雄二「これが鉄の掟だ。誰も破ることは出来ないんだぜ、俺もヽ(´ー`)ノゆめみたんもな」
・選択権は原則として早い者勝ちだ!
・けど、あまりにも酷いものが来たら「リコール」が発動される場合もあるから気をつけろよ?
・本人だろうがなんだろうが一度選ばれたらは選択肢の修正は絶対に出来ないんだ
・書き手の皆、一度書き込む前に「リロード」だ!
・sageだ、sageで書き込むんだ!!
国崎「そして……これが俺達からの魂の叫びだ!!」
・痛い喧嘩など言語道断!
・職人は『早さ』に『技』を磨き合え!
・選択肢は好きなものを選んでいいんだぞ?
・何か言いたいことがあるんなら、作品で語れ!
・相手を思いやれ!
・空気読めよ?
・大いに楽しんでいってくれ!
・気軽に参加するんだ!
雄二「言いたいことはこれだけだ! 後は書き手と選択者がなんとかしてくれ!」
国崎「みんなで協力して最高のおっぱ……じゃなかった作品を作ろうじゃないか!」
雄二「これで説明終わりだ、さっ続き続き!」
国崎「おう! 今こそ1000年分の幸せを人形に注ぎ込む時だ!!」
ゆめみ「ご主人様、もうとっくに私達の話は終わってますよ?」
雄二「甘い、甘いよヽ(´ー`)ノゆめみたん。また次の作品もそのまた次の作品も俺達で麻雀をさせるんだ!」
国崎「そうだ! それが叶うまで1秒間に16回リロードだろうがなんだろうがやってやるぜ!」
雄二「俺と国崎、そして作品は違うが春原陽平、この三人の意志は唯一つ!」
国崎「ムツミやカミュが何を言おうが知ったことか! 俺達が欲するものは……」
国崎・雄二「「おっぱい!!」」
ゆめみ(その活力をもっと人類の役立つことに使えないのでしょうか?)
雄二「そういうわけで、さあヽ(´ー`)ノゆめみたん。脱衣麻雀の続きと行こうぜ!」
環「……いい加減にしなさい! この馬鹿!!」ギリギリギリギリ
雄二「あだだだだ、割れる割れる!!」
__________
<○√ A 続きを書く
‖ B 続きを待つ
くく C 支援板へ行く
しまった! ここは選択スレだ!
オレが止めているうちに選べ!
早く! 早く! 俺に構わず選べ!!
BといいつつC
ついでにwikiもよろしく
吟遊詩人タリエシンは岐阜市長森駅前で失意の緒方理奈と出会う。
イルファのデビューで自分が信じられなくなった理奈を励ますため
タリエシンは新しい気持ちで音楽に挑むためのバンドの結成を提案する。
十波由真、芳野祐介、小牧愛佳と結成したバンド「サンタナ」で
ロックフェスティバル・リーフストックを目標に頑張っていたが――
いよいよ作詞に取り掛かった時、タリエシンと他のメンバーの
音楽性の違いが致命的なほどに離れている事が発覚してしまったのだ。
急転直下、発起人なのに「サンタナ」から外されてしまったタリエシンは
ライバルバンドであった「ガイキ○ーズ」の高槻に声をかけられる。
そして……彼らの音楽性こそ、タリエシンの書く詩に相応しかったのだ!
高槻、月島拓也、太田香奈子、金森弥太郎、ハウエンクア。
新たな仲間と共に目指せ、ロックフェスティバル・リーフストック!
959 名無しさんだよもん 2005/10/19(水) 23:37:31 ID:4ekcI1yuO
「それにしても忌々しい連中だあぁぁぁ!!」
「くすくす、くすくすくす…」
「まったく、真の芸術を理解できない連中は困るよねぇ」
あれから僕達は宿に戻ってきた訳なんだけど、ライブを邪魔されてみんなおかんむりだ。
かく言う僕もちょっと頭にきてるんだけど…さて、これからどうしようか?
A やはり決着は音楽でつけるのみ。早速練習を再会しよう!
B 少し休憩しようか。みんなと親睦も深めたいし。
C 敵情視察だ! “リーフストック”のライバルバンドの調査をしよう!(サンタナorセクシーカルテットで選択)
960 名無しさんだよもん 2005/10/19(水) 23:38:50 ID:W3B1JPOJ0
Cサンタナ
僕達が偵察しにスタジオをのぞいたら、ちょうど曲が始まったので、
隠れて最後まで聞く事にした。
「……うん! 今の良かったわよ!」
理奈ちゃんが爽やかな笑顔でみんなを振り返る。
「ああ、これならリーフストックでの成功も確実だろう」
芳野さんが静かに、しかし確信を持って相槌を打つ。
「あ、ありがとうございます。確かにこれならいけるかも……」
「とーぜん! がんばるわよ、愛佳!」
「こらこら、一番心配なのはお前だぞ、由真」
ははははは…………
スタジオ中を笑い声が包んだ。
「どうだぁタリエシン。こいつらを見て」
「反吐がでるね。曲に命どころかメッセージのかけらも感じられないし、
今では逆に除名されて幸せな気持ちだよ」
他のメンバーも頷いて、同意の意思を示す。
「確かにこれでは楽勝だけど、このままじゃ面白くないな。
少し塩を送ってはどうだろう?」
月島くんが提案した内容はスタジオに乱入して……
A 公開オナニーを披露
B 爆弾を投げ込む
C ぱんつだけぬすむ
b
「爆弾を……投げ込む?」
「ああ、練習を実力行使で邪魔されたら世間の同情を集めるだろ?
最初から肩入れして貰えれば、彼らでもいい勝負になるって寸法さ。
僕たちは元々悪評が売りだから、今さら世間に嫌われても何の損もないしね」
「くすくす…さすが月島さん…くすくす…ステキな考え…」
「それなら破壊力より炸裂音の派手な奴がいいだろうな」
「アハハハハッ、それなら突破口は俺が切り開いてやる!」
説得するまでもなく弥太郎は爆弾の選別に取り掛かってるし
ハウエンクアはすでにアヴ・カムゥの起動を終えていた。
「みなまで言わずとも自分の仕事を理解するぅぅぅ!
これこそ我々『ガイキチー○』の結束の高さ、そして完成度の高さぁぁぁ!」
「よし、僕も……ガイキ○ーズ、タリエシン、吶喊します!!」
僕たちは真紅の塊となってスタジオを強襲した!
ド ォ ォ ォ ォ ォ ォ ン ・ ・ ・ ・ ・ ・
「ガッ……ゲホッ、これは派手に吹き飛んだな……」
爆音と共に部屋に充満した煙が消えた、その先には……
A 唖然とした「サンタナ」のメンバー。作戦成功、これより帰還します!
B 大破した機材の数々、これは本番での「サンタナ」の演奏レベル低下は必至?
C ……あの、この人息をしてないんですが(タリエシン以外から人物指定)
D 偏向フィールドで爆発を防いだ……イルファの姿が!?
D
まとめワロタw
1さん乙。
……偏向フィールドって何だ?orz
バリヤーでいいんだよ、そんなもん。
グーグルで検索すればそれっぽいのが出てきますよ?
ド ォ ォ ォ ォ ォ ォ ン ・ ・ ・ ・ ・ ・
「嘘……だろ?」
僕は目を疑った。確かに弥太郎さんの爆弾が部屋に投げ込まれたはずなのに。
部屋は無事そのもので何も破壊されていない。
そして僕たちの前に立っているメイドロボ……アレは先日テレビで見かけたアイドルのメイドロボ
HMX−17aイルファじゃないのか?
「どうなってるんだ!俺様の爆弾の威力が防がれただと?」
弥太郎さんも他のみんなも動揺している。
メイドロボに爆弾を防ぐ力があるなんて非常識にもほどがあるけれど現実に爆弾が防がれた。
ここでこれ以上騒動を広げるのは得策じゃないだろう。
「とりあえずここは引こう、みんな、宿に戻ろう!」
言い知れぬ不安を抱えながら、僕達はスタジオから自分達の宿へ一目散に逃げ出した。
「何?何なの?今の爆発音は?」
「由真、大丈夫?」
「平気よ、すごい音はしたけれど」
「おい、スタジオの入り口が壊れているぞ、それにあの人影は?」
「アレは……イルファじゃないの?」
芳野さんのいい感じの曲でバンドの練習をしていると、突然スタジオの入り口が破壊されてすごい爆発音がした。
幸い、入り口で何かに防がれたみたいだけれど……そこに立っているのは私からアイドルの仕事を奪ったイルファ?
一体どうなっているの?
A 「……アイドルの人気は儚いもの、人気が下がってリストラされた私をサンタナに入れてもらえませんか?」イルファから意外な申し出をしてきた。
B 「……詳しい事情は後で話しますが緒方英二様があなたを呼んでおられます。至急来ていただけませんか?」兄さんの呼び出し?一体何事?
C 「私は試験採用中の鶴来屋警備用メイドロボ『イルファ』でアイドルのメイドロボ『イルファ』とは別物です、どうぞ練習を続けてください、お客様」
B
くそ、Aにするべきか迷っていたら出遅れたw
>「それなら破壊力より炸裂音の派手な奴がいいだろうな」
>「どうなってるんだ!俺様の爆弾の威力が防がれただと?」
>突然スタジオの入り口が破壊されてすごい爆発音がした。
おいおい破壊力のあるのだとコロニー落としクラスになるのか?
揚げ足取りイクナイ
至急来ていただけませんか?」
兄さんの呼び出し?一体何事?
私はイルファに即座に返答する事が出来なかった。
ただ、あの爆破から救ってもらったのも事実だし、悪意があるとは考えづらいわね……
「行ってこい、理奈。二人の面倒は俺が見てる」
迷っていたところに、芳野さんが静かだけど、どことなく力強い声で私を促した。
それはデビュー当時に厳しくも優しく面倒を見てくれた先輩そのままで、
私は一瞬にして決心がついてしまった。
「わかった。行きましょう」
「よお、理奈。なんか楽しい事になってるじゃないか」
「……いったい何の用よ。忙しいんじゃないの」
イルファに連れられて来たのは小さな喫茶店だった。
そこで兄さんは悠々とコーヒーを堪能していた。
「リーフストックで優勝したいかい?」
唐突にその名前が出てきたので、私は絶句した。
「しかし、バンドにベースがいないようだな。集められなかったのか?」
知っててわざと言ってるのか、単純に知らないだけなのか、兄さんはごく自然に台詞を連ねる。
「こっちのプロダクションに生きの良い若手がいてね。よければ使ってみてくれないか?」
A 七瀬彰
B 長瀬祐介
C 九品仏大志
D ディープインパクト
B
バンドでも祐介と月島兄は敵対する展開に!
由真との絡みに期待だ
つか、ダブル祐介になるから、書き手は神経使わんといかんな
ついでにダブル長瀬にもな。
29 :
名無しさんだよもん:2005/10/22(土) 00:36:30 ID:x6bvqBk8O
前すれ落ちた
どなたか前スレログもってない?
最後まで取りきれなかった……
みさきも舞も瑠璃子も千鶴も試したけど(ry
>>31 ありがとうございます。
ところで、前のすれって1000に行く前に落ちたの?
991までしかなかったけど。
イエス。991で落ちました。
1000到達前の容量オーバーでしたね。
36 :
名無しさんだよもん:2005/10/23(日) 16:10:37 ID:jQ1hLuSJ0
.
いきなり2ステップくらい話を進めてついていけなくした24が悪いのか
滞りがちな状況を鑑みず電波に長瀬で枷を重くしてしまった25が悪いのか
一方的に主人公を置いてけぼりにした19に一票
なあ…さすがにもう打ち切りでいいよな…
「紹介しよう。長瀬祐介君だ」
「どうもよろしく、長瀬です」
兄さんが連れて来たのはごく普通の少年だった。
あまりベースを弾きそうに見えない、というか音楽に興味があるように見えないタイプだけど……。
「兄さん、どういうつもり? 見限った私に塩を送るなんて」
「……おいおい、僕はいつもお前の事をちゃんと思って行動してるさ。
何だかんだ言っても僕にとっておまえは大切な妹だし、リーフストックでいい成績を上げて欲しいんだ」
自分でそう言うことを言うか、この兄は。
まあ、でもメンバーがいないことは事実だし、ベースを必要としているのも事実。
私達に断る術は……ない。
私の考えを読み取ってか、兄さんがにやっと笑う。
「まあ、頑張ってくれよ。お前にだって"元"トップアイドルとしての意地があるだろ?」
「……ふんっ!」
兄さんの真意は分からない。
けど私達に出来ることは一つ。リーフストックで優勝し、以前の輝きを取り戻すことだけ。
……今に見てなさい、兄さん、イルファ。
やあ、僕だよタリエシンだよ。
気分はどうだい? 僕らは上手く脱出できたけど不完全燃焼だったからご機嫌斜めさ。
「まったくなんだいあのメイドロボは! あれが人間だったら僕の電波で壊してやってたところだよ!!」
「僕らの邪魔をするなんて不届きな奴だよ。せっかくアヴまで狩り出したのにさぁっ!!」
月島君もハウエンクア君もさっきからぷりぷり怒ってる。
気持ちはよく分かるさ。これからって時だったのに理奈ちゃんたちの困惑する顔とか見逃したしさ。
「落ち着けお前らぁっっっ!!!」
場が高槻君の一喝でぴたと静まり返る。
「確かに今回の襲撃はどちらかと言うと失敗だったかもしれん。
だが俺達の宣伝効果としてはまずまず成功といえただろう。
もう一度思い出せ、俺達はミュージシャンでってテロリストじゃない!
標的を爆破できなかったからといって失敗なんかじゃない。歌で奴らの度肝を抜けばいいんだぁっっ!!」
ここぞという時にビシッと決める高槻君。
うん、凄く勝手な理屈だとは思うけど、こうでもなけりゃ彼らのリーダーは務まらないか。
「さて、高槻君。今後の予定とかは?」
「一先ずは練習に次ぐ練習だ。本番までもう日はない、気合入れろぉっ!」
シンプルな答えをどうもありがとう。
さて……僕もあの詩に見合う曲を考えないと。今夜は徹夜かな。
そして月日は流れる! 世代は移り変わらないけど。
僕らは当日……
A 準備万端でリーフストックに望むこととなった
B 当日になって歌のタイトルをつけていないことに気付いた
C 会場入りの前に渋滞に巻き込まれた
D メンバー全員刑務所の中にいた
d
無理して打ち切りエンドを書くとは高度テクニックだな
そう、今日は当日。当日だ。
僕らは今頃会場に向かうために車を走らせなくてはならない。
ならないはずだが……
「どうして僕らが刑務所の中にいるのさ!!」
そんな僕の悲痛な叫びが房の中に響き渡った。
「いや、やりすぎたかな」
「やっぱライブハウス爆破はまずかったか……」
「証拠がない以上何れは釈放されるだろうけど、このままじゃまずいよねぇ……」
「くすくす、くすくすくすくす……」
「どうする? 無理矢理突破する?」
「そんなことしたらマジで俺達は犯罪者になるぞ」
「かといってリーフストックを諦めることなんて出来ないしねぇ……」
メンバーの中に異様な空気が流れる。
というか誰だよあそこまでやった奴は。って僕らか。
「タリエシン君。君の意見を聞こう!」
「えっ、僕……?」
月島君が僕に話を振る。
ここは……
A 「無理にでもここを強行突破すべきだ」
B 「月島君、こういう時に君の電波が役に立つだろう?」
C 「……よし、僕が初源の詩でなんとかしよう!」
Aで
爆弾も没収された。
アヴ・カムゥも没収された。
刑務所内には妨害電波が流され月島さんは電波を使えない。
はっきり言って脱獄なんて無理だ、無茶苦茶だ。
だけどやるしかない、リーフストックに参加するためにはこの刑務所を出るしかない。
「みんな……覚悟はいいね」
「ああ、もちろんだ」
「当然だぁぁ!!!」
「くすくすくす」
「覚悟なんかとっくにできてるぜ」
「アヒャハヤヒャヒャヒャヒャヒャ」
「取調べだ、タリエシン、出ろ」
看守が慎重に鍵を外す、今だ!
「うおおおおおおおお!!!」
僕達は看守に体当たりをし、一斉に牢から抜け出した……
A 看守の一人を人質にすることに成功した(人物指定)
B 「止まれぇ!」銃を構えた看守達に追い詰められた、タリエシンちん、ぴんち
C やっぱり捕らえられた、現実は非情である。
c
「何をしている! やめんか!!」
警官の一人が僕の事を押さえ込む。
もともと僕は剣や弓には自信があるが腕力はそれほどでもない。
単純に力比べとなっては相手に勝てる自信はない。
「こ、このっ! 離せ!!」
「バカを言うな、脱獄なんてバカなことをしようとして!!
この分だと当分は豚箱に入っててもらうことになるぞ!!」
警官の声が嫌に遠く感じる。
ああ、僕は捕まった……捕まったんだ。
答えB、答えB、答えB――――
嫌なものが頭にこびりついて離れない。
くそっ、これまでか、これまでなのか……。
今ここで諦めて全てを終わらせることは簡単だ。
このままだと僕らは歴史の闇に消え、後世の吟遊詩人に詩として唄ってさえもらえずに消えていくことになる。
だが、そんなの僕は嫌だ!
ここで全てを終わらせるなんてそんなのただの逃げだ!!
今までの苦労はなんだったんだ!? あれだけ練習したじゃないか!
高槻君らに拾われて……希望をやっと見出すことができたんだ! このまま消えてたまるか!!
「ふふふふ、ふふふふふ……」
「な、何を笑ってるんだ?」
警官に押さえ込まれながらも僕はちらりと横を見る。
他のメンバーはなかなか善戦しているようだった。
「皆、頼みがある!! 僕は最後の手段に出るから君達は真っ直ぐ会場を目指して欲しい!!」
「な、何だとぉっ!?」
「何をするつもりだタリエシン君!?」
「歌うのさ、初源の歌を……」
僕はにやりと笑った。
まさか、もう一度この歌を歌うときが来るなんてね。僕程度が歌っても山に春を呼べるんだ。
十分看守の足止めぐらいはできるはずさ。
「バカな事を言うな、お前をカッコよく助けるのは俺達だぁっっ!!」
「そうだ、無茶は止せ!!」
「……悪いが、そのお願いは聞けないね。
僕はもともと君らに救われたんだ、君らだけでも会場に行って僕の歌を歌ってもらわなくちゃ困るんだ!」
それが、僕の皆に掛けた最後の言葉だった。
それから……どうなっただろう。
気付いたら僕は……
A 一人で病室にいた
B ガイキ○ーズの皆と牢の中に戻っていた
C 歌を歌い終わっても何も起こらなかった。これは恥ずかしい……
…b
僕は初源の歌を歌った、確かに山に春を呼べるだけあってなんとなく暖かくなった。
だからどうだというのかな?
……僕達はあっけなく捕まり牢屋に逆戻りだった。
今度は言い訳は通用しない、僕達はしっかり実刑判決を受けることとなった。
ライブハウス爆破も阿部君という有力な目撃証言やら爆弾の破片やらアヴァカムの足跡やら証拠がわんさか出てきてしまったよ。
…………僕らのリーフストックは、終わった。
ロックの祭典リーフストックから数年後
「うーん、シャバの空気は美味しいねぇ」
「くすくすくすくす」
「あひゃひゃひゃ、マーマ、お墓参りいけなくてごめんねぇ」
「同人誌が読めなくて寂しかったぜ」
「参ったぁ!!!刑務所は詰まらなかったぞぉ!」
「とりあえず、これからどうする?サンタナのその後でも調べてみる?」
何度も脱獄を試みたり刑務所内で暴れた僕らは数年間の刑務所務めの後。
ようやく出所することができた。(何故か加奈子さんも一緒だった)
そして、月島さんの提案に従い僕達はあの後サンタナのメンバーがどうなったのかを調べた。
緒方理奈はリーフストックで大成功を収めた後再びトップアイドルに返り咲き
イルファと一緒にアルバムを出すことになる。
二人の出したアルバム「WHITE ALBUM2」は3000万枚のビッグセラーとなった。
現在はアイドルとしてだけではなく、女優としてもその演技力を発揮しているとのことだ。
小牧愛佳と十波由真はバンド解散後、それぞれ本業の学生に戻り。
数年後、愛佳は河野貴明と結婚し二児の母となり幸せな家庭を築き。
十波由真はダニエルを継ぎ、来栖川家の執事見習いとして修行に励んでいる。
芳野祐介はプロ復帰の多くの誘いを断りアマチュアバンドとしての活動を続けた。
電気工として朋也と共に仕事を続け公子とその妹風子と穏やかな生活を送る。
長瀬祐介君は月島さんの妹さんと交際しながらメイドロボの研究に携わっているらしい。
畜生、事故か何かで死んでしまえばいいんだ。
ルドル・フォン・シュトロハイムは選択スレに再登場することなく
1943年のスターリングラード戦線で誇り高いドイツ軍人として名誉の戦死を遂げた。
「……つまらないな、音楽を忘れたり小さくまとまった音楽しか生み出さなかったり」
調査結果に対して一言、それだけだった。もうあんなメンバーなどどうでもいい。
僕は一緒に出所したメンバーを振り返る。
「僕たちの音楽はこれからだ」
ガ○キチーズの音楽が、今再び野望に向かって走り出す。
Fin
セクシーカルテットカワイソス(´・ω・`)
終了っぽい選択肢が出たんで終わらせちゃってけど
拙かったかな……反省します
セクシーカルッテットゴメンナサイ
それでは、次回作選定に行きます
A Filsnown
B 雫
C 痕
D To Heart
E White Album
F こみっくパーティー
G ナイトライター(with 雀鬼's)
H まじかる☆アンティーク
I 誰彼
J うたわれるもの
K Tears to Tiara
L テネレッツァ
M Routes
N 天使のいない12月
O MOON.
P ONE
Q Kanon
R AIR
S CLANNAD
T ToHeart2
U Planetarian 〜ちいさなほしのゆめ〜
V 鎖
R
J
主役選択だよ
A 橘敬介
B 柳也
C 霧島佳乃
D 裏葉
E みちる
F 神尾観鈴
G 神奈備命
H 最高
I 神尾晴子
J 霧島聖
K 遠野美凪
F
G
にはは、私観鈴ちん。
選択スレの主役になるのは初めてだけれど、頑張る。
それでね、今回の話の時代はね……
A 平安時代
B 戦国時代
C 幕末
D 現代
E 近未来
F 超未来
C
B
そう。今回はなんと幕末のお話なの。
なんだか難しそうだけど、わたし頑張るね。にはは。
あ、そろそろ役に戻らないと。
わたしの役どころは…
A 貧乏農家の娘役……が、がお…。
B 江戸の商人さんの娘役なんだって。
C 街道の茶店の看板娘さん。にはは。
D なんと、お殿様の奥さん!ちゃんとできるかな…(要旦那指定)
目ざめは……まぶしい。
光の中にいた。
???
ここはどこ?
往人さん? お母さん? そら?
みんなどこ?
わたしはなぜここにいるの?
観鈴が目覚めた場所は?
A 京都
B 江戸
C 高野山
まさか一秒差で…orz
Cで
じゃあ場所は>64のB
ダメ?
>>66 そういうのはダメ。
書き手が自主的に取り入れるのはいいけど、採用されなくても文句は言えないだよ?
そう、わたしはとある街道にある茶店の看板娘さん。今日も旅する人たちに、美味しいお菓子やお茶を振る舞うの。
あ、早速お客さん。
「いらっしゃいませ。ご注文は何にしますか?
個人的には、この店名物のどろり濃厚緑茶…」
ぽかっ
「みぃ〜すぅ〜ずぅ〜!?客に自分の作ったモン出すなっていっつも言うとるやろ?」
「イタイ…。お母さん、まずは何事も試してみないと」
「試さんでも普通あんなシロモノは普通の人には飲めへん。
つか、それ以前に喉の渇いとる旅人が飲むモンや…」
「それじゃあそれを貰おうかな。あと、草団子を一皿」
「……へ?」
「ほらね、お母さん。試してみなくちゃわからないでしょ?」
「んなアホな……」
実はどろり濃厚緑茶を注文したお客さん、この旅人さんが初めて。
嬉しいな。にはは。
ちなみにそのお客さんは…
A 古ぼけた人形を持った男の人……どこかで会った事があるような気がする。
B 白くてかわいい仮面を付けてる、扇子を持った男の人。
C 藤井さんって言う男の人。江戸のおっきなお店でで小間使いをしてるんだって。
D 「っな…よう見たら敬介やんか!」え?お母さんの知ってる人?
B
「草団子とどろり濃厚緑茶、お待たせしましたー」
「ああ、ありがとう」
お客さんは小さくほほえむと、最初に草団子を一つ食べて、次にお茶を一口した。
美味しいって言ってくれるかな?
「む、これは…」
「や、やっぱりお口にあいませんやろか?」
がお…。お母さん、ちょっと失礼。
「ほう…飲み心地はともかく、意外と美味しいな」
「わ、やった。ぶいっ!」
「観鈴。お客さん、飲み心地はともかく、て言うとるやろ。
そこが改善されへんかったら意味ないで。ウチは町の茶屋とは違うんやからな」
うーん…お母さん、手厳しい。美味しかったらいいと思うんだけどな…。
「いや、美味しかったよ。ごちそうさま」
「毎度おおきに〜。ほな早速お団子のお勘定の方を…」
わたしのどろり濃厚緑茶はまだ正式にお品書きに入ってないから無料。
いつかお品書きに入るといいな。
でも、それはとりあえず置いといて。
お母さんがお代金を貰おうとした時、新しいお客さんが来て、仮面のお客さんに声をかけたの。
その新しいお客さんは…
A 「漸く見つけましたよ。こんな所で油を売って…早くお戻りください」
白馬に乗った男の人。ちょっとかっこいいかも。
B 「おとーさん、おまたせ」
仮面のお客さんの娘さんかな。小さな女の子。手に蜂の巣持ってる。
C 「兄者、まずいぞ。既に奴等この先で待ち構えてやがる」
黒い外陰に身を包んだ男の人。暑くないのかな…。
D 「白皇殿とお見受け致す……覚悟!」
わわわ、お侍さん!?どうして刀抜くの?(要キャラ指定)
D 霧島聖(w
A
──キィーーーン!!
わわっ。何?何が起こったの!?
なんか鋭い音がしたけど、何も見えなかった。
「…見も知らぬ女性にいきなり斬りかかられる覚えは無いのだがな」
「そちらには無くてもこちらにはあるのだ!」
そう叫びながら、またお侍さんが刀を振り降ろそうとする。
それにしてもわたし、女のお侍さんなんて初めて見た。
「ちょい待ちぃやお侍さん!人の店の前で長物振り回すの止めてんか、周りに迷惑や!」
わ、お母さん止めに入った。かっこいい…。
「む。それは失礼した。では…」
お母さんすごい。お侍さん、素直に手を止めて刀を鞘に納めた。
あ、でも代わりに懐から小さい刀をいくつも取り出した。
なんか白皇って人から離れて構えた。
「白皇殿、覚悟ぉ!!」
「余計迷惑やぁ!!いい加減にしてんか!」
わわ、またお母さん動いた。今度は後ろから羽交い締め。
観鈴ちん、ちょっと状況についていけない。
あ、よく見たら白皇さんもそんな表情してる。
「ええい、止めてくれるな御主人!
今ここでこの男を殺さないと……
A 妹の命が危ないんだ!
B 私の命が危ないんだ!
C 私は元の時代に帰れないんだ!
D 妹がこいつの七人目の側室にされてしまうんだ!
D
タリエシンの話の題名だけど……
A 支援板で一日題名を出し合ってこっちで選択する
B もう面倒なので今すぐ誰かがここに選択肢出して選ぼう
C 本スレじゃなくて支援板で決めて構わないよ
Aで。雑談板辺りか。
「妹がこいつの七人目の側室にされてしまうんだ!」
女のお侍さんが物凄い剣幕で怒っているよ。
「佳乃は……私が大切に育てたたった一人の妹なのだ、それを早漏で評判のこやつの側室になどされてたまるか!」
にはは、白皇さんて人バツが悪そうな顔をしてるよ。
「まぁ、待て、話せばわかる。刀を納めてはくれないか」
「問答無用だ、ええい、放せ、放してくれ」
白皇さんは話し合いで解決したいみたいだけどお侍さん聞く耳持たないみたい。
お母さんが押さえつけるのも限界みたいだよ、白皇さん、ぴんち
A 「にはは、観鈴が代わりに『側室』って言うのになるよ……ところで『側室』って何?」
B 「ええいっ!覚悟!」お母さんを振り払ったお侍さんが無数の小刀を白皇さんに投げつけちゃったよ
C 「ええいっ!覚悟!」「危ない白皇さんっ!」観鈴ちん、思わず白皇さんを庇っちゃった、何本も刀が刺さって観鈴ちん、ぴんち
A
「にはは、観鈴が代わりに『側室』って言うのになるよ……ところで『側室』って何?」
し〜〜〜ん……。
わたしの言葉にみんな静まり返る。
ぽかっ。
「イタイっ」
なぜかお母さんに殴られた。
「あんた……言って良いことと悪いことがあるで……」
「娘……気遣いは感謝するが、そういうことは口に出すものではない」
「いくら私でもそこまで節操のない男ではないぞ」
「貴様ぁ〜、六人もの側室を持っておいて節操があるだとぉ〜? やはり生かしてはおけぬ、死ねーーーっ!」
仮面の人の言葉にお侍さんはさらに怒り狂う。
「あっしもた!」
お母さんの羽交い締めを振りほどき白皇さんに切りかかるお侍さん。
「く…仕方ない…」
白皇さんは懐から黒光りするものを取り出す。
「動くな!」
「むっ! それは」
「護身用に持ってきたアメリカ最新式の拳銃だ」
わっ鉄砲!? 見るの初めて。
「頼む、刀をしまって話を聞いてくれ。私も撃ちたくはないんだ」
「…………」
このままじゃ二人とも……どうすればいいの? みすずちんぴんちっ。
A 二人に熱いお茶をぶっかける。
B お侍さんが刀をしまい、この場はおさまった。
C それでもお侍さんは切りかかり、白皇さんが発砲した。
A
熱いお茶を二人にかければきっとまとまるよね、観鈴ちんかしこい
早速わたしは淹れたての熱いお茶を用意する。
ぶっ掛けるのだから安い番茶でいいよね。
「にははっ、お二人ともお茶にしようよ……あっ」
さっきから拳銃と小さい刀でにらみ合っている二人にお盆を運ぶ。
そしてわざとこける、お茶が二人に頭からかかったよ。
湯のみが二つ割れちゃったからお母さんに怒られるけど仕方ないよね。
「熱っ!あつつつつっ!」
「な、何をする小娘っ、熱いではないかっ!」
……あれ?もしかして逆効果?
A 慌てた白皇が誤って拳銃の引き金を引き、不幸にもその場の一人を打ち抜いてしまった(人物指定)
B 「この小娘……許さん」女のお侍さんが刀を観鈴に構えたよ、観鈴ちんぴんちっ
C 「ご、ごめんなさい、とりあえず二人とも火傷をしないよう水で冷やそう」わたしは素直に謝ったんだ
閃いた!Aで白皇自滅!
──ダァン!!
「しまった!!」
「なっ!?」
わわわっ、お茶をかけられてびっくりした白皇さんが、慌てて銃を撃っちゃったみたい!
銃の先にいたのはお侍さん。危ないっ!
「……破ッ!!」
──ガキィーーーーーン!!
「ぐっ…!」
えっ、えっ?
あれ?白皇さんの足から血が出てるよ?
それで、お侍さんの小さい刀が全部折れてる。何があったの!?
「霧島流短刀術『矢鏡』……銃弾に放つのは初めてだったが、なんとかなったようだな。
また新しい短刀を買わなくてはならなくなったが……」
そう言いながらお侍さんは、一度納めた刀を鞘から抜いて、白皇さんに詰め寄ってく。
白皇さん、だいぴんちっ!
「そこまでや」
──ゴンッ
「ぐぅ……」ドサッ
わ、お母さん、お盆の角でお侍さんの頭叩いた。
あれやられると観鈴ちんもたまにゴールしそうになる…。
「観鈴。ぼけっとしとらんで、そこのお客さんの傷の手当しぃ。
ウチはこのお侍さんから話聞いとるから」
「う、うん。わかった」
「…かたじけない」
お母さんがお侍さんの刀を取り上げてる間に、観鈴ちんは言われた通りに白皇さんを店の中に通して傷の手当をした。
往人「往人と」
そら『そらの』
「『おもしろ幕末講座!』」
SE「いやっほーぅ!幕末最高ー!」
往人「よい子のみんな初めまして。司会の往人お兄さんだ」
そら『助手のそらだよ』
往人「さて、記念すべき第一回は幕末の名士、登臼来白皇についてお話しよう。
浪人の皆様、覚え書きのご用意を」
往人「白皇は登臼来(とぅすくる)藩八十九万石を統治する外様大名で、広く名君として知られている」
そら『わぁー、すごい人なんだぁ』
往人「博識で行動力があり、領内に溶鉱炉を建設して商業を発展させたり、
飢饉に苦しむ農民に深い農耕の知恵を与え、更に向こう三年の減税を実施したりして名君として慕われたんだ」
そら『すごいすごい!…でも好色なんだよね?』
往人「それについては多々説があるが、現在一番有力な説が自主献身説だ。
ある時、白皇の施しに感謝した山浦と言う集落の娘が、自分を御礼として白皇に差し出した。
押しの強い娘の願いを断れず白皇は彼女を受け入れた訳だが、
これを知った大小様々な集落の代表が、自分の覚えを良くしてもらおう、自分の集落に多く施しを戴こうと考え、次々に集落の若い娘を白皇に差し出したんだ。
中にはその娘に断りも入れずに強引に差し出す例もあったらしい」
そら『うわぁ…その女の子たち、かわいそう』
往人「しかしそんな事情は当然伝えられない白皇。結局各集落からの頼みを断りきれず全員を側室に迎え入れた。
これが歪んで藩外に伝えられて好色の噂が立った…と言う訳だ」
そら『人のうわさってこわいね…』
往人「そうだな」
「…と言う訳なのだ」
店の奥で傷を手当した白皇さんが事情を話してくれた。
…なんだか人形劇の光景が頭に浮かんだけど、きっと気のせいだよね。
お母さんと、縛られておとなしくなってるお侍さんも一緒。
「なるほどなぁ…まさかお忍びの藩主様やったとは思いもよらんかったわ」
「くっ、では佳乃の人身御供の話は長の独断だったのか…。
白皇殿。否、藩主様。御無礼をお許しください」
お侍さんが深々と頭を下げて、白皇さんに謝ってる。
「いや、いい。身内を奪われる辛さは私も知っている…。
しかしあの集落の長がな…」
そう言えば、その長さんってどんな人なんだろう?
A 岡崎直幸
B 坂神蝉丸(老)
C 深山雪見
D 麻生明日菜
C
「彼女の名は、深山雪見。まぁ集落の長と言ってもだな、そこらの山を二つ三つは持ってる大地主で、
藩主の私と言えども、軽く扱うことは出来ない。側室の件も受けざるを得なかったわけだが……」
「……おのれ、やはり、ちらほらと立ち上る、長・極悪人説は真だったのか」
「極悪人?」
なんか凄く悪そう。
「凄く悪いんだ。こんな噂も聞いたことがある」
「これはこれは深山様、本日もご機嫌麗しゅう」
「あら、越後屋じゃない。先月の買い占めの件、随分と首尾良くいったと聞いたけど?」
「ははは、深山様にはお見通しですな。その件で、つまらない物ですが少々お礼を……この山吹色のお菓子を、お納め下さい」
お菓子、という言葉を聞いて、傍らに控えていた盲目少女が身を乗り出す。
「わっ、わっ、山吹色のお菓子? すごくおいしそうだよ。雪ちゃん、どれ? 匂いがしなくて分からないよ」
「はいはい、ほら、たべてみなさい」
「わーい」
ガチッ☆
「あうっ。何これ、固くて食べられない……まさか、伝説の超堅焼きおせんべ!?
これは私に対する挑戦だねっ! もいちど、いただきまー」
「やめなさいっ! もう、冗談よ、冗談。山吹色のおかしってのは、小判のことよ、小判。
ああ、もう。歯形がついちゃったじゃない」
「うー、雪ちゃん、意地悪だよ」
「ごめんね。あなたがそこまで大ボケな子だとは、ちょっと読みが浅かったわ」
「なんだかしらないけど、随分ひどいことを言われている気がするよ」
「……とまぁ、こんな感じだ。どうだ、ひどいだろう」
「にはは、楽しそう」
「その説明は、どうかと思うぞ」
A わたしもおせんべがたべたいな。
B わたしも小判が食べたいな。ごはんに似てるから、きっとおいしいよね。
C そんなことより、妹さん大ピンチ。はやく返してあげて。
D 楽しそうだけど、極悪人の人は、成敗するべきだよ。観鈴ちんも頑張る。
ここでボケて!!B
「わたしも小判が食べたいな。ごはんに似てるから、きっとおいしいよね。白皇さん、持ってない?」
「む、今は持ち合わせがないが……」
「じゃあ長さんのところに行けば、きっとあるよね。ちょっと行ってくる」
って、行こうとしたら、お母さんに尻尾を引っ張って止められた。いたた。髪の毛痛い。
「こらちょっと待ちぃ。いきなり行って、くれるわけあらへんやろ」
「え、そうなの? わけてくれないかな?」
「なにゆーとる。こういうときはな、相手の弱みをつくんや。
勝手に村娘を藩主に上納したとなれば、これは立派な『すきゃんだる』や。
こら、黙っててやるから小判よこさんかい言うてみ。もうざっくざくのうっはうはやで」
「お母さん、なんか誰かさんみたい」
「誰かって誰や?」
「えーと、さすらいの人形劇士さん?」
「それはともかくとしてだ」
お侍さんが立ち上がった。ぱらりと縄が切れてほどける。
あれ? すごい。縄抜けだ。忍者さんみたい。あ、手に小刀を持ってる。
「私も行こう。彼女には色々と腹黒い噂もあったが、事実、佳乃に被害があったとなれば、黙ってはおられん。成敗してくれよう」
わ。かっこいい。
「そういうことなら」
ハクオロさんも立ち上がった。
A 私も共にゆこう。話し合えば、分かってくれるかもしれん。
B その前に、佳乃さんを解放しよう。早漏と呼ばれるのは仕方ないが、好色と呼ばれるのは心外だ。
C 私の代わりに、腕の立つ用心棒をつけよう(人物指定)
D 私の持つ全戦力を動員して、叩きつぶそう。
E みすずちん、意味もなく白皇にひざかっくん。
E
白皇さんが立ち上がった。
その時みすずちんの目の前に、あまりにも無防備な膝があったの。
これはもう、やるしかない。やらなければやられるんやってお母さんも言ってた。
みすずちん、ごーっ。
「わた……」
せーの。
かっくん。
「うわたっ」
やった。大成功、ぶいっ!
バランスを崩した白皇さんは、よろけて……。
A お侍さんの、胸に顔をうずめたの。
B お侍さんの袴をひっ掴んで、ずり下ろしたの。
C お母さんに、激しく頭突きしたの。わ、火花が散ってる。
D 倒れた拍子に勢い余って壁を破って、裏の肥溜めに落ちちゃった。えんがちょ。
D
疫病神観鈴…
「うわっ、たっ、たっ……」
白皇さんがよろけてバランスを取ろうとしている。
だけど上手くいかなかったみたい、壁に倒れこんじゃった。
「ああっ、うちの壁は薄いんや、そないに勢いよう倒れんなや」
白皇さんわたしの家の壁を突き破っちゃって外に落ちちゃったよ。
……あれ、確かあの壁の向こう側は………いやな予感がする。
「………私はヌワンギか?」
わたし達は外に出て白皇さんを見た。
嫌な予感的中、運悪く肥溜めに漬かって白皇さんうんこまみれ、えんがちょ。
「ちょ、ちかよるなや、臭い臭い」
「もう少し離れてくれんか?とにかく体を洗うべきだと思うぞ」
「………そこの小娘、ちょっと来なさい」
肥溜めから這い出た白皇さんが物凄い顔でわたしを睨んでるよ、が、がお
「ご、ごめんなさい」
わたしは恐る恐る白皇さんに近づいたんだ。
A 「お前も私と同じ苦しみを味わえ」観鈴ちんも肥溜めに突き落とされちゃった
B 「いい加減にしないか!」白皇さんの持っていた扇子で思いっきり頭を叩かれちゃった
C 「さ、さよならっ!」わたしは卑怯にもその場から逃げ出したんだ
C
「え、えーとさよならっ!!」
みすずちん は にげだした!
しかし はくおろさん に まわりこまれてしまった!
「……待て、取りあえず深呼吸でもして落ち着け」
「え、え?」
「全く私でなければ即刻切り捨てていたぞ」
そうカッコよく言って襟を正す白皇さん。
「で、君に人としての一抹の情があるのなら風呂でも沸かしてきてほしいのだが?
それぐらいのことはしてくれてもバチは当たらんと思うぞ。私も深く咎めはしないから、お願いできるか?」
つうこんのいちげき!
みすずちん の りょうしん に 999 の ダメージ !
「わ、分かりました。ごめんなさい」
私はそう言ってお風呂の準備をすることにした。
うん、やっぱりこういうのって素直に謝った方が良いんだよね?
白皇さんにお風呂に入ってもらってる間、私はお母さんとお侍さんとお話をしたの。
お侍さんは霧島聖さんって名乗ったよ。お侍さんには苗字があってちょっと羨ましいかな。
「しっかし、妹さん取られるなんて、可哀想な話やなぁー」
「そうだろう、そうだろう? 私の気持ちを分かってくれるか」
「でも聖さんすごい。それでも藩主の白皇さんに刀を向けるなんて、普通出来ない」
「……まあ、私は武士と言えども既に脱藩した身だからな。いわゆる浪人って奴だな」
脱藩? だっぱんって何だろう。
私がそんな事を思ってると、後ろから足音が聞こえた。
どうやら白皇さんがもう上がったみたい。
「いい湯だった。どうもすまないな」
「いいえー。元はといえば家のアホちんが迷惑をかけたのが悪いんやし」
「が、がお……」
ポカッ!
私が何か言おうとする前にお母さんに殴られる。
「い、痛い……」
「このアホちんが! 少しは反省し、反省!!」
「うん、してるしてる。反省してるよ」
そんな様子を見て、ハクオロさんがくすくす笑う。
うう、酷いな……。
「それで、あんた等はこれからどないするつもりなんや?」
「無論、その地主の館に赴き成敗してくれる」
「……私も、そういうことなら手を貸さないわけにはいかん。浪人一人行ったところで直ぐに御用となるだろう」
二人はそう言って立ち上がった。
「世話になったな、女将」
白皇さんがお茶代を置いて、聖さんと立ち去ろうとする。
「あ、待って!」
私は……反射的に二人を呼び止めてた。
「どうした? 御代はもう払ったはずだが」
「ううん、そんなんじゃないの。けど……」
どうして私は二人を呼び止めたんだろう。
自分でもよく分からないけれど、不思議とそんなことしてた。
そして、次に私が咄嗟に言った言葉は……
A 「道案内……欲しくないですか?」
B 「私も、何かお手伝いしたいです」
C 「にはは、私も一緒に悪者をやっつけるよ!」
D 「あんたら、この子を連れて行ってやってくれんか?」と、私が何か言う前にお母さんからとんでもない言葉が!
E 「お詫びに私のお茶を水筒に入れて持っていってください」
_ ∩
( ゚∀゚)彡 お風呂!お風呂!
⊂彡
入浴シーン楽しみだったのに…?
選択は
C
で。
「にはは、私も一緒に悪者をやっつけるよ!」
びしっと決める。
その瞬間……皆の動きが、止まった。
お母さんも、聖さんも、白皇さんも全然動かない。
あ、あれ? ど、どうしたのかな?
「えーとね、えーとね。白皇さんにお詫びの意味も込めて……駄目、ですか?」
「…………」
聖さんと白皇さんがお互い顔を見合わせる。
そして思いっきりため息をついた。……え、ど、どうしちゃったのかな?
「気持ちは嬉しいが……その……」
「ぶっちゃけると、足手まといだ」
が、がお……。
聖さんから見も蓋もないことを言われる。
「そ、そんなのやってみなくちゃ分からないじゃないですか」
「それ以前の問題な気もするが……」
「白皇さん達だけだと心配ですよ。もしも私が忍者だったらさっきのひざかっくんの時に白皇さんは死んでたんですからね」
「う……」
やたっ。口からでまかせが意外に白皇さんに効いてる。
もう一息、もう一息。
「それに白皇さんって物凄く目立つよ。敵の目を欺くためにごく普通の町娘を一緒に連れてもいいと思うんですが。
ほら、お芝居にも女の人が敵を騙すってよくあるじゃないですか」
「うぅむ……しかし……」
白皇さんが悩んでる。
分かった、きっとこの人押しに弱いんだ。
考えてみれば当たり前だよね、そうでもなくちゃ6人も側室持たないよね?
「なあ……白皇さん。観鈴を連れて行ってやってくれへんか?」
「お、女将さん?」
突然、お母さんが真面目な顔して白皇さんに頼み込む。
ど、どうしたんだろう?
「普段からバカなことばっかりやってるコイツが、こんな真面目に頼むんや。
せやから……親としては、何とかこの子の好きにさせてやりたいと思うてな……。
この子は最低限自分の身を守ることぐらいは出来る。足手まといになんかならんはずや。
せやからな、連れて行ってやってくれんか?」
お母さんが目を伏せてそれだけ言うと、くるっと後ろを向いた。
……お母さん、もしかして
『このまま観鈴が藩主の白皇さんとお近づきになったらウチの店もウッハウハやー!』とか
『これでけったいなお茶を作られることもなくなったんや、やっほーーいっ!』なんて思ってないよね?
純粋に私のためを思ってくれてるで良いんだよね? そうだよね?
一方、白皇さんのほうは……
A 首を縦に振った
B 首を横に振った
>>102 ハクオロの入浴シーンを!?
A
>>104 ほら、アレだ、洗ったり流したりくぐったり、色々とあるだろ?
さっきのお詫びにと、ひじりんがバスタオル?一枚でハクオロの背中を流してくれるんじゃないのか!?
「……わかった」
白皇さんは縦に首を振った。やったね。
「身の安全の保障はできないぞ、それでも良いのか?」
「わたし覚悟は出来てますから」
「白皇殿!」
「彼女の決意は固い、私がどうこう言うことではない」
「しかし……彼女の戦闘能力は無しに等しい、私たちでは彼女を守りきれるかどうか……」
「観鈴」
「何ですか白皇さん」
「せめて自分の身は自分で守らなくてはいけない。だから君にこれを預ける」
そう言って白皇さんは懐からあの拳銃を取り出した。
「わたしにこれを……?」
手渡された拳銃は冷たくずっしりと重たかった。
「ああ、当たり所によっては十分殺傷力がある。気をつけて扱うんだ」
みすずはけんじゅうをてにいれた。
こうげきりょく1→30
「うん、わたし頑張る」
できれば使いたくないなあ…でも白皇さんたちの足手まといになりたくないから……。
「みすずちん、ふぁいと」
これからわたしの旅が始まるんだね。胸どきどきするなあ。
「ところで…白皇殿」
「ん? 何だ」
聖さんはわたしの拳銃をいぶかしそうに見つめている。
「先の黒船事件以来、世間ではやれ攘夷だの開国だの、果ては倒幕と騒いでいる。一国の大名と言えどもそんな異国の銃が手に入れられるものかと思ってな」
「…………」
が、がお…むずかしい話。わたしにはわかんないよ。
白皇さんは少し考えたそぶりを見せて。
「私の知り合いにアメリカ人商人がいてな、そこからいろいろな物を卸してもらっているんだ」
「ふむ、そうか。ありがとう」
「なあなあ、あんたら早速出発するんか? もう日も暮れるで、うちに泊まっていったほうがいいんちゃうか?」
そうだね、お母さんの言うとおりだよ。この時代には街灯なんてないんだし。
「夜の街道は物騒やで」
「うーん……」
白皇さんの返事は…。
A 「わかったお言葉に甘えよう」
B 「すまないが私達はすぐ出発することにする」
B
Aで。親子の別れもさせてやりたいし。
「さよか……そらちょっと寂しいな」
「すまない。だが、こうしてる間にもか弱い少女が嘆いているのだと思うと。
そして、その少女の事を想う者の憂いを一刻も早く取り除かねばと思うと…な」
「白皇殿……かたじけない。この霧島聖、貴方様の為に命を捧げます」
とっても感動的な場面。白皇さんも聖さんもすごくかっこいい。
本当にこの人たちのためにもがんばらないと。
観鈴ちん、ふぁいとっ!
「じゃ、お母さん、行ってくるね」
「よう二人の言う事聞いて。風邪とかひくんやないで」
「うんっ」
「それでは女将、色々と世話になった」
「またお会いしましょう、晴子殿」
「勿論や。事が終わったら、また顔見せに来てくださいな」
「ああ、約束しよう」
「気ぃー付けてなぁーーー!」
そしてその夜。観鈴達が去った茶店では…
「さてと………今夜はどないやったら暖かぁ眠れるんやろ。
これじゃウチの方が風邪ひいてまうわ……」
白皇(と観鈴)に破壊された壁を通り抜ける街道の夜風は、
晴子の心身を冷たく吹き抜けていったという……。
「さて。ここから街道を西へ行く。登臼来藩の領内までは凡そ拾弐里の道程になる。
途中には関が三つ。二つ目の関は小さな宿場町に併設されているからそこで一泊して、
夜が明けたらすぐに出れば明日の夕刻過ぎには領内に入れるだろう」
「ええ。そして私達の故郷である尾根の里──即ち深山雪見が治める集落は藩の中心よりやや東側…。
おそらくそこへの到着は二日後の昼前ぐらいになるでしょう」
登臼来に行った事のない私のために、白皇さんと聖さんが道のりを教えてくれた。
拾弐里っていったら結構遠いけど、観鈴ちん頑張る。
…よく考えてみたら、お母さん以外の人とお出かけするのって初めて。楽しい旅になるといいな。
…でも、そんな観鈴ちんの期待はいきなり裏切られたの。が、がお…。
それはなんでかって言うと…
A 一つ目の関でなぜかとおせんぼされちゃったの。
B 一つ目の関に着く前に盗賊が襲いかかってきたの!
C ごめんなさいお母さん。わたし、アホちん。いきなり風邪ひいちゃった…。
D ばったり出会った人にヘンな因縁つけられちゃってるの…(要指定)
b
D ヌワンギ
「待ちなぁ!!」
ん?なんだろ。あっちの方から声がするよ。
と思ったらなんだか恐い人達がいっぱい目の前に現れたの。
「何者だ!?」
「ギワッハッハッハッ!俺達はヌワンギ盗賊団だ!!」
あの大笑いしてる人が親分さんなのかな?
「よりにもよってオレ様の縄張りに足を踏み入れるたあ運が悪かったなあ、ハクオロ!!」
「ヌワンギか…」
「白皇殿、奴を知っているのですか?」
「うむ、あのヌワンギという男は元々は我が国の民だった」
「それが何故盗賊に?」
「それはだな…!?クッ!!」
わわっ。白皇さんと聖さんが話してる途中で
あのヌワンギって人がいきなり短刀を投げ付けてきたよ。
「ごちゃごちゃうるせえ!!てめえが…てめえさえいなければ…」
なんだか凄く怒ってるみたい。白皇さんこの人にも何かしたのかな?
「待てヌワンギ!!」
「野郎ども!全員身ぐるみ剥いでしまえー!!」
「白皇殿、来ます!」
「くっ、もはや問答無用か…」
「ハクオロはオレ様が直々に殺る!!」
盗賊さん達が全員一斉に襲いかかってきた!
観鈴ちんぴんちっ。
A ここはひとまず逃げる
B 盗賊はあっという間にやられてヌワンギ一人に。弱っ!
C 拳銃で威嚇、まずはヌワンギの話を聞いてみる
D とりあえず偶然側にあった肥溜めにヌワンギを落とす
A
ここはひとまずBで見せ場つくってやろうか。
本スレの途中申し訳ない、タリエシン話の題名を決めてくれ
A タリエシンの奇妙な冒険−ガ○キチーズは砕けない−
B RINA
C Tears To Tariesin
D 吟遊潮流
E 電波羊はHMX-17の夢を見るか
F ガイキ○ーズの監獄ロック
G ローリング・ストーリーズ
H ガイキ〇ーズの『芸術は爆破だ』
Aでw
タリエシン話の題名を選択してください。
A タリエシンの奇妙な冒険−ガ○キチーズは砕けない−
B RINA
C Tears To Tariesin
D 吟遊潮流
E 電波羊はHMX-17の夢を見るか
F ガイキ○ーズの監獄ロック
G ローリング・ストーリーズ
H ガイキ〇ーズの『芸術は爆破だ』
D
スマソ。かぶった。
こやつめ、にはは
「……ひとまずここは逃げるぞ」
白皇さんの掛け声と一緒にわたし達は街道から外れた山に逃げ込んだ。
こっちは三人しかいないしわたしは拳銃は持ってるけど基本的に足手まとい。
相手は20人近くいるんだもん、逃げるしかないよね。
「ちっ、待ちやがれコノヤロウ」
わわっ、盗賊さん達も追いかけてくるよ、早く逃げないと。
夜の山を一生懸命わたし達逃げたんだ、だけどね。
「が、がお、一人ぼっち、しかも迷った」
白皇さんや聖さんのペースについていけずわたしは山の中で一人迷子になった。
どうしよう……足手まといにならないって決めたのに……
A とりあえず、木に登って周りを見回してみる
B 「おっ、テメエは白皇のツレじゃねえか」盗賊に見つかっちゃった、が、がお
C 下手に動くのは良くないよね、今晩はここで寝よう
A
そうだ、高いところから見下ろせば白皇さんが見つかるかもね、観鈴ちん賢い。
わたしはそう思って近くの高い木を登ることにしたんだ。
待っててね、白皇さん、観鈴は足手まといなんかにはならないからね。
わたしはそう決意して木登りを始めたんだ。
「んしょ、んしょ、木登りなんて小さい頃してからしばらくしてないなぁ」
久しぶりの木登りは手つきが危ないけれど少しずつ登ったんだ。
手がかなり痛い、何度も木の皮で擦れてジンジンする。
だけどその甲斐あって、木の先端近くまで登れた、観鈴ちんやればできるよ。
「かなりの高さまで登れたよ、これならいっぱい見渡せて白皇さんや聖さんを見つけられるよ」
わたしは手近な太い枝に身をよじらせて、辺りを見渡したんだ。
「何処を見渡しても真っ暗、が、がお」
夜の山から周りを見渡して何かが見つかる分けないよね、やっぱりわたしアホチンだよ…
A 「しかも怖くて降りられない……が、がお」
B 「どうしよう……うわっ」観鈴ちんうっかり木から落ちて地面に頭をぶつけちゃった、が、がお
C 「そうだ、ここで拳銃を撃てば白皇さんが見つけてくれるよね」わたしは拳銃を撃った
みすずちんは、あほちんだから、C
C
B
>>128-130の選択肢を並べると
C C B
ロマンチックが止まらなくなっちまった(w
「そうだ、ここで拳銃を撃てば白皇さんが見つけてくれるよね」
観鈴ちん賢い、ぶいっ
わたしは白皇さんから借りた拳銃を懐から出し、説明どおりに弾丸を込めた。
「そうだ、全弾撃てばすぐに見つけてくれるよね、そうすればまた弾はもらえるんだし」
ますます機転がきいてるよ、ぶいっ
パーンパーンパーンパーンパーンパーンパーン…………
静かな夜の山に何発もの銃声が響く
「これですぐに白皇さんたちがやってくるよね」
一安心、しばらくここで待っていよう
程なく木の下のほうに人が集まってきたみたい。
あれ?白皇さんと聖さんの二人じゃない……
「オイ!テメェ白皇のツレじゃねえか!」
が、がお、観鈴ちん盗賊さんたちに居場所を知らせちゃったよ
しかも拳銃は全弾使っちゃった……が、がお
よじ登ってきた盗賊さんたちに観鈴ちん捕まっちゃった。
「こんな夜中に拳銃をぶっ放すなんて……相当のアホだな」
縄で縛られて動けないわたしを盗賊の親分のヌワンギさんが見下ろす。
「親分、コイツどうするんで?」
「そうだなぁ………」
A 「とりあえずアジトに連れて帰るか、へへへっ」
B 「女郎屋に売ればいい金になるだろ」
C 「コイツには用はねぇ、身包み全部はいで放置していくか」
C
観鈴です、山の夜は裸では寒いです。
わたしのあほちんプレイのせいで白皇さんからもらった拳銃取られちゃった。
その他に路銀も着物も全部取られちゃったよ………。
「おいおい、弾こそないがこれ本物のアメリカの拳銃じゃねぇか、コイツは高く売れるぜ」
「こっちの服の生地は……まぁまぁかな、古着屋に売れば二束三文で買い取ってくれるだろ」
「こんなアホじゃ、女郎屋も引き取ってくれねぇだろうしな」
「ははははっ、そりゃ言えてるな」
盗賊さんたちがわたしから剥ぎ取った戦利品を吟味してるよ。
「が、がお、お願い、返して……」
「アホかキサマ、命があるだけでも感謝するんだな」
わたしのお願いもヌワンギさんは一蹴する、当たり前か
「じゃあな、運が良かったら誰かが助けてくれるだろ、ギワッハッハ」
ヌワンギさんの高笑いと共に盗賊さんたちはいなくなっちゃった。
残されたのは身包みを剥がれて裸で木に縛り付けられたわたしだけ、が、がお
「寒いよ……白皇さん……聖さん……誰か助けて……」
A 「……遅かったか」しばらくして白皇さんと聖さんが来てくれた、嬉しい
B 誰も助けに来てくれない、わたしは縛られたまま一夜を過ごすことに、が、がお
C 「あ、あれ、もしかしてクマ?」縛られたわたしの前に凶暴そうなクマが出てきたよ、観鈴ちんぴんちっ
A
「くっ、遅かったか…」
が、がお?この声は白皇さん?
「大丈夫か?体には傷は付いてないようだな」
聖さんもいる。観鈴ちんらっきー…じゃないよね。にはは。
「まずは縄を斬って…何?服まで剥いでいくとは…仕方ない」
縄を斬ってくれた聖さんが着流しっていうのかな?
それを脱いでわたしに着せてくれたんだ。
だから聖さんは今は上はさらしだけで、遠山の金さんみたい。
「聖さん寒くないの?」
「気にするな、次の町までの辛抱だ」
「ヌワンギの仕業か…私のせいでこんな目に合ってすまない」
が、がお?なんで白皇さんが謝るの?
「ヌワンギが盗賊に身を落としたのも、元はといえば私に責任がある」
「あのような蛮族と白皇殿にどんな関係が?」
「奴は私を逆恨みしているのだ。…いや、誰かを恨まなければ生きていけぬほどにな」
「そんな悪い事を白皇さんはヌワンギさんにしたの?」
「した覚えはない。と言っても信じては貰えそうにないが、話しておこう」
それからしばらく難しい話が続いた。
わたしはよくわかんなかったけど
白皇さんが治めている登臼来という藩は、
白皇さんが大名になる前は華無氏子右流屁って変な名前の藩だったんだって。
その時大名だったのがヌワンギさんの叔父さんで、
ヌワンギさんはその大名の弟の息子だったから凄く偉かったそうだよ。
「そして、事件は起きた」
「その先は私も聞いた事があります。華無氏子右流屁藩が登臼来藩に取って変わる大事件でしたね」
「そうだ。今の登臼来があるのも、あの日の事件があってこそだ。…皮肉な物だな」
「白皇さん、それでどうなったの?」
「うむ。ヌワンギが華無氏子右流屁の大名の弟のせがれだと言う所までは覚えているな?」
「うん」
「これは全て私の預り知らぬ所で行われたのだが…」
A ヌワンギの幼馴染みのエルルゥという娘が私の側室にされたのだ
B ヌワンギ達は騙され、華無氏子右流屁藩の領土は一日にして全て登臼来藩に奪われたのだ
C 謎の『落武者狩り』の対象にされ、ヌワンギ達の一族は皆殺しにされたのだ
シリアスにCだ!
「ヌワンギの一族……正確には父と叔父が『落ち武者狩り』に遭いヌワンギを残して殺されたのだ」
白皇さんの話はまだ続いているよ。
「聞いた話では政権交代の騒乱時に、城から逃げ出して森の中で武装した民に追い詰められて殺されたとのことだ。
私としてはできるだけそのような行為は止めて欲しかったのだが……」
「それまでの豪勢な暮らしから一転して着の身着のまま追われる身となり……
ヌワンギは世界の全てを呪うようになり、似たような境遇のものを集めて盗賊団を結成したのだ」
やるせないため息をつく白皇さん。白皇さんは悪くないのに……。
「そうですか……しかし元はヌワンギの父や叔父の圧政
民が怒るのは無理もないところ。明らかに筋違いの逆恨みではないのですか?」
「確かにそうかも知れん、だが、肉親を殺され冷静に受け止められる人間などこの世にいないだろう」
A 「とにかく、一刻も早く関を越えて次の街を目指そう」
B 「観鈴……君はもう帰るべきだ、今回の一件でわかっただろう」
C 「むにゃむにゃ……あれ、何の話だっけ」難しい話は解んないからみすずちん寝ちゃったよ
A
「あ、今お帰りですか白皇殿」
「ああ」
「いつでもお忍び歓迎っすよ、白皇殿。でもまた面白い話聞かせてくださいよ」
「はは…気が向いたらな」
山を降りて街道に戻ったわたし達。
それから西に弐里ほど進んで、今いるのはここ、江阿藩、東鳩の関。
ここに来るのは初めてだけど、今白皇さんと話してる門番さん達は知ってる。
たまにうちのお店にお団子を食べに来る、雅史さんと浩之さん。
わたしとほとんど違わない年なのに門番をしてる、凄い人達。
「取り調べ無しで関が通れるのは有り難いが……他藩の関の者と親しい藩主と言うのはどうなのだろうな…」
聖さんがちょっと複雑な表情をしてそう呟いた。
観鈴ちんはいいと思うけどな。なかよしな人がたくさんいるの。
「しっかし、なんで観鈴が白皇さんと一緒にいんだ?…まさか新しい側室に…」
「…藤田君。君は私をそんな風に見てたのか?」
「ああ、いや、まさか。なあ雅史」
「ぼ、僕に振らないでよ浩之…」
「それじゃあ、お気を付けて」
「ああ。ありがとう」
「佐藤と言ったか…すまないな、助かった」
「いえ、困った時はお互い様ですから」
関の反対側まで見送りに来てくれた雅史さんに、聖さんがお礼を言う。
聖さんの格好を見かねた雅史さんが、羽織を一着聖さんにくれたの。
でもちょっと大きさが合ってなさそう…特に胸のあたりとか。
まあ、他に誰も見てないからいいよね。聖さん自身はあんまり気にしてないみたいだし。
「さて、東鳩の関を抜けてしまえば、後は比較的安全に登臼来まで行ける。
流石に山に入れば野の獣も出るが、そんな必要も余裕も無いしな」
「どうして安全なの?」
「この先の街には自警団が存在していてな。街の内外の平和維持に努めているのだ。
職場街にとって旅人の存在は貴重な収入源だからな。彼らにしてみても死活問題と言う訳だ」
あ、それは観鈴ちんでもわかる。
わたしとお母さんも、旅人さんがお団子とか食べるお金で生活してるから。
そういうのを街ぐるみでやってたら、きっと凄く頼もしいよね。にははっ。
「ねえ白皇さん。その街はなんていう名前なんですか?」
「ああ、その街の名前は…
A 魔慈安
B 天否
C 帆割場
D 婦顎
D
選んでおいてなんだがDの読み方が分からん
>>144 婦顎→ふあご→FARGO と強引に変換してくだされw
たぶんポルトガル代表のストライカーって読むんだと思う
……自警団?
細かい事は気にしなさんな!
往人「往人と」
そら『そらの』
「『おもしろ幕末講座!』」
SE「いやっほーぅ!幕末最高ー!」
往人「よい子のみんな久しぶりだな。司会の往人お兄さんだ」
そら『助手のそらだよ』
往人「さて、第二回は幕末でも風変わりな組織、江阿藩は婦顎の街の『自警団』についてお話しよう。
浪人の皆様、覚え書きのご用意を」
往人「普通、こういった自治組織にはどんなのがあるかと問われたら、
大概の人は同心や町火消しを真っ先に挙げるだろう」
そら『火付盗賊改め方とか?』
往人「寸劇の見すぎだ……自警団の歴史は古く、発祥は安土桃山の時代まで遡る。
一五七●年。婦顎は今よりも遙かに小さな村で、街道も通っていなかった。
だが、時の権力者である織田信長に保護されたキリスト教の宣教師がこの街でキリスト教を広め、街に切支丹が増えていった。
また領内からも多くの切支丹が街に集まり、その為に街道も引かれ、いつしか婦顎はそれなりの宿場街になっていた」
そら『でも、確かキリスト教って信長が死んだ後は…』
往人「そう。信長の死後キリスト教には禁止令が出され、
多くの切支丹が改宗したり、水面下で活動するようになっていった。
しかし、婦顎の街の切支丹はそのどちらの行動も採らなかった」
そら『じゃあどうしたの?』
往人「詳しい事は今でも不明だが、彼等は信仰の対象を全く別のモノにすげ替えて弾圧を逃れた」
そら『別のモノ?』
往人「キリスト教からどこがどう歪んだのかも判らないが、
彼等は『赤い月』というモノを崇めるようになった。
そのせいかどうかは知らないが、やがて彼等の中から不思議な術を身につけた者が現れ始めた」
そら『往人お兄さんみたいに?』
往人「いや。その術を使えるのは女だけだそうだ。
そして後年、彼等──否、彼女等がその力を以て組織したのが『自警団』で、
藩の干渉を殆ど受けず、日夜婦顎の街とその周辺の平和を守っている訳だ」
そら『すごいねー。偉大な独立の歴史だー』
往人「まあ、経緯が経緯だけに、少々荒っぽい集団らしいがな…」
「……まあ、そんな訳であの街の内外は自警団に守られている訳だ。
だからさっきのような盗賊は疎か、野犬の一匹すらこの街道では見当たらないのだ」
白皇さんが名前のついでにいろいろ教えてくれた。
おかげで観鈴ちんでもあの街の事がだいぶわかった。ぶいっ。
またあの人形劇が聞こえたのはきっと空耳だよね。うん。
それで私たちは婦顎の街に入ったんだけど、観鈴ちんびっくり。となりで聖さんもびっくり。
今は夜明け前のはずなのに、それがわからないぐらい明るくて賑やか。
「以前は昼に素通りしたので分かりませんでしたが…深夜とは思えない賑わいですね」
「この街は一年中こんな感じでな……下手をすると色町と変わらないが、平和な事は確かだ」
「にはは、なんだか楽しそう」
「はぐれるんじゃないぞ、観鈴」
白皇さんに注意されちゃった。残念。
「ねえ白皇さん。これからどこに行くの?」
「そうだな…
A 「少し遅くなったが、予定通り宿を取ろう。今は身体を休めないとな」
白皇さんがそう言って、私たちは近くの宿屋に行ったの。
B 「よければ先に鍛冶屋に寄っても宜しいでしょうか。先日新しい短刀を注文していたのですが…」
聖さんがそう言ったんで、私たちは鍛冶屋に行ったの。
C 「あっ、甘味処がある。ねえ白皇さん、だめ?」
押しに弱い白皇さんはわたしのわがままを聞いてくれたの。
A
A
>>31さんの提供により、過去ログアップしました。
ご協力ありがとうございました。
「少し遅くなったが、予定通り宿を取ろう。今は身体を休めないとな」
白皇さんがそう言って、わたしたちは近くの宿屋に行ったよ。
予定では、夜が明けたらすぐに出て明日の夕方には領内に入るつもりということ
だったけど、ずいぶん遅くなっちゃったから場合によっては最後の関の前でもう一泊する
ことも考えるということになったの。
ということで、今これを書いています。
盗賊さんにからまれたりもしたけれど。
P.S. 元気です、おかあさん。
「観鈴、何を書いているんだ?」
「うん、絵日記。今日あったことを忘れないように」
「……まあ、あまり遅くならないようにな。早く寝るんだぞ」
今わたしは聖さんと同じ部屋にいるの。白皇さんも一緒かと思ったら、
わざわざもう一つ部屋をとるんだって。贅沢だね。
「白皇殿も側室云々を気にされてるのかも知れないが、そこまで
気遣うこともないだろうにな。さて……」
「聖さん、どこへ行くの?」
「湯を使ってくる。観鈴、おまえはどうする?」
どうしようかな……
A 聖さんと一緒にお風呂に入ろう。
B 白皇さんと話をしてみようかな。
C あんなに盛った町は生まれて初めて。ちょっとだけ……
D さっきは大変だったし、言われたとおり、今日はもう寝ようっと。
Bでいってみるか。
A!A!
158 :
名無しさんだよもん:2005/10/27(木) 00:59:34 ID:EVRkay8fO
おめーらはえーなーOTZ Aヲミタカッタヨ…
ちょっと
>>156の髪の毛入りわら人形を木に打ち付けてくるw
白皇さんと話をしてみよう。
「うん、わたしは白皇さんと少し話をしてみる」
「そうか、あまり時間を取らないようにな」
ええと、白皇さんの部屋はどこだったかな。
民雌の間…………違う。
得流歩度の間……違う。
区等数栄の間……ここはわたしたちの部屋だね。
区等数美の間……違う。
区等数椎の間……違う。
区等数泥の間……あ、ここだ、ここ。
「白皇さん? 観鈴です」
「ああ、どうした。入ってかまわないぞ」
そういわれてわたしは戸を開けたよ。
白皇さんはもう今日2度目のお風呂に入ったみたいで、新しい着物に手を通してた。
あいかわらずあのかわいいお面はつけたままだったけど。
「で、なにかあったのか。聖はいないようだが」
「ええと、わたしが白皇さんと話をしたかったの」
「私とか? それはかまわないが、あまり長くはだめだぞ」
「わかった、ちょっとだけにする。
それでね──」
A 「さっきは盗賊さん達に捕まっちゃってごめんなさい」
B 「鉄砲を取られちゃったから、自分で身を守る方法を教えてほしいな」
C 「そういえば、どうして白皇さんはうちのお店にいたの?」
D 「結局、側室ってなに?」
A
素直にA
「さっきは盗賊さん達に捕まっちゃってごめんなさい」
私は白皇さんに謝ったんだ。
折角足手まといにならないって決めて白皇さんについてきたのに。
思いっきり足手まといになってるよ。
しかも白皇さんに借りた拳銃取られちゃったし………。
「やっぱり観鈴ちん足手まといなのかな……」
ずずずと白皇さんがお茶をすする。
湯飲みを置き、わたしの方を見据える。
「ふうむ………確かに足手まといだな」
が、がお
「街道を歩くペースは落ちたし」
が、がおがお
「貸した拳銃は取られるし」
が、がおがおがお
「新しい着物やら何やらで余計な出費が生まれたし」
が、がおがおがおがお
「………………………」
やっぱりこんな旅に行かなきゃよかったのかな…………
A 「今までの損害分、観鈴にはしっかり働いてもらわないと困るぞ」
B 「今までの損害分、母親に請求しておいたからな」
C 「正直、帰りの路銀を出すから帰れ」
b
「今までの損害分、母親に請求しておいたからな」
白皇さんお殿様なのに意外と細かいな。
うーん、わたしのせいで拳銃や着物なくしたから当然だよね。
でも……着物はともかく拳銃ってどれくらいのお金になるのかな?
「あの?それってどれくらいの額になりますか?」
白皇さんが観鈴ちんの耳元でそっと拳銃や着物の代金を囁く。
くらっ
その金額を聞いてわたし意識を失いそうになったよ。
これはだぶるぴんちやとりぷるぴんちなんて言葉じゃ表せない。
「……………み、みすずちん恒河沙(ごうがしゃ)ぴんちっ」
「まあ今夜はもう遅い、早く寝たほうがいいぞ」
落ち込むわたしに優しく諭す白皇さん。
「はい……おやすみなさい」
お母さんごめんね、壁の修理もお金がかかるのに………
この事件が終わっても帰りにくいな、が、がお
道中何とかしてお金を稼がないといけないかもしれないよ
A もう今夜は大人しく寝る
B 「いい湯だったぞ」湯上りの聖さんとばったり会う、わたしもお風呂に入ろうかな
C 「な、何とかしてお金を稼がないと」金策のためにわたしは夜の街に出かけたんだ
166 :
sage:2005/10/27(木) 20:37:44 ID:LW9QYG5j0
A
うっは何やってんだ漏れorz
みんなスマソ…
お前にはがっかりだ(嘘
もう今夜……というか明け方になっちゃってるけど、寝よう。
明日……今日は今日の風が吹くから、がんばらないとね。
お日様が真ん中より少し前。今は巳の刻ころかな。
「さて、出立するか。観鈴、飯は握りにしてきたか?」
「うん、ちゃんと。ほら、でっかいおにぎり。にはは。
ちゃんとお水も竹筒にいれてきたよ」
「これはまたでかい握りだな……」
わたしたちは婦顎を後にしたんだよ。おもしろそうなところだったけど、
中を見て回れなくて残念。帰りにまた寄れたらいいな。
それにしても、太陽がぐんぐんと照り付けてきて、暑いくらい。
でも、白皇さんの言ったとおり、ずいぶん楽な道のりだね。
「まあ、大藩である登臼来と江阿を結ぶ街道だからな。
今は旅のものも多く、以前は兵どもが行き来もしていただろう」
「……」
白皇さんは、あまり関心もなさそうに前を歩いてた。
ふう、ここまで急いできたおかげで、最後の関が閉まる前に着いたよ。
もう夕方だけどね。
「白皇殿、どうされる」
「そうだな……」
A 「この街道であれば大丈夫だろう。強行軍だが関を抜けてしまおう」
B 「なにかあるとまずいな。関の前の旅籠で休もう」
C あれ? あの人、白皇さんをずっと見てる……のかな?
A
「この街道であれば大丈夫だろう。強行軍だが関を抜けてしまおう」
「次の旅籠に着くのは夜中になってしまうぞ?」
「はは、こう見えても一応藩主だからな。藩内ならばそれなりに無理も効くだろう」
聖さんとそんな話をしながら、白皇さんは関の番人に幾つか声を掛けると
関の人は畏まって門を開き始めちゃった。やっぱり偉い人なんだね。
ギギギギギィ―――
門が開かれると、綺麗な夕焼けに照らされた街道があらわれた。
街道にはちらほら民家がみえるけど、わたしの家とは少し造りが違うみたい。
そっか……この門を越えたら、いよいよ登臼来藩なんだ。
わたしはよその藩に行くの初めてだから、ちょっと楽しみだな。
「こんな時でもなければゆっくりと登臼来を案内してあげたいものだが」
「人の良い藩主ぶるのは、きちんと藩内の政を正してからにして欲しいものだが」
「う……それは面目ない。城に帰ったら一度領地を検分させないとな」
う、ちょっと険悪なふいんき。
こんな時は、なにか関係のない事ではぐらかせとお母さん言ってたっけ。
関係ないもの……関係ないもの……あっ!
A 昨日の山賊さんが盗んだ銃を売りに出してるよ
B お侍さんが「オイデゲー!」と叫びながらこっちに向かってくるよ
C 金髪の女の人がちょっと変わった海老の天麩羅を売っているよ
c
金髪の女の人?
誰だ?
心当たりが多すぎる…。
この時代に天ぷらだから多分金髪外人のどっちかだと思うが。
葉子さんだよ
なんで?
なんか混乱させた&分かりにくいネタだったみたいなのでリコールで構いません(汗
済みませんでした……orz
エビフライ好きだから。
>>176 んなことくらいで簡単にリコール宣言するな。
>>176 いや、それはやめてくれ頼む…○<\_
よけいなつっこみしたおれが悪かった。
それによく考えればこういうのは次の書き手が考えるもんだもんな。
本当にすまなかった。
9KSH8FHq0さんが責任を持って続きを書けば無問題
と、C選んだ自分が言ってみる
まぁ金髪ってだけだから、本来の書き手の意図はともかく、次の書き手が金髪のだれ出すかは一応自由だわな。
慣例としては、書き手の意図を読んで、それ出すのが普通だけど。
なんか面白いフェイントがあれば、それはそれで。
往人「往人と」
そら『そらの』
「『おもしろ幕末講座!』」
SE「いやっほーぅ!幕末最高ー!」
往人「よい子のみんなこんにちは。司会の往人お兄さんだ」
そら『助手のそらだよ』
往人「さて、第三回は食べ物の話をしてみよう。いやっほーぅ!料理最高ー!」
往人「旅をする場合の基本は、やはりおにぎりだ。塩や味噌を利かせ、持たせるために
焼きおにぎりにしたり、長い旅なら焼き米を持ち歩いたりする。
東海道などのよほど整った街道でもなければ、必須だな。やくそうなみだぞ」
そら『往人お兄さんうれしそうだね……
そういえば、飲み物は? 自販機なんてないから、やっぱり街道の団子や?』
往人「茶や麦湯を飲む場合はそうだが、持ち運ぶのが当然だ。
竹筒は天然の水筒だ。硬く、持ち運びやすく、安いといいことづくめだ。
西洋では皮袋などを使っていたが、破れたり漏れたりと大変らしいぞ」
そら『あのお姉さんが作ってるけど、海老の天ぷらなんてものが屋台で売っているの?』
往人「江戸時代には天ぷらは庶民の食べ物だぞ。とくに海老はこの時代、どこでもたくさん取れたんだ」
そら『あれ、お兄さん、あれは天ぷらじゃないや。ひょっとして、エビフライ?』
往人「うん? 資料によると、エビフライは有名な洋食屋、煉瓦亭が作ったものとされている。
それに生パン粉は日本で、それも明治頃作られたものだ。
アメリカなどでは、PANKOという名前でパン粉が売られているが、数はまだ少ないみたいだぞ。
この時代にあるなんて、なぜだろうな」
「delicious! クロケットに使うパン粉を海老につけてあげるだけでこんなにおいしくなるなんて。
皐月さんのセンスには脱帽ね」
「美味しそう……」
「たしかにうまそうではあるが、店のものが売り物を食べ続けてるのはどうなんだろうな。
しかし、あの女性、異人だな。それにしては言葉がうまい」
たしかにそうだね。鏡を見るとわたしもそんな感じだけど、それは深くは気にしないことにしよう。
それにしても、すごい美人。それに背も高くてスタイルもいいし。
ひょっとして、聖さんよりすごいかも。
「うーん、塩も醤油も味噌もいいけど、なにか、もっといいものがありそうな気がする……
これは次の課題ね」
そうこうしていると、
A 「Hi! 白皇様」と声をかけてきたよ。
B 「いらっしゃいませ、お持ち帰りでよろしいですか?」と素敵な笑顔で尋ねられたよ。
C フフフと、意味ありげな顔で白皇さんを見てるね。
D 通りがかりの人に因縁をつけられちゃってる。かわいそう……
E 「観鈴、聖殿、急ぐぞ」白皇さんに急き立てられちゃった。
A
「Hi! 白皇様」
わ。異人さんが白皇さんに声をかけてきたよ。
でも、白皇さんは何も訊いてないのに、どうして「ハイ!」って返事したんだろう?
「…あの異人も白皇殿のお知り合いなのですか?」
「ああ。昨日話したアメリカの商人というのが彼女だ。
時折商取引の見返りにと、あんな風にアメリカの知識を領内で流布しているのだが…」
「Hu…今回は彼女にしてやられたわ。まさかちょっと分けてあげたパン粉を使って、
こんな美味しい物を作っちゃうなんてね」
「なっ!?」
わわ。異人さんいつの間にかすぐ近くにいたよ?
聖さんも婦顎の街に来た時よりびっくりしてる。
「Nice to…じゃなくてはじめまして、ね。
私はリサ=ヴィクセン。登臼来藩お抱えの商人よ。これからヨロシクね」
「…これから?」
「あら、だってあなた達、白皇様の新しい側室でしょ?」
「「違う!!」」
わわわ。白皇さんと聖さん、息ぴったり。
もうすっかりなかよしさん。にはは。
「藩主様達もおひとついかがですか?」
皐月さんって呼ばれてた屋台の女の人が、わたし達にえびの天麩羅?を勧めてきた。
うーん、間近で見るとやっぱり美味しそう…。
「…領民と親交を持つ事は素晴らしい事だと思いますが、
事が過ぎると甘やかしになってしまうのでは…」
「…似た様な事を家老にも言われるよ」
「あはは…まあ堅い事言わずにお侍さんも。さ。お代は結構ですから」
「白皇さん。わたし、これ食べたい…」
「うーむ……だが今は先を急ぎたいからな…
A 悪いがまた今度にさせてもらう」
白皇さん断っちゃった。が、がお…残念。
B それじゃあ幾つか貰っていくかな。また後で食べるよ」
わ、やった。今晩のおかずだ。
B
「それじゃあ幾つか貰っていくかな。また後で食べるよ」
白皇さんが皐月さんから幾つか海老の天麩羅?を貰って懐に入れた。
「あのう……後っていつなのかなぁ」
意地汚いけど思わず質問しちゃった、だってこんな珍しい食べ物初めてだもの
白皇さんは苦笑しながら答えたんだ。
「旅籠に着いたら夜食に食べることにしよう。それまでは我慢すること」
うーん、そうだよねぇ。今は先を急ぐことが大切だもの。
「それじゃあ早く出発しようよ、にははっ」
「まったく、観鈴は現金だなぁ」
「こらこら、慌てると転ぶぞ」
わたし達は海老の天麩羅屋さんを後にして、道中を歩き始めたんだ。
A 突然白皇さんが苦しい顔をして倒れたんだ、これって何かの病気?
B 道中は退屈だからわたし達はしりとりを始めたんだ
C 何事も無くわたし達は旅籠についた、一安心だね
C
「ふう、ようやく着いたな」
旅の道中、特に何事も無くわたし達は旅籠の前までたどり着くことができた。
ちょっと退屈だけどまた盗賊さんたちに襲われるよりはいいよね。
「もう真っ暗、お腹もぺこぺこ、早くさっきの海老の天麩羅?を食べよう」
「こらこら、そうせっつくな、まず旅籠に宿泊の手続きをしないといけないだろ」
「いらっしゃいませ、お泊りですか……ってあの、もしかして白皇様ですか?」
やっぱりあのかわいいお面をかぶっているお陰で人目でお殿様だと分かるみたい。
旅籠の女将さんが驚いてるよ、そうだよね、突然自分の藩のお殿様が泊まりにきたら。
「ああ、夜遅くに済まないな、三名を二部屋に泊めてくれ」
「は、はい、もちろんで御座います」
「後、この揚げ物を夕食に出してくれ……そうだな、あぶるなどして温めてくれると有難い」
「も、もちろんです、板前に十分伝えておきます」
夕食の準備ができるまでわたし達は部屋で休むことにしたんだ。
白皇さんは一人で隣の部屋、わたしと聖さんは二人でお話。
「聖さんのお父さんとお母さんは?」
「母は佳乃を産んですぐに死んでしまい、父も数年前に他界した。以来私が佳乃を育ててきた」
佳乃さんかわいそう、が、がお
A 「きゃああああああぁぁ!!」隣の部屋から仲居さんの悲鳴が、部屋に入ると血まみれの白皇さんが倒れていた
B 「佳乃さんってどんな娘なのかな?」わたしは聖さんに佳乃さんの事を聞いてみた
C 「む……曲者っ!」突然聖さんが刀を抜いて天井に突き刺したの
A
「きゃああああああぁぁ!!」
「!!」
「何事だ!?」
わたし達が佳乃さんの事で話をしてると、突然、隣の部屋から仲居さんの悲鳴が聞こえてきたの。
急いでふたりで行ってみたら、そこには血まみれで倒れてる白皇さんが…!
「くそっ!」
聖さんが慌てて白皇さんにかけよって着物をはだける。
が、がお……白皇さんの胸が真っ赤…。ど、どうしよう…。
「…よし。出血は派手だが命に別状は無さそうだ」
「ホント?よかっ…」「あら、それは残念」が、がお!?」
「観鈴っ!」
え、え。え?
白皇さんが無事だって聞いてホッとしてたら。
いつの間にか仲居さんがわたしを引き寄せて。
両手をしっかり押さえられて。
ちょっと頭を下げたら、首の前に赤い短刀があって……。
み、みすずちん、だいぴんちっ!
「さ、お侍さん。この子の命が惜しかったら刀を捨ててもらえるかしら?」
「おのれ卑怯な……」
聖さんは言われた通り刀を捨てると、こっち(の後ろの仲居さん)を凄い勢いで睨んだの。
「貴様、何者だ……誰の差し金でこんな事をした!」
「ふふ…後の質問には答えれないけど、最初の質問には答えたげるわ。
私は
A 巳間晴香
B 美坂香里
C 榊しのぶ
D 向坂環
訳あってあなた達の命を戴きに来た者よ」
「くっ…ふざけるな!」
「あら、私は真剣そのものよ?」
が、がお、どうしよう…。
a 動いたら危ないよね。今はおとなしくしてないと…。
b みすずちん頑張る!思い切って仲居さんの手首に噛みついた!
c が、がお……こんな時におしっこしたくなっちゃった…。
C c
「私は榊しのぶ、訳あってあなた達の命を戴にきた者よ」
仲居だと思っていたらわたし達を殺しにきた人なんて……
「さ、そこをどいてくれる?でないとこの娘が……」
「い、痛い、が、がお」
榊さんの腕に力が入って、喉に当てられた小刀が少しだけ刺さってくる。
こ、怖いよ、わたし殺されちゃうの?
「や、やめろ、分かった」
わたしを人質にとられて手も足もでない聖さんが白皇さんと捨てた刀から離れて部屋の隅に追いやられる。
「そう、言うことを聞いていればこの娘は殺さないであげる」
これはとんでもないだいぴんち、何とかしないと白皇さんが殺されちゃうよ。
ここはわたしが何とかしないと、でもどうやって?
榊さんはわたしを人質に取りながら白皇さんににじり寄る。
白皇さん、いっぱい血を流しながらぴくぴく痙攣しているよ、かわいそう。
「このまま放っておいてもいずれ出血多量で死ぬと思うけど……確実に殺しておかないと」
聖さんすごい顔で榊さんを睨んでる、こんな緊迫した状況なのに、わたしはというと
(が、がお、こんな時におしっこがしたくなったよ……これは使える?)
そうだよね、いくら榊さんが強くてもいきなり人質がお漏らしをすればひるむよね。
恥ずかしいけれど白皇さんを助けるためだもの、みすずちん頑張る!
「とどめよ」
榊さんが刀を振り下ろそうとする、その時
しゃあ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
わたしは着物を濡らしながら盛大にお漏らしをしたんだ。
足元の白皇さんにもいっぱいかかってる、が、がお
A 「残念だけど、わたしにお漏らしは通用しないわ」榊さんの凶刃が白皇さんの胸を深々と突き刺しちゃった
B 「あ、あんたねぇ……」「み、観鈴殿……」榊さんも聖さんもあきれてるよ、にははっ
C 「な、いきなり何するのよ、汚いじゃない」怒った榊さんが私の胸に小刀を突き刺した、が、がお
D 「きゃっ」榊さんがひるんだよ、その隙に観鈴ちん大脱出
A
しゃあ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ちょろちょろちょろ……
わたしの股間から勢い良くおしっこが放たれて着物や床、それに白皇さんまでビショビショ
「なっ、観鈴殿っ」
聖さんも突然の粗相に驚いている、これならきっと榊さんもひるんでるよね。
みすずちんお漏らし大作戦大成功、よし、今のうちに榊さんから脱出しないと。
ガシッ
あれ?全然腕の力が弱くならない、見上げると平気な顔をした榊さんが微笑んでる。
「残念だけど、わたしにお漏らしは通用しないわ」
が、がお、この人お漏らしに何か思い入れでもあるのかな?
「さよなら、白皇さん」
ヒュン、ザクッ!!!
呆気に取られている聖さんと作戦失敗で困ってるわたしをよそに、榊さんは小刀を白皇さんに振り下ろす。
振り下ろされた凶刃は白皇さんの心臓に深々と貫いちゃった。
「白皇殿っーーーーーー!!!」
「白皇さ〜〜〜〜〜ん!!!」
「ガッ、ガハアッ!!!」
心臓を貫かれて血を吐き暴れて悶え苦しむ白皇さん、だけど、だんだんその動きも弱弱しくなって……ピクリとも動かなくなっちゃった。
「どれどれ心音は……無いわね、ま、当然だけど」
念入りに心臓に耳を当て、死亡を確認して榊さんは笑みを浮かべる。
は、白皇さん死んじゃったよ、が、がお
「なんだなんだ、一体何の騒ぎだ?」
「あっちのほうだぞ、あそこは確か白皇様の部屋じゃないのか?」
騒ぎを聞きつけた旅籠の人達が駆けつけてきた。
「ふう、そろそろ引き際ね、ま、一番の目標は始末したしこの場はこれでいいかな」
そう言って持っていた小刀を私に持たせて突き飛ばし、素早く窓から逃げ出す榊さん。
「今度はお漏らし以外の方法で注意を引くのね」
A 「ま、待てっ!」刀を拾って聖さんが榊さんを追いかけだしたよ
B 「な、なんだこれは!あんた達の仕業か!」駆けつけた旅籠の人に疑われてるよ
C 「が、がお、これからどうしよう」白皇さんの死体を片付けた後、わたしと聖さんはこれからの事について話し合い始めた
B
騒ぎを聞きつけた旅籠の人達が部屋に入ってきた。
「何なんだ?一体何の騒ぎだ……って一体こりゃあ」
部屋に入ってきた人達が見たものは唖然としている聖さん。
そして血まみれの白皇さんの死体と………血まみれの刀を持ったわたし。
「は、白皇様が殺されてるぞぉ!!!」
「貴様達が殺したのかぁ!!!」
驚きから怒りに感情が変化した旅籠の人達が、わたし達を疑い始める。
その時、それまで呆気に取られていた聖さんが素早く刀を拾い、鞘から抜いて私に向ける。
「い、いや、違うぞ、この者が殺したのだ」
え?聖さん……どうして?わたし白皇様を殺してなんかないよ?
「私が止めようとしたがすでに遅く、白皇様はこやつに心の臓を貫かれたのだ」
そんな……酷いよ……わたし、頑張って白皇さんを助けようとしたのに……
「が、がお、聖さん、どうしてそんな嘘をつくの?わたし白皇さんを殺してなんかないよ」
「黙れ、この藩主殺しの大罪人めっ!」
(済まない……だが佳乃のためにも私はここで捕まる訳にはいかない……許してくれ……)
刀を突き出してにじり寄る聖さんと旅籠の人達
ど、どうすればいいの?みすずちんすーぱーぴんちっ
A とにかくこの場は私も榊さんと同じように窓から逃げる
B 一か八か小刀を振り回して聖さんたちに突撃する
C 大人しく捕まって身の潔白を証明しようとする
ひじりんひでーw
Cで。
「あ…あははーっ! 観鈴ちんは抵抗しませんよーっ! 大人しく捕まるので、どうか穏便に…」
逃げようにもわたしの脚じゃ大して逃げられるはずもありません。
それに戦うのはもっと無茶です。
そういうわけで大人しく、声が同じ人っぽい口調で無抵抗の意志を表し、司法の判断を待とうと捕まることにしたわたしですが……
「白皇様を…なんてやつだ!」
ボガッ!
「よりにもよってよくも! この小娘は!」
ドガッ!
「許せん! 許せん! 白皇様を!」
ドゴッ!
バキッ! ベコッ! ドガッ! バゴッ!
「…や、やめて…助けて…」
「黙れ畜生!」
ドガッ!
ま、まずいです。ここまで来て囲まれてしまってます。
身の潔白を証明する以前にこのままでは暴徒と化した群集の怒りによって殺されてしまいそうです。
誰かに止めてもらいたいですがそこは群集心理の難しいところ。
白皇様の殺害現場という状況や、目の前で繰り広げられる暴力によってみんな興奮状態。
誰一人として冷静にわたしを助けてくれるという人はいません。
ここは……
A 下手に抵抗しても余計に刺激を与えるだけだ。必死に身を丸め、暴力の嵐が止むのを待つ。
B 聖さんにせめて私刑だけはやめるよう説得してくれと懇願する。
C またおしっこしたくなってきちゃった……
D 今度は大きい方したくなってきちゃった……
E とか考えてるうちに、無我夢中に振り回した短刀が他の人の胸を貫いちゃった。
Eで泥沼
「うわ、うわああああああああ〜〜〜」
沢山の旅籠のお客さんや仲居さん、主人さん達に殴られて。
みすずちんはいぱーぴんちっ。
思わず手に持っていた短刀を振り回しちゃったよ。
ザクッ
「……あれっ?」
短刀がなんだか柔らかいものに突き刺さる感触が手に伝わってくる。
自分の腕の先から、短刀の先を見ると……わたしを殴っていた人の胸に深々と突き刺さっているよ。
「ぐわあああぁぁぁぁぁ!!!」
「ひいぃぃぃぃぃ!大丈夫か朋也っ!」
お客さんの一人の『朋也』って人を突き刺しちゃったよ、が、がお
お友達っぽいヘタレそうな人にもたれながら、その場に倒れちゃったよ。
胸からドバドバと血を流して苦しむ朋也さん、これってもしかして泥沼?
「テメェ………なんて事してくれたんですかぁ!」
「ち、違うよ、これはついうっかり……」
観鈴ちん持っていた短刀を叩き落とされて床に押さえつけられ、縄でぐるぐるに縛られちゃったよ。
「とにかく、コイツはこのまま縛っておいて役人に突き出そうぜ」
暴行は終わったけれど縛られて身動き一つ取れない、が、がお
「違うのに…………わたし何も悪いことしてないのに……………」
「いいか、役人が来るまで大人しくしてろよ」
わたしは旅籠の裏にある物置に閉じ込められちゃった。
どうしよう、このままじゃ観鈴ちん打ち首獄門だよ。
A わたしは何とかして一人でも事件の真相を明らかにしようと決意した
B 「……済まない、観鈴」物置の戸ごしに聖さんが話しに来てくれた
C 「もう誰も信じられないよ」わたしは一晩中泣き明かした
Aだ!
くっ、功を被害者にしてたら出遅れた。
さくっ
「…え?」
たくさんの人にぼこぼこにされて、無我夢中で振りぬいたわたしの右手。
そんな右手に、なにか柔らかいものの感触が。
「がぷ……」
わたしの右手には、先ほど榊さんに押し付けられた短刀が。
そしてその短刀の切っ先には、わたしを殴ってた男の人の胸が。
…え? これってまさか。
わたしが刺してる?
ドサッ
男の人は、断末魔の声も上げずにそのまま崩れ落ちた。
数秒経って、畳の上に大きく赤い水たまりが広がっていく。
「っ…!」
一瞬ざわっと引くまわりの人たち。
そしてそれ以上に引いてるわたし。
「………」
「………」
沈黙。ちんもく。静寂。せいじゃく。
「あ…あははーっ!」
違った。
「がお…」
「き…きみはっ!」
あ。聖さんがわたしに飛びかかってきた。
どうしよう…
A とにかく素直に謝る。
B もうどう言い訳しても無駄だろう。逃げる。
C 聖さんの体に「線」が見えた。
遅れ
B
「うっ……ぐすっ……酷いよ……どうしてこんな事に……」
わたしは泣いていた、ついさっきまで白皇さんと聖さんと悪者をやっつける旅をしていたのに。
今はわたしが悪者……聖さんもわたしの事悪者扱いする……
「誰か………助けて……お母さん………お母さん………」
わたしはこの旅に出かけたことをすごく後悔した、お母さんの待ってる家に帰りたいよ……
その時、お母さんがいつもわたしに言ってくれた言葉が頭の中に蘇ってきた。
『ええか、観鈴。本当に困ったときに頼れるのは自分だけや。
他人を頼りにするよりも自分で何とかする方法を考えなあかんで。
大丈夫、観鈴は強い娘やからきっと自分で何とかできるよ』
そうだよね、観鈴ちん強い娘。白皇さんは殺され聖さんには裏切られたけどこんなことでくじけちゃダメ。
白皇さんを殺した犯人を見つけて無実を晴らすんだ、もう他人は当てにしない、一人で何とかするんだ。
まずこの縄を解く方法を考えないと、辺りを見回すと……割れた壷の破片があったよ。
「これで縄を擦って切れば……縄抜けできるよ。観鈴ちん賢いっ」
夜が明けたらきっと役人さんが来ちゃう、急いで縄を切らないと。
しばらくして、ようやく縄を切ったよ。
殴られたり縛られたりで体中痛いな。
縛っておいたせいか、物置自体には鍵が掛かってない、見張りもいないしようやく自由の身になれたよ。
「えーと、まずは何をしようかな」
A 旅籠の連中に復讐、聖さんごと火をつける
B 闇夜に乗じてまずは脱出、尾根の里を目指す
C 物置で何か役に立ちそうなものを探す
C
うん、まずは物置のなかを調べてみるのが良いかな。
わたしは最近失敗ばっかり。
また何も考えないで逃げ出しても、直ぐに捕まっちゃう。
だから、落ち着いてここから便利なものを借りていこう。
ドロボウさんじゃないよ? ちょっとだけ借りるだけ。ちょっとだけだよ?
ちゃんと全部終わったら返すの。みすずちんは悪い子じゃないから。
わたしは物置の中をくまなく探す。すると……
「……わ。刀」
出てきたのは一振りの日本刀。
業物とかそういうのは分からないけど、身を守るのには役に立つよね?
わたしが使ってもあまり意味がないかもしれないけど。
でも、ないよりはあるほうがいいよね? きっと。
わたしは刀を手に持った。
「ちょっとだけ、お借りしますね」
そう小声で一言断る。
それから他にもいいものがないか辺りをよく見回した。
…………
「えーと、籠と、竿竹と、熊手と……」
……う〜ん、他には目ぼしいのはないね。
仕方ないか、ここは旅籠の物置だもん。刀が置いてあっただけでもいいよね?
わたしは物置をそっと出る。
誰にも気付かれないように、とにかく遠くへ逃げなくちゃ。
旅籠の人がお役人さんを連れてくるまで時間が掛かる。その間に早くここを離れないと。
と、その時……
「ん?」
「あ……」
丁度物置の前にいた旅籠の人と目が合った。
そうだよね、みすずちん疑われてる。見張りの人をつけるに決まってるよね?
「え、えと……こんばんわ。でっかいお月様ですね」
取りあえず、ご挨拶。
次の瞬間……
「うわぁーー!! 下手人が武器を持って逃げるぞーーー!!!」
見張りの人が叫んだ。
みすずちん、ぴんちっ!! ど、どうしたらいいんだろう!?
A 刀を振り回して表から強行突破
B 裏口から路地を回って夜の闇に紛れる
C 人質作戦
A
えーっと……
考える。考えるんだよ。こういう時は冷静になって考えなきゃいけないんだから。
みすずちんばかだけど、今はそんなこと言っても助けてくれる人もいないんだから。
そう、こういう時は冷静にこっそりと裏口から……
「つかまえろーーー! 奴は白皇様を殺した大罪人だーーーーっ! 絶対に逃がすなーーーっ!」
「うおおーーーーっ!!!」
考えてる間にたくさん人が来ちゃったよ! っていうか先陣切ってるの聖さんだしっ!
みすずちんぐれーとぴんちっ!
考えてる暇なんてないよ!
わたしはそのまま、廊下の反対方向に向かって走り出した!
「み、観鈴ちん強い子がんばる子! こ、これくらいで挫けたりなんて……!」
出口に向かって必死に逃げる。
「待てーーーーっ!」
待てない待てない待てないっ!
今度つかまったら助からないっ! もうたぶん何言っても何やっても助からないっ!
「ごめんなさいどいてっ!」
「えっ? きゃあああああっ!!」
出入り口に着いたら何人か仲居さんの人がいた。
謝りながら、刀を振り回すっ! ちょっと重いけど、今はそんなこと言ってられないっ!
「おのれ! どこまで罪を重ねれば気が済むんだ!」
ごめんなさいごめんなさいごめんなさい!
「ええーーーーいっ!」
そんなこんなで、やっと旅籠の外に出た!
そこには……
A やった! 人通り少ない! なんとか逃げられそうだよ!
B たくさんの人が待ち構えてた! みすずちん、あめいじんぐぴんち!
C なんかお侍さんっぽい人が刀を構えてる!(※人物指定)
A
よく見てみれば、街道に人が少ない。やった、何とか逃げられそうだよ!
早く、早く逃げないとお役人さん達が来ちゃうよ!!
ここで捕まっちゃうわけにはいかない、絶対にわたしが真犯人を、
榊さんに命令して白皇さんを殺した人を見つけ出すんだよ!
わたしは街道に出て辺りを見回した。
遠くに明かりが見える。それが心なしかこっちに近づいてきてるような気がする。
目を凝らしてそれをよーく見てみた。わたしはこう見えても目にはちょっとだけ自信があるの。
すると、その明かりの正体は……
『御 用』
と書かれた提灯。
わ、わ!! もう来た、もう来たよ!!
わたしは直ぐにお役人さん達とは逆方向に走り出す。
「お役人様ぁ〜! 下手人が逃げるっス〜!!」
後ろからそんな声が聞こえてくる。でももうそんなこと気にしてられない。
今は逃げなくちゃ、逃げなくちゃ駄目。
多分今わたしが捕まったら、きっとお役人さんたちは私が下手人だって決め付ける。
それで本当の悪い人だけがにっはっはって笑ってるの。そんなのは絶対に駄目。
みすずちん、強い子。みすずちん、頑張る!
だから今だけは……
「ごめんなさいっ、通してください!!」
「きゃぁっっっっ!!」
今だけは乱暴なことも許してね!!
わたしは直ぐに曲がり角を曲がり、それから裏路地を一人走りぬける。
誰かに見つけられたらぴんちだけど、そこはそれで誰にも見つからないように祈るしかないよ。
白皇さん、力を貸して!
みすずちんが、白皇さんの無念は絶対に晴らすから。だから……お願い。
わたしはそう心におもいつつ夜の街を走り続けた。
そして……
A 気付くと夜が明けていた
B いつの間にか行き止まりに追い詰められていた
b
たったったったったったったったったったったったったったっ
走った。
走った。
心臓が壊れるんじゃないかってぐらい走ってる。
白皇さんの無念を晴らすために。
私の無罪を証明するために。
だけどね、神様はとってもイジワル。
角を曲がり、走る先を見ると……行き止まり。
「こっちだ、こっちの角を曲がったぞ」
後ろからはお役人さんたちが走ってくる。もう引き返すことなんてできない。
左右は長屋、前方には塀、後ろからはお役人さん。
みすずちん、うるとらぴんちっ
どうやって切り抜けよう?
A わたしは竿竹を使って棒高跳びの要領で塀を飛び越え、何とかお役人さんを撒いた。
B 右の長屋に飛び込む、良かった無人だ。そのまま長屋の向こう側に
C 左の長屋に飛び込む、わわっ、お母さんと娘さんが食事中だよ(人物指定)
渚と汐 C
「……お父さん遅いね」
「そうね、朋也くん今日は旅籠の風呂釜の修理に出かけたのに……
こんなに遅くなるなんておかしいわね」
わたしが入った長屋ではお母さんとその娘さんがかなり遅い夜食を食べていた。
きっとお父さんを待って今までご飯食べてなかったんだ、家族思いなんだな。
「汐ちゃん、今日はもう寝なさい……きゃっ、あなたは誰ですか?」
「お姉ちゃん誰?」
若いお母さんと可愛い娘さんがが突然の闖入者に驚く、にははっ、当然だよね
「わたしは怪しい者じゃないよ……ちょっと追われてるけど」
思わず答えてしまうわたし、こんなところで足止めを受けてる場合じゃないんだけどな。
そう言って反対の出口から出ようとすると、お役人さんたちが駆けつけてきた。
あれ?先頭に立っているのはさっき旅籠で間違って刺しちゃった人の友達さんだ。
「渚ちゃん、大変だよ。さっき朋也が白皇様殺しの犯人に刺されて今もここら辺を……ってこんな所にいたぁ!!!」
続いて役人さんたちも駆け込んでくる、みすずちんばーすとぴんちっ
「え、え、朋也くんに何かあったんですか?」
「おかあさん、怖いよぉ」
あれ?もしかして間違って刺しちゃった『朋也』って人この人の夫?
が、がお、偶然って怖い
「いい加減神妙にお縄につけっ!」
お役人さんたちの忠告には従えない、こんなところで無実の罪で捕まる訳にはいかないよ
「ご、ごめんなさいっ」
わたしは囲炉裏の中の火種を刀で描き出して、家中にばら撒く。
たちまち燃え上がる木と紙でできた長屋、みんな炎と煙に撒かれる。
「きゃあっ、しおちゃん、大丈夫っ?」
「お母さん、熱いよ、熱いよー!」
「くそっ、煙で前が見えない!」
混乱している隙にわたしは反対の出口から脱出し、再び走り出した。
背後には燃え上がる長屋と「火を消せっ」「まだしおちゃんが中に」「うわっ、隣にも火が移る」という悲鳴と罵声。
とにかく追っ手は撒けたよね、にははっ
A とりあえず一息つくために休める場所を探す
B ここで立ち止まる訳にはいかない、一番怪しい尾根の里へ向かう
C ドサクサにまぎれて渚さんの家から無断借用した道具を確認する
C
「…あれ、これなんだろ?」
みすずちんったら、うっかりさっきのドサクサに何か家の物持ってきちゃったみたい。
…これでつかまっちゃったらわたし、
もし白皇さん殺しの無実が証明されても牢屋入りまちがいなし?
それどころかみすずちんがあの長屋みたいに火あぶりにされちゃうかも……。
とりあえずごめんなさい、朋也さんの奥さん。
「えっと…これは火打ち石だよね」
お役人さん達を撒いてからずいぶん走ったから、今ちょっとだけ休憩中。
川辺で背の高い草むらの中に隠れて、長屋から持ってきちゃった物を調べてるの。
「それとこっちは何かな…?」
「それはbreadって言う食べ物よ。まだ日本じゃほとんど知られてないけど」
「うわわっ!」
いきなり後ろから声をかけられて振り返ったら、
そこには昨日天麩羅屋で会ったリサさんがいたの。
「Hi 観鈴。どうしたのこんな所で?ずいぶん物騒な出で立ちね…」
リサさんはまだ事情を知らないみたい。どうしよう…?
A 「あのっ、助けてくださいっ!」
みすずちんは事情を全部話して助けを求めたの。
B 「あのっ、助けてくださいっ!」
みすずちんは事情を全部ふせて助けを求めたの。
C 「な、なんでもないですっ、さよならっ!」
みすずちん一目散に川沿いに脱兎!「あっ、そっちはお城──」
D 「な、なんでもないですっ、さよならっ!」
みすずちん一目散に川の向こうに脱兎!「あっ、そっちは尾根──」
A
「あのっ、助けてくださいリサさんっ!」
「What?」
観鈴ちんは、もう全部話してしまうことに決めたの。
ちょっと会っただけのリサさんを頼るのもなんだけど、もうそれしか方法はなさそうだったから。
「どうしたのそんな泣きそうな顔で」
「実は…………」
・ ・ ・ ・ ・ ・
「Oh, my god...白皇様が……」
「はい……それで今わたしが犯人として追いかけられてるんです。どうしたらいいんでしょう……?」
「Hmm...それなら……」
リサさんは
A どうにかミス・聖から証言を引き出すべきだと言った。
B どうにか真犯人を見つけ出すべきだと言った。
C 関わり合いになりたくなかったのか、愛想笑いを浮かべながらどこかへ消えていった。
D 「あなたを捕まえれば私は大手柄ね」と襲い掛かってきた。
B
「Hmm...それなら真犯人を見つけるしかないわね。話を聞くにミス・聖の協力が得られるとは考えにくい。
むしろ今更すごすごあなたが出向いたところで捕まえられるのがオチ。
どうにかして真犯人を捕まえるか、動かぬ証拠を手に入れるしかない」
「やっぱり……そうですよね……」
わたしもそれしかないと思ってた。
けど、榊さんは悪い人が誰かは言ってくれなかったし、明確な手がかりがあるわけじゃない。
みすずちんも名探偵じゃないし……ぴんち。
というか、今日はもうぴんちが多すぎてぴんちがインフレしてるよ……
「そういうわけだから観鈴、後は頑張ってね。一応言っておくと疑いを晴らさない限り
あなたは藩主殺し、火付、盗みで間違いなく一族諸共に死罪よ」
「えっ! お母さんも!?」
「さすがに免れないでしょうね……。ミス・聖があなたの素性も証言するでしょうし。
Time-Limitは遠くないわよ」
「が、がお……」
どうしよう……わたしだけならともかく、このままじゃお母さんまで迷惑かけちゃう……
「それじゃあね。縁があれば、また会いましょう。Bye」
と言いながらリサさんはどこかに行こうとする。
そりゃそうだよね。別にリサさん、わたしを助けるほどの縁も義理もあるわけじゃないし……
わたしを助けたら下手すると共犯になっちゃうわけだし……
…………けど…………
A もう他に頼れる人はいない。助けてくれと泣きつく。
B 迷惑はかけられないし、自力で解決するしかない。
C 路銀が心細い。リサさんを襲って奪う。
B
B
「ありがとうございました……できるだけがんばってみます」
「……悪いわね、手伝えなくて。ただ、私の事情もわかってね。
あなたの証言だけを鵜呑みにして、危ない橋を渡るわけにはいかないのよ。
私も色々微妙な立場だしね」
「はい……わかってます。わたしの問題ですし、わたしなりにがんばってみます」
「その意気よ。餞別じゃないけど……これをあげるわ」
と言ってリサさんが差し出してくれたのはひとつの紙包み。
これは……?
「わあ……天麩羅」
しかもホクホクだよ。
「食べられなかったんでしょう? お代はサービスしとくわ。無罪を証明できたらまたウチの店に来てね」
「ありがとう……ございます」
思わず涙がこぼれちゃうよ……
世の中は聖さんみたいな人ばかりじゃないんだね……
「涙を流すのはすべてが終わってからにしなさい。それじゃ、See you again!」
と言いながら流し目ひとつ。リサさんは夜の闇へと消えていった。
後に残されたみすずちん、一人ぼっち。
だけど、手の中のあったかい海老をつまみ、そのままサクッとひと齧り。
うん、おいしい。おいしいよ。
よくわかんないし、まだまだすーぱーぴんちは続いてるんだけど、なんだかがんばれる気がしてきた。
さあ、それじゃこれから……
A とりあえず当初の予定通り尾根へ向かおう!
B 犯人は現場に戻るって言うし、旅籠の様子を見に行こう!
C もう疲れたし、ここで寝よう
D とか言ってたら役人が追いついてきた!
D
A
うん。美味しい天麩羅?も食べて心機一転。
いつまでも泣いてられないよね。白皇さんやお母さんの為にも、
早く真犯人を見つけて無実を証明しないと。
「みすずちん、ふぁいとっ!」
わたしの決意のかけ声は夜の闇に吸い込ま
「漸く見つけましたよ」
「……が、がお」
わたし、やっぱりあほちん。なんで叫んじゃったんだろ…。
「気を付けろ久瀬。その女、かなり無茶をするらしいぞ」
「君に言われるまでもないよ、相沢君」
役人さんは二人。一度わたしを見失ったからバラバラになって探したのかな?
「おとなしくお縄につきたまえ。抵抗しないなら無駄な傷は負わせないと約束しよう」
いくらわたしでも、そんな事言われて分かりましたって観念するほどあほちんじゃないよ…。
でも、どうやってこの場を切り抜けよう…?
A あんまり深くないみたいだし、川を渡って逃げよう!
B あんまり流れは早くないみたいだし、川を下って逃げよう!
C いちかばちか正面突破!二人だけならひょっとしたら…!
B
「わかりました……これ以上わたしも他の人に迷惑をかけるのは嫌ですし、大人しく捕まります」
「よい心がけです。そちらがそうしてくださるのなら、こちらも相応の扱いにしますよ」
「はい……」
俯いた振りをして、えらそうな人に少しずつ近づいていく。
「やったな久瀬。藩主殺しを俺たちの手で捕まえたとなれば、大手柄だ」
「捕まえたのは僕なんですが……ま、いいとしましょう」
……やった。安心したのか後ろの人と話し始めたよ。
「あの、お役人さん」
呼びかけて、
「なんだね?」
こっちを振り向いたところで
「ごめんなさい、えーーーーいっ!」
「わっ!? なっ、これは……!」
油断したところを狙って足元の砂を顔に叩きつける。
ごめんなさい、でも斬りつけるよりはいいよね?
「お、お前っ! 抵抗するか!」
後ろの人が慌ててくるけど、みすずちんの方が早いっ!
目を押さえてる人を突き飛ばしてぶつけるっ!
「う、うわっ!」
「それじゃあさようなら! これ以上わたしを追わないでください!」
と、ちょうど近くに乗り捨てられてたぼろぼろの小船に飛び乗って綱を刀で切る。
そのまま岸を蹴りつけて、一気に川下に向かうっ!
にはは、みすずちん、はじめての頭脳プレイ。
「くそっ! 逃げたぞ北川! 追えっ!」
「わかってるっ!」
え?
なんか役人の人が呼びつけたら、暗がりの中から新しい人が飛び出してきたよ。
そのままこっちに向かって……ジャンプ!
わ! 取り付いてきた!
「に、逃がさないぞ下手人め! お前を捕まえれば、捕まえれば……出世間違いなしなんだ!」
クセ毛っぽい男の人が、みすずちんの船にしがみついてる。
……どうしよう?
A ごめんなさいと言いつつ蹴り落とす
B ごめんなさいと言いつつ石で殴る
C ごめんなさいと言いつつ刀で刺す
CといいたいけどBで
B
オイw
せめて一番マシなA
どれ選んでも大して変わらんような……
ど、どうしよう! このままじゃ船がひっくり返っちゃうよ!
えっと、何かないかな? 何か…………あっ!
「く、くそっ! 神妙に……神妙にお縄に」
「ごめんなさい!」
ガスッ!
……と、ちょうど船底に転がってた拳大の石をクセ毛の人の脳天に叩きつけた。
「ちょ、やめ!」
「ごめんなさい!」
ゴスッ!
「これ以上の抵抗は」
「ごめんなさい!」
バゴッ
「つ、罪が重く」
「ごめんなさい!」
ドスッ!
「やめ、ちょい、やめ…」
「ごめんなさい!」
ドゴッ!
「あ、あぐ……」
「ごめんなさい!」
ガスッ!
:
:
:
男の人は……
A ほどなく手を放してくれたよ。よかった……
B 結局動かなくなるまで手を放してくれなかったよ。がお…
B
「ごめんなさいっ」
私は船にあった石で役人さんの頭を何度も何度も殴った。
「…………………」
とうとう限界が来たみたい、役人さん動かなくなっちゃった。
「死、死んでないよね、気絶しただけだよね?」
もちろん返事はない。
だからといって船に乗せるわけにはいかないよ、わたしは恐る恐る役人さんの手を船から外す。
船から離れた役人さんが川をぷかぷかと浮かんで流される。
「が、がお、無事岸までたどり着いてね、役人さん」
わたしは役人さんの無事を祈りつつ、舟をこいでどこか逃げるのによさそうな場所を探した。
A ちょうど一晩明かせそうな廃屋が見つかったよ、にははっ
B あれ、なんだか外れに民家が一軒ある、今夜はあそこで泊めてもらおう
C おや、河原で夜釣りをしている人がいるよ、ちょうどいいから尾根には川を下ってどれくらいでつくか聞いてみよう(人物指定)
A
あ、あれいい感じかな?
舟をこぐこと数分間。わたしは川のほとりにぼろぼろの小屋があるのを発見した。
あからさまに人が住んでる様子はないし、一晩くらいならなんとかなるかな?
わたしは岸に船を止めると、荷物をまとめて小屋へと向かった。
ぼろぼろの戸引いて…………引けない。
「重い……」
荷物を置いて、両手をかけて。
おもいっっっっっっっきり力をこめて戸を開く。
「み…す…ず…ち…ん……フ・ル・パ・ワーーーーっ!」
にはは。ちょっとありえない単語も混じっちゃうけど勘弁してね。
そしてガッタンという大きな音。
ようやく扉は開いた……というより、外れた。
グワーッ! グワーッ! グワワーーーッ!
「わあああああっ!」
と同意に中から飛び出てきたのは……暗かったからよくわからないけど、たぶんカラスさん。
ごめんね、カラスさんの家だったんだね。
ただ、わたしも今はつらいから……一晩だけ貸してね。
「ふう……」
中はボロボロで、湿ったむしろがひとつ転がってるだけであとは土がむき出しだった。
けど、この際贅沢言ってられないよね。
わたしは枕元に荷物をおくと、むしろを敷き、その上にごろんと横になった。
とても寝心地がいいとは言えないけど、それ以上に体はつかれててすぐに眠くなってきた。
「……………………」
夢。
夢を見ている。
その夢は…………
A お母さんの夢
B 白皇さんの夢
C 聖さんの夢
D 天麩羅の夢
E わたしが殺し…じゃなかった。傷つけちゃった人たちの夢
E
B
「どうして俺を殺したんだ」
わたしは囲まれていた、そう、この人は朋也さん
わたしが間違えて小刀で刺しちゃった人だ。
「どうして俺を殺したんだ」
この人はさっきの役人さん。
船から離れてもらうために石で頭を殴った人だ。
「熱いよー、熱いよー」
この子は確か汐ちゃん。
わたしが火をつけちゃった家の娘さん。
「どうして……どうして汐ちゃんをこんな目に、朋也くんをこんな目に」
この人は確か渚さん。
火事に巻き込まれた汐ちゃんのお母さん。
そして朋也さんの奥さん。
「どうして」
「どうして」
「どうして」
「違うよぉ!わたしだって仕方なかったんだよ!………夢?」
わたしは今までに傷つけた人の夢を見ていた。
たった一晩なのに沢山の出来事が起きちゃった。
リサさん残り時間は少ないって言ってた、今日こそ何とかしないと。
「観鈴ちん、ふぁいっとぉ、だよ」
廃屋から外を覗いて周りを観察する。
大丈夫、役人さんはいないみたい。
外にでて背伸びをしてみる。
「うーん、今日はいい天気だよ」
さてと、真犯人を見つけるためにどうしよう、まず一番怪しい尾根に行きたいよね。
A ちょうど河原を散歩している人がいる。尾根までの道を聞いてみよう(人物指定)
B おや、昨夜は気がつかなかったけど廃屋の隅にこんなに役立つものがあったよ(道具指定)
C その時、わたしはわたしを探している聖さんを見かけた、どうしよう
B お金
わたしは廃屋の隅に巾着袋があるのに気付いた。昨日は暗かったから分からなかったけど。
中を開けてみる。中には小銭が一杯。
「わ、お金お金」
誰かの忘れ物かな?
えーと、この場合どうするんだったっけ? お母さんの言葉を思い出してみよう。
『ええか、観鈴。
落ちてる物はな、みんな拾った人の物になるんや。
せやからな、道端に小判が落ちてたら直ぐ自分の懐に入れるんやで』
『うん、分かったよおかあさん』
……うん、このお金みすずちんのもの! ぶいっ!
みすずは ぜに を手に入れた!
「……あ、でもみすずちんお尋ね者。普通のお店に入れない、がお……」
わたしは巾着袋を懐に入れながらため息を突いた。
でも……何かの役に立つかもしれないよね。うん、貰っておこう。
さてと、そろそろ尾根の里にレッツゴー! おー!
わたしは一歩踏み出す。その時……足元に紙切れが落ちてるのに気付いた。
「あれ、なんだろこれ?」
わたしは気になってその紙を拾ってみる。すると……
極悪人 観鈴 人相書
この顔にピンと来たら……
へヘ
/〃⌒⌒ヽ
〈〈 ノノノハ)))
|ヽ|| ´∀`||
「……が、がお」
わたし、字が読めない。
けど絵は分かる。わたしのこと書いてるんだ。書いてるんだけど……
「わたし、こんな顔じゃないよ……」
わたしは思わず筆を取り出す。
がおがおーーーーーっと、
|iヽ /li
〃 '⌒´`ヽ.
Kiミ!|ノノ))))〉
ノ ヘ.|l.゚ ヮ゚ノ|!
うん、これでよし。にはは。
さてと、これから尾根の里に行くわけだけど……
A 暗くなるのを待ってから行ったほうが良いかな
B ううん、時間が惜しいよ。街道には降りられないけど今から行ったほうが良いかな
C そうだ! 変装すれば街道沿いに行っても大丈夫。みすずちん賢い!
Cだな
A
そうだ! 変装すれば街道沿いに行っても大丈夫。みすずちん賢い!
……
……
……がお、変装する道具がない…。
「はぁ、わたしってどうしてあほちんなのかなあ……」
川のほとりでしょぼくれるわたし。
水面には髪の長い女の子が映っている。
疲れの色が見えるわたしの顔。
金色の長い髪。
手に持った刀。
「……これで」
やらないよりはまし。
「……ごめんね、わたし」
刀を髪にあてる。
「えいっ」
ばさっ。
「えいっ」
ばさっ。
「えいっ」
ばさっ。
自慢の髪が短くなっていく。髪は女の命、でも今はやらなくちゃいけないことがある。
この髪は覚悟の証、そして関係ない人を巻き込み不幸にしたわたしへの罰。
すっかり短くなった髪の毛をつまむ。
が、がお…切りすぎた。
でも、これならごまかせるよね。
旅の道連れはふたつ、一振りの刀と巾着袋。
さあ、尾根の里に向かおう。
街道を進む道中…。
A リサさんと再会……何か役立つものを売ってくれるかも。
B 聖さんがいた……どうしよう……。
C 大きな虎を連れた女の子を見つけたよ。
B
髪を短くしただけで誰もわたしだと気がつかない。
何人か役人さんともすれ違ったけど、みんな探しているのは。
「馬のたてがみの様な髪形をしたわたし」で
今の髪を短く切ったわたしは目にも入らないみたい。
「にははっ、みんな単純」
わたしは街道の店で買ったおにぎりとチクマとお茶に舌鼓を打ちながら尾根の里を目指す。
「お店の人の説明だと……お昼前には着くみたい、頑張ろう」
だけど、前方にとってもまずい人が見えた。
「が、がお、あれは聖さん」
そう、巻き込まれるのを恐れてわたしを裏切ったお侍さん、霧島聖さんががいたんだ。
A 聖さんは妹さんと仲良く故郷に帰る途中でわたしなんかには目もくれなかったんだ。
B どうやらわたしを探しているみたい。ここはどこかに隠れてやり過ごそう。
C どうしようか迷っている間に聖さんが申し訳無さそうに近づいてきた
「あの時は済まない、わたしにも真犯人探しを手伝わせてくれ」ど、どうしよう
A
「えへへぇ、それにしてもびっくりしたよぉ。いきなり『お前は白皇様と結婚するのだ!』って言われちゃった時は」
「そうかそうか。大変だったろう佳乃」
「うん、けど大丈夫。きっとお姉ちゃんが助けてくれると信じてたから。それに、実際こうやって助けてくれたし」
「当たり前だ。お前のためならどんな苦労も、どんな犠牲も厭わない。お前は私が護ってやるんだからな」
「えへへぇ……」
「……その犠牲にされたのは白皇さんとわたしだよ……」
聖さんは妹さんらしき人と人目もはばからずイチャついて道を歩いていた。
わたしがすぐ近くにいるのにまるで気づく気配もない。よっぽど大切な人なんだね。
わたしも、お母さんは大切だよ。
けどお母さんはわたしのせいで、聖さんが裏切ったせいで苦しんでる。
わたしも、聖さんのせいで色んな人を不幸にして、今もこんなに苦しんでる。
なのに、どうしてわたしを裏切った聖さんが、自分の大切な人とこうして幸せな時間を過ごしていられるんだろう。
「……………………」
A 復讐する。聖さんの大切な子を酷い目に遭わせる。
B 復讐する。遠くから石や馬の糞を投げつける。
C 復讐する。通りがかりの人に「わたしは一生あなた達を許さない」と伝言してもらう。
D 復讐なんて馬鹿らしい。わたしはわたしの明日を生きよう。
D
(……でも、仕返しなんてだめだよ)
聖さんのこと怒ってないって言ったら嘘になるけど……
わたしだって昨日、自分の身を守るために色々な人を傷つけちゃったし……
ここで聖さんたちに仕返ししたって、誰が幸せになれるわけじゃないもん。
でも、それはそれとして……
尾根の里を目指す以上、わたし、この先ずっと聖さんたちと同じ道を通ることになるんだよね。
わたしは追われてるし、この変装もいつ見破られるかわからない。
そう考えると、あの二人を追い越してでも道中を急ぎたいところだけど……
追い抜くときに聖さんに見咎められたらちょっと困るかもしれない。
どうしよう……?
A お母さんのためにも、早く真犯人を見つけないといけない。追い抜こう。
B 歩みを止めて、聖さんたちが見えなくなるくらいまで距離を空けよう。
C このまま、付かず離れずの距離を保って歩き続けよう。
B
歩みを止めて、聖さんたちが見えなくなるくらいまで距離を空けよう。
うっかり気付かれて、また追いかけられたりしたら大変だもんね。
でも、尾根の里に着いたら今まで以上に見つからないようにしないといけないけど。
聖さんのお家がどこにあるかわからないから、いつ鉢合わせしちゃうかわからないし。
しばらくその場で立ち止まってたら、すぐに聖さん達は見えなくなった。
後は普通に歩いてれば追いつかないよね。
みすずちん進行再開っ!
その後も何人かお役人さんとすれ違ったりしたんだけど、やっぱり気付かれなかった。
もったいなかったけど、髪の毛切ったかいはあった。ぶいっ。
やがて、お日様が真上にきた頃に、関所が見えてきた。
あれを越えれば尾根の里だね。って、あれ?
A 関所に門番さんがいないよ?…でも今なら簡単に通れそう。にははっ。
B 門番さん達と聖さんが揉めてる。なんだろう…?
C ゆうべの役人さんの一人(久瀬or祐一を指定)が見張ってる!
あの人には顔も見られてるよ。みすずちん、ぴんちっ。
D 強そうな女の人(カルラorトウカを指定)がたくさんの兵士と見張ってる……が、がお。
Dトウカ
尾根の里への関所
某は大勢の兵士達と検問の任務についていた。
「今のところ聖上殺しの犯人らしき者は通っていないな」
「はい、通っておりませんトウカ様」
「ふぅ…………聖上、申し訳ありません、某がついていれば暗殺などさせはしなかったのに」
昨夜早馬で聖上が殺されたという知らせが来て以来、登臼来藩は混乱の極みにあった。
名君であった
今はとりあえずベナウィ殿・クロウ殿が藩の政務を代行し、オボロ殿・ドリィ殿・グラァ殿が藩兵をまとめている。
エルルゥ殿・アルルゥ殿・カミュ殿は聖上のお葬式の準備に忙しく。
カルラ殿は悲しみのあまり夕べからおそらく今も泣きながら酒に溺れていた。
そんな中、『どうやら下手人は尾根の里に向かっている』という情報を受け、とりあえず動ける某が派遣された。
「聖上……きっと敵は討ちます、どうか見守っていてください」
「が、がお、強そうなお侍さん」
ようやく尾根の里に着くかと思ったのに沢山の役人さんと強そうなお侍さんが見張っている。
どうしよう、変装でごまかせるかな、それとも関所以外に里に入れる場所を探したほうがいいのかな。
A 思い切って関所を通る、やった、お侍さん達気がつかなかったよ。
B 関所を通るのはまずいよね、時間はかかるけど山の方から里に入った方がいいかな。
C ここは少し様子を見て、関所に何か変化が起こるか待ってみよう。
忘れ去られたウルトリィに涙しつつC
うへ、「名君であった」を消し忘れてた
こ、ここはもう少し様子を見たほうがいいよね。
下手に動いて見つかっちゃったら間違いなく捕まっちゃう……どころか下手すればこの場で斬られちゃいそうな勢いだし。
……ん? あれは……
「Foo! 今日のHuntingも大猟だったヨ! 満足満足♪」
「獲りすぎだってのレミィ。そんなに食えんのか?」
「No problem! 近所のシューにお裾分けするからネ! もちろん、ヒロユキにも、ネ」
「はっはっは。そいつはありがたい。さ、もうすぐ関所だ。早めに越えちまうぞ」
「ウン♪」
道の脇で様子を伺ってると、猟師っぽい金髪の人と男の人が関所の方に歩いていったんだよ。
「お勤めゴクローサマです!」
って元気いっぱいに挨拶しながら通り過ぎようとしたんだけど……
「待てぇい!!」
「Wow!!」
「な、なんだ!?」
突然武装した兵士さんが女の人を取り囲んで、制止した。
「な、ナニゴト!?」
「昨夜重大事件があり、その下手人がこちらへ向かっているとの情報が入っている!
そこの女! 悪いが少し調べさせてもらうぞ! こっちへ来い!」
「Oh no! ワタシ何も悪いことしてないヨ? ただHuntingしてただけだヨ!」
「それも調べればわかることだ! さあ、来いっ!」
「Woooooooooooooooow!」
「レミィーーーーー!」
……………………。
「よいか! 下手人は変装している可能性がある! 手配書の人相に騙されず
少しでも怪しいところがあったら徹底的に調べ上げろ! 特に年の頃が十代、金髪の小娘は要注意だ!
聖上殺しの大罪人、なんとしても我らが手で捕まえるのだ!」
「オーーーッ!!」
わ、わ、すごい気合。
様子見ててよかったよ……あのまま行こうとしてたら今頃間違いなくお縄になってた。
けど……困ったな。こうなっちゃ迂闊には通れないし……
A もう少し様子を見る。
B やっぱり道を変える。
C もう少し変装を念入りにやってみる。
D 付近の建物に火を点けてその混乱に乗じて突破する。
E 刀を振り回して強行突破。
E
ひろゆき仕事はどうしたw
東鳩の関の門番だったよな確かw
しかし無謀だぜみすずちん;
むぅ、ここはどうせなら、放火魔としての使命に目覚めて欲しかったぜw
……本気?
ねえ、本気?
ううん、けど……うん。
もうそれしかないんだよね……
もうあんまり時間も残ってないんだし……こんなところで足止め食ってるわけにはいかない。
あのお侍さんと正面切って戦うことになったら間違いなく勝てないけど……
逃げることだけなら! 運がよければ……
……よしっ!
わたしは腰の刀をしっかりと確かめ、なるだけ平静を装って道へ戻った。
胸はドキドキ高鳴ってるけど、怪しまれちゃダメ。怪しまれちゃダメ。
不意打ちしかわたしが生き残る道はないんだから……
「……? おい……」
「ああ……」
わたしの姿を見咎めた番兵さんたちがにわかに騒がしくなる。
そりゃそうだよね。わたしも手配書の特徴にぴったりなんだもん。
はあ……もう頭がフットーしそうだよ……
「…………」
兵士さんの数が少しずつ増えてくる。あのお侍さんは厠か食事にでも行ってるのかな?
見える範囲に姿は見えない……チャンスかも!
そして、関に足を踏み入れたところで……
「待てぇい!!」
兵士さんの怒号一喝。わたしの目の前に1人の兵隊さんが……
「キョエエエエエエエエエエーーーーーーーーーーーーッ!!!」
「なっ! なにぃっ!!?」
その瞬間! わたしは即座に抜刀! 目の前の兵士さんに斬りつける!
不意打ちだから反応しきれない! わたしの一刀は見事兵士さんを捕らえ! その場に切り倒した!
「きっ、キサマァッ!!」
「どいてどいてどいて! お願いだからぁぁぁっ!!」
ひるんだ一瞬の隙に先に向かって駆け出す! けどさすが相手は本物の兵士さん、すぐに体勢を整えてこっちに向かってきた!
「貴様! 貴様が下手人か! とぁぁーーーーっ!!!」
うわ! 本気で切りかかってきた!
「やめてくださいやめてくださいやめてくださいおねがいだからーーーーっ!!」
ガキィン!
刀を横にしてなんとか一撃を受け止める。
けど力比べじゃ勝ち目は無い! だから……
「チョエエエエエエエエエエーーーーーーーーーーーーーッ!!!」
「なっ! ぐはぁっ!!」
ドゴッ! と重い一撃!
つばぜり合いになった瞬間、わたしは隠し持ってた拳大の石でおもむろに兵士さんの頭を激しく殴打!
もんどりうって倒れる兵士さん!
「なっ、こいつ……!」
「お願いだから……わたしを追わないでっ!!」
さらにひるんだ兵士さん。その隙に、少しでも先に……
A やった! どうにか関は抜けたよ!
B うわぁ! 目の前にもたくさんの兵士さんが!
C がお…弓兵さんまで出てきた!
D ……あの強そうなお侍さんが来ちゃったよ……
D
兵士さん二人を切り抜けて走り出すと前には誰もいないみたい。
「やったぁ、何とか関を越えられそう」
……と思ったんだけどね、一人だけ、さっきの一番強そうなお侍さんがいたの。
多分厠か食事から帰ってきちゃったんだと思う。
「貴様!貴様が聖上殺しの下手人か!このエヴェンクルガのトウカがお相手いたす
尋常に勝負しろ、そしてお縄につくのだぁ!」
スラリと刀を抜くと構えてわたしに向かって疾走する。
わわ、みすずちん剣術なんてわかんないけどこのトウカって人はべらぼうに強そう。
多分みすずちんが30人いても倒せないよ。
だけど後ろからは兵士さん達がわたしを追いかけてきている。
今更後には引けないよね。
どうしよう、どうやってトウカさんをやり過ごそう。
観鈴ちんあるてぃめっとぴんちっ。
A 流石はうっかり侍トウカ、うっかり袴の裾を踏み転んでその隙に観鈴ちん関所を突破
B 正面突破は無理だよ、関所の脇の森の中に入って何とかトウカさん達を撒く
C 「覚悟!」トウカさんの一撃を幸運にも刀で受け止める、でも二撃目はきっと受けきれないよ
D 「なっ、こんな時に地震?」突然の大地震、観鈴ちんもトウカさん達も大混乱
無駄な複線張れそうなD
ゴゴゴゴゴゴゴ…………
みすずちんふぁいなりてぃぴーんち! と思ったその瞬間。
わたしはわたしだけじゃなくて、地面が震えてることに気づいた。
「こっ、これは……?」
わたしだけじゃないみたい。トウカさんも兵士さんたちも、みんなびっくりしてる。
「地震だー!」
誰かが叫ぶ。あたりの空気がごわっ、と強ばるのを感じた。
けど、チャンスっ! きっと観鈴ちんの普段の行いを見てた神様が助けてくれたんだ!
この隙に……ダーッシュっ!
「ま、待て下手人め……くっ!」
刀を振るうトウカさんだけどてんでヘロヘロ。わたしに掠りもせず、わたしはそのまま関を抜けることに成功したっ!
……そして、次の瞬間
ズズゥゥ…………ン…………
大きくはないけど、すごい重い音。
後ろから聞こえてきた。振り返ってみれば……わっ!
関所が崩れちゃってるよ! 中にいたトウカさんや兵士さんごと!
「くっ、おのれ……くそっ! くそっ! 抜けん! この程度……」
トウカさん、下半身を瓦礫に挟まれて動けなくなってる。
「だ……出してくれぇ! 助けてくれぇ! 痛い、痛いぃぃぃ……足がぁ……」
そして関所の中からは潰された兵士さんたちの苦しげな声が聞こえてくる。
どうしよう?
A 少しはいいことをしよう。トウカさんたちを助ける。
B 時間がないし、迂闊に助けたら捕まっちゃう。先を急ぐ。
C 瓦礫に火を点ける。
A
というかBがないぞ
あった…なんで消えてたんだろう?
意味不明なつっこみは無視してくれ
「おのれ……聖上を手にかけた仇を目の前にしながら……なんたる不覚ッ! 聖上に……聖上に申し訳が立たぬっ!」
トウカさんは凄い形相でわっしわっしと土を掻いてる。けど、下半身はガッチリ瓦礫に潰されてて1寸も動ける様子は無い。
うーん、できれば先を急ぎたいところだけど……やっぱり困ってる人は放っておけないよね。
今までさんざん悪いことしてきた観鈴ちんだけど、こんな時ぐらい人助けしておこう。
けど、瓦礫は重そうだし、わたしの力じゃどうしようもない…………うーん…………
…………あっ。
わたしはトコトコと潰されてるトウカさんの傍に近寄った。
「な、なんだ!? 何をする気だ! そうか……某にとどめを刺そうと言うのだな!
この卑怯者めがっ! いいだろう、某ここに朽ちることになろうとも、けして魂は折れはせぬ!
たとえ怨霊となろうとも、貴様を憑り殺して…………」
「ちょっと静かにしててください」
「は?」
わめくトウカさんはとりあえず無視。わたしは瓦礫の中で、その姿を露にした梁を手に取った。
ちょうどいい具合に折れててなんとかわたしでも扱えそう。
「失礼しますね。よい…………しょっと!」
そんでもってそのかたっぽをトウカさんの体の脇にねじ込み、真下に別の瓦礫を置く。
で、梁のもう反対側に両手をかけて…………思いっきり全体重をかける!
ぐぐ…………
ほんの僅かにだけど、てこの原理で瓦礫が持ち上がった。
「トウカさん! 出れますか?」
「あ、ああ…………」
再度土をかくトウカさん。相変わらずつらそうだけど、今度はほんの少し……少しずつだが、体が動いた。
そのまま地面を這って、どうにか脱出する。
「き、貴様……どういうつもり……」
「そんなことより今は兵士さんを助ける方が先です! トウカさんも手伝ってください!」
「……………………」
わたしはトウカさんに一言だけ言うと、瓦礫の上に登り、人がいそうなところを掘りはじめた……
A 「た、確かにそうだな。今は手伝おう」トウカさんも瓦礫をどかし始めた。
B 「今は貴様をひっ捕らえる方が先だ!」トウカさんが再度襲い掛かってきた!
B
「今は貴様をひっ捕らえる方が先だ!」
「えっ?」
いきなりトウカさんはそう叫ぶと、再度刀を構えて襲い掛かってきた。
「某を助けた程度で義理をかけられると思ったら大間違いだ!
聖上は皆の主にして父にして兄! それを殺めた貴様の罪は、千度生まれ変わっても贖いきれるものではない!
大人しくそこになおれ! 叩ッ斬ってくれるわ!」
「きゃあっ!」
ザシュッ!
二の腕に熱い感覚。そしてぱっと何かがはじけた。
思わずぐっと唇を噛む……けど、それだけだった。
「くっ……なんたること!」
目を開けると、わたしのすぐ隣で這い蹲るトウカさん。その右脚はあらぬ方向に折れ曲がっている。
「こんな時に……こんな時にィッ! 聖上の仇を目の前にして……こんな時に! おのれェッ!」
悔しげに地面を叩くトウカさん。どうやらさっき挟まれた時に足を折ってたみたい。
だから、今斬りかかったのにもほとんど体重がかからなかったんだね。
けど……
「どうして…………」
わたしは切り裂かれた左腕をおさえながらそれだけ呟いた。
傷は深くないけど、痛い。熱い。ズキズキする。
流れ出た血がツッ……と爪の先までつたってポタリと落ちる。
わたしは……わたしはただ、みんなを助けたかっただけなのに。
わたしにはもう人を助けることも許されないの?
わたしはもう何をやっても裏切られるだけなの?
わたしは、義理をかけるとかそんなつもりはなかった。ただ、目の前で苦しんでる人を助けようとしただけなのに
それなのに……助けようとした人からも、わたしは裏切られるの?
もう……いいよ。わたしは…………
A とどめを刺して先を急ぐ。
B 放っておいて先を急ぐ。
B
Bだ
「トウカ様、大丈夫ですか!」
「くっ、今一歩のところで、今助けます、トウカ様」
わずかな役人さん達が瓦礫から脱出してトウカさんを助けようとしている。
わたしはクルリと背を向け、尾根の里へ走った。
「待てっ!おのれっ、おのれっ!おのれぇ〜〜〜!!!」
遠く後ろからトウカさんの叫び声が聞こえるけどわたしは無視した。
絶望した。
今まで「困っている人を助ける」って大切なことなんだと思っていた。
だけど違った。
もう誰も信じない。
もう誰も助けない。
信じれば裏切られる。
みすずちん、あほちんだけどようやく一つだけ分かったことがあるよ。
「世界で信じられるのは自分だけ」
聖さんは妹さんとの生活のためにわたしを裏切った。
トウカさんは兵士さん達を助けようとしたわたしに切りかかった。
もうわたしの味方をしてくれる人なんて誰もいない。
だったら、他人なんてどうでもいい、自分だけでこの事件を解決しなきゃ。
「やっと着いたよ、にははっ」
わたしはようやく尾根の里に到着した。
尾根の里もさっきの大地震であちこちの家が崩れたり、火の手が上がっていたりした。
「これだけ混乱していると……逆に観鈴ちんも目立たないよね」
わたしは里で一番大きい深山雪見さんの屋敷を探し始めた。
A さすが大地主、すぐに見つかった。早速進入。
B その前に、何か役に立つものを辺りの崩れた家から探してみよう。
C 瓦礫に埋もれている女の人が二人……あれは聖さんと佳乃さん?
C
未曾有の展開だな
イヤ、マジで
イベントの順番が逆ならまだ助ける可能性もあったんだろうが……
「どこにあるのかな……」
わたしは深山さんのお屋敷を探し始めたけど、長さんのお屋敷の割にはなかなか見つからない。
むしろ、さっきの地震の影響であちこちから火や煙が上がってるから、
それに隠されて遠くの方はぜんぜん見えない。
とりあえず、思った通りこの混乱でわたしを気に止める人もいないし、
トウカさん達もすぐには追って来れないだろうけど、
あんまり時間をかけてもいられない。
のんびりしてたら先にお母さんが処刑されちゃう。
お母さんにだけは絶対に迷惑かけれないから。
だから、急がないと。
「ううっ……」
えっ?
なんだか目の前の崩れた家から女の人の声がした。
どこかで聞いた覚えのある声……って。
「が、がお。やっぱり聖さん。佳乃さんも一緒…」
家のすぐ側まで寄ってみると、聖さんと佳乃さんが瓦礫と化した家の下敷きになってた。
ふたりとも息はあるみたいだけど、放っておいたら危ないかも…。
A 「きっと天罰だね。じゃあね、聖さん。佳乃さん」
わたしはふたりを放っておいてお屋敷探しを再開したの。
B 「佳乃さんには…罪はないよね。それに元から無関係だし」
そう思ってわたしは佳乃さんだけ助ける事にしたの。
C 「やっぱり聖さんには証言を覆してもらわないと…」
そう思ってわたしは聖さんだけ助ける事にしたの。
D 「……やっぱりみすずちん、あほちんなのかな…」
なんでだか気が付いたらふたりとも助けようとしてた。
A
そうだよね。変な期待しちゃいけないよね。
もし聖さんを助けてもまた裏切られるだろうし。
佳乃さんも聖さんの妹さんだからけっこう腹黒いかもしれないし。
うん。みすずちんにしては賢明な判断。
やっぱりわたしひとりで頑張らないとね。他人を信じちゃダメ。
たぶん、極楽浄土の白皇さんも見守ってくれてるよ。
「きっと天罰だね。じゃあね、聖さん。佳乃さん」
わたしはふたりを放っておいてお屋敷探しを再開したの。
「けほっ、けほっ……あ、あれがそうかな?」
避難する人にぶつかられたり、煙に巻かれたりしながらも、
しばらく集落をうろうろしてたら、やっとそれらしいお屋敷を発見。
ここが深山さんのお屋敷かな?地震の騒ぎのせいか見張りの人とかいないけど。
まあ、入ってみればわかるよね。
A わたしはこっそり塀を乗り越えて庭に侵入したの。
B わたしはこっそり裏口に回って侵入したの。
C とか考えてるうちに屋敷から出てきた人に見つかっちゃった!(要指定)
D 「お待ちなさい、そこの少女よ」
わわわっ!空から白い翼を生やした金髪の女の人が!!
C榊さん
「全く……地震なんてついてないわね、お陰で私が見張りをしなくちゃならないんだから」
あれは榊さん、深山さんのお屋敷から出てきたのだから……
やっぱり深山雪見さんが榊さんに白皇さん殺しを指示したんだ。
「榊さん、と、とうとう見つけたよ」
わたしは屋敷の入り口で見張りを始めた榊さんの前に立ちふさがった。
「あなたは……観鈴さん?尾根に向かってきているとは聞いていたけど
まさかまだ捕まっていなかったとはね」
榊さんわたしを見て驚いたけどすぐ余裕の笑みを浮かべたんだ。
「それで?あなたは沢山のお役人さんに追いかけられてまでここに来て何をしたいの?」
「もちろんあなたと黒幕の深山さんをお役人さんに突き出して
わたしの無罪を証明するんだよ、そのためにここまで来たんだから」
だけど榊さんは全然平気な顔をしている。
「ま、それは無理でしょうね」
「ど、どうして?」
「第一に、誰もあなたが『榊しのぶとその黒幕が犯人です』なんて訴えても信じない。
あなたが殺害現場で血まみれの小刀を持っていたところを何人もの旅籠の人が見たそうじゃない。
逃亡中の下手人と、大地主の名家の言い分、どちらが信用してもらえるかしら」
が、がお
「第二に、たとえあなたがわたし達を犯人だと告発できたとしても。
それ以外の罪、放火や役人殺しの罪は消える訳じゃない。それだけでも立派に死罪にされるわ」
が、がおがお
「そして第三に、これが一番大きいんだけれど。
あなたにわたし達は捕まえられない、逆にあなたが私達に捕まえられるのよ」
A そう言って榊さんはスラリと刀を抜いた、わわ、さっきのトウカさんほどではないけど強そう
B 「下手人の観鈴が来たわ!ものども、出会いなさいっ!」榊さんは屋敷から応援を呼んだんだ
C 「その話は本当なのか?」わわっ、いつの間にか後ろに松葉杖のトウカさんがいたよ
B
「下手人の観鈴が来たわ!ものども、出会いなさいっ!」
榊さんの合図で兵士さんがわたしを取り囲む。
……そうだよね、今更わたしの無罪を証明できない、もとの生活に戻れない。
にはは…わたしって馬鹿であほちんでお人よしだったね。
信じる度に裏切られて、絶望して。
みんなみんな大っ嫌い。
そして――わたしの頭の中で何かがはじけた。
「下手人め! 覚悟ぉーーーー!」
兵士さんの一人が切りかかってくる。
ああ……この人も家族がいるはず。
家に帰ったら奥さんとかわいい子どもが温かく出迎えてくれるんだよね。
ザシュ。
「へ?」
間抜けな声を上げた兵士さんの上半身が地面に転がる。
「なっ――!?」
榊さんが驚いている。何を驚いているんだろう?
「……わたし、ようやくわかったんだ。みんなのおかげで」
「よくも仲間を……!」
ドスッ
「信じれば裏切られる」
グシャッ
「油断すれば殺される」
ザシュッ
「殺られる前に殺れ」
グシュッ
「是こそが事実にして唯一の真実」
わたしは前に立ちふさがる兵士を一人残さず斬り捨てながら榊さんに歩み寄る。
「ひっ……」
地面にへたりこんだ榊さんの股間が濡れていく。
なんだ……あなたもお漏らししてるじゃないか。
「榊さんもこんな商売やってるんだからわかるよね?」
「な、何よっ…何なのよぅ……」
まだわからないの? わたしは刀を振りかぶる。
「所詮この世は弱肉強食、強ければ生き弱ければ死ぬ――そういうこと」
「にはは…白皇さんの仇、やっと討てたよ……」
A 行きがけの駄賃だ深山雪見も始末しよう。
B 「一部始終を見せてもらった。見事な腕、お前の力を借りたい」いつのまにかに男の人が立っていた。(人物指定)
C 「観鈴……」どうして…どうして…お母さんがそこにいるの!?
A
よくわからんがA
ちょっ、なにこの宗次郎な観鈴w
選択はAで。
おまいら、揃いも揃って……w
ところでこの観鈴ちんの異様な強さ、なにかを吹っ切った態度、そしてこの表現。
>そして――わたしの頭の中で何かがはじけた。
みすずちん、種割れした?
穏やかな心を持ちながら、怒りによって目覚めた翼人の末裔…
スーパー翼人神尾観鈴!
「行きがけの駄賃だ深山雪見も始末しよう。」
ぽかり
誰かにこずかれた、が、がお
「何をぶつぶつ言っているんだ、こいつ」
あれ、何でわたし縛られているの?
屋敷の兵隊さんも榊さんも生きている。
ちょっと待って、さっきまでの出来事を思い出してみるよ。
確か屋敷から沢山の兵隊さんが出てきて……みすずちん無謀にも突っ込んだんだけど。
結局捕らえられて縛り上げられちゃった。
そう、わたしは出てきた屋敷の兵隊さんに捕らえられ、縄で縛られている。
じゃあさっきまでのは?
「もしかして都合のいい現実逃避?」
が、がお、そうだよね、いきなり伏線もなく『ぱわーあっぷ』なんてできないよね。
いくら選択すれでもそう都合よくはいかないよね。選択もされてないのに。
「が、がお、わたしこれからどうなるの?」
わたしは側にいた榊さんに聞いてみた。
A 「もちろん役人に突き出すわ」
B 「雪見さまがあなたに会いたいって」
C 「とりあえず地下牢に入ってもらうわ」
______
| ,.へ、__,.ヘ/
| / \ ∠ヽ
|i^|「::::::ノ=l:::::ィ / ̄ ̄ ̄ ̄
,. -‐- 、 |ヽ| r_ \l | 静粛に……!
_/ \ ____/| ∧. (二二7! < この男は今選択肢を無視して
∠ ハヾミニ.r-、\∠L:r‐-‐-、:::::::::|/ ヽ_‐__.」`ー- | 続きを書いた
. /ィ ,L V∠ \l \\.)j j j j`二i\ /:|:::::::::::: | 最初に言ったはずだ
W、ゞi ,、~ __ 「 ̄∧ ヾ´´´ |. \ / |:::::::::::: | そのような行為は
,ゝし'/ ,ノ.| / i l. l \、.|:::::::::::: 一切認めないと……!
l 、`ヾニンl\./\|l、_」 ヽ、 / ヾ::::::::::::
. | l | _l\ト、 | \r──‐┐ト/ / r‐┴-、:::
. |. | 7 l ヽ | /306.| | ∨ {ニニヾヽ
B
そうきたか!
B
>>307 選択無視はしてないと思うぞ。
前の選択とその前の選択の結果は踏襲してるし。
でも夢落ちはどうかと思うがなぁ……
結局、前の書き手が選択肢から発展させた展開を全部なかったことにしてるわけじゃん?
「C 実は夢落ちだった」とかいう選択肢が選ばれたとかならまだしも。
俺も311と同じこと言いたかっただけ。
選択肢じゃなくて展開って書けばよかったか? あれ元々予め準備して誰かが選択肢を見間違えて話の続きを書いているのを見かけたらネタとして貼ろうと用意してたものだったし。
軌道修正したかったのかは知らんが夢オチ突然すぎ
みすずちんの逆襲が始まるかと思ってガクガクブルブルドキドキワクワクしたのに…
選択ってさぁ、選ばれた台詞を言わせればいいってんじゃないだろ。
選ばれたセリフから想定される行動も書かなきゃいけないはずだ。
そのセリフに基づいた行動を始めるとか、そのセリフに対する、何らかのリアクションが起こるとか。
ただセリフを書いて、次の瞬間、「でもそれは夢でした」では、選択を内容に反映させていないのと同じだと思う。
「雪見さまがあなたに会いたいって」
ぽかり
意識を失いかけてうわごとを呟く榊さんをこずいて覚醒させる。
「何をぶつぶつ言っているんだろう、この人」
どうして自分が縛られてるのか理解出来ず、榊さんはうろたえている。
(以下永遠に続く)
夢オチスパイラル…!!
B で
「にはは
は はははははは」
は は
は は
はははははははははははは
もう行きがけの駄賃だよね。しょあくのこんげん深山雪見って人も片付けちゃおう。
わたしは片手に榊さんの首をぶらぶらさせながら屋敷の中を練り歩く。
地震のせいか物が散らばってはいるけどさすがはお金持ち。
家の造りはしっかりしてたのか、壊れてるところは少ない。
にはは! 観鈴ちんの家とは段違い!
にはははは!
「貴様ァァーーーーーッ!」
あ。何か笑ってたら見つかっちゃったみたい。お侍さんみたいな人がこっちに向かってズシャッ!
まあ今斬ったんだけど。
けど……うーん、本当にこのままじゃ見つかりそうにないなぁ。
考えてみればわたし深山雪見の顔も知らないんだし。
よーし、ここは誰かに訊いてみよう!
そうだな……
あ、女の子がいた!
あの子に訊いてみちゃおう! にはは!
A 瞳に色がない長髪の女の子。
B 帳面を持った可愛らしい感じの女の子。
C 胸が無いピンク色の髪の女の子。
Cで彼女がどうやって切り抜けるか見てみたい
髪を染めた千鶴s
あっ、あんなところでなんだか荷物まとめてる女の子がいるよ。
おーい、そこの女の人ー。すいませーん。
「え!? あ、うっ!!?」
にはは、びっくりしてる。無理もないよね、みすずちんのこんなカッコ見ちゃ。
ちょっと前までのみすずちんだったら卒倒しちゃうところだし!
にっははにはははにははははは!
あのー、ひとつお訊きしたいんですけどー、深山雪見って人知りませんかー?
「ふ……かやまゆきみ!?」
うん、みすずちんその人にちょっとご用事があるの。
「え、ええと……そ、その人なら……」
A 「あの子よ」って帳面を持った女の子を指さした。
B 奥の座敷にいるわ、って奥の部屋を指さした。
C とかなんとか言ってたらお侍さんがこの人に向かって「お逃げください雪見さま」だって!
D やっぱめんどくさい。家を燃やして全員斬ろう。
B
「お、奥の座敷にいるわ!」
おく? 奥ってどっち?
「あ、あっちよ!」
と言って女の子が指をさすのは廊下の向こう。にはははは!
わかった、ありがとう。
「ど、どういたしまして。それじゃ私はこのへんで……」
あなたもついてきてね。
「え、ええっ!!?」
と言いながらみすずちんは女の子の髪の毛を引っつかんで、一緒になって家の奥に向かう。
「ど、どうして私まで!?」
だってみすずちん深山雪見の顔知らないんだもん。あなたについてきてもらわなきゃ。
教えてくれたらあなただけは助けてあげてもいいかも! にはは!
あ、これ持っててね。
「ひっ……!」
片手に刀。片手に女の子では榊さんの首が持てない。
みすずちんは女の子に首を持たせた。にはは! お似合いお似合い!
で、奥の部屋の襖を叩ッ斬る。
……あれ? 確かに豪華なお部屋だけど……誰もいないよ。
ねえ、深山雪見はどこ? あなた嘘ついたの?
「そ、そんなことは……ないわ! え、ええと、ええと、雪見さまは……」
女の子は……
A む、向こうの方かしら? と別の部屋を指さした。
B も、もう逃げたんじゃないかしら? と外を指さした。
C 私が雪見よ! と短刀を振りかざして襲ってきた。
D やっぱめんどくさい。家を燃やして全員斬ろう。
C
A、どうなる?
A
「私が――深山雪見よ!!」
急に叫んだかと思うと、女の子は懐から短刀を抜いて襲い掛かってきた。
わ、びっくり。とうだいもとくらし。
でも榊さんの首を持たせてたおかげで、短刀を抜くのが一拍遅れて、ふいうちを何とか避けれたよ。にはは、観鈴ちんうるとららっきー。
にこにこが止まらないわたしとは逆に、女の子、じゃなかった深山さんはくやしそう。
深山さんは刀の扱いなんか慣れてないみたいだし、さっきのふいうちが最初で最後のチャンスだったんだよね。たぶん。
今のわたしなら、ここですぐに深山さんを斬っちゃうこともできるけど、せっかくだから
A. どうして白皇さんを殺させたのか聞いてみようかな?
B. どうして佳乃さんを側室に差し出したのか聞いてみようかな?
C. 今からでも自分の罪を認めて、わたしの潔白を証明してくれないか聞いてみようかな?
D. なます斬っちゃおうかな?
A
「わ……私が雪見よ!」
わ。そうだったんだ。
ヤケになって観念したのかな?
女の子──深山雪見は短刀を振りかざしてわたしに襲いかかってきたの。
でも、
「あっそ」
──ぶしゅ
「え………あ、ああああああああああああ!!!」
さっきのトウカさんとかと比べたら遅すぎ。
切り返し一閃で短刀を持った手を手首から切り落とす。
「うああ………あああっ!!」
「あなたを殺しちゃったらわたしの無罪が証明できないからね。
榊さんをしむけた事だけでもきちんと証言してね。にははははははは…」
のたうちまわる彼女から榊さんの首を取り上げて、
苦しみに歪む深山さんの顔にぴたぴたと当ててみせる。
彼女は真っ青になって何度もこくこくと頷いたよ。
みすずちん、完全勝利っ。ぶいっ。
A これだけ脅かしとけば大丈夫だよね。早くお母さんの所に帰ろう。
B でもちゃんとお役人さんに突き出す直前までは一緒にいないとね。
C 「雪ちゃーーん。どこにいるのーー?」
その時どこからか深山さんを探す声が聞こえたの。
「む、向こうの方かしら?」
と言って別の部屋を指さした。わたしはそれに釣られてそっちを見た。
「私が雪見よ!死ね!」
突然、女の子は短刀を振りかざして襲い掛かってきた。不意を突いたつもりなんだろうけど、
わたしは先読みしていたから、彼女が突っ込んでくるより先に体をそらして、彼女の攻撃をよける。
わたしに攻撃をよけられた彼女は体勢をくずして、床に倒れこんだの。
「にははは、やっぱりあなたもうそつき。 みんなうそつき。 観鈴ちんはもうだまされないよ、ぶい」
短刀を適当な方向へ蹴っ飛ばして、わたしは深山雪見に刀を突きつける。
この人も榊さんみたいにお漏らしして、床をはいずり回ってる。にはは、いい年してみんな情けないね。
「ひぃぃぃぃ!ゆ、許して…」
「だめ。 観鈴ちん、うそつき嫌い。 けど、何で白皇さんを殺したのか、教えてくれたら助けちゃうかも」
「そ、それは…」
A 「ある方に頼まれて…」と、黒幕の人について喋りだした※人物指定
B 「ウィツアルネミテア様に真の姿を取り戻して頂く為よ!」
C 「白皇がいると、悪人には住みにくい世界になるのよ…」
D 「むしゃくしゃしてやった。 今は後悔している」
「そ、そんなことは……ないわ! え、ええと、ええと、雪見さまは……」
女の子さん雪見さんが居なくて焦っちゃってるよ。
邪魔だなぁ、役に立たないし殺しちゃおうかな、にははっ。
「どこかに隠れているのかなぁ、かくれんぼって楽しいよね…命懸けだと特に」
だけどね、屏風の裏を見回して、深山さんを探していると、隣の女の子が突然襲い掛かってきた。
「わたしが雪見よ!覚悟っ」
あれ、案内役の女の子が『深山雪見』だったの?わ、すごい偶然。
榊さんの生首をわたしに放り投げて、懐から短刀を取り出し襲い掛かる深山さん。
わたしは無造作に投げつけられた榊さんの生首を叩き切り、返す刀で雪見さんを迎撃しようとする。
A 深山さんを脳天唐竹割り、わ、人間って縦に切断できるんだ。
B 残念、避けられちゃった……あれ?わき腹に刀が突き刺さっちゃってる
C 『雪ちゃ〜ん、どこなの?』突然黒髪ロングの女の人がわたし達の間に入ってきた。
orz
C
リロードしたのに…どんだけかぶってるんだよorz
たぶん329-330以降は全部出遅れの329だと思うんだ。
あと殺伐ルート支持者が少なくとも4人いた事が分かった。
混乱してるが
>>331-333は文脈から判断すると全部書き負けたでオーケー?
というか皆落ちついて書こうぜ。
ちょ、なんだコレ。
四連被りなんて初めてだw
わははははw
風呂から上がってみたらなんじゃこりゃあw
>>338 リロードはしたんだよ、誤字修正と選択肢1つ追加の1分が致命的だったんだ…orz
たった2分で、こんなにも重複…!
すげぇぜ
「どうして白皇さんを殺したのかな?」
「え……」
深山さんは驚いたような顔をする。
もしかして、殺されるって思ってたのかな? かな?
にはは、まだそんなことはしないよ。まだ、ね。
「正直に、答えて欲しいな?」
「…………」
深山さんは尻餅をついて、じりじり後ずさる。
ぶるぶる震えてるのが分かる。
みすずちん、失敗。怖がらないようににははって笑顔を見せてるのに。
「ね? こ、た、え、て、ほ、し、い、な?」
よく聞こえるように、一文字一文字じっくり発音する。
わたしは刀をすっと動かして、深山さんの後ろ髪をさくっと切る。
「ひっ……!!」
わ、綺麗に切れた。
深山さんわたしと同じくらいの短い髪。
「こ、た、え、て、ほ、し、い、な?」
もう一度だけ。もう一度だけ聞いてみる。
これで答えてくれなかったら駄目だよね、きっと。
「…………」
深山さんは一度顔を伏せた。そして……
A 「……邪魔だったのよ、あの藩主が」と話し始めた。
B 結局、口を開くことがなかった
「どうして白皇さんを殺そうとしたのかな?」
あれ?深山さん質問に答えてくれない、がたがた震えているばかりだよ。
「質問に答えてくれないのかな?みすずちん、今いらいらしているんだけど?」
近くに転がっていた榊さんの生首を叩ききってみる。が、がお、目が潰れちゃった。
みすずちんが怒っているのが伝わったみたい、雪見さんの舌がよくすべるようになったよ。
「い、言います言います、『雪見の側室大作戦〜これで年貢だうんも間違いなし〜』
が失敗して白皇様に目をつけられないようにと先手をうったんです」
ふ〜ん、そんなことで白皇さん殺されちゃったんだ。
何もかもこの人が一番悪いのに、自分のたくらみがばれたから暗殺しようとしたんだよね。
そのせいでみすずちんお母さんともども死刑になるんだよ、酷い話だよね。
みすずちん何も悪くないのに、悪いのは全部この人なのに。
そうだよ、結果的にお役人さんや朋也さんが死んだり家が燃えちゃったりしたけど
それはみすずちんが悪いんじゃない、この人が悪いんじゃないかな。
理不尽だよね、正しいのはみすずちんなのに。
A ブスッ、あれ、みすずちんのお腹に矢が刺さってるよ、廊下を見ると弓を構えた兵士さん達がいる
B 「さてと、それじゃ深山さん、さよなら」みすずちん刀を振り下ろして首ちょんぱ、にははっ
C 「それじゃあみすずちんの無罪を証明してくれる?」わたしは深山さんに『お願い』してみたんだ
「どうして白皇さんを殺させたの?」
「そっ、それは……」
ためらう深山さんに刀を突きつける。
「賞金が、かかっていたのよ」
「賞金? でも、深山さんって大金持ちだよね? 山を持ってる地主さん。なんでお金なんか欲しいの?」
「私の全財産をなげうっても足りないような物が、欲しかったのよ」
うわ、それって凄いお宝かなにかかな? なんだか殺る気出てきた。にはは。
「あれ? じゃあなんで聖さんの妹さんを、白皇さんの側室に出したのかな? 売り飛ばせば良かったのに」
「私に白皇殺しの嫌疑が掛からないようによ」
なるほど、深山ちん賢い。
「賞金はもう貰ったの?」
「まだよ。……ほんと、あと少しだったのに……」
すごく悔しそう。そこまでして欲しかったものって一体……?
「ねぇ、なにがほしかったの?」
「それは……」
A 「私の大切な友達の、目を治す薬……紫水晶よ」
B 「私の小さな胸を大きくする薬……豊胸剤よ」
C 「雪ちゃーん、どこー?」え、雪ちゃんが欲しいの? って、誰っ!?
しまった、直すんじゃなかった(´Д`,,)
Aで
おまいら…w
今回は参加しなくてよかったぜw
「……邪魔だったのよ、あの藩主が」
深山さんはぽつりと呟いた。
「あの藩主さえいなくなれば、私の望みは叶う……だから私は……」
うーん、まわりくどくてよくわかんない。
「深山さんの望みって、なにかな」
「私の望み、それは――」
A. 登臼来藩を尊王攘夷派にすること
B. 華無氏子右流屁藩の御家復興
C. 白皇の側室に差し出された(人物指定)を取り戻すこと
D. 美少女を集めたハーレムを創設すること
D
C 清水な(略
紫琥珀ならうたわれで出たが、紫水晶って葉鍵で出てる?
まぁどうでもいいんだろうけど
紫琥珀だったっけ? まぁ負けたからどっちでもいいや。
「美少女を集めたハーレムを創設すること、それが私の望みだったの」
はーれむ……よくわかんないけど沢山の女の子をはべらしたかったみたい。
「だけどね、白皇様の存在がハーレムには邪魔だったの」
「白皇様がまつりごとを執って以来、越後屋の黄金饅頭は受け取りにくくなるし」
「領民からたくさん年貢を毟り取ってうっはうはになるのも難しいし」
「お陰で豊胸剤を工面するのも難しくなるし」
「『飢饉に備えて米を貯めておけ』なんて面倒くさい指示出すし」
「『盲目の親友も大事だが里の政治をおろそかにしてはいかん』とか口うるさいし」
「とにかく気に入らなかったのよ、あの白皇ってお殿様は」
後半はあんまり関係なさそう、なんだか溜まっていた物を吐き出すように喋りだしたよ。
「ふーん、そうなんだ。じゃあ、深山さんは白皇さんが邪魔だから殺したんだよね」
「そ、そうよ、邪魔だったの、あなたも分かってくれた?」
短い髪をした雪見さんの目にわずかに希望の火が燈る。
何か勘違いしているよ、この人、わたしが見逃すとでも思ったのかな?
「ところでさ、みすずちんも雪見さんが邪魔なんだよね」
「ひっ、えっと、それって……」
「みすずちんも、『邪魔』なものは殺したいな、にははっ」
お話も終わったし、そろそろ殺しちゃってもいいよね。
A わたしの一振りが、深山さんの首と胴を切り離しちゃった、ぶいっ
B ブスッ、ブスブスッ、あれ、観鈴ちんの体にいっぱい矢が刺さっているよ
C 折角だからなます切り、まずは体のどの部分から切り落とそうかな(部位指定)
A
ひぐらしがないている、そんな気がしてきました
ていうかみすずちんがレナか宗次郎にしか見えません!
「……ここか」
多量の藩兵を率い、オボロ、ベナウィ、他武将らは深山邸を取り囲んだ。
「はい。住人の通報によると、総大将様殺害の下手人、神尾観鈴と思しき女性が進入した……と」
「部隊の配置、完了していますか?」
「ええ、いつでもいけますぜ」
まさに360°猫の子一匹逃さない完全包囲。
歩兵から騎兵、弓兵、さらには最新の銃を装備した狙撃兵まで配置。
「兄者の仇……かならず俺の手で討ってやる!」
「落ち着きなさい。少女とはいえ相手は相当の手だれ。迂闊に手を出すと火傷をしますよ」
「わかっているさ……わかってる」
「では……突撃準備。用意」
「あいあいさ……」
クロウがウマの手綱を取り、部隊に合図を送りかける……が!
「! お待ちなさい!」
不意にベナウィがそれを止めた。
「な……どうしまし……って!」
クロウの疑問の声も遮られる。
不意に屋敷から火の手が上がり、玄関から丸いものが二つ。
てん、てん、てん…………と。
「これは……深山雪見に、確か……」
「榊しのぶ!?」
転がり出てきたのは二つの生首。深山雪見と榊しのぶ。
そして、その後に…………
「……にははははははははははは……」
返り血で真っ赤な顔で、ゆらりゆらりと出てきた観鈴ちん。
「お仕事ご苦労さまです! 役人さんたち!」
底抜けに明るい声と笑顔で観鈴は叫ぶ!
兵等の間に一気に緊張が走る。
「ここで観鈴ちんから衝撃のニュース! 白皇さん殺しの真犯人はそこの2人だったのです!
にはは!」
「…………」
しかし、あたりは静寂に包まれるのみ。
「観鈴ちんは嵌められたのです! 観鈴ちんは被害者なのです!」
「…………」
変わらぬ静寂。
「さーあ、観鈴ちんのこの言葉! 信じてくれる人は…………挙手っ!」
バッと手を上げる観鈴ちん。
手を上げるものは…………
A いた
B いなかった
いいねえ。
選択は
B
で。
いるはずねぇー!
B
そりゃBだろ;
「……………………」
ただただ、静寂が場を支配するのみだった。
「にはは! 観鈴ちんは可哀相ですね! 観鈴ちんはやっぱりひとりぼっちです!
ぜもぜんぜんへいき! 観鈴ちんは強い子だから! ずっとずっとこうして生きてきたんだから!」
「……言いたいことはそれだけか?」
二刀を構え、オボロが低く吠える。
「はい! それだけです!」
明るく答える観鈴ちん。
「覚悟はよろしいですか?」
槍を低く構えながら、ベナウィが能面のような顔で最後通告。
「はい! よろしいです!」
元気よく応える観鈴ちん。
「なら…………」
ゆっくり、ゆっくりとクロウが槍の穂先を天に掲げる。
「…………全軍、突撃ィィィィィィィィィィ!!!!!」
一気に槍を振り下ろす。
おおおおおおおおお! と鬨の声が地震で荒れ果てた里に響き渡った。
「にはははははははははは!
にはははははははははははははははは!
にはははははははははははははははははははははははは!」
楽しそうな声で、観鈴が剣を構える。
「あそぼう! あそぼう! みんなであそぼう!
ずっと、ずっと、いのちをかけて!」
明るい笑顔で観鈴が波と化して迫る兵に突っ込む。
「あそぼう! あそぼう! みんあであそぼう!
さいごの、さいごの、しあわせなおもいで!」
幸せそうな観鈴ちんの姿は、怒号と金属音の中に消えていった。
A 葉鍵十五年四月十三日 神尾観鈴 深山邸前にて憤死
B それ以後、観鈴の姿を見たものはいない――――
B
B
B
Bだと何が?
みすずちんごーるA
Aは俺だけかorz
どれが俺のBなんだw
割り込みマジごめん…orz
しかしこの選択にはスルー
俺も割り込みだな、すまん
しかしすごい展開だ…
それから みすずちんの すがたを みたひとはいません
すうじつご みすずちんのおかあさんが れんざせいで しざいになります
とすくるの しりょうにも このたたかいのことは きろくされていません
みすずちんの めいよが かいふくするのは これからごじゅうねんご
みやまゆきみのともだち かわなみさきさんの しょうげんを まつことになります
さあ よいこのみんな かんがえてみよう
みすずちんは さいしょはよいこでした
ただ うんがわるかっただけでした
わるいひとに だまされてしまっただけでした
しかし みすずちんは にげてしまいました
にげていくなか ほんとうにわるいことをしてしまい ほんものの あくにんになってしまったのです
では みすずちんは どうすればよかったのでしょうか かんがえてみましょう
これが きょうの しゅくだいです
さあ もうおわりの じかんです おうちにかえって おかあさんに ただいまをいいましょう
きょうのおはなしは おしまいです
それじゃあ みんな さようなら
A めでたし めでたし
B 第二部『人斬り観鈴編』へ
B
A
後は任せた
―それから、1年後―
にはは、 観鈴ちんだよ。あれからわたしは登臼来藩を出て、京都に行く事にしたの。
今のあそこなら、全国から一杯怪しい人がいるからね。木の葉を隠すなら森の中。観鈴ちん、頭いい。
で、京都で何をやっているかと言うと──
A 長州の人に人斬りとして雇われているの
B 土佐の人に人斬りとして雇われているの
C 幕府の役人さんの用心棒
E 旅館の仲居をやってるの
F 新撰組って言う所に入ったの
──風の噂でお母さんが処刑された事を耳にした。
最初に聞いた時は確かに悲しかったけど、今のわたしには、
強風にさらされて今にも吹き消えそうな灯火ぐらいにしかソレを感じない。
だって、今のみすずちん、強い子だから。
ずっとひとりで頑張るって、あの日誓ったから。
深山さんを殺してからどれぐらい時間が経ったか、そんなの覚えてない。
でも、人の口に戸は建てられないってホントだね。
あの事件をどこからか漏れ聞いた人がいたみたいで、
今はその人に雇われてまた人を斬ってる。
人に使われるのはあんまり好きじゃないんだけど、命がけの戦いは楽しいし、
人を斬ってお金も貰えるから、今のわたしにはうってつけのお仕事。
にはははははははははは…………。
ちなみにその雇い主さんは…
A スオンカス
B 橘(天いな)
C 緒方英二
D なんと久瀬
A
OK油断するな俺orz
386 :
名無しさんだよもん:2005/10/30(日) 23:35:27 ID:DPvosZK6O
Eで
「それでは、次はこの人をお願いします。いいですね?」
「にははっ、みすずちんに任せなさい」
みすずちんその腕を買われて京都で大暴れ、今は『長州』ってところに雇われている。
『開国』だの『統幕』だの言っているけどみすずちんにはどうでもいい。
わたしはただ人が殺せて明日のご飯があればそれでいいんだ。
「あなた……腕はいいんですがもう少し関係のない人を殺すのは止めてもらえませんか」
「え〜、みすずちんいっぱい人を殺したいよ」
ちょっと関係のない人まで殺しちゃうのが雇い主さん気に入らないみたい。
「まぁ、いいでしょう、次の目標は……」
A 『新撰組』の『斉藤一』です
B 幕府派の公家、『伏見ゆかり』です
C 幕府派の公家、『来栖川綾香』です
D あまりの暴走に、観鈴ちん粛清の対象に、が、がお
「そういえば雇い主のあなたの名前ってなんだっけ」
※長州派の観鈴の雇い主を指定してください
C
雇い主は藤林杏
「幕府派の公家、『来栖川綾香』です」
わたしの雇い主……藤林杏さんが手配書を渡してくれた。
なんだかとっても気位の高い美人さんだね……羨ましい、妬ましいな
「わかったよ、みすずちん張り切って殺してくるね」
わたしは長州派の屋敷を出て、指示された待ち伏せの場所へ向かう。
A そして、みすずちんは京都で死ぬまで人殺しを続けたんだ……
B 新撰組の人たちに囲まれた、みすずちんぴんちっ
C しばらく待っていると……来た来た、お供が三人ほどいるけど楽勝だよね。
C
C
杏さんからの依頼を笑顔で受ける。
この一年、みすずちんは泣いてない。ずっと笑顔。
お母さんがいなくても、誰もわたしのことを助けてくれなくても、みすずちんは強いから大丈夫。
みすずちん、一年間ずっと頑張ってる。
わたしの命を狙う人たちを斬ってるうちに、剣の腕も随分上がった。
だからわたしはこの特技を活かして人斬りやってる。
おかげで京の街の人は夜は絶対にお外を出歩かなくなっちゃった。
来栖川綾香さん。今度のわたしの獲物。
絶対に逃がさないよ? 絶対だからね。
わたしはすぐに部屋を出ようとする。そんなわたしを杏さんが呼び止めた。
「ちょっと、神尾さん」
「なんですか?」
「誰かと一緒にいたほうが良いわよ? あなたももう立派な討幕派なんだから」
「嫌」
短く一言、それだけ言って部屋を出る。
もう夕日は地平線のかなたに沈もうとしてる。そろそろ……お仕事に時間。にはは。
往人「往人と」
そら「そらの」
往人&そら「「面白幕末講座その4!!」」
往人「いやぁ、退屈な第一部だったな。さて、お次は俺の幕末講座で大いに笑ってくれ」
そら「いやっほーう! 国崎最高ーーー!! ところで、みすずはやっぱり生き残ったんだね? すごいや!」
往人「それがな……この話には謎が多いんだ」
そら「謎?」
往人「幕府の発表では、登臼来藩白皇は病死ということになっている」
そら「病死? 榊さんに殺されたんじゃないの? みんなはみすずがやったって思ってるけど」
往人「おそらく、事実の隠蔽だな。
藩主がのうのうと街中をほっつき歩いて町人に殺された、じゃどう見ても体裁が悪い。
事実、その時の犯罪者に観鈴の名はあるが、最初の罪状は放火と役人殺害だけになっている。
他の資料も参照すると、それが誤りであることが分かるんだがな」
そら「ふぅ〜ん、そうなんだ」
往人「観鈴は見たとおりその後尾根の里に向かい、そこの大地主である深山雪見を殺害した。
このとき館の生存者は、台所で隠れていた地主の友人川名みさきだけと言われている。
それから直ぐに、白皇の中心であった邉那初と玄雨が館に到着。そこでまた交戦があったことは確からしい」
そら「え? みすずは一人だよ? 絶対に勝てっこないよ!?」
往人「ああ。勝てないだろうな。
だが……どうも、これより先は資料が欠落していて記録がない。
観鈴が生き残ったか、それとも討ち取られたのか……それすらも定かではないんだ」
そら「え、え、どういうこと?」
往人「この後、幕府は登臼来藩をこれ幸いにと取り潰す。
その時一悶着あったらしくてな、家臣が幕府に見られたら困るような資料を全て焼いてしまったんだ。
だから、それ以降のことは良く分かっていない。このときの兵は城に帰れなかったらしい。
この時に前後して起こった登臼来大地震とその余震が、事実を全部隠してしまったんだ。
歴史家の見解では、この時観鈴は死亡したというのが一般的だ」
そら「……ふぅ〜〜ん。でも、それじゃ……」
往人「ところが、その一年後に観鈴と特徴がよく似た同名の人斬りが京都に出没する、なんていう話が出てるんだ」
そら「えっ、えっ!?」
往人「だがこの話は信憑性に乏しい。この話は創作だとも言われている。
結局は、事実は歴史だけが知っているってことだ」
そら「ふぅ〜〜〜ん」
夜の京都。
もう、誰もわたしを止める人はいない。
月明かりに照らされながら、わたしは一人京都の町を歩く。
所定の位置について、標的が来るのを待つ。
すると、向こうから歩いてくる人が三人。
来た……一人は女の人。そして付き人が……二人。
うん、今日も絶好調。
こんなに早く標的が見つかるとは思わなかったよ。
さて……どうかかろうか?
A 問答無用で斬りかかる
B 軽くご挨拶ぐらいはしようかな
C ……待って。後ろから人の気配。こんな時に邪魔が入るなんて……
B
A
いやっほ〜ぅ、幕末最高! そらが喋ってる!
A
そらはもともと解説で出てたぞ
400 :
名無しさんだよもん:2005/10/31(月) 00:22:22 ID:sp+j3E1OO
「」≠『』
えーと……まぁ、いいや。どーでも。
挨拶くらいはしておこうかな。
偉い人らしくお供を連れて歩いてるけど、この程度の人数差じゃ、わたしにとっては多勢に無勢なんて呼べないし。
今夜の月はきれいだなって一度見上げてから、わたしはぶらりと綾香さんの前に進み出た。
「こんばんは。にはは」
どうしてか、こういうときわたしはいつも笑ってしまう。
「――あなたは?」
鋭い声は綾香さん本人のものだと思う。声まできれいなんだ、いいなあ。
「観鈴ちんです」
わたしが挨拶すると、綾香さんの周りに控えていた付き人さんがびっくりしたみたいだった。
「人斬り観鈴……ッ!!」
観鈴ちん、有名人。ぶいっ。
「すぐさま斬りかかればいいものを、礼儀正しいわね。そんなに余裕があるの?」
「にはは……」
笑いながら鯉口を切る。綾香さんとお付きの二人も、すでに体勢を整えてわたしの出方を待っている。
わたしは駆け出して――
A. 一歩進む前に後ろから斬られた。しまった、相手のお供は「三人」いたっ!
B. お供の一人目に斬りつけたが、受け止められた。
C. お供の二人をあっという間に切り伏せた。残るは綾香さんだけ。
D. そのまま綾香さんとすれ違って走り抜けた。
a
404 :
86:2005/10/31(月) 00:38:39 ID:+TZLaMopO
>>399-400 人形である事を強調させる為に『』を使っただけで、実際にはちゃんと喋ってるつもりです。
まあ、自分的には、ですが。
「!」
一瞬、背筋に走った冷たい感触。
身を翻すが間に合わず、今度は熱いものが背中に走った。
「ッ……!」
三歩、一行から放れる。
お供は綾香さんの周りに2人。観鈴ちんが立ってたところの真後ろに1人。
3人いた……観鈴ちん、失敗失敗。
「意外に抜けてるのね、人斬り観鈴さん」
「にはは、観鈴ちんまだまだあほちんだから」
と、そこで切られたところに沿ってはらりと観鈴ちんの着物が剥がれ落ちた。
月下に照らし出される観鈴ちんの体。
にはは、綺麗綺麗。びゅーちふる。
「っぐ……!」
なのに付き人さんは顔をしかめちゃった。
どうしてだろう? 無数の刀傷、銃創、矢傷。ついでに最近刺したカッコイイ龍のモンモン。
みんなが一生懸命観鈴ちんの体を彩って、花魁にも負けないぐらいきれいなのに。
「じゃあ、本気を出しますね」
チャキリと刀の鍔を押し上げる。抜刀術の構え。
背中の傷は熱を持ってるけど、鞘背負ってたから傷口はそんなにひどくない。まだ動ける。
「…………」
綾香さんご一行も陣形を整える。
綾香さんたちは……
A 3人で観鈴ちんを押さえ込み、綾香さんを逃がすみたい。
B 2人で観鈴ちんを押さえ込み、1人護衛で綾香さんを逃がすみたい。
C 四人一斉に来るっぽい……えっ? 綾香さんも戦うの?
D 綾香さん1人で来るっぽい。にはは、無理無茶無謀。
Dで
A
「やるわね……それに、あなた感情がないの!? 斬られて怒りをちっとも見せないなんて!?
人斬りの観鈴が『喜怒哀楽』の四つの感情のうち、『楽』しか持ち合わせていないって話、どうやら本当らしいわね」
「難しい話はみすずちんにはわかんない。でもね、怒っても泣いても意味がないから。だからみすずちんは笑ってるの」
「ふぅん……。それじゃ、笑いながら死んでもらうとするわ」
綾香さんが一歩前に出る。
あれ? お供の人じゃなくて綾香さんが来るんだ。
確か、杏さんの話だと、公家の来栖川綾香さんってのは何か格闘術をやってたって聞いてる。
でもね、無駄だよね。無駄。
世の中には剣道三倍段って言葉があるもの。(注 正確にはこれは誤用です)
簡単。今日のお仕事は、簡単。
わたしは地面を蹴る。
背中の傷がちょっとだけ痛いけれど、でも平気。綾香さんぐらいなら多分簡単に倒せる。
「にはは。一斉にかかった方が良いよ」
「悪いけどそれは遠慮させてもらうわ。あなたの実力ならこの三人ぐらい瞬殺しちゃうでしょ? こっちも無駄に人が死んで欲しくないのよ」
「甘いよね、それ。どろり濃厚よりもずっと甘い。
所詮この世は弱肉強食。強ければ生き、弱ければ死ぬんだよ? 他人を庇って何になるの?」
「……あなたには、分からないでしょうね」
「うん。わたしは分からないな」
お互いに笑う。
にはは、わたしと綾香さん……戦闘開始。
そして……
A わたしはそのまま簡単に綾香さんのことを斬った
B わたしは苦戦したけれども綾香さんの事を斬った
C ……え、突然綾香さんが逃げちゃった。が、がお……
D 向こうから提灯の光が。どうやらもう逃げた方が良いみたい
B
B
綾香さんは一人で出てきちゃったよ。
仲間を死なせたくないから、それを防ぐだめに一対一に持ち込んだんだね。
にはは。綾香さんはいい人。
友達になりたかったなあ。
でも、もう無理だね。
痛かったもん。
三回も殴られちゃったよ。
だから十五回斬った。
お母さんが昔「5倍返しや!」
って言ってたから。
さんごじゅうご。
観鈴ちん天才。
さて、残りの三人はどうしようかな。
A 全員15回切る
B 二人を切り、一人を捕虜にする
C わざと逃がす
A
うん、お仕事完了っ。
カチン、と刀を鞘に納める。もちろん血はちゃんと拭いてるよ、にはは。
刀はお手入れ忘れるとすぐに傷んじゃうからね。にはは、観鈴ちんのお肌みたい。
道の上はトマトスープぶちまけたみたいになっちゃってる。にはは、変なにおい。
にははっ。けど今日は思ったより大変だったな。
刀が一回、拳を三回ももらっちゃった。観鈴ちんあほちん。
修行修行! もっと強くならないとね。
さーて、お仕事完了したし、傷の手当もしなきゃいけないし。
そろそろ帰ろうかな……って、あれ?
「あぐ…ふっ…」
わあびっくり。綾香さんまだ息があるみたいだよ。
にはは、観鈴ちんやっぱりあほちん。十五回も切って殺せてないなんて、お月様に顔向けできないよ。
「凄い生命力だね、綾香さん」
「そりゃ……どうも」
「でも安心して。今すぐ殺してあげるから」
そう言いながら、剣を逆手に……
「……待って」
「今更命乞い? 無駄だよ綾香さん」
「違うわ……どうせこの傷、放っておいても死ぬ」
うん、そうだね。
「ねえ、聞かせて……あなた、私と大して歳も違わないのに……どうしてそんなことやってるの?
どうしてそんなに冷たい剣を振るえるの?
あなた……いったいどんな人生生きてきたの?」
にはは。死人の戯言。
どうしようかな。
A 無視して殺す
B 話すだけ話してみる
B
結局、わたしは他の三人も十五回斬った。
お仕事は綾香さんを斬ったところで終わりだったんだけど、わたしは人斬りが好きだし、お供の人たちも「綾香様のかたき」って言って斬りかかってきたから。
綾香さんはお供の人たちに生きててほしかったのに、わからなかったんだね。ちょっとかわいそう。
でも同じ十五回ずつ斬ったからみんなおそろいで寂しくないよね。
がお……さすがにちょっと疲れた。
怪我もしたし、返り血も浴びちゃったし、着物も破れちゃったし。
まだ夜は長い。どうしようかな。
A. 医者に行って診てもらう
B. 部屋に戻って応急手当、着替え
C. 早く仕事の成功を報告して報酬をもらおう
にはは、そうだね。
どうせ死ぬし、この後大した用事があるわけじゃなし。
お話してもいいかな。考えてみれば今まで誰にも話したこともなかったし、話す気もないけど。
死人になら別に構わないよね。
「わかった。それじゃあお話してあげるよ」
「どうも……できるだけ手短に済ませてくれるとありがたいわね」
「うん、それじゃあね。観鈴ちんは最初、街道の御茶屋で働いてたんだけど……」
・ ・ ・ ・ ・
それからたっぷり時間をかけて、観鈴ちんの今まで生きてきたそくせきを綾香さんに教えてあげた。
白皇さんとの出会いや殺されちゃったこと、それからの色んな修羅場。
にはは、考えてみれば自分でもすごい人生! まさに山あり谷あり!
刺激にはことかいてないよね、にはは。
「うん、それで今観鈴ちんこうやって京都でお仕事してるの。おもしろかった?」
すべて終わったところで綾香さんを見る。
綾香さんは……
A とっくの昔に死んでいた。
B 関心したようすだった。
C 寒心したようすだった。
D 悲しげなようすだった。
A
綾香さんは死んでた。
帰ろ。
・ ・ ・ ・ ・
その後わたしは長州の詰め所に戻って報酬を受け取った。
ついでにお抱えの医師に傷を診せてみたけど、命に関わるものじゃないって。
包帯巻いてもらって替えの着物を着て。詰め所を出た。
にはは、これからどうしようかな。
夜の街は静かだけど、大通りに出ればそれなりに店もやってる。
お腹空いてきちゃったかな。けど、早く帰ってお風呂にも入りたいなぁ。
どうしよう?
A 大通りに行ってどこかの店に入る。
B 早く帰ってお風呂入って寝よう。
C あれ、人の気配? また刺客かな?
A
そういえばみすずちん、京都に来てからこっち、お仕事以外でお店に入った事がなかった。
京都に来たばっかりの頃はまだ登臼来藩の手配書がそこら中にあったし、
彫り師さんには藤林さんの館まで直接来てもらったしね。
でも、登臼来が無くなった今は手配書もなくなったし、
お仕事の目撃者はみんな殺してきたから、わたしの顔を知ってるのは長州の人達だけだもんね。
わたし、楽しい事は好きだから、たまにはパーッと買い物したり遊んだりしたいな。
うん。そうと決めたら即実行。どこ行こっかな?
A 髪も少しのびてきたし、かんざし屋に行こっと。
B やっぱり賭場だよね。簡単で楽しい。にはは。
C 干徒倶楽部『帆割場』……なんだかわかんないけど、きらびやかで面白そう。
D 幕府公認銃火器店『ゔぃくせん』……あれ?どっかで聞いた名前……。
D
A やっぱ女の子はお洒落じゃないと
負けた。。。
>>419が混乱してるようなので
現在の流れ
>>408 綾香とタイマン → B わたしは苦戦したけれども綾香さんの事を斬った
>>411 綾香に3回殴られたから15回斬った →A 全員15回切る
>>413 お仕事完了。綾香が虫の息 → B 話すだけ話してみる
>>417 観鈴の身の上話
>>415のみスルー …
>>413に書き負け
※
>>413が
>>411を受け次いでいるのは「刀が一回、拳を三回ももらっちゃった。」から分かる。
それまでに、観鈴は綾香に殴られていない。よって有効。
ゔぃくせん……?
うーん、どこかで聞いたことあるような名前。
なんだろう……。
まあいいや。思い立ったが吉日! 銃にはあんまり興味ないけど、見るだけ見てってみよう!
「おじゃましまーっす!」
「ハイ、いらっしゃ……」
のれんを開けてお店に入る。
中にいたのは金髪の異人さん。
その人と目が合う。お互いちょっとだけ固まる。
にはは、お懐かしゅうございます、っていうのかなこういう時は。
「リサさん!」
「観鈴!」
覚えてるよ。一年前、白皇さん意外では唯一観鈴ちんに優しくしてくれたひと。
あの時の天麩羅は美味しかったなぁ……
「どうしたの観鈴! こんなところで」
「にはは、今観鈴ちん京都でお仕事やってるの」
「へえ……サムライとは。出世したものねぇ」
わたしの格好を見てうんうんと頷くリサさん。
やがて、何か思い当たったみたいにハッとして
「え……ちょっと待って。ということは……『人斬り観鈴』ってまさか」
「うん、観鈴ちんのことだよ。見て見てこの傷。さっきもお仕事済ませてきたんだよ」
と言いながらわたしは背中の傷を見せる。にはは、仕事する背中は格好いいんだよ!
A リサさんはおびえた様子で拳銃をこちらに向けた。
B 体よく追い出されちゃった。
C あんまり気にした様子はないみたい。
C
c
「……色々あったのね」
「うん、色々あったんだよ」
リサさんはおびえた様子も、迷惑がる様子もなく、ただ事実を事実と受け止めて頷いてくれた。
にはは、やっぱりリサさんいい人。
「そうだリサさん、リサさんまだ天麩羅やってる?」
「Tempra? えっと……あれは元々私がやってるわけじゃないんだけど……」
あ、そっか。そういえば天麩羅売ってたのは別の女の人だった。
「ええと、それじゃあ……えっと……そうだリサさん! 夕飯もう食べちゃった?」
「Dinner? まだだけど……」
「それじゃリサさん、お夕飯食べに行こうよ! 今日の観鈴ちんお財布暖かいからリサさん奢ってあげる!
にはは、恩返し恩返し。一年前の天麩羅!」
「テンプラ……ああ、あれね。覚えててくれたの」
「もちろん!」
覚えてるよ。
あの時の天麩羅の味は、今でも時々夢に見るんだもん。
「Hmm...ケド、今からか……」
「……都合、悪いんですか?」
「そうね……」
A リサさんは頷いてくれた。「OK,それじゃ、今日は早めに店閉まいね」
B リサさんはゆっくりと頭を振った。「Sorry,店を閉めるわけにはいかないの」
Aで。
a
「OK,それじゃ今日は早めに店閉まいね」
「にはは、ありがとリサさん。思いっきり奢っちゃうね」
「フフ、手加減しないわよ」
「にははっ」
今日は久しぶりに美味しいご飯が食べれそうだよ。
その後わたしはリサさんが暖簾を仕舞うのを待ち、2人で連れ添って大通りに出た。
にはは、どこに行こうかな。
A リサさんの案内で、あの時天麩羅を売ってた「皐月さん」がやってる店に。
B リサさんの案内で、幕府の偉い人も時々来るっていう料亭に。
C 長州の人がよく集まるっていう居酒屋に。
D にはは、牛鍋食べたいな。
C
「こんにちわーっ!」
勢いよく暖簾をくぐってお店に入る。
「いらっ…………ひっ!!」
店主さんがこっちを見て青ざめる。
他にも長州藩の人が何人かいたけど、こっちを見たら全員一斉に目を見開き、すぐに目をそらした。
「い・い・い……いらっしゃい、ませ」
「にはは。2人ねー」
「は、はい。奥の座敷へどうぞ……」
「にはは、奥だって。行こっ、リサさん」
「ええ……」
(さすが、ってところかしら)
「え? リサさん何かいった?」
「いいえ、何も。さあ、行きましょう」
「うんっ!」
で、リサさんと奥の座敷に対面で座る。
いくつかお酒とおつまみ注文したんだけど、なんかすっごい速さで持ってきた。
にはは、いいお店いいお店。
「それじゃ、観鈴の出世と……」
「リサさんがお店を持てたことをお祝いして」
「乾杯ーーーっ!」
チン、とお猪口をぶつける。
で、しばらくリサさんとお話したんだけど……
A 観鈴ちんのことを話した。
B リサさんのことを話した。
C と思ったら他の藩士の人が恐る恐る話しかけてきた(※人物指定可能。指定しない場合はただのモブ)
D と思ったら酔っ払いが観鈴ちんに絡んできた。にはは(※同上)
C 由依
「あの……観鈴、さん」
「には?」
楽しくリサさんとお酒を飲んでたところ、藩士の一人……女の子。
名前は忘れた。
が明らかにおびえた様子で話しかけてきた。
「なーにー? にははー」
「あの、その……そちらの異人さんとは……どんな関係なんですか?」
「リサさんー? リサさんは観鈴ちんのお友だちだよー。ね、リサさん?」
「え、ええ。そうね」
「うん、そうだよ。にはは。リサさんと観鈴ちん、お友だち」
にっはっはー。
「あの……ちょっと……」
けど、女の子はなんだか曇った表情で。
「その……」
後ろの仲間の人がおいやめろとか手を出すなとか言ってるけど、女の子はそれを制しながら。
「一応ウチも……最近は倒幕に集中ってことで異人に対しても、その……
以前ほど厳しくは当たってませんけど……けど、まだ上の方は快く思ってないみたいですから……
その、観鈴さん、あんまり異人の方と親しくしない方がいいと思いますけど……」
「にはは、知らないよそんなことは。観鈴ちん倒幕とかどうでもいいんだし」
「けど、その……一応あなたも今は長州に所属してるんだし……」
「にはは」
A うるさいな。少し脅かす。
B 無視する。今はリサさんとのお酒の方が優先。
C とか言ってたらリサさんの方が席をはずしちゃった。
D なんかいきなり表が騒がしくなってきた。佐幕派かな?
A
「うるさいな」
「えっ?」
いい加減ちょっとうざったくなってきたよ。
せっかく今夜はリサさんとお酒が飲めてうれしかったのに。
「ちょ、観鈴、さん……」
「観鈴ちんはリサさんとお酒が飲みたいの。長州とか倒幕とかそんなことはどうでもいいの。
そんなこともわからないの?」
「けど…けど……」
にはは。泣きそう。
「あんまりうるさいと……」
スッと腰の刀に手をかけ、パチンと鞘を鳴らす。
「ヒッ! ヒィィィィッ!!!」
どたどたばったん。
にはは、おもしろい。
女の子、襖をひっくり返しながら逃げてった。
あ、しかもお仲間さんたちも一緒に店の外にまで。
にはは、みっともないの。
「ちょっとお客さん! お代!」
店主さんが叫ぶ。
「にはは、心配ご無用。観鈴ちんが代わりに払ってあげる。
だからおじさん、もう暖簾仕舞っちゃって。観鈴ちん、うるさいの嫌いだから」
「は、はいっ!」
おじさんも慌てた様子で急いで暖簾を仕舞った。
にはは、面白いの。
「ごめんねリサさん、騒がせちゃって」
改めて座敷に座りなおし、リサさんと向き合う。
「ううん、それはいいんだけど……変わったわね、観鈴」
「変わった?」
変わったか……うん、確かに観鈴ちん、変わったよね。
一年前よりずっとずっと強くなった。世の中強くないと生きてけないから。
「にはは、どんな風に変わった?」
「そうね……一年前より」
A 強そうになった
B 寂しそうになった
C 冷たくなった
D 可愛くなった
B
「寂しそうになったかな」
「さびしそう?」
にはは、リサさん変なこと言う。
「ううん、観鈴ちんぜんぜん寂しくなんかないよ。
今だってリサさんとお酒飲んでいられるし、お仕事だって充実してるし、お金もたくさんもらってる。
観鈴ちん、今とっても毎日が楽しいよ」
「……そう」
けど、リサさんはなんだか浮かない顔で。
「……そう、なんでしょうね。うん、あなたは楽しい……のかしら?」
けどやっぱりリサさんはなんだか変な顔。
お酒が回ってきたのかな? 観鈴ちんはこんなに楽しいのに。
「うん。観鈴ちん、とっても楽しいよ!」
にははっ!
それからしばらくリサさんとゆっくりお酒を飲んだ。
ほとんど一方的に観鈴ちんが喋ってるだけだったけど、リサさんはひとつひとつうんうんと頷いて聞いてくれる。
にはは、こんなに人とお話したの久しぶり。
楽しいなぁ。やっぱり観鈴ちん寂しくなんかないよ。とっても楽しいもん。
「それじゃ、ごちそうさまーっ!」
「へ、ヘイ! あ…りあとあした!」
「悪いわね、結局全部払わせちゃって」
「にはは、いいのいいの。観鈴ちんの恩返しだから」
食べ終わって飲み終わったところで店を出る。にはは、約束どおり観鈴ちんの奢り。
けどこれくらい。軽い軽い! 観鈴ちんはお金持ちなのだ!
その後リサさんのお店の前まで一緒に歩いて、リサさん見送ってさよならしようとしたんだけど……
「あ、そうだ。観鈴」
「うん? なにリサさん」
不意に、呼び止められた。
「これ……使ってみない?」
「これって……」
と言いながらリサさんが差し出してきたのは小さな……服? 下着じゃないみたいだけど……
「リサさん、これなに?」
「Bulletpro...Hmm, 日本語なら……『防弾服』かしら?」
「ぼうだん?」
「今私が試験的に作ってみてる防具なんだけど……少しくらいの銃弾なら跳ね返せる優れものなのよ。
テストで効果は実証されてるんだけど……まだ実戦データが足りなくて。観鈴、使ってみない?
効果を教えてくれるって約束してくれるなら、安くしとくわよ」
「うーん、どうしよっかなあ……」
A ゴワゴワした服は好きじゃないし、断ろう。
B 他ならぬリサさんの頼みだし、使ってみよう。
B
「うん、わかったよ」
他ならぬリサさんの頼みだしね。
「Thank you 観鈴」
「気にしないでいいよ。値段は?」
「それなんだけど――――」
うわっ、結構高いよ。観鈴ちんあぶなかった。
今夜綾香さん斬ってなかったら払えなかった。
にはは、観鈴ちんらっきー。
「それじゃとりあえず着てみるね」
リサさんから受け取ったその場で上着を脱ぎ、その下に着てみる。
うーん……
「なんだか変な感じだよ……」
「まあもっと着心地を良くするのはこれからの課題だけど……性能的には悪くないはずよ。
動きに支障はない?」
「えーっと」
観鈴ちん、そのまま刀を手に二、三度振ってみる。
うん、ちょっと違和感はあるけど大丈夫かな。
「うん、たぶん大丈夫だよ。それほど大変じゃない」
「そう、よかった」
「それじゃあねリサさん、ありがとう。ばいばい」
「See you 観鈴。今度使い具合教えてね」
「うんわかった。にはは」
それで観鈴ちんはリサさんのお店を後にして、家に帰ってお風呂入ってオナニーはしなかったけど寝た。
ひさびさによく眠れた。ひさびさに夢を見た。
夢はやっぱりリサさんと天麩羅の夢だった。
「うーん、今日もいい天気だよ」
翌日の昼過ぎ。観鈴ちんは目が覚めた。
顔を洗って服を着て、もちろんリサさんからもらった『ぼうだん服』も着て。
最後に刀を帯びて、準備完了。
「それじゃあ、今日も一日がんばろう。にははっ」
とりあえずどうしようかな?
A 今日の標的を聞きに藤林さんの処に行く
B またリサさんのお店に行ってみる
C 昨日傷を受けちゃったし、ちょっと自分を鍛えなおす。
446 :
名無しさんだよもん:2005/10/31(月) 14:22:21 ID:sp+j3E1OO
A
そうだね。お仕事はきっちりやらなくちゃ。
藤林杏さんの処に行って、今日の標的を聞いてこよう。
「こんにちはー」
あいさつは明るく元気良く。わたしは館の入口をくぐる。
「あ……神尾さん」
帳面に向かって何か書き込んでいた杏さんがこちらに振り向く。
「お仕事ください杏さん。にはは」
にはは、今日は誰を斬るのかな?
A 佐幕派の武士を1人斬ってくれだって。にはは、簡単簡単(※人物指定可能。指定しない場合はただのモブ)
B 昨日殺した綾香さんの姉を斬ってくれだって。にはは、姉妹丼姉妹丼。
C 大名行列中の大名を斬れだって。にはは、観鈴ちんに死ねって言ってるのかな?(※同上)
C 江阿藩主(人物は書き手任せ)……こういう指定、ありかな
B
「今度、京都の近くを参勤交代の大名が通るのよ」
「ふーん」
観鈴ちんには遥か遠い世界のお話だね。
あ、白皇さんが生きてたらひょっとしたら関係もあったかもしれないけど。
「通るのは江阿藩主、神奈備命」
にはは、江阿藩か、懐かしいな。もう過去の話だけどね。
「で、仕事って言うのは……大名行列中の神奈備命、彼女を討ち取ってほしいのよ」
「にはは。っていうことは、大名行列中に斬り込んで大名を討てってこと?」
「そう……なるわね」
杏さんの表情が曇る。
「にはは、観鈴ちんに死ねって言ってるのかな?」
「そう……でしょうね、いくらなんでもこれは……」
しばし額に手を当てたあと、杏さんは
「ごめんなさい、別の仕事にしてもらうわ。上からの命令ではあるけど、いくらなんでもこれは……」
「わかったよ。やるよ」
「えっ!?」
観鈴ちんの言葉がよほど意外だったのか、杏さんは目を大きく見開く。
「にはは、お仕事なんでしょ? だったら観鈴ちんがんばるよ。
その代わり、お金いっぱいちょうだいね」
「それは……もちろん。行列中の大名の暗殺なんて前代未聞だから、相当出るだろうけど……」
「うん、だったらいいよ。観鈴ちん行ってくる。場所と時間教えてほしいな」
「……今日の日没ごろ、京都の南の街道を通るわ。けど……本気?」
「うん、本気だよ。観鈴ちんは嘘つかないから。それじゃあ、行ってきます」
と言いながら館を出ようとする
「ちょ、ちょっと待って!」
そんなわたしを杏さんが呼び止めた。
「なに?」
「ええっと、と、とりあず手配書を渡しておくわ。顔もわからないんじゃ殺しようがないでしょう」
「それもそうだね」
観鈴ちんうっかり。
手配書の顔を見る……うん。可愛い女の子。観鈴ちんとたぶん大して歳も変わらない。
どっかの世界じゃ観鈴ちんと何らかの関係もあった気がするけど、どうでもいいよね。
どうせわたしは斬るだけでこの子は斬られるだけなんだし。
「それと……これは情報なんだけど」
「なに?」
「有象無象はあなたならどうとでもなるでしょうし、神奈備命自体はただの小娘だから問題ないでしょうけど……
彼女の側近の1人に凄腕の剣士がいるらしいわ。確か……柳也、だったかしら? 彼には気をつけてね」
「にはは、わかった。観鈴ちん気をつける」
というわけで知るべきことは全部知った。
観鈴ちん、南へ向けて出発っ!
「うーん、けど大名行列かぁ……」
南の街道へ進む最中。途中で買った団子をついばみながら観鈴ちん考える。
「どうやって切り込もうかなぁ、正面からか、後ろからか……それとも直接神奈ちゃんの首を狙おうかな?」
うーん…………
A 行列の正面から突っ込む
B 背後から斬り倒していく
C 側面から強襲。大将首のみを狙う
D 適当に目に付いた端から殺していけばいいや
ここはスマートにC
いくらわたしでも、大名行列のお侍さんたちを全員相手するのは疲れるよ。
直接、大名である神奈ちゃんの首を狙った方が良いな。
よし、決定。
今回のやりかたは神奈ちゃんの首だけを狙う。
わたしの足だったら逃げるのは簡単。みすずちん賢いっ。
このまま歩けば……うん、ちょうどいいタイミングで大名行列にぶつかる。
にははは、神奈ちゃん。神奈ちゃんに怨みはないけれど、ごめんね。
夕刻――――
南の街道に、沢山の人影。
道行く人が皆頭をぺこって下げて、地面に手を突いてははーーってやってる。
にはは、大名行列大名行列。
江阿藩は石高が少ないからお供の人たちも大した人数は連れてない。
ま、でも何百人っているから多いことには変わりないんだろうけどね。
中心近くに籠が見える。にはは、あの中に神奈ちゃん。
さて、そこまで一気に近づかないとね。
わたしはすっと構える。目標は神奈ちゃんの籠。
他の護衛の人には目もくれない。
それだけを念頭において……一気に土を蹴った。わたし、早さには結構自信あるんだよ?
そのままの勢いで、行列の中に突撃する。
目の前の人たちは多分わたしが見えてない。にはは、神速神速。
反応できた人もいるかもしれない。でもとりあえずそれは無視。
籠の目の前までくる。にはは、もーらいっと。
わたしがそう思ったときだった。
突然、刀の振られる音がする。わたしは反射的に跳んで身をかわした。
……誰だろう、もう少しだったのに。
「天下の神奈備命の命を狙おうとは……豪胆な奴だな」
立っていたのは、精悍な感じの武士さん。
確認しなくても分かる、あれが……柳也さんだ。みすずちんの速さについてこれてる、凄い。
柳也さんは籠を守るようにわたしの前に立つ。どうあっても通してくれないみたい。
急襲失敗。みすずちん、ちょっとぴんちっ! どうしようか……
A 柳也さんの隙を突いて籠の中に入り込む
B 柳也さんを先に斬る
C 今回のお仕事失敗。逃げた方が良いのかな……
B
「くッ、曲者ーーーーーーーーーッ!!」
誰かが叫ぶ。にはは。
そりゃね。こうなっちゃ一般ぴーぷるだって異常に気づくよ。
籠の前でお互いに膠着する柳也さんと観鈴ちん。
その周りの他のお付の人たちが即座に抜刀、一斉に観鈴ちんに斬りかかってくる。
「この不届き者がッ!」
「馬鹿者! やめッ―――!」
柳也さんの言葉も間に合わない。
にはは。あほちん。
シュッ――!
空気を切り裂く浅い音。
観鈴ちんの抜刀一閃。取り囲んでた人たちの体を横に割った。
うめき声を上げる間もなく即死する。にはは。
けど柳也さんだけはわたしの間合いから紙一枚分逃げてた。うーん、さすがにやるね。
「柳也殿何事かッ!」
その時、籠が開いて中から女の子――手配書の顔と同じ、神奈ちゃんが現れた。
にはは、間近で見ると本当にお人形さんみたい。可愛いな。
「狼藉者だ! 裏葉、神奈を守れ!」
「は、はいっ!」
近くにいた女の人が神奈ちゃんを抱きかかえ、身を挺してわたしから守るようにする。
にはは、無駄。2人くらいならまとめて斬れるし。
「ただし俺の傍から絶対に離れるな! 迂闊に距離を開けると守りきれん!」
女の人たちに一喝。続いて明らかに腰が引けてる周りの人たちに
「お前たちは手を出すな! 乱戦に持ち込まれると神奈を守りきれるとも限らん!
こいつは俺が相手をする! 俺が斬られたら、その時俺ごと撃ち殺せ!」
「は、はいッ!」
うーん、残念。見抜かれてたか。まとめて来てくれればお仕事しやすかったんだけど。
柳也さんの命令に従い、周りの人たちは一歩だけ引き、代わりに弓兵隊と鉄砲隊の人たちが最前線に来る。
ちょっとだけめんどくさいことになってきたなぁ。まあ、どうにかなるとは思うけど。
「さて……」
柳也さんの目がこちらに向けられる。にはは、怖い怖い。この人も観鈴ちんに負けず劣らず修羅場くぐってる。
けどね、やっぱりそれは人間の目。あったかいんだよね。にはは。あったかさは弱点だよ。
中段に構え、ジリジリと間合いを詰めながら話しかけてくる。
「小娘の身で……よくやる。一応……名前くらいは聞かせてもらえるか?」
「にはは、観鈴ちん、神尾観鈴。よろしくね」
「みす……! 人斬り、観鈴? こんな子どもが……」
「にはは」
さすがにちょっとだけ動揺したみたい。
わたしは地を蹴り、一瞬で柳也さんの懐に飛び込んだ。
A 神速の一刀が柳也さんの頸部を捉えた。にはは、甘い甘い。
B 手傷は負わせた。けど防がれた。残念。
C カウンターもらった。痛い。強いよこの人。
D 慌てた鉄砲隊の一人が柳也さんごとわたしを撃っちゃった。にはは、ぐれーとあほちん。
B
どこで名字を買ったみすずちんw
一瞬。まさに一瞬。
脚力を利用した神速。わたしは初速から最高速をだすことができるの。
この一瞬で一気に相手の目の前に詰める。
普通の人には、わたしが瞬間移動したようにしか見えない。これ、縮地っていうみすずちんの得意技。
柳也さんは、反応できるかな?
わたしは柳也さんの目の前で一気に抜刀する。
その刀は、柳也さんの右肩を捉える。にはは、もらったよ―――
そう思ったときだ。柳也さんが突然体を捻る。
わたしの太刀筋は柳也さんの体を軽く掠めただけで終わる。
……すごい、柳也さん。わたしの縮地を初見でかわしてる。
わたしはもう一撃を見舞おうと刀を振る。だけど柳也さんもさるもので、わたしの一撃を刀で受け止める。わ、凄い。
キィィンと甲高い金属音が聞こえ、お互い鍔迫り合いの形になる。
その時、わたしはあることに気付いた。
間合いを離してから、面白くてくすくす笑っちゃう。
「……何がおかしい?」
「あはは、それ。その刀、くすくすくす……刃が逆についてる」
そんなんで人が斬れるわけないじゃない。この人も甘い。どろり濃厚よりずっと甘い。
笑ってるわたしに対し、柳也さんはぶすっとした顔で神奈ちゃんの方には目もくれず答える。
「不殺の誓いといってな、そこのバカ主の命令だ。俺は人を殺しちゃいけないらしい。
おかげで得物もこんなものしかもたせてもらえないんだよ、まったく」
その物言いに、神奈ちゃんがブーブー文句を言い出した。
「何を言うか! 余は柳也にだけは人殺しになって欲しくないと思って……」
当然神奈ちゃんの文句はわたしも柳也さんも無視。
でも、この人たちも本当に甘い。
戦で他人を思いやるなんて、お馬鹿さんじゃないの?
敵に情けを掛けても……返って来るのは裏切りだけ。
わたしが一年前にこの身で味わったこと。そんなの常識なのに……。
どうしてみんな分からないんだろう? 誰かに教わってないのかな?
うん、それじゃわたしが「きょーいく」してあげよう。人を信じてもいいことないよって。
みすずちん、優しいっ。
さて……どう攻めてあげようか?
A 逆刃の不利を知ってもらうために抜刀術
B 周りの人を斬り、隊を混乱させる
C 脇差を抜いて、神奈ちゃんに投げる
D そんなことを考えている間に、柳也さんの方から攻めてきた
C
同時にふたつのものを守るなんて、できっこない。
神奈ちゃんも不殺も守るなんて、できっこないって教えてあげよう。
でも不殺を破らせようと思ったら、わたしが死ななきゃいけない。観鈴ちん、さすがにそれはヤだ。
だから、神奈ちゃんを殺してあげよう。もともと、それがお仕事だったしね。にはは。
片手で刀を構えて、柳也さんに剣気を飛ばす。
柳也さんの意識がわたしに集中した瞬間、逆手で脇差しを抜いて、神奈ちゃんに向かって投げる!
うん、狙いはばっちり。このまま行けば神奈ちゃんのおでこにサクッと刺さりそう。
A がお、柳也さんって凄腕。刀であっさり弾かれちゃった。
B がお、惜しい。脇差しの軌道に割り込んだ柳也さんに刺さっちゃった。
C がお、残念。神奈ちゃんをかばった女御の人に刺さっちゃった。
D がお、大成功。脇差しは神奈ちゃんのおでこに大命中。ぶいっ!
E がお、二指真空把。神奈ちゃんが指2本で脇差しを止めて、そのまま投げ返してきちゃった。観鈴ちん、ぴんちっ!
C
脇差は見事に神奈ちゃんの眉間へと狙い通りに飛んでった。にはは。観鈴ちん。ぶい。
「神奈様!危ないっ!」
ドスッ!
「か…神奈…様……」
「裏葉っ!裏葉ぁっ!」
がお、残念。神奈ちゃんをかばった女御の人に刺さっちゃった。
胸にずっぷり刺さってるから致命傷だね。にはは。失敗。失敗。
神奈ちゃんはもう息も絶え絶えな裏葉さんに寄りすがってないてるね。
ちょっと可哀想かな。柳也さんも驚愕のあまり後ろに意識が言ってるみたい。
さてどうしよう。
A まずは柳也から切りかかる。
B このままの勢いで神奈に切りかかる。
C 一時撤退。にはは。観鈴ちん出直し。
A
Cで
にはは、戦いの中で戦いを忘れるなんてやっぱり柳也さんあほちん。
やり方によっては充分みすずちん倒すことができたのに。
「裏葉! 裏……柳也殿! 後ろだ!」
「な! くっ!」
最初に気づいたのは、女御さんとの位置関係でこっちを向いてた神奈ちゃんだった。
我に返った柳也さんが剣を構える。
けど、遅いよ。
バシュッ!
繰り出した一刀が柳也さんの利き腕を深々と切り裂いた。
「ぐああっ……!」
心臓狙ったんだけどそこはさすが柳也さん。すんでのところでかわされたね。
けど、剣を取りこぼしてるしもう戦力にはならない。問題なし。
「それじゃね柳也さん。大丈夫、みんなまとめて殺してあげるから。にはは」
「くッ……!」
足元にひれ伏す柳也さん。みすずちんは剣を振り上げて……
「撃てッ―――!」
「!」
不意の後ろからの号令。一拍おいての炸裂音。
すんでのところで身を翻す。一瞬前までみすずちんがいたところを銃弾が通り過ぎていった。
にはは、いい部下さん。ちゃんと言うこと守ってる。
「守れ! 守れ! 神奈様を! 柳也様を!」
「おおおおッ!!」
雑兵たちが群がってきたよ。にはは。
A 一足飛びに柳也にとどめをさし、この場を去る。
B 一足飛びに神奈の首を刎ね、この場を去る。
C ちょっと面倒くさいかな? このままいったん退こう。
D うん、わかった。みんな殺してあげる。
A
そろそろ引き際かな、ぐずぐずしてると鉛玉をくらっちゃう。
わたしはも一度刀を構えなおす。
狙いは……柳也さん。神奈ちゃんをこの位置から直接狙うのは無理。
なら、柳也さんだけでも討ち取っておきたい。
もう一回神奈ちゃんを襲うとしたら、柳也さんさえいなければきっと楽勝。
よしんばこの仕事を諦めたとしても、柳也さんにそんな甘い剣じゃ生き残れないことを教えなくちゃ。
女御の人はどうなんだろう。死んでるのかな? 生きてるのかな? ま、今のところはどうでもいいよね。
わたしはもういちど微笑む。
足に力を込めて、一気に最高速をひねり出す。
みすずちんの、縮地!!
コンマ一秒ほど遅れて、今までわたしのいたところに銃弾が打ち込まれる。
にはは、狙いを定めてからが遅い遅い。
銃弾より早く動けるわけじゃないけど、下手な鉄砲じゃいくら撃っても当たらないよ。
そして、一瞬で柳也さんの目の前まで間合いを詰める。
刹那、わたしの抜刀―――−―
「ぬっ!?」
わたしの剣は笑ってるだけの剣。だから誰にも動きを読めないの。
わたしの刀は……
A 柳也さんの急所を正確に斬った
B 柳也さんの逆刃刀を粉々に打ち砕いた
C がお、柳也さんがわたしの剣筋を読んでた。みすずちん、ぴんちっ!
A
A
わたしはそのまま超低空滑降で柳也さんへと迫った。
「!」
利き腕に深手を負い、地面に倒れてる柳也さんは何も出来ない。他の人は反応すらできない。
「ばいばい。おばかさん」
「が……っ!」
そのまま棒高跳びの要領で柳也さんの心臓ごと刀を地面に突き立て、勢いを利用して兵士さんたちの槍衾を飛び越えた。
にはは。完璧致命傷かつ逃走経路確保。一石二鳥。観鈴ちんかっくいい。
「柳也どのぉー!」
逃げる最中、後ろの方からは怒号に混じって神奈ちゃんの悲鳴が聞こえてきた。
ごめんね神奈ちゃん。
一緒に殺してあげられなくて。
「…………」
それから数分後。わたしは少し離れた場所から一行の姿を眺めていた。
もちろん追っ手は完全に撒いてある。観鈴ちんの足にかなうやつなんていないのだ!
で、行列の様子だけど……
さすがに襲撃に遭ってしかも側近が死んじゃった状況じゃ進むわけにもいかないんだろうね。
騒然としたまま中心部に人が集まってるよ。
にはは、でも今回の観鈴ちんのお仕事は神奈ちゃんの暗殺だからね。
中途半端に終わらすわけにはいかない。
どうしようかな。
A 逃げた奴がすぐ戻ってくるとは誰も思わないだろう。このまま近づいて再度暗殺実行。
B 今夜はこの近くに宿を取るだろう。そこを狙う。
C 観鈴ちんもちょっと疲れた。日を改めよう。
A
殺すのが一番楽なのは弱い人じゃない。油断してる人。
歴戦の勇士だって、油断してるときは赤ちゃん以下だからね。
わたしはこのままもう一度神奈ちゃんを殺しにいくことにした。
一度逃げた人がすぐに戻ってくるなんて誰も予想しないだろうし。
日を改めたりするのも面倒くさいし、今日できることは今日やっとかないとね。
うーん、けど、どうしようかな。
いくら騒然となってるって言っても、神奈ちゃんの周りにはそれなりに護衛の人もいるだろうし。
できれば簡単に済ませたいなぁ。
A まあいいや、柳也さんもいないし。このまま突っ込んで神奈ちゃんを斬る。
B 変装して人ごみにまぎれて近づこう。
A
うん、柳也さんもいないし。決定。このまま行こう。
すぅっと、わたしは足を進める。
これで終わりじゃない。わたしの狙いは神奈ちゃん。
まさか、誰もたった今逃げちゃった人が直ぐに来るなんて思わないよね?
わたしも無傷って訳じゃないけど、頑張る。
みすずちん、ファイト。おー!
わたしはまた、大名行列の中に突っ込んでいった。
突然の再突入に驚いたのはお供の人たち。
あわてて刀を構えなおすも、意味なし。
にはは、当然。柳也さんも屠ったわたしだもん、戦意を失って当たり前。
すれ違い様に何人か切る。でも本気で相手はしてられない。
何せ……狙いは神奈ちゃんなんだから。
神奈ちゃんは、柳也さんの胸にしがみついたまま。
隙だらけ、隙だらけ。
わたしに狙ってくださいと言わんばかり。
「神奈様! 危険です!!」
お供の人がそう言って神奈ちゃんの前に立ちふさがる。
うん、真面目な勤務態度。誉めて遣わす。
わたしはそれらも一薙ぎ。
柳也さんぐらいに強くなくちゃ、わたしは止められないよ?
それから縮地で神奈ちゃんの目の前まで跳ぶ。
神奈ちゃんが、顔を上げた。
自然と、わたしと神奈ちゃんの目が合った。
だからわたしは……精一杯の笑顔で微笑んだ。
「ごめんね、神奈ちゃん」
サクッとさわやかな感触。
わたしの刀が、神奈ちゃんの体を貫く。
周りは結構うるさいのに、その音は非常によく聞こえた。
透き通った音。わたしの刀が肉を通った音。
ゆっくりと、だけど確実に神奈ちゃんの体が力を失っていく。
「え? あ……」
神奈ちゃんは、最初何をされたか分からなかったみたい。
でも、段々と赤く染まっていく自分の着物を見て、自分が斬られた事を悟る。
「斬られた、のか? 余は……」
「にはは、分かった? 人なんか信じてもいいことないよ。
他人を守るだとか、相手を殺さないとか……馬鹿みたいだよね」
わたしの言葉に神奈ちゃんは答えない。
……あれ、もう逝ったのかな? まあ、しょうがないよね。完全に急所に入ったもの。
そう思ってたとき、神奈ちゃんがふっと笑った。
「……余には、お主のほうが愚かに見えるぞ」
「みすずちんが?」
「お主には……人を信じる心がない。それが寂しいことだと、分からぬか?」
「さび、しい?」
ふと、昨夜リサさんに言われた事を思い出す。
わたしが、寂しそうな目をしてる……って。
「……余には、お主が『笑う』ことで寂しさを誤魔化しているようにも見える。
お主に何があったかは知らぬが……やめたらどうだ? 笑って全てを誤魔化すのは」
その言葉が、神奈ちゃんの最期の言葉だった。
気付くと、わたしは刀を一気に引き抜いていた。
神奈ちゃんの言葉がまだ頭に響いてくる。『寂しい』という言葉が。
昨日のリサさんの顔を思い出す。どこか悲しげなあの顔を。
……動揺してる? わたしが?
ううん、そんなことはない。みすずちんは、みすずちん。
今日も明日も明後日も変わらない、わたしはわたしのまま。
人は信じちゃいけない。
信じれば裏切られ、手を差し伸べれば振り払われ、恩を売れば仇で返す。
そうだ、だから絶対に人は信じちゃ駄目なんだ。
わたしは刀を鞘に収める。
次の瞬間……一斉に唸る発砲音。
鉄砲隊の逆襲。頭を失ったことで、統率も取れてない。
ただ我武者羅にわたしの命を取ろうと、我先にとわたしに照準を合わせ撃ちまくる。
駄目だね。皆頭に血が上ってる。
そんなんじゃわたしに当てることは出来ないよ。
すぐに、わたしは鉄砲隊とは逆の方向に走り、わたしのことを包囲していた一角に切り込みながら潜り込む。
肉の壁、肉の壁。にはは。
あっ流れ弾が何発か味方に当たっちゃってる。ほら、もうちょっと考えて撃たないと。
それから直ぐに大名行列を離れ、鉄砲の届かない距離まで逃げればとりあえずはオーケー。
足には自信がある。縮地の三歩手前でも十分。
これぐらいの連中なら直ぐに撒くことが出来るよ、ぶいっ!
そして、わたしが人ごみを抜け……
A 街中へと逃げ出した
B 川に飛び込んだ
C 逃げる途中、わたしの体を鉛球が捉えた
A
A
A
「…………」
あれから観鈴ちんは京都の町に戻ってきてた。
下手な鉄砲に当たる観鈴ちんじゃないよ。
大名行列つぶし、完全成功! にはは、ぶいっ!
……って気分は晴れやかにいきたいところなんだけど、なんだかすっきりしない。
神奈ちゃんの最後の言葉……
どう考えてもただの戯言なんだけど、あの言葉がちくりちくりと小骨みたいに引っかかってる。
「……あ」
気がついたら詰め所まで戻ってきてた。
うん、そうだよね。とりあえずは明日のご飯のことを心配しなきゃ。
今日は大仕事だったし、きっとたくさんもらえるだろうな。
「ただいまー」
元気良く戸を開ける。と、中には昼間と変わらず杏さんの姿が。
「おかりな……って、生きてたの……?」
「うん、もちろん! 観鈴ちんは強いんだよ。ぶいっ!」
「まあ……成功させてくれるに越したことはないんだけど……信じられないわね」
「けど事実はひとつっ! 観鈴ちんの完全勝利! さあ、お金ちょうだい」
「え、ええ。ちょっと待っててね。えっと……はい、これ」
と言って杏さんはわたしにずっしりとした巾着袋を渡してくれた。
A わたしはそのままホクホクで家路についた。
B 「ところで、名倉から聞いたんだけど……」うえ、昨夜のことのお説教されちゃった。
C その瞬間、襖の裏からの一斉放火がわたしに襲い掛かった。
B
B
B
「ところで、名倉から聞いたんだけど……」
「誰?」
杏さんはあきれた顔で特徴を教えてくれた。
ちぇっ、あの人、おしゃべりだね。今度あったらこらしめないと。
「観鈴、わかってる? 今のあなたは長州の人間なのよ。
その中でも、名高い」
「にはは、名高いのは悪名でしょ」
「……であったとしても、皆のいるところに異人を連れて行くなんて。
多少は考えてもらわないと困るわ。そうでないと、あなたを守れなくなる」
「いいよ、別に杏さんに守ってもらおうとは思わない。
自分の身は自分で守るよ。
ま、杏さんの顔は立てて、みんなに観鈴ちんから手は出さない。
向こうが仕掛けてくるなら、かまわないけど。それはいいよね?」
「観鈴……」
「話は終わり? それならわたしは帰るよ。
報酬多いね、ありがと。じゃあまた明日ね」
わたしは少し悲しそうな顔をした杏さんを見て、そのまま出た。
また明日、か。昔、そんな言葉を言いたかった時期があったっけ。
もう、今はよく覚えていないけど。
A 家に帰ろう。お風呂に入らなきゃね。
B 家に帰ろう。眠い。
C 少し遊んでいこうかな。娼館に行ってみよう。
D 視点変更。「杏さん、あれでいいんですか」※杏に話しかける人物指定
Dで保科智子
C行きつつDってアリ?
D掠
「杏はん、あれでええんか?」
観鈴が立ち去った後、藤林杏の傍らに立つものが現れた。
保科智子
藤林杏と同様、長州派の幹部の一人だ。
「そうね……最近の観鈴さんの所業は……やりすぎてるわ」
「あの調子じゃいつ裏切るか……本人にそのつもりが無くてもえらいことになるで」
「上のほうも半分厄介払いのつもりで大名行列強襲を命じてきたし……
私個人は頼みたくなかったけど観鈴さんは引き受けて……見事にこなしちゃったのよね」
そこで智子はふうっ、とため息をついた。
「……やるんか?」
「ええ、上はもう観鈴さんには用無しみたい。命令があったわ
『万一神奈備命殺害に成功し戻って来た時は。これ以上暴走しないうちに始末しろ』
って……嫌な命令よ」
「でもどうするん?相手はあの『人斬り観鈴』やで」
「そうね……だからね」
A 観鈴さんがわずかに心を許している、リサさんに殺害を引き受けてもらったの
B 観鈴さんの行きつけの小料理屋の主人(人物指定)に毒殺を頼んだの
C 寝こみを私たち長州派の精鋭で襲うの
C
C
「今夜、寝込みを襲うわ。精鋭を集めておいて、保科」
「ええけど……ええ気分はせえへんなぁ」
「気持ちはわかるわ。けど、油断も躊躇も禁物。失敗したら、たぶん私たちの方が殺される」
「そしたら観鈴は佐幕討幕まとめて敵に回すことになるんか。豪気なことやな」
「冗談はいいわ。頼んだわよ」
「了解っ」
-同刻-
「にはは、今日はお金もたくさん入ったし、少し遊んでいこうかな?」
館を後にした観鈴は大通りの中心街。京の町の中心部まで来ていた。
「うーん、どうしよっかなぁ。色々お店があって迷っちゃう」
A やっぱりリサさんの処に遊びにいってみよう。
B かんざし屋に行ってみたい気分かな。
C 女の子と遊びたい気分だな
D 男の子と遊びたい気分だな
E やっぱりやめ。今日は疲れたし早く帰って寝よう。
E
「やっぱりやめ。今日は疲れたし、早く帰って寝よう」
でも、みすずちんこんなに疲れたのひさしぶり。
一年前に深山さんのお屋敷の前で登臼来の軍と戦った時以来かな?
あの時はまだわたしもそんなに強くなかったし、相手の数もすごく多かった。
戦った武将さん達も強かったしね。一人しか殺せなかった。
でも、今日のはあの時よりも心地よい疲れ。
目的は果たせたし、たくさん人は斬れたし、お金ももらえたし。
やっぱり今のお仕事は天職だね。にははっ。
「明日はどんな仕事がもらえるのかな?
つまんない仕事だったらさっさと終わらせて、リサさんと天麩羅食べに行こ」
みすずちん、上機嫌で帰宅。それからお食事して、お風呂入る。
そして歯をみがいておやすみなさーい。
・・・・・・
ほらね。やっぱり人はいつか裏切るんだよ。
神奈ちゃん、あますぎっ。
周りの部屋から殺気が九個。
わ。“十本刀”大集合。
『百識の智子』さんまででてくるなんてびっくり。
さて、どうしよっかな?
A 九人一度には来ないよね。このまま寝た振りして待って、来た順から各個撃破。にははっ。
B 先に撃って出よう。まずは杏さんを倒して統率を乱すよ。
C いくらわたしでも“十本刀”全員相手にしたらちょっとぴんち。一瞬のスキを突いて脱出しよっ。
C
十本刀とか縮地って元るろ剣だよね?
そういえば和月って東鳩好きだったっけ
>>498 るろ剣の巻末でプレイはしたとあった。他の作品は知らん
「……………………」
わたしは布団の中に適当に座布団を詰めると、ピタッと部屋の壁に張り付いた。
で、がんばって気配を消す。わたしだってこの一年ずっと暗殺してたんだもん。
多少の気配を殺す術ぐらいなら心得てる。
ここはわたしの部屋だし、今は完全な真っ暗闇。
後の先。相手の出鼻をくじいて、勢いを殺いで一気に脱出しよう。
「……………………」
呼吸すら極限まで押し殺し、観鈴は完全に暗闇と一体化していた。
そして、待つことしばし。ゴトリ…と静かに、玄関のかんぬきが外される。
そのままスッ……と、常人なら感知することすらできないわずかな空気のゆらめき。
それと共に、観鈴の命を狙わんとする刺客が数人、入り込んできた。
完全に暗闇と一体化した観鈴の目には、先頭の人間の顔すら判別できた。
刺客第一陣の先頭は―――
A 由依。よっぽど侮辱されたことが気に食わなかったようだ。
B 智子。いきなり大物がきた。
C 杏。指揮官直々とは。
D その他適当に指名。
C
杏だった。
覆面で顔面をほぼ覆っているが、露になっている目の光で判別はつく。
せめてもの親心か。自分の部下の始末は自分の手でつけるつもりのようだ。
(にはは杏さん)
観鈴はそれを認めて心の中で笑った。
もはや彼女にそれ以外の感情はないからだ。
怒りも哀しみも、すべてが笑いに変換されてしまう。
(あのね、杏さん。わたし、杏さんのことは嫌いじゃなかったんだよ。
だって、ずっと観鈴ちんのお世話やいてくれたから。もちろん信頼なんてしてなかったし、こうなっちゃったけど
できればずっと、ずっと、杏さんのところでお仕事してたかったな)
杏以下数名が静かに短刀を抜く。
ほんのわずかな光を反射して、刀身が輝いた。
その次の瞬間……
A 杏の首と胴体は永遠の別れを告げた
B すんでのところで杏は観鈴の一撃を防御した
C 杏は短刀を観鈴のいる方向に向け振り下ろした
Cでたまにはピンチ
油断していた。
いや、違う。
勝利を確信していた。
いや、やはりそれは油断と呼ぶべきか。
とにかく、『人斬り観鈴』は、そういった状態にあった。
「甘い観鈴!」
その一瞬の間に杏は短刀を振り下ろした。暗闇に潜む、観鈴の脳天に。
「!」
観鈴は直前、殺気の動きを読み取りわずかに首を捻っていた。
それが幸いした。振り下ろされた短刀は観鈴の頬を切り裂き、壁に突き立てられた。
声や動きを見ていては、壁の替わりに観鈴の眉間に聳えることになっていただろう
「総員、抜刀!」
杏の号令一喝。侵入者が一斉に刀を抜く。
同時に家の外からも無数の鯉口を切る音が。
「にはは、すごいね杏さん。さすがだよ」
横に飛び、杏との間合いを取った観鈴が頬の血をペロリと舐めながら感心する。
「どこから気づいてた?」
「最初からよ」
杏は刀を構えながら
「と言いたいところだけど、半分偶然。短刀にね、あなたの瞳が映ったのよ。
その色のない、気味の悪い目が」
「にはは」
観鈴も抜刀術の構えを取る。
数人相手にすることはこと事態は問題ない。いくらでも経験がある。
だが、問題なのは、やはり先頭の杏だろう。
混戦の時は溢れる有象無象より、1人の手練れの方がよほど厄介だ。
「悪いのはどっちだろうね。観鈴ちん、お仕事完璧にこなしてきた。裏切るつもりなんて全然なかった。
なのにあなたたちはまた裏切った。悪いのはどっちだろうね」
しかし杏はフッと唇を綻ばせると
「『流れ』よ。この世の中にはね、『流れ』っていうものがあるの。
それに逆らう存在はね、たとえ本人の気持ちはどうあっても『流れ』から弾き出されるのが運命なのよ。
頭に『時代の』って付けるとあなたにもわかりやすいかしら?」
だが、もちろん観鈴ちんの笑みは崩れない。
本人にも崩せないのだから。
「にはは。知ったこっちゃないね。観鈴ちんが信じるのは観鈴ちんだけ。あとリサさん。
わたしを裏切るなら杏さん、長州のみんな」
観鈴の瞳の色が変わる。
「死んじゃえ」
A 観鈴が先に動いた
B 杏たちが先に動いた
C 杏らはいきなり逃げ出した
それでは、
A
で。
Bで更にピンチ
C
往人「往人と」
そら『そらの』
「『おもしろ幕末講座!』」
SE「いやっほーぅ!幕末最高ー!」
往人「おとなのよい子のみんなこんにちは。司会の往人お兄さんだ」
そら『助手のそらだよ』
往人「さて、第五回はみんなの大好きなエッチな話だ。いやっほーぅ!ヤリ逃げ最高ー!」
そら『往人おにいさーん、そういうこと言ってるとお兄さんも切られるよ』
往人「吉原、京島原、大阪五丁町、長崎と、ここらへんはいうまでもないだろうし、
街道の宿場町には飯盛り女といわれるいわゆる夜の相手をする女性がいた」
そら『映画や小説などでお馴染みだね』
往人「で、肝心の、女性向けの男娼・娼婦だが、これはほとんど記録がない。
やはりこの時代まだ女性向けにそういう商売はなりたたないし、そもそも考えられなかったんだろうな。
ま、記録に残っていないだけで帆巣斗倶楽部や美衣智坊居なんてのもあったかもしれないが」
そら『やっぱりそういうのは最近になってからなんだねー』
往人「大奥で殿様に相手にされないものどおしが張り型を使ってとか、
遊郭で、性技を伝授するための女性同士の性的行為を「ト一ハ一」(といちはいち)という
隠語で呼ぶとかはあるんだが、さすがに店まではな。
まぁ、男装をして、店のものは男として扱うとかいう抜け道もあるかもしれないけどな」
そら『それにしても往人お兄さん、詳しいね』
往人「ああ、先日知り合った頼りになる男がいるからな。ほら、浮世絵見るか?」
そら『 _ ∩
( ゚∀゚)彡 おっぱい!おっぱい!
⊂彡 』
観鈴が動く。
凄愴の気もものすごく、逆に観鈴の剣が杏の脳天を襲った。
杏も短刀を捨て、一歩飛びのき、刀を双手に握る。
しかしそのまま観鈴の剣は逆袈裟に切り上げる。
逆らわず、杏はもう一歩引き、刀を向けた。
相打つ中、観鈴の声は止まっていなかった。
「あ、そうだ、忘れてた。杏さん、遊びに来てくれてありがとう。
また明日、っていう約束守ってくれたんだね。
この観鈴ちんの家に来てくれた人は初めてかな。
長い髪を後ろ髪に綺麗に結い上げて、本当に、凛々しい美人さん。
でも、どうしてなんだろう、その髪型、ちょっとむかってきた。
どうしたのかな。なんでか昔を思い出すよ。
おかしいな。杏さんは嫌いじゃないんだよ。裏切られたから殺すけど。
なんだか、ちょっと強く殺しちゃいたい、気分。
よくないな」
A 杏の首に向かって斬りつける。
B 距離を保ったまま、天井へ飛びついた。
A
ちょっとまとめ。
ここまでの被害者。
白皇 榊しのぶに斬られる
朋也 観鈴に刺される
渚汐 観鈴に放火される
北川 観鈴に殴り殺される
トウカ 地震で足が折れる
聖佳乃 地震で圧死
しのぶ 観鈴に斬られる
雪見 観鈴に斬られる
オボロ、ベナウィ、クロウ 生死不明
晴子 観鈴の罪により死罪
綾香 観鈴に斬られる
裏葉 神奈をかばい、観鈴に斬られる
柳也 観鈴に斬られる
神奈 観鈴に斬られる
長州派の方々。
杏、由依、智子
大活躍だな観鈴w
>>513 >聖佳乃 地震で圧死
死亡は確定してないぞ。あと、そういうカキコは支援板の方でやるが吉。
「それにしてもさすが杏さん、それに十本刀のみんなだね。
こんなに興奮するの久しぶり。雪見さんのところから逃げ出す時以来だよ。
体の傷もあの時負ったのがほとんどだからね、あの時は本気でぴんちだったよ」
べちゃくちゃとくっちゃべりながらもその剣線がゆるむことはない。
杏とて相当の腕ではあるが、今は相手が悪い。
戦うことしかできなくなった鬼と、あくまで人間として戦っている杏では不利はいなめない。
杏は必死に後退しながら観鈴の剣をいなすことしか……
できない、わけではなかった。
「さ、さすがね観鈴……けど!」
「あれ?」
不意に観鈴は気づいた。
杏と一緒に入ってきた2人が自分の両側に立っていることに。
そして、左右対称、まったく同じ構えを取っていることに
「ああ、ひょっとしてこの2人って噂の」
「そうよ。あなたがいくら強くても、所詮たった1人!
私たちには同志がいる! 同じ志を持つ仲間がいる!
人間はね、力を合わせて戦うことができるのよ!」
「くだらないよ、そんな戯言」
A 杏と一緒に入ってきた2人は誰か(※原作で兄弟姉妹、あるいはコンビ的な関係だったキャラを2人指名)
姫百合姉妹
んじゃAで太田香奈子と眼鏡
秒数まで一緒で負けたw 太田さんフルネームで書くんじゃなかった・・・w
「杏さん」
わたしの剣が杏さんの首を狙う。でもそれを避けようとせず、
「姫百合姉妹!」
「いくで、さんちゃん」
「いくよ、瑠璃ちゃん」
大きな薙刀が右と左から交差して、杏さんへ向けたわたしの剣を止めた。
その隙に杏さんは一気に玄関まで引いちゃった。
「鉄砲隊!」
重たい金属の触れ合う音がここまで聞こえてくる。
わ、まずい、さすがにこの中へ打ち込まれたらいくら観鈴ちんでも……
「おっと、逃がさへんで人斬り観鈴。素直に首置いていけぇ」
「置いてけぇ〜」
には、笑ってる。真似? 真似なの真似?
くぅ、重い、力を抜けないよ……
ここで後ろへ引いたら、長さを利用して攻撃されるし、
かといってずっと待っていれば鉄砲隊が来る。
まずいよ、ひさしぶりに、ぴんちっ……
A さんちゃんといわれた子の薙刀から力を抜いて、バランスを崩そう。
B 瑠璃ちゃんといわれた子の薙刀から力を抜いて、バランスを崩そう。
C 上へ力をそらして、その隙に距離を取ろう。
D ううっ、やっぱり押さえつける力が強くて動けないよ……
A
B
よし、このままじゃジリ貧だね。ここは……
「えっ」
見た目には何も動いていないように見えただろうけど、ごくわずかに剣を動かして、
さんちゃんという子の薙刀から力を抜いたよ。
かわりに、瑠璃ちゃんという子の薙刀を腕一本で抑える。
瞬間的に力を入れられる動作が得意な観鈴ちんだからできる技。
たたらを踏む、その一瞬が、命取り。
「ひっ」
わたしを見たさんちゃんが悲鳴を上げる。
そんなに怖い顔をしたかな?
「さんちゃんっ!」
そうだね、姉妹なら気にするよね。聖さんと佳乃ちゃんみたいにね。
同じように力の抜けた薙刀を左手で支え、右手で脇差を握る。
そのまま一挙動で、近づき、瑠璃ちゃんの腹を存分に……
A 切った。
B はずした……?
C 割り込んできた長州派の誰かに剣を跳ね返された(人物指定)
A
A
切った。
剣尖は見事に腹部を断ち割り、瑠璃ちゃんはお腹を抑えてしゃがみこんだ。
「瑠璃ちゃん!」
ああ、その声が聞こえたのは観鈴ちんだけだったかな。
「来ないで、さんちゃん」
うん、きっとそう言ったよね。にはは。
瑠璃ちゃんが取り落とした薙刀を手に取り、無造作に後ろへ回転させた。
それは駆け寄ろうとしたさんちゃんの上半身にくいこむ。痛そうだね、には。
そのまま、玄関へむけて思い切り押す。落ちた片腕を残して吹き飛ばされたその体は、
構えた鉄砲隊を巻き込み、何発かを暴発させたよ。
うん、それにしても重いものを振り回す力はすごいね。
わたしもちゃんと槍や薙刀を使えるようになろうかな。
「観鈴……!!」
杏さんの声が聞こえてくる。
「何を怒っているの、杏さん。わからないよ、やってることは、昨日の大名行列や、綾香さんと
かわらないんだよ。自分も同じなのに、ずいぶん勝手だよね、杏さんは」
「同志だったのよ! 椋とも仲がよかった!」
「うるさいな、もう。だから同じだったら。
いいよ、杏さん、さよなら」
A 窓に飛びついて逃げ出した。
B 剣を杏さんに向けた。
C 誰かが杏さんを抑えて出てきた。(人物指定)
B
B
A
さて、そろそろ外に出たいところではあるね。
ただ、たぶん待ち伏せいっぱい。危険もいっぱいだろうから……
「るりちゃん」
わたしは足元で蹲り、必死でこぼれ落ちるお腹の中身を押さえてるるりちゃんに声をかけた。
「?」
呼びかけると、青ざめた顔で、心底恐怖に彩られた瞳をこちらに向ける。
「ちょっと先に行ってね」
(ぇ...?)
瑠璃の奥襟を掴み、玄関の戸に思い切り投げつける。
ハラワタを撒き散らしながら、もんどりうって戸をブチ抜く瑠璃。
そして、同時に左右からの一斉射撃。体中に穴が空く。
「にはは」
縮地!
観鈴は一瞬で最高速度を引き出すと、一歩。二歩目で蜂の巣になった瑠璃の体を踏みしめ大きく跳躍。
月下に躍り出た。
「観鈴ッ!」
その姿を見て思わず叫ぶ杏。
観鈴はそのまま対面の壁を蹴りつけ、三角飛びの要領で、呆然とする鉄砲隊の一陣。
そのド真ん中に降り立った。
「にはは」
笑いが終わると同時に神速抜刀一閃。観鈴の周りの藩士は全員胴体が上下に分かたれる。
「いくら観鈴ちんでも家の中で集中放火されちゃったら危なかった」
スッと立ち上がりながら、観鈴は切っ先を杏に向ける。
「どうやって家の外に出るか。狙い撃ちをかわすかが課題だった。にはは、みすずちんラッキー」
血に彩られた姿。
「杏さん。一個だけお願い」
能面のような笑みで呟く。
「このままみんなを連れて退いてくれるとうれしいな」
あくめ態度は冷静に。いや、楽しげに。
「これ以上大事ななかまを死なせたくないでしょ?
それで観鈴ちんが京都出るまで放っておいてくれれば、観鈴ちんフクシューとか考えないよ?」
杏は……
A 「ふざけないで!」と激昂した。
B 「わ、わかったわ」と肯定した。
一瞬びっくりした…Bで
「わ、わかったわ」
姫百合姉妹の死を見て気勢が殺がれたのか、杏は首を縦に振った。
予想とは違ったのか、観鈴はちょっとだけ呆けた顔になりながらも、すぐに笑顔に戻る。
「わかった。ちょ、長州はもうあなたに手を出さない。約束する」
後ろにずり下がりながら杏は言う。
「そう。よかった。それじゃあさっさと武器を捨ててどっかに行って」
「え……?」
「刀構えて、銃口こっちに向けて、まいったって言ってもとても信じられないよ」
笑顔のまま、一歩、一歩、観鈴は杏に近づいていく。
「そ、それは……」
「それともまた嘘ついたの? 観鈴ちん騙すの?」
「……………………」
しばし固まる杏。
「わ、わかったわ。みんな、武器を下ろして」
後ろにずり下がりながら、杏が刀を足元に捨てる。
他の藩士たちも、刀を足元に。銃口を下げた。
観鈴の笑みがぱっと明るくなる。
観鈴は、言った。
「にはは、あほちん」
かわせたのは、直前観鈴の殺気を読み取り、反射的に身を屈めた杏だけだった。
それ以外の杏のまわりにいた藩士は、何が起きたのかもわからぬまま絶命した。
気がついたら観鈴は杏一行の後ろに立っており、その刀についた血糊を振り落としていた。
「み……観鈴!」
血の海の中、腰が引けてる杏が叫ぶ。
「な、どういうこと!? 約束が違うじゃない!」
約束を違えたことを詰問する。
だが、観鈴は
「うん。嘘だもん」
とあっさり答えた。
「え……?」
「今までずっと観鈴ちん騙され続けてきたんだもん。今回だって杏さん騙し討ちしにきたんだもん。
たまには観鈴ちんが騙す方に回ってもいいよね。にはは」
そして、再度刀を構える。
「じゃあ、さよなら杏さん」
「ひ……っく……!」
杏は絶句する。
得物といえば、手の中の小さな短刀のみ。
この間合い、この状況、観鈴の一刀をさばききれるものはない。
杏は覚悟を決め……
A そのまま首を刎ねられた。
B 斬り裂かれる直前、智子らの援護が間に合った。
B
Aで。
しかしこの先どうなるんだ・・・
ぶすっ
「あれっ」
ぶすっ、ぶすっ
「あれあれっ」
どうして
どうしてみすずちんの体にいっぱい矢が刺さっているの?
わたしが矢が飛んできた方向に体を向けると……杏さんたちとは別の部隊がいた。
「…………間に合ったようやな」
「………まさに間一髪よ、本当にあなたの言うとおり別働隊が必要になるなんてね」
「『備えあれば憂いなし』や、相手はあの『人斬り観鈴』やで、これでも不十分なくらいや」
あ、あのひとは確か……杏さんの側にいた人だ……確か保科智子さん
すごい人だな、みすずちんに気配を悟らせない弓矢の別働隊を用意するなんて。
折角リサさんから防弾服貰ったのに腕にも足にもいっぱい弓矢が刺さっちゃってるよ
「アンタも……もう十二分に殺したやろ、そろそろお迎えが来てもええころやんなぁ」
ぶすっぶすっぶすっぶすっ
いっぱいいっぱい弓矢が観鈴ちんの体に刺さる。
痛いよ、痛いよ、痛いよ
……まだ死にたくない
………まだ……死にたくない
…………まだ…………殺したりないよ
A みすずちん最後の力を振り絞って智子さんに切りかかる
B ダメ……まだ殺したりないのに……体が……動かない……
あーはいはい終わりみたいだね
B
一縷の望みを託してA
>>538 選択を見るにまだまだ殺し足りなかったみたいですね
もう少し派手な散り際を俺も見たかったけど
「ダメ……まだ殺したりないのに……」
必死に体を揺り動かそうとしても体がいうことをきいてくれない。
にはは、やっぱり大名行列のときの疲れがとれていないのが悪かったのかなぁ
「体が……・」
だから今日はどこにもよらずに早くねようって決めていたのに
本当に闇討ちなんて杏さん意地が悪いよ
「動かない……」
ああ、このままみすずちんしんじゃうのかな。
いざそう思うとなんだかどうでもよくなってきちゃったな
みすずちんおばか…さn
そのままわたしは何も見えなくなってしまいました。
A 長州藩内で人斬り観鈴ついに殺されるの号外が出回りました(エピローグ)
B ん…誰かがわたしを呼んでいるみたい。わたしはゆっくりと目を明けてみました。(呼びかけ、目の前にいる人物指定)
B リサ
B 由依で
規則的な振動と音。
ぱからっ ぱからっ
ぱからっ ぱからっ
ぱからっ ぱからっ
にはは、おうまさん。
「……え?」
わたしはめをひらいた。
目の間にはあったかいもの。体にあったかいもの。
というか茶色いもの。毛?
「えっと……」
「目が覚めた? よかったわ。けど喋らないで」
「え……?」
後ろからの声。振り向いてみた。
「Hi, 観鈴」
「リサ……さん」
わたしの目に映ったのは、相変わらず綺麗な顔のリサさん。
「え……なに……?」
「喋らないで。急所には刺さってないけど、出血が酷い。
応急処置程度だから、動くとまた傷が開くわ。これ以上血を失うと危険」
「どういうこと……?」
手足には乱暴に巻きつけられた包帯。というか布切れ。
え? え?
「……言わなきゃ納得しないみたいね。いいわ、説明してあげるからあなたは静かにしてて。
今夜はあなたの処と同時に、私の処にも刺客が来た。
無茶するわね。いきなり火をつけたんだから。火薬扱ってる店に。
たぶん、連中は今夜あなたに関するすべてを、あなたの存在そのものを抹消するつもりだったんでしょう」
「……………………」
「けど馬鹿ね。あんな危険な場所で私が寝泊りしてるわけないじゃない。
私が住んでるのは向かいの旅館。とりあえず私のところに来た方々には鉛玉を食べてもらったわ」
「……………………」
「嫌な予感がしてね。あなたの処にも行ってみたのよ。
そしたら人斬り観鈴のちょうどラストシーンに立ち会えそうだったんだけどね。
けど、私としてはカーテンコールはもうちょっと先がにしてもらいたかったのよ」
「……………………」
「……これ以上はあなたが助かった後に説明するわ」
「今は……どこに……?」
「これから? これからは……」
A 異人船に連れてって仲間の医者に見せるわ
B 幕府直轄の館よ。あそこなら連中も手を出せない
C 私の秘密倉庫よ。しばらくはしのげるでしょう
D 答えを待つ間もなく、わたしの意識は再び消えていった
C
「私の秘密倉庫よ。郊外の森の中に隠してある。しばらくはしのげるわ」
「そう……やっぱり……リサさん……すごいや……」
「…………眠りなさい。今は。目が覚めたらあなたにはもっとつらい時間が待っているのだから」
「うん…………眠いや…………おや…………み…………」
「……………………」
…………どれくらい経ったんだろう。
わたしは、目を開いた。
天井は、土がむき出し。
壁には、何個かの蝋燭。
…………地下室?
「!」
ばっと起き上がる。
「イタタタタタ……」
と同時に、両手両足が痛みを叫ぶ。
「ここって……」
あたりを見回す。
たくさんの木箱。なんだか見たこともない調度品。やたらと物騒な物たち。
「……?」
「目が覚めた?」
「あ、リサさん」
向こう側の長椅子に座ってたのはリサさん。
手に持ったお茶わんからはなにやら湯気が立ち上っている。
「とりあえず峠は越えたわ。命には別状ないでしょう」
えーっと、観鈴ちん、どうなったんだっけ。
えーと、あーと、うーんと…………
…………あ、そうだ!
「そうだ! 杏さん! 智子さん!」
「私の秘密倉庫よ。しばらくはしのげるでしょう」
「ふう……ん」
「さあ、今はもう寝なさい。
おきた時に、悪魔や鬼でなく私がいることを祈るのね」
それだけ聞くと、わたしの意識はぷっつりと消えてしまった。
「……観鈴」
「…観鈴」
「観鈴」
「ああ、よかった。気がついたのね。もう大丈夫よ」
「手足に刺さっていた矢には毒は塗られていなかったし、
確認はこれからだけど腱や神経も私が見る限りはひどくは傷ついてないみたい」
「体を防弾服が守ったのと、頭はかすっただけですんだのが
幸いしたわね。まったく、すごい幸運というか、悪運ね」
「それにあなたが長州の連中をほとんどつぶしてくれたのが助かったわ。
おかげで、私の持っていた銃火器だけであいつらをおっぱらえたし。
それにしても、あの人数を倒すだなんて、半端じゃないわね」
「さて、わたしももう京では仕事ができないし、どこにいこうかしら」
「ねぇ、観鈴? どうしたの」
A 「リサさん……? どこにいるの? もう目隠し取ってよ」
B 「残念ながら左手の指が動かないみたい」
C 「うん、大丈夫だよ、ありがとう、リサさん」
D 「……おねえちゃん、だあれ?」
「……誰それ?」
「十本刀! 十本刀!」
「ああ……ひょっとしてあなたを襲った人たち?」
「うん」
「だったらとりあえず私が手持ちの弾丸全部叩き込んどいたわ。まあ、牽制程度だったから致命傷には程遠いでしょうけど」
「あ…………」
うん、やっと記憶と状況が繋がってきたよ。
「リサさん、リサさんが助けてくれたんだね」
「そう……なるのかしらね? 一応」
「にはは、ありがとリサさん」
「どういたしまして」
と言いながらリサさんは茶碗を持ってこっちに近づいて、観鈴ちんの目の前にコトリと置いた。
中身は……黒いお湯?
「リサさん、これなに?」
「私の国の飲み物よ。なかなかイケるわよ?」
「リサさんの……」
わたしはそーっとお茶碗に手を……イタタタタ……
「おっと、ごめんなさい。その手じゃまだ無理ね。はい」
と言いながらリサさんはわたしの口元にお茶わんを差し出してくれた。
うっ……変なにおい。
「グッと行きなさい。ググッと」
「ぐぐっ…………」
…………ぐっ!
思い切って、飲んでみた。
A ニガイ……リサさん、美味しくないよこれ
B あ、意外にいい感じ?
C というか熱すぎ。思わず噴出してリサさんにぶっかけちゃった。
この時間に18秒差でかぶるか…… orz
C
ぶーーーーーーーーーーーっ!!!
熱すぎ。思わず思いっきり噴き出しちゃった。
そんでもって目の前にはリサさん。
にはは、綺麗な顔が真っ黒け……って!
「ご、ごめんなさいリサさん! だ、大丈夫!?」
「…………熱いキッスね。感動したわ」
がお…怒ってる。怒ってるよ。
「……まあ、いいわ。私も迂闊だったんだし。次は自分の手で飲むようにしてね」
「ごめんなさい……」
「……さて」
あんまり気を悪くした様子もなく、リサさんは手ぬぐいで顔をぬぐうと向こう側の椅子に座りなおした。
「観鈴」
で、こっちを真面目な顔で見据えて。
「単刀直入に言いましょう。観鈴、あなたを助けたのは善意だけじゃないわ。私にも私なりの狙いがあるのよ」
「ねらい?」
なんだろう?
リサさんはさらに冷たい口調で続ける。
「観鈴、私と組みなさい」
「え?」
どゆこと?
「先に言いましょう。私は銃火器の商い以外にも副業を持っててね」
「副業って……なに?」
「本国の命令でね。この国に関するいろいろなことを調べて回ってるのよ。で、それを国に報告するお仕事」
「あ、それ知ってる。『すぱい』って言うんでしょ?」
「……そうよ、よく知ってるわね。にしては驚かないわね」
「にはは、長州の人が異人はすぱいだすぱいだっていつも言ってたから」
「……そう」
リサさんは肩をすくめて続ける。
「で、今の私の仕事現場は日本ってわけ。
けど、そろそろここも潮時でね。最後に一仕事終えて、次の国へ行けって命令が来てるのよ」
「わ、すごいリサさん。国際派」
「……ちょっとその言葉は違うと思うけどね。
けどその最後の仕事っていうのが色々問題あってね。どうも私だけじゃ難しそう。
で、討幕、佐幕どちらにも属してない腕のいい人材を探してたのよ」
「わ、観鈴ちんぴったり」
「そう。一昨日あなたと会って、決めたわ。どうせあなた、長州にも大して義理は感じてないんでしょう?」
「うん。大してどころかぜんぜん」
結局裏切られたし。
「予定ではもうちょっと殺し文句を考えてから誘うつもりだったんだけどね。
まあ、内ゲバもちょうどいいと言えばちょうどよかったわ。あなたがフリーになってくれたし」
「にはは」
フリーってなんだろ?
「話を戻すわ。だから今はあなたの腕を借りたい。OKしてくれるかしら?」
「うん、いいよ。他ならぬリサさんの頼みだし。で、お仕事ってどんなの?」
「そう、うれしいわ。けど、仕事内容を教えるわけにはいかない」
「え?」
と言うとリサさん。いきなり立ち上がって懐から拳銃を取り出した。
え?
「私の仕事は大事なものなの。私も、本当の仲間としか一緒にできない。
仕事内容を教えるのも、本当の仲間だけ。観鈴、あなたは私の本当の仲間になれる?」
「も、もちろんなるよなるよ。なれるよ。リサさん、お友だち」
「そう。それじゃ」
で、リサさんカチリと撃鉄上げて観鈴ちんの眉間に銃口押し当てた。
「え? え? え? り、リサさん」
「本当の仲間に必要なのは、信頼。お互いを絶対に裏切らないこと。観鈴、あなたは私を信用できる?」
「う、うん。信用できるよ。信じてるよ。リサさんいい人。だ、だけどリサさん、これは何?」
「そう。それじゃ観鈴、死んで」
「え? え? え?」
「動かないで。抵抗しないで。私を信頼してるというのなら、このまま死んで」
「ええっ!?」
「行くわよ」
リサさんはそのまま、問答無用で引き金を引いた。
A わ、わたし動かないよ。動かなかったよ?
B ……思わず払いのけちゃった。
お兄さん…文章読みなはれ
お話的には繋がってるけどどうしたもんか
559 :
558:2005/11/01(火) 05:46:39 ID:qGDz2S3X0
ごめん。俺が勘違いしてた。
まじごめんなさい
謝らなくていい。
選んでくれ。
Aで
カ チ ン ・ ・ ・
「……………………」
え? 空砲?
リサさんの拳銃は、鉄同士がぶつかり合う硬い音を発したのみだった。
「……合格よ、観鈴」
リサさんは笑顔を浮かべながら拳銃を仕舞う。
「え? え?」
「ひとまずFriendからPartnerに昇格、ってところかしら?」
にはは、みすずちん英語わかんない。
「えっと……観鈴ちん、いい子?」
「ええ、いい子よ、観鈴」
やさしい笑顔。
「……だから仕事、手伝ってもらうわよ」
つめたい笑顔。
「うんっ!」
「先に言っとくけど、命がけよ?」
「大丈夫だよ。命ならさっき捨てたところだから」
「Good」
「それでリサさん、お仕事って何なの?」
もう一杯。今度は普通のお茶を淹れてもらってリサさんと卓を囲む。
「慌てないで観鈴。今はあなたの傷を治すことが先決よ。何も今日明日中にやれって仕事でもないんだから」
「うーん、けどあんな言い方されちゃうと気になるよ。ねえリサさん、教えてよ、いいでしょ? わたし、『ぱぁとなぁ』なんでしょ?」
「Hmm...そう言われると私も困るんだけど……いいわ。ちょっとだけ教えてあげる」
「にはは、だからリサさん大好き」
A ある人物の暗殺よ
B ある人物の護衛よ
C ある物を盗み出すのよ
D 天皇に喧嘩売るのよ
B
「ある人物の護衛よ」
黒いお茶を啜りながら、リサさんはそう言った。
「護衛? 守るの?」
「そう。ある人物を守ってある場所まで連れて行くのが最後の仕事。
ただし、その人は命を狙われていてね。だから腕の立つ仲間がほしかったのよ」
「守るのか……」
参ったな。観鈴ちん、殺すのは得意だけど守るのはちょっと苦手。
けど、リサさんとのお仕事だしそんなこと言ってられないよね。できるだけがんばろう。
「それが終わればこの国での仕事は完了。私たちには次の国が待ってるわ」
「私……たち? え? 私も連れてってもらえるの?」
「もちろんよ。あなたは私の仲間になったんだから。それにあなたなら用心棒にちょうどいいしね」
「にはは、用心棒用心棒」
「ただし、仕事を完遂できたら、の話よ」
「うん、大丈夫! 観鈴ちん、がんばるよ!」
「その意気よ」
その後、わたしはリサさんに体を拭いてもらった。
わたしの体を見ても、痕を見ても、入れ墨を見ても、リサさん何も言わなかった。
リサさんに着替えさせてもらって、リサさんに歯を磨いてもらって、リサさんに運んでもらってベッドに入る。
「ふふ、赤ん坊みたいね」
「にはは…」
ちょっと恥ずかしい。
「それじゃあ、消すわよ」
ベッドは部屋の反対側の壁に沿って1個ずつ。
それぞれにわたしとリサさんが入って、リサさんが最後の蝋燭の蓋を外す。
「Good Night, 観鈴」
「うん、お休み」
そしてリサさんは火を吹き消……
「あ……ちょっと待って」
「What?」
思わず観鈴ちん、それ止めちゃった。
「どうしたの観鈴」
「あの……その……」
うう、さすがにちょっと恥ずかしいかも。
「なあに?」
けど、勇気を振り絞って…
「リサさん……一緒に寝てもいい?」
リサさんは、ちょっとキョトンとしたけど
「いいわ。いらっしゃい」
優しく微笑み、わたしを抱き上げ、自分のベッドに連れてってくれた。
「これでいい?」
「うん、ありがとう」
ベッドの左半分がわたし。右半分がリサさん。
蝋燭の火も消えて、暗闇の中、リサさんのぬくもりだけを感じている。
「……………………」
「……………………」
しばらく静寂が続く。
わたしは、思い切ってもう一言だけ言ってみることにした。
「あの……リサさん」
「?」
A キスしていい?
B ぎゅってしてほしいな
C お母さんって呼んでいい?
D おやすみなさい
B
「ぎゅってしてほしいな」
「…ええ。もちろんOKよ」
リサさんはちょっとだけ間を置いてから、小さく笑いながらそう言ってわたしをぎゅってしてくれた。
にはは。あったかい。
…おやすみなさい、リサさん……。
「くー……」
「……本当疲れてたのね……心も、身体も」
観鈴の要望に答えてあげると、彼女はすぐに私の胸の中で寝息をたて始めた。
「今度こそGood nigth…せめていい夢を…」
──Chu
彼女の頬に小さくkissをして目を閉じると、私もすぐに夢の世界へと誘われた。
「にはは………お母さん………」
朝。
目が覚めると、隣にリサさんの姿はなかった。
その代わりに、部屋中にゆうべの黒いお茶の匂いがした。
「Good morning 観鈴。
昨日はよく眠れた?」
「うんっ!あ、イタタ…」
元気よく返事したら、ちょっと体中が痛かった。
「よっ…と」
ちょっとふらつきながらもベッドを降りて、リサさんの所まで歩いた。
「まだ無理しなくていいわよ、観鈴。
任務は明後日からだから、今は身体を治す事に専念なさい」
そう言いながらリサさんは、自分のよりちょっと薄い黒色のお茶を差し出してくれた。
「sugerとmilkをたっぷり入れて、少し冷ましたから、観鈴でも美味しく飲めると思うわ」
「うん。コク……あ、甘くてあったかい。にははっ」
「ふふ、よかった」
「そう言えばリサさん。護衛する人って誰なの?」
黒いお茶を飲んだ後、わたしはリサさんに訊ねてみた。
「それなんだけどね……
A 吉田松蔭という男よ」
B 将軍、徳川慶喜公よ」
C 江阿藩は婦顎の『自警団』統括役、天沢郁未よ」
D 元・白皇様の側室の1人で、現・慶喜公の側室、栗原透子よ」
芹香を期待してたと言いつつD
「元・白皇様の側室の1人で、現・慶喜公の側室、栗原透子という娘よ」
「へー……白皇さんの……」
白皇さん……
その名前を聞いて、一年前の光景が断片的に蘇ってくる。
わたしに優しくしてくれた人。
お母さん、白皇さん、リサさん。
にはは。
「側室って、たしかお嫁さん、って意味なんだよね?」
「まあ……そうね」
にはは。この一年、観鈴ちんもいろいろ賢くなったんだよ。
「わかったよ。白皇さんの奥さんなら観鈴ちん、がんばって守っちゃう」
「ええ、その意気よ」
その後も、食事をしながら今後のことを話した。
「さあ観鈴、包帯を取り替えるわ。こっちへいらっしゃい」
「はーい」
食べ終わったらリサさんがわたしを呼ぶ。
わたしはよたよたとリサさんの目の前の木箱に腰掛け、手足を示す。
「Hmm...思ったより快方に向かってるわね。観鈴、体の調子は大丈夫?」
「うん、ちょっとふらふらするけど昨日よりだいぶマシ」
「血がまだ少し足りてないのね」
「うん。けど大丈夫。ご飯たべてたっぷり寝てれば治ると思う。こんなにぐっすり眠れたのは久しぶりだから」
「……そう」
その時、包帯を取り替えてたリサさんの表情が一瞬だけ曇った。
なんだろ? なんか変なこと言っちゃったかな?
「ねえ……観鈴。ひとつ聞いていい?」
「え?」
しばらくお互い何も話さなかったんだけど、不意にリサさんが目線はわたしの手に集中したまま、話しかけてきた。
「なに? わたしに答えられることならいいよ」
「そう……それじゃ一つ訊くけど観鈴、あなたはどうして……人斬りなんかやってたの?」
「?」
「一年前、私が会ったあなたはとてもそんなことができる人間じゃなかったわ。
あれから色々な人と出会い、騙され、裏切られ、打ちひしがれ……何も信じられなくなったのはわかるわ。
それは、仕方ない。
けど……どうしてそんなに、あえて、人を殺め続ける道を選んだの?」
「それは……」
A 所詮世の中は弱肉強食だからだよ
B 死体は裏切らないからだよ
C 人を殺すのが好きだからだよ
D 明日のご飯を食べるためだよ
くそっ、書いてたら負けた。
選択はAで。
「所詮世の中は弱肉強食だからだよ。強ければ奪い、弱ければ奪われる。
喰うか喰われるか、それが世の中の真理だから。だからわたしは奪う方に回ったんだ」
「そう」
リサさんは即答で一言だけ。
「わからないでもないわ。一理、いえ、たしかにそれは真理の一端を突いてるわね」
「でしょ」
だよねだよね。だってこの一年、あほちんな観鈴ちんだったけど理解したたった一つのことだもん。
「けどね観鈴」
「?」
リサさんの目がこちらに向いた。
「それを言えば、私の商売だって弱肉強食よ。副業の方は置いといても、商いの方だって。
強い者、つまり商売の上手い者が、弱い者、つまり商売の下手な者からお客を奪い、お金を稼いでいく。
弱い者はずっと弱いままなら、負け続けるなら、一家で首をくくるか、商売を変えるしかない。
そういった点では観鈴、あなたの人斬り家業と変わらないとは思わない?」
「うん……まあ、そう……だね」
「じゃあ、なぜあなたはわざわざ人を斬る道を選んだの?」
「それは……えっと……観鈴ちん、商売なんてできないし……
人は必ず裏切るから、誰かと一緒になんか仕事できないし……」
「ならどうして長州の下で働いてたの? それだって誰かと一緒に、誰かの下で働いてることに変わりはないわよ?」
「えと……それは、杏さんが声をかけてくれて……」
「人は信じられないんでしょう? ならなぜ付いていったの? 実際裏切った、その『杏』って子に従ったの?
誰も信じられないなら、自分の力だけで生きたいのなら、そして人を殺すことでしか生きられないのなら
盗賊にでもなればよかった。追いはぎにでもなればよかった。あなたの腕なら問題ないでしょう。
見つけた旅人や商人を片っ端から殺して身包み剥ぎ取れば充分生きていけたでしょう、あなたなら。
なぜそれをしなかったの?」
「えと……それ、は……だって、それは……」
そんな一気に言われても、わたしにはわからないよ……
「観鈴」
リサさんはわたしの顔を両手で押さえ、目の中を真っ直ぐ見つめて
「あなたは根本的には何も変わっていない。あの頃のまま。
泣き虫で、すぐ人に尻尾振って、騙されて、裏切られて、打ちひしがれて、また泣いて。
それでも人を捨てられない、あの頃のまま。
けど、あなたの心はそれを拒んでる。あまりにつらいことが多すぎた。何度も騙された。何度も裏切られた。
だから殺している。人を信じられない。けど信じたい。
ならその前に殺してしまおう。殺せば人じゃないから。殺せば裏切られることはないから。
はじまる前に、終わらせてしまおう。はじまらなければ、痛くないから。違う?」
「ち、違うよ……観鈴ちん、もう人を信じるのはやめた……」
「ならなぜあなたは今ここにいるの? ならなぜあなたは私を信じたの?
なぜ私と一緒に寝たの? なぜ私の胸の中に安らぎを求めたの?」
「それは……リサさん、いい人だから……」
「そうよ。私はいい人。でも、私以外にもそういう人がいると、なぜ考えられないの?」
「わからないよ。わたしにはわからないよ! わたしはずっと裏切られてきた。みんながわたしを騙す。みんながわたしを裏切る!」
「本当に? 私だけ? あなたは他にもたくさんの人と出会ってきたはずよ」
お母さん……白皇さん……
「ちがう、ちがうんだよ! リサさんたちは他の人とは違うんだよ!」
「いいえ、私は人よ。ただの1人の人間、リサ・ヴィクセン。綺麗で醜い、正義と悪、嘘と真実が入り混じった。
あなたが出会ってきた人間と、本質では何も変わらないわ」
「ちがう、ちがうんだよ! そういうことじゃないんだよ! リサさんは、リサさんは……!」
「観鈴!」
リサさんは、いきなりぎゅっと私を抱きしめて
「観鈴、私たちは仲間よね?」
「うん……そうだよ。わたしたち、仲間。リサさん、観鈴ちん、ぱぁとなぁ」
「そう。なら私のお願い。聞いてくれる?」
「う、うん。いいよ。わかった」
「一つだけでいいわ。なんでも、聞いてくれる?」
「うん……」
「そう……それじゃ、一つだけ。約束して」
「……………………」
A もう一度だけ、人を信じると
B 人を殺さず、戦い抜くと
C すべてを赦すと
B
「”可能性”よ」
「え……?」
リサさんは、わたしの耳元で囁いた。
「すべては”可能性”よ。人が人を信じるのも、人が人を騙すのも、人と人が繋がるのも、人と人が裏切るのも。
すべては”可能性”なのよ。それは、確定されたものではないの」
「り、サさん……なんのこと?」
みすずちん、よくわからないよ。
「観鈴。『人は殺してはいけない』というのは、なぜ殺してはいけないかわかる?」
リサさんは、いきなり問題をぶつけてきた。
「わ、わからないよ。わたし、そんなの嘘っぱちだと思ってるし」
「じゃあ、考えてみなさい。想像してみなさい。なぜ、世の中の道徳として、人を殺めてはいけないと言われているのか」
「そ、れは……」
えっと……
「自分が殺されたら、嫌だから……かな?」
そうだよね。自分が殺されるのが嫌だから、他人を殺さないことで安全を保障しようとしてるんだよね。
「違うわ」
けど、リサさんは甘く囁き、否定する。
「それはね、さっき言ったこと。人の”可能性”を奪うからなのよ」
「かのうせい……」
「人は、変わる存在よ。定まらぬ存在よ。昨日のあなたと、今日のあなたと、明日のあなたは、違う存在。
人とは、『かくあらぬ』存在。人は変わることで、人であるのよ」
「リサさん……よくわからないよ」
「…………すべては、定まらぬこと。変わっていたかもしれない、変われたかもしれない、変わるかもしれないこと。
あなたを騙した人たち。あなたを裏切った人たち。
ひょっとしたら、彼らもあなたの友人になれていたかもしれない。
ひょっとしたら、彼らもあなたの友人になっていたのかもしれない。
ひょっとしたら、彼らもあなたの友人になったのかもしれない。
すべては不確定なもの。コインの裏と表。
裏が出るかもしれないけど、裏が出たかもしれないけど、表が出たかもしれない、次は表が出るかもしれない。
それが人の、運命の、”可能性”よ」
「……………………」
「人を殺めるという行為は、可能性を奪う行為。それだけは何人たりとも許されざる行い。
観鈴。人の可能性を信じなさい。あなたの運命も、人の運命も確定されたものではなく、変わるかもしれないもの。
それを、信じなさい。人の可能性を、守りなさい。自分の運命を、人の運命を、守りなさい」
「けど、けど、裏切られたら悲しいよ。騙されたら悔しいよ」
「なら、ブン殴ってやりなさい。そんな奴は」
「それに、わたしが殺そうとしなくても、向こうが殺そうとしてくるよ」
「なら、ボコボコにしてやりなさい。二度と刃向う気を起こさないほどに」
「けど……嫌だよ、もう裏切られたくないよ」
「じゃあ観鈴、あなたは人を信じたくない? 『信じられたくない』?」
「信じられ……」
信じられる? わたしが?
「観鈴」
リサさんは不意にわたしから離れると、壁にかけてあった一振りの刀を取り、わたしの手に握らせた。
そしてそのまま、刃の部分を自分の首筋に押し当てる。
「さあ観鈴。今、あなたがほんの少し刃を引けば、私は簡単に死ぬわ」
「……………………」
「けど、私は怖くない。まったく、ね。なんでかわかる?」
「……………………」
「それはね観鈴、私はあなたを信じているから。あなたは私の仲間だから。だから私は、まったく怖くない。
わかる観鈴? 私は、あなたを、『信じてる』のよ?」
「……………………」
「なぜ私はあなたを信じられるか。それは、あなたが私を信じているから。
昨日、あなたは私を信じた。私の銃から、身を逸らさなかった。私の胸の中で、可愛い寝顔を見せてくれた。
だから、私はあなたを信じている。
人を信じることは、人から信じられることとイコールなのよ。
すぐには帰ってこなくても、信頼は必ず帰ってくる。
信じられるってのは、案外気持ちいいことなのよ?」
と言いながらウィンクする。
「観鈴、あなたはそれを知っていたはず。人を信じることと、人から信じられることの気持ちよさを知っていたはず。
観鈴、思い出しなさい、『それ』を。もう一度、信じてみなさい、『それ』を。そうすれば、『それ』もあなたを信じてくれるわ」
「リサさん……」
「だから観鈴、誓って。あなたも人の”可能性”を信じると。
約束して。二度と人の”可能性”を奪わないと。
もう、人を殺さないと」
カチンと刀を鞘に納め、リサさんは私の手を握る。
「約束して、観鈴」
「……………」
A 「わかったよ」
B 「……………」
A
「………わかったよ。
みすずちん、約束する。
もう人を殺さない。
リサさんを…ううん。人を信じるよ」
わたしがそう答えると、
「Thank you 観鈴!」
「わわっ!」
リサさんってば、いきなり刀を後ろに放り投げて、わたしを思いっ切り抱きしめたの。
顔に胸が押しつけられて苦しい…。
「Oh!sorry……」
「ぷはっ」
「……フフッ」
「……にははっ」
にはは……リサさんって、意外とおちゃめさん。
それにしても、胸がおっきくてちょっとうらやましいな…。
…あ。こんなどうでもいい事考えたの、この一年なかったかも。
「さて、ちゃんと約束してもらった事だし……観鈴、ちょっといいかしら?」
「なに?」
リサさんはさっきまで笑っていた表情を落ち着けると、
壁際に立てかけてあったわたしの刀を手に取って見せた。
「どこで手に入れたのか知らないけど、いい刀ね…。
観鈴の手入れもちゃんとしてて、錆一つ無い」
「にははっ。みすずちん倹約家。お母さんにさんざん節約節約言われて育ってきたから。
だから物のお手入れも上手。ぶいっ」
「そうね。…でも、昨日の戦いで少し傷めちゃったみたいね。
鞘は取ってこれなかったから、ちょっとどこかにぶつけちゃったかも…ごめんなさいね、観鈴」
「が、がお…」
一年間、結局旅籠に返さずにずっと一緒にいた刀。
それが痛んじゃったのは、ちょっと寂しい。
「…でも、だからね、観鈴。この刀、一度打ち直してもらおうと思うの。
逆刃か、或いは両峰の刀にね」
「え?」
あの柳也さんの刀みたいに?
「ここから少し東に行った所に、柏木って有名な刀匠が庵を構えてるの。
そこに行って刀を打ち直してもらおうと思ってるの。
「あっ、じゃあわたしも一緒に「駄目よ」が、がお……一蹴された」
「あなたは大名殺しまでやってのけたのよ。絶対に手配書が出回ってるわ」
「あ、そっか」
今度はたぶん日本中に出回るよね…。
「“十本刀”もあなたを狙ってるだろうし……明後日までここを出ない方がいいわ」
A 「わかった。みすずちんお留守番してる」(※リサに視点変更)
B 「ううん。わたしも行くっ」
C 「へーえ、いい話を聞いたわ」
が、がお、杏さんいつの間に!?
B
「ううん。わたしも行く」
「観鈴。それは駄……」
リサさんが何か言う前に、わたしはリサさんの後ろにまわり、肩にぽんと手を置く。
突然のことだから、リサさん反応は出来たものの動けない。
「にはは、これ縮地の三歩手前ね。もしもわたしが刺客なら、リサさん死んでるよ。
攘夷派の人たちもお外にはいるだろうし、異人さんの一人歩きは危険。
だからみすずちんがリサさんを守る。ぱぁとなぁだから」
「…………」
リサさんは黙ったまま。
「……私も、腕には覚えがあるんだけれど。あなたはそれ以上ね。
不意を突かれたとはいえ、一歩も動けなかったわ」
「にはは。みすずちんの剣は早さが命。たぶん手配書のほうは何とかなるから、わたしが一緒に行く。
みすずちんはこれから天下の将軍様の側室の護衛さんになるから、たかだか数万石の大名殺しなんてどうにか揉み消されるでしょ?」
「乱暴な物言いね……」
「うん、絶対大丈夫。側室とは言え将軍様のお嫁さん。
その人の守りに犯罪者なんて似つかわしくない。だからそれなりに手回しはしてあるんでしょ?」
「……まあ、一応は」
「それにね……リサさんには死んで欲しくないな。
乱暴な人たちにリサさんが絡まれて死んじゃったら、わたしは何を信じれば良いのか分からなくなっちゃう」
わたしがそう言うと、リサさんが黙る。
「私としては……あなたの傷が完治するまでは動いて欲しくなかったんだけど」
「大丈夫。もう何ともない、何ともないから」
「……いくら私が言っても聞かないようね。まったく厄介なPartnerを抱え込んだものだわ」
リサさんがふふっと笑った。
その答えはもちろん……OK。
わたしも笑う。にはは、なんだかいつもよりも気持ちのいい笑いな気がするよ。
わたしとリサさんが外に出る。
リサさんを先頭に、わたしが後からついていく形。
わたしの刀がちょっと傷んでるけど、激しい戦いがない限りは多分なんとかなる。
もしも誰かが襲ってくるようなことがあれば……峰打ちで戦うしかないかな。
リサさんとの約束だもの。みすずちん、てかげんは苦手だけど、頑張る。
「リサさん、あとどれぐらいなの?」
「そうね……あなた達の単位で言うと、確か……3里ってところかしら」
3里。にはは、このままのペースで行けば夕刻には着くかな。
わたし達は歩を進める。そして……
A 夕刻ごろ、その庵についたんだ
B がお。十本刀の一人に遭遇した(人物指定)
C がお。役人さんに追いかけられた
A
A
A
夕刻ごろ、その庵についたんだ。
刀匠の名は柏木楓さん。
おかっぱのかわいい女の子。
「お引取り下さい。あなたには剣を打ちません」
ピシャ
が、がお。楓さんは私の顔を見ると、即座に扉を閉めちゃった。
「……門前払いはあんまりじゃない?」
リサさんが扉ごしに声をかける。
私のために怒ってくれて、少し嬉しい。
「理由はあります。
私は無意味に人を切る者には刀を打たない。
私は人を殺すという重さを理解していない者には刀を打たない。
それが信念だからです。おひきとり下さい」
その言葉に私達は固まってしまった。
「ち、違う! この子は改心して……」
「改心とは? 飽きたからやめよう、ではないですか?
疲れたからやめよう、ではないですか?」
「違う!」
「違いません」
そして楓さんは扉を開けて……
A 私に切りかかってきた
B 全てを殺すような冷たい目で、私を睨んだ。
C 「その覚悟、見せてもらいましょう」と裏の山へと案内した。
C
「……本気で改心したと、仰るのですね?」
リサさんと楓さん。しばらく問答してたんだけど、不意に楓さんが扉を開いた。
「ええ。観鈴は私に誓ったわ。もう、二度と殺しはやらない」
「本気ですか? 今まで幾百幾千人もの人々を切った『人斬り』が、そんな簡単に性癖を改められる、と?」
「ええ、本気よ。そうよね、観鈴」
リサさんがわたしに目線を送る。
「うん、わたし、リサさんと約束した。もう、人は殺さない。もう一度、人を信じてみる」
「人を……信じる……」
楓ちゃんはわたしの目を見つめる。
うう、なんかすべてを見透かされてるみたいな感じ。
「……………………いいでしょう」
たっぷり数分間沈黙した後、楓ちゃんはそういった。
「えっ!? っていうことは……」
リサさんの顔が明るくなるけど、楓さんはピシャリと
「勘違いしないでください。まだ刀を打つとお約束するわけではありません。
観鈴さん。神尾観鈴さん」
「は、はいっ!」
「あなたの覚悟は、本物ですか?」
「も、もちろんですっ!」
「命を懸ける覚悟は、おありですか?」
うう、なんだか怖い予感がするけど……
「……はい。もちろんです」
「…………いいでしょう」
そこまで聞くと、楓ちゃんはさらに鋭い瞳で、言う。
「その覚悟、見せてもらいます」
数刻後、わたしとリサさんは楓ちゃんに連れられ、庵の裏の山中に連れて来られていた。
空はすっかり暗くなっている。
「あなたの覚悟を、試させてもらいます」
うわっ、なんだか大変そう。
「……なにをさせるつもり?」
訝しがる様子でリサさんは楓さんに問う。
「あなたの覚悟が、本当に本物ならば簡単なことですよ」
A 山に潜む亡霊たちに、心の力のみで打ち勝っていただきます。
B 過去あなたが命を奪ってきた人たちに打ち勝っていただきます。
C 人斬りである自分自身に打ち勝っていただきます。
一番きつそうなB
C
C
「過去、あなたが命を奪ってきた方々に打ち勝っていただきます」
……には?
「ちょ、あなた、何言ってるのよ。死者に勝てだなんて……」
「黙っていてください」
リサさんが当然の疑問を口にするけど、ピシャリと一喝。
「あなたが気にすることではありません。
私の言葉の意味は観鈴さん、すぐにでもあなたがその身で理解することになるでしょう」
「わたしの身……」
「わ、わかったわ。それはよしとするけど、戦うにしても今の観鈴は剣は傷んでるし、体も本調子じゃ……」
「そんなことは知ったことではありません。今の彼女が彼女のあるべき運命なのでしょう。
それに、刀は使わせません。観鈴さん、武器はこれを使っていただきます」
と言って楓ちゃんが私に寄越したのは、一本の……木刀!?
「ちょ、ちょっと楓ちゃん、これって……」
「何か文句がおありですか? あなたに私に反論する権利はないんですよ?
もっとも、この試練を止めたいというのならそれはそれで構いませんが」
う、問答無用。
「がお……」
「だとしても、いくらなんでも木刀一本なんて無茶……!」
「さあ行きましょうリサさん。もうすぐここは死者の庭となります。私たちも巻き込まれては大変ですから」
「え、ええっ!?」
と言いながら楓ちゃん、リサさんの手を引いてずんずん山を下ってく。
「明日の日の出とともに迎えに上がります。
その時あなたがご無事ならば剣を打つとお約束しましょう。ではご武運を」
「ちょ、あなた…………。Shit! 観鈴、がんばってね!」
何を言っても仕方ないと判断したのか、リサさんは舌打ちしながらも、最後にわたしに言葉をかけてくれた。
「にはは……」
「ちょっと、どういうことなのよ! 木刀一本で死者に立ち向かえなんて!」
山道を下る最中、当然のごとくリサは楓に詰め寄った。
「あれがただの木刀とお思いですか?」
「……え?」
声のトーンを落とし、今度は楓も回答した。
「あれはこの山のご神木から切り出した霊刀です。
常世の存在を切り裂くことができ、また、持ち主の心の強さと質に合わせ、その力と形状が変化します。
明日の朝、彼女が生きていれば、彼女に相応しい剣ははあの刀が示しているでしょう。
その姿は殺人剣か、活人剣か、はたまた誰も見たことがない未知の剣か。
それは彼女と神のみぞ知る、です。
さあ、そろそろ夕餉の時間です。私がご馳走しますから、今夜はさっさと寝ましょう」
言うだけ言うと、楓はさっさと歩き出した。
「ちょ、ちょっと!」
リサの言葉も、もう聞かない。
(さあ、観鈴さん……見せてもらいますよ、あなたの心の力を)
「が、がお…」
一方こちらは観鈴ちん。暗い夜の森の中。思い切り一人ぼっちだった。
「わたしが殺した人たちと戦えって言われても……どうすればいいんだろう。しかもこんな木刀一本で……」
改めて木刀を握りなおす。
しかし観鈴はいまだ、その木刀が淡い光を放ち始めていることに気づいていなかった。
そして、月が雲に隠れる頃。最初の影が現れ出でる。
それは……
A 岡崎一家
B 北川
A
順番にA
仄蒼い光の中から現れた人影。
一人は右胸から短刀を生やし、赤い血流が若い胸をぬらしている。
一人は黒檀のように暗い手で子をあやす少女。
一人はその少女の胸の中、わずかな肉色と溶けた右目だけを残した幼児。
三人はそれでも仲睦まじくそこにいた。
「あ、あなたたちは……」
「ああ、なんだ、あんたか」
「朋也くんもご存知なんですか? あ、あのっ、朋也の妻の渚です。えへへ……」
「まだ照れるのかよ」
「それと、一人娘のしおちゃんです。今は、寝ちゃってるみたいですけど」
「え、あの、あ、あれは……」
「気にすんなよ。人違いだったんだろ。俺が悪かったんだろうさ」
「そうです、すぐに逃げられなかったのはわたしがとろかったからです」
「ああ、しかたなかったんだよな」
「しょうがないですよね。不可抗力です」
(……違う、あの日見た夢と違う)
「別にあんたを怨んじゃいないぜ。だから、気にするなよ」
「はい、それじゃ、また」
同じように仄蒼い光の中に吸い込まれるように三人は消えた。
その、いつまでも観鈴の不思議なほど傷のない顔を映し出していた
光のない溶けた右目も一緒に。
A 北川
B 聖・佳乃
C 榊
D 雪見
A
なんで勝手に観鈴がどんな答え出すまで決めるん?
選択肢は何を指してるん?
605 :
名無しさんだよもん:2005/11/02(水) 00:31:19 ID:pC/yUuFWO
いや、なにより「怨んじゃいないぜ」じゃねーだろーが
当て付けで言ってるのかと思いきや次にいっちまう選択しかねーし
とりあえず書き手はどう続ければいいんだろう・・・
読み手もえっそんなあっさり・・・とは思うな。
まるで超(ry
次に出てきたのは……あっ。
「よう……久しぶりだな、下手人観鈴さんよ……」
頭が割れ、そこからだくだく血を流すクセ毛の役人さん……
「ヘヘヘ……実はな、俺、結婚決まってたんだよ。結婚。
相手は……まあ、どうでもいいや。お前にゃ関係のないことだ。
でさぁ、子どもも産まれるだろうし、出世したかったんだよ……家族のためにさ……」
じり、じりと一歩ずつこっちに近づいてくる。
いや、いや……
わたしは一歩、ずり下がろうとしたけど
「……おい、どこ行くんだ」
え?
「そうですよ。まだ北川さんのお話は終わってません」
「%$`*Q~`GH<H>」
ええっ!?
地面から岡崎さん一家の手と首が伸び、わたしの足首を掴んでいた。
う、動けない……
「ど、どうして」
「別にあんたのことは怨んでないさ……」
「はい。気にしてません」
「だってさ……」
「R)GBOQARBALP#+$`#ORERERERERERE」
夫妻が声を合わせる。少女の発する音は声になっていない。
「「あんたもこっちの住人になるんだからさ!」」
「ウオオオオオーーーーーッ!
なんで! なんでだ! 子どもの顔も見てないのに、どうして俺が死んで!
お前が! お前がぁぁぁぁぁっ!!!!」
「ひっ!」
足元に気を取られてる隙に、「北川さん」が手ごろな大きさの石を握り締めて襲い掛かってきた。
ど、どうしよう!?
A 一家の手を振り払って逃げる
B 木刀で一撃を防御する
C そのまま石で殴られた
C
とりあえず今の観鈴ちんだとBかな
「死ねッ! 死ねッ!! お前も死ねッ!!!」
「ひ……いや!」
それは、全く違った。今までわたしに向けられてきた殺意と。
それは、はじめての感覚だった。
背骨の中に、氷を押し込められたような。
「いやっ! いやああっ!」
反射的に、木刀を構えて防御しようとしたんだけど……
「えっ!?」
利き腕にずしりと重い感覚。
目を向けてみれば、岡崎一家の娘、「しおちゃん」が溶けた顔でわたしの腕にしがみついていた。
「$)#_? "$#)=HPAMEA--!! TG$UAGPOL?FABAAP~"#=%`*!!!!!!!!」
相変わらず、声になってない音を発しながら。
「い…………ひあっ!!」
そんなことで逡巡してる間に、頭に衝撃と痛み。
「死ねッ! 死ねッ!! お前も死ねッ!!!
死んで仲間になれッ! 地獄に落ちろッ! 永遠の苦しみを味わえッ!
せめて俺の苦しみを味わえッ! 教えてやるッ! 教えてやるッ! 俺が教えてやるッ!」
「いやっ! いやっ! いやっ! やめてっ!!」
必死で頭を押さえるけど、無視して北川さんは何度も何度も何度も何度もわたしの頭を石で殴りつける。
「なにがごめんなさいだッ! なにがごめんなさいだッ! なにがごめんなさいだッ!
そんなことで、赦されると思ってるのかッ! 俺が赦すと思ってるのかッ!」
「いやっ! ごめんなさいっ! ごめんなさいっ! ごめんなさいっ! ごめんなさいっ!」
「謝れ! 謝れ! けど赦さない! 俺は赦さない!」
「そうだ。赦さない。赦さない。お前が生きてるなんて赦さない」
「赦さない。赦さない。赦さない。赦さない。あなたを赦さない。あなたもこっちへ来るんです」
「%$PA+G>A-fa!? fj38-r3GRPT#`{=RAOGIKMUSFEA YURUSANAIIIIIIIIIIIIIII」
耳元で、岡崎一家の言葉が三重奏で鳴り響く。
「いやッ! いやぁぁぁっ!!」
A とにかく逃げる! 這ってでも逃げる!
B ひたすら謝り続ける
C ふと木刀が光っているのに気づいた
D 視点変更->リサと楓
いったん空きをD
その頃、楓の家では夕食の準備を始めていた。
「どうぞ、あまり味に自信はありませんが」
「どうも。……Wow、見事ね」
リサが盛られた料理を見て驚く。
料理屋などと比べれば落ちるが、それでも楓の料理は見事な形を彩っていた。
「切るのは、得意ですから」
「……もしかして、その料理に使った包丁って……」
楓がその言葉に微笑んで、一度台所に引っ込む。
それから直ぐに、包丁を持って戻ってきた。
キラリと光るその包丁は、まるで切れ味のよさを誇示しているかのようにも見える。
「ええ。私の自作です。実は副業で金物屋もやっているんですよ。
私は、人殺しの道具よりも本当は人の役に立つ道具を作りたかったから」
「Hum……」
「それに、そろそろ刀鍛冶の方はやめようかとも思っています」
楓のその言葉に、リサが驚く。
「天下に聞こえた刀匠柏木楓が……刀を作るのを止める!?」
「ええ。これからどんどん私の刀を求める人は増えていくでしょう。
ですが……私の刀を振るう人間が、もしも心無い人間だったら……。
人を斬る事が手段ではなく目的と化しているような連中の手に私の刀が渡るのは……嫌なんです」
「刀匠というのも、難しいのね……」
料理に箸をつけながらも、そう答える。
「リサさんも、私の作った包丁でも買って行きませんか?
何せ世の中の人に私が作れるのは刀だけでないことを教えなくてはいけませんし、今ならお安くしておきますよ?」
「そうね、考えとくわ」
曖昧な返事を返す。
観鈴の苦労とは対照的に、こちらは明るい雰囲気であった。
その時……
A 茶碗がひとりでに割れた。不吉な……
B 突然楓が血を吐いた
C 突如十本刀の一人が乱入してきた(人物指定)
D 観鈴ちん側に戻る
B
ベターにA
「ごほッ、ごほッ、ごほッ!」
その時、楓が急に咳き込みだした。
「Oh,風邪なの?」
「ごほッ、ごぶッ!!」
何度も苦しそうに咳き込んだと思うと、突然、楓は血を吐いた。
「血?…まさか…」
血を吐いて少し落ち着いたのか、楓は血をちり紙で拭き、佇まいを整えると、静かに話し出した。
「病気や寿命だったら…天命と割り切れたでしょうが…これは、呪いであり、私の犯した過ちへの罰なのです」
「霊匠…とは聞こえがいいですが、この手の商売には呪いが付き物です。
私は、かつては切れ味や霊的なものの力を追求した刀ばかりを打って来ました。
その刀が、誰かを斬ったとか、そう言う血生臭い話を聞く度に…恥ずかしながら、歓喜に震えていました。
ついには、鬼の怨念を込めた邪刀を作ると言う、禁忌の外法に手を出してしまいました。
そして、この刀を手にした依頼者は…私を一刀の元に切り捨て、その後、刀に操られるまま、
血に狂い命を落とした、と聞き及びました。 そして、結果が…これです」
楓が着物の前をはだけ胸を見せると、僅かに膨らんだ双丘の間を縫うように、古い刀傷が走り、
そこから炎の様な形をした黒い痣が、形作っていた。
リサはその禍々しく、地獄の底から滲み出るようなその傷痕に、息を呑んだ。
「魔素のこもったこの傷が私を蝕み、命を奪うのはそう遠くない未来の話でしょう。 邪刀はその後、
僅かの間に持ち主を転々としながら、幾人もの命を奪い続けていると、風の噂で聞き及んでいます。
このまま死ぬのは余りにも無念なので、邪刀を打ち砕く為に、幾つもの刀を打ってきましたが…
どれも、あの刀には遠く及ばないのです」
楓は無念そうに項垂れる。よく見ると、彼女の手は、綺麗な肌とは裏腹に、火傷の跡と血豆が幾重にも重なって
年頃の乙女とは思えぬほど変色していた。
「観鈴にその刀を破壊させるが、あなたの目的なの?」
「はい。 もし、彼女が己の闇に打ち勝つことが出来たのならば、霊刀はあらゆる魔性を打ち砕く
き、人々を生かす刀となるでしょう。 そして、それほどの刀をあの邪刀が放って置くはずがありませんから」
「あなた…あの子に何て重荷を背負わせるつもりなの!? 」
楓にリサが激昂しつつ詰め寄る。
「生きる…とは、そう言うものなのです。 彼女が人斬りとしての自らを省みり、人々の力となってゆくのならば、
この先、多くのものを背負っていく事になるでしょう。 ですから…私のこの思いも…
受け継いでいってもらいたいのです。 『力こそ全ての時代に、全てを守る力を』それが…私の願い…」
A その頃、観鈴は?※視点変更
B 突如、十本刀の一人が乱入してきた(人物指定)
C 「あなたにも渡したいものがあるのです」と、言って楓は奥の倉庫から何か持ってきた
D 「まぁ、今は観鈴さんを待ちましょう」と、食事再開
A
「はあッ、はあッ、はあ――――ッ――――!」
観鈴は恥も外聞もかなぐり捨て、漆黒の山中を駆け回っていた。
石で殴られ、切れた部分からは夥しい出血が溢れ、彼女の顔面を真紅に染め上げている。
それを着物の袖を切り裂いた即席の包帯で無理矢理しばり、息も絶え絶えに走り回っていた。
「待てぇぇぇぇぇ…………」
「待てぇぇぇぇぇ…………」
「待てぇぇぇぇぇ…………」
「MAEri3-raeteee…………」
縮地はとうの昔から連続して使っている。常人ならとても追いつける速さではない。
にも拘らず、いくら走っても亡霊の呼び声が観鈴の耳から離れることはなかった。
いや、離れるどころか…………
シュッ――!
「!」
突如、前方の藪から石飛礫が迫る。
反射的に屈んでそれをかわし、今度は道を折れてまた全力で走り出す。
「待てぇぇぇぇぇ…………」
そしてまた、声がついてくる。
(もう、もう……限界……)
いくら観鈴と言えど体力の限界はある。
しかも体に負担のかかる縮地をずっと続けているのだから、その疲労は半端なものではない。
思わず縮地を止め、ふらふらと一歩を踏み出した瞬間……
「!?」
ガッ! と突如として足首をつかまれた。そのまま勢い余って前方に倒れ込む。
「いたたたた……」
頭を押さえ、起き上がる……が、その瞬間ゾッと寒気が背筋に走る。
道は、眼前で途絶えていた。
藪に隠れて見えなかったが、目の前は切り立った崖になっていた。
夜の闇がのせいとはいえ、下がどうなっているのか、全くわからない。
ただただゴウゴウと風が谷を走る音が聞こえてくるのみだ。
そして―――
「追い……詰めた…………」
真後ろからは、北川の声。
「…………っ!」
振り向けば、ひときわ巨大な―――墓石ほどもある大きな岩を頭の上に抱えた北川が佇んでいた。
亡者には重さも関係ないのか、とても1人で持ち上げられるようなものでもないのに、歩みが乱れることはない。
「死ね……死ね。お前は今、死ぬ……」
『死ぬ』
あまりに慣れ親しみ、ありふれた言葉が観鈴の中で反芻される。
死ぬ―――死ぬ。
頭の中で、何度も、何度もエコーを繰り返す。
「ふう…………っ…………」
やがて、観鈴は大きく息を吐いた。
木刀を、正眼に構える。その瞳の色が、僅かに変わる。
「……………………」
足は岡崎一家につかまれている。北川は今にも襲い掛からんとしている。
逃げることはできない。戦うことしか、道はない。
観鈴の両目は北川を見据え、その体から剣気が溢れた。
オオオオオオ…………
それに呼応するかのように、木刀の光が強まる。
だが、完全に眼前の敵に集中している観鈴はそれにすら気づかない。
そして―――
「死ね―――エェッ!!!」
大きく岩を振りかぶり、北川が襲い掛かってきた。
(来る!)
一撃必殺。観鈴の狙いは……
A 岩を狙う
B 腕を狙う
C 脳天から叩き斬る
D 間に合わなかった。岩に殴られ、崖下へ転落。
A
「破ッ!」
北川が迫る。
その瞬間に合わせ、裂帛の気合と共に観鈴は木刀を最上段に振り上げた。
「死ィ…………ねぇぇぇぇぇぇっ!!」
もはや亡者の瞳には何も映らない。
北川は巨怪な岩を、観鈴の脳天目掛け振り下ろした。
防御は、不可能。重量差がありすぎる。
回避は、不可能。足をつかまれている。第一、後ろは切り立った崖だ。
「ごめんなさいッ!!」
……掛け声が今ひとつ格好よくないのはご愛嬌。
観鈴は、木刀で巨岩を迎え撃つことに決めた。
傍から見れば、あまりに愚かしい行為。
だが、観鈴は絶対の自信と共に、刀を振り下ろした。
ぱぁぁぁぁぁ―――――――――んっ!!
木と、岩。ぶつかり合った瞬間、響き渡った風船が破裂するような鋭い音。
音と共に、粉々に砕け散ったのは……北川の岩!
文字通り木っ端微塵。
砂にまで回帰するのではというほどの細かい粒子にまで分解され、爆裂するように地面の上に撒き散らされた。
同時に、北川の姿も霧散する。
断末魔の悲鳴を上げるでもなく、砕け散った岩と同じように、大気の中へと消えていった。
「後は―――ッ!」
いつの間にか足首の手は消えている。
いつの間にか目の前には岡崎一家の姿が現れている。
胸に短刀が突き立てられた朋也。
黒ずんだ手の渚。
ほとんど顔の溶けた汐。
「……ごめんなさい」
観鈴は力を振り絞り、縮地!
一瞬で間合いを詰めると、木刀一閃。
朋也の胸の短刀を、己が最初の血で汚した刃を、叩き割った。
先ほどの岩と同じように、破裂音と共に木っ端微塵に砕け散る。
同時に、一家の姿が溶けるように消えていく。
(―――忘れるな。俺はお前を赦さない)
そんな中、観鈴は声を聞いた。
(絶対に。絶対に赦さない)
観鈴は黙って、息を整えながらそれを聞く。
(だが―――)
(できるだけなら、やってみるといいです)
(その先に、たくさんの人の幸せがあるのなら―――)
(血反吐を吐いてでも、抗ってみせるがいい)
そして、消えた。
後に残ったのは、闇夜の静寂。
「はあッ、はあッ、はあ――――ッ――――」
だが観鈴の贖いはまだ終わらない。
次に現れたのは――――
A 霧島姉妹
B しのぶ&雪見
C 視点変更。リサらへ。
A
ところでおまいら。
>>496でみすずちんが言ってる、
「一人しか殺せなかった」登臼来の武将が誰か、今の内に決めとかないか?
a 朧(オボロ)
b 邊那初(ベナウィ)
c 玄雨(クロウ)
d まだ決めなくてもいいだろ
a
霧島姉妹、死んでるのが確定しちゃったよ…
霧島姉妹に関しては、悪いのはみすずちんでなく、ひじりんだろう…
でも見捨てたのは事実だしな…佳乃は何も知らなかったみたいだし
助けても良かったかもしれんが…
あの聖が相手だとためらうのも仕方が無いかも
佳乃に関わる問題に近づけばまた何されるか(利用されるか)分かったもんじゃないし
「…………ッ!?」
背後に気配。この世にあらざる気配。
反射的に振り向く観鈴。
そこには――――また新たな人影が現れていた。
もちろん、観鈴はその影に見覚えがあった。
それは……最初に観鈴を裏切り、この世への不信感を植え付けた女、霧島聖。
「フフ、フフフフ……フ。久しぶりだな観鈴ど」
A 登場シーンぐらいはちゃんとやらせてあげる
B 無言で崖から蹴り落とす
BといきたいがAで
観鈴は一瞬その場でブチ殺してやりたい衝動に駆られるが、何とか押しとどめる。
聖の影は徐々にその影を整えていき、十数秒も経つ頃には完全な人の形となっていた。
ただ、胸の部分は整然のその豊満なバストとは違い、何か長方体のもので押しつぶされたように体内にえぐれ込んでいる。
おそらく、地震の時に梁か何かに押しつぶされでもしたのだろう。
「久しぶりだな観鈴殿……懐かしいよ」
先ほどまでの北川や岡崎一家とは違い、まるで旧友に再会でもしたかのように、穏やかに聖は続ける。
「”向こう側”で大方の事情は知っている。フ、フフフフフフ……思えば私もエラいことをしてしまったものだ。
連中は君への怨みも凄まじいが、そのきっかけを作った私への風当たりも強くてね……
フフフ、まさかあの世へ行ってまで姉妹肩を寄せ合ってつらく厳しい日々を過ごすことになるとは思わなかった……
フフフフフ……まったく。君を甘くみていたよ。まさかあの日の小さな失敗から、こんな大事になると―――」
(ひゅ)
「!」
聖の穏やかな語り口。その最中、瞬間的に身を翻した。
チッ、とほんの僅か首筋に冷たい感触が走る。
そして振り向く……直前まで自分が立っていた場所に、幽鬼のように佇むのは……佳乃。
その手には短刀が握られている。
「チッ……まったくいい勘をしている。あながちこの一年、遊んでいたわけではなさそうだな」
先ほどまでの様子とは一変、心底悔しそうに聖が舌打ちする。
「まあいい……。霧島流短刀術が奥儀」
そしてスッ、と己の懐から数本の短刀を取り出す。鏡写しのような動きで、佳乃もまた。
「その身で受けるといい……『人斬り観鈴』君?」
姉妹同時に、観鈴に向かって投げつけてきた。
A ひとまず回避する
B 木刀で叩き落す
C 視点変更->リサと楓
B
「っ……!!」
聖さんが驚愕に目を見開く。
わたしが身をよじりながら、正面と背後から投擲された全ての短刀を叩き落としたからだ。
両手に余る数の弓矢、鉄砲の前に身を晒したこともあるわたしにとっては、お遊戯のようなものだ。
それに何より――
わたしは、怒っていた。
一年以上忘れていた熱い感情に突き動かされて、体中に黒い力が漲っていた。
殺せる。
武器が木刀だろうと素手だろうと関係ない。
今のわたしなら、殺せる。
人外の性能を得たこの体に、この重く濃い人間の殺意を加えれば、聖さんも佳乃ちゃんも完全に殺しきることができる。
――でも、殺してはいけない。
(これも、試練なの? 楓さん……)
どうして殺しちゃいけないんだろう?
わたしがこんな風になったのも、さっきの家族や役人を殺すことになったのも、きっかけはぜんぶ聖さんなのに!
聖さんはそれを謝りもしないどころか、またわたしを殺そうとしてるのに!
(わからないよ……わかりたくないよ!)
視界の隅で、聖さんが再び懐から短刀を取り出すのが見えた。
わたしは――
A. 飛び込んで、聖さんの喉を突く
B. 黙って短刀が投擲されるのを待つ
C. 短刀の間合いの外に逃げ出す
耐えろB
わたしは、そのままでいた。
聖さんの短刀がまた投げられるのを、素直に待つ。
……殺しは、駄目。
リサさんとの約束。わたしは約束を、破らない。絶対に。
黙ってわたしは、聖さんの事を睨みつけたままでいた。
すると……
「……ふふ」
聖さんが、短刀を投げ捨てる。
そして、優しい笑みを浮かべながら、ぽつりと言った。
「勝てないな……もう、君には。全てにおいて私は負けた。
今一緒に旅をしたら、守ってもらうのはこちらになりそうだ。
一言、先に言っておくよ。出来ることなら……君に一度謝りたいと思っていたんだ。
私だって……罪を犯して厚顔無恥で居られるほど、気は強い方じゃないんだよ」
聖さんが佳乃ちゃんの頭を撫でる。
その様子が……なんだかとっても悲しげにも見えた。
「ごめんね、観鈴ちゃん。あたし達が迷惑かけて」
「何処へ行っても迷惑がられる私達姉妹は、もう還ろうと思う。
いささか疲れたよ、死んでいるのにもね……」
そのまま、聖さんたちは崖の方に歩いていく。
わたしは無言だった。何も言えなかった。
聖さんたちが何をしようとしているかは分かってるけど、止めることはしなかった。
「ここからが正念場だ。……頑張るんだぞ」
最後に、聖さんはそれだけ言って、佳乃ちゃんと一緒に崖から飛び降りた。
(聖さん……)
わたしは前を向く。まだ……終わりじゃないから。
次に出てきたのは……
A 尾根の里の深山雪見&榊しのぶ
B 登臼来藩の武将朧
C 幕府の公家来栖川綾香
D 十本刀姫百合姉妹
A
A
くすくす。
くすくす、と。
笑う声が聞こえる。
それも、左右から同時に。
軽やかで優雅な、でもどこか耳障りな声。
わたしを馬鹿にして、嘲笑っているような声。
「どうして殺さなかったの?」
問いかけに反応して右を見ると、榊さんが立っていた。
鞠でも持つように自分の首を小脇に抱えて。
「あなたにとっては、憎い仇なのに」
今度は逆から声。
左を向くと、同じように首と体が切り離された雪見さんが立っていた。
「優しくなったのね」
くすくすと笑いながら、空いている方の手で短刀を抜く雪見さん。
「今のあなたなら、もちろん――私たちのことも、殺したりしないわよね?」
まるで命令するみたいな口調で言いながら、榊さんも小太刀を閃かせる。
白皇さんを殺した小太刀……
そして二人は、示し合わせたように同時にわたしに斬りかかってきた。
わたしは――
A. 反撃はせずに防ぎきる
B. 相手の武器破壊を狙う
C. 生首を奪い取ってみる
B
瞬間的にわたしは左へ飛んだ。
縮地の速度と体の捻りを加え、さらに膂力と遠心力を足しこんで全力の横薙ぎを雪見さんの短刀に叩き込む。
雪見さんの動きは止まっているに等しい。過たず、わたしの一撃は短刀を粉々に――――
ぐ ず っ ・ ・ ・
軽やかとは程遠い、すごく嫌な感触が木刀越しに伝わってきた。
見れば雪見さんが くす くす くす と嘲笑っている。
「あははははは……あの時は生首の所為で遅れを取っちゃったけど観鈴さん、今度は生首が私を救ってくれたわ」
雪見さんは自分の生首でわたしの一撃を受け止めていた。
脳天から鼻ぐらいまでめり込んだ木刀。その真下で口が囀っている。
「さあ、行くわよ」
そのまま生首ごと短刀をこちらに押し込んでくる。
後頭部から刺しこまれ、鼻の真下から切っ先が飛び出た。
さくっ、という浅い音。
神奈ちゃんを殺した時みたいな。
そんな音が、今度はわたしの下腹部から聞こえた。
雪見さんの顔から生えた短刀の切っ先がわたしのお腹に差し込まれている。
「……残念。小太刀を使えばよかったかしら? ちょっと長さが足りないわ」
ぐりぐりと短刀を押し込んでくる。けど、生首分の長さが引かれた刀身ではぎりぎり内臓までは届かなかったみたい。
わたしは片手で、刺された部分からの出血を押さえながら距離を取ると―――
A 今度は榊さんに後ろから刺された。
B いったんこの場を離れることにした。
C 2人から等距離の間合いを取った。
D 視点変更。リサらへ。
a
後ろに下がったところでどん、と何かにぶつかる。
「ふふふふふ……こっちにもいるのよ」
ぶつかったのは、榊さん。
後ろを振り向いた瞬間、変な話だけど、首のない首と目が合った。
「死になさい」
ザクッ!
逆手に持った小太刀が、背中から心臓の位置に打ち込まれる。
一瞬、灼熱の鉄棒を打ち込まれたような熱。
直後、なにかが無くなっていく喪失感。
思わず死を覚悟した、けど――――
「……? なにこれ?」
小脇の榊さんの首が不思議そうな声を出す。
そのまま刺し込んだ小太刀をぐりぐりさせる。激痛が走るけど、まだ動ける。
わたしは榊さんのわき腹に肘を叩き込み、一瞬だけ動きが緩んだ刹那間合いを取った。
「はあ、はあ、はあっ…………」
致命傷ではない。
致命傷ではないが、浅い傷でもない。
下腹と背中からは血がだくだくと流れ続けている。
「どうかしたの? しのぶ」
「……どうやらあの子、変なもの着てるみたいだわ」
上半分がぐずぐずになった雪見さんの首と、小脇に抱えられた榊さんの首が世間話みたいにそんなことを話している。
危なかった。
昨日の戦いでボロボロではあったけど、一応着ておいた防弾服がぎりぎりのところで心臓を守った。
けど、もう今ので大穴が空いた。
二度目はない――――
「じゃあ、やっぱり首を切り落としましょう」
「そうね。それがいいわ。一番確実だし、意趣返しにもなる」
2人の首が頷く。
「!」
と同時にノーモーションで生首をこちらに投げつけてきた。
バッ、と一歩その場を離れるけど、まるで首は意志あるかのように軌道を変え、わたしの体に喰らいつく。
思わずその場に転倒する。
「勝機ね」
「チャンス、って言うのよこういう時は」
そのままずいっと、榊さんの体が間合いを詰めて小太刀を振り上げる。
「今度こそ、死になさい」
A その時、どこからともなく聖さんの短刀が飛んできた。
B 左手を犠牲にして小太刀を受け止める。
C モード変化。人斬り覚醒。
A
A
「っ!」
覚悟を決め、奥歯を噛んだ。その瞬間。
「なっ!!?」
トンという浅い音と共に、榊さんの腕にどこからともなく飛んできた短刀が突き刺さった。
あの短刀は……聖さんの!?
「こ、のっ!!」
振り下ろされる小太刀の速度が一拍遅れる。
―――かわせる!
瞬間わたしは倒れたままだけれど横に避け、小太刀は地面に突き立てられるに終わった。
「この……しぶといッ!!」
すぐさま剣を抜き二の太刀を繰り出す榊さん。
けど、遅い。
わたしは体を捻りながら一瞬で起き上がり、振り返り様に木刀を振りぬいた。
「破ッ!!」
わたしの木刀と、榊さんの小太刀。その刀身が、ぶつかりあう。
「しまッ……!」
榊さんの顔が歪む。
ぶつかり合った瞬間、ガラス細工を落とした時みたいに小太刀の刃が木っ端微塵に砕け散った。
「糞ッ! 糞ッ! 糞ッ! 後一歩だったのに! 糞ッ!!」
同時に、榊さんの首も体も崩れていく。にもかかわらず、榊さんの恨み言は途絶えない。
「聖ッ! 聖ッ! 霧島ッ! よくもッ! よくも邪魔をッ! 貴様だって亡者の癖にッ!」
――――私たちの運命を狂わせたのはそもそも君たちだ。
――――私だって、ほんの少しくらい、仕返しする機会があったっていいだろう?
――――なあ、そう思わないか? 観鈴殿――――
そんな声が、聞こえてきた気がした。
「糞ッ! 糞ッ! く…………そ…………っ…………」
結局、恨みの言葉は体が完全に霧散するその時まで続いた。
そして―――後に残されたのは一本の短刀。
「聖さん……」
それを手に取る。
「この……人斬りがッ! 一端に感傷に浸ってるんじゃないわよッ!!」
激昂した首の無い雪見さんの体が襲い掛かってきた。
わたしは視線も送らず、蝿を追い払うみたいに木刀を軽く振る。
振り下ろしてきた短刀を弾いた瞬間こっちも木っ端微塵。
「ああ……糞ッ! 糞ッ! 糞ッ! また……また殺された!
覚えておきなさい! 覚えておけ神尾観鈴! あんただって人殺しなんだ!
いくら改心しようと、改心しようなんて考えたところで、お前の罪が晴れるわけじゃないッ!
お前の過去が変わるわけじゃ…………」
そして消えた。
「……………………」
短刀の刀身が、ほんの少しだけ輝いた気がした。
「……ありがとう。でも大丈夫。もうわたしも、恨んでない。
わたしは、わたしの力でがんばる。だから、どうかやすらかに―――」
―――ありがとう。
次に現れたのは……
A 朧
B 綾香
C 神奈・裏葉・柳也
D 視点変更。リサらへ。
かっこいいなあ。
C
で。
「なるほど、お前の力だけで頑張る、か。いい言葉だな」
「……?」
不意に後ろからの声。覚えのある、それもつい最近聞いた声―――
「やれやれ、まさか死んだ端から呼び出されるとは思わなかったぞ」
「まあまあ神奈様。こうして3人一緒にいられる分、まだよいではございませんか」
「そうは言ってもな……」
そこにいたのは、柳也さん、神奈ちゃん、あとあの女御の人。
「女御の人とは失礼な。私にもしっかり『裏葉』という名前がございますっ」
……裏葉さん。
「あの……その……」
柳也さんの不殺の誓を嘲笑い、斬り殺したのがまるで遠い昔のよう。
けど、雪見さんが言ったとおり、それは消えないわたしの罪。変わらないわたしの過去。
「柳也さん、神奈ちゃん、その……なんて言ったらいいのか……」
予想できたことではあるけど、わたしはなんて声をかけていいのかわからず、言葉が詰まってしまう。
「―――気にするな」
そんなわたしを見て、柳也さんの言葉。
「お前も武人で、俺も武人だ。不殺の誓いなど、俺と神奈が勝手に決めたこと。
ならば戦いの中命を落とすのは、当然のことだ。謝ることではない」
「柳也さん……」
「観鈴。お前が不殺の誓いを胸に、今こうして俺たちと再会しているというのなら
それが初めから俺たちに与えられた運命(さだめ)だったのだろう。
俺たちはお前の糧となるべく、生き、そして死んだのかもしれない」
柳也さんが優しい口調で言う。
「……とはいえ余を殺したこと、完全に赦したわけではないからな」
で、神奈ちゃんが不満たっぷりの口調で続ける。
「にはは……」
「……だが」
そこで少し言葉を区切って
「観鈴。お前が心を取り戻したこと、新たな道を歩みだしたこと。
あるいはもっと別の時に、別の形で出会えていれば、我らは良き友となれたかもしれんな。
そなたの今の顔、なかなか良いぞ。少なくとも、寂しさを偽りの笑顔で覆い隠していたあの時よりは、よほど、な」
「神奈ちゃん……」
「……さて、感傷に浸るのはここまでだ。あくまでお前は生者。俺たちは死者。本来相容れぬ存在」
その時、一気に柳也さんから剣気が溢れ出した。
スラリと腰の刀を抜き放つ。それはもちろん……逆刃刀。
「そして観鈴、お前は試練としてここに来た。ならば俺としても、相応の教育を施してやらねばなるまい」
逆刃刀を正眼に構える。
「言っておくが、俺の授業料は高いぞ。おまけに俺たちの命の分の代金も払ってもらわなければならないんでな」
そして、あふれる殺気。
「待て柳也殿。不殺の誓いは消えたわけではないぞ。観鈴を殺してはならんぞ」
で、神奈ちゃんの合いの手。気迫はそのままだけど、殺気はへなへなと薄れる。
「……死者に言うか? それを?」
「何を言う。我らは我ら。死者も生者も関係なかろう」
「あー……やれやれ」
心底疲れたように目頭を押さえる。
「にはは……大変ですね」
「わかってくれるか……」
「ほほほ。相変わらずお仲がよろしいことで」
ほんの少しだけ、空気が緩む。
いいな。羨ましいな。できることなら、わたしもこの中に加わりたかったよ。
「では改めて……行くぞ観鈴」
「はい」
でも、それは叶わぬ夢。叶えてはいけない夢。
わたしが犯した罪。わたしが壊した夢。
「……微温(ぬる)い剣は、見せてくれるなよ?」
柳也さんが、地を蹴った。
A 一撃を受け止めた。重い……
B さばききれなかった。直撃もらった。
C ぎりぎりのところでかわした。速い……
D 視点変更。リサらへ。
B
B
B
「げはッ! がはッ――――!!」
もう何度目か。観鈴は逆刃刀で思い切り殴られ、もの見事に数メートル空を飛んだ。
「はあッ、はあ―――ッ―――!」
それでもまだ気力は萎えない。刀を杖に、急いで起き上がる。
その目の前には、斬った位置そのままの柳也の姿。
「……どうした? その程度か?」
「まだ……だよ!」
縮地!
観鈴は一気に最高速度を引き出し、ジグザクに軌道を読ませないようにして柳也へと迫った。
「破ッ!」
そして裂帛の気合と共に、最高速度の一撃を―――
「遅い」
「が、あッ!!」
繰り出す直前、柳也が身を捻り一撃は虚空を斬った。さらに同時に背中への強烈な一撃。
自分が引き出した速度そのままに、前方の木に叩きつけられる。
「ど、どうして――――」
激痛を叫ぶ体の声は無視。再度刀を杖に起き上がり、切っ先を柳也に向けながらそれだけ言う。
「遅い。お前は遅すぎる」
「そ、そんなはずないよ。観鈴ちん、速さにだけは自信がある。この一年、これで戦ってきたんだから――――」
「……そうだな。お前は確かに『速い』。だが、『早く』はない」
「――――?」
「どうした? お前はお喋りをしにここに来たのか? なら、俺から行かせてもらうぞ」
そうして柳也は再度観鈴に迫る。
確かに常人に比べれば遥かに速い身のこなし。だが、観鈴に匹敵するほどのものでもない。
(ここは、一旦かわして……)
柳也の攻撃に合わせ、一歩横に飛ぶ。
が、柳也はまるで最初からそれがわかっていたかのように逃げた場所に剣を繰り出し、逆刃刀はもの見事に観鈴の脛を打ち据えた。
「―――――ッ! ――――――――――ッッッッッ!!!!!」
別名弁慶の泣き所。脛を押さえて七転八倒悶絶する観鈴。
そんな観鈴を見下ろしながら、柳也は言った。
「……少しはわかったか? 確かにお前は『速い』。こと速さにかけてなら、お前を超える者はそういないだろう」
「―――ッッ!!」
今ひとつ耳に届いているかは微妙だが、無視して柳也は続ける。
「だが、実戦においての早さには三種類ある。
剣の速さに体のこなしの速さ。そして相手の動きの先を読む早さ、だ」
「っっっ……」
「前者二つはお前なら問題ない。俺を軽く凌駕しているだろう。
だがお前は相手の動きに合わせて、相手の動きや気の動きをを『見て』から動いている。
だから、無駄が多い。だから、逆に予測される。だから、俺の剣をかわせない」
「動きを……読む早さ……」
「それがお前の限界だ。本当の『神速』には届かない」
「……………………」
「さあ立て。それともここで終わりにするか? 俺はそれでも構わんがな」
「まだ……だよ」
そろそろ痛みもどうにか引いた。ヒビくらい入っているかもしれないが、気にしている場合ではない。
「行くよ……柳也さん」
「行くと言ってから行く馬鹿がどこにいる。俺から行かせてもらうぞ」
再度柳也が地を蹴った。先ほどの動きそのままに、観鈴へと迫る。
「……………………」
観鈴は…………
A 先ほどと同じように、飛んでかわそうとした。
B 肉を切らせて骨を絶つ。カウンター狙い。柳也の剣を見極めようとした。
C 目を閉じた。
D 視点変更。リサらへ。
Bで。
B
「……………………」
観鈴は剣を沈め、腰を落とした。
抜刀術に似た構えではある。が、重心が下に行き過ぎてとっさの動きができる体勢ではない。
(あきらめたか? いや、それはないだろうが……)
とにかく、明らかに回避の体勢ではない。柳也はそのまま一刀を繰り出すことにした。
観鈴へと迫る。距離三歩。
(まだ動かない……? どういうつもりだ)
観鈴へと迫る。距離二歩。
(目は明らかに戦う目だ……ならば反撃狙いか?)
観鈴へと迫る。距離一歩。
(だとしても……いくらなんでも遅すぎる。これではみすみす直撃を……)
観鈴へと迫る。距離零歩。
(……諦めたのか? まあ、どちらでもいい。この一撃でッ――――!)
強烈な右斬上げ。観鈴の一撃に匹敵する速度の一刀が走る。
が―――
「――――ッ!」
柳也の一刀。繰り出されてから、観鈴は動いた。
最小かつ最速の動きで刀を繰り出し、逆刃刀と木刀の腹が、僅かに触れ合う。
(なにッ!?)
その動きのまま観鈴も一刀を繰り出す。だが、確実に柳也の方が早い。
しかも、軌道がずらされたことで一撃は顔面へと迫っている。
いかな逆刃刀といえど、この速度で急所への一撃をもらっては即死しかねない。
(くッ―――!)
だがもう柳也にもどうしようもない。一撃はそのまま―――観鈴の顔面を捉えた。
ズシャッ!
耳障りな水音と共に鮮血が噴き出す。
柳也の一刀は観鈴の目の真上を切り裂いた。半端に切れ味がない逆刃刀ゆえ、余計に傷口は酷い。
が―――それだけだった。
観鈴の顔の一部を持っていった、だけだった。
(まさか!?)
気づいたときにはもう遅い。観鈴最速の一刀が脇腹に直撃した。
こちらもいくら木刀とはいえ観鈴の膂力とその速度。骨と内臓に壮絶な衝撃が伝わり、そのまま真横に吹き飛ばされる。
「がは―――ッ!!」
もんどりうって木の幹に叩きつけられる柳也。
そのまま、地に倒れ伏した。
「――――ふう、ッ…………」
一方観鈴も脱力する。剣を振りぬいた体勢そのままに、地面に倒れこんだ。
「柳也殿ッ!」
「観鈴さま!」
神奈と裏葉が慌てて2人に駆け寄り、抱き上げる。
一応、命に別状は無い。死者に命というのもおかしいが。
観鈴も――出血はひどいものの、致命傷ではない。
「なんという……無茶をするんだ。俺の一刀のギリギリを見極めようなどと……
一瞬でも、一寸でもズレていたらお前は死んでいたぞ。間違いなく」
刀を杖に息も絶え絶えな柳也が起き上がる。
「にはは」
裏葉に止血をされながら、観鈴はいつものように笑った。
「観鈴ちん、こう見えても目には結構自信があるんだ。動きが読まれるくらいなら、最初から動かなければいいかなって」
「無茶だ―――無茶すぎる。俺としては、目だけでなく、肌から周りの気配を読み取れるようになってほしかったんだが―――」
「にはは。けど無茶を成功させちゃったのが観鈴ちん。観鈴ちんの勝ち?」
「ああ。お前の勝ちだ。お前は俺の期待を裏切り、予想を凌駕した。完敗、だ」
「にはは」
その後、手早く裏葉からの手当てを受けた観鈴。
頭に包帯はもちろん、腹や背中の傷も応急手当を済ませる。
「だが……その戦い方では、お前は……」
徐々にその姿を薄れさせながら、柳也は心配そうに呟く。
「常に命を白刃に晒しながら戦っているようなものだ。
いや、それだけならまだしも、勝ったとしてもお前の体から傷が消える日は来ないぞ」
「大丈夫。観鈴ちんは強いから。それに、今までたくさんの人を傷つけてきたんだもん。
わたしが傷つくことで、そしてそれと引き換えに誰かを救えるなら、それは嬉しいことだよ」
その応えに迷いは無い。
「…………つらい日々になるぞ」
「うん。わかってる」
「…………ならばもう、何も言わん」
柳也は、目を閉じる。
「息災あれ、観鈴」
「うん、ありがとう柳也さん」
「お前がこっちに来るのがなるべく先になるよう、祈っておるぞ」
「うん、ありがとう神奈ちゃん」
「私の名前は覚えていただけましたか?」
「うん、大丈夫だよ裏場さん」
「裏葉でございます」
「にはは」
「では…………」
「うん」
「さらばだ」
三人は消えていった。
その顔は、笑顔だった。
A そして、夜が明けた。
B 晴子登場。
C 白皇登場。
D 視点変更。リサらへ。
b
んーいいねいいねー
A
B。ある意味一番辛いだろうが
「いたた……」
わたしは思わず眉をしかめる。
今夜、何人もの人と再会して、刃とわたしの罪とを突きつけられてきた。
体にも心にも雪のように痛みが積もっていて、正直なところもう限界に近い。
(だけど、まだ――だよね)
背後に誰かの存在を感じる。リサさんや楓さんじゃない、生きている人とは根本的に違う気配。
(たぶん、わたしがちゃんと相手できるのはこの人が最後……)
縮地を乱用したせいで全身に疲労が溜まっている。傷口からの出血で血も足りてないし、気力も尽きかけている。
いつ意識を失ってもおかしくない状態だったけど、わたしは木刀を杖代わりに体を支えて、必死の思いで振り向いた。
(誰だろう。登臼来藩の武将さんかな。それとも綾香さんかな)
わたしのそんな予想は、実際まるで見当はずれだった。
振り向いた先に立っていたのは――
「あ……あああ……!!」
「よ、久しぶりやな。観鈴。ちょっと背ぇ伸びたか?」
「おかあ……さん……」
「なんや、幽霊でも見るような顔して……って、ホンマにそうやったな。晴子さんうっかりや」
ああ――何を言ったらいいんだろう。
わたしを育ててくれたひと。わたしに一番、たくさんのものをくれたひと。
わたしのせいで、死んでしまったひと。
「お母さん……お母さん……」
いつの間にか、わたしの目には涙が溜まっていた。
だめ。お母さんの前だと、わたしは「人斬り観鈴」でも、リサさんのパートナーでもいられない。
ただの茶屋の娘だった頃の、泣き虫であほちんのわたしに戻ってしまう。
「お母さん……ごめんなさい……ごめんなさい……!」
これが楓さんに与えられた試練だということも忘れて、わたしは泣きじゃくりながらお母さんに謝るばかりだった。
お母さんは、そんなわたしを――
A. 抱きしめた
B. 平手でぶった
C. 「許さない」と言った
厳しめにB
B
いや、妥当でしょ
ぱん、と乾いた音が鳴った。
少し遅れて頬がじわじわと熱を持ってきたことで、お母さんに平手でぶたれたんだって理解できた。
今夜受けた傷の中でいちばん軽くて、いちばん絶望的だった。
「観鈴……あほなことしたな、あんた」
ああ。やっぱりお母さん、わたしのこと怒ってるんだ。
当然だよ。元を正せば、わたしなんかを娘に持ったせいで、お母さんは……
「なんで、人斬りなんか稼業にしたんや……!」
……え?
「人様の命を銭と引き換えにして、人の首に値札つけるような真似してっ……
そないな仕事、あんたみたいな馬鹿がつくお人好しに堪えられるわけないやないかっ!!
今頃になってツケ回ってきて、観鈴、こないボロボロになってるやないか……!!」
お母さんは痛いくらい力を込めて、ぎゅっとわたしの手を握る。
「あないヤワやった手ぇが、刀の振りすぎでこないマメだらけになって……」
「……どう、して?」
気付けば、わたしは胸の中の疑問をそのまま口に出していた。
「どうしてそのことを怒るの? お母さんが巻き込まれて死んじゃったことを、どうして怒らないの?」
「そないなこと怒ってない……!」
そんなこと、って。
「観鈴のこと、だぁれも信じへんかったんが悪いんやないか。
藩主殺しやなんて、あんたにそんな大それたことできるわけない言うのはうちが一番わかってる。
登臼来藩の役人連中に捕まったときも、うち、鼻で笑うてやったわ。
『うちの観鈴はあほやけど、あんなお人好しの藩主はんを殺すほど馬鹿やない』って」
「でも……でも! 最初にわたしが白皇さんに着いていくなんてわがまま言わなければ、こんなことにならなかったのに……!」
「あのなぁ、うち、観鈴が白皇はんに着いていきたい言うたとき、嬉しかったんやで?
うちの観鈴ちんときたら、いつまでも母親にべったりで、男どころか友達の一人も連れて来うへん。
それが初めて自分から広い世の中見てみたいって言うたんやで?
そらまあ、少しは寂しい気持ちもなかった言うたら嘘になるけど……」
優しい声、ちょっとからかうような言い回し、噛んで含めるような口調。
わたしは目の前の人がどんなにあったかかったのかを思い知る。
わたしはすっかり変わってしまったのに、お母さんの私に対する接し方は昔とぜんぜん変わっていなくて。
本当はわたしは昔から何も変わらずにいられたのだと、信じそうになってしまう。
だけど。
(―――忘れるな。俺はお前を赦さない)
「お母さん……わたし……」
どれだけお母さんが優しくても、忘れるわけにはいかない。
わたしだけに都合のいい解釈を、続けるわけにはいかない。
「わたし、自分が助かるために他の人を傷つけて……!!」
「観鈴……」
「人を斬ってお金をもらうようになって、恨みもない人を何人も殺して……ごめんなさい、ごめんなさい!!」
わたしは自分の罪を言葉にして噛み締める。
「生きるために仕方なかった」なんて言い訳をするつもりはなかった。
リサさんが言うように、人は生きている限り変われる可能性があるのなら。
身を守るために人を傷つけたことも、人斬りになったことも、わたし自身が選択したことなんだから。
「……うちも、観鈴はあかんことしたと思う。せやから叩いたし、怒鳴った。せやけどな……」
さっき打たれたわたしの頬を、いたわるように撫でるお母さんの手。
「せやけど、それでも、そんなあかんことしてでも……
観鈴が今日まで、こうして生き延びてきてくれたことが、うちはどうしようもなく嬉しいんや」
「お母さん……」
「他の誰が許さんでも……うちは許す。
生きててくれておおきにな、観鈴。
ごめんな。あんたが一番しんどいときに、傍にいてやれんかった。
今まで一人でよう頑張ったなぁ……」
――わたしはどうして、あんなに頑なに他人を拒み続けていたんだろう。
「う……」
こんなにも暖かい目で、草葉の陰からずっと見守ってくれていたのに。
「うわぁぁぁぁ――……ん!!」
わたしはお母さんにすがりついて大声で泣き出した。癇癪を起こしたように、ただの小さな子供になって。
「やっぱり泣き虫やなぁ……観鈴ちんは」
わたしは最後に暖かい涙と、それよりあったかいものを取り戻すことができた。
少しずつその存在感を失っていきながら、お母さんは最後までわたしの頭を撫でてくれていた。
A. そして夜が明けた。
B. そのころ、庵では(視点変更)
A
「……鈴さん、観鈴さん」
夜が明けた。
山を登ったリサと楓は、3人が別れた場所。
まさにその場所で静かに寝息を立てている観鈴を発見した。
さすがに傷とボロボロになった服こそそのままなものの、顔や手足の汚れは全て拭いてあり、非常に綺麗な顔だ。
「なんだか……晴れ晴れとした顔ね」
「こういう時は”憑きものが落ちたような”と言うのです」
「……勉強になるわ」
数度、観鈴の体を揺さぶる。
だがよほど疲れているのか、目を覚ます素振りは見せない。
「……これは、無理に起こすのも可哀相ですね」
「いいわ。私が背負っていく」
そう言うと、リサは観鈴の両腕を自分の肩にかけ、背負い上げた。
……軽い。あまりに、軽い。
その重みは、京の都で蝶よ花よと可愛がられ、毎日を笑いながら過ごしている娘たちとまるで変わりがない。
だが、彼女の両手に染み込んだ血はもう二度と拭われることはない。
そして、これからもまた晴れることのない血煙の中を生きていくことを強要している。
「―――ごめんなさい」
ポツリと、呟いた。
「…………行きましょう。傷の手当もしなければなりません」
「そうね……」
そして2人は、山道を下りだした。
「遅かったわねぇ。お先にやらしてもらってるわよ」
「……!!」
たっぷり時間をかけ、観鈴が目を覚まさないようにゆっくりと下山した一行。
庵までたどり着いた彼女らを迎えたのは、1人の少女だった。
「あなたは……」
勝手に庵の戸をぶち壊し、中の食べ物を貪りながら仕舞ってあった刀を物色している。
「そっちの異人さんも初めまして。一応あたしは見てたんだけど、あなたはそれどころじゃなかったでしょうしね。
背中の化け物が起きてれば紹介もしてくれたんでしょうけど、今はおねむの時間みたいだから自己紹介させてもらうわ」
トントンと肩に刀を当てながら、胸を張って名乗る少女は―――
「あたしは長州藩藩士十本刀が1人、通称刀狩の”七瀬”よ。以後よろしく異人さん?」
「Shut-up!!」
即座にリサは腰の拳銃を抜き放ち、一発を見舞わんとするが―――
「よっと」
おもむろに七瀬は持っていた短刀をリサに向けると、柄の部分を強く押し込む。
と、なんと刀身の部分が勢いよく発射され、リサの右手を浅く切り裂いた。
「Shit...!」
はずみで拳銃を取りこぼすリサ。一方、七瀬はつまらなそうに。
「うーん、便利なことは便利なんだけどやっぱ精度が問題ね。一発こっきりだし、ここは直させなくっちゃ」
柄だけになった短刀を手の中で弄びながら呟く。
「あなた……それは!?」
「武器商人はあなただけじゃないのよリサ・ヴィクセン。金が動けばどうとでも動くのが商人(あきんど)
それには東の国も北の国も無い。あたしたちにだって色々仕入れる得意先はあるのよ?」
「……………………」
リサの攻撃手段が無くなったのを確認して、七瀬は続ける。
「それにしてもツイてるわね……刀匠柏木楓に用事があって来てみれば。
釣り上げたのはなんとまぁ逃亡中の裏切り者『人斬り観鈴』。これはあたしにも運が回ってきたってものかしら?」
小首をかしげなが心底嬉しそうに呟く。
「……裏切ったのはどちらかしら?」
気圧されせず、リサも負けじと言い返す。
「そっちよ。何があろうと、誰であろうと、裏切ったのはそっち。悪いのはそっち。正しいのはこっち。世の中そういうものじゃないの?」
「反吐が出るわね」
「ならその反吐が世の中の常なのよ」
にやけた笑みを浮かべながら、巨怪な剣をスラリと抜き放つ。
「まあお喋りはいいわ。とりあえず柏木楓意外に用事はないんだし、そっちのお2人には死んでいただきましょう。
……者ども、来なさい!」
「!」
七瀬が呼ぶ。と同時にどこに隠れていたのか、数人の武装した武士が現れた。
私用だったせいか七瀬直属の手の者しかいないようだが、今のリサらを切り刻むには充分すぎる戦力。
(……リサさん)
そんなリサに、楓が囁く。
(ここは私が何とか食い止めます。観鈴さんを連れて、この場を離れてください。
彼女は私に用があるようですし、殺されることはないでしょう)
(そんな……あいつにまともな理屈が通ると思うの? 第一あなたを置いていけるわけがないじゃない!?)
(そんなことを言っている場合では……っ!)
「チェストォォ――――――ッ!!」
そんなことを話す間にも時間は流れる。
リサの後ろにいた1人の武士が、斬りかかってきた。
A 楓が攻撃を止め、その隙にリサが逃げる。
B 楓を置いてはいけない。リサの金的一閃。
C 「………ふぁぁ、よく寝た」
主役の目覚めにはまだ早い。
Bだ!
長州派なのに「チェストォー」ですか
さすが商人、七瀬は人脈が広そうだな
きっと彼は薩摩出身なんですよ。
(訳:気にするな)
リサが足を後ろに蹴り上げる。
そこにあったのは……名も無き武士の男としての急所。
ぐぎょっ……と嫌な音がし、武士の一人がその場にのた打ち回る。
これは痛い。琉球空手でもやってなければ耐えることは出来ないだろう。
直ぐにリサは取りこぼした拳銃を拾う。
「Shit……! 壊れてるわ」
「リサさん?」
「私に……尻尾巻いて逃げろと? 冗談がきついわね、楓さん。
伊達に京都で武器商人はやってないわ。ある程度武術の心得はあるつもりよ?」
フフッと笑うリサ。
そんなリサに楓はふぅ……とため息をついた。
「仕方ない人ですね。あなたも……」
「あら? それはあなたも同じでしょう?」
「かもしれません」
楓は一振り、日本刀を取り出す。
正眼に構え、七瀬のほうを向く。
「あら? あなたも剣の心得が? 大人しく刀だけ作っていれば良いのにね」
「……一つ聞いておきましょう。どうしてあなたは私の刀を求めるのですか?」
「天下に聞こえた刀匠柏木楓の刀が欲しい。武士としては当然の望みじゃない?
それに……風の噂で聞いたのよ。あんたが刀匠を辞めようとしてるとか、呪いでもう長くは無いとか……」
「答えになっていません。私が聞きたいのは、あなたが何の為に私の刀を振るうのかです」
「人を殺す為に決まってるじゃない。刀なんて所詮は殺戮の道具、それ以外に用途があるとでも?」
「…………よく分かりました」
楓がぽつりと言う。
そして、少しずつ……静かに、楓の中から怒りが沸きあがってくる。
人の命を軽く見る発言、それは楓が最も嫌うもの。それを七瀬は軽々と言ってのけたのだ。
「あなたには意地でも刀を打ちません。そして……命の重さ、味わってもらいます!」
「ふぅん……ま、いいわ。そこのお二人さんを斬り捨てれば考えが変わるかもしれないし」
七瀬が再び刀を構える。
楓は冷静にこちらの戦力を分析した。
リサは……格闘術の心得はあるみたいだが、所詮は丸腰。刀相手にはどうしても不利。
観鈴は深い眠りについている。起こそうとしても起きそうにも無い。それに怪我をしている。
そして自分……。
(全力で戦えるのはどれぐらいでしょう。二分か、それとも一分か……)
呪いで蝕まれている刀傷がちくりと痛む。
それでも……やるだけ、やるしかない。
次の瞬間、七瀬の私兵が襲い掛かる。
リサは距離を取りつつ隙をつく作戦に出て、楓は刀は応戦する作戦に出る。
「Hu!」
抜刀直後の隙を突き、一気に距離を詰めて拳を当てるリサ。
それで武士の一人が倒れる。
相手が自分の間合いに入るのを待ち、一気に居合いの構えから峰で胴を打つ楓。
それで、また一人倒れる。
そんな二人の様子を見て……七瀬がくすりと笑った。
「へえ、結構強いじゃない二人とも。ちょっとだけ見くびってたわ」
「私は死んでもあなたに刀は打ちません。ですから……大人しく帰ったらどうですか?」
「悪いけど出来ない相談ね。そこの裏切り者は見つけ次第斬るように言われてるし。
それに……そんな台詞は絶体絶命のあんた達がいう台詞じゃないわ」
にやりと七瀬が笑みを浮かべた。
周りは七瀬の私兵で完全に包囲。人数の差がありすぎる。
加えてこちらは一人は丸腰、一人は呪い持ち。
状況は楓たちが圧倒的に不利なのには違いなかった。
(リサさん……)
(What?)
(一か八か……頭を狙いましょう。助かるには……それしかないです)
(OK。私もそう思っていたところ……それで、どちらが戦う?)
(それは……)
A リサさんは観鈴さんをお願いします。その間に私が何とかしますから
B 私が雑魚を食い止めます。ですからリサさんは七瀬さんを倒してください
C 「わたしがやる」といつの間にか観鈴が目を覚ましていた
B
a
(私が雑魚を引き受けます。ですからリサさんは七瀬さんを倒してください)
(OK。わかったわ)
楓の言葉にリサが小さく首肯する。
(すいません…私では“断頸乙女(たちくびのおとめ)”を相手にできませんので…)
(タチクビノオトメ?)
(…人にあらざる者を斬る事に特化した刀です。昔、私が)
「おしゃべりはそれぐらいにしたら!?こないんならこっちから行くわよ!」
怒号一閃。
七瀬の叫びが辺りに響き渡ると同時に、側近の武士達が一斉に切り込んできた。
数は四。
(…後はこの場を生き延びれたらお話しします!)
最後に楓がそう呟き、二人は即座に敵のいない方向である真右に跳んだ。
そして刹那、楓が反復横跳びでもするように再度左に跳び、
最も反応が遅かった武士の喉を刀の峰で叩く。
「げはっ!……」
すぐにその武士は崩れ落ちた。
「おのれっ、小娘が…!」
残りの三人の刀の切っ先全てが楓に向けられた。
(観鈴。しばらくここでじっとしててね…)
七瀬の側近達の殺気が全て楓に向けられたのを認めると、
リサは手近な大木の幹に観鈴を寄りかからせそう囁いた。
もちろん返事はない。
(私が、護るから)
リサは観鈴の懐で佇んでいた短刀──聖のものだ──を拝借すると、
庵の前でこちらを愉悦の表情を浮かべて見ながら、
巨剣・断頸乙女をまるで棒きれのように弄んでいた七瀬に視線を向けた。
「私の相手は貴女?リサさん」
「Yes ご不満かしら?」
「いいえ、楽しめそうね」
フッ、と二人が同時に笑い──
A リサが先に仕掛けた。
B 七瀬が先に仕掛けた。
C 二人同時に仕掛けた。
C
Bでやってみよう
「Ha!」「破ッ!」
リサと七瀬。仕掛けたのは二人同時。
お互いの相手目掛けて跳躍し、接触寸前で得物を振るう。
──チッ
接触と同時に、双方今度は元居た場所まで跳び退く。
微かな深紅の筋が一本、宙空に舞った。
「くっ!」
七瀬が舌打ちをしながら、遠ざかるリサを見据える。
その瞳の近くを、紅い雫が伝っていた。
(powerはあちらに分があるけど、speedは僅かにこっちが上ね…)
一方、大木の手前に着地し体勢を整えたリサの身体には傷は見当たらない。
七瀬の断頸乙女の初撃はリサを完全に捉えるには至らず、
リサの被害は、僅かに服の右腕部分が裂けただけにとどまった。
「想像以上ね。正直、貴女を見くびっていたわ」
ペロリ…と口元まで滴ってきた己の血を舐め、七瀬が再び愉悦の表情を浮かべる。
「Hu…そのまま油断し続けてくれれば助かったのに」
「それはお生憎様。私はそんな緩い人間じゃないわよ」
(…とは言え、この短刀じゃ余程巧くやらないと彼女は倒せないわね…。
さて、どうしたものか……)
リサが短刀を握る手に力を込め、腰を落とす。
自分より格上の相手を倒す術を考える。
狙うは──
A 塵も積もれば山となる。スピードを活かして小技の連打。
B 一撃必殺。相手の隙を見つけて一撃に賭ける。
C 敵の攻撃力低下を謀り、四肢──特に利き腕を集中攻撃。
B
(おそらくこの短刀は本来投擲用。幾度とは使えない。なら――――)
リサは短刀を逆手に持ち帰ると重心を落とす。
攻撃力防御力共に圧倒的な差がある以上、スピードで勝る己が狙えるのは急所への一撃必殺。
一撃で死亡、ないし戦闘不能状態まで追い込まねばいずれ叩き斬られるのみ。
「……………………」
「ほらほらボーッとしてる暇ァないわよ! せぇぇ…………りゃ――――ッ!!」
叫び声と共に、七瀬は巨怪肉厚、もはや剣か剣以外の何物かもわからないような
その断頸乙女を大上段に振りかざし、遠心力と重力の加速を乗せて叩き込んでくる。
「ッ!」
瞬間的に横に飛ぶリサ。大地を震わす衝撃と砂埃の後、現れたのは刀身を半分以上地面に減り込ませた大刀。
(CHANCE――!)
短刀を持ち替え、その隙を狙わんとするが―――
「甘―――イィッ!!!!」
七瀬は地面に減り込んだ切っ先などまるで気にしないかのように、地面ごと断頸乙女を横に薙ぎ払った。
(なんてPOWER……)
空気を撫で斬る音と共に鉄塊が頭上スレスレを通りすぎる。
しかしまだ七瀬の攻撃は終わらない。振りぬいた勢いそのままに一回転+捻りを加え、再び大上段から振り下ろしてきた。
「さァどうしたのかしら異人さん! ちょっと本気を出したら防戦一方!? あんまりあたしを失望させないでねェッ!!!」
「……楽しみは後にとっておくものよ」
口は軽いが心は重い。小さな短刀での一撃を狙う以上、攻撃はわずかなズレも許されない。
しかし七瀬は初太刀とまるで変わらぬ勢いで大刀を振り続けている。
あれの動きを止め、接触し、なおかつ寸分違わず急所への一撃を成功させなければならない―――
(SCHOOLでもこんなにHARDな格闘戦の攻略は教えてくれなかったわね……)
烈風の如く断頸乙女を振り回す七瀬に一歩、リサは近づいた。
(さて、まずは動きを止めなきゃならないんだけど……)
A 目潰しを狙う
B 脚部への攻撃
C 単純そうだし挑発してみる
D その時、楓の方から悲鳴が
d
これって本当に七瀬か?
ま、いいか……
「きゃあああああっっっ!!!」
楓の悲鳴、振り返ると三人の武士に押さえつけられ、首筋に刃を当てられた楓がいた。
「……形勢逆転ね、次にわたしが言いたいこと、あなたなら分かるでしょ?」
「shit…………」
「リサさん、私に構わずに七瀬さんを抑えてください。七瀬さんはわたしの殺害が目的じゃありません」
「駄目よ、確かにあなたの刀は欲しいけど。今はそれより厄介な問題が転がっているもの………『人斬り観鈴』そいつの始末の方が先よ」
「…………」
カラン、リサの手から短刀がこぼれ、七瀬によって部屋の隅に弾かれる。
「そうね…………大人しくその観鈴を引き渡して貰えないかしら?
あなたにも相応の事情があると思うけどそいつを命を懸けて庇う必要なんてあなたにはないでしょ?」
「何だったら、貴女と楓さんの命は保障するわ、この七瀬留美の名に賭けても私にあなたたちを殺す理由なんてないもの」
だが、リサの首は横に振られた。
「……………あなたには分からないのよ、彼女がどれだけ苦しんだのか」
リサの返答に、やれやれという顔を七瀬はする。
「私にも分からないわ、商売人のあなたがこの取引に全く不合理な結論を出している理由が」
そして、動けないリサ・楓をよそに観鈴の足元に近づいた七瀬の大刀が振り下ろされる…
A 「ミスズッ!」振り下ろされた刀が観鈴を庇ったリサの腹を深々とえぐった。
B 「観鈴さんっ!」兵の制止を振り払った楓が観鈴を庇い、七瀬の凶刃に命の火を消した
C ………無常にも七瀬の一振りは観鈴の首と胴を切り離した。
D 七瀬の一太刀が空を切る、間一髪で観鈴復活
D
c
もう観鈴復活させるのか・・・
──ズズゥ…………ン
大きく、重く、鈍い音が響く。
七瀬の渾身の力が込められた断頸乙女の一撃が観鈴を一刀両断に……しなかった。
いや、正確に言えばできなかった。
もっと正確に言えば、斬るべき対象であるはずの観鈴がいなかった。
その代わりに、断頸乙女は先程よりも深々と大地を裂いている。
「えっ!?」
七瀬は慌てて断頸乙女を引き抜き辺りをぐるりと見回す。
だが、そこにいるのは楓とリサと己の部下達だけ。観鈴の姿は無い。
「観鈴ッ!何処に消えたの!?」
「にはは、ここだよ」
「なっ…!」
狼狽える七瀬の頭上に、観鈴のなんとも暢気な声が降ってきた。
気を失っている七瀬の部下数名を除く、その場にいた者全てが声のした場所に目を向けた。
果たして、観鈴はそこにいた。
つい先刻まで自分が寄りかかって眠っていた大木の、一番太い枝の上で微笑んでいた。
その手には、淡い金色の光を放つ木刀が握られている。
「「観鈴(さん)!!」」
「にはは。リサさん、楓さん。お待たせ」
笑顔のまま観鈴はそう二人に語り掛ける。
と、
「ぐわっ!!」
「ぬおぅっ!!」
「ぎゃあぁっ!!」
「なッ……えぇっ!?」
次の瞬間にはもう観鈴はそこにはいなかった。
そしてすぐに、七瀬の背後から部下達の悲鳴。
七瀬が振り向いた時には既に部下は全員地に伏しており、
その中心で楓に手を貸す観鈴の姿があった。
「見え……なかった。全く……跳ぶ瞬間すら……」
歴戦の猛者である七瀬も、味方であるリサ達も、ただただ呆然とするばかり。
「七瀬さん、ひさしぶり。にははっ」
──違う。と、七瀬は感じていた。
同じ“十本刀”として刀をの向きを揃えていたべていた頃と、
その笑顔も、その速さも、同じ様に見え、しかし、まるで異質なものだと感じた。
「手加減なしでいくね。七瀬さん」
観鈴が木刀を正眼に構える。
ピシ、という音と共に木刀は皹が入り、金色の光が輝きを増した。
それを見て楓は気付いた。
観鈴の新たな力、それの目覚めが近い事を。
神尾観鈴、対、七瀬留美。
その戦いの初手は──
A 観鈴が縮地で速攻をかけた。
B 七瀬が断頸乙女を振りかざした。
B
Bでいってみよー
本日の教訓。
修正はきちんとしましょうorz
>同じ“十本刀”として刀をの向きを揃えていたべていた頃と、
何を食べてたのww
この前は「弓矢が刺さった」ってのもあったな。
弓が刺さったら恐いっすよ。
おもしろいからいいんだけど
「な……なッ!」
わなわなと、腕を震わすのは七瀬。
「なんだかしらないけど……ねッ!」
震えを押さえこむように断頸乙女を振りかぶる。
「裏切り者”人斬り”観鈴ッ! あんたは……あたしが、殺す!」
そのまま地を蹴り、一直線に観鈴へと迫る。
相当の重量にも関わらず、その動きは存外速い。
「おおおおおおおおおおッ!!!!」
「リサさん、楓さん、下がってて」
その勢いを見た観鈴は、油断できないと悟り2人を下がらせる。
「行くよ……!」
こちらも輝く木刀を握りなおし、構えを取る。
「せぇぇぇ…………りゃあッ!!!!」
大上段から力任せの一撃。防御すらまるで意味をなさない一閃が観鈴の脳天へと迫る。
ズズゥゥ…………ン…………
地響きを伴う強烈な一撃。しかし直前観鈴は飛びのき、一撃は地面を抉るに終わった。
しかし……
「ワンパターン……なのよッ!!」
わかっているかのように、七瀬はそのまま再度力任せに振り向きざまの一撃。
しかし予想通り、己の背後に立っていた観鈴に向け横薙ぎを繰り出した。
「っ!」
観鈴はあえてこれをかわさず、木刀を縦に、両手を沿え受け止める。
「馬鹿めッ! そんな木っ端で!」
「観鈴ッ!」
ガキィィィィィィィィィィィィン!!!
「なッ!?」
強烈な衝撃と音。響き渡ったが果たして木っ端は鉄塊には負けず、その形を保ったままだった。
防御の姿勢のまま観鈴がおおよそ数メートル地面を後ろに跳ね飛ばされたが、変わらぬ笑顔。
「にははは……けど、ちょっと腕がジンジンする……」
「なっ、馬鹿な……これは一体……」
理解を超えた現象に驚愕する七瀬。しかしすぐに構えを整えると。
「”人斬り”観鈴……どういうつもり!?」
「には?」
構えは崩さぬまま、観鈴を怒鳴りつけた。
「今更そんな木刀を持ち出して……本気で来なさい! 本気で!」
「観鈴ちん、本気だよ? さっきから、ずっと本気」
「なら”人斬り”があたしの部下も殺さず、真剣も持ち出さずあたしと戦う! 馬鹿にするのも大概にしなさい!」
「馬鹿になんかしてないよ。これがわたしの新しい武器。わたしは、これからこれで戦う!」
「阿呆らしいッ! 人斬りが……なにを戯言をッ!」
「……もう、わたし、人斬りはやめる。もう、人は殺さない」
「…………チッ!」
半ば予想していた答え。だがそれを実際耳にして、七瀬は唾を吐き捨てる。
「なにを今更なことを! まさか伝説の人斬りが改心したとでも吐(ぬ)かすの!? 罪を償うことにしたとでも吐かすの!?」
「……………………」
「馬鹿な。阿呆な! 修羅の道に生きるものは、戦いの果てに死ぬのが宿命なのよ! それを今更日の当たる場所に帰ろうだなんて、虫がいいにも程があるわッ!」
「それでも! それでも……わたしは、わたしはもう人は殺さない。罪は赦されない。過去は変わらない。
けど、けどそれでもわたしはこれから生きる。罪を償うなんていわない。けど、1人でも多くの人を助けたい!」
「それが偽善臭いっつってんのよ! あんたは悪だ! 確実な悪だ! あたしたちなんかよりよっぽどドス黒い悪だ!
あたしたちは大儀のために殺してきた! それでなくとも自分のために殺してきた!
あんたはなんだ!? 自分のためですらない! 金のために殺してきた!
志もなく殺してきた! なんの意味もなく殺してきた! 何も残さない殺しをしてきた!
そんな人斬りが今更人を救う!? 寝言は寝てか死んでから言いなさい!」
「……………………」
A 言い返す
B もう何も言わない
C 脇から楓やリサが口を挟んできた
B
B
B
>>708 最初「並べて」って、後から「揃えて」に変え…損ねた結果ですorz
717 :
sage:2005/11/03(木) 23:57:04 ID:7AYcLC1g0
観鈴は何も言わずに剣を構える。
「言い返せないか…観鈴」
私は少しずつ軸をずらす。向かうは一点。
「(人を助ける…?あんたは誰も救えやしない。それを今証明してあげる!)」
一歩、一歩…着いた…
「いくわ…貴方が人を救えるというなら救ってみなさい!」
気合と共に私は断頸乙女を観鈴目掛けて投げつける。
…ここは観鈴とリサが直線状に並ぶ所、回避すればリサに直撃する。
うなりをあげ飛ぶ断頸乙女、
「…っ!」
だが、敵もさるもの、剣を振り上げ、断頸乙女を真上に弾き飛ばす。
「(さすがね、観鈴…でも私の武器は…)剣だけじゃない!」
一点を目掛けて突進。観鈴は体勢を崩している!
「おおおぉぉぉっ!」
一撃!…そして振りぬく!私の拳は観鈴の頬を捉える。
「あぅ!」
数メートルは吹き飛ばされる観鈴。断頸乙女は落下を始めている
「もう一度言うわ、観鈴。あんたは誰も救えない。」
跳躍!空中で断頸乙女を受け止める。
「神尾観鈴…あんたの全てを否定してやる!」
狙いはリサ。はるか上空から…
「チェストーーーーー!!!」
絶望の一撃が降り注ぐ!観鈴は倒れて動けない!
A 一撃!リサに渾身の一撃が
B 楓がリサを突き飛ばした
C リサの回避!…間に合うか…?
「…………」
観鈴はもう何も言い返さなかった。
なぜなら、七瀬の言うことはすべて正しかったから。
罪は事実。過去も真実。それでもなお生きていたい、殺さずに生きていたいというのは身勝手以外のなにものでもない。
それは、まったく、その通りだったから。
「どうしたの!? 何も言い返さない!? なら……死になさい! 今のアンタは、見るに耐えない!」
激情に任せ、七瀬は断頸乙女を振りかざして再度観鈴に襲い掛かる。
しかし大降りの一撃が今の観鈴を捉えられるはずもなく、地面を切り裂くのみ。
そしてその間に、パーンと綺麗な音と共に脳天への強烈な衝撃。
「が……っ……」
のけぞる七瀬。その背後には木刀を振りぬいたままの観鈴の姿。
「はは……は……」
割れた額からツッ―――と鮮血が流れ落ちる。
「さすがね人斬り観鈴……あなたが本気なら、今のであたしは死んでいた」
「……………………」
「ああそうだったかしら? あなたは今のが本気だったのかしら? まあどうでも……いいけどねッ!」
少々血が流れたぐらいでは七瀬にとってダメージではない。
変わらぬ膂力で、断頸乙女を振り回す。
「死になさい……この、人斬りがッ!!」
しかしやはり刃は空を切るのみ。大振りの隙に、今度は鳩尾に観鈴の突きが刺さる。
「おぶ……ッ……」
強烈な嘔吐感に顔をしかめ、その場に蹲る。
耐え切れず、ゴホッ、ゴホッと咳き込みながら胃の中身を吐き出す。
観鈴は、黙ってそれを見ていた。
「ははは……は……」
収まった激痛。膝を突きながら、七瀬は立ち上がる。
「いい気分でしょうねェ人斬り観鈴? 新しい力を得た。祝福してくれる友を得た。
新しい、素晴らしい目標も得た。そして、その敵であるあたしをこうして見下している!
いい気分でしょうねぇ! 殺さずに相手が屈服している姿を眺めるのは! 『殺していない』だけで気分はいいでしょうねぇ!」
気合新たに、断頸乙女を構える。
うぁ…すみません…みなさん…
遅れ
よけろナッパ
C
>>717 ちなみに七瀬の原作での一人称は「あたし」な。
ていうか直前でもそうだったし。
「死ね!」
上空から七瀬の一撃が降り注ぐ。
狙いは真下のリサ。狙いは過たず。このタイミングなら逃げられない。
多少動いたところで、断頸乙女の長さを持ってすれば充分致命傷を与えられる。
が―――
「!?」
いきなり七瀬の、その視界の右半分が闇に覆われた。
そしてその上、なんとリサが左へ、つまり七瀬から見て右側へと一歩、移動してしまった。
(な……え!? こんな……時にッ!!)
しかし今は空中でしかも落下中。何が起きたのか確かめる術もなければ、攻撃を止めることもできない。
「くそ……くそぉぉぉぉぉぉぉッ!!!!」
全精力を込めた最大の一撃。渾身の力を込め、七瀬は暗闇の中へ一刀を振り下ろした。
ズズゥゥゥ…………ン…………
隕石でも落下したような強烈な地響き、否、地震と言ってもいいぐらいの衝撃があたりを震わす。
七瀬が抉ったのは……地面。
はらりはらりと、リサの金髪が舞い落ちてくる。
「……危なかったわ」
遅れてやってくる激痛。
七瀬は自分の顔に手を当て、右目から何かが生えていることに気づいた。
「これは……キサマッ!」
右目を押しつぶし、眼窟にそびえているのは、短刀。
先ほどリサが観鈴から借り受けた、聖の短刀だ。
「この……おぉオォーーーーーーーーッ!!!」
大刀を抜き、再びリサに襲い掛かるがもう遅い。
振り上げたところを後ろから観鈴の木刀一閃。断頸乙女の刀身は木っ端微塵に砕け散った。
さらにそのまま、下から抉りこむような切り上げ。過たず、七瀬の鳩尾を抉った。
「ゴボ……ッ……!」
見事に空中に跳ね上げられ、数メートル空を飛んで背中から落ちる七瀬。
口から泡を吹いているが、まだ気は失っていない。
土を掻きながら、再度起き上がる。
「七瀬さん、もう帰って」
構えは解かぬまま、観鈴が言う。
「もう勝負はついた。わたしは、七瀬さんであっても殺したくない。もう、帰って。
そして、長州の人たちにもうわたしに関わらないと」
「人を馬鹿にするのも大概にすることね人斬り観鈴!」
観鈴の言葉を遮り、怒鳴りつける。
「こんな目に遭わされて……はいそうですかとあたしが帰られるわけないでしょう!」
「っ…………」
その気迫には微塵の衰えもない。七瀬は、本気だ。
――――その時。
「あの……お姉、ちゃん?」
「!」
七瀬の後ろから声。
振り返ってみれば、金髪針金ヘッドの1人の町娘。
「初音! どうしてここに!?」
楓が叫ぶ。
「あ、えと……お仕事大変かなって、体の調子大丈夫かなって、様子見に来たんだけど……」
目の前の凄惨な光景についていけないのか、ぽつりぽつりと言葉をつむぐ初音。
七瀬の目が、光った。
「! だめ七瀬さん!」
「五月蝿い!」
縮地。七瀬に一撃を見舞わんと一刀を繰り出した観鈴だが、七瀬の執念が上回ったのか僅かに間に合わなかった。
七瀬は右目の短刀を抜くと動けない初音を羽交い絞めにし、その首に突きつける。
「動くな!」
そして一喝。
「…人斬り観鈴以外、動くな」
今度は静かな慟哭。
「な、七瀬さん……」
「さあ人斬り観鈴! この娘を助けたい!? その血にまみれた剣で、人を助けたい!?」
湧き上がる情動を押さえ込みながら、口ぶりは冷静に続ける。
「ならあたしを殺しなさい! 後ろに転がってる剣を手に取り、あたしを殺しなさい! 一撃で首を刎ねてみなさい!
あなたなら簡単なことでしょう!」
言いながらさらにグッと短刀を押し込む。
「お、お姉ちゃん……」
「さあどうしたの!? 早くしないとこの子は死ぬわよ。助けられず、目の前で死ぬわよ!? あたしに、無残にも殺されてしまうわよ!?
あたしを殺さないと、この子は死ぬのよ!」
「あ……うっ……」
手の中には、一振りの木刀。
これでは、一撃の元、完全に気絶させねば、確実に初音は首を裂かれる。
「……………」
観鈴の選択は……
A 不殺の誓は破らない。木刀で一撃気絶を狙う。
B 初音の命を救うため。刀を手に取り首を刎ねる。
C 短刀をつかみ取る。
D 逡巡した。
おつかれー。初音登場きたー!
しかしリサはなにやってもいいんかい(笑
選択は
A
で。
A
hayasugi
七瀬元気だなぁ
逡巡する間も危険だ。
観鈴は瞬間的に判断すると、背後の刀は無視して縮地。
初音の命を守るため。そして、七瀬の命も守るため。
かつてないほどの速度を引き出し、一直線に七瀬へと迫った。
「馬鹿めッ! そうそういいトコ取りなんて――――」
神速の一撃が七瀬への眉間へ迫る。
直撃すれば、脳は踊り間違いなく一瞬で意識は空へ飛ぶだろう。
だが……
「――――できやしないのよッ! この『人斬り』がッ!」
七瀬はグッと短刀に力を込め、初音の首を……
A 切り裂いた
B 観鈴の一撃が間に合った
Aとか
観鈴の姿が消える。当然、彼女がこういう選択をするであろうことはわかっていた
「(観鈴、いい事を教えてあげる。人斬りとして強いこと。
それはね、ただ強いだけじゃ得られない)」
自分を一撃で気絶させる。となれば狙いも狭まる。
「(人斬りととして強いということはね、
周りの全てを利用できるということ)…こういうふうにねぇ!!」
初音を抑えていた手を持ちあげる。そう、刃が丁度七瀬の眉間に来るように。
「っ!!」
一瞬、故に軌道修正は出来ない。
観鈴の木刀は七瀬の拳ごと。刃の柄を打ち抜いた。
「…あ…」
地面に倒れる二人…初音の首には短刀が深く刺さっていた。
そう、七瀬の眉間を貫くほどに。
「あたしの…かちね…」
七瀬から、そして初音からも力が抜ける
「あ…ああ…」
A 「み、観鈴」リサさんがなにか言っている…
B 「初音、初音」楓さんが初音さんに駆け寄った
C 笑い声が聞こえる…私は…
Aで
「み、観鈴…」
眼前で起きた──自分が起こした出来事のあまりの結果に、
ぺたんと力無く大地に膝をつく観鈴に、リサが声をかける。
「リサさ……」
「いやあぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
錆び付いたからくり人形のようにゆっくりと首を回し、
その呼び掛けに答えようとしていた観鈴を、
凄まじいばかりの楓の叫びが封じ込めた。
「初音!初音!初音ぇっ!!!」
おぼつかない足取りで駆け寄った楓は初音の上体を抱きかかえると、ひたすらその名を呼び続けた。
初音の口からカヒュ…、カヒュ…というか細すぎる吐息と、
それを全て塗り潰さんが程の血液の奔流が吐き出される。
初音の胸に微かな鼓動はある。
だが、それは今にも消えてしまいそうな程に弱く、儚い。
「観鈴………」
「わ、わたし、助けようと思って……でも殺しちゃ駄目だって……」
「みす……?観鈴!?」
不意に、リサが何かに気付いた。
「観鈴、見て!あなたの木刀!」
「え…?」
言われて、観鈴は握りしめたままの、しかし力無く大地に突いた木刀を見遣る。
すると、木刀はさながら今にも孵化せんとする雛鳥の卵の様にピシピシと皹が入り、
その隙間から金色の光が更に激しく漏れ出し───
──パキィィィィィン!
それは、生まれた。
観鈴の今の心の有り様を写した、光り輝く逆刃刀。
鍔には小さな鳥の翼の装飾が、柄には鈴の絵の紋があしらわれ、
金とも金剛石とも判らぬ材質で出来た刀身は、観鈴達の見守る中で更に強く光り輝き───
或る奇跡を起こした。
A 観鈴の背中に黄金色の双翼が現れた。
B 金色の光が辺りに広がり、その場にいる者全ての傷を癒した。
C 刀が晴子(or白皇)の声で語り掛けてきた(要選択
C で白皇
七瀬はこのままライバルって欲しいのでB
はっきり言って選択覆ってるな
c晴子
C で早漏。何とか言え
A
cハクオロ
ウィツの力よ
C
支援板の顔色見て選択肢だけあとから書き直すのって正直どうよ?
コピペが連投規制に引っ掛かっても3分もかかるものかねぇ
みんなはえーな
Cなら悔いはない
>>745 いやいや!当方携帯なんで支援板自体見れませんから!
選択肢が遅れたのは全く別の理由です。
>>748 あらかじめメモ帳とかに書いて貼ったなら普通は
誤字見つけて修正しても1分もあればレス出来るだろ?
先に序盤だけ書いて、様子見ながら続き書いていいんだったら
これからはそうやって時間稼いで先手取る作戦もOKになるよな
あとこのスレいつから合議制になったのさ
>>749 早打ちかっこいい
自分にもあれぐらいの技があれば…
>>749 携帯なら遅れていいのか
これから他人を押さえて書くには友好な戦術だね
とりあえず餅搗け。
疑うだけなら簡単だが荒れを立て直すのは大変だ。
愚痴・文句は支援板で
携帯であれパソであれ、3分なら充分待てるのでキニスルナ!
支援板は最近圧力団体みたいな様相呈してるから
>>750 言ってることは間違ってないがこの場合は言い掛かりに近いな
>>737の選択はIDをみるに携帯からの書き込みだが、携帯のテキストメモはウィンドウズのそれほど便利ではないのも多いんだ
ちなみに俺の機種だと、改行そのものができなかったりする上に文字数に限りもある
第一、3分くらいじゃ支援板のレスもたいした数は期待できまいて
>>759 見られてること前提でファッキンとか言ってるよりは
圧力かけられてるってのを前提に、的外れの煽りかまして詫びもせずに
外部の非難しているあんたほどひどいのもそうそういないと思うが
>>762 相手するのやめとけ。これ以上はお互い泥沼だ。
うい。
選択スレの次回作にご期待ください
刀身から現れた人物。
それはとても懐かしい人物。
あの旅籠で死んでしまった人。
わたしが旅に出たきっかけの人。
そう……白皇さんだ。
「ゲームオーバーだ、観鈴」
その白皇さんに告げられる。
その時、わたしは仮想世界から現実世界に引き戻された。
プシュー
「が、がお、せっかくいいところまで進んだのに」
わたしはゲーム用ポッドから起きて伸びをした。
「なんや、今度はどこら辺で死んだんや」
側のベンチで座っていたお母さんに話しかけられる。
「今回は死ななかったんだよ、だけどね、不殺シナリオで人を殺しちゃった、が、がお」
ここは『うたわれランド』という遊園地。
わたしは大人気のバーチャルリアルマシン『大江戸大冒険〜葉鍵の野望〜』をプレイしていたんだ。
もうすっごくリアルでさっきまで本当に人殺しをしていたみたいだよ。
「それは残念やなぁ、ところでウチの出番はどうやった?お殿様に色っぽく迫ってうっはうはやったか?」
「え、えーと、………ないしょ、にははっ」
また遊びたいな。
今度は不殺シナリオで全面クリアしたいな………
わたしはそんな未練を残しつつ、おかあさんと一緒にうたわれランドを後にした。
Fin
A 終了、次の話へ
B こんなエンド認めるか!この話はリコールだ
B
B
いきなりそりゃねーぜw
その場が光に包まれる。
いや、本当はそんなことなかったのかもしれない。
けれども、観鈴にはそう思えた。
(あれ……どうしたんだろう?)
観鈴の疑問に答えるものは誰もいない。
ただ、どこまでも白く、夢とも現実ともつかない世界が観鈴の前に広がっていた。
やがて、向こうから一人、歩いてくる影がある。
暫くして、その影が見覚えのある人物であることに気付いた。
(白皇さん……)
一年前に出会った登臼来藩藩主。
そして、全ての始まりとなった人。
「観鈴」
白皇の声がはっきりと、観鈴に聞こえる。
「どうした、浮かぬ顔をして」
「わたし……また、またやっちゃったんだよ」
「また、とは?」
「もう誰も殺さないって、リサさんと約束したのに」
「償えばいいではないか」
「無理だよ……。わたしは人を殺しすぎたの、誰にも許してもらえないよ」
観鈴の言葉に、白皇がふぅっと息をつきながら、答えた。
「私も人を沢山殺した」
「…………」
「別におかしな話ではないだろう? 私とて藩主である以前に武士だ」
「でも、わたしの場合は……」
「変わらんよ。私は民のために人を斬り、君は生活のために人を斬った。
同じ人斬り。やっていることに何の違いがある?」
「でも……」
「…………観鈴」
白皇がもう一度観鈴の名を呼ぶ。
今度は先ほどよりもはっきりとした口調で。
「私は民のために人を斬った。そのことに対し後悔はしていない。
だから私は他人に怨まれようが憎まれようが全て受け入れられる。
だが観鈴。君は違うといいたいのだろう?
悪いと思っているのなら、償え。自分の考えられる限りの償いをしろ。
後悔しているなら己の生き方を変えて見せろ。
赦されないなどといった心配は死んでからでも間に合う。いや、赦されるなどと思うな。
罪として全てを受け入れろ。自分のしてしまった行為を全てだ」
「で、でも!!」
「それが出来なければ……君の居場所はどこにもない。
この世に居ても、あの世に居ても、永遠に後悔し続けることになるだろう……恨みの声を聞きながら」
その言葉が、白皇の最後の言葉となった。
その瞬間に世界が割れる。急速に音と色彩を取り戻していく。
(待って、白皇さん! 待ってよ……!!)
観鈴の声にならない叫びとは裏腹に、白皇の姿はどんどん小さくなっていく。
そして……今度は逆に、その場が黒く黒く変わっていった。
「……ず! 観鈴!!」
「え……」
観鈴が目覚めた先に居たのはリサだった。
どうやら気絶してしまっていたらしい。
辺りを良く見回す。
そこには、眉間を貫かれて物言わぬ骸となった七瀬、
喉を貫かれた初音、そして……その亡骸を抱きしめている初音の姿。
自分の手に握られた、先が粉々に割れている木刀。
だんだん、何が起こったのか思い出せてくる。
そう、自分は初音と七瀬を……結果的に斬ったことになるのだ。
「あ、あぁ……!!」
頭を抱えて蹲る。
落ち着いた頭にどっと降ってくるのは、拭いようの無い後悔。
「落ち着いて観鈴。とにかく、落ち着くのよ」
「リサ……さん……わたし……」
「いいから、今は何も考えないで。心を落ち着かせて……OK?」
「うぅ……」
リサの優しい言葉が却って辛い。
何を言われようが自分は楓の妹である初音を、殺した。
もう人を斬らないと約束した矢先に。
(覚えておけ神尾観鈴! あんただって人殺しなんだ!)
しのぶの言葉が頭に響く。
所詮人斬りは人斬り。十字架のようにそんな言葉が観鈴にのしかかる。
楓の方をまともに見ることが出来ない。
自分はどんな顔して楓に顔を合わせればいいというのだろう。
「わたしは……初音ちゃんを……」
「……落ち着きなさい観鈴。あれは事故、あなたに非はない……」
「違う! あれも間違いなくわたしの所為なの!!
駄目、なんだよ……。罪は償えない、白皇さんの言うとおりになんて出来ないよ。
人斬りは……やっぱり所詮人斬りなんだよ。わたしのやることなんて、所詮は偽善なんだよ……」
観鈴の瞳から、涙が零れ落ちる。
目の前のどうしようもない現実に対する、悔し涙だった。
そして……
A 観鈴はその場で暫く泣き続けた
B リサが口を開いた
C 気付くと、楓が観鈴の前に立っていた
C
あ、ミスってました。
> 喉を貫かれた初音、そして……その亡骸を抱きしめている初音の姿。
喉を貫かれた初音、そして……その亡骸を抱きしめている楓の姿。
で。
一体どういう状態よそれって。
「……観鈴さん」
「楓ちゃん……」
気がつくと、観鈴の目の前に楓が立っていた。
その胸に初音の亡骸を抱き、流れ出た血で2人とも真っ赤に染まっている。
「あの、楓ちゃ」
何と声をかけたらいいのかわからないが、無視することもできない。
観鈴は、ひとまず名前を……
ドゴッ!
呼びかけた観鈴の顔面を、楓が蹴りつけた。
「ちょ!」
「黙っていてください!」
リサの非難の声も封殺する。
「ごめん……ごめん楓ちゃん……」
観鈴は倒れたまま必死になって楓への謝罪の言葉を漏らしている。
楓はその場にしゃがみこむと、そんな観鈴の髪の毛を掴み、起き上がらせる。
「観鈴さん……あなた、今なにを考えていたんですか?」
「ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい……」
「答えてください! 答えろ神尾観鈴ッ!!」
かつてないほどの大声で、楓が怒鳴る。
ビクッと一瞬、観鈴はもちろんリサすら体を強ばらせる。
「ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい楓ちゃん初音ちゃん……
もう、もう二度と剣は持たないから、もう二度と誰も傷つけないから……
もう誰も傷つけないように、もうわたし、死んで詫び……」
『死』
その言葉を聴いた瞬間、楓の瞳に激怒の炎が宿った。
「ふざ……けるな! この人斬りッ!」
全力の膝蹴りを観鈴の腹に叩き込む。
「ぶぇ、げぉ…! ご、ごめんなさい、ごめんなさい……許してなんていえないけど……」
「あのですね観鈴さん」
楓は観鈴の胸倉を掴みながら続ける
「あなたは、私があなたが初音を殺したことを責めてるとお思いですか? だったらそれは大きな間違いですよ」
内に秘める激情を押さえ込んでいるような、震えた声で楓は続ける。
「そもそも私は初音はあなたに殺されたなんて思っていません。
あれは事故。いえ、譲っても七瀬さんの所為。根本的には、私が招いたことです」
「え……?」
「私が怒ったのはですね、あなたがまた人斬りになろうとしたからですよ?」
「わたしにはわからないよ……わたしは元から人斬り。今だって人斬り……」
「違うッ! あなたは今、本当に人斬りになろうとしたッ! なろうとしているッ!!」
秘めた激情を吐き出すように怒鳴りつける。
「いいですか! いいか神尾観鈴! 今あなたが死んだら、あなたは本当に人斬りのまま死ぬことになる!
そうしたら、初音は、本当に、野良犬のような、狂犬のような、理想も信念も志も持たない『人斬り観鈴』に殺されたことになる!
意味もなく! なにもなく! ただ殺された! ただ死んだ!」
観鈴の顔を掴む。爪を立てる。その瞳を覗き込む。
「いいですか……? 私は初音が大好きだったんですよ。私のすぐ下の妹。可愛い妹。
誰にでも優しくて、私にもひどく懐いていて、こういう性格でどちらかというと人と話しをすることは苦手な私にも
ちっとも気にすることもなく他の誰ともまったく同じように擦り寄ってくる。すごく可愛かったんですよ。
わかりますか! ねェッ!!? あなたにわかりますか? 神尾観鈴!!」
「はい……はい……」
「黙れ! 巫山戯るな人斬りが! 人斬りが私の気持ちがわかるだと!? 戯言を抜かすのも大概にしろ!」
「ごめんなさい……ごめんなさい……」
「そんな私の妹を意味もなく死なせたいんですか……? 初音はいったい何のために産まれてきたんですか……?」
「……………………」
「いいですか。あなたが死ぬのは許しません。あなたが死ぬというのなら、その前に私が殺します。
いや……駄目ですね。これではいけません。そうですね……じゃあこんなのはどうでしょう。
”あなたが死ぬなら、私も死にましょう”」
「!」
「だってそうでしょう? 自分の所為で妹を殺しておいて、その後どんな面下げて生きろっていうんですか?
ねえ、観鈴さん?」
「……………………」
「観鈴さん、わかりませんか? あなたが、何をすべきか」
「けど……けど……!」
わかりたくないよ! もうわかりたくないよ!
「そんなの、偽善だよ! そんなの、屁理屈だよ! わたしだけ生きていていい理由になんてならないよ!」
「あなたはッ!」
再度絶叫する。
「まだ善行を為す気でいたんですか!? それこそ傲慢だ! 巫山戯るな!
いいですか? あなたは罪人なんです。罪もない人々を何人も、ただ金のために殺し続けた人斬り。
それがあなたなんですよ。わかってるんですか?」
「はい……はい……」
「そうだ! もうあなたの罪は赦されるものではない! あなたの過去は変わらない! あなたは一生十字架を背負い続ける!」
「はい! はい!」
「あなたのすることは全て偽善だ! 偽りの善だ! ただの自己満足だ! 誰からも感謝されることはない! 感謝されてはならない!」
「はい! はい!」
「ならばその偽善を貫き通せ! 助けた相手に唾を吐きかけられ、助ける相手に過去をなじられ、
助けた相手に刃を向けられ、そして助ける相手に傷つけられようとも! 殺されようとも!
たった一人でも! 闇の中をさ迷い歩くことになろうとも! 底なしの絶望に打ちひしがれようとも!
誰から裏切られようとも、騙されようとも!
その偽善を貫け! 最期の時まで! 最期の1人まで!
騙されるのがお前の罰だ! 裏切られるのがお前の罰だ! 傷つけられるのがお前の罰だ!
一生魂の平穏など訪れない! 一生赦されることなどない!
それでも、生き続けて、苦しみ続けて、血を吐き続けて、偽善を通すのがあなたの使命だ!」
「でも……わたしは……」
「死ぬことなんて許さない。諦めることなんて許さない。剣を捨てることなんて許さない。
あなたはこれから一生人々のために、偽りの善のために剣を振るい続ける。その心と体と命と引き換えに」
「……………………」
A 「しばらく考えさせてほしい……」
B 「埋葬、わたしにも手伝わせて……」
C 「でも、やっぱりわたしは……」
D もう一度だけ、剣を握ってみる。
D
「わたし、もう一度だけ剣を握ってみます……」
長い長い沈黙の後で、ようやく観鈴はその言葉を搾り出した。
それは擦り切れそうなほど小さい声だったけど、明確な決意の色を伴って二人の心にはっきりと伝わった。
楓は胸倉を掴んでいた手を離して立ち上がり、そのまま己の目尻に残っていた涙を拭う。
「他人を守るということは、自分だけが生き残ることより遥かに大変です」
「はい」
「殺さずに人を制するということは、殺してでも止めることとは比較にならないほど困難だ」
「はい」
「失敗は絶対に許されない。だけどあなたは確実に今日のような失敗を積み重ねていくことになる」
「はい……でも、それでもやっぱりわたしは」
「あなたは弱い。あらゆる意味でもっと強くなる必要があるし、それでもきっと全てを守るだけの力に届くことはない。
けど、それでもこの偽善の道を歩み貫き通すというのなら私は……ごほッ、ごほッ!」
そこで激しく咳き込む楓。口元を覆った左手には、べっとりと赤黒い血が付着している。
「見ての通り、私はもう長くありません」
発作がひとしきり落ち着いた後で、淡々と言葉が紡ぎなおされる。
うっすらとした笑みを浮かべて、ただ眼光だけには烈火の如き激しさと、氷刃のような鋭さを同居させて。
その独白に相槌を打つものはいなかったが、楓は気にした風でもなく、
数歩先にある、手から滑り落ち地に突き刺さっていた観鈴の刀を右手で引き抜いた。
「これはあなたの心に呼応して生まれた、あなたが握るべき剣の雛形。
この心打つ眩さは、あなたが犯して来た罪からは冗談にしか思えない。
けれど私はこの輝きを信じます。この刀を鍛えます。全てを賭して、全てを込めて。
全てを護る力のための、最初の一糧となるように。先の無い私が、死の先で願いを叶えるために」
「これから工房に篭ります。明朝取りにきてください」
そう言い残して楓はこの場から歩き去った。
「わたし、頑張ります」
A.リサとの会話
B.お墓、作ってあげないと
C.そして次の朝、槌を打つ音が消えた
B
さく…さく…
太陽の光が二人を照らす。空は雲ひとつ無い青空だった。
ざく…ざく…
ただ無言で二人で穴を掘る。少し、間を空けて二つ。
ザク…ザク…
ほどなくできあがる、ただ、大きい深い穴。
「観鈴、これでいい?」
「うん……」
観鈴は歩く、木の根元で横たわる初音のもとへ。
「んっ…」
軽い、そしてどこまでも、冷たかった。
初音の身体を穴の底へゆっくりと下ろす。
「初音さん…」
初音の顔は今にも泣き出しそうな悲しみの顔のまま。
最後に救いを求めようとした手は広げられたまま。
「……」
今まで使っていた刀、その刀身を引き抜く。
「?…観鈴、なにを!」
剣を逆手に、自分の髪へあて、一気に引く。
かつてそうしたように長い髪はバサリと音を立て観鈴の手に収まった。
「初音さん…私は逃げない、戦うよ、わたしの身体が、心がある限り」
そのまま髪を初音の傍に…
…初音の顔は悲しみの表情のまま、それは自分を拒絶しているようで…
「…ごめんね」
ゆっくりと、置いた。
土を被せ、手を合わす。
安らかに、等と言えるわけが無い。ただ、自分の誓いを伝えるために。
……
もう一つの穴の中、観鈴はゆっくりと七瀬を地面に下ろす
七瀬の顔は凄絶な笑顔を浮かべたまま、まさに勝利者として笑っていた。
「七瀬さん…」
十本刀として一緒に戦ったことは無いけれど、それでもかつての仲間…
不殺をどこまでも否定した彼女。たとえ、それが自分の命を奪うとしても。
「……」
今まで使っていた無名の愛刀、「人斬り観鈴」としての愛刀、それを七瀬の傍に置く。
「(七瀬さん、わたし、戦うよ。人斬りとしての過去も、何もかもを受け入れて。
だから、これを渡すね。それは、わたしの一部だったから。七瀬さんもこれからは一緒。
憑いて。私にしがみついて。私の過去として。
わたしの傍で、私の生をみていてほしい…)」
七瀬の顔は凄絶な笑みを浮かべたまま。
心折れず、戦い抜くなど不可能だと嘲笑の笑みを浮かべているようで…
「それでも、やるよ。わたしは、わたしの闘いを。」
土を被せ、ただ誓いを伝える。
二つの墓の前、
二人を抱いた時に付いた血が、
すっ、と観鈴の左目から頬へ流れた。
A リサと会話
B 次の朝、全ての音が止まった。
A
「ねえ……リサさん」
「What?」
「今日まで私……多くの人を殺めてきたけど……今まで一度も、亡くなった人を
葬ったことは無かった」
観鈴は墓の方を向いたまま、淡々と語り始めた。
「私が殺した人は、生きてる間は倒すべき『標的』で、死んだ後は単なる『結果記録』
としか思っていなかった。……それって、自分以外の他の人を人間だと思ってなかった
ってことだよね……」
「観鈴……」
「他人をモノとしか見られない私が、人間であるわけがないよね。
昨夜、山の中で亡霊さんたちとお話しして、自分の愛する人が殺される悲しみや
怒りを解ったつもりだったけど……結局は、どこかで他人事だった……それを経験
したのが私自身じゃなかったから……」
観鈴の視線の先は、観鈴が必死に救おうとして、叶わなかった、二人の少女の
安らかに眠る処。
「二人を弔うことで、決意を固めるつもりだった。許されない過去と一緒に、心の
中に仕舞い込んで、振り返らずに進むつもりだった。でも……でも……」
観鈴の声に涙が混じる。
「二人とも、もう会えないと思うと……もう、この世にいないんだと思うと……。
胸がポカンとして……体がもぎ取られたような気分になって……取り返しの
つかないような気分になって……無性に素手で土を掘り返したいと……でも無駄だと
……こんな痛み、感じたことはなかった……」
「観鈴……」
リサは観鈴を抱き寄せる。観鈴は顔をくちゃくちゃの皺だらけにして、咽び泣いた。
「人が死ぬのって……こんなに悲しいんだよね……胸が破れそうになるくらい……
悲しいことなんだよね……あぁああ……うぅああぁあぁああ……あぁあぁああ……
おぉをおおわぅあああああああ……」
「観鈴……倒れちゃ駄目……持ちこたえて……」
生まれて初めて、人の死のために流した涙と嗚咽。
このとき初めて、観鈴は、人間になった。
A.翌朝。遂に刀が出来た。しかし楓は――
B.視点変更。長州藩の動静。
Aで。
Bにするとなんか余計な設定だけが先行しそうな気がする。
往人「往人と」
そら『そらの』
「『おもしろ幕末講座!』」
SE「いやっほーぅ!幕末最高ー!」
往人「おとなのよい子のみんなこんにちは。司会の往人お兄さんだ」
そら『助手のそらだよ』
往人「さて、第六回は幻の刀工、柏木楓についてお話しよう」
往人「江戸中期の太平の世になると、武士道の廃頽につれて刀工の技量は大きく低下した。
特に、元禄頃から華美柔弱の風調に合わせて、装飾品としての豪壮で煌びやかな刀が流行する」
そら『この頃の刀は、あまり実用的じゃなかったんだね』
往人「ところが、幕末の文政頃になると、尊皇攘夷の声が高く、世上は物情騒然となってくる。
そんな武家思想の変動とともに鍛刀界にも大転換が行われた」
そら『ダイテンカン?』
往人「そう、言うなれば、温故知新。正宗など、昔の刀の鍛法を復活させたんだ」
そら『マサムネならぼくも聞いたことあるよ』
往人「そんな幕末期の刀工に柏木派の初代、柏木耕平がいた。
彼の作る刀は、無骨ながらも『曲がらず、折れず、よく切れる』とされ、
多くの幕末志士たちに愛用された」
そら『まさに戦闘用の刀なんだね』
往人「その柏木派の中でも稀代の刀工と言われるのが、三代目の柏木楓だ」
そら『え、なんで?』
往人「現存数こそ、さほど多くは無いが、とにかく『よく斬れた』らしい。
その斬れ味は鬼神のごとし。
刃先に止まった蜻蛉が真っ二つに裂けて落ちたという伝説もあるくらいだ」
そら『へぇーー、そんなにすごい腕なのに、どうして数が少ないのかな?』
往人「どうやら、早くに亡くなったたらしい。
死因については諸説様々で、依頼人に斬り殺されたとか、世を儚んで自刃したとか言われている。
中には、剣の斬れを追求するあまり禁忌の外法に手を染め、その呪いで死んだなんて話もある」
そら『うわぁ、それは怖いね』
往人「まぁ、それだけスゴイ腕だったんだろうな。
あと、とても気位の高い人で、自分が気に入った相手じゃないと刀を打たなかったらしい」
そら『とっても気難しい人だったんだね』
往人「さぁ、どうだろうな。
これは俺の想像だが、彼女は自分の創る刀が殺戮の道具であることに罪を感じていたのかもしれないな。
晩年は、一人山奥の庵に住み、人々を生かす刀を打とうとしていたと伝えられている。
ちなみに柏木派の特徴は、茎に『鬼』の銘を入れる事。
これは、初代柏木耕平が自らを鬼の子孫だと自称していたからだと伝えられている。
また、それを受けて柏木派特有の刃文を『鬼神楽』と呼ぶ。
柏木派の刀剣は現代でも高値で取引されるので、心当たりのある人は要チェックだ!」
翌朝、観鈴とリサは再び楓の庵を訪ねた。
その刀は、床の間の八幡大菩薩と書かれた軸の前に供えてあった。
刃長はおよそ二尺四寸(約72.8cm)、反りが華表反りでおよそ六分(約1.8cm)。
小杢目肌はあくまでも良く詰み、緩みや疵気が一切ない。
優美な『鬼神楽』の刃文が観る者の視線を魅了する。
そして、何より特徴的なのが、本来刃があるべきところが峰になっている事である。
−−−逆刃刀
それはリサが依頼したものではあるが、
『力こそ全ての時代に、全てを守る力を』という楓の願いであったのかもしれない。
これほどの業物を一日で打ち上げるのだから、さすがは霊匠柏木楓である。
しかし、その楓は
A 疲れて死んだように眠っていた。刀に手紙が添えてある。
B 血溜りの中で倒れていた。まだ、息はあるようだ。
C 自分の胸を刺して死んでいた。刀に遺書が添えられている。
C
楓は自分の胸を刺して死んでいた。刀に遺書が添えられていた。
観鈴は、遺書を手に取り、恐る恐る中をのぞいた。
『観鈴さんへ。
恐らく、邪刀が刀を完成させまいと、邪魔をして来ているのでしょう。
私に刻まれた呪を通じて、私を乗っ取り、刀を破壊しようとしてきました。
何度となく、危うい状況になりかけましたが、何とか刀を完成させることは出来ました。
ですが、貴方に生きて会えることは出来ないでしょう。朝まで持ちそうにありません。
私が私であるうちに全ての後始末を着けようと思います。
貴方が悔いる事はありません。 これは、私のけじめなのだから。
最後にお願いがあります。この刀に、貴方が相応しい銘を付けてあげて下さい』
「楓さん…あなたも戦ったんだね…」
その文章は呪いの影響か、簡潔かつ短い文章にもかかわらず、非常に乱れていた。
刻一刻と己の意識が乗っ取られていく中、呪いと戦いながら最後の意志を紙に刻み込んでゆく楓の姿が
映るかのようだった。
「うん…分かった…付けてあげる。 この刀の銘は──」
A 楓
B 鬼切丸
C 空
D 全然駄目、俺が付ける ※銘を付けて下さい
C
「……『空(そら)』」
「空……?」
「うん。楓さんが……空の向こうで、ずっと見ていてくれそうな気がするから」
観鈴はそう言って、空を腰に提げる。
それからぐっと涙を拭いて、リサに笑顔を向けた。
「ね、リサさん。楓さんは……初音さんのお隣にいさせてあげよう」
「……そうね。きっと楓もそうすれば喜ぶかもね」
「うん……」
雨月山に、墓標がまた一つ増える。
観鈴もリサも、墓を作る間はただ無言だった。
だが最後に楓の墓前に花を添えた後、リサがそれまでの沈黙を破るかのように話し出す。
「……楓は、自分を責め続けてたのね」
「うん?」
「観鈴が山に篭っている間に、少しだけ楓と話したの。
楓は昔、斬れる刀だけを追及し……それを悔いていたみたいだったわ」
「…………」
「そして禁忌の外法に手を出した、そう言っていたわ。
鬼の怨念を篭めた刀を打った。そう言ってたのを覚えてる。
ここからは私の推測だけど……きっと楓は、やってしまったのね。
刀工の柏木派は鬼の子孫を名乗っていた。そして、楓は鬼の怨念を篭める為に……」
「まさか、楓さんは……!?」
「確証は無いけど、多分そういうことなんじゃないかしら。
そう考えれば、楓が命の大切さを説いてたのもなんとなく分かる。
あなたに刀を打ったのも、どこか自分とあなたを重ねていたのかもね……」
観鈴が楓の墓標を見る。
もちろん、答えを返してくれるわけはない。
ただただ、墓は朝日を浴びて黙り続けるだけだった。
A リサとまだ話を続ける
B そろそろ帰ろう……
B
「……帰りましょう。観鈴」
2人で墓標に手を合わせていると、やがてリサが口を開いた。
「今夜、京都へ再び侵入するわ。御所にいる栗原透子を迎えに行く」
「……………………」
観鈴は黙祷・合掌したまま黙ってそれを聞いている。
「彼女は訳あって各方面から命を狙われている。
御所にいる間は大丈夫でしょうけど……一歩外に出たら間違いなく命を狙われる。
私たちの手で彼女を守りきらなければならない。
それには観鈴、あなたの力が必要」
「……………………」
「あなたがこれからどうするかはあなた次第。
ただ、これがその一歩目となる。私にも、あなたにも、彼女を守りきらねば未来はない」
静かに、語りかける。
「…………リサさん」
やがて、観鈴も目を閉じたまま、口を開いた。
「……なに?」
「その人を……どこまで連れていけばいいの?」
「それは……」
A 長崎までよ
B 江戸までよ
C 堺までよ
D ひとまず京都の外まで。そこから先はまた指令が来る
D
「ひとまず京都の外まで。……できれば、私の秘密倉庫まで連れ出すわ。
そうすればまた次の目的地が告げられる手はずになっている」
「そう……どちらにしろ、京都の中を往復するんだね」
「そうね。今回の第一ハードルはそこよ。
武装した志士が山ほどいる京都の町からいかにして生還するか。
私とあなたと、そしてもちろん件のお姫さまを連れて、ね」
「……………………」
「街中や志士に関してはあなたの方が詳しいでしょう。
時間も方法もあなたに任せるわ。観鈴、どうする?」
「……………………」
A このまま日が高いうちに京都に入る
B いったん倉庫に戻り、夜を待って侵入する
A
「明るいうちに京都に入ってそのお姫さまと合流しよう。
とりあえず、明るいうちに街中で襲い掛かってくる人はいないと思うし」
「まあ……妥当なところね。ただ……今から向かうと着くころにちょうど日没になるわね。
帰りが少し危険ではあるけれど……」
「大丈夫だよ。闇に紛れてならそれはそれで脱出もしやすいと思うし。
もし襲われても、その時のためにわたしがいるんだから」
自信満々に観鈴は言った。
「……あなたがそう言うなら私が拒否する理由はないわ。
わかった。明るいうちに入京しましょう」
「うん」
頷きあった後、軽く準備を整え、庵を後にする2人。
後に残されたのは寄り添った墓標が2つ。少し離れた場所に1つ。
観鈴は庵から少し離れた場所で、もう一度振り向くと、3つの墓標に向かい
「……行ってきます。見ていてください」
合掌し、一礼。
そしてもう二度と、振り向くことはなかった。
かくして京都への道を歩き出した2人だったが……
A 何事もなく市内に入れた
B 道中、十本刀と遭遇した(※要指名)
C 道中、長州ではない者に襲撃された(※指名可能)
Aで
「……なんとか無事に入れたわね」
「うん」
日が大分傾いたころ、リサと観鈴は無事京都市内にたどり着いた。
家路に着く人も多いが、まだまだ京の町は賑やかだ。
「さあ、それじゃあ急ぎましょう。ここから先は私が……」
「にはは。ちょっと待ってリサさん」
案内をしようと先にたって歩き出したリサ。その服の裾を引っ張り、観鈴はリサを止めた。
「……どうしたの?」
「お客さん」
「え?」
リサは気づいた。
表面的にはいつもの笑顔。だが、観鈴の内部から闘気が立ち上っていることを。
”スイッチ”が入れば、即座に戦闘に移れる体勢になってることを。
「ど、どうし…」
「あれ」
疑問の声を観鈴が指をさして遮る。
人差し指の向こうにいるのは……
「……久しぶりね、観鈴」
「にはは。杏さんお久しぶり」
十本刀筆頭、藤林杏。
道の真ん中に仁王立ち。観鈴を睨みつけている。
「………………」
抜きこそしないもののリサも右手を下げ、いつでも拳銃を手に取れる体勢に移る。
観鈴は一歩、抜刀できる体勢を保ったまま、前に進み出た。
「どうしたの杏さん、何かご用?」
「そうね……」
僅かに俯くと、杏は……
A 「死んでもらう!」と叫び、日中の街中にも関わらず襲ってきた。
B 「話があるわ。その辺の店に入りましょう」観鈴に店を選ぶよう言ってきた。
C 「一言忠告しておくわ……」と観鈴らに一言告げていった。
B
「話があるわ。その辺の店でお話しましょう」
まるで再会した旧友に話しかけるかのように、気軽に話しかけてきた。
「こっちが連れてくって行っても不安でしょうし、あなたで適当に店は選んでいいわよ。
お題は私が払ったげる」
「………どういうつもり?」
まったく警戒は解かずに、リサが言う。
「いやねえ、元仲間に出会ったんだもの。旧交を温めるくらいしてもよくない?」
「ふざけないで!」
「別にふざけてないし、あなたには話してない。観鈴、あなたはどうなの」
「……わかった」
抜刀の体勢を解きながら、観鈴は答えた。
「いいの? 観鈴。この子は……」
「大丈夫。もう大丈夫だから。リサさん、お仕事は時間は大丈夫?」
「え、ええ。極端に長くならなければ……」
「決まりね」
やり取りを見ていた杏がわずかに笑みを漏らす。
「じゃ、店を選びなさい。あんまり高いところはやめてね」
「……注文は? しないの」
「する気にもならないわね」
「わたし、お腹空いてない」
「奢るって言ってるのに……もったいないわね。じゃあ勝手に頼ませてもらうわよ……」
結局一行は近くの小料理屋の座敷に席を取った。
入る時、もちろん中の様子を伺ったが藩士が潜んでいる様子はない。
何人か客の入りはあるが、いずれも一般人だ。
「そんなことより、話があるならさっさとしなさい」
「そんなに慌てないでよ異人さん」
「こちらはこちらでやることがあるの。慌てさせてもらうわよ小娘さん」
「せっかちねぇ」
剣呑としたやり取りを続けるリサと杏。
その脇で、観鈴はにははと笑っている。
「けど杏さん、戦いに来たわけじゃないみたいだけど……本当に何のようなの?」
「…………」
A 結局杏はのらりくらりと時間を稼ぎ続けた
B 「今すぐ京都を出て行きなさい」
C 「人斬りをやめたってのは本当なの?」
B
「今すぐ京都を出て行きなさい」
「……には?」
出てきた料理をつまみながら、杏は言った。
「どういうこと?」
「今あなたにここにいられるとすごく困るの。
何の用事があってかは知らないけど、さっさと出てってほしいの」
「それは無理ね」
リサが即答する。
「どうして?」
「さっきから言ってるけど、私たちもここに用事があるの。
で、それは今日って決められててね。私もいい大人だから、約束を破るわけにはいかない」
「その用事って何なの? 誰か殺したり盗み出したりなら私たちが代わりにやってあげていいわよ」
「……随分と優しいのね。一度は自分の仲間を粛清しようとしたのに」
「……………………」
そこで少し箸を少し休めて。
「今私たちはね、あなたたちなんてどうでもいいぐらいすごい大きな仕事を抱えてるの。
あなたたちに京都に入られて、迂闊に邪魔でもされるとすごく面倒くさいの。
追い出すためなら今までのことは水に流していい。殺した仲間のこともまあ大目にみるわ。
だから、京都を出て行って。お願い」
「……………………」
「にはは、杏さん。仲直りしてくれるのはありがたいんだけど……」
その時……
『火事だー!』
「!?」
突如、外から悲鳴が聞こえてきた。
「火事……?」
「あらあら。大変ねぇ」
驚くリサと観鈴。にわかにざわめく店内。尻目に、杏は平然と食事を続ける。
「今日はだいぶ風も出てるし……これは下手をすると大火になるわねぇ」
外を眺めながら、他人事のように呟く。
「まさか……あなたが!?」
「さあ、それはどうかしら? とにかく、話は考えてもらえる?
出て行けって言っても一生近づくなってわけじゃないわ。二、三日も離れててもらえば……」
『御所だ! 御所から火が出たぞー!』
外の喧騒はどんどん大きくなっていく。
そして、聞こえてきた『御所』の言葉。
「あらあらあら……これは全くもって大変ねぇ。よりにもよって御所から火が出るとは」
「…………観鈴」
「うん」
相変わらずの態度を崩さない杏を尻目に、リサと観鈴は頷きあう。
「……どうしたの? 呑んでもらえる?」
「そのまえに杏さん。一個教えてあげる」
「なに?」
「私たちの仕事よ」
「ああ、そうだったわね。さっきも言ったけど、私たちに出来ることなら、代わりにやってあげても……」
シュン―――と一筋の閃光が走る。
「!」
瞬間杏は身を翻した。一瞬前まで杏が座っていた座布団に観鈴の逆刃刀が食い込んでる。
「Sorry ミス・杏!」
「わたしたち、御所に用事があるの!」
呆然としている杏を尻目に、2人は店の外へと駆け出していった。
店の外。町の向こう側は既に赤く染まり、逃げ惑う人々でごったがえしている。
「チッ! よりにもよって! つくづくツイてないわね最近の私は!」
御所の方向に向かい、駆け出そうとしたところで後ろから杏の叫び声が聞こえてくる。
「交渉決裂! 殺しなさい!」
「!」
命令と同時に道の両脇からぞろぞろと出てくる武装した武士たち。
その先頭に立っているのは……
A 十本刀を1人指名。
盲剣のみさき
これって…A 皐月でいいの?
えっとB以降の選択肢はないのという意味です。
あれ、じゃあもしかしてAって入れてない自分の選択は無効?
なんかABCって選択肢ないから単に指名だけしたんだけど
何となくテンプレートとして頭にアルファベット割り振っただけなんで別に
※(人物指定)
だけと同義に捉えてもらって結構です。
というわけでこの場合>812の選択結果に従って十本刀はみさきちになります。
生き残り確定しているみさきが来たか。
「こんばんは。じゃないや、初めまして、だね」
にこ、と微笑む黒髪の少女は、色めき立つ武士達を、片手で制する。
この緊迫した空気に似合わぬ、自然体。赤い炎に煽られて長い髪が翻った。
「わたしは川名みさき。ちょっと恥ずかしいけど、十本刀・盲剣のみさき、なんて呼ばれることもあるよ」
「盲剣?」
言われてリサが気づく。この少女の瞳は、どこにも焦点があっていない。
「猛犬?」
観鈴は辺りを見回す。どこにもそれらしき猛犬は見当たらない。
「違う違う。犬なんかいないよ。わたし、目が見えないんだよ。でも剣は結構使えるの。それで、盲剣」
くすくすと笑うみさき。だがその一言で、目が見えなくともこちらの様子を把握していることが分かる。
反射的に、リサが拳銃に手を伸ばしかける。と、みさきは半歩引いて、身体を斜めにした。
――やはり、見えているに等しい。常人と同じか、あるいはそれ以上に。
「hu……あいにくと、急いでいるの。ここを通してもらえるかしら?」
「それは困るよ。あれから……一年前の、あの事件からずっとずっと探しつづけて、やっと探し当てたんだから」
一年前。といわれても、観鈴には心当たりが多すぎる。誰だろう、どれだろう、そう心を探るだけでも、胸が痛む。
過去に振るった斬撃が、全て観鈴の胸に返って斬りつけてくる。
だけどこんなもの、本当の痛みにはほど遠いはずだ。観鈴ちんは強い子だから、頑張って受け止めなきゃ。
「誰の……恨みなのかな」
みさきは少し、驚いたような顔をした。
「ああ、そうだね。わたしはずっとあなたのことを聞いて、知ったつもりになって追いかけていたけど、
あなたは全然わたしのことを知らないんだね。――あなたが殺したわたしの友達のことも」
淡々とした口調の中に、ほんの少し、怒りが揺らめく。
「わたしね。目が見えなかったから、普通に生きていくだけでも大変だった。
ううん。生きられないはずだった。ろくに働けもしない無駄飯ぐらい、家においとけないもんね。
本当だったら捨てられて、のたれ死んでいても、全然おかしくなかったよ。こんな時代だし。
そんなわたしを、雪ちゃんは救ってくれたんだよ。同じ年に生まれた、近所の子ってだけの理由で。
お金持ちの道楽よ、ってうそぶいていたけど、でもね、暖かい寝床と、綺麗な着物と、
なによりもお腹一杯になるほどのご飯を、雪ちゃんはわたしにくれた。
わたしが十二杯目のおかわりをそっと差し出すと、
『バカね、遠慮すること……いや、ちょっとはしなさいよね』って、笑いながらよそってくれた。
時々意地悪で、ちょっと汚い商売もして、世間では極悪人だなんてひどい噂も流れていたけど……
うん、それはちょっと本当だけど、でもわたしには、優しかった。
さっきも言ったけど、わたし目が見えないから、外に出られなくって、
あの雪ちゃんのお屋敷だけが、世界の全てだった。
狭いけど、暖かな世界。それだけで、十分だったんだよ」
みさきは、小さなため息を吐いた。
「もう、わかったよね。あなたが殺したのは『わたしの世界の全てだった、深山雪見』。
……まさか、名前も知らないとか?」
観鈴は首を振った。
「よかった。雪ちゃんの仇って言っても、誰のことだか分からないんじゃ、仇の打ちがいがないもんね。
うん。あなたにも言いたいことはあるよね。事情も少し聞いてるよ。
でもね、わたしにも言いたいこと、やりたいこと、そしてなによりも、理由があるんだ」
みさきはゆっくりと背中に背負った巨大な大判焼き――の形をした、盾を手に取った。
その裏に仕込まれた、短い槍を抜く。槍なのに、リーチがさほどないという、あまり見ない獲物。
「あなたを殺す、理由がね」
彼女を彩る笑顔は、今、ようやく本懐を果たせるという、憎悪から湧き出る至福の色。
とても、寂しい色。
その色は、ほんの少し前の観鈴に、悲しいほどよく似ていた。
それが耐えきれず、リサは無駄だと知りつつ、問いかける。
「その雪見さんは、あなたにこんなことをして欲しいと、願うような人だったのかしら」
「聞いてみて」
「え――?」
「雪ちゃんがどう思うか、聞いてみて。聞ける? 聞けないよね。だって雪ちゃんは死んじゃったんだもの。
声は聞けない。心も分からない。どんな顔をするかも。だから意味なんてないよ。そんな質問」
「意味がないというなら、あなたの行動も同じでしょう。仇を討ったって、誰も生き返りはしないわ」
「やだなぁ、当たり前だよ。だから人は、憎むしかないんだよ。
生き返るんなら、大切な人が殺されても憎む必要なんて、ないもんね。
でもそんなことは出来ないから……憎しみをぶつけるしかない。そうだよね?」
さすがのリサも、押し黙る。
所詮、彼女は誰を殺されたわけでもない。
自分の言っていることは、偽善的なごまかしであることを、よく知っている。
だからもう、なにも言えない。
「リサさん」
観鈴がリサの前に出る。
「観鈴……」
「御所へ、急いで。あの人が用があるの、わたしだけだから」
「でも、敵は彼女だけじゃないわ。あなた一人じゃ――」
「お願い」
「……分かったわ。でも、楓との約束……ちゃんと果たしなさいよ」
「うん。わかってる。にはは」
上手く笑えたかどうか自信はない、が、リサはともかく、身を翻した。
そして――。
A 「どうすれば、いいかな」と、問いかけた。
B 「……」無言で逆刃刀・『空』を抜いた。
C そのリサの背中に向けて、槍が飛んだ。
D 杏が率いる別働隊が、いつの間にか回り込んで、退路を断った。
A
リサが走り去る。一瞬、杏が迷いを見せたのをみさきは察し、
「杏さん、ここは任せてくれていいよ」
「でも、彼女は手練れよ。それもとんでもなくね」
「……そうかなぁ? そんな感じはしないよ。だいぶ、聞いてた印象と違うね。弱いよ、この人」
「姫百合さん達も、七瀬さんも、返り討ちにあったのよ。甘く見ないで」
「見ないでって言われても」
「あー、もうっ。じゃあ油断しないでっ」
「大丈夫。御所の方も、邪魔されちゃ困るんでしょ? でもこの人は別に、今すぐ殺さなくてもいいんだし」
「……わかったわ。お願い」
杏が駆け出し、武士達のうちの何人かが後に続く。
「余った人達は、逃げないように、囲んでおいてね」
武士達は言われて慌てて、遠巻きに観鈴を取り囲む。
人数が減ったから、逃げようと思えば、切り抜けられそうだ。
だけどそれは、答えを出したことにはならない。
炎が燻る音が聞こえる中、観鈴はぽつりと呟いた。
「どうすれば、いいかな」
「さぁ?」
相も変わらずの、人を食ったような返し。
「別にあなたがどうしたいかとか関係なしに、わたしはあなたを殺すけど」
「が、がお……」
とりつく島もない。
みさきは盾を前に、槍を脇に構える。独得の、前傾姿勢。
「抜かないの? 別にいいけど」
観鈴は――覚悟を決めた。
柄に手をかけ、鯉口を切り、ゆっくりと引き抜いた。
露わになった刀身は、燦然と光をはねかえした。だがその光も、盲目のみさきには届かない。
「……? 鞘に擦れる音が変だね。普通の刀じゃないの?」
「この刀はね、ある人が、命をかけて打ってくれた、わたしが偽善を貫き通すための、贖罪の刀。
刃が峰につけられた、逆刃刀――」
「ああ、なるほど」
みさきは笑った。
「偽善なんだ。ぴったりだね」
ぐ、とみさきの体重が、前にかかる。
「そして――今さらだねっ!」
縮地、とは違う。だがそれに匹敵する速度で、みさきが迫る。
見えないからこその思い切りの良さに、盾の重さすら加速度に加えて、一気に観鈴との間合いを詰める。
くわえて繰り出される槍の速度は、短く、軽いが故に、まさに神速。
あまりの早さに空気を破裂させるような音が、金属の擦れるいやな音が、観鈴の耳元で弾ける。
ギリギリの所で、逆刃刀が間に合った。
軌道を反らされた槍の穂先は、観鈴の側頭部を掠め、髪を何本か巻き込んでいた。
「さすが」
と言うが早いか、逆手の盾が、叩きつけられる。
受け止めてもさして意味のない、質量と硬度の塊が、観鈴の胸を打って吹き飛ばした。
一瞬息が詰まるところを、また槍が襲ってくる。ついで舌鋒が、
「なんでよけるの? やっぱり死にたくないの? そうだよね、誰だって、死にたくなんかないよね。
なのにあなたは奪ったんだ、たくさんの命を。ううん、一つでも十分……、
かけがえのない、たった一つの!」
かわしきれず、肩口が裂けた。血飛沫が舞い、よろめいて倒れた。
素早く反転して立ち上がったが、みさきはそれ以上追撃をしようとはしない。
血に濡れた穂先は、炎よりもなお赤く染まっている。
「なにそれ? この程度? 雪ちゃんも、こんなあっさり殺したの?
あはは。つまらないね。納得、できないよ。こんな、こんな、こんな……っ、
一年間、気が狂いそうになりながら、見えない目で放り出されて、乞食のまねごとをして、
そこらの人に身体を弄ばれながらっ、見える人よりも動けるように、雪ちゃんの仇を討てるように、
強くなりたい、強くならなくちゃと、ただそれだけを念じて、必死に生きてきた!
この一年間が、バカみたいだよっ! 神尾観鈴っ!」
慟哭の叫びが、観鈴の胸を貫いた。
見えない目から溢れる涙が、心を締め付けてきた。
だけど、なんだろう。不意に、観鈴はこう思った。
「あなたは……わたしに似てるかも知れない」
「……似てる?」
「うん……わたしは、白皇さんをしのぶさんに殺されて、その罪を被せられて、裏切られて、恨まれて、
殴られて、追われて、殺されそうになった! 散々ひどい目にあわされて、もうどうしようもなくなって、
あとは、あとは……もう殺すしかなかった! 殺さなきゃ、殺されるって所まで、私は追いつめられた!
そう、だから……わたしは殺したんだ。一番の、原因の、深山雪見さんを……」
みさきはかぶりを振った。
「……わたしとは、全然違う」
「同じだよ。恨みの気持ちで人を殺そうって考えてるのが、おんなじ。だから、その気持ちは、凄く分かるよ」
「それならわたしも、あなたに復讐の権利があるってことだよね?」
「うん。でも、雪見さんは、わたしを殺そうとした」
「……?」
「だから、わたしも自分を守る」
「……自分がっ! かわいいだけじゃないっ!」
「違う!」
「違わないよっ!」
みさきが再び、槍を繰り出す。次いで盾との複合攻撃が襲ってくる。
観鈴はギリギリでそれをかわしながらも、叫ぶのをやめない。
「お母さんも殺された! わたしの罪の、とばっちりを受けて! 初音さんも楓さんも、巻き添えを喰った!
悲しいけど、寂しいけど、それは全部、わたしの罪なんだ。
例え最初の罪が、誰かから被せられたにしても、わたしはそれに耐え切れなかった」
「なら、死になよっ!」
みさきの回し蹴りが、観鈴の脚を払った。
だが、観鈴はそのまま後方に回転し、遅いかかってくる穂先をかわし、体勢を立て直す。
叩きつけられる盾を、今度は剣の腹でがっしりと受け止めた。
「できないっ! わたしの中には、殺した人の命が全部入っている!
その人達の、思いも、無念も、全部背負って、この命が力尽きるまで、生きて生きて生き抜いて――」
霊刀が、光を放つ。
「今度は誰かを幸せにしてみせる!」
A 逆刃刀は、みさきの盾を真っ二つにたち割った。
B 逆刃刀は、みさきの服を真っ二つにたち割った。
C 不意に銃声が、響いた。
D リサの悲鳴が、聞こえた。
A
ズゥン……と重い響きを立てて、真っ二つになった盾が、地面にめり込んだ。
逆刃刀は地面すれすれまで下ろされている。
そのまま一歩踏み込んで切り上げれば、峰に着いた刃は、容易くみさきを切り裂くだろう。
そしてみさきの手にした穂先は、観鈴の肩に突き立っている。
あと少し力を込めれば、ひびの入った鎖骨を抜けて、心の蔵にまで達する。
吹きだした血が、みさきの顔の半分を、赤く染めていた。
「どうしたの?」
みさきが問うた。
「多分、すぐに振り上げれば、鎖骨に引っかかっている分、わたしの攻撃の方が遅いと思うよ?」
「知ってる。でも、やらない」
「生きて償うんじゃなかったの?」
「人を殺したら、意味がないから。せめて少しずつでも、憎しみを断ち切っていかないと」
「……バカみたい」
みさきが手首を返した。
「うぁっ……!」
肉がえぐれ、激痛が観鈴を襲う。腹が足の裏で押され、地面に倒される。
「ホント……バカになったせいで、弱いんだね。信じられない」
みさきは槍を、逆手に持ち替えた。
「ちょっと、試させてね」
不意に膨れあがる殺意。観鈴はみさきの脚を払って、落ちてきた穂先をかろうじてかわす。
二回、三回と続けざまに繰り出される攻撃は、地面に転がってさけた。
回転の勢いを利して跳ね起き、僅かに距離を取る。
みさきはそれ以上追撃を加えず、首をひねっていた。
「……まぁいいかな。これくらいなら、多分」
観鈴は、わけがわからない。
「あ、あの……?」
「あのね、わたし、一年間苦しんだの」
わけがわからないが、観鈴はこくこく頷く。
「このくらいなら、弱くなってても、なんとか生き延びるくらいは出来そうだし。
だから、苦しんで。一年間。今日みたいに、傷ついて、責められて、悔やんで、泣いて叫んで。
そうしないと、とても気が済まないよ」
ぽかん、と間の抜けた顔になる観鈴。
「今日死ぬ方がいい? わたしはそれでもいいよ」
観鈴、慌てて首を振る。
「忘れないで。一年後、殺すから。ちゃんと連絡してね。しなかったら、殺すよ」
「……にはは。観鈴ちん、一年後に連絡するけど、殺されない」
「だめ、死んで。苦しんで、殺されて」
「……ごめんね。ダメだよ。でも、ありがとう」
「黙って。消えて。今すぐ殺したくなるから。目障り……じゃないや。えぇと、邪魔」
みさきが追い払うように手を振った。
観鈴が言われたとおりに消えようとして……刀を抜いた武士達に遮られる。
と、みさきは苛立ったように、
「はやくそれ、どかして。あのね、殺したいの。すっごく殺したいの。でも我慢してるの。邪魔しないで」
そうみさきに言われると、道を開けるしかない。
「絶対、絶対、連絡するからっ!」
そんな叫びを残して、観鈴は街路へと消えていった。
「……変な人」
あんたも大概だと思う。とは口に出せず、武士達はみさきに詰め寄った。
「みさき様、いいのですか!?」
「ああ、うん。殺すよ。でもさっきも言ったよね。今すぐ殺さなくちゃダメってわけじゃないって」
「ですが……」
「盾もなくなっちゃったし。新しいの、作ってもらわないと。あ、そこの人。割れたの持ってきてね。重いよ」
「しかしっ、あいつのために、幾人者同士がっ!」
「ああ、うん。あなた達が彼女を襲うのを止めないよ。そうすれば、彼女も苦しむだろうし。
頑張って、苦しめてきてね。殺されない程度に」
あまりにも淡々とした口調のせいで、彼女がなにを考えているのか分からない。
本当に殺す気があるのかないのか。苛立って、試したくなる。
「深山様の、仇ではなかったのですか?」
瞬間、空気が変わった。
「わたしは、彼女みたいに、殺さない誓いなんて立ててないよ?」
深い闇を湛えた瞳が、静かに、男を見る。飲み込まれそうな恐怖が、男の心胆を凍り付かせた。
「しっ、失礼しましたっ!」
「余計な御世話さんだよ」
すねたような口調は、いつものみさきと同じ調子に戻っていた。
不意にぽんと、いいことを思いついたと手を合わせて、
「それより、おなかすいちゃったよ。お兄さんのおごりでなにか食べに行こう」
「せ、拙者の、ですか!?」
ある意味、先ほどのよりもよほど恐ろしい提案だった。
「牛鍋屋さん、まだ空いてるかなぁ」
「いえ、この火事ですし、ああ、それにそうだ、杏様の手伝いに行かなくてはっ! よし、行くぞみんなっ!」
「おおっ!」
被害を食っては敵わぬと、慌てて皆駆け出す。
みさきは街路に取り残され、「……逃げられちゃったよ」と、呟いた。
しょうがないなぁ、と、一人で歩き出す。
――仇は討てなかった。いや、討たなかった。自分の選択が間違っていたかどうか、まだ分からない。
もしかしたら、観鈴は今日にでも討ち取られるかも知れない。そうなったら、自分は後悔するだろうか?
いや、観鈴はきっと一年後、自分に連絡を取ってくる。なぜだか、そう、確信できた。
その時にこそ、雪見の仇をとることが出来るだろうか。
「……さぁ、どうだろうね?」
空を見上げた。もうだいぶ暗くなった空は、炎の照り返しで、星も霞んでいる。――はずだ。
多分、黒と赤が入り混じって、地獄のような光景。
それを背景に、雪見が腕を組んで立っている姿が浮かんだ。不思議とよく似合っている。
「怒ってるかなぁ……雪ちゃん」
決まってる。絶対に怒ってる。そしてみさきを「なにやってるのっ」といじめるのだ。
だけどどんなに怒ってても、雪見はすぐに、みさきを許してくれた。
だから、今日もきっと――。
「あれ……? 変なの。死んだ人がなにを言うかなんて、分からないって言ったくせにね」
みさきは、たった一人でくすくすと、おかしそうに笑い続けた。
A そのころ、リサは――、
B 駆けだした、観鈴は――、
C 援軍をひきつれた杏は――、
D 透子「メガネ、メガネ」。
D
何やってんのトン子――!ww
1、しーちゃんがいなくなったので何かと大変
2、時紀にいたずらされているので何かと大変
3、実は死を呼ぶ花嫁継続中なので何かと大変
何となく書いてみたくなった
今は反省しているのでもちろんスルーで
「メガネ、メガネ」
「かわしまきょうじゅ」
時間は少々戻ってここは京都御所。
登臼来藩主、故白皇の側室にして、現・慶喜公の側室である栗原透子が諸大夫の間にある。
不可思議な銀色の鉄版を二つに開いて、それに向かって言葉をかけていた。
「ふえぇぇぇ……脳年齢が45歳からあがらないよ」
「透子、それは任○堂から献上された品か?
もうやめろといったはずだ」
「う、うん、智代さん、わかってるよ、ちょっとだけ」
「まったく、いくら御所にいるといっても、いつまでもそんなわけのわからないものを
触っているな。いつ敵か、迎えがやってくるかもしれないんだぞ」
その透子に侍するのは、坂上智代。女中兼、警護役である。
危険な状態に置かれている透子を守るため、緊張状態に置かれ続けていた。
「それで、いつになったらくるんだその異人は。いつまでも御所にいるわけにもいかない。
ただでさえ最近きなくさくなっているんだ」
「うん、だから少しでも頭の回転を良くしておこうかと」
そういってまた銀色の鉄板を開こうとする透子の頭をコツンとこづく。
「ふえぇぇ、痛いよ、智代さん」
「……わかっているのか、おまえは狙われているんだ。しゃっきっとしていろ。
なぜ狙われているのか、ちゃんと認識してくれ」
「い、一応してるよ。ええと」
A 妊娠しており、慶喜か白皇の子か誤解されているから
B 長州等が慶喜への切り札として狙っているから
C 長州のトップが透子に懸想しているから(懸想している人物を指定)
D 朝廷の密書を握っているから
A
「あ、あたしの赤ちゃんが白皇さまのか慶喜さまのかわからないから、狙われてるんだよね?
…………って、智代さん?」
透子の台詞を聞き終わらぬうちに、智代は頭を抱えてその場にへたり込んでしまった。
「…………透子」
「は、はいっ?」
俯いたまま、低い声で。
「……子どもが生まれるにはどのくらいの日数がかかる?」
「そ、それくらい、あたしだって」
知ってるよ、と続ける。
「え、えっと、十月十日……だよね」
「……………………」
正確に答えたはずなのに、なぜか智代はさらに沈んでしまう。
「どうして……こんな女が……ぶつぶつ……」
「ど、どうしちゃったの、かな?」
「……………………まあいい」
悩むことひとしきり。やがて顔をパンパンとはたいて気を取り直す。
「とにかくお前は他の連中に殺されたり捕らわれたりしなければそれでいい。これくらいはわかるな?」
「う、うん」
「ではもう一度言ってみろ」
「え、えっと、あたしは殺されたり捕らわれたりするな……」
「よし」
と智代が智代が頷いたところで
『禁門が……破られる!』
「!?」
ドーンという強烈な炸裂音。一拍遅れ、巨大な爆発音。
メキメキと木が崩れる音。とうとう門が、破られた。
「くっ! 状況は!?」
近くを走り回っていた武士を捕まえ智代が問いただす
「禁門が破られました! 中立売も押されています! 桑名兵は敗走! 現在会津及び新撰組が後退しながら防戦中!」
「薩摩はどうした!?」
「こちらに向かっているようですが、炎で進路が阻まれている模様! 到着には今しばらくの時間が!」
「っ……! 迎えは! 迎えはまだか! 迎えの異人とやらは!!」
「ふ、ふぇぇぇ……」
激昂する智代。その後ろでは透子が小さくなっておびえている。
「だ、大丈夫……かなぁ」
「お前は心配しているな。いざとなれば私が守る。それよりも早く準備をしておけ」
「じゅ、準備って……もう、だいたい終わってるよ。持ってくものなんてほとんどないし」
「ならば覚悟をしておけ」
一方迎えのリサは……
A 蛤御門(禁門)前で戦闘に巻き込まれていた。
B 回り込んで何とか御所内に侵入できた。
C 十本刀の1人(要指名)に追い詰められていた。
C 飛翔のユンナ
何年ぶりだよ>ユンナ
ユンナって誰だ?
NightWriterに登場する天使。
コリンを騙して雀鬼メンバーを捕まえさせて、それでポイントを横取りしてウィル釈放を目論んだが失敗した。
3時間じゃ停滞とは呼べません。
選択スレは1週間は我慢するのがノルマです。
「SHIT!」
家々の軒下から軒下へリサが飛び移る。と、一瞬前まで隠れていた家の屋根が吹き飛ぶ。
「つくづく巫山戯てるわねこの国は……」
リサのぼやき。まあ、わからないでもない。
「よりにもよって……空を飛ぶ人間に出くわすとはねッ!」
再度軒下から飛び出し、地面を転がりながら引き金を引く。
「……甘いわね」
しかし直前対象は純白の両翼を広げると大きく飛翔。難なく銃弾を眼下に眺めた。
「……ッ!」
そして当然のように空から降り注ぐ幾つもの爆弾。
慌てて身を翻すも、爆風は避けきれない。
巻き込まれ、受身を取りつつも数メートル、そのまま吹き飛ばされた
「ゲホッ……!」
背中への衝撃と吸い込んだ煙で思わず咽るリサ。
その眼前に、フワリと彼女は降り立った。
「情けないわね異人さん」
両翼を体に巻きつけながら、嘲るような笑みを漏らす。
「……そういうあなたはどちらのANGELさん?」
「私は長州藩十本刀が1人、『飛翔』の幽名。『ゆうな』って読んでね」
クスリクスリと笑いながらショートカットの女性はそう名乗る。
「……結構な大道芸ね。まさか生きてる間に人が空を飛ぶ姿を見れるとは思わなかったわ」
「あら、その大道芸にボロボロにされているのはどちらかしら?」
「……………………」
「本来なら御所に空から先行侵入、援護爆撃をするのが私の仕事なんだけど……」
呟きながら、足元に何個もの爆弾をバラ撒く。そして、跳躍。
「あなたや人斬りの処分も命令されてるし、そっちを優先するべきかしら!!?」
すかさずリサも発砲するが、間に合わない。
数秒置いて、爆弾は爆発。あたりに強烈な爆風を撒き散らした。
「人間にとって、頭上は絶対の死角!」
その爆風を両翼に受け、幽名はさらに高く舞い上がる。
「私の飛空発破の前には、所詮剣も銃も無力!!」
「まったくもう……Marco Poloの気持ちがわかるわね」
調子付く幽名。ぼやきながら物陰に隠れるリサ。
「吹き飛べ! 異人!」
そしてさらに、爆弾を投げ散らかす。
「さっさと御所に行かなきゃならないのに……さて、どうしたものかしら」
A とりあえず無視。なんとか爆撃を避けつつ道を進む。
B どうにかして撃ち落とす。
C しばらく様子を見る。
あー選べるかな
選べたな
まあ別にいいか
A
C
こんな処で雑魚に関わっている暇は無い。御所が襲撃を受けているのだ!
「Ready……Go!!」
リサは一瞬で決断を下し、街路に飛び出し、駆け出した。
「あっはははは! 無視する気?」
幽名は嘲け笑い、リサの頭上に何発もの爆弾を投下する。
「ハァ……ムンッ!」
リサは走りながら、息を大きく吸いこみ、路地に向かって疾駆する。そして、
背後で爆弾が着地し、爆発するのに合わせて跳躍した!
ドカッ……ドカドカドカドカドカッ!
背後から迫る爆風を路地に飛びこんで回避し、そして、目をつぶって煙のもうもうと
立ち込める大通りへと再び飛びこむ!
熱を帯びた煙と砂埃を潜り抜けたことを肌で感じ取ると、目を開いて溜め込んだ息を
大きく吐いて、再び対岸の障害物へと狙いを定め、疾駆する!
「なるほどね、こちらの爆弾の煙を煙幕として有効利用しながら逃げるって訳だ。
やるじゃない!」
幽名はリサを追って飛び、再び爆弾を構えた。
全力で地面を蹴りながら、リサの脳裏には勝算があった。
幽名の爆弾の投下量だ。
何度も爆弾を投下するうちに、少しずつ一度の投下量が減りつつある。
ドカドカドカァン!
地面に強い揺れを感じつつも、背後の爆風の威力は以前ほどではない。爆音も短く
なっている。何より、立ち込める煙の密度が目に見えて薄らいでいる。
これはつまり。
(爆弾がemptyに近づきつつある……面白半分で無駄遣いした報いね……)
幽名は愚かにも、リサ一人を葬るために、折角の御所爆撃のための爆弾を無駄遣い
しているのだ。おまけにこれだけ投下していても、未だに致命傷すら与えていない!
「Ok! いける!」
リサは飛びこんだ家屋から飛び出し、猛然と御所の方向にダッシュした。
爆弾投下ごとに、最早爆弾の量は目に見えて減っている。当初の爆音と比べると、
今のそれはせいぜい爆竹を鳴らした程度だ。幽名の顔にも焦りの色が出ていた。
「くっそお……ちょこまかと!」
「Air-Bombing を overvalue した報いね! せいぜい御所上空を鳩と一緒に仲良く
飛んでなさい! Angel にはそちらの方が似合ってるわよ!」
「言うわね……でもこっちにもまだ手があるわ……いくよっ!」
幽名は突如、身軽になった分だけ、一気に加速した。
「What!?」
「爆弾の量が減ってることぐらい、こっちも計算積みだよ! 重量が減った分、
速度と運動性は向上するんだ! 当然爆撃の精度も! いくぞ異人っ!」
幽名は一気にリサの頭上を飛び越して廻りこみ、そして――
A.リサに目もくれず、一気に御所へと直行した。
B.上空高くから、急降下爆撃へと戦術を変更した。
C.地面すれすれを滑空し、リサに襲いかかった。
C
「発破だけが武器と思ったのがあなたの間違い!」
幽名は突如として急降下。眼前からリサへと迫った。
「死になさい!」
「!」
寸前でリサは僅かに身を屈める。その瞬間、肩口から背中にかけて灼熱が通り過ぎた。
「ツッ――――!」
ピッ、と背中に線が刻まれ、それに沿って服がと肌が裂ける。
「よくかわせたものね」
などと言う間も幽名は再度飛翔。旋回しながらリサに狙いを定めている。
「けど、次はないわよ」
羽の下から覗く両の手には双剣が括りつけられている。
「死角からの攻撃! さあ、どう防ぐ!?」
「敵! 増援! 堺町御門に集結中!」
同じころ。紫宸殿前に怒号が響く。
「智代様! ここは危険です!」
「そんなことを言ってる場合ではないだろう、どちらにしろ建礼門が落ちればここも終わる」
多くの―――いや、相対的に見れば小数の兵が右往左往する中、智代は透子を連れて現れた。
「ふぇぇぇ……」
既に透子は着替えも終え、旅支度は整えてある。
「馬を。誰か馬を引け」
「馬……ですか? ですが、今となっては脱出も難しいかと」
智代の命を受け、手近にいた護衛の武士が頭を垂れながら答える。
「構うな。とにかく透子だけは脱出させる」
「ですが、さしもの智代様と言えど、透子様を連れては……」
「誰が私が連れ出すと言った。手筈はついている。件の異人はまだ現れないか?」
「まだ……です」
「…………どちらにしろ今となってはその者を信じるしかない。時間が惜しい、馬を」
「はッ!」
「け、けど智代さん、あたし馬なんて……」
「誰もお前に馬を繰らせようなどと思っていない。いいからお前は大人しくしていろ」
「う、うん……」
(さあ………………)
表面的には冷静を装ったまま、智代はひそかに爪を噛む。
(まだか? ”リサ・ヴィクセン”)
「鳩か隼か。まあ、どちらでも変わらないわね……」
心底うんざりしたように、リサはぼやく。
背中の痛みを堪ながら、起き上がり、拳銃に弾丸を装填していく。
「さあ、そろそろ覚悟を決めなさい!」
上空の幽名。リサの周りを旋回しながら急降下。狙いをつけさせないようにその双剣を煌かせる。
「……観鈴でもいれば簡単に叩き落としてくれたんでしょうけど……」
無いものねだりをしても仕方が無い。リサは諦め、両手を添えて拳銃を構える。
「そんな豆鉄砲で私を捉えられるとでも思ってるの?」
「やってみなきゃわからないでしょう?」
冷静に、あくまで冷静にリサは銃口を旋回する幽名に合わせる。
だが、まだ遠い。まだ相手の動きの方が速い。
「接触する瞬間を狙うつもり? けど……無駄よ!」
射程距離に入ろうかという直前、幽名は両翼を広げ、一瞬停止。
その間に残った爆弾をリサの周囲にバラ撒いた。
数こそ少ないものの――――
ドォン! ドォン! ドォォォォォン!!!
轟音を轟かせると共に爆煙を撒き散らした。瞬間リサの視界は塞がれる。
「これでそんなものはもう役に立たない! さあ……死になさい異人!」
そして再度急降下。土煙の中のリサに迫るが……
A リサは見当違いの方向に銃を構えたままだった。
B いつの間にか、リサは刀を構えていた。
C 気がついたら、目の前にリサのカカトがあった。
C
「―――え?」
土煙を抜けた幽名の目の前に現れたのは、リサの踵。
眼前数センチのところで、重力と脚力を伴った一撃が
「…………ふう」
体についた土ぼこりを払いながら息を整える。。
背中の傷にも触れてみるが、傷は大したことはない。動くのに支障はない。
幽名は隣でうつぶせにブッ倒れて気絶している。まあ当分起きることはないだろう。
「この靴、気に入ってたんだけどね……ま、仕方がないか」
踵のヘシ折れた靴を手に取り、ため息。
「私の武器がGUNだけだと思ったのが間違いよ」
手早く幽名の身ぐるみ剥いで、縛り付けて。
「それより急がないと……」
一路リサは御所へと掛けていった。
「リサさん!」
駆け出してしばらくしたところで後ろから声をかけられる。
「観鈴!」
観鈴だ。上手い具合に時間取られた分で追いつけたらしい。
「ど、どうしたのその姿?」
砂と血にまみれた姿を見て、思わず訪ねてしまう。
「ちょっと蚊に喰われたのよ。それよりあなたは?」
「あ、うん。これくらい平気だよ。みさきさんも、猶予をくれた」
「――そう」
微笑を浮かべ、頷く。
「なら、今は――」
2人で、物陰に隠れたまま蛤御門を覗き込む。
既にここでの戦闘は終結しつつある。
守護隊はほぼ撤退。現在は長州勢が隊形を再編し、突撃準備を整えているようだ。
「ここを突破しなきゃいけないんだけど……どうする?」
「うーん……」
A 観鈴が斬り込む
B 幽名から奪った爆弾を放り込む
B
B
Bomb
「どうする? わたしが蹴散らしてこようか?」
『空』の鯉口を切りながら観鈴が訪ねる。
「いえ」
しかしリサは首を振ってそれを拒否した。
「あなた1人が切り込んでもそう混乱は引き起こせないでしょう。
ここは……」
と言いながらリサは懐から、数本の筒を取り出す。
「なにそれ?」
「爆弾」
「うわ……」
「さっきの蚊トンボからもらいうけたんだけどね。ちょっとこれを改造させてもらいましょう」
「リサさん……そんなことまでできるの?」
「観鈴。私の商売は覚えてる?」
「銃火器店……」
「まあ、任せておきなさい」
数分後。
「状況は?」
蛤御門前の長州兵。その真ん中で杏が兵に尋ねる。
「蛤御門は制圧完了。中立売もほどなく。堺町御門は現在交戦中です」
「内部は?」
「会津兵が新撰組と合流、御所警備の兵とあわせて現在防戦中です」
「薩摩の動きは?」
「炎で完全に動きを止められております。まだ合流には時間がかかるかと」
「……よろしい」
報告を聞き、杏は満足そうな微笑を浮かべる。
「突入した後は早急に一橋と松平方を処理。御門と三種の神器を確保する。わかってるわね?」
「無論です」
「では、そろそろ突入するわよ。大砲の準備は?」
「万端でございま…………って、え?」
大砲に目をやる兵士。
そこには、場違いな、あまりにも場違いな人物が、笑っていた。
「にはは。みんな〜、こっち見てほしいな」
「……え?」
暢気な声を上げる観鈴である。
「み、すず!」
すかさず杏はもちろん、他の藩士らも抜刀、または銃を構える。
「ちっ、どいつもこいつも役に立たないわね! みすみすここまで通すとは!
けど観鈴、ここがあんたの年貢の納め時よ! いくらあなたでもこの人数差……」
しかし、観鈴はにははと笑みを崩さずに。
「その前に杏さん、これ、なんだかわかる?」
と言いながら右手を高々と掲げる。
「何って…………い゙!?」
杏の目の色が変わる。当たり前である。観鈴が持ってるのは、幽名の爆弾。
そして、立ってるのは大砲の前。
「ここで観鈴ちんの一手! こんなことをしてみます!」
しかもあろうことか、導火線に火をつけ、砲口に放り込んでしまったのだ。
「……………………」
一瞬、時間が止まる。
「にはは、逃げた方がいいんじゃない?」
「伏せ…………!」
観鈴に促されるまでもなく、杏が叫ぶが……
「何の音だ!?」
場面は移って御所内。
不意に聞こえてきた壮絶な爆音と閃光。兵の剣を振るう手も一時止まる。
「わかりません! ただ、蛤門の方で爆発が起きたと……」
「待て、あれは!」
智代が指さしたのは一組の女性。
煙が立ち上る蛤門の方から、長州藩士を蹴散らしながら一直線に建礼門向けて走ってくる。
「金髪の異人……まさか!」
「遅れて申し訳ありません! 私はリサ・ヴィクセン! 守護代の智代様はどちらに!?」
走りながら大声で智代の名を叫ぶ。
「待て撃つな味方だ! 私だ! 智代は私だ!」
すぐさま馬にまたがると、透子を担ぎ上げてリサの元へ走る。
「ふ、ふぇぇぇ……」
「間に合ったぞ透子。これで何とかなる」
「遅れました。リサ・ヴィクセンです。守護代坂上智代様でいらっしゃいますか?」
「そうだ。時間が惜しい。護衛対象はこの女、栗原透子だ」
「よ、よろしくお願いします」
相対した四人。手短に用件を交換する。
「では確かに預かりました。これより栗原様の身柄は私が預かります」
「ああ、頼む。こちらは私に任せろ」
「では、時間が惜しいです。行かせていただきます」
智代の代わりに馬にまたがり、手綱を取るリサ。
「さあ、行くわよ」
「うん」
観鈴を促し、駆け出そうとするが……
「待て」
後ろから、智代の制止の声が聞こえた。
「……なんですか?」
「その剣士は誰だ?」
観鈴を見ながら言う。
「私が雇った護衛です。身分も腕も保証します」
即答するリサ。
「……………………顔を見せろ」
「え?」
「顔を良く見せろと言っている。どこかで見た顔だ」
「……………………」
A 顔を見せる
B 拒否する
A
A逃げない
A
これは迷う…A
四分たってるのに五秒内でジェットストリームアタックしてしまったw
すごい確率ですなw
「智代様、今はそれどころではありません。事態は一刻を争」
「黙っていろ。私はこの剣士に聞いている。さあ、顔を見せろ」
リサの抗議の声もまるで無視。智代はただ観鈴にのみ命令する。
「……………………」
背を向けたまま、しばし固まる観鈴。
「リサさん……」
消え入りそうな声で、リサの名を呼ぶ。
「……あなたが選ぶことよ。逃げるか、向かうか」
「……十秒やろう。その間に決めろ」
己の剣を抜きながら、冷静に通告する智代だが
「いえ。いりません」
観鈴は首を振ると、一秒も待たずに振り向いた。
「には、は……。えと、はじめまし、て?」
そして、がんばって笑顔を作り、智代と真正面を向き合う。
「……………………」
沈黙する智代。
「……一応名を名乗ってもらおうか」
剣を返しながら、さらに命令する。
「…………観鈴です。神尾観鈴」
『観鈴!!?』
一瞬で周囲の空気が凍りつく。同時に、全ての切っ先と銃口が観鈴に向けられる。
「待て撃つな。私に任せろ」
しかしそれは智代が制する。
そして、己が剣の切っ先を観鈴の喉笛にゆっくりと突きつける。
「…………”人斬り”観鈴だな?」
「はい」
「どういう料簡だ? 長州に飼われる狂犬が今更こんな真似をするなど」
「……………………」
「答えろ。答えねばこの場で叩ッ斬る」
さらにスッ、と剣を進める。
切っ先が埋まった観鈴の喉から、血が一滴流れ落ちる。
「…………わたしは」
やがて、おずおずと観鈴は口を開く。
「わたしは、もう、人を殺しません。わたしは、もう、人斬りをやめます」
「巫山戯るな貴様!」
「黙っていろと言っている!」
激昂した近くの武士が刀を振り上げるが、智代の一喝。
「……さあ、続きを言ってみろ」
そして、さらに促す。
「……………………」
観鈴は、一度、大きく深呼吸してから。
「……………………」
「わたしは、これから、この剣で、1人でも多くの人を助けたい。
たくさんの人を、守りたい。たくさんの人を、救いたい」
「そんなことが、できると思うのか?」
「やります」
「偽善以外のなにものでもないが?」
「なら、それを通します」
「そんなことをしても、お前の罪は晴れない」
「はい」
「なにをしようとも、お前の過去は変わらない」
「はい」
「ならば、お前は何をしたい」
「……………………」
「……………………」
「…………未来を」
「……ほう」
「誰かの未来を、創りたい」
ヒュッ!
観鈴が最後の台詞を呟いた瞬間、智代の刀が空を切った。
同時に観鈴の喉笛に、ツッ―――と赤い線が刻まれる。
剣を振りぬいた姿のまま、智代が誰にともなく呟いた。
「私は人斬り観鈴に幾人もの友を殺された」
「……………………」
「ここにいる者たちも同じだ。人斬りによって数多くの同志を失った。
おそらくこの場にいる者で、お前に怨みがない者などいないだろう」
「……………………」
「だから、斬った」
「え?」
後ろを振り向き、智代は叫ぶ。
「朝敵長州が先兵、人斬り観鈴はこの坂上智代が討ち取った! 誰か異議のある者はいるか!?」
いないだろう。いないよなと言わんばかりの怒号一喝。無論、異議をさしはさむものなどいなかった。
「……………………」
しばし呆然と固まる観鈴。
「行け。さっさと行け。我らがお前への殺意を抑えていられるうちにな」
目線を合わせぬまま智代は言い放つ。
「は……はい!」
リサと頷きあい、門の方向に向かって駆け出す観鈴。
「ありがとうございます!」
「感謝の言葉ならその滑稽な剣を打った者に言え。その剣の輝きを見せられては信じんわけにもいかんさ」
「はい!」
「みす……ずゥ!!」
蛤御門へ向かうリサと観鈴。あと透子。
そんな三人の目の前に、煤で真っ黒い顔をした杏が立ちはだかった。
「いつも! いつもいつも! いつもいつもいつも! あんたは私たちの邪魔をしてくれるわねェ!」
憤怒に彩られた顔で、刀を抜く。
「いいわ観鈴! ここで決着をつけましょう! あんたと私の因縁の!」
「……観鈴」
心配そうに囁くリサ。
「大丈夫。大丈夫だからリサさん。リサさんはお姫さま連れて先に行ってて」
「……ええ、わかったわ」
「が、がんばってください」
「にはは」
馬に鞭を入れるリサ。難なく蛤御門を通過する。
杏以下長州勢の残兵はリサのことはまるで無視。その目は観鈴にのみ向けられている。
「にはは」
「死ィ―――――ねェ!!」
A この場で長州勢と決着をつける
B 「さっさと行けと言っただろう」智代の蹴りが杏に入った。
a
B
いいね
「雄雄雄雄雄雄雄雄雄雄ッ!!!!」
キィ―――――――ーン!!!
杏が振るった渾身の一撃を観鈴が空で受け止める。
すかさず杏は鍔迫り合いの形に持ち込み、一瞬で突き飛ばすと返す刃で横薙ぎ。
観鈴の胴を狙うが先んじて一歩下がり、観鈴はこれをかわした。
「杏はん! 援護……」
「いらないッ!」
2人の間合いが離れたところで、智子が、一度は観鈴を追い詰めた弓衆に号令をかけようとするが、杏は一喝してそれを止めた。
「この女は! こいつだけは私がこの手で殺すッ! 智子! あなたは残兵をまとめて御所へ突撃しなさい!」
「け、けど……」
「私の命令が聞けないの!?」
「わ、わかっ……」
「そうはさせんさ」
「なッ!?」
指揮系統を変更しようとしたところで智代の乱入。
智子の部隊の只中に飛び込み、手近な1人を遥か彼方へ蹴り飛ばす。
「しゅ、守護代坂上智代!?」
「御門に弓引くとは大それたことをしてくれたな長州共が。この落とし前は高くつくぞ」
「ひ……1人で粋がるのも大概にせえや! こっちにはまだまだ」
「新撰組!」
パチン! と智代が指を弾く。同時に蛤門に斬り込んでくるのは『誠』の文字を背負った男共。
「敵の陣形は崩れている! この隙に頭を押さえるぞ! 壬生狼の意地、見せてもらう!」
「オオッ!!」
「御所守護隊は後退し守りを固めろ! 薩摩藩の合流を待って攻勢に移る!」
「はいッ!」
智代の指示により一時は統制を失いかけた警備の兵らが陣形を立て直していく。
「あ、杏はん! 拙いで、ちっとばかし向こうが体勢整えて……」
「黙れ!」
杏の一喝。
「『百識』の意地があるなら何とかしなさい! この場さえ凌ぎきれば南の友軍が御所を叩く! そうすれば敵も退かざるを得ない!
私は……こいつをッ! 雄雄雄雄雄雄雄雄雄雄ッ!!!!」
跳躍しながらの再度渾身の一撃。観鈴は受けるのは危険と判断し、逆刃刀を斜めにさばき落とす。
「杏さんッ! これでッ!」
返す刃で脇腹を狙うが
「なめるな人斬りが! ガアアアアアアアアッ!!!」
「きゃっ!!」
杏はそのまま肩から観鈴に突っ込むと体当たり。敷地の奥まで引きずっていった。
「許さない! 許さない観鈴! あんただけはッ!」
「オオオオオオオオオオオッ!!!」
観鈴を突き飛ばすと同時に一撃。しかし観鈴は寸前でこれをかわす。
「ここは……?」
間合いを取ったところで観鈴は気づく。
杏が連れてきたのは京都御苑の桃園。季節が違うにも関わらず、狂った戦を彩るように桃の華も狂い咲いている。
「懐かしいわね観鈴! あなたと私が出会ったのもこんな夜だった!」
桃の華を白く照らしているのは中天に輝く満月。漆黒の闇の中、孤独に輝いている。
「雄雄雄雄雄雄雄雄雄雄ッ!!!」
「くッ!!」
舞散る花びらの中、杏の斬撃も舞踊る。
剣線は大振りだが、鬼気迫る気迫がそれを上回り、観鈴といえど簡単には手を出せない。
風が吹く。
さらに桃の花びらが2人の間を駆け抜ける。
「そう……一年前。私とあなたはこの街で出会った」
狂気に侵されながら、しかし僅かな平静を取り戻した杏は、切っ先を観鈴に向けながら言葉を続ける。
「縁は異なものとはよく言ったものね、あの時はまさかこうしてあなたと命を削り合う日が来るとは思いもしなかった」
「あの時……」
その言葉を受けて、観鈴の脳裏に杏との出会いが蘇る。
そう、2人は―――
A 観鈴が野垂れ死に寸前のところを杏が拾った
B 観鈴が追っ手に追い詰められていたところを杏が助けた
C 観鈴が杏から金を奪い取ろうとした
D 偶然杏を狙っていた刺客を観鈴が斬った
べただけどAかな
京都四条河原。
多くの茶屋や旅籠、芝居小屋をかかえた、南北朝から続く繁華街である。
あやしげな見世物小屋や、芸能を行うものたちも多く、傀儡子人形の観客からは
「いやっほーう、国崎最高!」
と言った声が上がる。
それら雑多な町並も火が消えたように閑となり、水面を通る風も涼しい寅の刻。
藤林杏は仕事を終え、川筋を歩いていた。満月の中、足元には影さえ映っている。
それに目をとめたのは、どんな気働きからか、今では杏も覚えていない。
何かに誘われたように、橋の下にあったその影に近づいた。
近づくと、それはぼろくずのように汚れた少女であることがわかった。
元は美しい艶を出していたであろう髪は見る影もなく荒れ、
腕や足は元の白さが見えぬくらいに汚れ、あちこちに傷跡が残っている。
刀の影になっている顔も、少女の愛らしさはとどめず、頬はこけ、
髪が張り付き、痛々しさを見せている。
他に何も持っていないその少女は、胎児のように体を丸め、
それでも刀だけは絶対に離さぬように抱き続けていた。
薄雲が月を遮る。それで視界がわずかに遮られなければ、この後のことは
起きなかったと杏は思う。
その直前に刀の拵えに目を留めた杏は、わずかに顔を近づけたのだ。
別に奪う気はなかった。少々興味をそそられただけだった。
前触れもなく、女の目が開いた。焦点は正しく合っていない。
杏は動けなかった。引くことも、前に出ることもできない。
それはぞっとするほどの平板さだった。こんなものは見たことがなかった。
「あなたは誰?」
少女が聞く。
「わ、たしは杏。藤林杏」
「そうだね、そして杏さんは動けなくなっていたわたしを連れ帰り、介抱してくれた」
「そして、私の感じたとおり、あなたの剣技はおそろしいものだった」
剣戟が響く。狂騒を呈していた杏の顔にはかすかな笑みさえ浮かんでいる。
「たつきの道もなかったわたしに、場所を与えてくれた」
「共同戦線がとれないあなたには苦労させられた」
空からの光を、観鈴の空は反射する。
「まわりの人と違って、杏さんはわたしを見る目は変えなかった」
「それは違う。私は最初からあなたの恐ろしさをきっと知っていたから」
内に籠もった気迫を吐くような杏の剛剣をいなす。
「孤立するわたしをぎりぎりまでかばってくれていた」
「死地にいくら送っても、あなたは変わらなかった」
刀に張り付いた花びらはまた離れ、舞い散る。
「わたしは、杏さんに助けてもらってよかった」
「私は、あなたを助けた覚えはない」
距離を取り、二人は互いに剣を構えなおす。
「杏さん、今、わたしはどんな目をしているかな」
それには答えず、前に出た二つの影が交差した。離れ、直前まで相手がいた地点に立った。
A 杏の刀が根元から折れ飛んでいた。
B 観鈴の左腕を切り裂いていた。
C 杏は懐から出した銃を手に取っていた。
D 「行きなさい、今なら邪魔は入らない」杏は刀を引いてそう言った。
Aを
――――――!
澄んだ音と共に、杏の刀が根元から折れ飛んだ。
反発で吹き飛んだ刀身は、回転しながら近間の桃の幹に突き刺さる。
一陣の風が吹く。
再び桃の花びらが2人の体を洗っていった。
「―――はは」
やがて、僅かに杏の唇が綻ぶ。
「あはは―――ははははははははは」
やがて、笑いは徐々に大きくなっていき……
「あははははははははは―――はーはははははははははは!!!」
やがて、上天を仰いだ大爆笑へと。
「杏さん……」
剣を下ろし、振り向いた観鈴。
花びらの向こうの杏へ、一歩近づく。
「はははははははは―――はーははははははあははははははははは!!!」
杏の爆笑が止むことはない。
観鈴はおずおずと、さらに一歩を踏み出―――
「甘いわね! 観鈴!」
刹那、振り向く杏。
その手には、いつの間に取り出したのか短刀が握られていた。
「杏さん!」
「世の中にはね……どうしようもない奴ってのがいるのよ!!」
逆手に持った短刀が振り下ろされ―――
バシャッ!!
「―――!」
勢いよく振り下ろされた短刀は、過たず胸を貫いた。
「きょ……う……さ……ん……」
観鈴の顔が、真っ赤に染まる。
短刀は胸のド真ん中を貫き、切っ先が背中へと飛び出ていた。
間違いなく、これ以上ないというくらいの、完璧な致命傷。
「杏さんッ!」
観鈴は、そのまま崩れゆく杏の体を抱きとめた。
そう、短刀は、杏自らの胸を貫いたのだ。
「どうして……どうして……」
肩を震わせて慟哭する観鈴。だが、杏はくだらないと言わんばかりの態度で
「どうして……かって? そんなの……当たり前じゃない」
「どうして!? どうしてこんな…………!?」
「…………誰もをあんたと一緒にしないでよ」
「え?」
息も絶え絶えに、しかし不満たっぷりに杏は呟いた
「……あんたみたいにね、ズ太く生きれる人間なんて……ほとんどいないのよ。
生きるとなれば自分以外の全てを殺し……逃げるためなら仲間すら容赦なく切り刻み……
…………改心するとなったら、山に篭もって、逆刃刀を携えて現れる…………
……本当、馬鹿みたいね。……あんたみたいな真っ直ぐすぎる生き方……誰ができ、ゲホッ! ガホッ!」
「杏さんッ!」
一言一言を発するたびに杏の命が消えていくのがわかる。杏の体が冷たくなっていくのがわかる。
「だからって……だからってなにも死ななくたって……」
「……あのね、考えてみなさい。あた……し達は……御所に……突っ込んだのよ?
御門に弓を……引いたのよ。そうなれば……もう道は二つに一つ。
勝って……生きるか…………負けて、死ぬか。負けて……なお生き残る道など残されてはいない……」
「そんな……そんな決め付けなくったって……」
「……わかるのよ、何となく……ね。上の方から戦を眺めてると……
そう、それでも、あんたが現れるまではいけるような気が……してた。
あんたの、あの大砲発破―――あれで、もう完全に……流れが……変わったわね。
間違い……ないわ。もう、すぐにでも……」
その時。
静寂に包まれていた桃園にまで響き渡る甲高い鬨の声が、そしてそれに続いて鉄砲の一斉発射の音が聞こえてきた。
「これは……」
「ふふ……ふ。来たわね……敗北、が……。残念、よ……攘夷……なら、ず……」
「杏さんっ!」
さらに大きく血を吐く杏。
……そんな2人の元に、背後から一つの足音が。
「智代さん……」
智代だ。既に刀は納め、戦闘態勢は解いている。
「薩摩藩が来たぞ。ぎりぎり間に合った」
「まあ……そんなとこだろうと、思った……」
さも当然のことのような杏の態度。
「既に体勢は決した。お前の仲間達も組織的抵抗は諦めつつある。堺町御門も同じだ。各所で敗走を始めている」
「でしょうね……あんた達に逆襲され、この上薩摩に合流されちゃ勝ち目は無い……」
「馬鹿なことをしたな」
「馬鹿なこと……フフッ、馬鹿なこと、ね……果たして馬鹿はどっちかしら?」
「なんのことだ」
「もう……今の幕府は限界よ。力も権威も地に落ち……世界の、列強の中で日本を守っていくことなど……できはしない。
今……この国には……新しい秩序が求められて……いるのよ」
「だからどうした」
「……え?」
「私は私の勤めを全うするのみ。私の勤めは御門の住まうこの地を守ること。貴様らのような逆賊の徒からな。
その前には官も賊も関係ない。ただ私は私の地を守るのみだ」
「…………はは」
杏があきれた様な笑みを漏らす。
「いいわね単純で……アンタたちは」
「杏さん……」
「褒め言葉と受け取っておこう。おい、観鈴」
「え?」
観鈴の名を呼ぶと智代はパチンと指を鳴らす。同時に、道の向こうから歩いてくる白馬が一匹。
「お前はさっさと行け。他の者に見咎められると面倒だ。私の立場も考えろ」
「えあ……はい……」
杏と馬を見比べ、逡巡するが。
「いいわ……あんたは、さっさと行きなさい……」
「杏さん……」
「……そのまま死なせてやれ。私も武士の端くれだ。覚悟の死を汚そうとは思わんさ」
「……うん。はい」
観鈴は杏を桃の木に寄りかからせると、軽い動きで智代の馬に跨った。
「……杏さん」
そして、最後に杏を見る。
「行きなさい。さっさと……行きなさい。そしてその真っ直ぐすぎる……生き方を、貫いてみなさい……
私は、一足先に地獄から……見させてもら……ゲハッ! ガッ!」
「杏さん!」
「逡巡してる間はないぞ。さあ、行けッ!」
智代が馬の尻を叩く。反射的に飛び上がり、馬は門のほうへ駆け出した。
「杏さん! 杏さんッ!」
「さよなら……どうしようもなく馬鹿で、真っ直ぐで、融通の利かない…………私の…………みす…………ず…………」
「……………………死んだか」
桃の花の下。すべての血を吐き出して杏は動かなくなった。
「新しい秩序か……そうだな」
智代は空を見上げた。満月に薄く雲がかかり始めている。
「凶雲―――。確かに、この度は我らの勝利に終わった。だが、この戦の行く末は、まだ見えない……」
「……………………」
「いずれにせよ、お前達長州は御門に弓引いたのだ。今日この戦のみで終わるということはないだろう」
「……………………」
「まだまだ荒れるな…………この国は」
そして、観鈴が消えた方向、遠くを眺める。
「この戦が続く世界で―――貴様はなにを為す。見せてもらうぞ、神尾観鈴」
「うう……あぐっ!」
既に人気もまばらになった京都の街中。
単身馬で疾駆しながら、観鈴は泣いていた。
杏。杏。長州で仲間だった杏。自分の上司だった杏。自分を裏切った杏。
だが、観鈴は思い出していた。人間となった観鈴は、思い出していた。
杏が、どれだけ自分のことを気にしていたか。杏が、どれだけ自分のために手を尽くしていてくれたか。
本能のまま剣を振るっていた観鈴に、真っ当な剣術を教えてくれた。
お洒落の欠片もしたことがなかった自分のために、呉服屋に連れて行ってくれようとした。
他の藩士と打ち解けれるように、何度も作戦に編入してくれた。
仲間と認めてもらえるように、八方手を尽くしてくれていた。
既に血にまみれていた観鈴に友だちを作らせようと、自分の妹と引き合わせてくれた。
それらすべての手を払いのけていたのは、他ならぬ自分自身だったのだ。
人斬りに身を落としていたのは、他ならぬ自分の選択だったのだ。
人が生きることは変わること。人生は選択の連続。
それが人の可能性だというのなら、杏は観鈴にいくつもの可能性を示していてくれたのだ。
どこかで、本当の仲間になれていたのかもしれない。
どこかで、大義に燃える志士になれていたのかもしれない。
あるいはどこかで、普通の町娘として生きる道もあったのかもしれない。
だが、それらを全て切り捨て、自分をただの肉斬り包丁となさしめていたのは他ならぬ自分で選んだ道だったのだ。
「ごめんなさい……ごめんなさい杏さん……あんなに優しくしてくれたのに……あんなに気にかけてくれたのに……」
感情が無かった頃にはまったく気づかなかった。
杏の誘いを断るたび、杏の手を払いのけるたび、杏の見せていた寂しげな笑顔に。
杏は自分を認めていてくれたのだ。杏は自分を友として扱ってくれていたのだ。
こんな、血と罪にまみれた、神尾観鈴を。
「……………………」
咽びながら馬を走らせること数刻。観鈴はリサの倉庫前にたどり着いた。
ふらつく足取りで下馬すると、そのまま隠された入口に近づいていく。
地下室への扉を開き、土がむき出しの階段を一歩一歩下りていく。
「観鈴!」
そんな音を聞きつけたのか、目の前にリサの姿が現れた。
もう、我慢できなかった。
観鈴は両目から涙を溢れさせると、リサの胸の中に飛び込み――――
A そのまま深い眠りに落ちた
B 杏への思いを吐露した
B
ちょっと話を切って悪いけど、次スレはどのぐらいに立てる?
A 早めに
>>930ぐらい
B いつものように
>>950ぐらいで
C どうせ落ちないし
>>970ぐらいでも大丈夫
A
容量きついし
そんじゃ今の内に次スレの
>>1も決めておこう。
A 『タリエシンの奇妙な冒険〜』から選出
B 現行の観鈴話から選出
B
キャラ選択。
かなりいるなぁ…。
A 神尾観鈴
B 『人斬り』観鈴
C 神尾晴子
D ハクオロ
E 霧島聖
F リサ・ヴィクセン
G 榊しのぶ
H 深山雪見
I 藤林杏
J 柏木楓
K 坂上智代
L その他(要指定
B
選ばれてしまったものはしょうがないが
往人お兄さんとそらのコンビで
まるで他人事のように楽しくやってほしかったな
「あぁああ……うぅああぁあぁああ…!…あぁあぁああ!!! 」
泣く。ただ、泣く。
悲しみの理由もなにもかも相手に伝えないまま。
何も知らない人が見れば気が狂ったかのように見えたかもしれない。
…だがリサにはわかる。観鈴の『ぱぁとなぁ』であるリサには。
「…観鈴…!」
抱きしめる。観鈴の悲しみを、苦しみを、全て受け止めるように。
「ごめんなさい…ごめんなさい杏さん…!ごめんなさい…!!」
言いたいことはたくさんあった。伝えたいこともたくさんあった。
でもそれらは言葉にはならない。出てくるのはただ、謝罪の言葉だけ。
「あぁああ……うぅああぁあぁああ…!…あぁあぁああ!!! 」
泣く。神尾観鈴はただ、泣く。
永遠に失われてしまった、自分を認めてくれていた彼女を想って。
その隣の部屋で。
「…どういうことなんだろう…」
側室として日々を過ごしてきた透子には経験したことも無い、全力での馬の速度を味あわされて。
頭がかき回されたような酔いにグロッキーになり、半ば意識を失いながらも、透子は必死に考える。
ただ、一つのことを。
「…どういうことなんだろう…」
自分の護衛には、身分のしっかりした者を頼んであると智代からは聞いた。
だが、彼女は、神尾観鈴は。
私達の前で『人斬り観鈴』であることを告白したのだ。
『人斬り観鈴』
透子とて、その名前は知っている。
人斬り観鈴に同志を殺されて、押し殺した声で泣く声を。みんなの悲しみを。
障子越しに聞いてしまったこともある。
京都に住む大勢の者の恨みを一身に背負った犯罪者、神尾観鈴。
それが、今は私の護衛…?
…思い出す。
あの時、あの場所で。
『わたしは人斬りをやめます』
彼女は確かにそう言った。
…信じられるか?いや、信じなければならない。
信じたからこそ智代もあの二人に全てを任せ、送り出してくれたはずなのだ。
それでも。
「(…怖いよ、怖いよ…)…智代さん…」
万が一の時の為に智代から手渡された、自分が持っていてもなんの役に立つとも思われない
『鬼』の銘が入れられた懐刀を服越しに「ぎゅっ」と握り締める。
「…?」
…なにか黒い、いや、よくわからないけど気持ち悪い「もの」が逆流するような…そんな気がした…
…
泣き疲れたであろう、眠ってしまった観鈴をベットに横にする。
「…杏さん…」
また一筋、頬に流れる涙。それをそっと拭き取って。
ベットの近くの椅子に座り、観鈴の寝顔を眺めながら。リサは考える。今後の、これからの行動を。
様々な障害はあったが…全ては順調に進んでいる。
少なくとも、栗原透子の身柄を確保する、という段階までは。
後は、なんとか京都の外へ。そこで指令を受けて、それさえこなせば、この国にいる必要は無い。
観鈴と新たな土地で生活することも、できるのだ。
それを思うと思わず顔がにやけてしまい…いけない、いけない…
…
…少し気にかかることがある。私は…いや、私達は幕府からではなく本国からの指令で栗原透子を護衛している。
この尊皇攘夷の時代に何故、異人である私が護衛の対象として選ばれた?
何故、坂上智代は私に護衛を頼む事を受け入れた?自分が同行することもなく。
私達の目的はこの国の情報収集だ。
その最終的な目的に栗原透子の安全は含まれない。
ならば…指令次第では最悪、透子から情報を引き出したのち、賊がやったと見せかけて始末する、という可能性も存在するのに。
A …上は上の都合、というものがあるのだろう。私達が気にすることじゃない。
B 智代に視点変更
C 「…うぇぇ…」嫌な予感がする…まさか、まさか!「けろけろけろっぴ」か、栗原透子!
C
ちょっと一息入れてC
なんにせよ余りいい気はしないわね。
「…うぇぇ…」
そうね。場合によってはそんな風に吐き気も催しそうになるほどに…って!?
「う…ぅぅ…気持ち…悪い……」
なんといつの間にやら隣の部屋に居た透子がそこにいた。その顔色は悪い。まさに今にも吐きそう。
「す…すみません…わたし…つわりがひどくて……」
そういえば妊娠中って情報あったかしら。妊婦連れともなるとこれからが大変ね。
「すみませんが…厠まで連れていってもらえませんか……」
「ええ、分かったわ。」
私は彼女の頼みを承諾して彼女を厠まで連れて行った。
「どうもありがとうございました。」
厠で用を足しおえ少しはすっきりした表情で透子はそう礼を言った。
「いいのよ。貴女も色々と大変でしょうし。」
そう返事する。実際妊娠中だというのにこんな風に誰かに付けねらわれ
見知らぬ者たちに護衛されて連れまわされる彼女の身の上には同情を禁じえない。
「すみません。私…なんだが色々不安で…あの…」
すると透子は不安げな表情で私に尋ねてきた。
A 私たちこれからどこへ行くんでしょうか?
B 私、これからどうなっちゃうんでしょうか?
C あの、観鈴さんって本当に信用していいのでしょうか?
C
「あの……観鈴さんって、本当に信用して……大丈夫なんでしょうか?」
「え?」
リサがコーヒーを淹れようとしたところ、透子は不意にそんなことを口にした。
「大丈夫……って」
「その、正直……あたし、人斬りの人と一緒に行くのは……」
「……………………」
言葉に詰まる透子を見て、リサはコンと茶碗をテーブル代わりの木箱の上に置く。
「人斬りと一緒に行動するのは、いつ斬り殺されるかわからなくて、不安?」
「……………………」
沈黙は肯定の証。
「そうね……まあ、気持ちもわからなくもないわ」
「それに、あの、”みすず”って……」
観鈴の名前を呼び、再度言葉に詰まる。
「……………………」
数秒要したが、リサは透子の言わんとするところを察した。
「白皇様殺害の”みすず”……そうよ。彼女が白皇様殺しの下手人」
「それっ、て!」
思わず、透子が彼女にしては珍しく身を乗り出すが、
「けど、それは冤罪。それに関しては彼女は無罪よ。
そして、それこそが彼女の運命が狂い始めたきっかけでもある」
「……………………」
ズズ……とコーヒーを啜りながらリサは続ける。
「……彼女の過去、聞きたい?」
「……………………」
今度の沈黙は、迷いの証。
A 「聞かせて……ください」
B 「いえ、いいです……」
Aで。
A
私は語った。透子に観鈴のこれまでの一部始終を。あの娘の受けた裏切り。あの娘が犯した過ち。その全てを。
「あの娘は確かに人として道を誤ったわ。でもね。それでも人は変われる。私はそう信じているの。
でも貴女が観鈴を信用できないのも当たり前だと思うの。だから貴女にもあの娘を信じてとまでは私は言わないわ。
けれどしばらくは今のあの娘の姿を見ていて欲しいの。それでいい?」
そう同意を求めるが返事はない。目を伏せる。これはまだまだ時間がかかりそうだろう。
時間で解決するというわけでもないけれども。
「……でも…やっぱり……」
泣きそうな顔で透子は震えている。そして恐る恐る言葉を紡ぐ。
「私と同じ側室にユズハさんって人いたんです。その人のお兄さんも人斬り観鈴に斬りころされたって…」
神妙な面持ちで透子はポツポツと語る。
「そのユズハさんて人は病弱だったらしく白皇様やお兄さんが死んだと聞かされてそのまま……」
そうひくひくしゃくり上げながら透子は続けていた。
「あれから登臼来藩も取り潰されて私と同じ側室だった人たちも散り散りになったそうです。藩士の人たちも…」
登臼来藩のその後。それは耳に余るものがあった。藩主の不意の死とその下手人を取り逃がした士道不覚後から
藩は取り潰しの憂き目にあった。亡き藩主に対し殉死するもの。喰うに困り路頭に迷うもの様々だったらしい。
「私は運よく慶喜様に目をかけていただいたんですけど…他の人たちは…」
白皇の側室達のその後も芳しくはない。商家の妾程度に納まればまだ救われた方。
白皇にとくに寵愛を受けていたといわれる娘は妹ともども山賊に囲われ妾にされたなどという話も伝え聞く。
他にも娼婦に身を堕とすものもいる。未来に絶望し自ら命を絶ったものも。
「こないだ殺された公家の人のお姉さん。自殺未遂したって……
どこかの大名行列も襲われて…お殿様を守れなかった護衛の人たちみんな切腹になったって…」
来栖川卿の殺害。江阿藩の行列への切り込み。そのどれもが日が浅い。
「やっぱり駄目です。私、信じられません。とても……」
そう小さく肩を透子は振るわせた。
A この場は説得を諦めて引き下がる
B それでも理解してもらうべく説得する
C なんと観鈴が立ち聞きしていた
B
「……………………」
リサは静かにため息をつくと、
「こういう手法は好きじゃないんだけど……」
少し肩を竦めながら、立ち上がり、眠っている観鈴の横に立った。
「?」
「まずは栗原さん、これを見て」
言いながら布団をめくり、観鈴の寝着をまくり上げ、観鈴の背中を空気に晒した。
「…………っ!」
絶句する透子。
「…………こんな言い方は好きじゃないけど」
服と布団を元通りにし、リサは元の位置に戻る。
「彼女もこの一年、苦しみ続けた。肉体の苦しみはもちろん、心はあれ以上に傷ついてる。
もちろん、『あなたも苦しんだけど彼女も苦しんだから、イーブンです』なんて言わないけど……そこはわかってほしい」
「…………けど、有名です。人斬り観鈴は、眉一つ動かさないどころか、笑いながら無抵抗の人間を殺すって……」
「それは、彼女は笑うしかなかったからよ。彼女は元々はただの街道の茶屋の娘。
あなたとほとんど変わらない、人のいい、ただの、そう。小娘。
ただ、彼女が事件に巻き込まれ、騙され、裏切られ、殺されかけ、
そして、もう自分が生き残るためには殺さなければならなくなった時点で彼女が選んだのは、心を凍りつかせること。
それ以上傷つくことに耐えられなかった彼女は、心を硬く閉ざすことでしか、感情を抹殺することでしか精神の安定を図れなかった。
でなくば、とうの昔に彼女は狂い死んでいたでしょう」
「……………………」
「だから、同じ理由で彼女は殺すことができた。彼女にとっては、『殺すこと』はただの生きる手段、仕事でしかなかったから。
大工が釘を打つように、漁師が魚を釣るように、傘張りが糊を付けるように、神尾観鈴にとって命を奪うことは、『それ』だけのことでしかなかった」
「けど……けど、それは彼女が人を苦しめていい理由にはなりません」
「そうね。彼女に非が無いとはとてもいえない。彼女の罪はとても重い。
だけど、忘れないで。そんな彼女を利用した存在があったことを。
彼女は、真っ白い紙のようなものだったのよ。良くも悪くも純粋な、ね。
出会った人が、そこに何を描くかで彼女は変わる。彼女が出会ったのは、長州藩。維新の思いを胸に、呼吸するように敵対勢力を殺し続ける組織。
そこに、心が凍った彼女が、類まれなる剣の腕を持つ彼女が出会ったら、どうなるかは、もう考えるまでもないでしょう」
「……………………」
「だけど、今は変わった。彼女は『無』だった心を取り戻した。彼女は『人間:神尾観鈴』に戻った。
そして、罪は晴れない、過去は変わらないけど、それでもこれからは誰かの未来を創りたいと言った。
逆に訪ねるわ栗原さん。あなたは彼女を許せない。なら、あなたは彼女をどうしたいの?」
「えっ…………? そ、それは……」
「それが『殺し』なら忘れないで。それでは彼女と同じことを。彼女もまた、最初は復讐のために剣を手にした。
答えが『殺し』では、あなたも彼女と同じなのよ。逆を言えば、彼女もあなたと同じだったのよ」
「……………………」
「すぐに納得しろというのも無理でしょう。あなたにはあなたの感情もある。
けどね、忘れないで。酷なようだけど、あなたの気持ちはどうあれ、彼女から離れるわけにはいかない。
この旅には、彼女の剣が必要不可欠なのよ」
「……………………」
「だから、どうせ彼女と一緒に行動せざるを得ないのなら、見ててほしい。
彼女の行動を。彼女の言葉を。彼女の生き様を。それでも許せないというのなら…………」
「……………………」
「……どうしましょう?」
と言いながらクスリと微笑む。
「リサさん……それはちょっと無責任……」
「そうね。ごめんなさい」
透子も、僅かに笑みを漏らす。
「わかり……ました。あたし、まだ観鈴さん怖いです。けど……
……どうせ一緒にいるしかないなら…………」
「ええ、お願いするわ。見て、そして考えてほしい」
「…………はい…………」
納得はしてないようだが、理解はしたようだ。
それを確認するとリサもはあと大きく息を吐き、茶碗を片付ける。
「さあ、そろそろ寝ましょう。御所の豪華な寝台とはいかないけど、できるだけのもてなしはするわ」
「大丈夫です。白皇さんのところにいたときは、とても王様の側室とは思えない生活でしたから」
「それは頼もしいわ。さあ、寝ましょう」
そして透子は昨夜リサが寝たベッドに入り、しばらくすると寝息を立て始めた。
観鈴は昨日と同じベッドで寝ている。
「……………………」
なんとなくその光景を見ながら、リサは考えた。
A 観鈴と一緒に寝たいなーとか
B いや、やっぱここは床にむしろを引いて1人で眠ましょ
シリアスだね
A
B
(……ま、土の上に寝るのも体が痛くなるしね)
リサは呟くと、そっと観鈴の体を跨ぎ、向かい合うように横になった。
(……こんな子どもが、ね)
改めて観鈴の寝顔を覗き込む。
とても、信じられない。
こんな少女1人に京都中が震撼し、長州と佐幕の戦いと、そして多少なりとも維新の行方に影響を与えたことを。
「……………………」
リサの心に、僅かな悪戯心が芽生えた。
ソッと人差し指を差し出すと、観鈴の頬をぷにとする。
「うう……んん……」
少し眉をしかめる。
「……………………」
クスクスと笑いながらしばらくそれを繰り返す。
そのたびに、柔らかくもちもちとした感触とともに小さな寝息を立てている。
「…………」
しばらく続けているとかわいそうになってきた。
「Sorry, 観鈴」
リサはそっと観鈴の頭を抱きかかえると、そのまま深い眠りに落ちていった。
「リサ……さん……」
もぞもぞと、観鈴が己の胸に頭を埋めてくる感触を確かめながら。
「…………プハァ――――」
「…………?」
「いやしかし……よく眠っておりますねぇこれは、ハイ。
少々困りました、ハイ。ハァ―――」
「……? ゲホッ! ゴホッ!」
朝。不意にリサは、喉に嫌な感触を覚えた。思わず数度、咳き込む。
「ハァ―――これでも起きてくださいませんか、ハイ。これは本格的に困りましたねぇ、ハイ」
「……ゲホッ! ガハッ! ……ゴホッ!」
「私にもこの後の予定というものがあるのですが……いやはや、困りました、ハイ」
「ゲホガホッ! ガハッ! ゴホッ!」
煙だ。煙が喉に差し込まれている。
「ゴホッ……いったい、何なの……?」
睡眠の快感とは真逆の、最悪の不快感と共に目を覚ましたリサ。
そんな彼女の目の前には……
「お目覚めになりましたか? ハイ」
「…………っ!!」
思わず叫び声を上げかける、が、それはプライドその他の感情でなんとか押し込める。
なんとリサの目に飛び込んできたのは、観鈴の顔ではなく、煙管を咥えた猫背糸目の痩せぎすの男だった。
「―――Who!?」
瞬間枕元の銃を抜き、銃口を定める。が、男は大して慌てる様子もなく。
「いやはや……小娘を抱いて熟睡、侵入者の気配も感知できないとは……
ヘル・ヴィクセンも噂ほどではないんでしょうかねぇ、ハイ」
「ヘル……私の名前を知ってるってことは……」
「ハイ。あなた様に言伝を預かってまいりました。チキナロと申しますです、ハイ」
「…………随分と悪趣味なのね。Ladyの寝室に無断で侵入するなんて」
観鈴と透子を起こさないようにソッと起き上がり、リサはチキナロと名乗った男と卓を挟んで向かい合う。
「一応ご挨拶はしたのですが……よほどお疲れになってたのでしょうか、ハイ。ちっとも答えがなくて」
「……まあいいわ。それより、本題に入ってもらえる?」
「ハイ、それですが、栗原透子様を国外にお連れせよ。具体的には港まで連れて来いとのことです」
「港……どこの?」
「ハイ、長崎です」
長崎―――旧登臼来領を通ることになるな、とリサは何となく考えた。
「で、続いて『敵』に関する情報ですが、『彼等』は―――」
A 昨夜の事件で失脚した十本刀残党を雇い入れたようです
B 旧登臼来藩の武将たちを束ねているようです
a
恐らく、次の投稿が容量限界と思われます。
930まで持ちそうにないので、至急、新スレを立てる事をお勧めします。
と、言うわけで──
A 次の選択者が立てる
B すぐに立てる
んじゃB
>>922 オーケイ。いい仕事だ。
んじゃま、このスレはどうする?
A 次スレに移行。埋め立てする
B 後、一回話を投入する
A
うめちゃえ
容量的にどうだろ
せっかくだから使い切ります?
B
ついでに、ココまでの流れのまとめとか、感想とか、未回収の伏線とかについての雑談に1票。
つー訳で埋め立てに決まった訳だが…埋め立ての議題を決めてみるか。
A 観鈴にヌッ殺された人の座談会
B ココまでの流れのまとめとか、感想とか、未回収の伏線とかについての雑談
C
>>306のリコール騒ぎについて考察
A
側室の数が合わない…やるな聖上
綾香「復活怪人としての出番もなかったわねぇ…まぁ、あの子にとっては私は標的に過ぎなかったからでしょうが」
雪見「無残に斬り刻まれた割にはあっさりしているわね。 こっちは首チョンパよ、再登場しても」
綾香「武人として敗れたからね。 武人の敗北には常に死が付き纏うもの。
無念だったけど、覚悟がなかった訳じゃないわ」
瑠璃「うちらも出番なかったわ… やっぱし、新作キャラはあかんのかな…」
珊瑚「るりちゃん、スプラッタやー『臓物(はらわた)ブチまけろ!』な感じやでー」
瑠璃「うあわっ! さんちゃん、やめてえな」
朧「贅沢言うな! 俺なんか設定だけで殺されているぞ! うう、ユズハ…俺は…駄目な兄だ…
ど素人に殺された挙句、お前を守ってやれなくて…orz」
北川「なんつーか、レオパルドン並だよなぁ…」
朧「言うなぁぁぁぁぁぁぁぁッ! あいつの古傷の大半は尾根の里で出来たもの!
つまり、俺が付けた奴……のはずだ」
渚「あの…邊那初さんの可能性も充分あるんじゃ…」
朧「………………………orz」
聖「…あの世に来てから何かと躁鬱が激しいな、朧殿」
佳乃「お、お姉ちゃん、ちょっと診てあげたら?」
聖「生憎、精神病は専門外だ。 まぁ、本編で出番がなかったから、ここで喋らせておけば多少は落ち着くだろう」
しのぶ「慰める訳じゃないけど、その後の素質の開花を見る限り、負けたのは恥じゃないと思うわよ」
朋也「さて、あいつがこの後、どう成長してゆくか見ものだな。 剣士として、人として」
七瀬「偽善よ、偽善。あの子が改心してからまだ誰も救っていないじゃん。 まぁ、この先、次々積まれてく
死体の山を見て自分の無力さに気付くでしょうね」
神奈「それどころか、次々と己の業の深さ明らかになってゆくのう…」
綾香「姉さん…」
朧「ユズハ…」
汐「わたしたちが死んだとわかったのも後からだし…これからまだいっぱい出てくるのかなぁ」
裏葉「観鈴さん、大丈夫でしょうか…杏さんが死んでかなり精神的に参っているようですし」
柳也「それを乗り越えない限り、再び人斬りに戻るか…再起不能になるかのどちらかだな。
どのみち、不殺と言うのは生半可な心意気で出来るものではない」
北川「しかし、こんなハードでシリアスな展開になるなんて誰が想像しただろうか(反語)」
しのぶ「話の上での分岐点はやっぱり
>>300辺りかしら。
>>306で夢オチみたいなギャグ路線を、
リコール出してまで拒絶しているから」
雪見「種割れフラグを立てたのは聖さんなのは間違いないけど」
聖「…耳が痛いな」
珊瑚「そこから書き手のみんなが一斉にシリアス路線に変っておるからなぁ」
瑠璃「4連被りとか3連被りとか出とるしな」
綾香「当分はシリアス路線まっしぐらでしょうね。 透子さんを届けて終わりか…邪剣の正体が明らかになるか…」
朋也「全ては選択次第。 未回収複線なんてざらだからな」
柳也「さて、そろそろ容量限界だと思うが…どうする?」
A ここの住人に任せる
B 観鈴関係なしに死んだ人が喋る
B?
B
白皇「どうして私が殺されたのだろうか…水戸黄門のように活躍したかったのに」
邪剣ってなんだっけ?
初音「原作に復活フラグがあるからだと思う。 あたしだって首ちょんぱされた事があるし、
鬼の設定とか、強化兵とか、そーいうフラグがある人は微妙に扱いがぞんざい…」
晴子「こんな事やったら観鈴には大人しゅう茶屋でどろリ濃厚でも出させておけばよかった、今は反省している」
智代「瞬殺された…出番が望み薄なのは確かだが。 支援板にあったように、
今回は”死が薄い”な。 時代背景がそうだとは言え」
珊瑚「なあ……杏ちゃん。死にたてほやほやの所悪いんやけど」
杏「……ん、ああ、何よ」
瑠璃「妹の椋ちゃんって、何してはる人なん? うちら姉妹とも仲良かったってことになってるし、
みす……まずいかな、まあええや。観鈴とも引きあわせようとしてたらしいやん」
杏「――ああ、そういえばそんなこともあったか」
珊瑚「十本刀の一人でもないわけやし」
杏「……何とか、幸せに……少なくとも、こっちに来るようなことが無いように祈るしかないわね」
瑠璃「何か、こういういい方まずいかもしれんけど。うちらはまだ幸せやったかもしれへんな……」
杏「どうして?」
珊瑚「二人ほとんど一緒に生まれて、一緒に育って、……一緒に死ねたんやからな……」
杏「…………」
>>936 楓「私が
>>617あたりで打った、ただ切れ味のみを追及した妖刀です。
観鈴さんの霊刀に呼応して反応する……とはなってますけど、
選択スレですし、別にその刀が必ずしも出る必要はないと思います」
七瀬「まぁあたし達、後はすることもないし、とりあえず観鈴にやられ組で恨み千万な人は、
ここから残りの十本刀の応援でもしましょ」
雪見「大丈夫、みさきならきっとやってくれる! あたしの仇を討ちなさい、みさきっ!」
朧「……なんかのんきに、茶店で一服してるようだが」
佳乃「うわぁ、お皿がひいふう……たくさん重なってる。大食い選手権優勝者一号さんに任命するよぉ」
珊瑚「せっかくやから、ここのスレの住人にウチらの二つ名を決めてもらおや。
今更な感じやけど、ないとそれはそれで格好がつかんからなぁ」
瑠璃「せやなぁ…じゃぁ、バッチリ格好いいやつを頼むで!」
※二人の十本刀としての二つ名を決めてください
首薙甲の珊瑚
首薙乙の瑠璃
薙刀使っていたので。
珊瑚「と、いうわけで」
瑠璃「めでたくウチらの二つ名が決まったで!」
杏「正直、それで? って言いたくなるほどどうだっていいけどね」
晴子「しっかし、ウチもよう死ぬなぁ。さゆりんに続いて二回目やで」
朋也「俺も死ぬのは二回目だ。ついてないな」
渚「私もです」
楓「私もですね」
白皇「私もだ。……と言っても、一回は中の人が橘敬介だったが」
神奈「甘い……甘すぎる」
柳也「どうした、神奈?」
神奈「余は……選択スレで死ぬのは三回目だっっ!!」
裏葉「あらあら、まぁまぁ……」
杏「智代を討つなんてよくやってくれたわ、私達の敵をとってくれて、ありがとう……………えーと、はせ、はせ…………長谷川さん?」
聖 「それにしても羨ましいのは国崎君の立ち位置だな」
柳也「ああ、選択しだいだから100%ではないが、死はまずありえない。
いつでも登場可能でシリアスもネタもなんでもOK」
佳乃「最近どこに出現していいか悩んでるみたいだけどねぇ」
杏「なんだってこの一年私が何度誘い出そうとしても断ったクセに、あの異人は会った瞬間自分から晩飯に連れ出そうとするのよあの子は」
白皇「我が藩は呪われているのだろうか。皆すまない。」
ドリィ「ガーン、トウカさんのうっかりな一言で、僕たちまで死亡確認!」
グラァ「でも座談会には間に合ったね、ドリィ」
ドリィ「そうだね、グラァ。若様もこっちにいるから、いいか」
朧「おまえら、死人のくせにポジティブだな」
ユズハ「私も透子さんの一言で……あ、そういえば私、まだ一言も喋っていませんでした」
朧「うおおおおっ、ユズハっ! ふがいない兄を許してくれっ!」
白皇「いや、それを言うならそもそも私が……」
雪見「辛気くさいわねぇ、あそこ。名前も漢字とカタカナが混じって鬱陶しいったら」
神奈「お国崩壊か……我が藩もどうなったであろか。もしかして、お家取りつぶしとか……」
七瀬「十分あり得るわね。参勤交代のど真ん中で、藩主と側近斬り殺されましたなんて、
大恥もいいところだし、藩としても立ち行かないわ」
神奈「な、なんと……」
七瀬「死んでもへらへらしていたあんたらには、いい薬だわ。はっ」
珊瑚「気楽に出てきて気楽に死んだうちらは、気にかけることがなくって助かるわー」
瑠璃「せやなー。他に東鳩2のキャラでてきてひんし」
しのぶ「ちょっと! そんなことより、なんで私が透子のそばについてあげられないのよっ!
キャスティングミスもいいところだわっ!」
綾香「どうどう。やっぱり死んでるせいか、情緒不安定な人が多いわねぇ」
しのぶ「これは素よっ!」
綾香「あ……そう」
>>949 うお、前半ほとんど同じ内容の書いてたw
うたわれ組は下手するとあと一人、自殺した側室ってのが確定しかけてるんだよな…
トウカも死亡フラグびんびん立ってるし。
トウカは騙されやすいから、るろ剣の鎌足(捕縛後)みたいになんか詭弁を弄すれば、
ころっと違う方向性で生きていきそうな気もするw
っていうか大名行列の人たち切腹になったんだよね。
許すべきではなかったぞ。神奈殿。
まさに知らぬが仏なりw
智代「ギャグキャラにあっさり殺された私の立場は…」
実はまだ絶対死んだとは思ってない俺がいる。
長谷部があのキャラで得物は毒で本人が殺した殺した言ってるだけだし。
まあもっかい京都にスポットが当たることがなければこのまま死んだものとしてフェードアウトだろうが。
それぐらいで私の立場は…とかいっちゃうようじゃこのスレの住人をやるのは難しい
なんかいや〜んな感じにギャグ路線になっていたから少しは真面目な方向に書いた自分からすると。
そういう風に今さら復活されるとしょんぼりしてしまう。
いや、こっちで座談会に参加してしまった以上、智代は死んだキャラw
次回作はどうなるだろう。殺伐ものの次だからやっぱりほのぼのとした話がいいかな?
晴子「うちら」
珊瑚「世にも珍しい」
瑠璃「関西弁とりおやで〜」
珊瑚「智子さんもうちらの仲間になれば」
瑠璃「『かるてっと』になれるのになぁ〜」
大丈夫だ。
間違いなく死罪だから>智子
るろ剣みたいに取引を持ちかけられて、ドライな智子ならそれを受け入れるかもよ
いやいや、百識の方治みたいに幕府に参謀として迎えられるかも
今度は自害しそう
埋め。
――某日 長州藩詰め所
杏 「――はい、ご苦労さま観鈴。これが今日の分よ」
観鈴「にはは。ありがと杏さん」
杏 「相変わらず仕事が速いわね」
観鈴「にはは。これしか取り得がないからね。
あ、そうだ杏さん。今日どこかに晩御飯食べにいかない?」
杏 「え? ……ええっ!?」
観鈴「今日は天麩羅食べに行こうと思うんだ。わたしの好物だから。
杏さん一緒に行かない? 奢ったげるよ」
杏 「そ、そうねえ。い、行ってあげてもいいけどわ、私も何かと忙しい身だだから。
ささ、最近新撰組の動きが活発になってきたし、ま、まあそうね。み、観鈴がどうしてもって言うなら」
観鈴「じゃあいいや。リサさんと行くから。それじゃまた明日ね。ばいばい」
(バタン)
杏 「……………………」
俺も埋めてみる
――また某日 長州藩詰め所
智子「はぁ…………」
杏「どうしたのよ智子」
智子「予算がな、足りへんねん」
杏「どうしてよ、この間藩から資金が出たばかりじゃない」
智子「………あれ」
みさき「う〜ん、京料理って上品な味付けで何杯でも入っちゃう」
杏「………あ〜何とか上に掛け合ってみるわ」
いまさらながら、杏カワイソス
>>966 春原「僕の旅行券を強奪した報いさっ!」
るーこ「それとこれとは関係ないぞ、すのうー」
――某日 長州藩詰め所
杏 「というわけで、本日の伝達事項は以上……誰か報告することはある?」
観鈴 「あ、はーい。ねえねえみんな、ちょっといい?」
智子 「なんや。あんたが意見なんて珍しなぁ」
観鈴 「みんなにお願いあるんだけど、いいかなぁ?」
七瀬 「別に。あたしたちで出来ることなら構わないわよ」
観鈴 「にはは、じゃあこれ」(ドサッ)
瑠璃 「な。なんやこれ」
珊瑚 「どろどろや〜」
観鈴 「久々に作ってみたの。観鈴ちん特性どろり濃厚緑茶」
なつみ「……お茶?」
みさき「にはとても見えないね。元々見えないけど」
幽名 「……で、それをどうするの?」
観鈴 「みんなで飲んで味見してほし」
智子 「おーっとアカン! 本国との打ち合わせがあったんや!」
七瀬 「そろそろ柏木楓に預けておいた刀、打ち終わるころね!」
姫百合「ウチらは薙刀のお稽古や〜!」
みさき「お茶菓子がないんならいいや」
なつみ「……さよなら」
幽名 「飛空発破は逃げにも有効!」
杏 「……」
観鈴 「がお…」
杏 「……ああもう! 飲めばいいんでしょ飲めば! どいつもこいつも薄情ね!」
観鈴 「にはは。ありがと杏さん」
杏 「ほら長谷川! あんたも手伝いなさい!」
彩 「え? ちょ、なんでこういう時ばかり私に白羽の矢がっていうか名前違いますし」