1 :
名無氏物語:
2 :
名無氏物語:2009/02/14(土) 22:32:26 ID:OwrKTY5u
3 :
名無氏物語:2009/02/14(土) 22:32:52 ID:OwrKTY5u
4 :
名無氏物語:2009/02/14(土) 22:33:40 ID:OwrKTY5u
5 :
冬のオイラ(「勇俊):2009/02/14(土) 23:52:44 ID:XKXdlUxJ
オイラ四様
6 :
名無氏物語:2009/02/15(日) 14:32:56 ID:Yc6zG8iS
鴫のゐる沢辺の水はすみにけり草かげみゆる秋の夕ぐれ(香川景樹)
7 :
名無氏物語:2009/02/15(日) 14:36:21 ID:Yc6zG8iS
山の端のとよはた雲にうちなびき夕日のうへをわたる雁がね(香川景樹)
8 :
名無氏物語:2009/02/15(日) 14:37:14 ID:Yc6zG8iS
雨にとくなりぬるものを鈴鹿山霧の降るのと思ひけるかな(香川景樹)
9 :
名無氏物語:2009/02/15(日) 14:37:44 ID:Yc6zG8iS
松陰に立ちかくれても見つるかなあまりに月の隈しなければ(香川景樹)
10 :
名無氏物語:2009/02/15(日) 14:38:16 ID:Yc6zG8iS
行く水の末はさやかにあらはれて川上くらき月のかげかな(香川景樹)
11 :
名無氏物語:2009/02/15(日) 14:38:41 ID:Yc6zG8iS
今すめる月や都の空ならむ思ふ人みな見えわたるかな(香川景樹)
12 :
名無氏物語:2009/02/15(日) 14:49:13 ID:Yc6zG8iS
あらざらむ後と思ひし長月のこよひの月も此の世にてみし(香川景樹)
13 :
名無氏物語:2009/02/15(日) 14:50:01 ID:Yc6zG8iS
月てれる浅茅が上に影見えて羽きる虫の声さやかなり(香川景樹)
14 :
名無氏物語:2009/02/15(日) 14:51:50 ID:Yc6zG8iS
秋風のさむき夕べに津の国のさびえの橋をわたりけるかな(香川景樹)
15 :
名無氏物語:2009/02/15(日) 14:52:20 ID:Yc6zG8iS
山川の岸をひたして行く水にぬるでの紅葉ちらぬ日ぞなき(香川景樹)
16 :
名無氏物語:2009/02/15(日) 15:04:16 ID:Yc6zG8iS
鵙のなく末の原野を見わたせば一むらばやし薄紅葉せり(香川景樹}
17 :
名無氏物語:2009/02/15(日) 15:05:05 ID:Yc6zG8iS
木がらしのすゑのはら野のはじ紅葉かつさそはれて暮るる秋かな(藤原為家)
18 :
名無氏物語:2009/02/15(日) 15:05:43 ID:Yc6zG8iS
浮雲は影もとどめぬ大空の風に残りて降るしぐれかな(香川景樹)
19 :
名無氏物語:2009/02/15(日) 15:06:22 ID:Yc6zG8iS
てる月の影の散り来る心地して夜ゆく袖にたまる雪かな(香川景樹)
20 :
名無氏物語:2009/02/15(日) 15:07:05 ID:Yc6zG8iS
しぐるるはみぞれなるらし此の夕べ松の葉しろくなりにけるかな(香川景樹)
21 :
名無氏物語:2009/02/15(日) 15:07:54 ID:Yc6zG8iS
さ牡鹿の啼きて離れにし朝より雪のみつもる信楽の里(香川景樹)
22 :
名無氏物語:2009/02/15(日) 15:08:46 ID:Yc6zG8iS
うづみ火のにほふあたりは長閑にて昔がたりも春めきにけり(香川景樹)
23 :
名無氏物語:2009/02/15(日) 15:09:20 ID:Yc6zG8iS
うづみ火の外に心はなけれども向かへば見ゆるしら鳥の山(香川景樹)
24 :
名無氏物語:2009/02/15(日) 15:34:40 ID:Yc6zG8iS
初雪は夜もぞふると起きいでて山の高嶺をあさなあさな見る(香川景樹)
25 :
名無氏物語:2009/02/15(日) 15:35:20 ID:Yc6zG8iS
雪折れの声さへたてぬなよ竹はよにふしたりとしる人もなし(香川景樹)
26 :
名無氏物語:2009/02/15(日) 16:13:30 ID:Yc6zG8iS
夢なるか我が手枕に我がふれて人のと思ひし閨のくろかみ(香川景樹)
27 :
名無氏物語:2009/02/15(日) 16:13:56 ID:Yc6zG8iS
若草を駒にふませて垣間見しをとめも今は老いやしぬらむ(香川景樹)
28 :
名無氏物語:2009/02/15(日) 16:16:32 ID:Yc6zG8iS
袖のうへに人の涙のこぼるるは我がなくよりも悲しかりけり(香川景樹)
29 :
名無氏物語:2009/02/15(日) 16:16:52 ID:Yc6zG8iS
山おろし日も夕かげに吹くときぞしみじみ人は恋しかりける(香川景樹)
30 :
名無氏物語:2009/02/15(日) 16:17:20 ID:Yc6zG8iS
思ふこと寝覚の空に尽きぬらむあした空しきわが心かな(香川景樹)
31 :
名無氏物語:2009/02/15(日) 16:18:04 ID:Yc6zG8iS
暮るるより松に吹きたつ我が山のあらしの末をたれか聞くらむ(香川景樹)
32 :
名無氏物語:2009/02/15(日) 16:18:49 ID:Yc6zG8iS
ともすればふせ籠にこもる鶏のせばくも世をば思ひけるかな(香川景樹)
33 :
名無氏物語:2009/02/15(日) 16:47:58 ID:Yc6zG8iS
大空に飛びたちかねて打ち羽ぶきかけろと鳴くがあはれなりけり(香川景樹)
34 :
名無氏物語:2009/02/15(日) 16:48:30 ID:Yc6zG8iS
燈のかげにて見ると思ふまに文のうへしろく夜は明けにけり(香川景樹)
35 :
名無氏物語:2009/02/15(日) 16:48:53 ID:Yc6zG8iS
殊更につばさはよわき庭鳥の空にかけろと鳴くぞはかなき(熊谷直好)
36 :
名無氏物語:2009/02/15(日) 17:21:03 ID:Yc6zG8iS
いなごとぶ浅茅が下を行く水の音おもしろしここに暮らさむ(香川景樹)
37 :
名無氏物語:2009/02/15(日) 17:21:31 ID:Yc6zG8iS
ただよへる朝の雲はふるさとへ帰りし夢の行くへなりけり(香川景樹)
38 :
名無氏物語:2009/02/15(日) 17:22:04 ID:Yc6zG8iS
玉の緒は長くみじかき世なりけり又あはざらむまたや逢ふらむ(香川景樹)
39 :
名無氏物語:2009/02/15(日) 17:22:37 ID:Yc6zG8iS
いづくかは思ひの家にあらざらむよそめ楽しき世にこそありけれ(香川景樹)
40 :
名無氏物語:2009/02/15(日) 17:23:02 ID:Yc6zG8iS
はかなくて木にも草にもいはれぬは心の底の思ひなりけり(香川景樹)
41 :
名無氏物語:2009/02/15(日) 17:23:23 ID:Yc6zG8iS
無きを夢有るをうつつと思ひけりなほ世の中を世の中にして(香川景樹)
42 :
名無氏物語:2009/02/15(日) 17:42:56 ID:Yc6zG8iS
まづゆくを慕ひ慕ひてつひに皆とまらぬ世こそ悲しかりけれ(香川景樹)
43 :
名無氏物語:2009/02/15(日) 17:43:22 ID:Yc6zG8iS
追ひしきて取りかへすべき物ならばよもつひら坂道はなくとも(香川景樹)
44 :
名無氏物語:2009/02/15(日) 17:43:51 ID:Yc6zG8iS
はなくてあるがやすしと思ひけりありてののちになきが悲しさ(香川景樹)
45 :
名無氏物語:2009/02/15(日) 17:44:13 ID:Yc6zG8iS
世の中にあはぬ調べはさもあらばあれ心にかよふ峯の松風(香川景樹)
46 :
名無氏物語:2009/02/15(日) 18:06:34 ID:Yc6zG8iS
世の中の調べによしやあはずとも我が腹つづみうちてあそばむ(秋園古香)
47 :
名無氏物語:2009/02/15(日) 18:07:00 ID:Yc6zG8iS
みな月の有明づくよつくづくとおもへばをしき此の世なりけり(香川景樹)
48 :
名無氏物語:2009/02/15(日) 18:07:39 ID:Yc6zG8iS
すむ月に水のこころもかよふらし高くなりゆく波の音かな(香川景樹)
49 :
名無氏物語:2009/02/15(日) 18:08:10 ID:Yc6zG8iS
白雲にわが山陰はうづもれぬかへるさ送れ秋のよの月(香川景樹)
50 :
名無氏物語:2009/02/15(日) 18:08:42 ID:Yc6zG8iS
身はつかる道はた遠しいかにして山のあなたの花は見るべき(香川景樹)
51 :
名無氏物語:2009/02/15(日) 18:09:26 ID:Yc6zG8iS
年をへし我だにいまだ見ぬ花をいととく君は折りてけるかな(小沢蘆庵)
52 :
名無氏物語:2009/02/15(日) 18:09:48 ID:Yc6zG8iS
月に寝ぬやもめ烏やうかれ鳥うたへ歌はむ明けぬともよし(香川景樹)
53 :
名無氏物語:2009/02/15(日) 18:25:51 ID:Yc6zG8iS
月にねぬやもめがらすのねにたてて秋の砧ぞ霜にうつなる(藤原為家)
54 :
名無氏物語:2009/02/15(日) 18:26:16 ID:Yc6zG8iS
汲みすてて人影もせぬふるさとの板井の水に秋風ぞふく(香川景樹)
55 :
名無氏物語:2009/02/15(日) 18:26:43 ID:Yc6zG8iS
道もせにしげる蓬生うちなびき人影もせぬ秋風ぞふく(藤原定家)
56 :
名無氏物語:2009/02/15(日) 20:56:22 ID:Yc6zG8iS
菜の花に蝶もたはれてねぶるらん猫間のさとの春の夕ぐれ(香川景樹)
57 :
名無氏物語:2009/02/15(日) 20:56:50 ID:Yc6zG8iS
花ちりて春より夏にとぶ蝶の羽袖も白し木がくれの里(香川景樹)
58 :
名無氏物語:2009/02/15(日) 20:57:38 ID:Yc6zG8iS
山賤もうまき昼寝の時ならし瓜はむからす追ふ人もなし(香川景樹)
59 :
名無氏物語:2009/02/15(日) 20:58:04 ID:Yc6zG8iS
花見ればとびたつ小野のいなごまろ人の子にこそかはらざりけれ(香川景樹)
60 :
名無氏物語:2009/02/15(日) 20:58:31 ID:Yc6zG8iS
よき人をよしとよく見し夕べより吉野の花の面影にたつ(香川景樹)
61 :
名無氏物語:2009/02/15(日) 20:59:05 ID:Yc6zG8iS
召せや召せゆふげの妻木はやく召せかへるさ遠し大原の里(香川景樹)
62 :
名無氏物語:2009/02/15(日) 20:59:37 ID:Yc6zG8iS
ゑのころははやもあるじを見しりけり呼べば尾ふりの嬉し顔なる(香川景樹)
63 :
名無氏物語:2009/02/15(日) 21:37:02 ID:Yc6zG8iS
猫の子はねずみ捕るまでなりにけり何にくらせし月日なるらむ(香川景樹)
64 :
名無氏物語:2009/02/15(日) 21:37:26 ID:Yc6zG8iS
かけすてし鏡の面に影ふれてたそやと我をおどろかれぬる(香川景樹)
65 :
名無氏物語:2009/02/15(日) 21:37:51 ID:Yc6zG8iS
霞みつつ暮るると思ひし春の日は朧月夜になりにけるかな(香川景樹)
66 :
名無氏物語:2009/02/15(日) 21:38:14 ID:Yc6zG8iS
ゆけどゆけど限りなきまで面白し小松がはらのおぼろ月夜は(香川景樹)
67 :
名無氏物語:2009/02/15(日) 21:38:45 ID:Yc6zG8iS
うたた寝にうちながむれば蘆垣のしだり柳に月はかかりぬ(香川景樹)
68 :
名無氏物語:2009/02/15(日) 22:09:14 ID:Yc6zG8iS
妹と出でて若菜摘みにし岡崎のかきね恋しき春雨ぞふる(香川景樹)
69 :
名無氏物語:2009/02/15(日) 22:09:36 ID:Yc6zG8iS
胡蝶だにいまだねむれる朝かげの花を起き出でて独りこそ見れ(香川景樹)
70 :
名無氏物語:2009/02/15(日) 22:10:08 ID:Yc6zG8iS
青海のうづまさ寺にきて見れば身もなげつべき花の蔭かな(香川景樹)
71 :
名無氏物語:2009/02/15(日) 22:10:49 ID:Yc6zG8iS
野の宮の樫の下道けふくれば古葉とともに散るさくらかな(香川景樹)
72 :
名無氏物語:2009/02/15(日) 22:11:19 ID:Yc6zG8iS
春の野のうかれ心ははてもなし止まれといひし蝶はとまりぬ(香川景樹)
73 :
名無氏物語:2009/02/15(日) 22:12:01 ID:Yc6zG8iS
蝶よ蝶よ花といふ花のさくかぎり汝がいたらざる所なきかな(香川景樹)
74 :
名無氏物語:2009/02/15(日) 22:12:28 ID:Yc6zG8iS
ちちこ草ははこ草おふる野辺に来て昔恋しく思ひけるかな(香川景樹)
75 :
名無氏物語:2009/02/15(日) 22:33:46 ID:Yc6zG8iS
白樫の瑞枝うごかす朝風にきのふの春の夢はさめにき(香川景樹)
76 :
名無氏物語:2009/02/15(日) 22:34:09 ID:Yc6zG8iS
夜半の風麦の穂だちにおとづれて蛍とぶべく野はなりにけり(香川景樹)
77 :
名無氏物語:2009/02/15(日) 22:34:36 ID:Yc6zG8iS
郭公しばしば鳴きし明け方の山かき曇り小雨ふり来ぬ(香川景樹)
78 :
名無氏物語:2009/02/16(月) 05:36:20 ID:LA3XeOxR
さみだれの雲吹きすさぶ朝風に桑の実おつる小野原の里(香川景樹)
79 :
名無氏物語:2009/02/16(月) 05:36:47 ID:LA3XeOxR
夏の夜の月のかげなる桐の葉を落ちたるのかと思ひけるかな(香川景樹)
80 :
名無氏物語:2009/02/16(月) 05:37:16 ID:LA3XeOxR
なびくだに涼しきものを夏河の玉藻を見れば花咲きにけり(香川景樹)
81 :
名無氏物語:2009/02/16(月) 13:46:21 ID:LA3XeOxR
夕日さす浅茅が原に乱れけり薄くれなゐの秋のかげろふ(香川景樹)
82 :
名無氏物語:2009/02/16(月) 13:46:48 ID:LA3XeOxR
里人は巌切り落す白河の奧に聞ゆるさをしかの声(香川景樹)
83 :
名無氏物語:2009/02/16(月) 13:47:17 ID:LA3XeOxR
こともなき野辺を出でても見つるかな鵙が鳴く音のあわたたしさに(香川景樹)
84 :
名無氏物語:2009/02/16(月) 13:47:48 ID:LA3XeOxR
朝づく日さしもさだめぬ大比叡のきららの坂に時雨ふる見ゆ(香川景樹)
85 :
名無氏物語:2009/02/16(月) 13:48:17 ID:LA3XeOxR
白川の末の草河冬がれてほそき流れに千鳥鳴くなり(香川景樹)
86 :
名無氏物語:2009/02/16(月) 13:48:56 ID:LA3XeOxR
一むらの氷魚かと見えて網代木の浪にいざよふ月の影かな(香川景樹)
87 :
名無氏物語:2009/02/16(月) 13:49:30 ID:LA3XeOxR
けさ見れば汀のこほりうづもれて雪の中ゆく白河の水(香川景樹)
88 :
名無氏物語:2009/02/16(月) 14:33:00 ID:LA3XeOxR
春くれば汀の氷うちとけて霞ぞとづる志賀の浦波(藤原家隆)
89 :
名無氏物語:2009/02/16(月) 14:33:32 ID:LA3XeOxR
玉の緒の絶えぬばかりの思ひ出に待たるる春はあはれなりけり(香川景樹)
90 :
名無氏物語:2009/02/16(月) 14:34:00 ID:LA3XeOxR
なにごとも此のころにはと思ひつる三十の年の果てぞ悲しき(香川景樹)
91 :
名無氏物語:2009/02/16(月) 14:34:21 ID:LA3XeOxR
富士のねを木の間木の間にかへり見て松の蔭ふむ浮島が原(香川景樹)
92 :
名無氏物語:2009/02/16(月) 14:34:48 ID:LA3XeOxR
夕づく日今はとしづむ浪の上にあらはれ初むる淡路島山(香川景樹)
93 :
名無氏物語:2009/02/16(月) 14:35:19 ID:LA3XeOxR
梟の声をしるべに帰るかな夕べをぐらき岡崎の里(香川景樹)
94 :
名無氏物語:2009/02/16(月) 15:04:19 ID:LA3XeOxR
山ふかみけぢかき鳥の音はせで物おそろしきふくろふの声(西行)
95 :
名無氏物語:2009/02/16(月) 15:04:46 ID:LA3XeOxR
ながめやる心は知るや武蔵野の尾花が末の三日月の影(香川景樹)
96 :
名無氏物語:2009/02/16(月) 15:05:16 ID:LA3XeOxR
墨染の夕べの山をながむれば松の立てるもさびしかりけり(香川景樹)
97 :
名無氏物語:2009/02/16(月) 15:05:38 ID:LA3XeOxR
墨染の夕の山の山松の見えずなるまで眺めつるかな(木下幸文)
98 :
名無氏物語:2009/02/16(月) 15:06:19 ID:LA3XeOxR
敷島の歌のあらす田荒れにけりあらすきかへせ歌の荒樔田(香川景樹)
99 :
名無氏物語:2009/02/16(月) 15:06:48 ID:LA3XeOxR
古へのあらすき返せ言の葉の道は狭くもなりにけるかな(戸田茂睡)
100 :
名無氏物語:2009/02/16(月) 15:07:13 ID:LA3XeOxR
山かげの氷や今朝はとけぬらん久しく聞かぬ水の音する(木下幸文)
101 :
名無氏物語:2009/02/16(月) 15:07:37 ID:LA3XeOxR
玉ぼこの道にちりしく花を見てあふげば梅の木蔭なりけり(木下幸文)
102 :
名無氏物語:2009/02/16(月) 15:35:45 ID:LA3XeOxR
遠く行く人をおくりてやすらへば堤の柳うちかすみつつ(木下幸文)
103 :
名無氏物語:2009/02/16(月) 15:36:12 ID:LA3XeOxR
いつしかと待ちし桜の花なれど咲きぬる見ればおどろかれけり(木下幸文)
104 :
名無氏物語:2009/02/16(月) 16:10:54 ID:LA3XeOxR
蝙蝠の飛びかふ影もしづまりて月になりゆく花の上かな(木下幸文)
105 :
名無氏物語:2009/02/16(月) 16:11:47 ID:LA3XeOxR
松の色はとく暮れはてて嵐山桜ばかりぞおぼろなりける(木下幸文)
106 :
名無氏物語:2009/02/16(月) 16:12:31 ID:LA3XeOxR
鶯もけふは来鳴かで春雨の雫ぞ花の枝つたひたる(木下幸文)
107 :
名無氏物語:2009/02/16(月) 16:16:26 ID:LA3XeOxR
つみすてて帰らんとする春の野のすみれの花に夕日さすなり(木下幸文)
108 :
名無氏物語:2009/02/16(月) 16:16:56 ID:LA3XeOxR
春の色すみれにのみぞ残りける片山畑の麦の中道(木下幸文)
109 :
名無氏物語:2009/02/16(月) 16:29:19 ID:LA3XeOxR
ここかしこ岸根のいばら花咲きて夏になりぬる川ぞひの道(木下幸文)
110 :
名無氏物語:2009/02/16(月) 16:29:53 ID:LA3XeOxR
賤の男が刈りつかねたる夏ぐさの中にまじれる月草の花(木下幸文)
111 :
名無氏物語:2009/02/16(月) 16:30:15 ID:LA3XeOxR
なでしこの花もまじれる夏草をおしまろめても荷ふ里人(大隈言道)
112 :
名無氏物語:2009/02/16(月) 16:30:50 ID:LA3XeOxR
我が宿のむぐらが下のわすれ水よるは蛍のたづねてぞくる(木下幸文)
113 :
名無氏物語:2009/02/16(月) 16:31:14 ID:LA3XeOxR
きのふにも色は変はるとなけれどもまばらになりぬ秋萩の花(木下幸文)
114 :
名無氏物語:2009/02/16(月) 17:02:24 ID:LA3XeOxR
有明の月の光に見えわたる野原の露のかぎりなきかな(木下幸文)
115 :
名無氏物語:2009/02/16(月) 17:02:51 ID:LA3XeOxR
土にふす庭の秋萩かきおこし見れば花こそ咲きそめにけれ(木下幸文)
116 :
名無氏物語:2009/02/16(月) 17:03:17 ID:LA3XeOxR
立ちかへりまた見ん秋も遠ければ一夜は寝なんははそばのもと(木下幸文)
117 :
名無氏物語:2009/02/16(月) 17:03:48 ID:LA3XeOxR
かにかくに思へば苦し秋の田のただひたぶるに思ひ立ちてん(木下幸文)
118 :
名無氏物語:2009/02/16(月) 17:04:40 ID:LA3XeOxR
このたびの別れに知りぬ虫の音の弱りはてたる我が心をば(木下幸文)
119 :
名無氏物語:2009/02/16(月) 17:43:55 ID:LA3XeOxR
野も山もみな暮れはてて夕風の悲しき音ぞ空にのこれる(木下幸文)
120 :
名無氏物語:2009/02/16(月) 17:44:22 ID:LA3XeOxR
このひと夜はやく明けなん皆人のはつよろこびの声を聞くべく(木下幸文)
121 :
名無氏物語:2009/02/16(月) 17:44:49 ID:LA3XeOxR
たらちねの母の病も癒ゆときく思ふことなき年の暮かな(木下幸文)
122 :
名無氏物語:2009/02/16(月) 17:45:13 ID:LA3XeOxR
飛ぶ鳥のかげは絶えたる夕ぐれの野沢の水に浮ぶしら雲(木下幸文)
123 :
名無氏物語:2009/02/16(月) 18:06:17 ID:LA3XeOxR
かげ見えて一村過ぐる浮雲に雨打ちそそく野べの沢水(正徹)
124 :
名無氏物語:2009/02/16(月) 18:08:17 ID:LA3XeOxR
千早振る神のみ国とさだまれるこのおほみ国うごきあらめや(木下幸文)
125 :
名無氏物語:2009/02/16(月) 18:09:28 ID:LA3XeOxR
今年さへかくて暮れぬとふるさとの空をあふぎて歎きつるかな(木下幸文)
126 :
名無氏物語:2009/02/16(月) 18:10:07 ID:LA3XeOxR
かにかくに疎くぞ人のなりにける貧しきばかり悲しきはなし(木下幸文)
127 :
名無氏物語:2009/02/16(月) 18:10:32 ID:LA3XeOxR
いかにしてわれはあるぞと故郷におもひ出づらん母しかなしも(木下幸文)
128 :
名無氏物語:2009/02/16(月) 18:11:08 ID:LA3XeOxR
かたちはも山のましらとなりぬれど人にしあれば心かなしも(木下幸文)
129 :
名無氏物語:2009/02/16(月) 18:11:45 ID:LA3XeOxR
おもふことわが書きつけし故郷の橋の柱は朽ちやしぬらん(木下幸文)
130 :
名無氏物語:2009/02/16(月) 18:26:58 ID:9A6GhXpP
かたちはも山のまらなりぬれど人きにしあればよ心かなしも (臍下三文)
131 :
名無氏物語:2009/02/16(月) 18:28:04 ID:9A6GhXpP
かりにしてわれはまらどめむかしなるおもひはいずれおなごこいしや (臍下三文)
132 :
名無氏物語:2009/02/16(月) 18:29:32 ID:9A6GhXpP
かにかくにとくそ人きたり貧しきまらはかりにのせど悲しきはなし (臍下三文)
133 :
名無氏物語:2009/02/16(月) 18:38:30 ID:LA3XeOxR
まどしきも嬉しかりけりかくまでに人の心のくまを知らめや(木下幸文)
134 :
名無氏物語:2009/02/16(月) 18:39:01 ID:LA3XeOxR
天地の心ぞやがてひだたくみ何のことばのよきを求めん(木下幸文)
135 :
名無氏物語:2009/02/16(月) 18:39:54 ID:LA3XeOxR
うぐひすの鳴く声きけば故郷を出でにし春にまたなりにけり(熊谷直好)
136 :
名無氏物語:2009/02/16(月) 18:41:16 ID:LA3XeOxR
鶯の鳴く声きけばいそのかみふりし都の春ぞ恋しき(小沢蘆庵)
137 :
名無氏物語:2009/02/16(月) 18:41:54 ID:LA3XeOxR
咲く花も滝もましろにあらはれて暮れゆく山のおくぞ淋しき(熊谷直好)
138 :
名無氏物語:2009/02/16(月) 18:46:53 ID:LA3XeOxR
さく花にうぐひすなけどおく山の春はこのよの物としもなき(熊谷直好)
139 :
名無氏物語:2009/02/16(月) 18:47:26 ID:LA3XeOxR
名も知らずところも聞かず逢ふや誰ことしも同じ花陰にして(熊谷直好)
140 :
名無氏物語:2009/02/16(月) 18:48:10 ID:LA3XeOxR
立ちかへり我が子率てこん片岡の沢辺のすみれ今さかりなり(熊谷直好)
141 :
名無氏物語:2009/02/16(月) 18:57:14 ID:LA3XeOxR
かねてわが思ひしよりもさびしきは入りぬる山の春雨の頃(熊谷直好)
142 :
名無氏物語:2009/02/16(月) 18:57:36 ID:LA3XeOxR
をとめ子が手に折りもたる山吹の花もしとどに春雨ぞふる(熊谷直好)
143 :
名無氏物語:2009/02/16(月) 19:28:21 ID:LA3XeOxR
風ふけば楓の若葉ひるがへりこころに物の思はるるころ(熊谷直好)
144 :
名無氏物語:2009/02/16(月) 19:28:48 ID:LA3XeOxR
椎の花みな山水に吹き入れてもとの青葉にかへす風かな(熊谷直好)
145 :
名無氏物語:2009/02/16(月) 19:29:33 ID:LA3XeOxR
日ざかりに夏野をくればいくたびかおどろく蛇の草隠れゆく(熊谷直好)
146 :
名無氏物語:2009/02/16(月) 19:30:12 ID:LA3XeOxR
はるばると蓮の立葉ぞさわぐなる風わたるらし大くらの池(熊谷直好)
147 :
名無氏物語:2009/02/16(月) 19:30:46 ID:LA3XeOxR
遥かにもなりぬと思へば初雁のまた峰越ゆる声ぞ聞ゆる(熊谷直好)
148 :
名無氏物語:2009/02/16(月) 19:31:16 ID:LA3XeOxR
我が門の西の阜にのぼり立ち四方に晴れたる月を見るかな(熊谷直好)
149 :
名無氏物語:2009/02/16(月) 19:31:54 ID:LA3XeOxR
影を追ひ影に追はれて往きかへる月の夜道は遥けくもなし(熊谷直好)
150 :
名無氏物語:2009/02/16(月) 19:32:24 ID:LA3XeOxR
いろいろの虫の声聞きまどろめば千草の花ぞ夢に見えける(熊谷直好)
151 :
名無氏物語:2009/02/16(月) 19:55:47 ID:LA3XeOxR
植槻や田中のもりの秋まつり初穂の濃さけ我酔ひにけり(熊谷直好)
152 :
名無氏物語:2009/02/16(月) 19:56:25 ID:LA3XeOxR
あらしふく田中のもりの夕がらす宿りかねてもさわぐ声する(熊谷直好)
153 :
名無氏物語:2009/02/16(月) 20:03:37 ID:LA3XeOxR
みとしろの初穂の濃酒はやしぼれ田中の杜は色づきにけり(熊谷直好)
154 :
名無氏物語:2009/02/16(月) 20:04:00 ID:LA3XeOxR
夕日さす浜辺の薄分け行けばやがて赤穂の里も見えけり(熊谷直好)
155 :
名無氏物語:2009/02/16(月) 20:04:32 ID:LA3XeOxR
白菊に黄菊をりそへ玉だれの小瓶に挿して見れどあかぬかも(熊谷直好)
156 :
名無氏物語:2009/02/16(月) 20:05:48 ID:LA3XeOxR
夜もすがら松のほた火を焼きあかし藁沓打たん冬は来にけり(熊谷直好)
157 :
名無氏物語:2009/02/16(月) 20:06:08 ID:LA3XeOxR
夜もすがら木の葉かたよる音きけばしのびに風のかよふなりけり(熊谷直好)
158 :
名無氏物語:2009/02/16(月) 20:08:17 ID:LA3XeOxR
おともせでなびくを見れば桜花しのびにかよふ風もありけり(八田知紀)
159 :
名無氏物語:2009/02/16(月) 20:12:43 ID:LA3XeOxR
わかれつる涙のひまに一め見し松原ごしのあけがたの波(熊谷直好)
160 :
名無氏物語:2009/02/16(月) 21:08:13 ID:LA3XeOxR
風のおと濤のひびきにかよふまで早生ひのぼれ松よ小松よ(熊谷直好)
161 :
名無氏物語:2009/02/16(月) 21:08:35 ID:LA3XeOxR
遅くとく皆わが宿に聞こゆなりところどころの入相の鐘(熊谷直好)
162 :
名無氏物語:2009/02/16(月) 21:09:30 ID:LA3XeOxR
古郷はひとりひとりに別れ来て旅こそ友は親しかりけれ(熊谷直好)
163 :
名無氏物語:2009/02/16(月) 21:10:08 ID:LA3XeOxR
古郷の山のすがたの山見ればたちかへりたるここちこそすれ(熊谷直好)
164 :
名無氏物語:2009/02/16(月) 21:10:45 ID:LA3XeOxR
たれとなく草の枕をかりそめに行きあふ人も旅は親しき(中院通村)
165 :
名無氏物語:2009/02/16(月) 21:12:40 ID:LA3XeOxR
うき世にはかくる心はなけれどもわが山河に橋なくはあらず(熊谷直好)
166 :
名無氏物語:2009/02/16(月) 21:13:27 ID:LA3XeOxR
里の子が沢に鴫罠はりしより心にかかり夜こそ寝られね(熊谷直好)
167 :
名無氏物語:2009/02/17(火) 06:35:02 ID:Q9wJB+32
おのづからおのが心を見る夢をはかなきものと何思ひけん(熊谷直好)
168 :
名無氏物語:2009/02/17(火) 06:35:48 ID:Q9wJB+32
山の端のかすむばかりぞ濁りける雪とけゆくか谷川の水(高橋残夢)
169 :
名無氏物語:2009/02/17(火) 06:37:23 ID:Q9wJB+32
山の端のかすむばかりをみ吉野の雪間の草も春や来ぬらん(藤原範宗)
170 :
名無氏物語:2009/02/17(火) 06:37:56 ID:Q9wJB+32
鶯の鳴きて告げつるあしたより春の心はさだまりにけり(高橋残夢)
171 :
名無氏物語:2009/02/17(火) 06:38:34 ID:Q9wJB+32
鶯の声を聞きつるあしたより春の心になりにけるかも(良寛)
172 :
名無氏物語:2009/02/17(火) 06:39:09 ID:Q9wJB+32
春の夜の寝ざめに匂ふ梅が香の行方や夢の行方なるらむ(高橋残夢)
173 :
名無氏物語:2009/02/17(火) 07:40:46 ID:Q9wJB+32
我が影の道に映るもかすむまでのどかになりぬ春の夜の月(高橋残夢)
174 :
名無氏物語:2009/02/17(火) 07:41:18 ID:Q9wJB+32
かへりみる都の山もかすむまで遠ざかりぬる淀の川舟(小沢蘆庵)
175 :
名無氏物語:2009/02/17(火) 07:41:57 ID:Q9wJB+32
日の光に菅の小笠のかたぶきて植ゑし早苗に夕風ぞ吹く(高橋残夢)
176 :
名無氏物語:2009/02/17(火) 07:43:09 ID:Q9wJB+32
ともすれば虫の声ふむここちして月の夜道は行きぞわづらふ(高橋残夢)
177 :
名無氏物語:2009/02/17(火) 07:43:46 ID:Q9wJB+32
しきたへの枕辺ゆらにこぼれをる妹が黒髪見れど飽かぬかも(高橋残夢)
178 :
名無氏物語:2009/02/17(火) 07:44:18 ID:Q9wJB+32
泣く宵は母が灯してなぐさめしその火のかげと見らんかなしも(高橋残夢)
179 :
名無氏物語:2009/02/17(火) 07:44:41 ID:Q9wJB+32
さえわたる月のほかにも悲しきは遠ざかり行くふるさとの山(高橋残夢)
180 :
名無氏物語:2009/02/17(火) 07:46:38 ID:Q9wJB+32
月清み入江わかれて我が来れば山のあなたに波の音する(高橋残夢)
181 :
名無氏物語:2009/02/17(火) 08:03:12 ID:Q9wJB+32
小山田にすだく蛙の声のうちに小雨ふりきぬ春の夕暮(清水浜臣)
182 :
名無氏物語:2009/02/17(火) 08:03:51 ID:Q9wJB+32
みづえさす桂の大木陰すずし夏はいつきの宮の朝風(清水浜臣)
183 :
名無氏物語:2009/02/17(火) 08:04:19 ID:Q9wJB+32
むらさめのこの夕ぐれはかならずと思ひしことよ初ほととぎす(清水浜臣)
184 :
名無氏物語:2009/02/17(火) 08:04:39 ID:Q9wJB+32
夕すずみ心へだてもなか垣に昼の暑さをかたりあひつつ(清水浜臣)
185 :
名無氏物語:2009/02/17(火) 08:05:08 ID:Q9wJB+32
みそぎせしあと川柳一葉ちり二葉流れて秋風ぞ吹く(清水浜臣)
186 :
名無氏物語:2009/02/17(火) 08:05:28 ID:Q9wJB+32
釣の糸に吹く夕風のすゑ見えて入日さびしき秋の河づら(清水浜臣)
187 :
名無氏物語:2009/02/17(火) 08:06:00 ID:Q9wJB+32
秋風のふきすぎてゆくすゑみえて野沢の草に鴫たちぬなり(伏見院)
188 :
名無氏物語:2009/02/17(火) 08:23:31 ID:Q9wJB+32
あげまきが背垂りの牛に尻かけて山のそば道笛吹きのぼる(清水浜臣)
189 :
名無氏物語:2009/02/17(火) 08:25:02 ID:Q9wJB+32
あげまきがかへる山路の笛のねも月もすみわたる足柄の関(村田春海)
190 :
名無氏物語:2009/02/17(火) 08:26:01 ID:Q9wJB+32
わたの原ゆたにかすめる眉かきに神のみおもも今朝ぞ満りゆく(橘守部)
191 :
名無氏物語:2009/02/17(火) 08:26:42 ID:Q9wJB+32
ましろなる沖のまゆかき見るときぞ妹が手風はいとど恋しき(曾禰好忠)
192 :
名無氏物語:2009/02/17(火) 08:29:04 ID:Q9wJB+32
橘の小門のあはきが波間より生れし神代の月の影かも(橘守部)
193 :
名無氏物語:2009/02/17(火) 16:08:59 ID:Q9wJB+32
下毛や二荒嶺おろし小夜更けて月影すごき那須の篠原(橘守部)
194 :
名無氏物語:2009/02/17(火) 16:09:31 ID:Q9wJB+32
もののふの矢並つくろふ小手の上に霰たばしる那須の篠原(源実朝)
195 :
名無氏物語:2009/02/17(火) 16:09:52 ID:Q9wJB+32
行くままにところかはれば珍しみ雪ふみ分けて雪を見るかな(橘守部)
196 :
名無氏物語:2009/02/17(火) 16:10:33 ID:Q9wJB+32
鶯の声や氷に響くらん音立てそめつ谷川の水(柳原安子)
197 :
名無氏物語:2009/02/17(火) 16:10:57 ID:Q9wJB+32
夜のほどの野分も知らず咲きにけり窓に取り入れし朝顔の花(柳原安子)
198 :
名無氏物語:2009/02/17(火) 16:11:30 ID:Q9wJB+32
あさましの花の姿やをみなへし世をあき風に散りもはてなで(柳原安子)
199 :
名無氏物語:2009/02/17(火) 23:14:00 ID:Q9wJB+32
夕風になくひよ鳥の声落ちて日かげさびしき杉の一むら(柳原安子)
200 :
名無氏物語:2009/02/17(火) 23:14:40 ID:Q9wJB+32
鷺のとぶ川辺のほたで紅に日かげさびしき秋の水かな(衣笠家良)
201 :
名無氏物語:2009/02/17(火) 23:15:00 ID:Q9wJB+32
夕べ夕べ木の葉ふる音わびしきに紅葉する木は植ゑじとぞ思ふ(柳原安子)
202 :
名無氏物語:2009/02/17(火) 23:16:36 ID:Q9wJB+32
君ゆけば帰らむ日まで世の中に花も紅葉もあらじとぞ思ふ(柳原安子)
203 :
名無氏物語:2009/02/17(火) 23:17:02 ID:Q9wJB+32
君が船遥かになりぬ波風も今はな立ちそとめむよしなし(柳原安子)
204 :
名無氏物語:2009/02/17(火) 23:17:34 ID:Q9wJB+32
むらぎもの心一つに思ふこと命のうちにいふひまもがな(柳原安子)
205 :
名無氏物語:2009/02/17(火) 23:18:08 ID:Q9wJB+32
うづもるる身は露霜のふる塚は春だに花の雪に隠れむ(柳原安子)
206 :
名無氏物語:2009/02/18(水) 01:22:46 ID:Ryoz24ex
夕月の射し入らぬまでかたぶきし軒端のつまぞ悔しかりける(秋園古香)
207 :
名無氏物語:2009/02/18(水) 01:23:27 ID:Ryoz24ex
大空にみちてさやけき月見れば神代なりけり神代なりけり(秋園古香)
208 :
名無氏物語:2009/02/18(水) 01:23:55 ID:Ryoz24ex
初霜にあたらぬ光を分かつらむ今宵の月のかたへさびしき(秋園古香)
209 :
名無氏物語:2009/02/18(水) 01:24:21 ID:Ryoz24ex
とひゆけばとひ来る友に逢ひにけり天霧る雪の中道にして(秋園古香)
210 :
名無氏物語:2009/02/18(水) 01:24:52 ID:Ryoz24ex
横浜にもろこし船の碇おろしいかにすれども去らぬ我が恋(秋園古香)
211 :
名無氏物語:2009/02/18(水) 01:25:15 ID:Ryoz24ex
長月の今宵の月の影みれば足らでもことは足る世なりけり(秋園古香)
212 :
名無氏物語:2009/02/18(水) 07:31:39 ID:m+QWCBmi
桜花散りても残ることの葉にいますがごとく我はつかへむ(秋園古香)
213 :
名無氏物語:2009/02/18(水) 07:32:43 ID:m+QWCBmi
老いらくは住む宿もなし久方の天にや行かむ海にや行かむ(秋園古香)
214 :
名無氏物語:2009/02/18(水) 07:33:11 ID:m+QWCBmi
信濃なる姨捨山の奧はいや隅田川原に捨てば捨てなん(秋園古香)
215 :
名無氏物語:2009/02/18(水) 07:34:44 ID:m+QWCBmi
あきらけき御代の昔の秋よりや月も名に負ふ今宵なるらん(頓阿)
216 :
名無氏物語:2009/02/18(水) 07:35:21 ID:m+QWCBmi
わが物とやまともろ人おごりみよ外にしられぬ秋の夜の月(木下長嘯子)
217 :
名無氏物語:2009/02/18(水) 07:36:17 ID:m+QWCBmi
そらに見つやまとのくにの風なれや今宵の月に円居すること(田安宗武)
218 :
名無氏物語:2009/02/18(水) 07:37:10 ID:m+QWCBmi
秋もはや今宵を踊りをさめなる後の月夜の更けにけるかも(島木赤彦)
219 :
名無氏物語:2009/02/18(水) 08:17:49 ID:m+QWCBmi
春がすみ霧らふ夕べの春雨に垣内の梅の散りか過ぎなむ(鹿持雅澄)
220 :
名無氏物語:2009/02/19(木) 00:48:34 ID:ei0DSpSF
妹許と夜道を来れば吾が乗れる馬の足掻に桜花散る(鹿持雅澄)
221 :
名無氏物語:2009/02/19(木) 00:59:08 ID:ei0DSpSF
妹が家路近づくらしも天の川川瀬もさやに琴の音きこゆ(鹿持雅澄)
222 :
名無氏物語:2009/02/19(木) 01:03:37 ID:ei0DSpSF
月読の光を清みわたつみの手纏の玉の乱れあへる見ゆ(鹿持雅澄)
223 :
名無氏物語:2009/02/19(木) 01:04:57 ID:ei0DSpSF
夜さへに玉藻刈るべみ鳴門の海うづ潮白く月照りにけり(鹿持雅澄)
224 :
名無氏物語:2009/02/19(木) 01:06:06 ID:ei0DSpSF
小簾(をす)巻きて呑めども飽かず孕の海とわたる月の影浮べつつ(鹿持雅澄)
225 :
名無氏物語:2009/02/19(木) 01:07:48 ID:ei0DSpSF
海中にかがよひ立てり降りそむる今日のみ雪の真白玉島(鹿持雅澄)
226 :
名無氏物語:2009/02/19(木) 14:20:41 ID:ei0DSpSF
見わたせば大海の原に立つ霞奥かも知らに無き人思ほゆ(鹿持雅澄)
227 :
名無氏物語:2009/02/19(木) 14:22:10 ID:ei0DSpSF
勇細鯨寄り来と大海の磯もとどろに船ぞとよめる(鹿持雅澄)
228 :
名無氏物語:2009/02/19(木) 14:22:40 ID:ei0DSpSF
茵花にほへる妹が抑へ挿す小櫛の山は見れど飽かぬかも(鹿持雅澄)
229 :
名無氏物語:2009/02/19(木) 14:26:57 ID:ei0DSpSF
男盛の時来向かふと初春を待ち歓べる時もありしを(鹿持雅澄)
230 :
名無氏物語:2009/02/19(木) 14:28:01 ID:ei0DSpSF
吾が盛りくだつともよし吾妹子が玉の光儀の旧りずありせば
231 :
名無氏物語:2009/02/19(木) 14:28:33 ID:ei0DSpSF
吾が盛りくだつともよし吾妹子が玉の光儀の旧りずありせば(鹿持雅澄)
232 :
名無氏物語:2009/02/19(木) 16:28:16 ID:ei0DSpSF
よろづ代の春のはじめとうたふなりこはしき島のやまと人かも(大田垣蓮月)
233 :
名無氏物語:2009/02/19(木) 16:29:07 ID:ei0DSpSF
墨染の袖にも梅のかをりきて心げさうのすすむ夜半かな(大田垣蓮月)
234 :
名無氏物語:2009/02/19(木) 16:29:35 ID:ei0DSpSF
梅が香にささぬ外面を唐猫のしのびて過ぐる夕月夜かな(大田垣蓮月)
235 :
名無氏物語:2009/02/19(木) 16:29:59 ID:ei0DSpSF
有明のかすみに匂ふ朝もよしきさらぎころの夕月もよし(大田垣蓮月)
236 :
名無氏物語:2009/02/19(木) 16:30:33 ID:ei0DSpSF
つれづれと春のながめの手すさびにむすびてながす軒の糸水(大田垣蓮月)
237 :
名無氏物語:2009/02/19(木) 16:33:16 ID:ei0DSpSF
あけぬるかほのかすみつつ山のはのきのふの雲は花になりゆく(大田垣蓮月)
238 :
名無氏物語:2009/02/19(木) 16:33:38 ID:ei0DSpSF
宿かさぬ人のつらさをなさけにておぼろ月夜の花の下ぶし(大田垣蓮月)
239 :
名無氏物語:2009/02/19(木) 21:56:44 ID:ei0DSpSF
たづね入る山した風のかをりきて花になりゆく峰の白雲(寂蓮)
240 :
名無氏物語:2009/02/19(木) 21:57:11 ID:ei0DSpSF
うらやまし心のままに咲きてとくすがすがしくもちる桜かな(大田垣蓮月)
241 :
名無氏物語:2009/02/19(木) 21:58:03 ID:ei0DSpSF
日をさへし葉がくれ庵のうれしきはすこしもりくる夕月のかげ(大田垣蓮月)
242 :
名無氏物語:2009/02/19(木) 21:58:43 ID:ei0DSpSF
ゆふづく夜ほのかにみゆる小板橋したゆく水にくひな啼くなり(大田垣蓮月)
243 :
名無氏物語:2009/02/19(木) 21:59:22 ID:ei0DSpSF
すずみ舟よする堅田の浦風に月もゆらるる波の上かな(大田垣蓮月)
244 :
名無氏物語:2009/02/19(木) 22:01:10 ID:ei0DSpSF
里の子がはたおる音もとだえして昼寝のころのあつき旅かな(大田垣蓮月)
245 :
名無氏物語:2009/02/19(木) 22:41:48 ID:ei0DSpSF
朝風に川ぞひ柳ちりそめて水のしらべぞ秋になりゆく(大田垣蓮月)
246 :
名無氏物語:2009/02/19(木) 22:42:19 ID:ei0DSpSF
いにしへを月にとはるる心地してふしめがちにもなる今宵かな(大田垣蓮月)
247 :
名無氏物語:2009/02/19(木) 22:42:49 ID:ei0DSpSF
もち潮のさし出の磯にさし出でて月の光もみちてけるかな(大田垣蓮月)
248 :
名無氏物語:2009/02/19(木) 22:43:22 ID:ei0DSpSF
岡崎の月みに来ませみやこ人かどの畑芋煮てまつらなむ(大田垣蓮月)
249 :
名無氏物語:2009/02/19(木) 22:43:48 ID:ei0DSpSF
野に山にうかれうかれてかへるさを寝屋までおくる秋の夜の月(大田垣蓮月)
250 :
名無氏物語:2009/02/19(木) 22:44:11 ID:ei0DSpSF
はらはらとおつる木の葉に交じりきて栗の実ひとり土に声あり(大田垣蓮月)
251 :
名無氏物語:2009/02/20(金) 07:23:17 ID:zcfGXfKA
きぬたうつ音はからころ唐衣ころもふけゆく遠の山ざと(大田垣蓮月)
252 :
名無氏物語:2009/02/20(金) 07:23:40 ID:zcfGXfKA
冬ばたの大根のくきに霜さえて朝戸出さむし岡崎の里(大田垣蓮月)
253 :
名無氏物語:2009/02/20(金) 07:24:37 ID:zcfGXfKA
きのふこそ夏は暮れしか朝戸出の衣手さむし秋の初風(源実朝)
254 :
名無氏物語:2009/02/20(金) 07:25:00 ID:zcfGXfKA
舟ばたに風のつぶてとうちつけて水にはかろき玉あられかな(大田垣蓮月)
255 :
名無氏物語:2009/02/20(金) 07:30:15 ID:zcfGXfKA
埋火にさむさ忘れてねたる夜はすみれつむ野ぞ夢にみえける(大田垣蓮月)
256 :
名無氏物語:2009/02/20(金) 07:31:45 ID:zcfGXfKA
たなそこに満ちてこぼるる豆みれば人たがひかとあやしまれけり(大田垣蓮月)
257 :
名無氏物語:2009/02/21(土) 01:08:19 ID:PIjwy1y7
今捨てたタバコの温度は800度。
258 :
名無氏物語:2009/02/21(土) 13:02:05 ID:rul3c5B8
柴の戸におちとまりたる樫の実のひとり物思ふ年の暮かな
259 :
名無氏物語:2009/02/21(土) 13:03:13 ID:rul3c5B8
我しらじ背この袂のほころびはひきけん人ぞぬふべかりける(大田垣蓮月) 上の和歌も・・・
260 :
名無氏物語:2009/02/21(土) 13:03:59 ID:rul3c5B8
来ぬ人をまつの梢に月はいりて恋をせめくる風のおとかな(大田垣蓮月)
261 :
名無氏物語:2009/02/21(土) 14:37:43 ID:rul3c5B8
木の間よりほのみし露のうす紅葉おもひこがるる始めなるらむ(大田垣蓮月)
262 :
名無氏物語:2009/02/21(土) 14:38:07 ID:rul3c5B8
山里は松のこゑのみききなれて風ふかぬ日はさびしかりけり(大田垣蓮月)
263 :
名無氏物語:2009/02/21(土) 14:38:45 ID:rul3c5B8
手すさびのはかなき物をもちいでてうるまの市にたつぞわびしき(大田垣蓮月)
264 :
名無氏物語:2009/02/21(土) 14:39:32 ID:rul3c5B8
朝夕にはかなや何をもとめてかうるまの市に立ちさわぐらん(武者小路実陰)
265 :
名無氏物語:2009/02/21(土) 14:40:04 ID:rul3c5B8
あけたてば埴もてすさび暮れゆけば仏をろがみ思ふ事なし(大田垣蓮月)
266 :
名無氏物語:2009/02/21(土) 14:40:56 ID:rul3c5B8
死手の山ぼにの月夜にこえつらむ尾花秋はぎかつしをりつつ(大田垣蓮月)
267 :
名無氏物語:2009/02/21(土) 14:41:24 ID:rul3c5B8
いつかわがわたりもはてむねたる夜の夢より後のゆめの浮橋(大田垣蓮月)
268 :
名無氏物語:2009/02/21(土) 14:41:49 ID:rul3c5B8
死ぬもよししなぬもよろし又ひとつどうでもよしの春は来にけり(大田垣蓮月)
269 :
名無氏物語:2009/02/22(日) 01:31:17 ID:25cVUmlY
ちりほどの心にかかる雲もなしけふをかぎりの夕ぐれの空(大田垣蓮月)
270 :
名無氏物語:2009/02/22(日) 01:32:09 ID:25cVUmlY
願はくはのちの蓮の花のうへにくもらぬ月をみるよしもがな(大田垣蓮月)
271 :
名無氏物語:2009/02/22(日) 01:33:17 ID:25cVUmlY
すきまもる風なつかしき梅が香に春の朝戸はいそがれにけり(石川依平)
272 :
名無氏物語:2009/02/22(日) 01:34:02 ID:25cVUmlY
さらぬだに風なつかしき夏の夜のね覚に匂ふ軒のたち花(藤原隆信)
273 :
名無氏物語:2009/02/22(日) 01:35:04 ID:25cVUmlY
家とほし今はの心夕ばえにたゆたふ峯の花のしら雲(石川依平)
274 :
名無氏物語:2009/02/22(日) 01:35:45 ID:25cVUmlY
みづ枝さす庭のかつらの追風に影さへかをる夏の夜の月(石川依平)
275 :
名無氏物語:2009/02/22(日) 01:36:22 ID:25cVUmlY
太田川すずみがてらに小網させば波にぬれたる夕風ぞ吹く(石川依平)
276 :
名無氏物語:2009/02/22(日) 01:51:00 ID:25cVUmlY
白菊の咲けるやいづら籬のうちはただ月かげのかをるなりけり(石川依平)
277 :
名無氏物語:2009/02/22(日) 01:51:27 ID:25cVUmlY
いづれをか花とはわかむ長月の有明の月にまがふ白菊(紀貫之)
278 :
名無氏物語:2009/02/22(日) 01:51:52 ID:25cVUmlY
ながめわびし夕べの雲のたたずまひそれさへ惜しき秋の暮かな(石川依平)
279 :
名無氏物語:2009/02/22(日) 01:52:43 ID:25cVUmlY
しづの男がをしね刈り干す八手の上の夕日にそそぐむら時雨かな(石川依平)
280 :
名無氏物語:2009/02/22(日) 01:53:30 ID:25cVUmlY
山がつの八手に刈り干す麦の穂のくだけて物を思ふ頃かな(曾禰好忠)
281 :
名無氏物語:2009/02/22(日) 01:53:56 ID:25cVUmlY
下なきて軒ばにかへる家鳩のつばさの色に暮れそめにけり(石川依平)
282 :
名無氏物語:2009/02/22(日) 02:03:25 ID:25cVUmlY
こころみに都に出でてかへり見むわが山里もいまやかすむと(穂井田忠友)
283 :
名無氏物語:2009/02/22(日) 02:04:02 ID:25cVUmlY
いにしへの瓦手にとり見れど見れどただいにしへの瓦なりけり(穂井田忠友)
284 :
名無氏物語:2009/02/22(日) 02:04:48 ID:25cVUmlY
我が袖は道よけあひし唐傘の雨のしづくに濡れにけるかな(穂井田忠友)
285 :
名無氏物語:2009/02/22(日) 02:06:13 ID:25cVUmlY
しの簾高くかかげて長閑なる風の春をぞ宿に入れつる(中島広足)
286 :
名無氏物語:2009/02/22(日) 02:06:52 ID:25cVUmlY
咲きしより桜が中に身をおきて花より外の世をしらぬかなれつる(中島広足)
287 :
名無氏物語:2009/02/22(日) 02:08:00 ID:25cVUmlY
咲きしより桜が中に身をおきて花より外の世をしらぬかな(中島広足) 修正
288 :
名無氏物語:2009/02/22(日) 02:08:31 ID:25cVUmlY
さを鹿のわたりすぎたる山水に散りて流るる秋萩の花(中島広足)
289 :
名無氏物語:2009/02/22(日) 02:09:16 ID:25cVUmlY
浪の音はしたに騒ぎて明くる夜の霧しづかなる木曽の山川(中島広足)
290 :
名無氏物語:2009/02/22(日) 02:16:07 ID:25cVUmlY
汲む水に今朝よりまじる薄氷まだ釣瓶にはさはらざりけり(中島広足)
291 :
名無氏物語:2009/02/22(日) 02:16:42 ID:25cVUmlY
足柄の峰の浮雲うき立ちて神の御坂にはやさめぞ降る(中島広足)
292 :
名無氏物語:2009/02/22(日) 02:17:28 ID:25cVUmlY
かへりみるたびに梢の暮れそひてほのかになりぬ梅の林は(海野幸典)
293 :
名無氏物語:2009/02/22(日) 02:18:11 ID:25cVUmlY
夕がらす霞のうちになりにけり三つ四つふたつ行くと見しまに(海野幸典)
294 :
名無氏物語:2009/02/22(日) 02:18:42 ID:25cVUmlY
木々の葉に涼しと見つる夕風のやがて袂にそよぎぬるかな(海野幸典)
295 :
名無氏物語:2009/02/22(日) 02:19:15 ID:25cVUmlY
大空にただよふ秋の白雲のなど身にしみて寂しかるらむ(海野幸典)
296 :
名無氏物語:2009/02/22(日) 02:19:46 ID:25cVUmlY
何となく寂しくもあるか山の端の紅葉にひびく入相の鐘(海野幸典)
297 :
名無氏物語:2009/02/22(日) 02:20:14 ID:25cVUmlY
入日さす萱が軒端の山柿の色さへさびし秋の夕べは(海野幸典)
298 :
名無氏物語:2009/02/22(日) 02:35:16 ID:25cVUmlY
君まさばまさばとこそは思ひしかなきが嬉しき年もありけり(海野幸典)
299 :
名無氏物語:2009/02/22(日) 02:35:56 ID:25cVUmlY
千代よばふ鶴が音高し初春の松の色なる大空にして(千種有功)
300 :
名無氏物語:2009/02/22(日) 02:36:36 ID:25cVUmlY
年をふるそのいしぶみのきえぎえに見えてぞ帰る天つ雁がね(千種有功)
301 :
名無氏物語:2009/02/22(日) 02:37:15 ID:25cVUmlY
これやその別れとかいふ文字ならん空に友なき春の雁がね(宗祇)
302 :
名無氏物語:2009/02/22(日) 02:37:40 ID:25cVUmlY
久かたの天つ空吹く風の上にことしも咲ける山桜かな(千種有功)
303 :
名無氏物語:2009/02/22(日) 02:38:43 ID:25cVUmlY
大堰河かへらぬ水に影見えてことしも咲ける山桜かな(香川景樹)
304 :
名無氏物語:2009/02/22(日) 02:39:21 ID:25cVUmlY
笋のすずしきふしぞ添はりけるあしたの露に宵の月かげ(千種有功)
305 :
名無氏物語:2009/02/22(日) 02:39:58 ID:25cVUmlY
そぼぬれて手飼の猫は帰りけりあはれ雨夜の撫子の花(千種有功)
306 :
名無氏物語:2009/02/22(日) 07:54:16 ID:25cVUmlY
秋風の吹きそむるより大空をあふぎて待ちし雁は来にけり(千種有功)
307 :
名無氏物語:2009/02/22(日) 07:55:31 ID:25cVUmlY
暮れゆけば月と花とになりにけり萩のかげゆく野ぢの玉川(千種有功)
308 :
名無氏物語:2009/02/22(日) 07:59:11 ID:25cVUmlY
暮るる野に残るもさびし秋萩の花のあととふさを鹿の声(千種有功)
309 :
名無氏物語:2009/02/22(日) 08:00:16 ID:25cVUmlY
きのふけふ冬めづらしき山里の木の葉の雨に雨やどりせり(千種有功)
310 :
名無氏物語:2009/02/22(日) 08:00:51 ID:25cVUmlY
ふりかくす雪うちはらひ仙人の名もかぐはしき花を見るかな(千種有功)
311 :
名無氏物語:2009/02/22(日) 08:12:30 ID:25cVUmlY
たよりあらば都へと思ふ落椎のみのはらはらと雨も降り来ぬ(千種有功)
312 :
名無氏物語:2009/02/22(日) 08:21:53 ID:25cVUmlY
あぢさゐの四ひらの花の宵ごとに我を待たせてうつろひにけり(千種有功)
313 :
名無氏物語:2009/02/22(日) 08:22:18 ID:25cVUmlY
うれしきに憂きに心のくだかれて恋こそ人の老いとなりけれ(千種有功)
314 :
名無氏物語:2009/02/22(日) 13:54:23 ID:25cVUmlY
山烏あけぬとつぐる一声に世はさまざまの音ぞ聞こゆる(千種有功)
315 :
名無氏物語:2009/02/22(日) 13:57:55 ID:25cVUmlY
少女子が夏の衣のうすものを透りて白き月のかげかな(黒沢翁満)
316 :
名無氏物語:2009/02/22(日) 13:58:36 ID:25cVUmlY
夕立の雲にきほひて吹きすさむ風より雨の音になりゆく(黒沢翁満)
317 :
名無氏物語:2009/02/22(日) 13:59:01 ID:25cVUmlY
夕立の雲にきほひて涼しさのますげかたよるそがの河風(本居宣長)
318 :
名無氏物語:2009/02/22(日) 14:07:00 ID:25cVUmlY
いづこにか咲けると見れど花もなしこころの香なる梅にやあるらむ(大隈言道)
319 :
名無氏物語:2009/02/22(日) 14:12:50 ID:25cVUmlY
かへる雁帰りて春もさびしきに童のひろふ小田のこぼれ羽(大隈言道)
320 :
名無氏物語:2009/02/22(日) 14:13:15 ID:25cVUmlY
まどろめば野をちかづけて枕べにあるここちする菫さわらび(大隈言道)
321 :
名無氏物語:2009/02/22(日) 14:13:50 ID:25cVUmlY
春雨のこさめさびしみ瓢(ひさご)さへふるに音せぬ夕ぐれの宿(大隈言道)
322 :
名無氏物語:2009/02/22(日) 14:14:24 ID:25cVUmlY
咲く花を尋ねてゆけばいつよりか去年来し道に道はなりきぬ(大隈言道)
323 :
名無氏物語:2009/02/22(日) 14:15:09 ID:25cVUmlY
まどろめばよりそふ閨の柱さへ花の一木のここちこそすれ(大隈言道)
324 :
名無氏物語:2009/02/22(日) 14:15:36 ID:25cVUmlY
わがやどる竹の下道みち折れてむかへば花のおほむらの里(大隈言道)
325 :
名無氏物語:2009/02/22(日) 14:16:07 ID:25cVUmlY
花見れば花にも我が身見られけり友となるべき姿をもせで(大隈言道)
326 :
名無氏物語:2009/02/22(日) 14:16:38 ID:25cVUmlY
故郷の人にゆづりし家桜なほ我がものの心はなれず(大隈言道)
327 :
名無氏物語:2009/02/22(日) 14:22:58 ID:25cVUmlY
目のまへにまだ散るべくはなけれどもうつろはしげに花は見えきぬ(大隈言道)
328 :
名無氏物語:2009/02/22(日) 15:00:24 ID:25cVUmlY
いつよりか入相の鐘は鳴りつらむ心づきたる果ての一声(大隈言道)
329 :
名無氏物語:2009/02/22(日) 15:01:08 ID:25cVUmlY
流れくる花に浮びて戯えてはまた瀬をのぼる春の若鮎(大隈言道)
330 :
名無氏物語:2009/02/22(日) 15:01:50 ID:25cVUmlY
山吹の一重に咲くを愛でながら八重なる見れば八重ぞまされる(大隈言道)
331 :
名無氏物語:2009/02/22(日) 15:02:24 ID:25cVUmlY
大殿の高き軒端のつばくらめはるかに見れば今ぞ巣がくる(大隈言道)
332 :
名無氏物語:2009/02/22(日) 15:02:55 ID:25cVUmlY
猫の子の首の鈴金かすかにも音のみしたる夏草のうち(大隈言道)
333 :
名無氏物語:2009/02/22(日) 15:03:30 ID:25cVUmlY
たそかれとわかずなりゆく橋のうへに声知る人のつどふ頃かな(大隈言道)
334 :
名無氏物語:2009/02/22(日) 15:04:13 ID:25cVUmlY
深山よりうつし植ゑにし山梨のましろき花ぞ夏はすずしき(大隈言道)
335 :
名無氏物語:2009/02/22(日) 15:04:55 ID:25cVUmlY
かげろふの羽づくろひも涼しきに茅が末をすぐる秋風(大隈言道)
336 :
名無氏物語:2009/02/22(日) 15:11:25 ID:25cVUmlY
きのふよりさらにも空の秋めきて色かはりこし日かげ月かげ(大隈言道)
337 :
名無氏物語:2009/02/22(日) 15:12:00 ID:25cVUmlY
秋立ちて鵙鳴く野べの静けさに萩のさかりはいつかとぞ思ふ(大隈言道)
338 :
人生:2009/02/22(日) 16:50:38 ID:EQTyPwDr
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`''^! ;:;/二ニ二ヽ;:; /
:、 ヽ`''ー-‐''ソ ノ
. \ ゛''''''''" /
. \ ............... /
`ヽ、..;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;/
こ れ を 見 た 人 に は 、 身 の 回 り で 、
3 日 後 に 何 か と て も 悪 い 事 が お き ま す 。
悪 い 事 を 起 き な く さ せ る た め に は
こ れ と 同 じ 文 を 2 日 以 内 に 、
違 う 所 に 10 回 書 き 込 ん で く だ さ い 。
10 回 書 き 込 ま な か っ た 女 子 中 学 生 が 、
書 き 込 み を 見 た 後 、 3 日 後 に 死 に ま し た
339 :
名無氏物語:2009/02/23(月) 13:57:15 ID:RJp70iwE
わりて見るたびにおもしろしいついつも並べるさまの同じさや豆(大隈言道)
340 :
名無氏物語:2009/02/23(月) 13:57:45 ID:RJp70iwE
ただひとり夜ふけてゆけば行く月と我とのものぞ広き大路は(大隈言道)
341 :
名無氏物語:2009/02/23(月) 13:58:20 ID:RJp70iwE
かくれゐて我があと去らぬ影法師ゐならびてだに月を見よかし(大隈言道)
342 :
名無氏物語:2009/02/23(月) 13:58:46 ID:RJp70iwE
春暮れて永き日さびし山彦も独りごちだに今日はせよかし(大隈言道)
343 :
名無氏物語:2009/02/23(月) 13:59:13 ID:RJp70iwE
もろともに影を並ぶる人もあれや月のもりくる笹の庵に(西行)
344 :
名無氏物語:2009/02/23(月) 13:59:40 ID:RJp70iwE
かきくらし雨はふれども嶺の月こころのうちに出づる頃かな(大隈言道)
345 :
名無氏物語:2009/02/23(月) 14:00:01 ID:RJp70iwE
山寺の秋さびしらに仏達ただならびてもおはすばかりぞ(大隈言道)
346 :
名無氏物語:2009/02/23(月) 14:11:57 ID:RJp70iwE
山ふかみ人にも見えぬ鈴虫は秋わびしらにいまぞ鳴くなる(凡河内躬恒)
347 :
名無氏物語:2009/02/23(月) 14:12:37 ID:RJp70iwE
童どち悪び戯れ一つだに咲けば摘み取るきちかうの花(大隈言道)
348 :
名無氏物語:2009/02/23(月) 14:13:02 ID:RJp70iwE
答へする声おもしろみ山彦を限りもなしに呼ぶわらはかな(大隈言道)
349 :
名無氏物語:2009/02/23(月) 14:15:14 ID:RJp70iwE
いくばくの劣り勝りも見えぬ子の負へる負はるるあはれなるかな(大隈言道)
350 :
名無氏物語:2009/02/23(月) 14:15:44 ID:RJp70iwE
幼げもはやなくなれる童さへ背に負はるるや楽しかるらむ(大隈言道)
351 :
名無氏物語:2009/02/23(月) 14:16:19 ID:RJp70iwE
空せまく見ゆる市路は見るたびに過ぎぬるあとの初雁の声(大隈言道)
352 :
名無氏物語:2009/02/23(月) 14:16:42 ID:RJp70iwE
はてもなき山の裾野のすすき原とほくゆけるは夕日のみして(大隈言道)
353 :
名無氏物語:2009/02/23(月) 14:17:10 ID:RJp70iwE
目のまへにひとつ落ちたる松の実のさらにも落ちず暮るる今日かな(大隈言道)
354 :
名無氏物語:2009/02/23(月) 14:52:51 ID:RJp70iwE
これのみや今日はありつることならむ松の実一つ落ちし夕ぐれ(大隈言道)
355 :
名無氏物語:2009/02/23(月) 14:53:48 ID:RJp70iwE
秋ふけて湊辺寒くなりぬらむ蕎麦うりめぐるさ夜中の舟(大隈言道)
356 :
名無氏物語:2009/02/23(月) 15:23:03 ID:RJp70iwE
東山のぼりも果てずまづ見れば都のしぐれ鳥羽にすぎゆく(大隈言道)
357 :
名無氏物語:2009/02/23(月) 15:29:44 ID:RJp70iwE
海ひろき勝浦の浦の沖にいでてふりはなちたる初時雨かな(大隈言道)
358 :
名無氏物語:2009/02/23(月) 15:30:25 ID:RJp70iwE
思ふどち語らひやめて小夜中の時雨にのみも音せさせけり(大隈言道)
359 :
名無氏物語:2009/02/23(月) 15:31:07 ID:RJp70iwE
ただ一つのこるともしび火ながらも冬の夜更けて光ぞ寒けき(大隈言道)
360 :
名無氏物語:2009/02/23(月) 15:31:45 ID:RJp70iwE
起き出でてわが寝温めの麻衾をしくもさます冬のあかつき(大隈言道)
361 :
名無氏物語:2009/02/23(月) 15:32:10 ID:RJp70iwE
窓に窓むかひあひたる大船の一夜どなりのなつかしげなる(大隈言道)
362 :
名無氏物語:2009/02/23(月) 15:41:41 ID:RJp70iwE
ゆくゆくも時雨にぬれて見入るれば焚く火にあたる家もありけり(大隈言道)
363 :
名無氏物語:2009/02/23(月) 15:42:27 ID:RJp70iwE
妹が背にねぶる童のうつつなき手にさへめぐる風車かな(大隈言道)
364 :
名無氏物語:2009/02/23(月) 15:45:05 ID:RJp70iwE
たのしみはまれに魚煮て兒等みながうましうましといひて食ふ時(橘曙覽)
365 :
名無氏物語:2009/02/23(月) 15:47:01 ID:RJp70iwE
今日見れば少女になりぬ去年までは一足しても飛びしならずや(大隈言道)
366 :
名無氏物語:2009/02/23(月) 16:03:28 ID:RJp70iwE
さかしらに笑ひ語らひおとなにも我なり顔の郷のをとめ子(大隈言道)
367 :
名無氏物語:2009/02/23(月) 16:04:08 ID:RJp70iwE
松の間の夕日にひかるささがにの絶えぬと見えてつづく糸かな(大隈言道)
368 :
名無氏物語:2009/02/23(月) 16:11:16 ID:RJp70iwE
おのがゐる枝のゆらぎに身をはねてとほき杪にわたる山狙(大隈言道)
369 :
名無氏物語:2009/02/23(月) 16:11:55 ID:RJp70iwE
しぶしぶに馬鍬引く小田の特牛打たれぬ先に歩めと思へど(大隈言道)
370 :
名無氏物語:2009/02/23(月) 16:14:42 ID:RJp70iwE
衾さへいと重げなる老の身の寝るがうへにも寝る猫まかな(大隈言道)
371 :
名無氏物語:2009/02/23(月) 16:15:18 ID:RJp70iwE
かずしらぬ魚の命は板の上の刀の跡にしるしぬるかな(大隈言道)
372 :
名無氏物語:2009/02/23(月) 16:16:05 ID:RJp70iwE
引きつれて大路いづなり馬車また馬車牛車牛(大隈言道)
373 :
名無氏物語:2009/02/23(月) 16:16:42 ID:RJp70iwE
紀津川に安治川に入る船の帆の行く方わかつ住吉の沖(大隈言道)
374 :
名無氏物語:2009/02/23(月) 16:17:17 ID:RJp70iwE
風ふけば空なる星も灯のうごくがごとくひかる夜半かな(大隈言道)
375 :
名無氏物語:2009/02/23(月) 16:17:48 ID:RJp70iwE
手にだにもすゑて見るべき妹が島はるかに細く幼なげにして(大隈言道)
376 :
名無氏物語:2009/02/23(月) 17:00:44 ID:RJp70iwE
浮かべつつゆくとはなしに月のうへをただ過ぎにのみ過ぐる川水(大隈言道)
377 :
名無氏物語:2009/02/23(月) 17:01:31 ID:RJp70iwE
夕日かげ半ばも海に入る時ぞうねうね光る沖のさざなみ(大隈言道)
378 :
名無氏物語:2009/02/23(月) 17:02:03 ID:RJp70iwE
人なげに目のまへをしもゆきかひて塵さへわれを軽めつるかな(大隈言道)
379 :
名無氏物語:2009/02/23(月) 17:02:39 ID:RJp70iwE
旅人の道ゆく笠の上にさへ侮づらはしく居る蜻蛉かな(大隈言道)
380 :
名無氏物語:2009/02/23(月) 17:03:17 ID:RJp70iwE
世の中のわりなさ聞けば人知れず空手ににぎる手のうちの汗(大隈言道)
381 :
名無氏物語:2009/02/23(月) 17:04:05 ID:RJp70iwE
いたづらに我が身フルゴロオトガラス水に虫あることも知らずて(大隈言道)
382 :
名無氏物語:2009/02/23(月) 17:04:31 ID:RJp70iwE
いつしかと我がとりなれて後ろ手の老のすがたは誰にならひし(大隈言道)
383 :
名無氏物語:2009/02/23(月) 17:05:02 ID:RJp70iwE
いつよりか開けながらの窓の書風ばかりこそもてあそびけれ(大隈言道)
384 :
名無氏物語:2009/02/23(月) 17:18:01 ID:RJp70iwE
木の間より夕日のかげのさす時ぞはじめて明かき松の間の窓(大隈言道)
385 :
名無氏物語:2009/02/23(月) 17:18:37 ID:RJp70iwE
今日もまた我が家に我が身かへりきぬ限りの門出いまだ来ずして(大隈言道)
386 :
名無氏物語:2009/02/23(月) 17:31:23 ID:BavHYO0r
今日もまたわがやによばひかえりきぬまらはいまだにかどでこずして(大穴抜け道)
387 :
名無氏物語:2009/02/23(月) 17:33:10 ID:BavHYO0r
いつよりかしゃかいのまどはあけながらもてあそびけれはじめてのとこ(小穴這道)
388 :
名無氏物語:2009/02/23(月) 17:35:09 ID:BavHYO0r
あのまよりもれくるかげのさすときぞあかきまらみち松の間の窓(中穴蜜道)
389 :
名無氏物語:2009/02/23(月) 17:39:38 ID:L5ZBfGy1
↑
超へタレ発見wwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww
390 :
名無氏物語:2009/02/23(月) 18:02:58 ID:RJp70iwE
ともすれば語らひどちのものがほに膝いだかれて眺めをぞする(大隈言道)
391 :
名無氏物語:2009/02/23(月) 18:03:35 ID:RJp70iwE
つくづくと手ぶさ老いたる程を見てあたり憂げなる埋火の上(大隈言道)
392 :
名無氏物語:2009/02/23(月) 18:04:08 ID:RJp70iwE
山辺より帰るわが身を送り来て開くれば門を月も入りけり(大隈言道)
393 :
名無氏物語:2009/02/23(月) 18:04:37 ID:RJp70iwE
今はとてうち寝る時は命さへわが身とともに伸ぶかとぞ思ふ(大隈言道)
394 :
名無氏物語:2009/02/23(月) 18:05:13 ID:RJp70iwE
品たかきことも願はずまたの世はまた我が身にぞなりて来なまし(大隈言道)
395 :
名無氏物語:2009/02/23(月) 18:05:58 ID:RJp70iwE
春を待つ人にや見せむ灘の浦の雪の中なる花さくら鯛(大隈言道)
396 :
名無氏物語:2009/02/23(月) 18:14:24 ID:RJp70iwE
住吉の神のともし火かすむなり御津の浜辺に春やたつらむ(八田知紀)
397 :
名無氏物語:2009/02/23(月) 18:15:00 ID:RJp70iwE
朝日さすひむがし山の面影も遥かに霞む春は来にけり(八田知紀)
398 :
名無氏物語:2009/02/23(月) 18:15:27 ID:RJp70iwE
とほ妻のたよりに聞くぞなつかしき木幡の里の梅の初花(八田知紀)
399 :
名無氏物語:2009/02/23(月) 18:15:54 ID:RJp70iwE
いめびとの伏見の里を朝ゆけば梅が香ならぬ風なかりけり(八田知紀)
400 :
な:2009/02/23(月) 19:22:15 ID:kBHr/5Qd
いわばしる たるみのうえの さわらびの もえいずる はるになりぬる
401 :
な:2009/02/23(月) 19:24:46 ID:kBHr/5Qd
ほととぎす なくやさつきの あやめぐさ あやめもしらず こいをするかな
402 :
な:2009/02/23(月) 19:26:09 ID:kBHr/5Qd
あききぬと めにはさやかに みえねども かぜのおとにぞ おどろかれぬる
403 :
な:2009/02/23(月) 19:27:56 ID:kBHr/5Qd
かんなづき ふるみふらずみ さだめなき しぐれぞふゆの はじめなりけり
404 :
名無氏物語:2009/02/23(月) 20:46:36 ID:L5ZBfGy1
↑
ウンコがキタよwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww
405 :
名無氏物語:2009/02/23(月) 20:48:27 ID:RJp70iwE
世の中の春をはなれて山桜すさまじきまで見ゆる色かな(八田知紀)
406 :
名無氏物語:2009/02/23(月) 20:49:07 ID:RJp70iwE
吉野山霞のおくは知らねども見ゆる限りは桜なりけり(八田知紀)
407 :
名無氏物語:2009/02/23(月) 20:49:47 ID:RJp70iwE
うつせみの我が世の限り見るべきは嵐の山の桜なりけり(八田知紀)
408 :
名無氏物語:2009/02/23(月) 20:50:15 ID:RJp70iwE
野に山にあくがれはてし魂もこの一枝にかへりぬるかな(八田知紀)
409 :
名無氏物語:2009/02/23(月) 20:50:46 ID:RJp70iwE
よも山にあくがれぬべき此ごろの心おちゐる家桜かな(下河辺長流)
410 :
名無氏物語:2009/02/23(月) 20:51:13 ID:RJp70iwE
卯の花の白がさねして神山のみあれ見に行く今日にもあるかな(八田知紀)
411 :
名無氏物語:2009/02/23(月) 20:51:54 ID:RJp70iwE
大比叡の峯に夕ゐる白雲のさびしき秋になりにけるかな(八田知紀)
412 :
名無氏物語:2009/02/23(月) 20:52:24 ID:RJp70iwE
秋萩の下葉そめむとふる雨の寒き夕べに雁なきわたる(八田知紀)
413 :
名無氏物語:2009/02/23(月) 21:01:07 ID:RJp70iwE
かくれがも月の訪ふ夜はしかすがに心にさはる八重葎かな(八田知紀)
414 :
名無氏物語:2009/02/23(月) 21:01:43 ID:RJp70iwE
南淵の細河まゆみたつ霧の色までそめて暮るる空かな(八田知紀)
415 :
名無氏物語:2009/02/23(月) 21:02:20 ID:RJp70iwE
鳥が音におき出でてゆけば山科の岩田のを野に柞ちるなり(八田知紀)
416 :
名無氏物語:2009/02/23(月) 21:02:55 ID:RJp70iwE
しづかにも暮れわたるかな水鳥の折々はぶく音ばかりして(八田知紀)
417 :
名無氏物語:2009/02/23(月) 21:03:24 ID:RJp70iwE
白雪の中に流るるみこし路のにひがた河は見るにさやけし(八田知紀)
418 :
名無氏物語:2009/02/23(月) 21:03:48 ID:RJp70iwE
あさづく日にほへる時に久方の天のかぐ山見るがたふとさ(八田知紀)
419 :
名無氏物語:2009/02/23(月) 21:04:17 ID:RJp70iwE
暁の枕の上にひびくなり飛鳥の森の八ひら手のこゑ(八田知紀)
420 :
名無氏物語:2009/02/23(月) 21:04:43 ID:RJp70iwE
宿るべき麓の里に聞こゆれどかなしきものか入相の鐘(八田知紀)
421 :
名無氏物語:2009/02/23(月) 21:14:35 ID:RJp70iwE
かぎりなく並木の松の見ゆるかな嵐の下に日をや暮らさむ(八田知紀)
422 :
名無氏物語:2009/02/23(月) 21:15:03 ID:RJp70iwE
天草の上にかがやく夕づつの隠れぬほどに舟は漕ぎてよ(八田知紀)
423 :
名無氏物語:2009/02/24(火) 07:06:18 ID:p7ILmc00
茜さす夕日のなごり去りがたみ焦がれて見ゆる浪の上かな(八田知紀)
424 :
名無氏物語:2009/02/24(火) 07:07:44 ID:p7ILmc00
のどかにも太刀の緒ときて我が君のあたり近くも寝たる夜半かな(八田知紀)
425 :
名無氏物語:2009/02/24(火) 07:24:44 ID:p7ILmc00
牛飼の子らにくはせと天地の神の盛りおける麦飯の山(平賀元義)
426 :
名無氏物語:2009/02/24(火) 07:25:33 ID:p7ILmc00
柞葉の母をおもへば児島の海逢崎の磯なみたち騒ぐ(平賀元義)
427 :
名無氏物語:2009/02/24(火) 07:26:25 ID:p7ILmc00
大井川あさかぜ寒み大丈夫と念ひてありし我ぞ鼻ひる(平賀元義)
428 :
名無氏物語:2009/02/24(火) 07:27:05 ID:p7ILmc00
妹が手を鳥羽の島のあさかぜに暁のみし酒さめにけり(平賀元義)
429 :
名無氏物語:2009/02/24(火) 07:36:13 ID:p7ILmc00
梅の花恋ひもつきねば高おがみ雪をふらせて我を偲ばすも(平賀元義)
430 :
名無氏物語:2009/02/24(火) 07:37:16 ID:p7ILmc00
久方の天の金山加佐米山ゆきふりつめり妹は見つるか(平賀元義)
431 :
名無氏物語:2009/02/24(火) 07:37:42 ID:p7ILmc00
父の峰雪ふりつみて浜風の寒けく吹けば母をしぞ思ふ(平賀元義)
432 :
名無氏物語:2009/02/24(火) 07:38:21 ID:p7ILmc00
丈夫はいたもやせにき梅の花心つくして相見つるかも(平賀元義)
433 :
名無氏物語:2009/02/24(火) 22:55:07 ID:p7ILmc00
思ふ子に別れて行けば春の夜の月かげくらし倉敷の村(平賀元義)
434 :
名無氏物語:2009/02/24(火) 22:55:59 ID:p7ILmc00
花守は心許しついざ吾妹上枝の梅をここに手折らむ(平賀元義)
435 :
名無氏物語:2009/02/24(火) 22:56:42 ID:p7ILmc00
皆人の得がてにすとふ君を得て君率寝る夜は人な来りそ(平賀元義)
436 :
名無氏物語:2009/02/24(火) 22:57:26 ID:p7ILmc00
きも向ふこころの中を居待月あかして談る今宵楽しも(平賀元義)
437 :
名無氏物語:2009/02/24(火) 22:57:56 ID:p7ILmc00
二万坂をうちいでて見れば梅の花咲ける山辺に妹が家みゆ(平賀元義)
438 :
名無氏物語:2009/02/24(火) 22:58:39 ID:p7ILmc00
あかねさす日指の高根雲きらひ松島山に雨ぞふりくる(平賀元義)
439 :
名無氏物語:2009/02/24(火) 22:59:22 ID:p7ILmc00
吾妹子を山北に置きて吾くれば浜風さむし山南の海(平賀元義)
440 :
名無氏物語:2009/02/24(火) 22:59:49 ID:p7ILmc00
ひさかたの月の光に海見れば雲の退辺に妹が国みゆ(平賀元義)
441 :
名無氏物語:2009/02/24(火) 23:17:35 ID:p7ILmc00
射干玉の月おもしろみ彦崎ゆ逢崎さして吾磯づたふ(平賀元義)
442 :
名無氏物語:2009/02/24(火) 23:18:10 ID:p7ILmc00
白真弓春立つ今朝は妹が手を鳥羽島山風のどにふく(平賀元義)
443 :
名無氏物語:2009/02/24(火) 23:18:56 ID:p7ILmc00
妹に恋ひ汗入の山をこえ来れば春の月夜に雁なき渡る(平賀元義)
444 :
名無氏物語:2009/02/24(火) 23:30:37 ID:p7ILmc00
室の浦朝汐高し和田津神やすくまもらへ旅ゆく吾を(平賀元義)
445 :
名無氏物語:2009/02/24(火) 23:31:22 ID:p7ILmc00
戸を開けて見れどもあかずよべの雨にぬれたる山の山桜花(平賀元義)
446 :
名無氏物語:2009/02/24(火) 23:31:59 ID:p7ILmc00
中山の神の社のさくらかげあさけ涼しくなつの風ふく(平賀元義)
447 :
名無氏物語:2009/02/24(火) 23:32:35 ID:p7ILmc00
玉櫛笥二神山にくれなゐの雲たなびきて雨は晴れにけり(平賀元義)
448 :
名無氏物語:2009/02/24(火) 23:34:53 ID:p7ILmc00
たたなめて射水神の嶺奈義の峯初雪ふれりみつつ遊ばむ(平賀元義)
449 :
名無氏物語:2009/02/24(火) 23:35:24 ID:p7ILmc00
夜のほどろ我出で行けば妹が門の桜の上に残る月かげ(平賀元義)
450 :
名無氏物語:2009/02/24(火) 23:36:17 ID:p7ILmc00
大公の三門国守万成坂月おもしろしわれひとりゆく(平賀元義)
451 :
名無氏物語:2009/02/25(水) 00:35:59 ID:wLT0TsbR
鏡山雪に朝日の照るを見てあな面白と歌ひけるかも(平賀元義)
452 :
名無氏物語:2009/02/25(水) 00:38:23 ID:wLT0TsbR
弥上山池の水底清らけき妹がこころはわすれかねつも(平賀元義)
453 :
名無氏物語:2009/02/25(水) 00:39:15 ID:wLT0TsbR
玉くしげ二心なきますらをの心に似たるひひらぎの花(平賀元義)
454 :
名無氏物語:2009/02/25(水) 00:49:23 ID:wLT0TsbR
上山は山風寒しちちのみの父のみことの足冷ゆらんか(平賀元義)
455 :
名無氏物語:2009/02/25(水) 00:53:06 ID:wLT0TsbR
大刀佩きて我がさもらへば夏の風暑く吹くなり美作の宮(平賀元義)
456 :
名無氏物語:2009/02/25(水) 00:53:37 ID:wLT0TsbR
月よみの光さやけみぬば玉の今宵の国見昼にまされり(平賀元義)
457 :
名無氏物語:2009/02/25(水) 00:54:22 ID:wLT0TsbR
霊(たま)ちはふ大神島山神のさき大海の上に神さびて見ゆ(平賀元義)
458 :
名無氏物語:2009/02/25(水) 00:55:18 ID:wLT0TsbR
妻籠に籠りし神のかみよより清の熊野にたてる雲かも(平賀元義)
459 :
名無氏物語:2009/02/25(水) 00:56:05 ID:wLT0TsbR
利兵衛が十握の剣遂に抜きて富子を斬りて二きだとなす(平賀元義)
460 :
名無氏物語:2009/02/25(水) 00:56:37 ID:wLT0TsbR
利兵衛がこやせる屍うじたかれ見る我さへにたぐりすらしも(平賀元義)
461 :
名無氏物語:2009/02/25(水) 01:01:57 ID:wLT0TsbR
五番町石橋のうへに我が麻羅を手草にとりし吾妹子あはれ(平賀元義)
462 :
名無氏物語:2009/02/25(水) 01:02:52 ID:wLT0TsbR
あら駒のくゑはららかす足掻きよりむら消えかかる春の野の雪(和田厳足)
463 :
名無氏物語:2009/02/25(水) 01:06:11 ID:wLT0TsbR
朧夜の空ゆく月のかげ見えてゆたかに寄する春の浦波(和田厳足)
464 :
名無氏物語:2009/02/25(水) 01:06:51 ID:wLT0TsbR
長き日を花の木の間ゆ太白のかがやくばかり遊びくらしつ(和田厳足)
465 :
名無氏物語:2009/02/25(水) 01:07:22 ID:wLT0TsbR
るからにまうら楽しも花ぐはし桜は花の神にかあるらん(和田厳足)
466 :
名無氏物語:2009/02/25(水) 01:07:52 ID:wLT0TsbR
かぎろひもにほふばかりに岩間照り尾照り峯照りつつじ花咲く(和田厳足)
467 :
名無氏物語:2009/02/25(水) 01:10:14 ID:wLT0TsbR
月夜よしこほろぎと鳴く虫のねにさそはれ出でて露に濡れぬ我(和田厳足)
468 :
名無氏物語:2009/02/25(水) 01:10:49 ID:wLT0TsbR
酒飲まむ友どちもがもしくしくに雨のふる夜はさびしきものを(和田厳足)
469 :
名無氏物語:2009/02/25(水) 02:43:00 ID:wLT0TsbR
花すすき心静かに酒くめと言はぬばかりの今日の春雨(和田厳足)
470 :
名無氏物語:2009/02/25(水) 02:44:24 ID:wLT0TsbR
大伴の旅人の君しましまさばなど鹿子じものひとり飲むべき(和田厳足)
471 :
名無氏物語:2009/02/25(水) 02:45:00 ID:wLT0TsbR
寧樂の世のふりにし書を我はもよ友とのみこそ朝夕に見れ(和田厳足)
472 :
名無氏物語:2009/02/25(水) 02:57:47 ID:wLT0TsbR
田鶴のゐる千代田の梢うち霞み江門の湊に春は来にけり(井上文雄)
473 :
名無氏物語:2009/02/25(水) 02:58:17 ID:wLT0TsbR
神楽坂春の夜嵐さえかへり片下ろしにも降る霙かな(井上文雄)
474 :
名無氏物語:2009/02/25(水) 02:58:53 ID:wLT0TsbR
竹芝や大井しな川おしこめて江門の大門ぞ霞み初めたる(井上文雄)
475 :
名無氏物語:2009/02/25(水) 02:59:22 ID:wLT0TsbR
うなゐ子が氷をわたる里川の冬のちか道けさ絶えにけり(井上文雄)
476 :
名無氏物語:2009/02/25(水) 02:59:55 ID:wLT0TsbR
隅田川なか洲をこゆる潮先にかすみ流れて春雨の降る(井上文雄)
477 :
名無氏物語:2009/02/25(水) 03:02:03 ID:wLT0TsbR
夕河の中洲を越ゆる潮先に千鳥一声風ながれして(井上文雄)
478 :
名無氏物語:2009/02/25(水) 03:02:36 ID:wLT0TsbR
しめはへて水口まつる畔つづき苗代ぐみの花咲きにけり(井上文雄)
479 :
名無氏物語:2009/02/25(水) 03:03:22 ID:wLT0TsbR
浪たてる田子の裳裾はそほちつつ水口まつる早苗をぞとる(源師頼)
480 :
名無氏物語:2009/02/25(水) 03:09:14 ID:wLT0TsbR
片岡の道の小寺のつつじ垣ほろほろ散りて人影もなし(井上文雄)
481 :
名無氏物語:2009/02/25(水) 03:11:05 ID:wLT0TsbR
宵々の卯の花月夜ほととぎす田舎ははやく夏めきにけり(井上文雄)
482 :
名無氏物語:2009/02/25(水) 03:12:01 ID:wLT0TsbR
御仏に水そそぐ日と里の子が寺田の畔にうつぎ折るなり(井上文雄)
483 :
名無氏物語:2009/02/25(水) 03:15:44 ID:wLT0TsbR
樫が花露とこぼれて小雨ふる森の下道夏めきにけり(井上文雄)
484 :
名無氏物語:2009/02/25(水) 03:16:20 ID:wLT0TsbR
岡越えの切り通したるつくり道卯の花咲けり右に左に(井上文雄)
485 :
名無氏物語:2009/02/25(水) 07:46:31 ID:wLT0TsbR
賤の女は昼寝してけり水あまる庭の筒井に熟瓜ひやして(井上文雄)
486 :
名無氏物語:2009/02/25(水) 07:49:27 ID:wLT0TsbR
昼寝する枕にひとつ名のる蚊のほそ声耳を離れざりけり(井上文雄)
487 :
名無氏物語:2009/02/25(水) 07:52:52 ID:wLT0TsbR
日盛りのわら屋の庭は鳥も来ず山繭ひく子薄ねぶりして(井上文雄)
488 :
名無氏物語:2009/02/25(水) 07:53:45 ID:wLT0TsbR
七夕のおほそらごとも古き世の例となれば捨てられずして(井上文雄)
489 :
名無氏物語:2009/02/25(水) 07:54:48 ID:wLT0TsbR
旅人の朝たつとよみ静まりて駅家の火影霧に残りぬ(井上文雄)
490 :
名無氏物語:2009/02/25(水) 07:55:30 ID:wLT0TsbR
朝霧の絶えまに見れば遠山は思ひしよりも色づきにけり(井上文雄)
491 :
名無氏物語:2009/02/25(水) 07:56:12 ID:wLT0TsbR
落栗を炭櫃に焼きてにひしぼり飲みつつをれば月も出でにけり(井上文雄)
492 :
名無氏物語:2009/02/25(水) 08:01:58 ID:wLT0TsbR
夕霧のたえまにみれば花薄ほのかに誰をまねくなるらん(肥後)
493 :
名無氏物語:2009/02/25(水) 08:04:10 ID:wLT0TsbR
にほとりの葛飾早稲の新しぼり酌みつつをれば月かたぶきぬ(賀茂真淵)
494 :
名無氏物語:2009/02/25(水) 08:04:53 ID:wLT0TsbR
おのづから乾きて落つるもみぢ葉の音を聞きしる暮もありけり(井上文雄)
495 :
名無氏物語:2009/02/25(水) 08:05:36 ID:wLT0TsbR
朝清めおこたりもなき大寺の庭の砂子に散る木の葉かな(井上文雄)
496 :
名無氏物語:2009/02/25(水) 08:06:19 ID:wLT0TsbR
朝清めおこたりもなき大寺の庭の砂子に散る木の葉かな(井上文雄)
497 :
名無氏物語:2009/02/25(水) 08:07:10 ID:wLT0TsbR
世をそしり人をののしり我だけく物定めするえせ博士かな(井上文雄)
498 :
名無氏物語:2009/02/25(水) 08:08:03 ID:wLT0TsbR
言霊のさきはふ道をいたづらに遊びのわざと人は言ふなり(井上文雄)
499 :
名無氏物語:2009/02/25(水) 08:13:14 ID:wLT0TsbR
紅のつな引きさして少女子が裳裾の上にねぶる唐猫(井上文雄)
500 :
名無氏物語:2009/02/25(水) 08:14:58 ID:wLT0TsbR
朝風に若菜売る子が声すなり朱雀の柳まゆいそぐらむ(加納諸平)
501 :
名無氏物語:2009/02/26(木) 01:16:47 ID:6rfo6O4L
春日さす南の庭の雪消よりかげろふばかり梅が香ぞする(加納諸平)
502 :
名無氏物語:2009/02/26(木) 01:17:14 ID:6rfo6O4L
雨はれぬ椿がもとのにはたづみ花のひびきに驚かれつつ(加納諸平)
503 :
名無氏物語:2009/02/26(木) 01:18:31 ID:6rfo6O4L
春日さす山は雪消のしづくよりたてる煙やかすみ初むらん(正徹)
504 :
名無氏物語:2009/02/26(木) 01:19:00 ID:6rfo6O4L
かへる雁なくね霞みて大くらの入江に更けし春の夜の月(加納諸平)
505 :
名無氏物語:2009/02/26(木) 01:19:32 ID:6rfo6O4L
行く雁の声をし聞けば小雨ふる春の朝寐もしづごころなし(加納諸平)
506 :
名無氏物語:2009/02/26(木) 01:20:08 ID:6rfo6O4L
国見すとのぼれば寒き山風にけぶりを漏るる花は誰が門(加納諸平)
507 :
名無氏物語:2009/02/26(木) 01:20:41 ID:6rfo6O4L
有明のかげはかくれし朝霧に山ふところの花かをるなり(加納諸平)
508 :
名無氏物語:2009/02/26(木) 01:27:03 ID:6rfo6O4L
咲く花のあだなるかたにうつりゆく吉野の山の名こそ惜しけれ(加納諸平)
509 :
名無氏物語:2009/02/26(木) 01:27:37 ID:6rfo6O4L
行きかへり見れどかなしき花の上に霞む春日もかたぶきにけり(加納諸平)
510 :
名無氏物語:2009/02/26(木) 01:28:09 ID:6rfo6O4L
咲きつづく桃の林や暮れぬらんその色ながら月ぞにほへる(加納諸平)
511 :
名無氏物語:2009/02/26(木) 07:22:16 ID:6rfo6O4L
きのふかも時雨ふりにしみ山木のその色ながら春は来にけり(順徳院)
512 :
名無氏物語:2009/02/26(木) 07:22:54 ID:6rfo6O4L
夕されば雲雀の声のさざなみを麦生によせて春風ぞ吹く(加納諸平)
513 :
名無氏物語:2009/02/26(木) 07:23:25 ID:6rfo6O4L
むかしわが夏見にそひて見し花のかげも恋しく鳴く蛙かな(加納諸平)
514 :
名無氏物語:2009/02/26(木) 07:24:01 ID:6rfo6O4L
棹ふれし筏は一瀬過ぎながらなほ影なびく山吹の花(加納諸平)
515 :
名無氏物語:2009/02/26(木) 07:24:39 ID:6rfo6O4L
鳥網はる人にな告げそ山県の朝菜の花につぐみ鳴くなり(加納諸平)
516 :
名無氏物語:2009/02/26(木) 07:25:08 ID:6rfo6O4L
雨はるる垣根のうばら夏ちかみ露もたわわに花もよひせり(加納諸平)
517 :
名無氏物語:2009/02/26(木) 07:57:00 ID:6rfo6O4L
夕かけて小雨こぼるる竹むらの蚊のほそ声に夏をしるかな(加納諸平)
518 :
名無氏物語:2009/02/26(木) 07:57:33 ID:6rfo6O4L
夏かげの青垣淵に花見えてひとりしづけき山ざくらかな(加納諸平)
519 :
名無氏物語:2009/02/26(木) 07:58:12 ID:6rfo6O4L
夕月夜ほの見えそめしあぢさゐの花もまどかに咲きみちにけり(加納諸平)
520 :
名無氏物語:2009/02/26(木) 07:58:39 ID:6rfo6O4L
蘆垣の乱れをかこつ雨のうちに色もくづれしあぢさゐの花(加納諸平)
521 :
名無氏物語:2009/02/26(木) 08:00:58 ID:6rfo6O4L
吹きのぼる夕川風にを簾まけば雲ゐをかけて蛍とぶなり(加納諸平)
522 :
名無氏物語:2009/02/26(木) 08:01:26 ID:6rfo6O4L
水よりもすずしかりけり薄物の片身をもるる夏虫の影(加納諸平)
523 :
名無氏物語:2009/02/26(木) 19:53:07 ID:6rfo6O4L
まばゆくもてらす蛍か夕占とふ花橘のかげさらずして(加納諸平)
524 :
名無氏物語:2009/02/26(木) 19:54:10 ID:6rfo6O4L
玉まきて少女さびせぬ袖もなし奈良の小川に蛍とぶ夜は(加納諸平)
525 :
名無氏物語:2009/02/26(木) 19:54:35 ID:6rfo6O4L
水といへば忍び車の轍にもなほかげとめて蛍飛ぶなり(加納諸平)
526 :
名無氏物語:2009/02/26(木) 19:55:49 ID:6rfo6O4L
山百合のおのづからなる花の香も松の戸もれて清き月夜か(加納諸平)
527 :
名無氏物語:2009/02/26(木) 19:56:19 ID:6rfo6O4L
垣もとに植ゑしさ百合は六月のてる日にゑみて花咲きにけり(加納諸平)
528 :
名無氏物語:2009/02/26(木) 19:56:48 ID:6rfo6O4L
秋津羽のうすくれなゐの花の色に夕日のかげをかさねてぞみる(加納諸平)
529 :
名無氏物語:2009/02/26(木) 19:57:26 ID:6rfo6O4L
天なるやささらの小野の菅原も心にわけて月を見るかな(加納諸平)
530 :
名無氏物語:2009/02/26(木) 20:01:54 ID:6rfo6O4L
霧の上に雁がね啼きて秋の日のかたぶく空を独りかも見む(加納諸平)
531 :
名無氏物語:2009/02/26(木) 20:02:21 ID:6rfo6O4L
月かげもすみはつまじき明けがたに軒端を出でてゆく燕かな(加納諸平)
532 :
名無氏物語:2009/02/26(木) 20:05:36 ID:6rfo6O4L
漁火(いさりび)は雲ゐにきえて眉引の淡路の門中月みちにけり(加納諸平)
533 :
名無氏物語:2009/02/26(木) 20:06:13 ID:6rfo6O4L
沖つ洲に夕ゐる鷗むれ立ちて浪の穂あかし月やいづらん(加納諸平)
534 :
名無氏物語:2009/02/26(木) 20:06:41 ID:6rfo6O4L
秋風にくぐひ羽うちて湊田の穂のへをこゆる月のしらなみ(加納諸平)
535 :
名無氏物語:2009/02/26(木) 20:07:22 ID:6rfo6O4L
船窓の秋のともし火ほのぼのと白める海に月はうかべり(加納諸平)
536 :
名無氏物語:2009/02/26(木) 20:07:57 ID:6rfo6O4L
山里はまだき夜寒になりぬらし真柴のけぶり月に立つみゆ(加納諸平)
537 :
名無氏物語:2009/02/26(木) 20:08:52 ID:6rfo6O4L
小雀鳴く秋の野寺のひとへ垣ひま見えぬまで萩は咲きけり(加納諸平)
538 :
名無氏物語:2009/02/26(木) 20:16:29 ID:6rfo6O4L
月にうつ大城の鼓しばし待てくだちゆく夜を誰か惜しまぬ(加納諸平)
539 :
名無氏物語:2009/02/26(木) 20:17:08 ID:6rfo6O4L
草蔭の松の枯葉に秋見えてこぼれし雨はややはれにけり(加納諸平)
540 :
名無氏物語:2009/02/26(木) 23:23:14 ID:6rfo6O4L
夕日さす梢の色に秋見えてそともの森にひぐらしの声(光厳院)
541 :
名無氏物語:2009/02/26(木) 23:24:18 ID:6rfo6O4L
宮城野の露も色ある古枝草ことしの秋も花咲きにけり(西行)
542 :
名無氏物語:2009/02/26(木) 23:24:50 ID:6rfo6O4L
宮城野の木の下つゆやいかならん風にたままく秋のむら雨(順徳院)
543 :
名無氏物語:2009/02/26(木) 23:25:24 ID:6rfo6O4L
明日きらむ船木が中にもみぢ葉のこがれて見ゆる足柄の山(加納諸平)
544 :
名無氏物語:2009/02/26(木) 23:25:58 ID:6rfo6O4L
入りやすき日影をかこつ夕暮に落つる木の葉の窓てらしつつ(加納諸平)
545 :
名無氏物語:2009/02/26(木) 23:26:26 ID:6rfo6O4L
神無月立ちにし日よりあしびきの山さへもろき色に見えつつ(加納諸平)
546 :
名無氏物語:2009/02/26(木) 23:27:01 ID:6rfo6O4L
神無月たちにし日より雲のゐるあふりの山ぞまづしぐれける(賀茂真淵)
547 :
名無氏物語:2009/02/26(木) 23:27:37 ID:6rfo6O4L
荒熊はゆくへもしらず杉山のうつほにこもる木枯しの声(加納諸平)
548 :
名無氏物語:2009/02/26(木) 23:33:48 ID:6rfo6O4L
もみぢ葉の小雨に朽ちし弥彦は月より高く神さびにけり(加納諸平)
549 :
名無氏物語:2009/02/26(木) 23:34:31 ID:6rfo6O4L
あげまきが浮かるる声もおもしろしふれふれ粉雪山つくるまで(加納諸平)
550 :
名無氏物語:2009/02/27(金) 00:03:24 ID:hzj9oOwF
雪折れのひびきを年の別れにて長けし我が世もおどろかれぬる(加納諸平)
551 :
名無氏物語:2009/02/27(金) 00:04:36 ID:hzj9oOwF
若鮎のひれふる姿見てしよりこの川上の家ぞ恋しき(加納諸平)
552 :
名無氏物語:2009/02/27(金) 00:05:58 ID:hzj9oOwF
藤波の丈にあまれる花房をわが見し髪に思ひよせつつ(加納諸平)
553 :
名無氏物語:2009/02/27(金) 00:07:28 ID:hzj9oOwF
見し人の面影なびく若草によすがさだめず飛ぶ胡蝶かな(加納諸平)
554 :
名無氏物語:2009/02/27(金) 00:11:25 ID:hzj9oOwF
吾妹子にまことあふちの花ならば五月の忌を過ぐしても見む(加納諸平)
555 :
名無氏物語:2009/02/27(金) 00:14:54 ID:hzj9oOwF
春がすみ立ち出づるからに里の犬の夜声は絶えてきぎす鳴くなり(加納諸平)
556 :
名無氏物語:2009/02/27(金) 00:16:09 ID:hzj9oOwF
旅衣わわくばかりに春たけてうばらが花ぞ香ににほふなる(加納諸平)
557 :
名無氏物語:2009/02/27(金) 00:16:38 ID:hzj9oOwF
わたつみの浪もてかくす故郷をうきねの夢にこよひ見しかな(加納諸平)
558 :
名無氏物語:2009/02/27(金) 00:22:48 ID:hzj9oOwF
那木の葉をかざしてかへる人もがな世々の行幸のあとがたりせん(加納諸平)
559 :
名無氏物語:2009/02/27(金) 00:24:40 ID:hzj9oOwF
ちはやぶる熊野の宮の梛の葉をかはらぬ千世のためしにぞ折る(藤原定家)
560 :
名無氏物語:2009/02/27(金) 01:26:24 ID:hzj9oOwF
山がつが煙吹きけん跡ならし椿の巻葉霜にこほれり(加納諸平)
561 :
名無氏物語:2009/02/27(金) 01:26:56 ID:hzj9oOwF
いづる日の影もおぼろの朝けかな霧にしをれて山路わけまし(加納諸平)
562 :
名無氏物語:2009/02/27(金) 01:27:48 ID:hzj9oOwF
み熊野の荒山中に海なして立つ朝霧をいくへ分くらむ(加納諸平)
563 :
名無氏物語:2009/02/27(金) 01:28:13 ID:hzj9oOwF
朝霧のふかきを雨とおもひしはまだ山なれぬ心なりけり(加納諸平)
564 :
名無氏物語:2009/02/27(金) 01:29:58 ID:hzj9oOwF
みづちすむ淵を千尋の底に見て太刀の緒かため行く山路かな(加納諸平)
565 :
名無氏物語:2009/02/27(金) 01:30:26 ID:hzj9oOwF
煙たつ峰の炭焼やどり貸せ夕日のおくにましらなくなり(加納諸平)
566 :
名無氏物語:2009/02/27(金) 01:32:38 ID:hzj9oOwF
門すぐる風をしるべに樫の実のひとり出でても拾ふうなゐか(加納諸平)
567 :
名無氏物語:2009/02/27(金) 01:33:12 ID:hzj9oOwF
夕されば山路の松のふさたきを岩根の蔦に照らしてぞゆく(加納諸平)
568 :
名無氏物語:2009/02/27(金) 01:40:49 ID:hzj9oOwF
山がつが餅にせんと木の実つき浸す小川をまたや渡らん(加納諸平)
569 :
名無氏物語:2009/02/27(金) 01:41:20 ID:hzj9oOwF
大かたは秋とも知らぬ山がつが笥にもる飯は木の実なりけり(加納諸平)
570 :
名無氏物語:2009/02/27(金) 02:01:23 ID:hzj9oOwF
足ふめば霜くづれする赭土山立ちや疲れん霧のみ中に(加納諸平)
571 :
名無氏物語:2009/02/27(金) 02:02:33 ID:hzj9oOwF
いただきに杣板のせてくだる子がうしろで寒き那智の山風(加納諸平)
572 :
名無氏物語:2009/02/27(金) 02:03:42 ID:hzj9oOwF
うちおける板目に切れし黒髪をゆゆしと見つつ夫子や歎かん(加納諸平)
573 :
名無氏物語:2009/02/27(金) 02:07:26 ID:hzj9oOwF
むろの海のにしきの袋せばけれど百船人は雨つつみせり(加納諸平)
574 :
名無氏物語:2009/02/27(金) 02:07:53 ID:hzj9oOwF
浪風のうちみだりたる吾が髪をたれかかかげんくしもとの浦(加納諸平)
575 :
名無氏物語:2009/02/27(金) 02:08:28 ID:hzj9oOwF
沖さけて浮かぶ鳥船時のまに翔りもゆくか勇魚見ゆらし(加納諸平)
576 :
名無氏物語:2009/02/27(金) 02:09:02 ID:hzj9oOwF
雲かかるわたのみ中にあら潮を雨とふらせて鯨うかべり(加納諸平)
577 :
名無氏物語:2009/02/27(金) 02:13:43 ID:hzj9oOwF
有馬の海浪のゆふ花折りかけて神をまつらぬ時も日もなし(加納諸平)
578 :
名無氏物語:2009/02/27(金) 02:14:21 ID:hzj9oOwF
泊瀬女の袖かとぞ思ふみ吉野の滝のみなわの波のゆふ花(後鳥羽院)
579 :
名無氏物語:2009/02/27(金) 02:14:51 ID:hzj9oOwF
み吉野の奥に思へる心さへ身さへ山路をわけたどりつつ(加納諸平)
580 :
名無氏物語:2009/02/27(金) 07:04:29 ID:hzj9oOwF
小楯なす巌照るまで高倉のかぶとの森はもみぢしにけり(加納諸平)
581 :
名無氏物語:2009/02/27(金) 07:05:07 ID:hzj9oOwF
あふぎ見る大蛇神楽の松かげはいかなる神か降り立たすらん(加納諸平)
582 :
名無氏物語:2009/02/27(金) 07:06:44 ID:hzj9oOwF
荒山の八十隈おちぬ往き交ひに涙は袖の針目をぞもる(加納諸平)
583 :
名無氏物語:2009/02/27(金) 07:07:22 ID:hzj9oOwF
七越の峰に夕ゐる秋の雲一なびきして月はのぼれり(加納諸平)
584 :
名無氏物語:2009/02/27(金) 07:07:52 ID:hzj9oOwF
立ちのぼる月のあたりに雲きえて光かさぬる七越の峰(西行)
585 :
名無氏物語:2009/02/27(金) 07:08:25 ID:hzj9oOwF
神無月春ごこちにもなれるかな花の岩屋に花祭りして(加納諸平)
586 :
名無氏物語:2009/02/28(土) 01:22:53 ID:X7aRorUK
しめはへてむすべる菊のひまごとにあふぎもひらく花祭かな(加納諸平)
587 :
名無氏物語:2009/02/28(土) 01:23:39 ID:X7aRorUK
深山木のもと伐り截つと斧とれば空もとどろに嵐吹くなり(加納諸平)
588 :
名無氏物語:2009/02/28(土) 01:25:48 ID:X7aRorUK
壁たてる巌とほりて天地にとどろきわたる滝の音かな(加納諸平)
589 :
名無氏物語:2009/02/28(土) 01:26:20 ID:X7aRorUK
滝姫の御衣の白妙幅ひろみさく雷やおもひかけけむ(加納諸平)
590 :
名無氏物語:2009/02/28(土) 01:27:04 ID:X7aRorUK
高機を巌にたてて天つ日のかげさへ織れる唐錦かな(加納諸平)
591 :
名無氏物語:2009/02/28(土) 01:27:34 ID:X7aRorUK
あしたづの翅のうへに玉しきて神やますらむ滝のみなかみ(加納諸平)
592 :
名無氏物語:2009/02/28(土) 01:36:18 ID:X7aRorUK
富士も見き淡海の海も渡りてき今はと思ひし滝にやはあらぬ(加納諸平)
593 :
名無氏物語:2009/02/28(土) 01:36:51 ID:X7aRorUK
世の塵に迷ふ嘆きは聞きとめぬ神の御声や滝にそふらん(加納諸平)
594 :
名無氏物語:2009/02/28(土) 01:37:23 ID:X7aRorUK
ますらをがすべしもとどり解きはなつ滝のひびきに雨みだるなり(加納諸平)
595 :
名無氏物語:2009/02/28(土) 01:37:55 ID:X7aRorUK
あうらつく新藁沓のあらづくりいかがは踏まん岩のかけ道(加納諸平)
596 :
名無氏物語:2009/02/28(土) 02:01:16 ID:X7aRorUK
もえ松につつじ折りそへしづの女が子故にいそぐ夕暮の山(加納諸平)
597 :
名無氏物語:2009/02/28(土) 02:01:45 ID:X7aRorUK
◎ 神ならば岩おしわけて帰らまし山路の暮は家ぞ恋しき(加納諸平)
598 :
名無氏物語:2009/02/28(土) 02:02:13 ID:X7aRorUK
こをだにと折りとる袖に且つ落ちて露よりもろき玉椿かな(加納諸平)
599 :
名無氏物語:2009/02/28(土) 02:02:56 ID:X7aRorUK
益荒男が打ちもかへさぬ山陰のはたとせ何に過ぐし来つらん(加納諸平)
600 :
名無氏物語:2009/02/28(土) 02:09:24 ID:X7aRorUK
わが身こそよそにもうつれ萩が花もとの垣根にやつれてぞ咲く(加納諸平)
601 :
名無氏物語:2009/02/28(土) 02:10:12 ID:X7aRorUK
岩くえて礒回の城門は荒れにしを夜声さむくもよする波かな(加納諸平)
602 :
名無氏物語:2009/02/28(土) 02:10:35 ID:X7aRorUK
駒わたす人かげもなし犀川の岸の司はかたくづれして(加納諸平)
603 :
名無氏物語:2009/02/28(土) 02:11:01 ID:X7aRorUK
生駒山かすむあしたの見渡しに思ひつづくる花のうへかな(加納諸平)
604 :
名無氏物語:2009/02/28(土) 02:11:24 ID:X7aRorUK
静かなる山のすがたをほのぼのと浮べて立てる春霞かな(加納諸平)
605 :
名無氏物語:2009/02/28(土) 02:11:52 ID:X7aRorUK
姫島の松の夕日に雁啼きてわが子恋しき秋風ぞ吹く(加納諸平)
606 :
名無氏物語:2009/02/28(土) 03:00:09 ID:X7aRorUK
一帆見え二帆つらねて明くる夜のしららの沖に舟きほふなり(加納諸平)
607 :
名無氏物語:2009/02/28(土) 03:02:04 ID:X7aRorUK
小笹原それともわかぬ葉隠れにかつがつ咲ける月草の花(加納諸平)
608 :
名無氏物語:2009/02/28(土) 03:03:04 ID:X7aRorUK
天草や天よりをちのから山も雲になびきて日は暮れにけり(加納諸平)
609 :
名無氏物語:2009/02/28(土) 03:03:31 ID:X7aRorUK
岡の辺の入日のなごりうちなびき松風ながら暮るる空かな(加納諸平)
610 :
名無氏物語:2009/02/28(土) 03:04:05 ID:X7aRorUK
数さすと真柴折り焚き山里のなぞなぞがたりさ夜ふけにけり(加納諸平)
611 :
名無氏物語:2009/02/28(土) 03:06:53 ID:X7aRorUK
ふるさとの岡辺のすみれ手につみていとど昔の春ぞ恋しき(加納諸平)
612 :
名無氏物語:2009/02/28(土) 03:09:57 ID:X7aRorUK
ふる里の野べ見にくれば昔わが妹とすみれの花咲きにけり(賀茂真淵)
613 :
名無氏物語:2009/02/28(土) 03:10:34 ID:X7aRorUK
桜花ちらばちらなん遠つ神わが大王の衣笠の上に(加納諸平)
614 :
名無氏物語:2009/02/28(土) 03:11:05 ID:X7aRorUK
君がため花と散りにしますらをに見せばやと思ふ御代の春かな(加納諸平)
615 :
名無氏物語:2009/02/28(土) 03:11:37 ID:X7aRorUK
みしぶつく植女が袖に夕月のやつれしかげをあはれとぞ見る(加納諸平)
616 :
名無氏物語:2009/03/01(日) 01:12:12 ID:rOdCHFrg
榊葉の香をかぐ山にのぼりても神代の空ははるけかりけり(加納諸平)
617 :
名無氏物語:2009/03/01(日) 01:13:02 ID:rOdCHFrg
ふるさとの岡辺に立ちてわが見てし富士の御雪のとはに恋しき(加納諸平)
618 :
名無氏物語:2009/03/01(日) 01:13:46 ID:rOdCHFrg
ふるさとの棗がもとの萩が花こぼれにけらし秋風の吹く(加納諸平)
619 :
名無氏物語:2009/03/01(日) 01:14:14 ID:rOdCHFrg
世の中はかなしかりけり世の中の何かかなしき賤の男にして(加納諸平)
620 :
名無氏物語:2009/03/01(日) 01:15:00 ID:rOdCHFrg
引馬野の木の芽はり原入りみだれ春日暮らすは昔人かも(加納諸平)
621 :
名無氏物語:2009/03/01(日) 01:16:24 ID:rOdCHFrg
雁がねの帰りし空をながめつつ立てるそほづは我が身なりけり(野村望東尼)
622 :
名無氏物語:2009/03/01(日) 01:23:06 ID:rOdCHFrg
かりをだに立てるそほづは甲斐もなしいたづらならば門守りせよ(藤原信実)
623 :
名無氏物語:2009/03/01(日) 01:24:41 ID:rOdCHFrg
桜花あまたにほへる里にても友なき人はさびしからまし(野村望東尼)
624 :
名無氏物語:2009/03/01(日) 01:25:10 ID:rOdCHFrg
さみだれの晴間の日影うつり来て窓にかげろふ行潦かな(野村望東尼)
625 :
名無氏物語:2009/03/01(日) 01:25:49 ID:rOdCHFrg
つねに見る松の木陰の一つ家の火影さびしき秋は来にけり(野村望東尼)
626 :
名無氏物語:2009/03/01(日) 02:03:58 ID:rOdCHFrg
秋寒み小雨そぼそぼふる寺の火影さびしき夜のけしきかな(大田垣蓮月)
627 :
名無氏物語:2009/03/01(日) 02:04:24 ID:rOdCHFrg
世の中の憂きこと知らぬ御仏もものさびしらに見ゆる秋かな(野村望東尼)
628 :
名無氏物語:2009/03/01(日) 02:05:01 ID:rOdCHFrg
山寺の秋さびしらに仏達ただならびてもおはすばかりぞ(大隈言道)
629 :
名無氏物語:2009/03/01(日) 02:05:33 ID:rOdCHFrg
人影を雪間に遠く見出つつ我が訪はるるに定めてぞ待つ(野村望東尼)
630 :
名無氏物語:2009/03/01(日) 02:05:56 ID:rOdCHFrg
みち遠く行きて帰りて今朝のこと思へば冬も日永かりけり(野村望東尼)
631 :
名無氏物語:2009/03/01(日) 02:06:29 ID:rOdCHFrg
山松の木の間の月を眺むればまさに我が身は世をのがれけり(野村望東尼)
632 :
名無氏物語:2009/03/01(日) 02:06:55 ID:rOdCHFrg
昔わが間遠に植ゑし梅さくら楓も枝をさしかはしきぬ(野村望東尼)
633 :
名無氏物語:2009/03/01(日) 02:18:31 ID:rOdCHFrg
ともすれば君がみけしきそこなひて叱られし世ぞ今は恋しき(野村望東尼)
634 :
名無氏物語:2009/03/01(日) 02:19:59 ID:rOdCHFrg
人げなく思ひし島のめぐりきて畑もいできぬ家も見えこむ(野村望東尼)
635 :
名無氏物語:2009/03/01(日) 02:20:39 ID:rOdCHFrg
忍びつつ旅立ちそむる今宵とて山かげ深き宿りをぞする(平野国臣)
636 :
名無氏物語:2009/03/01(日) 07:51:08 ID:rOdCHFrg
ひとすぢにあかき道ゆく中やどに貸してうれしき山のあれ庵(野村望東尼)
637 :
名無氏物語:2009/03/01(日) 07:51:44 ID:rOdCHFrg
瓶にさす千草の花の一束をおのがことしの秋と見るかな(野村望東尼)
638 :
名無氏物語:2009/03/01(日) 07:54:04 ID:rOdCHFrg
夕日影入りしや消ゆる空の虹いのちと見えし雲は残れど(野村望東尼)
639 :
名無氏物語:2009/03/01(日) 07:54:31 ID:rOdCHFrg
もののふの重荷の罪を身一つに負ひてかろくもなる命かな(野村望東尼)
640 :
名無氏物語:2009/03/01(日) 07:54:58 ID:rOdCHFrg
わが世とはつゆ思はねど菊の花ここのへに咲くおほ御代もがな(野村望東尼)
641 :
名無氏物語:2009/03/01(日) 07:55:29 ID:rOdCHFrg
霜あらし月にたぐひて流れゆく身をさすばかりさゆる夜半かな(野村望東尼)
642 :
名無氏物語:2009/03/01(日) 08:00:40 ID:rOdCHFrg
住みそむる獄の枕うちつけに叫ぶばかりの波の声かな(野村望東尼)
643 :
名無氏物語:2009/03/01(日) 08:01:09 ID:rOdCHFrg
冬ごもりこらへこらへて一時に花咲きみてる春は来るらし(野村望東尼)
644 :
名無氏物語:2009/03/01(日) 08:01:55 ID:rOdCHFrg
うぐひすの霞にむせぶ声すなりそのきさらぎの望の夕暮(福田行誡)
645 :
名無氏物語:2009/03/01(日) 08:02:27 ID:rOdCHFrg
きさらぎやたてる煙は消えしかどなほ望の夜の月は曇れり(福田行誡)
646 :
名無氏物語:2009/03/01(日) 08:02:51 ID:rOdCHFrg
後の世と言はむは遠し鵜飼舟この世よりして闇をたどれり(福田行誡)
647 :
名無氏物語:2009/03/01(日) 08:03:29 ID:rOdCHFrg
のちの世を知らせ顔にも篝火のこがれてすぐる鵜飼舟かな(藤原有家)
648 :
名無氏物語:2009/03/01(日) 08:04:04 ID:rOdCHFrg
かがり火の影だにあらじ後の世の闇をもしらぬ鵜飼舟かな(藤原兼宗)
649 :
名無氏物語:2009/03/01(日) 08:04:34 ID:rOdCHFrg
旅衣たつ日となれば人なみに杖よ笠よと言ひさわぎつつ(福田行誡)
650 :
名無氏物語:2009/03/01(日) 20:55:31 ID:rOdCHFrg
ひらけゆくわが大御世も久方の天の岩戸の光なるらむ(福田行誡)
651 :
名無氏物語:2009/03/01(日) 20:56:03 ID:rOdCHFrg
極楽は枕辺ちかくありながらなど夢にだも見られざりけむ(福田行誡)
652 :
名無氏物語:2009/03/01(日) 20:56:47 ID:rOdCHFrg
我もまた惜しとこそ思へ惜しと思ふ命は同じ命ならずや(福田行誡)
653 :
名無氏物語:2009/03/01(日) 20:57:20 ID:rOdCHFrg
春の色の海よりのぼるかげろふに半ばそめたる安房の浦なみ(安藤野雁)
654 :
名無氏物語:2009/03/01(日) 20:57:51 ID:rOdCHFrg
いづこかはさして我が宿行きまじり野にも山にも花のへに寝む(安藤野雁)
655 :
名無氏物語:2009/03/01(日) 20:59:10 ID:rOdCHFrg
さみだれの雨今こそは晴れぬなれあかりて匂ふ姫ゆりの花(安藤野雁)
656 :
名無氏物語:2009/03/01(日) 21:11:39 ID:rOdCHFrg
あはれなる空の蛍のゆくへかな秋風たかく吹きやしぬらむ(安藤野雁)
657 :
名無氏物語:2009/03/01(日) 21:13:22 ID:rOdCHFrg
ながめむかふ心々にかなしさの色さだまらぬ秋の夕雲(安藤野雁)
658 :
名無氏物語:2009/03/01(日) 21:13:58 ID:rOdCHFrg
さぶしさは水底までにとほりけり夕日のすめる秋の砂川(安藤野雁)
659 :
名無氏物語:2009/03/01(日) 21:14:23 ID:rOdCHFrg
水あせて石あらはるる山川に夕日ながるる秋のいろかな(安藤野雁)
660 :
名無氏物語:2009/03/01(日) 21:15:00 ID:rOdCHFrg
軒端よりふりさけみれば富士のねはあまり俄にたてりけるかな(安藤野雁)
661 :
名無氏物語:2009/03/01(日) 21:15:39 ID:rOdCHFrg
ゑのころは多くの子供もたりけり母のむな乳のたらぬばかりに(安藤野雁)
662 :
名無氏物語:2009/03/01(日) 21:16:07 ID:rOdCHFrg
ゑのころは此の頃こそは生まれしか早く恋するものにぞありける(安藤野雁)
663 :
名無氏物語:2009/03/01(日) 21:16:33 ID:rOdCHFrg
わが顔をかべの穴よりうかがひつ鼠の友とおもふなるべし(安藤野雁)
664 :
名無氏物語:2009/03/01(日) 21:24:50 ID:rOdCHFrg
ともすれば琴ひきさしてうち霞む窓の外山のながめられつつ(幽真)
665 :
名無氏物語:2009/03/01(日) 21:25:32 ID:rOdCHFrg
総角に木の芽煮させてつくづくと窓の外山の雪を見るかな(幽真)
666 :
名無氏物語:2009/03/02(月) 00:15:11 ID:pdWZVngp
ただむかふ山松のまにほのぼのとにほへる雲やわが恋ふる花(幽真)
667 :
名無氏物語:2009/03/02(月) 00:15:45 ID:pdWZVngp
舟長の今ぞ盛と棹さしてをしふる雲やわが恋ふる花(加納諸平)
668 :
名無氏物語:2009/03/02(月) 00:16:18 ID:pdWZVngp
かづらきの尾越しの雲の崩れきて夕立すなり風猛の里(幽真)
669 :
名無氏物語:2009/03/02(月) 00:16:44 ID:pdWZVngp
大比叡や小比叡の雲のめぐり来て夕立すなり粟津野の原(賀茂真淵)
670 :
名無氏物語:2009/03/02(月) 00:17:16 ID:pdWZVngp
夏山の繁木が奧の岩間より音さへさむく水走るなり(幽真)
671 :
名無氏物語:2009/03/02(月) 00:17:38 ID:pdWZVngp
月を見て誰かは家を恋ひざらむ野に臥す我も人の子にして(幽真)
672 :
名無氏物語:2009/03/02(月) 00:30:48 ID:pdWZVngp
月明く琴の音きよし老いし身も少女さびして庭に舞はまし(幽真)
673 :
名無氏物語:2009/03/02(月) 00:31:13 ID:pdWZVngp
夕日影ななめに照らす山窓に独りしぐれて散るもみぢかな(幽真)
674 :
名無氏物語:2009/03/02(月) 00:31:42 ID:pdWZVngp
風は清し月はさやけしいざともに踊り明かさむ老のなごりに(良寛)
675 :
名無氏物語:2009/03/02(月) 00:32:09 ID:pdWZVngp
世の中を夢と見果てて誰かすむ風のばせをの葉隠れの宿(幽真)
676 :
名無氏物語:2009/03/02(月) 01:02:15 ID:pdWZVngp
琴とりてこの世は花につくさまし終のむくいはさもあらばあれ(幽真)
677 :
名無氏物語:2009/03/02(月) 01:03:08 ID:pdWZVngp
朝日かげ豊栄のぼる日の本のやまとの国の春のあけぼの(佐久良東雄)
678 :
名無氏物語:2009/03/02(月) 01:03:39 ID:pdWZVngp
桜花咲きの盛りをうち見てもただ武士は涙おちけり(佐久良東雄)
679 :
名無氏物語:2009/03/02(月) 01:04:07 ID:pdWZVngp
よき人とほめられむより今の世は物狂ひとぞ人のいはなむ(佐久良東雄)
680 :
名無氏物語:2009/03/02(月) 01:04:29 ID:pdWZVngp
君がため朝霜ふみてゆく道はたふとくうれしく悲しくありけり(佐久良東雄)
681 :
名無氏物語:2009/03/02(月) 01:05:26 ID:pdWZVngp
春にあけて先づ看る書も天地(の始めの時と読みいづるかな(橘曙覧)
682 :
名無氏物語:2009/03/02(月) 01:06:01 ID:pdWZVngp
物ごとに清めつくして神習ふ国風しるき春は来にけり(橘曙覧)
683 :
名無氏物語:2009/03/02(月) 01:06:37 ID:pdWZVngp
から国の人ならはめや神国の人はまなほに神ならふべし(本居宣長)
684 :
名無氏物語:2009/03/02(月) 01:12:30 ID:pdWZVngp
正月立つすなはち華のさきはひを受けて今歳も笑ひあふ宿(橘曙覧)
685 :
名無氏物語:2009/03/02(月) 01:13:03 ID:pdWZVngp
稲荷坂見あぐる朱の大鳥居ゆり動して人のぼり来る(橘曙覧)
686 :
名無氏物語:2009/03/02(月) 08:06:00 ID:pdWZVngp
おそくとも宿をいでつつ稲荷坂のぼればくだる都人かな(源兼昌)
687 :
名無氏物語:2009/03/02(月) 08:06:39 ID:pdWZVngp
春かけて門田の面に群れし雁一つも見えずなる日さびしも(橘曙覧)
688 :
名無氏物語:2009/03/02(月) 08:07:09 ID:pdWZVngp
升りおりいつ事ゆくといふこともあら野のひばり春すぐすらむ(橘曙覧)
689 :
名無氏物語:2009/03/02(月) 08:07:39 ID:pdWZVngp
すくすくと生ひたつ麦に腹すりて燕飛びくる春の山畑(橘曙覧)
690 :
名無氏物語:2009/03/02(月) 08:08:03 ID:pdWZVngp
若葉さすころはいづこの山見ても何の木見ても麗しきかな(橘曙覧)
691 :
名無氏物語:2009/03/02(月) 08:08:37 ID:pdWZVngp
梅子のうみて昼さへ寝まほしく思ふさ月にはや成りにけり(橘曙覧)
692 :
名無氏物語:2009/03/02(月) 08:09:09 ID:pdWZVngp
天地もひろさ加はるここちして先づあふがるる青雲のそら(橘曙覧)
693 :
名無氏物語:2009/03/02(月) 08:15:12 ID:pdWZVngp
羽ならす蜂あたたかに見なさるる窓をうづめて咲く薔薇かな(橘曙覧)
694 :
名無氏物語:2009/03/02(月) 08:15:51 ID:pdWZVngp
雨つつみ日を経てあみ戸あけ見れば摽ちて梅ありその実三つ四つ(橘曙覧)
695 :
名無氏物語:2009/03/02(月) 08:16:30 ID:pdWZVngp
外の浜千里の目路に塵をなみすずしさ広き砂の上の月(橘曙覧)
696 :
名無氏物語:2009/03/02(月) 14:59:22 ID:pdWZVngp
たたまりて蕊まだ見せぬ葩のぬれ色きよし蓮のあさ露(橘曙覧)
697 :
名無氏物語:2009/03/02(月) 15:00:01 ID:pdWZVngp
いなごまろうるさく出でてとぶ秋の日和よろこび人豆を打つ(橘曙覧)
698 :
名無氏物語:2009/03/02(月) 15:00:46 ID:pdWZVngp
所人は見なれぬ里の一くるわ稲こきやめて我をゆびさす(橘曙覧)
699 :
名無氏物語:2009/03/02(月) 15:01:16 ID:pdWZVngp
人は皆見さして寝たる小夜中の月を静かに入るる窓かな(橘曙覧)
700 :
名無氏物語:2009/03/02(月) 15:01:40 ID:pdWZVngp
茎折れて水にうつぶす枯蓮の葉うらたたきて秋の雨ふる(橘曙覧)
701 :
名無氏物語:2009/03/02(月) 15:02:25 ID:pdWZVngp
妹と寝るとこよ離れて此のあさけ鳴きて来つらむ初かりの声(橘曙覧)
702 :
名無氏物語:2009/03/02(月) 15:08:58 ID:pdWZVngp
はるかなる常世はなれて鳴く雁の雲の衣に秋風ぞ吹く(藤原良経)
703 :
名無氏物語:2009/03/02(月) 15:09:37 ID:pdWZVngp
旅ごろもうべこそさゆれ乗る駒の鞍の高嶺にみ雪つもれり(橘曙覧)
704 :
名無氏物語:2009/03/02(月) 15:10:15 ID:pdWZVngp
朝たちて比良の高根の雪見ればきぞの夜床はうべさえにけり(本居宣長)
705 :
名無氏物語:2009/03/02(月) 15:10:47 ID:pdWZVngp
枯れのこる茎うす赤きいぬたでの腹ばふ庭に霜ふりにける(橘曙覧)
706 :
名無氏物語:2009/03/02(月) 15:11:16 ID:pdWZVngp
ふたりとはまだ人も見ず雪しづれ朝日におつる杉のした道(橘曙覧)
707 :
名無氏物語:2009/03/02(月) 15:12:13 ID:pdWZVngp
真荒男が手どりにしつる虎の血のたばしり赤し門のしら雪(橘曙覧)
708 :
名無氏物語:2009/03/02(月) 16:02:26 ID:pdWZVngp
まれ人を屋所にのこして鳥うちに我は出でゆく黄昏の雪(橘曙覧)
709 :
名無氏物語:2009/03/02(月) 16:02:48 ID:pdWZVngp
きのふまで吾が衣手にとりすがり父よ父よといひてしものを(橘曙覧)
710 :
名無氏物語:2009/03/02(月) 16:03:19 ID:pdWZVngp
今も世にいまされざらむ齢にもあらざるものをあはれ親なし(橘曙覧)
711 :
名無氏物語:2009/03/02(月) 16:03:45 ID:pdWZVngp
しなてるや片岡山にいひにうゑてふせる旅人あはれ親なし(聖徳太子)
712 :
名無氏物語:2009/03/02(月) 16:04:10 ID:pdWZVngp
髪しろくなりても親のある人もおほかるものをわれは親なし(橘曙覧)
713 :
名無氏物語:2009/03/02(月) 16:04:43 ID:pdWZVngp
慕ひあまるこころ額にあつまりてうちつけらるる地の上かな(橘曙覧)
714 :
名無氏物語:2009/03/02(月) 16:09:27 ID:pdWZVngp
亡き母をしたひよわりて寝たる児の顔見るばかり憂きことはあらじ(橘曙覧)
715 :
名無氏物語:2009/03/02(月) 16:10:04 ID:pdWZVngp
今日のこのなげきさせむと同じ世に魂さへあひて生れきにけむ(橘曙覧)
716 :
名無氏物語:2009/03/02(月) 16:10:35 ID:pdWZVngp
はふ児にてわかれまつりし身のうさは面だに母を知らぬなりけり(橘曙覧)
717 :
名無氏物語:2009/03/02(月) 22:02:19 ID:pdWZVngp
うつくしき蝶ほしがりて華園の花に少女の汗こぼすかな(橘曙覧)
718 :
名無氏物語:2009/03/02(月) 22:04:08 ID:pdWZVngp
蝶うつとせし手はづれて御園生の花うちこぼし立つ少女かな(橘曙覧)
719 :
名無氏物語:2009/03/02(月) 22:04:38 ID:pdWZVngp
人妬くおもふ心を花ぞのの蝶にうつして臂は張るらむ(橘曙覧)
720 :
名無氏物語:2009/03/02(月) 22:05:04 ID:pdWZVngp
香青なる松の末葉に白妙の羽うちつけて鶴舞ひめぐる(橘曙覧)
721 :
名無氏物語:2009/03/02(月) 22:05:31 ID:pdWZVngp
白きはね青葉がくれに打ちたたみよそにうつらぬ松の上の鶴(橘曙覧)
722 :
名無氏物語:2009/03/02(月) 22:06:04 ID:pdWZVngp
ありとある竹に風もつ谷の奥水の響をそへて鳴りくる(橘曙覧)
723 :
名無氏物語:2009/03/02(月) 22:15:38 ID:pdWZVngp
河隈の巌に根はふ竹と竹なびきぞ回る水を狭めて(橘曙覧)
724 :
名無氏物語:2009/03/02(月) 22:16:09 ID:pdWZVngp
澗めぐり流るる水をはるばると靡きおくりてつづく竹かな(橘曙覧)
725 :
名無氏物語:2009/03/02(月) 22:16:34 ID:pdWZVngp
滑らかに露もつ苔路風ありて下陰くらき竹の奥かな(橘曙覧)
726 :
名無氏物語:2009/03/02(月) 22:17:01 ID:pdWZVngp
竹の霜とけて雀の睡るかな三つ一枝に羽をまろめて(橘曙覧)
727 :
名無氏物語:2009/03/02(月) 23:01:27 ID:pdWZVngp
茂からぬ一もと竹の細き枝に乗りて親まつ雀の児三つ(橘曙覧)
728 :
名無氏物語:2009/03/02(月) 23:01:54 ID:pdWZVngp
山がらと雀と二つ今一つ何鳥なれか竹くぐりをる(橘曙覧)
729 :
名無氏物語:2009/03/02(月) 23:02:23 ID:pdWZVngp
竹の霜うちとけ顔に頭三つ集めてかたる友すずめかな(橘曙覧)
730 :
名無氏物語:2009/03/02(月) 23:02:48 ID:pdWZVngp
真名鶴の立つる一声鳴きやみて後も響をのこす大空(橘曙覧)
731 :
名無氏物語:2009/03/02(月) 23:12:38 ID:pdWZVngp
あるかぎりひろげし翅あさ風にながしやりたる鶴いづこまで(橘曙覧)
732 :
名無氏物語:2009/03/02(月) 23:13:04 ID:pdWZVngp
あるじはと人もし問はば軒の松あらしといひて吹きかへしてよ(橘曙覧)
733 :
名無氏物語:2009/03/02(月) 23:13:37 ID:pdWZVngp
あるじはととふ人あらば女郎花やどのけしきをみよとこたへよ(鴨長明)
734 :
名無氏物語:2009/03/02(月) 23:14:06 ID:pdWZVngp
軒の松あらしはたゆむ梢よりひかりも寒き冬の夜の月(本居宣長)
735 :
名無氏物語:2009/03/02(月) 23:14:37 ID:pdWZVngp
なかなかに思へばやすき身なりけり世にひろはれぬ峰のおち栗(橘曙覧)
736 :
名無氏物語:2009/03/02(月) 23:15:39 ID:pdWZVngp
あたらしき時代に老いて生きむとす山に落ちたる栗の如くに(斎藤茂吉)
737 :
名無氏物語:2009/03/03(火) 00:00:59 ID:pdWZVngp
抜くからに身をさむくする秋の霜こころにしみてうれしかりけり(橘曙覧)
738 :
名無氏物語:2009/03/03(火) 00:02:19 ID:pdWZVngp
国汚す奴あらばと太刀抜きて仇にもあらぬ壁に物いふ(橘曙覧)
739 :
名無氏物語:2009/03/03(火) 00:02:58 ID:pdWZVngp
山吹のみのひとつだに無き宿はかさも二つはもたぬなりけり(橘曙覧)
740 :
名無氏物語:2009/03/03(火) 00:03:45 ID:pdWZVngp
白雲の行きかひのみを見おくりて今日もさしけり蓬生の門(橘曙覧)
741 :
名無氏物語:2009/03/03(火) 00:04:32 ID:OrTjRIae
たてがみをとらへまたがり裸うまを吾嬬男子のあらなづけする(橘曙覧)
742 :
名無氏物語:2009/03/03(火) 00:05:17 ID:OrTjRIae
夕貌の花しらじらと咲きめぐる賤が伏屋に馬洗ひをり(橘曙覧)
743 :
名無氏物語:2009/03/03(火) 00:13:15 ID:OrTjRIae
着る物の縫ひめ縫ひめに子をひりてしらみの神世始まりにけり(橘曙覧)
744 :
名無氏物語:2009/03/03(火) 00:14:02 ID:OrTjRIae
綿いりの縫目に頭さしいれてちぢむ蝨よわがおもふどち(橘曙覧)
745 :
名無氏物語:2009/03/03(火) 00:15:07 ID:OrTjRIae
やをら出でてころものくびを匍匐き我に恥見する蝨どもかな(橘曙覧)
746 :
名無氏物語:2009/03/03(火) 01:03:18 ID:OrTjRIae
こぼれ糸纚につくりて魚とると二郎太郎三郎川に日くらす(橘曙覧)
747 :
名無氏物語:2009/03/03(火) 01:03:51 ID:OrTjRIae
とくとくと垂りくる酒のなりひさごうれしき音をさするものかな(橘曙覧)
748 :
名無氏物語:2009/03/03(火) 01:04:26 ID:OrTjRIae
煖むる酒のにほひにほだされて今日も家路を黄昏にしつ(橘曙覧)
749 :
名無氏物語:2009/03/03(火) 01:05:00 ID:OrTjRIae
日のひかりいたらぬ山の洞のうちに火ともし入りてかね堀り出だす(橘曙覧)
750 :
名無氏物語:2009/03/03(火) 01:05:53 ID:OrTjRIae
赤裸の男子むれゐて鉱のまろがり砕く鎚うち揮りて(橘曙覧)
751 :
名無氏物語:2009/03/03(火) 01:06:58 ID:OrTjRIae
さひづるや碓たててきらきらとひかる塊つきて粉にする(橘曙覧)
752 :
名無氏物語:2009/03/03(火) 01:07:30 ID:OrTjRIae
筧かけとる谷水にうち浸しゆれば白露手にこぼれくる(橘曙覧)
753 :
名無氏物語:2009/03/03(火) 01:16:27 ID:OrTjRIae
黒けぶり群がりたたせ手もすまに吹き鑠かせばなだれ落つるかね(橘曙覧)
754 :
名無氏物語:2009/03/03(火) 01:17:13 ID:OrTjRIae
鑠くれば灰とわかれてきはやかにかたまり残る白銀の玉(橘曙覧)
755 :
名無氏物語:2009/03/03(火) 01:17:57 ID:OrTjRIae
銀の玉をあまたに筥に収れ荷の緒かためて馬馳らする(橘曙覧)
756 :
名無氏物語:2009/03/03(火) 07:18:07 ID:OrTjRIae
しろがねの荷負へる馬を牽きたてて御貢つかふる御世のみさかえ(橘曙覧)
757 :
名無氏物語:2009/03/03(火) 07:18:35 ID:OrTjRIae
眉白き翁出で来て千とせ経る門の山まつ撫でほむるかな (橘曙覧)
758 :
名無氏物語:2009/03/03(火) 07:20:21 ID:OrTjRIae
起臥もやすからなくに花がたみ目ならびいます神の目おもへば(橘曙覧)
759 :
名無氏物語:2009/03/03(火) 07:20:46 ID:OrTjRIae
口そそぎ手あらひ神を先づ拝む朝のこころを一日わするな(橘曙覧)
760 :
名無氏物語:2009/03/03(火) 07:21:19 ID:OrTjRIae
吹く風の目にこそ見えね神々はこの天地にかむづまります(橘曙覧)
761 :
名無氏物語:2009/03/03(火) 07:28:59 ID:OrTjRIae
いかで我きたなき心さりさりて神とも神と身をなしとげむ(橘曙覧)
762 :
名無氏物語:2009/03/03(火) 07:29:25 ID:OrTjRIae
み出でたちつづく小笠のはるばるとかくれゆくまでうち眺めをり(橘曙覧)
763 :
名無氏物語:2009/03/03(火) 07:29:53 ID:OrTjRIae
なにをして白髪おひつつ老いけむとかひなき我をいかりたまはむ(橘曙覧)
764 :
名無氏物語:2009/03/03(火) 07:30:19 ID:OrTjRIae
壁くぐる竹に肩擦る窓のうち身じろぐたびに彼も枝振る(橘曙覧)
765 :
名無氏物語:2009/03/03(火) 07:30:49 ID:OrTjRIae
膝いるるばかりもあらぬ艸の屋を竹にとられて身をすぼめをり(橘曙覧)
766 :
名無氏物語:2009/03/03(火) 08:02:14 ID:OrTjRIae
撫でやまぬ火桶のいろにならひもてみがきをゆかむ歌の上をも(橘曙覧)
767 :
名無氏物語:2009/03/03(火) 08:02:39 ID:OrTjRIae
よそありきしつつ帰ればさびしげになりて火桶のすわりをるかな(橘曙覧)
768 :
名無氏物語:2009/03/03(火) 08:03:11 ID:OrTjRIae
米の泉なほたらずけり歌をよみ文を作りて売りありけども(橘曙覧)
769 :
名無氏物語:2009/03/03(火) 08:03:40 ID:OrTjRIae
水車ころも縫ふ世となりにけり岩根木根立物言ひいでむ(橘曙覧)
770 :
名無氏物語:2009/03/03(火) 08:04:15 ID:OrTjRIae
眼前いまも神代ぞ神無くは艸木も生ひじ人もうまれじ(橘曙覧)
771 :
名無氏物語:2009/03/03(火) 08:21:14 ID:OrTjRIae
影垂るる星にせまりて薄黒き色たたなはるおぼろ夜の山(橘曙覧)
772 :
名無氏物語:2009/03/03(火) 08:21:46 ID:OrTjRIae
樵歌鳥のさひづり水の音ぬれたる小艸雲かかる松(橘曙覧)
773 :
名無氏物語:2009/03/03(火) 08:22:12 ID:OrTjRIae
吾が歌をよろこび涙こぼすらむ鬼のなく声する夜の窓(橘曙覧)
774 :
名無氏物語:2009/03/03(火) 08:22:38 ID:OrTjRIae
灯火のもとに夜な夜な来たれ鬼我がひめ歌の限りきかせむ(橘曙覧)
775 :
名無氏物語:2009/03/03(火) 08:23:10 ID:OrTjRIae
人臭き人に聞かする歌ならず鬼の夜ふけて来ばつげもせむ(橘曙覧)
776 :
名無氏物語:2009/03/03(火) 19:28:10 ID:OrTjRIae
凡人の耳にはいらじ天地のこころを妙に洩らすわがうた(橘曙覧)
777 :
名無氏物語:2009/03/03(火) 19:28:49 ID:OrTjRIae
たのしみは艸のいほりの莚敷きひとりこころを静めをるとき(橘曙覧)
778 :
名無氏物語:2009/03/03(火) 19:29:22 ID:OrTjRIae
たのしみは妻子むつまじくうちつどひ頭ならべて物をくふ時(橘曙覧)
779 :
名無氏物語:2009/03/03(火) 19:29:53 ID:OrTjRIae
たのしみはまれに魚烹て児等皆がうましうましといひて食ふ時(橘曙覧)
780 :
名無氏物語:2009/03/03(火) 19:30:30 ID:OrTjRIae
たのしみは物をかかせて善き価惜しみげもなく人のくれし時(橘曙覧)
781 :
名無氏物語:2009/03/03(火) 19:41:12 ID:OrTjRIae
たのしみは銭なくなりてわびをるに人の来りて銭くれし時(橘曙覧)
782 :
名無氏物語:2009/03/03(火) 19:41:40 ID:OrTjRIae
たのしみは昼寝せしまに庭ぬらしふりたる雨をさめてしる時(橘曙覧)
783 :
名無氏物語:2009/03/03(火) 19:42:06 ID:OrTjRIae
たのしみは昼寝目ざむる枕べにことことと湯の煮えてある時(橘曙覧)
784 :
名無氏物語:2009/03/03(火) 19:42:27 ID:OrTjRIae
たのしみはわらは墨するかたはらに筆の運びを思ひをる時(橘曙覧)
785 :
名無氏物語:2009/03/03(火) 19:42:52 ID:OrTjRIae
たのしみは紙をひろげてとる筆の思ひの外に能くかけし時(橘曙覧)
786 :
名無氏物語:2009/03/03(火) 20:04:29 ID:OrTjRIae
たのしみは好き筆をえて先づ水にひたしねぶりて試みる時(橘曙覧)
787 :
名無氏物語:2009/03/03(火) 20:05:47 ID:OrTjRIae
おくれても生れし我か同じ世にあらば履をもとらまし翁に(橘曙覧)
788 :
名無氏物語:2009/03/03(火) 20:06:14 ID:OrTjRIae
宿しめて風もしられぬ華を今も見つつますらむやまむろの山(橘曙覧)
789 :
名無氏物語:2009/03/03(火) 20:10:16 ID:OrTjRIae
むらさきに匂へる山よ透きとほる水の流れよ見あく時無き(橘曙覧)
790 :
名無氏物語:2009/03/03(火) 20:11:04 ID:OrTjRIae
地の上に堕ちて朽ちけむ菓の瓤くろめて蟻のむらがる(橘曙覧)
791 :
名無氏物語:2009/03/03(火) 20:11:37 ID:OrTjRIae
群よびにひとつ奔ると見るがうちに長々しくもつくる蟻みち(橘曙覧)
792 :
名無氏物語:2009/03/03(火) 20:11:59 ID:OrTjRIae
蟻と蟻うなづきあひて何か事ありげに奔る西へ東へ(橘曙覧)
793 :
名無氏物語:2009/03/03(火) 20:12:31 ID:OrTjRIae
幽世に入るとも吾は現世に在るとひとしく歌をよむのみ(橘曙覧)
794 :
名無氏物語:2009/03/03(火) 20:43:48 ID:OrTjRIae
歌よみて游ぶ外なし吾はただ天にありとも地にありとも(橘曙覧)
795 :
名無氏物語:2009/03/03(火) 20:44:17 ID:OrTjRIae
人臭き世にはおかざる我がこころすみかを問はば山のしら雲(橘曙覧)
796 :
名無氏物語:2009/03/03(火) 21:02:18 ID:OrTjRIae
天地の間に隔てなき魂をしばらく体のつつみをるなり(橘曙覧)
797 :
名無氏物語:2009/03/03(火) 21:03:09 ID:OrTjRIae
体といふ宅はなるれば天地と我の間に垣一重なし(橘曙覧)
798 :
名無氏物語:2009/03/03(火) 21:04:24 ID:OrTjRIae
物皆を立つ雲霧と思へれば見る目嗅ぐ鼻幽世と同じ(橘曙覧)
799 :
名無氏物語:2009/03/03(火) 21:04:58 ID:OrTjRIae
美豆山の青垣山の神樹葉の茂みが奥に吾が魂こもる(橘曙覧)
800 :
名無氏物語:2009/03/03(火) 21:05:33 ID:OrTjRIae
厳凝と神習ゆく斯の吾が魂いよよますます厳凝してむ(橘曙覧)
801 :
名無氏物語:2009/03/03(火) 21:10:37 ID:OrTjRIae
何わざも吾が国体にあひあはず痛く重みし物すべきなり(橘曙覧)
802 :
名無氏物語:2009/03/03(火) 21:31:10 ID:OrTjRIae
其のわざを取り用ふれば自ら心もそれにうつる恐れあり(橘曙覧)
803 :
名無氏物語:2009/03/03(火) 21:31:34 ID:OrTjRIae
目のまへの事いふならず禍ひの遺らむ末の世を思ふなり(橘曙覧)
804 :
名無氏物語:2009/03/03(火) 21:48:20 ID:OrTjRIae
肝冷す腰の白蛇吾が魂はうづみ鎮めつ山松の根に(橘曙覧)
805 :
名無氏物語:2009/03/03(火) 22:03:27 ID:OrTjRIae
水奔る白蛇なしてきらめける焼太刀見れば独りゑまれつ(橘曙覧)
806 :
名無氏物語:2009/03/03(火) 22:04:54 ID:OrTjRIae
千歳との曇りのみしつる空きよく晴れゆく時片まけぬ(橘曙覧)
807 :
名無氏物語:2009/03/03(火) 22:08:29 ID:OrTjRIae
あたらしくなる天地を思ひきや吾が目昧まぬうちに見んとは(橘曙覧)
808 :
名無氏物語:2009/03/03(火) 22:09:09 ID:OrTjRIae
友ほしく何おもひけむ歌といひ書といふ友ある我にして(橘曙覧)
809 :
名無氏物語:2009/03/03(火) 22:09:40 ID:OrTjRIae
友無きはさびしかりけり然りとて心うちあはぬ友もほしなし(橘曙覧)
810 :
名無氏物語:2009/03/03(火) 22:10:10 ID:OrTjRIae
ほしかるは語りあはるる友一人見べき山水ただ一ところ(橘曙覧)
811 :
名無氏物語:2009/03/03(火) 22:10:48 ID:OrTjRIae
たのしみは物識人に稀にあひて古しへ今を語りあふとき(橘曙覧)
812 :
名無氏物語:2009/03/03(火) 22:27:10 ID:OrTjRIae
艸の庵さひづりめぐる朝すずめ寝耳に聞きて時うつすかな(橘曙覧)
813 :
名無氏物語:2009/03/03(火) 22:27:49 ID:OrTjRIae
天皇の大御使と聞くからにはるかにをがむ膝をり伏せて(橘曙覧)
814 :
名無氏物語:2009/03/03(火) 22:31:23 ID:OrTjRIae
天の下清く払ひて上古の御まつりごとに復るよろこべ(橘曙覧)
815 :
名無氏物語:2009/03/03(火) 23:03:26 ID:OrTjRIae
天皇は神にしますぞ天皇の勅としいはばかしこみまつれ(橘曙覧)
816 :
名無氏物語:2009/03/03(火) 23:04:54 ID:OrTjRIae
湛へつる器の水に鰭ふらせ海川見ざる目をよろこばす(橘曙覧)
817 :
名無氏物語:2009/03/03(火) 23:05:43 ID:OrTjRIae
顔のうへに水はじかせて飛ぶ魚を見かへるだにも眉たゆきなり(橘曙覧)
818 :
名無氏物語:2009/03/03(火) 23:06:11 ID:OrTjRIae
窓の月浮べる水に魚躍るわが枕辺の広沢の池(橘曙覧)
819 :
名無氏物語:2009/03/03(火) 23:06:44 ID:OrTjRIae
ひれはねて小さき魚のとぶ音に寝るともなくて寝る目あけらる(橘曙覧)
820 :
名無氏物語:2009/03/03(火) 23:07:10 ID:OrTjRIae
雲ならで通はぬ峰の石かげに神世のにほひ吐く草の華(橘曙覧)
821 :
名無氏物語:2009/03/03(火) 23:08:06 ID:OrTjRIae
袖に置く涙のつゆにうつしませ逢ふがまほしと恋ふる御影を(静寛院宮)
822 :
名無氏物語:2009/03/03(火) 23:14:31 ID:OrTjRIae
ことしこそのどけさおぼゆ去年までは春を春とも知らざりし身の(静寛院宮)
823 :
名無氏物語:2009/03/03(火) 23:16:07 ID:OrTjRIae
めぐみある御代にひかれてあづさ弓都のはるに逢ふがうれしさ(静寛院宮)
824 :
名無氏物語:2009/03/04(水) 00:11:13 ID:uwKJwtZK
惜しまじな君と民とのためならば身は武蔵野の露と消ゆとも(静寛院宮)
825 :
名無氏物語:2009/03/04(水) 00:15:29 ID:uwKJwtZK
うつせみの唐織衣なにかせむ綾も錦も君ありてこそ(静寛院宮)
826 :
名無氏物語:2009/03/04(水) 00:16:18 ID:uwKJwtZK
時は今は冬になりぬとしぐるめりとほき山べに雲のかかれる(宗尊親王)
827 :
名無氏物語:2009/03/04(水) 00:16:40 ID:uwKJwtZK
時は今はまだき木の芽も春の色に霞のそむる四方の山かな(中院通村)
828 :
名無氏物語:2009/03/04(水) 00:17:46 ID:uwKJwtZK
うすくこく茂るをままに吹き分けて風のゆくへの見えし夏草(葛岡宣慶)
829 :
名無氏物語:2009/03/04(水) 00:19:26 ID:uwKJwtZK
旅ぞ憂き一夜と思へど冬の夜は透間の風の吹きて身にしむ(葛岡宣慶)
830 :
名無氏物語:2009/03/04(水) 00:31:34 ID:uwKJwtZK
春といへば今はの心つくからに峯をはるかに帰る雁がね(藤原隆信)
831 :
名無氏物語:2009/03/04(水) 00:32:03 ID:uwKJwtZK
忘れずよ今はの心つくばねの峯の嵐に有明の月(藤原家隆)
832 :
名無氏物語:2009/03/04(水) 00:32:25 ID:uwKJwtZK
しののめも思ひならひぬ暮れぬとていまはの心花につくより(契沖)
833 :
名無氏物語:2009/03/04(水) 00:36:07 ID:uwKJwtZK
草木には見えぬ色しも秋来ぬとおもひの露ぞ心よりおく(三条西実隆)
834 :
名無氏物語:2009/03/04(水) 01:33:31 ID:uwKJwtZK
いつとなく心よりおく露をこそなべての秋も尋ねきぬらむ(三条西実隆)
835 :
名無氏物語:2009/03/04(水) 01:33:59 ID:uwKJwtZK
明けばまづ木の葉に袖をくらぶべし夜半の時雨よ夜半の涙よ(慈円)
836 :
名無氏物語:2009/03/04(水) 01:34:39 ID:uwKJwtZK
いかにして神のうけつぐ程ばかり心のしめをかけてたのまむ(元可)
837 :
名無氏物語:2009/03/04(水) 01:35:17 ID:uwKJwtZK
しら雪の猶かきくらしふるさとの吉野のおくも春は来にけり(嘉喜門院)
838 :
名無氏物語:2009/03/04(水) 01:35:39 ID:uwKJwtZK
かきくらしなほふる郷のみよし野はいつの雪間に春の来ぬらむ(貞常親王)
839 :
名無氏物語:2009/03/04(水) 01:36:03 ID:uwKJwtZK
枯るるより刈りもはらはぬ道みえて雪に跡ある野べの草むら(後水尾院)
840 :
名無氏物語:2009/03/04(水) 01:36:31 ID:uwKJwtZK
鵜飼舟月もをぐらの山かげに闇をしたひてかがりさすなり(一条兼良)
841 :
名無氏物語:2009/03/04(水) 23:34:32 ID:uwKJwtZK
月きよみ竹の葉しろくふる雪はそよぐ風にもこぼれざりけり(殷富門院大輔)
842 :
名無氏物語:2009/03/04(水) 23:35:18 ID:uwKJwtZK
わすれじの人の心の限をもみ山の里のけさのしら雪(肖柏)
843 :
名無氏物語:2009/03/04(水) 23:35:57 ID:uwKJwtZK
つれづれと空ぞ見らるる思ふ人天くだり来んものならなくに(和泉式部)
844 :
名無氏物語:2009/03/04(水) 23:36:30 ID:uwKJwtZK
聞くやいかに嵐の音もくれ竹のふしみの里の秋の夜の月(信覚)
845 :
名無氏物語:2009/03/04(水) 23:37:27 ID:uwKJwtZK
久かたの空さへかけてまきもくのあなしの山は花かづらせり(浄弁)
846 :
名無氏物語:2009/03/04(水) 23:38:02 ID:uwKJwtZK
よしさらば夢路はたえね草枕月を都の面影にして(頓阿)
847 :
名無氏物語:2009/03/05(木) 00:02:55 ID:RJD1kmV9
ねぬる夜も目はさめにけり夕暮の花のにほひを面影にして(飛鳥井雅親)
848 :
名無氏物語:2009/03/05(木) 00:03:26 ID:RJD1kmV9
咲きしより花にうつろふ山里の春のこころはちるかたもなし(本居宣長)
849 :
名無氏物語:2009/03/05(木) 00:03:58 ID:RJD1kmV9
初瀬風谷吹きのぼる梅が香にかすむ尾上の月ぞいざよふ(正徹)
850 :
名無氏物語:2009/03/05(木) 00:12:22 ID:RJD1kmV9
袖したふかた野の露や天の川遠き渡りの秋の夕暮(正徹)
851 :
名無氏物語:2009/03/05(木) 00:17:19 ID:RJD1kmV9
難波江やこと浦かけてひく汐のはやくぞ人はとほざかり行く(多多良重貞)
852 :
名無氏物語:2009/03/05(木) 00:17:54 ID:RJD1kmV9
夕されば塩みちくらし芦の屋の深江のはしにかかる白波(飛鳥井雅有)
853 :
名無氏物語:2009/03/05(木) 00:18:32 ID:RJD1kmV9
吹く風の目にこそ見えね神々は此の天地にかむづまります(橘曙覧)
854 :
名無氏物語:2009/03/05(木) 00:19:19 ID:RJD1kmV9
月のもるね屋の板まに露みえて寝覚夜ぶかき蓬生の宿(花山院長親)
855 :
名無氏物語:2009/03/05(木) 00:20:21 ID:RJD1kmV9
散り初むる桐の一葉の露の上にねざめ夜深き月を見るかな(蓮月)
856 :
名無氏物語:2009/03/05(木) 17:11:50 ID:RJD1kmV9
今は又よそになるみのかたし貝我ぞしをるるあふよしをなみ(花山院長親)
857 :
名無氏物語:2009/03/05(木) 17:17:11 ID:RJD1kmV9
袖の上におぼえずおつる涙にもすずろに月はやどりぬるかな(油谷倭文子)
858 :
名無氏物語:2009/03/05(木) 17:27:27 ID:RJD1kmV9
狩人の夏の夜ふかくいるさ山ともしの影の見えみ見えずみ(二条太皇太后宮大弐)
859 :
名無氏物語:2009/03/05(木) 17:27:57 ID:RJD1kmV9
衣手は涙に濡れぬ紅のやしほは恋の染むるなりけり(二条太皇太后宮大弐)
860 :
名無氏物語:2009/03/05(木) 17:30:39 ID:RJD1kmV9
まちわぶる桜の花は思ひ寝の夢路よりまづ咲きそめにけり(本居宣長)
861 :
名無氏物語:2009/03/05(木) 17:31:13 ID:RJD1kmV9
花も根にかへるを見てぞ木のもとにわれも家路は思ひいでける(下河辺長流)
862 :
名無氏物語:2009/03/05(木) 17:32:03 ID:RJD1kmV9
清見潟おきの岩こす白浪に光をかはす秋の夜の月(西行)
863 :
名無氏物語:2009/03/05(木) 23:00:15 ID:RJD1kmV9
あすよりは秋もあらしのおとは山かた見となしにちる紅葉かな(藤原定家)
864 :
名無氏物語:2009/03/05(木) 23:01:07 ID:RJD1kmV9
今いくか秋もあらしのよこ雲にいづればしらむ山のはの月(藤原定家)
865 :
名無氏物語:2009/03/05(木) 23:01:42 ID:RJD1kmV9
なが月や秋もあらしの夕時雨そめてもをしくちる木の葉かな(後崇光院)
866 :
名無氏物語:2009/03/05(木) 23:02:22 ID:RJD1kmV9
瀬をはやみ岩きる浪のよとともに玉ちるばかりくだけてぞふる(藤原定家)
867 :
名無氏物語:2009/03/05(木) 23:03:03 ID:RJD1kmV9
春のゆくみ吉野川の瀬をはやみせくもかひなき花のいは波(後鳥羽院)
868 :
名無氏物語:2009/03/05(木) 23:16:47 ID:RJD1kmV9
めぐりあはむ雲のはつかにみか月のわれても末に影へだつなよ(三条西実隆)
869 :
名無氏物語:2009/03/05(木) 23:17:36 ID:RJD1kmV9
吹く風は枝も鳴らさで万世とよばふ声のみ音高の山(藤原俊成)
870 :
名無氏物語:2009/03/05(木) 23:18:12 ID:RJD1kmV9
松山に波こえざらば浜千鳥かへりてあとは残らざらまし(香川景樹)
871 :
名無氏物語:2009/03/05(木) 23:19:54 ID:RJD1kmV9
難波津に咲くやこの花冬ごもり今は春べと咲くやこの花(王仁)
872 :
名無氏物語:2009/03/05(木) 23:22:09 ID:RJD1kmV9
願はくは花の下にて春死なむその如月の望月のころ(西行)
873 :
名無氏物語:2009/03/05(木) 23:23:38 ID:RJD1kmV9
いかにして氷りとぢたる柴の戸にもりくる春の苔の下水(俊成卿女)
874 :
名無氏物語:2009/03/06(金) 00:00:11 ID:RJD1kmV9
山かげの岩間をつたふ苔水のかすかにわれはすみわたるかも(良寛)
875 :
名無氏物語:2009/03/06(金) 00:00:58 ID:RJD1kmV9
み吉野は草のはつかに浅緑たかねのみ雪いまや消ゆらむ(藤原良経)
876 :
名無氏物語:2009/03/06(金) 00:02:06 ID:RJD1kmV9
水上の高嶺の雪も今日とけて清滝川に春風ぞ吹く(千種有功)
877 :
名無氏物語:2009/03/06(金) 00:02:50 ID:RJD1kmV9
跡しめて見ぬ世の春を偲ぶかなそのきさらぎの花の下かげ(頓阿)
878 :
名無氏物語:2009/03/06(金) 00:03:24 ID:RJD1kmV9
昔とぞ又しのばるる跡とひしその二月の春の面影(頓阿)
879 :
名無氏物語:2009/03/06(金) 00:04:05 ID:INw3VdjJ
うぐひすの霞にむせぶ声すなりそのきさらぎの望の夕暮(福田行誡)
880 :
名無氏物語:2009/03/06(金) 00:04:42 ID:INw3VdjJ
心のみわけこむ花の都には去年のしをりのかひやなからむ(下冷泉政為)
881 :
名無氏物語:2009/03/06(金) 00:15:08 ID:INw3VdjJ
桜花ちるわかれこそ憂きものと思ひなれにし暁の空(藤原範宗)
882 :
名無氏物語:2009/03/06(金) 00:15:46 ID:INw3VdjJ
待ちしより散る別れこそ悲しけれ春も限りの花となごりに(他阿)
883 :
名無氏物語:2009/03/06(金) 00:16:24 ID:INw3VdjJ
夕波の立ちもかへらで涼しさのここを瀬にせむ河づらの里(祇園百合子)
884 :
名無氏物語:2009/03/06(金) 17:52:26 ID:INw3VdjJ
さみだれの雲まの軒の時鳥雨にかはりて声のおちくる(慈円)
885 :
名無氏物語:2009/03/06(金) 17:53:01 ID:INw3VdjJ
雲路までにほひやいづるほととぎす花橘に声のおちくる(藤原家隆)
886 :
名無氏物語:2009/03/06(金) 17:53:35 ID:INw3VdjJ
五月闇おぼつかなきに郭公ふかき峰より鳴きていづなり(源実朝)
887 :
名無氏物語:2009/03/06(金) 17:54:08 ID:INw3VdjJ
初雁のつばさにかかる白雲の深き峰より出づる月かげ(藤原秀能)
888 :
名無氏物語:2009/03/06(金) 17:54:42 ID:INw3VdjJ
すずしさもここにはしかじ稲筵しみづながるる山の岩が根(伏見院)
889 :
名無氏物語:2009/03/06(金) 17:55:20 ID:INw3VdjJ
あふ坂や春にぞあくる柳陰し水ながるる関の岩かど(正徹)
890 :
名無氏物語:2009/03/06(金) 18:04:20 ID:INw3VdjJ
よられつる草もすずしき色に見えてうれしがほなるむら雨の庭(正親町公蔭)
891 :
名無氏物語:2009/03/06(金) 18:05:39 ID:INw3VdjJ
よられつる千種百草葉をのべて名残すずしき野辺の夕立(上冷泉為広)
892 :
名無氏物語:2009/03/06(金) 18:07:48 ID:INw3VdjJ
水無月のてる日にいたくよられつる草葉も今や野べの夕風(松永貞徳)
893 :
名無氏物語:2009/03/06(金) 18:08:19 ID:INw3VdjJ
雲かかる遠山畑と人のいふさびしき額に花の種子播く(前登志夫)
894 :
名無氏物語:2009/03/06(金) 18:14:02 ID:INw3VdjJ
月もなほおなじかげにてすむものをいかにかはれる我が世なるらむ(宗尊親王)
895 :
名無氏物語:2009/03/06(金) 18:14:34 ID:INw3VdjJ
いまははや鴫たつ沢のかげも見ずこほりにむかふ冬の夜の月(冷泉為尹)
896 :
名無氏物語:2009/03/06(金) 18:15:35 ID:INw3VdjJ
あはれをばただ夕暮におもひしを鴫たつ沢の有明の月(冷泉為尹)
897 :
名無氏物語:2009/03/06(金) 18:21:50 ID:INw3VdjJ
ふかくなる鴫たつ沢の秋の水すみのえよりやながれそふらむ(木下長嘯子)
898 :
名無氏物語:2009/03/07(土) 17:50:23 ID:NWwenTAI
行く春のいはぬをしたふ人やあると色にやいづる山吹の花(藤原家隆)
899 :
名無氏物語:2009/03/07(土) 17:50:57 ID:NWwenTAI
憂へつくす月のおもてにしるしあれな眺めは人のあはれしるべく(正親町公蔭)
900 :
名無氏物語:2009/03/07(土) 17:53:08 ID:NWwenTAI
思ひやるそなたの空もしぐるなりかこちがほなる雲の色かな(順徳院)
901 :
名無氏物語:2009/03/07(土) 17:53:46 ID:NWwenTAI
つらかりし人ならなくに打佗びてかこちがほなる秋の夕ぐれ(木下長嘯子)
902 :
名無氏物語:2009/03/07(土) 17:54:44 ID:NWwenTAI
惜しからぬ命こころにかなはずはありへば人に逢瀬ありやと(曾禰好忠)
903 :
名無氏物語:2009/03/07(土) 17:55:24 ID:NWwenTAI
憂き世ぞと思ひすつれど命こそさすがに惜しきものにはありけれ(相模)
904 :
名無氏物語:2009/03/07(土) 18:01:24 ID:NWwenTAI
つくづくとおつる涙にしづむとも聞けとて鐘のおとづれしかな(和泉式部)
905 :
名無氏物語:2009/03/07(土) 18:07:08 ID:NWwenTAI
有為の世は今日か明日かの鐘の音をあはれいつまで聞かむとすらむ(源兼昌)
906 :
名無氏物語:2009/03/07(土) 18:07:55 ID:NWwenTAI
誰か知るうき世をすてて柴の戸をやがて出でじと思ふ身ぞとは(慈円)
907 :
名無氏物語:2009/03/07(土) 18:13:47 ID:NWwenTAI
松風の音せぬ山の奥もがなさびしさ知らでうき世いとはむ(花山院長親)
908 :
名無氏物語:2009/03/07(土) 18:33:20 ID:NWwenTAI
身をつめば老木の花ぞあはれなるいまいくとせか春にあふべき(藤原清輔)
909 :
名無氏物語:2009/03/07(土) 18:33:57 ID:NWwenTAI
人の世は思へばなべてあだし野のよもぎがもとのひとつ白露(藤原良経)
910 :
名無氏物語:2009/03/07(土) 18:34:38 ID:NWwenTAI
老が世を思へばなべて散ることもひとりのための花とこそ見れ(三条西実隆)
911 :
名無氏物語:2009/03/07(土) 19:55:19 ID:NWwenTAI
照らすらむ神路の山の朝日かげあまつ雲居をのどかなれとは(藤原定家)
912 :
名無氏物語:2009/03/07(土) 19:56:54 ID:NWwenTAI
心なき身にもあはれは知られけり鴫立つ沢の秋の夕暮(西行)
913 :
名無氏物語:2009/03/07(土) 19:58:25 ID:NWwenTAI
うちきらし雪はふりきぬ高円の山の桜に風や吹くらむ(雅成親王)
914 :
名無氏物語:2009/03/07(土) 19:59:00 ID:NWwenTAI
三日月に紅にほふ桃の花ひかりもいとどまされとぞ思ふ(大江匡房)
915 :
名無氏物語:2009/03/07(土) 19:59:34 ID:NWwenTAI
楢柴も枯れゆくきぎすかげをなみ立つや狩場のおのがありかを(藤原定家)
916 :
名無氏物語:2009/03/07(土) 20:00:10 ID:NWwenTAI
おのが妻こひわびにけり春の野にあさるきぎすの朝な朝ななく(源実朝)
917 :
名無氏物語:2009/03/07(土) 20:06:52 ID:NWwenTAI
春日野やいづくみむろの梅がえに霞たなびき鶯ぞなく(藤原家隆)
918 :
名無氏物語:2009/03/07(土) 20:09:04 ID:NWwenTAI
うちなびく春さりくれば春日野に霞たなびきうぐひす鳴くも(本居宣長)
919 :
名無氏物語:2009/03/07(土) 20:09:40 ID:NWwenTAI
萬高フなかに獨りのおのれゐてうらがなし鳥のゆく道を思へ(前川佐美雄)
920 :
名無氏物語:2009/03/07(土) 20:10:13 ID:NWwenTAI
風ふけばいささむら竹うちそよぎさしも秋めく夜半のけしきよ(藤原惟方)
921 :
名無氏物語:2009/03/07(土) 20:11:24 ID:NWwenTAI
秋来ぬとおどろかれけり窓ちかくいささ群竹かぜそよぐ夜は(藤原実定)
922 :
名無氏物語:2009/03/07(土) 20:12:11 ID:NWwenTAI
わが宿のいささむら竹うちなびき夕暮しるき風の音かな(藤原為家)
923 :
名無氏物語:2009/03/07(土) 21:02:26 ID:NWwenTAI
山本のいささむら竹うちなびき散らぬ紅葉に夕風ぞ吹く(冷泉為尹)
924 :
名無氏物語:2009/03/07(土) 21:03:16 ID:NWwenTAI
深き夜の風は音して灯の窓しづかなるいささむら竹(肖柏)
925 :
名無氏物語:2009/03/07(土) 21:03:54 ID:NWwenTAI
うらうらに照らす春日はあしひきの山も霞みて遠くなりぬる(源道済)
926 :
名無氏物語:2009/03/07(土) 21:04:35 ID:NWwenTAI
むらぎもの心楽しも春の日に鳥のむらがり遊ぶを見れば(良寛)
927 :
名無氏物語:2009/03/07(土) 21:05:19 ID:NWwenTAI
うらうらと天に雲雀は啼きのぼり雲斑らなる山に雲ゐず(斎藤茂吉)
928 :
名無氏物語:2009/03/07(土) 21:05:59 ID:NWwenTAI
山たかみ見つつこえゆく峰の松かへりこむまで面がはりすな(長慶天皇)
929 :
名無氏物語:2009/03/07(土) 21:06:43 ID:NWwenTAI
埴生坂花咲く岸にたつ未通女春の永日の誰が愛しき妻(保田與重郎)
930 :
名無氏物語:2009/03/07(土) 21:07:26 ID:NWwenTAI
千とせふとわがきくなへに蘆たづの鳴きわたるなる声のはるけさ(紀貫之)
931 :
名無氏物語:2009/03/07(土) 21:18:12 ID:NWwenTAI
天の原ふりさけみればますかがみきよき月よに雁鳴きわたる(源実朝)
932 :
名無氏物語:2009/03/07(土) 21:19:02 ID:NWwenTAI
をかみ川ねじろたかがや踏みしだきとる葦付もせながためとぞ(源俊頼)
933 :
名無氏物語:2009/03/07(土) 22:56:28 ID:NWwenTAI
うつつにはさらにもいはずぬる玉の夢の中にもはなれやはする(藤原俊成)
934 :
名無氏物語:2009/03/07(土) 22:57:12 ID:NWwenTAI
秋ぞみるこがね花さくみちのくの山の木の葉の色をひとつに(正徹)
935 :
名無氏物語:2009/03/07(土) 22:57:44 ID:NWwenTAI
いづくをも秋やかまくら山とみん金花さく下紅葉かな(正徹)
936 :
名無氏物語:2009/03/07(土) 22:58:23 ID:NWwenTAI
君がよのこがね花さくみちのおくの同じ名におふみよしのの山(細川幽斎)
937 :
名無氏物語:2009/03/07(土) 22:59:04 ID:NWwenTAI
はしきやし有田の山は冬枯に青葉しげりてこがね花さく(本居宣長)
938 :
名無氏物語:2009/03/07(土) 22:59:47 ID:NWwenTAI
神な月しぐれてきたるかささぎの羽に霜おきさゆる夜の袖(藤原定家)
939 :
名無氏物語:2009/03/07(土) 23:00:39 ID:NWwenTAI
天の河夜わたる月もこほるらむ霜にしもおくかささぎの橋(藤原定家)
940 :
名無氏物語:2009/03/07(土) 23:01:18 ID:NWwenTAI
月きよみ有明の霜の萩の葉に白きをみれば嵐なりけり(藤原家隆)
941 :
名無氏物語:2009/03/07(土) 23:12:49 ID:NWwenTAI
秋の霜白きを見れば鵲の渡せる橋に月の冴えける(後鳥羽院)
942 :
名無氏物語:2009/03/07(土) 23:13:40 ID:NWwenTAI
月影の白きを見ればかささぎのわたせる橋に霜ぞ置きにける(源実朝)
943 :
名無氏物語:2009/03/07(土) 23:14:25 ID:NWwenTAI
松の葉の白きを見れば春日山木の芽もはるの雪ぞ降りける(源実朝)
944 :
名無氏物語:2009/03/07(土) 23:15:06 ID:NWwenTAI
かさ鷺のわたせる橋の霜消えて天つ日影や今朝しぐるらむ(正徹)
945 :
名無氏物語:2009/03/07(土) 23:15:52 ID:NWwenTAI
くしげなる鏡の山を越えゆかむ我は恋しき妹が夢みたり(大伴家持)
946 :
名無氏物語:2009/03/07(土) 23:18:03 ID:NWwenTAI
日の本の光を見せてはるかなる唐土までも春や立つらむ(細川幽斎)
947 :
名無氏物語:2009/03/07(土) 23:18:43 ID:NWwenTAI
雲がくれ鳴きてゆくなる初雁のはつかにみてぞ人はこひしき(源実朝)
948 :
名無氏物語:2009/03/07(土) 23:55:26 ID:NWwenTAI
ともしびを花の光にさきだてて窓の白雪春いそぐなり(足利義尚)
949 :
名無氏物語:2009/03/07(土) 23:57:26 ID:NWwenTAI
行き行きておもふもかなし末遠くこえし高根の峰の白雲(後水尾院)
950 :
名無氏物語:2009/03/08(日) 00:00:34 ID:NWwenTAI
忘れめや片野の花もかつ見ゆる淀のわたりの春の明けぼの(千種有功)
951 :
名無氏物語:2009/03/08(日) 00:01:32 ID:6Gw3RZns
玉ふくむ井手の山吹あはれあはれ駒にかふちふ露なこぼしそ(和田厳足)
952 :
名無氏物語:2009/03/08(日) 00:02:07 ID:6Gw3RZns
風はやきあぶくま川の小夜千鳥涙なそへそ袖の氷に(後鳥羽院)
953 :
名無氏物語:2009/03/08(日) 00:02:37 ID:6Gw3RZns
きりぎりす涙なそへそ草の戸の露に袂はくたしはててき(加納諸平)
954 :
名無氏物語:2009/03/08(日) 00:18:19 ID:6Gw3RZns
まどろめば野をちかづけて枕べにあるここちする菫さわらび(大隈言道)
955 :
名無氏物語:2009/03/08(日) 00:18:57 ID:6Gw3RZns
わが心いかにせよとか山吹のうつろふ花の嵐たつらむ(源実朝)
956 :
名無氏物語:2009/03/08(日) 00:19:30 ID:6Gw3RZns
吹ききつる花橘の身にしめば我も昔の袖の香やする(小侍従)
957 :
名無氏物語:2009/03/08(日) 00:20:07 ID:6Gw3RZns
しのばじな我もむかしの夕まぐれ花橘に風はすぐらむ(俊成卿女)
958 :
名無氏物語:2009/03/08(日) 00:20:54 ID:6Gw3RZns
五月雨は鹿火屋のけぶりうちしめり山田のくれにかはづ鳴くなり(藤原家隆)
959 :
名無氏物語:2009/03/08(日) 00:21:28 ID:6Gw3RZns
降る雨に蚊遣りの煙うちしめりいぶせくみゆる薮浪の里(小沢蘆庵)
960 :
名無氏物語:2009/03/08(日) 01:27:14 ID:6Gw3RZns
八重葎さしこもりにしふるさとは世を鶯のねをのみぞきく(飛鳥井雅有)
961 :
名無氏物語:2009/03/08(日) 01:27:47 ID:6Gw3RZns
かぢの葉におきけるものをよしやさは水かげ草の露の玉づさ(正徹)
962 :
名無氏物語:2009/03/08(日) 01:28:24 ID:6Gw3RZns
たづねても誰かはとはむ鶉鳴く野辺にあはれを深草の里(藤原兼宗)
963 :
名無氏物語:2009/03/08(日) 01:29:10 ID:6Gw3RZns
石ばしる水のしら玉手にとりてかぞふばかりもすめる月かな(三条西実隆)
964 :
名無氏物語:2009/03/08(日) 01:29:43 ID:6Gw3RZns
まばらなるまきの板屋に影もりて手にとるばかりすめる夜の月(後鳥羽院)
965 :
名無氏物語:2009/03/08(日) 01:30:19 ID:6Gw3RZns
月きよみさ夜更け行けば伊勢島や一志の浦に千鳥鳴くなり(源実朝)
966 :
名無氏物語:2009/03/08(日) 01:33:04 ID:6Gw3RZns
もしほやく難波の御津に鳴く千鳥からきうき世はなれもかなしや(宗尊親王)
967 :
名無氏物語:2009/03/08(日) 01:34:37 ID:6Gw3RZns
このごろは色なき草に波こえて月にみがける野路の玉川(藤原為家)
968 :
名無氏物語:2009/03/08(日) 13:55:19 ID:6Gw3RZns
かへるさのたが涙とはしらねども月にみがける道芝の露(順徳院)
969 :
名無氏物語:2009/03/08(日) 13:56:05 ID:6Gw3RZns
みわたせば降りつむ雪を有明の月にみがける多摩の横山(橘千蔭)
970 :
名無氏物語:2009/03/08(日) 14:02:25 ID:6Gw3RZns
かり寝する玉えの月のあけ方に声もさやかに鳴く千鳥かな(後鳥羽院)
971 :
名無氏物語:2009/03/08(日) 14:05:29 ID:6Gw3RZns
たちかへり又も来て見むはし鷹のとやのをいづる秋の夜の月(藤原家隆)
972 :
名無氏物語:2009/03/08(日) 14:06:54 ID:6Gw3RZns
思ひきやあるにもあらぬ身のはてに君なきのちの夢を見むとは(藤原俊成)
973 :
名無氏物語:2009/03/08(日) 14:12:02 ID:6Gw3RZns
なげくべきその数にだにあらねども思ひ知らぬは涙なりけり(藤原俊成)
974 :
名無氏物語:2009/03/08(日) 14:12:37 ID:6Gw3RZns
おのづからしばし忘るる夢もあればおどろかれてぞさらに悲しき(藤原俊成)
975 :
名無氏物語:2009/03/08(日) 14:24:45 ID:6Gw3RZns
くやしくぞ久しく人に馴れにける別れも深く悲しかりけり(藤原俊成)
976 :
名無氏物語:2009/03/08(日) 14:25:15 ID:6Gw3RZns
いつまでかこの世の空をながめつつ夕べの雲をあはれとも見む(藤原俊成)
977 :
名無氏物語:2009/03/08(日) 14:25:56 ID:6Gw3RZns
思ひかね草の原とてわけ来ても心をくだく苔の下かな(藤原俊成)
978 :
名無氏物語:2009/03/08(日) 14:27:06 ID:6Gw3RZns
苔の下とどまる玉もありといふ行きけむ方はそこと教へよ(藤原俊成)
979 :
名無氏物語:2009/03/08(日) 15:00:58 ID:6Gw3RZns
しのぶとて恋ふとてこの世かひぞなき長くて果てぬ苔の行方に(藤原俊成)
980 :
名無氏物語:2009/03/08(日) 15:12:15 ID:6Gw3RZns
忘るなよ舟まつほどの川岸にことかたらふも世々の契りを(正徹)
981 :
名無氏物語:2009/03/08(日) 15:12:54 ID:6Gw3RZns
忘るなよただ今のまの逢ふことも思へばさきの世々の契りを(中院通村)
982 :
名無氏物語:2009/03/08(日) 15:13:43 ID:6Gw3RZns
身にしめてなどあながちに恋をのみしかまの市にそめかへぬらむ(俊成卿女)
983 :
名無氏物語:2009/03/08(日) 15:14:32 ID:6Gw3RZns
恋せずは人の心もなからまし物のあはれもこれよりぞ知る(藤原俊成)
984 :
名無氏物語:2009/03/08(日) 15:15:16 ID:6Gw3RZns
恋せずはあはれも知らじとばかりの身をうの花の雨にかこちて(祇園梶子)
985 :
名無氏物語:2009/03/08(日) 15:15:56 ID:6Gw3RZns
恋ひかぬる心のはてやみ吉野の山のおくにも思ひ入るべき(藤原公衡)
986 :
名無氏物語:2009/03/08(日) 15:16:38 ID:6Gw3RZns
思ひ入る人は絶えたる奥山になきても鹿のひとりすむらむ(元政)
987 :
名無氏物語:2009/03/08(日) 15:18:23 ID:6Gw3RZns
忘れじよ忘るなとだに言の葉にいはぬを残す水ぐきの跡(正徹)
988 :
名無氏物語:2009/03/08(日) 15:26:59 ID:6Gw3RZns
昔より秋の暮をば惜しみしが今年は我ぞ先立ちぬべき(藤原俊成)
989 :
名無氏物語:2009/03/08(日) 15:29:15 ID:6Gw3RZns
武蔵野のほりかねの井もあるものをうれしく水の近づきにける(藤原俊成)
990 :
名無氏物語:2009/03/08(日) 16:12:18 ID:6Gw3RZns
風すずしなくうつ蝉のからころも日もゆふだちの雲のきえがた(藤原定家)
991 :
名無氏物語:2009/03/08(日) 16:12:49 ID:6Gw3RZns
吹く風のすずしくもあるかおのづから山の蝉鳴きて秋は来にけり(源実朝)
992 :
名無氏物語:2009/03/08(日) 16:13:21 ID:6Gw3RZns
風涼しぬるともゆかむ夏衣日も夕立の雨はふりきぬ(大内政弘)
993 :
名無氏物語:2009/03/08(日) 16:13:54 ID:6Gw3RZns
吹きほさぬ雫もすずし夏ごろも日も夕だちの杉の下風(肖柏)
994 :
名無氏物語:2009/03/08(日) 16:14:35 ID:6Gw3RZns
見わたせば山本かすむ水無瀬川夕べは秋となにおもひけん(後鳥羽院)
995 :
名無氏物語:2009/03/08(日) 16:15:20 ID:6Gw3RZns
露むすぶ小萩が花の夕しめり月のみ秋となに思ひけん(後崇光院)
996 :
名無氏物語:2009/03/08(日) 16:16:10 ID:6Gw3RZns
吹く風にちりかひくもる冬の夜の月のかつらの花のしら雪(後二条院)
997 :
名無氏物語:2009/03/08(日) 16:16:46 ID:6Gw3RZns
月みても雲井へだつと恨みこしその世の秋ぞ今は恋しき(惟宗光吉)
998 :
名無氏物語:2009/03/08(日) 16:43:21 ID:6Gw3RZns
おのづからつてに通ひし言の葉につらかりし世ぞ今は恋しき(千種有光)
999 :
名無氏物語:2009/03/08(日) 16:47:59 ID:6Gw3RZns
数しらぬ昔をきけば見しほどもすたれたる世の今は恋しき(正徹)
1000 :
名無氏物語:2009/03/08(日) 17:00:24 ID:6Gw3RZns
忘れずよ憂しと見しよの春をさへ又このごろの花にしのびて(有賀長伯)
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