1 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:
鯖とんでアボーンしてしまいましたが、
引き続き募集します。
物語、体験談、エッセイ、レポート、論文・・・
うpできるものなら何でもあり。グロはダメ。
うpしてくれた神々達には感謝の心を忘れずに。
できるだけ感想も書いてあげてください。
2 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/05/29 14:57
3 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/05/29 14:58
うpろだは?
採点制も復活?
私が採点する気はないです。
うpろだについては無知なので、使用希望者が
適当に決めて下さい。
専用うpろだだれかつくって
9 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/05/29 16:03
10 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/05/29 17:52
uあげ!
11 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/05/29 22:32
高橋克彦と荒俣宏治。
すごいのはどっち?
12 :
Mercury ◆BrOnzDPgJA :03/05/29 22:33
>>11 平凡社に住んでる(いた?)荒俣の方がすごいと思う。
13 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/05/29 22:35
平凡社って?
14 :
Mercury ◆BrOnzDPgJA :03/05/29 22:36
>>13 平凡社って図鑑とかなんとか大全集とかいろいろ貴重な本を出版してる
なかなかナイスな出版社。でも赤字らしい。まあがんばってもらいたいね。
15 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/05/29 23:24
デアゴスティーニっぽいね。
そういえば、この前、あそこの
ちょっとオカルトっぽい本をみかけたよ。
16 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/05/30 17:13
飯田譲治が一番すごい。
俺のところにきて、俺のサウンドノベルを手伝わないか
どーだ?来いよ、はずかしがらずにさw
自分の才能を発揮する場所が見つからない者達よ、いっしょにその才能を
開花させようじゃないか。そして世間にアピールwしようじゃないか!!
いつでも待ってるよ〜
もっとも一人でも完成させるつもりだけどねw
cthulhuSNmakeスッドレ-3-
http://book.2ch.net/test/read.cgi/sf/1050156542/l50 シナリオライター3名
ライターさんには各分岐シナリオを担当してもらいます。
音楽、画像、スクリプト担当も募集〜w
18 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/05/31 23:38
オカルトな作品書いてー。
19 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/06/01 01:22
[見殺し]
ある暑い夜、俺はガールフレンドの朱美とドライブに出かけた。行き当たりばっ
たりで適当に高速道路から一般道に降り田舎のうす暗い道を走っていた。そこは
ポツリポツリと農家があるような田舎の県道だった。
しばらく行くと、緩やかなカーブを曲がりきったところで電柱に激突している車
に遭遇した。俺たちが車を止めて事故車の中を覗くと、運転席で頭から血を流し
てグッタリしている男性が見えた。俺たちが呼びかけるとその男性は微かに反応
を示した。
俺が車から男の人を引っ張り出そうとし、朱美が携帯で救急車を呼ぼうとしてい
たとき、いかにも農家のおっちゃんといった格好の中年男性が現れてこう言った。
「ええよ、儂(わし)が救急車を呼んであげるから、あんたらは早よ行き。あの
男の人も儂が引っぱり出しといてあげるから」
俺たちは、少々強引ともいえるおっちゃんに内心感謝しつつ事故現場を後にした。
その後しばらく車を走らせたが高速の入り口を見つけられず、またもと来た道を
引き返すことになった。かれこれ事故を見てから3時間は経ち、夜が明けて、あ
たりはすっかり明るくなっていた。
先程の事故現場に差し掛かると、あの車が電柱にぶつかったままで、男性も閉じ
込められたままなのを見て驚いた。脇に軽トラックが止まっていて、もんぺ姿の
おばちゃんが携帯でどこかに電話しているところだった。
俺たちが狐につままれたような顔をして佇んでいると、そのおばちゃんが事情を
説明してくれた。
「車が電柱にぶつかってドライバーは死んでるみたい。跳ねられた方もだめみた
いね」
「えっ、跳ねられた方?」
俺の声におばちゃんは上の方を指さした。俺たちが指さされた方を見ると、明け
方にここで話したはずのおっちゃんが、並木の枝に全身から血を滴らせながらぶ
ら下がっていた。
20 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/06/01 01:25
___
|ノットッタ!|
 ̄ ̄ ̄|
ヽ○ <コノスレッドハ ワタシガ ノットッタ!!
□ゝ
<<
21 :
ダヌル・ウェブスター:03/06/01 01:27
「有斐閣」って潰れたんだっけ。
ほんと謎だな、ダヌルは。
ダヌルがこなくなったときこそオカ板の終焉だな。
>>19 おおお。いいねぇ、1発目から。
実はそのオッちゃんが犯人で、というオチを
予想したよ。
24 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/06/01 10:17
[みちづれ]
サークルの飲み会の後、ほろ酔い気分で駅のベンチでウトウトしていると、目の
前で労務者風の中年男がスッとホーム下に転落した。
俺は立ち上がってホーム脇まで駆け寄った。見ると男が線路の上でうつ伏せに倒
れている。俺はとっさに飛び降り、男を立たせようとしたが、俺も酔っぱらって
いるせいか力が入らない。
「おーい、誰かきてくれーーっ」
俺が大声で呼んでも、ホームには駅員はおろか、乗客さえ一人もいなかった。
そこに電車が近づいて来るのが目に入った。俺は慌てて男を引きずり起こそうと
したが、男の体は鉛のように重くビクとも動かない。気がつくと電車が目前まで
迫ってきていた。
あと10メートル、5メートル、3メートル、1メートル……
「お客さん、気を確かに!」
その声で正気に戻ったとき、俺は駅員に羽交い絞めにされていた。その駅員が言
うには、俺は今まさに通過電車に飛び込もうとしていたらしいのだ。
電車が通り過ぎた後、ふと前を見ると、先程の労務者風の男が反対側のホームの
片隅で、恨めしそうに俺を睨みつけていたが、スーッと消えるようにいなくなり、
同時に耳元で声がした。
「命びろいしたな……」
25 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/06/01 10:28
26 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/06/01 11:42
27 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/06/02 19:05
28 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/06/03 22:53
29 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/06/03 23:07
今考えた話です。
ある夜の出来事だった。
なんとなく眠れないまま、パソコンに向かっていた。
たのしいわけではないが、暇つぶしにはなる。
のんびりと画面をみていたところ、掲示板に気になる書き込みがあった。
うわっ、これって今の俺のことみたいじゃん。
しっかりとその文を読んでみたのだが
ろくでもない、ただ、人を脅かすために書かれたような話だった。
にちゃんってタチわるいよな。そんな独り言を
いいながらも、あなたは最後までそれを読んでしまう。
ルールを守らないような馬鹿者に舌打ちをしたあなたは
のどに渇きを覚えて椅子から立ち上がり、キッチンへ行こうとして
はっとする。そこにいるのは
誰?
井上雅彦『よけいなものが』ぐらい秀逸なショートショート
が読みたいな。
>>29 いろんな要素がクロスしてる。
上手く出来てると思います。
33 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/06/04 14:05
>>33 ちゃんとそれっぽくなってるのがワラタ。最後のTOMの表情がイイ味
その日は朝から暑かった。
自室でテレビゲームに興じていた少年の耳に、
母親の叱責交じりの声が飛び込んできた。
「ほら、ゲームばっかりやってないで、草むしりしちゃいなさい。
お母さんとの約束でしょ?」
少年は、誕生日に欲しかったゲームソフトを買ってもらう代わりに、
夏休みになったら毎朝庭の草むしりをすることを約束していたのである。
テレビ画面から視線を外して窓を見ると、
雲一つ無い抜けるような青空が広がっていた。
うんざりしたような表情になった少年だが、観念したのであろう、
ゲーム機の電源を落とすと、後片付けもそこそこに小走りで階下へと降りていった。
「猫の額程の」という形容詞がしっくり来るほどの狭い庭ではあったが、
それでも庭掃除の作業は小さな子の少年にとっては重労働であった。
慣れない体勢に加え、真夏の日射がじりじりと熱い。
ものの十分も経たないうちに、少年は全身汗まみれになっていた。
1メートル四方もむしり終えないうちに少年は音を上げ、
よろめきながら庭の片隅で青々と葉を茂らせているイチョウの木へと歩み寄っていった。
母屋の東側にあるこの庭で、唯一日陰が出来ている場所である。
木の根元に腰を下ろし、少年は息をついた。
風はほとんど吹いていなかったが、
それでも直射日光の下に居るよりは幾分もましであった。
人心地ついたところで、少年は自分が座っている場所が
いくらか隆起しているのに気付いた。
こんもりと、まるで何かが埋まっているかのような形状であり、
少年は物は試しにとその場所を掘り始めた。
先程の草むしりより短い時間で、「それ」は地面の中から現れた。
異様なまでに白く、だが斑に紫色に変色した細い腕。
その手の薬指には、プラチナのリングが嵌められていた。
少年は、そのリングに見覚えがあった。
それを認めた途端、少年の思考は完全に混乱した。
では、先程自分を草むしりに急き立てたあの「声の主」は、一体……?
「お母さ……」
呟きかけたところで、
いつの間にか縁側に出てきていた「母親」と眼が合った。
ほとんど垂直近くまで吊りあがった眼。耳の辺りまで哄笑の形で裂けた口。
異形の表情の「母親」と。
その日も朝から暑かった。
少年は母親との約束通りに、今日も汗だくになりながら
草むしりに精を出している。
その甲斐あってか、庭は以前よりもずっとスッキリし、
見栄えのするものに変わりつつあった。
イチョウは今日も木陰を作り、少年が涼みに来るのを待っている。
その根元には、こんもりと盛り上がった土の小山が二つ。
久々にオカ板に話書き込んだなぁ……
何だかよくわからないのは、相変わらずだけど。
>>37 ええと、何つーか。読んでると映像が浮かぶ
短い文章にきっちり収まってますね。面白いです
岩井俊二辺りに15分ドラマにしてほしいな。
>>37 ぼっこし屋 ◆cBCRASH/NUさん
すごいです、情景がテレビの画面を見るように想像できました。
読みやすい文章も◎
19さんも面白かったです☆
ぼっこし屋さんならHPにいろんなお話載せてるから行ってみれば?
面白いよ。
44 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/06/07 01:42
遅ればせながら、
>>19いいね!
ありがちな題材を扱っていながら、新鮮に読めました。
45 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/06/07 03:12
[クラス会]
十年ぶりに女子高時代のクラス会へ出席した。
ホテルの会場で懐かしい顔をみつけては近況を報告しあい、積る話で大いに盛り
上がった。
そのうち、ある女性のことが話題に上った。彼女は、私たちのグループからいつ
もいじめられていた子で、そんな彼女が前回のクラス会に出席したことに私たち
は驚いたものだった。
「さすがに今回はもう来ないだろうなぁ」
私は数人の旧友たちとそんなことを話していた。そこへ幹事役の淑子が緊張した
ような面持ちで、私を手招きした。彼女は、バトン部のキャプテンで私たちグルー
プのリーダー的存在だった。
会場の隅にあるソファに座ると、淑子は話し始めた。
「クラス会の連絡が往復ハガキで届いたでしょ? でも消息がつかめなかった人
が何人かいて、その中に例の彼女もいたのよ。それでも何とか連絡先がわかって、
電話で直接クラス会の連絡を入れたの。そうしたら、お母さんが出てきて、彼女
は自殺したって……」
「大人になっても職場とかでいじめられてたのかなぁ」
私がそう言うと淑子は首を振り、
「それが、自殺したのは卒業式の次の日らしいの」
「……そ、そんなら、十年前のクラス会に出てた彼女はいったい」
私はそう呟くと心を静めるために、持っていたグラスでのどを潤した。つられた
ように淑子も手にしていたコーラを一口飲むと、再び口を開いた。
「それで、受け付けの参加者の欄に彼女の名前があるんよ……」
...わたしだけ...呼んでくれなかったわね.....いつもいつもいつも...
最後の一言で、皆がさーっと青ざめる感じですね。
十年前のクラス会でも、誰とも話さなかったため気づかれなかったのか。怖い。
48 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/06/07 21:32
ある日、仕事から帰宅すると、
怪獣の着ぐるみを着たヤシがキッチンで飯食ってやがった。
ここの話をAA化させてもらってもいいですか?
50 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/06/09 16:55
ココで以外なら
51 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/06/09 17:00
26 :あなたのうしろに名無しさんが・・・ :03/06/08 17:36
昨日の夢はビビッタ。 テレビをつけたまま寝てしまった。そこから恐怖が始まった。
夢の中でオレは悪魔から逃げまくるのだ。 古い階段がたくさんある家だ。なぜかオレは、逃げまくる。
逃走する。オレは夢の中でも魔力が使えるから、 なんども得体の知れぬ存在の怪物から逃げる。
しかし、だんだん相手の魔力度数が増えてきて、あと、この窓を割って外に脱出できれば・・・
命が助かる!と思っても、身体が言うことを聞かず、 そこでビョーンと魔性の者がオレを捕らえた!
目を覚まさなければ、殺(ヤ)られると思って目を開けた。 それでも目が開かないので、身体をふるわせて、からだを部屋の
角にあてて、痛くて目をさました。 夢に殺されかけた。冷や汗をふいて、前を見ると、
テレビで映画が流れたままになっていて、 画面で西洋の騎士が、魔獣に追いつかれ、むごい殺され方していた。
寝るときは、テレビを消さなければいけないと思った。寝ているとき、耳の中に、主人公が魔物から
追いかけられている悲鳴が、はいりこみ、夢とチューンナップ したみたいだ。
そこで、テレビを消したらいいのを、チャンネルを音楽番組に 変えて、もう一度寝た。もうこんな怖い夢を連続して
みないだろうと思った。 それが、しばらくすると、また夢の中で、
悪夢を見た。
52 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/06/09 17:01
また、獣が登場したのだ。 獣よ!吾が誰か知っているのか!ハリー・ポッターより上級の
マジック使いであるぞ。2度もモレの夢の邪魔をするとは・・・。 オレの魔力により去れ!と魔獣に最大級の念をはじいた。
その瞬間、心臓をギューっと爪でつかまれ、のたうち回った。 これは、夢だろ。モレの心臓がアップアップしている。
このまま死ぬのか・・・。夢の中の魔獣にあの世に連れていかれるのか。 それが今日か。何度も、心臓を爪でにぎりつぶされる感覚が全体を
貫く。こんな心臓がつぶされる痛みが、全身に走るのは、経験がない。やっと、心臓の痙攣(けいれん)がおさまったとき、
目をあけた。 テレビを見ると、天皇陛下、雅子様、愛子様が
公園で遊んでいる光景だった。 夢の中で、魔獣よ去れと対象にしていたのが、愛子様だったようだ。
愛子様を守る皇室の結界が、オレの心臓に飛びかかって きたようだ。
寝るときは、テレビを消したほうがいいみたいだ。愛子様を守る結界は強すぎる!!!
53 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/06/09 17:01
36 :あなたのうしろに名無しさんが・・・ :03/06/08 18:07
よく怖い夢を見る。
現実世界では、俊敏な移動ができることを自慢している。
モレは、マトリックスのネオみたいに、ピストルの弾も
止まってみえるくらい、弾丸をさける自信がある。
そのモレが夢でゆっくら、ゆっくらと寝ていた。
夢の中で、街を歩きながら楽しんでいた。
向こうから、ならず者が歩いてきた。モレと勝負するつもりか。
サイボーグ009のように、夢の中でも瞬速で移動できるのだよ。
ピストルを打ってみな。夢の中で打っても痛くないから。
それに、モレは夢の中では、不死身だから、除けてみせるよ。
ならず者がピストルの引きがねをひいた。
あれ!胸のド真中に当たった。このモレが逃げ遅れるとは!
夢の中で、モレより早く動作できるヤツがいるのか!
それで、まじで心臓が痛いよ!こんなこと夢ではじめてだよ。
痛すぎる。半ベソで目を覚ました。
目をあけたら、枕の横に、「殺し屋ジョーの伝記」が転がっていた。
この本の現実に存在した殺し屋ジョーが本物をなめるなよと、
夢の中で登場したらしいのだ。
矢張り本物の殺し屋のガンさばきは、夢の中でも強烈だった。
こんな本を枕の横に置くなよーと思った。
54 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/06/09 17:28
遅ればせながら
>>40-43 嬉しい感想、ありがとうございます。
睡眠不足でパンチドランカーのようになりながら書き上げた甲斐があったっちゅうもんです。
話、貼っていきますよ。
以下、長文失礼。
病室の開け放たれた窓から、柔らかく白い秋の昼下がりの陽の光が差し込んでいた。
俺は、リクライニングベッドに背を預けた格好の理沙と、他愛も無い会話を楽しんでいた。
「あーあ、結局海にも行けないまんまで九月になっちゃたねー」
「しょうがないだろ、入院してんだからさ。で、身体の方はどうなのよ?」
「うん、今日はそこそこ調子いいみたい。お薬が効いてるのかな」
「俺の顔見たから、だろ?」
「あはは、フツーそういうのって自分で言う? なに自惚れてんのよ」
屈託の無い理沙の笑顔を見ると、胸が締め付けられる思いで一杯になる。
楽しいはずのひと時、だが、俺の頭をよぎるのは、数ヶ月前に理沙の母親から聞かされたあの言葉──。
「て、浩介! 聞いてんの、あたしの話?」
「へ?」
理沙の叱責で我に返った。目の前の理沙は、怒ったような、それでいて少し拗ねたような表情をしていた。
「まったくもう……相変わらずなんだから、そうやって人の話も聞かないでぼーっとするとこ」
むくれながら理沙は視線を俺から外し、窓の外へと向けた。
微風がわずかに色づき始めたイチョウの葉を揺らし、その下では子供達が黄色い声を上げながら駆け回っていた。
少しの間無言で窓の外を眺めていた理沙だったが、再び俺の方へ顔を向けると、先程とは打って変わったしんみりとした口調で訊いてきた。
「あのさ、浩介……岸川前公園の桜、覚えてる?」
「……うん」
忘れるはずも無い、俺が理沙に告白した場所だ。
「今だから言うけど、あの時さぁ、正直あたしビックリしちゃってさぁ。
まさか浩介があたしにそんな感情持ってるなんて思わなかったのね。
でね、ちょっと照れちゃってさ、浩介の顔、まともに見れなくなっちゃったの。
それでね、顔を上げたらさ……桜が満開だったじゃない」
「あぁ、そうだったな」
もうあれから何年も経つのに、その時の理沙の笑顔と桜の花の彩りを容易に思い出すことが出来る。
「また……一緒に見に行きたいね……」
静かに呟いた理沙の目には、憂いの色が混じっていた。
俺が答えられないでいるうちに、無遠慮に部屋に踏み込んできた看護婦によって、面会時間は終了となった
理沙が倒れたのは、桜の花も散り、日に日に暑さの増してきていた五月の事だった。
この時は盲腸だったのだが、念の為にと精密検査を受けた結果子宮ガンであることが判明し、既に肺などに転移しており手の施しようが無い状態だった。
「あのね、浩介君……理沙、もう長くないの」
理沙の母親は、悲痛な表情で俺に理沙の病状を告白した。梅雨開け間際の六月下旬のことだった。
医者の宣告によれば、余命半年弱との事であった。
盲腸の手術後、すぐに判ったことだったのだが、理沙の母親は俺に打ち明けてよいものかどうか逡巡したそうである。
が、黙っていてもいずれ判る事、と思い、「告知」に至ったとのことだ。
信じがたかった。いや、信じたくなかった。だが、眼前の母親の悲痛な表情を見るにつれ、それが現実なんだ、と上手く働かない頭で悟った。
悟った途端、俺は体中の力が抜けていくのを感じ、思わず傍の長椅子にペタンと腰を下ろした。
理沙が、もうじき……死ぬ?
吸おうとして懐から出したタバコのケースが、手から滑り落ちた。
「この事を、理沙は……」
酷く自分の声がしゃがれているのが判る。喉の奥はからからに乾いていた。
俺の問いに、理沙の母親は無言で肯いた。
「ええ、病名は明かしたわ。けど……もう手遅れだって事は、伝えてないの。いつか、必ず治るよって、そう励まし……」
肩が微かに震えているのが見て取れた。泣いているようであった。
「浩介君……お願いだから……いつもじゃなくってもいいの。時間がある時でいいから……あの子の側に居て………」
最後は嗚咽交じりで言葉になっていなかった。
見舞いから帰る道すがら、俺は理沙に告白したあの春の日のことを思い出していた。
まだお互い専門学校生で、将来どんな運命が待ち構えているのか、知る由もなかったあの頃を……。
正直言って、俺は理沙と最初に会ったときから、理沙に惚れていた。道行く誰もが振り返るほどのルックスに加え、明朗で社交的な性格。心魅かれないほうがどうかしているというものだろう。
だが、生来の奥手な性格の為に、胸の内を打ち明ける事が出来ないでいた。
もし断られたら、どうしよう。断られたら、俺はどうすればいいんだ。
悩んだ。大いに悩みぬいた。このまま友達でいるべきなのか、それとも……。
そして、その日はやって来た。確か俺と理沙が知り合って三ヶ月ほど経った頃だ。
映画を一緒に見に行き、帰り道に岸川前公園に立ち寄った時、俺は意を決して理沙に告白した。
「俺と……付き合って、くれないかな?」
理沙は俺をきょとんとした表情で見つめたまま、言葉を発しなかった。
沈黙が、怖いほど長く感じられた。駄目だったのか、やっぱり……。
すると理沙は視線を頭上に咲き乱れる満開の桜へと向けた。
「桜、すっごい綺麗だね」
釣られて俺も桜を見上げる。一面に広がる淡いピンク。微かに吹いた風に揺れ、花びらが舞い散った。
「ねぇ」
視線を戻すと、桜吹雪に包まれた理沙が、微笑みながら俺を見つめていた。
「これからもずっとずっと、一緒にこうして桜の木見ようね」
「これからも、ずっと一緒に、か」
独りごちながら見上げると、雲一つ無い、ともすれば涙が出そうになるほど澄んだ秋の青空が広がっていた。
その翌日から、仕事が尋常で無いほど忙しくなり、毎日会社に泊まりこみで仕事をこなす事を余儀なくされた。
朝九時から深夜三時頃まで仕事詰め。日付感覚が完全におかしくなり、今が何曜日なのかも判断できないほどであった。
その甲斐あってか仕事の仕上がりはこれ以上無いものであり、課長を始めとした上の人間から賞賛を得ることが出来た。
「お疲れだったな。今日はもう帰って休んでいいぞ」
そう言われたのは昼前十時頃。帰宅してゆっくり寝ようかとも考えたが、俺はふらふらになりながらも理沙がいる病院へと向かっていた。
一週間ほど会っていなかったので、会いたいという気持ちが休みたいという気持ちを凌駕していたのだ。
病室では理沙の母親がベッドサイドで付き添っていた。理沙は眠っていた。
「さっき眠ったところなの。ごめんね、せっかく忙しい中を来てもらったのに……」
いいんですよ、と返して理沙の母親の隣に腰掛け、理沙の寝顔を眺めた。安らかな寝顔だ。眠っている間は、痛みや苦しみから解放されているのだろう。
「コーヒー、買ってきてあげるわね」
理沙の母親がついと席を立ち、出入り口の向こうへと消えた。病室には俺と眠っている理沙だけが残された。
窓の外から差し込む陽射しは穏やかに俺を包み込み、眠りの世界へといざなった。
眼を覚ますと、病室は暗闇に包まれていた。
どのくらい眠ってしまったのだろう。すっかり夜じゃないか。
耳を澄ますと、理沙の微かな寝息が聞こえてきた。まだ眠っているようである。
見えないと判りつつも、ベッドの理沙の方へ視線を向けたとき、俺は自分の目を疑った。
枕元。何かが、うごめいている。
闇の中、輪郭がぼんやり見えるだけだったが、確かに「何か」が、居る。
次第に暗闇に目が慣れ、その正体不明の存在の姿形が、おぼろげだが見えるようになってきた。
ぼろ切れを身に纏った、丸っこい物体。昆虫の脚のような細い手らしき部分だけが、ぼろ切れの間からにゅっと伸びている。少なくとも、俺にはそう見えた。
輪郭だけしか見えなかったのは、もしかすると幸運だったのかもしれない。あのぼろ切れの下が正視に耐えないおぞましい姿である事は否定できないからだ。
何なんだコイツは。
すると、「そいつ」はゆっくりと室内を睥睨するような動作をした後、やおら理沙にのしかかって来た。
「や、やめろ!」
得体の知れぬ者に対する恐怖を一瞬で引き剥がし、俺は「そいつ」に叫んだ。
動きが止まり、静寂だけが流れた。
ガチガチに体が強張っている。次は一体どんな行動に出る気だ。そもそも、こいつは何者なんだ。
不意に、沈黙が破られた。低く唸るような声によって。
「この娘は……じきに……死に至る………」
死ぬって……お前、一体何者なんだ。怒声を上げたかったが、声が出ない。
硬直する俺の目の前で、「そいつ」は理沙の顔を覗き込み耳を寄せ、やがて上体を引き起こした。
「心残りは………そうか…………この小僧………」
小僧、それは俺のことなのだろうか。
「慈悲……我々にも………その位は…………」
その言葉を残して、「そいつ」は闇に溶けるようにして消えていった。
それが契機であったかのように、薄っすらと見えていた部屋の風景も、ベッドの理沙も同じく闇に沈んでいき、やがて俺は真っ暗な空間に包まれた。
眼が覚めた。
電流に打たれたように顔を上げると、陽が差し込む病室の風景が目に飛び込んできた。
思わず窓の外を振り向く。まだ明るい。時計を見ても、部屋に入ってから十分と経っていない。
夢、か。厭な夢を見たものだ。
「浩介……いたの? 仕事は?」
理沙は目を覚ましていた。
「あぁ、特別に早上がりさせてもらった。ほら、ここのところ仕事が忙しくて会いに来れなかっただろ? だから、会いたいって思って、さ」
「そんな……ゆっくり休めばいいのに……でも、ちょっと嬉しいかな、えへへ」
理沙が屈託の無い笑顔を浮かべた。
言うべきか言うまいべきか。先程の夢に出てきた、あの正体不明の存在の姿が脳裏から離れてくれない。
「あのね浩介、あたし、夢見てたの」
夢、と聞いて思わずぎくりとした。いけない、動揺を悟られないようにしなくては。
「……どんな?」
「うん、岸川前公園の桜を眺めてる夢。夜の公園をぷらぷら歩いてたらね、空から何か降ってきたの。
あれ、何だろって思って、見上げたらさ………満開の桜がね、風に吹かれて一斉に舞い散ってるの。綺麗だったなあ、すごく」
まだ半分夢の中に居るような、うっとりした口調だった。が、直後に理沙の表情が曇った。
「けどね……桜を見てるのはあたしだけなの。いないの、あなたが。真っ暗な公園に、桜とあたしだけ。他に何も無いの」
口調が沈み、理沙は目を伏せた。
「ねぇ……あたし、もう長くないんでしょ? もうじき、死んじゃうんでしょ?」
「な、何バカな事……」
「いいの、判ってるの。だって自分の身体だもん。どんな状態になってるのか、判ってるの」
小さな肩が、微かに震えたかと思うと、理沙が顔を上げた。その眼が涙で濡れていた。
「浩介……やだよぅ、死ぬの、やだよぅ……だって、だって死んじゃったらもう………」
泣きじゃくる理沙を、俺は抱き寄せた。理沙の身体は、倒れる前に較べて明らかに細くなっていて、強く抱きしめると容易く壊れてしまいそうなほど脆く、儚く思えた。
俺の胸で嗚咽する理沙の頭を撫で、耳元で囁いた。
「大丈夫だって。じき良くなるって。そしたらまた、一緒に桜見に行こうな」
その日を境にして、理沙の病状は悪化の一途をたどった。
俺と久しぶりに会った日から五日後の夜、理沙は大量に吐血した。
医師や看護師の懸命かつ献身的な看護の甲斐があって何とか危機は脱したものの、理沙はもう起き上がることも話をすることさえも出来なくなっていた。
体中にチューブを差し込まれ、医療機器に囲まれていつ覚めるとも知れない昏睡状態の理沙を、俺は正視することが出来なかった。
辛い。苦しい。哀しい。切ない。
そんな形容詞で表現できないほどの感情が、俺の胸の中で激しい奔流となって荒れ狂っていた。
理沙の母親は、昼夜を通して病院に詰め、日に日に衰弱していく愛娘の容態を見守っていた。その姿はただただ悲愴であった。
十月も半ばを過ぎたある夜。俺の携帯が鳴った。出ると、理沙の母親だった。
理沙が、死んだ。
思考が止まったかのような錯覚に陥り、理沙の母親の嗚咽交じりの言葉も耳に入らなかったほどだ。
そこから先の記憶はひどく曖昧である。
気が付くと俺は、病院の仄暗い通路で泣き崩れる理沙の母親の傍らに、呆然と立ち尽くしていた。
理沙は、俺に何を求めていたんだろう。
俺に対して、何か伝えておきたい事は無かったのだろうか。
半ば麻痺したような頭で考えてるうち、俺はあの昼下がりに病室で見た夢の中の「あいつ」の言葉を思い出していた。
心残りは……そうか………この小僧………
心残り。
一体、何が心残りだったというのだろう。
俺に対して、何か? それとも、もっと別のこと……?
全ての答えは、理沙が永遠の深淵へと押し込んでしまった。もう誰も手が出せない深い深い闇の奥へ。
理沙の葬儀はしめやかに執り行われ、昼過ぎには理沙の身体は白い骨になっていた。
その間、俺は涙を流さなかった。
いや、泣きたかったが、出るべき涙が一滴たりとも湧いて来なかったのだ。
自室に帰り礼服を脱ぎながら、俺は理沙について思いを巡らせていた。
あの日理沙は、一人で桜を見る夢を見ていた。
あの日俺は、理沙の枕元にうずくまる正体不明の影の夢を見ていた。
夢。影。桜。心残り。
与えられたキーワードは宙を浮遊して回り、明確な形を成してはくれない。
と、ここで俺は宙ぶらりんになったままの疑問に気付いた。
あの夢に出てきた「あいつ」は、一体何だったのか。
あいつは、理沙の枕元に現れて彼女の様子を窺っている様に見えた。だが、それは何の為に?
死期が近かった理沙。死。それを窺うものといえば……。
「死神?」
馬鹿馬鹿しい。余りにも童話じみている。それに、死ぬ間際じゃなく何故死ぬ一月ほど前に現れるというのだ。
だが、とも思う。
仮に死神だとしても、あれはまるで何かを確認しに来ていたような感じだった。
だが、何の為に?
理沙の初七日も過ぎ、俺は以前と変わらず日々に忙殺されていた。
ただ一つ、これまでと違う点は、理沙がもうこの世にいないという事だ。
サイドボードの上に飾られた写真立てには、満面の笑みを浮かべて並ぶ俺と理沙の姿が映っている。
無情な運命が待ち構えている事など予想だにしない、幸せそうな笑顔だ。
写真立てを伏せると、俺はスーツのジャケットを羽織って部屋を出た。
「ほら、あたしの言った通りでしょう?」
「ホントだぁ……綺麗ねぇ」
岸川前公園を通りかかったとき、近所の主婦達の井戸端会議の声が聞こえてきた。
「異常気象なのかしら?」
「それにしては、おかしくない? 他の場所では咲いてないんでしょ?」
「そうよねぇ……何でこの公園だけなのかしら」
「まぁ、細かい事はどうでもいいじゃない。それにしても、ホント綺麗ねぇ」
言葉につられて、俺は公園の中へ眼を向けた。
遊歩道沿いに、桜雲が見えた。
引き込まれるようにして、俺は桜並木へと足を向けた。
満開の桜並木を、俺は歩いていた。
道行く人々は足を止め、不思議そうな面持ちで季節外れのピンク色を眺めながら、口々に「綺麗だなぁ」「いやあ、不思議な事もあるもんだ」と感嘆交じりに呟いている。
俺も時折歩く速度を緩め、あの日理沙に告白した時と同じように咲き乱れる桜を見上げた。
風が渡り、桜の花びらが舞い散った。
その時、俺の足は動きを止めた。
前方で、桜の木を恍惚の表情で見上げている、若く美しい女の姿があった。
見紛う事の無い、それは理沙だった。
「理……沙?」
理沙は俺の方を向くと、溶けるような笑顔で俺に何か言った。
一際強く風が吹いた。
桜吹雪が収まると、もうそこには理沙の姿は無かった。
理沙が何を言ったのか。声は聞こえなかったが、唇の動きで判った。
『また一緒に見れたね浩介。桜、綺麗だね』
心残りの正体が、ようやく判った。理沙はもう一度だけ、俺と一緒にこの桜を見ておきたかったのだ。
涙が出た。止めども無く、涙が溢れて俺の頬を濡らした。
満開の桜の下、俺は時間が経つのもお構いなく、一人泣いたのだ。
秋に狂い咲いた桜。
異常気象の所為だったのか、死神の慈悲だったのか、それとも理沙の想いが為した業だったのか。
それは、今もって判らない。
以上、
「どこがどうオカルトのなのかと小一時間問い詰めたくなるクサイ話」
でしたよ。
68 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/06/10 09:03
>ぼろ切れを身に纏った、丸っこい物体。
↑貧ちゃん神さんかと思いましたw
毎度の事ながら綺麗な文章で羨ましいです。
新作期待しております。
70 :
rhizome:03/06/10 13:23
>>56-66 やべっ。
仕事中なのに泣いちゃった。
あくびして誤魔化したYO。
でも止まんねー。ウワーン。
>>68 奇妙すぎて開始30秒で閉じた。
夜一人で見ると怖いかも…
72 :
◆1WZThYdb3Q :03/06/10 22:31
>>56-66 うおぉ。切ない心霊体験の方にもコピペして欲しいなぁ。
つうかリンクだけ張っとこうかなぁ。
じゅうぶんオカルティックな美しさのある話ですたよ。
74 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/06/13 08:10
保守age
75 :
メージロウ ◆n3VYsMSBOQ :03/06/13 08:17
オカルトな話ですか?
ないですね
sage
77 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/06/18 21:59
保守
このスレ初投稿です。
後味が悪くて救いようのない話ですがよろしく。
【闇に彷徨いし者】
<1>
私は見覚えのない場所に佇んでいた。
そこは、一望見渡すかぎりの広大な原野で、燃えたぎるような真っ赤な夕
焼けが空一面に広がっていた。
余りに鮮やかなその光景に心を奪われていたため、新妻の明美が傍らにい
るのに気づいたのは暫く経ってからであった。傍らにいたのは妻だけではな
かった。数人の見知らぬ老若男女が、恍惚とした面持ちで同じように天を仰
いでいたのである。
それから我々は一斉に歩き出した。行くあても分からないまま、まるで本
能に導かれるかのように同じ方角に向かって足を踏み出していたのである。
<2>
しばらく行くと、せせらぎの音が耳に届いてきた。それは幅十メートルほ
どの澄みきった清流であった。その清らかな水に手を浸してみると、ひんや
りとして心地よい。両手ですくい口元へ運ぶ。程良く冷えた水は、私の渇い
たのどを癒すのに充分すぎた。
そうこうするうち、とっぷりと日が暮れて辺りはにわかに宵闇に包まれた。
そして、鈍い光のほさきがこちらに向けられたかと思うと、片手に松明(た
いまつ)をかざした男が川向うに忽然と現れた。
<3>
「おーい、あつし」
松明を左右に振りかざしながら、その男は誰かの名を呼んだ。
すると、私のすぐ後ろにいた十歳ぐらいの幼気(いたいけ)な少年がやに
わに立ち上がり、「おじいちゃん!」と一声掛けるなり、嬉嬉とした表情を
浮かべながら、ばしゃばしゃと川を横切ってその男とどこへともなく立ち去っ
ていった。
そのうち、ひとりまたひとりと、迎えに来た者といっしょに行ってしまい、
残ったのは私たち夫婦だけになった。
<4>
しばらくすると、お経を唱えるような微かな声が私の耳に入ってきた。明
美に確かめると、「全然聞こえない」と言う。だが、それは確かに経を詠む
声にちがいなかった。私に得体の知れない不吉の念がふつふつと湧き起こっ
た。
ふと対岸に目をやると、小柄な老婆が松明を掲げてこちらを窺っていた。
私には見覚えがなかったので、おそらく明美を迎えに来た者だろう。
その姿を認めた明美は、「じゃあ、あたしは行くね……」と呟くように言
うと、私に背を向けて清流を渡りはじめた。
<5>
このまま漫然と見送れば二度と明美には会えない……そんな気がした。
私はすぐさまあとを追い、川の中ほどで両手を拡げて明美の行く手に立ち
はだかった。私が手を握って引き戻そうとすると、彼女は一瞬訝しげな表情
を見せたものの、抗う素振りも見せずに黙ってついてきた。
すると、それを見咎めた老婆が憤怒の形相を顕わにして私たちに追いすがっ
てきた。
私が肩に掛けられた老婆の手を振りはらうと、その小柄な体躯からは想像
もできないほどの大声で私を威喝をした。
「おのれっ、明美をどこに連れてゆくつもりじゃ。この川を渡らなければ其
方(そなた)たちは永劫に闇の世界で彷徨うことになるのじゃぞ!」
老婆の悲壮感漂う叫び声を背中に受けながら、私は明美を抱きかかえるよ
うにしてその場を足早に後にした。
<6>
どれだけ歩いただろう。いつの間にか経を唱える声も止んでいた。我々の
足音と息づかいだけが、静寂に支配されたこの原野に心細く響きわたる。
「ごめん、明美。俺のせいで、二度と明るい世界には戻れないかもしれん。
でもな、お前と離れたくなかったんだ。ずっと一緒にいてくれな」
月明かりで仄かにうかぶ明美の端正な横顔を見つめながら、私は柄にもな
い台詞を吐いてみた。明美は私を仰ぎ見て無言で頷いた。
長い黒髪に潤んだような可憐な瞳。均整の取れたプロポーション。他人を
思いやる優しい心の持ち主。それが明美であった。しがない地方公務員の私
には過ぎた妻だった。
<7>
そのとき、またも経を唱える声が聞こえてきた。
――爾時佛告諸菩薩及一切大衆諸善男子……今度は、はっきりと聞こえる。
そして、その声は徐々に大きくなってきた。令入於佛道爾來無量劫爲度衆生
故……その声は私の頭の中で容赦なく響きわたる。以何令衆生得入無上道速
成就佛身南無妙法蓮華經……。
「やめてくれぇ!」
耳を押さえてしゃがみ込むと、明美は不思議そうな表情で私を見つめてい
た。どうやら明美の耳にはこの経を唱える声が届いていないらしい。
そして、ギギギィと妙な音がしたかと思うと地面が大きく揺れはじめた。
私は明美を庇おうと胸元に引き寄せ、強く抱きしめた。そしてそのまま、
私の意識は混濁の中に落ちていった。
<8>
気がつくと、私は暗闇の中で横たわっていた。経を唱える声はまだ続いて
いる。明美は傍にはいなかった。
「おーい。おーい」
私はありったけの力を込めて叫んだ。すると、経を詠む声が止まり、ざわ
ざわとした物音が聞こえてきた。突然、眩い光が射し込んできて、私は顔を
しかめながら思わず掌でその光を遮った。
「あっ!」と誰かが声を上げた。指の隙間からその声の主を覗き見ると、そ
こには懐かしい顔があった。
「い、生き返った!」
父の声だった。私は棺の中に収められていて、今まさに荼毘に付されよう
としていたのであった。信じられないような父の言葉を聞いた親類縁者たち
が私の棺を取り囲んだ。しかし、そこに明美の顔はなかった。
<9>
「つ、妻は……明美は?」
私はたどたどしい声で尋ねた。すると、父と何人かの親類が私のそばを離
れて、隣に置かれてある棺を覗き込んでいるようだったが、やがて肩を落と
しながら戻ってきた。そして、父は私に向かって無念そうに小さく首を横に
振った。妻は荼毘に付された。
数日後、私は妻の遺影を前にして悄然と落ち込んでいた。明美がひとりで
闇の中を彷徨っていると思うといたたまれなかったのである。自分だけが甦っ
ても明美がいなければ私にとってはこの世で生きることに何の価値も見出せ
なかった。もう一度明美に会いたい……。
次の日、私は首を縊った。
<10>
私は再び静寂が支配する闇の世界に佇んでいた。明美はどこにいるのだろ
うか。しばらく歩くと、肉の焦げたような匂いが漂ってきて、背後から声が
した。
「あ……な……た……」
明美の声だ。
私は振り返り、月明かりに照らされた明美の姿を見て思わず息を呑んだ。
明美の自慢だった長い黒髪は焼き縮れ、その下から覗く頬の皮膚は剥がれ
落ち肩から胸元に向かってだらりと垂れ下がっていた。そして片一方の眼が
眼窩から飛び出し、まるで振り子のように左右に揺れている。鼻に至っては
もはやその在処(ありか)も判然としなかった。ただ口の中に焼け残った歯
だけが異様に白く輝いて見えた。
豊かだった胸の隆起も損なわれ、乳房の皮膚はことごとく剥がれ落ち赤黒
い肉が露出して、その表面をぬらぬらとした体液が妖しい光沢を放っていた。
「あ、明美なのか……」
「ねえ、ずっと一緒にいてくれるんでしょ? こんな姿になっても傍にいて
くれるよね? あなただって、もうすぐこんな風になっちゃうのよ」
私は哀願する明美を不憫に感じそっと肩に手を触れると、その部分の皮膚
がずるっと滑り落ちた。
私は涙がとまらなかった。
−了−
>>78-87 なんで夫だけがこの世に呼び戻されたのか分からん。
それはともかく予定調和のラストだったかも。
89 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/06/20 08:22
オカルト作品の場合、すべての謎を明らかにする必要はないと思うよ。
一人称にした時点で、情景描写や心理描写に作者の重点が置かれ、ハウダニットの部分はあえて重視しなかったのでは?
だって、自分だけが生き返った理由なんて神にしか分からないんだから。
ハウダニットじゃなくてホワイダニットだった・・・逝ってくる。
古来から「めどり」という妖怪は広く認知されておりまして、
古くは平安時代の書物にもその悪行の限りを垣間見る事ができるのです。
くちばしが長くて、羽は驚くほど大きく、全て開けば5mはあろう全長。
そして非常に頭がよく、人間の言葉も理解するようでございます。
さて、この「めどり」が具体的に何をなさるかというと、まずはたかーいたかーい空に飛び上がりまして品定めをいたします。
あのおなごはどうだ、いんや、あれは年をとり過ぎてて肉が堅いのぅ。という具合に。
そうやって、人間に的をあわせますと、後は瞬く間に飛んできて人間を掴み、瞬く間に空に消えていくのです。
当然連れて行かれた人間は、めどりの腹の中でございます。
人間を喰らうこの鳥に当時の民たちは大騒ぎ。やれ娘を外に出すなだの、弓で打ち落とすだの、それはそれは大変だったのです。
では何故この平成の世の中にめどりは表れないのか?餌の人間は腐るほど余っているのです。
答えは簡単、もうめどりは一匹もいないからであります。そう、どっこを探しても、もういないのですよ。
彼らは人間を喰らいます、ええそれはもう大食いです。人間がいる限り何人でも喰らうでしょう。
しかし、彼らは人間の骨を消化できないのです。喰らった人間の骨は胃に残ったままなのです。
だが彼らは喰らわねばならない、そうしなければ生きていけない。骨は消化されない。
これが続くと…皆さんお分かりでしょう。いつか限界を迎えるのです、死を迎えるのです。
それに加え、人間達が彼らを狩りはじめるから、
めどりの数は減りに減り、室町をぬけ、鎌倉を通り、江戸を飛び越えて、日清戦争の頃には姿が見えなくなったと聞いております。
ここで皆さんお考え頂きたい、この世界には「食物連鎖」という言葉があります。
微生物を虫が食い、そとの虫を小動物が食い、小動物を大きな動物が食い、それをまた人間が食う。
そう、めどりはたまたま人間の上にいただけなのです。そしてそのめどりを虫が食い、続いていくのです。
食われたものも、食ったものの体の血となり肉となり、また生きていきます。
めどりに食われた人間もめどりの血と肉になり、虫に食われて人間に戻るのです。それが自然の摂理ってものなのです。
よく、めどりは戒めの生き物だと寺の僧は言ってましたなぁ。人間が自然の摂理を忘れない為の。
しかしめどりがいない今、そんな事を期待するのが酷でありましょう。
そうそう、めどりは100年周期で蘇るという伝説がありました。
ええと、ちょうど見えなくなったのが日清戦争の時ですから…。
それから100年といいますと、2003年ですか。まぁ、伝説ですからな、あくまで伝説。
それでは、私はそろそろ食事の時間なのでここら辺で失礼させていただきます。
バサッ、、、バサッ、、、。
了
>室町をぬけ、鎌倉を通り、
順番、逆じゃないか?
>>95 そこらへんがオカルトって事で(゚∀゚)
ホントごめんなさい、回線切って首吊って閻魔に舌抜かれてきます。
なんかケチばかりつけてる人がいるけど、書いてくれる人がいなくなるからヤメレ!
僕もそのひとりですか?
ただケチつけてるつもりはないんですけどね。
作品楽しみにしてますよ。ますよ。ますよ。
今度は短めの作品で……
【噂の真相】
これはようこそ。
えっ、ここに人が住んでいたのかですって?
はい。もうずっと前からここに住んでおりますよ。
いえいえ、そんなに恐縮なさらなくても結構です。
まあ、そこにお掛けになってくつろいでください。
いまお茶でも入れますから。
いや、スープの方がいいかな。
えっ、私のことが怖いですって?
そんなことはありませんよ。
これでも私は貴族の端くれですからね。
レディに対する礼儀作法は心得ております。
はい、特製のガーリック・スープをどうぞ。私の大好物なんです。
冷えた体がホカホカしてきますよ。
どうしたんです? 不思議そうな顔をなさって。
おや、素敵なペンダントしてらっしゃいますね。貴女はクリスチャンですか?
実は私もそうなんです。邸内に聖堂もありますので後ほど御案内いたしましょうか?
どうしたんです? また不思議そうな顔をして……。
なんですって、聞いた話と全然違うって?
あはははは……
私に対するいろんな噂が飛び交っておりますが、ほとんどはデマですよ。
お気になさらないように。
そろそろ夜が明けてきたようですね。
私は休むことにします。
えっ、無事に帰えしてくれるのかって?
ええ。お帰りになって結構ですよ。私は処女にしか興味がありませんから。
*他スレの秀作に触発されて書いてみました。
100 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/06/21 03:07
ヤッタ!ヤァッタ!
100とったあ!
101 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/06/21 03:09
>>99 三題話のやつですか?
俺はあれ秀作とは思えないだけど、
けっこう評価されてるね。
またカキコよろしく。
102 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/06/22 09:16
極悪非道の限りを尽くした男が地獄に墜とされてきた。
閻魔様がその男に問うた。
「おまえは、これから2つの地獄のうち1つを選ばなくてはならない。心して決めるがよい」
最初の地獄は火炎地獄だった。地獄に堕ちた亡者たちが熱によって苦しみもがいていた。
そしてもう一方の地獄は、糞便地獄だった。亡者たちが糞尿の中に肩まで浸かりながら、煙草をくゆらしていた。
男は思った。糞便地獄なら臭いだけ我慢すれば、煙草まで吸えるんだから楽そうだな、と。
そこで、男は迷わず糞便地獄を選んだ。
そして、男が糞尿の中に浸かると、かたわらにいた鬼が言った。
「よし、休憩終わり。おまえら糞の中に潜れ!」
103 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/06/24 15:03
ほし
104 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/06/24 22:34
良スレ
ココの住人はまだ気付かないの?
本当はみんな死んだんだよ。
もうみんなこの世にいないんだよ?
だって僕らは2ちゃんねるだけの存在なんだから。
あの時、みんな死んだんだよ。
そろそろ受け入れて。
106 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/06/24 22:45
黙れ禿
107 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/06/26 22:12
昨日、2ちゃんの夢を見た。
・・・自分にとっては何よりのオカルト。
108 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/06/26 22:23
でも怖い話だけじゃないからね。
創作怪談三段話スレもあるし、
好きなとこに書けばいい。
・このスレ……オカルト要素を含む「創作作品」(創作色が色濃く出ている)
・作り話専用スレ……実話調の「創作怪談」(実話として使えそうな話)
てな感じで使い分ければいいのかな、と。
111 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/06/30 07:37
ho
これがめちゃめちゃコワイんだが・・・
147 :あなたのうしろに名無しさんが・・・ :03/06/30 12:26
私の友人も昔、銀と青の混ざったような色の、
渦巻きのような形をしたUFOを見たそうです。
最初の目撃以降、度々見るようになり、友人は
監視してような、隙あらば襲い掛かってくるような意志をUFOから感じたそうでした。
ある日、私の携帯に「またあれが来た。もうダメだ。もう・・・もう・・・もう・・・・」
と伝言を残したあと、自殺未遂をして精神病院に入院してしまいました。
それいらい、連絡が取れません。
ある暑い夜、俺はガールフレンドの朱美とドライブに出かけた。行き当たりばっ
たりで適当に高速道路から一般道に降り田舎のうす暗い道を走っていた。そこは
ポツリポツリと農家があるような田舎の県道だった。
しばらく行くと、緩やかなカーブを曲がりきったところで電柱に激突している車
に遭遇した。俺たちが車を止めて事故車の中を覗くと、運転席で頭から血を流し
てグッタリしている男性が見えた。俺たちが呼びかけるとその男性は微かに反応
を示した。
俺が車から男の人を引っ張り出そうとし、朱美が携帯で救急車を呼ぼうとしてい
たとき、いかにも農家のおっちゃんといった格好の中年男性が現れてこう言った。
「ええよ、儂(わし)が救急車を呼んであげるから、あんたらは早よ行き。あの
男の人も儂が引っぱり出しといてあげるから」
俺がヤンチャをしてた高校時代に体験した話。
真夏の夜にダチと単車をころがしがてら、ある小学校のプールに忍び込んだ。
俺たち五人はトランクス一枚になって、プールに入ってはしゃぎ始めた。そのうち、鬼ごっこでもしようということになった。三人が逃げて二人が鬼になり、鬼は三人のトランクスを脱がせば勝ち、という今考えると本当にくだらないお遊びだ。俺は逃げる側にまわった。
俺たちは、二人の鬼に捕まらないように、薄暗い水中に潜って身を隠した。
しばらくすると一人が捕まり、捕まえた方も捕まった方もそそくさとプールサイドに上がっていた。それを見た俺は、鬼もプールから上がってどうすんだよ、と思ったが、声を出すと自分の居場所がばれそうなので黙っていた。
程なくして、もう一人も捕まって彼らもそそくさとプールサイドに上がった。
(しょうがねーな)
しかたなく、俺も上がろうとした時、誰かにトランクスをつかまれた。
俺は、驚いて振り払おうとしたが、そいつはもの凄い力でトランクスを引きずり下ろそうとする。
「おーい吉川、何やってんだ。そろそろ帰ろうぜ」
プールサイドのダチが俺に呼びかけた。
喧嘩上等で名を馳せていた俺は、まさか「助けてくれ」とも言えず、必死で膝までおろされたトランクスを押さえながら、ようやくプールサイドまでたどり着いた。それと同時に、トランクスをつかんだそいつの手はスーッとプールの底の方に消えていった。
「おまえら、どうして先に上がったんだよ」
プールの金網を越えて外に出た後で、俺は仲間を咎めた。
「だって、プールの中に、もうひとり誰かいるような感じがして気味悪かったんだもんよぉ……」
「そういうことは、もっと早く言えよ!」と、俺は声を荒げた。
そのとき、俺の耳元で声がした。
「あなたのって、案外小さいのね……」
俺が警備会社でアルバイトをしていた時のことです。
夜勤で雑居ビルの警備を受け持つことになりました。
深夜の3時。俺は先輩社員の高橋さんと一緒になってビル内を巡回していました。
1階から順に昇っていき最後に5階を巡回していると、女子トイレから「キャー」と悲鳴を上げて、社員服姿の女性が飛び出してきました。
「どうしたんですか?」
高橋さんが声をかけると女性は震えながら、「ち痴漢よー」と言って、4階へ一目散に駆け降りて行きました。
俺と高橋さんが忍び足で女子トイレに入り、「おい、出てこい!」と、高橋さんが怒鳴りました。
俺は用心しながら、一つ一つトイレのドアを開けていきました。
しかし、すべてのドアを開けても誰もいなかったのです。
5階なので窓から逃げることもできないはずで、俺たちは不思議に思いながら女子トイレから出ました。 するといきなり、すべての便器から「ガァーッ」と水が流れる音が聞こえたのです。
俺と高橋さんは真っ青になって、1階の詰め所へ飛んで帰りました。
「俺の先輩に聞いた話なんだが・・・」
どうにか一息ついたところで、高橋さんがポツリポツリと話はじめたのです。
「2,3年前に、このビルでOLがレイプされて殺される事件があったんだ。それから5階の女子トイレに幽霊が出るという噂があるらしい」
「じゃあ、俺たちが見たあの女は・・・」
「事件の被害者が化けて出たのかもな。そもそも、深夜のこの時間に女性社員がいること自体おかしいしな・・・」
私が女子大3年の夏、ニューヨークに一人旅したときのことです。
予約していたホテルが何かの手違いで泊まれなくなってしまいました。
そのホテルで新たに紹介されたのは、薄汚れた場末のホテルでした。
なんか危ないなぁ〜、と思いながらも、野宿するわけにもいかないし、またフロント係の人が女性で良さそうな人に見えたので、そこで泊まることにしました。
部屋の中は思っていたよりも綺麗でしたが、空調の具合が悪いのか、空気がドンヨリと重く漂っているような感じがしました。
また、浴室の鏡にはひびが入っていて、洗面台の上には使用済の注射器が放置されたままでした。バスタブの中には髪の毛が数本と砂とも塵とも判別できないような埃が溜まっていました。
うわぁ〜、いやだなぁ〜、と思いながらも、今日1日だけ我慢すればいいや、と思い直して我慢することにしました。
そしてその夜のことでした。
なかなか寝付けなくて、夜中に水を飲もうと思ってベッドから出ようとしたとき、誰かが私のそばに立っているのに気がついたのです。
それは全裸姿の黒人の大男でした。口元からよだれを垂らしてニヤニヤしながら私を見下ろしていました。
犯される!
私はそう思いました。そしてこのホテルに泊まったことを後悔しました。自分の運命を呪いました。
叫び声を上げようとも、声が出ません。本当に怖いときには声も出ないということを初めて知りました。
その男は、私の体の上に覆い被さってきました。そして私の顔をじっくりと覗き込み、臭い息が私の顔に吹きかかる。
ああ、もうダメだ・・・
と、そう思ったときです。
その男は、スーッと目の前から消えたのです。
私は全身の力が抜けてしまいました。
ああ、よかった。彼が幽霊で・・・
117 :
中腹永逝銃弾:03/07/09 23:42
ふふふ ふふふふ ふふふ・・・
あ・が〜る
__∧_∧_
|( ^^ )| <寝るぽ(^^)
|\⌒⌒⌒\
\ |⌒⌒⌒~| 山崎渉
~ ̄ ̄ ̄ ̄
120 :
<バイク>:03/07/15 12:00
今日は良い気分だ。 天気も良い。
エンジンの吹けも良い。 キャブをいじって良かったみたいだ。
平日だからこんな峠道には他に車がいない。
貸しきり状態だ。 ああ、この急カーブを回れば海が見える。
ほら、まぶしいな。 (ぶろろろろぉぉぉぉぉ……)
「ねえ、お父さん車道からバイクの音がするけど、この山って
今車は通れないんじゃないの?」
「うん、昔から死亡事故が多くてハイウェイは閉鎖されたんだ。今は中腹を通る
トンネルに 変わったから山越もあっというまさ。」
「ふーん、じゃあさっきから聞こえるあの音は?」
「あれは事故にあって死んだライダーの亡霊さ。いまも死んだことに気づかず
天気の良い日になったら海を目指して走ってるんだ。」
「ふーんかわいそうだね。」
「そうだね。 さあ、がんばって午前中に山小屋まで行くぞ。」
「うん、がんばるぞ。」
(……ぉぉぉぉおおおおんうぉんうぉん! ぶろろろろお)
可哀想に、今日もあの親子は山小屋を目指している。
2年前の事件で山小屋が取り壊されて以来、今日のような良い天気の日には
いつもあの親子はずっと見つかるはずも無い山小屋を目指している。
自分たちがすでに殺されたとも知らずに。
ふふふ ふふふふ ふふふ・・・
(*´Д`)ふふふ ふふふふ ふふふ・・・
ハッキリ言ってアメリカなどの多民族国家では黒人の方がアジア人よりもずっと立場は上だよ。
貧弱で弱弱しく、アグレッシブさに欠け、醜いアジア人は黒人のストレス解消のいい的。
黒人は有名スポーツ選手、ミュージシャンを多数輩出してるし、アジア人はかなり彼らに見下されている。
(黒人は白人には頭があがらないため日系料理天などの日本人店員相手に威張り散らしてストレス解消する。
また、日本女はすぐヤラせてくれる肉便器としてとおっている。
「○ドルでどうだ?(俺を買え)」と逆売春を持ちかける黒人男性も多い。)
彼らの見ていないところでこそこそ陰口しか叩けない日本人は滑稽。
巛彡彡ミミミミミ彡彡
巛巛巛巛巛巛巛彡彡
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人 入_ノ´ ┃ヽニニノ┃ノ\
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あるところに郵便屋さんがいました
ところが何度配達しても一通だけ残ってしまう
手紙があるのです
配達がおわったあとで住所を調べてみると
たしかにそれは彼の区内の人物にあてて
出された手紙でした
彼はおかしいなと想いつつその手紙に書かれている
住所に戻ってみましたが、小一時間その付近を捜しまわっても、
宛先の家を見つけることができません
彼は次の配達のときに届ければいいと想って
その手紙をしまいました
そしてその翌日の配達のあと、
やはり一通だけ残っている手紙がありました。
彼は今度は一軒一軒、彼の配達区内の家を確かめて
まわることにしました。
けれども、やはりその住所、そしてその家は見つかりません。
翌日も、その翌日も、彼はその一通の手紙の住所を見つけることができず、
宛先の家は分からずじまいでした。
彼はその番地は存在しないのではないかと思い、
問い合わせてみると、それは確かに存在する家でした。
少なくとも、彼はその家のことは知っているような気がしましたし、
その家に手紙を届けたことがあるような、記憶もうっすらとあるようなのです。
あるとき、どうしてもここに違いない……という家の前に
彼は立ちました。しかし、その家の表札は
手紙に書かれている名前とは、別の名前でした。
いらだった彼は思わず封を切って、その手紙を読んでしまいました。
そこにはこう書かれていました。
「死んだ後のおれへ。いまお前が届けようとしているのは、
生前のおれが、死後のお前に届けさせようとして、
おれの家へあてて、お前に書いた手紙だ」
彼は自分が誰だったのか、その名前を思い出しました。
132 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/07/30 01:54
まあまあよかった。
135 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/07/31 13:40
バイトの面接を受けようと、フロムエーか何かを見て電話をかけた時の事です。
「もしもし…」などと言ったのですが、返答がありません。
ただ受話器の向こうから赤ん坊の泣き声が聞こえていていました。
しかも受話器の遠い所からです。不思議に思いかけ直してみたら、
普通 に職場にかかりました。その話しを友達にしたら、
同じような体験をしていて、 気味が悪くなりました。一体なんだったのでしょう?
>>135それが君の作品なんですか?
だとしたら僕には到底理解できそうにありません。
(^^)
140 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/08/05 08:46
ネタでは有りません。 が、上の配達人の話を見て思い出しました。
ある、在日韓国朝鮮人が密集する地区の年賀状配達のバイトをしていたときの話。
局でドカッと渡された年賀状の束、その数300束Xだいたい30〜50枚。
ほとんどの宛名が「金」さん。 しかし、実際に配達に回るとみんな通名の表札。
金本さん、中田さん、松山さん、徳山さん、林さん、山本さん、金田さん…
全然番地表記もしていない靴工場だらけの下町。
配達し終える頃には昼すぎてしまうんじゃないかと思いました。
そんな中一つの古ぼけた家の表札が「有栖川」さん。
なんか由緒有りそうな家、しかしこの家には1通の配達物もなかった。
終わり
あぼーん
144 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/08/30 16:22
age
145 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:
ほしゅ