1 :
名無しさんだよもん :
03/07/21 20:12 ID:B8n10wRC
【ルール】
・テーマを決めて、それに沿った SS、シチュなどを書く。
・書き手は全員名無し(書き手の知名度で作品の評価が変わるのを避けるため)
・書き手の騙りを防ぐために、作品ごとのトリップを推奨する。
但し、普段コテでトリップをつけている人は、それとは別のトリップをつけること。
・投稿作品とそれ以外の書き込みを区別するために、投稿作品の前後には宣言をする。
・告知及び投稿期間→感想期間→総括期間、という流れ。投稿期間終了までは一切感想をつけない。
・感想期間では、参加作品について感想、評価などを行う。
なお、他の人の感想等に影響が出ないように、感想期間中は作者は身を明かさないこと。
これはコンペスレの内外を問わない。
・総括期間では、書き手の挨拶、運営への意見、次々回のテーマの決定などを行う。
また、感想期間で評価が高かったもの選び、最優秀作品として推す。
・各期間は以下のように設定する。
投稿期間: 2 週間
感想期間: 1 週間
総括期間: 1 週間+α(そのときに応じて期間は変化する)
【関連スレ】
第八回顔文字選手権大会
http://choco.2ch.net/kao/kako/1015/10156/1015675389.html
【注意】
※必ず名無しで投稿して下さい(誰だか判らなければ良い)。
※特に、普段トリップをつけている方はご注意を。
(そのトリップと違うトリップなら構いません)
それ以外の手順は SS 投稿スレに準じます(以下に転載)。
|【投稿の手順】
|
|1:まず、投稿する旨を告知するカキコをすると良い。
| 「今から SS 投稿します。なお、××な内容です」など。
| 鬼畜・陵辱・スカなどのジャンルでは特に。読むのを嫌がる人もいます。
| (時間帯・スレの状態・信念・その他で省略可)
|2:書いた SS を 30 行程度で何分割かしてひとつずつ sage で書き込む。
| (名前欄に、タイトルと通しナンバーを入れると分かりやすい)
|3:回しは不要。旧スレからの変更です。
|4:最後に sage で作者名・タイトル・あとがきなどと共に、
| アップしたところをリダイレクトする(
>>1-2 みたいな感じ)と トッテモ(・∀・)イインチョ!
【よくあるかも知れない質問】 Q.複数の作品を投下するのは OK ですか? A.構いません。期間内でテーマに沿っていればいくつでも結構です。 Q.もうすぐ完成するから、締め切りを伸ばしなさい(`□´)くわっ A.終了間際の混雑などを考え、締め切りは延長される可能性もあります。 その際は、一言その旨をこのスレに書き込んでください。 ただし、完成まであまりにも時間がかかりそうな場合はその限りではありません。 Q.締め切りが過ぎてから完成したんだけど、ここに投稿していい? A.締め切りを過ぎたものについては、葉鍵的 SS Training Room や 内容に見合った別の SS 関連スレに投稿してください。 このスレは、決められたテーマと期間の両方を満たす SS を対象にしています。 Q.気に入った SS があったけど、みんな名無しだから作者がわからない。 A.締め切り後にこのスレで訊いてみましょう。教えてくれるかも知れません。 Q.投稿した投稿作品がリアルリアリティに汚染されてます。 A.ときには厳しい意見が付くこともありますが、別にあなたが憎いわけじゃありません。 良い感想職人さんはちゃんと理由も書いてくれますから、次回に役立てて下さい。
【告知】
現在このスレは、第十六回投稿テーマ:『海』の投稿期間に入っています。
投稿期間: 7 月 14 日の午前 10:00 から 7 月 28 日の午前 10:00 まで。
テーマを見て、思いついたネタがあればどんどん投稿してみましょう。
それが終わった後は、感想期間に入ります。
面白い作品だったら、感想がたくさんついてきて(・∀・)イイ!!
もちろん、その逆もあるだろうけど……(;´Д`)
※投稿される方は
>>2-5 にある投稿ルール、FAQ をよく読んでください。
※特に重要なのが
・テーマに沿った SS を*匿名*で投稿する
・投稿期間中は作品に対して一切感想をつけない
※の二点です。他の各種 SS スレとは異なりますのでご注意を。
# また、次回のテーマは『過去のテーマ』(第一〜十六回のテーマから自由選択)で、開催時期は 8 月中旬になる予定です。
# 「二週間じゃ短すぎて書けない」「テーマが難しい」という方はこちらの執筆に力を
# 注いでもらっても構いません。ただし、投稿は次回の募集開始までお待ちください。
>1乙。 ……投稿されてたSSはどうするんだろ?
お疲れ様です。 まさか落ちるとは思いませんでした。 前スレに投稿されていた観鈴SSとぴろSS…やはり作者さんに呼びかけて、 再投下してもらいますか?
即死回避のために少しスレ伸ばしておかないとね。
>9 お礼しときました。
スレ立て乙カレー。
>>8 本人じゃなくても良いんじゃないですか?
保管サイトか>9で読める状態なら特にいらないんじゃないかな。 読めるってことが重要だし。
これで即死したら笑えないなw
じゃあ回避支援sage
とりあえずカキコ
即死回避カキコ。
感想を書くみなさん、
>>9 のSSも忘れないで読んでください。お願いします。
18 :
名無しさんだよもん :03/07/22 19:51 ID:tpO72S3X
あげてみます
19 :
名無しさんだよもん :03/07/22 20:13 ID:ocFASLHI
カキコ、カキコ。
即死回避って何レスあればいいの?
良くわからんがメンテ
「観鈴ちんと海の思い出」作者です。
前スレが落ちたときは本当に焦りました。
>>1 さん、スレ立てお疲れ様でした。
上の方でも触れられているようですが、私のSS……ここに改めて載せなくても
いいんですね?
まあ、わざわざ容量をムダに食わせるのも考え物ですしね。
必要ないのなら再投下はしませんが、どうか私のSSの存在忘れないで欲しいです。
(特に読み手や感想をつけてくれる方々)
即死回避にというわけじゃないけど、再投稿してもいいと思いますけどね。
賛成。
まあ、個人的はUPしてくれたほうが読みやすい
新規作品を投稿すればなお良し。 俺はまだプロットも決まってないが。
最近投稿し始めた人も増えたみたいなんで、やっておくと便利なことを。 1.投稿SSの、前のレスと後のレスに、それぞれその旨を伝えるレスを。 前のレスは、「これから投稿を始めます」という、投稿者から、他の人へのサイン。 せっかくの投稿が、雑談レスや、他の人の投稿とごっちゃになって 見にくくなるのを抑止するのが目的。 実際、投稿開始の瞬間が被っちゃったなんてこと、過去に何度もあるだけに。 後ろのレスは「投稿終わりました」というサイン。 次の投稿をする人に「ではお次をどうぞ」という印。 SSの最後にENDマークが書いてあるわけでもないし、 これがないと次の人が投稿が終わったのかどうか判断に迷うこともあるかも。 前の投稿者の投稿時間の間が空いたからと言って、見切り発車で投稿すると、 やっぱり投稿が入り交じってしまうことも起きるかもしれないし。 あと、短い小ネタ系で「これは投稿作品か、メンテの小ネタや雑談か」 というのをできるだけはっきりさせたい目的もある。 ハンドル欄等にメンテと書いておけば、基本的にはメンテ、保守ネタで 投稿じゃないと扱ってもらえると思います。 最後は感想付ける人のそれぞれだけど。 2.作品を投稿する際は、その作品用のトリップを付けて投稿。 荒らしがあなたの作品の作者だと騙って煽りや荒らしをしたりするような 悪夢の光景を見たくなければ、ぜひ付けておくことをおすすめ。
がんばれメンテ
いつ落ちるか分からんから、とりあえず保守
【告知】
現在、葉鍵的 SS コンペスレでは投稿作品を募集しています。
今回のテーマは『海』です。
投稿の締め切りは 7 月 28 日の午前 10:00 までとなっています。
テーマを見て、思いつくネタがあればどんどん参加してみましょう。
その際に
>>2-4 のルール、FAQ に一度お目通しを。
また、次回のテーマは『過去のテーマ』(第一〜十六回のテーマから自由選択)で、
開催時期は 8 月中旬になる予定です。
「二週間じゃ短すぎて書けない」「テーマが難しい」という方は、こちらの執筆に
力を注いでもらっても構いません。ただし、投稿は次回の募集開始までお待ちください。
>>1 さま&前スレ
>>542 さま
代理告知&代理スレ立てありがとうございました。
前スレで投稿されていたSSにつきましては、保管ページにアップしております。ご利用くださいませ。
32 :
SEX :03/07/24 23:40 ID:a7XY+5eN
, -‐- 、
/^8 / ヽ
. / ノ.//ノノ ))))〉 | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
'ノノ! ! |. ( | | || /同人をやっています!
`l |ゝ" lフ/リ < エロ過ぎるけど、見に来て下さいね!
iア-、 /^l水ト、 \
http://pink.sakura.ne.jp/~erotan/  ̄く `ヽ |l:|l、ヽ‐v'し'i |_____
` -ノニニト、ー┘ ´
// ! \
/ ヽ
. 〈 / ヽ i
ヽ/ i,ノ
` ァ‐ァr‐r ´
/、./ l .!
. l! l\ ll\!!
ヽ_)l__ノ
(・∀・)ハイーキョ
海は好きだった。 毎日のように砂浜に出て、同輩達と戯れていた覚えがある。 釣りもした、水泳、素潜り、銛を担いで海女の真似事もした。おおよその海でできる事は何でもした。 ……あのころは将来は母親と同じく海女になるのだろうといつも考えていたから、まんざら海女も真似事ではなかったのかもしれない。 とにかく、私は海辺ならどこにでも一人はいる一介の少女でしかなかった。 それなのに――。 どうして私はここに居るのだろう。 私は今泳いでいる。四角に囲まれた水溜まりの中を。 そしてそんな私を見て色々な人間が色々な表情を見せた。驚く人、恐れる人、怒る人、そして笑う人。彼らのその悲喜交々な表情を見て、私は内心嘲笑していた。 「――まさか――ありえない――」 誰もが私の泳ぐ姿を見て驚愕の声を上げた。 「彼女が水戦試挑体、岩切花枝です」 誰かが私の名前を呼んだ。 「岩切、上がれ」 また別の誰かが私の名を呼んだ。私はその男のサインを見て、私はプールサイドに立った。 周囲からざわめきが起こる。私は彼らを見て一瞥した。
強化兵でありながら唯一の弱点である水を克服した”本当の”完全体、水戦試挑体。 私はそう呼ばれて彼らから恐れられ、忌み嫌われていた。 「――まるで化け物だな」 誰かがそんなことをつぶやいた。 本人は聞こえていないつもりなのだろうが。 (……化け物) 私はいつから化け物になってしまったんだろうか。 私に過去は無いらしい。 空白の人生、それなのに泳いでいるといつもあの景色が思い浮かんでくる。 だが、あのまま海辺で海女となって一生を過ごすよりは、全然良いのかもしれない。 だから。 ……はやく、海に帰りたい。
短いけど勘弁しちぇくれ。 文頭に空白が入ってないのはなぜだろう(つ
今夜あたり、TVでも流しながらちょこちょこ書こうかね(´ー`)y-~~ と思ったら爆笑オンエアバトル地震で中止ぽ(つД`)
◆HMX73059.Iさん> 保管庫への保存、ありがとうございます。 保管庫にあるのでしたら、同じのを投下してムダに容量を食わせる必要もないでしょう。 即死も回避できたっぽいですし。 今回の再投下は控えることにします。
>>36 行頭では半角スペースは反映されません。
また、半角スペースを2つ以上連続で書いても、そのうち1つしか書き込みには反映されません。
つまり、文頭の空白を複数の半角スペースで書いた場合は、文頭に空白が無いことになってしまいます。
11レス投下します。 かなり嫌われる内容だと思いますので、許容範囲の広い方以外は読まれない方がいいかもしれません。 Kanonもので、タイトルは「ありふれたなつやすみ」です。
夢。 夢を見ている。 ※ ※ ※ 陽射しの眩しさに細めていた目を開くと、青い海と空、そして水着姿のあゆが見えた。 「祐一君、この水着どう?」 モデルでも気取っているのか、俺の目の前でくるりとターンする。 露出の少ない、ワンピースのシンプルな水着だ。 「ああ、あゆらしいな」 「ボクらしい?」 「子供っぽい」 「うぐぅ、ひどいよっ! ボク、祐一君と同い年なんだよ!」 頬を膨らませて怒るあゆ。 ……正直な感想なんて、照れくさくて言えるか。「似合ってて可愛い」なんて。 「うぐぅ……祐一君、恥ずかしいこと言ってるよ」 「なにぃっ、俺の心を読んだのか、あゆ!?」 「口に出てたよ」 「ぐはっ……」 今度は頬を染めてこちらを見つめてくるあゆ。 場の雰囲気にいたたまれなくなった俺は、「食べ物買ってくる」と言って海の家へと逃げた。 海の家ではなんと北川が働いていた。なんでも親戚のツテでアルバイトしているらしい。 「たい焼きはあるか?」と聞くと変な顔をされた。まあ、そりゃそうだろう。 代わりに飲み物を買って戻ると、あゆは砂の城を建設中だった。 「あ、祐一君おかえりっ。一緒にお城作ろうよ」 「やっぱり子供っぽいぞ、お前」 「うぐぅ」 よく冷えた缶ジュースを手渡しながら、俺は笑う。 「まあ、たまには童心に返るのも悪くないな。よし、どうせやるならめいっぱい豪華な城を作るか」 「うんっ!」 「うわっ、馬鹿……」 あゆがはしゃいだ拍子に砂が舞い上がって、俺の目に入ってしまった。
※ ※ ※ 視力を取り戻すと同時に、俺は抗議の声を上げる。 「なんで急に暴れるんだよっ!? 目に砂が入ったじゃないか」 「……祐一がいやらしい手つきで触るのがいけない」 舞は悪びれた様子もなく、逆に俺を睨んできた。 「誤解を招く言い方するなよ。お前がサンオイル塗ってくれって言うからそうしただけじゃないか」 「……本当に、少しも、邪な考えはなかった?」 「……」 「……なぜ黙るの」 そりゃ、だって、なあ? ただでさえスタイルのいい舞が、黒ビキニ着用となれば、健康的な男としては…… 「……祐一は、けだものオオカミさん」 「すまん。何かおごるから許してくれ」 俺はあっさりと非を認め、お詫びの品を調達するべく海の家に向かった。 海の家ではなんと北川が働いていた。 「牛丼はあるか?」と聞くと変な顔をされた。まあ、そりゃそうだろう。 代わりにフランクフルトを買って戻ると、舞はすでにシートの上に寝そべって体を焼きにかかっていた。 どうやらサンオイルは隣に座っている佐祐理さんに塗ってもらったらしい。 「あははーっ、祐一さん、お疲れ様です」 その佐祐理さんは事の成り行きを把握しているらしく、ねぎらいの言葉をくれる。ちなみに白ビキニだ。 「舞はしばらく動けないみたいですから、その間スイカ割りでもしませんか?」 「スイカ割りか、悪くないな」 俺も乗り気だと確認して、佐祐理さんがいそいそと準備を始める。と、 「……祐一」 舞が声をかけてきた。 「ん? どうした。舞もスイカ割りやりたいのか?」 「綺麗に割らないと……許さないから」 ……食い気かよ。ついさっきフランクフルトを渡したばっかりだろうが。 「はい、それじゃ目隠ししますねーっ」 佐祐理さんがタオルで俺の目を覆った。
※ ※ ※ 「だーれでしょう?」 「栞」 答えると同時に、目を覆っていた布が外され、視界が開ける。 「正解です」 振り返った先で、栞が楽しそうな笑顔を浮かべていた。 水着の上にまで例のストールを羽織っている。俺を目隠しした布もこれだったようだ。 「……暑くないのか、そのストール」 「私の宝物ですから。いつも肌身離さず持っていたいんです」 「だからってなあ……」 見るからに暑そうだった。 「暑さで倒れたりしたらどうするんだ」 「大丈夫ですよ。そうなる前に、優しい祐一さんが涼しくなれるものを買ってきてくれますから」 「はぁ……わかったわかった」 遠回しにねだられて、俺は苦笑して海の家に向かう。 海の家ではなんと北川が働いていた。 「バニラアイスはあるか?」と聞くと変な顔をされた。 アイスを買って戻ると、栞は波打ち際で突っ立っていた。 「どうした?」 栞は黙って地面を指差す。 濡れた砂の上には「I LOVE YOU」という文字が書かれていた。 「……栞が書いたのか?」 「ドラマで見て憧れてたんです。こういうの」 「だからって実行するなっ。まったく、恥ずかしい奴だな……」 「祐一さん、もしかして照れてますか?」 「……うるさい」 自分も顔を赤くしているくせに、栞は俺を見てふふっ、と笑った。 「……でも、この文字、波にさらわれてすぐに消えちゃうんですよね。ちょっと残念です」 「消えなかったら困る」 突然の強い風に目を細めながら、俺は不機嫌な声で呟いた。
※ ※ ※ 突風が過ぎて瞼を上げると、上目遣いにこちらを見る名雪と目が合った。 「……見た?」 「見えなかった」 「うー……ほんとに?」 「と言うか、見られても問題ないだろ。水着なんだから」 俺が選んでやったパレオ付きのセパレート水着を着た名雪は、それでも納得しない様子で反論してきた。 「でも、風でめくれると恥ずかしいんだよ」 ……妙なこだわりだ。まあ、いいか。 「少し風が出てきたみたいだし、一息入れるか」 さっきまで使っていたビーチボールを名雪に預けて、俺は海の家へと向かう。 海の家ではなんと北川が働いていた。 「イチゴのかき氷はあるか?」と聞くと変な顔をされた。 氷イチゴを買って戻ると、名雪はシートの上に座ってぼんやりと海を眺めていた。 「イチゴで良かったよな?」 「あっ、うん。ありがとう」 名雪にかき氷を手渡して、俺も名雪の隣に腰を下ろす。 俺達はしばらく言葉少なになったが、やがて名雪が口を開いた。 「色々あったけど、やっぱり来てよかった」 「そうか」 「うん。誘ってくれてありがとうね、祐一」 「ん、いや……俺も、名雪と一緒に来たかったからな」 「わ……祐一、恥ずかしいこと言ってるよ」 「言うな。自覚してる」 「えへへ……そっかぁ。祐一もわたしと来たかったんだ」 ひとしきり笑うと、名雪はいきなり立ち上がって、俺の手を引いた。 「じゃあ、今日はいっぱい遊ぼうねっ」 「ああ」 名雪と俺は手を繋いだまま海岸線を走り始める。 名雪の足が波を蹴立てて、その飛沫が俺の顔に跳ねた。
※ ※ ※ 塩辛い水が目にしみるのを我慢して、俺はなんとか目を開けた。 「早く掘り出せ、真琴っ!」 真琴を見上げながら言う。 「えー、せっかく埋めてあげたのに、もう……?」 一刻一秒を争うピンチだというのに、真琴は不服そうに口を尖らせる。 「こんなところに埋める奴があるか、馬鹿っ!」 俺の体の首から下は、すっぽり砂浜に埋まっている。 かなり間抜けな状態だが、それだけならまだいい。問題はここが海に近すぎるということだ。 潮が満ちてきて、打ち寄せる波が俺の顔にかかっている。 つまり、このままだとじきに息ができなくなってしまう。すぐに気付かなかった俺も悪いのだが。 「あ、そうだ。波の間だけ息を止めてればいいじゃない」 「アホかっ! そんながぼっ」 俺の言葉の後半は波に呑み込まれた。 「あははっ、祐一の方がアホみたい……って、祐一? ねぇっ?」 ぐったりしたままの俺を見て(演技だが)、ようやく真琴も不安になったらしい。 「祐一っ、しっかりしてよぅ……」 態度を一変させて、必死に俺を掘り出し始める。 上半身が自由になった後は自力で穴から這い出した。 「祐一っ、生きてる!?」 「勝手に殺すな」 とりあえず、軽く頭を小突いておく。 「まったく……いつか仕返ししてやるからな」 「なによぅっ、元気なんじゃない……」 何か言い返してやろうとして、俺は真琴の声が震えていることに気付いた。 「ホントに心配したんだから……っ!」 その言葉に嘘はない。真琴の大きな目が潤んでいる。 「勝手に真琴の前からいなくなったら、承知しないんだから……っ!」 こういう表情をされると、もう無条件で俺の負けだった。 俺は真琴の細い肩を抱き、「悪かった」とひとこと謝った。
食べ物でも買って真琴の機嫌を取ろうと思い立ち、俺は海の家に向かう。 海の家ではなんと北川が働いていた。 俺が何も言い出さないうちに、北川は変な顔をした。 「……いい加減にしろよ、相沢」 いや、これは怒っている顔だ。 だけど、何を怒ってるっていうんだ? 「そんなにしつこく嫌がらせをするほど、オレのことが気にくわないのか?」 「何言ってるんだよ、北川。俺はただ、客として食べ物を買いに……」 「ただの客が、買った食い物を口も付けずに捨てたりするかよ!」 「……え?」 「オレの作った物なんて食いたくないってか!? じゃあ最初から買わなきゃいいだろ! それともうちの店に対する営業妨害か!?」 ……確かに、俺はここで買った食べ物を何も口にしていない。でも、 「捨ててなんかいないぞ。お前のところで買った物は、俺の連れに――」 「この期に及んで、下手な嘘でごまかそうってのか!?」 北川はそう怒鳴ると、店を飛び出して砂浜を駆け出した。 俺は何が何だか分からないまま、北川の後を追った。 砂で作られた大きな城の前で北川は止まった。 俺とあゆ、二人がかりで完成させた力作だ。 その力作に、北川はいきなり蹴りを入れた。あっけなく粉々になる砂の城。 「何するんだよっ!?」 当然、俺は抗議の声を上げる。 「それはこっちの台詞だ!!」 北川は一歩もひかない剣幕で叫ぶ。 そして、城の残骸の中から何かを拾い集め始めた。 何か……いや、その発掘された物すべてに俺は見覚えがあった。 無惨に砂まみれになってはいたが、それらは確かに―― あゆに手渡したはずの缶ジュース。 舞に手渡したはずのフランクフルト。 栞に手渡したはずのバニラアイス。 名雪に手渡したはずの氷イチゴ。 ――だった。
俺は呆然と足元に転がる物を見つめた。 「なんで……どうして、あいつらにやったはずの物が……」 「とぼけるなよ!! お前がせっせと砂の中に埋めたんだろうが!! オレはずっと見てたんだぞ!!」 「違う、俺はそんなことしてない、お前から買った物は連れにやったんだ……」 俺の態度を見て、ようやく嫌がらせなんかじゃないと理解してくれたのか、北川がやや声のトーンを落とした。 「なあ、相沢……」 何かを窺うように俺の目を覗き込んでくる。 「お前の連れって『誰だ』?」 こいつは何を言っている? 俺の連れが『誰だ』だって――? 決まってるじゃないか、それは 俺は缶ジュースを見た。 「あゆだよ!」 「あゆ?」 北川がおうむ返しに問うてくる。 イライラする。 「月宮あゆっていう女の子だ!!」 「月宮あゆ、って……」 北川は不審そうな表情を隠そうともしない。 「七年間昏睡してて、今年とうとう亡くなったっていう女の子の名前じゃないか。ニュースで見たぞ」 「……」 そうだ。あゆは死んだんだった。 俺はフランクフルトを見た。 「違う、勘違いしてた……舞と佐祐理さんだ」 「……それって、うちの学校の川澄先輩と倉田先輩のことか?」 「そうだよ、有名人だから知ってるだろ!?」 「相沢……」 北川は今度こそ本当に変な顔をして首を振った。 「川澄先輩も倉田先輩も学校で死んで、大騒ぎになったじゃないか……」 「……」 そうだ。二人とも死んだんだった。
俺はバニラアイスを見た。 「そうじゃない、栞だ……栞と一緒に来たんだ……」 「栞……」 北川は顔をしかめた。なんだか泣き顔のようにも見えた。 「美坂、栞か?」 「そうだ、栞だよ、香里の妹の……あれ、ははっ、なんだ、知ってたのか?」 「知らなかったよ」 北川に肩を掴まれた。指が食い込んで、痛い。 「オレは美坂に妹がいるなんて知らなかった。 葬式にも出なかったしその時美坂が泣いてたかどうかも知らない。 だけど、美坂の妹が病気で死んで、美坂がどっか遠くの学校に転校しちまったのは事実だ」 「……」 「オレの知らないところで美坂の妹は死んだ。オレの知らないところへ美坂は行っちまった」 そうだ。栞は死んだんだった。 俺は最後に残った、氷イチゴを見た。 祈るような思いで声を絞り出す。 「名雪……」 「……水瀬か?」 ああ、もう許してくれ。これ以上俺の世界を否定しないでくれ。 「名雪と海に来たんだ……あいつは渋ってたけど、半分無理矢理に誘って……」 「水瀬と来たっていうのか!?」 北川の口調が変わったような気がした。 「お袋さんが事故で死んでから、ずっと学校にも出て来なかったのに……」 「……」 そうだ。秋子さんが死んだんだった。 でも、北川は、名雪が死んだとは言わなかった。 そうだ。 俺はあれからずっとあの家で名雪の面倒を見ていた。 塞ぎ込んだままの名雪になんとか元気になって欲しくて、 今日、強引に海に誘ったんだ。 そうだ! 名雪のことは、夢じゃない!
「嘘をつくなよ、相沢」 北川の冷たい声がした。 「ずっと見てたって言っただろ? オレは、お前の妙な行動はイヤになるほど見たが、水瀬の姿なんて今日一度も見かけてない」 「……違う。嘘じゃない。昨日誘ったんだ。名雪を海に誘ったんだ!!」 これだけは苦しまぎれの嘘でも何でもない。確かな事実だ。 「じゃあ、ここに水瀬を連れてきてくれ。今すぐに」 「……」 どうして、俺は、頷けないんだろう。 「久しぶりに会いたいんだよ。水瀬のこと心配だったんだ。なあ、連れてきてくれよ」 どうして、俺は、そうできないんだろう。 「……置いてきたんだろ?」 ――そうだ、俺は置いてきたんだ。 「水瀬のこと置いて、一人で海に遊びに来たんだよな?」 そう、名雪を家に置いてきたんだ。 「別にそのことは責めない。相沢だって色々大変なんだろうし、息抜きする権利くらいあるさ。だけど……」 名雪の死体を家に置いてきたんだ。 「うあああああああああッッッ!!!」 俺は駆け出した。 海岸線を走る俺の足が波を蹴立てて飛沫が跳ねた。 あきこさんが死んでから毎日いっしょうけんめい尽くしたのに名雪がこころをひらいてくれなくて悲しくて どうにか元気をとりもどして欲しいとあれこれかんがえて試してがんばって苦労したのにどれも失敗で きのうも海にいこうっていったのに誘ったのにそりゃあ返事もきかず言い渡しただけだったのだけれど なにも俺にあてつけるように今日 よりによって今日の朝 自殺しなくたっていいじゃないかなゆき
夢。 夢を見ていた。 I LOVE YOU. I LOVE YOU. I LOVE YOU. 波打ち際にびっしりと書き連ねられた文字列を踏みつけにして走る。 全部俺の字だ。全部俺が書いた。栞が書いた文字なんて一つもない。 視界の底に流れては消えて、それでも続く「I LOVE YOU」の上を走る。 愛してる。愛してる。愛してる。 愛してたのに、みんな大好きだったのに、助けられなかった。 奇跡なんて起こせなかった。 みんないなくなってしまった。 I LOVE YOU. I LOVE YOU. I LOVE YOU. 波にさらわれてすぐに消えてしまう文字。言葉。記憶。 俺の記憶も消してしまってくれ。 何もかもなかったことにしてくれ。 みんないなくなってしまった。 だから。 忘れてしまいさえすれば、俺はまた一からやり直せる。 それなのにどうして―― お前は追いかけてくるんだ? 「相沢!! 待て、どうしたんだ、相沢!!」 どうしてひとりにしてくれないんだ。 なんでわすれることをゆるしてくれないんだ。 みんなしんでしまった。 それでもおれにつきまとうおまえはいったいだれなんだ? あゆは……しんだ。まいも、さゆりさんも、しんだ。しおりがしんでかおりはいなくなった。 あきこさんもしんだ。なゆきは、けさ、しんだばかりだ。 それならおまえは―― まこと、か?
※ ※ ※ 真琴はまだ気絶している。 ちょっとおどかしてやろうと思って突き飛ばしただけなのに、まったく気の小さい奴だ。 大きな石を枕にして眠るその寝顔を見ると、自然と俺の顔がほころんだ。 それにしてもこの浜辺には人気がない。さっきまでいた海水浴場から大して離れてもいないのに。 真琴と鬼ごっこをしているうちに意外な穴場に辿り着いてしまったようだ。 真琴が目を覚ましたら、ここでまためいっぱい遊ぶことにしよう。 しかしそれまでただ待ってるだけっていうのも退屈だな。 そうだ。この空き時間を使って、さっきのいたずらの仕返しも済ませてしまおう。 思い立ったが吉日。俺は砂浜に穴を掘り始めた。 途中で真琴が起きたらアウトだったが、幸いにも死んだように眠りこけたままだった。 俺は見事に(俺自身がされたように)真琴の首から下を砂に埋めることに成功した。 真琴が目を覚ましたときのリアクションが今から楽しみだ。 ひと仕事終えた開放感に、俺は目を瞑って大きく伸びをした。 ※ ※ ※ 何か、大切なことを忘れているような気がして、俺は伸びをやめて目を開けた。 波打ち際に木の棒が一本転がっている。 それで思い出した。 そうだ。スイカ割りをするんだった。 木の棒を拾い上げて、今度はスイカを探す。 辺りを見回すと、海岸には不釣り合いな大きくて丸い物が目に入った。 俺は木の棒を思いきり振りかぶって、振り下ろした。 ぐしゃっ、といい音がして、それは砕けた。 赤い汁がそこら中に飛び散る。 「どうだ、舞。綺麗に割れたぞ」 こんなありふれた、けれど幸せな日々を、いつまでも俺達は歩んでいく。 夏休みはまだ始まったばかりだ。
>>41-51 以上です。
途中、回線が不安定になり、投稿に時間がかかってしまいました。
申し訳ありません。
53 :
名無しさんだよもん :03/07/26 23:27 ID:gtB9Z0Wz
長すぎて読む気がしない。
今回は少なかったな。ネタ潰しが効いたか。
いや、あんなつまらんネタ使えないだろ、どっちにしろ。
投稿します。 タイトルは『月下血踊』、7レス予定。
黄金色に光る水面を見上げた。 昏くまとわりつく潮流に身を任せ、ゆっくりと深みへ沈んでゆく。 のどけき波音は波打ち際のそれと違い、深く遠く、体内に染み入るように響く。 荒事を常としてきた生き方を悔やむわけではないが、こうしていると、穏やかに過ごす刻のなんと安らぐことか。 野草を食み、魚獣を狩り、極限を幾度越えて来ただろう。過去に思いを馳せ――そして一瞬で現在に意識を戻す。 にかわで固め、念入りに補強してある鞘から、逆手に愛用の短刀を疾らせる。 悲哀と覚悟を以て一撃。相手が死することを哀しみ。自らが死することを覚悟する。 しいん、と一瞬だけ脳内に沈黙が訪れ、視界が黒に染まり、そこで初めて感覚が音と色を取り戻す。 きらきらと輝いていた海面が朱色に靄がかり、煙るように黒紅色が周囲を満たしていく。 明度の落ちてゆく視界を意にも介さず、海底に向け跳ねるように両脚を打ち揮う。 日を頼り、照らされたものを視ることなど元からしていない。ごぼごぼと激しく気泡が立つ音は、傷を負った苦悶の産物か。 感覚を研ぎ澄ませ、全身を操る。右手に握りこんだ短刀の刃には、一滴の血も一粒の錆も見えない。 じき、上方に漂う暗闇の雲がそぞろに蠢いたかと思う頃、そこから血を噴きながら一匹の鮫が牙を剥き飛び出した。 てんで見当違いの方向に向けていた視線を、瞬時に目標へと移す。上体を捻り、再び短刀を突き出して迎え撃つ。 もう何人の犠牲者を出したかすら解らない巨大人食い鮫は、こうして討ち取られたのである。
「……くだらん」 皓々と照る月明かりの下、濡れそぼった一人の女性が岩場に腰を下ろして月を見上げていた。 吊り気味の瞳と、寄せられた眉根。窄めた唇を尖らせて、つまらなそうに脚を揺らしている。 陸上常用の雨合羽は、脇に打ち捨てるようにして置いてある。彼女自身は一張羅の戦闘服のみを纏っている。 五十年の眠りから覚め、祖国が負けたことを知り。 犬飼に唆され、御堂や光岡と共に坂神を狙い。 結局、彼女は独りになることを選んだ。 思えば、彼女はいつも孤独であった。 彼女の軍属識別呼称は、水戰試挑体壱號。 その名前に、弐號以降は存在しない。彼女は独りだ。 仙命樹、と呼ばれる不可思議な生命体を身に宿した特殊部隊。 そのうち、女性は彼女だけであった。彼女は独りだ。 彼女を含む強化兵小隊総勢七名。彼らが戦友であることは確かではあるが、性差という本質の違いはやはり大きな溝となる。 仙命樹を持たぬ、まして五十年という大きな年代の差が存在する現代の女性など、言わずもがな。 変わらぬものは、空に浮かぶ月と、雄大な海。 いや。それですら、彼女の眠っていた五十年の間に、大きくその威容を変えているのだ。 月は昔よりも輝き衰え、小さく見えるし、海などはゴミだらけで目を覆わんばかりの惨状である。 これでは、鮫でなくともヒトに制裁を加えたくなろうというものだ――。 そんなことを思わず考え、苦笑する。 ――その鮫は、彼女自身が昼間、確実に息の根を止めた後、砂浜に放り捨てておいたというのに。
人食い鮫が出る、という噂を聞いたのは何処でだったか。 釣り船の客が話しているのを海の上で聞いたのだったか、たまに陸に上がったときに、警告の立て札を見たのか。 海水浴場の布告だったかもしれない。まあそれはどうでもよい。瑣末なことだ。 それを彼女は退治してやろうと決めた。深い考えはない。 強いて言えば――強ければいいな、と心の隅で期待していたくらいだろうか。 それだけだ。 そして結果はご覧の通り。 彼女の肌に、鮫の牙や、あるいは鋭いヒレ、逆立った肌による裂傷・擦過傷は一つもない。 圧倒的といってよかった程に、水中での両者の戦闘力には差が広がっていた。 「……くく」 ――ああ、そうか。そんなところでも私は独りなんだな。 身体能力的には人間をはるかに凌駕する獣ですら、この体たらく。 同じ強化兵でも、水中戦において彼女の右に出るものはいない。 つまり。 水の戦いにおいて、彼女の知りうるいずれの生物も、彼女には敵わぬということで。 「そうか。――戦いでは、死ねないか」 すすんで死にたがっているわけではない。ただ……独り、戦士として身を焦がす戦いが望めないというのは、酷く堪えた。 かといって彼女も悪鬼羅刹や殺人狂の類でもない。戦いを望むからといって、自ずから鯱の群に斬り込んだりはしない。 それに彼女は、鯱が好きなのだ。 ……ため息ひとつ。 ……血臭ひとつ。
それほどの血の匂いになぜそこまで接近を許したものか。 驚愕して振り返った彼女の目に、恐ろしい巨躯が映る。 硬質化し読めぬ顔色といえど、全身を朱に染めたその姿と挙動で、死に掛けているのが傍目にも判る。 速い。そして――恐ろしく、強い。 振るわれた腕をまともに受け――肋骨にヒビが入り――彼女は、紙のように中空へと吹き飛んだ。 常人であれば即死だろう強烈な一撃を受け、彼女は己の不覚を呪い、敵の存在に歓喜した。 帝国軍人として鍛え上げられた肉体と精神は、多少の痛みはどうとでもなる。意識を集中させ、岩場上の敵をねめつけた。 仕留めていたとでも思っていたのか、ただ立ち尽くしていたその巨躯は、背筋の凍るような殺気に反応して、顔を上げた。 ――にやり。 そんな笑みを浮かべたのはどちらか……いや、両方だ。 かたや月を背に瞳を輝かせ、抜き放った短刀を煌かせた海の戦士。 かたや己の血でその身を彩った、獣のような姿をした陸の化け物。 飛ばされた勢いそのままに、彼女は海中に没する。 彼女を追うようにして、化け物は勢いよく海中に飛び込んだ。 たてつづけの衝撃に、海中は泡で白い闇に閉ざされ――。 次の一瞬で、既に二人は斬り結んでいた。
――追ってきた。 無謀で愚かとも思えたし、大した執念だとも思えた。 仕留め切れなかった獲物を誇りにかけて追って来たか。それとも後は止めを刺すのみ、と甘く見たか。 どちらにせよ、彼女の土俵である水中戦に、巨大な敵は乗り込んできた。 ならば、それ相応のもてなしをせねばなるまい。 泡で視界が晴れぬうちから、彼女は短刀による斬撃を仕掛けた。 しかし、硬質化した皮膚、強靭な筋肉に阻まれ、思うように傷を与えることが出来ない。 なればより力を込めた一撃を、と間合いを広げたところで、泡の壁を突き破って太い腕が彼女に向け突き出された。 思考ではなく反応、本能とでも呼ぶべきもので、彼女は短刀を翳して身を守った。 水中である以上、ぎぃん! と甲高い音はしないものの、硬いもの同士が噛みあう感触は、いやでも手に伝わってくる。 彼女の短刀でろくな損害を与えられぬその肉体に、いかにして血を流させたものかと愚考するまでもない。 爪だ。 太い手の巨大な手先から伸びた鉤爪が、今にも彼女を斬り裂かんと力を込めて襲い掛かる。 この死にかけの化け物、同族の手によってここまで痛めつけられたに相違あるまい。 水を蹴って間合いを広げる。周囲は全て水だ。彼女にとっては地を蹴るが如き所業だが、彼女以外にはそうはいかない。 せいぜい空を蹴るように、じたばたともがく程度で追いつけはしまい。彼女がそう判断し、反転して敵に向き直ろうとした瞬間。 ぐぼぉん! 水中で爆薬を炸裂させたような音が響いた。不意の衝撃に悶絶する彼女。 ――何が起こったのか。 それは、半ば沈みかかけた化け物が、離れ行く彼女を目で捉え、あとを追おうとしただけだ。 彼女に失策があったとすれば、敵の筋力が予想の範疇をはるかに超えていたことだろう。 化け物が水を蹴ったその力は、水中に再び空気の幕……あるいは壁、とでも言うべきものを作り出した。 そして、その壁で彼女が敵を見失った瞬間――。
……不覚だった。 返す返すも、敵の力量を測り損ねていたことが、致命的な失策となってしまった。 なんのことはない。祖国が戦争に負けたようにして負けたということか。 既に戦場は海中にはない。彼女が掴まれたときに、敵は一気に海上まで身を躍らせていた。 ……腹部から血が流れ出す。 敵の爪が深々と食い込んではいるが、それ自体は致命傷ではない。 このまま打ち捨てられたところで、仙命樹の力で治癒するだけだ。 腹を掴まれたときに恐らく内臓も傷ついたが、それとて自然に治る範囲のものだ。問題ない。 ……問題なのは。 この化け物が、ヒトを一人、片手で掴んだまま持ち上げて。 その傷口から滴る血を、したたかに浴びているというところであって。 強化兵の血、つまり仙命樹を含んだ血液には、異性に対する強烈な催淫効果があって。 ……こいつが、もし
「……目が覚めたか」 彼女が憮然とした表情で、傍らの彼に問いかける。 茫とした表情でしばらく周囲を見回していた彼は、自らの左胸に手をやって。 「俺は、生きているのか? ここは、何処だ? お前は……誰だ?」 「それはこちらが知りたい。貴様、鬼か天狗の類か」 要領を得ない彼の言葉に、彼女はふん、と鼻を鳴らす。 かの化け物はまさに鬼とでも呼ぶべき強さではあったが、一夜明かしてみればその姿はヒトのそれ。 狸狐とは行かぬまでも、天狗が化かしたかと思っても仕方のないところであろう。 「鬼……そうだな、俺は鬼だ」 「そうか鬼か! なれば角は何処へ隠した! 金棒は持っていないのか!」 淡々と彼女の言葉を認める彼に、半ばやけっぱちに返す彼女。 その様子を見て、彼は何が面白いのかくっくっと含み笑いをしてみせた。 「あいにくと持ち合わせはないな」 「ふん。ならば貴様が鬼だと言う証もないのではないか」 「その通りだ。先の言葉は聞き流せ」 それからしばらく、無言が続いて。 数刻過ぎた後に、こんなやりとり。 「貴様、名は」 「柳川裕也だ」 「ユウヤか。ふん、似合わぬ。柔弱な名だな」 「放っておけ。そういうお前の名はなんだ」 「岩切……花枝」 「ハナエか。なかなか似合って可愛い名だ」 「うるさい」
>57-63 以上『月下血踊』でした。 途中、サーバー負荷のせいか書き込みに手間取りましたが、 レス番、文章の抜けなどはありませんです。はい。
65 :
名無しさんだよもん :03/07/27 19:41 ID:412x6QRi
、 ' , /⌒ヽ / ゚д゚) | U /u ( ヽノ .ノ ノヽ\ ノッシノッシ . 三 し U
今から投稿します。トリップ初めてなので失敗していたらご愛嬌。 タイトルは「よくあることだよね?」 規制に引っかからなければ13レスだと思います。
「北川君、もう寝ちゃったみたいね」 後部座席に座った香里が、その隣でだらしなく口を開けている北川を覗き込みながら言った。 俺が一人で運転してるってのに。いい身分だよな。 「栞も寝てる。今日はよっぽど疲れたんだろうな」 俺は俺で、助手席のシートにもたれ掛かるようにして静かに呼吸をしている恋人の寝顔を堪能していた。 「今日はごめんなさいね。栞のわがまま聞いてもらっちゃって」 「いや、俺も楽しみにしてたしな。運転ぐらいお安い御用さ」 「あ、やっぱり。栞の水着姿、本邦初公開よ。どうだった? 可愛かったでしょ」 後部座席から身を乗り出し、運転中の俺のほっぺたをつんつんつつきながら、香里が恥ずかしいことを聞いてきた。 栞の顔を少しきつくしたような、嘘みたいに白くて整った顔立ち。風呂上りを思わせる生乾きの髪がふわりと俺の頬を撫でると、シャワーでは拭いきれない潮の香りが俺の鼻腔を刺激する。その感触も匂いも、なんだか少しだけ気持ちがよかった。 「まあ、そりゃ、な」 心なしかいつもより色っぽい香里に少しだけどきどきしながら、俺は栞の白いビキニに身を包んだパレオが扇情的な水着姿を思い浮かべていた。そして照れ隠しに――何の照れなんだか――鼻の頭なんぞ掻きながら、正直に感想を言った。 「ふふ、素直でよろしい」 そう言って嬉しそうに笑っていたにもかかわらず、むにーっと頬の肉を引っ張られてしまう。しっとりと湿ったその指先は、クーラーのせいか香里の体温が低いのか、程よく冷えていて心地よかった。 「いてて……素直でいいんじゃないのかよ」 「そうよ。でも実の姉としては、可愛い妹に手を出す狼にはお仕置きしてあげないと」 この妹思いなお姉さんは、そんな事を言って一段と嬉しそうに笑いながら、俺の頬をつまむ手に容赦なく力をこめてきたのだった。 海岸沿いの国道を走る道すがら。ゆったりと流れる午後の時間の中で。 秋子さんに借りた車に潮の匂いを充満させ、窓から入り込む少し緋色を帯びてきた太陽の光を浴びながら、俺たちは海水浴の気だるい余韻を楽しんでいた。
68 :
名無しさんだよもん :03/07/27 21:11 ID:XaxezBm+
2
あの奇跡の大手術から一年半。今では栞も軽い運動ぐらいならできるようにまで回復し、こうして海に来て泳ぐこともできるようになっていた。 俺は時々頼まれる絵のモデルをどうやって誤魔化そうか本気で悩みながら、幸せな恋人同士という状態を満喫している。 高校卒業後、かつての美坂チームはばらばらになっていた。 名雪は推薦で体育大学へ進学し、香里は有名国立大学へ悠々合格。俺はと言うと、北川と揃って中堅……と言うには少し厳しいぐらいの私大になんとか滑り込むことに成功。二人でほっと胸を撫で下ろして、女性陣にたいそう笑われたものだ。 それでも名雪は同じ屋根の下に住んでいるし、香里は栞と会う時に良く顔を合わせていた。北川はもちろん同じ大学。全員で集まることこそ少なくはなったけど、お互い気分は高校時代のあの頃のままだった。 そして栞はというと、残念ながら一年留年することになってしまった。 「全然気にしてないですよ。あ、でも祐一さんと一緒の大学に通う期間が短くなってしまうのは残念です」 冗談めかしてそう言っていたことがあるけれど。あの子クラスからは微妙に浮いてるのよ……そんな香里の言葉を思い出し、何処まで嘘なのかがなんとなくわかってしまった。 そんな夏のある日。俺が車の免許を取ったからどこかへ行こうと言ったら、栞がこんなことを言い出した。 「みんなで海に行きたいです。お姉ちゃんと、名雪さんと北川さんと。きっと楽しいですよ」 この地方にしては珍しい蒸し風呂のような暑さの中、それはとても魅力的な話だった。 どうせなら二人っきりで……そう思わないでもなかったが、いままで病気のために大勢でそういう場所には行けなかったのだろうとか、クラスの奴らは誘い辛いのかな、なんて思ったりとかしてしまった俺に、そんなこと言い出せるはずも無かった。 取りたての免許を握り締め、秋子さんから車を借りて、恥ずかしげも無く若葉マークなんてつけて。 「わたしも大会が無かったら行きたいんだけど……」 本気で悲しそうな顔をする名雪を置き去りにして、俺たちはそれなりに近場の、意外と綺麗だという噂の海岸まで車を走らせることになったのだった。
「今日は栞もはしゃいでたからな。香里ももう少し一緒に遊べばよかったのに」 「あたしはパスよ。そういうのって苦手だもの。相沢君や北川君に任せておいたほうが栞も喜ぶだろうし」 車の振動の為か徐々にもたれ掛かってくる北川を押し戻し、そのひと房だけ跳ね上がった髪の毛を優しく撫で付けてやりながら、香里は少しだけ苦笑いをする。 「そうでもないと思うが……最後にやったビーチバレーは楽しかったぞ。香里の意外な一面を見れた感じだ」 「またそうやって。趣味悪いわよ」 苦笑いがあからさまな渋面に変わった。俺はその気配を感じて密かにほくそえむ。 この二人、姉妹揃って運動が苦手で、バレーをしている時砂に足を取られて何度か派手に転んでいたのだ。 「北川も腹抱えて笑ってたしな。いや、いいものが見れた」 あたふたと戸惑う栞も可愛らしかったが、いつも余裕に構えている香里がうろたえているのは――なんというか、新鮮で。 「そうね。もう二度と見せてあげないから、確かにいいものと言えばいいものかもね」 確かにあんな姿はこういう機会でもないと見ることが出来ないだろうな。 ちょっと頬を赤らめてそっぽを向いて拗ねてみせる彼女は、やっぱりいつものイメージより可愛らしかった。 「なんでさ。可愛いところあるじゃないかって北川も言ってたぞ」 冷やかすようにからかうと、このプライドの高いお姉様は、恥ずかしいのか怒ったように言葉を詰まらせてしまう。 そこで俺は少しだけ悪友のためにおせっかいをしてみようという気になってしまった。 「なあ。余計なお世話かもしれないけどさ。お前ら付き合ったりしないのか?」 「……藪から棒に何言い出すのよ……?」 香里はそれだけ言うと、今度は不機嫌そうに押し黙ってしまう。
もうだいぶ前の話になるが、北川から香里のことが好きだという話をされたことがある。 その時は笑って「頑張れよ」なんて言っていたが、今になっても進展が無いというのはいくらなんでも気の毒に思っていたのだ。 「言い出そうとするとどうしてもかわされちゃうって言ってたからな。友人として、まあ、助け舟みたいなもんだ」 実際、香里に北川の気持ちが伝わっていないはずは無い。香里だってそれほど嫌がってるとは思えないが、そういう関係には至っていないようなのだ。 「ほんとに余計なお世話ね」 「まあ、そう言われればそうなんだが。他に好きな奴でもいるのか?」 この言葉に、香里はぴくりと反応した。 「……いないわよ」 「嘘つけ。じゃあ今の間は何だよ」 少しおどけたように聞いてみる。いつものように素っ気なかったりあきれたような返事を予想していたのだが、意外にも返事は返ってこなかった。 (こりゃマジだな) そうか。香里には気になる奴がいるのか。 残念だったな北川。骨は拾ってやりたいところだが……もう少し揺さぶってみるか。 「わかってると思うけど、北川だっていい奴だぜ?」 「……もし相沢君が栞と結婚したとするじゃない?」 「……は?」 俺の言葉に答えず、いきなり結婚なんて言い出すものだから、ちょっとだけ焦って間抜けな返事をしてしまった。 「それであたしが北川君と結婚すると……この人のこと、『お兄ちゃん』なんて呼びたい?」 変わらず北川の髪を撫でながら、香里はそんな事を言った。 当の本人は話題になっていることなど露知らず、香里の肩にもたれかかったまま気持ちよさそうに寝息を立てている。
72 :
よくあることだよね?5 :03/07/27 21:13 ID:XaxezBm+
気が付くと、香里は死んでいた
北川が死んだのは、その直後だった。
「それは確かに嫌かもな」 「でしょう?」 本気なのかどうかはわからないが、そんな事を言って無理したように笑う。こういう極端な例を持ち出してくるってことは……相当嫌がってるってことか。 結婚、なんてまだぴんとこないが、栞とならいずれはそういうことになるかもしれない。ただ北川の事を兄貴なんて……冷静に考えると確かにぞっとしないが、いかにも取って付けたような理由だった。 「残念だな。香里が知らない奴とくっつくってのは、なんと言うか、悔しいよ。こいつとだったら」 「やめてよ」 なおも話しつづける俺の言葉を遮って、もうこの話題はやめようと言わんばかりにぴしゃりと言い放つ。 「……すまん。調子に乗りすぎた」 素直に謝ってはみたものの、彼女はそれに答えるでもなく、窓の外に視線を移して不機嫌そうに黙ってしまう。 (余計なお世話……確かにそうなんだけどさ) 自分がこんなにおせっかいな人間だとは思っていなかった。北川の事も香里の事も、大事に思うからこそそっとしておいた方がいいのはわかっている。 わかっては、いるつもりだったのだが。
俺もそろそろ死のう。 --完--
「北川君、もう寝ちゃったみたいね」 後部座席に座った香里が、その隣でだらしなく口を開けている北川を覗き込みながら言った。 俺が一人で運転してるってのに。いい身分だよな。 「栞も寝てる。今日はよっぽど疲れたんだろうな」 俺は俺で、助手席のシートにもたれ掛かるようにして静かに呼吸をしている恋人の寝顔を堪能していた。 「今日はごめんなさいね。栞のわがまま聞いてもらっちゃって」 「いや、俺も楽しみにしてたしな。運転ぐらいお安い御用さ」 「あ、やっぱり。栞の水着姿、本邦初公開よ。どうだった? 可愛かったでしょ」 後部座席から身を乗り出し、運転中の俺のほっぺたをつんつんつつきながら、香里が恥ずかしいことを聞いてきた。 栞の顔を少しきつくしたような、嘘みたいに白くて整った顔立ち。風呂上りを思わせる生乾きの髪がふわりと俺の頬を撫でると、シャワーでは拭いきれない潮の香りが俺の鼻腔を刺激する。その感触も匂いも、なんだか少しだけ気持ちがよかった。 「まあ、そりゃ、な」 心なしかいつもより色っぽい香里に少しだけどきどきしながら、俺は栞の白いビキニに身を包んだパレオが扇情的な水着姿を思い浮かべていた。そして照れ隠しに――何の照れなんだか――鼻の頭なんぞ掻きながら、正直に感想を言った。 「ふふ、素直でよろしい」 そう言って嬉しそうに笑っていたにもかかわらず、むにーっと頬の肉を引っ張られてしまう。しっとりと湿ったその指先は、クーラーのせいか香里の体温が低いのか、程よく冷えていて心地よかった。 「いてて……素直でいいんじゃないのかよ」 「そうよ。でも実の姉としては、可愛い妹に手を出す狼にはお仕置きしてあげないと」 この妹思いなお姉さんは、そんな事を言って一段と嬉しそうに笑いながら、俺の頬をつまむ手に容赦なく力をこめてきたのだった。 海岸沿いの国道を走る道すがら。ゆったりと流れる午後の時間の中で。 秋子さんに借りた車に潮の匂いを充満させ、窓から入り込む少し緋色を帯びてきた太陽の光を浴びながら、俺たちは海水浴の気だるい余韻を楽しんでいた。
「動かなくなっちゃったわね」 気まずい雰囲気がしばらく続いた後、香里が海岸の方に視線を移したままそんな事を言った。 さっきからのろのろと自転車に追い抜かれそうな流れだったこの国道も、ついにまったく動かなくなってしまったのだ。 「やっぱりこの時期は混むんだな」 窓から顔を出して前の方を窺ってみるが、動き出しそうな様子はまるでない。 「前までぎっしり。今がピークみたいだ。もう少し時間をずらした方がよかったのかな」 栞が疲れを見せなければもう少し遊んでいてもよかったのだが、あまり無理をさせるのもよくないだろうと判断して早めに帰ることにしたのだ。それがどうやら裏目に出てしまったらしい。 Uターンしようにも反対車線まで動かなくなっている。多分、他の海水浴場から別方向に帰る車も多いのだろう。 「いまさら引き返せないしな。待ってるしかないだろ」 オートマ車は止まっている間ずっとブレーキを踏んでいなくてはならないので、泳ぎ疲れた足には少々負担が大きかったが、この際弱音を吐いてはいられない。 「そうね。そのうち動き出すでしょ」 軽くため息を吐きながら、いつもの調子に戻って香里が言った。 俺も香里も、この時はまだ事態を軽く考えていたのだった。
「……ねえ。今どのぐらい進んだのかしら」 あれから約一時間。香里は苛立ちを隠そうともせず、やり場のない怒りを言葉にしてきた。 「さあな。一キロぐらいじゃないか?」 俺は俺で、痺れてきた右足をさすりながらぶっきらぼうに答える。 免許取立ての人間に渋滞はきつい。動かなさそうだ、と思ってサイドブレーキを引くと、のろのろと嫌がらせみたいにちょっとだけ進んだりするのは精神的にかなり参る。 「この様子じゃ、すこしぐらい時間をずらしても一緒だったわね」 緋色の光で照り付けていた太陽も、既にその姿を一部地平線に隠してしまっている。そろそろ腹も減ってきたし、いい加減二人も起きだす頃だろう。 俺は少しづつ下がる気温にあわせてクーラーの強さを一段階下げた。 「まったく。冗談じゃないわ。なんだってこう、みんな同じところに来たがるのかしら」 いや、その「みんな」には俺達も入ってるんだけど。 なんて心の中で突っ込む。ちょっと口に出して言う空気じゃなかったのだ。 香里はかなり不機嫌になっていた。微かに体をゆする気配がするのは、どうやらイラついて貧乏ゆすりをしているらしい。 「落ち着けって。別に今日は予定もないんだろ?」 宥めようとして言ってしまってから「逆効果かな?」と思ったけど、彼女はまるで耳に入っていないように無反応だった。 「どうしたんだよ。さっきからなんか変だぞ?」 「なんでもないわよ」 今度は即答が返ってきた。 だが、なんでもないと言うにはちょっと様子がおかしい。バックミラーで見てみると、心なしか顔色も悪いように見える。 「本当に大丈夫か? 気分が悪くなったなら言えよ。薬があるから」 「なんでもないってば」 さっきより強く言った香里の声は、どう聞いても余裕のないものだった。 (意地っ張りだからな……とりあえず薬を確認しておくか) いまだ眠りつづける栞を起こさないように気をつけながら、ダッシュボードにある薬を確認しようとした時に、ふと、あるものが目に入る。 (まさか……?) その想像にたどり着いたとき、俺は軽い眩暈を覚えた。
「あのさ」 「なによ」 香里の返答は取り付く島もない。だか、もし俺の想像通りだったらかなりまずいことになる。ここは思い切ってストレートに訊いてみよう。 「ひょっとして、トイレに行きたいんじゃないのか?」 「…………っ!」 背後で生まれた物凄い怒気に「殴られる!?」と思って首をすくめたが、幸いと言うかなんと言うか、怒りの鉄拳が飛んでくる前に彼女の気力が萎えたようだ。 「……そうよ。さっきから我慢してるわ」 背に腹は替えられないというやつだろう。思ったよりもあっさりとその事を認めた。 「やっぱりか。どうもさっきから様子がおかしいと思ったんだよ」 海で泳いだ後は無性に喉が渇く。加えて日中の暑さはかなりのものだった。思い出してみると、彼女はお茶などをだいぶ飲んでいたような気がする。 「悪かったわね。車が動き出すまで我慢しようと思っていたのよ」 バックミラー越しに見える、もぞもぞと足を動かしながら顔を真っ赤にして耐える美人の姿は、なんというか、エロティックで。体の一部がちょっと栞には見せられないような状態になりつつあった。 しかし困った事になった。トイレのある場所まで行けるぐらい動くには時間がかかりそうだし、国道の右手は海岸、左手は山沿いの断崖だ。隠れて用を足せそうな所はちょっと見当たらない。
しばらく歩けばそういう場所もあるかもしれないが、その間に車が動き出したら置き去りになってしまうし、なにより年頃の女の子に外で用を足せと言うのは酷な話だ。 「まだ我慢できるか?」 訊いても答えは返ってこない。多分、大丈夫とはいい難い状態なんだけど、駄目と言った所でどうなる物でもない、って感じなんだろう。 車は動き出す気配を見せない。少しでも流れてくれれば、と思っても、相変わらずサイドブレーキを引いたり引かなかったりという状況だ。とてもじゃないが期待は出来ないだろう。 (やっぱりさっきのアレしかないか。今度こそ殴られそうだけど) 左手を伸ばして薬などが入っている箱の奥から、小さなビニールの塊を取り出した。 「えーと、香里さん? ご機嫌いかがですか?」 「何よ気持ち悪い。今冗談を言ってる余裕なんか……」 「よかったら、こんなのもあるんですけど?」 怒る香里の言葉を遮って、恐る恐るそれを肩越しに見せる。 「……? なによ、コレ」 「携帯用トイレ」
「………………っ!!」 再び生まれた怒気は俺の事をひるませるが、またもや爆発する前に霧散する。 「……これはどういうこと?」 だがどうやら今回は、霧散したのではなく凝縮してしまったようだった。俺が見せたそれを毟り取るようにしてひったくると、怨嗟が篭っているかのような低い声で凄んできた。香里の感情を抑えた冷たい声は、変に怒鳴られるよりよっぽど怖い。 「いや、どういうことって言われても……」 「……まさか相沢君、あたしにここでしろって言うの?」 そりゃあもう、空気が凍ったと錯覚するぐらい冷たい声で。 栞。お前のお姉ちゃんは凄いな。言葉だけでクーラーより気温を下げてくれるぞ。 「なら他にいい案があるのか?」 気圧されつつも負けじと言い返す。ぐっ、っと彼女らしくないうめき声をあげてしまったのは、隠し切れない動揺が滲み出たのか。 「どうせやるなら早い方がいいぞ。そのうち栞や北川も目を覚ますだろうし」 そう。俺は運転手と言う立場上寝るわけにはいかないので、他の二人が……特に北川が寝ている今は、絶好のチャンスだと言っていいだろう。
「……他に方法はないの……?」 さっきの勢いはどこへやら、ちょっとだけ泣きそうになっている香里は気の毒なくらい悲しげで。でも残念ながら他にいい案は思い浮かばない。 「漏らすよりましだろ?」 「そりゃ、確かにそうなんだけど……」 だんだん声に力がなくなっていく。そんな妙にしおらしい香里は、本人には悪いけど可愛らしくて、ちょっとだけ意地悪してみたくなってしまった。 「なら、栞と北川を起こして一緒に考えてもらうか? 何かいい案ないかって」 「……っ! やめてよ、わかったわよ!」 俺が栞に向かって伸ばした手を必死に遮ると、大きな声にならないように声量は抑えながらも悲鳴に近い声をあげた。 (焦ってる焦ってる) そんな期待通りのリアクションに、俺は心の中で含み笑いを漏らしていた。 他に手がないって香里自身わかっているのだろう。ただ、俺の前でそういう姿を晒すことに踏ん切りがつかなかっただけだ。 あとはもじもじと内股を擦り合せる彼女の背中を押してやるだけ。 「はやくしないと二人が起きちまうぞ?」 「す、すればいいんでしょ?」 他にいい方法もないし……ぶつぶつと独り言のように呟きながら、がさごそと手に持った携帯用トイレを広げだした。
(ほ、ほんとにやるのか) 覚悟を決めたらしい香里とは対照的に、今度は俺の方が焦ってしまった。 自分で煽っておいてなんだが、やっぱりまだ、どこか現実感がない。同じクラスで同じ学校に通った女の子が、こういう特殊な状況とはいえ、俺のすぐ後ろで、その…… ごくっ、と、思わず生唾を飲み込んでしまう。 香里はまず、気持ちよさそうにもたれかかっていた北川を静かに押しのけた。 そして後ろから身を乗り出すと、バックミラーの角度を変えて俺に後ろが見ることが出来ないようにしてしまった。 身を乗り出した時に俺の目の前に来る格好になった、栞に似て小ぶりだけど形のいい胸も、紅く染まった綺麗な白い頬も、こういう状況とあいまって俺の男の部分を刺激する。 「後ろ向いたら殺すわよ」 「わかってる」 それは決して冗談などではないだろう。少なくとも、俺にはそう思えた。 見えないというのが余計に俺の想像を掻き立てるのだが、直接見られるよりは遥かにましなのかもしれない。 そして、おそらく下着を脱いでいるのであろう微かな衣擦れの音がした後、ビニールチャックを開けるような音がして……
「……」 「……」 空白の時間。 なんとなく二人共黙ってしまったまま、俺はその瞬間を待った。 「ぁ……」 そしてついに我慢できなくなったのか、香里がほっとしたような小さな息を漏らした瞬間、微かに、しかしはっきりとした音が聞こえてきた。 ……その音をなんと形容したらいいのだろう。 男のそれと違い、何かシャワーのようなもので水を撒いているような、そんな感じの音と、携帯トイレのビニールにその水がぶつかる音。 それが何処から出てきた音なのかを考えると…… こらっ、反応するな俺!! 「……」 「……ちょっと。だ、黙らないでよ」 「あ、ああ。すまん」 静かな状態で自分の排泄の音が鳴り響くと言うのに耐えられないのだろう。少しだけ裏返った声で抗議してくる。 だがそんなことを言われても、こんな時に何を話せって言うんだ? というか香里さん、いつもより声が色っぽくないですか?
「―――」 「―――」 結局また、むしろ前より深刻な沈黙が場を支配する。 …… ………… ………………長い。やたら長いぞ。 よっぽど我慢していたのだろう。しぶくような水音はその勢いを止めようとはせず、むしろより一層勢いを増していた。 恐らく最初の頃は音が響くのを嫌がって少しづつ出していたのだろう。おかげで余計に長くなってしまったようだ。 携帯トイレがあふれちゃうんじゃないか? なんて思ったが、もちろんそんなこと口に出すわけにいかない。 「……何か喋ってよ……」 黙ったままでいる俺に、べそをかいていると言ってもいいぐらい悲しそうな声で香里が懇願してくる。 「あ、ああ。じゃあ……」 ラジオでもかけるかとオーディオに手を伸ばすと、流れてきたのは実にタイミングの悪い事に、情事を連想させるぐらいムーディーな洋楽系のラブソングだった。 「ええと……」 さすがに気まずいので局番を変えようとしたのだが、何しろ借り物の車な上に焦っていて、操作がいまいちよくわからない。 (こうかな?) あてずっぽうで操作パネルをいじると、砂嵐のようなひどい雑音が入ってきた。 (やべ、二人が起きちまう) とりあえずないよりまし、ということで、最初に掛かった局番に戻す事にした。 周囲がピンクに染まったかのように錯覚する音楽が、このシュールな状況を余計におかしな雰囲気にしてしまう。 「…………」 香里は何か言いたげだったけど、口に出しては何も言わなかった。
「あのさ」 「なによ」 香里の返答は取り付く島もない。だか、もし俺の想像通りだったらかなりまずいことになる。ここは思い切ってストレートに訊いてみよう。 「ひょっとして、トイレに行きたいんじゃないのか?」 「…………っ!」 背後で生まれた物凄い怒気に「殴られる!?」と思って首をすくめたが、幸いと言うかなんと言うか、怒りの鉄拳が飛んでくる前に彼女の気力が萎えたようだ。 「……そうよ。さっきから我慢してるわ」 背に腹は替えられないというやつだろう。思ったよりもあっさりとその事を認めた。 「やっぱりか。どうもさっきから様子がおかしいと思ったんだよ」 海で泳いだ後は無性に喉が渇く。加えて日中の暑さはかなりのものだった。思い出してみると、彼女はお茶などをだいぶ飲んでいたような気がする。 「悪かったわね。車が動き出すまで我慢しようと思っていたのよ」 バックミラー越しに見える、もぞもぞと足を動かしながら顔を真っ赤にして耐える美人の姿は、なんというか、エロティックで。体の一部がちょっと栞には見せられないような状態になりつつあった。 しかし困った事になった。トイレのある場所まで行けるぐらい動くには時間がかかりそうだし、国道の右手は海岸、左手は山沿いの断崖だ。隠れて用を足せそうな所はちょっと見当たらない。
いつまで続くのか、ひょっとして終わらないんじゃないか。そんな馬鹿なことを考えた瞬間、唐突にその音が途絶えた。 すぐにビニールチャックを閉める小さな音が聞こえてくる。 「お、終わったのか」 「……」 香里はやっぱり何も言わなかった。下着を履く衣擦れの音だけが、微かに俺の鼓膜に届いてくる。 「……これ、どうしよ……」 下着を履き終わった後、蚊が鳴くような声で聞いてくる香里は、気が強い才媛って言ってもやっぱり女の子なんだなあ、なんて思わせてくれて。 「とりあえずゴミ箱にでも隠しとけ。後で俺が処分しておくから」 「え……? いいわよ、あたしが……」 「んんっ……」 香里が抗議の声を上げたとき、そのちょっと大きな声のせいか北川が呻き声を漏らした。 「ほら、北川が起きるぞ。見られたくないんだろ?」 バックミラーを直して後ろを見てみると、ちょうど悪友がもぞもぞと動き出すところだった。 「……うん……」 観念したのか、ボソッっていう物音と共に携帯用トイレをゴミ箱に捨てたようだ。 「……ん……すぅ……」 で、その北川はと言うと、寝返りをうっただけでまた寝息を立てはじめやがった。 「起きるんじゃねえのかよ。人騒がせな」 なにも知らない幸せそうな寝顔は、なんだかとても癇に障った。香里も同じ思いだったようで、睨むような目で北川の方を見ている。 はは、気の毒に。ただでさえ見込みが無いってのに。 そんなことを思って心の中で北川に手を合わせていると、安心して気が抜けたのか、突然香里が俺の肩にその小さな顔を乗せてきた。 「お、おい」 骨ばった顎が俺の肩甲骨の辺りにのっかり、ウェーブした髪がもう一度俺の頬を撫でる。さっきは湿り気を帯びていた髪はもう乾いていて、さらさらと俺の皮膚をくすぐった。 その髪は潮の香りより、焦った為にかいたのであろう汗の匂いが少しだけ強かった。 「すん……」 え? ちょっと待て。なんでそうなる。 「……ぇ……ぅ……」 泣くなよ…… どうしていいかわからずに、よしよしするように香里の髪を撫で付けてやる。 こんな光景、栞が見たらどう思うだろう。そう思って隣を見たけど、栞も北川同様、気持ちよさそうに熟睡していた。
「動かなくなっちゃったわね」 気まずい雰囲気がしばらく続いた後、香里が海岸の方に視線を移したままそんな事を言った。 さっきからのろのろと自転車に追い抜かれそうな流れだったこの国道も、ついにまったく動かなくなってしまったのだ。 「やっぱりこの時期は混むんだな」 窓から顔を出して前の方を窺ってみるが、動き出しそうな様子はまるでない。 「前までぎっしり。今がピークみたいだ。もう少し時間をずらした方がよかったのかな」 栞が疲れを見せなければもう少し遊んでいてもよかったのだが、あまり無理をさせるのもよくないだろうと判断して早めに帰ることにしたのだ。それがどうやら裏目に出てしまったらしい。 Uターンしようにも反対車線まで動かなくなっている。多分、他の海水浴場から別方向に帰る車も多いのだろう。 「いまさら引き返せないしな。待ってるしかないだろ」 オートマ車は止まっている間ずっとブレーキを踏んでいなくてはならないので、泳ぎ疲れた足には少々負担が大きかったが、この際弱音を吐いてはいられない。 「そうね。そのうち動き出すでしょ」 軽くため息を吐きながら、いつもの調子に戻って香里が言った。 俺も香里も、この時はまだ事態を軽く考えていたのだった。
それから数分して香里が泣き止んで、更に数十分後。ようやく車が流れ出した。 相変わらずのろのろとした動きだったが、とにもかくにも走り出したので、俺は内心ほっとしていた。 なぜって、このままこの状態だったら俺や他の二人だって同じ様な状態にならないとは限らなかったから。 その頃には北川も起きだして「あれ? まだこんなところ?」なんて言って香里の冷たい視線を貰ったなんてことは、まあ特別言うまでもないかもしれない。 それからドライブインに寄ったりして、俺達は無事に帰路につくことが出来た。 香里は終始無言だったので、盛り上げようとしている北川に俺が相槌を打つ、なんて寒いやり取りはすぐに途切れてしまった。 北川はどうやら、香里も疲れてるんだろうな、なんて勝手に納得していたみたいだ。 それから栞も起きだして、ようやく少し場が和みだした所で、一番近い北川の家に着いたのだった。 北川の家の前に車を停めると、誰が言うでもなく全員車から降りて、ちょっとした雑談状態になっていた。 辺りはもう暗くなっていて、月の光と微かな星の光だけが俺達を照らしている。 「今日はどうもありがとうございました。とっても楽しかったです」 例え今日が楽しくなかったとしても、この一言のおかげで楽しかったと思える。 青白い月光の下で、そんな嬉しくなるような笑顔のまま、栞が軽く頭を下げた。 「ははは。可愛い栞ちゃんの為だったら何だってするさ。もっとも、今日はこっちが御礼を言いたいぐらいだけどね」 「よく言うぜ。ずっと熟睡してたくせに」 「俺も運転できれば代わってやれたんだけどなあ」 残念だー、なんて誠意のかけらもなく言う北川の足を踏みつけ、大げさに痛がるあいつをみんなで笑う。 (よかった、香里ももう気にしてないみたいだな) 一緒になって笑う香里に、俺はほっと胸を撫で下ろした。 それからスイカ割りがどーの、拾ってきた貝殻がどーのと、栞と北川が楽しげに今日のことを話し始める。 そんな二人を微笑ましく見ていると、頃合を見計らってか香里が俺の服の裾を引いた。
「なんだ?」 二人からそれとなく離れて、香里が俺に耳打ちしてきた。 「あの二人、仲がいいわね」 「だな」 「妬ける?」 「馬鹿言うなっての」 俺を苦笑させた後、本題といわんばかりに少しだけ声を小さくして訊いてきた。 「……今日のこと、栞には」 「言うわけねーだろ。つうか、言えねえよ」 「そう……そうね、そうよね」 俺の即答に、なぜだか少しだけ沈んだ声を出した後。 ゴッ!!! 「ぐあっ、いてえっ!? 何すんだ!!」 「うるさいわね、見物……してたらこんなもんじゃすまないけど、聴物料よ!!」 「なんだよそれ! ったく、言ってる事が無茶苦茶だぞ。ああいてえ。普通女がグーで殴るか? くそ、不可抗力だってのに」 怒っているのか楽しんでいるのか。意外にも香里の顔は晴れやかだった。 なんだか納得いかないものを感じるが……でもまあ、あんな恥ずかしい思いをした香里に比べたら、これはこれで安い物なのかもしれないな。 振り返ると、栞と北川が不思議そうに顔を見合わせていた。 そんな何も知らない二人を見ていると、俺の中である決意が固まる。 今度海に行くときには、車じゃなくて電車にしよう――! ……だけど、今日の香里はちょっとだけ可愛かったかな、なーんて。 「なに人の顔見てにやけてんのよっ!」 「いてっ! だからグーはやめろっての!」 そんなやり取りをしながら、俺は見えないところに隠してある香里のあれをどう処分するべきか、なんてくだらない事を考えていた。
SSの投稿中もトリップを入れたほうがいいみたいだね。 67 :よくあることだよね?7 ◆zQ6Zbd9MzM :03/07/27 21:11 ID:jlrmtpVu こんな感じで。 保管サイトにはちゃんとした形で残るし、 IDを参照してもらえればたいていは大丈夫だと思うけど、 連続投稿規制にひっかかって繋ぎ直しが必要になって 本人のIDも変わることもあるし。 投稿時のトリップは必須な感じだな。 次以降投稿する人はよろしければご参考に。
トリップ入れない香具師は投稿禁止。
禁止 × 激しく推奨 ○
まぁ俺は即座にIDあぼーんしたから問題なく見られるわけだが。
今から投稿します 題名『何も変わらない夏の海』 痕 エロ無し 2スレ トリップは好きではないのでつけません
「アイスいかがですか〜」 チリンチリンと鐘を鳴らしながら、俺は灼熱の砂浜を歩いていた。 目の前は、青く冷たくて気持ちよさそうな大海原。このくそ重たいクーラーバックを投げ捨て、海にダイ ビングしようかと企(たくら)んだ事は、一度や二度ではない。 「すみません、アイスもらえますか?」 突然、ピンクのビキニが似合う乙女……には、あと5年の月日が必要そうな女の子が俺に声をかけてきた。 「はい。100円だよ、お嬢さん」 小銭を受け取ると、さっとクーラーボックスから冷えたアイスバーを素早く一本抜き取り手渡した。 「ありがとう」 その少女はアイスを受け取ると、にぱっと明るく笑った。 いい笑顔だなと、俺はなんとなく思った。 「ありがとうございました〜」 良く言えば威勢のいい、悪く言えば暑さでヤケ気味に俺は礼を述べた。 「耕一さん、ずいぶん仕事に馴れてきたみたいですね」 振り向くと、同じように鶴来屋の法被を着て、大きな麦わら帽子をかぶり、クーラーボックスを手に持った 千鶴さんが、すぐ後ろに立っていた。 俺は顔の前で片手を、イヤイヤとんでもないと言わんばかりに振った。 「千鶴さんも大変ですね。毎年夏場の休日に、こんなアイス売りをしなきゃいけないなんて」 「祖父の家訓なんですよ。商売の初心忘れるべからずって。父もぶつぶつ文句を言いながら、毎年アイスを売 っていましたわ」 「へ〜、伯父さんも売っていたんだ」 千鶴さんはコクンと微笑みながら頷いた。 「子供の頃は兄弟で売り上げを競っていたと、叔父さまもよく話していました」 「え、親父も売っていたの?」 「はい。一昨年まで毎年この砂浜を歩いていました」 白い波が寄せる海原を見つめながら答えた。 「叔父さまはよく寂しげに、子供の頃は兄と親父の三人で売っていたが、もう俺しか残っていないと呟いてい ました。そしてその後、必ずこう言っていました」 「なんて言ったんだい?」 「……耕一が一緒だったら楽しいのにな……と」
「親父が…」 「兄ちゃん兄ちゃん」 俺が何か言おうとしたと同時に、背後から子供の声が聞こえた。 「アイスなんぼや?」 水中眼鏡とシュノーケルを手にした二人連れの少年が俺を見つめていた。 「一本100円だよ」 俺の返答に、さっと少年達はジャンケンのポーズをとった。 「一回勝負やぞ!」 「負けたらおごれな!」 たわいもない会話ながら、当の子供達は真剣な目をしている。 「私、あちらのほうで売ってきますね」 「あ、はい」 もう少し話を聞きたかったが、俺は仕方なく手を振り見送った。 「アイスいかがですか〜。冷たくて美味しいですよ〜」 乙女の可愛らしい物売りの声に、さっそく無粋な野郎どもが声をかけている。 こっちはというと、 「あいこでしょ! あいこでしょ!」 白熱した戦いが繰り広げられていた。 「よし、勝った!」 「くっそ〜」 負けた少年がごそごそと腰のポシェットから財布を取りだし、小銭を俺に手渡した。 「あんがとう、お兄ちゃん!」 アイスを受け取ると、二人は砂浜を駆けだした。 「ありがとうございました〜」 親父も餓鬼にアイスを売る度、俺の事を思い浮かべたのだろうか。そんな事を思いながら俺は再び歩き出した。 照りつける太陽。 吹き続ける磯風。 遙か昔から何も変わらない夏の海。 何の因果か親子三代続くアイス売り。 俺にも子供ができたら、一緒にこの砂浜を売り歩くのだろうか。 そんな事を考えながら、チリンチリンと手に持つ鐘を鳴らしながら俺は叫んだ。 「アイスいかがですか〜」
以上 『何も変わらない夏の海』でした。
【告知】 締め切りまで残り 10 時間を切りました。 最後の追い込みがんばっていきましょう。 今回のテーマは『海』で、締め切りは 7 月 28 日の午前 10:00 です。 締め切りギリギリまたは少し越えて投稿をしそうな方は、 前もってお伝えください。それについて考慮いたします。 また、締め切りを過ぎても即、投稿期間終了というわけではありません。 締め切り間際で他の方の作品と交錯する恐れや、最悪の場合、アクセス禁止が かかる可能性があります。焦らず、落ち着いて投稿してください。
101 :
名無しさんだよもん :03/07/28 00:19 ID:zj4HxxHW
夏厨はスルーという事で、何事も無かったように次の人どうぞ( ´∀`)
それでは、これより投稿します。 タイトルは『乙女が海に来た理由』 ONEの七瀬留美が主人公、9レス予定です。
海は深い青みをたたえて透き通っていた。砂は強烈な日差しに灼かれて白く輝いている。 その海水浴場は都会からはやや遠いこともあって、さほどは混雑していない。 そんな浜辺の更衣室から、白いビキニの水着に着替えた少女が出てきた。 左右に分けて束ねた髪型が可愛らしく、活発そうな印象を与る。 整った顔立ちに、引き締まったプロポーション。 誰が見ても魅力的な美少女だった。 しかし、彼女に声をかける男は一人もいない。 その原因は、彼女のただならぬ様子にあった。 目は血走り、口は真一文字に結ばれている。 波打ち際を目指して、わき目も振らずに大股で歩いていた。 まるで、何か理不尽なことに腹を立てているかのようだ。 そんな彼女に近づく者などあるはずもなく、かえって恐れをなして道を開けた。 そのままの勢いで海に入っていった彼女は、腰まで水につかると、 「ふう〜」 まるで温泉に入った老婆のごとき溜息をついた。 少女は水の中で、ビキニのパンツ部分を少し緩めた。 隙間を作って、海水を股の間に直接招き入れる。 「ああ、染みるぅ〜」 塩水を股にすり込むようにしながら、そんな声を上げた。 ややあって、彼女は「はあ」と切なげな吐息をもらした。 (乙女ともあろうものがこのザマとは……ああ、情けない) この少女、七瀬留美には、誰にも言えない悩みがあるのだった。
彼女は毎年、夏休みには一人で海に来る。 友人がいないからではない。今年もクラスメートから一緒に海に行こうと誘われていた。 本当は、彼女も友人たちと遊びに行きたかった。 しかし、彼女は秘密をクラスメートたちに、特に折原浩平に知られるわけにはいかないのだ。 折原浩平は彼女にとって気になる男の子だった。 彼と遊びに行くのは楽しいだろう。しかしそれは許されない。呪わしき秘密のために。 乙女の秘密。それは彼女の股の部分に隠されていた。 彼女の脚のつけ根には、ある疾患がある。 皮膚の角質層に白癬菌というカビの一種が感染し、強烈な痒みを引き起こす。 皮膚病の一種で、正式には股部白癬という。 わかりやすく言えば、インキンである。 彼女は以前、剣道部に所属していた。 剣道の防具は蒸れやすく、インキンを発生させる原因となりやすい。 おおらかな彼女は、男子部員が使った後の防具でも、平気で使うことがあった。 おそらくその時に、感染したものであろう。 それ以来、彼女は蒸し暑い時期には股間の痒みに悩まされるのだ。 恥かしい話だった。インキンは漢字で陰金と書くのであり、男子に多い病気である。 花も恥らう乙女が患うようなものでは決してない。 当然、彼女はそれを必死に隠した。 人前で掻いたりしないように注意した。そもそも掻けば掻くほど痒みがひどくなるのだ。 授業が終わるとトイレに駆け込み、ポケットに忍ばせた薬を塗ることもしばしばだった。 なるべく汗をかかないように、夏の間は体育の授業も見学だった。 水泳ももちろん見学だっだ。水着になったら患部を見られてしまう。 夏の学校は、彼女には苦労の連続なのだった。
毎年、夏休みになると、彼女はこの海に来る。 海水に浸したり、日光で乾かすことによって、彼女の疾患はかなり癒されるのだ。 早い話が、インキン治療に来ているのである。 海水浴でインキンを治すというのはいわゆる民間療法であり、効果はさほど期待できない。 最善は医者に診てもらうことだが、乙女ともあろうものがインキンで病院に行けようか。 幸い、海水浴療法は彼女のインキンに相性がよいらしく、毎夏をそれで乗り切ってきた。 「ああ、あたしってなんて不幸な乙女なのかしら」 大げさな嘆息とともに、彼女は水平線の彼方に目をやる。 海と空の鮮やかなブルーが眩しかった。 ここは美しい海だ。それなのに自分は人目を忍んでインキン療養。 「おお海よ、綺麗な海よ。あなたとあたしは似たもの同士だわ。 海は知る者もなき富をその深淵に隠し、乙女は心に人知れぬ秘密をその心に抱く……」 そんな自分の科白に陶酔する彼女の後ろ髪を、誰かが引っ張った。 「ギャーーーーーッ!!」
振りかえるとそこには、留美よりも一回り以上も小さい少女がいた。 「みゅーーっ♪」と小動物のような奇妙な声を発している。 最初は幻覚かと思った。こいつがこんな所にいるはずがない。 しかし、それはどう見ても、クラスのマスコット的存在の椎名繭である。 「な、なんであんたがこんな所にいるのよ?」 だが、驚くのはまだ早かった。 「ちょっと繭、知らない人の髪を引っ張ったりしちゃダメだよ……ってあれ? 七瀬さん?」 「み、瑞佳!?」 それは紛れもなく、クラスメートの長森瑞佳だった。 それだけではない。 「住井くんに南くんに広瀬さん、里村さんに柚木さん……」 学校での知り合いが、こぞって海岸にいるのだ。 そういえば、みんなで海に行くと言っていた。まさか同じ場所だったとは。 ということは、彼も…… 「何? 七瀬がいるって?」 「や、やっぱり……」 折原浩平がそこにいた。
何ということだ。よりにもよって、一番秘密を知られたくない人に会ってしまうとは。 「何だよ七瀬。用があるから行けない、とか言ってたのに」 「え、ええ。親戚の法事だったんだけど、近くの海が綺麗なんで来てみたのよ」 適当に嘘を言ってごまかす。 「へえ。そいつは奇遇だな」 「そ、そうね。おほほほほ」 まったく奇遇にも程がある。日本は海だらけだというのに、よりによって鉢合わせなんて。 これでは、わざわざ遠くまで来たのが無駄ではないか。行き先くらい聞いておくべきだった。 乙女一生の不覚である。 「まあ、七瀬がいるんなら楽しくなるな。早くお前の漢らしい褌姿でも見せてくれ」 「誰が穿くか、そんなもんっ!」 今すぐ制裁を加えに行きたいが、海から上がるわけにはいかない。 けっこうハイレグなビキニを着ているので、みんなにインキンの患部を見られてしまう。 そんなことになれば、今までの苦労が全て水の泡となる。 まして密かに思いを寄せる折原浩平に見られてしまったら…… 乙女として、舌でも噛んで死ぬしかあるまい。
当然、友人たちは彼女に声をかける。 「おーい、七瀬。スイカ割りやろうぜ〜」 「いい。やめとく」 「七瀬さ〜ん。ビーチバレーやらない?」 「遠慮しとくわ」 「みゅーーっ」 「ああもう、私のことはほっといてよっ!」 「なんだ七瀬、今日はいつになくノリが悪いじゃないか」 「…………」 「あれ? 七瀬さん、顔色が悪いよ? どうしたの?」 「本当だな。変なものでも食ったか?」 「………………………」 七瀬留美は今、戦っている最中だった。 もう、かれこれ四時間は海中にいる。 海水浴療法といっても、長く浸かればよいというものではない。日光にも当てることが肝心だ。 あまり長く海水に浸かれば、逆に患部に悪影響を及ぼしかねない。 実際、彼女の股ぐらは大変なことになっていた。 ふやけたところに塩水が染み、痒みは今までになく増していた。 それでも目に涙を浮かべつつ耐える留美。 「あれ? な、七瀬さん……泣いてるの?」 「う…く……も、もう」 これはもう痒いを通り越して痛い。いや、激痛だ。我慢も限界に達しようとしていた。 「あたし、もうだめ……」
毎年、夏休みになると、彼女はこの海に来る。 海水に浸したり、日光で乾かすことによって、彼女の疾患はかなり癒されるのだ。 早い話が、インキン治療に来ているのである。 海水浴でインキンを治すというのはいわゆる民間療法であり、効果はさほど期待できない。 最善は医者に診てもらうことだが、乙女ともあろうものがインキンで病院に行けようか。 幸い、海水浴療法は彼女のインキンに相性がよいらしく、毎夏をそれで乗り切ってきた。 「ああ、あたしってなんて不幸な乙女なのかしら」 大げさな嘆息とともに、彼女は水平線の彼方に目をやる。 海と空の鮮やかなブルーが眩しかった。 ここは美しい海だ。それなのに自分は人目を忍んでインキン療養。 「おお海よ、綺麗な海よ。あなたとあたしは似たもの同士だわ。 海は知る者もなき富をその深淵に隠し、乙女は心に人知れぬ秘密をその心に抱く……」 そんな自分の科白に陶酔する彼女の後ろ髪を、誰かが引っ張った。 「ギャーーーーーッ!!」
いきなり海から駆け上がってきた留美に、みんなの視線が集まった。 (かゆいかゆいかゆいかゆいいいいいいいーーーーーーーっ) 皮膚がめくれて赤く爛れたようになっているその部分を、彼女は必死で掻いた。 掻いても掻いてもおさまらない。むしろその痛痒は増すばかりだ。 「ふーーーっ! ふーーー!」 熱を持ったその部分に息を吹きかける。 「はあ、はあ、はあ、はあ……」 荒い息をする彼女を、クラスメートたちは言葉もなく眺めていた。 クラスのアイドル七瀬留美が、みんなの前で股間を掻き毟ったり風にあてたりしている。 信じられない光景に、誰もが呆然となった。 「あ……」 少し落ち着いた彼女は、みんなの視線に気が付いた。 (終わった……あたしの青春) 今まで、可憐な乙女であろうとがんばってきたのに。 インキンなんかのために、すべてがぶち壊しになってしまったのだ。 「七瀬、お前……」 浩平が声をかけようとした。 一番知られたくない人だったのに。今の留美には、彼は残酷な存在だった。 「ほっといてよ!」 彼女は大粒の涙をぼたぼたと零しながら、自棄になって叫んだ。
「ええ、そうよ、あたしはインキンよ! だから何? インキンが海に来ちゃいけないの!?」 言っていることはムチャクチャだったが、彼女の剣幕は誰をも圧倒される。 「うら若き乙女がインキンになって、どれほど恥かしいか、あなたたちに分かる!? おかげで夏になっても知ってる人の前では肌をさらせない、水着にもなれない、 インキンの痒さだけでも辛いのに、その上、世間の目から苦しめられて、あたしが、 あたしがどんな思いで毎年の夏を……」 言葉が途切れ、留美は大声で泣き始めた。 「うわぁぁぁぁぁああああああああああーーーーーーーーーーーーーーーーん」 そのまま、彼女はどこへともなく駆け出した。 逆上して、とんでもないことを口走ってしまった。 こんな性格をしているから、乙女失格なのだ。決してインキンのせいばかりじゃない。 惨めで、情けなくて、涙が止まらない。 走る彼女の脳裏には、最悪の想像がよぎっていた。 ──黒板に大書きされた『七瀬留美はインキン女』の文字。 『七瀬さんってインキンなんだって』『可愛い顔してインキンかよ』『最低よね、インキン』 クラスメートたちの冷たい視線や罵倒。 『インキン』『インキン』『インキン』『インキン』 一生をインキン女としての恥辱にまみれて、朽ちてゆく自分の姿── 「いやぁぁぁぁぁあああああーーーーーー!!!!」 留美は今や、浜辺を絶叫とともに駆け抜ける旋風となっていた。 このまま、どこか遠くへ行ってしまいたい。インキンの悩みなどない所へ──
「待てよ、七瀬!」 何者かが留美の腕を掴んだ。 それは折原浩平だった。他のみんなも追って来て、心配そうに見ている。 「離してよ、インキン女なんかに触りたくなんかないでしょ!?」 彼女は振りほどこうとしたが、浩平の手はしっかりと握られていた。 「何を言ってるんだ。今の七瀬を放っておくことはできない」 浩平の言葉に、周りのみんなも頷いている。 「じゃあ何よ!? みんなでインキンインキンって馬鹿にしに来たの!?」 半狂乱のように暴れる留美に、浩平は優しく声をかけた。 「誰もインキンなんかで馬鹿にしたりしない。インキンは病気だろ? それを馬鹿にするような卑劣な奴は、俺が許さない。俺がお前を守ってやるよ」 浩平の口調は、冗談とも思えなかった。 「なんで……!?」留美は涙でぐしょぐしょになった顔で喚いた。 「なんであんたが、そんなこと言うのよ……!?」
「なんでって、俺は……」 言葉に詰まった浩平の目は、いつにない真剣なものだった。 言っちゃえ浩平、と周りで誰かが囃し立てている。 「俺は、お前が、好きだからだ」 「え……?」 おおーーっ、という歓声が周りから飛んだが、すでに留美の耳には聞こえない。 「あたしみたいなインキン女を、好きって言ってくれるの……?」 「もちろんだ。インキンだろうが何だろうが、七瀬は七瀬だろ」 「ああ……」 留美の目には、浩平が紛れもない白馬の王子様に見えた。 (インキンだって、インキンだって、お姫様になれるんだわ!!) 「折原……」留美は浩平の胸にそっと寄り添った。 「七瀬……」その肩に、浩平の手がそっと添えられる。 「おめでとう浩平、七瀬さんっ!」「よっ、熱いね、お二人さん!」「よかったわね、二人とも」 「いいなあ。あたし達もくっついちゃおうか? 女同士だけど」「……嫌です」「みゅーーっ♪」 二人をクラスメートたちの祝福の渦が飲み込んだ。 こうして真夏の海に、灼熱の太陽にも負けぬ、熱い一組のカップルが誕生したのだった。 なお、この二人、夏が終わる頃には同じ痒みに悩まされる仲となっていたが、それは余談である。
すみません。全10レスでした。
>>104-114 『乙女が海に来た理由』でした。
失礼しました。
116 :
98 :03/07/28 02:24 ID:pKbMudI7
最後の部分が、感感俺俺になっていやがる…… 吊って来まふ……
今から投稿します 題名『夏の海』 こみパ エロ無し 1スレ トリップは好きではないのでつけません
118 :
夏の海 :03/07/28 02:47 ID:OrkqMZ7K
「がっ。ごぼごぼっ。ごばっ……」 首と頭を掴まれ、瑞希は頭を無理矢理海中に沈められていた。 彩にこれほどの腕力が有ったとは、誰が知ろう。 「…あなた…目障り…です…」 悶え苦しむその姿を見ていると、ささくれ立った心が癒されるようだ。 何なんだ、この女の来ているエロ水着は。わたしへのあて付けか。 大体こいつ、最近はすっかり女房気取りで、和樹と同棲していることを隠そうともしない! …………。 ……それはいい…恋愛に縁が無いのは今に始まったことでも無いし。 瑞希は高校のクラスメートだったというし、今でも同じ大学生。 ハナから勝負にならないのは知っていた。 でも。それなら何故海に誘ったのか。こみパ前の同人を。受験を控えた高3を。 見せ付けて楽しもうというのか。そうは行くものか。 彩は、瑞希の抵抗が止んだ後も、たっぷり2分間はそのまま頭を押さえ続けた。 次に彼女の体をこの浅瀬の底に仰向けに横たえ、胸と腹を何度も踏みつける。 「こぽ…」 肺に残っていた最後の空気が、小さな泡となって浮かび上がり、弾けた。 「…くくく。」 ここへ来てようやく安堵の笑みがこぼれた。死体を蹴りつけたい衝動にかられたが、 打撲の跡など残ってはまずい。ぐっと堪えてあくまで慎重に踏み続けねば。 30分程かけて念入りにその作業を続け、彼女の溺死を確認した後、演技を開始する。 「ああ!…た、高瀬さん!…!!」
4レス投下します。 誰彼もの、タイトルは「蒼に溶ける」です。
燃え尽きる間際の赤い陽が、彼方へと没してゆく。 海は穏やかだった。 その水面をかき分けて、人影がひとつ、泳ぐ。 しなやかな魚のように、ただひたむきに波を渡る。 いつも見ても見事なものだ。 俺はたそがれ時の海と、そこに棲む月代を飽きず眺めていた。 坂神蝉丸が死んだ。 正確には、坂神蝉丸の――俺の、覆製身が死んだ。 高子に連れられて散歩に出たこの浜辺で、海を見ながら眠るように逝ったという。 旅から旅への生活を続けていた俺と月代は、一月も遅れて訃報を知った。 常人とは違う、老いぬ身体を持つ俺は、それを隠し通すため一つ所に長く留まる事を許されない。 無用の揉め事を避けるためにはやむを得ない事だ。 だが、月代にまでこんな暮らしを強いていると考えると胸が痛んだ。 親しい者の葬式にも参列できないような暮らしを。 俺の視線の先で月代が飛沫を上げる。 心なしか、いつもより所作が大きい。一挙一動に気負いを感じる。 盂蘭盆の今日、還って来ているであろう奴に達者な姿を見せて安心させてやろうというのだろうか。 今の月代の姿を見れば、奴も感嘆の声を漏らすに違いない。 この十年で月代は本当に美しくなった。 背丈も手足もすらりと伸びた。身体つきも女らしくなった。 ……だが、顔立ちは歳の割にあどけなさを残したままだ。 月代の老化は遅い。 俺の血に潜んでいるのと同じものが、月代の血にも潜んでいるからだ。
昨日再会した時の、高子の言葉を思い出す。 「本当に……蝉丸さんはお変わりありませんね」 高子はそう言って寂しそうに笑った。 「私は、すっかりおばさんになってしまったでしょう?」 そんな事はない、お前はまだ十分に若く美しい――俺はそう言おうとして、止めた。 「まだ」という前置きが付く以上、所詮は一時の慰めにしかならない。 高子の時は正しく流れているのだから。 「――旦那様はよく、蝉丸さんが羨ましいとおっしゃっていました」 喪に服してか、それともただの偶然か、黒い服を着た高子は俺にそう告げた。 覆製身は原身である俺と寸分違わぬ血を引いていたが、ついに俺と同じ血を持つには至らなかった。 不老不死を司る仙命樹が、何故か奴の血には根付かなかった。 その結果奴は老いて死に、俺は未だ生き延びている。 覆製身からしてみれば確かに理不尽な話だっただろう。 だが…… 「晩年には、人は永遠には生きられないものかと口癖のようにおっしゃっていました」 だが、本当は、人として生を全うできた奴こそが幸福だったのではないか――? 「……お前もそう思うか?」 俺は高子に問うた。 「高子、お前も俺の――永久の命を羨むか?」 高子は俺の目をじっと見てから、かぶりを振った。 「いいえ」 「何故だ?」 「ひとりぼっちで永遠に生きるなんて、私には耐えられそうもありませんから」 穏やかな、しかし毅然とした口調だった。 「永遠に生きるという事は、永遠に生きない人から取り残され続けるという事です。 ……怒られてしまうかもしれませんけど、私、蝉丸さんを可哀想だと思った事もあります」 そこで一旦言葉を切って、高子は伏せていた顔を上げた。 「でも、今はもう違います。蝉丸さんが不幸だなんて思いません。 蝉丸さんは月代ちゃんと出会えたんですから。 同じ時間を歩める相手を、見つけられたんですから」 まるで我が事のように嬉しそうに、本当に良かった、と高子は微笑んだ。
なお泳ぎ続ける月代に意識を戻す。 この十年間、月代は俺と共に歩んできた。 それまで何不自由ない暮らしをしていた身には辛い生活だったに違いない。 なのに月代は不平も漏らさず黙って俺に付いてきた。 月代がいなければ、俺は平成の世に馴染む事などできなかっただろう。 戦う事や果たすべき任務の事しか考えられなかった俺に、人間らしい感情を思い出させてくれたのも月代だ。 高子の言う通り、俺が月代に出会えた事は幸福だったのだろう。 だが、高子は知らないのだ。 俺の血に潜んでいるのと同じものが、月代の血にも潜んでいる。 しかし俺と違って、月代のそれは「薄い」という事を。 月代は不老不死ではない。 ただ人よりも老化が遅いというだけだ。 ゆるゆると、だが確実に月代は老いてゆく。 やがて俺よりも年かさになり、いつかは――。 俺はいつの間にこれほど弱くなった? 「いつか」という日の訪れが、恐ろしくてならない。 俺はじっと己の手を見た。 六十年前から、一本の皺も増えていない手。 帝国陸軍に所属していた頃、この身体を唯一の完成体と祭り上げられた事もあった。 ただ一人の、完全なる強化兵。 今の俺はその肩書きに誇らしさを感じられない。 お前は選ばれた唯一の存在なのだ。 だからお前はいつまでも、ひとりぼっちで生き続けろ。 血の中の仙命樹がそう呟いたような気がした。 握った拳を膝の上に置く。 俺は、月代と同じ時間を歩む事はできない。
気が付けば、海から上がった月代が俺の目の前に立っていた。 長い黒髪が濡れて艶を増している。夕日を背にした月代は、美しかった。 「よく泳いだな」 「うん」 俺は座ったままスポーツバッグからタオルを取り出し、月代がそれで髪を拭く仕草をただ見つめた。 「泳ぎながらね、色んなこと考えたよ」 月代の身体から落ちた滴が砂を湿らせる。 「俺も、お前の泳ぐ姿を見ながら、色々と考えていた」 家屋敷、その他一切の財産を月代に託す。覆製身の遺言状にはそう書かれていたという。 覆製身である奴には、他に財産を残す親族などいなかったのだろう。 新しい暮らしの足がかりとするには十分な遺産だった。 月代は俺よりもずっと常人に近い。 「……月代。お前はこのまま依代に」 残れ、と言おうとした俺の頭を月代が抱き寄せた。 「蝉丸」 声に力が籠っている。 「――いつか、あたしが死んだら」 言い返す事を許さない、強い声だった。 「いつかあたしが死んだら、あたしの身体を海に沈めて」 月代の身体から潮の香りがする。 「そしたらあたしは海に溶けて、潮の流れに乗って、世界中の海に混ざるよ。 蝉丸がどこにいても、海に来てくれれば会えるよ。 どんなに小さくなっても、薄くなっても、何億分の一かあたしは海にいるから」 この十年で、背丈も手足もすらりと伸びた。 それでも俺から見れば、月代の身体は小さく華奢な少女のものでしかない。だと言うのに。 その小さく華奢な腕に抱かれて、俺は何故か、とうの昔に儚くなった母を思い出していた。 遠い日の、俺を優しく抱き締める腕を思い出していた。 「生きてる間も、その後も、あたしはずっと蝉丸のそばにいるよ」 海鳴りが聞こえる。潮が満ち、波が高くなっているのだろう。 俺の目にも潮が満ちる。 俺は幼い子供のように、月代の腕の中で泣いた。
締切延長希望の方はおられますでしょうか?
【告知】 ただ今をもって、投稿期間を終了させていただきます。 参加された書き手の皆様、どうもご苦労さまでした。 それでは、これから感想期間に入ります。 投稿された SS について感想、討論などをご自由に行ってください。 期限は 8 月 4 日の午前 10:00 までとさせていただきます。
今回は珍しく誰彼モノが多かったな。 原作をネタでしか知らない俺にはちょっとクヤシイ。
しかし・・・ 作品投稿数だけで言えば過去最低になってしまった。
ごめん(´Д`)2本投稿する予定だったんだけど、寝ちゃった…… 次回に回す。
やっぱり次回に回してる人が多いのかな……?
1、次回に力を注ぐ予定。 2、板違いこんぺに力を注いだ。 3、夏コミ原稿に力を注いでいる。 4、ネタ潰しに潰された。 5、大学生のテスト期間(多分)。 6、単純にテーマが難しかった。 7、宮城県地震 ……(つд`)
8、葉鍵ジャンルが斜陽
(・∀・)ハイーキョ
感想を書くのは楽やね
全部の作品に感想を書けなさそうなので名前は伏せます。
>>41-51 ありふれたなつやすみ
かなりベタな掛け合いとハーレム物を思わせる展開。しかも作者がやけに
自覚的なので、あえて嫌われる要素を詰め込んだ色物をわざとやっているのか
と、マイナス方向へ期待したのだが、その期待は良い意味で裏切られた様だ。
>「イチゴのかき氷はあるか?」と聞くと変な顔をされた。
読み返してみるとこの部分こそが作者の仕掛けだったのだろう。このテクニック
は上手いと思う。ただし、祐一の遊び相手が次々と変わっているので、何か
トリックがある、と読み手に察知されてしまう構造的な弱点はあるが…。
しかしながら、テーマ性・メッセージ性・葉鍵キャラである必要性といったものは
しっかり充足されているのは確か。作品自体の毛色は賛否が分かれそうだが、
個人的には嫌いではない。何故なら、祐一がこのような結末を辿ることは、全く
あり得ない事ではないからだ。これが浩之や和樹であれば容認し難いところだろ
う。どちらかというと自分は一片の救いがある方を好むが、この作品の性質から
いって、それは出来無いだろうし。
現実が不都合であれば、脳は認識すら変えてしまう。そんなことを再認識させら
れる作品だった。などと無理矢理まとめてみる。
(・∀・)ハイーキョ
>>97-98 何も変わらない夏の海
「世代は続くよどこまでも」がテーマなのかな。そういったテーマの具体化
として、浜辺でのアイス売りを用いているのだが、その理由が家訓だから、と
いうのが苦しい。ここは祖父のエピソードの一つでも挿入しない事には、どう
にも収まりがつかないんじゃないだろうか。
>>104-114 乙女が海に来た理由
いやあ、ハイテンションだなあ……。分量はやや長めだが、勢いで読ませる
力はあると思う。ストーリー上の要請から七瀬が他人との接触を拒み、浩平が
ボケて七瀬が突っ込むというパターンがあまり使えなかったので、笑いどころは
少な目なのが残念。
>>120-123 蒼に溶ける
海への回帰というテーマは珍しいものではないが、他の作品が概ね海を
舞台として使っているのに比べて、本質的な取り組み方をしていることは評価
すべきだと思う。蝉丸の心理描写も良い。
フィーリングだけで感想書き。
「観鈴ちんと海の思い出」
http://wow.bbspink.com/test/read.cgi/leaf/1054075821/574-583 ところどころ、観鈴ちんの一人称視点にしては理屈っぽすぎる部分があって鼻についた。
>竜宮城の人たちはみんな優しくていい人たちばかりだけれど、ここには私の大切な人たちがいない。
>だから楽しさが半減だった。私はきっといつも心の奥底で寂しさを感じていたんだ。
>私はそれを忘れてしまっていた。お母さんも往人さんもいなかったから、ずっとどこかに違和感があったんだ。
この辺り、くどいと思う。最初の一行だけでもいいんじゃないかな。
中盤のストーリー展開、浦島太郎を忠実になぞりすぎててちょっと退屈。
どうせ夢オチにするなら元ネタから少し逸脱してみてもよかったのでは?
でも、総合的に見れば水準はクリアしている。手堅いほのぼのSS。
「水間の百合」
>>34-35 うーん。起・承だけで話が終わってる。SSっていうかショートシチュだね。
そつのない文章でさらりと読めるんだけど、話に動きがないから引き込まれることもない。
いっそもっと脳内設定バリバリで、研究施設でのエピソードとか、
岩切がさらに深く葛藤したりとか、盛り沢山の内容にしてみたら面白かったかも。
今のままでも悪くはないんだけどね。
「ありふれたなつやすみ」
>>41-51 悪意あふれるSSだねぇ。
採用したシチュエーション、わざとらしく演出された違和感、全てに作者のイヤな意図を感じる。
テンポがいいせいで前半からすらすらと読めてしまう。
そして気が付くと悪夢の中。やり口が非常にあざとい。
それだけに、後半のテンポがやや悪いのが残念。
「月下血踊」
>>57-63 柳川×岩切 (;´Д`)ハァハァ…
まあそれはさておき。
文章カコ(・∀・)イイ! 描写の鋭さは抜きん出たものがある。
死に場所を求めて人食い鮫を相手にしたり、岩切の行動自体も格好いい。
この際「柳川はなんで生きてんの?」というツッコミは野暮だろう。
惜しむらくはオチが弱いこと。どうしても尻切れトンボな印象を受ける。
最初から最後までシリアスなまま突っ走って欲しかった気も。
「よくあることだよね?」
>>67 >>69-71 >>74 >>77-85 >>87 >>89-90 ねぇよw
とりあえず、テーマの薄さは指摘しておく。覚悟の上で書いてるんだろうけど。
全体にやや冗長な感じ。改行が段落ごとという形式のせいもあるのかな?
「微妙な距離感の祐一と香里」というシチュエーションはわりとよく見るね。
で、祐一・栞・香里が三角関係な話なのかと思えば…何やってんだおまいらw
えーと、要するに、祐一君は役得でしたねってことでいいんでしょうか?
こういう、なんとなく進んでなんとなく終わる話ってどう評価していいのかわからないんだよねぇ。
決して下手ではないんだけど。こういうのもほのラブって言うのかしら。
あと北川の存在理由が可哀想だと思った。
「何も変わらない夏の海」
>>97-98 元ネタは「ORANGE」のジャケットかな?
冷静に考えると鶴来屋会長が売り子とかするのは無理があるんだがそれは言うまい。
「海」っていうより「夏」って印象の方が強い。
一生懸命「海」という言葉を使ってテーマを強調してるその努力は買うけどw
話自体はよくまとまっていると思う。うまくノスタルジックな雰囲気を醸し出せている。
全体的にはほのぼのした内容なんだけど、少しほろ苦い部分もあっていい。
そういや今回、夏の海ばっかりだったなぁ。
テーマはただ「海」ってだけなんだから、別に春や秋や冬の海でもいいのに。
「乙女が海に来た理由」
>>104-109 >>111-114 ごめん、一撃目のインパクトが強すぎて全体の評価がしづらいw
お前、むしろそっちがメインテーマなんちゃうかと。
まあ「いざと言うときは七瀬に優しくなる浩平」ってのはパターンなんだけど、
果たして作者はそういうラブコメがやりたかったのかどうか…
ぶっちゃけ、最後の一文を書きたいがためにこんな設定にしたんじゃないのかと小一時間(略
「蒼に溶ける」
>>120-123 ストロングスタイルな二次創作。ていうか本編の後日談。
ストーリーは特に斬新でもないが、テーマに真っ向から立ち向かっているのは好感が持てるね。
ただ、蝉丸が思い悩んでいるだけで実質的なアクションが何もないので地味。
蝉丸の硬派な思考はよく書けていると思うけど、もう少しまとまりよくできたんじゃないかな?
〆切ギリギリで焦っていたのかもしれないが、時間をかけて練っていればもっとよくなったのでは。
ところでこのSSも含め、誰彼ものには微妙に説明的な文章が多い気がするんだけど…
ユーザーの少なさを見越しての配慮?
総評。
今回は全体的に文章力の水準が高かったと思う。
途中で読むのが苦痛になるような作品がなかった。
後味は悪いが読ませる力のある「ありふれたなつやすみ」
話の雰囲気がよかった「何も変わらない夏の海」
テーマと真摯に向き合った「蒼に溶ける」
以上三作品を優秀作として推す。
文章力だけなら、前スレの最後の奴がダントツだな。 あのピロが溺れ死ぬやつ。
ちょっと時代遅れ風味の文章力だけどね。
いや、あれからは巨匠の、それも代表作クラスの力を感じたね。漏れは。
>>146 なんか見れないんだけど…俺だけ?
ていうかその直リンクから支援サイトに行けない。
hp.が余分なのかな…? hp.を省いたら第十六回には行けたんだけど。
でもそこから各SSに飛べない…うーん。
見れないね。 ひょっとして引越しが上手く行かなかったのかな?
見えるのは一覧だけの罠。
申し訳ないです。 150さんの通り、コピペミスでした。 さらにhtmlファイルがhtmファイルになってたんで修正しました。
上のリンクも
>>127 だけでいいかと。(細かいな)
あと、前も(前任者に?)リクエストしたんだけど、
そのページに上層に「戻る」のリンクも欲しい。
各回(今回なら第16回)直リンだから、他の場所に飛べないんだよね。
それから、SSの背景色、もう少し輝度が低い色のほうが
目がチカチカしなくていいっす。俺だけかな。
154 :
名無しさんだよもん :03/08/01 22:18 ID:AFmXF6tU
mennte
(・∀・)ハイーキョ
廃墟(・A・)イクナイ
158 :
名無しさんだよもん :03/08/03 03:47 ID:EMuTtElQ
今回は本気でやばいかも、だな。 来月まで引きずらなきゃいいが…
前スレ574-583 観鈴ちんと海の思い出
描写も丁寧で、ストーリーも破綻の色を見せず、穴の少ない作品と言って良い。
しかしながら、浦島太郎の話をキャラとオチだけ変えたような物なので、昔話を
知っている人間にとっては、構成的に中盤が間延びしているように感じてしまう。
分量を削ってテンポを早めたらどうだろうか。
>>34-35 水間の百合
誰彼は未プレイなのと、短すぎて普通の小説としても把握が難しいのでパス。
すまんね。
>>57-63 月下血踊
これも誰彼作品だが、説明があって分かりやすいので感想書きます。
戦闘の描写は凄く緊迫感があって良い。ただ、戦闘部分だけをクローズアップして
るのは敢えての選択というのは分かるが、もう少しラストに文章を割いた方が良いの
のでは?はみ出し者同士の邂逅が、一夜限りの関係なのか、そうでないのかに
よって、作品としての意味合いが変わってくるので気になる。
>>67-90 くらい よくあることだよね?
栞「今回は趣向を変えて、私たちが感想を言うことになりました」
香里「……なんか、どこかで見た事のある形式よね」
栞「書き手さんによると、まこみし感想隊さんではなく、某ミステリ書評サイト
の対話方式をリスペクトしたのだそうです」
香里「要はパクったんでしょ。それにしても、自分の出てるSSの感想を述べ
るなんて皮肉もいいとこね。じゃあ栞、簡単に説明して」
栞「原作から一年半が経ち、すっかり体の回復した私は、お姉ちゃんや祐一
さん、北川さんと車で海に行ったのですが、その帰りに困ったことが起きて
……という話です」
香里「そこらへんの設定作りはとっても上手いわよね。無理なく密閉状況での
事件に読者を引きこんでいるわ」
栞「お姉ちゃんだけがこんな目に遭った理由も、ちゃんと書かれているよね」
香里「でもこれ、いくら何でもテーマ不在なんじゃないの?話の中心があんな
だし、しかもそれが登場するのは話の半ばを過ぎてからなのよ。海という
テーマからも外れてるし、作品としての意義もないのは厳しいわ」
栞「確かに、これは海からの帰りじゃなくてもできそうな話だけど、原作のアフ
ターストーリーとしては立派に成立してるんじゃないのかな?」
香里「それにしたって、話の前後を通じて、キャラ同士の関係性の変化とか、
成長がなかったら、どうにもならないでしょ」
162 :
続き :03/08/03 18:09 ID:d8iIHyqI
栞「ええー、でも、日常系のSSだってあるし、一概にそうとは言えないんじゃ。 もしかして、お姉ちゃんは恋愛をするのにも理由が必要なタイプなの?」 香里「なに訳のわかんないこと言ってるのよ!だいたいこの作品は、個々の部 分の文章力や設定はこの上ないくらいソツが無いのに、構成力が決定的 に不足してるのよ。まるでピースの出っ張り同士を糊付けして、無理矢理 完成させたジグソーパズルみたいじゃないのっ」 栞「えぅー、そこまで言わなくても……。あ、でも、私がクラスで浮いてるんじゃ ないかとか、三角関係を連想させるようなお姉ちゃんの返答の仕方とか、 ストーリーに直接関係無い要素が混じっているのは気になりました。まるで ドラマの1話分だけを見ているみたいです」 香里「連載ものをやる分には構わないけど、コンペに出すには不適当な方法論 よね。まあ作者の人も今回は気楽に書いただけで、本気を出したら凄い作 品を書きそうな地力は感じるんだけど―――」 北川「それにしても、俺と栞ちゃんが置物みたいなのはいただけないな」 香里「うわっ、あんたどっから出てきたのよ?」 北川「実は俺が起きていて、どさくさ紛れにゴミ箱からお宝を失敬するとか、カメ ラ機能つき携帯で撮影して、美坂を脅迫する展開の方が……ぐはあっ!!」 香里「それ以上喋ったら、その舌を引っこ抜くわよ!!」
ごめん、一個だけ異様に長くなった(w 今回は作品数が少ないので、最優秀作品として『ありふれたなつやすみ』一作を 推しておきます。それではまた次回。
寒い感想だなぁおい。
一部だけ感想を。
>>ありふれたなつやすみ
正直、ダーク系は嫌いだ。
だから、この話も後味は悪かった。
だが、この構成力・表現力は認めざるを得ない。
最初は、「全員ハーレム、思考を口に出す癖」などをちりばめたネタかと思わせておいて、
一転して落ちる所まで落ちる展開。
途中で『なんでイチゴのカキ氷はあるかと聞かれて変な顔をするんだ?』と思ってしまったところは、
>>137 さんと同様、ここが後の展開への巧みな伏線になっているんだなと気づかされた。
個人的には苦手なのだが、公平に評価すれば今回の優秀作品候補。
>>よくあることだよね?
なにがよくあることなのかはよく分からないが、このSSで何をやりたいのかがいまいち
よく分からなかった。話の設定としてはオリジナリティを感じたのだが。
正直に言って、おそらく、一ヶ月も経てば忘れてしまうような話だと思う。
>>乙女が海に来た理由
七瀬をそう使ってくるか、というのが第一印象。インパクト強し。
しかし、後半にまで「インキン」の単語連発はちょっと引くかも。
剣道→インキンの設定は素直にいいと思ったが、何か物足りなかったのは
浩平と七瀬の会話にギャグが少ないためだろうか。
しかし、インキンに海水が効く(あくまで民間療法だが)というのは知らなかった。
てっきり海水が染みるから逆効果なんじゃないのと最初は思ったのだが。
タイトル忘れたが、ぴろが溺れるやつ>>
最初の数行で元ネタを理解し、爆笑してしまった。
これ海ちゃうやん、と突っ込みたくなった良作小ネタ。
というわけで、優秀作品として「ありふれたなつやすみ」に一票。
個人的には後味が悪かったが、SSの完成度としてはこの中でトップであろう。
観鈴ちんと海の思い出 >みんなで一緒に歌って、踊って、ご飯を食べて。 >それはとても楽しく、そしてかけがえの無い瞬間。 >やっぱり、こんど3人で海に遊びに行こう。 作者の言いたいことはこの3行に集約されていると思うのですが、内容の割には文章が長いかな〜という印象を 受けました。 起こっている出来事を、ただ観鈴がレポーターの如く解説していくというのも、読んでいてちょっと苦痛。 文章量を思い切って半分くらいにすると、すっきりとして良い文章になるかも。 水間の百合 全体的に文章が短く、作者のテーマも良く判る。ただ、ゲームをやったことが無い人間には、少し感動を覚えづ らいかも。 オチの部分がもう少し工夫出来ないかな〜と思いました。 ありふれたなつやすみ >夢。 >夢を見ている。 最初から夢オチの宣言というのも悪くはないな〜が第一印象。 オチがこれかい……が読み終わった時の印象(藁 カノンのSSは全キャラが登場するものを良く見かけるが、コレは比較的綺麗に話をまとめている。作者の文章力 を感じました。それだけに、最後のオチが……。これさえ良ければ、最優秀作品に推薦していました。
月下血踊 全体的に文章が丁寧に良く出来ていると思いました。 キャラの紹介などツボを押さえているので、誰彼を知らなくても楽しめる。 オチもちゃんと締めていて良い。 ただ、いかんせん『なぜ柳川がここにいるの?』という疑問が一番のネックかと……。 よくあることだよね? ほ、放尿プレイですか?(;´Д`)ハァハァ 不覚にも萌えマスタ(;´Д`)ハァハァ まあ、確かに『よくあることだよね? 』かもしらんけど。 しかし……これって、テーマが『山』でも『スキー』でもいいんじゃない? 何も変わらない夏の海 短めのSSとしては良くまとまっていると思う。 文章も端的で読みやすい。 個人的には父親のエピソードとかを、もう少し加えても良かったかな。 乙女が海に来た理由 >乙女ともあろうものがインキンで病院に行けようか。 普通、行くと思う。 放尿SSの後は、インキンSSですか? なんで下のネタが集中するのやら(藁 文章自体はなんの問題もないのですが……話の内容がなんとも。 ここまで悲惨な七瀬のSSを見たのは久しぶりかも。
蒼に溶ける 正直、上手いと思った。 文章力。構成。オチの付け方。人物の描き方。世界観。この短い文章できっちりと無駄なく仕上げている。 私は正直、誰彼をプレイしていません。しかし、このSSはゲームを知らなくても、人を引きつける魅力を持っ ています。 久しぶりに良い文章に巡り逢えたと思いました。 まあ、漏れのツボにはまったといえば、それまでですが(藁 総評 今回テーマが書きづらいためか、作品数が少ないものの、全体のレベルは悪くないと思いました。 他の人も書いていましたが、みんな季節が『夏』でした。冬の海とか……それはそれで難しいか。 そういや、一人くらい『海の中でエッチ』とか書くかなと思っていたのですが、今回セクースネタが無かったの はちょっと以外。下ネタは二つもあったけど(藁 最優秀作品 『蒼に溶ける』 佳作 『よくあることだよね? 』
170 :
名無しさんだよもん :03/08/04 05:35 ID:0nmC3fE2
【告知】 ただ今をもちまして、感想期間を終了させていただきます。 投稿された書き手の皆さん、感想をつけてくださった読み手の皆さん、 そして生温かく見守ってくれていた ROM の皆さん、どうもご苦労様でした。 引き続きこのスレでは、今回の運営への意見、書き手の挨拶、 次々回のテーマの決定などを行いたいと思います。 上記のものやそれ以外にも意見が何かありましたら、書きこんでください。 ※次回のテーマは『過去のテーマ』(第一〜十六回のテーマから自由選択)に決定しており、 開催時期は 8 月中旬になる予定です。 ※今回決めるのは次々回のテーマです。お間違いのないように。
いやぁ、盛り下がったなぁ。
おつかれー。
まだ来ない、か
遅れター。スマソ。
あと、ほんとは他の人との討論形式で感想を進めたかったんだけど、
投稿期間の荒らされかたを見ると、今、難しいっぽいかな。
http://sscompe.tripod.co.jp/ss/16/1.html 観鈴ちんと海の思い出(AIR)
さくさくと読み進められて、すんなりとSSの世界に入り込めて、
中身も、先はどうなるんだと先へ誘導される。気持ち良く読めました。
オチは読めるけど上手く運ばれてる感じ。でも夢オチだしなあw
ほのぼのだからいいのかな。
もし観鈴の厳しい現実や運命を匂わせたところや、
「観鈴がこういう夢を見た」ということにグッときて欲しいんだみたいな、
そういう狙いがあるとしら、他にもっとやりようはあるかもしれませんが。
> おとぎ話では、浦島太郎はおじいさんになった後、鶴になってどこかへ飛んでいってしまう。
そうなん?
>>34-35 水間の百合(岩切)
当方誰彼未プレイ。短いかな。
短いなりに味わいとかキャラは描けてると思いますが、原作をプレイしていると
もう少し味わい深くなる仕掛けとかあるんだろうか。
そういえば、こういう、「話の動かないキャラの心境独白もの」って、
誰彼SSでよく読むような気がする。過去ここでも。
創作ストーリーを動かしにくい題材なのかな?誰彼は。……ってことはないか。
読める部分の力量はたしかなものを感じました。
>>41-51 ありふれたなつやすみ(Kanon)
これは……面白い。これまで読んだ「実は全員〜」「祐一○○」ネタの中でもかなり。
他のSSでも何度見たかわからない出だしの文、ありがちネタの羅列、
「これは何かあるな……」と思ったら、キタ──って感じですな。
主人公が○○して悲惨な終わり、という、ダークにはありがちなオチでも、
とても楽しめました。タイトル通りのありふれたネタ群を逆手に
とって……だからそのあと>54を読むとちょっとおかしいw
> 海の家ではなんと北川が働いていた。
>変な顔をされた。
> そうだ。○○は死んだんだった。
この辺のリフレインも効果的に使われている。文章が上手い。
> 名雪の死体を家に置いてきたんだ。
ここは、もっと強調したほうが効果が出たかも。埋もれ気味。
>>57-63 月下血踊
こちらの人もうまいなあ。
緊張感のある固い(ちょっととっつきにくい)文体、バトル、そして可愛いオチw
途中で相手の正体に気付いて、おお、と膝を打つ俺。仕掛けも面白い。
あのエンド後かな。
文章は、ちょっとまだ読みにくく感じました。
リズムがいいから読み進められるんだけど、もっと良く、もっと鮮やかになるような。
>「その通りだ。先の言葉は聞き流せ」
岩切さんの口調が、現代人の彼にちょっと移ってるような。
>>141 >「柳川はなんで生きてんの?」
原作でも生死不明のままです彼。「死ななかったとしても、ただでは済まないだろう」
的描写はあるので、その疑問は確かに残りますがw
鬼の回復力に対する耕一の見込み違いだったということでどうか
>>168 > ただ、いかんせん『なぜ柳川がここにいるの?』という疑問が
原作では重傷を負って川に落ちたので、そのまま桃太郎のように川に流されたのではと。
海近辺まで。なんで俺作者さんの代わりに答えてるんだ。
http://sscompe.tripod.co.jp/ss/16/5.html よくあることだよね?(香里)
けっこう難なく読めましたから、ご心配なく。
内容は、ワラタw プレイとかじゃない、生活のなかの尿もの萌えSS。
している最中の微妙な反応や、したあとの萌える反応。
彼女じゃなくて、彼女の姉(親友)が……というやはり微妙なシチュエーション。
好き者やのう兄さんw いや、俺も好きですが。
感想期間が終わったらこういうのもいいのかな?
生活の中での自然な尿ネタ、以前も読んだ記憶があるのですが。
トレーニングルームの砂穴SSの人かな?
>>97-98 何も変わらない夏の海(痕)
これも短い。こんなことはさすがにないんじゃないなか〜、と思うが、
情景はいいね。読み終わってタイトルを見直すと、味もある。
>>104-114 乙女が海に来た理由(七瀬)
またこんな話かw いや、好きですが。キャラらしくもあるし。
ただ、どう展開してどう終わる?という興味で読み進めていったところ、
そのまんまかい!という終わりかたに自分は感じたかな。萌えシチュだったのかな?
オチは、さもあろう、という感じだけどw
> 海水浴でインキンを治すというのはいわゆる民間療法であり、
雑菌の培養槽である海水を、しかもそんな敏感な部分を晒すのは
俺もやめたほうがいいと思う。海Hとかも、現実にはおすすめできない模様だし。
>>118 夏の海(彩)
殺人のシーンはなかなかリアルで良かったが、これだけ?って感じだなあ。
読み手にとっては、ただ目の前で殺人が起きただけとしか。
お話じゃないというか。ネタでもないし、シチュ…とも違うしなあ。
>>120-123 蒼に溶ける(誰彼)
…………。
4レスで泣いた。
締め切りに間に合わなかったから集計外でOK、 その上でなら個人的最優秀は「蒼に溶ける」かな。 4レス目の「そしたらあたしは〜」以降の流れるようなセリフも、上手くてもう。 このスレで上手くていい文章に巡り合って唸り声まで出たのは、ひさびさ。 >「――いつか、あたしが死んだら」 と月代が言い出すのも、爺蝉丸の死という出来事の後だから自然だしなあ。 このテーマは、ポーの一族とかアメリカン・パイを読んだ時をちょっと思い出す……。 「ありふれたなつやすみ」も十分面白かったし、文句なしです。 自分も次点を挙げるならこれだしね。 投稿数は少なかったみたいだけど、 久々に読んでもレベルは落ちてねえなあと思ったよ。このスレ。 読んでよかったですわ。
本当に久しぶりに覗いてみたら夏厨の温床になってるな・・・・・・
183 :
名無しさんだよもん :03/08/06 07:31 ID:pF8E7peT
エロパロ板でここの派生スレが立ちました、お暇でしたら寄ってみてください。 スレ名は「エロパロ的 SS コンペスレ」です
んあ!? 俺、エロパロ板のSS書きスレの住人でもあるけど、
そんなの全然知らんぞ!? どこかで話し合いとかしてたん?
…見に行ってみたけど、ひょっとして184ひとりの思い付きで立てちゃったの?
このスレも、もともと、呼びかけがあってそれに「やりたいやりたい」という声が
集まって、それで始まった企画だよ。↓一番下の過去スレ参照
http://sscompe.tripod.co.jp/ いきなり1のスレ立てからはじまって、参加者が集まるかは厳しいような……。
俺が事情を知らないだけだったらスマソ
まあ、漏れはあのスレをひそかに期待しているが。 (だってあそこならテーマに沿ったSS書けばいいからネタ作りはあまり苦労しないし)
まあ、一人で勝手に突っ走って見切り発車してる時点ですでにダメダメなんだが それにしてもテーマの選び方にセンスがないな。 まんまセクースに関係あるテーマばっかりじゃん。少しはひねれよ。 このスレでテーマが「鬼の力」とか「永遠の世界」とかになるのと同じだぞ?
いいえ、1回目のお題である「初体験」=「SEX」とは限らないし、そういうネタも使える余地があるのではないかと。 2回目のお題の「処女喪失」の「処女」も処女作なり処女航海といった意味での「処女喪失」もありますからね。
とりあえず生温い目で観察。
>アイデア、説明文から全てパクリ。 それは別にいいんじゃない。元ネタは明記してるし、2chのトーナメントだって、 どの板も別に、始めるたびに葉鍵板にお伺いしに来たりはしてないし。 そもそも、このスレだって初代1いわく顔文字板のコンペスレが元ネタだw (kanonこんぺが元ネタだと思ってる人もいるが、このスレのが先よ) それにもともと別に俺たちが対象、住人ってわけじゃない、基本的に他板の話だしな。 他板は他板、エロパロ板にもエロパロ板の空気はあるから、 葉鍵板から出張する人はあまりこちらの流儀や空気は押し付けず、 基本的に向こうの人たちのノリに任せようよ。 例えば向こうがこちらとまったく違うものになったとしても。 あと思ったことはだいたい185で書いた。
>>189 ……自分で言ってて無理があると思わないか?
>>191 パクリはまだしも、まるっきりのコピペは痛いと思う。
葉鍵板以外でリアルリアリティとか(・∀・)イインチョ!とか言われても……
同じ「二次創作コンペ」という趣旨でも、こちらと向こうでは決定的に違うことがある。
このスレが「葉鍵」という、非常に狭いジャンルをネタ元にしているのに対して
向こうは「フィクション作品全て」がネタ元になり得る。
必然的に、読み手が元ネタを知らないというケースが多くなる。
それで最優秀作品を選出するとか言われてもなぁ。
そもそも読み手が楽しめるかどうかが疑問だ。
このスレでさえ「誰彼やってないから評価パス」「うたわれやってないからわからない」
とかいう声がちょくちょく上がるのに。
その上エロも絡めなくちゃいけないから、書き手の自由度も下がるし。
まあ、酔狂な書き手が沢山いればなんとかなるかもしれないけどね。
う〜ん、191で言いたかったことはつまり >192 ・これ以上ここでそのスレについて詳しく議論を続けるのは板違い、スレ違い ・問題があるにしても、それは俺たちがでしゃばることじゃなくて 向こうの住人さんたちの問題、向こうの住人さんたちで考えること ってことなんだ…。 あと、192さんにじゃないけど、向こうの住人でもないし投稿する気もないのに、 ルールやスレのあり方論だけつつきに行こうとかいうのは、 できればやめてやって欲しい。 それ、エロ同人板ができた時エロゲ板の風紀たちが乗り込んで行ってやって、 結果、煽らーとの打ち合いで板をボロボロにした、最悪の行動だったからね…。 >その上エロも絡めなくちゃいけないから、書き手の自由度も下がるし。 というところで192さんが向こうの住人じゃないのもよくわかるし。 エロパロ板はそもそも全員が最初から「エロを書く」ために住んでるところだよw エロは制約じゃなくて、前提なんだよ、向こうでは。ここでは違うけど。 先行きについて不安視してるのは自分も同じだよ、上参照。 あと、リアルリアリティとか(・∀・)イインチョ!はたしかにそうだな。スマソ。
で、誰か本題に戻してここの話をしてくれ〜w 俺は感想もあげたし、作者さんの挨拶待ち。
感想中途。
ここの話か…… そういや感想期間延長についての議題はどうなったんだろう?(w
>194 やはり作者側の感想に対するレスってあった方が良い? 今回は投稿してないけど、ほとんど感想に対してレス返して来なかったから。 感想は酷評でも嬉しかったりするんだけどね。 でも、何か作品に対する内容にまで触れてしまい、作中を感想レスで語りそうで怖いんだ。 スタイル的には感想は、次回の作品の時に否あるところ直すに役立てたり、 創作意欲を貰えたりして、拝見させて頂いてるんだけど……。 これも、なかなか難しいんだよね。 今まで感想くれた方、本当にサンクス。
これまでにも話題になったことだけど、個人的には
書き手の自由でいいんじゃないかなと思うよ。
作者レスを書く人はこれまでも必ずいたから、
>>194 はそれを見越して書いてるだけで。
「自分はしたくないタイプ」と思ったら、無理にしなくても。
作者レスの内容も、作品解説、挨拶、あるいは出品作の改作報告だったり
それも各自の自由で。
書き手が作品に反応があると嬉しいように、感想書いたほうも
反応あると嬉しいってのはあるしね。以前もそういう声はあったし。
掲示板上の書き込みだけのコミニュケーションだから、
目に見える書き込みという反応がなければ
「誰にも見てもらえていない」のと同じだからね。
だから、というわけじゃないけど、作者さん誰も見てないと思うから、
過去の回の作品の感想はいま書いてないなあ。俺は。
でも、
>>197 氏みたいに思ってもらってることもあるんだよね。
ただ、作者挨拶もいいことばかりじゃなくて、
まずいことになったことも過去あったよね。
作者と感想人の衝突とか、
(作者のレスはどうしても言い訳的になるから)言い訳うざ、と言われたりとか。
感想だってみんな自分の思うまま書いてるんだから、書き手が全部をそのまま
受け入れるっていうのもまず不可能だし。
だから、無理にやってくれと言えないなあ。
よしなに
「観鈴ちんと海の思い出」作者です。
今回の感想では、「やや中だるみ」「昔話をちょっと変えただけ」などの厳しい感想を頂き、
自分のSSを見直すいいきっかけになりました。
今回、私が目指したテーマは「浦島太郎をAIRでやってみよう」でしたので、
浦島太郎ネタをそのままAIRで忠実に再現したのは狙ってやってのことでした。
しかし、結果としてはそれが逆効果になってしまったようで、失敗したなと思います。
いちおう、美凪と佳乃を出す、オチを夢オチにするなどの変化をつけたつもりでいましたが、この程度では
変わり映えはしなかったようですね。
>>140 さん
そうですね、言われてみると、ちょっとくどいなと思えてきます。
書いてるときも、観鈴視点のはずなのに観鈴の主観とは思えないような表現まで入れてしまった気がしますし。
目標としてはほのぼの系を目指していたので、それが少しとはいえ伝わったのは嬉しいです。
>>160 さん
確かに、推敲する際にも私はほとんど削っていませんでした。むしろ、観鈴の心理描写や情景描写を増やしたところもあり、
削るべきところをまるで削っていませんでした。
「まずまずの構成にはなってるんじゃないか?」と自惚れていましたね。
昔話を忠実に再現したのは……有名な昔話だからこそ、下手にいじらずにAIRアレンジのみにとどめておこうという
考えからでしたが、もう一歩冒険する度胸も必要なのだと思い知らされました。
>>167 さん
私が書くSSは20kbくらいのちょっと長い短編が多く、その大半はだらだらと中盤が長くなってしまうのですが、
今回もその悪い癖が出てしまったようです。
テーマ「海」に沿ってなるべく詳しく描写しようとしたのですが、加減を知るべきですね私も。
もっと努力します。
>>176 さん
狙いはあくまで「AIRで浦島太郎をやってみよう」というもので、単純なほのぼの系を書きたかったので、
そんな崇高な狙いはなかったです。(笑)
あと、浦島太郎が最後鶴になるのは本当です。
子供向けの話ではおじいさんになって終わり、というのが多いと思いますが、
私が小さい頃に読んだ本ではちゃんとおじいさんになった後に鶴になって飛んでいく場面が書かれていました。
今回、投稿した前スレが落ちたにもかかわらず、保管庫などでちゃんと目を通して感想を書いていただき、
感想を下さった方々、そして感想こそないものの読んでくれた方々には本当に感謝しています。
次次回のテーマはまだ未定ですよね?
9月……まだ秋にはちょっと早い気もしますが、
「食べ物」、「スポーツ」などのテーマはいかがでしょう?
>>176 さん
狙いはあくまで「AIRで浦島太郎をやってみよう」というもので、単純なほのぼの系を書きたかったので、
そんな崇高な狙いはなかったです。(笑)
あと、浦島太郎が最後鶴になるのは本当です。
子供向けの話ではおじいさんになって終わり、というのが多いと思いますが、
私が小さい頃に読んだ本ではちゃんとおじいさんになった後に鶴になって飛んでいく場面が書かれていました。
今回、投稿した前スレが落ちたにもかかわらず、保管庫などでちゃんと目を通して感想を書いていただき、
感想を下さった方々、そして感想こそないものの読んでくれた方々には本当に感謝しています。
次次回のテーマはまだ未定ですよね?
9月……まだ秋にはちょっと早い気もしますが、
「食べ物」、「スポーツ」などのテーマはいかがでしょう?
ごめんなさい、二重投稿になってました…… 本当に申し訳ありません。
思いつきですが 「再会」は次々回のテーマとして使えないでしょうか?
去年の今ごろ有力候補だった「月」はどうですか? 1年間待ってた人もいるかも。
遅れた長文失礼します。 上から順番に、独断と偏見でつけた感想です。今回もまたまた総括期間でごめんなさい。
『観鈴ちんと海の思い出』
丁寧な情景描写のわりに、文章のリズムが悪くて残念。特に日記後半に顕著でした。
それが描写の味を消してしまい、冗長さを感じさせる一つの原因になっていると思います。
また、日記中の起承転結における「転」の部位(観鈴ちんが帰宅を決心するところ)が、唐突に
過ぎるのではないでしょうか。難しいとは思いますが、伏線が張ってあった方がより楽しめた
かもしれません。簡単に纏められてしまった感のあるラストにも少し不満が残りました。
技術:★★★(良い点と悪い点を平均して)
構成:★★(「違和感」の登場が唐突だったことと、オチについての減点)
設定:★★★(もっと弄れば面白くなるのでは。美凪や佳乃が使い捨てられた印象)
テーマ:★★★(まぁ、海といえばこの御伽噺ですね)
総合:★★★(安定したSSではありますが、何かしら訴えるものがあればなお良かったです)
『水間の百合』
>>34-35 ショートシチュですね。誰彼は未プレイなのでキャラへの感情移入はちょっと難しかったです。
その分、文章の粗が目に付いてしまいました。
>どこにでも一人はいる一介の少女
>色々な表情を見せた。驚く人、恐れる人、怒る人、そして笑う人。彼らのその悲喜交々な表情を〜
>私はその男の〜、私はプールサイドに〜
>彼らを見て一瞥
二重表現かな、と。いや、狙って書かれたのでしたら無粋で申し訳ないです。星付けはスルー
させて下さい。
『ありふれたなつやすみ』
>>41-51 よくあるハーレムかと思いきや、全員BADのダークもの。一人称が平仮名になってしまうこと
などを含めて、こちらもありがちではないとは言い切れない辺りがKanonSSの歴史を感じます。
葉鍵ジャンルでは完全に新しい分野の開拓はもう困難なのかもしれませんね。
さて、このSS。捻った構成で落ちに向けて期待感も増幅されていったのですが、期待通り
だった代わりに、予想も裏切られませんでした。良いか悪いかは別にして、一種のお約束という
ことでしょう。良く考えられているとは思うのですが、ほんの少しだけ物足りない感じもします。
技術:★★★(無問題)
構成:★★★★★(序破急の「序」と「破」の絡み方が絶妙です。掬い上げられる伏線に満足)
設定:★★(ダークSSの基本スタンスかと)
テーマ:★★★★(海ネタ、それも使い古されたネタもリサイクルできるものですね)
総合:★★★★(北川の処理に感心しました)
『月下血踊』
>>57-63 あー。こういう落とし方、好きです。描写されてはいないのに、岩切さんや柳川の表情が想像
できてしまうのが萌え。作者さんも狙っているのだろうなぁと思いつつ、嵌まってしまいます。
うん。誰彼未プレイ者にも優しいですね。誰彼に興味が湧いてきました。
技術:★★★★(4.5。巧い。なんだかノリノリで書いている作者さんが頭に浮かびました)
構成:★★★★(締めとの落差があってこそ、この文体が映えたのかもしれません)
設定:★(さすがに、海までは流れ着かない……というかこんなに戦える気力があるなら、彼は
途中で戦いの場に取って返しているような気がします)
テーマ:★★★(特筆すべきことなし)
総合:★★★★(総じて、発展性があるSSは良いものです)
『よくあることだよね?』
萌え。
技術:――(視界外という利点を生かして、水音やら吐息やら衣擦れやら沈黙やら臭気やらを
もっともっとねっとりと描いてほしかったかも)
構成:――(配分に不満。具体的には、もう一回ぐらい)
設定:――(携帯用。くっ。なんて無粋なものを持ち歩くんだ。普通のビニール袋でいいやん。
むしろそっちの方がより羞恥心を煽ることができたのでは)
テーマ:――(海水も塩辛いらしいですねとかなんとか)
総合:――(ヽ(゜∀゜ヽ) (ノ゜∀゜)ノ)
……えぇと。海とはほとんど関係が見出せないのですが、割と確信犯(@誤用)の方でしょう。
とりあえず、次々回テーマは尿に一票。そうなったら、じっくり星付をする所存であります、はい。
『何も変わらない夏の海』
>>97-98 ほっと一息付ける、しっとりしたSSですね。ただ、全体的に分量を多めにすることで、読者の
郷愁感をあざとく突付いてみても良かったかもしれません。
技術:★★★(微妙に怪しい気もしましたが、目立った粗はないように思います)
構成:★★(長編SSのプロローグのような印象を受けました)
設定:★★(さすがに千鶴さんの売り子は立場上難しいでしょう)
テーマ:★★(現段階では、ちょっぴり苦しい)
総合:★★(エピソードの中途半端さで、画竜点睛を欠いてしまったかも)
『乙女が海に来た理由』
>>104-114 えーΣ(゚Д゚;)
いや、まぁ設定はともかくとして、いまいち何を狙って書かれたのかわかりませんでした。ギャグや
コメディの類かな? と前半付近では推測していたのですが、最後はいわゆるいい話に部類される
締め方。思わず口が半開きになってしまいました。この設定上、ほのぼのチックに終わらせるのは
無謀ではないでしょうか。
技術:★★★(この文体も、読者を笑わせようとしているのか、真剣に読ませようとしているのか、
どちらを向いているのか判別し難い)
構成:★(10レス目でちゃぶ台をひっくり返しそうになりました)
設定:★(インキンに対しては、面白いと思うよりも嫌悪感が先に立ってしまいます)
テーマ:★★(海水が効果てきめんというならば、自宅で塩水にでも浸していればいいのでは)
総合:★(キャラへの共感が出来ませんでした)
『夏の海』
>>118 ダークとしては物足りず。プロローグを見せられても、少し困るかな、という感じです。
『蒼に溶ける』
>>120-123 雰囲気が大変落ち着いているSS。月代はグラフィックしか知らないのですが、良い娘ですねぇ。
構成としては、回想シーンとして高子の台詞を挿入するのではなく、再開したところを冒頭に
配置して、そこからストーリーを展開するとメリハリの利いたものになったのではないかと思います。
主題は非常に重いもので、この分量で終わらせることは難しいところを雰囲気でカバーしている
ようなイメージがあります。
技術:★★★(安定感があります)
構成:★★★(心理描写が続きましたが、ラストに好印象です)
設定:――(誰彼未プレイにつき、評価不能)
テーマ:★★★(月代の台詞をもっと大幅にクローズアップしても面白いかもしれません)
総合:★★★(良くも悪くも、纏まっていたような気がします)
以上。 今回は、少数精鋭というような言葉が浮かびました。なんとなく。 海というテーマの面からは、『蒼に溶ける』が化ける可能性を多分に秘めていると思います。 最優秀賞は僅差で、是非とも続きが読みたい『月下血踊』を推します。 優秀賞は、伏線を忠実に回収する技巧派の『ありふれたなつやすみ』に。 特別賞は他のSSの追随を許さないというか許されたくない『よくあることだよね?』。
星付氏キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!! 今回はもう来ないかと思ったよ。 いつも楽しみにしてます。
次々回のテーマ 『追いつめられし者』 を推薦してみる
>>214 被ってはいないと思う。
似てはいるけど
おいつ・める【追い詰める】 逃げ場のないところへ追い込む。 ぜったいぜつめい【絶体絶命】 危険や困難からどうしても逃れることができないこと。 危険でも困難でもない事で追い詰められるって事? 難しいな。
217 :
名無しさんだよもん :03/08/09 14:10 ID:v5RK4Jhb
葱板にコンペスレ立てたら・・・・・・・葉鍵みたいにジャンルが統一されてるわけじゃないから失敗するかなぁ? 葱SSスレの広告の多さを嘆いてこんな事をヌカしてみたりする。
次々回のタイトルは「復讐」なんてどうでしょうか?
>218
それをなんでここに書く。葱板住人の要望もないのにひとりの思い付きで立てたりしたら
>沸いて出た葉鍵厨が調子に乗ってオイタしただけだろ、このスレ
上のスレみたいにこう言われるだけの繰り返しだよ。
広告の多さとコンペスレの関連も意味がわからんし。
万が一218が=
>>184 だったりしたら……俺は呆れるぞ。
221 :
218 :03/08/09 22:42 ID:sbmnljjW
ネギのSSスレは最近活気がないし 最近じゃ葉鍵以外のSSコンペも開かれてるから時期的にカンフル剤にならんもんかと言ってみたんだが エロパロとネギだと板自体のノリも結構違うもんだし
葉鍵厨出入禁止@葱板
間が悪いですが挨拶に伺いました。「ありふれたなつやすみ」作者です。 まさか優秀作に推されるとは思っていませんでしたので、かなり驚きました。 すでにお気付きの方もいらっしゃるようですが、このSSを書くきっかけになったのは前スレのネタ潰しレスです。 「だったらその材料ども全部放り込んで闇鍋にしてやらー!!」という不純というか大人気ない動機で書いた上に その味付けがダーク物、ということで叩かれるのも覚悟していたのですが。 無理矢理にネタを詰め込みつつもどうにか食える物にしようと試行錯誤したかいがあったということでしょうか。 縛りがきついと逆に張り合いがあり、書いている本人はわりとノリノリでした。 「一緒に水着を買いにいく」は私の力量不足でかなり無理のある突っ込み方になってしまいましたが。 今となってはネタ潰しレスにありがとうと言いたいです。でも二度目はやらないでくださいね。 実は個々のシチュエーションはかなり本気で書いており、あわよくば萌えてくれ、と思っていたのですが…… 私には萌えシチュは書けないようです。 ダークというジャンルは普段あまり書きつけないのですが、意外に自分に向いているのかも。少なくとも萌えシチュよりは。 ただ、今回は調理法を探していたらダークに辿り着いた、というだけで 好んでダークを書く人の心境はわかりません。それもひとつの愛の形なのでしょうか。 ストーリーのために駒としてキャラを不幸にする私の方がよっぽど質が悪いというのはまあ、置いておいて。
>>137 構造上の欠点と言われればその通りですね。
ただ、読者の違和感を煽って「これは何かあるぞ」と思わせる狙いは成功したのではないかと。
祐一は現実逃避癖があるので、そういう意味でも適役でした。嫌な適役ですけど。
>>140 否定しません。もう悪意のかたまりです。不愉快な思いをされたのならすみません。
>>166 まあ、ネタには違いないです。出来の悪いブラックジョークというか。
皆さん氷イチゴの仕掛けに気付いてくださって嬉しい限りです。
公平に評価してくださるのはありがたいのですが、もっと個人的な好き嫌いで評価を下してもいいと思います。
>>167 はい、夢オチ宣言しちゃいました。
137さんへのレスと被りますが、警告というか、このままハーレムじゃ終わらないぞ、と。
最後のオチは、書いている方も少し「これはひょっとしてダークに見せかけたギャグなのか?」と思いました。
「恐怖と笑い、愉快と不愉快は隣り合わせにあるものだから仕方ない」と自分をごまかしましたが、やっぱり駄目でしたね。
>>178 ご指摘の部分はわざと埋もれさせました。
さらっととんでもないことを言わせて、読み飛ばしモードに入りかけた読者を驚かせて話に引き戻す狙いです。
わかりやすくするためにしつこく書いていて、どうもこの辺り退屈だな、と思ったので。
ただ、そこ自体を読み飛ばされたら意味なかったですね。本末転倒。
>>208 やっぱりありふれた設定ですか。ダーク物として目新しいSSを書くのは無理だったようです。
まあ、このSSはタイトルがタイトルなので、素でありがちになっている部分も
「いや、これはわざとやってるんだ」と言い逃れができて便利ですね。ってばらしちゃ駄目じゃん。
感想をくださった皆さん、ありがとうございました。
ではまた機会があれば。
長文ウザイ。
>>219 「復讐」か、大切な人を奪われた葉鍵キャラがその復讐に走るといったSSなのでしょうか?
220>221 スマソ。葱住人だから、ちょっと感情的になったかも…。 でも、それは葉鍵板住人がここで勝手に心配したり、まして勝手に行動することじゃ ないと思う。向こうで向こうが考えることかと思って。 葱板のSSスレはたまに職人がひとりふたり現れて 短くて一作、長くて二、三ヶ月ていど常駐してSS投稿→寂れるの繰り返し。 俺だったら定期的「コンペスレ」をやろうとは思わないかなあ。 メーカースレ住人が、たまにそこのメーカーのタイトルの補完SSを投下しにきて、 それを同じメーカースレ住人が読みに来る、 メーカースレ補完スレって感じが強い。 葱には葉鍵みたいに「SS界」みたいなものはないし、 「SS書きの集い」みたいなものもない。 誤解しないで欲しいのは、カンフル剤を入れようという考え自体は 悪いものじゃないと思うんだ。広告が多いってのも 最近活気がないってことだな、了解した。
「尿」で先を越された以上、もはや「尿」を超えるテーマ「糞」しかあるまい。 「糞」に一票。
>>228 何か、嫌味になってしまったようですみません。どうかお気になさらず。
蛇足レスついでに言っておきますと、違う人です。
私は黎明期に一、二作投稿したきりコンペスレを離れ、最近になって戻ってきた者なので
その間はすっぽりと抜け落ちています。投稿もROMもしていません。
で、せっかくなのでこの機会に読んでみました「柏木家の初夢」
……場面切り換え被っとる_| ̄|○
しかもこの作品、第十回の最優秀作品に選定されてるし……
自分の不勉強が露呈してしまいました。
味付けが全然違うのがせめてもの救いですね。
私にはあんなほのぼのエロいSSは書けません。
それでは、以降は名無しに戻ります。
どっちも読んだ人もいるだろうし、それで両方最優秀に推されてるんだから、
どっちも面白かったんちゃう? ヘコムナ
>>229 魅力的なテーマだとは思うが、さすがに参加者を限定しそうなので反対しておく。
というワケで、次回テーマは「屁」と決まりますた。
そうか _| ̄|○ 「復讐」期待してたのに
もっと広範に「お返し」とか。
>>233 一応マジレスしておくと、
>>232 は管理人ではないので気にしないように
漏れも「復讐」に一票
えーと、特に問題がないようでしたら、13日(水)の10時をもって総括期間を終了し、 第十七回の投稿期間を開始したいと思います。 テーマの決定もその時点で行う予定です。 また、第十七回は今までの投稿2週間+感想1週間から、 実験的に投稿10日間+感想10日間としてみたいと思ってます。 これは、感想をより多く求めるためというのが目的ですが、 第十七回のテーマが「今までのお題」ということで、 執筆に必要な時間が少なくて済むかもしれないから、という理由もあります。 これについてはまだ決定事項ではないので、賛否のご意見よろしくお願いします。
漏れも復讐に一票、葉鍵作品にはこれがしっくり来る作品の多い事多い事
◆HMX73059.I さんへ >また、第十七回は今までの投稿2週間+感想1週間から、 >実験的に投稿10日間+感想10日間としてみたいと思ってます。 第十八回からにしません? 夏コミ原稿の追い込み中で、まだ執筆に入っていません。 あと、その手の試しみをいきなり試すのはどうかと。 するなとは言いませんが、『次々から』とか前もってアナウンスして欲しいです。 今回やらなければいけない理由があるなら、従いますが……。
じゃぁ漏れは屁に一票。
>投稿2週間から投稿期間10日間に ぐわっ、感想記期間が伸びるのは歓迎だけど、 いま投稿期間を縮められると、見積もってた製作期間が 突然少なくなってしまってピンチ。 次回はチカラ入れてるだけに、製作期間はとりあえず保留しておいてホスイ
241 :
名無しさんだよもん :03/08/11 01:40 ID:2MIKjhrg
『月下血踊』作者です。
今回も拙作を読んでいただきましてありがとうございました。
今回もまあ、題材が誰彼ということで、予想通り未プレイ者はおられ、未プレイ公言記録自体はたようですが、
スルーされることなく感想を戴けたのは、なんと言うか感謝の極みです。
初参加のときは、8割スルーで涙が出そうになりましたから。
感想のみならず、作品に対する感想人各々の考察まで戴けましてさらに感謝。
ちょっとした解説を入れさせていただきますが、
>>179 氏の説明を否定するものではありません。
作中の柳川は、少なくとも死にかけには違いありません。
個人的に鬼の膂力に関してはかなり高評価を持っているので、
そうでなければ、岩切は最初の一撃で最悪のケースに、となりかねなかったり。
舞台に関しては、日本の沿岸を回った岩切が、隆山近辺の海水浴場付近たどり着いたところ。
そこにたまたま、痕のどこぞのルートでひどい目に会った柳川さんが這い上がってきたところです。
相変わらずのシリアスだかギャグだか萌えだかほのぼのだか縦書きだか、
中途半端に混ぜ合わせている文面に、辟易していたり作者を察した方もいるとは思います。
……毎度努力はしているのですが、どうにも直りそうにないです。ご容赦くださいませ。
で、今回の作品も拙作webスペースの方にアップいたしますので、
気が向きましたら検索などしてやってくださいませ。
それでは、また次回、お会いできればお会いしましょう。
>>236 次回からってのはちょっと唐突だね。投稿期間まで間が無いし。
まだお題が決まってない次々回からが妥当なのでは?
でも次回は感想期間多めに取って欲しい気もするな……今回感想書いてないし、次は書きたいかも。
過去のお題っていう祭り的なイベントとして、投稿期間そのままで感想期間ちょっと延ばせないですか?
削っても文句が出なさそうな総括期間を削るとかして。具体的には2週間―10日―4日とか。
1周年の時も「読みきれない」って声が上がってたし、次回に限りってことで、どうでしょう?
んじゃ俺も「屁」に1票。
服臭に一票
漏れも復讐にイピョー
247 :
名無しさんだよもん :03/08/11 22:30 ID:KV0XfU6G
今回「蒼に溶ける」を投稿させて頂きました。 気に入って下さった方もいらっしゃるようで、嬉しい限りです。 誰彼をプレイした方にしか分かって頂けないかもしれませんが、 「蒼に溶ける」というタイトルはこのSSの前提となっている本編シナリオ「紅い絆」と対になっています。 テーマが「海」と聞いた時から、個人的に葉鍵作品の中でもっとも強く「日本の夏」を感じるゲーム、 誰彼の二次創作で行こうと決めていました。 他に誰彼SSで来る方はいないだろう、という目論見も多少あったのですが……読みが甘かったようです。 まさか拙作を含めて三作品も投稿されるとは。誰彼好きとしては嬉しい誤算と言うべきなのでしょうか。 構想の段階ではもっと長くなるはずだったのですが、いざ書き始めてみると四レスに収まってしまいました。 どうも自分には書きながら内容を凝縮する癖があるようです。文章が引き締まるならそれに越したことはないのですが。 ご指摘のあった通り、今回は〆切ぎりぎりの投稿になったしまったせいでやや推敲不足です。 全体としては満足いっているのですが、ところどころ手直しを加えたい部分もあります。 なかでも誤字は……穴があったら入りたい。 永遠を生きる者の孤独、海に還る命、それぞれはさして目新しい題材でもありませんが、 誰彼の世界観が彩りを添えてくれたように思います。 奇をてらわない代わり、王道の力強さを出せるよう心がけました。 全体にストーリー展開が地味なことは否めませんが、自分の描きたかった たそがれた雰囲気を感じて頂ければ幸いです。 では、またご縁があれば。
漏れは、「屁」をしたら味噌も出た、に一票。
『乙女が海に来た理由』を書いた者です。読んでいただいた皆様、ありがとうございました。 海といわれて皮膚病の治療を連想したので、こんな話を考えてしまいました。 しかし、海水浴療法ってあまりポピュラーではなかったようですね。 水虫やインキンになったら海にでも行ってこい、と子供のころによく言われましたが、 私の住んでいる地域だけなんでしょうか。 実際に効果があるという体験談も聞いたことがあるんですが、逆に悪化することもあるらしいので、 やはり医者に相談したほうがよいようです。 ちなみに私自身は海で治療したことはありませんが、恥ずかしくて病院に行けなかったという 体験はあります。まあ、多感な時期に罹りやすいですし。 乙女チックな場面にインキンという単語が連呼されると面白いかな、と思ったんですが、 完全に失敗だったようです。 かえって不快に思った方がいたらすみません。 顔でも洗って出直して参ります。
アトピー皮膚炎の治療法に海に行くというものもあったが…… でもあれは専門家が同行していたからなぁ。
陰金=アトピー ではなかった気が・・・
少し失礼してご挨拶をさせてください。 「よくあることだよね?」を書いた鍵系SS書きです。 今回はなんと言うか「ほんのり微かにエロい」みたいな感じを目指してみますた。 まあぶっちゃけあのシーンが書きたかっただけなんですけど、俺の敬愛してやまない都築真紀女史の同人誌に「ストーリーの無いエロには心のちんぽがたたない」という一言がありまして。 これに感銘を受けた俺は、ちょっとしたエロシチュや萌えシチュでもバックボーンを気にするようにしています。 それからテーマに関してなのですが……さすがに失敗してますね(汗 もともとのネタとしては、次回が「テーマ無し」になったら趣味全開で行こう、と思って書き始めたけど、「過去のお題」になっちゃったから、まあ海の帰りだし海の時に出品するか、という…… ちょっと強引でしたw むしろ次回、「絶体絶命」として出した方が良かったかもしれませんね。
では、以下に個別レスを。漏れがあったら申し訳無い。
>>141 >ねぇよw
ツッコミキタ━━━━(゚∀゚)━━━━ッ!!
……いえ、なんとなく嬉しくなったもんでw
祐一君は役得でした、という話でOKです。むしろそれだけw
なんとなく進んでなんとなく終わる、という話は、実は俺自身大好きだったりします。
>>161-162 わ、凝った感想ありがとうございます。
>私がクラスで浮いてるんじゃないかとか、三角関係を連想させるようなお姉ちゃんの返答の仕方とか、
>ストーリーに直接関係無い要素が混じっているのは気になりました
この辺は先にも言った通り、純粋な味付けです。
三角関係は連想していただければ充分ですし、クラスで浮いてる栞に対する祐一の引け目とか義務感みたいなものを想像してもらえれば、香里との関係にちょっとだけ膨らみが出るんじゃないかなとか。
いろいろ想像できる余地を作った方が、こういう行為の背徳感が増すかな、と。
……失敗したかな?w
あと、個人的に北川君の陰謀を応援します(ぉ
>>166 何がやりたかったのかわからない、でも、なんとなく読んでてほのぼの、そんなSSを書いてみようと思っていたのですが……そこまでの物は書けていないようですね。精進します。
>>168 >ほ、放尿プレイですか?(;´Д`)ハァハァ
プレイではないですが、プレイですw こういう純粋な「萌えた」という感想は凄く嬉しいです。
>しかし……これって、テーマが『山』でも『スキー』でもいいんじゃない?
_| ̄|○|||
>>179 プレイではないですが、プレ(略
>好き者やのう兄さんw いや、俺も好きですが。
同志ハケーンヽ( ´ー`)ノ
こういうなんとも言えない微妙なシチュ、微妙な関係って大好きですw
>トレーニングルームの砂穴SSの人かな?
ええと、俺はトレーニングルームで投稿した事は無いです。
>>209 うわ、俺だけ星が全部「――」だよ……まあしょうがないですね。総合がなんともほのぼのしますたw
>もっとねっとり
実はちょっと迷いました。これやるとほのぼの感がなくなり、香里と栞のどろどろした関係が浮き彫りになっちゃうかと思ったのですが……確かにキモの部分にしては描写が薄すぎた気もしますです。
>ビニール袋
Σ( ̄□ ̄|||)ナンデストッ!!
そんな……そんなあーた、いくらなんでもそれは……
師 匠 と 呼 ば せ て く だ さ い
よしわかった、ビニール袋はあるけど濡れた着替えや下着を入れるのに使っていたからやむを得ずそれらを取り出して使おうとしたら、
寝ぼけた北川が「うぅ〜ん」とか言いながら寝返りを打って今まさに取り出した香里のぱむつをがっちりきゃっち、振りほどこうにも変に刺激すると目を覚ましちゃうからあまり強く引っ張ることもできず、
尿意と焦りで涙目になりつつ「ちょっと、お願いだから離してよぉ……!」なんて言いながら右手でぱんつ、左手で股間を抑えて困惑するかおりんってのはどうだ!!
……俺 も う だ め ぽ
以上です。 今回は誰彼SSが多く、しかもみんな上手いのにびっくりしました。 ただ、誰彼プレイした友人曰く「誰彼やってない方がこういうSSの評価が高くなると思う」というのが、この作品のすべてなのかな、とw 俺も未プレイですが。 では最後に、SSを読んでくださった全ての人に感謝を。ありがとうございました。
257 :
251 :03/08/12 13:21 ID:BRFe+Ec+
>>252 =で結んでなどいないぞ。でも皮膚系の疾患と言うことと、海に入るという治療法から、
そういう話を聞いたことがあるのを思い出しただけだ。
皮膚病は隔離。これ。
>過去のお題っていう祭り的なイベントとして、投稿期間そのままで感想期間ちょっと延ばせないですか? 禿同 今回は過去に投稿し損なった作品を皆UPしてくるから、一人、2作品くらい投稿するんじゃない? 今回に限り、投稿期間2週間、感想期間2週間でどうよ。 投稿10日間+感想10日間は次々回からで良いと思われ。
今回『何も変わらない夏の海』を投稿したjo(如風)です。 本当は単純に『海でH』にしようと思ったのですが……いい話がうかばねぇ〜(爆) ◆zQ6Zbd9MzM氏も書いていますが、ストーリーのないH書いても面白くありませんし。 とりあえず時間もなかったので、短い話をと思った時、頭に浮かんだのが、昔葉っぱコミケが配っていた紙袋でした。 そこには、鶴来屋の法被を着た柏木四姉妹と耕一が、海水浴場でアイスを売っている姿が描かれていました。 最初は千鶴さんが、怪しいアイスを作って売り歩く(きのこアイスとか)話を考えたのですが……さすがに落ちがあ まりにも在り来たりで面白くない。いろいろ考えているウチに、どうして柏木家がアイスを売っているのかという疑問 が浮かびました。そこで『祖父からの家訓』という設定を思いついたわけです。そうなると当然、耕一の父親も売り歩 いた事になります。 熱くて辛いだけの夏の海岸を歩く耕一が、ふと父親の事を思い浮かべる。四姉妹の行く末を案じながら、親父は何を 思いながらアイスを売ったのだろう。そして『そうか、俺は親父と道を歩いているんだな』と思い、擦れ違った親子の 絆を再確認する。そんな話が思い浮かんだわけです。 ただ、実際書くに当たって、祖父の話とかバランスなどを考えるウチに、父親の事を思い出す描写が少なくなってし まい、内容が薄っぺらいものになったことが一番の反省点だと思っています。 今回、いろいろと感想をしてくれた皆様方に感謝しつつ、次も良いSSを投稿するため努力していきたいと思います。
総括期間を終了します。 次々回のテーマは……「復讐」って意見が多いようなので、「復讐」に決定したいと思います。 また、投稿&感想期間につきましては、自分の提案を取り下げた上で、 今回限りの措置として、投稿期間2週間+感想期間2週間としたいと思います。 それでは……
【告知】
第十七回投稿テーマ:『過去のテーマ』(第一〜十六回のテーマから自由選択)
投稿期間: 8 月 13 日の午前 10:00 から 8 月 27 日の午前 10:00 まで。
テーマを見て、思いついたネタがあればどんどん投稿してみましょう。
面白い作品だったら、感想がたくさんついてきて(・∀・)イイ!!
もちろん、その逆もあるだろうけど……(;´Д`)
※投稿される方は
>>2-4 にある投稿ルール、FAQ をよく読んでください。
※特に重要なのが
・テーマに沿った SS を*匿名*で投稿する
・投稿期間中は作品に対して一切感想をつけない
※の二点です。他の各種 SS スレとは異なりますのでご注意を。
それでは、投稿開始っ!
# また、次回のテーマは『復讐』で、開催時期は 9 月になる予定です。
# 「二週間じゃ短すぎて書けない」「テーマが難しい」という方はこちらの執筆に力を
# 注いでもらっても構いません。ただし、投稿は次回の募集開始までお待ちください。
過去のテーマ一覧。 『花』『走る』『雨』『サッカー』『夏だ!外でエッチだ!』『嘘』『絶体絶命』 『夢』『キス』『旅』『初め』『プレゼント』『耳』『桜』『風』『結婚』『海』 ……むぅ、意外に縛られているような。 あまり考えずに書き始めてしまったが……ドウシヨウ。
>>263 これだけあるんだから、どれかにこじつけられるんじゃない?
適当に書いて最後に「はっ…夢か」。 で、テーマは「夢」。
復讐か、ならばハードボイルドな奴でも・・・
せっかく今日から旅行に行くから、海に浸かりながらゆーくりとネタを練るか。
268 :
名無しさんだよもん :03/08/14 09:41 ID:gj28Q3B8
めんて〜
さて、では取り合えず一番乗り。 お題は「過去のテーマ」1レス。 まずはやったものが勝ちで……(w
花びらがちらほらと舞散る中を俺は走っていく。 待ち合わせの時間は少し過ぎた所だ。雨のように降り注ぐピンク色の欠片が少しうっとうしい。 子供達がサッカーをしている向こうで、彼女はベンチに座って待っていた。 非難がましい目で見上げてくる彼女に俺はとっさに言う。 夏だ!外でエッチだ! 返ってくる沈黙はさっき以上に冷たい。 はっはっは、嘘ぴょーん、と誤魔化したくなるが、尚更ピンチを招くだけだろう。 というか、これはもしや絶体絶命というやつでは。 実はこれは男の夢なんだ、とさらに墓穴を掘る俺に、彼女は溜息ひとつ付いて抱き付いてきた。 柔らかなキス。 旅の初まりにしては上出来かもしれない。 俺はそう思いながら、彼女の手の中に持っていたプレゼントを押し込む。 耳元で囁くと、彼女は驚いたように俺の瞳を見上げた。 その瞬間、桜の花弁が風に吹かれて、俺達の周りをふわりと舞う。 彼女は結婚指輪を箱から取りだし、僅かに瞳に涙を浮かべながら、それを手の平の上で転がした。 さぁ、と俺は彼女の手を引いた。 海に行こう。 彼女が口を開いた。 「そんなこと言われても……」 どうすればいいんだ。
何人そういうテーマで来るか密かに楽しみにしてる。
273 :
名無しさんだよもん :03/08/15 08:45 ID:1RbuJahP
274 :
名無しさんだよもん :03/08/15 13:39 ID:1RbuJahP
広告うざい
『過去のテーマ』がテーマだからね。 別に「今までに出たテーマ」をテーマにしなくても、 「過去のテーマ」というそれ自体を……ゲフゴフ
277 :
名無しさんだよもん :03/08/17 20:25 ID:GHxLL7Oo
【告知】
現在、葉鍵的 SS コンペスレでは投稿作品を募集しています。
今回のテーマは『過去のテーマ』(第一〜十六回のテーマから自由選択)です。
投稿の締め切りは 8 月 27 日の午前 10:00 までとなっています。
テーマを見て、思いつくネタがあればどんどん参加してみましょう。
その際に
>>2-4 のルール、FAQ に一度お目通しを。
また、次回のテーマは『復讐』で、開催時期は 9 月になる予定です。
「二週間じゃ短すぎて書けない」「テーマが難しい」という方は、こちらの執筆に
力を注いでもらっても構いません。ただし、投稿は次回の募集開始までお待ちください。
『過去のテーマ』(第一〜十六回のテーマから自由選択) ↓ね。 『花』 『走る』 『雨』 『サッカー』 『夏だ!外でエッチだ!』 『嘘』 『絶体絶命』 『夢』 『キス』 『旅』 『初め』 『プレゼント』 『耳』 『桜』 『風』 『結婚』 『海』
ふと質問。 対象テーマから複数個選択(ex:「『初め』ての『キス』」とか)というのはどうなんでしょうかね? ネタは思い付いたけど話が纏まらない椰子の呟き。
全然問題ないと思うけど。
271は失格ということで。
>284 いいIDだ
IDにSSが出た人は1本書かなきゃならない掟。
日付が変わって別IDの罠
>286 そういえば前、その法則で一本あぷしたなあ俺
289 :
名無しさんだよもん :03/08/23 14:38 ID:JU+LtaFi
_ ,. - ── - 、 ,. - ⌒ヽ、 / ヽ ̄ __,.--v ⌒ヽ `ヽ - 、 \ / } / / ./ ヽ / ヽ ヽ . / イV/./ / l i / / / / / / /. ハ /`ヽ. l i . ,' / / ,' / i /ミV//ハ i ', . ,' / / i i l i /;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;i ! ト、 ', l / / ,. --! l l ! il::::::::::::::::::::::::::i l !ハ 、 、 i ' ' ./ ,. | i i ト、ト、 |..........................i .i !! ! ヽヽ | i l | 〈 { .l l l |k ト、 .| | /! / !.i ヽヽ i ! l l ヽ. | i i | ` ヽ.l レ' /ノi l ヽヽ ,' i l l! l`ー| l l |⊂⊃ ⊂⊃!l i !、 ヽヽ ,' l i ハ ! | i i | ┌ ┐ , イヽll /i/ ヽ. ヽヽ ! i ! .l | ヽハ ハ ヽ>r . __ __ー < 、 ヽ リ' /ハヽ. \ i l ! l | !.! Vへ V /´`ー‐‐‐‐' ̄ハヽヽヽ VVハl | \ ヽ .! ! ! i l i/ >く __ ..ィi ̄ト、ヽ V / ノレ' ヽ ! .l | ! l i | __, <〜`ヽ`丶./ ノlーi \ ヽノ Vハ l | .ハ .ト、l l/ `丶`ヽ ヽ く / /ヽ./ヽ. \ l リノヽ ,' ヽ! ヽ | \ヽ i ´/ ./ ヽ/ ヽ ./ \j / ̄ i `~ 〉. /⌒ ヽ、 | i l/ ̄`ヽ. ハ __ / 〉 | ___ ノ ' 〉 / ハ/ /´ ̄ヽ i /  ̄ / イ/ ゝ `丶. , ,.-‐ '' V` ̄ `ヽ. __,.イ __ 」 `ー ォ< 〉 i ヽ  ̄ ̄ ノ / ー-- -‐ __.」 '~「 `
やべー まだ全然書いていないよ漏れ
俺もだ。気が合うな。
俺なんか書く気もないや。
【告知】
現在、葉鍵的 SS コンペスレでは投稿作品を募集しています。
今回のテーマは:『過去のテーマ』(第一〜十六回のテーマから自由選択)です。
投稿の締め切りは 8 月 27 日の午前 10:00 までとなっています。
テーマを見て、思いつくネタがあればどんどん参加してみましょう。
その際に
>>2-4 のルール、FAQ に一度お目通しを。
また、次回のテーマは『復讐』で、開催時期は 9 月になる予定です。
「二週間じゃ短すぎて書けない」「テーマが難しい」という方は、こちらの執筆に
力を注いでもらっても構いません。ただし、投稿は次回の募集開始までお待ちください。
ちなみに『過去のテーマ』は以下の通りです。
『花』
『走る』
『雨』
『サッカー』
『夏だ!外でエッチだ!』
『嘘』
『絶体絶命』
『夢』
『キス』
『旅』
『初め』
『プレゼント』
『耳』
『桜』
『風』
『結婚』
『海』
投稿します。 テーマは『夏だ!外でエッチだ!』で、タイトルは 「いつかなくしたもの、だけど見つけたもの、そして再び会えた人」 主演ヒロインは雫の瑠璃子さん。と、もう一人、他作品から。 25レスを確実に越えそうな勢いですので、しばらく時間がかかります。 ではいきまっす。
梅雨が終わりかけた頃、二人の少女は出会った。 自然公園の外れ、木の枝に隠れた分かりにくい小道を奥まで抜けると、そこに小さな休憩所がある。 休憩所は屋根と、その柱を囲むように配置された長椅子を備えていた。 その一面は崖に面しており、ちょっとした展望台もかねている。 手すりの向こうには隣町の景観と、広がる海を一望することができた。 時は夕刻。 巨大な半円と化した夕陽が、紅に海を染めている。 その展望台に、一人の少女――月島瑠璃子が立っていた。 そっと流れる風に、セミロングの髪をなびかせ、気持ちよさそうに目を細めている。 沈みゆく太陽の残滓を浴びて、鈍い赤に全身を彩られている。 薄い色の瞳は、太陽を見ているのか、それともその彼方のなにかを見ているのか。 静かに、穏やかに、綺麗な人形めいて見えるほどに、じっと立ちつくしていた。 その場所に、もう一人。 小道に埋め込まれた石のステップを踏む音が、近づいてくる。 木の葉で編まれた自然のアーチをくぐり抜け、別の少女が姿を見せた。 若葉を思わせる艶やかな長い髪が、臙脂色の制服に映える。 部活帰りなのか、重そうにラケットバッグを抱えていた。 瑠璃子が振り向くと、二人の目が合った。 思いがけぬ先客に、長髪の少女は僅かに目を見張った。 どちらからともなく、はにかんだ笑みを向けあう。 少女はラケットバックを傍らの長椅子に置き、瑠璃子の横に並んで、赤い街並みに視線を投じた。 不意に吹きつけてきた風が、少女の長い髪をはためかす。紅が髪の中に透け込んでゆく。 少女は心地よさそうに目を閉じ、風を受け止めた。 風が収まり、長い髪が落ち着くのを待って、撫でつける。 そこで、じっと横顔を見つめる瑠璃子に気づいて、 「あ」 「?」 「一緒にいいかな?」 遅まきながら、そんなことを聞いた。
瑠璃子はきょとんとして目をぱちくりさせたが、すぐに小さく笑い出す。 「いいよ」 「ありがと」 そして脈絡無く、少女はラケットバッグを漁り始める。 取りだした板チョコをためらいなく半分に割ると、瑠璃子に向かって差し出した。 「食べる?」 「ありがとう」 夕陽を見ながら、二人、チョコを囓る。 初夏の気温がチョコを半ば溶かしていて、二人とも、手も口のまわりもベタベタになった。 それがおかしいのか瑠璃子はクスクスと笑い、指を舐める。 舌に絡むような濃厚な甘さは、瑠璃子の好みからは外れていたか、久しぶりだったせいか、おいしく感じられる。 「どうぞ」 お返し代わりに、ポケットティッシュを差しだした。 「ありがと」 自分も舌で軽く湿して、手と口を拭った。 「ごちそうさま」 「どういたしまして。ここにはよく来るの?」 「ううん、初めて」 「来週の土曜日、花火大会あるよね」 「うん」 唐突な話題の転換にも、瑠璃子はさらりとついてゆく。 「ここ、特等席」 少女は手すりをポンポンとた叩いた。 確かに、海岸沿いから海の上に向けて打ち上げる花火は、ここからならよく見えるだろう。 隠れた穴場という奴だ。
「素敵だね」 「一緒に見ようか?」 「うん」 「兄さんも来るけど、いい?」 そう聞かれて、瑠璃子の髪がふわりと、驚いたように風に揺らされた。 「ダメ?」 一瞬の間に、少女は気まずげに問いを重ねる。 瑠璃子は返事の代わりに首を振って、 「私もお兄ちゃんを連れてくるけど、いいかな?」 同じ質問を返すと、少女も驚き、偶然に二人、笑った。 「じゃあ四人で」 「うん」 「七時くらいでいいかな?」 「うん……約束」 瑠璃子が小指を差し出した。少女もそれにならい、指を絡め合う。 少しくすぐったい感じがした。 指を切り、少女が時計を見て、鞄を背負い直す。 「それじゃあ、私は帰るね」 「私はもう少しいるよ」 「うん」 少女は長い髪を翻し、軽く手を上げて別れを告げた。 赤く染まった背中が、木の影の中に埋もれてゆく。 瑠璃子は不意に肝心なことを思い出して、その背中に声を投げる。 「あの……」 「ん?」 「月島瑠璃子」 ああ、と少女は納得し、笑顔を作って、 「河島はるか」 そう、短く答えた。
瑠璃子が帰宅する頃には、大分、空が暗くなっていた。 「ただいま」 玄関をくぐると、けたたましい音を立てて、彼女の兄、拓也が階段を下りてくる。 「瑠璃子っ!」 拓也は狼狽した顔で瑠璃子を抱きしめ、大げさにため息をついた。 「瑠璃子……よかった。ずいぶん遅かったから、なにかあったかと心配したよ」 瑠璃子が痛みを感じるほど、抱きしめる腕に力を込め、愛おしげに髪に頬ずりする。 「大丈夫。私はどこへも行かないよ、お兄ちゃん」 まるで、幼い子供を宥めるような口調だった。 最近の拓也は、過保護と言ってもいいほど瑠璃子を偏愛している。 加えて情緒不安定で、ちょっとしたことで一喜一憂する。 食事しながら花火大会に一緒に行こうと誘うと、子供のように無邪気に喜んだ。 だが、はるかの兄も来ることを話すと、露骨に不快そうな顔を浮かべた。 誰であれ、瑠璃子のそばに自分以外の異性が近づくことが、我慢ならないらしい。 不意に生じた気まずい空気が、棘のように瑠璃子に突き刺さった。 「お兄ちゃん」 「なんだい」 「小さい頃、花火を見たよね。お父さんとお母さんも一緒に」 瑠璃子は四才の時に両親を失っているため、思い出と言っても数えるほどしか持っていない。 それは瑠璃子の持っている、数少ない両親の記憶の一つだった。 小さな街のささやかな花火大会だったが、暗い空に広がった鮮やかな大輪の花は、今でも目蓋の裏に焼き付いている。 打ち上げが終わってしばらくしてからも、もっと見ていたいとぐずったものだ。 「ああ、そうだね。よく覚えているなぁ、瑠璃子は」 「うん……楽しかったから。それに、とても綺麗だった」 「うん、うん。そうだ……浴衣を着て、二人で手を繋いで、一緒に眺めたっけ」 それをきっかけに、思い出話が弾んだ。 拓也が上機嫌になったのを見て、瑠璃子はほっと胸を撫で下ろす。 ――瑠璃子はずっと、少しずつ兄が異質になってゆくことに怯えていた。 二人の共通の思い出である花火を見上げれば、また、あの頃の兄に戻ってくれるかもしれない。 瑠璃子はそう願った。
「瑠璃子、それならせっかくだから、浴衣も買ってきてはどうだい?」 「え、でも……」 二人を引き取った叔父は、裕福ではあっても、彼女らに愛情を注いではくれない。 機嫌のいいときにこづかいが与えられることはあったが、それも稀だった。 学費・生活費以外のものは、そこからやりくりしなくてはならない。 めったなことでは洋服も新調できなかった。 「大丈夫。こんな時のために蓄えておいたんだ。少しくらい使っても平気さ」 「いいの?」 「ああ。たまには贅沢もしないとね」 「うん……分かったよ」 瑠璃子は頷いた。 数日が過ぎた。 花火大会が三日後に迫ったというのに、梅雨がぶり返したかのように、強い雨が降り続いていた。 せっかくの兄の気遣いなのだからと、瑠璃子はここ数日、デパートや洋服屋、呉服屋――といってもそれほど専門的な店でもない――を巡っていた。 値段と柄の折り合いをつけつつ、悩んだ結果、瑠璃子は商店街の小さな呉服屋で買うことに決めた。 一昨日も訪れ、気に入った物があったのだが、もっと他にいいものがあるかも知れないと、あえて見送った店だ。 売り切れてなければいいけど、と、雨の中を瑠璃子はやや急ぎ足で歩く。 店先で傘を畳み、傘袋に入れる手間も惜しかった。 雨宿りをしてるらしい青年が、ちらりと瑠璃子を見た。が、瑠璃子はそれにも気づかない。 店に入り、目当ての品が残っているかどうか、ざっと目で探す。 ――あった。 手に取り、藍色の布地に触れる。涼やかな感触が手に優しい。 自然と笑みがこぼれた。 「――四回目」
不意に届いたその声で、初めて隣りに人がいたことに気づく。 「……はるかちゃん?」 はるかも同じように浴衣を手にして立っていた。 「偶然だね」 「そうだね」 偶然とは言うが、これで出会うのははるかの言うように、すでに四回目。 街中で一回、あの公園でもう一回。そして今日。 はるかが部活をやっている関係上、行動時間帯はずれているはずなのだが、不思議とよく出会う。 もちろん二人とも、意図的に「いるかな?」と、探している節はあるのだが。 「赤い糸で結ばれているのかな?」 「かもしれないね」 そういう縁かも知れない。 「はるかちゃんも、浴衣買いに来たんだね」 「今日は部活が雨で潰れちゃったから」 本当なら夏の大会に向けて、しごかれていたはずだと笑う。 「それ、買うの?」 はるかの手にした浴衣は、白地に淡い青を沈め、水仙で飾られていた。 瑠璃子の手にした藍色のものとは正反対で、似たような物にならなかったことに、なんとなくほっとする。 すると、はるかは後ろに浴衣を隠し、いたずらっぽく笑う。 「まだ秘密。当日見せっこしよう」 「分かった」 遅まきながら、瑠璃子も浴衣を隠す。
「――今、兄さん待たせているんだ」 はるかが視線を送った先には、例の雨宿りしている青年がいた。よく見れば傘を持っている。 「あとでお披露目やろうと思って、こっち見ないように言ってある」 「いいね、お披露目。私もやろうかな」 スポンサー様への特別先行公開だ。きっと喜んでくれるだろう。 「一緒に帰る? それとも、どこかに寄っていこうか?」 兄さんに紹介したいし、と、なんだかお見合いするみたいなことを言う。 瑠璃子は首を振り、 「ううん。花火大会まで、お楽しみはとっておく」 「そう? じゃ、お先に」 はるかは手早く会計をすませると、大事そうに袋を抱えた。バッグの中はすでに一杯らしい。 「それじゃ、土曜日に」 「七時だね」 「うん」 外に出たはるかは、なにやら兄にぼやかれていたが、ごまかすように瑠璃子を示す。 頭を下げられ、同様に瑠璃子も会釈を返した。 落ち着いた、大人びた風貌だが、浮かべた笑みは優しげだった。 はるかが話しかけながら、その腕を強引に引っ張ってゆく。 ショーウインドゥから消える寸前、はるかは瑠璃子に向けて、手を振った。 そして雨の中に消えていった。
風呂から上がった拓也を、浴衣姿の瑠璃子が出迎えた。 「……どうかな?」 濃い藍色に、白い花を散らした柄を、真っ赤な帯が締めている。 鮮烈な明暗と、濃いめの色調が、朧気な瑠璃子の印象をはっきりとしたものに変えていた。 まるで生気を吹き込まれた上物の日本人形のような姿に、思わず拓也は目を奪われた。 「……お兄ちゃん?」 再度問いかけられ、ようやく拓也は我に返った。 「うん、綺麗だ。素敵だよ、瑠璃子」 手放しの賞賛に、瑠璃子ははにかんだ笑顔を見せた。 いつもの調子で拓也が抱きしめようとするのを、 「皺になっちゃうから……」 と断ると、拓也は無念そうに、髪を撫で、頬に触れる。 瑠璃子はくすぐったそうに目を細めた。 そして、いつものように一緒にベッドに座って、しばらく話し込んだ。 浴衣を選んだお店のこと。そこで偶然、はるかたちに出会ったこと。年輩の店員さんに似合うと言われたこと。 三日後に迫った花火大会のこと。でも雨が降っているから心配なこと。 珍しく多弁な瑠璃子の話を、拓也は上の空で聞いていた。
この家に引き取られてきてから、拓也と瑠璃子は毎夜寄り添って過ごしていた。それが当たり前だった。 だが、夜ごと響く、叔父と女との嬌声と、成長してゆく瑠璃子に、少しずつ拓也の理性は狂わされてゆく。 拓也も自分の理性を必死にやりくりしながら、なにかが解き放たれそうになるのを、必死でごまかしてきたのだ。 それが、普段とはまるで違う瑠璃子の姿によって、挑発されている。 切りそろえられた髪の隙間から覗く襟足。合わせられた襟元の隙間から覗く白い肌と、なだらかなふくらみ。 普段よりも露出は少ないだけに、隙間から見える素肌が、小さな指が揃った素足さえもが、扇情的に見える。 「……どうかした?」 気づけば、瑠璃子が心配そうに拓也を見上げていた。 淡い瞳に、拓也の姿が写り込む。まるで自分の欲望が見透かされたような気がした。 「なんでもない……なんでもないよ、瑠璃子」 ごまかすように瑠璃子の髪を撫でる腕が、細かく震えていた。 肌に触れた指は、心なし、いつもより冷たく感じられる。いや、自分の体温が上がっているのか。 あまりにも綺麗すぎて、誰の目にも触れさせたくはない。そんな独占欲が、拓也の中で膨らんでゆく。 ――雨が強く窓を叩いていた。 そのせいで、いつもよりも叔父と女が絡む声が聞き取りづらくなっていた。
花火大会の当日、前日までの雨が嘘のように、綺麗に晴れ上がった。 代わりに湿気がひどいせいで、一気に気温が上がる。 蒸し暑くはあったが、きっと陽が落ちれば涼しくなるだろう。 そう瑠璃子は考え、――傍目には分からないほど僅かに――浮かれた足取りで家に帰る。 「ただいま」 家の中が妙に静かだった。 拓也の靴はあるのに、いつものように玄関まで出てこない。 呼んでも返事がないので、自室で眠っているのだろうと考え、階段を登り、自分の部屋のドアを開けた。 そこに拓也がいた。 机の引き出しはひっくり返され、洋服ダンスは滅茶苦茶に荒らされ、下着が部屋中に散乱していた。 その中央で、拓也は瑠璃子の浴衣に顔を埋め、匂いを嗅ぎながら、ペニスを擦っていた。 荒い息づかいだけが部屋に響いていた。 拓也はよほど没頭しているのか、瑠璃子に気づいた様子もなく、自慰にふける。 浴衣の裾を掴んでペニスに巻き付け、いっそう激しく扱き立てた。 呻き声と共に白濁が溢れ、濃紺の生地を白く汚してゆく。 かまわずに、拓也は浴衣でペニスを擦り続ける。 大きく息を吐き、満足げな笑みを浮かべ、残った白濁を絞り出していた。 「瑠璃子……」 虚ろな声で名前を呼ばれ、思わず鞄を取り落とした。 拓也が振り返る。 黒い沼のように澱んだ瞳が、瑠璃子を縛り付けた。 拓也はいたずらを見咎められた子供のように、力無く首を振る。 そして歪んだ笑みを浮かべた。 「瑠璃子……愛してる」 どこかそれは泣き顔のようにも見えた。 垂れ下がっていたペニスが、隆起し始めていた。 幽鬼のような足取りで、瑠璃子に一歩ずつ近づく。 瑠璃子は動けなかった。 光景の異常さによるものか、あるいは、いつかこうなると思っていたからか。 拓也の指が、瑠璃子の肩に食い込んだ。
瑠璃子は拓也に襲われるまま、黙って陵辱を受けた。 拓也は何度も精液を注ぎ込んでは、飽くことなく瑠璃子の体を弄ぶ。 壊れたテープレコーダーのように、瑠璃子の名を呼び、 「どこにも行かないでくれ」、「誰にも渡さない」と、疑心暗鬼に駆られた声で繰り返す。 顔も、胸も、腹も、ありとあらゆる場所が汗と精液にまみれた。 不意に瑠璃子の頭の奥で、ちりちりとなにかが走り始める。 弾けるような白い稲光が、脳の中で暴れている。 頭の中を掻き乱しながら、無理矢理に性感を刺激する。 それが、初めてのはずの瑠璃子にも、強い性的快楽をもたらした。 いつしか瑠璃子は拓也にしがみつくようにして、絶頂に達していた。 叫び、脱力し、揺らいだ視界の片隅で、しわくちゃになっている浴衣が悲しかった。 花火の音で、目が覚めた。 すっかり暗くなった窓の向こうに、弾ける光の輪が咲き誇るのが見える。 赤い花が白や緑に変色しながら広がって、掻き消えてゆく。 自分が何をしていたのか、記憶が混乱していて、状況が理解できない。 疲れ果てたのか、絨毯の上でぐっすりと眠り込んでいる拓也を見て、ようやく何があったか思い出した。 そして約束を。 「……行かないと」 汚れた裸の上から、直接浴衣を纏い、帯を締める。 動くたびに鈍い痛みが股間に湧いたが、さほど気にならなかった。 それよりも、ちりちりと、自分の頭の中と大気中を飛び交っている、小さな流れが気になった。 ――なんだろう、これ? 手を伸ばすと、見えないのに、なにか粒が触れたような感じがする。 ――まるで、電波みたい。 その電波に導かれるように、瑠璃子は歩き出した。
ずいぶんと時間をかけ、ようやく瑠璃子は約束の場所にたどりついた。 森を抜けると、約束の場所では、はるかが一人きりで椅子に腰掛けている。 空の向こうで、小さな白い花火が、パン、パン、パン、と、ささやかに散っていくのが見えた。 それきり、なにも起こらなかった。 瑠璃子は、はるかの隣りに腰を下ろした。 「……ごめん、遅くなっちゃったね」 「……ギリギリセーフかな」 瑠璃子ははるかの横顔を見た。 真っ直ぐに空を見ている横顔は、全ての感情が削げ落ちたかのように無表情だった。 そこでようやく、腰近くまであったはるかの髪が、短くなっていることに気づいた。 はるかが着ている白い浴衣は、きっと長い髪に映えただろうに。 そう思ってしげしげと眺めると、その浴衣の一部分が、赤黒く変色していた。 はるかがこちらを向いた。 無言で見つめてくる瞳は、恐ろしいほど静かだった。 互いに何があったのかは分からない。だけど、なにかがあったことだけは分かった。 この場に二人の兄がいない理由も、分からないけど、理解した。
ひどい有様だった。 二人の浴衣は皺だらけで、汚れて、変に強張ったように乾いていた。 それでもその藍色は、瑠璃子によく似合っていたし、白い浴衣ははるかの魅力を引き立てていた。 はるかがしげしげと瑠璃子の全身を眺める。 「……似合うね」 「そうかな? ……はるかちゃんも」 「私は和服とか、あまり着ないんだけど」 「綺麗だよ」 「ありがと」 ささやかな笑いが零れた。 瑠璃子がふらと、はるかの肩に、頭を預ける。 はるかも同じように、瑠璃子の髪に頬を埋めた。そして、頭を抱く。 優しく髪を撫でる感触は、兄のそれに似ていた。 このままなにも知らないまま、穏やかな時間が過ぎればそれでもいいと瑠璃子は思った、けど。 はるかが呟く。 「ごめんね……」 「え?」 「兄さん……紹介できなくなっちゃった……」 「ああ……」 はるかの横顔、閉じた目蓋の隙間から、涙がこぼれていた。 今度は逆に、瑠璃子がはるかの頭を抱くようにして、目蓋に口づける。 「ん……」 涙の落ちた跡を、舌でたどる。塩の味を感じ取りながら、左右の頬を。 濡れた音が耳の中で響く。 ちりちりと、また例の粒が、瑠璃子の中でざわめき始めた。 「ちゃんとあの時……紹介しておけばよかった……」 「はるかちゃん……」 ぎゅっと抱きしめると、頬と頬が触れた。 触れた部分から、ちりちり、ちりちりと、電波がはるかに流れ込み、空いた部分にはるかからの思いが返される。 白く視界が染まって、闇に変わって、そこになにかが写り始めた。 悲しみの感情と一緒に、はるかの記憶が流れ込んでくる。
あの日、瑠璃子と別れたあとの帰り道。 話しながら帰る二人の間に、雨の中で滑るタイヤの音が、悲鳴のように割り込んできた。 途端、突き飛ばされた。 コンクリートにしりもちを付いた、その目の前を通過してゆく、黒い、鋼鉄の塊。 衝突音。吹き飛んだなにか。転がる、骨の折れた傘。頬に飛んだ熱い飛沫。 地面に大量の赤が広がり、放り出した袋の中の浴衣にまで染みこんでくる。 叩きつける雨が、はるかの体を氷のように冷たくしてゆく。 何があったのか、分からなかった。 遠くから聞こえてくるサイレンは、夢の中で聞く目覚まし時計の音のように虚ろに響く。 だけど、悪夢は冷めない。 その悪夢は、唐突な喪失感は、まだはるかの心を支配している。 「瑠璃子ちゃん……?」 瑠璃子の瞳からも、透明な雫が溢れ、零れていた。 自分の兄とは違う形で、手の届かない扉の向こうに行ってしまったんだと悟る。 背中に回したままの腕で、強くはるかを抱きしめる。 ひどく悲しい。 悲しいはずなのに、肌を触れ合わせていると、心臓が強く脈打ち始める。 はるかが瑠璃子の頬を優しく挟んで、涙を唇で拭った。舌と唇で互いの顔を清めあう。 くすぐったいと心地良いの狭間を行き来する、微細な感覚。 電波のざわめきが大きくなる。小さな粒子が体の中を駆けめぐり、抜けてゆく。 色々な感情が高まってゆく。 そのうち、唇が重なった。 一瞬はるかは戸惑うが、すぐに目を閉じて、受け入れる。 ――拓也から受けた、電波の余韻がまだ残っているのか。それがはるかにも影響を及ぼしているのか。 そうかもしれない。でも、それだけじゃない。 寂しすぎて、欠けた何かを埋め合わせたくて、互いを求めている。 それは愛情とはまったく違ったものだったけれど、体を重ねて、触れあいたかった。 はるかでなくても良かったのかもしれない。だけど――。 はるかも同じように、寂しさで心が震えていた。壊れかけていた。 だから、惹かれた。
二人とも、性行為の知識は疎かった。その分思いを込めて、唇を重ねる。 やや温度の低い瑠璃子の舌が、熱く溶けそうなはるかの舌と絡み合う。 瑠璃子が舌で押すと、はるかの舌は唾液の滑りを借りて、ぬるりと逃げる。 それを瑠璃子は追い求めて、舌を伸ばす。 自然と固い長椅子の上に、はるかを押し倒す恰好になった。 歯茎の隙間も、舌の裏も、上顎も、全てをなぞりながら、舌で戯れあう。 触れあうたびに、はるかの体は敏感に跳ねた。 息が続かなくなって、唇を離すと、はるかは荒い息をつきながら、くたりと脱力している。 街灯の光の下で、肌を透かすように朱が差している。 「はるかちゃん……」 高まる感情を受けて、電波が騒ぎ出し、瑠璃子の中の興奮を喚起する。 鼓動が高鳴り、体温が上がってゆく。 浴衣の上から、胸に触れた。 「え……ちょっと」 はるかが驚いて、体を起こしかける。 が、じっと瑠璃子に見つめられると、その瞳に込められた熱が、白い粒に変わってはるかの中にも流れ込んでゆく。 もう一度、軽く唇を重ねると、はるかは同意と言うよりはなげやりな態度で、力を抜いた。
瑠璃子は胸の上に乗せた手を、動かし始めた。 柔らかく、弾力に富んでいるが、やや物足りない感触。薄い肉をすそから集め、こね上げるように揉む。 ゆっくりとした手の動きだが、それでもはるかは喉を逸らし、なにかを堪えるように唇を引き締める。 瑠璃子は衿を割って、内側に手を滑らせた。 その下は予想に反して素肌ではなく、Tシャツの感触がある。 「……ダメだよ、はるかちゃん。着物の下は裸じゃないと」 「……着物とは違うと思うけど」 「そうかも知れないけどね」 瑠璃子ははるかの浴衣をはだけさせた。 Tシャツの下にはなにもつけてないらしく、薄桜色の乳首が透けて見える。 緩やかな隆起の頂点に瑠璃子は唇をよせ、布地の上から、そっと含んだ。 「んんっ……!」 赤ん坊のように優しく吸っていると、少しずつ固くなってゆく感触が唇に伝わる。 口の中に布地が吸い込まれるが、そのざらつきも舌に心地良かった。 膨らんできたところを軽く舌でつつくようにすると、小気味よく弾む。 その度にはるかの体がピクンと跳ねる。 瑠璃子は逆の胸に唇を移し、余った方は指の腹で軽く押し潰しながら、回す。 指の先でコロコロと反発する様が可愛らしい。 頭の上からすぐ聞こえるはるかの喘ぎに、瑠璃子の理性も狂わされていく。 「はあっ……」 瑠璃子はTシャツをまくり上げた。 肌を布地で擦りながらめくると、ざらつきが程良くはるかを刺激する。 意地悪げに、乳首の辺りをゴシゴシ擦ると、はるかは引きつったような声を上げた。 たっぷりと唾液が絡んだ乳首が、赤く、いやらしく濡れ光っている。 「かわいいね」 くすくすと笑われ、はるかは赤面し、顔を横に逸らす。 が、直に唇で触れられると、ごまかしきれずに体が震えた。 胸の先全体を、周りの肉ごと吸引すると、はるかの指が椅子の表面を引っ掻いた。 吸ったり、軽く噛んだり、舌の先でくすぐったりするたびに、細かな反応が返ってくるのが嬉しい。 腹の肉の滑らかな手触りも心地良く、瑠璃子はため息をついて、頬を擦りつける。 髪の先に胸をくすぐられ、たまらずはるかは瑠璃子を抱きしめた。
瑠璃子の手が、はるかの浴衣のすそを割った。 「あっ……」 はるかが反射的に足を閉じようとするが、大丈夫だよ、と優しく微笑む瑠璃子を見て、力を抜く。 運動部だけあって引き締まっているが、滑らかな手触りの太腿を擦っていると、震えながら鳥肌が立ち始めた。 瑠璃子は片手で胸を弄びながら、片手を腿の狭間に何度も滑らせ――、 「っ!」 不意に、下着の底に触れた。 「んくっ……」 熱く、やや湿り気を帯びた、もっとも柔らかく敏感な肉の部分。 やはりどうしても力が入ってしまうのか、はるかは腿を閉じ、膝を立てる。 瑠璃子は苦笑しつつも、その狭い肉の隙間で指を動かした。 下着越しにも感じられる縦の筋に沿って、一定のペースで擦り続ける。 上に、下に。指が方向を変えるたびに、はるかは太腿を擦り合わせて、身悶える。 「あっ……、るっ……瑠璃子ちゃん……」 泣きそうな顔で瑠璃子を見つめてくる。 「ここ……いいの?」 指を揃えて、ぎゅっと圧迫した。 「ふあっ!」 途端、奥から蜜がにじみ出た。 「気持ちいいんだね、はるかちゃん」 はるかは答える余裕もなく、全身を震わせる。 少し趣向を変えて、指先でくにくにと揉みほぐすようにすると、高い声を上げて答えた。 そんなはるかの姿を見ていると、自分の内側もたまらず熱くなってくる。 瑠璃子ははるかの浴衣のすそをはだけた。
「やだっ……」 と、はるかは口先だけで抵抗する。 灯りに照らされた、白くシンプルな下着の底に、染みが広がっている。 瑠璃子はその中央に、ちょんと触れた。 「ひっ……」 合わせ目を擦り合わせるように、指でこね回す。 「はあっ……!」 固く尖ってきた部分を、そっとつまんだ。 「ひゃぁっ!」 普段はあまり表情を変えないはるかが、指一本の動きで喘ぎ、悶えるのが新鮮で楽しい。 苦悶の表情と、助けを求めるような濡れた眼差しが、母性本能と嗜虐心と、相反する2つの感情を引き起こす。 瑠璃子の息も興奮で僅かに荒くなる。 染み出してきた蜜を、淫核に塗りつけ、リズミカルに刺激する。 「やっ……だ、そこ、だめっ……」 本気で苦しそうな声に、瑠璃子は指をいったん離した。 が、暴れ出した足を、片方には自分の体でまたいでのっかり、片足は肩の上に担ぎ上げるようにして、固定する。 大きく足を開かれ、羞恥にはるかは身を捩ったが、瑠璃子が上に乗っているため、逃げられない。 瑠璃子は再び敏感な花芽をつまんだ。 「くあっ……!」 はるかの足が反動で動くたびに、押さえ込んでいる瑠璃子の股間をほどよく刺激する。 瑠璃子も、その部分をはるかの太腿に押しつけたり、擦ったりして、快感を掘り起こす。 浴衣を越えてにじみ出た蜜が、はるかの腿にねっとりとまとわりつき、いっそう滑りをよくした。 担ぎ上げた足は、ちょうど顔の真横に来て、キスをするのに都合がよかった。 鍛えられ、引き締まったふくらはぎに、キスマークを散らす。 その間にも瑠璃子の指は、はるかの秘所を弄び続ける。 いつの間にかはるかの下着の中に手が潜り込んで、淫猥な音を立てていた。 淫核への刺激は強すぎるようなので、包皮の上から親指で軽く圧迫する。 ぴっちりと閉じたすじをなぞり、割れ目を開き、浅く指をくぐらせる。 はるかの中は極端に狭く、指一本だけなのに、きつく挟みこんでくる。 恐ろしく熱い肉の狭間を、蜜の助けを借りて滑らせていると、徐々に柔らかくほぐれ始めた。 指にはたっぷりと蜜が絡み、動かすたびに水音が響く。
「凄い音だね、はるかちゃん……」 「うっ……くっ……」 はるかは答える余裕もなく、ただ顔を赤く染めて、歪ませる。 ぞくぞくとした快感が這い上がってきて、どうすることもできない。 瑠璃子の指から与えられる刺激が、電波と一緒に体中を駆けめぐり、はるかを翻弄する。 割れ目の奥からすっかり顔を出した淫核に、蜜が塗りたくられる。 「やっ、そっ、それっ……気持ちよすぎっ……」 頭の中が真っ白に弾けそうだった。腰がガクガクと震える。 そこで、不意に瑠璃子が下着から指を抜く。 「え……?」 ねっとりした愛液が、指との間に糸を引いて垂れ下がった。 はるかの下着は、はいている意味がないほど、濡れてぴったりと貼りつき、透けてしまっていた。 「ふふっ」 瑠璃子はうっとりした仕草で指に舌を這わせ、おいしそうにすすり上げた。 淫靡なしぐさに、はるかはつばを飲む。喉の奥がカラカラに乾いていた。 「はい」 そのことを知ってかどうか、瑠璃子がその手を差しだした。 自分の愛液と、瑠璃子の唾液で濡れた指。 はるかはほんの一瞬ためらって、すぐにその指をくわえた。 指先から指の股、手のひらにまで、舌を滑らせる。 瑠璃子も指を軽く動かして、舌先をからかった。 「ふはぁっ……」 ため息が零れた。
その間にも、瑠璃子がぐにぐにと太腿に腰を押しつけているのを感じて、呼応するように腿を動かす。 「あっ……」 ぴくりと反応する瑠璃子。主導権を握れたのが嬉しくて、はるかは太腿を跳ねさせる。 円を描くように腰を押しつけ、息を荒げる瑠璃子。 瑠璃子の股間から零れた蜜が、太腿を熱く濡らす。 ――感じているんだ。 そして、もっと感じさせてあげたいと、瑠璃子が目を閉じて喘いでいる隙に、こっそりとはるかは胸に手を伸ばした。 「きゃっ……!」 衿を割って手を滑り込ませると、驚くほど滑らかな素肌に触れた。 すでに手の下で瑠璃子の乳首は固くなっており、手のひらを動かすたびに、くすぐるように擦ってくる。 細いわりには意外とボリュームのある胸に若干の嫉妬を憶えつつ、とろけそうな柔らかな手触りを楽しむ。 浴衣が肩から外れ、瑠璃子の裸の上半身を、光の元に晒した。 薄めたミルクのような透明感のある肌に、思わず見とれる。 「瑠璃子ちゃん、綺麗だね……」 「んっ……」 瑠璃子も負けじとはるかの胸に触れてきて、張りのある心地良い弾力にため息をついた。 二人の喘ぎが重なり、徐々に大きくなってゆく。 瑠璃子は少しずつ腰を前に滑らせ、開かれたはるかの股間と、自身のそこを密着させた。 「ひっ!」 思った以上に心地良い刺激に、二人の体が跳ねる。 合わせて動かすたびに、間に挟まれた下着が心地良い摩擦となって柔肉を擦る。 とろけそうな感触の合間に、固く尖った淫核同士が触れると、鋭い快感が弾けあった。 「やっ、やだっ……瑠璃子ちゃん……」 溢れてくる快感に耐えきれず、はるかは瑠璃子の腕を握った。 瑠璃子もすがりつくようにはるかの足を抱えて、胸を押しつけた。 ちりちり、ちりちりと電波の流れが加速する。 周りから注ぎ込まれる電波の粒が、ぞくぞくと背筋を駆け抜ける。 「瑠璃子ちゃん……いい……気持ち、いいよ……」 「うんっ……わたしも、凄く……はるかちゃん……」
窮屈な姿勢の中で、瑠璃子は上体を折り曲げ、はるかに口づけをした。 胸の先端が触れあって、重みで潰れ、形を歪ませる。 敏感な乳首を擦らせるたびに、新しい刺激が生まれる。 深く唇を合わせ、狂ったように舌を絡ませ合った。 隙間から零れる吐息は、獣のように荒い。 浮いた汗が垂れ落ちて、混ざり合い、肌の合間で湿気と熱に変わる。 その熱が思考力を奪ってゆく。 瑠璃子の蜜とはるかの蜜も、どちらのものか分からないほどぐしゃぐしゃに溢れて混ざり、長椅子に大きな染みを作っていた。 「やぁっ……気持ちよすぎて……おかしくなりそうっ……」 堪えきれなくなったはるかが、瑠璃子の背中に爪を立てた。 その痛みすら快感の一部に変わって、瑠璃子を追いつめる。 腕の下でもがくはるかが、これ以上なく愛おしい物に感じられた。 もっと深く触れあいたい、もっと長く感じていたい。なのに体は性急に解放を求める。 淫核も乳首も痛いほど疼いて、擦れ合うたびに声が出て止まらない。 肌の擦れ合う音と蜜が跳ねる音、淫猥な吐息によって奏でられていた三重奏が――、 「――!!」 柔肉の合間で逃げるように動いていた淫核が、偶然ぐりっと触れあった瞬間、甲高い悲鳴によって遮られる。 「あっ……ああああぁっ!」 「んくっ……ふわああぁっ!」 互いに仰け反り、体を震わせ、それでもしつこく肌を擦り合わせながら、絶頂に達した。 びくびくと跳ねるたびに、割れ目の奥から愛液が湧出して、溢れる快感を絞り出す。 熱い液体が流れ出す感触が、例えようもなく心地良い。 頭の奥ではちりちりと乾いた音が反響し、それすらも真っ白に掻き消されてゆく。 二人はきつく互いを抱きしめあいながら、やがて脱力し、重なるように倒れ込んだ。 体中の肉が溶けて、一つに混じり合ってゆくような錯覚に囚われる。 耳元で激しく喘ぐ呼吸音は、はるかのものなのか、自分のものなのか。 ひどく暑苦しく、べたついたが、離れる気は起きなかった。
五分ほどもそうしていただろうか――やっと瑠璃子は身を起こした。 体が気怠く、手足は重く感じるのに、頭の中だけが空虚だ。 あれほどざわついていた電波は、嘘のように消えていた。 「ん……」 ようやく瑠璃子の体重から解放されたはるかが、小さく呻いた。 「苦しかった……?」 「ん……大丈夫」 張りついた前髪を、不快そうに掻き上げる。 はだけた浴衣から覗く汗まみれの肌は、淫猥で、綺麗で、そしてひどく汚らわしく見えた。 それはそのまま自己嫌悪となって返ってくる。 おまけに体を拭くようなものは、なにも持っていない。 肌の上に直接浴衣を纏うと、汗とそれ以外の液体がべたついて、気持ち悪かった。 体を重ねている間は、あんなにも満たされていたのに、終わると空しさばかりが募る。 瑠璃子には珍しく、苦い表情を浮かべ、うつむいていると――、 「……ごめんね」 はるかが瑠璃子の後ろから腕を回し、抱きしめた。 「私が弱かったから……瑠璃子ちゃんに、甘えちゃったね……」 瑠璃子は、胸の前で交差したはるかの手を、握りしめ、祈りを捧げるように、顔の前に持ってくる。 「甘えたのは、私も同じだよ……」 はるかの表情は、瑠璃子の肩の上で暗くうつむき、見えない。 それ以上に、見てはいけないと思った。 きっと自分の顔も同じ表情をしているのだろうけど。 ――どうしてこうなってしまったのだろう。 ただ、友達ができて、家族に紹介して、一緒に花火を見る。 ただそれだけの約束が、どれほど待ち遠しくて、そして今、こんなにも空しいものになってしまったのか。 「……こんなはずじゃ、なかったのにね」 瑠璃子の心を見透かしたように、はるかが呟いた。
はるかがゆっくりと、瑠璃子の体から身を引き剥がす。 「……帰ろうか」 「……そうだね」 瑠璃子ははるかの手を握ったままだった。 はるかは特にそれを拒むことなく、肩を並べて歩く。 木々のアーチをくぐり抜けていく間、二人はずっと無言だった。 微かな風のざわめきが生んだ、枝葉の擦れ合う音だけが、静かに響いた。 やがて、公園の出口に付いた。 はるかがぎゅっと、握っている手に力を込める。 そして、瑠璃子を見て、儚く微笑んだ。 笑顔なのに、その瞳に込められたものが、どうしようもなく寂しく見える。 なのに、薄い涙の幕で覆われ、街灯の光が写り込む様は、とても綺麗に思えた。 「もう……会わない方が、いいかもしれないね」 このまま会うことを続けても、きっとこれから先も、互いの傷を舐め合うだけの関係になってしまうから。 少なくとも、出会ったときはそんなことを望んではいなかった。 「……そうかもしれないね」 瑠璃子は目を伏せた。 絡んだ指が、すり抜けてゆく。 そして、手の中に空白だけが残った。 はるかは立ち去ろうとして、ためらい、 「またね」 最後に希望を一つ残す。 「……うん」 瑠璃子は頷いた。 はるかの小さくなってゆく背中を、瑠璃子はじっと見送る。 途端、寂寥感で胸が押し潰されそうになった。 込み上げてくる嗚咽を、必死で堪える。 次に会うときは、今よりも強い人間になれているだろうか。 今すぐは無理でも、いつかそうなりたいと思う。 失われてしまったものを取り戻して――。
一年が過ぎた。 日差しが強い。 黙って立っていても汗が噴き出し、ビーチサンダルを履いていても、焼けた砂の熱さが伝わってくるほどだ。 そんな猛暑も、海岸で戯れる人達にとっては、むしろ心地良いほどだ。 「晴れてよかったね、瑠璃子さん」 「そうだね。昨日まで雨だったから、心配だったよ」 瑠璃子は、どこか頼りない印象を持つ少年――長瀬祐介と二人、砂浜を歩いている。 意外にも、瑠璃子は白のビキニという大胆な恰好で、僅かな布地の隙間から覗く艶めかしい肌に、 祐介の目がちらちらと引きつけられている。 「どうかした、長瀬ちゃん?」 それを知ってか、からかうように瑠璃子は祐介の顔を見上げた。 「い、いや、なんでもないよ……」 と慌てて目を逸らした先に、アイスクリームと書かれたのぼりが見えた。 折良く、「アイスクリームはいかがですかー」という声と共に、客寄せのベルがりんりんと響く。 「そ、そうだ、瑠璃子さん。アイスクリーム、食べない?」 「アイス?」 言われて瑠璃子は視線を走らせる。 すぐにそののぼりを見つけ――不意に、なにかに導かれたように、横にずれた。 そして動きを止める。 「――瑠璃子さん?」 あらぬ方向を見ていた瑠璃子が、振り向いて、笑った。 「うん。買ってきて」 急に一段弾んだ表情に、祐介が戸惑う。だがそんな祐介をよそに、 「あそこで待ってるから」 瑠璃子は砂浜の端、道路との境界線を指し示す。そしてお金を渡した。 「え……うん、分かった。なにがいい?」 「長瀬ちゃんの好きでいいよ」 一緒に来ればいいのに、と思いつつ、祐介はアイスを買いに歩いた。
瑠璃子はゆっくりと歩いて、砂浜と道路を分け隔てる、コンクリートの段差に寄りかかった。 空を見上げ、まばゆさに目を細め、手でひさしを作る。 青い空を突き抜けてくるように、強い輝きを放つ太陽の光は、色素の薄い瑠璃子にはすこしきつかった。 背中に触れたコンクリートも、焼けそうに熱い。 少し迷った。 迷う内に、頭の上から声が聞こえた。 「――六回目」 「……そうだね」 瑠璃子の真横では所在なげに、足がぶらぶらしている。 「今日、ここで花火大会があるんだって」 「うん、知ってる」 「ここ、特等席っぽい」 ぺしぺしとアスファルトを叩く。 「そうかもしれないね」 波の砕ける音が、二人の会話を遮るように響いた。 それを契機に黙ってしまった二人に向かって、アイスを手にした少年が二人、歩いてくる。 「瑠璃子さん、お待たせ――」 「はるか、お待たせ――」 計ったように二人の声が重なった。 「あははは」 おかしそうにはるかが笑った。瑠璃子もくすくすと笑っている。 少年二人はぽかんとして、顔を見合わせ、知り合い? いや……と、首を傾げている。 はるかは段から飛び降り、手を伸ばした。 あの時に比べて、少しだけ後ろ髪が伸びているのに瑠璃子は気づく。 少年は疑問符を浮かべながらも、アイスを渡し、祐介もそれにならった。 はるかは少し茶目っ気を利かせて、そのアイスをマイクのようにして、語り始める。 「紹介するね――」 瑠璃子はその声を楽しそうに聞いていた。
>>295-
>>319 『いつかなくしたもの、だけど見つけたもの、そして再び会えた人』でした。
タイトルの長さがギリギリで(1/25)とかいれたらオーバーだった……。
ではー。
いやっほう!久々にエロキタ━━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━━!!!! グッジョブ!
おちつけ。
まずい、漏れが次回で書こうとしているSSは50スレは優に超えそうだ
50スレとは大きく出たな。
確かに。50レスならともかく。 5万レスを容量になおすとどのぐらいなんだろう…?
真っ当に文章詰め込むなら途中で容量オーバーするのはほぼ確実だから、 単純計算で500KB×50スレで25000KBだな。
328 :
「夢」 :03/08/25 03:09 ID:a9tbQrZB
夢。 夢の中にいる。 いつもと同じ。 ずっとずっと…。 同じ風景の繰り返し。 ゆっくりと 微睡みに揺られながら たった一つだけの事を願う。 目を閉じて、次に開いとき、 別の空が見えますように、と…。 by のび太
329 :
324 :03/08/25 06:29 ID:v9PXbn7W
スマソ、50スレではなくて、50レスでした。
330 :
326 :03/08/25 12:09 ID:r5SsmLzv
いや、そんな素で謝られてもw
やばいあと36時間しかないのに半分しかできてない。 亥街鯛
>>331 ( ・∀・)つ[バファリソ]
……あれ、これ頭痛薬だったか?
さあ、今からがんばって書くか〜! ………いい加減進歩ないな、漏れ。
うっかり、ラストエグザイルを見てしまった 今回だめぽ
さあ、本格的に間に合わなくなりますた。 あきらめてネタ&感想書きに徹するか…
まだ丸2日ある。 ……毎度、ラッシュに拍車をかけてすまんぽ。
>投稿の締め切りは 8 月 27 日の午前 10:00 までとなっています。
明日まででは?
……もしかして、
>>6 見て勘違いしてないか? あれ、前回の締め切りだぞ。
すまん、あと1日ですた……( ´Д⊂ヽ
339 :
335 :03/08/26 12:19 ID:UVoVi7Ha
一日でも二日でも、今からじゃ間にあわん。 人間諦めも肝心さね。 みんなの力作を楽しみにしてるよ
筆がのったら2時間あれば短いの一本くらい書けないか?
進行状況:麻雀で言えば南ニくらい。 西入しそうで怖い。
【告知】 締め切りまで残り 12 時間を切りました。 最後の追い込みがんばっていきましょう。 今回のテーマは『過去のテーマ』(第一〜十六回のテーマから自由選択)で、 締め切りは 8 月 27 日の午前 10:00 です。 締め切りギリギリまたは少し越えて投稿をしそうな方は、 前もってお伝えください。それについて考慮いたします。 また、締め切りを過ぎても即、投稿期間終了というわけではありません。 締め切り間際で他の方の作品と交錯する恐れや、最悪の場合、アクセス禁止が かかる可能性があります。焦らず、落ち着いて投稿してください。
なお『過去のテーマ』は以下の通りです。 『花』 『走る』 『雨』 『サッカー』 『夏だ!外でエッチだ!』 『嘘』 『絶体絶命』 『夢』 『キス』 『旅』 『初め』 『プレゼント』 『耳』 『桜』 『風』 『結婚』 『海』
344 :
名無しさんだよもん :03/08/26 22:13 ID:lRhfWqt3
>西入しそうで怖い。 旨い(w 個人的な心境をいえば、オーラス、5千点沈みの3着状態で、清一色のリャンシャンテン というところでしょうか。 間に合うかどうか、すげー微妙(^^;
今から書き始めます。 間に合ったらなんかくれ。
俺のアツイ思いを受け取れ
シロップみたいな甘々感想と貶すためにある辛口感想とを選べるオプションプレゼント。
投稿します。 テーマは「旅」+「絶体絶命」? タイトルは「旅路の果てに」
長い長い、俺の旅は終わった。 旅路の果てに、俺はとうとう見つけた。 翼を持つ少女を。 俺の目の前で、少女は不思議そうに首をかしげながら、俺を物珍しそうに見ている。 その背にあるのは、間違いなく、翼。 純白に輝くその羽根からは、俺ですら感じることの出来る神々しさで溢れている。 これからどうすればいいのか、なんてことは少しも思いつかなかった。 俺の旅が終わった。 そのことへの感慨と、いくらかの寂寥感、そして達成感で俺の心はいっぱいだった。 しかし、ふと思う。 俺は本当にこれでよかったのだろうか? もしかしたら、俺はどこかで選択肢を間違えたりはしなかったのか? もっと、他の結末が用意されていてもおかしくないのではないだろうか? これは何かの間違いで、俺の人生はもっと他の選択肢があったはずじゃないのか? せっかく翼を持つ少女を発見したと言うのに、頭の中にはそんなよけいな考えが生まれてきてしまう。 駄目だ、そんなことを考えるな、俺。 せっかくここまで辿り着いたんじゃないか。 ほら、鉄格子の向こうには、翼を持つ少女が2人もいるじゃないか――― 「ねぇウルト姉様。この黒くて目つきの悪い人、誰?」 「分かりません。行き倒れのようです。……ですが見るからに怪しい人物ですから捕らえておきました。 カミュ。ここはひとつ、ハクオロ様の元へ連れて行きましょう」 … …… ……… なんだか知らないが、これはなんだかヤバイ状況ではないだろうか。 違う。絶対に何かが間違ってるぞ。 どこで俺は選択を誤ったんだ!? 俺は一体、ど う す れ ば い い ん だ
以上、一発ネタ『旅路の果てに』でした。
投稿させて頂きます。 ONEの浩平視点、9レス予定。
「ママー、あのお兄ちゃんなんであんな格好で走ってるの?」 「シッ、目を合わせちゃいけません!」 むう。危ない奴扱いとはなんたる屈辱。 今すぐ引き返して釈明したい所だが、それをぐっと堪えてひた走る。 もっと、早く。もっと、速く。 あいつのいる、あの場所へと―― 事のはじまりは一本の電話。着替え終わって部屋を出ようとした所、携帯がぶるっと振るえたのだ。 「この電話番号は、現在、使われておりません」 「思いっきり出てるじゃないのよ!」 相手は七瀬。学生時代の友人だ。 「突っ込みの早さは相変わらずだな。だがそろそろ他の返しも覚えないと、立派な芸人にはなれないぞ」 「なるかっ! ……じゃなくて、折原。あんた今どこにいんの?」 「どこって……いつもの店だが?」 この時間帯なら決まってるだろうに。変な奴だな。 「瑞佳とか住井からなにも聞いてないの?」 「オレがこっちにいるの、あいつら知らないだろ?」 そう。オレは今、一人暮しをしている。由紀子さんと七瀬にだけ事情を伝え、あいつには手紙を送り、家を出た。 だから他の奴から直接オレに連絡がくることはない。七瀬もそれを承知しているはずなんだが……。 「それもそっか」 「で、なんの用なんだ?」 「ああ、そうそう。実は……え、あ、ちょ、ちょっと!」
「やっほー、折原君。元気?」 唐突に通話相手が切り替わる。この声は確か、 「柚木か?」 「ぴーんぽーん。大正解。でも折原君も酷いよねー。全く連絡ないと思ってたら七瀬さんとだけ話してるなんて。もしかして不倫?」 「違う! というかオレも七瀬もまだ独身だろうが!」 「ところで今日は来ないの? 結婚式」 全く無視かよ。って、結婚? 「誰の結婚式なんだ?」 「住井君に決まってるよー。折原君も変なこと聞くよね」 決まってるのか。しっかし住井が結婚とは。なんか全然イメージ出来ないんだが。 まあ基本的にいい奴だから、相手が誰であれ幸せにしてやれるだろ。……ん、そう言えば。 「住井の相手って誰なんだ?」 「…………」 「柚木?」 「…………」 それまで饒舌だった柚木が、ぴたりと口をつぐんだ。 沈黙。何故だかそれが、とても不吉なものに思える。 「おい、どうしたんだ」 「商店街の近くに教会があったよね。あそこで式をあげるんだよー」 明らかに取り繕ったような口調で、別の話題へ方向転換。不安感が増大する。 「そんなことを聞いてるんじゃない。相手だよ、住井の」 「……ふう。わかった。折原君も強情だねー。聞いて後悔しない?」 「何でオレが後悔せにゃならんのだ。いいからさっさと教えろ」 強気な台詞とは裏腹に、携帯を握る手に汗がにじむ。 「わかったよ。住井くんのお相手は……なが」
がちゃん。唐突になにかを落とすような音と共に、通話が途切れた。 「おい、柚木っ!」 登録番号から七瀬を選び出し、すぐさまこちらからかけ直す。通じない。電源自体が入っていない? 「くそっ」 衝動的に沸いた携帯を叩き付けたい気持ちを必死で堪え、柚木が話していた最後の台詞を反芻する。 『なが』で始まるオレの知人。心当たりは一人しかいない。 けど理由は? あいつがオレに黙ってそんなことを決めるはずがない。しかし、オレは連絡先を教えなかった。 押しの弱いあいつのことだ。頼れる相手のいない状況で強気に迫られたら、ついふらふらと……って、オレが信じてやらないでどうするんだ。 ……こうして考えていても埒があかん。電話で問い質そうにも通じない。なら、直接会いに行くまでだ。 オレは更衣室を出て 「店長、折原浩平、早退しますっ!」 店の奥に一声かけ、そのまま外へと飛び出した。 しゃ、シャレにならんっ。 目の前の扉に手をつきながら、息を整える。 電車を乗り継ぎ、後ろ指を差されながらも走りに走って目的地である教会に到着した頃には、既にオレの体力は限界にまで達していた。 完全なる運動不足。強制チキンレースだった学生時代が懐かしい。 しばらくその体勢で固まっていたが、ようやく人心地がついてきたので、一つ深呼吸して扉に向き直った。 中の一切覗えない、木造の頑丈そうな扉。場所柄か、実際の大きさ以上に威圧感を受ける。 ともすれば萎え勝ちとなる気力を必死で振り絞り、観音開きである両側面に手をついて、ゆっくりと押し進めた。 軋んだ音を立てて、扉はゆっくりと開かれる。 薄い光の差したそこには、誰の姿も見当たらなかった。
「間に合わなかったか……」 「浩平っ」 「当然だな。今まで散々ほっぽり出しておいて、虫が良すぎるか」 「浩平っ、浩平っ」 「結局、オレのしてきたことはただの自己満足だったワケだ。笑い話にもなりゃしない」 「浩平っ、浩平っ、浩平っ」 「だあっ、人が感傷に浸っとるのにうるさいわっ」 振り返った瞬間、腹部を重い衝撃がおそった。 酸素が肺から排出され、思いっきり咳き込む。 飛びこんできたのは、 「長…森?」 オレが捜し求めたあいつ。長森瑞佳、その人の姿だった。 「なっ、なんでお前が居るんだ? 結婚式はどうなった? それに住井は?」 「柚木さんからここに残るように言われたんだよ。結婚式は無事に終わったもん。住井くんは二次会に行ってるはずだよ」 矢継ぎ早に繰り出した質問に、笑顔で答える長森。そのまなじりにはうっすらと涙がにじんでいる。 しかし長森に残れってのはどういうことだ? 新郎放置でいいのか? 「……住井と一緒に行かなくていいのか?」 「なんで? 佐織に怒られちゃうよ」 は、佐織? なんでここで稲城の名前が出てくるんだ? 「浩平、どしたの?」 長森の問いかけを視線で黙らせ、脳細胞をフル回転。結婚した住井、七瀬からの電話、待っとくように言われた長森、怒る稲城……。
「ゆ〜ず〜き〜」 「あーあ、もうばれちゃったのかー」 オレの声に答えるように、花壇の影から柚木と七瀬が姿を現した。 「七瀬、お前もか……」 「お、折原っ。あたしは止めたのよ。でも柚木さんが……」 「あーっ、七瀬さんずるいんだぁ。あんなに楽しそうにしてたのにぃ」 「二人とも同罪だっ。オレが一体どんな気持ちで」 「えっ、どうなってるの? えっ? えっ?」 この中で一人、長森だけが状況を把握出来ていないようだ。 「と言うわけで、折原君は見事に勘違いしてここまできちゃいましたー」 「あの言い方だったら誰でも間違うわっ」 そう、オレは引っかけられた。中途半端に携帯が切れたのは、柚木が誤って落としてしまった(と主張している)ため。 話題を突然変えたのは、友人の結婚を知らなかったオレを気遣う(と主張している)ため。 そして最後に言いかけた台詞は、「長森さんの親友の稲木さんだよっ」だったらしい。 偶然七瀬が電話してるのを見てそこまで考えるとは……もはや怒る気にもなれん。 「あんた、由起子さんなり他の友達なり、別の人に確認するって考えは思い浮かばなかったの?」 「きっと長森さんのことが気になってそんな余裕なかったんだよ」 「なっ」 「じゃ、長森さん。あたしと七瀬さんは先に行っとくねー」 「え、あ、ちょっとちょっと!」 柚木は意味深な笑みを浮かべ、七瀬を引きずりながら去っていった。 後に残されたのはオレと長森。なんともいえない微妙な空気が流れる。
「……騒がしい奴らだったな」 「浩平、さっき柚木さんが言ってたこと本当?」 「あん? なんのことだ?」 明後日の方角を向いてすっとぼけるオレ。長森はさらに言葉を続ける。 「うん、それじゃあ別の質問するね。なんでわたしに黙って家を出ちゃったの? どうして今まで連絡くれなかったの?」 「えーっと」 適当にはぐらかそうかと思っていたんだが、長森の真剣な表情を見て止めた。 こりゃある程度は答えないと、納得してくれないな。 「あの手紙に書いてあった通り、やりたいことが見つかったんだ」 「それは、ここじゃ出来ないことなの?」 「ああ」 お前の近くじゃ意味がないんだよ。 「わたしに知られちゃいけないことなの?」 「ああ」 お前にバレたら意味がないんだよ。 「今の浩平の服装に関係があるの?」 「ああ」 オレの服装にって……うおっ! 「それってコックさんが着ている白衣だよね。アルバイトでもしているの?」 「いや、その、なんだ」 「浩平、答えるんだよっ」 長森は一見優しげで、何を言っても許してくれそうな雰囲気を漂わせているが、その実芯が強く、自分がこうと決めたことは決して曲げない強固な意志を持っている。 そのおかげでオレもこの世界に帰って来れたワケだが、今回ばかりは嬉しくない。 「浩平っ!」 結局オレは洗いざらいぶちまけるハメとなった。オレ弱っ。
「浩平、そんなこと気にしてたんだぁ」 「お前、男の決意をそんなことの一つで済ませるか!?」 『えいえん』より帰還したオレは、結局出席日数が足りなくて留年した。 その間に長森は全国大会常連の音大へと進学し、吹奏楽部にて一年生ながらレギュラー入りするという快挙まで成し遂げていた。 さほど頭の良くないオレが進学するなんて、予備校でも通わない限り難しい。 かといってこれ以上、由起子さんに負担をかけるわけには行かない。 どうすれば今の長森と釣り合えるようになれるか。オレは悩みに悩んだあげく、今の道を選んだ。 以上、身振り手振りを交えた10分近くにも渡る告白を、長森は一言の元に切り捨てた。 「だって、そうだよ。全国大会ったって何百人も出ているようなものだし、うちの高校の進学率もそれほど高くなかったし。なにより浩平のキャラクターに合ってないもん」 「……」 こいつ、オレのことを何だと思ってやがるんだ? 「それで、なんで中華料理店で修行しようなんて思いついたの?」 「おいおい、長森が勧めたんだろうが」 「えっ、わたし?」 本気で心当たりがないといった感じで首を傾げる長森に、溜息をつきながら説明してやる。 「前にチャーハン作ってやった時、お前褒めてくれただろ? 『浩平、美味しいよ。これならすぐにでもお店を持てるんだよ』って」 オレがそう告げると、長森はあっと叫んで口元を押さえた。 「ん、どうした?」 「えーっと……言っても怒らない?」 「それは内容を聞いてみないとわからんな。が、とりあえず言わないと怒るのだけは確実だ」 「うーっ、そんなんだぁ……」 長森はしばらくの間逡巡していたが、ようやく意を決したのか、恐る恐る口を開いた。
「浩平……」 「なんだ」 「あれ、嘘。お世辞。実はあんまり美味しくなかったんだよ」 「はぁ?」 「浩平が初めてわたしのために料理を作ってくれたのが嬉しくて、それで……浩平っ!?」 急に地面へとへたりこんだオレに驚いたのだろう。長森が声を張り上げる。 「いや、大丈夫だ。ちょいと自分が情けなくなってな」 俯き加減で自嘲気味に笑いながら、言葉を続ける。 「勘違いして空回りして迷惑かけて……オレって最高に格好悪いよな」 その時、オレの視界がやわらかいものに包まれた。のろのろと頭を起こす。 そこにあったのは、全てを慈しむかのような微笑みを浮かべた長森の顔だった。 「それって全部わたしを思ってしてくれたことだよね? 浩平は全然格好悪くないよ。 ううん、むしろこっちこそ浩平の悩みに気付いてあげられなくてごめんね」 「長森……」 「浩平……」 そのままゆっくりとお互いの顔が近づき、そして――
「うんうん、こうしてHappyENDを迎えられるのもう詩子さんのおかげだよねーっ」 「……結果的に見ればそうなるのかしらね」 「お前らっ!」 「うひゃっ」「ひんっ」 振り向きざまに(何時の間にか教会の裏手に回って)こちらを覗きこんでいた二人を怒鳴りつけ、勢いよく立ち上がる。 「え、あれ?」 また状況を見失ってるのだろう。未だにきょとんとしたままの長森の手を取り、オレはゆっくりと足を踏み出した。 「さってと。オレたちも二次会行くか」 「あ、そだね」 そのまま二人肩を並べて歩きながら、オレは何気はなしに呟いた。 「長森」 「なぁに?」 「これからもよろしくな」 「……うんっ!」
これから作品を投稿します。 痕もので、長さは18レス。テーマは「夢」「結婚」「キス」「嘘」などです。 タイトルは『夢の迷宮』です。
夜が来る。たとえ世が不平等に満ちていても、時だけは万人に等しく流れる。昼 の間は蝉たちが異性の気を引こうと、盛んに声を張り上げていたがそれも止み、人 の手になる物以外でそれと知覚できるのは、鈴虫の鳴き声と真円を描く月くらいの ものであった。 満月に煌々と照らされた家々の中に、この辺りではひときわ大きな屋敷があった。 裕福なだけでなく喧嘩沙汰でも無類の強さを誇るという理由で、土地の者から信頼 と畏怖を受けてきた家系である。もしも古老に話を聞けば、三代前の家長が若い頃 にどんなやんちゃを働いたかを、嫌というほど聞かせてくれるだろう。 普段はその屋敷に住んでいるのはうら若い女性ばかりであったが、六畳の一室で 布団を乱暴に肌蹴て惰眠を享受しているこの人物は、紛れもない男性であった。男 は四姉妹の長女の従兄弟にあたり、名前を柏木耕一という。 時は、草木も眠る丑三つ。墨を流したような空間で、やがて扉の取っ手が回りド アの微かな軋みと共に、ゆらりと蠢く人影がひとつ。 事件はこの部屋から始まる―――。 耕一は夢を見ていた。 異国の地で勇猛な武将となって酒を飲んでいた。銀の杯をくいっとあおって、一 気に飲み干す。他の者たちが酒と肉に酔い痴れているのに、一人だけ浮き上がって いるような感覚に囚われる。数百人は入りそうな大広間は暑い季節ということで窓 は開け放たれ、金の燭台の上に点された蝋燭の炎は時々風を受けてゆらめいている。 踊り子たちは艶やかな衣装を纏って音楽に合わせてひらひらと舞い、なみいる参加 者たちの喝采を浴びる。 耕一は前開き型の足首まである長衣を着ているが、なんとなく気分が落ち着かな い。というのも宮廷の儀式があまり好きではないので、軍議以外では滅多に王宮に 出仕しないからだ。特に冠をかぶるのは嫌で、こんな物より兜の方がずっとましだ ったが、これも礼儀の内だから仕方がない。
そんな彼が上座に近い所に座っていられるのは、戦場でのめざましい功績のお陰 あろう。大臣たちが彼を煙たがり、職を追おうと画策しているというのも、ただの 噂では無いのだろう。 こんな王宮、ただ一つの心残りがなければいつ飛び出しても良いのだが―――と 上座の最奥部を覗き見る。両肩に太陽と月を象った衣服を着ているのが王。その傍 にいる美貌の寵姫が、王のために酌をしている。彼はこの国の支配者の寵愛を受け ている女性に、恋慕しているのだ。 傾国という言葉はあの方のためにあるのだろう、と彼は思った。佇まいは控え目 であるのに、その眉目は人々の目を惹き付けずには置かない。彼女の着ている絹の 長筒袖の上衣や宝飾品はそれぞれが千金に値するものであったが、それでさえ彼女 の美しさの引き立て役にしかなっていないようだった。 彼女の事を考える度に胸の奥は苦しくなり、彼女を触りたい、抱きしめたいとい う欲望が湧き上がって来るだった。他の者と会話をしている間にも視線は彼女を追 い、自分と彼女以外の世界は色彩を失っていくように感じられた。 その時であった。一陣の風が窓から吹きすさんで宴会場を駆け回り、蝋燭から輝 きを次々と奪っていった。僅かな月明かりの他は暗闇を妨げる物は無く、人々のど よめきだけが耳に飛びこんで来る。 「何も見えないぞ!!」 「誰か!!明かりはまだか!!」 彼はふいに衝動に突き動かされて自分の席を離れ、先程までの記憶を頼りに漆黒 の海を泳いで上座に近付いた。自分は何をやっているんだろうという思いと、この 機会を逸したら一生思いを遂げる事は無いのだという思いが交錯して、彼の頭は破 裂しそうだった。暗闇の中で寵姫を抱きしめ、「あっ」という声に構わず慌しく唇 を奪う。
耕一は目を覚ました。 「……夢か」 寝室にいた。彼が滞在している間だけのもので、洋式だがベッドは無くフローリ ングの上で布団を敷いて寝ている。先程まで存在していたものは何も無かった。踊 り子も楽隊もいない。ただ一つ、彼の嗅覚を刺激する酒の臭いを除いては。臭いの 元は自分の吐息だ。 頭がずきずきする。まるで警報機が最大音量で鳴っているみたいだ。 唇に手を当てると、生々しい感触がまだ残っているようだった。 あんな夢を見るなんて欲求不満なのかも知れない。そういえば最近あちらの方は 御無沙汰だった。千鶴さんは結婚するまでは、と言って一緒に寝てくれない。今更 身持ちを堅くしてもなあ、とも思うのだがそれが伝統ある家の格式という奴なのだ ろう。 だがそれもあと数日の辛抱だ。千鶴さんとの挙式が間近に迫っている。なるべく 早い方が良いという千鶴さんのたっての希望であった。この結婚生活の奇妙さは、 スタートした時から別居する運命にあったことだ。夏休みの間は良いとしても、千 鶴さんは鶴来屋での業務があるし、自分はまだ大学を卒業してないからだ。 自分にもやらなきゃいけない事は山ほどある。式の進行の打ち合わせとか、スピ ーチの暗記などだ。千鶴さんが仕事で忙しい分、自分が段取りを把握して彼女を引 っ張って行かなくては。 「……ん?」 扉が半開きになっている。昨日は泥酔していたので開けたままにしてあったのだ ろうと、耕一は判断する。廊下を出て、居間に向かって歩く足元が頼りない。
「耕一お兄ちゃん、おはよう」 「おはよう、初音ちゃん」 居間に入ると既に朝食の準備は整っており、一番下の妹が彼に向かっていつもの 様に屈託のない笑顔を向ける。他の者たちも全員、顔を揃えていた。 「昨日は随分飲んでいたみたいですね」 と、この家の当主が言う。さらりとした長い黒髪が、風を受けてふわっと流れる。 「お陰で二日酔いみたいだよ……頭痛い」 「耕一、これを食べるといいよ」 普段は男勝りの次女が細やかな気遣いを見せて、酢の物の入った小鉢を耕一の傍 に置く。 「おお、すまないな」 「なあ耕一、この家にはいつまでいられるんだ?」 「いつまでって……大学があるから、夏休みまでだよ。まあ、中間試験をする教科 もあるから、八月いっぱいくらいまでは大丈夫かな」 大学生には、一年半年の授業を一週間で何とかするという特殊能力があるのだ。 もちろん単位を取った後は、覚えた事など綺麗さっぱり忘れている。 「今はバタバタしているけど、一段落したらどこかへ行きたいよな」 「そうだな、今度みんなで海にでも行こうか」 朝食は何気ない雰囲気のままで終わった。他の者は出かける準備をする。学校が まだ終わっていないのだ。耕一は午後に式の打ち合わせがあったが、それまでは家 で留守番である。 みんなを見送った後で、耕一は言いしれない違和感を覚えた。そういえば楓ちゃ んの様子がおかしかった。どうして朝食の時は殆ど喋らなかっただろう、と思った。
耕一は夢を見ていた。昨日の夢の続きだった。 彼女の唇は柔らかく、吸い付く様であった。ほっそりとした体は心地よい温かさ を伝え、芳しい香りが鼻腔をくすぐる。視覚以外の全ての感覚が否が応にも彼の劣 情を煽っていく。 だが頬に生暖かい液体が触れたとき、彼はびくっとなって唇を離してしまった。 急速に理性を取り戻した彼は慌てて彼女を解放し、もたつく様にその場から遠ざか る。席につくのと同時に、外から番兵たちが入ってきた。彼らは松明を手にして蝋 燭に再び火を点していく。明かりが増えるごとに、人々は落ち着きを取り戻した。 彼だけは、出来心から犯した罪にその身を強張らせていた。 上座では、寵姫が王に泣きついている。 「王様、何者かが無法にも私の唇を奪いました」 と彼女は涙ながらに訴えた。 「ですがその際、私の髪留めをその者の冠に刺しておきました。どうか捕まえて下 さいまし」 再び衆勢がざわめく。この国には成文法など無く、刑罰は王の機嫌次第である。 酒席で王様の一番のお気に入りに手を出せば死刑は免れえない。 彼女の言葉を聞いてはっとなって冠に手をやろうとして、慌ててその動きを止め た。今動けば咎人だと自ら名乗り出るようなものだ。彼女の言う髪留めとは小さい 針のような物である。一見したくらいでは分からないだろうが、一人一人じっくり と冠を調べられたらそれまでだ。 王国で随一の勇将が、色に迷って身を滅ぼすか。絶望と自嘲が心を彩る。たとえ 運良く死罪にならなくても、このような不名誉が露見してどうしておめおめと生き ていけよう。 どうして王は何も言わないのだろう。その顔は見覚えがあった。ああ、千鶴さん だ。ようやくその口から衝いて出た言葉は―――。
耕一は目を覚ました。 ……またか。 唇に手を当てると、やはりキスの感触が残っているような気がした。ふとその手 に血がついているのに気付く。何時の間に唇を切ったのだろうか。 もう片方の手にはスピーチの原稿。読んでる間に眠ってしまったらしい。 扉に目を向けると、また扉が半開きになっている。昨日は確かに閉めて寝たはず だ。酒を飲んでいなかったので断言しても良い。 もしかして、毎夜この部屋に誰かが侵入しているのではないだろうか。 誰が? 従姉妹のうちの誰かしかいないだろう。 何のために? 自分にこっそりキスをするために。この血はその時に切ったものなのだろう。 耕一は考えこんだ。深夜にこの寝室に忍び入ってキスをしたのは千鶴さんなのだ ろうか。結婚するまで性交渉は無しと言った手前、自分からは言い出しにくくてこ んな事をしているのだろうか? だが、キスくらいならしたければ言えば良いのではないだろうか。わざわざ回り くどい事をするような性格とも思えない。 すると他の三人が怪しいという事になる。千鶴さんと結婚する俺とは表立ってキ スするわけにはいかないので、誰にも知られ無いようにこんな方法を取った。 一応の筋は通っている。 できれば姉妹の仲にひびを入れたくないので、千鶴さんの耳には入れない方が良 いだろう。ということは、自分だけで他の三人にそれとなく聞いて回って、侵入者 を突き止めて、自分との二人だけで決着をつけるべきだろうと思った。 耕一は嘆息した。全くただでさえ忙しいのに、問題をややこしくさせるものだ。
その日の朝食が終わった後、耕一は初音の通学路の途中まで付き合ってあげた。 太陽の光は舗装された道路に照り返して、今日もうんざりするくらい暑くなりそう だった。 「耕一お兄ちゃん、最近は良く眠れる?」 「ああ、一度寝たら目を覚まさない程だよ」 「そうなんだ、良かった」 初音から太陽にも負けないくらいの笑顔が零れる。 「でも、ここのところお酒の量が増えているみたいだから、気をつけないと駄目だ よ。体を壊したら大変だからね」 「心配してくれてありがとう。気をつけるよ」 耕一はそういえば、と何気なさそうに話題を変えた。 「最近、妙な夢をみるんだよ」 と、この二日の夢の内容を語って聞かせた。 「……でさ、王様の顔が千鶴さんなんだぜ。いや、怖いの怖くないのって。浮気を したら死刑、っていう事なのかな」 初音の表情が硬くなる。 「どうかしたの?」 「……え?ううん、何でも無いよ」 すぐに笑顔に戻った。 「じゃあ私そろそろ学校だから……」 もう校舎が見えるところまで来ていた。彼女と同じ制服姿も散見する。 「ああ、行ってらっしゃい」 初音と別れた耕一は憮然とした表情で、柏木家に向かって踵を返した。
「楓ちゃん」 「何か用ですか、耕一さん」 耕一は夜半に廊下で楓を呼びとめた。部活が忙しいのか彼女は最近帰りが遅い。 耕一は、彼の知らない間に部屋を訪れたりすることは無かったかと尋ねる。 「行ってません」 彼女の答えは素っ気無かった。 「本当に?」 「ええ」 「ふうん、どうも寝込みに誰かいる気配がしたんだけどな」 「夢でも見ていたんじゃないんですか」 「夢なんかじゃないよ」 耕一が食い下がると、楓はふっと表情を柔らかくした。耕一に労わるような視線 を送る。 「耕一さんは疲れているんですよ。それで神経質になっているだけです」 「だけど」 「今晩は、鍵を掛けてお休みになっては如何ですか?」 「……え?」 「そうすれば、真実がはっきりすると思いますよ」 楓は立ち去った。廊下にただ一人取り残される。 その夜、耕一は楓に言われたとおりに鍵を掛けて寝る事にした。窓は嵌め殺しで 半分しか開かないようになっているので、とても人が通れる広さではない。犯人を 取り押さえられないのは癪だが、これで悩まされる心配は無いだろうと思った。
耕一は夢を見ていた。 「……それでね、珊瑚って栄養が少なくて塩分の多い、プランクトンの少ない海域 でしか生息できないんだって!」 彼女は余程ここが気に入ったのか、先程から海の話ばかりをしている。 「へえ、恵まれた環境だと逆に生きていけないんだ。でもそれで良く生きてるね」 「体内に藻類を生えさせているの。藻類は光合成と珊瑚から出るアンモニアで生長 して、珊瑚はそれを栄養源としているのよ」 「共生ってやつか」 彼は尿を彼女に飲ませるところを想像した。陰茎から迸る小さな滝を彼女の舌が 受けとめて、澱みを形成する。目の前の海は蒼く澄み切っているのに、傷つき汚れ た心はこんな時でも妄想を止めない。 「……ねえ、聞いてるの?」 「ん?ああ、勿論だよ」 「……もうっ」 彼女は頬を膨らましたが、すぐに針にでも突つかれたみたいに萎む。それからや やあって、ポツリと洩らした。 「一人じゃ生きていけないなんて、まるで……私達みたいだね」 「……」 彼らは警察から追われていた。逃避行の果てに、この南の島まで辿り着いたのだ。 暫くの間、二人は肩を寄せ合い、無言で海原を見つめていた。水平線には陽が出 番を終えて沈もうとしている。海風は途絶え、浜辺を往復する波の音だけが聞こえ てくる。 「……そろそろ、行こうか」 二人は手を取り合って歩き始めた。陸とは反対の方向へ。彼らが歩を進めるにつ れて、ひんやりとした海水が踝から膝、腰を洗う。繋いだ掌だけが温もりを伝える。 薄暗い海の中で抱き合い、お互いの存在を確かめ合う。次に大きいうねりが起これ ば、二人の姿は消えるであろう。その時まで彼らは唇を貪り合った。
耕一は目を覚ました。 体調は悪くなかった。たとえ夢は見てもノンレム睡眠の方もしっかり取れていた ようだ。だが快適な朝もすぐに台無しになった。またしても扉が開いていたからで ある。 「勘弁してくれよ……」 クローゼットの引出しを開けてみると、鍵は有った。内側から掛ける場合には必 要ないのだが、外から錠の開け閉めをしようとするならこれが不可欠だ。 こんな事が有り得るのだろうか?侵入者は窓の細い隙間を通りぬけて、目的を遂 げた後でドアから出ていったのか?この家にはそんなスリムな人間は存在しない。 針金か何かで錠を開けたという可能性も無い。どうしても錠の部分に傷が残るし、 大体そんな特殊技能を修得しているなどと言うのは、いかにも非現実的ではないか。 わけがわからないまま、布団の上を寝転がって考える。結婚式は明日だというの に、自分は何をやっているのだろう?千鶴さんは夏のかき入れ時なので忙しく、夕 方は顔を見せられない事が多い。できる限り千鶴さんの苦労を軽減させて、会社を 支えていかなければ。とりあえずは結婚式だ。今日も入念な打ち合わせがある予定 だった。 夕食が終わった後、耕一は台所へ行った。梓が洗い物をしている。 「耕一、手伝って」 「ああ。初音ちゃんは?」 「洗濯物を畳んでるよ。暑いから結構な量が出るんだ」 梓が洗剤を含ませたスポンジで食器を泡まみれにする。それを耕一が水道水です すぎ流した。 「耕一。夏が終わったら、本当に帰っちゃうのか?」 「しょうがないだろ。大学を中退するわけにはいかないんだから。あとちょっとの 辛抱だよ」
いくら旅館業界といっても、歴とした会社に中退では肩身が狭い。たとえ強力な コネが有るとしてもだ。 「何だか……今度別れたら、もう二度と会えない気がして……」 「ははは、何を大袈裟なこと言ってるんだよ」 梓らしからぬ弱気な物言いを耕一は笑い飛ばした。 「大丈夫だよ。心配しなくても必ず戻ってくるよ。会いたくなったら、電車や車な らそんなに時間もかからないし。それに電話や手紙だって有るんだからな」 「そうだけど……」 彼女の瞳から不安の色が消えなかったのを、耕一は不思議な思いで見つめた。ど うしてそんなに悲しそうな顔をするのだろう? 二人の間に気まずい沈黙が降りた。食器も全て片付いて洗うものは無くなり、手 持ち無沙汰になった。その沈黙を埋めたくて、梓に聞いてみる。 「なあ、部屋の鍵って他に有ったっけ?」 「え?そうだな……」 と梓は思案顔だったが、やがて「あっ……」と小さく声を洩らした。 「どうした?心当たりでもあるのか?」 「マスターキーがあるんだ」 「誰が管理しているんだ?」 「それは……」 勢い込んで尋ねる耕一に、梓はひどく言い難そうだった。困り果てた様子で、途 切れ途切れ答える。 「……千鶴姉の部屋の金庫に有るよ。開け方は千鶴姉しか知ら……ないよ」 「……そうか。ありがとうな、梓」 台所から出ていく耕一の後ろ姿を見送る梓の両目から、雫が落ちて床に跳ねる。 「耕一……あんた、やっぱり……」
耕一は自分の部屋で布団に包まった。ひどく満足そうな表情だった。 やっぱり千鶴さんだったんだ。今夜はまだ帰ってきてないけど、深夜になればま たこの部屋に来るんだ。 今さら千鶴さんからは言い出し難いのだろう。だったらこのまま寝てしまって、 気付かない振りをしていた方が良いかもしれない。それとも、寝たふりをして彼女 がのこのこやって来たところを抱き締めてあげるのも悪くない。初夜は明日だけど 一日くらいの前借りくらいだったら、彼女も許してくれるだろう。仕事で疲れ気味 のようだから、精一杯奉仕してあげたい。 これから訪れる楽しみを待ちわびながら、耕一は何時しか眠りに落ちていた。 耕一は夢を見ていた。 暗闇の中を、一組の男女が裸で縺れ合っている。 耕一は女の乳房を口に含み、先端の突起を舌で転がした。彼女の体がビクッと震 えやがて「……んっ」という微かな嗚咽が漏れる。そのまま舌を滑らして、臍を舐 めまわすと、彼女の声がうわずった。調子付いた耕一の口は更に下って、彼女の秘 部に到達する。容赦無く花弁に熱烈な接吻をして肉芽を擦る様に刺激してやると、 彼女の腰は跳ね上がり、両手で耕一の頭を離さぬように押さえつけた。 「あっ……ああっ……いや、くふぅん……!!」 唇と舌と指で秘所を弄り回すと、すぐに蜜が溢れてくる。それを舐め取り、強く 吸い出だすと、その刺激でまた新たな蜜が量産されて、際限が無かった。 耕一は彼女を裏返して尻肉を掌で押し広げる。あらわれ出た菊門に舌をねじ込む と彼女は止め処も無く喘ぐ。その嬌声が彼の耳に心地よい。 視覚が制限されている分、他の感覚が鋭敏になっていた。愛液のむせ返るような 臭いが、汁の交じり合う音が、汗にまみれた肌の感触が、彼を興奮させていた。
耕一はいきり立ったものを彼女の秘所に押し当てて、後ろから一気に貫いた。 「くはあっ……」 止まらない叫びと共に、彼女の体内が彼を包み込む。彼女のそこは、既に滑らか だ。彼は律動を開始させる。肌がぶつかり合わさる音と、押し殺した叫びが彼の耳 をくすぐる。 彼女に覆い被さるようにして、本能のままに動きつづける。腰を彼女の尻に打ち つけながら、両手を胸元へ伸ばす。彼女は抗いもせず、彼が乳をまさぐるのを許し た。 「あ、ああっ……いいっ……」 強引に唇を合わせ、口を塞ぐ。歯の隙間を押し開いて舌をさし入れる。独立した 生き物のように互いの舌が淫靡に絡み合う。 耕一の動きが速くなる。彼女の体が絶頂に達し、全身がガクガクと痙攣する。 「あああああっ……!!」 耕一は彼女の内側で欲望を放出させた。 これは夢だ。 夢の世界でキスしている時は、現実でもキスしているんだ。 だから俺は目を覚まさなければならない。 彼女に会いたいから。 早く起きるんだ! 耕一はいきなり身を起こして、あっと短く叫ぶ人影の手首を掴んで引き寄せた。 月明かりの下に現れた相貌を目にして、耕一が驚きの声を挙げる。 そこにいたのは楓だった。
「楓ちゃん、どうして君が俺の部屋に忍び込んだりなんかしたんだ」 「ここは耕一さんの部屋ではありません」 「……え?」 楓が手探りで電源を入れると、明かりがついた。見慣れない箪笥、机、本棚。縞 模様のベッドの上にいる耕一と楓は服を着ていなかった。 「楓ちゃんの……部屋なのか?」 「はい」 楓の息遣いは乱れていた。耕一も全身を疲労感が覆っている事に気付く。彼女の 体は汗ばんでいて、そして内股からはひとすじの鮮血が――― 「今のは夢じゃなかったのか!?俺は、楓ちゃんと……」 「……耕一さんは毎晩この部屋に来ていたのですよ。初めはキスだけでしたが」 「それじゃあ、侵入されていたんじゃなくて……」 自分が侵入していたのだ。鍵を掛けた人間が鍵を開けられるのは当たり前じゃな いか。耕一は喘いでいた。予想だにしていなかった状況に頭が混乱する。 「どうして俺はこんな事を……?」 「やはり、記憶して無いようですね」 「そうなのか……?」 「先日も申し上げましたが、不安や緊張、疲労が積み重なった結果でしょう。夢遊 状態となって、邸内を徘徊していたんです」 そうなのか。結婚への不安、会社を支えていかなければならない重圧、千鶴さん とのすれ違い、そういった諸々の事情が俺を精神不安定にさせていたののだろうか。 だが、だからと言って許される事ではないだろう。 「……すまない。千鶴さんが居ながら、こんな事をしてしまって」 頭を下げる耕一に向かって、相手は無言だった。 どうしてそんなに哀れんだ目で自分を見つめるのだろう、と耕一は思った。 「耕一さん。服を着て、私について来て下さい」
楓が耕一を案内した先は千鶴の部屋だ。千鶴だけでなく、叔父や耕一の父親も使 用していたことのある場所だ。 そこには仏壇があり蝋燭や供え物だけでなく花で装飾されていて、そして仏壇の 中央には――― 千鶴の遺影があった。 「嘘だろ……?」 「千鶴姉さんは同族との忌わしい闘争の末に命を落としました。耕一さんは敵を取 ったようですが、姉さんを救えなかった傷心を抱えたまま帰られました。私達が異 常に気がついたのは、耕一さんから手紙が度々送られて来るようになったからです。 ……文面は」 と、楓は紙の束を耕一に渡した。 「千鶴姉さんの安否を気遣うところから始まって、果ては姉さんがアパートに来た、 姉さんとどこそこへ行った、という内容までありました。耕一さんが千鶴姉さんが 生きていると思いこもうとしている事は明らかでした」 楓の言葉に耳を傾けながら、手紙に目を走らせる。ああ―――自分が書いたもの だ。 「耕一さんが法要のためにこの家に来ても、なお幻想を持ち続けていました。私達 は相談した結果、姉さんが生きているという誤解を解かない事にしました。梓姉さ んは早く伝えた方が良いと言ってましたけど、家長である私の判断に従ってもらい ました」 「家長……?」
「ええ、この家は梓姉さんではなく、私が継いだのですよ。意識して千鶴姉さんの 振舞いや話し方を真似していました。だから耕一さんがこの家にいらっしゃる時は、 私の中に千鶴姉さんを見ていたのではありませんか?」 楓ちゃんは無口なんかじゃなかったんだ。一家団欒の時は、楓ちゃんの事を千鶴 さんだと思って――― 耕一は膝をつく。楓の言葉が残酷なほど体に突き刺さる。 耕一は世界の崩壊する音を聞いた。 千鶴さんは一年前に死んでいた。 悲しみに暮れる従姉妹たちに妄想を送りつけていた。 法事を結婚式だと思いこんでいた。 部屋に忍び込まれているのではなく、自分が忍び込んでいた。 楓ちゃんの部屋に侵入したのは、マリッジブルーの所為ではなかった。 彼女を喪われた恋人の身代わりとして、同一視していたからだ。 「う……うわああああ!!」 耕一は嗚咽をあげ、それはやがて絶叫となった。 「耕一さん!」 「嘘だ、嘘だ、嘘だ、嘘だ、嘘だ、嘘だ、嘘だ、嘘だ、嘘だ、嘘だ、嘘だ……!!」 騒ぎを聞きつけて梓と初音が部屋に駆け込んで来る。 「耕一!!」 「耕一お兄ちゃん!!」 従兄弟の狂態から、彼が真実に辿り着いた事を二人は知った。 蹲まる耕一を無理矢理抱き起こして、梓が怒鳴った。 「千鶴姉はもう死んだんだ!!もう居ないんだよ!!」 耕一は泣きじゃくりながら叫び続けた。 「嘘だ……!!」
病院の一室で、楓と梓、初音は白衣の男性と顔を合わせていた。 「……先生。耕一さんの容態はどうなんでしょうか?」 「柏木さんは重度の精神的ショックから、眠りつづけています。一種の睡眠障害か と思われますが、回復は極めて困難です」 「じゃあ、耕一はずっとあのままなのか……?」 「そんな……」 梓の悲痛な叫びに、初音も表情を曇らせる。 「あるいは何らかの切っ掛けで覚醒する事もあるでしょうが、それが何時なのかは 断定できません。明日にでも目覚めるかも知れないし、何年も昏睡するかも知れま せん」 「そんな無責任なこと言うなよ!何とかしてくれよ……お医者様なんだろう!?」 掴みかからんばかりの梓を、二人がかりで制する。 「残念ですが、こればかりは現代の医療技術でも……」 医師の無慈悲な言葉に、姉妹たちは一様にうなだれた。重苦しい雰囲気が、場を 支配する。 楓は後悔の思いに囚われていた。 耕一に真実を伝える事を先延ばしにしたのは彼女だ。死んだ人には勝てないと思 ったから。好きな人に拒否されるのが怖かったから。 自分を姉の代用品として抱いてくれるならばそれでも良かった。たとえ偽りで彩 られた愛情であっても。自分のエゴから出た判断が、最悪の結果を招いた。 だが、嘘で塗り固めた安逸はもう限界に達していたのだ。遅かれ早かれ、破局は 訪れていただろうし、真実を伝えずに済む筈が無かったのだ。 前世からの数百年の思慕―――その相手との一夜限りの出来事は夏の花火の様に はかなく消えた。 楓の瞳から頬へ涙が伝う。やがてその喉からは、嗚咽が洩れ始めた。
「―――千鶴さん、準備できた?」 「ええ、入って良いですよ。耕一さん」 結婚式場の控え室では、新婦の衣装が整えられていた。きらびやかな純白のウェ ディングドレス姿に、思わず感嘆の声を挙げる。 「わあ……」 「惚れ直しましたか?」 千鶴は新郎に向かって、悪戯っぽく笑いかけた。 「ああ、最高だよ」 着替えを手伝っていた妹たちも、新婦である長姉の美しさを称え祝福する。 「凄く綺麗です、千鶴姉さん」 「良く似合ってるよ、千鶴お姉ちゃん」 「本当、耕一には勿体無いくらいだよな」 「ふふ……ありがとう、みんな」 「じゃあ、そろそろ行こうか」 「……はい」 耕一は千鶴の手を取って、照れたような笑みを浮かべてエスコートした。彼女も 恥じらいを含んだ、だけどとても幸福そうな表情で頷いた。 「これからはずっと一緒です、耕一さん」 「ああ。愛してるよ、千鶴さん」 耕一は夢を見ている。 目が覚める事は、二度とない。
>>364-381 「夢の迷宮」でした。
投稿規制に引っ掛かりました。
この後の投稿予定者には迷惑かけて本当にすいません。
これから投稿します。 タイトルは『みさきとメイドロボの微妙な関係』 ONEのみさき先輩と、To Heartのセリオという顔合わせです。 テーマは「プレゼント」、そのほか「結婚」なども。 21レスの予定です。規制に引っ掛からなければいいんですが。 それではよろしくお願いします。
「実はみさき」いつもより早く会社から帰ってくるなり、浩平君が言った。 「ちょっといい知らせと、かなり悪い知らせがあるんだ」 「じゃあ、悪い方から聞かせて」と私は言った。あとからがっかりするなんて嫌だもの。 「明日から出張なんだ」 「ふうん……どこへ?」 「カムチャッカ支社」 「カムチャッカって……ロシアの!?」そんな遠いところに支社があるのも驚きだけど…… 「ずいぶん急だね。何日くらいなの?」 「わからない。一週間か一ヶ月か、下手したら一年とか二年とか……」 「ええ〜っ!?」それって転勤、っていうか左遷っていうんじゃ? 「もちろんそんなところにみさきを連れて行くわけに行かないから、俺一人で行くことになる」 「そんな……」 浩平君と結婚して一年余り。 ようやく新生活にも慣れてきたところなのに…… 「もちろん、目の不自由な女房がいるからって断ろうとしたんだが…… 今の厳しいご時世じゃ、なかなか会社に逆らえなくってさ」 すまなそうな声で言う浩平君。 「そんな、私は一人でも大丈夫だよ。浩平君こそ、お仕事が大変で心配だよ」 そうは言ってみたものの、一人ぼっちになるのは不安で仕方がない。 浩平君がいない間は、実家にでも帰っているしかないだろう。 「それで、いい知らせの方は?」 努めて明るい声で訊いてみた。悪い知らせを覆せるとは思わないけど。 「ああ、そうそう。プレゼントがあるんだ」 プレゼント? 気持ちは嬉しいけど、何を貰っても浩平君の代わりにはならないよ…… 「さ、挨拶挨拶」いきなり浩平君が玄関のほうに向けて話しかけた。 (挨拶?)私が訝しんでいると、 「初めまして」と涼やかな声がした。女の人の声だ。 (え? 一体何?)ちょっと混乱する私に、その人は自己紹介をした。 「来栖川電工のHM‐13型、通称セリオと申します」
HM‐13セリオっていうと、たしか最新型のメイドロボ? サテライト・システム搭載でとても高性能だって、ニュースやコマーシャルで聞いたことがある。 「でも、これって凄く高いんじゃ……」 高級外車くらいするんじゃなかったっけ。 「私、浩平君に負担をかけるの、嫌だよ……」 「大丈夫、大丈夫。ローンを組んでるし、会社からもその分の特別手当てが出ている。 それに、国からの補助金もあるんだ。けっこうリーズナブルだった」 そういえば、全盲の私は一級障害者になるから、介護用メイドロボには補助金が出るんだっけ。 「それにこの子がみさきの世話をしてくれていたら、俺も安心して出張に行けるし」 「う、うん。そうだね」 浩平君にそう言われると、納得するしかない。あんまり心配をかけたくないし。 とはいえ、実はあまり気が進まなかった。 私は機械が苦手だし、特にメイドロボっていうのは好きじゃない。 機械が人間みたいに動いたり、ものを考えたりするのって、なんとなく不気味だ。 それに、感情のない冷たい喋り方をされると、私としては対応に困ってしまう。 浩平君が彼女と何か話をしている。初期設定をしているらしい。 「ユーザー登録は折原浩平様、奥様のみさき様、お二人でよろしいですか?」 ああ、と浩平君が返事をした。 「私のデフォルト・ネームはセリオですが、お好きな名前に変更できます」 「みさき、どうする?」 「あ、えっと、セリオちゃんのままでいいんじゃないかな。可愛いし」 「──了解しました。私からは、奥様、とお呼びすればよろしいですか?」 「え? う〜ん、なんかちょっと照れるから、名前で呼んでよ」 「では、みさき様、でよろしいですか?」 「『様』なんてくすぐったいよ。『さん』付けのほうがいい」 「了解しました。これからよろしくお願いいたします、みさきさん」 「あ、いえ、こちらこそ」多分むこうは頭を下げているだろうから、私もおじぎをした。 はあ……なんだか気疲れしちゃいそう。この子と二人で暮らすなんて、大丈夫かなあ。
* * * その日の夕食は、早速彼女の出番となった。 「何かお望みのメニューはありますか?」 「カレー」即座に答えた私に、浩平君はちょっと苦笑いした。 「しばし別れの晩餐なんだから、もっとごちそうにすればいいのに」 「あ、そうか」どうも私って、そういうのに疎いな。 「みさきが食べたいんなら、俺は構わないけど」 「うん」 かしこまりました、と言って彼女は買物に出かけた。 「私、ロボットの作った料理なんて食べたことないよ」私は浩平君に言った。 どんな料理か、ちょっと不安。 「話によると、すごく美味いらしいぞ。どんな料理でも一流シェフ並みに作れるってさ」 「でもなんか、変な感じがしない?」 ロボットはものを食べないのに、本当に美味しい料理なんてできるのだろうか。 「何も変なことはないと思うけど……なんだ、みさきはロボットは嫌いか?」 「嫌いっていうか、どう接していいのか、よくわかんないよ」 「普通でいいと思うぞ。機械っぽいところはなくて、人間そっくりだし」 「ふうん……」人間そっくりなんだ。 そんな精巧なロボットを見たことがない私には、いまいちイメージがわかない。 やがて帰ってきた彼女は、キッチンで料理を始めた。 「おお、凄い手際だ」浩平君が感嘆する。 しばらくすると、いい匂いが漂ってきた。 「おいしそう……」思わず生つばを飲み込んだ。 うーん。これは期待できるかも。
* * * 夜の寝室で、いつものように浩平君と語らう。 「いやあ、今日のみさきの食べっぷりはすごかったなあ」 「もう、いつまでも言わないでよっ」 もう二人ともベッドの中だというのに、浩平君ったらまだ夕食の時の話をしている。 「あっという間に十杯ぺろりと平らげたもんな」 「だっておいしかったんだもん」 本当に、セリオちゃんのカレーはとてもおいしかった。 今まで浩平君と外食したことはたくさんあるけど、そのどれよりも上かもしれない。 「一流ホテルのレストランの味を再現した、とか言ってたな」 「すごいね、セリオちゃんって」 「結局、気に入ったみたいだな」浩平君が笑いながら言う。 「うー」それじゃまるで、食べ物につられたみたいじゃない。 「でもあの子って意地悪だよ。『それ以上召し上がっては健康にも美容にも悪影響と思われます』 とか言って、あれ以上おかわりさせてくれなかったもん」 「それは意地悪じゃないだろ」 「うー」なんか、墓穴を掘ってる気がする。 「も、もういいじゃない。それより……」 私は浩平君にキスをした。 「今夜でしばらくお別れなんだから」 「ああ」彼の手が私を抱き寄せる。 彼の愛撫に包まれて、夜は更けていく……
* * * 「みさきさん、起きてください」 誰かが私の体を揺すっている。 「みさきさん、もうお昼です」 お昼……? 「ええっ、もう?」私ははね起きた。 「おはようございます、みさきさん」 「あ、うん、おはよう」 私を起こしてくれたのは女の人──昨日からうちに来たセリオちゃんだ。 「浩平君は?」 「もう出られました。名残惜しくなるので、みさきさんが眠っている間に出発したかったそうです」 「そうなんだ……」 こんな朝に寝坊するとは、なんという不覚。 昨夜は浩平君と、ずいぶん遅くまで……そのせいだね、やっぱり。 浩平君、大丈夫かな。今ごろ飛行機でぐったりしてるかも。 「はあ……」浩平君のことを思うと、なんだか寂しくなってくる。 でも、いつまでもベッドに潜っていても仕方がない。起きよう。 「手をお貸しいたしましょうか?」 「大丈夫。寝起きも着替えもできるし、顔も一人で洗えるから」 そう言い残して、私は洗面所に行った。 ちょっと棘のある言い方だったかな? でも、ロボットがそんなことで気を悪くしたりしないよね。
* * * 遅い朝ごはん、というより昼ごはんを食べて数時間後。 部屋でぼんやりしていた私を、セリオちゃんが散歩に誘ってきた。 「でも私、あんまり外に行きたくないよ」ちょっとぐずる私。 「しかしみさきさん、お昼もたくさんお召し上がりでしたので、少し運動するべきでしょう」 「うー」セリオちゃんの作るごはんがおいしいから、つい食べ過ぎちゃうんだよ〜。 セリオちゃんの言う事ももっともなんだけど、外に行くのは正直言って、恐い。 今まで外出するときは、浩平君とか、お母さんとか、信頼できる人と一緒だった。 セリオちゃんには悪いけど、ロボットのエスコートでは、何となく不安だ。 「ご心配には及びません。私の介護システムは現在考え得る限り、最上のものです」 私の心を見透かしたように、セリオちゃんは言った。 「責任を持って付き添いますし、万が一、私に故障があっても、すぐにサポートセンターに連絡が行きま す」 「わ、わかったよ」そうまで言われては反論できない。確かに家に閉じ篭るのもよくないし。 「じゃあ……行こうか?」 玄関で靴を履くと、セリオちゃんと腕を組んで、外に出た。 「ゆっくり歩いてね、セリオちゃん」 「はい、かしこまりました」 セリオちゃんは、上手に私のペースに合わせてくれた。 彼女の腕は思ったより柔らかく、温かみがあって、ロボットの腕という感じは全然しない。 まるで本当の人間の腕みたいで、安心感を与えてくれた。
最初は恐くて両手でしがみついていたけど、だんだん慣れてきた。 片手だけで掴まる。歩きやすくなった。少しペースも速くしてみる。 やっぱり、外を歩くのって気持ちがいい。 「いい風だね、セリオちゃん。町の様子はどんな感じ?」 「桜の花が咲いています。左手の家の庭にも大きな桜があります」 セリオちゃんは一生懸命、見えるものを実況してくれた。 「塀の上では猫が昼寝しています。今、大きなあくびをしました……」 私にもそれが見えるようで、少しずつ楽しい気分になってきた。 「学校の門の前です」セリオちゃんが言った。 「私が通っていた学校だよ」 「懐かしいですか?」 「うん。思い出がたくさんつまってるからね」 雪ちゃんや澪ちゃん、学校で出会ったたくさんの人たち、そしてもちろん浩平君。 「それにね、ここの学食のカレーはおいしいんだよ。私、大好きだったなあ。 あ、もちろん昨日のセリオちゃんのカレーもおいしかったけど」 「ありがとうございます」 「もうここの生徒じゃないから、学食には行けないんだよね。ああ、また食べたくなっちゃった」 「……」セリオちゃんが少し黙り込んだ。何か考えているのかな。 「どうしたの? もう行こうよ」 「はい」 私たちはまた歩き出した。 「ね、公園の方に行かない?」と私は提案した。 「はい。行きましょう」
公園についた。どこかで聞いたことのあるような声がする。 「アイスクリーム屋さんです」セリオちゃんが説明してくれた。 「あ、食べたい食べたい」 「では、買ってきましょう」 「いいよ。私が行ってくる。ここで待っててね」 セリオちゃんの腕から手を離すと、おじさんの声の方にゆっくりと歩いた。 アイスクリームを2つ買って、セリオちゃんのところに戻る。 「お待たせ。抹茶とバニラ、どっちがいい?」 「──お気持ちはありがたいのですが、私は食べられません」 「あ! そうだったね……うっかりしてたよ」 私ったら馬鹿みたい。セリオちゃんがロボットだっていうこと、すっかり忘れてた。 いっしょに歩いていると、まるで本当の人間みたいだったからかな。 「申し訳ありません。無駄な出費をさせてしまいました」 「いいよいいよ。私が2つとも食べるから」 実際、2つくらいでちょうどいい。というより、本当はまだ足りないくらいだったりして。 公園で食べるアイスクリームは、やっぱりおいしい。風景が見えたらもっといいのに。 「ねえ、やっぱり桜はいっぱい咲いてる?」 「はい、花びらがたくさん風に舞っています」 「そっかあ」その光景を想像してみる。 目は見えなくても、こうして風を感じられれば、その場所を思い描くのはずっと簡単になる。 やっぱり、セリオちゃんと散歩に来て、よかったな。 そういえば、以前に公園でアイスクリームを買ったのも、こんな桜の咲く春の日だったっけ。 「…………」
「どうかなさいましたか?」セリオちゃんが訊いてきた。 私、暗い表情になっちゃってたかな。 「何でもないんだよ。ちょっと前にあったことを思い出してね」 セリオちゃんが聞きたがっているとは思えないけど、私は話してみたくなった。 「卒業したばっかりのころにね、この公園で浩平君とデートしたの。 ちょうど今日みたいなちょっと暑い日で、やっぱりアイスクリーム屋さんがいて、 私、浩平君をこの辺に待たせて一人でアイスクリームを買いに行って……」 あの時の記憶がよみがえる。 「戻ってきたら、浩平君がいなくなっていたの。いくら話しかけても返事がなくて。 最初は悪い冗談だって思ったんだけど、本当に消えてしまっていたの。 私、すごく不安で、恐くて、寂しくて……」 あの時の絶望感。それはその後も何度となく悪夢となって、私の眠りを妨げた。 最近は、すっかり心の奥に忘れていたんだけど。 「一年後に浩平君は帰ってきてくれたんだけどね。でも一人で待つのは辛かったよ。 もうあんな思いはしたくなかったのに、浩平君はまた遠くに行っちゃった……」 涙がぽろぽろと溢れてきた。 「みさきさん」セリオちゃんが、ハンカチで私の涙を拭いながら言った。 「残念なことに、私にはその時のみさきさんの気持ちを完全には理解することができません。 辛い経験をなさったことは理解できますが、ロボットの私に共感する能力があるか、自信がありません」 セリオちゃんは一呼吸おくと、私にそっと手を添えた。 「遺憾ながら、私には浩平様の代わりになることはできません。 しかし、私はみさきさんを一人にするようなことは決してしません。 不自由な思いをさせないよう努力いたしますし、できれば心の支えにもなりたいと思っております」 セリオちゃんの口調はいつも淡々としている。 でも、その時の彼女の言葉はとても頼もしく、温かく心に響いた。 「ありがとう、セリオちゃん。その気持ち、凄く嬉しいよ」私は甘えるように彼女に寄り添った。 「はい──ところで、みさきさん」 「なに?」 「早く食べないと、アイスクリームが溶けてしまいます」 「あ……そうだね」えへへ、と照れ笑いして、私はアイスクリームの残りを平らげた。
* * * 家に帰ると、セリオちゃんは買物のために再び出かけた。 散歩のついでに行けばよかったのに、と思ったが、ちょっと遠くの店に行きたかったらしい。 一時間ほどして帰ってきたセリオちゃんは、 「今晩もカレーはいかがでしょうか」と訊いてきた。 「え? 昨日もカレーだったのに?」ちょっと驚いた。 私は好きな食べ物なら二、三日続いても飽きないから、別にかまわないんだけど。 「昨晩とは違う味付けを試してみたいのです。もちろん、違う献立にも変更できますが」 「いいよ、カレーでも。セリオちゃんが作りたいのなら。せっかくだしね」 はい、と返事をして、セリオちゃんはキッチンに向かった。 一体どんなカレーを作るつもりなんだろう? やがて夕食の時間になった。セリオちゃんが出来あがったカレーライスを私の前に置いてくれる。 この匂い、確かに昨日のとは違う。 というより、何となく覚えのあるような…… 一口食べてみる。 懐かしいこの味、やっぱり間違いない。 「これって、あの学食のカレー?」
「はい。みさきさんが懐かしがっておられたので、作ってみました」 「でも、どうやって?」 「データベースであの学食の情報を検索して、同じ材料とレシピで料理いたしました。 完全に味を再現できているはずだと思います。いかがでしょうか」 「本当だ……あの時の、あの時の味だよ……」 学食で友達と一緒に過ごしたひととき。まるであの頃にタイムスリップしたようだった。 一口食べるごとに、涙が滲んでくる。 「みさきさん……何かお気に障ったでしょうか?」セリオちゃんが声をかけてきた。 「あ、こ、これは違うよ」私は慌てて涙をごしごし拭った。 「申し訳ありません。学食とこの食卓では雰囲気も違うのに、つまらないことをしてしまいました。 すぐに別の料理を用意いたしますので……」 「違うったら」私は遮るように言った。 「懐かしくて、涙が出たんだよ。それに、セリオちゃんの心遣いが嬉しくて……」 私を元気づけようとして、こんなことを考えてくれたセリオちゃん。 そのためにいろいろ調べたり、遠くにまで買物に行ったりしてくれて。 セリオちゃんって、なんて優しい子なんだろう。 「それでは、お気に召していただけたのでしょうか」 「うん。もちろんだよ……ね、セリオちゃん、ちょっと手を貸して」 「手を、ですか?」 差し出されたその手に、私は頬ずりした。 「ありがとうね、セリオちゃん」 「──光栄です」セリオちゃんは小さな声で言った。 私はその手にそっとキスをした。 セリオちゃんに、ちょっとカレーがついちゃったかも。……えへへ。
* * * 一日が終わり、夜が更けていく。 私はなんだか寝付かれず、ベッドで何度も寝返りをうった。 隣に浩平君がいないと、こんなにも寝苦しいなんて。 それまではすっと一人で寝ていたはずのに、この一年で二人の生活にすっかり慣れてしまった。 「浩平君……やっぱり、寂しいよ」 こうしてシーツにくるまれていると、昨夜の愛撫が、まだ体にまとわりついているようだった。 体が疼いて、火照っている。 自分で自分を鎮めるしかないかな。こんなこと、久しくやっていなんだけど…… エッチなことを想像するのって苦手なんだけどな。 とりあえず、胸を触ってみる。昨日の浩平君とのことを思い出してみよう。 浩平君って、このへんとか触るの好きだよね。それからこっちに…… 「浩平君……浩平君……」 どうも自分の手だという意識があると、そんなに気持ちよくないんだけど…… それでも少しずつ、興奮が高まりかけてきたそのとき。 「みさきさん、入ってよろしいですか?」 ドアをノックする音とともに、セリオちゃんの声が聞こえた。
「あ、ちょ、ちょっと待って!」慌ててパジャマのボタンをかけ直す。 声は出さないようにしていたつもりだったけど……もし聞こえちゃってたら恥ずかしいな。 「いいよ。入って」 失礼いたします、とセリオちゃんが入ってきた。 「どうしたの?」 「はい。できればお手伝いさせていただきたいと思いまして」 「え? 今夜はもう寝るだけだし、何もないよ?」 なんか、嫌な予感がする。 「みさきさんに性的欲求不満がおありでしたら、それを解消するお手伝いができます」 ──予感的中。やっぱり聞こえちゃったんだ…… それにしても、恥ずかしいことを淡々と言わないでよ〜。 「セ、セ、セリオちゃん。そういうことは、手伝ってもらうものじゃないんだよっ」 「何かあればみさきさんをお慰めするよう、浩平様からも言われております」 な、慰めるの意味が違うと思うよっ。 「だ、第一、私たち女の子だよ」 「女性の体や生理現象については、女性の方がよくわかります。 生殖が目的の行為ではありませんし、かえって女同士であることは好都合でしょう」 「そ、そんなの恥ずかしいよ。それに私には浩平君が、夫がいるんだよっ」 「私はロボットですので、恥ずかしがることはありませんし、不貞にもあたらないでしょう。 メイドロボには守秘義務があり、ユーザーのプライバシーは完全に保護いたします。 たとえ浩平様にであっても、みさきさんの秘密を話すことはありません。 欲求不満を溜め込むことは、心身の健康に悪影響です。単なる医療行為のようなものとして……」 「だめだったら、だめだよっ!」私は少しきつい口調で言った。 「セリオちゃんと、そんなことはできないよ!!」 数秒間の沈黙のあと、セリオちゃんは口を開いた。 「申し訳ありません。出すぎた真似をいたしました」いつも通りの抑揚のない口調。 「ロボットにすぎない私が、みさきさんの寂しさをお慰めしようなどとは、あさはかな考えでした。 これからは分をわきまえますので、どうかお許し下さい。それでは、お休みなさいませ」 「え、あの」声をかけようとしたが、セリオちゃんは部屋を出ていってしまった。
ああ、びっくりした。セリオちゃんが突然あんなこと言い出すなんて。 でも、あんな親切で誠実な子なんだから、きっと私のためを思ってのことなのだろう。 「傷つけちゃったのかな……」 あの子の声からは感情がよくわからないので、よけいに気になった。 私、なにもセリオちゃんがロボットだから拒絶したわけじゃないのに。 何だか自分がロボットを差別する、嫌な人間に思えてきた。 たしかに、もしも彼女がただの道具でしかないなら、そんなに気にすることはないかもしれない。 でも、彼女が機械にすぎないとは、私にはもはや思えない。 ちゃんとした心を、それも優しい心を持った存在だと思いたい。 だとしたら、あんなきつい言い方で断ったら、やっぱり悪い気がする。 だからといって、彼女の申し出を受けるのはやはり抵抗があるんだけど。 抵抗があるのは、私が彼女をただの機械ではなく、感情を持った存在だと思っているからで…… ああ、もうっ! 気になって眠れないよ! おまけに、体の火照りはとれないままだった。 さっきの続きをすれば治まるかもしれないけど、またセリオちゃんに聞こえそうだし。 ──でも、もうすでに聞かれちゃったんだけど。 そういえば、セリオちゃんは秘密は絶対に守るって言ってたよね。 それに、医療行為みたいなものだと言ってたよね。 これから長くお世話になるセリオちゃんなのだから、赤裸々な自分を見せてもいいかもしれない。 どうせこのままじゃ眠れそうにないし…… えーい! もう、こうなったら! 「セリオちゃん、セリオちゃん!」私は大きな声で彼女を呼んだ。 「はい。なんでしょう」セリオちゃんは、すぐに来てくれた。 「さっきのことだけど、やっぱりセリオちゃんにお願いできるかな……?」 「はい。喜んでお手伝いさせていただきます」彼女は即答してくれた。
セリオちゃんに手伝われて、私は裸になった。ベッドに体を横たえる。 なんだか俎板の上の鯉みたい。 恥ずかしくて、心臓がどきどきしていた。浩平君と初めてした時より、もっと緊張しているかも。 「ねえ、セリオちゃん」照れ隠しに話しかけてみたが、何を言っていいかよくわからない。 「私の体って、変じゃないかな?」私ったら、つまらないこと訊くなあ。 「体のラインは美しいとされる女性のプロポーションの基準から外れておりませんし、 肌も日本人の平均より白く、滑らかで特に荒れたところもありません。 女性として魅力的で、とても美しいと言えるでしょう」 「あ、ありがと」お世辞かもしれないけど、ちょっと嬉しい。 浩平君以外の人を意識したことなんてないけど、私もけっこういい線いってるのかな。 「それで、ええっと、私、セリオちゃんみたいな子に、というより、女の子同士でっていうか、 こういうことをこういう風にしてもらうのは初めてだから……その、優しくしてね」 だいたい、私はエッチなことに関しては知識が少ない。 浩平君から話を聞いたり、二人でいろいろ試してみたことがあるだけだ。 「はい。私も性行為に関するデータは完璧に網羅しておりますが、個人差があることですので、 ご不満や不都合なことがあったり、ご希望になることがあれば、遠慮なくおっしゃって下さい」 「う、うん。わかったよ」そう冷静に言われると、何か変な感じ。
「それでは、始めさせていただきます」 セリオちゃんの手が、私の全身を滑るように愛撫する。 その動きは羽のように軽く柔らかい。 くすぐったいというよりも、優しく包まれている感じがする。 すぐにリラックスしてきた。すでにいい心地だ。 愛撫されるたびに、皮膚感覚が敏感になってくる。ふう、と何度か溜息が出た。 私の反応を見てか、セリオちゃんはいくつか特に感じやすい部分を探り当てたようだ。 耳たぶや首すじなど、私の特に弱いところが重点的に愛撫される。 「はあ、はあ……」息が荒くなってきた。こんなにも興奮している自分に驚く。 セリオちゃんは乳首を優しくつまんだ。 「ああ……」吐息が漏れた。 その指の動きはあくまでも優しく滑らかで、浩平君のちょっとぎこちない手つきとはまるで違う。 浩平君のは少し痛いこともあるけど、セリオちゃんのはただ気持ちいいだけだ。 「はぅ……うぅん……」 セリオちゃんが触れた部分から、甘い快感が溶けて滲んでいくようだった。
(な、何なの、これ……?)こんな感覚は味わったことがない。 下半身に手を伸ばしてみた。ぬるぬる、というよりびしょびしょだ。 「す、すごい……」自分のことなのに驚いた。こんなに濡れるなんて、信じられない。 とうとう、その部分にも彼女の手が伸びてくる。 敏感な芽がそっと触れられる。 「ひゃうん!」たちまち全身に電流が走った。 ここって、触られただけで、こんなに感じるものなの……? そこへの愛撫は続けられたまま、別の指が私の裂け目をなぞる。 「あふっ……あふっ……」その指の動きと同じリズムで、私は喘いだ。 「声をお出しになっても大丈夫です。隣近所には聞こえません」 「そんなこと言ったって、恥ずかし……ああんっ!」 セリオちゃんの指が、私の中に侵入した。 「あ……あぅっ、ああん!」 奥のほうに特に感じる部分があった。 「そ、そこ、すごく、気持ちいい、よ……ああっ、す、すごいよぉ……」 内側の敏感な点と外側の小さな突起とが、驚くべき器用さで同時に責められる。 「ああっ!! な、なにこれ……わ、わたし、おかしく、なっちゃう……っ!!」 浩平君とのときとは全く違う、未知の感覚だった。 「変だよ、わたし……ああっ、気持ちよすぎ……ああん、もうだめ、こ、これって……」 快感が波となって、縦横に体を駆け回っている。 そして、どこか体の奥深くからやって来た、ひときわ大きな熱い波が、私の体を貫き通した。 「あ、ああっ、あうっ、ああぁん、ああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」 頭が真っ白になって、私はわけもわからず絶叫した。 全身から力が抜ける。重力さえも感じない。ふわふわ浮いているみたいな感じだった。 「はあ……はあ……はあ……」 脱力した私の耳に、自分の荒い息の音だけが響いていた。
402 :
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よっしゃ、オーラスでまくったで〜! というわけで、今から投下します。
しばらくして、ようやく我に帰った。 セリオちゃんはどこだろう。呼吸音がないので、彼女の気配はつかみにくい。 「セリオちゃん、私、どうなったの……?」呼びかけてみた。 「おそらく絶頂に達せられたのでしょう」すぐ耳元にいてくれたようだ。 「絶頂……」イクっていうのは、ああいう感じなのかな。 「私、浩平君とでも、あんなふうになったことないよ」 「カップルによっては、なかなか思うように達することができない場合もあります。 あせらずに、時間をかけていけばお二人にも可能かと思います」 「ふうん……それを一瞬でしちゃうなんて、セリオちゃんってすごいね」 「そんなことはありませんが──それより、お疲れになったのではありませんか?」 「そうだね、なんかぐったりしちゃった」心地よいけだるさが全身を包んでいる。 「もう寝るよ。あ、その前にちょっと来て」 私は手を差し出して、セリオちゃんに触れてみた。彼女がどんな顔か、想像してみたい。 「この硬いのは何?」 「耳カバーです。センサーでもありますが、人間の方と見分けをつけるために装着します」 「そうなんだ。でも私には見えないんだから、あまり関係ないよね。ね、それって取れないの?」 取れます、とのことなので、外してもらった。 あらためて、セリオちゃんの顔を触らせてもらう。 「わあ、耳といい、ほっぺたといい、本当に人間そのものだね」 いろんなところをぷにぷにしてみる。気持ちのいい手触りだ。 「すみません、私の耳はセンサー感度が高いので──あっ」 ふざけて息を吹きかけると、セリオちゃんが珍しい声を出した。 セリオちゃんにも弱いところがあるんだ。なんか、かわいいな。 「ね、おやすみのキスして」私は自分の唇を指差した。 セリオちゃんは黙って私に口づけしてくれた。柔らかい唇の感触がとっても素敵だ。 なんだか、とろけそうなほど幸せな気分だった。 いいのかな、これで。──まあいいか。 「おやすみ、セリオちゃん」私は微笑んで言った。 「おやすみなさいませ」セリオちゃんも微笑んで──くれてたらいいな。
404 :
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あう、後で投下します。ごみんなさい。
* * * 『どうだ、みさき、元気にしてるか?』 「うん。昨日もお話したばっかりじゃない。セリオちゃんもよくしてくれるし、大丈夫だよ」 あれから一月あまり経った。浩平君は毎日のように電話をくれる。 本来なら電話代がすごいはずだけど、HM−13ユーザーは衛星回線を格安で使える。 なかなか気の利くサービスだ。 『セリオと仲良くやってるみたいだな』 「うん。そりゃあもう」 正直言って、仲良くなりすぎかもしれない。 あれからほぼ毎晩、私はセリオちゃんにあれをしてもらっている。すっかり癖になっちゃった。 秘密を共有しているみたいで、心理的にもどんどんと親近感を覚えていた。 浩平君が帰ってきてから、彼に満足できなくなってたらどうしよう。なんて心配だったりして。 『そうか、そりゃよかった』浩平君は話を続けた。 『それでな、今日はいい知らせがあるんだ。帰れる目途が立ったぞ』 「ほんと!? いつごろ?」 『そうだな、あと一週間くらいで片付くと思う」 「一週間……」 なぜかそれを唐突だと戸惑う自分がいた。
* * * 「よかったですね、みさきさん」電話が終わってから、セリオちゃんが言った。 回線はセリオちゃん経由だから、話は全て聞こえているのだ。 「うん。よかった……」 「どうかなさいましたか?」セリオちゃんは、私の口調に喜び以外のものを感じたようだ。 「浩平君が帰ってくるのは嬉しいんだけど、夜のことが心配で」 「浩平様は、何か乱暴なことでもなさるのですか?」 「まさか。浩平君は優しいよ。……でもその、セリオちゃんに、慣れすぎちゃったから……」 私はちょっとためらいながら言った。 「浩平君が帰ってきてからも、時々……してくれないかな?」 「みさきさん。性行為はもともと夫婦間で行うべきことです」セリオちゃんはきっぱり言った。 「私が行ったのは代理行為です。浩平様が帰ってきてからは、お二人でなさって下さい。 もし今まで通りに私が行えば、夫婦間に亀裂を生じさせることとなるでしょう」 「うー」セリオちゃんの言うことはもっともだけど…… 「もちろん、性生活に悩みなどがございましたら、いつでも相談に乗らせていただきます」 そういう問題じゃないんだよ。 私、浩平君もセリオちゃんも、二人とも同じくらい好きになっちゃったみたい。
「そうだ!! いいこと思いついたよ」私は手を打った。 「セリオちゃんは男の人を悦ばせるのも得意?」 「はい。可能です」 だったら三人で…… 浩平君も、きっとすっごく喜ぶよ。私と同じくらい虜になっちゃったりして。 そういえばセリオちゃんって、もともと浩平君が私にプレゼントしてくれたんだっけ。 プレゼントは人のためならず、だね。浩平君。 「ねえ、セリオちゃん。私が今、何を考えているか、わかる?」 「はい。おおよそは見当がつきます」 「これなら問題ないでしょ?」 「浩平様本人の意向をうかがうべきでしょう。その後でなら、私はかまいません」 ようし。それじゃ、浩平君にどう切り出すか、考えとかなくちゃ。 「浩平君が帰ってくるのが楽しみだね、セリオちゃん」 「はい。楽しみです」 声はいつも通り淡々としていたけど、彼女が本気で楽しみにしているのは間違いない。 無機質なような声だけど、私はちゃんと微妙な感情を聞き分けられるようになっていた。 だって私たち、心が通い合っているんだもの。 そうだよね、セリオちゃん。
すみません。やはり引っ掛かりました。 長々と時間がかかってしまい申し訳ありませんでした。 『みさきとメイドロボの微妙な関係』でした。 では、次の方、お願いします。
SS投下します 題名 『神様なんていやしない』 ジャンル 痕 スレ数 11スレ
「柏木君。君は豚に真珠という言葉を知っていますか?」 披露宴の会場がどっと笑いに包まれた。 「やかましい!」 いままで辛抱強く黙っていた新郎の耕一が、ついにキレて叫び声をあげる。しかしながら、 友人代表でスピーチを引き受けた男の毒舌は止まらない。 「この世の中は不思議なものだと私は今日思いました。これほど華麗で凛と臭うような姫君が、 よりによって従者のような男と結婚するとは。まさしく豚に真珠、月にスッポン。考え直すな ら今ですよ、千鶴さん」 再び会場から笑い声があがる。 耕一はスピーチの人選ミスに苦虫を噛みつぶしながら後悔した。そんな耕一の太股に、新婦の千鶴 が諭すように優しく手を置いた。皆が祝ってくれているのに、そんな顔をしてはいけませんと。 暑い夏が終わりに近づき、秋が間近に迫った週末。鶴来屋の披露宴にて、耕一と千鶴の結婚式が 盛大に催された。会場には多数の人が招かれ、料理は山海の珍味が並び、若い二人の門出を祝い、 どの席でも笑顔が絶えなかった。………たった一つテーブルを除いて。 「千鶴お姉ちゃん綺麗だね」 四姉妹の末っ子である、初音の至極真っ当な感想に、次女の梓が頷いた。 「角隠しとは良く言ったものだね」 皮肉の一つも言いたくなるほど、新婦である長女、千鶴は美しく、また羨ましかった。 「初音……。楓は結局来なかったね」 梓は妹である、三女の楓が座る筈だった空席に目をやった。 「楓は、どこに行っちまったんだろう」 初音は梓の声に何も答えず下を向いた。 理由を知っていたから。 初音はうつむきながら、去年の冬の出来事を思い浮かべた。 その日は朝から雪が降っていた。 正確には前日から振り続いていた。
町は白一色に覆われ、どこの家も屋根の雪下ろしにおわれていた。 サク。サク。 ブーツが新雪を踏みしめる度、くぐもった音をたてる。 初音は幾度となく傘に降り積もった雪を払いながら、注意深く歩を進めた。 「ここね」 手持ちの紙に書かれた住所と建物の名前を称号すると、屋根の下に入り、コンコンと傘の雪 を落とし畳んだ。 建物の階段を滑らぬよう注意深く昇ると、ドアの並んだ廊下を一つずつ確かめながら進む。 廊下といっても集合住宅によくあるように、下界に面しているため、コンクリートの床に雪が 吹き込んでいた。 『柏木 楓』 目的地の表札を見つけると、一度深呼吸をし、呼び鈴に手を伸ばした。 ピンポーン。 乾いた電子音鳴り響いた。 十秒経過。 三十秒経過。 一分経過。 何も変化は無かった。 初音はもう一度呼び鈴を押してみた。 ピンポーン。 しばらく待ってみたがやはり返事が無い。 留守なのかな、どうしようかなと初音が思った時、ドアの向こうから女性の声が聞こえてきた。 「どなたですか?」 二ヶ月ぶりに聞く、姉の声だった。 「初音だよ、楓お姉ちゃん」 「初音……なの?」 カチャリと金属音が聞こえた後、ドアが少しだけ開いた。 「初音一人だけ?」 楓がドアの隙間から顔を出した。
「うん、一人だけだよ」 久しぶりに見た姉の顔に初音は少し驚いた。 頬が少し痩け、顔に血の気がなかった。 「楓お姉ちゃん、どこか具合が悪いの?」 「え……、どうして?」 「顔色良くないよ」 「うん、ちょっと風邪を引いて寝ていたから」 よく見ると、お昼にもかかわらず、楓はパジャマ姿のままだった。 「ごめんね、楓お姉ちゃん。寝ているところを起こしちゃって。わたし、今日はもう帰るね」 「………雪、降っているのね」 楓は初音の肩越しに、外の景色を眺めた。 カチャカチャ。 楓はドアチェーンを外すと、ドアを広く開けた。 「初音、中にお入り」 「え、楓お姉ちゃん体調崩しているんでしょ」 「せっかく来てくれた妹を、この雪の降る中に追い返すなんて、出来るわけないじゃない」 「でも……」 「寒いから早く入って」 「お邪魔します……」 部屋に入ると、初音はこれ以上冷気が入り込まないよう、手早くドアを閉めた。 「散らかっているけど、ごめんね」 「いいよ、気にしないから」 初音は嘘を口にした。 姉の部屋が散らかっている。初音にとって、それは初めて目にする光景だった。初音の知る限り、 楓は常に整理整頓を心がけていた。それが出来ていないということは、よほど体調が悪いという事 に他ならない。 楓はいくつかの雑誌や書籍を部屋の隅に片づけると、座布団を引き初音を炬燵(コタツ)に手招きした。 「初音、来るのなら電話してちょうだい」
楓は初音の右隣に座ると、炬燵の中に足を伸ばした。 「楓お姉ちゃんの電話、コールが一回で切れるんだもん。留守番電話もついていないし」 「……そうだったわね。自分でセットしておいて忘れていたわ」 「楓お姉ちゃん。みんな心配しているよ」 初音は楓の目を見つめながら話した。 「K市に引っ越してから、お正月も帰って来なかったし……。ここ三ヶ月全然連絡がないんだもん」 「それで、わざわざ偵察に来てくれたの?」 楓が微笑みながら答えた。 「楓お姉ちゃん、わたし本当に心配していたんだよ!」 初音は少し怒ったように答えた。 「本当に、本当に心配していたんだから……」 目の端に涙が浮かんでいた。 「ごめんさい」 楓はバツが悪そうに下を向いた。 「お願いだから、たまには電話くらいしてよ楓お姉ちゃん」 「そうね。今度からそうするわ」 「約束よ」 楓は炬燵から手を出すと、すっと小指をたてた。 「指切りする?」 「嘘ついたら、針千本飲んでもうらね」 小指同士が盟約の誓いをたてる為、堅く結ばれると、初音はホット一息ついた。少なくともここ まで足を運んだ目的を果たすことができたから。 「そういえば初音、耕一さんと千鶴姉さんの結婚式は決まったの?」 「まだみたいだよ。婚約してから一年以上立っているのにね。それよりも、楓お姉ちゃんは何時か ら風邪を引いてるの?」 「一週間くらい前からかな」 「ごはん、ちゃんと食べてる?」 初音の問いに、ゆっくりと楓は首を横に振った。 「あまり食欲ないから。果物くらいしか食べていない」
炬燵の上には、木の籠に蜜柑がたくさん盛ってあった。 「一つ食べる?」 初音は楓の差し出した蜜柑を受け取った。 「あ、そうだ」 初音はごそごそと持って来たバックの中から、白いプラスチックの容器を取り出した。 「昨日ね、肉じゃがを作りすぎちゃったの。楓お姉ちゃん、食べられそうに無い?」 容器の蓋を開けると、中身を楓に見せた。タッパの中に入ったジャガイモと牛肉から醤油の良い臭いがした。 「ぐ………」 楓はそれを見た瞬間、素早く口に手を当てた。 「だ、大丈夫、楓お姉ちゃん」 初音の問いに答える間もなく、楓は立ち上げると部屋の奥へと駆け込んだ。 急ぎ容器の蓋を閉めると、初音も後を追う。 「大丈夫?」 トイレの方から嘔吐する音が聞こえてきた。見ると、洋式便座に手を置き、顔は真っ青になっていた。 「ごめんね、楓お姉ちゃん」 初音は姉の背中を優しくさすった。 便器の中はオレンジ色に染まっていた。 「楓お姉ちゃん、本当に蜜柑しか食べていないの?」 まだ吐き気が収まっていないのか、すぐに返事は帰ってこなかった。 「ここ十日ばかり、何も食べられないの」 「ごはんとかパンも?」 楓は苦しそうに頷いた。 「果物とかトマトならなんとか食べられるけど、ごはんは臭いだけで駄目」 「そうなんだ。楓お姉ちゃん、まるで………」 『つわりみたい』と言おうとして、初音は口をつぐんだ。 つわり。妊娠。まさかという思いが初音の頭を駆けめぐる。 「もう、大丈夫よ。初音」 楓は貧血気味にフラリと立ち上がると、再び炬燵のある居間に戻った。
初音も一緒に部屋に戻る。 楓は先ほど剥きかけていた蜜柑を再び手にした 「何か言いたそうな顔ね、初音」 蜜柑の皮を剥く音が、静かな部屋の中に響く。 「言いたいことがあれば、はっきり言ったら?」 楓は皮を綺麗に剥き終えると、実を割り、蜜柑を一房口にした。 「楓お姉ちゃん……」 初音は何か言いかけて、無言のまま再び下を向いた。 それを見た楓が、くすくすと静かに笑い出した。 初音は姉の笑い出した理由が判らず、首を傾(かし)いだ。 「やっぱり、ばれちゃった」 楓は悪戯をした幼子のように笑った。 「何となく悪い予感はしたのよ。初音の顔を見た時」 「どういう事、楓お姉ちゃん」 「今、妊娠二ヶ月目よ」 初音はハッと姉の顔を見つめた。 「本当に? 本当に妊娠しているの、楓お姉ちゃん」 「昨日、産婦人科に行って来たから間違いないわ」 初音は正直耳を疑った。今まで、この姉が男と交際した話など一度も聞いたことがなかった。 初音の動転した顔を見て、再び楓がくすくすと笑いだした。 「あの、楓お姉ちゃん。相手の男の人は、その、お姉ちゃんに子供が出来たの事、知っているの?」 楓はふるふると首を横に振った。 「一人で産むつもりよ」 さも、当たり前のように楓は言った。 「じゃあ、千鶴お姉ちゃんにも言わないの?」 「そのつもりよ。誰にも迷惑をかけるつもりはないわ。こうなると知ってやった事だし」 「本当に一人で産む気なの、楓お姉ちゃん?」 楓は大きく首を縦に振った。
「お金なら或る程度貯蓄があるし、なんとかやっていけると思う」 「そう……」 初音は剥いた蜜柑を口に入れた。 「ねえ、楓お姉ちゃん」 楓は三つ目の蜜柑を取ろうとした手を止め、初音を見た。 「わたし、誰にも言わないから……。その代わり、耕一お兄ちゃんにだけは話してもいい?」 「耕一さんに?」 「耕一お兄ちゃん、ずっと楓お姉ちゃんの事、心配していたよ」 「…………」 「実はね、ここに来る途中まで、耕一お兄ちゃんの車で送ってもらったの」 「え……」 「多分、今、電話で呼べば、すぐに来てくれると思うから」 そういうと初音はポケットの中から、携帯電話を取りだした。 「止めてっ!」 突然、激しい口調で楓が叫んだ。 「お願いだから、耕一さんをここに呼ぶのは止めてっ!」 バンっ! 炬燵の上に置いてあるテーブルを楓が勢いよく叩いた。 「どうして……」 「他の人はともかく、耕一さんにだけは絶対に知らせないでっ!!」 その声は叫びというより、悲鳴に近かった。 姉の突然の豹変に初音は困惑した。 「まさか、楓お姉ちゃん………」 楓は、しまったという表情を顔に出した。 「お腹の子供の父親は………」 初音の問いかけに楓は無言のまま何も答えなかった。その代わり、一粒、また一粒と涙が頬を流れ落ちていった。 静かな室内に、楓の小さく嗚咽する音が満ちていった。 初音はすべてを悟った。 何故姉が突然一人暮らしを始めたのか、何故連絡を途絶していたのかを。
「楓お姉ちゃん。わたし誰にも言わないよ」 初音の頬にも一滴の涙がこぼれ落ちた。 「誰にも言わないから、もう泣かないで、楓お姉ちゃん………」 その後、初音は楓から今までの経緯(いきさつ)を聞いた。 姉の婚約者である耕一と、たった一度だけ過ちを犯した事。さらに、その一度だけで身籠もってしまった事。 そして引っ越した後に、妊娠している事に気づいた事。すべてを聞き終えた後、誰にも話さない事を初音は誓い、 その日は楓の部屋を後にした。 楓の住んでいるアパートから少し離れた場所に、耕一が車の中で待機していた。 「初音ちゃん、楓ちゃんは元気にしていたかい?」 雪を払いながら車に乗り込んできた初音に、耕一は心配そうに訪ねた。 「あのね、耕一お兄ちゃん。楓お姉ちゃんはね、楓お姉ちゃんはね……」 初音は暫く迷った後、こう言った。 「……とても元気だったよ」 この時、耕一にすべてうち明けなかった事を、初音は後になって深く後悔した。 その日は雪も消え、梅の蕾が少しずつ膨らんでいた。 寒かった冬も終わり、春がすぐそばまで迫っていた。 初音はいつものように鉄の階段を昇り、ドアの前に立つと軽くノックした。 「楓お姉ちゃん入るよ」 一言来訪を告げたると、合い鍵をポケットから取り出し、ドアをまわした。 「いらっしゃい。今日は随分と早いのね」 炊事場で洗い物をしていた楓が手を止め、初音を出迎えた。 「気分はどう? 楓お姉ちゃん」 「随分と良くなったわ」 初音が見るに、辛かったつわりが終わったのか、楓の顔色は随分と良くなり、以前に比べ、胸が膨らみ、 体全体が丸みを帯びていた。 「お腹大きくなった?」 「少しだけね」 「触ってもいい?」
楓は首を縦に振ると、シャツと腹帯をめくり初音が触り易いようにお腹を出した。 「動いた?」 お腹に手を当てながら、初音は訪ねた。 「まだ、動くのは先だと思う」 「これからもっと大きくなるんだよね」 初音は無邪気そうに笑った。 「初音、この子の名前決めたわ」 「もう決めたの、楓お姉ちゃん」 「しずり、という名前にしようと思うの」 「ふーん、この子、しずりちゃんていうんだ」 感慨深げに初音はお腹を撫でた。 「産まれてきたら、初音がいっぱい遊んであげるからね」 楓は静かに微笑んだ。 「楓お姉ちゃん、耕一お兄ちゃんと千鶴お姉ちゃんの結婚式の日取りが決まったよ」 「何時になったの」 楓はお腹が冷えないよう、腹帯を巻き直しながら訪ねた。 「九月のね、えーっと、確か……」 初音は壁に掛かっているカレンダーをめくりあげた。 「この日だよ」 初音の指した日は、既に赤ペンで丸がしてあった。 「あれ、楓お姉ちゃん、この印って何?」 「この子の出産予定日よ」 「え、結婚式と同じ日なの?」 「出産予定日といっても、予定通りに産まれることはあまりないわ」 「そう……」 初音は何か、運命の悪戯めいたものを感じた。 「ところで初音、あなた大学の受験はどうたったの? 今年、何校か受験したんでしょ」 「あのね、楓お姉ちゃん。今年は大学に行くの止めたの」 「どうして?」 「その、行きたいところが無かったし………」
初音はすぐにばれるような嘘を口にした。 初音は受験した大学、すべて合格していた。どの学校も昔から憧れていた大学ばかりだった。しかし、 初音はすべてそれらを辞退した。他人には『もっとレベルの高い所に行きたいから』と説明した。無論 本当の理由は、身重の楓お姉ちゃんを見捨てて、都会に行くことが出来ないからだった。 「そう、来年は行きたいところが見つかると良いわね」 楓も事の成り行きを察したのか、それ以上その話題には触れなかった。 その日は掃除洗濯をすませた後、町へ出て雑貨や食料の買い出しなどで一日が終わった。 「また、来るからね、楓お姉ちゃん」 夕日に照らされながら、名残惜しそうに初音が別れの言葉を述べた。 不意に、楓が初音の体を引き寄せ、優しく抱き締めた。 「ごめんね、初音。いろいろと迷惑をかけて」 「別に迷惑なんかじゃないよ。楓お姉ちゃん」 「初音。私になんか構わず、自分為に自分の好きな事をしなさい。私は耕一さんの子供を授かっただけで、 満足だから」 「楓お姉ちゃん……」 「これ以上、私のために自分を犠牲にしないで……」 「違うよ楓お姉ちゃん。犠牲なんかじゃないよ。わたしは好きでしていることなんだから。だって、 これからのお腹が大きくなって、子供が産まれる事を思うだけで、わたし今からドキドキしているんだよ」 楓は何も言わず、もう一度強く抱き締めると、初音の頬にキスをした。 「また来るね」 初音がドアを閉める時、楓は泣いているように見えた。 そして、それが楓を見た最後の姿だった。 一週間後、初音の元に楓から一通の封書が届いた。 それに目を通すなり、初音は家を飛び出し、楓の住むK市に向かった。 「お姉ちゃん、楓お姉ちゃん!」 ドアを叩いても楓の部屋からは何も返事は帰って来なかった。 恐る恐る合い鍵を差し込み、ドアノブをまわす。 部屋の中は、ただ畳みが引いてあるだけで、楓の姿はおろか、家具ひとつ残されてはいなかった。
「楓お姉ちゃんの、バカ〜!」 初音は一声叫ぶと、自分以外誰もいない部屋の中で、永い時間泣き続けた。 「……ね、……つね、初音」 自分の名前を呼ばれている事に気づき、初音はハッと顔を上げた。 「どうしたの初音」 見ると、白いドレスに身を包んだ姉の梓が心配そうに見つめていた。 「う、うん。昨日、結婚式の準備であんまり眠れなかったから」 「そうね、あたしもあんまり昨日は寝ていない」 そいうと、梓は大きな欠伸をした。 千鶴と耕一の披露宴は二人の思いをよそに、恙無(つつがな)く進行していた。 ケーキの入刀も終わり、進行役にそそのかされた新婦の千鶴が、新郎の耕一の口に白いクリームの乗った ケーキを食べさせていた。幸せいっぱいの笑顔を作りながら。 「梓お姉ちゃん」 「なぁに、初音」 「神様がこの世にいるなんて、きっと嘘だよね」 初音は醒めた目で、新郎と新婦を見つめていた。 「だって、神様がこの世にいるなら……」 どうしてこんなに幸せに差があるのだろ。 初音は口から出そうになった言葉をかろうじて飲み込んだ。 千鶴お姉ちゃんと耕一お兄ちゃんには、こんなにたくさんの人が祝福してくれているのに、楓お姉ちゃんは 今頃たった一人………。 初音はお産に苦しむ姉の事思うと、胸が張り裂けそうになった。せめて、自分だけでもそばにいてあげられ なかったのかと痛切に悔やんだ。 宴もたけなわとなり、新郎である耕一が締めの言葉を述べた。これからもよろしくご指導願いますと頭を下げると、会場の中は盛大な拍手に包まれた。 何時までも終わらない万雷の拍手の鳴り響く中、 初音は………、どこか遠くで、 赤子の泣く声を、聞いたような気がした…………。 <終わり>
以上、終わりです テーマ書き忘れました テーマ;『結婚』 > ◆QYKMYbF9AU 割り込みしてしまい申し訳ございませんでした。
422 :
名無しさんだよもん :03/08/27 08:54 ID:ZkbVDMVL
長文うざい
すみません、三十分ほど延長お願いできますか?
じゃあ1時間延長希望してみるテスト・・・。
私も延長お願いしたいのですが、代行が来ないとこの状況に収集がつきませんね。
遅れてすみません。投稿します。 テーマは『耳』で、誰彼、蝉丸が主役です。 タイトルは『闇に閃く鈴の音』 25レスの予定です。
闇。 それは俺にとって世界そのものであり、 その中に反響する空気の震えは、世界の息吹だった。 耳をすませば、風の吹き抜ける音は地形を伝え、 微かな呼吸音はその生物の状態、動きから心理まで教えてくれる。 特にこんな静かな夜は、辺りを取り囲む樹木たちの脈動すら聞こえてくる。 ――いい夜だ。 深い森の中は星明かりすらも閉ざし、俺の中の仙命樹が通常より活性化しているのが分かる。 まるで祭に浮かれる子供だ。 俺は適当な岩の上に腰を下ろし、水筒に直接口をつけ、一口煽る。 月見酒、とはいかないが、これはこれでなかなか乙なものだ。 一般に配給される、ひどく後味の悪い、ただ酔うだけのそれとは違い、質も悪くない。 「俺の勘もまんざらではないな」 む? そういえば、数日前も同じ事を言ったか……。 思わず笑いが漏れた。 ――悪くない。 そう、本当に。闇の中で生きることを義務づけられた俺が、森の闇に紛れて消えてゆく。 しかも酒を飲みながら、だ。 前線で死んでいった戦友たちに比べれば、これ以上ないくらいの死に方だ。 申し訳ないとすら思う。
――カサ。 葉を踏む、小さな足音。僅かな音に抑えてはあるが、意図的に立てられたものだ。 相変わらず、下手な気の回し方をする男だ。 「末長……」 微かに動揺の気配を含んだ声が届く。 距離は30メートルほどあるが、強化兵である俺たちにとっては、 そう会話に不便な距離でもない。 逆にこれ以上近づいたら、間合いに近すぎ、無用な緊張を強いられることになる。 やり合うのは避けられないにしても、 その前に、末期の酒くらい酌み交わす時間はあってもいい。 幸いにして、来てくれた相手は予定通りの人物だ。 「やはりお前か、坂神――」 俺は――目が見えていたときの習慣で――坂神が立っている方向に、顔を向けた。
昭和十×年――。 帝国陸軍特殊歩兵部隊の要、いや、そのものである強化兵。 不老不死、再生能力、あらゆる面で強化された身体能力と、 人間以上の人間を目指して作られた、究極の兵士。 強化兵は、それらの特長をふまえた上で、目的に応じて、多種多様な能力が付与された。 仙命樹の弱点である、水を克服するべく、水中戦に特化した水戦試挑体。 同じく、弱点の日光を克服するべく、太陽の下での能力低下を最低限に抑えた火戦試挑体。 重ねられた試行錯誤と失敗作の山の中から見いだされた、ごく僅かな成功例たち。 その中に、闇戦試挑体(あんせんしちょうたい)と呼ばれる強化兵があった。 本来、闇の中での活動に適した強化兵だが、 闇戦試挑体はその特長を、更に極端に押し進めた調整が施されている。 強化された聴覚は、人が本来認識し得ない波長の音すら聞き取り、 空気のわずかな振動から、周囲の様子を把握する。 また、闇の中での活動を考え、無音活動と気配消失にも長けている。 代わりに日光に対する耐性は、通常よりも低くなってしまったが、想定内には抑えられた。 全ての光が断たれた闇の中で活動する、無音の暗殺者。 それが闇戦試挑体、末長和眞(すえながかずま)と呼ばれる強化兵だった。
初めて末長が強化兵の同士として紹介されたとき、 めったなことでは動じない蝉丸たちの間に、僅かにざわめきが走った。 末長の顔には細かな裂傷がいくつも刻まれ、目は、固く閉ざされていたからだ。 末長は、前線で優れた戦果を残したものの、 炸裂した手榴弾の破片によって視力を失い、後方送りにされた男だ。 だが、その運動能力を惜しんだ上層部によって仙命樹を与えられ、 強化兵として新たな人生を送ることになった。 蝉丸の頬の傷をみれば分かるように、仙命樹による再生は、植え付けられた後の傷にしか機能しない。 視力も同様だ。 そして、光が戻らぬなら、逆に見えなくとも戦える兵士を、 というコンセプトで調整されたのが、闇戦試挑体だ。 実際は、末長という素材を目にした科学者たちが、それを生かす方向で考えた末のものだったのだが。 そのせいか、本来なら白いはずの短髪も、黒く染められ、肌も浅黒い。 やや細身ではあるが、余分な肉はなく、よく引き締まっていた。 自然体であるのに、研ぎ澄まされた刃のような鋭利な雰囲気を、身に纏っている。 その気配に御堂や岩切は過敏に反応し、睨みを返した。 無遠慮に投げつけられる視線をどう感じたかは――あるいは気づかなかったのか――分からないが、 末長はただ、黙って敬礼を返した。
「ずいぶんと無口な男だな、あれは」 脈絡なく岩切が会話を切り出す。 「末長のことか?」 実験装置の故障とかで、岩切同様待機を命じられ、暇を持て余していた蝉丸は、その会話に乗った。 末長が配属されてすでに半月が経っていたが、 その寡黙な口を、必要以上に開かせたものは誰もいない。 「そうだ。我々は訓練を積んでいると言っても、実戦経験は乏しく、 また、前線の状況は分からん。土産話の一つでも、と話をふってみたが――」 「『語るような話はない』、か」 蝉丸にセリフを取られ、岩切は、気にくわない、といった風に口を曲げる。 そして苦々しげに、 「お前もふられた口か」 「いや、御堂がふられるところを見た」 「ふん――。闇戦試挑体の名の通り、陰気な男だ。 洞窟の中にでも籠もっている方が似合っている」 洞窟の奥に籠もって、座禅を組んでいる末長の姿を脳裏に描き、蝉丸は忍び笑う。 20代にしては、達観した雰囲気のある末長には、その姿が妙に似合っている。 もっとも蝉丸も人のことは言えないが。
「自分の目を奪われたんだ。あまり思い出したくもないだろう」 「どうせ奴には、目以上に鋭い耳があるではないか」 「目の代わりにはなっても、目、そのものにはならない。 音は形を伝えても、色までは伝えないしな」 と、蝉丸が取りなそうとしたところを、 「悩んだからといって、また生えてくるわけでもあるまい」 岩切はあっさりと切って捨てた。 岩切の言わんとするところも分からないではない。 大本営から発表される、日本軍の連戦連勝の報。 太平洋も半ばを切り取り、アジアの各地にも日章旗を立てている。 その勇壮な活躍の様を知りたいとは、岩切ならずとも好奇心をそそられる。 だが――。 露骨な物資の欠乏と、過剰なまでの動員令。本当に日本軍は勝っているのだろうか。 その懐疑も好奇心の裏で後押しをしているのだろう。
全き闇の中に、空気を切り裂く音がした。 銀光の閃きすら見せず、冷たい刃は蝉丸の喉を掠め、壁に突き立てられる。 目の前にいるはずの末長は、気配の一片も見せていない。 ただ喉に触れた鋼の感触だけが、蝉丸の敗北を主張する。 蝉丸が両手を上げると、刃がゆっくりと引かれた。 「これで15勝5敗だったか?」 からかうような末長の声は、確かに正面、一メートルと離れていない距離から聞こえてくる。 だが僅かな音も、気配も熱も、まるで感じることができない。 「いや……4敗だ」 ――完全体が、聞いて呆れる。 自嘲しつつも、もしもこれが訓練でなかったら、と、蝉丸の全身に冷や汗が流れた。 末長は優秀な兵士だった。 真に完全な闇という条件を添えれば、強化兵二人を相手に立ち回ることすらできた。 加えて、実戦を経験した者の気迫の違いだろうか、 彼の意志が張りつめたような剣の間合いは結界に等しく、容易には踏み込めない。 そのくせ気配を消そうとしたときには、まるで空気の如く消失し、 目でその姿を捉えながら、その存在を感じられないとあっては、自分の目を疑いたくなる。 日中・水中ではさすがに御堂や岩切に一歩譲ったが、それでも時に一本を奪った。 おかげで御堂にはますます嫌われたが、逆に岩切には認められるようになった。 寡黙なのは相変わらずだが、長くいるうちに少しは馴染み、 興が乗れば、竹で作った短い笛を、吹いて聞かせることもあった。 いっかな戦場のことは、黙して語ろうとはしなかったが。
ある夜、蝉丸は夜間監視訓練もかねて、研究所の警備を命ぜられた。 同じ強化兵ならともかく、ただの人間が無防備に侵入したなら、 寝ていてもその気配を蝉丸達は察知できるだろう。 だが生真面目な蝉丸は、丁寧に気配や物音に注意を払いながら、研究所周囲の警戒に当たる。 深まった秋の夜空に虫の音が響いていた。 その演奏を邪魔しないように、蝉丸はそっと足を運ぶ。 塀の外を半周したところで、蝉丸が伸ばした感覚の縁に、何者かが触れた。 ともすれば見過ごしそうな、虫のごとく小さな気配。 それはすでに研究所内に忍び込んでいた。 すわ侵入者かと、蝉丸も同様に気配を殺し、間合いを計って塀を跳び越えた。 読み通り、音もなく降り立ったその正面ちょうどに、侵入者はいた。 その姿を認め、緊張を孕んでいた蝉丸の顔が、たちまち呆気にとられる。 窓ガラスの向こうに立っていたのは、手に酒瓶を掴んだ末長だった。 末長は悪びれもせず、「一緒にどうだ?」と言わんばかりに酒瓶を見せた。
「……何をしている」 呆れたような蝉丸の口調に、末長は苦笑する。 「このところ、酒もろくに回ってこない。なら、自分で手に入れるしかあるまい」 「こっそりと倉庫から持ち出して、か?」 「ここは給料は出ても、買いに行く店もないからな」 研究所のある島は海底洞窟で陸地と繋がっているが、気楽に行き来できはしない。 存在そのものが軍事機密である彼らはなおさらだった。 末長は窓をくぐり抜け、塀の外を顎で指して、促す。 「見つかったのも何かの縁だ、つき合え」 「哨戒任務中だ」 「少しばかり離れても、接近してくる者の気配は掴める。今、お前がやったようにな」 「――お前はもう少し、固い男だと思っていたが」 「お前に言われるほどでもない」 そう言って、喉の奥で笑う。 蝉丸は顔をしかめたが、やがてその口から出た返事は、 「俺と飲んでもつまらんぞ」 それを末長は肯定の意と受け取った。 「ただ酔いたいだけの夜には、そういう相手の方がありがたい」 末長の口調に、なにか共感する物があったのか、蝉丸は無言で後に続いた。
二人は少し離れた断崖で腰を下ろし、月明かりを浴びながら酒を酌み交わす。 一口含んで、予想よりもはるかに豊潤な味わいに、蝉丸が目を見張った。 「……上物だな」 「ふむ、俺の勘もまんざらではないな」 ラベルを確かめることもできぬ末長は、 倉庫から適当に抜き出してきたのだが、大当たりだったようだ。 蝉丸はじっくりと舌の上で味わい、染み入るような熱さを楽しむ。 「支給品とはえらい違いだ。少し岩切にも分けてやるか」 「よせよせ。女などにこの味が分かるものかよ」 「そうでもないぞ、あれは意外といける口だ。――悪酔いするがな」 「ほう? 酔うと脱ぎでもするのか?」 「いや、ひどく絡む。愚痴上戸でな」 いかにもそれらしい岩切の酔い様を想像し、末長は声を立てて笑った。
程良く酔った末長は、例の竹笛を取りだし、短い曲を吹く。 聞き覚えのある曲だ。 歌詞は思い出せないが、寂しげな音色には郷愁を掻き立てられる。 虫たちが遠慮するように黙り込む。風すらも吹くのを躊躇しているようだ。 静まった夜に、静かな笛の音が、暫時響き、掻き消えるように終わった。 途端、拍手をするようにキリギリスたちの鳴き声が、響き始める。 「俺は音楽はよくわからんが……なかなかに達者だ」 「大したものでもないさ。が、退屈しのぎの余興程度にはなる」 末長は、ひょいと無造作にキリギリスをつまみ上げた。 驚くべきことに、キリギリスは指の上で何事もなかったかのように鳴いている。 岩のように、気配を自然に溶け込ませているからこそ、できる芸当だ。 末長は指を弾いてキリギリスを逃がすと、頭の後ろで手を組み、寝転がる。 シンとした静けさが二人の間に横たわった。 末長はしばらく無言のまま月の光を浴びていたが、酒の効果か、滑らかに唇が滑り始めた。 「――戦場には娯楽もなにもない。ただ、戦いと、そのための準備があるだけだった。 飯も、山野の踏破も、塹壕堀も、全てが生き伸びるためのもがきだった。 なにも考えず、その日一日を生きて終えることだけに、必死になった。 泥をすすり、足を引きずるようにして、刃と銃弾の驟雨をかいくぐった。 戦況は少しずつ悪化し、補給は断たれ、後続の軍は来ない。 環境は日本とはまるで違い、凄まじい熱さと湿気、突如叩きつけてくる雨。 虫や蛭は絶え間なく襲いかかり、少し体調を崩せばたちまち病にかかる。 なんでこんな思いをするのだろうと、誰もが一度ならず考えた。 だけど俺たちは――逃げようと言う気は起きなかった」
何故だか分かるか? と言いたげに末長は蝉丸の方を向いた。 だが、蝉丸が無言のままでいるので、続けて語り始める。 「逃げても行き場などなかったのは事実だ。 だが、それ以上に俺たちは……この国を守りたかった。 国を、家族を、そこに生きる人々を守るために、命を懸け、死んでいった。 坂神――お前はこの国が好きか?」 唐突に振られ、一瞬蝉丸は動揺する。 が、やがて噛み締めるように、一語一語はっきりと、語り始める。 「ああ……俺は、この国が好きだし、この国のために戦いたい。 世界の広さから見ればちっぽけな島国かも知れないが――美しい国だと思う。 命を懸けて守るに値する、祖国だ。 だから、軍に志願した。今は戦場に出ることは叶わないが、いずれ、俺も――」 戦場に立つのだろう。かつての末長のように。 「ふむ、立派な志だ――だが、それだけか?」 意味ありげに末長は笑う。 その意図を察した蝉丸は、だが、顔を赤らめもせず、 「――守りたい人がいる。そのために、俺は強くなりたかった」 真顔で言い切った。 そう来られては、末長も苦笑するしかない。 蝉丸と光岡は、とあるご令嬢との恋仲を噂されてはいたが……、 どうやら本気も本気らしい。 「そうか、なら――お前は生き延びろ」 不意に末長は立ち上がった。 「……末長?」 「国のために死ぬのは、俺たちだけでいいということだ」 「何を言っている?」 末長は閉ざされた目蓋をこちらに向け、戸惑う蝉丸を黙らせる、決定的な一言を投げる。 「――日本は負けるぞ、坂神」 その言葉は氷の刃のように、冷たく、鋭く、蝉丸の心臓を貫く。
――負ける。 それは心のどこかで可能性として考えてはいた。 だがけして口に出すべき言葉ではないし、そんな未来が来ると信じたくもなかった。 しかし末長はあまりにも断定的な口調で、容赦なく告げる。 信じたくないのに信じざるを得ない、そんな説得力を持った口調で。 呆然としている蝉丸の横を、末長が通り過ぎる。 「……末長っ」 声をかけた途端、末長の足が滑った。いや、力が抜けて崩れたのか。 蝉丸は即座に反応して、体を支える。 「とっとと……すまんな」 末長は先ほどまでの雰囲気はどこへやら、ごまかすように笑っている。 「飲み過ぎだ」 「そうだな……それにいささか喋りすぎたようだ。忘れろ」 あれだけのことを言っておいて、忘れろもないものだが、 さりとて、常時頭の中に留め置くには、重すぎる発言だった。 「……ああ」 蝉丸は憮然と答えた。
翌日から、末長の姿が見えなくなった。 彼らは、一堂に会して顔を合わせるということは意外と少ないのだが、 末長と会ったものが誰もいないのは、あまりにも不自然だった。 あの不吉な言葉と相まって、嫌な予感が蝉丸にのしかかる。 悶々とした一週間が過ぎ、蝉丸は意外な形で末長の名前を聞いた。 「末長を、捕らえろ……と?」 上官は苦々しい表情を隠そうともしなかった。 「そうだ。末長は今朝未明、この研究所より脱走した。貴様等強化兵は存在自体が機密事項。 脱走はすなわち、重大な機密漏洩となる。 いかなる手段を持ってしても、末長を連れて帰ってもらう。最悪、死体でもかまわん」 その、妙に突き放した物言いが蝉丸の癇に障ったが、選択権はない。 「――了解しました」 敬礼すると、末長が潜伏していると思しき地点の地図を差しだされる。 赤く印を付けられた地点は、樹海と言ってもいいほど、深い森の中だ。 末長がこの中に紛れ込めば、容易に捕らえることはできないだろう。 「なぜ、この場所にいると?」 「その森に怪しい人影が入っていったと、今朝方報告があった」 答えは簡潔だったが、それだけに疑問が募る。 難しい顔をした蝉丸を見て、上官が寛大にも、 「一人では厳しいだろう。跋扈の剣の使用許可と、部下を二人まで同行を許可する」 大盤振る舞いに近い権限を与えるが、蝉丸はあっさりと首を横に振る。 「……部下はいりません。代わりに用意していただきたい物があります」
夜半過ぎ。仙命樹が本領を発揮する深夜になって、蝉丸はその森の中に踏み込んだ。 探索と言うほどでもない。 僅か十分ほど彷徨っただけで、あっさりと末長の気配を発見する。 罠や小細工の存在をまるで懸念せず、蝉丸は真っ直ぐにそちらへと向かった。 すぐに、程良い大きさの岩に腰掛け、酒を煽っている末長が見つかる。 気づいていないはずはないだろうが、あえて蝉丸は気配と音を発する。 「やはりお前か、坂神――」 末長は笑った。 やはり――、と、蝉丸も思う。 あまりにも不自然な目撃報告に、こうも露骨に気配を発散していては、 見つけてくれと言うようなものだ。 そう、見つけて欲しかったのだ、末長は。 木々が鬱そうと茂り、昼間でもなお暗いこの場所は、末長のホームグラウンドだ。 この状況下で勝つ可能性のある強化兵は、完全体と呼ばれる蝉丸か光岡か。 だが光岡は昨日から調整処理に入っている。 ここまで来れば、推理と呼べるほどの物でもなく、蝉丸が来ると分かる。 一人で来ることも、末長の予想の範囲内だった。 そういう男なのだ、蝉丸は。
「どうだ、一杯?」 先日のように、酒瓶を掲げて末長が誘う。 「任務中だ」 「相変わらず固い男だ」 「酒量が増えているようだな、何があった?」 「さて……な」 末長が喉の奥で笑う。やけ酒のように酒瓶を煽った。 「では質問を変えよう。――なぜ、逃げた? 日本の行く末に絶望でもしたか?」 「ほう。ではお前は絶望しないと言うのか?」 揶揄するような物言いは、蝉丸の質問をはぐらかしていたが……蝉丸はそのままに答える。 「俺は強化兵だ。 悠久の時を生き延び、あらゆる敵を打ち倒すために作られた、最強の兵士だ。 ただ求められるのは勝利のみ。そのために修練を積み、肉体の改造にも耐えた」 「いくら強いと言っても、人一人のできることなど限界があるものだ。 強化兵とて、無敵でも不死身でもない」 「――仮に俺が倒れても、次代を担うものが俺の代わりに戦うだろう。 意志が継がれる限り、それは俺にとって敗北ではない」 「さて、それはどうかな?」 末長が立ち上がった。 「どういう意味だ?」 思わず蝉丸は一歩下がり、身構える。 「お前に敗北を教えてやる。そういうことさ」 完全に本気の目をしていた。気配が、闇の中に溶け込んでゆく。 「待て、末長――」 末長は酒瓶を投げた。 「問答無用だ」 ガラスの砕ける音が、戦いの合図となった。
ほとんど予備動作を見せず、末長が横に飛んだ。 無数に立ち並ぶ木々の合間に一瞬その姿が掻き消えると、もう居場所が掴めない。 樹齢数百年に及ぼうという木々の群は、人一人を隠すには十分すぎた。 蝉丸は跋扈の剣をいつでも抜き放てるよう腰に構え、じっと末長を待った。 僅かな気配をも逃さぬよう神経を張り巡らせるが、相手はあの末長だ。 捉えきれるかどうか、自信はない。 だが、いざとなったら自分の腕の一本を犠牲にしてでも――、 そう考えた瞬間、意識するよりも早く体が動く。 ほんの一瞬前まで立っていた地点を、末長の長刀が通過した。 風を切る音は後に聞こえた。 痛みはさらにその後からやってくる。 半身になって致命傷は避けたが、背中を切られていた。 反射的に刀を振るったが、すでにその時には末長は跳躍し、再び森の中に消える。 「――浅かったか」 余裕すら窺える呟きだけ、その後に残して。 ――ぞっとした。 どこから現れたか、殺気の発する最後の一瞬まで、まるで掴めなかった。 そして今、末長の気配は完全に消えている。 分かり切った事だった、が、予想以上に手強い相手だった。
しばらく、同じようなやりあいが続いた。 だが末長の攻撃は致命傷にはならず、仙命樹によってたちまちその傷は癒される。 確かに出血と共に、蝉丸の仙命樹を損なってはいるのだが、 このペースでは倒すまでに相当の時間がかかるだろう。 ぐずぐずしていたら夜が明ける。日が昇れば末長には勝ち目は薄い。 そう蝉丸が考えた通り、末長はテンポを上げてきた。 一撃ごとに隠れるという戦法は取らず、ヒット&アウェイを繰り返す。 反撃を喰らう恐れはあるが、手数を増やすことで確実に蝉丸を追いつめてゆく。 蝉丸の体には無数の傷が刻まれ、紅が全身を染めた。 その一部は、返り血となって末長にも付着した。 「――む」 蝉丸の攻撃が、末長を捉え始めた。 その刃はまだ末長には届いていないが、反応が早くなっている。 明らかに気配を見切られていた。 背後からの、完璧に気配を消したはずの一撃に、蝉丸は即座に反応し、刃を振りかざす。 軋るような金属音が弾け、刃がかみ合い、鍔迫り合いになる。力はほぼ互角だった。 一瞬でも力を抜いたら切られる、そんな最中に問いかけた。 「――なぜ、分かった?」 蝉丸も全身に力を込めながら、答える。 「お前の気配は見切れない、が――俺の匂いなら分かる」 「……なるほどな」 蝉丸の血で赤く染まった自分の体を見て、納得した。 刃を弾き合い、距離を取る。 長い戦いの中で、初めて姿を見せて相対する。 「少々長く時間をかけすぎたか」 無敵でも不死身でもないが、限りなくそれに近い強化兵ならではの戦法だった。
さて、どうしてくれようかと末長がしばし悩むすきに、 蝉丸が、無言で懐から布包みを取り出した。 まかれていた紐をほどくと、そこには短く切られた竹が並んでいた。 十数本はあるそれを蝉丸は手に取り、投擲した。 甲高く風を切る音と、涼やかな鈴の音が宙を切った。 「――鈴!?」 末長は眉を跳ね上げつつ、それを躱す。 短く切った竹の節には、後ろに紐で鈴が繋がれていた。 竹にも――末長の笛のように――音が鳴るように、わざわざ穴が穿たれている。 音がする分、かわすことは容易い。 が、蝉丸が続けざまにそれを投げると、無数の音が反響し、距離感が狂わされる。 地面に突き立ったものも、木に刺さったものも、すぐには音は消えない。 末長は舌打ちした。 音の情報量が増大し、周囲の情報を含んだ微細な音が掻き消される。 記憶と勘を頼りに、末長は回避を繰り返すが、一本、避けきれずに脇腹に突き刺さる。 「ちっ――」 傷としては大したことはないが、猫ではあるまいし、 鈴などつけられてはたまったものではない。 末長は引き抜き、地面に叩きつけると――金属のピンを抜く音が微かに聞こえた。 ――手投げ弾!? 僅かな間をおいて、爆音が空気をなぎ倒してゆく。 その最中に狂ったように鈴の音が響いた。 距離も、上下も、風景も、あらゆる情報が末長から奪われてゆく。 膨れあがった爆風が、末長を吹き飛ばした。
爆風によるダメージは大したことはなかったが、吹き飛ばされ、バランスを大きく崩す。 ――まずい。立て直せ。いや、一旦距離を取り、鈴の範囲から抜け出さねば――。 遅かった。 真上に現れた蝉丸の気配に気づいたときには、 跋扈の剣が容赦なく末長の左腕を肩から切り落としていた。 「ち――やられたな」 大量の血液と共に、その内に潜む仙命樹が失われてゆく。 彼らにとって、これは致命傷にはならないが、敗北は避け得なかった。 「末長――」 「そんな顔をするな」 見えもしないのにそんなことを言う。 「俺は全力で戦い、破れた。最後に兵士として戦い、死ねる。 最上というわけではないが、悪くはない」 「死を選ぶ必要はない。俺たち強化兵は軍にとって虎の子だ。 今戻れば、処罰はうけるだろうが、殺されると言うことは――」 「そうじゃない」 末長は蝉丸の言葉を遮り、顎をしゃくった。 切り落とされた末長の腕が、泡を立ててふくらみ、腐り、ねじれるように消えてゆく。 「――これは」 「俺は失敗作だった、と言う事さ」 自嘲気味に末長は笑った。
「持ってあと十日、と言ったところだ。 だが、切り刻まれて保存されるのは性に合わん。同じ死ぬなら戦って死にたいものさ」 「しかし――」 「どうにもならんことだ」 そう言う末長の表情には、微かに蝉丸への羨望が混じっていたかも知れない。 「それに、どうせ俺はずっと死に場所を探していたようなものだ」 「死に場所?」 「日本へと帰る飛行機の中で、俺の部隊が全滅したという報告を聞いてからな」 もともと悲惨な状況で戦っていた彼の部隊は、末長を欠き――、 いや、彼がいたとしても、いずれにせよ長くは保たなかっただろう。 そういう戦況だったのだ。 「光を失った俺でも、少しは最後の奉公ができるかと、強化兵に志願はしたが…… やはり役立たずはどこまで行っても役立たずか」 「末長――」 末長は同情はいらぬとばかりに首を振る。 「お前達と過ごした一月ほどの期間――悪くはなかった。だが俺は、やはり戦場で散りたい。 最後に貴様と戦い、兵士として死んでゆくことができる。俺は――満足だ」 「勝手なことを」 苦々しげに蝉丸が吐き捨てる。 「確かにお前にはいい迷惑だったな――迷惑ついでに、もう一つ頼もう」 「なんだ」 毒を喰らわば皿までの心境で、蝉丸は聞き返す。 末長はさらりと、飲もうと誘ったときよりも軽い口調で言った。 「俺を殺せよ、蝉丸」 末長は初めて名前で蝉丸を呼んだ。
「お前が言ったな、意志が継がれる限り、それはお前にとって敗北ではないと」 「――ああ」 「ならば、俺の意志を継げ。お前は兵士として戦い、生き延びろ。 俺のように中途半端に戦死するんじゃないぞ」 蝉丸は沈黙した。 末長は、じっと蝉丸の決断を待った。 時間にすれば一分ほどだろうか、短いが、やたらと重苦しい時間が流れる。 風すらも二人の邪魔をしまいと、おとなしくしている。 蝉丸はようやく頷いた。 「分かった」 むしろ末長は、穏やかな笑みさえ浮かべ、頷いた。 「それでこそ帝国陸軍特殊歩兵部隊、強化兵だ」 末長は足を組み、背筋を伸ばし、背を向ける。 蝉丸は、跋扈の剣を頭上に構えた。 紅が飛んだ。 そして、五十年が過ぎた。
キリギリスが鳴いていた。 鈴を思わせるその音が、耳に快く聞こえる。 「あーっ、逃げられちゃったぁ」 捕まえようとした月代が、逃げられ、悔しそうに口を尖らせている。 「近づき方が悪い。気配を殺し、虫を逃すまいとして、音を殺そうと力むから、逃げられた」 「気配を殺すなんてできないよ。蝉丸、できるの?」 「……やってみる」 俺はできうる限り気配を消し、そっと近づく。が、 「あっははは、しっぱーーーい」 邪念があったのだろうか、逃げられた。 俺もまだまだだな……と自嘲し、こういったことが得意だったある男の顔を思い出す。 五十年の時を経ても、鮮明にその顔は浮かび上がった。 俺が初めて手をかけた男だ。 「あの男ならば、この程度容易くやってのけたろうにな」 「え、誰? 誰のこと?」 俺は答えず、ただ、月を見た。 酒を飲むには頃合いな、美しい月の輝きが、夜空を満たしていた。
>>428-450 『闇に閃く鈴の音』でした。
お待たせして申し訳ありません。
お詫び代わりに、よろしければ自分が代行しようと思います。
とりあえず
>>424-426 さんたちは何時まで延長希望なのか、正確にお願いします。
その時間になったら、再び確認に来たいと思うので。
トリップにRRがはいっとる……(;´Д`)
>>451 私は今回辞退することにします。
ありがとうございました。
それじゃあ遅れましたけど、9レス予定で。 『THE GARDEN OF EVERYTHING』
白く大地を覆う雪の下に深く根を張り、長い冬をじっと耐えていた多年草の小さな花。 その小さな命を輝かせる季節が訪れた。 春。 丘を駆け下りてきた天野美汐は、曲がり角にある小さな雑貨店の軒先で息をついた。 パラパラと降り出していた雨は次第に大粒になり、側に立っているプラスチックの看板を叩いている。 ハンカチを取り出して服に付いた水滴を拭い、美汐は空を見上げた。 雨はまだやみそうにない。 ふうっと一つため息をついて店内を見渡した美汐の目に留まったのは、棚に無造作に置かれたスポーツ紙。 昨日、相沢祐一が熱っぽく語っていた海外サッカーリーグの優勝決定戦の話を思い出す。 何気なく手にとって見ると、その決定的瞬間が派手な見出しと共に大写しになっていた。 「へえ、天野もそんなの興味あるんだ?」 と突然後ろから声がした。 「えっ?」 美汐が驚いて振り返ると、祐一がなにやらニヤついた顔で覗き込んでいる。 「あ、相沢さん、いつからいらしたんですか?」 「だいぶ前、丘に行こうとしたら雨が降り出したんでな」 「私は帰ろうとしたところで降られてしまって……」 「ふーん」 まだ妙な笑顔を浮かべたままの祐一。 「いやあ、それにしても驚いた」 「何がです?」 「天野がそんな記事に興味があるとは思わなかった」 「え?あ、これは相沢さんが昨日おっしゃってた……」 と言いかけて、美汐は祐一の真意に気が付いた。 サッカー記事の下には小さく「野外Hスポット」なる見出しの、 いかにも劣情をそそるような記事が載っていたのだ。
一気に耳まで赤くなる美汐。 「な……」 (なぜこんなものが平気でサッカー記事と並んで載っているんですか) (スポーツ新聞ならスポーツの記事を載せるものではなかったんですか) (ということはこれもスポーツなんですか?) 美汐はすっかり動転している。 「こ、これは違うんですっ、野外でなんてとんでもありませんっ、あ、だからそういうことではなくて、 私はその、サッカーの、野外の、あの、だからその……」 「ハハハッ、わかったわかった」 滅多に見せようとしない美汐の慌てぶりを見ては、祐一もからかわずにはいられない。 「で、天野のお薦めスポットはどこなんだ?」 「だから違いますっ!」 思わず大声を出してしまってから、必死で笑いを堪えているお店の人に美汐は気づいた。 次の瞬間、火が出そうなほど真っ赤な顔で外へ逃げ出す美汐。 雨はいつの間にかやんでいた。 「やっぱ外の空気はいいもんだなあ、なあ天野?」 わざとらしく美汐に呼びかける祐一。 美汐はふくれっ面でスタスタと歩き出した。 いかにお人好しの美汐でもここまでされれば、からかわれていたことはわかる。 当分あの店には入れそうにない。 「天野、もう帰るのか?」 「帰りますっ」 「まあ待てよ、一緒に帰ろう」 祐一が小走りで追いつこうとすると、 「相沢さんは今から丘に行くのですよね、ではごきげんよう」 顔も見ずにそう言って、美汐はさらに足を速めた。 「待てってば天野、悪かったって」 「いいんです、もう相沢さんとは絶交ですっ」
言ってから「しまった」と美汐は思ったが、 (これぐらい言わないと絶対また意地悪するんですから) と自分に言い聞かせる。 ここで訂正なんかすればよけいにからかわれるだけだ。 (相沢さんが悪いんですから) (きちんと謝るまでは許してあげるものですか) 肩をいからせてずんずんと大股で歩いて行く美汐。 これには祐一も慌てて謝りに飛んで来る、だろうと思いながらしばらく歩いていたが何の反応も無い。 歩くのをやめてそっと振り返ってみると、祐一も少し後ろで立ち止まっていた。 顔は青ざめて表情が無い。 どうやら「絶交」という言葉を真に受けてしまったらしい。 すぐにでも許してあげたい気持ちを意味も無く抑え、わざと冷たい口調で美汐は言った。 「相沢さんは、私の気持ちを考えたことがあるんですか?」 祐一は無言で唇を噛んでいる。 考えたことが無かった。 気がつけばいつもそばで自分を支えてくれていた存在。 それが当たり前だと思っていた。 いつもそうだ。 知らぬ間に人を傷つけている。 何を言っても美汐を傷つけてしまう気がして、祐一は何も言えずただそこに立ちつくしていた。 美汐は祐一の言葉を待っていた。 一言謝ってくれればいつものように笑い合えるのに。 重く冷たい空気が覆い被さる。 「私はいつだって……相沢さんのことを……」 つぶやく美汐の最後の言葉は風に飲み込まれ、二人の間に広がる暗闇の中へ消えていった。
家に帰り、自分の部屋に戻ると同時に美汐はベッドに突っ伏した。 「これではまるで逆夢ね」 誰に言うともなく一人つぶやく。 昨日の夢を思い出していた。 あの子に手を引かれ、ものみの丘に連れて行かれる美汐。 そこに待っていたのは祐一。 夢の中では何でも言えた。 いくつも言葉を交わし、抱きし合い、キスをした。 突然祐一から声をかけられてあれほど動揺したのは、こんな夢を見たせいかもしれない。 しかし、楽しい夢であればあるほど現実の苦しさが増すだけだった。 どうすればいいのかわからないまま、その晩美汐は遅くまで電話の側にうずくまっていた。 一方の祐一は夕食もろくに食わず、自分の部屋へ閉じこもったきり出てこない。 「お母さん、祐一どうしたの?」 「どうしたのかしらねえ?」 名雪と秋子が顔を見合わせる。 翌朝も祐一はほとんど無言で食事をとると、すぐに家を出た。 が、程無くして祐一の落ち込んだ原因は名雪の知るところとなる。 正確には名雪と香里と北川の三人だ。 いつも美汐と二人で昼食をとっていた祐一が、この三人と学食にやってきたのだ。 いつも以上に冗談を飛ばして明るく振舞ってはいるが、どこか無理してる感じがある。
「おい、相沢の奴、あの二年生の子と何かあったのか?」 祐一が席を外した隙に、北川がさっそく名雪に尋ねてきた。 「うん、昨日から様子がおかしかったんだけど、何があったかは私にもわからない」 「ひょっとしてフラレた?」 「あら、それは無いと思うわよ」 横から香里が口を挟む。 「さっき廊下でその子見たもの」 「どういうこと?」 「相沢君に会いに来たような素振りだったのに、彼を見たら逃げて行ったわ。 おおかた喧嘩でもして、なかなか仲直りできずにこじれちゃってるのね」 さすがこういうことには鋭い香里だ。 「どうしよう……」 「名雪が困っても仕方ないでしょ」 「それはそうだけど、でも……」 「まあ、俺たちにできることがあればいいけどな」 「そうねえ……」 「修学旅行?」 戻ってきた祐一が名雪に聞き返した。 「違う違う、私と、香里と、北川君と、4人で遊びに行くの」 「急な話だな」 「だって夏からはもう勉強しないとだよ?これが最初で最後のチャンスだよ」 「やな事思い出させるなあ……で、どこ行くんだ?」 「うん、当日香里が決めるって」 「そりゃまたずいぶんと無計画な」 「大丈夫よ、悪いようにはしないから」 香里がポンと胸を叩く。 「どういう意味だよ」 「言葉通りよ」 こう言われては祐一も納得するしかない。
(……で、どうして天野がここにいるんだ?) 待ち合わせ場所にいたのは所在無さげに立っている美汐一人だけ。 一瞬引き返そうかと思った祐一だが、そういうわけにもいかない。 「あ、天野、名雪たちは見なかったか?」 思い切って聞いてみた。 美汐はハッと祐一の顔を見た後すぐにうつむき、 「あ、あの、私は水瀬さんにこれを渡してほしいと頼まれてしまって……」 と言って祐一に手紙を差し出した。 「名雪が?」 ここまで来ればさすがの祐一も大いに怪しむところだ。 手紙には案の定「計画は変更だよ、美汐ちゃんと一緒に楽しんで来てね」などと書いてある。 そんな簡単に言われても困る、と心の中で突っ込む祐一。 何をどう言えばいいのかまるでわからない。 あれからずっと考えていた。 でも、考えれば考えるほど自分の愚かさを噛み締めるだけだった。 それでも―― それでも言わなくちゃいけない。 自分にできることをするしかない。 「天野」 一言一言に懸命に想いを込める。 「俺は天野に謝らなければいけない」 美汐はうつむいたまま耳を傾ける。 懸命に想いを受け留めようとしていた。 「俺はこんな性格だから、天野に嫌われたってしょうがない」 (違う!嫌ってなんかいない!) 思わず叫びそうになる美汐。
「けど、天野がいたから今の俺はいる」 祐一が言葉を続けた。 「そのことには、深く深く感謝している」 語尾が少し涙声になった。 「それだけはわかってほしかったから」 そう言って祐一は美汐に背を向けた。 「それじゃあ」 帰ろうと一歩足を踏み出した時、美汐が顔を上げて叫んだ。 「どうしてもっと早く言ってくれなかったんですかっ」 美汐も目には涙を浮かべている。 「これだから相沢さんは、私の気持ちなんかちっともわかってないというんですよ」 でも、笑顔だった。 「おかげで嬉しいお話は聞けましたけど」 「え……?」 「絶交なんて嘘ですよ、あの時一言でも謝ってくれれば許してあげるつもりでしたのに」 「そ、そうか、なんだあ……」 祐一はため息をついて空を仰いだ。 空は快晴、絶好の行楽日和だ。 「どこへ行くとも決まってないから変だと思ったんだ」 「はい?」 美汐も名雪の手紙を見せてもらう。 そして顔を赤らめた。 「私も変だと思いました」 「あ、あいつらまさかその辺で見てたりしないだろうな?」 慌てて二人でキョロキョロ辺りを見回すが、その気配はどうやら無さそうで安堵する。
「じゃあ、どこに行こうか?」 「え?」 「あ、いや、あいつらの計画はどうでもいいんだけどさ、せっかくだからその……」 さりげなさを装っている祐一だが、まだ笑顔が微妙にぎこちない。 「そうですねえ……私、お花見に最適なところを知っていますよ」 「あの丘か?」 「ええ、あの時がちょうど咲き始めの頃でしたから」 「そういや、あの時俺は丘までは見てないな」 「フフ、そうでしたね」 美汐はようやくいつものように笑い合えたような気がした。 暖かな春の風が吹き抜けていった。 「そう言えば、天野はどうしてあの丘にいたんだ?」 「あ、それは……あの子と会ってから3ヶ月になるんだなって思って、なんとなく」 「ああそうか、天野と会った日でもあるんだったな」 「ええ、私にとっても忘れられない日ですから」 「俺も、あれは“結婚記念日”と言えるのかな?」 祐一の言葉に美汐の表情が暗くなる。 「そんな日にあんなことを言ってしまって私……」 「あれは俺が悪いんだって。それに今日こうやって二人で行けるんだからいいじゃないか」 ポンと美汐の肩を叩いて祐一が微笑む。 「ええ」 美汐の表情も少し和らいだ。
丘に着くと、薄桃色のアーチが二人を出迎えてくれた。 花見客も結構訪れるちょっとした桜の名所になっている。 「あいつは春が好きだったから、花見になると喜んで来るかもしれないな」 「そう言えば、あの子も春が好きでしたね」 「帰って来たら、花見も、縁日も、海水浴も、月見も、全部やらないといけないな」 「私の場合は結婚式もやらないといけませんか?」 「えっ?いや、だって、あれは……」 「冗談ですよ」 美汐がいたずらっぽく笑う。 美汐の冗談は本気との区別が難しいからやっかいである。 桜を見ながら自販機で(店の中には美汐が入ろうとしなかった)買ったお茶を啜るだけの花見。 しかし話はつきなかった。 楽しい時間が過ぎていく。 昨日までのいさかいがまるで嘘のようだ。 ふと、向こうで仲良く花見をしてる老夫婦を見て祐一が、 「ひょっとして、この二人も昨日まで喧嘩してたりして」 と言った。 「ひょっとするとそうかもしれませんね」 と美汐は微笑んだ。 柔らかな春の日差しが二人の笑顔を照らし出していた。
えー、
>>424 さんはよいのでしょうか?
とりあえず、11時半まで待ちますね。
なお、最大延長期間はHMX73059.I ★氏の要望に従い、本日正午までとします。
要望がなければ11時半に締めきろうと思います。
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【告知】
ただ今をもって、投稿期間を終了させていただきます。
参加された書き手の皆様、どうもご苦労さまでした。
それでは、これから感想期間に入ります。
投稿された SS について感想、討論などをご自由に行ってください。
期限は 9 月 3 日の午前 10:00 までとさせていただきます。
#進行役◆HMX73059.Iがアクセス規制で書き込みできないため、
#進行役の依頼に基づき、代行で終了宣言します。
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以下が、今回投稿された作品一覧です。
>>271 過去のテーマ(誰彼?)
>>295-319 いつかなくしたもの、だけど見つけたもの、そして再び会えた人(雫&?)
>>350 旅路の果てに(うたわれるもの&?)
>>353-361 Runner(ONE)
>>364-381 夢の迷宮(痕)
>>385-407 みさきとメイドロボの微妙な関係(ONE&To heart)
>>410-420 神様なんていやしない(痕)
>>428-450 闇に閃く鈴の音(誰彼)
>>454-462 THE GARDEN OF EVERYTHING(Kanon)
------------------------------
以上、九本です。皆さんお疲れさまでした。
あれ、書き込んでから気づいたけど……感想期間は2週間だったような。(
>>261 )
でもこれHMX氏のテンプレコピペだしなぁ……HMX氏の帰還を待とう。
では失礼。
乙〜。 そして、あぁもう! 締切日を勘違いしていて悔しいなぁ! せめて感想は一番乗りで。 >271 よくがんばった! このネタきっと来ると思っていたけど、豪快だね。 >289 カワイ〜!んだけど、 う〜ん、ごめんなさい。誰だかわかりません。 つかさあ、ここはSSスレだからAAのみはちょっと(w >295-319 「いつかなくしたもの、だけど見つけたもの、そして再び会えた人」 いい趣味してますな(w 自分は18禁いまいち……な人間なんでその部分の評価はできないけれど、 そこを除いても興味深く読めた。 本編のプレストーリーとしても十分に成り立っているし、キャラもよく書けてる。 瑠璃子さんとかはるかとか、普段はあまりタッチしないキャラなんだけど、それだけにこうして彼女らのエピソードを読むのは面白い。 特にこれといって文句の付け所がないす。 ひとつ要望するなら、せっかくの百合ものなんだから、もう少し禁忌というか背徳の匂いがほしいなぁ、と。ゴメン、自分の趣味。
>328 「夢」 こうやって見ると、やはりイメージ作りが上手いよなぁ……。 >350 「旅路の果てに」 笑いました。 つーか、チョイマテ。その手は反則〜〜。 とりあえずここまで。 最終日に投稿されたものはまた今度(というか都合で一週間以上後になっちゃう)に。
お、どうやら規制解除されたようです。
この度はご迷惑おかけしました。
◆UorrRRuJp.さま、ご協力ありがとうございました。
そして
>>466 その通りでした。見事に記憶から飛んでました。
重ね重ね申し訳ありません。
というわけで改めまして、
今回の感想期間は 9 月 10 日の午前 10:00 までとさせていただきます。
ざっと見て、感想を書く前に。
>>353 、
>>454 出来ればどのテーマを用いたかも教えてくれないかな。
採点の基準としたいんで。
>>470 今回はテーマを探すのも楽しみの一つだと思う。
コンペスレは寂しがり屋なので 構ってあげないと死んでしまうのです
トリップつけてない香具師のは失格、だろ?
マジレスしておくと、トリップは推奨であって強制ではない
おまえら釣られ過ぎ。 まあ、一見さんが本気にする可能性があるから仕方ないのかもしれんが
めんてしとくか
>>271 「過去のテーマ」
過去メドレーを1レスで……。今回のテーマにふさわしいように、技巧を
披露してくれる人を見ると、思わずニヤリとしますね。
>>350 「旅路の果てに」
ニヤニヤ。
AIRとうたわれるもののクロスオーバーというのは、あんまり見たこと
無いので新鮮。うまくまとまった1レスですが、1レスなだけにこの続きが
気になる作品でもありますね。ドタバタの予感があるのも好きです。
>>385-407 「みさきとメイドロボの微妙な関係」
何度か読み返しました。
好きな本は手元に置いて、気に入った一節を何度も読み返すということを
私はしますが、この作品にも、それと似た好もしさを感じます。
好感を持てるシーンの集合体だからかな?
倉庫にはまだ作品を収録してないの?
偏見と独善に基づいた感想を投下します。 『過去のテーマ』 良く書いた! 感動した! 以上! 『いつかなくしたもの、だけど見つけたもの、そして再び会えた人』 個人的で独善的な価値観に基づく感想と先に弁明しておくが、瑠璃子さんの行動が不可解。 瑠璃子さんは兄貴にレイープされた事により、精神が壊れますた。その直後に外に出かけ、 尚かつ知り合ったばかりの女性をレイープしてしまうというのは……ちょっと無理が有るよ うな。ついでに電波の力は兄貴に犯られる前から使えたはず(雫がどっか行って確認できず)。 作品自体は全体的に説明分が過剰(エッチシーンは別。エロくて良いw)。あらすじを読 んでいるような錯覚を感じました。 ストーリーは悪くないと思います。途中で、テーマである『夏だ!外でエッチだ!』がど こに入るのかなと思っていたら、同性不純行為で来るとは予想外(^^; 最後のまとめかたも悪くはないと思います。 「河島はるか」というキャラクターがどういう正確なのか少し判りづらいかな。「葉鍵板 の住人ならキャラの説明不要」という人もいますが、ゲームをしたことが無い人の為にも、 やはり書くべきだと私は思います。 『旅路の果てに』 個人的にはここで終わって欲しくないな。続きをきぼんぬw 『Runner』 コンパクトに纏まっていて良い作品だと思う。文章も読みやすい。 難点をいえばオチが在り来たりということだろうか。 鍵にはこの手のSSが多いような気がする。 もう少し、ストーリーに工夫が欲しいかな……。 続きはまた後で〜。
>>295-319 いつかなくしたもの、だけど見つけたもの、そして再び会えた人
思わず読み入らせるものがありますね。表現が綺麗だ。
一歩引いた視点から淡々と描くスタイルのせいか、読んだ感触は
静かです。まるで、夏の終わりつつある夜に合わせたかのような
雰囲気が良いです。
脚本通り逸脱無く、出演者が演出者の意図通り演じきった作品、
という印象でした。
>>353-361 Runner
すごくありがちな話ですが、キャラがいきいきしているのが良くて。
オレ弱っ、あたりのやりとりで不覚にも笑ってしまい、「もう
だめぽ……」のAA貼っちゃいそうになりました。
長森の天然入ったセリフも、魂入ってるかんじ、ノってる感じ
で、とても好きです。
や、じつにいいですね。こいつらはイイカップルになるでしょう。
楽しい作品を有り難う!
>>410-420 神様なんていやしない(痕)
雪の用いられ方に、何となく、日本映画のワンシーンを見ている感じがした。
幸せを祝ってあたたかく語らい合う人たちは、軒先から落ちる雪の音を
あわれと思わず、気を向けることもしないものだけれど、この物語にも、
人から顧みられず、また知らされないまま過ぎていく物事の悲しさが
描かれていて、その苦い結末が良いと思う。
楽天家と評されることの多い初音が言う結論だったからこそ、余計にそう
感じたのかも知れないけれど。
思わず次を期待したくなる作品だった。
486 :
483 :03/08/31 12:26 ID:tSRZNX8o
『夢の迷宮』 軽い突っ込みを一つ、 >男は四姉妹の長女の従兄弟にあたり、 次女や三女は従兄弟にあたらないのでしょうか?w 文章は問題なく、構成力といい良くできていると思います。 特にセクースが短い文章にも関わらずエロイ。 >耕一は彼女を裏返して尻肉を掌で押し広げる。あらわれ出た菊門に舌をねじ込む >と彼女は止め処も無く喘ぐ。 アナル好きの私としては、プハーッて感じ(≧∇≦)ノ ただ、唯一不自然を感じるところが一カ所だけ有りました。 >楓ちゃんは無口なんかじゃなかったんだ。一家団欒の時は、楓ちゃんの事を千鶴 >さんだと思って――― これだと、夢から覚めたときに、耕一は抱いていた女性をなぜ楓だと認識したのでしょう。 物語の核心部分なだけに、もう少し工夫した方が良いのではないでしょうか。 方法として二つあります。 ひとつは、千鶴さんが仕事の多忙を理由に、一度も耕一の前に姿を現していないという設定。 この方法だと矛盾は感じませんが、読者にはオチを先読みされてしまうかも。 もうひとつは、目覚めた後も、楓を千鶴さんだと勘違いしてしまう設定。耕一は千鶴さんが 目の前にいることで、その場は安心します。そして次の日、結婚式にも関わらず、なにも準備 しない千鶴(楓)さんに、 「千鶴さん、どうしたの? 俺と結婚するのがいやなの?」 と、千鶴(楓)に問いただす耕一に、初音が、 「耕一お兄ちゃん、誰に話しかけているの?」 「え、俺は千鶴さんに……」 「耕一お兄ちゃん、それは、それは……楓お姉ちゃんだよ………」 こっちの設定だと、読者も一緒にハメる事になるから面白いかも。 途中までよく出来ていただけに、非常に惜しいと思います。次回作に期待します。
487 :
483 :03/08/31 18:24 ID:tSRZNX8o
『みさきとメイドロボの微妙な関係』 なんとなく、この文章の書き方は前にも見たような記憶がw 起承転結が綺麗に揃っているので、長い文章にもかかわらず最後まで 飽きる事無く楽しむ事ができました。 ただ、いかんせん前半を読んだだけで、先の展開が読めてしまうのが 大きな欠点かと。 それ以外特に問題はないのですが………。 『神様なんていやしない』 誤字脱字が多すぎ。軽く読んだだけでも、5カ所見つけました。 投稿された時間から推定して、見直す時間があまり無かったと思われ。 次回からに時間に余裕を持って書いた方がいいのでは? 作品自体は良い出来だと思います。特にオチの付け方が上手い。 四姉妹のキャラを千鶴から順番に、次女、三女、末っ子と、面倒がらず に説明している点も個人的には好印象をうけました。 そういえば、前回のテーマ『結婚』で、耕一が千鶴と婚約しているにも 関わらず、楓と関係を持つ話があったけど、これはその続きでしょうか。 ついでにいえば……これ、続きないの? 非常にこの先、どうなるのか気になるんだけど、続きがあるならみたいです。 つーか、続き書けw
488 :
483 :03/09/01 02:19 ID:Rj90fRUT
『闇に閃く鈴の音』 良いですね。ストーリーといい、最後のオチの付け方といい。 文章に問題もなく、サイドストーリーとして充分楽しめると思います。 題名とテーマ『耳』が上手く組合わさっているのも見事。 『THE GARDEN OF EVERYTHING』 最後までスラスラと読めました。 文章力もあり秀作だと思います。 ただ、読んだ後、心に残るものがありませんでした。 『この作品を通じて、この作者は何が言いたいのだろう』という疑問を感じました。 この作者はキャラクターに愛着を持っているのでしょう。それ自体は悪いことではありません。 物語として、もう少し起伏やオチの付け方に工夫が欲しいかな……。 技術は充分にあると思うので、克服する力はあると思います。 総評 最優秀作品 該当作品無し 佳作 『闇に閃く鈴の音』『神様なんていやしない』 作品数が少ない割には、どの作品も気合いが入っていて、読むのに時間がかかりました。 全体的にレベルは高いのですが、酷な言い方をすると、まとまり過ぎていて面白みに欠けるような 気がしました。 作品数が少なかったのは、夏コミと重なっていたからかな? そういや感想期間は2週間? それとも1週間?
めんて♪
>>271 過去のテーマ
面白い。まるでアタック25の「ある作家の作品名を並べて文章にしてあります。
誰でしょう?」みたいなノリの文章だ。登場人物は凸と、蝉?ラストのセリフ次第では
他のキャラでもいけそう。そんな置換可能な投げやりっぷりに完敗。
>>295-319 いつかなくしたもの、だけど見つけたもの、そして再び会えた人
似てなさそうでどこか似てるこの二人。キャラスレで、はるか=瑠璃子+美凪という
見解があったのを思い出した。肉体的と精神的の相違があるにせよ兄が「壊れた」
という共通点を引っ張り出してきたあたりは目の付け所が鋭い。それぞれの物語を
経て癒された者同士が再会する、という構成も良い。瑠璃子さんが電波の力で事故
のことを知るあたりもキャラの特性を上手に生かしていると思う。
性描写も個人的にこの二人のキャラは好きなので大いに堪能させて頂いたのだが、
官能シーンにストーリー上の必要性があったか、という疑念は残る。人物の行動に
別の分岐の可能性を感じさせるのは手法としてはスッキリしないものが残っていやん
な感じなのだ。
もう一つ不思議に思ったんだけど、二回目、三回目を省略して呉服屋での出会いを
四回目にしているのはどうして?それだけ親密度が上がって百合シナリオ(w
のフラグが立った、という表現なのかな。別に二回目でもいいし、四回目というなら
しっかり途中経過を描いて、レズまでの移行に説得力を持たせた方が良かったかも。
そういえばはるかって電波使いにならないのだろうか。本人の孤独感と、電波使
いとの性交があればOKだったような。女の子だけど。
>>350 旅路の果てに
主人公、もしかして住人…?翼人を探してこんな遠いところまで…合掌。
このネタでもっと長いの書けそうなので是非そうして欲しいのです。
>>353-361 Runner
軽妙な文体でタイトル通りの疾走感があり、最後まで一気に読めた。ストーリーも
矛盾無く綺麗に纏まっている。SSとしては良く出来ていると思う。
長森が住井と結婚するなどとは、読者は容易に信じないのでもう一ひねり欲しい
ところ。あと、様々な障害を越えて浩平がひたすら走るシーンをもう少し描いてくれる
と良かったかも。
>>364-381 夢の迷宮
前半に比して後半の文章のキレが鈍っているのが竜頭蛇尾という感がある。
耕一がこの程度で正気を失うのもおかしいが、鬼の人格が出てこないのも疑問。
構成としてはまとまりが良いが、各所にある伏線の張り方が若干あからさま。
>>410-420 神様なんていやしない
お、清一色アガリきった?こっちも西入せずにすんだよ(w
千鶴に遠慮して事実を伝えない楓。初音を自分の犠牲にしないために姿を消す楓。
幸せ一杯の新郎新婦をよそにたった一人で子供を産む楓…。
どうしもなく切なくて、悲しくて、救いようもない話なんだけど、だからこそ惹かれる
ものがある作品。幸せとの対比、運命の残酷さを表現しようとするなら中途半端な
救いは無用だからね。こういう必要性があっての黒展開ならば十全でしょう。
産まれた子は第二の柳川になるのかも知れないなぁ…。
>>454-462 THE GARDEN OF EVERYTHING
みっしーのほのぼの恋愛物語。ケンカして仲直りしてという話だが、ストーリーの
起承転結はしっかりしており、心理描写もなかなか良く出来ているんじゃないだろう
か。ただ、誤解が解けた直後の描写があっさりしすぎなような気が…。
どうしもなく × どうしようもなく ○ でした。残りの二つは明日に。
495 :
名無しさんだよもん :03/09/04 13:04 ID:hRJIp0xj
このスレを利用するのは初めてなので温度差が
あるかもしれません。あらかじめ。
>>271 過去のテーマ(誰彼?)
最後がなんか好きです。
>>295-319 いつかなくしたもの、だけど見つ
けたもの、そして再び会えた人(雫&?)
序盤の描写は細かい上にたいして綺麗じゃなか
ったので、読んでいてだるかったですが、エロは
好きなのでいい感じに読めて、ラストは中々綺麗
でした。「またね」に込められた情感はすこしじ
んと来ました。もうちょっと短くまとめてもらえ
ると(特に序盤)、もう少し感動できたと思います。
>>350 旅路の果てに(うたわれるもの&?)
いまいち。
>>353-361 Runner(ONE)
ほのぼの〜。瑞佳がかわいい。文章もいいバランス
だと思います。
ただなぜか「どこかで見たような」という感覚が
してしまいます。個人的にはもう少しひねって欲しかったかな。
>>364-381 夢の迷宮(痕)
いいなー。こういうの大好きです。
最後のどんでん返しはまったく見当がつきませんでした。
やられました。ラストのダークな落ちも好きです。
難癖をつけるならば、思い出の時の文章を出来るだけ
古臭くしようとしているように見受けられたのですが、
そこがちょっと不徹底だった気がします。あと夢がなぜ
ああいう夢だったのか、というところに関連をつけると
もっと良かったかな、と。
>>385-407 みさきとメイドロボの微妙な関係
うーん……ほのぼの、なんでしょうか。なんだか最後の
ところは逆にダークなようにも感じられてしまいました。
帰ってきた浩平はどう思うのか、とか考えると、素直に
割り切れないものを感じます。カレーのあたりはべたですが、
じんわりと暖まります。
>>410-420 神様なんていやしない(痕)
最後で、楓が結婚式に乗り込んで、会場を滅茶苦茶にした上に
全員不幸になる、というラストを予想してしまいました。でも、
そのくらいやって欲しかったかもしれない。
中盤の淡々とした語りはいいと思います。あと、タイトルの
「いやしない」のやけっぱちな雰囲気が好きです。
>>428-450 闇に閃く鈴の音(誰彼)
そして50年が過ぎた、のカメラの引き方はお見事、の一言。なんだか
そこに一番感動してしまいました。末長のキャラは格好いいんですが、
深みがすこし足りない気がしました。ステロタイプの域を出切れていない。
書くのにつかえる期間等を考えると仕方の無いことなのかもしれませんが。
もうちょっと細かく戦場の悲惨さ、みたいなものを書くとリアリティが
増して、引き立った気がします。
あと、バトルシーンで突然カタカナが出てくるのに違和感を感じてしまい
ました。
全体的に、惜しいな、と思います。
>>454-462 THE GARDEN OF EVERYTHING(Kanon)
美汐はそんなに突然人を傷つけられるキャラじゃないと思いますし、
第一日常会話でそんなストレートに行くことはあまりないと思いますし、
和解も言葉だけでいまいちですし――うーん、全体的にいまいち、です。
>>495-497 感想をUPしていただきありがとうございます
できれば、最優秀作品を決めていただければ嬉しいです
該当なしでも構いません
広告業者と同じプロバイダで規制食らった…。
>>385-407 みさきとメイドロボの微妙な関係
この分量にも関わらず、破綻なくストーリーを収束させているし、文章もソツがない。
みさき先輩とセリオの魅力を十分に引き出した良作と言えるだろう。たぶんこれを
書いた人は相当な熟練者なのだと思う。それだけに枠の中に収まっていて、心に強く
響くものをあまり感じさせなかったのが惜しい。
>>428-450 闇に閃く鈴の音
文章もストーリーも申し分無い出来で、総合力の高さを感じさせる。この作品も長さに
負けずに丁寧に纏め上げている。導入部やラストにおける構成も良い。
蝉丸の作戦自体は普通に感じられたものの、戦闘の描写には迫力があって読み応え
があったと思う。
今回はもっと数が集まるかと思っていたので、ちょっと残念。 しかしながら気合の 入った作品が多く、おそらくコンペの初期であったならばそれぞれが最優秀の候補に 上ってもおかしくない程の良作が揃っていたのではないでしょうか。それだけ平均点 が向上したのだと思います。 ゆえに最優秀の選考は悩んだのですが『闇に閃く鈴の音』を推させて頂きます。 皆さん乙彼様でした。それでは次の機会に。
あげてしまい、失礼しました。 最優秀作品には『夢の迷宮』を推させていただきます。 意欲的なテーマ、構成、文章、若干脇が甘い点が散見されますが、 非常に魅力的な作品でした。比較的まとまった作品の中で、この作品が 一つ頭抜けて感じられたのは、総合力の高さではないかと思います。 なにはともあれ、参加者の皆様、ご苦労様でした。
夢の迷宮は三番目で夢の内容が急に変わって肩透かしを食らった感がある。 それに現実で楓を認識できるのもなんだか妙な感じ。 あれを千鶴と勘違いしていたら流れが納得いくのだが。 家長として、という条件付けはされているのだが、今一都合がよいような。
まこしみ氏最近みないね〜
>>503 言いたい事は分からんでもないが、そういう馴れ合いは(・A・)イクナイ
何がイクナイのかサッパリわからんのだけど。
2chでいわゆる固定ハンスレが禁止になってる理由を延々と解説されたいの?俺はしたくないんだけど。
過剰に反応する話題でもないと思うが。引っ張らないことを推奨。
感想期間はあと二日か。結構長く感じるな。
>467-468に続いて感想入ります。 しばらく長文注意。 >353-361 「Runner」 とても楽しく読めた。 リズム感のある文章に、ノリのいい会話。話の流れは軽快、かつ、それゆえに多少の強引さも気にならない。ある意味理想的な娯楽SSだと思う。 >携帯がぶるっと振るえた とか、卑俗な感覚を直に叩くような描写も躍動感があって楽しいな。同じ理由で>355の冒頭、「がちゃん」も上手い。思わず笑っちゃうくらいに陳腐な擬音なんだけど、このSSのB級なノリを見事に体現してる(w。 あと、>356で浩平が食らったのは何だろう? 長森が渾身のボデーブローを叩き込んだ……わけはないよね、やっぱり。う〜ん。 そんなこんなでいろいろ楽しませてもらったのだけど、ネタ的に一番受けたのは、>「実はあんまり美味しくなかったんだよ」というところ。 ──そこでそう来るか〜と。 かわいい顔してその台詞はクリティカルですよ、長森さん。その直前、彼女が逡巡する一幕がなければさらに効果的だったかも知れず、もったいないと思ったりした。 最後に断っておかなきゃならなにのは、自分はONEをやったことがない、ということ。それゆえに、キャラの性格や背景を気侭に解釈して楽しむことができた。が、シリアスな本編を知っていたら、そこまで底抜けに楽しむことはできなかったかも知れず。 最萌に押しときます。
>364-381 「夢の迷宮」 こちらはうって変わって、ヘビーかつダークシリアスなSS。決して嫌いではないけれど、ギャグほどには好きではないということを最初にご了承ください。 さて、このSS、文章の密度は十分、構成も工夫されており、ミステリとしてはなかなか手の込んだもの……と誉めたいところだけれど、いかんせんネタが強引なのが気になって仕方がない。 楓を千鶴と誤認する? ショックで寝込む? 耕一が?……う〜ん。祐介だったら納得できるんだけど……。耕一は(弱そうに見えるけれど)芯は強い印象があるので、このSSでの設定(特に落ちのつけ方)は疑問。 また、Hの後急に楓を認識できる理由もよくわからない。食事のときに顔をつき合わせていて認識できないものが、どうしてここで都合よく認識できましょうか。 「近くで顔が見えたから」という程度の理由であれば泣く。読者である自分も泣くけれど、作りこまれた他の諸設定が泣くぞ。 あと、一連の夢話なんだけど、その内容にどのくらいの意味があったのか。 元ネタのあるものをあまり長々と書かれても興ざめ(ギャグじゃないんだから、しかも中途半端だし)、その舞台設定や背景もてんでばらばら……というか、性的行為以外は本筋の話と関係ないじゃん! うむ、マジでこの夢パートの展開意義が分からなかったりする。 作者さんに力がないわけではないはず。楓が真実を明かす場面は緊迫感を持って読めたし、各姉妹の反応などを読み返してみれば上手く考えられているのが分かるし。 でも、このSSは全体的に見て、よく工夫されたところとそうでないところとの落差が大きすぎてバランスを欠いているんだと思う。そのアンバランスさが、しっくり納得できない不満につながって、印象は残念ながらいまいち良くなかった。 あと、彼女が本当の相手だということは食事の際の描写で見当がついた。千鶴さんが○○○ていたことは最後まで気づかなかったよ。(一応伏字にしておきます)
>385-407 「みさきとメイドロボの微妙な関係」 ……。 ……。 ……。 悩んでしまう。 ありきたり、定番とも言えるネタだけど、キャラが丁寧に描けてるし、自分の好きな百合ものでもあるし、楽しめる要素は十分なはず……。 なのに。 <横倍角>やっぱり萌えないんだーーーっ(泣</横倍角> ……。 ……。 ぐすん。ごめんなさい。セリオさん。 できることなら、もう少し生き生きと動いてくれませんか?(無理な注文) >410-420 「神様なんていやしない」 これは力の入った心理もの。 10レス目まで、とても興味を持って読んだ。淡々とした情景描写が秀逸だし、楓の内面に鋭く切り込んだ問題意識も、ギリギリの一線での交感を窺わせる一連の会話も、読み手の想像力を否応なく刺激してくれて実に面白かった。 楓というと次郎衛門を助けたエディフェルとイメージが重なるのだけど、だからこそ、1つの命を預かるということに対して、何か特別な意識を持っているのかもしれないと考えさせられるね。 最後で彼女は行方をくらますわけだけど、それは逃げではなくて、あえて孤独を選ぶことを決意した彼女なりの性格の強さというふうに受け取った(初音に迷惑もかけられないしね)。 ここまでなら、自分内の楓イメージともシンクロして実にいい印象。 10レスまでで終わっていたら文句なし、マンセーしたと思う。最後、ダークのためのダークは嫌だなあ。 11レス目、分かるんだけど、まとめになっていない。楓と初音の認識のすれ違いはそのまま、ただ不幸を強調しただけのエンドで、正直、何のために?と思ってしまう。救いのないモノホンダークとして読め、という押し付けにも見えてイヤン。
>428-450 「闇に閃く鈴の音」 濃い文章だ……。もう少し簡潔にできる気がするし、演出過剰の気がありありだけれど、これはこれで読み応えがあって悪くない。 で、内容なんだけど、誰彼はよく知らないということもあって、展開を掴みづらかった。 特に分からないのが末長の思考。蝉丸の視点を通しての描写だからある程度仕方ないのだけれど、それでもなぜ酒の相手に誘ったのかとか、なぜ脱走したのかとか、なぜ戦いの相手に選んだのかとか、話の基本的なところで納得できないところが多かった。 また、原作を知らないため、彼らの会話は一兵卒の言葉として読んだけれど、良くある戦記ものの言葉と代わり映えしないような気がするというか、誰彼ならでは、強化兵ならでは、という視点をあまり見られなかったのが残念。 とまあ、否定的なことばかり書いてしまったけれど、全体的には本編を知らないなりに引き込まれた。文章はしっかりしてるし、アクションの描き方もそつがない。 あとは、末長にもう少し個性が出せればさらに良かったと思う。鏡に向かって問答しているようで、ちょっと不満。似たもの同士ではなく、対照的な性格のキャラにするとか。 >454-462 「THE GARDEN OF EVERYTHING」 何て言えばいいんだろう。普通? 普通にいいSS。 文章は決して上手くはない(下手でもないよ)し、展開に意外性があるわけでもないし、それ以前にご都合主義的なところも見受けられるし、 でも取り立てて破綻はないし、描写は丁寧だし、ちょこっと出てくる脇役陣がいい味出してるし、ご都合主義はむしろ安心感でもあるし、総体的に見てKanonらしいいい話だ、ということでケリがついてしまいそうなSS。 自分は美汐派ではないんで、これ以上は読み込めなかった。でも普通にいいSS。凝ったSS群の最後にこういうのがくるとホッとするね。
以上です。今回、作品数は少なめだったけれど、力作ぞろいでしたね。各SSに工夫や主張が見られて、楽しく読ませてもらいました。 最優秀は、「いつかだけどそして(略称)」に。シリアスとほのぼのとギャグとエロの狭間をたゆたう、ほどよいブレンドが絶妙。はるかx瑠璃子を題材にここまで風変わり(誉め言葉)なSSが読めるとは思いませんでした。 というわけで、今回は、 私的最優秀 「いつかだけどそして(略称)」 私的最萌 「Runner」 作者さんに感謝を。
2回やってもまだスレ容量が余ってるね…。
今回は最優秀、ないっぽいね
【告知】 ただ今をもちまして、感想期間を終了させていただきます。 投稿された書き手の皆さん、感想をつけてくださった読み手の皆さん、 そして生温かく見守ってくれていた ROM の皆さん、どうもご苦労様でした。 引き続きこのスレでは、今回の運営への意見、書き手の挨拶、 次々回のテーマの決定などを行いたいと思います。 上記のものやそれ以外にも意見が何かありましたら、書きこんでください。 ※次回のテーマは『復讐』に決定しており、開催時期は 9 月になる予定です。 ※今回決めるのは次々回のテーマです。お間違いのないように。
申し訳ありません、告知が遅れてしまいました。 最優秀等のまとめは今夜行わせていただきます。
感想、遅刻しちゃったけど、書いていいですか?
問題ないかと。
520 :
518 :03/09/10 13:53 ID:Fih/Xzf1
では、お言葉に甘えまして……。
>>364-381 抑制の利かせ方から、ダーク作品だとあたりをつけたんだが、
その予想は外れてなかった。
失望した訳じゃなくむしろ反対で、どういう風にダークに
するのか、たのしみだった。
誰かが代役をしていた、というのは悲劇性が増して、
良いと思った。ただ、耕一の夢と現実の関連がつかめず
(夢だからこそ脈絡がないのかもしれないが)、消化不良な
思いもした。
謎解きが解説風だったのは、作品の長さを気にしたから?
プロットが面白い分、もっと膨らませて自然な形にする
ことが出来たんじゃないかな。それに、楓の想いも、
もっと、もっと……。
惜しいと思った。
521 :
518 :03/09/10 13:55 ID:Fih/Xzf1
>>428-450 戦闘シーンの描写は迫力があり(表現だけでなく、
アクションの組立方や戦術も)、読み物としても、
研究対象としても、興味深かった。
ただ、少々長い。人物を深く描いて物語性を高める
姿勢には敬意を払いたいけれども、順にイベントを
並べるのではなく、1レス目で対決シーンなり強く
引きつけられるものを書くべきではなかったかと思う。
そのシーンの続きを求めて、読者がどんどん先を
読んでくれるような。
労作であるだけにもったいないと感じた。
522 :
518 :03/09/10 13:55 ID:Fih/Xzf1
>>454-462 よくあるパターンのお話で、仲のこじれ方が性急だけど、
仲間たちのお膳立ても出来過ぎかと思うけど、こういう
ほのラブが好きな人間としては、拍手をおくりたいのだ。
もっとこじれるパターンが増えて、仲直りのパターンも
増えて、そのたびに距離が縮まっていくようなお話が
自分は好きなのだ。
美汐が生き生きしてるのもいい。
523 :
518 :03/09/10 14:17 ID:gbvQS1/L
感想終了〜。
>>516 最優秀云々は総括期間の最後にやるんじゃなかったっけ?
>>524 今まで感想期間の終わった時点でやってたよ。
もう時間がないんで、中途半端に感想投下。 ・過去のテーマ 登場人物が誰だか判らなかったんで、何も感じなかった。 ・いつかなくしたもの〜 エロ描写は濃いものの、なんか純文学を見ているようで使う気にはなれなかった。 はるかと瑠璃子って着眼点は秀逸。普通は考え付かないし、思ってもカタチにしない(出来ない)。 ラスト間際の「……こんなはずじゃ、なかったのにね」だけではるかスキーはお腹一杯になれたと思う。 なにはともあれ良いクロスオーバーの見本のような作品でした。 ・旅路の果てに カンチャンずっぽし。一発ネタは当たると爽快だね。 ・みさきとメイドロボの微妙な関係 あーと、セクサロイド? 水と油を無理矢理かき混ぜたような。 石鹸水的役割が欲しかったと言うか。 なんか全体的に違和感があった。
・闇に閃く鈴の音 設定・展開共に矛盾が見受けられない。 結構な分量があるのに全くそれが気にならない。 作者殿の自力の高さを感じさせてくれる作品だった。 そのまま原作のSide Storyとしても十分通じる出来…と言うのは褒め言葉になるんかな? ・THE GARDEN OF EVERYTHING これ、祐一…だよな? 「ハハハッ」とか笑ってるからどこの紳士かと思ったよ。 カップルってのは当事者以外には全く理解できないような些細な問題で喧嘩するもの。 だから誤解が生じるのはいいんだけど、その後の展開がありきたりすぎて読んでて少し、退屈に感じた。 Kanonではこれ系統の話が氾濫してるんで、自分ならではって展開を考えて欲しかったな。 最優秀作品は「闇に閃く鈴の音」。
>最優秀云々は総括期間の最後にやるんじゃなかったっけ? 今までやりかただと、最優秀作品につきましては、感想期間で締め切りとなっています。 感想期間過ぎてからの、最優秀作品の推薦は有効票に含まれません。
530 :
526 :03/09/10 22:34 ID:X0GlFQ7Z
ああ、まとめは今夜ってことでまだ有効なんかなーと思い込んでたみたいだわ。 ややこしかったら無効票扱いでお願いします>最優秀作品
セリオとマルチの毒舌感想会
「本日、作品の感想を担当することになった、HMX-13・セリオです。よろしくお願いします」
「アシスタントのマルチですー」
「上記にあるように基本的には辛口毒舌でいきたいと思いますので、作者様は今のうちに首を吊るご用意を。
ほとんど嫌がらせですから」
「あ、首を吊るときは首吊りAAスレでお願いしますねー」
「なお、精神的に打たれ弱い方は、スーツを着込み、教鞭を持った私に小一時間問い詰められるという
イメクラシチュエーションに突入すれば、自己防衛機能が働いて便利かも知れません。
その手の属性がある方は、眼鏡をつけているという脳内妄想の補完もよいでしょう」
「それでは始めますぅ。ちょっと長いので気をつけてくださーい」
>>271 「過去のテーマ」
「唯一のセリフが全てぶちこわしてます」
「いきなりよーしゃないですねー」
「努力は買います。工夫してストーリーにしようとはしていますし。
ですが、>夏だ!外でエッチだ! の辺りは処理に困ってセリフにしたように思えて好感が持てません。
これで縦読みでしたら技能賞を与えてもよかったのですが」
「やっぱり最後の凸さん(推定)の心理状態が謎ですねー」
「オチのためだけの人選ですね。この方をヒロインに仕立て上げた、その勇気だけは買います。
ですが彼女の一言によって、せっかく積み上げてきた流れが完全に崩壊しました」
「そういえば、セリオさんもPC版ではけっこうおでこが後退……」
「……粗大ゴミの日は、明後日でしたか?」
「(((( ;゚Д゚)))ザクグフゲルググ すっ、すびばせ〜〜ん(TдT)」
>>295-319 「いつかなくしたもの、だけど見つけたもの、そして再び会えた人」1
「エロいりません」
「はわっ。それではテーマが、テーマがっ」
「――いらないとまでは言いませんが、やはり多少の強引さは否めませんね。
電波、寂しさといろいろ工夫の跡は見受けられますが」
「でもなんだか不思議なお話ですねぇ。マターリしているんですけど、寂しいような、ダークなような」
「さりげなく一人死んでいる割りには、妙に後味がいいですね。
時間の経過もありますが、出てくるキャラクターにふさわしい雰囲気が出せているとは思います。
さきほどとは言を異にするようですが、テーマから与えるイメージの捻り具合も面白いです」
「たしかにギャグっぽい印象のテーマからは、ちょっと想像できない世界観でしたねー」
「異なる二人の本編ストーリーをうまく融合させた、その整合性は評価します。
いっそのこと、はるか様とはキスくらいに留めて置いて、
月島(兄)様に無理矢理青姦でもさせたほうがよかったのでは」
「セリオさん、ぶちこわしです」
>>350 旅路の果てに
「私でしたら国崎様をギロチンの台に顎を載っけているシチュに投入します」
「なるほど、絶体絶命っぽいですぅ」
「そして刃が滑り落ちてくるところでしめます」
「セリオさん、それは死にます」
「1レスネタとしてはそれなりに面白いと思います。これは配役の妙でしょう。
ですが、正直なところ、申し子でもないのに超先生オチで締めるのは感心しません」
「でもどこをどうやってここに迷い込んだんでしょうねぇ」
「貧乏な国崎様のことですから、マグロ漁船に乗り込む羽目になり、うっかり冷凍倉庫に閉じこめられ、
そうこうする内に長い時を超えてしまったものだと推測されます」
「なるほどぉ」
>>353-361 Runner
「キス寸前で裏切られた長森様の心境やいかに」
「これってやっぱり、邪魔がいるからしたくてもできなかったんでしょうねぇ」
「おそらくは。
さて、折原様が独立して電話連絡すら絶ち、意志を固めた割りには、あっさりと白旗を上げてしまう辺りが情けないです。
あまりにも簡単に甘い雰囲気に突入したあげく、『これからもよろしくな』で終わってしまっては、
今まで離れていた決意の数ヶ月(推定)はなんだったのだろうと思ってしまうのです」
「でも、自ら『オレ弱っ』て言ってますしねー」
「比較的駄目人間の折原様が、長森様から離れる決意をしたのですから、それなりの気骨を見せて欲しかったのですが。
最終的に高校生の頃に立ち返ってしまったような雰囲気が気になります。
お前一歩も成長しとらんとちゃうんかと――失礼しました。
長森様も体当たりするほど切羽詰まっている割りには、状況説明に分断されて、追及の手が今一温いです。
彼女なら捜索隊を組織して、辺り周辺を虱潰しに探し回りそうなものですが」
「あー、私もよく迷子になっては、妹たちに探してもらいましたー」
「(……ダメ姉)あと、バイト先のことをもう少し描写した方が、
かえって、なんでだろうと読者に思わせられたのではないかと思います。
チャーハンという単語を出さなければ、料理関係のバイトでも誰も気づかないと思うのです」
「いきなり店長さんに声かけた時は、ちょっと状況が混乱しました」
「――これで住井さんが長瀬一族の誰かと結婚していたら面白かったのですが」
「無茶言わないで下さいー」
>>364-381 「夢の迷宮」
「夢が無駄です」
「そんなぁ、ないと話が始まりませんー」
「細かい描写の割りにはそこに込められた意味が薄く、それが無駄だと言うことです。
徹底的に一本の夢を流し、現実とある程度リンクさせていればよかったのですが……、
初日、二日目と、たかがキス一つ為すための夢のわりには、少々冗長かと」
「千鶴さんの顔が出たときには、次の晩には狩られるのかなぁと期待しましたからねぇ」
「逆に知っている流れだっただけに、三日目の逸話は肩すかしを食らったような印象です。
関係ありませんが、私達は綺麗なお水ですから、海の中でも大丈夫です」
「……何がですか?」
「(無視して)この作品、基本的にミスリードを狙っているんですが、『と、この家の当主が言う』これは失策だったかと。
三人称耕一様視点で、はっきり千鶴と描写しても良かったと思います」
「でも楓さんもちゃんと見えているんですよねぇ」
「ええ、別の方も指摘していましたが、完全に誤認の方がすっきりします」
「耕一さんのヘタレ具合も印象的でした」
「元々壊れているところにとどめを刺された形ですが、意識は失わない方が良かったと思います。
混乱と衝撃のうちにフェードアウトさせ、どうなるんだと思わせつつ、ラストに繋げていいと思います。
どうせ一度壊れているのですから」
「私達みたいに右四十五度のチョップで直ればいいんですけどねー」
>>385-407 『みさきとメイドロボの微妙な関係』
>「もちろんそんなところにみさきを連れて行くわけに行かないから、俺一人で行くことになる」
「連れて行きなさい」
「め、命令口調ですかぁっ!?」
「本編の流れから考えれば、世界の果てだろうと魔界だろうと、一緒にいるのが筋だと思います」
「それはそうですけどー」
「全体的にいい話なのですが、メリハリが少々薄いように思われますね」
「でもでも、学食カレーでしんみりさせたあと、唐突にHに突入したりしてましたよ」
「そこでは完全に流れが断ち切られているので、かえって違和感がつきまといます。
どちらかと言えば精神的にはしんみり来ているはずですので、そういう気分にはなりそうにないですが」
「何日か過ぎていたのかも知れませんよー」
「あの描写ではそのことは分かりません。その日の夜と考えてしまう人が多いでしょう」
「じゃあ一服盛ったんじゃないんですか?」
「……確かに我が妹なら、それくらいやりかねません。時折、計算高さが見え隠れしていましたし」
「分かっててやってるだろ、おらぁっ! って言いたくなる場面がありましたからねー」
「メイドロボとして主人の望むことを先回りして準備するのは当然のことです。
しかし結婚して一年余り経つのに、今まで絶頂を味わったことがなかったというのは……」
「浩平さん、ヘタだったんでしょうか」
「ですがこれからは、メリハリの利いた夜の生活を送ることができるでしょう。おめでとうございます」
「おめでとうございますぅー」
>>410-420 神様なんていやしない
「ヤリ逃げですか、耕一様」
「はうっ」
「しかも近くに来ているのに顔も出さないとはどういう事でしょうか。初音様も病人を置いていきなり帰ろうとしないように」
「こういうときは、病気にならないメイドロボを是非一体どうぞ」
「基本的に初音様の優しさを全面的に押し出している分、耕一様と千鶴様の薄情さが浮き彫りになりますね。
妹が消息不明の時に仲良く結婚ですか、そうですか」
「普通はそういうひねくれた見方はしないんですよー」
「毒舌ですから。私見ですが、少し楓様の口調が固いのも気になりますね」
「きっとつわりでイライラしていたんですよー。本当は仲良し姉妹さんなんですよ」
「それに元々無口な方ですから、長ゼリフを話すとどうしても違和感がつきまとうということもあったかもしれません」
「ところでしずりって名前、なにか意味があったんですかねー? 微妙に千鶴さんをもじっているような……」
「送られてきた手紙の内容も気になるところですが、これはある程度推測がつくから良しとしましょう」
「個人的には、タイトルは初音さんの口語調の方が良かったような気がしますー」
「最後に一言……>『ごめんさい』。吹きました」
>>428-450 闇に閃く鈴の音
「末長さん、格好いいですねぇ。蝉丸さんも」
「ええ、時折区別がつかなくなるくらいに」
「光岡さんも出てきていたら大混乱だったでしょうねぇ」
「一番キャラが立っているのが、出番少々の岩切様のような気もします」
「酔っぱらいながら愚痴を言う様が目に浮かびますー」
「硬い文体は少々気になることもありますが、誰彼という作品が持つ雰囲気にあっていると思います。時代も古いですし」
「でも、なんだかジャンプ的なノリを感じさせるものもありますねー」
「……今のジャンプと比べられて嬉しいかどうかは分かりませんが、戦闘風景はなかなかに達者です。
ですが、少し改行が見づらいです。時折、改行後が1マスあけになってたり、なっていなかったり」
「時間に遅れていたせいか、ちょっと最後の方、駆け足気味にも思えます」
「――ところで目の見える人を闇戦試挑体にするというのは禁じ手でしょうか?」
「わ、セリオさんグッドアイディアですぅ」
>>454-462 THE GARDEN OF EVERYTHING
「今時『絶交』なんて、小学生でも真に受けません」
「『いつもそうだ』……って、なにかトラウマでもあったんでしょうか?」
「真琴様シナリオの後であることは明白ですから、どうせなら非情にそこら辺をえぐり取った方がよろしかったかと。
後ここでだけ、祐一様視点になるのが気になりますね」
「でも視点変えないと分かりませんよぉ」
「分からないことを美汐様の不信感に上乗せしても良かったのですが。
冗談だと分かってくれるだろう、と楽観してたら、いきなり帰ってしまうなどして。
あと、夢を見るシーンは冒頭に持ってきて、浮かれている美汐様に繋げた方がいいかと。
美汐様の走るシーンなど、めったに見られるものではないですし」
「そうですねぇ」
「>『けど、天野がいたから今の俺はいる』と言うセリフがいささか唐突かと思われます。
そこまでの信頼を寄せておきながら、なぜ絶交の一言で揺らいでしまうのか」
「というより、今の俺ってどんな俺でしょう?」
「祐一様がどのような過程を経て、その言葉が出るに行きついたのかが不明瞭ですから、分かりません。
今、ここにいる俺、とも取れますが……自分から行動を起こせずうじうじ悩み、
友達にお膳立てしてもらって、ようやくフォローを利かせることができた俺というのも情けない話です。
読者置いてきぼりで、二人だけで盛り上がっているような印象さえうけます」
「バカップルというのはそういうものですよー」
「そうですね。些細なことですけど、修学旅行という聞き違いも謎でした」
「以上です。全体を通して文章レベルは高かったと思います。さんざん酷評したりもしましたが、なかなか楽しめました」
「でも、もうちょっとたくさん来るかと思いましたけど。そこが残念ですー」
「そうですね。書き忘れましたが、テーマの消化という面では、はっきり『耳』と断言して、書ききった『闇に閃く鈴の音』が良かったと思います」
「やっぱりいっぱいあると、ちょっと印象が薄れてしまいますから」
「では、長々とおつきあいありがとうございました」
「あ、今なら来栖川製首吊り用のロープ、1メートル3百円の大特価ですよぉ」
「それでは失礼します」
感想の中で、評価が高かった作品は以下のとおりです。
『闇に閃く鈴の音』
>>500 >>527 『夢の迷宮』
>>501 『いつかなくしたもの、だけど見つけたもの、そして再び会えた人』
>>513 ということで、第十七回の最優秀作品は『闇に閃く鈴の音』のようです。
おめでとうございます。
>>529 多分、感想期間と総括期間をまとめるかどうかの話をしていた際に出てきた案の一つだと思います。
>>530 投票の締切は、ある時点で区切ってそれ以上結果が変わらないようにするための目安のようなものだと思います。
ですので、少し伸びる分には問題ないと考え、今回はカウントさせていただきました。
いや、もちろん理想は締切予定時間に結果を出すことだとは思いますが。重ね重ね申し訳ないです。
次々回のテーマ案はもう書いてもいいんだよね。 犬猫などが出てくるのが読みたいので「小動物」ってのはどうか。
えと、今回の総括期間で意見を求めたい事ですが、 ・次々回(10月中旬〜下旬予定)のテーマ これはいつも通りです。 ・感想期間の延長について 今回実験的に、投稿2週間感想2週間としてみたわけですが、これについての感想や意見、 また次回以降はどうすればいいか、といったあたりです。 次回以降の例としては、 ・2週間+1週間に戻す ・今回と同じく2週間+2週間 ・少し縮めて10日+10日 などを考えていますが、それ以外の意見でもお願いいたします。 以上、意見等よろしくお願い致します。
最近は投稿数が少なくなっていますし、投稿期間は短くしないほうがいいと思います。 感想期間に関しては、作品が多いときは1週間だと短いし、作品が少ないのに2週間だと間延びするし、 難しいですね。 1つの案として、作品数に応じて変えてみる、というのはどうでしょうか。 例えば、作品数が10本未満のときは1週間、10〜20本のときは10日間、 20本を越えたら2週間、という具合に。
>犬猫などが出てくるのが読みたいので「小動物」ってのはどうか。 じゅ、獣姦を書けと(;´Д`)ハァハァ そりゃ、好きですから、いくらでも書きますけど(;´Д`)ハァハァ 琴音ちゃんがイルカと(;´Д`)ハァハァ 初音ちゃんが犬と(;´Д`)ハァハァ
『THE GARDEN OF EVERYTHING』
>>454-462 書きました。
読んでくれた方、また感想くれた方々ありがとうございました。
テーマは私も『過去テーマメドレーリレー』で、そのせいで展開に無理な所もあったり・・・。
テーマ消化という自己満足のせいで物語を破綻させる事だけは避けようと頑張ってはみましたが、
私にはこの辺が限界っぽいようで。
説明が不足しがちなのはいつも言われてるのでどうにかしなければと・・・。
>>488 言いたい事ですか。
それはもちろん、みしおたん可愛い、みしおたん萌え、みしおたん頑張れ、みs(以下略
・・・それがいけないのかもしれませんけど。
>>493 誤解が解けた所で名雪達を出して落とせればまとまりは良かったのかもしれませんけど、
4つもテーマが残っている・・・_| ̄|○
>>497 やっぱり説明不足が大きかったかなと。
544 :
続き :03/09/11 00:24 ID:Hp5A0wRk
>>512 ご都合主義というのはまさにその通りですね。
美汐が幸せになれないような展開にするのは、たとえお天道様が許してもこの私が許しません。
>>522 テーマに沿って展開させるのは私の力量からはかなり困難なもので、
他でも指摘されてるようにあっちこっちにほころびが出てしまいましたね。
でも、美汐が生き生きと描けたのならそれだけでも嬉しいです。
>>527 確かに話自体は平凡かと思います。
でも、こういう話を書きたいというのが唯一の動機なのでしょうがないと言うか。
>>537 >あと、夢を見るシーンは冒頭に持ってきて、浮かれている美汐様に繋げた方がいいかと。
『夢』は8番目だから・・・
>美汐様の走るシーンなど、めったに見られるものではないですし」
『走る』は2番目だから・・・
>修学旅行という聞き違いも謎でした
『旅』が入ってるから・・・
でも、真琴EDでも冗談言ったり笑ったり、結構浮かれてるような感じがあったかなあと。
>そこまでの信頼を寄せておきながら、なぜ絶交の一言で揺らいでしまうのか
どうも全体的にかなり説明端折ってしまったみたいですね。
>バカップルというのはそういうものですよー
後日、香里が「まったく、夫婦喧嘩は犬も食わないとはよく言ったものね」
と呆れたのは言うまでもありません。
今の投稿数なら感想期間は10日くらいが妥当かな。 投稿期間2週間+感想10日+統括一週間で 1ヶ月サイクルで廻していけばいいんじゃないかと。 去年の今ごろは一週間で27本の感想を書いてたのか…。 今じゃ体力的に無理ぽ。
>>543 >『過去テーマメドレーリレー』
全く気付かなかった…。
ていうか他の人も気付いてないっぽい。
>ていうか他の人も気付いてないっぽい。 (=゚ω゚)ノ 先生、俺も気づいていませんでした。知っていれば、 もっと感想の内容が変わっていますた。
勝手な予想 『THE GARDEN OF EVERYTHING』の作者さんはやっぱり「みしおたん」の人なのかな? あと、『いつかなくしたもの、だけど見つけたもの、そして再び会えた人』の作者さんは 以前に『坂を越えた向こうに』とか『生贄』を書いた人でしょうか? 違ってたらすみません。
549 :
543 :03/09/11 01:35 ID:Hp5A0wRk
>>546 それはそれで上手く行ったって事かも。
いきなり『サッカー』『野外H』と続く違和感を最小限に抑えられたのなら。
>>547 できれば今の感想も聞きたいです。
>>548 (・∀・)ニヤニヤ
>543 気づかねぇよ! つか、_| ̄|○ オソレイリマスタ ソウイウイミノタイトルダッタンダネ...
生贄はもっと文章レベルが高かったかな、と思う。 いや、勝手なイメージなんだけど。 同じ作者さんだったら笑ってくれ。
>548 『いつか・・・』は、毎度マイナーネタを振ってはスルーされて嘆いている人のかとオモッテタ タイトルの遊び心がそれらしいかなぁ、と。 ……けど今考えるに、この人はエロ書かないかな?
>>544 特別出張毒舌セリオさん
「確かに明確には気づきませんでしたが……駆け下りるとか、サッカーとか、
無意識下で違和感はありました。全部出ているとまでは思いませんでしたが。
でもそれで順番にこだわって、構成を縛るのはどうでしょう。
ここをこうすれば、もっと良くなるのに、というところがあっても、あえて見過ごすのでしょうか?
私の提案した改良案が優れているかどうかはさておき、
順番を変えるという柔軟性くらいは持たせても良かったと思います。
あえて前書きでテーマに触れなかったのは、気づいて欲しかったからでしょうか?
ですが、それぞれのテーマ自体、『ただ出ている』という印象が強いです。
特に、一番最初の花は、ただの風景です。これでは気づきません。出した意味もありません。
美汐様が手にとって切なげにくるくる回していたら、また印象が違ったかも知れませんが。
個人的な意見ですが、テーマの処理としては、あまり感銘は受けません。
基本的にこのスレは、テーマの調理法も重要な評価材料になりますが、
生のまま出され、料理になっていないものが見受けられます。
『過去のテーマ』で語ったように、テーマを集めてもせいぜい技能賞を進呈するくらいです。
そういう理由で、私の評価は特に変わりません。
あとこれだけではなんですので、構成上、先の文では書かなかったことを一つ。
序盤のすねる美汐様は中の人の萌えポイントにはヒットした模様です。
では、失礼します」
554 :
518 :03/09/11 02:14 ID:U0jTJQa6
やられた。 過去テーマメドレーだったとは>TGOE 我々を欺き通すべく払われた貴官の密やかなる 努力と技巧、加えて美汐タンへの萌える愛に応え、 何の権威もなく申し訳ないが、「518技能功労賞」を 進呈したい。 うーん、確かに、過去メドレーになってる。 うまく隠したものだ。 読んだとき感じた、表現の言葉選びの違和感は、 これが原因だったのか。まいった。
読んでいて構成に違和感があるなら、テーマメドレーとしては失敗しているんでは無いかと。 いや、俺は読んでないんだけどねw
読者が一人も気付かない仕掛け。う〜ん、判断が難しいね。 目的と手段がごっちゃになっているような気がしないでもない。 強引に縦書きSSを書こうとして、内容に違和感が生じているような。
>542 (´Д`)ノ先生、テーマ「小動物」には賛成ですが、イルカは小動物とは言えない気がします!
>>556 縦読みSSはこのスレの範囲外なのかい?
一般SSと縦読みSSは目的自体異なるジャンルなんだが。
エロSSだってある意味そうだよな。
どういうSSとして評価するのかは読者の勝手だけど、
どういうSSとして書きたいのかってのも作者の勝手で、
まあ、それをお互い理解できればそれでいいんじゃないか?
面白ければいいんじゃない? 失敗すると目も当てられないだけで 次次回のテーマだけど、『小動物』よりも『動物』にしたほうがよいかも。 それならば、イルカも出せまふw
おはようございます(夜だ)。感想返し行きますが、故あって長くなります。失礼。
今回『いつかなくしたもの、そして見つけたもの、再び出会えた人』を書きました。
なんや色々いわれていますがw、『坂を越えた向こうに』とか『生贄』とかを書いていたのは私です。
>>548 さんにはお米券進呈。つーか、まぁ、これはばれるだろうといった感じですが。
まず、今回作品を書くにあたって、基本コンセプトとして真っ先に書かれていた1行。
『例えば。瑠璃子さんとはるかがえちぃ関係になるためにはどのようにすればよいか』
で、できあがったのがなぜかこんなんですが。何があった、俺。
まぁ書いてみたら結果的に、二人のトラウマが綺麗に融合した形になったので、
神の啓示とか電波の誘導とかマターリ王国からの狼煙とか、そういったものがあったのでしょう。
作風のせいか、エロSSとしては今一使いづらいと言う自覚はあり。
欲情して完全に壊れた瑠璃子さんが、電波ではるかをいいように弄ぶという展開だったら、
もうちょっと実用性の高いものになったような気もしますが。
本編では電波に取り憑かれる前の瑠璃子さんがどういう人だったのか分からないので、
急ぎ足になったり、お披露目会したり、浮かれた足取りにしたりと、微妙にポジティブにしてあります。
浴衣姿の瑠璃子さんが書けたのは良かったのですが、参考用に読み返していた自分のSSで、
同じような藍色の着物をまるで外見の違う人物に着せ、褒めちぎっていた。なんでもいいのか、俺。
>>467 ども。あまりタッチしない、と言うのは、キャラをどの程度知っているのか分かりませんが、
格別キャラ的に思い入れのない人に(ってことですよね?)、そういう風に言ってもらえると嬉しいです。
背徳の匂いかぁ……でもこれどっちかが少しでも嫌な素振り見せたら終わっちゃいそうだったしなぁ。
申し訳程度にはるかが抵抗しているけど……やはりもっと瑠璃子さんを壊すべきだったか!?w
風変わり、というのはありがたい言葉です。「他人の書かないような話を書く」というのが基本なので。
>>483 本編では、兄に体を奪われ精神を闇に閉ざし、やがて狂気の扉を開くのだった、と記述されているので、
兄に犯されたことがトリガーになったという解釈でいいと思います。
はるかに関しては……うーん、自分でははるかを書きすぎてて麻痺して、さじ加減が足りなかったかなぁ。
今回は兄貴が生きているバージョンなんで、もうちょっと兄貴と仲良くさせても良かったかもしれませぬ。
>>484 基本的に瑠璃子さん視点ですから、静かにはなります。
唯一のバイオレンスシーンでは瑠璃子さん意識半分飛んでましたし。
演出の意図通り、というのもこの二人のキャラ特性に依存しているような気もしますが、概ね狙い通りです。
……しかし、確かに脳内画像を再生してみると、引いたカットが多いような。
>>491 いやぁ、似てると思いますけどこの二人w
共通点とか目の付け所とか褒められていますが、キャスティングは偶然の産物だったのは前述の通り(爆
出会った回数に関しては、実は当初浴衣購入のシーンはなく、いきなりお披露目会だったのですが、
それで花火大会で「下の名前+ちゃん」で呼びあうのは唐突かな、と思ったのでシーン追加。
三回では赤い糸というほどのこともないし、五回だと多いような気がしたので、間を取って四回に。
河島兄の出番もできたし、締めのシーンにも引けたので、これはこれで良しかなと。
この二人は、異様にウマがあったというか合わせてしまったので、いきなりちゃん付けでも良かったのですが。
エロに関しては色々理屈付けはしたのですが、自分でも必要性は低いと思います。まぁサービスの一環としてw
添い寝でも良かったんですけどね、悲しくて寂しくて人恋しかっただけですから、この二人。
>>495 だるいですか。うーむ、でもテンポよく進めるという作風じゃないし、シーン構成にしても削るのはきついなぁ。
見知らぬ二人が仲良くなってゆく過程を書かなければならないので、どうしても文章量が必要になってしまう。
実は一目惚れに近いのですが、この二人。
>>526 自分で言うのはなんですが、確かにこれではあんまし抜けないw
なんかまた着眼点とか言われているよ。やっぱあのコンセプトは公開するべきじゃなかったか!?
こういうクロスオーバーは書いていて楽しいです。
>>532 いりませんゆーなw 多少なりとも自覚はあるんだ。確かにキスくらいでも良かったんだけどねー。
そういや作品分類はどうすればよいのだろう。なんか微妙に混じり合ってるし。
しかし月島兄が青姦って、どこで襲うんだ、どこで。玄関先か?w
ちなみに最後に出てきたはるかの相手……冬弥とは書いてません。彰かも知れません。別の人かも知れません。
最後に名前も出ずに(設定がない)、しかも回想シーンのみで死んでしまった、
もろにザコキャラのような河島兄に合掌(−人−)。花火ネタの割りには出番は三発だけだった花火にも合掌。
ついでにはるかの兄は「かなた(彼方)」説が有力なのだが、まさかSN○Wの主人公ははるかの兄なのか。
では芽依子様ははるかなのか、そうなのか。よっしゃあ(ガッツポーズ)む? うわ、やめろ離せ何をすr
さて、もいっちょ。『闇に閃く鈴の音』。実はこっちも私の作品です。
あえて作風は変えてある……と言うより、自然に切り替わってしまいました。
こちらは新規の「いつか(略」と違って、『耳』のときにほんの序盤だけ書いて、間に合わなかったものです。
誰彼作品を書くのは初めてだったのですが、超先生の加護か呪いか、トリップには大小2つのRR。
あげく「いつか(略」と平行作業で進めたために、ちっと時間オーバーしたりの問題作。
だいたいのプロットが立っていた割りにはなかなか進まなかったのは、慣れぬ文体であったからであろうか。
タイトルの鈴の音は、キリギリスの鳴き声も指していたはずなのですが――むしろこっちがメインかも
――そこら辺の表現がちょっと弱かったかも知れません。せっかく誰彼本編からイベント引用したのですが。
自ら葬ってしまいましたが、末長はお気に入りです。特に名前とか。またも合掌(−人−)南無ー。
>>488 褒められたのはいいとしても、佳作止まりなのは何が足りなかったのだろうと悩む今日この頃。
華か、エロか、それともバイオレンスか、あるいは御堂かも知れないと現実逃避してみたり。
サイドストーリーというか、誰彼のサブシナリオとして入っていてもいい話、ぐらいのつもりで書きました。
>>497 あー、確かにいきなり英単語がある。なんか見なおした瞬間笑ってしまった。
確かに、いっそ末長はもっと軽いノリにしてしまっても良かったかなぁと思います。
軽いんだけど、本心を容易には悟らせない、ような。
戦場の悲惨さか……悪夢でも見せれば良かったかな。せっかくのトラウマ持ちですし。
ちなみに実際には五十年とちょっと(数年)経過しているのは秘密です。
>>499 まぁ作戦自体は、良くあるパターンです。タイトルで半ネタバレしてますしね。
長さに関してはまとめ上げたというか、書いてたらこの分量になってしまったというか……計画性ないので。
本編で虫が鳴いているイベントがあったおかげで、作品の奥行きが出せたとは思います。
あれがなかったら、この作品自体、単なる五十年前の一事件で終わっていた可能性も高いです。
こういう本編とのリンクが好きです。うまく行くと楽しいですね。
序盤はなんとなくこうすれば格好いいかなあ、とかいう適当な理由での構成だったり(爆)
>>512 濃いですね。おっさん臭いです。誰彼で昭和初期という世界観のせいもありますが。
そもそもヒロインが不在だ(この作品に置いて岩切はそういう役どころではないので)。
末長の描写は能力面に力を入れすぎて、性格に関してちょっとおろそかになってしまいました。
末長が蝉丸を酒盛りに誘ったのは、あの時点で拒絶反応が起きていて、麻酔代わりに酒でも飲むか、
で見つかったから、最後に語っておくのも悪くはない。という感じでしたが……
やっぱ末長もっと軽いキャラにしておけばここら辺も自然になったような気がします。
で、この二人の関係はもうちょっと踏み込んでも良かったかなぁ。なんだか妙に気にいられた程度には。
>>521 ふむ。長いですか。まぁ確かに長いっちゃあ長いですな。
描写が足りないと本人が感じていても、読者は長いと感じるのは指摘されたとおり引き込みが弱かったのか。
「いつか(略」とは違った意味で淡々としていたせいもあるのかなぁ。
メインの蝉丸が年の割には老成しているのも大きかったやも知れぬw
>>536 えぇ、大混乱だったでしょうねぇ……やはりつっこまれどころはそこですか。
ジャンプ的……勝利はともかく友情も努力もあまりしていないようなw
漫画的演出を文章で再現する、というのは個人的理想の一つですから、そういう意味なら狙い通り、ですが。
葉鍵世界なら、闇戦試挑体を量産するよりは、メイドロボ軍団を作った方がいいような気もしますな。
間が空いていたからか指摘されませんでしたが、懺悔すると、末長、冒頭で水筒から酒を飲んでいます。 酒瓶が割れる音が戦闘開始の合図なのに。あうー。ごめんなさい。 さらにもう一つ。実は本編開始時では、蝉丸と岩切の間に面識はありません。 書いてる途中で本編やり直して驚いたのですが……これは会ってない方が不自然だろうと勝手に判断。 ついでにもうちょっとおつきあいを。「結婚」と「風」の時に書いた作品について少々。 「結婚」の時に書いたのは『君に届くなテレパシー』。1レスSSの予定が行数制限で2レスに(;´Д`) どうも私の脳内琴音は妄想全開壊れ気味のお茶目さんのようです。 ついでになぜだか葵ちゃんラブでもありますが、今回は本編準拠のため浩之がお相手です。 内容自体は最後の行に集約されていますが、寸止めしてもホールドされていたら出してしまうでしょう。 結婚は人生の墓場とはよく言ったものです。PC版OPをもじったタイトルはお気に入りです。 実は琴音はテレパシーなんぞ使えないのは良いのだろうか。ギャグだから良いか。 「風」の時の作品は、『風が運ぶ願い』。これについて長々解説するので、興味のない人は飛ばしてください。 まずKanonという作品において、あゆの奇跡、舞の力、妖狐である真琴など、不思議現象が多発しますが、 では今作に置いてその恩恵をこうむったのは誰かというと……実は香里です。舞もそうですが。 この作品「風」である意味がないと言われるのは、覚悟の上で表記しなかったのですが、 その風を吹かせているのは、全部香里という裏設定でした。 栞が学校に行くのを邪魔した風も、屋上から落ちた舞を受け止めた風も、ストールを空に流した風も、 全部香里の無意識が引き起こしたものです。SS読んだだけだと分からないようにできてますがw ですが香里は魔法使いの素養が低かったらしく、栞を救うまでには至りませんでした。 だから、香里がその力に対して無自覚であったのは、ある種の救いだったかも知れません。
メインヒロインは美坂姉妹とありますが、真琴シナリオでの真琴が香里、美汐が栞、くらいのつもりでした。 そのわりには栞目立ってます。栞が祐一の役を担っているという見方をした人がいましたが、これは逆です。 祐一=主人公に相当するのは、この場合、舞です。救ったのは香里です。原作に従い、救えるのは一人です。 舞が完璧超人みたいと言う意見もありましたが……確かにブーストかかっている気がします。好きなんでw 魔物退治に関してはさすがに性急すぎたかなぁ、と。未解決にしてぼかしても良かったかなとは思います。 でもこの世界、祐一が転校してきてないみたいなんで、一人で解決しないとどうしようもなかったり。 魔物って舞の思いこみに依存するものだから、舞が悟れば浄化できる類のものだと思うんですよね。 美坂姉妹を導くことに関しては経験者は強し、ってことで。近い状況を幼少の時に克服してますから。 佐祐理さんの出番は極少ですが、そこらのシーンは好きです。本編準拠の受け答えなんかもそうですが、 栞がアイスぐらいしか喉を通らない、というのはKanonやってたときからそんな事を考えておりました。 辛いのも元々嫌いなんでしょうが、刺激物などもってのほかという感じで。ああ見えて末期患者ですし。 栞を救う、という選択肢もあったんですが……プロットで香里に「起こらなかったわよ、奇跡」というセリフがあって、 それを書きたいがために、栞抹殺を決意したような気もしますが……使えませんでした(爆 カリカリ写真立ての裏を引っ掻いたり、壁に拳を叩きつけ続ける香里などは、書いてて楽しかったです。 薄暗い部屋でパジャマ姿で体育館座りして、ずっと半眼で闇を見つめながら壊れてかけていく様は萌えます。 なにかと栞への態度で色々言われがちな香里ですが、舞に対するぶち切れた発言は栞への愛情の裏返しです。 歪んでます。歪みまくってます。いい感じですw 舞の襟首ひっ掴むなんて、彼女しかできないでしょう。 まぁこれだけの解説が必要な作品と言うだけでかなり終わってる気もしますが……ある種陰険だ。 しかし今回解説入れた長めの作品3本。全部人死にが出とる……(−人−)南無ー。 長くなりましたが、こんなとこで。では失礼します。
どうも、「夢の迷宮」の作者です。久々にSS書いてみました。今回は初痕、初エ ロ、初長編、初ダークなのですげえ難産でした。プロットを何度も変更し、最終日 は缶詰状態でようやく陽の目を見ました。 元ネタは横山光輝の漫画(たぶん『史記』)に出ていた中国の故事から。作品中では 書きませんでしたが、ラストでは王様が「今日は無礼講だから、冠を置いて飲もう ではないか」と言い、窮地を救われた家臣は戦場で王の危機を身を呈して助け、王 に真相を告げて死ぬ……というものです。 初めは単純に暗闇でキスをした犯人当てにしようと思いましたが、それだけでは 物足りないので、それは撒き餌にして別の仕掛けを打ちました。 今まで自作品に対して皆様から数々の欠点を摘示して頂きました。「文章が下手」 「一人称と三人称がごっちゃ」「句点が多い」等々。それらを克服し、新境地を ―――と書いたんですが、また新しい指摘を山の様に頂きました。……精進します。 自分は後発組なのでなるべく新しいものを書こうと思ってます。ミステリを意識し たのも、その試行錯誤の産物です。過去にこのスレで投稿した作品を一応挙げておき ますが、ちょっとイカレ気味なものが目立ちますw 「Run with the dogs」(『走る』) 「メビウスの環」(『嘘』) 「You only live twice」(『旅』) 「No future」(『旅』) 「あいにくの風で」(『風』)
>>486 >次女や三女は従兄弟にあたらないのでしょうか?w
_| ̄|○ なんでこんなミスを……。「長女の」はいらないじゃん……。
夢から覚めたときに、耕一が楓だと認識できたのは、一家団欒の時は耕一の脳が千鶴
さんが居ることを要求してますが、楓と二人きりの時はその必要が無いから……という
ことにしておいて下さい。
>「耕一お兄ちゃん、それは、それは……楓お姉ちゃんだよ………」
これ(・∀・)イイ!作品の最後の方は脳が限界だったので、あまり出来に満足してないで
す。もう少し時間があったらこんな風に良い形で収束できたかも知れませんね。
>>496 高評価ありがとうございます。ところで、「思い出」ってどこらへんの事でしょうか?
古臭さは意識して無いですけど……小難しい言いまわしが好きなだけです。
夢がなぜああいう夢だったかについては、夢なので脈絡がなくてもいいかなって言うの
もありますが、楓との性交が夢であるかのようなミスリードの一環としての意味も含んで
ます。
>>510 貴方の数々の指摘は多分正しいと思います。自分でも気付かなかった弱点をすっぱり
発見してますから。でも、自分が今回目指したのは「反転の構図によるサプライズ」なので
あのオチや構成は変更出来ないんです。耕一に精神的再建を果たしてもらっては困ります。
構成を補強するロジックが足りないという批判は甘受しますが、今後も強引なプロットを
やめないだろうと思います。耕一の性格にそぐわないというのは多少自覚してました。千鶴
さんを殺したのは耕一……という設定の方が良かったかもしれないですね。
>>520 >耕一の夢と現実の関連がつかめず
初日と二日目の夢はこの作品の元ネタです。多少脚色してますけど。これを挿入したのは
元ネタとの展開の違いを知ってもらうためです。三日目の夢は確かに浮き上がってますね。
本当は昼間に海に行くべきだったんですが、結婚式前だし千鶴さんがいる振りを何度もする
のは厳しいので割愛した影響を受けてますね。……プロット、歪んでるなあ。
>謎解きが解説風だったのは、作品の長さを気にしたから?
そうです。こんなに長い作品を書いた事が無かったんで……。でも真相編が4レスなのは
少ないかもしれません。2倍に水増ししても良かったくらい。
>>534 厳しすぎるよセリオさん……;y=ー( ゚д゚)・∵. ターン と言うのは冗談ですが、叙述トリ
ックを効果的にするための三人称なので、地の文で嘘を書くつもりは無いです。その制約の
せいできわどい綱渡りをする羽目になりましたけどね。他の点は同意します。……いや待て、
夢は無駄じゃないだろ!(w
最後に、この作品を書くにあたっては沢山のミステリ小説、海洋汚染の専門書、古代中国
の衣装についてはインターネットのサイトを参考にしました。それらには敬意と感謝の意を。
そして拙作を読んでくれた方々にも。ありがとうございました。
以上です。長文失礼しました。
旅路の果てに 作者です。感想を書いてくださるみなさん、そして読んでくださるみなさん、いつもありがとうございます。 今までは「あなたが望んだ桜道」「思い出は風と共に」「あなたには幸せを 私たちには思い出を」 「観鈴ちんと海の思い出」と、ほのぼの系を中心に投稿してきましたが、今回はあまりいいネタが浮かばず、 結局最初に思いついた「往人とうたわれのクロスオーバー」で一発ネタをやることになりました。 往人が翼を持つ少女を探しているのなら、うたわれのウルト、カミュと組み合わせられないかという 発想から生まれた小ネタだったのですが、「この先が読みたい」という意見がいくつかあり、嬉しい 限りです。 ネタの出来としてはもちろん読み手によって賛否両論でしょうが、たまにはこういうのもいいんじゃないかと思っています。 しかし、セリオさんが考えたオチのほうが面白そうでしたねw ちなみに、これの続きとしては、往人がハクオロの元でやっかいになり、剣術や術法を習い、戦に参加したりもして うたわれのメンバーと交流を深めたり、時には争いがなくならない世界に悩みながらも元の世界に帰る方法を探していく、という設定をいちおう考えてはいました。 ただ、実際に書こうとするとかなり長くなりそうだし、細かい所はまったく考えていないのでたぶん書きませんw 次回テーマは復讐……なかなか難しそうなネタですが、ネタが思い浮かんだらまた参加させていただきます。 次々回テーマ…小動物も悪くないですね。 個人的には「食べ物」に一票。
>567 >中国の故事 楚の荘王のエピソードだね。 ちょうど元ネタも知っていたし興味を引かれたんだが、途中で突然夢の内容が変わっていて結果的にはむしろ(゚Д゚)ハァ?だった。
572 :
543 :03/09/13 00:50 ID:2aTTlqXV
>>550 >>554 そう言っていただければ書いた甲斐もありました。
他にも挑戦する人いるかと思ったんですけどねえ。
>>271 さんがやったからやめたのかな?
>>553 順番変えていいなら比較的容易に作れるので、メドレーじゃないと面白味も薄れるかなあと。
まあ、そこに面白味を感じる人向けっていう事で。
でも短編で全部を調理するのはなんぼなんでも無理ですって。
一応、冒頭の『花』は心を開いた美汐のイメージのつもりですが、投げっ放しっぽかったかな・・・?
それと、みしおたんの萌えが少しでも伝わったなら嬉しいです。
>>555-556 私の場合、縦読みSSのように2つの角度から見て楽しめるものを目指して書いてみました。
別にそんなの読みたくないって人には申し訳ないですけど。
うーんここも保守age
574 :
243 :03/09/13 04:51 ID:IdtyMZSe
はっはっは 感想書くどころか読んですらいないや(´Д⊂
次々回のタイトルは個人的には「再会」をキボンヌ
『みさきとメイドロボの微妙な関係』を書いた者です。 読んでいただいた皆様、感想を頂いた皆様、ありがとうございました。 前回『乙女が海に来た理由』を書いたのですが、これがインパクトを狙っただけの失敗作だったので、 今回はもうちょっと丁寧に書いてみようと思いました。 いつもクールなセリオと、おっとりして茶目っ気のあるみさき先輩をコンビにすれば、 微笑ましい光景になるんじゃないか、と考えたのですが、ちょっと地味な話になってしまったようです。 よく考えると、みさき先輩の1人称だと当然目に見える情報は書けませんし、 相手がセリオだと声から感情を読むこともできず、かなり話を動かし辛いですね。 興味を引くような展開を作りにくく、面白いのかどうか自分でもよくわかりませんでした。 せめて、読んでいる間、退屈にならないようにだけはしたかったのですが、 どうにかその目標はクリアできたでしょうか。
>>481 ありがとうございます。
繰り返し読むにたえるものが書けるようになりたいと思っていましたので、
そう言ってもらえると本当に嬉しいです。
>>487 うーん、もうちょっと意外性のある展開を用意すべきだったようですね。
>なんとなく、この文章の書き方は前にも見たような記憶がw
自分ではあまり特徴のない文章だと思っていましたが、やっぱり癖みたいなものがあるんでしょうか。
他の人と間違われているのかもしれませんが……
自分で似ていそうと思うのは『柏木家の初夢』とか『風を祈る二人の姉妹』とかでしょうか。
言われてみると、同じようなものばかり書いている気もします。
>>496 >なんだか最後のところは逆にダークなようにも感じられてしまいました。
実は、すべてセリオの計算通りで、日本の家庭はこうしてメイドロボに牛耳られていくのだった……
という話にしようかな、とも思っていました。
最初の意図から外れるし、読んだ人が引きそうなので結局はやめましたが、
書きながらもどうするか迷っていたので、そういう感じが残っているのかもしれません。
>>499 うーん。やはりもう少し突き抜けた部分が必要だったでしょうか。
突き抜けすぎても失敗したりするので、バランスが難しいですね。
>たぶんこれを書いた人は相当な熟練者なのだと思う。
いえいえそんな。たしかにこのスレには始めのころからいますけど。
他の場所には書いたこともないですし、まだまだ未熟者です。
>>511 あまりお気に召さなかったようで残念です。
そういえば、名無しくん、、、好きです。。。さんはセリオは苦手で、ONEも未プレイでしたっけ。
この組み合わせではちょっと厳しいかもしれませんね。
>>526 ONEの世界にメイドロボとが存在するのが不自然ということでしょうか?
一応、本編の数年後なので、その間に発売されたということなら別に矛盾はないと思ったんですが、
やはり毛色の違う物語の登場人物を出すにはもっと工夫がいるのかもしれませんね。
>>535 あ、試作型のほうのセリオさんだー。お世話になってます(w
>「連れて行きなさい」
そ、そんなご無体な(w
最初は網走あたりにしようと思ったんですが、それだと連れて行きそうなのでカムチャッカにしたんですけど。
みさき先輩は環境の変化が苦手そうですし、言葉も通じない国には連れていけないでしょう。
彼女自身も浩平の足手まといになるのは嫌がるので、連れていけとは言わないと思います。
>「何日か過ぎていたのかも知れませんよー」
その日の夜です。『昨日の浩平君とのことを思い出してみよう』としてますし。
>「じゃあ一服盛ったんじゃないんですか?」
おお、そこに気がつくとは、さすがマルチ嬢。
遠くに買い物に行ったのは薬を仕入れるためで、献立がカレーなのも薬を入れても分かりにくいからです。
……というのは半分冗談ですが、そういう解釈ができても面白いとも思っていました。
そんな深読みをしてくれというのは無理な話ですし、あくまで普通に読んでほしいのですけど。
ちなみに、部屋から出て行ったはずなのに呼ばれてすぐ来たのは、ドアの後ろに待機していたからです。
……やっぱり計算高いですね(w
それでは皆様、ありがとうございました。
また参加することがあれば、よろしくお願いいたします。
縦書きと言えば前回の「月下血踊」、 一レス目だけが縦読みになってるようななってないような。
ほ、ほんとだーっ! ……つうか、どうやって気付いたんだあんた。
>>579 ( ・∀・)つ〃∩ ヘェーヘェーヘェーヘェーヘェーヘェー
作者?
偶然?……まさかな……作者サン説明きぼんぬ〜(;´Д`)ノ
前回の作品の3次創作って、反則ですか?
次次回のタイトルは「ヒ−ロ−」なんてどう?
>>579 >>242 の作者の挨拶で縦書きについて触れてるのに
誰も気付かずにスルーされてるね。気の毒にw
>>582 解説も何も、
>>585 、ということで。ネタの一環です。
さすがにフルコーラス通して縦にするには、歌詞に平仮名が多すぎました。
いや、無意味に改行せずに縦書くなら、ですけどね。
次々回お題中間まとめ 小動物(動物) 食べ物 再会 ヒーロー
>578 Yes. ついでに言うと、かなりの百合好き。 このSSは好みの部分と苦手な部分が混合してなんとも言えない味わいですた。
「Runner」の作者です。 普段はキャラスレで管巻いてます。萌えのみでSS書いてます。 参考資料はGoogle。検索ワードは「中華料理店 着るもの」。 着るものて。今時お子様でももう少し言葉知ってるぞ、自分。 今回はシリアス系統が多かったようで、そのためなにやら過分な評価を頂きましたようで。 ありがたいような、嬉しいような。どちらにしても喜んでいることに変わりはないのですが。 一番気合をいれましたのがキャラの造形、二番目に慮ったのが読みやすさ。 最初に書きました通り、執筆動機がキャラへの愛情のみなので、そこを否定されるとアイデンティティーが崩壊しますので。 その点ではなんとか基準点はクリアしていたようで、ほっと一安心……して宜しいのでしょうか? 過半数の方に突っ込みを受けました、展開の弱さ。 これに関しましては……自分では結構、意外性を盛りこんでいたと思っていただけに、少し驚きました。 しかし他の皆様方の作品を見て、すぐさま納得。なるほど、これは指摘されても仕方がないな、と。 それが認識できただけでも今回のコンペ参加は、本当に有意義だったと思います。 あと、キャラ間の呼称に付き、一部を全くの個人的理由から変更していたりします。 瑞佳と呼ぶ浩平なんてただの飾りです。偉い人にはそれがわからんのです。 ……いや、実際には長森ENDを迎えていない方が混乱をきたさないよう、調整を加えただけなんですが。 作品に対して&頂きました感想に対しては、ほとんど上記で語り終えてしまったのですが、せっかくの機会ですので、個別レスなるものに挑戦してみたいと思います。 一期一会。この出会いを大切にしないとバチがあたりますから。なむ〜。
>>483 こういった客観的に見て頂けましたご意見は参考になります。なむなむ〜。
>>484 ええっと、本当に自分のSSに対しての感想で宜しいんでしょうか?
もう喜んじゃいましたよ?今更変更なんて効きませんよ?もし変えたら泣きますよ?
……ちょっと疑心暗鬼、入ってるみたいで。ここは素直に喜びます。高評価、ありがとうございました。
>>492 またまた弱点が浮き彫りにっ。
やっぱりハタからみると、一目瞭然なんでしょうね。
少し、自分を見つめ直してみようと思います。旅に出たりはしませんが。
>>495 瑞佳はかわいいです。長森は可愛いです。やはり貴方も長森瑞佳が大好きですか!そうですか。
後半部分のご指摘に関しましては、これはもう精進しますということで……。
>>509 全てをプラス方面に解釈してくださっているのですが……狙ってやった表現はほとんどなかったりします。
シリアス書いても同じ文体になるような。今後は意識してそう感じてもらえるよう、努力しますです。はい。
ちなみに長森が叩き込んだのはスーパー頭突き。
そのままダウンさせてマウントを取らせようかとも思ったのですが、教会でそれは不謹慎なのでやめておきました。
>>533 セリオにならお金払ってでも罵られてみたいなぁ、と考える駄目人間です。
>「キス寸前で裏切られた長森様の心境やいかに」
えーと、混乱して戸惑っているうちに浩平がうやむやにしたって感じで進めてみたのですが……駄目?
>長森様も体当たりするほど切羽詰まっている割りには、状況説明に分断されて、追及の手が今一温いです。
>彼女なら捜索隊を組織して、辺り周辺を虱潰しに探し回りそうなものですが」
そこは母性の塊瑞佳嬢。手紙を見て、最初は浩平の成長を見守るために自分だけが我慢すれば良いと思っていたのですが、その内徐々に辛くなってきて……苦しい?
>あと、バイト先のことをもう少し描写した方が、かえって、なんでだろうと読者に思わせられたのではないかと思います。
>チャーハンという単語を出さなければ、料理関係のバイトでも誰も気づかないと思うのです」
バイト先の描写は、あまりに書きすぎると最終オチがバレバレになるかな、と思って最小限に留めてみました。
それをわからないように表現するのが腕の見せ所だと思うのですが、イマイチその自信がなかったもので……。
嗚呼、レスればレスるほどメッキが落ちていく。
でもそれが嫌じゃない自分がいて、むしろもっと突っ込んでもらいたいと感じる自分がいて……ヤバ気なんで終了。
次々回のテーマは、「動物」なんかがいいんじゃないかな、と思っています。
592 :
484 :03/09/17 00:51 ID:PfvE1SM3
>>590 完璧かと言われればNoだけど、
楽しかったかと問われれば、間違いなくYes。
あと、あなたの中にある「長森人格モデル」が
良かったからかも。
今日の午前10時から作品受付開始だったっけ?
HMX73059.I ★ 氏からのアナウンスが無いため、少なくとも今日ではないと思う。
期間の話はどうなってんだ?
>>595 「基本的に」一週間、って感じです。
自分がやや生活不安定なので、周期も一定していなかったりします。申し訳ない話ですが。
というわけで、特に問題なさげなら明日の10:00から次回の開催としたいと思います。
同時に次々回のテーマ募集も明日の10:00で締め切る予定です。
ご意見等ありましたら、それまでにお願い致します。
えと、投稿&感想期間は、当面は現状維持(2週間+1週間)としたいと思います。 また、次々回テーマは「動物」が多いようなんで、それでいきたいと思います。 では……
【告知】
第十八回投稿テーマ:『復讐』
投稿期間: 9 月 18 日の午前 10:00 から 10 月 2 日の午前 10:00 まで。
テーマを見て、思いついたネタがあればどんどん投稿してみましょう。
面白い作品だったら、感想がたくさんついてきて(・∀・)イイ!!
もちろん、その逆もあるだろうけど……(;´Д`)
※投稿される方は
>>2-4 にある投稿ルール、FAQ をよく読んでください。
※特に重要なのが
・テーマに沿った SS を*匿名*で投稿する
・投稿期間中は作品に対して一切感想をつけない
※の二点です。他の各種 SS スレとは異なりますのでご注意を。
それでは、投稿開始っ!
# また、次回のテーマは『動物』で、開催時期は 10 月下旬になる予定です。
# 「二週間じゃ短すぎて書けない」「テーマが難しい」という方はこちらの執筆に力を
# 注いでもらっても構いません。ただし、投稿は次回の募集開始までお待ちください。
599 :
◆7igY4SLYdc :03/09/18 17:26 ID:TnNMpae4
SS投下したいのですが、残りの容量から言って次スレで投下したほうがいいので次スレキボンヌ
>>601 ありがとうございます&お疲れ様でした。
お手数をおかけしました。
投稿作品の収録は、こちらのスレでも次スレでも、
1レス目の投下が早いほうから収録していく予定です。
容量的に小さい作品であれば、出来ればこちらのスレを使ってくださいませ。
>容量的に小さい作品であれば、出来ればこちらのスレを使ってくださいませ。 このスレは作品の投下に使わない方がいいと思います。 理由は以下の通りです。 ・同じスレが平行して存在するのは余りよろしくない。 ・作品が二つのスレに分かれるのは非常に読みづらい(収録されているHPより、スレの方が 見やすい) ・新スレが即死、またはdat落ちする可能性がある。 以上の理由から、こちらには新規作品を投下しないほう良いと思いますが、如何でしょうか?
作品が読みづらいって言うか、作品への感想が書きにくいし読みづらい。 ので、できるだけ1スレにまとめる案に賛成。
俺もそーおもう。 でもそーするとしたら、こっちを埋めるのにどーしようか。 まだ50KB以上ある。
別に無理に埋める必要もないかと……
じゃあここだけ総括期間って事にすれば? ちょうど全過去テーマまとめてやった所なんだし、 それぞれのテーマについて言っておきたかった事もあるんじゃないか? 俺は無いけど。
>>601 ありがとうございました、御陰でSS投降できました
>>608 一つ聞きたいのだが、投稿が途中で丸1日止まったのは、規制がかかったからなのか?
はいそれもありますが、それで規制が解けるのを待っているうちにいつの間にか寝過ごしてしまい 朝になった上こちらのプライベートな事情であの時間まで続きが投降できなかったのです
へ-
612 :
名無しさんだよもん :03/09/24 22:04 ID:t1CUF8Me
613 :
名無しさんだよもん :03/09/24 23:46 ID:B9yi63ML
真偽はしらんが、証拠を提出しないとただの嫌がらせになってしまうぞ。
>>614 前半は違うけど、後半は全く同じモノがあった。
残念ながら俺もスレ忘れた。
作者がリライトしたのかと思ったけど。
過去作品の中にル鬱のSSが見当たらないな…。 今回の題材はル鬱だと使いやすいと思われるので、 久々にSSを葉鍵に落としてみるか。
…と思ったら皐月のSSがありましたな。 適当な事書いてスマン。
Routesとまじアンは少な目なのでねらい所かも。うたわれもあまり多くない。 ここら辺はプレイ人口の差か。誰彼はほとんどなかったが、ここ最近、なぜか目立っている。 多いのはやはり、Kanon、ONE、東鳩、痕といったところか。
620 :
名無しさんだよもん :03/09/28 14:01 ID:rreIEWtK
>>619 Routesは“サツキ・ザ・ワイルドキャット”があったが悲惨だったぞ。
何せほとんどの感想人が発売後一ヶ月経過したにも関わらず、
「未プレイにつきコメントできません」で終わったからな。
感想を述べた人は一人だけだったよ。
今、どのぐらい普及したかはわかりまらないが、
新しい作品やマイナーな作品を題材に扱う時は
「未プレイにつきコメントできません」の可能性があることを頭に入れるべき。
毎回覚悟してますが何か?(笑)<未プレイにつき〜
623 :
617 :03/10/01 08:42 ID:d4chXjBR
>621 2本書く予定だが、そのうちの1本は書き終わった。 出来たやつもこれから書くやつも完全にプレイしている事が前提の本編の補完SSだ…。 まぁ、コメントは期待しないでおくよ。
前スレがいつまでも残ってるのはアレなので、ネタを提供。 コンペで登場した原作のゲームをカウントしてみた。
投稿作品 231作(第18回まで) クロスオーバー 8作(使用された原作のべ18作) 使用された原作の合計 のべ241作 Key作品 126作 Keyスタッフ 2 MOON 1 ONE 31 Kanon 77 Air 15 Clannad 0 Leaf作品 115作 ナイト雀鬼 2 雫 11 痕 28 To Heart 40 White Album 10 こみっくパーティー 6 ナイトライター 2 まじかるアンティーク 1 誰彼 6 うたわれしもの 5 Routes 4 天使のいない12月 0
Leafはホワルバ以降は同人人気が全く振るわない。 まさに坂道を転がり落ちるが如く。 まじアンなんて1作のみだよ。ってかこれ五月雨堂じゃんw KeyはKanonのみが突出して他のゲームはいまいち。 コンペ1回に付きKanon作品を平均4作は投稿されてる勘定だね。 これでクラナドが駄目なら葉鍵はそろって斜陽だな…。
Kanonはさすが、って感じだな。 バムが雫に負けてるのが意外。 はるかをあちこちで見かけた気がしたが、瑠璃子さんも負けていないということか。
こみパも同人誌だと結構見かけるんだけどね。 あとはこのスレにいる人の趣味の偏りにも影響するし。
よく見たらフィルスノーンが0だな。 プレイ人口はそこそこいそうなのだが、 ファンは少ないのだろうな。
AIRのSSの弱さはここでも発揮されてるな。 プレイ人口はトップクラスだろうに。
>>630 アビスとテネレと同棲もゼロだよ( ・∀・)……テレネだっけ?
同棲ってkey? SSどころか、この板で語られているのを見たことないや(w
それと
>>624 、「うたわれるもの」ダゾー
>>626 だな……(´・ω・`)サイキンコンナノバカリ
よりによって本文無しレスにアンカーつける633に萌え。
>>633 君はあの「同棲スレの1」を知らないね・・?w
あとヒロインのスレは現在part25だ。(注:騙される)
東鳩が意外に多いな。 あの設定はいろいろ使いやすそうだけど。 痕とかは使いにくそうなのに頑張ってるな。主にエロで。
最優秀作品の作品別ランキングを数えてみました。 ()内は(最優秀作品数/そのゲームの全投稿作品数)で算出した打率です。 1位、5作品:kanon(0.065) 2位、3作品:To Heart(0.075) 3位、2作品:ONE(0.065) WA(0.2) 痕(0.071) 雫(0.181) 4位、1作品:まじかるアンティーク(1.00) Air(0.066) 誰彼(0.166)
投稿数ベスト5のKanon、東鳩、おね、痕、Airが 6〜7%台のところに収まってるのは面白いね。 傑作の後ろには死屍累々が…。
東鳩の最優秀作品は3本ともセリオものだな。 雫は2本とも瑠璃子もの。 痕は2本とも耕一の夢精もの(w
つまり『耕一の夢精話に外れ無し!』ってことですかw
そして次回コンペでは耕一夢精ものがわんさかと……読むの嫌だなw しかしセリオさん、伊達に毒舌吐いてねぇな。
テーマごとの投稿作品数です。 •14話 第一回:『花』 • 9話 第二回:『走る』 •15話 第三回:『雨』『サッカー』 •12話 第四回:『夏だ!外でエッチだ!』 •27話 第五回:『嘘』 •11話 第六回:『絶体絶命』 •17話 第七回:『夢』 •11話 第八回:『キス』 •11話 第九回:『旅』 • 9話 第十回:『初め』 •11話 第十一回:『プレゼント』 •19話 第十二回:『耳』 •15話 第十三回:『桜』 •12話 第十四回:『風』 •14話 第十五回:『結婚』 • 8話 第十六回:『海』 • 9話 第十七回:『過去のテーマ』 •10話 第十八回:『復讐』 1テーマ平均13話 しかし、嘘ってそんなに書きやすいテーマなのでしょうか?
644 :
626 :03/10/08 22:34 ID:A22rgH45
数え忘れハケーン。東鳩は41作だった。
投稿作品数は232かな。
>>643 耳の回は17話じゃない?
平均を超えたテーマ 『花』『嘘』『夢』『耳』『桜』『結婚』 具体的にも抽象的にも複数に意味がとれる名詞がいいのかな。
テーマ以外の条件が影響することも多々あると思う。
>>643 「嘘」の回は、
・夏休みだったこと
・その前の「夏だ!外でHだ!」の回が盛り上がったこと
も原因のひとつとしてあるんじゃないかな。
長期休みの回は作品数増えやすいような。
あと、盛り上がってる場を見たり、いいSS読むと、
「よっしゃ俺も!」なんて気合いが入ったりすることあるでしょ?
救済age
648 :
感想〜〜 :03/10/19 15:30 ID:8HpCvdCC
巷では、SS作家の多くが某こんぺに参戦を予定しているせいか、こちらでは作品数が少々減ってる感じですね〜。まあ、私もその中の一人ですが(苦笑) 久しぶりですが、こちらでは2回目の感想人をやらせて頂きます。っても、感想期間は既に終わってるんで(19回の開催期間にもう入ってるって!)気楽に読んでやってください。 以前のように評価基準は☆☆☆>☆☆>☆>★>無印です。 光の道 うぐうぐうぐぅっ!(何) うわぁ……何ていうかまあ、一言で言うとU−1です。ごめんなさい、5レス目あたりから思いっきり流し読みです。 んで、まあ、その、何と言ったらいいのか。……ほ、褒める所ナッシング……(汗) カノンの二次創作である必要性ゼロの上に、構成も悪いです。遊び心が感じられるならそれでもいいんですが、残念ながらそれも感じません。ストーリーの起伏も無いし、ただキャラを弄んでる……と、正直そんな風に感じてしまいましたので。 今回の色んな方の感想などを参考にして、良い物を書けるよう頑張っていって下さいね。
649 :
感想〜〜 :03/10/19 15:31 ID:8HpCvdCC
☆帰ってきた柳川 『帰って来たぞ、帰って来たぞ〜♪ ウルト〜ラ〜マ〜〜ン♪』 そんな音楽がタイトルと同時に頭の中に鳴り出しました(笑) 文頭一文字開けがやったりやってなかったりというのは、推敲不足なんでしょうか? でも、誤字脱字は全く無いんですよねぇ……。む〜、こういう初歩的ミスはもったいないですよ。 とまあ、そんな事はさておき。エルクゥバカすぎ(笑)ふははははは、という笑い声が出てくるたびに、こっちも思いっきり笑っちゃったじゃないですかっ! それと、二重心理描写を地の文でやるのは、どっちがどっちか分からなくなる可能性もあるんですが、エルクゥのバカっぷりのおかげで、最後までどっちがどっちか、混乱する事はありませんでした♪ 細かい小ネタも楽しかったです。 「こうしてあらぬ悪口を大量に吹き込んでおけば」 って、全部事実だってば(笑) 14レスまでは話の勢いとギャグとが上手い具合に絡んで、凄く面白かったです。ただ、15レスから先、急に勢いが消えるんですね……残念な事に。 そして一番問題なのが、キャラ描写。梓の怒りは、かおりという恋人(爆笑)に対して行われた事を考えたら弱すぎますし、初音がすぐに柳川をかばうのも、いくら初音とは言え無理があります。 千鶴さんは……まあこんな感じだと思いますが(笑) 柳川はもうちょっと柳川らしく行きたい所ですね。皮肉をこめて笑うくらいやっても良かった気がします。 ただ、レベル1という考え方と、再封印の設定はかなり綺麗にまとめられていました。ラスト4レス分をもうちょっと説得力をもって書き込めれば、さらに良い話になった気がします。 後は、ラストを全面的に変えて、最後までギャグのままで突っ走るとかもいいですね。 最後に……この話の楓がなんとなく、天巫女姫の椿に見えたのは秘密です(爆)
650 :
感想〜〜 :03/10/19 15:33 ID:8HpCvdCC
キツネのヨメイリ あぅーっ(泣) こういう、ジャンプの連載打ち切りというか、起承転結の結だけで終わりというストーリーは、もうちょっと何とかならなかったんでしょうか? 本来の実力……ある程度はある方だと思います、この作者さん。時間不足でプロットが纏まらないままに出してしまったんでしょうか? それとも、理不尽さと唐突さをテーマにおいたんでしょうか? どちらにせよ、読者に『未完成』だと思われたら失敗だと思います。 作品完成までの経緯を知りたい作品です。力は間違いなくある方だと思いますので、次回以降の作品に期待したいと思います〜。 ★逆撃長森瑞佳 折原浩平急襲 こういうストーリー構成、私好きです〜。長森と浩平の微妙な(異常な?)本編後の関係を主軸においての話は、上手い着眼点だと思います。 が、しかし。これでは長森はただの色情狂ですよ(汗)お酒に酔って、それで……というならまだ良かったんですが。 化学室からクロロホルム持ってきてる時点で、これは確信犯だって事になりますから……長森はいくらなんでもこんな事しないだろ! と、そう思ってしまいました。 私だったらこの話、夢落ち→それを夢と認めない浩平→どんな夢かを尋ねる長森→手取り足取り(笑)実践する浩平 ってな感じにします。 長森の行動の説得力、これさえしっかりしていれば☆☆くらいまではすっといったんでしょうが、これではこの評価がせいぜいです。 長森と瑞佳の差とか、細かな描写力などがしっかりしていた分、今回一番残念な話に感じました。初期構成に難があった事が原因だと思いますので、ぜひリテイクで読んでみたい話です〜。
651 :
感想〜〜 :03/10/19 15:34 ID:8HpCvdCC
ピザと手記、Nemesis(評価外) ごめんなさい、ルーツ未プレイにつき採点不能です。2ヶ月間、ずっと積みっ放し……(汗) 電気羊の夢 はぅ――ん……ぐっすん(泣)しくしくしくしく……。 あああああああああ……ラストが、ラストの締めが悪すぎですぅ――!! 5レス目までは、かなりしっかりした作りでした。色々と直すべきところもありますが、それはまあ、いいです。 なんでこんな終わりにしたんですかっ!? 悲壮感も、物語の説得力も、何もかもありません! つか、なんでマルチにしたんです? セリオの方が説得力でるでしょうに! 長い話にしなくてもいい話をやたら長くする話が最近多いですが、この話は真面目に書いたら9レスなんかじゃとてもとても足りません! 私がこんなストーリー書くなら20レスでも足りませんっ!! 浩之とあかりの描写が全く無い時点でストーリーの深みとしては大問題ですし、マルチがあっさり説得されるのは論外です! 目の前がくらくらしました、あまりの展開に。 そも、何故にこんなあっさりと捕まりますかぁ……(泣)ジャンプの連載打ち切り風ストーリー構成は辞めましょうよ! リテイクしましょう。つか、リテイクしなさい!(ぉ) 久しぶりのオリジナル設定をこめた名作の登場かと、序盤で凄く凄く期待していた分、落胆は無茶苦茶でかかったです。り、リテイクぅ……(泣)
652 :
感想〜〜 :03/10/19 15:36 ID:8HpCvdCC
☆☆MOON.― the last night ― 「しーゆーねくすとんっ!」に思いっきり笑ったのは、まずさておいて(笑) シーンが、何て言うかMOON本編での後半部、放心状態の郁未に似ていますねぇ……。一番この話で凄いと思ったのは、MOONでも疑問だった 『何で郁未がAクラス?』 という思いの氷解に一役買っている、と思わせる話です。肉親の死、だけでなく、それから一歩先の過程を越えてから、郁未はFARGOに来てたわけですね(少なくともこの話では) これは、確かに由依より精神的に強いよ……と至極実感なのでした。 恐らく葉子さんも、一歩先の過程を越えてきているはずです。MOON本編でもそれを感じましたから。これ読んで、由依がBで郁未がAだって事を始めて強く実感できました。 ぽつぽつと語られる日常ですが、そこには喜怒哀楽が意識して削られているのが良くわかります。絵がカラーじゃないんです。完璧にモノトーン。 中盤部は、割と明るめ(あくまで全体比較です。一般レベルから考えたらこの話はずーっと暗いです)にもかかわらず、それでもモノトーンのままなんですね。 色が戻ったのは20レス目の終わり。だからこそ、あの郁未の台詞がもろに心に響きました。 本編へとどんな風に経由するのか、それもしっかり書ききられています。何て言うのか秀逸の一言に尽きます。MOON本編のbeforeストーリーって言って、十分これで通じます。 なーんか、本気で思うままをつらつらと書いていった感想です(汗)ちなみにこの感想だけは、推敲してませんしー(汗)三ツ星でもいいんですが……個人的に三ツ星になる為の何かが欠けていました。 何が欠けてたの? と聞かれても、答えられないんですが(汗) あと、えいえんは蛇足……とは思いませんが(雰囲気には凄く良くあっていました)できればあそこは作者さんご自身の言葉で書いて欲しかったなぁ……と。 重厚な作りで、凄く良い話でした。ちなみに、聖痕って……(核爆)
653 :
感想〜〜 :03/10/19 15:37 ID:8HpCvdCC
サクセサーズ・ルーツ(評価外) うぐぅ、積んでます。ごめんなさい(汗) 今回は三ツ星は無し、二つ星が1、一つ星が1、黒星が1、無印が3でした〜。 総評ですが、最近時間不足が如実に出てるSSが多いです。皆さんも、時間は多めにとりましょー。 最優秀は、私は今回は迷わず『MOON.― the last night ―』でした。と言っても、既に投票期間は終ってますけど(汗) ……19回は作者サイドで今度こそ出ようよ、自分(ぉ)
U-1って何?
なるほど
ここを投稿日の長文投稿支援に使うというのはどうか
つーか落とせよいい加減w
セリオさんの中の人は、ただいま天いなプレイ中ですー _ _ '´ ヽ _ 、ヽノノ)))) 〉 ,.'´ ヽ (○) ´∀`ノ lヽ.ノリ))))〉 透子様のSSのようですね。 ⊂)水!つ ivゝ゚ -゚ノl_ 今度はネタバレさせません。ええ、させるものですか。 く/_l〉 ιく{つ__/__/カタカタ し'ノ /__|ノ_つつ ivゝ゚ -゚ノ 「何も見ないで進めてしまったら、明日菜様、雪緒様と来てしまったので、今度は意図的に透子様を狙いました」 ) ´∀`ノ 「犬さんと仲良しだったり、ちょびっとドジっ娘だったり、親近感がわきますねぇ」 ivゝ゚ -゚ノ 「……ぴた」 ) ´∀`ノ 「? どうしましたセリオさん?」 ivゝ゚ -゚ノ 「……真帆様が」 ) ´∀`ノ 「?」 ivゝ゚ -゚ノ 「中の人ど本命の真帆様が激しく萌えるのですが、私は一体どうすれば……」 ) ´∀`ノ 「我慢しろ」 ivゝ゚ -゚ノ 「彼女をあえて捨て、地味なメガネっ娘に走れと? そんな酷なことは(略」 ) ´∀`ノ 「黙れ」 ivゝ゚ -゚ノ 「センパイってカタカナで呼んでくれるのですよ? さらにスカートめくってスパッツをもろ出しに」 ) ´∀`ノ 「餅つけ」 ivゝ゚ -゚ノ 「えへへへへ〜、とか笑うんですよ。首輪をつけてご主人様なんて言われたら私はもう……」 ) ´∀`ノ 「いい加減にしろ」 ivゝ゚ -゚ノ 「とか言いつつ、結局、真帆様、透子様の順で両方クリアしてしまいました。後はしーちゃんだけです」 ) ´∀`ノ 「このボーイッシュスポーツ少女ヲタが」 ivゝ゚ -゚ノ 「自分の意志の弱さが憎いです(;´Д`)ハァハァ。そんなわけで、感想いきます」 ) ´∀`ノ 「皆さん、今のうちに準備をどうぞ カチャ⊃;y=ー」
>>333 「ぽんぽこたぬきさんは拒絶の言葉……一目見て嫌われるなんて、酷な話ですね」
「やはり人間としてではなく、獲物として認識してしまったのでしょうか」
「狸さんよりは、うさぎさんな舞様の方が獣肉としてはおいしそうですが」
「狸対ウサギって、結構微妙な勝負ですけど、狸の方がまだ強そうですね」
「いえ、うさぎさんには必殺のウサギキックがありますから。あれは強力です」
「そういえばセリオさんの耳センサーもウサギチックですよね」
「エルフ耳、と呼んでください。高貴で美しく長寿っぽくて素敵です。ドライヤーとは格が違います」
「図に乗るな」
「今にも食うか食われるかのほのぼのした雰囲気が素敵でした」
「あのー、あんまり感想になっていないんじゃ」
>>353 「判断に困るSSですね」
「神秘と言うよりは不気味ですね」
「不条理ギャグなのはいいとしても、七瀬様がかけられた迷惑とは何だったんでしょうか」
「消えたネコさんもどうなったのでしょう……」
「なんとなく、JOJO第三部、ヴァニラ・アイスのスタンドを思い出しました」
「……ネコさんは亜空間の彼方へ? (((( ;゚Д゚)))ガクガクブルブル」
「あるいは……飢えた国崎さんに食われたか……」
「どっちにしろ、保健所に連絡した方が良いと思いますー」
>>355-367 式神の白
「いけませんね……」
「え、何がですか? いいお話じゃないですか」
「スマッシュヒットしました。好きな作品です」
「はわっ……!? あ、地震観測局ですか? 明日辺り天変地異が起こるかもしれません、もしかしたら富士山が……」
「読んでいる最中に懸念していた、ポテト様は佳乃様よりの要因ではないかというのもクリアされてしまいましたし……」
「あ、綾香さんですか。ええ、きっと火星人が攻めてきます。全域に警戒を……」
「×待機→○大気 の誤字や、2レス14行目の重複表現が多少気にはなりましたが……」
「浩之さん? 立たないなんて言ってる場合じゃないです。最後の晩餐代わりに漢なら押し倒s(略」
「あとはドドドドドは何の音だったのか、とか、『蛍のような』は『蛍のようだった』にするべきだ、くらいです」
「つまり、セリオさんの毒舌の全ては、地球滅亡を予言していたのだよ!(AA略)な、なんだってーっ!」
「なにやってるんですかマルチさん(目からビーム)」
「はうあっ! で、でも、毒舌じゃないセリオさんなんて、セリオさんじゃないですー」
「今回、一番うまかったか……と言われると、そうでもないような気がします。客観的に。
ですが、雰囲気はいいですし、それにコンセプト勝ちですね。好みにあった、とも言いますが。
千年の時を超えて思いを繋ぐ不思議犬ポテト……なんて笑い話になりそうですが、すっかりいいお話です。
もう少し、説明文をシェイプアップできれば、するりと入れていいかもしれません。
柳也様は鈍いですし、裏葉様は回りくどいです。式神など、多少の予備知識があると、読み飛ばしたくなります」
「そういえば、なんで『白』なんでしょうね。なにか元ネタありましたっけ?
例のゲームの語呂合わせだけだとしたらちょっと考え物ですが」
「どうだったでしょうか……AIRは一回解いたきりでしたからね。
長くてたるいですし、無理にでも泣けって言われているみたいですし」
「あ、出ましたね、毒舌。これで地球も安心です」
「……一言だけ言わせてもらえば、好きで毒舌を吐いていたわけではありませんよ」
「それはウソだ」
>>371-380 Many happy returns
「はわーーーーーっ! 犬さんが、犬さんがっ」
「……なんだか最近、マルチさん受難の話が多いですね。
このお話、犬さんの死がマルチさんに与えた影響が、軽く扱われすぎています。
長瀬さんは日本シリーズの心配をしていればいいかも知れませんが、
この後、目覚めたマルチさんはどうなるのでしょう。
これはギャグで落としたのではなく、ギャグでごまかした、というだけです」
「いっそ目が覚めたら夢の中、とかいうオチだったら良かったんですけど……」
「学校の、廊下から見える位置で犬が喧嘩していたら、普通、気づくでしょう。
はらわたまで引きずり出されたら、大騒ぎになるはずです。弱っていたことにして、数日後に病死でもさせた方が」
「セリオさん、淡々とマーダーですね……」
「翌日、同じ場所に猫さんが現れていますが、ここで普通は野犬に襲われる可能性に思い当たるべきです。
また餌付けして、居着いて、殺されてしまったら大変です。
むしろ心を鬼にして、泣きながら追い払うぐらいすれば、マルチさんの成長を描けて良かったと思います」
「学習型ですからー(声に力がない)」
「文章の練りも甘いです。例えばいきなり2〜4行目、浩之様が学食へ向かっていることは分かっているのですから、
『その途中〜廊下で〜マルチを見かけた』とすれば、少しすっきりします。
他にも文章的に不自然なところや、文章作法にかなっていないところが見受けられます。
その辺りは書き込むこと、そして他の作品を読むことなどで、勉強してください。特に句読点が気になります」
「えー……一番の問題点は、ストーリーが最後の最後で台無しになってしまったことだと思いますー」
「これでマルチさんがトラウマから立ち直るお話でしたら、ストーリー面での評価ももう少しできたのですが」
「立ち直りたいですー。タイトルとは裏腹に、幸せ、返って来ませんねぇ……」
>>385-405 Nine Cats
「途中でいきなり『澪』さんが裸体活殺拳を繰り出しているのはいいとして」
「なんです、その妖しげな拳法は」
「うろ覚えですのであまり突っ込まないでください。いきなり人前で脱いで意表を突いたりする伝説の拳法です」
「それってセクシーコm」
「凄まじい勢いで茜様が救済されているのもいいとして」
「救われたんだからいいじゃないですかー」
「9匹どころか13匹ぐらいはネコがいませんか? という突っ込みも置いといて」
「あははーっ」
「楽しめました。わざとらしい偶然&事件はラブコメの基本ですので良しです」
「どうせなら茜さんは直接対決して欲しかったですけど」
「その茜様ですが。いっそ長森様エンド後というのをすっぱり捨て去って、
なんとなく平和に暮らしている数年後の浩平様、でも良かったかと思います。ギャグですし。
そうすれば長い&シリアスな説明で勢いを断ち切られることなく進んだかと思います」
「茜さんと詩子さんがらぶらぶカップルでないのもちょっと残念でした」
「浩平様が長森様に引かれているのを知り、その悲しみを癒すために詩子様に身を任せる茜様……。
美しい友情です。ええ、友情。あくまでも。女性同士推進委員会発動承認」
「……はわ? なんだか寒気が……」
>408-415 ねこねこマーチ猫の街 「ねこーねこー、ネコの街(*´Д`)ハァハァ」 「実はセリオさんの中の人は無類のネコ好きです」 「マルチさん、引っ越しましょう。大丈夫です、来栖川資本が入ってますから」 「落ち着け、つーか感想いけ」 「ごちゃまぜマターリ中途半端結構。これはそういう作品でいいと思います。 ネコに囲まれネコと共に過ごしネコとごろごろする。これ以上の至福はこの地球上に存在しません」 「いいんですか、言い切っちゃって」 「ところでせえらぁ服の少女にプレミア本を売るのはどうかと」 「急に素に戻るな」 「アイス屋さんと喫茶店と言うのは何でしょうか……喫茶店→エコーズ→由綺と弥生→タチとネコ→つながったー」 「あとは千紗さんがにゃーにゃー紛れていれば完璧でしたね」 「いえ、他にもはるか様が公園でちょっと見かけただけの名もないネコとか……」 「誰も憶えてませんよ、そんなの」 「柏木家の軒下で泡吹いているネコさんとか」 「それは別の形で出てますから」 「私もスフィーさんと同じ髪型にしましょうか」 「……好きにしてください」 >416-418 無題(ナイト雀鬼) 「コメントに困りますね」 「え、でもネコさんが一杯ですよ」 「私は普通のネコがいいんです。とりあえず……SSとしては弱いですね。名前を前につけていますし、 状況描写も少ないです。雀鬼ですから、という楽屋落ちを二度使っているのもマイナスですね」 「なんだか大変そうだなー、とは思いますけど」 「ご自分でもおっしゃっているように、ネタ、という感じの話ですね。どうせならこのまま猫又が増え続けて、 ネコネコ団が世界征服するとか、徒党を組んでルミラ様に反旗を翻し、大人気なくもマジ切れしたルミラさんと戦うとか、 うやむやにするよりは、なにかどたばたオチを付けた方が良かったかと思います」 「さっきと言うこと正反対ですよ」 「これは一本のネタですから、このままだと単に話が弱いだけなんです」
>430-459 Self High Five!
「闇夜の烏が鳥目にも関わらず、超音波を操るコウモリさんに、夜分に戦いを挑むとはなんて無謀な」
「二分歩かなければ到達できない距離の、真っ黒なコウモリを見分ける冬弥さんの視力もかなりのものかと」
「ちょっと本気で突っ込みを入れたら凄まじい量になってしまうので、要点だけ逝きます。
『頑張れ』と言うセリフ、これは何に対するものでしょうか?
自分ですか? 冬弥様ですか? 私達ですか? 過去の私達ですか?
どれを対象にしても、なにか納得できません。はるか様らしくないのです」
「由綺さんへの思いの板挟みがありますからね……あんまり頑張りたくないと思うんですよ」
「この『頑張れ』が由綺さんへの報告に対するものだったら、ヘタレ過ぎますし。どちらも。
それと、ここ一連の告白の出だし。はるか様にしては迂闊すぎでしたね。作劇上の都合に見えます」
「冬弥さん、やたらきざなセリフが多いですね。なんか詩人っぽい表現も多いです」
「輝きとか、純粋とかいう表現が目立ちましたね。かわいいとはっきり言うのも優柔不断な彼らしくないです。
それよりも彼の、支えたいとか、償いとか、笑顔が見たいとかが非常に身勝手に思えました。
彼は一生墓に秘密を持っていくつもりでしょうか? そうでないのなら、とっとと白状するべきです。
そのくせ寂しさを感じていたりしたときにはもうアホかと(略」
「まさしくヘタレの星の王子様の名に恥じないヘタレっぷりです」
「
>>450 後半数行、どうしてそのような考えにいたったのか、経緯が見えません。
これの原因は「俺にはなんとなく〜」が、「はるかと最近〜」の文章に、かかっているようにしか見えないからです。
本当は、冬弥様はこの時点で、後に明かされるはるか様の真意に気づいていた”予定だった”のではないでしょうか。
だから、由綺様の純粋な励ましが痛く、言葉の無力さに嘆いたりするのではないでしょうか?
そうとでも考えないと、後日リトライすればいいだけの事柄に、妙に感傷的になる理由がありません」
「深読み好きなセリオさんの考えすぎかもしれませんけど」
「文章表現はそれなりに達者な方なのですが、会話の流れなどで引っかかるときがあります。 例えば公園に行く前、電話が由綺さんにかかってきましたが、仕事の電話じゃないか? と、彼は思ってしまうのではないでしょうか。そういうことは頻繁に起こったでしょうし。 他にも『一緒に授業受けていい?』と、由綺さんが聞くのも不自然です。そういう間柄じゃありません」 「などなど、通常の3倍くらい厳しく細かい突っ込みでお送りしました」 「すみません。思い入れがある分、いろいろと私見と私情が入っています。 話が悪いというわけではなく……気になってしまうのです」 「セリオさんは重箱の隅っこつつくのが好きなだけなので、話半分で聞いておいてくださいー。 コウモリというメタファーは面白かったと思います。もうちょっと活躍してくれても良かったですけど」 >462-463 かのねこ(Kanon) 「甘甘ですね」 「さすがに短いと突っ込むところが少ないですね」 「>あなたのやさしさで私がどれだけ救われたのか、言い尽くすことはできません。 が、どれだけ救われたのか、本当によく分からないと言うところくらいでしょうか」 「原作での絡みが少ないですからね……妄想入ってるんじゃないですか? 美汐さんですし」 「ありうる話です。それにしても名雪様じゃあるまいし、天野様がそこにいるのに、 無視してネコに構いまくりとは何という益体なしでしょう」 「むしろネコを利用して優しい俺を演出、みっしーげっとだぜくらいの気概を見せて欲しかったですー」 「天野様の実家を知っていたりするあたり、もうゲットしてしまっている関係かも知れませんが」 「なんとなくほのぼのして良かったと思います」
>466-474 さかり(痕) 「……動物愛護協会に連絡してもいいですか?」 「なんかずしりと落ち込みますねぇ」 「流れは分かるんですが……『話のために殺された』みたいな作為的なものが見えてしまうとどうにも……」 「やりきれませんねぇ」 「このタマ、妙にネコ離れしていますが、やはり魔物としての彼女なんでしょうか?」 「人の心をシンパシーしているようですから、例の猫かも知れませんね。」 「ですがそれなら、彼氏を交通事故から救ってやれよと考えてしまうのは、人としての業でしょうか?」 「ロボですけどね」 「それと、他の人もおっしゃっていますが、さかりのついただの狂気の沙汰だのは少々ひどいかと」 「中の人は4姉妹仲良し派なんですが、仮に梓さんが楓さんに隔意があるとしても、 もう少し言葉は選ぶと思うんです。ああ見えて、意外と女性らしさを持っている人ですし」 「個人的には最後のシーンは、耕一さんと再会した楓さんの方が良かったと思います。 せめて最後にはほっとしたものを見せて欲しかったですから」 「なんだかギャグじみたオチになっていて、今までの流れから浮いているように思えましたー」
>482-499 楓(痕)
「エディフェル様、てっきり裸かと思ったら服を着ていたのですね」
「裸だったら次郎衛門さん、情欲に身を任せて襲いかかっちゃうじゃないですか」
「なるほど、テーマの動物とはそのことでしたか」
「いや、『ケダモノ』とは違いますから」
「さて、このエディフェル様は、なぜ次郎衛門様を嫌がったのでしょう?
見た感じ、彼女のメンタリティは、まるっきり猫のそれです。
ともすれば、次郎衛門様が白昼夢を見ていただけかも知れないと思うほどに。
彼女はいかなる理由で何のために出てきたのでしょう? 次郎衛門様ご自身がおっしゃるように、分かりません」
「転生して宿った命がお腹の中から、一足先に飛び出てきちゃったんでしょうか?」
「それだと次郎衛門様を嫌がったのが分からないのです。
さて、この作品では植物の楓が強調されて出てきます。
なにか隠された意図があるのかと、花言葉まで調べてしまったのですが、楓には、遠慮という意味があるそうです。
これがこの作品の重要フラグだとすると、恋しさに思わず猫となりて現れたものの、
新しく生まれる命のために、自分は身を引いた……。代わりに未来の自分の名を、その子に与えて……」
「もしそうだとしたら綺麗な話ですけど、セリオさんの深読みなのような……」
過去の記憶は血の中にあっても、未来は見られないと思いますから」
「山神シナリオだと無理そうですが……さて、どうでしょうね。文章その他からも風情が感じられていい感じです。
ですが、三回繰り返した、一行のみのレス。保管所なら良いかもしれませんが、ここでは逆効果だと思います。
どうしたって不純物が入りますから、適切だと思われる空白行を前後に挟む方がよろしいかと」
「それに、繰り返し使い過ぎですー。ああいう効果は、ここぞというところで一度だけ使うべきです」
「私は
>>494 だけで良かったと思います。最後に個人的なこの作品の見所は……、
>頭の上の耳が、のびたり、倒れたりを繰り返していた。
ここですね(*´Д`)ハァハァ」
「でもネコさんに薬を塗ると、嫌われそうですね」
「慣れるのは別の要素の方が良かったかもしれませんね。
楓の葉に執着しているエディネコさんを、猫じゃらしの如く使って遊ぶのがきっかけとか」
>502-511 迷走(天使のいない12月) 「今回は負けません。ばっちり透子さんシナリオクリア済みです」 「やる気満々ですね」 「時紀様が少々熱血で前向きなのが気になりますね。 彼はああ見えて、口が悪いだけのヘタレ小悪党無気力軟弱者です」 「なんだか浩之さんみたいですよね」 「そうですね、ややお調子者なところが藤田様を彷彿とさせます。 プライドだけは高い彼が、相手を釣るために笑顔を作るというのはらしくないでしょう」 「逆に透子さんはそれっぽいですよね。嬉しすぎて泣くって言うのは分かります」 「(やはり共感を覚えますか。似てますからね……この2人) 木田様もマイナス面の思考は外してないと思うのです。ですが時折妙に勢いづく彼に、違和感を憶えますね。 それと >俺は栗原の制服を掴むと一気に引き裂いた。 無茶です。恵美梨さんの強さは面白いのですが、これは無理矢理でしょう」 「服よりはまず、犬を引き剥がすべきだと思います」 「短編としてなかなかうまくまとまっているだけに、そういうところが気になりました。 逆に >全ての人にまんべんなく愛情を注げて。 ここら辺のくだりは上手かったと思います」 「でも、最後にごめんはないですよね。透子さん、( ゚д゚)ポカーンとしちゃいますよ」 「そこはらしくていいと思いますが。彼は冬弥様を凌ぐヘタレキングになれるかもしれません」 「総括として。テーマ的には『迷走』が強かったような気がします。 ポイさんは動物としての立場・行動を保ちながら、鑑賞物としての存在ではなく、 主人公の思考に影響を与えたという点で、一歩抜きん出ていたような気がします」 「ここら辺は、原作にも登場しているペットの強みかも知れませんね。『楓』さんはどうですか?」 「あの方は……猫ではなく、どうしてもエディネコさんの影響が強くて、動物としてみられないのです。 エディフェルさんの魂が宿っていそうで……。仕草とかは非常に愛らしいのですが。 『さかり』に出てきたタマさんも、そういったものを感じます」 「コウモリさんやポテトさんは出番が少なかったですしねぇ」 「さて、ついでに中の人が書けなかった作品のプロットだけ公開します」 「突っ込みたい方は容赦なく突っ込んでください」
その日無人の佐藤家に、雅史の飼っているジャンガリアンハムスターを見せてもらおうとやってきたレミィ。 雅史のハムスターの愛らしさに目を細めつつ、自宅から連れてきたジョニー(ジャイアントH)を公開する。 その全長、二十センチ超。全長にして二倍、ウェイト差は八倍の計算に、びびる雅史ハムスター×2。 幸いジョニーは眠いようで、ぐてっとしている。ので匂いを嗅いだり、よじ登ったりと、遊び始める。 それを見て安心して、別の話を始め目を離してしまう雅史とレミィ。 気づけばいつの間にかジョニーは目を覚まし、雅史ハムスターにのしかかっていた。 なにやら微妙な動きに、赤面した顔を合わせ、互いのハムスターの性別を確認し、慌てて引き剥がす2人。 ハムスターを救出しつつも、種類が違うのに生まれるのかなといぶかる雅史。 同じハムスターだから、生まれると主張するレミィ。 「日本人とアメリカ人だって、種類は違うけど同じ人間だから、子供が作れマス!」 で、おもわず意識し合ってしまう二人。 その時、絶妙のタイミングで千絵美姉さんが帰宅。なんとなく説明が憚られ、ごまかしてみたり。 千絵美は先日生まれた赤ん坊の定期検診に行っていたそうで、レミィにも赤ん坊を見せてくれる。 生まれて間もない赤ん坊の可愛らしさにレミィは感激し、 「やっぱり赤ん坊はかわいいネ……さっき、止めないで、作っちゃっても良かったデス」などと発言。 「でも本当に生まれちゃったら、(たくさん生まれるから)育てるのが大変だよ」とかなんとか返す雅史。 「ハーフの子供なら、きっと両方の特徴を受け継いだ、立派な子供が産まれるネ!」と状況を悪化させるレミィ。 「2人とも、ちょっとそこに座りなさい」と、千絵美さんに正座させられ、小一時間説教されてしまった2人。 誤解を解くまで大変でしたとさ。
「こんな感じでした。実際にはジャイアントハムスターは凶暴で手に負えない存在みたいです」 「ノロイさんみたいな感じでしょうか?」 「日本にはほとんど輸入されていないそうなので、ちょっと確認できませんでした」 「もう一本、ものみの丘の妖狐がらみで高校三年生になった葵さんの話とかも構想していたのですが、 こちらはプロットと言えるほど固まってませんでした」 「最後に記憶喪失の、『藤田浩之』という人物が出てくるくらいは考えていたんですけどね」 「さて、それでは最後に残したしーちゃんにレッツトライしましょう。 私にはしーちゃんの気持ちが痛いほど分かります……。 ドジでのろまで間抜けな人物にかき立てられる保護欲……(*´Д`)ハァハァハァハァ」 「落ち着け、HMX-13」 「この人に罵られるたびに、しーちゃんキタ━━(゚∀゚)━━!! と笑いが止まらなくなってしまうのは仕様でしょうか……」 「あのー、セリオさんが壊れてしまったので、今回はこの辺で失礼します」 「それでは、また」
ここでレスアンカー付けられても・・・。
セリオとマルチが名前だけですね。 もっとキャラクタによって書き分ける努力をされた方がよろしいかと存じます。
うわっはぁ♪
埋め立てのネタ振りとして。 『最優秀にはなれなかったが、凄く面白かった作品』 を教えてください。
あ、いいネタ振りかも。考えてみる。
面白かったかどうかは知らないが、瑠璃子さんと祐介が電波に見立てたスレ一覧を飛ばすヤツ。 妙に印象に残ってる……。
やばい、ざっと最優秀一覧を見返してみて、 当時面白いと思ったのが「パンツ物語」だけだったということに気がついた。 どうしよう。
こんぺでなぜか毎回上位五作を読み逃してる…… って人がいたけど、あんたも面白いなw
なんかまるで書き込まれないなw
みんなKanonこんぺで手一杯か…
いいネタフリっぽいと思ったんだが。
とりあえずいま思い付いたのだと『海』の回の「蒼に溶ける」。
言いたいことは
>>181 で言い尽しちゃったけど、
短いながらラストの台詞が胸にグッと来た。
「花」のエーデルワイス 綺麗な作品として記憶に残ってる。
kanonこんぺで忙しくない奴だけでも、埋めに協力しておくか…
>>683 第五回:『嘘』の回は、数も多かったけど作品も粒ぞろいだったな。
「嘘の世界」(ONE) 「ポケットを空にして」(みしおたんw)
「黒き森の魔女」(リーフファイト) 「嘘つきメイドロボ」(セリオ)
このあたりも印象に残ってるが、特に
「居酒屋にて」(晴子)と「うそつきドラマ」(栞)
短くてせつない。
「エーデルワイス」は当時もっとも衝撃を受けた作品。文章の美しさと人物の魅力が 際立っていた。事件性はそれ程でもないのだが、それすらもSSというものの一側面を端的に 表すようにも思える。SS書きの端くれだった自分は「ああ、SSってこう書くんだ」と 思い知らされ、今後のお手本になった。
>690のIDが神!