中国在来線高速化 車両で「はやて」落札 200編成を仏加と分割受注へ
【北京=福島香織】二十九日の中国国営新華社通信によると、中国鉄道省
は国内在来線の高速化計画に関する入札で、川崎重工業など日本六社と提携
した中国車両メーカー含め、七月に応札したフランス系、カナダ系の三社が
いずれも落札を決めた。高速化の対象となる五路線の計二百編成を三社が分
割受注する可能性が強い。日本はJR東日本の東北新幹線「はやて」の改良
車両で対応する予定で、計画が実施される来年には、中国本土で初めて「新
幹線」が走ることになる。
同計画では、北京−瀋陽など五路線計二千キロについて最高時速を今の約
二倍の二百キロにする。
応札した三社は、川崎重工、日立製作所、三菱商事、三菱電機、伊藤忠商
事、丸紅の六社連合が提携した「中国南車四方機車車両車」(山東省)、T
GV車両を製造する仏・アルストムと組んだ「長春軌道客車」(吉林省)、
広州−深セン間の在来線高速化の実績をもつカナダ・中国の合弁会社「青島
四方ボンバルディアパワー鉄路運輸設備」(山東省)。
日本側は、同計画が北京−上海高速鉄道計画の前哨戦とみており、日本の
新幹線にとってはライバルの仏TGVとの実質的な技術比べの場としてアピ
ールし、高速鉄道計画の受注につなげたい考えだ。
ただ、中国側が今回応札三社すべてを落札とした背景には、高速鉄道計画
が政治問題化し、単独受注が難しいことを浮き彫りにしている。
関係筋によると鉄道省当局は「日本の新幹線が技術的には一番高い」と評
価しているが、国内の反日世論や外交関係などを考慮すると、日本を選びに
くい状況だ。
高速鉄道計画が事実上凍結されているのは、日中関係の改善を待ちたいと
いう当局側の思惑も働いているとみられている。
新華社は、在来線高速化計画が「先進技術を導入し、共同で設計、生産し
、中国ブランドをつくる原則」に従っていることを強調。高速鉄道計画に関
しても複数の技術を分割受注し、より幅広く技術移転をはかる可能性もある
。
◇
≪新高速鉄道受注に望み≫
中国の在来線鉄道の高速化プロジェクトで、一部を獲得できることになっ
た日本側は「何とか、(落札に)食い込めた」(関係者)と安堵(あんど)
している。
日本国内では、これだけの規模の車両需要は考えられないため、「(事業
面から)何としても取りたかった」(車両メーカー)こともあるが、在来線
とは別に建設する北京−上海間の高速鉄道での受注にも望みをつないだため
だ。
国鉄OBで技術移転のコンサルティングを行っている海外鉄道技術協力協
会の岡田宏最高顧問は「日本の鉄道技術は高く、中国の輸送力向上に貢献で
きる。全線獲得はならなかったが、高速鉄道受注にもプラスになる」と評価
している。
◇
【中国の鉄道高速化】中国が1997年から進めてきた在来線の高速化。
今年4月の5回目の高速化では時速160キロで運行可能な区間が計110
4キロから7700キロ余りに拡大、北京−上海間も最速で14時間から
12時間へ短縮された。来年の第6次高速化では時速200キロへの対応が
課題になっている。
一方、北京−上海間の高速鉄道プロジェクトは、在来線とは別に専用線を
敷設する計画で、運行時間は4時間半−5時間に短縮される予定。国民経済
の中期計画「第10次5カ年計画」には来年までに着工する方針が盛り込ま
れている。
(産経新聞) - 8月30日4時19分
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20040830-00000011-san-bus_all
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