クラナド戦記〜光溢れるこの町で〜

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1名無しさんだよもん
一応ロワ物ですが、別に殺さなくてもいいと思います
2(ノ>ヮ<)ノ☆:05/01/05 17:35:23 ID:5Nh8xu/6
むしろ戦わせなくて良いと思います
3名無しさんだよもん:05/01/05 17:37:04 ID:xG4C91y1
〜ルール〜
・名無しのみなさんが主役です。ガンガン書いてください
・とりあえず舞台はクラナドの世界です
・初期設定は出来てますが、変更したいこととかあったら変えちゃっていいと思います
・簡単に殺すのはやめましょう
4クラナド戦記第1話:05/01/05 17:38:31 ID:xG4C91y1
目を覚ますと、辺りは一面の荒野と化していた。
見渡す限りの空、砂、砂、空。

俺は考えるよりも先に走り出していた。渚は……? 渚はどうなっているんだ?
足の腱が切れるほどの勢いで走った。
古河商店を目指して。

ハア……ハア……

鍵がかかっていたので、窓を壊して乗り込む。
中には……誰もいない。

「クソッ……なにがどうなってんだよ……」

と、その時後頭部に何か冷たく堅いものが突きつけられた。
「なっ……」
驚いて前に飛ぶ。
振り返ると、本が良く似合う『彼女』が立っていた。

「おはようございますなの。朋也くん」

001 岡崎朋也 008 一之瀬ことみ 遭遇
5クラナド戦記第2話:05/01/05 17:39:53 ID:xG4C91y1
「ここまでくりゃあ大丈夫だろう……
早苗、渚、けがはねえか?」

「秋夫さんこそ……肩から血が出てます」

「ちっ……さっきのボウガンをかわしきれなかったか……」

彼はすでに自分の身体のことなど考えていなかった。
今彼の頭にあるもの、それはかけがえのない――自分以上に愛すべき存在
だと認識している妻を娘を守ること、それだけであった。

「おとうさん……」
「……けっ! シケた面すんなよ渚ぁ!! 俺が守る。おまえ達は俺が絶対に守る」

言い終わるかどうかという時に、サイレンが鳴り響いた。身を隠している岩から乗り出して
あたりを伺うが……何も走っていない。

「なんだあ? 一体どこから……」

「参加者に告ぐ」
サイレンが止み、老人の声が辺りに響いた。もちろん姿は無い。

「参加者に告ぐ。ルールは一つだけじゃ――人間を見たら、殺すこと」
6名無しさんだよもん:05/01/05 17:40:14 ID:NlO6FpDN
リレー小説=バトルの風潮はいつ生まれたのかね?
ハカロワ以前もそうだったような気がしないでもない。
7クラナド戦記第3話1/2:05/01/05 17:41:57 ID:xG4C91y1
ふぉっふぉっふぉ……
おそらくは参加者とは何の話だ? と思っとる者が大半じゃろうな……
よかろう。参加者の定義は、『ワシの声を今聴いている者全員』じゃ。
ん? 聴こえていない者はどうなるのかじゃと?
かっかっか!!!安心せい!!!
この放送を聴いていないということはすでに死んでいるということじゃ!!
じゃがまあ……他にどんな人間が残っているのか程度のことは教えて
おいてやってもいいかの……
これ!!誰かリストをここへ。
ふぉふぉふぉ……
では一度だけ言うからよおお〜く聴いておくのじゃぞ。

001 岡崎朋也
002 藤林杏
003 藤林椋
004 春原陽平
005 伊吹公子
006 伊吹風子
007 柊勝平
008 一之瀬ことみ
009 相良美佐枝
010 小川一哉(ラグビー部員)
011 芳野祐介
012 古河秋夫
013 古河早苗
014 古河渚
015 宮沢有紀寧
016  徳田悠作(サッカー部員)
017  坂上智代

以上17名。
8(ノ>ヮ<)ノ☆:05/01/05 17:41:58 ID:264IBmRE
ことみさんが組織の一員で核兵器を落としたってやつですねっ
9名無しさんだよもん:05/01/05 17:42:28 ID:iS3L2eQ9
みんなガスで死んじまえばいいんだ
10クラナド戦記第3話2/2:05/01/05 17:42:42 ID:xG4C91y1
……まあようするにこの町で生きのこっとるのはこの17人だけということじゃの。
ふぉふぉ!! おそらくまだこれが何かの冗談だと思っとる者もおるじゃろうなあ。
まあそれならそれでこちらとしては構わん。別にな、ワシは殺し合いが見たいわけでも
何でもない。
 
 お ま え た ち が ぜ ん い ん し ね ば そ れ で い い ん だ

ふぉっ!!ふぉふぉふぉっ!!
じゃがのう……こちらからは一切手を出せないのもまた事実。
ワシはここから高みの見物とさせてもらおう。

――さあ、殺戮の宴を始めよう――
11名無しさんだよもん:05/01/05 17:45:00 ID:+piJYycj
17人全員のゲンキダマで邪悪な>>1は氏にました。
めでたしめでたし。
12クラナド戦記第4話1/5:05/01/05 17:53:29 ID:xG4C91y1
「ことみ……?」

朋也は未だ状況を飲み込めてはいなかった。
だが、今の放送、そして目の前には自分に対し銃を突きつけている少女。
何も判らない、何も判らないが――コレハヤバイ――そのことだけは感じ取れた。

「朋也くんは今の放送をどう思ったか、教えてほしいの」

いつもと変わらない――いつもと変わらず、柔らかく口の端を持ち上げた表情で彼女は
そう言った。

「タチの悪い冗談……だよな……」
俺は掠れた声でどうにかそれだけを口にする。
「窓の外、見える?」

「……ああ」
「なんにもないの。なんにも、なくなっちゃったの」

そう広がる視界はただ岩と砂に埋め尽くされ、いつもならやかましいはずの
ひぐらしの声も聞こえない。

13クラナド戦記第4話2/5:05/01/05 17:56:43 ID:xG4C91y1
「建物も、鳥も、虫も、そして人間も。みんなみんないなくなっちゃったの。残ったのは――17人」
ことみは笑っていた。けれど俺から眼を反らしてはくれなかった。
「でも……ここは無事だ。俺の家も無事だった」
「それはあなたたちが『光』に選ばれているからなの」
「光……?」
「そう、『光』。アレが無ければ、本当は全部終わっていたはずなの。」
「一体……どういうことなんだ?」

何もわからない。俺はこれが現か夢なのかの判断もついていない。
けれど、ことみに冗談が言えるはずはない。こいつはいつだって本当のこと
しか言わない。

「核なの」
「は?」
「核爆弾。a nuclear bombのことなの。朋也くん、知らない?」
「いや、しらないもなにもねえだろ……その核がどうしたっていうんだ?」
「落ちたの。ここに」
「なにを言って……」
「ううん。正確には『落とした』の。わたしたちがね」
「落とした……ことみが、この町をこんなにしたって言うのか!?」

あり得ない話では、ないのだ。
一之瀬ことみ。天才科学者一之瀬なんとかと水恵の娘にして、齢十六にして
世界の真理を知るに到った少女。彼女がその気になれば、核の一個や二個を
製造し制御するくらい造作もないことのはずだ。


14クラナド戦記第4話3/5:05/01/05 17:58:54 ID:xG4C91y1
「そういうことなの。正確には、私が所属する機構が、だけれど」
「機構……?機構ってなんなんだよ」
「MIO――Making Idea Organization――理想の世界を創り出す者。それが私達なの」
「理想の……世界……?」
「そう。……朋也くんに言っても判ってもらえないかもしれないけど、この世界は――
この、地球をベースとした世界はもう駄目なの」

そこで彼女は微笑みを収め、俺の知らない『一之瀬』の顔になる。

「最近はテレビでも新聞でも良く言われてるの。環境が危ないとか、宗教が大変だとか、戦争は
良くないとか。でも、問題はもうそんなことに留まらないの。本当の問題は、人間の進化のベクトル、
その向きがそもそも間違っていたことにあるの。それは何も今に始まった話じゃない。
遡ればF.ベーコンが 『知は力なり』といったことにその原因となる原初がある。
朋也くん、わたしたちは、わたしたち人間は 科学の使い方なんか知るべきではなかったの。
何も知らずに、ただあるがままの自然を畏れ、敬い、 享受していればよかったの」

「それが爆弾を落とした理由だっていうのか」

「そうなの。わたしたちはもう世界を救うことを諦めた。この世界を再生させることは不可能なんだって、気付いたの。だったら――全てを壊し、もう一度新しい世界を創造するしかない――それが『イデア計画』。私たち機構の悲願なの」

「わかんねえな……その新しい世界で、お前たちは神様にでもなるっつーのかよ」

「ちょっと違うの。私たちは世界の神様になりたいんじゃない、私たちは『そのまま』世界になりたいだけなの」
15名無しさんだよもん:05/01/05 18:04:28 ID:eVDnsu8u
>>1
こんな駄SS書いて喜んでる暇あったら
ハカロワUの方、なんとかしてやれよ
16クラナド戦記第4話4/5:05/01/05 18:11:30 ID:xG4C91y1
「そのために一度世界を滅ぼすってわけか」
「うん。計画の99%はすでに完了しているの。今、地球上で生き残っている人間は私たちの《チーム》
とこの町の17人を足した40名足らずなの。他の人間や都市は――もう全部、吹き飛ばしちゃったの。
この国だけじゃなく、他の国も含めてね」
「そして俺たちだけが生き残っているのはさっき言ってた光の玉のおかげ、ってわけか」
「朋也くん、賢いの。そう、この町は特別。私たちも『光』の力を優に超えるはずのエネルギーを打ち込
んだつもりだったんだけど……それでも生き残っている人間がいる。完全に計算外の事態なの。『光』
の恩寵に預かっている人間もそれぞれ程度がある。弱い人間は核の爆発で殺すことができたけど、そ
の影響が大きい人間に対しては何もできなかった。だから、私たちは最後の方法を採ることにした――『光』を
倒したいなら、別の『光』をぶつければいい――復習法と一緒、とっても合理的なの。だからわたしがここに来
た。同じ『光』の力を持つわたしなら、簡単にあなたたちを殺すことができるから」

殺す。ことみは今、殺す、と、そう口にした。

「ことみ、一つ訊きたいことがある」
「なにかな、朋也くん」
「その『殺す』の対象に、渚は入っているのか?」

17クラナド戦記第4話5/5:05/01/05 18:21:03 ID:xG4C91y1
「もちろんなの。『参加者』全員の殲滅、それが今回の《チーム》からの指令だから」
「そうか。それならば俺がやることは一つだ。」
呆けていた面を引き締め、ことみの双眼を射抜くように見つめる。
「おまえらの考えなんかわかんねーし、地球がどうなろうと
知ったこっちゃない。けどな――俺は惚れた女の命が狙われてんのを見過ごすほどに腑抜けてもいねえんだよぉっ!!」
俺はおもむろに、タンスの側に落ちていた黄色いカッターナイフを手に取った。
「来い、一之瀬ことみ――殺し合いを始めよう――」

001 岡崎朋也 所持品:黄色のカッターナイフ
008 一之瀬ことみ 所持品:コルトガバメント、パイナップル×2、防弾チョッキ

古河家にて戦闘開始
181:05/01/05 18:23:55 ID:xG4C91y1
とりあえず初期設定くらいは作っとこうと思って、書いときました。
このままロワっぽく進めてもいいですが、全然別の方向に持ってっちゃう
のもアリだと思います
ロワU、コテロワはともに失敗しましたが、このようにクラナドの世界だけに限って話
を進めればあまり荒れたり、トンデモな展開になったりすることはないんじゃないかと
思うのです

では皆様ふるってご参加ください――
19名無しさんだよもん:05/01/05 18:33:42 ID:iS3L2eQ9
火山ガスでみんな寝てるうちに死にました


--------完------------
20Σ(ノ>ヮ<)ノ☆:05/01/05 19:17:16 ID:264IBmRE
コテロワはまだ終ってませんっ
風子がこれから続きを考えますっ
211:05/01/05 19:18:53 ID:xG4C91y1
>>19
パクリ、イクナイ

>>20
終わった、終わったんだよ風子
だからこっちでやろうぜ、な?
22(ヽ>A<)ヽ☆:05/01/05 19:25:09 ID:264IBmRE
嫌ですっ
風子コテロワの続きが読みたいんですっ
続き書いてくださいっ
23(ノ>ヮ<)ノ☆:05/01/05 19:26:06 ID:5Nh8xu/6
別に自分で書けばいいじゃないですか
24名無しさんだよもん:05/01/05 19:30:32 ID:iS3L2eQ9
みんな拷問されて食われて死にました



--------完------------
25名無しさんだよもん:05/01/05 19:32:16 ID:MPnO+eI+
26名無しさんだよもん:05/01/05 19:35:08 ID:3HncfJmK
>>18
中々面白そうではある。
期待sage
271:05/01/05 19:45:01 ID:xG4C91y1
とりあえずサッカー部員とラグビー部員も入れておきましたので、
陵辱を絡めたり、春原を絡めたりして盛り上げてもらえればいいなーと
思います。
あと、オヤジとか水恵とか省いちゃったキャラも何人かいますけど
出したい人は出しちゃってください♪
28名無しさんだよもん:05/01/05 19:46:08 ID:3HncfJmK
というか、サッカー部の奴が光の恩恵を受けられるとは思えないんだが…
291:05/01/05 19:48:02 ID:xG4C91y1
するどい突っ込みキタ━━━━ヽ(゚∀゚)ノ━━━━ッ!!
そこはほら……なんつーか、アレですよ
ほら、ことみが手下として使うために光パワーを分けたとか、
色々あるじゃあないですか……



















すんません。考えてませんでした
30名無しさんだよもん:05/01/05 20:00:08 ID:3HncfJmK
いやまぁ、その辺はどうにでもできるだろうし。
書き手さんに任せてもいいのでは
311:05/01/05 20:12:06 ID:xG4C91y1
クラナドキャラVS《チーム》って形にするのも面白そうな気がします
もちろん《チーム》には高槻とかいくみんとか千鶴さんとか入れて
32名無しさんだよもん:05/01/05 20:13:25 ID:3HncfJmK
33名無しさんだよもん:05/01/05 20:38:55 ID:EHH4pAkn
めんどくさいから全員咽喉かきむしって自殺でいいじゃん
あと糞スレあげんなマジうぜえ
34名無しさんだよもん:05/01/05 20:47:05 ID:TmEMA4J8
2行目だけ同意。
35(ノ>ヮ<)ノ☆:05/01/05 20:48:15 ID:264IBmRE
めんどくせぇといいつつネタをだす…

そんなあなたにヒトデライズド
36名無しさんだよもん:05/01/05 21:06:31 ID:DGSzrsIU
朋也「やっべ、タイツ履いちゃったよ」




                            終了


37(ヽ>A<)ヽ☆:05/01/05 21:08:11 ID:264IBmRE
本人は面白いと思って書き込んだんでしょうけど…

なんだかかわいそうですっ
38クラナド戦記第5話1/3 :05/01/05 22:53:00 ID:cqvw6ibq
「ってなるか!」
朋也はカッターナイフを地面に投げる。
カララという耳をつんざくような金属音が、辺りにけたたましく響いていった。
音はそれだけ、本当に静かだった。
「あほか。俺等が殺し合ってどうするんだよ?世界になりたいとか・・・それらしいこと言っても、
この街にしか人はいないんだぜ?助け合って生きていこう。もう、それしかないだろ」
ことみは首をくいっと傾けた。
「戦線放棄?無条件降伏?」
「あのな、そういう意味じゃない。」
朋也は何も持っていないことをアピールするように手をぶらぶらと振った。
そして、ことみに近づいていく。ことみはあどけない表情のまま、朋也の姿を見ていた。
「人が死ぬってことは悲しいことだって・・・お前ならわかっているはずなのにさ・・・子供の時、
部屋でずっと泣きじゃくっていたあの頃のこと、
お前は気づいてないかもしれないけどさ、あの日々をまた繰り返そうとしてるんだぞ!
そんなのお前にとっても・・・・俺にとってもさ。嫌なんだよ!なぁ、気づいてんなら止めちまえよ!」
39クラナド戦記第5話2/3 :05/01/05 22:53:51 ID:cqvw6ibq
ことみは無言だった。無言にただ、朋也を見つめ、ポケットにあるパイナップル型手榴弾を手に取り、リング付きのピンに歯をがっとかけ、固い肉を引きちぎるように抜き取った。
「な・・!おい!やめろって!そんなことしたって何も意味も無いだろ!」
ことみは猫のように前歯でピンを囓ったまま、喋った。
「ことみゅは変りゃったの、でみょ朋也君は変わってないの」
変な声で喋って、おもちゃみたいな手榴弾や拳銃を持って、端からはふざけてるように見えると思う。
だけど、それは本物で、日常から剥離していたからなのだ。
なんで、こんなに異常なんだろう。
そう朋也は疑問に思った。
「えぃ」
情けない声をだして、ことみは周囲20mは吹き飛ぶ爆弾を投げた。
もし、これが本物だったら、朋也は背筋にぞっとする悪寒がして、古川店内へ、ドアを開け、入り、パン置き棚のすぐ下に身を伏せた。
40クラナド戦記第5話3/3 :05/01/05 22:54:53 ID:cqvw6ibq
パン!
大きな音がして、ガラスがパンの上へ降りかかった。
あのパンはもう食えない。
間髪入れず、拳銃の弾がコンクリートの部屋の壁をえぐっていく。
あの壁は壁紙から変えないと修復できないだろう。
朋也はまだ日常にいた。
ごうっと拳銃ならぬ音がして、頬がえぐれて、血がでた。
その時、やっと朋也は自分が今いる場所がわかった。
そこは戦場だった。
「お、おいおい。意味わかんねぇよ!」
そう叫ぶと、朋也は店の裏側から窓を使って逃げ出した。
朋也が逃げ出すと、すぐに銃撃の音は終わった。
そして、すぐに朋也へ向かってだんだんと大きくなる足音が聞こえてきた。
41名無しさんだよもん:05/01/06 05:10:21 ID:eSvIOBKr
>お、おいおい。意味わかんねぇよ!

このスレの全てを顕している一言ですね
42名無しさんだよもん:05/01/06 09:18:28 ID:0NHGuBwy
ちょっとワロタw
期待age
43名無しさんだよもん:05/01/06 15:52:34 ID:b5EB86Tc
お、おいおい意味わかんねーよw
44クラナド戦記第6話1/3:05/01/06 17:36:42 ID:zeMWGx2p
「お、おいおい。意味わかんねぇよ…」
それは俺、小川一哉がいつものように騒音を撒き散らす男子寮の害虫、春原陽平の部屋を訪れた時のこと

だった。

突如の閃光。爆音。遅れてやってくる振動。
倒れこみそうになる身体を抑え、窓の外を見た。
外は光に包まれ、何も見えない。
しばらくすると光はおさまり、眼に飛び込んできたのは見渡す限りの荒野。
そしてその直後の謎の放送。
「殺しあえ?俺達に?…本当、意味わかんねぇよ…」
俺はもう一度同じ言葉を繰り返した。

部屋の主、春原陽平は先ほどの振動でつまづき頭でも打ったのか、床でのびている。
「…ったく、呑気なもんだなコイツは」
俺は春原を足で小突く。
「おい、春原!おい!起きろっ!」
「…う〜ん、だめだって…美佐枝さん、おっぱい出して楽にしててよ…」
こいつは…
「起きろ、糞春原ぁぁぁぁっっ!!」
俺は春原の頭を思い切り蹴飛ばす。
45クラナド戦記第6話2/3:05/01/06 17:37:14 ID:zeMWGx2p
ガンッッッ!!

「…う、え、あれ?僕、一体どうして…って、ひぃぃぃぃぃ!!」
目を覚ました春原は俺を見るなり超速で部屋の隅に屈み込む。
「ああああの、僕何かしましたっけ?」
こいつ、状況を理解してねぇ…
「はぁ…いいよな、お前は気楽で」
「……クソッ、せっかく美佐枝さんのおっぱいが見られると思ったのに……」
まだ夢のこと考えてやがるし。

…待て。俺は何か大事なことを見落としている…
「…待て、お前今なんて言った?」
「ひぃっ!」
「ひぃ、じゃない。答えろ」
「み、美佐枝さんのおっぱいが見られると思ったのにって…」
そう、美佐枝さんだ。
俺達が住む男子寮の寮母さんにして俺達の憧れの人。
まずは美佐枝さんの安全を確認しなければ…
46クラナド戦記第6話3/3:05/01/06 17:37:49 ID:zeMWGx2p
…待て。俺は何か大事なことを見落としている…
「…!!そうだ!美佐枝さん、今どこにいる!?」
「どこって…今朝言ってたじゃん。今日は学校に用事があるから夕方まで帰らない、ってさ」
「何てこった…」
こんな状況で、学校にいるだって?
さっきの放送からすると美佐枝さんは生きているようだったが…
だが、もしあの放送を真に受けた馬鹿がいて、美佐枝さんに襲い掛かるようなことがあったら…
「こうしちゃいられねぇ!オイ、行くぞ!」
「え…行くって、どこにさ」
「学校だよ!」
「ちょ、ちょっと待ってよ。僕、何がなんだか分からないんだけど…」
「いいから黙ってついてこい!」
「ひぃっ!」
「ひぃ、じゃないっ!お前も男だろうが!」
「そりゃあね。もうこれでもかって程男だよっ」
「そうか。なら来い!」
「何だかよく分からないけど、行くよっ!」

目指すは学校。
美佐枝さん、無事でいてください……!

010 小川一哉(ラグビー部) 所持品 バット(春原の部屋の備品)
004 春原陽平  所持品 某ラジカセ(岡崎ラップ入り)
47名無しさんだよもん:05/01/06 18:21:20 ID:5v/es4I6
お、おいおい。意味わかんねぇよ!
48名無しさんだよもん:05/01/06 19:13:40 ID:/ab56OIq
ワロスw
意味わかんねえよ
49名無しさんだよもん:05/01/06 19:39:14 ID:V7XLcGPh
漏れも意味分からん。

各キャラに行動理念というものがないからそうなってるんだろうが。
50名無しさんだよもん:05/01/08 22:43:28 ID:FTGxZ4bH
募集age
51名無しさんだよもん:05/01/09 14:56:41 ID:FlBxX/bz
期待age
52名無しさんだよもん:05/01/09 15:04:02 ID:Xv+kjIIC
お、おいおい。意味わかんねぇよ!
53名無しさんだよもん:05/01/10 11:08:44 ID:YP9dKFma
dendか?
54名無しさんだよもん:05/01/14 15:35:24 ID:2R0/xm8S
お、おいおい!
55名無しさんだよもん:05/01/14 18:32:11 ID:bl3Mgj56
意味わかんねえよ!
56名無しさんだよもん:05/01/14 23:50:20 ID:taHe8JgT
何だかよく分からないけど、行くよっ!
57灯籠 ◆LAMPq94ziM :05/01/16 00:51:09 ID:ep85TC9P
よし、このスレは俺がいただこう
皆の者異存はないな?
58名無しさんだよもん:05/01/16 01:03:25 ID:BAWi75+e
お、おいおい!
59名無しさんだよもん:05/01/16 07:37:35 ID:wuorPVLz
意味わかんねえよ!
60名無しさんだよもん:05/01/16 18:50:38 ID:2oTHzGmg
何だかよく分からないけど、行くよっ!
61'ヽ/ヽ:05/01/17 17:02:44 ID:zHksJcEL
何だかよく分からないけど、行くよっ!
62名無しさんだよもん:05/01/17 17:42:55 ID:7jHaX8ne
お、おいおい!
63名無しさんだよもん:05/01/17 18:22:48 ID:YsaN4mDp
   <<でも、何もかも、変わらずにはいられないです>>

地球はその姿を変えた。
古代叙事詩『マハーバーラタ』に謳われる、
“神々すら抵抗しがたい、一万の太陽を集めた武器”。
人の創りし絶対の兵器「新型爆弾クラナド」。

ことみ 「とぅー・れいと。起きてしまった戦いは、止まらない。滅びの、その日まで」
椋 「ごめんなさい……! 占いによれば人類は……決して、滅びないんです!」

人を滅ぼす終末の火の玉は、人自身の手によって、人自身にもたらされた。
炎は人類の過半を焼き尽くし、海と大地を等しく廃墟と化した。



   <<それでも、この地球(ばしょ)が好きでいられますか?>>

地球は、もはや生命のあふれる星ではなかった。

地表のすべてを焼いた炎はやがて、大規模な地殻変動と気候変動を呼び起こす。
都市は地溝に飲み込まれ、陸は海に近い場所から順に、急速に海水面に侵されてゆく。
まだ人が華やかだった頃、はるか高い坂の上に建設されたその学園は、
いつしか人類の約束の地となった。

智代 「面白い。面白いぞ。あれが今日から私の通う学校か」
秋生 「俺のパンを必要としてる人々が、あの地にはまだいるじゃねえか……!」
64名無しさんだよもん:05/01/17 18:24:45 ID:YsaN4mDp
   <<この学校は、好きですか>>

美佐枝 「食えと言うまでメシを食うな! しろと言うまでクソをするな!」
公子 「藤林さん、教えてあげる。貴方が学級委員長だろうと、いかに戦いに長けようと、
 教師は常に生徒の上に立つということを!」

それは、専制と隷従、血と鉄の掟が支配する狂気の地。
悪夢のように天へと伸びた、階級という名のピラミッド。
強者が弱者を虐げ、弱者が強者に屈する帝国。

単純きわまる、しかしこの上なく強固な、荒廃と停滞のシステム。

風子 「……だから、姉さん。私は貴方を倒す」
有紀寧 「クラナドを創れば、私たちは力を手にする。世界を逆転させる“力”を。
 製法に関する資料は揃っています。あとは……」

   ――見つければいいだけだろ。

揺るがす予感があった。
民が求めるものは、人の手なる絶対の力だった。
王に死をもたらし、神すら屈服させる力だった。

いつの日か、子が親を、民が王を、人が神を殺す時が来る。
一人の青年に、使命は託された。

CLANNAD――クラナド――この物語は、ここから始まる。


   ――次の楽しいことや、うれしいことを見つければいい。
   ――ほら、いこうぜ。
65名無しさんだよもん:05/01/17 18:27:45 ID:YBcTXMNW
あた〜らし〜きぼーをみつけよ〜♪
66名無しさんだよもん:05/01/17 18:34:34 ID:7jHaX8ne
意味わかんねえよ!
67名無しさんだよもん:05/01/17 19:19:44 ID:aXmM4z/v
何気にクオリティ高いなww
俺も書きたいけどアク禁がorz
68名無しさんだよもん:05/01/17 20:41:05 ID:N5PKGYSa
お、おいおい!
69’ヽ/ヽ:05/01/18 00:20:12 ID:cW130drF
>いつの日か、子が親を、民が王を、人が神を殺す時が来る。


その道は「ヤツら」が4000年前に既に通過した道だッ!!!!
70名無しさんだよもん:05/01/18 13:37:50 ID:JQBr9g2r
意味わかんねえよ!
71名無しさんだよもん:05/01/18 14:23:28 ID:uYWvklGT
おいおい!!
72名無しさんだよもん:05/01/18 14:36:54 ID:zkxf840V
何だかよく分からないけど、行くよっ!
73クラナド戦記第7話 1/3:05/01/18 16:10:46 ID:EJynTGim
「おいおい・・意味わかんねぇよ・・」
俺、芳野祐介は確かにさっきまでジョニーさんと電柱の設置作業をしていたはずだった。
「ボーイ、耐電ケーブルとってくれるか?」
ジョニーさんは煤で汚れた顔を拭いながら、俺にそう頼んだはずだ。
なのに、なぜ
彼はもういないのか
あと数分で立て終わるはずだった電柱が消えているのか

そして

俺の愛した町が荒野に変わっているのか
俺には何もかもわからなかった。
ただ一つ分かるのは、俺が耐電ケーブルをとろうとトラックに戻った刹那、
目もくらむような閃光が街を覆ったということだけだ。
ジャキッ!
背後からした物音に驚いて我に返った。振り返ると知らない少年が俺を見据えていた。
「銃・・?」
サッカー服に身を包んだ少年は、その格好にそぐわない、ごつい銃を俺に向けていた。
「ちょっと待て!いったい何がどうなっている?」
おかしい・・何かがおかしい・・映画の撮影でもしているのだろうか?
「とぼけんなよ。」





74クラナド戦記第七話 2/3:05/01/18 16:11:37 ID:EJynTGim
「あんたも聞いただろ!さっきの放送を!!」
「放送・・?」
そんな放送を聞いた覚えはなかった。放心のあまり耳に入っていなかったのだろうか。
「俺たち17人で殺しあえって放送だよっ!!」
ばりん!
銃口から立ち上る仄かな煙。そして俺の足元に落ちている砕けたトラックのサイドミラーが、
少年の言葉を真実だと証明していた。
「ちっ!次は外さねぇ・・」
一歩、二歩と歩を進める少年。
駄目だ・・今度はやられる・・
俺の頭を死の恐怖がよぎった。そして俺は叫んでいた。
愛する人の名を。
「伊吹さんっ!!」

「・・呼びましたか」

恐る恐る目を開けた俺の瞳に、見覚えのある少女が映った。
「風子ちゃん!?」




75クラナド戦記第7話 3/3:05/01/18 16:12:16 ID:EJynTGim
「なんだぁ?てめーは!」
少年が銃口を風子ちゃんに向ける。
「風子、ユースケさんの助太刀に来ました。いきます・・必殺ヒトデin theスカイ!」
突如空のかなたをぴっと指差す風子。
「ああっあんなところに大きなヒトデがいます!三秒以内に願い事を言えば叶えてくれそうです!
ユースケさん、相手が願い言を言っている間に逃げてください・・って沈黙を守っていますーっ!!」
「てめえーッおちょくってんのかー!」
相手が引き金に指をかける。
ドガッ!!
だが一瞬早く俺のスパナが少年の脳天を打っていた。
「ぐああっ!てめえーっ!」
頭を抱えてうずくまる少年。
だが俺はすでに風子ちゃんを抱えて走り出していた。
もう恐怖は無かった。風子ちゃんの出現が、俺に何をすればいいか思い出させてくれたからだ。
守ろう。風子ちゃんを。そして公子さんを。
俺の全てをかけて。
「それが・・愛だ」

006 伊吹風子 所持品:ヒトデ
011 芳野祐介 所持品:スパナを含む工具一式

016  徳田悠作(サッカー部員) 所持品:銃(名称不明)
76名無しさんだよもん:05/01/18 16:16:41 ID:uYWvklGT
つーか普通に面白い
77名無しさんだよもん:05/01/18 16:30:50 ID:EJynTGim
>>76
俺に言ってくれてるとしたらサンクス

はじめて書いたけど、やっぱりむずい
展開に無理あり杉だしorz
魁よ・・今まで馬鹿にしてスマソ
78名無しさんだよもん:05/01/18 18:22:22 ID:qb1x1FPg
おいおい〜は恒例になったのかw
79名無しさんだよもん:05/01/18 19:12:06 ID:/rhUZinU
隠れ良スレハケーン
80名無しさんだよもん:05/01/18 19:20:19 ID:4Xzw02C2
「この地球は、好きですか」

何もかも、変わらずにはいられない。
前世から来世へ、神代から宇宙暦へ、釈迦入滅から弥勒下生へ。
平和の時代も、繁栄の時代も…すべて、変わらずにはいられない。

「それでも、この歴史(ばしょ)が好きでいられますか」
「見つければいいだけだろ」

ありふれた春の学園生活から始まる、この惑星の過去と未来を懸けた戦い。
迎え撃つは108の時代。
神々の存在した太古、大八島を巡る争いの時代――
天下麻のごとく乱れ、兵どもが喰らい合う時代――
二度目の大きな戦争が世界を席巻する時代――
遠からぬ明日、終末の炎を耐えた時代――
遥かな未来、またたく星々の覇権を競う時代――
永劫の時の果て、弥勒の救いを欣求する時代――

そして、すべての時代を貫く謎の塔〈スメール〉。

「また坂の上からやり直しかよっ!」
俺たちは登り始める。長い、長い坂道を。


Key新作ADV
多重世界遍戦記『クラナド』
2002年発売予定
81'ヽ/ヽ:05/01/18 19:43:57 ID:cW130drF
関連スレ?
速報】Key新作 風のない丘【涼元】
http://pie.bbspink.com/test/read.cgi/leaf/1090495079/l50
82名無しさんだよもん:05/01/18 19:52:43 ID:4Xzw02C2
むしろこうです。

関連スレ
CLANNAD -クラナド- ネタバレ感想スレ
ttp://yellow.ribbon.to/~netannad/log01.html
83クラナド戦記第8話 1/4:05/01/18 21:16:18 ID:EJynTGim
「はあっ、はあっ」
寮からノンストップで走り続けたせいだろう。学校についた頃には俺も春原も息が上がっていた。
「ねぇ、美佐枝さんのおっぱいが見たいのは分かるけど、待ってれば寮でも見れはぐっ!」
うるさい春原を殴って黙らせる。
まだ昼間だというのに学校は不気味なほど静かだった。
開け放たれた昇降口から中に入る。
「え・・土足でいいの?」
「黙ってろ」
普段にぎやかな学校も、人がいないと全く雰囲気が変わって見える。
この静けさは何も起こっていないということなのだろうか。それとも・・
その時、唐突に、廊下の影から人間が姿を現した。
全身に緊張が走った。
相手に向けて身構えた次の瞬間、春原が間抜け声を挙げた。
「おっ勝平じゃん!」
勝平と呼ばれた男はにっこりと笑って応えた。
「ああ、陽平くん。やっぱり。ここなら誰かに会えると思ったよ。」
「あれっ?入院してたんじゃなかったっけ?」






84クラナド戦記第八話 2/4:05/01/18 21:17:36 ID:EJynTGim
「春原っ!不用意に近づくんじゃねえ!」
俺は老人の放送を思い出していた。
殺し合い・・
今は誰も信用できない。いくらこの男が一見危害を加えそうに無くてもだ。
「うん。さっきまで入院してたんだけど、今は具合がいいんだ。光のおかげかなぁ」
俺の怒声にも男は動じる様子も無く言葉を続ける。
「じゃあ一緒に美佐枝さんのおっぱい見に行こはぐっ!!」
こいつの頭にはおっぱいのことしかないのか。
「いや・・たぶんこの状態は長く持たないんだ。だから・・」
男は後ろで組んでいた手をほどいた。その手には―――

「だから、最後は輝いていたいんだ。陸上選手だった頃のようにね。」

―――銃が、握られていた。
「伏せろ春原っ!!」
ばんばんばん!
「ひぃっ!」
春原が腰を抜かしていた。
「役立たずがっ!」
俺がやるしかない。バットを振りかぶって突っ込んだ。
「うおおおおぉぉーっ!」





85クラナド戦記第8話 3/4:05/01/18 21:18:17 ID:EJynTGim
スピードには自信があった。しかし、
ぶんっ
バットは空を切っていた。
バンッ!
刹那、下腹部に鈍い衝撃が走る。そして熱い液が体から流れ出ていくのを感じた。
床にがっくりと膝を付いた。
畜生・・っ
これで・・俺も、春原も・・美佐枝さんも・・っ

「てめえええぇーーっ」

聞きなれた馬鹿の声が廊下に響いていた。
弱いくせに、何度もラグビー部にボコされてるくせに、懲りない馬鹿の声だった。
「馬鹿、逃げろ春原っ」
次の瞬間、俺の手からバットの感覚が消えた。
春原が取ったのだと、しばらくして、気づいた。
廊下に春原と勝平の戦闘の音が木霊する。
あいつ、何で怒ってんだ・・朦朧とする意識の中でそんなことを考えていた。
俺たちには散々泣かされてきたのに。俺なんかおいて逃げればいいのに。
「あいつはっ!小川は!!嫌なやつだけどっ!!でもっ!!!」
春原がバカ声を張り上げた。
「同じ人を好きになった仲間なんだよぉーーーっ!!!」

86クラナド戦記第8話 4/4:05/01/18 21:19:36 ID:EJynTGim
がきぃんっ・・!!
相手の手から銃が叩き落とされる音が聞こえた。
そして、男は逃げていったようだった。

「小川っ!大丈夫かっ!!」
ああ・・
悔しかった。俺が負けて、春原が勝った。
いや、違うな
俺はとっくに気づいていたんだ
「す、春原・・覚えてるか・・?」
「えっ?」
「お俺たち、が、お前を目の敵にし始めたのは、二年前の、あの体育の時間からだ。・・ラグビーの授業の」
「お、おい・・意味わかんねえよっ!」
「お前、才能あったんだよ・・俺らより・・俺ら毎日練習してんのによぉ・・お前・・帰宅部なのによぉ・・俺ら・・
ラグビーしか能がねーのに・・だから・・」




87クラナド戦記第8話 5/5:05/01/18 21:20:56 ID:EJynTGim
もう意識がはっきりしなかった
「お前・・守れよ・・美佐枝さん・・」
もう春原の顔が見えなかった
「ぼ、僕一人じゃむりだよっ!小川っ!」
この馬鹿は・・
最期まで・・
「てめえーっ!美佐枝さんに何かあったらぶっころすからなあーーっ」
「ひ・・」
全身の力が抜けていった。
そして俺の意識が
「わ、わかったっ」
消えた。

004 春原陽平 所持品:バット、某ラジカセ、銃(名称不明)
007 柊勝平 所持品:なし

010 小川一哉  死亡
88名無しさんだよもん:05/01/18 21:22:38 ID:EJynTGim
思いついたから我慢できずに書いてしまった スマソ
評判悪かったらもう来ないから勘弁
89名無しさんだよもん:05/01/18 21:42:11 ID:SCP3bTPA
やっぱ最初に死ぬのは脇キャラか…
いい流れだと思うよ。登場人数も少ないんで最後まで書ききって欲しい
がんがれ
90名無しさんだよもん:05/01/18 21:55:42 ID:kZnhCRAO
だから面白いって
応援age
91名無しさんだよもん:05/01/18 22:12:19 ID:EJynTGim
報道ステーション見てる間に応援レスが!
ありがと、そう言ってくれるなら頑張ってみます。
こんな俺でも書けるんだから、見てるだけの人も書いてくれ!
みんなでもりあげようぜ!
92クラナド戦記第9話 1/5:05/01/19 00:26:25 ID:JngFivCH
砂嵐が吹きすさぶ荒野に、二人の少女の姿があった。
「待って、お姉ちゃん…!」
「椋、早く!とにかく隠れるのよっ」
藤林姉妹は、突然目の前が荒野と化したあげく、驚く暇もなく例の放送を聞いた。
とにかく、安全な場所へ。知り合いに落ち合うのが喜ばしいが、この状況下ではそんなことも言っていられない。
何しろ、知りもしない人間が襲い掛かってくる可能性があるのだ。

瓦礫に沿って急いでいると、遠くに人影が現れた。
「お姉ちゃん、人が…」
「しっ!隠れて!」
物陰に隠れて様子を伺う。
相手もこちらに気づいたらしく、ゆっくりと接近してきた。
「やる気」で武器を持っていたら、無防備なこちらは敵わない。
(…殺されるかもしれない。それでも、椋だけは守りきる!)
地面に転がっていたこぶし大の石を掴む。
逃げるのが最優先。石を投げつけてあわよくば卒倒、効かないにしても目くらましにはなる。
相手が怯んだ隙に、何とかこの場から離れるのだ。
「どなた、ですか?」
恐ろしい敵だと思っていた相手は、意外にも女の子の声だった。
岩場の影から、恐る恐る身を乗り出す。ゆっくりと近づいてくるのは、見慣れた学生服の少女だった。
「…助かった。椋、大丈夫みたいよ」
姉妹は、お互いにほっと息をついた。
93クラナド戦記第9話 2/5:05/01/19 00:27:05 ID:JngFivCH
「あなた、学校の人よね?私もよ、藤林杏っていうんだけど。で、こっちは双子の妹の椋」
「……。こんにちは。わたしは宮沢有紀寧といいます」
優しい笑顔の少女だ。こんな状況でも、癒しを与えてくれる。
とても人を傷つけられるような人間には見えない。
「有紀寧ちゃんか。困ったね、こんなことになって…」
「…はい、本当に。これではもう生きていけません」
「そんなことないです!遠くに行けば…知ってる人に出会えれば、希望もあります!」
椋が必死に励ます。きっと岡崎のことを考えているのだろう。
(岡崎…あいつ、大丈夫かな)
最愛の妹である椋が好きになった男だ。簡単にへばってもらってはたまらない。
「そうでしょうか…」
「そうよ!だから、元気出して!」
杏は激励に、有紀寧と名乗った少女の背中をばしんと叩く。
その時、不意に彼女のスカートのポケットから、身を乗り出しているものに気が付いた。
拳銃だ。
「わたしはそうは思いません」
杏の様子に気づいたのかそうでないのか、有紀寧はその銃をゆっくりと取り出した。
「人類は、もう終わりです」
訳がわからず、その場に棒立ちする姉妹。
逃げろ。殺される。そんな単純な発想が思いつかない。
94クラナド戦記第9話 3/5:05/01/19 00:28:32 ID:JngFivCH
「わたしの兄は、一年前に亡くなりました」
その声で杏は我に返る。
「そして今、兄がいなくなってから良くしてくれた人達が、みんないなくなりました」
「有紀寧ちゃ…」
そうだ。こんな悲しそうな表情をする少女が、あんな笑顔をする少女が、人殺しなんてできる訳ない。
ではこの銃はまさか、自分の命を絶つための――?
「わたしは、兄のところに行くんです。こんな世界じゃ、誰も…生きていけない」
「待って!そんな馬鹿なことっ…」
「落ち着いてください、杏さん。わたしは自殺なんてしません」
そう言ってにっこりと微笑む有紀寧の瞳は、少しも笑っていなかった。先程の悲しげな表情は、どこにもない。
ぞっとするような、冷たい笑み。杏は思わず身構える。
「光は…こんなことの為に生み出されたんじゃありません」
ぽつり。
はっきりと、でも静かに、有紀寧はそう呟いた。
95クラナド戦記第9話 4/5:05/01/19 00:29:39 ID:JngFivCH
「知っていますか?これ、核の仕業なんです」
「…核?核って、あの、爆弾の?」
「爆弾なんてまだ可愛いものですよ。全世界の人間が死滅するような核兵器。それが使われました」
「そんな!誰がそんなことっ…!」
「わかりません。でも、見当はついています」
そこまできて、やっと気が付く。衝撃の事実に激昂する杏とは対照に、有紀寧はどこまでも淡々としている。
「こんな作戦…わたしが、止めてみせます」
希望を口にしながら、まるで全て諦めたかのような、冷たい瞳。
「ど、どうやって…ですか?」
場の異様な空気にすっかり脅えきった椋が、なんとかそれだけを口にした。
「敵を、滅ぼします」
「そ、そうよ!みんなで力を合わせて、その敵って奴をやっつけちゃえばいいのよ!全てが終わったら、またみんなで生きていけば――」
「いいえ」

きっぱりと、否定した。
「世界は滅びます。人が生きる道はありません」
「わたしの願いは、すべての人間を殺すこと。この世界にはもう、どんな人間も必要ありません」
有紀寧の銃が、黒く光った。
96クラナド戦記第9話 5/5:05/01/19 00:30:50 ID:JngFivCH
「…私たちも、殺すの?」
何気なく手にしていた石を、杏はもう一度固く握り締める。
「…核を引き起こした人間は、間違いなくこの地にいます。殺せなかった人たちを始末する為に。わたしは、まずその人間を滅ぼします。彼らは許せません」
…まず。では、それが終わったら?
「そうそう、忠告しておきますね。同じ学生服だからといって、無闇に人を信用しない方がいいですよ?もちろん、お知り合いの方でも」
何が面白いのか、少女は最初と変わらぬ優しい笑顔でくすくすと微笑んだ。
「では杏さん、椋さん。…また会いましょう」
「……」
にこやかに去っていく有紀寧に、杏は何も応えなかった。
ただ、恐怖に震える妹の肩を、ぎゅっと抱いていた。
97名無しさんだよもん:05/01/19 00:38:01 ID:pgL0IzOl
グッジョブ!!
ゆきねぇが良いよ〜
98名無しさんだよもん:05/01/19 00:47:04 ID:JngFivCH
ぐあ!初歩ミス…
杏の台詞の「岡崎」を「朋也」に脳内変換してください…

あと最後に

002 藤林杏 所持品:なし
003 藤林椋 所持品:不明

015 宮沢有紀寧 所持品:銃(種類不明)

を脳内で付け加えてください
99CLANNAD戦記第10話1/4:05/01/19 05:37:31 ID:xl/IYwE8
杉坂と仁科は音楽室に隠れていた。
杉坂の様子がおかしい。まるで壊れた工作機械みたいにずっとぶるぶる震えている。
仁科が手を握って慰めていた。
杉坂は外から聞こえる銃の音で神経を過敏にし、彼女はシェルショックにかかっていた。
シェルショックとは、第一次世界大戦中の塹壕線の中の兵士がよくかかった病気で、
恐怖のため体の震えが止まらなくなったり、無理に笑おうとしてそのまま顔の筋肉が硬直して動かなくなったりする精神病のことである。
今よく言われているPTSDの亜種といえよう。
困ったような顔の仁科は、おびえつづける杉坂を安心させようと抱きしめた。
「大丈夫だから。ね?もっと安心して、絶対助かるから」
「そんなの意味わかんない」
杉坂は小声でそう言うと、もう何も言わなくなった。
100CLANNAD戦記第10話1/4:05/01/19 05:38:12 ID:xl/IYwE8
仁科は少し怪訝な顔をしたが、しょうがない。前向きにこれからのことを考えた。
壊れたマッサージ器みたいな杉坂の様子と、外で繰り広げられる銃撃戦の様子、
卑小な女の子の足の速さと、男の足の速さ。
PTSDの遅効性と、健康優良な自分の体。
合唱する時みたいに、正確に冷厳に答えを導き出した。
「ここでこうしていても仕方無いわ。脱出しましょう。
多少危険であっても、あいつらの弾はいつ私たちの脳みそを貫くか、わかったもんじゃないわ」
杉坂はその具体的な言葉にびくっびくっと反応し、頭をがくがく振って、了解の意を示す。
「それじゃあいきましょう」
101CLANNAD戦記第10話3/4:05/01/19 05:38:58 ID:xl/IYwE8
校庭では、名も知らぬ生徒の死体の山をバリケードに、左と右に分かれた二人の教師達が三八式小銃を撃ち合っていた。
さきほどまで補修を受けていた教師達だ。あの放送があった後、気が狂ったように校内の生徒を襲っていた教師達だ。
突然、銃撃が止まった。弾が切れたのだ。
柱の影で両者の様子を伺っていた仁科は、このチャンスを逃さなかった。
「走れ!」
その合図とともに杉坂と仁科が飛び出し、一気に校庭を駆け抜ける手はずであった。
女の子の足でもこの校庭くらいなら数秒で抜けられるし、油断をつけばプロじゃない教師程度簡単に振り切れると仁科さんは言った。
私が例え、本調子で無くとも、がんばればなんとでもなると仁科さんは言った。私はそれを信じた。
102CLANNAD戦記第10話4/4:05/01/19 05:39:58 ID:xl/IYwE8
しかし、杉坂は気づいた。
隣には誰もおらず、ただ私一人で校庭を走っていたことを。
教師達は南部一四年式の手銃に持ち替えて、中をつっきろうとする女の子を容赦なく打ちまくった。
杉坂が地面に突っ伏した合間、左の教師が仁科に拳銃を奪われ頭を打ち抜かれ、
仁科はそいつが持っていた火炎瓶に弾丸を詰め込んで、右の教師に投げつける。
バリケードで守られていたはずと油断した教師は、0距離からの跳弾に頭蓋を吹き飛ばされて死んだ。
すべてが終わった後、仁科は杉坂の遺骸に手を合わせる。
「ごめんなさいね。邪魔だったから。私は邪魔のものは徹底的に排除するの。でもあなたも悪いのよ。
そんなのは合唱部がどうやって成立したのかを思い出せば、簡単にわかったのに・・・
あの手紙のお・か・げ・でしょ?そんな私、ちゃんと理解しなきゃ」
杉坂に大量の武器弾薬が手に入った。

018 仁科りえ 所持品:unknown
019 杉板 死亡
103名無しさんだよもん:05/01/19 05:46:20 ID:xl/IYwE8
キャラ勝手に増やしちゃったけど、いいんかな。
ま、駄目だったらとっとと殺してくらはい。(責任放棄
104名無しさんだよもん:05/01/19 07:55:39 ID:W/729XmA
17人以上の人間が放送後にたくさん残ってんのか?
老人の言葉と矛盾するなら理由づけくらいすれば?
105名無しさんだよもん:05/01/19 10:47:46 ID:idM1ccY3
お、おいおい!
106名無しさんだよもん:05/01/19 14:12:58 ID:5PY8EPw7
意味わかんねえよ!
107名無しさんだよもん:05/01/19 17:55:54 ID:/KxML3gD
もう書いちゃったしなぁ、
初期設定に結構主要キャラ(岡崎父とか汐とか)がいなかったりしたんで、
重要なものだと思わなかったんですけど
これ一回ボツにして、書き直しをするのは駄目ですか?
108クラナド戦記第11話 4/4:05/01/19 18:00:16 ID:EnKFUqjH
しかし、いったい何が起こったのだろう。
私、仁科はさっき起こった出来事を振り返っていた。
爆弾・・?
町を荒野に変えたあの閃光は、巨大な爆弾か何かだろう。
しかし、なぜか学校だけは無傷だった。
まるで何かに守られているかのように。
おかげで学校に補習を受けに来ていた数少ない生徒と教員は生き延びることが出来た。
もう私が全員殺してしまったが。
「さて・・」
これからすることは決まっている。
おそらく生き残っている人間はこの学校を目指してくる。
荒野に変わった町の中で、唯一変わっていないものだからだ。
そこを叩く。
大量に手に入った武器はすでに整理した。
女でも扱えるような小型な武器のみを体に忍ばせ、あとは破壊した。
そして何も知らずに学校へ入ってきた奴らを一人づつ消していく。
昇降口が見える一階の教室の入り口付近に身を細め、次のターゲットを待っていた。
「!来た・・!」
109クラナド戦記第11話 2/4:05/01/19 18:01:20 ID:EnKFUqjH
昇降口付近に三人の人影が現れた。
(三人か・・しかし男は一人、あいつから殺せば・・)
三人組の足音が近づいてくる。
(もう少し・・もう少し近づけば・・)
服の下に隠し持った武器にそっと手を添えた。
とその時―――
「おい、そこにいる奴、隠れてないで出て来い!!」
男の声がした。
(バレた!な、何で・・!?まずい・・)
「あ、あなた方こそ誰ですか?」
上ずった声で応える。
仕方ない・・こうなれば隙を見てやるしか・・
「こそこそしやがって、あやしい野郎だな。まさかてめえ―――」
「この声は仁科さんですっ!!」
(えっ!?)
この声・・古河渚!!
「仁科さん、無事で良かったですっ!!怪我は無いですかっ?」
「何だぁ・・渚のダチかよ・・」
古河渚・・となると一緒にいる男はパン屋の主人か。
まずい・・あの男は人並み外れた運動能力を持っていると聞く。
武器があるとはいえ、まともにやれば勝てない。
いや・・待て・・
110クラナド戦記第11話 3/4:05/01/19 18:02:09 ID:EnKFUqjH
「ふ、古河さんっ!!」
教室から出る。
「あ、やっぱりですっ!!無事でよかったですっ!」

古河渚・・

「おい渚!そいつ信用できるのかよ・・」
「仁科さんは友達ですっ!!あ・・いえ、私が勝手に思っているだけですけど・・」
「そんな!古河さんは私にとっても大切な友達です!」

こいつの性格なら・・

「うれしいです。えへへ・・・。あっそういえば合唱部の方たちは、杉坂さんとは一緒じゃないんですか?」
「!!・・・私はここに隠れていたので無事だったんですが・・・彼女は・・狂った先生達に襲われて・・・・」
「えっ・・!!そ、そんな・・ぐすっ・・ひどいです・・」

必ず・・

「仁科さん!今からは私たちと一緒に行動しましょう!!お父さんが守ってくれますっ!!」
(やった・・!)
「え・・いいんですか・・?」
「かっ。渚の友達とあらば仕方ねえだろうがっ」
「秋夫さんはとっても強いですから、もう心配いりませんよっ」
「よ、よろしくお願いします・・」
「それじゃあ今からその戦闘があったとこに行って見るか。武器が残ってるかも知れねえしな・・」
111クラナド戦記第11話 4/4:05/01/19 18:03:32 ID:EnKFUqjH
「・・なんじゃこりゃあ・・」
校庭の片隅が大きくえぐれていた。
「ダイナマイトでも暴発したかよ・・これじゃあ武器は見つかりそうに無いな・・生存者もいねぇか・・」
皆を殺した後、証拠が残らないように丸ごと爆破しておいて良かった。
武器が無くなっている事も怪しまれないですむ。
「ちっしょうがねえ・・他行くか・・」

ここまでは計画通りだ。
古河秋夫といる限り、私の身の安全は保証される。
そして、古河秋夫が必要なくなったその時、
隙を突いて彼を殺す。

もう後には引けない。必ず生き残る。
最後まで。

どんな手を使っても。

012 古河秋夫 所持品:煙草、ライター
013 古河早苗   所持品:パン、非常食
014 古河渚    所持品:なし
018 仁科りえ 所持品:unknown


112灯籠 ◆LAMPq94ziM :05/01/19 18:13:16 ID:HDzbN86i
仁科ずいぶん強いな…
113名無しさんだよもん:05/01/19 18:36:34 ID:EnKFUqjH
今思うと>>83の話とと矛盾しているような気がするな・・
春原 旧校舎
古河一行 新校舎
とでもしておいてくれ次の人
114名無しさんだよもん:05/01/19 23:25:51 ID:JngFivCH
>>3にも初期設定は自由に変更可能ってあるし、>>7のリストはある程度いじれることにすればいいんじゃない?
115名無しさんだよもん:05/01/20 00:12:23 ID:1RHXskwR
何だかよく分からないけどageるよっ!
116クラナド戦記第12話 1/5:05/01/20 10:28:26 ID:YxAPypTy
困ったな、と仁科は思った。
自分が仕掛けたブービートラップが、このまま歩いていくと当たってしまうのだ。
(とはいってもいきなり止まれっていったら、変に疑惑をもたれてしまうし・・)
色々止めさせる口上を考えていた時、突如間抜けな音が鳴る。
ぐ〜
「えへへ・・・」
渚の野郎がお腹に手を当て、恥ずかしそうに上目遣いを全員に配らせていた。
「では少し遅いですが、お昼ご飯にしましょう」
と古河母が言った。
「そうだな」
と古河父が言うが早いか遅いか、シートを廊下にべろんと敷き、
食パン、メロンパン、カレーパン、すごく体に悪そうなブルーハワイ色のパンを順序に並べた。
3人はいっただきまーすと言い、
ブルーハワイ色のパン以外のモノをどんどん手に取った。なんだかよくわからないが古河母が涙になっている。
「ぐす・・・あ、仁科さんも一緒に食べましょう。おいしいですよ。例えば、この蒼いパンとか」
古河母はずいっと、蒼いパンを鼻先に差しだした。どうも腐ったようなにおいがするのは気のせいでしょうか?
二人が壮絶な顔でこっちを見ているのは気のせいでしょうか?
だが、今後の関係のことを考えると、このお誘い、無下に断るべきもあらじ。
口を思い切って大きく開け、どんどん近づく異臭に脅えながら、口の奥へと押し込んだ。
117クラナド戦記第12話 1/5:05/01/20 10:29:18 ID:YxAPypTy
「う・・・う・・・」
その時、仁科が宇宙(ソラ)を見たのは間違いない。
「綺麗ね。宇宙(ソラ)って」
「馬鹿野郎!早苗のパンは宇宙一まずいんだ。気をつけろ!」
「え・・・」
「はっ!?」
「私のパンは世界を超えたんですねー!」
と言って、古河母は廊下の先へと走っていこうとする。
まずい、あのままだとピアノ線を引いて、繋がっているマシンガンの引き金が放たれ、彼女についている肉が全部ぶっ飛んでしまう。
仁科は意識が朦朧とする中、早苗さんの体を抱きしめて、説得した。
「あの・・・おいしいですから。宇宙一おいしいですから・・・」
「そんな・・・」
「おい、渚。こんないい奴が友達だったのか。俺一瞬でも疑っちまったよ。」
「古河のお父さん。そんなことを言ってはだめです・・・まるで、このパンはすごくまずいのに、
私が我慢しておいしいと言っているような・・・本当においしいですから。」
仁科の手ががくんと下がった。
118クラナド戦記第12話 3/5:05/01/20 10:30:03 ID:YxAPypTy
「え・・・しっかりしてください。しっかりしてください。仁科さん!」
「大丈夫・・・ただ、疲れただけ。後ろへ戻って、保健室にいけば、ちゃんと治るから大丈夫。」
「仁科さぁあああああんn」
というか、このおおげさな演技で良かったんだろうか。
仁科はベットで渚と二人っきりになって思った。
「あ・・・気づいた」
「まあ・・・結果オーライかな」
「はい?」
「なんでもないです」
「あ、そうだ。聞きたいことが合ったんですけど」
「何?」
「杉坂さんは何処に行ったんですか?」
私は一瞬口ごもる。この口の動き気づかれないだろうか?いや、大丈夫。大丈夫だよ。
119クラナド戦記第12話 4/5:05/01/20 10:32:34 ID:YxAPypTy
「わからないわ」
「そう・・・ですか。でも、たぶん生きてると思いますよ。そう信じてます」
「信じている?それは愛していれば救われるとか、そういう意味?」
「まあ、そうですね。えへへ・・・」
私は古河の横のコンクリートの壁を平手で叩いた。
手がむなしくパンと鳴って、すごく痛かった。
「え・・・」
「世の中どうしようもないこともあるものなの」
「そんな」
この女にはわからないんだ。
折角つかみ取ったあの部活。それを、あっさりと同情されて、共同使用にされて、満足の出来る練習時間が取れなかったのに、のうのうと途中で止めていったこの女には、
だから、杉坂さんと一緒のコンクールも・・・
120クラナド戦記第12話 4/5:05/01/20 10:34:43 ID:YxAPypTy
「っ・・・ごめんなさい。少し悪いことを考えてしまっただけ。あなたは気にしないで、渚さん本当にごめんなさいね。」
「あ、いいんです。気にしてないです。これおかあさんから、お口直しといっては何ですが、非常食のクッキーあげますよ。私のお母さんは普通の料理はおいしいんです」
私は口にほおばるとおいしそうな顔をした。
これも、この渚を使って父親を懐柔し、私の身を守るため、仕方なくやっていること。

012 古河秋夫 所持品:煙草、ライター
013 古河早苗   所持品:なし


014 古河渚    所持品:なし
018 仁科りえ 所持品:unknown
121名無しさんだよもん:05/01/20 10:56:23 ID:1RHXskwR
おもしろいからageとくよっ!
でも杉坂のことは前の人が言及してたんだよなぁ…
リレー小説だからこのくらいの矛盾は仕方ないか
122名無しさんだよもん:05/01/20 17:01:08 ID:g+PFfLKc
なあ、暇な奴だけでいいからさ、
一番いいと思った話を挙げてみないか?
作る側のモチベーションも上がると思うし、
人を楽しませる文章を目指して質も上がると思うんだけども。

123名無しさんだよもん:05/01/20 17:05:30 ID:eTT8eKV2
お、おいおい!
124名無しさんだよもん:05/01/20 17:34:18 ID:PnErh7B1
意味わかんねえよ!

>>122
俺は12話かな。
非情に徹そうとする仁科と優しい古河一家の対比が上手いと思う。
仁科のこれからを色々と妄想させてくれる一作。
125名無しさんだよもん:05/01/20 20:35:06 ID:g+PFfLKc
俺9話がうまいとおもた
杏が杏らしくていいな
有紀寧の扱いもいい
126名無しさんだよもん:05/01/21 12:50:19 ID:qP8SruUO
どれもつまらん
127'ヽ/ヽ:05/01/21 15:55:52 ID:VwUR2kU9
お、おいおい!
128名無しさんだよもん:05/01/21 16:42:15 ID:B9XC8a0+
意味わかんねえよ!
129クラナド戦記第13話 1/6:05/01/21 18:25:52 ID:WIbEyEu/
「くそっ…待ちやがれーっ!」
芳野は、目に付く建造物や車に身を隠しながら、サッカー少年の追撃から逃げていた。
その間に気づいたことだが、この町の様子は明らかにおかしい。
爆発か何かの影響で砂と瓦礫の廃墟になっている場所もあれば、そのすぐ隣には全くの無傷で店が立っていたりする。
さっきにしても、目の前の電柱がジョニーさんごと一瞬で消し飛んだらしいのに、芳野自身には何の怪我もなかった。
誰かが地雷でも仕掛けておいて、一斉に爆破させたのだろうか。しかし跡形もなく消し飛んだビルの隣の建物には、ヒビひとつ入っていない。どう考えても不自然だ。
まるで、自分を含む一部のモノ達が、どこか別の世界に置き去りにされたような感覚。
…この町は、一体どうなってしまったんだ。
「ユウスケさん大変ですっ、あの人撃ってきますっ!」
「くっ!」
パン!
風子の声に思考を中断し、とっさに近くの木に身を隠す。弾は木の枝を折り取っただけで命中はしていない。
「はぁっ、はぁっ…」
小柄な少女とはいえ、人一人を抱えて走るにも限界がある。
これ以上走っても埒が明かない。芳野は仕方なくそこで足を止めた。
130クラナド戦記第13話 2/6:05/01/21 18:26:46 ID:WIbEyEu/
「はぁっ、はぁっ…やっと、止まりやがったか…」
木を盾にして周囲を見渡す。いつの間にか校門前の坂道まで逃げていたらしい。今身を隠している桜並木は、爆発のようなものに破壊されていないようだ。
抱えていた風子を地面に下ろし、サッカー服の少年を伺った。銃を構えながら一歩一歩近づいてくる。弾が惜しいらしく、確実に撃てる位置まで近づいてくるつもりのようだ。
「…風子、俺が飛び出したら林の奥まで逃げるんだ。戻ってくるまでそこでじっとしていてくれ」
「ユウスケさん…風子の為に囮になるつもりですかっ」
不安そうな目で芳野にしがみつく。この心優しい少女を、何としても守らなければ。
「大丈夫だ、俺は死なない。愛のために…生き延びてみせる」
決まった…と思った瞬間、ぐいっと襟首を引っつかまれた。
「そんな寒いセリフでごまかそうとしても駄目ですっ!」
ぐは、ちょっとショック。
「ユウスケさんが死んだら、おねぇちゃん悲しみます!風子、二人にはどうしても幸せになってもらいたくてっ…!」
涙目で必死に訴えるその手には、二人の為に頑張った証の絆創膏がいくつも貼られていた。
「風子…」
「…これだけは使いたくありませんでしたが、風子にも飛び道具はあります」
まさか、密かに銃を隠し持っていたというのか。
「風子が先手で攻撃します。それで倒せば終わりですが、万が一駄目だったら…そのときは、二人でなんとかしましょう」
涙を浮かべながら、にっこりと笑う。その笑顔はとても眩しくて、彼女が公子の妹だということを改めて実感した。
131クラナド戦記第13話 3/6:05/01/21 18:27:34 ID:WIbEyEu/
自分がやろうという芳野の申し出を、風子はやんわりと断った。
これは風子にしかできないことなのです、と。
少女の手が血に染まるのは胸が痛むが、その固い決意を邪魔することなど、誰ができるだろう。
「では…いきます」
「…すまない、頼んだ」
芳野にふっと微笑むと、その顔から表情が消えた。心優しい少女は、戦いに挑む戦士へとその姿を変える。
ばっ!小柄な少女の影が、木から飛び出した。
「何っ!?」
男の方が来ると思い込んでいた少年に一瞬の隙が生まれる。その一瞬こそが命取りとなるのだ。
「もらいました!」「いけえぇ!」
振りかぶったその手から倒すべき少年へ、一直線に凶器が飛び出した。

すこーん

「……は?」
勝負の幕は、パーンとかバキューンとかドカーンとか大層な音ではなく、すこーんというなんともまぬけな音によって下ろされた。
「決まりました!ヒトデストライク、大ヒットです!」
ぐっ!と親指を突き出し、芳野に「やりました!」とばかりに笑顔を向ける。
「…飛び道具、って…そこに転がってる、星?」
「星ではありません、ヒトデです!ユウスケさんまで失礼ですっ、ヒトデはとても強いのですよ!それにこーんなにかわいくて………」
あ、ちがう世界へ旅立った。
132クラナド戦記第13話 4/6:05/01/21 18:28:38 ID:WIbEyEu/
「って、そんなのでやられるかあぁ!」
一瞬ノビていたサッカー服の少年が物凄い形相で跳ね起きた。そりゃそうだ、非力な少女が投げた彫刻程度で倒せる訳がない。
「風子!」
芳野が慌てて飛び出す。
「……はっ、ヒトデの雪祭りが…って、きゃあっ!」
脳内札幌へトリップしていた隙に、少年に髪の毛を引っ張られて倒れされた。地面に落ちていた銃を拾い、風子に銃口を向ける。
「へっ…まずお前からぶち殺してやる!」
「嫌ですーっ!風子まだファーストキスもしてないのに死んでも死にきれませんっ!とんでもなく最悪ですっ世界の破滅ですっ神様仏様ヒトデ様ーっ!」
「だあぁ、ごちゃごちゃうるさい!死ねぇ!」
「風子ぉっ!」
駄目だ、間に合わない。
風子に覆いかぶさるように芳野が跳ねる。彼女は何としても…命にかえても、守らなければ。
(公子さん、すまない…俺は、帰れそうにも、ない)
心の中で愛しい人に謝る。彼女は寂しそうに微笑むと、口を開いた。
「芳野!右に跳んで!」
え?

パンッ!
乾いた発砲音が、桜並木に響き渡った。
133クラナド戦記第13話 5/6:05/01/21 18:29:41 ID:WIbEyEu/
一瞬、何が起こったのかわからなかった。
かろうじて右に身を捻った芳野のすぐ左に、深々と銃痕が穿たれている。
そして発砲したサッカー少年の右手には、女性の腕が絡まっていた。
「…なっ」
状況を理解していない少年の手から銃が叩き落とされた。
「こんの馬鹿っ!血迷ってんじゃないわよ!ってえええぇぇぇい!!」
腕を絡みとられ、そのまま巴投げ。
「……?!」
投げ飛ばされたその腹に、トドメとばかりに肘鉄が決まった。
女性は少年が完全に気を失ったのを確認すると、手際よく洗濯ロープで縛り上げた。地面に転がっている銃を拾うと、安全装置を入れ、エプロンにしまう。
彼女は一仕事終えると、ふぅっとひとつため息をついて、こちらに体を向けた。
「はぁっ…全く、何やってんだか…。芳野、生きてる?」
「……生徒会長…相楽、美佐枝?」

「久しぶり。戻ってきたとは聞いてたけど…まさかそんな趣味になってたとは思わなかったわ」
風子を抱きしめている芳野に、ニヤニヤと意味深な笑みを浮かべる。
「おい、何を勘違いしてるかは知らないが、この子は公子さんの妹で」
「へえぇ…公子さん、ねぇ。伊吹先生と仲良いの?」
…しまった、ハメられた。美佐枝の口の端がきゅっと吊りあがる。
(わかっててやってるな…。この女は昔から苦手だ…)
「あ、あなたは寮のおばさんですっ!ユウスケさんと知り合いだったんですかっ?」
「うふふ、おねーさんよー。コイツには高校時代にいーっぱい世話をやかされてね。」
「…とりあえず、ヘッドロックをキメてる風子を離してやってはくれないか」
「ぎっ、ぎぶ、風子、ギブです」
134クラナド戦記第13話 6/6:05/01/21 18:30:35 ID:WIbEyEu/
「とりあえず、礼を言う。…助かった、本当にありがとう」
「いいわよ、無事だったのなら。それよりこれ…どういうこと?」
美佐枝は学校に呼び出されていたが、その前に時間を貰って買出しに出掛けていたらしい。その後例の放送を聞き、寮生の無事を確かめる為あわてて戻ってきたそうだ。
しかし寮はもぬけの殻。仕方なく役に立ちそうな道具だけリュックで持ち出して生徒を探そうと思ったところ、芳野達に出くわしたらしい。
「俺もさっぱりわからない。ただ…この町が、愛すべき町がこうなった原因を…俺は決して許さない!」
「…はぁっ、クサいのは相変わらずね…。でも、あたしも同感」
「よくわかりませんが、風子もですっ」
三人は、にっと笑いあう。
この状況下において、お互い信頼できる心強い味方を得たことに、心から喜んでいた。


006 伊吹風子 所持品:ヒトデ
009 相良美佐枝 所持品:銃(名称不明)、洗濯ロープ、リュック(中身不明)
011 芳野祐介 所持品:スパナを含む工具一式

016  徳田悠作(サッカー部員) 所持品:なし
135名無しさんだよもん:05/01/21 18:33:38 ID:WIbEyEu/
なんか一面の荒野だったり店があったりするんで、光の恩恵が建物にも及んでる?という設定で書いてみますた
古河パンとか学校とか、重要な物件は生きてそう
136名無しさんだよもん:05/01/21 18:34:12 ID:E/kCJSqA
ものすごい上手いな!
読んでて楽しかったよー!
是非また書いておくれ!
137名無しさんだよもん:05/01/21 18:37:05 ID:E/kCJSqA
おっとage忘れた
138名無しさんだよもん:05/01/21 20:36:24 ID:d7pKyKu8
この手のスレはあまりageない方がいいぞー
139名無しさんだよもん:05/01/22 10:44:01 ID:bh/8ZUwY
お、おいおい!
140名無しさんだよもん:05/01/22 12:18:40 ID:rg6PHEuh
意味わかんねえよ!
141名無しさんだよもん:05/01/22 16:51:29 ID:KrKzPsrE
直幸パパが戦うとこも見てみたいな、と思ったり。
142名無しさんだよもん:05/01/22 17:02:40 ID:mNl/LIki
「書けば良いだけだろ」
>>141「えっ」
驚いて俺の顔を見る
「このスレは名無しが主役だろ。あんたの家にはパソコンが無いのか?違うだろ」
そう。
誰にでもある。
ROMっていた頃。
「ほら、書こうぜ」
俺たちは紡ぎ始める
長い、長いSSを。
143名無しさんだよもん:05/01/22 18:32:51 ID:1EHtXuMl
>>142
おいおい・・・・・・・・・
144名無しさんだよもん:05/01/22 18:46:41 ID:mNl/LIki
【おいおいされてから1分以内に意味わかんねえよできたら神in葉鍵版】
ttp://pie.bbspink.com/test/read.cgi/leaf/1104914063/l50

立ててきた
145名無しさんだよもん:05/01/23 08:01:02 ID:qvA+++Mf
お、おいおい!
146名無しさんだよもん:05/01/23 09:51:29 ID:zwpDX8m1
意味わかんねえよっ!!(おまえのID)
147名無しさんだよもん:05/01/23 23:43:04 ID:8QQPIXse
お、おいおい!続きはまだかよ!
148名無しさんだよもん:05/01/23 23:45:51 ID:P/Xzj1h6
何だかよく分かんないけどお前が書けよっ!
149名無しさんだよもん:05/01/24 00:06:10 ID:MXsHgl0W
>>144
お、おいおい!
(そんなスレ立てても、この板住人つーかこのスレ住人でもなければ)
意味わかんねえよっ!!
150名無しさんだよもん:05/01/24 00:14:53 ID:yMj6VVt2
>>149
何だか分からないけど(盛り上がってるから)行ってみろよっ!
151クラナド戦記第14話 1/6:05/01/24 19:44:51 ID:Q/mZQCkd
朋也は走っていた。
ことみの凶弾から逃げ始めてかれこれ5分、朋也はひたすら走っていた。
時折はねる足下の砂とそれに伴う銃声が死を予感させる。
「はぁっ、はぁっ・・・・・ことみのやつっ、一体っ、どんな体してんだ!?」
朋也はもう息が切れ始めていた。それに比べことみは
「朋也くん待つのー」
息一つ乱していない。朋也のスタミナがないわけではない。5分近く全速力で走れば普通誰でも息を乱す。ことみの体力が異常なのだ。
「ドーピングでもっ、してんのかっ、あいつ!!」」
朋也は考えた。ひとまずこの場はどうするか。
ことみは俺を殺す気だ。そうである以上応戦しなければ殺される。しかしことみを殺すわけにはいかない。
殺る気の人間に殺さず勝つ。しかも相手は銃、こっちは何もない。
死はすぐそこまで迫っていた。
152クラナド戦記第14話 2/6:05/01/24 21:55:14 ID:dQCN+wkt
一体どうするか。
1.何とか説得する
2.戦う
3.諦める
4.現状維持
3は論外として、2はこちらに何もない以上間違いなく死ぬ。となると1だが止まった瞬間蜂の巣ってのも……
なんてことを考えているうちに桜並木のある坂道――学校が見えてきた。周りが荒野となっているせいか、いつも見ている坂道はとても小さく見えた。
逃げきれる一一坂道を上り始め、そう確信したが
「えーい」
場違いな声と一緒に何かが視界に飛び込んで来て、目の前の地面が爆発し、俺は宙を舞った。
153クラナド戦記第14話 3/6:05/01/24 21:59:14 ID:dQCN+wkt
周りの動きがスローモーションに見えた。あまりにも大きな音だったので耳がいかれたようだ。コンクリートの破片とともに俺の体は空を飛び、桜の木に激しく体を打ちつけられた。
「ぐっ!?」
全身が激痛に苦しむ。あまりの痛みに悶絶していると、
「……ピーターパンごっこ?」
なんて声が頭の上から聞こえてきた。
「……なんでだ」
「お空飛んでたの」
「飛ばしたのはおまえだ」
大体今の方法だとネバーランドを通り越して天国に行っちまう。
「……ひとまずチェックメイトなの」
ガチャ、という音がし、俺の頭に銃口が押しつけられた。
154クラナド戦記第14話 4/6:05/01/24 22:01:39 ID:dQCN+wkt
「……!!」
恐怖で声が出ない。言いたいことはある。「俺を殺しても意味はないぞ」とか「助け合って生きていこう」とか「今言い返せなくて無視しただろ」とか。しかしそんなものは死の恐怖を前にして全て吹っ飛んでしまった。
「ばいばい朋也くん」
ということみの目からは一粒の涙がこぼれていた。
俺は死を覚悟した。
155クラナド戦記第14話 5/6:05/01/24 22:04:31 ID:dQCN+wkt
と、次の瞬間
「朋也ーーーーっ!!」
という声と側頭部への衝撃と銃声が同時に走り、見慣れた辞書とともに朋也はそのまま右に吹っ飛ばされた。
ブラックアウトしそうな意識を無理矢理起こし、朋也は起きあがった。声の主は検討がつく。こんな状況でこんなことをするようなやつは一人しかいない一一
声のした方には、鬼のような必死な表情の藤林杏と呆然とした表情の涼が立っていた。
156クラナド戦記第14話 6/6:05/01/24 22:13:20 ID:dQCN+wkt
「…二人ともこんにちはなの」
「あ、こ、こん「こんにちはじゃないわよ!!あんたいま何しようとしてたの!?」」
涼の声を遮り杏が怒鳴る。俺の頭があった部分の木はことみのマシンガンによって跡形もなくなっていた。
「……朋也くん、また会いましょうなの」
無視かい。
ことみが走り去っていった。
「あ、ちょ、待ちなさーーい!!」
と杏が追いかけようとするが
「お姉ちゃん、今はそれより!」
「あ、そうだった…て朋也!?」
俺の意識は二人の会話を聞きながら闇に沈んでいった……
157クラナド戦記・外典:05/01/24 22:21:55 ID:CGQtrtXy
一ノ瀬ことみは考えていた。
私にできることは、ただ思弁にふけることだけだから。
暗闇をたゆたう意識の中。
ニューロンからニューロンへ、無数の思索がシナプスを駆け抜ける。

彼女は――「一之瀬ことみ」は、たしか核兵器だと言った。
違うの。
E=mc^2。初歩的な計算なの。
人類の過半を、文明の大部分を死に追いやるほどの高エネルギーが、
まさか「核」のようなチャチなものであったはずはないの。
だとしたら、この壊滅の原因は……?
反物質? 大統一力?? マイクロブラックホール???
私の知る限りの技術では、いずれもありそうにないの。

そう。もう何千回と考えたこと。
どう推論したって、最後は必ず、この結論が肯定的に導かれるの。
残る可能性はひとつ。
人類を滅ぼてしまったのは、私の、お父さんの――

「夢(ファイルフラグメント)を見ておるのか」
声がした。コンソールの前に立っている、髭の老人。
一ノ瀬ことみの管理者権限を持つ人物。
老人の眼前、巨大な円柱状の液槽に、脳髄が浮かんでいる。
「気分はどうかね。『一ノ瀬』くん」
〈ずっと前から同じなの。寒くて、苦しいの〉
「そうかもしれんな。わしも人生いろいろあったが、さすがに脳だけになったことはないからの」
〈私の体を奪っておいて……!〉
「騒ぐなっ!!」
レバーを引く。
幸村老人の怒りは、電流となって一ノ瀬ことみを束縛する。
〈…………!!!〉
158クラナド戦記・外典:05/01/24 22:23:13 ID:CGQtrtXy
「……フン。お前さんも『一之瀬』くんを見習って、少しは従順を覚えるべきじゃな」
肉体を持たない一ノ瀬ことみは、抗う術もまた持たなかった。

「さあ実験の時間じゃ。お前さんには計算しか能がないんじゃから、せめてその分は働いてもらうぞ」
〈私には……自由意思があるの……〉
「違うな。自由意思があるのは人間だけじゃ。一ノ瀬ことみという人間なぞ、とうの昔に死んでおる」

幸村はコンソールの操作を始めた。
液槽の中。無数のケーブルがどこからともなく伸びて、
脳髄にするすると巻きつき、吸い込まれてゆく。
それは一種の陵辱に似ていた。
「ここにあるのは、自分が人間だという妄想にかられたただの計算機にすぎん」
〈私は考え……感じるの……痛みも、悲しみも、あるの……〉
〈私には……自由意思があるの……!〉
「こざかしいっ!」
幸村はいきりたって、コンソールのキーに拳を叩きつける。

「お前に意思があるならば、わしをその手で止めてみせよっ!」
一喝のあと。
一ノ瀬ことみは意識を閉じ、一個の機械となった。
次に夢を見るときまで……。
159名無しさんだよもん:05/01/24 22:23:36 ID:dQCN+wkt

001岡崎朋也 気絶(杏の辞書) 所持品なし
002藤林杏 所持品 辞書(数不明)
003藤林椋 所持品
008一ノ瀬ことみ 所持品 マシンガン

一応>>151-157は同一人物です
160名無しさんだよもん:05/01/24 22:29:19 ID:yMj6VVt2
幸村ラスボスかよっw
161159:05/01/24 22:31:03 ID:dQCN+wkt
訂正。>>151-157ではなく>>151-156,>>159
162クラナド戦記・外典:05/01/24 22:34:21 ID:CGQtrtXy
私は、おそらく「一之瀬ことみ」は「一ノ瀬ことみ」とは別人で
悪の心を植え付けられた一ノ瀬ことみのクローン人間か何かだろうと思っていました。
なぜなら、最初の「一之瀬」の誤植がずっと引きずられていたからです。
163名無しさんだよもん:05/01/24 23:11:17 ID:Q7GteTQs
GJ、燃えた
そういう部分をあえて使うのも良いね
無視したり改変したりしも良いと思うが、上手い
164'ヽ/ヽ:05/01/24 23:34:59 ID:wha1Acgc
↓恒例のセリフ↓
165名無しさんだよもん:05/01/24 23:35:25 ID:r/gw7Snu
お、おいおい!
166名無しさんだよもん:05/01/25 00:08:20 ID:IGtM+T17
意味わかんねえよっ!!
167名無しさんだよもん:05/01/25 08:50:06 ID:jjyINLgg
何だかよく分からないけど、行くよっ!
168名無しさんだよもん:05/01/28 13:22:08 ID:pMwanNgi
続き誰かかいてくれよっ
そろそろ誰か死ぬんじゃないか?
169名無しさんだよもん:05/01/28 17:50:48 ID:8BAqpOIk
170名無しさんだよもん:05/01/28 21:23:20 ID:0X+sJDTL
意味わかんねえよっ!!
171名無しさんだよもん:05/01/29 14:31:18 ID:ZjM4QUzV
何だかよく分からないけど、行くよっ! 
172名無しさんだよもん:05/01/31 13:53:18 ID:pLnL63k/
とりあえず現在位置の整理(時間軸は無視)

幸村、一ノ瀬ことみ                     謎の建物内

風子、美佐枝、芳野、サッカー部(拘束状態)     桜並木の坂道        

岡崎、杏、椋                         桜並木の坂道が見える場所

秋生、早苗                          学校内

渚、仁科                           学校内(保健室)

春原                              学校内(古河一行とは違う校舎内?)

公子、智代                          未登場

勝平、一「之」瀬ことみ、有紀寧              移動中

ラグビー部(死亡)                      死体が校舎一階の廊下にある?
173名無しさんだよもん:05/01/31 14:01:20 ID:pLnL63k/
ここまでくると、良い奴キャラ同士が戦う理由がないからな・・
展開が難しいと思うが、職人に頼む
174名無しさんだよもん:05/01/31 21:41:39 ID:Mr6PqkVT
ハカロワ2スレに応援を頼んだ方がいいと思われ
175名無しさんだよもん:05/01/31 21:49:41 ID:cklUXlxy
>>174
お、おいおい! (そこでわざわざ失敗したの出す)意味わかんねえよっ!!
176名無しさんだよもん:05/01/31 23:15:41 ID:pLnL63k/
>>174-175
俺も期末テスト終わったら書いてみるから、おまいらも書け
177クラナド戦記・外典:05/02/01 03:10:39 ID:r19it2dz
コンソール。
機器の廃熱が生ぬるく立ち込める部屋。
「誰か、リストをここへ」
老人の冷えた声が残響する。どこからともなく応えるのは、もうひとつの声。
「こちらに。幸村先生」
女の影。
グレイのピンタックブラウスを緩やかにまとうその女は、
それは一見少女のようでもあり、また貴婦人のようでもあった。
仕立てのよい仮面でも着けているかのように、その顔には柔らかな笑みが貼り付いている。
その相貌に遥かな年月を刻みながら、なおどす黒い生命力を横溢させる幸村老人とは対照的に、
加齢という概念さえどこかに置き忘れてきたかのような奇妙な麗容――
「ご苦労、伊吹先生」
伊吹公子教諭がそこにいた。

「これは愉悦じゃよ」
公子の恭しくささげ持つ紙片を、老人は手に取る。
>>172――
抗う者たちの生死の命運が記された、薄っぺらな紙きれ。
「見てもみよ、早くも死者が出ておるわ」
老人は一瞥し、満足げに唇の端を歪める。
雛鳥を噛み潰すような笑いが奥歯から漏れてくる。
公子はどこか物憂げに、どこか遠い世界の出来事のように、そうですねと応じた。
「伊吹先生。わしがなぜこの者たちに殺し合いをさせておるか、お解りかね」
「存じません。幸村先生のお考えは深遠ですもの、余人の追随を許しません。
 私に言えることは、これは比類もなく高邁な教育理念の結晶ということだけですわ」
返す言葉は、美辞麗句。
ここでは追従こそ鎧であることを、伊吹公子は知っている。
178クラナド戦記・外典:05/02/01 03:12:01 ID:r19it2dz
「わしは、『この世界の可能性』を試しておるのじゃよ。無を有に、死を生に、闇を光に変える可能性じゃ」
この世界は不幸だわ。公子の中の決して漏れることのない声が言った。
一人の老人の誇大妄想が、この惑星のすべてを転覆させている。
そして、残されたわずかな命にも――
「見よ、我が校の優秀な頭脳を!」
頭脳。それはかつて、一ノ瀬ことみさんと呼んでいたもの。
「この頭脳は、世界の法則をも解明したではないか。あとは実践あるのみなのじゃ!」
一ノ瀬さんは今、物言わぬ機械に埋もれて、数理の力でこの世界に干渉しているという。
「まあ、幸村先生。こんどは何をなさるのでしょう」
「この世界の可能性を試すと言っておろう。死を、生に、変容させるのじゃよ」

「矜りをもって死んだ英雄になど用はない。裏切られ、屑のように打ち捨てられた魂こそ、この任にふさわしい」
友人にさえ見捨てられた無念の魂。
  ――隣には誰もおらず、ただ私一人で校庭を走っていたことを――
死者の一覧からさえ忘れられた魂。
  ――ごめんなさいね。邪魔だったから――
2年生、杉坂君じゃ。お前に今一度機会を与えよう。

天から光が舞いくだった。
生命としての役割を止められたはずの杉坂が、奔流のように押し寄せる声を聞いた。
殺せ! 殺せ! 殺せ! 殺せ! 殺せ! 殺せ! 殺せ!
魂の叫ぶままに、刃向かうすべてを切り裂いて殺せ!
起ち上がれ! 憎悪を抱け! この世界を復讐に沈めてみせよ!
殺せ! 殺せ! 殺せ! 殺せ! 殺せ! 殺せ! 殺せ! すべてを殺せ!

かつて杉坂であった骸が、肉食の獣のように躍動した。
狩りの、時間だ。

「――死は生に逆転した。あとは、より多くの生が死へと逆転するじゃろう」
179クラナド戦記・外典:05/02/01 03:13:18 ID:r19it2dz
「幸村先生、……いえ、なんとすばらしいことでしょう」
愛する者の残る地上に、公子はできることなら涙を落としたかった。
「あなたは生命をも思うがままにできる。
 あなた自身も、私も、そして子供たちの生命も。さては、神にでもなるおつもりですのね」
「くくく。神のような、そんな大仰なものではない」
老人は愉悦に思いを馳せた。
「わしは、悪魔になりたいだけじゃ」
180名無しさんだよもん:05/02/01 09:05:31 ID:08s+9ja4
 ♪    /~⌒~⌒⌒~ヽ、
     /          )  ( ̄ ̄ ̄ ̄/ ̄ヽ     ♪
     (  /~⌒⌒⌒ヽ )  / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄) |
     ( ξ    、  , |ノ   | ´ ̄  ̄` (  |
  ♪  (6ξ--―□-□|   | ゚ ̄ム゚ ̄   6) |     ♪
      ヽ      ) ‥ )   | イ _, ヽ  \|
       /\   ー=_ノ    \_ ̄__/ 〈  ♪
       |∪    _二二∞二二_ ̄   ι)
      (( |    \    ♪  /     (
       (/ ̄ ̄\)      (/ ̄ ̄ ̄\)
181名無しさんだよもん:05/02/01 11:25:13 ID:I8BJLrRd
お、おいおい! 
182名無しさんだよもん:05/02/01 11:40:28 ID:r16WlyjW
意味わかんねえよっ!!
183名無しさんだよもん:05/02/01 14:20:37 ID:tonA5EuT
GJ!
公子敵陣営か・・面白くなりそうだ
杉坂っていう殺し屋も出たから話が動かしやすくなったな
184クラナド戦記第15話 1/3:05/02/03 02:51:26 ID:KWHI8t2B
ここは夕暮れの資料室。
春原がむしゃむしゃ音を立てながら、チャーハンをむさぼっていた。
彼は朝から何も食べていない。
「杏仁豆腐欲しいなぁ・・・ってあるわけねぇよ!」
一人つっこみは悲しいものだ。だけど、一人の寂しさを紛らわすにはちょうど良いものだったのかもしれない。
「それにしても学校の所々にあるこの赤いペンキは何なんだ?消化器の裏とか、机の下に巧妙に隠されてるようだったけど。まさか、学校で大変なことでもあったというのか・・・」
春原は己の虚想に顔を紅潮させ、ぶるぶる震える。
「わかった。くそ、ありえねぇ!ありえねぇよ!
誰もいないからって、彼氏と彼女がズッコンバッコン処女膜破って血をだしていたのか!くそぅ!」
結果と原因が反対になっていた。
「残念ですが、それは違います」
光とともに、二人の女が現れた。
一人はピンクタップブラウスを着て、何やら頭にヒトデをつけたおもちゃのステッキを持っていた。
もう一人は見たことがある。杉坂だ。
「あれ?資料室のドアは閉めてあったはずなのに」
「時空転移魔法を使わせてもらいました」
「魔法?」
「ええ、これです。SET UP GRAVITATION 3TIMES」
春原がなんで東海道新幹線のナレーションが聞こえるんだと思った時、
頭に200キロのバーベルを打ち据えられたような衝撃が走り、ともなく、春原は地面に押さえつけられた。
魔法を自由自在に操る女。
つうことは、この女性は魔法少女ならぬ、魔法熟女だってわけか・・・
「私たちのことを他言無用に願いますか?」
185クラナド戦記第15話 2/3:05/02/03 02:53:32 ID:KWHI8t2B
「私がしばし隠密行動をとりたいので」
杉坂の声が響いていた。
「また杉坂は悪役か。こりないな。あんとき、僕がメタメタのケチョンケチョンにしてやっときゃあ、改心したんかもしれないな。じゃあ、今やってやるよ!女が男に勝てるわけねぇからなぁ!ぶっ殺したる!」
「レイジングヒトデ 力を貸して、彼の頭を吹き飛ばす力を」
なんだか、ヒトデが付いている部分に光が溜まっている。
魔法熟女は杖の先を春原の頭に向けて、怒ったような表情になった。
「あ、ちょっとたんまぁ!今の発言無し!ボクは口だけの男です!殴ったりなんて暴力的なことはしません!」
「だめです。却下」
「え、な、なんでです。ボクマジっすよ!」
「私、日教組に入ってるんです」
「それが何か関係があるんですか!?」
「日教組は愛と平和を持って、男女雇用機会均等を成し遂げるために存在するのです。ゲパルトー」
「平和と愛って・・・言ってることとやってることが違・・・うわ!もう発射されてる!」
春原はぎゅっと目をつぶり、己の人生の儚さを哀れんだり、あわれなかったり、色々走馬燈なんかしたりしたりしたり。
パァン
「えっと・・・どうしてこんなことしているんでしょうか?」
春原の頭は吹き飛んでいなかった。その代わり、春原の前に身を挺した杉坂の服がこげついていた。
186クラナド戦記第15話 3/3:05/02/03 02:54:21 ID:KWHI8t2B
「あなた方の目的は全生徒の内ゲバにあるんでしょう?だったら、この人を魔法で操れば、目的達成に一歩近づけます」
「うーん。でも私フェミニストだから・・・」
「そうでなかったら、協力しません」
公子は、こくんと頷いた。
「わかりました。では遠隔魔法は少々疲れますので、拘束魔法にしておきます」
「レイジングヒトデ SET UP TARAI 」
タライが落ちてきて、春原の頭に激突。
ピヨピヨヒヨコが彼の頭の上で回転した。
のち、春原は地面に突っ伏した。
「うーん。でも痛かったでしょう?」
「全然です」
「そうですか。では、思う存分やってください」
手を掲げて、公子は保健室の方角を指さした。
「仁科さんの虐殺を」
「はい」
「まあ、できるなら他の方々も殺して欲しいんですけどね」
公子はにっこりと笑った。
ビッと天空に杖をかざす。
「ポイント5,6,5に転送をお願いします」
「YES SIR」
光につつまれ、公子さんは消えていった。
残された杉坂は疲れたようにふぅっと大きくため息をつくと、ぎゅっと口を紡いで真剣な表情をする。
「いつも迷惑ばかりかけていますね」
そう春原に言い残し、杉坂は資料室から出て行く。
彼女の手のナイフが赤い光に照らされ、不気味な色を放っていた。
187クラナド戦記第15話 :05/02/03 02:57:47 ID:KWHI8t2B
004 春原陽平  所持品 某ラジカセ(岡崎ラップ入り)
005 伊吹公子  所持品 レイジングヒトデ
019 杉板     所持品 ナイフ
188名無しさんだよもん:05/02/03 03:04:19 ID:KWHI8t2B
この物語に足りないものはなんでしょう?
それは、魔法少女なのです!
189名無しさんだよもん:05/02/03 08:57:43 ID:5AaqNJEH
お、おいおい!  
190名無しさんだよもん:05/02/03 09:52:56 ID:8MfRc192
>ピンクタップブラウス
どんな服だ
191名無しさんだよもん:05/02/03 12:11:15 ID:eK+Ue0qe
公子が魔法少女かw
これだからリレー小説は面白いな
GJ
192名無しさんだよもん:05/02/03 16:38:22 ID:iezz99KW
つーか春原の持ち物の銃とバットは何処行ったよ
193クラナド戦記第15話 :05/02/03 17:34:03 ID:tdi33odW
あ・・・忘れてた。
修正
004 春原陽平  所持品 銃(名称不明) バット  某ラジカセ(岡崎ラップ入り)
005 伊吹公子  所持品 レイジングヒトデ
019 杉板     所持品 ナイフ

194名無しさんだよもん:05/02/03 22:05:30 ID:m/72mYzw
おいおい!
195名無しさんだよもん:05/02/03 22:26:24 ID:onJmJCOg
意味わかんねぇよっ!!

銃とバットとラジカセを持ち歩いている春原の風貌が。
不良っぽい台詞に燃えた。そのあとのチキンぶりにも。

魔法熟女のご活躍に期待。
196名無しさんだよもん:05/02/03 22:59:03 ID:iezz99KW
この緊急時に何でラジカセなんて持ち歩いてんだw
この設定が生かされる時は来るのか
197名無しさんだよもん:05/02/03 23:28:04 ID:m/72mYzw
COOLなレンタルボディーガードが助けに来るんだろ
198名無しさんだよもん:05/02/04 02:28:18 ID:wEaIreZj
伊吹公子
LV:33 ステータス:正常
スピーシズ:ヒューマン ジョブ:ソーサレス
STR:52 AGI:44 DEF:26 INT:82 CHA:77
HP:492/492 SP:267/277
MOVE:5 TER:G/A SIZE:M
(アビリティ)
ピクトマンシー(固有):熟練度8
呪詛魔法:熟練度7
召喚魔法:熟練度4
神聖魔法:熟練度4
(装備)
右手:レイジングヒトデ
左手:なし
防具:ピンタックブラウス

杉坂
LV:17 ステータス:憑依
スピーシズ:レヴナント ジョブ:ウォリアー
STR:89 AGI:80 DEF:76 INT:42 CHA:51
HP:666/666 SP:64/64
MOVE:7 TER:G SIZE:M
(アビリティ)
アンデッド
オートヒーリング:1%
バトルマスタリー:熟練度5
(装備)
右手:フォールディングナイフ
左手:なし
防具:スクールウェア
199名無しさんだよもん:05/02/04 03:37:50 ID:YyzmUgGQ
お、おいおい・・・
200名無しさんだよもん:05/02/04 03:38:43 ID:iA2ugi6G
こりゃあマジで意味わかんねえな
201名無しさんだよもん:05/02/04 12:14:21 ID:jbzeMyeF
キャラクターのステータス画面て…
どっかのラノベみたいやな
202'ヽ/ヽ:05/02/04 13:04:23 ID:8PKzsNDm
スクールウェアって…普通に制服でよくないか?
203名無しさんだよもん:05/02/04 22:39:13 ID:zbXzNT5d
意味分からん
204クラナド戦記第15話 1/4:05/02/05 21:02:07 ID:ldopFpR30
「じゃあ、そろそろ行きましょうか渚さん。」
私、仁科は顔色のだいぶ良くなった渚に向かって言った。
(廊下の左右を古河親子が見張っているとはいえ、長くこいつと二人きりでいるのは危険だ)
「はい、ご迷惑をおかけしました。」
渚を促し、入り口に向き直った瞬間。
バリン
「!?」
背後で窓ガラスが割れる音がした。
(窓側からの奇襲!しまった!)
すぐ武器に手をのばす。
が、振り返り敵の姿を捕捉した時、おもわず手の動きが止まった。
「杉坂!?」
いるはずのないあいつがそこにいた。ナイフを手にして。
(ば、馬鹿な・・!あいつの死は確かに確認した・・無傷だなんてありえない・・)
「杉坂さんっ!無事でよかったですっ!」
能天気な声で渚がはしゃいでいた。
「ええ、本当に。そのとおりだと思います。」
杉坂が淡々とした口調で語る。
「こうして、りえちゃんに復讐できるのですから。」
205クラナド戦記第16話 2/4:05/02/05 21:02:59 ID:ldopFpR30
杉坂が一瞬で間合いを詰める。
その思いがけなく素早い動きに体が反応できない。
気がついた時には杉坂の左手が私の首をつかんでいた。
「りえちゃん、私、あなたのこと友達だと信じてました」

ゆっくりと体が宙に浮く。

「あなたが事故にあった時だって、私、あなたのお見舞いに行きました」

(ひ、左手一本で・・・杉坂の・・女の力じゃない・・!!)

「ピアノが弾けなくなって、落ち込んでたあなたを励ましました」

首を掴む左手に力がこもる。

「合唱部を作る手伝いもしました。あなたの指示で脅迫状まで書いたじゃないですか・・」

(こ・・殺さなければ・・やられる・・)

「これだけ尽くしてあげたのに・・・なのに・・裏切ったんですね・・・・・許さない!!!」
杉坂のナイフが閃いた。
(くそぉ・・・っ!こんな奴にっ・・・!)
私は死を覚悟し、目をつぶった。
206クラナド戦記第16話 3/4:05/02/05 21:03:59 ID:ldopFpR30
「やめてくださいっ!杉坂さんっ!」
渚が杉坂の右手に飛びついていた。渚の顔の近くでナイフが揺れている。
「こんなの・・・おかしいですっ!友達を殺すなんてっ!そんなのないですっ!!」
ぶんっ
杉坂が渚を振り払う。渚の体が床に叩きつけられた。
「何故・・ですか、渚さん・・何故、こんな奴を庇うんですか・・・こいつは裏切ったんですよ。信じていた私を・・」
「友達だからですっ!!友達なら、信じてくださいっ!信じ続けてくださいっ!」
全身を打って痛いはずなのに、渚の声は衰えるどころか大きくなっていた。
(こいつの・・古河渚の・・どこに、こんな力が・・?)
「理解できません。渚さん、邪魔をするというのなら、あなたから殺します。不本意ですが。」
杉坂が渚に向けてナイフを振りかぶった。
しかし、そんな時でも、渚の目はまっすぐ杉坂の目を見ていた。
まるで杉坂が自分を殺すはずがないと、心から信じているかのように。
そして―――

「渚に何してやがる、てめえぇーーーーーっ!!!!!」
保健室の入り口から、怒声と共に一本の矢が飛んできて、杉坂のナイフを持つ右手に刺さった。
「!?」
その衝撃で、杉坂は思わずナイフと私の体を取り落とした。
(た、助かった・・のか?)
保健室入り口を見る。
古河秋生がそこに居た。

207クラナド戦記第16話 4/4:05/02/05 21:04:59 ID:ldopFpR30
俺の頭の中は怒りで煮えたぎっていた。
渚の大声が聞こえたから駆けつけてみれば、渚に向けてナイフが振り下ろされようとしていた。
とっさに>>5の時に手に入れたボーガンの矢を投げたから良かったものの・・
だが、こういう時こそ冷静にならなければ。
「おいてめえっ!渚を連れて早苗の所へ行け!ここは俺が食い止める」
だから仁科とかいう奴に向けてそう怒鳴っていた。
仁科は小さくうなずいて渚の手をとって、入り口まで駆けた。
「お父さんっ、杉坂さんは友達ですっ!手荒なことはだめですっ!」
「・・・ちっ・・分かったから早くいけっ・・」
わが娘ながらそのお人よしっぷりには呆れる。
だが杉坂がさっきまで持っていたナイフは矢を受けた衝撃で何処かに吹っ飛んでいたから、
渚の言うように、暴力を振るう必要もないだろう。
「邪魔をするのなら・・・もうされましたが・・殺します・・」
杉坂は右手から流れる血を拭おうともせずに、俺に言い放った。
「かっ、武器もねえのに俺を殺すだとぅっ?なめんじゃねえぞっ!」
「私の場合、武器は必要ないんです。」
わけのわからないことを言いながら杉坂は右手を水平に持ち上げた。
「慣れてないからナイフの方がよかったんですが・・仕方ないですね・・」
杉坂が言い終わるか終わらないかといううちに、杉坂の右手がミシミシと音を立て始めた。
そして、指先がナイフのように鋭くとがっていく。
「・・・・・・化け物かよ・・」
「違いますね。」
そこで杉坂は初めて微笑んだ。
「正確には、ホムンクルスです。」

208クラナド戦記第16話 :05/02/05 21:05:40 ID:ldopFpR30
014 古河渚    所持品:なし
018 仁科りえ   所持品:不明

012 古河秋生  所持品:タバコ、ライター
   杉坂     所持品:不明
209名無しさんだよもん:05/02/05 22:03:35 ID:7mKetcdU0
話と話の間に、
「お、おいおい! 意味わかんねえよっ!」
を入れてくれ。
210名無しさんだよもん:05/02/06 16:58:24 ID:hwaxigPi0
秋生VSホムンクルス見たいからage
211名無しさんだよもん:05/02/06 17:00:04 ID:M+/YXNs10
お、おいおい!
212名無しさんだよもん:05/02/06 17:06:20 ID:pffZnC220
>>209
(くそぉ・・・っ!こんな奴にっ・・・!)
私は死を覚悟し、目をつぶった。

「お、おいおい、意味わかんねえよ!」

(た、助かった・・のか?)
保健室入り口を見る。
古河秋生がそこに居た。

「お、おいおい、意味わかんねえよ!」

そこで杉坂は初めて微笑んだ。
「正確には、ホムンクルスです。」

「お、おいおい、意味わかんねえよ!」
213クラナド戦記第17話 1/4:05/02/06 19:36:04 ID:hwaxigPi0
「・・・そんな・・・」
私、坂上智代は、かつて病院だった場所の前で崩れ落ちていた。
何故、こんなことになってしまったのだろう。
今日は平凡な休日になるはずだった。
朝、弟が隣町の病院に定期健診に出かけたことを除けば。
そして突然町を覆った閃光。轟音。その直後の放送。

「今この世界で生きているのは次に挙げる17人のみ」

その中に弟の名前は無かった。
私は駆けた。隣町まで。
そんなはずはないと確かめたかった。
視界に写る荒野に変わった町は無視して、一心不乱に駆けた。
しかし、病院に到着した時、私の目に映ったのは――――
「跡形もない、とはこのことを言うのでしょうね・・」
背後で聞こえた穏やかな女性の声に、現実に引き戻された。
振り返ると、ピンタックブラウスに身を包んだ、優しそうな女性が微笑んでいた。
「坂上智代さん・・・ですね?」
「あなたは・・?」
女性は私の質問には答えず、手に持っていたステッキを掲げた。
「私と一緒に来てください。MIO(>>14参照)の本部まで。」
214クラナド戦記第17話 2/4:05/02/06 19:36:46 ID:hwaxigPi0
刹那、まばゆい光が私を包んだ。
そして、目を開けるとそこは一転して暗闇に覆われた空間だった。
研究室・・とでも言うのだろうか。学校の理科室を何倍も陰気にしたような場所だった。
「ふむ・・よく来てくれた・・坂上君・・伊吹先生もごくろうじゃった・・」
暗闇の奥から一人の老人が現れる。その顔には見覚えがあった。
「幸村先生・・」
「ふむ、よく覚えていてくれたの・・今日は君に頼みがあってここへ呼び出した・・」
何故幸村はこんなにも落ち着いていられるのだろう?私には理解できなかった。
「先生っ!そんなことより町が、私達の町が大変なんだ!」
「ふむ・・それは承知しておる・・」
幸村はそこで声のトーンを下げた。
「我々がやったことじゃからな・・・」
その瞬間、私の頭の中で何かが弾けた。
幸村の言葉の真偽を問う必要は無かった。
今、はっきりと思い出す。この声は――――

「参加者に告ぐ。ルールは一つだけじゃ――人間を見たら、殺すこと」

「貴様かぁーーーーーーっ!!!!」
私は幸村に向かって飛び掛っていた。
もう何も考えられない。ただ、弟を、鷹文を奪ったこいつを、
          ―――殺したい―――
215クラナド戦記第17話 3/4:05/02/06 19:37:33 ID:hwaxigPi0
「ふむ・・伊吹君・・」
幸村の言葉で傍らに控えていた女性がステッキを掲げた。
「SET UP GRAVITATION 3TIMES」
突如、体に200キロは越えるだろう、強烈な負荷がかかる。
「ぐっ・・・!」
だが、その位では私を止めるには足りなかった。
「な、何っ・・!」
幸村の顔が恐怖にゆがむ。
私はそのまま幸村を押し倒し、馬乗りになった。
「そ、そんなっ!あのレベルの呪文をはねのけるなんてっ・・!」
伊吹という女性の声が遠くで聞こえる。
私は何も考えず、右手を振り上げた。
「ま、待てっ!坂上君っ!」
体の下で幸村が声を張り上げるが、私の耳には届かない。
「よくも・・よくも鷹文をぉーーーーーーっ!!!」
右手を振り下ろした。

「生き返らせようっ!君の弟君をっ!」

・・・手が、止まっていた。
「う、嘘をつくなっ!」
「嘘ではないっ!君も気づいておるはずじゃ!今までの常識を超える力を我々が持っていることをっ!」
216クラナド戦記第17話 4/4:05/02/06 19:38:16 ID:hwaxigPi0
確かにそうだった。でなければ瞬間移動や体にかかった負荷が説明できない。
「だったら生き返らせて見せろっ!今すぐっ!」
「ふむ・・いいだろう。ただし今すぐという訳にはいかん。それには条件がある。」
幸村はにやりと口の端を吊り上げた。
「我々に力を貸し、生き残っている者たちを殺してくれ」
「なっ・・」
その申し出のあまりの内容に言葉が出ない。
「・・・わ、私に・・・仲間を殺せというのか・・」
「仲間?何を言っておる。この状況下で君が彼らからどんな助けを得られるというのかね?」
その通りだった。今の私にとって・・鷹文以外の支えはありえなかった。

――――荒れていた私を救ってくれたあの時から、鷹文は私の全てだった――――

「・・・いいだろう・・・鷹文を生き返らせるというのなら、何だってしよう・・・」
そう認めた瞬間、私の心の中でどす黒いものが蠢いた。
「ただし約束を破ったその時は―――」
私は二人を睨みつける。
「ふぉふぉ・・その先を言う必要はない。約束を破ることなどありえない。なぜなら・・」

「我々は、仲間、じゃからな。」

017 坂上智代 持ち物:不明
217名無しさんだよもん:05/02/06 19:40:30 ID:hwaxigPi0
秋生とホムンクルスは思いつかないんで、智代を書いちゃいました。
弟の病状うろ覚えだけど、確か退院はしてたよね?
してなかったらスマソ
218名無しさんだよもん:05/02/06 20:10:05 ID:eobA8PbYO
ジョーカー智代誕生だな。
やつは素手で刀に勝つ女だ
219名無しさんだよもん:05/02/06 20:12:42 ID:M+/YXNs10
意味わかんねえよ!
220名無しさんだよもん:05/02/06 20:40:03 ID:57nt9tup0
何だかよく分からないけど、行くよっ!
221名無しさんだよもん:05/02/06 22:39:26 ID:8MJ3hrVg0
ホムンクルスって無機物の材料に錬金術で人工的に命を吹き込んだ魔法生物(コンストラクト)だろ?
死体から蘇ったのはゾンビとかリッチとかワイトとかに呼ばれるアンデッドだと思うんだけど。
222名無しさんだよもん:05/02/07 00:54:44 ID:BP0yzFniO
ところで1ってまだいる?
たまには顔見せろよ
223名無しさんだよもん:05/02/07 11:58:06 ID:hTOAYuwO0
>>221
ゾンビ……魔術師に操られた人格を持たない死体。
リッチ……魔法の奥義を極め死ぬことなく不死化した魔術師。
ワイト……貴人の死体にとりつくとされる実体を持たない霊の一種。

杉坂はむしろ「レヴナント」でしょう。
レヴナント……怨念によって死後に蘇生した死体。フランス語で「戻ってきた者」の意。
224名無しさんだよもん:05/02/07 18:45:56 ID:GIuJwvCW0
意味わかんねえよ!
225名無しさんだよもん:05/02/07 20:44:01 ID:99iyrgce0
>>221
>>223
俺が無知なだけかもしれないけど、そんなに細かく区別する必要あるか?
だいたい幸村がどうやって生き返らせたかようわからんしな
ホムンクルスでもフランケンシュタインでも何でもいいw
226名無しさんだよもん:05/02/07 22:04:30 ID:PxYwHNH00
>>222
つーか、これって>>1が一人で書いてるんじゃないのか?

ライター複数いるならせめてトリップつけてくれ。
227名無しさんだよもん:05/02/07 22:39:04 ID:BP0yzFniO
何だ、1が全部書いていたのか
アチャー俺としたことが早とちりしちまったぜぇ
228名無しさんだよもん:05/02/07 23:07:14 ID:kkB6v/JV0
>>222
まだいるよん♪
設定以外は一回も書いてないぜ
229名無しさんだよもん:05/02/07 23:11:10 ID:xXnyrVXj0
お、おいおい!
230名無しさんだよもん:05/02/07 23:14:13 ID:GIuJwvCW0
何だかよく分からないけど行く回を書きました。
今更だけど>>45の「…待て。俺は何か大事なことを見落としている… 」は消し忘れです。
231名無しさんだよもん:05/02/07 23:20:49 ID:BP0yzFniO
>>228
1おひさノシ
久しぶりに一筆書いてくれ
>>226
俺も書いたことあるけど、反応が『おいおい…』とかだけだと寂しかったりする…
トリップないほうが敷居が低くていいのでは?
232名無しさんだよもん:05/02/07 23:28:43 ID:99iyrgce0
>>230
春原ワロタよwまた書いてな
233名無しさんだよもん:05/02/07 23:43:31 ID:lxI37Fsi0
>>225
フランケンシュタインは怪物を作った博士の名前。
234名無しさんだよもん:05/02/07 23:51:45 ID:i204u2zV0
9話と13話で乱入しました
ちょっと今の設定を把握しきってないので傍観中です
また色々いじれたらいいなぁ
235名無しさんだよもん:05/02/07 23:55:30 ID:i204u2zV0
そういえば13話の美佐枝さんの巴投げ、一本背負いの間違いだったり
…まあ美佐枝さんならどっちでもできるか
236名無しさんだよもん:05/02/08 00:01:40 ID:DECDKBXc0
ちなみに元々は
長谷部悠作はデッパを一生超えられない件について
http://pie.bbspink.com/test/read.cgi/eromog2/1104840100/65-以降な
237名無しさんだよもん:05/02/08 00:09:16 ID:vKVmwPV50
↑誤爆か?

>>234
13話は俺が一番好きな話だったりする。
9話も同一作者だったのか。両方ともキャラの書き方がうまいな。
次回作期待してるよ
238名無しさんだよもん:05/02/08 01:37:15 ID:pBRyyEXt0
いや、>>236が挙げてるスレ内のレスのコピペがこのスレの母体になってる訳だから
誤爆って訳でもあるまい。
239クラナド戦記第18話 1/3:05/02/08 22:50:16 ID:h+G9EAVs0
肉を万力で押しつぶすような不快音。
ぶくぶくとふやけた屍肉の放つ腐敗臭。
古河秋生の前に、渚のクラスメートだったのだろう杉坂という女生徒が、変わり果てた姿を晒していた。

「私の全能力を懸けて殺します。渚さんが見てもわからないくらいに切り刻んでね」
血とも体液ともつかない腐汁が、めきめきと形を変える右腕からとめどなく流れている。
変形し、膨れ上がった腕。
もと指のあった場所には、杭のような刃が生えていた。
「てめぇ、化物かよ……」
変わり果てたと言うにゃ、あまりにも変わりすぎじゃねえか。

本能が告げていた。
――武器もねえのに俺を殺すだとぅっ?なめんじゃねえぞっ!――
なめていたのはどうやら俺だった……この相手は、ヤバイ。
さて、どう戦うか。

突拍子もなく。
「行きますよ」
杉坂が言う。同時だった。
刃をまとった腕。大振り。
疾い。
後ろへ跳ね、一撃をとっさに受け流す。
直撃すれば肉を内臓までえぐるだろう。

大振りを避けるように動き回る。
床に転がり、折れた木の椅子の足を手にとった。
右腕の大振り。
風を裂き、降り注ぐ。
流す、来る、流す、来る、流す!
240クラナド戦記第18話 2/3:05/02/08 22:52:37 ID:h+G9EAVs0
連撃を捌ききる頃には、椅子の足は使い古したみたいに切り刻まれて、手の中には木片しか残っちゃいない。
木片をぶん投げる。杉坂の手前で木片が飛散し、後ろのガラス棚の戸をがちゃんと割った。
身を動かしもしないで、右手の刃で二つに斬って捨てていた。
「なかなか面白い人ですね。この破壊の力を前にして、結構な善戦じゃないですか」
くすりと笑った。
「このアマ、なめやがって……!」
「ほら、行きますよ」
言うと同時に、大振りが来る。

いくつかの応酬。
いつのまにか、杉坂の顔から微笑が消えている。

「逃げるのが上手くなってきましたね」
「てめぇが単調なんだよ」
秋生の体捌きは尋常ではない。
「バカの一つ覚えの大振りで俺様にかなうと思ったかよ!」
人知を超える破壊力。
人体を紙のように切り刻める刃。
なのに、それを有効打として叩き込むことができない。
この、ただの人間に……!
「へぇ。あのうすのろの古河さんの親とは、思えませんね」
悪態が口を突いて出た。それが命取りだった。

腹部に拳がめりこんだ。
刃の間合いの一歩内側。捉えたのは秋生のレンジ。
「ヌカしてんじゃねぇぞコラァ!!」
何より怒りが先に出た。
我が子に敬意を払わないガキには、秋生は容赦がなかった。

拳の埋まった腐肉が爆ぜて、どろりと体液を流す。
肉色の汁が秋生の拳を毒々しく彩った。
241クラナド戦記第18話 3/3:05/02/08 22:54:26 ID:h+G9EAVs0
何が起きたのかわからなかった。
――お互いに。

杉坂はただの人間に、一瞬のうちに間合いを取られた。
「痛い……痛いよう! あんなに苦しんだ私に、どうしてまだ痛みがあるのよぉ……!」
腹部に穿たれた傷が、杉坂にあるはずのない苦痛をもたらす。

そして敵に打撃を喰らわせたはずの秋生は、なぜか自分が地に両膝をついていた。
このガキに殴られた覚えも、斬られた覚えもねえ。
……だったらなぜ、全身の感覚がこんなに鈍ってる?
「毒……ってヤツ……か……?」
杉坂の腹にぶち込んだ右手は、腐った卵のような体液に爛れている。
その感覚は、まるで氷に突っ込んだみたいに完全に消えている。

右手から順序良く、自分の意識がフェイドアウトしていくのを感じていた。
ヤな敵と出くわしちまったな、おい。

「この痛み……絶たなきゃ……!」
薄れてゆく視界の中。
怒りとも恐怖ともつかない激情にかられた杉坂が、大振りの刃を振り上げるのが見えていた。
242名無しさんだよもん:05/02/08 23:09:03 ID:+DWlAieD0
お、おいおい!
243名無しさんだよもん:05/02/08 23:17:46 ID:KmMjjglO0
>>241

おもしろいよー
そういえばここまで丁寧な戦闘描写は今までなかったね
あんたはこのスレに必要な人材だな。また頼む。

まあそれはそれとして、

意味わかんねぇよっ!!
244名無しさんだよもん:05/02/09 21:07:20 ID:7eRcDfgT0
なんか未曾有の展開だな
245名無しさんだよもん:05/02/09 22:19:09 ID:FK9W5tUp0
何が起きたのかわからなかった。
246名無しさんだよもん:05/02/09 23:42:18 ID:zaguh0P10
>>238
コピペって言うなあー!!
結構書き直しとかしたんだよ

>>241
乙!!
サブキャラを活かすのはやっぱ大事ですねー
247名無しさんだよもん :05/02/10 00:49:22 ID:DIXUqpjW0
>>241
ないす
なんだか、昔懐かしブルーシード思い出しちゃったよ。
248クラナド戦記第19話 1/5:05/02/11 22:45:12 ID:PZevn2k10
――まずいっ。
毒の昏睡がじわじわと覆う秋生の意識……何より最初の感覚は、口の中に湧いた。
「!! ぶばふっ! がふぇ、ぐふっ!?」
考えるより先に、セキとクシャミと涎と泪がせつなく炸裂する。
これは、虹色をした前衛芸術、イースト菌から生まれた悪魔、味覚という名の暴走特急――
この味は忘れもしねーし永遠に慣れねぇ。レインボーパン!

秋生は衝き動かされるように、目玉をひん剥いて覚醒した。
毒に侵されている場合じゃあない。口の中で道路工事をやられて、目が醒めない奴はいない。
「秋生さん。元気出ました?」
柔らかい感触と柔らかい声。意識が戻ると、秋生の頭は早苗の膝の上。
「ああ……最高だぜ、早苗」
「よかった。やっぱりわたしのパンは、おいしかったんですね」
頭上でにこりと満面微笑みかける早苗が、秋生には悪戯好きの女神に見えた。

昏倒の安穏から修羅待つ現実へと、秋生の意識は濁流のように押し戻されていた。
瞬時、意識が闘争へと向き直る。
早苗の背後から、丸太のような敵の腕が飛来する。
「早苗っ!!」
左手で早苗を庇って抱きすくめる。
一瞬前まで早苗の存在した位置を、丸太から伸びた5本の刃がなで斬る。
翻す背中に、叩きつける痛み。
皮膚が裂かれ肉が抉られるのを感じながら、夢中で跳ね転がった。

左手で早苗を抱えながら、秋生は杉坂に向き直る。
少女の体躯には不釣合いに巨大な右腕からは、戦斧のような5本の爪。
めったやたらと振り回す。パワーあふれる抜き身の刃が、風音をけたてて狂い踊る。
化物め……!
レインボーパンの刺激で意識は持ち直したというものの、毒液に浸潤された右腕は焼け爛れて、電線にでも触れたみたいに麻痺している。
だらんと力なく垂れ下がり、使い物にならない。
塞がった左腕だけで、どうしろって言うよ?
249クラナド戦記第19話 2/5:05/02/11 23:02:25 ID:PZevn2k10
「痛いよぉ! 痛いよぉっ!」
杉坂は悲痛な叫びをあげていた。早苗の闖入に戸惑うふうでもなく、敵意さえ向けていない。
それどころではないのだ。
打たれた肉。崩れる。流れ出てしまう。壊されてしまう。
思い出す。自分が殺される瞬間の苦痛を。
「助けて! 助けてよぉ!! 痛いよ……血が止まらないよ……!」
痛い。怖い。痛い。痛い。襲われる。痛い。殺される。怖い。痛い。
痛い。怖い。目の前で人影が動いている。怖い。痛い。何人? わからない。でも、怖い。痛い。
痛い。殺さなきゃ。痛い。殺さなきゃ! 殺さなきゃ! 殺さなきゃ!
――恐怖と苦痛、それを除くこと、それで精一杯。ほかのことなんて考えてられない。
やるの。殺すの。動かなくなるまで。私を襲ってこなくなるまで!

刃をまとった恐るべき少女が猛進してきた。
窮鼠何とやらって奴か……心なしか刃の速度が増しているのを、秋生は風音と背の傷に感じた。
圧倒的な膂力の前、策をひねりだす時間があるのかどうかもわからなかった。
左腕に抱えた早苗に目をやる。最悪、相打ってでもこいつは護らねえと……!
目が合った。
「秋生さん。わたしに、名案がありますよ」
出し抜けの献策。きょとんとする秋生。
その左腕を抜けて、早苗は杉坂に向かって一歩、二歩、踏み出した。

「やめろ早苗っ!」
「大丈夫ですよ」
根拠もなく言ってのける。
「そいつの目的は俺たちを殺すことだ。ほかの何も見えちゃいねぇっ」
「よく見てください秋生さん。この子、怪我をしてるし、怖がってるんですよ。秋生さんがぶったりするから」
たしなめるように微笑む。

「えっと、杉坂さんでした? 渚のお友達の」
菓子パンを取り出す。
「よかったら、座って一緒に食べません?」
250クラナド戦記第19話 3/5:05/02/11 23:04:07 ID:PZevn2k10
敵意、害意、悪意、殺意――そんな言葉のちょうど真逆の位置に、早苗はいた。
朽ちかけた屍肉からなり、腐臭漂う毒液を流れ落とし、刃を生やした右腕を武器とする……。
そんな化物を眼前に、震えひとつせず早苗は語りかける。
「渚のお友達なら、わたしのお友達でもありますものね」
まるで表で遊んできた子供に砂糖菓子でも焼いてあげたような、あまりにも柔らかな笑顔。
確かに名案じゃねえか……愛する女性が振りまく心からの優しさに、秋生は舌を巻いた。
「秋生さんが乱暴をして、ごめんなさいね」
笑みをたたえて菓子パンを差し出す早苗は、慈愛と献身に満ちた母の姿としてある。
人間であれば、誰もが心を打たれただろう。

杉坂は動きを静めて、早苗に問いかけていた。
「痛く……ない? 殺さない……?」
「安心してくださいね。ここには、あなたを傷つける人はいないから」
「うそ……傷つける人、いるもの……。私……りえちゃんに殺されたもの……」
「りえちゃんって、渚のお友達? 渚のお友達に、そんな人はいませんよ」
「……どうして……信じて……くれないの……? 私……!」
杉坂は語ろうとした。この人に。私の話を聞いてくれる、この人に。
自分が殺されたあのときのすべてを。あのときの痛みを、嘆きを、絶望を――

だが、できなかった。
疑念が彼女を思いとどまらせたのではない。自分の中の自分ならざる声が、彼女を制止し、束縛していた。
殺せ! その女は敵だ!殺せ! 
……違う……この人は私の話を……
殺せ! 聞くものか! 信じるものか! 殺せ! 殺せ!
殺せ! 切り裂いて殺せ! お前にはその力がある! お前は強い! 殺せ! 殺せ! 殺せ!
……私は……強い……
復讐を遂げろ! さあ、殺せ! 殺せ! 殺せ! 殺せ! 殺せ! 殺せ! 殺せ!
皆殺しだっ!!

杉坂の周囲の空気が変わった。秋生と早苗が同時に気づいた。
今の杉坂は、もう誰の声も届かない場所に捕らえられていると。
251クラナド戦記第19話 4/5:05/02/11 23:08:45 ID:PZevn2k10
彼女を動かしているのは、もう自身の思考でも、復讐の激情でさえない。
動くものすべてに対する、単なる破壊の命令にすぎなかった。

杉坂の右腕が弧を描いて躍動した。
秋生と早苗がばね仕掛けのように飛びのくと、鋭い杭のような爪が保健室の床を掘りぬいた。
腹のすいた肉食獣のように、ねめつける。
「廊下だ!」秋生が叫ぶ。
「どっちへ?」早苗が聞き返す
「渚とは逆方向だ! 渚が仁科りえと一緒にいる。そっちにこいつを行かせちゃダメだ」
「秋生さん、戦えます?」
「わからねえ! とにかく渚の逆へ行く! 俺たちで、こいつを何とか食い止める!」

走る。
動かない右手をぶらさげて、動く左で早苗の手を握り、リノリウムを蹴たてて秋生は疾駆する。
風を切り裂きながら追いすがるのは、狂乱した屍の少女。
手負いの大鮫から海中を逃げまどう、手負いの漁師のようだった。

左手が奇妙に引っ張られるのを秋生は感じた。
振り向くと、何かに足をとられたのか、手を握った早苗が転倒していた。
「大丈夫か!?」
「ここ、ピアノ線みたいなのが張ってますっ」
ぴんと渡された金属のワイヤ。
その先で、簡単な知恵の輪が解けるように金属の外れる音がした。
秋生の頭の中で、ある本能的な何かが火花を立てた。
杉坂は、地に転んだ二人に狙いを定めて一心不乱に飛び掛ってきていた。
「伏せろーっ!!」

けたたましく爆音が巻き起こった。
銅で被甲された鉛の無数の小塊が、やんちゃな子供たちのように廊下をわっと走り回った。

ブービー・トラップ――間抜けがかかる罠。
252クラナド戦記第19話 5/5:05/02/11 23:10:38 ID:PZevn2k10
爆音までの、わずかな時間。
早苗が頭を押し下げた。
杉坂が大振りの刃を力の限りに振りおろした。
秋生が左脇に早苗を庇って側面の扉に飛びこんだ。
輸贏を分けたのは、よけることの大切さ。

鉛の小鬼が宙を飛び交い、出会った杉坂の肉をひったくるように掠め取った。
死後に特有の融解しかけた肉が、びちゃりびちゃりと音を立てて飛散した。
左の肩口から脇腹にかけて、刈り取られたように無残な空間だけが残っている。
私はこいつらを追っていただけなのに、どうしていつの間にか左半身が消えているんだろう。
驚き、という言葉がいちばんぴったりだ。
意味がわかんないわよ。
……ああ、そうだ、こいつらを殺すんだった。

秋生が飛び込んだ扉には、「資料室」とあった。
もんどりうって倒れこんだ部屋の壁際に、失敗作の彫像のように地面に転がる金髪の少年がいた。
秋生が視線を落とす、彼の手には。
その手には、おお、かの高名なる伝説の武器(バット)――ルイビル・スラッガー!

「春原くん!」
早苗の知り合いのようだった。
「話は後だ! こいつ借りるぜっ!」
少年は答えなかった。秋生はそれを承諾ということにして、手からバットをもぎ取った。

右手を破壊の膂力を宿して、左半身を失った杉坂。
右腕を毒に縛られ、左手に強大な武器を握る秋生。
「……これで、条件はイーブンになったってわけだ」
勝てる、望みはある。

膿のような血をしたたらせ、粘液質の足跡を黒々と残しながら、杉坂が資料室に歩を進めてきた。
253名無しさんだよもん:05/02/11 23:12:52 ID:PZevn2k10
応援多謝。連投御無礼。独演会みたいになって申し訳ない。
ブービートラップの存在は>>116を参照しました。

ブルーシードははじめの歌しか知りま千円。あおいーあおいときがとけだしたー♪
254名無しさんだよもん:05/02/11 23:20:46 ID:juIVERce0
リアルタイムでミターヨ
燃えるねー。しかし杉坂さん、グロい。
細かいとこつっこむと、早苗さん基本的に「さん」付けだったり
ゲーム立ち上げるのアレだったらここ参考にドゾ
ttp://www.cug.net/~manuke/clannad-name.html
255名無しさんだよもん:05/02/11 23:35:06 ID:PZevn2k10
>>254
私も「春原さん」だろうと思ったのですが、ぐぐったらこんな呼称表を見つけたもので…
ttp://www1.megax.ne.jp/natunokoori/kosyo.htm
そっちの呼称表のほうがシナリオごとに分かれてて便利そうですね。提供多謝。
256名無しさんだよもん:05/02/12 00:28:23 ID:knin4ahD0
なんか未曾有の展開だな
257名無しさんだよもん:05/02/22 22:46:50 ID:VQpNZbMCO
募集age
258名無しさんだよもん:05/02/23 02:44:43 ID:VSxrGhSu0
それ以前に低脳の書く文だね
259名無しさんだよもん:05/02/23 03:30:12 ID:R1QXY+E10
こんなスレがあったのか・・・
地下でひそかにU-1作者が蠢いてたってことか
260名無しさんだよもん:05/02/23 12:57:39 ID:kfGsfQ5n0
>18話、19話
駄文でウケをとるのは一回で十分。
調子に乗って二度も書けば、スレの品格を落とし、客の嘲笑を買うことになる。
261名無しさんだよもん:05/02/25 21:03:07 ID:iX+D5scx0
で、このスレどうするよ?
262名無しさんだよもん:05/02/26 00:12:50 ID:6jrwfLVJ0
お、おいおい!
2631:05/02/26 06:53:14 ID:k8P6NZ9f0
4月まで生き残ってたら書くよ!!
264名無しさんだよもん:05/02/26 11:11:31 ID:sZehcbD50
意味わかんねぇよっ!!
265名無しさんだよもん:05/02/26 19:41:00 ID:AFlBvdoM0
秋夫はバットを握りしめ、近所で評判の、渚もこの制服に惹かれて入学をした綺麗な制服と、それを着る16,7の精気あふれる雑誌のグラビアでも投稿すれば、かならず載りそうなかわいい杉坂を見つめる。
いや、嘘だ。
制服は破れ飛び、まるで未開部落の売女のように半身半裸の姿、体は腐臭を漂わせ刻一刻と崩れ落ち、さっき殴った感触も納豆に手を突っ込んでいるみたいだった。
まるでバイオハザードにでてきそうなヤツだ。
杉坂はもうかわいい純真無垢な高校生では決してない。と彼は自分の心に言い聞かせた。
この握りしめたバットで、杉坂の顔を殴り、杉坂のやわらかいあばらを折り、白い皮膚を切り裂いて中から澄み渡った赤い血を噴き出させ・・・
バットを握りしめた手は汗でびっしょりになっていた。
(迷っているんじゃねぇ・・・あいつは、あいつは化け物なんだよ!そうでも思わなきゃ・・・)
目の前に頭を突っ伏している古河早苗を、古河秋夫は見て、もう一人の古河、渚を目に焼き付けた。
劇団が出来てから、秋夫は演劇に没頭していた。
「そうですね。秋夫さん頑張ってくださいね」
「この劇は最高の劇だ。ハッハッハッハ。早苗も学校の生徒を最高の生徒にしてみろよ」
「そうですね。あ、それと渚が今日幼稚園に行きたくないとぐずっていて」
「ん?まあ行きたくない時もあるだろ。俺がガキの時なんざしょっちゅう行かなかったぜ」
「そうですね。じゃあ休ませましょうか。それにしても今年は赤点が多くて、ちょっと帰りが遅くなりそうなんですけど、秋夫さん。昼に家にこれますか?昼食を作って欲しいんですが」
「ダメだ。今日は8時まで練習がある。弁当をおいとけばいいんじゃないか?いつも食ってるしな。おっと、時間がねぇ・・・いってくるわ」
「そうですね。それでは私も学校にいってきます」
その5分後、玄関からぽつんと子供が出てきた。
「あ、もういなくなってます・・・早いです。あいさつしなきゃ・・・いってらっしゃい。お父さん。お母さん」
266名無しさんだよもん:05/02/26 19:42:07 ID:AFlBvdoM0
その日、渚の病気が現れた。
あの時の俺たちは家族じゃない。
古河って名前の同姓同名の同居人だった。
俺は守らなければならないんだ。古河のこの家を、
家族という俺たちが守り続けなければならないものをだ。
杉坂は、ただの他人だ。
俺はバットを振り上げると、ふらふらとこっちに向かってくる杉坂に走り込んでいった。
「・・・っ・・・っ・・・っ」
杉坂は痛いというのも疲れたように、ぼそぼそと言葉にならない言葉を発っしていた。
それでも無意識のうちに音に反応して、秋夫に向かって冷たい爪を掲げる。
武器の使い方を知らない子供の攻撃をかわすのは簡単だった。
突いてくる爪の端へすらりと避け、すぐに杉坂の呆然とした暗い目つきの顔を撲殺圏内に収める。
この顔を叩きのめす!
そうすれば終わりだった。
刹那、記憶の中に押しやられていた杉坂の記憶が思い出された。
それは商店街ですれ違っただけのかすかな記憶。杉坂は親と近所のおばさんと一緒に歩いていた。理由は知らない。いつだかも忘れた。ただ、その時の杉坂は穏やかで楽しそうな笑いをしていた。
267名無しさんだよもん:05/02/26 19:43:58 ID:AFlBvdoM0
「やっぱり、できねぇよ」
バットを手から離し、古河秋夫は杉坂を抱きしめた。
「渚の友達だから助けたい。そうじゃねぇ。なぁ、杉坂!」
肩をがっしり掴んだ秋夫は言った。
「俺らは出会ったら、もう友達で、家族なんだよ。」
「・・・友達・・・痛い・・・どうせ、」
心の中から振り絞るように杉坂は言った。
「どうせ、」
「俺は一生、杉坂を家族って思うぞ!嘘じゃねぇ、くっ俺みてぇに先に手が出ちまって、後から後悔するような、くそ暑苦しいおっさんだけどよ!絶対裏切ったりしねぇ!俺の命をかけてもだ」
「口だけ、だったら、仁科ちゃんも言っていたよ。もう・・・信じられない」
その仁科は逃げ出そうと、走る姿を杉坂の目が映った。
杉坂はぎゅっと目をつむる。
語りかける秋夫の声の中、思い切ったようにいきなり爪が彼の喉を伸速の早さで掻ききった。
掻ききられながらも、秋夫は杉坂を抱きしめ続ける。
「どうでぇ・・・ごぼぉ。嘘じゃなかっただろ。もう止めな」
「うあ・・・」
子供の泣き虫みたいに杉坂は泣きじゃくって、彼女の心音は止まっていった。
268名無しさんだよもん:05/02/26 22:28:46 ID:IPbM+/v60
何だかよく分からないけど、行くよっ!
269名無しさんだよもん:05/02/26 22:35:58 ID:Avyu8BdX0
うあ・・・
270名無しさんだよもん:05/02/26 23:02:39 ID:varcJYAQ0
>>265-267
秋生の回想よかった
だけど惜しいな、文法があちこち破綻してる
人に読んでもらうものなんだから、しっかり推敲してから送ろうよ
それだけで読後感はだいぶ変わるから

できれば最後に、登場人物と持ち物も入れて欲しい

271クラナド戦記第21話 1/4:05/02/27 00:32:05 ID:ZO9+p+yh0
一之瀬ことみは朋也と別れた後、ひとり荒野を歩いていた。
「邪魔が…入ったの」
あの姉妹のことではない。武器も持たない少女二人が増えたところで、何の脅威にもならない。
本当の邪魔者は、自分自身。どんな手を使っているのか、かろうじてこちらに干渉してくる、一ノ瀬ことみだった。
岡崎朋也を撃とうとしたその時、頭の中に得体の知れないノイズが走った。
痛みとも苦しみともつかない、気持ちの悪い感情。
一筋の涙は、どちらのことみが流したものだったのか。
「身体すらない…ただの肉塊のくせに、邪魔しないで欲しいの」
拳を硬く握り締める。ぎりっと音がして、爪が食い込んだ箇所から血が滲み出た。
痛みは無い。痛覚なんて邪魔なものは、彼女の身体からとっくに取り払われている。
意味のない自傷行為に満足したかのように、ことみはほっとため息をついた。
「私には身体があるの。地に立ち、自ら動き、考えることができる。人間なの」
(違うの。自らの考えなんて最初から放棄しているあなたは、ただ操られるだけの、悲しい人形なの)
またノイズが邪魔をする。うるさい。人間の定義すら全うしない存在が、偉そうに!
「違う!私は、」
「一ノ瀬さん、ですよね」
272クラナド戦記第21話 2/4:05/02/27 00:35:39 ID:ZO9+p+yh0
ばっ!
突然かけられた少女の声に、とっさにその場から飛び退いた。
人の気配に全く気づかなかった。それ程までに自分は錯乱していたのだろうか。
「一ノ瀬ことみさんですよね。学年主席で、いつも図書室にいる女の子」
いや、違う。この少女は明らかに、気配を消して近づいてきていた。
「わたし、宮沢有紀寧といいます。資料室の本、もう読みました?」
何故そんな必要があるのか。そんなことは考えるまでもない。獅子が獲物を狙うときのそれと同じだ。
「占いの本とかおまじないの本とか、面白い本、いっぱいあるんですよー」
その証拠に、彼女のポケットから覗いている黒いグリップ、あれはまさしくベレッタM92FS。装弾数15発の自動拳銃だ。
「ことみ、さん?」
「……」
ゆっくりと少女が囁いて、ふと我に返る。
落ち着こう。まだ何も始まっていない。考えすぎるのは私の悪い癖。そう、朋也くんだってそう言ってたもの。
…違う。そんな記憶、私にはない。岡崎朋也は一ノ瀬ことみの幼馴染。私じゃない。
「ひらがなみっつで、ことみ。呼ぶときは、ことみちゃん」
そう口にすると、不思議と落ち着いた。こんな名前、「一之瀬ことみ」である私には何の意味も持たないはずなのに。
こんな感情、私には最初から存在していないはずなのに。
…ノイズが、うるさい。
273クラナド戦記第21話 3/4:05/02/27 00:37:16 ID:ZO9+p+yh0
「じゃあ、有紀寧ちゃん。何か御用?」
気を許したように笑顔で振舞うが、警戒は解かない。彼女は武器を、それも銃を持っているのだ。
「一ノ瀬さんに、お聞きしたいことがあるんです」
「?」
「この惨状の原因、知ってますか?」
フェイントも何も無い、まっすぐな質問だった。
「………何かが爆発した可能性が高いの。原子爆弾とか、核兵器とか」
「本当に、そう思いますか?」
有紀寧の表情や口調に変化はない。しかし、その言葉はぞっとする程冷たくなっていた。
「…何が言いたいの?」
「一ノ瀬ことみさん。学年主席で、いつも図書室にいる女の子。
両親共に聡明な理論物理学の博士で、父鴻太郎は超統一理論の研究者。母水恵はその助手」
出会った時と同じ台詞が、今は酷く耳障りだ。
「この爆発、おかしいですよね。跡形もなく消滅する存在があれば、怪我ひとつない存在もある。
まるで、粗悪な弓と間違った演奏方法で、弦をめちゃくちゃに千切られたヴァイオリンみたいですよね」
「……」
「そんな演奏者は、ヴァイオリンを持つべきではない。そう思いませんか?「一之瀬」ことみさん」
274クラナド戦記第21話 4/4:05/02/27 00:41:00 ID:ZO9+p+yh0
ガキン。
ふたりの少女が、同時に獲物を構えた。
黒光りするふたつの銃口は、確実にお互いの急所を捉えている。
「驚いたの。そこまで予想しているなんて、有紀寧ちゃんはとってもとっても賢いの」
「ありがとうございます。ヒントをあなたの部下の方から頂いた甲斐がありました」
「…生体反応が消えたメンバーがいるっていうのは聞いたの…そう、有紀寧ちゃんのせいだったの」
有紀寧はくすくすと、まるで小さないたずらが見つかった子供のように笑う。
「でも、勘が良すぎるのも考え物なの。君子危うきに近寄らず、自殺行為はあまりお勧めできないの」
「虎穴にいらずんば虎子を得ず、ですよ。これ、資料室にあることわざの本に載ってたんです」
「有紀寧ちゃんの虎子って、なあに?」
有紀寧の笑みが止まる。その次に彼女が見せた顔は、まるで遠くの違う世界を見るかのような、儚い表情だった。
「光です。この町の人々の、世界中の人々の、たいせつな思い」
「?」
「…もう二度と戻らないものですよ。あなた方のおかげです」
いたずらを楽しむ童女の表情に戻る。そして対することみも、同じ顔で微笑んでいた。
「それじゃ、ご褒美はなあに?」
「もちろん、」

銃声が、青空にこだました。
275名無しさんだよもん:05/02/27 00:42:46 ID:ZO9+p+yh0
008一ノ瀬ことみ 所持品:マシンガン

015 宮沢有紀寧 所持品:銃





最後を「もろちん、」にして笑いを取ろうとしたなんてとても言えない
276名無しさんだよもん:05/02/27 00:44:08 ID:6J+DgreT0
死人出なくてもどうにか続くもんだな
277名無しさんだよもん:05/02/27 00:51:57 ID:vKFzH5Lc0
虎穴にいらずんば虎子を得ず、ですよ。
278名無しさんだよもん:05/02/27 00:55:56 ID:2CPwykWL0
最後が「もろちん、」なら笑いが取れたがな。
279名無しさんだよもん:05/02/27 01:28:50 ID:W5ajzBfC0
>「邪魔が…入ったの」
>あの姉妹のことではない。武器も持たない少女二人が増えたところで、何の脅威にもならない

ここは俺も不自然だなって思ってた
そのへんを完璧に捕捉しつつ、このクオリティのSSを作るとは恐れ入ります
もろちんも笑たw
280'ヽ/ヽ:05/02/27 02:03:30 ID:9Y1bLtt50
おいおい
281名無しさんだよもん:05/02/27 02:08:38 ID:ZO9+p+yh0
意味がわからないよ
282名無しさんだよもん:05/02/27 04:19:14 ID:Wmdc+Op00
お、おいおい!!
283名無しさんだよもん:05/02/27 11:26:07 ID:o/fhdfOb0
>>279
甘いぜ、あそこには辞書命中率100%の悪魔がいたじゃないか!!
284クラナド戦記第22話 1/4:05/02/27 14:34:12 ID:sJyQ2JJi0
秋生のかき切られた喉から鮮血が吹き出す。
早苗が駆け寄ってきた。
「秋生さんっ!!」
「どうでぇ、見たか・・・俺は渚のダチを・・・傷つけなかったろ・・・?」
「秋生さん、立派ですっ!でも、死んだら何にもならないじゃないですかっ!!」
「へへ・・・命にかえても・・・守らきゃいけねぇ一線もあるぜ・・・」
隣には倒れた杉坂がいた。
彼女はぐっすりと眠るように安らかな顔で事切れていた。
「・・・ごぶっ・・・」
秋生は苦しそうに喉に溜まった血を吐く。
「秋生さん!わたし、保健室からお薬を取ってきますっ」
走り出そうとする早苗。
彼女の腕をつかんで秋生は言った。
「無駄だ・・・!!」
すでに死を覚悟していた。
「俺より・・・渚を守りに行ってくれ・・・!」
「秋生さん・・・」
「早苗・・・渚を・・・頼む・・・ぜ・・・・・・・・・」
血がとめどなくあふれる。
力が抜けていく。
これが死か・・・!
285クラナド戦記第22話 2/4:05/02/27 14:35:47 ID:sJyQ2JJi0
その時だった。
秋生は突然自分の体が自由になったのを感じた。
「秋生さん、傷がありませんね」
不思議そうな顔で早苗が秋生を見る。
あれほど勢いよく血を流していた喉の傷が消えている。
毒に犯された右腕もそんな毒が最初から無かったように動いた。
これがあの世か?・・・それにしては、すぐ側に早苗もいるし・・・
「おいおい・・・意味分かんねえよ・・・」
秋生が抱きしめていた杉坂は消えていた。
それまで垂れ流していた血は痕跡さえなかった。
しかしその代わりに、杉坂の遺体があった場所に破けた紙が散らばっていた。
「これは・・・・・・・・・?」
紙には杉坂の肖像が描かれていた。
絵の中の杉坂はさっきまでの戦いのように巨大な爪を生やしている。
「俺は今までこいつと戦っていたってのか?この、絵の中の幻のこいつと・・・」
早苗は胸騒ぎがして言った。
「秋生さん・・・なんだか、渚が心配です・・・」
「そうだな・・・渚の所へ急ぐぜ」
286クラナド戦記第22話 3/4:05/02/27 14:37:30 ID:sJyQ2JJi0
「まあ、時間稼ぎにはなるみたいですね」
少女の声がした。
廊下を走る仁科と渚の目の前に声の主が立ちふさがった。
それは誰あろう杉坂だった。仁科は驚きに目を丸くして言った。
「杉坂さん・・・!?あなた、古河さんのお父さんが相手してたんじゃ・・・!?」
「正確には、ホムンクルスだと言ったでしょう。あれは私のコピーです」
杉坂は懐から一本の絵筆を取り出した。
「この絵筆が紙という無機物に命を吹き込んだんですよ。描かれた思念が実体を持つというわけです」
「そんなバカな話があるわけがないわ!」
「ふふ・・・そんなチャチな鉄と鉛のおもちゃに頼るようなあなたには信じがたいでしょうけどね」
杉坂は仁科の手の中にある銃と自分の絵筆を見比べて蔑むように言った。
「私には比類なき魔力が身につきました。あなたの体で味わうがいいでしょう」
杉坂は渚に叫んだ。
「古河さん。あなたのお父さんの命は保証します。だから手を出さないでください!」
「杉坂さん!駄目です。友達なら、戦っちゃ駄目です!!」
「こいつを消したとき初めて・・・私は踏み出せるんです!」
「やってみなさいよ!!」
仁科も対抗して叫んだ。
「あんたの言うチャチなおもちゃで、今度こそあんたを地獄に落としてやるわ!」
「その意気です。やっとの思いで盗み出してきた大いなる力・・・楽しませてもらいます・・・!」
287クラナド戦記第22話 4/4:05/02/27 14:39:49 ID:sJyQ2JJi0
ピンタックブラウスを身にまとう女性が一ノ瀬ことみの制御室にいる。
老人は席を外している。
仁科と杉坂のやりとりを示す映像が宙に浮かんでいる。
「あれはわたしの「ゼウクシスの魔筆」・・・やはり杉坂さんが持っていたのね・・・」
(ゼウクシスって・・・キャンバスに描いた葡萄があまりに真に迫っていたため
鳥たちが葡萄の絵を食べたと言われるあのギリシャの伝説の画家なの?)
「そうよ、一ノ瀬さん」
伊吹公子は画面を閉じた。
幸村が帰ってくる前にここから離れないといけない。
「一ノ瀬さん。世界を見せてくれてありがとう。助かるわ」
(どういたしましてなの)
「わずかな思索の時間をお邪魔してごめんなさい。いつも苦労をかけますね」
(伊吹先生なら大丈夫なの。でも・・・あの人は怖いの)
「・・・あの人には逆らわないほうがいいわ。少なくとも・・・今は」
そう。少なくとも今は。
この手にあるのは妹の・・・風子の「ヒトデ」。
・・・そしてわたしの「魔筆」が揃えば、わたしは揺るがす力を手にする。
面従腹背を装うこともない。
「一ノ瀬さん!地上への転送を!」
伊吹公子は戦いの場へ赴く。
「祐くん。ふぅちゃん。もう少しだけ、待っていて」
愛する人に、幸せな世界を築くために。


資料室    古河秋生 所持品:タバコ、ライター、バット
        古河早苗 所持品:なし
        春原陽平(気絶中) 所持品:某ラジカセ、銃(名称不明)
校舎内?  古河渚 所持品:なし
        仁科りえ 所持品:不明
        杉坂 所持品:ゼウクシスの魔筆
MIO本部? 伊吹公子 所持品:レイジングヒトデ
288名無しさんだよもん:05/02/27 16:56:46 ID:AKRlwfOK0
秋生さん!立派ですっ!
お願いがふた〜つ!
・「」の中で固有名詞使うなら、『』を用いましょう
・「・・・」じゃなくて「……」にしましょう
289名無しさんだよもん:05/02/27 20:00:14 ID:89D/Wibr0
お、おいおい!
290名無しさんだよもん:05/02/27 20:09:53 ID:W5ajzBfC0
また活気が出てきてうれしい
291名無しさんだよもん:05/02/27 20:21:16 ID:4XN1rTbv0
意味和姦ねえよっ!
292クラナド戦記第23話 1/4 :05/02/28 00:37:50 ID:aSW6Z6ko0
「仁科さんも、杉坂さんも、やめてくださいっ!こんなのおかしいですっ!」
渚が張り上げる声は、仁科にも、杉坂にも届いていなかった。
「渚さん、離れていてください。近寄ったら命の保障はできません。」
先に仕掛けたのは仁科だった。杉坂に向けて引き金を続けざまに引く。
しかし、一瞬早く杉坂の筆の穂先が宙に円を描いた。
その軌跡は盾へと変わり、仁科の凶弾をけたたましい音をあげて弾いた。
(書かれたものが実体化する筆…まさか本当だったとは…でも、勝算はある!)
仁科は一気に杉坂へ向けて駆けた。
(筆で描いたものが実体化するまでにはタイムラグがある!!間合いを詰めて攻めたてれば勝てる!)

「やはり、近づいてきましたね。」

杉坂の穏やかな声が意味することを、仁科はしばらく理解できなかった。
仁科の視界のはずれ、杉坂の真横に位置する壁に、奇妙な落書きがあった。
一見パイナップルにも見えるその落書きは、徐々に壁からその姿を実体化させ、ゆっくりと落下して行く。
(手榴弾!!しまった!!)
「りえちゃんの考えることくらいお見通しです。長い、長い付き合いですから。」
杉坂の声を聞きながら、仁科は死を覚悟した。
293クラナド戦記第23話 2/4 :05/02/28 00:38:34 ID:aSW6Z6ko0
ごおおん!!
爆音、閃光、爆風が廊下を支配する。
(私は…死んだのか?)
もくもくと立ち込める煙の中で、仁科はそんなことを考えていた。
(いや…生きている!しかし、何故!?)
仁科の脳裏に爆発の瞬間がフラッシュバックする。
手榴弾が地におちる、そのわずか前に、仁科に向けて飛び込んで来る人影――――
「渚さん!!」
煙が晴れると、ぽっかりと穴が空いた壁の横に倒れ伏す、渚の姿が見えた。
(私をかばって…!?そんな…馬鹿な…)
思わず渚に駆け寄り、その変わり果てた体を抱き起こす。
「なるほど。古河さんが助けに入ることまで計算していたわけですか…」
冷たい杉坂の声が背後で響く。
(そうだ…古川渚なんて利用しただけ…私のために…馬鹿なやつ…これでいいんだ…)

「に、仁科…さん…無事で…すか…」
渚の声がした。
うつろな目で必死に仁科の姿を探す。
「私はここです、無事です!」
反射的にそう応えた。
「えへ…へ…良かっ…た…」
力なくそう微笑むと、渚の体から力が抜けて行った。
294クラナド戦記第23話 3/4 :05/02/28 00:39:21 ID:aSW6Z6ko0
ピアノの才能に長けていたせいで、仁科は小さい頃から人間の汚い部分に触れて生きてきた。
コンクールで賞を取っていた頃は彼女に媚びへつらう大人は後を絶たなかった。
それが、事故の後は手のひらを返すように態度を変え、誰一人、見舞いに来るものさえいなくなった。
そんな経験を経て、仁科は学んだ。
他人など利用するものだと。使えない奴は切り捨てるものだと…
……学んだはずだった。

――――友達なら、信じてくださいっ!信じ続けてくださいっ!―――――

保健室で渚に助けられたときの、渚の言葉が脳裏に蘇る。
思えば渚は、自分の命も顧みず、いつだって他人を信じていた。信じ続けていた。
それに比べて、私は、人を信じることをずっと、恐れていただけ…逃げていただけ。
渚なんて、泣き虫で、臆病なやつだと思っていた。
だけど、本当に臆病だったのは、私。本当に強かったのは、渚―――

「だめ!!死なないで!渚さんっ!!」

仁科は感情をあらわに、子供のように、泣き叫んでいた。
295クラナド戦記第23話 4/4 :05/02/28 00:40:05 ID:aSW6Z6ko0
「りえちゃん、今更何のまねですか?そんな演技は私には通用…」

刹那、仄かな光が渚を覆う。
そして、渚の体に再び生気が戻った。
傷も、壁の穴も、完全に元に戻っていた。
杉坂の顔が青ざめる。
「!!まさか、魔筆の負の力を打ち消すほどの想いを生むとは…!!ならば今度は二人まとめて消すまでです!」
杉坂が再び筆を振り上げた。

「させねぇよ」
振り上げた筆を握りしめる手があった。
「俺の前で、俺の家族は、誰一人、絶対に傷つけさせねぇっ!!」
古河秋生の右手が魔筆を真っ二つに砕いた。

校舎内廊下   012 古河秋生 所持品:タバコ、ライター、バット
          013 古河早苗 所持品:なし
          014 古河渚 所持品:なし
          018 仁科りえ 所持品:多数の武器
          019 杉坂 所持品:なし

296名無しさんだよもん:05/02/28 00:53:40 ID:wrl9qscb0
お、おいおい!
297名無しさんだよもん:05/02/28 01:33:51 ID:Tt0TTkdD0
意味わかんねぇよ!
298名無しさんだよもん:05/02/28 03:36:54 ID:GEQI/G+k0
ペースはええ!!
でもあっきーがかっこいいから許すよっ!!
299名無しさんだよもん:05/02/28 10:18:25 ID:L9LYzCjf0
>>286
>「私には比類なき魔力が身につきました。あなたの体で味わうがいいでしょう」

Sa・Ga2かよ!!
300名無しさんだよもん:05/02/28 18:32:01 ID:jZZx7MbK0
トーサツできそうなスポは沢山あるから
まあ焦らず邪険にせずゆっくりしていって下さい。
301名無しさんだよもん:05/02/28 22:03:58 ID:nv7dVCSj0
このスレの関連スレかと思ったぞゴルァ!

なんだかよく分からないスレin葉鍵
http://pie.bbspink.com/test/read.cgi/leaf/1087025742/
302名無しさんだよもん:05/03/01 00:13:29 ID:7/LokRlp0
>>300
おいおい、意味分かんねえよ
303名無しさんだよもん:05/03/01 01:05:52 ID:Bu4ajjjC0
タシロが喜びそうな場ばかりってことかw
304クラナド戦記第22話1/7くらい?:05/03/01 07:15:47 ID:lPQ9xUUV0
有紀寧は何発も撃った連射の疲れで、息を荒げている。
その表情はぽかんと口を開け、信じられないと言いたげだ。
狭いのか、真っ暗なこの部屋は、銃口からのきな臭いにおいで一杯になった。
だが真っ暗とはいえことみの様子は、有紀寧にはっきり見えた。
頬杖を突き、片足を組み、首をこくんと横に傾けた丸くてかわいらしい顔に
どうでしょうか?
と営業スマイルのような笑顔を浮かべている。
十数発も有った銃倉は空っぽになり、銃がひどく軽く思えた。
目線で距離を確認。大丈夫、1mくらい。
銃が壊れていないか確認。大丈夫、ジャムってもいなければ、破損箇所も見られない。
自分の心理状態を確認。大丈夫、冷静にこの目の前の人を殺そうときちんと決心していた。
だが、弾丸は全てはずれた。
もう、弾は無い。
有紀寧はそのぽかんと口を開けた表情をずっと続けるしかなかった。
「あなたの3Dの動きをワールド変換、ビュー変換で正確に行列を用いて演算。
当たり判定となる拳銃から放たれる弾丸の軌道は、銃系クラスの分散関数、弾道関数と人体系クラスの人体構造関数、運動行動関数を用いることで、全て計算可能。
・・・まあ、難しい話は置いておくの。
あなたの弾丸は計算することで、ちょっと首を曲げたり、体を捻ったりで全て避けられたということなの。ごめんなさいなの。君子、虎。あなたにはずいぶんと高い存在であったの。私が人類を超えた人で無ければ、あなたは勝てたのに。」
305クラナド戦記第22話2/7くらい?:05/03/01 07:16:57 ID:lPQ9xUUV0
その時、部屋全体が眩しく光っていった。
うっと有紀寧は両手で顔全体を覆うようにする。
そうして、だんだん目がなれていく。
指と指の間からことみの足が何本ものワイヤーでつながれているのが見えた。
そのワイヤーの先、そう部屋全体にことみが言った正確無比な演算を行った光のようなものがあった。
それはのガラス張りの奥で、シリコンと貴金属が集まった固そうで平たい、パソコンの中や家電の中、携帯の中と今どこにでも必ずといっていいほどあるものが形を変えて存在していた。
集積回路だ。
まるでプラネタリウムの星々のように、存在していた。
有紀寧は感嘆するように、空や地上を見渡した。
「これのおかげで、弾が・・・当たらなかったんですね」
「超弦理論に基づいて、超微少素粒子、大体ニュートリノくらいで作られた集積回路なの。だから、、すっごくちっちゃいの」
「すごいですね」
「えっへん」
ことみはおどけたように胸を張った。
有紀寧はベレッタを床にそっと置き、落ち着いたようにいつもの指を絡める仕草をした。
「水でもかけたら、ぶっ壊れるでしょうか?」
306クラナド戦記第22話3/7くらい?:05/03/01 07:17:41 ID:lPQ9xUUV0
「いじめる?折角良いこと教えてあげようと思ったのにの・・・」
「無理に言葉尻を一ノ瀬さんに合わせないでください」
「怒ったら嫌なの・・・」
ことみは目じりに涙を貯める。
有紀寧は目をほんの少しだけ細めて、目つきを鋭くした。
「くっくっくっ・・・」
ことみは、椅子から床へ、体の芯から笑うようにまるで男みたいに地面を転げ回った。
「アハアアアァアアアハアア」
後3分。ひとしきり笑い終わると、片膝を立てて座り、不敵な目線を有紀寧に投げかける。
「強がってもしょうがないでしょ?あなたはどう転んでもあたしの術中で、これからあなたは私に身も心も捧げることは私の計算上わかってるんだから。」
「そんなこと、ありません」
「じゃあ、これはどう?絶対これ、もう一回見たいと思うんだけどなぁ」
ぱちん
ことみは指をならした。
その瞬間、部屋は真っ暗になった。
(何をするのやら)
有紀寧は訝しげに思いながら、じっと立っていた。
「おい、有紀」
心臓が鳴った。
昔ずっとずっと家で聞いていた声がした、と思った。
「なぁに、ぼぉーっと突っ立ってんだ」
人だ。
これもまた、茶髪に学ランの見覚えのある人だ。
「たくっ・・・とろいなぁ」
この愚痴もだ。
だけど、実は知ってる、これは照れ隠しで本当は優しい人だってわかってる。
307クラナド戦記第22話4/6:05/03/01 07:19:45 ID:lPQ9xUUV0
「・・・嘘だよ。ま、いくぞ」
頭をなでる感触がした。
やっぱり、いつも整備しているバイクのせいで油くさくかった。
そうして、彼はそのバイクにまたがった。
その時だけ、誘いに乗らなかった自分。
それから、彼は帰らぬ人となった。
「待って!お兄ちゃん!」
その瞬間、バイクもお兄ちゃんも自分が立っていた大きな門が立つ玄関先も、全てが光り輝いた。
気が付くと、もうあのプラネタリウムみたいな元の部屋になっていた。
「どうで・・」
「こ、こんなの光を持っていない人じゃない。幻想です。そ、そうでしょう?」
「まあまあ・・・動揺しないで、どうです?あの時に戻りたいと思いませんか?
このコンピュータの無線によるあなたの脳への直接接続を使うことによって、あの時の世界から再スタートできます。人も自然も物もそう、街のすべてがあの時のまま・・・です。
この集積回路はあなたが生きている間の全てのことを計算できます。
さすがに1000年2000年の演算は無理ですが、あなたが死ぬ最大で150年まで万物の動きがインプットされています。あなたも今までの記憶を削除、あの時の状態から再スタートできますよ」
「世界に背を向けて生きていくなんてことは」
ぎゅっと絡めた手を握りしめる。
「言ったじゃないですか・・・こんな世界意味がないって。
そうですね・・・では、プレスタートと行きましょう、段々記憶がなくなっていく感じで、なぁに半日経で忘れますから。ご安心を」
「ちょっ・・・」
パチン!
308クラナド戦記第22話5/6:05/03/01 07:20:38 ID:lPQ9xUUV0
(こんなの幻想にすぎない)
有紀寧は固く自分に言い聞かせる。
だが、目の前でバイクが倒れていた。
お兄ちゃんが血だらけで倒れていた。
学校の帰り道に会い、でも助けられなくて、ただ呆然とした日のこと。
どうしたら、お兄ちゃんは生きられたんだろう。葬式が終わって、夏が過ぎ、秋が過ぎ、冬が過ぎ、春が来る今まで、ずっと無駄な考えをあぐねていた。
だから、今ならお兄ちゃんを助けられた。
私は駆け寄った。
あの時、気が動転して、間に合わなかった止血や口をつけての人工呼吸をしてあげた。
お兄ちゃんの口はなんだか固かった。
その11時間後の救急病棟までついていった。
「この馬鹿息子がぁ!だからバイクなど!」
「お父様・・・やめてください。もう、お兄ちゃんは・・・こんなになってるんです。もう酷いことはしないで」
私は泣いた。
そして、お父さんはお兄ちゃんの目を見て言った。
「違う!死んだらどうするんだ。お前は馬鹿で間抜けで不良だが・・・俺の息子なんだぞ」
「親父・・・ごめん」
309クラナド戦記第24話6/6:05/03/01 07:30:19 ID:lPQ9xUUV0

朝は眠たくて仕方がありません。
でも、大丈夫。
今日もまた、お母様の一生懸命作った手作り料理があって、お父様のむっつりして、批判も交えてうまいと評したりするような、そしてお兄ちゃんが寝ぼけ眼でばくばく口にご飯を入れてくような、家族団らんの朝食がちゃんと始まるのですから。
後、暇が有ったら、お兄ちゃんが膝枕してくれます。
頑張って起きなきゃ。

「この宮沢有紀寧の体を操って、あの信用しきっている杏達に潜入させる。後は・・・どうにでもなるの」
(そんなのだめなの!)
ことみはたからかに嘲笑した。だが、その顔に悲しんだ色がうっすらでていたのは、彼女自身も気づかない。
310名無しさんだよもん:05/03/01 07:33:35 ID:lPQ9xUUV0
と、いうことで21話の続きを書きました。
ですので、クラナド第22話に・・・
すいません。間違いました。orz
22話じゃなくて24話でした。ホントすいません。
311名無しさんだよもん:05/03/01 07:38:52 ID:lPQ9xUUV0
008一ノ瀬ことみ 所持品:マシンガン

015 宮沢有紀寧 所持品:なし

・・・これ忘れてた。
312名無しさんだよもん:05/03/01 10:08:12 ID:OaqV6ulj0
何だかよく分からないけど、行くよっ!
313名無しさんだよもん:05/03/01 10:29:15 ID:OaqV6ulj0
>>305
>「超弦理論に基づいて、超微少素粒子、大体ニュートリノくらいで作られた集積回路なの。
これはいくらなんでもトンデモ過ぎると思います。
「超弦理論に基づく超対称粒子間の量子エンタングルメントを利用して、
1 qubit の論理演算をプランク時間のオーダーで完了する究極の素子なの」
物理用語を持ち出すならせめてこんな感じでお願いします。
314名無しさんだよもん:05/03/01 10:44:45 ID:wtkaqvn00
意味わかんねえよw
315名無しさんだよもん:05/03/01 12:15:43 ID:bzgwaT5Y0
何だかよく分からないけど、行くよっ!
316名無しさんだよもん:05/03/01 13:06:03 ID:/otby2ed0
面白くなってきたじゃないの
317名無しさんだよもん:05/03/01 14:33:38 ID:4Cd/nsIAO
>>311
一『之』瀬の間違いでは?
318名無しさんだよもん:05/03/01 17:08:25 ID:MpnkCAV2O
お、おいおい!
319クラナド戦記第25話 1/4:05/03/01 17:30:36 ID:d7P1KswC0
「で、これからどうする?このサッカー部員の始末もつけなければならないな」
俺、芳野は桜の木に持たれかかりながらそう言った。
「始末って…!お、俺が悪かった!もう何もしないから助けてくれよっ!」
サッカー部は顔色を変えて喚きたてる。
「仕方ないわね…ここに置き去りにするわけにも行かないし、とりあえずロープは解いてやるか。」
美佐枝がやれやれとため息を付きながらサッカー部の拘束を解く。
持っていた武器は取り上げたし、俺たち三人相手に抵抗したりしないだろう。
「まず伊吹先生と合流したいわよねぇ…伊吹先生の家でも行ってみる?」
美佐枝が俺の顔をちらちら見ながらそう提案する。
「おねいちゃん、今日は大事な用事があるって言って、朝早く家を出ました。」
「そう…困ったわね…放送で生きてるって言ってたから無事なんだろうけど…」 
と、その時、こっちに向けて歩いてくる人影を俺の目が捉えた。
「おい…誰かこっちにくる。また敵かもしれないな」
俺は声を潜めて危機を仲間に知らせた。
しかし、美佐枝は人影を一瞥すると、あっけらかんとした声で言った。
「ああ、あの子なら私の知ってる子だから大丈夫よ。おーい坂上さーん!」
「風子もあの人知ってますっ!生徒会長さんですっ!」
「げぇっ!坂上智代じゃねぇかっ!まあ味方なら頼もしいけどよ…」
320クラナド戦記第25話 2/4:05/03/01 17:31:52 ID:d7P1KswC0
坂上…という少女を確認した三人は、まさに三者三様の反応を示す。
(どんな人間なんだ…いったい…)
そうこうしているうちに、背の高い銀髪の少女、坂上智代は俺たちの前までやってきた。
「ここであんたに会えるとは運がいいわぁ!これで百人力ね!」
美佐枝が智代を歓迎する。
「うん、私としても4人で固まっていてもらえると手間が省ける。」
(手間…?探す手間ってことか…?)
少女の言い回しに少し違和感を覚えたが、雰囲気を壊さないように黙っておく。
「さて、それじゃどうしようか?ここに突っ立っててもしょうがないわよね…」
美佐枝が再びこれからの話を切り出す。
「いや、ここでいい。」
唐突に智代が口を開いた。
「え?いいって、何が?」
美佐枝がきょとんとした顔で聞き返す。
その時、俺は確かに感じた。坂上智代を取り巻く空気が変わったのを。

「お前達の死に場所が、だ。」
321クラナド戦記第25話 3/4:05/03/01 17:33:15 ID:d7P1KswC0
俺たちの間に走る緊張、静寂、そして――――
「やぁだ、何言ってんのよ!こんな時に冗談やめてったら!」
美佐枝が場を取り繕うかのように明るい声をあげていた。
「冗談ではない。私はお前達を殺すために合流した。」
少女が放つ雰囲気に、美佐枝もただならぬものを感じたらしい。
「う、うそよっ!本当に殺すつもりなら正面から歩いてくるはずないじゃない!」
上ずった声で言い返す。
「それは、私に自信があったからだ。例え殺す意図が知られようが、確実にお前達を殺せるという自信が。」
俺の作業着の裾を風子がぎゅっと掴むのを感じた。
「どうせ殺すのなら、少しでも後味のいい殺しをしたいと思ったんだ。どうだ、女の子らしいだろう?」
もう誰も何も言わなかった。沈黙を破り、俺は口を開く。
「何で俺たちを殺そうとする?何か理由があるんだろう?」
「……お前達に言う必要はないな。」
答えが返ってくるまでにしばらく間があった。俺はもう一度尋ねる。
「ならば一つだけ教えてくれ。それは愛のためか?」
「そうだ。」
今度は間髪入れずに答えた。迷いのない、その返答に俺は覚悟を決める。
322クラナド戦記第25話 4/4:05/03/01 17:34:17 ID:d7P1KswC0
「相楽、サッカー部、風子を連れて逃げるんだ。」
「ちょっと、芳野!嘘でしょ!?」
「ユースケさん、だめですっ!」
うろたえた顔で俺を見る二人。
「これ以上の話は無駄だ。坂上も覚悟を決めている。」
「だ、だけどっ!」
「俺は俺の大切なものを守るために。坂上は坂上の大切なものを守るために。もう、戦うしか術は無い。」
美佐枝は呆然とした顔で俺を見ていたが、やがて落ち着きを取り戻した。
「……分かったわ…でも必ず追いつきなさいよ!負けたらドロップキックくらわすからね!」
「ユースケさんっ!絶対に生きて帰って、おねいちゃんと結婚してくださいっ!約束ですっ!」
「ああ、必ず。」
三人の足音を背後に聞きながら、俺は智代に向き直る。
「すまない、待たせた。」
「ああ」
言葉は必要なかった。
お互いに、互いの戦う理由、葛藤、負けられない事情、全て把握していた。
「皮肉なものだな…守ると誓ったこの桜並木の下で、人の命を奪うための戦いをするとは。」
智代がぽつりと呟く。
風が、桜並木を揺らした。
323クラナド戦記第25話 :05/03/01 17:34:59 ID:d7P1KswC0
桜並木周辺    006 伊吹風子 所持品:ヒトデ
            009 相良美佐枝 所持品:銃(名称不明)、洗濯ロープ、リュック(中身不明)
            016  徳田悠作(サッカー部員) 所持品:なし

桜並木の坂道  011 芳野祐介 所持品:スパナを含む工具一式
           017 坂上智代 持ち物:不明
324名無しさんだよもん:05/03/01 22:35:04 ID:7/LokRlp0
お、おいおい!
325名無しさんだよもん:05/03/01 23:46:54 ID:wtkaqvn00
面白くなってきたじゃないの
326クラナド戦記第26話 1/4:05/03/02 01:32:01 ID:cHcabgg70
「魔筆が…! 私の力が…っ!!」
杉坂の表情がみるみる怒りに染まる。
「許しませんっ!!」
杉坂の右腕が強靭な筋肉をまとい、巨大な爪が生えそろうまでに一瞬とかからない。
風ごと切り裂いて秋生に襲い掛かる。

カキィンッ!!
「もらったぁっ!!」
金属を打ち鳴らすような快音が響いた。
猛然と迫る杉坂の爪を、秋生のバットが真芯で捉えていた。
痛烈な打球のように打ち返された爪が、鋭く深く床に突き刺さる。
腕をひねられる形で、杉坂の体が地に釘付けとなる。
「くっ…こんな、まさか!?」
「ゲームセットだ」
杉坂の頭上から、秋生は高らかに勝利を宣言した。

「くっ…どうして邪魔をするんですか!?」
「俺の前で家族を傷つけさせはしねぇ。それだけだ」
「あいつを殺したときはじめて、私は前へ進るのに…っ!!」
床に伏せられたまま、杉坂は仁科を睨み、歯噛みする。
目に涙を溜めて、仁科はそれを見ていた。
「杉坂さん…」
「りえちゃん…あんな卑劣な手で私を殺しておいて、今さら古河さんには善人面ですか!?」
「…う…ぅ…」
「『殺しておいて』だと? おめぇまさか、すでに命が…?」
秋生は杉坂(の複製)と拳を交えたことを思い出していた。
――あれは確かに、今にも朽ち果てようとする死人の骸の感触だった。
「そう。私はこいつに殺されました。だから、殺し返してやるために蘇ったんです」
「本当なのか? 仁科」
すべてを悔い改めたように、仁科はただうなずいた。
「ごめん…ね…杉坂さん…」
327クラナド戦記第26話 2/4:05/03/02 01:33:10 ID:cHcabgg70
「――友人を弾よけに使ったにしては、許しを乞うのが遅すぎましたね。仁科さん」
廊下の奥から声がひとつ、りんと響いた。
ピンタックブラウスを身にまとい、星のような装飾のついた杖を左手に携える女性。
その右手には、秋生がへし折ったはずの絵筆の残骸が、いつの間にか握られている。

女性は秋生にゆるやかに会釈をした。
「渚ちゃんの保護者の方ですね。お噂はかねがね聞いていますけれど、この魔筆を素手で折るとは驚きました」
「あんた、いったい…?」
「光に選ばれた人間、です。あなたと同じようにね」
女性は謎めかして言うと、右手に念をこめるしぐさをする。
「…わたしのゼウクシスの魔筆や妹のレイジングヒトデは、この町に13個ある光のひとつです」
手の中の細身の絵筆が、みるみるうちに本来の姿を取り戻してゆく。
「…どんな腕力をもってしても、光を破壊することはできませんからね」

女性は仁科と杉坂を交互に見くらべて言った。
「仁科さん、罪を悔いるのは大切なことです。けど、あなたが友人を殺したという真実は永遠に変わらない。
杉坂さん、殺された無念はわかります。けど、死んだあなたがここに存在することは、まやかし以外の何ものでもないわ」
仁科は黙ってこうべを垂れていた。
杉坂がひとり反論する。
「私の痛みが、悔しさが、りえちゃんを殺せっていう私の心の声が…まやかしだっていうんですか!?」
女性は目を伏せて、かぶりをふった。
「それは本当にあなたの意思? あなたは命令どおりに死体を動かしているだけの、ただの偽りの魂でしょう?」
「バカにしないでっ!!」
杉坂の豪腕が怒りにうなりを上げた。一瞬前まで床に埋まっていたのが嘘のように。
今までのどの攻撃よりも迅くしなやかに、五本の刃が女性に飛び掛かる。

宙を走る描線。
魔筆だった。

五本の刃は女性に届かずに、射られた鳥の羽のように無秩序に空中を落ちた。
十か二十ほどの切れ端に、杉坂の右腕が刻まれていた。
328クラナド戦記第26話 3/4:05/03/02 01:34:06 ID:cHcabgg70
「うそ…!」
右腕を完全に奪われた杉坂が絶望に目を見開いた。
「たとえ魔筆を使おうと、絵筆をとったことのないあなたが描けるのはまやかしに過ぎません。
でも…わたしが魔筆を揮うとき、それは真実を描く」
女性が十字に筆をしならせると、杉坂の背後に十字架があった。
杉坂は磔刑を受ける殉教者のように、それにくくりつけられていた。

「うぁ…来るな、来るなぁ…!」
「おしまいです」
女性が左手の杖を天にかざす。
杖の先のヒトデの意匠に、すべてを清めるかのような力強い光が宿ってゆく。
『屍に蠢くかりそめの生命よ、冥府の安らぎへと踵を返せ…』
まじないの言葉を唱える女性。
秋生と仁科が口々に叫ぶ。
「おい…あんた何してやがるっ!?」
「やめてよ…! お願いだから、私が悪かったから…!」
「変えろと言うんですか、仁科さんが友人を殺したという真実を? ごめんこうむります!」
そう言うのを最後に、女性の詠唱が終わった。

『ASH TO ASH, DUST TO DUST, EXORCISM』

装飾のヒトデがまばゆく閃いた。
神聖なとでもいうべき、美しいばかりの幻想的な光の奔流が杉坂を包み込む。
砂丘が風に崩れるように、
杉坂は限りない白のなかに消えていった。
329クラナド戦記第26話 4/4:05/03/02 01:35:01 ID:cHcabgg70
「悔いることです…罪びとには、それが許されている」
最後に聞こえた女性の声。

ただ残されたかつての友人の衣服に、仁科りえはすがりついて、
涙を零していた。



校舎内廊下   012 古河秋生 所持品:タバコ、ライター、バット
          013 古河早苗 所持品:なし
          014 古河渚 所持品:なし
          018 仁科りえ 所持品:多数の武器
          019 杉坂  消滅
330名無しさんだよもん:05/03/02 01:54:12 ID:h+nNzmnN0
GJ!!!そういや公子は美術の教師か。
杉坂の話長かったけど、きれいにまとまったな
331名無しさんだよもん:05/03/02 03:17:55 ID:KTm5EMIx0
ウマー
332名無しさんだよもん:05/03/02 10:19:48 ID:xjyW3Oy60
おい…あんた何してやがるっ!?
333名無しさんだよもん:05/03/02 12:59:59 ID:mikd6o5p0
何だかよく分からないけど、行くよっ!
334名無しさんだよもん:05/03/02 17:15:23 ID:h6Rw9SMn0
お、おいおい!
335名無しさんだよもん:05/03/03 20:15:31 ID:P3y2eAx+0
《光》……幻想世界の少女が残していった遺産。
それは素晴らしい力のシンボル。
光をめぐって多くの者が争い、ある者は光を手にし、またある者は敗れ去り消えていった。
そして今、新たな戦いの物語が始まろうとしている……。

幸村 「参加者に告ぐ。ルールは一つだけじゃ――人間を見たら、殺すこと」

「世界の再生」の名を騙り、破滅をもたらす謎の集団《MIO》。
この世界のどこかにあるという13個の光を求めて、その力が動き始めた!

ことみ 「私が人類を超えた人で無ければ、あなたは勝てたのに」
杉坂 「私には比類なき魔力が身につきました。あなたの体で味わうがいいでしょう」

それは科学と神秘を悪用し、命を弄び、死と破壊をほしいままにする闇の一大勢力。
対するは、この世界にとり残されたわずかな生存者――

渚 「友達なら、信じてくださいっ! 信じ続けてくださいっ!」
秋生 「絶対裏切ったりしねぇ! 俺の命をかけてもだ」

いつ果てるとも知れない戦い。
果たして光の正体とは? そこに封印された驚愕の真実とは!?
朋也たちの生存をかけたバトルがいま、幕を開けた。

朋也 「人が死ぬってことは悲しいことだって…お前ならわかっているはずなのにさ…」

――愛する人に、幸せな世界を築くために。


超多重展開ミスティックバトルSS『クラナド戦記〜光溢れるこの町で〜』
http://pie.bbspink.com/test/read.cgi/leaf/1104914063/l50にて大好評連載中!!
336名無しさんだよもん:05/03/03 21:09:19 ID:hClKLV3k0
☆☆☆★★おいおい!いみわかんねぇよ!, 2005/03/03
レビュアー: 杉坂ファン   関西
ともだちにすすめられて読み始めたのですが、すっかりはまりました!
しゅじんこうの朋也の、「おいおい、意味わかんねえよ!」というセリフが凄くかっこいい!
個性豊かな登場人物たちが織り成すミスティックバトルも最高!
とにかく、読まなきゃぜったいソンしますよ♪♪







337名無しさんだよもん:05/03/04 09:36:18 ID:Eia3hgT00
ピンタックブラウスage
338名無しさんだよもん:05/03/04 10:53:19 ID:vuV7Q1Wk0
お、おいおい!
339名無しさんだよもん:05/03/05 00:03:40 ID:g9LS23gI0
智代の戦闘シーンきぼんぬ
340'ヽ/ヽ:05/03/05 00:17:04 ID:rPniSifR0
意味わかんねぇよ
341名無しさんだよもん:05/03/05 00:21:43 ID:nlS4RHXW0
先に言われてしまった
342ll∫゚ ヮ゚ノl・・・椋です:05/03/05 13:34:55 ID:a/1osAAg0
芳野さんって戦闘力高いんでしょうか?
なんとなく、美佐枝さん>芳野さん・・・のような気が・・・
343名無しさんだよもん:05/03/05 13:37:36 ID:/omv2/uj0
杏と椋は二人一緒じゃないと戦えない
344名無しさんだよもん:05/03/05 13:41:22 ID:izs+nu2/0
>>342
ドラッグに溺れている状態が最弱。愛を感じるほどに強くなる。
345ll∫゚ ヮ゚ノl・・・椋です:05/03/05 13:46:48 ID:a/1osAAg0
CLANNAD男性キャラの戦力は・・・
秋生さん>幸村センセ>芳野さん>岡崎さん>春原さん・・・でしょうか。
346クラナド戦記・外典:05/03/05 17:02:38 ID:ZHiIJEqD0
「くだらぬ! 実にくだらぬ!」
老人の怒声。
歯軋りとともに、幸村は画面を見据えている。
「伊吹先生はどこじゃ!? どこにおる!」
「お呼びになりましたか、幸村先生。どうなさいました」
部屋にはいつの間にか、うやうやしく跪く伊吹公子の姿があった。

「どうもこうもないわ。せっかく杉坂君を指揮下につけてやったというのに、
 それをみすみす元の死人に戻すとは何事じゃ!」
「お怒りのほど、お察しいたしますわ」
「まったくじゃ。あのまま行けば、より盛大な殺戮を楽しめたというものを……!」
「…………」
表情をこわばらせる伊吹公子。
幸村はそれを見て、眉根を疑念に歪める。
「よもやきさま……」
「何でしょう、幸村先生」
表情を変えずに幸村に顔を向ける伊吹公子を、幸村はにらみつけた。

腰に差された長い鞘。
老人は誇示するように、長大な白刃をすらりと抜き放った。
「殺戮を止めようだの、死者を安らかな眠りにつかせようだの……」
抜き身の刃が、頭を垂れた伊吹公子の首筋にそえられる。
「そんな殊勝なことを考えたのではあるまいな? 伊吹先生」
347クラナド戦記・外典:05/03/05 17:03:58 ID:ZHiIJEqD0
冷たい金属の感触を首に当てられたまま、伊吹公子はくすくすと笑みを浮かべた。
「いやですわ、幸村先生。わたしは信頼に値しない者を斬って捨てたまで。
 さもなくば必ず、組織を乱し禍根を残したでしょう」
「ほう……禍根をとな」
「ええ。我執のためにわたしの光を盗み出すような者など、指揮下に置くに値しません。
 たとえ、それがほかならぬ幸村先生のご意思であっても」
「わしの意思に逆らうとでも言うのか」
首筋に乗った刃に、ぎりりと力がこめられる。

伊吹公子は、眉一つ動かさずに言葉を継いだ。
「幸村先生。諌め言がお気に召さないのでしたら、どうぞ首をお刎ねください」
「きさま……」
「ですがわたしたちの目的は、あくまで光の奪取と回収にあります。
 殺戮も懐柔もその手段にすぎません。お戯れはほどほどに――ということですわ」
幸村は、眉間と刃に力をこめたまま立っていた。

長い沈黙が訪れた。
打ち破ったのは、老人の哄笑だった。
「くくく。ははは……」
「…………」
「伊吹先生は面白い。このわしに対しても歯に衣を着せぬ。
 じゃからこそ……神も悪魔も信じぬわしにとっても、信頼に値するわ」

老人は刃を鞘に収めて言う。
「ますます気に入ったわ。褒美をやろう」
348クラナド戦記・外典:05/03/05 17:05:19 ID:ZHiIJEqD0
幸村が掌を開く。
するとそこには、白く輝く光があった。
「これは……!」
伊吹公子は驚きに目を丸くした。
「……あのとき坂上さんからお奪いになった、というわけですか」

幸村は勝ち誇ったように、光を握り締める。
「そのとおりじゃ。坂上君は、わしとの取り引きを受け入れたじゃろう。
 彼女は自分の自由意思をわしに委ねたのじゃよ。弟を救いたいがためにな」
「幸村先生……」
「光は幸福なる意思の象徴。意思をわしに委ねたとき、光もまた、わしのものになる」

跪く伊吹公子に、幸村は輝く光を与えてみせる。
「これを持て。今はまだ形のない光じゃが……好きに役立てるがよいわ」
「かたじけなき幸せにございます」
伊吹公子は深々と頭を下げた。


老人が去った後。
伊吹公子は、光の感触を確かめるように、それを握ってみた。
温かい、だけどどこか悲しみにみちた、白い輝き――
「これでわたしの光は三つ――。これならあるいは……」

老人が去った後を、彼女の瞳は堅く見据えていた。



MIO本部   005 伊吹公子 所持品:レイジングヒトデ、ゼウクシスの魔筆、「智代の光」
         幸村俊夫 所持品:不明

智代の戦闘シーンじゃなくてスマン
349名無しさんだよもん:05/03/05 19:49:39 ID:ibqRcfqC0
お、おいおい!
350名無しさんだよもん:05/03/05 22:44:05 ID:z/Dspdp80
意味わかn

        r'::::::::i
         トーf/__   と見せかけて、
      /  イ| 、ヽ  
      //_〉 l_l i_ノ、
\\ (_ニノ 〉____〉〉 〉
      /    } /             ,_-‐、
     /\/,ー 'ヾ          i"_Y 〈i
     〈  < /              ゝ^-'"
     \i"ヽ、  \\     //
     ├ i\i カ      ,、
      |_,,i ノ_ソ    )     ゝあーっと、ここでスルー!
351名無しさんだよもん:05/03/06 00:49:29 ID:NSh6agcZ0
風が、桜並木を揺らした。
352名無しさんだよもん:05/03/06 22:10:22 ID:RwK4/IKR0
智代の戦闘シーンきぼんぬ
353名無しさんだよもん:05/03/07 11:28:12 ID:O63THvkj0
何だかよく分からないけど、行くよっ!
354名無しさんだよもん:05/03/07 16:02:49 ID:P1de9yMU0
        r'::::::::i
         トーf/__   と見せかけて、スルー!
      /  イ| 、ヽ  
      //_〉 l_l i_ノ、
\\ (_ニノ 〉____〉〉 〉
      /    } /             ,_-‐、
     /\/,ー 'ヾ          i"_Y 〈i
     〈  < /              ゝ^-'"
     \i"ヽ、  \\     //
     ├ i\i カ      ,、
      |_,,i ノ_ソ    )     
355名無しさんだよもん:05/03/07 19:04:53 ID:KVYJxdFu0
おいおい…
356名無しさんだよもん:05/03/08 10:49:53 ID:RiS0NJed0
意味わかんねえよ!w
357名無しさんだよもん:05/03/08 18:02:10 ID:5rmyH14L0
何だかよく分からないけど、行くよっ!
358名無しさんだよもん:05/03/09 04:39:24 ID:L9FfdiQX0
お、おいおい!
意味分かんねえよっ!
何だかよく分からないけど、行くよっ!

だけで1000を目指すスレはここですか?
359名無しさんだよもん:05/03/11 21:00:29 ID:lJk8eOQu0
あーじゅ
360名無しさんだよもん:05/03/12 12:53:07 ID:UTEjT7qf0
意味わかんねぇよ!
361名無しさんだよもん:05/03/12 13:21:39 ID:BauTRmzt0
お、おいおい!
362名無しさんだよもん:05/03/13 07:53:19 ID:G/DVkwtS0
゚ 皿゚ アゲアヘッ!
363名無しさんだよもん:05/03/14 00:14:30 ID:QbBX+GOL0
なんで誰も書かないの?
364名無しさんだよもん:05/03/14 00:27:55 ID:fPS+vy0F0
それは○○が○○○からです
365名無しさんだよもん:05/03/14 01:39:18 ID:dSzwG8J10
x
366書いてみようと思った:05/03/14 02:16:08 ID:tl9xXRS6O
…それは突然だった。ちょっとしたいたずら、そして偶然が重なった悲劇だった。
「なんか街が燃えている気がするっすけど、気のせいっすよね〜」
「現実だ。現実を見ろ馬鹿者!!」
「痛い…ってことは夢じゃないのか…岡崎どうなってんだ?」
ことの現実を受け止められない春原に智代がつっこみを入れる
「滅びた…だから飯をおごれ」
朋也はそう答えた
「私はカツサンドだ」
「…もうなんだって奢るっすよ!」
春原は泣きそうな表情で叫んだ
「「よっしゃ」」
……さあこの3人に世界は救えるのか…








つづく?
367名無しさんだよもん:05/03/14 02:57:45 ID:fVuLnbFI0
368名無しさんだよもん:05/03/14 03:01:01 ID:7pjOcFUd0
光の中心にいた。
眩い光が全身を包む。
少女は両手を広げ、その光を一身に受ける。
――選ばれた子――
岡崎汐。
「わたしは街の願いをたくされたから」
視線を落とし、両手を見つめる。
その小さなてのひらに、光のたまがいくつも集まっていた。
ぎぎぎ。
となりには汐に寄り添うガラクタの人形。
………。
「この、物悲しい世界」
「全てが終わっている世界」
少女は小さな声でつぶやく。
「でも…つながっている」
「手をのばせば…ほら」
ゆっくりと前へ伸ばした手を握り締め、力を込める。
空間が収束され巨大な質量となり、集まってゆく。
汐の手に、この世界に存在する全てのモノが集まっていくようだった。
人形はそれに引き寄せられまいと少女の服の裾をつかむ。
「…今、開放するからね」
369名無しさんだよもん:05/03/14 03:03:06 ID:7pjOcFUd0
そして――

ドウゥゥッンッ!!
世界が揺らいだ。
汐の手から「力」が放たれたのだ。
(どこへ?)
「あっちの世界へ」
力を放った先を見ると、ぽっかり大きな空間ができていた。
そこに見える、たくさんの建物や人々。
全ては壊れていた。
(みんな動かなくなったの?)
「そう、全て壊した」
(どうして)
人形は、ぎぎぎと体をそらす。
「泣いているの?」
(みんな、いなくなってしまった)
ぎぎぎ。
「これが、街の願いだから」
少女も泣いていた。
「全ては無に戻りたいと願ったの」
人形の頭に涙がぽつりと落ちた。
気がつくと、光の玉がいくつも浮かんでいる。
みんなこっち運ばれてきたのだ。

「そして、私たちはまた二人きり」
少女は声をあげて泣いた。
370名無しさんだよもん:05/03/14 15:01:53 ID:7iH9exhZ0
流れ嫁よ
371名無しさんだよもん:05/03/14 15:08:01 ID:KpZgprHd0
偉そうなこと言う暇に一話でも書いたらどうか。
372名無しさんだよもん:05/03/14 16:02:00 ID:XGluVfHA0
異例の方の物でも期待できそう
373名無しさんだよもん:05/03/14 16:04:20 ID:wvfpQEfXO
ロムってる人にも書いてほしいけど、>>366みたいな整合性のないのは止めて欲しい…
374名無しさんだよもん:05/03/14 16:06:51 ID:0VPi6n8a0
何だかよく分からないけど、行くよっ!
375名無しさんだよもん:05/03/14 18:06:10 ID:KpZgprHd0
余剰次元のわずかな隙間に、ことみはその姿を見た気がした。

それは悲しみを帯びた巨大な光。
星々の断末魔のような重圧。
世界がゆらぐ。あらゆる存在を押し潰すような、無限大の力。
重力も電磁力も融かし尽くす何かが、この惑星の片隅で一閃する。

…これが、街の願いだから…
…全ては無に戻りたいと願ったの…

――少女は声をあげて泣いた。

〈これは…何なの…!?〉

ビッグクランチのように苛烈な嘆き。
ビッグリップのように冷たい絶望。
宇宙を飲み込む暗黒のような感情がその脳に押し寄せる。

〈許して…いい子にするから…いい子にするから…!〉

涙を流す器官をもたない彼女の脳波が、嗚咽するようにびくびくと震える。
〈どうして、こんな夢を見せるの…!〉
恐怖と混乱にわななく波形を見て、満足げに唇を歪める老人が答えた。
「理解してもらいたいのじゃよ。あの少女の悲しみをな」
376名無しさんだよもん:05/03/14 18:08:08 ID:KpZgprHd0
しばらくして、脳波の揺れが落ち着いたようだった。
ことみの声がコンソールを通じて出た。
〈…あの子の悲しみを人に移すことは、小さな器に海の水を移すようなものなの。
注ぎ終わるよりも早く器は割れてしまうの〉
「その通りじゃとも」
〈私を狂わせて殺すつもりなら、早くそうすればいいの!〉

老人は、できの悪い生徒をなじるように鼻で笑った。
「…じゃが、万にひとり、いや億にひとりのたぐいまれな知性をもってすれば、話は別じゃ」
〈どういうことなの…〉
いぶかしげに、脳波計がわずかに振れた。
老人は答える。
「おまえほどの知性があれば、少女の悲しみを理解することができる。
そうなれば、その大いなる力をわしが利用するのは、そう大きな飛躍ではない。
電気の存在を知った人類が、やがて電球を発明したようなものじゃよ」
〈そんな欲望のために、あなたは私たちの街を…この惑星を壊してみせたっていうの!〉
「ふん。この惑星が壊れようと砕けようと、わしの知ったことではない」

老人の目は欲望に燃え、すでにここではないどこかを見据えていた。
「…それを遥かに上回る力を、わしは手に入れるのじゃからな…」
377名無しさんだよもん:05/03/14 21:31:00 ID:7pjOcFUd0
「真理を覗き込みたいのじゃよわしは」
「宇宙の果て…殻とでも言うべき枠を超えてみたくはないか?」
「我々が知覚することのできない、高次元の世界…」
「一体どれほどの人類が制限されうる知覚と情報を超えたものが流れてくるのか…」

――幻想世界。

老人は恋に浮かされた少年のように高揚した口調でそう言った。
それは、終わりも始まりもない世界。
全てが意思を持たず、たった一人の少女が悲しみ続ける世界。
私は「夢」でその世界を見た。
「そこはあなたの望んでいるような世界ではないわ」
「なんと…!おまえは垣間見たのか…」
「きっと、そこへたどり着いても意識は霧散し、光の玉となって霧散する」
「そんなことやってみなければ分からないだろう!」
老人は少女に両手をかざす。
「光の玉になるといいわ。願いの一つになりなさい」
「黙れっ!器の少女ことみよ…貴様を通し連れていってもらうぞ」
「壊れるなよっ…!」
口の端に歪んだ笑みを浮かべた老人は、少女と同化しようと全てを委ねた…。
378名無しさんだよもん:05/03/14 21:43:53 ID:7pjOcFUd0
うっく…ぐすっ…うぁーんっ…

声がする。
私の声だ。
小さいころの私が泣いている。
おかあさんとお父さんが死んでからは、泣き止むヒマを見つけては、生きていた。
全てが架空のものになり、事象は意味を成さなくなっていた。
イステルスの空はこんなにも赤いというのに。
朋也君はそんなわたしの肩を抱いて慰めてくれる。
「ぼくが狩りをする。君は泣いていればいい」
朋也君のおかげで本当、わたしは生きていられる。
「お礼を言うのと、右手を噛み千切るの、どっちがうれしい?」
少年はわらっていた。
「君が震えて苦しんでいるすがたをみているだけでいい」
それは巡り巡って、あなたのためになることだ。
朋也君のいうとおりにした。
「それじゃ行ってくるよ」
彼は自分のお腹を食べ始め、内臓を食いちぎり、内側から外へ出ていった。
残されたのは朋也君の血や臓物の欠片。
これがわたしの食事だった。

明日はここから出れるかなぁ。
379名無しさんだよもん:05/03/14 21:56:04 ID:7pjOcFUd0
――幻想世界を探せ

声が聞こえる。
そんなことはどうだっていい。
今日はわたしのお誕生日。
おかあさんもお父さんもいないけど、朋也君がお祝いしてくれる。
「ロウソクがないから、ムチを持ってきた」
「朋也君、ふけつ。おもしろくもない」
頭にきたので、そのムチで朋也君を叩きつけた。
切れ味がするどくて、朋也君は真っ二つにわれてしまった。
「いいね、二人にふえた」
朋也君は満足そうだ。
「朋也君、朋也君、朋也君、朋也君、とも…」
「うるさいな、なんだよっ」
「朋也君の名前を呼び続けていると、おちつくの」
「じゃあ今日から俺の名前は、とも蔵だ」
「朋也君、いじわるなの」
はっはっはと声をあげて笑う朋也君。
ふたりは仲良しでたのしいの。
イステルスの空は今日も赤かった。
「あの空の向こうには何があるのかな」
わたしはそうたずねてみた。
「あそこへは行けない。それが人の限界だから」
ううん、とわたしは首をふる。
「行けるとかんがえることは行けるということなの」
「そうやって人は空を飛んだり、うちゅうへ行ったの」
380名無しさんだよもん:05/03/14 22:02:47 ID:7pjOcFUd0
――幻想世界を探せ

声が聞こえる。
そんなことはどうだっていい。
今日は折り紙で飛行機を朋也君とつくるのだから。
「まんなかを折って、それをさらに折って…できた!」
鋭角に尖った先端。
「わたしの計算ではすごく遠くへたかく飛ぶの」
満足げにそう言った。
「ことみはそれに乗ってどこへ行くんだ?」
「あの空の向こうへ」
のどが渇いたら水を飲むように、眠くなったら眠るように。
わたしはあの空の果てにあこがれていた。
朋也君は困った顔をして…。
「もし行けたとしても、あそこには何もないんだぞ。それでも行きたいのか?」
「行きたい」
わたしと朋也君は空を見上げる。
イステルスの空は今日も赤かった。
「まだダメだ。でもいつか時期がくるかもしれない」
381名無しさんだよもん:05/03/14 22:17:52 ID:7pjOcFUd0
――幻想世界を探せ

声が聞こえる。
そんなことはどうだっていい。
どうだっていい?
目指す先はそれだったのかもしれないのに。
でも今日は朋也君と二人で天体観測するの。
きれいなお星様がたくさん見えて、すごく感動するの。
「お星様はみえない」
そんなこと言うなんて朋也君のいじわる。
「だってイステルスが邪魔してるもの」
イステルスの空は今日も赤かった。
「どうすればどいてくれる?」
「うごかないよ、太陽は見えていても、そこへたどり着くことはできないだろ」
「それと同じこと」
本当に朋也君はいじわるなの。
あんまりくやしいから朋也君の目玉をつついてくりぬいた。
零れ落ちた目玉で朋也君は考える。
「でも、今なら…常識が虚ろな今ならたどり着けるかもしれない」
「どうすればいいの」
「もっと鎖を千切り取る。全てを虚ろにして、ありとあらゆる森羅万象を曖昧にするんだ」
「そんなことできるかな」
「いいかい、よく聞いて。今はだいぶ常識を戻してる」
「会話もよく理解できるだろ。伝えたかったんだ」
「でも、その分反動もすごいから…どうか溺れないで」
目的…そう目的があった。

その終着点をしっかりと見据える。
382名無しさんだよもん:05/03/14 22:34:10 ID:7pjOcFUd0
――幻想世界を探せ

声が聞こえる。
わたしはそこへたどり着くために頑張っていた。
「ガンビーが襲ってくるよっ!だから滑ったのに!君の鼻の穴が手紙の目眩が両足をつかんでいる!」
朋也君が自分の目玉でお手玉をしながら、おへそでしゃべってる。
すごいもうめちゃくちゃだ。
「早く!早くっ!くびれと耳糞の境でラジオが紅茶をかじっているから!」
階段の下から髪を伸ばして口が裂けたゴリラのようなものがたくさん這い上がってくる!
「飛行機!紙飛行機は!?」
「ぐるりと回ったぼく口の中には毛がはえている!」
「だまれ!」
わたしは朋也君の顔のような足のようなお腹のような部分を殴ると、紙飛行機が目の前に現れた。
「うひひひょあえぐひっ!」
朋也君が何を言っているか、もう理解できない。
背後にはガンビーの群れがすぐそこまでせまっている。
「これどうすればあそこなの!?朋也君、お願いこうしてっ!」
右手を差し出し、まゆげとお尻が同時に叫んだ。
私ももうおかしい。
飛行機がどうすればあそこへ向かうのか、分からなくなってしまっていた。
「早く!早くっ!空に飛んで逃げてよっ!」
言った途端、朋也君の体は四散する。
負荷が強すぎたのだ。
でもその言葉が合図となり、私は飛び出す。
紙飛行機に引っ張られるように。

イステルスの空は今日は黒くて、お星様がよく見えた。
383名無しさんだよもん:05/03/14 22:44:39 ID:7pjOcFUd0
体が有って、無い。
虚ろで朧げだ。
でも意識はここにしっかり繋がっている。

私は収束し、時には膨張する個の存在をしっかりつかみながら、光輝く地点へと目指していた。
まるで引力に引っ張られるように、急速に近づく。
ここまで来れば、もう迷わないように導いてくれているようだ。
あと少し。
手を伸ばすように自我を光へとぶつける。
眩い…。
全ては包まれて…。

……
………
立っていた。
何も生まれず、何も死なない。
過ぎる時間さえ存在しない。
この、誰もいない、もの悲しい世界へ。

――幻想世界
384名無しさんだよもん:05/03/14 22:50:20 ID:7pjOcFUd0
続きどうぞ
385名無しさんだよもん:05/03/14 23:00:54 ID:BjQJ+0ft0
早く!早くっ!
386名無しさんだよもん:05/03/14 23:04:18 ID:7pjOcFUd0
ごめん、最初全然接合性取れてないね。
ちゃんと読んでなかった。
最初だけ書き直し。

「そんなことに…一体何の意味があるというの!?」
ことみは老人にむかって叫んだ。
「ふむ…ではこう言えばおまえにも理解してもらえるかな?」
老人は豊かにたくわえたヒゲをさすりながら、言葉を続ける。
「それだけではない…その果てにある、真理を覗き込みたいのじゃよわしは」
「宇宙の果て…殻とでも言うべき枠を超えてみたくはないか?」
「我々が知覚することのできない、高次元の世界…」
「一体どれほどの人類が制限されうる知覚と情報を超えたものが流れてくるのか…」
「そして、意識は世界と同調し、全ては思いのままになる」
「選ばれた子、岡崎汐のように」
387名無しさんだよもん:05/03/14 23:07:51 ID:7pjOcFUd0
――幻想世界。

老人は恋に浮かされた少年のように高揚した口調でそう言った。
「そこへたどり着ければ、願いは叶うはずなんじゃ」
それは、終わりも始まりもない世界。
全てが意思を持たず、たった一人の少女が悲しみ続ける世界。
私は「夢」でその世界を見た。
「そこはあなたの望んでいるような世界ではないわ」
「なんと…!おまえは垣間見たのか…」
「きっと、そこへたどり着いても意識は霧散し、幻想となる」
「そんなことやってみなければ分からないだろう!」
老人は少女に両手をかざす。
「光の玉になるといいわ。願いの一つになりなさい」
「黙れっ!器の少女ことみよ…貴様を通し連れていってもらうぞ」
「壊れるなよっ…!」
口の端に歪んだ笑みを浮かべた老人は、少女と同化しようと全てを委ねた…。
388名無しさんだよもん:05/03/14 23:23:23 ID:BjQJ+0ft0
お、おいおい!
389名無しさんだよもん:05/03/14 23:57:51 ID:QbBX+GOL0
意味わかんねえよ、と
390名無しさんだよもん:05/03/14 23:59:44 ID:wvfpQEfXO
荒らしかと思った
391名無しさんだよもん:05/03/15 00:00:16 ID:T6TXrI7P0
>>386-387から>>378-383に続く
392名無しさんだよもん:05/03/15 00:06:21 ID:iAncUdex0
MOONの精神攻撃みたいな幻想世界やな
393名無しさんだよもん:05/03/15 09:56:03 ID:oxYOYRUe0
>>378-383はことみが幻想世界にたどり着くまでに見た「何か」であって幻想世界ではないのでは?
とSSのマジ予想をしてみた。
394名無しさんだよもん:05/03/15 10:30:40 ID:g6/TMStd0
「岡崎汐」の名前がさかんに出てくるけど、
朋也と渚まだ結婚してないんだから汐はまだ存在しないはず。
どう辻褄合わせるのか非常に見ものだ。
395名無しさんだよもん:05/03/15 12:50:28 ID:T6TXrI7P0
>>394
原作でも結婚してないうちから登場してたじゃん
396名無しさんだよもん:05/03/16 01:25:58 ID:vt/QBS3+0
そりゃ幻想世界の少女はそうだろうけど、
岡崎汐って名前がついたのは結婚後だろ。
397名無しさんだよもん:05/03/16 04:01:51 ID:CUyXjVOG0
ここって流れ読まずに自作投稿もあり?
398名無しさんだよもん:05/03/16 07:36:22 ID:q0mVbt6m0
なんでもありでいいんじゃね?
ただクラナドSSスレってのもあるが。
399名無しさんだよもん:05/03/16 09:26:04 ID:93z6yeNiO
お、おいおい!
流れは読もうよ…
400名無しさんだよもん:05/03/16 10:19:03 ID:KM1TmlKs0
>>396
「時間」なんて概念はもう意味を成さないだろ。
401名無しさんだよもん:05/03/16 22:31:17 ID:2Hj/gHiP0
――幻想世界を探せ
402クラナド戦記第27話 1/5:05/03/17 02:21:22 ID:PBO7wgy10
風がひとつ吹いて、桜並木を揺らす。
だが流れる大気よりも速く、それは襲い掛かった。

撃音。
脳に直接響くような一閃。
デルタ関数のように鋭く、芳野のこめかみから斜めに刺さる。
「…!?」
揺さぶる衝撃。
頭蓋骨をしなやかに抜けるのを感じた。

「ぐくっ…!」
頭の奥。
楔のような一打が達する。
暗闇がぞわりと意識にのしかかる。
覚えず、芳野は地に両膝をついた。

上段へ放たれた、あまりにも鮮やかな蹴り――。

「なんだ、口ほどにもないな」
「…み…見えなかった…」
意識を保っているのを確認しながら、芳野は智代の右脚に先手を取られたことを知る。
智代は拍子抜けといった表情で立っていた。

意識から靄を振り払う。
やっとの思いで腕を掲げ、応戦体勢を整えようとする。
そんな芳野の一動作さえ、たたみかける次打は許さない。
「ほら、行くぞ」
蹴る。
同時に、智代の足元で割れるような音が響いた。
403クラナド戦記第27話 2/5:05/03/17 02:22:28 ID:PBO7wgy10
蹴る。

蹴る。蹴る。蹴る。
蹴る。蹴る。蹴る。
膝を屈した芳野に、休みなく蹴撃が降り注ぐ。
(…迅すぎる…!)
反攻も、防御も、抵抗も、一切、認めない。
圧倒的な脚力でねじ伏せるだけだ。
智代の脚に従順に、芳野の体は地に転がる。球戯の球のように、なすすべもない。

意識がフェイドアウトする。
視覚が暗雲のように霞んでいる。
その間にも、不可視の槌が不可視の楔で、芳野の脳を執拗に穿ってゆく。

「終わりだっ、つまらん」
智代が宣告した。
そして最後に、ひときわ大きな一撃が芳野の意識を踏み砕いた。

***


朦朧たる暗闇。
逆さに落ちてゆく、芳野の思考。
それは、意識と意識不明の間をたゆたっている。

自分の身に受けている痛みと傷を、どこか遠い世界のように感じていた。
(このまま…負けるのか…!? 一矢報いることもできないまま…!)
どうしようもない思考だけは、いやになるくらいはっきりしている。
(俺は…このまま、死ぬのか…?)
死とは、こんなに不条理に、唐突に訪れるものなのか?

「アハハ。そうさ、死ねよ」
404クラナド戦記第27話 3/5:05/03/17 02:23:54 ID:PBO7wgy10
その声が聞こえたのだ。
鉛直に落下する思考の頭上から、嘲るようにうそぶいていた。
どこかで見たこいつの、どこかで聞いた声……。
「このままじゃどうせ、お前は死ぬぜ。『生きたければ、死ね』。アハハ」

(何だ、お前は…?)
「あー…? 俺のことは、お前が一番よく知ってるだろうがよ」
そうだ。
それは友を捨て、愛を蔑み、人に背き、……そして、すべてを失った愚者の姿だった。
とうの昔に、迷いを断ち、超克したはずの敵。
芳野がこの世で最も激しく憎んだ相手。

「『生きたければ、死ね』。名言だね、これは」
(黙れ…! お前のような奴がいまさら何を言う!
俺にはいま、生きて守らねばならない人がいる…失う未来さえもたないお前とは違う!)
「お前は欲張りなんだよ。愛も幸福も希望も、完全に手に入れられると思ってやがる。
現実はそうはいかねえだろ? ほどほどの狂気、ほどほどの絶望で手を打っとくのが賢いやり方さ」
愚者はふわりと舞い降り、芳野の意識の背後に立った。

「さて、お前の戦況は絶望的だ。このまま死ぬのもそれはそれでアリだが、もうひとつ選択肢があるぜ」
魂の値踏みをする悪魔のように、愚者は耳元で饒舌にささやいてみせる。
「地べたを舐めて命乞いをしてみろよ。どんな命令にも従いますから殺さないでと、這いつくばって頼み込むのさ。
このままならお前は確実に死ぬが、取引が成立すれば助かる目もあるかもしれねえ。試す価値はあるぜ?」
(そんなことをすれば、俺は死んだも同然じゃないか…!)
「アハハ。『生きたければ、死ね』ってことさ。世の中、欲張りはできねえもんだぜ」

芳野の意識が、愚者を見据えていた。
彼は図らずもその提案に聞き入っていた。
(俺に選べというのか…)
「そうだ、罪でも裏切りでも何でもいい、勝ち残るためには手を染めろ! いつかのお前のようにな!」
(…わかった…)
405クラナド戦記第27話 4/5:05/03/17 02:27:13 ID:PBO7wgy10
その手には、一本の鉄塊。
(…やはり、お前とは相容れないということがな)
幾万の螺子を開閉した傷だらけの工具。
愛を、幸福を、希望を、――家族を、守り育てるための男の役目。
粗末な鋳鉄には、輝くような高潔な思いが込められている。
(俺は、愛でこれを回す男だ…!)
少なくとも、芳野は無心にそう信じている。
鉄塊に籠められた見えざる光が、さえずる愚者を威圧するようだった。

(お前のような奴に、このスパナの意味は決して理解できないだろう。
欲と言うなら言えばいい。すべての困難は、自分自身の手で登り越えるもの…。
すでに超克したお前と同じ次元に、俺が再び堕ちる気はかけらもない!)
「…付き合いきれねえ命知らずだな! せいぜい思うまま戦って、くたばりやがれ!
後悔するぜ、その美しい生き様とやらをな!」

芳野の視界が、意識の上へと広がった。

***


「…どうした…」
とうに意識なく転がっているはずの芳野の口から、智代はかすかな声を聞く。
「…たった27発で息切れか?」
「ふうん。蹴られた数を数える余裕があるのか。少し驚いたぞ」
智代は心底からそう言った。

狂ったように蹴り続けたのだ。
皮膚はところどころ裂け、唇や眼球の端からも血が漏れている。
骨が割れているのも一箇所や二箇所ではないはずだ。
なのに、芳野は砂埃を払い、二本の脚で立ち上がる。
「相楽のドロップキックはもっと強かった。お前などとは比較にならんほどな」
406クラナド戦記第27話 5/5:05/03/17 02:28:54 ID:PBO7wgy10
「ほう、美佐枝さんはもっと強いのか」
「当然だ。この蹴りでは万一俺に勝てても、相楽には勝てないだろう」
「楽しませてくれそうだ…」

両者とも、不思議な笑みがこぼれてきた。
「相手にとって不足はない」……そんな常套句が似合う好敵手が、ふいに同時に現れたというわけだ。

「私は本気で行く。お前も全力で来るといい」
「そう言ってもらえるのはありがたい」

彼女の本気と、彼の全力――
奴の言う「ほどほどの狂気」を受け入れるとすれば……。
敵とはいえ武器を持たぬ少女を、この鉄塊で打ち据えること、か。



桜並木の坂道  011 芳野祐介 所持品:スパナを含む工具一式
           017 坂上智代 持ち物:不明


>>368-387あたりのエピソードでは「幻想世界の少女が町を破壊する瞬間」が書かれているので、
# 本編よりは時系列的に過去にあたる話だと考えて、話数は26から続けました。
407名無しさんだよもん:05/03/17 08:16:23 ID:7uL5eYKpO
イィ!(・∀・)
408名無しさんだよもん:05/03/17 12:19:35 ID:GqMbyEhL0
お、おいおい、意味わかんねえよ!
409名無しさんだよもん:05/03/17 14:21:17 ID:tiIMABt10
何だかよく分からないけど、行くよっ!
410名無しさんだよもん:05/03/17 20:16:59 ID:gKxvebJW0
まだまだ沈ませはせん
411名無しさんだよもん:05/03/17 20:25:17 ID:7eCGp4Yd0
>>406
おもろい。その調子で続けてくれ
412名無しさんだよもん:05/03/18 09:38:42 ID:VcbR2yWU0
(´-`).oO(有紀寧はどうなったんだろう・・・)
413名無しさんだよもん:05/03/18 11:35:56 ID:X58xTjKP0
ゆきねぇ最初は良かったけどあっさりヘタレてワロス
414名無しさんだよもん:05/03/18 13:13:33 ID:cHE/DVh80
メインになり損ねたのは本路線だけではなかったかw
なんてね
415名無しさんだよもん:05/03/18 17:39:00 ID:edTSYGAf0
なんだ、ゆきねぇを馬鹿にするのか?
エロ度では蔵最強だぞ。
416名無しさんだよもん:05/03/19 00:14:15 ID:NDasYTQe0
朋也何やってるんだろうな。全く活躍してないが。
417名無しさんだよもん:05/03/19 00:21:28 ID:P4BZ9jRw0
藤林姉妹と一緒に居るんだよな。
…確かに全く活躍してない。
418名無しさんだよもん:05/03/19 01:00:29 ID:SITnu9z+0
それが朋也リアリティ
419名無しさんだよもん:05/03/20 02:34:09 ID:4EESIrDGO
意味わかんねぃよ!!
420名無しさんだよもん:05/03/21 01:50:02 ID:Kt6MABaR0
何だかよく分かんないけど、行くよっ!
421名無しさんだよもん:2005/03/21(月) 07:15:40 ID:xQSMYBXM0
ゆきねぃ兄出演も是非たのむよ!
422灯籠 ◆LAMPq94ziM :2005/03/21(月) 11:55:06 ID:Dbc2AkNRO
お、おぃおぃ!
423名無しさんだよもん:2005/03/21(月) 14:10:47 ID:HE/g3LC40
           ./'''''','''''' -   ̄ ヽ
          ./-(●)、(●)――-、 ヽ
           | `,,ノ(、_, )ヽ、,/  ヽ  |
           |  `-=ニ=- '  ―   |  |
           |   `ニニ´  `ヽ  .  |  |ヽ
  ∩      人`、 _  |    _.- ´ | .|  \
  |  ⌒ヽ /  \          ノノ       \
  |      |´      | ̄―--―― ´ヽ     _  /⌒\
  \_   _/-―――.| ( T )      `l     Τ(      )
       ̄       |   ̄        }      | \_/
             | 、--―  ̄|    /
424主な登場人物:2005/03/21(月) 16:57:53 ID:+iwBYZlz0
岡崎朋也…本編の主人公。今のところ何の役にも立っていない。
古河渚…演劇部部長。強い思いの光を秘めた少女。
古河秋生…渚の父親。腕っぷしと根性を兼ね備えた頼りになる男。
古河早苗…渚の母親。
幸村俊夫…今回の破壊を引き起こした張本人。幻想世界に通じるという謎の力を操り、世界を混沌に陥れる。
伊吹公子…幸村に付き従う美術教師。「レイジングヒトデ」「ゼウクシスの魔筆」を駆使した強力な魔法を使う。幸村へ反逆の機会を窺っているらしい…?
一ノ瀬ことみ…億にひとりの知性を持つ天才少女。肉体から脳だけを幸村に奪われ、器の少女として利用されることになる。
一之瀬ことみ…幸村の放った刺客。一ノ瀬ことみの肉体を持つが、その実体は巨大な集積回路。機械のように疲れを知らず、あらゆる火器を扱う。
仁科りえ…合唱部部長。勝つためなら手段を選ばない冷徹さで、友人・杉坂を間接的に殺害する。渚の思いの光を受けて悲しみを知り、その後改心。
杉坂…合唱部部員。仁科の裏切りにより殺されるが、幸村の力によって蘇生、刺客となる。強靭な右腕の爪が武器。秋生らとの激しい死闘の後、公子の魔法により完全消滅。
藤林杏…クラス委員長。朋也の友人。無数の投擲用辞書を武器とする。
藤林椋…杏の双子の妹。
宮沢有紀寧…世界の破滅に絶望し、あてのない戦いの道を選んだ少女。一之瀬との戦闘に敗れる。
宮沢和人…有紀寧の兄。故人。一之瀬の策により幻影として現れ、有紀寧を惑わすことになる。
425主な登場人物:2005/03/21(月) 16:59:12 ID:+iwBYZlz0
春原陽平…朋也の友人。友情に厚いが、何を考えているのかよくわからない。
春原芽衣…(未登場)
柊勝平…病に脚の自由を奪われた少年。光の力により完治した後、なぜか突然殺戮を求めて徘徊するようになる。
小川一哉…ラグビー部員。勝平との戦闘のさなか、美佐枝への愛に殉じ壮絶な死を遂げる。
伊吹風子…公子の妹。ヒトデをこよなく愛する少女。美佐枝と芳野に命を救われる。
相楽美佐枝…学生寮の寮母。芳野の知人。格闘戦にかけては一級品の能力をもつ。
芳野祐介…電気工の青年。伊吹公子の恋人。我欲ではなく愛のための戦いを重んじ、坂上智代と対峙することになる。
徳田悠作…サッカー部員。芳野殺害を狙って近づくが、美佐枝にあえなく倒される。
坂上智代…生徒会長。弟・鷹文の蘇生を条件に幸村との取引に応じ、刺客となる。絶大な破壊力をもったキックの連続技が得意。
坂上鷹文…智代の弟。幸村に殺害されたらしい。
岡崎直幸…(未登場)
岡崎汐(?)…幻想世界の少女。人知を超えた力を持つらしいが、詳細は一切不明。
426名無しさんだよもん:2005/03/21(月) 17:07:49 ID:S09kJrhh0
こうやってまとめてみると凄い面白そうに見えるな
427名無しさんだよもん:2005/03/21(月) 18:57:17 ID:dMSjvtPh0
>第27話
鉄塊がどうとか言うからてっきり芳野が
ガッツのドラゴン殺しみたいなスパナ持ってんのかと思ってちょとワラタ
428'ヽ/ヽ:2005/03/21(月) 19:34:00 ID:AMlJOlwp0
意味わかんねぇよ
429名無しさんだよもん:2005/03/21(月) 22:01:28 ID:MooSFYsx0
杏の部分にワロタ
430名無しさんだよもん:2005/03/21(月) 23:42:23 ID:17w9UZzf0
お、おいおい!
431名無しさんだよもん:2005/03/22(火) 00:37:45 ID:5rEKu6GE0
意味わかんねぇよ!
432名無しさんだよもん:2005/03/22(火) 11:39:03 ID:sJmEi83iO
何だかよく分からないけど、逝くよっ!
433名無しさんだよもん:2005/03/22(火) 15:30:08 ID:yN4kGaOQ0
アンダーソン君
434クラナド戦記第28話 1/4:2005/03/22(火) 16:34:10 ID:gkaGLKmb0
美佐枝たちは桜並木からだいぶ離れたところで、瓦礫に腰掛けていた。
「伊吹先生の家に行こうと思うの」
美佐枝が沈黙を破り口を開いた。
「こんなことになって、伊吹先生もきっと家に戻っているだろうし、それに…」
一旦言葉を切る。
「あいつと…芳野と落ち合うにもいい場所だしね」
自分自身に言い聞かせるように、言葉を吐き出した。
「それ、いいですっ!きっとユースケさんもすぐに合流できますっ!」
風子が明るい声を張り上げた。
芳野との分離以来、張り詰めていた空気が和らいだ気がした。
「で、徳田、あんたはどうする?」
唐突に美佐枝が徳田に話を振った。

美佐枝はほぼ徳田に対する警戒を解いていた。
一度は芳野や風子を殺そうとしていたものの、今、武器は美佐枝の手中にある。
すでに徳田は無力化したと考えていた。
そして何より、彼女の寮母としての性分が、寮生を心から疑うという行為を許さなかった。
さっきのことは一時の気の迷いだと。こんな状況下なら誰でもああいう行動に出ることはあると。
美佐枝は徳田を、そして寮生を、信じていた。

「おれも、一緒に行くよ。さっきは、本当に悪かったと思ってる。
今は…芳野さんがいない間は、せめてもの罪滅ぼしに、俺が美佐枝さんたちを守るよ!」

だから、徳田がこう答えた時、美佐枝は自分でも気付かないうちに、完全に徳田を信用してしまっていた。
徳田の本当の気持ちも知らずに。

(今しかねぇ…芳野って野郎がいない今しか!銃を奪還するチャンスはねぇ!!
銃さえあれば、女二人くらい敵じゃねぇ…これ以上、余計な奴が増える前に!)

―――――――――こいつらを殺す――――――――
435クラナド戦記第28話 2/4:2005/03/22(火) 16:36:01 ID:gkaGLKmb0
「ま、信用しといてあげるわ。」
美佐枝はそう言って腰をあげた。
「じゃあ伊吹先生の家まで…風子ちゃんだっけ?案内してくれる?」
「はい、まかせてくださいっ!
すっかり町の様子は変わってしまいましたが、クレバーな風子はこんなこともあろうかと、道路にヒトデを置いてきました。
ヒトデを辿っていけば家まで迷わずに帰れますっ。」
見ると、確かに地面に奇妙な星型の彫刻がいくつも落ちていた。
「あんた、それいくつ持ってんのよ…」

と、その時だった。
前方、学校の裏口の門から、男が一人飛び出してきた。
「敵!?」
美佐枝が素早くエプロンのポケットから銃を取り出し、構える。
「わっ!ちょ、待ってくれよっ!僕だよ、美佐枝さんの恋人の春原だよっ!」
「誰が恋人よーーーーーーっ!!」
ドロップキックが春原を捉えていた。

「やっと気がついたわね」
目を覚ました春原の目に美佐枝の顔が写った。
「いてて…何だか僕、今日は気絶ばっかりしてる気がするよ…さっきも資料室で気絶してたし…」
「あんた、資料室にいたの?てか何で気絶してんのよ…」
「話すと長くなるんだけど、とにかく起きて窓から外見たら美佐枝さんがいたから飛んできたんだよっ!
僕が来たからには、もう美佐枝さんのおっぱいには誰にも指一本触れさせないからねっ!」
「あんた以外に触る奴なんていないわよ…」
436クラナド戦記第28話 3/4:2005/03/22(火) 16:37:56 ID:gkaGLKmb0
「おい、春原」
その時徳田が口を挟んだ。
「なんだよ、徳田」
春原と徳田が睨み合う。
「お前さ、消えろよ。お前みたいなのがいると美佐枝さんを守る邪魔になんだよ」
「てめえっ!」
「ちょっと、あんた達、こんな時にケンカやめなさいよ!」
美佐枝が仲裁に入る。
「美佐枝さん、こいつはサッカー部にいた頃からチームの和を乱してたんだよっ!
こいつのせいで俺たちがどんなに苦労したかっ…!」
徳田が拳を握り締める。
しかし、徳田が春原を邪魔に思う本当の理由は別にあった。

春原は、美佐枝たちを殺す邪魔になるという、本当の理由が。

「だまれよ徳田っ!お前に何と言われようと、僕は美佐枝さんを守るからなっ!」
春原が牙をむく。
「死んだ小川の分までっ!!」

場の空気が凍った。
「ちょっと…春原…冗談やめなさいよ…」
美佐枝が呆然とした顔で呟く。
「本当だよっ!小川は殺されたんだ…僕は見たんだよっ!」
徳田はそれを聞いて心の中でニヤリと笑った。これは願ってもいない『好機』だ。
「それじゃお前は黙って見てたんだな、小川が殺されるのを!」
「なんだとぉっ!!」
春原が徳田の胸倉を掴む。
「みんな知ってるぜ、お前とラグビー部の仲の悪さは。
大方、徳田なんか死んじまえと思ってたんだろ。それとも…」

「お前が殺したか」
437クラナド戦記第28話 4/4:2005/03/22(火) 16:41:00 ID:gkaGLKmb0
「てめぇ、徳田ぁーーーーーっ!!」
春原が拳を振り上げる。
その拍子に春原のブレザーから銃がガチャリと落ちた。
「春原!あんた…!」
美佐枝が恐怖を帯びた目で春原を瞥る。
「そんな…!美佐枝さんっ!僕は殺してないっ!信じてくれよっ!」
「美佐枝さん、こんな奴と一緒にいたら俺たちも危ないぜっ!」
春原と徳田が美佐枝に迫る。

小川の、寮生の死を知らされたショックで、美佐枝は自分を見失っていた。
自分は寮生を守れなかった…もう、これ以上生徒を危険に晒すことはできない…
そして、春原とラグビー部の関係…
様々な想いが頭の中を駆け巡る。そして――――

「春原…悪いけど…あんたと一緒には行動できない…」
「そんな…っ!」

***

遠くで立ち尽くす春原を振り返りながら、徳田はほくそ笑んでいた。
(これで…こいつらを殺す障害は何も無くなった…今度こそ…)
「風子は…春原さんのこと、嫌いじゃなかった気がします…
本当に、春原さんが人を殺したんでしょうか…」
風子がぽつりと呟く。
しかしその声も茫然自失の美佐枝の耳には届いていなかった。

006 伊吹風子 所持品:ヒトデ
009 相良美佐枝 所持品:銃、洗濯ロープ、リュック(中身不明)
016  徳田悠作(サッカー部員) 所持品:なし

004 春原陽平  所持品 銃、某ラジカセ(岡崎ラップ入り)
438名無しさんだよもん:2005/03/22(火) 16:42:13 ID:VBAKwT2F0
お、おいおい!
439名無しさんだよもん:2005/03/22(火) 17:16:47 ID:et52fqzK0
おいおい
このスレはなにやってんの?
440名無しさんだよもん:2005/03/22(火) 17:47:06 ID:gkaGLKmb0
>>436
下から2行目は、「小川なんて」の間違いです…
やってしまった…

>>439
>>3>>18>>424-425あたり参照
441名無しさんだよもん:2005/03/22(火) 19:52:59 ID:37GlZ9HZ0
意味分かんねぇよっ!
442名無しさんだよもん:2005/03/22(火) 20:43:55 ID:et52fqzK0
わからなくてもいいような気がする
俺らには入ってはいけない領域なんだろうこのスレは
おとなしく去ろう
443名無しさんだよもん:2005/03/22(火) 21:46:28 ID:37GlZ9HZ0
>et52fqzK0
>>1から順にこのスレの空気を熟読するか、できなきゃ帰れ。
444名無しさんだよもん:2005/03/22(火) 21:49:22 ID:B8KQwoNg0
>>442
お、おいおいっ!
445名無しさんだよもん:2005/03/23(水) 00:22:54 ID:prkNhOD50
何だかよく分かんないけど、あげるよっ!
446名無しさんだよもん:2005/03/23(水) 00:33:16 ID:q841J5uu0
ageると>>442のような、「おとなしく去る」の意味も分からないような方がわざわざ自己主張に来ますよ
447名無しさんだよもん:2005/03/23(水) 00:48:03 ID:HPBv5vA4O
イミワカンネヨー
448BEFORE STORY:2005/03/23(水) 21:01:26 ID:Z/K1Y87Q0
その日時と場所に、ふたりの男が現れた。

「これはこれは岡崎様、毎度のご用命ありがとうございます」
ひとりはダークスーツを身にまとい、頑丈そうな鞄を小脇に抱えた男。
ふかぶかと一礼し、年季の入った笑みを顔にこしらえる。
「やあ四條さん。しばらくぶりだねえ」
もうひとりは、皺が入り放題のシャツに、不恰好に厚い眼鏡。
傍目には、うだつの上がらないただの中年男のようだ。

しばらくの談笑のあと、四條と呼ばれた男は切り出した。
「ご注文の件ですが、ご用立てができましたので早速お持ちいたしました」
金属製の鞄を開錠する。
「……こちらです。どうぞ、手にとってお確かめくださいませ」
鞄のなかには、〈光〉が、あった。

岡崎と呼ばれた男は、眼鏡の奥の両目を驚きに色めかせた。
瞳には、それの放つ緩やかな輝きが映っている。

「これが……〈光〉かい」

手に握る。喜びに似た暖かさと、心を焼く嘆きが、手のひらに返ってくる。
手の中の確かな重さが、幼い子供の鼓動のように生命をもっていた。
甘美で幻想的な、ある種の感動のような何かが溢れる。
岡崎の思いを、切なく、焦がす――
449BEFORE STORY:2005/03/23(水) 21:03:03 ID:Z/K1Y87Q0
「……真贋のほどは、お客様でご判断を」
四條の声で、岡崎はふっと我に返った。
心を奪われていた自分自身を疑うように、岡崎は質す。

「これ、ものは確かなんだろうね」
「さあ? そこまでは。当方ではお客様の目利きが頼りでございますので、
これからもご鞭撻のほどを……」
「四條さんは相変わらず、いいかげんな商売をしているもんだねえ。
いつぞやの聖櫃(アーク)や聖杯(カリス)も、結局はどうしようもない紛い物だったしね」
「えてして古物とはそういうものでして、あしからず品質までは責任を負いかねます」
「やれやれ、私はあなたにかつがれっぱなしだ」
「滅相もない。たとえば、宝くじのようなものとお考えください。
お客様は大きな夢を得、わたくしは大きな富を得る。基本的な需要と供給です。
実際、当方の商品から法外な『力』を手にしたお客様もいらっしゃるのですから。
もっとも、ごく低い確率でですが……」

立て板の水のように四條は言葉を継ぎながら、つかみどころのない笑みを浮かべる。
その間も、岡崎は熟考するように押し黙っている。
だが、意志はもう決まっていた。

「なにとぞリスクをご承知の上で、お客様には賢明なご判断を……」
「わかった。あなたの言い値で買おう」

いつも以上の即決に、四條も一瞬驚きを隠さなかった。
だが、商機には獰猛に噛み付く本能を思い出すのに、一瞬以上の時間は要さない。
「お買い上げ、まことにありがとうございます」

四條はすばしっこく電卓を叩き、値段を示した。
常人なら身の毛もよだたんばかりの、タガの外れたような大金だ。
岡崎はそれを見て、うなずいた。
「用意しよう。いつもの口座でいいね」
450BEFORE STORY:2005/03/23(水) 21:04:39 ID:Z/K1Y87Q0
念を押すように、四條は最後に告げた。
「……岡崎様」
「いやあ、いい買い物をしたよ」
「当方では返品・交換はいっさいお断りしておりますが、それでもよいので?」
「あなたが今まで売りつけたものが、たとえすべてガラクタだとしても、
この〈光〉だけは買う価値がある。私にはわかるよ」
岡崎は断言した。
四條はもう何も言わなかった。

帰途につくリムジンの中で、四條はいぶかしげにつぶやく。
「岡崎直幸……あいつ、一体何を考えてる?」
「あんなダメ親父、きっと何も考えてやしませんよ」
部下らしい男が答えた。
「今回もうまくカマしたってことでしょ。めっけもんじゃないですか」
「だといいがな……」
四條は誰に話すともなく、思い出しながら言葉をつなぐ。
「ある金持ちが言っていたんだがな……。
もしある日、核のような破滅的な兵器がこの国土に炸裂したとすればどうなる?
その時を境に預金も国債もゴミクズ同然。強力なシェルター及び私兵を持つ人間が最も強者となる、と」
「ま、リクツはわかりますけど」
「岡崎直幸……あいつほど金をゴミクズのように使ってみせるやつは見たことがない。
……まるで、破滅に備えているかのようにな」

部下は笑って否定したが、霧のような疑念はその夜まで四條の頭から晴れなかった。
451BEFORE STORY:2005/03/23(水) 21:08:14 ID:Z/K1Y87Q0
そして――光が放たれた。
この街は、一瞬にして遺跡と化した。

岡崎直幸は、これを見越していたというのか?

街のどこかにある、終末を耐えたシェルター。
「備えあれば何とやら、とはいうが……」
潤沢な食糧。
武器と弾薬。
「――まさか、こんなものが本当に役に立つ日が来るとはな」

やがて、物資を求めに来る者があり、そこには一種の商売が生まれた。
武器を買った者たちは、なぜか坂の上にある高校へ勇んで出かけていった。


   To be continued to クラナド戦記〜光溢れるこの町で〜
452名無しさんだよもん:2005/03/23(水) 21:16:15 ID:ljbNrvmJ0
お、おいおい!
目利き商人直幸かよ!

痺れるね。
453名無しさんだよもん:2005/03/24(木) 01:10:17 ID:/oaxpOqF0
四條って誰だよ!
454名無しさんだよもん:2005/03/24(木) 01:13:49 ID:0St//1DXO
意味わかんねぇよ!
455クラナド戦記第29話 1/4:2005/03/24(木) 01:14:14 ID:YiB9wUmH0
古河秋生は今しがた彼の前で起こったことを思い返していた。
伊吹公子の出現。消滅した杉坂。そして、その後の会話。

「てめえ…確か早苗の知り合いだったな…杉坂に何しやがった!」
「公子さんっ!これはどういうことですかっ!説明してください!」
詰め寄る俺と早苗に悪びれる様子もなく、公子は落ち着き払って答える。
「今は、説明する時ではありません。また今度ゆっくりお話しましょう。
それまであなた達が生き延びていればの話ですが。」
それだけ言い放つと、公子は光の中に消えていった。
残された俺たちは、ただただ立ち尽くすばかりだった。

「畜生っ…!!」
古河秋生は壁を殴りつけた。
(守れなかった…!杉坂を…渚の友達を…っ!!)
仁科も渚も、ショックから立ち直れず、未だ寄り添って泣きじゃくっていた。
秋生はそんな渚に語りかけずにはいられなかった。
「渚…あいつは…お前の好きな伊吹公子って奴は俺たちの敵だった…残念だけどよっ!」
この先は言いたくない。だが、言わねばならない。
「俺たちは、そんな状況下にいるんだ!誰が敵で、誰が味方か分からねえ!信じてばっかりじゃ生き延びれねぇぞっ!!」
渚は下を向いたまま固まっていた。が、涙を拭い、顔を上げた。
「それでも…それでも私は信じていたいです…
何か、こんなことをする理由があるんだって、信じていたいです…
だめですか…?」
秋生は答えに詰まった。
(もし…俺が、こいつを残して死んじまったら…こいつは生き残れるだろうか…こんな、甘っちょろい考えで…)
「…案外、この戦いにケリをつけるのは、お前の、その無垢な心なのかもしれねぇな…」
秋生はポツリと呟いた。
「え、何か言いましたか?」
「いや…」
渚の頭に手をポンとのせる。
「何でもねぇよ」
456クラナド戦記第29話 2/4:2005/03/24(木) 01:15:03 ID:YiB9wUmH0
***

「それでは、あなたには杏ちゃん達と合流して、彼女達の抹殺を試みてほしいの。」
プラネタリウムのように煌びやかな集積回路の中央で、一之瀬ことみは有紀寧に語りかけた。
「私たちに服従していれば、あなたはずっと夢を見ていられるの。
計算上、あなたがこの申し出を断るメリットはないの。」
有紀寧は、とろんとした瞳を一之瀬に向けた。
「ええ…本当に、素晴らしい夢でした…まるで、あの頃に戻ったかのような…
感謝します…ただ…」
言葉を続ける。
「私には夢に浸っている時間はありません…この感触が…私に使命を思い出させる…」
右手をおなかにそっと添える。
「???…何を言ってるの…?」
有紀寧が静かに学生服を脱ぎ捨てる。
彼女の白いブラウスの上には、筒状の物体がぐるぐると巻きつけられていた。
「ダイナマイト…!!」
「驚きました?これならばいくら集積回路を駆使しようと、回避は不可能ですよね。」
いつのまにか、有紀寧の手にはライターが握られていた。
「さようなら一之瀬さん。一緒にあの世へ行きましょう。」

しかし一之瀬ことみの顔から微笑が消えることはなかった。
彼女の手は壁のボタンの上に伸びている。
「あの世へは一人で行ってほしいの。」
一之瀬ことみの言動の意味を理解する暇もなく、有紀寧を突如浮遊感が襲った。
彼女がさっきまで立っていた床が、消滅していた。
そして一瞬の後に、彼女の体は数階下の廊下に、鈍い音と共に叩きつけられていた。
457クラナド戦記第29話 3/4:2005/03/24(木) 01:16:32 ID:YiB9wUmH0
(や…やられた…完全に…読まれていた…)
頭からドクドクと血が流れている。足も、手も、変な方向に曲がっているのが分かる。
(このままでは…死ぬ…あ、あいつらに…一矢報いることすら出来ずに…)
彼女の固定された視界の端に、落下の衝撃で吹っ飛んだライターが写った。
(ライター…あれさえあれば…爆発で…誰かに、この場所を…あいつらの基地の場所を…
知らせることが出来るかもしれない…)
唯一動かせる右手を伸ばすが、とてもライターには届かない。
(だ、だめか…足はもう動かない…意識も…もう、もたない…)
薄れゆく意識の中で、有紀寧は無意識に語りかけていた。
「助けて…お兄ちゃん…っ」

突如光が薄暗い廊下を照らした。
徐々に光は人間の形を象っていく。
(これは…光…?)
光はその両手で有紀寧の右手を覆った。その手は温かで、その感触は彼女が遠い日に感じていたものだった。
「お兄ちゃん…なの…?」
光が覆っていた手を離す。すると有紀寧の右手には、ライターが握られていた。
「…ありがとう…」
最期の力を振り絞り、右手を導火線に近づける。
(お願い…誰でもいい…気付いて……どうか…私の…いえ…)

―――――――私たちの仇を―――――――


その時、古河秋生が微かな光に気付いたのは偶然だった。
「あん?今あそこで何か光ったような…?」
「どうかしましたか、秋生さん?」
「いや、大したことじゃねぇんだけどよ…何か胸騒ぎがするぜ…
あの場所は確か……」

「この町の願いが叶う丘…病院か…」
458クラナド戦記第29話 4/4:2005/03/24(木) 01:17:23 ID:YiB9wUmH0
012 古河秋生 所持品:タバコ、ライター、バット
013 古河早苗 所持品:なし
014 古河渚 所持品:なし
018 仁科りえ 所持品:多数の武器

015 宮沢有紀寧  死亡

集積回路の部屋は、MIO基地内にあって、ことみと有紀寧はそこに転送されたものと解釈しました。
459名無しさんだよもん:2005/03/24(木) 01:38:15 ID:/oaxpOqF0
ゆきねぇ死んだのか世!
460名無しさんだよもん:2005/03/24(木) 02:15:38 ID:YiB9wUmH0
設定上有紀寧はこういう流れで死ぬのが映えるんじゃないかと思っていたので、
そろそろいいタイミングかと思い死なせてしまいましたが、時期早焦でしたか…?
有紀寧ファンが見たら怒りますかね…
461名無しさんだよもん:2005/03/24(木) 02:19:45 ID:0St//1DXO
【『光』一覧】
ハム子…ゼウクシスの魔筆
風子…レイジングヒトデ
芳野…ラブアンドスパナ



風子と智代の『光』は ハム子が所持。
一ノ瀬と有紀寧の『光』は一之瀬が所持。
462名無しさんだよもん:2005/03/24(木) 02:23:28 ID:YiB9wUmH0
>>460
お、おいおい…時期「尚早」だし…意味わかんねえよ!  orz
463名無しさんだよもん:2005/03/24(木) 09:55:51 ID:rM85sVB+0
>>460
俺(ノット有紀寧ファン)としては問題なし
どうしても書きたい奴は何かしら手はあるだろ。杉坂みたいに復活させるとか
464名無しさんだよもん:2005/03/24(木) 18:50:51 ID:qT56FDnc0
同意見だBOY
465名無しさんだよもん:2005/03/24(木) 22:37:19 ID:Zz+5i8f10
意味和姦ねえよ!
466クラナド戦記第30話 1/2:2005/03/24(木) 23:01:09 ID:CXN3ZXk40
「あの・・・そういえば、有紀寧さんはどうしてるんでしょうか?」
学校の坂道の手前にある本屋で、3人は遅めの昼食を食べていた。
「え?有紀寧?それって誰だっけ?はぐはぐ」
「おまじないとかやるやつのことだよ」
「それは椋のことでしょ。何言ってるんだか。あーうま」
(私のは占いなのに、お姉ちゃん適当だなぁ・・・)
と思いながら、椋は杏の即席唐揚げ弁当に箸を進めた。
何故本屋にいるのか。
それには理由が2つあった。
第一としては敵が銃を持っているからという理由だ。
路上に座り黙々と弁当など食っていたら、どこから狙撃されるかわからない。
コンビニや飲食店では大体が大胆なガラス張りであるため、いくら食料が調達しやすいからと行っても、リスクが高すぎた。
とっとと食べ物持って去るが良しだ。
その点、この本屋は入り口が一つしかなく、その上、店の人には失礼だが、店舗が小さい。
直列に並んだ分厚い本棚が敵の銃撃を遮り、かつこちらとしても視界を一点に集中できる。
本棚が人工のバリケードと勝手になっているのだ。
そして、第二の理由は、
「敵影発見!」
杏は近くにあったスワヒリ・ブータン辞書を狭い玄関先に向かって投げつけた。
ピシッとガラスがひび割れ、気ままに飛んでいたハエがご臨終あそばされた。
「おっと、まちがえたまちがえた。てへ」
「てへ、じゃねぇよ。なんだよ、その辞書の威力は、お前の腕の筋肉はボブサップか曙みたいにあるのかと小一時間・・・」
「あん?死にたい?」
と、言う前に朋也の顔面に絵本赤い靴のカーレンたんが突き刺さった。
「薄い本にしたから死にはせん。また、つまらぬものを打ってしまった」
「俺は春原かよ・・・」
杏の殺人辞書術を最大限に発揮させるフィールドとして、この本屋が存在していたからだった。
辞書の補給は完璧だ。
そう、自信を持って、鼻を押さえる朋也に向かって、杏は言った。
「ま、安心しなさい。私がいれば大丈夫だから・・・ね?」
肩を組んで、キスをしようと思った杏であったが、椋の慌てた顔を見て、寂しそうに止めるのであった。
467クラナド戦記第30話 2/2:2005/03/24(木) 23:02:02 ID:CXN3ZXk40

「えへへ・・・かわいいなぁ。」
はす向かいのビルからカッペイはその本屋を双眼鏡で観察していた。
「隊長!各部隊所定の位置に着きました!号令があれば、いつでも吶喊できます!」
「ことみちゃんもすごかったし、えへへ・・・杏ちゃんも椋ちゃんも、朋也君も・・・えへへ」
「隊長!号令を出してください、隊長!」
「隊長!」
トリップ中のカッペイに対し、副官のAさんは髪の毛を引っ張ったり、頬をつっついたりし始めた。
「だ、だめだこりゃあ・・・相当ことみ総帥のがすごかったらしい。まるで別人だこりゃ」
「中佐!私の見識から上申致しますが、カッペイ大佐は最初からこのようであったと思われます!」
「む、そうであったか。まあいいだろう。所詮高校生の3人組だ。カッペイ大佐が指揮できなくとも私が代行して、部隊を指揮する。
各自、装備を確認の上、2人一組で波状攻撃を繰り返せ!なぁに、武器をもたない素人だ。一人の犠牲もださずに、町のもくずと消えるだろう!」
「ハッ!中佐!ですが、本部からは”必ずカッペイを伴って攻撃せよ”との命令でありますが!」
「ここだけの話だが、本部は光という謎の宗教的妄信にとりつかれている。
トリップ中なので言えるが、このカッペイにその光の力があり、光には光で対抗せよとの全くもってばからしいことを信じているのだ」
「な、なるほど。わかりました。中佐!」
「中佐ではない。これからは大佐と呼べ!」
Aは笑った。
その部下もカッペイを見て、嘲笑するように笑った。
「我々は完璧である。各員・・・とーつげーき」
無線を持ち、カッペイを無視して、その号令を言い放った。
468クラナド戦記第30話 2/2:2005/03/24(木) 23:11:51 ID:CXN3ZXk40
001 岡崎朋也 なし
002 藤林杏 辞書いっぱい
003 藤林椋 本屋でぱくった占いグッズ
007 柊勝平 44マグナム 
020 謎のレンジャー部隊 SWAT装備一式及び、米特殊部隊装備
469名無しさんだよもん:2005/03/25(金) 00:06:04 ID:cInHkHvn0
>>453
アフターに登場する古物商。
違法な取引を直幸に持ちかけたらしく、直幸が逮捕される原因となった。
470名無しさんだよもん:2005/03/25(金) 02:07:40 ID:tpJoOsDpO
>>466の朋也が2ちゃんねらーな件について
471名無しさんだよもん:2005/03/25(金) 12:15:15 ID:+aCuh26h0
>>466-468
ハム子魔法熟女と同じ人?
最初は面食らったけど、杏の投擲攻撃の描きかたとかなかなか面白いと思う。
しかし、蔵と全く関係ない中佐とか何とか唐突に出すのは正直どうかと…。
蔵本編にはマイナーキャラがごまんといるんだから、
それを利用して無理矢理にでも蔵と関連させるほうがいいと思う。
参考 ttp://www1.megax.ne.jp/natunokoori/name.txt
472名無しさんだよもん:2005/03/25(金) 12:51:10 ID:em7EMRaf0
アクの強い文だなwカッペイが何でトリップしてるのかよう分からんし
でもま、この窮地からどう話を展開させるか楽しみだ

>>471
次の人に頼むしかないな。中佐は磯貝さんだった!とか
473名無しさんだよもん:2005/03/25(金) 13:07:09 ID:QZj2KK6M0
>>471
そんなのあったんだφ(..)メモメモ...
474名無しさんだよもん:2005/03/25(金) 20:31:36 ID:gBD1S7uq0
ユグドの退魔
475クラナド戦記第31話 1/2:2005/03/25(金) 20:50:46 ID:+aCuh26h0
「この地上で最も錬磨された戦闘集団とは!?」
「わが部隊であります!!」
「圧倒的な戦力で、いかなる敵をも速やかに撃滅する傭兵部隊とは!?」
「わが部隊であります!!」
「甲子園では並み居る他校を駆逐し、虐殺部隊(ジェノサイドフォース)と恐れられたのは!?」
「わが部隊であります!!」
「よし!! その部隊の名を言ってみろ!!」
「『スメルライクティーンスピリッツ』であります、隊長殿!!」
――入隊の証を唱和する。
泣く子も黙る成らず者戦闘部隊、スメルライクティーンスピリッツ。
志願してからどれくらいの時間が経ったのか、もう忘れてしまった。

99%が脱落するという並外れた訓練。
繰り返し繰り返し、生きた的を破壊する。一切の躊躇が消え去るまで。
1日に24時間、1年に365日、どこからか血の流れない瞬間はない。
縦横無尽に体を彩る刀創と銃創が、耐えてきた年月の長さを物語る頃、
俺の体はもう、訓練の課程をほとんど自動的に反復するまでになっていた。

それが訓練の終わりを意味していた。
俺という人間は、ひとつの研ぎ澄まされた武器に変わったのだ。

やがて、俺はA(アルファ)と呼ばれた。
仲間も同じように、B(ブラヴォー)、C(チャーリー)、D(デルタ)……。
昔の名前はとうに忘れた。ここにいる奴はみんなそうだ。

「そうだ!! 貴様らはいわば生きた戦車、生きた軍艦、生きた重爆である!!
 雑兵どもなど恐れるに足りん!! 刃向かう者は、女子供も手心加えず踏み潰せ!!」

巨万の報酬と引き換えに、肉体と精神を戦闘へと捧げる場所。
街から街を転々と戦う。ここで武器として機能するかぎり、俺は何も考える必要はない。
慈悲も、良心も、憐れみも、……憎しみでさえも。
476クラナド戦記第31話 1/2:2005/03/25(金) 20:53:54 ID:+aCuh26h0
そして、今回の任務。

敵は包囲されたちっぽけな本屋に立てこもる、統制も取れていない烏合の衆。
そして俺たちは、この地上で最も錬磨された戦闘集団、いかなる敵をも速やかに撃滅する傭兵部隊。
出撃すれば、敵は自動的に撃滅せしめられる。

衝角で玄関のガラス戸を破る。
風穴からD(デルタ)が閃光手榴弾を放り、あとはいつものパターンだ。

そのはずだった。
「げ……えっ?」
Dの間抜けた声を初めて聞いた。
鼻っ柱に煉瓦のような塊が突き刺さっていた。閃光弾を投入するよりはるかに早かった。

塊が来る。
それは風のように。
続けざまに衝角の風穴を通って、店の奥から二度、三度、飛来する。

骨の潰れる音が同じ回数聞こえたかと思うと、Dは力尽きて仰向けに倒れた。
弱々しく痙攣するDの顔面にめり込んでいたのは煉瓦ではなく、和英辞典と英和辞典と英英辞典……。
「おいおい、意味わかんねえよ……!」
俺たちが、スメルライクティーンスピリッツが戦っている敵は、一体、何者なんだ?

“ひるむな! 突入! 突入! 突入!”
命令が無線機にこだまする。
呼応して、俺とBがすぐさま小銃を撃ち放ち、ガラス戸を粉砕する。
本棚が林立する、狭い店内があらわになった。

――踏み込んで、皆殺しにするのだ。わが部隊の目的はそれ以外にない。
477名無しさんだよもん:2005/03/25(金) 20:56:10 ID:+aCuh26h0
001 岡崎朋也 なし
002 藤林杏 辞書いっぱい
003 藤林椋 本屋でぱくった占いグッズ
007 柊勝平 44マグナム 
020 スメルライクティーンスピリッツ SWAT装備一式及び、米特殊部隊装備


忘れんうちに書いときます。訓練された兵隊の集団ということで、
スメルライクティーンスピリッツのみなさんにかませ犬としてご登場いただきました
478名無しさんだよもん:2005/03/25(金) 21:13:03 ID:7VkLvK2aO
〉それは風のように
〉おいおい〜


なんだかよく分からないけどGJだよっ!
479名無しさんだよもん:2005/03/26(土) 00:35:33 ID:y2+v/C5V0
お、おいおい!
480名無しさんだよもん:2005/03/26(土) 04:07:37 ID:/pa+L4Pz0
おまじないとかやるやつのことだよ。
481クラナド戦記第31話 1/5:2005/03/26(土) 04:56:32 ID:KhJpZ3+s0
「B(ブラヴォー)やられました!」
「C(チャーリー)やられました!」
「E(エコー)やられました!F(フォクサー)やられました!G(ゴルフ)やられました!H(ホテル)やられました! I(インジャー)やられました!」
副官は耳に当てた無線機を地面にたたきつけた。
「もういい!自分が突撃する!」
すぐさま、立てかけてあったアサルトライフルM16を手に取った。
「えへへ・・・ことみちゃん。そこはだめだよぅ・・・」
(馬鹿か。総帥の”あの誰も入ったことのない”部屋に入ってから、こいつはもうだめになってやがる。いや、違う。こんな高校生なんぞもとからこいつは使えん!)
地面に唾を吐いたA(アルファ)は、ビルのドアを蹴破り、本屋の壁に背面をついた。
(一体何がどうなっている!?)
(中佐・・・中佐・・・私には何が何だか)
部下は自分の階級を情けなく呼ぶだけ、何の有益な情報を彼に与えなかった。
彼はちっと舌打ちをし、諦めるように首を振ると、自分自身で鏡を使って、本屋の内部を見ていった。
482クラナド戦記第32話 2/5:2005/03/26(土) 04:57:21 ID:KhJpZ3+s0

「はぁはぁ・・・マジ疲れたわ」
「お姉ちゃん、もう一息!」
「・・・」
「あんたねぇ・・・簡単に言うけどねぇ・・・当てるのにこれ結構集中力いるのよ。方向とか定めなきゃいけないしさ」
「ご、ごめんなさい・・・私、その・・・お姉ちゃんがそこまで疲れてるなんて思っていなかったから」
杏はハッとしたような顔をした。
「ああっと気にしないで、気にしないで!こんなのホホイのホイヨ」
「・・・」
「私、何の役にも立ってない・・・」
「そんなことない!椋はいるだけで良いのよ」
「・・・」
「それじゃ、やっぱりダメだと思う」
「・・・」
483クラナド戦記第32話 2/5:2005/03/26(土) 04:57:53 ID:KhJpZ3+s0
(この攻撃をしているのは背の高いあの女か!
本による投擲。
あれは手裏剣術だな。
伊賀忍者が使われたとされる暗殺術で、近距離2,3m以内の敵の急所を、手短に手に入るボールペンや先の尖った鉛筆などで、一撃で貫く技。
まるで、SF映画の前衛である忍者映画にでてきそうな笑える代物だが、これ事態は今でも道場が運営されている正真正銘の殺人術なのだ。
だが、種さえわかってしまえばこっちのものだ。)
「各員三方に分かれろ!本棚を盾にして、一斉に攻撃をしかけるぞ!敵の弱点は一度に2回しか攻撃できない点だ!3方位から一気に攻撃すれば、必ず倒せる。辞書を持った背の高い女を撃滅することを第一目標とし完遂せよ!」
「yes sir!」
484クラナド戦記第32話 3/5:2005/03/26(土) 04:59:00 ID:KhJpZ3+s0
「お姉ちゃん!」
「わかってるわよ!あいつら大きな声で自信たっぷりにいっちゃって・・・」
3方からの攻撃が、弱点。それは投げている最中もうすうす感づいていた。
装填速度なら手に辞書を持つだけで一秒間に4回でも5回でもできるのだが、その前に標準を定める必要がある。
出て来るタイミングがわからないと、実は一人だろうが、二人だろうが、倒せないのだ。
杏の頬からひとしずくの汗が落ちた。
反面、椋は汗一つ流さない。
ただ、不安に占いグッズを手に握りしめるだけだった。
そう、ただそれだけしかできないのだ。
呆れかえるほど、椋は無力だ。
逃げる時は杏についていくだけ。ただ足手まといに杏のご飯をむさぼり、杏を攻撃へと打って出させ、自分は安全圏内にいる。
椋はうつむいてしまった。
「あんたには、あんたにしか、できないことがあるのよ」
それは、自分が死んでも椋だけは生かす、そういう意味の言葉であった。
杏はふっと笑った。
が、椋はうつむいたままだった。
杏が心配して、次の言葉を発そうとする間際。
椋はじっとみつめていた占い道具のタロットカードを広げて、こう言った。
「敵は順に右、前、左から攻撃してきます」
「へ?」
杏は間の抜けた顔をしてしまった。
「信じてください。これが、私のできることだと・・・なんというか。思うんです!」
滅多に聞かない椋の大声を杏は聞いた。
「占い・・・か。」
杏は頷いた。
「さぁ、早くかかってきなさい!」
485クラナド戦記第32話 5/5:2005/03/26(土) 04:59:43 ID:KhJpZ3+s0
A(アルファ)は右の本棚に背面を向け、K(キロ)は前、 L(リマ)は左に立った 
そして、A(アルファ)の合図のもと、それは寸分の差であったがもしでてくる順番を間違えたら、絶対に倒せないほどの時間差で攻撃をしかけてきた。その順番はL(リマ)、K(キロ)、A(アルファ)、つまり椋とは全く反対であった。
10秒後、男達は全て仰向けで鼻が変な方向を指して、倒れていた。
杏は3人が攻撃をしかけると、すぐさま時計回りに回転して、その寸分の差を計算に入れ、両手と脇にはさんだ辞書を加えた三つを、ピンポイントで顔に投げはなったのだ。
そしてその後、杏は間違いに頭を垂らし落ち込んだ椋の頭をなでて、こう語ったという。
「これ、あんたのこと一番わかってなきゃできない技なのよね。今後ともよろしく!」
「お姉ちゃん・・・私・・・いえお姉ちゃんがお姉ちゃんで良かったよ」
姉妹愛が強固に結ばれた瞬間であった。
「・・・」
(俺、空気だよな。空気。)
朋也は、あぐらをかいた姿勢で、さっきから余った唐揚げばかり口にほおばっているだけである。これが朋也にしかできないことなのだろう。朋也は
俺太らないかなと思った。

「あれ・・・終わっちゃったか・・・ようし、じゃあボクの番だね・・・」
486クラナド戦記第32話 :2005/03/26(土) 05:03:32 ID:KhJpZ3+s0
001 岡崎朋也 なし
002 藤林杏 辞書いっぱい
003 藤林椋 本屋でぱくった占いグッズ
007 柊勝平 44マグナム 
020 スメルライクティーンスピリッツ 瀕死

ちなみに、手裏剣術は本当にあります。
高校の時、古典の教師がこの距離ならE(筆者)を殺せるって自慢してました。
487名無しさんだよもん:2005/03/26(土) 12:23:39 ID:JwbyfQzj0
おいおい、意味和漢姉よ!!!
488名無しさんだよもん:2005/03/26(土) 13:55:57 ID:t98PIl460
>32話
かなりGJ
489名無しさんだよもん:2005/03/26(土) 13:58:52 ID:AQtLglxw0
やばいオリキャラ出ると目が滑る癖が
490名無しさんだよもん:2005/03/26(土) 19:14:08 ID:KLXHVZ600
>>489
よくわかんないけど、もうスメルライク(ry全滅したみたいだから無問題だと思うよっ!

書き手の皆さん、オリキャラはなるべく登場させない方向でお願いしますよっ!
491名無しさんだよもん:2005/03/26(土) 21:06:35 ID:C5juotIj0
>>481-485
椋のトランプ占いは必ず外れるけど、
タロット占いは必ず当たるんじゃなかったっけ?
492'ヽ/ヽ:2005/03/26(土) 21:19:07 ID:VVSQhsimO
おいおい!
493名無しさんだよもん:2005/03/27(日) 02:51:48 ID:56vwEGDY0
意味分かんねぇよっ!
494名無しさんだよもん:2005/03/27(日) 14:09:09 ID:McO6VIai0
何だかよく分からないけど、行くよっ!
495名無しさんだよもん:2005/03/28(月) 01:28:24 ID:G3aeHcrmO
↓ついに最終話
496名無しさんだよもん:2005/03/28(月) 02:45:00 ID:6wJQgM/9O
497名無しさんだよもん:2005/03/28(月) 09:46:59 ID:XggQj2HRO
お、おいおい!
498クラナド戦記第33話 1/4:2005/03/28(月) 13:56:52 ID:yIuA+lYW0
徳田悠作は考えていた。
鬱陶しい春原を追い払ってから5分。
美佐枝は未だに先程のショックが抜け切っていない様子だ。
先を行く美佐枝の足取りにも、動揺の色が見て取れた。
(これでようやく目的を果たすことができる)
(しかし…それにはまず、武器を取り戻すことだ)
(いや待て…そもそも相手はあの相楽美佐枝だ。迂闊な行動は死につながる…)
(只でさえこっちは手ぶら、その上チャンスは一度きりだ)
(もし失敗でもしようものなら事だ。こんな異常な状況下で敵が増えることに何のメリットがある)

その時、彼の瞳に一人の少女の姿が映る。
伊吹風子。
小柄で華奢な身体。
(そうだ、コイツなら…)
思い立ったら、直ぐ行動。
徳田は美佐枝の隙を見て、手ごろな木の枝を拾い上げる。
無防備な風子の背中にそっと近寄り、そして―――

「そこまでだよ、美佐枝さん…」
後ろから風子を羽交い絞めにし、首筋に枝をつきつけた。
499クラナド戦記第33話 2/4:2005/03/28(月) 13:58:20 ID:yIuA+lYW0
春原陽平は考えていた。
守ると誓った人に、拒絶されてから5分。
陽平は未だにその場所から動けずにいた。
(そりゃあさ…僕がラグビー部と仲が悪かったのは認めるよ)
(だけど、それが全部じゃない)
(小川は嫌な奴だったけど、いい奴だったんだ…)
(それに誓ったんだ、あいつに。美佐枝さんを守るって…)

それなのにまだ、こんなとこで止まってるのか?
拒絶されるのなんて、慣れっこだろ…春原陽平。
今更何をそんなことで落ち込む?
(小川…?)

「小川…分かったよ」
脳裏に浮かぶのはいつだって、憧れのあの人。
「美佐枝さんのおっぱい、徳田なんかに渡せるもんかーっ!」
弾けるように、走り出した。
500クラナド戦記第33話 3/4:2005/03/28(月) 13:59:08 ID:yIuA+lYW0
「徳田、あんた一体どういう…」
「簡単なことだろ?おれは最初っからおれの意志を変えてなかったってことだよ」
さっきは、本当に悪かったと思ってる。――嘘。
俺が美佐枝さん達を守る。――嘘。
春原が小川を殺した…?まさか、あのヘタレ野郎にそんなことできるもんか。――これも、嘘。
「さあ、銃を返せよ。今素直に返せば、こいつも傷つけないし、美佐枝さんも見逃してやるよ」
――当然、嘘。

「くっ…」
「どうした、早くしろッ!」
木の枝を持った徳田の腕に力が込められる。
「わ、分かった…渡すよ」
ズボンの後ろに挿していた拳銃を抜き取り、徳田の方に投げてよこす。
それを片手に拾い上げ、構えなおす徳田。
「あんた…」
「ハッハ!あんたやっぱり甘いよ!馬鹿丸出し!」
相楽美佐枝。男子寮…いや、あの学園に通うものなら、一度は憧れたこともあるだろう。
それの命を今、握った徳田。
…それは、絶対的優位に立ったものの驕りか。
美佐枝のふくよかな胸に目がいく。
(どうせ、おれの勝ちは揺るがねえんだ…せっかくだ、少し楽しまなきゃ損だよなぁ…?)

「…脱げ」
「…え?」
「脱ぐんだよ、一枚ずつ。…おれの興奮具合によっては、助けてやるかも知れないぜ?」
美佐枝の顔に、見る見る怒りの色が広がっていく。
「……下衆」
だが、今の状況…風子を人質に取られ、銃を突きつけられている現状では…従うしかない。
美佐枝は躊躇いがちにシャツのボタンへと手を伸ばした。
501クラナド戦記第33話 4/4:2005/03/28(月) 14:00:05 ID:yIuA+lYW0
「へへっ…いいじゃない…男子憧れの美佐枝さんのストリップショーが拝めるとは、思ってもみなかったよ」
美佐枝は既にシャツを脱ぎ捨て、下着を晒していた。
「もう、やめよう…?こんなこと…」
「この期に及んで説教か…?馬鹿にしやがって!だったら!今すぐ町を直して元の生活に戻してくれよッ!」
(冗談じゃない!いきなりこんなワケの分からないことに巻き込まれて…!おれが何したってんだ!)
「そんなこと…」
「じゃあ続きだ!ほら、脱げよッ!!」
おずおずと、下着に手をかける美佐枝。
「み・さ・え!み・さ・え!」
思わず掛け声。

嗚呼、げに悲しきは助平根性哉。
この時徳田は、背後に迫る気配に全く気付いていなかった。
一瞬の後、衝撃。倒れこむ徳田。
その背後には―――

「ボインちゃんを、ゲットするまではぁーっ!!」
輝く金髪。
我らが春原陽平の姿があった。

006 伊吹風子 所持品:ヒトデ
009 相良美佐枝 所持品:銃、洗濯ロープ、リュック(中身不明)
016  徳田悠作(サッカー部員) 所持品:なし
004 春原陽平  所持品 銃、某ラジカセ(岡崎ラップ入り)
502名無しさんだよもん:2005/03/28(月) 18:23:03 ID:LLfcBueI0
お、おいおい!
503名無しさんだよもん:2005/03/28(月) 18:33:22 ID:nYSwuzrE0
意味分かんないけど春原かっこいいよ!
いろんな意味で。
504クラナド戦記第34話 1/4:2005/03/28(月) 21:18:00 ID:cukAWY5t0
心地よい風が桜並木を揺らす中、二人は対峙していた。
「はっ!」
ミドルキックが芳野に炸裂する。
その反動を利用し、器用に体を捻らせ回し蹴り。
間髪いれずにかかと落とし。

彼女の一撃は稲妻、それでいて尚疾風。
反撃をできる余裕などありはしない。
芳野は防ぎに回るだけで手一杯だった。

未だ守りに徹する芳野に拍子抜けしたのか、間合いから離れる。
「ふっ・・・。スパナを持って何をしてくるのか興味はあったが・・・その程度か」
「まだまだこれからだ・・・」
(俺の全力じゃ彼女を仕留めることはおそらくできないだろう・・・
最低でも相打ち・・・いや、出来るだけ時間を・・・相楽たちが逃げる時間を・・・!)
「さぁ、いくぞ!」

奔る蹴り。流す一撃。
高速で繰り出される蹴りをすんでにスパナで受け流す。
智代の蹴りに緩急など存在しない。ただ瀑布のように繰り出される。
守りに入っている芳野にどんな手段があろう。
スパナで受け流す事しか許されなかった。
505クラナド戦記第34話 2/4:2005/03/28(月) 21:19:04 ID:cukAWY5t0
守りに回った相手は、叩き伏せるのみ。
防御しているのならそのまま打ち倒してしまえばいい。
そんなセリフが似合いそうなほど智代の蹴りは激しい。

が、智代は苛立ち始めていた。
喧嘩では百戦錬磨を誇った自分の蹴りが押しているとはいえ防ぎきられているのだ。
それほど芳野の守りは堅い。

「くっ!、守っているだけでは私は倒せないぞ?」
「・・・」
嘲りに答える余裕も無いのか、ただひたすらに芳野は蹴りをいなし続ける。

だが、それもここまでといわんばかりか、
智代は芳野により深く踏み込み、なぎ払うように渾身の蹴りを繰り出す。
「これで終わりだっ」
(ここだ!)
「これが・・・俺からの贈り物だーーーーーーーっ!!」
智代が力んだ刹那の隙を逃さなかった。
手にしていたスパナを全力を持って額めがけて投げはなつ。
瞬間、ガツンと言う鈍い音・・・。
同時に芳野は蹴りを諸に脇腹に受け吹っ飛び、桜の硬い樹皮に叩きつけられた。

506クラナド戦記第34話 3/4:2005/03/28(月) 21:19:52 ID:cukAWY5t0
桜の木にもたれかかる様に倒れこんだ。
「これが俺に出来る唯一の送り・・・モノ・・・だ・・・」

勝敗は決したのだ。
(さすがの智代も額に愛のスパナをくらっては無事ではいられまい。
俺も動けそうにないな・・・でも、これなら相楽たちも無事で・・・)
「おい」
「!?」
揺らでいた意識を覚醒させ見上げる。
そこには逆光に照らされた坂上智代が立っていた。
「女の子の顔を狙うなんて酷いじゃないか」
「そんなバカなっ・・・完全に隙をついたはずなのに・・・!?」
手の甲のスパナの痕を見せ冷笑する。
「できないことはない」
「・・・」
「安心してくれ、もう動けない相手に無駄な手を加えるつもりは無い。一瞬で楽にしてやる。どうだ、女の子らしいだろう」
「俺はあいつ達に夢を与えることも出来ないのか・・・」
(ここまで・・・かっ・・・)
「それじゃ終わりにしよう!」



507クラナド戦記第34話 4/4:2005/03/28(月) 21:20:30 ID:cukAWY5t0


「・・・ん?」
目を開けて状況を確かめる。
そこには逆行に照らされた首の無い坂上智代と首のある坂上智代が立っていた。
「おいおい・・・意味わかんねえよ・・・」
(いっそ全部悪い夢なんじゃないか・・・)
「私のサイボーグか・・・気分の悪いものだな」
智代はそれの首を指差した。
「あれは・・・」
智代が蹴り飛ばしたサイボーグの首からは引きちぎられた機械のコードが見て取れた。
「その、すまない。もう一人の私がお前を蹴ろうとしていて、それが気に入らないから蹴ったんだ・・・そしたら壊れてしまった・・・」
本当に申し訳なさそうに話す。
「い、いや、いいんだ。お前のおかげで助かったよ」
「そうか」
飛び切りの笑顔を見せてくれる。
(この智代がさっきのサイボーグと同じくらいの力だったら
こいつほど頼もしいやつはいないだろうな。)
「とりあえず、相楽たちと合流しよう」


桜並木の坂道  011 芳野祐介 所持品:スパナを含む工具一式
        017 坂上智代 持ち物:不明
508名無しさんだよもん:2005/03/28(月) 21:39:37 ID:fOlLAsHa0
お、おいおいっ!
50934話作成者:2005/03/28(月) 21:41:44 ID:cukAWY5t0
初めて書きました…。ぐだぐだなのは分かってます。
気に入らなかったらほんとごめんよorz
510名無しさんだよもん:2005/03/28(月) 21:55:15 ID:FSDTbpkqO
俺個人としては智代はまだ敵でいて欲しかった
味方になるにしても、それなりのプロセスを経て弟の死を乗り越えるとかな
正直がっかりした。まぁ書かない俺がとやかく言える立場ではないが。
511名無しさんだよもん:2005/03/28(月) 22:44:10 ID:LLfcBueI0
いや、これはこれで悪くない。
なんか急展開を思いつきそうだ
512名無しさんだよもん:2005/03/28(月) 23:21:37 ID:yIuA+lYW0
何だかよく分からないけど、面白いです。
513名無しさんだよもん:2005/03/29(火) 02:42:33 ID:Ux3VWntYO
んー、別に悪くないよ。
戦闘描写は荒いけど、結構楽しめた。
弟関係はとりあえず後続に期待でいいんじゃない?
道は一本じゃないさ。
他キャラでサイボーグでネタやっても良さそうだし。


と偉そうに言いながら、今のとこ何も閃かない俺。
514クラナド戦記第35話 1/5:2005/03/29(火) 02:50:06 ID:gda8huE40
背後から声がする。
「……不意打ちとは……ガガ……女の子らしく……ないぞ」

それは智代と同じ声。
ただし、まるで壊れたトランシーバーで喋っているかのように奇妙にかすれている点が違っている。
言葉を発していたのは、後方に転がる蹴飛ばされた頭部……。

「こいつ、まだ息があるのか」
芳野は眉をひそめつつ、機械にはふさわしくない表現だと思った。

智代の形をした機械の首から下が、うたた寝から覚めたようにその身を起こす。
自分の頭部を見つけると、ひょいと拾い上げてみせる。
その姿はあたかも、スコットランド神話の怪物デュラハンを思わせた。

「化け物か、お前は……! 首をもがれてなぜ動ける!」
本物の智代が叫ぶと、機械の彼女は平然と答える。
「私は戦闘用に作られたんだぞ。設計には十重二十重の冗長性があり、充分なフォールトトレランスをもっている。
 首がもげてケーブルが数本断線したくらいで、動作に支障など出るものか」
まるでプラモデルでも作るように、機械は自分の頭部をもとあった場所へとはめ込んだ。
首を左右に傾げてみせる。それは余裕の表れに見えた。

「機械なのか、お前は」
芳野が念を押すように問うた。
「そう、機械だ。どうだ? なかなか女の子らしいだろう」
女の子らしいだろうとは、女の子の外見を高い精度で模倣しているだろう、という意味である。
機械はおどけるように首をかしげ、微笑を作ってみせた。
515クラナド戦記第35話 2/5:2005/03/29(火) 02:51:33 ID:gda8huE40
「パワー、スピード、耐久力、そして相手を破壊するのに、一切の躊躇をもたないこと。
すべてにおいて、お前たち人間を凌駕する……」
誇るように、機械は構えをとりなおす。
エンジンのような爆音とともに、その脚が大きくしなる。

加速とともに風を切る。
機械の脚の軌道に、裂かれた空気が道を譲った。
「それが機械だっ!」
芳野の上段に舞いくだる。
蹴りは巨大な鋼鉄の鞭だ。

剣戟のような響きとともに、鉄塊と鉄塊がぶつかり合った。
猛然と叩きつける機械の脚を、芳野のスパナがかろうじてさえぎっている。

「芳野さん! そいつから離れるんだっ」
智代が叫ぶ。
「俺なら大丈夫だ。ちゃんと防いでいる」
「防戦一方で何ができる! 挽肉機にかかる家畜のように、肉も骨も粉砕してやる!」
芳野に、蹴りの奔流が押し寄せていた。

芳野は思う。
そうか――機械か。
少女のようにたおやかなその体は、温度のない鉱物とプラスチックの集合。
熱く赤い血潮の代わりに、数学の定理と電磁気の法則を活動源とする者。
すべての原理が、人間とは全く異質な存在……。

「……なら、お前は俺を倒せない」

芳野は自信に満ち、にやりと笑った。
鉄塊が、幾度目かの響きを挙げた。
516クラナド戦記第35話 3/5:2005/03/29(火) 02:53:25 ID:gda8huE40
智代には疑問があった。
(芳野さん……なぜわざわざ、敵の最も得意な間合いで戦い続けるんだ?)
芳野は今のところ蹴りを防ぎ続けている。だが機械の攻撃は、一度でもヒットすれば致死的。
その危険を避けないことは、客観的には不利以外の何物でもない。
機械には、芳野の行動が非論理的で不気味に映る。
それを見越してか、芳野は余裕の表情を崩さず言った。
「スパナを持って何をしてくるのか興味があったと言ったな。今、それを見せてやろう」
「もう興味などない。死んでしまえ!」
内臓を正確に狙った膝の一撃が、機械の足元から跳ねた。

そして、このときを芳野は待っていた。
膝を、がちりと捕らえた。
「なに……!?」

すべては一瞬に起きた。
機械の右脚を左腕で抱き込む。
右手にはスパナ。
捕まえた足。くるぶしの関節に、スパナの口が食い込む。
一瞬の旋回。無数のワーク。
スパナの描く職人の業が、機械の右足を絡めとるように舞う。
それは芸術作品を成すかのような、美の領域に近い作業だ。

一瞬の工程を終えて芳野が手を離すと、機械のくるぶしから先が、あっけなく地面に落ちた。
機械はバランスを失い、地に膝をつく。

「馬鹿な……!」
機械も、智代さえも、驚きを隠そうとしない。

「一体どういうことだ!?」
「なに、ネジを外したんだ」
機械からもぎとられた何種類かのネジが、芳野の手の中にじゃらりと音を立てた。
517クラナド戦記第35話 4/5:2005/03/29(火) 02:55:23 ID:gda8huE40
蹴撃をスパナで延々と防御――それは決して、防戦一方ではなかった。
芳野は攻めていたのだ。そのスパナの、本来の機能をもって。
そして、ネジも満足にはまっていない非力な蹴りは、左手一本で受けるに十分。

少しずつ均等に、最後にはすべてのネジが同時に離れるように。
機械を分解するときの基本である。

「相手が機械なら、俺の敵ではない。愛を永遠に理解しないお前に、愛を知る俺は倒せない!」
「こんな人間に……一杯食わされるとはな!」

芳野祐介――電気主任技術者。
それは電気工作物の工事、維持及び運用を規制することによって、
公共の安全を確保し、及び環境の保全を図ることを目的とする電気事業法の定めにより、
事業用電気工作物の工事、維持及び運用に関する保安の監督の職務を誠実に行う者。

「機械は人間の幸福のためにある。公共の安全を乱す電気工作物は、この俺が工事する!」
芳野は高らかに謳いあげた。

「坂上。お前は先に行って、相楽たちと合流しろ」
「だが……!」
「こいつなら俺一人で十分だ。相楽たちを、……風子を、守ってやってくれ」
「……わかった。頼んだぞ」

「待たないかっ」
智代へ追いすがろうとする機械の前に、芳野は立ちはだかった。
「どこへ行く? お前の相手はこの俺だ」
518クラナド戦記第35話 5/5:2005/03/29(火) 02:57:19 ID:gda8huE40
「人間が……私の右足を奪った程度で、いい気になるな!」
左足と両手で、機械は軽業のように飛びのいた。

「む!」
「ひとつ教えてやろう。オリジナルは格闘戦には長けているが、いかんせん射程が短い。
その脆弱性を克服するべく作られたのがこの私だ……」

機械の左腕が、モータの軋る複雑な音を立てる。
音に似合って複雑な形態へと、それは変貌をとげてゆく。
それは銃のようでもあり、発動機のようでもあり、天体望遠鏡のようでもあった。
「これはプラズマ砲だ」
「おいおい……」
とんでもない相手だった。

「お前が私を解体するのが先か、私がお前を原子レベルで分解するのが先か……さあ、勝負といこうか」

***

智代は走りながら、思考をめぐらしていた。
(さて、予想外だな。
あの男、まさかひとりで私の影武者(ドッペル)と渡り合おうとは……。
せいぜい……いや、少なくとも、戦力の分断にはなるというところか。
あの影武者、長くは持つまい。この間に、美佐枝さんたちとまみえねばな……!)


桜並木の坂道  011 芳野祐介 所持品:ラブアンドスパナ、ほか工具一式
        017 坂上智代 持ち物:不明
        021 ドッペル智代 持ち物:プラズマ砲、その他
519名無しさんだよもん:2005/03/29(火) 11:58:26 ID:Xgq6MWf00
意味わかんねえよっ!!
520名無しさんだよもん:2005/03/29(火) 12:24:08 ID:j9JYdKdp0
フェイスレスキター!!
何だかよく分からないけど、いいよっ!
521名無しさんだよもん:2005/03/29(火) 15:27:38 ID:FhFKXUHa0
お、おいおい!
5221:2005/03/29(火) 15:33:38 ID:UgluTgUL0
久々に覗いたら伸びててびっくり。
しかも話おもしれー
書き手さんふぁいつ〜
523名無しさんだよもん:2005/03/29(火) 16:44:19 ID:Gu2rrt5h0
スパナが本来の意味で役立ってていいねぇ。
524位置と装備まとめ:2005/03/29(火) 19:10:20 ID:Xgq6MWf00
商店街の書店     001 岡崎朋也 唐揚げ弁当
商店街の書店     002 藤林杏   辞書いっぱい
商店街の書店     003 藤林椋   本屋でぱくった占いグッズ
商店街の書店周辺 007 柊勝平   44マグナム

桜並木の坂道      011 芳野祐介   ラブアンドスパナ、ほか工具一式
桜並木の坂道      021 ドッペル智代 プラズマ砲、その他
桜並木の坂道(移動中) 017 坂上智代   不明
桜並木周辺       004 春原陽平    銃、某ラジカセ(岡崎ラップ入り)
桜並木周辺       006 伊吹風子    ヒトデ
桜並木周辺       009 相楽美佐枝  銃、洗濯ロープ、リュック(中身不明)
桜並木周辺       016 徳田悠作    なし

MIO本部  欠番 幸村俊夫   剣?
MIO本部  欠番 一ノ瀬ことみ なし
MIO本部? 005 伊吹公子   レイジングヒトデ、ゼウクシスの魔筆、智代の『光』
MIO本部? 008 一之瀬ことみ 多数の武器

校舎周辺 012 古河秋生 タバコ、ライター、バット
校舎周辺 013 古河早苗 レインボーパンほか
校舎周辺 014 古河渚   なし
校舎周辺 018 仁科りえ  多数の武器

幻想世界 欠番 岡崎汐  不明
幻想世界 欠番 ガラクタ 不明

現在地不明 欠番 岡崎直幸       四條から買った『光』
現在地不明 欠番 春原芽衣(未登場) 不明

(010小川一哉、015宮沢有紀寧、019杉坂、020スメルライクティーンスピリッツは戦闘不能)
525名無しさんだよもん:2005/03/29(火) 19:54:44 ID:S+1PjsLz0
いまんとこすのぷ〜優勢?
526名無しさんだよもん:2005/03/30(水) 08:32:32 ID:030WfJa30
何だかよく分からないけど、行くよっ!
527名無しさんだよもん:2005/03/30(水) 11:57:54 ID:WXFQzp120
お、おいおい!
528名無しさんだよもん:2005/03/30(水) 12:43:06 ID:pQZroORN0
意味分かんねぇよっ!
529名無しさんだよもん:2005/03/30(水) 14:56:49 ID:1nk+AvJK0
お、おいおいっ、何だかよく分からないけど、意味分かんねぇよっ!
530'ヽ/ヽ:2005/03/30(水) 15:00:21 ID:J0C5HjbM0
新しいパターンだな
531名無しさんだよもん:2005/03/30(水) 15:18:25 ID:JRQFhL7LO
何だかよく意味わかんねぇよおいおい分からないけど、行くよっ!
532名無しさんだよもん:2005/03/31(木) 00:06:24 ID:88EUqWkX0
何だかよく分かんないけど、イッちゃうよぉ!
533名無しさんだよもん:2005/03/31(木) 00:50:48 ID:29dlCEjAO
いつの間にゆきねぇ〜がやられたんだ?…読み飛ばしたくさいな…。
534名無しさんだよもん:2005/03/31(木) 20:43:19 ID:yOEZHTKK0
蔵棟きゃら
535名無しさんだよもん:2005/03/31(木) 20:51:18 ID:HYjxp4100
何だかよく分かんないけど、まとめサイト作ってみたよっ!

ttp://pro-ton.hp.infoseek.co.jp/index.html
536名無しさんだよもん:2005/03/31(木) 21:05:28 ID:/XXKWuuQ0
お、おいおい!
537名無しさんだよもん:2005/03/31(木) 21:18:51 ID:ziWVDrSE0
意味分かんねぇよっ!
538名無しさんだよもん:2005/03/31(木) 21:23:34 ID:oW5hY3Ai0
-------------------[  終    了   ]----------------------------------------
539名無しさんだよもん:2005/03/31(木) 23:05:48 ID:Z6mtds7d0
ボインちゃんを、ゲットするまではぁーっ!!
540名無しさんだよもん:2005/03/31(木) 23:07:17 ID:yMSFwHQi0
コピ前に消えるのを恐れて上げ
541名無しさんだよもん:2005/03/31(木) 23:08:14 ID:/XXKWuuQ0
いや、終了て…
>>535
GJ
542名無しさんだよもん:2005/03/31(木) 23:22:48 ID:yMSFwHQi0
まだ終わらんよ!
543因みに:皇紀2665/04/01(金) 00:30:57 ID:LG0I5ha00
米軍特殊部隊の標準装備品は
主力武器:M4(本作品ではM16)
副次武器(ハンドガン。なんらかの原因で主力武器が使えなくなった時のため):USP
ボディアーマー:防弾チョッキの進化版で拳銃弾位なら(大口径でも)止められる。
        ただし、衝撃は伝わるので打撲、下手をすれば骨折したりする
544名無しさんだよもん:皇紀2665/04/01(金) 00:32:46 ID:D1mwGneN0
お、おいおい!
545'ヽ/ヽ@派遣社員:皇紀2665/04/01(金) 00:34:43 ID:H/iSrXs10
意味わかんねぇよ、っと。
546因みに:皇紀2665/04/01(金) 00:35:49 ID:LG0I5ha00
間違えた
副次武器:MK23”ソーコムピストル”だった
スマソ
547名無しさんだよもん:正暦1016/04/01(金) 08:27:36 ID:rby3SXQx0
期待age
っつーか俺必死だな
548名無しさんだよもん:正暦1016/04/01(金) 10:37:56 ID:vfTIxuWl0
>>533
第29話(>>456-458
549名無しさんだよもん:正暦1016/04/01(金) 10:48:55 ID:AT6gUM8w0

同じく職人期待age
かなり面白くなってきたし、上手くいけばもっと集まりそうだ
550'ヽ/ヽ@派遣社員:正暦1016/04/01(金) 10:52:29 ID:2dgdXQXLO
初心忘れるべからず。




お、おいおいおいおいおいおいおいっ!
551名無しさんだよもん:正暦1016/04/01(金) 16:57:22 ID:MjfN2dHX0
意味わからん
552名無しさんだよもん:正暦1016/04/01(金) 18:42:12 ID:vfTIxuWl0
29話(>>456-458)読み直して思ったんだけど、病院が存在するの?
とりあえず原作では学園編時点ではまだ建ってないはずだが。
アフターで出現する建造物が存在するなら、土方店長のファミレスとかもあるのか?
553名無しさんだよもん:正暦1016/04/01(金) 21:57:37 ID:1+YmWzSv0
必死だよ俺
AGE
554名無しさんだよもん:正暦1016/04/01(金) 22:34:48 ID:EghgTra90
そりゃプラズマ砲とか米軍特殊装備が存在するんだから、
病院やファミレスくらい存在してもおかしくねえよっ!
555名無しさんだよもん:正暦1016/04/01(金) 22:40:41 ID:B11K4JUCO
>>552
言われてみれば確かにそうだね
蔵の舞台のパラレルワールドであるこの世界では、病院を基地として使いたいMIOの操作によって、
病院の完成時期(未完成かも知れない)が本編より早まったと解釈するしかないんじゃない?苦しいけど
556'ヽ/ヽ@派遣社員:正暦1016/04/01(金) 23:06:48 ID:2dgdXQXLO
なんだかよくわからないけど、なるようになるよっ!
557書いてみた:正暦1016/04/01(金) 23:39:50 ID:1+YmWzSv0
AGER
558名無しさんだよもん:正暦1016/04/02(土) 00:14:16 ID:Js4Ctw7I0
お、おい、おいっ
559書いてみた:正暦1016/04/02(土) 00:34:31 ID:Kw2sGS2e0
商店街周辺
「ぐ・・お」
男がうつぶせに倒れる。
彼女は死亡を確認するため、男に銃を向けながら体を軽く蹴った。反応は無い。
「ふぅ」ため息をしながら銃をおろす。
そして男の銃(ワルサーPPK)を奪うとそれをスカートのポケットにしまった。


    ―午前7時頃:駅前:―
「私が来ることちゃんと憶えてるかな、お兄ちゃん」春原芽衣は、電車を降りながらそうつぶやいた。
まあ、確かに変な兄だけど約束忘れたりってことは無かったし、学校行ってても寮の管理人さんが入れてあげるって電話で言ってたし、大丈夫か。
そんなことを考えながら歩いていると、いつの間にか入り口に着いていた。
えーっと、たしかここから・・
芽衣が胸ポケットから地図出そうとしたその時、
―光―
いくつものフラッシュライトを一斉浴びせられたかのような光が芽衣を襲った。
反射的に目をつむる。その刹那、芽衣の体にものすごい衝撃がかかり一気に吹き飛ばされた。
そして意識を失った。

芽衣が目を覚ました時、街はすでに瓦礫の山と化していた。
「な、何、何があったの?なんで、こ、こんなになってるの?」
―落ち着いて、落ち着いて私、落ち着け―
あまりに現実ばなれ(過去に広島、長崎で起こったことだが、少なくとも芽衣にとっては)していたせいか、深呼吸三回ですぐに平静を取り戻した。
―とりあえず電話しなきゃ―
しかし、「壊れてる・・・」
吹き飛ばされた衝撃で携帯は破損していた。
―とりあえず、寮に行こう―
今もあるのかすらわからない。でも他にむかうべき所は無かった。
560芽衣編:正暦1016/04/02(土) 01:07:42 ID:Kw2sGS2e0
しばらく道なりに歩いていると、人影が見えた。―生存者!?―
「おーい!ここですよー!」
駆け寄りながら叫ぶ、声に反応して男が振り向く。
だがその様子は明らかにおかしい。あの光のせいじゃない、何か別の恐怖におびえているようだ。
思わず芽衣は足を止め、「あの・・たいじょうぶ?」と訊いた。
男はつぶやいた。「こ、殺して、やる」
「えっ?こ、なに?」
男は銃(グロック18C)を芽衣に向け、―パンッ―発砲した。
弾は芽衣の右耳のすぐ横を―ビュンッ―と、空気を裂きながら通りぬけた。
芽衣は腰を抜かした。
―えっ?!銃?ホンモノ!?なんで私に?!―
―パンッ―
二発目は芽衣の足元に当たった。
「ひあっ!」
まるでそれがスタートの合図だったかのようにめいは全速力で走り出した。
芽衣は何も考えて―いや、考えられていない。
ただ、全速力で走った。
561名無しさんだよもん:正暦1016/04/02(土) 01:25:02 ID:HNT1x0MX0
途中で放棄されると、その、なんだ、困る。
562名無しさんだよもん:正暦1016/04/02(土) 01:36:56 ID:BkC/f1On0
意味わかんねえよっ!
563クラナド戦記第36話 1/5:正暦1016/04/02(土) 04:02:38 ID:h/hQr8qI0
智代の形をした機械は膝をつき、射撃の構えをとっていた。
変貌したその左腕の先に、球状の炎が煌々と灯される。
プラズマ砲――
「プラズマ球の温度は約5500度、太陽の表面温度に匹敵する」
火球は豆電球ほどの大きさに圧縮されながら、
闇夜にマグネシウムを燃やしたように激しい閃光を放ちつづける。
超小型の太陽という常套句が、やけにふさわしかった。

途方もない隠し玉もあったものだ。
訪れる戦慄に、芳野はわずかに奥歯をきしらせる。
その表情に満足したかどうか、厳かに機械は宣告する。
「――死ね」

左腕の先から火球は飛び立った。
プラズマは流星のように駆けた。

照準のど真ん中にあった芳野。
咄嗟に身を翻す。
射線を体が本能的に避ける。肉食獣を見た兎のように。
一瞬前まで芳野が存在した位置を、小さな太陽が貫いた。

「得意のスパナも、こうなっては形無しだな」
「こいつ……!」
怒りとも恐怖ともつかない声が芳野の口から漏れる。
機械のかざす砲口には、もう新しいプラズマが灯っている。
ためらいも容赦もなく、次弾を放つ。
「せいぜい頑張って、寿命を伸ばすといい!」

……まさに脱兎。
考える時間はない。
その敵に背を向けて、芳野は思い切り駆け出した。
564クラナド戦記第36話 2/5:正暦1016/04/02(土) 04:04:19 ID:h/hQr8qI0
そして、いくつもの太陽が芳野を焦がし苛んだ。
実は、夜空には星の数ほどの太陽があり、それらは常時新しく生まれているという。
無数の火球をかいがいしく生産し、芳野へと投げてよこすプラズマ砲は、
もはや宇宙の偉大な力をさえ思わせた。

身をかわしたはずの芳野のツナギに、茶色い焦げ跡がいくつも残っていた。
布地の下の皮膚が、火傷に爛れているのを感じる。
強力な輻射熱。
それは直撃を免れてさえ、なお相手を焼く。
「ぐぅっ……!」
火傷に特有の体液が流れる。
いかん、意識が……!

火線を闇雲に避けるうちに、芳野の体は掩護物の裏に飛び込んだ。
「それで逃げたつもりか……」
機械の頭脳は、ある失望と侮蔑を模倣する。
芳野は太く高い、一本の桜の大木の陰に隠れたのだ。

――確かに、直接照準から隠れるだけなら充分だろう。
だが火炎攻撃を前にしながら可燃物で遮蔽をとるなど、愚の骨頂以外の何物であろう。
よほど焦っての判断ミスか。
それとも機械の私が、桜並木を焼くのに少しでも躊躇すると思ったか?

「スパナで足を分解されたときは驚いたが……。
この絶対的な火力の前には手も足も出まい。さらばだ、人間よ」
電力をフルに投入したプラズマ球が、砲口を離れた。


***

「アハハ。だから言わねえことじゃねえよ」
565クラナド戦記第36話 3/5:正暦1016/04/02(土) 04:05:51 ID:h/hQr8qI0
桜の木の下にぐったりと横たわる芳野に、唾を吐きかけるように愚者は言った。
「お前はドジこいたのさ。かつて、罪が発覚したオレのようにな。
俺は牢屋暮らしで済んだがお前は死ぬぜ。まったく笑っちまうぜ、アハハ」
(まだだ……俺はまだ負けてはいない! 俺は最後の一瞬まで……)
「バカだなお前、あれにどうやって勝つ気よ? 勝つ計算があるんなら言ってみな」
愚者は顎の先で桜の向こう側を指した。
――機械は、もう芳野にとどめをさす必殺の火球を撃つ頃だろう。
(それは……愛を諦めない心で……最後に捨て身の突進を……)
「アハハ。救いようのねえバカだな、お前」
(なんだと……)
「バカなお前に教えてやる。お前、勝算がねえって自分でもわかってんのを
愛が云々って得意の台詞でごまかしてるだけだろ?
もっと具体的に、勝つプランを考えろっつうの。計画的に、狡猾によ」
(……俺に、どうしろと言うんだ……)
「アハハ。オレと同じことはしたくねえんだろ? てめえで頭冷やして考えな……」

***

(狡猾か……俺に足りないもののひとつは、確かにそれだ。
あいつのような、後ろ指を差される悪事には決して手を染めまい。
それでも、敵に対してずるく立ち回ることはできる。
桜の高木。地の利。俺だけが利を得る立場。俺が知っていて敵の知らない事実。
考えろ、利用しろ、何がある?)

炎が迫る。
桜の幹に接触した小太陽が、激しく爆ぜる。
「スパナの攻撃圏内に近づくまでもない。
私は一切のリスクを負わずに、お前だけを焼き殺すことができる。
常に相手よりも有利な状況を作る――それが戦術というものだ!」
黒煙をもうもうとあげ、赤々と燃え上がる桜の大木を目の前に、
機械の頭脳が次に模倣したのは勝利の誇りだった。
566クラナド戦記第36話 4/5:正暦1016/04/02(土) 04:07:39 ID:h/hQr8qI0
プラズマをあらかた撃ち終えた機械が、砲身の構えを解く。
砲身は複雑なモータ音とともに、
何段階もの変形とともにもとの左腕へと収まっていった。
「どれ、奴の焼死体を確認してやろうか」
右脚を引きずって歩き出す。
赤外線を捕らえる機械の目も、このまぶしすぎる猛火を見通すことはできない。

だが、木の下。
機械の目が可視光で捕らえた視界に、芳野の骸は存在しない。
「馬鹿な……!」
幹の近くに、他に掩護物となりそうなものがあるはずもなかった。
機械の頭脳が、円周率の長大な桁を求めるように混乱する。
「どこに逃げ場があるというのだ!?」
「ここだ」

その声が、上方から、降りてきた。
「送電線だと……!」
気づいたときには遅かった。
左腕を火砲へと変化させる。だが、落下はそれ以上に早い。
プラズマ砲が点火したとき、すでに敵は砲身の内側の間合いを落ちていた。
重力の勢いを借りて、袈裟斬りのように左の肩口から鉄塊が強打する。
それは芳野のスパナのレンジ。

ボルトを外すという単純な工程、芳野ならそれを微小時間で完了できた。
砲身が、胴から落ちる。
それはすべてを決した。
567クラナド戦記第36話 5/5:正暦1016/04/02(土) 04:16:24 ID:wdShhmFP0
「坂上をかたどって作られただけのお前は知るまい。
人々の幸せな暮らしのために、つねに変わってゆくこの町の姿をな。
お前の知らないこの町のことを、俺は利用した――それが地の利というものだ」

送電線――。
それは町の空にかかり、人々に文明の力を供給する網。
芳野はその地理的配置や物理的特性をあらかた頭に叩き込んでいる。
学園のシンボルである立派な桜並木。
樹木が送電線の高さまで、力強く生長していることが幸いした。



桜並木の坂道      011 芳野祐介   ラブアンドスパナ、ほか工具一式
桜並木の坂道      021 ドッペル智代 不明
568芽衣編:正暦1016/04/02(土) 10:39:22 ID:Kw2sGS2e0
>>561
眠くなったから寝ただけで>>559 >>550
は放棄したわけじゃないぞ。
569芽衣編:正暦1016/04/02(土) 11:28:55 ID:Kw2sGS2e0
3分ほど走ったのだろうか、芽衣は走るうちにある程度の平静を取り戻していた。
男はなおも銃を撃ちながら追っる。
「きゃっ」
芽衣は何かにつまずきいて転んだ。その間に男が間をつめてくる
「はあ、し、死ねぇぇぇ!」
―バンッ―
撃ったのは男ではなかった。転んだ拍子に見つけた――警察官の死体から銃を奪った芽衣であった。
男は仰向けに倒れた。その衝撃で男の銃がまた火を噴き、ホールドオープン(弾切れ)になった。
―私、人を撃ったの?あの人死んだの?―
芽衣はしばらくの間からだが震えて動けなかったが、平静を取り戻して男の死体を(したくは無いが、この状況じゃあ武器は多いほうがいい)調べた。
男の銃と換えのマガジンを四本(一本はすぐ交換することになったので予備は三本)手に入れた
―お兄ちゃん、大丈夫かな―
わからない、でも今考えても仕方が無いことだ。芽衣はまた歩き出した。
570名無しさんだよもん:正暦1016/04/02(土) 13:27:04 ID:TOU23BiZ0
意味わかんねぇよっ!

>芽衣編
・いったんメモ帳で全部書いて、それから投稿しよう
・話数と総レス数を名前欄に書こう
・場所と装備アイテムを最後に付記しよう
571名無しさんだよもん:正暦1016年,2005/04/02(土) 15:54:19 ID:ssRCRVtQ0
何だかよく分かんないけど、男の銃がGlock 18CだったりWalther PPKだったりするのはなぜ?
572名無しさんだよもん:正暦1016年,2005/04/02(土) 16:08:54 ID:WftoLGHw0
光パワー
573クラナド戦記・外典:2005/04/02(土) 18:07:27 ID:QYcIK7ae0
ファミリーレストラン「Ernesto Host」。
長い坂の道沿いに、それはいつの間にか築かれていた。

「――星がひとつ、落ちたか」
男の心に、ひとしずくの悲しみが訪れる。
生命の光が一際大きく瞬き、そして消え去るのを感じた。
男は理解した。
宮沢有紀寧という、少女の死を。

「土方店長。彼女では、奴らにはかないませんでしたか」
「残念だがな…。光に選ばれたあの子なら、あるいはと思ったが…」
破壊結社MIO。その力は、あまりに強大。
(敵を滅ぼします。わたしが止めてみせます!)
兄を失い、町を失い、すべてを失った少女はそう言っていた。
店長と呼ばれた男に、その闘志を止めることはできなかった。
充分な食料と装備を与え、その門出を見送った…。
574名無しさんだよもん:2005/04/02(土) 18:09:35 ID:QYcIK7ae0
あまり時間は残されていない。
複数の光が、すでにMIOによって奪取されている。
趨勢を決するには…
「いかなる力や知があっても、いかなる武器を用いようと、
ひとりの人間にできることなどちっぽけなものだ」
店内には、この戦を戦い抜くための物資が蓄積されている。
食料、水、武器、弾薬。だが…。

「最も重要なのは、光をもって共に戦う、仲間を集めることなのだ」
「ではやはり…あの人がキーパーソンですか」
「そう、あの『岡崎くん』だ」
岡崎――。

「…いや、この時代ではまだ『古河くん』か」
岡崎――旧姓古河。
彼女の強い心は、やがて光を集結させるだろう。
いや、なんとしても、集結させねばならん。

時の旅人として、この過ちを修正するために。

古河渚は岡崎朋也と恋に落ち、やがて光の子「岡崎汐」をなした――
過去から未来へつながる、それは因果の連鎖。
引きちぎらせてはならないのだ。
575クラナド戦記・外典:2005/04/02(土) 18:10:46 ID:QYcIK7ae0
疲れた…。

高校の隣にある、兄の住むという学生寮。
そこに辿り着くには、悪夢のように長い坂を踏破せねばならない。
道の真中で、春原芽衣はがくりと両膝を地に落とした。

ピストル男がいきなり襲い掛かってきてからこっち。
ポケット地図に書いてあるのとはかけ離れたこの町を、こうして何時間歩いたのだろう?
駅から学校まで、孤独と不安に耐えながら、必死に足を前へ前へ出す。
でもすでに、乳酸が全身をギシギシ言わせてる。
ピストルって、意外と重いんだ。もう、歩きたくないよ…。

…不意に、控えめな看板が坂の道沿いに姿を現した。
ファミリーレストラン「Ernesto Host」。

あのお店、やってるのかな…。
やってなくても、椅子に座るくらい、いいよね…。
お冷やくらい、くれないかな…。
朦朧とする意識の中。
全身を最後の力で引きずるように、芽衣は坂の上のその店に体を運んだ。


「――店長。お客様がいらっしゃいました。
1名様。女性、13歳程度。自動拳銃を携行するも、攻撃意図はないようです」
「状態はどうだ?」
「疲労は激しいようですが、目立った外傷はありません」
「そうか。席へご案内してくれ。もし追っ手があれば…私が守ろう」


ファミレス 欠番 春原芽衣 所持品:奪った拳銃
      欠番 土方店長 所持品:不明(店には大量の物資)
576名無しさんだよもん:2005/04/02(土) 18:13:29 ID:QYcIK7ae0
有紀寧は第9話の登場時からいきなり武器を所持していますが、
彼女のような反乱分子にMIOが武器を支給するわけがないので
きっとMIOに対抗する支援組織があるのだろうと思い、
また病院があるならファミレスがあってもいいようなので。

あと、とりあえず岡崎汐は確実に存在するようですので
未来の朋也と渚が結婚するのも確定していると考えました
577芽衣編:2005/04/02(土) 18:47:55 ID:Kw2sGS2e0
>>575さんとは繋がってません。>>569の続き

すでに何人殺しただろうか。
突然、実家にある兄の漫画にあった台詞が頭に浮かぶ。
―最初のやつが撃てるか撃てないか、それで銃が使えるかどうかが決まる―
確かにそうだ。すでに罪悪感やためらいは無くなっていた。回数を重ねるにつれて・・・
芽衣は頭を横に振り、考えを断ち切る。―こんなこと考えてる場合じゃない―

警官の銃は弾が無くなった。途中で別の死体を見つけたので時々弾を補充できたが、もうありそうに無い。
芽衣は警官の銃を捨て、PPKに持ち換えて歩きだす。


7分程歩くと、スピーカーを付けた一台のワゴン車が低スピードで走っていた。
芽衣はワゴンの前に立ち、進路をふさぐ。「止まって!」
ワゴンは止まり、スピーカーから声が出る。
「何か御用かな、お嬢さん」
やんわりとした、老人の声が聞こえた
「あの―」 近づこうとしたが、
「おっと!これ以上近づかんでもらおうかの」老人は制止した。
―えっ?そうか私、銃もってるから―
突然老人が尋ねた。
「どうじゃお嬢さん、楽しんどるかね?」
芽衣は驚愕した。老人の言葉が信じられなかった。
―楽しむ?これを?この人もおかしいの?―だがそんな印象は受けない、思い切って訊いてみる。
「何言ってるの!人が大勢死んでるのよ!それを楽しめなんて!」
「あんたも殺したんじゃろう?」
老人が問う。極度に混乱し言葉に詰まる芽衣。今まですぐに平静を取り戻してきた芽衣だったが、今回は違っていた。
たしかに私は人を殺した、でもそれは仕方なかったから、あっちが襲って来たから、
「殺していく内に罪悪感や、ためらいも無くなっていった、そうじゃないか?
「ひっ」声が漏れる。―図星だった―
578芽衣編:2005/04/02(土) 18:52:19 ID:Kw2sGS2e0
芽衣は叫びながらワルサーを連射した。フロントガラスが砕ける。
弾切れを起こした時点で、芽衣は我に返った。老人は姿が見えない。
―あ・・、こ、殺しちゃったの?あの人は?―芽衣PPKを捨て、ワゴン車に駆け寄る。
突然老人は車内に潜めていた上半身を起こし芽衣に発砲した。芽衣が反射的に身をかがみ、ワゴン車の前に隠れる。
老人はアクセルを――踏まなかった。「ふむ、いいじゃろ、相手をしてやろう」そう言って運転席にドアを開ける。
その間に老人は運転席を側転で脱出し、ワゴン車で身を隠した。
「ふっ!」芽衣はいっきに体を起こしながら、グロックを車内に発砲しつつワゴンから見て左に走り、元・民家の瓦礫に身を潜めた。
「どうせなら派手に行くかの」老人は身を隠した状態のままワゴンの後部座席のドアを開けると、大きな銃を取り出した。
―FNミニミ―本来は戦争で敵兵をはなぎ払うように連射する個人携帯が可能な、軽機関銃と呼ばれる部類の銃―いや、マシンガンである。
「さあ、楽しませてくれるかの」
彼女は体勢を低くしたまま動きはじめる。
―――その顔は、喜びに満ちていた―――
  芽衣自身は、そのことに気づいていない。
芽衣は、倒壊してほとんど繋がった瓦礫に身を隠しながらワゴンに近づく。
ワゴンの影から老人が飛び出してきた。
「ふっ!」芽衣は老人向けて連射した。だが老人は思った以上に速く、なかなか当たらない
―速い!ほんとにおじいさんなの?―だが芽衣の顔は歓喜に満ちている。
「ふむ」老人は走りながらマシンガンを砲火しつつ瓦礫に隠れた。芽衣はとっさに身を隠す。周りの瓦礫が削られた。
―ちっ、あんなもんが相手じゃ不利ね、なんとか・・・そうだっ!―
芽衣はグロックのマガジンを取り替え、銃をいじくると、低姿勢のまま静かに移動し始めた。

老人は瓦礫を盾にしながら、芽衣のいる瓦礫の裏側にたどり着いた。
無言で瓦礫から飛び出し、マシンガンを構える。
芽衣の姿は無かった。
―逃げたかな―だが気は抜けない、周辺を探索する。
579芽衣編ラスト:2005/04/02(土) 19:00:15 ID:Kw2sGS2e0
芽衣は逃げてはいなかった。静かに老人の後を付けていたのだ。
―グロック18―この銃は拳銃にもかかわらず、フルオート機能がある。
―あの老人は常人離れしてる、周りに注意を払っている時は隙はないと思う。じゃあ隙が出来るのを待って、そこを狙う―
「ふぅ、おらぬか」老人はそうつぶやくとミニミを右手で持ち、携帯電話を取り出した。
芽衣は思った。―今だ!―静かに老人の近くの瓦礫に移動する、そして――
「わぁぁぁぁぁぁぁ!!」芽衣は叫びながら飛び出し、引き金を引く。老人が振り返り、その目が見開かれる
その刹那、グロックから放たれた散弾が、老人の胴体に吸い込まれた。
老人はミニミと携帯を落として仰向けに、まるで社交ダンスの基本ポーズの様な体勢で倒れた。
「勝った?わ、私勝った!!」芽衣は立ったままグロックを降ろし、老人に向かって歩みだし―
―ドンッドンッ―
老人は瞬時にポケットから拳銃(USSR マカロフ)を取り出し撃っていた。
その弾は二発とも、芽衣の心臓を打ち抜いた。 芽衣は仰向けに倒れ、絶命した。
「ふぉふぉふぉ。おしかったのお、お嬢ちゃん。ボディアーマーじゃ」
老人はいくつもの穴の開いたジャンパーの上からそれをなでた。
「む・・」―肋骨を一本やったか―
老人は立ち上がり芽衣に近づくと、ポケットをさぐり、入れっ放しだった学生証を取り出した。
「春原芽衣。春原?ああ、彼の・・」
老人は学生証をジャンパーのポケットに突っ込むと、携帯を拾い上げ電話を掛けた。
「もしもし?伊吹先生」 「幸村先生?何処にいらっしゃるのですか?」
「ちょっと道草をな。すぐ戻る」 「わかりました」
幸村は電話を切りミニミを拾い上げると、
「ああ、そうそう。お嬢ちゃんは殺しを楽しんでたんじゃない、闘いを、楽しんでいたんじゃなあ」
幸村はワゴンに乗り込み、瓦礫の街へと消えていった。

芽衣(死亡)グロック18C
幸村 FNミニミ マカロフ
    芽衣編END
本編、がんばって下さい。>>575さんも。
580名無しさんだよもん:2005/04/02(土) 19:10:34 ID:FvZV5uE50
ワラタ
581名無しさんだよもん:2005/04/02(土) 19:31:28 ID:WftoLGHw0
意味わかんねえよ!
582名無しさんだよもん:2005/04/02(土) 19:37:14 ID:MDN90jYG0
お、おいおい!
583名無しさんだよもん:2005/04/02(土) 19:57:03 ID:d8z+bX8s0
矛盾の処理ってどうすんの?
早いモン勝ち? 後から上書き? そのつど協議?
584クラナド戦記第37話 1/5:2005/04/02(土) 20:21:29 ID:WaaFvu+70
朋也はA(アルファ)の姿を見て、頬に汗を垂らした。
「こいつ、首が180度回転してるぜ」
「し、死んじゃったかなぁ・・・あはは」
「あはは、じゃねぇよ!ってこれ、笑い事じゃないし!」
「ほら、春原もへこんだりしても大丈夫じゃん」
「あいつと一緒にするんじゃねえよ!あれは、人間を超えた生き物なんだ!」
杏がな、なんだってーと言ってる瞬間、信じられないことが起きた。
A(アルファ)が立ち上がり、背中ごしに杏の手足を羽交い締めにして、倒れ込んだのだ。
いや、A(アルファ)だけではない、B(ブラボー)、C(チャーリー)・・・すべて何事も無かったかのように立ち上がり、朋也が気づいた時にはずでに包囲されていた。
が、そんなことより朋也は、もう一つのことに驚いた。それは、
「あ、あの人たち・・・白目向いてます・・・」
彼らが一つ一つ語るに耐えないほど、あからさまに死体だったからだ。
椋は不安でいっぱいになった。
そして、ただ、彼女は朋也に抱きついて、不安をぬぐうしかなかった。
「あ、ちょっとだめだよ朋也君。僕の彼女に手をだしちゃー」
口を膨らませて怒ったジェスチャーをした勝平が、本屋のひしゃげたドアをくぐって、悠々と現れた。
すると、一斉にスメルライクティーンスピリッツたちが勝平の進む道を開く。
585クラナド戦記第37話 2/5:2005/04/02(土) 20:23:32 ID:WaaFvu+70
「お前、勝平!?」
「あ、名前覚えていてくれたんだ。朋也君にはてっきり忘れられてたのかと思ったよ」
「なんで、お前そんなに冷静なんだ・・・まさか」
「うるっさいなぁ。どっちでもいいじゃん。そんなの僕の勝手じゃん」
「ことみに続いて、お前もか!?」
勝平は頭をぽりぽりかくと、安全装置をはずして、トリガーを引いて、朋也の額に冷たい銃口を当てた。
「僕のことなんて、忘れてたくせに」
「お、お前、撃つなよ!絶対撃たないでくれ!マジで!撃つなよ!そ、そ、そ・・・そんな、わけないだろうが。。。」
勝平はくすっと笑った。そして、銃を下げる。
「別に撃たないよー。やだなぁ・・・別に朋也君が僕を忘れてたなんて、どうでもいいことだし、それより椋ちゃん。さ、一緒に行こう」
朋也に抱きついていた椋は、おそるおそるまるで子ウサギのようにおびえる表情を、異常な勝平にむけた。
「大丈夫だよ。おびえなくても、僕はネクロマンサー、死者を操れる能力を持っているんだ。いっぱい生徒がいた学校もこの力でほとんど殺したし、残っていた仁科さん、渚さん、その父と母、全部殺してる。だから、僕が最強だったりするわけで・・・一緒にいれば大丈夫だよ」
「これ全部、お前が・・。」
「死なないと発動しないからね。少し放っておいた」
586クラナド戦記第37話 3/5:2005/04/02(土) 20:24:25 ID:WaaFvu+70
椋は恐怖のあまり、声をしゃくりあげて、泣き出した。
そして、勝平に向けて、やたらめったら本を投げて、後ろに後退していく。
「ちょっと勝平!椋に何かしたら、あんたをブルドーザーでひき殺して、骨を木に蒔いてやる!」
「って、それやりすぎだよ!」
ゾンビが揺れ動く恐怖の場所で、あくまで勝平は普通だった。
「ま、いいや・・・常套句だけど、お姉ちゃんがどうなってもいいの?」
A(アルファ)は杏の手を無理矢理引きちぎろうとした。
「痛!」
「やめて!やめてください・・・一緒にいきますから!だからお姉ちゃんを助けて」
「んじゃいこう」
勝平はおびえる椋の手を引っ張って、本屋の外に出た。
そこには、目をつぶったまま決して開かない有紀寧が立っていた。
「なんか、ハーレムみたいだなぁ。ふふふ・・・これで、椋ちゃんと有紀寧ちゃんとあーんなことやこーんなことできるよ♪」
「有紀寧さん・・・死んじゃったの?」
「そだよ。自動モードにすれば、ちゃんと元通りにしゃべったりできるはずなんだけど、おかしいなぁ、有紀寧ちゃんは目をつぶって、全くしゃべらないんだ」
「勝平さん、あなたがこんな人だとは思いませんでした!」
587クラナド戦記第37話 4/5:2005/04/02(土) 20:25:01 ID:WaaFvu+70
「嫌って結構だよ。どうせ、愛なんてないしねー。愛があったら、僕はガンで死ぬことなんて無かった」
椋は言葉がでなかった。勝平は死んでいる。
そうなのか?ただ、確かにそれを証明するように彼の手は冷たかった。
「椋ちゃんが移ろい気味の売女じゃなければ・・・あの自暴自棄に陥っていたボクを助けてくれて、ガンから救えてたはずなのにね、恋人になれるかどうかもわからない朋也君のところにいっちゃうなんてさ」
「ごめんなさい・・・」
「あ、いいよ。これでボクにも得たものがあったから、この世に恋愛は存在しない。ボクが椋ちゃんに一目惚れするような、椋ちゃんが朋也に憧れるような、”恋”はあると思うけど、恋に愛は存在しないんだ。
恋と愛は一緒じゃないんだとボクはわかっちゃったのさー」
椋はうつむいたまま、無言の有紀寧と気楽な勝平とともに、桜の花びらとともに消えていった。
588クラナド戦記第37話 5/5:2005/04/02(土) 20:25:44 ID:WaaFvu+70

そして、1時間後の本屋。
スメルライクティーンスピリッツがばたばたと地面に倒れていった。
「何で助けなかったのよ!朋也ぁあああ」
涙を流した杏は朋也を殴りつけた。
「俺が助けたって、やられるだけだ。・・・ごめん。俺できないわ」
「いつも、自嘲ばっか!」
声は無人の街に寂しく轟いていた。
589クラナド戦記第37話 5/5:2005/04/02(土) 20:28:27 ID:WaaFvu+70
001 岡崎朋也 唐揚げ弁当
002 藤林杏 辞書いっぱい
003 藤林椋 本屋でぱくった占いグッズ
007 柊勝平 44マグナム 
020 スメルライクティーンスピリッツ 死亡

>>583
そこは次の作者にまかせればいいんじゃね?
実は芽衣は分身の術の使い手だったのだ。とか

590名無しさんだよもん:2005/04/02(土) 20:33:33 ID:d8z+bX8s0
何だかよく分かんねぇよっ!
591芽衣編は:2005/04/02(土) 21:02:18 ID:Kw2sGS2e0
本編をあまり意識せずに書いたんで無視してもいいですよ。
592名無しさんだよもん:2005/04/02(土) 21:07:23 ID:FvZV5uE50
っていうかぶっちゃけ(ry
593名無しさんだよもん:2005/04/02(土) 21:42:51 ID:EF5HeRiL0
お、おいおいっ
594名無しさんだよもん:2005/04/02(土) 21:46:07 ID:Kw2sGS2e0
595名無しさんだよもん:2005/04/02(土) 21:50:42 ID:wmt+TZep0
意味わかんねえよっ!w
596名無しさんだよもん:2005/04/02(土) 21:50:46 ID:d8z+bX8s0
>>594
詳しいのはいいが、初心者に対して説明が足りないかと。
銃をあんまり知らないけど出したいって書き手さんの情報ソースには
ttp://homepage1.nifty.com/plaza/ のほうがいいような気が。

つか、銃の名前を出したいばっかりに、
肝心のストーリーがおろそかになるってのが一番怖いけどな。
597名無しさんだよもん:2005/04/03(日) 00:05:42 ID:NtqB1VIiO
>>577
ここはリレー小説投稿する所じゃないの?
598名無しさんだよもん:2005/04/03(日) 00:15:05 ID:Zwr9pkXy0
お、おいおい!
599名無しさんだよもん:2005/04/03(日) 01:08:11 ID:o9iJrBKg0
お、おいおい!
600名無しさんだよもん:2005/04/03(日) 01:23:07 ID:7S/WmsE50
お、おいおい!?
601'ヽ/ヽ@派遣社員:2005/04/03(日) 07:51:05 ID:GgeHP6SDO
>>598
意味わかんねぇよっ!
>>599
意味わかんねぇよっ!!
>>600
意味わかんねぇよっ!!!
602名無しさんだよもん:2005/04/03(日) 08:57:50 ID:5iEvjkOf0
何だかよく分からないけど、行くよっ!
603名無しさんだよもん:2005/04/03(日) 13:51:53 ID:FRG8G3B/0
何だかよく分からないけど・・・イクよ・・・イクよ・・・。 あぁあ・・・イクッッッ・・・!!!
604名無しさんだよもん:2005/04/03(日) 15:51:57 ID:o9iJrBKg0
揚げ物
605名無しさんだよもん:2005/04/03(日) 17:04:13 ID:DhDeXof20
なあ、暇な奴だけでいいからさ、
一番いいと思った話を挙げてみないか?
作る側のモチベーションも上がると思うし、
人を楽しませる文章を目指して質も上がると思うんだけども。
606名無しさんだよもん:2005/04/03(日) 17:51:13 ID:6p5OpZIE0
「うっ、ぐほっ、ごほっ」
地面に仰向けで倒れていた芽衣は胸の痛みで意識を取り戻した。
「ん、げほっ、げほっ」
咳とともに吐血をする。
「あ、あれ?私、撃たれたんじゃ・・・」
撃たれた胸へと手を当てる。
「っ・・・つぅ」
胸がズキズキする。
尋常じゃない痛み・・・。
おそらく肋骨が何本か折れている。
「・・・・・・・・・あっ・・・」
胸元から出てきたのは芽衣が中学生になるときに兄からもらった1000円の銀のペンダントだった。
高価とは言えないけどお金をケチる兄が1000円も出して買ってくれた大切なペンダントだ。
そのペンダントがかろうじて二発の弾をすんでのところで貫くことだけは逃れさせた。
そう、芽衣は死んではいなかったのだった。
弾の衝撃によって肋骨を数本やられ、心臓と呼吸も一時期完全に止まってしまったが奇跡的に息を吹き返したのだ。
もしかしたらペンダントには奪われた『光』がまだ残っていたかのもしれない。
「お兄・・・ちゃん」
その瞳からは涙が滲み出てきた。
涙は痛みから来るのか、それとも兄への感謝で流したのかは当の芽衣しかわからない。
「お兄ちゃん・・・まだ・・・まだ、私・・・生きてるよ」
芽衣は必死に手を伸ばて先ほど道へ投げ出してしまったグロック18を拾い、よろけながらも横の電柱に捕まって立ち上がった。
「お兄ちゃん・・・」
ふらふらとした足取りで兄がいるはずの寮へと足を向ける。
「まだ・・・生きてるよね」
もちろんそんなことは芽衣にはわかるはずがない。
だけどそっちへ行けば何かがあるんじゃないかという予感はあったからだろうか。
ゆっくり、一歩ずつ先へと進んでいくのであった。

春原芽衣 (重症) グロック18
607名無しさんだよもん:2005/04/03(日) 17:54:29 ID:6p5OpZIE0
勝手ながら579の続きを書かせてもらいました。
何となく続けたい気もするので575に続ける風に書かせていただきました。

殺してしまった579の中の人には申し訳ないです。
ただ芽衣が朋也や渚たちとは別に影でいろいろやるのも面白そうなんで続けさせてもらいます〜。
608名無しさんだよもん:2005/04/03(日) 19:09:00 ID:Csz9GpbM0
お、おいおい!
609クラナド戦記第38話 1/4:2005/04/03(日) 19:11:48 ID:hKiw+hs20
目を覚ましたとき、芽衣はファミレスのソファの上にいた。
「ここは…?」
「やあ、気がついたかな?」
年配の、穏やかな物腰の男がすぐに近寄ってくる。
「そうだ!私、おにいちゃんを…ぐっ…」
慌てて身を起こした芽衣の全身に激痛が走る。
「まだ安静にしていなくちゃいけないよ!我々が手当てしたとは言え、ひどい怪我に変わりはない。」
「おじさん、誰ですか?私を助けてくれたの…?」
男は芽衣の前のテーブルに水を置き、ソファにゆっくりと腰を下ろした。

「私は土方。このファミレスの店長だよ。さっき、この近くの道路で倒れていた君を見つけてね」
「おじ…いえ、土方さん!今、何が起こってるんですか?何で町が…!」
「全ては、MIOという組織のせいだ。奴らが、この町…いや、世界に核を落とした」
「嘘…!?何で、そんなことを!?」
「奴らの目的は定かではない。ただ、私は、奴らを止めるためにこの時代に導かれたのだと信じている。」
「導かれた…って…土方さん、あなたは一体何者なんですか?」
土方の眼が、芽衣を正面から射抜いた。

「Civil Legion Against Destruction(破壊に抗う町民部隊)―――通称CLANの隊長だ。」
610クラナド戦記第38話 2/4:2005/04/03(日) 19:12:59 ID:hKiw+hs20
「くらん…?」
「ああ、『家族』という意味だよ。こんな時こそ一致団結し、悪に立ち向かいたいという意味を込めてね。」
芽衣は当惑した顔で土方を見た。
「まあ、隊長といっても、私と彼女しかいないんだけどね。」
土方がキッチンの方を振り向いた。
ウエイトレスの制服に身を包んだ若い女性が芽衣に微笑み返していた。
「それで…その立ち向かう悪っていうのは…MIOって何なんですか?」
「ああ、今説明しよう。」
土方が制服のポケットに手をやり、紙切れのようなものを取り出した。
「MIOを構成するメンバーの表だ」


『MIO構成員』

『唯一神』   幸村
『二帝』    賢帝・伊吹公子     知帝・一之瀬ことみ
『三幹部』   乾   ???   ???
『四天王』   坂上智代   柊勝平   杉坂(消滅)   ???
『下っ端軍団員』


「そこに記されている、『唯一神』等の名詞は、奴らの組織の称号の様なものだ。上に位置しているものほど権力が強い」
土方は更に言葉を続ける。
611クラナド戦記第38話 3/4:2005/04/03(日) 19:14:24 ID:hKiw+hs20
「四天王は下位に位置してはいるが、二帝・三幹部に匹敵する戦闘力を持つとも言われている。
何故権力が弱いかといえば、四天王の多くは幸村によって、蘇生・洗脳され、操られているからだ。」
「蘇生…って、死んだ人が生き返るんですか!?」
芽衣が信じられないという顔をした。
「あいつならそれが可能なんだ。恐らく、現存する中で最強の光、『獅子王』を持つ幸村なら。」
「ししおう…?」
「日本刀の形状をした光だ。その一振りは、死者を蘇らせ、 生者を死人に変えるという。詳しいことは分からないが…」
芽衣の喉がごくりと鳴った。
「あの…土方さんは、何故、そんなことまで知っているんですか?敵の組織の機密事項をこんなに…」
土方の目が曇った。
「鋭いね…できれば、このことは話したくなかったんだけど…」

「有紀寧ちゃんの…MIOに戦いを挑んだ少女の…服に、盗聴器を仕掛けて置いたんだ。」

「え…?」
「気は進まなかったが…結果として、有紀寧ちゃんの死を無駄にせずにすんだ。
盗聴器を通して、MIOの様々な情報を知ることが出来た。奴らの居場所もだ。」
612クラナド戦記第38話 4/4:2005/04/03(日) 19:15:59 ID:hKiw+hs20
「な、何で…何で止めてあげなかったんですか?有紀寧さんをっ!」
芽衣は思わず叫んでいた。
「止まらなかったんだよ、彼女は。そして僕たちは準備の整っていないあの時点で行動するわけには行かなかった。だから彼女は一人でいったんだ」
「そんなっ…一緒に付いて行って上げれば…!」
芽衣は更に口を開きかけたが、土方の顔を見て息を飲んだ。

土方の頬を涙が伝っていた。
「僕たちには使命があるから…未来からこの時代に導かれたのには、何か、理由があるはずだから…」
キッチンのウエイトレスも嗚咽を漏らしていた。

「無駄死にはできない。この町を救うまでは。」

芽衣は恥じ入るように眼を伏せた。
「すいません…何も分からずにひどいことを…」
「いや、いいんだ」
涙を拭うと、土方は窓の外を指差した。
「見えるかい?あの病院が。あれがMIOの本拠地だ。そしてあれも町の意思に導かれた未来の建造物…」

「僕らが使命を果たす場所だ。」
613クラナド戦記第38話 :2005/04/03(日) 19:21:35 ID:hKiw+hs20
ファミレス 欠番 春原芽衣 所持品:グロック18
      欠番 土方店長 所持品:不明(店には大量の物資)


芽衣関連のこと、病院の時系列の問題等で混乱していたので、整理をするつもりで書いてみました。
>>579>>606の両方の話から繋がる様に書いたつもりです。

あと早速訂正で申し訳ないんですが、CLANはCivil Legion Against Nucleus(原子核)の略にしてください…orz

614名無しさんだよもん:2005/04/03(日) 19:32:46 ID:v3uNnOvf0
何だかよくわからないけど、なんか未曾有の展開だよっ!

あと、町が廃墟になった直接の原因は核兵器(>>1等の初期設定)ですか?
それとも「核兵器を遥かに超える幻想世界の光パワー」(>>157>>368等)ですか?
615名無しさんだよもん:2005/04/03(日) 19:37:35 ID:hKiw+hs20
すいません、その辺の選択は後続の方に任せます。
38話ではあくまで、町を荒廃させた爆発を核兵器によるものと『土方が認識した』ということでお願いします。

あと今更ですが、まとめサイト乙過ぎです!
616名無しさんだよもん:2005/04/03(日) 19:40:28 ID:PGeeeWKy0
>>157.>>368が合理的
もし核なら放射能で幸村等もいずれ THE END
放射能が届かない位置なら爆炎どころか爆風すら届かない=街は崩壊しない
617名無しさんだよもん:2005/04/03(日) 19:41:42 ID:PGeeeWKy0
光パワー
618クラナド戦記第39話 1/4:2005/04/04(月) 00:50:15 ID:SPbqrt2Z0
「さて…釈明をしてもらおうかの、柊くん」
口ひげを蓄えた幸村老人が、険しい表情で切り出した。
「釈明? さあ、ボクが何か謝るようなことしたかな。思い出せないねぇ」
対面する少年…柊勝平は、曖昧な笑みを浮かべてのらりくらりと答える。

「こわっぱが、何をとぼけるか。
 麾下に与えた一個小隊をみすみす失いながら、《光》のひとつも回収できぬ役立たずめ…」
「ああ、そういえばそうか。ごめんね」
「あまつさえ…《光》も持たぬそんな虫ケラなど、速やかに殺害せよと命じたはずじゃぞ」
老人は、勝平の傍らで震える少女…藤林椋をねめつけた。
「椋さんのこと? 別にいいじゃん。ちょっとはボクにも楽しませてよ」
勝平は不平に口をとがらせた。
「…わしの期待をくじき、我が組織の法にたてつく狼藉者め」
「うっさいなあ。だから謝ってんじゃん」
少年の小賢しい表情と態度が、幸村の逆鱗に触れた。

腰の鞘から白刃を抜き放つ。
老人の手に、一種霊妙な剣気を漂わせる長い東洋刀があった。
「このわしへの無礼、万死に値する。罪には罰で応えるのがわしの法じゃ」
「えー…」
「わしの《光》…『獅子王』の錆としてくれる!」
「…ちょ、ちょっと」

踏み出す一歩。
白刃の間合いに捉える。
裂帛の気合とともに斬りかかる。
有無など言わせぬ!
619クラナド戦記第39話 2/4:2005/04/04(月) 00:51:44 ID:SPbqrt2Z0
それは疾風か、稲妻か。
刹那に訪れる切っ先は不可避。

瞬時であった。
獅子王の刃が一直線に、勝平の頭頂から股座までを疾駆した。
まさに一刀両断――
勝平の体が、数学的なまでに完全な対称形に分割される。

垂直二等分された勝平が、びちゃりと音を立てて地に崩れた。
袋を破ったような血しぶきが一気にぶちまけられた。

「…きゃあああああぁぁっ!!!」
寸秒を置いて、状況を把握した椋が叫ぶ。
悲鳴がこだまする中、老人は刃にこびりついた血を振り落とした。

抜き身の刀を構えたまま、老人はゆっくりと椋に歩を進める。
「さあ、次はお前の番じゃな…」
椋は口を開いたまま、一歩も動けない。悲鳴さえあげられない。
獣と獲物だった。
「…た…たすけ…て…」

――少年の声がした。
「ちょっと、ひどいよ幸村さん。ボクに楽しませてって言ったでしょ」
それは、ついさっき斬られた彼の口から。

幸村も椋も、その方向にさっと向き直った。
「ほう、これは…」
「…かか…勝平…さん…?」

勝平は立ち上がっていた。
620クラナド戦記第39話 3/4:2005/04/04(月) 00:54:19 ID:SPbqrt2Z0
異様な光景だった。
勝平は二つに分かれた自分の体を、まるで糊付けをするように、貼り付けた。
「どう? 驚いた?」
すべては元通りだ。
床にこぼれた大量の血液のほかは、さっき斬られたことさえ忘れさせるように。

「ボクの体は癌細胞に侵食されてるんだよ。全身をね。
アポトーシス(細胞の自死)を器質的に排除する特殊な遺伝子を持った癌細胞…」
突然の銃声。
右手に持った拳銃、スミス&ウェッソンM629。
勝平は自分の頭を、こめかみから撃ち抜いてみせた。

声にならない叫びとともに、椋が恐怖に腰を落とす。
そして、トリガーからゆっくりと指を離す勝平の右手。
「…この不死身の細胞が、ボクに最強の再生能力をくれるんだ」
44マグナム弾を6発収めたシリンダーが1/6回転する前に、傷口はふさがっていた。
「そう、ボクは、死を超越したってわけさ!」

「幸村さん、ボクの《光》が必要なんでしょ?
 だったらボクの注文、ちょっとくらい聞いてもいいと思うなあ」
勝平が言う。
「面白いこわっぱじゃわい」
幸村はくつくつと笑い、納得したように刀を鞘に収めた。

「その女は好きにするがいい」
「ホント? やったねっ」
そう言い残すと、老人は立ち去った。
621クラナド戦記第39話 4/4:2005/04/04(月) 00:56:33 ID:SPbqrt2Z0
「癌…か」
小賢しい。奴こそ、組織の癌ではないか。
だが…癌にも利用すれば価値はあるというわけか。奴の再生能力のように。

勝平の肉片が、獅子王の刃にわずかにこびりつき、びくびくと蠢いていた。
不死身の細胞が、本体から離れても生命を維持するのだ。
「愚か者め。わしの『獅子王』の真価を、お前ごとき小物に見せてやると思ったか。
 『その一振りは、死者を蘇らせ、生者を死人に変える』…」

老人が短く念じると、白刃は妖しく光った。
ただちに、肉片の動きが鈍る。
それは火にくべた枯葉のように急速に壊死し、やがて腐りながら落ちた。

「柊とやら…わしと対等の土俵に立ったと、せいぜい思い込んでおるがいい。
 駒には、機嫌よく働いてもらわねば困るからの」



MIO本部  欠番 幸村俊夫 獅子王
       007 柊勝平 44マグナム
622名無しさんだよもん:2005/04/04(月) 01:00:20 ID:G5rniA280
リアルタイムで見たけど、幸村&獅子王がかっこよすぎてなんかもうワロタ
623名無しさんだよもん:2005/04/04(月) 01:05:44 ID:Bac+sfJY0
おいおい、ちょいグロおもしろいよ!
624名無しさんだよもん:2005/04/04(月) 02:02:11 ID:sX1m7wOG0
>>383の続き

灰色の空。
時間という概念がない空間。
無機質な物質たち
…いや、すでに物質であるかさえ分からない。
幸村は[そこ]に立っていた。

――幻想世界。

クックック…。
ついに…ついにわしはやったぞ。
意識と自我を許された存在。
まだ体はない。
だが、それも想定内だ。
記憶がある。
元の世界にいた頃の自分の体の記憶がある。
ゆえに、体の具現化も可能だということだ。
幻想世界の少女がそうであるように。
光が集まり、幸村を包む。
「お…おお…」
彼の器は、まだ若き活力に溢れた20代の姿へと形作っていった。
(ことみよ、感謝するぞ。さすがは一之瀬の娘というべきか)
心の中でほくそ笑む。

ことみと、そして…例の少女を探さねばな。
625名無しさんだよもん:2005/04/04(月) 02:17:51 ID:sX1m7wOG0
夢を見ていた。
パパとママの夢。
二人とも笑っていた。
頑張りなさいって頭をなでられた。
私たちはことみを愛していましたよって抱きしめてくれた。
心がぽぅっと暖かくなった。
私…頑張るよ。

夢から覚める。
ここは…。
ここは、幻想世界。
そうか…辿りついてしまったんだ。
じゃあさっきの夢はまんざら夢でもなかったの。
暖かかった記憶を手放さないように、自分の体をぎゅっと抱きしめる。
その体は小さかった。
まるで[あの頃]のように。
願いが体を形作る。
私は子どもに戻りたかった。
………。
違う…ずっと子どものままなんだ。
あれから変わらずに。
626名無しさんだよもん:2005/04/04(月) 02:23:12 ID:sX1m7wOG0
ぎぎぎ。

何かが擦れ合う音がする。
この何もない世界で?
音の方向を見ると、ガラクタでできた人形が立っていた。

「お客さん」
ぎぃ、と人形が体をひねる。
その先にひょこっと体を出した少女。
突然の来訪者にも関わらず、その表情はどこか嬉しそうだった。

「岡崎…汐ちゃん?」
「うん」
無邪気な立ち振る舞いから、どこかその姿形より幼く感じた。

「私はことみ。ひらがなみっつでことみ」
627名無しさんだよもん:2005/04/04(月) 03:05:53 ID:sX1m7wOG0
「これはこっち」
汐ちゃんと人形が、ガラクタをせっせと集めている。
彼女は無垢な少女だった。
まるでこの一連の全てを壊した黒幕だとは思えない。
「何をしてるの?」
私は尋ねる。
「飛行機を作るの」
「飛行機?」
「うん、遠くへ行きたい。ここから出れるかもしれないから」
「ことみちゃんも手伝ってくれるとうれしい」
「飛行機を飛ばすには、揚力が必要なの」
「揚力?」
「流れの中に置かれた物体に対して,流れに垂直方向に働く力のことを「揚力」と呼ぶの。
流体が動くことで,又は物体が流体に対して動くことで生じる浮揚力であることより,
「動的浮揚力」とも称されるの」
「むずかしい…頭がクラクラする」
628名無しさんだよもん:2005/04/04(月) 03:22:35 ID:sX1m7wOG0
ここでは食事を取る必要がなかった。
お腹も空かない。
眠くもならない。
疲れもしらない。
現実の縛りから解放されていた。

でも、現実にいた頃の記憶が、擬似的に疲れを呼び起こす。
だから、丘の上で少し休んでいた。
向こうでは汐ちゃんと人形がせっせとガラクタを運び続けている。

ここでは時間もない。
だから未来もなく、過去もない。
現実から干渉することはほぼ不可能。
それでいて、現実とリンクしており、こちら側から干渉することができる。
核を思い起こすような爆発を発動させたように。
その方法は分からない。
汐ちゃんが鍵を握っている。
幸村先生の狙いはそれだった。
全くリスクのない安全圏からの攻撃。
それは実質、世界の支配を意味する。
「幸村先生もこちら側へ来ているはずなの。汐ちゃんと会わせるわけにはいかないの」
決意を込めるように一人つぶやく。
「それは残念だったな」
不意に後ろから声。

幸村先生だった。
629名無しさんだよもん:2005/04/04(月) 03:37:45 ID:sX1m7wOG0
すっと後ろに飛び退いて間合いを取る。
武器はない。
本で読んだ空手の型を形だけでも構えた。
向こうは若い成人男子。
こちらはまだあどけなさが残る少女の姿。
どう考えても分が悪かった。

「くくく…やめておけ、無駄だ」
私を見て不気味に笑う。
「もう薄々分かっているだろう。この世界に死はない」

「いわば…ここが死後の世界というべき場所なのだからの」
「一時休戦というわけだ」
そう言って私の前を素通りする。

そして…。
「ついに見つけたぞ…岡崎…汐!」
幸村の目はしっかりと汐ちゃんの姿を捉えていた。
630名無しさんだよもん:2005/04/04(月) 03:55:52 ID:sX1m7wOG0
ガラクタ人形が汐ちゃんを守るように立ちはだかる。
その手には木の棒を持っていた。
この男からでる悪意を感じ取ったのだろうか。
「フン…ガラクタ風情が姫を守るナイトのつもりか」
口元に歪んだ笑みを浮かべる。
「それとも、現実で守れなかった記憶が残っているのか、岡崎朋也よ」
「えっ?」
私の口から驚きの声が漏れる。
朋也…君?
「…まあ、いい。幻想世界の少女よ、現実への干渉方法を教えろ」
「素直に教えれば危害を加えることもない」
一歩一歩と幸村先生は汐ちゃんに近づいていく。
「そんなことさせないっ!」
私は慌てて二人の間合いに両手を広げて入った。
「この子たちは、ここでただ平凡に暮らしていただけなの。私たちの闘いに巻き込む必要はないの!」
「ほう…この戦を引き起こした張本人がか…?」
汐ちゃんがビクッと体を震わせる。
「自惚れないで!張本人はあなたでしょう!?」
「はっはっは、確かにそうだな。街の願いを誤作動させて、世界の破壊を仕向けたのは私だからな」
「なっ…!?」
そうか、そういうことだったのか。
世界の崩壊も彼女の意思ではなく、幸村の仕業。
「勘違いするなよ…死や苦痛からは解放されても、半永久的に体を拘束し続けることはできるんだぞ」
余裕の笑みを浮かべていた幸村の目が鋭くなる。
631名無しさんだよもん:2005/04/04(月) 04:06:31 ID:sX1m7wOG0
どうする?
戦うべきか。
こちらの戦力は少女二人とガラクタ人形。
…あまりに無謀なの。
でも、逃げても脚力の差でまず追いつかれてしまう。
どうすれば…。

「待ってっ」
二人を制止し、汐ちゃんが一歩前へでる。
「あなたの言う通りにするから、みんなにひどいことしないで」
その瞳は真っ直ぐ前を見据えていた。
「ククク…いい子だ」
歪んだ笑みを浮かべる幸村。
「では、教えてもらおうか」
「こっち」
そう言って汐ちゃんは私たちに手招きした。
632名無しさんだよもん:2005/04/04(月) 04:08:46 ID:sX1m7wOG0
疲れた…
今日はここまで
633名無しさんだよもん:2005/04/04(月) 04:35:57 ID:es1zAOVMO
幻想世界のほうも面白くなってきたね
634名無しさんだよもん:2005/04/04(月) 07:22:06 ID:JwXns0BR0
お、おいおい!
635'ヽ/ヽ@派遣社員:2005/04/04(月) 07:46:26 ID:b9N4IweEO
なんだか意味わかんねぇよ
636名無しさんだよもん:2005/04/04(月) 08:37:55 ID:4PAvtfG/0
>>632
>>570
板にSS投下するの初めての人が多いのかな
637名無しさんだよもん:2005/04/04(月) 09:26:11 ID:Z+wJpVrQO
>>632
一度メモ帳に書いてから投稿しなよ
じゃないと推敲も出来ないし、どうしたって長ったらしくなる
638名無しさんだよもん:2005/04/04(月) 10:15:15 ID:NJjjlYTd0
ひとまず名前欄に「クラナド戦記第○○話○/○」くらいはいれよう。
639名無しさんだよもん:2005/04/04(月) 10:30:22 ID:G5rniA280
あと一応言っておくけど、>>631の続きを他の人が書くかもしれないんだからねっ
芽衣編の再来はごめんだよっ

…あとsageないか?なんか最近ageる人が多いんだけど
640名無しさんだよもん:2005/04/04(月) 13:29:59 ID:AGqh2T8R0
書き手本人がageてるくらいだからな・・・

ハカロワを経験していない世代なんだろう
641名無しさんだよもん:2005/04/04(月) 18:05:53 ID:es1zAOVMO
どうせ過疎板で人少ないんだし、
ageることにそこまで過敏になるのもどうかと思うぞ
つーか創作なんてみんなの目に入ってナンボだろ
642名無しさんだよもん:2005/04/04(月) 18:11:36 ID:qDBi1NKWO
せっかくまとめサイトまで作ったんだしな。
もう少し賑わってもいい稀ガス
643名無しさんだよもん:2005/04/04(月) 18:14:16 ID:Lzi3fhQI0
つーかこのくらいの規模が荒れずにマターリできてベストだ。
644'ヽ/ヽ@派遣社員:2005/04/04(月) 18:14:44 ID:b9N4IweEO
お、おいおい!
645名無しさんだよもん:2005/04/04(月) 18:19:02 ID:NRpRwerC0
>>624-631
何だかよくわかんないけど、以前のMOONを彷彿させる”狂気”が足りないと思うよっ!
646名無しさんだよもん:2005/04/04(月) 23:44:35 ID:zNNegTAQ0
「無駄死にはできない。この町を救うまでは。」
647クラナド戦記第40話 1/4:2005/04/05(火) 00:29:55 ID:D4BaBkLu0
「これで、勝ったつもりか?」
坂上智代―――の形をした機械が芳野に語りかける。
だが、左腕・右足がもげ、体中の皮膚が剥がれ落ちたその姿は、もはや智代には程遠かった。
「私はまだ戦えるぞ!」
左足一本で立ち上がる、が―――
ガクン!
すでに芳野によって弛まされていた左ひざのネジが抜け落ち、再び地に膝をつく。

「ああ、勝ったつもりだ。」
芳野が冷然と言い放ち、スパナを、しっかりと握りなおす。
「最期くらい大人しく分解されたらどうだ?女の子らしく、な」
「……たかが…人間ごときに、ここまで追い込まれるとはな…!」
機械が芳野をキッと睨む。
塗装が剥がれ落ちた左顔面で、赤い光がチカチカと不気味に点灯していた。
「だが、お前の勝ちではない。引き分けだ。」
機械の右顔面に残った表情が冷酷な笑みを映す。

「何だと…!?」
「私の体内に仕掛けられた自爆装置を作動させる。この辺り一帯を吹き飛ばす威力だ。逃げ場はない!」
「!!」
「人間ごときと相討ちとは甚だ不本意だがな…負けるよりは幾分マシだ」
機械の両眼が怪しく光る。

「果てろ!この桜並木と共に!!」
648クラナド戦記第40話 2/4:2005/04/05(火) 00:32:02 ID:D4BaBkLu0
桜並木の坂道を静寂が支配する。
芳野の首筋を一滴の汗が流れ、足元に落ちた。
だが、いつまで待っても爆発が起こる気配はなかった。
「…何故…作動しない?」
「…?」
智代も芳野も、何が起こったのか分からないでいた。
「くそっ、何故だっ!何故命令を受けつけないっ!!」
苛立つ智代の声が場に木霊する。

≪ここで、自爆装置は作動できない≫

機械の智代の頭の中で、語りかける声があった。
「!!…これは…私の人格プログラムのベースとなった、オリジナルの意思…!?」
ハッとした顔で視線を宙に彷徨わせる。
「何故だ!何故オリジナルが私の邪魔をする!!」

≪…約束したんだ≫

「約束…!?」

≪この桜並木は、いつか、鷹文と共に歩む道だから。だから、壊すわけにはいかない!≫

「弟との約束だと!?ふざけるなっ!くだらない愛情などさっさと捨ててしまえ!!」
649クラナド戦記第40話 3/4:2005/04/05(火) 00:33:51 ID:D4BaBkLu0
「捨てられるものか」
芳野がスパナを正面に構えていた。
「ぼろぼろになっても救ってくれる。生きる意味を与えてくれる。その愛を!」
高まる芳野の想いに呼応するかのごとく、スパナが光り輝く。
「捨てられるかぁーーーっ!!」
スパナが発する光が宙に何度も線を描く。そして―――

「くそぉーーーーーーーっ!!」
一際高い絶叫の後、智代の目から光が消えた。
「機械のお前には、永劫解らないだろうがな」
智代の機能停止を確認し、スパナを工具入れにしまう。
と、共に全身から力が抜け、忘れていた全身の痛みが蘇ってくる。
目の前で繰り広げられた死闘を思い返し、芳野は未だに生があることを感謝せずにはいられなかった。
「さて…余りゆっくりもしていられないな…相楽を追わなければ」
傷ついた体を引きずり、桜並木の坂道を下りて行く。

(みんな無事だろうか…相楽が付いていれば…まあ、大丈夫だろうが…)
一歩踏み出すたびに肋骨の辺りが激しく痛む。
(く…折れているかもしれないな…蹴られたところが熱い…)
それでも、仲間との再会の約束を果たすため、芳野は休むことなく坂を下って行く。
650クラナド戦記第40話 4/4:2005/04/05(火) 00:35:59 ID:D4BaBkLu0
と、芳野の視線の先、一本の桜の木陰に一人の女性の姿が在った。

「これで、勝ったつもりか?」

更にその奥の木、そのまた奥の木からも続々と女性が姿を現す。
「ば、馬鹿な…!」
思わず振り返る芳野。
彼の背後でも無数の女性が―――智代が、芳野を見つめていた。
「どうした?たくさんの女性に囲まれているんだぞ。」
何人もの、いや、何台もの智代が口を揃えて芳野に語りかける。

「こういう時は嬉しそうな顔をするものだ」


桜並木の坂道      011 芳野祐介   ラブアンドスパナ、ほか工具一式
桜並木の坂道      021 ドッペル智代軍団 プラズマ砲
651名無しさんだよもん:2005/04/05(火) 00:39:49 ID:cMzays1w0
リアルタイムキタ━━━━(゚∀゚)━━━━ッ!!

何だかよく分かんないけど、窮地だよっ!!!
652名無しさんだよもん:2005/04/05(火) 00:44:40 ID:iNB+Ct6+0
銀河ギリギリぶっちぎりの凄い奴思い出した。
メタルクウラ100匹
653名無しさんだよもん:2005/04/05(火) 01:03:10 ID:D4BaBkLu0
もちろんメタルクウラを参考にしましたw 
あの、満身創痍の状態で、無数の敵に遭遇する絶望感を伝えられたなら幸いです
654535:2005/04/05(火) 01:42:29 ID:hrcrI6xj0
何だかよく分かんないけど、まとめサイト更新したよっ!


5話か10話くらいごとに更新しようかと思います。
655名無しさんだよもん:2005/04/05(火) 05:13:32 ID:WUhhu8DrO
一匹一匹が智代クラスでプラズマ砲持ちだからなぁ、収拾大変そう。
656'ヽ/ヽ@派遣社員:2005/04/05(火) 07:55:10 ID:8VJyrwM/O
ぉぉおおおおおおおおおいぃぃいいぃいぃぃッッ!!!!!
657名無しさんだよもん:2005/04/05(火) 10:05:35 ID:9FfUrfmP0
>>655
少年漫画の王道で、集団になったとたんに弱体化するんじゃね?
658'ヽ/ヽ@派遣社員:2005/04/05(火) 10:07:38 ID:8VJyrwM/O
ぃいいいいいいみわかんねぇぇえぇぇぇよォォッ!!!!
659名無しさんだよもん:2005/04/05(火) 10:09:18 ID:9C76vpDQ0
救いage
660名無しさんだよもん:2005/04/05(火) 11:10:31 ID:D4BaBkLu0
>>654
芽衣編の整理までしてあって驚きました!銀河ギリギリぶっちぎりの乙です!

イメージイラストを凄く楽しみにしているんだけど、誰か描いてるのかな。
661名無しさんだよもん:2005/04/05(火) 11:17:49 ID:Fullv8aB0
早苗さんの「私のパンは世界を超えたんですねーーーーー!」に吹いたw
662名無しさんだよもん:2005/04/05(火) 11:22:59 ID:iNB+Ct6+0
…しまった。
銀河ギリギリはボージャックの方じゃないか…
ttp://www.geocities.jp/keitosawako/db-3.html
663名無しさんだよもん:2005/04/05(火) 16:04:45 ID:jECI3GiLO
今までに出た光は、芳野、幸村、智代、風子、公子の5個だよね?
光は全部で13個って書いてあったけど、残りの8個の光は誰の光なの?
例えば土方とかは光を生まないよね
664名無しさんだよもん:2005/04/05(火) 19:50:25 ID:/M2XWUnB0
原作通りだろう。
違うかもしれんけど。
665名無しさんだよもん:2005/04/05(火) 20:57:48 ID:J0uutqN60
土方さんを舐めるなよ。
土方さんは、
「無駄に元気なヤング達よ、夜中にバーバー走るくらいなら、ちょっとずつでいい!
オラに元気を分けてくれ!!」
つって集めたエネルギーを手のひらから光の玉にして出すぞ。
666名無しさんだよもん:2005/04/05(火) 23:51:19 ID:8TH1oXNZ0
意味わかんねえよ!
667名無しさんだよもん:2005/04/06(水) 00:01:56 ID:Fx/oU3m50
何だかよく分からないけど、行くよっ!
668名無しさんだよもん:2005/04/06(水) 00:07:31 ID:wjZnRYWq0
                 /゚    。
                / .  ゚
           , '    。  ・
` ー  _   -  '   ゜
。       .      。  ゚
    :     。
゚             .
  ヾ冖フ  ヾス
   [ ,]   [ ]     、_ノ、_人_人_人_人_人_人_人_人_人_人_
   |. i /l,ィ .!     ノ
.   !  }.r`'j7 !    _)  皆オラに光を分けてくれ!!
   ! `、亠 {     ヽ
    } _l _,l_,j      '^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^
    ヽシ_,-i {
     /`´~バ}
.   /   j !   ←土方
    ∧ '"/`,イ
   ! ヽ'/l_  j
  / \,/ }\,!
  .ァ、ヽィ  <`-イ
.  |. `iT.   ヽ j
  \ll'    `'
669名無しさんだよもん:2005/04/06(水) 00:11:08 ID:ukzds6z/0
元気玉
age
670名無しさんだよもん:2005/04/06(水) 00:22:35 ID:shNSPCx60
>>657
メタルクウラは増えても弱体化しなかったけどな。
671名無しさんだよもん:2005/04/06(水) 00:28:49 ID:ALTa8VDC0
なあ、暇な奴だけでいいからさ、
一番いいと思った話を挙げてみないか?
作る側のモチベーションも上がると思うし、
人を楽しませる文章を目指して質も上がると思うんだけども。
672名無しさんだよもん:2005/04/06(水) 00:52:10 ID:5hOIuDTr0
お、おいおい!
673名無しさんだよもん:2005/04/06(水) 01:04:06 ID:eIRLqqeL0
              /  ̄ ⌒  丶     / ̄ ̄ ̄ ̄
    _ -        /         \   |  もうちょっとだけ続くんじゃ
   /::::::::::;;;;;)     /ヘ   /⌒\    丶∠_____
  (:::::/;;::::::;;;;;;)   | へ : /___    ト〜 ー _
  ⊥::::::(;;::::;;;;;;;;;) ┌〜^~ /ー―ヽー/~) |    /  丶〜
 /:::::::::(;;;:::::);;;::く  |⌒~/R;;:  ::::;;;;;リ /∂| ):〜─ _ / \ ̄ ヽ
(;::::::::::::::::::::::;;;;;;;;;;;|  |_j|  丶___ノ   ;/| ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;`\/\:::::::\
 )::::::;;;;し::::::::::;;;;;;;ノ  | | ヘ   丿 rこノ~ノ⌒ー _;;;;;;;;;;;;;;;;;;; ::Y  \
し;:::::::::;;;;;;;;::::);;;;;;;;;;)   y し〜⌒〜、/:: r |;;;: \ ;:: |:| 〜  _ \  \
 \::::(:::::::::;;;;;;;;:ノ //        \J  |;;;::  ~;;;| |:|      フ\  \ |
  (;:(;:::::::;;;;;;;;;;;;ノ / /  人      ヽ:  ノ;;;::  ゝ |:|     r   \ ヽ)
    \::::::;;;;;;/ /  |  / ∨\     |:: /;;;::  /   |:|     /    丶 ヽ
    (::::::::;;/  /  | /    ヽ    | |;:: /    |:|    /      \
   (⌒  ̄ )ヽ  //|/      \   |r;:/
   r⌒  ̄ )し  //          ) \ )
674名無しさんだよもん:2005/04/06(水) 01:13:52 ID:apJ5Xwe1O
気に入ったのあげるのはいいが荒れそうで恐い。
必死な奴とかでてくるだろうし。
675クラナド戦記第41話 1/4:2005/04/06(水) 04:05:56 ID:YxOimYee0
腕を分解するごとに、赤い血の濃霧がだんだん濃くなっていく。
桜散る道はまるで梅の花が舞っているかのように赤く染まっていった。
芳野は腕からこぼれ落ちそうになるスパナを、両手でぎゅっと握って、体全体の力で持ち上げるように横に構えた。
「俺の愛はまだ尽きていない!」
頭の裂傷が目から顎にかけて血の河を作り出し、今ですらプラズマ砲は直線的に突進する芳野の皮膚を削り取っていく。
彼の進む道には、鋼鉄の瓦礫がどんどん積まれていく。
時間すら忘れるほど、だが一体どこまで彼は私を壊し続けるのだろうか?
「そうだな。足と手を切断し、人豚にでもしよう。これは歴史に初めて現れた女性がやった実に女の子らしいものだ」
スパナはそう言った智代を壊した。
その智代は横目づかいで”まだいるぞ”とでも言うように後ろの一列に歩いてくる智代を見ていた。
そしてその瞬間、芳野より早く限界がスパナにきたのだ。
尖った先の部分が半分根本からぽきりと音を立てて壊れてしまった。
心の支えであったスパナが折れ、同時に芳野にも限界が訪れた。
彼は桜の木に寄りかかり、ずずずと体を崩すように倒れ込んだ。
「まだ・・・俺は・・・風子を助け・・・公子。お前を・・・会って、助ける・・・」
智代たちは道に一列に並んで、銃殺刑をするかのように、プラズマ砲を構えた。
676クラナド戦記第41話 2/4:2005/04/06(水) 04:06:53 ID:YxOimYee0
「失礼します・・・これは!?」
土方はファミレスの地下へ芽衣を連れて行った。
そこにはMIOを破壊できる力が存在するからだ。と語尾を強くして彼は言ったのだ。
長い階段を抜け、鉄の重いドアを抜けた先には、芽衣が見たこともないような兵器があった。
重厚な鋼の化け物。
戦車がその空間に存在していた。
「前方に長く延びた砲塔と、被弾軽視を考えた傾斜のついた全面装甲、
トップアタック攻撃を回避するため、表面部の鋼を爆発させて遠くに吹き飛ばすERA(爆発反応装甲)が鋼鉄の重厚さをかもしだしておる。
中身もすごい!衛星とのデータリンクによって敵位置がマップ上に光点で示され、砂嵐や大雪でも射撃管制に不備は一切存在し無い!
装甲防御力も前作メルカヴァMK4とは桁違いであり、」
「店長・・・芽衣さんが対応に困ってますよ」
芽衣は愛想笑いを浮かべて、まるでカーネルおじさんみたいに笑顔を硬化させていました。
「いやいや、メルカヴァのすばらしさに圧倒されておるのじゃよ。それでな・・・」
「説明が長いんですよ!たくっ軍オタはこれだから・・・店長は棺桶戦車チハにでも乗っていてください」
「いいよ。チハたんバンジャーイ」
「うぜぇ・・・」
677クラナド戦記第41話 3/4:2005/04/06(水) 04:07:33 ID:YxOimYee0
「あの、お話を割って申し訳ないんですが、この戦車を使ってMIOを攻撃しろということなんですね」
「はい。そして、あなたが操縦者だ!」
ぴきーんと指を指すウェイトレスのお姉さん。
すいません。言ってることがよくわかりません。
「え!ちょっと待ってください。私は日本に住む普通の女子中学生なんです。それをわかっていますよね?こんなの操縦できるわけがありません」
「あなたには光の力があるんです!」
しゃきーんと芽衣の肩を抱き、空をゆびさすウェイトレスのお姉さん。
「うわぁ・・・それわしがやりたかったのにぃ」
スパロボもののノリについていけない芽衣は、キティちゃんのような能面顔になってしまいます。
「え?ですから、たぶんできないと思います。お詳しいあなた方がやったほうがよいと思うんですが・・・」
「メルカヴァMK5は人命尊重と電子機器の発達で必要乗員数は2名になったのじゃ。ということで詳しい操作説明はもう一人の操縦者に聞いてくれ」
「CLANの存亡この一戦にあり各員一層の努力をせよ!ホホホホホ」
芽衣は引きずられて、コックピットによいしょっとつっこまれました。
そうすると、画面の電子機器が一斉にぴかっと映りました。
男臭い外見とは裏腹に、芽衣の家にあるTVより繊細で綺麗な画面が映し出され、クーラーも効いて涼しく快適な乗り心地です。
「これってプラズマかな・・・たぶん違うよね。なんか、悔しい」
「そのレバーを引いてくだサーイ」
678クラナド戦記第41話 4/4:2005/04/06(水) 04:08:32 ID:YxOimYee0
メガホンから声が出されています。
芽衣は頭に装着し、指で集音器を口に当てました。
「え、ホントにやるんですか!?私はただの女子中学生でして・・・」
「中学生?ノンノン気にしない。私はただのインド洋よりちょっと西の、地中海よりちょっと東の、ただの某外国人デス。YOUは守りたいものがあるんでショウ?」
「え・・・はい」
芽衣の頭に春原の白歯を立てて笑った姿が思い浮かびました。
「頭の画像は置いておいて、そうです」
「私にも守りたいものがあるんデース。」
芽衣は決心したように、頭を振った。
それと同時に床がぐんぐんと上がって、戦車は公園に現れた。
「では、イキマース!学校の坂下へ!」
「あれ?病院に行くんじゃないんですか?」
「守りたい同僚がいるんですヨ・・・そこには。」
「あ、すいません・・・えぇっと・・・お名前を伺ってよろしいでしょうか?私は春原芽衣」
「砂漠のジョニーと呼んでクダサーイ」
「わかりました。では・・・発進致しますね」
芽衣はマニュアルをざっと読むと、戦車を最大速力時速80kmで猛然と走らせた。
(待ってて、お兄ちゃん!)
679クラナド戦記第41話 4/4:2005/04/06(水) 04:15:45 ID:YxOimYee0
桜並木の坂道      011 芳野祐介   工具一式
桜並木の坂道      021 ドッペル智代軍団 プラズマ砲

公園    欠番 春原芽衣 メルカヴァ操縦席
      欠番 ジョニー メルカヴァ砲塔

ファミレス 欠番 土方店長 不明(店には大量の物資)
      欠番 ウェイトレス 不明

         
680灯籠 ◆LAMPq94ziM :2005/04/06(水) 04:53:50 ID:bwrFYUxQO
GJ!
外人誰だと思ってたらジョニーがいたか…
681名無しさんだよもん:2005/04/06(水) 10:52:39 ID:Ymcm5pk/0
意味わかんねえよ!
682名無しさんだよもん:2005/04/06(水) 11:53:05 ID:GZXMJKS/0
ジョニーキタ━━━━━(゚∀゚)━━━━━!!
683名無しさんだよもん:2005/04/06(水) 17:06:05 ID:apJ5Xwe1O
何だかよくわからないけど、いくよっ!
684名無しさんだよもん:2005/04/06(水) 22:17:48 ID:CixrVZqx0
戦車一台で敵の本拠地に乗り込ませたら、思いっきり由紀寧の二の舞でわ。
685名無しさんだよもん:2005/04/06(水) 22:46:37 ID:ukzds6z/0
どうした門下(´<_`)
686名無しさんだよもん:2005/04/06(水) 23:10:05 ID:WoGL+vBn0
戦車はアレよ。
きっと光パワーでシオマネキに変身するんだ!
687クラナド戦記第42話 1/5:2005/04/06(水) 23:45:50 ID:vARD0nnK0
芳野の顔を四方からプラズマの眩い光が照らす。
「おれは…負けない…」
「まだ口をきく余力が残っているのか。呆れたしぶとさだな…」
智代たちの群れが蠢く。
「だが頼みの綱のスパナも折れた今、今度こそ貴様の負けだ」
芳野は折れたスパナを握り締めた。スパナから、力が流れてくる。
「スパナが折れようが関係あるか!俺の心はまだ折れていない!」

スパナが光輝き、本来の姿を取り戻す。
「何て男だ…いいだろう…」
智代軍団が一斉にプラズマ砲を収納する。
「もはやお前を人間ごときと馬鹿にはしない。最強の敵と認め、こちらも最高の技で葬ってやろう。」
無数の智代たちが陣形を整える。

「今我々が何台残っているか教えてやる。64台だ。」
「それがどうした?」
「この64台が今から64撃ずつお前に蹴りを浴びせる。私の奥義、『64×64コンボ』、その身で味わうがいい」
「ああ…来い!」
その声を合図に智代たちが一斉に地をける。そして―――――
688クラナド戦記第42話 2/5:2005/04/06(水) 23:47:03 ID:vARD0nnK0
ズドン!
鋭い蹴撃が芳野の体を宙に浮かせる。
「ぐっ…!!」
息がつまる。しかし痛みは無かった。
すでに痛覚を麻痺させるほどのアドレナリンが芳野の脳から分泌されていた。
その高揚感は、ドラッグによるものと似ている。しかし、芳野の頭はあくまで冷静なままだった。
ズドン、ズドン!
次々と、突風のように、眼にも留まらぬ蹴りが芳野に襲い掛かる。
しかし、そんな状況下で芳野は―――――

―――――音を、聴いていた。

自分の骨がミシミシと軋む音。64台の智代が大地を蹴る音。
鋭い蹴りが空気を割く音。体に足がインパクトした時の音。

(聞こえる…やつらが織り成す連続技のメロディーが!)

智代たちは気付いていなかった。
寸分のタイミングの狂いも許されない連続技。
それを繋げる中で生まれてしまった、自分達の動きの法則性に。
そして、その法則を芳野が『音楽』として理解したことに。
689クラナド戦記第42話 3/5:2005/04/06(水) 23:48:16 ID:vARD0nnK0
「ここだっ!」
芳野のスパナが一台の智代の踝を捉えた。
「馬鹿なっ…!?」
うろたえる智代を尻目に、一気にスパナを回転させる。
智代の足が空中で音を立てて分解された。

「次は、右だ!」
芳野の右方から襲い来る、次なる智代。
しかし、その攻撃もスパナが受け止める。 そしてまた一台の機械が部品へと帰した。
(何故だ?何故こいつは私たちの攻撃が読める!?)
機械の頭脳の中に混乱が生じる。

(まさか攻撃に法則性でもあるのか?そんなはずはない!あれば私のコンピュータが解析しているはずだ!)
機械の出す結論とは裏腹に、目の前で次々と智代が分解されていく。
「ちっ!やむをえんっ」
智代たちが攻撃を止める。
「どうやったか知らないが、まさか『64×64』まで破られるとはな…!かくなる上は――――」
690クラナド戦記第42話 4/5:2005/04/06(水) 23:49:22 ID:vARD0nnK0
「チョト待ってクダサーイ!」
素っ頓狂な声が場に響く。
「じょ、ジョニーさん!?生きていたのか…!」
芽衣とジョニーが桜並木を駆け上がってきていた。
「助けに来マーシタ!本当は戦車で来たんデスが、仲間たちにまで砲弾が当たりかねないのでデ置いてきマシタ…」

ジョニーの言葉に、芽衣はふと違和感を覚えた。
「ジョニーさん…仲間…『たち』って…?助けに来たのは芳野さん一人でしょ?」

「まさかあなたが来てくれるとはな…助かったぞ」
智代が親しげにジョニーに話しかける。
「可愛い娘たちが壊されるのを黙って見てられマセーン」
ジョニーが智代の肩を愛おしそうに撫ぜる。
「既に何体かの『同僚』は壊されてしまったようデスが…また作ればいいことデス」
「な、何を言ってるの…?」
芽衣の顔が恐怖に染まる。
691クラナド戦記第42話 5/5:2005/04/06(水) 23:50:26 ID:vARD0nnK0
「理解が遅いデスね…こう言ってるんデスよ。」
ジョニーの顔つきがさっきまでと変わっていた。

「ミーはMIOが放ったスパイだったト」

「う、嘘…」
芽衣の顔が青ざめる。
芳野が芽衣を庇うかのように一歩前に出た。
「ジョニーさん…あんた…!!」
「感謝してクダサーイ…」

「MIO三幹部の一人、砂漠のジョニーの手で葬られることをネ!」



桜並木の坂道      011 芳野祐介   ラブアンドスパナ含む工具一式
               021 ドッペル智代軍団 プラズマ砲

               欠番 春原芽衣 グロック
               欠番 ジョニー 戦車(坂下に停車中)
692クラナド戦記第42話 1/4:2005/04/07(木) 00:03:59 ID:GdHAEjZk0
戦車内のディスプレイには、衛星とのデータリンクにより桜並木周辺のリアルタイム画像が表示される。
芽衣が戦車を操縦する中、その画面にじっと見入るジョニー。
ふいに、画面内の光点のひとつが弱々しく瞬きを始めた。
「What……?」
光点はまもなく消え去り、ジョニーははっとして叫ぶ。
「ジーザッス……! ユースケの《光》の反応が消えマーシタ!」
「ユースケ? その人が、ジョニーさんの同僚?」
「イエス、イエース! 速やかに現場に急行せねば彼の命の危険がRED ALERTデース!」
芽衣が聞き返すと、ジョニーは大声でまくしたてた。
ナビゲーション画面を見て、操縦する芽衣は言いにくそうに返す。
「でも、この距離じゃ間に合わない! あと少しなのに!」
「今は1秒でも惜しいデース……!」
衛星画像をにらみつけるジョニー。
必死に手立てを考える。どうすれば、どうすれば芳野に助力ができる?

***

芳野は両膝を屈し、桜の幹に力なくもたれかかる。刀折れ矢尽き、といった風情だ。
骨を蹴り折られ、全身を高熱に焼かれ、生命力も気力もとうに朽ちていた。
「はぁ……はぁ……」
その手にあったただひとつの武器も、もう残っていない。
喘ぐように息をするだけの芳野に、複数の声が降りかかる。
「この私たち殺戮機械を前にしながら、愚かでひ弱な一匹の人間がよく戦ったものだ」
「だが、それもここまでのようだな」
満身創痍の芳野を見下ろす、智代型自律戦闘機械の群れ。
鋼鉄の軍団が構え筒の姿勢で、プラズマ砲の左腕をずらりと並べていた。
「善戦に敬意を表して、苦しませず一瞬で焼き殺してやろう」
「無数の火球の高熱に焼かれ、原子一個も残さず解離されるんだ」
「どうだ、女の子らしいだろう」
いくつもの宣告が浴びせられる。
それらの意味はただ一つ――芳野祐介の、絶対的な死。
693名無しさんだよもん:2005/04/07(木) 00:05:27 ID:GdHAEjZk0
ごめんなさい。orz
694名無しさんだよもん:2005/04/07(木) 00:07:08 ID:voyvJnpN0
なんだか裏切りとかスパイとか多すぎるけど行くよっ
695名無しさんだよもん:2005/04/07(木) 00:07:45 ID:NtGicA9V0
・・・ついにこの瞬間がきたか。
696名無しさんだよもん:2005/04/07(木) 00:18:55 ID:5fdPdrgI0
裏切りは良い。
先が読めない。
・・・それとも俺が馬鹿なだけ?
697名無しさんだよもん:2005/04/07(木) 00:20:04 ID:bsP6TWjU0
>>691の作者ですが、>>692の方がクオリティ高くて鬱ですw
>>692の続きも凄く気になりますし…

とりあえず>>692の話も全部出してもらって、どちらを取るかそれから選ぶとかはナシですか?荒れる元ですかね

698'ヽ/ヽ@引っ越し中:2005/04/07(木) 00:31:41 ID:CbHTTnX5O
お、おいおい!
699名無しさんだよもん:2005/04/07(木) 00:36:10 ID:GL6j5Kxp0
お前、それおいおいじゃなくて丸井って読むんだよ!
700'ヽ/ヽ@引っ越し中:2005/04/07(木) 00:38:59 ID:CbHTTnX5O
いや、意味わかんねぇよ!
701名無しさんだよもん:2005/04/07(木) 00:40:33 ID:GdHAEjZk0
>>697
スレの皆さんの決定に従います。
僕のは戦車がドッペル軍団を倒すってだけの話なので、まったく深みがないですorz
702名無しさんだよもん:2005/04/07(木) 00:55:16 ID:bsP6TWjU0
>>701
僕はジョニーが味方になると、敵キャラが不足して今後の話が動かしにくくなるかなと思ったんです
芳野とジョニー、同じ工作に携わるもの同士、因縁もあるかなと思って、こういう展開にしました
ただ、ドッペル軍団でやれるネタは出尽くした感があるんですよね…
この辺でドッペル軍団を倒した方が話が広がりそうですね…
703名無しさんだよもん:2005/04/07(木) 10:26:48 ID:3a+jJtJd0
ひとまず>>692さん書いてみて下さい
704名無しさんだよもん:2005/04/07(木) 11:16:19 ID:0A1Twfim0
混乱するからやめようぜ
705名無しさんだよもん:2005/04/07(木) 15:42:37 ID:HPTs7wFm0
裏切りはギリギリまで味方だと信頼してた奴がやるから面白いんであって、
一話前で”味方”のラベルを貼られたばっかりの奴が”実は敵でした”って言われてもな…。
俺は>>692のも見てみたいな。
706名無しさんだよもん:2005/04/07(木) 16:47:20 ID:wDNda/Q90
とりあえず意味わかんねえよ!
707名無しさんだよもん:2005/04/07(木) 20:19:34 ID:voyvJnpN0
スレの方で多少混乱してもまとめサイトがあるしな
708名無しさんだよもん:2005/04/07(木) 23:33:50 ID:o1RouIVA0
お、おいおい!
709692:2005/04/08(金) 01:38:21 ID:nXFUMoGk0
お蔵入りも惜しいものですし、とりあえずトウカしてみます。
>>687-691さんに取って代わるつもりはありません。NG等出ても文句は一切言いません。
万が一トラブルがあったら>>692と今からのは存在しなかったものとして進行してください。
レス数は5です。(1/4は間違いでした)
710クラナド戦記第42話 2/5:2005/04/08(金) 01:40:58 ID:nXFUMoGk0
まるで計ったように同時に、目の前に並んだあまたの砲口に火が灯る。
それはいつか昔、ショウビズの舞台で自分を飾った無数のスポットを思い起こさせた。
灯火は照らし出すのだろう。観衆の望む俺の姿を。かつては自分の歌を、今は自分の死を。
(ここまでか……)
芳野は観念とともに目を閉じる。
それでもなお、眩しすぎる火球は瞼を貫いて感じられる。
そして――

ひときわ大きな、すべてを包み込む炎と爆音と衝撃が届いた。

……何が起きたのか、芳野には理解できなかった。
「何が起きた!?」
「縦隊後方に6時方向より被弾! 120-125mm級の戦車砲榴弾と思われる!」
「ただちに部隊を展開し、迎撃する!」
「プラズマ砲列構え筒! その人間は後だ!」
機械たちの怒声が聞こえる。
……なぜ俺は、生きている?
……なぜ、機械たちは大騒ぎをしているんだ?

***

砂漠のジョニーと恐れられた彼の戦術判断は、素早かった。
戦車の到着が間に合わないと見るや、彼は叫んだ。
「こうなったら他に手はナッシング! "Indirect Fire" を使いまショウ!」
「インダイレクト・ファイア? 何それ? どこのインディーズバンド?」
芽衣は怪訝に首をひねる。
「オゥ、ソーリー。アナタの知ってる言葉で言えば『間接照準射撃』デース」
「知らないよ……」
間接照準射撃――
古くは別働隊(前進観測班)の観測報告、今では衛星画像などの電子情報をもとに間接的に目標位置を知ることにより、
砲撃手が直接視認していない敵を砲撃する技術である。
711クラナド戦記第42話 3/5:2005/04/08(金) 01:43:21 ID:nXFUMoGk0
「へえ、そうなんだ。でも、それってすごいいい加減じゃない?」
視界内にない敵を撃つだけに、射手の技量が強く求められるものでもある。
誤射の危険が高まるのはどうしようもない。湾岸やイラクでの米軍の戦禍を見れば明らかだ。
「それはオフコース、ミズ・スノハラ!! アナタの腕を信じてマース!」
「えええーっ!?」
「この急な坂道で主砲に仰角がついている今しか、間接照準射撃のチャンスはアリマセーン!」
「できるわけないじゃん!! ありえなーい!!」
「人の命がかかっとるんデース! さっさと撃ちなサーイ!!」

……そして、その戦果がこれ、というわけだ。
まもなく、無限軌道が地面を削る轟音とともに、戦車の巨体が坂道の下から這い上がってきた。
ハッチからは、異国風の顔立ちをした男が身を乗り出す。
「ヘイ、ユースケ! 聞こえマスカー!?」
「……そ……その声……は……?」
同じ釜の飯を食った、あいつの声。
「よく聞きなサーイ! 《光》とは、アナタの『想い』がカタチを託されたものデース!
 アナタの心が折れたとき、《光》もまた折れるのデース!」
「……俺の……心……が……」
「諦めてはいけまッセーン! アナタにあってファッキン(くそったれ)マシーンどもに無いモノ、
 それは誰かの幸せを強く想う、アナタのHOTなハートデース!!」
「……HOTなハート……」

音が聞こえる。
それは、旋律。
バスドラ三発。三発目に重なるハンドクラップ。
うねる。高まる。鼓動。熱気。それが合図。
マイクを手に取る。リードボーカルだ。

「それが……愛……か」
誰かのために、自分のために。歌うこと、忘れないこと……。
生命としての役割を止めかけていた芳野の指が、大切な何かを思い出したようにぴくりと動いた。
712クラナド戦記第42話 4/5:2005/04/08(金) 01:45:21 ID:nXFUMoGk0
「敵戦車発見! イスラエル陸軍制式MBTメルカヴァの改良型らしい」
「ERA(リアクティブアーマー)の増装甲を施しているな」
プラズマ砲を構えた機械たちが、迫り来るジョニーの戦車に相対した。
「ヘイ、このスクラップども!! 騎兵隊の参上デース!!」
「ばかめ! ERAはあくまで、成型炸薬弾のモンロー効果に対抗するためだけの装甲!
 凡百の劣化ウラン弾でさえ貫通できるそんなもので、このプラズマの砲列を防げるものか!」
「撃てーっ!!」
規則正しく並んだ砲口が、横殴りの雨のような無数の火球を投げ放った。
だが飛来するプラズマ球を確認し、ジョニーはあくまで冷静。
火球で埋め尽くされるディスプレイに、芽衣は狼狽する。
「ジョ、ジョジョジョニーさん、どうするの!?」
「Hahaha……2005年の現在、イスラエル陸軍に就役するMBTは『メルカヴァMk“4”』が最新デース。
 にもかかわらず、この戦車が『メルカヴァMk“5”』である理由……
 そう、未来からやってきたアメィズィング・テクノロジーの片鱗をお見せしまショウ。
 ミズ・スノハラ、左手のブルーのレバーを思いっきり引き、叫びナサイ!」
「え? え、えと、こうですか!?」
がくんとレバーが移動する。芽衣の操作に呼応するように、戦車がかすかに揺れる。

「「テスラ・フィールド!!!」」
芽衣とジョニーが同時に絶叫を発した。

「これは……!?」
この上なく正確な狙いで戦車を目指したプラズマ球が、ことごとくその軌跡を反らしてゆく。
ラザフォード散乱の実験のように。不可視の盾がそこにあるかのように。
それはまるで、神の見えざる手が、ジョニーと芽衣を危険から護るかのように。
「ジョニーさん、これスゴーイ!」
「アハン? 核融合炉に応用されているプラズマ磁場閉じ込めと同じ原理デース。
 戦車の周りに強力な磁場を生み出し、フレミングの左手の法則でプラズマを弾き飛ばしマース。
 ちなみに弾丸が鉄かニッケルかコバルトでできていれば、実体弾も防げマース!」
モーゼの十戒伝説のように、戦車はプラズマの大波を大胆に渡ってゆく。
磁場の障壁を盾に、ぎりぎりと戦車は機械の隊列に迫る。
713クラナド戦記第42話 5/5:2005/04/08(金) 01:48:02 ID:nXFUMoGk0
智代の形をしているだけの機械に、動揺という感情は本質的に存在しない。
にもかかわらず――それらの動作には、明らかに混乱の色が見てとれた。
「くっ、撃つな! プラズマはテスラフィールドに防がれる! 電力の無駄だっ!」
「かくなる上は人海戦術だっ! 突撃して砲塔上部ハッチを破り、乗組員に直接攻撃、破壊する!」
自律戦闘機械の群れが、軍隊アリの絨毯のようにわっと戦車へと飛び掛かる。
それを狙い済ましたように、ジョニーはハッチを開け、砲塔上部の機関銃座についた。
「Hahaha……アナタがたゴッドフォーセイクン(神に見捨てられた)ロボットどもに
 人間と同じ天国があるかどうか知りませんが、あるなら冥福を祈りマース! エイメンッ!!」
機関銃は1分間に1000発の12.7mm徹甲弾をばらまく。
大陸の大瀑布をちょうど90度傾けたような、濁流のような機関銃弾が軍隊アリの絨毯に押しかかった。
軍隊アリの最前列を、鋼鉄の滝がじりじりと削ってゆく……。
「ひるむな! 私たちには生への執着も、死へ」 一機が被弾し、機能を停止した。
「死への恐怖も存在しない! 他の全機が破壊されて」 一機が被弾し、機能を停止した。
「他の全機が破壊されても、たった一機が目標まで辿り着けば勝利だ」 一機が被弾し、機能を停止した。
……智代の絨毯は、先細りになりながら、確実に戦車へと収束していく。
「シット! ミズ・スノハラ、アナタも援護してクダサーイ! 敵が多すぎマース!」
「がってーん!」
ハッチから身を乗り出した芽衣も、車内に備え付けのPDW(短機関銃)で弾幕を張る。
714クラナド戦記第42話:2005/04/08(金) 01:49:57 ID:nXFUMoGk0
どのくらいの時間、撃っていたのだろうか。芽衣はすでに泣きそうな顔になっていた。
「ジョニーさあん、弾が切れたよう」
「ジ、ジーザッス! しぶといマシーンどもデスネー!? ……オゥ、ウップス!?」
カキン、カキンと軽い音が、ジョニーの指先のトリガーから跳ねた。
機械の軍団を破壊しつくし、鋼鉄の瓦礫を山のように築いて、――そうして機関銃座の弾が尽きた。
「寄り切ったぞ……」
金属の冷たい手が、ジョニーの首根っこをつかんで言う。
残りのすべては撃破したのだ。最後に撃ちもらしたのは、たった一機。
絨毯の先端に躍り出た最後の一機が、登頂を果たしたように、機関銃座に登りつめていた。
「そうだ。私は……私たちは、しぶといぞ。勝利を諦めない姿勢、実に女の子らしいだろう」

――はるか先の桜の根元。
――すでに戻っていた。男の目には生命の光が。男の手には勝利への鉄塊が。


桜並木の坂道      011 芳野祐介   所持品:ラブアンドスパナ含む工具一式
               021 ドッペル智代軍団 所持品:プラズマ砲
               欠番 春原芽衣 所持品:グロック18C
               欠番 ジョニー 所持品:不明


「本文長すぎます」とか言われて予定レス数超過してしまいました。ごめんなさい
715'ヽ/ヽ:2005/04/08(金) 01:53:00 ID:MNQMebRpO
ピューっと吹くジャガー思い出して笑いながら読んだのは俺だけではないはずだ。
716名無しさんだよもん:2005/04/08(金) 02:43:24 ID:g4GeisJUO
>>687の作者です
2つの42話のうち、どちらを取るかについてですが、その選択は後の人に任せませんか?
次に芳野編の続きを書く人が自分の書きたい方を選び、
選ばれた方を公式の42話にすれば、後腐れなく治まると思います。
717名無しさんだよもん:2005/04/08(金) 09:48:18 ID:XwYGGf0C0
ID変わってますが692です。
次の書き手さんに任せる、で賛成です。
718名無しさんだよもん:2005/04/08(金) 17:43:57 ID:hB61gaPY0
おいおい!
719名無しさんだよもん:2005/04/08(金) 19:54:35 ID:YiZB7zsd0
意味わかんねえけど、応援したいよっ!
720名無しさんだよもん:2005/04/08(金) 23:37:04 ID:38MyDjDD0
>>715間池留
意味わかんねえよっ!
721'ヽ/ヽ:2005/04/08(金) 23:50:07 ID:MNQMebRpO
芳野がギター弾きながらギターマンとか出したらおもしれぇのに。
722名無しさんだよもん:2005/04/09(土) 00:15:39 ID:tyBRuZHk0
何だかよく分かんないけど、お前も書けよっ!!
723名無しさんだよもん:2005/04/09(土) 00:32:48 ID:Omz8eE7A0
お、おいおい!!
724名無しさんだよもん:2005/04/09(土) 01:13:47 ID:pOcCwuSL0
意味わかんねえよ!
725名無しさんだよもん:2005/04/09(土) 01:46:35 ID:nNKV4HTQO
─────なんだかよく分からないけど、


               行くよ・・・・。
726'ヽ/ヽ:2005/04/09(土) 02:09:16 ID:3D8xCEXYO
アナタの心が折れたとき、
727名無しさんだよもん:2005/04/09(土) 11:15:57 ID:IJ93uPH/0
プラズマはテスラフィールドに防がれる。
728名無しさんだよもん:2005/04/09(土) 11:56:11 ID:TA2rUjDQ0
>>721
決めゼリフは「クラナドじゃ2番目だ」
729名無しさんだよもん:2005/04/09(土) 20:27:31 ID:EPIvAOpC0
意味わかんねーよ!
730名無しさんだよもん:2005/04/09(土) 20:47:59 ID:LQUjjL2U0
なんだかよくわからないけど、じゃあ1番は・・・?
731名無しさんだよもん:2005/04/10(日) 00:10:17 ID:klrHCSpL0
何だかよく分かんないよっ!
732クラナド戦記第43話 1/4 :2005/04/10(日) 09:38:31 ID:fmjmSQuT0
桜並木は暗闇に包まれていた。
夜桜は風にそよぎ、満開の木々から朝から夜まで降り続いた桜が石畳の道を桃色に染め上げていた。
坂道に芳野祐介は存在しない。
いるのは、たった一人。
レイジングヒトデを手に持った伊吹公子が待ちくたびれたように背中に手を組んで、木に寄っかかっているのみだ。
彼女は不安そうに、体の周りを回転する二つの魔法円を夕方からじっと見続けていた。
いや正しくない、初め回っていたのは数十個の魔法円であった。
それが、だんだんと減り、この二つの魔法円だけになったのだ。
消えない魔法円をぴんと指ではじくと、彼女はがっくりと腰を落として体育座りをした。
「消えてください・・・お願いだから。祐介さん・・・頑張って」
733クラナド戦記第43話 2/4:2005/04/10(日) 09:39:08 ID:fmjmSQuT0
「い、いや!誰か!誰か助けて!」
勝平はだらしない顔を向けて、椋にじりじりと近寄っている。
「いいじゃん。これから楽しいことするんだから」
「うっ・・・ぐす・・・うぇ・・・お姉ちゃん助けてぇえ・・・・」
椋は冷たい牢獄のような地肌をさらした床に泣き伏した。
勝平はあきれるように肩をすくめると、
「ま、逃げられないから」
と言った後、重苦しい鉄扉をドンと大きな音を立てて閉めて、大きな居間に出た。
「五月蠅いの・・・」
ことみが目をこすってソファーに寝ころんでいた。
「あれことみちゃん起きてたの?」
「そうなの・・・ちょっと賢帝さんに頼まれて、重い計算をしたら、デフラグ(最適化)するのに時間が掛かってよく眠れないの」
「賢帝?ああ、公子ちゃんのことね。そういえば、夕方から見かけないけど」
「んっとね・・・なんでも、愛で地球を救うらしいの。さすがプロ市民の日教組なの。アハハ」
ことみは突然奇声をあげた。
「気持ち悪いなぁ」
「それでなの。それを魔法による思考分岐空間で証明するらしいの」
「思考分岐空間?」
「考え得る限りの仮想的実験を脳内で行う。これを思考実験というの。もし、この思考実験で絶対にある事象の存在を確認できないとしたら、それは背反的にその事象が絶対に存在することを証明するの。有名なところではシュレディンガーの猫があるの。」
「思考実験ねぇ。でもさぁ、人間の脳の考えることなんて、限界が無くない?ボクだって、時々さっき言ったこと忘れたりするしさ。妄想なんていくらでも考えちゃう」
「・・・あなたが言うとなんとなく納得できるの。そう、その弱点を150年先の未来を読むことができる私の力を使って、全てのパターンを考えるわけなの」
734クラナド戦記第43話 3/4:2005/04/10(日) 09:40:14 ID:fmjmSQuT0
「ふぅん。機械で全て考えちゃうんだ。でもさー機械なんてボクは信用できないけどね。計算と現実は違うしー」
「だから、この思考実験を現実にするの。魔法の力によって」
「魔法?」
「賢帝は仮想的な現実をもう一つ作りだし、そこで苦難にぶつかり多岐に分岐していくあらゆる現実が、それを乗り越えられることによってその事象を視、聴、味、触、味覚の五感を用い、明示的に証明しようと試みたの」
「え・・・?」
頭にハテナを浮かべる勝平にあきれて、ソファーに毛布を掛けて、ことみは寝る準備を始めた。
「要はなの・・・芳野祐介さんが愛で全ての困難を乗り越えれば、よいということなの。もし一つでもできなければ、その困難を永久に繰り返す。
もう一つの現実の終わらぬ輪廻を繰り返すの
老いることもなければ、何を学ぶでもない。永遠の無為な繰り返し。それは誰にも助けてはもらえないもの。術者ですら、助けることはできない・・・

「・・・怖いね」
勝平はそう言いつつ、顔をでれんと崩した。
Yシャツからことみのたわわな胸の谷間が見えたからだ。
「むにゅむにゅ・・・他人の不幸は蜜の味なの」
735クラナド戦記第43話 4/4:2005/04/10(日) 09:41:06 ID:fmjmSQuT0
芳野祐介は智代と戦っている最中に公子の思考分岐空間に知らず知らずのうちに入り込んでしまったのだ。
おかしく思わなかっただろうか?ドッペル智代というアンドロイドがプラズマ砲を手に持ち、どこに隠れていたのか何百体も出現し、
あまつさえイスラエル製の戦車が何の変哲もないレストランの地下から飛び出てくるおとぎ話を、この矛盾に満ちた不思議としか言い表せない空間を現実と思えるか。
この思考分岐空間は数ある苦難を統一的にこなしていたが、ここで仲間の裏切りと仲間の危機という二つに分岐した。
その二つを彼は乗り切り、現実の夕闇の桜並木に帰ってこられるだろうか。
736クラナド戦記第43話 4/4:2005/04/10(日) 09:47:00 ID:fmjmSQuT0
桜並木の坂道(現実)005 伊吹公子 「レイジングヒトデ」
MIO本部      007 柊勝平 008 一之瀬ことみ 003 藤林椋
桜並木の坂道(仮想)011 芳野祐介

どちらも捨てがたいので、二つとも使うのはだめですか?
737名無しさんだよもん:2005/04/10(日) 10:27:32 ID:QGILWhwb0
なんだかよくわからないけど、凄いよっ!

要するにスレ内で物語が2つに割れてしまって、
それが思考分岐だかなんだかで分岐した二つの流れですよ、と。
おいおい、自分で言ってて意味わかんねぇよ!
でもGJです。
738名無しさんだよもん:2005/04/10(日) 11:01:07 ID:klrHCSpL0
意味わかんねーよ。
739名無しさんだよもん:2005/04/10(日) 11:06:43 ID:3SyANF4c0
うむ、マジで意味わかんねえよっ!
740名無しさんだよもん:2005/04/10(日) 11:28:42 ID:Kwa1W0zT0
優しく言い直すと夢オチなんだろうけど、行くよっ!
741位置と装備まとめ1/2:2005/04/10(日) 12:12:07 ID:F/x8M3yh0
・商店街の書店
001 岡崎朋也 所持品:唐揚げ弁当
002 藤林杏 所持品:辞書いっぱい

・校舎周辺を移動中
012 古河秋生 所持品:タバコ、ライター、バット
013 古河早苗 所持品:レインボーパンほか
014 古河渚 所持品:なし
018 仁科りえ 所持品:多数の武器

・桜並木の坂道(現実)
005 伊吹公子 所持品:レイジングヒトデ、ゼウクシスの魔筆、智代の『光』

・桜並木の坂道(仮想)
011 芳野祐介 所持品:ラブアンドスパナ含む工具一式
021 ドッペル智代軍団 所持品:プラズマ砲
欠番 春原芽衣 所持品:グロックC18
欠番 ジョニー 所持品:不明

・桜並木周辺
004 春原陽平 所持品:銃、某ラジカセ(岡崎ラップ入り)
006 伊吹風子 所持品:ヒトデ
009 相楽美佐枝 所持品:銃、洗濯ロープ、リュック(中身不明)
016 徳田悠作 所持品:なし

・桜並木周辺を移動中?
017 坂上智代 所持品:不明
742位置と装備まとめ2/2:2005/04/10(日) 12:13:26 ID:F/x8M3yh0
・MIO本部
003 藤林椋 所持品:本屋でぱくった占いグッズ(奪われたかも?)
007 柊勝平 所持品:44マグナム
008 一之瀬ことみ 所持品:多数の武器
欠番 幸村俊夫 所持品:獅子王
欠番 一ノ瀬ことみ 所持品:なし
宮沢有紀寧(勝平の支配下) 所持品:不明

・ファミレス
欠番 土方店長 所持品:不明(店には大量の物資)
欠番 ウェイトレス 所持品:不明

・幻想世界
欠番 岡崎汐 所持品:不明
欠番 ガラクタ 所持品:不明
欠番 一ノ瀬ことみ(純粋知性体) 所持品:不明
欠番 幸村俊夫(純粋知性体) 所持品:不明

・現在地不明
欠番 岡崎直幸 所持品:四條から買った『光』

(010小川一哉、019杉坂、020スメルライクティーンスピリッツは戦闘不能)
743名無しさんだよもん:2005/04/10(日) 12:39:16 ID:dv0qMf670
GJ!
両方の戦いが終われば現実に戻って来れるのか
そうすると芽衣とジョニーの扱いはどうなるんだろう
744'ヽ/ヽ:2005/04/10(日) 14:05:31 ID:i34hsmTtO
お、おいおい!
745名無しさんだよもん:2005/04/10(日) 16:06:14 ID:zchIb6+E0
意味わかんねーよ!
746クラナド戦記第44話 1/4:2005/04/10(日) 16:11:41 ID:pgJwHnl/0
夜の帳がつるべのように落ちてゆく。
急速に闇夜に覆われる深い雑木林の中を、歩きつづける四人がいた。
彼らの目指すは、丘の上に見える病院。そこには生存者がいるかもしれない。
そして、その窓から一瞬見えたあの光の正体も気にかかる。
しかし…。
「ぜぇぜぇ…おいおい、意味分かんねぇよ!」
四人の中で最も頑丈そうな男、秋生が疲労に息を弾ませていた。
「もう何時間歩いたか知れねぇ。なんで辿り着かねえんだ?」
「………」
他の三人は、返事をする気力もないほど疲れ果てていた。

病院があるのは、あの「町の願いが叶う丘」だ。
秋生はその位置をこの上もなく知っている。目隠ししたって歩いて行ける場所だ。
道に迷うことなどありうるはずもない。だが、現にこうして途方に暮れている。
「何だかよく分かんねぇけど、行くぞっ!」
「はぁ…はぁ…。あっ…」
秋生が気勢を吐いたそのとき、渚が足をふらつかせて、その場に倒れこんだ。
「渚っ!?」
秋生と早苗と仁科が同時に振り返った。

「ちょっと疲れが溜まったみたいですね。しばらく休めば元気になりますよ」
渚を草の上に寝かせタオルで汗を拭うと、早苗は安堵に微笑んだ。
「ごめんなさいです…わたし、足手まといになってしまいました」
「俺こそすまねぇ。もうちょっと気を遣ってやらなきゃいけなかったな」
夜の闇が降りてきた周囲と、渚たちとを見比べて、仁科がぽつりと言った。
「もう歩くのは危険でしょう。今夜は、ここでビバークするしかないですね」
「そうだな…」

薪を拾い、火を焚く。
炎を円陣のように囲んで、四人は地面に腰掛けた。
747クラナド戦記第44話 2/4:2005/04/10(日) 16:12:53 ID:pgJwHnl/0
「パンをたくさん持ってきましたから、食べましょうね」
「みなさん、戦闘糧食要ります? 筑前煮おいしいですよ」
食糧の備えがやたら万全な女性軍だった。
簡素な味だが、空きっ腹には楽園に流れる蜜のように心地よく染みわたる。
全身に補給される食の喜びが、いつしか四人の呼吸を落ち着かせていた。
渚は上着を毛布のように羽織り、かすかに寝息を立てていた。

地面にごろりと大の字になって、秋生は真上を眺めた。
丸天井のような雑木林の枝葉に、隙間からはるかな空が覗く。
暗い紫色に過半を染められた空には、すでにかすかな星が瞬いている。
「なんで辿り着かねえんだ…?」
秋生は先ほどの問いを繰り返す。誰にともなしに。
「GPS衛星からの応答もありません。方位磁針も駄目みたいです」
所在無くぐるぐる回る磁針とにらめっこをして、仁科もため息をついた。
「いったいどうなってるんでしょうね…あの病院、地図にも載ってませんし…」
焚き火の明かりが、仁科の広げた地形図と、それに目を落とす早苗の横顔を照らす。

林の向こうから、ぱきり、ぱきりと音が聞こえた。
枝を踏んで、歩いてくる足音だ。

「…生存者でしょうか?」
足音の方向に拳銃を向け、仁科は表情を固くした。
「敵か味方か知れたもんじゃねえ。早苗っ、お前は渚のそばにいろ」
秋生は袖をまくり、バットを構える。どこから球が来ても打ち返す強打者のように。

近づいた人影が、焚き火にほのかに照らされる。
丈の長いコートと背広を身につけた、中年の男。
きちんとした紺の背広に、薄手の生地のコート、フレームレスの眼鏡。
足には黒光りする革靴。手にはジュラルミンケース。
雑木林の獣道には似つかわしくない、トラッドな正装に身を包んだ紳士だ。
「…ゼウクシスの魔筆によって作成された“絵画迷宮”だよ、ここは」
748クラナド戦記第44話 3/4:2005/04/10(日) 16:13:57 ID:pgJwHnl/0
「ゼウクシスのナントカだとぅ!? てめぇ、さては伊吹のアマの仲間かっ!」
紳士にバットの先を突き出し、秋生は叫ぶ。
「ほう、伊吹先生をご存知かね…ならば話が早い。
この絵画迷宮は、現実と幻想を交錯させ、近づく者の知と理を惑わす領域。
あなたがたのような侵入者を、病院へ辿り着かせぬための場だ」
紳士はジュラルミンケースを開け、一台のノートPCを取り出す。
ごとりと地面にケースを置く。その上に腰掛け、膝に広げたノートに電源を投入する。
まるでピアニストのようにキーパッドに指を揃えると、紳士は告げた。
「…あなたがたに今やってこられても困るのでな。物理的に排除しに来た」

「ノートパソコン、だと…?」
「ああ。今日びの研究者は、これがないととても仕事に…」
「先手必勝っ!!」
言うが早いか、仁科の拳銃から紳士の脳天へと9mmの弾丸が放たれる。

「…危ない女の子だ」
弾丸が紳士に辿り着くことはなかった。彼は盾のようにノートを顔の前にかざしている。
銃弾はその表面にわずかな傷をつけるのみで、あらぬ方向へ跳ねていた。
仁科が唇を噛む。正面からの銃撃は無駄ということか。
「では、私からもお返しをさせていただくよ…」

全ユニックス発動開始、マスマティカ始動。入力。全パケット、通信線解除。
最後のパラメータ、k-termより全サブルーチンへ。
紳士はキーパッドに指を走らせる。アッチェレランドの旋律を奏でるように。
スフォルツァンドの勢いで、エンターキーが叩かれる。
「何か、やべぇぞ。みんな伏せろっ!」

そのとき、世界が“ずれた”。
749クラナド戦記第44話 4/4:2005/04/10(日) 16:15:14 ID:pgJwHnl/0
秋生のバットの上半分がごとりと落下した。
それは包丁で豆腐を切ったように滑らかに、横一線に切断されていた。
その延長上に切断線が伸びて、秋生の右の耳朶から頬骨までを斬り裂いている。
スリットのような傷口から溢れ出す血を、秋生は押さえつける。
「何じゃこりゃあ…っ!!」
「驚いたかね? 私は『重力波干渉不連続面』と名づけているが、平たく言えば“空間の断裂”だ。
空間そのものを切り離すことで、物理的特性に関係なくあらゆる物質を斬る…」

秋生の背後で、枝葉が激しく擦れて、一本の大木がメキメキと倒れる。
その樹もまた、豆腐のように滑らかに切れていた。
「…ふふふ。遭遇戦が古河ご一行様とはもっけの幸いだな。貴重なデータが取れそうだ」

「やめてくださいっ! こんなことを、伊吹先生が望んでいるんですかっ?」
早苗が秋生の前に出て、紳士に詰問した。
紳士は眉一つ動かさず応じる。
「早苗さんとおっしゃったかな。あなたも教壇に立ったことがあるのだろう?」
「どうしてわたしのことを…!?」
「調査済みでね。知を生業とするあなたなら、私の気持ちを理解できるはずだ。
“知ること”の愉悦を。この世のあらゆる現象と法則を、脳細胞に刻み付ける恍惚を!」

紳士は再びキーに指を叩きつける。
またしても世界が断裂して、周囲をなで斬りにする…。
「てめぇ…!」
「生命は一瞬…されど、方程式は永遠!!
科学の発展に、身を挺して貢献してもらおうではないか」
750クラナド戦記第44話:2005/04/10(日) 16:16:06 ID:pgJwHnl/0
雑木林
012 古河秋生 所持品:タバコ、ライター、バット(切断された)
013 古河早苗 所持品:レインボーパンほか
014 古河渚 所持品:なし
018 仁科りえ 所持品:多数の武器
欠番 紳士 所持品:ジュラルミンケース、ノートPC

>>743
まあ、後続の作者の裁量でしょう。
751名無しさんだよもん:2005/04/10(日) 19:45:59 ID:jSvjTbdh0
お、おいおい!
752名無しさんだよもん:2005/04/10(日) 19:49:25 ID:/hBHFlws0
どんどん現実離れしていってるこれ
753名無しさんだよもん:2005/04/10(日) 20:23:43 ID:4azChRo10
意味分かんねえよ!!

>>752
いまに始まったことか?
754名無しさんだよもん:2005/04/10(日) 20:51:08 ID:izc3Qm+Z0
俺こういうの好きだぞ
もっとやれw
755名無しさんだよもん:2005/04/10(日) 21:21:58 ID:vKGqy6sN0
意味わからなすぎて1周すれば、意味分かるようになるかもな
756灯籠 ◆LAMPq94ziM :2005/04/10(日) 21:31:29 ID:80yKywJuO
とりあえず、空間の断裂と聞いて某キースを思い出したのは俺だけじゃないはずだ
757名無しさんだよもん:2005/04/10(日) 21:57:16 ID:O06mMelK0
殺気だけで回避するリーマンが登場ですか
758名無しさんだよもん:2005/04/10(日) 21:58:09 ID:UV79aVMY0
魔法熟女登場あたりからU-1に負けない何かを感じて読めなくなった…
結局作者が好き勝手に超設定入れられるロワもどきかよ、とひねくれてしまう俺は最高の負け組
759名無しさんだよもん:2005/04/10(日) 23:02:48 ID:k7mUoXKO0
たしかに、「俺設定」に溺れないことは大事だな
ただ、今んとこは全然許容範囲
書き手さんたち乙です
760名無しさんだよもん:2005/04/10(日) 23:16:57 ID:aqwX5nZT0
それ言い出したら、序盤でいきなりことみやゆきねぇが銃振り回すのがそもそもおかしい
「魔法とかSF兵器は超設定だからダメ。
一介の女子高生が特殊部隊並みに銃火器を扱うのは超設定じゃない」
ってんじゃ理屈が通らない。
761名無しさんだよもん:2005/04/10(日) 23:30:48 ID:2zdELF1Q0
原作が光による奇跡を公然と示している以上、今更超設定も何もないでしょう。
むしろ銃兵器マニアの自己満SSとかの方が嫌だな俺は
762名無しさんだよもん:2005/04/11(月) 00:02:32 ID:SdGyQVCm0
>第44話
第35話の書き手と同じと見た。すなわち、

サ ン デ ー 読 者 の 予 感 ! !


>>761
芽衣編のことかー!
763名無しさんだよもん:2005/04/11(月) 00:40:35 ID:GmIKi8ySO
まぁ、原作の智代自体現実離れしてっからいいんでないかい?
764名無しさんだよもん:2005/04/11(月) 03:44:47 ID:jzWymDojO
久しぶりにスレ見たら、なんかすごいぶっ飛んだ話に発展しててワロタ。
書き手さんたち頑張ってくれよ。
765'ヽ/ヽ:2005/04/11(月) 07:46:22 ID:BxsMnVTEO
意味わかんねぇよ
766名無しさんだよもん:2005/04/11(月) 09:17:00 ID:is3k6CW70
何だかよく分からないけど、お前も書けよっ!
767名無しさんだよもん:2005/04/11(月) 09:44:21 ID:/zDso2F5O
ヒント:名無しが主役
768名無しさんだよもん:2005/04/11(月) 10:10:09 ID:XVhNgMO10
意味わかんないまま最後まで突っ走ったりしてほしい
769'ヽ/ヽ:2005/04/11(月) 10:57:41 ID:BxsMnVTEO
おいおいとよくわからないけど以外のレスはしない方がいいと思ってたけど、せっかくだから一度だけマジレス。



このスレは確かにU-1とかロワの臭いがプンプンするけど、繋げるという点に関しては別物だと思う。
明らかにおかしいのとかわけわかんねぇものも上手く次に繋げれるってのはすげぇよ。うん。
超設定でもなんでも、NGだとか矛盾だとかで投げっばなしにしないってのは素敵じゃんか。
あとは、書き手が「〜の作者です」とかトリップをつけ始めたらスレ終焉のサインだと思ってる。俺はそういうのが嫌い。
だからコテでは書いてない。にゃりにゃり。

まぁつまりは意味わかんねぇよの精神を忘れずにって事だ。
770名無しさんだよもん:2005/04/11(月) 13:54:49 ID:X0LCauT80
>>757
>殺気だけで回避するリーマンが登場ですか
直幸パパの予感。
771名無しさんだよもん:2005/04/11(月) 14:07:04 ID:UpPiYegd0
文句言ったら作者側もビビって書けなくなるだろう
俺達が書いていいのはこれだけだ

何だかよく分からないけど、行くよっ!
772名無しさんだよもん:2005/04/11(月) 17:15:44 ID:PA6aYxcW0
ところで俺は37話のカッペイのセリフにフォローがないのが気になってしまうんだが。
「古河家族と仁科は僕が殺した」とかいうやつ。
こういう特別な理由のないムチャ振りは流石に控えるべきじゃないか?
しかも朋也、それ聞いてもノーリアクションかよっ!
773名無しさんだよもん:2005/04/11(月) 17:26:04 ID:X0LCauT80
俺は脳内削除してた。

ブラフとみるか、妄想とみるか。
こういう無茶苦茶までストーリーに反映させてやる必要はさすがに無いと思う。
774名無しさんだよもん:2005/04/11(月) 17:38:42 ID:56CT37Mc0
お、おいおいっ!
775名無しさんだよもん:2005/04/11(月) 17:53:03 ID:UtP5tSAN0
意味分かんねえよ!!
776名無しさんだよもん:2005/04/11(月) 17:56:13 ID:PA6aYxcW0
作者はカッペイの狂気を表現したかったのかもしれないが、いまいち何がしたいのか分からなかった
自分には分かりきってることでも、他人が見たら説明不足、なんてことはよくあるから、
自分の文を客観的に見直すことは必要だと思うよっ!

何だかよく分からないまま、マジレス終わりだよっ!
777名無しさんだよもん:2005/04/11(月) 18:52:05 ID:uDpfw+KK0
魔剣アンサラーキボンヌ




キボンヌ久しぶりに使った
778灯籠 ◆LAMPq94ziM :2005/04/11(月) 19:19:59 ID:Dau7jcQ1O
じゃあ俺は魔弾タスラムキボンヌ




キボンヌ使ったの初めてだ
779名無しさんだよもん:2005/04/11(月) 20:50:54 ID:w9Tu7igbO
じゃあフラガラッハとブリューナグキボンヌ
長腕ルーグつながりで
780名無しさんだよもん:2005/04/11(月) 21:29:03 ID:X0LCauT80
>>777-778
サンデー読者うざい



ごめん、俺も通りすがりのサラリーマンキボンヌ
781名無しさんだよもん:2005/04/11(月) 22:59:19 ID:acUQFFtN0
33話からこっち春原周辺の進展がないから、そろそろ書いてほしいもんだな
782名無しさんだよもん:2005/04/12(火) 00:16:05 ID:N1GFKmpm0
何だかよく分からないけど、行くよっ!
783名無しさんだよもん:2005/04/12(火) 12:36:42 ID:5Q02VpyFO
次スレのこととか、そろそろ考えた方がいいかもしんない
784名無しさんだよもん:2005/04/12(火) 22:59:58 ID:mlL53MUc0
何だかよく分からないけど、行くよっ!
785名無しさんだよもん:2005/04/12(火) 23:24:25 ID:x8Ml5L+v0
お、おいおい!
786名無しさんだよもん:2005/04/12(火) 23:56:13 ID:eVTU8lj70
つーか、このスレは、
「お、おいおいっ!」と「意味わかんねえよっ!」と「何だかよくわからないけど〜」
が実質、5割くらいを占めてるから
これがなければ、次スレまで大分持つと思う。
787名無しさんだよもん:2005/04/12(火) 23:57:24 ID:lD++CUea0
>>786
お、おいおい。
788クラナド戦記第45話 1/3:2005/04/13(水) 01:22:57 ID:jsCdGoY80
「美佐枝さん、白馬の騎士がやってきたよっ!」
「春原、あんた……!」
「わーっ、ヘンな人ですっ! でもぷちカッコイイですっ!」
似合わないポーズを決める春原。
その数歩先では、あわや肌を晒すかと思われた美佐枝が風子とともに歓声を上げる。
「このヘタレクズがァ! よくも、よくも俺様のお楽しみをよォー……!」
「おっと、動くなよっ! 動くと撃つからなっ」
春原の手には拳銃。銃口の先には地に伏せる徳田。
形勢は決した。

(ありえねえ……春原みてーな犬のクソにこんな目に合わされるなんてよ……)
徳田と、その眼前に据えられた銃。
それは否応なく、本能的な恐怖を呼びおこす。すなわち――死、あるのみ。
春原が引き金にわずかに力をこめれば、確実に具現する。
だが……。
(俺も数え切れねぇ悪事を働いてきた……まともな死に方ができるなんて初めから思っちゃいねえ。
 それに、こんなクズに命乞いなどできるはずがねぇだろーが!)
春原へのあまりにも大きな怨恨と恐怖は、男を自暴自棄へと追い込む。
徳田は春原へ叫んでいた。
「撃ってみろやァ!! 根性あんならよ、アァー!?」
仁王立ちに立ち上がり、さらに声を荒げる徳田。
春原のささげ持つ銃身をわしづかみにして、自分の左胸に押しつけてみせる。
「ホラよ、ここが心臓だ!! さっさと撃たねェか、ウスラボケが!!」
「ひぃぃぃっ!?」
烈火の形相とともに絶叫する。
優位に立ったはずの春原が、逆に気圧されているようにも見えた。
「徳田っ、やけになんのはやめなさいよっ!」
「これは男と男の根性の勝負だ、オラァ!! 撃てェェェ!!」
美佐枝をさえ口汚く罵りながら、憤怒の睨みを春原へ向ける。
「ひぃぃ……ぃ……」
その銃口は、いつしか怯えて震えていた。
789クラナド戦記第45話 2/3:2005/04/13(水) 01:24:37 ID:jsCdGoY80
春原の恐怖に、生まれた隙。
徳田の殴打がそこに突き刺さった。
「調子乗ってっと殺すぞォ! ダボがァー!!」
「……ぐげっ!?」
右拳で春原の顔面を捉え、同時に左で拳銃を引き剥がす。
死ぬ覚悟も、殺す覚悟も、とうの昔に、できている。
そして――銃声。
二発だった。

「あれ……? 熱……い……?」
春原は何も理解できなかった。
気がつくと腹部に赤い穴が、目玉のように二つ穿たれていた。それだけだ。
「春原……!!」
「ヘンな人がっ!?」
「騒ぐんじゃねー!! クソアマどもが!」
続けざま、離れた二人に銃弾をばらまく。
美佐枝が風子をかばって地に伏せ転がると、鉛の弾丸が地表をえぐり空を裂いた。

「……結局は、ここぞってときに情け容赦なく相手をぶっ殺せるかどうかさ。てめーらと俺様との決定的な違いはよ」
銃声。
さらに一発の弾丸が、春原の腹部にめり込んだ。
すでに意識を失いかけている春原は、か弱くひくつくばかりだ。
「サップや曙みてーなテレビのプロ格闘家よりよォ、ネコでもウサギでも平気で殺せるそこいらの中学生の方が怖ぇんだぜ」
――思い出す。
――同級生を袋叩きにしてカネを奪ったことがある。
――捕まえた野良猫をナイフで八つ裂きにしたことがある。
――下級生の女を脅し、大量の酒を呷らせて犯したことがある。
いま、徳田の脳裏に湧き上がっているのは、それと同じ種類のスリル。
「思えば生きた人間を殺すのは俺も初めてさ。どんな反応すんのか楽しみだなァ、あー……?」
頭部に狙いを定める。それは、春原という人間の全てが書き込まれた器官――脳。
「死ね、春原」
790クラナド戦記第45話 3/3:2005/04/13(水) 01:29:20 ID:jsCdGoY80
「うん。救いようのないクズだな、お前は」

徳田の背後に気配があった。
いや、この距離まで気配に気づかなかった……と言うべきだろう。
常人の軌を逸した腕力で、後ろから首根っこをつまかれる。
「ぐへぇっ……?」
鋼鉄の枷をはめられたように、徳田は動けない。
短い嘆息とともに、言い放つのは少女の声。
「お前は相手を平気で殺せるの自慢らしいが……私もお前を殺すのに、罪の意識など微塵もない」
極刑の宣告だった。

音速の何かが翻る。
それは伝説に不良殺しと謳われる最終兵器、坂上智代の蹴撃。
旋風が徳田の頚椎を横切ると、その頭部が半回転した。



桜並木周辺
004 春原陽平 所持品:某ラジカセ(岡崎ラップ入り)
006 伊吹風子 所持品:ヒトデ
009 相楽美佐枝 所持品:銃、洗濯ロープ、リュック(中身不明)
016 徳田悠作 所持品:銃
017 坂上智代 所持品:不明
791名無しさんだよもん:2005/04/13(水) 01:39:29 ID:dik05AWt0
お、おいおい!
792名無しさんだよもん:2005/04/13(水) 02:11:21 ID:yZ3gbLro0
意味分かんねえよ!!
793名無しさんだよもん:2005/04/13(水) 09:11:47 ID:AGlw4w2Q0
何だかよく分からないけど、春原が超ピンチじゃないかっ!
794名無しさんだよもん:2005/04/13(水) 10:02:11 ID:n9fUP9u30
人間を超えた回復力で何事もなかったように復活するに一票。
サッカー部員は蹴り殺される予感。
795クラナド戦記第46話 1/5:2005/04/13(水) 17:36:04 ID:v4jtxrMz0
ゴキリ
音が鳴る。
首をありえない角度に曲げられた徳田の身体が、ゆっくりと傾いていった。
ドサリと音を立て、徳田は―――さっきまで徳田だった肉体は、春原の横に倒れこんだ。
地面に這いつくばっていた春原と徳田の目が合う。
「徳田…っ!」
その眼に、もはや生気は宿っていなかった。
「下衆めっ」
智代が吐いた唾が、徳田の顔にかかる。
「智代っ…お前…!!」
春原が這いつくばったまま智代を見上げた。

「坂上…智代…!何であんたが此処に来るのよっ!!」
美佐枝が愕然とした表情で言い放つ。
「あいつは…芳野は、無事なんでしょうねっ!!」
「ああ、あいつか。」
智代は桜並木での出来事を思い返す。
796クラナド戦記第46話 2/5:2005/04/13(水) 17:38:07 ID:v4jtxrMz0
智代の繰り出す無数の蹴りを受け、いつしか芳野は意識を失っていた。
「終わりだっ」
とどめを刺そうとした、その時だった。
「待ってください」
桜並木に燐と響く声。伊吹公子だった。
「彼のとどめは私が刺します。少し試したいこともありますので。」
智代は奇妙に思ったが、断る理由もなかったので、公子にその場を任せて美佐枝達を追ってきたのだった。

(二帝ともあろうものが、仕損じることもないだろう…)
だから、美佐枝の問いにこう答えた。

「あいつなら死んだ。」

美佐枝が八ッと息を呑んだ。
風子の手から滑り落ちたヒトデがアスファルトに当たり、カラカラと音を立てる。
「死…んだ…?嘘よ…!」
かすれた声でそう話すのが精一杯だった。
「なに、悲しむことはない。すぐにお前もあいつの後を追わせてやろう。」
ゆっくりと、智代が美佐枝に向かって歩みを進める。
「あ…あ…」
呆然と立ち尽くしたまま、一歩も動けない美佐枝。
二人の距離が、一歩、また一歩と縮まって行く。
797クラナド戦記第46話 3/5:2005/04/13(水) 17:39:52 ID:v4jtxrMz0
「ん…?」
智代の足が止まる。
春原が立ち上がり、両手を広げていた。
ポタポタと腹部から零れる血がアスファルトに染みを作る。

「相変わらずしぶといな、春原。」
感慨深げにで春原を一瞥する。
「そして相変わらず馬鹿だ。大人しく寝ていれば楽に死ねたものを。」
「ははっ…お前こそ、相変わらずキツめの冗談が好きだなっ!」
春原が弱々しく笑う。

「冗談でこんなことをやると思うのか?」
智代が顎で徳田の死体を示す。
「ははっ徳田のやつ、いつまで死んだふりしてるのかなっ」
春原は徳田の、180度回転した顔を見ないようにしながら明るい声を出した。
「やれやれ…待っていろ。今そこに美佐枝さんの死体も並べてやる。そうすれば馬鹿なお前でも状況が理解できるだろう。」
智代が春原の横を通り、美佐枝に近づいていく。
798クラナド戦記第46話 4/5:2005/04/13(水) 17:41:32 ID:v4jtxrMz0
「待てっ!」
その肩を春原が掴んだ。
「邪魔だ」
智代が春原の手を掴んで振り払おうとする。しかし―――
(…!?こいつ…なんて力だ!!)
ギリギリと音を立てて春原の手が智代の肩に食い込む。
「…言えよ…」
春原は目に涙を溜めていた。
「冗談だって言え!智代っ!!」

「しつこいぞ…!信じられないならはっきり言ってやる!私はお前達を皆殺しに来たんだ!」
智代が両手を使って春原の手を肩から引き剥がした。
「…っ!!本気なのかよっ…!」
唇をかみ締め、うつむく春原。
その顔に、決意の表情が浮かんだ。
「…だったら…僕がお前を止める!お前の友達としてっ!!」

春原が智代に迫る。
「私を止める…?お前ごときがか…?」
既に夜の帳は下りていたが、暗闇で智代の両眼が鋭い光を放つ。
「ああ、止めてやるさ!お前を殺してでも止めてやるっ!あいつなら…そうするはずだっ!」
春原が岡崎ラップ入りのラジカセをちらりと見て叫んだ。
799クラナド戦記第46話 5/5:2005/04/13(水) 17:42:46 ID:v4jtxrMz0
「自惚れるな!私の本気の蹴りは、今までの様に甘くはないっ!!」
言うが早いが、智代の右足が地面から消える。
一閃。
夜の冷たい空気を蹴撃が裂く。
月明かりが照らすのは、粉砕された春原の顔面。

…の、はずだった。
「え…!?」
智代が愕然と目を見開く。
彼女の右足は春原の顔のわずか右に外れていた。

「おまえの蹴りは、見飽きてんだよぉっ!!」

この世でもっとも多く、もっとも近くで、智代の蹴りを見てきた男――――春原。
彼の拳が智代の頬を捉えた。

桜並木周辺
004 春原陽平 所持品:某ラジカセ(岡崎ラップ入り)
006 伊吹風子 所持品:ヒトデ
009 相楽美佐枝 所持品:銃、洗濯ロープ、リュック(中身不明)
017 坂上智代 所持品:不明

016 徳田悠作  死亡
800名無しさんだよもん:2005/04/13(水) 17:51:24 ID:2035Lb2w0
お、おいおい!
801名無しさんだよもん:2005/04/13(水) 17:54:51 ID:n9fUP9u30
何だかよく分からないけど、某ラジカセが登場したことにちょっと感動した。
802名無しさんだよもん:2005/04/13(水) 19:45:25 ID:doAfBpgO0
>781だが、リクエストしたらその通り出てくる書き手諸氏に乾杯!!
まれにみる良スレ期待age
803535:2005/04/13(水) 20:14:57 ID:lvhKquRy0
何だかよく分かんないけど、まとめサイト更新したよっ!

ストーリーに合わせて人物紹介も更新してますが
思考分岐空間がらみの記述はギミックがよく分かんないので適当です。
804'ヽ/ヽ:2005/04/13(水) 20:37:51 ID:tZ+suXOEO
お、お、お、お、おいおい!
805名無しさんだよもん:2005/04/13(水) 20:55:47 ID:v4jtxrMz0
>>803
狂おしい程乙!

ところで芳野がいつ思考分岐空間に囚われたかについてですが、
>>735の記述を見るに、ドッペル智代や、戦車の存在は、現実にはありえない「お伽話」とされているので、
僕はドッペル智代の登場以前だと考えました。
ということは、芽衣やジョニー、ドッペル智代は思考分岐空間に囚われたのではなく、最初からその空間内に存在する登場人物で
あったとする方が適当だと思うんですが、どうでしょうか?
この考え方だと本物の芽衣は今もレストラン内にいるってことになります。
806'ヽ/ヽ:2005/04/13(水) 21:23:19 ID:tZ+suXOEO
意味わかんねぇよ
807名無しさんだよもん:2005/04/13(水) 21:33:37 ID:MUApfDQi0
芽衣がレストランに居るって事は
CLAN実在で戦車は思考空間?
808名無しさんだよもん:2005/04/13(水) 21:46:42 ID:v4jtxrMz0
>>807
とりあえず戦車が実在しないのは>>735から確かだと思います。
この前提を踏まえると、芽衣については、戦車に関する部分のみ思考空間内の出来事と取るか、
登場時点から既に思考空間内の人物だったととるか、どちらかだと思います。
前者を取れば本物の芽衣はレストランにいて、CLAN実在。後者を取れば本物の芽衣は未登場で、CLANは実在しないことになるかと。

僕も思考空間が何なのかよく分かってないので、つっこみどころがあれば、ガンガン突っ込んでください。
809名無しさんだよもん:2005/04/13(水) 22:04:41 ID:MUApfDQi0
俺も似たような事考えてた
CLANを活かさないのは勿体無いから、出来れば前者になって欲しいね
810名無しさんだよもん:2005/04/13(水) 23:01:28 ID:qCH5q8CN0
俺は、735のうち「あまつさえイスラエル製の戦車が〜飛び出てくる」
の部分だけ脳内削除してたな。
つまり、CLAN実在、芽衣とジョニー実在、戦車実在、ドッペル仮想。
流れ的には、

 芳野が智代にボコられる
    ↓
 公子出現、思考分岐空間を作成
    ↓
 芳野が思考分岐空間に捕らえられ、「光」の反応が消える
    ↓
 「光」が消えたのを受けて、芽衣たちの戦車が桜並木に急行
    ↓
 桜並木で戦車が思考分岐空間に捕らえられる

っていうような感じ? 俺は思考分岐空間は
桜並木周辺に仕掛けられた一種の空間系トラップだと思ったんで…。
811名無しさんだよもん:2005/04/13(水) 23:50:17 ID:v4jtxrMz0
うーん、余り脳内削除が横行すると良くないような気がするんだけど…

43話の作者に詳しく説明を伺いたいところですね。
そもそも43話の作者以外で、思考分岐空間を完璧に理解した人がいるんですか?
どうもあれ以来芳野の話が進んでいないみたいですし。
812名無しさんだよもん:2005/04/14(木) 00:00:16 ID:EjOLxiTy0
>余り脳内削除が横行すると良くない
ごめん。まったくもって同意。

>そもそも43話の作者以外で、思考分岐空間を完璧に理解した人がいるんですか?
そう喧嘩腰になるこたーないんじゃないか?
確かに何だかよく分かんない文だけど、
曖昧ってことは裏を返せば、後続の書き手がいろいろ設定できる余地があるってわけでしょ。
だいいち作者自身だって、たぶん現時点で答え用意してないと思うよ。

あんまりな悪送球でなければキャッチしてやるのも書き手の役目では?
これは「余り脳内削除が横行すると良くない」ってのと根は同じだけどね。




気をとり直して、お、おいおい。意味分かんねえよっ!!
813811:2005/04/14(木) 00:10:49 ID:qJdZfiOt0
>>812
>そう喧嘩腰になるこたーないんじゃないか?

喧嘩腰だなんてとんでもない!そんなつもりで言ったんじゃないんです。
思考分岐空間ていうのが凄い難しい概念で理解できなかったので、もう一度噛み砕いて説明して欲しいと純粋に思っただけです。
内容が悪くて理解できないのではなく、内容が高度すぎて理解できないってことです。



814'ヽ/ヽ:2005/04/14(木) 00:24:29 ID:tuv94Z3hO
とりあえずおいおい!
815名無しさんだよもん:2005/04/14(木) 01:13:28 ID:KhMvpl8S0
とりあえず、作者自身の後づけ説明って基本的にウザイしな。
読み手が感想として「あれはこういう意味かな」って考察すんのはいいけど、作者がごちゃごちゃ出てきて説明し出すと非常に萎える。
純粋に書かれた作品だけで勝負して欲しいし、それが舌っ足らずなら次の書き手がテキトーに補足して次に繋げたらいいじゃん。リレーだし。
816名無しさんだよもん:2005/04/14(木) 02:46:19 ID:gM7hvSYk0
このスレの基本精神。
なんだかよくわかんないけど、とりあえずいくよ!
817名無しさんだよもん:2005/04/14(木) 09:35:58 ID:nfBMYYYD0
生まれては消えて行った数々のリレースレ最大のタブー「とりあえずの排除」
ここではこんなにも噛み合っているわけだな
818名無しさんだよもん
意味分かんねえよっ!!