1 :
名無氏物語:
2 :
名無氏物語:2009/10/11(日) 17:33:09 ID:9wAIcrnW
3 :
名無氏物語:2009/10/11(日) 17:34:16 ID:9wAIcrnW
4 :
名無氏物語:2009/10/11(日) 17:35:13 ID:9wAIcrnW
5 :
名無氏物語:2009/10/11(日) 17:36:10 ID:9wAIcrnW
6 :
名無氏物語:2009/10/11(日) 17:37:20 ID:9wAIcrnW
7 :
名無氏物語:2009/10/11(日) 17:38:08 ID:9wAIcrnW
散る花のあかぬ色香を身にかへてさも慕はるる山桜かな(二条道良[続千載])
8 :
名無氏物語:2009/10/11(日) 17:39:00 ID:9wAIcrnW
袖のうへにあかぬ色香はとどめおけ暮れなば春の花の形見に(藤原公経[続千載])
9 :
名無氏物語:2009/10/11(日) 17:39:45 ID:9wAIcrnW
ふく風をいはばいはなむ桜花ちりかふころの春の山守(藤原信実[続後撰])
10 :
名無氏物語:2009/10/11(日) 18:07:01 ID:9wAIcrnW
吹く風はやどりもしらず谷川の花のゆくへを行きて恨みむ(道助法親王[続拾遺])
11 :
名無氏物語:2009/10/11(日) 18:07:53 ID:9wAIcrnW
恨むべき風のやどりをしらねばやちるをば花のうきになすらむ(近衛基平[続古今])
12 :
名無氏物語:2009/10/11(日) 19:40:55 ID:9wAIcrnW
今は又花のかげとも頼まれず暮れなばなげの春の日数に(藤原信実[新後撰])
13 :
名無氏物語:2009/10/11(日) 19:42:20 ID:9wAIcrnW
いかにしてしばしとどめむ桜花散りなばなげの春の日数を(洞院実雄[続千載])
14 :
名無氏物語:2009/10/11(日) 19:43:18 ID:9wAIcrnW
梅がえに降りつむ雪は鶯の羽風に散るも花かとぞみる(藤原顕輔[千載])
15 :
名無氏物語:2009/10/11(日) 21:06:56 ID:9wAIcrnW
梅が香のたが里わかず匂ふ夜はぬしさだまらぬ春風ぞ吹く(行念[新勅撰])
16 :
名無氏物語:2009/10/11(日) 21:08:20 ID:9wAIcrnW
我がためと聞きやなさまし霍公鳥ぬしさだまらぬ己が初音を(冷泉為相[風雅])
17 :
名無氏物語:2009/10/11(日) 21:09:21 ID:9wAIcrnW
たが里の垣ねもおなじ匂ひとてぬしさだまらぬ梅の下風(藤原宗秀[新千載])
18 :
名無氏物語:2009/10/11(日) 21:10:09 ID:9wAIcrnW
心あてにそれかとばかり伝へ来てぬしさだまらぬ夕顔の花(丹波忠守[新続古今])
19 :
名無氏物語:2009/10/11(日) 21:11:06 ID:9wAIcrnW
荒れにけり籬の苔の深緑たがぬぎかけし衣なるらむ(後嵯峨院[新続古今])
20 :
名無氏物語:2009/10/11(日) 21:12:10 ID:9wAIcrnW
山人の折る袖にほふ菊の露うちはらふにも千代はへぬべし(藤原俊成[新古今])
21 :
名無氏物語:2009/10/11(日) 21:13:00 ID:9wAIcrnW
わけ過ぐる山ぢの菊の花のかにぬれてもほさぬ袖の白露(二条為定[新後拾遺])
22 :
名無氏物語:2009/10/11(日) 21:14:47 ID:1G91SyOw
人もがな見せも聞かせも萩の花さく夕かげのひぐらしの声(和泉式部)
23 :
名無氏物語:2009/10/11(日) 21:15:52 ID:1G91SyOw
日ぐらしのなく夕かげの秋萩に露おきかはす大和なでしこ(藤原家隆)
24 :
名無氏物語:2009/10/11(日) 21:16:44 ID:1G91SyOw
ひぐらしの鳴く木隠れの山かげに夕露にほふ大和撫子(後鳥羽院)
25 :
名無氏物語:2009/10/11(日) 21:17:31 ID:1G91SyOw
草葉にも哀はかけよ松虫のなく夕かげの秋の初霜(正徹)
26 :
名無氏物語:2009/10/11(日) 21:18:19 ID:1G91SyOw
きりぎりすなく夕かげの花のうへも心にかへる庭のしら雪(三条西実隆)
27 :
名無氏物語:2009/10/11(日) 21:19:12 ID:1G91SyOw
きりぎりすなく夕かげの秋風も心にかよふせみのこゑかな(三条西実隆)
28 :
名無氏物語:2009/10/11(日) 21:20:23 ID:1G91SyOw
きりぎりす鳴く夕かげの山風によわり初めぬる日ぐらしの声(小沢蘆庵)
29 :
名無氏物語:2009/10/11(日) 21:21:13 ID:1G91SyOw
たづねつつ山ぢの菊を折る袖に露もいく千世おかむとすらむ(藤原家隆)
30 :
名無氏物語:2009/10/11(日) 21:27:51 ID:9wAIcrnW
もみぢ葉のちりかひくもる夕時雨いづれか道と秋のゆくらむ(源有長[新勅撰])
31 :
名無氏物語:2009/10/11(日) 21:49:15 ID:1G91SyOw
かぎりなき山ぢの菊のかげなれば露もや千世を契りおくらむ(藤原定家)
32 :
名無氏物語:2009/10/11(日) 21:49:56 ID:1G91SyOw
いく千代も結びかさねよ秋の露山ぢの菊のほしあへぬまで(宗良親王)
33 :
名無氏物語:2009/10/11(日) 21:51:07 ID:1G91SyOw
山姫の形見にそむる紅葉ばを袖にこきいるるよもの秋かぜ(藤原定家)
34 :
名無氏物語:2009/10/11(日) 21:52:03 ID:1G91SyOw
もみぢ葉を袖にこきいれてかへりけむ人の心のいろをみるかな(藤原雅経)
35 :
名無氏物語:2009/10/11(日) 21:53:07 ID:1G91SyOw
風ふけばこきいれぬ袖もつつむまで都のつとにちるもみぢかな(契沖)
36 :
名無氏物語:2009/10/11(日) 21:55:07 ID:1G91SyOw
白露とおきゐつつのみあるべきをいづちみすてて秋のゆくらむ(和泉式部)
37 :
名無氏物語:2009/10/11(日) 21:56:28 ID:1G91SyOw
ながらへてかひ有ることをまつなれや君が千とせのかげにかくれて(慈円)
38 :
名無氏物語:2009/10/11(日) 21:57:13 ID:1G91SyOw
今こむと頼めてかはる秋の夜のあくるもしらぬ松虫のこゑ(藤原家隆)
39 :
名無氏物語:2009/10/11(日) 21:59:01 ID:9wAIcrnW
我が宿の菊の白露万世の秋のためしにおきてこそみめ(清原元輔[続後撰])
40 :
名無氏物語:2009/10/11(日) 22:00:37 ID:9wAIcrnW
とくみのり菊の白露夜はおきてつとめて消えむことをしぞ思ふ(慈円[新古今])
41 :
名無氏物語:2009/10/11(日) 22:02:27 ID:9wAIcrnW
忘れじといひしばかりのなごりとてそのよの月はめぐりきにけり(藤原有家[新古今])
42 :
名無氏物語:2009/10/11(日) 22:03:31 ID:9wAIcrnW
あぢきなく頼めぬ月の影もうしいひしばかりの有明の空(藤原忠良[新続古今])
43 :
名無氏物語:2009/10/11(日) 22:04:29 ID:9wAIcrnW
いはざりき今こむまでの空の雲月日へだてて物思へとは(藤原良経[新古今])
44 :
名無氏物語:2009/10/11(日) 22:05:42 ID:9wAIcrnW
月見ばといひしばかりの人はこで槙の戸たたく庭の松かぜ(藤原良経[新古今])
45 :
名無氏物語:2009/10/11(日) 22:06:44 ID:9wAIcrnW
ふりにけり時雨は袖に秋かけて言ひしばかりを待つとせしまに(藤原俊成女[新古今])
46 :
名無氏物語:2009/10/11(日) 22:08:50 ID:1G91SyOw
山の端に月も待ちいでぬ夜をかさねなほ雲のぼる五月雨の空(藤原定家)
47 :
名無氏物語:2009/10/11(日) 22:10:35 ID:1G91SyOw
かはらずも待ちいでつるかな郭公月にほのめくこぞのふる声(藤原定家)
48 :
名無氏物語:2009/10/11(日) 22:11:51 ID:1G91SyOw
長月のありあけの月のあけがたを誰まつ人のながめわぶらむ(藤原良経)
49 :
名無氏物語:2009/10/11(日) 22:13:05 ID:1G91SyOw
今こむとたのめやはせし郭公ふけぬる夜半をなに恨むらん(藤原良経)
50 :
名無氏物語:2009/10/11(日) 22:14:15 ID:1G91SyOw
今こむと頼めやおきし郭公月ぞたちいづる有明の声(後鳥羽院)
51 :
名無氏物語:2009/10/11(日) 22:15:49 ID:1G91SyOw
長月の有明の月をみてもまづ今こむまでの秋をこそまて(藤原為家)
52 :
名無氏物語:2009/10/11(日) 22:17:39 ID:1G91SyOw
秋もいまはしぐるるほどになりにけり山の木の葉の空にうつろふ(藤原雅経)
53 :
名無氏物語:2009/10/11(日) 22:19:00 ID:1G91SyOw
おのれさへうつろふばかりそめてけり山の木の葉の秋のしら露(正徹)
54 :
名無氏物語:2009/10/11(日) 22:19:02 ID:9wAIcrnW
今こむとたのめしことを忘れずはこの夕暮の月や待つらむ(藤原秀能[新古今])
55 :
名無氏物語:2009/10/11(日) 22:21:05 ID:9wAIcrnW
今こむと契りしことは夢ながら見し夜に似たる有明の月(源通具[新古今])
56 :
名無氏物語:2009/10/11(日) 22:22:52 ID:9wAIcrnW
今こむと言はぬばかりぞ子規有明の月のむら雨の空(順徳院[続後撰])
57 :
名無氏物語:2009/10/11(日) 22:25:18 ID:9wAIcrnW
頼めてもむなしき空のいつはりにふけゆく月をまちいでつるかな(道助法親王[続後撰])
58 :
名無氏物語:2009/10/11(日) 22:26:29 ID:9wAIcrnW
今こむとたのめし人のいつはりをいくあり明の月に待つらむ(宗尊親王[続拾遺])
59 :
名無氏物語:2009/10/11(日) 22:27:45 ID:9wAIcrnW
今こむとたのめぬ夜はの月をだに猶まち出づる在明の空(洞院実雄[続拾遺])
60 :
名無氏物語:2009/10/11(日) 22:28:14 ID:1G91SyOw
春風にあかずちりぬる花よりもちぎりしことのはこそわすれね(大江匡房)
61 :
名無氏物語:2009/10/11(日) 22:29:13 ID:1G91SyOw
ねになきて我恋ひ死なばうつせみのむなしきからを哀ともみよ(藤原行家)
62 :
名無氏物語:2009/10/11(日) 22:30:50 ID:1G91SyOw
手向けする紅葉に飽けるみかみ山つづりの袖をあはれとも見よ(藤原為顕)
63 :
名無氏物語:2009/10/11(日) 22:32:16 ID:1G91SyOw
植ゑ置きてもみぢにあける主や誰ただ深山木のかげの家ゐに(後柏原院)
64 :
名無氏物語:2009/10/11(日) 22:33:38 ID:1G91SyOw
いざさらば花のぬさをや手向山もみぢにあける神の心に(細川幽斎)
65 :
名無氏物語:2009/10/11(日) 22:35:03 ID:1G91SyOw
ふきはらふ風もとがめずさもこそはもみぢにあける神なびの森(下河辺長流)
66 :
名無氏物語:2009/10/11(日) 22:37:12 ID:1G91SyOw
露霜のかぎりを見せよ手向山もみぢにあける秋のにしきも(霊元院)
67 :
名無氏物語:2009/10/11(日) 22:40:56 ID:9wAIcrnW
さらでだに紅葉に飽ける神なびのみむろの山はなほ時雨るなり(後嵯峨院[新千載])
68 :
名無氏物語:2009/10/11(日) 22:42:12 ID:9wAIcrnW
ながめわびぬ秋よりほかの宿もがな野にも山にも月やすむらん(式子内親王[新古今])
69 :
名無氏物語:2009/10/11(日) 22:43:21 ID:9wAIcrnW
おほ空は梅のにほひにかすみつつ曇りもはてぬ春のよの月(藤原定家[新古今])
70 :
名無氏物語:2009/10/11(日) 23:43:24 ID:1G91SyOw
おぼつかな谷より出づる鶯のそこにありとはきかするものを(源頼政)
71 :
名無氏物語:2009/10/11(日) 23:44:18 ID:1G91SyOw
うぐひすの谷より出づるはつ声にまづ春しるは深山べの里(藤原教長)
72 :
名無氏物語:2009/10/11(日) 23:45:25 ID:1G91SyOw
あし引の山のはかすむ明ぼのに谷よりいづる鳥の一こゑ(式子内親王)
73 :
名無氏物語:2009/10/11(日) 23:46:37 ID:1G91SyOw
あきらけき御代の春しる鶯も谷よりいづる声きこゆなり(宗良親王)
74 :
名無氏物語:2009/10/11(日) 23:47:26 ID:1G91SyOw
うらやまし谷よりいづる鶯よわが山里は春もしらぬに(後崇光院)
75 :
名無氏物語:2009/10/11(日) 23:48:15 ID:1G91SyOw
さゆる夜はまだ冬ながら月かげの曇りもはてぬけしきなるかな(藤原定家)
76 :
名無氏物語:2009/10/11(日) 23:49:36 ID:1G91SyOw
志賀の浦のおぼろ月夜の名残とて曇りもはてぬ曙の空(後鳥羽院)
77 :
名無氏物語:2009/10/12(月) 00:20:42 ID:z4RTzwee
空も猶おぼろ月夜の比とてや曇りも果てぬ春雨ぞふる(藤原為家)
78 :
名無氏物語:2009/10/12(月) 00:21:51 ID:z4RTzwee
月影は曇りもはてぬうす雲のたえまがちにもふるあられかな(飛鳥井雅有)
79 :
名無氏物語:2009/10/12(月) 00:23:00 ID:z4RTzwee
むらさめは曇りもはてぬひとそそき晴れゆく空に鳴くほととぎす(進子内親王)
80 :
名無氏物語:2009/10/12(月) 01:06:08 ID:z4RTzwee
月ぞなほ曇りもはてぬ山の端はあるかなきかにかすむ夕べに(頓阿)
81 :
名無氏物語:2009/10/12(月) 01:07:32 ID:z4RTzwee
ながめやる遠の高ねの花の色にくもりも果てぬ夕月夜かな(慶運)
82 :
名無氏物語:2009/10/12(月) 01:09:43 ID:z4RTzwee
照りもせず曇りもはてぬ冬の日の空ゆく雲はうちしぐれつつ(宗良親王)
83 :
名無氏物語:2009/10/12(月) 01:12:18 ID:z4RTzwee
かすみつつ曇りもはてずながき日に朧月夜を待ちくらしぬる(飛鳥井雅親)
84 :
名無氏物語:2009/10/12(月) 01:13:39 ID:z4RTzwee
照りもせぬ春の月夜の山桜花のおぼろぞしく物もなき(本居宣長)
85 :
名無氏物語:2009/10/12(月) 01:14:40 ID:z4RTzwee
神な月しぐれの雲のはれもせず照らしも果てぬ谷の真葛葉(幽真)
86 :
名無氏物語:2009/10/12(月) 01:29:19 ID:z4RTzwee
夕立の菊のしをれ葉はらふとて花まちどほに人やあざける(藤原定家)
87 :
名無氏物語:2009/10/12(月) 06:03:45 ID:z4RTzwee
今朝みれば垣ねの菊もうつろひぬ花まちどほにいつ思ひけん(土御門院小宰相)
88 :
名無氏物語:2009/10/12(月) 06:05:07 ID:z4RTzwee
詠むればいとど物こそかなしけれ月は浮世のほかと聞きしに(俊恵)
89 :
名無氏物語:2009/10/12(月) 06:06:38 ID:z4RTzwee
夕霧も心のそこにむせびつつわが身ひとつの秋ぞ更けゆく(式子内親王)
90 :
名無氏物語:2009/10/12(月) 06:07:52 ID:z4RTzwee
いく秋を千々にくだけて過ぎぬらん我が身ひとつを月にうれへて(藤原定家)
91 :
名無氏物語:2009/10/12(月) 06:09:02 ID:z4RTzwee
秋をへて昔は遠き大空に我が身ひとつのもとの月影(藤原定家)
92 :
名無氏物語:2009/10/12(月) 06:12:53 ID:z4RTzwee
千々におもふ心は月にふけにけり我が身ひとつの秋とながめて(藤原忠良)
93 :
名無氏物語:2009/10/12(月) 06:14:01 ID:z4RTzwee
ちぢにのみ思ふ思ひも心からわが身ひとつの秋の夜の月(藤原雅経)
94 :
名無氏物語:2009/10/12(月) 06:14:07 ID:Lx3P1eu+
秋の月ちぢに心をくだききてこよひ一よにたへずも有るかな(荒木田氏良[千載])
95 :
名無氏物語:2009/10/12(月) 06:15:13 ID:Lx3P1eu+
ながむれば千々に物思ふ月に又我が身ひとつの嶺の松風(鴨長明[新古今])
96 :
名無氏物語:2009/10/12(月) 06:17:41 ID:Lx3P1eu+
妻こふる我が身一つの秋とてや夜な夜な月に鹿の鳴くらむ(式乾門院御匣[新続古今])
97 :
名無氏物語:2009/10/12(月) 06:18:47 ID:Lx3P1eu+
いつまでか我が身ひとつの出がてに故郷かすむ月をみるべき(二条為藤[新千載])
98 :
名無氏物語:2009/10/12(月) 06:21:13 ID:z4RTzwee
月かげをわが身ひとつとながむれば千々にくだくる萩のうへの露(後鳥羽院)
99 :
名無氏物語:2009/10/12(月) 06:22:42 ID:z4RTzwee
月みても千々にくだくる心かな我が身ひとつの昔ならねど(俊成卿女)
100 :
名無氏物語:2009/10/12(月) 06:25:12 ID:z4RTzwee
年を経て我が身ひとつと歎きても見れば忘るる秋の夜の月(藤原為家)
101 :
名無氏物語:2009/10/12(月) 06:26:18 ID:z4RTzwee
をぐら山西こそ秋とたづぬれば夕日にまがふ峰のもみぢば(藤原家隆)
102 :
名無氏物語:2009/10/12(月) 06:28:02 ID:z4RTzwee
我ひとり月に向かふと思ひけりこよひの月を誰か見ざらむ(香川景樹)
103 :
名無氏物語:2009/10/12(月) 06:29:18 ID:z4RTzwee
すずしさを月に吹きこせ住の江や西こそ秋の沖つ塩風(肖柏)
104 :
名無氏物語:2009/10/12(月) 06:31:02 ID:z4RTzwee
尋ねみむさぞな涼しき大井川西こそ秋の水のみなかみ(木下長嘯子)
105 :
名無氏物語:2009/10/12(月) 06:31:48 ID:Lx3P1eu+
わきてなほ更けゆく影のさやけきは西こそ秋と月やすむらん(源資平[続古今])
106 :
名無氏物語:2009/10/12(月) 06:32:47 ID:Lx3P1eu+
都より尋ねてきけば小倉山西こそ秋と鹿もなくなれ(津守国冬[新後撰])
107 :
名無氏物語:2009/10/12(月) 06:42:07 ID:z4RTzwee
夕まぐれほのみるからに悲しきは西こそ秋の初月の影(下河辺長流)
108 :
名無氏物語:2009/10/12(月) 06:43:03 ID:z4RTzwee
のどけしな西こそ秋のおなじえをわかずも春ににほふ梅が香(中院通茂)
109 :
名無氏物語:2009/10/12(月) 06:43:56 ID:z4RTzwee
都へとさそふしるべもしら波のあとなきかたに月ぞやどれる(藤原秀能)
110 :
名無氏物語:2009/10/12(月) 06:48:12 ID:z4RTzwee
春くれば霞をおのがたよりとてあとなきかたにかへる雁がね(藤原為家)
111 :
名無氏物語:2009/10/12(月) 06:49:14 ID:z4RTzwee
うき雲の跡なき方にしぐるるは風をたよりの木の葉なりけり(宗尊親王)
112 :
名無氏物語:2009/10/12(月) 06:50:30 ID:z4RTzwee
荻の葉に風ぞたよりの音たててものおもふ秋のしるべなりける(宗尊親王)
113 :
名無氏物語:2009/10/12(月) 06:51:38 ID:z4RTzwee
和田の原かぎりもいとど白波の跡なきかたにたつ霞かな(頓阿)
114 :
名無氏物語:2009/10/12(月) 06:54:31 ID:Lx3P1eu+
しるべせよ跡なき波に漕ぐ舟の行方もしらぬ八重の潮風(式子内親王[新古今])
115 :
名無氏物語:2009/10/12(月) 06:55:34 ID:Lx3P1eu+
かぢをたえ由良の湊による舟のたよりもしらぬ沖つ潮風(藤原良経[新古今])
116 :
名無氏物語:2009/10/12(月) 06:56:45 ID:Lx3P1eu+
桜がり雨はふりきぬ同じくは濡るとも花の蔭に隠れむ(読人不知[拾遺])
117 :
名無氏物語:2009/10/12(月) 06:57:30 ID:Lx3P1eu+
いつしかと荻の葉むけの片寄りにそそや秋とぞ風も聞こゆる(崇徳院[新古今])
118 :
名無氏物語:2009/10/12(月) 06:58:39 ID:Lx3P1eu+
吹く風の竹になるよは秋来ぬとおどろくばかり袖にすずしき(源有房[玉葉])
119 :
名無氏物語:2009/10/12(月) 06:59:40 ID:Lx3P1eu+
浅茅生の露けくもあるか秋来ぬと目にはさやかに見えけるものを(守覚法親王[千載])
120 :
名無氏物語:2009/10/12(月) 07:00:35 ID:Lx3P1eu+
窓近きいささむら竹風ふけば秋におどろく夏の夜の夢(藤原公継[新古今])
121 :
名無氏物語:2009/10/12(月) 07:01:33 ID:Lx3P1eu+
吹く風の色こそ見えね高砂の尾の上の松に秋は来にけり(藤原秀能[新古今])
122 :
名無氏物語:2009/10/12(月) 07:01:37 ID:z4RTzwee
山里は風ぞたよりのしるべとも梅が香にほふ比やしるらむ(宗良親王)
123 :
名無氏物語:2009/10/12(月) 07:02:47 ID:z4RTzwee
おのれかつ散るを雪とや思ふらむみのしろ衣花もきてけり(源俊頼)
124 :
名無氏物語:2009/10/12(月) 07:03:57 ID:z4RTzwee
雪のうちに春をきたりと知らするはみのしろ衣梅の花がさ(藤原定家)
125 :
名無氏物語:2009/10/12(月) 07:05:17 ID:z4RTzwee
旅人のみのしろ衣うちはらひふぶきをわたる雲のかけはし(藤原良経)
126 :
名無氏物語:2009/10/12(月) 07:06:51 ID:z4RTzwee
秋来ぬと荻の葉風にしられても春の別れやおどろかるらむ(藤原俊成)
127 :
名無氏物語:2009/10/12(月) 07:08:15 ID:z4RTzwee
秋来ぬと風やつぐらむ朝まだきまがきの荻のそよとこたふる(平忠盛)
128 :
名無氏物語:2009/10/12(月) 07:09:35 ID:z4RTzwee
秋来ぬとおどろかれけり窓ちかくいささ群竹かぜそよぐ夜は(藤原実定)
129 :
名無氏物語:2009/10/12(月) 07:11:00 ID:z4RTzwee
秋来ぬと荻の葉風のつげしより思ひしことのただならぬ暮(式子内親王)
130 :
名無氏物語:2009/10/12(月) 19:01:07 ID:z4RTzwee
秋来ぬとおどろく風をたづぬれば目にさやかなる萩のうは葉を(慈円)
131 :
名無氏物語:2009/10/12(月) 19:02:38 ID:z4RTzwee
風の音はいまとほ山の木の間より目にはさやかに月ぞもりくる(藤原家隆)
132 :
名無氏物語:2009/10/12(月) 19:04:39 ID:z4RTzwee
秋来ぬと荻の葉風は名のるなり人こそとはねたそかれの空(藤原定家)
133 :
名無氏物語:2009/10/12(月) 19:05:55 ID:z4RTzwee
いつしかと朝けの風の身にしみてさやかにかはる秋は来にけり(藤原為家)
134 :
名無氏物語:2009/10/12(月) 19:07:16 ID:z4RTzwee
今よりの秋とは風にききそめつ目にはさやかにみか月のかげ(正親町公蔭)
135 :
名無氏物語:2009/10/12(月) 19:09:12 ID:z4RTzwee
おしなべて霞むやいづこ天つ空めにはさやかに見えぬ春かな(後二条院)
136 :
名無氏物語:2009/10/12(月) 19:10:40 ID:z4RTzwee
なほざりの秋風よりも木枯のめに見ぬ冬ぞおどろかれぬる(飛鳥井雅世)
137 :
名無氏物語:2009/10/12(月) 19:25:45 ID:1U7WH6Hi
ふる雪のみのしろ衣うちきつつ春きにけりとおどろかれぬる(後撰1)
138 :
名無氏物語:2009/10/12(月) 19:26:34 ID:z4RTzwee
荻の葉のうちそよぐにも秋来ぬとおどろかれぬる人のわかれぢ(木下長嘯子)
139 :
名無氏物語:2009/10/12(月) 19:27:57 ID:z4RTzwee
目にも見えずわたらふ秋は栗の木のなりたる毬のつばらつばらに(長塚節)
140 :
名無氏物語:2009/10/12(月) 19:28:38 ID:z4RTzwee
木のもとにやどりはすべし桜花ちらまくをしみ旅ならなくに(源実朝)
141 :
名無氏物語:2009/10/12(月) 19:29:37 ID:z4RTzwee
よそに見てをらでは過ぎじ女郎花名をむつましみ露にぬるとも(源実朝)
142 :
名無氏物語:2009/10/12(月) 19:30:28 ID:z4RTzwee
ぬぎかけし主はたれともしらねども一野にたてる藤ばかまかな(大江匡房)
143 :
名無氏物語:2009/10/12(月) 19:31:29 ID:z4RTzwee
藤ばかまきてぬぎかけし主やたれとへどこたへず野べの秋風(源実朝)
144 :
名無氏物語:2009/10/12(月) 19:32:18 ID:z4RTzwee
露のそめて色々になすもみぢ葉のまたいろいろに露をそむらん(慈円)
145 :
名無氏物語:2009/10/12(月) 19:33:18 ID:z4RTzwee
波の音に宇治のさと人よるさへや寝てもあやふき夢の浮橋(藤原定家)
146 :
名無氏物語:2009/10/12(月) 19:33:20 ID:1U7WH6Hi
春雨の花の枝より流れこばなほこそ濡れめ香もやうつると(後撰110)
147 :
名無氏物語:2009/10/12(月) 19:34:55 ID:1U7WH6Hi
秋来ぬと目にはさやかに見えねども風の音にぞおどろかれぬる(古今169)
148 :
名無氏物語:2009/10/12(月) 19:36:47 ID:1U7WH6Hi
秋の夜のあくるもしらずなく虫はわがごと物やかなしかるらむ(古今197)
149 :
名無氏物語:2009/10/12(月) 19:41:24 ID:1U7WH6Hi
秋萩の花咲きにけり高砂のをのへの鹿は今やなくらむ(古今218)
150 :
名無氏物語:2009/10/12(月) 19:42:37 ID:1U7WH6Hi
秋の野にやどりはすべしをみなへし名をむつまじみ旅ならなくに(古今228)
151 :
名無氏物語:2009/10/12(月) 19:43:34 ID:1U7WH6Hi
なに人かきてぬぎかけし藤袴くる秋ごとに野べをにほはす(古今239)
152 :
名無氏物語:2009/10/12(月) 19:44:26 ID:1U7WH6Hi
白露の色はひとつをいかにして秋の木の葉をちぢにそむらん(古今257)
153 :
名無氏物語:2009/10/12(月) 19:45:36 ID:1U7WH6Hi
久方の雲のうへにて見る菊はあまつ星とぞあやまたれける(古今269)
154 :
名無氏物語:2009/10/12(月) 19:46:27 ID:z4RTzwee
住の江の松のねたくやよる浪のよるとはなげく夢をだに見で(藤原定家)
155 :
名無氏物語:2009/10/12(月) 19:47:41 ID:z4RTzwee
松かげや岸による浪よるばかりしばしぞ涼む住吉の浜(藤原定家)
156 :
名無氏物語:2009/10/12(月) 19:48:46 ID:z4RTzwee
住の江の浪の通ひ路たがために春は霞の人めよくらむ(藤原為家)
157 :
名無氏物語:2009/10/12(月) 19:49:47 ID:z4RTzwee
夢にだになほ忍ぶとや逢はぬまは闇のうつつも人めよくらむ(近衛基平)
158 :
名無氏物語:2009/10/12(月) 19:51:16 ID:z4RTzwee
よし野河きしによる波山吹の花を名残の春なさそひそ(肖柏)
159 :
名無氏物語:2009/10/12(月) 19:52:30 ID:z4RTzwee
五月雨はさてもくれにきつれづれのながめにまさる昨日今日かな(和泉式部)
160 :
名無氏物語:2009/10/12(月) 19:53:59 ID:z4RTzwee
なみだ川ながめにまさる袖のうへにせきかぬばかり人ぞ恋しき(藤原家隆)
161 :
名無氏物語:2009/10/12(月) 19:55:00 ID:z4RTzwee
八大かたのながめにまさるたもとかな軒のしのぶの秋の村雨(順徳院)
162 :
名無氏物語:2009/10/12(月) 19:57:53 ID:1U7WH6Hi
わが来つる方もしられずくらぶ山木々の木の葉の散るとまがふに(古今295)
163 :
名無氏物語:2009/10/12(月) 19:59:29 ID:1U7WH6Hi
心から花のしづくにそぼちつつうくひずとのみ鳥のなくらむ(古今422)
164 :
名無氏物語:2009/10/12(月) 20:00:26 ID:1U7WH6Hi
くべきほどときすぎぬれや待ちわびてなくなる声の人をとよむる(古今423)
165 :
名無氏物語:2009/10/12(月) 20:02:03 ID:1U7WH6Hi
恋ひわびてうちぬる中に行きかよふ夢のただぢはうつつならなむ(古今558)
166 :
名無氏物語:2009/10/12(月) 20:03:26 ID:1U7WH6Hi
すみの江の岸による波よるさへや夢のかよひぢ人目よくらむ(古今559)
167 :
名無氏物語:2009/10/12(月) 20:04:20 ID:1U7WH6Hi
つれづれのながめにまさる涙川袖のみぬれて逢ふよしもなし(古今617)
168 :
名無氏物語:2009/10/12(月) 20:04:59 ID:z4RTzwee
あやなしや恋すてふ名はたつた川袖をぞくくるくれなゐの波(藤原俊成)
169 :
名無氏物語:2009/10/12(月) 20:06:18 ID:z4RTzwee
行く水のあはれとぞ思ふ三瀬川わたらでやまむ人しなければ(慶運)
170 :
名無氏物語:2009/10/12(月) 20:07:22 ID:z4RTzwee
さらぬだにまだきなき名の立田山いくたび雲の花と見ゆらむ(宗良親王)
171 :
名無氏物語:2009/10/12(月) 20:09:21 ID:z4RTzwee
人もとへ荒れなむのちの虫の音も植ゑおく薄秋し絶えずは(藤原定家)
172 :
名無氏物語:2009/10/12(月) 20:10:25 ID:z4RTzwee
むら薄植ゑけむ跡も古りにけり雲井を近くまもる住処に(藤原定家)
173 :
名無氏物語:2009/10/12(月) 20:13:10 ID:z4RTzwee
薮し分かぬ春の光に北南かすみそめけり生駒大比叡(賀茂季鷹)
174 :
名無氏物語:2009/10/12(月) 20:14:42 ID:z4RTzwee
初時雨そめしもみぢの唐錦にはにうちはふ風ぞしくめる(藤原教長)
175 :
名無氏物語:2009/10/12(月) 20:18:17 ID:z4RTzwee
稲筵ほなみはるかに打ちなびきおきふしみえて風ぞしくめる(二条為明)
176 :
名無氏物語:2009/10/12(月) 20:18:58 ID:1U7WH6Hi
あけぬとてかへる道にはこきたれて雨も涙もふりそぼちつつ(古今639)
177 :
名無氏物語:2009/10/12(月) 20:20:41 ID:1U7WH6Hi
わが恋のかずをかぞへば天の原くもりふたがりふる雨のごと(後撰795)
178 :
名無氏物語:2009/10/12(月) 20:23:26 ID:1U7WH6Hi
玉だれの子亀やいづらこよろぎの磯の波わけおきにいでにけり(古今874)
179 :
名無氏物語:2009/10/12(月) 20:31:21 ID:1U7WH6Hi
老いぬとてなどかわが身をせめぎけむ老いずは今日に逢はましものか(古今903)
180 :
名無氏物語:2009/10/12(月) 20:34:35 ID:1U7WH6Hi
あやなくてまだき無き名のたつた川わたらでやまむ物ならなくに(古今629)
181 :
名無氏物語:2009/10/12(月) 20:37:01 ID:1U7WH6Hi
君が植ゑし一むらすすき虫のねのしげき野辺ともなりにけるかな(古今853)
182 :
名無氏物語:2009/10/12(月) 20:38:08 ID:1U7WH6Hi
日のひかり薮し分かねばいそのかみ古りにし里に花も咲きけり(古今870)
183 :
名無氏物語:2009/10/12(月) 20:38:56 ID:1U7WH6Hi
知りにけむ聞きてもいとへ世の中は波のさわぎに風ぞしくめる(古今946)
184 :
名無氏物語:2009/10/12(月) 20:39:37 ID:z4RTzwee
よしや人見まれ見ずまれ今はただめづらしげなき恋の煙を(後嵯峨院)
185 :
名無氏物語:2009/10/12(月) 20:40:43 ID:z4RTzwee
月影を見まれ見ずまれ秋といへばめづらしげなく落つる涙か(宗尊親王)
186 :
名無氏物語:2009/10/12(月) 20:41:48 ID:z4RTzwee
花の色は見まれ見ずまれ分けゆかむ霞める山に風にほふなり(宗良親王)
187 :
名無氏物語:2009/10/12(月) 20:42:50 ID:z4RTzwee
もる山の時雨の秋を見てしがな心づからや紅葉はつると(藤原定家)
188 :
名無氏物語:2009/10/12(月) 20:44:01 ID:z4RTzwee
咲く花は千ぐさながらに時過ぎて枯れゆく小野の霜のさむけさ(宗尊親王)
189 :
名無氏物語:2009/10/12(月) 20:45:28 ID:z4RTzwee
花いへば千ぐさながらにあだならぬ色香にうつる野べの露かな(三条西実隆)
190 :
名無氏物語:2009/10/12(月) 20:47:07 ID:z4RTzwee
さまざまに心うつりて咲く花は千種ながらにあかずしぞ思ふ(後水尾院)
191 :
名無氏物語:2009/10/12(月) 20:48:19 ID:z4RTzwee
冬枯の草葉にも見よ色といへば千種ながらにあだの世の中(後水尾院)
192 :
名無氏物語:2009/10/12(月) 20:49:23 ID:1U7WH6Hi
君といへば見まれ見ずまれ富士の嶺のめづらしげなくもゆる我が恋(古今680)
193 :
名無氏物語:2009/10/12(月) 20:50:13 ID:1U7WH6Hi
春風は花のあたりをよきて吹け心づからやうつろふと見む(古今85)
194 :
名無氏物語:2009/10/12(月) 20:51:24 ID:1U7WH6Hi
咲く花は千ぐさながらにあだなれど誰かは春を恨みはてたる(古今101)
195 :
名無氏物語:2009/10/12(月) 20:52:26 ID:1U7WH6Hi
春霞色の千ぐさに見えつるはたなびく山の花のかげかも(古今102)
196 :
名無氏物語:2009/10/13(火) 03:54:07 ID:bHsKJfVm
咲く花の千種ながらにうちなびきかぎりも見えぬ野辺の秋風(霊元院)
197 :
名無氏物語:2009/10/13(火) 03:55:08 ID:bHsKJfVm
夕霞たなびく山の春よりも色の千種にさけるなでしこ(順徳院)
198 :
名無氏物語:2009/10/13(火) 03:56:03 ID:bHsKJfVm
明けわたる外山の花にうつろひて色の千草にたつ霞かな(藤原泰綱)
199 :
名無氏物語:2009/10/13(火) 03:56:50 ID:bHsKJfVm
見わたせば色の千種にうつろひて霞をそむる山桜かな(藤原行家)
200 :
名無氏物語:2009/10/13(火) 03:58:09 ID:bHsKJfVm
秋もまた色の千ぐさのおなじ野に霞みし花のかげぞ忘れぬ(津守国道)
201 :
名無氏物語:2009/10/13(火) 03:59:03 ID:bHsKJfVm
春の色を千種にこめて天の原かぎりもしらず立つ霞かな(肖柏)
202 :
名無氏物語:2009/10/13(火) 04:01:07 ID:bHsKJfVm
今日暮れぬ霞む夕べの空よこれふたたびとだに春とては見じ(伏見院)
203 :
名無氏物語:2009/10/13(火) 08:30:52 ID:bHsKJfVm
やまやはるなけや鶯すみがまの煙も空にかすむけしきを(衲叟馴窓)
204 :
名無氏物語:2009/10/13(火) 08:40:12 ID:bHsKJfVm
移り来てなけや鶯うららなる南のかたえ木のめ春風(冷泉為村)
205 :
名無氏物語:2009/10/13(火) 08:41:52 ID:bHsKJfVm
染めつくす峰の紅葉をいづる日のあからさまにしあふは逢ふかは(橘千蔭)
206 :
名無氏物語:2009/10/13(火) 08:43:27 ID:bHsKJfVm
深山にも秋はかぎりになりにけりおちくる水の色かはるまで(土御門院小宰相)
207 :
名無氏物語:2009/10/13(火) 08:50:24 ID:SN2oUZ2C
花もまだにほはぬ比の朝な朝ななけや鶯春と思はむ(鷹司院按察[玉葉])
208 :
名無氏物語:2009/10/13(火) 08:51:45 ID:SN2oUZ2C
思へどもつらくもあるかな七夕のなどか一夜と契りそめけむ(藤原基長[新勅撰])
209 :
名無氏物語:2009/10/13(火) 08:52:37 ID:SN2oUZ2C
あかれじの心や深き七夕の年に一たびまれにのみ逢ふ(花山院[玉葉])
210 :
名無氏物語:2009/10/13(火) 08:54:06 ID:SN2oUZ2C
湊川秋ゆく水の色ぞ濃きのこる山なく時雨ふるらし(西園寺実氏[新勅撰])
211 :
名無氏物語:2009/10/13(火) 08:54:37 ID:bHsKJfVm
白浪のこすかとぞみる卯花のさける垣ねや末の松山(藤原長方)
212 :
名無氏物語:2009/10/13(火) 08:55:33 ID:bHsKJfVm
白浪のこすかとぞみる卯花のさける垣ねや末の松山(藤原長方)
213 :
名無氏物語:2009/10/13(火) 08:56:20 ID:bHsKJfVm
さざなみのこすかとぞみる唐崎や松のしづえにふれる白雪(澄覚法親王)
214 :
名無氏物語:2009/10/13(火) 08:57:59 ID:bHsKJfVm
松かげに咲ける桜は末の山したより浪のこすかとぞみる(小沢蘆庵)
215 :
名無氏物語:2009/10/13(火) 08:59:22 ID:bHsKJfVm
年をへてつれなき人を恋ふる身は涙の河の身をつくしかな(能因)
216 :
名無氏物語:2009/10/13(火) 09:00:44 ID:bHsKJfVm
きみゆゑに涙の川にゆらさるるみをつくしともなりはてねとや(藤原経家)
217 :
名無氏物語:2009/10/13(火) 09:01:42 ID:bHsKJfVm
涙川あふせもしらぬ身をつくしたけこす程に成りにけるかな(慈円)
218 :
名無氏物語:2009/10/13(火) 09:03:14 ID:bHsKJfVm
身をつくし忍ぶ涙のみごもりにこの世をかくてくちやはてなむ(藤原定家)
219 :
名無氏物語:2009/10/13(火) 09:03:31 ID:SN2oUZ2C
白浪のこゆらむ末の松山は花とや見ゆる春の夜の月(加賀左衛門[新古今])
220 :
名無氏物語:2009/10/13(火) 09:04:34 ID:SN2oUZ2C
玉川の里の垣ねの卯の花はおよばぬ波のこすかとぞみる(二条道平[新千載])
221 :
名無氏物語:2009/10/13(火) 09:05:48 ID:SN2oUZ2C
物おもふ涙の河の身をつくしふかきしるしは袖に見ゆらむ(中臣祐春[続千載])
222 :
名無氏物語:2009/10/13(火) 09:12:34 ID:bHsKJfVm
ぬきみだる涙もしばしとまるやと玉の緒ばかり逢ふよしもがな(紀貫之)
223 :
名無氏物語:2009/10/13(火) 09:13:50 ID:bHsKJfVm
おほかたはしひて忘れむと思へどもいかにせよとて袖の濡るらむ(源重之女)
224 :
名無氏物語:2009/10/13(火) 09:14:43 ID:bHsKJfVm
いかにせむ今はたたえて春の夜の人だのめなる夢をだにみず(藤原家隆)
225 :
名無氏物語:2009/10/13(火) 09:15:56 ID:bHsKJfVm
かきつめて誰しのぶべきかたみとは涙の底のもくづなれども(俊成卿女)
226 :
名無氏物語:2009/10/13(火) 09:18:35 ID:bHsKJfVm
夜な夜なのまくらのちりをもくづにて涙の床や海とならまし(頓阿)
227 :
名無氏物語:2009/10/13(火) 09:25:45 ID:bHsKJfVm
かたみとて涙にうかぶもくづをばかへすをみても袖やぬれなむ(飛鳥井雅親)
228 :
名無氏物語:2009/10/13(火) 09:42:06 ID:SN2oUZ2C
恨みても泣きても何をかこたまし見しよの月の辛さならでは(少将内侍[続古今])
229 :
名無氏物語:2009/10/13(火) 23:00:46 ID:bHsKJfVm
そなたにもとめてやはみぬあふことのいまは涙のもくづなりとも(三条西実隆)
230 :
名無氏物語:2009/10/13(火) 23:03:30 ID:bHsKJfVm
涙川うかぶもくづのうたかたもあはれはかなきかたみなりけり(木下長嘯子)
231 :
名無氏物語:2009/10/13(火) 23:04:13 ID:bHsKJfVm
雁がねのなきてもいはむ方ぞなきむかしのつらの今の夕暮(藤原定家)
232 :
名無氏物語:2009/10/13(火) 23:05:02 ID:bHsKJfVm
老をせく菊のした水手にむすぶこの里人ぞ千世もすむべき(藤原定家)
233 :
名無氏物語:2009/10/13(火) 23:05:56 ID:bHsKJfVm
天つ星光をうつすみかは水老せぬ菊のかげやせくらむ(順徳院)
234 :
名無氏物語:2009/10/13(火) 23:06:41 ID:bHsKJfVm
よしの川はやくのとしをかへさめや菊の下水老をせくとも(後水尾院)
235 :
名無氏物語:2009/10/13(火) 23:07:33 ID:bHsKJfVm
老をせくためしまでこそくみしらねこの谷川も菊の下水(霊元院)
236 :
名無氏物語:2009/10/13(火) 23:16:44 ID:bHsKJfVm
まちをしむ花にまぎれし心からすぐす月日の春ぞすくなき(藤原為家)
237 :
名無氏物語:2009/10/13(火) 23:20:22 ID:bHsKJfVm
けふのこる花のかとりの白がさねあすたちかへむ春ぞすくなき(正徹)
238 :
名無氏物語:2009/10/13(火) 23:21:52 ID:bHsKJfVm
高砂のをのへの松や君がへむ千代のともとはならむとすらむ(藤原俊成)
239 :
名無氏物語:2009/10/13(火) 23:22:40 ID:bHsKJfVm
いかにせむ鏡のそこにみづはぐむかげもむかしの友ならなくに(鴨長明)
240 :
名無氏物語:2009/10/13(火) 23:23:50 ID:bHsKJfVm
高砂の松をともとて鳴く千鳥きみがやちよのこゑやそふらむ(藤原良経)
241 :
名無氏物語:2009/10/13(火) 23:24:58 ID:bHsKJfVm
友と見しよそのもみぢは散りはててひとりしぐるる高砂のまつ(藤原為家)
242 :
名無氏物語:2009/10/13(火) 23:33:06 ID:bHsKJfVm
みよしのの吉野の宮はふりにけり松も昔の松やすくなき(順徳院)
243 :
名無氏物語:2009/10/13(火) 23:34:02 ID:bHsKJfVm
子の日せし代代のみゆきのあとふりて松もむかしの春や恋しき(宗尊親王)
244 :
名無氏物語:2009/10/13(火) 23:34:46 ID:bHsKJfVm
知る人と松をもいかがたのむべきうきよをいとふ友ならなくに(宗尊親王)
245 :
名無氏物語:2009/10/13(火) 23:35:27 ID:bHsKJfVm
風かよふ松もむかしの友とてやおなじ軒端ににほふたち花(飛鳥井雅世)
246 :
名無氏物語:2009/10/13(火) 23:36:22 ID:bHsKJfVm
年こゆる色やはかへむ高砂の松もむかしの沖つしらなみ(正徹)
247 :
名無氏物語:2009/10/13(火) 23:37:14 ID:bHsKJfVm
したふなよ松もむかしのとばかりにあだなる花の春の別れは(後柏原天皇)
248 :
名無氏物語:2009/10/13(火) 23:38:16 ID:bHsKJfVm
君が代は雲井はるかに高砂の松もむかしの友づるのこゑ(三条西実隆)
249 :
名無氏物語:2009/10/13(火) 23:39:03 ID:bHsKJfVm
高砂の松をためしも雪のけさいたづらにふる友とやはみむ(木下長嘯子)
250 :
名無氏物語:2009/10/14(水) 00:02:34 ID:5lkcLvIW
いはそそぐ清水も春の声たてて打ちてや出づる谷の早蕨(藤原定家)
251 :
名無氏物語:2009/10/14(水) 00:03:30 ID:5lkcLvIW
吉野山かすまぬ方の谷水も打ち出づる波に春は立つなり(藤原定家)
252 :
名無氏物語:2009/10/14(水) 00:04:13 ID:5lkcLvIW
すはの海や氷のうへは霞めども猶うちいでぬ春のしら浪(宗良親王)
253 :
名無氏物語:2009/10/14(水) 00:05:00 ID:bHsKJfVm
おく霜の氷吹きとく松風にうちいづる波や梅の初花(正徹)
254 :
名無氏物語:2009/10/14(水) 00:06:00 ID:5lkcLvIW
雪消えぬ谷の古巣を鶯のうち出づる声も春の初花(賀茂季鷹)
255 :
名無氏物語:2009/10/14(水) 00:06:55 ID:5lkcLvIW
ありはてぬ命をさぞと知りながらはかなくも世を明け暮らす哉(藤原定家)
256 :
名無氏物語:2009/10/14(水) 00:07:56 ID:5lkcLvIW
暁の鳥よりさきに鳴きそめてなれも別れや惜しむ雁がね(後水尾院)
257 :
名無氏物語:2009/10/14(水) 00:08:43 ID:5lkcLvIW
さきだたぬ世々の契りを恨みても悔いのやちたびねをのみぞなく(葉室光俊)
258 :
名無氏物語:2009/10/14(水) 00:17:03 ID:5lkcLvIW
さめてのち悔いのやちたびかなしきは昔をみつるうたたねの夢(宗尊親王)
259 :
名無氏物語:2009/10/14(水) 00:18:15 ID:5lkcLvIW
涙川くいのやちたび思へどもながれし名をばせくかひもなし(宗良親王)
260 :
名無氏物語:2009/10/14(水) 00:19:28 ID:5lkcLvIW
おもひ川くいの八千たびうつたへにいとど浪こす袖のしがらみ(正徹)
261 :
名無氏物語:2009/10/14(水) 00:25:46 ID:5lkcLvIW
散りぬれば悔いのやちたびかへりこぬ水のゆく手の井手の山吹(下河辺長流)
262 :
名無氏物語:2009/10/14(水) 00:42:42 ID:5lkcLvIW
絶えしとき心にかなふ物ならば我が玉の緒によりかへてまし(和泉式部)
263 :
名無氏物語:2009/10/14(水) 00:57:13 ID:5lkcLvIW
めぐりあはむ我がかねごとの命だに心にかなふ春の暮かは(俊成卿女)
264 :
名無氏物語:2009/10/14(水) 00:58:31 ID:5lkcLvIW
うぐひすの物憂かる音に鳴くなるは春にしられぬ宿の印か(俊恵)
265 :
名無氏物語:2009/10/14(水) 00:59:20 ID:5lkcLvIW
百千鳥さへづりくらす春の日を物憂かる音にうちながめつつ(藤原雅経)
266 :
名無氏物語:2009/10/14(水) 01:00:12 ID:5lkcLvIW
鶯の物憂かる音にうらぶれて野上の方に春ぞ暮れゆく(宗尊親王)
267 :
名無氏物語:2009/10/14(水) 01:01:16 ID:5lkcLvIW
鶯の物憂かる音になかぬまで花とぞ見ゆる野べの淡雪(木下長嘯子)
268 :
名無氏物語:2009/10/14(水) 01:02:48 ID:5lkcLvIW
花すすき草の袂もくちはてぬ馴れて別れし秋を恋ふとて(藤原定家)
269 :
名無氏物語:2009/10/14(水) 01:04:21 ID:5lkcLvIW
年のうちに春立ちぬとや吉野山霞かかれる峰のしら雲(藤原俊成)
270 :
名無氏物語:2009/10/14(水) 01:12:26 ID:5lkcLvIW
雪のうちに春は来にけりよしの山雲とやいはむ霞とやいはむ(慈円)
271 :
名無氏物語:2009/10/14(水) 01:13:09 ID:5lkcLvIW
鶯もまだ出でやらぬ春の雲ことしともいはず山風ぞ吹く(藤原定家)
272 :
名無氏物語:2009/10/14(水) 01:14:45 ID:5lkcLvIW
野も山もまだ雪深き年の内に霞ぞおそき春は来にけり(宗尊親王)
273 :
名無氏物語:2009/10/14(水) 01:17:25 ID:5lkcLvIW
年のうちに餅はつきけり一年をこぞとや食はむ今年とや食はむ(二条良基)
274 :
名無氏物語:2009/10/14(水) 01:18:45 ID:5lkcLvIW
いづこぞと梅がか深し年の内も立枝尋ねて春風やふく(武者小路実陰)
275 :
名無氏物語:2009/10/14(水) 01:19:52 ID:5lkcLvIW
年のうちに春きぬめりと梅やさく梅さけりとて春やきぬらむ(小沢蘆庵)
276 :
名無氏物語:2009/10/14(水) 01:21:09 ID:5lkcLvIW
あら玉の年の内にも鶯の初音ばかりの春は来にけり(香川景樹)
277 :
名無氏物語:2009/10/14(水) 01:22:28 ID:5lkcLvIW
草も木もふりまがへたる雪もよに春待つ梅の花の香ぞする(源通具)
278 :
名無氏物語:2009/10/14(水) 01:38:01 ID:5lkcLvIW
はかなくもなに惜しむらん行く年のとどまらなくにせく涙かな(藤原秀能)
279 :
名無氏物語:2009/10/14(水) 01:39:28 ID:5lkcLvIW
くらま山月のひかりのあかければいかなりし夜のなにかとぞみる(赤染衛門)
280 :
名無氏物語:2009/10/14(水) 01:41:12 ID:5lkcLvIW
このやどに雪も我が身もふりはてぬ明けぬ暮れぬとつもるながめに(伏見院)
281 :
名無氏物語:2009/10/14(水) 01:42:03 ID:5lkcLvIW
逢坂の関のこなたにあらねども往き来の人にあこがれにけり(良寛)
282 :
名無氏物語:2009/10/14(水) 01:42:58 ID:5lkcLvIW
白露のつらぬきかくるときにこそ玉柳とはいふべかりけれ(藤原教長)
283 :
名無氏物語:2009/10/14(水) 01:44:01 ID:5lkcLvIW
春くればみどりの糸の筋ごとにつらぬきかくる玉柳かな(花園左大臣家小大進)
284 :
名無氏物語:2009/10/14(水) 01:45:16 ID:5lkcLvIW
朝まだきくるすの小野のいと萩につらぬきかくる露の白玉(藤原範光)
285 :
名無氏物語:2009/10/14(水) 01:57:26 ID:5lkcLvIW
糸萩のなみよるばかりおく露はつらぬきかくる玉かとぞ見る(皇后宮摂津)
286 :
名無氏物語:2009/10/14(水) 01:58:08 ID:5lkcLvIW
野辺ごとにたれにみせんとささがにのつらぬきかくる萩の白露(藤原為家)
287 :
名無氏物語:2009/10/14(水) 01:59:01 ID:5lkcLvIW
玉ぼこの道もやどりもしら露に風の吹きしく小野の篠原(藤原家隆)
288 :
名無氏物語:2009/10/14(水) 02:00:00 ID:5lkcLvIW
てづくりやさらすかきねの朝露をつらぬきとめぬ玉川の里(藤原定家)
289 :
名無氏物語:2009/10/14(水) 02:01:38 ID:5lkcLvIW
むさし野につらぬきとめぬ白露の草はみながら月ぞこぼるる(藤原定家)
290 :
名無氏物語:2009/10/14(水) 02:02:49 ID:5lkcLvIW
川なみに風のふきしく白露やつらぬきとめぬ玉のをやなぎ(順徳院)
291 :
名無氏物語:2009/10/14(水) 02:04:43 ID:5lkcLvIW
山風にあられうちちる音はしてつらぬきとめぬ庭の玉笹(三条西実隆)
292 :
名無氏物語:2009/10/14(水) 02:09:17 ID:5lkcLvIW
まくず原露も玉まく夕風につらぬきとめぬ秋ぞちりける(松永貞徳)
293 :
名無氏物語:2009/10/14(水) 16:48:51 ID:5lkcLvIW
秋の色や今一しほの色ならむふるき思ひのそめし袂に(慈円)
294 :
名無氏物語:2009/10/14(水) 16:50:13 ID:5lkcLvIW
をしほ山いま一しほの春の色に君をみどりの松ぞ久しき(藤原家隆)
295 :
名無氏物語:2009/10/14(水) 16:51:36 ID:5lkcLvIW
あづさ弓いそべの小松春といへばかはらぬ色も色まさりけり(藤原定家)
296 :
名無氏物語:2009/10/14(水) 16:52:29 ID:5lkcLvIW
春くれば今一しほのみどりこそかはらぬ松のかはるなりけれ(藤原良経)
297 :
名無氏物語:2009/10/14(水) 16:53:15 ID:5lkcLvIW
宮川やいつもみどりの杉の葉にいまひとしほの春風ぞ吹く(後鳥羽院)
298 :
名無氏物語:2009/10/14(水) 16:54:17 ID:5lkcLvIW
夏の日の木の間もりくる庭の面にかげまでみゆる松のひとしほ(順徳院)
299 :
名無氏物語:2009/10/14(水) 16:55:39 ID:5lkcLvIW
かくてみむ外山の里のうす紅葉今一しほの色なしぐれそ(宗尊親王)
300 :
名無氏物語:2009/10/14(水) 16:57:11 ID:5lkcLvIW
松の葉のいつともわかぬ岡のべに今一しほの下もみぢかな(細川幽斎)
301 :
名無氏物語:2009/10/14(水) 17:29:44 ID:5lkcLvIW
色まさるをのへの松の木間より今一しほの桜咲くころ(烏丸光広)
302 :
名無氏物語:2009/10/14(水) 17:30:48 ID:5lkcLvIW
雪きえてうすみどりなる野べの色も今一しほの春雨ぞふる(後水尾院)
303 :
名無氏物語:2009/10/14(水) 17:32:47 ID:5lkcLvIW
いつしかと人めも草も枯れねとやおろす嵐の今朝ははげしき(俊恵)
304 :
名無氏物語:2009/10/14(水) 17:36:52 ID:5lkcLvIW
秋くれば虫とともにぞなかれぬる人も草葉もかれぬと思へば(藤原興風)
305 :
名無氏物語:2009/10/14(水) 17:51:23 ID:5lkcLvIW
霜おかぬ人めも今はかれはてて松にとひくる風ぞかはらぬ(藤原有家)
306 :
名無氏物語:2009/10/14(水) 17:52:08 ID:5lkcLvIW
春も又かれし人めにまちわびぬ草葉はしげる雨につけても(藤原定家)
307 :
名無氏物語:2009/10/14(水) 17:53:06 ID:5lkcLvIW
人目さへいとど深草かれぬとや冬待つしもに鶉なくらむ(藤原定家)
308 :
名無氏物語:2009/10/14(水) 17:54:04 ID:5lkcLvIW
宿からぞ都の内もさびしさは人目かれにし庭の月かげ(藤原定家)
309 :
名無氏物語:2009/10/14(水) 17:55:02 ID:5lkcLvIW
夢路まで人目はかれぬ草の原おきあかす霜にむすぼほれつつ(藤原定家)
310 :
名無氏物語:2009/10/14(水) 17:56:03 ID:5lkcLvIW
我が宿は人目も草も草は猶かれても立てる心ながさよ(藤原定家)
311 :
名無氏物語:2009/10/14(水) 18:04:17 ID:5lkcLvIW
庭しげき草葉の下の道たえてとはぬ人めは夏もかれけり(藤原定家)
312 :
名無氏物語:2009/10/14(水) 18:23:37 ID:5lkcLvIW
花ちればやがて人目もかれはつる深山の里の春のくれがた(藤原良経)
313 :
名無氏物語:2009/10/14(水) 18:24:59 ID:5lkcLvIW
いつとてもかかる人目の山里は草の原にぞ冬はしりける(藤原為家)
314 :
名無氏物語:2009/10/14(水) 18:25:57 ID:5lkcLvIW
山里はしらぬ人目もいまさらに霜にかれゆく庭の冬草(藤原為家)
315 :
名無氏物語:2009/10/14(水) 18:26:49 ID:5lkcLvIW
あはれまた人めも草も枯れにけりみ山の庵ぞ秋はさびしき(順徳院)
316 :
名無氏物語:2009/10/14(水) 18:27:54 ID:5lkcLvIW
垣ねなる草も人めも霜がれぬ秋のとなりや遠ざかるらむ(後嵯峨院)
317 :
名無氏物語:2009/10/14(水) 18:29:01 ID:5lkcLvIW
我すめば人めもかれず山里に猶ききすてぬ朝まつりごと(後宇多院)
318 :
名無氏物語:2009/10/14(水) 18:30:12 ID:5lkcLvIW
たまさかの人めも草も秋はなほ跡見えし庭に峰のこがらし(宗祇)
319 :
名無氏物語:2009/10/14(水) 18:31:30 ID:5lkcLvIW
たれかとふ冬ぞさびしさまさ木ちる外山の庵は風にまかせて(木下長嘯子)
320 :
名無氏物語:2009/10/14(水) 18:38:16 ID:5lkcLvIW
木の葉ちる人めもかれて山里の四の時には冬こそありけれ(木下長嘯子)
321 :
名無氏物語:2009/10/15(木) 13:39:35 ID:ioO5lMmR
秋くれて冬ぞさびしさわすれけるみ雪ちりぼひ梅かをるころ(小沢蘆庵)
322 :
名無氏物語:2009/10/15(木) 13:40:29 ID:ioO5lMmR
年のうちに春立ちぬとや吉野山霞かかれる峰の白雪(藤原俊成)
323 :
名無氏物語:2009/10/15(木) 13:41:54 ID:ioO5lMmR
夏きぬといふばかりにやあしびきの山も霞の衣かふらむ(藤原良経)
324 :
名無氏物語:2009/10/15(木) 13:43:00 ID:ioO5lMmR
春たつといふばかり見しいづくとて行手に霞むのべの曙(藤原家隆)
325 :
名無氏物語:2009/10/15(木) 13:44:01 ID:ioO5lMmR
春たつといふばかりなる月日にてけふより空や霞みそむらん(藤原雅経)
326 :
名無氏物語:2009/10/15(木) 13:45:18 ID:ioO5lMmR
花はただなほ白雲に霞みぬといふばかりにやみ吉野の山(藤原雅経)
327 :
名無氏物語:2009/10/15(木) 13:46:15 ID:ioO5lMmR
春たつといふばかりには霞めども猶雪ふかしみ吉野の山(宗良親王)
328 :
名無氏物語:2009/10/15(木) 13:47:19 ID:ioO5lMmR
冬きぬと人はいへども朝氷むすばぬほどはあらじとぞおもふ(曾禰好忠)
329 :
名無氏物語:2009/10/15(木) 13:56:35 ID:ioO5lMmR
郭公なかぬかぎりはたちばなのにほふ垣ねぞ人だのめなる(兼好)
330 :
名無氏物語:2009/10/15(木) 13:57:29 ID:ioO5lMmR
なぐさめぬ我にてしりぬよの人もかくやみるらむ秋のよの月(宗尊親王)
331 :
名無氏物語:2009/10/15(木) 14:12:27 ID:ioO5lMmR
立ちかへり我にてしりぬうらみわびなやます花の心づくしを(木下長嘯子)
332 :
名無氏物語:2009/10/15(木) 14:13:41 ID:ioO5lMmR
暮るるかとおもへば明けぬ兼てよりいづら待ちつる秋の一よは(俊恵)
333 :
名無氏物語:2009/10/15(木) 14:34:18 ID:ioO5lMmR
暮るるかとみれば明けぬる山のはにかたぶくほども夏の夜の月(後鳥羽院)
334 :
名無氏物語:2009/10/15(木) 14:36:56 ID:ioO5lMmR
きのふとやけふとやいはむ暮るるかとみればあかしの浦の月影(藤原為家)
335 :
名無氏物語:2009/10/15(木) 14:38:56 ID:ioO5lMmR
暮るるかとみしは霞のくもるにて夜になる程の雨ぞ日ながき(中院通勝)
336 :
名無氏物語:2009/10/15(木) 14:40:07 ID:ioO5lMmR
袖の香の花にやどかれほととぎすいまもこひしき昔とおもはば(藤原定家)
337 :
名無氏物語:2009/10/15(木) 14:41:33 ID:ioO5lMmR
三月かげはうつつながらにゆ夢よりもはかなきものと短夜の空(飛鳥井雅有)
338 :
名無氏物語:2009/10/15(木) 14:45:06 ID:ioO5lMmR
夢よりもけにはかなしやおもひつつぬればとたのむ心よわさは(堯孝)
339 :
名無氏物語:2009/10/15(木) 14:46:13 ID:ioO5lMmR
時しあれば夜を長月の夢よりもうつつはかなく暮るる秋かな(正徹)
340 :
名無氏物語:2009/10/15(木) 14:48:11 ID:ioO5lMmR
夢よりもはかなき夢におき出でてかへる空にぞ鳥も鳴きける(三条西実隆)
341 :
名無氏物語:2009/10/15(木) 15:01:25 ID:ioO5lMmR
道柴の露にあらそふ我が身かないづれかまづは消えむとすらむ(藤原実頼)
342 :
名無氏物語:2009/10/15(木) 15:02:29 ID:ioO5lMmR
白露とあらそひながら今日もまた扇はえこそ置かれざりけれ(肥後)
343 :
名無氏物語:2009/10/15(木) 15:04:22 ID:ioO5lMmR
夏はつる扇に露もおきそめてみそぎすずしき賀茂の川風(藤原定家)
344 :
名無氏物語:2009/10/15(木) 15:05:06 ID:ioO5lMmR
夏はつるあふぎのさきにおきそめて草葉ならはす秋の白露(藤原為家)
345 :
名無氏物語:2009/10/15(木) 15:06:16 ID:ioO5lMmR
夏はつる扇の風にみを秋の涙の露や先におくらむ(足利義教)
346 :
名無氏物語:2009/10/15(木) 15:07:16 ID:ioO5lMmR
よひの間の月のかつらのうす紅葉照るとしもなき初秋の空(鴨長明)
347 :
名無氏物語:2009/10/15(木) 15:12:13 ID:ioO5lMmR
久方の月の桂のしたもみぢ宿借る袖ぞ色にいでゆく(藤原定家)
348 :
名無氏物語:2009/10/15(木) 15:13:22 ID:ioO5lMmR
紅葉する月のかつらにさそはれて下のなげきも色ぞうつろふ(藤原定家)
349 :
名無氏物語:2009/10/15(木) 15:14:06 ID:ioO5lMmR
ことわりの秋にはあへぬ涙かな月の桂もかはる光に(俊成卿女)
350 :
名無氏物語:2009/10/15(木) 15:15:18 ID:ioO5lMmR
ながめつつ月の桂の紅葉葉は時雨せぬにぞ秋まさりける(順徳院)
351 :
名無氏物語:2009/10/15(木) 16:00:59 ID:ioO5lMmR
照りまさる月の桂のもみぢばはちらぬ高根に秋風ぞふく(正徹)
352 :
名無氏物語:2009/10/15(木) 16:04:47 ID:ioO5lMmR
秋くればいなおほせ鳥の涙かも草の葉ごとに露ぞこぼるる(二条太皇太后宮大弐)
353 :
名無氏物語:2009/10/15(木) 16:05:51 ID:ioO5lMmR
露けさもおのが涙か秋の田のいなおほせ鳥はなかずもあらなむ(藤原為家)
354 :
名無氏物語:2009/10/15(木) 16:07:35 ID:ioO5lMmR
露ならぬいなおほせ鳥の涙さへさもひちまさる秋の袖かな(藤原知家)
355 :
名無氏物語:2009/10/15(木) 16:16:44 ID:ioO5lMmR
秋の田は涙ならでも置く露をいなおほせ鳥におほせつるかな(宗良親王)
356 :
名無氏物語:2009/10/15(木) 16:18:14 ID:ioO5lMmR
霞分け入りにし人の音信も花にほどふるみよしのの山(藤原家隆)
357 :
名無氏物語:2009/10/15(木) 16:20:44 ID:ioO5lMmR
よしの山いりにし人のおとづれもたえてひさしき雪のかよひ路(順徳院)
358 :
名無氏物語:2009/10/15(木) 16:22:20 ID:ioO5lMmR
吉野山嶺の白雪踏み分けて入りにし人の跡ぞ恋しき(静御前)
359 :
名無氏物語:2009/10/15(木) 16:23:11 ID:ioO5lMmR
さきいでて花に世やうき吉野山入りにし人のあとうづむなり(正徹)
360 :
名無氏物語:2009/10/15(木) 17:03:17 ID:ioO5lMmR
下もゆる雪間の草のめづらしく我が思ふ人にあひ見てしがな(和泉式部)
361 :
名無氏物語:2009/10/15(木) 17:09:24 ID:ioO5lMmR
山の端に待たれて出づる月影のはつかに見えし夜半の恋しさ(藤原定家)
362 :
名無氏物語:2009/10/15(木) 17:11:08 ID:ioO5lMmR
枕とて草のはつかに結べども夢もみじかき春のうたた寝(藤原定家)
363 :
名無氏物語:2009/10/15(木) 17:12:07 ID:ioO5lMmR
春日野の草のはつかに雪消えてまだうらわかき鶯の声(藤原良経)
364 :
名無氏物語:2009/10/15(木) 17:14:34 ID:ioO5lMmR
さを鹿のつめもかくれぬ春草のはつかに見えて逢はぬ君かな(雅成親王)
365 :
名無氏物語:2009/10/15(木) 17:15:38 ID:ioO5lMmR
月影に身をやかへましあはれてふ人の心にいりてみるべく(源計子)
366 :
名無氏物語:2009/10/15(木) 17:16:39 ID:ioO5lMmR
山桜命にかへて惜しめとや見はてぬ夢と花の散るらむ(本居春庭)
367 :
名無氏物語:2009/10/15(木) 17:17:36 ID:ioO5lMmR
有曙のつれなく見えし浅茅生におのれも名のみまつむしのこゑ(藤原家隆)
368 :
名無氏物語:2009/10/15(木) 17:17:40 ID:HmNquXJ3
み吉野は山もかすみて白雪のふりにし里に春は来にけり(藤原良経[新古今])
369 :
名無氏物語:2009/10/15(木) 17:18:55 ID:HmNquXJ3
うちきらし猶ふる雪も春たつといふばかりにや花とみゆらむ(藤原家経[玉葉])
370 :
名無氏物語:2009/10/15(木) 18:27:46 ID:ioO5lMmR
おほかたの月もつれなき鐘の音に猶うらめしき有明の空(藤原定家)
371 :
名無氏物語:2009/10/15(木) 18:29:58 ID:ioO5lMmR
花の香も霞みてしたふ有明をつれなく見えてかへる雁がね(藤原定家)
372 :
名無氏物語:2009/10/15(木) 18:31:05 ID:ioO5lMmR
面影も待つ夜むなしき別れにてつれなく見ゆる有明の空(藤原定家)
373 :
名無氏物語:2009/10/15(木) 18:32:14 ID:ioO5lMmR
有明のあかつきよりも憂かりけり星のまぎれの宵のわかれは(藤原定家)
374 :
名無氏物語:2009/10/15(木) 18:33:43 ID:ioO5lMmR
契りきやあかぬ別れに露おきし暁ばかり形見なれとは(源通具)
375 :
名無氏物語:2009/10/15(木) 18:41:19 ID:ioO5lMmR
おもかげを幾夜の月にのこすらむつれなくみえし人の名残に(後鳥羽院)
376 :
名無氏物語:2009/10/15(木) 18:42:27 ID:ioO5lMmR
有明のつれなく見えし空のみやなれし名残のかたみなるべき(後鳥羽院)
377 :
名無氏物語:2009/10/15(木) 18:44:12 ID:HmNquXJ3
桜花今やさくらむみ吉野の山もかすみて春雨ぞふる(後円融院[新後拾遺])
378 :
名無氏物語:2009/10/15(木) 18:45:46 ID:HmNquXJ3
ひとりぬる我にてしりぬ池水につがはぬ鴛鴦のおもふ心を(藤原公実[千載])
379 :
名無氏物語:2009/10/15(木) 18:47:48 ID:HmNquXJ3
夏の夜の月の桂の下紅葉かつがつ秋の光をぞ待つ(二条院讃岐[新続古今])
380 :
名無氏物語:2009/10/15(木) 19:06:15 ID:HmNquXJ3
ことわりの秋にはあへぬ涙かな月の桂もかはる光に(俊成卿女[新古今])
381 :
名無氏物語:2009/10/15(木) 19:06:58 ID:HmNquXJ3
秋の色を払ひはててや久かたの月の桂に木枯しの風(藤原雅経[新古今])
382 :
名無氏物語:2009/10/15(木) 19:07:49 ID:ioO5lMmR
起き別れつれなくみえしあかつきの憂かりし空ぞかたみなりける(藤原秀能)
383 :
名無氏物語:2009/10/15(木) 19:08:55 ID:ioO5lMmR
私語の尽くべき秋の一夜かは七夕ばかり憂き中はなし(耕雲)
384 :
名無氏物語:2009/10/15(木) 19:11:50 ID:ioO5lMmR
更にまた暮をたのめと明けにけり月はつれなき秋の夜の空(源通光)
385 :
名無氏物語:2009/10/15(木) 19:12:41 ID:ioO5lMmR
つれなくて有明過ぎぬ郭公この三か月にきえし一こゑ(正徹)
386 :
名無氏物語:2009/10/15(木) 19:15:17 ID:ioO5lMmR
つれなさの面影かくせ三か月のわれて又みる有明の雲(正徹)
387 :
名無氏物語:2009/10/15(木) 19:18:16 ID:ioO5lMmR
しの薄つれなく見えし夕かな月もほのめくあだし野の露(肖柏)
388 :
名無氏物語:2009/10/15(木) 19:19:50 ID:ioO5lMmR
夢さむる老の枕に有明のつれなきかげは我もさながら(下冷泉政為)
389 :
名無氏物語:2009/10/15(木) 19:21:44 ID:ioO5lMmR
待ちいづる月は有明の窓のうちにしひてつれなき夜の灯(三条西実隆)
390 :
名無氏物語:2009/10/16(金) 17:28:46 ID:nvJZg9pK
待つほどはつれなくみえし山のはも月の麓にとほざかりつつ(霊元院)
391 :
名無氏物語:2009/10/16(金) 17:32:37 ID:nvJZg9pK
待出でて帰るこよひぞつれなさは人に見はつる有明の月(後水尾院)
392 :
名無氏物語:2009/10/16(金) 17:33:28 ID:nvJZg9pK
大かたのうつつは夢になしはてつぬるがうちには何をかもみむ(後鳥羽院)
393 :
名無氏物語:2009/10/16(金) 17:34:54 ID:nvJZg9pK
春や夢さきそめしよりぬるがうちにみるにもあらぬ花ぞ散り行く(正徹)
394 :
名無氏物語:2009/10/16(金) 17:36:10 ID:nvJZg9pK
この秋ぞつひの別れとなりにけるあるを見るだに悲しかりしを(石川依平)
395 :
名無氏物語:2009/10/16(金) 17:37:34 ID:nvJZg9pK
東路のさやの中山さやかにもみぬ人いかで恋しかるらむ(香川景樹)
396 :
名無氏物語:2009/10/16(金) 17:38:34 ID:nvJZg9pK
くもりなき池の鏡の底きよみうつしとどめよ花のおもかげ(藤原長方)
397 :
名無氏物語:2009/10/16(金) 17:39:20 ID:6b4NntOi
忍ばじよ岩間づたひの谷川も瀬をせくにこそ水まさりけれ(藤原公継[新古今])
398 :
名無氏物語:2009/10/16(金) 17:40:29 ID:6b4NntOi
冬川の淵ともならで淀めるはいかに瀬をせく氷なるらむ(藤原実伊[続古今])
399 :
名無氏物語:2009/10/16(金) 17:41:44 ID:6b4NntOi
もらさじと思ふ心やせきかへす涙の川にかくるしがらみ(藤原兼宗[続拾遺])
400 :
名無氏物語:2009/10/16(金) 18:02:49 ID:nvJZg9pK
かつしかのわさ田のおしねこきたれてなきもたらじとつきぬ涙か(源俊頼)
401 :
名無氏物語:2009/10/16(金) 18:03:38 ID:nvJZg9pK
雁がねの涙も花もこきたれて帰る道にやふりまさるらむ(藤原為家)
402 :
名無氏物語:2009/10/16(金) 18:05:43 ID:nvJZg9pK
初雁もなきこそわたれ吹く風の身にしむばかり秋の憂ければ(宗尊親王)
403 :
名無氏物語:2009/10/16(金) 18:06:52 ID:nvJZg9pK
かるかやのみだれて物を思ふかな野原のかぜを袖にまかせて(慈円)
404 :
名無氏物語:2009/10/16(金) 18:08:14 ID:nvJZg9pK
かるかやのみだれて物をおもへども君が下葉の露ぞつれなき(後鳥羽院)
405 :
名無氏物語:2009/10/16(金) 18:09:06 ID:nvJZg9pK
たつた山峰のもみぢの散らぬまはそこにぞ水の秋はみえけり(藤原家隆)
406 :
名無氏物語:2009/10/16(金) 18:10:09 ID:nvJZg9pK
神なびの山のあらしやたつた河みづの秋のみふかき色かな(藤原雅経)
407 :
名無氏物語:2009/10/16(金) 18:11:50 ID:nvJZg9pK
もみぢ葉ぞ岩きりとほる吉野河おとして水の秋やゆくらむ(藤原基家)
408 :
名無氏物語:2009/10/16(金) 18:26:13 ID:nvJZg9pK
立田河水の秋をやいそぐらむ峰の木の葉に山風ぞふく(邦高親王)
409 :
名無氏物語:2009/10/16(金) 18:29:22 ID:nvJZg9pK
夕月夜よしのの里にふる雪のつもりてのこる有明のかげ(藤原家隆)
410 :
名無氏物語:2009/10/16(金) 19:01:07 ID:nvJZg9pK
み吉野のみ雪ふりしく里からは時しもわかぬ有明の空(藤原定家)
411 :
名無氏物語:2009/10/16(金) 19:02:54 ID:nvJZg9pK
み空ゆく月もまぢかしあしがきのよし野の里の雪のあさけに(藤原定家)
412 :
名無氏物語:2009/10/16(金) 19:06:00 ID:nvJZg9pK
影うすき有明の月の残るかとおもへば庭にふれるしら雪(頓阿)
413 :
名無氏物語:2009/10/16(金) 19:07:37 ID:nvJZg9pK
空にのみ在明の月と見し程におぼえずはらふ袖の露かな(飛鳥井雅世)
414 :
名無氏物語:2009/10/16(金) 19:09:45 ID:nvJZg9pK
物思ひの深さくらべにきてみれば夏のしげりもものならなくに(藤原道綱母)
415 :
名無氏物語:2009/10/16(金) 19:11:56 ID:nvJZg9pK
花をおもふ深さくらべにみにゆかば吉野のおくもは山ならまし(契沖)
416 :
名無氏物語:2009/10/16(金) 19:12:52 ID:nvJZg9pK
人の世にくらぶの山の桜花はなは中々風も待ちけり(木下長嘯子)
417 :
名無氏物語:2009/10/16(金) 19:23:08 ID:nvJZg9pK
をしかふす夏野の草の露よりもしらじなしげき思ひありとは(源実朝)
418 :
名無氏物語:2009/10/16(金) 19:24:20 ID:nvJZg9pK
身よりかく涙はいかがながるべき海てふ海は潮やひぬらむ(和泉式部)
419 :
名無氏物語:2009/10/16(金) 20:03:03 ID:nvJZg9pK
しげりあふ秋の野中の忘れ水たえだえ見えてやどる月かな(二条為明)
420 :
名無氏物語:2009/10/16(金) 20:04:18 ID:nvJZg9pK
桜木の葉守の神はしらねども風のかけたる花のしらゆふ(藤原顕輔)
421 :
名無氏物語:2009/10/16(金) 20:07:05 ID:nvJZg9pK
山川に風の懸けたるしがらみの色にいでてもぬるる袖かな(藤原家隆)
422 :
名無氏物語:2009/10/16(金) 20:08:05 ID:nvJZg9pK
木の葉もて風のかけたるしがらみにさてもよどまぬ秋の色かな(藤原定家)
423 :
名無氏物語:2009/10/16(金) 20:09:31 ID:nvJZg9pK
岩つたふ山のさくらのしき波に風のかけたる布引の滝(藤原基家)
424 :
名無氏物語:2009/10/16(金) 20:18:03 ID:nvJZg9pK
山川に春ゆく水はよどめども風にとまらぬ花のしがらみ(源通光)
425 :
名無氏物語:2009/10/16(金) 20:33:41 ID:nvJZg9pK
谷川に岸の木のはを吹きためて風のかけたる瀬瀬の浮橋(後崇光院)
426 :
名無氏物語:2009/10/16(金) 20:35:25 ID:nvJZg9pK
天の原春立つ雲の浪こえて風のかけたるしがらみもなし(正徹)
427 :
名無氏物語:2009/10/16(金) 20:36:59 ID:nvJZg9pK
さそはれていとど思ひの露ぞもる風のかけたる袖のしがらみ(正徹)
428 :
名無氏物語:2009/10/16(金) 20:38:18 ID:nvJZg9pK
風さむきを花が末の浪の間にながれもあへぬ秋の日のかげ(一色直朝)
429 :
名無氏物語:2009/10/16(金) 21:05:08 ID:nvJZg9pK
こほりつつ流れもあへぬ山川につもればかかる雪のしがらみ(望月長孝)
430 :
名無氏物語:2009/10/16(金) 21:05:50 ID:nvJZg9pK
さそひきて紅葉をしけば是も又風のかけたる山河の橋(後西院)
431 :
名無氏物語:2009/10/16(金) 21:13:27 ID:nvJZg9pK
すさのをのみことを祈るともなしに越えてぞみまし波の八重垣(和泉式部)
432 :
名無氏物語:2009/10/16(金) 21:14:29 ID:nvJZg9pK
思ひあればへだつる雲もなかりけり妻もこもれり出雲八重垣(寂蓮)
433 :
名無氏物語:2009/10/16(金) 21:15:50 ID:nvJZg9pK
しきしまや大和言の葉たづぬれば神の御代よりいづも八重垣(藤原良経)
434 :
名無氏物語:2009/10/16(金) 21:18:11 ID:nvJZg9pK
八雲立つ出雲八重垣ひまもなくめぐみにこめよ君がよろづ代(源家長)
435 :
名無氏物語:2009/10/16(金) 21:20:12 ID:nvJZg9pK
そのままに神代もとほくへだたりて跡やふりぬる出雲八重垣(宗良親王)
436 :
名無氏物語:2009/10/16(金) 21:22:41 ID:nvJZg9pK
世にこえて猶ぞさかえんことの葉を神のさだめし出雲八重垣(正徹)
437 :
名無氏物語:2009/10/16(金) 21:25:54 ID:nvJZg9pK
よもの空春を神代のつまごめに八重垣つくる朝霞かな(肖柏)
438 :
名無氏物語:2009/10/16(金) 21:27:35 ID:nvJZg9pK
もろ神のぬれてやつどふけふよりは時雨の雲のいづも八重がき(下河辺長流)
439 :
名無氏物語:2009/10/16(金) 22:01:41 ID:nvJZg9pK
わが心すがすがしてふ跡とめて今も八雲の道は汚さじ(桜町院)
440 :
名無氏物語:2009/10/16(金) 22:02:43 ID:nvJZg9pK
鶯のつまやこもるとゆかしきは梅咲きかこむ庵の八重がき(蓮月)
441 :
名無氏物語:2009/10/16(金) 22:03:31 ID:nvJZg9pK
妻籠に籠りし神の神代より清の熊野にたてる雲かも(平賀元義)
442 :
名無氏物語:2009/10/16(金) 22:04:19 ID:nvJZg9pK
八重垣のむかしのままに霞むらし出雲の宮の春のあけぼの(千種有功)
443 :
名無氏物語:2009/10/16(金) 22:05:54 ID:nvJZg9pK
月影のくまなき夜はも小倉山妻まきかねて牡鹿鳴くらん(橘千蔭)
444 :
名無氏物語:2009/10/16(金) 22:07:27 ID:nvJZg9pK
夏の夜はまだ宵ながら明けぬとやゆふつけ鳥の暁のこゑ(慈円)
445 :
名無氏物語:2009/10/16(金) 22:08:41 ID:nvJZg9pK
大和路や都も遠きひむろ山まだ宵ながら岩戸あくなり(藤原家隆)
446 :
名無氏物語:2009/10/16(金) 22:10:07 ID:6b4NntOi
石ばしる初瀬の川の波枕はやくも年の暮れにけるかな(徳大寺実定[新古今])
447 :
名無氏物語:2009/10/16(金) 22:10:56 ID:6b4NntOi
とどめばや流れて早き年波の淀まぬ水はしがらみもなし(道助親王[新勅撰])
448 :
名無氏物語:2009/10/16(金) 22:12:28 ID:6b4NntOi
けふといひ昨日とくらす夢の中に五十あまりの過る程なさ(飛鳥井教定[続拾遺])
449 :
名無氏物語:2009/10/17(土) 12:59:15 ID:e7og+dSd
夏の月はまだ宵の間とながめつつぬるや河辺のしののめの空(藤原定家)
450 :
名無氏物語:2009/10/17(土) 13:00:04 ID:MYBE0eoq
卯の花の籬は雲のいづくとてあけぬる月の影やどすらむ(藤原為家[続古今])
451 :
名無氏物語:2009/10/17(土) 13:00:37 ID:e7og+dSd
宵ながら雲のいづことをしまれし月をながしと恋ひつつぞぬる(藤原定家)
452 :
名無氏物語:2009/10/17(土) 13:01:56 ID:e7og+dSd
折しもあれ雲のいづくに入る月の空さへをしきしののめの途(藤原定家)
453 :
名無氏物語:2009/10/17(土) 13:17:01 ID:e7og+dSd
山路行く雲のいづこの旅枕ふすほどもなく月ぞ明け行く((藤原定家)
454 :
名無氏物語:2009/10/17(土) 13:18:13 ID:e7og+dSd
夕づくよかたぶく空はよひながら雲のいづくにありあけの月(藤原忠良)
455 :
名無氏物語:2009/10/17(土) 13:19:48 ID:e7og+dSd
夏の夜は雲のいづくにやどるともわがおもかげに月はのこさむ(藤原良経)
456 :
名無氏物語:2009/10/17(土) 13:21:25 ID:e7og+dSd
郭公まだ宵ながら明くる夜の雲のいづくになきわたるらん(後鳥羽院)
457 :
名無氏物語:2009/10/17(土) 13:22:43 ID:e7og+dSd
あかなくに雲のいづくにやどりつつはるればあくる夏の夜の月(後鳥羽院)
458 :
名無氏物語:2009/10/17(土) 13:39:43 ID:e7og+dSd
月だにも雲のいづくに夏の夜のやみはあやなし曙の空(順徳院)
459 :
名無氏物語:2009/10/17(土) 13:43:06 ID:e7og+dSd
久方の雲のいづくの影ならで木のまあけ行くみじか夜の月(伏見院)
460 :
名無氏物語:2009/10/17(土) 13:44:29 ID:e7og+dSd
よひのまに明けなば明けよ天つ空雲のいづくと月はたどらじ(正徹)
461 :
名無氏物語:2009/10/17(土) 14:02:16 ID:e7og+dSd
庭しろき玉をのべたる光かなこほれる雪をみがく月夜に(正徹)
462 :
名無氏物語:2009/10/17(土) 14:03:58 ID:e7og+dSd
もろこしの山をすぎゆく秋なりとしたふ心のわれおくれめや(伏見院)
463 :
名無氏物語:2009/10/17(土) 14:04:59 ID:e7og+dSd
雲さゆる吉野の里は冬ながら空より花のふらぬ日はなし(祝部成茂)
464 :
名無氏物語:2009/10/17(土) 14:06:24 ID:e7og+dSd
語るともたが名はたたじ長からぬ心のほどや人に知られむ(藤原義孝)
465 :
名無氏物語:2009/10/17(土) 14:07:11 ID:e7og+dSd
日影みずさきてとくちる色もなし谷は蛍ぞ光なりける(藤原定家)
466 :
名無氏物語:2009/10/17(土) 14:08:04 ID:e7og+dSd
桜花咲きてとく散るならひこそ我が身の春の物思ひなれ(嘉喜門院)
467 :
名無氏物語:2009/10/17(土) 14:09:18 ID:e7og+dSd
春もまだよそにぞ寒き谷の戸に咲きてとく散る花の淡雪(望月長孝)
468 :
名無氏物語:2009/10/17(土) 14:40:30 ID:e7og+dSd
ひかりなき谷にも風はよそならで咲きてとく散る山桜かな(本居宣長)
469 :
名無氏物語:2009/10/17(土) 14:42:24 ID:e7og+dSd
紅葉散ることやわびしきみ熊野の山のあらしに鹿ぞ啼くなる(慈円)
470 :
名無氏物語:2009/10/17(土) 14:45:16 ID:e7og+dSd
ねにたてて秋の夜かこつきりぎりす長き寝覚の枕にぞ聞く(藤原為家)
471 :
名無氏物語:2009/10/17(土) 15:29:45 ID:e7og+dSd
しるべなきおきつの浜になくたづのゑをあはれと神はきかなむ(兼好)
472 :
名無氏物語:2009/10/17(土) 15:30:43 ID:e7og+dSd
春はとし霞かかれる梢より花ぞおそきと鶯のなく(慈円)
473 :
名無氏物語:2009/10/17(土) 15:32:57 ID:e7og+dSd
春やとき谷の鶯うち羽ぶき今日しら雪のふる巣いづなり(藤原定家)
474 :
名無氏物語:2009/10/17(土) 15:47:53 ID:MYBE0eoq
春やくる花や咲くとも知らざりき谷のそこなる埋木の身は(和泉式部[新勅撰])
475 :
名無氏物語:2009/10/17(土) 15:48:51 ID:MYBE0eoq
人を思ふ思ひを何にたとへまし室の八島も名のみ也けり(源重之女[続後拾遺])
476 :
名無氏物語:2009/10/17(土) 15:50:30 ID:MYBE0eoq
忍ぶれど思ふ思ひのあまりには色に出でぬる物にぞありける(大江嘉言[風雅])
477 :
名無氏物語:2009/10/17(土) 15:51:22 ID:MYBE0eoq
さてもわが思ふ思ひよつひにいかに何のかひなき眺めのみして(永福門院[風雅])
478 :
名無氏物語:2009/10/17(土) 15:52:11 ID:MYBE0eoq
君ゆゑに思ふ思ひは大海の波をば袖にかけぬまもなし(正親町公蔭[風雅])
479 :
名無氏物語:2009/10/17(土) 15:53:00 ID:MYBE0eoq
こと問へよ思ひおきつの浜千鳥なくなく出でしあとの月影(藤原定家[新古今])
480 :
名無氏物語:2009/10/17(土) 15:53:32 ID:e7og+dSd
春やときとばかり聞きし鶯の初音を我と今日やながめむ(藤原定家)
481 :
名無氏物語:2009/10/17(土) 16:00:50 ID:e7og+dSd
鶯のはつねをもらせ春やとき花やおそきと思ひさだめん(後鳥羽院)
482 :
名無氏物語:2009/10/17(土) 16:03:11 ID:e7og+dSd
白雪のふる枝の梅を花とみて春やおそきときゐる鶯(藤原為家)
483 :
名無氏物語:2009/10/17(土) 16:06:17 ID:e7og+dSd
木々の雪花かと見えて花やとき春やおそきとあやまたれぬる(三条西実隆)
484 :
名無氏物語:2009/10/17(土) 16:08:52 ID:e7og+dSd
さねかづら今は絶ゆとや逢坂のゆふつけ鳥のくり返し鳴く(藤原家隆)
485 :
名無氏物語:2009/10/17(土) 16:11:53 ID:e7og+dSd
いかにせむ相坂山のさねかづらはぶきあまたにうつりはてなば(藤原家隆)
486 :
名無氏物語:2009/10/17(土) 16:20:11 ID:e7og+dSd
くる人をいかがいとはむさねかづらたえずはすゑも逢坂の関(宇都宮景綱)
487 :
名無氏物語:2009/10/17(土) 16:25:01 ID:e7og+dSd
さねかづらかけのたれをの長路しるあふ坂山の関の行末(正徹)
488 :
名無氏物語:2009/10/17(土) 16:34:01 ID:e7og+dSd
さねかづら末葉にむすぶ露かけてもとくる人のありとしられじ(東常縁)
489 :
名無氏物語:2009/10/17(土) 16:34:57 ID:e7og+dSd
あふさかや夢にもさねんさねかづらくるよを人にせきなとどめそ(後柏原天皇)
490 :
名無氏物語:2009/10/17(土) 16:36:45 ID:e7og+dSd
霞たつあふ坂山のさねかづらまたくりかへし春は来にけり(木下長嘯子)
491 :
名無氏物語:2009/10/17(土) 17:02:30 ID:e7og+dSd
夏の夜ののどけき雨をあしびきの山の松風ふくかとぞきく(曾禰好忠)
492 :
名無氏物語:2009/10/17(土) 17:03:27 ID:e7og+dSd
石見のや高津のやまの松風のここに通ひて吹くかとぞきく(木下幸文)
493 :
名無氏物語:2009/10/17(土) 17:04:14 ID:e7og+dSd
けふ堀りて雲ゐにうつす菊の花天(あめ)の星とやあすよりは見む(藤原兼輔)
494 :
名無氏物語:2009/10/17(土) 17:05:22 ID:e7og+dSd
みかの原ながるる河のいつみきとおぼえぬせにもぬるる袖かな(藤原基家)
495 :
名無氏物語:2009/10/17(土) 17:12:17 ID:e7og+dSd
いづみ川ゆくせの波の程にのみききこし人に恋ひやわたらむ(宗尊親王)
496 :
名無氏物語:2009/10/17(土) 17:14:12 ID:e7og+dSd
春はただみきともいはじ泉河わきてかすめる波の上の月(慶運)
497 :
名無氏物語:2009/10/17(土) 17:15:07 ID:e7og+dSd
泉川こほりにけりなゆく水のわきて流るるかたもなきまで(二条良基)
498 :
名無氏物語:2009/10/17(土) 17:16:06 ID:e7og+dSd
かけとめよ雲まの月を三かの原袂にわきていづみ川なみ(正徹)
499 :
名無氏物語:2009/10/17(土) 17:17:15 ID:e7og+dSd
ほのかにも山より月のいづみ川ひかりぞ四方にわきて流るる(三条西実隆)
500 :
名無氏物語:2009/10/17(土) 17:18:16 ID:e7og+dSd
袖かけて夕波すずしいづみ川秋のこころや分きてながるる(上冷泉為和)
501 :
名無氏物語:2009/10/17(土) 18:00:45 ID:e7og+dSd
みかの原こよひの月の光さへわきてながるるいづみ川かな(松永貞徳)
502 :
名無氏物語:2009/10/17(土) 18:01:40 ID:e7og+dSd
泉川わきて秋こそかなしけれはらへばむすぶかせの山霧(加納諸平)
503 :
名無氏物語:2009/10/17(土) 18:10:04 ID:e7og+dSd
いつみきかいつみきとてか泉なる空にうつせば満目の花(山中智恵子)
504 :
名無氏物語:2009/10/17(土) 18:11:08 ID:e7og+dSd
子を思ふ道こそ闇と聞きしかど親の跡にもまよはれにけり(選子内親王)
505 :
名無氏物語:2009/10/17(土) 18:12:01 ID:e7og+dSd
人の子の親になりてぞ我が親の思ひはいとど思ひ知らるる(康資王母)
506 :
名無氏物語:2009/10/17(土) 18:13:08 ID:e7og+dSd
花をらむ心もそらに成りにけり子を思ふ道におもひみだれて(大江匡衡)
507 :
名無氏物語:2009/10/17(土) 18:14:07 ID:e7og+dSd
敷島やこの道なくば子の道に迷ふ心のやみははるけし(正徹)
508 :
名無氏物語:2009/10/17(土) 18:15:07 ID:e7og+dSd
しらざりし誰もねざめの秋の雨の子をおもふ道にふるは涙を(藤原惺窩)
509 :
名無氏物語:2009/10/17(土) 18:16:10 ID:e7og+dSd
子を思ふ親の心は人の子の親となりてぞ思ひ知りてき(賀茂季鷹)
510 :
名無氏物語:2009/10/17(土) 18:17:06 ID:e7og+dSd
おしなべてかすむや雪げ大空をわたる春日の影の寒けさ(正徹)
511 :
名無氏物語:2009/10/17(土) 19:04:30 ID:e7og+dSd
宮の滝むべも暮れゆく春風に落つるしらあわや桜なるらむ(藤原基家)
512 :
名無氏物語:2009/10/17(土) 19:05:40 ID:e7og+dSd
まだきより花を見すててゆく雁やかへりて春のとまりをば知る(藤原定家)
513 :
名無氏物語:2009/10/17(土) 19:07:03 ID:e7og+dSd
霞たちこのめもはるの雪ふれば花なき里も花ぞ散りける(紀貫之)
514 :
名無氏物語:2009/10/17(土) 19:09:23 ID:e7og+dSd
問はばやな花なき里に住む人も春は今日とやなほ眺むらん(藤原定家)
515 :
名無氏物語:2009/10/17(土) 19:11:48 ID:e7og+dSd
秋によする心とや見む春霞たつを見すてて雁も来にけり(後水尾院)
516 :
名無氏物語:2009/10/17(土) 19:13:42 ID:e7og+dSd
かへる雁春をよそなる谷陰は花なき里としばしやすらへ(石野広通)
517 :
名無氏物語:2009/10/17(土) 19:36:01 ID:e7og+dSd
龍田河折られぬ水の紅に流れてはやき秋の影かな(藤原定家)
518 :
名無氏物語:2009/10/17(土) 19:37:08 ID:e7og+dSd
石ばしる滝つ岩根の桜花折られぬ水に枝なびきけり(藤原為家)
519 :
名無氏物語:2009/10/17(土) 19:39:10 ID:e7og+dSd
岸かげや折られぬ花のにほひをも波によせくる春の川水(村田春海)
520 :
名無氏物語:2009/10/17(土) 19:42:08 ID:e7og+dSd
梅が香やまづ映るらむ影きよき玉島川の花の鏡に(藤原定家)
521 :
名無氏物語:2009/10/17(土) 20:04:11 ID:e7og+dSd
春をへて門田にしむる苗代に花の鏡の影ぞかはらぬ(藤原定家)
522 :
名無氏物語:2009/10/17(土) 20:06:05 ID:e7og+dSd
ゆく水の花の鏡の影もうしあだなる色のうつりやすさは(藤原定家)
523 :
名無氏物語:2009/10/17(土) 20:07:13 ID:e7og+dSd
しづたまき夕はたぐものたてぬきにあやおりみだる春雨の空(藤原秀能)
524 :
名無氏物語:2009/10/17(土) 20:08:08 ID:e7og+dSd
夕がすみ消えゆく雁や雲とりのあやおりみだる春の衣手(順徳院)
525 :
名無氏物語:2009/10/17(土) 20:15:19 ID:e7og+dSd
春雨も山のみどりをそめぬまに霞ぞはやく深さまされる(契沖)
526 :
名無氏物語:2009/10/17(土) 20:16:06 ID:e7og+dSd
行き行かず聞かまほしきをいづかたにふみさだむらんあしうらの山(藤原定頼)
527 :
名無氏物語:2009/10/17(土) 20:16:58 ID:e7og+dSd
さくら花春くははれる年しもぞ常よりもなほ散りまさりける(藤原高遠)
528 :
名無氏物語:2009/10/17(土) 20:18:14 ID:e7og+dSd
世の人の心の花もあひにあひぬ春くははれる春を待ちえて(烏丸光広)
529 :
名無氏物語:2009/10/17(土) 20:19:29 ID:e7og+dSd
みる人もなき山里の花の色はなかなか風ぞ惜しむべらなる(藤原道信)
530 :
名無氏物語:2009/10/17(土) 20:20:50 ID:e7og+dSd
みる人もなき山里の秋の夜は月のひかりもさびしかりけり(藤原範永)
531 :
名無氏物語:2009/10/18(日) 13:43:59 ID:G9WQfkf3
光なき谷には春もおそ桜ほかの散りなむ後やみるべき(花山院長親母)
532 :
名無氏物語:2009/10/18(日) 13:45:15 ID:G9WQfkf3
かたみには外の散りなむとばかりに教へし花のかげもいつまで(三条西公条)
533 :
名無氏物語:2009/10/18(日) 13:46:05 ID:G9WQfkf3
宵のまに身を投げはつる夏虫は燃えてや人に逢ふと聞きけむ(伊勢)
534 :
名無氏物語:2009/10/18(日) 13:47:12 ID:G9WQfkf3
萩の月ひとへに飽かぬものなれば涙をこめてやどしてぞみる(伊勢)
535 :
名無氏物語:2009/10/18(日) 13:48:18 ID:G9WQfkf3
身の憂きをいはばはしたになりぬべし思へば胸のくだけのみする(伊勢)
536 :
名無氏物語:2009/10/18(日) 13:49:35 ID:G9WQfkf3
ともかくも言はばなべてになりぬべしねになきてこそ見せまほしけれ(和泉式部)
537 :
名無氏物語:2009/10/18(日) 13:51:03 ID:G9WQfkf3
枕だに知らねばいはじ見しままに君かたるなよ春の夜の夢(和泉式部)
538 :
名無氏物語:2009/10/18(日) 13:52:10 ID:G9WQfkf3
たきつせと名のながるれば玉の緒のあひ見しほどを比べつるかな(伊勢)
539 :
名無氏物語:2009/10/18(日) 13:58:19 ID:QMfoOrBs
知るやとて枕だにせぬ宵々のこころの外にもる涙かな(藤原知家[続後撰])
540 :
名無氏物語:2009/10/18(日) 13:59:15 ID:QMfoOrBs
我が涙露ももらすな枕だにまだしらすげの真野の秋風(後嵯峨院[続拾遺])
541 :
名無氏物語:2009/10/18(日) 14:09:12 ID:G9WQfkf3
天の河あれにし床をけふばかりうちはらふ袖のあはれいくとせ(藤原定家)
542 :
名無氏物語:2009/10/18(日) 14:10:35 ID:G9WQfkf3
山風のあれにし床をはらふ夜はうきてぞこほる袖の月影(藤原定家)
543 :
名無氏物語:2009/10/18(日) 14:13:00 ID:G9WQfkf3
あひにあひて物思ふ春はかひもなし花も霞もめにしたたねば(和泉式部)
544 :
名無氏物語:2009/10/18(日) 14:14:27 ID:G9WQfkf3
をみなへし池のさ波に枝ひちて物思ふ袖のぬるる顔なる(西行)
545 :
名無氏物語:2009/10/18(日) 14:15:28 ID:G9WQfkf3
あひにあひて物おもふ比の夕暮に鳴くやさ月の山ほととぎす(藤原家隆)
546 :
名無氏物語:2009/10/18(日) 14:16:33 ID:G9WQfkf3
秋はまた濡れこし袖のあひにあひて雄島の海人ぞ月になれける(藤原定家)
547 :
名無氏物語:2009/10/18(日) 14:17:32 ID:G9WQfkf3
なれし夜の月ばかりこそ身にはそへ濡れても濡るる袖にやどりて(藤原定家)
548 :
名無氏物語:2009/10/18(日) 14:18:22 ID:G9WQfkf3
秋の月袖になれにし影ながら濡るる顔なる布引の滝(藤原定家)
549 :
名無氏物語:2009/10/18(日) 14:26:32 ID:G9WQfkf3
袖のうへにぬるる顔なる光かな月こそ旅の心しりけれ(俊成卿女)
550 :
名無氏物語:2009/10/18(日) 14:28:52 ID:G9WQfkf3
すがまくら玉ちる閨の袖のうへにぬるるがほなる床の月かげ(後鳥羽院)
551 :
名無氏物語:2009/10/18(日) 15:05:10 ID:G9WQfkf3
今ぞ知るあひそめ川の水上はたえずながるる涙なりけり(源仲綱)
552 :
名無氏物語:2009/10/18(日) 15:06:56 ID:G9WQfkf3
思ひ川身をはやながら水のあわの消えても逢はむ波のまもがな(藤原家隆)
553 :
名無氏物語:2009/10/18(日) 15:08:38 ID:G9WQfkf3
夏虫の身よりあまれる思ひかは逢はで消えめや波のうたかた(後鳥羽院)
554 :
名無氏物語:2009/10/18(日) 15:09:43 ID:G9WQfkf3
おのづからむすぶ契りも夏川のうたかた人に消えつつぞふる(順徳院)
555 :
名無氏物語:2009/10/18(日) 15:11:24 ID:G9WQfkf3
めぐりゆく床の涙のうたかたに秋さへ冬に逢はで消えめや(正徹)
556 :
名無氏物語:2009/10/18(日) 15:12:12 ID:G9WQfkf3
たづねてもいかに待ちみむほととぎすみわの山べの夕暮の空(藤原家隆)
557 :
名無氏物語:2009/10/18(日) 15:15:26 ID:G9WQfkf3
我が身なほいかにまちみむ三輪の山つれなくてのみすぎのむらだち(藤原雅経)
558 :
名無氏物語:2009/10/18(日) 15:27:39 ID:G9WQfkf3
木がらしやいかにまち見むみわの山つれなき杉の雪折のこゑ(源具親)
559 :
名無氏物語:2009/10/18(日) 15:28:31 ID:G9WQfkf3
すむことのかたかるべきに濁り江のこひぢに影のぬれぬべらなり(伊勢)
560 :
名無氏物語:2009/10/18(日) 15:29:56 ID:G9WQfkf3
ことのはのうつろふだにもあるものをいとど時雨のふりまさるらむ(伊勢)
561 :
名無氏物語:2009/10/18(日) 16:16:19 ID:G9WQfkf3
あしの屋のかりねの床のふしのまもみじかくあくる夏の夜な夜な(藤原定家)
562 :
名無氏物語:2009/10/18(日) 16:17:24 ID:G9WQfkf3
夏の夜はみじかき蘆のふしの間にいつしかかはる秋の初風(藤原雅経)
563 :
名無氏物語:2009/10/18(日) 16:19:20 ID:G9WQfkf3
難波江やうきてものおもふ夏の夜のみじかき蘆のふしのまもなし(藤原雅経)
564 :
名無氏物語:2009/10/18(日) 16:20:22 ID:G9WQfkf3
難波江やみじかき蘆のよとともにおつる涙を知る人ぞなき(道珍)
565 :
名無氏物語:2009/10/18(日) 16:29:42 ID:G9WQfkf3
世世かけていひしにかはる契りゆゑみじかきあしのねをのみぞなく(藤原為家)
566 :
名無氏物語:2009/10/18(日) 16:30:50 ID:G9WQfkf3
つひにさて逢はで此世を過してはたがつれなさの名をか残さむ(洞院公宗母)
567 :
名無氏物語:2009/10/18(日) 16:31:58 ID:G9WQfkf3
みるほどはみじかきあしのふしのまもなみに入江のみか月のかげ(本居宣長)
568 :
名無氏物語:2009/10/18(日) 16:35:01 ID:G9WQfkf3
沖つ藻をとらでややまむほのぼのと舟出しことは何によりてぞ(伊勢)
569 :
名無氏物語:2009/10/18(日) 16:36:26 ID:G9WQfkf3
わびはつる時さへ物のかなしきはいづこをしのぶ涙なるらむ(伊勢)
570 :
名無氏物語:2009/10/18(日) 16:37:15 ID:G9WQfkf3
かずならぬみののを山のひとつ松ひとりさめてもかひやなからむ(兼好)
571 :
名無氏物語:2009/10/18(日) 17:00:18 ID:G9WQfkf3
いくかへりみののを山のひとつ松ひとつしも身の為ならなくに(細川幽斎)
572 :
名無氏物語:2009/10/18(日) 17:25:20 ID:G9WQfkf3
一つ松枝ふりさけて二もととみののを山の雪の夕暮(木下長嘯子)
573 :
名無氏物語:2009/10/18(日) 17:26:22 ID:G9WQfkf3
思ひとけばとまるは行くをしたふこそはかなきよりもはかなかりけれ(藤原隆祐)
574 :
名無氏物語:2009/10/18(日) 17:27:07 ID:G9WQfkf3
露わけぬ人もや袖をぬらすらむとまるはゆくををしむ涙に(宗良親王)
575 :
名無氏物語:2009/10/18(日) 17:28:06 ID:G9WQfkf3
わがせこがうへかたらなむ都鳥さこそむかしの人もとひけれ(藤原実定)
576 :
名無氏物語:2009/10/18(日) 17:29:08 ID:G9WQfkf3
時鳥はな橘の枝にゐてむかしの人のうへかたらなむ(慈円)
577 :
名無氏物語:2009/10/18(日) 17:30:06 ID:G9WQfkf3
しでの山おくりやきつる郭公魂まつる夜の空に鳴くなり(細川幽斎)
578 :
名無氏物語:2009/10/18(日) 17:31:06 ID:G9WQfkf3
花すすき呼子鳥にもあらねども昔恋しきねをぞなきぬる(伊勢)
579 :
名無氏物語:2009/10/18(日) 17:47:21 ID:G9WQfkf3
むかしべやなに山ひめのぬのさらすあとふりまがへつもるはつ雪(藤原定家)
580 :
名無氏物語:2009/10/18(日) 17:51:37 ID:G9WQfkf3
たちぬはぬもみぢの衣そめはててなに山ひめの布びきの滝(順徳院)
581 :
名無氏物語:2009/10/18(日) 18:00:49 ID:G9WQfkf3
たちぬはぬたがいにしへの衣とてなほ布さらす谷の卯の花(藤原行家)
582 :
名無氏物語:2009/10/18(日) 18:01:56 ID:G9WQfkf3
秋の色のかぎりと見るもかなしきになに山姫の木の葉そむらん(宗尊親王)
583 :
名無氏物語:2009/10/18(日) 18:03:39 ID:G9WQfkf3
みもはてず空に消えなでかぎりなく厭ふ憂き世に身のかへりくる(伊勢)
584 :
名無氏物語:2009/10/18(日) 18:05:04 ID:G9WQfkf3
もみぢ葉に色みえわかずちる物はもの思ふ秋の涙なりけり(伊勢)
585 :
名無氏物語:2009/10/18(日) 18:07:03 ID:G9WQfkf3
かくばかりおつる涙のつつまれば雲のたよりに見せましものを(伊勢)
586 :
名無氏物語:2009/10/18(日) 18:12:24 ID:G9WQfkf3
くまの川みをはやながらめぐりあはむ音にのみ聞くみづからぞうき(順徳院)
587 :
名無氏物語:2009/10/18(日) 18:25:38 ID:G9WQfkf3
はるかなる大江の橋はつくりけむ人の心ぞ見えわたりける(源俊頼)
588 :
名無氏物語:2009/10/18(日) 18:27:11 ID:G9WQfkf3
人ごころたのみがたきは難波なる葦のうら葉のうらみつべきを(醍醐天皇)
589 :
名無氏物語:2009/10/18(日) 18:28:14 ID:G9WQfkf3
世にあればありと言ふことをきくの花なほすきぬべき心地こそすれ(元良親王)
590 :
名無氏物語:2009/10/18(日) 18:29:45 ID:G9WQfkf3
ながれてもあふせは絶えじ住江のみをつくしても朽ち果ててなむ(中宮上総)
591 :
名無氏物語:2009/10/19(月) 18:42:04 ID:X78qmVSf
いそのかみ古きみやこを来てみれば昔かざしし花咲きにけり(中務)
592 :
名無氏物語:2009/10/19(月) 18:43:39 ID:X78qmVSf
いそのかみ布留の山べの桜花こぞ見し花の色や残れる(藤原季方)
593 :
名無氏物語:2009/10/19(月) 18:44:54 ID:X78qmVSf
いそのかみ布留野の里を来て見ればひとりすみれの花咲きにけり(小侍従)
594 :
名無氏物語:2009/10/19(月) 18:46:17 ID:X78qmVSf
ももしきや昔かざしし桜花わが身ふりてもなほぞ忘れぬ(藤原為家)
595 :
名無氏物語:2009/10/19(月) 18:48:21 ID:X78qmVSf
たきの上の御舟の山に宮人の昔かざしし花咲きにけり(加藤千蔭)
596 :
名無氏物語:2009/10/19(月) 18:49:21 ID:X78qmVSf
桜花散りかふ空は暮れにけり伏見の里に宿や借らまし(中務)
597 :
名無氏物語:2009/10/19(月) 18:50:47 ID:X78qmVSf
ほととぎす一声にこそ五月雨のよはあはれとも思ひそめしか(中務)
598 :
名無氏物語:2009/10/19(月) 18:52:10 ID:X78qmVSf
もみぢ葉もおちつもりぬる谷水は秋のふかさぞそこに見えける(中務)
599 :
名無氏物語:2009/10/19(月) 18:57:55 ID:X78qmVSf
うちすてて別るる秋のつらきよりいとど吹きそふ木枯しの風(中務)
600 :
名無氏物語:2009/10/19(月) 18:59:13 ID:X78qmVSf
滝の糸はみなとぢつらむ吉野山雪のたかさに音をかへつつ(中務)
601 :
名無氏物語:2009/10/19(月) 19:06:26 ID:X78qmVSf
君恋ふる心はそらに天の原かひなくてゆく月日なりけり(中務)
602 :
名無氏物語:2009/10/19(月) 19:07:51 ID:X78qmVSf
むばたまの夜の夢だにまさしくは我が思ふことを人に見せばや(中務)
603 :
名無氏物語:2009/10/19(月) 19:09:52 ID:X78qmVSf
恋しきをなににつけてか慰めむ夢にも見えず寝る夜なければ(大中臣能宣)
604 :
名無氏物語:2009/10/19(月) 19:11:37 ID:X78qmVSf
人づてに知らせてしかな隠れ沼のみごもりにのみ恋ひやわたらむ(藤原朝忠)
605 :
名無氏物語:2009/10/19(月) 19:12:23 ID:X78qmVSf
吹き過ぐる行へもとはぬ荻の葉に待つ宵ふけし秋風の声(俊成卿女)
606 :
名無氏物語:2009/10/19(月) 19:20:30 ID:X78qmVSf
吹きしをる荻の葉ならばいかにぞとかたしく袖に思ふ秋風(後柏原天皇)
607 :
名無氏物語:2009/10/19(月) 19:21:46 ID:X78qmVSf
いつとてもあはれと思ふを寝ぬる夜の月はおぼろげなくなくぞ見し(中務)
608 :
名無氏物語:2009/10/19(月) 19:23:51 ID:X78qmVSf
さえかへる月はおぼろげなくなくも雁ぞわかるる如月の空(下河辺長流)
609 :
名無氏物語:2009/10/19(月) 19:25:10 ID:X78qmVSf
わびしさを同じ心ときくからに我が身をすてて君ぞ悲しき(源信明)
610 :
名無氏物語:2009/10/19(月) 19:26:44 ID:X78qmVSf
うつつには心もこころ寝ぬる夜の夢とも夢と人にかたるな(中務)
611 :
名無氏物語:2009/10/19(月) 20:14:44 ID:X78qmVSf
さやかにも人は見るらむ我が目には涙にくもる宵の月かげ(和泉式部)
612 :
名無氏物語:2009/10/19(月) 20:16:38 ID:X78qmVSf
しのぶらむ涙にくもる影ながらさやかにてらせ有明の月(藤原定家)
613 :
名無氏物語:2009/10/19(月) 20:19:33 ID:X78qmVSf
たくなはの夏の日ぐらし苦しくてなどかく長き命なるらむ(中務)
614 :
名無氏物語:2009/10/19(月) 20:24:17 ID:X78qmVSf
くらはしの山のかひより春がすみ年をつみてやたちわたるらむ(藤原朝忠)
615 :
名無氏物語:2009/10/19(月) 20:26:28 ID:X78qmVSf
うくつらき人をも身をもよししらじただ時のまの逢ふこともがな(藤原定家)
616 :
名無氏物語:2009/10/19(月) 20:27:38 ID:X78qmVSf
身をしれば人をも世をもうらみねどくちにし袖のかわく日ぞなき(藤原定家)
617 :
名無氏物語:2009/10/19(月) 20:35:36 ID:X78qmVSf
菊の花思ひのほかに移ろへばいとど昔の秋ぞ恋しき(弁乳母)
618 :
名無氏物語:2009/10/19(月) 20:36:57 ID:X78qmVSf
あるじなき宿の軒端に匂ふ梅いとど昔の春ぞ恋しき(近衛基通北政所)
619 :
名無氏物語:2009/10/19(月) 20:50:27 ID:X78qmVSf
ここのへにかはらぬ梅の花見てぞいとど昔の春はこひしき(源通親)
620 :
名無氏物語:2009/10/19(月) 20:51:58 ID:X78qmVSf
物思ひなしとは言はじ花みればいとどむかしの恋しさぞます(頓阿)
621 :
名無氏物語:2009/10/19(月) 21:01:36 ID:X78qmVSf
葦鶴の雲のうへよりおりゐるをよはひを君にゆづるとぞ聞く(慈円)
622 :
名無氏物語:2009/10/19(月) 21:02:27 ID:X78qmVSf
君になほ千世のよはひを松が枝のときはの色をゆづれとぞ思ふ(後崇光院)
623 :
名無氏物語:2009/10/19(月) 21:17:18 ID:X78qmVSf
風ふけば河ぞひ柳おきふしにみだれてなびく春の水かげ(平親清四女)
624 :
名無氏物語:2009/10/19(月) 21:19:24 ID:X78qmVSf
夏草はむすぶばかりになりにけり野飼ひし駒やあくがれぬらむ(源重之)
625 :
名無氏物語:2009/10/19(月) 21:20:38 ID:X78qmVSf
菅の根や日影も長くなるままに結ぶばかりにしげる夏草(藤原定家)
626 :
名無氏物語:2009/10/19(月) 21:22:41 ID:X78qmVSf
夏ふかき野中の清水うづもれて結ぶばかりに草ぞしげれる(頓阿)
627 :
名無氏物語:2009/10/19(月) 21:28:13 ID:X78qmVSf
庭のおもは結ぶばかりにしげりあふ草のふもとに匂ふ橘(正徹)
628 :
名無氏物語:2009/10/19(月) 21:30:33 ID:X78qmVSf
世の憂きも人の辛さも思はねば老の末こそのどかなりけれ(肖柏)
629 :
名無氏物語:2009/10/19(月) 21:31:29 ID:X78qmVSf
はるばると荻の焼け原かき分けて道のゆくてに蕨をぞ折る(藤原家隆)
630 :
名無氏物語:2009/10/19(月) 21:33:12 ID:X78qmVSf
武蔵野の荻の焼け原かき分けて遠かた人の霞みゆくらむ(藤原家隆)
631 :
名無氏物語:2009/10/19(月) 22:06:50 ID:X78qmVSf
いざ今日は荻の焼け原かき分けて手折りてを来む春のさわらび(賀茂真淵)
632 :
名無氏物語:2009/10/19(月) 22:09:06 ID:X78qmVSf
軒ちかき梅の立ち枝やしるからむ思ひの外に来鳴く鶯(宮内卿)
633 :
名無氏物語:2009/10/19(月) 22:10:24 ID:X78qmVSf
山里も月の夜ごろは心せむ思ひのほかに人もとひけり(飛鳥井雅有)
634 :
名無氏物語:2009/10/19(月) 22:11:29 ID:X78qmVSf
月のかたの思ひの外ににほひしや梅の立ち枝の春のさよ風(三条西実隆)
635 :
名無氏物語:2009/10/19(月) 22:12:14 ID:X78qmVSf
梅の花おもひの外にさく宿は人待ちかまへするほどぞなき(木下長嘯子)
636 :
名無氏物語:2009/10/19(月) 22:14:16 ID:X78qmVSf
朝霞たち枝もみえぬ垣ねより思ひの外に匂ふ梅が香(後水尾院)
637 :
名無氏物語:2009/10/19(月) 22:15:33 ID:X78qmVSf
山たかみ雲居にみゆる桜花こころのゆきてをらぬ日ぞなき(凡河内躬恒)
638 :
名無氏物語:2009/10/19(月) 22:16:25 ID:X78qmVSf
山風にちらで待ちけり桜花けふぞこぼれてにほふべらなる(藤原高遠)
639 :
名無氏物語:2009/10/19(月) 22:37:01 ID:X78qmVSf
山風にちらで待ちけり桜花けふぞこぼれてにほふべらなる(藤原高遠)
640 :
名無氏物語:2009/10/19(月) 22:38:29 ID:X78qmVSf
山桜ちよの春々けふよりは色さきまされ君がみにこば(大中臣能宣)
641 :
名無氏物語:2009/10/19(月) 23:01:47 ID:X78qmVSf
ほころぶる霞のまよりちる花は山たかみふる雪かとぞみる(大中臣能宣)
642 :
名無氏物語:2009/10/19(月) 23:03:51 ID:X78qmVSf
心ある軒ばの風の匂ひかな花散るべくも吹かぬものから(嘉陽門院越前)
643 :
名無氏物語:2009/10/19(月) 23:09:14 ID:X78qmVSf
世の中にうれしきものは鳥部山かくるる人を見つるなりけり(元良親王)
644 :
名無氏物語:2009/10/19(月) 23:12:01 ID:X78qmVSf
世にあれば今年の春の花も見つうれしきものは命なりけり(本居宣長)
645 :
名無氏物語:2009/10/19(月) 23:13:04 ID:X78qmVSf
あふひ草かりねののべに時鳥暁かけてたれをとふらむ(藤原定家)
646 :
名無氏物語:2009/10/19(月) 23:14:44 ID:X78qmVSf
都へとなにいそぐらむほととぎす暁かけて山ぢいづなり(藤原秀能)
647 :
名無氏物語:2009/10/19(月) 23:48:15 ID:X78qmVSf
杜鵑あかつきかけて鳴く声を片みみに聞く枕つらしな(桜井基佐)
648 :
名無氏物語:2009/10/19(月) 23:49:24 ID:X78qmVSf
をぐら山鹿のたちどの見ゆるかな峰の紅葉やちりまさるらむ(藤原高遠)
649 :
名無氏物語:2009/10/19(月) 23:50:23 ID:X78qmVSf
小倉山鹿のたちどのしるべだにたえてかげみぬ五月雨の空(藤原家隆)
650 :
名無氏物語:2009/10/19(月) 23:52:46 ID:X78qmVSf
春を待つ袖にはいつか濃紫わが元結の霜ぞふりぬる(藤原雅経)
651 :
名無氏物語:2009/10/20(火) 00:01:32 ID:NzsuHkd8
夜々はわが元結の霜ならでむすびもおかぬ契りをぞ待つ(二条為定)
652 :
名無氏物語:2009/10/20(火) 00:03:00 ID:NzsuHkd8
ながめつつ更けゆく月の影なれや我が元結の秋のよの霜(宗良親王)
653 :
名無氏物語:2009/10/20(火) 00:04:17 ID:NzsuHkd8
白雲のかかる高嶺になるほどは幾世つもれる塵にかあるらむ(肥後)
654 :
名無氏物語:2009/10/20(火) 00:05:54 ID:NzsuHkd8
芳野山松の葉しろき雪のうへに落ちてさやけき有明の月(藤原家隆)
655 :
名無氏物語:2009/10/20(火) 00:17:16 ID:NzsuHkd8
置きそめていくよつもれる匂ひともいさしら菊の花のした露(藤原定家)
656 :
名無氏物語:2009/10/20(火) 00:18:21 ID:NzsuHkd8
若菜つむ都の野べも松の雪いく世つもれる年とかはしる(慈円)
657 :
名無氏物語:2009/10/20(火) 00:19:18 ID:NzsuHkd8
かすめども芳野の雪の猶さえて松の葉しろきふるさとの春(後鳥羽院)
658 :
名無氏物語:2009/10/20(火) 00:20:30 ID:NzsuHkd8
みよし野の松の葉しろき山のはにかかりもやらぬうす霞かな(後鳥羽院)
659 :
名無氏物語:2009/10/20(火) 00:22:13 ID:NzsuHkd8
都人契りしものをはつ雪に松の葉しろき夕暮の雨(藤原基家)
660 :
名無氏物語:2009/10/20(火) 00:23:12 ID:NzsuHkd8
山がくれ消えせぬ雪のかなしきは君松の葉にかかるなりけり(平兼盛)
661 :
名無氏物語:2009/10/20(火) 01:00:34 ID:NzsuHkd8
くるかたもかへる所もなき春を送りむかふと何おもふらむ(正徹)
662 :
名無氏物語:2009/10/20(火) 01:01:33 ID:NzsuHkd8
とふ人は忍ぶ中とや思ふらむこたへかねたる袖のけしきを(藤原良経)
663 :
名無氏物語:2009/10/20(火) 01:04:41 ID:NzsuHkd8
ふく風もものや思ふととひがほにうちながむれば松のひと声(藤原良経)
664 :
名無氏物語:2009/10/20(火) 01:12:28 ID:NzsuHkd8
うつせみの鳴く音やよそにもりの露ほしあへぬ袖を人のとふまで(藤原良経)
665 :
名無氏物語:2009/10/20(火) 01:13:42 ID:NzsuHkd8
おのれだに言問ひこなむさ夜千鳥須磨のうきねに物や思ふと(藤原良経)
666 :
名無氏物語:2009/10/20(火) 01:14:30 ID:NzsuHkd8
色にいでていはぬ思ひのなぐさめは人のつらさを知らぬばかりぞ(藤原家隆)
667 :
名無氏物語:2009/10/20(火) 01:15:40 ID:NzsuHkd8
いかにして忍びならはむ程だにも物や思ふと人にとはれじ(藤原家隆)
668 :
名無氏物語:2009/10/20(火) 01:16:48 ID:NzsuHkd8
しのぶれど色にやいづるをみなへし物やおもふと露のおくまで(源具親)
669 :
名無氏物語:2009/10/20(火) 01:19:05 ID:NzsuHkd8
哀また物や思ふととふ程の人にしられぬ夕ぐれもがな(順徳院)
670 :
名無氏物語:2009/10/20(火) 01:20:08 ID:NzsuHkd8
君恋ふと消えこそわたれ山河にうづまく水のみなわならねど(平兼盛)
671 :
名無氏物語:2009/10/20(火) 08:11:33 ID:ptpSRW/e
いはやぶるかみのいがきをこえぬべしおおみやびとをみまくほしさに
672 :
名無氏物語:2009/10/20(火) 18:44:04 ID:NzsuHkd8
山がくれ消えせぬ雪のかなしきは君松の葉にかかるなりけり(平兼盛)
673 :
名無氏物語:2009/10/20(火) 18:45:17 ID:NzsuHkd8
たよりあらば都へと思ふ落椎のみのはらはらと雨も降り来ぬ(千種有功)
674 :
名無氏物語:2009/10/20(火) 18:46:38 ID:NzsuHkd8
沢水に老いぬる影を見るたづのなくね雲井にきこゆらむやは(平兼盛)
675 :
名無氏物語:2009/10/20(火) 18:50:44 ID:NzsuHkd8
はかなくも花のちりぢりまどふかな行方もしらぬ春におくれて(壬生忠見)
676 :
名無氏物語:2009/10/20(火) 18:52:06 ID:NzsuHkd8
ほととぎすねざめざりせばとばかりも思ひもあへずすぐる一声(藤原雅経)
677 :
名無氏物語:2009/10/20(火) 18:53:31 ID:NzsuHkd8
さ夜中にねざめざりせば初雪のふりにけりともあすぞしらまし(飛鳥井雅有)
678 :
名無氏物語:2009/10/20(火) 18:55:16 ID:NzsuHkd8
さ夜ふかく寝覚めざりせばきかましや人よりさきの秋の初風(宗良親王)
679 :
名無氏物語:2009/10/20(火) 18:56:12 ID:NzsuHkd8
なくこゑにわが名はまだき立つ千鳥人知れぬ奧の海にすめども(正徹)
680 :
名無氏物語:2009/10/20(火) 18:57:23 ID:JLywGJA8
恋すてふなき名やたたん郭公まつにねぬよの数しつもれば(源有仁[金葉])
681 :
名無氏物語:2009/10/20(火) 18:58:19 ID:JLywGJA8
はかなくも人に心をつくすかな身のためにこそおもひ初めしか(源有仁[千載])
682 :
名無氏物語:2009/10/20(火) 19:06:15 ID:NzsuHkd8
暮ごとにおなじ道にもまどふかな身のうちにのみ恋のもえつつ(壬生忠見)
683 :
名無氏物語:2009/10/20(火) 19:07:49 ID:NzsuHkd8
渡れどもぬるとはなしに我が見つる夢前川を誰にかたらむ(壬生忠見)
684 :
名無氏物語:2009/10/20(火) 19:08:58 ID:NzsuHkd8
我が君をいのるにつけて神ぢ山千代松むしの声ぞ聞ゆる(藤原為家)
685 :
名無氏物語:2009/10/20(火) 19:09:56 ID:NzsuHkd8
君ぞみむ千世まつむしのねにたてて秋をかぎらぬやどの月かげ(九条隆博)
686 :
名無氏物語:2009/10/20(火) 19:11:16 ID:NzsuHkd8
いさり火のかげにもみぢて見ゆめれば浪の中にや秋をすぐさん(清原元輔)
687 :
名無氏物語:2009/10/20(火) 19:12:10 ID:NzsuHkd8
いかがする網代にひをのよるよるは風さへはやき宇治の川瀬を(藤原定家)
688 :
名無氏物語:2009/10/20(火) 19:13:32 ID:NzsuHkd8
一むらの氷魚かと見えて網代木の浪にいさよふ月の影かな(香川景樹)
689 :
名無氏物語:2009/10/20(火) 19:14:57 ID:NzsuHkd8
みなせ山松にすむつるいく千代か月のうはげに冬をかさねむ(藤原家隆)
690 :
名無氏物語:2009/10/20(火) 19:25:30 ID:NzsuHkd8
高砂の松にすむ鶴あらはれて月にぞ千世のためしをもみる(藤原範宗)
691 :
名無氏物語:2009/10/20(火) 19:27:25 ID:NzsuHkd8
色かへぬ松にすむ鶴わがきみの千代にちとせをかさねてやなく(藤原為家)
692 :
名無氏物語:2009/10/20(火) 20:01:04 ID:NzsuHkd8
くちなしのいはで物おもふ秋のよはをみなへしにや色をかこたん(藤原定家)
693 :
名無氏物語:2009/10/20(火) 20:02:03 ID:NzsuHkd8
おとなしの名をやからまし人しれずいはでものおもふ袖のたきつせ(宗尊親王)
694 :
名無氏物語:2009/10/20(火) 20:03:10 ID:NzsuHkd8
思ひ出でよ末の松山すゑまでも波こさじとは契らざりきや(藤原定家)
695 :
名無氏物語:2009/10/20(火) 20:04:09 ID:NzsuHkd8
ちぎりきなさてやはたのむ末の松まつにいく夜の波はこえつつ(藤原雅経)
696 :
名無氏物語:2009/10/20(火) 20:05:17 ID:NzsuHkd8
ちぎりきな有明の空をかたみにて月見むことにおもひでよとは(飛鳥井雅有)
697 :
名無氏物語:2009/10/20(火) 20:06:20 ID:NzsuHkd8
たちわかれけぶりの末もあふことはかたみに袖をしほがまの浦(木下長嘯子)
698 :
名無氏物語:2009/10/20(火) 20:07:17 ID:NzsuHkd8
かへる雁君もし逢はばふるさとに桜惜しむとなきてつげなむ(清原元輔)
699 :
名無氏物語:2009/10/20(火) 20:08:12 ID:NzsuHkd8
けさ見れば沢の若ぜり下根とけ緑にはゆる雪のむらぎえ(藤原隆信)
700 :
名無氏物語:2009/10/20(火) 20:33:43 ID:NzsuHkd8
難波潟波もかすみの水籠りに下根とけゆく蘆のうら風(藤原雅経)
701 :
名無氏物語:2009/10/20(火) 20:37:08 ID:NzsuHkd8
雪やまだふる草まじる野辺の色沢べの蘆の下根とけても(柏原院)
702 :
名無氏物語:2009/10/20(火) 20:51:07 ID:NzsuHkd8
今日よりは君にひかれてあふひ草二葉の松の千よに八千世に(細川幽斎)
703 :
名無氏物語:2009/10/20(火) 21:00:55 ID:NzsuHkd8
まもれ猶君にひかれて住吉のまつのちとせは万世の春(北条氏政)
704 :
名無氏物語:2009/10/20(火) 21:02:27 ID:NzsuHkd8
暮れぬべき春のかたみと思ひつつ花のしづくにぬれむ今夜は(大中臣能宣)
705 :
名無氏物語:2009/10/20(火) 21:03:36 ID:NzsuHkd8
時鳥なきつつかへるあしひきのやまと撫子咲きにけらしも(大中臣能宣)
706 :
名無氏物語:2009/10/20(火) 21:05:25 ID:NzsuHkd8
かをらずは折りやまどはむ長月の月夜にあへる白菊の花(大中臣能宣)
707 :
名無氏物語:2009/10/20(火) 21:07:08 ID:NzsuHkd8
いづれをか花とはわかむ長月の有明の月にまがふ白菊(紀貫之)
708 :
名無氏物語:2009/10/20(火) 21:24:48 ID:NzsuHkd8
ゆひそめて馴れしたぶさの濃むらさき思はず今も浅かりきとは(源実朝)
709 :
名無氏物語:2009/10/20(火) 21:26:25 ID:NzsuHkd8
いつしかと初元結のこむらさき色に出でつつうちとけねかし(宗良親王)
710 :
名無氏物語:2009/10/20(火) 21:27:35 ID:NzsuHkd8
袖にみむ初元結のこむらさきそめます色は千世もかはらじ(木下長嘯子)
711 :
名無氏物語:2009/10/20(火) 21:29:00 ID:NzsuHkd8
みかきもる衛士のたく火の我なれやたぐひ又なき物おもふらむ(村上天皇)
712 :
名無氏物語:2009/10/20(火) 21:33:17 ID:NzsuHkd8
みかきもり衛士のたく火はよそなれどとへかし人のもゆる思ひを(後鳥羽院)
713 :
名無氏物語:2009/10/20(火) 22:09:06 ID:NzsuHkd8
みかきもり衛士のたく火の数そひて玉しく庭に飛ぶほたるかな(宗尊親王)
714 :
名無氏物語:2009/10/20(火) 22:10:59 ID:NzsuHkd8
しれかしな衛士のたく火のなにならでよる昼わかずもゆる思ひを(冷泉為村)
715 :
名無氏物語:2009/10/20(火) 22:24:55 ID:NzsuHkd8
ひるはきえ夜は寒えつつふる雪に衛士のたくひを頼むころかな(松永貞徳)
716 :
名無氏物語:2009/10/20(火) 22:25:50 ID:NzsuHkd8
御垣もる花はいくとせ咲きちりて吉野の春にもの思ふらむ(加納諸平)
717 :
名無氏物語:2009/10/20(火) 22:26:40 ID:NzsuHkd8
なげきつつ涙にそむる花の色のおもふほどよりうすくもあるかな(大中臣能宣)
718 :
名無氏物語:2009/10/20(火) 22:28:06 ID:NzsuHkd8
うつつには思ひたえゆく逢ふことをいかにみえつる夢路なるらむ(藤原俊成)
719 :
名無氏物語:2009/10/20(火) 22:30:52 ID:NzsuHkd8
山人のたける庭火のおきあかし声々あそぶ神のやをとめ(大中臣能宣)
720 :
名無氏物語:2009/10/20(火) 22:32:58 ID:NzsuHkd8
いさり火の暮るればうかぶ影をこそ天つ星とはいふべかりけれ(大中臣能宣)
721 :
名無氏物語:2009/10/20(火) 22:55:22 ID:NzsuHkd8
狩の露に濡れたる衣をば夜の照射の火にやほすらむ(大中臣能宣)
722 :
名無氏物語:2009/10/20(火) 23:00:28 ID:NzsuHkd8
朝風に今日おどろきてかぞふれば一夜のほどに秋は来にけり(和泉式部)
723 :
名無氏物語:2009/10/20(火) 23:01:11 ID:NzsuHkd8
蘆の根もつのぐみぬらむ三島江の岸の青柳色づきにけり(藤原家隆)
724 :
名無氏物語:2009/10/20(火) 23:02:38 ID:NzsuHkd8
三島江や霜もまだひぬ蘆の葉につのぐむ程の春風ぜぞ吹く(源通光)
725 :
名無氏物語:2009/10/20(火) 23:05:03 ID:NzsuHkd8
を笹原一よのほどに来る春やうれしきふしのはじめなるらむ(橘千蔭)
726 :
名無氏物語:2009/10/20(火) 23:06:30 ID:NzsuHkd8
春風につのぐみそめし津の国の難波の蘆は今ぞかるらむ(香川景樹)
727 :
名無氏物語:2009/10/20(火) 23:08:50 ID:NzsuHkd8
雪わけてゑぐの若菜もおひにけり今日のためとはいかでしりけむ(平忠盛)
728 :
名無氏物語:2009/10/20(火) 23:10:17 ID:NzsuHkd8
ねやのうへに雀のこゑぞすだくなる出でたちがたに子やなりぬらむ(曾禰好忠)
729 :
名無氏物語:2009/10/20(火) 23:26:50 ID:NzsuHkd8
み苑生のなづなの茎もたちにけりけさの朝菜になにをつままし(曾禰好忠)
730 :
名無氏物語:2009/10/20(火) 23:28:27 ID:NzsuHkd8
かきこもる那智の御山の霜ながら今朝の朝菜に菊やつままし(加納諸平)
731 :
名無氏物語:2009/10/20(火) 23:30:11 ID:NzsuHkd8
この里のならの葉がしはもとつ葉もさびしくもあらず茂る下草(藤原家隆)
732 :
名無氏物語:2009/10/20(火) 23:31:37 ID:NzsuHkd8
木ずゑより冬の山風はらふらしもとつは残るならの葉がしは(藤原定家)
733 :
名無氏物語:2009/10/20(火) 23:59:44 ID:NzsuHkd8
山寺のおくのかよひぢきて見れば峰のしきみはもとつ葉もなし(藤原良経)
734 :
名無氏物語:2009/10/21(水) 00:02:38 ID:qAgXKDDD
神まつる比にも今はならの葉の月にもれたるもとつ葉もなし(順徳院)
735 :
名無氏物語:2009/10/21(水) 00:04:23 ID:qAgXKDDD
我が宿の垣のくちなし花咲きぬいそげや早苗時過ぎぬまに(石川依平)
736 :
名無氏物語:2009/10/21(水) 00:05:35 ID:NzsuHkd8
蝉の羽のうすらころもになりしより妹とぬる夜のまどほなるかな(曾禰好忠)
737 :
名無氏物語:2009/10/21(水) 00:16:42 ID:qAgXKDDD
曇りなき青海の原をとぶ鳥のかげさへしるくてれる夏かな(曾禰好忠)
738 :
名無氏物語:2009/10/21(水) 00:18:37 ID:qAgXKDDD
矢田の野は夕立すらし吹く風のあらちの峰に雲さわぐなり(契沖)
739 :
名無氏物語:2009/10/21(水) 00:20:29 ID:qAgXKDDD
なが日すらながめて夏をくらすかな吹きくる風に身をばまかせて(曾禰好忠)
740 :
名無氏物語:2009/10/21(水) 00:21:41 ID:qAgXKDDD
みそぎする賀茂の川風吹くらしも涼みにゆかむ妹をともなひ(曾禰好忠)
741 :
名無氏物語:2009/10/21(水) 00:23:13 ID:qAgXKDDD
妹と我ねやの風戸にひるねして日たかき夏のかげをすぐさむ(曾禰好忠)
742 :
名無氏物語:2009/10/21(水) 00:24:04 ID:qAgXKDDD
妹と我ねやの風戸(かざと)にひるねして日たかき夏のかげをすぐさむ(曾禰好忠)
743 :
名無氏物語:2009/10/21(水) 00:25:26 ID:qAgXKDDD
むら鳥の浮きてただよふ大空をながめしほどに夏はくらしつ(曾禰好忠)
744 :
名無氏物語:2009/10/21(水) 01:00:33 ID:qAgXKDDD
早苗とる鳥羽田のおもを見わたせば幾なみあらむ田子のを笠よ(藤原俊成)
745 :
名無氏物語:2009/10/21(水) 01:01:51 ID:qAgXKDDD
霧はるる鳥羽田のおもを見わたせば行末とほき秋の山里(藤原家隆)
746 :
名無氏物語:2009/10/21(水) 01:02:57 ID:qAgXKDDD
秋はててねをなく虫の霜をおもみよもぎが杣の心ぼそさよ(大江匡房)
747 :
名無氏物語:2009/10/21(水) 01:03:50 ID:qAgXKDDD
なけやなけ尾花かれ葉のきりぎりす我もかうこそ秋はをしけれ(待賢門院安芸)
748 :
名無氏物語:2009/10/21(水) 01:05:01 ID:qAgXKDDD
なれにしもおとらぬものを我やどせよもぎが杣の虫のあるじよ(慈円)
749 :
名無氏物語:2009/10/21(水) 01:06:21 ID:qAgXKDDD
霜枯るるよもぎが杣のかれまよりゆきげににたる冬の若草(藤原定家)
750 :
名無氏物語:2009/10/21(水) 01:07:04 ID:qAgXKDDD
その下のきりぎりすだに音もせで冬がれ蓬たてるすごしも(源具顕)
751 :
名無氏物語:2009/10/21(水) 01:08:11 ID:qAgXKDDD
身にさむく秋の夜風の吹くからにふりにし人の夢に見えつる(曾禰好忠)
752 :
名無氏物語:2009/10/21(水) 01:13:04 ID:GfJUbeB7
かぢをたえ由良の湊による舟のたよりもしらぬ沖つ潮風(藤原良経[新古今])
753 :
名無氏物語:2009/10/21(水) 01:14:05 ID:GfJUbeB7
ゆらのとや波ぢの末ははるかにて有明の月にわたる舟人(北条政村[玉葉])
754 :
名無氏物語:2009/10/21(水) 01:16:51 ID:GfJUbeB7
神無月木々の木の葉は散りはてて庭にぞ風の音は聞こゆる(覚忠[新古今])
755 :
名無氏物語:2009/10/21(水) 08:30:31 ID:qAgXKDDD
秋風にほずゑなみよるかるかやの下葉に虫の声よわるなり(西行)
756 :
名無氏物語:2009/10/21(水) 08:31:28 ID:qAgXKDDD
宿さびて庭に木の葉のつもるより人まつむしも声よわるなり(藤原良経)
757 :
名無氏物語:2009/10/21(水) 08:33:55 ID:qAgXKDDD
秋はいぬ風に木の葉は散りはてて山さびしかる冬は来にけり(源実朝)
758 :
名無氏物語:2009/10/21(水) 08:37:06 ID:qAgXKDDD
妹がりと風のさむさにゆく我をふきなかへしそさ衣の裾(曾禰好忠)
759 :
名無氏物語:2009/10/21(水) 08:38:04 ID:qAgXKDDD
むすびおきし雲雀の床も草かれてあらはれわたる武蔵野の原(後鳥羽院)
760 :
名無氏物語:2009/10/21(水) 08:39:10 ID:qAgXKDDD
みだれつつ絶えなばかなし冬の夜をわがひとりぬる玉の緒よわみ(曾禰好忠)
761 :
名無氏物語:2009/10/21(水) 08:41:50 ID:qAgXKDDD
やぶかくれ雉のありかうかがふとあやなく冬の野にやたはれむ(曾禰好忠)
762 :
名無氏物語:2009/10/21(水) 08:42:57 ID:qAgXKDDD
川ごしの柴つみ車いかがするこほりのくさび冬はたえせじ(大江匡房)
763 :
名無氏物語:2009/10/21(水) 08:52:27 ID:qAgXKDDD
山河のこほりのくさびうちとけて石にくだくる水のしらなみ(藤原有家)
764 :
名無氏物語:2009/10/21(水) 08:54:43 ID:qAgXKDDD
朝ぼらけ霞ながるる山川のこほりのくさびうちやとくらむ(藤原秀能)
765 :
名無氏物語:2009/10/21(水) 09:06:51 ID:qAgXKDDD
冬来ては田中にたてる水ぐるま氷のくさびうちそへてけり(藤原為家)
766 :
名無氏物語:2009/10/21(水) 09:09:34 ID:qAgXKDDD
宇治川や氷のくさびうつたへに水の車ぞ絶えてめぐらぬ(正徹)
767 :
名無氏物語:2009/10/21(水) 09:11:53 ID:qAgXKDDD
うづみ火の下に憂き身となげきつつはかなく消えむことをしぞ思ふ(曾禰好忠)
768 :
名無氏物語:2009/10/21(水) 09:33:18 ID:qAgXKDDD
さらに又うすき衣に月さえて冬をやこふるをののすみやき(後鳥羽院)
769 :
名無氏物語:2009/10/21(水) 09:34:06 ID:qAgXKDDD
風さわぐ由良の湊をこぐ舟のうきて物思ふ身ぞ行方なき(藤原定家)
770 :
名無氏物語:2009/10/21(水) 09:35:22 ID:qAgXKDDD
契こそゆくへもしらねゆらのとやわたるかぢ緒の又もむすばで(藤原為家)
771 :
名無氏物語:2009/10/21(水) 09:37:22 ID:qAgXKDDD
由良のとに絶えにしかぢもあるものを行へをもしる友千鳥かな(二条為重)
772 :
名無氏物語:2009/10/21(水) 09:46:18 ID:qAgXKDDD
梶をたえ行末もしらず由良の戸をわたる舟路の春の霞に(正徹)
773 :
名無氏物語:2009/10/21(水) 09:47:07 ID:qAgXKDDD
音あらき浪の手玉もゆらの戸をわたる舟人心くだけて(正徹)
774 :
名無氏物語:2009/10/21(水) 09:48:05 ID:qAgXKDDD
秋風にこぬ人よりも夕暮の雲のはたてのはつかりのこゑ(藤原家隆)
775 :
名無氏物語:2009/10/22(木) 19:27:25 ID:J2Icr89M
よをかさね待ちもよわらぬ心こそこぬ人よりも猶つれなけれ(平親清五女)
776 :
名無氏物語:2009/10/22(木) 19:28:19 ID:J2Icr89M
もとつ人に今はかぎりと絶えしより誰ならすらむわがふしし床(曾禰好忠)
777 :
名無氏物語:2009/10/22(木) 19:29:15 ID:J2Icr89M
何もせで若きたのみにへしほどに身はいたづらに老いにけらしも(曾禰好忠)
778 :
名無氏物語:2009/10/22(木) 19:30:12 ID:J2Icr89M
与謝の海のうちとの浜のうらさびて世をうきわたる天の橋立(曾禰好忠)
779 :
名無氏物語:2009/10/22(木) 19:38:47 ID:J2Icr89M
橋立と名を高砂の松なれど身は牛窓によする白波(曾禰好忠)
780 :
名無氏物語:2009/10/22(木) 19:40:32 ID:J2Icr89M
白波のたづきありせばすべらぎの大宮人となりもしなまし(曾禰好忠)
781 :
名無氏物語:2009/10/22(木) 19:41:22 ID:J2Icr89M
死なましの心にかなふ身なりせば何をかねたる命とか知る(曾禰好忠)
782 :
名無氏物語:2009/10/22(木) 19:42:16 ID:J2Icr89M
雁がねのかへる羽風やさそふらむ過ぎゆく峰の花も残らぬ(源重之)
783 :
名無氏物語:2009/10/22(木) 19:43:29 ID:J2Icr89M
憂きことも春はながめてありぬべし花の散りなむのちぞ悲しき(源重之)
784 :
名無氏物語:2009/10/22(木) 19:48:29 ID:J2Icr89M
うち忍びなどか心もやらざらむ憂き世の中に花は咲かずや(源重之)
785 :
名無氏物語:2009/10/22(木) 20:10:54 ID:J2Icr89M
花のいろの衣かへうきひとへ山なほしら雲はかたみなれども(藤原家隆)
786 :
名無氏物語:2009/10/22(木) 20:12:28 ID:J2Icr89M
秋暮れしもみぢの色にかさねても衣かへうきけふの空かな(藤原定家)
787 :
名無氏物語:2009/10/22(木) 20:13:26 ID:J2Icr89M
もろ人の花のたもとは夏くとも衣かへうき物とやはおもふ(順徳院)
788 :
名無氏物語:2009/10/22(木) 20:14:50 ID:J2Icr89M
いなび野にむらむらたてる柏木の葉広になれる夏は来にけり(源重之)
789 :
名無氏物語:2009/10/22(木) 20:18:05 ID:J2Icr89M
あはれにもみさをにもゆる蛍かな声たてつべきこの世とおもふに(源俊頼)
790 :
名無氏物語:2009/10/22(木) 20:21:48 ID:J2Icr89M
声たてて鳴く虫よりも女郎花いはぬ色こそ身にはしみけれ(寂蓮)
791 :
名無氏物語:2009/10/22(木) 20:32:15 ID:J2Icr89M
夏刈の蘆のまろやの旅衣返す夢路にたつ空ぞなき(慈円)
792 :
名無氏物語:2009/10/22(木) 20:33:05 ID:J2Icr89M
夏刈の鳥羽田のおもは荒れはてて民の煙は立つ空ぞなき(藤原家隆)
793 :
名無氏物語:2009/10/22(木) 20:46:40 ID:J2Icr89M
夏刈のあし火の煙したにのみ思ひこがれてたつ空もなし(二条教頼)
794 :
名無氏物語:2009/10/22(木) 20:47:31 ID:J2Icr89M
秋風に潮みちくれば難波江の葦の穂よりぞ舟もゆきける(源重之)
795 :
名無氏物語:2009/10/22(木) 21:01:07 ID:J2Icr89M
津の国のこやもあらはに霜がれてやへふく軒にしぐれふるなり(後鳥羽院)
796 :
名無氏物語:2009/10/22(木) 21:02:04 ID:J2Icr89M
雪にまたかくれてすめる津の国のこやもあらはにたつけぶりかな(越前)
797 :
名無氏物語:2009/10/22(木) 21:02:51 ID:J2Icr89M
難波がた入江のかすみはれそめてこやもあらはにくるる春かな(藤原為家)
798 :
名無氏物語:2009/10/22(木) 21:03:44 ID:J2Icr89M
冬きてはあらはれぬらむ葦の葉にかくれてすみし水の江の月(順徳院)
799 :
名無氏物語:2009/10/22(木) 21:35:09 ID:J2Icr89M
風そよぐ葦の葉がくれ音たててこやもあらはにうつころもかな(頓阿)
800 :
名無氏物語:2009/10/22(木) 21:37:12 ID:J2Icr89M
おのれのみくだけておつる岩浪も秋吹く風にこゑかはるなり(藤原定家)
801 :
名無氏物語:2009/10/22(木) 21:38:16 ID:J2Icr89M
おのれのみ岩にくだくる波の音に我もありとや磯の松風(藤原良経)
802 :
名無氏物語:2009/10/22(木) 21:39:21 ID:J2Icr89M
石ばしる山下たぎつ山川の心砕けて恋ひやわたらむ(源実朝)
803 :
名無氏物語:2009/10/22(木) 21:40:05 ID:J2Icr89M
こよろぎの磯うちさらしよる浪の独りくだくる恋もするかな(神山鬼貫)
804 :
名無氏物語:2009/10/22(木) 21:42:56 ID:J2Icr89M
思ひ返す道をしらばや恋の山は山しげ山わけいりし身に(建礼門院右京大夫)
805 :
名無氏物語:2009/10/22(木) 22:03:21 ID:J2Icr89M
思ひ出のけながきものは人しれぬ心の内の別れなりけり(源重之)
806 :
名無氏物語:2009/10/22(木) 22:05:52 ID:J2Icr89M
白波に羽うちかはし浜千鳥かなしきものは夜の一こゑ(源重之)
807 :
名無氏物語:2009/10/22(木) 22:08:05 ID:J2Icr89M
吹く風も今日はのどかになりにけり物思ふほどに春や来ぬらむ(源重之)
808 :
名無氏物語:2009/10/22(木) 22:09:06 ID:J2Icr89M
言の葉にいひおくこともなかりけり忍ぶ草にはねをのみぞなく(源重之)
809 :
名無氏物語:2009/10/22(木) 22:11:47 ID:J2Icr89M
わがためと思ひおきけむ墨染はおのがけぶりの色にぞありける(源重之)
810 :
名無氏物語:2009/10/22(木) 22:13:29 ID:J2Icr89M
なよ竹のおのがこの世をしらずしておほし立てつと思ひけるかな(源重之)
811 :
名無氏物語:2009/10/22(木) 22:41:09 ID:J2Icr89M
さもこそは人におとれる我ならめおのが子にさへおくれぬるかな(源重之)
812 :
名無氏物語:2009/10/22(木) 22:42:54 ID:J2Icr89M
なげきても言ひても今はかひなきを蓮の上の玉とだになれ(源重之)
813 :
名無氏物語:2009/10/22(木) 22:44:33 ID:J2Icr89M
恋といへば世の常のとや思ふらむ今朝の心はたぐひだになし(敦道親王)
814 :
名無氏物語:2009/10/22(木) 22:45:44 ID:J2Icr89M
置くと見る露もありけりはかなくも消えにし人を何にたとへむ(和泉式部)
815 :
名無氏物語:2009/10/22(木) 23:00:16 ID:J2Icr89M
ほのかにも風はつてなむ花薄むすぼほれつつ露にぬるとも(斎宮女御)
816 :
名無氏物語:2009/10/22(木) 23:02:14 ID:J2Icr89M
秋の日のあやしきほどの夕暮に荻吹く風の音ぞ聞こゆる(斎宮女御)
817 :
名無氏物語:2009/10/22(木) 23:05:32 ID:J2Icr89M
吹く風になびく浅茅は我なれや人のこころのあきをしらする(斎宮女御)
818 :
名無氏物語:2009/10/22(木) 23:07:11 ID:J2Icr89M
思へどもなほあやしきは逢ふことのなかりし昔なに思ひけむ(村上天皇)
819 :
名無氏物語:2009/10/22(木) 23:37:13 ID:Eq4dpKmV
龍田川うかぶ紅葉の行く末はながれとどまる事もあらじな
820 :
名無氏物語:2009/10/22(木) 23:44:36 ID:J2Icr89M
昔とも今ともいさや思ほえずおぼつかなさは夢にやあるらむ(斎宮女御)
821 :
名無氏物語:2009/10/22(木) 23:49:14 ID:J2Icr89M
見し夢にうつつの憂きも忘られて思ひなぐさむ程のはかなさ(斎宮女御)
822 :
名無氏物語:2009/10/22(木) 23:51:32 ID:J2Icr89M
雨ならでもる人もなき我が宿は浅茅が原と見るぞかなしき(斎宮女御)
823 :
名無氏物語:2009/10/22(木) 23:53:09 ID:J2Icr89M
白露の消えにしほどの秋まつと常世の雁もなきてとひけりるぞかなしき(斎宮女御)
824 :
名無氏物語:2009/10/22(木) 23:54:22 ID:J2Icr89M
遠山のいづれのをより出でつらむなかばの月の夜はの面影(源光行)
825 :
名無氏物語:2009/10/22(木) 23:56:40 ID:J2Icr89M
さか木とる庭火のかげにひく琴のしらべにかよふみねの松風(小侍従)
826 :
名無氏物語:2009/10/22(木) 23:58:16 ID:J2Icr89M
かよふらしむかふる雲のことのねにうへなき山のみねの松風(慈円)
827 :
名無氏物語:2009/10/23(金) 00:20:10 ID:6bl5IHAi
たまづさのかきあはせたるしらべかな雁のことぢにみねの松風(慈円)
828 :
名無氏物語:2009/10/23(金) 00:21:11 ID:6bl5IHAi
さそはなむかよひしことのねにそへてむかふる西の峰の松風(藤原定家)
829 :
名無氏物語:2009/10/23(金) 00:22:01 ID:6bl5IHAi
やまかげぞまだき涼しき松風はいづれの緒より秋と吹くらむ(飛鳥井雅親)
830 :
名無氏物語:2009/10/23(金) 00:22:59 ID:6bl5IHAi
大淀の浦たつ波のかへらずはかはらぬ松の色を見ましや(斎宮女御)
831 :
名無氏物語:2009/10/23(金) 00:24:00 ID:6bl5IHAi
霞たつ山田のそらの松が枝はいくよの春にあへる色ぞも(斎宮女御)
832 :
名無氏物語:2009/10/23(金) 00:24:51 ID:6bl5IHAi
折る人もなき山里に花のみぞ昔の春を忘れざりける(斎宮女御)
833 :
名無氏物語:2009/10/23(金) 00:26:14 ID:6bl5IHAi
人しれず逢ふを待つまに恋ひ死なばなににかへつる命とか言はむ(本院侍従)
834 :
名無氏物語:2009/10/23(金) 00:28:20 ID:6bl5IHAi
ふるさとへゆく人あらば言伝(ことづ)てむ今日うぐひすの初音聞きつと(恵慶)
835 :
名無氏物語:2009/10/23(金) 00:36:17 ID:6bl5IHAi
ふるさとへ行く人あらば言づてむ今日近江路をわれこえにきと(良寛)
836 :
名無氏物語:2009/10/23(金) 00:37:32 ID:6bl5IHAi
桜ちる春の山べは憂かりけり世をのがれにと来しかひもなく(恵慶)
837 :
名無氏物語:2009/10/23(金) 01:05:16 ID:6bl5IHAi
ももちどり声のかぎりは鳴きふりぬまだおとづれぬものは君のみ(恵慶)
838 :
名無氏物語:2009/10/23(金) 01:09:37 ID:6bl5IHAi
まくず原紅葉の色の暁にうらがなしかる風の音かな(源兼昌)
839 :
名無氏物語:2009/10/23(金) 01:17:17 ID:6bl5IHAi
夕されば秋のの風にま葛原うらがなしかるさをしかの声(藤原実房)
840 :
名無氏物語:2009/10/23(金) 01:42:25 ID:6bl5IHAi
八重葎とぢける宿のかひもなしふるさととはぬ花にしあらねば(藤原定家)
841 :
名無氏物語:2009/10/23(金) 01:49:27 ID:6bl5IHAi
月影もおもひあらばともり初めてむぐらの宿に秋は来にけり(俊成卿女)
842 :
名無氏物語:2009/10/23(金) 01:50:52 ID:6bl5IHAi
八重葎とぢこもりてし宿をしも先づとひけりな秋のはつ風(三条西実隆)
843 :
名無氏物語:2009/10/23(金) 01:51:43 ID:6bl5IHAi
おきそむる露をよすがに秋は今朝むぐらの門を先づぞ問ひける(村田春海)
844 :
名無氏物語:2009/10/23(金) 01:54:00 ID:6bl5IHAi
入日さす山のあなたは知らねども心をかねて送りおきつる(西行)
845 :
名無氏物語:2009/10/23(金) 02:26:26 ID:6bl5IHAi
住の江のこほりと見ゆる月かげにとけやしぬらむ神の心も(藤原公重)
846 :
名無氏物語:2009/10/23(金) 02:27:44 ID:6bl5IHAi
ながむれば涙も袖にむすぼほれ空さへこほる冬の夜の月(藤原家隆)
847 :
名無氏物語:2009/10/23(金) 02:29:32 ID:6bl5IHAi
霜はらふ庭のたまざさあられふり空さへさゆる冬の夜の月(後鳥羽院)
848 :
名無氏物語:2009/10/23(金) 02:30:26 ID:6bl5IHAi
ふる雪にかすみあひてやいたるらむ年ゆきちがふ夜はの大空(恵慶)
849 :
名無氏物語:2009/10/23(金) 02:31:47 ID:6bl5IHAi
古郷の苔の岩橋いかばかりおのれあらでも恋ひわたるらん(後鳥羽院)
850 :
名無氏物語:2009/10/23(金) 02:32:50 ID:6bl5IHAi
夜もすがら物思ふ頃は明けやらで閨のひまさへつれなかりけり(俊恵)
851 :
名無氏物語:2009/10/23(金) 02:34:50 ID:6bl5IHAi
秋の夜のしづかにくらきまどの雨打ちなげかれてひましらむらん(式子内親王)
852 :
名無氏物語:2009/10/23(金) 02:36:17 ID:6bl5IHAi
袖の上もいくたびばかりしめるらん物おもふ宿の有明の月(順徳院)
853 :
名無氏物語:2009/10/23(金) 21:16:00 ID:6bl5IHAi
いまはとて古巣にかへる鶯よ都の春の物語りせよ(藤原実房)
854 :
名無氏物語:2009/10/23(金) 21:16:58 ID:6bl5IHAi
つまこふる鹿のしがらむ秋萩における白露われもけぬべし(紀貫之)
855 :
名無氏物語:2009/10/23(金) 21:18:36 ID:6bl5IHAi
暮れはつる年惜しみかねうちふさば夢みむほどに春は来ぬべし(安法法師)
856 :
名無氏物語:2009/10/23(金) 21:21:58 ID:6bl5IHAi
夕狩の交野の真柴むらむらにまだひとへなる初雪の空(順徳院)
857 :
名無氏物語:2009/10/23(金) 21:24:46 ID:6bl5IHAi
紅葉ふる木の下風に夢さめてうらなき鹿の音をもきくかな(安法法師)
858 :
名無氏物語:2009/10/23(金) 21:26:00 ID:6bl5IHAi
時雨ゆく生田の森の秋の色をとはでぞよそに見るべかりける(俊成卿女)
859 :
名無氏物語:2009/10/23(金) 21:27:39 ID:6bl5IHAi
かきくらす床の涙の水鏡われさへ我にとほざかりゆく(大内政弘)
860 :
名無氏物語:2009/10/23(金) 21:28:53 ID:6bl5IHAi
きえかへり露もまだひぬ袖のうへに今朝はしぐるる空もわりなし(藤原道綱母)
861 :
名無氏物語:2009/10/23(金) 21:52:18 ID:6bl5IHAi
思ひやる心の空になりぬればけさはしぐると見ゆるなるらむ(藤原兼家)
862 :
名無氏物語:2009/10/23(金) 21:53:10 ID:6bl5IHAi
なげきつつ独りぬる夜のあくるまはいかに久しきものとかはしる(藤原道綱母)
863 :
名無氏物語:2009/10/23(金) 22:03:21 ID:6bl5IHAi
げにやげに冬の夜ならぬまきの戸もおそくあくるはわびしかりけり(藤原兼家)
864 :
名無氏物語:2009/10/23(金) 22:04:20 ID:6bl5IHAi
岩の上のたねにまかせてまつ程はいかに久しき物とかはしる(和泉式部)
865 :
名無氏物語:2009/10/23(金) 22:06:19 ID:6bl5IHAi
まどろまであかすとおもへばみじか夜もいかにくるしき物とかはしる(和泉式部)
866 :
名無氏物語:2009/10/23(金) 22:07:08 ID:6bl5IHAi
うらみつつひとりぬる夜の秋風に身にしむものといかでしらせむ(藤原秀能)
867 :
名無氏物語:2009/10/23(金) 22:08:17 ID:6bl5IHAi
秋の田の庵もるよはのあくるまはいかに露けき月とかはしる(弁内侍)
868 :
名無氏物語:2009/10/23(金) 22:09:33 ID:6bl5IHAi
ね覚して松のとぼそのあくるまは花にひさしきをはつせの山(木下長嘯子)
869 :
名無氏物語:2009/10/23(金) 22:44:52 ID:6bl5IHAi
高砂の尾上ならでも時鳥まつは久しき物とかはしる(後水尾院)
870 :
名無氏物語:2009/10/23(金) 22:47:22 ID:6bl5IHAi
暮るるまのいかに久しき影ならん独ぬるよにあらぬ春日も(武者小路実陰)
871 :
名無氏物語:2009/10/23(金) 22:49:43 ID:6bl5IHAi
ふく風につけてもとはむささがにのかよひし道は空にたゆとも(藤原道綱母)
872 :
名無氏物語:2009/10/23(金) 22:51:01 ID:6bl5IHAi
色かはる心と見ればつけてとふ風もゆゆしと思ほゆるかも(時姫)
873 :
名無氏物語:2009/10/23(金) 23:02:00 ID:6bl5IHAi
いかがせむ山のはにだにとどまらで心も空に出でむ月をば(藤原道綱母)
874 :
名無氏物語:2009/10/23(金) 23:03:34 ID:6bl5IHAi
くもりよの月とわが身のゆくすゑのおぼつかなさはいづれまされり(藤原道綱母)
875 :
名無氏物語:2009/10/23(金) 23:04:58 ID:6bl5IHAi
君こふる涙にぬるる我が袖と秋の紅葉といづれまされり(源整)
876 :
名無氏物語:2009/10/23(金) 23:06:03 ID:6bl5IHAi
くやくやとまつ夕暮と今はとて帰るあしたといづれまされり(元良親王)
877 :
名無氏物語:2009/10/23(金) 23:08:11 ID:6bl5IHAi
たえぬるか影だにあらばとふべきを形見の水はみ草ゐにけり(藤原道綱母)
878 :
名無氏物語:2009/10/23(金) 23:09:35 ID:6bl5IHAi
いつしかもいつしかもとぞまちわたる森の木間より光みむまを(藤原道綱母)
879 :
名無氏物語:2009/10/23(金) 23:11:54 ID:6bl5IHAi
木綿襷むすぼほれつつなげくこと絶えなば神のしるしと思はむ(藤原道綱母)
880 :
名無氏物語:2009/10/23(金) 23:14:46 ID:6bl5IHAi
花にさき実になりかはる世をすてて浮葉の露と我ぞけぬべき(藤原道綱母)
881 :
名無氏物語:2009/10/23(金) 23:32:14 ID:6bl5IHAi
ふる雨のあしともおつる涙かなこまかに物を思ひくだけば(藤原道綱母)
882 :
名無氏物語:2009/10/23(金) 23:33:04 ID:6bl5IHAi
はては又わがねをそへて笛の名のこまかに物を思ふ夜半かな(大内政弘)
883 :
名無氏物語:2009/10/23(金) 23:55:12 ID:6bl5IHAi
袖のうへにふりこそまされはるの雨のこまかに物を思ひくだけば(三条西実隆)
884 :
名無氏物語:2009/10/24(土) 00:04:26 ID:a5nONlib
袖ひつる時をだにこそなげきしか身さへ時雨のふりもゆくかな(藤原道綱母)
885 :
名無氏物語:2009/10/24(土) 00:05:23 ID:6bl5IHAi
もろごゑになくべきものを鶯はむつきともまだしらずやあるらむ(藤原道綱母)
886 :
名無氏物語:2009/10/24(土) 00:06:13 ID:6bl5IHAi
都人ねで待つらめやほととぎす今ぞ山べをなきてすぐなる(藤原道綱母)
887 :
名無氏物語:2009/10/24(土) 00:07:11 ID:a5nONlib
さみだれやこぐらき宿の夕ざれを面てるまでもてらす蛍か(藤原道綱母)
888 :
名無氏物語:2009/10/24(土) 00:08:07 ID:a5nONlib
とぶ蛍まことの恋にあらねども光ゆゆしきゆふやみの空(馬内侍)
889 :
名無氏物語:2009/10/24(土) 00:09:06 ID:a5nONlib
いかなれば知らぬにおふる浮きぬなはくるしや心人しれずのみ(馬内侍)
890 :
名無氏物語:2009/10/24(土) 00:23:36 ID:a5nONlib
かりの世をしらぬにおふる菖蒲草けふこそいとふねをばかけつれ(寂然)
891 :
名無氏物語:2009/10/24(土) 00:25:00 ID:a5nONlib
みし人をしらぬにおふる白菅のしげるや恋のこころなるらむ(藤原公重)
892 :
名無氏物語:2009/10/24(土) 00:26:06 ID:a5nONlib
我が恋にくらべてしがな雨ふれば庭のうたかた数をかぞへて(馬内侍)
893 :
名無氏物語:2009/10/24(土) 00:28:40 ID:a5nONlib
こよひ君しでの山ぢの月をみてくものうへをやおもひいづらん(西行)
894 :
名無氏物語:2009/10/24(土) 01:01:37 ID:a5nONlib
こよひ君みやこにたれとながむらんなれし名残は有明の月(藤原隆信)
895 :
名無氏物語:2009/10/24(土) 01:11:33 ID:a5nONlib
かくばかりあくるわびしきみじか夜になどかくめぢの夢の浮橋(尭孝)
896 :
名無氏物語:2009/10/24(土) 01:12:17 ID:a5nONlib
かづらきの神のすがたや是ならんあくるわびしき朝がほの花(木下長嘯子)
897 :
名無氏物語:2009/10/24(土) 01:13:22 ID:a5nONlib
たなばたにゆかしきほどのあふことは待つもかへすも物をこそ思へ(相模)
898 :
名無氏物語:2009/10/24(土) 01:14:11 ID:a5nONlib
世の中にあらましかばと思ふ人なきが多くもなりにけるかな(藤原為頼)
899 :
名無氏物語:2009/10/24(土) 01:15:46 ID:a5nONlib
あるはなくなきは数そふ世の中にあはれいつまであらむとすらむ(小大君)
900 :
名無氏物語:2009/10/24(土) 01:17:21 ID:a5nONlib
なげけとてなきは数そふ浮世にもあるわかれこそ身はまさりけれ(藤原家隆)
901 :
名無氏物語:2009/10/24(土) 01:18:51 ID:a5nONlib
見し人もなきが数そふ露の世にあらましかばの秋の夕暮(俊成卿女)
902 :
名無氏物語:2009/10/24(土) 01:20:27 ID:a5nONlib
あるはなくなきはある世のさがの山冬たちくればちる木の葉かな(正徹)
903 :
名無氏物語:2009/10/24(土) 01:49:16 ID:a5nONlib
遠からぬ身の古にかぞへてもなきは数そふ人のおもかげ(武者小路実陰)
904 :
名無氏物語:2009/10/24(土) 02:02:23 ID:a5nONlib
忘れじのゆく末かはるけふまでもあればあふよを猶たのみつつ(藤原家隆)
905 :
名無氏物語:2009/10/24(土) 02:07:29 ID:a5nONlib
逢ひみむの行末まではかた糸のよりよりかこつ中のうきふし(堯孝)
906 :
名無氏物語:2009/10/24(土) 02:08:56 ID:a5nONlib
鶯は惜しむとや啼く朝ぐもり散りゆく雪の花のなごりに(賀茂保憲女)
907 :
名無氏物語:2009/10/24(土) 02:11:47 ID:a5nONlib
散る花を惜しむとや啼く鶯の折しれりとも見ゆる春かな(源重之)
908 :
名無氏物語:2009/10/24(土) 02:14:41 ID:a5nONlib
ゆふつけのしだりも永き春の日の明けばうららに啼くぞ悲しき(賀茂保憲女)
909 :
名無氏物語:2009/10/24(土) 02:16:04 ID:a5nONlib
うき世には花ともがなやとどまらで我が身を風にまかせはつべき(賀茂保憲女)
910 :
名無氏物語:2009/10/24(土) 02:20:44 ID:a5nONlib
山里に知る人もなき時鳥なれにし里をあはれとぞ啼く(賀茂保憲女)
911 :
名無氏物語:2009/10/24(土) 02:36:13 ID:a5nONlib
秋風のさむき宵間にをぎの葉にそそのかされて人ぞ恋しき(賀茂保憲女)
912 :
名無氏物語:2009/10/24(土) 02:38:08 ID:a5nONlib
あえよとて菊の白露のごへども過ぎにし齢かへらざりけり(賀茂保憲女)
913 :
名無氏物語:2009/10/24(土) 02:40:23 ID:a5nONlib
曇りつつ涙しぐるる我が目にも猶もみぢ葉は赤く見えけり(賀茂保憲女)
914 :
名無氏物語:2009/10/25(日) 01:40:51 ID:pfUyaNbC
冬ごもり人もかよはぬ山里のまれの細道ふたぐ雪かも(賀茂保憲女)
915 :
名無氏物語:2009/10/25(日) 01:41:59 ID:pfUyaNbC
冬の夜をひとり寝覚におきたればおなじ心に雁も啼くなり(賀茂保憲女)
916 :
名無氏物語:2009/10/25(日) 01:43:18 ID:pfUyaNbC
思へども我が身はよそに飛ぶ鳥のなど人なれぬ恋にかあるらむ(賀茂保憲女)
917 :
名無氏物語:2009/10/25(日) 01:45:58 ID:pfUyaNbC
逢ふことを雲ゐとほくて我が恋は命にかよふほどに悲しき(賀茂保憲女)
918 :
名無氏物語:2009/10/25(日) 01:47:06 ID:pfUyaNbC
恋ひわびて面影にのみ恋ひをればひとつ身になる心地こそすれ(賀茂保憲女)
919 :
名無氏物語:2009/10/25(日) 01:48:41 ID:pfUyaNbC
年ごとに人はやらへど目に見えぬ心の鬼はゆく方もなし(賀茂保憲女)
920 :
名無氏物語:2009/10/25(日) 01:49:57 ID:pfUyaNbC
身に近くならす扇も楢の葉の下吹く風に行方しらずも(藤原家隆)
921 :
名無氏物語:2009/10/25(日) 01:51:57 ID:pfUyaNbC
親しきは亡きがあまたになりぬれど惜しとは君を思ひけるかな(香川景樹)
922 :
名無氏物語:2009/10/25(日) 01:52:59 ID:1mLk4F0y
手もたゆくならす扇のおきどころ忘るばかりに秋風ぞ吹く(相模[新古今])
923 :
名無氏物語:2009/10/25(日) 01:54:18 ID:1mLk4F0y
うたたねの朝けの袖にかはるなりならす扇の秋のはつ風(式子内親王[新古今])
924 :
名無氏物語:2009/10/25(日) 02:02:14 ID:pfUyaNbC
思ふ人なきが多くの年をへて今はた濡らす袖や何なり(加納諸平)
925 :
名無氏物語:2009/10/25(日) 02:03:34 ID:pfUyaNbC
今夜より万代めぐれもちながら光さしそふ秋のさかづき(藤原為家)
926 :
名無氏物語:2009/10/25(日) 02:04:24 ID:pfUyaNbC
菊の上にけさおく露をもちながら千世もめぐらん花のさかづき(三条西公条)
927 :
名無氏物語:2009/10/25(日) 02:05:32 ID:pfUyaNbC
春の夜の月にまがへる梅の花ただ香ばかりぞしるべなりける(源顕仲)
928 :
名無氏物語:2009/10/25(日) 02:06:22 ID:pfUyaNbC
夕まぐれ霧立ちわたる鳥辺山そこはかとなく物ぞ悲しき(藤原俊成)
929 :
名無氏物語:2009/10/25(日) 02:07:34 ID:pfUyaNbC
いつまでかへがたくみゆる世にすみて羨しとも月をかこたん(宗尊親王)
930 :
名無氏物語:2009/10/25(日) 02:08:42 ID:pfUyaNbC
紅の木の葉吹きわけ行く駒の影ふみならす岩のかけ道(藤原範光)
931 :
名無氏物語:2009/10/25(日) 02:09:42 ID:pfUyaNbC
立ちつづく桐原の駒越ゆれども音は隠れぬ関の岩かど(藤原定家)
932 :
名無氏物語:2009/10/25(日) 02:17:39 ID:pfUyaNbC
身にかへてつらきと何に思ふらむ生けらばなびく人もこそあれ(藤原実家)
933 :
名無氏物語:2009/10/25(日) 02:20:47 ID:pfUyaNbC
桜花うき身にかふるためしあらば生きて散るをば惜しまざらまし(源通親)
934 :
名無氏物語:2009/10/25(日) 03:00:48 ID:pfUyaNbC
ふりかくす雪うちはらひ仙人の名もかぐはしき花を見るかな(千種有功)
935 :
名無氏物語:2009/10/25(日) 03:02:31 ID:pfUyaNbC
夏くれば山ほととぎす鳴きやせむと思ふ心ぞ目はさましける(藤原長能)
936 :
名無氏物語:2009/10/25(日) 03:04:41 ID:pfUyaNbC
さばへなすあらぶる神にみそぎして民しづかにと祈るけふかな(後嵯峨院)
937 :
名無氏物語:2009/10/25(日) 03:06:29 ID:pfUyaNbC
わがためは稲荷の神もなかりけり人のうへとは祈らざりしを(藤原為頼)
938 :
名無氏物語:2009/10/25(日) 03:08:17 ID:pfUyaNbC
憂きことは我が身一つの憂きなれば処かへてもかひなかりけり(藤原長能)
939 :
名無氏物語:2009/10/25(日) 03:10:02 ID:pfUyaNbC
若草の妹が着なれの夏衣かさねもあへず明くる東雲(藤原長能)
940 :
名無氏物語:2009/10/25(日) 03:11:55 ID:pfUyaNbC
さいたづままだうら若きみ吉野の霞がくれにきぎすなくなり(平忠度)
941 :
名無氏物語:2009/10/25(日) 03:13:27 ID:pfUyaNbC
秋はなほ夕まぐれこそただならね荻の上風はぎの下露(藤原義孝)
942 :
名無氏物語:2009/10/25(日) 03:21:43 ID:pfUyaNbC
秋来ぬと荻のうは風うたがひて萩のした露こころおかるな(源通親)
943 :
名無氏物語:2009/10/25(日) 03:23:30 ID:pfUyaNbC
霧のまも荻のうは風おとたかし知らねば野辺の萩のした露(覚性法親王)
944 :
名無氏物語:2009/10/25(日) 03:25:20 ID:pfUyaNbC
秋きぬと荻の葉風のつげしより思ひしことのただならぬ暮(式子内親王)
945 :
名無氏物語:2009/10/25(日) 04:00:25 ID:pfUyaNbC
夕まぐれ木の葉みだれて荻の上にきかぬ嵐もただならぬかな(貞常親王)
946 :
名無氏物語:2009/10/25(日) 04:01:30 ID:pfUyaNbC
露くだる星合の空をながめつついかで今年の秋を暮らさむ(藤原義孝)
947 :
名無氏物語:2009/10/25(日) 04:03:08 ID:pfUyaNbC
わびぬればつれなし顔はつくれども袂にかかる雨のわびしさ(藤原義孝)
948 :
名無氏物語:2009/10/25(日) 04:04:29 ID:pfUyaNbC
君がため命をさへも惜しまずはさらにつらさを歎かざらまし(藤原定家)
949 :
名無氏物語:2009/10/25(日) 04:05:23 ID:pfUyaNbC
あへば先づをしからざりし命よりながくもがなとおもふ夜半かな(松永貞徳)
950 :
名無氏物語:2009/10/25(日) 04:06:28 ID:pfUyaNbC
人しれぬ心ひとつをなげきつつ黄楊の小櫛をさすかひぞなき(藤原義孝)
951 :
名無氏物語:2009/10/25(日) 04:07:22 ID:pfUyaNbC
夢ならで夢なることをなげきつつ春のはかなき物思ふかな(藤原義孝)
952 :
名無氏物語:2009/10/25(日) 04:08:27 ID:pfUyaNbC
春雨も年にしたがふ世の中にいまはふるよと思ふかなしな(藤原義孝)
953 :
名無氏物語:2009/10/25(日) 04:18:37 ID:pfUyaNbC
着てなれし匂ひを色にうつしもてしぼるも惜しき花染の袖(藤原定家)
954 :
名無氏物語:2009/10/25(日) 04:20:08 ID:pfUyaNbC
此の世をば我が世とぞ思ふ望月の虧たる事も無しと思へば(藤原道長)
955 :
名無氏物語:2009/10/25(日) 04:21:16 ID:pfUyaNbC
吹く風も袖さむからで望月のかけたることもなき今宵かな(井上文雄)
956 :
名無氏物語:2009/10/25(日) 05:00:44 ID:pfUyaNbC
行き暮れて木の下蔭を宿とせば花や今宵のあるじならまし(平忠度)
957 :
名無氏物語:2009/10/25(日) 05:01:33 ID:pfUyaNbC
うれしくも桃の初花見つるかなまた来む春もさだめなき世に(藤原公任)
958 :
名無氏物語:2009/10/25(日) 05:02:34 ID:pfUyaNbC
いづかたに秋のゆくらん我が宿にこよひばかりの雨やどりせよ(藤原公任)
959 :
名無氏物語:2009/10/25(日) 05:03:29 ID:pfUyaNbC
み吉野の山よりおちし滝の糸のたえて久しくこほるころかな(吉田兼好)
960 :
名無氏物語:2009/10/25(日) 05:04:19 ID:pfUyaNbC
今宵なほ名こそ流れて滝の糸のたえぬ光も月にそひけり(三条西実隆)
961 :
名無氏物語:2009/10/25(日) 05:12:00 ID:pfUyaNbC
秋の月影のどけくも見ゆるかなこや長きよの契りなるらむ(藤原公任)
962 :
名無氏物語:2009/10/25(日) 05:12:59 ID:pfUyaNbC
ここにきえかしこにもゆる夏虫のひかりはかなき夕やみの空(契沖)
963 :
名無氏物語:2009/10/25(日) 05:14:06 ID:pfUyaNbC
数ならぬ深山がくれを尋ねてぞ心の末の花も見るべき(源通光)
964 :
名無氏物語:2009/10/25(日) 05:15:09 ID:pfUyaNbC
袖をうすみ露置きとほす心ちして月も身にしむ暁の床(伏見院)
965 :
名無氏物語:2009/10/25(日) 05:16:15 ID:pfUyaNbC
つくま江のそこひも知らぬみくりをば浅きすぢにや思ひなすらむ(藤原伊尹)
966 :
名無氏物語:2009/10/25(日) 06:05:39 ID:pfUyaNbC
霞むとて道やは変はる帰る雁たれゆゑまよふ別れなるらむ(今出河院近衛)
967 :
名無氏物語:2009/10/25(日) 06:07:05 ID:pfUyaNbC
明けぬれば暮るるはやすくしぐるれどなほうらめしき神無月かな(藤原家隆)
968 :
名無氏物語:2009/10/25(日) 06:08:34 ID:pfUyaNbC
おほかたの月もつれなき鐘の音に猶うらめしき在明の空(藤原定家)
969 :
名無氏物語:2009/10/25(日) 06:10:20 ID:pfUyaNbC
秋すぎて猶うらめしき朝ぼらけ空行く雲もうち時雨れつつ(藤原定家)
970 :
名無氏物語:2009/10/25(日) 06:11:05 ID:pfUyaNbC
花の色も暮るるものとはしら雲の嶺のわかれは猶恨みつつ(藤原隆祐)
971 :
名無氏物語:2009/10/25(日) 06:15:42 ID:pfUyaNbC
待ちかぬるさ夜のねざめの床にさへなほうらめしき風の音かな(後鳥羽院)
972 :
名無氏物語:2009/10/25(日) 06:16:52 ID:pfUyaNbC
白雲の絶えまにみゆる深山路をたのむこととは打ちながめつつ(寂蓮)
973 :
名無氏物語:2009/10/25(日) 06:18:36 ID:pfUyaNbC
いかでかは尾花がもとの草の名の思ひありとも穂にはいづべき(宗良親王)
974 :
名無氏物語:2009/10/25(日) 06:27:46 ID:pfUyaNbC
さしも草さしもしのびぬ中ならば思ひありとも言はましものを(藤原俊成)
975 :
名無氏物語:2009/10/25(日) 06:29:42 ID:pfUyaNbC
あさましやなどか思ひのさしも草つゆもおきあへず果ては燃ゆらむ(寂蓮)
976 :
名無氏物語:2009/10/25(日) 07:51:06 ID:pfUyaNbC
知られじな霞の下にこがれつつ君にいぶきのさしもしのぶと(藤原定家)
977 :
名無氏物語:2009/10/25(日) 07:52:16 ID:pfUyaNbC
秋をへて色にぞみゆるい吹山もえて久しき下の思ひも(藤原定家)
978 :
名無氏物語:2009/10/25(日) 07:53:18 ID:pfUyaNbC
色にいでてうつろふ春をとまれともえやはいぶきの山吹の花(藤原定家)
979 :
名無氏物語:2009/10/25(日) 07:54:09 ID:pfUyaNbC
さしも草さしも燃ゆてふ春にあひてえやはいぶきの山のしら雪(藤原為家)
980 :
名無氏物語:2009/10/25(日) 07:55:50 ID:pfUyaNbC
瓦屋の下たく煙むせびつつまだ忘れずよ思ひこがれて(藤原忠良)
981 :
名無氏物語:2009/10/25(日) 07:56:57 ID:pfUyaNbC
忘れずやまだ忘れずよ二人して心にとめし青柳の糸(熊谷直好)
982 :
名無氏物語:2009/10/25(日) 08:15:38 ID:pfUyaNbC
庭のおものつちさへさくる夏の日にひとり露けきひめゆりの花(土御門院)
983 :
名無氏物語:2009/10/25(日) 08:16:40 ID:pfUyaNbC
むべしこそ帰りし空もかすみつつ花のあたりは立ち憂かりしか(藤原実方)
984 :
名無氏物語:2009/10/25(日) 08:17:30 ID:pfUyaNbC
みかり野や雪はふりきぬこれもまたぬるとも花の春のおもかげ(藤原雅経)
985 :
名無氏物語:2009/10/25(日) 08:18:28 ID:pfUyaNbC
桜がりふりこし雨のやどりよりぬれていくかの花の下陰(二条為重)
986 :
名無氏物語:2009/10/25(日) 08:19:24 ID:pfUyaNbC
立ちよらむぬるとも花の色になほそめよなべての山のしづくも(三条西実隆)
987 :
名無氏物語:2009/10/25(日) 08:20:17 ID:pfUyaNbC
桜がり雨はいとはぬ木のもとにうたて雪ふる花のあらしよ(下河辺長流)
988 :
名無氏物語:2009/10/25(日) 08:21:06 ID:pfUyaNbC
荻の葉のそよとつげしはいつなれや晦日のすぐる夜半の秋風(藤原輔尹)
989 :
名無氏物語:2009/10/25(日) 08:22:32 ID:pfUyaNbC
もろともに出でずは憂しと契りしをいかがなりにし山の端の月(藤原輔尹)
990 :
名無氏物語:2009/10/25(日) 08:27:34 ID:pfUyaNbC
君待つと山の端出でて山の端に入るまで月をながめつるかな(橘為義)
991 :
名無氏物語:2009/10/25(日) 08:28:33 ID:pfUyaNbC
入るまでに月はながめつ稲妻のひかりの間にも物思ふ身の(藤原家隆)
992 :
名無氏物語:2009/10/25(日) 09:18:35 ID:pfUyaNbC
郭公あさくら山の明ぼのにとふ人もなきなのりすらしも(祝部成仲)
993 :
名無氏物語:2009/10/25(日) 09:19:33 ID:pfUyaNbC
尋ねこししらぬ旅ねはさとなれて山時鳥一こゑぞきく(藤原家隆)
994 :
名無氏物語:2009/10/25(日) 09:20:15 ID:pfUyaNbC
ほととぎすねざめににほふ橘のかはたれどきに名のりすらしも(藤原為家)
995 :
名無氏物語:2009/10/25(日) 09:21:32 ID:pfUyaNbC
春雨はふりにし人のかたみかも嘆きもえいづるここちこそすれ(道命)
996 :
名無氏物語:2009/10/25(日) 09:22:14 ID:pfUyaNbC
春のうちは塵つもるとも清めせじ花にけがるる宿と言はれむ(源兼澄)
997 :
名無氏物語:2009/10/25(日) 09:25:04 ID:pfUyaNbC
わかめ刈る春や来ぬらむこゆるぎの磯のあま人波にまじれり(源兼澄)
998 :
名無氏物語:2009/10/25(日) 09:27:44 ID:pfUyaNbC
卯の花に咲きこめられて山里に恋ひし都も忘られにけり(源道済)
999 :
名無氏物語:2009/10/25(日) 09:28:25 ID:pfUyaNbC
大空のつねより広く見ゆるかな散れる雲なく照りみてる月(源道済)
1000 :
名無氏物語:2009/10/25(日) 09:31:59 ID:1mLk4F0y
くちにける長柄の橋を来てみれば葦の枯葉に秋風ぞ吹く(藤原実定[新古今])
1001 :
1001:
このスレッドは1000を超えました。
もう書けないので、新しいスレッドを立ててくださいです。。。