16(木) 00:42:49 ID:isuutjwp0
「路肩にお婆さんを寄せました」
岡島w
230ぽんぽん:2006/11/16(木) 23:20:48 ID:7TXsBwGw0
俺の名前は悟、ちょっとプレイボーイ気味な用務員だ。

 最近は寒い、もっとも俺の職場には布団もあるし寒さが深まれば炬燵も用意できる、冬場になるとこれをめぐってガキ共が争いやがる。
まったく、平和な学校だな。おかげでこうして寝そべることもできる。

 と、そのとき

 「悟さーーーーーーーーーーーーーーんん!!!!!!!!!!」

 用務員室前の廊下に響く悲鳴、耳をふさぎたくなるような足音、そして扉が乱暴に開けられる。

 「悟さん!!悟さん悟・・・むぐう」

 口をふさいで声は出さなくなったが、手足をばたつかせている。どうやら何かあったようだ。

 「あ〜何があったんだよ、そんなに急いだら危ないだろが、人に怪我はさせちゃだめだからな、奈津子」

 そう、今しがた入ってきた人の名前は奈津子、この学校の生徒で女の子だ。年齢は12歳、小学校6年生だ。
休みがあればとりあえず来るというちょっと変わった奴だが、まあ寂しくならないしいいだろう。ついでに炬燵争いでは毎回のように参加してくる。
231ぽんぽん:2006/11/16(木) 23:21:24 ID:7TXsBwGw0
「で、何が起こったんだ?そんなに慌てて、さ、話せ」
 「さささささささささささ悟さん」
 「まず落ち着け」
 「えっと、あ、はい落ち着きました。
  なにがあったか話す前に悟さん、『花子さん』は出るトイレのほかに、もう一つ、いわく付きのトイレがあるのは知っていますか?」
 「うん、まあな、何が出るかっていうのはわからないが、場所くらいならガキ共から聞いてるぜ。確か、花さ・・じゃなくて花子さんの上だったよな?」
 「それだけ知っていれば十分ですね、実はついさっき・・トイレに行きましたところ、その悟さんが言う『何か』に会っちゃったんです」
 「で、俺のところに逃げたと、ふ〜ん、実はな、ずっと気になっていたんだが」
 「何ですか?」 
 「実はな・・・・お前のうしろに」
 「きゃーーーーーーーーーーーー!!!!!!」

 バッチーーーーーーーン 奈津子の全体重を乗せたビンタが俺を叩く。いや、叩くなんて物じゃあない。

 「なななななななんてことを言うんですか!!思わず本気にしちゃいましたよ。あ!悟さん、大丈夫ですか?」
 「自分でやっといてよく言うぜ・・・・」
 「な、酷いことを言いますね、自分がまいた種の癖に。さ、行きましょ〜」
 「行くって、ああそういうことね」
232ぽんぽん:2006/11/16(木) 23:22:01 ID:7TXsBwGw0
数分後、俺たちは問題の女子トイレの前に立っていた。奈津子は俺の袖をつかんでいる。なんか本当に怖そうだ。

 「ここここここここここここです」
 「いい加減落ち着け」

 バシッ

 奈津子の頭をはたく、こうでもしないと落ち着かなさそうだからな。

 「痛っ!!も〜やめてくださいよ〜」
 「ああ、悪い。でもこのトイレこうしてみる限りじゃ普通のトイレと変わらないぜ」
 「まあ、ここから見る限りじゃあ変わりませんよ。それに私が見た場所はこの中ですから。さ、入りましょ〜」
 「ふ〜ん、まあいいか。って此処女子トイレだよな?俺が入っていいのかよ」
 「細かいことは気にしないでくださいそれに、色々やってるって聞きましたよ。」
 
 細かいことは気にするな・・か。しょうがないな、まあとりあえずやってみるか。
233ぽんぽん:2006/11/16(木) 23:22:33 ID:7TXsBwGw0
女子トイレには個室しかない、前々から知ってはいたがやはり入ることになるとはなあ、倫理的に大丈夫かな?大丈夫か。
 入ってすぐ、奈津子が見た『何か』はいた。こっちを見た状態で、髪がとても長く顔が隠れてしまっている。

 だが・・・・髪が綺麗だ。それに手足も長い、モデル体系と言って差し支えないだろう。正直萌えてきた。

 「奈津子、お前が見たのはあれか?」
 「は、はいそうです。怖いよ〜悟さ〜ん」
 「そうか・・じゃあ後は俺に任せて外に出てろ」
 「え?大丈夫なんですか?一人で」
 「色々聞いているんだろう?だったら大丈夫なはずだぜ。」
 「あ、はい。では外で待ってます。その・・帰ってきてくださいね」
 「わかってるよ・・外で待ってろ」
234ぽんぽん:2006/11/16(木) 23:23:20 ID:7TXsBwGw0
《ここからは奈津子視点で参ります》

 大丈夫かな・・・・?
わたしはずっと心配だった。だって、悟さん女好きって聞いたから。

 バタン!!
 
 急に扉が閉まり、室内から声が聞こえてきた。なんていってるんだろう?少し耳を近づけてみた。

 う〜ん、少し遠くてよく聞こえないみたい、大丈夫かな?できれば早く帰ってきて。

 と、そのとき、叫び声が響いた。誰のだろう、女の人っぽいけど。

 「ちょっと!!何してるのよ!!こんなところで!!」
 「げっ、花!なんでこんなところに?」
 「私はこの真下にいるのよ。別に出てきたっておかしくはないんじゃなくて?」
 「ねえ、あなた・・誰?」
 「そういうあんたこそ誰よ、私には花子さ・・じゃなくて今は花っていう名前があるし歴史もあるんだからね」
 「わ・わたしは・・・・」
 「はっ!!けつの青い小娘が私の縄張りで色々やってるんじゃないわよ!!」

 なんか口論に発展してしまったみたい。それにしてもお化け同士の口論って…悟さんどうするんだろ。
あれ、なんか手まで出てきたみたい。びんたの様な音がするもん。
235ぽんぽん:2006/11/16(木) 23:24:39 ID:7TXsBwGw0
「痛いじゃない、いきなり叩いてこの、ババア」
 「な〜にがババアですって〜こんのちんくしゃ!!」

 バチン バチン 小気味よい音が響く。中の悟さん、大丈夫かな?保健室に行かなきゃだめかも。

 「お前ら、もうやめろ!!」
 「なんですって〜?悟〜」
 「あんたなんかに言われたくないし、それに」
 『元はと言えば、あんたの所為だろーーーー!!!火遊びばっかりしてーーーー!!!』

 扉が吹っ飛ぶ音と、男の人の叫び声が聞こえた。

 「痛ってーー、あいつら思いっきり叩きやがって」
 「大丈夫ですか!!悟さん!あ〜、すっごい頬が腫れてる〜。でも何しようとしていたんですか?」
 「いや、ちょっとな・・中を深めようとして」
 「そうなんですか〜?私にはただオトす様にしか見えませんでしたけど?」
 「まあいい、とりあえず後でケリつけるから、今は保健室に連れてってくれ、ビンタされて頬が痛い」
 「はいは〜い、じゃ、行きますよ。あ、でもその前に。」
 「?」
 「後ろにいる人!!私を年端も行かない子供だからってなめない方がいいですよ♪」

 私の後ろには二つの影があった。トイレでのいざこざを起こして悟さんに怪我させた方たちだ。もちろん二人とも驚いていたが。

 だって悟さんは私が守るんだもん。あんな女に渡してなるもんですか。
 
 私は彼に笑顔を向ける、彼は苦笑いで帰す。笑顔で返してくれないのかな・・?
236ぽんぽん:2006/11/16(木) 23:26:45 ID:7TXsBwGw0
今回はちょっとで気が悪いものかな〜と思っております。
その辺は温かく見てください。元ねたはhttp://www.youtube.com/watch?v=DJZGVc7Q864です
237本当にあった怖い名無し:2006/11/17(金) 00:25:45 ID:V11oG3cT0
>>230-235
奈津子登場、って小6かw 大人びてますなww

他のジョージ系とは雰囲気が違って面白いですよ。
わいわい騒いでる感じで楽しめます^^

続きも期待していますb
2381/3:2006/11/17(金) 11:52:36 ID:g1c1N7xA0
では>>26>>186のあいだの話、ということで。



「なるほどな……」 
ジョージさんはタバコの煙を窓の外に吹き出した。

助手席の僕はノートパソコンのデータをDVDにバックアップ中。
まったく、僕たちを追っているのはとんでもないイカれたカルト教団だ。

 教団の創始者は物部天獄(もののべてんごく)。
 大正12年死去。日本刀で自分の喉を…なんて死に方だったらしい。

 そのカルト教団が今でも生き残り、活動を続けていた。
 奴らの狙いは僕たち、いや正確には後部座席に置かれた箱。奴らのご本尊様だ。

 教団の公表しているデータを信じれば、関東大震災をはじめ、
 大正時代の大抵の災害にはこの呪われた「ご本尊様」が関わっていることになる。

 1914(大正3)年:桜島の大噴火(負傷者 9600人)
 1914(大正3)年:方城炭鉱の爆発(死者 687人)
 1917(大正6)年:東日本の大水害(死者 1300人) 他……

 そして、1923年(大正12年)9月1日、関東大震災、死者・行方不明者14万2千8百名。

大震災を最後に姿を消した「これ」を奴らはずっと探していた。
教団の探索、新しい本尊を作る実験、見ているだけで気分が悪くなるよ。

読み上げようとしたらジョージさんが車を止めた。
靴も履かず破れた服をかろうじて身につけただけの女性が飛び出してきたからだ。

僕たちの依頼人──ミキさんだった──
2392/3:2006/11/17(金) 11:53:49 ID:g1c1N7xA0
「早く乗ってください!」
僕は後部座席のドアを開けて彼女を急かした。
奴らはまだ見えないけど、こんなレンタカーじゃ何時追いつかれることか…

「ごめんなさいね…ジョージ……。」
ミキさんの唇が切れて血が滲んでいた。見えている肩に青痣もあった。
何があったかなんて聞くまでもない。

少し見とれて呆然としていた僕は慌てて前を向き直った。

「私、こんな奴らが絡んでいるなんて知らなかったのよ…」
「……もういい。」
ジョージさんが話を遮る。タバコの減りが早いのを僕は見逃さなかった。

怒っている。
そりゃそうだ、災害の話はでっちあげだとしても、これは現実なんだ。

僕の手の中のPCには教団の「探索」のデータが表示されている。
この探索の影に、いったいどれだけの被害者が居たのだろう。

僕の口から出たのはこんなもの、という馬鹿馬鹿しい言葉だけだった。

「ミキ…、その京都の寺…で、どうせこいつは処分されるんだよな。」

少しの沈黙の後でジョージさんはそう切り出した。ミキさんが肯定する。
「じゃあ、このまま俺に預けちゃくれないか?」

「俺が処分してやるよ……なにもかも…な。」
寒気が走った。ジョージさんの口元に残忍な笑みが浮かんでる。

こうなったジョージさんは怖いんだ。まったく、ご愁傷様としか言えないね。
さてと、聞かれる前に調べなきゃ。教団の本拠地は…と……
2403/3:2006/11/17(金) 11:55:28 ID:g1c1N7xA0
駅が見える交差点で私を降ろし、彼らの車はみるみる見えなくなった。

人通りが少ない田舎町でよかったわ。
まずは靴かしら、この服もなんとかしないとね。

「どうせ、着替えなんて持ってきてくれてないんでしょ?」
私の声に応えるように、建物の影から男が現れる。
私のもう一人の依頼人。

「すまないな、気が利かなくて。」
ニヤついているスケベ顔が無性に腹が立つ、顔には出さないけど。

私は無言で小脇に抱えている服の中から箱を取り出した。
彼等が喉から手が出るほど欲しがっているモノ。

私はその箱と彼の持っていたアタッシュケースを交換した。
中身を確認する。キャッシュで……確かにあるようね。

「全部アンタの言ったとおりだったな。」
「そうね、貴方達じゃ彼から奪うのは無理ね。」

彼等にして見たら移動途中で「消えて」もらう予定だったもの。
でも、予想通り彼等にはそんなことは出来やしなかった。

彼は箱を大事そうに抱えるとあっさり姿を消した。
最初から依頼なんて無かった。そういう契約だから。

箱をすり替えるのは簡単だったわ、彼、優しいから。
私はもう見えない車に投げキスを送る。

ごめんなさいね、でもお金も大事なの。
後片付けは任せるわよ、愛してるわ、ジョージ。
241本当にあった怖い名無し:2006/11/17(金) 11:56:28 ID:g1c1N7xA0
ageてしまった。すまんorz
反撃でもなんでもない創作だが書いてみたかった。今は反省している。
242送り狼 ◆weJoc1mo9Y :2006/11/17(金) 18:42:59 ID:cAeaFgSb0
どうも、初期設定ではキャリア組になるかもしれなかった岡島です。
久しぶりに捜査一課らしい事件に関わることができました。
被害者は2人の女性で、寝ているところを強盗にあったそうです。

2人から詳しく話を聞くと、どうも話がかみ合っていない様子でした。
実際に強盗犯を見たのは1人だけで、もう一人は気付かなかったと言います。
この2人の女性は―――仮にAさん・Bさんとしておきましょう。
Aさんの部屋にBさんが泊まりに行って、遅くなったので寝ることにしたそうです。
そしてBさんが横になって、ふとAさんのベッドの下を見ると、
包丁を握り締めた男が潜んでいたというのです。

僕は話の真意を確かめるべく、Aさんの部屋に乗り込みました。
すると中からエプロンをつけた男の人が応対に出てきました。
その男を見て「あ……兄貴?」と、Aさんが素っ頓狂な声を上げました。
そう、その男はAさんの兄だったのです。

男の供述によると、誕生日を祝ってやろうとAさんの部屋を訪れたのだそうです。
たまたまAさんが外出していたので、合鍵を使って部屋に入ったとのことです。
そして妹を驚かせてやろうと、豪華ディナーを作ろうとしていると、
友達を連れて帰ってきたのでとっさに隠れてしまい、出る機会を逸したということでした。

身内が部屋の中に隠れていただけなので、当然男にはお咎めなしですね。
ただし、たとえ妹の部屋でも、勝手に入るのはマナー違反だと注意しておきました。
……いやぁ、しかし久々に美しい兄妹愛というものを見ましたよ。
243ぽんぽん:2006/11/17(金) 22:07:00 ID:IqNB2F4A0
 ジョージの方の元ねたってなんでしょうか?

 わいわいですか・・・次は反撃ものを書きたい。
244本当にあった怖い名無し:2006/11/18(土) 01:11:12 ID:Mx8532Jz0
>>242ワロタwそりゃそうだ、って感じwGJ!
>>243たぶんリョウメンスクナじゃね?>>26>>186のあいだの話って書いてあるし
245本当にあった怖い名無し:2006/11/18(土) 01:42:44 ID:vzeEKZhPO
岡島は、語り部って感じだなww
246本当にあった怖い名無し:2006/11/18(土) 05:11:40 ID:Q8/WjTp8O
リョウメンスクナを干物として、跡形もなく始末した・・・
と思ったら、違った。よかった。古いご遺体は細菌の巣窟です。
まぁ、多分みんな細菌すらクールにスルーするだろうけど(笑)
247本当にあった怖い名無し:2006/11/18(土) 07:43:17 ID:sGx27U1t0
>>246 だな、うまくまとめたな。
248本当にあった怖い名無し:2006/11/19(日) 08:37:49 ID:uebX3c+z0
ジョージのイメージはやっぱり松田優作?今なら高橋克典かな。
249本当にあった怖い名無し:2006/11/19(日) 12:23:09 ID:MfuRM2hTO
若い頃の草苅正雄とか。
250本当にあった怖い名無し:2006/11/19(日) 14:36:17 ID:HjMnqstZO
ロックフォードだろ
251本当にあった怖い名無し:2006/11/19(日) 17:01:51 ID:yi2/LmKc0
関根勤だろう
252本当にあった怖い名無し:2006/11/19(日) 17:17:04 ID:vWqBhtblO
つ陣内智則
253本当にあった怖い名無し:2006/11/19(日) 19:39:35 ID:T706NEkYO
じゃあサオリとミカはメーテルと峰不二子でお願いします。
254本当にあった怖い名無し:2006/11/19(日) 19:52:49 ID:NbbRWjsW0
>>252
イメージゴッゴル

クール 探偵 陣内智則   の連想結果・・・ほぼゼロ件

もしかして : 陣内孝則


いや、智則はリミテッドの頃から知ってるし、面白いとは思うけど・・・
255本当にあった怖い名無し:2006/11/19(日) 21:02:55 ID:vWqBhtblO
>>254( ̄Д ̄)孝則だっけか?
ここ数年、明智役とか探偵役やってたからw
まぁギャグだけど。
とりあえず、悟と岡島は妻夫木と小泉孝太郎でw
256ぽんぽん:2006/11/19(日) 21:36:52 ID:jEak68870
マコトはどうしよう。ちょっと頼りない感じがするから金剛地?
257本当にあった怖い名無し:2006/11/19(日) 22:31:51 ID:T706NEkYO
悟ってジョージと同い年だよね
妻夫木だと若過ぎる気がしないでもない
妻夫木はどっちかっていうとマコトっぽいw
258本当にあった怖い名無し:2006/11/19(日) 22:52:47 ID:lkwCDeiW0
>>253 そこでそれを出すかw
でも>>240の「ごめんなさいね」を峰不二子の声で再生した俺も居るw
259送り狼 ◆weJoc1mo9Y :2006/11/19(日) 22:54:21 ID:b9cH89p40
こんにちは、すでに捜査一課の雑用係になってしまった岡島です。
今日は小宮山さんという旧武家屋敷の、家政婦さんから依頼された調査です。
この家は木造平屋なので2階もないのですが、
屋根裏に誰かいるような気がするので調べてほしいということでした。
……なんかすでに警察の仕事ですらないような……

とりあえず周辺住民からの聞き込みもしておきました。
どうやら小宮山邸の異変は3週間ほど前から続いており、近所でも有名だとか。
怪現象が起こるのは特定の部屋で、天井からミシミシと音が鳴り出して、
「足を洗えっ!」という男の声が聞こえてくるということです。
声は近所にも聞こえていて、小宮山邸は『足洗い屋敷』と呼ばれているそうです。

数日間調査を進めるうちに、ちょっと面白いことがわかってきました。
どうも小宮山家の三男が、取引禁止生物の密輸に関与している様なのです。
はじめは乗り気でなかった調査も、犯罪の臭いがして俄然やる気が出ました。
僕は小宮山家のご主人の了解を得て、邸内をくまなく調査しました。

……結局、密輸の証拠は何も挙げられませんでしたが、声の正体は判明しました。
屋根裏にはスピーカーが取り付けられていて、コードが書斎まで伸びていました。
書斎ではそのコードにつながった、変声器付きのマイクも見つかりました。
そして書斎を使うことが出来るのは、小宮山家のご主人しかいないそうです。
そう、声の主はこの屋敷のご主人だったのです。
息子の悪行に気付いたものの、気が弱くて面と向かっては言えなかったそうで、
今回のような怪事件に仕立てることを思いついたとのことでした。

後日談ではありますが、小宮山家の三男は数日後に自首して来ました。
気の弱い父親が、生まれて初めて本気で怒ってくれたからだそうです。
そういえば僕も最近実家に連絡してないな……手紙でも書くか……
260本当にあった怖い名無し:2006/11/19(日) 23:13:46 ID:8GjpsOW+O
初期の悟はアトウカイだったけど・・・。違ったみたい。
近藤さんは、左とん平とかどうでしょうか。
テレビ版金田一の磯川警部です。
261本当にあった怖い名無し:2006/11/20(月) 00:28:18 ID:KotXXyfN0
こうして作品を見ると岡島君が金剛地がいいかな。福澤朗でもイメージ合うなぁ。
マコト…妻夫木…合うようなカッコ良すぎるような…
悟はくりいむしちゅうの有田を想像していましたよ。

ジョージ、悟、サオリ、(アキヒコ)は同い年なら>>12のとおり全員三十代前半だよね。
262本当にあった怖い名無し:2006/11/20(月) 01:30:54 ID:dZmZ4V64O
私の頭の中では、岡島君=小泉孝太郎以外の何者でもなくなってしまったw
悟はちょっと変態っぽいイイ男って事でオダギリジョー
263本当にあった怖い名無し:2006/11/20(月) 02:03:46 ID:u/c7cjjmO
悟はオダギリに同意。
264本当にあった怖い名無し:2006/11/20(月) 15:03:12 ID:Rj8594RxO
漏れとしては、女弁護士は江角だなぁ
2651/2:2006/11/20(月) 18:43:11 ID:CC9v8ExD0
俺の名は近藤、刑事だ。俺の非番の日の楽しみといえば釣りだな。

ここは「おいてけ堀」とあだ名がついた渓流だ。

釣り客の帰り際に、まるで昔話のように“おいてけ”と声がかかる。
釣果を置いていかないと不思議なものに出会うという。

噂が広まってちょっとした名所になっている。

眺めもいいし、空気も美味い。まぁ、よくある町おこしの一環だろう。

だが、俺はここでまだ一匹も魚を釣り上げたことがなかった。

格好の釣りスポットだし、他の釣り客は皆、山女や岩魚を釣り上げている。
だが何故か俺の針には魚がかからないのだ。はっきり言って悔しい。

隣の男が帰り支度を始めた。クーラーボックスには山女が沢山入っている。

そのときだ、水の流れる音に混ざって「おいてけ、おいてけ」と声が聞こえた。
男は気付かなかったらしい。俺に挨拶をすると車に乗り込んで帰ってしまった。

日も暮れかかっていた。最後に残ったのは俺だけか…

どうにも悔しい、俺は「おいてけ」と声を掛けられたことが無いのだ。

気付くと女が一人、俺の横で一緒に釣り糸の先を眺めていた。
先ほどの声の主らしい。黒髪に白い着物、それなりの格好をしている。
せっかくの獲物に逃げられて、今度は俺の魚籠でも見に来たのか。

女がそうっと、川の中の俺の魚籠を覗き込む。そしてこう言った。

「頑張って。」
2662/2:2006/11/20(月) 18:44:18 ID:CC9v8ExD0
悔しい。本当に悔しい。もちろん魚籠は空だ。
悔しくて涙が出てくる。

もう、今日は何か釣るまで帰らないぞ。

呼び出し?知らん、俺は留守だ。
俺は上着ごと煩く呼び出しを続ける携帯電話を投げ捨てた。

  ──浮きが沈んだ。

両手にかかる手ごたえ。左右に振れる糸、暴れる魚の振動、水面を走る水しぶき。

たった10cmの小さな山女だったが、俺はついに釣り上げた。
俺の横で女が拍手をしてくれた。

俺の顔には満面の笑みが浮かんでいたことだろう。

「さあ言ってくれ。」
俺は女の前に魚を差し出して胸を張ってそう言った。

「え…でも……やっと釣り上げましたのに。」
「いいんだ、言ってくれ。」

そして俺は聞いた。おいてけ、の声を。

こんなに満足したのは久しぶりだ。
凶悪犯罪を解決した時だってこんな満足感は得られない。

そして俺は魚を川へ放つ。
またくるよ、そう言った俺の帰り背に、女が笑顔で手を振ってくれた。

ああ今日はいい一日だったな。一杯飲んでから帰るとするか。
267本当にあった怖い名無し:2006/11/20(月) 18:48:07 ID:w68GyKVm0
近藤さん(・∀・)イイ! 飛頭蛮の時からファンっす!
おいてけ堀の主さんも(・∀・)イイ!
268本当にあった怖い名無し:2006/11/20(月) 18:59:03 ID:Y85Sci+EO
同感。とっつぁんとか、おやっさんとか呼びたい感じ。
269本当にあった怖い名無し:2006/11/20(月) 20:00:54 ID:dZmZ4V64O
近藤刑事良いね
是非藤田まことで。

大家は松嶋菜々子か小雪か小西真奈美
270本当にあった怖い名無し:2006/11/20(月) 20:09:07 ID:hGvNWyfQ0
本所七不思議二連発GJ!
まさか足洗い屋敷で来るとはびっくり。
置いてけ堀もそうひねるとは。
271ぽんぽん:2006/11/20(月) 21:44:14 ID:5FN/RN240
悟がオダギリか〜。いいかも、ちょうど子供から好かれそうな年齢だし。

 ミキはどうしよう、無難に行くと離婚弁護士の人。ほかの候補は篠原涼子。
こんなんで良いかな?
272本当にあった怖い名無し:2006/11/20(月) 22:29:30 ID:E3zThyUE0
近藤刑事、藤田まこともいいね。左とん平でも演技が目に浮かびますw

離婚弁護士の人って天海祐希だっけ?
273本当にあった怖い名無し:2006/11/20(月) 22:35:22 ID:4i4Oe6g70
ミキは、やり手弁護士でさらに悪女。
不二子がぴったりなんだよな。
274本当にあった怖い名無し:2006/11/21(火) 00:11:08 ID:ZKkvbePoO
サオリは控えめだけど芯が強く凛とした女性
ミキは上昇思考が強く一筋縄じゃいかない女性
というイメージがあって、だからやっぱりメーテルと不二子なんだよなw
275本当にあった怖い名無し:2006/11/21(火) 00:26:30 ID:Zq3pxXLW0
このスレの女幽霊系のを読むと、
男がいい男だと女もいい女になるんだなと思う。
岡島はともかく。
276本当にあった怖い名無し:2006/11/21(火) 00:41:37 ID:heuH7aLl0
>>274 その二人が並ぶ絵が凄いw

実写版のルパンは峰不二子役が江崎英子。天海祐希もいいんだけどなぁ。
篠原涼子は悪女のイメージが無いんですよね。サバサバしすぎてるのかな。

うーん、やっぱりアニメの峰不二子のイメージが近いかなぁ…

>>275 また、いい男はいい女が作るのです
277本当にあった怖い名無し:2006/11/21(火) 01:03:50 ID:ZKkvbePoO
そうだなぁ…

ジョージ→松田優作
マコト→
サオリ→松嶋菜々子
近藤刑事→藤田まことor左とん平
悟→オダギリ
ミキ→米倉涼子
岡島君→小泉孝太郎
アキヒコ→玉木宏

マコトだけ思い付かなかったorz
278本当にあった怖い名無し:2006/11/21(火) 02:05:37 ID:vp1iqanbO
ラノベ板みたいになってるよお前ら…
279本当にあった怖い名無し:2006/11/21(火) 12:19:52 ID:toDl1EBEO
漏れは
マコト=妻夫木
岡島=小泉孝太郎
女弁護士=江角まきこ
管理人=なかまだゆき
老デカ=長さん
用務員=オダギリジョー
探偵=名前忘れた(三国連太郎の息子)
280本当にあった怖い名無し:2006/11/21(火) 12:33:56 ID:9dOZK2rTO
つーか>>278の時点で既に
実写化が不可能だw
281本当にあった怖い名無し:2006/11/21(火) 14:02:12 ID:n9HSAyme0
三国連太郎の息子って佐藤浩市か

長さん…(つД`)
282本当にあった怖い名無し:2006/11/21(火) 17:18:58 ID:KN46EJR50
元ネタは洒落怖まとめサイトpart3の「赤い浴衣」です。

(略)

学校に着いて友人にこの事を話しました。
女の子の浴衣がとても印象的だったので近くでお祭りでもあるの?と
友人に尋ねました。

すると友人は、


「浴衣着てたって・・・今、2月だよ・・・・?」





俺の名前は悟、小学校の用務員なんて時代遅れな仕事をしている。

今のは本当にヤバかった。もう少しで見つかるところだった。
確かあの子は山○貴子、去年卒業して近くの中学校に通っているはずだ。

俺は女の子とカメラを抱きかかえながら竹林を後にした。
やっぱりこんな季節に撮影するのは目立ちすぎたか。

「さむーい。」

車に乗り込むと、女の子がそう言って見つめてきた。

か、かわいい。

だが、「暖めてあげようか?」と言ったら「いらないー」だってさ。ちっ
283本当にあった怖い名無し:2006/11/21(火) 17:46:29 ID:vp1iqanbO
何やってんだこの変態はwww
284本当にあった怖い名無し:2006/11/21(火) 20:11:24 ID:1n1e39y6O
やはり

小五 + ロリ = 悟り
の噂は本当だったのか…
285ぽんぽん:2006/11/21(火) 20:31:53 ID:yD58QQvs0
うわ〜悟がただの変態になってる。>>284の噂って何だよ?
286本当にあった怖い名無し:2006/11/21(火) 21:26:48 ID:D1wth+Wq0
>>285

いいか、みんな
       ( ゚д゚)
      (| y |)

小五とロリでは単なる犯罪だが
 小五  ( ゚д゚)  ロリ
   \/| y |\/

二つ合わされば悟りとなる
     ( ゚д゚)  悟り
     (\/\/
287本当にあった怖い名無し:2006/11/21(火) 21:28:19 ID:XIJc1oF10
>>285
こういうのもあるw

いいか、みんな

        (゚д゚ )
        (| y |)
小五と穴とエロでは単なる変態だが

           穴
      小五  ( ゚д゚) エロ
       \/| y |\/

三つ合わされば最強の戦士へと変化する

       ヘ丶ヽ
      ヽ\ヾヽソ
       ゞミ ゚д゚)  悟空
        (\/\/
288本当にあった怖い名無し:2006/11/21(火) 22:10:17 ID:7bLgUxj9O
>>287
ハゲワロタ
289本当にあった怖い名無し:2006/11/21(火) 23:11:56 ID:bz/Wms5I0
知ってて「悟」ってつけたんじゃないのか >ぽんぽん氏
だから敢えて漢字の名前なんだと思っていたのだが。
290本当にあった怖い名無し:2006/11/22(水) 01:05:32 ID:nPQIMPI3O
恐ろしいのは悟レベルの変態が女受けが良いビジュアルだという事だw

>279
なかまだゆきが誰なのか必死に考えた末、仲間由紀恵だという結論が出ました
合ってますか
291本当にあった怖い名無し:2006/11/22(水) 05:03:39 ID:4RcVYS5RO
>>290合ってます
名前間違えた上に、平仮名だったから・・・(´・ω・`)
292本当にあった怖い名無し:2006/11/22(水) 12:43:24 ID:O9Vfg8QrO
>>284

sugeeeeeeeeeee!!!!

偶然なら皆殺しの数字並みの奇跡だ!!
293本当にあった怖い名無し:2006/11/22(水) 14:18:18 ID:Swy6payOO
いやいや、確信犯でしょw

ところで皆殺しの数字ってなに?
294本当にあった怖い名無し:2006/11/22(水) 14:39:02 ID:B+RpClMr0
以前トリビアで取り上げられた、
18782(イヤナヤツ)+18782=37564(ミナゴロシ)
の事だと思われ。
295本当にあった怖い名無し:2006/11/22(水) 15:06:16 ID:Swy6payOO
おぉ、ありがとうございます。
なんかすげぇ負のミラクルだなw
これ充分オカルトだろw
2961/3:2006/11/22(水) 15:39:42 ID:5OF8NfWb0
元ネタは洒落怖まとめサイトpart14「恋人の幽霊」、「幽霊とセクース」、
part99「悪夢のはずが」です。


出逢いも別れも、偶然と、ほんのちょっとしたタイミングの組み合わせだと思う。
運命とか宿命とか、信じないわけじゃないけれど、もっとシンプルな気がする。

僕の名前はマコト、ジョージさんとコンビを組んでいる探偵……見習いだ。

 僕がジョージさんに出逢ったのは三年前。僕がまだ学生だった頃だ。
 その頃、僕は都内の大学に通う四期生。

来年の春には卒業、就職、そんな時期に僕はなんと家出をした。

22歳で家出、と言うとちょっとかっこ悪いな。
正確さに欠けるけど「駆け落ち」かな。

偶然知り合った女性の部屋に転がり込んで、そのまま帰らなくなった。
居心地がいいだけじゃない何か妖艶な魅力のある年上の女性。

家にも帰らない、もちろんゼミにも行っていない。連絡も入れない。
家族にして見たら失踪したようなものだ。

でも、僕はもう彼女のこと以外考えられなくなっていた。

ワンルームの蜜月。彼女と僕だけの空間から帰りたくなかった。
もう何日も裸で過ごしているような気がする。

頭がぼうっとして、正確な日付や時間が失われてゆく感覚。
抱きかかえられた思考能力ゼロの頭に彼女の声が届く。

「ずっと一緒よ。」
2972/3:2006/11/22(水) 15:40:20 ID:5OF8NfWb0
そんなある夜、チャイムの音がした。

しつこく鳴るチャイムに僕は呆けたままのろのろと起き上がる。
タオルを腰に巻き、無愛想にはい、と返事をした。

 宅急便です──わかりました──そんなやり取りだった。

無用心に鍵を開けて扉を開いた途端、隙間に足が差し込まれた。

鼻先をタバコの匂いが通り過ぎてゆく。
その刺激に覚醒し、僕は顔を上げて侵入者を見た。
なにやってんだ、こんな所で。そう言われた記憶がある。

 ──見つかった──連れ戻される──嫌だ──!!

逃げるのよ、彼女が僕の腕を引っ張ってベランダに走った。

ベランダから外へ飛び降りて逃げるつもりなんだ。
僕たちは見つかってしまった。逃げるしかない。

足に力が入らない、そういえばご飯食べたのどのくらい前だっけ。

「一緒に行くのよ。」
彼女がベランダの手摺から身を乗り出して、先に落ちた。

僕もベランダに足を掛けて身を乗り出した…はずだった。
はずだったが、僕の逃避行はそこで終わった。

 肩に置かれた大きな手。
 死ぬ気か?ここは4階だぜ。

その声で初めて正気に戻った。
2983/3:2006/11/22(水) 15:41:05 ID:5OF8NfWb0
下を覗いたけど誰も居なかった。
あれ?彼女は?…そう思って振り返り、愕然とした。

 ──部屋の中はがらんとしていた。

部屋の隅に僕の服だけが丸められていた。

そんな…と、思ったけどよく思い出せない。
あのベッドの感触も、家具も、巻いたはずのタオルも。

何も無かった。

こうして僕の三週間あまりの駆け落ちは終わった。

父の知り合いだと名乗った探偵さんに連れられてマンションを出る。
空き部屋に不法侵入していた件は黙っていてもらえるそうだ。

そういえばあの時、ジョージさんの仕事は“僕を連れて帰る”だった。
もし“僕の居所を報告する”という依頼だったら今の僕は無い。
きっと、探偵を目指そうとも思わなかっただろう。

 あの事件?が現実だったのか、実は今でもよくわからないんだ。
 彼女はそれきり僕の前から姿を消してしまったから。

確かに愛し合った記憶はある。でもジョージさんも彼女の姿を見ていないし、
すべてが夢だったと言われても、悔しいけど反論できない。

 ベランダの真下の地面には血の跡が残っていた。
 ただ、その血の跡はもう二年も前のものだという。
 随分洗ったようだが、どうしても黒い染みが消えないらしい。

帰り際に僕は何故かその染みが気になって、何時までも見つめていた。
299本当にあった怖い名無し:2006/11/22(水) 20:56:41 ID:65hJmXKR0
ものすごくドラマチックな出会いだ
gj!
300本当にあった怖い名無し:2006/11/22(水) 23:12:54 ID:dY0TQNCM0
ギリギリだな、マコト
ってゆーか、反撃できてないだろw
301ななし ◆NANASIDdn. :2006/11/23(木) 07:56:25 ID:OGxo+QGk0
>>300
回避できたと言うことでギリギリの反撃と言うことで…
ちょっと無理がありますかw
302本当にあった怖い名無し:2006/11/24(金) 01:22:16 ID:DF/VyymO0
保守ageついでに元ネタまとめ

>>156に続き、>>158から

>>158 かいだんひーとつのーぼった
>>162-163 メリーさん
>>174-176 素敵な親子
>>182-183 雪女
>>186 リョウメンスクナ
>>198-199 回路
>>207 くねくね

303本当にあった怖い名無し:2006/11/24(金) 01:29:03 ID:DF/VyymO0
>>208 ねこまた
>>211 口裂け女
>>221 飛び降り自殺 or 高層マンション
>>222 検索エンジン
>>227 100キロババア

>>230-235 
元ネタのようつべ消えてましたorz タイトル控えておけばよかったですね…

>>238-240 リョウメンスクナ
>>242 下男
>>259 足洗い屋敷(本所七不思議)

キリがいいのでここまで。
書き手さん募集ageしておきます。
304本当にあった怖い名無し:2006/11/24(金) 01:55:10 ID:zyU274+X0
俺の名前はジョージ。親父譲りの、足で情報を稼ぐタイプの探偵さ。

「はい、これで大丈夫ですよ」
マコトがPCを直してくれた。
メールに記載されていたURLをクリックしたら、窓がたくさん開くという
奇怪な現象に襲われたのだ。

「ジョージさんももう少しPCについて勉強したらいいのに」
「ふん! 俺は他にやる事が多過ぎるんだ。PCはお前に任せるよ」
「……判りました。じゃ、お夜食買ってきますね」

マコトの勧めで一応事務所のHPなぞ作ったら(作ったのはもちろん
マコトだが)、メールで妙な依頼が増えた。
いたずらメールかと思ったが、どうも違うようだ。
内容の殆どが、こういうものだ。
『赤い部屋というポップアップを見た友人が死んだ。赤い部屋について
調べて欲しい』
305本当にあった怖い名無し:2006/11/24(金) 01:55:41 ID:zyU274+X0
お、このメールには赤い部屋のURLが記載されてるぞ。
開いてみるか。でも、また窓がたくさん開いたら心臓に悪いな。
でも、マコトは何やらやって大丈夫な状態にしたらしいし、何かあっても
夜食を買って戻ってくるし。

クリック。

別に何ともならない。

「ただいま戻りました〜。PC、ちゃんと直ってるでしょ?」
「ああ、直ってる。ポップアップって奴は、出ないのか?」
「グーグルツールバー入れたから、許可しない限り出ませんよ」
「そういうものなのか…」

『赤い部屋』とやらを見た奴は、そのグーグル何とやらを入れてなかったに
違いない。

俺の名前はジョージ。今晩中に事務所のサイトに、グーグル何とやらの
使い方を載せてもらうつもりだ。
不幸は未然に防ぐ方がいい。
306本当にあった怖い名無し:2006/11/24(金) 09:50:46 ID:ffEbzuBL0
乙でした!赤い部屋弱杉で吹いたw
307本当にあった怖い名無し:2006/11/25(土) 23:29:05 ID:ML6Vc0Fp0
保守
308送り狼 ◆weJoc1mo9Y :2006/11/26(日) 00:51:29 ID:k+uCeUMI0
今日はちょっとブラックな一面を見せたい気分の岡島です。

最近管轄内で、物騒な2人組の通り魔の噂がたっています。
被害届けは出ていないのですが、何故か一人で調査です。
かき集めた情報によると犯人は2人組の男で、凶器は鎌らしいです。
被害者らしい人物に聞いても、何か隠しているようで話してくれません。
仕方ないので自分で囮調査するはめになってしまいました。

暇があればそれとなく、出るという噂の場所をぶらぶらしていました。
そうして2週間ほどたったその日、ついに2人組が姿を現しました。
僕はいきなり後ろからドンと突き飛ばされたかと思うと、腕に鋭い痛みが走りました。
見ると、そんなに深くはないけどスーツごとスパッと切れています。
僕はあわてて逃げる2人組を追おうとしましたが、誰かに引き止められました。
僕の行く手を阻んだのは二十歳になるやならざるやの美しいお嬢さんでした。

彼女は僕の傷に薬を塗って包帯を巻くと、カバンから茶封筒を取り出しました。
「申し訳ありません……あの……これでなにとぞ穏便に……」
封筒の中には現生で100万ほど入っているようでした。
何事かと思って、僕は正体を明かして彼女に事の真相を尋ねました。

彼女の話によると通り魔は自分の2人の兄で、大企業の令息だと言います。
レールの上を機械のように歩む人生にストレスが溜まり、
今回のような凶行を繰り返していたのだと……
そしてこのことが警察沙汰にならないように、被害者にお金を渡していたと……
ああ……それで被害者が何も言わなかったんですね。

まぁ僕はお金を受け取りませんし、3人の事情なんて知ったことじゃないので、
被害届け出して令状とって、彼女の兄2人を逮捕して手柄をたてました。
もちろん彼女自身も犯人隠避の罪でしょっ引きましたよ、抜かりなく。
う〜ん……犯人とのラブロマンスなんて僕には無理ですね。
309本当にあった怖い名無し:2006/11/26(日) 01:16:50 ID:db4wAOBH0
送り狼さん(・∀・)イイ!!

かまいたち、…と見せかけて唯の通り魔
助けるのかなぁ…と見せかけてタイーホw

2度のどんでん返しをこの1レスに収める才能が素晴らしいw

あっしにもちょこっと分けてくだせえ_| ̄|○
310本当にあった怖い名無し:2006/11/26(日) 17:00:03 ID:+2OWCWoJO
(´・ω・`)うしおととら思い出した
311本当にあった怖い名無し:2006/11/27(月) 13:24:21 ID:3GIJmxac0
俺の名前はジョージ、今は売れない探偵なんて仕事をしている。

昔の話だ、一人の女と付き合っていたことがある。
確か、ヨガ教室のインストラクターとか言ったか。

俺も若かったし、さんざん悪さもしていた頃のことさ。

俺は女のマンションで風呂に入ろうと浴槽の蓋を開いた。
浴槽の中に人の頭のような影が見えた。
頭部の上半分が浴槽の真ん中に浮き、鼻の付け根から下は沈んでいた。

見開いた両目は正面の浴槽の壁を見つめ、長い髪が海藻のように揺れて広がり、
浮力でふわりと持ちあげられた白く細い両腕が、黒髪の間に見え隠れしていた。

どんな姿勢を取っても、狭い浴槽にこんな風に入れる筈は無い。普通の女なら。
だが、こいつなら可能だ。

 ──脅かすなよ、俺は笑った。

一緒に入るなんて甘ったるい趣味は無い、俺は風呂場から外に出た。

タバコを買いに外に出る。

戻ると今度は洋式便器の、閉じた蓋と便座の間から長い髪が見えた。
蓋を開くと女の顔だけが上を向いていて、俺の顔を睨んでいた。

腕を上げたな、だが、ちょっと趣味が悪いぜ。

俺はタバコに火をつけると、そのまま女の家を出た。

それきり、女には会っていない。
今では、どんな狭い場所に入れるようになっているだろうか……
3121/4:2006/11/27(月) 17:33:08 ID:eMOFcdr30
俺の名前はジョージ、しがない探偵なんて稼業をしている。

どうも気が進まない事件だ。
俺はここに来てから、もうどれだけタバコを吸っただろうか。

 ──呪いの生き人形。

そんなものは信じちゃいないが、この屋敷はどこかおかしい。

屋敷全体が深い霧に包まれているような、そんな不安がある。
重苦しくて、じめじめした、暗さと陰気さ。

置いてきた猫の世話は大丈夫だろうか。

マコトの奴も連れてくるべきだっただろうか。

俺はさっきから疑問ばかり投げかけている。
こんなことは初めてだ。

その人形を扱った人形繰り、舞台のスタッフ。
テレビ局の関係者。出演者。
そしてその家族。
関わった人間が次々と不可解な事件に巻き込まれている。

もちろん俺は呪いなんて信じていない。
高速道路の人影、歩き回る足音、落ちてくる照明。
どれも古臭いトリックだ。

 気付くと俺はまたタバコに火をつけていた。何本目だ、糞。

「お待たせいたしました。」
古臭い着物を纏った老人がドアを開けて入ってきた。
3132/4:2006/11/27(月) 17:34:17 ID:eMOFcdr30
この屋敷の主人であるH氏。例の人形を作った製作者だ。
そして、この一連の事件の犯人だと俺は睨んでいる。

「こちらです。」

問われるとH氏は隠そうともせずに、俺を地下室へと案内した。
忽然と消えてしまった筈の人形の元へ。

 芸能という閉じられた世界。
 誰もが話したがらない事件。

地下室への階段を降りながら、俺はこの事件の全貌について考えていた。

地下室はお決まりの雰囲気に包まれている。説明するまでも無い状況だ。
H氏は手馴れた様子で部屋の明かりを付けに行った。

薄暗い部屋の中は無数の宙吊りになった人形たちの墓場だった。
通路以外の場所を埋め尽くした人形がひしめき合い、影を重ね、
さらに暗い闇を作り出していた。

 俺は、どうぞ、という声に誘われて一歩踏み出した。

馬鹿だった、俺はもっと警戒するべきだったのだ。
俺の体に無数の紐が蜘蛛の巣のように撒きついて吊り上げる。
腕が引き千切られるかと思うほどに強く引かれた。足は自由だが意味は無い。

複雑なからくりだが、まぁ、人形製作者ならこのくらい造作も無いことだろう。

俺はこの間抜けな人形の死骸たちと同じになっちまったようだ。

間抜けな人形?
俺はその時初めて吊るされたモノのうち何割かの正体に気がついた。
3143/4:2006/11/27(月) 17:35:15 ID:eMOFcdr30
それは俺と同じく、秘密を突き止めた人間の成れの果てだ。

「見えますか?探偵さん。」
顔を上げるとH氏の手が美しく整った人形の頬を撫で回していた。

 ……あれが、例の人形か。

「このひとは…誰にも渡しません…誰にも……」

老人の瞳には狂気が宿っていた。
歪んだ愛情。人形を作り続け、人形と共に生き、人形を愛した男。

芸能界という閉鎖された空間で絶対の権力を握る老人。
この人形を取り戻すために暴走した愛。

理解できないでもない。
所詮、男は女に縛られて生きる生き物のようだしな。

 他人の女の趣味を詮索するつもりは無い。

 他人の不幸と引き換えの幸福。それも解る。

 だがな、じいさん……そろそろ舞台の幕も降りる頃だぜ。

吊られて身動きが取れない筈の俺の右手がカチリと鳴った。
火の点いたオイルライターが指先に転がり出た。

縛り上げられる寸前に掌に隠し持ったものだ。

老人の表情がみるみる変わる。
赤く上気していた顔色が信号機のように青くなった。
3154/4:2006/11/27(月) 17:36:30 ID:eMOFcdr30
やめろ、という声を合図に俺はライターを隣の人形に投げた。
これで先に俺の紐が焼け落ちなければ、俺の負けだ。

一生耳に残りそうな老人の叫び。
火はみるみる燃え広がって、俺を包み込んでいく。

 そう都合よく、俺の紐だけ燃えちゃくれないか──

ため息でもついておくか、そう考えていると耳元で聞きなれた声がした。

 みー

俺の家に居候している三毛猫だった。

もう一声、猫が鳴いた途端に俺の体は自由になった。
どうやってここまで来たのかわからないが、いつの間にか俺の肩に乗っていた。
聞きたいことは山ほどある、だが、とにかく助かった。

俺は猫を抱いて業火に包まれる寸言の地下室から逃げ出した。
逃げろと叫んだが、声は届かなかったのだろうか。

そして俺は焼け落ちる屋敷を眺めながら、警察の到着を待っている。
俺を見上げる猫に笑みを返し、頭を撫でてやる。

俺が最後に見たH氏は、炎の中で人形を抱いていた。

人形は笑っていた。

人形の腕が老人の背に廻されていた様に見えたのは錯覚だろうか。

事件は終わったのだろうか。
俺はまた、疑問ばかり繰り返している………
316エピローグ:2006/11/27(月) 17:38:12 ID:eMOFcdr30
俺はタバコに火をつけようとして、ライターが無い事を思い出した。
目の前に火は沢山あるが、これで点ける気は起きない。
仕方なく俺はタバコをポケットに捻りこんだ。

長く伸びた影が炎に合わせて震えていた。


 それは不安に震えていた、俺自身の影だったのか。


捜査の結果、地下室からH氏の死体は発見されなかった。
抜け道は無かった。だが、居なくなってしまったのだ。

地下室からは多数の遺体と仕掛けの跡が発見され、
そのおかげで俺の行動には正当防衛が認められた。

ギリギリのところで殺人と放火の罪から逃れることが出来たらしい。
まあ、逃れることが幸せだったのかどうかはわからないがな。


H氏はまだ生きている。

事件は終わってなどいない。


そして


燃えカスの中にあの人形があるとはとても思えなかったからだ。
317本当にあった怖い名無し:2006/11/27(月) 17:46:03 ID:eMOFcdr30
過疎っていたので即興で書いたらミスがorz

4/4の 寸言 → 寸前 に脳内変換宜しくお願いしますorz
318本当にあった怖い名無し:2006/11/27(月) 20:53:33 ID:uB3s+P8M0
>>311
乙です。ジョージらしいw
さすがに浴槽の蓋を閉めて上にいろいろな物を載せたり、
トイレの水を流したりはしなかったんですね。

>>312-316
乙です。
即興で書いてこれとは素晴らしいです。
ちょっと都合が良すぎる展開と言えなくもないですが。ゴメンナサイ。
生き人形の話のせいか、H氏は白髪の稲川淳二になってしまう・・・
ぜひ続編もお願いします。
319本当にあった怖い名無し:2006/11/27(月) 23:04:44 ID:eMOFcdr30
>>318 レスどうもです^^
いろいろ「生き人形」について読むと、人形制作者にはちゃんと名前があるんですよね。
もしかしたら実在する(した)人物なのかも…と思ってイニシャルにしました。

まあ、したからといって失礼なことには変わりないですがorz

いつか「完結編」書けたらなぁ、と思っています^^
320本当にあった怖い名無し:2006/11/28(火) 08:18:19 ID:BElhJ2/QO
【生き人形】改変、お疲れさまです。
【黒とかげ】のような妖しい色気が、ありましたわえ
321本当にあった怖い名無し:2006/11/28(火) 15:16:39 ID:7NxQn4kd0
俺の名前はジョージ。案外忙しい探偵だ。

近隣の小学校で女の子が行方不明になる事件が相次いでいる。
しかも昨日、その内のひとりが、排水口で発見された。
変わり果てた姿で…。

犯人はどいつだ。
まだ発見されていない女の子達は無事なのか!?

浮かない顔で歩いていたら妙な光景を目にした。
公園のそばのマンホールの上で、少女が楽しそうに跳ねている。
マンホール…排水口…。

気になって声を掛けようとしたら、何者かに肩をつかまれた。
「や、久しぶり」
振り返ると、悟だった。
322本当にあった怖い名無し:2006/11/28(火) 15:17:26 ID:7NxQn4kd0
「お、お前何でこんなところに?」
「あの子を見てたんだよ」
「あの子って…あの子か?」

マンホールの上で跳ねる少女を親指で示した。

「俺の勤務先の生徒だよ」
「そうか…って、用務員のお前が生徒の顔まで良く覚えてるな」
「案外子供って、親や担任より、微妙な他人の方が付き合いやすいもんさ。
あの子は5年生で母子家庭。母親がそこの商店街の肉屋に勤めてる。
母親の仕事が終わるまで、毎日ここで遊んでるんだよ」
「詳しいな」

悟の頬が、闇に包まれ行く中で赤らんだように見えたのは気のせいか?

少女は延々とマンホールの上で跳ねている。飽きないのか?

「俺、やっぱりちょっと声を掛けてくる」
「何故?」
「マンホールの上で跳ねるなんて危ないだろう?
最近事故…事件かもな、あったことだし」
「よせよ」

俺はまた悟に肩をつかまれた。
323本当にあった怖い名無し:2006/11/28(火) 15:18:12 ID:7NxQn4kd0
「あのマンホールを見ろ。丸いだろう」
「ああ、丸いな」
「丸いマンホールの蓋は、落ちない構造になってる。
上で曙でも跳ねない限り大丈夫だよ」
「そうか…」
「俺達も小さい頃は、妙な遊びに夢中になったじゃないか。
積み上げてあるブロックの周りをひたすら回り続けたり」
「ああ、やったなあ。やり過ぎて目が回るんだよ、あれ」
「似たようなもんだと思うぜ」
「そうだな」

夢中になってマンホールの上で跳ね続ける少女。
そうだな悟、お前の言う通りかもしれない。

悟が腕時計を見た。

「…6時だ。そろそろ母親が来る」

悟の言葉どおり、公園の向こうにある商店街から女が歩いてきた。
少女は跳ねるのをやめ、女に駆け寄った。

「どこかで一杯やらないか?」

久しぶりの悟の誘いだ、断る理由はない。
それに、思い出話に花を咲かせたい気分でもある。
324本当にあった怖い名無し:2006/11/28(火) 18:38:39 ID:uz0s+GwU0
スルーどころか何事も起こらないのかよwwwww
325本当にあった怖い名無し:2006/11/28(火) 18:41:26 ID:z5H03lsq0
>>324
話の導入部見ると、もう起こったあとなんじゃね
326本当にあった怖い名無し:2006/11/29(水) 01:58:50 ID:sB1nLoQB0
つまり連続殺人犯を目の前に、ジョージと悟二人揃ってなにしてるのか、とw

書き手が減って寂しいな。
ぽんぽん氏、他のスレでも見かけないけどどうしたのかな。
327ぽんぽん:2006/11/29(水) 10:05:05 ID:cmuQOHNy0
皆さんすいません、ここ5日間修学旅行で関西行ってしまって書き込めませんでした。
そろそろ出します。次の悟。
328本当にあった怖い名無し:2006/11/29(水) 10:49:13 ID:KY8VZo+eO
近藤さんの話も読みたいな。あの渋い感じが好きだ。
あと、女性視点の話が読みたいからサオリ。
でもサオリはジョージ話の中に出て来るなら大丈夫だけど、個人だと動かし辛そうなキャラかも。
329本当にあった怖い名無し:2006/11/29(水) 18:02:07 ID:35k36Lua0
俺の名はジョージ。ただ今発情期真っ盛りの探偵だ 
 
ある事件の調査で福岡県の山奥の村に行った時の話だ  
 
その日、俺は一通り調査が終わり泊っている民宿から酒の飲める場所を聞いた(一人で祝杯を上げるなんてキザだがな、、、、) 
宿の主人はある一軒の居酒屋を教えてくれた 
その居酒屋はちょっとした商店街のようなところにあるそうだ 
 
 
 
 




俺はその居酒屋に行き地元の名水姥水(これがまたウマイ)を使った地酒を飲み一通り出来上がった  
 
いい気分の帰り道だんだん酔いが回ってきた 
330大日本帝国外務副長官@渡辺 :2006/11/29(水) 18:03:24 ID:35k36Lua0
夢心地のまま歩いていると
 
「ん、なんかくすぐったいような?」気配を感じて酔いが覚めた。「なに!」
見知らぬおばあさんがちょこんと目の前に座って俺の(以下自主規制)をさすっている。
「ぬめら〜として、若い衆の(以下自主規制)はたまらんのう〜」
「ぬめら〜として、若い衆の(以下自主規制)はたまらんのう〜」
 
歳は70とか80とかいってそうでぼろぼろの茶色い着物をきていた。
「ぬめら〜として、若い衆の(以下自主規制)はたまらんのう〜」
「ぬめら〜として、若い衆の(以下自主規制)はたまらんのう〜」 
俺はいくら発情期だといってもこんな婆さんと関係を持つつもりはない 
「婆さん、、、、、、、、いったいいくら欲しいんだ」 
 
「一回2000円でええよ」 
 
「そうじゃない」 「え?」 
「あんたがこれから暮らすのにいくら必要かって聞いてるんだよ」
「それじゃあお前さん、、、、、、!」 
 
 
婆さんの話をよく聞いてみると息子が今よく言われているNEETと言われる物になったしまったうえ 
若い頃に作った借金も返済しきれていないとの事だった、生活補助も息子がいると言う事で認められなかったらしい 
 
これでは年金程度では首が回らない 
俺はそんな婆さんのために毎月いくらかの仕送りをしてやることにした 
俺が貧乏なのはこうゆうお人よしなところがあるからだろう
日本の高齢者福祉の実態を見た旅だっな 
 
  
俺はそんな話をマコトに聞かせマルボロに火をつけた・・・・・・・・・・・・・・
331大日本帝国外務副長官@渡辺 :2006/11/29(水) 18:20:27 ID:35k36Lua0
補足 
※姥水の伝承 
その昔病気の子を持つ姥が居たが 
姥の家は貧しく井戸も枯れてしまっていた 
そこへ親切な若者が通りかかり新しく井戸を掘ってやった 
新しくできた井戸の水を飲んだ姥の息子はたちまち元気になり 
やがて姥の家は億万長者となった 
そして姥の息子はあの時訪れた若者は福の神であったと思い 
福の神を祀る祠を若者の掘った井戸の隣に立てました 
その祠と井戸は今日でも残っており 
姥の幸運にあやかろうと毎年多くの観光客が訪れます(大概ジーさんバーさん)
332大日本帝国外務副長官@渡辺 :2006/11/29(水) 20:32:55 ID:35k36Lua0
333本当にあった怖い名無し:2006/11/29(水) 20:40:20 ID:sB1nLoQB0
外務副長官乙であります。
元ネタが、この「姥水の伝承」なんですね。
次回作も期待していますノシ

で、このリンク先は……w
334大日本帝国外務副長官@渡辺 :2006/11/29(水) 20:56:31 ID:35k36Lua0
http://syarecowa.moo.jp/76/433.html 
解りにくくてスンません↑が元ネタです
335本当にあった怖い名無し:2006/11/29(水) 21:01:19 ID:sB1nLoQB0
あら^^; 
了解です。「若い衆の肌」ですね。まとめのとき間違えないようにしないと…
336本当にあった怖い名無し:2006/11/29(水) 23:20:38 ID:jgHwsCQj0
12月から少なくとも半年身動きが取れないので、悪いけれど今のうちに連投。

最初に、ぽんぽんさんごめんなさい。207から無リロード連投したため、210で大変失礼しました。

それから、メル欄は、あくまで真≠偽、真>>偽という意味。つまり、
ROMの皆様へ……「最近ジョージネタ切れ?」「最近クールさが……」ではなく、「偽ヘタ、帰れ」「クールさ皆無、偽市ね」でよろしく。
本家作者さんへ……「偽」で書かれている設定やキャラはご自由に削除や訂正宣言してください。自分が成行きで書いたネタで、本家の設定やイメージが縛られるなんて主客転倒だし不本意なので。
のつもり。ウザければ外すので言って。名前の後の句点やクールさ加減で真偽は分かるだろうし。

三毛猫は……ツッコミや反撃に便利とは思うけど、猫嫌いの人もいるだろうし……。用例を既出ネタで2例挙げてはおくけれど、イメージを壊すようなら本家作者さんは遠慮せずダメ出し宣言願います。

これから投稿する元ネタは以下。6回連投できるだろうか。
「下男」(用例A)
「おんぶ」(用例B)
「樹に襲われる」Kondoh's Side(洒落にならない怖い話まとめサイトNo.136)
ttp://syarecowa.moo.jp/136/17.html
「樹に襲われる」George's Side
「お化け屋敷の仕掛け」(同サイトNo.136)
ttp://syarecowa.moo.jp/136/2.html
337本当にあった怖い名無し:2006/11/29(水) 23:22:34 ID:jgHwsCQj0
アタシは風来坊。今はミケと呼ばれ、売れない探偵の家に居候の身さ。

ここじゃ食事は自分で調達が基本らしい。
ケイちゃんて娘といた時は、変わりばんこに自炊していたんだけどね。
今日の夜食は、部屋をうろついていたネズミ。ちょろちょろ目障りだったし。
下品だけど、時間がなかったからさっき頭から丸かじりした。

腹がふくれたんで机の上を片付けてうとうとしていると、外から大勢の足音。
この臭いは……、ボスと女、それに何とかいう警官だ。
はて。さっきボスは、女にコンビニへ行こうとか言っていなかったかね。
深夜に二人で随分あわただしく出ていって、警官を連れて戻って来るとは。

「近藤さんには連絡済みです。もうすぐ来るはずです。」
玄関の外で、警官が小声でボス達に説明している。
「俺と岡島だけでも充分だろう。さっさとやろうぜ。」
ボスの声。警官もしぶしぶ同意する。何をするんだろう。

入ってきたのは、ひょろっとした警官とボス。おかえり、ボス。みゃ……
……何よ、唇に人差し指を当てて。黙れってこと?

二人は音を立てないようにソファーに向かう。警官は拳銃を構えてる。
「かくれんぼは終わりだ、出てこいよ。」
「包丁は捨てた方が身のためですよ。」

あらら、ソファーの下は、もう無人よ。

「なんだ、包丁だけ残して逃げちゃったんですか。」
「すまんな、岡島。捕まえてから連絡すれば良かったんだが。」
「いえ。怪我がなくて何よりでした。……包丁男にね。」

にやっと笑って警官は出ていった。
ごめんね、ボス。あなたの夜食だと知っていたら、あのこそ泥に手は出さなかったのに。
338本当にあった怖い名無し:2006/11/29(水) 23:23:27 ID:jgHwsCQj0
俺の名前はジョージ。久々に仕事にありついた探偵だ。

今の仕事は家出人探し。見慣れた依頼ではある。
事件自体も蒸発の典型的なタイプ。妻の両親と夫が連れ立って依頼に来た。
育児疲れ、夫婦の不仲、不倫。喧嘩の多い夫婦だと近所でも評判だ。

それでも、大喧嘩後の家出から五日。調査しても失踪後の目撃情報は皆無だ。
実家も、姉妹も、親戚も、友達も、一切連絡なし。
しかも、この仕事はいつまでに成果が上がるなんて断言できない。

「そうですか……。とにかく、よろしくお願いします。」

元気のない男が、子供と一緒にソファーから立ち上がる。家出人の夫だ。
妻が家出してからろくに眠っていないのだろう、日に日にやつれている。
保育園に子供を迎えに行った帰り、進展を聞きに来る。それが日課らしい。

子供も、幼いなりに親の変化を感じ取っている。
「ねえ、おじさん。どうしてお父さんはずっとお母さんを背負っているの。」
さっき父親がトイレに立ったときに、子供が不思議そうに聞いてきた。

正直驚いた。煙草の煙を吐き出しながら、慎重に言葉を選ぶ。
いいか、坊や。男はな、いつも何かを背負ってるんだ。大きくなったら分かるがな。

煮干を食べていたミケが突然咳き込み出し、雰囲気はぶち壊しだ。それでも続ける。
家族を背負うってのは、特に大変なんだぜ。俺も、年を取って分かったよ。

急にミケが顔を洗い出す。手にたっぷり唾を含ませて、目の上あたりを念入りに……。

もう一度あの日に戻れるのなら何でもします。
依頼に来たとき、夫はそう言い切った。その言葉には真実と悔恨の香りがした。

待ってろよ。必ず家出人は見つけてやるぜ。それから坊や、俺は「おにーさん」だ。
339本当にあった怖い名無し:2006/11/29(水) 23:24:14 ID:jgHwsCQj0
俺の名前は近藤。人生の大半を刑事なんて肩書きで埋めてきた人間だ。

市民の安全なんてお題目を守ろうとすると、色々な奴を向こうに回すことになる。
ほとんどは権力と法律でカタがつく。
問題は、そうでない奴らがいるってことと、そいつらの方が厄介だってことだ。

事の起こりは、ジョージから来た唐突な電話だった。
躊躇いがちに、ちょっと相談が、なんて風に切り出した。
あいつにしては考えられない神妙さに、すわ地球最後の日か結婚かと疑ったくらいだ。
だが、話が進むにつれて、冗談では済まなくなってきた。

――とある大公園の森、時刻は丑三つ時。
公衆便所の帰り、ジョージは何者かに背中を殴られ気絶したという。

気付けば幽体離脱しており、自分の体を上から見ていた。
しかも、木が根を伸ばし自分の体を掴み、土中に引き摺りこもうとした。
誰からか携帯に電話がかかってきたお陰で、根が離れて幽体離脱も解けた。
てっきり夢かと思ったが、帰って確認したら背中に手形――。

話を聞きながら、疑問は確信へと変わっていった。

樹の精だ。間違いない。

念のため、現在はもう取り憑かれていないことをジョージに確認して電話を切る。
事件ファイルを漁って、確証も見つけ出す。周辺で子供の神隠しが二件。奴の悪行だ。

話をつけねばなるまい。急いで準備をし、ジョージ宛てに経緯をしたためた封書を残す。
力及ばず、俺が三人目の「神隠し」に遭ったときのためだ。

そりゃあ、市民の安全なんてお題目だ。
見境もなく子供やジョージに手を出した奴を放っておくほど、俺は温厚じゃない。
ただ、それだけのことだ。
340本当にあった怖い名無し:2006/11/29(水) 23:25:07 ID:jgHwsCQj0
俺の名前はジョージ。今日は浮き足立った探偵だ。

探偵って稼業はつくづく夢がない。
浮気調査を考えてみれば分かる。
自分で見たことや物証が全て。人の噂や推理だけだと話にならない。
こんな性分が骨身に染み付くのが、探偵の業ってもんだろう。

ところが、今回はこの性分が裏目に出た。

深夜のドライブ中、ふと立ち寄った森で俺は背中に衝撃を受け、気絶した。
気が付くと自分の体が眼下にある。何だこれは。
よく見ると、近くの木から根が伸び、俺の体を引き摺りこもうと――。
すんでのところで携帯が鳴り、根が離れた。俺も自分の体に吸い込まれた。

そこで目が覚めた。あわてて車に戻ると女はおかんむり。
夢だと思っていたが、翌朝、女が俺の背中に手形を見つけて騒ぎ出した。

化物だとかエントだとか言い出す彼女をなだめようとして、はたと困った。
もちろん、幽霊や妖怪なんて、この世に存在するはずもない。
だが、どこに証拠が? 証拠も無しに結論を出すなんて、俺は探偵か?
しかも俺は、自分で見たことや物証を否定しようとしてる。

探偵の良心ってやつと真実の女神サマとが正面衝突だ。
悩んだ末、俺の灰色の脳細胞は単純な解法を弾き出した。
何のことはない、困ったときの近藤さん頼みだ。

――気のせいだ、間違いない。

電話で事情を聞いた近藤さんは、怒りもせず自信たっぷりに断言した。
ほら。ニヤリと笑って彼女を見る。酒と疲労が見せた幻ってところだろう。

今も疲れているのかなんて心配までしてくれた。つくづく近藤さんは有難い人だ。
341本当にあった怖い名無し:2006/11/29(水) 23:26:32 ID:jgHwsCQj0
僕の名前はマコト。今日はお化け屋敷で指折り数えている探偵見習いだ。

毎度のことだけど、ジョージさんの採算度外視ぶりには呆れてしまう。
女子高生の依頼を受けたときから、まともな報酬が貰えないとは思ってた。
案の定、報酬は福引で当たった遊園地招待券五枚。お化け屋敷が怖いと有名なところだ。
ジョージさんも苦笑しながら僕らや依頼人の女の子まで誘ってたから、予想はしてたらしい。

遊園地でお化け屋敷に入るとき、怖がらせスポットを数えようってことになった。
中は何のことは無い、普通のお化け屋敷。
高校生くらいの客が何も無いところで騒ぐから気が散ってうるさいけど、気にしない。
指折り数えて出てきた後、みんなで答え合わせだ。

「私は六つよ。」
大家さんが涼やかに言う。なるほどなるほど。

「俺は、38個だ。」
非番の近藤さんがぼそっと言う。女の子が急に顔を上げて近藤さんを見つめ、言う。
「すごい、私も38。」
二人で顔を見合わせて、微笑を交わす。そりゃ、ある意味すごいとは思うけど。

ようやく僕の番だ。みんな、おまちかねの正解発表だよ。
「僕は五箇所。」
自信をもって断言すると、よほど衝撃的だったのか全員の視線が集まる。

「……俺はちょうど四十箇所あったんだが。」
ジョージさんは、しばしの沈黙のあと呟いた。
近藤さんと女の子は、一瞬きょとんとしたあと、真剣な顔でぼそぼそ話し合った。
どうやら、もう一度二人で確かめに入ることにしたらしい。
大家さんは物問いたげな顔をしてジョージさんと僕とを見ている。

まあ、怖がっていると無いものまで見えてしまうってこと。「幽霊の正体見たり」ってね。
気を落とさないで、みんな。でも、ジョージさんや近藤さんがそんなに怖がりだったとは。
342本当にあった怖い名無し:2006/11/30(木) 09:43:24 ID:3c/2oGqI0
>>336
乙です。この場合、一応私が「本家」ということになるのでしょうか。
うーん、鳥付けた方がいいのかなぁ…気を使わせてすみません。

本スレで「偽いりませんよ」と言ったのも私です。
私としては「偽」さんの文章が私より〜なんてちっとも思いませんので堂々と本家名乗って
(または喰って)いただいてよかったのですが^^;
まぁ、師匠リーズのウニさん同様、隠しコテみたいな感じでいいのかも。

イメージに関しても特に固く考えなくてもいいですよ。
もう何人もの人が書いている作品ですし、いろいろ混ざって私も楽しませていただいています。
>>330の外務副長官さんの作品でついにタバコの銘柄も出てきましたし。
>>337なんて私にはまず書けない作品ですよ、素晴らしいです。
(( ;゚д゚))アワワワワな展開で面白かった^^。ぜひ参考にさせていただきます。

半年も身動き取れないとのことですが、もったいないなぁ、せっかくの書き手さんがorz
ぜひ戻ってくるのをお待ちしていますノシ

最後に、馴れ合い的レスすみません >ALL
343pDOG ◆MjRkBb/jUw :2006/11/30(木) 10:05:06 ID:3c/2oGqI0
ついでにちょっと鳥付けて見ます。必要なければ消します。
344本当にあった怖い名無し:2006/11/30(木) 15:47:29 ID:07qkG0Eu0
>>336
乙です。それぞれ楽しませていただきました。

特に>>339>>340
 樹の精だ ー 気のせいだ
 取り憑かれて − 疲れて     これにはニヤリ

>>342さん同様お帰りお待ちしています。

345本当にあった怖い名無し:2006/11/30(木) 15:50:08 ID:07qkG0Eu0
>>342-343
>必要なければ消します。

いや、ぜひ付けておいてください。
ジョージの産みの親である「本家」の作者さんは確認したいので。

以前、コテ付けてくださるようにお願いしたことがあったのですが
断られてしまいました・・・orz


>>336さんにも付けて欲しいですが・・・

346ぽんぽん:2006/11/30(木) 20:53:53 ID:e44PT4aa0
えっと、別に気にしてはいません。というわけで悟いきます。なんかドタバタ系だと思います。

 俺の名前は悟。最近生傷が絶えない用務員だ。

 その所為か最近は保健室で休むことが多くなっちまった。畜生、最近のガキは容赦がねえ。

 「悟さ〜ん、ちょっと出てきますんで、静かに寝てくださいね〜」

 俺に易しくそう言ってくれるのはこの学校の保険の先生、香苗先生だ。
まったく、この学校の女教師は質が高すぎるぜ。誰に手を出したら良いか迷っちまう、みんな美人だし、おっと生徒にも良いのがいたな。
全く誰と付き合ったらいいのか迷っちまうな、あ〜やべ眠くなってきやがった。
さてと、俺も寝るか…。
  ・
  ・
  ・
  ん?。
 異変を関して俺は目を覚まし、体を起こした。確か今俺の顔の前に誰かいたような・・・。 
まあいい、どうせ奈津子が覗き込みに来ただけだろ、でもあいつにしちゃあいやに慎重だな、むしろ怖いくらいだ。
347ぽんぽん:2006/11/30(木) 20:55:03 ID:e44PT4aa0
あ、また眠くなってきた。早く香苗先生戻って来てくれねえかな〜、診察受けてえよ。
畜生、いったいだ・・・れ・・・zzzzzz。 
 ・
 ・
 ・
 ・
 また来た、俺の顔の前に誰かいる。この場合は、目を瞑るのが得策だろう、そう思った俺は近づいてくるのをじっと待った。
ゆっくり、ゆっくり、近づいてく。目を閉じてもわかる、『奴』が近づいている。そして、

 俺は、『奴』の頭をつかみ、目を開けた。掴んだとき「ひゃうう」と言う声が聞こえたが気にしない、自業自得だ。
そして目に入ってきた顔は、なんと奈津子ではなく、由佳だった。
348ぽんぽん:2006/11/30(木) 20:55:41 ID:e44PT4aa0
「で、お前は何をやってるんだ?オルゴールは俺の職場(用務員室)だぞ。」
 「えっと、悟さんが寝込んでるって聞いたから、心配で・・。」
 「で、俺の寝顔をずっと覗いてたわけか、この野郎。と、いうわけでお仕置きだ」
 「え?ちょっと、お仕置きって?あ、ねえ悟さん、この両手離せないかなあ?」
 「ダメだ。と、言うわけで始めるぞ♪」
 「え?だからあの、え!ちょっと!どんどん顔が近づいてるーーーーー!!!ダメだよ〜〜〜!!」
 「少し静かにしてろ。香苗先生に気づかれると面倒だ、早く終わらせる」
 「だから、あー!!口と口がー!!近づいて・・・むぐう」

 由佳の奴ようやく黙りやがった。口をふさいでても(というかキスしてても)抵抗しようとして手足をばたつかせてやがる。
まあそこがいいと言っちゃあ良いんだがな。お、ようやく落ち着いてきた。観念したのかな?なんか手を回してきたぞ。
 と、そのとき。

 「悟さ〜ん♪」
349ぽんぽん:2006/11/30(木) 20:56:27 ID:e44PT4aa0
香苗先生だ、帰ってきたのか。「ヤバイ!!」そう思った俺は不信感を抱かせないようにそっと由佳を放し、別れを告げた。
去り際に「次はきっと・・・・」と言ってたがなあに、来たらまたやるだけさ。それより今は香苗先生だ。

 「は〜い。こっちで〜す。ってあれ?」

 俺が驚いたのも無理はない。なぜなら俺の視線の先には此処にいるのは有り得ない奴がいるからだ。
しかも香苗先生に気づかれることなく。俺のほうをちらちら見てくる、しかもちょっと恥ずかしそうに。

 「奈津子、まさか・・お前」
 
 奈津子はこくりと頷いた。しまった、見られていた。おそらく寝顔もだ。畜生、ぬかった。
今この場で見つかるとヤバイ、そう思った俺は「治りました」と言い、保健室を出た。
 どんな状況でもジョージのようにクールになんないと、奴の名前を出すのは癪だが今回ばかりはそう思った。

350ぽんぽん:2006/11/30(木) 21:04:22 ID:e44PT4aa0
元ねた(だ〜いぶ変わっちゃってますが)はhttp://tool-5.net/?id=destinyLyCa&pn=92です
351本当にあった怖い名無し:2006/12/01(金) 01:06:47 ID:tcq7bFNY0
>>346-349
面白いw この場合は由佳が「・・・ちっ・・・もう少しやったのに・・・」なわけかw
352本当にあった怖い名無し:2006/12/01(金) 11:46:18 ID:L/1SqoXMO
悟はいつか女で身を滅ぼすな…
353本当にあった怖い名無し:2006/12/01(金) 14:46:06 ID:q5BNaBC60
俺の名前はジョージ。恥ずかしいが冷え性の探偵だ。
このシーズンには使い捨てカイロが欠かせない。

なのに、俺の目の前にいる女は白っぽいワンピース1枚だ。
寒くないのか?
何でも、以前雪山で知り合った男を探しているという。

「目に特徴があって、ちょっと顎が尖り気味…ねえ。
それだけじゃ探しようがありませんよ」

そうですね、下界に人が増え過ぎたわ。
そう呟いて女は去っていった。

探し人が見付かるといいな。

しかし、女の格好を見ていたら気温が5度くらい下がった気がする。
マコトが出勤してきたら、灯油を買いに行かせよう。
354ぽんぽん:2006/12/01(金) 19:59:13 ID:Fr6RclJd0
>>351さんの言うとおりです。その後の反撃はもちろんオリですが。
身を滅ぼさないように何とかやっていきます。
>>353は雪女?
355本当にあった怖い名無し:2006/12/01(金) 20:32:05 ID:mfOc2omZO
>>353
捜し人は絶対悟の事だなw
356本当にあった怖い名無し:2006/12/02(土) 01:09:57 ID:IUnBV/mzO
僕の名前は・・・〜〜っあぁぁああ・・・っと。
・・・あ〜ぁ、眠い・・・。
こんにちは。ジョージさんがいないし、依頼もない。
暇してます。マコトです。
(報酬がきちんともらえた)依頼を受けたのは、いつ以来だっけ。
手帳でも整理してみようかなぁ。
8月2日:ジョージさんが、猫を拾ってきた。
ミケと名付けられた。(僕は、別の名前を提案したけど)
8月17日:ミケが鳴いた。
9月21日:ミケが笑った。
9月30日:ミケが立った。
11月6日:ミケが喋った。
11月18日:ミケが踊った。(リンゴの中で)
11月19日:ミケが巨大化した。
11月26日:ミケが放射能火炎をはいた。

『うにゃにゃっ!!』
いつの間にか、そばにミケがいた。
『悪い。悪い。暇だったから、つい・・・』
♪♪♪♪♪♪♪
『・・・おっと、電話、電話〜っと。』

『にゃ〜ん』
【12月2日
ミケを怒らせてしまった。
クリスマスには、ミケが喜びそうな物をプレゼントしよう。】

『ミケ〜。依頼の電話だったよ。
・・・あれ?こんなの書いたっけ?
・・・まぁ、いいや。
依頼人が来るまでに、部屋を掃除しとかなきゃ』
『みゃ〜〜っ♪』
357本当にあった怖い名無し:2006/12/02(土) 02:19:17 ID:6ers2hfV0
  ∧,,▲  みゃ〜〜っ♪
  (;;・∀・)
〜(;;;;uuノ 
358本当にあった怖い名無し:2006/12/02(土) 12:20:32 ID:m/3RJPs0O
かーわーいーいー
359本当にあった怖い名無し:2006/12/02(土) 18:26:23 ID:yaoh5AV8O
ムツゴローさん
どぉこぉ?
゙∧∧
( ・∀・)
360pDOG ◆MjRkBb/jUw :2006/12/03(日) 00:25:03 ID:IBpg5+R70
俺の名前はジョージ、しがない探偵なんて稼業をしている。

それは冷たい冬の雨がメイフェアの薄い屋根を叩く夜の事だった。
雪よりも重く、深く染みこむ雨が、凍えたボディをさらに震わせていた。

「ジョージさん、気付いていましたか?」
雨音の旋律に聞き惚れていると助手席のマコトが話しかけてきた。

軽く目を向けると青い顔をしている。
何のことだ、と聞くと雨が降ってましたよね、と言う。

何を言ってるんだ?こいつは。
雨なら昨日の夜からずっと降りっぱなしじゃねぇか。

「そうじゃなくて!僕たちさっきトンネルを抜けましたよね。
その間もずっと雨が降り続いていたじゃないですか!」

ああ、振っていたな。

「おかしいと思わないんですか?トンネルの中ですよ?」

雨がそう簡単に止んだりするはずはないだろう?

「あーもう、わからないかなぁ、その証拠に雨の音はしていても、
きっと屋根は濡れていないんですよ……
ああ、いいです窓を開けなくても。今は濡れてますよっ。」

おかしな奴だな、と、俺は笑い飛ばした。
古いワイパーが俺と一緒に笑い声をあげていた。

マコトはもういいです、と拗ねた女のように窓の外を向いてしまった。
本当に何を言っているんだかわからない。変な奴だな。
361pDOG ◆MjRkBb/jUw :2006/12/03(日) 00:26:11 ID:IBpg5+R70
「俺です。俺がやったんだ、頼む、許してくれ。」 
男はすべてを認め、泣き崩れた。

俺の名は近藤。この道ン十年の刑事だ。
いくら逃れようとしても、この俺の目は誤魔化せない。

証拠の連続写真には男と、そして殺された男の助手が映っていた。


写真には山小屋で男が起き上がり、寝袋から出、山小屋から出、
助手の死体を担いで戻って来て自分の横に置く姿が映っていた。

男は雑誌の取材で雪山へと撮影に向かったカメラマン。
撮影中の事故で亡くなった助手をとりあえず山小屋の脇に埋めた。
だが埋めたはずの助手が毎朝、自分の横に寝ている。
その怪奇さにやがて参り、連続写真が撮れるカメラを部屋に設置し、寝た。
そして撮影されたものがこの写真だ。

最初、男は助手の死因を事故だと言い張った。
だが俺の目は誤魔化せない、これは明らかに殺人だ。

長い戦いだったが、ついに助手を殺したことを認めた。
俺は手元に残った連続写真にまた目を落とす。

山小屋で男が起き上がり、寝袋から出、山小屋から出、
助手の死体を担いで戻って来て自分の横に置いてまた寝る。
それから助手が起き上がりカメラに向かってVサイン。
これが決め手になった。

これでお前も安心だろう。安らかに眠れよ……

俺は写真の助手に向かって、そう小さく呟いた。
362pDOG ◆MjRkBb/jUw :2006/12/03(日) 00:26:45 ID:IBpg5+R70
俺の名前はミキ、弁護士よ。他にも色々と仕事はしているけど、それは内緒。

今夜の私はちょっとイライラしている。
予定していたお金が入りそうに無いから。

わざわざこんな山奥にまで相続の打ち合わせに来たのに。
私にすべて任せてくれれば遺産の大半は手に入ったのに。

まったく、あの間抜けな男のせいで全部パア。
とんだ無駄足だったわ。

私はまた足を組み直してタバコに火をつける。

さっきからバックミラーをちらちら見ている運転手も癇に障る。
まったく、いい男ってどこに行っちゃったのかしら。

私がちょっとだけあの男のことを思い出していると、また邪魔が入った。

タクシーは山道に差し掛かろうとしていた。
助平な顔をしていた運転手が人が変わったように暗い顔をしてこう言う。
「いいですか、ここでは絶対に車の窓側を見てはいけません。絶対ですよ・・」

冗談じゃないわ。なんで貴方の命令に従わなきゃならないの?
窓側を見ると、ぬ〜っと怒りを浮かべた男の形相が現われて私の顔を見てこう言った。

「てめぇじゃねぇ!!」

私はキレた。窓を開けてそのまま逃げようとしていた男の胸ぐらを捕まえる。

侘びも入れずにこのまま帰るつもりじゃないでしょうね。

本当に、最近はろくな男が居ないんだから。
363本当にあった怖い名無し:2006/12/03(日) 00:34:45 ID:ksN8cNUZ0
>>362
男言葉の女ってのはいいもんだ
364本当にあった怖い名無し:2006/12/03(日) 00:53:26 ID:CoDpXEOE0
365本当にあった怖い名無し:2006/12/03(日) 00:56:25 ID:CoDpXEOE0
366本当にあった怖い名無し:2006/12/03(日) 01:00:10 ID:CoDpXEOE0
367本当にあった怖い名無し:2006/12/03(日) 01:01:22 ID:CoDpXEOE0
368本当にあった怖い名無し:2006/12/03(日) 01:02:17 ID:CoDpXEOE0
369本当にあった怖い名無し:2006/12/03(日) 01:03:11 ID:CoDpXEOE0
370本当にあった怖い名無し:2006/12/03(日) 01:11:07 ID:s+1M14oMO
r
371pDOG ◆MjRkBb/jUw :2006/12/03(日) 01:30:05 ID:IBpg5+R70
>>363 すみません、そうですよね、元ネタ知らないとミキの台詞ですよね_| ̄|O

洒落怖まとめサイトhttp://syarecowa.moo.jp/ Part1から
>>360 雨の音
>>361 雪山
>>362 てめえじゃねぇ!

です。
ID:CoDpXEOE0さんはいろいろなスレにアルファベット一文字だけ書き込んでるみたい…
意味はよくわかりません…^^;
372本当にあった怖い名無し:2006/12/03(日) 11:11:08 ID:dXep/KVFO
>>371ー!一人称、一人称!!
373本当にあった怖い名無し:2006/12/03(日) 14:27:57 ID:uf36a+do0
俺の名はジョージ。休日はトレーニングを欠かさない探偵だ。

トリックを推理する小説の探偵と違って、現実の探偵に必要なのは体力だ。
張り込みも尾行も体力無しではやっていけない。
それにこんなヤクザな稼業をやっていると、荒事に巻き込まれる事も少なくない。
その状況を切り抜けるのも、やっぱり体力勝負。
そういう意味でシャドーボクシングは、体力と格闘センスを養うにはもってこいのトレーニングだ。

短く鋭く息を吐いて、左拳を小刻みに宙空へ突き出す。
牽制のジャブに怯んだところを狙い、相手のわき腹に右を叩き込む。
空を叩いているのにもかかわらず、拳に返ってくる肉を打つ鈍い感触。
驚くには値しない。集中力によって俺の精神と肉体が統一されている証拠だ。

「――っ!」

おっと、油断している場合じゃない。こっちもイイのをもらっちまった。
左ジャブで押さえてからのレバーブローか。こいつはキいたぜ。
じわじわと痛み出すわき腹を押さえながら、俺は唇の端を吊り上げた。


元ネタ
【洒落怖まとめサイトhttp://syarecowa.moo.jp/ Part133『シャドーボクシング』】
374ぽんぽん:2006/12/03(日) 14:52:28 ID:8ov72/mA0
ちょっとバキっぽいよね。
375本当にあった怖い名無し:2006/12/03(日) 15:38:35 ID:F7xB4B5nO
カマキリなw
376ぽんぽん:2006/12/03(日) 18:41:45 ID:8ov72/mA0
な!あと列も。
377本当にあった怖い名無し:2006/12/03(日) 18:59:19 ID:2dod+MImO
アイアン・マイケルの事を忘れないで
378ぽんぽん:2006/12/03(日) 20:34:22 ID:8ov72/mA0
俺の名は悟。お使い中の用務員さ。

 俺の服のポケットには先生から頼まれたお使いのメモが入っている。品物はご飯の材料だったり、医薬品だったりと色々だ。
正直重い、そして物凄く金がかかってしまった。まあ後で請求するからいいんだけど。

 うん?なんだありゃ。女の子が人の顔を覗き込んでは離れ、それを繰り返してやがる。って足に怪我してるじゃん、治さねえと。
しかし何で誰も気づかないんだ?もしかして気づいた振りでもしてるのか?だとしたらいやな世の中になったもんだぜ。

 あれ?俺のほうに近づいてくる。やばい、見てたのがばれたか?と思っていると、俺の顔を覗き込んで、

 「見えてるんでしょ!?あなた、私が見えるんでしょ?」

 なんだ、そういうことだったのか。だったら驚く必要もないな。

 「ああ、見えるよ。君が。」

 なるべく気取ったような感じで言ってみた。すると、女の子は安堵したのか。
379ぽんぽん:2006/12/03(日) 20:34:54 ID:8ov72/mA0
「そう、見えるんだ。じゃあよかった。ばいばい」
                                  ・・・・
 これで行くつもりか?そうはいかねえな、そう思った俺はバッグの中からあるものを取り出していた。

 「待て、足、怪我してるだろ。今から治すから、ほら、あ!暴れるな!!落ち着け、落ち着け」

 幸いにもあんまり人が通ってなかったのので、変な目はされなかったが、女の子が暴れる所為で、ええい、ああ、マキロンがあ。

 「痛っ!あの、しみるんで早くしてください・・。ひゃうん!!」
 「治療してないだけましと思ってくれ、本当なら傷口から腐っていくんだからな。ってそんなことあるのか?」
 「傷口から腐る・・・。う〜ん。痛っ!!ふええん、まだしみるよお。もう終わりそう?」 
 「ああ、血はふき取ったから、あとは傷口の洗浄、そして清潔なガーゼで止血だな。」
 「あ、有難うございます。ではこれで・・。」
 「まあ待て、さすがにガーゼはちょっと経ったら交換しないとだめだろう。と、言うわけで、ガーゼがちょっと汚れたら、此処に来い。いつでも張り替えてやるよ。
  ただし時間は選んでくれよ。」

 と、俺は彼女に勤務先(学校)の住所の書いた紙を渡した。ちょっと顔を赤くして、紙と俺を見ていたが、それもつかの間、どこかへ行ってしまった。
まあ暫くしたらくるだろ。さてと、戻るか。

 あ!名前聞くの忘れた!!ま〜いいか、次来た時にでも聞くか。
380pDOG ◆MjRkBb/jUw :2006/12/03(日) 21:20:10 ID:m9e8KiT50
>>372 うわぁぁそうでしたorz
説明無いと語り口の人の台詞になりますよね、…気をつけないと^^;

ジョージ肉体派の探偵だから>>373もいいかも、GJ!

で、悟は彼女(ただし幽霊)増やすだけ増やして目指せハーレムですかw
381勝手ながら362のその後をば:2006/12/03(日) 21:37:11 ID:BVKs6kGL0
俺の名はジョージ。今夜は仕事にあぶれた探偵だ。
ストーカーに狙われたお嬢様の護衛をするハズだったんだが
ミキのやつ、横からさらっていきやがった。
「ツケになってる相談料、これでカンベンして、あ・げ・る♪」だと。
女の細腕で何ができる?
怒りに任せて俺はお嬢様の邸宅へ車を走らせた。
そう、ミキのお手並み拝見だ。別に心配してるわけじゃない。
ちょっと高みの見物としゃれこむだけさ。
場合によっちゃ、ストーカーと乱闘するのもいい鬱憤ばらしになるだろうし。


おおっと、邸宅の御門前でミキが仁王立ちしてるぜ。
後ろに庇われてるのはお嬢様だな。
…ってことはそこでナイフ構えてるのはストーカー野郎じゃないか!
あわてて飛び出そうとしたとき、ミキが叫んだ。
「何度も言ってるでしょ。彼女にふさわしいのは」

『て め え じ ゃ ね え !』

そりゃあもう、男みたいなど迫力のある声だ。
あいつどこからあんな声出してるんだ?
ストーカー野郎もびびりまくりじゃないか。
そこへミキがストーカーの方へ一歩踏み出すと、なんと脱兎のごとく逃げ出した。
そこへミキがもう一度叫ぶ。
「裁判所から呼び出しがきても『てめえ』は来るん『じゃねえ!』」
「『てめえ』の弁護士も来るん『じゃねえ!』」
器用な奴だぜ、女声と男声が同時に出せるとは。
何にせよ無駄足だったな。帰るとするか。


382勝手ながら362のその後をば:2006/12/03(日) 21:38:21 ID:BVKs6kGL0

ミキよ。今日は法廷なの。
ジョージと遊んでるだけが能じゃないのよ。
例のお嬢様にナイフ突きつけたストーカー野郎に対する慰謝料請求裁判なの。
とはいえ今日は簡単にすむわ。だってヤツは来られっこないもの。
訴えられたのに裁判所に来ないヒトはね、裁判に負けることに法律で決まってるんだから。
(ホントよ。民訴法159条と244条のコンボの効果)
しかもヤツってば生意気に資産家の息子なんだから、
慰謝料はたっぷり頂戴することになってるの。
そうなると弁護士への成功報酬もガッポリいただけるってわけ。
まあそうなるまでには何回かは相手方のいない法廷に立つことになるけど
お嬢様ったら法外な日当を下さるのよ、ミキ張り切っちゃう♪

『てめえじゃねえ…』
そんな情けない声出さないの。
この私をいきなり怒鳴りつけたオトシマエ付けるにはまだまだ働きが足りないわ。
まあ気が向いたら警察署に行ってあげるから、近藤さんとでも話してらっしゃいな。
383本当にあった怖い名無し:2006/12/03(日) 21:46:17 ID:tnLmoS8g0
俺の名はジョージ。強くなければ生きていられない街の探偵だ。

最近、この界隈で大麻の密売が横行しているらしい。
知合いの刑事に囮を頼まれた俺は、密売人と接触するために人通りの少ない路地裏に足を踏み入れた。
仕入れた情報がアタリなら、そろそろ現れるはずだが……

路地の向こうから、一人の老婆がこちらに近づいてくる。
老婆は俺に近寄ると、しわがれた声で言った。

「足はいらんかね?」

ビンゴだ。
しかし、ストレートに「ハッシシはいらないか?」と聞いてくるとは思いもしなかった。
俺は老婆に用意したメモを握らせた。近藤さんたちが待ち伏せしている場所の地図だ。

「ここに書いてある住所にいる、マコトって奴にブツを渡してくれ。金はそいつが払う」

来た道を引き返していく老婆の背を眺めながら、俺はタバコに火をつけた。
あんな婆さんが犯罪に手を染めているだなんて、どうしようもなく世知辛い世の中だな……
384ぽんぽん:2006/12/03(日) 23:39:35 ID:8ov72/mA0
>>289氏のレスが遅れてしまいましたが、言わせていただきます。
全然知りませんでした。その噂については。一文字のカッコいい名前をつけようと思ったので、今の悟になりました。
385ぽんぽん:2006/12/03(日) 23:40:56 ID:8ov72/mA0
目指せハーレムか〜、う〜ん、いいかも。でもちょっと変えてみようかな。
386pDOG ◆MjRkBb/jUw :2006/12/03(日) 23:42:05 ID:m9e8KiT50
>>381-382
これはwウケましたww
上手く続けましたねぇww

『てめえじゃねぇ』がちょっとカワユス( ´∀`)


>>383
ジョージ…自分が無事ならいいのかーーww
387本当にあった怖い名無し:2006/12/04(月) 18:08:40 ID:u5eITb4+0
>>386
知らないんだから仕方ないかとw
388ぽんぽん:2006/12/04(月) 19:45:46 ID:iFl/caRB0
元ねたの掲載を忘れてました。元ねたは、http://tool-5.net/?id=destinyLyCa3&pn=2です
389本当にあった怖い名無し:2006/12/04(月) 22:56:31 ID:Nxns3Hur0
では>>303に続きまとめいきます。265-266からですね。


>>265-266 おいてけ堀(本所七不思議)
>>282 赤い浴衣
>>296-299 恋人の幽霊、幽霊とセクース、悪夢のはずが
>>304-305 フラッシュ 赤い部屋
>>308 かまいたち
>>311 フタ
>>312-316 生き人形
>>321-323 マンホールの上を…
390本当にあった怖い名無し:2006/12/04(月) 22:57:04 ID:Nxns3Hur0
>>329-330 若い衆の肌
>>337 下男
>>338 おんぶ(用例B)
>>339 樹に襲われる Kondoh's Side
>>340 樹に襲われる George's Side
>>341 お化け屋敷の仕掛け
>>346-349 誰やねん!
http://tool-5.net/?id=destinyLyCa&pn=92
>>353 雪女
>>356 ねこまた
391本当にあった怖い名無し:2006/12/04(月) 22:57:36 ID:Nxns3Hur0
>>360 雨の音
>>361 雪山
>>362 てめえじゃねぇ!
>>373 シャドーボクシング
>>378-379 トキメキ指数
>>381 てめえじゃねぇ! George's Side
>>382 てめえじゃねぇ! Miki's Side
>>383 足売りババア (都市伝説)

とうとうジョージも100話を越えたか……^^
392pDOG ◆MjRkBb/jUw :2006/12/04(月) 22:59:55 ID:Nxns3Hur0
ついでに新作 1/3

俺の名前はジョージ。しがない探偵なんて稼業をしている。
幸運の女神に愛されていた、筈だが、ついに愛想を尽かされたか。

その日、俺は姿を隠して追跡を続けていた。
山道の脇で草木の中に身を隠し、また追う。

ターゲットはスーツ姿に黒い鞄、革靴。
一見して唯のサラリーマン。ここがこんな山奥じゃなければな。

あと一歩、そしてまた一歩。

気配を殺し、獲物へと迫る。
全身が痺れた様に研ぎ澄まされる俺の一番好きな感覚。いや二番目、かな。

やがて視界が開け、俺は川へと導かれた。

少々流れの速い渓流だがそれほど深くは無いのだろう。
直径40〜50cm位の石が、所々に水面から顔を出していた。

男は器用に石の上を飛んで渡ってゆく。
川向こうには数人の男たち。

どうやら、突き止めたようだ。

 ──追い詰めた。

俺の口元に狩人の笑みが浮かんだ。
俺は獲物の喉笛を噛み切るために繁みを掻き分ける。

その時、右手の小指の先が何かに突き刺されるように痛んだ。
393本当にあった怖い名無し:2006/12/04(月) 23:01:08 ID:Nxns3Hur0
2/3

痛いと思った時にはもう遅かった。
犯人の正体を見て俺の神経が凍りついた。

太い麻色の体、丸くとぐろを巻く威嚇姿勢、独特の横縞。
体長70cmを越える大物のマムシだ。
子供を生んだ直後の様子だ。気が立っていたのだろう。

こんな時に、ツイてない。

毒は搾り出してみたが、洗う場所も無い。
役に立たない携帯を取り出して脇の下に挟む。

指が腫れてきた。血は止まらない。
例は少ないが、手当てが遅れれば死をもたらす猛毒だ。

俺が最後に殺した気配、それは、怒り。

俺は諦めて身を引いた。音を立てず、呼吸を落として山道へと引き返す。

ここまで追い詰めておいて、情けない。
しかし、戻るといっても間に合うのだろうか。

そんな俺に幸運の女神はまだ、そっぽを向いたままのようだ。

俺の立っている近くの木から、何かわからないが大きな鳥が飛び立った。

取引をしていた男たちが一斉にこちらを向く。一人が早口で何か喋った。
どこの国の言葉か、恐らく“追え”、か“殺れ”、どちらでも同じことだ。

追う狩人から追われる獣へ。立場は一瞬で入れ替わっていた。
394pDOG ◆MjRkBb/jUw :2006/12/04(月) 23:01:52 ID:Nxns3Hur0
3/3

俺は走った。
噛まれた指先から肘までが走るたびに激しく痛む。

俺の指先からは一滴、また一滴と血が滴り落ちてゆく。
痛みは肩まで来ている。腫れが酷くなってゆく。

じわりじわりと、死神の愛撫が腕を這い上がってくる。

乾いた破裂音がした。
誰かが消音器も付けずにぶっぱなしたらしい。

2発目、3発目、そして4発目。
5発目が俺の肩を掠める。

洒落になってないぜ、ちくしょう。

焦りだした俺は思い切って道路へと身を躍らせた。
撃たれる確率も上がるが、逃げられる確立も上がる。これは賭けだ。

 そして俺は賭けに勝った。

 拗ねた女神様はようやく俺を思い出してくれたらしい。

道路の先に、帰り支度をしている釣り人の車が現れていた。

まったく、ちゃんと傍に居てくれよ……頼むぜ……
もう少しで他の女神様と浮気しちまうところだったじゃねぇか。

ホント、頼むぜ……
395pDOG ◆MjRkBb/jUw :2006/12/04(月) 23:05:14 ID:Nxns3Hur0
元ネタは洒落怖まとめサイト、Part123「石を飛び移る男」です。
書いているうちにジョージが反撃される話になってしまいましたorz

あとコテ入れるの忘れちゃうなぁ…慣れないもので^^;
396送り狼 ◆weJoc1mo9Y :2006/12/05(火) 01:35:33 ID:amFVJ6z90
わりと甘党な、あくまでも『捜査一課』の岡島です。
今日の仕事はとある犬を探し出して捕まえることです。
しかもこの犬、獰猛で噛み付くから危険というわけでもないのです。
ただ子供たちが気味悪がるからとか、車の前に飛び出して危ないとか、
そういった理由で何とかしてほしいとのことのようです。
……だからそういう仕事は警察よりも市役所にまわして……
まぁ、受けちゃったからには仕方がないので捜査はしますけど……

犬の目撃例は夜が多いとのことで、夜警……と言っても一人きり……
なので適当に目撃されている付近を車で流してみることにしました。
一度やってみたかった、ジャムパンと缶コーヒー持っての張り込み(?)です。
トロトロと走って10分ほどでしょうか、いきなりビンゴです。
ヘッドライトの光に白い中型犬が照らし出されました。

おとなしい犬とは聞いていますが、噛まれても大丈夫なように
訓練所で借りてきたプロテクターを片腕に装着して車外に出ました。
犬は飛び掛ってくる様子もなく、明後日の方向を向いています。
その首には真っ赤な首輪がついていて、飼い犬だとわかりました。
とりあえず口笛をヒュッと吹いて、こちらに注意を向かせました。

すると驚いたことに、その犬の顔がまるで人間のようなのです。
人生に疲れたリストラ組中年男の顔と言った感じでしょうか。
そしてその犬が「ほっといてくれ」と、まるでTVでやっている
「ごはん」と喋る犬のような不明瞭な鳴き方をしました。

手を出すべきか迷ってじっと見ていると、後ろからポンと肩を叩かれました。
振り向くと一人の男性が立っていて、その顔は目の前の犬とそっくりです。
『犬は飼い主に似る』……一目で飼い主だと断定できましたね。

犬の放し飼いはどんな危険があるかもわからないので、
口頭でやめるように飼い主の男性に注意をして事件は解決しました。
それにしてもあの犬は飼い主に似すぎですよ……しかも芸達者。
397本当にあった怖い名無し:2006/12/05(火) 09:47:20 ID:5620hYKM0
俺の名はジョージ。開店休業には慣れっこの探偵だ。

乱雑に書類が詰まれたデスクに足を投げ出して、湿気た煙草を燻らせる。
世の連中があくせく働いている時間に楽しむ一服は格別だ。湿気っていても申し分無い。

今日一日はのんびり過ごすのも悪くない――そう思ったところでデスクの上に置きっ放しにしていた小箱に目が行った。
アンティークな作りのオルゴールだ。小学校に勤める悪友が「飽きたから」と置いていったものだ。
……あいつは俺の事務所を倉庫か何かと勘違いしているのだろうか。

『暇なときにネジを巻いてみろ。きっと楽しめると思うぞ』

奴が来た時に言っていたことを思い出す。
あいつは意味ありげに笑っていたが、見たところ何の変哲も無いオルゴールだ。音を聞く以外に楽しめるとは思えない。
「まあ、暇だしな」
どうせあいつがゴミに出すのと同じ感覚で置いていったような代物だ。
俺は箱から突き出たクランクをつまみ、ゆっくりと回してみた。
が、音は鳴らない。それどころかネジの動きも変だ。妙に硬い。
躍起になった俺は力をこめてネジを巻き続けた。

……なんだか上の階が騒がしい。
まるで誰かが階段を後ろ向きに駆け上がっているような騒々しさだ。
世の中には暇な奴もいるもんだ。昼間からオルゴールと格闘している俺も、だが。
398本当にあった怖い名無し:2006/12/05(火) 12:51:54 ID:fUSNMcnb0
ありとあらゆる怪談を三面記事にしてしまう岡島君wいいなw

>>397
由佳がっ

も含めて楽しませていただきましたw
GJ!

つか、上手い。新しい職人さん、かな?
399pDOG ◆MjRkBb/jUw :2006/12/06(水) 22:16:53 ID:PPH/meaw0
僕の名前はマコト、時々ジョージさんの手伝いをしている見習い探偵だ。
ジョージさんに言われて尾行の練習をしていた…ハズなんだけど……

「はい、名前は?」
岡島巡査にこれを聞かれるのは何回目だろう……

この人、ジョージさんのことは良く覚えているのに、
僕のことは何度会っても覚えてくれないんだよな。

「住所と、職業もね。」 
これも何度も聞いた。変装はしているけど、ルパンみたいに別人になるわけじゃない。
目立たない普通の格好に眼鏡を掛けたくらいだ。解らないほうがおかしい。

しかも狙ったように僕を捕まえに来る。
もしかしてワザとやってるんじゃないだろうか……

「岡島さん。」 
僕は小さくため息をついて話しかけた。

「やや、何で本官の名前を?」
「岡島さん、いい加減にしてくださいよ、僕ですよ、マコトです。」
「………名前、マコト、と(メモメモ)で、苗字は?」
「ちょっと、冗談はやめてくださいよ、忙しいんですから。
僕なんかよりもっと怪しい奴が居るじゃないですか、ほら。」

僕はちょうど近くを通りかかった上半身だけの男を指差して言った。
男はびっくりした表情をしてひじを突いて逃げてゆく。

「むむ、怪しい奴!待てっ、止まりなさいーーーーー!」

ふう、岡島さんやっと行ってくれたよ。二人とも足速いなぁ。
誰だかわからないけど、通りすがりさん、ごめんなさい。
400pDOG ◆MjRkBb/jUw :2006/12/06(水) 22:17:26 ID:PPH/meaw0
僕の名前はマコト、時々ジョージさんの手伝いをしている見習い探偵だ。
ジョージさんは僕の目標とする腕利きの探偵。クールで、そして男らしい人。

……なんだけど、そのぶん家事とか掃除とかこの人はまったくできない。

たまに洗濯はしている(ようだ)けど、食事は店屋物か宅配、外食ばかり。
放っておくと事務所がゴミだらけになるので、僕たちがいつも片付けている。

僕たち、僕と大家さんと、そして、猫も入れてあげようかな。

そんなジョージさんだけど、コーヒーを煎れるのだけは妙に上手かったりする。
僕も大家さんもかなわない。ジョージさんの煎れるコーヒーは美味しい。

大きなヤカンに無駄にお湯を沸かして無造作に煎れているだけなんだけどなぁ。

「じゃあ、マコト。頼むわ。」
ジョージさんがコーヒーのカップを手にして言った。ご満悦の様子。

じゃあ、ミケ、お風呂に入ろうか。

僕が抱き上げると、猫は嬉しそうに喉を鳴らした。
しかし、お風呂好きの猫とは珍しいよな。

最初はジョージさんが入れてあげていたんだけど、もうすっかり僕の仕事だ。

浴槽の蓋を開くと先客が居た。しかも女の人だ。
頭部の上半分が浴槽の真ん中に浮き、鼻の付け根から下は沈んでいた。

すみませんすみませんすみません、と何度も謝って風呂場を出た。

もう、ジョージさん、女の人居るならちゃんと言ってくださいよ。
こら、ミケも爪を立てない。そんなに怒らないでよ、順番順番。
401勝手に383の続き:2006/12/06(水) 22:17:59 ID:PPH/meaw0
僕の名前はマコト、時々ジョージさんの手伝いをしている見習い探偵だ。

僕は子供の頃、ヒーローに憧れる普通の男の子だった。
ウルトラマンとか、仮面ライダーとか、なんとか戦隊とか。

地球はいつも狙われていると思っていたし、ピンチの時には必ず
正義の味方が助けてくれると信じていた。

 でも、大人になるとそれが間違っていた事に気付く。

悪の組織なんて存在しないし、日本も地球も狙われてなんかいない。
もちろん怪獣も怪人も居ないからウルトラマンもライダーも必要ない。

その代わり、と言ったら変だけど、世の中は理不尽なことで満ちている。

差別はいつまでも無くならないし、貧困や飢え、経済摩擦。そして戦争。
人間同士のどうしようもないエゴで、地上が満たされている事を知ったんだ。

もちろん僕自身も、そんな人間のひとり。

とても自分勝手でエゴイストな、普通の人間なんだけど。

「足はいらんかね?」  ──おばあさんは僕にそう話しかけてきた。

ジョージさんから連絡は受けている。
こんなおばあさんがドラッグの売人だなんて、悲しすぎるよ。

「こんな事はもうやめてください。」
僕は近藤さんたちの視線を感じながら、説得を始めた。

僕は普通の自分勝手な人間だけど、このくらいいいじゃないか。
決して正義の味方になんか、なれやしないけど、さ。
402ぽんぽん:2006/12/07(木) 14:54:55 ID:nIr+1NIg0
なんかマコトが面白いな。
403本当にあった怖い名無し:2006/12/07(木) 17:34:15 ID:BOSyXgq10
俺の名前は近藤。現場命の刑事だ。

ここ数日非常に気分が悪い。
あの老婆、何故腐りかけの脚なんか持ってたんだ?
すわバラバラ遺体だと思った。
残りの遺体はどこだ!?と問い詰めても、老婆はへらへらと笑うばかり。
「あたしゃ脚1本しか持ち歩きませんのじゃ」

この季節の留置場は冷えるぞ。
取り調べが長引けば、ますます寒さは募っていく。
頼む、早く全部しゃべってくれ。そう祈っていた。

なのに今日出た鑑識結果は、ありゃあ何だ?
「人間の脚ではなく、非常に巧妙に出来た人工の肉と骨格で
作られた義肢」だと?

バラバラ遺体でないならいいんだ。
しかし、あれは紛らわしいほど本物に似ていた。親指の無駄毛さえ
再現していた。

遺失物で引き取り手のなかったオーバーを老婆に着せてやった。
「もうあんなものを持ち歩くなよ」
そう言ったが、老婆はまたへらへらと笑うばかり。
「欲しがる人もいるもんでさ」

仕事に忙しくて、親孝行をする前に死んだ母を思い出した。
身寄りはあるんだろうか…。
あんな年寄りがヤバそうな仕事に手を染めるなんて、やりきれない。
404本当にあった怖い名無し:2006/12/07(木) 17:59:53 ID:O+aGswWD0
足売りババアって知らなかった…有名な話?
405本当にあった怖い名無し:2006/12/07(木) 19:00:49 ID:8fNeOnSf0
>>403
どちらかというと岡島くんっぽい対応だな
406ぽんぽん:2006/12/07(木) 20:02:51 ID:nIr+1NIg0
こんにちは、新米巡査の、いえ、巡査の岡島です。早くおやっさんの様になりたいと思っていますがどうもうまく行きません。
このままでは閑職行きになってしまいそうでちょっと怖いです。

 なので最近は暇な時間が多く、ついつい横になって寝てしまいます。そして今日も・・・・・・・。ぐ〜〜〜〜。

 あれ?なんか重いぞ。まるで腹の上に誰かのっているような、う〜ん、やめてくれようそんな嫌がらせは、今さっき昼飯食べたばかりなんだからさあ。

 あ、ちょっとやめて、更に体重掛けないでよ、あ〜気持ち悪い〜。しかも重くて寝返りもできないよ〜。
あ〜、だめ、意識が遠く・・・・。

 「・・・!!岡・・・!!岡島!!」

 同僚の声で目が覚めた、どうやら死ななくてすんだみたいです、しかも周りを汚してないから吐いてもなかったみたいでよかった。

 まあどうせ同僚の悪戯だろう、あ、向こうで課長が呼んでる、久々の仕事だ、よしがんばるぞ。
407本当にあった怖い名無し:2006/12/07(木) 23:49:36 ID:O+aGswWD0
>>406 え? これ元ネタはなんですか?
死ななくてすんだって…自覚あるなんて……
408ぽんぽん:2006/12/08(金) 14:16:40 ID:qtVsOGHz0
 元ねたは、新耳袋の「重いっ!!」です。
409本当にあった怖い名無し:2006/12/09(土) 03:43:36 ID:bCuimBri0
保守ageついでに小ネタ



俺の名前はジョージ、どんな奴にも偏見を抱かないナイスガイだ。

お久しぶりです、と言われたが覚えが無い。
こんな特徴的な奴を忘れるはずが無いんだが……

俺が必死に思い出そうとしていると、そいつは俺を指差してきた。

指先が光っている。なんだ?失礼な奴だな。

もしかしてお前が探しているのはスピr(ry
410本当にあった怖い名無し:2006/12/09(土) 12:22:41 ID:foiHzSSKO
怪談じゃねぇw
411本当にあった怖い名無し:2006/12/09(土) 23:48:49 ID:TH0WO3jR0
age
412pDOG ◆MjRkBb/jUw :2006/12/10(日) 07:27:12 ID:yetI4vl90
遅くなりましたけどサオリ視点での話を書いてみました。
一応、>>36絡みですが…はっきり言って改変でもなんでもないです>< 
気にいらない方は飛ばしてくださいorz
413pDOG ◆MjRkBb/jUw :2006/12/10(日) 07:27:47 ID:yetI4vl90
この店の扉は、女の私には少し重過ぎると、いつも思う。

でも、開けた途端に「開けてよかった。」と思わせる魅力がここにはある。
暖かな店内と、掠れたレコードが奏でるジャズのメロディー。
静かで重いウッドベースの音に溶けているお酒の匂い。
サックスやトランペットが無い、大昔のジャズは好き。

そして、また一人で飲んでいる彼を見つけるのも好き。

「隣、いい?」
返事はいつもOK。
つまらない気もするけど断られたらきっと怒ると思う。

注文は?とマスターに聞かれて「彼と同じ。」と答える。

もう、10年以上も彼と一緒に飲んでいるうちに、
いつの間にか飲めるようになった(なってしまった)
バーボン・ダブルのロック。

この味も好き。

彼と同じ味、彼に近づけたような錯覚の味。

でも、この場所は時々嫌い。
彼がよく、女の人を連れて飲んでいることがあるからだ。

どんな関係かも解らないけど、親しげにしている姿を良く見る。
まぁ、おなじ人を2回と見ないから、ただの遊びなのかもしれないけど、
見た瞬間には身体が強張るのが自分でも解る。

この間は、白い和服を着ていた日本髪の女性。
彼の肩に寄り掛かり、彼は女性の肩を抱いていた。
414pDOG ◆MjRkBb/jUw :2006/12/10(日) 07:28:36 ID:yetI4vl90
心の中に嫌な煙が一杯詰まってきて、頭に血が上る。
すぐに飛び込んでいって滅茶苦茶にしてやりたい衝動に駆られる。

でも、それをする権利が自分に無いことを思い出して、
そんな日は私は扉を閉めて、店に入るのをやめる。
見られただろうか、と、どきどきする。
彼はきっと気が付いているのだろう、と思う。

もう何年もそんなことの繰り返しで、自分でも自己嫌悪になる。

でも、飲んでいる彼の横顔はすてきだと思う。
とりとめのない私の話しに付き合って相槌を打ってくれる、
彼と飲める時間はきっと、私にとって必要な時間なのだろう。

店を出て陽気な音楽とイルミネーションで輝く街を歩く。
幻想的な風景も好きだけど、この肌に染みこむ様な寒さも好き。

 私の腕を通して伝わる彼の体温が温かく私を誘う。

 このまま彼に求められたら、きっと私は拒まないだろう。
 彼のキスはきっとタバコとバーボンの味がするだろう。

そんな想像をしてしまう自分は嫌い。
そして、決して私を誘わないとわかっている彼も嫌い。

私たちは今夜も、アパートまで腕を組んで帰った。
笑顔でお互いの部屋に別れる。「おやすみなさい。」と言って。

たったそれだけ。私はなにもなくてほっとする。
それから身動きの取れない私を甘えさせてくれる彼に感謝する。

おやすみなさい。私は今夜も彼とあの人を思い出して眠りについた。
415本当にあった怖い名無し:2006/12/10(日) 14:19:00 ID:gdHQ/M2yO
相変わらず上手いなぁ
416本当にあった怖い名無し:2006/12/11(月) 00:53:34 ID:RxlvdCEIO
確かに改変ではないけど、なんか切なくていい
417本当にあった怖い名無し:2006/12/11(月) 01:14:41 ID:fh8B0vJ60
俺はジョージとサオリは絶対結ばれないと思うんだ
418本当にあった怖い名無し:2006/12/11(月) 08:57:05 ID:+ljREEgrO
ジョージ達って、切ない一面や過去があるよな。
きっと岡島や悟にもそんな過去がある……のか?
419本当にあった怖い名無し:2006/12/11(月) 10:29:47 ID:txf2XZc20
>>418
これを聞いて職人さんたちは張り切りそう
420本当にあった怖い名無し:2006/12/11(月) 12:11:52 ID:psaDWiry0
切ない過去や一面は誰でもひとつくらい持っているものだろ。
でもそこから抜け出せないジョージやサオリは弱いタイプに見える。
岡島と悟みたいに乗り越えて生きている奴のほうが好きだな。
そういえば『あいつ』が好きなんじゃなかったのか?>ジョージ
421本当にあった怖い名無し:2006/12/11(月) 13:03:01 ID:RxlvdCEIO
ジョージにとっての以前トミノ改変時に出て来た女とか、サオリにとってのアキヒコとか
そういうのは忘れられない存在っていうんだろうな
ジョージとサオリはそういうのとは別にお互いを大切な存在として見てそうだけど、私も結ばれる事はないと思ってる
422送り狼 ◆weJoc1mo9Y :2006/12/11(月) 23:34:39 ID:OV7EeH/H0
裏設定では高校2年生の彼女がいる岡島です。(登場する可能性は絶無。)
久々にまっとうな事件に関わることができました。内容は連続傷害及び殺人の未遂事件です。
3日前に地元の小学生数人が刃物を持った女に襲われたのを発端に、同様の傷害未遂事件が4件続きました。
そのうちの一件では、あわや殺人事件に発展するところまで行きかけました。
それで一課に緊急対策本部が置かれて、そのメンバーに入れました。
今回はおやっさんが出張中で頼ることができないから、ここは僕が頑張らねば!

被害者の証言によって、犯人像はかなり正確に割り出せました。
犯人の女は年齢20代後半から30代前半、身長165センチ、痩せ型、色白、髪はストレートで黒の腰丈、
犯行時には赤いコートと白いマスク凶器は量産品の草刈鎌、マスクの下の顔は口がとても大きい。
そして聞き込みで得た情報から、高校・大学時代陸上部かそれに類する運動部に在籍した女性。
さらに犯行現場の範囲狭さから、この辺り3区画内の人間だと断定できました。

ここまでわかっていれば対象の人物を探すのは簡単で、すぐに特定できました。
しかし状況証拠だけで、物証がなくてはなかなか逮捕令状がおりません。
僕は意を決してその女性……カオルさん(仮)と接触することにしました。

彼女は僕が信用できる人間だと思ったのか(気、弱そうだし)、心の内を吐き出してくれました。
整形に失敗して口が裂けたこと、そしてそれを小学生に笑われたこと……
そういった不満が鬱積して、今回の犯行に及んだのだと涙ながらに話しました。
そしてコートの裏側から鎌を取り出して僕に差し出しました。

その時ふいに携帯がメールの着信を知らせたので、僕はその確認をしました。
そして用件を読み終えると、ちらりと時間を確認してポケットに手を入れました。
「えーと……17時04分、銃刀法違反の現行犯で緊急逮捕します。」
僕はポケットから手錠を取り出してカオルさんの手首にはめ込みました。
当然彼女は鳩が豆鉄砲食らったみたいな顔しましたよ。

ぶっちゃけると、メールは逮捕令状おりたから確保しとけってことだったんですよ。
会話を引き伸ばすのも何だし、どうせ自首も意味ないし、これが手っ取り早いですからね。
まぁ、凶悪事件なら別件逮捕なんて常識ですよね。
423送り狼 ◆weJoc1mo9Y :2006/12/11(月) 23:44:06 ID:OV7EeH/H0
久々に書きました。

>>418>>420
岡島は若い上に職務第一主義なのでどんなロマンス展開もぶち壊します。
切ない展開やお話はや過去は「無し」の方向で。
424本当にあった怖い名無し:2006/12/12(火) 02:37:46 ID:IBFsvarU0
岡島君キター、っと思ったら徹底的にロマンス無しですかw
若いって…いくつくらいだろ、
>駆け出しの新米巡査=19〜20くらい?
>初期設定ではキャリア組になるかもしれなかった=22〜24くらい?で、いいのかな?
425送り狼 ◆weJoc1mo9Y :2006/12/12(火) 04:09:43 ID:DqKItO9B0
岡島は20歳です。
キャリアにすると巡査にできないので、短大出になっております。
426本当にあった怖い名無し:2006/12/12(火) 08:59:16 ID:NjX884/y0
>>425
しかし、その設定では本庁捜査一課の新米刑事って方に無理が出てくるな。
本庁捜査一課の刑事って、エリートさんなんだぜ?
地域の警察署の捜査一係の刑事を使いっ走りにできるんだから。
踊る大捜査線とか、警察関係の内情を暴露した本とかでよく描写されてる。

今まで読んだ感じじゃ、交番勤務の新米巡査の方がしっくり来るんだよなぁ。
制服を着ているんじゃなくて、着られているって感じの、まだ板についていない新米巡査。
ドラマとかで、第一発見者に呼ばれて、凄惨な現場を見て腰抜かして震える声で上司に連絡するような。
427pDOG ◆MjRkBb/jUw :2006/12/12(火) 11:23:42 ID:JHuhfYp00
送り狼さん他のスレではよく見るのに…お待ちしていましたよ^^

岡島君は初期の話にあるように新米巡査ですよね、
20歳でキャリアじゃないなら警察学校出て現場勤務1年後くらい。

>>426
駐在さんだと捜査の第一線に出るのは難しいのでは?
と、いうわけできっと優秀なので特別推薦かなんかで交番勤務を終えた直後と妄想(特例)
でも妬まれたりいろいろ軽く見られているので、交通課とかのお手伝いに回されている、とか。

まあ、あまり設定とか難しいこと言い出すのも…^^;
ネタスレですし^^
428ぽんぽん:2006/12/12(火) 18:32:24 ID:+XAsEtO/0
>>397の続き。

 気がつくと私は見知らぬ場所にいた。確かさっきまで小学校の・・・・あれ?えっと、あっ!用務員室に、
確か、悟さんを探してたはずなのに、いつの間にか殺風景な部屋に変わっている。

 悟さんのも殺風景だったけど、まるで何もないかのような、そんな静けさ・・・あれ?なんか、目が痛いよ・・・。

 それにしても周りの風景と小学校全く違う、学校の周りは畑や家、そして幼稚園があったけど、今この周りにあるのは・・・。
車がたくさん走ってる、人もたくさん、建物もたくさん、でも、あれは何?いや、それよりも此処はどこ?

 あれ?また・・・目が・・痛いよ・・・。いくらぬぐっても、あふれてきちゃうよ。ん?この曲は・・・。

 ♪タ〜タ〜タ タ〜タ〜タ タ〜タ〜タ タ〜ン タタ〜ン♪

 やっぱりあの曲だ!!私のオルゴールの、ちょっと壊れちゃってるけどわかる、あの美しい曲。悟さんかな、それとも他の人かな?誰が回してるのかな。

 ダダダダダダ・・・・・ドバン。

 あれ?悟さんじゃない・・、誰だろう、少し陰のある男と、ちょっと頼りなさそうな男。なんか怖いな。
429ぽんぽん:2006/12/12(火) 18:33:45 ID:+XAsEtO/0
「ようこそ、ジョージ探偵事務所へ。ささ、どうぞこちらに」
 「あ、はい。えっと、ジョージさんというのは?」
 「あ、あちらに」

 へえ、あの陰のある人がジョージさんなんだ。あなたは、マコトさんですか。あれ、どっかで聞いたことあるような・・・・。

 「あのちょっと良いでしょうか、その机の上にあるオルゴールは?」
 「ああ、これはちょっと知り合いから」
 「もしかして・・・・悟さんですか?」
 「うん?もしかして知ってるのか?」

 やっぱり私って捨てられたんだ。悟さんの下から、ゴミのポイ捨てのように、しかも持ち主が移ってからも悟さんを聞くなんて・・・。
せめて・・知らない人に移ってくれれば・・また、あふれてきちゃうよ。

 「あ〜どうしますか?ジョージさん、泣いてしまいましたよ。」
430ぽんぽん:2006/12/12(火) 18:34:51 ID:+XAsEtO/0
「う〜ん、悟のやろう、一歩間違えたらポイ捨てっていわれるぞ・・じゃあ話すか、真実を」
 「え?なんですか?真実って」

   ・
   ・
   ・
 なんだ、そういうことだったんですか、ちょっと心配したけど。捨てられたと思っちゃったけど。やっぱり優しいんだなあ。
まさか、悟さんがジョージさんに頼んで古いオルゴールを直す所を探しておけっていうことだったんだあ。心配して損しちゃったな、帰ったら(?)お仕置きですな。
 
 というわけで、少しの間よろしくお願いします。ジョージさん、マコトさん。私はちょっと外へ出てきます。


 「ところでジョージさん、本当の理由は何なんですか?」
 「う〜ん、それを言うとあの女マジで泣くから言えねえな。まあ直したら悟に返す。なんと言おうと返す。それだけだな。」
 「そうですか、じゃあ探しておきますね」
 「ああ、夕飯か」
 「違いますよ。ジョージさんぼけないでくださいよ。介護は大変なんですから」
 「バカやろう。俺はまだ若い。」
 「はいはい。じゃ行って来ますね」
431ぽんぽん:2006/12/12(火) 18:36:28 ID:+XAsEtO/0
できるだけ悟を悪役として書きたかったつもりです。
432本当にあった怖い名無し:2006/12/12(火) 23:29:21 ID:mPIBnGUy0
>>428-431
う〜ん。なんかジョージがジョージっぽく無いなあ。
というか>>397の落ちが活きていない気がするが。

文句だけ言ってごめん。
433本当にあった怖い名無し:2006/12/13(水) 01:46:50 ID:P/sKdezs0
>>426
>今まで読んだ感じじゃ、交番勤務の新米巡査の方がしっくり来るんだよなぁ。
>制服を着ているんじゃなくて、着られているって感じの、まだ板についていない新米巡査。
>ドラマとかで、第一発見者に呼ばれて、凄惨な現場を見て腰抜かして震える声で上司に連絡するような。

そう!これが岡島君のイメージです。
登場した時に「まだまだ駆け出しの新米巡査です」と言っていたから
勝手に交番のおまわりさんだと思っていました。
後で「捜査一課所属のはず……」となっていたので、あれっという感じでした。

>>432
私もそんな気が・・・

>>397はジョージ視点でも続きが読みたいです。
職人さん、よろしくお願いします。
434本当にあった怖い名無し:2006/12/13(水) 03:39:03 ID:sP83jeow0
俺の名前は悟。小学校の用務員をやっている公務員だ。
公務員なら今時尊敬に値してもいいはずなんだが。

俺の目の前に、白いワンピースを着た女がいる。
服装こそ違うが、あの雪山で出会った女だ。
泣きそうな顔が良くて、ついついいじめちまったっけ…。

そのまま言うと女は去っていった。
「気付かないふりをするのがお約束なのに」と。

いや、お約束なんか知らないからw
お前一人に関わってる暇はないんだよ。俺は結構忙しくてな、
この間も寄ってくる女の一人を厄介払いしたところなんだ。



てな訳で悟はひとり追い返しました。
オルゴールのお姉さん、戻ってきて下さいw
435送り狼 ◆weJoc1mo9Y :2006/12/13(水) 18:09:49 ID:PgBAc4c60
どうも、公務員の腐敗を嘆く岡島です。
呪いのビデオというものをご存知でしょうか。
見た人間に災難をもたらし、果ては死に追いやってしまうというものです。
実際に死者が出ているらしく、調査に乗り出すことになりました。

現物は、すぐ近くのレンタルビデオ店であっさり入手できました。
ラベルのはがされたそのビデオはSADAKOプロという会社の作品で、
よくわからない不鮮明な画像が数分間収録されているだけでした。
ただ見ていてもわからないので、科研に分析をお願いしてみました。

すると、ビデオにはサブリミナルが含まれていることが判明しました。
「死ね」だとか「消えろ」だとか、不のイメージの言葉ばかり……
鬱状態の人や精神が衰弱しいてる人には効果があるかもしれないという見解でした。
(サブリミナル自体効果があると断言できない、とご意見つきでしたが。)

サブリミナルだけでは、規制する法がないので取り締まれません。
しかし科研の人によるとコマのいくつかに児童ポルノが混じっていて、
児ポ法で引っ掛けられるというのです。
後でわかったことですが、この会社は裏でいかがわしいビデオを扱っていて、
テープを使いまわしたことで前の映像が少し残ったらしいのです。
そしてSADAKOプロの山村貞子社長(42)が逮捕されました。

それから一週間後、非番だった僕は部長に呼び出されて署に出向きました。
「岡島君、君異動だから。」部長の第一声がそれでした。
捜査一課の任を解いて派出所勤務という、いわば左遷みたいなものです。
なんでも、元々僕の配属先はその派出所だったらしいのですが、
人事部の手続きミスで一課に送られ…………って、数ヶ月も放置ですか?
「まぁ、お役所仕事だから仕方ないよね。」とは部長の言。
これは……ビデオの呪いなのかなぁ……
436送り狼 ◆weJoc1mo9Y :2006/12/13(水) 18:11:01 ID:PgBAc4c60
一課での小間使いは複線でした!(……という苦しい言い訳)
は…初めからこの展開にするつもりだったんだからっ!!(ゴニョゴニョ)
お騒がせいたしました、岡島を軌道修正しました。(後付理由これでおk?)
かっとなってやった、今は反省している。(正直スマンカッタ)
437ぽんぽん:2006/12/13(水) 18:27:44 ID:hV6lvCbZ0
 そうでしたね。落ちと続きが不自然な気がしました。すいません。
オルゴールのお姉さん戻ってきてくださいって・・・まあがんばってみまっす。
次は悟の過去に挑戦しようかな。
438本当にあった怖い名無し:2006/12/13(水) 19:06:30 ID:ePTECYIp0
いいこと考えた。捜査一課所属の時と派出所勤務の時の話は2年くらいずれている、と考えればつじつまが合いますよ。…苦しいかなw
439433:2006/12/13(水) 19:22:20 ID:P/sKdezs0
>>435-436
送り狼さん、勝手なこと言ってしまって失礼しました

>人事部の手続きミスで一課に送られ…………
岡島君カワイソwww
440ぽんぽん:2006/12/13(水) 21:54:11 ID:hV6lvCbZ0
久しぶりだな。正確に言うと、一年とちょっとか、はは、正確じゃないってか?変わらないなそういう細かいところは。
あれからは一応がんばってきたつもりだけどお前には今の俺はどう見える?奈津美。

 あれからもう7年か・・・『二人でいた日々』まさしくそう言う事ができるよな。二人で住むにはちょうどよかったあのアパート。
お互い平日には会える時間は少なかったけど休日になると色んな所に行ったよな、買い物したり、デートしたり、ずっと昔のことのように思えてくるぜ。
ふっ、最近では一緒に行く相手がいなくなっちまったからな、寂しい週末だぜ。まあ趣味の時間に使ってるさ。 

 なんか此処にいると色々と思い出すな。でも思い出す必要がないほどのいい思い出もある。
休日だけど、どこにも行く用がなかったときはずっと二人で家にいたよな、手料理を一緒に作ったり、将来に思いをめぐらせたり、やってることは新婚さんと同じだったな。
でもさ、飯も食い終わって、ふと俺が一服しようとするとさ、

 「だめ、タバコはベランダで吸って」

 って言ってさ、『部屋では禁煙』って書いた紙を俺の鼻先に突きつけるの。俺がそれでも吸おうとするとさ、泣きそうな目で見るんだもん。
あれじゃあ部屋の中では吸えないぜ。でもあの紙はいつ作っていたんだろうな、ずっと気になってる。けど、秘密のままにさせておくよ。

 タバコ?もうやめたよ、お前が亡くなった時と同じくらいにな。もう「タバコはベランダで」って言われなくなると吸う気もしなくなっちゃったからさ。
しかしさ、最近変な幻覚を見るんだよ、タバコを吸わなくなって結構経つのにさ、周りの人がタバコを吸っている、老若男女問わずに、でもう一度見ると吸ってないの。
なんかこのままだとまた吸いそうになっちゃうからさ、そのときは頼むわ。いつもの。
441ぽんぽん:2006/12/13(水) 21:54:44 ID:hV6lvCbZ0
じゃあもう行くぜ、駐車場にちょっと人待たせているからさ、そうだ、この前バイク買い換えたんだぜ、あのバイクももう寿命みたいなものだからさ、
「ドゥカティ」にしたんだ。じゃあ、また一年後な。

 ふう、奴が一緒に来ないまま待ってるのもいいもんだな、どうも過去を見られるのは恥ずかしい。

 「ようジョージ、終わったぜ。じゃあ、帰るか」
 「そうか、毎年毎年ご苦労なこった」
 「ふっ、相変わらず他人事みたいに言うんだな。とりあえず先に行ってろよ、後で追いつくから」
 「ふん、追いつかなかっても待たないぜ」
 
 ふう、あいつのメイフェアも結構年季入ってるな、でもまだ使えそうだな。ん、どうしたんだよ奈津美、さっきから何か言いたそうにしてさ。

 「悟、がんばってるけど、火遊びしすぎるのはだめだよ。妹に手を出すのはほどほどにしてね、あの子は純情だから。それと、ずっと見てるよ。」

 わかったよ、奈津美。それを聞いて安心したよ。これで心置きなく奈津子に手を出せる。

 「こらっ!!」

 冗談だよ。また来年行くからな。それまで待っててくれよ。辛気臭い墓地でも見方一つでよくなるものさ。
442ぽんぽん:2006/12/13(水) 21:57:08 ID:hV6lvCbZ0
悟の過去をちょっと出してみました。奈津美に関しては始めて由佳が出たところに名前だけ出てます。
見たとおりですが、昔の恋人で同棲していた仲でした。そして奈津子の姉です。
443本当にあった怖い名無し:2006/12/14(木) 03:57:03 ID:wvLaOTyY0
乙でした>>199に出てきた悟の「あいつ」ですね
っていうか、幽霊と普通に話してる…これ、切ないのかなぁw
444ぽんぽん:2006/12/14(木) 20:12:28 ID:yOwYByY30
んまあ幽霊と普通に話してるって此処じゃあおなじみみたいなもんでしょ。
イギリスではhttp://ryoshida.web.infoseek.co.jp/kaiki/74samueru.htmこんな事例もあるくらいだから
えっとそれとhttp://www.youtube.com/watch?v=sQB1A1iELGM元ねたです。なんかいいのが書けないよ〜。
445pDOG ◆MjRkBb/jUw :2006/12/16(土) 01:28:21 ID:forpqr/50
俺の名前はジョージ、孤独な探偵なんて稼業をしている。
ここには長く住んでいるが、あまり人付き合いのいいほうじゃない。

ある夜、一人で繁華街を歩いていたら、背中に視線を感じた。
振り向くと、暗がりで女が壁から右半分だけ顔を出してこちらを見ている。

記憶に無い女だった。

女の服装は黒いレザーのジャケット、黒いタイトスカート。
それに黒いストッキング、黒い皮のブーツ。

タイトスカートに彩られた大きな赤い菊が一際目を引く。
まるで燃え上がる情念をそこに宿していますと言わんばかりだ。

何を話しかけてくるでもない。
俺は無視を決め込んだ。

しばらくして、さっきの女が別の暗がりからこっちを見ているのに気付いた。
下手な尾行だ。

それから毎晩、俺が外出した夜には必ず女は現れた。

相変わらず建物の影から右半分だけ姿を見せてこちらを伺っている。
流石に鬱陶しい。目的もいいかげんに教えて欲しいものだ。

「何の用だ?」
俺はある夜、女を待ち伏せして話しかけた。

びっくりしている。それはそうだろう、わざわざ鏡貼りの柱を選んだんだ。

鏡に残りの半身が映っていた。たまにはこんな意地悪もいい。
さあ、話を聞かせてもらおうか。
446pDOG ◆MjRkBb/jUw :2006/12/16(土) 01:28:56 ID:forpqr/50
俺の名は近藤、刑事一筋ン十年の男だ。

慰安旅行に行った時の事だ。とある旅館で一泊する事になっていた。
食事と酒と麻雀を大いに楽しむと、、あとは寝るだけ。
布団に各自潜り込むと、疲れからか一人、また一人と眠りに入っていく。

どのくらい眠っただろうか、かすかな物音で目が覚めた。
気のせいか。そう思いながら寝返りを打った時ふと目に入ってきたモノ。

赤い着物の日本人形だった。
最初に見た時は確か舞を模したポーズだったのに何か変だ。

フーッ、フーッ、フーッ、息苦しそうな呼吸の音。
バサッ、バサッ、バサッ、何の音だ?

目を凝らして人形をよく見てみる。  ──動いていた。

両手をゆっくり上げては降り下ろす
両手をゆっくり上げては降り下ろす、その繰り返し。

そしてその度にフーッ、バサッ。

俺は思わず小さな声を上げてしまった。
その声に気付いたのか、人形は俺の方に向き直る。そしてこう言った。

「見るな」

よく見ると頬が真っ赤になっている。
俺はうんうん、と頷くと人形に続けなさい、と手で合図を送る。

時計を見ると朝の六時半。外から元気のいいあの音楽が流れてくる。
そうだよなあ、お前もこの旅館の一員だもんな。しっかりやれよ。
447pDOG ◆MjRkBb/jUw :2006/12/16(土) 01:29:32 ID:forpqr/50
俺の名は近藤、刑事一筋ン十年の男だ。

朝からうちの刑事課長は胃薬をもう一箱分は飲んでいる。
そんなに飲んだらかえって胃に悪いような気がするのだが、
飲めば少しは痛みが治まるらしいから、まあ、よしとするか。

課長の胃を痛めている原因は、三日前にインターネットに流れた動画だった。

うちの署の内部を盗撮した映像だった。
警察署内が盗撮された、というだけでも前代未聞だが、その内容が酷い。

うちの若いモンが3cmほどの老婆に針でめった突きにされていた。

盗撮のカメラも犯人もすぐ見つかったのだが、人の口に戸は立てられない。
撮影されたのがうちの署だということもすぐにバレた。
刺されていたのが捜査一課の若い奴だということもネットに実名で流された。
少し前から噂になっていた怪事件と相まって、警察署内で殺人か?と噂された。

そしてゴシップ好きのマスコミが殺到。
署長だけではなく警視正まで登場して事態の収拾にあたることになった。

この一連の不祥事が課長の胃を刺激しているわけだ。

「近藤君、ほ、本当にあの映像はデマだったんだろうね。」
課長の声は何時にも増して甲高くなっている。
「もちろんです。署内で殺人なんてあるわけがありません。酷い話ですな。」
「そ、そうだよねぇ……。」

今にも消えてしまいそうな課長をなだめてなだめて、俺は捜査一課を後にした。
まったく年末は忙しいってのに、こっちが肩がこってくるな。

ちょっと婆さん、すまんな、いつもの針打ってくれ。
448pDOG ◆MjRkBb/jUw :2006/12/16(土) 01:34:03 ID:forpqr/50
>>432 >文句だけ言ってごめん。

いえいえ「面白かった」という意見は嬉しいのですが、やっぱり
>>318とか、ご指摘、厳しいご意見もいただけるともっと嬉しいです。


>>444 ぽんぽんさん、まずは数をこなすのがいいってよく聞きますよ^^
私も、まぁ趣味で書いているわけですが、本当に気にいった出来のもの
なんて数えるほどしかありませんよ(苦笑)

もっと面白い話が書けるようになりたいですね^^


元ネタは洒落怖まとめサイトから
>> Part1「次はおまえだよ(都市伝説の一寸ババア)」
>> part5「暗がりの女」
>> part4「日本人形」
です。

過疎ってきたのでage
449本当にあった怖い名無し:2006/12/16(土) 02:11:02 ID:forpqr/50
あ、見直したら間違えてるしorz 安価入れてないしorz

>>445 part5「暗がりの女」
>>446 part1「次はおまえだよ(都市伝説の一寸ババア)」
>>447 part4「日本人形」

です。あと446も
>麻雀を大いに楽しむと、、
点が二つあったとはorz がっくり。
450本当にあった怖い名無し:2006/12/16(土) 02:32:00 ID:BtTO7klF0
>>449
pDOGさん、乙です。お待ちしてましたよ。

え〜と、元ネタ>>446>>447 逆ですよね?
>>446はラジオ体操する日本人形・・・?
451pDOG ◆MjRkBb/jUw :2006/12/16(土) 23:14:03 ID:ZgT/AjMX0
逆ですorz 何やってたんだ昨夜の私o/rz
452本当にあった怖い名無し:2006/12/18(月) 11:41:22 ID:dsvZ9CBCO
捕手
453pDOG ◆MjRkBb/jUw :2006/12/19(火) 06:10:53 ID:acQw9dTa0
俺の名前はジョージ、しがない探偵なんて稼業をしている。

俺は仕事で京都に行った。その日は1日中スケジュールが詰まっていて、
ホテルにチェックインしたのは夜の10時を回っていた。

いつもの出張なら、これから夜の街に繰り出すのだが、
朝早く東京を出たこともあって疲れていた俺は、弁当とビールを買って
部屋で過ごすことにした。

腹も一杯になり、ビールに心地よく酔った俺は、部屋の電気も消さないまま、
いつしか眠ってしまったらしかった。
すると夜中に右腕が痺れて目が覚めた。右腕に何かが乗っている…

まるで女に腕枕をしているようだ、部屋の電気はついている。

半分寝ぼけ眼の俺は、さほど不思議にも思わず右腕を見た。
すると長い髪の女が、無表情で俺の腕を枕にしてこちらを見つめている。

 ──しまった、またやっちまった。

そんなに酔っていたわけはないのだが、疲れていたからだろうか。
俺は女に笑みを見せるとベッドを出て顔を洗いに行った。

戻ると女の姿は無い。特に無くなったものも無い。
あっさり帰るなんて、クールな女だったな。

俺はタバコを取り出して火をつけた。

下手な女衒や悪い女に引っかかったわけではないようだ。
タバコを吸い終える頃には、俺は普段の冷静さを取り戻していた。

しかし、あの程度の酒で記憶がなくなるとはな。俺ももう歳か?
454pDOG ◆MjRkBb/jUw :2006/12/19(火) 06:11:40 ID:acQw9dTa0
僕の名前はマコト、しがない探偵なんて稼業をしている。
一度言ってみたかったんだよね、これ。

大学時代の話。友人のFの様子がおかしくなり、学校に出てこなくなった。
入学当初からにぎやかで遊び好きな男だったのに少し前から元気が無かった。

電話も通じない。僕は心配になってFのアパートに様子を見に行った。

少し見ないうちに、Fはまるで別人のようになっていた。
目はどんよりとして充血し、無精髭だらけの頬はこけてげっそりとしていた。

部屋の真ん中には縦横の幅が1メートルはあろうかという大きな水槽。
頑丈そうなスチール台に置かれて中にはなみなみと水が湛えられていた。

その中にはバレーボールほどの大きさの黒い藻の塊のようなものが、
ゆらゆらと浮いていた。

でもそれは藻なんかじゃなかった。
巨大な水槽の中に揺らめく黒髪に縁取られた女の生首。

水中に浮かんだ首だけの女は僕の目の前で閉じていた瞼をぱっちりと開き、
色の無い唇をゆがめてニタリと笑った。

「突然すいません。お邪魔します。」
「いらっしゃい、ごめんなさいね、お茶も出せなくて。」
僕が挨拶すると首だけの女は水中からにこやかに返事をした──

今日、テレビでFの姿を久しぶりに見た。華やかなイリュージョンの舞台だった。
今でも彼女と練習していた、あの身体を消すマジックを続けているらしい。

大学を辞めて留学までしたF。とうとう夢を叶えたんだな、おめでとう。
455pDOG ◆MjRkBb/jUw :2006/12/19(火) 06:12:17 ID:acQw9dTa0
俺の名前はジョージ、しがない探偵なんて稼業をしている。
近所の公営住宅で怪事件が発生した。

事件があった場所は女性が一人暮らしをしている部屋だ。
俺のちょっとした知り合いだった。

毎晩夜中になると、寝室にしていた和室で子供が歩き回ったり、
母親らしき女性が頭を下げていたり、部屋が霞がかったりする。
幽霊かもしれない、怖いので調べて欲しい、と頼まれた。

 報酬は、無い。

まあ、報酬を貰うほどの仕事でもないことは明白だ。

俺は女性の隣の部屋のチャイムを押した。

出てきた母親はすぐに罪を認めた。
女性の部屋に通じる押入れは、隣の部屋からのみ開けられる構図だった。

説明するまでも無いだろう。
母親は毎晩、女性の家にガスを盗みに入っていただけだった。
母子家庭で生活保護を受けている、生活苦に耐えかねてやった、
と、その母親は涙ながらに訴えてきた。

部屋の隅では子供達が怯えていた。

事件は解決した。
俺は抜け穴を塞ぎ、もうこんなことはしないと約束させた。
女性には幽霊はもう出ない、とだけ伝えてある。

その後、女性の寝室の床下から4人もの死体が発見され、前の住人が逮捕された。
が、まったく関係の無い話だ。
456本当にあった怖い名無し:2006/12/19(火) 06:15:51 ID:acQw9dTa0
うーん、イマイチですけど保守がてらage
雰囲気変えて長編にでも挑んでみようかな。

元ネタは洒落怖まとめサイトから
>>453 part4「腕枕」
>>454 part4「白い顔の女」
>>455 part5「ごめんね」
です。
457本当にあった怖い名無し:2006/12/19(火) 12:27:22 ID:8GQ/L2yH0
pDOGさん、乙です。

今回は全部元ネタ知りませんでした。
>>453はいかにもジョージという感じですね。
長編も楽しみにしてます。
458pDOG ◆MjRkBb/jUw :2006/12/19(火) 22:28:15 ID:G/h45ZYY0
>>457
いつも読んでくださってありがとうございます^^

応援励みになります、が、なにしろネタ切れでorz
洒落怖まとめサイトを片っ端から改変するかぁ、なんて考えています^^;

>長編
今、書いている途中です。ちゃんと纏まったら投稿します。
たぶん、反撃でもなんでもない唯の小説になりそうです。
下手したら反撃どころか怖い話になるかも知れません(おい

長いです。
9レスくらいになりそうな…ちゃんと投稿できるかな……
459ぽんぽん:2006/12/20(水) 00:17:48 ID:7DlV6W2M0
俺の名前は悟。用務員ではなくホテルの客だ。

 なんでも先生同士が宴会、まあこの季節は忘年会とでも言うのかな。それに参加させてもらっていてそして宿泊している、と言うやつだ。
まあ、木っ端用務員の俺は末席にすら参加できないようだが…。まあいいさ、その分時間はある。宴会の空気がいやで抜け出してきた先生と色々やるか。

 と思ってたら誰もこねえ、み〜んな忘年会で楽しんでやがる。仕方ねえ、今日はみんなお泊りだ、部屋に戻って何かして過ごすか。

 さて、部屋についたのはいいが何をしようか・・。まあトイレでも行ってみよう、なんせ個室だからな、一人で何でもできる。

 ガチャリ

 うおっ!!なんで俺の部屋に別の奴が?それも女だ・・・・。しかも服装が落ち着いてやがる。タイプかも、って寂しいからって幻覚見せんじゃねえよ、奈津美。

 「あ〜、ちょっと使いたいだが。そこにいると結構困るので退いてもらえないか?」
 「あっ!すいません・・・。あの不躾なことを言って申し訳ないんですが、飲み物をもってないでしょうか?」
 「ん、じゃあわかった。買って来る、其処から出るなよ」
460ぽんぽん:2006/12/20(水) 00:18:40 ID:7DlV6W2M0
一体何なんだ?ありゃあ、その前にトイレを済ませないとな。ま〜だやってるよ、中で乳繰り合ってるんだろうな〜。じゃ買って帰るか。

 「買ってきたよ。」
 「あ、ありがとうございます。なにぶん此処から動けないものなので。じゃあ、飲みますか」
 「む、そうだな。あ、でもそのまえに名前教えてくれよ。どう読んだらいいかわからねえ」
 「志保、志保って言います」
 「志保か・・・じゃあ志保ちゃんって呼ぼうかな」
 「そんな、志保ちゃんなんて・・・・・・・・」

 あれ、消えちゃったよ。まあいいか、ささやかな宴会に、乾杯。じゃあ寝るか、あ〜ちょっと飲んだかも。
   ・
   ・
   ・
 あ〜だめだ。トイレに行きたくてしょうがねえ、くっそ、漏れちまう。
  
 ガチャリ

 「お〜い、志保ちゃん〜。どうせならこっちに来いよ♪」
 「あ、はい。でも動けないんです。長い時間正座をしてたから・・・その・・足が・・痺れちゃった」
 「じゃあ俺がおぶる」
 「え?あ!ちょ〜」
 
 まったく、恥ずかしがらずにそういえばいい者を、赤くなってるぜ。そのままベッドに降ろしてと、じゃ、寝るか。
あ!暴れるな、嬉しいからって。ふう、ようやく落ち着いた。これでじっくり楽しめる。

 電気を消してと、ま、こういう忘年会もありかな?どっちだろ。
461ぽんぽん:2006/12/20(水) 00:20:42 ID:7DlV6W2M0
元ねたは、新耳袋の「おシカさん」です。
本編だとおシカさんがおばあさんなうえ、悟の相手ではないかな?と思い今の志保になりました。
正直オルゴールの女の人(由佳)の扱いに困ってます。
462本当にあった怖い名無し:2006/12/20(水) 08:39:13 ID:6BaHfKji0
>>459
いつも思うんだが、貴方の作品はこのスレの雰囲気とずれている気がする。
無意味に長いし。
463pDOG ◆MjRkBb/jUw :2006/12/20(水) 16:28:25 ID:Ou0rVa7t0
書きあがりましたので早速投下。なのですが少しお断りを。


ええっと、まず、
ここに出てくる人名、地名、団体、その他はすべて架空のものです^^;


そしてやっぱり反撃にはなりませんでしたorz
いや、ある意味反撃なのですが…

どちらかというと「怖い話」になってしまいました^^;


ほとんどあらすじを纏めただけなのに全部で9レスです。
本編8+エピローグ1です。長いです。
やっぱり最初から最後まで書くのは無理があるのかなあ。


>ぽんぽんさん
乙でした。私はこれもアリだと思いますけど…
最初の頃よりもクール・ハードボイルド風味が減ったのかなぁ
464七人ミサキ 1/8:2006/12/20(水) 16:29:10 ID:Ou0rVa7t0
俺の名前はジョージ、しがない探偵なんて稼業をしている。

真鍋美砂が俺の事務所に来たのは、ある晴れた冬の日のことだった。
花屋の店先に、花だか葉だかわからない赤い鉢が並ぶ頃のことだ。

俺の携帯はその10分ほど前に鳴った。
場所の説明をする簡易な内容に、美砂は重く陰鬱な声で答えていた。

 あまりいい内容の依頼ではなさそうだ、と俺は直感していた。

浮気調査や家出人探しの依頼人が持つ、焦りや怒りが感じられない。
もう過ぎ去った悲しみを掘り起こそうとする、決意に満ちた声だった。

妹を殺した犯人を探し出して欲しい──

美砂はそう依頼の内容を俺に告げた。

美砂は背の低い女だった。
いつもなら依頼人の品定めに必ず顔を出す三毛猫は、
今日はベイウィンドウの陽だまりからこちらを伺っているだけだ。

真鍋美砂、25歳。現住所東京都台東区駒込x-xx-xx。電話03-xxxx-xxxx。
都内の商社に勤めるOLだった。11月末から長い休暇をもらっている。
簡単な書類を作成し、依頼の内容をメモする。

そして俺はわかっている理由を確認するために質問をした。

 なぜ、警察に相談しないんだ?、と。

そしてその答えは、最もシンプルなものだった。
真鍋美砂の妹、真鍋知恵の死は、自殺として結論付けられていたからだ。
465七人ミサキ 2/8:2006/12/20(水) 16:29:43 ID:Ou0rVa7t0
依頼を断らなかったのは、美砂の声のせいだろう。
容姿は十人並みで、取り立てて美人というわけではないが、
決意に満ちた声の中に、妖しく、危険な旋律が秘められていた。

俺は美砂と共に知恵の住んでいた徳島へと旅立った。
猫の世話とバックアップをマコトに頼み、羽田へと向かう。

知恵は実家で祖父と二人暮しをしていた、と、飛行機の中で説明を聞く。
なぜ自殺だと思わないんだ?、という問いには、答えはない。

だが、その返事は思わぬところからもたらされた。

 「知恵ぇは、シチニンミサキに呼ばれたがじゃ。」

美砂と知恵の祖父は、俺にこの事件をそう説明した。年寄りの方言はきつい。
聞き取るのには美砂の協力が必要だったが、その内容はこうだ。

 知恵は『七人ミサキ』と呼ばれる怨霊の群れに呼ばれていた。
 七人ミサキとはこの地方に伝わる怨霊で、何年かに一度悪さをする。
 今年はもう5人も死んだ。知恵は5人目だ。
 あと二人、誰かが呼ばれて命を落とす。

年寄りの世迷言だと思ったら、このあたりの住民皆が信じていて驚いた。

美砂の口が重かったのもこのせいだ。
部外者の俺にしてみればくだらない迷信だが、土着の人達にとっては違う。
中でも以前の“悪さ”を覚えている人達には、畏怖の対象らしかった。

「今夜はこちらでお休みになってください。」

美砂に案内された奥の座敷はさらに暗かった。広すぎる田舎造りの家にたった3人。
部屋の隅にストーブが置かれていたが、とても役に立っている気はしない。
466七人ミサキ 3/8:2006/12/20(水) 16:30:18 ID:Ou0rVa7t0
俺がまず向かったのは知恵の通っていた県立高校だ。
知恵の“元”担任は俺の姿をかなり怪しんだが、美砂の姿を見ると頬を綻ばせた。

「知恵ちゃんの事は、本当に残念だった。」

俺と同じくらいの歳だろうか、越智と名乗った教師は俺たちの前で涙を見せた。

 僕にもっと力があれば

 僕がもっとしっかりしていれば

 僕は彼女を救ってあげることが出来なかった

教師として、そして男として、越智の苦しみはどれほどのものだっただろう。

遺書に記された「越智せんせい、ありがとう。」の文字が忘れられない。
冷たくなった彼女の遺体が忘れられ無い、と語った。

真鍋知恵はクラスでも目立たない存在だったらしい。
成績は中の上。発言も少なく、友人も少ない。

クラスメートにも話を聞いたが、記憶に無い子供も居たくらいだ。

越智は彼女が悩んでいたことも、虐めを受けていたかどうかもわからなかった。
クラスメート達の答えも、まるで決まっているかのように「知らない」だ。

 ただ、

 知恵ちゃんは七人ミサキに呼ばれたんだね──

そう言った子供の言葉が、妙に引っかかった。
467七人ミサキ 4/8:2006/12/20(水) 16:30:51 ID:Ou0rVa7t0
美砂の妹、知恵は地元の公立高校に通っていた。歳は18。
仏壇の遺影は内向的でおとなしい印象の顔立ちを見事に映し出していた。

あと仏壇には、美砂たちの両親の写真も飾られていたと、加えておく。

二日間の調査で、俺はかなり行き詰っていた。
マコトへの連絡が面倒くさい。俺の悪い癖だ。

結論から言えば、真鍋知恵の死はどう間違っても自殺以外の何者でもない。

遺書があり、自宅の裏山で首を吊っていた所を駐在に見つけられた。
そして他殺を裏付けるものは何ひとつ、無い。

徳島県警の渡部警部に近藤さんから連絡をつけてもらい、得た情報だ。

 真鍋知恵は自殺。

これはどう転んでも変わりそうに無かった。


 ただし、


 そう、


 たとえそれが、限りなく他殺に近いものだったとしても。


知恵の全身には虐待の跡があり、腕や足にはためらい傷が無数にあり、
そして膣から男性の精液が検出された、としても、だ。
468七人ミサキ 5/8:2006/12/20(水) 16:31:33 ID:Ou0rVa7t0
「例の話、調べてみましたよ、四国・中国地方に伝わる怪談ですね。」
俺が焦げたフィルターの匂いにむせていると、マコトから連絡が入った。

俺はまったく知らなかったが、七人ミサキというのは有名な話らしい。
似たような話は八丈島にも伝わっているが、もともとは関西系のものだという。

 死んだ七人の亡霊が、生きている人に祟りを起こす。
 七人のうち誰かが成仏すると、補充のために誰かを引きずり込む。
 事故が起きると必ず七人の犠牲者が出る。

各地に伝わる話を大まかに分けると、この3つのパターンだ。

ジョージさんが怪談に興味を持つなんて珍しいですね。とマコトは続けた。
俺もそう思う、と答えた。

だが、知らなければいけないことのような気がした。

この事件は誰もに『七人ミサキ』のせいとして解釈されているんだからな。

 都合よく。

この辺りでは数年に一度、大きな事件が起きる。
舟が転覆したり、台風で土砂崩れが起きたり。
それだけならいいのだが、たまに連続殺人事件まで起こるそうだ。

 犠牲者は必ず七人。

古くから伝わる怪談話をさらに増徴させて、七人ミサキの祟りなどと言われてきた。

今回もひと月ほど前から事故が相次いだ。交通事故で2人、漁船の事故で2人。
そして、真鍋知恵で5人目。
地元では七人ミサキの名前が早くも一人歩きしている、というわけだ。
469七人ミサキ 6/8:2006/12/20(水) 16:32:20 ID:Ou0rVa7t0
「あんたは、知恵の死を予期していたんだな。」

俺の問いかけ、いや断定的な言葉に、美砂はお茶を煎れていた手を止めた。
俺を見上げた瞳が、何かに怯えるように震えていた。
急須が少し乱暴にテーブルの上に置かれ、鳴いた。

美砂はうつむき、目を一度ゆっくりと閉じて息を吐いた。

「私が…知恵を……」

自責の念に押し潰されそうな小さな身体を俺は抱きしめた。
肯定と、そして罪を認めたその勇気を称える意味を込めて。

俺の予想通り、美砂は幾度となく知恵の相談を受けていたらしい。
いや、受けていたのではない、受けていなかったのだ。

相談したいことがある、とまでは聞いていた。
だが東京での仕事・暮らし。彼女は忙しかった。ただ、それだけた。

話し終えた美砂は声を上げて泣いた。

ひとしきり泣き終えると、今度は震えて俺にしがみついてきた。
俺は過去の経験から学んだ教訓をもう少しで忘れるところだった。

 ──知恵は、私を恨んでいるわ

虚空を見つめる美砂は、俺に抱かれながら怯えた声でそう呟いた。

知恵を傷つけ、死に追いやった犯人はもう解っていた。
美砂もその一人。

そしてもう一人、犯人は、いる。
470七人ミサキ 7/8:2006/12/20(水) 16:33:39 ID:Ou0rVa7t0
真鍋知恵は自殺だった。これはどうしても揺るがない事実だ。
それが、限りなく他殺に近いものだったとしても。

俺に出来ることはなにもない。

現在の法律では虐めがあったとしても、例え、そこに脅迫があったとしても、
立証し、無念を晴らすことは困難だということを俺は知っている。

そして何一つ証拠がない、ということは捜査においてまったくの無力を意味する。

事実、校舎の屋上で俺たちに詰め寄られた越智には余裕があった。
俺たちには、越智に検出された精液との遺伝子照合を命令する権利すらない。

越智は最後まで知恵との関係を認めなかった。
クラスメートが知恵にしていた数々の暴行を認めなかった。
俺たちを余裕たっぷりの目で見下し、口元に薄ら笑いまで浮かべてこう言った。

「証拠はあるんですか?」

歯噛みして口篭る美砂に対して、さらに越智はこう続けた。
「やだなぁ、知恵ちゃんは七人ミサキに呼ばれたんですよ。きっと。」

怒りに爆発しそうな衝動を込めて美砂が顔を上げる。

知恵には以前から自殺願望があった。だが書き立ての遺書は不自然だ。
レイプされて戻らぬ決意をした人間がそれから遺書を書くだろうか。
書かされたものに違いなかった。たとえ、証拠がまったくなくても。

だが、証拠などなくとも俺は裁きを下す決断をしていた。
権利とか正義とか関係ない、いけ好かない奴を見過ごせるほど大人じゃないだけだ。

俺は拳を握り締めて、越智へと一歩、踏み出した。
471七人ミサキ 8/8:2006/12/20(水) 16:34:12 ID:Ou0rVa7t0
 はじめ俺の目には、越智がまるで風に吹き流されたように見えた。

 越智の身体がふわりと浮いて、屋上の柵を越えた。

 その首に細い女の腕が巻きついているのが見えた。

越智を睨みつけたはずの美砂の表情は見る見る怯えたものに変わり、
口をついて出た言葉もはじめに彼女が用意していたものとは随分変わっていた。

 「知恵!!駄目!!!!」

 崩れ落ちる美砂の身体を抱きとめてから、俺も柵へと駆け寄る。

 地面の上の越智の身体は有り得ないほどに捻じ曲がり、叩き潰されていた。

 誰かの悲鳴が、校舎に響き渡った。

何が起こったのか、俺には理解できなかった。
ただ、越智が望んだであろう、知恵の自殺と同様に、
越智もまた、自殺として処理される事になったということは間違いなかった。

 姉の次に頼った教師。

 そして救いを与えるどころか慰み者にした教師の末路がこれだ。

悪いが、俺には同情する気持ちなんてこれっぽっちも沸いてこなかった。
いい気味だぜ、などと呟いた俺は、冷酷な人間なんだろうか。

コートをはためかせる風に任せて、俺はタバコに火をつけた。
煙は越智と同じように柵を飛び越えて消えてゆく。

冬の屋上には、美砂の嗚咽の声が静かに聞こえていた。
472エピローグ:2006/12/20(水) 16:34:49 ID:Ou0rVa7t0
俺は無力だった。
真鍋美砂の死が知らされたのはそれからひと月ほど経ってからだ。

東京に戻り、休暇を終えて復職した彼女ははじめ、順調に見えた。
年末と新年の激務を処理し、人付き合いも上手くこなした。

 だが、ある日の昼休みに会社の屋上から身を投げた。

 天気もよく、大勢の人が目撃していた。
 まるで風に飛ばされるように、ふわりと柵を越えたらしい。

 知恵、ごめんなさい

 知恵、駄目

 知恵、許して

 知恵、やめて

 そう叫びながら飛び降りたらしい。



こうして無力な俺は、俺だけは“七人目”の犠牲者が出たことを知っている。

七人ミサキ、そんなものを信じるほど俺は俗世に染まってないが、
この事件は、これですっかり片付いたような気がしていた。

とりあえず、飲みたい気分だった。

誰にも差し伸べることが出来なかった俺の無力な手でグラスを掴み、
惨めに生き長らえている喉をバーボンで潤したい気分だった。
473pDOG ◆MjRkBb/jUw :2006/12/20(水) 16:47:34 ID:Ou0rVa7t0
今回こそミスはない…ハズ、と思ったら途中sage忘れるとはorz

まあ過疎ってますし^^; お客さん募集ageということで…
474本当にあった怖い名無し:2006/12/20(水) 21:54:20 ID:ym0BGJrg0
pDOGさん、長編乙です。
七人ミサキですか。楽しませていただきました。

クラスメートに何も無いのは残念ですが、越智は当然の報いでしょうね。
ただ、その場にいたジョージと美砂さんが疑われなかったのかと余計な心配・・・

美砂さんが死んでしまうのは理不尽な気もしますが、
七人ミサキということで仕方が無いのでしょうね。


>>473
え〜と、無粋なツッコミをひとつ
台東区に駒込ってありました?ひょっとして駒形では?

ごめんなさい ごめんなさい
475本当にあった怖い名無し:2006/12/20(水) 22:09:49 ID:tVIwpjvc0
>>463
拝読しますた。……すごい。
九レスなのに長く感じない。
>>453の時も思ったけど、
対処がジョージらしくて本当に自然。
次回も期待と安易に言いたいけど、
あまり無理はしないで。忙しい年末だし。

>>462
書き手氏は児童か生徒らしい。
その歳で完成品要求はムチャでしょ。
やる気と根気はある職人さんだし、
欠点を指摘するなら対処法も
書いたほうがいいと思うよ。
チャンドラーとかマクベインを
薦めるとかね。
映像メディアは分からんので、
他の人よろしく。
476pDOG ◆MjRkBb/jUw :2006/12/20(水) 22:19:50 ID:Ou0rVa7t0
あああああ、駒込は豊島区でしたorz

そんな初歩的な間違いがあるとはorz   ご指摘感謝^^;


お二人とも読んでいただけて有難うございます。
ノッていればすぐなんですけどね、また書いてみようと思います^^
477ぽんぽん:2006/12/20(水) 22:43:07 ID:7DlV6W2M0
ようは『浮いてる』ってことですかね?
チャンドラーやマクベイン?早速調べてみようと思います。
pDOGさん、面白いです。まさか七人ミサキを改変するとは…次回作を待ってます。
478pDOG ◆MjRkBb/jUw :2006/12/20(水) 22:57:34 ID:Ou0rVa7t0
ぽんぽんさんもthxです^^
レイモンド=チャンドラー面白いですよ。私もオススメ。
マクベインって読んだことないです、私も読んで見ようかな。

うーん、自分でも読み直してみたけど、まだまだですねぇ…
私の感覚では美砂は“当然”の人選なんですけど…その辺りが書けてない。

もっと頑張らないと^^;
479鴉 ◆SURvnsCrow :2006/12/21(木) 02:00:09 ID:18nDJh53O
ここでは初めまして。
「有名な〜」シリーズで最近書き始めた鴉です。
「ジョージスレにも…」との声を受け、まずは全部読んだのですが…レベル凄く高ぇorz
まさかこんなクールで時々笑える話になるとは…お見逸れしました(平伏
個人的には作者様がたの話は全部好きです。
シリアスばかりでは固くなるし、ギャグばかりではダラケてしまう。
バランスはとれていると思うけどなぁ…

俺も何か書くべきかな?
とりあえず「クールに反撃」の絵文字メリーと赤い部屋とコテを名乗って書いたメリー、それに「更に怖く」の赤い紙二種が俺の作だけど…
どれがジョージ向きか意見下さいm(_ _)m
480pDOG ◆MjRkBb/jUw :2006/12/21(木) 02:16:11 ID:gdBF7VfH0
鴉さんキター^^ って呼んだの私なんですよね(笑)
クールに改変スレのメリー編読んでファンになりましたb

ジョージも元々はクールに改変スレに投下していたのですが、送り狼さんが専用スレを
建ててくださって、今の状態になっています。
最初の頃の名無しコピペの中にはぽんぽんさんはじめ、いろいろな名無しさんの作品が混ざっています。
全部で…10〜15人くらいの方が書いていますかねぇ

>俺も何か書くべきかな?
ぜひっ!と、言いたいところなのですが…
もしも気が向いたら、でいいので御願いしますm(_ _)m

設定作っちゃってOK
オリジナル持ちキャラ作っちゃってOK

な、感じでのんびりやってます^^ ぜひご参加を。
481鴉 ◆SURvnsCrow :2006/12/21(木) 17:16:51 ID:RvOouIDO0
 俺の名前はジョージ、しがない探偵なんて稼業をしている。
ハードボイルドを気取っているが、ハードボイルドだって時にヘマはやる。
運が悪いのか最悪の事態にヘマをする事が多い、そう、今も…
「畜生…紙が…無ぇ…;」

 今回の依頼主は悟、いい歳して小学校の用務員なんてやっている。
あいつはロリ趣味があるからそれを校長に知られたら…ま、俺は関係無い。
何でも、あいつの勤めてる小学校で子供が発狂する事件があったらしい。
「黄色い紙」がどうたらとか口走っていたらしいが…
子供を守れず悔し涙を流す悟の姿に誓った…大丈夫、俺が仇を取ってやる。

 マコトに調べさせたら似た様な事件が他の学校でも起こってやがる。
おまけに殺しまで…血塗れにしたり失血死させたりまたは窒息させたり…残虐な奴だ。
そして、事件のあった学校に共通して流れる“ある噂”…犯人は模倣犯か?
絶対、これ以上の犠牲は出さない…俺が食い止めてやる。
「犯人は現場に戻って来る」
刑事だった親父の言葉を思い出し、悟の学校のトイレで張り込みした。
何と言うか、探偵としての勘がそれが正しいと告げている。
悟には何かあったら携帯で連絡すると告げて用務員室で待機させた。
しかし…ずっと張り込んでいたのだが、こんな時でも自然は待ってくれない。
張り込み場がここで本当によかった…
だが、用を済ませてはたと気付く恐怖がある。
「畜生…紙が…無ぇ…;」
482鴉 ◆SURvnsCrow :2006/12/21(木) 17:18:16 ID:RvOouIDO0
 悟の奴、用務員の職務怠慢じゃねぇのか?
そんな事を思いつつ、ふと何かに気付いて見上げた。
「赤い紙は要らんかね〜? 青い紙は要らんかね〜?」
例の噂にも出て来た声…なのだが、状況が状況だけにありがたい。
仕方無い、今はこいつに頼るか…
「おーい、紙くれー!」
天井から声が降って来る筈は無い。多分、外にいるんだろう。
しかし、奴は俺の声を無視して喋り続けた。
「赤い紙は要らんかね〜? 青い紙は要らんかね〜?」
「だから紙くれって!紙!」
「赤い紙は要らんかね〜? 青い紙は要らんかね〜?」
「紙くれって!聞いてるのか?!」
何度声をかけても紙が投げられる様子は無い。おまけに大きくなって来やがる…
「この馬鹿野郎!黄色い紙だろうが何だろうがさっさとよごしやがれ!」
柄にも無くキレてしまった…非常事態だから仕方が無い。
ようやく声が止み、黄色い紙が下がって来た…ちっ、ロールごとよこせばいいのに。
まぁ、危機から脱したからいいか。
「サンキュー、助かったよ」
紙をちぎって使った後水を流してズボンを上げる。
だが、紙はどんどん送られて来る…しまいには巻き付いて来やがった。
「おい、紙はもういいぞ!」
怒鳴ったが反応が無い…ただ紙が来るだけ。
携帯を見たが何故か圏外になってやがる。
暫くは黙って巻き取りながら我慢していたが…やはり腹が立った。
巻き取っていた紙をボールの様に硬く丸める。
「おい、こっち見やがれ!」
思い切り怒鳴ったら誰かが上から覗き込んで来た。
その面へ向け硬く巻いた紙ボールをぶつけてやると、相手は外へ落っこちた…
483鴉 ◆SURvnsCrow :2006/12/21(木) 17:18:57 ID:RvOouIDO0
 その後暫くして。
電話で呼んだ近藤さんが不審者を逮捕してくれた。
犯人は…驚いた事に中学くらいの少女だった。
「ファイルが残っていました…犯人は小学校の頃悪質ないじめを受けた様です。
救急車も出、一時死んだと報道されたから刑事事件になったんです。
何でも、トイレットペーパーで顔をぐるぐる巻きにされ窒息したとか…」
それと被害者は皆いじめっ子でした、と若い巡査が報告する。
窒息してから暫く経って蘇生すると、稀に脳に障害が出てしまうらしい。
少女は脳に障害を負ってしまった為に病院に入れられたがそこを逃げ出した。
それから暫く経って一連の事件が起きたのだ。
そう、いじめっ子達に復讐する為に…
誰がいじめたなんて覚えていなかっただろう。
それでも幾ら脳に障害を負っても忘れられなかったいじめの記憶。
何で、最悪の結果になる前に誰も気付いてやれなかったんだ…?
「畜生、後味悪いぜ…」
思い切り投げた為に少女は出血していた。済まない事をしたと思う。
俺に出来るのは、彼女が立ち直るのを祈る事だけ…
モヤモヤする気持ちを押し込め、俺は煙草を銜え火を点けた。
484鴉 ◆SURvnsCrow :2006/12/21(木) 17:28:33 ID:RvOouIDO0
…と言う訳で書いてみました。
思い切り暴走してしまってジョージを壊して御免なさい;
全然ハードボイルドじゃ無くなったし…もっと練習します。

そして、メリーを期待していた人御免なさい…orz
彼女はもう少し構想が纏まってから書くつもりです。
どんな形にするかは内緒です。

後…今の内に謝っておきます。
Lady メリー ◆MERRY.VeEMさん、ハタチさん…
キャラの雰囲気がかぶると思うけど見逃して下さい(土下座
俺にはロリロリのメリーは無理です…(´・ω・`)
485本当にあった怖い名無し:2006/12/21(木) 18:24:53 ID:l5/+ncYe0
>>484
鴉さん、乙です。
私も「クールに反撃」で呼びかけちゃいました。
来ていただけてうれしいです。
ビックリしました。昨日の今日でもう投下していただけるとは。

>思い切り暴走してしまってジョージを壊して御免なさい;
壊れていませんよ。まさにこれこそジョージの対処だと思います。

すでにそれぞれの特徴も掴んでいらっしゃるようで、楽しませていただきました。
いきなり素晴らしい出来ばえで驚いています。すごいですね。
次回作も楽しみにしています。

できることなら「メリーさんスレ」よりこちら優先で・・・
486pDOG ◆MjRkBb/jUw :2006/12/21(木) 19:14:49 ID:y971Bu970
おお、早速とは凄いですね^^
半分キレ気味の松田優作の名演技を思い出しました(笑)
やっぱり基本は「笑える話」ですよねぇ

乙でした。またお待ちしていますね~

次回作の(また長編)資料集めをはじめたところなのですが…
暗い話にならないように気をつけないと……
487鴉 ◆SURvnsCrow :2006/12/21(木) 19:41:52 ID:18nDJh53O
>>485
早速の感想ありがとう、よかった…あれでいいのか(^。^;
キャラ掴めているとはまだ…皆さんを見て練習です。

>>486
ごめん、前振りは笑えるかもだけど、笑わせようとした訳じゃ無いんだ(´・ω・`)
ジョージが感じた後味の悪さを感じて欲しくて…正当防衛になりそうでも結果的に少女に怪我を負わせてしまったし。
それにある意味彼女も“被害者”のつもりで書いたから…(´・ω・`)
次回作頑張れ、応援してる。
488ぽんぽん:2006/12/21(木) 20:52:28 ID:oMRS6m9v0
子供たちが帰り、日も暮れ、音もしなくなった頃、そんな時間に足音を立たせている男がいた。

 申し遅れた。俺の名前は悟、用務員なんて時代錯誤な職業をやっている。ついでに今は見回りだ。一人で懐中電灯片手に…。

 此処もよし、あそこもよし…。残るは体育館か。あそこ面倒くさいんだよな〜広いし、倉庫あるし。まあ適当にやって帰るか。

 ケケケケケケケッ・・・・・ケケケケッ・・・・

 あん?何だコリャ。ずいぶんと手の込んだいたずらだな、大方子供か、さもなくばトイレのときの中学生か、まあ忍び込んで悪さしてる奴らだろ。
声も少し高めだしな。驚かしゃあビビッて出てくるだろ。

 「おいっ!こそこそしてないで出て来いっ!」

 うん?声が止んだなあ。こういう場合の定石としては、第三者が襲ってきて、適当にぼこってかつ上げしていく。しかも一発目は後ろから。

 そう思って後ろを見た視線の先には、ボールを持って走ってくる女がいた。しかも早い、ん?ちょっとまて。

 「ボールを持って三歩歩いちゃ駄目って習わなかったのか?次からはドリブルで来い」

 思わず言ってしまった。少し悲しませちゃったようだ。しょうがないだろ、昔やってたんだから。

 その後、誰もいなくなった体育館でボールをつく音と失敗して泣く女の声が聞こえたと言うが、それは別の話。
489ぽんぽん:2006/12/21(木) 20:54:58 ID:oMRS6m9v0
元ねたはhttp://www.youtube.com/watch?v=qe9tbzy0F9wです
悟にハードボイルド…キャラかぶるとまずいだろ。
 プレイボーイ路線でもいい?
490本当にあった怖い名無し:2006/12/22(金) 01:58:04 ID:sa3gMf9h0
乙です。
プレイボーイでいいと思いますよ >悟

鴉さんの作品も(・∀・)イイ!!
次回作も期待しています
491本当にあった怖い名無し:2006/12/22(金) 08:37:20 ID:vNF7WWQU0
鴉氏の作品、悪くはないんだけどジョージか?って思ってしまった。
ジョージは、怪異に気づかずいつの間にか解決ってのがスタイルじゃないのかなと。
積極的に関わって解決するのは悟の手腕のような気がする。

ジョージ:怪異に気づかずいつの間にか解決
マコト:怪異に飲まれて「ええっ!?それでいいのかっ!?」でエンド
悟:積極的に解決
岡島:警官として杓子定規に解決
近藤さん:人情で解決
ミキ:怪異を強気で利用

こんな感じなのが流れだと思ってた。
492本当にあった怖い名無し:2006/12/22(金) 09:54:11 ID:ARvnjLFi0
>>491 同意。よくポイントを見てるなw
493鴉 ◆.mR/bI8EkM :2006/12/22(金) 11:44:56 ID:v8YEzsaL0
>>491-492
ごめん、見直したらそうだった…反省してる。
気になる人はジョージを悟、悟を被害者の友達と脳内変換して下さい(´・ω・`)
そしたら後味の悪さは更に倍で…
こう言ったミスがあったらまた指摘お願いします(ぺこ

そして、自作への前置きをやって来ました。
気付かせない様に頑張るけど…と言うか、貞子はまだジョージに付きまとってますか?
494ぽんぽん:2006/12/22(金) 18:27:42 ID:lG9vQz0M0
pDOGさんの薦めでレイモンドを読んでいます。
学校の図書館には「赤い風」しかありませんでしたが、面白いです。
有難うございました。
 ついでに、>>488の「三歩〜」はバスケのルールです。
495本当にあった怖い名無し:2006/12/24(日) 19:19:09 ID:4tvQcvcP0
保守
496ぽんぽん:2006/12/24(日) 20:53:24 ID:+Uz2K5xD0
俺の名前は近藤。刑事一筋ウン十年のベテラン刑事だ。

 今俺は自分の担当する事件の資料に目を通してる。やっぱり動いている車の中で読むと気持ち悪くなるんだなあ。
同じものを読んでいる岡島にはそれが現れていた。ついでに俺は大丈夫だ。
 
 「近藤さ〜ん、ついたら起こしてくださ〜いよ〜」
 「わかったよ。岡島。ふ〜ん、どれどれ?」

 そのとき車のすぐそばを男が通っていった。しかもすれ違いさまに、

 「てめえじゃねえ!!」

 それを聞いたとたん、俺は車を止め、男につかみかかった。許せなかった。

 「おいあんた。初対面の相手に向かって『てめえ』はねえだろう?『あなた』だろ?わかってるのか!?なあ!」

 それを聞いた男はすぐに「すいません」とだけ言って去った。ちっ、この年になってカッとしちまうなんてな。
最近妻に血圧のことを気にされてるって言うのに…。すぐに俺は車を走らせた。

 「岡島、現場だ、起きろ」

 既にグロッキーな部下を連れ、俺は仕事をこなしていく。ちゃんとした刑事になってくれるのかな?こいつは。
497pDOG ◆MjRkBb/jUw :2006/12/25(月) 13:34:02 ID:PToWCWTC0
書きあがりましたので投稿いたします、が…

今回はご非難覚悟しております><

最初に、この物語はすべてフィクションです。
いろいろ挑戦してみたかったのですが、欲張りすぎて裏目に出たようなorz
せっかく長く書くなら長編にしか出来ないことを、と思ったのですけど…

今回もほとんどあらすじ、あと、書きたいシーン2,3個まとめてカット、
それでも9レス+1も使うことになってしまいました。まだまだ無駄が多いのかなあ。

エピローグは解説編です。
いらないかな、とも思ったのですが……

前回も悩んだのですが、オカルト風味と推理小説風味のバランスがまだよくわかっていません。

反撃も入れたいし、色っぽいシーンも入れたいし…と欲張りなことを考えています。
そのあたり、もし読んでいただける方がいらっゃいましたら、
アドバイスなど、いただけたら嬉しいですm(_ _)m


>鴉さん
亀レスですが、後味の悪さ、でしたか。
最初の紙がねぇ、で笑いのツボに入っちゃって、すみません。

>ぽんぽんさん
なんか近藤さん厳しい上司の一面ですね^^ 乙でした。

お二人とも次回作も期待してますー では 
498荒御霊 1/9:2006/12/25(月) 13:34:36 ID:PToWCWTC0
 厳重に厳重を重ねた警戒態勢。

 だが、俺たちの警備をあざ笑うかのように犯行は起きた。

 駆けつけた俺とミキ、そしてT氏の妻である百合子、この屋敷の次男である
 雄吾の目の前で、おどろおどろしい鎧武者がT氏の首を持って立っていた。

 部屋を血の海で染めた惨劇に、百合子が短い悲鳴を残してその場に倒れる。
 雄吾もその目に睨まれただけで指一本動かせない状態だ。

俺の名前はジョージ、しがない探偵なんて稼業をしている。

俺の事務所に今回の依頼がきたのはちょうど一週間前のことだ。
黒塗りの車に迎えられ、俺はC区に住むT氏の屋敷へと案内された。
T氏の家は古くから伝わる、ちょっと皮肉な表現をすれば“財閥”だ。

政界、財界へと太く繋がるT家に届いた脅迫状。その調査と警護の依頼だった。

もちろん内密に、とのことだ。
そうでなければ俺のところに仕事など回っては来ない。

この事件はファイルには記さない、それが依頼人からの条件だった。
そして事件のあらましと驚くばかりの報酬を俺に伝え、
俺と調査の契約を済ませたのは、俺のとてもよく知っている人物だ。

T家の顧問弁護士と名乗った女性は、ミキだった。

「……今度は何を企んでいるんだ?」
「久しぶりに会ったっていうのに随分なご挨拶じゃないこと?
日干しになりそうな探偵さんに仕事を回してあげたったいうのに。」

ミキは書類を手早く作成しながら、お得意の微笑を浮かべてみせた。
499荒御霊 2/9:2006/12/25(月) 13:35:08 ID:PToWCWTC0
俺は調査を始めた。一週間前にT家に届いた脅迫状の内容はこうだ。

『将門公の祟りを恐れぬもの滅ぶべし。』

裏を取ったら、大手町の首塚の移転話が持ち上がっていた。
その中心人物の一人がT氏だ。

最初は移転を反対する付近の住民団体の仕業かと思った。
調査をしているうちに将門の祟りを恐れる奴も出たが、俺は無視していた。

 警備は万全だった。だが当然のように“祟り”は起きた。

 崩れかけた鎧、ざんばらに乱れた髪。土気色の肌。
 目は血の色そのままに真っ赤に燃え上がり、見開かれている。

 その吐く息は炎を纏い、周囲には無数の鬼火が舞う。
 身じろげば千年の埃が舞い、顔を向ければ首の肉が崩れ落ちる。

俺の口元に嘲りの笑みが浮かんだ。
まるで浮世絵からでも抜け出てきたようだぜ。

「ジョージ!」
ミキの呼びかけで俺は“将門”へと走り出した。
殺人の現行犯だ、今なら俺でも緊急逮捕できる。そういう意味だ。

“将門”は少し驚いたようだった。
向かって来られるとは予想外だったらしい。

笑った?と、思った瞬間、鼓膜が引き裂かれるかと思うほどの笑い声が響き渡った。
そして、その姿は霞が散るように忽然と消えうせてしまった…

それが、二日前のことだ。
500荒御霊 3/9:2006/12/25(月) 13:39:45 ID:PToWCWTC0
まったく、俺って奴はどうしようもない馬鹿野郎だ。

「ねえ、どうしたの?具合でも悪いの?」

毛布を掴んでソファに横になった俺にミキがのし掛かってくる。
名前も知らないきつい香水の匂いに、俺はさらに毛布の奥へと逃げた。

T家で俺とミキにあてがわれた部屋には豪華なベッドが設えてあったが、
俺はこのソファでしか寝ていない。理由は言わずもがなだ。

少し寝かせてくれ、と頼むと、もう、とミキは拗ねた声を出して身体を離した。

 昨夜は盛大な通夜が行われた。

事件を表沙汰にしたくない、という百合子の意思は忠実に遂行された。
そこにどれだけの金と力が働いたのか。ミキの手腕も大したものだ。

おかげで俺の仕事は極めてシンプルなものになった。

祟りだ怨霊だ、宗教がらみだなんて複雑なものじゃない。
ただの相続争いに違いない、と俺は睨んでいた。

もちろん内部の者の犯行、その場に居なかった長男、龍二。
もしくはその協力者の犯行にしか見えなかった。

単純な事件だ。
あとはT氏殺害の夜から姿の見えない龍二を探し出すだけだ。

そう思った俺の心が、ほんの少しだけ綻びてしまったらしい。

通夜を抜け出し、この屋敷の新しい女主人に呼ばれた俺は、既に堕ちていた。
501荒御霊 4/9:2006/12/25(月) 13:40:55 ID:PToWCWTC0
百合子は色の白い女だった。
初めて屋敷に来た瞬間から目を奪われた。

齢七十を越えるT氏の三番目の妻だったのだが、四十を前に、
その清楚さと色香は最高潮に達していたといってもいいだろう。

ミキを気高い大輪の深紅の薔薇に例えるならば、
百合子はその名の通り、喪服を纏ったとしても、白百合の如く、だ。

だが、ここで俺はまだ自分に女を見る目が無いことを思い知らされる。

 白百合は、蜜に濡れていた。

 百合子の自室に招かれた俺は、突然抱きつかれた。

 怖いわ、私。

 そう言っただろうか、よく覚えていない。

初日の通夜の喪服もそのままで、結い上げた髪も薄い化粧もそのままで、
百合子は俺に唇を押し付けてきた。

すかさず甘い舌が俺の舌に絡み付いてくる。

唇を重ねたまま、百合子は手馴れた様子で俺の身体に手を這わせた。

俺は、抗えなかった。

細身の背を強く抱きしめる、その淡い唇から、ああ、と声が漏れる。

その声に蕩けながら、また唇を塞ぎ、俺たちは床へと倒れこんだ。
百合子は当然のように、下着など着けていなかった。
502荒御霊 5/9:2006/12/25(月) 13:42:08 ID:PToWCWTC0
まったく、俺って奴はどうしようもない大馬鹿野郎だ。

俺の指で蜜に濡れた白百合が背を反らせて跳ねていたときに、
吐息と吐息を混ぜ合わせて、蛇のように絡み合っていたときに、


 二人目の犠牲者が出ていたんだからな。


次男、雄吾は自室で背中を袈裟切りにされていた。
その事を知ったのは百合子の部屋を出た深夜二時過ぎ。
それから今まで寝ていない。

ようやく人心地ついて、眠るつもりになったばかりだ。

寝かせてくれ、俺は悪態をつくミキにもう一度頼み込んだ。

「あら、そう?…じゃあ……浮気しちゃおうかしら?」

ミキの挑発に毛布から目だけ出して覗く。ミキの横にもう一人、男か?
よく見ると警備主任の後藤だった。まだ若いし体つきは俺より一回りは大きい。

ミキは後藤の首に腕を回し、足を絡めてしなを作っている。

後藤の見下ろす目に、俺は背筋が寒くなった。
俺が警護に呼ばれたことも、結局二人も犠牲者が出たことも、
この男にして見たら気にいらない、ということは俺のぼけた頭でも想像できた。

「起きたら奥様の部屋に来るように。伝えたぞ。」

後藤は用件だけを簡潔に述べると、ミキの腕を振り払って部屋を出て行った。
そして部屋には、きょとんとした顔のミキが残されている。
503荒御霊 6/9:2006/12/25(月) 13:43:26 ID:PToWCWTC0
警察が介入してこなかったのは、T家の存在の大きさを示していた。
殺人事件が二件も置きたというのに静かなもんだ。

 その静けさが俺を惑わす。

 次の日の夜も、俺は百合子のベッドの中に居た。

俺の口には合わない甘いワインを二人で飲み、求め合い、またワインに溺れる。
香水などつけていない筈なのに、百合子の身体は甘い匂いを放っていた。

そして三人目の犠牲者の報告を聞いた時も、俺はまだ余韻に呆けたままだった。

屋敷の裏で首を吊っている龍二が発見されたのだ。
凶器と思われる日本刀もその近くであっさり発見された。

自室に戻り、備え付けの水道で頭から水を被る。

甘いワインにどうも悪酔いしているらしい。頭痛が酷い。

「どこに行っていたのよ?」

ミキの切れ長の瞳は怒りを通り越してあきれていた。
髪を拭いたタオルもそのままに、俺は覗き込むミキの視線を受け止めた。

俺って奴はどうしようもない馬鹿野郎だった。
結局なんにも出来ないままに事件は解決し、終わろうとしていた。
俺はただ女の身体に溺れ、酔いつぶれていただけだ。

このままミキに少し怒鳴られていたい気分だ。
だが次に投げかけられた言葉は、俺の望みとはうらはらのものだった。

「ジョージ…、コーヒー煎れてあげよっか?」
504荒御霊 7/9:2006/12/25(月) 13:46:44 ID:PToWCWTC0
「どう?お味は?」
「不味い。」
「最高級のブルーマウンテンよ!あなた、舌がおかしいんじゃないの?」

豆じゃない、とは言えなかったが、そう思ったら急に笑いがこみ上げてきた。

 笑みを見せた俺に、ミキもいつもの不敵な笑顔を見せる。
 コーヒーの香りにタバコ、いつもの空間。

 そう、俺の生きている場所はここじゃない。

「ねえ、ジョージ?」

ミキは俺の横に座ってくると、急に真面目な顔をして言った。

「貴方、まさか事件が解決したなんて思ってないでしょうね?」
「まさか。」

頭痛と気だるさの中で甘えていた俺は既に居ない。
俺の身体に反して、クリアになった頭が淡々と推理を続けてくれる。

この家の家計図が欲しい、と、俺はミキに伝えた。
「ふふっ、まかせておいて。」
胸を叩きそうなくらいの力強い返事。

 嬉しかった。

ありがたい、と、思ったが素直に口に出したのはまずかっただろうか。
女神様の笑顔に、みるみる強力な毒が含まれてゆく。

「貸しにしておくわよ。」
そう言うと、ミキは俺の頬に軽く、一瞬だけのキスをした。
505荒御霊 8/9:2006/12/25(月) 13:48:07 ID:PToWCWTC0
 ひそかにおもんみれば、三皇五帝の国をおさめ、
 四岳八元の民をなづる、皆是うつはものをみて官に任じ、
 身をかへりみて禄をうくるゆへなり。君、臣をえらんで官をさづけ……

百合子が諳んじる言葉は俺には意味不明だったが、古い言葉に聞こえた。

あの夜から数日、庭には音もなく冬の雨が降り注いでいた。

障子を通して、静かな雨の明かりが入り込んでくる。

その明かりの中で、百合子は花を活けていた。

「何事です?騒々しいようですが?」

涼しげな言葉で俺に聞いたのは、パトカーのサイレンの事だろう。
髪一筋ほども乱れを見せない冬の白百合、俺はどこか寂しさを覚えていた。

「俺が呼んだ。」
「内密に、と、御願いした筈ですが?」

わかっている、と答えた。
少しうつむき加減に見せるうなじは、いつかの夜のまま、白く、なめらかだ。
結い上げた髪の元から見える濡れた首筋が俺を誘う。

 だが、もう終わりにしよう。

「百合子さん、貴女にはお子さんがいらっしゃいますね。本当の。」

答えがないのは、否定する気がないことの証だ。
“殺された”この家の長男、龍二。次男雄吾のことじゃない。

俺が言っているのは本当の、百合子の実の子供のことだ。
506荒御霊 9/9:2006/12/25(月) 13:49:53 ID:PToWCWTC0
T家の家計図に記されていなかった、もう一人の家族。
百合子の過去にのみ存在する、本当の子供。

遺産相続のもつれだと睨んだ俺の考えは正しかった。だが、相続人が違う。

百合子は俺がすべて見抜いていることを知っているはずだ。

血は繋がってないとはいえ二人の息子と夫を殺させた女。
すべてを暴かれてもなお眉ひとつ動かさない女に、俺は薄ら寒さを感じていた。

百合子は花を活けていた手を休め、すっ、と立ち上がると障子を開けた。

騒がしくなってきた屋敷の中の様子など微塵も意に介さない。

草履を履き、傘も差さずに雨の中に濡れる。

整えられた庭園、その中に一際目立つ大きな桜の木。その根元まで歩いた。

庭も、百合子も、見守る俺の前でしっとりと濡れていた。

 「やめろ!!」

 一瞬の胸騒ぎ。俺は何故か咄嗟にそう叫んでいた。
 稲光、轟音、衝撃。

俺が目を開けることが出来たときには、葉のない桜の木が燃え上がり、
その根元から少し離れた場所に百合子が倒れていた。

危ないところだった。季節はずれの雷を百合子は知っていたのだろうか。
そして俺は雨の中、その細い身体を抱き上げる。

柔らかく、甘く香る白百合に触れたのは、それが最後だった………
507エピローグ:2006/12/25(月) 13:53:38 ID:PToWCWTC0
ある晴れた日に、俺はミキに連れられて永田町の首塚を訪ねた。
俺はさんざん渋った挙句、貸しをひとつ帳消しにしてもらった。

そこまでして、何故、ミキがお参りに来たかったのか、俺にはわからない。

警備主任の後藤は二人の息子を殺害したことを簡単に認めた。
ただし、T氏殺害については否認している。

T氏殺害の予定だけはあったが、偶然にも別人に先を越された。
後の二人はその“将門の祟り”に便乗してやった、と主張しているらしい。

だが、百合子はすべてを否認。

女は怖い。後藤の報われない哀れな姿は、女に篭絡された、もう一人の俺の姿だ。

人の罪は、人の手で裁かれる。
まだ発見されていない鎧一式も時間の問題だろう。

百合子、後藤の裁判、そして遺産の相続に関することは、
ミキの事務所が一貫して執り行うことになったらしい。

せっかくの「お得意様」を失うんだから、最後に…なんて考えに違いない。

 まったく、女は怖いぜ。

ビル街に佇む首塚は、都会の喧騒を他所に、静かに、そこにあった。
周りを埋める壁を従え、この街の守り神は威厳を持って俺たちを迎えた。

余談だが、首塚移転の話はきれいさっぱり無くなったらしい。
俺たちは観光客に混ざって、将門の墓に参拝をすませる。

どこか遠くで、あの笑い声が聞こえたような気がした。
508鴉 ◆SURvnsCrow :2006/12/25(月) 14:50:05 ID:uo1tDbgFO
ぽんぽんさんに初代さんお疲れ様です!
ぽんぽんさんの作品で近藤さんの真面目さと岡嶋の姿に苦笑した後、初代さんの将門にガクブル…しかし女って恐ぇ((((;゜Д゜)))

喪中なのに男を惑わす女郎グモ…ジョージが正気になってくれてよかった(ノдT)
やっぱりジョージにはミキが似合うと思うので…

そろそろメリー出すかな…頑張らねば(ぐぐっ
509本当にあった怖い名無し:2006/12/25(月) 19:25:29 ID:9ik6FF9ZO
惑わされてる様で実は一貫して自我を通してる悟と違って、ジョージは本当に惑わされるからなw
私はジョージとミキはお互いに束縛しない、程よい距離感を持った関係がベストだと思います。
あと個人的には、ジョージは精神的に一生サオリに縛られていて貰いたいwたとえ結ばれなくても、です。
最後になりましたが職人さん、乙でした。
510本当にあった怖い名無し:2006/12/26(火) 00:05:24 ID:l/6Y9FPo0
勝手だけど、ジョージとミキってデキてるような気がしている。
まぁ、それで付き合っていないんだから合わないんだろうけど(笑
511本当にあった怖い名無し:2006/12/26(火) 00:29:32 ID:qgaY6Ii3O
ジョージとミキは体の関係ありそうだな
っつーか、ジョージが手を出さない(出せない?)女は多分サオリだけだ
512本当にあった怖い名無し:2006/12/26(火) 00:42:31 ID:yHvokSz7O
>>497
あんたマジGJだよ
513本当にあった怖い名無し:2006/12/26(火) 09:21:32 ID:GkpLH28b0
火サスのような雰囲気に、ひとつだけ怪異の謎を残してENDってのはGJ!
裁判が進んでも、最初の殺しだけは誰も認めないんだろうな。

ジョージとミキの関係は、最初の方にも言われていたがルパンと不二子の関係が一番すっきり来る。
あの2人も、肉体関係あるのか無いのかよく分からないし、女が男を利用するってのも似ていると思う。
あとは、マコトがミキを(次元や五右衛門のように)嫌っていればなおグッド。
514pDOG ◆MjRkBb/jUw :2006/12/26(火) 09:32:27 ID:FkQKsgy40
読んでいただいてありがとうございます >>ALL
っていうかこんなに読んでいただけるとは思っていませんでした^^;
なんか色気のある話が書いてみたくて^^ 
書いているうちに「だらしなくて格好悪いジョージ」が書きたくなって、なんてつぎはぎつぎはぎ…

推敲(っていうんですか?←2ちゃんねる来て始めて知った)が足りないなぁ、と今更ながら反省。
相変わらず誤字一箇所あったしT T

最初のトリックを暴くシーンとか(トリックじゃないけどw)、便乗殺人をほのめかすシーンとか、
推理小説風味がもっとあったほうがよかったかな……

あと、やっぱりエピローグ無くても話は通じますよねorz 邪魔だったかなorz

では、また何か書きあがりましたら投稿しますね。
本当に、読んでいただいた方、ありがとうございましたm(_ _)m
515本当にあった怖い名無し:2006/12/26(火) 11:50:40 ID:GkpLH28b0
>>514
いや、エピローグも火サスっぽくて良かったですよ。
非日常から日常に帰ってきた感が出て。
516本当にあった怖い名無し:2006/12/27(水) 04:17:02 ID:0dBefaZ70
良スレage
517本当にあった怖い名無し:2006/12/27(水) 04:17:34 ID:0dBefaZ70
age
518本当にあった怖い名無し:2006/12/28(木) 01:41:10 ID:fVQoYe1S0
保守ageついでに禁断の小ネタ



俺の名前は…いや、やめておこう。どうでもいいことだ。

ナンパした女とホテルに行き、一晩過ごした。
翌朝、目が覚めると女の姿は無かった。

顔を洗おうと思ってがふと洗面台の鏡を見ると、
鏡には赤い口紅でこう書きなぐってあった。


「Welcome to AID'S world!!」


こんな悪戯が流行っていると聞いたことがある。
俺を驚かせようとしたのだろうか。

まあ、本当だとしても別にいいが。


悪戯だとしたら……




ニヤリ
519本当にあった怖い名無し:2006/12/28(木) 21:43:34 ID:MOYcOTl60
俺の名はジョージ。金のためなら徹夜も辞さない男さ。

今回の依頼は大阪のテレビ局からのもので、番組の中で起こった謎を解いて欲しいというものだった。
その番組は探偵を名乗っているそうだが、だったら手前で解決しろってんだ。
とはいえ、破格の報酬に俺は大阪入りすることに決めた。

件の謎というのは、街中いたる所に色つきのビニール紐が巻きつけられているというものだ。
番組でも謎の解決を図ったが、その収録中にも裏をかかれて紐が巻きつけられたそうだ。
それを聞いて俺は現場に向かわず、そのままテレビ局に向かった。
どうやら徹夜はなしになりそうだぜ。

俺の前には当時の番組ADがおびえた表情で座っている。
奴には俺がどういった理由でここに来ているかは告げてある。
あとは、じっと奴が喋りだすのを待つだけだ。
俺の無言のプレッシャーに耐え切れた肝の座った人物は、そうはいない。
果たして、奴は自白を始めた。

その日の収録にはビニール紐の巻きつけは無かった。
すべてはディレクターに昇格したいが為のADの自作自演だってわけさ。
聞きたいことはそれだけだったが、奴は延々と言い訳を続けている。
そもそもビニール紐を巻き始めたのは自分じゃないだとか、
実行したのは現場にいた気持ち悪い男だ、自分はそいつに頼んだだけだとか。
言い訳は見苦しいし嫌いだ。
俺は鉄拳で奴の口を塞いでやった。

破格の報酬とともに口止め料としていくらか上乗せしてもらった俺は、大阪の街を後にした。
新幹線のホームにビニール紐があったような気がするが、知ったこっちゃねぇ。

元ねた:PART1 ビニールひも
520pDOG ◆MjRkBb/jUw :2006/12/28(木) 23:48:51 ID:M7GXW1Ms0
ビニール紐キター^^
上手いなぁ、ぜひ(よかったらコテでもつけて)また投下してください。


知らない方のためにビニール紐の動画が(探偵ナイトスクープ)ようつべに挙がっていたので載せておきますね^^
http://www.youtube.com/watch?v=uNkKwQMNGi8
http://www.youtube.com/watch?v=IPEsX_bK0lw


いや、あれは本当にただのヤラs(ry
521519:2006/12/29(金) 10:38:24 ID:CDKhq/LK0
僕の名はマコト。カードゲームもそこそこいける探偵助手さ。

最近、僕にカードゲームの相手ができたんだ。
彼はポーカーがすっごく強くて、毎日一進一退の攻防を繰り広げている。
対戦成績は今のところほぼ五分五分。少しだけ彼の持っているチップの数が多いかな。

ジョージさんに言われた仕事を終えて、今日も僕はアパートに帰る。
最近やつれているが大丈夫か?とかジョージさんに言われたけど、きっと緊張感のある攻防を続けているからだと思う。
彼との勝負は気を抜けないんだ。
背筋が寒くなるような、どんどん生気が抜けていくようなギリギリの綱渡りのような勝負。
ジョージさんは、男の価値は潜り抜けた修羅場の数で決まる物だなんていってたけど、
まさに今僕は男の価値を上げる勝負をしているんだ。

カードを2枚チェンジする。よし、フルハウスだ!
「レイズ、5枚上乗せだ」僕は強気でチップを掛ける。相手もそれに乗り、さらに10枚上乗せしてきた。
相手の役も相当いいみたいだけど、僕は負ける気がしなかった。相手の上乗せに乗り、さらに20枚上乗せする。
チップの上乗せは続き、やがて僕たちはお互いのチップをすべて掛け合う形になった。この勝負ですべてが決まる!
「勝負!僕はフルハウスだ!」僕は(僕なりに格好がいいと思っている)不敵な笑みを浮かべてカードを見せる。
しかし、相手の役は僕を上回る役だった。そんな馬鹿な・・・僕は目の前が真っ暗になった。
部屋中からざわめきや嘲笑が聞こえた気がする。ギャラリーの視線が痛い。僕は敗北者だった。

その時、ふと部屋の奥に飾ってあったウルトラマンの目に何かが映っているのに気づいた。
知り合いから譲ってもらったレアアイテムで、人の頭ほどもあるウルトラマンのヘッドレプリカだ。
その目に、相手のベルトにカードが挟まっているのが映ってたんだ!
「いかさまだ!」僕が叫んだとたん、舌打ちがあちこちから聞こえ毎夜のカードバトルは幕を閉じた。

ありがとう、ウルトラマン。貴方のおかげで、僕はひとつ修羅場を潜り抜けれました。

元ねた:PART136 ありがとう、ウルトラマン
522519:2006/12/29(金) 12:03:35 ID:CDKhq/LK0
俺の名は近藤。おせっかいが過ぎる刑事だ。

たまたま通りがかった道で大事故に出くわしてしまった。
さっき、俺の車を猛スピードで追い越していった車だ。
事故らなければいいんだがと思ってたんだが、案の定だ・・・な。

前列に座っていた男女は即死。後部座席に座っていた女性は意識不明の重体だそうな。
交通課が現場検証している間の交通整理を手伝っていたんだが、ふと妙な気配を感じた。
走り去る救急車に着いて行ったな、あれは。

翌日、俺はちょっといい酒を買って女性が運び込まれた病院へ行った。
そこにはには女性の彼氏らしき男性が、処置を終えた女性に付き添っていた。
がんばりな。あんたを想って必死に呼びかける声に応じるんだよ。
二人を一瞥して、地下へ降りる。ちょうど女性がいる病室の真下は資料室か。
警察手帳をちらつかせて職員にドアを開けさせ、女性のベッドがある辺りに座り込む。
怪訝な顔をしてこちらを見ている職員を追い払い、買ってきた酒をコップに注ぐ。コップの数は3つだ。

「その子は生きているんだ、友達だったら連れて行こうとするんじゃないよ。」
俺は床に置いたコップにちんちんと自らのコップを打ち付けると、一息に飲み干す。
「悔しい気持ちは分かるが、ありゃあお前さんの無謀運転が原因なんだ。」
空けたコップに酒を注ぐ。
「美味い酒飲んで、気が晴れたら彼女を解放してやんな。それまで俺が付き合ってやるからさ。」

その後、俺は小一時間ほど酒を飲み、病院を後にした。
恋人が意識を取り戻したと喜ぶ声を聞きながら。

元ねた:PART1 おまえらのほうだよ
523本当にあった怖い名無し:2006/12/29(金) 15:50:12 ID:pEK9g2rQO
近藤さんカッコいい!!
524本当にあった怖い名無し:2006/12/29(金) 19:51:46 ID:LCx472xz0
やっぱり近藤さんいいなぁ
年末はジョージ読めないかと思っていたけど、上手い書き手が来たね。
525pDOG ◆MjRkBb/jUw :2006/12/30(土) 04:45:36 ID:ovzMejjb0
う〜ん、上手いなぁ^^
っていうか、私の無駄な改行が恥ずかしくなってk(ry

まぁ、あれは最初に書いた「ナポリタン」の文体をそのまま使っていたんですけどね。
連作にするときに雰囲気合わせなきゃ、と思っていたらいつの間にかクセになっていたというw



夜更かししたついでに保守age用小ネタ改変
元ネタは有名な奴で^^





聞いた話なんですけど。

ある有名な心霊スポットへ、二人で深夜に車で行ってみたんですって。
トンネルを抜けると、そこが有名な心霊スポット。
と、そこに目の前にふっと女の人の白い影が。
あ!と思って、慌ててブレーキを踏んで、降りてみたところ、
そこに人影はなく、目の前は崖。






岡島「お、お、お、お、おやっさん、突き落としちゃいましたよっ。」
526本当にあった怖い名無し:2006/12/30(土) 04:46:34 ID:ovzMejjb0
ageてないしorz
527519:2006/12/30(土) 17:20:02 ID:m4afjhbE0
俺の名は近藤。面倒な事件をいつも押し付けられる刑事さ。

このところ頻発している怪死事件の現場に俺はいた。
被害者は一体何を見たのかと思うほど恐怖に固まった表情で死んでいた。
俺はテーブルの上にあった、パソコンとコップが気になった。

モニターには、11文字のお経の様な文字の羅列を3行書かれていた。
こいつはヤバイ。まさか、こんな手で呪いを振りまくバカがいようとは・・・

俺は、いつも持っている塩を自らに軽く振りまき、鑑識課の連中にもそれとなく振りまいてやった。
そして、己の所業をわきまえない愚か者を探し始めた。

数日後、俺はとあるアパートに来ていた。怨念めいたものが目的の部屋を取り巻いているのを感じる。
部屋の主は、俗に言うオタク青年だった。気付いていないんだな。彼を一目見ただけで俺は悟った。
俺は警察手帳を突きつけると、青年の制止をさえぎって彼の部屋に上がりこんだ。
部屋にはオカルト関係の書物やビデオの類が乱雑に置かれている。
自分で考えた呪いを試したくてしょうがないんだろう。それがどれだけ危険なのかも知らずに。

何の用かと問い詰める青年に、俺は例の11文字をひとつずつ唱えていく。
それで俺の用事を悟ったのだろう。急に薄ら笑いを浮かべて彼は言った。
僕はただ掲示板に文字を書き込んだだけですよ、それが罪になるのですか?と。
確かにそうだ。それに俺は彼を犯罪者としてしょっ引くために来たんじゃない。

「昔から、『人を呪わば穴二つ』といってな。呪いなんて物は、遊びでやるもんじゃないんだ。」
「知ったことかよ。引っ掛かるほうが悪いんじゃねぇの?」
俺は言いかけた言葉を飲み込んだ。彼に何を言っても通じやしないだろう。

俺は青年の家を辞した。部屋を取り巻く怨念は、さっきよりも濃くなっていた。
遠からず、彼は自分のしたことのしっぺ返しを食うことになるだろう。
俺が来たことで、自分の罪深さに気付いていたなら助けてやったんだが。残念だよ。

元ねた:PART124 お つ か れ(実行しないでください)
528ぽんぽん:2006/12/30(土) 22:46:16 ID:TBSrFZ7C0
ちょっと今長編を書いていますが、ジョージの特徴の「怪異に気づかず〜」は
なくなってしまうと思います。むしろ悟色の方になってしまうと思います。
(二人が解決するものなので)
529本当にあった怖い名無し:2006/12/31(日) 09:45:59 ID:Nw4bAU5W0
おお、519さん乙でした^^
近藤さんが諭しに行くなんて、確かに今まで無かった展開。GJ!すぎますよb


>ぽんぽんさんの長編も期待してますよb


実は年末年始過疎ると思って、保守用小ネタをいくつか用意しておいたのですが^^;
要らない感じ。
530519:2006/12/31(日) 19:43:14 ID:BfDHoiJR0
俺の名は悟。用務員なんて仕事をしているが、俺の控え室にはフレッツ光なんてねぇ。

今日は学校が創立記念日だから、ガキ共が来ない。ちょうどいいから有給を取る事にした。
とはいえ、特にすることもない。映画でも観に行くかと最寄り駅に着いたのだが・・・
なんだありゃ?線路に男がいて、ホームにいるおっさんの足を掴んでやがる。
さしずめ、電車にひき殺された男の怨霊が仲間を増やそうとでもしているのだろう。
俺が何もしないうちに通過電車に驚いておっさんを放していたから、大した奴じゃないんだろ。

と思っていたら、今度はボンキュッボンなOLさんを狙ってやがる。
あ?待てよ、あの位置からだと丸見えなんじゃねーのか?
羨ましい・・・いや、不埒な奴め。これで懲らしめてやることに決定。

とりあえず、ナンパを装ってOLさんを助けると、落ち込んでる振りしてしゃがみこむ。
「おい、さっきのお姉さん、何色だった?じゃねえ、何してやがる?」
いきなり話しかけられてビビッたんだろう、一瞬キョドッてたがすぐにすごい目で睨みつけてきやがった。
「あ?何だその目は?やんのか、ゴラァ!」
ポカリと擬音を充てるには強すぎる一撃を線路の男に食らわすと、男はしゃがんで泣き始めた。
おいおい、大の男が一発食らっただけで泣くなよ。情けねーな。

俺は素早く周囲を見回し誰も見ていないことを確認すると、線路に飛び降りて退避スペースに身を隠した。
やってたことは凶悪だが、気の弱そうな兄ちゃんだ。暇つぶしに話を聞いてやることにした。
兄ちゃんの話によると、一身上の都合で自殺したが成仏できず、道連れを増やそうとして悪さをしていたそうな。
小一時間ほど説教をかましてやると、兄ちゃんは成仏することを約束してくれた。

柄にも無いことしたかな。よっこらせとホームによじ登った俺の背中に、兄ちゃんが最後に一言言ってきた。
「黒のレースでしたよ。それもものすごくキワドイ感じの。」
そうかそうか、それだけ聞ければおせっかいした甲斐もあったってもんだ。

元ねた:PART50 ホームの下の男
531ぽんぽん:2006/12/31(日) 20:51:18 ID:7HJQuMp00
 これはなかなか・・・イイ!

>>529さん、小ネタを出してくださいよう〜。
532pDOG ◆MjRkBb/jUw :2006/12/31(日) 22:45:08 ID:sxpqfaNH0
519さんの作品が素人の域を超えていると感じているのは私だけではないはずだ。
構成・表現・書き分け・ひねり、と、素晴らしいです。
私も負けてられないぞっ^^

と、いうわけで良作品age

せっかくなので小ネタ出しますー519さんの後だと恥ずかしい気も^^;





近藤「今日の昼飯は俺のおごりだ。なんでも好きなもの頼んでいいぞ。」
岡島「うわぁ、高そうな…なんでも、って、メニューうな重しかありませんよ。」
近藤「まあ、細かいことは気にするな。」
岡島(自分が食べたいだけじゃ……こうなったら一番高いの選んでやりましょうかね……)

店員「いらっしゃいませ。」
近藤「並み二つ。」
岡島( ゚д゚)ポカーン

岡島「はぁ……あれ?今の店員さんおしぼりとお冷や、3つ置いていきましたよ。」

近藤「気が利いてるな。どれ。」
岡島「おやっさん、顔はともかくわきの下拭くのはやめたほうが…。」
近藤「そのために置いていってくれたんだろう?」

岡島「ああっ水までっ、やめてください、親父くさいですよ、おやっさん〜。」
533519:2007/01/01(月) 00:08:36 ID:11Ptvokj0
どうも、岡島です。地域課交番勤務頑張っています。

自転車で警邏中にめちゃめちゃに走っていく小学生を見かけたんです。
そりゃもう、必死の形相で、危ういバランスで転びもせず走り去っていきました。
素晴らしいボディバランスだな。あの子、サッカーでもやっているのかな?じゃなくて、どうしたんだろう。
呼び止める間もなく行ってしまったので、しょうがないからあの子が出てきた所を調べることにしました。

そこは廃墟になった住宅地でした。
建物が1件2件・・・3件の家屋があるようですね。
一つずつ調べていくと、小学生くらいの足跡がたくさんついていました。あの子の足跡で間違いないようです。
そして、一番奥の家屋に上がったときに、もう1件家屋があることに気づきました。もちろん行ってみます。

そこは4階建ての大きな建物でした。
正面にはなぜかまだ動いている自動販売機がありましたが、変な物ばかりで買う気にはなりませんでした。
血とか何とか。ブラックジョークも行き過ぎるとぜんぜん面白くありませんよね。
さて、建物を調べますか。

2階を調べていると、一つだけ開いていないドアがありました。もちろんそこも調べます。
どうやっても開きませんでしたが、新聞受けを開けるとそこに子供の顔が見えました。
一瞬ぎょっとしましたが、奥からアニメの歌も聞こえてきます。本当に部屋の奥に子供がいるようです。

「ボクー?大丈夫かな?お父さんかお母さん、そばにいるのかな?」
呼びかけてみますが、返事はありません。ただ、キャッキャ喜ぶだけです。
こんな小さな子を、廃墟に置き去りなんて許せません。刑法218条、保護責任者遺棄罪です。
僕はすぐに無線機のスイッチを入れ、レスキューと救急車の手配をしました。

子供を消防の人に任せたあと、僕は応援に来てくれたハコ長(交番で一番偉い人です)と周囲を探索しました。
結局、子供の保護者は見つからず、あの子は施設で生活することになりそうです。あの子の将来に幸ありますように。
あ、休みの日におもちゃでも買っていってあげようかな。

元ねた:PART50 廃墟の住宅
534519:2007/01/01(月) 01:12:07 ID:11Ptvokj0
ミキよ。つくづく弁護士って仕事は私の天職ね。

今夜も遅くまで次の法廷のための資料作り。
ツマラナイ女なんて思わないでよ。遊ぶときは派手にやっちゃうんだから。

愛車を走らせ、あと10kmほどで我が家ってところで変な車に出くわしたの。
歩道すれすれに走ってるかと思うと、急に対向車線にはみ出したり、減速したり。
何なのよと思った瞬間、その車は大きくセンターラインをはみ出し、ほとんど真横な形で私の進路を遮ったの。
とっさにハンドルを切って助手席直撃は免れたけど、私の車はめちゃめちゃ。
でも、そんなことより私、見ちゃったの。助手席の女性が運転席の男性をナイフで刺していたのを。

「主文。当法廷は、被告人を3年間の医療少年院送致とする。」
ふぅ、どうにか最小限の罰に止めたわね。
私の依頼人は、あの事故の助手席に座ってた女のコの両親。
未成年ってことと、被害者の男性がDVやら浮気やら酷い男だったから、つけ込む余地があったのが勝因ね。
もっとも、最大の勝因は私の腕がいいってことなんだけど。
私を雇えたお金持ちのご両親に感謝なさい、お嬢ちゃん。

挨拶もそこそこに、その場で依頼料の小切手を受け取り、即換金。
私はちらりと腕時計を見る。そろそろね。
今頃、あのお嬢ちゃん宛てに内容証明で私の訴状が届いているはず。
私の愛車の仇、きっちり搾り取ってあげるから、覚悟なさいよ。

元ねた:PART50 前の車
535519:2007/01/01(月) 15:52:06 ID:j+ekNyxN0
サオリです。主人の残してくれたアパートの管理をしています。

今日は、来週から入居される方のために、3階にあるお部屋の片づけをしています。
しばらく使われてなかったお部屋ですから、しっかりお掃除しなくちゃね。

暖かな陽気のせいか、少しウトウトしていたようです。
ぼんやりと窓の外を眺めていると、自転車で魚釣りにでも行くのでしょうか、オジサマが坂を登っています。

「今日は暖かいねー」とオジサマ。
「そうですねー、これから魚釣りですかー?」
「まぁねー、釣れるといいんだけどねー」
「暖かいといっても、冬なんですから気をつけてくださいねー」
そんな他愛の無い会話をして、オジサマを見送りました。

オジサマを見送ってから気づいたのですが、ここは3階です。
でも怖いとかそういうのは無くて、なんだかほのぼのとしていてクスリと笑ってしまいました。

「何笑っているんだ?」
ジョージくんが、頼んでいたものを持ってきてくれたみたいです。
ちょっとねと微笑み返してから、ジョージくんが持ってきた襖紙を受け取ろうとします。
ジョージくんはやんわりと私の手を遮ると、襖紙の張替えをしてくれました。
その姿がアキヒコさんと重なって、今度はちょっとうるっときてしまいました。
「笑ったり泣いたり、忙しいな」
いつものぶっきらぼうな、でも優しさが見えるジョージくんの言葉にまたクスリ。
暖かな冬の日の出来事でした。

元ねた:心霊ちょっといい話PART8 ほのぼの光景
536519:2007/01/01(月) 16:39:00 ID:j+ekNyxN0
アタシは気ままな根無し草。今の名前はミケ。

今のねぐらで一番暖かいところで寝そべっていたら、窓の外を親子連れが歩いてく。
そういや、アタシにもたくさんの子供達がいたっけね。今どうしているのやら。

子供達のことを思い出すとき、いつも一番に思い出すのがアノ子だ。
名前はもう忘れちまった。人間がつけた名前に大した意味は無いからね。

あと何年か生きれば、アタシみたいに猫又になれるだけの妖力が溜まるってのにさ。
その妖力を、世話になった人間のために使いたいといってきた。
御主人が出産で苦しんでいる。何とかしてあげたいだってさ。
出産なんてものは自然な出来事だ。
自然に生まれることができないなら、その赤子には生きる力が無かっただけと何度諭しても頑として聞き入れちゃくれなかった。

アタシも根負けしてまじないを教えちゃったんだよね。
眠っている人間の周りを3回回れば、その人間の苦痛や体力の消耗を肩代わりすることができる。
ただし、猫又じゃないアンタがこれをやると、妖力から命から全部その人間に捧げることになるよ。
それでもいいのかい?ってさ。

数日後、アタシは気になってアノ子のねぐらに行ったのさ。
そしたら案の定、アノ子は死ぬ準備をしていた。最後の寝床をあの妊婦の布団の真下に定めてね。
アタシは言ったのさ、満足かい?ってね。
そのときのアノ子の表情は忘れられない。なんとも優しげで、柔らかい表情してたよ。
だから、アノ子の最後の寝床を荒らされないよう、人払いの結界を張ってやった。
母親として、アタシの最後のお節介さね。

アノ子が守った子供が、アノ子の最後の寝床を見つけたのは何かの縁かもね。

元ねた:心霊ちょっといい話PART8 猫の恩返し
537ぽんぽん:2007/01/01(月) 21:41:14 ID:+0pbpthT0
俺の名前は悟、用務員だ。最も今日は正月と言うことで休みだがな。

 やっぱり初詣は混んでるな、そうは思いませんか?涼子先生。
え?折角来たからちゃんと参拝しようよ?ははっ、じゃあそうしますか。しか進まねえなあ〜。投げて入るかなあ?

 ヒュッ・・カッ・・チャリーンチャリン・・・

 いけね、外しちまった。あ〜大事な五円が…先生には、気づかれてるか。仕様がないな、賽銭箱の周りで探すか。

 ようやく人もばらけたな、これで参拝できますね、涼子先生。ん、あれ?誰だろ、あの女の子。

 「これ、さっき投げた五円…落ちてた」

 ありがと、俺はそう言ってあることに気づいた。女の子は浴衣だったのだ。全く、ブルブル震えてるじゃねえか。

 「寒そうだからな、これでも着ろ」

 そう言って自分の上着ををかぶせた。ちょっと動きにくいが温かいだろ?こくり、と頷いてその子は行ってしまった。

 「ふう、上着脱いだから少し冷えるな。寒い寒い」
 「帰りに買いましょうか?上着。お供しますよ♪悟さん」

 入れた早々こんなことがあるとはな、今年はいいことがありそうだぜ。あれ?先生まだ願ってる。早く行こうぜ。
腕をつかんでその場を離れた。そのあと「酷いです」って怒られたけどな。

 
 
538ぽんぽん:2007/01/01(月) 21:42:25 ID:+0pbpthT0
http://tool-5.net/?id=destinyLyCa3&pn=53これが元ねたです

 ただいま長編執筆中。ちょっと見にくくなると思うけど気にしないでください。
539pDOG ◆MjRkBb/jUw :2007/01/01(月) 21:52:57 ID:xIam8YhA0
皆様、明けましておめでとうございます。今年も宜しくお願いいたします。

来るかな来るかなぁ、と思っていたら519さん、全キャラ書き分け来ましたね〜
新春一番のお年玉ですね^^

特に>>535>>536はうるっときちゃいますよー

良作品age!

これからまた本職など忙しくなるのかも知れませんが、ここでひと段落、なんて言わずに
また来てくださいね^^ノシ



ぽんぽんさんも頑張って!
540pDOG ◆MjRkBb/jUw :2007/01/01(月) 21:54:34 ID:xIam8YhA0
忘れていました。今日の小ネタ。

近藤「ああ〜なんか疲れたな、コーヒーでも飲んでいくか、岡島?」
岡島「勤務中ですよ…まぁ、いいですけど… またわきの下とか拭くのはやめてくださいね。」
近藤「わかったわかった。今日もおごってやるからな、いくぞ。」
岡島(絶対わかっていませんよね……)


ウェイトレス「いらっしゃいませ。」

ウェイトレスは近藤、岡島、そしてその横にも、その横にも、その横もその横もその横も水を置いたのだった‥‥!






近藤「ちくしょう、給料日前だってのに、みんなついて来やがって」
541pDOG ◆MjRkBb/jUw :2007/01/02(火) 13:05:01 ID:ViimXEwO0
俺の名前はジョージ、今までどんな事件でも解決してきた探偵だ。
が、今度ばかりはちょっと困った事態が起こっちまった。

高知で仕事をかたずけた夜のことだ。
地元のクラブで声をかけた女が、見た目と違って凄くミーハーな奴だった。

 ドライブに行きたい、は、まあいい。

 肝試しに行きたい、は無いだろう。

しかも、この場所で「しのうかさん」という怪談を作れだと?
こんなに派手なのにムードも無ければ常識も無い女だったとはな。

俺たちは懐中電灯をつけて居間っぽい畳敷きの部屋に座りこんだ。

「じゃあ、私が先に作るね。」
俺の言葉に耳を貸すつもりは無いらしい、勝手に話し出した。

 “昔この家の息子と近所の家の娘が恋に落ちたけれど、
 両方の家族から反対され思い悩んでいた。
 ある日娘が深刻な顔をして、『ねえ、死のうか。一緒に死のう』と言った。
 男の方は女の情念が怖くなり家を捨てて逃げた。
 女はこの家のこの部屋で首を吊った。”

「おしまい。さあ、次はジョージさんの番だよ。」

俺はほとほと困ってしまった。
こいつの話は俺が考えていた話とまったく一緒じゃねえか。

やっぱり、俺、帰るわ。そう言って背を向けた。
なんか後ろで騒いでいるが、知ったことか。
他に話が思いつかないなんて言えねえよ。なあ、そうだろう?
542pDOG ◆MjRkBb/jUw :2007/01/02(火) 13:06:09 ID:ViimXEwO0
僕の名前はマコト。今日はちょっと勝負の日なんだ。
行きつけのお店の娘に、付き合ってくれないか聞いてみるつもり。

今日のために服も靴も新調した。
美容院にも行ったし、「男のエステコース」まで通った、完璧だ。

そして極めつけは、プレゼント用のネックレス。

道端でトランクを広げていた外国人から買ったものだけど、
44.50カラットの特大のダイヤモンドだ。
蒼みがかった素晴らしい透明感の中に虹を含んだような輝きがある。
フェイクかと思って試しにガラスにいたずらしたら本当に切れた。

あの外国人、つたない日本語で、3万円でイイデースって言っていたけど、
お金のことよくわかってなかったのかな?とにかくラッキー♪

なんてったって、女の子はプレゼントに弱いからね。
このダイヤモンドの輝きで堕ちない女の子なんて居ない…はず。

 ……たぶん。

ええい、何時までもウジウジしていても仕方が無い!

と、勇気を振り絞ってマンションを出た途端に車が突っ込んできた。
新年早々飲酒運転だなんて。危うく轢かれそうになった。
ふう、と胸を撫で下ろした途端に目の前に植木鉢が落ちてきた。
上からすみませーん、と声が聞こえてきた。

今日は消防車も救急車もよく通る、何処かで火事でもあったのかな。

なんだか邪魔されてる気分だけど、でも負けるもんか。
障害が多ければ多いほど恋は燃え上がるのさ。行くぞ。
543pDOG ◆MjRkBb/jUw :2007/01/02(火) 13:10:32 ID:ViimXEwO0
519さんに触発されて書き上げて見ました^^

元ネタは
>>541 洒落怖まとめサイトPart 5 「しのうかさん」
>>542 ホープダイヤの呪い(知らない方はググってみてください)
です。
544本当にあった怖い名無し:2007/01/02(火) 23:44:06 ID:GaqTNw7oO
519氏もpDOG氏もグッジョブ
545本当にあった怖い名無し:2007/01/03(水) 02:46:44 ID:kTBiKVUT0
なんか年が明けたら凄くスレが進んでいるな
しかも凄い書き手が加わってるし・・・
546本当にあった怖い名無し:2007/01/04(木) 19:06:45 ID:9sqOGO970
保守ついでに元ネタまとめ
>>391のまとめに続いて>>392から

>>392-394 石を飛び移る男
>>396 人面犬
>>397 怪談新耳袋「オルゴール」
>>399 テケテケ
>>400 フタ
>>401 足売りババア (都市伝説)
>>403 足売りババア (都市伝説)
547本当にあった怖い名無し:2007/01/04(木) 19:07:42 ID:9sqOGO970
>>406 怪談新耳袋「重いっ!」
>>409 (・∀・)
>>413-414 播州皿屋敷
>>422 口裂け女
>>428-430 怪談新耳袋「オルゴール」
>>434 雪女
>>435 リング
>>440-441 怪談新耳袋 「タバコはベランダで」
548本当にあった怖い名無し:2007/01/04(木) 19:08:18 ID:9sqOGO970
>>445 暗がりの女
>>446 日本人形
>>447 次はおまえだよ(都市伝説の一寸ババア)
>>453 腕枕
>>454 白い顔の女
>>455 ごめんね
>>459-460 怪談新耳袋 「おシカさん」
>>464-472 七人ミサキ
>>481-483 赤い紙、青い紙(都市伝説)
549本当にあった怖い名無し:2007/01/04(木) 19:09:30 ID:9sqOGO970
>>488 怪談新耳袋 「姿見」
>>496 てめえじゃねぇ!
>>498-507 将門の首塚
>>518 (・∀・)鏡に口紅でようこそ
>>519 不思議な紐(探偵ナイトスクープ)
>>521 ありがとう、ウルトラマン
>>522 おまえらのほうだよ
>>525 良い人と思ったら「死ねばよかったのに」
>>527 お つ か れ(実行しないでください)
550本当にあった怖い名無し:2007/01/04(木) 19:13:16 ID:9sqOGO970
>>530 ホームの下の男
>>532 いらっしゃいませ
>>533 廃墟の住宅
>>534 前の車
>>535 心霊ちょっといい話PART8 ほのぼの光景
>>536 心霊ちょっといい話PART8 猫の恩返し
>>537 赤い浴衣
>>540 いらっしゃいませ
>>541 しのうかさん



まとめ作っていて思ったのですが。
こんなヒマあるならまとめサイト(ブログでも)作ったほうがよかったのではないか、と^^;

まあ、にくちゃんねるがあればいいか……
551送り狼 ◆weJoc1mo9Y :2007/01/04(木) 23:41:32 ID:lYc7r9Wt0
派出所勤務から地道に本庁復帰を目指す岡島です。
この地区の小学生の間で、ヒキコさんと呼ばれる怪人物の目撃情報があります。
噂には尾ひれが付くのでなんとも言えないのですが、
白い服の女が子どもの脚をもって引きずり回していたというのです。
たいてい早朝や夕方の薄暗い時間に目撃されることが多いようでした。
怖がった小学生があんまりしつこく頼みにくるので、調べることになりました。

目撃現場は大体が公園とその周辺の歩道でした。
張り込むわけにもいかなかったのでパトロールの時間を調節して、
夕方ごろにはその辺りに重点をおいて巡回することにしました。
1週間ほどしても、ヒキコさんは一向に現れる気配はありませんでした。
そして調べ始めて2週間がたったその日、ついに僕は真相を突き止めました。

何のことはありません。
ヒキコさんと呼ばれた女性……いや少女というべきでしょうか、
それはごく普通の女子高生2人で、目撃されていた白い服は柔道着でした。
片方は長身、もう片方は小学生で通りそうな身長と童顔の子です。
子どもが引きずられていたというのも妥当な表現ではなく、
2人は「手押し車」と呼ばれる筋トレをしていただけです。

まぁさすがに職務質問するようなことでもありませんが、
一応そういう噂がたっているということだけ伝えておきました。
ちなみに、女子の柔道部員(同好会だそうですが)は彼女たち2人だけで、
2週間現れなかったのは手首を捻挫していたからだそうです。

当然事件性は皆無だし、噂の火消しも警察の仕事じゃないので放っておきます。
小学生が何か聞いてきたらのらりくらりと煙に巻いておきましょう。
今回無駄骨を折らせてくれた彼らへのささやかなイタズラです。
552ぽんぽん:2007/01/05(金) 01:07:47 ID:g2g5dKOQ0
一応導入部だけ載せておきます。

すべての始まりは日暮れ時に俺の携帯にかかってきた一通のメールだった。

 職場に鳴り響くノクターン。知らない奴はみんなこの音だ。

 http://as666.cocolog-nifty.com/blog/files/chopin_op9-2.mp3

 「送信した奴は・・・?水沼美々子。誰だこいつは。」

 そしてそのメールには本文はなく、あるファイルが同封されていた。とりあえずそれを開く。
そこには俺の顔が映ってあり、それがだんだんと醜く変形していくものだった。誰だこんな悪戯をした奴は、水沼って奴もどうせ偽名だろ、
そうおもって俺は履歴を見た。そして不思議なものを見た。

 日付が、3日後の今となっているのだ。こいつは明らかにガキの悪戯の範疇を越えている、そう思った俺はある男の元へと向かっていた。
553pDOG ◆MjRkBb/jUw :2007/01/06(土) 13:36:45 ID:TfQ+yJWq0
あ、送り狼さんお久しぶりです^^
ぽんぽんさんもいい出だしじゃないですか。でも全部書きあがるまでの楽しみにしておいて欲しかったかな(笑)



で…


やっちまいました。


勢いに任せて昨夜からつくったまとめブログが完成いたしました。

心霊探偵ジョージの事件簿
ttp://george2ch.blog88.fc2.com/

にくちゃんねるがあればいいかな、とも一時は思ったのですが、最近過疎ってますし、洒落怖や山怖を見ていて、
まとめサイトがあると書き手が増えるかな?なんて思った次第です。

少し見にくいかも知れません。
使い勝手やアドバイス、注意点などお気づきのことがありましたらご報告を御願いします。

>ぽんぽんさん
>>230-235の元ネタのタイトルを教えてください。新耳のかくれんぼ?でしたっけ?
この話だけはまだ掲載しておりません。
554本当にあった怖い名無し:2007/01/06(土) 13:40:41 ID:TfQ+yJWq0
なお、掲載(コピペ)するにあたり、わかる範囲で誤字、ミスなどは修正いたしました。(ほとんど私のですけどね^^;)
原文のままでも良いかなぁという気もしたのですが、せっかくなので。

この点に関しましてもご意見頂けたらと思っていますm(_ _)m
555ぽんぽん:2007/01/06(土) 14:33:19 ID:SqoqU9m80
 えっと、元ねたは、「ほんとにあった怖い話」の「何かがそこにいる」と言う奴です。(誰か〜だったかな)
教えてくださいってことは動画が見ることが出来ないって事ですよね。
 
556ぽんぽん:2007/01/06(土) 15:34:48 ID:SqoqU9m80
pDOGさん、「心霊〜」が見つかりません。(PCだと出ないのかな?)
パソコンで見られるように出来ないでしょうか。よろしくお願いします。
557本当にあった怖い名無し:2007/01/06(土) 15:51:10 ID:p1a1EPYE0
>>553
pDOGさん、乙です。
まとめサイトがあるといいなと思っていたので嬉しいです。
ありがとうございます。
ただ、右側が少し見にくく感じます・・・
勝手なことを言ってすみません。

>>556
PCで普通に見られますが?
558本当にあった怖い名無し:2007/01/06(土) 15:59:02 ID:TfQ+yJWq0
>>557
いえいえ、ありがとうございます^^
右側のメニューにもフィルターをかけてみましたがどうでしょう?

>ぽんぽんさん
ようつべの動画は消されてしまったようです。
とりあえず「何かがそこにいる」でUPしておきますね。

PCで見られるはずですが…??
559557:2007/01/06(土) 16:47:40 ID:p1a1EPYE0
>>558
あぁ、見やすくなりました!
が、他の方の意見を聞かないで良かったのでしょうか・・・
560pDOG ◆MjRkBb/jUw :2007/01/06(土) 16:56:57 ID:TfQ+yJWq0
他の方の意見はまたそのときに参考に^^b

ぽんぽんさんはまだ見れないですかね……
561ぽんぽん:2007/01/06(土) 19:40:36 ID:SqoqU9m80
見られるようになりました。有難うございます。
562本当にあった怖い名無し:2007/01/07(日) 11:34:35 ID:LeN1De6+O
>>553
超GJ
563519:2007/01/07(日) 13:44:13 ID:XU1ASKO80
僕の名前はマコト。女性をみる目も鍛えている探偵助手さ。

僕は普段ジョージさんのところへ通うのに電車を使っているんだ。
時間があるときは、乗換駅で軽くご飯食べたりしてる。
そこで、すっごくきれいな女の子を見かけたんだ。
その子はぱりっとした襟の制服を着ていて、胸までの黒髪と白い肌、くっきりした二重まぶたの綺麗な子だった。
彼女はいつも同じ席に座り、ペットボトルのお茶を本当に美味しそうに飲んでいた。
あれ位ペットボトルのお茶を美味しそうに飲む人間は、後にも先にも見たことがないね。

あんまり美味しそうだったから、探してみたんだけど、ぜんぜんダメ。
ジョージさんが笑いながら、その子に聞けばいいじゃないかなんて言うんだけど、ジョージさんほど女の子に慣れてないし。
お茶はあきらめることにした。彼女さえ眺めていれればそれで満足だったしね。

ある日、いつものようにお店にいったんだけど、彼女がいなかった。だけど、ペットボトルはテーブルにぽつんと置いてあったんだ。
僕はいけないと思いつつもペットボトルを手に取った。
別に、彼女と間接キスをしようとかそんなんじゃないよ。純粋に、何のお茶か知りたかっただけなんだ。

お茶の中には、何かがウネウネと蠢いている。よく見ると、イトミミズやボウフラが蠢いていた。何やら変なかけらまで浮いている。
「見たわね。」
振り返ると、彼女がすごい目で睨みつけている。
僕は肩をすくめてペットボトルを彼女に返した。
「ダメだよ、再利用するならちゃんと洗わないと。ペットボトルビーンズって専用のアイテムがあるから、使ってみるといいよ。」
ついでにハンカチを取り出して、彼女に差し出す。
「ほら、ここ。付いてるよ。」
唇の端を指し示して、にっこりと(女性や子供に安心感を与えると僕は固く信じている)微笑を浮かべた。
なのに、彼女は真っ赤になって走り去っていってしまった。

あれ?僕、何か失敗しちゃったかなぁ?
後でジョージさんに聞いてみよう。

元ねた:PART50 お茶を飲む女
564519:2007/01/07(日) 17:15:07 ID:XU1ASKO80
俺の名は悟。学校では気のいいおじさんだが、街中じゃ愛の狩人だ・・・すまん、言ってて恥ずかしくなった。

一月前にナンパしてうまく行った子が居たんだが、その後まったく連絡がつかなくなってしまった。
そんなにアブノーマルなことはしていなかったはずなんだが、何か気に障ることしちまったかな。

そんなことがあったのをすっかり忘れたころ、例の彼女からメールがあった。
「久しぶり!急なんだけど一緒に行きたい所があるんだ」
女特有の気まぐれか?俺を振りまわそうったぁ甘いぜなどと思いつつも俺はOKした。
断る理由は無かったしな。「どこで会う?」っと返信。
「○○海岸で会おっ」
なかなかナイスなデートスポットだな。「了解」っと返信。
「でも私今、足がないから…」
おいおい、現地集合する気かよ。当然迎えに行くぜ。「大丈夫、俺車あるから」
このときの俺の頭の中には、親友の愛車が浮かんでいた。
「じゃ今週の日曜日にしよっ」

こんな感じでデートの約束を取り付け、当日俺は親友から無理やり車を借りて彼女の家へ迎えに行った。
彼女の家の呼び鈴を鳴らすと、彼女の母親が出てきた。
誰何の声に俺は用件を伝えたのだが、母親は怪訝な顔をする。
「あの…娘は一ヶ月前…交通事故で死んだんですけど…」
母親の話によると、彼女は一ヶ月前ひき逃げに遭い足を踏み潰され出血多量で死んだんだそうだ。

そういうことか。車においてあったタバコを失敬してふかしつつ、俺は○○海岸へ向かった。
足があろうが無かろうが、いい女には違いはない。この世に未練を残さないよう、俺がたっぷり楽しませてやるか。
もちろん、俺もいろいろ楽しむんだけどな。

元ねた:PART50 デートの約束
565本当にあった怖い名無し:2007/01/07(日) 21:50:22 ID:O7Qe2iB10
519ってやたらと上手くね?プロ?
566pDOG ◆MjRkBb/jUw :2007/01/07(日) 23:14:51 ID:XJijdRR/0
519さん乙でした^^
今日辺り、519さんまた来ないかなー保守、とか書くつもりでした(笑
相変わらず上手い。書きなれているようですし、私も実はプロなのでは?と思っています。
違うとしても只者ではないことは間違いない。

何もコメントせずにクールに作品を投下してくれますしね。


と、いうわけで良作品age
567519:2007/01/08(月) 15:26:07 ID:KoJLhSt30
俺の名はジョージ、酔い覚ましに夜空を眺めることもある探偵さ。

俺にしては珍しく飲みすぎたようだ。
車を運転するわけにもいかないので、とある公園のベンチでタバコと缶コーヒーを相棒に夜空を眺めて酔い覚ましをした。
やがて朝日が顔をのぞかせた、そろそろいいか。
俺は吸いきってしまったタバコの箱を握りつぶし、空き缶とともに公園のくずかごに投げ入れた。

そのとき気づいたんだが、近くのベンチに俺のように夜明かしをした女がいた。
真っ赤なスーツが似合う、佳い女だ。もっと早く気づいていれば、クソ寒い中夜明かしをしなくて済んだのにな。

今更声をかけても仕方が無い。それに妙な予感もする。俺はメイフェアのキーを取り出すと、乗り込もうとした。
「すいません。今何時ですか?」
なにっ!?その声に俺は振り向く。そのときの俺は、珍しく狼狽した顔をしていただろう。
俺が気配を感じる間もなく真後ろに立つとはこの女・・・何者だ?
女の表情は普通に物を尋ねるものだ。困ったような、申し訳ないような・・・
「ああ、今5時を少し回ったくらいだな。」俺は平静を装いながら、腕時計を見てそう答えた。

するとその女は急に、にやぁ〜と表情を崩した。
「あなた・・・だ・・・ぶ、あ・・・ない」
何かつぶやくように言うと、くるっと踵を返して公園の方へ戻ろうとした。
待ちな。俺は女の肩を掴むと、こちらを向かせた。

赤い服で気づかなかったが、女は派手に出血していた。
俺はワイシャツを脱ぐと、まだ血が流れている傷口を強く縛った。
「俺が代わりに犯人を捜してやる。だから、アンタはすぐ医者に診てもらうんだ。」
もしかすると、公にしたくない怪我なのかもしれない。
俺は女を無理やり助手席に座らせると、知り合いの病院へ向かった。

元ねた:PART50 夏の朝
568519:2007/01/08(月) 16:15:56 ID:KoJLhSt30
儂の名は毒島。闇医者なんて稼業で食っている老いぼれよ。

報酬さえ貰えればどんな患者でも診てやるし、ご希望なら安楽死だってしてやってもいい。
どんな科目でもこなせるが、大抵は銃で撃たれたやら、刃物で刺されたやら、物騒な傷の縫合が多い。
当然、お客はヤクザや不法入国者など、真っ当に医者にかかれない者ばかりだ。
その中には、ちょいと不思議な連中も混じっていたりもする。

今日運び込まれた患者も訳ありのようだ。
少なくとも運び込んだ若いのはそう言っている。「ドク、何も言わずこの女を診てやってくれ。」ってな。
この若造は儂の得意先だが金払いが悪い。優秀な探偵らしいから、代わりにいろいろ働いてもらっているがな。

どぅれ、一仕事するか。邪魔な服を破りとって、傷口を見る。ほぅ、これはまた酷く抉ってやがる。
女は何か言いたそうな顔で儂を見るが、黙っておれ。お前さんの事情ぐらい、診りゃ分かる。
若造は犯人を捜すといって出て行った。なら隠すことも無いな。

「お前さん、生身じゃないね。自分を殺した犯人を祟ろうってのかい?」
女の傷口を露出させたまま儂は問いかけ、消毒液の代わりに使っているキツイ酒を一口煽る。
「ま、お前さんが何をしようとお前さんの勝手だ。儂は知らん。儂が知りたいのは報酬のことだけ。」
女は困ったような顔をしている。幽霊だろうが妖怪だろうが、痛いものは痛い。痛みが消えるなら治療も受けたいだろうな。
「金が無いのは分かっておるよ。お前さんみたいなものから貰う報酬はこれじゃよ・・・」
儂は、喉の奥でクククと笑い、一冊の帳面を取り出した。

その日の午後、若造が帰ってきた。女に事情を尋ねたいらしいが、とっくに帰ったわ。
何故帰したと問われても、治療が終わった病院に用はあるまい。若造は、悪態を吐いて出て行った。いつかその口縫ってやろうかい。

数日後、手紙が届いた。差出人は不明だが、あの女だろうと儂はピンと来た。
中には、世にも恐ろしい表情を浮かべた男の顔と、あの女のやり遂げた表情、2枚の写真が入っていた。
ふふん、また恨み完遂帳に1ページ増えたわい。

元ねた:PART50 夏の朝(567の続き)
569本当にあった怖い名無し:2007/01/08(月) 17:04:39 ID:PjbIQXTT0
>>568
おっ、新たなキャラクターかな?
毒があるが(毒島だしドクだからか)いいですね!
魔界都市に居そうなキャラだ。
570本当にあった怖い名無し:2007/01/08(月) 19:32:40 ID:AEKjzTht0
>>568
519さん、乙です。
新キャラ登場ですね。今までで一番強烈な気がします。
名前はブスジマと読むのでしょうか?


pDOGさん、
ここへ来るたびについ「心霊探偵ジョージの事件簿」へも行ってしまいます。
景色がよく変わりますね。
最初は「管理人さん、まめだな。」と思っていましたが、
なんとなく楽しみになっています。
571519:2007/01/08(月) 23:00:59 ID:KoJLhSt30
儂の名は毒島。黒衣は着ておらんが、金次第で何処へでも往診に出かける闇医者よ。

ヤクザの親分の銃創を3000万で治療してやった帰り、赤いコートの女に出会った。
ほぅ、あれはもしかして噂の口裂け女じゃなかろうか。ピンと来た儂は、何食わぬ顔でその女に近づいた。
近づくにつれ、女の格好が噂話のそれと寸分違わぬものと確認できた。
赤い服に赤いコート。そして最大のトレードマークの白い大きなマスク。

女は儂を獲物としたようで、向こうからも近づいてきた。
「これはこれは、エライ別嬪さんじゃの。」
女が質問してくる前に言ってやった。ほほっ、狼狽しとるわい。
それでも女は自分の行動パターンを踏襲しようというのか、マスクに手を掛けよった。
だから儂は、これでもかと女が言う前に質問を投げてやったんじゃ。
「お前さんは美容形成の失敗か?口を鎌でつなげたか?それとも犬神の呪いかの?」とな。
儂がことごとく予想外の動きを見せるからか女は相当戸惑っているようで、「セ、セイケイ・・・」と答えるのが精一杯のようじゃった。
美容形成手術の失敗が由来の口裂け女なら、儂が何とかしてやろう。
儂は女を儂の病院へ連れて行った。

数週間後、儂は女の顔を覆っていた包帯を取ってやった。
多少縫った痕が残っているが、十分化粧で隠せるレベル。厚化粧にはなるがの。素が別嬪じゃから、問題なかろうて。
そう言ってやると、元口裂け女は感涙にむせび泣きおった。
おおっと、感謝するのは早いぞい。貰うもんは貰わんとな。報酬を請求すると、元口裂け女は金を持ってないと言いおった。
金を持ってないことなど分かっておるわい。金が無いなら身体で払ってもらおうじゃないか、ヒッヒッヒ。
儂の笑みに、元口裂け女は怯んでおった。

「おい、往診に出かけるぞい。カバンを持ってくれ。」
ハーイと返事をして女が出かける準備を始めた。
儂の病院に入った新しい看護師じゃ。つい昨日まで患者だったから、医療の知識は無いが儂が叩き込んでやろう。
闇医者のアシスタントは闇看護師。それでいいじゃろうが。

元ねた:口裂け女
572本当にあった怖い名無し:2007/01/08(月) 23:29:03 ID:6/z3CdPWO
上手いなぁ
573本当にあった怖い名無し:2007/01/09(火) 00:13:19 ID:bTFIBOQ0O
なんか強烈な新キャラktkr!面白いです!
こうして読んでみると、この世のモノではないモノを、そうと分からずに対応してるのはジョージとマコトと岡島君だけなんだな
サオリはアキヒコが見える人だったみたいだし、多少は分かってそう
近藤さんと悟とミキは言わずもがな
574累が淵 1/8:2007/01/09(火) 19:25:36 ID:1/H0fprM0
「ふーん、想像とずいぶん違うな。」

それが彼女の第一声。もっと格好いい人を想像していた、と、顔に書いてある。

「そう?」と僕は気付かないふり。
「それも違う。いつもなら『そうかよ。』って言わない?」
「掲示板のキャラを言われてもなぁ…。」

そう小さく呟いた僕に、まるで聞かせるかのように大きくため息が続く。

僕が悪いのか?
そりゃあ掲示板じゃほんのちょっとだけ格好つけた台詞回しをしたけどさ。

 …そのあとのメールも、ちょっとだけジョージさんらしく振舞ったけどさ。

  ……好きな飲み物はバーボンとか言っちゃったけどさ。

「で、探偵ってのは本当なんでしょうね?」


   ………プロの探偵だって、言っちゃったけどさ。


マコトです。今、ちょっとピンチかも知れません。

「ほ、本当だよ。小さな事務所だけど“これ”で食べてるんだからさ。」
いつものバイト代は家賃と光熱費。ジョージさんから貰うお金は食費。
うん、嘘はついていない。

「まあいいわ、……なんっか、頼りないのよねぇ……。」

僕はこの娘が苦手だ。もしもし、ちゃんと聞こえてますけど。
575累が淵 2/8:2007/01/09(火) 19:26:21 ID:1/H0fprM0
彼女の名前はユウ。都内に住む女子大生、21歳。
ユウは本名じゃない。『You』と書かれていた掲示板のハンドルネームだ。
インターネットで知り合ってメールを交換するようになった。

僕が調子に乗って『現役探偵』なんて名乗っていたら、食いついてきた。
最初はただ面白がっていただけなのかと思ったら、
どうやら本当に相談できる相手を探していたらしい。

相談というのは彼女の親友のことだった。

「私、殺されるかも知れない。」

そう呟いたらしい。この言葉が彼女は気になって仕方がなかったのだけど、
それから何を尋ねてもだんまりを決め込んでいる、との事。

お父さんに?、と聞いたら見事に当たった。

「凄い!本当に探偵なんだ。」

尊敬のメールが気持ちよくて、ついつい詳しく話を聞く事になった。

彼女の親友の名前は留唯。問い詰めても何も答えてくれないらしいけど、
ユウが状況を見る限り、他に考えられる人が居ないようだ。
よくある話だ。父親の再婚相手と仲が悪くて邪魔にされているらしい。

ユウは本気で留唯さんのことを心配していた。
なんとか彼女を不安から解放させてあげたいと心から思っていた。

そんな彼女と僕はいつの間にか連絡を取るようになり。
そして今日、事務所に来て正式に仕事の依頼をしてくれる事になったんだ。

待ち合わせ場所は彼女のよく使うターミナル、新宿に決まった。
576累が淵 3/8:2007/01/09(火) 19:27:09 ID:1/H0fprM0
「どうぞ、中へお入りください。」
「へー、本物の探偵だったんだねえ。」

ユウはドアに取り付けられた看板を見て心底感心した顔を見せた。
事務所に来るまで本気で僕は疑われていたらしい。

彼女をソファに案内してコーヒーを出す。
一応、一通りの書類を出して話を聞く態勢を整える。
いつも僕がやっている動作だからボロは出てないはずだ。

事務所の中は僕とユウの二人きりだ。

これは狙った。ジョージさんは今、調査で茨城に出張中。
ジョージさんに内緒で仕事を請けるなんて絶対秘密だ。

みゃぁ、と怪訝そうな鳴き声を出して三毛猫が見上げてくるけど問題なし。
連絡は携帯電話に入るし、あとはジョージさんが帰ってくるまでに
仕事を終えればいいってことさ。

「結構……高いな……。」
料金表を見ていた彼女の呟く声が聞こえてしまった。
これでも“うち”の事務所は良心的なんだけど。まあ、これも想定内。
こっそりする仕事でお金を貰う気は無かったからね。
友達だから、とか適当なことを言ってご飯でも奢ってもらえれば十分。

まあ、僕としてはユウみたいに気の強い女の子は苦手だから、
彼女と楽しく食事する姿は正直とても想像できない。
それよりも見せてもらったスナップに写る留唯さんの方が僕の好みだ。

紹介して貰えればいいかな、なんて考えていたら、また声が聞こえてしまった。

「絶対払うから。あたし絶対、バイトして払うからね。
577累が淵 4/8:2007/01/09(火) 19:28:27 ID:1/H0fprM0
「やっほー、待った?」
20分遅れで新宿の目に現れた彼女は少しも悪ぶれたところを見せてくれません。
「今日はメガネなんだね?」と、聞いたら、
「この間はもっといい男が出てくると思ったからね。」だ、そうです。

 ──僕ですみません。


それに引き換え、失礼だよ、と諭す留唯さんは天使だね。
どうしても払うと言い張ったあの押し問答が無ければ親友だなんて絶対信じない。
お金の話は、もちろん留唯さんには内緒だけど。

でも、ここからが大変だった。

留唯さんは運ばれてきたミルクティーをじっと見つめたまま何も話してくれない。

ユウはなんとか彼女に説明して貰えるように頑張ってくれたんだけど、
留唯さんは、ちらっと僕を見てまたうつむいてしまう。
なんとか僕が名探偵なのだと説得(?)して、やっと話を始めてくれるまでに、
たっぷり2時間はかかった。


「私の母は…これは推測なんですけど、…たぶん、父に殺されたんです。」

彼女はとても話したくない事を無理やり口から押し出してくれた。

留唯さんの父親という人は、とにかく感情の起伏の激しい人らしい。
よく手も上げるし、特にお酒が入ると手が付けられないほど暴れるという。
母親は彼女がまだ幼い頃に亡くなっているのだが(自殺という話だ)、
彼女はそれが“殺人”だと信じ、そして犯人が父親だと信じていた。

そして、次は自分も殺されるのではないか、と怯えていた。
578累が淵 5/8:2007/01/09(火) 19:29:48 ID:1/H0fprM0
「なあ探偵、なんとかしてくれよ。」

そう言われてもなぁ。
留唯さんが持参した父親の写真には、丸顔で小柄な中年男性が写っていた。
屈託の無い陽に焼けた笑顔。人のよさそうなちょっと突き出た腹。

冗談でも人を殺せるタイプには見えないんだけど。
お酒が入ると違うのかな?

しかも、話を聞けば聞くほど探偵の仕事じゃなさそうだ。

留唯さんは確かにちょっと怯えているように見える。
トイレでも我慢しているかのようなもじもじした素振り。
何かの気配を気にするように視線が定まらない。

でも具体的に何をされたかが出てこないんだ。
例えば食事に毒を盛られた、とか、首を絞められた、とか。

手を上げる父親だとは聞いているけど、命に関わるような事は出てこない。
ドメスティックバイオレンスの相談なら福祉事務所か警察の範疇だ。

ただ、彼女は父親が邪魔になった母親を殺したのだと信じている。

彼女の母親は川で溺れたらしい。その当時も父親には浮気相手が居たらしく、
それが今の自分と重なるのだろう、次は自分も…なんて思ってる。

「どうかよろしくお願いします。」

そう言われてもなぁ。
そんな、目に涙を一杯に溜められてもなぁ。

ずるいよ。反則的に可愛いじゃないか。
579累が淵 6/8:2007/01/09(火) 19:32:29 ID:1/H0fprM0
困った事になった。
こんな気のせいかもしれない殺人を防ぐなんて、はっきり言って無理だ。
確かに何かが起こってからじゃ遅いけど、護衛をつけるような状況でもないし…

でもユウがさっきから、
(なんとかしてくれるんだろうな?しっかりしろよ、探偵。)
っていう視線を向けているしなぁ。

「お父さんと…話し合うしか…ないような……。」

だから(当たり前の事を言うな)って、視線はやめて。頼むから。
僕は咳払いをひとつして、改めて瑠唯さんに向き直った。
「他に気になることはありませんか?どんな些細なことでもいいんです。」

「母が……。」
これは彼女の説明によると現在の義理の母ではなく、死んだ実の母親のこと。

「母が…毎晩、夢枕に立つんです。」
彼女の顔に怯えた色が一層強く浮かんだ。そわそわした素振りも増した。

「母が…このままじゃお前も殺されるよ…って言うんです。」

 殺される、殺されるよ。

 早く殺してしまわないと、お前は殺されるよ。 
 
 早く殺してしまいなさい。女も殺せ……さもないと、お前、死ぬよ……

それがここのところ毎晩、続いているそうだ。

だから、なおさら父親に近づくのが怖い、と彼女は続けた。
もしかしたら自分が父親を殺してしまうかも知れないから。
580累が淵 7/8:2007/01/09(火) 19:33:04 ID:1/H0fprM0
僕の携帯にユウからメールが届いたのは、彼女たちと別れてから1時間後のことだ。
結局、話を聞いただけでは何も解決しなかった。当たり前だけど。
後日彼女の家に行き、お父さんを交えて話し合いをするしかないだろう、という
曖昧で至極当然な結論を出してその場はお開きになってしまった。

メールは、“今日はごちそうさまでした。で、どう思う?” という内容。

折り返して電話を掛けるとワンコールで繋がった。
やっぱり家を出て一人暮らしをするしかないんじゃないか、いや、
それじゃなんの解決にもならない、という話しを少ししたところで確信に触れた。

「どう、って?」「あの“母親”の話。」

電話を通してもわかる。ぶっきらぼうなユウは少し怖がっているようだ。

「あれ、あたし、“本物”だと思うんだよね。」
「“お母さんの幽霊”?」
「そう。なんて言うのかな、直感なんだけど……」

嫌な寒気が全身を駆け回った。僕はこの手の話ははっきり言って苦手だ。
さいわい、今まで一度も幽霊に出逢ったことが無いから助かっているけどさ。

UFOだって信じている。見たことないけど。
瑠唯さんの話は確かに、あるわけないよ、と笑い飛ばせる気がしなかった。

「あれ、もしもし?どうしたの?もしかして怖いのか?」

黙ってしまった僕を見透かした言葉がすかさず出る。

「かわいいな、探偵。」

慌てて取り繕ったらそう言われた。もう、本っ当に僕はこの娘が苦手なんだ。
581累が淵 8/8:2007/01/09(火) 19:33:49 ID:1/H0fprM0
数日後、僕たちは瑠唯さんの家まで足を運んだ。
あと一駅で23区から出る、そんなちょっと田舎の小洒落た駅だ。

彼女たちとの予定が合うまでに僕がしたことは、瑠唯さんの実の母親の死が、
間違いなく自殺だったということを確認したこと。
父親には確実なアリバイが存在した。疑いようも無いくらいにシロだ。

瑠唯さんはその間も毎日母親の強迫観念に悩まされていたらしい。
駅まで僕たちを迎えに来てくれた彼女の目の下に、うっすらと隈が浮かんでいた。

父親が殺人者でない事実を伝えてあげると、彼女は本当に嬉しそうな表情をした。

 そうなんだ。

 彼女が僕に見せた写真。

 あの人のよさそうな笑顔、優しそうな父親の表情。

 そして、その写真を持ち歩いていた彼女。

 時々、手を上げる父親なのかもしれない。

 お酒を飲むと怖い父親なのかもしれない。

 でも、

 そんな優しい笑顔を見せることもあったんだ。

そう、この時僕はやっと、聞くべき質問に辿り着くことができた。
最初からこうすればよかった。探偵として、僕が出来る唯一のこと。

真っ直ぐ彼女の目を見つめて。君はどうしたいの?、と。
582累が淵 9/8 終わらなかったじゃねえかorz:2007/01/09(火) 19:34:41 ID:1/H0fprM0
正直に気持ちをぶつけてきた娘の前で、父親は少し照れているようだった。
でも、その肩を強く抱きしめた無骨な手は、確かに暖かかったんだ。

 彼女の目から想いが涙になって溢れ出した。

 そう言えば、その時彼女はこう呟いていた。

 さようなら、お母さん。
 
 誰に向かって言った言葉なのだろうか。

 でも、きっと、もう、彼女は母親の影に怯えることは無いに違いない。

 新しい母親とも、きっと、うまくやっていけるはずだ。


 そう信じたい。


母親は辛かったのかも知れない。夫の浮気に悩み、自殺という道を選んだ。
でも、その憎しみや過ちを子供が引き継ぐ必要なんか無いんだ。

恐怖や疑心暗鬼から生まれた父親との深い溝は解けた。 
特に僕が力になれた気はしないけど、なんとか無事、事件は解決した。
帰ろうか、とユウに声を掛けたら、なんかニヤニヤしていた。
なんだよ、と聞いても、内緒、って教えてくれないし。

でもその後に続いた言葉で僕は凍りつくことになる。

 「探偵、飲みに行こうよ。お祝いに、さ。」

今更、すみません、本当は僕、お酒飲めません、とは言えなかった。
583エピローグ:2007/01/09(火) 19:36:34 ID:1/H0fprM0
僕の嘘はいとも簡単にあっさりとバレた。

出張に行っていたはずのジョージさんが帰ってくるなり、
頑張ったみたいだな。と褒めてくれたのにはびっくりした。

どうしてバレたのか、これこそ謎だ。

ユウには酒場で洗いざらい喋らされたらしい。
らしい、というのは僕にほとんど記憶が残っていないからだ。

でももう既に僕の呼び名は『探偵』から『見習い』に降格した。

もちろん仕事の報酬は貰っていない。
そのかわり、また飲みに付き合ってやるからな、と言われた。

まあ、嘘をついていたのはこちらだし、いいんだけどさ。

そして、何かニヤニヤして見られることが多くなったような気がする。
掲示板でも、メールでも、顔が見えなくても相変わらずだ。
何か凄く重大な弱みを握られてしまったような、変な感じ。

最近一番問題なのは、瑠唯さんに彼氏が出来そうだと僕を急かす事だ。

本当によかった。彼女はうまくやっているようだ。

でも、そんな急かされたって、困るよ。
っていうか、僕の反応を見て面白がっているようにしか見えないんですけど。

 やれやれ本当に僕はこの娘が苦手なんだな。
 引きつった笑いの中で、僕は心底そう思った。
584pDOG ◆MjRkBb/jUw :2007/01/09(火) 19:46:27 ID:1/H0fprM0
>>519さん乙です。また違う切り口ですね。
丸二日間アクセス規制食らっていたのでレスできませんでしたが、ホント、乙でした^^

で、その間に私も一本書き上げて見ましたが…
はっきり言って(少なくとも私の場合は)長編書いているのはラクしたいからですねorz

ショートショートの方がほんっとに難しい^^;;
制限無く書くのはラクだ。



ちょっと沈みすぎているのでageときますが…

どっか一箇所ミスしなきゃ気がすまないのか、私はorz



読んでいただけたら幸いです。
一応、いろいろな意味で反撃を意識しています^^
585本当にあった怖い名無し:2007/01/09(火) 23:25:32 ID:ZAJ4ijWu0
志村ー、フラグ、フラグー
586ぽんぽん:2007/01/09(火) 23:28:59 ID:1wiqRWeH0
なんかジョージのイメージ画がトップページにアップされてるんですが。
松田優作っぽくてカッコいいな。

 長編難しいよ〜。ショートは浮かぶけど長編は詰まる。
587pDOG ◆MjRkBb/jUw :2007/01/10(水) 00:33:19 ID:is+vtgGB0
>景色がよく変わりますね。
>ジョージのイメージ画がトップページに

アクセス規制食らっていた間にいろいろ調子に乗っていじくっていました^^;
お分かりかと思いますが、「探偵物語」の松田優作の写真を加工しています。

(勝手に)イメージを固定しちゃいそうで怖いんですけどね(苦笑
もし、「イメージと違う。」という意見が多ければ、あれは私のプロフ画像にでも(ry
588本当にあった怖い名無し:2007/01/10(水) 08:15:23 ID:TYGnrQz20
今全部読み終わりました。おいてけ掘の近藤さん最高
589本当にあった怖い名無し:2007/01/10(水) 10:10:06 ID:Pqew+qN+O
ここ隔離されて良スレになった。
本家はつまらなくなった
590本当にあった怖い名無し:2007/01/10(水) 10:30:29 ID:P1Nf79yH0
俺もそう思う。ちょっとマンセーレスが多いけど本家にあったらこのレベルは維持できなかっただろうと思う。
591本当にあった怖い名無し:2007/01/10(水) 10:45:49 ID:6p0LtrKl0
>>590
519氏のように、淡々と作品を投下してくれる書き手もいるし、多少のマンセーレスはいいんジャマイカ。

ところで、書き手達は片っ端から洒落こわのまとめサイト見て改変しているんだろうか?
この話を誰々で改変して下さいってのはしない方が良いかな?
592本当にあった怖い名無し:2007/01/10(水) 11:10:45 ID:P1Nf79yH0
>>591
アリでいいんじゃないかな。今までも改変依頼はあったわけだし。必ずやってくれるわけじゃないと思うけど。
593本当にあった怖い名無し:2007/01/10(水) 11:11:26 ID:P1Nf79yH0
ageてしまった、スマソ
594本当にあった怖い名無し:2007/01/10(水) 14:59:11 ID:6aoacdD50
今年になって初めて来たけど、毒島良いな。
595本当にあった怖い名無し:2007/01/10(水) 20:41:20 ID:Ddrl8yfwO
書き手のほうが見てる人より多い気がしてきた
何人くらいここ読んでるんだろうか?
596本当にあった怖い名無し:2007/01/10(水) 20:45:37 ID:T3BlsjrPP
>>595
おれは最初の方からROMってるよ
597本当にあった怖い名無し:2007/01/10(水) 23:15:03 ID:tXJ+SHGrO
私は読む専門です
書けませんし^^;
598ぽんぽん:2007/01/11(木) 00:15:58 ID:CHR2mMB80
とりあえず書いてみようよ。あちきはまだ駆け出しですがね。

そろそろ終わるかも。
599ナルト ◆eaiCgXtjIQ :2007/01/11(木) 04:03:15 ID:UC3KaRIrO
>>送り狼
どこ行っちゃったの?(T.T)
600本当にあった怖い名無し:2007/01/11(木) 10:29:34 ID:kcZYLhK0O
>>599 きっと充電中なんだよ
601519:2007/01/11(木) 23:50:05 ID:gH//pmYy0
俺の名は近藤。最近昔のことをよく思い出すようになった。もう歳だな。

地回りを若いのに任せ、今夜はすぐに帰宅した。
そして、俺は一枚の写真を肴に、取って置きの酒を開けた。
その写真には、ある夫婦とその息子。そして若いころの俺が写っていた。

その日、俺と同僚で親友でもある丈一郎とその女房、そしてやんちゃ盛りのジョージの4人でハイキングに出かけていた。
やんちゃ盛りのジョージは山に登るのが楽しいらしく、勝手に一人でどんどん登っていった。
恥ずかしい話だが、当時の俺は迂闊なことに、ジョージを見失ってしまった。
3人で必死に探し回ったんだが、とうとう見つからなかった。
当時は携帯電話なんて代物は無かったから、一度下山して地元の警察に捜索を依頼しようという話になった。
しかし、麓まで下りた俺達を出迎えたのはジョージだった。

山の奥で大穴に落ちたジョージは、通りすがりの大人に助けてもらい麓までつれられてきたそうだ。
その恩人は、立ち去るところだった。
大きな男だった。登山には不似合いの黒いソフト帽。ゆらゆらと揺れるように歩く特徴ある歩き方。
決してこちらを振り返らず、幼いジョージに背中越しに一度だけ軽く手を振ってその男は立ち去っていった。
俺はその男に、なぜか親近感を覚えた。

終末、俺はジョージを無理やりあの山へ誘った。
登山に行くというのに、ジョージは黒いソフト帽を被って待ち合わせの駅にやってきていた。
やはりな・・・俺は目を細め、こちらに歩いてくるジョージを出迎えた。

ジョージよ、今日はお前にとって人生の岐路となる出来事が待っているだろう。
戻ったら、一緒に美味い酒でも酌み交わそうや。

元ねた:PART2 穴
602519:2007/01/11(木) 23:51:07 ID:gH//pmYy0
俺の名はジョージ、男は背中で語るものだとなぜかガキのころから思っていた探偵さ。

昨日の夜、いきなり近藤さんが○○山に登るから付き合えといってきた。
登山なんて柄じゃねえし、○○山にはガキのころに怖いことがあった覚えがあって気は進まなかった。
けど、近藤さんがどうしてもって言うから仕方なく付き合うことにした。

登山のために動きやすい格好はしているが、コイツだけは外せねぇ。
いつもの帽子を被って登場した俺に、近藤さんは妙な表情をしていた。別にいいじゃねえか。帽子で登るわけじゃないんだからな。

山を登り始めたとたん、近藤さんは先に一人で行けと言い出した。何なんだ?登山に誘ったのはアンタじゃねえか。
とはいえ、近藤さんにはなぜか逆らえない俺は、一人で先行して山に登った。

しばらく歩いていると、子供の声がかすかに聞こえた。よく耳を澄ますと、どうやら助けを呼んでいるようだった。
声を頼りに歩くと、そこには大穴が口をあけていた。覗き込むと、子供が一人泣いている。
放置しておくわけにもいかないので、俺はその子供を引っ張り上げた。
幸いにも怪我とかはしていなかったが、歩けなさそうだったので背中に負ぶって下山することにした。
事情が事情だから、途中で下山しても近藤さんは文句言わないだろう。

麓についても子供は泣き止まなかった。だから俺は子供の頭に手を置いて言ってやった。
「坊主、男が泣いていい時は、親と惚れた女が死んだ時だけだ。それ以外の時は、泣きたくても我慢するんだ。」
昔誰かから聞いた言葉だ。俺はその言葉を聞いてから、3回しか泣いていない。親父とお袋、そしてあいつの時だけ・・・
この言葉に、何か響くものがあったんだろうな、泣いていた子供も泣くのを我慢した。
いいぞ坊主、それでこそ男だ。
その後、子供の保護者らしき大人が下りてきたから、俺は立ち去ることにした。一度だけ背中越しに手を振って。

山の登り口で近藤さんと合流した。
なぜか今夜は美味い酒をおごってくれるそうだ。近藤さんは、一体何がしたかったんだろうな。

元ねた:PART2 穴
603pDOG ◆MjRkBb/jUw :2007/01/12(金) 01:25:45 ID:47BHSkvO0
ちくしょう、規制解除したその日のうちにまたアクセス規制食らうとは…
うちのプロバイダーはDQNの巣窟かorz

私の場合…マンセーはやっぱり嬉しいなぁ
でも厳しいご意見も嬉しい。もっと上手く書ける様になりたいですしね。

ROM専さんは貴重だけど本スレ(クールに改変スレ)同様、いろいろ参加してもらえるともっと嬉しいかな。
設定とか、分析とか、ツッコミとか(笑
改変依頼ありましたら、できるだけやってみますよ^^
まぁご期待に添えるものが書けるかどうか……

>>601-602
GJでしたっ!
なんかいち読者として519さんを楽しみにしている自分が居る(笑
絡め手も上手いし、長編も読んでみたいなぁ…とかさりげなく依頼してみたり…

父親丈一郎きましたね^^b
今度使わせていただきます

では、私も
604Part 73 「あ、もしもし」 Case by George:2007/01/12(金) 01:27:06 ID:47BHSkvO0
俺の名前はジョージ、しがない探偵なんて稼業をしている。

「あ、もしもし…俺、Hですけど…」

電話の相手は、死んだ後輩の声で死んだ後輩の名前を名乗った。

ふん、つまらんトリックだ。
こんな録音程度で俺を騙せると思ったのか?

そもそもおかしな事件だった。いくらローカル線だからといって、
線路をスキーを履いたまま渡ろうとするだろうか。
それに、近づいてくる列車に気がつかない点も不自然だ。

事故で片付けられてはいるが、俺は違うと睨んでいる。

タバコを取り出して火をつける。
この電話…この謎の電話の持つ意味を俺は考えていた。

Hを生きているように見せかける……違うな。
こんなに遅くては意味が無い。

ならば……これは誘い、か?

俺の口元がにやりと笑う、乗ってやろうじゃねぇか。

「いいだろう、要求を聞こう。」
「…え?俺ですよ、Hです。」

電話の相手はまだシラを切り続けるつもりらしい。
無駄だ、この事件は俺がかたずける事に決めた。

逃げられると思うなよ。覚悟しておけ。
605あ、もしもし Case by Kondo:2007/01/12(金) 01:28:10 ID:47BHSkvO0
俺の名は近藤。刑事という仕事に人生を賭けた男だ。

「あなた、Hさんからお電話ですよ。」
そう言って、妻は湯船に浸かっている俺に電話の子機を渡した。
俺は湯気が気になるんだが、最近の機械は大丈夫になっているらしい。

近藤だ。ああ、Hか。俺はそう電話の向こうへ返事を返した。
なんだ、元気そうじゃないか。そう言った。

「まったく、お前はいつも無茶ばかりするからなあ…。
へへへ、じゃない!随分手間かけさせやがって!
…ん、ああ、ああ、大丈夫だ。もう終わった。

で?どうしたんだ?何?おふくろさん?ああ、もうかなり歳だもんなあ。
心配するな。時々様子は見にいくからな。
馬鹿野郎、寂しいこと言うなよな。俺とお前の仲じゃないか。
ああ、まだ頼りないが若い奴らもちゃあんと育っている。
お前の心意気は伝わってるよ。真っ直ぐな奴らばかりじゃないか。

ん?何?もう行くのか?今度は何処に行くんだ?
秋田?また寒いところか。お前も好きだな、ははは。

ああ、顔を見に行くよ。じゃあ、またな。
あとのことは心配するなよ。
元気でな……うん、…うん、…うん。」

電話を切り、妻を呼んで子機を返す。
風呂場の戸を開けられる前に湯船のお湯で顔を洗って涙を隠した。
お元気そうでしたね、という妻の言葉に強く頷く。
もう次が決まった事を伝えると、あらあら、慌ただしいこと。と、呆れ顔だ。

そうだな、葬式も終わったばかりだって言うのになあ。
606ぽんぽん:2007/01/12(金) 01:33:17 ID:dJ02pqRo0
ようやく書き終わりました。まだ経験が浅いのとねたに関する記憶がおぼろげな所為か
不整合などが生じております、と思います。とてもGJ何と言う評価はもらえないと思いますが
がんばりました。
607ぽんぽん:2007/01/12(金) 01:34:10 ID:dJ02pqRo0

 俺の名前は悟、へんな怪異の巻き添えになっちまった哀れな用務員さ。あ〜日常に戻りてえ。そして今はジョージの前にいる。仕事は休みだ。
 
 「ようジョージ、電話で話した例の件について話したいんだが」
 「なんだ、また金をくれか?バイト代はあれで十分だろ」
 「そう言う事じゃあない。まずはこれを見てくれ」

 そして俺は『それ』を見せた。するとジョージは少し考えたようにし、哀れむように俺を見て。

 「ふう、お前、死んだな。うん、さよならだ」

 その一言の意味を理解するのに数瞬かけた後、ジョージの胸倉をつかんでいた。外から見ていたが慌てて止めに入るマコト。
しかしジョージは落ち着いていた。前々から知っていたのかのように。

 「まあ落ち着け悟。それについてはちょっと事になってるんだ。まあこれを見てくれ」

 ジョージはそう言うとデスクに向かい、パソコンをいじり、そこに映ったものを俺に見せた。そして一言「だろ?これで落ち着くよな♪」
ジョージの一言はむかつくが、まったく、こんなにも話題になってたとはな、今度からしっかりとテレビを見るか。

 「なるほどね、『死を呼ぶ着信メール』か・・雑誌の方でも取り上げられる程って事は結構な被害者が出てる。そして捜査中」
 「お前の頭もまだまだ使えるようだな。安心したよ、まあ大体は合ってるな、ま、『水沼』については不明だ。近藤さん達が何とかしてくれるだろう
  そしてこれは、巷でも話題になっている。ある法則が出てきてな。その法則とは・・」
608ぽんぽん:2007/01/12(金) 01:34:47 ID:dJ02pqRo0
タタタタタタタタ タタン 事務所内にキーボードをタイプする音が響く

 「こいつだ。これを調べ上げるのには骨が折れたぜ。ちょいと癪だがお前にやって欲しかったな。あとは自分で見ろ」

 お前じゃなくてマコトだろうが、やったのは。まあいい、どれどれ・・・?なるほど、

 そこにはこう書かれていた。

 ・そのメールは他の人に送信すれば呪いは免れることができる。
 ・A君がそのメールを受け取り、1日たってB君に送ったとしてもB君の期限は3日ではなく2日となる。

 これが法則か・・しかし随分と効率が悪いんだな。

 「なるほど、つまり俺がこれをジョージに送れば俺は免れて、お前が死ぬって事か?」
 「まあその提案は却下だが噛み砕いて言うとそういうことになるな。さて、どうする?」
 「まあ、とりあえずやってみるよ。あ、手伝えよ。お前も既に知ってるんだから」
  
 渋々頷いてくれた、良かった。一人じゃ無理だったぜ。

 俺が死ぬまで・・・・2日と・・・21時間と少々・・・・。

 「で、どうする?悟。『水沼』について、メールの発信源、呪いを止める方法。この三つからどれを選ぶ?」
 「そうだな・・。水沼はもう示しはついてる、発信源は警察の領分だからジョージ、マコトに連絡係でもやらせとけ、最後に止める」
 「さっさと教えてくれ、何でお前、察しがついてるんだ?」
 「少し前に虐待虐待ってメディアがギャーギャー騒いでいた頃があっただろ。その頃気になるものを見つけたんだ、これだ。」

 俺がその記事を気にした理由はその写真の子が可愛かった。それだけだ。
まさか俺の嗜好がこんなところに役に立つとはな…コレクションを全部捨てるのはやめようかな、整理するだけでいいか。
609ぽんぽん:2007/01/12(金) 01:35:35 ID:dJ02pqRo0
「ふふん、こんなものがあったから手を打つことが出来たが、なかったら、うん、終わりだったな。で、悟。こいつの居所は調べられるのか?」
 「甘く見すぎだぞジョージ、お前こそお頭が弱くなったんじゃないのか?まあ、あれだ。携帯を使っている以上オンラインでつながっていると言うことだ。
  どの携帯会社かは少しめんどくさいがあっちだって分かりにくいように分けてはいないだろう、年齢別あるいは地域別に分けてある。そっからだな」
 「そうか、じゃあ此処からはお前に任せる。俺は車の洗車でもしてるよ。じゃ」

 扉の閉まる音と階段の下りる音が聞こえた。奴なりの気遣いだろう。これでようやく集中できる。よし、始めるか。
    ・
    ・
    ・
 作業を始めて何時間くらい経っただろうか、すでに部屋には日が射しこんでいた。どうやら夜通しやっちまったらしい。ジョージの野郎はまだ帰ってこない。
大方探し終わった俺はマコトの入れたコーヒーに口をつけていた。味も…相変わらずまずいな。

 「あ!悟さん終わりました?ジョージさんが車で待ってますよ」 

 結局待っていたのか、このツンデレめ。

 「調べ終わったか。んで、何調べていたんだ?」
 「契約会社と住所だ。会社は俺たちと同じ奴、住所は幸運にも東京都内だ」 
 「早かったな、それだけの量を短時間で出せるなんて」

 うおっ、いきなり車発進させやがった。せめて「行くぞ」とか言えないのかよ、こいつは。

 俺が死ぬまで・・・あと・・・2日と・・・8時間・・。 
610ぽんぽん:2007/01/12(金) 01:36:18 ID:dJ02pqRo0
なんか自分が危険だってーのに飄々としてるなあ。普通の奴ならもうちょっと慌てるのに…ジョージと一緒だから安心してるのか?
柄にもねえ。おっと!急に止まりやがって。

 「着いたぞ。今から俺が行くがいいな?」
 「おいジョージ!…まあいいか。行って来い、俺はグータラしながら待ってるよ」

 行ったか…これでようやく寝られる。さすがに久しぶりの徹夜はきついなあ、おかげでぐっすりいけそうだ。
  ・
  ・ 
  ・
 「……!!…る!悟…!悟!起きろ、悟。終わったぞ。そして携帯鳴ってたぞ」
 「あ〜、ありがとジョージ。おかげで目覚めもばっちりだ…って鳴ってたのか?」
 「ああ、まあ多分良い知らせではないだろう。ほれ」

 渡された携帯電話にあったのは「新着メール  3件」だった。
全部奴からか・・そう思ったが違っていた。一つはやつ。もう一つは奈津子。そしてもう一人は校長だ。俺の境遇なんぞどこ吹く風、飲み会やらお誘いやら、
楽しそうな文面だった。奴のを除いてだが。

 「ジョージ、部屋の中はどうだった?」
 「部屋?駄目だ、ほぼ空だな、住んでいた痕跡はあるがそれも1ヶ月くらい前までだ。言っとくがちゃんと調べたぞ」
 「そうか、マコトの方は?」
 「まだだ、おそらく別の事件で摑まってるんだろうな。忙しいからな、おやっさんは」

 うおっ!またやりやがった。昔はこんなんじゃなかったのになあ、マコトも困ってるんだろうなあ、乱暴な運転に。

 「普段はこんな運転はしない」

 うわ、聞こえてやがった。これだから地獄耳は。あ〜怖い怖い。
611ぽんぽん:2007/01/12(金) 01:38:37 ID:dJ02pqRo0

 「そういや悟、来たときから気になっていたんだが聞いていいか?」
 「うん?何だよそれは。」
 「何でメール返さなかったんだ?それで終わるはずだろ?」
 「いや、返したんだけどさ、また帰ってくるんだよ、何回やっても。他の人にやるっていっても当事者はそのルールから外れるようだな。卑怯だ」

 というのは嘘だ。実際には1回しか返していない、まあ返事はすぐに来たのだが。しかも更に醜悪になって。だから頼ったんだ、ジョージに。
相変わらず何考えてんのかわからんがな。おっと着いたみたいだな。

 事務所に戻るとマコトがそわそわした感じで待っていた。おそらく連絡がないせいだろう。俺よりも慌てているように見えた。
その所為か俺のほうを見て「もうちょっと慌てないのかよ、あんたは」みたいな視線を感じている。

 その後は何もやることはなかった。マコトは相変わらずそわそわ、ジョージは椅子に座って寝てるのか起きてるのか分からん。
ちなみに俺はお茶汲みならぬコーヒー汲みだ。ちなみにマコトのとは味は違う。ジョージも最初は「?」となったが満足してくれたようだ。
その後はずっと無音の状態が続いた。テレビもラジオもつけずに、ただグータラ過ごしていた。

 俺が死ぬまで・・・あと・・・1日と・・・半日・・。

 合間に奈津子や校長からの電話があったが、暇な時間をすごしていた。近藤さんからの連絡を待つという名目で。
だがその『待つ』と言う行動を選んだのは失敗だった、と言えるかもしれない。

 それに気がついたのは深夜、昨日は調べ物をしたが今日は3人とも寝ていた。
612ぽんぽん:2007/01/12(金) 01:41:55 ID:dJ02pqRo0
静寂を劈くような電話音が鳴り響き、男が電話を取る。二言三言交わしてから、俺たちをたたき起こして車が走り出す。

 暫くして車が止まった。見渡してみると、パトカーが数台、警官があわただしく動いている。
俺たちは車から降りて連絡してくれたと思われる男に挨拶をした。近藤さんだ、岡島君は遠くで他の刑事と混じって死体検分をしている。ちょっと気持ち悪そうだ。

 「近藤さん、ジョージです。これは何なんですか?」
 
 ここからは探偵の領分だ、一介の用務員の俺に入り込む余地は何もない。マコトに伝えておいて、俺はテープの外から遺体を見れないかと歩いていた。
まあ見えてしまったわけだが。
 お、ジョージの話が終わったみたいだな、近藤さんも岡島君を引き連れてるし。

 「どうだった?そっちは」
 「どうもこうも、事件の概要と被害者の死因。あっちも頭抱えるだろうな、こんな事件じゃ。 
  それとこれだ。さすがにこれはお前には無理だよな」

 そこに記されていたのは日時と場所、そしてどの携帯に掛けられたかだ。いずれも場所はひとつ、中には俺の携帯の番号も入っていた。
ジョージは相変わらず、いや少し笑顔か?

 俺が死ぬまで・・・あと・・・10時間。
613ぽんぽん:2007/01/12(金) 01:42:31 ID:dJ02pqRo0
ジョージが現場で聞く話というのはいつもは長い、だから今回のように早めに切り上げると言うのはいくらなんでも有り得ない。とマコトが言ってた。
まあそれでも1時間くらいは掛けたのだが。その後は戻って朝食を食べた、腹が減っては何もできねえからな。

 場所は知ってる、足もある、とりあえずパートナー(?)はいる。すなわち準備は整った。
と言うことで俺はジョージの運転するメイフェアに乗ってその場所へと向かっている。ちなみにマコトはおいてきた。

 結構な時間が経ち、ようやく車は止まった。どうやら着いたみたいだ。車から降りて所々ツタの茂ってる白い建物を見上げる。
そう、此処は病院だ。既に閉鎖されたものだが。ちなみに残された時間はあと4時間と少々、まずい。

 病院の中って物は結構広く、また入り組んでいる。俺とジョージは別れるとまずいので前後を確認しながら探索していった。
病棟、ナースステーション、手術室、霊安室…隈なく調べていった。

 病院の中を粗方探し回り、時間も結構経った頃、ジョージがいきなり止まった。そのままぶつかる俺、ぶざまったらありゃしねえ。

 「おい、どうしたジョージ。急に止まるなよ」
 「悟、あれなのか?お前の探していた奴は、あれなんだよな?」
 「ん?あ、ああ携帯持ってるからたぶんあれだな」

 俺達の視線の先には『手』しかも電話を握っている手があった。浴槽からはみ出ているらしいその手は
人の肌が自然に起こす色ではなかった。しかも携帯電話を握っている、電源が入った。

 ちなみにもう時間はそんなには無い、病院内が意外にも広かったのだ。俺はジョージを促し、その部屋に踏み込んだ。
614ぽんぽん:2007/01/12(金) 01:43:33 ID:dJ02pqRo0
奴の体は浴槽のようなものに入っているようだ。おまけに蓋がされているらしくなかなか外に出てこれないでいる。
俺が動かないのを見てジョージが奴の方へ歩いていった、止める間もなかった。

 そのまま奴の腕をつかみ、携帯をもぎ取る。俺の前ではそれが起こるはずだったが、そうもうまくいかないらしい。
ジョージが携帯をつかんだ瞬間奴はその手を振り払い、立ち上がり俺らを睨み付けてきた。恐ろしすぎる形相で。

 「ジョージ、早くしてくれ。言っとくが俺は手伝わんぞ、やったら台無しになるからな」
 
 一応言ってみたものの、奴は無言で格闘を続けている、こっちはもう5分しかないって言うのに。

 「悟、何とか取れたぞ。早くしろ、でないとこっちが危ない」
 「まあ待ってろ。残りは後1分、そろそろかな?」

 『水沼』と格闘するジョージを尻目に俺はあるものを使い始めた。これこそが元凶であり、救世主みたいなものだ。
さすがにこれだけじゃあ味気ない。そう思った俺は適当な物を同封した。

 「ジョージ、もういいと思うぜ。時間はそんなに残されてはいないからな」

 残りは・・5・・4・・3・・部屋の中に聴きなれない音楽が響く。俺の携帯ではない、ジョージも不思議な顔をしている。と言うことは、奴の携帯だ。

 「時間だ。ま、今までのおいたが過ぎたようだな。反省して来い」

 奴の体は崩れ始め、崩れたところは砂のようになっていた。このまま待っていれば終わる。そのまま俺たちは病院を後にした。


615ぽんぽん:2007/01/12(金) 01:44:28 ID:dJ02pqRo0
 エピローグ


 その後、奴の携帯は、何とか粉々にして砂になった奴と一緒に裏地に埋め、手を合わせた。まあこれで出てくることも無い。
ジョージは近藤さんに事情を説明しに行った。何を説明したのかは知らないがまあ大丈夫だろう。マコトには何を話したんだろう。気になる。
ちなみに俺は奴に関するものはすべて消した。もちろん機種も変えた、なかなかカッコいい。そしてその数日後には奈津子とのデート(?)と校長との飲み会
をやってのけた。

 その後ジョージとまた会う機会があって、また同じ質問、つまり「時間制限ぎりぎりで返すことはしなかったのか」をされたが
こういってやったよ。

 「ちょっと可愛い子供の悪戯に付き合おうかなと思っただけさ」

 その割にはハイリスクだったがな。
 
 
616ぽんぽん(執筆後期):2007/01/12(金) 01:49:40 ID:dJ02pqRo0
元ねたは「着信アリ」です。
大筋の話は「1」より、法則は「3」より使わせてもらいました。

長編は苦手な方なので数を重ねて何とか見られるようなものを作りたいと思います。


評価が怖い…。
617本当にあった怖い名無し:2007/01/12(金) 02:23:33 ID:/A8php07O
>>616
乙でした
ジョージがやけにフランクなのは、相手が悟だからと勝手に考えてる
618本当にあった怖い名無し:2007/01/12(金) 03:04:30 ID:MEcfbPb30
>>616
失礼ながらぽんぽん氏の作品は自己満足のような気がする。
他の書き手さんのように入り込めない。
自分に理解できないだけかもしれないが、意味がわからない時がある。
619pDOG ◆MjRkBb/jUw :2007/01/12(金) 09:09:59 ID:BlIYpePp0
起きたら長編が、いやいやGJ!^^b
着信アリの3見てないから「あるもの」がわからない私orz

あつかましいですが少し感想などを

ええっと、まず私はかなり面白かったですよ。がんばりましたねっb ただちょっと引っかかった点がいくつか、
・ジョージがパソコンをいじくってるっ? Σ( ̄□ ̄)!
・近藤さんが検分していた死体は誰? (゚Д゚≡゚д゚)?
・警察の捜査に探偵が首突っ込んじゃ駄目ー (;^_^A
・ジョージが呪いや悪霊の存在を信じている? (ノ∀`)

きっとぽんぽんさんの中では話が繋がっているのだと思います。でも読み手はあれっ?と思うはず。
>>618さんが自己満足と表現しているのは、そこが伝わってないからだと思いますよ。

かといって、情景を説明しているだけだとつまらないんですけどね。

これらの矛盾やあれっと思う部分は、各キャラクターの設定(イメージ?)をしっかり抑えていけばかなり解消されるはずですよ。
まぁ、それぞれの読み手さんのイメージにすべてぴったり納めるのは無理ってもんですが^^;
あと、各職業の領分などは単なる知識の問題ですから、これから勉強していけば無問題。

うわ、かなり偉そうだな私orz 敢えて書こう、俺キメェwwwwww

それらを抜きにしても、今回の話はかなり純粋に楽しめましたよ^^
ぽんぽんさんがだんだん上手くなっていく様子がわかります^^ 次回に期待、かな。
それでは乙でした。

って、私ももっとがんばらないとなぁorz
620pDOG ◆MjRkBb/jUw :2007/01/12(金) 09:39:50 ID:BlIYpePp0
そうだ、もうひとつ。
まとめには>>552の導入部分から載せましたけどよかったでしょうか?
621本当にあった怖い名無し:2007/01/12(金) 09:53:13 ID:7bJVC0rW0
俺は、462を書いた者なんだが、618と同じような感想を持った。
なぜそう思うのかを、少し考えてみた。

・一行が長い。また、一作品も複数レスにまたがっている
→ネタを練り込むことで解決できるか。必要のない情報は思い切ってカットすればいいだろう。
 ただし、カットしすぎると読み手が混乱する。程々を見極めなければならない。
・キャラクターの特徴のつかみが甘い。何度かジョージらしくないと指摘されている
→投下されている作品を何度も読んでキャラクターのイメージを掴むしかない。
 また、同じような雰囲気を持つ作品を読むのもイメージ補強の助けになる。
 小説が厳しいなら、映像作品や漫画でもいい(高橋ツトムの地雷震は主人公は刑事だがクールさの手本になる)
・♪などの作品背景にそぐわない記号を使っている
→使わなければいい。悟のストーリーはやや軽い感じの話なので♪を使えば手軽に軽い感じを演出はできる。
 しかし、こういった記号は他の書き手が使っていないため違和感も持たれやすい。
 >>530の519氏の作品は、そういった記号を使わず軽い雰囲気を演出している。
・表現が幼い。これは筆者が学生であるため仕方がない部分か
→これは今までどれだけの本を読んできたかの話なのでどうしようもない。
 それでも今すぐ改善できる部分があるとすれば、擬音を極力使わないようにすることか。

偉そうなことを言って申し訳ないが、これが俺の感想と意見だ。
確かに、書くうちに慣れてくるだろうが、だらだらと書くだけではあまり文章力は上達しないと思う。
まずは、1レスで収めるよう練り込んでみてはどうだろうか。

とだらだら考えているうちに、似たようなことをpDOG氏に書かれてしまったな。
かっこ悪いな、俺。
622本当にあった怖い名無し:2007/01/12(金) 20:35:49 ID:v/Im1a460
えー、2ch閉鎖するのか。
そうなったら、まとめサイトでやり取りするしか無いのだろうか。
623本当にあった怖い名無し:2007/01/12(金) 23:40:23 ID:gJ9OdFB3O
624本当にあった怖い名無し:2007/01/12(金) 23:41:17 ID:gJ9OdFB3O
>>611-
ごめんなさい
625pDOG ◆MjRkBb/jUw :2007/01/12(金) 23:44:28 ID:3SB3xTy/0
あらあら、仕事から帰ってきたらまた2ちゃん閉鎖祭りですか(苦笑
まぁどうなるか解りませんけど、無くなったら考えましょ。

>>621さん詳しい説明感謝です。細かく書くの苦手でして^^;

私もまだまだですけど、一足飛びに上手くなんてなれないと思いますし、
今は書いて慣れてゆくしかないんじゃないかな >ぽんぽんさん
小手先の技術ばかり身につけるのも逆効果になる恐れもありますしね。
まずは621さんのアドバイスを実行して見てはどうかな。

応援してますよ^^b 頑張れー


沈み込んでいるのもなんなので成長期待age
626本当にあった怖い名無し:2007/01/12(金) 23:45:30 ID:3SB3xTy/0
あがってないしorz
627ぽんぽん:2007/01/12(金) 23:59:21 ID:dJ02pqRo0
うー、やっぱり長編は書くには早かったみたいですね。失敗です。
アドバイス有難うございました。次は頑張ってキャラを理解したいな。
628ぽんぽん:2007/01/13(土) 00:59:51 ID:bVLeI2qE0
俺の名前は悟。昼は子供を、夜は女を楽しませる用務員さ。

 最近思う、本当に俺は用務員か?確かに子供に慕われている。先生にも評判は良い、此処までは普通だろう。
だが、部屋の前にどす黒い大型犬がこっちを向いて鎮座してるってのはどういうことだ?

 しかもこの犬、初対面って訳でもない。始まりはある夜だった…。

 その日は女の子とひとしきり遊んだ後、友人の車に乗るため地下駐車場を歩いていた。もちろん酒は無しだ。
今は厳しいからな、ひょっとしたら岡島君に捕まるかも…。

 グルルルル……

 唐突に獣の鳴き声、俺のフェロモンは獣まで呼ぶのか、そう思ったが違うようだ。また鳴いてやがる。

 ドスン…ドスン…グルルルル…

 どんどん近づいている、そう思った俺はバッグにつめた料理用の肉(特売品のシールつき)を取り出した。
そしてそれを声のする方へ放る。

 グルルルル…ムシャムシャ

 どうやら気に入ったみたいだ。「お代わりチョーダイ」そんな目で俺を見つめてくる、チワワじゃないんだから。
それにお前でかすぎだ。しかも逃げようとするとついて来る。 仕様がねえ連れて行くか、子供にいい教育になるだろ。

 そして今に至る。実際評判はいい、来る子供の数も増えた、しかし名前はまだ決まっていなかった。
独りじゃ決めるのも難なのでそばでお茶を飲んでる奈津子に聞いた。そしたら少し考えた後。

 「う〜ん、黒いから『クロ』でいいんじゃないですか?」
 
 それから犬は「クロ、クロ」と呼ばれている。 
629ぽんぽん:2007/01/13(土) 01:06:05 ID:bVLeI2qE0
http://www.youtube.com/watch?v=HmxI_hEGaNk元ねたです
少し軽めにやってみました。
630519:2007/01/15(月) 15:22:24 ID:hjYPA6Zr0
僕の名前はマコト。お金が無くても強く生きている探偵助手さ。

僕には悲しいくらいお金がない。
ジョージさんの所で貰える給料はほんの小遣い程度。生活するために、別のバイトもやってるくらい。
だから、家賃光熱費食費と必要経費を払ったら、もうほとんどお財布空っぽ。泣けてくるね。

そんなわけで住んでいるアパートも、家賃の安さが決め手。
多少ボロかろうが、トイレが共同だろうが気にしない。お風呂はジョージさんの所で入れるしね。
これで家賃が月に4万ちょっと。
それでも、四畳半と六畳の二部屋あるアパートなんだから結構良いでしょ?

四畳半の部屋は僕のベッドルーム。と言っても布団敷くだけなんだけどね。
ある日、寝ていると隣の部屋からぼそぼそと話し声が聞こえてくる。
ああ、また誰かが勝手に入り込んだな。
悪友達はなぜかみんな合い鍵を持っているし、ジョージさんも持っている。それどころか、悟さんやミキさんまで。
僕にプライバシーはないんだろうかと悲しくなったんだけど、あの人達に何いっても無駄だからもういいや。

それから何日かたったある日、悪友の一人と家に帰ってきたんだ。夜中飲み明かすつもりでね。
彼がノブを掴み、普通に中に入ろうとドアノブを廻したんだと思う。その瞬間、彼がふっ、と立ち止まった。
「今・・・向こうでノブ、誰か廻したぞ・・・」

僕はちょっと感動した。
大家さんはドアにキーレスエントリーを付けてくれたんだ。ボロいボロいと蔑んでごめんなさい。
僕は(見た人みんなもつられて幸せになると自分で思っている)感動の笑みを浮かべてドアを引いた。
悪友は逃げるように帰っちゃったけど、どうしてだろ?おーい、この酒みんな貰っちゃうよ?

でも大家さん、どうせ付けてくれるなら、鍵が開くだけじゃなくて、ドアも開くようにして欲しかったなぁ。

元ねた:PART2 ドアノブ2
631519:2007/01/15(月) 16:55:18 ID:hjYPA6Zr0
岡島です。職務に忠実な法の番人を自負しております。

110番通報があったということで、自転車で警邏していた僕は至急現場に向かいました。
途中でハコ長とも合流し、現場の民家に到着。
住人の方が静かにとジェスチャーしていたので、そっとブレーキを掛けました。
古い自転車は、それでも抗議するかのような鈍い音を立ててくれましたけどね。

何事が起こったのですかと住人に聞くと、誰もいないはずの2階から確かに足音がしたそうです。
最近は物騒ですし何か遭ってからじゃ遅いですから、すぐに100番した住人はグッジョブです。
ハコ長は住人を下がらせると、僕に先にはいるように言いました。
ちょっと怖いんですけど、僕は正義の味方の警察官だ!と心を奮い立たせ、警棒を手に民家の中に入りました。

2階に上がっても誰もいません。
ハコ長はまだ階段の途中です。ずるいなぁ、危険そうな仕事は全部若手に押しつけるんだもんなぁ。
しかも、住民の母子がハコ長の後ろに付いてきています。外にいなさいって言ったのになぁ。

ぶつぶつ文句を言いながらですけど、2階を一通り見て回りました。
もちろん、クローゼットも見ましたよ。でも、なーんにも異常はありませんでした。
気のせいでしょうと僕が言うと、母子も安心したようでお茶なんて出してくれました。

その時です、台所にいた4人、僕、ハコ長、母子全員がミシミシと軋む音を聞いたのです。
確かに何かいます!
母子はおびえてその場にへたり込みました。ハコ長も腰が引けています。僕が行くしかないですね。

2階に上がる途中、ふと気づいたことがあったんです。天井の高さの割に階段が長い。
そうです、この民家には、1.5階とも言うべきスペースがあったんです。
そこに、身なりがボロボロの男が潜んでいました。刑法130条、住居侵入罪です。
もちろん、現行犯逮捕しましたよ。
この調子で手柄立て続けたら、今度こそ本当に刑事になれるかなぁ。

元ネタ:PART2 今帰ってきたの?
632本当にあった怖い名無し:2007/01/15(月) 18:07:13 ID:4ZxroonL0
素直にワロタ。マコト・・・酷い扱いだなw
633本当にあった怖い名無し:2007/01/15(月) 19:22:49 ID:upiz42RU0
やっと書き込めるようになりましたかorz
規制されまくりで笑うしかないです><

ぽんぽんさん519さん乙でした。
ちゃんとスレはチェックしてますしまとめブログも更新もしてますよー

では私も。

今回は本当に本当に、非難・ツッコミ・酷評の覚悟はできております。
どうかお手柔らかにorz
634千鳥ケ淵 1/8 pDOG ◆MjRkBb/jUw :2007/01/15(月) 19:23:28 ID:upiz42RU0
俺の名前はジョージ、しがない探偵なんて稼業をしている。
俺がその女の死に興味を持ったのは、ある調査がきっかけだった。

依頼人はテレビでも顔なじみの有名女優“I”
あるホストの素行を調査して欲しい、と頼まれた。

それはよくある浮気調査だった。
“I”がホストクラブに出入りしていることも若いホストに入れ込んでいることも、
ワイドショーを見ている主婦なら誰もが知っている。

ホストの源氏名は“ヒカリ”、新宿のホストクラブ“L”に勤務している。
女優“I”よりも十歳も年下で、童顔で優しい顔立ちの男だった。

くだらなくて、切実で、女のプライドと愛情の全てが詰まった仕事。
俺は依頼を受けたその瞬間から調査を始めた。

仕事を終えて帰宅するヒカリを尾行し、出勤するまで張り込みを続ける。
特におかしい素振りや怪しい行動は無い。
店内でのヒカリの言動は“I”の協力の下でこちらに入ってくるが、
ホストの中でも特に一途な奴らしい。

なぜこの男を疑うのか俺には理解できないくらいだ。
野心に溢れ誰もに好かれ大金を稼ぐタイプではなく、誠実ないい奴に見えた。

だが、調査を開始して3日目の夕方、ヒカリはおかしな行動を取った。

車に乗らず、ふらふらと徒歩でマンションを出る。
もうすぐ出勤時間だというのに部屋着のままだ。

そして俺の見ている目の前で千鳥ケ淵の水中に沈んでゆき、

そのまま上がってくることは無かった。
635千鳥ケ淵 2/8:2007/01/15(月) 19:24:02 ID:upiz42RU0
ヒカリの死体が上がったのは大規模な捜索が始まってから13時間後のことだ。

花見の季節にはまだ早いとはいえ、千鳥が淵周囲は人通りも多かった。
目撃者も多く、その間にマスコミやインターネットでも取り上げられ、
このホストの入水自殺は瞬く間に俺の依頼人の耳にも届いていた。

俺は纏めた報告書と一緒に“I”のマンションを訪ねた。

まだ“I”には涙の跡は無い。ヒカリの死を信じられないといった様子だ。

俺の報告書に目を通す。
責められるかとも思ったが、まだ大人の対応ができるようだ。

そして、これも俺の予想に反して調査は継続されることになった。

「インターネットをご覧になったほうが、理解していただけると思います。」
そんな思わせぶりな言葉が調査継続の理由だった。

理由はすぐに判明した。

俺の目にはヒカリは一人で、着衣のまま、まるで泳ぐように水の中に歩いてゆき
不意に潜って姿を消したように見えた。
周囲の人間が騒ぎ出したのも、俺が何をしようとしていたのかを理解したのも、
水面にヒカリが浮いてこなくなってから5分は経った頃のことだ。

だが、インターネットでは別な説が浮上していた。

目撃者の証言はかなりの数「ヒカリは二人で水の中に入った」と言っていたのだ。

茶髪に派手な化粧をした二十歳くらいの女に手を引かれていた、と書いてあった。
もちろんその女の死体は上がっていない。心中説、幽霊説など大変な騒ぎだ。
ゴシップ好きの野次馬に恰好の餌が与えられたようだった。
636千鳥ケ淵 3/8:2007/01/15(月) 19:24:44 ID:upiz42RU0
不透明な女の正体は、すぐに突き止められた。
新宿の“L”でヒカリと仲のよかった数人のホストに聞き込みをしたところ、
彼らは口をそろえて「きっとユキちゃんだよ。」と答えてくれたのだ。

六本木のキャバクラ“R”で、2年前にトップだった“ユキ”
本名、林 有紀。当時19歳。

ヒカリの結婚相手だった。

ヒカリは2年前にユキと結婚していた。

そして、二人はその一ヵ月後に無理心中を図っていた。


 ユキは命を落とし、


 ヒカリは生き残った。


「きっとユキちゃんに呼ばれたんだよ。」
そんなホスト仲間の戯言に興味は無いが、少し引っかかるのは確かだ。
ヒカリが「心の病」を抱えていた可能性だってある。

俺はまず多摩川沿いにあるユキの実家に足を運んだ。
そこでまだ傷の癒えていない母親と話しをすることが出来た。

母親の話ではユキは子供の頃から意志の強い、自我の強い子供だったらしい。
高校を中退しアイドル歌手を目指して上京したはいいが、挫折。
それから水商売を続けていたらしい。

なるほど、確かに個性の強い顔立ちをしている。
637千鳥ケ淵 4/8:2007/01/15(月) 19:26:28 ID:upiz42RU0
閉店後の六本木“R”、明るくなると絨毯の汚れは一際大きくなる。
酒と欲望と、血と吐瀉物とが混じった赤黒い染みが店のそこかしこにあった。

俺のことを煙たがっている店長と、当時を知る一人の女と俺は差し向かいで座っていた。

「ユキは綺麗な子だったよ。」
そのホステスはあまり嫌な顔をせずにユキについて俺に語ってくれた。

「聞いた話だけど、ユキって中学のころから男が切れた事が無いんだって。

自慢してた。

いつでも2〜3人、呼べばすぐ来る男がいたし、
“うち”に来てからもあっというまにトップだもん。

なんか男を挽きつけるフェロモンとか出てるよ、絶対。

本命?

何言ってんの?ないない。
あの子、男に惚れたことないんじゃないかな。

じゃなければ、あんなに男を道具みたいに扱えないって。

ヒカリ君?知ってるよ。

でも本命じゃないはず。そんなに好きでも無かったはずだから
結婚したときはびっくりよお。

第一ホストなんかに本気で惚れると思ってんの?

面白いね、探偵さん。」
638千鳥ケ淵 5/8:2007/01/15(月) 19:27:05 ID:upiz42RU0
「あー、もう言っちゃってもいいよね。」
“L”に出勤しようとしていたホストはそう言って自分に許しを得た。

「ヒカリはさ、ホントいい奴だったんだよ、ですよ。
この仕事しているのが不思議なくらい。

見る目のある女はヒカリを選びましたよ。

Mo.1になるのは無理なタイプですけどね。
難しいッすね、この仕事。

…あ、すんません。

凄く一途でさ、ユキちゃんと付き合うようになった時も凄く嬉しそうでしたよ。
本気でユキちゃんのこと好きだったみたいですよ。

でも、魔が差したんですよ。

ヒカリの奴、一回だけ浮気をしたんですよね。

それがユキちゃんにバレちゃって、凄い修羅場になったみたいですよ。

でも、そのあとすぐに結婚することになって、
仲直りしたんだと俺たちみんな思ってましたよ。

そしたらさ

すぐ二人で死にかけたとか言うし、ユキちゃんマジで死んじゃうし。

マジ、わけわかんないッすよ。

もういいですか?遅刻しそうなんで、それじゃ。」
639千鳥ケ淵 6/8:2007/01/15(月) 19:27:59 ID:upiz42RU0
「そう…ですね、有紀は私には比較的、なんでも話してくれた、と思います。」

冷めた喫茶店、冷めたコーヒー。
高校時代の友人に話しを聞く事が出来たのは幸運だったのだろうか。

「でも、有紀って何考えてるのかわからないところあったから…

あんな…心中なんてするなんて…

ヒカリさん、ですか?……ああ、ヒカリさん。
収入のいいイケメンだって、かなり自慢してましたね。

好き、だったと思いますけど……?

うーん、どうだろう…
ね、そう、そう、ヒカリさんと一緒に死のうとしてますからねえ。

ああ、はい、理由については何にも……すみません。

 え?

 …………

…はい、有紀のことキライって女の子多かったですよ。
男を取られたとか、ちょっと綺麗だからって生意気とかよく言われてました。

嫌がらせとかされたこともあったみたい。

ホントに自分が綺麗なの、有紀、自慢してたから。

おばさんになんかなれないよねって、よく言ってました。
ええー?信じられないですよー今でも。」
640千鳥ケ淵 7/8:2007/01/15(月) 19:29:54 ID:upiz42RU0
この他にも数人の証言を得ることは出来たが、まあ似たり寄ったりだ。
近藤さんに当時の資料を見せてもらったが、心中のセンも間違いない。

多量の睡眠薬とウォッカの併用。
どちらもユキが自分で購入し、使用している。

ヒカリは“それ”に無理矢理つき合わされたらしい。

ヒカリ自身の証言でも、この無理心中の理由ははっきりしない。
ある日突然ユキに「一緒に死んで。」と言われた、とある。

それ以上の理由は不明だ。

119番に通報したのはヒカリ自身だ。
睡眠薬服用からおよそ20時間後、意識を回復し救急車を呼んでいる。

死ぬのが怖くなった、そう証言したらしい。
目を覚ましたら怖くなって、ろれつの回らない口で急いで救急車を手配した。

だが、ユキは助からなかった。

ヒカリはかなり憔悴していたらしいが、半月後に退院しホストに復帰している。

 それから2年。

ヒカリの心の傷が癒えた頃に出合ったのが、女優“I”だった。

一回り近い歳の差が、かえってよかったのだろう。
二人はゆっくり時間を掛けて恋に落ち、そして結ばれた。


その直後、ヒカリは自殺したのだった。
641千鳥ケ淵 8/8:2007/01/15(月) 19:31:21 ID:upiz42RU0
ここで調査は打ち切られた。
“I”はこれまでの俺の報告書に目を通し、もう結構です、と言った。

正直、まだ俺には納得いかない部分が多い。
ヒカリの死も2年前の心中の理由も、まだ解明されてはいない。

俺の調査に不満があったのだろうか。
不安が咄嗟に頭をよぎったが、どうやらそうではないらしい。

 “I”は妙に落ち着いていた。

 これまでの調査報告で何かを悟り、自分なりの結論に達した。

 そんな表情をしていた。

 端正な横顔に、涙が一粒、流れて落ちた。

こうして、俺のファイルはまた1ページ、謎のまま閉じられることになった。
帰り際、美しい依頼人が立ち去る俺に深々と頭を下げる姿が見えた。


 そして俺は千鳥が淵に立ち、この景色を見下ろしている。


野次馬やマスコミの数はこの数日で減ったようだが、それでもまだ賑わいを見せていた。

 俺はタバコに火をつけた

 濁った水

ヒカリを飲み込んだ堀の水は今日も泣き出しそうな雨雲の色だ。
俺のやるせない気分を映し出すような、そんな曖昧で静かな、水の色だ。
642エピローグ:2007/01/15(月) 19:32:34 ID:upiz42RU0
寂れた裏通りのひなびたバーで、俺は今夜もバーボンのグラスを傾けている。

俺の隣の席にはサオリが座っている。

他に客は居ない。

店内には聞きなれたいつもの曲が流れている。


 ──少し、酔ったようだ。


普段なら絶対にしないことだが、俺はサオリに今回の事件について話していた。

“答え”が知りたかった。

途中で打ち切られたからではない。
これ以上調べても俺には解けないと直感がそう教えてくれていた。

サオリは静かに俺の話しをすべて聞き終えた。

少し酔ったサオリは頬を桜色に染め、綺麗だった。


サオリはくすりと微笑むと、テーブルの上で指を組んで俺を見つめた。


「ジョージ君には…わからないでしょうね。」


サオリはもう一度悪戯っぽく、くすりと笑った。
それは俺が今まで見た事の無い、寂しくて優しい、サオリの自嘲の微笑だった。
643本当にあった怖い名無し:2007/01/15(月) 22:19:44 ID:wZKIXQ4h0
元ネタが分からないのでなんとも言えないですが、pDOG氏の表現好きです。

ただ、私も事件の意味が分からなかった。
どういうことなのか解説をお願いするのは野暮だろうか。
644本当にあった怖い名無し:2007/01/15(月) 22:39:02 ID:Gjy5FNVH0
>>634-642
pDOGさん、乙です。

私も意味が分かりません・・・orz
ぜひ解説をお願いします。
645本当にあった怖い名無し:2007/01/15(月) 23:30:05 ID:Ol+YR9LR0
>643-644

pDOG氏じゃないけど
「怪談 千鳥ヶ淵」でぐぐるとよろし

古典ネタもまたよろし(・∀・)
646ぽんぽん:2007/01/15(月) 23:36:32 ID:Bkb9qfdq0
皆さんお初お目にかかります。私?私はクロと言います。少し前に新しい飼い主の悟さんに連れて来られた犬です。
ついでに言うといままで暗いところで過ごしていたのでまだ日の光には慣れていません。ああ眩しい。
そんな私が散歩するのは主に暗くなってから、月の明かりがちょうどいいくらいです。此処最近歩いていないので
太ってしまうかもしれません、よって行ってきます。

 やってきたのはまばらな住宅街、昼間なら騒ぎになりそうですが今は深夜、聞こえるのは風の吹く音だけです。
しかし突然私の耳に足音が聞こえてきました。知ってますか?犬は鼻だけでなく耳もいいのですよ、目は良くないですがね。

 コツコツコツコツ…

 足音と共に現れたのはマスク姿の女の人、背も高く、線も細いすらりとした印象を持ちました。
風邪でも引いてるのでしょうか。その人がマスクを取り、

 「私ってキ・・・」

 おや、どうしたのでしょうか。はっ!もしかして私が大きすぎて驚いたとか?に、逃げないと
このままじゃ話が広がっちゃう。でもあの人ずっとこっちを見てる、どうしよう。

 「い、い、い、犬だーーー!!しかも大きいーーーー!!可愛いよーーー!!」

 うわあああ、いきなり飛び掛ってくるなんて、あでも撫でられるのはちょっといいかも。気持ちいい〜。
ほんとに嬉しそうだな〜、目がキラキラしてるよ。あ、いつの間にか背中に。でも耐えられるからいいか。

 「行け〜クロ助。ほら進め〜」

 うわ、桃太郎の生まれ変わりですか?あんたは。しかも酔ってるのかな。あ、お尻は叩かないで。
その後は女の人と近くの空き地で戯れました。あの人の手は気持ちいいですね、またお世話になりたいものです。

 元ねた  口裂け女
 
647pDOG ◆MjRkBb/jUw :2007/01/15(月) 23:38:34 ID:upiz42RU0
読んでいただいて感謝します、解説は…勘弁してください^^;

「怪談千鳥が淵」を改変(反撃)というより、「新説」みたいにできたらなぁ…とか思って書きました。
元の千鳥が淵が純愛なので…というのがヒントです。

全部言ってますね、野暮ですねぇ、私(苦笑
648pDOG ◆MjRkBb/jUw :2007/01/15(月) 23:43:31 ID:upiz42RU0
リロードしないで投稿したらorz

ぽんぽんさん乙でした^^
クロって…こんなにかわいいキャラだったんですかw
649本当にあった怖い名無し:2007/01/16(火) 01:51:27 ID:tXBpSNHL0
>>pDOGさん乙

>新説 千鳥が淵

大沢在昌の佐久間公シリーズを思わせる話しの感じで好きです。
本来?のクールなジョ−ジの一面ていうかんじで良いですね。
普段だと、そのクールさがオカルト事件によってお笑いネタになっているけど。
650644:2007/01/16(火) 03:14:23 ID:DuPbqAj/0
>>645さん、ありがとうございました。
元ネタを読むことができました。
651本当にあった怖い名無し:2007/01/16(火) 05:06:50 ID:wW4sVFpe0
何これ、わけわからないんだけど誰か説明キボン
652本当にあった怖い名無し:2007/01/16(火) 09:57:36 ID:8jfTd+jM0
>pDOG氏
うまくググれないのか、映画のレビュー的なモノしかみれなかった。
それを踏まえた感想だが・・・

元ネタが古典的な怪談で、悲恋モノ。映画みてないので想像ですけど、完成されたとても美しい映画と思われる。
完成された話は、あまりいじくらない方が良いのではないかと思った。
自殺したヒロインのイメージも壊れてしまっているし、依頼者(元ネタで言うと大店の娘か)の設定もなんか変だ。
そのまま現代に移行して、ジョージの朴念仁(そもそもジョージは朴念仁なのだろうか?)を表現した方が良いと思った。

厳しい意見も・・・と603で書かれていたので、忌憚のない意見を書いてみた。

>ぽんぽん氏
思いついたことを勢いで書いてしまった感が否めない。
勢いで書けること良いことなのだが、やはり勢いだけなので良作品かと言われれば?マークが付く。
誰かも言っていたが、練り込みが必要なのではないか。
ただ、1レスでまとめるよう書いているのは良いと思う。
短い中で書きたいことといらないモノの判断が付くようになれば、とても良い書き手になれると思う。
653pDOG ◆MjRkBb/jUw :2007/01/16(火) 11:54:52 ID:tbBMvB2N0
>>652
そういうご意見をお待ちしておりましたm(_ _)m
元の話は…映画を見ていただくしかないようですね。
ようつべ他映像も探して見たのですが、今、インターネットで見られるところはないようですorz

現代なら、私なら、女の本性なら…なんていろいろ想像が膨らみすぎてしまったようです。
結局、純愛・悲恋の名作を、ひねくれものの私が酷い欲深い話に変えてしまっただけなのかも…
やっぱり今回はさすがに調子に乗りすぎてしまいました。

原作が好きな方、不快な思いをされた方がおりましたら、申し訳御座いませんでした_| ̄|O
654pDOG ◆MjRkBb/jUw :2007/01/16(火) 13:07:14 ID:tbBMvB2N0
絶対やっちゃいけないことなのは重々承知なのですが、>>652さんだけに通じているのもアレですし。
この際なのでいいわけついでに全部解説しますorz  元のあらすじはググってみてください。

まず、凄く曖昧な話を書こうと思いました。本編通りジョージにはさっぱり、各証言者にはその一部分だけ、
サオリと女優"I"には通じて、読者には「なんとなく」くらいがいいかな、と。

元の「千鳥が淵」は結ばれない二人の悲恋の心中から始まりますが、今回は違います。
ヒロインのユキはあくまでも自我が強く(>>636)ワガママで欲深い女です。結婚の理由も愛情ではありません
>>637-639)、ヒカリの(男の)純粋さ一途さにつけこんで搾取しようとしている女です。(>>638>>639)、心中の
理由は敢えて曖昧にしてあります。強いて言えば「若さと美への執着」でしょうか(>>639)。でもここにもユキの
わがままさが出ていて「愛されたい」「一人になりたくない」などの理由から男を道連れに死のうとしています。

死を選ぶ理由、人を殺そうと(道連れにしようと)する理由は凄く内面の深い部分に触れることなので、
はっきり言って書いている私自身も明確な結論を出していたわけではありません。
ただ、多くの人が一度は利己的に「死にたい」と漠然と感じたことのある、あの感情そのままに表現できれば
と思いました。

655pDOG ◆MjRkBb/jUw :2007/01/16(火) 13:07:58 ID:tbBMvB2N0
なんでこんなヒロインにしたかといいますと、最後の立ち直り、新しい人生を歩む男を許せなかったからなんですよね。
元の映画では3年も経っているのに嫉妬(?)からか男を殺しに化けて出てきます。
心中は失敗に終わりますが、その情念(欲深さ)が視聴者にゾクッとこさせる部分なんだと思いました。
なので今回はそれを強調して、より「欲深く自己中心的な人間の本性」とかが書けたらなぁ、と^^;

今回の事件を理解しているサオリと"I"、この二人には同じような欲や過去があったという表現です。
アキヒコの死の後も、そして若さを失ってもなお「生きている」サオリには特に通じている様子が書けたらなぁ、と。
自己中ですが「若くして死ねた」「恋人を躊躇い無く道連れにした」ユキをある意味うらやましいと感じている、
なんて裏設定も考えました。

で、読者にはこの全体像がなんとなく伝わればいいなぁ、というスタンスだったのですが…

はぁ、自分で作品解説、やっちまいました。
次回はもっとわかりやすい話を心がけますorz

お目汚し申し訳御座いませんでした >>ALL
656本当にあった怖い名無し:2007/01/16(火) 15:22:36 ID:uuI+C0o1O
Iの人物像は正直よく理解出来なかった。
でもサオリはアキヒコが死んだ後、"死ねなかった"や"生きなければならなかった"ではなく
生きる事を自ら選んだ、そういう芯の強さを持った女性だと思ったから、>>655を読んでIもそういう女性なのかなと思いました。
でもそういう心境とは裏腹に、ヒロインの様な欲に忠実な生き方に少なからず憧れてしまう気持ちも間違いなくあるんですよね。
なんだが論点がずれてしまった気がしないでもない^^;すみません。
657本当にあった怖い名無し:2007/01/16(火) 23:40:01 ID:3E1p1we70
人の気持ちならそのくらい曖昧でもいいのでは?
658本当にあった怖い名無し:2007/01/17(水) 23:55:11 ID:qKGvNcF90
★ゅ
659519:2007/01/18(木) 12:54:03 ID:L3UsdQM30
アタシの今の名はミケ。自分の縄張りを大切にする猫さね。

いつもの習慣で、アタシは自分の縄張りの見回りをしてたのよ。
どこそこで黒猫が子供を生んだだの、隣町のグループが越権してきただの、どーでもいい話を聞きながらね。
その中でちょいと気になる話題があった。
アタシの縄張りに、ものすごい怨念を持った幽霊が入り込んだって。

めんどくさいのが入り込んだもんだ。
子分達は、見ることはできても対処できないし、しょうがないね。
アタシは早速怨霊の居るところに行ってみた。

おやおや、何が楽しいのか手当たり次第に恨み辛みぶつけてるねぇ。
怨霊は行き交う人々に怨念を注ぎ、成仏しようとしている死者を捕まえては取り込もうとしていた。
あん?そこに引っかかってるのは、昨日亡くなったトメ婆ちゃんじゃないか。
人が良いからあんなケチな怨霊に捕まっちまうんだねぇ。

アタシは無造作に怨霊に近づくと、有無を言わさず怨霊を喰っちまった。
あーあ、これで今夜はお腹の調子が悪くなるね。まったく、嫌になっちまうよ。

その後、律儀にもトメ婆ちゃんはアタシに挨拶してきた。
別に婆ちゃんのためにやった訳じゃないよ。めんどくさいのでシッポだけで相手してやった。
それでも天井の隅辺りでペコペコしてるから、成仏するまでじっと見つめて見送ってやった。ヤレヤレだね。

「ミケ、何みてるんだい?」
やっかいになっている探偵の子分が聞いてきた。
アンタにゃ見えないよ。人間にはニャーオとしか聞き取れないだろうが、一応返事はしておいた。
それでも満足したのか、マコトはドライフードをいつもの皿に盛った。
やあねぇ、変なモノ食べた後はカリカリよりも缶詰のが食べたいねぇ。
アタシはプイッとそっぽを向いて後ろ足でお皿を脇に追いやり、マコトを困らせてやることにした。

元ねた:PART2 ペット&作者がどこかで聞いたことのある霊を食らう悪霊の話
660pDOG ◆MjRkBb/jUw :2007/01/20(土) 00:09:59 ID:s2mEFrGo0
私の名前はサオリといいます。
今は亡くなった主人が残してくれたアパートの家賃収入で暮らしています。

アパートといっても古い5階立てのビルです。
戸数も多いので特に生活に困ることはありません。
あの人、アキヒコさんはいつまでも私のことを守ってくれているのですね。

アキヒコさんは不思議な人でした。

明日のお天気や私の考えていることなどをぴたりと当ててくれるのです。
ある時、エスニック料理店で食事をしました。お酒が入って私が、
「ねえ、私の気持ちがわかる?」
と、言うと、アキヒコさんは私の手を取って
私が頭で考えた色や友人の名前を次々と当ててしまいました。

しばらく盛り上がると、不意に私の頭にある子供のことが思い浮かびました。
姉の子供です。名前を「のんちゃん」といいます。

「よし、じゃあね、私がお姉ちゃんの子供にこの前買ってあげたものを当てて?」
と、私は頼みました。
「それは難しい問題だなあ」
とアキヒコさんは笑っていましたが、急に難しい顔をして「う〜ん」と考え出しました。

「黄色い……ドッジボール。」
ひとしきり考えた後、アキヒコさんはそう答えました。でもこれはハズレでした。
私がプレゼントしたのは黄色い縄跳びだったのでしたから。

後日、姉から私たちが食事をしていたまさにその瞬間、
のんちゃんが車の事故にあっていたことを教えてもらいました。

のんちゃんはドッジボールで遊んでいたそうです。
ボールがクッションになったおかげで軽い擦り傷だけで済んだと姉は笑っていました。
661pDOG ◆MjRkBb/jUw :2007/01/20(土) 00:10:50 ID:s2mEFrGo0
アタシの名前はミケ。少し前まではミィ。その前は…もう忘れたよ。

まぁ、アタシたちにとって名前なんてあまり意味は無いんだけど。
人間ってのはいちいち名前をつけないと区別もできないのかね。

今のアタシの名づけ人は売れない探偵なんて仕事をしている。
もっとましな仕事をすればいいのに、なんて思うけど。
こんなに世話の焼けるボスもそうそう居ないよ。

この間も、
「おいミケ、ハト喰ったろ。」
なんて言いがかりをつけてきた。

ハト?

そんなものは知らないよ。ケチつけるんじゃないよ。
アタシはお気に入りの出窓に乗ってツンとそっぽを向いた。

あら、いい風ね。

なんでもハトは幸運を呼ぶからわざと捕まえないようにしてたんだって。
寝ているときに事務所によく入って来ていた…なんて…

やっとわかった。ああ、アイツのことね。

確かにアタシが食べちゃったけど。
仕方ないでしょ、食べるものは自分で調達ってボスが言ったんじゃない。

とりあえず怒られないように毛づくろい毛づくろい……

でもね、ボス。アイツはあまりいいモンじゃないよ。
まぁそんなに気になるなら、今度来たときには手をつけないであげてもいいけどねぇ。
662pDOG ◆MjRkBb/jUw :2007/01/20(土) 00:11:54 ID:s2mEFrGo0
僕の名前はマコト。今月は苦しいのでちょっと臨時収入をアテにしている。
商店街の入り口にあるちょっと寂れたパチンコ屋。
古い台が多くて攻略しやすいから、時々狙ってここへ来るんだよね。

でも今日は失敗だった。

出ない。

ホントに出ない。玉がどんどん吸い込まれていく。

でもマイナスのままやめるわけにもいかないし…
おかしいな、いつもだったらもっと勝てるのに。

隣の席の人は随分調子がいいみたいだった。
大当たりが止まらない。みるみるドル箱が積まれてゆく。

僕は横目でちらちらとその様子を伺いながら打ち続けた。

はぁ、でも駄目だ。

気分転換にコーヒーを買って席に戻ると、隣の席の人がやめようとしていた。

まだお昼過ぎなのに欲の無い人だな、なんて思った。
そしたら立ち去り際にこう耳打ちしてくれたんだ。

「この台壊れてるからやってみなよ」

そうだったのか。
やけに出ているなぁって思っていたんだ。そういうわけだったのか。

ラッキーだ。ホントありがとう、助かったよ。
残りの手持ちは1万円を切ったか…ここから取り返さなくっちゃ……
663pDOG ◆MjRkBb/jUw :2007/01/20(土) 00:15:54 ID:s2mEFrGo0
やっと書き込めるようになったorz

元ネタは

>>660 洒落怖まとめサイト Part9「黄色い縄跳び」
>>661 洒落怖まとめサイト Part9「ハト」
>>662 心霊ちょっといい話 Part1「貸した金」

でした。

519さん乙でした^^ 霊を食らう悪霊の話←気になります
下がりすぎているのでage
664新耳袋第2夜「峠のホットドッグ」より:2007/01/20(土) 01:54:13 ID:veEXOSxV0
「悟さ〜ん、家庭科でこんなもの作ったんですよ。食べますか?」

 そう言い部屋に入ってくるのは最近ご無沙汰の小学生、ではなく家庭科の先生の里崎先生。
男なのに家庭科、というちょっと変わり者だが数少ない俺の飲み友達だ。酒の種類が校長とは違うが。
 その里崎先生が出したのはホットドッグ、どうやら俺と一緒に食べよう、そういう魂胆らしい。

 ホットドッグ…そういえば食べるのは久しぶりだな。前は…そういや不思議なことがあったんだな。ちょっと話してみるか。

 「里崎先生、ホットドッグでちょっと不思議な話があるんですけど。聞いてくれますか?」
 「ええ、いいですよ。いい肴になりそうだね」

 そして俺は話し始めた。
 今は昔、奈津美とツーリングしに最寄の山に行ったときのことだった。
深夜に走り始めたため道は暗く、ライトだけが頼りだった。まあそれでも十分だったのだが。
既に折り返しを過ぎて暫くした頃、視線の先に明かりが見えた。行きにはそのような明かりは無かった。奈津美も首をかしげている。
”こんなところに店なんてあったか?”謎は有ったがとりあえず寄ってみることにした。
 どうやらホットドッグ屋らしい、値札もかかってるしこんな峠に客までいる。どうやら結構穴場的な店だ。
 「ホットドッグ二つ、ください」
 そのホットドッグはとても美味しかった。思わず二人で笑ってしまうほどに。二度とは食えない、そんな味だった。
その後、また同じ時間帯に奈津美と出かけたのだが再び見ることは無かった。もちろん今も見ていない。

 「と言う話ですよ。どうですか?里崎先生」
 「う〜ん、ただ営業時間帯が短いだけじゃないですか?それよりどうぞ、これ」

 やっぱりそうか、ただの思い過ごしか。あるわけ無いよな、そんな事。おっと、あったかいうちに食べないと。クロ、お前も食べるか?
そうか、じゃ頂きます。

 口の中には奈津美と食べたあの味がした。
665本当にあった怖い名無し:2007/01/20(土) 08:57:22 ID:peQkbFv80
わろた。深夜に小学生を連れまわすな悟w
666本当にあった怖い名無し:2007/01/20(土) 21:27:27 ID:Spjn6FfLO
>>665
いや、奈津子じゃなくて奈津美では?
小学生なのは奈津子だったはず。
667本当にあった怖い名無し:2007/01/20(土) 23:31:13 ID:xgykQv5h0
やっぱ元ネタ読んで設定を理解するのは大事だ
元ネタ読んで>>660以下読み返したら面白い!
>>662のマコト文無しフラグなんて自然すぎてもう
隣の幸運を吸い取って出してたの?なんて想像まで膨らむし
丁寧に練ってる
ともかく乙であります
668新耳袋第2夜「峠のホットドッグ」より:2007/01/20(土) 23:34:30 ID:veEXOSxV0
今は昔の意味は”今となっては昔のこと”なので、奈津美にしました。
669pDOG ◆MjRkBb/jUw :2007/01/21(日) 00:58:18 ID:WDWW8s+S0
おお、ホットドックさん(?)乙でした。
新耳袋第二夜探しましたが何処にも無くて見られなかったT T
せめてあらすじだけでも〜

最近オカ版全体でage進行ですね…
どんどん下がっていく…というわけでage
670ぽんぽん:2007/01/21(日) 01:32:05 ID:rLrXUMr/0
元ねたを文中に書くことを省略するために名前欄に書きました。
あらすじは、まあそれと同じ感じです。違うところは些細なところです。
ちなみに「第二夜」は学校の図書館に有りました。
671pDOG ◆MjRkBb/jUw :2007/01/21(日) 01:50:52 ID:WDWW8s+S0
やっぱりぽんぽんさんでしたか^^ なんとなく文のクセでそうかなぁ、とは思ってましたけど。
今回はじっくり文を作りましたねb 言葉のひとつひとつや表現が丁寧だなぁ、と感じました。

ぽんぽさん乙、とはっきり言えないくらい見違えましたよ^^
かなり今までのものよりもレベルが上がってる感じ。

擬音を使わないのもいい傾向かも、です。
擬音、すっっっごく難しいんですよ。
大抵それだけで文が幼稚・稚拙に見えちゃったりします。今回は無いのがGOOD!


最後に…何故に里崎先生が作ったホットドックが、謎の屋台と同じ味なのか…
これも複線ですか?(笑
672ぽんぽん:2007/01/21(日) 02:33:52 ID:rLrXUMr/0
今年の冬は暖冬だと聞いたが俺にはそうは思えない。しかも今日は殊更寒い、おかげで暇なときは
炬燵から出られない。それはクロも同じのようだ。でかくても寒いのかな。毛があるのに

 そんな気候の中過ごしていたある日、郵便物が届いた。誰からだ?ジョージか…ん、なんか挟まっている。
挟まれていた物は奴直筆の手紙だった。その手紙には、
 「開けてみろ、お前の欲しがっていたものだ」
 と書かれていた。欲しがっていたもの?俺にはそんなことは思いつかない。不思議に思い箱を開けた。

 中に入っていたのはドッグフードと、四角い何か。
ドッグフードが送られたのは正直嬉しかった。最近クロの餌が少なくなってきたのだ。有難うジョージ。
これでクロの餌も大丈夫だ。 
 
 もう一つの四角い何か、とりあえず包みを取ってみた。
包みを払うとちょっと懐かしいオルゴールがあった。そういえば前にジョージに送ったことを思い出した。
どうやら汚れが取れたのか綺麗になっている。手触りもいい。久しぶりに聞こうと俺は蓋を開けた。

 職場に流れる『月光』、やはり直してもらっただけあって音まで綺麗になっている。と、そのとき炬燵の机が揺れた。
今いるのは俺とクロだけのはず、クロが出たのかと思ったがそうではない。相変わらず寝たままだ。 
そして布団を掻き分け『何か』が出てきた。
 「お久しぶりです、悟さん。帰ってきちゃった」
 布団の中から出てきたのは由佳だった。オルゴールが綺麗になると同じく、こいつも綺麗になっていた。

 その後は久しぶりと言うこともあって、由佳をじっくりと愛でてあげた。普通に愛でるよりもBGMが有った方が
効果がある。おまけに邪魔者もいないからな、少し深めにやっちまった。

 その後なぜか奈津子の機嫌が悪いんだ。何でだろうな?聞いてたって事は無いからな。
 
673ぽんぽん:2007/01/21(日) 02:35:43 ID:rLrXUMr/0
『オルゴール』編ラストと言うことで書きました。ちょっとレベル下がったかも。
ちなみに里崎先生と屋台の複線は今のところ考えていません。
674665:2007/01/21(日) 09:50:18 ID:pESxYXgQ0
読み直してみた。奈津美は姉のほうだったのか・・・スマソ
ぽんぽん氏上手くなってる。面白いよ。
675pDOG ◆MjRkBb/jUw :2007/01/21(日) 23:11:54 ID:xQlpN2nw0
ぽんぽんさん乙でした。
ん〜やっぱり前回と比べるとちょっと雑な気がしちゃうかなぁ…

でも由佳が帰ってこれてよかったよかった。

で、月光がBGMとは…ムードあるのかないのか、やっぱりないのかな悟……
676pDOG ◆MjRkBb/jUw :2007/01/21(日) 23:21:14 ID:xQlpN2nw0
そうだ、age進行しているくせに書く話ではないのかも知れないけど、
450kbを越えたのでそろそろ次スレどうするかの話しをしようかなぁ、なんて思います。

論点
@次スレ要るか、要らないか
A次スレ建てるならスレタイはどうするか
B次スレ建てるならテンプレの作成

です。
このスレ住人が少ないような気もしますが^^; ご意見いただければと思います。

まずは次スレ要るか、ですね。

私はスレがあれば話(ネタ・感想)を投下しますし、無ければまた名無しに戻って別スレに顔だしますが。
このスレッドで完全燃焼して終わるというのも悪くは無いですけどね(意味不明)
677ぽんぽん:2007/01/22(月) 00:13:33 ID:0EQgBQ0L0
やっぱり雑に見えちゃいましたか。
月光は元ねたがそれだったので引用しました。
次スレか〜、俺は欲しいかな。皆さんはわかりませんが。
678本当にあった怖い名無し:2007/01/22(月) 16:42:07 ID:bWScYAyz0
>>676
pDOGさん、次スレ要ります。
ぜひお願いします。このスレ楽しみにしているんですよ。

職人さんが少ないのが残念ですが、また〜り行きましょう。
679pDOG ◆MjRkBb/jUw :2007/01/22(月) 19:46:46 ID:IPFnjbAE0
>>677>>678
了解です^^ では次スレあり、の方向で。
タイトルは

【改変スレ】ジョージと愉快な仲間たち 2【別館】

でいいですかね?長い?
他に案のある方がいらっしゃいましたらご意見御願いいたします。
680pDOG ◆MjRkBb/jUw :2007/01/22(月) 23:31:35 ID:IPFnjbAE0
ついでにテンプレ案も考えたのですが…
あっさり結論が出てしまいそうな雰囲気^^;

早かったかなぁ

と、いうわけでまた作品投下させていただきたいと思います。
またギリギリになったら適当にテンプレ案とかUPしますね。

では投下。元ネタは

>>681 洒落怖まとめサイト Part9「深夜テレビで」
>>682 洒落怖まとめサイト Part9「もしもし下男です」


です
681pDOG ◆MjRkBb/jUw :2007/01/22(月) 23:32:09 ID:IPFnjbAE0
岡島です。人々の安全を守るために日夜戦い続けています。
深夜の警邏中に突然悲鳴が聞こえ、アパートの一室から女性が飛び出してきました。
話しを聞くとテレビに自分の名前が書かれた藁人形が映ったとか。

うとうとして目が覚めたら部屋の電気が消えていたそうです。
でもテレビだけはついていて、どこかの石段が映っていたそうです。
彼女が見るのを待っていたかのように画面は階段の上へと移動しはじめ、
やがて鳥居をくぐって境内の中へと進みます。

さっと,白い影と明かりが画面上を横切り、
そしてカーン,カーンと釘を打つような音。
またさっと横切る白い影。
最後に藁人形のアップ。僕も確認しましたが女性の証言通りの内容でした。

はい。確認しました。

だってこれ、ビデオでしたから。

僕と彼女が部屋へと戻ると、押入れからカレシが恐る恐る顔を出していました。
犯人は女性のカレシとその悪友たちでした。
怖がりな彼女を驚かせようと思ってやったそうです。

まったく、いい加減にしてもらいたいものです。
僕がキツく注意を促そうと思ったら、彼女が先に言いました。

「嬉しい!私のコト、そんなに愛してくれていたのね!」

どうしてそうなるのか僕にはさっぱり理解できませんが、もう注意をする気も失せました。
あとは勝手にやってください。僕は帰ります。

少し不安になってきました。
こんな事を毎日やっていて、僕は本当に刑事になれるのでしょうか?
682pDOG ◆MjRkBb/jUw :2007/01/22(月) 23:32:44 ID:IPFnjbAE0
「ミキせんぱ〜い、しゃれになんないですぅ。今うちの親が電話してきたんですけど、
さっき、私のマンションに電話したら誰かが出たって…それで一言も喋らずに
勝手に切れちゃったって… その後電話してもずっと話し中だって言うんです。
だから私も自分の携帯でかけてみたんですが本当に話し中になってるんですよう。
どうしましょう?」

後輩の山村沙織はそう言って私の腕にしがみついてきたわ。
その日、私は締め切りの近づいた論文を仕上げるため
夜遅くまで研究室に残っていたのよね。学生の頃の話よ。

私も山村の部屋に電話してみたんだけれど、確かに話中。
警察に連絡したほうがいいって提案したら、
山村はこれくらいじゃ取り合ってくれませんって、確かにそうかもしれないわね。

仕方なく、私は論文を諦めて山村のマンションまで付き合うことにしたの。

酔っ払いのふりまでして大声で騒いで、もしも犯人が居るなら部屋の主が帰ってきたのが
分かるように不自然なほど彼女の名前を連発して…恥ずかしいったら……

恐る恐る鍵を開けて中に入って見ると…

誰も居ないし部屋も荒らされていなかったわ。
変な都市伝説も気にしてベッドの下も見たけど誰も居やしない。

そしてふと電話線を見ると、モジュラージャックが抜けていたのよね。
あぁコレじゃ話中の筈だわ、とコードを拾い上げた時、私はひとつの矛盾点を見つけたの。

 確か親が電話してきた時は繋がったって……

そう言えば山村ってレズビアンだってもっぱらの噂だったっけ…

あれ?……もしかして、今、一番危険なのは………私?
683本当にあった怖い名無し:2007/01/23(火) 02:09:52 ID:QCCILQ2iO
>>676
絶対、次スレ立ててください。
本スレなんか ジョージ隔離
した途端につまらなくなったの
684ぽんぽん:2007/01/23(火) 05:25:02 ID:J4Dq+07l0
俺の名前は悟、いまじゃあ犬に振り回されてる用務員さ。
ちょっと前までは女の子を振り回していたんだがいまじゃあ犬に振り回されている。
なぜならクロが散歩に行きたいようなそぶりを見せているからだ。

 ためしに奈津子を連れて行かせたものの、なぜかぐったりして帰ってきやがった。
とりあえず聞いてみたら
 「大きいから力強いんだもん。私じゃ無理みたいです」
 そうか、やっぱり無理だったか。む、待てクロ、そんな目で見るな、連れて行くから。
じゃ、行こうか。奈津子、留守番頼んだぞ。

 しかしホント力強いな、何で散歩なのにこんなに神経張らなきゃ行けないんだよ。
それに比べてあっちの犬なんて軽そうだな〜、ちょっと挨拶してみるか。

 「こんにちは」
 犬を連れて挨拶してみる、やはりその効果はあるらしい。すぐに親密になっていった。しかしどうも話す声に力が無い。
どうしたのか聞くと、家が貧乏なのでこの子にまともな餌をあげられないという。だからせめて散歩でもしてあげようと
こうしている、とのこと。
 それを聞いた俺は、犬と飼い主を自分の職場に案内してペ○ィグリーチャムを2袋渡した。
「有難うございます」そう言って飼い主は泪を流しながら犬を連れて帰っていった。
 
 以来その犬と飼い主をたまに見かける、双方ともとても健康そうだ。俺はそれ以来散歩を熱心にするようになった。

 元ねた、死ぬほど洒落にならない話PART58『犬を連れた女』
685ぽんぽん:2007/01/23(火) 05:25:51 ID:J4Dq+07l0
ミキピーーーーーンチ!の展開に笑いました。
686pDOG ◆MjRkBb/jUw :2007/01/23(火) 13:21:26 ID:61UQ2Cg00
ぽんぽんさん乙です。
テンプレ案もうPしておきますね。作品投下と平行して修正点よろです

*********************ここから**********************


ジョージ系改変の専用スレです。

このスレは「有名な怖い話をクールに反撃しよう」スレッドの別館です。
クールでハードボイルドキャラの私立探偵ジョージとその仲間たちが、
数々の怪談に挑みます。

参加は自由です。
オリジナルキャラクター、設定など、皆で作っていくスレッドです。

作品投下、感想、ツッコミ、アドバイス歓迎します。
ただし、煽り、荒らしはスルーで。


〜おもな登場人物〜

・私立探偵 ジョージ
・探偵見習い マコト
・ベテラン刑事 近藤
・小学校の用務員 悟
・新米警察官 岡島
・アパートの大家 サオリ
・女弁護士 ミキ
・闇医者 毒島
・猫又 ミケ

          …etc
687pDOG ◆MjRkBb/jUw :2007/01/23(火) 13:22:21 ID:61UQ2Cg00

前スレ
【改変スレ】ジョージと愉快な仲間たち【別館】
ttp://hobby9.2ch.net/test/read.cgi/occult/1161834437/

まとめブログ 心霊探偵ジョージの事件簿
ttp://george2ch.blog88.fc2.com/



<関連スレ>
有名な怖い話をクールに反撃しよう12
ttp://hobby9.2ch.net/test/read.cgi/occult/1162637853/
有名な怖い話を更に怖くするスレ
ttp://hobby9.2ch.net/test/read.cgi/occult/1164428521/
私メリーさん【六人目の犠牲者】
ttp://hobby9.2ch.net/test/read.cgi/occult/1164924489/

*********************ここまで**********************
688pDOG ◆MjRkBb/jUw :2007/01/24(水) 21:56:12 ID:7du3JXxL0
俺の名前はジョージ、しがない探偵なんて稼業をしている。

「ここに池があったのを覚えているか?ジョージ。」
近藤さんはそういってマンションを指差した。今は、無い。

俺が覚えていない事を伝えると、近藤さんは、そうだろうな、と答えた。

「ここには大きな池があったんだよ。」
近藤さんは続けた。

「俺も子供の頃はよく遊びに来ていたものだ。
お前もやんちゃな頃はよく来ていた筈なんだけどな。そう嫌な顔をするな。
ところがある日、お前が池に行ったきり帰ってこない。
心配して俺と丈一郎が迎えに行くと…どうなっていたと思う?

全身ずぶぬれで泥だらけのお前が岸に倒れていたのさ。
傍に小さな蛙が一匹座っていたけど、ありゃあ見張りだったんだろうなぁ。
お前が今無事なのも、みんな“蝦蟇”さんのおかげなんだよ。」

近藤さんの昔話はわけのわからないものと相場が決まっているが…
今回も俺は、はあ、と気の抜けた返事を返すしかなかった。

「この辺りの火事を防いでくれたのも、みーんな蝦蟇さんだったんだけどなぁ。
大変だったが引越しも無事終わったし。今でも元気にしているかな。」

「立派な人が居たんですね。」
懐かしそうに目を細めていた近藤さんに、俺は心から感心してそう言った。
しかし近藤さんはちょっとおかしな表情だ。しかも、

「ジョージ、お前はもう少し頭を柔らかくしたほうがいいな。」

だと。ちくしょう、年寄りに言われたくはないぜ。
689pDOG ◆MjRkBb/jUw :2007/01/24(水) 21:57:38 ID:7du3JXxL0
保守ageがてら1本だけですが新作を
元ネタは麻布七不思議の「がま池」です
690本当にあった怖い名無し:2007/01/25(木) 11:55:35 ID:X/1l9xWo0
519氏来ないね(´・ω・`)
保守
691鴉 ◆SURvnsCrow :2007/01/25(木) 13:27:38 ID:WUUtAZ4D0
行方くらましててごめんなさい;
色々立て込んでました〜;

近々書きに来ますねノシ
692pDOG ◆MjRkBb/jUw :2007/01/25(木) 23:24:41 ID:5y5+C9iD0
>>691 鴉さんおひさしぶりーお待ちしてますよ^^
そうですねぇ、偽さんが帰ってくるのも半年後ですし、送り狼さんもそのうち帰ってくるでしょうし、
それまでは保守しておかないと(オイ

519さんは充電中…だと思いたい……
693本当にあった怖い名無し:2007/01/26(金) 01:32:06 ID:kt/m73lvO
私は書き手さん達にあまりプレッシャーを与えたくは無いので、まったり待ってますね。
という訳で保守
694pDOG ◆MjRkBb/jUw :2007/01/27(土) 01:31:40 ID:zNpsl8pb0
今夜も保守

一応書いたのだけれど、投稿はもうちょっと寝かせてから…
695ぽんぽん:2007/01/27(土) 05:52:09 ID:LDNMKszh0
 久しぶりに奴と飲んでいると、たびたび聞かれることがある。

 ”なぜ用務員になったのか”と言うことだ。
確かにこればっかりは誰もが気になることだ。別にこの職業のほかにも色々とある。企業への就職、etc…。
用務員と言う仕事を何も選ばなくても…。奴の目はそういっていた。

 そうだな、そろそろ話してもいい頃かな、いいか、よ〜く聞けよ。笑ってくれてもいいがこれが理由なんだ。
最初は特に理由など無かった、何の因果か職にあぶれてしまった俺を先代の校長が恩師だったということもあり、この学校の用務員となった。
やる気は無かったが、子供たちの笑顔や校長が悩みを聞いてくれたこともあって次第に光を見出していった。
 そんなある日だった。
 いつものように夜の見回りをしているとどうやら声がしてくる。ちなみに生徒はすべて帰った。教師は数人が職員室にいるのみだ。
近づいていくにつれてわかってきたのは、女がいない、なにやら数人が少し興奮している、そして出所は音楽室。

 階段を上り、音楽室の前に来るととてもうるさかった。
 「静かにしろ!何時だと思ってやがる」
 俺はそういって中に踏み込んだ。しかし中には誰もいない。おかしい…声はするのに。
 「何者じゃあんたは」
 その声は左上から掛けられた。不思議に思ってみると有名な先生達の肖像画がこっちを見ている。ちなみに言ったのはハイドンだ。
俺は自分の身の上を話したが、奴らは聞くそぶりも見せなかった。しかも奴らは勝手に俺を新しい生徒だと決めた。
バカバカしい、ちょっと怒り気味で音楽室を出ようとする、が出られない。どうやら生徒になるほかは無いようだ。

 ピアノは少しやったことはあるものの、大作曲家にかかれば赤子同然だ。少し弾くたびに怒られ、煩いと怒り、
逆切れし、またけんかが始まって…。もうずっとその繰り返しだった。
 奴はずっと黙ったままだった。まあそうだろう、お前にはこんな話、縁が無いからな。
まあそのおかげで今は「幻想即興曲」まで弾けるようになったがな、じゃあそろそろ行くよ。少し飲みすぎた。
しかしこの店、マスター二人もいるんだな。ちょっと驚いたぜ。

 元ねた、学校の七不思議「音楽室の肖像画」。新耳袋第・・何夜かは忘れた。「二人のマスター」
696pDOG ◆MjRkBb/jUw :2007/01/28(日) 01:27:24 ID:epkcJh7U0
儂の名は毒島。闇医者なんて稼業で食っている老いぼれよ。

往診の帰り道に公園に差し掛かると女が悲鳴を上げて逃げていきおった。
トイレから出てきたようじゃが、ちょっと見てきてくれんかぃ?

儂は助手にトイレの中を調べてもらうことにした。
いやなに、いくらこの歳でも女子トイレの中に入るわけにはいかんからのう。

「センセ、こんなものが落ちてましたわ。」

暫くすると助手は手に人形を持って出てきおった。
それはリカちゃん人形という奴じゃな。ほう、足が3本もありよる。
そして人形は儂と助手をぎろりと睨みつけると不吉な言葉を喋りだしたんじゃ。

「わたしリカちゃん。呪われているの。わたしリカちゃん。呪われているの。」

ほうほう、そうかい。先ほどの娘はこれで逃げていきおったわけかい。
ま、ちょっと待っておれ。確かこの鞄の中に…おお、あったぞ。

昔、記念に撮っておいたものじゃが、どれ人形よ、これを見てみい。

「わたしリカちゃん。呪わ…ひっ」

儂が写真を見せると人形は助手の手を振りほどいて逃げていきおった。
ククク、これに懲りてもう悪さはせんことじゃな。

「何を見せたんです?センセ。」
儂が一人でほくそ笑んでおると助手が覗き込んできおった。

ほれ、お前も見てみるか?世にも珍しい85本足の蛸じゃよ。
そんなに悲鳴をあげるほどのものかい。可愛いのう、ヒッヒッヒ。
697pDOG ◆MjRkBb/jUw :2007/01/28(日) 01:28:08 ID:epkcJh7U0
俺の名は近藤、刑事一筋ン十年の男だ。

今日はついに長年追い続けていた臓器売買組織のアジト壊滅の日だ。
まったく尻尾を掴ませない謎の組織だったが、とうとうボロを出した。

都内のある大通りに面したホテルの地下で謎の失踪事件が起こった。
シャワーを浴びていたはずの男が消えてしまったというのだ。

これが行きずりの男と女なら、表には出てこない事件だったのかも知れない。

だが諦めきれない恋人も居る。家族も居る。

そんな想いが、ついに俺たちの元に届いたようだ。
話しを聞いてすぐピンときた。
都内で多発している失踪事件、潰してきた裏の取引、見つからない組織。
すべてが繋がりそうだった。

肝心の“どこで手術をしているのか”という謎が解ける。
こんなにも令状が降りるのが待ち遠しかったことは無い。

今日こそ悪党どもにひと泡吹かせてやろうじゃないか。

この日のために用意された緊急対策本部室の中は異様な熱気に包まれていた。

そして、出動の時は来た。

ホテルの周囲を警官隊で固め、捜査一課の精鋭を連れて俺は内部へと乗り込んだ。
証言にあった地下の客室へと進み、壁にカモフラージュされた扉を見つける。

危険は承知の上だ。だから行くんだ。

俺は一番に扉の中に身を躍らせた。これが、俺の仕事だ。
698pDOG ◆MjRkBb/jUw :2007/01/28(日) 01:30:06 ID:epkcJh7U0
とりあえず投下

>>696 Part9 三本足のリカちゃん
ttp://syarecowa.moo.jp/9/502.htm

知らない方のために…
鳥羽水族館の85本足のタコ
ttp://www.aquarium.co.jp/news/2005/images/obakedako.jpg

志摩マリンランドには96本足のタコの標本(?)があるそうですが^^;


>>697 Part9 地下の客室
ttp://syarecowa.moo.jp/9/529.htm
699pDOG ◆MjRkBb/jUw :2007/01/28(日) 01:34:25 ID:epkcJh7U0
書き忘れましたぁぁあ

>>698 グロ注意!!
700本当にあった怖い名無し:2007/01/29(月) 21:04:03 ID:Y74RLabp0
見ちゃったよ…グロいな
701本当にあった怖い名無し:2007/01/29(月) 23:41:07 ID:Omrr4Omb0
俺現物見たことある……
そんときは鳥羽水族館の入り口近くに瓶が出してあったのよ
意外に「うはwこれテラキモスwww」ってなノリで平然と見てた記憶が。
702本当にあった怖い名無し:2007/01/30(火) 00:34:30 ID:98cCAFLi0
なんかサンシャインにも似たようなのが居たような記憶があったなぁ…
平然と見れた701は凄いな
703本当にあった怖い名無し:2007/01/30(火) 15:42:21 ID:2t52fZil0
704pDOG ◆MjRkBb/jUw :2007/01/30(火) 22:32:15 ID:piwfuCY+0
>>703 見ちゃったよorz 
自分でネタ振っておいてアレだけど、動いていたところ見たらコレ絶対トラウマになるなぁ

保守age
705本当にあった怖い名無し:2007/01/31(水) 23:07:24 ID:82T9iCf9O
保守
706鬼 1/8 pDOG ◆MjRkBb/jUw :2007/02/01(木) 10:02:22 ID:C+LB+8vU0
俺の名前はジョージ。商店街の入り口で小さな探偵事務所を開いている。
事務所は駅から5分とかからない最高の立地だ。
建物もちょっと古くて少しガタがきているが、造りはしっかりしている。

俺はここで長年暮らしているし、俺にとっちゃ最高の事務所だ。

が、

「いい加減にしろ!」

俺は耐え切れず、とうとう声を荒げて餓鬼どもを追い出した。

まったく、最近餓鬼の遊び場になって本当に困っている。
子供が苦手なわけじゃないが、毎日毎日遊びに来られてもな。

近所の小学校に通う4人組みだ。
いつも赤い顔をしているリーダー格の餓鬼が一番背が低くて、
その子分に太った大柄の子供。そして女の子が一人。
俺と同じこのアパートに住む青い目の子供という構成だ。

話しを聞いてみたらどうやら流行りの探偵団気取りらしい。

しつこく昔の話しを聞かせろだの、何か怪事件をよこせだの。
まったく、どんな躾をされてやがるんだ。

俺は餓鬼の居なくなった部屋で冷めたコーヒーをひと口含んだ。
静かになった部屋に、風呂場へと非難していた三毛猫が顔を出した。

だが、静かだったのは一瞬のことだ。

パソコンを覗き込んでいたマコトが「依頼ですよ。」と顔を上げたからだ。
依頼内容の欄は簡潔に、ストーカーを退治して欲しいとだけ書かれていた。
707鬼 2/8:2007/02/01(木) 10:02:58 ID:C+LB+8vU0
二日後、俺はマコトを連れてある駅で依頼人を待った。
依頼はメールでも受け付けるが、実際に受けるかどうかは会ってからだ。
これは譲れない。

待ち合わせの駅に時間通りに現れた依頼人は地味な女だった。

化粧すらしていない。髪も爪も短い。

主婦でもOLでもない、小奇麗さと翳。

俺はこの手の人種を知っている。
自分の身体を切り売りしているタイプの女だ。

仕事の内容を聞かせて欲しいと頼むと、女は事件について喋りだした。

事の起こりは誰かが部屋に侵入した形跡がある、と感じたことだ。
直して出たベッドのシーツが少しだけ乱れている。
下着が足りないような気がする。
気のせいかも知れない、そんな些細なことがきっかけだった。

「それだけ?」とマコトが口を挟むと女の表情にさらに翳が落ちた。

ある日“仕事”から帰ってくると机の上になんと花束が置いてあった。
ハッピーバースディのメッセージカードを添えて。
彼女の25回目の誕生日の朝だった。

最初は“店”の誰かだと思った。
生活は管理されている。事務所の人間は鍵を持っている筈だ。

だが違った。

それが誰からの贈り物でもない事が判明したのは、夜出勤してすぐのことだ。
708鬼 3/8:2007/02/01(木) 10:03:35 ID:C+LB+8vU0
「流石に気持ち悪くなって…はい、花束はすぐ捨てました。」

女の言葉遣いは丁寧で流暢だ。持っている“顧客”もさぞ多いことだろう。
俺がタバコを吸っていいか?と聞くとすぐにライターが出てきた。

その姿に俺は苦笑するしかなかった。

結局、俺はこの嫌がらせ対策の依頼を受けることにした。
話しを聞いている間に何度か知り合いの名前が登場したからだ。
こんな仕事をしている関係上、彼女の“事務所”がらみの知り合いも多い。
あの人が絡んでいるならば、そんなちっぽけな理由だった。

彼女の部屋に花束が置かれていたのは先月のことだ。
それからひと月あまり、犯人の行動は加速度的にエスカレートしているらしい。

捨てたはずの花束がテーブルの上にあった。

さらに捨てると、また戻ってきた。

しかも、今度は褪せた花びらに血のようなものが付いていた。

部屋の鍵を変えたが効果がない。
事務所の人間が見張りに付いたが、その日だけは現れない。

そして数日が経ち、もう現れないだろうと警戒を解いた日の朝。

テーブルの上に枯れた花束が戻ってきていたのだ。

花束は、まだ新しい血で赤く染められていた。

彼女は精神的に追い詰められていた。警察へは“行けない”
そして悩んだ挙句、事務所の人に許可を貰い俺の所へ来たのだった。
709鬼 4/8:2007/02/01(木) 10:04:33 ID:C+LB+8vU0
調査を開始したのはさらに二日後のことだった。
機材のレンタルに少し手間取ったからだ。
複雑な機械を操りながら部屋をうろうろと歩き回るマコトに、
依頼人の女が怪訝そうな表情を向ける。

「あ、これはですね。盗聴器の電波を探しているんですよ。」
と、マコトが笑顔で説明してやっと納得してもらえたようだった。

換えたばかりの鍵穴にもピッキングの跡が残っていた。
簡単な指紋採取をしてみたが、当然、それらしいものは出てこない。

話しを聞いている間にも感じたことなのだが、
嫌がらせをしている犯人はかなり頭の良い、慎重な人物らしい。

ドアの鍵は電子ロックへと変更。発見された2個の盗聴器も撤去。
逆に小型の監視カメラを設置してテーブル周辺を撮影することにした。
まあ、盗聴器が撤去された時点で部屋への侵入はまずありえない。
これで撮影されてくれるような犯人なら苦労は無いのだがな。

部屋の中は最低限の家具と荷物しか置かれていなかった。
今時珍しい“訳あり”の女だ。

初めから用意されていたであろうダブルベッドだけが豪華で、
あとは安物のパイプハンガーに僅かな衣服がかかっているだけだった。

 やはり似ているな。

 俺の脳裏にいつか見た光景が重なる──

嫌がらせをしていた犯人への対策は一通り終わった。
だが、何も解決したわけではない。結局はその犯人の意識次第だ。
俺は女に、一日も早く犯人を捕まえると約束して部屋を後にした。
710鬼 5/8:2007/02/01(木) 10:07:48 ID:C+LB+8vU0
暫くは何事も無い日々が続いた。これは予想されたことだった。
犯人は彼女が興信所に依頼したことも、部屋に対策を施したことも知っている筈だ。

彼女は仕事を続けているが、送り迎えには事務所の人間が就いた。

俺は彼女に次の行動を指示していた。
恐らく“客”の中に犯人は居る。

怪しい素振り、言動、隠しカメラなど、“店”の監視だけでは賄えない部分を
彼女に観察してもらうつもりだった。

だが、何も手掛かりを掴めないまま一週間が過ぎようとしていた。

「はい、ジョージさん。」
マコトがポットから紙コップにコーヒーを注いでくれた。
愛車の窓は少し曇っている。俺たちの張り込みも一週間になろうとしていた。

「ストーカーかぁ。なんか変な気分ですよね。」

マコトは紙コップを両手で抱えながら、それでも視線をマンションから逸らさず
静かに話しを続けた。

「結局は“好きになった”だけなんですよね…ただ、好きなだけなのに…

好きになって、受け入れて欲しくって、相手のことが知りたくなって、
何かを送りたくなったり、相手の持ち物が欲しくなったり、触れたくなったり、

それって、そんなに変なことなんでしょうか?


え?僕はもちろんしませんよ、相手の迷惑になりますから、けどね、
その行き場の無い気持ちだけは…なんかわかる気がするんですよね。」
711鬼 6/8:2007/02/01(木) 10:08:43 ID:C+LB+8vU0
現場には2台の救急車が停まっていた。
依頼人の女の勤める“店”、そこから数人の怪我人が運び出されている。

予測を大きく上回る展開に、俺は暫し呆然としていた。

犯人は“店”に現れた。
やはり顧客の一人だった。

気の弱そうな、中年のサラリーマン風の男だった。

彼女の手を取り「ここから逃げよう。」と持ちかけた。
彼女は抵抗したが男の力には敵わない。
引き摺られるままに部屋を出たところでスタッフが駆けつけた。

中には単なるアルバイトも居たが、ほとんどは事務所の息がかかっている
喧嘩慣れした男ばかりだ。簡単に取り押さえられる筈だった。

そんな男たちが4人も揃って、手も足も出なかったらしい。

もしも“鬼”というものが居たとしたら、きっとその男の姿だったのだろう。

大の男を4人も振り回し、植木もガラスも滅茶苦茶に叩き壊し、
“鬼”は彼女を残して夜の街へと逃げていったという。

マコトの言う行き場の無い気持ちが、男を鬼に変えたのだろうか。

彼女への情愛と欲望が、男を鬼へと変えたのだろうか。

現場に駆けつけた警官に、ただの喧嘩ですよ、と説明する店員の後ろで、
俺の依頼人がタオルで身体を隠し、怯えて蹲っていた。

そうだな、彼女の行き場もこれで無くなったんだからな。
712鬼 7/8:2007/02/01(木) 10:10:08 ID:C+LB+8vU0
彼女は“訳あり”で“店”に勤めていた。
勤務できないとなれば別な方法で金を稼ぐしかない。

事務所、いや“組”の方針はシンプルだ。

遠く売られてゆくか。
身体の一部を高く引き取ってもらうか。

そのふたつにひとつ。選択は彼女の自由だ。

海外の市場へ売られてゆけば、例え借金を返したとしても二度と
自由になることはないだろう。
だが身体を切り刻む恐怖よりはまだ懸命な選択なのだろうか。

深夜、晴海埠頭に降り立った彼女の表情は暗く沈んでいた。

俺の予想は本当に大きく裏切られた。

俺は犯人をもっと頭の良い、狡猾な人物だと思っていた。

彼女の仕事、部屋の様子から推測すればこうなることはわかるはずだ。

それが、想像以上に“想い”は素直に表現された。

俺達の対策は男にとってあまりにも完全過ぎたらしい。
行き場を無くした彼女への愛が悲劇を呼ぶとは皮肉なものだ。

俺はタバコに火をつけた。

立ち上る煙の先に、白く輝く月が浮かんでいた。

潮風は重く、身体に張り付くように流れていた。
713鬼 8/8:2007/02/01(木) 10:11:09 ID:C+LB+8vU0
「来ましたよ、予定通りですね、探偵さん。」
俺と様子を見ていた若頭の言葉に、俺はオペラグラスを取り出した。
この男は物腰も柔らかく言葉遣いも丁寧だが、いつも冷静すぎる。

彼女はちょうど車を変えたところだった。
一般車に男3人と乗り込み、ドアを閉めた。

その時、埠頭に獣の雄叫びが響き渡り、一つの真っ黒な影が車に取り付いた。

俺が聞いた犯人の姿と現実は随分と違っていた。
身長170cmほど、痩せ型と聞いていたサラリーマンの後姿は、
2mを越えた大型の熊のような姿に見えた。

取り押さえようと飛びついた組員は振りほどかれ、跳ね飛ばされ、
まるで子供のようにあしらわれた。

そして驚くべき事に大人四人が乗った車を、男は傾けだしたのだ。


 逃げよう、と声が聞こえた

 だが、そこまで

 そこまでの想いも伝わらない

 遠く聞こえる悲鳴と咆哮は、拒絶と悲しみ


「探偵さん、そろそろ見ないほうがよろしいかと思いますが。」
若頭に言われて俺はオペラグラス外し、帽子を目深に降ろした。

月光の中、銃声は本当に小さく、一瞬、聞こえただけだった。
714エピローグ:2007/02/01(木) 10:14:31 ID:C+LB+8vU0
報酬は初めの予定よりかなり多く振り込まれた。
マコトは不思議がっていたが、俺は特に説明をしなかった。

こいつがこの仕事を続けていくならば、
そしていつか一人立ちをする日が来るならば、
手を汚すことも、裏の世界のことも教えなければならないだろう。

だが俺の相棒でいるうちは知らなくていい。知らずにいて欲しい。

 俺はマコトに嘘をついた。
 愛に狂った“鬼”にも、嘘をついた。

彼女が外国に売り飛ばされる予定など初めから何処にも無い。
すべて、俺とあの若頭が仕組んだ狂言だ。

だが男は予想通り、彼女を助けに現れた。


 一点の曇りも無く、あまりにも純粋に、想いのままに。


窓から見下ろす風景の片隅で、子供たちが遊んでいる。
ふと気付くと一人足りない。

と、思って振り返ると事務所のソファにふんぞり返っている姿があった。
リーダー格の糞生意気な餓鬼だ。
いつにも増して赤い顔をしていると思ったら、本当に酒臭い。
まったく、こいつの親はどんな躾をしてやがるんだ。

「そうだな、鬼は嘘をつかないのにな。」

相変わらず生意気な口調の餓鬼に、俺は苦笑いを返すことしか出来なかった。
715本当にあった怖い名無し:2007/02/01(木) 21:40:40 ID:RhOyLxo2O
>>714
肩に黒い猫又を乗せてる、大男が出てきそうな気がしてきたよw
716ぽんぽん:2007/02/02(金) 03:07:12 ID:q/fvEhdg0
今から投下。元ねた

 順番に「青いレインコート」
    「オムライス」
    
717ぽんぽん:2007/02/02(金) 03:08:48 ID:q/fvEhdg0
俺の名前は悟、こうやって紹介するのも久しぶりだな。

 冬が深まるにつれこの部屋の人口も増えていく。まあ人じゃないものもいるけどな、今いるのは俺、クロ、涼子先生
そしてたった今何らかの包みを持って入ってきた里崎先生だ。包みの中身は何だろな、部屋のみんなが気にしていた。
 どうやら開くつもりは無いらしい、まあそりゃそうだ。今日は飲み会だからな、最後に取っておけって奴だろう。 
 
 宴会が始まるとまず最初に飛び出すのは「乾杯」だ、その後は皆の愚痴を聞かされる羽目になる。
ちなみに今日一番愚痴を言っていたのは誰であろう、里崎先生だ。
 どうやら最近子供たちが言うことを聞いてくれないのと付き合ってちょっと経つ彼女から連絡が無いから寂しい、
そんな不満を泣きながらぶちまけていた。なぜかなだめているのはクロだ、背中を叩いている。
 
 面白い光景だ、そう思っていたときドアを叩く音がした。クロは相変わらず慰めているし涼子先生はちびちびと飲んでいる
どうやら俺以外気づいてないらしい。
 ドアを開くと青い召し物をした子供が立っている。「ボランティア」とか言っていたが生憎子供の来るとこじゃない、
そう言い放ち俺は扉を閉めた。ったくおかげで酔いが覚めた。

 再び戻ると里崎先生がクロにお酒を飲ませている。普段なら怒るところだがまあ大目に見よう、寂しさは俺もわかることだからな。
どうやら里崎先生とクロは気が合ったようだ。
 面白い奴らだ、覚めた分飲みなおさないと、と、そのとき腹に負荷を感じた。
驚いて下を見てみると涼子先生が腰に手を回して腹に顔をうずめている。結構酔っているようだ。
 「悟しゃ〜ん、う〜、腹筋かた〜い。ぐりぐり〜」

 まさか此処まで酔っているとは、他に見られてないか、そう思い見渡すと大丈夫だった。他の奴らはもう寝ていたからだ。
しかし変わっていたのは追い出したはずの男の子がこっちを見ていたことだ。
 なるほど、「ボランティア」か…今度あったときはチョコでもあげよう。ああ、涼子先生、いや涼子、あっちで寝ようか。

 一人食った。次は保険の先生だ。そういえば里崎先生、何を持ってきたんだ?とりあえずおきたら聞くか。
718ぽんぽん:2007/02/02(金) 03:10:31 ID:q/fvEhdg0
私の名前はサオリ。主人の遺したアパートの管理人です。

 私はオムライスが好きだったわ、もちろん作る方も、そして今も好きだけど。
自分では自信があったからよくアキヒコさんに作った、あの人はいつも首を傾げてたわ。「ん?」みたいにね。

 不味いところでもあるのかな?それを聞いても特に無いって答えるし。だから工夫しようも無かった。
だからずっと同じような味だった。ずっと首を傾げてたけどね。

 だからあの人が逝ってしまった時は大泣きしたわ、ずっと添い遂げることが出来なかったのと、
オムライスの良くないところがわからなかった、いや、別の料理でも同じようなことが有ったかも知れない。
そんなときにあの人のアドバイスを受けられないと思うと…。だから3日間は半ば欝気味だった。

 その後は何とか一人でやっていこうとがんばってきた。オムライスはジョージ君や悟さんやミキさんに食べさせて
比較してもらって何とか改良しようとした。でも皆「美味しい」「アキヒコも贅沢だ」「言うことないわよねえ」
と、高評価だった。教えてアキヒコさん、どこがいけないの? 
 
 何もわからないまま月日が経っていきました。今日の献立を決めようとしていると、急に玄関のチャイムが鳴りました。
だれ?そう思ってドアを開けるとなんとアキヒコさん。私は声も出ませんでした。彼は
 「久しぶり」
 とまるで暫く合っていなかったかのように振舞うとビニール袋を提げたまま部屋の中に入っていきました。
そこから先は覚えていません。ふっ、と力が抜けてしまったのですから。

 再び目を覚ますともうアキヒコさんはいませんでした。何も言わないで勝手に言ってしまうなんて、
ちょっと怒りながら周りを見渡すとキッチンをつかったようです。そして机にはアキヒコさん作らしきオムライス。それと「すまない」
と言う置手紙。なんだかんだ言って易しいのね。

 その日はちょうど一周忌でした。その後オムライスは更に高評価を得ました。隠し味?教えません。

719本当にあった怖い名無し:2007/02/02(金) 03:39:53 ID:pMFzs/fL0
tes
720本当にあった怖い名無し:2007/02/03(土) 00:00:53 ID:gaBSs9hH0
ぽんぽんさん乙です
721pDOG ◆MjRkBb/jUw :2007/02/03(土) 00:09:43 ID:gaBSs9hH0
お、書けた^^

投稿したのが仕事行く寸前で、元ネタはあとで〜とか思っていたら規制くらいましたorz
ブログのタイトルには書きましたけどね。

元ネタは「酒呑童子」です。

>>715さん
私も“ミスター仙人”大好きでしたよ^^
“西新宿のせんべい屋”も好きでしたねぇ、最近読んでいませんけど。

言われてみれば私の文体ってかなり影響受けているかも。

>ぽんぽんさん
サオリの話、面白かったですよー
隠し味知りたいですけどねw

で、青いレインコートのほうが見つからないので出来れば出所を教えてくれませんか?
洒落怖まとめサイトでいろいろ検索したのに発見できませんでしたorz
Part○○とかわかれば教えてくださいー
722ぽんぽん:2007/02/03(土) 05:01:16 ID:yLu39O3J0
あ、すいません。上に書いたいずれの話はどちらも新耳袋からのものです。
「青いレインコート」はyoutubeでもいいのですが、たしか第七か第八夜だったと思います。
「オムライス」も同様です。はっきりしなくてすいません。
723ぽんぽん:2007/02/03(土) 06:00:14 ID:yLu39O3J0
俺の名前はジョージ、背中が煤けた探偵さ。

 今日は特に何もすることが無い、抱えていた件も何とか解決した。よって今日は休みだ。
マコトも暇な所為かいびきをかいて寝ている。

 「佐々木さんですか?」

 唐突にそう言われて俺は驚いた。声を聞くと女だ、しかしこのタイミングで来るとはな。
命を狙われることはあっても事務所まで突き止められた覚えは無い。おそらくこの女、振り向かせて「違います」って言ったところを…くそ。
呼びかけるのはフェイクだ、相手は相当のプロだろう、おそらく清掃員に扮しているに違いない。

 俺は懐の拳銃を引き抜き、後ろの女に突きつけた。二人を隔てるのはガラス窓、ちなみに防弾ではない。
すると女は消えていた。此処から見えるのは道路の向こう側のビルと青い空模様だ。

 逃がしてしまった…くそ、俺一人ならまだしもこいつらに迷惑をかけてしまうとはな。

 元ねた洒落〜Part59「佐々木さんですか?」
724本当にあった怖い名無し:2007/02/03(土) 21:48:28 ID:kgGQ3/I+0
を、>>723上手くなってきた。拳銃は勘弁願いたいが発想は面白かった。
>>706は感動した。最高にクールでほろ苦い。長編で一番好き。
伏線や「鬼は人を〜」を見ても酒呑童子とは気付かなかった。
ttp://www.tetsusenkai.net/members/0061ikuseikai/syuten.htm
あたりが短くまとまってる。ピンとこなかった人はどうぞ。
以前出てた次スレテンプレの話は、主に新参作者&読者用でおk?
「オススメ作品集」と「人物相関図」と「元ネタはここで探せリンク」なんてどうだろう。
作者諸氏には前二つが作り辛いだろうから、
しがらみのない読者がこれまでの感謝を込めて労務提供させてもらう。
まず「勝手に相関図」案。
MS P ゴシック 12ptで作ったがズレてたらお手上げ。
**********************相関図***********************
<人物相関想像図>
注、職人諸氏の意図とは異なる場合があります

               悟           
               ↑ ┌愛情・助力―――近
マコト―見習・尊敬 ┐ 悪友|┌尊敬・感謝―→藤
 │         | | |│       ↑
 世話        ↓ ↓ ↓│     尊敬・上司
 ↓      ┌―→ ジョージ       |
ミケ――居候―┘  ↑|↑|↑      岡島
             ||||| 
             ||||└―知己・好意→サオリ
             |||| 
  毒―施術・利用―┘||└―得意先・警戒―→ミ 
  島――助力―-――┘└――利用・愛情?――キ
*********************ここまで**********************
725本当にあった怖い名無し:2007/02/03(土) 22:03:15 ID:kgGQ3/I+0
次は「勝手におすすめ作品集」案。
初見の人をつかめるように、
有名な元ネタ&質激高作品&キャラ紹介&ふいんき(何故か(ry
と欲張ったつもりだが、レスアンカー大杉と叱られた。
一人だけではなんなので、他の読者もぜひやってみて。
いい作品多すぎで絞りきれなかったんよ。
*****************読むべし作品集********************
<読者が勝手にオヌヌメ作品集>
8 すれちがいざま「よくわかったな」
12 コトリバコ
28 リカちゃん
31 自己責任
53 キュルキュル
54-55 ろくろ首
186 お前だ
265-266 置いてけ堀
337 下男
530 ホームの下の男
542 ホープダイヤの呪い
567-568 夏の朝
*********************ここまで**********************
726本当にあった怖い名無し:2007/02/05(月) 11:10:26 ID:rE9A2jy7O
みなさん こちらにも愛の
手を
有名な怖い話を更に怖くするスレ Part2 (187)
http://hobby9.2ch.net/test/read.cgi/occult/1164428521/
727本当にあった怖い名無し:2007/02/05(月) 13:38:08 ID:eOoMQhyi0
>>724
「人物相関図」良いですね。

ジョージ→ミキ 警戒してました? 
なんとなく分かるような気もしますが。        
728本当にあった怖い名無し:2007/02/06(火) 00:02:47 ID:vK1BesDX0
<読者が勝手にオヌヌメ作品集>
112-115の「放送禁止」
147の「かしまさん」も好きだな

アンカーはブログにリンクすれば大丈夫かな

あと28はメリーさんでは?
729pDOG ◆MjRkBb/jUw :2007/02/06(火) 13:02:46 ID:z/1ZMrtI0
ぽんぽんさん乙です。
確かにただの探偵が拳銃持ってるのはまずいですよ(汗
持っていてもおかしくないくらい“裏”との繋がりもありそうですけどね^^

<読者が勝手にオヌヌメ作品集>
>58 リンフォン(名無しさん作品)
>92 トミノの地獄(名無しさん作品)
>103-105 オルゴール(ぽんぽんさん作品)
>112-115 放送禁止(名無しさん作品)
>125 ぼく ごろう(送り狼さん作品)
>186 リョウメンスクナ(同上)
>337 下男(偽さん作品)
>381-382 てめえじゃねぇ 続き(名無しさん作品)
>527 おつかれ(519さん作品)
>530 ホームの下の男(同上)
>535 ほのぼの光景(同上)

私も参加
自分が書いたものでは初期のテケテケとか、あとは…orz
730pDOG ◆MjRkBb/jUw :2007/02/06(火) 13:17:47 ID:z/1ZMrtI0
お、成功した。>←1つなら安価多くても怒られないようですね。専ブラなら関係ないし。
でもDAT落ちした時のことを考えるとブログへのリンクにしましょうか。

またいつアクセス規制食らうかわからないので、いまのうちに書けることは書いておきますね^^;

>>724さん人物相関図乙でした。
専ブラでちょっとずれていたので直してみようと思ったのですが…
うまくいかないなぁ…IEの方が綺麗に出ますね。

次スレ建てたら入れてみようと思います^^

あと次スレタイトル案なのですが

【改変スレ】ジョージと愉快な仲間たち2【別館】
【改変スレ】心霊探偵ジョージの事件簿2【別館】
【心霊】ジョージと愉快な仲間たち2【探偵】

など考えて見ました^^
他にも案があればご意見よろしくお願いします
731pDOG ◆MjRkBb/jUw :2007/02/06(火) 13:23:14 ID:z/1ZMrtI0
732本当にあった怖い名無し:2007/02/06(火) 13:34:03 ID:z/1ZMrtI0
最後に、「元ネタはここで探せリンク」ですが、洒落怖まとめサイト、ようつべ、Wikiへのリンクは
ブログの作品の後ろのほうに少しずつ載せていくようにします。

ヒマを見つけてののんびりした作業になりそうですが^^

個人のHPは勝手に転載するのも悪いので許可いただけるまでしません。
特に2ちゃんねるにURL載せるのは控えたほうがいいかと思います。

長編ネタとかは有名どころですので、ググっていただければすぐ出ると思うのですが…
733本当にあった怖い名無し:2007/02/06(火) 14:33:40 ID:4Siwoevw0
pDOG氏
【心霊】ジョージと愉快な仲間たち2【探偵】に一票!
734ぽんぽん:2007/02/06(火) 22:13:35 ID:/dwCpqcr0
俺も【心霊】ジョージと愉快な仲間たち2【探偵】かな。
愉快な仲間ってところがほのぼのとしてて良いし。
735本当にあった怖い名無し:2007/02/06(火) 22:41:49 ID:ValD0uw/0
俺も【心霊】ジョージと愉快な仲間たち2【探偵】に一票
>>725のアンカー>>28>>186がズレてるな。
別の作品と間違えてない?
こうなってくると投票システムとか欲しくなってくるが・・望みすぎか
736pDOG ◆MjRkBb/jUw :2007/02/07(水) 00:00:01 ID:orghwWFx0
おk
【心霊】ジョージと愉快な仲間たち2【探偵】
でいってみましょうか

テンプレは>>686-687でいいですかね。変更点あれば今のうちにご意見よろしくです

で、その後相関図&オヌヌメ作品で

737pDOG ◆MjRkBb/jUw :2007/02/07(水) 00:11:17 ID:up6bDHpX0
皆さんの意見を待っている間に…亀ですが

>>724
騙して討つ展開と最後の「鬼は〜」が書きたいだけで「酒呑童子」を選びました(滝汗
解らないのも無理は無いですorzすみません

もう既に反撃なんて考えてないからなぁ、私(オイ


>>726
さら怖スレにも行ってみたいのですが…とにかく今はジョージだけで手一杯ですね。
つか、ジョージが既にクールに反撃という型に囚われてな(ry

怖い話も書いて見たいのでそのうち挑戦させていただきたいとは思います。


テンプレOKなら建てに行って来ますが…
で、これで建てられなかったりアクセス規制食らったりしたら笑っちゃいますね。
そしたらどなたかよろしくお願いします。
738ぽんぽん:2007/02/07(水) 05:58:53 ID:SK7zCsYY0
私の名前はクロ、部屋でぬくぬく、まさに温室で育てられた犬です。

 私の目の前にいるのは飼い主の悟さん、なにやら机の上のチョコらしきものを見て頭を抱えております。
ちょっと目を離せば食べてしまうのに、私のマスターはそんな暇さえ与えません。

 「赤い目…?赤い手…?一体何なんだ?」

 この台詞を十分に一回は言っている、悟さん時間掛けすぎですよ、仕事はいいんですか?
ん?ドアを誰か叩いてる、あ、この香りは涼子先生だ。撫でられると気持ち良いんだよな、安らぐから。
 あれ、先生どこ行くんですか?あ、先生の隣ですね。最近なんかあったんですか、そんなにぴったりとくっついて。
ところで悟さんを見るのはかまいませんが合間になんでチョコ見てるんですか?
 「美味しそうですね、このチョコ。じゃあもらいます」
 
 そう言うと口の中にチョコを放り込んだ。あっけに取られる私とマイマスター、僕だって食べたかったのに。
まあ、でもこれで悟さんの疑問も解決しそうですね。僕は欲求不満ですが。
 「悟さん、このチョコ…」
 さあ何でしょう、何なんでしょう。
 「体がぽかぽかしていい気持ちですね」
 
 へえ〜なるほど、徐々に温まっていくんだ〜、犬にはわからないな、毛に覆われてるから。
あれ?涼子先生もう帰るんですか?また来てくださいね〜。
 「まさかさっきのチョコ…ガラナ?だからか〜、へ〜。可愛いな、先生」
 悟さん、ガラナって何ですか?教えてくださいよう。

 「ああクロ、犬が食うもんじゃないぞ。ほら、ぺディグリーやるから」
 教えてくださいよう。噛み付きますよ。


 元ねた、洒落コワpart5「チョコ」
739ぽんぽん:2007/02/07(水) 05:59:45 ID:SK7zCsYY0
俺の名前は悟。昼は女子の世話係、夜は女の世話係さ。あ〜ちょっと恥ずかしい。

 ちょいと前に知り合った女の子から「家に来てね」とメールが来たのが仕事中の午後5時。
よって仕事はいつもより速く終わらせた。

 その子の名前はマイちゃんと言った。今は大学生で一人暮らしだ、その割にはけっこうなマンションに住んでいる。
なんでも最近は残しておいたケーキが無くなったり、部屋が少し荒らされていたりと、誰かいる気がして怖い、と言う。
更にお近づきになれるチャンス。俺は早速彼女の家に上がらせてもらった。

 家の中をちょっと見回してみると実に女の子っぽいつくりになっている、ぬいぐるみ等可愛いものもたくさんだ。
しかし寝室だけは違うようだ。ちょっと大人の、ムーディーなとでも表現すればいいのだろうか、そんな感じだ。
アロマが良い香りだ。

 その後は一緒に夕飯を食べ、夜のお楽しみの前の儀式をしていた、あんな良い香りで出来るなんて…。
鼻歌交じりでシャワーを浴びていると部屋から男の声がしてきた。ん?男の声?

 「うん、風呂に入ったわ、後は手はず通りでグーよ」
 「毎度毎度えげつない事やってるな、マイ。」
 「だまされる方がバカなのよ。あのおじさん、ああごめんおじいさんだったかしら?」
「まあ、奪ったお金で楽しもうぜ」

 最後の方は何を言っていたか聞いていなかった。バスタオル一枚で出て行った俺は二人に折檻の限りを尽くした。
ごめんなさい?聞こえねえよ!このやろう、折角仕事をがんばって終わらせたのによう!

 やっぱり身の丈にあった幸せがいいな、行きずりなんてこりごりだ。


 元ねた洒落コワPART5「下男3」



740ぽんぽん:2007/02/07(水) 06:00:47 ID:SK7zCsYY0
私の名前はミキ。一応弁護士と言うものをやってるわ。 

 仕事の後の一杯は美味しいけど相手にも寄るのよね、ちょうど今はそんな感じだわ。

 氷が溶けてグラスに当たる音と私のため息が重なる。全く、何でこんな男に捕まっちゃったのかしら。
その男は私の隣でスコッチを飲んでいる。しかし、何杯も飲んでいるのに全く酔ったそぶりは見えない。

 ”あなたのその姿に惹かれました。すいませんが少し時間を取らせていただけませんか?”
ナンパの文句としては物凄く丁寧な部類に入るだろう、たいていの女ならば少しの時間は取らせてしまいそうだ。
私も取られてしまった。失敗だった…。

 その男はノブヒロと言った。年齢は50と言ったが白髪がなく、髪も生え揃っている所為か年齢を感じさせない。
職業は画家と言った、まあどうとでも偽ることが出来るからね、職業なんて。

 ”とりあえずアトリエに来てくれませんか?”どうやらそれが本題らしいね。でもごめんね、私はそれほど暇な身じゃないの
まだまだ仕事が入ってくるんだから、これでおさらばするわ。
 なに?まだ言いたいことがあるの?悪いけどこれ以上は時間を取らせられないの、言いたいことがまだわからないの?つまり

 「『てめえ』に興味のある女『じゃねえ』!!」

 こう言いたいわけなの、じゃあさよならね、御代は此処においていくから。

 数日後、その男が別の女をナンパしていた。なあに、別にどうとでもないわね。 

 元ねた。怪談新耳袋第七夜『ノブヒロさん』編
741本当にあった怖い名無し:2007/02/07(水) 08:35:47 ID:Cwwitrb00
>>737
いくら何でも早すぎるだろ。
このスレのスピードなら、980踏んだ人が建ててちょうど良いんじゃないか。
742pDOG ◆MjRkBb/jUw :2007/02/07(水) 08:56:26 ID:nTwFZFFR0
うは、進行が早いっ! とりあえず慌てて建てました^^;
http://hobby9.2ch.net/test/read.cgi/occult/1170805724/


>>741
実はスレは1000いかなくても書き込みの容量が500kBを越えるとDAT落ちするんですよ。
現在741の時点で498.30kBまでいっています。この書き込みで499kB越えるかな?
なのでもうこのスレはほとんど使えません。長めの書き込み1〜2レスで埋まります。

残り5kBは次スレの相談…なんて思っていたのですが^^;
相関図その他も今回はそのままでいきますね。変更点などありましたら次スレで。
743本当にあった怖い名無し:2007/02/07(水) 16:51:14 ID:7SmAw4bZ0
>>742
スレ立て乙
744pDOG ◆MjRkBb/jUw :2007/02/07(水) 22:15:07 ID:53wjHey60
                悟           
                ↑ ┌愛情・助力―――近
マコト―見習・尊敬 ┐ 悪友|┌尊敬・感謝―→藤
 │           | | |│       ↑
 世話          | | |│     尊敬・上司
 ↓           ↓ ↓ ↓│       |
ミケ――居候――→ ジョージ        岡島
              ↑|↑|↑      
             ||||| 
             ||||└―知己・好意→サオリ
             |||| 
  毒―施術・利用―┘||└―得意先・警戒―→ミ 
  島――助力―-――┘└――利用・愛情?――キ



スレの残りを使ってちゃんと表示できるかtest
745本当にあった怖い名無し
出来た
全角挟めば半角も認識するのか…

と、いうわけでこのスレは500kBを越えると思います。
書き手の皆様、読み手の皆様、応援してくれた皆様

ありがとう^^