1 :
名無氏物語:
2 :
名無氏物語:2006/05/21(日) 13:25:10 ID:57tYN1Cx
3 :
名無氏物語:2006/05/21(日) 13:27:14 ID:57tYN1Cx
ふじのねの煙やともしよるとなき鹿の子まだらの雪のしば山(正徹)
4 :
冬のオイラ(裴勇俊):2006/05/21(日) 14:21:30 ID:jVuf3hT6
オイラん4様。
5 :
名無氏物語:2006/05/22(月) 01:03:23 ID:JHvJccTn
日にそへてさてあらまうき世のなかにうらやましくもかへる春かな(伏見院)
6 :
名無氏物語:2006/05/22(月) 01:04:42 ID:JHvJccTn
狩りくらしいまはとだちもかたのなるふみならしばの雪の下をれ(雅経)
7 :
名無氏物語:2006/05/22(月) 01:05:29 ID:JHvJccTn
きのふ見ししのぶの乱れ誰ならん心の程ぞかぎりしられぬ(藤原顕輔)
8 :
名無氏物語:2006/05/22(月) 01:06:25 ID:JHvJccTn
つむもうし若紫の菫草しのぶのみだれのこる朝露(正徹)
9 :
名無氏物語:2006/05/22(月) 01:07:04 ID:JHvJccTn
たなびきて帯をぞ継げる春日のの若紫の衣かりがね(心敬)
10 :
名無氏物語:2006/05/22(月) 01:13:03 ID:JA8FFNo7
狩りくらし交野の真柴をりしきて淀の河瀬の月をみるかな(藤原公衡[新古今])
11 :
名無氏物語:2006/05/22(月) 01:17:39 ID:cjdXEikg
きえねただ忍ぶのみだれ限あらば露もいかなる涙とかみん(後柏原天皇)
12 :
名無氏物語:2006/05/22(月) 01:20:21 ID:cjdXEikg
かすが野の若紫の初わらびたがゆかりよりもえいでにけむ(香川景樹)
13 :
名無氏物語:2006/05/22(月) 01:21:14 ID:cjdXEikg
見ずもあらずみもせぬ人のゆかりとや夕の空ぞかたみがほなる(後鳥羽院)
14 :
名無氏物語:2006/05/22(月) 01:22:09 ID:cjdXEikg
白雲の色にまがへて見ずもあらず見もせぬ花にけふもくらしつ(二条為明)
15 :
名無氏物語:2006/05/22(月) 01:22:58 ID:cjdXEikg
見ずもあらず見もせぬだにもあやなきをほの聞初めて袖のぬるらん(飛鳥井雅世)
16 :
名無氏物語:2006/05/22(月) 01:24:06 ID:cjdXEikg
見ずもあらず見もせぬ月のふくるまであやなく空のかすむ夜はかな(正徹)
17 :
名無氏物語:2006/05/22(月) 01:29:41 ID:FkNFY6Eq
見ずもあらずさめにし夢の別れよりあやなくとむる人の面影(今出川院近衛[続千載])
18 :
名無氏物語:2006/05/22(月) 01:31:07 ID:FkNFY6Eq
あやなくや雲にまがへん見ずもあらずみもせぬ花に山ぢくらして(三条西公保[新続古今])
19 :
名無氏物語:2006/05/22(月) 01:33:00 ID:FkNFY6Eq
起きもせずねもせであかす床の上に夢ともなしの人の面影(正親町公蔭[新千載])
20 :
名無氏物語:2006/05/22(月) 06:59:49 ID:cFwCdZLk
中々に明けだにはてよ起きもせず寝もせぬ夜はの村雨の空(家隆)
21 :
名無氏物語:2006/05/22(月) 07:00:21 ID:cFwCdZLk
花を思ふよもの白露おきもせずねもせぬころの床の山風(雅経)
22 :
名無氏物語:2006/05/22(月) 07:16:21 ID:svvnyK1o
きみにより思ひならひぬ世の中の人はこれをや恋といふらむ(続古今944)
23 :
名無氏物語:2006/05/22(月) 07:17:11 ID:svvnyK1o
いかでかは鳥のなくらむ人しれず思ふ心はまだ夜ぶかきに(続後撰820)
24 :
名無氏物語:2006/05/22(月) 15:43:24 ID:edeuPpgc
暁に夢をはかなみまどろめばいやはかななる松風ぞふく(後鳥羽院)
25 :
名無氏物語:2006/05/22(月) 15:46:14 ID:dw1IUmbm
覚めにけり逢ひみてかたる時のまの夢をはかなみおもひやるかな(木下長嘯子)
26 :
名無氏物語:2006/05/22(月) 16:03:14 ID:hymFPD7h
かくしつつうき身消えなばありし夜の夢をはかなみあはれとをみよ(公経[新続古今])
27 :
名無氏物語:2006/05/22(月) 16:09:46 ID:RtkyOlzt
かきくらす心の闇にまどひつつうしと見る世にふるぞわびしき(曾禰好忠)
28 :
名無氏物語:2006/05/22(月) 16:19:21 ID:9uC0ntsG
あはれなる心の闇のゆかりとも見し夜の夢をたれかさだめん(公経[新古今])
29 :
名無氏物語:2006/05/22(月) 16:20:07 ID:9uC0ntsG
生きてかく君につかふる老いが身をたぐひなしとは世人さだめよ(西園寺実氏[続古今])
30 :
名無氏物語:2006/05/22(月) 16:31:37 ID:ljo1KCTa
しのぶ山しのびてかよふ道もがな人のこころのおくも見るべく(新勅撰942)
31 :
名無氏物語:2006/05/22(月) 16:42:51 ID:hZ1i11iw
ともしする人やしるらむしのぶ山しのびてかよふ奥の思ひを(家隆)
32 :
名無氏物語:2006/05/22(月) 16:43:37 ID:hZ1i11iw
涙川ぬれにし袖は頼まれず身さへながるといかでしらせむ(藤原隆祐)
33 :
名無氏物語:2006/05/22(月) 16:46:31 ID:N9p7KUE8
月影に身をやかへましあはれてふ人の心にいりてみるべく(源訶子[玉葉])
34 :
名無氏物語:2006/05/22(月) 16:47:15 ID:N9p7KUE8
を山田にまかする水のあさみこそ袖はひつらめ早苗とるとて(弁内侍[続古今])
35 :
名無氏物語:2006/05/22(月) 16:47:54 ID:N9p7KUE8
いたづらに身さへながるる涙河あふ瀬や猶もたのみなるらん(源資栄[新千載])
36 :
名無氏物語:2006/05/22(月) 16:56:26 ID:S2O1EFAn
たかきやにけむりをのぞむ古にたちもおよばぬ身をなげきつつ(長慶天皇)
37 :
名無氏物語:2006/05/22(月) 16:57:21 ID:S2O1EFAn
かまどよりたつや煙も高き屋にのぼる霞の色とみゆらん(正徹)
38 :
名無氏物語:2006/05/22(月) 16:58:11 ID:S2O1EFAn
これまでやなにはの宮のたかき屋に煙をそへてみつの浜松(正徹)
39 :
名無氏物語:2006/05/22(月) 16:58:49 ID:S2O1EFAn
世は春の民の朝けの烟より霞も四方の空に立つらん(後水尾院)
40 :
名無氏物語:2006/05/22(月) 16:59:41 ID:S2O1EFAn
高き家に君とのぼれば春の国河遠白し朝の鐘なる(与謝野晶子)
41 :
名無氏物語:2006/05/22(月) 17:03:27 ID:IXmbVf9F
見渡せば村の朝けぞ霞みゆく民のかまども春にあふ比(後鳥羽院[玉葉])
42 :
名無氏物語:2006/05/22(月) 17:03:57 ID:IXmbVf9F
高き屋に治まれる世を空にみて民のかまども煙立つなり(藤原雅経[続後撰])
43 :
名無氏物語:2006/05/22(月) 17:06:32 ID:IXmbVf9F
足曳の山田の早苗とりどりに民のしわざはにぎはひにけり(後嵯峨院[続後拾遺])
44 :
名無氏物語:2006/05/22(月) 17:07:42 ID:IXmbVf9F
今も猶民のかまどの煙までまもりやすらん我が国のため(後宇多院[新千載])
45 :
名無氏物語:2006/05/22(月) 17:08:55 ID:IXmbVf9F
高き屋にのぼりて見れば煙立つ民のかまどはにぎはひにけり(仁徳天皇[新古今])
46 :
名無氏物語:2006/05/22(月) 17:10:01 ID:IXmbVf9F
みし人に忘られてふる袖にこそ身をしる雨はいつもをやまね(和泉式部[後拾遺])
47 :
名無氏物語:2006/05/22(月) 17:14:27 ID:bw60HX3A
つれづれと思へばかなし数ならぬ身をしる雨のをやみだにせよ(源俊頼)
48 :
名無氏物語:2006/05/22(月) 17:15:15 ID:bw60HX3A
春にあはぬ身をしる雨のふりこめて昔の門の跡やたえなん(藤原俊成)
49 :
名無氏物語:2006/05/22(月) 17:16:13 ID:bw60HX3A
おほ空のながめをだにもせざりけり身をしる雨の雲にまよひて(慈円)
50 :
名無氏物語:2006/05/22(月) 17:16:47 ID:bw60HX3A
降りくるも身を知る雨はうきことのこれや限の秋の夕暮(後水尾院)
51 :
名無氏物語:2006/05/22(月) 17:18:13 ID:bw60HX3A
月ぞすむ霞のうちにながれてもつひによる瀬は有明のかげ(正徹)
52 :
名無氏物語:2006/05/22(月) 17:19:15 ID:bw60HX3A
かよひ行く夢路にすぶる関もりはうちもねぬよの我が身なりけり(慈円)
53 :
名無氏物語:2006/05/22(月) 17:22:46 ID:DsdWJ516
箱根路を我がこえくればいづの海や沖のこじまに浪のよるみゆ
54 :
名無氏物語:2006/05/22(月) 17:23:23 ID:DsdWJ516
かぜ寒みよの更けゆけばいもがしまかたみのうらに千鳥鳴くなり
55 :
名無氏物語:2006/05/22(月) 17:23:56 ID:DsdWJ516
をしまずはあだなることもつらからじ何しかはなに思ひ初めけむ
56 :
名無氏物語:2006/05/22(月) 17:24:33 ID:DsdWJ516
なきぬべきゆふべの空をほととぎすまたれむとてやつれなかるらむ
57 :
名無氏物語:2006/05/22(月) 17:25:11 ID:DsdWJ516
霞しく袖のみなとのうら風にはるさへ浪のうつころもかな
58 :
名無氏物語:2006/05/22(月) 17:25:47 ID:DsdWJ516
かりがねも今やこゆらむ山しろの岩田のをかに月かたぶきぬ
59 :
名無氏物語:2006/05/22(月) 17:28:21 ID:/yjffaG5
のちの世の身をしる雨のかきくもり苔の袂にふらぬ日ぞなき(讃岐[新勅撰])
60 :
名無氏物語:2006/05/22(月) 17:29:55 ID:/yjffaG5
あふことのむなしき空のうき雲は身をしる雨のたよりなりけり(惟明親王[新古今])
61 :
名無氏物語:2006/05/22(月) 17:30:32 ID:/yjffaG5
みたらしや禊にながす大幣のつひによるせは秋風ぞ吹く(二条為定[新千載])
62 :
名無氏物語:2006/05/22(月) 17:32:30 ID:/yjffaG5
昔見し春は昔の春ながら我が身ひとつのあらずもあるかな(清原深養父[新古今])
63 :
名無氏物語:2006/05/22(月) 17:33:44 ID:/yjffaG5
花の香のにほふに物のかなしきは春や昔の形見なるらん(藤原長家[続古今])
64 :
名無氏物語:2006/05/22(月) 17:39:19 ID:bBjzh71B
君やあらぬ我が身やあらぬおぼつかな頼めしことの皆変りぬる(俊恵[千載])
65 :
名無氏物語:2006/05/22(月) 17:39:55 ID:bBjzh71B
身のうさを月やあらぬとながむれば昔ながらの影ぞもりくる(讃岐[新古今])
66 :
名無氏物語:2006/05/22(月) 17:40:38 ID:bBjzh71B
里はあれて月やあらぬと恨みても誰あさぢふに衣うつらむ(良経[新古今])
67 :
名無氏物語:2006/05/22(月) 17:44:40 ID:YshKfPrJ
清見がた我が通路の関なれやうちぬる人もなみのよるよる(家隆)
68 :
名無氏物語:2006/05/22(月) 17:45:18 ID:YshKfPrJ
うつつこそぬる宵々もかたからめそをだにゆるせ夢の関もり(後鳥羽院)
69 :
名無氏物語:2006/05/22(月) 17:45:55 ID:YshKfPrJ
梅が香も身にしむころは昔にて人こそあらね春の夜の月(俊成)
70 :
名無氏物語:2006/05/22(月) 17:46:29 ID:YshKfPrJ
梅が香になれぬる袖をかたしけば夢も昔の春の夜の夢(俊成)
71 :
名無氏物語:2006/05/22(月) 17:47:16 ID:YshKfPrJ
袖の香に梅はかはらずかをりけり春は昔の春ならねども(俊成)
72 :
名無氏物語:2006/05/22(月) 17:48:03 ID:YshKfPrJ
昔みし心の色はかはれども月はひとつの光なりけり(家隆)
73 :
名無氏物語:2006/05/22(月) 17:52:42 ID:1oS2yJH2
梅の花たが袖ふれしにほひぞと春やむかしの月にとはばや(源通具[新古今])
74 :
名無氏物語:2006/05/22(月) 17:53:44 ID:1oS2yJH2
面影のかすめる月ぞやどりける春や昔の袖の涙に(俊成女[新古今])
75 :
名無氏物語:2006/05/22(月) 18:06:34 ID:2PfRubcw
いかならむ世にかはまたは松風の今は昔の秋とふきぬる(雅経)
76 :
名無氏物語:2006/05/22(月) 18:07:41 ID:2PfRubcw
旅衣きつつなれゆく月やあらぬ春は都とかすむ夜の空(後鳥羽院)
77 :
名無氏物語:2006/05/22(月) 18:08:19 ID:2PfRubcw
月やあらぬむかしや誰と匂ふらむ花橘ももとの身にして(藤原基家)
78 :
名無氏物語:2006/05/22(月) 18:08:55 ID:2PfRubcw
月やあらぬ昔の人の面影とすめる宿とふ軒の松かぜ(正徹)
79 :
名無氏物語:2006/05/22(月) 18:09:38 ID:2PfRubcw
身やはあらぬ露もくもれば恨みこし月にあはれぶ春の夜の空(宗祇)
80 :
名無氏物語:2006/05/22(月) 18:18:28 ID:2haFdDpM
何とかは月やあらぬと辿るべき我がもとの身を思ひ知りなば(後嵯峨院[続古今])
81 :
名無氏物語:2006/05/22(月) 18:19:14 ID:2haFdDpM
さても身の春や昔にかはるらんありしにもあらず霞む月かな(洞院公泰[新葉])
82 :
名無氏物語:2006/05/23(火) 04:24:47 ID:/svQlfgt
浮き沈み三瀬川にも逢瀬あらば身を捨ててもや尋ね行かまし
83 :
名無氏物語:2006/05/23(火) 07:41:25 ID:JaxgGrFL
いかにせん春にはあはでおいらくのこんといふなる年の暮れ方(雅経)
84 :
名無氏物語:2006/05/23(火) 07:51:41 ID:5TeOaJ25
さくら花ちりかひかくす高ねより嵐をこえていづる月かげ(正徹)
85 :
名無氏物語:2006/05/23(火) 07:52:24 ID:5TeOaJ25
夕ひばり床もわすれて桜花ちりかひかすむ空になくなり(肖柏)
86 :
名無氏物語:2006/05/23(火) 07:53:17 ID:5TeOaJ25
夕日影山とほからじ桜花ちりかひくもる鐘のこゑかな(三条西公条)
87 :
名無氏物語:2006/05/23(火) 07:54:01 ID:5TeOaJ25
暮れはつる空ぞかなしき老いらくのこんといふなる春もしられず(一色直朝)
88 :
名無氏物語:2006/05/23(火) 08:02:56 ID:EFDGEr1h
桜花ちりかひかすむ久かたの雲井にかをる春の山かぜ(家隆[新千載])
89 :
名無氏物語:2006/05/23(火) 08:03:29 ID:EFDGEr1h
今は身にこんといふなる老いらくの春より近き年の暮かな(二条良基[新後拾遺])
90 :
名無氏物語:2006/05/23(火) 08:08:36 ID:4felG5FB
おろかなる心のままにあくがれてよしやうきよの月をだにみむ
91 :
名無氏物語:2006/05/23(火) 08:09:19 ID:4felG5FB
大伴のみつのはまべを見渡せば有明の月に鶴なきわたる
92 :
名無氏物語:2006/05/23(火) 08:10:06 ID:4felG5FB
知りがたき命のほどもかへりみずいつまでとまつゆふべなるらむ
93 :
名無氏物語:2006/05/23(火) 08:10:45 ID:4felG5FB
みかの原ながるる水のいつみきとおぼえぬよにもぬるる袖かな
94 :
名無氏物語:2006/05/23(火) 08:11:20 ID:4felG5FB
山のはのありとはきかぬわたつうみなみのあなたにかかるしら雲
95 :
名無氏物語:2006/05/23(火) 08:12:19 ID:4felG5FB
神代よりあくるならひの今さらに天の戸つらきよはのつきかげ
96 :
名無氏物語:2006/05/23(火) 15:34:50 ID:TVtJHAtR
つれなさのたぐひまでやはつらからぬ月をもめでじ有明の空(有家[新古今])
97 :
名無氏物語:2006/05/23(火) 15:35:45 ID:TVtJHAtR
雪の内にくれ行く年をかぞふればこれぞつもりて老と成る物(正親町公蔭[新千載])
98 :
名無氏物語:2006/05/23(火) 15:41:46 ID:TYF9MAwE
世をすてていとふとならばひさかたの月をもめでし秋の山里(藤原秀能)
99 :
名無氏物語:2006/05/23(火) 15:42:50 ID:TYF9MAwE
つもりては月だに老いとなるものをつらくも年の暮れてゆくらむ(頓阿)
100 :
名無氏物語:2006/05/23(火) 15:43:30 ID:TYF9MAwE
さてもよに誰かは老とならざらんめですはつらし夜な夜なの月(心敬)
101 :
名無氏物語:2006/05/23(火) 16:00:30 ID:EOPTin7n
是やこのさらぬ別れにますらをのかへり見しけん桜井の里(加納諸平)
102 :
名無氏物語:2006/05/23(火) 16:10:05 ID:hSp1wNvJ
おくるるは世のことわりの道なれどさらぬ別れは猶ぞ悲しき(忠良[続古今])
103 :
名無氏物語:2006/05/23(火) 16:10:54 ID:hSp1wNvJ
いかなればつらきならひの夢の世にさらぬ別れのうつつなるらん(覚宗[続古今])
104 :
名無氏物語:2006/05/23(火) 16:11:42 ID:hSp1wNvJ
悔しくぞさらぬ別れに先立ちてしばしも人に遠ざかりぬる(安嘉門院四条[風雅])
105 :
名無氏物語:2006/05/23(火) 16:18:39 ID:jmnr2G4P
大原や神代の松のふかみどり千代もと祈る末のはるけさ(鷹司基忠[風雅])
106 :
名無氏物語:2006/05/23(火) 16:30:36 ID:dPjJCu5h
ぬきみだる玉かとぞみる岸ちかみ草葉にまがふ夜はの蛍は(大弐三位)
107 :
名無氏物語:2006/05/23(火) 16:33:20 ID:dPjJCu5h
ぬきみだるしら玉かとぞ思ひける木の葉の上にふれる霰は(河内)
108 :
名無氏物語:2006/05/23(火) 16:39:05 ID:dPjJCu5h
ぬきみだるちるやしら玉白妙の衣手涼し布引の滝(家隆)
109 :
名無氏物語:2006/05/23(火) 16:39:53 ID:dPjJCu5h
ぬきみだる滝の白糸くりはへてよるとも見せぬ月の影かな(後鳥羽院)
110 :
名無氏物語:2006/05/23(火) 16:45:30 ID:iTuaKhST
人はこずはらはぬ庭のきりのはに音なふ雨のおとのさびしさ(建保二年内裏歌合)
111 :
名無氏物語:2006/05/23(火) 16:46:23 ID:iTuaKhST
木の葉ちる時雨やまがふ我が袖にもろき涙の色とみるまで(新古560)
112 :
名無氏物語:2006/05/23(火) 16:47:18 ID:iTuaKhST
霜こほる袖にもかげは残りけり露よりなれし有明の月(新古594)
113 :
名無氏物語:2006/05/23(火) 16:48:01 ID:iTuaKhST
我が恋はあふをかぎりのたのみだにゆくへもしらぬ空のうき雲(新古1135)
114 :
名無氏物語:2006/05/23(火) 16:48:59 ID:iTuaKhST
今こんとちぎりしことは夢ながら見しよににたる有明の月(新古1276)
115 :
名無氏物語:2006/05/23(火) 16:50:35 ID:iTuaKhST
とへかしな尾花がもとの思ひぐさしをるる野べの露はいかにと(新古1340)
116 :
名無氏物語:2006/05/23(火) 16:57:03 ID:wu5uN5M8
朽ちはつる尾花が本の思ひ草はかなの野べの露のよすがや(俊成卿女「俊成卿女集」)
117 :
名無氏物語:2006/05/23(火) 17:05:45 ID:TVtJHAtR
おく露のいとど深草里はあれて月のすむ野と成りにけるかな(少将内侍[続千載])
118 :
名無氏物語:2006/05/23(火) 17:06:26 ID:TVtJHAtR
あしのやに蛍やまがふあまやたく思ひも恋も夜は燃えつつ(定家[続後撰])
119 :
名無氏物語:2006/05/23(火) 17:30:42 ID:eWEGTFKM
はるる夜の星のやどりもひとつにて光あまたにとぶ蛍かな(覚助法親王)
120 :
名無氏物語:2006/05/23(火) 17:31:34 ID:eWEGTFKM
よる鹿の星かともしの光かも嶺たつ雲に明くる短か夜(正徹)
121 :
名無氏物語:2006/05/23(火) 17:32:18 ID:eWEGTFKM
はるる夜の天の川べの蛍かとつまむかひ火の影ぞまがへる(太田資早)
122 :
名無氏物語:2006/05/23(火) 17:33:11 ID:eWEGTFKM
はるる夜の星かとみれば松の葉にすがるほたるの光なりけり(後水尾院)
123 :
名無氏物語:2006/05/23(火) 17:33:42 ID:eWEGTFKM
朝霞ふかくや峰をへだつらむ山のはにげてみえぬ春かな(宗尊親王)
124 :
名無氏物語:2006/05/23(火) 17:34:15 ID:eWEGTFKM
つくづくとふりもすさめぬ春の雨に山のはにげてかすむ夕暮(長嘯子)
125 :
名無氏物語:2006/05/23(火) 17:38:25 ID:OTbGL0YT
ふるさとの秋をばかれず人もとへ苦しきものとまつむしのこゑ(雅経)
126 :
名無氏物語:2006/05/23(火) 17:39:17 ID:OTbGL0YT
待つ人の里をばかれずとふ月や苦しきものはいつならひけん(木下長嘯子)
127 :
名無氏物語:2006/05/23(火) 17:39:52 ID:OTbGL0YT
わすれては雲かとぞおもふ雪わけてけぶりたなびく小野の炭がま(雅経)
128 :
名無氏物語:2006/05/23(火) 17:40:22 ID:OTbGL0YT
わすれては冬かとぞおもふ卯の花の雪ふみわくる小野の通ひ路(源家長)
129 :
名無氏物語:2006/05/23(火) 17:43:34 ID:dPjJCu5h
あとまでも夢うつつともなかりけり尋ねし小野の雪のふるみち(為家)
130 :
名無氏物語:2006/05/23(火) 17:44:29 ID:dPjJCu5h
わすれては雪かとぞ思ふ卯の花のさきてあとなき小野の細道(花山院長親)
131 :
名無氏物語:2006/05/23(火) 17:45:22 ID:dPjJCu5h
夢かとも雪よりさきにとひてみよ小野の千種の霜枯れの色(貞常親王)
132 :
名無氏物語:2006/05/23(火) 17:46:30 ID:dPjJCu5h
あれはてていとど深草秋の野に人やはかへるくずのうらかぜ(藤原信実)
133 :
名無氏物語:2006/05/23(火) 17:47:06 ID:dPjJCu5h
すみわびて妻木こるべきやどならばさびしさのみはなげかざらまし(後鳥羽院)
134 :
名無氏物語:2006/05/23(火) 17:47:40 ID:dPjJCu5h
いづこかもつひの泊りと契るらんわれ世の中とうみわたる舟(宗尊親王)
135 :
名無氏物語:2006/05/23(火) 17:55:41 ID:47ZI0/s8
難波津をけふこそみつの浦ごとにこれやこの世をうみわたる舟(後撰1244)
136 :
名無氏物語:2006/05/23(火) 18:09:37 ID:1Hat57W0
思ふこと言はでぞただにやみぬべき我とひとしき人しなければ(新勅撰1124)
137 :
名無氏物語:2006/05/23(火) 18:10:32 ID:1Hat57W0
白玉かなにぞと人の問ひし時露とこたへてけなましものを(新古851)
138 :
名無氏物語:2006/05/23(火) 20:49:12 ID:dIJNyD4u
花さそふ嵐の庭の雪ならでふりゆくものはわが身なりけり(藤原公経)
139 :
名無氏物語:2006/05/24(水) 02:03:53 ID:Q6iqR8fx
しら玉の数珠屋町とはいづかたぞ中京こえて人に問はまし(山川登美子)
140 :
名無氏物語:2006/05/24(水) 02:10:44 ID:sszjRppK
白玉か露かととはむ人もがな物思ふ袖をさしてこたへむ(藤原元真[新古今])
141 :
名無氏物語:2006/05/24(水) 02:22:28 ID:TBEjSqxs
秋草の露とこたふる風もなしただしら玉をみがく月かげ(正徹)
142 :
名無氏物語:2006/05/24(水) 02:23:29 ID:TBEjSqxs
白玉かなにぞととへば荻のうへの影はこたへずふるさとの月(正徹)
143 :
名無氏物語:2006/05/24(水) 02:24:24 ID:TBEjSqxs
とはばその露とこたへて別れ行く袖にやきえん秋の面かげ(後柏原天皇)
144 :
名無氏物語:2006/05/24(水) 02:25:06 ID:TBEjSqxs
白玉かとばかりまがふ草のうへに露とこたへてとぶほたるかな(中院通勝)
145 :
名無氏物語:2006/05/24(水) 02:28:38 ID:0RnbcSmn
さくらばなおちても水のあはれなるあだなる色ににほひそめけむ
146 :
名無氏物語:2006/05/24(水) 02:29:13 ID:0RnbcSmn
つれなさのつらき別にこりもせでなどしたはるる春のかりがね
147 :
名無氏物語:2006/05/24(水) 02:29:56 ID:0RnbcSmn
別れての後しのべとやゆくはるの日数にはなのさきあまるらむ
148 :
名無氏物語:2006/05/24(水) 02:30:44 ID:0RnbcSmn
宮城野の木の下露は雨ながらそら行く月は雲もかからず
149 :
名無氏物語:2006/05/24(水) 02:31:27 ID:0RnbcSmn
むら時雨いくしほそめてわたつ海のなぎさの杜の紅葉しぬらむ
150 :
名無氏物語:2006/05/24(水) 02:32:01 ID:0RnbcSmn
伊勢の海のあまのしわざのもしほ草今朝かきたらで雪はふりつつ
151 :
名無氏物語:2006/05/24(水) 02:40:44 ID:hsPnqQSM
草の上に今朝ぞ消えゆく白玉か露かとまがふ夜の蛍は(後水尾院)
152 :
名無氏物語:2006/05/24(水) 02:48:23 ID:EwhTWpV1
さきだちておつる涙やつひに行くむなしき野べの道柴の露(慈円)
153 :
名無氏物語:2006/05/24(水) 02:49:04 ID:EwhTWpV1
つひにゆく道よりも猶かなしきは命のうちのわかれなりけり(雅成親王)
154 :
名無氏物語:2006/05/24(水) 02:57:13 ID:79MjgpZC
つひに行く道もいまはの時なれや羊のあゆみ身にぞちかづく(託阿[新後拾遺])
155 :
名無氏物語:2006/05/24(水) 03:08:25 ID:6aWqOMQy
つひにゆく道とはかねてききしかどきのふけふとは思はざりしを(古今861)
156 :
名無氏物語:2006/05/24(水) 03:20:28 ID:uRFgxMZp
難波津をけふこそみつの浦ごとにこれやこの世をうみわたる舟(後撰1244)
157 :
名無氏物語:2006/05/24(水) 08:09:46 ID:Umkfh/KD
こよひねてあふみへゆくとみし夢のかなしと袖にふるは涙か(源信明)
158 :
名無氏物語:2006/05/24(水) 08:11:14 ID:Umkfh/KD
あかなくにかへる雲井に春雨のふるは涙か雁ぞなくなる(俊成卿女)
159 :
名無氏物語:2006/05/24(水) 08:11:45 ID:Umkfh/KD
曇る夜の月ををしまぬ人はなしふるは涙か秋のむら雨(長嘯子)
160 :
名無氏物語:2006/05/24(水) 08:13:16 ID:Umkfh/KD
おもひいでてなきこそわたれ秋風にちぎりし空の初雁の声(俊成卿女)
161 :
名無氏物語:2006/05/24(水) 08:24:17 ID:cWcPJeBg
おほしまやをちの塩あひを行く舟のかぢとりあへぬ恋もするかな(恵慶)
162 :
名無氏物語:2006/05/24(水) 15:49:10 ID:p16H768B
君がため出づる野原のかたみにやしひても春の若菜つむらん(順徳院)
163 :
名無氏物語:2006/05/24(水) 15:49:51 ID:p16H768B
すみれ草つみつつかへる春の野にたがためとなく袖ぬらしけり(貞常親王)
164 :
名無氏物語:2006/05/24(水) 15:55:58 ID:unly78LC
しろたへの袖にぞまがふ都人若菜つむ野の春の淡雪(後鳥羽院[続拾遺])
165 :
名無氏物語:2006/05/24(水) 15:56:50 ID:unly78LC
里人のすそのの雪をふみ分けてただわがためと若菜摘むらん(後鳥羽院[遠島百首])
166 :
名無氏物語:2006/05/24(水) 15:57:25 ID:unly78LC
霞しく荻の焼原ふみわけて誰がため春の若菜摘むらん(九条道家[続後撰])
167 :
名無氏物語:2006/05/24(水) 15:58:01 ID:unly78LC
若菜つむ我が衣手も白妙に飛火の野べは淡雪ぞふる(藤原為家[続古今])
168 :
名無氏物語:2006/05/24(水) 15:58:35 ID:unly78LC
いざけふは衣手ぬれて降雪のあはづの小野に若菜つみてん(藤原為家[新千載])
169 :
名無氏物語:2006/05/24(水) 16:03:32 ID:7Xw3p+Zs
今よりは若菜つむべきふる里のみかきが原に雪は降りつつ(西園寺実兼[新後撰])
170 :
名無氏物語:2006/05/24(水) 16:07:50 ID:8Bw7s4bU
山ざくらたちのみかくす春霞いつしかはれて見るよしもがな(新勅撰73)
171 :
名無氏物語:2006/05/24(水) 16:10:44 ID:8Bw7s4bU
月のうちの桂のえだを思ふとや涙のしぐれふる心地する(新勅撰952)
172 :
名無氏物語:2006/05/24(水) 16:12:24 ID:8Bw7s4bU
我が心あやしくあだに春くれば花につく身となどてなりけむ(拾遺404)
173 :
名無氏物語:2006/05/24(水) 16:13:13 ID:8Bw7s4bU
さく花に思ひつくみのあぢきなさ身にいたつきの入るも知らずて(拾遺405)
174 :
名無氏物語:2006/05/25(木) 01:23:42 ID:EJBmYTH4
涙川ながるるみをのうきことは人の渕せをしらぬなりけり(続後撰896)
175 :
名無氏物語:2006/05/25(木) 01:34:38 ID:pR2xqtqM
いたづらにうつりもゆくかわぎもこが衣にすらん秋はぎの花(藤原基政[玉葉])
176 :
名無氏物語:2006/05/25(木) 01:40:28 ID:INl7OCX3
山のはは天の河原の島なれや月のみふねもこぎかくれつつ
177 :
名無氏物語:2006/05/25(木) 01:41:11 ID:INl7OCX3
わが為にこころかはらぬ月だにもありしににたるかげをやはみむ
178 :
名無氏物語:2006/05/25(木) 01:43:45 ID:INl7OCX3
いかにせむ涙の袖に海はあれど同じなぎさによる船はなし
179 :
名無氏物語:2006/05/25(木) 01:44:47 ID:INl7OCX3
こぬ人をつらき契りに待ちかへてよがれぬものは山のはの月
180 :
名無氏物語:2006/05/25(木) 01:46:13 ID:INl7OCX3
いつまでか涙くもらで月はみしあき待ちえても秋ぞこひしき
181 :
名無氏物語:2006/05/25(木) 01:47:03 ID:INl7OCX3
野べの露は色もなくてやこぼれつる袖より過ぐる荻のうは風
182 :
名無氏物語:2006/05/25(木) 01:55:41 ID:Kq+onIt3
人心うつりもゆくかあさがほの花のうへなる露をみしまに(藤原秀能)
183 :
名無氏物語:2006/05/25(木) 02:01:13 ID:2iResZdQ
吹きまよふ野風をさむみ秋はぎのうつりもゆくか人の心の(古今781)
184 :
名無氏物語:2006/05/25(木) 02:11:20 ID:K9Edvqvo
煙だにしばしたなびけ鳥辺山たち別れにし形見ともみむ(寂然「千載」)
185 :
名無氏物語:2006/05/25(木) 02:21:47 ID:LooeSG34
つもる雪のすこしたかきや人のいほ道こそなけれけぶりだにたて(慈円)
186 :
名無氏物語:2006/05/25(木) 02:34:47 ID:yLpa/tpy
まれにきてかへらむ人をほととぎすとめむとめじは声のまにまに(藤原教長)
187 :
名無氏物語:2006/05/25(木) 02:35:29 ID:yLpa/tpy
はる風におほふかすみの袖もがなちらさば花のうきにやはあらぬ(細川幽斎)
188 :
名無氏物語:2006/05/25(木) 15:39:13 ID:pCsYKwfi
別れをば山の桜にまかせてむとめむとめじは花のまにまに(古今393)
189 :
名無氏物語:2006/05/25(木) 15:39:44 ID:pCsYKwfi
ことならば君とまるべくにほはなむかへすは花のうきにやはあらぬ(古今395)
190 :
名無氏物語:2006/05/25(木) 15:48:55 ID:wMYdR1Vh
白玉をつつむ袖のみ流るるは春は涙もさえぬなりけり(伊勢[後撰])
191 :
名無氏物語:2006/05/25(木) 15:49:31 ID:wMYdR1Vh
いつしかと初秋風の吹きしより袖にたまらぬ露のしら玉(後二条院[続千載])
192 :
名無氏物語:2006/05/25(木) 15:54:31 ID:HOk6rlM5
春くれば花見にと思ふ心こそ野べの霞とともにたちけれ(後撰112)
193 :
名無氏物語:2006/05/25(木) 15:55:14 ID:HOk6rlM5
たれこめて春のゆくへもしらぬまに待ちし桜もうつろひにけり(古今80)
194 :
名無氏物語:2006/05/25(木) 15:56:04 ID:HOk6rlM5
峰たかきかすがの山にいづる日はくもる時なくてらすべらなり(古今364)
195 :
名無氏物語:2006/05/25(木) 15:56:43 ID:HOk6rlM5
たのめこし言の葉いまはかへしてむ我が身ふるればおきどころなし(古今736)
196 :
名無氏物語:2006/05/25(木) 15:57:16 ID:HOk6rlM5
玉ほこの道はつねにもまどはなむ人をとふとも我かと思はむ(古今738)
197 :
名無氏物語:2006/05/25(木) 15:57:47 ID:HOk6rlM5
人を思ふこころ木の葉にあらばこそ風のまにまに散りもみだれめ(古今783)
198 :
名無氏物語:2006/05/25(木) 16:01:54 ID:ZMeoWI9M
よそにだにみぬめの浦にすむあまは袖にたまらぬ玉やひろはん(藤原家隆)
199 :
名無氏物語:2006/05/25(木) 16:12:49 ID:ZMeoWI9M
見ても猶あかぬ匂ひはつつめども袖にたまらぬ梅のした風(兼好)
200 :
名無氏物語:2006/05/25(木) 16:14:23 ID:ZMeoWI9M
夕立のくもの衣はつつめども袖にたまらぬかぜのしら玉(木下長嘯子)
201 :
名無氏物語:2006/05/25(木) 16:20:35 ID:ZMeoWI9M
たづねても故郷人のみぬさくらをしまぬ花に春風ぞふく(藤原家隆)
202 :
名無氏物語:2006/05/25(木) 16:29:19 ID:ZMeoWI9M
まつ人はこじまのさきの春風にちらばちらなむ山ぶきのはな(藤原為家)
203 :
名無氏物語:2006/05/25(木) 16:31:24 ID:ZMeoWI9M
月影もすめばすみけりしら雲の絶えずたなびく峰の木がらし(藤原家隆)
204 :
名無氏物語:2006/05/25(木) 16:33:07 ID:ZMeoWI9M
おろかなる涙ぞ袖に玉はなす我はせきあへずたぎつせなれば(小野小町)
205 :
名無氏物語:2006/05/25(木) 16:37:48 ID:ZMeoWI9M
世をうしと思はざりけむ昔こそ此頃よりもはかなかりけれ(雅成親王)
206 :
名無氏物語:2006/05/25(木) 16:48:25 ID:ZMeoWI9M
月もいかにあはれとや思ふわれ昔桂をりてし一もとゆゑに(藤原範光)
207 :
名無氏物語:2006/05/25(木) 16:48:54 ID:ZMeoWI9M
世にしげき言の葉ぐさを吹きわけて家の風をも伝へてしがな(荷田春満)
208 :
名無氏物語:2006/05/25(木) 16:49:42 ID:ZMeoWI9M
白雲のたえずたなびく嶺にだにすめばすまるる世にぞ有りける(紀貫之)
209 :
名無氏物語:2006/05/25(木) 17:02:02 ID:vwcIFMXb
花の色は 移りにけりな いたづらに 我が身世にふる ながめせし間に(小野小町)
210 :
名無氏物語:2006/05/25(木) 17:02:40 ID:ZMeoWI9M
忘れては夢かとぞ思ふ思ひきや雪ふみわけて君を見むとは(在原業平)
211 :
名無氏物語:2006/05/25(木) 17:05:30 ID:ZMeoWI9M
入る月にてりかはるべき紅葉さへかねてあらしの山ぞさびしき(惟喬親王)
212 :
名無氏物語:2006/05/25(木) 17:33:24 ID:TohWS+rQ
みるほどにちらばちらなむ梅の花しづ心なく思ひおこせじ(和泉式部[玉葉])
213 :
名無氏物語:2006/05/25(木) 17:34:06 ID:TohWS+rQ
けふこずはあすともまたじ桜花いたづらにのみちらばちらなん(公経[続千載])
214 :
名無氏物語:2006/05/25(木) 17:34:38 ID:TohWS+rQ
花にふる日数もしらずけふとてや古郷人の我を待つらん(宮内卿[新後拾遺])
215 :
名無氏物語:2006/05/25(木) 17:43:23 ID:VOo/P510
春は花冬は雪とてしら雲のたえずたなびくみよしのの山(公経[新勅撰])
216 :
名無氏物語:2006/05/25(木) 17:49:22 ID:ONlyDR07
家の風吹き伝へずはこのもとにあたら紅葉のくちやはてまし(藤原顕輔[玉葉])
217 :
名無氏物語:2006/05/25(木) 17:50:08 ID:ONlyDR07
かたみとてかへすも世々の家の風吹き伝へよと思ふとをしれ(後二条院[玉葉])
218 :
名無氏物語:2006/05/25(木) 17:50:46 ID:ONlyDR07
家の風ふきぞつたへん春日山末葉の藤もかげなびくまで(三条公秀[新拾遺])
219 :
名無氏物語:2006/05/25(木) 17:52:12 ID:ONlyDR07
秋の山紅葉をぬさとたむくればすむ我さへぞたび心ちする(貫之[古今])
220 :
名無氏物語:2006/05/25(木) 17:52:44 ID:ONlyDR07
もみぢばを風にまかする手向山ぬさもとりあへず秋はいぬめり(信実[続後撰])
221 :
名無氏物語:2006/05/25(木) 17:56:09 ID:DcSo3qFm
みそぎするぬさもとりあへず六月の空にしられぬ秋風ぞふく(公経[続拾遺])
222 :
名無氏物語:2006/05/25(木) 17:57:13 ID:DcSo3qFm
ゆふだたみ手向の山の桜花ぬさもとりあへず春風ぞ吹く(道家[新千載])
223 :
名無氏物語:2006/05/25(木) 18:08:32 ID:72Q8Sf+7
一こゑは手向の山のほととぎす幣もとりあへずあくる夜はかな(家隆)
224 :
名無氏物語:2006/05/25(木) 18:09:23 ID:72Q8Sf+7
風吹けばさくらの宮の神垣にぬさも取りあへず花や散るらん(頓阿)
225 :
名無氏物語:2006/05/25(木) 18:10:06 ID:72Q8Sf+7
風吹けばさくらの宮の神垣にぬさも取りあへず花や散るらん(頓阿)
226 :
名無氏物語:2006/05/25(木) 18:11:05 ID:72Q8Sf+7
神しうけばぬさもとりあへず手向けおく此ことのはも色や見えまし(正徹)
227 :
名無氏物語:2006/05/25(木) 18:11:50 ID:72Q8Sf+7
とりあへず紅葉をぬさと手向山神のこころを神やうけけむ(契沖)
228 :
名無氏物語:2006/05/25(木) 20:18:31 ID:XGUac/Ps
しかりとてなみだの袖やきりたたんむすぶの神にぬさもとりあへず(加納諸平)
229 :
名無氏物語:2006/05/26(金) 08:50:22 ID:a3PuB38j
春来ぬとけさ告げ渡る鶯は涙の氷まづやとけぬる(俊恵)
230 :
名無氏物語:2006/05/26(金) 09:00:29 ID:X9VPkz6T
鶯のこほれる涙とけぬれば花の上にや露とおくらむ(二条院讃岐)
231 :
名無氏物語:2006/05/26(金) 09:02:27 ID:X9VPkz6T
鶯の涙の氷いつとけて今朝は雪まの梅のはつ花(藤原家隆)
232 :
名無氏物語:2006/05/26(金) 09:04:20 ID:X9VPkz6T
鶯の氷れる涙とけぬれどなほ我が袖はむすぼほれつつ(九条良経)
233 :
名無氏物語:2006/05/26(金) 09:15:15 ID:y4S8o8P4
榊葉にふるしら雪はきえぬめり神の心も今やとくらむ(藤原伊房[後拾遺])
234 :
名無氏物語:2006/05/26(金) 09:15:54 ID:y4S8o8P4
年くれし涙のつららとけにけり苔の袖にも春やたつらん(藤原俊成[新古今])
235 :
名無氏物語:2006/05/26(金) 09:17:53 ID:y4S8o8P4
鶯の涙のつららうちとけて古巣ながらや春をしるらん(惟明親王[新古今])
236 :
名無氏物語:2006/05/26(金) 09:24:44 ID:tZ01iF7a
更行かば煙もあらじしほがまのうらみなはてそ秋のよの月
237 :
名無氏物語:2006/05/26(金) 09:25:25 ID:tZ01iF7a
霜さゆる山田のくろの村すすきかる人なしにのこるころかな
238 :
名無氏物語:2006/05/26(金) 09:26:35 ID:tZ01iF7a
おもふことなどとふ人のなかるらむあふげば空に月ぞさやけき
239 :
名無氏物語:2006/05/26(金) 09:27:29 ID:tZ01iF7a
ただたのめたとへば人のいつはりをかさねてこそは又もうらみめ
240 :
名無氏物語:2006/05/26(金) 09:28:14 ID:tZ01iF7a
みな人のしりがほにしてしらぬかなかならずしぬるならひありとは
241 :
名無氏物語:2006/05/26(金) 09:29:02 ID:tZ01iF7a
おほけなくうきよのたみにおほふかなわがたつ杣にすみぞめのそで
242 :
名無氏物語:2006/05/26(金) 09:34:22 ID:67VhEmLj
春きぬと涙ばかりやとけぬらん谷の雪まをいづるうぐひす(藤原為家)
243 :
名無氏物語:2006/05/26(金) 09:35:08 ID:67VhEmLj
鶯のなみだの雨も紅に落ちそふむめの花のした露(正徹)
244 :
名無氏物語:2006/05/26(金) 09:36:00 ID:67VhEmLj
ときやらで涙の滝もつららゐぬ身を鶯の春の山かぜ(正徹)
245 :
名無氏物語:2006/05/26(金) 09:36:38 ID:67VhEmLj
こひこひてまた一とせもくれにけり涙の氷あすやとけなん(祇園梶子)
246 :
名無氏物語:2006/05/26(金) 09:48:04 ID:7xI/w7X6
河上の浅篠原の葉ごもりにうぐひすなくやこほりとくらむ(香川景樹)
247 :
名無氏物語:2006/05/26(金) 09:56:38 ID:+20quN/4
我が恋は海人の刈る藻に乱れつつかわく時なき波の下草(俊忠[千載])
248 :
名無氏物語:2006/05/26(金) 09:58:06 ID:+20quN/4
いかにせんねをなく虫のから衣人もとがめぬ袖の涙を(範宗[新勅撰])
249 :
名無氏物語:2006/05/26(金) 09:59:40 ID:+20quN/4
藻にすまぬ野原の虫も我からと長き夜すがら露に鳴くなり(良経[新後撰])
250 :
名無氏物語:2006/05/26(金) 10:00:21 ID:+20quN/4
あぢきなや海士の刈る藻の我からか憂しとて世をも恨みはてねば(為氏[続後拾遺])
251 :
名無氏物語:2006/05/26(金) 10:01:05 ID:+20quN/4
あまのたく藻にすむ虫にあらねどもわれから恋に身を焦がすかな(為清[新拾遺])
252 :
名無氏物語:2006/05/26(金) 10:56:58 ID:s9U7Va5I
恋ひしなんむなし煙をせめてただならぬおもひのはてとだにみよ(頓阿)
253 :
名無氏物語:2006/05/26(金) 10:57:45 ID:s9U7Va5I
つれなくはそれゆゑになど果てざらんさらで消えんも空しけぶりを(宗祇)
254 :
名無氏物語:2006/05/26(金) 11:02:05 ID:ig2jD633
ふじのねの空にや今はまがへましわが身にけたぬむなし煙を(西園寺公経[新勅撰])
255 :
名無氏物語:2006/05/26(金) 11:02:43 ID:ig2jD633
消えはつる行へともみよ思ひわびかへぬ命のむなしけぶりを(定為[新千載])
256 :
名無氏物語:2006/05/26(金) 11:08:55 ID:3rBpT3Dg
我のみや燃えてかへらむ世と共に思ひもならぬ富士の嶺のごと(平貞文)
257 :
名無氏物語:2006/05/26(金) 11:09:29 ID:3rBpT3Dg
花ちらむのちもみるべくさくら色にそめし衣をぬぎやかふべき(恵慶法師)
258 :
名無氏物語:2006/05/26(金) 11:10:01 ID:3rBpT3Dg
さくら色に染めし袂をぬぎかへて山ほととぎす今日よりぞ待つ(和泉式部)
259 :
名無氏物語:2006/05/26(金) 11:10:44 ID:3rBpT3Dg
桜色の衣にもまた別るるに春をのこせる宿の藤浪(式子内親王)
260 :
名無氏物語:2006/05/26(金) 11:11:30 ID:3rBpT3Dg
桜色のかたみのころもぬぎかへてふたたび春に別れぬるかな(雅成親王)
261 :
名無氏物語:2006/05/26(金) 11:17:53 ID:rVnx3q6Z
花の香に衣はふかくなりにけり木の下陰の風のまにまに(紀貫之[新古今])
262 :
名無氏物語:2006/05/26(金) 11:18:53 ID:rVnx3q6Z
桜色のはつ花染めのかり衣きつつやなれん春の木のもと(西園寺実氏[続古今])
263 :
名無氏物語:2006/05/26(金) 18:16:32 ID:6XT5F3DP
桜色のころもはうすし心こそ春のかたみよふかくそめてき(大内政弘)
264 :
名無氏物語:2006/05/26(金) 18:17:20 ID:6XT5F3DP
みよしのの山わけ衣桜色にこころのおくもふかくそめてき(木下長嘯子)
265 :
名無氏物語:2006/05/26(金) 18:25:27 ID:6faDm4nZ
さくら色に衣はふかくそめてきむ花のちりなむのちのかたみに(古今66)
266 :
名無氏物語:2006/05/26(金) 18:29:56 ID:DuJg1Ezh
花は春ちりにし峰にあはれてふことをあまたにやらぬしら雲(飛鳥井雅経)
267 :
名無氏物語:2006/05/26(金) 18:32:49 ID:DuJg1Ezh
あはれてふことのちぐさは霜がれてあまたにやらぬ白菊の花(契沖)
268 :
名無氏物語:2006/05/26(金) 18:45:03 ID:ihZ5Dbqi
けふ別れあすはと人を思ふだにみぬまは袖のかわくものかは(宗良親王)
269 :
名無氏物語:2006/05/26(金) 18:45:35 ID:ihZ5Dbqi
さだめなき世にやをしまむけふ別れあすはあふみの別れなりとも(花山院師兼)
270 :
名無氏物語:2006/05/26(金) 18:53:44 ID:yjcjX495
世にふれど君におくれてをる花はにほひて見えず墨染にして(和泉式部)
271 :
名無氏物語:2006/05/26(金) 18:55:09 ID:yjcjX495
墨染にさかぬさくらもこの春は心あればや露けかるらむ(惟宗光吉)
272 :
名無氏物語:2006/05/26(金) 18:55:52 ID:yjcjX495
飽かなくにまだきも月の隠るるか山の端逃げて入れずもあらなん(在原業平)
273 :
名無氏物語:2006/05/27(土) 02:29:52 ID:tZaS0Fki
墨染に咲かぬもつらし山桜花はなげきの外の物かは(平親世[新後撰])
274 :
名無氏物語:2006/05/27(土) 02:43:28 ID:Kg+8Lt6e
我が心めにこそ見えねくもる日の影と君にはそへてしものを(俊恵)
275 :
名無氏物語:2006/05/27(土) 03:04:00 ID:Hf3mcgL0
たまさかに逢瀬はなくてみなの川涙の淵に沈む恋かな(京極関白家肥後)
276 :
名無氏物語:2006/05/27(土) 03:04:57 ID:Hf3mcgL0
みなの河ふちにはよらじつくばねの峰より落つる雁の一つら(正徹)
277 :
名無氏物語:2006/05/27(土) 03:05:41 ID:Hf3mcgL0
筑波嶺やしげればいとどみなの川峯よりおつる音ばかりして(正徹)
278 :
名無氏物語:2006/05/27(土) 03:11:10 ID:NslwTTq7
小初瀬の花のさかりやみなの河峰よりおつる水の白波(藤原清輔[新後拾遺])
279 :
名無氏物語:2006/05/27(土) 03:11:58 ID:NslwTTq7
つくばねの嶺の桜やみなの河ながれて淵と散りつもるらん(飛鳥井雅有[続拾遺])
280 :
名無氏物語:2006/05/27(土) 03:20:26 ID:Y4lv1Wdc
ねがはくはしばし闇路にやすらひてかかげやせまし法のともし火
281 :
名無氏物語:2006/05/27(土) 03:21:01 ID:Y4lv1Wdc
我がたのむ七のやしろのゆふだすきかけても六の道にかへすな
282 :
名無氏物語:2006/05/27(土) 03:21:42 ID:Y4lv1Wdc
伊せの海はるかにかすむなみまより天のはらなる海士の釣ぶね
283 :
名無氏物語:2006/05/27(土) 03:22:14 ID:Y4lv1Wdc
はるくればそでの氷もとけにけりもりくる月のやどるばかりに
284 :
名無氏物語:2006/05/27(土) 03:22:56 ID:Y4lv1Wdc
はるくればそでの氷もとけにけりもりくる月のやどるばかりに
285 :
名無氏物語:2006/05/27(土) 03:24:00 ID:Y4lv1Wdc
木の本のすみかも今はあれぬべしはるしくれなば誰か問ひこむ
286 :
名無氏物語:2006/05/27(土) 03:24:55 ID:Y4lv1Wdc
ほしあへぬころもへにける河やしろしのになみこす五月雨のころ
287 :
名無氏物語:2006/05/27(土) 03:25:34 ID:Y4lv1Wdc
すずか河ふりさけみれば神路山さかき葉分けて出づる月影
288 :
名無氏物語:2006/05/27(土) 03:26:06 ID:Y4lv1Wdc
春日山やまたかからし秋霧のうへにぞしかのこゑは聞こゆる
289 :
名無氏物語:2006/05/27(土) 03:26:40 ID:Y4lv1Wdc
山城のときはの松のゆふしぐれそめぬみどりに秋ぞ色づく
290 :
名無氏物語:2006/05/27(土) 03:27:27 ID:Y4lv1Wdc
くるるよりおなじまがきのきりぎりすちかづくこゑに夜や更けぬらん
291 :
名無氏物語:2006/05/27(土) 03:28:24 ID:Y4lv1Wdc
七度のよしのの川のみをつくし君が八千世のしるしともなれ
292 :
定家厨:2006/05/27(土) 03:30:14 ID:fvlt7f8g
みなの河みねよりおつる桜花にほひのふちのえやはせかるる
293 :
定家厨:2006/05/27(土) 03:30:55 ID:fvlt7f8g
袖のうへも恋ぞつもりてふちとなる人をば見ねのよそのたぎつせ
294 :
定家厨:2006/05/27(土) 03:31:29 ID:fvlt7f8g
あはれをもあまたにやらぬ花の香の山もほのかに残る三日月
295 :
定家厨:2006/05/27(土) 03:32:39 ID:fvlt7f8g
あまのすむ里のしるべの幾年にわれから絶えて見るめなりけり
296 :
定家厨:2006/05/27(土) 03:33:16 ID:fvlt7f8g
果てはただあまの刈る藻を宿りにて枕さだむる宵々ぞなき
297 :
定家厨:2006/05/27(土) 03:33:51 ID:fvlt7f8g
手向してかひこそなけれ神な月もみぢはぬさと散りまがへども
298 :
定家厨:2006/05/27(土) 03:34:38 ID:fvlt7f8g
秋萩のゆくての錦これもまたぬさもとりあへぬ手向にぞをる
299 :
定家厨:2006/05/27(土) 03:35:28 ID:fvlt7f8g
たつ嵐いづれの神に手向山花の錦のかたもさだめず
300 :
名無氏物語:2006/05/27(土) 03:38:37 ID:7z0WBH/t
咲かぬまは花と見よとやみ吉野の山の白雪きえがてにする(二条院讃岐[新勅撰])
301 :
名無氏物語:2006/05/27(土) 03:41:06 ID:7z0WBH/t
そことなき花の所も春ふかみ空に知られで匂ふ春風(洞院公賢[新拾遺])
302 :
名無氏物語:2006/05/27(土) 03:49:57 ID:5pYMrCae
いざ桜散るをつらさに言ひなさで梢のほかの盛りともみん(藤原基任[新拾遺])
303 :
名無氏物語:2006/05/27(土) 03:50:44 ID:5pYMrCae
時ありて花も紅葉も一さかりあはれに月のいつもかはらぬ(藤原為子[風雅])
304 :
名無氏物語:2006/05/27(土) 04:01:48 ID:KgK4vtEb
ふりつみし高嶺のみ雪とけにけり清滝川の水の白波(西行[新古今])
305 :
名無氏物語:2006/05/27(土) 04:02:43 ID:KgK4vtEb
清滝や瀬々の岩波たかを山人もあらじの風ぞ身にしむ(高弁[新勅撰])
306 :
名無氏物語:2006/05/27(土) 04:05:06 ID:KgK4vtEb
山姫の滝の白糸くりためて織るてふ布は夏衣かも(良経[続後撰])
307 :
名無氏物語:2006/05/27(土) 08:35:30 ID:GDLw0UzD
くりためて今朝や氷に結ぶらん清滝河の瀬々の白糸(行意[新続古今])
308 :
名無氏物語:2006/05/27(土) 08:39:47 ID:GDLw0UzD
梅の花あかぬ色香もむかしにて同じ形見の春の夜の月(俊成女[新古今])
309 :
名無氏物語:2006/05/27(土) 10:06:17 ID:1LRxUtJq
ほととぎすなくべき枝とみゆれどもまたるるものは鶯の声(藤原道綱)
310 :
名無氏物語:2006/05/28(日) 02:17:33 ID:Uy/I1P4J
あひにあひて物思ふ頃の我が袖はやどる月さへぬるぽかほなる(伊勢)
311 :
名無氏物語:2006/05/28(日) 06:58:18 ID:im4Iow2b
鶯のこゑ聞きそむるあしたよりまたるる物はさくらなりけり(本居宣長)
312 :
名無氏物語:2006/05/28(日) 07:17:58 ID:YL7e+AR6
春ならば花とやみらむ冬ごもりみやまをわけてふれる白雪(藤原長能)
313 :
名無氏物語:2006/05/28(日) 07:19:44 ID:YL7e+AR6
千年ふる山路のきくも露の間の花とやみらん秋のよの月(松永貞徳)
314 :
名無氏物語:2006/05/28(日) 07:28:18 ID:BbPMgkxe
世々へてもあかぬ色香は残りけり春やむかしの宿の梅が枝(範憲[風雅])
315 :
名無氏物語:2006/05/28(日) 07:29:07 ID:BbPMgkxe
散る花のあかぬ色香を身にかへてさも慕はるる山桜かな(道良[続千載])
316 :
名無氏物語:2006/05/28(日) 07:30:47 ID:BbPMgkxe
袖のうへにあかぬ色香はとどめおけ暮れなば春の花の形見に(公経[続千載])
317 :
名無氏物語:2006/05/28(日) 07:38:14 ID:MaGeETdg
さすらふるこころに身をもまかせずは清見がせきの月をみましや
318 :
名無氏物語:2006/05/28(日) 07:39:20 ID:MaGeETdg
梅のはなたが袖ふれしにほひぞとはるやむかしの月にとはばや
319 :
名無氏物語:2006/05/28(日) 07:40:00 ID:MaGeETdg
あはれ又いかにしのばむそでのつゆ野原の風にあきはきにけり
320 :
名無氏物語:2006/05/28(日) 07:40:34 ID:MaGeETdg
影やどす露のよすがの秋くれて月ぞすみけるをののしの原
321 :
名無氏物語:2006/05/28(日) 07:41:16 ID:MaGeETdg
のべにおく露のなごりもしのばれぬあだなる秋のわすれがたみに
322 :
名無氏物語:2006/05/28(日) 07:41:57 ID:MaGeETdg
霜むすぶそでのかたしきうちとけてねぬよの月のかげぞさやけき
323 :
名無氏物語:2006/05/28(日) 07:45:34 ID:0gTI7xJO
あらたまの年たちかへるあしたより待たるるものは鶯のこゑ(拾遺5)
324 :
名無氏物語:2006/05/28(日) 07:46:16 ID:0gTI7xJO
春たてば花とやみらむ白雪のかかれる枝にうぐひすぞなく(古今6)
325 :
名無氏物語:2006/05/28(日) 07:47:12 ID:0gTI7xJO
よそにのみあはれとぞ見し梅の花あかぬ色香はをりてなりけり(古今37)
326 :
名無氏物語:2006/05/28(日) 07:47:53 ID:0gTI7xJO
むめの花をればこぼれぬ我が袖ににほひ香うつせ家づとにせむ(後撰28)
327 :
名無氏物語:2006/05/28(日) 07:48:23 ID:0gTI7xJO
ちるとみてあるべきものを梅の花うたてにほひの袖にとまれる(古今47)
328 :
名無氏物語:2006/05/28(日) 07:51:48 ID:dkrpEVQV
我が袖ににほひかうつせむめの花咲きちる岡の春の夕風(飛鳥井雅有)
329 :
名無氏物語:2006/05/28(日) 07:52:21 ID:dkrpEVQV
梅の花恋しきことの色ぞそふうたてにほひのきえぬ衣に(式子内親王)
330 :
名無氏物語:2006/05/28(日) 07:53:10 ID:dkrpEVQV
人またでねなましものを梅花うたて匂ひのよはの春風(宗尊親王)
331 :
名無氏物語:2006/05/28(日) 07:53:51 ID:dkrpEVQV
みてのみやけふもすぎなん白雲の夕ゐる嶺の花の下陰(西園寺公相)
332 :
名無氏物語:2006/05/28(日) 07:54:26 ID:dkrpEVQV
見てのみや山路に千世を送るべきいざ折りとらん白菊の花(飛鳥井雅親)
333 :
名無氏物語:2006/05/28(日) 08:00:04 ID:YQj8r7rU
山もりもをらばやいはむ高砂のをのへの桜宿しばしかせ(藤原家隆)
334 :
名無氏物語:2006/05/28(日) 08:00:38 ID:YQj8r7rU
みわたせば松に紅葉をこきまぜて山こそ秋の錦なりけれ(藤原良経)
335 :
名無氏物語:2006/05/28(日) 08:01:24 ID:YQj8r7rU
たつた姫松にもみぢをこきまぜて都の外の錦とぞみる(宗良親王)
336 :
名無氏物語:2006/05/28(日) 08:06:42 ID:mVnEx09f
ふく風をいはばいはなん桜花ちりかふころの春の山守(藤原信実[続後撰])
337 :
名無氏物語:2006/05/28(日) 08:12:22 ID:bfeXEOFE
こきまぜし柳さくらの春の夢見わたせばまた雪の初花(正徹)
338 :
名無氏物語:2006/05/28(日) 08:13:07 ID:bfeXEOFE
秋も又千種の花をこきまぜて都の野べぞ錦なりける(松永貞徳)
339 :
名無氏物語:2006/05/28(日) 08:14:00 ID:bfeXEOFE
これも又錦なりけりこきまぜて萩も薄もなびく秋風(後水尾院)
340 :
名無氏物語:2006/05/28(日) 08:14:32 ID:bfeXEOFE
春ならぬ錦を木々にこきまぜて都の山も紅葉する比(武者小路実陰)
341 :
名無氏物語:2006/05/28(日) 08:21:57 ID:WvjFjm6d
みやこ人柳さくらにこきまぜて袖のにしきもかをる春かな(香川景樹)
342 :
名無氏物語:2006/05/28(日) 08:22:39 ID:WvjFjm6d
吉野山こずゑの空に花さそふ風のやどりは峰のしら雲(藤原範宗)
343 :
名無氏物語:2006/05/29(月) 07:19:41 ID:386HXr1i
秋と吹く風のやどりはうき人のこころなりけり行きてうらみん(宗良親王)
344 :
名無氏物語:2006/05/29(月) 07:31:45 ID:dtzNhjGx
吹く風はやどりもしらず谷川の花のゆくへを行きて恨みむ(道助法親王[続拾遺])
345 :
名無氏物語:2006/05/29(月) 07:33:54 ID:dtzNhjGx
恨むべき風のやどりをしらねばやちるをば花のうきになすらん(近衛基平[続古今])
346 :
名無氏物語:2006/05/29(月) 07:38:10 ID:iV7D9/YP
ほりうゑて見るはうれしき花の木のうつろふにこそならひわびぬれ(慈円)
347 :
名無氏物語:2006/05/29(月) 07:38:51 ID:iV7D9/YP
年へてもまつとはたれかうゑおきしつれなき色に人ならひけり(土御門院)
348 :
名無氏物語:2006/05/29(月) 07:50:07 ID:2Np3xgx0
み吉野やなげの桜をたのみにてしをりもしらぬ山の夕暮(後鳥羽院)
349 :
名無氏物語:2006/05/29(月) 07:58:03 ID:CR5FTeHQ
せき返し猶もる袖のなみだかなしのぶもよそのこころならぬに
350 :
名無氏物語:2006/05/29(月) 07:58:42 ID:CR5FTeHQ
木の葉ちるしぐれやまがふわが袖はもろきなみだの色とみるまで
351 :
名無氏物語:2006/05/29(月) 07:59:25 ID:CR5FTeHQ
冬の夜のね覚ならひよまきの屋の時雨のうへにあられふるなり
352 :
名無氏物語:2006/05/29(月) 08:00:15 ID:CR5FTeHQ
今こむと契りしことは夢ながら見しよににたる有明の月
353 :
名無氏物語:2006/05/29(月) 08:01:07 ID:CR5FTeHQ
霜むすぶそでにも影はのこりけりつゆよりなれし有明の月
354 :
名無氏物語:2006/05/29(月) 08:01:43 ID:CR5FTeHQ
いその神ふるのの桜たれうゑて春はわすれぬかたみなるらむ
355 :
名無氏物語:2006/05/29(月) 08:23:13 ID:VkQHZntj
今は又花のかげとも頼まれず暮れなばなげの春の日数に(信実[新後撰])
356 :
名無氏物語:2006/05/29(月) 08:24:58 ID:VkQHZntj
いかにしてしばしとどめむ桜花散りなばなげの春の日数を(実雄[続千載])
357 :
名無氏物語:2006/05/29(月) 15:38:33 ID:H72CmtGV
今いくか春の山辺にまじりても花の色にはあかずぞあらまし(花山院長親)
358 :
名無氏物語:2006/05/29(月) 15:39:16 ID:H72CmtGV
よしやふけ暮なばなげの桜花ちるをだにみん春の夕風(小澤蘆庵)
359 :
名無氏物語:2006/05/29(月) 15:48:51 ID:QVDwyP8G
よとともに野べに心やあくがれんもとあらの萩の花しちらずは(藤原顕季)
360 :
名無氏物語:2006/05/29(月) 15:49:32 ID:QVDwyP8G
野べに出でて花しちらずは千世もとは幾春秋をながめきつらん(三条西実隆)
361 :
名無氏物語:2006/05/29(月) 15:58:16 ID:oyyHN1MS
梅がえに降りつむ雪は鶯の羽風に散るも花かとぞみる(藤原顕輔[千載])
362 :
名無氏物語:2006/05/29(月) 16:07:51 ID:QVDwyP8G
身をすてぬ心よわさのすることをたれにおほせて世をうらむらん(源有房)
363 :
名無氏物語:2006/05/29(月) 16:08:38 ID:QVDwyP8G
思ふどちそこともしらず行暮れぬ花の宿かせのべの鶯(藤原家隆)
364 :
名無氏物語:2006/05/29(月) 16:09:53 ID:QVDwyP8G
たれしかも野べに心のあくがれてそこともいはぬ花をみるらん(順徳院)
365 :
名無氏物語:2006/05/29(月) 16:10:53 ID:QVDwyP8G
おもふどち野をなつかしみうちむれて春の日ぐらし菫をぞつむ(西園寺実材母)
366 :
名無氏物語:2006/05/29(月) 16:11:35 ID:QVDwyP8G
おもふどちむれてぞきつる春の山かすみの袖にたなびかれつつ(三条西実隆)
367 :
名無氏物語:2006/05/29(月) 16:17:41 ID:i+RdmjCP
おもふどち春の円ゐのあかぬ野に暮るるも惜しき花の下陰(武者小路実陰)
368 :
名無氏物語:2006/05/29(月) 16:27:20 ID:VkQHZntj
春ふかくなりゆく草のあさみどり野原の雨はふりにけらしも(新後拾遺639)
369 :
名無氏物語:2006/05/29(月) 16:42:40 ID:LF+MVb/s
梅が香のたが里わかず匂ふ夜はぬしさだまらぬ春風ぞ吹く(行念[新勅撰])
370 :
名無氏物語:2006/05/29(月) 16:44:39 ID:LF+MVb/s
我がためと聞きやなさまし霍公鳥ぬしさだまらぬ己が初音を(為相[風雅])
371 :
名無氏物語:2006/05/29(月) 16:45:34 ID:LF+MVb/s
たが里の垣ねもおなじ匂ひとてぬしさだまらぬ梅の下風(宗秀[新千載])
372 :
名無氏物語:2006/05/29(月) 16:47:32 ID:LF+MVb/s
心あてにそれかとばかりつたへきてぬしさだまらぬ夕がほの花(忠守[新続古今])
373 :
名無氏物語:2006/05/29(月) 16:53:32 ID:a8uLiE1M
ぬししらぬ香こそ袂に移りぬれ垣ねのうめに春風ぞふく(平忠盛)
374 :
名無氏物語:2006/05/29(月) 16:54:18 ID:a8uLiE1M
故郷のみかきが原の藤袴たがぬぎかけしにほひなるらん(宗尊親王)
375 :
名無氏物語:2006/05/29(月) 16:55:57 ID:a8uLiE1M
人もがな見せも聞かせも萩の花さく夕かげのひぐらしの声(和泉式部)
376 :
名無氏物語:2006/05/29(月) 16:56:40 ID:a8uLiE1M
日ぐらしのなく夕かげの秋萩に露おきかはす大和なでしこ(藤原家隆)
377 :
名無氏物語:2006/05/29(月) 17:00:24 ID:4CVVM1DL
荒れにけり籬の苔の深緑たがぬぎかけし衣なるらん(後嵯峨院[新続古今])
378 :
名無氏物語:2006/05/29(月) 17:08:25 ID:O69cUU90
ひぐらしの鳴く木隠れの山かげに夕露にほふ大和撫子(後鳥羽院)
379 :
名無氏物語:2006/05/29(月) 17:09:23 ID:O69cUU90
草葉にも哀はかけよ松虫のなく夕かげの秋の初霜(正徹)
380 :
名無氏物語:2006/05/29(月) 17:10:13 ID:O69cUU90
きりぎりすなく夕かげの花のうへも心にかへる庭のしら雪(三条西実隆)
381 :
名無氏物語:2006/05/29(月) 17:11:08 ID:O69cUU90
きりぎりすなく夕かげの秋風も心にかよふせみのこゑかな(三条西実隆)
382 :
名無氏物語:2006/05/29(月) 17:11:51 ID:O69cUU90
きりぎりす鳴く夕かげの山風によわり初めぬる日ぐらしの声(小沢蘆庵)
383 :
名無氏物語:2006/05/29(月) 17:16:05 ID:x9KSCce/
山人の折る袖にほふ菊の露うちはらふにも千代はへぬべし(藤原俊成[新古今])
384 :
名無氏物語:2006/05/29(月) 17:16:55 ID:x9KSCce/
わけ過ぐる山ぢの菊の花のかにぬれてもほさぬ袖の白露(二条為定[新後拾遺])
385 :
名無氏物語:2006/05/29(月) 17:27:24 ID:i+RdmjCP
たづねつつ山ぢの菊を折る袖に露もいく千世おかんとすらん(藤原家隆)
386 :
名無氏物語:2006/05/29(月) 17:28:12 ID:i+RdmjCP
いく千代も結びかさねよ秋の露山ぢの菊のほしあへぬまで(宗良親王)
387 :
名無氏物語:2006/05/29(月) 17:33:30 ID:3iLp/DoK
もみぢ葉を袖にこきいれてかへりけん人の心のいろをみるかな(飛鳥井雅経)
388 :
名無氏物語:2006/05/29(月) 17:34:08 ID:3iLp/DoK
風ふけばこきいれぬ袖もつつむまで都のつとにちるもみぢかな(契沖)
389 :
名無氏物語:2006/05/29(月) 17:39:04 ID:UYRmiYc1
もみぢ葉のちりかひくもる夕時雨いづれか道と秋のゆくらむ(源有長[新勅撰])
390 :
名無氏物語:2006/05/29(月) 17:40:11 ID:UYRmiYc1
我が宿の菊の白露万世の秋のためしにおきてこそみめ(清原元輔[続後撰])
391 :
名無氏物語:2006/05/29(月) 17:40:46 ID:UYRmiYc1
とくみのり菊の白露夜はおきてつとめて消えんことをしぞ思ふ(慈円[新古今])
392 :
名無氏物語:2006/05/29(月) 17:45:31 ID:O69cUU90
白露とおきゐつつのみあるべきをいづちみすてて秋のゆくらむ(和泉式部)
393 :
名無氏物語:2006/05/29(月) 17:46:04 ID:O69cUU90
今こむと頼めてかはる秋の夜のあくるもしらぬ松虫のこゑ(藤原家隆)
394 :
名無氏物語:2006/05/29(月) 17:46:47 ID:O69cUU90
今こむとたのめやはせし郭公ふけぬる夜半をなに恨むらむ(藤原良経)
395 :
名無氏物語:2006/05/29(月) 17:47:25 ID:O69cUU90
長月のありあけの月のあけがたをたれまつ人のながめわぶらむ(藤原良経)
396 :
名無氏物語:2006/05/29(月) 17:48:04 ID:O69cUU90
今こむと頼めやおきし郭公月ぞたちいづる有明の声(後鳥羽院)
397 :
名無氏物語:2006/05/29(月) 17:48:38 ID:O69cUU90
長月の有明の月をみてもまづ今こむまでの秋をこそまて(藤原為家)
398 :
定家厨:2006/05/29(月) 17:49:42 ID:Dk68eDOJ
玉桙のゆくてばかりを梅の花うたてにほひの人したふらん
399 :
定家厨:2006/05/29(月) 17:50:32 ID:Dk68eDOJ
おのづからそこともしらぬ月は見つ暮れなばなげの花をたのみて
400 :
定家厨:2006/05/29(月) 17:51:06 ID:Dk68eDOJ
鶯のはつねを松にさそはれてはるけき野べに千世も経ぬべし
401 :
定家厨:2006/05/29(月) 17:51:48 ID:Dk68eDOJ
思ふどち春のかたみにすみれ摘む野原のまとゐ雨はそほ降る
402 :
定家厨:2006/05/29(月) 17:52:21 ID:Dk68eDOJ
かぎりなき山ぢの菊のかげなれば露もや千世を契りおくらん
403 :
定家厨:2006/05/29(月) 17:52:56 ID:Dk68eDOJ
山姫の形見にそむる紅葉ばを袖にこきいるるよもの秋かぜ
404 :
定家厨:2006/05/29(月) 17:53:29 ID:Dk68eDOJ
山の端に月も待ちいでぬ夜をかさねなほ雲のぼる五月雨の空
405 :
定家厨:2006/05/29(月) 17:54:03 ID:Dk68eDOJ
かはらずも待ちいでつるかな郭公月にほのめくこぞのふる声
406 :
名無氏物語:2006/05/29(月) 17:55:29 ID:HD3NeCPK
忘れじといひしばかりのなごりとてそのよの月はめぐりきにけり(藤原有家[新古今])
407 :
名無氏物語:2006/05/29(月) 18:03:29 ID:HD3NeCPK
あぢきなく頼めぬ月の影もうしいひしばかりの有明の空(藤原忠良[新続古今])
408 :
名無氏物語:2006/05/29(月) 18:09:05 ID:H72CmtGV
秋もいまはしぐるるほどになりにけり山の木の葉の空にうつろふ(飛鳥井雅経)
409 :
名無氏物語:2006/05/29(月) 18:09:43 ID:H72CmtGV
おのれさへうつろふばかりそめてけり山の木の葉の秋のしら露(正徹)
410 :
名無氏物語:2006/05/29(月) 18:13:00 ID:a8uLiE1M
春風にあかずちりぬる花よりもちぎりしことのはこそわすれね(大江匡房)
411 :
名無氏物語:2006/05/29(月) 18:13:58 ID:a8uLiE1M
うちたのむ人の心のつらければ野にも山にもいざかくれなん(素性法師)
412 :
名無氏物語:2006/05/29(月) 18:14:38 ID:a8uLiE1M
しきたへの枕をだにもかさばこそ夢のたましひしたこがれせめ(素性法師)
413 :
名無氏物語:2006/05/29(月) 18:15:19 ID:a8uLiE1M
ねになきて我恋ひ死なばうつせみのむなしきからを哀ともみよ(藤原行家)
414 :
名無氏物語:2006/05/29(月) 18:16:12 ID:a8uLiE1M
恋しさに思ひみだるる世中にふかき夢ぢをうつつともがな(素性法師)
415 :
名無氏物語:2006/05/29(月) 18:19:10 ID:tPB6HiTi
いはざりきいまこむまでの空の雲月日へだててものおもへとは(藤原良経[新古今])
416 :
名無氏物語:2006/05/29(月) 18:19:48 ID:tPB6HiTi
今こむとたのめしことを忘れずはこの夕暮の月や待つらむ(藤原秀能[新古今])
417 :
名無氏物語:2006/05/29(月) 18:20:39 ID:tPB6HiTi
今こむと契りしことは夢ながら見し夜に似たる有明の月(源通具[新古今])
418 :
名無氏物語:2006/05/29(月) 18:21:18 ID:tPB6HiTi
今こんと言はぬばかりぞ子規有明の月のむら雨の空(順徳院[続後撰])
419 :
名無氏物語:2006/05/29(月) 18:22:01 ID:tPB6HiTi
頼めてもむなしき空のいつはりにふけゆく月をまちいでつるかな(道助法親王[続後撰])
420 :
名無氏物語:2006/05/29(月) 18:23:06 ID:tPB6HiTi
今こむとたのめし人のいつはりをいくあり明の月に待つらん(宗尊親王[続拾遺])
421 :
名無氏物語:2006/05/29(月) 18:25:21 ID:u3Ez26Gd
今こんとたのめぬ夜はの月をだに猶まち出づる在明の空(洞院実雄[続拾遺])
422 :
名無氏物語:2006/05/29(月) 18:27:22 ID:u3Ez26Gd
秋の月ちぢに心をくだききてこよひ一よにたへずも有るかな(荒木田氏良[千載])
423 :
名無氏物語:2006/05/29(月) 18:28:16 ID:u3Ez26Gd
ながむれば千々に物思ふ月に又我が身ひとつの嶺の松風(鴨長明[新古今])
424 :
名無氏物語:2006/05/29(月) 18:28:48 ID:u3Ez26Gd
妻こふる我が身一つの秋とてや夜な夜な月に鹿の鳴くらん(式乾門院御匣[新続古今])
425 :
名無氏物語:2006/05/29(月) 18:29:20 ID:u3Ez26Gd
いつまでか我が身ひとつの出がてに故郷かすむ月をみるべき(二条為藤[新千載])
426 :
名無氏物語:2006/05/29(月) 18:34:43 ID:qv8cKep+
おぼつかな谷より出づる鶯のそこにありとはきかするものを(源頼政)
427 :
名無氏物語:2006/05/29(月) 18:35:53 ID:qv8cKep+
うぐひすの谷より出づるはつ声にまづ春しるは深山べの里(藤原教長)
428 :
名無氏物語:2006/05/29(月) 18:36:57 ID:qv8cKep+
あし引の山のはかすむ明ぼのに谷よりいづる鳥の一こゑ(式子内親王)
429 :
名無氏物語:2006/05/29(月) 18:38:06 ID:qv8cKep+
あきらけき御代の春しる鶯も谷よりいづる声きこゆなり(宗良親王)
430 :
名無氏物語:2006/05/29(月) 18:39:00 ID:qv8cKep+
うらやまし谷よりいづる鶯よわが山里は春もしらぬに(後崇光院)
431 :
名無氏物語:2006/05/30(火) 01:16:06 ID:OR7x4+RS
志賀の浦のおぼろ月夜の名残とてくもりもはてぬ曙の空(後鳥羽院)
432 :
名無氏物語:2006/05/30(火) 01:20:08 ID:OR7x4+RS
空も猶おぼろ月夜の比とてやくもりも果てぬ春雨ぞふる(藤原為家)
433 :
名無氏物語:2006/05/30(火) 01:23:01 ID:OR7x4+RS
月影はくもりもはてぬうす雲のたえまがちにもふるあられかな(飛鳥井雅有)
434 :
名無氏物語:2006/05/30(火) 01:23:47 ID:OR7x4+RS
むらさめはくもりもはてぬひとそそきはれ行く空に鳴く郭公(進子内親王)
435 :
名無氏物語:2006/05/30(火) 01:29:26 ID:SeoOpDSY
月ぞ猶くもりもはてぬ山のははあるかなきかにかすむ夕べに(頓阿)
436 :
名無氏物語:2006/05/30(火) 01:30:14 ID:SeoOpDSY
ながめやる遠の高ねの花の色にくもりも果てぬ夕月夜かな(慶運)
437 :
名無氏物語:2006/05/30(火) 01:30:52 ID:SeoOpDSY
てりもせずくもりもはてぬ冬の日の空ゆく雲はうちしぐれつつ(宗良親王)
438 :
名無氏物語:2006/05/30(火) 01:31:27 ID:SeoOpDSY
かすみつつくもりもはてずながき日に朧月夜を待ちくらしぬる(飛鳥井雅親)
439 :
名無氏物語:2006/05/30(火) 01:36:39 ID:ljcuAptq
今朝みれば垣ねの菊もうつろひぬ花まちどほにいつ思ひけん(土御門院小宰相)
440 :
名無氏物語:2006/05/30(火) 01:37:09 ID:ljcuAptq
夕霧も心のそこにむせびつつわが身ひとつの秋ぞ更けゆく(式子内親王)
441 :
名無氏物語:2006/05/30(火) 01:37:55 ID:ljcuAptq
千々におもふ心は月にふけにけり我が身ひとつの秋とながめて(藤原忠良)
442 :
名無氏物語:2006/05/30(火) 01:39:04 ID:ljcuAptq
ちぢにのみ思ふ思ひも心からわが身ひとつの秋の夜の月(飛鳥井雅経)
443 :
名無氏物語:2006/05/30(火) 01:44:08 ID:dPAqmnRw
月かげをわが身ひとつとながむれば千々にくだくる萩のうへの露(後鳥羽院)
444 :
名無氏物語:2006/05/30(火) 01:44:55 ID:dPAqmnRw
月みても千々にくだくる心かな我が身ひとつの昔ならねど(俊成女)
445 :
名無氏物語:2006/05/30(火) 01:45:47 ID:dPAqmnRw
年を経て我が身ひとつと歎きても見れば忘るる秋の夜の月(為家)
446 :
名無氏物語:2006/05/30(火) 01:46:27 ID:dPAqmnRw
山さびし秋もすぎぬとつぐるかも槙の葉ごとにおける朝じも(藤原八束)
447 :
名無氏物語:2006/05/30(火) 01:49:47 ID:qsPLxHd/
わきてなほふけゆく影のさやけきは西こそ秋と月やすむらん(源資平[続古今])
448 :
名無氏物語:2006/05/30(火) 01:50:23 ID:qsPLxHd/
都より尋ねてきけば小倉山西こそ秋と鹿もなくなれ(津守国冬[新後撰])
449 :
名無氏物語:2006/05/30(火) 02:02:35 ID:r6XzxKKn
春の夜の夢のうきはしとだえして峰にわかるるよこ雲の空
450 :
名無氏物語:2006/05/30(火) 02:03:09 ID:r6XzxKKn
花の色に一はるかけてかへるかりことし越路のそらだのめして
451 :
名無氏物語:2006/05/30(火) 02:04:03 ID:r6XzxKKn
啼きぬなり夕付鳥のしだり尾のおのれにもにぬよはのみじかさ
452 :
名無氏物語:2006/05/30(火) 02:04:49 ID:r6XzxKKn
見渡せばはなも紅葉もなかりけりうらのとま屋の秋のゆふぐれ
453 :
名無氏物語:2006/05/30(火) 02:05:28 ID:r6XzxKKn
わすれなむまつとなつげそ中中にいなばの山のみねのあき風
454 :
名無氏物語:2006/05/30(火) 02:06:22 ID:r6XzxKKn
明けば又あきのなかばも過ぎぬべしかたぶく月のをしきのみかは
455 :
名無氏物語:2006/05/30(火) 02:10:35 ID:76fOdh8A
雪の上に照れる月夜に梅の花折りて贈らむ愛しき児もがも(大伴家持「万葉集」)
456 :
名無氏物語:2006/05/30(火) 02:10:36 ID:AvNABwI3
をぐら山西こそ秋とたづぬれば夕日にまがふ峰のもみぢば(家隆)
457 :
名無氏物語:2006/05/30(火) 02:11:22 ID:AvNABwI3
すずしさを月に吹きこせ住の江や西こそ秋のおきつ塩風(肖柏)
458 :
名無氏物語:2006/05/30(火) 02:12:16 ID:AvNABwI3
尋ねみんさぞな涼しき大井川西こそ秋の水のみなかみ(長嘯子)
459 :
名無氏物語:2006/05/30(火) 02:13:13 ID:AvNABwI3
夕まぐれほのみるからに悲しきは西こそ秋の初月の影(下河辺長流)
460 :
名無氏物語:2006/05/30(火) 02:13:54 ID:AvNABwI3
のどけしな西こそ秋のおなじえをわかずも春ににほふむめがか(中院通茂)
461 :
名無氏物語:2006/05/30(火) 02:16:58 ID:b2bvM60C
しるべせよ跡なき波に漕ぐ舟の行方もしらぬ八重の潮風(式子内親王[新古今])
462 :
名無氏物語:2006/05/30(火) 02:17:28 ID:b2bvM60C
かぢをたえ由良の湊による舟のたよりもしらぬ沖つ潮風(良経[新古今])
463 :
名無氏物語:2006/05/30(火) 02:27:39 ID:flU7jakK
都へとさそふしるべもしら波のあとなきかたに月ぞやどれる(如願)
464 :
名無氏物語:2006/05/30(火) 02:28:54 ID:flU7jakK
春くれば霞をおのがたよりとてあとなきかたにかへる雁金(為家)
465 :
名無氏物語:2006/05/30(火) 02:29:45 ID:flU7jakK
うき雲の跡なき方にしぐるるは風をたよりの木の葉なりけり(宗尊親王)
466 :
名無氏物語:2006/05/30(火) 02:31:07 ID:flU7jakK
荻の葉に風ぞたよりの音たててものおもふ秋のしるべなりける(宗尊親王)
467 :
名無氏物語:2006/05/30(火) 02:31:54 ID:flU7jakK
和田の原かぎりもいとど白波の跡なきかたにたつ霞かな(頓阿)
468 :
名無氏物語:2006/05/30(火) 02:38:17 ID:Yw73A0ro
山里は風ぞたよりのしるべとも梅が香にほふ比やしるらん(宗良親王)
469 :
名無氏物語:2006/05/30(火) 02:51:18 ID:oSsBVr4r
ふる雪のみのしろ衣うちきつつ春きにけりとおどろかれぬる(後撰1)
470 :
名無氏物語:2006/05/30(火) 08:26:49 ID:w4NhQ57p
おのれかつちるを雪とや思ふらんみのしろごろも花もきてけり(源俊頼)
471 :
名無氏物語:2006/05/30(火) 08:27:50 ID:w4NhQ57p
旅人のみのしろ衣うちはらひふぶきをわたる雲のかけはし(藤原良経)
472 :
名無氏物語:2006/05/30(火) 19:34:50 ID:fzWrqqkD
桜がり雨はふりきぬ同じくは濡るとも花の蔭に隠れん(読人不知[拾遺])
473 :
名無氏物語:2006/05/30(火) 19:37:46 ID:3l6t3r3K
世の中は澄むと濁るの違いにて刷毛に毛があり禿に毛がなし
474 :
名無氏物語:2006/05/30(火) 19:44:08 ID:FbIbZgkY
秋きぬと荻の葉風にしられても春の別れやおどろかるらん(藤原俊成)
475 :
名無氏物語:2006/05/30(火) 19:44:53 ID:FbIbZgkY
秋きぬと風やつぐらん朝まだきまがきの荻のそよとこたふる(平忠盛)
476 :
名無氏物語:2006/05/30(火) 19:45:51 ID:FbIbZgkY
秋きぬとおどろかれけり窓ちかくいささ群竹かぜそよぐ夜は(藤原実定)
477 :
名無氏物語:2006/05/30(火) 19:46:41 ID:FbIbZgkY
秋きぬと荻の葉風のつげしより思ひしことのただならぬ暮(式子内親王)
478 :
名無氏物語:2006/05/30(火) 19:47:30 ID:FbIbZgkY
秋きぬとおどろく風をたづぬれば目にさやかなる萩のうは葉を(慈円)
479 :
名無氏物語:2006/05/30(火) 19:52:39 ID:e1r7kJ/p
いつしかと荻の葉むけの片寄にそそや秋とぞ風も聞こゆる(崇徳院[新古今])
480 :
名無氏物語:2006/05/30(火) 19:53:16 ID:e1r7kJ/p
浅茅生の露けくもあるか秋きぬと目にはさやかに見えけるものを(守覚法親王[千載])
481 :
名無氏物語:2006/05/30(火) 19:53:46 ID:e1r7kJ/p
窓近きいささむら竹風ふけば秋におどろく夏の夜の夢(藤原公継[新古今])
482 :
名無氏物語:2006/05/30(火) 19:54:39 ID:e1r7kJ/p
吹く風の色こそ見えね高砂の尾の上の松に秋は来にけり(藤原秀能[新古今])
483 :
名無氏物語:2006/05/30(火) 19:55:45 ID:e1r7kJ/p
吹く風の竹になるよは秋きぬとおどろくばかり袖にすずしき(源有房[玉葉])
484 :
名無氏物語:2006/05/31(水) 10:32:36 ID:v59cWQQE
あは雪はふりもやまなんまだきよりまたるる花のちるとまがふに(藤原為家[玉葉])
485 :
名無氏物語:2006/05/31(水) 18:32:48 ID:G3Qg3bpY
なほざりの秋風よりも木枯のめに見ぬ冬ぞおどろかれぬる(飛鳥井雅世)
486 :
名無氏物語:2006/05/31(水) 18:33:49 ID:G3Qg3bpY
荻の葉のうちそよぐにも秋きぬとおどろかれぬる人のわかれぢ(木下長嘯子)
487 :
名無氏物語:2006/05/31(水) 18:40:56 ID:RgiVgg38
木のもとにやどりはすべし桜花ちらまくをしみ旅ならなくに(源実朝)
488 :
名無氏物語:2006/05/31(水) 18:41:38 ID:RgiVgg38
よそに見てをらでは過ぎじ女郎花名をむつましみ露にぬるとも(源実朝)
489 :
名無氏物語:2006/05/31(水) 18:46:25 ID:A+NNshvB
こぬ人をまつほのうらの夕なぎにやくやもしほの身もこがれつつ
490 :
名無氏物語:2006/05/31(水) 18:47:09 ID:A+NNshvB
あぢきなくつらきあらしのこゑもうしなど夕ぐれを待ちならひけむ
491 :
名無氏物語:2006/05/31(水) 18:47:57 ID:A+NNshvB
帰るさのものとや人のながむらむ待つ夜ながらの有明の月
492 :
名無氏物語:2006/05/31(水) 18:48:50 ID:A+NNshvB
夕暮はいづれのくものなごりとてはなたち花に風のふくらむ
493 :
名無氏物語:2006/05/31(水) 18:49:28 ID:A+NNshvB
一こゑはおもひぞあへぬほととぎすたそかれ時の雲のまよひに
494 :
名無氏物語:2006/05/31(水) 18:50:29 ID:A+NNshvB
すみはてぬいづく長月名のみしてみじかかりけるあきのほどかな
495 :
名無氏物語:2006/05/31(水) 18:53:09 ID:iiIv98gd
ぬぎかけし主はたれともしらねども一野にたてる藤ばかまかな(大江匡房)
496 :
名無氏物語:2006/05/31(水) 18:53:49 ID:iiIv98gd
藤ばかまきてぬぎかけし主やたれとへどこたへず野べの秋風(実朝)
497 :
名無氏物語:2006/05/31(水) 18:55:59 ID:iiIv98gd
つゆのそめて色色になすもみぢ葉のまたいろいろに露をそむらむ(慈円)
498 :
名無氏物語:2006/05/31(水) 19:05:07 ID:I8/++JcZ
恋ひわびてうちぬる宵の夢にだに逢ふとは人の見えばこそあらめ(藤原成範[千載])
499 :
名無氏物語:2006/05/31(水) 19:05:38 ID:I8/++JcZ
いかにしてうつつの憂さとなりにけん見しや昔の夢の通ひ路(宗尊親王[続拾遺])
500 :
名無氏物語:2006/05/31(水) 19:07:50 ID:I8/++JcZ
はかなしなみつの浜松おのづから見えこし夢の浪の通ひ路(家隆[続拾遺])
501 :
名無氏物語:2006/05/31(水) 19:08:33 ID:I8/++JcZ
見し人の面影とめよ清見潟袖にせきもる波の通ひ路(雅経[新古今])
502 :
定家厨:2006/05/31(水) 19:10:33 ID:YGhCPAth
松かげや岸による浪よるばかりしばしぞ涼む住吉の浜
503 :
定家厨:2006/05/31(水) 19:11:35 ID:YGhCPAth
住の江の松のねたくやよる浪のよるとはなげく夢をだに見で
504 :
定家厨:2006/05/31(水) 19:12:10 ID:YGhCPAth
波の音に宇治のさと人よるさへや寝てもあやふき夢の浮橋
505 :
定家厨:2006/05/31(水) 19:13:20 ID:YGhCPAth
秋きぬと荻の葉風はなのるなり人こそとはねたそかれの空
506 :
定家厨:2006/05/31(水) 19:13:52 ID:YGhCPAth
雪のうちに春をきたりとしらするはみのしろ衣梅の花がさ
507 :
定家厨:2006/05/31(水) 19:14:23 ID:YGhCPAth
さゆる夜はまだ冬ながら月かげのくもりもはてぬけしきなるかな
508 :
定家厨:2006/05/31(水) 19:15:29 ID:YGhCPAth
夕立の菊のしをれ葉はらふとて花まちどほに人やあざける
509 :
定家厨:2006/05/31(水) 19:16:07 ID:YGhCPAth
いく秋を千々にくだけて過ぎぬらん我が身ひとつを月にうれへて
510 :
名無氏物語:2006/05/31(水) 19:24:02 ID:tohlJyhZ
すがはらやふしみの里のささ枕夢もいくよの人めよくらん(順徳院)
511 :
名無氏物語:2006/05/31(水) 19:24:42 ID:tohlJyhZ
住の江の浪の通ひ路たがために春は霞の人めよくらん(藤原為家)
512 :
名無氏物語:2006/05/31(水) 19:25:41 ID:tohlJyhZ
よし野河きしによる波山吹の花を名残の春なさそひそ(肖柏)
513 :
名無氏物語:2006/05/31(水) 19:35:02 ID:v59cWQQE
うつつにはさもこそあらめ夢にさへ人めをもると見るがわびしさ(小野小町[古今])
514 :
名無氏物語:2006/06/01(木) 01:02:45 ID:Vgfeml2I
五月雨はさてもくれにきつれづれのながめにまさる昨日今日かな(和泉式部)
515 :
名無氏物語:2006/06/01(木) 01:03:39 ID:Vgfeml2I
なみだ川ながめにまさる袖のうへにせきかぬばかり人ぞ恋しき(家隆)
516 :
名無氏物語:2006/06/01(木) 01:04:35 ID:Vgfeml2I
八大かたのながめにまさるたもとかな軒のしのぶの秋の村雨(順徳院)
517 :
名無氏物語:2006/06/01(木) 01:09:36 ID:Oa7Dn9hL
あやなしや恋すてふ名はたつた川袖をぞくくるくれなゐの波(俊成)
518 :
名無氏物語:2006/06/01(木) 01:10:18 ID:Oa7Dn9hL
行く水のあはれとぞ思ふ三瀬川わたらでやまん人しなければ(慶運)
519 :
名無氏物語:2006/06/01(木) 01:17:26 ID:Mx+mwmYa
立田川岩こす浪のこほるかとまだき無き名の月にみゆらん(親子[続拾遺])
520 :
名無氏物語:2006/06/01(木) 01:20:29 ID:Mx+mwmYa
繁き野をいく一むらに分けなしてさらに昔を忍びかへさむ(西行[新古今])
521 :
名無氏物語:2006/06/01(木) 01:23:22 ID:PvXBfbom
いかがふく身にしむ色のかはるかなたのむるくれの松風のこゑ
522 :
名無氏物語:2006/06/01(木) 01:23:58 ID:PvXBfbom
くもれかしながむるからに恋しきは月におぼゆる人のおもかげ
523 :
名無氏物語:2006/06/01(木) 01:24:35 ID:PvXBfbom
逢ふ事を又はいつともなき物をあはれもしらぬとりのこゑかな
524 :
名無氏物語:2006/06/01(木) 01:25:10 ID:PvXBfbom
わすれじのただ一こゑをかた見にてゆくもとまるもぬるる袖かな
525 :
名無氏物語:2006/06/01(木) 01:25:43 ID:PvXBfbom
浮世をば出づる日ごとにいとへどもいつかは月のいるかたをみむ
526 :
名無氏物語:2006/06/01(木) 01:26:19 ID:PvXBfbom
わが庵は小倉の山のちかければうき世をしかとなかぬ日ぞなき
527 :
名無氏物語:2006/06/01(木) 01:30:32 ID:9CVH/s52
薮し分かぬ春とやなれも花の咲くその名もしらぬ山の下草(花園院[風雅])
528 :
名無氏物語:2006/06/01(木) 01:44:31 ID:ic7/0PS4
初時雨そめしもみぢの唐錦にはにうちはふ風ぞしくめる(藤原教長)
529 :
名無氏物語:2006/06/01(木) 01:45:02 ID:ic7/0PS4
稲筵ほなみはるかに打ちなびきおきふしみえて風ぞしくめる(二条為明)
530 :
名無氏物語:2006/06/01(木) 08:10:07 ID:LwGAqONn
よしや人みまれ見ずまれ今はただめづらしげなき恋の煙を(後嵯峨院)
531 :
名無氏物語:2006/06/01(木) 08:11:07 ID:LwGAqONn
月影をみまれみずまれ秋といへばめづらしげなく落つるなみだか(宗尊親王)
532 :
名無氏物語:2006/06/01(木) 08:12:11 ID:LwGAqONn
花の色はみまれみずまれ分けゆかんかすめる山に風にほふなり(宗良親王)
533 :
名無氏物語:2006/06/01(木) 08:17:10 ID:tH1iZLqV
このねぬる朝けの風も心あらば花のあたりをよきて吹かなん(九条道家[続後撰])
534 :
名無氏物語:2006/06/01(木) 08:17:46 ID:tH1iZLqV
たちまよふ吉野の桜よきて吹け雲に待たるる春の山風(九条教実[新勅撰])
535 :
名無氏物語:2006/06/01(木) 08:19:44 ID:tH1iZLqV
心から散るといふ名の惜しければうつろふ花に風もいとはず(藤原為理[新後撰])
536 :
名無氏物語:2006/06/01(木) 08:20:35 ID:tH1iZLqV
うつろふも心づからの花ならばさそふ嵐をいかがうらみん(伏見院[続千載])
537 :
名無氏物語:2006/06/01(木) 08:25:13 ID:06bnJp0q
谷川のうち出づる波も声たてつ鶯さそへ春の山風(藤原家隆[新古今])
538 :
名無氏物語:2006/06/01(木) 08:25:44 ID:06bnJp0q
谷川をうち出づる波にみし花の峰の梢になりにけるかな(藤原良経[続後拾遺])
539 :
名無氏物語:2006/06/01(木) 14:28:24 ID:b+RLb1Hm
すはの海や氷のうへは霞めども猶うちいでぬ春のしら浪(宗良親王)
540 :
名無氏物語:2006/06/01(木) 14:29:14 ID:b+RLb1Hm
おく霜の氷吹きとく松風にうちいづる波や梅の初花(正徹)
541 :
名無氏物語:2006/06/01(木) 14:36:07 ID:C5GySwjF
花に飽かでつひに消えなば山桜あたりをさらぬ霞とならん(藤原俊成[風雅])
542 :
名無氏物語:2006/06/01(木) 14:36:58 ID:C5GySwjF
花すすきまだ露ふかし穂に出でて眺めじと思ふ秋のさかりを(式子内親王[新古今])
543 :
名無氏物語:2006/06/01(木) 14:38:08 ID:C5GySwjF
白川のたえぬ流れを尋ねきて万代契る友千鳥かな(覚助法親王[新千載])
544 :
名無氏物語:2006/06/01(木) 14:38:57 ID:C5GySwjF
我が恋はしる人もなしせく床の涙もらすな黄楊のを枕(式子内親王[新古今])
545 :
名無氏物語:2006/06/01(木) 14:40:12 ID:C5GySwjF
忍びあまり落つる涙をせき返し抑ふる袖ようき名もらすな(読人不知[新古今])
546 :
名無氏物語:2006/06/01(木) 14:41:03 ID:C5GySwjF
葛の葉にあらぬ我が身も秋風の吹くにつけつつ恨みつるかな(村上天皇[新古今])
547 :
名無氏物語:2006/06/01(木) 14:51:41 ID:87IGsaBG
葛の葉の恨みにかへる夢の世を忘れがたみの野辺の秋風(俊成女[新古今])
548 :
名無氏物語:2006/06/01(木) 14:52:23 ID:87IGsaBG
今よりの秋の夜風やいかならむ今朝だに葛のうらみ顔なる(寂蓮[続後撰])
549 :
名無氏物語:2006/06/01(木) 15:06:36 ID:lXUDgkY6
暁の鳥よりさきに鳴きそめてなれも別れや惜しむ雁金(後水尾院)
550 :
名無氏物語:2006/06/01(木) 15:07:25 ID:lXUDgkY6
水鳥のうへはこほれる羽衣いでいりあらふ波のまもなし(賀茂保憲女)
551 :
名無氏物語:2006/06/01(木) 15:12:33 ID:M9g8eq/e
ただ一重上は氷れる河の面にぬれぬ木の葉ぞ風に流るる(九条左大臣女[玉葉])
552 :
名無氏物語:2006/06/01(木) 15:20:31 ID:PvXBfbom
なべてよをかりのやどりと思はずはすみうかるべき草の庵かな
553 :
名無氏物語:2006/06/01(木) 15:21:20 ID:PvXBfbom
とにかくに身のうき事のしげければ一よだにやはそでもぬれける
554 :
名無氏物語:2006/06/01(木) 15:21:59 ID:PvXBfbom
梅のはなあかぬ色香もむかしにておなじかたみの春の夜の月
555 :
名無氏物語:2006/06/01(木) 15:22:32 ID:PvXBfbom
うらみずやうき世を花のいとひつつさそふ風あらばと思ひけるかな
556 :
名無氏物語:2006/06/01(木) 15:23:12 ID:PvXBfbom
面影のかすめる月ぞやどりけるはるやむかしのそでのなみだに
557 :
名無氏物語:2006/06/01(木) 15:23:44 ID:PvXBfbom
をしむともなみだに月はこころからなれぬる袖に秋をうらみて
558 :
名無氏物語:2006/06/01(木) 15:30:35 ID:n11l3BZ6
世中ようへはこほれる冬川のしられぬにこそわたりかねぬれ(三条西実隆)
559 :
名無氏物語:2006/06/01(木) 15:49:51 ID:P8Dlm57k
かねてよりおもひこしぢのあらち山ことわり過ぐる峰の白雪(知家)
560 :
名無氏物語:2006/06/01(木) 15:50:30 ID:P8Dlm57k
はるかにも思ひこしぢの春の雁かへる山をば都にぞ見る(後柏原天皇)
561 :
名無氏物語:2006/06/01(木) 15:51:12 ID:P8Dlm57k
人をのみ思ひこしぢのはてなれや身を白雪のつもる恨みは(宗良親王)
562 :
名無氏物語:2006/06/01(木) 15:51:46 ID:P8Dlm57k
つれづれと空ぞ見らるる思ふ人天くだり来んものならなくに(和泉式部)
563 :
名無氏物語:2006/06/01(木) 15:52:55 ID:P8Dlm57k
見ずもあらずみもせぬ人の形見かは五月の空の夕暮の雲(藤原家隆)
564 :
名無氏物語:2006/06/01(木) 15:53:55 ID:P8Dlm57k
おほ空はくれゆく秋のかたみかはをしむ袂もうちしぐれつつ(後鳥羽院)
565 :
定家厨:2006/06/01(木) 15:55:17 ID:G0fOP1dF
かた見かはしるべにもあらず君恋ひてただつくづくとむかふ大空
566 :
定家厨:2006/06/01(木) 15:56:20 ID:G0fOP1dF
ありはてぬ命をさぞと知りながらはかなくも世を明け暮らす哉
567 :
定家厨:2006/06/01(木) 15:56:54 ID:G0fOP1dF
吉野山かすまぬ方の谷水も打ち出づる波に春は立つなり
568 :
定家厨:2006/06/01(木) 15:57:27 ID:G0fOP1dF
いはそそぐ清水も春の声たてて打ちてや出づる谷の早蕨
569 :
定家厨:2006/06/01(木) 15:58:06 ID:G0fOP1dF
もる山の時雨の秋を見てしがな心づからや紅葉はつると
570 :
定家厨:2006/06/01(木) 15:59:07 ID:G0fOP1dF
むら薄植ゑけむ跡も古りにけり雲井を近くまもる住処に
571 :
定家厨:2006/06/01(木) 16:00:18 ID:G0fOP1dF
人もとへ荒れなむのちの虫の音も植ゑおく薄秋し絶えずは
572 :
定家厨:2006/06/01(木) 16:01:19 ID:G0fOP1dF
秋をへて昔は遠き大空に我が身ひとつのもとの月影
573 :
名無氏物語:2006/06/01(木) 16:07:41 ID:/vFqH1ya
おほ空はこひしき人のかたみかは物思ふごとにながめらるらむ(古今743
574 :
名無氏物語:2006/06/01(木) 16:35:35 ID:/vFqH1ya
君をのみ思ひこしぢのしら山はいつかは雪のきゆる時ある(古今979)
575 :
名無氏物語:2006/06/01(木) 16:36:23 ID:/vFqH1ya
冬河のうへはこほれる我なれや下にながれて恋ひわたるらむ(古今591)
576 :
名無氏物語:2006/06/01(木) 16:45:45 ID:Ti5AquuU
朝夕にむなしき空をながめてもたかく仰ぎし君を恋ひつつ(宗尊親王)
577 :
名無氏物語:2006/06/01(木) 16:46:45 ID:Ti5AquuU
そなたともたがゆふ暮の空なれば恋しきたびに詠めやるらん(宗良親王)
578 :
名無氏物語:2006/06/01(木) 16:48:00 ID:Ti5AquuU
かたみかはそなたのそらの峰の雲恋しきたびにうちながめつつ(後崇光院)
579 :
名無氏物語:2006/06/01(木) 16:49:02 ID:Ti5AquuU
わぎもこは月の都へいらなくに暮るれば空のながめらるらん(井上文雄)
580 :
名無氏物語:2006/06/01(木) 16:50:50 ID:Ti5AquuU
さく花は千種ながらに時過ぎて枯れゆくをのの霜のさむけさ(宗尊親王)
581 :
名無氏物語:2006/06/01(木) 16:54:21 ID:7PjsTU4i
花いへばちくさながらにあだならぬ色香にうつる野べの露かな(三条西実隆)
582 :
名無氏物語:2006/06/01(木) 16:55:32 ID:7PjsTU4i
さまざまに心うつりて咲く花は千種ながらにあかずしぞおもふ(後水尾院)
583 :
名無氏物語:2006/06/01(木) 16:56:31 ID:7PjsTU4i
冬枯の草葉にも見よ色といへば千種ながらにあだの世の中(後水尾院)
584 :
名無氏物語:2006/06/01(木) 16:57:26 ID:7PjsTU4i
さく花の千種ながらにうちなびきかぎりもみえぬのべの秋かぜ(霊元院)
585 :
名無氏物語:2006/06/01(木) 16:58:36 ID:7PjsTU4i
夕霞たなびく山の春よりも色の千種にさけるなでしこ(順徳院)
586 :
名無氏物語:2006/06/01(木) 16:59:45 ID:7PjsTU4i
あけわたるとやまの花にうつろひて色の千草にたつかすみかな(藤原泰綱)
587 :
名無氏物語:2006/06/01(木) 17:04:21 ID:ic7/0PS4
見わたせば色の千種にうつろひて霞をそむる山ざくらかな(藤原行家)
588 :
名無氏物語:2006/06/01(木) 17:05:45 ID:ic7/0PS4
秋も又色の千くさのおなじ野に霞みし花のかげぞわすれぬ(津守国道)
589 :
名無氏物語:2006/06/01(木) 17:06:41 ID:ic7/0PS4
春の色を千種にこめて天の原かぎりもしらず立つ霞かな(肖柏)
590 :
名無氏物語:2006/06/01(木) 17:07:26 ID:ic7/0PS4
やまやはるなけや鶯すみがまの煙も空にかすむけしきを(衲叟馴窓)
591 :
名無氏物語:2006/06/01(木) 17:08:28 ID:ic7/0PS4
移り来てなけや鶯うららなる南のかたえ木のめ春風(冷泉為村)
592 :
名無氏物語:2006/06/01(木) 17:14:06 ID:TlD9AZ9f
花もまだにほはぬ比の朝な朝ななけや鶯春と思はん(鷹司院按察[玉葉])
593 :
名無氏物語:2006/06/01(木) 17:15:32 ID:TlD9AZ9f
あぢきなく春はいのちのをしきかな花ぞこの世のほだしなりける(和泉式部[風雅])
594 :
名無氏物語:2006/06/01(木) 17:16:28 ID:TlD9AZ9f
思へどもつらくもあるかな七夕のなどか一夜と契りそめけん(基長[新勅撰])
595 :
名無氏物語:2006/06/01(木) 17:20:06 ID:TlD9AZ9f
あかれじの心や深き七夕の年に一たびまれにのみ逢ふ(花山院[玉葉])
596 :
名無氏物語:2006/06/01(木) 17:21:28 ID:TlD9AZ9f
玉川の里の垣ねの卯の花はおよばぬ波のこすかとぞみる(二条道平[新千載])
597 :
名無氏物語:2006/06/01(木) 17:27:09 ID:P8Dlm57k
染めつくす峰の紅葉をいづる日のあからさまにしあふは逢ふかは(加藤千蔭)
598 :
名無氏物語:2006/06/01(木) 17:28:04 ID:P8Dlm57k
み山にも秋はかぎりになりにけりおちくる水の色かはるまで(土御門院小宰相)
599 :
名無氏物語:2006/06/01(木) 17:28:56 ID:P8Dlm57k
白浪のこすかとぞみる卯花のさける垣ねや末の松山(藤原長方)
600 :
名無氏物語:2006/06/01(木) 17:30:12 ID:P8Dlm57k
しら浪のこえてかへると見えつるや雪に風吹くすゑの松山(慈円)
601 :
名無氏物語:2006/06/01(木) 17:30:59 ID:P8Dlm57k
さざなみのこすかとぞみる唐崎や松のしづえにふれる白雪(澄覚法親王)
602 :
名無氏物語:2006/06/01(木) 17:32:04 ID:P8Dlm57k
松かげに咲ける桜は末の山したより浪のこすかとぞみる(小沢蘆庵)
603 :
名無氏物語:2006/06/01(木) 17:35:11 ID:K49gZ5MQ
年をへてつれなき人を恋ふる身は涙の河の身をつくしかな(能因)
604 :
名無氏物語:2006/06/01(木) 17:35:49 ID:K49gZ5MQ
きみゆゑに涙の川にゆらさるるみをつくしともなりはてねとや(藤原経家)
605 :
名無氏物語:2006/06/01(木) 17:36:36 ID:K49gZ5MQ
涙川あふせもしらぬ身をつくしたけこす程に成りにけるかな(慈円)
606 :
名無氏物語:2006/06/01(木) 17:37:48 ID:K49gZ5MQ
いかにせむ今はたたえて春の夜の人だのめなる夢をだにみず(藤原家隆)
607 :
名無氏物語:2006/06/01(木) 17:40:41 ID:K49gZ5MQ
かきつめて誰しのぶべきかたみとは涙の底のもくづなれども(俊成女)
608 :
名無氏物語:2006/06/01(木) 17:41:24 ID:K49gZ5MQ
夜な夜なのまくらのちりをもくづにて涙の床や海とならまし(頓阿)
609 :
名無氏物語:2006/06/01(木) 17:44:49 ID:PvXBfbom
色かはる露をば袖におきまよひうらがれて行く野辺のあきかな
610 :
名無氏物語:2006/06/01(木) 17:45:32 ID:PvXBfbom
ふりにけり時雨は袖に秋かけていひしばかりを待つとせしまに
611 :
名無氏物語:2006/06/01(木) 17:46:10 ID:PvXBfbom
霜枯はそことも見えぬ草の原たれにとはまし秋の名残を
612 :
名無氏物語:2006/06/01(木) 17:47:01 ID:PvXBfbom
あだに散る露の枕にふしわびてうづら鳴くなりとこの山かぜ
613 :
名無氏物語:2006/06/01(木) 17:47:44 ID:PvXBfbom
夢かとよ見し面かげも契りしもわすれずながらうつつならねば
614 :
名無氏物語:2006/06/01(木) 17:48:25 ID:PvXBfbom
いにしへの秋の空まですみだ河月にこととふそでのつゆかな
615 :
名無氏物語:2006/06/01(木) 17:48:59 ID:PvXBfbom
かきくらし猶ふる郷の雪のうちにあとこそ見えね春はきにけり
616 :
名無氏物語:2006/06/01(木) 17:49:33 ID:PvXBfbom
花さそふひらの山風ふきにけりこぎ行くふねのあと見ゆるまで
617 :
名無氏物語:2006/06/01(木) 17:52:23 ID:dRu+54NC
物おもふ涙の河の身をつくしふかきしるしは袖にみゆらん(中臣祐春[続千載])
618 :
名無氏物語:2006/06/02(金) 11:40:49 ID:ROptXeb7
かたみとて涙にうかぶもくづをばかへすをみても袖やぬれなん(飛鳥井雅親)
619 :
名無氏物語:2006/06/02(金) 11:41:44 ID:ROptXeb7
そなたにもとめてやはみぬあふことのいまは涙のもくづなりとも(実隆)
620 :
名無氏物語:2006/06/02(金) 11:42:22 ID:ROptXeb7
涙川うかぶもくづのうたかたもあはれはかなきかたみなりけり(木下長嘯子)
621 :
名無氏物語:2006/06/02(金) 11:54:16 ID:31VaE1xW
恨みても泣きても何をかこたまし見しよの月の辛さならでは(少将内侍[続古今])
622 :
名無氏物語:2006/06/02(金) 12:03:03 ID:B8rNVP3q
かたえさすおふのうらなしはつ秋になるもならずも風ぞ身にしむ
623 :
名無氏物語:2006/06/02(金) 12:04:03 ID:B8rNVP3q
心あるをじまのあまのたもとかな月やどれとはぬれぬものから
624 :
名無氏物語:2006/06/02(金) 12:04:50 ID:B8rNVP3q
まどろまでながめよとてのすさびかなあさのさごろも月にうつこゑ
625 :
名無氏物語:2006/06/02(金) 12:05:26 ID:B8rNVP3q
月を猶待つらむものかむらさめのはれゆく雲のすゑの里人
626 :
名無氏物語:2006/06/02(金) 12:06:11 ID:B8rNVP3q
霜をまつまがきの菊の宵のまにおきまよふ色はやまのはの月
627 :
名無氏物語:2006/06/02(金) 12:07:05 ID:B8rNVP3q
龍田河あらしや峰によわるらむわたらぬ水もにしき絶えけり
628 :
名無氏物語:2006/06/02(金) 12:21:00 ID:h4Q7qdhY
山川の菊のした水いかなればながれて人の老をせくらむ(新古717)
629 :
名無氏物語:2006/06/02(金) 12:25:00 ID:yGVDlE4Z
天つ星光をうつすみかは水老せぬ菊のかげやせくらん(順徳院)
630 :
名無氏物語:2006/06/02(金) 12:26:47 ID:yGVDlE4Z
よしの川はやくのとしをかへさめや菊の下水老をせくとも(後水尾院)
631 :
名無氏物語:2006/06/02(金) 12:27:37 ID:yGVDlE4Z
老をせくためしまでこそくみしらねこのたに河も菊のしたみづ(霊元院)
632 :
名無氏物語:2006/06/02(金) 12:46:59 ID:rZSHhH++
まちをしむ花にまぎれし心からすぐす月日の春ぞすくなき(藤原為家)
633 :
名無氏物語:2006/06/02(金) 12:47:55 ID:rZSHhH++
けふのこる花のかとりの白がさねあすたちかへむ春ぞすくなき(正徹)
634 :
名無氏物語:2006/06/02(金) 13:37:55 ID:CRRAYTxK
桜花梢さびしくちりすきてのこれる枝に春ぞすくなき(九条師教[玉葉])
635 :
名無氏物語:2006/06/02(金) 13:40:49 ID:CRRAYTxK
うき身をも思ひな捨てそ秋の月むかしより見し友ならぬかは(藤原隆房[続後撰])
636 :
名無氏物語:2006/06/02(金) 13:42:42 ID:CRRAYTxK
高砂の松も昔になりぬべしなほ行末は秋の夜の月(寂蓮[新古今])
637 :
名無氏物語:2006/06/02(金) 13:46:03 ID:QSo4p6Jp
高砂のをのへの松や君がへん千代のともとはならむとすらん(藤原俊成)
638 :
名無氏物語:2006/06/02(金) 13:47:05 ID:QSo4p6Jp
いかにせん鏡のそこにみづはぐむかげもむかしの友ならなくに(鴨長明)
639 :
名無氏物語:2006/06/02(金) 13:47:46 ID:QSo4p6Jp
高砂の松をともとて鳴く千鳥きみがやちよのこゑやそふらん(九条良経)
640 :
名無氏物語:2006/06/02(金) 13:48:27 ID:QSo4p6Jp
友と見しよそのもみぢは散りはててひとりしぐるる高砂のまつ(為家)
641 :
名無氏物語:2006/06/02(金) 13:49:11 ID:QSo4p6Jp
みよしのの吉野の宮はふりにけり松も昔の松やすくなき(順徳院)
642 :
名無氏物語:2006/06/03(土) 01:56:42 ID:b3ID97GK
高砂の松もかひなし誰をかもあはれ歎きのしる人にせん(藤原忠定[続拾遺])
643 :
名無氏物語:2006/06/03(土) 02:06:58 ID:1NK6DvMP
子の日せし代代のみゆきのあとふりて松もむかしの春や恋しき(宗尊親王)
644 :
名無氏物語:2006/06/03(土) 02:07:41 ID:1NK6DvMP
知る人と松をもいかがたのむべきうきよをいとふ友ならなくに(宗尊親王)
645 :
名無氏物語:2006/06/03(土) 02:14:21 ID:JzXaE6/S
冬きては雪の底なる高砂の松を友とぞいとどふりぬる(為家[続拾遺])
646 :
名無氏物語:2006/06/03(土) 02:15:12 ID:JzXaE6/S
月だにも老の涙のへだてずはむかしの秋の友とみてまし(一条実経[続拾遺])
647 :
名無氏物語:2006/06/03(土) 02:16:44 ID:JzXaE6/S
高砂の松を友ともなぐさまで猶妻ごひに鹿ぞ鳴くなる(尊円親王[新拾遺])
648 :
名無氏物語:2006/06/03(土) 02:17:18 ID:JzXaE6/S
さきやらぬ花の梢はたかさごの松を友とやつれなかるらむ(直明王[新続古今])
649 :
名無氏物語:2006/06/03(土) 02:21:11 ID:+Ise9VJy
からにしき秋のかた見やたつた山散りあへぬ枝にあらし吹くなり
650 :
名無氏物語:2006/06/03(土) 02:21:43 ID:+Ise9VJy
聞くやいかにうはの空なる風だにもまつに音するならひありとは
651 :
名無氏物語:2006/06/03(土) 02:22:16 ID:+Ise9VJy
たえだえにたな引く雲のあとはれてまがひもはてぬ山ざくらかな
652 :
名無氏物語:2006/06/03(土) 02:22:47 ID:+Ise9VJy
何となく吹くはならひの松風に人やりならぬ花のちるらむ
653 :
名無氏物語:2006/06/03(土) 02:23:19 ID:+Ise9VJy
こころとは太山もいでじほととぎすまたれてのみぞ初音鳴くなる
654 :
名無氏物語:2006/06/03(土) 02:24:05 ID:+Ise9VJy
啼くむしのこゑの色には出でねどもうきは身にしむ秋の夕ぐれ
655 :
名無氏物語:2006/06/03(土) 02:44:19 ID:XV/zwzra
風かよふ松もむかしの友とてやおなじ軒端ににほふたち花(飛鳥井雅世)
656 :
名無氏物語:2006/06/03(土) 02:45:13 ID:XV/zwzra
年こゆる色やはかへん高砂の松もむかしの沖つしらなみ(正徹)
657 :
名無氏物語:2006/06/03(土) 02:47:23 ID:XV/zwzra
したふなよ松もむかしのとばかりにあだなる花の春の別れは(後柏原天皇)
658 :
名無氏物語:2006/06/03(土) 02:50:13 ID:XV/zwzra
君が代は雲井はるかに高砂の松もむかしの友づるのこゑ(実隆)
659 :
名無氏物語:2006/06/03(土) 02:51:58 ID:XV/zwzra
高砂の松をためしも雪のけさいたづらにふる友とやはみん(長嘯子)
660 :
名無氏物語:2006/06/03(土) 02:55:39 ID:WP6QfugV
夏の夜はまだ宵ながら明けぬとやゆふつけ鳥の暁のこゑ(慈円)
661 :
名無氏物語:2006/06/03(土) 02:56:16 ID:WP6QfugV
大和路や都も遠きひむろ山まだ宵ながら岩戸あくなり(藤原家隆)
662 :
名無氏物語:2006/06/03(土) 02:57:14 ID:WP6QfugV
夕づくよかたぶく空はよひながら雲のいづくにありあけの月(藤原忠良)
663 :
名無氏物語:2006/06/03(土) 02:57:50 ID:WP6QfugV
夏の夜は雲のいづくにやどるともわがおもかげに月はのこさむ(藤原良経)
664 :
名無氏物語:2006/06/03(土) 02:58:39 ID:WP6QfugV
郭公まだ宵ながら明くる夜の雲のいづくになきわたるらん(後鳥羽院)
665 :
名無氏物語:2006/06/03(土) 02:59:24 ID:WP6QfugV
あかなくに雲のいづくにやどりつつはるればあくる夏の夜の月(後鳥羽院)
666 :
定家厨:2006/06/03(土) 03:05:30 ID:5qsn4Dme
身をつくし忍ぶ涙のみごもりにこの世をかくてくちやはてなん
667 :
定家厨:2006/06/03(土) 03:06:12 ID:5qsn4Dme
雁がねのなきてもいはむ方ぞなきむかしのつらの今の夕暮
668 :
定家厨:2006/06/03(土) 03:06:44 ID:5qsn4Dme
山水に老せぬ千世をせきとめておのれうつろふしら菊の花
669 :
定家厨:2006/06/03(土) 03:07:17 ID:5qsn4Dme
老をせく菊のした水手にむすぶこのさと人ぞ千世もすむべき
670 :
定家厨:2006/06/03(土) 03:07:52 ID:5qsn4Dme
夏の月はまだ宵の間とながめつつぬるや河辺のしののめの空
671 :
定家厨:2006/06/03(土) 03:08:26 ID:5qsn4Dme
宵ながら雲のいづことをしまれし月をながしと恋ひつつぞぬる
672 :
定家厨:2006/06/03(土) 03:09:08 ID:5qsn4Dme
折しもあれ雲のいづくに入る月の空さへをしきしののめの途
673 :
定家厨:2006/06/03(土) 03:09:42 ID:5qsn4Dme
山路行く雲のいづこの旅枕ふすほどもなく月ぞ明け行く
674 :
名無氏物語:2006/06/03(土) 03:13:55 ID:p6YQM0+B
郭公雲のいづくにやすらひて明がたちかき月になくらん(後鳥羽院[続拾遺])
675 :
名無氏物語:2006/06/03(土) 03:14:32 ID:p6YQM0+B
卯の花の籬は雲のいづくとてあけぬる月の影やどすらむ(藤原為家[続古今])
676 :
名無氏物語:2006/06/03(土) 03:15:24 ID:p6YQM0+B
暁の空とはいはじ夏の夜はまだ宵ながら有明の月(西園寺公相[続古今])
677 :
名無氏物語:2006/06/03(土) 03:15:59 ID:p6YQM0+B
麓をば宇治の川霧たちこめて雲ゐにみゆる朝日山かな(藤原公実[新古今])
678 :
名無氏物語:2006/06/03(土) 03:21:20 ID:7T/tE5Ds
月だにも雲のいづくに夏の夜のやみはあやなし曙の空(順徳院)
679 :
名無氏物語:2006/06/03(土) 03:22:02 ID:7T/tE5Ds
久方の雲のいづくの影ならで木のまあけ行くみじか夜の月(伏見院)
680 :
名無氏物語:2006/06/03(土) 03:22:34 ID:7T/tE5Ds
よひのまに明けなば明けよ天つ空雲のいづくと月はたどらじ(正徹)
681 :
名無氏物語:2006/06/03(土) 03:23:07 ID:7T/tE5Ds
庭しろき玉をのべたる光かなこほれる雪をみがく月夜に(正徹)
682 :
名無氏物語:2006/06/03(土) 03:23:39 ID:7T/tE5Ds
雲さゆるよし野の里は冬ながら空より花のふらぬひはなし(祝部成茂)
683 :
名無氏物語:2006/06/03(土) 03:26:46 ID:Qi6fhvjD
天つ風氷を渡る冬の夜の乙女の袖をみがく月影(式子内親王[新勅撰])
684 :
名無氏物語:2006/06/03(土) 03:28:33 ID:Qi6fhvjD
朝まだき御法の庭にふる雪は空より花のちるかとぞみる(中原清重[千載])
685 :
名無氏物語:2006/06/03(土) 03:29:25 ID:Qi6fhvjD
法の庭空に楽こそきこゆなれ雲のあなたに花やちるらん(慶政[風雅])
686 :
名無氏物語:2006/06/03(土) 03:30:05 ID:Qi6fhvjD
恋ひ死なば我がゆゑとだに思ひ出でよさこそは辛き心なりとも(実国[千載])
687 :
名無氏物語:2006/06/03(土) 03:30:39 ID:Qi6fhvjD
桜花咲きてとくちるならひこそ我が身の春の物思ひなれ(嘉喜門院[新葉])
688 :
名無氏物語:2006/06/03(土) 08:48:35 ID:qVAiTX7E
春もまだよそにぞ寒き谷の戸に咲きてとくちる花の淡雪(望月長孝)
689 :
名無氏物語:2006/06/03(土) 08:49:25 ID:qVAiTX7E
ひかりなき谷にも風はよそならで咲きてとくちる山桜かな(本居宣長)
690 :
名無氏物語:2006/06/03(土) 08:56:38 ID:Dcd3E0+I
紅葉ちることやわびしきみ熊野の山のあらしに鹿ぞなくなる(慈円)
691 :
名無氏物語:2006/06/03(土) 08:58:30 ID:Dcd3E0+I
花の色もうつりにけりとしら雲の道行ぶりにかをる山風(順徳院)
692 :
名無氏物語:2006/06/03(土) 08:59:54 ID:Dcd3E0+I
うき世にもことやつぐると初雁の道行ぶりに山べをやとふ(松永貞徳)
693 :
名無氏物語:2006/06/03(土) 09:00:30 ID:Dcd3E0+I
夏の夜も闇はあやなし橘をながめぬ空に風かをるなり(藤原良経)
694 :
名無氏物語:2006/06/03(土) 09:00:59 ID:Dcd3E0+I
梅がかは霞の袖につつめども香やはかくるる野べの夕かぜ(後鳥羽院)
695 :
名無氏物語:2006/06/03(土) 09:01:30 ID:Dcd3E0+I
むめの花いろこそみえね風吹けば月の光のにほふなりけり(飛鳥井雅有)
696 :
名無氏物語:2006/06/03(土) 09:04:17 ID:NvbAJyYO
にほひても分かばぞ分かむ梅の花それとも見えず春の夜の月(大江匡房[千載])
697 :
名無氏物語:2006/06/03(土) 09:04:56 ID:NvbAJyYO
梅が香もあまぎる月にまがへつつそれとも見えず霞む頃かな(九条道家[新勅撰])
698 :
名無氏物語:2006/06/03(土) 09:06:31 ID:NvbAJyYO
梅が香におどろかれつつ春の夜の闇こそ人はあくがらしけれ(和泉式部[千載])
699 :
名無氏物語:2006/06/03(土) 09:07:03 ID:NvbAJyYO
白雲のたえまにかすむ山桜色こそみえねにほふ春風(白河院[新後拾遺])
700 :
名無氏物語:2006/06/03(土) 09:07:37 ID:NvbAJyYO
朝霞梅のたち枝は見えねどもそなたの風に香やはかくるる(藤原隆季[続拾遺])
701 :
名無氏物語:2006/06/03(土) 09:10:36 ID:TNh4CDlY
これも又色こそみえね春のよの月はあやなし匂ふ梅がえ(木下長嘯子)
702 :
名無氏物語:2006/06/03(土) 09:11:21 ID:TNh4CDlY
奥山の花みがてらにとひし庵ちりなん後としめてましかば(宗良親王)
703 :
名無氏物語:2006/06/03(土) 09:11:54 ID:TNh4CDlY
さきぬともよそにしられぬ山ざとは花みがてらにくる人もなし(長慶天皇)
704 :
名無氏物語:2006/06/03(土) 09:12:47 ID:TNh4CDlY
なれなれし花の木陰の草莚ちりなん後ぞしきしのぶべき(松永貞徳)
705 :
名無氏物語:2006/06/03(土) 09:13:33 ID:TNh4CDlY
人しれぬ心のゆきてみる花はのこる山べもあらじとぞおもふ(源師光)
706 :
名無氏物語:2006/06/03(土) 09:14:10 ID:TNh4CDlY
雪とのみふるからをのの桜花なほこのもとはわすれざりけり(後嵯峨院)
707 :
名無氏物語:2006/06/04(日) 01:51:32 ID:WLgYE/0Y
いかにせむ高根の桜雪とのみふるだにあるを春の曙(宗尊親王)
708 :
名無氏物語:2006/06/04(日) 02:04:16 ID:Kw3xxZc/
かすめどもかやはかくるるこもりえの初瀬の里の春の梅がえ(源有房「新千載])
709 :
名無氏物語:2006/06/04(日) 02:05:03 ID:Kw3xxZc/
桜花うつろふ色は雪とのみふるの山風ふかずもあらなむ(尊円[風雅])
710 :
名無氏物語:2006/06/04(日) 02:05:48 ID:Kw3xxZc/
雪とのみさそふもおなじ河風に氷りてとまれ花の白浪(飛鳥井雅世[新続古今])
711 :
定家厨:2006/06/04(日) 02:09:22 ID:J3pQFgtb
色見えで春にうつろふ心かな闇はあやなき梅のにほひに
712 :
定家厨:2006/06/04(日) 02:10:35 ID:J3pQFgtb
蘆の屋の蔦はふ軒のむら時雨音こそたてね色はかくれず
713 :
定家厨:2006/06/04(日) 02:11:23 ID:J3pQFgtb
河波のくくるも見えぬくれなゐをいかにちれとか峰の木がらし
714 :
定家厨:2006/06/04(日) 02:12:05 ID:J3pQFgtb
清見潟そでにも浪の月を見てかたへもまたぬ風ぞすずしき
715 :
定家厨:2006/06/04(日) 02:12:38 ID:J3pQFgtb
心あてにわくともわかじ梅の花散りかふ里の春のあは雪
716 :
定家厨:2006/06/04(日) 02:13:11 ID:J3pQFgtb
白菊の籬の月の色ばかりうつろひ残る秋の初霜
717 :
定家厨:2006/06/04(日) 02:14:07 ID:J3pQFgtb
あひみてもなほ行くへなき思ひかな命や恋のかぎりなるらん
718 :
定家厨:2006/06/04(日) 02:14:56 ID:J3pQFgtb
すまの海士の袖にふきこす潮風のなるとはすれどてにもたまらず
719 :
名無氏物語:2006/06/04(日) 02:17:25 ID:YtUNTK5F
おのがねにつらき別の有りとだにおもひもしらで鳥やなくらむ
720 :
名無氏物語:2006/06/04(日) 02:18:24 ID:YtUNTK5F
絶えずひくあみのうけなはうきてのみよるべくるしき身の契りかな
721 :
名無氏物語:2006/06/04(日) 02:19:10 ID:YtUNTK5F
偽と思ひしられぬゆふべこそはかなきもののかなしかりけれ
722 :
名無氏物語:2006/06/04(日) 02:19:50 ID:YtUNTK5F
かへりみるほどは雲井の大江山いくのの道やすゑになるらん
723 :
名無氏物語:2006/06/04(日) 02:20:52 ID:YtUNTK5F
住むあまのあはれをしるや煙たつおのがすみかの夕ぐれの空
724 :
名無氏物語:2006/06/04(日) 02:21:32 ID:YtUNTK5F
逢ふ事のたえ間がちなるつらさかなおもひしほどのちぎりだになし
725 :
名無氏物語:2006/06/04(日) 02:28:58 ID:y+iKyjbc
鶯はいたくなわびそ梅の花ことしのみちるならひならねば(源実朝)
726 :
名無氏物語:2006/06/04(日) 02:30:14 ID:y+iKyjbc
山ざくら尋ねてかへる春の夜は夢にも花のすがたをぞ見る(藤原公重)
727 :
名無氏物語:2006/06/04(日) 02:31:31 ID:y+iKyjbc
春こゆるうつの山道うつつにも夢にも花のちるやみゆらん(中院通勝)
728 :
名無氏物語:2006/06/04(日) 02:32:25 ID:y+iKyjbc
うつつにも夢にも花のちる比は山にだに世のうきめをぞみる(契沖)
729 :
名無氏物語:2006/06/04(日) 02:37:49 ID:EhBzeq6h
昨日をば花の陰にてくらしてきけふこそいにし春はをしけれ(和泉式部[続千載])
730 :
名無氏物語:2006/06/04(日) 02:38:38 ID:EhBzeq6h
ちらぬまの花のかげにてくらすひは老の心も物思ひもなし(二条良実[続古今])
731 :
名無氏物語:2006/06/04(日) 02:44:30 ID:N0t9u75K
み吉野の花のかげにてくれはてておぼろ月よの道やまどはむ(良経)
732 :
名無氏物語:2006/06/04(日) 02:45:18 ID:N0t9u75K
花ならぬならの木かげも夏くればたつことやすき夕まぐれかは(俊恵)
733 :
名無氏物語:2006/06/04(日) 02:46:17 ID:N0t9u75K
夏衣たつことやすきかげもなしなほ花思ふ庭の梢に(藤原家隆)
734 :
名無氏物語:2006/06/04(日) 02:46:59 ID:N0t9u75K
花の陰の心をしらば月も日もたつことやすき春はあらじを(後柏原天皇)
735 :
名無氏物語:2006/06/04(日) 02:47:37 ID:N0t9u75K
夏と秋とゆきかふ風やすぎぬらし露ちりそむるしののめの道(藤原雅経)
736 :
名無氏物語:2006/06/04(日) 02:51:45 ID:MhGs5I+b
ちりはてて花のかげなきこのもとにたつことやすき夏衣かな(慈円[新古今])
737 :
名無氏物語:2006/06/04(日) 02:52:49 ID:MhGs5I+b
夏衣かたへ涼しくなりぬなり夜や更けぬらむ行き合ひの空(慈円[新古今])
738 :
名無氏物語:2006/06/04(日) 02:53:46 ID:MhGs5I+b
山もとのをちの日かげはさだかにてかたへすずしき夕立の雲(藤原為家[風雅])
739 :
名無氏物語:2006/06/04(日) 03:03:52 ID:CoRkxo2u
夏と秋とゆきかふ夜半の浪の音のかたへすずしきかもの河かぜ(後鳥羽院)
740 :
名無氏物語:2006/06/04(日) 03:04:45 ID:CoRkxo2u
みるからにかたへ涼しき夏ごろも日も夕暮のやまとなでしこ(後鳥羽院)
741 :
名無氏物語:2006/06/04(日) 03:05:49 ID:CoRkxo2u
露の色ももりのしめ縄秋かけてかたへ涼しきせみのは衣(順徳院)
742 :
名無氏物語:2006/06/04(日) 03:06:37 ID:CoRkxo2u
夏の日のかたへすずしき風にしもおくれぬ秋や空にきぬらん(中院通勝)
743 :
名無氏物語:2006/06/04(日) 03:08:28 ID:CoRkxo2u
夏ふかき野原の露もゆく水も近き沢辺ぞかたへ冷しき(冷泉為村)
744 :
名無氏物語:2006/06/04(日) 07:50:06 ID:A/ZSiU5C
雪きえてうらめづらしきはつ草のはつかに野べも春めきにけり(式子内親王)
745 :
名無氏物語:2006/06/04(日) 07:51:01 ID:A/ZSiU5C
山風の霞のころもふきかへしうらめづらしき花の色かな(九条道家)
746 :
名無氏物語:2006/06/04(日) 07:51:38 ID:A/ZSiU5C
秋きぬと海ふく比良の山風もうらめづらしきあまの衣手(本居宣長)
747 :
名無氏物語:2006/06/05(月) 07:35:31 ID:L4VTBUzw
いまはよにもとの心の友もなし老いてふるえの秋萩の花(頓阿)
748 :
名無氏物語:2006/06/05(月) 07:36:11 ID:L4VTBUzw
いはれのの古枝の真萩はなさけば池にももとの心をぞしる(宗祇)
749 :
名無氏物語:2006/06/05(月) 07:37:07 ID:L4VTBUzw
なれきつるもとの心は忘れずと萩の古枝をてらす月かげ(木下長嘯子)
750 :
名無氏物語:2006/06/05(月) 07:43:59 ID:k8vI+m10
秋くれば萩もふるえにさくものを人こそかはれもとの心は(藤原惟方[風雅])
751 :
名無氏物語:2006/06/05(月) 07:44:35 ID:k8vI+m10
さこそわれ萩のふるえの秋ならめもとの心を人のとへかし(阿仏尼[風雅])
752 :
名無氏物語:2006/06/05(月) 07:45:25 ID:k8vI+m10
秋風の関吹きこゆるたびごとに声うちそふる須磨のうら波(壬生忠見[新古今])
753 :
名無氏物語:2006/06/05(月) 07:46:21 ID:k8vI+m10
住吉の松のしづえは神さびてゆふしでかくる沖つ白波(藤原光頼[続後撰])
754 :
名無氏物語:2006/06/05(月) 07:50:48 ID:j8hy22X+
里人やわかなつむらん朝日さすみかさの野べは春めきにけり
755 :
名無氏物語:2006/06/05(月) 07:51:34 ID:j8hy22X+
あだになど咲きはじめけむいにしへのはるさへつらき山ざくらかな
756 :
名無氏物語:2006/06/05(月) 07:52:28 ID:j8hy22X+
わび人は五月の雨のなにならしさもはれまなくふる涙かな
757 :
名無氏物語:2006/06/05(月) 07:53:39 ID:j8hy22X+
音にたつ今はた吹きぬわがやどのをぎのうは葉の秋のはつかぜ
758 :
名無氏物語:2006/06/05(月) 07:54:38 ID:j8hy22X+
逢坂の鳥のそらねに関の戸も明けぬと見えてすめる月かげ
759 :
名無氏物語:2006/06/05(月) 07:55:09 ID:j8hy22X+
冬きてはしぐるる空の絶間だに四方のこの葉のふらぬ日ぞなき
760 :
名無氏物語:2006/06/05(月) 08:10:47 ID:H+zcZBif
もしほ草しきつの浪にうき枕きけすみよしの松を秋風(慈円)
761 :
名無氏物語:2006/06/05(月) 08:11:37 ID:H+zcZBif
住吉の浜辺のみそぎくれゆけば松を秋風けふよりぞふく(下河辺長流)
762 :
名無氏物語:2006/06/05(月) 08:13:07 ID:H+zcZBif
かをらずは折りやまどはむ長月の月夜にあへる白菊の花(大中臣能宣)
763 :
名無氏物語:2006/06/05(月) 08:17:23 ID:yqxDLjji
霜を待つ籬の菊の宵の間におきまがふ色は山の端の月(宮内卿[新古今])
764 :
名無氏物語:2006/06/05(月) 08:18:04 ID:yqxDLjji
いづれをかわきて折るべき月影に色みえまがふ白菊の花(大弐三位[新勅撰])
765 :
名無氏物語:2006/06/05(月) 08:19:24 ID:yqxDLjji
月影に色もわかれぬ白菊は心あてにぞ折るべかりける(藤原公行[新勅撰])
766 :
名無氏物語:2006/06/05(月) 08:21:16 ID:yqxDLjji
袖ふれてをらばやをらむ我妹子が裾ひく庭に匂ふ梅がえ(藤原為経[新千載])
767 :
名無氏物語:2006/06/05(月) 08:25:44 ID:pwGe8jtW
心あてにをらばやをらん夕づくひさすや小倉の峰のもみぢば(家隆)
768 :
名無氏物語:2006/06/05(月) 08:26:36 ID:pwGe8jtW
しらすげのまのの萩原あさなあさな置きまどはせる秋のはつ霜(家隆)
769 :
名無氏物語:2006/06/05(月) 08:27:19 ID:pwGe8jtW
心あてに誰かはをらむ山がつのかきほの萩の露のふかさを(為家)
770 :
名無氏物語:2006/06/05(月) 08:27:51 ID:pwGe8jtW
心あてにをらばや夜半の梅の花かをる軒ばの風を尋ねて(宗良親王)
771 :
名無氏物語:2006/06/05(月) 15:35:56 ID:H5xmdgGt
袖かけてをらばやをらん榊ばのかをなつかしみ露をしるべに(正徹)
772 :
名無氏物語:2006/06/05(月) 15:45:43 ID:apQjAyHz
心あての色もかすみの吉野山我まどはすな花のしら雲(三条西実隆)
773 :
名無氏物語:2006/06/05(月) 15:46:18 ID:apQjAyHz
あともなき波の上ながら心あてにゆけばまどはぬ舟ぢなりけり(小沢蘆庵)
774 :
名無氏物語:2006/06/05(月) 15:47:02 ID:apQjAyHz
初霜はまだおきなれぬ宵々の月にうつろふ白菊の花(香川景樹)
775 :
名無氏物語:2006/06/05(月) 16:03:19 ID:AectPN/i
もみぢばを幣にたむけて行く秋ををしみとめぬや神なびの森(慈円)
776 :
名無氏物語:2006/06/05(月) 16:03:51 ID:AectPN/i
みそぎ川あさのたちえのゆふしでを幣とたむけて夏はいぬめり(藤原為家)
777 :
名無氏物語:2006/06/05(月) 16:04:46 ID:AectPN/i
初雁のはつかにききしことづても雲路にたえてわぶるころかな(源高明)
778 :
名無氏物語:2006/06/05(月) 16:11:06 ID:CrSgYF9k
もみぢばを幣とたむけてちらしつつ秋とともにやゆかんとすらん(大輔[後撰])
779 :
名無氏物語:2006/06/05(月) 16:11:55 ID:CrSgYF9k
恋しきは逢ふを限りと聞きしかどさてしもいとど思ひそひけり(藤原教長[千載])
780 :
名無氏物語:2006/06/05(月) 16:12:49 ID:CrSgYF9k
心こそ行方も知らね三輪の山杉の梢の夕暮の空(慈円[新古今])
781 :
名無氏物語:2006/06/05(月) 16:13:33 ID:CrSgYF9k
我が恋は逢ふをかぎりのたのみだに行方もしらぬ空のうき雲(源通具[新古今])
782 :
名無氏物語:2006/06/05(月) 16:14:18 ID:CrSgYF9k
おのづからあふをかぎりの命とて年月ふるも涙なりけり(為家[続古今])
783 :
名無氏物語:2006/06/05(月) 16:17:53 ID:hxZubJom
芳野山あふをかぎりの桜花ゆくへもしらぬ道やまどはん(家隆)
784 :
名無氏物語:2006/06/05(月) 16:18:34 ID:hxZubJom
いつしかの行へもしらぬ詠めより逢ふを限りのはてをしぞ思ふ(雅経)
785 :
名無氏物語:2006/06/05(月) 16:19:10 ID:hxZubJom
行へなきあふをかぎりの白雲もたえて分かるる峰の松かぜ(俊成女)
786 :
名無氏物語:2006/06/05(月) 16:19:42 ID:hxZubJom
さても又あふを限りのはてもなし恋は命ぞかぎりなりける(為家)
787 :
名無氏物語:2006/06/05(月) 16:20:36 ID:hxZubJom
思ひあまりあふをかぎりの詠めしてゆくへもしらぬ夕暮の空(宗尊親王)
788 :
名無氏物語:2006/06/05(月) 16:24:20 ID:s1BamsOf
徒に立つや煙のはてもなし逢ふを限りともゆる思ひは(源親長[続拾遺])
789 :
名無氏物語:2006/06/05(月) 16:26:59 ID:s1BamsOf
我が涙逢ふを限りと思ひしに猶いひしらぬ袖の上かな(後嵯峨院[続拾遺])
790 :
名無氏物語:2006/06/05(月) 16:30:19 ID:s1BamsOf
こむ世には契ありやと恋ひしなんあふをかぎりの命をしまで(後宇多院[新後撰])
791 :
名無氏物語:2006/06/05(月) 16:32:32 ID:s1BamsOf
あふことをはつかに見えし月影のおぼろけにやはあはれともおもふ(村上天皇[新古今])
792 :
名無氏物語:2006/06/05(月) 16:38:53 ID:A0XOget0
恋ひしなむそれまでと猶歎くかなあふを限の思ひたえても(頓阿)
793 :
名無氏物語:2006/06/05(月) 16:40:12 ID:A0XOget0
しら雲の八重山遠く匂ふなり逢ふをかぎりの花の春風(正徹)
794 :
名無氏物語:2006/06/05(月) 16:42:23 ID:A0XOget0
くれはつる秋こそやがてしらせけれあふ人からの夜半のならひは(家隆)
795 :
名無氏物語:2006/06/05(月) 16:43:08 ID:A0XOget0
むつごとも逢ふ人からのならひかもいづらは夜半も長月の空(後鳥羽院)
796 :
名無氏物語:2006/06/05(月) 16:44:25 ID:A0XOget0
またいつにこよひもまたん月をしも逢ふ人からのしののめの空(実隆)
797 :
名無氏物語:2006/06/05(月) 16:49:23 ID:j8hy22X+
よの中はさてもやうきと桜花ちらぬ春にもあひ見てしがな(飛鳥井雅有)
798 :
名無氏物語:2006/06/05(月) 16:50:04 ID:j8hy22X+
露分くる夏野の草のぬれ衣なるとはすれど色もかはらず(順徳院)
799 :
名無氏物語:2006/06/05(月) 16:57:52 ID:j8hy22X+
あま衣なるとはすれどいせ島やあはぬうつせはいふかひもなし(後水尾院)
800 :
名無氏物語:2006/06/05(月) 16:58:29 ID:j8hy22X+
よそにのみきくの長浜ながらへて心づくしにこひやわたらん(為家)
801 :
名無氏物語:2006/06/05(月) 17:09:18 ID:Je3i4gTS
何ゆゑに雪みるべくもあらぬ身のこしぢの冬をみとせ経ぬらむ(宗良親王)
802 :
名無氏物語:2006/06/05(月) 17:10:06 ID:Je3i4gTS
ふりつもる雪みるべくもなき人の跡をも今朝はおもひやりつつ(宗良親王)
803 :
名無氏物語:2006/06/05(月) 17:12:32 ID:Je3i4gTS
かへるかり跡はしたへどしら山のゆきみるべくもなき雲路かな(下河辺長流)
804 :
名無氏物語:2006/06/05(月) 17:22:59 ID:usuv8LmN
わび人のたもとしなくは紅葉葉のひとりや雨にぬれて染めまし(為家)
805 :
名無氏物語:2006/06/05(月) 17:32:18 ID:6xn/Ld5G
岩にむす苔ふみならす三熊野の山のかひある行末もがな(後鳥羽院[新古今])
806 :
名無氏物語:2006/06/05(月) 17:33:18 ID:6xn/Ld5G
亀のをの山のかひある山桜万代ふべきためしとぞみる(西園寺公相[続拾遺])
807 :
名無氏物語:2006/06/05(月) 17:35:56 ID:6xn/Ld5G
人を思ふ思ひを何にたとへまし室の八島も名のみ也けり(源重之女[続後拾遺])
808 :
名無氏物語:2006/06/05(月) 17:36:54 ID:6xn/Ld5G
忍ぶれど思ふ思ひのあまりには色に出でぬる物にぞありける(大江嘉言[風雅])
809 :
名無氏物語:2006/06/05(月) 17:43:55 ID:nGwVVmpz
ねにたてて秋の夜かこつきりぎりす長きね覚の枕にぞきく(藤原為家)
810 :
名無氏物語:2006/06/05(月) 17:44:36 ID:nGwVVmpz
しるべなきおきつの浜になくたづのゑをあはれと神はきかなむ(兼好)
811 :
名無氏物語:2006/06/05(月) 17:54:25 ID:FRCXz2ty
めづらしき今日の春日の八乙女を神もうれしとしのばざらめや(拾遺620)
812 :
名無氏物語:2006/06/05(月) 17:55:08 ID:FRCXz2ty
人を見て思ふ思ひもあるものを空に恋ふるぞはかなかりける(後撰601)
813 :
名無氏物語:2006/06/05(月) 17:56:51 ID:FRCXz2ty
なよ竹の夜ながきうへに初霜のおきゐて物を思ふころかな(古今993)
814 :
名無氏物語:2006/06/05(月) 17:57:36 ID:FRCXz2ty
秋霧のたちのの駒をひく時は心にのりて君ぞ恋しき(後撰367)
815 :
名無氏物語:2006/06/05(月) 17:58:43 ID:FRCXz2ty
君を思ひおきつの浜になくたづの尋ねくればぞありとだにきく(古今914)
816 :
名無氏物語:2006/06/05(月) 18:06:17 ID:MReIc3IN
さてもわが思ふ思ひよつひにいかに何のかひなき眺めのみして(永福門院[風雅])
817 :
名無氏物語:2006/06/05(月) 18:06:57 ID:MReIc3IN
君ゆゑに思ふ思ひは大海の波をば袖にかけぬまもなし(公蔭[風雅])
818 :
定家厨:2006/06/05(月) 18:09:37 ID:E/q2Gp16
こと問へよ思ひおきつの浜千鳥なくなく出でしあとの月影
819 :
定家厨:2006/06/05(月) 18:10:44 ID:E/q2Gp16
今朝ぞこの山のかひあるみむろ山絶えせぬ道の跡を尋ねて
820 :
定家厨:2006/06/05(月) 18:11:24 ID:E/q2Gp16
春やとき谷の鶯うち羽ぶき今日しら雪のふる巣いづなり
821 :
定家厨:2006/06/05(月) 18:12:23 ID:E/q2Gp16
春やときとばかり聞きし鶯の初音を我と今日やながめむ
822 :
定家厨:2006/06/05(月) 18:13:13 ID:E/q2Gp16
帰るさのものとや人のながむらむ待つ夜ながらの有明の月
823 :
定家厨:2006/06/05(月) 18:13:48 ID:E/q2Gp16
夕暮はいづれのくものなごりとてはなたち花に風のふくらむ
824 :
定家厨:2006/06/05(月) 18:14:19 ID:E/q2Gp16
つくづくと明けゆく窓のともし火の有りやとばかりとふ人もなし
825 :
定家厨:2006/06/05(月) 18:14:57 ID:E/q2Gp16
しるや月やどしめそむる老いらくのわが山のはの影やいく夜と
826 :
名無氏物語:2006/06/05(月) 18:20:29 ID:Bwibaej9
春はとし霞かかれる梢より花ぞおそきと鶯のなく(慈円)
827 :
名無氏物語:2006/06/05(月) 18:22:19 ID:Bwibaej9
鶯のはつねをもらせ春やとき花やおそきと思ひさだめん(後鳥羽院)
828 :
名無氏物語:2006/06/05(月) 18:23:34 ID:Bwibaej9
白雪のふる枝の梅を花とみて春やおそきときゐる鶯(藤原為家)
829 :
名無氏物語:2006/06/05(月) 18:24:17 ID:Bwibaej9
木々の雪花かと見えて花やとき春やおそきとあやまたれぬる(三条西実隆)
830 :
名無氏物語:2006/06/05(月) 18:31:24 ID:FJAVL9N2
春やくる花や咲くとも知らざりき谷のそこなる埋木の身は(和泉式部[新勅撰])
831 :
名無氏物語:2006/06/05(月) 18:32:52 ID:FJAVL9N2
わくらばにあふ坂山のさねかづらくるをたえずと誰か頼まん(九条道家[新勅撰])
832 :
名無氏物語:2006/06/05(月) 18:40:28 ID:FJAVL9N2
たえぬるか相坂山のさねかづら知られぬ程を何嘆きけん(源兼康[新後撰])
833 :
名無氏物語:2006/06/05(月) 18:42:08 ID:FJAVL9N2
相坂の関路におふるさねかづらかれにし後はくる人もなし(宗良親王[続後拾遺])
834 :
名無氏物語:2006/06/06(火) 01:04:22 ID:ji20DXF0
さねかづらいまはたゆとや逢坂のゆふつけ鳥のくり返し鳴く(藤原家隆)
835 :
名無氏物語:2006/06/06(火) 01:05:15 ID:ji20DXF0
いかにせん相坂山のさねかづらはぶきあまたにうつりはてなば(藤原家隆)
836 :
名無氏物語:2006/06/06(火) 01:14:02 ID:Qk/FMWfZ
くる人をいかがいとはむさねかづらたえずはすゑも逢坂の関(蓮瑜)
837 :
名無氏物語:2006/06/06(火) 01:14:45 ID:Qk/FMWfZ
さねかづらかけのたれをの長路しるあふ坂山の関の行末(正徹)
838 :
名無氏物語:2006/06/06(火) 01:15:47 ID:Qk/FMWfZ
さねかづら末葉にむすぶ露かけてもとくる人のありとしられじ(常縁)
839 :
名無氏物語:2006/06/06(火) 01:30:01 ID:6zUFMNv/
あふさかや夢にもさねんさねかづらくるよを人にせきなとどめそ(後柏原天皇)
840 :
名無氏物語:2006/06/06(火) 01:31:07 ID:6zUFMNv/
霞たつあふ坂山のさねかづらまたくりかへし春はきにけり(木下長嘯子)
841 :
名無氏物語:2006/06/06(火) 01:43:02 ID:cA6n2tTk
身にしらぬ逢坂山のさねかづら関をばこえてくる人もなし(源頼言[新後拾遺])
842 :
名無氏物語:2006/06/06(火) 01:55:38 ID:b+flYlWz
うらむるもこふるこころの外ならでおなじ涙のせくかたぞなき
843 :
名無氏物語:2006/06/06(火) 01:56:10 ID:b+flYlWz
足曳のやまの山どりをのへなるはつをのたれをながくこふらむ
844 :
名無氏物語:2006/06/06(火) 01:56:52 ID:b+flYlWz
みしめひく三輪の杉村ふりにけりこれや神代のしるしなるらん
845 :
名無氏物語:2006/06/06(火) 01:57:34 ID:b+flYlWz
たらちねのなからむあとの悲しさを思ひしよりも猶ぞこひしき
846 :
名無氏物語:2006/06/06(火) 01:58:06 ID:b+flYlWz
尋ねきて花にくらせる木間より待つとしもなき山のはの月
847 :
名無氏物語:2006/06/06(火) 01:58:42 ID:b+flYlWz
郭公なくや五月の玉くしげ二こゑききて明くる夜もがな
848 :
名無氏物語:2006/06/06(火) 02:06:08 ID:0wm6NIvN
夏の夜ののどけき雨をあしびきの山の松風ふくかとぞきく(曾根好忠)
849 :
名無氏物語:2006/06/06(火) 02:06:52 ID:0wm6NIvN
石見のや高津のやまの松風のここに通ひて吹くかとぞきく(木下幸文)
850 :
名無氏物語:2006/06/06(火) 02:08:34 ID:0wm6NIvN
みかの原ながるる河のいつみきとおぼえぬせにもぬるる袖かな(藤原基家)
851 :
名無氏物語:2006/06/06(火) 02:14:50 ID:gR/CYB9R
笛竹の夜ふかき声ぞ聞こゆなる峯の松風吹きやそふらむ(藤原斉信[千載])
852 :
名無氏物語:2006/06/06(火) 02:25:20 ID:JeKAgeHO
いづみ川ゆくせの波の程にのみききこし人に恋ひやわたらむ(宗尊親王)
853 :
名無氏物語:2006/06/06(火) 02:25:57 ID:JeKAgeHO
春はただみきともいはじ泉河わきてかすめる波の上の月(慶運)
854 :
名無氏物語:2006/06/06(火) 02:26:48 ID:JeKAgeHO
泉川こほりにけりなゆく水のわきて流るるかたもなきまで(二条良基)
855 :
名無氏物語:2006/06/06(火) 02:27:22 ID:JeKAgeHO
かけとめよ雲まの月を三かの原袂にわきていづみ川なみ(正徹)
856 :
名無氏物語:2006/06/06(火) 02:28:20 ID:JeKAgeHO
ほのかにも山より月のいづみ川ひかりぞ四方にわきて流るる(三条西実隆)
857 :
名無氏物語:2006/06/06(火) 02:31:25 ID:CM3N8cA0
袖かけて夕波すずしいづみ川秋のこころや分きてながるる(上冷泉為和)
858 :
名無氏物語:2006/06/06(火) 02:32:15 ID:CM3N8cA0
みかの原こよひの月の光さへわきてながるるいづみ川かな(松永貞徳)
859 :
名無氏物語:2006/06/06(火) 02:33:06 ID:CM3N8cA0
泉川わきて秋こそかなしけれはらへばむすぶかせの山霧(加納諸平)
860 :
名無氏物語:2006/06/06(火) 02:33:43 ID:CM3N8cA0
子を思ふ道こそ闇と聞きしかど親の跡にもまよはれにけり(選子内親王)
861 :
名無氏物語:2006/06/06(火) 02:34:43 ID:CM3N8cA0
花をらむ心もそらに成りにけり子を思ふ道におもひみだれて(大江匡衡)
862 :
名無氏物語:2006/06/06(火) 02:35:19 ID:CM3N8cA0
敷島やこの道なくば子の道に迷ふ心のやみははるけし(正徹)
863 :
名無氏物語:2006/06/06(火) 02:39:40 ID:YbZ3qGJL
位山跡を尋ねてのぼれども子をおもふ道になほまよひぬる(源通親[新古今])
864 :
名無氏物語:2006/06/06(火) 02:42:06 ID:YbZ3qGJL
まよひこし心の闇をしるべにて子を思ふ道に月をみる哉(玄覚[新続古今])
865 :
名無氏物語:2006/06/06(火) 02:52:28 ID:zbYO0LKP
白雲のここのへにたつ峰なればおほうち山といふにぞありける(新勅撰1265)
866 :
名無氏物語:2006/06/06(火) 03:01:30 ID:ulQ2XVVV
しらざりし誰もねざめの秋の雨の子をおもふ道にふるは涙を(藤原惺窩)
867 :
名無氏物語:2006/06/06(火) 03:04:25 ID:pUmSg/B/
秋によする心とやみむ春霞たつを見すてて雁もきにけり(後水尾院)
868 :
名無氏物語:2006/06/06(火) 03:06:40 ID:pUmSg/B/
石ばしる滝ついはねのさくらばなをられぬ水に枝なびきけり(藤原為家)
869 :
定家厨:2006/06/06(火) 03:12:27 ID:LMUXZGYF
なき影の親のいさめはそむきにき子を思ふ道の心よわさに
870 :
定家厨:2006/06/06(火) 03:13:15 ID:LMUXZGYF
まだきより花を見すててゆく雁やかへりて春のとまりをば知る
871 :
定家厨:2006/06/06(火) 03:14:00 ID:LMUXZGYF
問はばやな花なき里にすむ人も春はけふとやなほ眺むらん
872 :
定家厨:2006/06/06(火) 03:14:33 ID:LMUXZGYF
花の色の折られぬ水にこすさほの雫も匂ふ宇治の河長
873 :
定家厨:2006/06/06(火) 03:15:06 ID:LMUXZGYF
龍田河折られぬ水の紅に流れてはやき秋の影かな
874 :
定家厨:2006/06/06(火) 03:15:43 ID:LMUXZGYF
梅が香やまづ映るらむ影きよき玉島川の花の鏡に
875 :
定家厨:2006/06/06(火) 03:16:18 ID:LMUXZGYF
春をへて門田にしむる苗代に花の鏡の影ぞかはらぬ
876 :
定家厨:2006/06/06(火) 03:16:51 ID:LMUXZGYF
ゆく水の花の鏡の影もうしあだなる色のうつりやすさは
877 :
名無氏物語:2006/06/06(火) 03:19:55 ID:+cAx6ffY
さきにほひ風まつほどの山ざくら人の世よりは久しかりけり(新勅撰1225)
878 :
名無氏物語:2006/06/06(火) 03:21:38 ID:+cAx6ffY
くれ竹の世々の宮こときくからに君は千年のうたがひもなし(新勅撰453)
879 :
名無氏物語:2006/06/06(火) 03:26:39 ID:iB/yHC0I
影みえて汀にたてる白菊は折られぬ波の花かとぞみる(村上天皇[新勅撰])
880 :
名無氏物語:2006/06/06(火) 03:28:13 ID:iB/yHC0I
波かくる井手の山吹さきしより折られぬ水に蛙なくなり(土御門院[続後撰])
881 :
名無氏物語:2006/06/06(火) 03:28:53 ID:iB/yHC0I
吉野川折られぬ水に袖ぬれて浪にうつろふ岸の山吹(藤原知家[続拾遺])
882 :
名無氏物語:2006/06/06(火) 03:29:25 ID:iB/yHC0I
かげきよき花の鏡と見ゆるかな長閑にすめる白川の水(源有仁[千載])
883 :
名無氏物語:2006/06/06(火) 03:29:56 ID:iB/yHC0I
散りかかる花の鏡の水の面にかさねてくもる春の夜の月(源資平[続古今])
884 :
名無氏物語:2006/06/06(火) 07:26:02 ID:TowrM8lq
散りかかる影もはかなく行く水に数かきあへぬ花の白波(憲実[続拾遺])
885 :
名無氏物語:2006/06/06(火) 07:27:02 ID:TowrM8lq
春雨のあやおりかけし水のおもに秋はもみぢの錦をぞしく(道命[詞花])
886 :
名無氏物語:2006/06/06(火) 07:27:42 ID:TowrM8lq
ちりちらず人もたづねぬ古郷の露けき花に春風ぞふく(慈円[新古今])
887 :
名無氏物語:2006/06/06(火) 07:28:22 ID:TowrM8lq
つねよりものどけくにほへ桜花春くははれる年のしるしに(藤原顕季[風雅])
888 :
名無氏物語:2006/06/06(火) 07:29:12 ID:TowrM8lq
光なき谷には春もおそ桜ほかのちりなん後やみるべき(花山院長親母[新葉])
889 :
名無氏物語:2006/06/06(火) 07:33:20 ID:kUCYXvjn
しづたまき夕はたぐものたてぬきにあやおりみだる春雨の空(藤原秀能)
890 :
名無氏物語:2006/06/06(火) 07:34:09 ID:kUCYXvjn
夕がすみ消えゆく雁や雲とりのあやおりみだる春の衣手(順徳院)
891 :
名無氏物語:2006/06/06(火) 07:34:56 ID:kUCYXvjn
行きゆかずきかまほしきをいづかたにふみさだむらんあしうらの山(藤原定頼)
892 :
名無氏物語:2006/06/06(火) 07:35:30 ID:kUCYXvjn
さくら花春くははれる年しもぞつねよりも猶ちりまさりける(藤原高遠)
893 :
名無氏物語:2006/06/06(火) 07:36:05 ID:kUCYXvjn
世の人の心の花もあひにあひぬ春くははれる春を待ちえて(烏丸光広)
894 :
名無氏物語:2006/06/06(火) 08:26:04 ID:YBzGZ/Ov
みる人もなき山里の花のいろはなかなか風ぞをしむべらなる(藤原道信)
895 :
名無氏物語:2006/06/06(火) 08:26:52 ID:YBzGZ/Ov
みる人もなき山里の秋の夜は月のひかりもさびしかりけり(藤原範永)
896 :
名無氏物語:2006/06/06(火) 08:28:07 ID:YBzGZ/Ov
ともかくも言はばなべてになりぬべしねになきてこそ見せまほしけれ(和泉式部)
897 :
名無氏物語:2006/06/06(火) 08:29:36 ID:YBzGZ/Ov
枕だに知らねばいはじ見しままに君かたるなよ春の夜の夢(和泉式部)
898 :
名無氏物語:2006/06/06(火) 08:30:54 ID:YBzGZ/Ov
あひにあひて物思ふ春はかひもなし花も霞もめにしたたねば(和泉式部)
899 :
名無氏物語:2006/06/06(火) 08:31:53 ID:YBzGZ/Ov
をみなへし池のさ波に枝ひちて物思ふ袖のぬるる顔なる(西行)
900 :
名無氏物語:2006/06/06(火) 14:16:46 ID:6zUFMNv/
あひにあひて物おもふ比の夕暮に鳴くやさ月の山ほととぎす(藤原家隆)
901 :
名無氏物語:2006/06/06(火) 14:21:31 ID:6zUFMNv/
袖のうへにぬるる顔なる光かな月こそ旅の心しりけれ(藤原俊成女)
902 :
名無氏物語:2006/06/06(火) 14:22:13 ID:6zUFMNv/
すがまくら玉ちる閨の袖のうへにぬるるがほなる床の月かげ(後鳥羽院)
903 :
名無氏物語:2006/06/06(火) 14:26:47 ID:6zUFMNv/
いまぞしるあひそめ川の水上はたえずながるる涙なりけり(源仲綱)
904 :
名無氏物語:2006/06/06(火) 15:29:34 ID:8mwUXZPB
知るやとて枕だにせぬ宵々のこころの外にもる涙かな(知家[続後撰])
905 :
名無氏物語:2006/06/06(火) 15:31:31 ID:8mwUXZPB
我が涙露ももらすな枕だにまだしらすげの真野の秋風(後嵯峨院[続拾遺])
906 :
名無氏物語:2006/06/06(火) 15:32:57 ID:8mwUXZPB
夢をだにみつとはいはじ難波なる葦のしのやの夜はの秋かぜ(二条為氏[続千載])
907 :
名無氏物語:2006/06/06(火) 16:07:09 ID:9JaaY0Hc
夢にだにみつとはいはじおのづから思ひあはする人もこそあれ(源俊定[風雅])
908 :
名無氏物語:2006/06/06(火) 16:07:46 ID:9JaaY0Hc
秋きぬといはぬをしるは吹く風の身にしむ時の心なりけり(少将内侍[続古今])
909 :
名無氏物語:2006/06/06(火) 16:10:04 ID:9JaaY0Hc
何となく昔恋しき我が袖のぬれたるうへにやどる月影(秀能[風雅])
910 :
名無氏物語:2006/06/06(火) 16:49:55 ID:9JaaY0Hc
あはれなる時を夕べと思ふより時雨にそひてふる涙かな(心円[玉葉])
911 :
名無氏物語:2006/06/06(火) 16:57:13 ID:A08vezT0
おもひ河身をはやながら水のあわのきえてもあはむ波のまもがな(家隆)
912 :
名無氏物語:2006/06/06(火) 16:58:33 ID:A08vezT0
夏むしの身よりあまれる思ひかはあはできえめや浪のうたかた(後鳥羽院)
913 :
名無氏物語:2006/06/06(火) 16:59:03 ID:A08vezT0
おのづからむすぶ契も夏川のうたかた人に消えつつぞふる(順徳院)
914 :
名無氏物語:2006/06/06(火) 17:00:08 ID:A08vezT0
めぐり行く床の涙のうたかたに秋さへ冬にあはで消えめや(正徹)
915 :
名無氏物語:2006/06/06(火) 17:15:41 ID:lFuk8YoT
たづねてもいかに待ちみんほととぎすみわの山べの夕暮の空(家隆)
916 :
名無氏物語:2006/06/06(火) 17:16:11 ID:lFuk8YoT
我が身なほいかにまちみん三輪の山つれなくてのみすぎのむらだち(藤原雅経)
917 :
名無氏物語:2006/06/06(火) 17:17:09 ID:lFuk8YoT
木がらしやいかにまち見むみわの山つれなき杉の雪折のこゑ(源具親)
918 :
名無氏物語:2006/06/06(火) 17:19:31 ID:lFuk8YoT
夏の夜はみじかき葦のふしの間にいつしかかはる秋の初風(雅経)
919 :
名無氏物語:2006/06/06(火) 17:21:03 ID:lFuk8YoT
難波江やうきてものおもふ夏の夜のみじかき葦のふしのまもなし(雅経)
920 :
名無氏物語:2006/06/06(火) 17:31:27 ID:8UUZmlde
うつつにはとはで年ふるみわの山いかに待ちみん夢のかよひぢ(資平[新拾遺])
921 :
名無氏物語:2006/06/06(火) 17:35:06 ID:8UUZmlde
尋ねてもいかに待ちみん郭公初音つれなき三輪の山本(宗尊親王[新続古今])
922 :
名無氏物語:2006/06/06(火) 17:36:41 ID:8UUZmlde
なれきつる霞の衣たちわかれ我をばよそにすぐる春かな(教実[新勅撰])
923 :
名無氏物語:2006/06/06(火) 17:39:49 ID:8UUZmlde
あま小舟我をばよそにみ熊野の浦より遠に遠ざかりつつ(藻壁門院但馬[新拾遺])
924 :
名無氏物語:2006/06/06(火) 17:41:17 ID:8UUZmlde
難波江やみじかき蘆のよとともにおつる涙を知る人ぞなき(道珍[遠島歌合])
925 :
名無氏物語:2006/06/06(火) 17:56:33 ID:BV4yD5j2
世世かけていひしにかはる契りゆゑみじかきあしのねをのみぞなく(為家)
926 :
名無氏物語:2006/06/06(火) 17:57:15 ID:BV4yD5j2
みるほどはみじかきあしのふしのまもなみに入江のみか月のかげ(宣長)
927 :
名無氏物語:2006/06/06(火) 18:08:32 ID:tCXXeWPV
つひにさて逢はで此世を過してはたがつれなさの名をか残さん(洞院公宗母[新続古今])
928 :
名無氏物語:2006/06/06(火) 18:12:18 ID:cA6n2tTk
かずならぬみののを山のひとつ松ひとりさめてもかひやなからん(兼好)
929 :
名無氏物語:2006/06/06(火) 18:13:01 ID:cA6n2tTk
いくかへりみののを山のひとつ松ひとつしも身の為ならなくに(細川幽斎)
930 :
名無氏物語:2006/06/06(火) 18:13:44 ID:cA6n2tTk
一つ松枝ふりさけて二もととみののをやまの雪の夕ぐれ(木下長嘯子)
931 :
名無氏物語:2006/06/06(火) 18:14:27 ID:cA6n2tTk
思ひとけばとまるは行くをしたふこそはかなきよりもはかなかりけれ(藤原隆祐)
932 :
名無氏物語:2006/06/07(水) 08:41:46 ID:dRZmg1bP
わがせこがうへかたらなん都鳥さこそむかしの人もとひけれ(藤原実定)
933 :
名無氏物語:2006/06/07(水) 08:43:47 ID:dRZmg1bP
時鳥はな橘の枝にゐてむかしの人のうへかたらなん(慈円)
934 :
名無氏物語:2006/06/07(水) 08:52:27 ID:7lC+Aswe
露わけぬ人もや袖をぬらすらんとまるはゆくををしむ涙に(宗良親王[新葉])
935 :
名無氏物語:2006/06/07(水) 09:04:36 ID:P0LJVw8G
うつりゆく雲にあらしのこゑすなりちるかまさきのかづらきの山
936 :
名無氏物語:2006/06/07(水) 09:05:37 ID:P0LJVw8G
秋の色をはらひはててや久かたの月のかつらに木がらしのかぜ
937 :
名無氏物語:2006/06/07(水) 09:06:12 ID:P0LJVw8G
かりころもすそ野もふかしはしたかのとがへる山のみねのしらゆき
938 :
名無氏物語:2006/06/07(水) 09:06:53 ID:P0LJVw8G
きえねただ忍ぶのやまのみねの雲かかるこころのあとのなきまで
939 :
名無氏物語:2006/06/07(水) 09:07:31 ID:P0LJVw8G
うらみじな難波のみつに立つけぶり心からやくあまのもしほ火
940 :
名無氏物語:2006/06/07(水) 09:08:07 ID:P0LJVw8G
暁のしぎのはねがきかくばかりなみだかずそふね覚やはせし
941 :
名無氏物語:2006/06/07(水) 09:18:28 ID:ewT8AoMN
たちぬはぬ霞の衣春きては花のにしきをおりかさねつつ(知家[新千載])
942 :
名無氏物語:2006/06/07(水) 09:26:08 ID:lQSgbK60
たちぬはぬもみぢの衣そめはててなに山ひめの布びきの滝(順徳院)
943 :
名無氏物語:2006/06/07(水) 09:27:00 ID:lQSgbK60
たちぬはぬたがいにしへの衣とてなほ布さらす谷の卯の花(藤原行家)
944 :
名無氏物語:2006/06/07(水) 09:27:40 ID:lQSgbK60
秋の色のかぎりとみるもかなしきになに山姫の木の葉そむらん(宗尊親王)
945 :
名無氏物語:2006/06/07(水) 09:29:32 ID:lQSgbK60
くまの川みをはやながらめぐりあはん音にのみ聞くみづからぞうき(順徳院)
946 :
名無氏物語:2006/06/07(水) 09:36:09 ID:ef48GYJM
おもひ河身をはやながら水の泡のきえてもあはむ浪のまもがな(家隆[新勅撰])
947 :
名無氏物語:2006/06/07(水) 09:37:24 ID:ef48GYJM
いかにせん身をはやながら思ひ川うたかたばかりあるかひもなし(飛鳥井教定[続拾遺])
948 :
名無氏物語:2006/06/07(水) 09:38:18 ID:ef48GYJM
人しれず恋ひわたるまに朽ちにけり長柄の橋を又やつくらん(藤原隆房[続古今])
949 :
名無氏物語:2006/06/07(水) 09:39:05 ID:ef48GYJM
聞きわたる長柄の橋も朽ちにけり身のたぐひなる古き名ぞなき(西園寺実氏[続拾遺])
950 :
名無氏物語:2006/06/07(水) 09:39:39 ID:ef48GYJM
かくこそは春まつ梅は咲きにけれたとへん方もなき我が身かな(源行宗[風雅])
951 :
名無氏物語:2006/06/07(水) 16:22:38 ID:mClz8FW/
はるかなる大江の橋はつくりけん人の心ぞ見えわたりける(源俊頼)
952 :
名無氏物語:2006/06/07(水) 16:30:50 ID:kh14QDoD
世の中にふりぬるものは津の国のながらの橋と我となりけり(よみ人しらず「古今集」)
953 :
名無氏物語:2006/06/07(水) 16:39:46 ID:kh14QDoD
今はとて我が身しぐれにふりぬれば言の葉さへにうつろひにけり(小野小町「古今集」)
954 :
名無氏物語:2006/06/07(水) 16:40:28 ID:kh14QDoD
わが庵は三輪の山もと恋しくはとぶらひ来ませ杉たてる門(よみ人しらず「古今集」)
955 :
名無氏物語:2006/06/07(水) 16:43:01 ID:kh14QDoD
世の中のうきもつらきもつげなくにまづしる物は涙なりけり(よみ人しらず「古今集」)
956 :
名無氏物語:2006/06/07(水) 16:46:20 ID:kh14QDoD
大伴の見つとは言はじあかねさし照れる月夜にただにあへりとも(賀茂女王「万葉集」)
957 :
名無氏物語:2006/06/07(水) 16:50:32 ID:kh14QDoD
逢ふことは玉の緒ばかり名のたつは吉野の川の滝つ瀬のごと(よみ人しらず「古今集」)
958 :
名無氏物語:2006/06/07(水) 16:51:37 ID:kh14QDoD
青柳を片糸によりて鶯のぬふてふ笠は梅の花笠(「古今集」神遊歌)
959 :
名無氏物語:2006/06/07(水) 16:52:39 ID:kh14QDoD
冬がれの野べとわが身をおもひせばもえても春を待たましものを(伊勢「古今集」)
960 :
名無氏物語:2006/06/07(水) 17:01:57 ID:kh14QDoD
961 :
名無氏物語:2006/06/07(水) 17:03:42 ID:kh14QDoD
すむ人のかたかるべきに濁り江は恋路にかげもみえぬなりけり(伊勢「玉葉集」)
962 :
名無氏物語:2006/06/07(水) 17:10:00 ID:kh14QDoD
世の中はいかにやいかに風のおとをきくにも今は物やかなしき(よみ人しらず「後撰集」)
963 :
名無氏物語:2006/06/07(水) 17:10:54 ID:kh14QDoD
世の中はいさともいさや風のおとは秋に秋そふ心地こそすれ(伊勢「後撰集」)
964 :
名無氏物語:2006/06/07(水) 17:11:56 ID:kh14QDoD
世の中はいさともいさや風のおとは秋に秋そふ心地こそすれ(よみ人しらず「拾遺集」)
965 :
名無氏物語:2006/06/07(水) 17:13:00 ID:kh14QDoD
人すまずあれたるやどを来て見れば今ぞ木の葉は錦おりける(枇杷左大臣「後撰集」)
966 :
名無氏物語:2006/06/07(水) 17:13:43 ID:kh14QDoD
涙さへ時雨にそひてふるさとは紅葉の色もこさまさりけり(伊勢「後撰集」)
967 :
名無氏物語:2006/06/07(水) 17:14:48 ID:kh14QDoD
しるといへば枕だにせでねしものを塵ならぬ名の空にたつらむ(伊勢「古今集」)
968 :
名無氏物語:2006/06/07(水) 17:21:02 ID:kh14QDoD
女郎花折りけむ枝のふしごとにすぎにし君を思ひいでやせし(枇杷左大臣「後撰集」)
969 :
名無氏物語:2006/06/07(水) 17:21:50 ID:kh14QDoD
をみなへしをりもをらずもいにしへをさらにかくべきものならなくに(伊勢「後撰集」)
970 :
名無氏物語:2006/06/07(水) 17:24:33 ID:kh14QDoD
山川のおとにのみきくももしきを身をはやながら見るよしもがな(伊勢「古今集」)
971 :
名無氏物語:2006/06/07(水) 17:25:22 ID:kh14QDoD
山川のおとにのみきくももしきを身をはやながら見るよしもがな(伊勢「後撰集」) 重出歌
972 :
名無氏物語:2006/06/07(水) 17:26:41 ID:kh14QDoD
難波なるながらの橋もつくるなり今は我が身をなににたとへむ(伊勢「古今集」)
973 :
名無氏物語:2006/06/07(水) 17:33:47 ID:ZSYzkcFG
朽ち残る板田の橋もかよふなりたえにし中を何にかけまし(二条満基[新続古今])
974 :
名無氏物語:2006/06/07(水) 17:40:16 ID:GkfnP4CU
あかでのみふればなりけり逢はぬ夜も逢ふ夜も人をあはれとぞ思ふ(新勅撰822)
975 :
定家厨:2006/06/07(水) 17:47:42 ID:T6bWVGZ5
天の河あれにし床をけふばかりうちはらふ袖のあはれいくとせ
976 :
定家厨:2006/06/07(水) 17:48:42 ID:T6bWVGZ5
山風のあれにし床をはらふ夜はうきてぞこほる袖の月影
977 :
定家厨:2006/06/07(水) 17:49:25 ID:T6bWVGZ5
秋はまた濡れこし袖のあひにあひて雄島の海人ぞ月になれける
978 :
定家厨:2006/06/07(水) 17:51:17 ID:T6bWVGZ5
なれし夜の月ばかりこそ身にはそへ濡れても濡るる袖にやどりて
979 :
定家厨:2006/06/07(水) 17:52:00 ID:T6bWVGZ5
秋の月袖になれにし影ながら濡るる顔なる布引の滝
980 :
定家厨:2006/06/07(水) 17:52:33 ID:T6bWVGZ5
あしの屋のかりねの床のふしのまもみじかくあくる夏の夜な夜な
981 :
定家厨:2006/06/07(水) 17:53:07 ID:T6bWVGZ5
むかしべやなに山ひめのぬのさらすあとふりまがへつもるはつ雪
982 :
定家厨:2006/06/07(水) 17:53:50 ID:T6bWVGZ5
身をつくしいざ身にかへて沈みみむおなじ難波の浦の浪かぜ
983 :
名無氏物語:2006/06/07(水) 17:57:16 ID:ogSKwCH2
桜花にほふにつけて物ぞ思ふ風の心のうしろめたさに(藤原顕季[新後拾遺])
984 :
名無氏物語:2006/06/07(水) 17:58:13 ID:ogSKwCH2
手折りもて宿にぞかざす桜花梢は風のうしろめたさに(源国信[新千載])
985 :
名無氏物語:2006/06/07(水) 18:06:52 ID:RnwzRVn1
ながれてもあふせは絶えじ住江の身をつくしてもくちはててなん(中宮上総)
986 :
名無氏物語:2006/06/07(水) 18:07:38 ID:RnwzRVn1
難波人いかなるえにかくちはてむあふことなみにみをつくしつつ(藤原良経)
987 :
名無氏物語:2006/06/07(水) 18:08:50 ID:RnwzRVn1
さてもなほいかなるえにて難波なるみをつくしてもよにしづむらん(藤原雅経)
988 :
名無氏物語:2006/06/07(水) 18:12:39 ID:J+wrBZJ6
難波江の葦のかりねの一よゆゑみをつくしてや恋ひ渡るべき(皇嘉門院別当[千載])
989 :
名無氏物語:2006/06/07(水) 18:13:17 ID:J+wrBZJ6
難波潟かへらぬ波に年くれて今はたおなじ春ぞまたるる(鷹司冬平[新千載])
990 :
名無氏物語:2006/06/07(水) 18:13:49 ID:J+wrBZJ6
わびぬればみてもかひなき思ひねに今はた同じ夢ぞまたるる(祝部行直[新後拾遺])
991 :
名無氏物語:2006/06/07(水) 18:14:22 ID:J+wrBZJ6
あれはてし難波の里の春風にいまはたおなじ梅がかぞする(慶雲[新続古今])
992 :
名無氏物語:2006/06/07(水) 18:15:00 ID:J+wrBZJ6
難波なる身をつくしてもかひぞなき短き蘆の一夜ばかりは(藤原定家[続後拾遺])
993 :
名無氏物語:2006/06/07(水) 18:15:35 ID:J+wrBZJ6
逢ふことは遠山鳥のおなじ世に心長くてねをのみぞなく(実兼[続千載])
994 :
名無氏物語:2006/06/07(水) 18:18:36 ID:5pa6zJ5h
わびぬればいまはたおなじ山ざくらさそふ風をや花もまつらん(平親清五女)
995 :
名無氏物語:2006/06/07(水) 18:19:18 ID:5pa6zJ5h
難波江のみをつくしてもつかへきぬふかき心のしるしあらはせ(二条教頼)
996 :
名無氏物語:2006/06/07(水) 18:19:50 ID:5pa6zJ5h
あまたには今も昔もくらぶれどひと花筐そこぞ恋しき(元良親王)
997 :
名無氏物語:2006/06/07(水) 18:20:38 ID:5pa6zJ5h
逢ふことは遠山鳥のおのれのみながき恋路のためしとぞみる(後鳥羽院)
998 :
名無氏物語:2006/06/07(水) 18:21:09 ID:5pa6zJ5h
打ちはらふ扇の風の程なきに思ひこめたる荻の音かな(藤原家隆)
999 :
名無氏物語:2006/06/07(水) 18:21:41 ID:5pa6zJ5h
手にならす夏の扇とおもへどもただ秋風のすみかなりけり(九条良経)
1000 :
名無氏物語:2006/06/07(水) 18:22:15 ID:5pa6zJ5h
初霧の空にたちつる心かな思はれむともしらぬ我が身を(大中臣頼基)
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