ストーリーを教えてもらうスレ part57

このエントリーをはてなブックマークに追加
1ゲーム好き名無しさん
【注意事項】
スレの容量が500KBを超えると書き込めなくなります。
480KBを超えたら次スレが立つまで書き込みを控えてください。

自分でやるのが面倒、手に入らない、時間がない、お金がない、などの理由で
ストーリーを知りたいゲームのストーリーを教えてもらうスレです。
発売して半年以内の新作について語る際は名前欄に
タイトルと新作ネタバレ用の共有トリップの #新作ネタ をつけて下さい。
新作のネタバレを読みたくない人は ◆l1l6Ur354A をNGワード指定推奨。

またリクエストの際は、正確なタイトルとハード名を付記して下さい。
まずはまとめWiki↓で既に書かれていないか、既にリクエストされていないか調べてからリクしましょう。
ただしすでにwikiに載っているストーリーでも、より詳しく知りたい場合はリクエストを受け付けています。

ストーリーを教えてもらうスレ暫定Wiki
http://www8.atwiki.jp/storyteller/
携帯電話の場合でもこちらのURLから行けば表示は崩れますが見れます
http://www8.atwiki.jp/storyteller/pages/2.html

・スレに書き込まれたストーリーのまとめWikiへの収録作業や
まとめWiki中の未解決リストの更新作業は、スレ内の有志によって行われています。
手の空いた方がいらっしゃったらご協力をお願いします。
編集方法の説明はこちら。:http://www8.atwiki.jp/storyteller/pages/18.html

・作業を行ってくれた方は、「>>○○まで収録作業したよ」
「>>○○までのリクを未解決リストに反映したよ」などと
スレに書き込んでくれると、次に作業をする者にとって
どこから作業すればいいのかわかりやすくなるため助かります。

前スレ
ストーリーを教えてもらうスレ part55(実質56)
http://toki.2ch.net/test/read.cgi/gsaloon/1299906128/

ストーリーを書く際の注意、関連スレ、未解決リストなどは>>2-10
2ゲーム好き名無しさん:2011/05/10(火) 13:57:11.02 ID:6uPrj9F30
ストーリーを読む・リクエストする方へのお願い。

・リクエストの際は、正確なタイトルとハード名を付記して下さい。
・まとめWikiで既に書かれていないか、既にリクエストされていないか調べてからリクしましょう。
・リク主は依頼したストーリーが書かれたら、書き手に感謝の意を伝えましょう。
・過度のクレクレはスルーや批判の対象になります。気をつけましょう。
・手の空いた方はwiki編集などでスレに貢献しましょう。

ストーリーを書いてくれる方へのお願い。

・外部サイトからの無断転載は禁止です。もし外部サイトの管理人の方から許可を得て転載する場合でも、
 許可を得たという事を証明し、さらにそのサイトからの転載であると言うことを明記してください。
・要望に出ているゲームのストーリーはどんどん書いて下さい。 
 要望に出ていないゲームでも書きたいと思ったら遠慮せずに書いて頂けると読み手が喜びます。
・すでにwikiに載っているストーリーの補足も書いて頂いて結構です。
・この板は一般板なので18禁のゲームのストーリーの要望、紹介はご遠慮下さい。
・名前欄に作品名を入れてもらえると、まとめやすくありがたいです。
・時間を置いて数回に分けて投稿する際には、最後に「続く」と御書き下さい。
 そうする事でストーリーの投稿の混交を防げます。
・発売して半年以内の新作について語る際は名前欄に
 タイトルと新作ネタバレ用の共有トリップの #新作ネタ をつけて下さい。
・これを書こう、と思われた際は「○○○○を書きたい」と意志表明し、予約していただけると、
 投稿の重複が防げて大変ありがたいです。
 また、書くのはよそう、と思われた時には面倒でも予約の取り消しを御願いします。
・勝手ながら、予約から1ヶ月以上経ったものは予約無効とさせて頂きます。
 同じく、最終投稿から3ヶ月経ったものも権利失効とさせて頂きます。
 都合により取り消しが出来ない場合の長期間にわたる放置を防ぐ為です。
3ゲーム好き名無しさん:2011/05/10(火) 13:57:52.71 ID:6uPrj9F30
関連スレ
(ギャルゲー板)
ギャルゲーのストーリーを教えてもらうスレ まとめWiki
http://ponkotsu.r.ribbon.to/

(女向ゲーム一般板)
ストーリーを教えてもらうスレin女向ゲ一般板
http://yuzuru.2ch.net/test/read.cgi/ggirl/1253686667/l50

(エロゲネタ板)18才以上の方のみ!
エロゲのストーリーを教えてもらうスレまとめwiki Ver.2.0
http://wiki.livedoor.jp/esosmw658/

(女向けゲーム大人板) 18才以上の方のみ!
BL@【やるのが】ストーリーを教えてもらうスレ 3【面倒】
http://yuzuru.2ch.net/test/read.cgi/gboy/1285119403/l50

乙女@【一つ】ストーリーを教えてもらうスレ【よろしく】
http://yuzuru.2ch.net/test/read.cgi/gboy/1157949089/l50

(漫画サロン板)
ストーリーを教えてもらうスレ まとめ Wiki*
http://wikiwiki.jp/comic-story/

(ライトノベル板)
ストーリーを教えてもらうスレ
http://kamome.2ch.net/test/read.cgi/magazin/1289054117/l50

(アニメサロン板)
ストーリーを教えてもらうスレ まとめ
http://cabin.jp/koizumi/story/
4ゲーム好き名無しさん:2011/05/10(火) 14:20:02.91 ID:6uPrj9F30
●未解決分 ≪part56の379までの時点でのリスト≫
※複数の機種で出ているものも、便宜上、一つの機種の欄にのみ書かれています
■PS3 ・アガレスト戦記 ・Another Century’s Episode:R ・INFAMOUS 〜悪名高き男〜

* End of Eternity (エンド オブ エタニティ) ・機動戦士ガンダム戦記 MOBILE SUIT GUNDAM BATTLEFIELD RECORD U.C.0081
* キャサリン ・クロスエッジ ・GENJI -神威奏乱- ・剣と魔法と学園モノ。3(大筋のストーリーを) ・白騎士物語 -古の鼓動-
* スターオーシャン4 ─THE LAST HOPE─ INTERNATIONAL ・ソウルキャリバーIV ・ソニック・ザ・ヘッジホッグ
* ティアーズ・トゥ・ティアラ −花冠の大地− ・テイルズ オブ グレイセス エフ(後日談を) ・Dead Space(既出部分の続き)
* トリニティ・ユニバース ・バトルファンタジア(出来ればキャラ別で) ・バレットストーム ・ファイナルファンタジーXIII
* FolksSoul -失われた伝承- ・ぼくのなつやすみ3 ‐北国篇‐ 小さなボクの大草原 ・ミスト オブ カオス ・ラストリベリオン
* RESISTANCE(レジスタンス) 〜人類没落の日〜 ・RESISTANCE 2
5ゲーム好き名無しさん:2011/05/10(火) 14:20:29.42 ID:6uPrj9F30
■PS2 ・アーバンカオス ・イースI・II ETERNAL STORY(既出部分の続き)

* ウィル・オ・ウィスプ(二作目に続くルートのストーリーを) ・ウィル・オ・ウィスプ 〜イースターの奇跡〜
* 宇宙戦艦ヤマト 暗黒星団帝国の逆襲 ・宇宙戦艦ヤマト 二重銀河の崩壊 ・AIRFORCE DELTA 〜BLUE WING KNIGHTS〜
* エースコンバット5 ジ・アンサング・ウォー(アーケードモード「カティーナ作戦」を)
* S.L.A.I -STEEL LANCER ARENA INTERNATIONAL- ・X−FIRE ・over the monochrome rainbow
* カウボーイビバップ 追憶の夜曲(セレナーデ) ・カオス ウォーズ ・ガラクタ名作劇場 ラクガキ王国
* ガンサバイバー3 DINO CRISIS ・ガンバード1&2 ・機動新撰組 萌えよ剣 ・機動戦士ガンダム クライマックスU.C. ・キルゾーン
* ギルティギア イグゼクス ・九龍妖魔學園紀 re:charge ・Kunoichi -忍-
* グローランサーIV Return(既出のフレーネ・イライザ・LN型以外のシナリオを) ・ゲームになったよ!ドクロちゃん ・喧嘩番長
* 喧嘩番長2 〜フルスロットル〜 ・GENJI ・高円寺女子サッカー ・ゴッドファーザー
* 五分後の世界(特にオダギリとミズノについて詳しく) ・COMBATQUEEN ・XIII [サーティーン] 大統領を殺した男
* THE お姉チャンプルゥ 〜THE姉チャン特別編〜(彩編・咲編を) ・THE 鑑識官 ・ザ・フィアー ・サムライウエスタン

 ・THE ロボットつくろうぜっ! 〜激闘!ロボットファイト〜

* シークレットゲーム -KILLER QUEEN-(既出のもの以外のルート)シード・ジェネレーションオブカオス3
* 式神の城 七夜月幻想曲(既出部分の続き)シムーン 異薔薇戦争 〜封印のリ・マージョン〜 ・灼眼のシャナ ・SHADOW TOWER ABYSS ・白中探検部
* 真・三國無双(1〜3、印象的なシーンは詳細に) ・新世紀エヴァンゲリオン 鋼鉄のガールフレンド <特別編> ・新世紀勇者大戦
* スーパーロボット大戦OG ORIGINALGENERATIONS ・ステラデウス ・SPY FICTION ・スペクトラルフォースクロニクル
* スペクトラルフォースラジカルエレメンツ ・セイクリッドブレイズ ・絶体絶命都市2―凍てついた記憶たち―(まだ書かれていない章を)
* ゼロの使い魔 小悪魔と春風の協奏曲 ・戦極姫2・炎〜百華、戦乱辰風の如く〜 ・ソニック ヒーローズ ・超時空要塞マクロス
* ディジタルホームズ ・ティンクルスタースプライツ-La Petite Princesse- ・デストロイ オール ヒューマンズ!
* 鉄人28号(できれば詳しく) ・Dog of Bay ・ドラゴンクエスト 少年ヤンガスと不思議のダンジョン ・ナノブレイカー
* ナムコ クロス カプコン(既出部分の続き) ・ハードラック ・鋼の錬金術師3 神を継ぐ少女 ・爆炎覚醒 ネバーランド戦記 ZERO
* バルダーズゲートダークアライアンス2 ・ヴァンパイアナイト ・彼岸花
* ファンタシースターユニバース(出来ればオンラインの分も) ・ファンタシースターユニバース イルミナスの野望
* フェイズパラドックス ・Fate/unlimited codes(フェイト/アンリミテッドコード) ・プリンス・オブ・ペルシャ 〜時間の砂〜
* PROJECT ARMS ・炎の宅配便 ・ポポロクロイス 〜月の掟の冒険〜(既出部分の続き)
* マナケミア2〜おちた学園と錬金術士たち〜 ・遊星からの物体X episodeII ・ライゼリート ・ルーンプリンセス
* ルパン三世 ルパンには死を、銭形には恋を ・レイジングブレス
6ゲーム好き名無しさん:2011/05/10(火) 14:22:01.03 ID:6uPrj9F30
■PS ・R4 -RIDGE RACER TYPE4- ・アインハンダー(エンディングまで) ・アローン・イン・ザ・ダーク 2

* アンシャントロマン 〜パワー・オブ・ダーク・サイド〜 ・EVE ZERO ・雨月奇譚 ・エクサフォーム ・オウバードフォース
* 逢魔が時 ・学校のコワイうわさ 花子さんが来た!! ・GUNばれ!ゲーム天国 ・クリックまんが クリックのひ
* CRITICAL BLOW ・クロス探偵物語(6話と7話を) ・ゲゲゲの鬼太郎(バンダイ) ・ゲッターロボ大決戦
* 幻影闘技 SHADOW STRUGGLE ・公開されなかった手記 ・高2→将軍 ・KONOHANA:TrueReport ・最終電車 ・サイレントボマー
* GERMS 狙われた街 ・シュレディンガーの猫 ・すべてがFになる ・SPRIGGAN 〜LUNAR VERSE〜 ・黄昏のオード
* TILK-青い海から来た少女- ・デザーテッドアイランド ・天使同盟 ・トワイライトシンドローム〜再会〜 ・ナイトアンドベイビー
* ’70年代風ロボットアニメ ゲッP−X ・2999年のゲーム・キッズ(既出部分の続きを) ・人魚の烙印 ・ネオリュード
* ネオリュード2 ・ネオリュード 刻まれた紋章 ・眠ル繭 ・NEUES〜ノイエス〜 ・BOUNTY SWORD DOUBLE EDGE
* ひみつ戦隊メタモルV ・Forget me not -パレット-(「パレット」からの追加分を) ・パロウォーズ ・フォックスジャンクション
* ブシドーブレード ・ブシドーブレード弐 ・BLACK/MATRIX OO(既出部分からの続きを。簡潔でもかまいません)
* プラネットライカ(既出部分からの続き) ・ボルフォス ・マーメノイド ・マネーアイドル・エクスチェンジャー
* ミザーナフォールズ ・ミスティックドラグーン ・厄 友情談義 ・厄痛 呪いのゲーム ・聖刻1092 操兵伝 ・竜機伝承
* ルパン三世 カリオストロの城 −再会− ・LULU ・ロストチルドレン
7ゲーム好き名無しさん:2011/05/10(火) 14:25:41.62 ID:6uPrj9F30
■PSP ・EYE OF JUDGMENT(アイ・オブ・ジャッジメント) 神託のウィザード ・おおかみかくし
* グローランサー(別ルートとそれぞれのキャラクターのEDを) ・喧嘩番長3〜全国制覇〜 ・喧嘩番長4 〜一年戦争
* 喧嘩番長5〜漢の法則〜 ・氷の墓標 一柳和、3度目の受難 ・ザ・サード バースデイ ・シャイニング・ハーツ
* 新天魔界 〜GOCIV アナザサイド〜 ・新世紀エヴァンゲリオン2 造られしセカイ -another cases-(各シナリオをできれば詳しく)
* 戦極姫2・嵐〜百華、戦乱辰風の如く〜 ・戦場のヴァルキュリア2 ガリア王立士官学校(既出部分の続き)
* 探偵オペラ ミルキィホームズ ・注文しようぜ!俺たちの世界(スライギーイベントのラストを)
* テイルズ オブ ザ ワールド レディアント マイソロジー ・デッドヘッドフレッド〜首なし探偵の悪夢〜
* ドラグナーズアリア 竜が眠るまで
* 初音ミク -Project DIVA- 追加楽曲集デラックスパック1 ミクうた、おかわり(「*ハロー、プラネット。」のストーリーを)
* VALHALLA KNIGHTS -ヴァルハラナイツ- ・ファンタシースターポータブル2 インフィニティ ・フェイト/エクストラ
* ブレイドダンサー 千年の約束 ・ブレイブ ストーリー 新たなる旅人 ・ヘブンズ ウィル
* ペルソナ3ポータブル(女主人公版新規コミュキャラの、コミュMAX時ED前会話を) ・ポポロクロイス物語 ピエトロ王子の冒険
* MYST(ライム時代とED全種を含めて) ・密室のサクリファイス ・LAST RANKER ・RESISTANCE 〜報復の刻(とき)〜
* 煉獄 The Tower of Purgatory ・煉獄弐 The Stairway to H.E.A.V.E.N.

■Wii ・アークライズファンタジア ・オプーナ ・機動戦士ガンダム MS戦線0079(ストーリーモードを) ・グーの惑星
  * CALLING(コーリング) 〜黒き着信〜 ・斬撃のREGINLEIV(既出部分の続き) ・スーパーロボット大戦NEO
* ソウルキャリバー レジェンズ ・ドラゴンクエストソード 仮面の女王と鏡の塔(詳しく) ・ネクロネシア ・レッドスティール
* ロックマン10 宇宙からの脅威!! ・ワンピース アンリミテッドアドベンチャー

■GC ・神機世界エヴォルシア ・ターミネーター3:ザ・レデンプション ・P.N.03
* PHANTASY STAR ONLINE EPISODE III C.A.R.D. Revolution ・遊戯王フォルスバウンドキングダム 虚構に閉ざされた王国

■64 ・悪魔城ドラキュラ黙示録(ラインハルト編) ・悪魔城ドラキュラ黙示録外伝 〜レジェンドオブコーネル〜  ・シャドウゲイト64
* 爆裂無敵バンガイオー

■SFC ・アイ・オブ・ザ・ビホルダー ・アクトレイザー ・アルバートオデッセイ ・アルバートオデッセイ2
  * アレサ(スーパーファミコン版) ・アレサU 〜アリエルの不思議な旅〜 ・リジョイス 〜アレサ王国の彼方〜 ・イーハトーヴォ物語
* Wizap!―ウィザップ 〜暗黒の王― ・エルファリア2 ・カードマスター リムサリアの封印
* 機動戦士ガンダムF91 フォーミュラー戦記0122 ・サイバーナイト 2 地球帝国の野望
* Secret of Evermore(SNESソフト。日本未発売) ・シャドウラン ・少年忍者サスケ ・神聖紀オデッセリア
* 神聖紀オデッセリアII ・セプテントリオン ・ゼロヨンチャンプRR-Z ・ソウルアンドソード ・ファイナルファイトタフ
* ブレインロード ・弁慶外伝 沙の章 ・魔女たちの眠り ・魔天伝説 戦慄のオーパーツ ・46億年物語 −はるかなるエデンへ−

■FC&ディスクシステム ・悪魔城ドラキュラ ・SDガンダム ガチャポン戦士5 バトル オブ ユニバーサルセンチュリー
   * エスパードリーム2 新たなる戦い ・ガンナック ・ゲゲゲの鬼太郎2 ・御存知弥次喜多珍道中 ・シャドウブレイン ・新・里見八犬伝
* 道(TAO) ・東方見文録 ・ドラキュラII 呪いの封印 ・百鬼夜行 ・魔法のプリンセスミンキーモモ ・未来神話ジャーバス
* 魍魎戦記MADARA ・勇士の紋章 ディープダンジョンII ・ラディア戦記 ・ワルキューレの冒険 時の鍵伝説
8ゲーム好き名無しさん:2011/05/10(火) 14:27:29.44 ID:6uPrj9F30
■DS ・Another Time Another Leaf 〜鏡の中の探偵〜 ・あらしのよるに(マルチエンディング全7種類を) ・犬神家の一族
* Wizardry 〜生命の楔〜 ・ウィッチテイル 見習い魔女と7人の姫 ・SDガンダム GジェネレーションDS(ライバルルートを)
* L the proLogue to DEATH NOTE -螺旋の罠(トラップ)- ・川のぬし釣り こもれびの谷せせらぎの詩
* きらりん☆レボリューション〜なーさんといっしょ〜 ・きらりん☆レボリューション めざせ!アイドルクイーン
* きらりん☆レボリューション つくってみせちゃお!キメ☆きらステージ
* きらりん☆レボリューション あつめてチェンジ!クルキラ★コーデ ・クイズマジックアカデミーDS
* くりきん ナノアイランドストーリー ・激闘!カスタムロボ ・高円寺女子サッカー2〜恋はネバギバ高円寺〜 ・降魔霊符伝イヅナ
* サクラノート〜いまにつながるみらい〜 ・THE 装甲機兵ガングラウンド
* THE 廃屋病棟 〜呪われた病院からの脱出〜(一周目二周目両EDを) ・サバイバルキッズLost in Blue
* THE 爆弾処理班(既出部分の続きを) ・スターフォックス コマンド ・世界樹の迷宮V 星海の来訪者 ・セブンスドラゴン
* ゼルダの伝説 大地の汽笛 ・タンクビート ・超操縦メカMG ・ツキビト
* DS電撃文庫 『バッカーノ!』(原作者による書き下ろし分だけでも) ・ディープラビリンス ・DEATH NOTE Lを継ぐ者
* DEATH NOTE キラゲーム(既出部分の続きを) ・teresia -テレジア- Dear Emile
* 東京トワイライトバスターズ -禁断の生贄帝都地獄変-(移植前のPC98版でも) ・どきどき魔女神判2
* ドラゴンクエストモンスターズ ジョーカー ・ナナシ ノ ゲエム 目 ・パワプロクンポケット8(正史ルートを)
* パワプロクンポケット12(裏サクセスを) ・ファイナルファンタジーXII レヴァナント・ウイング ・BLEACH The 3rd Phantom
* ブレイザードライブ ・フロム・ジ・アビス ・ポケットモンスターブラック・ホワイト(Nの正体とか交えて)
* マジカルバケーション 5つの星がならぶとき ・無限のフロンティア スーパーロボット大戦OGサーガ(既出部分の続き)
* メタルサーガ鋼の季節 ・流星のロックマン3 ・LUX-PAIN[ルクス・ペイン] ・ルナ -ジェネシス- ・ルミナスアーク3アイズ
* ワールド・デストラクション 〜導かれし意思〜

■GBA ・アドバンス ガーディアンヒーローズ ・カエルBバック ・幻想水滸伝カードストーリーズ
* サムライエボリューション 桜国ガイスト ・真・女神転生デビルチルドレン(光、闇、炎、氷、メシアライザー)
* Z.O.E 2173 TESTAMENT ・続・ボクらの太陽 太陽少年ジャンゴ ・沈黙の遺跡〜エストポリス外伝〜
* ドラゴンクエストモンスターズ キャラバンハート ・彼岸花 ・Vマスタークロス ・ブラックマトリクスゼロ
* ボクらの太陽(既出部分の続き) ・マジカルバケーション ・メタルガン・スリンガー

■GBC ・エストポリス伝記〜よみがえる伝説〜 ・スペースネット ・METAL GEAR Ghost Babel(おまけドラマも) ・メダロット3
* メダロット5

■GB ・王ドロボウJING ・鬼忍降魔録 ONI ・ザードの伝説2(前作やって無くてもわかるように) ・ジャングルウォーズ
* 女神転生外伝・ラストバイブル ・女神転生外伝・ラストバイブルII ・メダロット1〜2
* 読本夢五誉身(よみほんゆめごよみ)天神怪戦2
9ゲーム好き名無しさん:2011/05/10(火) 14:32:08.01 ID:6uPrj9F30
■XBOX360 ・Operation Darkness ・コンデムド サイコクライム ・Condemned 2: Bloodshot(日本未発売)
* スターオーシャン4 ─THE LAST HOPE─ ・ストラングルホールド ・ZEGAPAIN XOR ・ZEGAPAIN NOT
* ソニック・ザ・ヘッジホッグ ・天誅 千乱 ・NINETY-NINE NIGHTS(N3) ・NINJA BLADE
* BIOSHOCK2(追加ストーリー「Minerva's Den」も) ・ヴァンパイアレイン ・ブルードラゴン
* プロジェクト シルフィード(既出部分の続き) ・まもるクンは呪われてしまった!

■XBOX ・ガンヴァルキリー ・コンスタンティン ・JSRF ジェットセットラジオフューチャー ・真・女神転生 NINE
* DINO CRISIS 3 ・PHANTOM CRASH ・Fable

■DC ・ILLBLEED ・ウィークネスヒーロー トラウマンDC ・ゴーレムのまいご ・ジェット セット ラジオ ・タコのマリネ
* デ・ラ・ジェット セット ラジオ ・トリコロールクライシス ・BLUE STINGER ・HUNDRED SWORDS
* ベルセルク千年帝国の鷹篇 喪失花の章(既出部分の続きを) ・L.O.L.(LACK OF LOVE) ・REVIVE・・・ 〜蘇生〜

■SS ・エイナス ファンタジー ストーリーズ THE FIRST VOLUME ・ガーディアンヒーローズ ・ガングリフォンII(ミッション間ラジオも)
* 慶応遊撃隊活劇編 ・サイバードール ・シャイニング・フォースIII(シナリオ2〜3を) ・ソニック3Dフリッキーアイランド
* ダークシード ・DEEP FEAR ・ティンクルスタースプライツ ・テラ ファンタスティカ(既出部分の続き) ・NOёL3
* バーニングレンジャー ・バッケンローダー ・バトルバ ・ファイナルファイトリベンジ ・ファンタシースターコレクション
* ファンタズム ・プリクラ大作戦 ・ラングリッサーV〜ジ エンド オブ レジェンド〜 ・RAMPO ・リンクル・リバー・ストーリー
* ROOMMATE〜井上涼子〜 ・ROOMMATE〜涼子 in Summer Vacation〜 ・ルームメイト3〜涼子 風の輝く朝に〜
* ルナ2 エターナルブルー ・RONDE -輪舞曲-

■32X ・カオティクス
■MCD ・シャドウラン ・ダンジョンマスターII スカルキープ(プレイはしたが、背景が全く掴めなかったのでそのへんを重点的に)
* 夢見館の物語 ・らんま1/2〜白蘭愛歌〜 ・ルナ ザ・シルバースター

■MD ・エイリアンソルジャー ・機動警察パトレイバー98式起動せよ! ・ソニック・ザ・ヘッジホッグ3 ・ハイブリッド・フロント
* バトルマニア ・バトルマニア大吟醸 ・パルスマン ・時の継承者 ファンタシースターIII ・モンスターワールドIV
* ランドストーカー 皇帝の財宝 ・ワンダーボーイV モンスターワールドIII

■PC-FX ・こみっくろーど ・はたらく☆少女 てきぱきワーキンラブFX・チームイノセント
■3DO ・ドクターハウザー
■PCE SUPER CD-ROM2 ・GS美神 ・聖夜物語(出来れば4通りすべて) ・はたらく☆少女 てきぱきワーキンラブ
* ふしぎの海のナディア

■PCE CD-ROM2 ・天外魔境 ZIRIA ・らんま1/2 とらわれの花嫁
■X68000 ・38万キロの虚空
■WS&WSC ・仙界伝 弐 〜TVアニメーション仙界伝封神演義より〜 ・TERRORS ・TERRORS 2 ・ヴァイツブレイド ・ラストスタンド
■ネオジオ系 ・KOF R-1 ・わくわく7(既出キャラ以外)
10ゲーム好き名無しさん:2011/05/10(火) 14:35:52.56 ID:6uPrj9F30
■PCゲー ・アークトゥルス ・暁のアマネカと蒼い巨神 ・アルファ(スクウェア) ・Alone in the Dark 3
* アローン イン ザ ダーク〜新たなる悪夢〜 ・アローン・イン・ザ・ダーク(2008年版) ・アンタリア創世紀 ・ウィル(スクウェア)
* 英雄伝説V 海の檻歌(既出部分の続き) ・ANGEL WHISPER ・怨霊戦記(もしくはPCエンジンの真・怨霊戦記) ・ガラージュ
* 機動戦士ガンダム アドバンスドオペレーション(エンディングのみを) ・クライブ・バーカーズ アンダイイング ・CLANNAD
* コマンド&コンカー ・サイキックディテクティヴシリーズ(1、2、3、4、5、ファイナル) ・The Witcher ・ザ・スクリーマー
* ジェネシス(スクウェア) ・System Shock ・System Shock 2 ・Sherlock Holmes - The Awakened
* ストーカー 〜コール オブ プリピャチ〜 ・ストロングホールド ・セツの火
* そう、あたしたちはこんなにも理不尽な世界に生きているのだらよ ・空の浮動産 ・ダイナソア 〜リザレクション〜
* ツァイ‐メタ女‐ ・ディガンの魔石 ・テイルズ オブ エターニア オンライン(ロレッタとレニイの関わるストーリー核心部分だけでも)
* デザート・ドラグーン〜砂漠の竜騎兵〜 ・ドラゴンスレイヤー英雄伝説II ・どろろ―地獄絵巻の章― ・KNIGHT ONLINE Xross
* ナコルル 〜あのひとからのおくりもの〜 ・「ニード・フォー・スピード」シリーズ
* Heroine Anthem - The Elect of Wassernixe(聖女之歌) ・Heroine Anthem II - The Angel of Sarem(聖女之歌2)
* ファイナルファンタジーXIのウィンダス編
* ファイナルファンタジーXIの追加シナリオ「石の見る夢 ヴァナ・ディール最終頌 魂の返歌」
* ファイナルファンタジーXIの追加シナリオ「シャントット帝国の陰謀 ヴァナ・ディール史上最凶の作戦」
* ファイナルファンタジーXIV(できれば出身街ごとのストーリーそれぞれを) ・Fallout ・Fallout 2
* ふしぎの海のナディア(PC-98、X68000、FM TOWNS) ・BloodRayne 2 ・Prototype ・女神転生IMAGINE
* メタ女〜府立メタトポロジー大学付属女子高校SP〜 ・46億年物語THE進化論
* ラグナロクオンライン(特に期間限定で今は見られなくなったクエストの流れを) ・忘れえぬ炎
■アーケード ・カラス ・がんばれギンくん(詳しく、できれば全コース) ・ザ ハウス オブ ザ デッド4スペシャル
* サムライスピリッツ閃 ・ザ・ロストワールド(SEGA) ・ストリートファイターZEROシリーズ
* すっごい!アルカナハート2 〜転校生あかねとなずな〜(ストーリーモードの神衣の会話を) ・ドルアーガオンライン
* ドルフィンブルー ・幕末浪漫 月華の剣士 ・幕末浪漫第二幕 月華の剣士〜月に咲く華、散りゆく花〜
* beatmania IIDX 17 SIRIUS(PARTYモードのストーリーを)・ピンクスゥイーツ〜鋳薔薇それから〜 ・ロード オブ ヴァーミリオン

■携帯電話アプリ ・風ノ名前 ・かっこつけなきゃ勇者じゃないぜ! ・キングダム ハーツ コーデッド ・恋のいろは〜さくら咲く春〜
* 恋のいろは〜ひまわり輝く夏〜 ・恋のいろは〜もみじ色づく秋〜 ・恋のいろは〜さざんか散る冬〜 
* GOD EATER MOBILE・シルバー事件25区 ・人類は一本の塔に想いを込めた…。 ・Small.
 *テイルズオブコモンズ ・テイルズオブヴァールハイト ・テイルズオブブレイカー
* DIGITAL DEVIL SAGA アバタール・チューナー A’s TEST Server 完全版 ・デビルサマナー ソウルハッカーズ Intruder
* 24:ザ・モバイルゲーム ・ナノデビル ・ふしぎの海のナディア ・フライハイトクラウディア ・ペルソナ2 罪 ロストメモリーズ
* ぼくのすむまち ・メタルサーガモバイル ・MONOTONE(スクウェアエニックス)(それぞれの街のボスのエピソードと最終エピソードを)
* ルート16ターボ ・ロックマン エグゼ ファントム オブ ネットワーク ・ロックマンDASH 5つの島の大冒険!
* ゲンキモバイルのサイコミステリーシリーズ(「Cold Rain」「Bloody Tears」「横浜牧師館殺人事件」「イザナミの花婿」「CHAIN-白馬の騎士連鎖殺人事件-」)を詳しく
11ゲーム好き名無しさん:2011/05/10(火) 14:36:08.74 ID:6uPrj9F30
■同人ゲーム ・アールエス ・アカツキ電光戦記 ・Another Moon Whistle
* アパシー 学校であった怖い話〜Visual Novel Version〜 ・犬神 ・鬱夫の恋 ・Omegaの視界 ・かたわ少女(静音エンドを)
* Gu-L ・サイコ・プラトーン ・さくっとパンダ ・スグリ ・SACRED BLUE ・7th Memory ・Seraphic Blue(既出部分の続き)
* 送電塔のミメイ ・退魔心経 ・ダリヤ 〜 Lasciatemi morire 〜 ・DEMONOPHOBIA(詳しく) ・天使の微笑 ・東方靈異伝
* 東方封魔録 ・東方夢時空 ・東方幻想郷 ・東方花映塚 〜 Phantasmagoria of Flower View.
* 東方星蓮船 〜 Undefined Fantastic Object. ・TWilight INSanity ・分裂ガール ・Vacant Ark ・HellSinker.
* Persona - The Rapture ・Holy Knights〜忘れられた手紙〜 Director's Cut ・メイドさんを右に
* Rosenkreuzstilette(ローゼンクロイツ スティレッテ)
12ゲーム好き名無しさん:2011/05/10(火) 14:37:17.63 ID:6uPrj9F30
●途中
* 大神[5月]・ラストウィンドウ 真夜中の約束[4月]・死角探偵 空の世界〜Thousand Dreams〜[3月]
* コープスパーティー ブラッドカバー リピーティッドフィアー[3月]
* CardWirth(公式シナリオ「交易都市リューン」「ゴブリンの洞窟」「家宝の鎧」「奇塊」「鳥の歌が聞こえない」「墓守の苦悩」「機械仕掛けの番犬」「見えざる者の願い」「教会の妖姫」「賢者の選択」」「旧き沼の大蛇」「遺跡に咲く花」を)[3月]
* デビルメイクライ4[3月] ・Halo: Reach[2月]・ゼルダの伝説大地の汽笛[5月]四八(仮)[5月]

●執筆予告がある物
 * ゴースト トリック(既出部分の続き)[5月]Seventh Blood Vampire[5月]・3年B組金八先生 伝説の教壇に立て!(白石雪也、伊吹銀平のシナリオ)[5月]
* 自分狩り(あらすじはわかるので詳細を)[5月]・絶滅記念日2〜After the impact〜 [5月]
13ゲーム好き名無しさん:2011/05/10(火) 14:38:27.40 ID:6uPrj9F30
前スレの容量が一杯になって書き込めなくなるまでは、なるべく前スレを優先して使用してください。

前スレ
http://toki.2ch.net/test/read.cgi/gsaloon/1299906128/
14ゲーム好き名無しさん:2011/05/11(水) 20:34:23.65 ID:REm+ymCq0
スレ立て乙です。
ゴーストトリックできましたので投稿します。
1人称で書き辛かったので、最初から書かせて頂きました。
15ゴーストトリック:2011/05/11(水) 20:36:11.41 ID:REm+ymCq0
【PM7:02 ゴミ捨て場】
主人公が目を覚ますと、目の前に赤い髪の女が立っていた。
そして、黒服の男が彼女に銃をつきつけていた。
女性を見殺しにするのは主義に反する。しかし、助けられない事情があった。
主人公は、一足先に死んでいたのだ。

二人の中間地点に、尻を高く上げて無様にくずおれている、
真っ赤なスーツにサングラスのトンガリ金髪…これが自分だろう。
何しろ、この場―大きなゴミ捨て場―で死んでいるのはこの男だけだから。
黒服が引き金を引こうとしている。気の毒だが、どうしようもない。

「…のんびり死んでいる場合ではございません…
 あの方を救えるのは、アナタ様だけでございます。」
声が語りかけてくると同時に、世界が一変した。
時が止まり、黒い男と赤い女も静止した。
声曰く、これが死者の世界。流れる時から任意に外れることが出来る。
色調が暗く沈んだ世界に、鮮やかに燃えている青い炎が一つ。
倒れた主人公の体に宿っているそれは、死者の<タマシイ>。つまり今の主人公そのものだ。
そして、あちらこちらに灯る小さな光は、様々な物の<コア>だと声は説明する。
声によれば、死んでタマシイになった主人公は、物のコアに<トリツク>と、
それを<アヤツル>ことができるらしい。
それが死者の<チカラ>なのだという。

習うより慣れよということで、女を助けることにする。
時の流れに戻り、間髪いれず、すぐ傍の廃棄された遮断機に<トリツク>。
そして<アヤツル>と、遮断機はバーを跳ねあげ、黒服の銃を弾きとばした。
しかし、黒服は落ちてきた銃を受け止め、女の足元を撃った。
走りだしていた女は、少し離れた地点でまた両手を上げて立ち止まった。

依然ホールドアップはされているが、極めて地味に女の運命は変わった。
また時の流れから外れ、別の物にとりつくことにする。
遮断機のバー部分にとりついていた主人公は、バーが上がった事で随分高い位置にいた。
少し離れた所に巨大な鉄球が吊り下がっている。
あれにとりついて黒服の上に落っことしてやりたいのだが、
どうやら、タマシイは物を離れて自由に移動する事はできないようだ。
しかも、とりつけるのは現在地点から手を伸ばして届くほどの範囲にあるものだけらしい。
仕方ないので、近場のゴミ山の上にあったギターにとりつき、
弦を掻き鳴らすと、黒服は振り向きギターを撃ち落とした。
その隙に駆けだした女は、2mも行かずにまたホールドアップされた。
全く逃げ足の遅い女だ。

ギターが落とされ転がった事で、主人公は自分の死体の傍にいた。
ちょうどいいので自分にとりつき、あやつろうとしたが、動かない。
「残念でございますね。アナタ様があやつれるのは<物>だけ。
 ナキガラは、死んでいても<物>ではないのです。」
しかし、他にはとりつける位置にコアが無い。
万事休す。女は黒服に撃たれ、下の階に落ちて行った。
残念ながら、彼女を救うことはできなかったようだ。
16ゴーストトリック:2011/05/11(水) 20:37:33.25 ID:REm+ymCq0
地下階にある公衆電話が突然鳴り始めた。
ここは地上1Fで、手前側には床が無く、地下へ吹き抜けているようだ。
黒服は階段へ向かう途中、主人公の死体を下に蹴り落とした。
死体のあった場所には、バスケットが一つ置かれていた。
なるほど、バスケットの上に倒れていたから、あんな屈辱的な姿勢だった訳だ。

落された主人公の死体は、ちょうど粗大ゴミのソファに座った格好になっていた。
黒服は、鳴っている公衆電話に出て誰かと話し始めた。
「片付きました。すぐ戻ります。」
言葉通り黒服は去っていき、その場には死者だけが残された。
「残念でございましたね。」
すぐそばの電気スタンドが、キコキコと首を回して語りかけてきた。
どうやら、こいつが先程の声の主らしい。
彼曰く、正確には声ではなく、死者同士は意識が伝わるらしいが。

電気スタンドの向こうには、赤い髪の女が倒れている。
主人公の死体からは、何かオーラの様な物が漏れ出ているのに対し、
彼女の死体からは何も出ていない。
これは、死者のチカラを持つ者と持たない者の違いらしい。
誰もが死後に物をあやつれるわけではないのだ。
しかしその力が何になろう。結局彼女を救うことはできなかった。

「今のところは、でございます。」とスタンドは訂正する。
このチカラで、既に死んでいる彼女を助けることができると言うのだ。
主人公は電気スタンドの誘いに乗る事にした。
理由は二つ。女性をゴミの中に転がしておくのは主義に反するから。
そして、死んでしまった自分には失うものは何も無いからだ。

スタンドから教わった、もう一つの死者のチカラ、
それは他者の死体にトリツクことで、その死の4分前に戻れるというチカラ。
これで4分前に戻れば、何度でも彼女の運命をやり直すことができる。
彼女にとりつくと、彼女のタマシイ―青い炎を感じた。
主人公のように、死後しばらくはタマシイも意識を失なうそうだ。
眠っている間に、助けてやるとしよう。
17ゴーストトリック:2011/05/11(水) 20:38:53.16 ID:REm+ymCq0
【PM7:01 ゴミ捨て場】
彼女の死の4分前―主人公のタマシイが目覚めるより1分前。
彼女は、主人公の死体をゆさぶっていた。
「なんてことなの。もう死んでいる…」
その後ろから、あの黒服が彼女に銃をつきつけた。
「殺し屋って訳なの?でも、どうしてこんなことを?」
「この国に、<アシタール>の痕跡を残すわけにはいかないそうだ。」
「あしたーる…?」

残りの3分は以前と同じだ。遮断機が上がり、ギターが鳴り、彼女は死ぬ。
もう一度4分を巻き戻し、行動を開始する。
4分間のスタート地点は、元々死体があった場所だそうで、
今の主人公は二人からはるか離れた地下階のすみっこにいた。
タイヤを転がしたり扇風機を回したり、色々な工夫しながら移動していく。
なんとか彼女が撃たれる数秒前に地上に辿りつき、自転車のベルを鳴らした。
黒服の隙をついて彼女は走りだし、またホールドアップされる。
ほんの小さな変化だが、これで希望が生まれた。
こうやって、繰り返し繰り返し死を回避し、失敗すれば4分を巻き戻して、
彼女の運命を変えていく。

※現実世界では、ドットアニメーションでリアルタイムに4分間が進んでいきます。
 任意に時間を止められますが、物をあやつっている間は時がたちます。
 タイミングを見計らいながらトリツクとアヤツルを繰り返し、
 何度も4分を巻き戻しながら、試行錯誤して誰かの死を回避していくゲームです。

詳細は省くが、クレーンを操作して鉄球を黒服の上に落とし、
黒服はひしゃげて鉄球と共に地下に転がり落ちていった。
赤い髪の女はホっとしてへたりこむ。
主人公は今夜イノチを落とし、一つのイノチを救ったのだ。
「さようでございます。アナタ様はやってくださったのです!
 ワタクシの見込んだ通りに!」

命の終わりに私が助けた女。見知らぬ女。そこまで考えて、主人公は愕然とした。
この女を知らないが、他にも誰も思い出せない。
それどころか、自分が何者かさえ。
それより何より、自分は何故、殺されたのか?
「アナタ様の物語は、まだ終わってはいませんよ。」
キコキコとくねりながら、電気スタンドはのたまうのだった。
18ゴーストトリック:2011/05/11(水) 20:40:47.97 ID:REm+ymCq0
クネクネした電気スタンドは、「クネリ」と名乗った。
本名を明かす気はないようだ。
クネリ曰く、死者は死の衝撃で記憶を失うが、思い出すケースもあると言う。
彼は、自分の死の4分前に戻ろうとする主人公に、
「時間逆行は、自分のナキガラにだけは使うことが出来ないのでございます」と告げる。 
そしてタマシイは、一夜が明けた朝に消滅するのだと…。
それなら、せめて主人公は知りたかった。
自分が何者なのか、何故ここで死んだのかを。
クネリは、赤い髪の女を示した。
確かに、彼女は主人公の死を目撃していたと思われる。とっかかりには最適だ。
それどころか彼本人を知っているかもしれない。
「そう、彼女は今夜の<全て>のカギを握っているのでございます。」

降り出した雨に打たれて、彼女はくしゃみをしている。
女性が雨に打たれているのを放っておくのは、主義に反する。
カサにとりついて開き、彼女の元へフワリと降下した。
思惑通り彼女は、とりついた主人公ごとカサを手に取り歩き始めた。

彼女は階段を降りて、主人公の死体を調べ始める。
どこから現れたのか、主人公の死体の傍らに、黒ネコが座っていた。
真っ赤なスカーフを巻いた美しい黒ネコは、一鳴きして雨の中を去って行った。
彼女は主人公の死体から一枚のメモを抜き取った。
主人公もメモにとりついて読んでみようとしたが、
それより早く、公衆電話が鳴りだして、彼女はメモを畳んでしまった。
この電話は、彼女の運命が変わる前に、黒服が出ていた電話だ。
この向こうに、主人公の殺害を命じた犯人がいる。

クネリが、最後にもう一つ死者のチカラを伝授してくれた。
死者は、電話を通じて今つながっている電話の向こうや、
知っている電話番号の向こうへ飛ぶことができるらしい。
クネリは、一緒に来ないと言う。
「ワタクシのチカラはもう消えかかっているのです。
 アナタ様に一つのお願いをする為に、最後の力をふりしぼってここまで来ました。
 この街では今夜、ある出来事が起こっている。
 その真の姿を、アナタ様につきとめていただきたいのです。」
主人公は、約束はできないと言った。
朝までしか時間がない。自分の物語を優先して追っていきたいのだ。
「それで十分でございます。それはいずれにしろ、”同じコト”なのでございますから。」
こうして、自分の物語を知るための一夜の追跡劇が始まった。
19ゴーストトリック:2011/05/11(水) 20:45:36.03 ID:REm+ymCq0
第2章『PM7:31』

電話の主は、軍服を着た外国人の老人だった。
奇妙に豪華な小部屋で、大きなファイルを手にしている。
それは、あの赤い髪の女のデータファイルだった。
どうやら、彼女も彼らのターゲットの一人のようだ。
ファイルにとりついて読んでみようとしたが、外国語らしく全く読めない。
ただ、老人と部下らしき巨漢の会話から、
彼女の名前が<リンネ>だということは分かった。
そして、彼らは主人公の姿もスクリーンに映し話し始めた。
「<シセル>か…。あやつが信用できるか極めてあやしいからの。
 あやつとのトリヒキが成功すれば、ワレワレは世界を変えるだろう。」

<シセル>。それが自分の名前らしい。確かに心の奥にひっかかる名前だ。
それにしても私め、一体何を企んでいたのか?
この小部屋はやたらに機械仕掛けで、随分テクノロジーが進んでいる。
どうも、こいつらは全く知らない国の者達の様だ。
あちこちいじり回しているうちに、老人に電話がかかってきた。
「どうやら片付いたようですね。ミス・リンネが。」
巨漢の言葉にギョッとする。またリンネは死んでしまったのか。
電話にとりついて、会話を聞いてみる。
命令を受けた殺し屋が、リンネの自宅からかけてきたようだ。
リンネはまだ帰っていないので、待ち伏せするらしい。
それを阻止する為、電話線の向こうへ飛ぶ。


電話線の向こうは、中々綺麗に片付いたマンションの一室だった。
さっきと別の黒服が、銃を持ってソファに座っていた。
そこには、アンラッキーなレディがまた一人。
小さな女の子が、クリスマスツリーの電飾で縛られていた。
レディを守り切れなかった小さなサムライといったところか、
玄関でポメラニアンが一頭死んでいた。

とりあえずそのポメラニアン君に話しかけてみる。
青い炎がポメラニアンにも宿っていた。
「ココは一体ッ!?そしてボクは誰なのでしょうかッ!」
死者は記憶を失い、自分の形が思い出せない内は炎の形を取るようだ。
主人公も、自分の死体を確認してから、誰かと会話する時は人の形を取れるようになった。
「あっカノン様!ボクの大切なカノン様がッ!!
 一生をかけてお守りしようと誓った、大好きなカノン様がッ!
 お守りする前に、ボクの一生がッ!いつの間にか終わっているなんてッ!」

「あっはじめまして!ボク、ミサイルっていいますッ!
 ポメラニアン、2歳、やってましたッ!」
彼のタマシイは、愛らしいポメラニアンの形を取った。
やはり、個人差はあれ死者は記憶を取り戻せるのだ。
それにしても、自分の死より主人のピンチを気にかけるその心意気、嫌いではない。
この小さなイノチを助けるため、死の4分前に戻るとしよう
20ゴーストトリック:2011/05/11(水) 20:49:33.03 ID:REm+ymCq0
【PM7:20 メゾン・ド・ナムアミ 701号室】
4分前に遡ると、ミサイルのタマシイが一緒についてきていた。
時間逆行には、他のタマシイも一緒に連れていけるようだ。
では、一緒に彼の最後の4分間を鑑賞する事にする。

彼のご主人、カノン嬢がテレビをつけると、ミサイルが興奮して吠えはじめた。
すると、隣室のゴージャスなマダムが、怒って壁を叩き始めた。
こちらの家具が揺れるほど強く壁を殴りつけ、
「今度吠えたら、壁ごとふみつぶす!」と怒鳴るマダム。
カノンはテレビを消し、ミサイルをなだめる。
「吠えちゃダメでしょ、ミサイル。
 テレビが見れないとちょっとさみしいな…。そうだ、音楽でも聞こうかな。」
カノンは背伸びしてヘッドホンを壁かけから取り、大音量で音楽を聞き始めた。
そして、ドーナッツを食べながら本を読み始めた。
ドーナッツが床に落ち、ネズミが現れてそれを食べ始め、
ミサイルがそれに興奮して吠えかかる。マダムが怒って壁を叩く。
そして黒服の男が玄関のドアを蹴破った。その全てに、ヘッドホンをしているカノンは気付かない。
黒服に駆け寄ったミサイルは、あえなく撃ち殺されてしまった。


「アンタがあの男の足を噛みちぎるのが手っ取り早いと思うが?」
「あっ多分それ、無理です!ボク、お客さんが来ると、
 ようこそッッッッ!!!!みたいな気持ちになっちゃうものですからッ!」
では、レディにご助力を賜ろう。その為に邪魔な物は…。
カノンが背伸びしてヘッドホンを取る瞬間、
真上にかかっていた折り畳み傘にとりついて取っ手を伸ばし、
ヘッドホンを水槽の中に弾き落した。
「うう、まいったなぁ、おねえちゃんこのヘッドホン買ったばっかりなのに…
 ミサイル、あんたが壊したことにしておこうね。」
これで、運命が少し変わった。

それにしても、キャンキャンとよく吠える犬だ。
そしてミサイルが吠える度に、カノンはミサイルに寄り添って優しくなだめてやる…ということは。
皿を揺らしてドーナツを一つ床に転がし、テレビ台の扉を勢いよく開けて、
寄って来たネズミごとドーナツを、ソファの下にはたき込んだ。
それを追ってソファの下でミサイルが吠えはじめ、なだめる為にカノンもソファの下に潜り込んだ。
「もう、ダメでしょミサイル。こんな所まで入り込んで…」
その瞬間、黒服が扉を蹴破って踏み込んできた。
カノンは驚き、ミサイルを抱き寄せてソファの下で息を殺した。
黒服はソファに腰掛け、「エモノは必ず戻って来る…」と呟いた。
これで新しい現在が生まれた。カノンもミサイルもまぁまぁ無事だ。
ミサイルのタマシイは、感激して礼を言いながら、現在へ帰っていった。
21ゴーストトリック:2011/05/11(水) 20:54:20.96 ID:REm+ymCq0
電話が鳴り、それを取った黒服は、
リンネがまだゴミ捨て場から帰りそうにないという報告を聞いて、出て行った。
カノンが怖々ソファの下から這い出すと、また電話が鳴った。
「出ない方がいいのかなぁ…?」
迷った末取ると、それはリンネからの電話だった。
「カノン、そこにいるとアナタもあぶないかもしれないの!
 オナクナリ通りのレストラン<キッチンチキン>まで来て!
 それとね、オルゴールを持ってきて欲しいの!その部屋に隠してあるんだけど、」
隠し場所を言う前に、ハトを頭に乗せたおじいさんが、リンネの肩をたたいた。
リンネの悲鳴に驚いたカノンが受話器を放り出し、水槽に落としてしまった。

カノンがオルゴールを探すのを、陰ながら手伝うことにする。
ただ、記憶を失っているので、オルゴールという物がどんな物なのか分からない。
探している途中、ミサイルにコアがあることに気付いた。
今まで、生きている者にコアは見えなかったのだが…。とりついてみると、
「あッ!!アナタはッッ!!またお会いできましたねッ!」
ミサイルは死の記憶を持っており、主人公の事も覚えていた。
一度助けた元死者にはコアが生まれ、意識を介して会話ができるようだ。
オルゴールとは、天井裏にある木箱のことらしかった。ハッチを開けてツリーの上に落としてやる。
カノンはオルゴールを抱え、ミサイルを置いて出かけて行った。

ここで問題が一つ。おてんばなレディが電話を壊してしまったので、
主人公もリンネの元へ移動できなくなってしまった。
主人公は、壁ごしに物にとりつき、隣室へお邪魔する事にした。
22ゲーム好き名無しさん:2011/05/11(水) 20:55:07.28 ID:REm+ymCq0
とりあえずここまでです。また後で来ます。
23ゴーストトリック:2011/05/11(水) 22:23:30.25 ID:REm+ymCq0
第三章『PM8:02』

壁際に物が無いので、ちょいとミサイルに吠えてもらい、
マダムの壁叩きで家具を倒して、とりついて移動できる物の道を作った。
カノン嬢を助けに行きたいと言うミサイルに、「道は作るものだ。そうだろ?」と返す。
玄関のドアに猛然と体当たりを始めたミサイルに別れを告げ、隣室に移動した。

そこは、変にゴージャスなお部屋だった。
大邸宅の一室を、無理やりこの小さなマンションへ詰め込んだかのようだ。
先程の精力的なマダムが、ワイングラス片手にタイプライターを叩いている。
「今宵こそは神聖なるシメキリの夜。
 ワタクシの天使ちゃん、ちゃんとおクスリを飲んで寝ていなさいね。」
見れば、ベッドでは麗しき小さなレディが一人、鼻を垂らしていた。
そして、その横の吊り棚には電話が。
かなり遠いが、試行錯誤して電話の元へ向かう。

母娘の会話を聞いていると、小説を書くことを反対されたマダムが、
旦那さんを置いてこのマンションに家出しているようだ。
そして、今日は旦那さんの誕生日で、小さなレディ<エイミン>はパパに電話をかけたがっている。
一度、旦那さんから電話がかかってきたが、マダムが叩き切ってしまった。
旦那さんの所へ飛んでみると、軍服を着た中年男性が、立派な執務室でしょぼくれていた。
中々興味深い人間模様だが、今はリンネを見失わない事が肝要だ。
電話から急いでゴミ捨て場に飛んだ。


ゴミ捨て場の公衆電話についてみると、警察が主人公の死体を調べていた。
クネリにリンネの無事を確かめると、
「あの方なら無事でございます。何しろ、先程タイホされましたので。」
全くトラブルの多い女だ。刑事達の会話を聞いて情報を集める。

監察医によれば、主人公の死因は胸に受けた一発の銃弾。
その容疑をかけられているリンネは、新米刑事らしい。
それで今から、リンネを可愛がっているお偉い捜査官が現場に来るとか。
話していると、その捜査官が颯爽と自転車をこいで現れた。

白いロングコートに赤いマフラーをなびかせた、キザなダンディだ。
踊るようにステップを踏みながら登場した彼は、<カバネラ>警部。
捜査に入る前に、カバネラは公衆電話から一本電話をかけた。
その先は公園の公衆電話で、カバネラの部下が張り込んでいるようだ。
カバネラは電話を切ると、リンネが保護されている管理人室へ踊り去った。
24ゴーストトリック:2011/05/11(水) 22:24:30.25 ID:REm+ymCq0
一応公園に飛んで様子を見てみると、機材を積んだワゴン車を停めて、刑事が一人待機していた。
目をキラキラさせた変な男に、
「コウエンの宅地化反対!神のイシを守れ!!ワレの話をお聞きください!!」
とビラを押し付けられ、大変難儀しているようだった。
少し見物してから、すぐにゴミ捨て場に戻る。

監察医が、凶器のピストルを見つけてトレイに置いていた。
これは刑事が持つ型のピストルらしい。リンネの嫌疑が濃くなるだろう。
その時、どこかから銃声が聞こえた。同時に公衆電話が鳴りだした。
電話の主はカバネラ警部。場所は管理人室。
新たな死が電話の向こうに横たわっているのだろう。管理人室へ飛ぶ。


第四章『PM8:32』

予想通り、リンネは死んでいた。
カバネラの目の前で、窓の外のゴミ山から狙撃されたらしい。
リンネにとりついてみると、彼女のタマシイは目を覚ましていた。
君はあの刑事だ、と教えてやると、リンネは自分の姿を取れるようになった。

リンネは、熱血で突っ走るタイプの新米刑事だった。
主人公<シセル>のことは、知らないと言う。「こっちが教えてもらいたいくらいよ!」
見ず知らずの主人公が、今夜リンネをこのゴミ捨て場に呼び出したらしい。
主人公が撃たれた時も居合わせたらしいが、よく思い出せないと言う。
何が何やら全くわからない。
とりあえず、今までの全ての事をリンネに話した。
「君を今からまたヨミガエらせるから、私が誰なのか朝までに調べてくれないか」と依頼するが、
「ゴメンナサイ。私、私にとってダイジな事件を追ってるの。
 だから、朝までに他のことをする時間はないと思う。本当にゴメンナサイ。」と断られた。
まっすぐなお嬢さんだ。
彼女を救うため、二人で4分前へ戻る。

【PM8:28 ゴミ捨て場管理人室】
その死の4分前。
リンネは管理人室で一人、手帳を見ながら電話をかけようとしていた。
そこに制服警官が入ってきて、リンネは慌てて手帳を本棚の裏に隠す。
「お腹空いて、出前を頼もうかなーなんて…」と誤魔化すリンネに、
制服警官が「チキンステーキ」を電話で頼んでくれた。でも取り消してもらう。
そこに踊るように飛び込んできたカバネラ警部。
警官を外に出し、リンネと二人で意味深な会話を始めた。
カバネラ率いる特別捜査班は、今夜重大な任務についている。
一方、リンネはシセルに「今追っている事件の手がかりを教えるといって呼び出された」と主張するが、
カバネラによると、リンネは今これといった捜査には関わっていない。
「ベイビイを疑ってる訳じゃないよ。
 ただキミに万一の事があったら、<アイツ>に申し訳がたたないじゃないか?」
「教えてください、カバネラ警部。<今夜>なんじゃないですか…?」
その時、カバネラが窓の外の何かに気づき、
「ふせるんだ!」とリンネに飛びかかろうとした。だが一瞬遅く、リンネは撃ち殺された。
25ゴーストトリック:2011/05/11(水) 22:25:07.58 ID:REm+ymCq0
とりあえず、警官が出前を頼む通話を覗いてみると、
そこがかのレストラン「キッチンチキン」だった。カノン嬢は無事だろうか。
今は、狙撃者のいるゴミ捨て場の電話に移動したい。
だが、どうやら巻き戻しの4分間は、通話状態の電話先にしか飛べないらしい。
スタンドライトにとりついてくるりと回し、
警官が本棚の横に来た時に、リンネが隠した手帳を照らした。
警官は、リンネが手帳を隠したことに気づき、ゴミ捨て場の刑事に電話で報告した。
その電話線を通じて、首尾よくゴミ捨て場に飛ぶことが出来た。

ゴミ捨て場で、リンネのタマシイにクネリを紹介する。
リンネにもクネリは電気スタンドに見えるようだ。あくまで正体を明かす気は無いらしい。
地上まで物伝いに移動し、リンネを狙う黒服を探照ライトで移動させて、
クレーンの真下へ誘導し、コンテナを落してやった。
これで、二人目の黒服を片付けることが出来た。
リンネの死は回避され、彼女のタマシイは新しい現在に戻っていく。

リンネにもミサイルにも、この死者のチカラはなかった。
二人はうらやましがったが、主人公には二人の方がうらやましい。
彼らの死は、何度でも主人公が助けてやれるが、主人公を助けてくれる死者はいないのだ。
このチカラの理由も、今晩分かるのだろうか。

とにかく、リンネを見失うのはまずい。公衆電話から管理人室へ飛ぶことにする。
26ゴーストトリック:2011/05/11(水) 22:32:51.32 ID:REm+ymCq0
第五章『PM8:34』

リンネは全く行動的な女だった。
イノチを取り戻してわずか数分の間に、刑事達の手から逃げてしまったのだ。
刑事は、リンネの手帳に書いてあった電話番号にかけてみる。
リンネを見失った主人公は、とりあえずその向こうに移動した。

そこは、警備員のような男が二人いる事務所のような場所だった。
記憶を失った主人公にはよく分からないが、
モニターで「涼しげだがプライバシーは全くない狭い小部屋が沢山並んでいる」所の住人達を監視しているようだ。
刑事には、警備員の様な二人は係官と呼ばれている。
生真面目で抜けている中年のセンパイと、
それををダルそうにおちょくる若造のコウハイという二人組だ。

二人の会話を聞くに、リンネは毎日ここへ電話をかけてくるらしい。
噂をすると、またリンネから電話がかかって来た。
「お願い、あのヒトと話をさせて!」
「今晩は無理なのですよ、9時から電話室に予約が入ってるんでありまして…」
リンネはがっかりしながら、この電話を秘密にしてくれといって切る。
係官二人が、リンネの電話を通報しない事を確認してから、
主人公は、今入手した電話番号へ飛んだ。

なんとまぁ、この数分でリンネは死んでいた。
ここは、さっきのゴミ捨て場管理人室の地下、ハトを頭に乗せた管理人さんの私室の一部のようだ。
早速リンネのタマシイと合流し、4分前に戻る。

【PM8:30 管理棟地下室】
新たな現在に帰ったリンネは、警官とカバネラが来る前に、
管理人室の片隅にあった小さな荷物用エレベータに器用に潜り込み、地下階へ逃げた。
エレベータ横の地下室の中では、暗闇の中管理人さんがランタンで辺りを照らしていた。
「この部屋を闇で閉ざしてから何年たつかな…。
 闇の中でこそ、解ける謎もあると思ったが…。」
出てくる管理人さんを、エレベータに入ってやりすごす。
リンネが地下室に入って電気をつけると、そこはパーティーの飾りつけをした一室だった。
電気のスイッチを入れたことで、ピタゴラスイッチのような物が始まった。
天井のファンが回り、巻き取られた紐が何やかやして、
最終的に天使のオブジェが持っている矢に火が付き、天使がくるりとこっちを向いて、
壁に飾ってある拳銃に火矢を放った。中の弾が暴発し、リンネを直撃した。
27ゴーストトリック:2011/05/11(水) 22:33:18.59 ID:REm+ymCq0
黒いピタゴラスイッチとでもいおうか…。
だが、物がリンネを殺したのなら、こちらもやりやすい。
天使の火矢が別の方向に飛んでくれれば済む話なので、
仕掛けをいじりながら天使の方向を変えようと試みる。
結局、床のハッチを開けて坂道を作り、仕掛けの役目を終え床に転がったボールを、
壁にかかったショベルを回転させて打ち出し、天使に当てて向きを変えた。
逆を向いた天使がテーブル上に火矢を打ち込むと、
導火線に火が回り、ケーキのろうそくに火が灯ってクラッカーが鳴った。
無人の部屋の突然の歓待に、リンネが目をパチクリさせている。
リンネのタマシイは、新しい現在に戻っていった。

生き返ったリンネは、空中に視線を彷徨わせ、主人公を呼んだ。
リンネにもやはり最初は無かったコアがあり、意識を通じて話すことができた。
リンネは、もう解決していて犯人も捕まっている過去の事件を追っているらしい。
何故なら、結末にどうしても納得がいかないから。
そして、その事件は明日までに解決しなければならないらしい。
詳しくは教えてくれない。主人公を信用しきれないそうだ。
無理も無い。生前の自分は、随分うさんくさい男だったようだ。

主人公は、リンネに<利用し合う協力関係>を申し出る。
ギブアンドテイクで情報提供し合おうという申し出だ。
リンネは、刑務所―さっき係官が二人いた所に潜入して、
<D99>という番号の囚人の、<明日の予定>を見てきてほしいと頼む。
独房の隅の小さな黒板に、その囚人が明日やらされる作業の予定が書いてあるそうだ。
主人公は了承し、二人は別れる。
待ち合わせ場所は<キッチンチキン>。カノン嬢が心配だ。
リンネはハッチから地下道へ抜けて去って行った。
ゴミ捨て場地下に這い出て走っていくリンネを、クネリがキコキコと見送っていた。
28ゴーストトリック:2011/05/11(水) 22:35:08.27 ID:REm+ymCq0
第6章『PM9:03』

また愉快なコンビが詰めている部屋に戻って来た。
独房とやらがどこにあるか分からないので、色々情報収集をする。

センパイのメモによると、<C79の定期検査>の予定があるようだ。
コウハイに聞かれ、センパイが語って聞かせる所によれば、
”C79という巨漢の囚人は、警視総監室に忽然と現れ、総監を人質に立てこもった。
 火炎放射器をつきつけて、要求はなんと「カレーを5杯」。
 頭のニブイ大男が、どうやって総監室に侵入しおおせたのか、完全非公開の<機密>扱い”らしい。
もう一つのメモは、<C38を電話室へ>。これが電話室の先約か。
センパイがコウハイに聞かせる所によれば、
”C38こと若造の囚人は、ロックンローラーなのだが、
 あるライブで、この国の暗部―国家予算の不正流用や他国との取引等を観客の前で歌い上げた。
 一介のロッカーが、何故国家機密を知る事ができたのか。完全非公開の<機密>扱い”らしい。

中々個性的な囚人たちだ。
目指す<D99>についてのメモも貼ってある。<D99にディナー>。
D99の事件は、コウハイ君も知っているらしい。
「奥さんを…撃ち殺したんすよね。家族の前で…。
 ありえないっすよ!なんで、あの人が…!」
珍しく、感情を露わにするコウハイ。しかしD99の事件も<機密>らしい。
センパイ曰く、ここは<そういう>刑務所なのだそうだ。

二人の会話から、D99にはヒゲが生えている事が分かった。
これでそいつを探しやすいだろう。
隣の電話室に、<C38>が来たので、物伝いに近づく。
C38ことロッカー少年は、エレキギターを掻き鳴らしながらやって来た。
ちょうどいいので、ギターにとりつく。
思惑通り、電話を終えた少年は、ギターごと独房へ運んでくれた。

ザ・牢屋。といった鉄格子の独房だが、家具の持ち込みはかなり自由なようだ。
ロッカー少年の独房は、ドラムセットやらバスケットゴールやらでごちゃごちゃしている。
隅の壁に、リンネの話通り小さな黒板がある。
試しにロッカー少年の予定を読もうとしてみたのだが…。
今宵主人公は記憶を失くしたが、それは今まで学習した知識にまで及ぶようだ。
文字が、全く読めない。何て書いてあるのか、まるで分からないのだ。
これでは、D99の予定をリンネに伝えられないが…行くだけ行ってみよう。
29ゴーストトリック:2011/05/11(水) 22:36:16.56 ID:REm+ymCq0
ロッカー少年の独房の壁には、○と×が書かれた2種類の大福帳がかけられていた。
看守が去ったのを確認して、少年は○の紙を1枚破り、トイレに流した。
試しに、非常ベルを鳴らして看守を誘き寄せると、少年は×の紙を流した。
紙の行方を見てみると、階下の独房の床下へ下水パイプを流れ、
その独房の便器から垂れている釣り針に引っ掛かった。
脱獄用の穴をほっていた大男が、糸の吊ってあるベルの音に気づいて独房に戻り、
糸を上げて×を確認すると、シャベル代りのスプーンを放り投げてベッドに横になった。
面白いアイディアだ。少年に紙を流させ、その紙にとりついて下水を流れ、
男の投げるスプーンに乗って部屋の隅へ。
壁越しに移動した横の部屋には、立派なひげの男。
これが、<D99>か。

ピンクのスモックを着た、体格のいいヒゲ男が、
大きなキャンバスに油絵を描いていた。こちらからは絵の内容は見えない。
黒板を見てみると、そこには何も書かれていなかった。
文字が読めないが、任務は果たせた。彼の予定は未定だ。
それにしてもこの男が、家族の前で妻を撃った男…。
しかしありがたいことに、この男もリンネとの因縁も、自分には関係ない。
さっさと電話からキッチンチキンへ行こう。
そう思った時だった。件の”ディナー”がD99に運ばれてきた。
ディナーであるチキンの丸焼きを運んできた係官も、D99を知っているようだ。
「ジョード刑事…お聞きしておきたかったのですが、その絵は、一体誰なのでありますか?」
「忘れたくない奴の顔を描いておくことにしてるんだ。コイツはその最後の一人さ。」
食事を取る為に、<D99>ことジョードがキャンバスをこちら向きにたてかけた。
そこに描かれていたのは、真っ赤なスーツにサングラスのとんがり金髪…。
主人公その人だった。

何もかもわからない。
分からないが、リンネの追うものと主人公の追うものは確かに交わっている。
内線から看守室に戻り、キッチンチキンに移動しようとした時、
警察本部から電話がかかってきた。カバネラ警部だ。
カバネラは、リンネを<逃亡犯>として探しているらしい。
「例の件はとどこおりなく進んでいます。1時間後…です。」
センパイがそう報告して電話を切り、コウハイが毒づく。
「カバネラ警部、ジョード刑事の親友だったんでしょ?一度くらい面会に来たっていいっしょ!」
「お忙しいんですよ、特別捜査班長さんは…」
よりによって、今夜に…と二人はぼやく。今夜1時間後に何かが起こるようだ。
30ゴーストトリック:2011/05/11(水) 22:37:39.67 ID:REm+ymCq0
一応警察本部に飛んでみると、本部長とカバネラが話し合っていた。
「刑務所の準備は順調のようだな?」
「まぁね。ポイントXはとーーっくに監視させてあるし、
 奴が現れて捕まえられたら、まだ間に合うさ。」
「こんな大事な夜に、何故事件が重なるのだ!
 …そういえば、ゴミ捨て場の件は、本当に彼女がやったのかね?」
「こんなものを見ちゃうと、ね。」
カバネラが放り出したリモコンにとりつき、再生してみる。
それは、あのゴミ捨て場を映した監視カメラの映像だった。

手にバスケットを提げた主人公が、リンネと向き合っている。
主人公はフェンスにもたれかかり、何かをリンネに言ったようだ。
リンネはひどく驚き、懐から銃を取り出して構えた。
人に銃を向けたことなどないのだろう。手をガクガク震わせながら、一発足元に威嚇射撃した。
主人公は全く動じない。
リンネは構え直してもう一発撃ち、主人公は地面に倒れ伏した。
もう一度死んだような気分だった。
自分を殺したのは、リンネだったのだ。

本部長は、映像を見直して疑問を呈する。
「撃たれた場所と、死体発見場所が違うようだが?」
主人公の死体を蹴り落とした黒服は、運命の変更で途中退場した。
しかしまた、主人公の死体は落とされてソファに座っている。
カバネラが心得顔で映像を早送りした。
主人公の死体が何かに押されて、手前側に転がり落ちていった。
正体は、バスケットのフタ。中から何かが主人公を押しのけてフタを開けたのだ。
出てきたのは、真っ赤なマフラーを巻いた黒ネコだった。
黒ネコは、夜の街へ走り去ったという。

突然、警報が鳴り始めた。スピーカーから捜査員の声が響く。
「カバネラ警部!大変です!
 ポイントXに、リンネ刑事が現れました!!」
「バカな!!我々が長年かけて割り出した場所だぞ!?
 とにかく、ベイビイを早くポイントXから連れ出してくれ!!!」
また突然、スピーカーから耳をつんざくような破壊音が聞こえ、それきり応答が無くなった。
リンネは、キッチンチキンに向かった筈なのだが…
カバネラ警部がポイントXにかけた電話にとりつくと、出たのはシェフだった。
ポイントXは、キッチンチキンだったのだ。
大慌てで警察の救援を要請するシェフの元へ、電話線を飛ぶ。
31ゴーストトリック:2011/05/11(水) 22:39:51.51 ID:REm+ymCq0
第7章『PM10:05』

いやはや全く、ココで何が起こったのか…
レストラン<キッチンチキン>は壊滅的に崩壊していた。
パっと見、リンネの姿は見当たらないが、彼女の事だ。
何か想像を絶する形で巻き込まれ、このどこかで死んでるだろう。

すぐ目に付いたのは、ガラスを突き破って店内に突っ込んでいるワゴン車と、
フロントガラスを突き破って死んでいる運転手さんだ。
これは、あの公園で待機していたワゴン車と刑事さんではないか?
よく探すと、リンネは超巨大チキン型オブジェの下敷きになって死んでいた。
話しかけると、タマシイは元気に返事をした。

情報交換と言うことで、リンネに主人公殺害の事を問い質す。
リンネは、主人公が死ぬ瞬間の記憶が無いと言う。
主人公に何を聞いたのかも、自分が主人公を撃ったのかすら思い出せないと言う。
D99ことジョードの予定が未定だったことを話すと、
リンネは予想外に強いショックを受けた。
「刑務所で、明日の作業予定が未定ってどういうことか分かる?
 …明日は来ないからよ。今晩、処刑されるということなの。」
ジョードは妻を撃ち殺し、自ら死刑を望んだ。
でも、この国では何年も死刑は行われていないのだ。こんなことは間違っている。
そもそも、ジョード刑事が妻を殺したことすら、リンネは信じていないらしい。
リンネは、ジョードを助けて話を聞く為に動いていたのだ。

ここがポイントXだったことは、リンネは知らなかったらしい。
主人公の死体を調べた時、見つけたメモに、
「今夜10時、キッチンチキン」と書かれていたから来たそうだ。
では、警察が張っていたのは、主人公だったのだろうか。

「これからどうするの?アナタの目的は果たされたわけでしょ。
 犯人に復讐する?簡単だよね。このまま、私を助けなきゃいいんだもの…。」
だが、主人公はリンネを助けることにした。
まだ、自分を取り巻くナゾは解明されていない。
それを解くには、リンネの協力が必要なのだ。
「わかった。”ありがとう”はまだ言わない。”ごめんなさい”も。
 私も、あなたの<コタエ>を見届ける!」
リンネと共に、彼女の死の4分前へ戻る。
32ゴーストトリック:2011/05/11(水) 22:42:20.60 ID:REm+ymCq0
【PM10:00 キッチンチキン】
リンネは、レストラン<キッチンチキン>の隅のテーブルにいた。
「あのトンガリさん、こんなとこで誰と会うつもりだったんだろ?
 …まだかなぁ、私の肉。」
お腹が空いているらしく、恨めしげに天井のチキン型オブジェを見る。
割と広い店で、時間が遅いせいか1Fにはリンネしか客がいなかった。
ローラースケートをはいたウェイトレスが、
ワゴンを押してエレベーターに乗り、2Fバーカウンタにチキンの丸焼きを届けた。
もう一度降りてきて、奥に引っ込み、リンネの所へ来ようとした時。
リンネは窓の外の異変に気付き、ウェイトレスに駆け寄って突き飛ばすと、
自分も幾度かバック転で転がり後ろへ下がった。
間髪いれず、ガラスを突き破って、ワゴン車が突っ込んできた。
一息ついたリンネの上に、支えていたチェーンが切れた巨大チキンが降って来た。


圧倒的迫力な死に方だ。
ウェイトレスを助けなければ、リンネは死なずにすむのだが…。
「ムリだよ、だってあたし刑事だもん。」
では、とりあえず色々調べてみよう。

リンネのテーブルのベルを鳴らしてウェイトレスを呼び、
ウェイトレスのワゴンにとりついて、2Fに運んでもらう。
チキンが運ばれたバーカウンタには、あからさまに怪しい二人組が居た。
妖艶な美女と、軽薄な小男。
「信用できるのかい、この取引は。」
「この国で、彼の予言通りの事件が起きたのは確かよ。
 国家機密を歌い上げる男、警察のトップを人質に立てこもった男…。」
彼らこそ、主人公シセルが待ち合わせた奴らでは?
とりあえず、彼らのでっかいトランクケースにとりついておく。
「どうしてアイツら、特殊刑務所の事知ってるの?
 どっちの事件も、機密事項として扱われてるのに…。」
主人公とリンネが話し合っていると、不意に美女が辺りを見渡した。
「場所を変えないこと?なんだか立ち聞きされてる気がして。
 アタクシ、そういうの強いの。<霊感>っていうの?」
二人は、座席下にトランクを忘れたまま、奥の席へ移動してしまった。
霊感持ちとは、手強い相手だ。

カウンタのベルを鳴らしてウェイトレスを呼び、
グラスを落してトランクに気づかせ、彼らに忘れ物を知らせてもらう。
このトランクはよっぽど重いらしく、小男は全身の体重を使って引き摺って行った。
これで、また二人の話を盗み聞ける。
33ゲーム好き名無しさん:2011/05/11(水) 22:43:52.92 ID:4mYT1kSn0
支援
34ゴーストトリック:2011/05/11(水) 23:06:26.40 ID:REm+ymCq0
しかし、美女はまた話を止めてしまう。
「話は二人きりの時しましょう。ここ、テントウムシがいるみたい。
 アタクシ嫌いなの。小さな虫は、ね。」
美女はライターで、チキンの丸焼きの一部を炙った。
その時、1Fにワゴンが突っ込んできた。
「ど、どうするの?もう私死んじゃうよ?」
最後の3秒。トランクから吹き抜け部分のチキンのオブジェにとりつく。
鎖が一本一本切れて降下していくチキン。
最後の一本が切れる一瞬前、高度が下がったチキンの目の前には、事切れた運転手が。
主人公は彼にとりつき、その死の4分前に飛んだ。


【PM10:00 公園】
運転手は、やはり公園の刑事だった。
公園から双眼鏡でキッチンチキンを見張っているうちにリンネが来店し、
ワゴン車の無線でカバネラに報告した。
そして、鳴りだした公園の電話に出て少し話すと、
ワゴン車に乗ってヘッドホンをつけ、キッチンチキンへ走り出した。
ヘッドホンからは、聞き覚えのある会話。
「アタクシ嫌いなの。小さな虫は、ね。」
次の瞬間、凄まじいノイズが耳をつんざき、彼は気絶した。
アクセルが踏まれたまま制御を失ったワゴンは、キッチンチキンに突っ込んだ。

あの美女が、チキンに仕込まれた盗聴器を炙って壊したのだ。
精密機械を破壊すると、大音量のノイズが発生する事があるらしい。
それを阻止して、刑事の失神を防ぎたい。

ここは、リンネが小さいころからある公園なのだそうだ。
「なつかしいな…。子供のころは、よく遊びに来てたの。
 でも、もう一生来ないつもりだった。」
リンネから暗い感情が意識を通じて伝わって来たが、理由を聞きそびれてしまった。

刑事の双眼鏡にとりついて電話まで行き、通話を聞く。
電話の主は、あのウェイトレスだった。
「どうしたメメリ、まだ定期連絡の時間じゃないぞ?」
「リンジュー刑事、2Fに怪しい二人組がいるんです!
 私、二人のチキンに、盗聴器を仕込んでみます!会話のチェックお願いしますね。」
ここに元凶がいた。電話を飛んでキッチンチキンの厨房へ行く。

厨房のテーブルには、チキンの丸焼きが二つ並んでいた。
大事件の火種が、片方のチキンにモタモタと仕込まれていく。
換気扇を止めて、ウェイトレスが煙たがって換気扇を回しに行った隙に、
テーブルを回転して、チキンを入れ替えてやった。
ウェイトレスは、盗聴器が仕込まれていない方のチキンをワゴンに積んで滑って行った。
「よしッ!これでどうだ!!」
主人公の快哉通り、刑事の耳に聞こえるのはシェフの鼻唄だけ。
リンジュー刑事は無事にキッチンチキンに辿りついたのだった。
35ゲーム好き名無しさん:2011/05/11(水) 23:08:52.90 ID:REm+ymCq0
本当に長いですね。まだ半分いってないです。
続きはまた明日投稿します。
36ゲーム好き名無しさん:2011/05/12(木) 07:09:27.17 ID:9Ue/v3go0
乙です 何か物凄い話ですね 序盤を動画でしか見てないが・・・何か興味湧いてきた
37ゲーム好き名無しさん:2011/05/12(木) 12:45:23.99 ID:hUKMQQiU0
数年前にPS2の「白中探検部」執筆を予約した者です。
執筆中にいろいろあって、結局ソフトは売ってしまって手元にないんだけど
途中まで書いてたものがあるので投稿しても良いだろうか。
38ゲーム好き名無しさん:2011/05/12(木) 12:51:29.99 ID:hUKMQQiU0
今空いてるし、途中までだけど投稿させてもらいます。
39白中探検部(PS2):2011/05/12(木) 12:52:14.98 ID:hUKMQQiU0
【登場人物】※説明書参考
藤枝隆弘:東京の私立大学文学部2年生。「白中探険部(STB)」に関わる謎のハガキに導かれ、
     子供時代を過ごした白ヶ浜へ久しぶりに帰ることになる。
     当時、作家の父親は白ヶ浜の伝承を研究していた。
     中途半端なことが大嫌いな、本ゲームの主人公。20歳。

与謝野信介:通称・スケやん。タカヒロと同じ大学の2年生で、バイトも一緒の親友。
      裏表の無い性格の筋肉ナイスガイ?アヤカに気があるようだが…。20歳。

沢地彩佳:通称・アヤカ。タカヒロ、スケやんと同じ大学の2年生でバイト仲間。
     東京生まれの東京育ちで、白ヶ浜へは彼らに付き合い初めて訪れる。
     低血圧で朝には弱い現代っこ。本人は、白ヶ浜の謎に挑む探偵役のつもりだが…。
     22歳。

結城真理亜:通称・マリア、部長。大阪で看護師を目指して専門学校に通う3年生。
      STBでは「部長」を勤めた面倒見の良いあねご的存在。
      クールな外見に似合わず、困った人を見ると放っておけないらしい。21歳。

益屋譲二:通称・ジョージ。ブラジルにサッカー留学しているところに、謎の葉書の知らせが届く。
     神戸にいる妹と久々に白ヶ浜を訪れる。努力家だが、サッカーの本場で悩みも多いようだ。
     20歳。

福良 真:通称・しんちゃん。大阪でシステム工学を学ぶ大学3年生。論理的な(ヘリクツ?)性格は
     子供の頃から変わっていないらしい。小学校からの付き合いのマリアに気があるのだが
     相手にされていない様子。20歳。

益屋 希:通称・ノゾミちゃん。ジョージの妹。高校3年生。
     子供の頃からはにかみ屋で引っ込み思案な性格で、いつもジョージの後ろに隠れていたが、
     絵を描くことには自信を持っている。不思議な少女。18歳。

賀茂理奈:通称・ごりょんさん。白ヶ浜神社の巫女。郷土史研究を趣味にしている。
     マイペースな性格で、タカヒロたちのお姉さん的存在。25歳。

佐伯祐一:通称・マスター。カフェ「バラクーダ」の経営者。今も昔も趣味に生きるラテン系。38歳。

君嶋由佳:通称・ユカ。本ゲームのヒロイン。
40白中探検部(PS2):2011/05/12(木) 12:53:01.08 ID:hUKMQQiU0
【ストーリー】
大学2年生の夏休みを平凡に過ごすタカヒロの元に、一通のハガキが届いた。
裏には陰陽魚の太極図に似た絵(以下、「太極図」とします)と「STB」「814」の文字、
そして「P.S…8/12 あの場所に集まれ」というメッセージが書かれていた。
奇妙なことに、その字は中学時代のタカヒロの筆跡にそっくりだった。
さらに、表に書かれた「藤枝隆弘様」の宛名の字も中学当時の自分のものそっくりだった。
差出人は、白ヶ浜中学校時代にみんなの憧れの人だった『ごりょんさん』こと、賀茂理奈。

確かに、白中探険部(STB)のメンバーは八年前のあの夏休みの最後の日、
「ごりょんさんに、いつまでも引越し先を連絡しよう」と約束し合った。
STBのメンバーは、それぞれ転校してバラバラになっていたのだ。
しかし、そこでタカヒロははたと気が付いた。
「どうして、オレたちは転校しなきゃいけなかったんだ…?」
覚えていない。
「どうして、オレは、一度も故郷に帰ろうと思わなかったんだ…?」
何か大切なことを忘れているような気がする。
白ヶ浜最後の夏休みに、いったい何があったのだろうか。

同じくハガキをもらっていた親友のスケやん(スケやんのものも、自身の筆跡で書かれていた)と、
暇だからという理由で付いてきたアヤカと三人で、故郷・白ヶ浜へと向かった。
41白中探検部(PS2):2011/05/12(木) 12:54:34.42 ID:hUKMQQiU0
●8月12日
白ヶ浜に到着した三人は、まずアヤカに町内を案内することにした。
母校・白ヶ浜中学校の前に立ったとき、タカヒロは窓辺に白い帽子を被った少女の姿を見かける。
「どうした?」とスケやんに問われて我に返ると、窓辺に少女の姿は無かった。
次に、駄菓子屋の「おうむ屋」を訪れる。この店は、子供たちの溜まり場で、
タカヒロとスケやん他STBのメンバーでよく訪れていた馴染みの場所だった。
その店でしか売っていない「ナギサチェリー」というジュースを注文する。
店のおばちゃんが顔を上げた。
「見ない顔だけど、あんた、どうして白ヶ浜でしか売ってないナギサチェリーを知ってるんだい?」
「おばちゃん、オレのこと忘れたの?八年前は毎日ここに来てたんだけどなぁ。」
「八年前…。」
おばちゃんはタカヒロの顔をまじまじと見つめると、さっと顔色を変えた。
「どうして、この町に帰ってきたんだ!早く帰れ!この町から出て行くんだよ!」
そうまくし立てると、おばちゃんは店の奥へと引っ込んでしまった。
突然豹変したおばちゃんの態度に訝しがりながら、三人はおうむ屋を後にした。
その後姿を見ながら、おばちゃんは「どうして帰ってきたんだい…。」ぽつりと呟いた。

次に、カフェ「バラクーダ」を訪れた三人。この店も、子供の頃からの馴染みの店で、
マスターとはよくハイキングやキャンプに連れてってもらうほどの仲だった。
マスターだったら、昔のことを覚えているかも…。
しかし、店は閉まっていて誰もいなかった。
仕方が無い、とそこは後回しにして、三人はごりょんさんのいる白ヶ浜神社へと向かった。

久しぶりにごりょんさんと再会した二人。
謎のハガキの差出人ということで、ごりょんさんから話を聞くことができた。
どうやら、ハガキの裏面に描かれていた太極図の黒い部分はヤタガラス。
絵もメッセージも、タカヒロたちSTBメンバーが書いたものだという。
しかし、絵はおろかそんなハガキを書いたことすら記憶に無いタカヒロとスケやん。
ごりょんさんも、ハガキのメッセージの意味について知らないらしい。
彼女が言うには、
「あの夏の暑かった日、あなたたちが手書きのハガキを持ってきて頼んだのよ。
 みんなが引っ越すとき、引越し先を聞いて、八年後に葉書を送って欲しい、と。」
何も覚えていない、と愕然とするタカヒロとスケやん。
「やっぱり…覚えてないの?」
「覚えてないッス。」
「そう…しょうがないわね。」
42白中探検部(PS2):2011/05/12(木) 12:56:32.57 ID:hUKMQQiU0
タカヒロは、ハガキのメッセージにある「あの場所」がどこだと思うかをごりょんさんに尋ねてみた。
「バラクーダとかかしら。」
「それが、閉まってたんスよ〜。」
「もう開いてるんじゃないかしら。マスター、最近、お店を開けるのが遅いから。」
どうかしたのか、と聞くと、一年ほどの長旅に出るらしく最近はその準備ばかりしているらしい。
タカヒロはマスターのお別れパーティを開こう、と提案。
STBのみんなもハガキを持って白ヶ浜に来ているかもしれないから、良い機会だということで決定した。
宿はごりょんさんが神社の宿坊を貸してくれるということで、荷物を置いてから、三人は再びバラクーダへと向かった。

バラクーダに向かうと、店の前で荷物の片づけをしているマスターがいた。
声を掛けると、マスターは二人のことを覚えていたようだったが再会したにしては少し浮かない顔をしていた。
「どうしたんですか?後輩との再会が嬉しくないんですか?」と問うと
「…いや、その逆だよ。嬉しくて、言葉もないっていうか…。」と曖昧な答えを返す。
マスターは、「白ヶ浜に来てから誰に会ったか」を聞いてきた。
ごりょんさんとおうむ屋のおばちゃんだけだと言うと、何故かほっとした顔をした。
それがどうかしたのかと問うと、彼曰く都会っぽくなってしまったタカヒロたちを心配して、らしい。
たしかに、この町は都会から来た人に対して冷たくあたる傾向があった。
都会からやってきてお店を開いたマスターも、最初の頃は苦労していたのを知っている。
「そうだね、オレたち、あまり目立たない方が良いのかも…。」と納得すると、
「だろ?」と、マスターはやはりほっとした表情を浮かべた。

そのとき、突然タカヒロの脳裏に大量に死んでいるウサギの映像が流れた。
「都会モン…ヘンな噂…いじめ…都会モンが嫌い…みんな嫌い…どっちの味方…ウサギ…死んで…。」
ブツブツと呟いているタカヒロを心配する声に、はっと我に返った。

「長旅で疲れたんだろう、宿に戻ったら?」と促すマスターだったが、
タカヒロが「大丈夫です、それよりもマスターに話があるんです。」と言うと、少し困ったような顔をした。
「立ち話もなんだし、中に行きましょー!」とスケやんが店内に入っていった。

店内に入ると、一人の女性と一人の男性の客がいた。
二人は懐かしのSTBメンバー、部長のマリアとしんちゃんだった。
久しぶりの再会を喜ぶ四人。
どうやら、マリアとしんちゃんも今回の謎のハガキで白ヶ浜に来たらしい。
そして、例に洩れず自分たちの筆跡であり、また、書いた覚えが無いと言う。
43白中探検部(PS2):2011/05/12(木) 12:57:44.64 ID:hUKMQQiU0
集まったSTBの四人が話し合う。
このハガキの筆跡はたしかに自分たちのものだが、書いた記憶が無い。
八年前にそれぞれ引っ越してしまったが、引っ越した理由がわからない。
そもそも、八年前の白中時代時代のことが全く記憶に無い。
「不自然だと思いませんか?もしかして、思い出したくないような嫌なことでもあったのかも…。」
「い、いや…それは考えすぎだと思うよ。」マスターはやはり曖昧な態度をとる。
「たしか、バラクーダの中に、八年前のわたしたちの写真が貼ってあったような。」
果たして写真があった。
STBメンバーで撮った写真。
みんなで懐かしみながら見ていると、ふと気になったものがあった。
右端、マスター曰く「醤油をこぼしちゃって」シミになっている部分。
アヤカが「これは誰?」と問うが、誰一人覚えていなかった。
白い帽子を被っているような人の姿がシミの間から見える。
「これ、いつ撮ったんだっけ?」
「半袖だし、夏よ。タイムカプセルを埋めたときじゃない?」
部長が言い出したことに、しんちゃんも同意する。
「そうだ!もしかして、ハガキにある『あの場所』ってタイムカプセルを埋めた場所じゃ?」

STB四人とアヤカは、「天狗の鼻」と呼ばれる一本の千年桜が立つ岬(崖?)に来た。
「何を埋めたの?」とアヤカに問われるが、やはり何も覚えていない四人。
四人揃って八年前のあの夏の記憶が無いというのは、はやりおかしい。
父母に聞いても教えてくれなかったりはぐらかされたりしたらしい。
そして「マスターも怪しい。」とマリアが言う。
「何か隠してるわ。マスター、嘘つくのヘタだから。」
マスターに聞いてみたとしても、彼は頑なな性格だと知っているので、四人は自分たちで真実を探すことにした。

そんな話をしているところに、STBメンバーのジョージと妹のノゾミちゃんが現れた。
手にはスコップ。ジョージはハガキを受け取り、タイムカプセルのことを思い出して直接天狗の鼻まで来たらしい。
しかしみんなと同様、夏の記憶はスッポリと抜けていた。
初対面のアヤカを見てジョージは「ユ……?なんだっけ。」と考えてから、
「…忘れちゃった、ごめん。なんだっけ、君の名前。」
「沢地彩佳、オレたちと同じ大学で同じバイト仲間。」とタカヒロが紹介すると、
「え…?なんか、人数的に違和感無かったからさ。」とジョージが笑った。
44白中探検部(PS2):2011/05/12(木) 12:58:28.46 ID:hUKMQQiU0
千年桜の前に来た七人。
またもタカヒロの脳裏をかすめたもの、今度は満開の桜の木下に立つ白い帽子を被った女の子。
「なんだ…?今の記憶…。」

その女の子が立っていた場所を掘ると、タイムカプセルが出てきた。
中に入っていたのは、メモ帳に描かれた色あせた地図と鍵。
それはスケやんが描いたもので、第二部室であるクレーン小屋への地図とそこの鍵だった。

ノゾミちゃんが途中で「絵の神様が降りてきた!」と走り去り、六人は地図を頼りにクレーン小屋へ。
向かう途中、タカヒロが何かを口ずさんでいた。
「懐かしいわね、なんだっけ、それ。」とマリアが問うと、タカヒロは「なにが?」ときょとん顔。
「今ハミングしてたじゃない。」
「無意識だった…。」

クレーン小屋に到着した六人は、そびえ立つそれを見て少しずつ夏の記憶を取り戻していた。
「あの夏、たしかに僕達はここにいた!」

【回想】
クレーン小屋から海に飛び込むマリア、ジョージ、スケやん。
それを見下ろしているノゾミちゃんと、白い帽子の少女。
【回想終わり】

クレーン小屋を見上げながら、「そうだ、たしかに、彼女もここにいた。」タカヒロが呟いた。

鍵を使って、小屋の中へと足を踏み入れる。
おもむろにジョージが口を開いた。
「そういや、なんか、いじめられっこの女の子いなかったっけ…?」
タカヒロが呟く。「ユカ………。そうだ!ユカだ!(写真の)彼女の名前はユカ!」
しかし、タカヒロ以外のSTBメンバーの反応はいまいちだった。
「そんな子、いたっけ?」
「いた気がするけど…。」
「そんな曖昧な記憶じゃ、あてにならないよ。」
タカヒロたちはごりょんさんに聞いてみることにした。

ごりょんさんに、写真と「ユカ」という名前を出した瞬間、真面目な顔つきになった。
「覚えてませんか?」とタカヒロが問うと、彼女は「しょうがない…。」と呟き
「たしかに、わたしがこの写真を撮ったとき、みなさんは彼女のことをユカと呼んでいました。」
ネガを持っているというので、焼き増ししてもらうことにした。
そして、もうひとつ。
「このハガキの絵なんですが、黒い部分はヤタガラス。白い部分はウサギですよね?
 この神社に、カラスとウサギにまつわる伝承とかって、ありませんか?」
「ありますよ。この神社の縁起です。」
45白中探検部(PS2):2011/05/12(木) 12:59:54.26 ID:hUKMQQiU0
その昔、神武天皇が大和に攻め入るとき、熊野の道案内をしたのがヤタガラス。
(白ヶ浜神社は熊野信仰の神社)
ヤタガラスは、熊野の使いにして太陽の化身と言われていた。
そのヤタガラスの起源は、中国神話に曰く
「かつて十の太陽があった。それらが一斉に地上に出たとき、地上の草木は焦げて枯れ始めてしまった。
 そのとき、一人の弓の名人が、九つの太陽の中にいる九羽のカラスを射抜いて、
 太陽は一個だけとなり人々は焼死を免れた。そのとき地上に落ちたカラスは、足が三本あったという。
 それがヤタガラスだといわれている。」
以上が、伝説などに詳しければ知っている人もいるであろう話である。
ここからが、白ヶ浜神社にだけ伝わる話。
「実は、月も十個あったという。月に住んでいたのは三本足のウサギたち。
 それぞれの相方だったカラスの死を嘆き、九匹のウサギの月もまた地上に落ちてしまったのだという。
 その月と太陽が地上に落ちた場所こそ、白ヶ浜神社の祀る「お山」なのである。」
その太極図は、カラスとウサギを祀る白ヶ浜神社の秘紋であるらしい。

宿は、七人全員で神社の宿坊を借りることにした。
ジョージやノゾミちゃん、マリア、しんちゃんが言うには、
白ヶ浜に来る前にホテルや旅館に問い合わせたところ、最初は「空室です」と言ったらしいが、
名前を名乗った瞬間電話の相手は慌てたように「満室です。申し訳ございません。」と態度を豹変させたらしい。
「この町にとって、わたしたちは招かれざる客のようね。」マリアが険しい表情で呟いた。
46白中探検部(PS2):2011/05/12(木) 13:01:10.97 ID:hUKMQQiU0
宿坊での夕食後、タカヒロはスケやんとしんちゃんと一緒に、
月と太陽合計十八個も落ちたという裏の「お山」に散歩に出かけた。
「中学生の頃は、怖くて近づけなかったもんな。」
町の明かりも届かない真っ暗な森。
三人は恐る恐るだが好奇心のみで中へ入っていった。
そのとき、三人を呼び止めた者がいた。
振り向く三人の前には、編み笠を被った老人と一匹の白い犬だった。
驚き、一目散に神社へと逃げ帰った三人。
「守人みたいなものでしょうか。」
「なんか…今と同じことを昔もやられたことがあるような…。」
「昔も来たことがある…?」
訝しがっていると、神社の中からごりょんさんの声が聞こえてきた。
そっと覗き見てみると、神社の書庫(?)でため息をついているごりょんさんがいた。
声を掛けようとするスケやんを押しとどめるタカヒロとしんちゃん。
ごりょんさんが、その三人の気配に密かに気が付いた。
「タカヒロくんたちかしら?ちょうどよかったわ…。」
ごりょんさんが独り言の音量を上げた。
「あー、どうしようかしら?掟で、自ら思い出せる強き絆持つモノのみ、道を伝えよ、なんて。
 タカヒロくんたち、思い出してくれるかしら?あと二日しかないのに。」
「あと、二日…?」三人は顔を見合わせる。
「天が満ちたる乾(けん)の年 もっとも太陽強き日に おちたる九つ やたがらす 
 おちたる九つ たまうさぎ 一日(ひとひ)に 一本足をえて
 みなが足なみそろいしは くらき いずみで よみがえらん……」
ごりょんさんは続ける。
「あーっ、この巻物を渡せればいいのに…。ヤタガラスさま、どうかこの巻物を、タカヒロくんに届けたまえ…。」
そこまで言うと、ごりょんさんは父に呼ばれて部屋を出て行ってしまった。
ぱたぱたと走り去る音が聞こえなくなった。
「タカヒロ!これはごりょんさんがこの巻物を持って行けっていう…。」
「そうですよ!ごりょんさんは、僕たちがここにいるのを知ってて…。」
三人は中へと入り込んで、ごりょんさんが言っていた巻物を手にとって見た。
古臭い巻物には、地図が描かれていた。
タカヒロの脳裏に過ぎる、「北斗星君延命写経」と書かれた巻物を見下ろす画。
自分自身の目で、巻物を手に取り見下ろしているシーンだった。
「そうだ!この巻物は…八年前にも…見た!」
しかし、内容まではやはり記憶には残っていなかった。
巻物は明日図書館で調べることにして、三人は宿坊へと戻っていった。
47白中探検部(PS2):2011/05/12(木) 13:01:55.57 ID:hUKMQQiU0
●8月13日
※ここで早朝露天風呂イベント。(行くか行かないかの選択肢あり)
 行くと、お約束の女湯覗きもありますがお約束のバレバレ先制攻撃を喰らう。
 そして男共は素っ裸で朝日を拝み倒す。

朝食後、本日の予定を決める六人(ノゾミちゃんは絵の神様降臨で去って行った)。
そこにごりょんさんが現れた。
ハガキにあった「814」という数字は、神社の大祭である8月14日のことではないか、と彼女。
しかし、神社の大祭は毎年8月15日だったはずである。
「今年は、八年に一度の特別な日で、14日なんです。みなさんがハガキを書いたのも八年前だし、
 きっとそうだと思うんですけど。」
ごりょんさんの言葉には、何故か迷いが無い。
「仮にそうだとして、このハガキと神社のお祭り、どう関係があるんだろう…。」
「それでみなさん、この神社でお祀りしているのはですね…。」
ごりょんさんの言葉を遮り、スケやんが立ち上がった。
「よっしゃ!みんな!814は14日の白ヶ浜祭りのことッス!
 そうと決まれば、祭りを中心に聞き込み開始ッス!」
全員がやる気になって、外へと飛び出した。
残されたごりょんさんは「話しそびれちゃった…。」

六人は商店街入り口へと来ていた。
「じゃあ、ここで解散。それぞれ自由に聞き込みしましょう。」
再集合は学校前に午前11時ということで、それぞれ散っていった。

タカヒロは気になっていた灯台へ向かった。
「なんかよく来ていた気がする…中学校時代のオレたちなら、何か手がかりを残しているハズだ。」
灯台付近の案内板に、太極図マークを見つけた。
たしかに、当時のタカヒロたちは灯台へ来ていたらしい。
「そういえば、クレーン小屋にもウサギが描いてあったな…。」
いったいどんな意味があるのか、あとでみんなに相談してみることにして、タカヒロは商店街へと戻った。
48白中探検部(PS2):2011/05/12(木) 13:04:29.11 ID:hUKMQQiU0
商店街ではマリオ(陽気なブラジル人。「バラクーダ」の従業員でマスターの友人。)と会った。
故郷に帰るときに持っていくお土産・三味線(彼曰く「日本のウクレレ!」)を探しに来ていたらしい。
「買い物にツキアッテクダサーイ」と言われ、タカヒロはマリオと共に楽器屋へと入っていった。
店内で物色していると、店主がタカヒロの顔を見て言った。
「アンタ…昔ウチでオカリナを買っていった坊主じゃないかね?」
「えっ…。」タカヒロが首を傾げる。
「やっぱりそうだ!そのとき預けていったモン、いい加減、持ってってくれ!」
店主はがさごそとカウンターをあさると、ひとつの箱を寄越した。
開けてみると、中に入っていたのは壊れたフルートだった。
それを目にした瞬間脳裏を過ぎる、白い帽子の少女・ユカの姿。
「修理の見積もりを立ててくれって預けたっきり、アンタ来なかっただろ?」
「これを、オレが?」
「良い品だから高いよって言ったら、代わりにオカリナを買っていったんだ。覚えてないかい?」
もちろん、タカヒロには記憶が無い。
しかし、預かり証にはしっかりと「藤枝隆弘」の名前が書かれてあった。
フルートを受け取り、タカヒロは集合場所の学校前へと向かった。

そこには、すでに他のメンバーが到着していた。
ひとりひとり報告をする。
が、スケやん、マリア、しんちゃん、ジョージの四人は自分達の家があった場所へと行っていた。
当然のごとく、すでに空き地になっていたり別の住人が住んでいたりしていたらしい。
アヤカだけはちょっとした手がかりを掴んできた。
町で祭りの準備をしていた老人に話を聞いたらしい。
老人曰く「今年は八年後との大祭だから、神社には行かない方が良い。」
「どういうこと?」とアヤカが問うと、
「町モン(都会っこのこと)は、神隠しに遭うかもしれん。」
「どうしてなの?」
「八年前の大祭の日、町モンの娘が神隠しに遭ったんじゃ。」
ここで、もっと詳しく聞こうとしたら老婆に止められたらしい。
49白中探検部(PS2):2011/05/12(木) 13:05:18.57 ID:hUKMQQiU0
今度は、タカヒロの報告。
まず、灯台に例のマークがあったことを報告する。
すると、ジョージが思い出した。
「タカヒロとサッカーの練習のあと、いつも灯台に登ってたじゃねぇか!
 そのときに、オレがラクガキしたんだ!」
「となると、あんまり意味はなさそうね。」
次に、受け取ったフルートをみんなに見せた。
フルート、そしてフルート代わりに買ったと言うオカリナ。
誰も覚えが無いらしいのだが、ジョージが再び口を開いた。
「タカヒロ!あの鼻歌、もう一回聞かせてくれ!」
クレーン小屋へ向かう途中に口ずさんだ鼻歌を歌ってみる。
「これだ!間違いない!この曲、オレ、オカリナで聞いたことがある!」
ジョージが言い出すと、みんなもぽつりぽつりと思い出してきた。
「僕は、フルートの音色だった気がします。」としんちゃん。
演奏会か何かで聞いたのかもしれない、ということで、六人は学校の音楽室へと向かった。

音楽室で、カセットテープを探す六人。
中学校当時の音楽の北沢先生が、よくカセットで音楽を聞かせていたのを思い出したのだ。
マリアがテープを発見する。
『授業中にフルートを披露 転校生・君嶋由佳 録音・北沢』
「きみしま…ユカ!それだ!」タカヒロが声を上げる。
さっそくデッキで流すと、タカヒロがハミングしていたのと同じメロディーが流れた。
「この曲を初めて聴いたのって…!」
「屋上だ!」
六人は屋上へと駆け出した。

屋上には、STBの第一部室があった。
懐かしい風景に、五人のSTBメンバーが口々に呟く。
「そうだ、ここで聴いたんだよ。」
「思い出してきたよ!」
「あの日、ここにいたんだよ!都会っ子!」
「フルート…吹いてたんだ!」

思い出がよみがえる。
50白中探検部(PS2):2011/05/12(木) 13:06:17.28 ID:hUKMQQiU0
【回想】
屋上で一人フルートを吹くユカ。
そのとき、彼女の真後ろから拍手の音が聞こえてきた。
驚いたユカが振り向くと、そこには同じクラスのタカヒロがいた。
逃げ出すユカと、それを追いかけるタカヒロ。
フルートの音色を褒めると、ユカは少しずつ心を開き始め、再びフルートを吹き始めた。
STBのメンバーも、第一部室から身を乗り出して聴いている。
その音が止むと、タカヒロやSTBメンバーから拍手が上がった。
嬉しそうにはにかむユカ。
【回想終わり】

「そうだ、君嶋由佳だ!」
「6月頃に転校してきたのよね。」
「なんか、スゲーいじめられてなかったか…?」

【回想】
屋上で、イジメっこの女の子三人がユカのフルートを持っていた。
それを取り返しにタカヒロが駆けつける。
しかし、彼女達はフルートを屋上の下へと投げ込んでしまった。
【回想終わり】

「それでフルートが壊れたんだ!」
「みんなで、落ちたフルートを探したのよ!」

【回想】
壊れたフルートを手に持ち、涙を流すユカ。
なんて声を掛けたら良いのかわからないタカヒロは、ただ立ち竦んでいた。
マリアがそんな二人に声を掛けると、ユカは走り去ってしまった。
【回想終わり】

「…オレも、小学生のとき、ここに引っ越してきてずいぶんイジメられた。」
ぽつりとタカヒロが呟く。
「スケやんとジョージが声を掛けてくれなかったら、今のオレはなかったかもしれない。」
「僕も、イジメられっこでした。」と、しんちゃんもぽつりと話し始める。
「小学3年生のときに、マリアに助けてもらわなかったら…僕死んでたかも。」
みんながしんと静まり返る。
「この町の人って、都会から来た『よそもの』を意味なく嫌うんです。」
「でも、仲間がいたからいじめも苦にならなくなったんだ。」

タカヒロは、ユカのことも思い出していた。
雨の日、ユカの入院している病室に見舞ったときのこと。
壊れたフルートの代わりにSTBのみんなでお金を出し合って買ったオカリナを渡す場面。

「そういえば、君嶋さんと仲良くなってから、僕たちと一緒に遊びましたよね。」
夏休みに入ってからは、第二部室であるクレーン小屋で毎日のように遊んでいた。
「またクレーン小屋へ行ってみませんか?なにか思い出すかもしれないし。」
51白中探検部(PS2):2011/05/12(木) 13:07:33.00 ID:hUKMQQiU0
クレーン小屋へ向かった六人。
はしごを上り、テラスに立ってみた。
少しずつ、記憶を取り戻してゆく。
「僕は、ここでGPSを組み立てていたんだ!」
「オレは、海に飛び込んでたッス!」
「そして、君嶋がいた!」

【回想】
海に飛び込む、マリアとすけやんとジョージ。
GPSの組立作業に夢中になっているしんちゃん。
釣りをしているタカヒロの後ろでは、人形遊びをしているノゾミちゃんとユカの姿。
【回想終わり】

「そういえば、あのユカって子、たしか海に入らなかったんじゃねーか?」
「うん…でも、夜に一緒に海に来たことはあるよ。」
「夜…?」
「どうして彼女は海に入らなかったんだろう。どうして夜…。」
しんちゃんがぼそりと答えた。
「君嶋さんて、身体が弱かったんじゃないかな…。」
「そうだ…たしかここ(テラス)で…!」

【回想】
みんなが遊んでいる中、ベンチに腰掛けているユカ。
しかし、突然前にのめり込むようにして倒れた。
病院へ運ばれた彼女は、そのまま入院することになった。
【回想終わり】

「駅の向こうの病院!」
六人はそのまま病院へと向かった。
52白中探検部(PS2):2011/05/12(木) 13:08:19.96 ID:hUKMQQiU0
折原病院は、白ヶ浜唯一の病院だった。
長い階段坂を上った先にある。
「競争だ!」と走り出したスケやんとジョージを眺めながら、
タカヒロ、アヤカ、マリア、しんちゃんはゆっくりと階段を上っていた。
そこに、おうむ屋のおばちゃんが現れた。
「おまえたち!まだ、こんなところをうろついてんのかい!」
驚く四人に対して、
「帰れ!帰るんだよ!」とキツい言葉を浴びせる。
「おばちゃん、僕たち、病院に来ただけですから…。」としんちゃんが宥めようとすると、
「病院なんかつぶれちまったよ!」
「えっ?」
「お前たちのせいじゃないか!」
その言葉に唖然とする四人。
「どうして、僕たちのせいなんですか!?」
「うるさいねっ!とにかく帰れ帰れ!お前たちは、ここにいちゃいけないんだ!」
「わたしたちが、何をしたんですか?」
「とぼけるんじゃないよ!八年前のあの日、お前たちのせいで『お山』が光らなかったんだ!」
「八年前…?」
混乱しているタカヒロ、マリア、しんちゃんのために、アヤカが前に進み出る。
「おばちゃん、ひとつだけ教えてください。
 昨日わたしを誰かと見間違えましたよね?たぶん、白い帽子を被った子だと思うんですけど。
 その子、この病院に入院してどうなったか知りませんか?」
おばちゃんが口をつむぐ。
なおもアヤカが問うと、ぼそりと口を開いた。
「…消えたよ。」
「えっ?」
「消え…いや違う!死んだんだ!死んじまったのさ!」
吐き捨てるように言うと、おばちゃんはさっさと帰ってしまった。

「君嶋が…死んだ…。」
呆然と立ち竦むタカヒロ。
脳裏には、君嶋と二人で焚き火を囲むシーン。
「泉…?親父の話…?」
断片的にだが、そのとき話していた会話の単語が思い出される。
「藤枝君、どうしたの!?」
「オレたちが…君嶋を殺した…?」
タカヒロの耳には、アヤカの声が届いていなかった。
そこに、先に走っていったスケやんとジョージが戻ってくる。
「病院は廃墟になってたぜ!」
しかし誰も答えない。
「君嶋が…死んだ…。」
「タカヒロ!どうしたんだ?」
訝しがるスケやんとジョージに、アヤカが説明し始めた。
「おうむ屋のおばさんが言ってたの。八年前、あなたたちがなにかをしたらしいの。
 そのせいで、八年前に光るはずだった『お山』が光らなかった。」
「…オレたち、なにをやっちまったんスか?」
「そこまではわからないわ…でも…この病院に入院していたユカさんは、亡くなった。」
53白中探検部(PS2):2011/05/12(木) 13:09:20.83 ID:hUKMQQiU0
六人は場所を移し、白ヶ浜駅前へと来ていた。
道すがら、アヤカがスケやんとジョージにあったことを説明していた。
「そのユカって子、命を落とすようなこわ〜い病気にかかってたんスかね?」
「サンダイバブリンシンドロームよ。」マリアが答えた。
「一億人に一人の遺伝病なの。どういうわけか、昔からこの病気に関心があったんだけど、
 その理由が、今わかったわ。八年前、この病気に冒されていた君嶋さんに出会ったからよ。」
サンダイバブリンシンドロームとは。
子供の頃は日焼けすると貧血みたいな症状が出るだけ。(第二部室で倒れたのがそれ)
思春期で治る可能性もあるが、思春期を過ぎた頃から日に当たるたびに遺伝子がどんどん壊されていき、
死に至るのだという。
(※この病気についてググってみましたが、見つからず。
 似たような病気があるというのは聞いたことがありますが…。ゲームオリジナル??)

「でも、おばちゃんはオレたちのせいで君嶋が死んだと言っていた。」
「そんな風には言ってなかったと思うけど…。」
「オレにはそう聞こえた。」
マリアが言う。
「病気の人が亡くなるのは、誰のせいでもないわ。」
しかし、タカヒロは声を荒げた。
「オレたちが君嶋を殺した!そして、この町から逃げたんだ…!
 だから親は引っ越した理由を言わないんじゃないのか!?
 だから町はオレたちを遠ざけようとしてるんじゃないのか!?
 オレたちは無意識のうちに、都合の悪いことを忘れようとしていただけなんだよ!!」
「タカヒロ…。」
「もう帰ろうぜ…東京に…。」
そんなタカヒロの姿を見て、アヤカも声を荒げた。
「このままでいいの!?よくわかんないまま帰っちゃうわけ!?」
「うるさい!過去をほじくりまわしてどうするんだよ!オレたちは人殺しかもしれないんだぜ!?」
「そんなことない…あなたたちは、人殺しなんかじゃ…。」
言いかけたアヤカの言葉を、タカヒロが遮った。
「帰れ!お前に何が分かる!?部外者のクセに!!」
「…!!」
「ちょっと!それは言いすぎよ!」
「とにかく!冒険ごっこはもうおしまいだ…!」
そのとき。
「バカヤロウ!!」
スケやんがタカヒロの頬を殴った。
「自分だけが被害者みてーな顔すんじゃねーよ!怖ぇのは、みんな一緒なんだ!」
みんなも続く。
「まだ、おうむ屋のおばちゃんの話しか聞いてないじゃない。調査は始まったばかりでしょう?」
「そうだぜ。なに、いきなり熱くなってんだよ。謎を解いて、真実を明らかにするのがSTBだろ?」
「僕は知りたいです…真実を。それが最悪の答えだとしても。」
「タカヒロは、どうしたいんだ?」
タカヒロは俯いたまま。
「少し、一人にしてくれないか…?」
マリアがうなずいた。
「わかった。一人にしてあげる。でも、逃げたりしたら許さないから。」
54白中探検部(PS2):2011/05/12(木) 13:10:40.41 ID:hUKMQQiU0
六人は別行動をすることになった。
スケやんは、ユカがタカヒロの父親の話をしていたことを思い出し、父親が出版した本を探しに本屋へ。
アヤカは、昨夜ごりょんさんに借りた巻物を解読することに。
(巻物は変体仮名で書かれていて、文学部のアヤカは解読することができるらしい。)
マリアは白ヶ浜付近の病院を捜しに。
しんちゃんは、八年前の新聞記事を探しに図書館へ。
ジョージは、引っ越す前に住んでいた家の軒下に隠したノゾミちゃんの日記帳を探しに。
(ノゾミちゃんは八年前のことについて忘れているわけではないようだった。)

そこに、バイクに乗ったごりょんさんが現れた。
現像していた写真ができたらしい。
渡された写真には、シミで消えていた白い帽子の少女が写っていた。
「君嶋…。」
タカヒロが呟いた。

別行動を開始した六人。
タカヒロはバラクーダへと向かった。
(藤枝君を一人にするのが心配なんだもん…)と、アヤカも付いてきた。

※すみませんが、ここからは会話中心で進めます。
店内でテーブルを囲むタカヒロ、アヤカ、マスターの三人。
タカヒロはマスターに写真を見せた。
「彼女の名前は、君嶋由佳…。」
「…どこまで思い出したんだ?」
「友達…STBの一員だったこと。」
タカヒロ、とマスターが名前を読んだ。
「本当のことを教えてくれないか?」
「本当のこと?」
マスターが渋面を作る。
「僕は、みんなが八年前のことを忘れてるんだと信じてた。
 八年前、キミたちは何一つ覚えていなかった。
 僕は少なくともそう信じた。信じようとした。
 だから昨日はみんなに合わせてすっとぼけていたんだけど…。」
タカヒロとアヤカは首を傾げる。
「すっとぼけてたって…?」
「たまたまみんなが帰ってきただけなら…何も覚えていないなら…。
 忌まわしい過去なんか、忘れたままで良いと思ってた。
 でも、自分達で八年前をほじくり返すんなら、話は別だ。」
「マスター、オレたち何かマズイことでもしたんですか?」
「マズイ…?」マスターは眉根を寄せた。
「マズイなんてもんじゃない!キミたちは、それで町を出て行くハメになったんだ!」
アヤカが恐る恐る口を挟む。
「神隠しにあった女の子って、君嶋さん…なんですか?」
マスターは答えない。変わりにタカヒロへと問うた。
55ゲーム好き名無しさん:2011/05/12(木) 13:10:48.34 ID:G8AbTQDK0
支援
56白中探検部(PS2):2011/05/12(木) 13:11:26.18 ID:hUKMQQiU0
「君嶋さんを…どこへやったんだ?」
「どこって…?」
「彼女をどうしたんだ!?」
「………。」
「八年前、彼女をどこに置き去りにしたんだ?途中で何があったんだ?」
畳み掛けるように問うマスターを、アヤカが遮った。
「マスター!藤枝君、まだ…そこまで思い出していないんです。」
「そんなバカな!彼女は、キミの…。」
「オレの…なんなんですか?」
「…バカヤロウッ!!あの子のこと、どうやったら忘れられるんだ!」
「…そんなに、オレにとって大切な人…だったんですか…?」
「本当に何も覚えていないのか!?」
「すみません…。」
マスターはがっくりと肩を落とした。
「僕はこの八年…何も聴かなかったし、何も知らないことにしてきた…。
 キミたちが『お山』に入っていったのを目撃した人はいた。
 だけど、彼女をキミたちが連れて行ったかどうかは、わからなかったんだ!
 もちろん、僕は言わなかった!
 キミたちがあの子を『お山』に連れて行ったんじゃないかって聞かれても、
 曖昧にはぐらかして答えてきた。だがな…もうその必要は無い。本当のことを言おう。
 彼女を『お山』に連れて行ったのは、キミたちだ!」
「オレたち…?」
「そうだ。町の人たちの間でも噂になったし、キミたちは疑われた。
 でも結局、彼女の神隠しとキミたちが『お山』に入ったことは無関係とされたんだ…。
 だけど僕は知っていた。なぜなら八年前、
 キミ達が病気の彼女を『お山』に連れて行くって相談していたのは、この店なんだ。」
57ゲーム好き名無しさん:2011/05/12(木) 14:09:38.49 ID:hUKMQQiU0
「投稿しすぎ」と規制くらいましたー
あと1レスだったのに・・・
58白中探検部(PS2):2011/05/12(木) 14:10:49.84 ID:hUKMQQiU0
「どうしてマスターは、藤枝君たちのことをかばったんです?」
「友達だからだ。少なくとも、僕は勝手にそう思っていた…。」
「マスターは黙っていてくれたけど、藤枝君たちは町を出なきゃならなくなった。」
「そりゃそうさ。『お山』に入ってあの年の大祭をメチャクチャにした張本人たちだし、
 人の噂っていうのは、尾ひれが付くもんだ…。
 こういう町じゃ居づらくなって、親達も自然と引越しを考えたんだろう。」
「マスター、教えてください。」タカヒロが重い口を開いた。
「オレたちは、君嶋になにをしたんですか?もしかして、殺してしまったとか…。」
「やめろ!そんなことは考えたくもないし、聞きたくもない!
 それに…あの頃のキミたちにそんな動機はないよ…。」
「マスターは、どう考えているんですか?」
「…彼女は病弱だった。キミたちが『お山』に連れて行った。山の中で、彼女が亡くなった。
 怖くなったキミたちは、彼女をどこかに置いてきた…ショックでキミたちは記憶を封印した。
 僕は、それが真実だろうと思ってきた。」
「思い出したくもない記憶の封印…でも、もしそうならヘンですよね。」
アヤカの言葉に、タカヒロもうなずく。
「記憶を封印したのなら、なぜこの葉書を書いたのか。わざわざごりょんさんにお願いまでして。」
「まるで自分たちが記憶を封印してしまうことを知ってたみたいですよね?」
「オレたちには、八年後にここに集まらなければならない理由があった。そう考える方が自然なんじゃないですか?」
「理奈ちゃんに葉書…八年後…。」
そこでマスターがはっと顔を上げた。
「八年後!?」
「どうしたんですか?」
「八年前、僕が理奈ちゃんに…ある話をしたとき、『八年経ってケリがついたらお答えします』って言われた…。
 理奈ちゃんなら、八年というのを何か知っているかもしれないよ。」
「ごりょんさんと言えば。」
アヤカは巻物をマスターに見せた。
「これ、なんの地図だかわかりますか?易(えき)とか八卦に関係あると思うんですが…。」
マスターはうーん、と唸ってから、「百聞は一見にしかずだ!」と二人を外へと連れ出した。
59白中探検部(PS2):2011/05/12(木) 14:39:17.92 ID:hUKMQQiU0
マスターに連れられてやってきた場所は河原だった。
町の人たちもよくキャンプに訪れるところらしい。
「オレ、ここに来たことがあるかも…。」
タカヒロが言うと、マスターが
「そりゃそうさ、タカヒロたちが小学生の頃、しょっちゅうボクが連れてきたんだから。」
「…キャンプ…。そうだ、この場所で聞いたんだ…!」

【回想】
水辺に佇む、中学生のタカヒロとユカ。
「ちょっと聞いてもいい?」
「どうしたの?」
「その格好って暑くない?」
タカヒロの問いかけに、ユカは「え?」と小さく呟いた。
「君嶋ってさ、いつも長袖だから暑くないのかなって思ってさ。」
「……。」
「べつに深い意味はないんだ!気にしたらゴメン。」
「わたしね、あまり肌を日にさらしちゃいけないの。だからいつも長袖なの。」
「日にさらしちゃいけないって、どうして?」
「そういう、体質だから…。」

この会話があってから二週間後。
今度は、STBとマスターのみんなで来たときのこと。

他のメンバーが寝静まった真夜中、タカヒロとユカは焚き火を囲んで話をしていた。
「前に、わたしがずっと長袖を着ていなきゃいけない理由を話したよね。」
「うん。確か、体質とか。」
「正確に言うと、病気なの。」
ユカは生まれつき肌を日にさらしてはいけない病気だった。
遺伝的なものらしく、母親も同じ病気だったらしい。
母親は、ユカが小さい頃に亡くなっていた。
そのため、「次は自分の番だ」とユカは思い続けてきた。
「何か治す方法は?」
「今の医学では無理なんだって。でも、泉が本当にあるならこの病気はきっと治る。
 だからわたし、藤枝君のお父さんの話、信じてる。」
「オレは…泉を見つける!約束する!」
「ありがとう、藤枝君。」
二人が手を取り合った瞬間、電流が走ったような衝撃があった。
タカヒロが見たのは、落ちていくユカに手を伸ばしている自分。
「なに今の…?」
「君嶋も見たの?」
「ううん。」
ユカには映像は見えていなかった。その代わり、ユカには「八年」という声が聞こえたらしい。
【回想終わり】
60白中探検部(PS2):2011/05/12(木) 14:59:03.77 ID:hUKMQQiU0
「あのとき、オレと君嶋は何を見たんだ…?」
タカヒロを心配そうに覗き込んでいるアヤカに、マスターが話しかけた。
「さっきの巻物、見せてくれるかい。」
マスター曰く、巻物に書かれている図面はごりょんさんの神社の裏の『お山』を表しているらしい。

※ここからは図面で場所を指し示していくことになるんですが、文章にするとあまりにもややこしいことになるので省きます。

天馬ヶ岳、亥ノ池、ヒツジ沢、牛ヶ原(現在は隣町になっている)、光雉峰(こうちほう)、
蛇皇木(じゃこうぼく。去年の落雷で焼失)、白ヶ浜を順番に説明するマスター。

「マスター、よく知っていますね。」
タカヒロが感心したように言うと、
「そりゃそうさ。八年前、『立ち入り禁止』になる前はしょっちゅうタカヒロたちを連れてハイキングに来ていたんだから。」」
「ということは、この巻物は、この辺の昔の地図ってことですね。」
確認するように口を開いたアヤカは、でも、と付け加えた。
「ヘンですよね。この白ヶ浜神社って、鬼門の方を向いてるじゃないですか。」
鬼門とは、うしとら――北東の方角で、魔が流れてくる方角の事。
普通は、そっちの方角に向けて神社は作らないらしい。
アヤカが首をひねっているとマスターがごりょんさんから聞いた話を思い出した。
ごりょんさんの神社が祀っているものは実は神様ではないらしい。
しかし、何を祀っているかは忘れてしまったようだ。

おもむろにタカヒロが口を開いた。
「伏せろ!」
言われたとおりに伏せたが、訝しんだマスターが顔を上げると、崖の上茂みの方から一人の老人と一匹の犬が現れた。
昨夜、タカヒロたちが夕食後に『お山』に登ったときに出会った老人だった。
その時に犬をけしかけてきたのでタカヒロは警戒していたのだ。
「あれは、炭ジジじゃないか。」
マスター曰く、もともとこの辺で炭焼きをしていた老人なのだが、八年前に『お山』が立ち入り禁止になって以来、
町役場から頼まれて『お山』の番人をしているらしい。
八年前――タカヒロたちが大祭の日に『お山』に入ってかららしい。
アヤカが口を開いた。
「おうむ屋のおばさんも言ってましたけど、『お山』に入ることはそんなにいけないことなんですか?」
マスターはごりょんさんに聞いた話というのを語る。
八年に一度の大祭の日に天馬ヶ岳の頂上に光の柱が立つらしい。
ところが、八年前は光の柱は立たなかった。
海では魚が獲れなくなり畑の実りも良くなかった。
町の人々は、「天馬ヶ岳」に光の柱が立たなかったせい、それはタカヒロたちが『お山』に入ったせいだとした。
61白中探検部(PS2):2011/05/12(木) 15:23:03.73 ID:hUKMQQiU0
アヤカが「そういえば」と何かに気づいた。
「さっきのおじいさん、滝の裏側から出てきませんでした?」
※すみません、描写してませんでしたが三人のいる河原近くには滝があります。
「あの滝の裏には洞窟があったはずだけど、何をしていたのかな?」とマスターも首を傾げた。
狭い洞窟の先には石碑があるらしい。
三人は洞窟に行ってみることにした。

洞窟には分厚そうな扉があり、さらに鎖が巻かれて鍵も掛けられていた。
「この先に…石碑…!」タカヒロが呟いた。

【回想】
スコップを持ち、何かを埋めているSTBのメンバー。
「ごめんね、何もしてあげられなくて…。」ユカが悲しそうに呟いていた。
【回想終わり】

「オレ、八年前にこの先に行った…。」
「昔は鍵なんて掛かってなかったよ。」マスターが言った。

三人はバラクーダに戻ってきた。
今日はここで解散ということになり、タカヒロはユカの住所をマスターに聞いてみた。
彼女は病院通いをしていたため、病院近くに家があったらしい。
廃墟になった病院がそれで、マスター曰く、そこは「患者が神隠しにあった」ということでひどくバッシングを受けて潰れたらしい。
タカヒロたちが八年前にしたことは、町に一軒しかない病院を潰すほどのことだった。

マスターと別れた二人はユカの家へと向かった。
その途中の商店街でジョージと出会った。
ジョージはノゾミちゃんの絵日記を手に入れてきたらしい。
絵日記の中に、八年前、ユカが神隠しにあったことが書かれていた。
それで気になったのが、「ウサギが死んだ」内容の日記らしい。

【回想】
何かに荒らされたようなウサギ小屋の中に、数匹のウサギが横たわっていた。
【回想終わり】

ノゾミちゃんの日記には、ユカが消えた日、お兄ちゃん(ジョージ)はタカヒロたちとキャンプに行ったということが書かれていた。
ノゾミちゃんは、彼らがユカに何かしたのではと思ったらしいが、お兄ちゃんたちを信じてるから何も言わない、と綴られていた。

※ここからタカヒロとジョージの絡み。アヤカは気を遣って海を見に行ってしまいました。
 本編とあんまり関係ないので簡潔に書くと、ブラジルにサッカー留学をしていたけど、
 現地の空気やら実力の差やらを見せ付けられて意気消沈してサッカーを辞めたそうです。
62白中探検部(PS2):2011/05/12(木) 16:25:21.59 ID:hUKMQQiU0
※上で書き忘れ。サッカー小僧ジョージのことです。すみません。

ジョージと別れたタカヒロはアヤカと合流し、気になることがあると言ってユカの家ではなく学校へと向かった。
ウサギ小屋のあった場所に辿り着くと、何かを思い出した。

【回想】
ウサギ小屋の中の惨劇に悲鳴を上げるユカ。
タカヒロが校門の方に目を向けると、男子生徒三人が駆けていく後姿が見えた。
追いかけようとするタカヒロだったが、それをユカが止めた。
「まだ生きてる子がいる!」
【回想終わり】

ユカは飼育委員だった。
タカヒロとスケやんが、不良に絡まれているユカを助けたせいで、不良たちが逆恨みでウサギ小屋を荒らしたらしい。

タカヒロの記憶は断片的にしか思い出されなかった。

生きていたウサギを動物病院へ連れて行ったこと。
STBメンバーで河原にキャンプに行ったこと。
滝の洞窟に行ったこと。

「どうしてあんなところに行ったんだ?」

そして、ユカの持ってきたゲージの中のウサギが冷たくなっていたこと。
スコップを持ち、ゲージを埋めているSTBメンバー。

「君嶋の大切にしていたウサギが死にそうになったから、滝の裏の洞窟に行って、扉の奥にも行った!」
「どうして、死にそうなウサギを連れて行ったの?」
アヤカが誘導するように問いかけるが…
「わからない…。扉の奥には、虎の石碑があったんだ…。」
虎、という言葉にアヤカが反応した。
「虎のところにウサギを連れて行ったのね!他には?カラスはいなかったの?」
アヤカが読んだ巻物には、虎、ウサギ、カラスについて書かれていたらしい。

「天(あめ)なる帝(みかど)の のりし船 虎が守りしヤタガラス 虎が守りしタマウサギ
 みなみな お船にのりたれば 天なる帝の くらき いずみは ひらかれん」

タカヒロはカラスがいたかどうかは思い出せなかった。
アヤカはぶつぶつと何かを呟いている。
「虎、馬は天を意味して、天は乾(けん)だから…。」
この先は、タカヒロが何かを思い出さないと始まらないらしい。
二人はユカの家に行ってみることにした。
63白中探検部(PS2):2011/05/12(木) 18:05:58.60 ID:hUKMQQiU0
廃病院に来た二人は、病院の裏に細い道があるのを見つけた。
行ってみると病院のちょうど庭に通じていて、タカヒロはそこにユカの家があったことを思い出した。
さらに、その病院はユカの親戚が経営していたことを思い出した。

【回想】
夜、タカヒロは病院の庭にいた。
「君嶋。」
名前を呼ぶと、窓が開いてユカが顔を出した。
ユカは入院していた。
部屋へと招かれたタカヒロは、ユカの具合を聞く。
「わたし、もっと大きな病院に行かなくちゃならないかもしれない…。」
それを聞いて落ち込んでしまったタカヒロを慰めるように、ユカは絵本「ほうらいさんのにわ」を読み聞かせ始めた。
【回想終わり】

「絵本…どんな内容だったんだ…?」
絵本について気になりだした二人は、商店街の本屋へと走った。

商店街を走っていると、スケやんに出くわした。
タカヒロとぶつかった拍子に、スケやんは持っていた本をぼとぼと落としてしまった。
スケやんが持っていた本は全てタカヒロの父が書いた本だった。
本屋はもう閉まってしまったらしく、とりあえず今のところ手がかりであるタカヒロ父の本を読んでみることになった。
しかし、タカヒロは父親に反発しており、父が書いた本は読みたくないらしい。

宿坊に戻った三人は、既に戻っていたSTBメンバーと今日集めた情報の検討を始めた。
マリアは折原病院の関係者の情報集めをしていたらしい。
昔その病院で働いていたリネン係のお姉さんの話によると―――
ユカの病気はやはりサンダイバブリシンドローム。
親戚である病院は、彼女のために相当無理をして高額な医療器具を揃えたらしい。
経済的にも苦しくなっているところに、神隠しが起きた。
評判が悪くなってしまい、病院は八年前の秋に潰れてしまったというわけだ。

そして、マリアの報告はもうひとつ。
「YUKA」と名前が書かれたオカリナについてだった。
病院が亡くなった後、すぐ裏のユカの家も取り壊されたらしい。
その時に片づけを手伝ったリネン係のお姉さんがが、ユカの部屋からそのオカリナを見つけたのだという。

「タカヒロの鼻歌、オカリナで聞いたことがあったんだ!」ジョージが言うと、
「そうっス!オカリナを、みんなでお金出し合って君嶋さんって子に買ってあげたんスよね!」スケやんも続いた。
64白中探検部(PS2):2011/05/12(木) 18:06:56.14 ID:hUKMQQiU0
マリアの報告は以上。
次は、図書館に当時の新聞を探しに行ったしんちゃんの番。
不可解なことに、八年前の夏の新聞だけがなかったらしい。
図書館の人に聞いてみたが、その人は去年赴任してきたばかりの人だったらしく、何もわからなかった。
しかし、パソコンを使わせてもらい、ネットで当時の新聞記事を読むことが出来た。
それには「神隠し」について書かれていた。
『君嶋由佳という女の子が行方不明になった。』
同級生――タカヒロたちのこと――が一緒にいたということでかなり疑われていたのだが、
彼らが「何も覚えていない」というので、それが信用されて無罪放免になった、という内容だったらしい。
ユカを探すために山狩りも行われたらしいのだが、町の人たちは「『お山』に入ると『お山』が怒る!」と言って反対運動が起こったらしい。

「『お山』の怒り」ってなんだ?と笑うジョージとスケやんだったが、
タカヒロが「オレたちが大祭の日に『お山』に入ったから光の柱が立たず、その責任を感じて俺たちは引っ越しせざるを得なかった」
と説明すると、二人とも口をつぐんでしまった。

次は、タカヒロの番。
タカヒロが今日調べてきたことを話し終わると、ジョージは頭を抱えた。
「俺たちはとんでもねえ所に帰ってきちまったみたいだな。」
しんちゃんも俯いて言う。
「僕たちは、病気の女の子を山に置き去りにしたんですか…。」
「やめてよ!」声を荒げたのはマリアだった。
マリアは看護師になるために勉強をしている。
そんな自分が病気の女の子を見捨てたなんて――マリアはショックで部屋を飛び出した。
しんちゃんはマリアを追いかけ、ジョージもスケやんも肩を落としながら部屋を出て行った。
残されたタカヒロも、夜風に当たりたいと言って部屋を出た。
65白中探検部(PS2):2011/05/12(木) 18:07:58.64 ID:hUKMQQiU0
白ヶ浜海岸で佇んでいるタカヒロの元にアヤカがやって来た。
二人で星空を見上げる。
※ここから、タカヒロの星座講座が始まります。アヤカのタカヒロへの片思い?もわかります。
空から海に目をやると、海面がキラキラ輝いているのが見えた。
海ほたるだ。
それを見て、タカヒロがまた何かを思い出した。

【回想】
STBの第二部室であるクレーン小屋。
夜、タカヒロとユカはそこにいた。
二人は水着に着替え、海に出た。
浅瀬で海の水を掬うと、海ほたるが光る雨粒のように落ちてゆく。

二人が海に来たのは遊ぶためと、もうひとつ。
ユカが持っている緑色の石を見せてもらうためだった。
タカヒロがユカから石を受け取ろうと、二人の手が触れた瞬間。
走り去るウサギの後姿。
二人で手を繋いでいくつもの鳥居を潜り抜けるシーン。
片目のウサギ。
しかし、ユカが見ていたのは違う映像だった。
何も無い暗闇の中にユカしかおらず、タカヒロの声も自分がカタヒロを呼ぶ声も聞こえない。
怖がるユカに、カタヒロは「どんな暗闇の中にいても、オレは絶対に君嶋を見つけるから!」と約束する。
【回想終わり】

「どうしたの?また何か思い出したの?」
心配そうにタカヒロの顔を覗き込むアヤカに、
「オレは…オレは君嶋を愛していたんだ!」

【回想】
「ユカ!」
名前を叫び、手を伸ばしても届かず、ユカが底の見えない穴(?)へを落ちていくシーン。
【回想終わり】

「うわあああああああ!」
タカヒロが頭を抱えて叫びだした。
「落ち着いて!」
「オレが…!オレが君嶋を殺したんだ…!」
66白中探検部(PS2):2011/05/12(木) 19:18:02.15 ID:hUKMQQiU0
●8月14日
※ここで先に出てきたタカヒロの父親のプロフィールを。
 民俗学者で、白ヶ浜の民俗に興味を持って引っ越してきました。
 スケやんが本屋で買ってきたように、それらに関する本もいくつか出版しているようです。
 しかし、父の本は少々ファンタジー的要素が盛り込まれており、
 スケやん曰く「民俗学者というより小説家って感じッスね〜」
 学説もほとんどがボツをくらているらしいです。

翌朝。
徹夜でタカヒロの父の本を読んだスケやんと、タカヒロ、アヤカが部屋に集まった。
スケやんが読んでいた本の内容はこうだ。スケやん風に言うと…
「徐福とかいうおっさんが、秦の始皇帝に「不老不死になれる山がありま〜す」とか、ホラ話ふかすんスよね。
 そしたら、おっさん、その山を探すはめになってはるばる日本にやってくる」
アヤカが首を傾ける。
「徐福って、あの徐福かしら。『史記』で始皇帝をたぶらかす方士。」
史記の中では、渤海に蓬莱山というのがあり、そこにいる仙人が不老不死の薬を持っている、という記述がある。
タカヒロの父の本によると、この白ヶ浜に蓬莱山があるらしい。
徐福は日本で蓬莱山を見つけるが、不老不死の力を得られるちょうどその日に寿命が尽きて死んでしまう、という内容だった。
「白ヶ浜に蓬莱山があったのか?」タカヒロが問うと、
「渤海は、中国の北部で朝鮮半島と日本海に囲まれている海のことだから、秦の国にとっては東に当たる海よね。
 東へ東へと行けば、日本には行けるし、白ヶ浜に蓬莱山があったという話もあながち間違ってないんじゃないかな。
 実際、日本にはその話にちなんで蓬莱山っていう名前の山があちこちにあるしね。」

しかし、あくまでもタカヒロ父の本は「読み物」という感じだ。
そうだろう、とタカヒロが苦笑する。
「だからオレも君嶋がオヤジの話を信じるって言ってくれた記憶の意味がよくわからないんだ。」

ごりょんさんに呼ばれ、STBメンバーは神社の拝殿へとやってきた。
タカヒロが口を開く。
「八年前、オレたちは病気の君嶋を『お山』に連れて行った。それで、その子を置き去りにしてしまった。
 オレたちは彼女を殺した…!違いますか?」
アヤカがたしなめたが、
「思い出しましたか…。」ごりょんさんが問いかける。
「どこに行ったのか、思い出しましたか?」さらに問いかける。
しかしタカヒロたちは、ユカを殺したのではないか、そればかりが気になっている。
今度はみんながごりょんさんに詰め掛けるのを、アヤカが止めた。
「ごりょんさんには、みんなに言えない理由があるんですよね?」
「…ごめんなさい、わたしは『お山』の『さだめ』に従わなくてはいけないんです。
 そして、みなさんが記憶を失ったのは『お山』の『さだめ』なんです。」
それによると、『自ら思い出せる強き絆持つモノのみ、道を伝えよ』。
だから、ごりょんさんは知っていることを話せずにいるのだ。
67白中探検部(PS2):2011/05/12(木) 19:18:48.89 ID:hUKMQQiU0
自分たち自身が思い出さなくてはいけない。
STBメンバーは気持ちを新たにした。
思い出さなくてはいけないタイムリミットは8月14日。
みんなのハガキに書かれていた数字は、タイムリミットであり、白ヶ浜大祭の日だった。

アヤカはごりょんさんに質問をした。
「この神社、どうして鬼門の方を向いているのですか?」
ごりょんさんは神社に祀るものを語り始めた。
表向きは、ヤタガラスを祀っている。
中心には太陽・天照大神を据えて、日本の神社と違いはない。
しかし本当は天帝・始皇帝を祀っているのだ。
始皇帝は、秦の始皇帝。
それを神と崇める人が、この神社を建立したらしい。
崇める人とは、徐福のことである。

「徐福って、タカヒロのオヤジさんの本にあったッスよ〜!」
スケやんが驚きの声を上げた。
ならば巻物についても教えてもらおう…と取り出そうとしたとき、
「ダメです!そのことは、お父様には絶対にナイショ!」
ごりょんさんに止められてしまった。
他にも聞きたいことがあったのだが、ごりょんさんの父がごりょんさんを探しているので戻って行ってしまった。
「夕方五時に、庫裏まで来てください。その時までに、絶対に『どこ?』と『なぜ?』を思い出してください!」と言い残して。

STBメンバーは夕方五時までに各自で情報を集めることにした。
タカヒロはアヤカと行動を共にする。
昨日の続きということで、絵本を探しに学校の図書館へと向かった。

途中、天狗の鼻に寄った。
そこにある桜の木がどうしても気になるらしい。
「オヤジの本…桜の木…。」
二人は千年桜の下に来た。
68白中探検部(PS2):2011/05/12(木) 19:19:30.05 ID:hUKMQQiU0
【回想】
ユカが熱心に本を読んでいる。
タカヒロが何の本か尋ねると、好きな作家さんの最新刊らしい。
その作家とは、タカヒロの父のことだった。
「ゲッ。」とタカヒロは口元を歪めた。
タカヒロは父が嫌いだった。
せっかく、サッカークラブのジュニアに入れたのに、父の仕事のために白ヶ浜に引っ越すことになってしまったのだ。
それ以来タカヒロは父を恨んでいた。
「でも藤枝君、お父さんの話をするとすねてる感じ。本当はお父さんのこと好きなんでしょう?」
とユカが笑って言う。
「藤枝君が羨ましい。お父さんと本気でケンカできるんだもん。」
【回想終わり】

「それで、あんなに嫌いだったはずのオヤジがなぜか自慢したくなって、君嶋をオレんちに呼んだんだ。」

【回想】
ユカとタカヒロの父が楽しそうに本について語っている。
それをおもしろくない、という風に眺めているタカヒロ。
ユカはひとつの質問を投げかけた。
「次回作のために白ヶ浜に来たらしいですが、どんなお話ですか?」
「次回作は、徐福伝説さ。」
父曰く、徐福が蓬莱山を探すためここ白ヶ浜に辿り着いた、という話らしい。
そして彼が蓬莱山を見つけたという記録が、白ヶ浜神社に収められている巻物に書かれているらしい。
それを見せてもらうために父はタカヒロを連れて引っ越してきたのだった。
父を自慢したくてユカと会わせたのだが、楽しそうに話をしている二人を見て、タカヒロは余計に父が嫌いになったのだった。
【回想終わり】

ユカも徐福伝説について知っている風だった。
もしかしたら、不老不死について興味があったのかもしれない。
ユカが読んでいた絵本、もしかしたら―――。
二人は図書館へと急いだ。

館内で絵本「ほうらいさんのにわ」を見つけた。
タカヒロの頭の中で、ユカが絵本を読み聞かせてくれた時のことが蘇る。
69ゲーム好き名無しさん:2011/05/12(木) 19:57:56.03 ID:hUKMQQiU0
ようつべでプレイ動画見ながら書いたけど、今日はここまで…
途中で割って入って申し訳ない。
続きはまた次回書きます。
70ゲーム好き名無しさん:2011/05/12(木) 23:01:24.16 ID:XctEKqNw0
プレイ動画ねえ・・・
71ゲーム好き名無しさん:2011/05/13(金) 00:55:47.02 ID:O7cBv7X70
書いてもらって大変乙なんだけど
「プレイ動画見て書いた」はあんま言わない方がいいと思うよ……
72ゲーム好き名無しさん:2011/05/13(金) 04:56:09.54 ID:qDLImbmCO
>>1さん、まとめさん、書き手さん乙です
73ゲーム好き名無しさん:2011/05/13(金) 18:53:06.64 ID:z6FmG8AX0
PSPの戦場のヴァルキュリア3をお願いします
74ゲーム好き名無しさん:2011/05/13(金) 18:53:52.32 ID:74wjMwPn0
PSPの「つくものがたり」をリクエストします。どなたかお願いします
75ゲーム好き名無しさん:2011/05/13(金) 19:02:15.21 ID:s7E15I120
ゴーストトリック続き行きます
76ゴーストトリック:2011/05/13(金) 19:06:43.10 ID:s7E15I120
新しい現在では、リンネが凄い勢いで丸焼きを食べ進め、
向かいでリンジュー刑事が肘をついてそれを眺めていた。
主人公は、改めてリンネと意識を通じて話し合う。
D99ことジョードは、リンネのヒーローなのだという。
10年前、あの公園で遊んでいたリンネは、何者かに人質にとられた。
「来るな!こっちに来たら、こいつを撃つぞ!!」
銃声のような音がして気を失い、目覚めるとジョード刑事がいた。
「おじさんが助けてくれたの?」
「おじさんは仕事をしただけだ。…助けてくれたのは、そう、神様だな。」
「おじさんのお仕事って?」
「おじさんは刑事なのさ」
その日から、リンネは刑事を目指した。ジョードはリンネの「理想の刑事」なのだ。

それにしても、カノンが来ない。
彼女がキッチンチキンに向かったのは、もう3時間は前のことだ。
オルゴールを持っていた事で、よからぬ事に巻き込まれたのだろうか?
あのオルゴールと言う木箱は、ジョードが逮捕直前にリンネに郵送した物で、
「事件が解決したら、<ある人物>に渡してほしい」と頼まれているらしい。

リンジュー刑事は、リンネを黙って見ている。
「どうしました?あっ私の食べっぷりにホレちゃったとか?」
「リンネ……俺にはどうしても黙ってることはできない…。
 ジョード刑事の処刑、今夜11時なんだ。もう、すぐだ。」
愕然として立ち上がるリンネ。
今さらもう中止は不可能だ。法務大臣の執行中止命令でも出ない限り。
リンジューにそう言われて、リンネは法務大臣執務室に行く為に飛び出していく。
「シセル!!ジョード刑事を助けて!!
 リンジュー刑事、お願い、カノンを探して下さい!あの子を守って!」
そう言い残して駆けていくリンネを見送り、電話から刑務所へ飛んだ。
77ゴーストトリック:2011/05/13(金) 19:13:55.03 ID:s7E15I120
第8章『PM10:55』
看守室は、真っ暗だった。
暗闇の中で、センパイが奇妙な踊りを踊っている。
「これは、我が家に伝わるアリガタイ踊りなのですぞ!
 どうしていいかわからない時に踊る”テンテコの舞”という」
コウハイの冷たいリアクションにも負けずに踊り続けるセンパイ。

どうやら、刑務所全体が停電してしまったようだ。
<処刑室>から電話がかかってきて、内線だけとりあえず復旧したが、
地下発電機の完全復旧にはまだ時間がかかると報告された。
独房のロックも開いてしまっているのだが、
会話によればこの刑務所には、元々あの3人しか囚人はいないのでそうキケンはないらしい。
「しかも、一番凶悪な奴はもういないじゃないっすか。」
「ああ…!それは言わない約束でしょう!」
一足遅かったようだ。内線を飛んで処刑室とやらに行ってみよう。

案の定、ジョードはもう霊安室に安置されていた。
主人公は試行錯誤して死体まで辿りつき、ジョードのタマシイに話しかける。
ジョードも記憶を失っていたが、リンネや処刑のことを教えると、ある程度記憶を取り戻した。
しかし、主人公のことは覚えていないと言う。
彼を伴って、その死の4分前まで飛ぶ。

【PM10:45特殊刑務所】
ディナーを終えたジョードの元に、処刑執行のため係官がやってきた。
係官達は、この処刑に納得がいっていないらしい。
「わが国では何年も処刑なんて行われていないじゃないですか。
 何故、法務大臣は執行書にサインを…?」
ジョードが連れられて行った処刑室には、コードの沢山出たイスが置いてあった。
ジョードをイスの脇に待たせて、係官がテストとして一度壁のレバーを引いた。
イスから火花が散り、爆発して、至近距離に居たジョードが吹っ飛んだ。

これが“処刑”とやらなら、もう少し安全な方法で行うべきだと思うのだが…
主人公がそう言うと、ジョードは大ウケした。
「記憶と失うと言うのは、悪い物でも無いな。
 世の中が面白く見えていそうでうらやましいよ。」
ジョードは、腹の据わったというか、人を食ったというか、相手をペースに呑む力を持っている。
死刑囚になってなお、係官たちに尊敬されていたのだから、大人物なのだろう。
78ゴーストトリック:2011/05/13(金) 19:16:12.62 ID:s7E15I120
ジョード曰く、あの処刑用のイスは長年使われておらず、配線だかホコリだかでショートしたらしい。
放っておけば爆発で死んでしまい、爆発を防ぐと処刑で死んでしまう訳で…??
「生まれてきてゴメンな。」心のこもってないジョードの合いの手をよそに、頭をひねる主人公。
そうだ、先に爆発させてしまえば、処刑はできなくなる。
しかも、停電でロックも開くという一石二鳥さだ。
ジョードの到着より早く処刑室にたどりつき、レバーを引いてしまおう。

長くなるので割愛するが、それはもう知略策略を巡らせて処刑室まで先回りした。
生者のように、自由に足で歩けないのは本当に不便なものだ。壁を通れるのは便利だが。
レバーを引くと、イスは爆発し、やはり停電もした。
格好のチャンスだ。生き返ったジョードを導いて脱獄させることにする。

第9章『PM11:13』

暗闇は死者には意味を為さない。
主人公が全体を見渡しながら、タイミングを図ってジョードをナビしていく。
シビアなタイミングと、複雑な逃走経路を攻略し、ジョードを外に出す。
主人公はとりあえず、内線電話から看守室へ戻った。
すると、間髪いれず電話が鳴った。コウハイが取ると、さっき別れたジョードからの電話だった。
ジョードは誰何するコウハイを無視して、「シセル君、いたらすぐ来てくれ」と言って切る。

飛んでみると、そこは刑務所のすぐ外の公衆電話だった。
実にシンプルな事実を物語る光景だった。
カバネラ警部が、ジョードに銃をつきつけていた。脱獄失敗、以上だ。
カバネラが、ジョードの為に刑務所の外から黙祷を捧げていたら、本人が出てきたわけだ。
連行される前に、ジョードの意識を通じて会話しておく。

ジョードは、主人公シセルの事を、話してくれなかった。
「何故なら、俺は君の本当の顔を知らなかったからさ。刑事として君に話せることは無い。」
そして、自分がリンネのいうような<理想の刑事>では無いと独白した。
幼いリンネを逃亡犯が人質にとった時、ジョードは様々なリスクを無視して撃った。
それもただ、まだ若く自分を抑えられなかったからという理由で。
リンネに当たらなかったのは不幸中の幸いであり、犯人はその場で死んだ。
「俺は人殺しなんだ。処刑がお似合いの男なんだよ。」

ジョードはカバネラに頼み、一本電話をかけてから連行されていった。
電話先は法務大臣執務室。出たのはリンネだった。
「行ってやってくれ。あちらでも何か起こっているようだ。」
ジョードを見送り、主人公も電話から、わびしく暗い夜道を後にした。
79ゴーストトリック:2011/05/13(金) 19:20:20.53 ID:s7E15I120
第10章『PM11:41』
そこは、あのゴージャスマダムの旦那さんの執務室だった。
珍しいことにリンネは死んでいなかったが、旦那さん―法務大臣が死んでいた。
リンネにジョード生還と脱獄失敗を報告して、
とりあえず大臣の死の4分前に戻る。

【PM11:31 法務大臣執務室】
法務大臣は、執務室で一人書類仕事をしていた。
電話がかかるなり受話器に飛びつき、
「エンマ!君か!?」と奥さんの名前を呼んだ。
だが人違いだったらしく、しかも最悪の用件だったようだ。
非常なショックを受けた様子で受話器を置き、すぐにどこかに電話をかけた。
だが、相手はでなかった。彼は身も世も無く悶え、身をよじり、憤怒と悲嘆にくれた。
そして、胸を押さえて苦しみ始めた。
「ク…クスリ…」机の端のクスリビンを弾いてしまい、ビンは部屋の隅まで転がってしまった。
「ミ…ミズ…」震える手は水差しも掴み損ね、水差しは床に落ちて割れた。
大臣はヒクヒク痙攣していたが、コテンと倒れて静かになった。

「オロカな男だ。ブザマな男と言ってもいいかもしれませんな。」
目を覚ました大臣のタマシイが、今の一幕を冷たく批評した。
気持ちよく忘れているようだが、あれがついさっきまでのアンタなのだが。
とにかく、水だけでも飲ませてやれれば少しはもつだろう。
そうしておいて、クスリビンを机まで届けてやればいい。

電話にとりついて、通話の内容をチェックしておく。
一度目の電話は、なんとあの美女からだった。
「ムスメさんをあずかったわ。ワレワレの要求は、すでに伝えてあるわね。
 今夜中の処刑よ。ワレワレは用心深いの。
 この情報が部屋から外に漏れたら、ムスメさんのイノチは無いわよ。アナタを監視しているわ。」
娘エイミンの誘拐を知らされて、大臣は非常なショックを受けた。
そして急いで妻の家出先に電話をかけたが、妻は出なかった…という訳だ。

発作を起こした大臣が水差しを落としそうになった所で、
机脇の大きな旗をはためかせて水差しを押し戻した。
大臣は水をたっぷり飲み、一息ついた。
これであと数分もちそうだ。その間に、どうにかしてクスリビンを運んでやらねばならない。
天井のファンを回して、飛んだ紙にとりつき、部屋の隅へ移動する。
そこで色々な物で仕掛けを作り、クスリビンを机へ弾き飛ばした。
大臣は薬を呷り、大きな吐息をつくと、立ちあがって晴れやかに歌い出した。
これで、新しい現在が生まれた。
80ゴーストトリック:2011/05/13(金) 19:22:47.72 ID:s7E15I120
新しい現在では、法務大臣をリンネがとっちめていた。
「何の証拠も無い、ただ自白だけの判決だったんですよ!
 アナタも、判決当初は処刑に否定的だった!なのに何故、急に執行書にサインを!?」
とりついていた甲冑の手を振り、リンネに気付いてもらう。
そして、今の質問の答え「あの怪しい二人組に何らかの脅迫をされていて、今夜新たにムスメを誘拐されたから」
という新情報を教える。
大臣も、一度助けてコアがあるので、リンネと主人公の会話が聞こえるのだが、
ユメだと言って信じてくれない。困ったおっさんだ。
小さなレディを見捨てるのは主義に反するし、誘拐事件を解決しなければ大臣の協力は得られまい。
先程かかってきた誘拐犯からの電話の先へ飛ぶ。


第11章『AM12:10』

そこは、デジャヴを催す一室だった。
あの、管理人室地下の部屋にあった仕掛けが、そっくりそのままその部屋にもあったのだ。
佇む美女の元に、小男がトランクをひきずってきた。
「アタクシ、外の空気を吸ってくるわ。見張り、よろしくね。
 トランク、開けておあげなさいな。アタクシ達の大事なお客さまよ。」
「オーライ、ビューティー。アンタの夢でも見てるさ。」
美女は、相当に手強い難敵だが、この小男ははっきり言って抜け作だ。
美女が退場してくれたおかげで仕事がやりやすい。
しかも、警察を振り切るのに疲れていた小男は、トランクを開ける前に居眠りを始めた。

たかが部屋を横切ってトランクを開けるだけのことが、死者には相当難しい。
仕掛けを使ってほとんどピタゴラスイッチの様にトランクに辿りつき、カギを開けた。

ガタンとトランクが開き、ギミックが展開してちょうど座イスのようになった。
そこに座って、本を読んでいるのは…なんと、カノン嬢だった。
法務大臣のムスメは、お隣のエイミンだ。
エイミンとカノンは友達で、部屋に遊びに行く事もあると、8時頃エイミンが母に喋っていた。
これはどうやら、この間抜けな小男が人違いをしたらしい。

小男は間抜けだが紳士で、カノンにジュースや本をくれる。
「汚い部屋でごめんよ、レディ。」
「汚いなんて言っちゃダメ!ここ、カノンのおうちなんだもん。」
「ご、ごめんよレディ!汚いのは、オジさんの心の方だったさ。」
戻って来た美女に、小男がこの取引場所について尋ねるが、
”取引相手の彼”が指定した場所で、5年前からこの家は空き家だ、と美女が答える。

事実が集まる度に、謎は深まっていくばかりだ。そして何よりも衝撃的な事実が一つ。
カノンに、コアがある。
とういうことは、あれからカノンは死んだのだ。
そして誰か他の死者によって蘇った。
81ゲーム好き名無しさん:2011/05/13(金) 19:23:34.48 ID:s7E15I120
とりあえずここまで。また後で来ます。
82ゲーム好き名無しさん:2011/05/13(金) 21:48:00.45 ID:s7E15I120
今夜、主人公以外に動いている、チカラを持った特別な死者…。
気になる存在だが、カノンに話しかけてみると、彼女は死の事を覚えていなかった。
おそらく、タマシイが意識を取り戻す前に助けられたのだろう。
小さなレディに、忌まわしき死の記憶を掘り起こさせるには及ばない。

カノンに、この家のことを尋ねると、5年前まで住んでいた家だと言う。
ママの誕生日、カノンはお留守番中にあの仕掛けを作った。
ママが帰ってきて、電気のスイッチをつけて…そして、銃が暴発し…。
「あんなことになるなんて、信じられない…」
そう、正しく仕掛けが動作すれば何が起こるはずだったのか、主人公も知っている。
パパは、「パパが何とかするから誰にもこの事は言っちゃダメだ。お前は夢を見ていたんだ」
と言って、そしていなくなってしまったらしい。
…パパの名前を尋ねる。「ジョード。パパは刑事だったの…」

カノンは、<アシタール公園>を通ろうとしたところで、誘拐されてしまったらしい。
「おねえちゃんが、ここは怖いことが起こるって言ってたけど…近道だからと思って…」
それでも、攫われる間際、オルゴールを木の茂みに隠したらしい。

その時、美女が急に「場所を変えましょ」と言い出した。
「アタクシ、強いのよ。霊感っていうの。
 聞こえる?誰かさん。今度アナタの気配を感じたら、この子のイノチは無いわ。」
主人公を置いて、美女と小男、再びトランクに囚われたカノンは行ってしまった。
美女は、気配を幽霊だと断定し、しかも警戒している。
もしかして彼らは、死者の<チカラ>を知っているのだろうか…?
83ゴーストトリック:2011/05/13(金) 21:48:52.28 ID:s7E15I120
第12章『AM12:25』

法務大臣室に帰ってみると、リンネが大臣に詰め寄っていた。
しかし大臣は、現実逃避と絶望の間を行ったり来たりしている。
そこに、カバネラがジョードを連行してきた。
繰り広げられた愁嘆場や昔の話が終わるのを待ち、
リンネ、大臣、ジョードのコア持ち3人に、誘拐の人違いを教えた。
カノンが誘拐されたことに、動揺するジョード。
ジョードは5年前の事件を全て自分の罪にし、処刑されることでカノンを救おうとしていた。
しかし、そんなことをして楽になれるのは、ジョード一人だけだ。

カノンが作った仕掛けは、ありえない動きをした箇所が二つあった。
一つは銃。カノンの仕掛けには、銃は含まれていなかった。
もう一つが天使。カノンの設計なら、天使が回転する機能はなかったのだ。
今までは、ジョードはその理由を追求せず、とにかく罪を被る事しか考えていなかった。
しかし今夜、死者の<チカラ>を目にして、新しい可能性が浮上した。
物にとりついて動かし、ありえないように見える事を起こす死者。
そして、カノンを誘拐した連中は、その死者の存在を知っている。
5年前のあの日、あの部屋にはチカラを持った死者がいたのではないか。

「今夜、ムジツを証明しましょう!ジョードさんでもカノンでも無い真犯人を見つけるんです!」
リンネはそう主張した。ジョードは「いいアイディアだ。」と頷いた。
死に魅入られていた刑事さんにも、火が点いたようだ。
ジョードは5年前、自分の銃に偽装工作して提出し、
仕掛けに使われた銃は木箱に隠して、リンネに送ったと言う。オルゴールと偽って。
主人公は、カノンがそれを公園に隠したことを教える。
「私、取ってきます。シセル、誘拐事件の方をお願い!」

法務大臣は主人公の存在を「私の妄想かもしれない」と否定しており、
自分のムスメが誘拐された可能性を排除できない限り、処刑を中止する勇気は出ないようだ。
何度かけても妻は出ない。警告されているので警察に確認させることもできない。
カバネラに意向を問われ、大臣は「速やかに処刑を執行してください」と呻いた。
カバネラは護送車の手配を部下に命じ、腰を下ろした。
「護送車の手配には10分程かかる。今夜の脱獄はミゴトだった。
 また、キセキを見せてくれるのかな?」
いいだろう。死者の<チカラ>で、新たなキセキをお目にかけよう。
84ゴーストトリック:2011/05/13(金) 21:49:49.56 ID:s7E15I120
『第13章 AM0:51』
マダムの家出先へ飛ぶと、小さなレディ・エイミンはベッドにいた。
ちなみに、誘拐判明の時点でここに確認しに来た場合、エイミンはいなかったのだが…
「アタクシの天使ちゃんったら、まさかベッドを抜け出して夜遊びにいくなんてね。」
「パパの誕生日プレゼントを買いに行ってたんだもん。熱が下がってきて動けるようになったから…」
「それで、前より熱があがったというわけ。情熱的な天使ちゃんにカンパイね。」
エイミンは、誕生日の過ぎた大臣に電話をかけたがっている。
心優しきレディだ。そして彼女の願いが叶えば、誘拐疑惑も解決する。
電話はベッドの脇の吊り棚にあるのだが、エイミンは高熱で座った体勢が限界だ。
エイミンが買ったプレゼント、ライターを着火して、
電話のある段の吊り紐を焼き切り、滑り台のようにして電話を枕元に届けた。

喜んで電話をかけようとしたエイミンに、マダムが気付いてしまった。
「エイミン、今夜はダメなのよ。
 パパは、間違ったことをしようとしていて、ママはそれに気付いてほしいだけなの。」
「まちがったことって何!?パパはダイジンなんだよ!
 ママなんか、変な小説書いてるだけじゃない!!」
自分の官能ロマンス小説をバカにされてマダムがキレてしまい、電話は吊り棚のてっぺんに上げられてしまった。
しかも、マダムはこちら向きに座り、エイミンを見はるようになった。
電話の周りにはコアが無く、ライターはさっきの滑り台で床に落ちてしまった。
しかたないので、彼女の元に電話を届けるための策略を仕組んでいく。

まずは、マダムをなんとかしないと電話を届けても意味が無いのだが…
とりあえず色々いじって停電させてみると、
マダムは普段使わないロウソク式のシャンデリアを降ろして火をつけ、もう一度天井まで上げた。
このシャンデリアは巻き取りが少しバカになっていて、
ハンドルを回して降ろす時に、途中から一気に落下してくるという危険な代物。
これを、マダムに落っことせば気絶するのでは…。
マダムが席に戻ろうとした所に、ハンドルを回してシャンデリアを落下させた。
「ちょこざいな。」マダムはマトリクスばりに上体を反らし、シャンデリアを避けた。
手強いマダムだ。しかし負けられない闘いというものがこの世にはある。
息詰まる攻防の末、シャンデリアの輪の中にマダムを捉えることに成功した。

頭をジャストミートとはいかなかったが、
マダムのグラマラスな肢体とシャンデリアの直径はジャスト一致したようだ。
ピッタリはまってしまったマダムごと、シャンデリアを天井に巻き上げておく。
「ちょっと!何がどうなってこうなったのよ!」
ここからエイミンに電話を届けるピタゴラスイッチを組む。
簡単に言うと、マダムのはまってるシャンデリアの炎を、吊り棚てっぺんの紐まで持っていく。
棚は再び滑り台の如く、エイミンへ電話を届けた。

エイミンが電話をすると、大臣は飛びあがって驚き、落ち着きを取り戻した。
「エイミン、パパが悪かったんだよ。
 パパは、アヤマチを犯そうとしていた。でも、もう大丈夫だとママに伝えてくれ。」
85ゴーストトリック:2011/05/13(金) 21:50:26.23 ID:s7E15I120
法務大臣室に帰ってみると、意外にも部屋の空気は暗かった。
ムスメの無事を知った男にしては、法務大臣の心はちっとも軽くなっていないようだ。
主人公が大臣に話しかけると、大臣は主人公に礼を言った。
「あなたは死者なのですね。そして不思議なチカラでワレワレをアヤツル。」
「私の力は、人を操れる程強くはないがな。」
「本当は薄々気づいていたのです。<アヤツル者>の存在に。
 そして、あの刑務所は、<アヤツル者>を研究する為のものだった。
 3人の囚人は全て、犯罪の動機が無く、自力での犯行は不可能だったのです。」

カバネラにも聞こえるように、大臣は口に出して「自らのアヤマチ」を語った。
わが国での、最初の<アヤツル者>の影が見えた事件は、
「最も優秀な刑事が妻を殺した、不可解な密室銃殺事件。」
それを担当したカバネラが初めて、<アヤツル者>の存在を主張した。
それからずっと、カバネラは極秘任務として、不可解なチカラが働いた事件を追い続けてきた。
法務大臣は、ずっと<アヤツル者>の存在に否定的だった。
しかし今から一か月前。身をもってその存在を知ることとなった。
何者かに体を操られ、ジョードの死刑執行書にサインをさせられたのだ。
意思に反して体が動き、抵抗しようとすると、ガクガクと体が震えはするが止められない。
そしてサインをした後は、その時のことをよく思い出せなかった。
だが、カバネラの報告を聞いていた為、<操られていた>ことに気付いたのだ。
しかし、それを口に出すことができなかった。
こんなチカラを認めれば、この国の司法が崩壊する…そう頑迷な観念に囚われていたのだ。
事実から逃げ続け苦しんだ大臣は、妻に苦悩を見抜かれてしまった。
大臣から事の次第を打ち明けられたマダムは怒り、
「今すぐに執行を取り消し、事実を公表しなければ家を出ます!」と宣言した。

ずっと<アヤツル者>の存在を調べてきたカバネラに、大臣がその正体を告げた。
「今夜その正体がわかりました。彼らは死者。<タマシイ>だったのです。」
それを聞いたカバネラは驚き、<急用>の為にその場を走り去った。

主人公の他にも、チカラを持つ死者がいる。それは問題ない。
主人公にも、クネクネした電気スタンドの知り合いがいる。
しかし、この事件にかかわる未知の死者は、<人をアヤツル>のだ。
どうやら死者のチカラは、死者によって違うらしい。

その時、公園に着いたリンネから電話がかかって来た。
「説明しにくい状況なんです。シセル!そこにいたら、こっちに来て!」
お招きに与って、リンネの元へ電話線を飛ぶ。
86ゴーストトリック:2011/05/13(金) 22:09:12.98 ID:s7E15I120
『第15章 AM1:28』
アシタール公園では、リンネがしょんぼりしていた。
どこを探してもオルゴールは見つからず、代わりにとんでもない物を見つけたと言う。
示された先には、紡錘型の大きな石のオブジェが突っ立っていた。
よく見ると、その下で誰か死んでいる。
8時過ぎに、張り込み中のリンジュー刑事を困らせてた、変な男だ。
話しかけてみると、タマシイは起きていた。
「公園の宅地化断固反対!公園を守れ!神のイシを知れ!!」
鬱陶しいが、見つけてしまった以上、助けない訳にもいかない。
その死の4分前へ戻ってみる。

【PM8:35 アシタール公園】
変な男は、張り込み中のリンジュー刑事にビラを押し付けていたが、リンジューがトイレに行ってしまう。
その時、公園の逆の隅から悲鳴が聞こえてきた。
「むっ!今いくぞ!」
園内を知り尽くした動きで公園を横切る。
そして、そこにある茂みから、向こうの噴水広場を覗きこんだ。
そこには、カノンがいた。
あの小男が美女へ通信機で報告し、カノンを抱き寄せてさらおうとする。
カノンはとっさに、後ろ手に茂みへオルゴールを押しこんだ。
そのオルゴールを、茂みの向こうにいた変な男が受け取る形になった。
そしてカノンは、小男を思いっきり突き飛ばした。
小男は転んで、後ろにあったレバーに縋りついた。
そのレバーは、調整中だった噴水のオブジェを、持ちあげて空中で固定しているクレーンのものだった。
小男がレバーを押してしまったことで、紡錘型の大きな石のオブジェはクレーンから解き放たれた。
オブジェが、真下にいるカノンに向けて落下を始めた瞬間。
オブジェが斜め上にスライドした。
スライドとしか言い様の無い、不可解な動きだった。
一瞬で、右斜め上に移動したのだ。
そしてオブジェは、真下にいた変な男の上に落下した。

明らかに、何か不可思議なチカラがオブジェを動かしたのだ。
主人公もある程度物を操れるが、あんな重量のある物を空中で持ち上げることなど、とても出来ない。
主人公よりも強大な力を持つ死者が、この出来ごとに関わっているのか。

暗く沈んだ死者の世界、今、死体があった位置に宿る青い炎が主人公。
そして、少し離れた捨てタイヤにも、燃える炎があった。
恐る恐る、話しかけてみる。
「ああああッ!!!!シセルさんッ!!!!!」
恐ろしく元気に返事を返してくれたのは…
黒くつぶらな瞳の、愛くるしいポメラニアンだった。
「見ましたかッ!?見てくれましたかッ!?
 やりましたともッ!ボク、カノン様のためにやってやりましたともッ!!」
なんと、あの物体移動を行ったのは、小さなサムライ<ミサイル>君だった。
87ゴーストトリック:2011/05/13(金) 22:15:12.45 ID:s7E15I120
ミサイルはあの後、扉に体当たりを続け、
何度目かに偶然ドアノブにひっかかり、外に出ることが出来た。
そして、カノンの臭いを追って、この公園の前まで来た。
カノンは公園に入って歩いていく所だった。
喜び、カノンに追いつこうとした時、後ろから来たスクーター―あの小男の愛機―がミサイルをはね飛ばした。
ミサイルは宙を舞い、公園入口のクレーターを転がり落ち、絶命した。

彼のタマシイが目を覚ました時には…
目の前には、咽び泣く小男と、大きな石の塊に押し潰されたカノンがいた。
「カノン様!!!!!!」
愛しい主人のナキガラを目にした時、世界が一変した。
暗く沈んだ死者の世界、静止した森羅万象。
そして、鮮やかに燃える己のタマシイの炎、あちらこちらに灯るコアの光。

ミサイルは、主人公が助けてくれた時の事を思い出し、
自分の死者のチカラで、カノンを救った。
あのオブジェ―変な男のタマシイが言うには公園のシンボル”ミノくん”が、
カノンに向けて落下した時、ミサイルはミノくんにとりついた。
ミサイルは、<トリツク>の射程距離が主人公より遥かに長く、2m程先の物にとりつける。
だが、ミサイルには<アヤツル>ができなかった。
困って、一番近くにあったコア、右斜め上の木に残る葉のコアに射程を伸ばした。
すると、その二つの位置が、入れ替わったのだ。
ミノくんと木の葉は、平面的に見ると同じ紡錘形。
ミサイルは、視界の中で形が相似した二つの物の位置を、<トリカエ>る事ができるのだ。

ただ、その真下にいた変な男がとばっちりを食ってしまった。
実はミサイルは、葉の更に先に、もう一つ紡錘形があるのに気付いていた。
離れた所にある木の枝に、ラグビーボールがひっかかっているのだ。
でも、ミサイルの射程でもそのコアには届かず、変な男が犠牲になってしまった。
「変えられるさ。私とアンタ、二人の力を合わせればな。」
もう一度、ミサイルと二人で、<アヤツル>と<トリカエ>を駆使してこの死に挑む。

二人の力を使ってラグビーボールを枝から落とすと、
ラグビーボールははねて、変な男の脇の、ドラム缶に盛られたゴミに乗っかった。
そしてミノくんとラグビーボールをトリカエた。
ドラム缶はひしゃげたが、ミノ君を絶妙なバランスで支える台座となった。

これで一つのイノチを救うことが出来た。
あとは、ミサイルのイノチだが…、ミサイルはしばらく死んでいたいと申し出た。
カノンを守る為に、このチカラを持っていたいと言うのだ。
本犬の意志を尊重し、新しい現在に戻って、オルゴールを変な男からリンネに渡してもらう。
ミサイルも一緒にリンネに話しかけ、今死んでいることを教える。
リンネのつまんだ木の葉にミサイルはとりついていたのだが…
強風が吹いて、リンネがその葉を放してしまった。
ミサイルは風に乗ってどこかへ飛ばされていってしまった。
88ゴーストトリック:2011/05/13(金) 22:44:44.13 ID:s7E15I120
変な男がリンネにオルゴールを渡し、リンネの顔を凝視する。
「アナタは、あの時のおじょうさんでは…?そう、10年前の…。」
そう言われて、リンネは言葉を失う。

男は、二人に公園入口のクレーターと石碑を見せた。
クレーターの底には、今はミサイルの死体が倒れている。抱き上げるリンネ。
石碑には、「神の石 アシタール公園」と書かれている。
変な男が固執していたのは、神の意志ではなく、神の石だったのだ。
男は10年前、この公園を通りかかった時、リンネが人質に取られたのを見た。
犯人は背中を向けていたが、抱えられたリンネはよく見えた。
茂みの間からハラハラしながら見ていて、今にもリンネが撃たれそうに見えた時。
空が青白く光り、隕石が公園の入り口に激突した。
石は、地面にめりこむ時に、美しい欠片をまき散らした。
その内の一つが、誘拐犯の背中に突き刺さったのを、男ははっきり見たのだった。
「あの日、この公園で神の審判が行われたのです!!」
“助けてくれたのは、そう、神様だな。”ジョードの言葉の真の意味はこの事だったのだ。
隕石は<アシタール>と名付けられ、今もこのクレーターの下に埋まっている。
変な男は、あの日見たキセキが忘れられず、公園が宅地化されると聞いて反対運動を行っているのだ。

リンネは、この事件を忘れる為、公園を2度と通らず、関連のニュースも見なかった。
だから、アシタールの事は知らなかった。
だが、ジョードは目の前で見ていたのだから、何が犯人のイノチを奪ったのか知っていたはずだ。

法務大臣室にリンネと共に戻る。
まずはオルゴールから銃を出して法務大臣に提出する。
銃には仕掛けに使われた証拠の焦げ跡があり、調べれば家の壁の焦げ跡と一致するだろう。
新たな証拠の提出で、正式に処刑は中止された。
この世に<アヤツル者>が暗躍している事が、認められた瞬間でもあった。
「私も、そうだったのかな…?」
リンネが主人公を撃った時、リンネもまたガクガクとぎこちない動きをしていた。
そして、その記憶が抜け落ちている。リンネは主人公を、撃たされたのかもしれない。

ジョードに、「俺は人殺しだ」という言葉の真意を尋ねる。
10年前のあの日、取り調べ中の容疑者が、警察署内から逃げ出した。
それを公園に追い詰めたのが、ジョードだった。
ジョードは若く、未熟な正義を振りかざす半人前の刑事だった。
軽率な威嚇射撃で、脅えた容疑者を追い詰め、あんな行動に走らせた。
そして、あと1秒でも隕石が遅ければ、人質のキケンを顧みずに容疑者を射殺していた。
だから自分が撃ったも同じなのだと、ジョードは独白する。
収監されてからジョードは、忘れたくない人たちの顔を描いて暮らしていた。
そして、最後の一枚を今日書きあげたのだ。あの日の”容疑者”の顔を。
89ゴーストトリック:2011/05/13(金) 23:07:12.85 ID:s7E15I120
「待ってくれ、そんなバカな!私が10年前のハンニンだとでもいうのか!?」
「ああ、10年前に俺が見たのはキミの顔だよ。10年前俺が殺し、死亡を確認した男の顔だ。
 でも、10年前の容疑者の名前は、<シセル>じゃなかった。
 今夜キミが現れてからずっと、俺はキミはダレなのかと考えていたよ。」

その時、電話が鳴った。カバネラ警部からだった。
「ジョード元刑事の今夜中の処刑を要求する。
 人質が誰であろうと、要求が呑まれなかった場合、人質が死ぬのには変わりない。」

10年前飛来した神のイシは、幾多の人間の人生を狂わせた。
その連鎖はまだ終わっていない。
謎が謎を呼び、そして最大の謎が現れた。
私は一体、何者だったのだ?私は、ダレだ…?


第15章『AM2:55』
カバネラの真意を質すべく飛んだ電話の先で、主人公は完全に自分を見失った。
目の前では、主人公が今カバネラを撃ち殺し終わった所だった。
そこは、ゴミ捨て場の管理人室だった。
主人公と思しき人物は、あの軍服の老人に電話をかけた。
老人が彼に待ち合わせを指定する。
「シセル君、電話での連絡は最後だ。あと1時間でそちらに付く。
 会えるのを楽しみにしているよ。」
軍服の老人達がいる部屋は、引きで見ると、大きな潜水艦の中の一室だった。
ケーブルから離脱し、水面へ向かって浮上していく。
“シセル”は、キザな仕草でカバネラの死体に別れを告げ、管理人室を出て行った。

何が起きたのか知るのが怖いが…カバネラ警部死亡の4分前に戻ってみる。

【AM2:50 管理棟管理人室】
カバネラ警部は、痛めつけられ骨折を負っているようだ。
シセルに脅され、ジョードの処刑を要求する電話をかけさせられた。
シセルの動機は、復讐だという。
リンネの体を乗っ取り、自分のヌケガラを撃たせて殺人犯に仕立てて殺し
ジョードを死刑囚として処刑し、カバネラもここで脅迫を犯させて今から殺す。
あの日自分を追い詰めたジョード、目の前に現れた少女リンネ、そして少女に銃を向けるきっかけを作ったカバネラ。
自分を死に追いやった3人に、復讐しようとしているのだ。
「キミに話すことは無いよ。めんどくさいんでね。」
カバネラは、懐から銃を取り出してシセルを撃った。
シセルはキャスター付き脚立に倒れ込み、床を滑って…、またキャスターが転がって戻って来た。
そして、なんでもなかったように立ち上がった。
「そんな…お前は一体…?」
電気スタンドが素早く回転し、カバネラの銃は弾き飛ばされた。
それを受け止めたシセルは、カバネラを撃った…。
90ゴーストトリック:2011/05/13(金) 23:08:18.40 ID:s7E15I120
もう、受け入れるしかないだろう。
私は、この男<シセル>のタマシイではない。
全く未知の何者かなのだ。

目を覚ましたカバネラのタマシイに指摘されたが、
シセルに主人公の存在を気づかれたら厄介なことになるだろう。
ひとまず、カバネラのタマシイを連れて床を抜け、地下室に移動した。
そこにはもう、あの仕掛けは無かった。
一面瓦礫の山で、何もかもが破壊されつくしていたのだ。
「ここには、この国にとって重大なイノチが埋まっている」とカバネラが言う。
その時、ハトが一羽瓦礫の上に舞い降りた。
管理人のおじいさんに乗っていた、管理人さんと一心同体のハトだ。
ハトの乗った瓦礫の下には、管理人さんが埋まっていた。

カバネラは、管理人さんを<先生>と呼んだ。
先生のタマシイは、記憶を完全に取り戻していた。
先生も連れて、更にその死の4分前へ戻る。

【AM2:42 管理棟地下室】
先生は、テーブルの上にシセルの死体を寝かせ、
何か探知機の様なもので丹念に調べていた。
「こやつは確かに死んでいる。しかしここに反応がある。これがチカラの源なのだ。」
「先生、そいつは死んでるんじゃない!今そこにいないんだ!
 奴らの正体は、<タマシイ>なんだよ!」とカバネラが先生を外に連れ出そうとする。
「クックック…よくそこまでたどりついたな。
 カバネラ警部、あんたのおかげで今夜はずいぶん時間をムダにしたよ」
シセルは起き上り、床に降り立った。
今夜、シセルはこの国を去る。その前に、このチカラを知る全ての人間を葬っていきたいのだと言う。
「死んでもらうよ、先生。」
シセルは、天使のしかけを作動させる。
天使がテーブルに火矢を撃つ。カバネラが飛び出そうとしたが間一髪遅く、
シセルによって仕込まれていたダイナマイトが爆発した。
先生は死に、カバネラは重傷を負った。
91ゴーストトリック:2011/05/13(金) 23:09:49.24 ID:s7E15I120
シセルは、自分を知る人物全てを葬った後、
取引とやらをして、あの老人達の国へ渡るつもりだ。
今夜ゴミ捨て場を捜査していたあの監察医が、シセル側の回し者で、
ラボに搬送するフリをして、シセルのヌケガラを回収するはずだった。
それを見抜いたカバネラは医者を買収し、この地下室にヌケガラを運び込んだ。
しかし、先生ともども殺されてしまったわけだ。
明け方には、シセルはこの地を離れてしまう。それを追う前に、二人を助けよう。

しかし、やり直しの4分に、何の手立ても見つからない。
あまりにも操れるコアが少なく、しかも距離が開きすぎてとりつけないのだ。
それに、爆死を回避したとしても、シセルに他の方法で葬られるだけ。
だから爆発の最中に、シセルに気付かれず助けたい。
先生の踏んでいる地下道へのハッチ。これを爆発寸前に開ければいいのだが、
惜しいことに、これは上開きの扉なので、先生の体重がジャマで開けられない。
何も出来ずに4分が立とうとした時。
「…シセルさーーん……」
どこからか叫び声が聞こえてきた。
「どこかに彼がいる!」儚げな見た目とは裏腹に、強力な彼が。
地下道の脇を流れる、下水水路。そこを、一枚の葉が流れてきた。
「シセルさんッ!今、そちらに行きますとも!」
彼の持つ、ケタ違いの射程距離。地下水路から一息で、ミサイルはこちらに上って来た。

爆発までは、もう数秒だ。
主人公は地下通路のゴミバケツのフタに目を付けた。
あれは、ちょうど床のハッチと同じ形だ。
もう少し近くに寄せて、あれをハッチとトリカエできたなら…
フタを一度落として、視界の中で円の形にし、タイヤとトリカエして招き寄せて寝かせ、
床のハッチとフタをトリカエした。
間一髪、爆発の瞬間に先生は地下通路へ落っこちた。

これで、シセルに気づかれずに先生を助けることが出来た。
次は、今頃上に連れていかれているカバネラを助ける番だ。
また、シセルに気付かれずにカバネラを助けなければならない。
シセルに見つからず動き、発砲を止めずに、カバネラが死なないようにするのだ。
「ピストルって言ったら、いっつも不思議に思ってたんですけど、
 どうして人間って、あの大きな音がしたら死んじゃうんですか?」
「えっ!?それは…(…なんでだっけ…?)」
記憶喪失と犬の危なっかしい会話に、意識を介して先生が突っ込んでくれる。
「弾が出とるんじゃよ。それに当たると死んでしまうんじゃ。」
だったら、弾と何かをトリカエてしまえばいいのだ。

力を合わせて、シセルの死角を突きながら、ニットキャップを運んできて、
金具にひっかけて、視界の中で半円形になるようにする。
そして弾が発射された瞬間。
素晴らしい瞬発力で時を止めたミサイルは、弾とニットキャップをトリカエた。
ニットキャップを顔面に食らったカバネラはもんどりうって倒れ、
シセルは気付かずに電話をかけ始めた。
92ゴーストトリック:2011/05/13(金) 23:11:50.51 ID:s7E15I120
これで、二人をシセルに気づかれずに助けることが出来た。
新たな現在へ帰る。
主人公は、自分を追う為に。ミサイルは、カノンを守る為に。
ここを去る前に、カバネラと先生に話を聞いておく。

「少女に銃を向けるきっかけを作ったのはカバネラ」というシセルの主張は正しいらしい。
ある重大事件を追っている時、シセルを容疑者として尋問したのがカバネラだった。
カバネラは、特別捜査班に配属されたばかりで、功を焦っていた。
下っぱとして、シセルに下調べの質問をしておくように命じられたに関わらず、
シセルを大袈裟な言葉で追い詰めてしまった。許されないレベル、<絶望>まで。
「本当に、何にも知らないんです!信じてください刑事さん!」
「吐いてしまった方が身のためだよ。キミの一生くらい、特別捜査班の力でなんとでもできるんだ。」
そして、マヌケにも自分の銃をその場に忘れたまま退席してしまったのだ。

あの事件の数年後、外国との通信を監視している部署から報告があった。
何者かがある国に向かい、「自分のチカラを、自分ごと買い取って欲しい」という発信をしたのだ。
そして、チカラの証明として、2つの事件を予言した。
「国家機密を歌い上げるロックシンガー」「警察トップを人質に立てこもる男」

シセルが隕石によってイノチを落した時、検死に当たったのが、当時監察医だった先生だった。
シセルを解剖する事は出来なかった。
メスで切った瞬間、傷が治ってしまったのだそうだ。それでいてシセルは確かに死んでいた。
その後、シセルの死体は安置所からコツゼンと姿を消した。
まるで、内側からロックを開けたかのように…。
それ以来、先生はその謎を追い続けてきたのだ。
地下室の仕掛けも、謎のチカラの痕跡を感じ謎を解き明かそうと再現したものだった。

シセルのチカラの源は、隕石アシタールが体内に残っているからだと仮説が立てられている。
シセルは、今頃敵国の潜水艦に乗り込むところだろう。
このチカラが国家レベルで悪用されれば、とんでもない事になる。

ジョードとリンネがこちらへ合流し、
敵国の潜水艦の浮上ポイントを探しにまた飛び出して行った。
カバネラがシセルに撃ちこんだ弾には、電波発信機が仕込まれていたのだ。
潜水艦がケーブルを一度離脱した為、電話番号が変わってしまい主人公は移動できない。
仲間が潜水艦内から道を届けてくれることを信じて待つしかない。
93ゴーストトリック:2011/05/13(金) 23:14:27.09 ID:s7E15I120
第16章 『AM4:19』
2時間後、ジョードから短い着信があった。
その電話の向こうへ飛ぶと、そこはあの老人達のいた小部屋だった。
部屋は無人と見えたが、突然電話が床に収納され、モニターが灯った。
「ここまで辿りつくとは、さすがだな、ジョード君。」
モニタには、軍服の老人が映っていた。
機械仕掛けで、イスがクルリと回る。そこに座っていたのはシセルだった。
「今はヌケガラだよ。タマシイは、今頃キミのムスメを操っているんじゃろう。
 シセル君も甘いな。大事な取引材料をほったらかしていくとは。」
壁から出たアームが、シセルの死体に突き刺さり、隕石の欠片を抜き取った。
シセルのチカラの正体を、敵国は調べ上げていたのだ。
「これで、こちらとしては取引完了だ。さらばだ、ジョード君。」
ジョードのいる部屋自体が潜水艦からポッドとして分離され、ジェットを噴射して海面へ消えていった。
そして、潜水艦本体は、どこかから不気味な爆発音が響き揺れ始めた。

格納された電話にいた主人公とミサイルは、潜水艦本体に残された。
鳴りだした内線電話にトリツクと、それはカノンからのSOSだった。
飛んでみると、カノンは機関室の片隅にうずくまっていた。
下の階段まで浸水していて、そこにリンネが俯けに浮かんでいた。
トランクの中でカノンが目を覚ますと、そこはもう潜水艦の中だったらしい
逃げまどう内に、疲れて動けなくなり、リンネと再会できた安堵で失神してしまった。
気がつけば、目の前でリンネが死んでいたらしい。
小さなレディは、消耗しきっている。
ミサイルは彼女のサムライだ。4分前には連れて行かず、カノンの傍に置いていく。
リンネのタマシイと二人で、死の4分前へ。

【AM4:22潜水艦ヨノア号貨物庫】
4分前のリンネは、失神したカノンを台車に寝かせていた。
目を覚ましたカノンは、台車の下の段から長銃を取り出して、リンネに突きつけた。
「自己紹介の必要はなさそうだな?」
シセルのタマシイがカノンを操っているらしい。
ジョードの処刑が中止されたのを察知し、
娘を助けに来るジョードを、娘に殺させようとしているのだ。
カノンの後ろで、電話が鳴り始めた。
シセルはそれに出ようとしない。
電話が鳴りやむと、爆発音が響いてきた。
「謀られたか?」シセルは去り、カノンが崩れ落ちる。
そして、リンネを爆発が襲った。
94ゴーストトリック:2011/05/13(金) 23:15:08.26 ID:s7E15I120
この爆発を止めないとリンネが死んでしまうので、
4分を巻き戻して、鳴っている電話の向こうへ行ってみよう。
巻き戻しの4分では、通話状態の電話しか移動できないので、
適当に物をぶつけて受話器を外し、向こうへ飛ぶ。
電話の向こうには、若い兵士がいた。
乗組員が艦内に残ってないか、確認の電話をかけているらしい。
その上のフロアで、今まさにシセルの体から隕石が抜き出されていた。
その隕石にとりつき、行方を追ってみる。
軍服の老人の元へ運ばれた隕石は、彼の胸元へしまいこまれた。
そして、老人は脱出ポッドに乗り込み、潜水艦を後にした。
「このヨノア号は、君の為のカンオケなのだよ。
 永遠に眠りたまえ、シセルくん。」
主人公は隕石を離れ、潜水艦から撃ち出された魚雷にとりついた。
これが、Uターンして潜水艦に着弾する事で爆発が起こるらしい。

内部の仕組みをリンネがマンガからの知識で知っており、
なんとか安全装置を作動させた。
これで起爆はしない。命中は避けられないが。
不発弾となって潜水艦に打ち込まれた魚雷から、また貨物庫に戻って来た。
リンネのタマシイも、新しい現在に戻っていく。

新しい現在で、リンネはカノンを背負い、懐中電灯に主人公をとりつかせて、
じわじわと浸水していく潜水艦の中を登っていく。
途中、潜水艦が傾いて直立してしまい、カノンをおぶって進むのが困難になる。
ミサイルと力を合わせ、足を使って登れる道を作っていく。

90°傾いた船を登り、扉まで辿りついたが、
ハンドルが固くて開けられない。
水が迫り、絶体絶命のその時。
勝手にハンドルが回って扉が開き、巨大なUFOキャッチャーのクレーンのようなものが、
リンネとカノンを掴んで引き上げ、扉が閉まった。
一人と一匹のタマシイも、扉を越えて、二人を追っていく。

第17章【AM5:10】
そこにいたのは、何とも言えない代物だった。
消化器、ボトル、歯車、クレーンの先端、色々な物が合体し、蛇の様な形をしている。
それは一度崩れ落ち、もう一度宙で再構築された。
どうやら成人男性の様な形になったそれは、見覚えのあるキザな仕草で挨拶をよこした。
「カラダを失くしちまってな。こんな格好で失礼するぜ。」

この潜水艦は、動力を失くし、穴を穿たれ、
ゆっくりと海底に向かって沈んでいっている。
大きな棺桶。闇へ向かう死の航海だ。為す術は無い。
それに毒気を抜かれてか、シセルから憎悪は消えているようだった。
95ゴーストトリック:2011/05/13(金) 23:17:56.35 ID:s7E15I120
とりあえずここまでです。
96ゴーストトリック:2011/05/13(金) 23:50:59.65 ID:s7E15I120
シセルは、リンネ達を助ける主人公の存在に気付いていた。
主人公は、仮にシセルの姿を借りたままだったが、とうとう炎の形に戻る。
「私は、もうこの男の、シセルの姿のままではいられない。
 教えてくれ、アンタは一体?」
「シセル?…それは俺の名前じゃないぜ。
 もうすぐお前は思い出すだろう。お前の事も、俺の事も。」

シセル(仮)に、<死者のチカラ>について話を聞く。
シセルはこの10年、先生の研究を見続け、自分なりの解釈をしてきた。
死者の力は個体差があり、そして時間と共に変化する。
シセルは、最初はイノチある小さな物しか動かせなかったが、
今では無機物有機物に限らず、かなりの物を自在に操ることが出来る。
このチカラを得る条件は一つ。
「隕石アシタールの放射線を浴びながら死ぬこと。」
シセルは、隕石の欠片に心臓を貫かれて、
ミサイルは、隕石の埋まるクレーターの底で死んだ。
ならば、主人公も、隕石の傍で死んだのだろうか?
そして、クネリは「タマシイは一晩で消滅する」と言っていた。
しかしシセル(仮)のタマシイは10年存在し続けている。
クネリはウソをついたのだろうか。

シセルは更に、自身のカラダが腐らない理由も分析していた。
隕石アシタールには、<死>の瞬間を再生しようとする機能がある。
体内にアシタールを抱えて死んだシセルは、矛盾した存在になった。
シセルの体は、死の瞬間が、瞬間的に、永遠に繰り返されている。
死の瞬間から、時間が止まっているのだ。
シセルは復讐と、新しい生活の為にこの取引を計画した。
しかし、連中の目的は、アシタールを知る全ての者―シセルも含めて
を始末して、シセルの体内のアシタールを回収する事だった。

シセルが、リンネに取りついて自分の体を撃たせようとした時。
リンネの意志の力は、強硬に抵抗した。
初めてシセルは人を操り切れず、一発目は狙いが逸れてしまった。
二発目でなんとか命中させ、それを監視カメラで撮らせるまでがシセルの計画。
しかし、現れた黒服に、取引国がもっとシンプルに関係者を消そうとしているのを知った。
その直後、遮断機がバーを跳ねあげ、一夜の物語が始まった。

そのフィナーレが、深海へ沈み続けていく潜水艦なのか。
ゆっくりと海底へ向け降下して行く潜水艦は、やがて水圧で押し潰される。
それを避ける術はもうない。
「この10年のあなたの気持、今ならわかる気がする。」
リンネがぽつりと呟いた。
タマシイだけの存在になり、生者の世界と切り離された、孤独な10年間。
「潜水艦の中で一人、音もない暗い海の底に、沈み続けていくような気持だったんだろうなって。」
シセルの長い孤独の為に、リンネは涙を零した。
97ゴーストトリック:2011/05/13(金) 23:51:36.31 ID:s7E15I120
「パパなら、助けてくれるよ。」
目を覚ましたカノンが言う。
そういえば、ジョードとシセル(仮)のカラダは、海上へ射出されたのだ。
そして、そのシセルのカラダには、電波発信機が埋め込まれている。
リンネがその受信機を持っていた。これで正確な位置が座標で分かる。
ジョードの元へ、浮上する手段。
格納庫に納められた魚雷がまだ数発残っている。

タマシイ達が魚雷に取りつき、
リンネが魚雷がジョード達の乗っているポッドとすれ違うように座標を指定して発射する。
手立てが見つからなければ、リンネ達には二度と会う事は無い。
リンネは主人公に向けて呟く。
「結局、アナタが誰なのか分からないままだったね。
 でもそんなの関係ない。今夜アナタに会えて、本当によかった。
 これから何が起こったとしても、アナタのことは忘れない。
 …頼んだわよ、相棒!!」

海を貫いて魚雷は、ほんの十数秒でジョード達のポッドとすれ違った。
飛び移った主人公達は、ジョードの死体を発見した。
何が起こったか知らないが、とりあえずタマシイに話しかける。
ついてきていたシセル(仮)のタマシイと邂逅したジョードは、
「君は…ヨミエルなのか?」と呟いた。
「覚えていたみたいだな、刑事さん。」
ヨミエル、それがこの男の本当の名前。シセルは取引に使った仮名だという。

ヨミエルは、非常に優秀なシステムエンジニアだった。
功績を認められ、若くして国から要請されプロジェクトに参加する事になった。
国の機密を守るプロテクトの強化再構築。
しかし、そのプロジェクトの中に他国のスパイが潜り込んでいた。
ヨミエルは、情報を流出させた容疑者として尋問を受け、あの顛末となった。
彼の死から半年後、無実が証明された。
肉体とタマシイが切り離され、公的に死亡したヨミエルを待っていたのは、圧倒的な孤独と絶望。
「大切な存在を失う絶望を、お前たちも味わうべきだと思った。」
ヨミエルの独白に水を指すのは控えたが、大切な存在とは何だろう?

ヨミエルは、10年かけてこの計画を思いつき、実行に移した。
取引の内容は、このチカラと引き換えに、
復讐を手伝う事と、
ヨミエルに新しい人生を用意する事。
ヨミエルのタマシイの受け皿となる人間を用意し、
その人間にとりついて、家族を作り、年を取って、家族にみとられて死ぬ。
しかしその願いは、取引国の裏切りによって断たれた。

アシタールの存在は、先生によってこの国の政府にも既に報告されている。
政府の対応は、敵国に比べ理性的で平和的な物だった。
あの公園を武装したエージェントに監視させ、
そして宅地化で公園を取りつぶし、他国からアシタールを守るという物。
だから敵国にとっては、ヨミエルの体内のアシタールが、最後の望みだったのだ。
98ゴーストトリック:2011/05/13(金) 23:54:59.85 ID:s7E15I120
結果アシタールの回収に成功。関係者一同は海の底へ。
自動操作の銃で撃たれてジョードは死に、このポッドも燃料が尽きて海底へに沈み始めている。
敵国の大勝利と言ったところか。
…しかし、同じようにジョードも沈めるつもりなら、
このポッドがわざわざ分離されたことには意味がある。
この中に、敵国がヨミエルや他者のタマシイから遠ざけておきたかった何かがあるのだ。
何も無い小部屋。あるのは二つの死体だけ。
そう、ヨミエルの体もアシタールを失い、ただの死体になった。
このどうにもならない状況を逆転する可能性。
主人公、ミサイル、ジョード、ヨミエル、4人全員のタマシイがヨミエルの死体にとりつき、主人公は死者のチカラを使った。
10年前、全ての始まり。その死の、4分前へ。

【最終章】
10年前の、アシタール公園。
幼いリンネが一人、落ち葉でイモを焼いている。
半分に割った焼きイモを、棒に刺して持ち上げたところで、
駆けてきたヨミエルがリンネを人質にとり、ジョードがそれに銃を向けた。
ジョードの足もとに、子猫が一匹近づいてきた。
「なんだコネコくん、そんなところにいるとケガするぞ。」
その時、空から隕石アシタールが飛来した。
アシタールから飛び散った欠片の一つが、
紡錘形の街燈を割り、そのままヨミエルの背中を直撃した。

この隕石を止めることは不可能だろう。
しかし、その欠片からヨミエルを守ることはできる。
詳細は省くが、ミサイルと力を合わせて、
隕石の欠片が割る街燈のランプと、おなじみの巨石ミノくんを、タイミングよくとりかえた。
隕石は、ミノ君をかすって軌道の角度を変え、ヨミエルを外れた。
しかしその先には、ジョード刑事がいた。
隕石は、ジョード刑事のひざを撃ち抜いた。
その衝撃で、ジョードは引き金を引いてしまった。
「…やはりこれが運命だったのか…」ジョードのタマシイが呻く。
「そうはさせませんッ!!!」
時が止まり、暗く沈んだ死者の世界。
ミサイルのタマシイが、名前の通り闇を切り裂いて飛んでくる。
圧倒的射程で弾へとりついたミサイルは、同じ半円形の物、
リンネの焼いた半割れの焼き芋ととりかえた。
99ゴーストトリック:2011/05/14(土) 00:10:17.84 ID:zcMOyFXd0
高速焼き芋を喰らったヨミエルは後ろに吹っ飛び、
街燈のでっぱりが背中につきささり失神した。
背中に何か刺さる運命だけは変わらなかったようだが、軽傷だ。
しかし…その衝撃で、街燈の上で辛うじてバランスを保っていたミノくんがグラリと揺れた。
ミノ君は、ゆっくりと傾ぎ、倒れたリンネの上へ倒れていく。
ジョードは足を負傷し動けない。
主人公が同じ紡錘形の電球を、街燈上に届けることは成功したが、
ミサイルがそれとミノくんをとりかえても、数秒後にはミノくんはまた落ちてくる。
「いいや、その数秒が欲しかったのさ。」
ヨミエルのタマシイが、物を伝い自分の体へとりついた。
彼の一番得意なチカラは、命ある者をあやつること。
ヨミエルの体は起き上り、倒れたリンネを抱き上げ、ジョードへ放り投げた。
そして、ヨミエルの足の上に、ミノ君が落下した。
復讐に燃えていたヨミエルのタマシイの意外な行動に、一同のタマシイは驚く。
「あの娘は、オレの10年の為に涙を流してくれた。
 オレの10年は、あの時救われたのさ…。」

「おじさんが助けてくれたの?」
「おじさんは仕事をしただけだ。…助けてくれたのは、そう、神様だな。」
「おじさん、おひざ大丈夫?」
「大丈夫だ。派手にかすっただけさ。
 警察を呼んでくれるかな?おじさんより、君の方が早く呼べそうだ。」

ジョードが、ヨミエルに声をかける。彼も生きていた。
「体が勝手に動いたんだ。誰かに操られたみたいに。
 でも、勝手に動いてよかったよ…。」
歩きだしていたリンネが、ジョードの後ろの茂みから何かを抱き上げた。
先程ジョードの足元にいた黒い子猫だった。
「おじさん、このネコちゃん、元気ないの。」
「さっきの子猫ちゃんか。怪我もしていないようだし、大丈夫だろう。
 ネコくん、君、うちに来るか?」
子猫は、ジョードに引き取られることになったようだ。

ヨミエルのタマシイが言う。
「これでアイツの運命も大きく変わったな。
 …あのクロネコさ。名前は“シセル”。」
シセル。心を揺さぶる名前。私の名前。
「この10年間、孤独な俺の友は、お前だけだった。
 …まだ思い出さないのか?相棒。」
100ゴーストトリック:2011/05/14(土) 00:10:56.38 ID:zcMOyFXd0
孤独な男に寄り添った、一匹の猫。
主人公のタマシイは、赤いスカーフを巻いた黒ネコに変化した。
「どうやら、ようやく思い出したようだ…。」
10年前、主人公はよるべない小さな捨て猫だった。
一人ぼっちで、寒空をさまよい、救いの手を求めていた。
誰か、ボクを見て…手を差し伸べて…
生還劇の只中にいた刑事と女の子は、ちっぽけなネコなど見てはいなかった。
死んだ男に、子猫はそれと知らずすりよった。
その時ヨミエルは、タマシイの記憶を失い混乱したまま、子猫に手を伸ばした。
するとヨミエルのタマシイは子猫の中に移動し、
その後しばらく、ヨミエルと主人公は一つの体の中でネコとして生きた。
やがて記憶を取り戻したヨミエルは、自分の体を警察から取り戻した。
どうしても会いに行きたい人がいたから。
しかし、その人はすれちがうようにこの世を後にしていた。
「ヨミエルに会いに行きます」と書き残して。

ヨミエルは主人公に、<シセル>と名付けた。
彼がイノチと一緒に失った、大切な何かの名前。
<フィアンセ>という言葉の意味を、猫である主人公は知ることは無かったが。
そして、時は流れた。主人公にとっては幸せな10年間だった。
しかし、ヨミエルにとってはそうでなかった。
孤独と絶望はヨミエルの心を蝕み、同時に時を経てチカラは強まっていった。
主人公は傍らで、それを見ていることしかできなかった。
人を自在に操れるようになり、ヨミエルは計画を実行した。

一緒に新しい国へ連れて行くため、ヨミエルはバスケットに主人公シセルを入れていた。
リンネに自分の体を撃たせた後、
すぐに死体が動けば騒ぎになるので、ひとまず相棒の体にとりつき動き回るつもりだった。
しかし。バスケットの中のシセルにとりついたヨミエルは愕然とした。
一発目の逸れた弾に当たって、シセルは死んでいたのだ。
現場から立ち去った黒ネコは、シセルのナキガラをあやつったヨミエルだった。

主人公は、ヨミエルの中の隕石のオーラを浴びながら死んだ。
そして、なじみ深いヨミエルの死体を自分と取り違え、今に至った。
「何故、計画の邪魔になる私を止めなかった?」
「そもそも止めようがなかったのさ。チカラには個人差がある。
 <死の運命を上書きする>なんて、そんなチカラがあったら、俺はお前を生き返らせていたさ。
 もちろん、10年前の彼女もな。」

新しく生まれた10年前では、ジョードが子猫を抱き上げ、ヨミエルは呻いている。
全ての死が回避された。ヨミエルの愛する人も、カノンの母も。
ここに、最後の運命更新が完了した。
新しく生まれた現在では、これまでの10年は上書きされ消失する。
そして、この更新に立ち会った二人と二匹の記憶の中だけに残るのだ。
101ゴーストトリック:2011/05/14(土) 00:11:45.48 ID:zcMOyFXd0
「シセル、新しい現在では、俺達は出会わなかったことになる。
 だから、今これだけ言わせてくれ。今夜、俺は君のイノチを奪ってしまった。本当にすまない。」
「それは、もう失われた過去の話だ。そうだろう?」
「ああ。…君に会えて、本当によかったよ、シセル。」
「…私もだ。ヨミエル。」

ミサイルとも別れの挨拶をする。
「ボクたち、このままもう会えないんでしょうか?
 そんなの、絶対イヤですともッ!!!」
「ミサイル、私たちの運命は、きっとまた交差する。
 それを信じて待とう。」
ジョードには、これからも世話になるだろう。
「どうやら君は俺が連れて帰るみたいだね。」
「ああ、これからよろしく頼む、ジョード刑事。」

タマシイは別れ、バラバラに新しい現在へ帰っていく。
主人公のタマシイが時間を戻る途中。
「お待ちください!」
久方ぶりに、電気スタンドが目の前に現れた。
「新しい現在に戻る前に、お礼を言いに参りました。
 ワタクシが消滅する前に。」
クネクネキコキコとクネリはおじぎする。

クネリがいなければ、これほどスムーズに今夜の運命が変わることは無かっただろう。
「教えてくれないか?君が何者なのか。」
「…シセル様にはお話しておきましょう。今夜の、もう一つの物語を。」

今夜最初の死、ゴミ捨て場でのリンネの死が回避されることが無かったら、何が起きていたか?
リンネを殺害後、ヨミエルと黒服はあるマンションの一室に押し入り、少女と小犬を銃殺する。
死んだ小犬のタマシイは、愛しい少女のナキガラへ必死で手を伸ばした。
その時、キセキが起きた。暗く沈んだ死者の世界、己のタマシイの炎。
今なら理由が分かる。小犬は、ヨミエルの足元で死んだのだから。
しかし、彼には主人を救えなかった。トリカエだけではどうにもならなかった。
小犬は、あきらめずヨミエルを一晩中追い続けた。
そして…深海へ沈みゆくポッドの中、ヨミエルの死体と一緒に残された。
小犬は、ヨミエルの死体から10年前に戻り、
10年前の運命を変えようともした。
しかし、やはり彼の力だけでは何も変えられなかった。
だから、小犬は待つことにしたのだ。
そこから10年後、もう一度あの夜が巡って来るまで。
「…アンタだったのか…。」
「さよう、ミサイルでございます。」
電気スタンドが姿を変えたのは、年老いたポメラニアンだった。
「10年。犬のタマシイには長い時間でした。」
102ゴーストトリック:2011/05/14(土) 00:12:50.60 ID:zcMOyFXd0
ミサイルの一度目の運命の夜。
実は、ミサイルと主人公シセルは出会っていた。
死で記憶を失ったシセルは、電気スタンドをキコキコとあやつって遊んでいた。
ミサイルはシセルに協力を頼み、すげなく断られた。
「悪いが、私は私の記憶を追いたい。」
そういって、シセルは電話線を伝って姿を消した。
だから、クネリとして現れたミサイルは、シセルのチカラを予め知っていたのだ。

年を経て、小さな無機物をなんとかあやつれるようになったミサイルは、
巡って来た運命の夜、もう一度シセルと出会った。
今度こそは彼の力が必要だった。だから、シセルの記憶を欲する気持ちをうまく利用した。
そして、「一晩でタマシイは消滅する」と嘘をついてタイムリミットを設けた。
明け方には、またヨミエルは海底に沈んでしまうからだ。

「それでは、そろそろお別れでございます。
 この10年は消滅し、ワタクシの存在も消滅します。
 ワタクシは信じておりましたとも。アナタ様なら、必ずやってくれると!
 そして、アナタ様はやってくださったのです!!
 本当に、本当にありがとうございました。」

この10年、ただひたすら待ち続けたのか。カノンとリンネの為に。
「もちろんでございます。それがワタクシ達、犬なのでございますから。
 それでは、ごきげんよう。シセル様。」
誰も知らない、ただ主人公の記憶の中だけに残る、消滅した物語。
幸せな小犬の物語が、それに取って代わるのだ。
主人公シセルも、自分自身の、新しい現在へ帰っていく。



「あれ?まっくら。すみません、電気つけますよー」
リンネがスイッチを入れると、そこはパーティーの飾りつけをされた部屋だった。
電気のスイッチを入れたことで、ピタゴラスイッチのような物が始まった。
天井のファンが回り、巻き取られた紐が何やかやして、
最終的に天使のオブジェが持っている矢に火が付き、天使が火矢を放ち、
机の上のクラッカーが一斉に鳴ってケーキに火が灯された。
隠れていたカノンと黒ネコが、リンネの元へ駆け寄る。

「この子、あの時のネコちゃんですか?」
後ろからやってきたジョードに、リンネが尋ねる。
今日は、リンネが刑事になったお祝いのパーティーらしい。
カノンとリンネは初対面らしく、カノンは少し照れている。
「この子、シセルって言うの。
 とっても変わってるんだ。もう10歳なのにずーっと小さいままなの。」

台所から、カノンのお母さんが料理を運んできた。
歓声を上げて、カノンとジョードがテーブルへ駆けていく。
103ゴーストトリック:2011/05/14(土) 00:13:27.38 ID:zcMOyFXd0
私は、やはりネコなのだろう。
あの晩、一夜だけ私は人間として彼らの世界を覗いた。
そこで分かったのは、
彼らの人生はつながり合い、必ずどこかで影響し合っているという事。
彼らの織りなす奇妙で美しい模様を、
丸くなって見ているのが私の性には合っているようだ。
…当分は退屈せずに済むだろう…

暗く沈んだ死者の世界、鮮やかに燃えるタマシイの炎。
小さな黒ネコの体から沸きだすのは、アシタールの放つオーラの波動。

<完>
104ゴーストトリック:2011/05/14(土) 00:13:59.54 ID:zcMOyFXd0
エンディングテーマで、全てのキャラクターの後日談が流れる。
二つだけ抜粋する。
パーティーもたけなわの頃、カバネラが花束と共に踊りこんでくる。
その後ろには、元気に吠えるミサイル。
リンネが留守番させていたのを、カバネラが連れ出して一緒にやってきたらしい。
ミサイルは、カノンに撫でられながら、嬉しそうにカノンの頬をなめる。

とある刑務所の独居房で、ピンクのスモックを着て絵を描いている囚人が一人。
そこに、係官がやって来る。
「今日まで10年間、ごくろうでしたね、ヨミエル。
 いつも面会に来ているレディが、表で待ってますよ。」
少女を人質にとり、銃を突きつけた罪を、償い終わったのだ。
ヨミエルは、出ていく前に呟く。
「ありがとう、シセル…。」
ヨミエルが描いていたのは、満月をバックにした、赤いスカーフの黒ネコだった。
105ゲーム好き名無しさん:2011/05/14(土) 00:15:36.32 ID:zcMOyFXd0
以上です。
長い上に、文章にするとややこしいストーリーです。
何か不明な点ありましたら指摘してください。
106ゲーム好き名無しさん:2011/05/14(土) 00:33:39.90 ID:PtBVxack0
ゴーストトリックさん乙です。

昨日(おととい)のは失礼しました。白中探検部の者です。
最後まで書いちゃってるので、投下させてくださいすみません。
107白中探検部(PS2):2011/05/14(土) 00:35:27.07 ID:PtBVxack0
絵本はこのような話だった。
昔々秦という国の小さな村に、ビャクランとアケヒメという貧しいけれど仲の良い夫婦がいた。
国の一番偉い帝が村を通りかかったとき、とても美しいアケヒメを見つけた。
帝は一目でアケヒメを気に入り、自分のところに来させるように家来に命じたが、アケヒメにはビャクランがいる。
断られた家来は困って、アケヒメの夫のビャクランを殺してしまった。
悲しむアケヒメは自分も死のうとするが、彼女の目の前にホクセンヤと名乗る不思議な老人が現れてこう言った。
「四方を塞いだ船を作って西の蓬莱山へ行くがよい。そこの湧き水を飲ませれば、ビャクランは生き返るであろう。」
アケヒメは老人の言うとおり船を作って海へ出た。
七日七晩かけて海岸に辿り着くと、白い道と立派な屋敷があった。
屋敷には蓬莱山の主・ランオウが住んでいて、アケヒメはランオウの元で働くことになった。
ある日、アケヒメは庭で秘密の場所を見つける。
そこは四方を壁に囲まれそれぞれに扉がついていた。
四つの扉を開けると、春夏秋冬の景色がそれぞれの部屋に広がっていた。
秘密の部屋を見られたことを知ったランオウは怒ってアケヒメを追いかけてきた。
アケヒメはその部屋の机にあった水差しを持って逃げ出した。
逃げながら、アケヒメは追いかけてくるランオウに向かって、枝に生っている桃の実を投げ付けた。
不思議なことに桃はひとつがふたつ、ふたつがみっつ、よっつと増えてランオウに当たり、ランオウは痛くてたまらず引き返してしまった。
ランオウから逃れたアケヒメは乗ってきた船に乗り、また七日七晩かけて村へと帰っていった。
しかし、そこには秦の国も帝も村もなく、アケヒメが蓬莱山で過ごした数日間は、実は八年も経っていた。
アケヒメは命からがら持ち帰った水差しの水を、ビャクランの白骨にかけた。
すると、ビャクランが生き返り、二人は末永く幸せに暮らした。

タカヒロがこの絵本の話を父に聞いたとき、父は大笑いしたらしい。
蓬莱山というのは西ではなく東にあるのが常識だし、ビャクラン(白蘭)は男性の名前には遣わない。

とにかく、この絵本を皮切りに、タカヒロはどんどん昔の記憶を思い出してきた。
アヤカが持っている巻物(白ヶ浜の昔の地図)だって、八年前に一度ごりょんさんから借りていた。
108白中探検部(PS2):2011/05/14(土) 00:36:08.28 ID:PtBVxack0
【回想】
八年前、ごりょんさんがタカヒロに「お父様が借りたがっていたわよ」と巻物を持ってきた。
「北斗星君延命教写」(アヤカの巻物のこと)
ユカがこの巻物に興味を持っていたことを思い出し、ユカにも見せる約束をした。
後日、タカヒロは父を連れてユカの家に行った。
父は巻物の解釈を、タカヒロ曰く「勝手に解釈してペラペラ」話し始めた。
蓬莱山には延命の泉がある、どんな病気でも治せる力がある、と。
【回想終わり】

タカヒロはそこで思い出した。
ユカは父の話を真に受けてしまっていたようだった。
難病のユカに対して、父の話は軽率だった(だからタカヒロは父が嫌いだった)
しかし、タカヒロにとっても、ユカのことを思うとその話はすがりつきたくなるほど魅力的だった。

結果、本当にすがってしまった。

【回想】
病室で話をしているユカとタカヒロ。
ユカから緑色の石を渡された。
「わたしの命は、秋までなんだって。」と告げられた。
【回想終わり】

どうしてもユカを助けたかったタカヒロは、大嫌いな父にすがった。

【回想】
「常識以外の力を使っても、彼女を助けたいか?」父の言葉に、タカヒロは泣きながら頷いた。
「だったら、この巻物(「北斗星君延命教写」)をしっかりと読め。この中に真実は隠されている。」
父は巻物を信じていた。
「探すのは、「ひしゃくの先」だ。表面に惑わされてはいかん。」
【回想終わり】
109白中探検部(PS2):2011/05/14(土) 00:36:49.44 ID:PtBVxack0
どうやら、八年前はタカヒロの父が巻物の解読をしたようだった。
しかし、その説明が今のタカヒロにはどうしても思い出せなかった。
今回はアヤカが解読してくれるらしい。
二人は白ヶ浜神社へと向かった。

本殿から『お山』へと続く道がある。
そこを通れば炭ジジに会うことはない。
歩いている途中、タカヒロはまた思い出した。

【回想】
ユカと並んで海岸通を歩いている。
願掛けをしよう、とユカが提案してきた。
お願い事を神様に「本気」だと思わせるために、自分の一番好きなことを絶つのだという。
タカヒロはサッカーを絶つことにした。「君嶋のために泉を見つける」
ユカはオカリナを絶つことにした。「タカヒロ君が泉を見つけてくれるって信じてる。」
【回想終わり】
110白中探検部(PS2):2011/05/14(土) 00:37:32.57 ID:PtBVxack0
アヤカが巻物をぶつぶつと読み上げる。
「天が満ちたる乾の年 もっとも太陽強き日に 
 おちたる九つ やたがらす おちたる九つ たまうさぎ
 一日(ひとひ)に 一本足をえて みなが足なみそろいしは
 くらきいずみで よみがえらん
 天(あめ)なる帝(みかど)の のりし船 虎が守りしヤタガラス 虎が守りしタマウサギ
 みなみな お船にのりたれば 天なる帝の くらき いずみは ひらかれん
 のりおくれたる からすとうさぎ いずみのなかに かくされん
 かくれながらに 八つの年を めぐりきたらば
 そのみ きえさり いのち はてなく いずみに きえる
 お船にのりし みなみなは おもい うしない おいさらばえる
 おもい のこせしもののみが ふたたび みちを たどりける」

意味は、『お山』が蓬莱山であること、不老不死の泉が使える時と行き方、注意事項だとアヤカが言う。
ごりょんさんの言っていた「『お山』の『さだめ』」にも似ている。
天帝とは北極星のことで、昔から人の寿命を司る神様として信仰の対象になっていた。
易で天をあらわす「乾」は「虎」の意味もあり北西の方角を示す。
巻物に書かれている白ヶ浜の古い地図を見てみると、北西には天馬ヶ岳がある。
「乾」には「馬」の意味もあるのでちょうどハマることになる。
さらに、タカヒロ父の言っていた「ひしゃくの先」を見てみると、それはちょうど天馬ヶ岳の頂上に当たることも見つけた。
頂上には泉がある。

タカヒロはあることに気づいた。
「みんな船に乗る(みなみな お船にのりたれば)って、カラスもウサギも九体ずつあったんだぜ。」
アヤカが眉根を寄せた。
「それってまずいよ。」

 のりおくれたる からすとうさぎ いずみのなかに かくされん
 かくれながらに 八つの年を めぐりきたらば
 そのみ きえさり いのち はてなく いずみに きえる

巻物の一文がひっかかった。
111白中探検部(PS2):2011/05/14(土) 00:38:45.41 ID:PtBVxack0
【回想】
「ユカーーーッ!」
泉の底へと落ちていくユカの姿。
【回想終わり】

「失敗したのか?オレたち?だから、記憶も失った?」
ということは、リミットが今日ということは、八年後の今日までに泉の中に落ちた人がそのままだともう助けることは出来ない。

二人は『お山』の開けたところに着いた。
アヤカの巻物の解読が続く。
それぞれの場所に、八卦の文字を置いていく。
「乾(ケン)、兌(ダ)、離(リ)、震(シン)、巽(ソン)、坎(カン)、艮(ゴン)、坤(コン)」
それはちょうど円を描くように並び、八年かけて巡り最後に天帝の泉に流れ込む
――アヤカ曰く「地脈が走っているんじゃないかな?」

タカヒロはアヤカの解読と推理に舌を巻いた。

【回想】
八年前。
STBメンバーが『お山』に入り込み、洞窟の中を突き進んでいる。
洞窟の中には空洞があり、深い穴があった。
【回想終わり】

それは、STBメンバーが病人であるユカを連れて行けるかどうか、という下見に行ったときのことだった。
112白中探検部(PS2):2011/05/14(土) 00:39:36.18 ID:PtBVxack0
【回想】
ユカの元を訪れるタカヒロ。
「明日の晩、お前を伝説の泉に連れて行く!」
ユカは信じてついて行くことにする。

そして、次の日の夜。
タカヒロはユカを背負い、『お山』を登り続ける。
STBメンバーは力を合わせながら辛い道を進んだ。
途中、タカヒロとユカの目の前に白いウサギがいた。

頂上に辿り着いたときは、もう夜が明けていた。
休む間もなく、洞窟の中を進み、深い穴の中へと降りていく。
降り立った先には、またさらに奥へと続く道があった。
その道を突き進んで行くと、青白い光が降りそそぐ空間があった。
足元まで水が溜まっている。どうやらここが泉のようだった。
メンバーはユカを中央に立たせ、各自はユカを囲むように並び、儀式を始めた。
すると、足元から眩しい光が発せられ、中央にいるユカが沈むように消えていった。
頭の先まで泉の中へと消えていった瞬間、今度は泉の中にユカの姿が現れた。
※語彙が少なくて上手く説明が出来ないのですが…
 水鏡?のように、水中にユカの本体が現れ、水上の方に影が現れた、という感じです。
タカヒロがユカの名前を呼びながら駆け寄り手を伸ばしたが、ユカの姿はそのまま水中に消えた。
儀式は失敗してしまった。
【回想終わり】

タカヒロは全てを思い出すことが出来た。
最も大切なものを思い出すことが出来た。
タカヒロとアヤカはごりょんさんの元へ向かった。
113白中探検部(PS2):2011/05/14(土) 00:40:20.68 ID:PtBVxack0
ごりょんさんの元にはすでに他のメンバーがいた。
タカヒロがユカを思い出したことに、ごりょんさんもとても喜んでいた。
アヤカがごりょんさんに尋ねる。
「前回失敗したのはなぜなんですか?」
それはごりょんさんにもわからないらしい。
八年前は九組目のカラスとウサギが残ってしまった、とマリアが言う。
そこにしんちゃんが何かひらめいたようだった。
まだ説明はできないみたいだが、みんなはしんちゃんの案を信じ、それに従うことにする。

ここで、いまいちその案を信じきれないジョージが、自分を納得させて欲しいとしんちゃんに質問をぶつける。
八年前は8月15日が大祭の日だったのに、なぜ今回は8月14日なのか。
そのヒントは、ごりょんさんのセリフに隠されていた。

 天が満ちたる乾の年 もっとも太陽強き日に 
 おちたる九つ やたがらす おちたる九つ たまうさぎ
 一日(ひとひ)に 一本足をえて みなが足なみそろいしは
 くらきいずみで よみがえらん

この一説は件の泉が力を持つそのタイミングをあらわしている。
「もっとも太陽強き日」とは夏至のこと。
九羽のやたがらすと九羽のたまうさぎには三本の足がある。
それらが一日に一本ずつ足を得ていくと、足の数は全部で54本。
というわけで、夏至の翌日から数えて54日目。
今年の夏至は6月21日だったので、それから54日後は8月14日。
八年前は、6月22日だったので8月15日だったのである。

しんちゃんの仮説はその通りだった。
ジョージはしんちゃんを信用することにした。
114白中探検部(PS2):2011/05/14(土) 00:41:01.67 ID:PtBVxack0
全てを思い出したメンバーに向かってごりょんさんが八年前のことを語り始めた。
八年前、STBメンバーはユカの儀式を行うに当たり、もし失敗して記憶を失ったときのために、
ごりょんさんにハガキを託してから『お山』に入っていったのだと言う。
結局それが良い方向になった。大祭のことについても、八年前にごりょんさんがメンバーに伝えていたと言う。

さらに、『お山』は大祭の日に入り込んでも怒ることはないという。
『お山』は、溜めた土地の力を八年に一度の大祭の夜に光の柱として解放して海や田畑に恵を与える。
泉を使うとその光の柱が出なくなるだけ。
土地の人には迷惑だろうけど、都会から来た人をいじめたり、因習にかこつけて昨日までの隣人を町から追い出す人たちは、
少しぐらい困っても良いのです、とごりょんさんは笑った。

ごりょんさんは登山道具をすでにマスターから借りて揃えてくれていた。
メンバーは『お山』へと向かった。
『お山』入り口には、番人である炭ジジに出会った。
炭ジジに自分達の覚悟を語る。
炭ジジはその覚悟を信じ、滝の裏の洞窟奥にある扉の鍵を渡してくれた。

扉を開けると、虎のレリーフがあった。
そしてその下にはカラスとウサギの儀式に使う石作りの人形が9個ずつ。
メンバーはその人形をはめる石碑を探し始めた。それは北斗七星のように配置されている。
大極図のような石碑で、白と黒部分の中央にはまるいくぼみがある。
そこに黒い方にカラス、白い方にウサギの人形をはめこむと、地響きのような音が鳴った。
八年前と同じ儀式。しかし今度は人形が余ることはなかった。
※八年前に失敗した理由は人形が残ってしまったこと。
 実は北斗七星の中の三番目の星の近くには、もうひとつ――ミザルという星があった。
 本当は北斗八星、というわけだ。

メンバーは藪の中を突き進んだ。
八年前と違って道はすっかり草が生い茂り、楽な道ではなかった。
それでも諦めず、みんなはユカを救い出すことを思いながら進む。
115白中探検部(PS2):2011/05/14(土) 00:41:43.79 ID:PtBVxack0
ようやく、洞窟へと辿り着いた。
空洞の奥深くへ降りて行き、八年前、ユカが消えてしまった泉。
あの時と違い青白い光が一人分多かったのでアヤカにも手伝ってもらうことにした。
それぞれが場所に並び、目を閉じているとあの時のように足元が光りだし、中央の光りの泉からユカが現れた。
みんなに促され、タカヒロは今度こそ、ユカの手をとりその体を受け止めた。
「おかえり、ユカ。」
「ただいま、タカヒロ君。」

【ED】
洞窟を出ると、夜が明けていた。
朝日を拝んでいるしんちゃん、マリア、スケやん、ジョージ、アヤカ、タカヒロ、そしてユカ。
ユカの病気は治っていた。
登山道下では、ノゾミちゃんとごりょんさんが待っていた。
みんなが駆け出し、タカヒロはユカの手をとる。
「今度は、ずっと一緒に生きていくんだ―――。」

【さらにED】
8月15日
タカヒロはバラクーダに来ていた。
みんなはブラジルへと旅立つマスターのために、お別れ会の準備をしていた。
そのマスターは、旅のお供・マリオと一緒にマリオのお土産選びでいなかった。

しんちゃんのマリアへのプチ告白。
スケやんのアヤカへの片思い。
おうむ屋のおばちゃんも実は味方だった。
そして、ごりょんさん、八年越しのマスターへの思い告白。
(ごりょんさんは八年前にマスターに告白されていたけど、あんなことがあったので返事を八年間もせずにいた。)
(ちなみに八年前、マスターは30歳、ごりょんさんは17歳)
マスターはブラジル行きを止めて、その分のチケットはサッカー留学を再挑戦することにしたジョージへと渡った。

ちなみにユカはクレーン小屋で現実に帰ってきた実感を確かめている、とかで出てきませんでした。
なんという坂本真綾の無駄使い…。
116ゲーム好き名無しさん:2011/05/14(土) 00:57:35.88 ID:1oUiMiwx0
ゴーストトリックも白中も乙ですー

シセルって女性名だよな…とか思いながら読んでたらあの展開でびびった
プレイしてみたいけど難しそう
117ゲーム好き名無しさん:2011/05/14(土) 02:52:03.55 ID:PtBVxack0
すみません、連投規制で書きこめなくなってました。
白中は以上です。
118Prototype (1/5):2011/05/14(土) 11:27:25.10 ID:/e2Q1BS80
そろそろ続編の発売日も見えてきそうなPrototypeでも。

元GENTEK社の研究員、アレックス・マーサーはある日いきなり
マンハッタンのとあるビルにある死体安置所で目覚めた。
記憶は無く、いつのまにかブラックライトというウイルスに感染していた。
このウイルスに感染した大多数の人間は理性を失い
ゾンビのような化け物になってしまうのだが、アレックスは
適性があったのか、自我を保ったままさらにいくつかの能力を身につけていた。
強靱な肉体、ずば抜けた身体能力、そして他の生物を補食して
その姿、能力、記憶を奪い取ることができた。
アレックスはこの能力を活かし、自分にウイルスを感染させた
元凶を突き止め、償いをさせてやることにした。

妹のダナが協力者になってくれた。
アレックスは記憶を失う前、ダナにラップトップコンピュータを
送りつけていた。ラップトップから情報を集める。
どうやら自分も元々ブラックライト研究に携わっていたらしい。
そしてそれと関連して、GENTEK社のビルにエリザベス・グリーンという
女性が捕らわれていることがわかった。何か思い出せそうなアレックス。
手がかりになればとエリザベス救出に向かうが、彼女は謎の言葉を残し
逃亡してしまう。しかもエリザベスもウイルスに感染していたため
この日からマンハッタンでは感染者が急増。
隔離措置のために海兵隊が出動する。
またブラックライトと強い関わりを持つ特殊部隊ブラックウォッチも
指揮官であるランダル将軍の命令で動き出す。
ランダル将軍は逃亡したアレックス抹殺を命じるのだった。
119Prototype (2/5):2011/05/14(土) 11:28:08.55 ID:/e2Q1BS80
その後アレックスはGENTEK社のCEO、自分の上司でもあった
マクマレン博士をおびき出そうとして失敗したり、婚約者で元同僚の
カレンに裏切られて罠にはめられ、ランダル将軍の腹心である
クロス大尉と戦わされたりする。
どうにかクロス大尉を退けたが一瞬の隙をつかれて注射を打たれる。
これによりアレックス体内のウイルスが暴走、制御不能になりかける。
かつてマクマレン博士とともにウイルス研究をしていて、今はその非道さから
袂をわかったというラグランド博士に協力してもらい、暴走を食い止める。

ウイルスの秘密については断片的な情報が手に入ってはいるものの
未だ核心には迫れていない。またマクマレン博士も行方不明のまま。
焦るアレックス、そんな彼に救いの手が。正体不明の協力者が接触してきたのだ。
彼はウイルスの秘密やマクマレンの居場所を教えるかわりに、軍が計画している
抗ウイルス薬散布計画に協力してくれという。
軍とは敵対関係だったアレックスだったが、ひとまずこの取引に応じることに。
姿を隠してせっせと感染を広げていたエリザベスもこの抗ウイルス薬にはたまらず
巨大な肉塊に身を包み姿を現した。
激しい戦いの末、肉塊からエリザベスを引きはがして捕食。
なぜエリザベスがアレックスとの接触前から感染していたかが大体分かる。

このウイルスは元々1960年代、ブラックウォッチが秘密裏に
開発していたものだった。いくつかの課程を経てウイルスの完成度を高め
最後にアイダホのホープという街で大規模な人体実験が行われた。
最終的に感染者は自我を失って暴走、ブラックウォッチは街の住人を
皆殺しにして隠蔽をはかった。
結果は予想とは異なるものだったが、こうしてブラックライトの原型と
エリザベス・グリーン、彼女の子である"パライア"が手に入った。
エリザベスはウイルスに感染しても自我を失わず、むしろ感染者を自由に
操ることができたうえ、体内でウイルスの変種を生み出すことができた。
そのためブラックウォッチは彼女を監禁し、彼女の体内から取り出した
ウイルスの変種をGENTEK社に研究させていた。
(エリザベスのコードネームは"マザー"。新たなウイルスを生み出す母体だから)
120Prototype (3/5):2011/05/14(土) 11:28:54.30 ID:/e2Q1BS80
協力の見返りとしてマクマレン博士のところにたどり着いたアレックス。
なぜ自分を感染させたんだ!と激昂するアレックスにマクマレン博士は
何を言っているんだとやりかえす。彼が語った真実は過酷なものであった。

ブラックライトの研究に勤しんでいたアレックス。
しかしどこからか情報が漏れ、計画が中止されるという噂が流れた。
もしそうなれば機密保持のため、いろいろと知りすぎている自分は
抹殺されかねない。そこで彼は保身のためにウイルスを持ち出して逃亡。
しかしペンシルバニア駅で追い詰められてしまう。
やけくそになったアレックスはウイルスの入ったビーカーを床に叩きつける。
アレックスは即座に射殺されてしまった。
自由になったウイルスは生き延びるため、アレックスの死体に取り付いて
少しずつ同化していった。そしてゲームの冒頭でついに目覚めたというわけである。
つまり記憶を失ったのではなく、今行動しているのはアレックスではなく
彼の身体を乗っ取ったブラックライトそのものなのだった。
そして、マクマレンはアレックスの眼前で、頭を撃ち抜いて自殺してしまう。
121Prototype (4/5):2011/05/14(土) 11:29:44.10 ID:/e2Q1BS80
軍の開発した抗ウイルス薬は一定の効果をあげていたがもはや焼け石に水。
政府はマンハッタンへの核攻撃を決定する。ランダル将軍も空母へ退避。
どうしたものかと考えていると再び協力者が接触してきた。
彼の正体は、かつて一戦交えたこともあるクロス大尉だった。
ランダル将軍はもはや暴走気味で、放っておくわけにはいかない。
将軍を倒すために協力しようじゃないかということで、クロスの手引きで
アレックスは空母に渡ることに成功。あっさりとランダル将軍を始末する。

あとは核爆弾を始末するだけだと思いきや、クロス大尉が襲いかかってきた。
実は彼はゲーム中盤でエリザベスによって生み出された
スプリームハンターという大物感染者に捕食されてしまっていたらしい。
(スプリームハンターはアレックスと戦って滅びたはずだったが
実は生き延びていることが示唆されていた)
マンハッタンへの核攻撃を実施させることで、感染者は公的には
根絶されたことになり、自分は大手を振って活動することができる。
そしてアレックスを捕食すれば核攻撃をくらっても平気だという。
空母の甲板上で最後の戦いが開始される。
122Prototype (5/5):2011/05/14(土) 11:30:28.01 ID:/e2Q1BS80
スプリームハンターを倒したアレックスは、ヘリで核爆弾をつり下げて
沖合に向かう。そして爆発。アレックスもヘリごとまきこまれてしまう。
こうしてアレックスのおかげでマンハッタン島への核攻撃は防がれた。
政府はこれをバイオ、核テロと決めつけ、事態は収拾されたと発表する。
一方アレックス。彼は小さな肉塊になってしまっていたが
カラスなどを補食しまくって元の姿を取り戻していた。
最後に彼の述懐が流れる。

「探し求めていた真実、それはおぞましいものだった。忘れてしまいたかった。
 アレックスの過ちによって、この街は二度の感染に苦しめられた。
 しかし彼も自分の一部なのだ。
 自分は一体何になってしまったのか?人間以下の、そして人間以上の何かだ」
(二度の感染というのは、ペンシルバニア駅の件とエリザベスを逃がした件)

エリザベスの子、パライアは既に成人して軍に所属しているらしい。
クロス大尉がパライアという説もあるがそれは誤解らしい。
パライアはアレックスやエリザベスのような身体的な変異はなくて
マインドコントロールなど精神的な能力を持っているようだ。
この作品ではブラックウォッチがウイルス開発の元凶のように
描かれているけれど、実際にはさらにその上、大統領すら
意のままに操る真の黒幕がいるという情報もちょろっと出てくる。
そのあたりの謎については次回作に持ち越しとなっている。おしまい。
123ゲーム好き名無しさん:2011/05/14(土) 16:06:37.27 ID:pMRrrqZf0
アークライズファンタジア面白いのにまだ出てないんだ
結構話長いから大変なのかな
124ゲーム好き名無しさん:2011/05/14(土) 17:24:12.64 ID:8G+OMe6g0
prototype乙です
面白そうね
125ゲーム好き名無しさん:2011/05/15(日) 01:54:20.18 ID:Lr3EMIQ10
ゴーストトリック乙です。ミサイルマジミサイル。
映画にできそうな完成度高いシナリオだけど、多分ゲーム以外では表現できない話だね。
126ゲーム好き名無しさん:2011/05/15(日) 07:28:44.10 ID:sdqhXMhQ0
未解決の「暁のアマネカと青い巨神」はギャルゲの方のまとめにあるから
それ転載でもすればいいんじゃないか?
127ゲーム好き名無しさん:2011/05/15(日) 07:54:22.79 ID:fEyVWnu80
ゴストリ乙です。
発売当初に買ったけど久々にツボに来たゲームだった。
序盤の「リンネが主人公(ヨミエルの体)を撃った?」から
終盤の「リンネが主人公(カゴに入ったシセル)を撃った」への流れなど
ロングパス・ショートパス合わせていろんな伏線が錯綜して楽しかったね。

白中乙です。
BADENDが多彩でギャグテイストで面白かったのが印象的だった。
結局途中で投げちゃったんで最後まで読めて嬉しいです。
128ゲーム好き名無しさん:2011/05/15(日) 16:23:11.50 ID:fEyVWnu80
転載というよりはこのスレに向こうのまとめのURL貼れば
wikiには○○参照ってことになるのでは
129ゲーム好き名無しさん:2011/05/15(日) 20:37:46.58 ID:b2z6KcOy0
>>123
お前が書いてもいいんだぜ
話が長いと思ったら短くまとめてもいいんだぜ


前スレがやっと埋まった・・・
130ゲーム好き名無しさん:2011/05/17(火) 17:42:54.62 ID:Vn/yyETC0
LUX-PAIN -ルクス・ペイン(DS)予約します。
131ゲーム好き名無しさん:2011/05/20(金) 15:29:59.66 ID:HsvsUzfn0
PSの
リトルプリンセス マール王国の人形姫2をお願いします
132ゲーム好き名無しさん:2011/05/20(金) 21:11:11.45 ID:L1HgYc5e0
せっかくだから、俺はこのダリヤ 〜Lasciatemi morire〜を投下するぜ!
133ダリヤ 〜Lasciatemi morire〜:2011/05/20(金) 21:16:51.40 ID:L1HgYc5e0
◆人物一覧
ダリヤを筆頭に、まともな人間はあまり存在しない。

・ダリヤ
主人公、運動性失語症の少女。
過去にレイプされた挙句殺されかけ、そこを父から生物兵器の
プロトタイプへと改造されたことでなんとか命を繋いだらしい。
故に尋常ではない身体能力を持ち、バケモノとも殴り合えるのだと思われる。
しかしプロトタイプ故か、うまく感情をコントロールできないという欠陥を抱えている。
誰にも理解できない理由から、フォルドウンを殺す旅に出る。
歌うことや、音楽を聞くことが趣味。
134ダリヤ 〜Lasciatemi morire〜:2011/05/20(金) 21:19:56.97 ID:L1HgYc5e0
・セイ
仲間その一。賞金稼ぎの青年。
妹を殺され、その仇を討つ為家を飛び出しハンターとなった。
恋人の薬代を得るという名目でフォルドゥン討伐に繰り出すが、既に
賞金稼ぎ業が半ば生き甲斐となりつつある辺り、さりげなく末期症状。
下流階級の生まれらしく、それに少なからずコンプレックスを持っているようである。
一介の賞金稼ぎに過ぎないので、あまり世界背景に深く突っ込んだ話はしてくれない。
ツンデレ。
135ダリヤ 〜Lasciatemi morire〜:2011/05/20(金) 21:22:08.84 ID:L1HgYc5e0
・エイブラハム
仲間その二。独自の行動哲学が元、救いを探求するキリスト教徒。
昔は結構なやんちゃをしでかしていたらしいが、ある人物との出会いを契機に
贖罪というものについて考え始めたという。
話が哲学と宗教関係一択。世界背景については殆ど語らない。
しかも敬虔なキリスト教徒なのに、異端のグノーシス派についても語る。
表面的にまともに見える分、登場人物中一番タチが悪いかもしれない。
136ダリヤ 〜Lasciatemi morire〜:2011/05/20(金) 21:25:11.24 ID:L1HgYc5e0
・カタリナ
仲間その三。男性恐怖症の少女。ダリヤの幼馴染。
なぜ男性恐怖症なのかは、へその尾関連の話から察するべし。
ほぼ狂人しかいないこの世界において、数少ない普通の人。
どれくらい彼女が普通かと言えば、ダリヤの殺意値(高くなると仲間を殺しやすくなる)
がなかなか上昇しない程。しかしその普通が災いし、壊れる時は一気に壊れる。
エンディング的に一番報われない子。
137ダリヤ 〜Lasciatemi morire〜:2011/05/20(金) 21:27:15.84 ID:L1HgYc5e0
・ソーニャ
仲間その四。人類再興を目指す女科学者。
良くも悪くも科学者なので、全体的に考え方がドライ。しかしまぁ
とりあえずは、人類の未来を憂いているということに違いはない。
フォルドゥンとの繋がりもあって、世界設定はほとんどこの人が語ってくれる。
死に掛けのダリヤに回復剤をくれたり、ダリヤの失語症を治そうと試みたり
まだまだ普通の部類に入る。
これでもう少し人間味というものがあれば……。
138ダリヤ 〜Lasciatemi morire〜:2011/05/20(金) 22:02:48.75 ID:VWTuYORb0
・フォルドゥン
ラスボス。500歩を踏破した先にある『地球環境監視センター』にて
一人研究を続けている。
占拠している場所が場所なので、首に多額の賞金が賭けられている。
彼にとっては、世界>娘>自分>その他、であるらしい。
あらゆる意味でこの話の元凶。
139ダリヤ 〜Lasciatemi morire〜:2011/05/20(金) 22:04:56.72 ID:VWTuYORb0
◆世界背景
重度の環境悪化により、人類終焉がまことしやかに囁かれる世界。
(平均寿命の低下が著しく、80年で「長い」と言われるような感じらしい)
ケテル党という組織は、これを利用して世界統一政府を作ろうと目論む。
具体的には、傾いた地球環境を回復し、その功績によって自分達が
中心となって世界を統べる政府を作ろうと考えたのである。
こうして、地球復興プロジェクトの拠点として『地球環境監視センター』が
設立される。これが作中時間で開始15年くらい前の出来事。
140ダリヤ 〜Lasciatemi morire〜:2011/05/20(金) 22:07:12.12 ID:VWTuYORb0
そのプロジェクトの責任者がフォルドゥンであり、助手を務めたのがソーニャ。
(因みに二人はダリヤの両親であり、若き日にソーニャが産み捨てた未熟児を
 フォルドゥンが密かに育てていたらしい。この未熟児というのがダリヤ)

プロジェクトはほぼフォルドゥン一人の力で押し進められた。
しかしこのプロジェクトには致命的なリスクが存在し、万が一失敗すれば
取り返しが付かなくなる程地球環境を破壊し尽してしまうという。
フォルドゥンはそのリスクを明らかにしないまま、プロジェクトを進行させた。
141ダリヤ 〜Lasciatemi morire〜:2011/05/20(金) 22:09:17.41 ID:VWTuYORb0
しかしプロフェクトは失敗し、見るも無残に地球は荒廃してしまった。
これを“大崩壊”と呼ぶらしい。
(セイやソーニャの発言から察するに、発生時期は開始5〜10年前。
 崩壊後の世界は、ろ過しないと水も飲めない、奇形の魚が市場に出回る、
 配給のレトルト食品に人肉が使用されている、などというレベルらしい。
 このまま進めば50年で人類は滅亡するとも言われている)
142ダリヤ 〜Lasciatemi morire〜:2011/05/20(金) 22:11:36.14 ID:VWTuYORb0
プロジェクトに失敗してしまったフォルドゥンは、関係者を皆殺しにして逃走。
一人『地球環境監視センター』に立て篭もってプロジェクトを進め始める。
当のケテル党は内部抗争で大きく体性が移り変わり、元々繋がりのあった軍部と結託し、
武力で統一政府を作り上げる。
しかし行政情報が混乱していたり、この政府がまともに機能しているかはだいぶ怪しい。

地球環境の荒廃に伴って、世界情勢も大きく変化した。
“統一戦争”なる戦乱が起こったり、それを発端に死体が起き上がって生者を襲う
という怪現象が頻発するようにもなった(科学的根拠はソーニャさんをもってしても不明)。
ここ十年間での死者総数は一億とも十億ともつかないらしい。
143ダリヤ 〜Lasciatemi morire〜:2011/05/20(金) 22:13:53.84 ID:VWTuYORb0
『地球環境監視センター』には、どういう訳か実に一発で地上の1/3もの生物を
殺しうるミサイルが存在していた。誰が運んできて何に使うつもりだったんだ。
これを統一政府は求めていたが、センターはフォルドゥンが占拠しており、
なおかつそこへ到る道中には政府の研究機関から逃げ出した生物兵器が徘徊している。
故に統一政府は、フォルドゥンの首に多額の賞金を課すことにした。
誰かがフォルドゥンを倒してくれれば、ミサイルも回収でき賞金分の損は取り戻せる、という訳である。

この賞金を求めて、数多のハンターがフォルドゥン討伐に乗り出すが
センターまでの道が“殉教者の路”と呼ばれる程に死んでいったという。
それでもハンターの数は一向に減らず、死者はますます増える一方。

ダリヤがフォルドゥンを殺すために歩み始めた所から、物語は始まる。
144ダリヤ 〜Lasciatemi morire〜:2011/05/20(金) 22:16:22.21 ID:VWTuYORb0
どうにも中途半端ですが、またさるさん喰らうのもアレなので
続きは明日にでも投下します。
145ゲーム好き名無しさん:2011/05/20(金) 23:19:22.77 ID:C4Y0+4is0
ダリヤの人乙でした。続きまってまーす
146ゲーム好き名無しさん:2011/05/21(土) 02:31:27.96 ID:SsJ5uYVU0
面白そうだがダリヤさんは何ゲー?PSP?PS?フリーゲーム?
147ゲーム好き名無しさん:2011/05/21(土) 11:17:38.37 ID:xQdvC7Z/0
ググればすぐ分かることを何故このスレで聞く?
148ゲーム好き名無しさん:2011/05/21(土) 11:57:49.30 ID:wgrfv4LPO
別にそれぐらい答えてもいいだろう。

ダリヤはRPGツクールで作られたフリーゲーム。
フリーゲームは調べなきゃわからんから一言フリーゲームって書いた方がいいんでない。
149ゲーム好き名無しさん:2011/05/21(土) 16:39:29.03 ID:AzzPTFc30
>>146
ググらなきゃ分からんことを書かないで何のために投下するんだという見方もあるんだぜ
読む方もさることながら、まとめる人の労もあるんだしな


>>ダリアの人
話がアレすぎるからパソゲーだろうとは思ったが、ツクールのフリゲか
面白そうなんで期待してます
150ゲーム好き名無しさん:2011/05/21(土) 16:40:05.01 ID:AzzPTFc30
ごめん安価間違った
>>146でなくて>>147宛ね
151ゲーム好き名無しさん:2011/05/21(土) 16:41:38.19 ID:AzzPTFc30
しかもダリアじゃなくてダリヤか
もうだめだ俺。やはりいつものようにROMに徹した方がよさそうだ
152ゲーム好き名無しさん:2011/05/21(土) 23:32:50.02 ID:Csevjzjk0
未解決の鉄人28号(PS2)を投下します
153ゲーム好き名無しさん:2011/05/21(土) 23:35:42.06 ID:Csevjzjk0
鉄人28号(PS2)

本作は今川泰宏監督が製作した2004年アニメ版鉄人28号の設定を下敷きにしていますが、
アニメ版とも原作とも異なる点が多く、基本的にゲームオリジナルのストーリーとなっています。

登場人物:

金田正太郎:鉄人を操る少年探偵。本作ではロボ操作がメインなので拳銃やスポーツカーは使わないし、推理力も見せない。
敷島博士:敷島重工の社長で、戦中は鉄人開発に携わっていた。正太郎の父親的存在だが、多少マッドサイエンティスト気味。
大塚署長:正太郎の父親的な存在。警察を現場で指揮するが、ゲーム的には何の役にも立たない。
村雨健二:元諜報部員のギャング。戦争で家族を失った為、戦争やその産物である鉄人を憎んでいるが……
高見沢:大塚署長の秘書。アニメオリジナルキャラだが本作では空気。

X団首領:悪の秘密結社の首領。冷酷無比な性格だが新型ロボットが登場するたびに無邪気にはしゃぐのが可愛いと評判。
不乱拳博士:ブラックオックスとバッカスを作った科学者。本来は重要キャラだが、本作では登場直後に即死。
ドラグネット博士:ギルバートを制作したが、顔すら見せぬうちに首領に殺害されてしまった。
十字結社:モンスターを操るカリー国の犯罪結社。
ロビー:世界初の人工知能搭載ロボット。ロボット帝国を作り上げて人間を支配しようという欲望を抱いてしまう。
ビッグファイア博士:プライドの高い天才科学者。X団に協力して自分のロボットの性能を世に知らしめようとする。


プロローグ:
戦後から約十年、日本の復興を担う大企業”敷島重工”に不気味なマスクの集団が潜入していた。
彼らは国際的犯罪組織”X団”。その目的は秘匿された戦時中の秘密兵器”鉄人28号”だった。
しかし、彼らの襲撃は28号の製造者である金田博士の実子、少年探偵”金田正太郎”によって妨害された。
X団は仕方なく、28号の試作型である鉄人27号を奪取し、逃走する。
154ゲーム好き名無しさん:2011/05/21(土) 23:37:53.19 ID:n4sazjUf0
このスレの>>151、前スレの>407までをWikiに収録、未解決リストに反映しました。

要約スレpart3-141まで収録し、要約スレから収録する作業は終了しました。

>>前スレ362
数年前、未解決リクエスト表が長くなりすぎることが問題となった際、
「一定期間を過ぎたリクエストは迷宮入りとして表から削除し、迷宮入りという別の表に移そう」
というルールになっていた時期がありました。
なぜそのルールがなくなったのかはっきり覚えていませんが、
おそらく「いつリクエストがあったのか把握し期間が過ぎたら未解決のリストに移す」
という作業が煩雑すぎただからではないかと思います。
Wikiにあるページはその名残です。
155144:2011/05/21(土) 23:37:59.98 ID:1py1uywn0
大分遅くなりましたが、日付が変わる前に投下開始しようと思います。

>>148-149
了解しました。以後留意します。

とりあえず、ダリヤはVectorからダウンロードできたはず。
あと同じ作者さんが同一世界観の別作を公開してたと思うけど、
そっちは異様に難易度高いのでさわりしかやってない。
156鉄人28号(PS2):2011/05/21(土) 23:38:10.02 ID:Csevjzjk0
第一話:鉄人28号登場
正太郎たちはX団のアジトを発見するが、武装したX団員達に包囲されてしまう。
しかし、正太郎は鉄人28号を連れてきていた。鉄人はX団員をちぎっては投げ、X団のアジトのビルを掴んで投げ飛ばす。
圧倒的な28号のパワーを見たX団首領は鉄人28号奪取に執念を燃やし始める。

第二話:28号vs27号
鉄人28号を奪取すべくX団は27号を投入し、一対一のロボット戦に挑む。
初の対ロボット戦ながら、敷島の操縦アドバイスと性能差もあって正太郎は27号撃退に成功する。

第三話:27号の逆襲
まず邪魔な正太郎を倒す事を画策したX団は、徒歩で移動中の敷島博士と正太郎を27号で奇襲する。
しかし、鉄人28号にはリモコンの近くまで自動操縦で移動する機能があった。
27号を叩きつぶす28号を見た敷島博士は狂喜し、

「そう、どんな攻撃にも耐えうる鉄の鎧に身を固め!
計り知れぬ力で居並ぶ敵を叩いて砕く!決して倒れる事もなく!死ぬ事もなく!
ただひたすら操縦者の意のままに闘い続ける不死身の兵士!海であろうが空であろうが闘う場所を選ばない!
それがそれが勝利する事のみを目的とした完全なる兵器!鉄人!!鉄人28号!」

などとマッドサイエンティスト全開な迷セリフを叫ぶのだった。

第四話:強敵! ブラックオックス!前編
孤高の天才科学者、不乱拳博士は独力で巨大ロボット”ブラックオックス”を制作していた。
そこにやってきたX団首領は不乱拳博士を射殺、まだ未完成のオックスを奪取してしまう。
数日後、夜闇に包まれた敷島重工にオックスが出現する。迎撃に出動したM24軽戦車は次々と撃破される。
もちろん鉄人も出動するが、オックスに近づくと鉄人は何故か操縦不能になってしまう。
(イベント上、どんなにダメージを与えても倒すことは不可能なので)敷島博士の指示でやむなく撤退する正太郎。

第五話:強敵! ブラックオックス!後編
鉄人が動けなくなる理由は、オックスが全身から妨害電波を発しているためだった。
「ならば遠距離から攻撃すればいいのさ」と言う敷島博士は平和な町に鉄人で繰り出し、突然ビルを放り投げて見せるのだった。
数日後、X団とオックスが市街地を襲撃した為、再戦を挑む正太郎たち。
鉄人は遠距離からビルを放り投げる戦法でオックスにダメージを与え、撃破に成功する。
(余談だが、原作漫画ではこの戦法は通用しなかった)

第六話:鉄人軍団来襲
破壊されたブラックオックスを回収、修理する敷島博士。
敵が使っていたロボットを使用する事に複雑な心境の正太郎だが、敷島は「ロボットは使うもの次第で善にも悪にもなる」と諭す。
そんなおり、国会議事堂を量産された五機の27号が襲来。
元来、鉄人は量産され、鉄人軍団として敵国を無差別攻撃する為に開発されていたのだ。その事実に動揺する正太郎。
また、戦争嫌いのギャング、”村雨健二”はその光景を見て、戦闘用ロボットである鉄人の存在に怒りを燃やす。
正太郎は苦戦するが、修理が完了したオックスが出撃する。操縦者は敷島博士。
強力なタッグを組んだ二機の力で27号を全滅させることに成功する。
しかし、正太郎は鉄人28号が悪魔の手先になることへの恐れを抱くのだった。
157ゲーム好き名無しさん:2011/05/21(土) 23:45:58.79 ID:Csevjzjk0
第七話:不乱拳博士の遺産
不乱拳博士のアジトを物色していたX団はもう一台のロボット、バッカスを発見する。
熱線砲、飛行能力も持ったバッカスの性能と、不乱拳の才能に歓喜する首領……。
X団は早速バッカスを町で暴れさせる。鉄人が出動、勝利するが、バッカスの真の恐怖はこれからであった……

第八話:バッカスの悪夢
X団はバッカスの量産に成功。三機のバッカス軍団が山中を市街地に向けて進行していた。
身軽かつ強力な必殺技を多数搭載したバッカスだが、量産の際に多少性能がデチューンされていた。
正太郎は鉄人の頑健さと運用の柔軟性、そして自身の操縦能力の差を活かしてバッカス軍団を殲滅する。

第九話:飛べ!正太郎
X団の卑劣な罠によって正太郎は足を負傷してしまった。更に三機の27号が出現して工場地帯を襲撃する。
現地に駆けつけようにも走れない正太郎。27号に襲わ大塚署長は窮地に陥る。
敷島は鉄人の手のひらに乗って空中を移動する事を提案、鉄人とともに空を飛んだ正太郎は27号軍団を撃破する。

第十話:無敵のロボット ギルバート
天才科学者ドラグネット博士によって製造された高性能ロボット”ギルバート”が何故か東京で暴れていた。
犯人は例の如くX団。博士を殺害して奪取したらしい。
多くの面で鉄人を上回る性能を持ったギルバートを倒すべく、ブラックオックスが出動。再びタッグでギルバートを倒す。
しかし闘いが終わった後の廃墟に現れた村雨は、「これでは戦争と変わらない」と毒づくのだった

第十一話:モンスターあらわる
カリー国からやってきた犯罪結社、十字結社はX団に協力を約束。「鉄人を倒す」と豪語して見せる。
さっそく彼らは密輸したロボット”モンスター”で銀行を襲撃する。
しかし、その銀行付近には正太郎と高見沢が買い物に来ていた。
正太郎は高見沢を市電で避難させ、鉄人を呼ぶ。予想外の鉄人の登場に動揺する十字結社。
”ある装置”の調整が未調整な現状では、モンスターはただの大型ロボットに過ぎず、モンスターは敗走する。

第十二話:モンスターの秘密
鉄人の弱点は操縦機を持つ正太郎だと語る十字結社。
モンスターには操縦者を誘導、攻撃する小型モンスター発射装置が搭載されていたのだ。
海岸でリベンチマッチに挑むモンスターと鉄人。
小型モンスターによる卑劣な攻撃に苦戦しながらも、正太郎はモンスターを破壊する。

第十三話:恐怖のモンスター軍団
総力戦を誓う十字結社はモンスターを三機量産して闘いを挑んできた。
「このままでは俺の町が奴らに破壊されてしまう」と動揺する村雨だが、鉄人は例の如くモンスターどもを叩きつぶす。
町を守った鉄人と正太郎の姿に「借りが出来てしまったな」と漏らす村雨。
一方、十字結社は大塚署長率いる警官隊によって全員逮捕される。
十字結社経由で情報が漏れたX団も、アジトから地底基地への撤退と雌伏を余儀なくされる。
158ゲーム好き名無しさん:2011/05/21(土) 23:48:06.30 ID:Csevjzjk0
第十四話:ロビーの反乱(前編)
世界初の人工知性搭載ロボット”ロビー”が発明されるが、開発者の牧村博士は殺害され、ロビーも行方不明となる。
同時に正体不明のロボット軍団が町を強襲し始める。しかも、どうやらX団の仕業ではないらしい。
性能は今までのロボットに劣るものの、圧倒的な物量を持ったロボット軍団。彼らはどこから現れたのか?

第十五話:ロビーの反乱(中編)
前回とは異なるロボットで構成された謎のロボット軍団が山中を侵攻していた。
相変わらず圧倒的な数に苦戦する鉄人だが、敷島がブラックオックスで援護に駆けつけ、なんとか勝利する。
しかし署長の口から衝撃の真実が明らかとなる。
今回の事件の犯人はロビーであり、ロビーはロボット王国を作り上げて人間を支配しようとしていたのだ。

第十六話:ロビーの反乱(後編)
機械生命と化したロビーは人類とロボットの共存が不可能と言う結論に達し、人間への総力戦を開始する。
真相を知った正太郎たちはロボット軍団の統率者であるロビーを破壊すべく、包囲網を形成し追い込みを仕掛けた。
戦闘能力を一切持たないロビーは鉄人に対抗する事は出来ず、破壊される。(正太郎が殴り壊す事も可能)
ロビーの破壊によって事件は解決したが、正太郎の心中には後味の悪さが残った。
ロビーはロボットを兵器としてしか使えない人類を信用できなかったのか?
もし鉄人が言葉を話せたらはたして自分に何というのだろうか?

第十七話:危うし正太郎!
あらゆるロボットや組織を撃退し続けた鉄人28号への執着を更に深めたX団首領。
例の如くバッカスで町を襲撃するも、このままでは負けた前回と同じ事を繰り返すだけである。
首領は団員に正太郎自身を包囲させ、集中攻撃を仕掛ける作戦を実行する。
バッカスは撃破されるも、首領は遂に正太郎の拿捕と操縦機奪取に成功する。
為す術のない正太郎はやむなくその場を逃走する。

第十八話:鉄人は悪魔の手先
遂に鉄人を手に入れたX団は、大はしゃぎで町を破壊しながらアジトへ逃げ込もうとしていた。
正太郎も取り返そうとするが、団員にすら苦戦を強いられる始末。このままでは鉄人も量産され、悪魔の手先とされてしまう。
そこに先日の借りを返すべく村雨健二が現れる。彼は投げナイフで団員達を倒していき、鉄人にも恐れずに首領に迫る。
「奴は不死身か!」と動揺する首領から操縦機を奪った彼は、「これがなきゃサマにならないだろ」と正太郎に操縦機を返す。
(ちなみに”不死身の村雨”は今川版ジャイアントロボのパロディ、
「これがなきゃサマにならないだろ」はリモートコントロールダンディのセルフパロディ)

第十九話:ビッグファイア博士の挑戦
X団地底基地を世界最高の頭脳と呼ばれる科学者、ビッグファイア博士が訪れる。
ビッグファイアは自ら鉄人を倒すと豪語してX団に資金援助を要請。X団はそれに応じる。
彼は自身の名を冠した”ファイアII世”で鉄人に一対一の決闘を挑む。バードロボットの攻撃に苦しみながらも鉄人は勝利する。

第二十話:大塚署長の大活躍
またも町にバッカスが出現し、高見沢を追いまわしていた。
正太郎は署長がパトカーで高見沢を救出している間、バッカスの注意を惹き、撃破した。

第二十一話:ヘリ部隊出動
度重なる敗北で壊滅状態に陥ったX団は再生ギルバートを出撃させる。
ヘリで偵察に出た署長だが、ギルバートに狙われて窮地に陥ってしまう。正太郎はヘリを防衛しながらもギルバートを破壊する。
無邪気に喜ぶ署長に正太郎は「さっさと避難すればよかったのに」と陰口を叩くのだった。
159ゲーム好き名無しさん:2011/05/21(土) 23:50:32.07 ID:Csevjzjk0
第二十二話:魔王サターン
X団は最後の切り札として全身に熱線砲を搭載した殺戮ロボット”サターン”を用意していた。
破壊と殺戮のみをプログラミングされたサターンは都市部を無差別に破壊して回る。
アナウンサーによって鉄人の奮戦が報道され、人々は鉄人に声援を送り始める。
苦しい闘いの末、勝利した鉄人と正太郎。町には彼らを称える声が響いた。
(なお、ここで登場するアナウンサーの声優はギガンティックドライブで番原美香を演じた平松晶子)

第二十三話:X団 最後の挑戦
最後の切り札であるサターンを破壊されたX団だが、彼らはついに最後の作戦を実行する。
ビッグファイア博士が全身全霊を込めて開発したロボット、”ファイア三世”で敷島重工を襲撃したのだ。
(地球防衛軍シリーズのジェノサイド砲を思わせる)大型光弾など凄まじい武装を持つファイア三世だが、
鉄人は辛くも勝利する。逮捕されたビッグファイア博士は「鉄人、奴は怪物だ・・・」と漏らす。
しかし、ファイア三世は捨て駒に過ぎなかった。X団は別働隊を送ってブラックオックスを奪取していたのだ。
(なお、「鉄人、奴は怪物だ・・・」は原作漫画で鉄人に敗北した際と同じ台詞である)

第二十四話:鉄人最後の戦い
X団の地下基地が存在する山間部には巨大なミサイル基地が出現していた。
彼らはミサイルを使って日本を焦土と化し、世界をも自らの手で操ろうと企んでいたのだ。
ミサイルは秒読みに入っていたが、鉄人は全てのミサイルを破壊に成功。
更にX団が奪取していたブラックオックスと交戦し、撃破する。
しかし、X団は最後の超大型ミサイルを温存しており、地下基地からの発射を試みる。
正太郎は発射直前のミサイル基地に鉄人を特攻させる。爆発に包まれる鉄人と首領……
翌日の朝刊には「さよなら鉄人、身を挺して日本を守る」の文字が躍った。

第二十五話:ロボット軍団の逆襲(二十四話をハード以上でクリアで登場)
前話から数カ月後、死んだはずの首領が東京に姿を現した。彼は再びロボット軍団を作り上げ、東京を襲撃したのだ。
しかし、実は我らが鉄人28号も健在だった。遂に正太郎とX団の真の最終決戦が始まる。
最初の敵はギルバート、バッカス、サターンの三機(後に制作された劇場版鉄人28号 白昼の残月でも同様の編成で登場)
次はモンスターと鉄人27号、そして最後はファイアII世とIII世のコンビ。
圧倒的に不利な状況なはずだが、鉄人はロボット軍団を次々に血祭りに上げていく。
天文学的な予算を投じたロボット軍団を全滅され、更に大塚署長に逮捕された首領は遂に心折れてしまう。

長い戦いを終えた正太郎だったが、その心中は複雑だった。
X団に利用されてきた数々のロボットたち、彼らも平和的に利用できたはずだ。
鉄人もまた兵器として開発されたのだから、いつ鉄人がまた悪魔の手先になるか分からない……
大塚署長は「正太郎君が扱う限り、鉄人は正義の味方だと信じている」と励ます。
正太郎も「ロボットは神にも悪魔にもなる。鉄人、僕たちは兄弟だ。君を悪魔になんかしない」と誓うのだった。


160144:2011/05/22(日) 00:02:23.65 ID:1py1uywn0
>>153
>>156-159
乙です。微妙に割り込んでしまってすみませんでした。

日付も変わってしまったので、いい加減投下しようと思います。
161ダリヤ 〜Lasciatemi morire〜:2011/05/22(日) 00:04:54.74 ID:K2mc47vY0
◆オープニング

         天空は永久に蒼く   
   大地は永遠に揺るがせはせずにあり
      春ともなれば花咲き乱れ――

        だが、人間たる君よ

    君はどれだけ生き長らえていくものか

   百歳とは許されぬ身の上で気まぐれ慰むとて
  全てこの大地の儚き戯れを楽しむだ

      其処彼処に佇み見下ろし給え

        月光を浴びた墓の上に       
   座して蹲るものは荒々しくも不気味な物影

        それは孤独な猿一匹

        聴け、その鋭き叫びを

        この世の甘美な香りに
   甲高くむせび泣き絶叫していくのを――

        李白「悲歌行」より
162ダリヤ 〜Lasciatemi morire〜:2011/05/22(日) 00:07:44.69 ID:K2mc47vY0
ダリヤ
「…………。」
(Dunkel ist das Leben, ist der Tod.)



      鈍色の曇天の下、少女は独り
      
    陰鬱な口笛を吹きながら昏き道を往く


        静謐な黒の空気の中         

   冷たき風は死せる者たちの息吹にも似て――


ダリヤ
「…………。」
(Lasciatemi morire,
 Lasciatemi morire...)

(E che volete voi che mi conforte
 In cosi dura sorte,
 In cosi gran martire?)

(Lasciatemi morire...)

ダリヤ
「………………。」
163ダリヤ 〜Lasciatemi morire〜:2011/05/22(日) 00:10:48.64 ID:K2mc47vY0
◆ステージ1ボス

半裸の大男
「なんだあ?
 どこのハンターかと思ったら、
 ずいぶん可愛い顔したお嬢ちゃんじゃねえか。
 ……こりゃちょうどいいや。
 女を犯りたくて仕方がなかったところだ。
 動けないように手足を切り取って、
 とことん楽しませてもらうぜ。
 グヘヘ……
 下手に抵抗すると余計に痛くなるぜえ?」
164ダリヤ 〜Lasciatemi morire〜:2011/05/22(日) 00:18:50.90 ID:K2mc47vY0
大男は下劣な欲望を隠しもせず遅いかかってきたが、
所詮ダリヤの敵ではなかった。いとも呆気なく倒される。

半裸の大男
「ど、どうなってんだ……
 おかしいだろ、てめえ、その強さは……
 まさか、あの……せ、生体兵器……」

ダリヤ
「…………。」

半裸の大男
「いやいや、お、俺が悪かった!
 その、悪気はなかったんだよ!
 たまたま、事情がさ……
 いや、ほら、な?
 み、見逃してくれよ……?」

ダリヤ
「…………。」

その時、ダリヤの心臓が大きく脈打ち、
視界が朱に染まる。

ダリヤ
「!」
165ダリヤ 〜Lasciatemi morire〜:2011/05/22(日) 00:21:12.63 ID:K2mc47vY0
するとここで、以下の選択肢が出現する。

ダリヤ
「             ?」
         殺す
         殺す
         殺す

……無論、選択の余地はない。
ダリヤは、大男にとどめを刺した。

ダリヤ
「………………。」

半裸の大男
「ぐお、がっ…………!」

ダリヤ
「…………。」





       歌のない世界は 灰色の空


166ダリヤ 〜Lasciatemi morire〜:2011/05/22(日) 00:28:17.35 ID:K2mc47vY0
※ステージ2から仲間が登場し、ラスボス撃破時に誰を連れていたかで
エンディングが分岐します。
今回の投下分ではセイを仲間にした場合について進めていきます。

◆ステージ2・セイとの遭遇


セイ
「おい、そこのお前。」

ダリヤ
「…………。」

セイ
「そう、お前だよ。
 そんな得物を抱えて、
 どこ行こうってんだ。
 まさか、賞金首のフォルドゥンの
 ところじゃねえだろうな?」

ダリヤ
(nod)
167ダリヤ 〜Lasciatemi morire〜:2011/05/22(日) 00:30:47.28 ID:K2mc47vY0
セイ
「おめえみたいなガキでもか……
 まあいい。お前がタダモンじゃ
 ねえのは見りゃ分かるさ。
 奴の根城に行こうと思ったら
 この道を通るしかねえが、
 何せバケモンの数がハンパじゃねえ。」

ここで選択肢。(nod:首を縦に振る shake:首を横に振る)

セイ
「俺と手を組まねえか?」
         nod
         shake
168ダリヤ 〜Lasciatemi morire〜:2011/05/22(日) 01:00:40.52 ID:K2mc47vY0
(shakeを選んだ場合)

セイ
「ケッ、そうかいそうかい。
 勝手にしやがれってんだ。
 じゃあな。」

そしてセイは立ち去り、以後出会うことは無くなる。



(nodを選んだ場合)

セイ
「……なんだよお前、
 もしかしてしゃべれねえのか?
 まあいいさ。俺はセイってモンだ。
 あんたの名前は……
 その首から下げたプレートのやつか?
 ダリヤか。
 なんつーかまあ、
 いい、名前なんじゃないの?
 ま、そーゆーわけだから、
 ひとつよろしく頼むぜ。」
169ダリヤ 〜Lasciatemi morire〜:2011/05/22(日) 01:09:28.62 ID:K2mc47vY0
◆ステージ2ボス

セイ
「ホント、こう死体ばっか
 ゴロゴロ転がってんのを見てると、
 時々自分が生きてるんだか
 死んでるんだか分からなくなるぜ。
 “生きてる”ってのは、
 “たまたま死んでないだけ”
 ってことなんじゃねえかってな。
 いや、だからどうしたと言われたら
 それまでなんだがよ。」

他愛も無い会話に興じつつも、絶えず足を進める二人の前に
一匹の生物兵器が現れる。
爬虫類じみた双頭を併せ持つ怪鳥。
道中のそれとは一線を画する実力で生物兵器は襲い掛かったが、多勢に無勢。
程なくして完全な沈黙を果たした。



      ぬめぬめとした 不快な悦楽

170ダリヤ 〜Lasciatemi morire〜:2011/05/22(日) 01:15:33.06 ID:K2mc47vY0
◆ステージ3ボス

生物兵器を屠りながら進む二人の前に、
道化師のような姿をした怪人が現れた。

殺人鬼
「あひひひひひひ!
 ひひゃひゃひゃひゃはひゃひゃ。
 あは、あは、き、気持ちいーい!
 気持ちいい、殺して切り刻む!
 いい、気持ちいいよ。
 血ぃ!
 見せてよ、全部!
 内臓をぶちまけてさ!
 ウキキ。
 うひっ!
 うひひひひひひひひ!」

狂った言葉を止めぬままに、そいつは襲いかかって来た。
171ダリヤ 〜Lasciatemi morire〜:2011/05/22(日) 01:18:39.43 ID:K2mc47vY0
人間離れした膂力で殺人鬼は奮戦するが、じきに力尽きた。

殺人鬼
「えっ……ダメじゃん。
 君がっ! 君が死ぬの!
 苦しんで、もがいて、這いずってさ。
 僕からこんな、血が、血がねえ。
 ああー、抜けていく僕の血が。
 ひー。おほほひおひひふひはひ……
 ダメだよ! お、面白くないよ!
 僕が死ぬのは、怖いじゃないか。
 早く、助け、助け…………」

ダリヤ
「…………。」



           痛いのは


       裂けて千切れる肉でもなく

       きしんで砕ける骨でもなく


       血を流し悶える 私の心

172ダリヤ 〜Lasciatemi morire〜:2011/05/22(日) 01:24:09.91 ID:K2mc47vY0
◆ステージ4ボス

セイ
「聞いたハナシなんだけどな。
 『地球環境監視センター』の地下には
 永久機関があって、食い物も電気も、
 今なお余るほどに作られてるってよ。
 政府があんだけの賞金を出すウラには、
 そういう事情もあるんだってなあ。
 いっそのこと、
 俺がセンターを乗っ取って、
 それを利用して
 大もうけ出来ねえもんかなあ。」

施設に近づくにつれ、その強さを増していく生物兵器達。
そして二人の前に、またも立ちふさがる異形。
しかしその姿形は……。

セイ
「何だよコイツ……
 バケモンの分際で、
 何かしゃべってやがるのか……?
 ケッ、何だか知らねえが、
 こいつもブッ潰していくまでだ!」

何やらブツブツと呟いている、それの上半身は……
人間の輪郭に、とても良く似ていた。
173ダリヤ 〜Lasciatemi morire〜:2011/05/22(日) 01:28:56.43 ID:K2mc47vY0


??????
「ダリヤ……
 ダリヤ……!

 誰が、ああ、クソッ!
 こんな、こんなひどいことを……!

 っ……!
 どうして、どうしてダリヤなんだ!
 他のどうでもいい奴でいいだろうが!

 血が……止まらない……
 クソッ、クソッ! クズどもが!
 生きる価値もないゴミどもの分際で!

 手段は……もうあれしかない。
 生体兵器として、義体を移植するしか。

 でも、生きるためだ。
 お前は、生きなければならない……」
174ダリヤ 〜Lasciatemi morire〜:2011/05/22(日) 01:31:30.90 ID:K2mc47vY0
??????
「恐らくは、脳に障害も残るだろう。
 正常な、人間らしい生活は、
 二度と出来ないかもしれない……

 だが、生きろ。
 そして望むままの相手を殺せ!

 お前が憎いと思うなら、
 世界中の人間を殺しても構わない!

 もし、もしも……
 お前がそう望むのなら、
 たとえこの私であっても……」



ダリヤ
「………………。」
175ダリヤ 〜Lasciatemi morire〜:2011/05/22(日) 01:34:29.14 ID:K2mc47vY0
◆ステージ5ボス

遂に辿り着いた『地球環境監視センター』。
そして其処に住まう生物兵器の主が、姿を現す。

ダリヤ
「………………。」

フォルドゥン
「やはり私を殺しに来たか、ダリヤ…… 
 ずっと、そんな予感はしていた……

 だが、私はまだ死ぬわけにはいかない。
 私が、地球再生のプロジェクトを
 完遂させるその日まで。

 なぜ、お前が私を
 殺したいのか知らないが、
 言葉を持たない今のお前では――
 いや、たとえ声が出ていたとしても、
 語らうことによってお前の気を
 変えさせることは出来ないだろう。
176ダリヤ 〜Lasciatemi morire〜:2011/05/22(日) 02:01:28.84 ID:K2mc47vY0
 もしここで、私がお前を殺したら――
 プロジェクト完成の後、
 私はお前の後を追おう……

 だが今は、
 止まるわけにはいかないのだ……

 さあ、
 やるというなら全力で来るがいい。
 生体兵器として、
 自ら改良を重ねたこの身体、
 生半可では朽ちん。

 私を殺せ!
 そして生きろ!
 それがお前の生きる道というならば!」

最後の戦いが、幕を開けた。
177ダリヤ 〜Lasciatemi morire〜:2011/05/22(日) 02:03:51.23 ID:K2mc47vY0
激しい戦いの末、満身創痍のフォルドゥンに
決定的な一撃が決まった。

フォルドゥン
「やはり……
 こう、なったか……


 フフ……お前は……
 最後の最後まで、
 分からない子だった……
 何を考えているのかも、
 何が欲しいのかも、
 どう愛したらいいのかも……

 私には、理解者と呼べるものはなく、
 お前もまた、誰からも理解されない……
 思ったのだ……
 私の孤独を癒してくれるのは、
 お前だけだと……
178ダリヤ 〜Lasciatemi morire〜:2011/05/22(日) 02:06:05.72 ID:K2mc47vY0
 だが、違う。
 お前は、理解されることを拒絶する。
 この世の中でも、
 とりわけ異質な感性……
 私では、
 想像もつかない人間だ、お前は……

 それにしても、
 自ら世界の未来を閉ざすとは……
 私がなくては、
 地球再生の道は途絶える。
 人類が進む道は、
 必然としての滅びだ……
 まあ、それも、
 人間の選択のひとつか……

 ……せめて最期くらい、
 お前の、声が聞きたかった……
 ダリヤ……」

そう言ってフォルドゥンは崩れ落ち、絶命した。
179ダリヤ 〜Lasciatemi morire〜:2011/05/22(日) 02:08:11.62 ID:K2mc47vY0
◆セイエンディング

セイ
「勝っ……ちまったのか……?
 意外とあっさりしたモンだな……」

ダリヤ
「…………。」

セイ
「ん、この写真は?

 これ、お前か、ダリヤ……?
 それとフォルドゥン……
 やっぱりそうか、親子だったのか……」

ダリヤ
「………………。」

セイ
「なんで、自分の父親を殺そうと……
 いや、いいさ。聞かねえよ。
180ダリヤ 〜Lasciatemi morire〜:2011/05/22(日) 02:10:51.44 ID:K2mc47vY0
 あー、その、なんだ。
 俺は、賞金が手に入ったとしても
 ハンターをやめる気はねえ。
 で、おめえはどうなんだ……
 行くところとか、ねえんだろ?

 ……俺と一緒に来いよ。
 まだしばらくは、
 俺たちゃ“相棒”だ。
 ……それでどうだ?」

ダリヤ
「…………。


 …………ぁ……あ……ぅ………」

セイ
「あー、分かった!
 分かったから無理はすんな!
181ダリヤ 〜Lasciatemi morire〜:2011/05/22(日) 02:13:05.71 ID:K2mc47vY0
 そんじゃ、めんたまの飛び出るような
 賞金をいただいて、それから王都の
 一番高いメシ屋で何か食おうぜ。」

ダリヤ
(nod)

セイ
「……アンタの笑った顔、初めて見たぜ。
 なんつーか、その……
 可愛い、じゃねえか……」

ダリヤ
「…………。」

セイ
「って、馬鹿野郎!
 言ってみただけだ!
 あー、ほら、もう行こうぜ!
 ダリヤ!」



END
182ゲーム好き名無しさん:2011/05/22(日) 02:17:34.32 ID:K2mc47vY0
途中二度も連投規制を喰らった上、セイとの会話もすっ飛ばして
駆け足気味に終わらせましたが、とりあえず投下終了です。
次はエイブラハムかカタリナになると思いますが、殆どボスのセリフなんかは
共通しているので今回のように長引くことはないと思います。

そして>>154のまとめ様、何時もお疲れ様です。
183ゲーム好き名無しさん:2011/05/22(日) 02:17:55.57 ID:K2mc47vY0
途中二度も連投規制を喰らった上、セイとの会話もすっ飛ばして
駆け足気味に終わらせましたが、とりあえず投下終了です。
次はエイブラハムかカタリナになると思いますが、殆どボスのセリフなんかは
共通しているので今回のように長引くことはないと思います。

そして>>154のまとめ様、何時もお疲れ様です。
184ゲーム好き名無しさん:2011/05/22(日) 02:53:29.56 ID:ir77hruu0
ダリヤ乙です。
殺伐としてるなあ。
185ゲーム好き名無しさん:2011/05/22(日) 03:42:26.19 ID:edjqUnIi0
あと、連投したら規制にひっかかるのはどこも同じ。
規制がキツイと思ったら
差し替え・追加スレッド
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/game/16156/1091442098/
↑のスレに投下するか
wikiに直接投下するか。

1レスにもうちょっと詰め込めるね
48行までおk
っていうかそんなに焦って投下しなくてもいいんじゃないかと
186ゲーム好き名無しさん:2011/05/22(日) 21:18:12.56 ID:qFyDSKfI0
ダリヤ乙です
難易度高くて途中で投げてたからマジ嬉しい
続きも待ってます
187ゲーム好き名無しさん:2011/05/23(月) 08:35:46.58 ID:Ng8CKy0N0
ダリヤ乙
でも忍法帖レベル低いんなら上がるまで待ったら?
188ゲーム好き名無しさん:2011/05/25(水) 15:57:54.49 ID:5Kk9W0oF0
セイとの残りの会話もまとめてくれると嬉しいんだが
189 ◆l1l6Ur354A :2011/05/26(木) 22:07:06.03 ID:HMUHHSrh0
トリップテスト
成功したらPSPo2インフィニッティー投下する
190PSPo2i ◆l1l6Ur354A :2011/05/26(木) 22:20:00.44 ID:HMUHHSrh0
ではPSP「ファンタシースターポータブル2インフィニティ」(以下PSPo2i)投下します。
「ファンタシースターポータブル2」の追加要素加えた続編です。
一応ある程度初見の人にも分かるようにまとめたつもりだけど、世界観や用語等分からなかったら他シリーズのまとめ見てください。
あとこれマルチEDなんだけど自分はトゥルーしか見てないのでトゥルールートで書きます。
他ルートは後で簡単に紹介だけしますね。

■前作のまとめ(2)
SEED事変より3年後、グラールは深刻な資源枯渇問題に直面していた。
それを解決するために提示されたのが「亜空間航行」。
すなわち資源が豊富な他の空間の宇宙へと接続するための技術の開発だった。
しかし亜空間航行を実践に移していく中、研究の第一人者であるシズルがその体を乗っ取られてしまう。
それはかつてグラールを支配していた旧文明の王によるものであった。
旧文明の人々はは当時SEEDが襲来した際その肉体を失い精神体となり、別の空間の宇宙へと避難していた。
そして現代のグラールの人間は旧文明人たちがいずれその体を乗っ取るために用意されたものであるのだと言う。
旧文明の王カムハーンに対抗すべく、エミリアに宿った旧文明人ミカの助けを受けて主人公達はその野望を打ち砕いた。
だがそれはエミリアと主人公を見守ってくれていたミカとの別れを意味していた……。

インフィニティでの追加エピソードはこの物語から数ヵ月後〜1年未満というところだと思います。
191PSPo2i ◆l1l6Ur354A :2011/05/26(木) 22:23:19.12 ID:HMUHHSrh0
■主要登場人物
・主人公(種族/性別選択可能)
元フリー傭兵であり、現在は軍事会社リトルウィングの優秀な稼ぎ頭。
亜空間事件の解決者として英雄視されているようだがいまいち存在感はげふんげふん
かつてミカに蘇生してもらった縁で、精神体である旧文明人の姿が見える。

・エミリア・パーシバル
主人公のパートナー。元ガーディアンズ研究員。前作のヒロイン。
天才的な演算能力を持つが故に運命に翻弄された少女。
旧文明人のミカをその身に宿していた過去を持ち、その縁で旧文明人の(以下略

・ナギサ
近年発生するようになった新種族デューマンの少女。
物忘れが酷い上に常識知らずの天然さん。あと着やせするナイスバディ。
「欠片」を集めるという使命を胸に一人奔走する孤高の戦士。今作のヒロイン。
旧文明人のワイナールをその身に宿している。

・ワイナール
ナギサに宿る精神体の旧文明人。かつてはSEEDの研究者だったようだ。変態さん。
非常にお喋りだがナギサのよき理解者であり、彼女の幸せのために行動する。

■今作のキーワード
・デューマン
ヒューマン(普通の人間)が突然変異を起こして発生した新種族。
病的な程の白い肌と眼帯(もしくは何らかの方法で片目を隠す)が特徴。
(何故眼帯をするのかは明記されてないと思う。謎です)
その発生原因はSEEDとSEEDワクチンの相互作用によるもの。
物語冒頭では変異原因は判明しておらず、一般には不気味がられていたりする。
・欠片
各地に出現した謎の欠片。ナギサが集めている。
その欠片の周辺では生物が突然変異を起こし凶暴化してしまう。
・SEED
侵略を目的としていると思われる謎の生命体。生物に取り付いたりできる。
3年前のSEED事変と呼ばれる事件の際に封印されている。
旧文明はこの侵略によって滅亡した。詳細は他シリーズのまとめ参照してくれ。
192PSPo2i ◆l1l6Ur354A :2011/05/26(木) 22:26:23.42 ID:HMUHHSrh0
<プロローグ>
亜空間事件を解決に導いた主人公とエミリア。
事件の中で過去を乗り越えたエミリアは亜空間航行の研究者としても忙しい日々を送っていた。
ある日GRM社から謎の「欠片」の解析の相談を持ちかけられる。
GRM社の敷地から見つかったその欠片はどれだけ調べてみても現在の技術では「何一つ分からない」。
亜空間関連のものである可能性を考えてエミリアに相談が持ちかけられたのだ。

社長のヒューガに案内されて「欠片」の保管場所に辿り着いたところで謎のデューマンの少女が侵入し、欠片をその身に取り込んでしまう。
不法侵入に加えて謎の行動にヒューガは少女を取り押さえようとするものの、少女は圧倒的な力を以って退ける。
少女をどうしたものかと考えあぐねていると、主人公とエミリアの耳に少女以外のおちゃらけた男性の声が聞こえてきた。
「あんたとあたしにだけ聞こえるってことは……」
少女は旧文明人を宿しており、その人物と会話しているのだ。
エミリアと主人公が旧文明人の男性の存在に気付いたことに、少女達もまた驚きを隠せないようだった。
だが一瞬の隙をつかれて少女達には逃げられてしまう。

調査するものが無くなってしまった以上はどうしようもないため、エミリアと主人公はリトルウィングに帰還する。
すると主人公たち御指名の依頼が入ってきたという。
その依頼者は――

「貴方達を、待っていた」

そこにいたのは先ほどGRM社で欠片を取り込んだ謎の少女であった。

1<悪夢を狩る剣士>
少女と旧文明人の男性、彼女達と改めて自己紹介をする。
少女の名はナギサ。ある目的のために旅をしているのだという。
そして旧文明人の男性はワイナール。彼女を時に励まし時にからかうよきパートナーだ。
(ちなみに服装がかなり際どいのでエミリアには変態さん呼ばわりされる。
 旧文明のフォーマルな服装は相当際どいらしい)

ナギサの目的は「デューマン発生の鍵を探る」ことに関係があるのだと語る。
近年爆発的に増加傾向にあるヒューマンの突然変異種デューマン、その発生理由は未だ謎に包まれていた。
だがワイナールはその鍵を知っているのだという。SEED関連を集中的に調べてみろとエミリアに助言する。
(昨今の事件である亜空間関連からのアプローチしか行っていなかったために
 原因追求が遅れていた)
その言葉を聴いたエミリアは裏を取るために話の途中で飛び出していってしまう。
193PSPo2i ◆l1l6Ur354A :2011/05/26(木) 22:27:40.30 ID:HMUHHSrh0
さてナギサは主人公達に護衛を依頼するためにリトルウィングにやってきていた。
その理由のひとつはワイナールの存在が感知できるからだ。一から全て説明する手間が省ける。
もうひとつはナギサ自身が他者と肩を並べて戦闘することに慣れておらず、生半可な実力の戦士ではナギサの邪魔にしかならないため。
ふたつを綺麗にクリアできる主人公はまさにうってつけの存在なのだ。
エミリアが帰ってくるのを待つ余裕もない、と言ってナギサは主人公にニューデイズの僻地での護衛を依頼する。

惑星ニューデイズの僻地にやってきたナギサと主人公。
彼女の目的は「デューマン発生」にも確かに関係のあることだが、それを追う事は真の目的ではないらしい。
彼女がここにやってきたのは「欠片」の回収のためだった。
「欠片」をその身に取り込んだ途端、ナギサは気を失ってしまう。非常に負担の大きい行為のようだ。
ひとまずリトルウィングにナギサを連れて戻ってくる。
目を覚ましたナギサは主人公のことを忘れていた。ワイナールの助言で何とか思い出す。
「欠片」を取り込むと彼女は少しずつ記憶を失っていくのだ。
それでもナギサは「欠片」を集めることを自らの使命として成し遂げようとしていた。
もはやその使命が誰によって与えられたものであるかも覚えていないというのに。
次の「欠片」の手がかりはないと言うことでナギサたちは一時的にリトルウィングに滞在するようになる。


2<108の欠片>
ガーディアンズとの共同調査を惑星パルムで行うように上司のクラウチから依頼を受ける。
内容は「GRM社敷地内に現れた突然変異種のモンスターの調査」。
ナギサとワイナールはそれに反応する。「欠片」は生物の突然変異を引き起こす。もしかするとそこには「欠片」があるかもしれない。
「欠片」は108個存在し、残りは3個。既に105個は回収し終わっている。
ナギサが同行を依頼し、それに主人公は了承する。

合流場所に着くとガーディアンズからの人員として前作の事件でも共に戦ったルミアと、そしてGRM社からの人員としてヒューガがいた。
思いっきり不法侵入の前科があるナギサを見て驚くヒューガ。前回ぼっこぼこにされてますしね。
ナギサを追求するヒューガだったが、主人公の取り成しでひとまずその件は脇に置くことに。
調査を進め、巨大な突然変異種を倒すと「欠片」が出現する。
ナギサが「欠片」を回収しようとするところで、ヒューガは看過できないと彼女を止めようとする。
何も言わず力づくでも「欠片」を回収しようとするナギサ。
主人公はそこに割って入り、ナギサを庇おうとする。その姿にナギサはとまどう。
ナギサはヒューガに向き直り、自分が使命のために欠片を回収していることをぎこちなく言葉で説明した。

「欠片」は回収せねば悪いことが起きる。
自分はそれを集めなければならない。たとえ誰からも理解されなくとも。
詳しいことは話せない。それでもどうか分かって欲しい。

その真摯な言葉にヒューガはGRM社に連絡を入れた。
「先日のGRM社不法侵入の件は、僕の勘違いでした」
彼はナギサを許したのだ。
そしてナギサは言葉での交渉に喜びを覚える。
今までは誰にも分かってもらえなくてもいいと思っていた。
ただ自分はひたすらに使命を為し、そして消えていくだけのはずだったから。
194PSPo2i ◆l1l6Ur354A :2011/05/26(木) 22:29:03.46 ID:HMUHHSrh0
3<ただ一つの命を>
「欠片」の手がかりを求めてクラウチに相談すると、心当たりがありそうな奴として前作一緒に戦ったユートが呼び出された。
ユートの修行場としている雪山で最近、変異したモンスターが出現するようになったのだと言う。
ナギサとユートを引き連れ惑星モトゥブの雪山へと向かう。
だがそこは裏社会の者たちローグスの縄張りだった。
しかも頭領であるタイラーが直々に調査に乗り出してきていた。
足止めを食らうかと思いきや、タイラーと一緒に調査をする方向でまとまる。

ユート、タイラーと共に協力しながら奥に進んでいくが、欠片によって凶暴化したであろうモンスターを倒しても欠片は見つからない。
確かに感じていたはず欠片の気配すら見つからなくなってしまい、ナギサは慌てる。
ワイナールは「そんなこともあるんじゃない?」と飄々とした様子で眠ってしまう。
動揺するナギサを宥めていると、タイラーが声をかけてきた。
「探し物の特徴を教えて欲しい」
行きずりの間柄と言えども、一度共に肩を並べて戦ったからには自分の仲間である。
ローグスは仲間を見捨てることは無い。だからいつでも力を貸す――と彼は言うのだ。
そしてタイラーは生き急ぐ様子を見せるナギサに向かって忠言する。
「誰であろうと命は一つ。代わりはきかない」
ナギサはかけられた言葉に考え込む。そして主人公に問う。
――貴方にとって私はどういう存在だ?

結局空振りのままリトルウィングに帰ってきた主人公達。
エミリアも研究施設から戻ってきていた。デューマン発生の調査が一段落付いたのだ。
ナギサの落胆振りを見てエミリアは心配する素振りを見せる。

ナギサはひとり考えていた。欠片が見つからなかった。
相談しようにも、いつも小うるさいくらいのワイナールも眠ったままで静かだ。
――ああ、これが「寂しい」ということなんだな。
195PSPo2i ◆l1l6Ur354A :2011/05/26(木) 22:30:52.99 ID:HMUHHSrh0
4<運命の選択>
エミリアが色々なものをすっとばして博士号を与えられることになった。
デューマン発生原因を究明した功績のおかげらしい。
そこで社長のウルスラがそのお祝いとして、コロニー「クラッド9」の中にある高級リゾート施設での1日招待券を用意してくれた。
クラッド9のリゾート施設は大規模な人工海岸が売りであり、人気も高い。
エミリアは主人公とルミア、ユート、シズル、そしてナギサを一緒に連れて行こうと声をかけた。

総勢水着に着替えてビーチに出陣であります。
エミリアがルミアのまな板スク水姿を見てご愁傷様とか嘆いたり
ナギサのあまりのナイスバディさにルミアが鬼気迫る表情でナギサに迫ったり
ユートが海水飲もうとしたりあまつさえ邪魔だといって水着を脱ごうとしたり
シズルが生の女性の水着姿に過剰反応を示す童貞ボーイであることを自爆したり
起きたワイナールがナギサの水着お着替えを見れなかったことに一生の不覚と嘆いたり
それを聞いてナギサが精神体を切る方法を模索しだしたり
ビーチバレーをやったことのないナギサが一発でビーチボールを粉々に破壊したり
……そんなことはありましたけれど主人公はなんとか元気です。

夕方まで目一杯遊びつくした主人公達。
――私の人生の中で、一番楽しかった。素晴らしい思い出が出来た。
夕日の沈む海岸を眺めながら、そう言ってナギサは優しい笑顔を見せた。

主人公達がリトルウィングに帰ってきたその時、非常警報が響き渡った。
先程までいたリゾート施設に変異した原生生物が出現したのだ。
(一応補足:コロニー「クラッド9」の中にリゾート施設やリトルウィングがある)
リトルウィングの面々が慌てて出動していく中、主人公にも出動が要請される。
ナギサは「欠片」の気配を感じてその討伐に同行を申し出た。
同僚のクノーやバスクは「主人公の認めた人物ならば」とナギサの同行を認め、リゾート施設の原生生物の討伐に向かう。
主人公と出会った当初と比べてナギサは他者と肩を並べて戦うことができるようになってきていた。その成長にワイナールは感心する。
凶暴化した原生生物たちを抑えたところで「欠片」が出現。ナギサは回収に成功する。
これでナギサの手元には107個の「欠片」が集まったことになる。

未だ「欠片」は108個には満たない。だが、ナギサを内より蝕むものがあった。
これを機会と考えたナギサは、決意を胸にある計画を実行に移す。

クラッド6にその日2度目の警報が鳴り響いた。
主人公が部屋から外に出ると、ナギサが剣を構えて立っていた。
その周囲にはリトルウィングの仲間達が倒れている。
ナギサの突然の変貌にエミリアは戸惑い、説得しようとする。
だがナギサはそれに耳を塞ぎ、主人公に剣を向けた。

「武器を取れ!私は大罪人で、貴方は断罪者だ!
 ならばその刃で私の命を刈り取ってみせろ!」
196PSPo2i ◆l1l6Ur354A :2011/05/26(木) 22:32:49.82 ID:HMUHHSrh0
<ここでED分岐その1>
戦う
⇒戦わない

主人公はナギサと戦うことを選べなかった。
ひたすらに彼女の攻撃を凌ぐ姿に、ナギサは苛立ちを募らせる。
だがそこにワイナールが割って入った。
「こんなんじゃ駄目だよ、ナギサちゃん」
ワイナールはナギサの目的を暴露する。

「欠片」とはSEEDの大元、ダークファルス(以下DF)が散らばった姿だった。
DFの「欠片」をその身に集め、全ての「欠片」を宿したナギサが死ぬ。
こうすることでDFを根本的に消滅させること。
これが彼女の目的だった。
他の人々を襲撃したのも、主人公に向かっていったのも、主人公に自分を殺してもらうためだ。

だが、これでは駄目なのだ。
「これじゃぬるいんだよ」
そしてワイナールは唐突に態度を豹変させ、ナギサの体の自由を奪った。
彼は「自分の中に宿した「欠片」」を使ってナギサの中のDFを刺激する。
雪山(3章)で見つからなかった「欠片」は、密かにワイナールが隠し持っていたのだ。
ワイナールはナギサの集めた「欠片」を使ってDFを復活させると宣言する。
旧文明時代の抗SEED航宙船「聖櫃クロウリィ」を遠隔起動。
ナギサと共にクロウリィに乗り込み、そこで主人公達を待つと告げた。


5<私の人生の物語>
惑星パルムに突如出現した聖櫃クロウリィに人々は騒然としていた。
クロウリィはその軌道をクラッド9、すなわち主人公達のいるコロニーへと向けていた。
ゆっくりと、しかし確実にこのままではクラッド9に衝突してしまう。
だが鉄壁の防御を誇るクロウリィに進入するにはリトルウィングの力だけでは難しい。
頭を抱えていると突如ヒューガとタイラーが現れ助力を申し出てきた。
どちらも「主人公に呼ばれた」から来たのだと言うが、もちろん身に覚えはない。
実は事前にワイナールが主人公のビジフォン(PC)を使ってお膳立てしたものだった。
彼の行動の不思議さに首を傾げるエミリア。
とは言えこのまま黙ってクラッド9を壊されるわけにもいかない。
帰ってくる場所を守るため、そしてナギサを救うため。
主人公とエミリア、ユート、そしてシズルがクロウリィへと向かう。

一方その頃クロウリィの中ではナギサとワイナールが対峙していた。
必死になって自分の中のDFを抑えようとするナギサをワイナールはあざ笑う。
主人公達はナギサのために必死になってここまでやってこようとしている。
――君はそれをどう思うんだ?
挑発する言葉の節々にかかるナギサへの問いかけ。
彼の目的は「最初からひとつしかない」のだと言う。
197PSPo2i ◆l1l6Ur354A :2011/05/26(木) 22:34:46.85 ID:HMUHHSrh0
<ここでED分岐その2>
⇒ナギサの好感度一定以上

主人公たちがクロウリィの最深部に辿り着いた時には、ナギサは限界に近かった。
ナギサは主人公達の姿を見て安堵すると同時に、何故ここにきたのかと激怒する。
――ナギサを助けるため。
主人公の言葉にナギサは揺れた。そこにワイナールの言葉が被さる。
「キミはどうしたいんだ!本当の気持ちを言ってしまえ!」

「……私は、生きたい!もっと皆と一緒にいたい!」

ナギサがようやく口にした生への渇望。
ワイナールはその瞬間をずっと待っていたのだ。
強い生への意志はDFが嫌うものだ。DFはナギサの体から離れていく。
ならばどこに集まるのか?
一つ残った「欠片」の元――DFはワイナールの中に吸い寄せられていった。
全てはこの瞬間のために。
ワイナールの目的は「ナギサを幸せにする」こと。
「欠片」を隠し持っていたのも、壮大な方法でナギサを挑発したのも。
DFを全て自らに引き寄せ、ワイナールがナギサの代わりとなるため。
実はリトルウィングに護衛の依頼を持ち込もうと持ちかけたのもワイナールだった。
主人公達と出会う前のナギサでは、使命の為に殉じる気持ちしか持てなかっただろう。
例え他の人と接しても、誤解されやすいナギサの性格では中々友情も築けない。
だがワイナールが見える主人公ならば、ワイナールがナギサをフォローしてやれる。
そしてその目論見は見事にはまり、主人公とナギサは確かな絆を結んでいた。

ワイナールの中で一つとなったDFはついに復活し、主人公達に襲い掛かる。
一度は撃退するものの、完全に消滅させることはできない。
ワイナールは聖櫃クロウリィを自分ごと宇宙の彼方へやることを提案する。
(クロウリィは抗SEED航宙移民船で、SEEDの侵食を一切受けない。
 つまりSEEDが外へと漏れ出すことも無く、SEEDひいてはDFを封じる檻となる)
そもそもクロウリィを作ったのはワイナールだった。
SEEDの脅威から人々を守るため。だがそれも叶わず旧文明は滅んでしまった。
だが今度の今度こそたった一人、大事な人を守り通せた。
そのことを心から喜び、安堵するワイナール。
旧文明人は滅ぶべくして滅んだ。旧文明の人間はもう去るべきだ。
姉の言葉を引用し、ワイナールはナギサに別れを告げた。

「楽しく生きてね、ナギサちゃん。
 キミの人生の物語はここからだよ」
198PSPo2i ◆l1l6Ur354A :2011/05/26(木) 22:37:30.85 ID:HMUHHSrh0
そして文字通りDFとワイナールの棺となった聖櫃クロウリィは、宇宙の彼方へと果て無き航海に旅立った。
主人公達はナギサを連れて脱出することに成功する。
だがその後ナギサはリトルウィングから姿を消した。
あんなことをしでかしたからには合わせる顔が無い。
ナギサはワイナールと共にした旅路を辿りなおしていた。

・・・

ナギサがワイナールに出会ったのはデネス・レリクス。
一人で「欠片」を集める旅をしていた際にナギサがワイナールの宿っていたレッドタブレットを見つけたのだ。
あまりに物知らずなナギサにワイナールは呆れるが、ナギサは「どうせ忘れてしまうから問題ない」とそっけない。
一人で生きるのが当たり前となっていたナギサの姿に、ワイナールは思わずレッドタブレットからナギサに乗り移っていた。
「これからは僕が一緒にいる。君が忘れたことは僕が覚えていよう」

ある日ナギサとワイナールはある別のレリクスにて「欠片」の回収作業をしていた。
――もしかして誕生日も覚えてない?というか誕生日って何か知ってる?
ワイナールの疑問にナギサは当然のように覚えていないと返す。
そもそも誕生日など覚えていても祝ってもらうような人もいない。
そう言うナギサにワイナールは提案する。

「じゃあ今日がナギサちゃんの誕生日。誕生日にはお祝いをしなきゃね。
 来年の誕生日も一緒にここにきてお祝いしよう」

・・・

――そして今日はナギサの誕生日だ。

「欠片」が無くなったことでナギサは失った記憶を徐々に取り戻してきていた。
大事な約束を思い出したナギサは、約束のレリクスに訪れる。
しかし約束の場所には誰もいない。
ワイナールが約束を破ったことにやるせない怒りとともに泣き崩れるナギサ。
だが、そこに――

「誕生日おめでとう!」

クラッカーが鳴り響いた。
ナギサが顔を上げると主人公をはじめとしたリトルウィングの面々。
そして主人公と共に旅をした中で出会った仲間がいた。
ワイナールがクロウリィ進入のお膳立てを主人公のビジフォンで残していった際に、もう一つ伝言が残されていたのだ。
彼女の誕生日を祝ってほしいと。そして彼女のために仲間は集まり、出迎えた。
確かにワイナールは約束を果たしたのだ。

fin.
199PSPo2i ◆l1l6Ur354A :2011/05/26(木) 23:53:01.62 ID:HMUHHSrh0
【BADEND】
<ED分岐その1>
⇒戦う

激しい戦いの末に主人公はナギサを手にかけてしまう。
決意の末に使命を果たしたナギサは満足して息を引き取る。


【NORMALEND】
<ED分岐その2>
⇒ナギサの好感度一定以下

主人公達やワイナールの言葉を聞いても自分の使命を貫き通す覚悟を曲げないナギサ。
DFをその身をもって滅ぼすことこそが自分の生まれた意味だからとその意志は変わらない。
ついにDFはナギサの体を使って復活してしまう。それを倒す主人公達。
クロウリィを軌道修正するために主人公達を脱出させ、ナギサはワイナールと共にこの世を去る。


■シリーズプレイ者への補足

・ナギサ
「欠片」を探すのに必死で前作の亜空間事件は知らなかったとか。世間知らずにも程が。
フルネームはナギサ・アーデルハイト・ハウザー。
カール・フリードリヒ・ハウザーの養子だそうです。
彼女に「欠片」を集める使命を与えたのもハウザーの手によるものと思われる。
ED後はリトルウィングに逗留して今後について考えているようです。

・ワイナール
デネスレリクスのレッドタブレットに宿っていた。
前作でカムハーンがわざわざ過去のデネスレリクスをエミリアの記憶から再現したのは、ナギサがワイナールと共にレッドタブレットごと持ち出していたから。
あとミカの弟。

最後でさるさん食らっちゃった。以上です。
PSOのリコとフロウウェンが出てくるサイドストーリーもいるかな?
200ゲーム好き名無しさん:2011/05/27(金) 00:04:35.14 ID:QNWBjVlH0
PSPo2i乙です。
途中で脱落しちゃったのでサイド入れてくれると嬉しいです。
201ゲーム好き名無しさん:2011/05/27(金) 00:06:51.62 ID:QNWBjVlH0
連投失礼。
そいえばwikiにはPSOEp1未収録なのね。
リクには無いけど2も出ることだし資料集引っ張り出しつつ書こうかな?
202ゲーム好き名無しさん:2011/05/27(金) 07:29:58.48 ID:OFsBeI9n0
>>201
お願いします
203ゲーム好き名無しさん:2011/05/27(金) 21:32:50.27 ID:RY3+PU8FO
ちょっと質問よろしいでしょうか
だいぶ前にwikiに収録されている作品を、例えば2つのエンディングのうち1つし書かれていない等の理由で補足したいのですが、
その場合はスレに投下しても良いのでしょうか
それとも直接編集?
204ゲーム好き名無しさん:2011/05/28(土) 15:54:52.39 ID:iIQw4Hut0
>>203
補足であることを明記してスレに投稿でいいんじゃない?
自分でWiki編集もすれば、まとめさんの手間も省けて更によいのでは。
205ゲーム好き名無しさん:2011/05/28(土) 20:02:49.69 ID:qW1y3KoVO
wikiの「涼宮ハルヒの約束」を見てて思ったんですが
ハルヒバッドエンドと他キャラエンドも気になるので、どなたか補足していただけないでしょうか?
206ゲーム好き名無しさん:2011/05/28(土) 23:49:46.95 ID:9LA26++v0
>>205
俺の書いたもの読んでいただけるとは光栄に存じます。

というわけで予約します
驚愕発売記念とゆーことで
207ゲーム好き名無しさん:2011/05/29(日) 11:02:08.89 ID:3t8DxRlDO
>>204
wikiは編集できるので、直接編集にします
ありがとうございました
208ゲーム好き名無しさん:2011/06/02(木) 00:04:48.94 ID:BnXAVVA00
未解決のPCゲーに載ってる、2008年版のアローンインザダークのリクエストを取り消します。
すいません。
209ゲーム好き名無しさん:2011/06/03(金) 00:16:11.30 ID:FUPi5NJn0
wiiの「パンドラの塔」をお願いします。
210ラストウィンドウ 真夜中の約束:2011/06/04(土) 00:59:37.58 ID:42ZSJl+n0
チャプター8 1980年12月25日

おふくろからクリスマスプレゼントが届いた。
早速開けてみると、中には野球のボールと鍵が入っていた。
ボールには見覚えがあった。親父とキャッチボールしたときのものだ。
だが、鍵は記憶に無い。見たところ、車のキーのようだが――。
プレゼントに添えられたカードには、こう書かれている。
『メリー・クリスマス。あなたに25年前の思い出の品を贈ります。
この箱に入っていたものは、父さんが最期に持っていた、あのトランクの中に入っていたものです。
あのときの父さんと同じ歳になった、最愛の息子カイルへ、母より』
プレゼントを眺めながら、俺は昔のことに思いを馳せた。
親父が死んで、おふくろに手を引かれてロサンゼルスを後にし、マンハッタンへ行った…。

そのとき、突然電話が鳴り出した。
『いたのね』
おふくろからだった。何てタイミングだ。
「プレゼント、見たよ。あのボールは、親父から買ってもらったやつだ」
俺は鍵のことを聞いてみたが、おふくろにも何の鍵だか分からないらしい。
「どうして親父みたいな男と一緒になったんだ?
金庫破りだと知って、どうして止めなかった?」
それは、聞きたいと思いながらも、どうしても口に出せなかったことだった。
『好きになったから、あの人を愛していたからよ』
おふくろが、親父が金庫破りだと知ったのは、俺が生まれて2年ほどたった頃らしい。
親父は何度も足を洗おうとしたが、仲間がそれを許してくれなかったという。
「それでも、金庫破りを続けていたなんて、許されることじゃない!」
思わず声を荒げてしまった。
『カイル、いつか、あなたが父さんのことを、
そして私のことを許してくれる日が来たら、この話の続きをさせて』
そう言って、おふくろは電話を切った。

昨日のパトリス夫人の態度が気になったので、話を聞いてみることにする。
夫人は訪ねて来た俺に怪訝な目を向ける。
「俺の唯一の趣味は、ジャズを聴くことなんです」
誓って言うが、これは本当のことだ。
「ですから、ご主人がサックス奏者と聞いて興味を持ったんです…」
これはちょっと強引なこじつけだな。
パトリス夫人は嬉しそうに旦那のジョージのことを話し始めた。
ジョージはここがホテルだった頃の常連客だったらしい。
俺は、ジョージの最期はどんなだったかと質問すると、
パトリス夫人は驚いたように目を見開き、そして笑い出した。
「私には人に知られたくない過去があった。だから今まで隠してきたの。
それなのに、私に何の興味も持ってなかったあなたが、
別れの日が近くなった今になって、私の過去を覗こうとしてるなんて…。
笑うしかないでしょう?私は夫殺しで被告になった女よ」
211ラストウィンドウ 真夜中の約束:2011/06/04(土) 01:00:26.15 ID:42ZSJl+n0
13年前、パトリス夫妻の家に強盗が入った。
夫人は強盗に殴られて気を失った。
目を覚ました夫人は、自分が拳銃を握っていることに気付いた。
そして隣には、撃たれて死んでいるジョージが横たわっていた。
パトリス夫人は夫殺しの容疑で起訴されたが、証拠不十分で無罪になった。
そして、その事件は今も未解決のままだと言う。
「あの人が愛した場所で、あの人を思って生きるためにホテルを買ったの。
ハイドさん、悲しい未亡人の話はこれで全てよ」
その言葉に嘘は無いと、俺は思った。
「ハイドさん、もう帰って。そして、ここで聞いたことは誰にも話さないでね」

廊下で慌てた様子のディランと会った。
「ホワイトさんの部屋の水道を止めるようにと、夫人に頼まれて…」
だがウィルはまだ引っ越していないはずだ。
その水道を止めるのは不自然だ。この男の言動は怪しすぎる。
問い詰めようと思ったが、ディランは逃げるように去って行った。

306号室のドアが少し開いていた。ディランが鍵を閉め忘れたらしい。
どうやらウィルは外出中のようだ。
俺は誰にも見られていないことを確認しつつ、素早く中に入った。
家捜しさせてもらうことにしよう…。
そこは生活感の無い部屋だった。
トランクの中に入っていたパスポートには、「ウィル・マクベイン」とサインがある。
さらに、破かれて半分だけのポストカードを発見した。
その裏には「マイケル・マクベイン」の名前がある。
マクベイン、か。
『レッドスターの届け先は、キャシー・マクベイン殺害の犯人』
あのオーダーは、やはり――。
212ラストウィンドウ 真夜中の約束:2011/06/04(土) 01:00:51.73 ID:42ZSJl+n0
「ここで何をしている?」
いつの間にか、ウィルが俺の後ろに立っていた。
物音を立てず、気配を殺して俺に近付けるなんて。こいつは、只者じゃない。
「オーダーの手紙を出したのは、あんたか?」
俺はズバリ、聞いてみた。ウィルはあっけなく認めた。
彼はレッドクラウン商会の、裏の仕事を知っていた。
そして彼の本名はウィル・マクベイン。
彼はホテル・ケイプウェストの支配人の、マイケル・マクベインの息子だった。
3年前マイケルは、キャシーのことを想いながら病死したのだという。
死に際に、キャシー殺害の唯一の手掛りだという、半分のポストカードをウィルに託した。
ウィルは両親の死の真相を探ろうと、このアパートににやってきたのだった。

俺もウィルも、親を殺され、さらにその事件は未解決。
同じ宿命を背負っても、過去に対する思いは違いすぎていた。
「刑事になっても父親の事件を追うことなく、
手がかりがあるかもしれないアパートに偶然住んでも、それに気づこうともしない、
まったくいらつく男だ。だから、気付かせてやったんです」
「あのオーダーにそんな意味が…」
「そうだ、私はあの女に復習するために、このアパートに住み始めた。
あんただってレッドスターを見つければ、自分の父親がどうして殺されたのか、
その真実に近づけるって事に気づいたんだろう?」
ウィルは、パトリス夫人がキャシーを殺したと睨んでいるらしい。

「レッドスターって、何なんだ?」
「希代のダイヤモンドですよ。元はとある宝石商のものだったらしいんですけどね。
それを<コンドル>という窃盗団が盗んで、ホテルに隠していたらしいです」
すべては25年前、ホテル・ケイプウェストの金庫から
レッドスターがなくなったことから始まった。
親父がホテルの金庫にあったレッドスターを盗みに入って、何者かによって殺された。
その事件がキャシー殺害事件と繋がっているらしい。
そこまで知っているウィルからは、なにやら犯罪の匂いがする。
「さて、そろそろ<ナイル>からシメられそうだ。
明日には、もう私はこのアパートにはいないでしょう」
ウィルは組織に属さない泥棒なのだという。
「このアパートには<ナイル>の手先がいる。
<ナイル>に睨まれたら、私のような一匹狼は終わりですから…」
部屋を出る直前、俺は言った。
「ウィル、俺はオーダーを受ける。そして必ず、真実を見つけてやる」
ウィルは心からの笑顔を見せた。

213ラストウィンドウ 真夜中の約束:2011/06/04(土) 01:01:56.62 ID:42ZSJl+n0
チャプター9 1980年12月26日 その1

昨日のウィルとの会話を思い出すと、いたたまれない気持ちになってくる。
テレビをつけると、最近世間を騒がせている<コンドル>の特集番組をやっていた。
なんでも、<コンドル>は犯行の前日に、女を使って宝石店の下見をさせているらしい。
その女は、小さなルビーをちりばめた、高そうなダイヤの指輪をつけていたという。
まさか、彼女が…?でも、どうして?

俺は部屋を飛び出して、206号室をノックした。マリーはすぐに出てきた。
「何かしら?」
「保険のことが、どうなったか気になってたんだ。それと、レックスのことも」
口実としては少々苦しいと、我ながら思う。
「ハイドさん、私のこと気にしてくれていたのね」
結局保険金は支払われることになったと、マリーは嬉しそうに話した。
「マリー、あんた、俺に何か隠していることはないか?」
もう会話が続かないので、直接的に聞いてみた。
「…ハイドさん、あなたに隠していることがあるわ。でも、そのことは絶対に話せない」
マリーは部屋を飛び出していった。マリーの口を割らせるためには、何か証拠が必要だ。
後ろめたさを感じつつ、部屋の中を捜索する。すると、差出人不明の手紙が出てきた。
宝石店に行くように指示が書いてあった。どうやら、マリーは誰かから脅されているらしい。

マリーは屋上の灯台のモニュメントの傍に立っていた。
「マリー、もう隠すな。全部、話せ」
「あなたに、もっと早く出会っていたら、こんなことにはならなかったかも知れない。
さよなら、ハイドさん」
下に飛び降りようとするマリーの体に、俺は必死で飛びついて、助けた。
「馬鹿なことをするな!助けて欲しいなら欲しいと言え!」
「そんなこと言えない。私はあの人たちの怖さを知っているから…」
マリーの夫、ピーターは、あの人たちに加担していた。
ホテル・ケイプウェストで働きながら、宝石の密売の手伝いをしていた。
それ以外にもピーターは、いろいろな犯罪行為に手を染めていたらしい。
足を洗おうとも、あの人たちからは逃れることはできない。
13年前にマリーの兄が、そして半年前にピーターが、
事故で死んだのも、あの人たちの仕組んだことだと言う。
マリーをここまで追い込んだあの人たちとは、誰なんだ?
「ナイルよ。あの人たちは、自分のことをそう呼んでいるわ」
214ラストウィンドウ 真夜中の約束:2011/06/04(土) 01:03:00.51 ID:42ZSJl+n0
「なるほどな。そういう訳か」
屋上にレックスがやって来ていた。
レックスは、死んだ友人のジャック・グリーンのために、マリーに付きまとっていたのだ。
雑誌の記者だったジャック・グリーンは、
<コンドル>と<ナイル>の関係を記事にしようとして、<ナイル>に殺されてしまった。
だからレックスがジャックの遺志を継いで、<コンドル>のことを調べていたらしい。
レックスは、<コンドル>について掴んでいる情報を話し始めた。
<コンドル>が活動を始めたのは25、6年前のこと。
手口から盗品の密売方法まで、実に周到で綿密だった。
そして13年前に活動を止めるまで、一度も捕まることが無かった。
たぶん、警察内部のリークだろう。

「ハイドさん、ジャックはあんたの父親のことも調べていた。
25年前に殺された金庫破りは、<コンドル>の一味で、
<ナイル>の秘密を知って消された男だと…」
「何だと!親父が<コンドル>の一味だったって言うのか?」
そんなはずはない。確かに親父は犯罪者だった。
しかし、極悪な犯罪組織に属していたなんて、信じたくない。
真実は、やはり俺自身の手で掴むしかないな。

「マリー、最後に言っておく。この街からすぐに消えろ」
レックスはマリーに声をかけた。
「無理よ。<ナイル>からは逃げられない」
「俺が逃がしてやる。俺を信じるなら、明日の朝6時にユニオン駅に来い」
レックスはそう言うと、エレベーターに乗って消えて行った。
「ハイドさん、私の話を聞いてくれてありがとう。全てを話せる人に会えて良かった」
マリーは軽く手を振って、去って行った。

屋上から降りてきた俺を、フランクの爺さんが呼び止めた。
「ハイド君、屋上であの男と何を話していたんだ?
あの男には近づかない方が身のためだぞ」
「レイバーさん、あんたはなぜレックスのことを気にするんだ?
あんたが調べてる、13年前ここで起きた、
キャシー・マクベイン殺害事件と関係があるのか?」
図星を突かれたのか、爺さんは狼狽したようだった。
「ハイド君、君も13年前のことを調べているのか?」
「俺が調べているのは、25年前のことだ。
25年前にホテル・ケイプウェストで消えたレッドスターを」
レッドスターと聞いて、爺さんは驚きの表情を浮かべた。
「どうして君がレッドスターのことを知っているんだ?
25年前、ホテルにレッドスターが保管されていたことは、
支配人のマイケル・マクベインしか知らなかったことなのに…」
「マイケル・マクベインの息子から聞いた。
そして、彼からレッドスターを探してくれと頼まれたんだ」
俺は事情を一通り爺さんに説明してやった。
「ハイド君、君とは腹を割って話をする必要があるな」
5時に爺さんとラッキーズ・カフェで会う約束をして、別れた。
215ラストウィンドウ 真夜中の約束:2011/06/04(土) 01:04:26.92 ID:42ZSJl+n0
2階のマリーの部屋の前にディランがいた。
「何をしているんだ?」
逃げ出そうとするディランを捕まえる。
こいつは以前、レックスのことを聞いてきたし、
それに昨日、ウィルはこのアパートに<ナイル>の手先がいると――。
「ディラン、あんた、マリーに何をしようとした?
誰に命令されてこんなことを?」
「それは言えないな」
「<ナイル>だろう?お前の仕事はアパートの住人を監視することか?」
「俺の仕事は、マリーとパトリス夫人を監視することだ」
ディランはとうとう<ナイル>の手先であることを白状した。
正体を見破られた彼は逃げ出す準備を始めた。
俺はアパートを出るまでこのことは他言しないつもりだ。
そうすれば二日は稼げるから、その間に逃げられるはずだ。

時間になったのでラッキーズ・カフェに行く。
フランクの爺さんから25年前のことを聞く。
ロス市警の刑事だったフランクは、<コンドル>の捜査を担当していたが、
突然捜査から外されてしまっていた。
爺さんを捜査から外したのは、当時の上司であるヒュー・スペックだった。
スペックは<コンドル>と繋がっていると、爺さんは睨んでいる。
<コンドル>が一度も捕まらなかったのも、スペックのリークがあったからだ。
「レイバーさん、つまり、あんたは<ナイル>とロス市警の癒着の証拠を探しているんだな?」
「そうだ。それはそうと、さっき、ディランと話していたようだが…」
「ディランには<ナイル>の息がかかっていた。
奴はマリーとパトリス夫人を監視していたらしい」
しかし、マリーは分かるが、何故パトリス夫人を監視していたのかが疑問だ。
そのことを話すと、フランクの爺さんは話し始めた。
パトリス夫人の死んだ亭主のジョージは、
ホテル・ケイプウェストの支配人だったマイケル・マクベインの友人で、
キャシー・マクベイン殺害の第一容疑者だった。
「そしてジョージ・パトリスは、25年前に消えたレッドスターの行方を知る人物だと
私は踏んでいる」
13年前のキャシー・マクベイン殺害事件、そして25年前親父が盗もうとしたレッドスター、
<コンドル>に<ナイル>――。
これらは全て繋がった事象だった。
「このアパートにはきっとレッドスターが隠されている。
そして、レッドスターを見つける手掛りも、
私が探している癒着の証拠も、アパートのどこかにある」
爺さんは、自分が探し切れていない4階か、あるいはパトリス夫人の部屋が怪しいと言う。
「ハイド君、私と協力して、パトリス夫人の部屋を調べてみないか?」
「…なんだと?」
俺は迷ったが、爺さんの熱意に負けて、その提案に乗ることにした。
216ラストウィンドウ 真夜中の約束:2011/06/04(土) 01:05:09.48 ID:42ZSJl+n0
爺さんはパトリス夫人をカフェに呼び出して、話をする。
その隙に俺は夫人の部屋に入った。
奥の寝室で、<ナイル>から送られてきた脅迫状を見つけた。
クロゼットの中には、大事そうにしまってあるオルゴールがあった。
そのオルゴールのドラムの軸に鍵が差してある。オルゴールを壊さないよう、慎重に鍵を取り出す。
その鍵は、頭の部分にコンドルの文様がついている。
部屋の中をさらに探したが、レッドスターに繋がりそうなものは発見できなかった。

俺はカフェに行った。パトリス夫人は話を切り上げて、部屋に戻った。
フランクの爺さんに、コンドルの文様の鍵を見つけたことを話す。
「ハイド君、その鍵を私に渡してくれ。そして、君はもう何もするな」
「そうはいかない。俺には、どうしても見つけたいものがある。
この鍵があれば、それを見つけることが出来るかもしれない」
「わかった。好きにしろ」
フランクがカフェを出て行くのと入れ替わるように、スティーブがやってきた。
「ハイドさん、いい話があるんだ。前にラジオでかけてもらったあの曲、
評判が良くってレコードになりそうなんだ」
スティーブは嬉しそうだった。
「なあ、スティーブ、一緒に探してもらいたいものがあるんだ」
俺はスティーブに、レッドスターというダイヤを探していることを話した。
「そんな面白い話なら、乗るぜ」

俺とスティーブは、4階へ行って、部屋を一つ一つ丁寧に調べていった。
406号室で、ダイヤル式の金庫を見つけた。
「ひょっとして、ここにあるんじゃねえか?例のなんとかスターってやつ」
スティーブは興奮した様子で言った。
そのとき、背後に気配を感じて振り返った。顔にスプレーを吹き付けられた。
そして、頭に衝撃を感じ、意識が遠のいていった。

217ラストウィンドウ 真夜中の約束:2011/06/04(土) 01:06:35.51 ID:42ZSJl+n0
チャプター10 1980年12月26日 その2

気がつくと、縛られて動けなくなっていた。
そうか、催涙スプレーを使ったのか。そしてひるんだ隙に頭を殴って気絶させる、と。
テーブルに陶製の花瓶が載っている。テーブルに体当たりして花瓶を床に落として割り、
破片を使ってロープを切った。
これでやっと動ける。それにしても一体、こんなことをしたのは誰なんだ?
廊下で倒れていたスティーブを見つけ、助け起こした。
「ハイドさん、誰が俺たちを襲ったんだ?」
「それはきっと、レッドスターを見つけさせたくない奴だ」

「そうだ、邪魔が入らないうちに金庫を調べちまおうぜ」
スティーブは持ってきたバールで金庫の扉をこじ開けた。
金庫の中には、中に何も入っていない宝石ケースだけがあった。
ん?この金庫の扉、やけに分厚いな…。
金庫の扉をよく調べると隙間があり、そこにノートが隠してあった。
それは、ホテルの支配人マイケル・マクベインの日記だった。
13年前の日付の所に、妻のキャシーを悼む気持ちが綴られている。
キャシーが殺された原因は、12年前(つまり今から25年前)に、
マクベインが、ホテルに侵入してきた金庫破りを射殺し、
レッドスターを手に入れたからだ、と書かれている。
さらに日記を読み進める。
マイケルはホテルの閉館とともに<コンドル>と手を切ろうとした。
だがその報復として、キャシーが殺された。
25年前、レッドスターを盗もうと、この部屋に忍び込んだ親父は、
マイケル・マクベインによってこの場所で、殺された…。

これ以上は危険だからと、スティーブと別れて、一人で行動することにした。
俺を襲った犯人はたぶん、パトリス夫人だ。あの手口なら女でもやれる。
それに、隠し事が多いしアパートの過去を探られるのを嫌がっている。
1階へ降りてパトリス夫人の部屋をノックする。
「パトリス夫人、あなたがやったことは全部分かっているんだ。ドアを開けてくれ」
「あなたは私の部屋に忍び込んで、あの鍵を持ち出したのでしょう。なんて恐ろしい」
夫人は俺のことを<ナイル>の関係者だと誤解している。
だから俺を襲ってあんな真似をしたのだ。

フランクの爺さんがパトリス夫人に、俺が<ナイル>の関係者だと話したのだろう。
爺さんを問いただすが、彼は話していないときっぱりと言った。
「勝手に4階を調べてレッドスターを手に入れればいいだろう?」
「レイバーさん、俺の目的は、過去を調べて25年前の真実を明らかにすることだ。
レッドスターそのものが目的じゃない」
「ハイド君、25年前のことを聞きたいのなら、私の部屋まで来ればいい」
218ラストウィンドウ 真夜中の約束:2011/06/04(土) 01:10:07.22 ID:42ZSJl+n0
言われた通りに、爺さんの部屋を訪ねる。
「私は事件の捜査に巻き込んだ一人の人間の命を奪ってしまった。
君が調べている、金庫破りの男だ」
25年前、<コンドル>の尻尾をつかもうと躍起になっていたフランクは、
情報屋から紹介された名うての金庫破り「グレゴリー」(仮名)を使うことを考えた。
ホテル・ケイプウェストは宝石密売の現場だと目を付けられていた。
グレゴリーをホテルに侵入させ、金庫を破らせ、盗品の宝石を見つけたら外に合図を送る。
その瞬間、待機していた警官が乗り込んでブツを押さえる、そんな計画を立てた。
フランクはグレゴリーと密約を交わし、ついに計画は実行に移された。
「グレゴリーからは、どんな合図が送られてくることになっていたんだ?」
「窓を使った合図だ」
支配人室の窓から、懐中電灯を点滅させて、合図を送るように打ち合わせていたらしい。
だが、合図はうまく行かず、グレゴリーは殺された。
「どうして合図はうまく行かなかったんだ?合図を送ってこなかったのか?」
「奴は合図を送った。でも…」
フランクはこれ以上話せないと言う。

「私がこの話を聞かせるべき相手は決まっている。それは、グレゴリーの家族だけだ」
「もし、俺がグレゴリーの家族をここに連れてきたら、あんたはそいつにはすべてを話すのか?」
「話すとも」
俺はもう一つだけ質問することにした。
「レイバーさん、あんたはグレゴリーとどんな密約を交わしたんだ?」
「仕事の報酬として、金庫破りから足を洗う手助けをすることを約束した。
それから、前渡しで新車のキーをプレゼントした」
俺は急いで自分の部屋に戻って、おふくろから届いたプレゼントの鍵を持ち出した。
そしてフランクに鍵を渡した。
「俺が家族だ。グレゴリーの本名はクリス・ハイド。それは、25年前に殺された、俺の親父の遺品だ」
フランクは驚きを隠せない様子だ。
「グレゴリーは私の顔をじっと見て、一言こう言った。あんたのことを信じていいのか、と。
私はその問いに黙ってうなずいた。なのに、私は…」
自分が約束さえ守っていればグレゴリーは死なずに済んだと、爺さんは後悔の念をあらわにした。

フランクの爺さんは親父の最期を話し始める。
親父は25年前のあの夜、ホテルに侵入して金庫を破り、レッドスターを手に入れ、
支配人室の窓辺に立って合図を送った。
しかし、ホテルの外からは返事の合図は送られて来なかった。
フランクはそこにはいなかったのだ。
フランクはヒュー・スペックから、病院に入院していた奥さんの容態が急変したとの
嘘の伝言を告げられていたのだ。
騙されたとわかって急いで現場に戻ったが、全てが手遅れになっていた。
「ハイド君、許してくれ。25年前、私がスペックと<コンドル>の関係に気づいていれば、
君の父親は死なずに済んだ」
俺はフランクのことを責めようとは思わなかった。
ただ、親父がどんな想いを残して死んでいったのか、それが知りたいと思った。
「年寄りはでしゃばらず、ここで待っていてくれ」
部屋を出ようとした俺を爺さんが呼び止めた。
4階で見つけた唯一の手がかりであるという、半分だけのポストカードを託された。
219ラストウィンドウ 真夜中の約束:2011/06/04(土) 01:10:58.18 ID:42ZSJl+n0
なんとかパトリス夫人の誤解を解かなければ。
「パトリス夫人、俺は<ナイル>とは関係ない。関係あるのはディランだ。
ディランはあなたを監視するために、<ナイル>が送り込んだ男です」
「あなたは何者なの?ねぇ、教えなさい!」
「俺は、25年前、このホテルの支配人室で殺された金庫破りの息子だ。
親父は、<コンドル>の宝石密売事件に巻き込まれて殺された。
<コンドル>のことを教えてくれ」
パトリス夫人は、<コンドル>のことは話したくないと言う。
「それは、あなたの夫のジョージが<コンドル>の首謀者だったからか?」
「そうよ。あの人は指を怪我して、サックスを吹けなくなって変わったわ」
「13年前に、キャシー・マクベインを殺したのは誰だ?」
「ジョージよ。ジョージは私に言ったわ。マイケルの裏切りに対する報復だと」

ジョージとマイケルが考えた密売方法は、ホテルを使った巧妙なものだった。
まず盗んだ宝石は支配人室の金庫に保管しておく。
そして実際の宝石の受け渡しは、隠し部屋にて行われていたらしい。
当時、金庫に保管されていたレッドスターが狙われているとの情報を受け、
マイケルは支配人室を守ることになった。
情報どおりに親父はホテルにやってきて、射殺され、ダウンタウンの駐車場に捨てられた。
その事件の後、マイケルはレッドスターが消えたとジョージに嘘をついた。
実際はマイケルがレッドスターを横取りし、ホテルのどこかに隠したのだった。
ジョージはマイケルを疑ったが何も言わずに、協力関係は続いていた。
13年前に、マイケルが<コンドル>と縁を切ろうとしたので、キャシーは殺された。
「ハイドさん、私がこのアパートで見つけることが出来なかったものを、見つけてくださる?」
それは、いまだ見つからない、宝石の受け渡し場所である隠し部屋のことだ。
俺はうなずいた。

まずウィルの部屋にあったものと、爺さんから渡されたものと、
半分ずつのポストカードを組み合わせると、破れ目がぴったりと合う。
そのポストカードの絵柄は暗号表になった。
暗号表を見て、エレベーターのボタンを決められた通りに押す。
エレベータは突然動き出して止まり、壁にある小さなふたが開いた。
ふたの中にあった鍵穴にコンドルの鍵を差し込むと、隠し部屋への入り口が開いた。
中腰になり隠し部屋に入る。

この隠し部屋は、4階のエレベーターと隣の部屋の間にある、窓のない狭い部屋だ。
宝石の取引が記録された台帳が置かれている。
机の引き出しの中には、ロス市警のバッジと一枚の写真が入っていた。
そこにはジョージと、ヒュー・スペック、そしてマイケルが写っている。
これだけの証拠がそろえば、ヒュー・スペックが<コンドル>と関係していたことがわかるな。
壁に電灯のスイッチを見つけたので点けてみると、
壁に掛かった風景画の灯台の部分から光が射しこんだ。
灯台といえば…屋上だ。
220ラストウィンドウ 真夜中の約束:2011/06/04(土) 01:12:12.09 ID:42ZSJl+n0
宵闇が迫る屋上に出る。灯台のモニュメントに明かりがともっている。
その光は、屋上のレンガ積みの壁に当たっている。
そのレンガの一つはよく見ると他のものより新しい。
手近な石でたたいてレンガを壊すと、中から見たことも無いほどの大きなダイヤモンドが顔を出した。
楕円形…確か、この形はオーバル・カットって言うんだった。
これが、レッドスターか。「レッド」というが、赤くはないんだな。
親父はこのダイヤを握ったまま死んだのか…。
俺は、思わずダイヤを握り締めた。

「灯台の明かりをつけたのは、ハイドさん?」
出し抜けにパトリス夫人が現れて、そう言った。
パトリス夫人は隠し部屋の場所も、行き方も知っていたのだった。
だが、旦那が、ジョージが罪を重ねた場所である、
あの部屋へ足を踏み入れることを嫌っていたのだった。
「ハイドさん、私、あなたに問い詰められて、こう思ったの。
ここまで知られたら、もう隠し切れないって」
「何を隠そうとしたんだ?」
「あの人が犯した罪よ」
このアパートには、ジョージ・パトリスが犯した罪が全て隠されている。
だからパトリス夫人は、アパートを取り壊し、ジョージの罪を清算しようとした。
それを俺が邪魔した格好になってしまったのだ。
パトリス夫人は旦那のことを話した。彼女は旦那を本当に愛していた。
その愛ゆえに、旦那が犯罪に手を染めても、誰にも言わずに隠し通してきた。
「呆れているでしょう?こんな愚かな女の話。だから誰にも話したくなかったの」
「違うだろ?本当は誰かにその話を聞いてもらいたかったんじゃないのか?」
「そうね。きっと私は、ずっと前から誰かにこの話を聞いてもらいたかったんだわ…」
パトリス夫人はその場にしゃがんで泣き出した。
やりきれない思いを抱えて生きている人間は大勢いる。
それは決して消えることはない。
今は、泣けるだけ泣けばいい…。

パトリス夫人が泣き止んだ頃を見計らい、手を差し出してやる。
「私は今日まで、誰の手も借りず一人で立ってきた女なの」
そう言って、手を借りずに立ち上がった。
パトリス夫人は、レッドスターも、隠し部屋で見つけたものも、
全て俺が処分していいと言って、去って行った。

俺は406号室――支配人室に入って、窓辺に立った。
今、こうして親父と同じ歳になって、親父がいた最後の部屋で同じ窓を見ている。
親父がこの窓から最期に何を見たのかは、事件の真相を知った今でも、真実は見えない。
でも、一つだけ分かったことがあった。
親父がこの窓辺に立ったのは、俺とおふくろのためだったんだ…。

221ラストウィンドウ 真夜中の約束:2011/06/04(土) 02:15:10.36 ID:42ZSJl+n0
エピローグ 1980年12月27日

翌朝、おふくろから電話がかかってきた。
まだ気持ちの整理がつかないから、
昨日知った親父に関する色々なことは、おふくろに話すことは出来ない。
まあ、急がなくてもいいだろう。他愛の無いことを話して電話を切った。

さて、本格的に引越し先を探さなくてはならないな。
不動産屋に行こうと身支度をして部屋を出る。
フランクの爺さんの部屋を訪ねて、隠し部屋で見つけたものを渡した。
爺さんはこれでヒュースペックを追い詰めることができると、喜んだ。
アパートの玄関から外に出る。ポケットからレッドスターを取り出した。
こいつをキャシー・マクベイン殺害の犯人に届けることは、もう出来ない。
俺はふと目に付いた郵便ポストの中に、レッドスターを放り込んだ。
きっと、博物館かなんかに寄贈されることになるだろう。

THE END


ラストウィンドウ 超ざっくり年表

25年前
 クリスはホテルに保管されていたレッドスターを盗む 
 そのときマイケルはクリスを殺し、レッドスターを奪う
13年前
 ホテルが閉館されることになり、支配人のマイケルは<コンドル>と手を切ろうとする
 その報復として妻のキャシーが<コンドル>の首謀者のジョージに殺される
 復讐としてジョージがマイケルに殺される
12年前
 パトリス夫人が廃業したホテルを買い取りアパートに改装
3年前
 マイケルが病気で死亡
1年前
 (「ウィッシュルーム 天使の記憶」)
1980年現在
 ゲームスタート

222ラストウィンドウ 真夜中の約束:2011/06/04(土) 02:17:03.61 ID:42ZSJl+n0
やっぱり規制キツイね…
223ゲーム好き名無しさん:2011/06/04(土) 07:24:19.25 ID:2QlYCbxT0
忍法帳もすぐリセットされちゃうしきついなぁ
乙でした
224ゲーム好き名無しさん:2011/06/04(土) 12:57:16.02 ID:OFcnx1Ym0
お礼が遅れましたが>>153>>156-159の鉄人28号を書いてくれた方ありがとうございました
リクエストした甲斐がありました
225ゲーム好き名無しさん:2011/06/04(土) 13:06:49.01 ID:PdUXne5F0
乙でしたー
226ゲーム好き名無しさん:2011/06/05(日) 00:59:28.45 ID:KzPHXNzZ0
(PSP)クリミナルガールズを書こうと思います。
リクエストはされていませんが、被ると辛いので、予約表明しておきます。
227ゲーム好き名無しさん:2011/06/07(火) 02:06:08.77 ID:FW7QPKag0
斬撃のレギンレイブ
人間を巨人族が襲う、それを下っ端の兄妹の神が救おうと頑張るゲーム。

ヤッター!巨人族最強のロキを倒したぜ〜

ロキは冥界の王を封印したために力が弱まり、オーディンに自分も封印されていたのだ。

妹が単身で冥界に乗り込み冥界の王を倒す。

ヤッター、と思ったら今度は炎の魔人が襲ってくる。

炎の魔人が神の領域に攻撃開始、生き残った6人位の人間とともに兄妹が救援に行く。

炎の魔人達を撃退したが神は全滅、人間も生き残り一人。

今度は巨人の王と最後の決戦、勝利するも人類全滅。

炎の魔人の王が現れた、今度こそ最後の戦い。

勝利したがこの世に生きてるのは兄妹のみ。

浄化されて誰も居なくなった世界を再構築、現代のアメリカで転生した兄妹
の楽しそうな声だけが聞こえて終わり。
228ゲーム好き名無しさん:2011/06/07(火) 17:02:26.23 ID:xVElXMRO0
「ごきんじょ冒険隊」の続きをリクエストします
229 忍法帖【Lv=1,xxxP】 :2011/06/07(火) 20:32:13.61 ID:sowvIrLX0
規制中に書き込む避難所って無かったっけ?
忍法帳がなんとかなるまで待とうと思ったんだが、なんか破棄されちまったようで待つのが面倒になったんだ

wiki直接編集は…ワープロモードはよく分からない
230ゲーム好き名無しさん:2011/06/08(水) 03:07:31.03 ID:Uz4xdk3B0
>>229
wiki−その他/連絡用掲示板−差し替え・追加スレ
231ゲーム好き名無しさん:2011/06/08(水) 08:52:59.17 ID:5481j/xJ0
PS2 ラーゼフォン蒼穹幻想曲
各ルートの個別エンディングをリクエストします
232ゲーム好き名無しさん:2011/06/10(金) 23:03:18.05 ID:XUyObTaM0
煉獄 The Tower of Purgatoryを投下します。
このゲームは本編中で語られる情報が断片的で、
公式に掲載されているアナザーストーリーの内容も踏まえながら書きましたが、
私見も入っているので粗が多いかもしれません。
233煉獄 The Tower of Purgatory:2011/06/10(金) 23:05:03.12 ID:XUyObTaM0
近未来、過去の大戦で多くの兵士が死んだため戦う意義を見いだせなくなった人々は、
無人兵器を代わりに戦わせた。
そんな中強烈な回復能力、特殊液体樹脂「エリクシルスキン」を用いた優れた武装形成システム、
高度な人工知能を有した戦闘兵器「A.D.A.M.(アダム)」の誕生により、
全敵対勢力の消滅という形で戦争は終結を迎えた。
しかしADAMを造った人々は、存在意義を失った彼らをどうにか有効利用しようと考えた。
その結果、ADAM達を「煉獄」という名の塔に幽閉し、ADAM同士を戦わせるショーが開催された。
彼らの戦いの様子はモニターで中継され、平和に飽きた人々を満足させるには十分だった。
それから永い時が流れ、ある1体のADAMに突如自我が芽生えたところから物語が始まる。
234煉獄 The Tower of Purgatory:2011/06/10(金) 23:08:54.83 ID:XUyObTaM0
自我が芽生えたADAMの1体、GRAMは塔の最上階寸前まで上り詰めるものの、
直前で立ちはだかった深紅のADAMに敗れ去ってしまう。
しかしADAMは不死身であり、倒されると身体が液状化し、塔の最下層に流れ落ち再び素体が形成される。
最下層まで落とされてしまったGRAMは別のADAMから武装やエリクシルスキンを奪い装備を整え、
各階層で待ち構える計7体の番人達を倒し上へと登っていく。
その最中番人の一人から、観客である人類は既に滅び去ったことを知る。
自分達は無意味な戦いを続けていたと失望するGRAMだが、それでも何かに導かれるように歩を進める。
遂に塔最上階寸前で深紅のADAM―グリュピュスと対峙する。
グリュピュスは語る。ADAM達が塔で戦い続けていた数百年の間に、自分達の本来の役目は終わっていたと。
今繰り広げられている戦いは無益なものでしかないと。
倒されたADAM達は記憶を消された上で再生成されるのだが、彼は今まで一度も敗れることがなかったため、
記憶のリセットが行われなかったのだ。
GRAMが戦いの輪廻を断ち切れるかどうかを試さんとばかりに、グリュピュスは再度戦いを挑んでくる。
グリュピュスを倒したGRAMは最上階へ続くワープポータルの前に立つが、突如謎の声が聞こえてきた。
声の主はデウカリオーンと名乗り、今までGRAM達の戦いを常に見守っていたのだという。
この塔の終わりなき戦いを仕組んだのもデウカリオーンであった。
反抗しようとするGRAMだが、データを取られた上最下層へ強制転送されてしまう。
235煉獄 The Tower of Purgatory:2011/06/10(金) 23:13:31.09 ID:XUyObTaM0
GRAMは彼自身のデータを基に強化されたADAM達と各階層の番人を退け、再び上を目指した。
遂に最上階へ到着したGRAMの目の前には大きな人の顔をしたコンピューター―デウカリオーンと、
その前に鎮座するグリュピュスの姿が。
当初おぼろげだったGRAMの自我は、今やデウカリオーンのコントロールを逃れる程に成長していた。
何故デウカリオーンに従うのかとGRAMはグリュピュスに問いかける。
グリュピュスはこうして塔の番人として戦い続けること自体が己の存在意義だと答える。
管理されるものと抗うものどちらが上か証明してみせろ、
というグリュピュスの声に答えるかのようにGRAMは動き、2体は最後の戦いを始めた。
死闘を制したのはGRAMだった。
GRAMはデウカリオーンに自分自身の意思で、機械として塔の外で生きていくと宣言する。
デウカリオーンは目的のため戦闘を選択できる、究極の自立型兵器が完成したと喜び、GRAMを塔の外へ送り出した。

塔の外に出たGRAMを待っていたのは荒廃した世界と無数の塔。
GRAMは雄叫びを上げ、背中から翼を生やすと外の世界へ飛び立っていった。
236煉獄 The Tower of Purgatory:2011/06/10(金) 23:16:08.24 ID:XUyObTaM0
登場人物(?)紹介

マールス
塔1Fの番人。
何周しても全く同じセリフしか言わないので、嫌でもロボ特有の無機質さを感じさせる。

リュカオーン
塔2Fの番人。
非常に無口だが2週目以降はちょっとしゃべる。。

ミーノース
塔3Fの番人。
同じことを何回も繰り返してきたせいか、塔と不死身の体からの解放を頻りに願っていた。
そのせいか2週目以降ではデウカリオーンに問題視され、コントロールを奪われてしまった。

ブリアレオース
塔4Fの番人。
通称ブリちゃん。恐らく作中一の萌えキャラだと思われる。

スピンクス
塔5Fの番人。
物腰柔らかだが戦いに意味を見出す戦闘狂。

アルクマイオーン
塔6Fの番人。
1週目で会話は十分とGRAMに言われちゃったためか2週目以降では何の会話も発生しない。

スタティウス
塔7Fの番人。
彼との会話でGRAMは人類が滅びたこと、別の誰かが自分達の戦闘を監視していることを知る。

グリュピュス
塔8Fの番人。公式に「グリュピス」という表記もあるがこっちを採用。
かつてGRAMを叩き伏せた深紅のADAM。

デウカリオーン
塔を総括するマザーコンピューター。
ADAM達を戦わせることにより、究極の自律兵器を作り出す「煉獄プロジェクト」を推し進めていた。

GRAM(グラム)
主人公。戦いを繰り返していく中、突如自我が芽生えたADAM。
実は過去に存在した傭兵部隊の隊長グラムのデータが組み込まれていた。
237煉獄 The Tower of Purgatory:2011/06/10(金) 23:25:54.79 ID:XUyObTaM0
公式掲載のアナザーストーリーは本編以前の話で、
ある1体のADAM(たぶんGRAM)に自我が芽生えて徐々にグラムの記憶を取り戻すけれど
グリュピュスに負けて記憶がリセットされちゃいましたという話。
↓はフラッシュバックするグラムの記憶の内容を大まかに説明。

ある日グラム達傭兵部隊は研究機関「デウカリオーン」の依頼でAIセルという素材で作られた強化スーツのテストを引き受けた。
AIセルは細胞に人工知能を搭載しているため、細胞自体が意思を持ち、自由な形状への変化を可能にしている。
研究機関は傭兵部隊の面々にAIセル製のスーツを着用させ、動きをトレースさせることでAIの精度を高めるという実験を行った。
しかしこのAIセルを巡って傭兵部隊内で内紛が勃発、グラムの部下8人は全員死亡。
AIセルはグラムにより隠された。

研究機関デウカリオーンはAIセルを基にADAMを造ったようです。
あと各階層の番人達はグラムの死んだ部下8人と名称が同じです。
アナザーの描写から察するに部下のデータが組み込まれている模様。
238ゲーム好き名無しさん:2011/06/10(金) 23:27:42.56 ID:XUyObTaM0
煉獄 The Tower of Purgatoryは以上です。

未だに不明な点もちらほらとあるんですが煉獄弐未プレイ故ご了承願いたいorz
ゲーム自体は面白かったから購入するつもりなんで、そのうち煉獄弐も書くと思います。
239ゲーム好き名無しさん:2011/06/11(土) 00:45:27.88 ID:8E0cU3EXO
>>238
煉獄乙です!
ビジュアルや音楽を始めとしたゲームの雰囲気はものっそ好みだったのに
難易度高過ぎて最初の階で挫折した苦い思い出が…orz
ぜひ弐の方もお願いします
240ゲーム好き名無しさん:2011/06/11(土) 00:47:46.58 ID:8E0cU3EXO
あ、もし煉獄弐プレイしたらお願いしますということです、すみません
241ゲーム好き名無しさん:2011/06/11(土) 01:49:13.59 ID:ioDG0DRr0
クリミナルガールズ行きます。
日本一ソフトウェアから出てるRPG。
CERODだけど、内容はコミカルで健全。
セリフが若干うろ覚えだけど雰囲気は大体合ってます。
242クリミナルガールズ:2011/06/11(土) 01:54:15.13 ID:ioDG0DRr0
「起きなさい!」
声と共に思いきりひっぱたかれて、主人公は飛び起きた。
「初日から居眠りなんて、いい度胸してるじゃないの?」
目の前に、いかにも女教官といった感じの軍人風の女性が立っている。
彼女はミウ、見た目通り主人公の指導教官だと名乗った。
気付くと、自分も白い軍服を身につけている。
そこは、見知らぬ監獄の様な場所だった。
確か自分は新しいバイト先へ向かったのだが…。
バイト内容は、動物園の飼育係だったはずだ。

「ここは地獄の最下層、罪人の魂が来る場所よ。
 安心して、キミは死んでないわ。体は現世で眠ってるから。
 仕事が終われば、元の世界に帰れるわ。」
これは怖ろしい展開だ。時給3000円は伊達じゃない。

「全員集合!整列!!」
ミウ教官の掛け声と共に、7つの檻が開き、4人の少女が歩み出て一列に並んだ。
「あら?3人逃げたか。まぁいいわ。」
ミウ教官曰く、少女達は「半罪人」。
彼女達は悪い心を持っているが、罪を犯す前に命を落とした。
罪人の因子を持っているが決定的な罪を犯していない魂を、「半罪人」と定義するのだと言う。
243クリミナルガールズ:2011/06/11(土) 01:55:21.68 ID:ioDG0DRr0
地獄では、半罪人の少年少女に更生、復活プログラムを実行している。
その名も、地獄特別法3822条2項更生プログラム『ヨミガエリ』。
悪い心を叩き直し、善人にしてもう一度生き返らせてやるという、慈悲深い取り組みだ。
4層からなる試練の塔を登り、4つの試練を通過して頂上に辿りつくことで現世に戻れるらしい。
主人公は彼女達4人―本当は7人…を引率し、更生へ導く担当教官に任命された。
彼女達を鍛え直し、試練に打ち勝ちながら共に歩み、試練の塔の頂上まで登らせるお仕事だ。
試練は過酷であり、悪い子のままでは進めない個所がある。
彼女達をどう改心させ、成長させていくのかが鍵であるらしい。

「まずは、あの子達をここまで連れて来なさい。首に縄をつけてでもね。」
そんな乱暴な…と思ったが、彼女達と会話を交わして主人公は理解した。
彼女達は、一筋縄では行かない超問題児だったのだ。
244クリミナルガールズ:2011/06/11(土) 01:58:03.35 ID:ioDG0DRr0
まずは、金髪に大きなリボンのツインテールと話してみた。
「そのベルト、いくら?」
いきなりベルトの値段を聞かれ、正直に答えたら無視。
それ以降、どんなに話しかけても無視…。
■強欲【キサラギ】
 本名如月恭華。強欲の罪を持つ少女。
 超わがままで、口を開けば文句や不平ばかりの自己中スイーツ。
 物の値段に異様にこだわり、セレブの自分はホンモノしか選ばないと豪語している。
 典型的なツンデレで、真正面から来られると弱い。
 攻守バランスが良く、臨機応変な前衛剣士に育つ。

デカ三つ編みを二つおさげにしたロリっ子と話してみた。
「…お友達が……」
焦点の定まらない目でブツブツと何か呟いている。
会話が成り立たない…。
■異端【アリス】
 本名水菜悠里。異端の罪を持つ少女。
 「アリスは特別だから…」が口癖の超能力者。
 千里眼のような能力を持ち、霊感もあるようだ。
 無口で引っ込み思案、見えないお友達とよく交信している。
 MATが非常に高く、魔法攻撃のスペシャリストに育つ。 
245クリミナルガールズ:2011/06/11(土) 01:59:25.45 ID:ioDG0DRr0
猫耳風クセっ毛ショートヘアのスレンダー娘と話してみた。
「おい、オマエ!ユコをどこにかくした!?」
知らないと答えると、怒って暴れ出してしまった。
激昂していて手がつけられない…。
■執着【サコ】
 本名片木左子。執着の罪を持つ少女。
 双子の妹ユコを命より大事にしている元気っ子。
 行動の全てがユコの為、ユコのお願いは何でも全力で叶え、それを周囲にも強要する。
 サコ自体は明るくおバカな為、違和感を抱きにくいが、
 妹への愛情と執着は病的なレベルまで達している。
 体はチビでも攻撃力はトップクラスの格闘家に育つ。
  
長身グラマラスなショートボブのメガネっ子と話してみた。
「テメェ、ケンカ売ってんのか?!」
いきなり殴りかかられ、重いパンチを喰らってしまった。
身の危険を感じる、一旦退却しよう…。
■憤怒【ラン】
 本名蘭堂かよこ。憤怒の罪を持つ少女。
 豪快で喧嘩っ早く、男は皆クズだと罵る男嫌い。
 男には暴力的だが、女の子には面倒見がよく、
 頼れるアネキ分としてメンバーをまとめる年長者役となる。
 そのダイナマイトボディと剛腕で、「痴漢20人切り」を成した女傑である。
 防御力の伸びはピカイチで、仲間を守る無敵の盾に育つ。 

全員に玉砕してしまった。
ミウ教官に泣きつくと、ぶん殴られた。
この任務に失敗したら、現世に帰してもらえないらしい。そんな…。
246クリミナルガールズ:2011/06/11(土) 02:03:00.84 ID:ioDG0DRr0
ミウ教官が厳しく脅しつけてくれたおかげで、少女達はしぶしぶ主人公についてくる。
そのまま、少女達を引率してミウ教官を追っていくと…
モンスターが突然目の前に現れた。
「おかしいわね。ここはまだクリミナルの出現する階層ではないのに…。」
これはクリミナルと総称されるモンスターで、今から登る塔にはこんなのがゴロゴロしているらしい。
脅える少女達に、ミウ教官は「戦いなさい」と命じた。
戦わなければクリミナルに嬲り殺しにされ、「ヨミガエリ」が終了し、魂は無間地獄に落ちるだけ。
死者が命を取り戻す為には、相応の試練を勝ち進まねばならないのだ。

それでも尻ごみする少女達を見て、ミウ教官は主人公をぶん殴り、
「一人選んで、見せしめに処罰しなさい」と命じた。
かわいそうだが、ここで終わっては元も子も無い。自分も現世に帰れないし。
主人公は一人とっつかまえて、音を上げるまで少女の尻を叩いた。
涙目の少女を引っ張ってクリミナルとのバトルへ。
おしおきした一人しか戦ってくれないので苦戦するものの、勝利。

 休憩場所として、各階層のワープと繋がった小部屋があてがわれる。
 中には全員で寝転がれる大きな円形ベッドが置かれていて、ここで休憩とおしおきができる。
 OPを溜めて色んなおしおきする毎に、スキルや技が増えていく仕組み。
247クリミナルガールズ:2011/06/11(土) 02:08:20.33 ID:ioDG0DRr0
上の階へ進むと、奥の扉から唸り声が響いてきた。
「この階層にこんなレベルのクリミナルが出現する筈ないのに!
 委員会にも連絡がつかないし、一体今回のヨミガエリどうなってるの?!」
ミウ教官は戸惑うが、主人公をどつき奥のクリミナルを倒すように命じる。
少女達を少し鍛え、大きなクリミナルに挑み撃破する。
「ヨミガエリのシステムに異常が発生しているみたい。
 この分だと、上の階層がどうなっているか分からないわね。
 私が調べてくるから、ここで待ってなさい。動いちゃダメよ。絶対、動いちゃダメだからね。」
ミウ教官は一人で階段を上っていった。

「ユコがこの先にいるんだぞ!ユコを早く見つけてあげなきゃ!」
ユコユコうるさいサコを扱いかね、勝手に進軍する事にする。
キサラギだけは、「ヨミガエリ」自体をめんどくさがってふてくされているが、
皆に置いていかれそうになり慌ててついてくる。

クリミナルを倒して鍛錬しながら上の階に上り、
一番奥まで進むと、扉の向こうから凄まじい咆哮が響いてきた。
「この先、よくない物がいる。
 アリス、特別だからわかるの…。」
恐る恐る進軍すると、恐竜の様なクリミナルが暴れていて、部屋の隅にミウ教官が倒れていた。
倒すしか道はない。苦戦の末、なんとか巨大クリミナルに勝つことができた。
この短時間に、少女達はめきめきと強くなっている。
この調子で塔を一緒に上っていこう。
気付くと、ミウ教官が血を流しながら、奥の階段を上っていった。
慌てて追うと、そこはもう監獄の外。試練の塔の始まり、泥の試練だった。
ミウ教官は見つからなかったが、逃げた3人がこの試練を越えられず彷徨っている筈だ。
248ゲーム好き名無しさん:2011/06/11(土) 02:17:20.40 ID:ioDG0DRr0
とりあえずここまでです。
なんか急に文字数規制が厳しくなって、超小分けにしか投稿できません。
でもラストウィンドウの人は普通に投稿出来てるし…?
俺だけですか?
249 忍法帖【Lv=8,xxxP】 :2011/06/11(土) 03:55:07.09 ID:FBjgeuKv0
忍法帖のレベルが低いんじゃない?
「!ninja」と名前欄に書き込んで忍法帖のレベルを表示してみたら?
250 忍法帖【Lv=2,xxxP】 :2011/06/11(土) 11:28:43.98 ID:7h3e+vDc0
>>249
ありがとうございます。
忍法貼ってこんなことになってたんですね。レベル上げめんどくさ!

リクエスト物件でも無いし、ちょっとずつゆっくり投稿します。
251クリミナルガールズ:2011/06/11(土) 11:33:19.65 ID:7h3e+vDc0
第一層【泥の試練】

湿地を歩き回り脱走兵を探しているうちに、4人の人影が前方に見えてきた。
「あっユコ!おーい、ユコーっ!!」
サコの叫びで4人はこちらに気づき、一目散に逃げて行った。
「ユコ…?なんでにげるんだー…?」
それも不可解だし、逃げた少女は3人のはずなのに1人多かった。
まぁ、捕まえてみれば分かるだろう。
早速、クレバスを挟んだ対岸にユコを見つけた。
ユコが仕掛けのスイッチを押してくれれば、皆でそちら側に渡れるのだが…
「ごめんねサコ、ユコもう一歩も歩けないの…。何かおくすりがあったらがんばってスイッチ押せるのに…。」
「待ってろユコ!すぐにおくすり取ってきてやるからな!!」
ほんの一歩が歩けない訳なかろうに、ユコは何だかんだと4回もあれやこれやを取りに行かせる。
何かねだられる度にサコがはりきって駆けだしてしまうので、追わない訳に行かないのだ。
サコは体の弱い妹を守るお姉ちゃんを自負しているが、傍から見ると完全に犬である。

4度目に戻ると、ユコはクリミナルに追いかけられて走りまわっていた。
「あの子普通に走ってるじゃん。」
皆冷たい視線を送るが、サコは大パニック。ユコがすぐにスイッチを押し、皆で救援に駆けつけた。
クリミナルを倒し、ユコが仲間に入る。
「ユコは地獄に来なくていいって言われたんですけど、サコが心配でいてもたってもいられなくて。
 姉がご迷惑をおかけしたと思いますが、これからは二人で頑張ります!」
主に迷惑をかけたのは君だが…。
252クリミナルガールズ:2011/06/11(土) 11:35:42.08 ID:7h3e+vDc0
■怠惰【ユコ】
 本名片木右子。怠惰の罪を持つ少女。
 サコの双子の妹。サコより色白で髪色も淡く、おっとりふわふわしている。
 いつもニコニコしていて、困るとすぐに泣き声をあげる甘ったれ。
 難しいことや面倒なことは、何でもサコにお願いして自分は何もしない。
 柔らかい口調で当たり障りの無いことばかり言うタイプ。
 あらゆる回復、治療魔法を覚え、皆を癒す医療のエキスパートに育つ。

ユコは、主人公達から逃げ回っていた時の記憶が無いらしい。
どうやって脱走したかも覚えていなかった。
少女達に牢を破る力はないだろう。誰かが連れ去ったのかもしれない。
そうなると、一人多い少女の影が気になってくる。
253クリミナルガールズ:2011/06/11(土) 11:36:45.82 ID:7h3e+vDc0
少女5人を連れて探索を再開すると、前方を少女が一人過ぎっていった。
後を追うと、仕掛け扉に道を閉ざされてしまう。
扉を開くスイッチが見つからず途方に暮れていると、扉の向こうから声がした。
「どないしはったん?」
さっき見かけた少女のようだ。向こう側のスイッチで扉を開けてもらった。
「ほなこの先も気をつけてなぁ。」
少女が別の扉をくぐった途端その扉が閉じ、今度は彼女が閉じ込められてしまった。
こっちが散々解除スイッチを探しまわった挙句、その子に尋ねると、スイッチは彼女の傍にあった。
「あら、こんなとこに。堪忍ねぇ。」
さっきから、こちらを走りまわらせる女の子ばかりである。
とにかく、その子も脱走少女の一人なので、仲間に迎え入れた。
■渇望【トモエ】
 本名春川朋。渇望の罪を持つ少女。
 おっとりたおやか、京都弁を操る色っぽい和風乙女。
 長い黒髪に長身ナイスバディで、色白な爆乳がこぼれんばかり。
 柔らかな物腰とツボを抑えた言動で、男を惑わせる。
 女の子の機微や悩みに敏く、ランとはまた違う形で頼れるお姉さんポジション。
 守備が低く高火力な武士タイプ。一撃必殺、最強の剣に育つ。
 
道中、古びた木刀が落ちているのを見つけた。
手に取ってみたが、ランに奪われてしまう。
「こんなもん必要ねぇだろ!!」
ランは木刀を遠くへ放り投げてしまった。
254クリミナルガールズ:2011/06/11(土) 11:38:32.08 ID:7h3e+vDc0
泥の試練を登っていくと、また一人少女と出くわした。
しかし、合流しようという申し出を、少女は鼻で笑った。
「あなた達程度と行動すると、かえって危ない気がするけど?」
すまして歩き出した少女の背後で、仕掛け扉が閉まった。
行き止まりに閉じ込められた形になる。
「…ちょっとあなたたち。この周りに4つの解除スイッチがあるわ。
 右奥のスイッチが正解だから押して来なさい。」
彼女曰く、理論上右奥のスイッチ以外はダミーだと決まっているらしい。
半信半疑で押しに行くと、右奥のスイッチはトラップで、彼女の目の前にクリミナルが現れた。
「逆!ひ、左奥よ!」
面倒だが押しに行くと、またダミー。少女を追いかけ回すクリミナルがもう一匹増えた。
「なんなんだよこのマップ!!ありえねえだろ!!GM出てこい!!!」
追い詰められて地が出ている。
結局こちらが選んでスイッチを押し、扉を開いてクリミナルを倒してやった。

「ふん!そこそこ戦えるようじゃない。まぁ合格ね。
 これなら仲間になってあげてもいいわよ。」
「別に仲間になってなんて頼んでないけど?」
こちらも仕事なので、いがみ合う少女達をなだめて、新入りを仲間に迎え入れる。
■傲慢【シン】
 本名初来慎。傲慢の罪を持つ少女。
 幼いころから英才教育を受けてきた天才少女だそうで、確かに頭の回転は速い。
 それを鼻にかけて他人を見下しており、高慢に振る舞う。
 気取った喋り方は演技で、本来はネットスラングを多用した口調。
 隠しているが、生前は某鯖NO,1ギルドのギルマスを務めたネトゲプレイヤー。
 指揮官型という珍しい魔法タイプ。条件が整えば、自分のMP消費だけで他のキャラ達にも技を出させることが出来る。
 総ダメージ量が凄まじく、優秀な対ボス用砲台に育つ。
255クリミナルガールズ:2011/06/11(土) 11:44:02.74 ID:7h3e+vDc0
これで少女7人全員揃ったので、一応主人公の紹介も書いておく。
■教官【主人公】
 少女達を引率する教官。白い軍服制帽に、黒のブーツと赤の飾り布でビシっと決めている。
 でも中身は少女になめられがちな普通の兄ちゃん。
 少女に色んなおしおきする変態とも言えるし、あんな少女密集空間に寝泊りして禁欲できる聖人とも言える。
 少女達からは、基本的には先生と呼ばれる。他に名前呼び、「教官」「オヤジ」等。
 
もう一人の正体不明の少女の行方が気になるが、とりあえず上を目指して進軍していく。
道中、「ユーリ教」なる宗教団体のパンフレットが落ちていた。
「それ…呪われているの。それ持ってたら、悪いことが起きる…。」
アリスにボソッと忠告され、ただちに投げ捨てる主人公。

戦闘やおしおきを繰り返し、泥の試練の最上階まで辿りつくと、
そこにはあからさまに強そうな巨大クリミナルがいた。
「だ、だいじょうぶだぞユコ!
 サコたちは、まえもこーんなおおきなきょうりゅうをたおしてるんだからな!」
そうであることを願いつつ、
ケタ違いに強いそのボスクリミナルに、今までの鍛錬の成果をぶつける。
苦戦の末、敵の巨体が沼地に伏した。
「うそっ、勝てた…?」
「すごくない?!こんな大きいモンスターを倒しちゃうなんて、私達やるじゃない!」
牢獄を出発したのがついさっきの事のように感じるが、
少女達は道程を経て、あの頃と比べ物にならないほど強く成長していたのだった。

巨獣が退いた先には、次の試練へと続く階段。
泥の中を這いあがり辿りついたのは、マグマ滾る酷暑の地。
摂氏88度、湿度10%の灼熱地獄、炎の試練。
256ゲーム好き名無しさん:2011/06/11(土) 12:20:58.04 ID:G7Zv+fRU0
支援
257クリミナルガールズ:2011/06/11(土) 14:20:57.76 ID:7h3e+vDc0
2層【炎の試練】

ヒィヒィ言いながら、サウナのような暑さの中を進む。
途中で、何故か結婚式の招待状を見つけた。
不思議に思い拾い上げると、横からトモエが手を出した。
うちわにして涼もうとしたらしいが、手を滑らせてマグマの中に落してしまう。
わざとかそうでないのか、トモエのおっとりした表情は読めない。

少し進むと、ボスっぽい大きなクリミナルがいた。
彼はここ一帯を仕切る魔族の頭だと威張っている。
確かに、今の少女たちでは全く歯が立たず、再戦を誓って撤退する。
「おめーら弱すぎ!口ほどにも無いじゃん。
 まぁ、この塔にいる四天王を倒したらもう一回戦ってやってもいいけど。
 じゃあ、炎の試練の一番上で待ってるぜ、子猫ちゃん!」

雑魚クリミナルで鍛錬を重ねつつ、中ボスクリミナル四天王を探しながら進むが、
一匹目の四天王と目があった途端、そいつは猛ダッシュで逃げてしまった。
困っていると、アリスがクリミナルの居場所を予言した。
「アリス、特別だからわかるの…。アリス、ほんとの事しか言わない。」
そういえば、アリスは超能力があると言い張っていた。
2度空振ったが、アリスの言う通りに進み、行き止まりにクリミナルを追い詰めることが出来た。
「すごいじゃねぇかアリス!」
ラン達に褒められ、珍しく微笑むアリス。
「…アリスが特別だから、テレビに追いかけ回されたりとか、嫌なこといっぱいあったけど…。
 アリス、特別でよかった…のかな?」
「あたりまえやんか。アリスさんがおらんかったら、もっとずっと手こずってましたえ。」
普段喋らないアリスも、段々仲間たちと馴染んできたようだ。
258クリミナルガールズ:2011/06/11(土) 14:22:20.08 ID:7h3e+vDc0
一匹目を撃破し、上へ登っていく。
歩いていると、トモエが困った顔で主人公に抗議した。
「センセ、何しはるん。うちのおしり触らんといて。」
全く身に覚えが無い。痴漢冤罪だ。
その内に、他の少女も悲鳴を上げ始めた。姿を消せる変態中ボスがいるようだ。
「あたしはテメェみたいなクズ男が大っ嫌いなんだよ!!!」
ランを筆頭に皆で追いかけまわし、行き止まりに追い詰めたが、
姿を消されるとどこにいるか分からない。
その時トモエが歩み出て、服にハタハタと風を送って涼み始めた。
「ああ、あっついなぁ、かなわんわぁ…。」
酷暑の中を走り回った汗だくの体に、白っぽい服が貼り付いて…
「ちょ、ちょっとトモエ、あんた胸透けてるわよっ!ていうか胸以外も色々っ!」
男なら誰だってたまらないだろう。
案の定トモエのおしりに手を出した中ボスは、ランにどつき飛ばされた。
そのまま皆で取り囲み、ぶッ殺して勝利した。
トモエの機転とおしりを皆で褒め称え、更に上の階に上っていく。
259クリミナルガールズ:2011/06/11(土) 14:23:26.87 ID:7h3e+vDc0
次の階の中ボスも案の定逃げ回る。
しかも、所々にある通路の途切れた所も軽やかに飛び越えていく。
落ちたら下はマグマ、そして跳べそうにない距離…。
「ねぇサコ、サコはこのくらい跳べるよね?」
ユコが、邪気の無い瞳でサコに問いかけた。
「えっ…?お、おう!サコはユコのためなら、このくらいよゆーだぞ!!」
サコは言うなり、対岸に思いっきりジャンプした。
流石の野生児、なんとか届くようだ。
そのままサコを走り回らせ、敵を追いこむユコ。
「サコーッ!ユコここで待ってるから、こっちに追い詰めて!」
とても飛べそうにない大きな裂け目を挟んで、サコに呼び掛けるユコ。
サコはユコの為に決死の大ジャンプに挑み、見事中ボスをメンバーの前に連れてくる。
敵を屠った後、皆でサコのジャンプ力を大絶賛した。
「オマエのジャンプ力、マジですげぇぞサコ!!」
「えへへっ……じゃない!サコはユコのいうとおりにしただけだから、ほんとーにすごいのはユコなんだぞ!
 サコとユコ2人いっしょなら、なんでもできるんだ!」
「ねーっサコ☆」
「なーっユコ!」
ここまでくるとコメントしづらいが、美しい姉妹愛を褒めそやし先に進む。
260ゲーム好き名無しさん:2011/06/11(土) 14:41:53.57 ID:7h3e+vDc0
規制がすんごいよー
夜レベルが上がると思うのでまた来ます。
261ゲーム好き名無しさん:2011/06/11(土) 20:55:28.56 ID:dIy03RoVO
頑張ってください
262 忍法帖【Lv=1,xxxP】 :2011/06/12(日) 00:06:23.92 ID:lg6IrJPZ0
>>231
そんな権限は無いんだけど
面倒なので出来ればお断りしたい・・・
ラーゼフォン書いたの自分ですが
個別エンディングって
一枚絵が表示されてちょっとセリフがあるだけだよ?
超短いよ?それでもいいの?
というわけで
それをリクエストしようと思った理由とか
熱意のほどとかを聞かせてくれ
ぶっちゃけ何でもいいのでレスください
そしたら書きたいと思います

>>248
●持ってればいいみたい
でもバイさるには引っかかる
もう投稿は避難所でいいかもね
263ゲーム好き名無しさん:2011/06/12(日) 01:08:23.60 ID:9QHUvg4x0
●月単位で買えたらいいのになぁ。あんま書き込まないからもったいなくて。
とりあえずクリミナルガールズ続き行きます。
264クリミナルガールズ:2011/06/12(日) 01:11:46.77 ID:9QHUvg4x0
道中、行き止まりの崖っぷちに額縁入りの表彰状が落ちているのに気づいた。
拾い上げ文面を読んでみようとした時、
「先生、こっち見て!!」
ユコに突然引っ張られ、表彰状をマグマの中に取り落してしまった。
「あんなところにちょうちょが!」
ユコが指差す先には、火の粉が舞っているだけだった。
ユコはただ、見間違えちゃった、とニコニコしている。

汗だくで敵を潰しながら上へ上へ進む。
最後の中ボスは少し趣向が違い、逃げも隠れもしなかった。
ただ、全部で24体もいた。
「待ちなさい。これって、一体だけ本物で、あとはダミーってのがセオリーでしょ。」
シンの言葉に、キサラギが胸を張る。
「だったら私が見分けてあげるわ!
 私ってホンモノに囲まれて育ったから、ホンモノかどうか見ただけで分かっちゃうのよね!」
シンの策略で24体を誘導して一部屋に集め、キサラギが一同を見渡す。
「いたわ!ホンモノはアイツよ!」
口ほどの物はあったようで、キサラギは本体を本当に見分け、
皆でそいつを倒すと、残りの23体は消え去った。
「あなた、自称セレブの口だけスイーツ女かと思ったら、中々やるじゃない。」
「何よそれ!まぁあんたの作戦も中々よかったわよ。」
シンとキサラギはどちらも高慢で我が強く衝突しがちだったが、少しは打ち解けたようだ。

「本当に四天王を倒しちまったなぁ。
 男の約束だ。もう一度戦ってやるよ、子猫チャン達。」
招かれた先に、この試練の初めには手の届かなかった魔人クリミナルが待っていた。
「みんないいやつだったのになぁ。
 オレにできるのは、てめぇら小娘の雁首揃えて4人の墓前に供えるだけよ!」
相手は全てのパラメータ上昇に加え自動回復までしてくる超強敵。
7人全員で、猛攻に耐え必死に相手を削っていく。
長い死闘の果てに、とうとう魔人が倒れた。
265クリミナルガールズ:2011/06/12(日) 01:14:42.49 ID:9QHUvg4x0
「私達にケンカを売った奴は、みーんなこうなるんだからっ!」
「私の頭脳に、あなた達の悪逆非道さが加われば向かう所敵なしね。」
「サコたちは、さいきょーのワルしゅうだんなのだーっ!!」
「そうさ、あたしらが揃えば、どんな奴にも負ける気しねぇよ!」
「うちら、最高のパーティーやね。」
皆口々に、強敵を倒した事を喜び合う。
アリスがポソリと嬉しそうにつぶやいた。
「みんなの魂のキズナ、強くなってるの…。」

最初に顔を合わせた時は、みんな自分の主張ばかり。
ああだこうだと足を引っ張り合って、小競り合いを繰り返していたのに。
いつの間にか打ち解け、互いの活躍を認め合い、互いを補い合うまでになった。
最初は複数人で攻撃することすらなかったのに、今では色々な連携技がある。
主人公には未だに反抗的な態度だが、少女同士はうまく回り始めているのだ。
心身ともに、確実に成長している。

魔人の倒れた先には、次の試練へ向かう階段。
灼熱に苛まれながら駆け上がった先は、いきなりの氷点下。
白く凍てついた酷寒の地獄、氷の試練。
266クリミナルガールズ:2011/06/12(日) 01:17:14.15 ID:9QHUvg4x0
3層【氷の試練】

道中、雪景色の中に、トレイに乗せられた家庭料理が落ちていた。
違和感のある光景に騒いでいたが、シンの表情が暗い。
「え?ううん、なんでもないわ…。ただ、ああいう食事をしばらく取ってないなと思って。」
「そやねぇ。はよ帰っておばんざい食べたいわぁ。」
しかし、いつから落ちてるかわかんない料理を食べてはいけないので、
一同スルーして通り過ぎた。

寒さに歯を鳴らし、氷に足を取られながら進むと、突然少女に出くわした。
泥の試練の最初に見かけた、一人多かったあの少女だ。
「よかった、みんなに会えて。私はヒメカミ。姫神綾乃。
 他のメンバーとヨミガエリに参加していたんだけど、はぐれてしまって…。」
「こんなところに1人でいたらあぶないぞー。」
「そうよ。私達と一緒に安全な所までいこ?」
少女達は皆でヒメカミを仲間に迎え入れようとする。
「みんなは優しいのね。
 でも、自分に危険が迫った時、優しいままでいられるのかな…。」
呟いたヒメカミの言葉に皆が戸惑うと、ヒメカミは慌てたように手を振った。
「あ、ううん、なんでもないの。
 みんなは大丈夫よね。こんなに信頼し合ってるんだもの。
 私はもう少し仲間を待ってるから、気にせず先を急いで。」

先に進むと、道を塞ぐ大きな門扉に行き当たった。
「ここに3人を置き捨てよ。されば扉は開かれん。」と刻まれている。
少女達の中から3人をおいていかなければならないらしい。
ヒメカミが、扉の向こうに鍵があって合流できることを教えに来てくれた。
ならば恨みっこなし、じゃんけんで居残り3人を決めよう。
結果、ラン、アリス、キサラギが扉の外で待っている事になった。
「すぐに迎えに来るから、待っててね。」
笑顔で見送る3人を残し、扉が背後で閉じた。
267クリミナルガールズ:2011/06/12(日) 01:33:06.75 ID:9QHUvg4x0

雪が降り始め、いよいよ寒さも身に凍みてくる。
扉の先には、広い迷路に幾つも偽のカギがちらばっていた。
かじかむ指で雪をまさぐり、明らかに大きさの違うカギを確認していく。
待っている3人を案じながら探しまわり、ようやく小さな鍵を見つけた。
喜び勇んで扉まで戻ると…、扉は既に開いていた。
迷路の中には3人はいなかった。迷路の奥にあった階段から上へ進んだのだろうか。
「だったら、私達と合流してから進むべきじゃない!?」
「せっかく鍵、さがしたのに…。」
何か事情があったのかもしれない。トモエが皆を慰め、気を取り直して上へ進んだ。

上の階には、早速扉が待ちかまえていた。
「一人を選び、その力を捧げよ。されば扉は開かれん。」
力…一体何が起きるのだろう。後に回復する手段はあるのだろうか。
ここも恨みっこなしでじゃんけんをする。結果、ユコが負けた。
「サ、サコぉ…、ユコどうしよう…!」
涙目になるユコに、サコが即座に助け船を出す。
「だいじょうぶだぞユコ!サコがかわってあげるからな!
 おい扉、きーてたか!ユコのかわりにサコから力をとるんだぞ!!」
扉がサコから何かを吸いとると、レベルが1に戻りそれ以上上がらない状態になってしまった。
守備の脆いトモエ、魔術師のシンとユコというメンバーでは、アタッカーのサコに頼れないのは辛い戦況だ。
なんとか敵を倒しつつ先に進むと、またも扉があった。

「二人をここに置き捨てよ。されば扉は開かれん。」
また、向こうで鍵を探すパターンだろうか?
じゃんけんをすると、またもユコが一人負けた。
もう一人選ぼうとじゃんけんを始めると、サコが遮った。
「サコがユコとまってる。サコとユコはいつもいっしょだったし、ユコもそのほうがいいよな?」
いつもなら笑顔で「うん!」と頷くユコは、硬い表情で黙っていた。そして、
「……ユコは、トモエと待ってたい。」と呟いた。

トモエは、現在の4人で唯一の前衛だ。年長で頼りになる。
レベルが1に戻ったサコは要らない。そういう宣言だった。
そして同時に、何が待つか分からないこの先を、
レベル1のサコと、守備の弱い魔術師のシンの二人に行かせるという宣言だった。
さすがのシンも呆気に取られ、トモエに確認する。
268ゲーム好き名無しさん:2011/06/12(日) 01:41:36.11 ID:9QHUvg4x0
「…ええよ。センセと分かれるんは残念やけど、せっかくのご使命やし、ここに残るわ。」
ショックで呆然としていたサコの目に怒りの炎が灯った。
「なんでだよユコ!!サコのレベルが1にもどったからか!?
 ユコもトモエも、だいっきらいだ!!!!」
扉が開いた先に駆けて行ったサコを、主人公とシンも追う。
幸い扉の向こうにクリミナルはおらず、進んだ先にはキサラギとアリス、そしてヒメカミがいた。

「ちょっとあんたたち、どうして私たちを放って先に進んだのよ!!
 ヒメカミが鍵を見つけてくれたんだからね!!」
「はぁ!?何言ってんのよ!?
 こっちは1Fの隅から隅まで鍵を探して回ったんだからね!
 あなたたちこそ、私たちを探さずに先に進んだんじゃない!勝手に仲間まで増やしてさ!!」
喚きあうシンとキサラギを、ヒメカミと一緒に宥める。
キサラギ達も向こうの扉の外にランを待たせているらしい。早く全員合流しなくては。

「ところでサコさん、ずいぶん弱くなってしまったのね。」
ヒメカミに話しかけられて、サコは元気に答えた。
「うん!はやくつよくなって、みんなをたすけるんだ!」
ヒメカミは一瞬冷たい表情になってサコを見下ろした。
「言いにくいけど、それ、もう元に戻らないよ。
 私の仲間もそうだったから。」
サコの表情が凍りつく。慰めようもない内に、ヒメカミは仲間を探しに離脱してしまう。

曲がりくねる道を進むうちに、待っているユコとトモエの声が聞こえる場所を通った。
「トモエさんが残ってくれてよかったぁ!
 ユコ、サコ以外の人と一緒にいるの初めてなんです!」
「ええんよ。ユコさんの考えてること、わかるから。」
楽しげに笑い合う声に、サコの表情はますます暗くなっていく。
269ゲーム好き名無しさん:2011/06/12(日) 01:46:56.73 ID:9QHUvg4x0
とりあえず今日はここまでです。
前回支援して下さった方ありがとうございました。
270ガラクタ名作劇場 ラクガキ王国:2011/06/12(日) 01:50:26.53 ID:42/FzQdU0
投下乙でした。
流れに乗って未解決リストにラクガキ王国があったので辻投下。
細かい間違いがあるかもしれません。


「神」が「ヒト」と「ラクガキ」を生み出した、という神話が残る世界。
ラクガキは「色の力」という不思議な力を持っており
ヒトはラクガキを生み出すことができる。
力を求めたヒトはラクガキを支配して力を得ようとしたが、それを拒んだ
「ラクガキの王」は神に他者を支配するような心の貧しいヒトには
ラクガキを生み出せないようにしてもらう。
しかし、ラクガキを生み出せなくなった「ヒトの王」はヒトを支配し
ラクガキを生み出せるヒトから色の力を徴収することで力を集めるようになった。

物語の舞台は「帝国」の統治するとある街。有名なクロッカー
(=ラクガキを生み出すことができるヒトのこと)であった「ガリレオ」が
暮らしていたという街だが、当のガリレオは一体のラクガキと共に失踪中。
街では「ラクガキファイト」というラクガキ同士を戦わせる競技が
絶えず開催されており、ラクガキファイトの後には色の力が生まれる。
ラクガキファイトは住民の楽しみだが、生まれる色の力は
帝国に税として大部分が徴収されるため、住民は帝国に不満を感じている。
(街の人達が「帝国民」に当たるかは不明だが「帝国所属のヒト」とは
 みなされていない様子。そして帝国所属のヒトは
 外部の協力者≒支配されたヒト達を除きラクガキを生み出せない)
271ガラクタ名作劇場 ラクガキ王国:2011/06/12(日) 01:52:08.49 ID:42/FzQdU0
主人公は舞台となる街を訪れたヒトで、突如として不思議な声に
ラクガキを生む力を授けられる。戸惑う主人公の前に
ガリレオに育てられた少女(実の娘ではない)「ヒバナ」と
ガリレオの息子である「タロー」が現れ、主人公は二人の世話になることに。

二人の願いもあり(確かガリレオが所有していた土地を護りたいから)
帝国が主催しているラクガキファイトの大会に出場することになった主人公は
街の人達と交流を深めながら順調に予選を勝ち抜いていく。
その中でガリレオの弟子で現在は帝国でラクガキの研究をしているという
「キヴァ」とも出合う。ヒバナと知り合いで主人公の手助けもしてくれるが…。

順調に勝ち進んでいたある日、三人のもとに
ガリレオと共に暮らしていたという「モノ」と名乗る少年が現れる。
素性不明の彼に、ヒバナは警戒していたようだが
窮地を助けられたこともあり共に過ごしている内にだんだんとうちとけていく。
(また、タイミングは忘れたがモノからガリレオは亡くなったという話が聞ける)
そんな中で帝国から「このラクガキを連れてこい」と
モノの顔が書かれた手配書が出される。ヒバナはモノを匿おうとするが
モノは彼女達のことを護るために自ら帝国に出頭していった。

ラクガキファイトの大会の決勝が城で行われることに気がついた主人公達。
決勝進出が決まっていた主人公は城に乗り込み、モノを助けることに。
当日、無事城に潜入して手分けしてモノの行方を探す三人。
途中でモノと同じ名前のラクガキに何度も教われるうちに

・帝国は世界の色を操る力を持つというラクガキの王を手に入れようとしていた
・王を生み出せるクロッカーを探す為に大会を開催していた(ここは非確定)
・「モノ」は王となるラクガキに名づけられた名前だが一つ以外は「失敗作」
・ガリレオが真の王を生み出したが、帝国の野望を防ぐためモノと一緒に逃げた

といったことがわかる。主人公達の前に現れたモノこそが真の王だった。
272ガラクタ名作劇場 ラクガキ王国:2011/06/12(日) 01:54:31.32 ID:42/FzQdU0
城の最上階には、キヴァと帝国の幹部(?)とモノがいた。
モノを特殊なラクガキで操るキヴァは、駆けつけた三人を襲えという
幹部の命令を無視して逆にモノに幹部を襲わせる。
キヴァはモノの力で帝国を打倒しようとしていたが、その手段は
モノを道具として操り色の力で倒すというもの。
モノと強硬手段に出るキヴァを止めようと説得する三人。モノはそれを聞いて
正気を取り戻すが、キヴァは聞き入れずにモノを正気に戻すヒバナが邪魔だからと
彼女を銃で打ち抜いてしまう。
惨劇を目の当たりにしたモノは、暴走して周囲の色を吸い尽くしてしまった。

モノの暴走を止めるために、自らのラクガキでモノと戦う主人公。
主人公に倒され、今度こそ正気を取り戻したモノは
世界から奪ってしまった色を返すために、自ら城から飛び降りる。
助けようとする三人を振り切ってモノは世界に色を返し
ラクガキを支配してきた帝国の城を壊して消えてしまう。
(ヒバナの傷もなぜか治る)
呆然とするヒバナにタローは「(これからは)僕がヒバナを護る」と宣言した。
それから(おそらく)数日、ヒバナとタローは船に乗って旅へ出ることに。
主人公にガリレオが残した土地を託して、二人は街を去っていくのだった。


※ED後は特にストーリーはなく、街の人とラクガキファイトができるだけ。
 ファイトで溜まった色の力=カラー石を集めて換金、金を溜めると
 城の跡地で消えたはずのキヴァを相手にモノより強いラクガキと対戦できる。
 一部で有名な「ハクレイのミコ」はこの対戦で戦える半隠しキャラ。

※主人公の素性や街に来たの理由などは一切語られない。
 というか主人公は喋らないDQ方式の上、物語そのもののメインになるのは
 ヒバナとモノ。FF12におけるヴァンとバルフレア的なものかもしれない
273ゲーム好き名無しさん:2011/06/12(日) 10:39:14.96 ID:9QHUvg4x0
ラクガキ王国乙です。
ラクガキつくるのが難しすぎて投げた記憶があるなぁ。

クリミナルガールズ続き行きます。
274クリミナルガールズ:2011/06/12(日) 10:40:46.91 ID:9QHUvg4x0
少女達の雰囲気は重苦しく、戦闘ボイスも専用のテンション低いバージョンが用意されてるほど。
口数少なく先に進むと、またも忌々しい扉が立ちはだかった。
「一人をここに置き捨てよ。されば扉は開かれん。」
「もう、じゃんけんするひつようないよな。
 サコがのこる。こんなによわくなっちゃったし、これいじょういっしょにいるのめーわくだよ。」
気弱なサコを、主人公はヤケになるなと励ます。
「ヤケじゃないよ!みんなのことかんがえたらこれが1ばんいーんだよ!」
気丈に微笑むサコを置いて、後ろ髪引かれる思いで進む。

先には階段があるだけだった。それを登るとすぐそこには…
「あっラン!ランーっ!!無事だったのね!」
「おうよ、無事も無事!
 シンと合流できたのか、よかったなぁ!」
ランの力強い声と、頼もしい笑顔に、少女達はほっとする。
「ん?サコユコとトモエはどうしたんだ?」
そう尋ねられ、シンが言いにくそうに今までの経緯を話した。
「ああ!?お前ら一体何をしてんだよ!?
 弱ってるサコを一人でおいてくるなんて…オヤジは止めなかったのかよ!?」
ランに問い詰められて、主人公は本人の意思だからと言い訳する。

「何寝言ほざいてやがる!!オヤジも所詮その程度の男だったってことだな!
 もうてめぇを信用できねぇよ。これからは私がこいつらを守る!!」
ランと主人公が険悪になってしまい、どちらにもつけない少女達はいっそう気まずくなる。
雪の降る中、後戻りする事もできず進んだ先には、また扉が閉じていた。
「一人の力を捧げよ。されば扉は開かれん。」
嫌でも進まねばどうしようもない。また恨みっこなしでじゃんけんする。
負けたのはシンだった。
「……うそ、この私が…。…アハハハハ!
 そーよね、恨みっこなしだもんね!恨むんならクソ弱い私のじゃんけん力を恨めってとこよね!!」
「シン!私達だって好きであんたを犠牲にするわけじゃないのよ!」
「大丈夫だシン、私が守ってやる。」
シンの狂態を案じるアリスとキサラギ、励ますラン。
ギリギリの精神状態で進んだ扉の先には、また扉。
その前には、ヒメカミが立っていた。
275クリミナルガールズ:2011/06/12(日) 10:41:52.82 ID:9QHUvg4x0
「…ヒメカミ?あんた仲間は?」
「仲間?いないけど、それがどうかした?」
「…前から思ってたけど、ヒメカミはどうやって扉を通ってるの…?
 犠牲を捧げないと、開かないのに…。」
「犠牲?扉?そんなのあったけぇ?」
ニヤニヤと笑ったヒメカミは、背後の扉を振りかえる。
「今度は、誰をおいていくのかなー?」

ヒメカミの言葉に怒った皆を、突然シンが怒鳴りつけた。
「いいかげんにして!!どうせ今度は私を置いていくんでしょ!!
 当然よね!こんなクソ弱くなっちゃったんだし!邪魔者の私は消えてあげるから、みんなで先に進めば!?」
シンは駈け出して、降りしきる雪の向こうに見えなくなってしまった。
すぐさま、レベル1のシンを守る為にランも後を追い、いなくなってしまう。
「お、追わなきゃ…」
慌てるアリスにキサラギがヒステリーを起こす。
「はぁ!?あんな奴ら放っておけば!?
 …何よその目っ!私が悪いっての!?みんなが勝手ばっかり言うのがいけないんじゃない!!
 こんなの、こんなの私のせいじゃないしっ!
 もううんざりなのよ、ヨミガエリも地獄もうんざりなの!!」
キサラギも泣きながら走っていき、すぐ見えなくなってしまった。
一人残ったアリスはうろたえていたが、キサラギを追って走り出した。
一度だけ主人公を振りかえったが、すぐに雪の向こうに消えていく。

振り向けば、いつのまにかヒメカミもいなくなっていた。
降り積もる雪の中、主人公一人だけが残された。
目の前の扉に刻まれた文字を読むと、
「1経験値を捧げよ。されば扉は開かれん。」
そんなバカな…。1ポイントを差し出すと、呆気なく扉は開いた。
しかし、少女達の姿はどこにもない。

他にどうしようもなく、主人公は扉をくぐり先へ進んだ。
雪の中一人で歩く。しばらくすると、上へ続く階段があった。
階段に足をかけて主人公は物思いにふける。
少女達は、このまま地獄に落ちて行ってしまうのだろうか…。
最初は騙し打ちのような理不尽なバイトだった。反抗的で問題ばかり起こす少女達…。
主人公は、いつも後ろをついてきてくれた少女達の事を思った。
276クリミナルガールズ:2011/06/12(日) 10:43:06.10 ID:9QHUvg4x0
やっぱり戻ってみんなを見つけよう。
そう思いなおし、主人公は雪道を引き返した。
少女達の名前を叫びながら歩くが、全て雪に吸い込まれてしまいそうな気持に陥る。
不安と闘いながら彷徨う内、前方に人影を見つけた。
雪の中見えた小さな姿は、うずくまり何か念じているアリスだった。
主人公が駆け寄ると、アリスは目を開いた。
「アリス、お祈りしてるの…。みんなが無事でまた会えるように…。
 …雪、やめ… 雪、やめ…!」
一心に祈るアリスの傍らで、主人公は大声で皆の名前を叫ぶ。
重苦しい雪を払いのけて、皆の元に声が届くように。

「ユコーーーー!!!トモエーーーー!!!」
扉の前でクリミナルを食い止める為戦っていた二人は、呼ぶ声を聞いて振り返った。
「先生の声が…。あっ…雪がやんでいくよ…。」
背後の扉が、二人を迎え入れるように開く。

「サコーーーー!!!」
トボトボと歩いていたサコは、声が聞こえて顔を上げた。
「…こーしていてもしかたないしな!ユコにもあいたいし…みんなのところにいこう!」
走りだしたサコの体に、力がみなぎっていく。

「ランーーーー!!!!シンーーーー!!!」
クリミナルに追い詰められていた二人は、呼ぶ声を聞いて辺りを見回した。
「今、教官の声がしなかった…?」
「おい、この扉開くぞ!」
二人の背後にあった扉が音をたてて開いた
「力が、戻って来た…。帰りましょう、みんなの所へ!」

「キサラギーーーー!!!」
一人歩いていたキサラギは、名を呼ばれて立ち止まった。
「帰らなきゃ、みんなの所へ…!」

いつのまにか雪がやみ、空が心なしか明るくなっていた。
主人公は視線を下におろし、静かに名前を呼んだ。
「…そして、アリス。」
アリスは微笑み、主人公を見て頷いた。
277クリミナルガールズ:2011/06/12(日) 10:44:16.74 ID:9QHUvg4x0
皆を探して歩く内、主人公とアリス、ユコとトモエ、サコは三叉路でばったりぶつかった。
「ユコ!ごめんなおこって!
 あれからかんがえてわかったんだ!ユコは弱いサコを守るためにのこってくれたんだよな!」
理屈がちょっと分からないが、そういうことだったらしく仲直りする。

そのまま残りの皆を探しまわり、ランとシンにも再会できた。
そこに、向こうからキサラギも走って来た。
「シン!あんた無事だったのね!!」
「なぁに?心配して走ってきてくれたの?」
「べっ別に…!
 私は、あんたたちのしもやけに利きそうな薬があったから届けに来てあげただけよ!」

「しもやけ?」
アリスとランが首をかしげて皆の手を覗きこむと、
「ど、どうしたんだよ!手がパンパンじゃねぇか!」
最初の扉の向こうで、雪を掻き分けて長い間鍵を探しまわったからだ。
「別に当然のことよ。だ、だって、仲間でしょ?」
シンがそっぽを向く。
みんなお互いの事をちゃんと想っていた。あちこちですれちがってしまっただけ。
「そう、すれ違いになったらまずいと思って、私達扉の前に書き置きを残したのよ。」
「書き置き?そんなものなかったわよ。」
「…雪が全部悪いの。雪が降ってから、全部おかしくなったの。」
扉も、全部押せば開く物ばかりだった。
自分達は、幻に踊らされていたのだ。

「哀れよのう。
 私の作りだした幻に溺れ死んでいくのが、お前達には似合いであったのに。」
氷でできた巨大な花の様なクリミナルが、仲直りした仲間達に襲いかかって来た。
こいつが今までの幻を作り出していた化け物らしい。
「囚人ごときが心を通わせ合うとは生意気な。
 お前達は、幻を味わう事もかなわず、ここで死んでいくのだ。」
一層絆を深めた7人の前に、しゃらくさいボスなど物の数ではない。
タコ殴りにされ、ボスは一時退却していった。

幻が全て解け、我に帰るとそこは氷の試練の入口だった。
「またのぼりなおしかーー!」
「今度は7人一緒やもん。すぐに登れるよ。」
「あたしらは、やっぱり7人一緒じゃないとな!」
少女達は自分達の確かな絆を確認し、しっかりと信頼し合った。
 主人公のことも教官として認め、休憩時やおしおき時のセリフが友好的な物に一新される。
278クリミナルガールズ:2011/06/12(日) 10:46:35.43 ID:9QHUvg4x0
7人揃った少女達は、順調に塔を登っていった。
道中、道に日記が落ちているのに気付き拾い上げた。
可愛いピンクの日記に、日々の出来事がきれいな字で書き留められている。
「ひとの日記をかってによんだらいけないんだぞー!」
サコに叱られ、元あった場所に日記を戻しておく。
しばらく行くと、今度は携帯電話を見つけた。
ストラップの沢山ついた、女の子の持つような携帯だ。
「センセ、拾たらあかんえ。」
「そうだよ、女の子の携帯は絶対に中見ちゃだめ!」
トモエとユコに叱られて、携帯を道端に戻す。
何故か、キサラギの表情が暗いのが気にかかった。

氷の試練最上部には、少女達をたばかったボスクリミナルがいた。
「囚人ごときが、この私の迷宮を破るとは…
 しかし、そのようなかよわき絆がいつまで保つかな」
「おあいにくさま!私達の絆は、綱引きしても千切れないロープみたいにぶっといのよ!」
氷の試練の化身に再度決戦を挑む。
状態異常攻撃を頻繁にしかけてくる強敵だが、連携プレイで7人全員の力を合わせ、撃破した。
「囚人のかりそめの絆で進めるほど、この先の試練は甘くないぞ」
呪詛のように呟き、化け物は息絶えた。

怨敵が退いた先には階段へ続く扉。
そこに、ヒメカミが入っていく後ろ姿が見えた。
「ヒメカミ!…ヒメカミの仲間って本当にいるのかな?
 私達、他には誰も見かけなかったでしょ?」
ヒメカミは、一人でこの塔を彷徨っているのだろうか。
「だとしたら…すごく辛いだろうな。」
「うん…。私、一人だったら絶対ここまで来れなかったな…。」
「私も。皆と…先生がいてくれたから、ここまで頑張ってこれたんだよ。」
互いの絆を確かめ合う7人と主人公。
初めて顔を会わせた時は、こんな風に心を通わせ合う時がくるなんて想像もつかなかった。

「ヒメカミに次に会ったら、無理やりにでも仲間に入れちゃおうよ。」
「そやね、一人は危ないもんね。」
素性のわからない少女の事を、真剣に心配できる心を誰もが培っている。
少女達は、見違えるほど成長した
残る試練はあと一つ。少女達の巣立ちの日は近付いている…。
279ゲーム好き名無しさん:2011/06/12(日) 10:52:10.88 ID:9QHUvg4x0
連投回避のため少し待つので、投稿待ちの方いらしたら遠慮なくどうぞ。
終了までお待ちします。
280ゲーム好き名無しさん:2011/06/12(日) 11:23:17.92 ID:B4gMnMQI0
支援
281クリミナルガールズ:2011/06/12(日) 11:58:16.98 ID:9QHUvg4x0
四層【学び舎、16時の記憶。】

階段を上の層に登ると、そこは唐突に校舎の中だった。
夕焼けが廊下をオレンジ色に染めている。
現実的すぎて非現実的だ。
今までずっと、いかにも地獄という感じの場所ばかりだったのに、一体何故?
少女達を振りかえると、全員どの試練に挑んだ時よりも表情が硬かった。
学校も、人によっては地獄となる、ということか。

廊下を歩きだすと、すぐに一枚のメモが落ちていた。
女の子らしい字で、「アンタなんか大嫌い!」と書かれている。
軽いジャブだが、少女達の顔を見るに、地味にダメージをくらっているようだ。
校舎を探索していると、ある教室の扉に文字が書かれていた。
<16:00 春川朋の記憶>。

春川朋は、トモエの本名だ。
教室内には不鮮明な人影がまばらにいた。
「春川さんってさ、美人で優しくて女っぽくて、いいよなー。」
「俺らなんて話しかけづらいけど、向こうから話しかけてくれるもんね。
 あれ?もしかして脈アリってこと?ふひひ…」
「春川さんって、クラスの級長までつとめちゃってすごいわよね。
 バリバリ仕切るタイプじゃないけど、そこがまた頼れるっていうかー。」
どの人影も、トモエの容姿やそれに驕らない気立ての良さを褒め称えていた。
トモエは生前、とても人望があったようだ。

少しして同じ場所に戻ると、人影の数が増えていた。
廊下でしゃべっている人影の会話が聞こえてくる。
「またケンカらしいよ、A組。どうしちゃったんだろうね。」
「本当だよね。春川さん大変だろうね。級長だもん。」
A組の中の人影は、皆おかしくなっていた。
「これ、春川さんに教えてもらったアクセなんだ!
 コーディネートも上から下まで全部春川さんの真似!」
「あのオタク野郎、春川さんに慣れ慣れしくしやがって!勘違いしてんじゃねえよ!ぶっ殺してやる!!」
「あの子最近気持ち悪くない?春川さんの真似ばっかしてさ。
 春川さんもほんとのところ迷惑なんだって。私にだけ相談してくれたんだ。」
女子は皆トモエの真似をして、男子はトモエを巡っていがみ合っている。
282クリミナルガールズ:2011/06/12(日) 11:59:34.50 ID:9QHUvg4x0
「うふふふ、楽しいなぁ。みんなが壊れていくのを見るんは。」
振り向くと、トモエとそっくりの人影が立っていた。
「みんなトモエが壊したんよ。
 女子に羨望されるより、男子に褒め称えられるより楽しいこと。
 トモエの周りには人が集まる。街燈にたかる羽虫みたいになぁ。
 でも、トモエの周りにはトラブルばかり。それは…」
人影はそこで言葉を切った。本物のトモエは黙りこくっている。
「トモエがやったのか?」
主人公の問いかけに、トモエが頷いた。
「そうです。うちがやったんです。
 うちは小さい頃から、人に愛されて大事にされるんが、当たり前の事やと思うてました。
 人から愛されるいい子なだけではつまらん。だから人の心をもてあそんで楽しむようになった。」
人影が笑い声を上げた。
「トモエを愛する人たちが、トモエの為に苦しむ。
 それはトモエにとって、とってもキモチエエことのはずよ。」

うつむいたトモエから、他の少女達に人影は視線を移した。
「ランさんは男嫌いって言うてはるけど、
 むしろ、アリスさんを見る目が時々やーらしいのは、うちの気の性やろか?
 サコさんはユコさんが大好きやけど、ユコさんの方はどうなんやろ?
 こないだ、ふかーいため息ついてたけど?」
トモエの影は楽しそうに、聞くに堪えない言葉を吐いていく。
皆が慌てて必死に反論するが、なんとなく曲解できる事実を基にしているだけに気まずい。
「やめて!みんなうちの大事な仲間や!壊したくなんてない!」
「あら、そうなん?あの時は、あんなに楽しそうに大事な従妹を壊しとったのに?」
トモエの影は消え、トモエはその場に立ち尽くした。
「罪は償う為にあるんだ。」主人公はトモエを励ます。
「うちは、この為に地獄に落ちてきたんやね。
 うちの罪の証が、きっとどこかにある。うち、罪を償いたい…。」
283クリミナルガールズ:2011/06/12(日) 12:02:25.52 ID:9QHUvg4x0
トモエの、罪の証。主人公の頭に、トモエの投げ捨てた招待状のことが過った。
動かないトモエを置いて、休憩部屋のワープから炎の試練2Fに戻る。
招待状の落ちていた場所への道中、人影がまばらに立っていた。
「お嬢さん、可哀想にねぇ。花婿が式当日に逃げ出すなんて。
 真面目そうな人に見えたのに、わからないものね。」
「気丈に振る舞ってたけど、盛大なお式が台無しになって気の毒ね。」
「それにしても、花嫁に付き添ってた黒髪の子、美人だったよなー!
 あの子が花嫁だったら、俺は絶対逃げないね。」
トモエがマグマに落した筈の、結婚式の招待状。元の場所に落ちていた。
それを拾って、トモエの元に帰る。

招待状を渡すと、トモエは懺悔を始めた。
「大好きな従姉のユキエちゃんに縁談が決まって、ユキエちゃんはほんまに幸せそうやった。
 なのにうちは、また遊び半分でその縁談を壊してしもたんよ。
 ユキエちゃんがうちに抱きついて泣いてた時も、うちは悪いことやなんて全然思うてへんかった。
 でも今のうちにはわかる。うちの罪が…。」
トモエの影が現れて、またトモエの罪を暴き立てる。
「アホくさい、あんたはあの時確かに楽しんでたやないの。
 大事な人たちのつながりを叩きつぶして、自分は安全なとこから高みの見物…」
「やめて!!!!うちは先生やみんなとのつながりがあったからここまで来れた!
 うちは変わったんよ!うちは、もう二度と間違わん!!」
「アーハハハハハハ!せやったら、ええ子のトモエは死ね!!!!」
人影は実体となり、「春川朋」との戦闘が始まる。
高火力のトモエの影だけあり苦戦するが、何とか勝利する。
「かんにん、かんにんな…。」
284クリミナルガールズ:2011/06/12(日) 12:04:27.91 ID:9QHUvg4x0
トモエが自分の罪を受け入れた事で影は消え、校舎の封印されていた扉が開いた。
そこから先は、また違う学校の校舎の様だ。
「うそ…ここって…」
キサラギが青ざめる。教室の扉には、<16:00、如月恭華の記憶。>と書かれていた。
教室の中では、女生徒達の人影が声高に話し合っていた。
「如月のバッグ、あれってコピーじゃない?」
「だよねー。あんだけ安っぽいと流石にわかっちゃうっていうか。
 私達に合わせようとして一生懸命なのはわかるんだけどさー。」
「しょうがないよ。あの子のお父さん普通のサラリーマンらしいから。」
「でもさ、普通の家の子が、無理してこの学校来る方が悪くない?」
「言えてるー!!なんか、見ててかわいそうなんだよね!」

人影が消え、キサラギは肩を震わせる。
「お前、セレブじゃなかったのか?」
「私、セレブ…になりたかった…。」
別の教室の中には、エルメスの時計、グッチの財布、ビトンのバッグ、プラダのリング、
他にも色々なブランド品が沢山置かれていた。
これらは全部、本物なのだと言う。
「…だって、私が買ったやつだから…。…汚いことしたお金で…。」
「キサラギ、お前まさか…援助交際を?」
問いかけた主人公に、キサラギは慌てたように弁明した。
「私、エッチな事はしてないよ!?…でも、ご飯食べて、カラオケ行って、一回5千円。
 …5回やれば、お財布が買えるの。10回やれば、バッグが…。」

キサラギは目を潤ませてうつむいた。
親を説得してやっと入ったお嬢様学校で、みじめな思いをしたくなかったのだと言う。
クラスメイトは手の平を返したように仲良くしてくれたが、心は満たされなかった。
「当然だよね。ホンモノに囲まれてても、私だけニセモノなんだもん…。」
「あーら、あんたニセモノなんだ?」
振り向くと、キサラギにそっくりな人影が立っていた。
人影は、キサラギのブランド品を奪い取った。
「ニセモノのあんたにはホンモノを持つ資格なんてないわよね?
 私はホンモノのキサラギだし、ホンモノのセレブなの。
 ニセモノのあんたは、地味〜ないじめられっ子生活をひっそり送ってれば?」
「私…ニセモノ…。」
285クリミナルガールズ:2011/06/12(日) 12:06:33.61 ID:9QHUvg4x0
「ちょっとキサラギ、しっかりしなさいよ!」
「…私、償わなきゃいけないんだ。あのデータも、全部消さなきゃ…。」
データ。雪の中に落ちていた携帯電話が頭を過る。
キサラギを置いて氷の試練3Fに戻ると、そこにはまばらに人影が立っていた。
「その制服、聖泉白女学園だよね?キョウコちゃんおじょうさまなんだー。」
「キョウコちゃん、そのソックス売ってよ。
 ダメ?なんでー?いつもおこづかいあげてるじゃーん。」
「お茶なら3000円、カラオケは5000円。
 大丈夫、いやらしいことはなーんにもしないから。」
携帯電話は、元の場所に落ちていた。
拾い上げ、キサラギの元に戻る。

「これ、お小遣い稼ぎ用に使ってた携帯…。」
キサラギは携帯電話を受け取り、それを真っ二つにへし折った。
「これでいいの。私、援交する時キョウコって偽名使ってた。
 その名前でよばれるたびに、自分がニセモノなんだって思い知らされた。」
キサラギは、自分の影に向き直る。
「あんたも私も、物の値段ばかり気にして、本当の価値を見ないふりをしてた。
 そうやって自分の弱さを誤魔化してたんだよね。」
「はぁ?弱いのはあんただけでしょ。
 本当の価値って何?それっていくらで買えるの?」
「買えないよ!!!買えないから価値があるの!
 先生やみんなとの絆は、絶対にお金じゃ買えなかった。
 それに気付いたから、私変わるの!!みんなに恥ずかしくない本物の私を見せたいから!」
影は実体となり、「如月恭子」との戦闘が始まる。
状態異常攻撃やHP吸収を操る強敵だが、苦戦の末キサラギの影は倒れた。
「バイバイ、私…。」
キサラギの頬を涙が伝った。

キサラギが自分の罪を受け入れた事で、影は消え校舎の扉の封印が解けた。
その先の階段を上ると、そこはまた別の学校だった。
<蘭堂かよこ、16:00の記憶。>
校舎を歩むと、閃光が明滅しどこからともなくシャッター音が響く。
教室の床に、写真が一枚落ちていた。小学校高学年頃の少女の写真だ。
「これ、あたしだ…。こんな写真撮られてたんだ…。
 アイツだ、絶対アイツだよ…。」
ランの額に脂汗が浮いている。
他にも、同じ年頃のランの、スクール水着姿を隠し撮りした写真などが点々と見つかる。
286クリミナルガールズ:2011/06/12(日) 12:10:53.95 ID:9QHUvg4x0
探索する内に入った教室の教卓に、一眼レフのデジカメが置かれているのに気づいた。
手にとって電源を入れようとすると、ランが飛びかかってきた。
「やめろ!見るな!!見るなってばぁ!!」
ランはデジカメを床に叩きつけ、何度も何度もそれを踏みつぶした。
取り乱したランは、なだめる主人公にも拳を振り上げる。
「うるせぇ!!お前だって男だろうが!死ねっ!死ねよ!!」
「そうさ、やっちまいなラン。」
振り向くと、ランにそっくりな人影が立っていた。
「いつもみたいに、適当なインネンつけて男をボコボコにしなよ。
 だって、ランは男に人生をめちゃくちゃにされたんだから、やりかえして当然だろ?」
「ちがう!今のは、ただ勢いで…。オヤジはあたしの味方だ!」
「へぇそうかい?でもそいつも男じゃないか。
 しかもランをめちゃくちゃにした奴と同じ、教師だ。」
「やめろぉ!!言うな言うな言うなあああ!!!!」

錯乱したランを鎮める為、彼女の罪の証を皆で探しに行く。
もう随分前、ランが忌々しげに投げ捨てた木刀。
泥の試練3Fに戻ると、そこには人影がまばらに立っていた。
「何だよコイツ!俺ナンパしてただけだろ?!
 女だと思って相手してやったのに、武器使ってくるなんて聞いてないぜ!」
「おい、蘭堂かよこだぜ。目ぇ合わせんなよ。
 俺の友達、あいつの学校の女に声かけて半殺しにされたんだ。
 声かけただけだぜ!?あいつ、マジで鬼だよ。」
ランが放り投げたはずの木刀は、元の場所に落ちていた。
拾い上げ、ランの元に戻る。
287クリミナルガールズ:2011/06/12(日) 12:14:13.72 ID:9QHUvg4x0
木刀を見せると、ランの目に理性が戻って来た。
「これ…弱かった頃のあたしの武器…。
 小学生の時ひどい目に合って、私はこれを買って体を鍛え始めたんだ。
 男に片っ端からインネンつけて、痛めつけて…
 そうしたら、あいつに汚された私が、その分だけきれいに戻るような気分になれて…。」
「元に戻れるわけないだろぉ!?
 あんな目に合わされたんだ、忘れられるわけねぇよ!
 男どもに仕返ししてやるくらい、当然の権利なんだよ!特に教師ってヤローにはな!!」
「違う!そんなの、間違ってた…。
 暴力で最悪の記憶を誤魔化して、救われた気になってただけなんだ。
 悪いのはアイツだ!オヤジも、みんなも悪くない!」
「ちっ!コシヌケになりやがって…。
 いいぜぇ、ランの代わりに、私がその男をぶっ殺してやるからよォ!!!」
ランの影が吠える。ランがその前に立ちはだかる。
影は実体となり、「蘭堂かよこ」との戦闘が始まった。
盾役のランの影だけあって固い難敵だが、じりじり削り勝利する。

「あたしのこと汚いと思うか?」
ランが不安そうな顔で主人公に問う。
「馬鹿だな。思う訳ないだろ。」
「…ありがと、オヤジ。」
ランの頬に涙が伝う。
ランが自分の罪を受け入れた事で、影が消え校舎の扉の封印が解けた。

そこから先は、また別の校舎。
放課後の教室の中で、先生と母親らしき人影が、二者面談を行っていた。
<片木左子、16:00の記憶>。
「サコくんは元気で活発で、明るい子ですよ。
 ちょっと勉強の方がおろそかになってますが。」
「あの子ったら!いつも言い聞かせてはいるんですけど…」
「ユコくんは真面目で努力家で、いい子ですね。
 二人の仲も、とてもいいですし。
 双子といえど思春期になるとうまくいかなくなるものですが、あの二人は問題ないでしょう。」
288ゲーム好き名無しさん:2011/06/12(日) 12:16:05.56 ID:9QHUvg4x0
また連投回避するので、投稿待ちの方いらしたら遠慮なくどうぞ。
終了までお待ちします。
289クリミナルガールズ:2011/06/12(日) 13:23:16.91 ID:9QHUvg4x0
校舎を進むと、ユコとサコにそっくりの人影が廊下で立ち話をしていた。
「ユーコっ!たいそうふくかしてー?」
「また?もーしょうがないなぁ。体育終わったばかりだから汗臭いかもよ?」
微笑ましい双子の日常の再現だったが、サコの表情が暗い。
「…サコ、あの体操服何に使うんだ?」
「えっ?本当に忘れたんだよ!普通に体育に使うだけだってば。」
主人公の問いかけに焦ったように答えるサコ。いつもと口調が違う。
明るく舌足らずな幼い喋り方でなく、きちんとしたイントネーションだ。
「…サコ、今までバカなふりをしていたんじゃないのか?」
図星らしく、サコは押し黙る。

体操服を借りて駆け去ったサコの人影は、
隣の教室で体操服に顔をうずめていた。
「ユコ、ユコ、大好き…。」
皆が近づくと、サコの影は無表情にこちらを見返した。
「変だって分かってる。でも好きなんだからしょうがないじゃない?
 だから、バカのふりをしてユコにべったりくっついてる。
 そうでしょ?サコ。」
女性的で大人びた口調だった。
サコはユコの顔を見られず、青い顔でうつむいている。
サコにも、自分の罪を乗り越えるきっかけが必要なのだ。
サコに叱られて元に戻した日記帳。きっとそこに答えがあるだろう。
炎の試練の3Fに戻ると、まばらに人影が立っていた。
「片木さんとこのサコちゃんの方、最近変じゃない?
 前はもう少ししっかりしてたと思うんだけど…。」
「右子ちゃんも大変だよね。あんな風にお姉ちゃんにべったりされてさ。
 結構可愛いのに、彼氏も作れないなんて可哀想。」
日記帳は、元の場所にまだ落ちていた。
拾い上げ、サコの元に戻る。

日記帳を差し出すと、サコはやっと顔を上げた。
「それ、サコの日記帳。先生、読んでいいよ。」
ページをめくると、丁寧な字で毎日欠かさず、ユコのことばかりが書き込まれていた。
「サコはユコのことが本当に好き。
 ユコにどこにも行ってほしくなくて、バカのふりしてユコを縛りつけてた。」
290クリミナルガールズ:2011/06/12(日) 13:25:22.42 ID:9QHUvg4x0
サコの影が口をはさむ。
「ふーんそうなんだ。
 でもユコはサコのものだから、サコにはあげないよーだ。」
「ユコは誰のものでもない!サコの…私のものでもない!」
「えー?だってサコいつも言ってたじゃない。
 サコとユコは一心同体、ずーっとずーっと一緒だって。」
「ちがう!ユコは一人のちゃんとした人間なんだ!」
「サコのユコへの想いってその程度のものなんだ?
 じゃあサコと勝負しようよ。サコが勝ったら、ユコはサコのもの。」
影は実体となり、「片木左子」との戦闘が始まる。
さすが特攻隊長サコの影。素早い上に2回行動、HP自動回復までする強敵だが、何とか勝利した。

「ごめんな、ユコ。
 こんな気持ち悪いお姉ちゃん、嫌いになるよな。」
「バカ!サコはユコのたった一人のお姉ちゃんだもん!
 嫌いになんてなる訳ないじゃない!!」
サコの頬に涙が伝う。
サコが罪を受け入れた事で、校舎の扉の封印が解けた

ここは、少女達が自分の罪を受け入れ乗り越えて、
新しい自分に生まれ変わる為の学校なのだ。
全員が自分を変えることが出来た時
少女達はこの学校から、そして主人公から卒業していくのだろう。
291クリミナルガールズ:2011/06/12(日) 13:29:07.60 ID:9QHUvg4x0
扉の中の階段を上った先は、また別の校舎。
シンが呟く。「私の番、来たみたい。」
<16:00 初来慎の記憶>。
教室の中に、一つだけ隅に寄せられた机があった。
食べかけのパンや消しゴムのかす、ホコリ等でひどく荒らされている。
教室後ろの黒板には、大きく落書きがされていた。
「消えろオタク女」「根暗ブス」「ひきこもりは学校くんな(笑)」

シンが無言で黒板を消し始めた。
「え?イヤね。私がイジメなんて低俗なことに関わるわけないじゃない。
 それより、これ早く消さなきゃ…」
「シンがいじめられてたのか?」
主人公が問いかけると、シンは無理に笑い声を上げた。
「まさか、この私が?
 私は4カ国語ペラペラ、17歳で博士号を取った天才少女なのよ?!」
興奮しているシンをなだめ、探索を続ける。

教室の中に、PCがぽつんと置かれていた。
起ち上げてウェブブラウザを開くと、デフォルトで設定されているオンラインゲームの画面に繋がった。
「Hatsu_nyan」というハンドルでログインされている。
チャットウィンドウを見ると、
「35時間突入〜(*^p^)まだまだ行くよ〜!
「狩りに行く人挙手ノ」
Hatsu_nyanはかなりコアなゲーマーのようだ。
チャットログを更に遡ろうとした時、
「教官、どいて!!」シンが重たい辞書をPCに叩きつけた。
「読まないで!それ以上ログ読まないでよぉ!!」
Hatsu_nyanはやはり、シンのアカウントだった。
「でも私、もう足を洗ったの!」

その時、現れたシンにそっくりの人影が、シンを突き飛ばした。
「おいっ何やってんだこのカス!
 いきなり人のPC壊すとか、ありえねえだろ常考!」
「わ、私はもうネトゲはやめたの!だからPCはもう必要ない!」
「よく言うぜ!厨二丸出しの自分設定作り込んでやがったくせにw
 飛び級して17歳で博士号を取った天才数学者ぁ?
 プギャーm9(^Д^)恥ずかしすぎ!黒歴史決定だなwwwww」
「やめてよ、私は、私は…」
「これだからヒキオタニートの三重苦女は!いや、ネトゲ廃人入れたら四重苦かw
 ハタチ過ぎてこれとかマジ終わってんなwwwww回線切って死んでこい!」
言い返す事もできず、シンはがっくり放心してしまった。
292クリミナルガールズ:2011/06/12(日) 13:33:02.13 ID:9QHUvg4x0
シンの罪の証、暗い表情で見下ろしていた手作りの夕食。
氷の試練1Fに戻ると、そこには3人の人影が立っていた。
「姉ちゃん…お父さんもお母さんもすっごく心配してるよ?
 ゲームならリビングでやったらいいじゃん…そろそろ出てこいよ…」
「慎、今の時代学校に行かなくてもどうってこと無いんだぞ。
 定時制も通信性もあるし…大学に行きたかったら大検だってある。
 だから、とりあえず出てきて顔を見せてくれないか?」
「慎、体の調子はどう?…たまには外に出ないと…
 ううん、無理しなくていいから…ご飯ここに置いておくから、ちゃんと食べてね…」
雪の上に、ぽつんとトレイにのった夕食が置いてある。
取り上げ、シンの元に運んでいく。

シンに料理を見せると、シンの目に光が戻った。
「お母さんの作ったごはんだ…。私が引きこもり始めてからも、毎日持ってきてくれた…。
 色んな人に支えられて生きてるのに、私、自分は独りなんて思いこんで…」
「はぁ?一人超楽じゃん。親とか友達とかウザいだけだって。
 それよりログインしないと。…あれ?データ飛んでる?
 …てめぇら、私の大事な大事なPC壊しやがってよおおおお!!!!」
シンの影が実体化し、襲いかかって来る。
「私、変わりたいの…!」
「初来慎」&「ギルドメンバー」との戦闘が始まる。
全体魔法攻撃や回復を1ターン3回もしてくる、気の狂いそうな難敵だが、なんとか撃破する。

シンは、皆に向き直った。
「ごめんなさい。私みんなをだましてた。
 私本当はハタチなんだ。高校中退でヒッキーでニートのネトゲ廃人。
 地獄に来た時、ここなら理想の自分になれると思って、「シン」を演じてた…。
 でもダメ、演じ切れなかった…。」
うつむくシンに、「何言ってんだ、シンはシンだろ?」と声をかける。
「私、皆と教官に会えてよかった…。
 本当の私をちょっとだけ好きになれたから…。」
シンの頬を涙が伝った。

シンが自分の罪を受け入れた事で、影は消え校舎の扉の封印が解けた。
扉の先は、見覚えのある校舎。そうここは…
293クリミナルガールズ:2011/06/12(日) 13:39:32.02 ID:9QHUvg4x0
<16:00、片木右子の記憶>。
廊下で立ち話をしている人影がいた。
「聞いた?合唱コンクールの話。
 ピアノ伴奏の片木さん、突き指しちゃったんだって。
 あんなに頑張るって言ってたのに可哀想だね。」
「そうそう、でお姉さんが代わりに伴奏するってはりきってるんだけど、
 あの人ピアノなんか弾けないでしょ?だから右子ちゃんがつきっきりで教えてあげてるの。
 美しき姉妹愛って感じだよねー!」

音楽室では、ユコの人影がサコの人影にピアノを教えていた。
「サコならできるよ!
 頑張ってサコ、ユコも頑張って突き指なおすから!」
ユコの顔色が悪い。主人公はそっと尋ねた。
「突き指って、嘘なのか?」
ユコはビクンと肩をすくめたが、素直に頷いた。
「練習が嫌だったのか?」
「…うん。ユコ、練習って嫌いだから…。」
「たまにはサボりたくなるよな。」
「ちがうよ。ユコはいつもサボってる。」

振り向くと、ユコにそっくりな人影がこちらまで来ていた。
「いいじゃない、ユコは可愛いし☆
 頑張る頑張るってとりあえず言っておけば、周りは頑張りやさんだと思ってくれるし。
 それにめんどくさくなったら、サコに投げちゃえばいいんだもん。
 サコなら喜んで片付けてくれるよ。」
「やめて!言わないでよぉ!!!」
ユコはぶるぶる震えてしゃがみこんでしまった。
サコは呆然とユコを見ている。今度はユコが罪を償う番なのだ。

ユコがわざと落させた表彰状。
火の試練4Fに戻ってみると、まばらに人影が立っていた。
「片木さんは本当に優秀ね。この自由研究すごくよくできてる。
 気温、湿度、雲の形、害虫の状況まで、こんなに細かな朝顔の観察記録滅多にできるもんじゃないわ。
 先生感心しちゃった。満点です!」
「片木はまた賞状を取ったのか。本当に優秀な生徒だな。
 姉の方も、もう少し課題にちゃんと取り組んでくれたらいいんだが…。」
額縁入りの賞状は元の場所に落ちていた。
夏休みの自由研究に贈られた、文部科学大臣賞とある。
宛名は片木右子になっている。これが、ユコの罪の証。
294クリミナルガールズ:2011/06/12(日) 13:47:16.96 ID:9QHUvg4x0
ユコの元に帰り、賞状を手渡した。
「これ中学2年生の時にもらった、ユコの…ううんサコの表彰状。
 そうだよね?サコ。」
サコは黙っている。
「ユコはね、頑張るのは嫌い。でも褒められるのは大好き。
 面倒な課題はみんなサコに押し付けて、自分は何もしなかった。
 だからサコには自分の課題をやる時間なんか全然なくて、先生に怒られてばっかりだった。」
「ユコ!いいんだよ、そんなの…そんなの…」
「ほぉーら、サコはいいって言ってるよ?甘えちゃえばいいじゃない。
 その表彰状も、もらっちゃえばいいんだよ。」
ユコの影がニコニコと笑う。
「そんなのダメだよ…!
 確かに前まではそういう風だったかもしれないけど、今は違うの!
 ユコとサコは、変わったんだから…。
 もう、自分や相手の為じゃなくて、みんなの為に頑張ってるんだから…。
 だからこの表彰状は、サコのなの!!」
「…ちがうよ!それはユコのだよ!
 勝手にサコにあげないで!!!!」
ユコの影は実体となり、襲いかかって来る。
治療のエキスパートだけあって、HP回復量が半端じゃないが、猛攻で押し切った。
「ユコ、頑張るって言うだけで、何もしてこなかった。
 サコ、みんな、先生、ごめんなさい。これからは自分の力で頑張るから…」
ユコの頬を涙が伝う。
295ゲーム好き名無しさん:2011/06/12(日) 14:03:43.63 ID:9QHUvg4x0
とりあえずここまでです。
296ゲーム好き名無しさん:2011/06/12(日) 16:17:23.28 ID:xk5t2QlT0
乙ですー

予約から一ヶ月過ぎてしまいましたが、フリーゲーム「鬱夫の恋」投下させていただきます。
一応先に言っておくと、過去に何かしら嫌な思い出がある方は見ないほうがいい…のかもしれません。
はっきり言って胸糞悪いだけのストーリーですので。

では次レスより始めます。
297鬱夫の恋:2011/06/12(日) 16:18:08.31 ID:xk5t2QlT0
オープニング
目の前にはひとりの少女。
「――どうして私なの」
「――痛い痛い痛い痛い……」
「――やめてやめてやめてやめて……」
「――いやああああああああ!!」
(台詞が出るごとに、少女の顔はぐにゃりと歪んでいく)

本編開始
朝の学校。主人公が教室のドアを開けると、クラスメイトたちが一斉に騒ぎ出します。
「来た来た!ウツオが来たよ」
「あれ、どうしたのその顔?ちょっと歪んでない?…ああ悪い、元からだったな」
「お前キモイんだよ」「ウツオ菌がうつる〜」
立ち向かう主人公。意にも介さないクラスメイトたち。どっと笑い声が上がり――
――夢だった。

あの頃の夢ばかり見る。いつからだっけ……僕がこの部屋から出られなくなったのは。
(以降は主人公の中学時代の回想、という形で本編が進んでいきます。ちなみに現在の主人公は25歳、ひきこもり)

朝、登校した主人公。
クラスメートに話しかけると、半分は無視、半分は……
「気持ちわりーな」「どっか行ってもらえる?」「話しかけないでくれ…僕はひっそり生きていたいんだ、一緒にしないでくれ」
担任が来たので着席すると、椅子には画鋲がばらまかれています。
授業中、女子が落とした筆箱を拾ってあげる。大絶叫される。「触られた…この筆箱もう使えない!」

休み時間、クラスの男三人(不良、イケメン、フツメン)に絡まれます。さっき筆箱拾って大絶叫された女はイケメンの彼女らしいです。でも最近飽き気味。
イケメン「いいこと思いついた。お前エリカに告ってこいよ。そしたらさっきの無礼チャラにしてやる」
言い返せず、エリカ(筆箱女)に告白するハメになる主人公。(三人組の目の前で)

告白。再び大絶叫。エリカの友人にも罵倒される。「あんたみたいなキモイのとエリカが付き合えるわけないでしょ!」
毎日毎日、そんなことの繰り返し。もう慣れた――ただちょっと、疲れるだけで。

帰宅した主人公。ちなみに母親と二人暮らしで、父親は半年前に他界。
母親に「学校はどうなの、友だちと仲良くやれてる?」と聞かれ、嘘を付く主人公。「毎日学校にいくのが楽しいよ…」

――弱いものを蔑み、強いものを妬む。いつまで繰り返すの?
――また 私を 犯すの?
298鬱夫の恋:2011/06/12(日) 16:18:49.94 ID:xk5t2QlT0
朝。学校に行くと下駄箱で絡まれます。「きったねえ上履きだな!」
昼休み、お弁当(母親の手作り)を食べていると、覚えのないことで昨日の男三人組に絡まれます。
タカシの女に手出しただろとかなんとか。「その顔で女と付き合えるわけねえだろ、ちょっとは考えろよ」

不良「何無視して弁当食ってんだよ。…美味そうだな、俺が隠し味を加えてやる」
お弁当に修正液を流し込まれます。爆笑するイケメン。仕方なくお弁当をゴミ箱に捨てる主人公。
(お弁当は毎日母親が作ってくれますが、毎日何かしらやられるので完食できずにゴミ箱行きがほとんどらしい)
午後の体育の時間、ボクシングやろうぜ!とか言われて不良に殴られます。

保健室に運ばれたらしい主人公。目を覚ますと、そばには見知らぬ女の子がいました。
「保健の先生に、用事があるから代わりに見ててくれって頼まれたの。大丈夫?」
詩織と名乗った女の子。明るく普通に接してくれる詩織に戸惑う主人公。詩織は最近転入してきたばかりらしいです。

放課後、また三人組に絡まれ、三千円よこせと集られます。「お前がぶっ倒れるから、俺らすげー迷惑したんだけど」
やはり言い返せず、金を渡してしまう主人公。「今度めんどくせーことしたらぶっ殺すぞ」
お前がやったんだろ…というイケメンを睨む不良。どうやらこの三人も本当に仲がいいわけではない様子です。

帰り道、ヤンキーが道を塞いでいたため通れず、近くの神社に逃げる主人公。
そこで、ダンボールに入れられ捨てられた子猫を発見。お前も一人ぼっちなのか、と同情したのか牛乳を飲ませる主人公。
そこに詩織がやって来ました。詩織は主人公より先に子猫を見つけ、ここでこっそり世話をしていたらしいです。
ちなみに詩織が名付けた子猫の名前は「こげんた」。……その名前は色々とアウトだろと思います。
二人で子猫の世話をすることに決定。
ついでに、詩織から「うーちゃん」というあだ名をつけてもらう主人公。

――あの子が本当にあなたの相手をしてくれると思ってるの?
――あんな可愛い子が?あなたみたいな生きる価値のない人間に?
――無駄なの。そんな希望は無駄なの、わかってるでしょ?
――あなたをまともに相手にする人間なんて いないのよ

……期待なんてしていない。ただちょっと、嬉しかっただけ。
299鬱夫の恋:2011/06/12(日) 16:19:35.09 ID:xk5t2QlT0
朝、子猫の様子を見に神社へ。詩織は先に来ており、たわいないお喋りをします。
学校では相変わらず三人組に絡まれます。そこに詩織が通りがかるが、何を言うでもなく去っていきます。
学校では主人公と詩織は全くしゃべらないし接点なし。そもそも詩織とはクラスが違うっていうのもありますが。
それは別に構わないが、いじめられているところを見られるのは嫌だと思う主人公。

それからしばらくたったある日。隣町のペットショップが閉店セールをやっているとのことで、
子猫のためにキャットフードを買いに行くことにした主人公と詩織。
自分のようなのと、容姿の可愛らしい詩織が一緒に歩いてることに対する周囲の視線を怖がる主人公。まったく意に介さない詩織。

さてペットショップに到着するも、詩織がチラシを読み違えており閉店セールは先週で終わってしまっていました。
なんとか売ってもらえないかと店主に頼んでみると、地下の倉庫の片付けを手伝ってくれたら売ってあげると言われます。
詩織は二人でやろうと言ってくれるが、女の子に倉庫の片付けなんてさせられないと、ひとりでやることにした主人公。
お言葉に甘えて任せる詩織。
(ここはミニゲームになっており、倉庫番をやらされます。ちなみにズルができます)
倉庫番を終わらせると、店主は在庫のキャットフードをタダで持ってっていいと言ってくれます。
詩織にお礼を言われる主人公。

と、今度はいかにもDQNな感じの女(というかキャラ名が「DQN女」)三人に絡まれます。
三人は詩織を知っている様子。「またエンコー?」「ていうか隣の男キモーイ!いくらエンコーでもあれとはやれないわー」
「まあエンコー女にはお似合いじゃない?」
なにやら穏やかじゃない言い様。行こう、と主人公をひっぱる詩織。

子猫にキャットフードをあげてみると、美味しそうに食べてくれました。
詩織「気になる?あの子らの言ってたこと……」
別にと答える主人公。ですが、「うーちゃんは正直者だね、顔に書いてあるよ、気になるーって」

詩織は過去を語りだします。さっきの女は前の学校でのクラスメートで、詩織は彼女らに虐められていたそう。
理由は詩織が女の好きだった男を奪ったからとか。ですがそれは女の主観で、実際は一度一緒に帰っただけのようです。
前から私のこと気に入らなかったみたい、と詩織。
持ち物に落書きされたり、陰口叩かれたりから始まり、淫乱女扱いされて友達もなくした。
そのうち人気のないところに呼び出され、「人に言えないようなこと」をたくさんやられた、でも学校は一回も休まなかった。
やがてお金を要求されるようになり、自分で稼いだお金じゃないから渡せないといったらじゃあ援交しろと言われた。
そしたらもうやめてやるって、だから私は――…

しかしそれは女たちの罠で、ホテルに入るところを写真に撮られてしまった詩織。
写真は近所にばらまかれ、両親は離婚、母親に引き取られて引っ越してきた……というのが詩織が転入してきた経緯です。
(ちなみに援交は未遂。事情を知った相手が何もせずにお金だけ渡してくれたようです)
「やっぱり初めては好きな人じゃなきゃね。私の彼氏になる? ……なーんてね!」

もう遅いし帰ろう、ということでその日は別れる二人。自分はもうひとりじゃない、と確信する主人公。

――今日はやらないの?
――そう。どうせまた裏切られるのに。
――またすぐに私たちのところへ戻ってくるわ。だってあなたは……
――私たちにしか相手にされない、生きる価値のない人間だから
300鬱夫の恋:2011/06/12(日) 16:20:18.14 ID:xk5t2QlT0
学校。不良は女にふられたらしく、腹いせに主人公に八つ当たりしてきます。
やめとけって、と言うイケメンを睨む不良。イケメン、あんたどっちの味方なのかはっきりしてください。
明日までに2万持ってこい、持ってこねーと殺すぞ、と言い捨てて立ち去る不良、後を追うイケメン。
と、今まで一言も喋らなかったフツメンがその場に残りました。

フツメン「おい……大丈夫かよ。ムカツクよな、ふられたから八つ当たりなんて……」
彼が言うに、不良は詩織に告白してふられたそうです。そりゃそうでしょう。
不良と友達なんじゃないのか、と尋ねる主人公に、違うと答えるフツメン。
どうやら彼も不良に半分虐められているようで、ただつるんでるだけと言います。ほんとは嫌いなんだとも。

フツメン「もうやめようぜ、あいつらの言うこと聞くの。俺はもうついてけねーよ……」
そして一緒に帰ることになった二人。仲間ができたようで嬉しい、と感じる主人公。

子猫の様子を見るために神社前で別れようとしますが、着いて来たがるフツメン。
心配しなくてもあいつらには言わないから、と言うのでそのまま着いてこさせます。子猫を見て、可愛いじゃん、と言うフツメン。
そこに詩織がやって来ます。当然ながらフツメンを見て警戒する詩織。
ですが、話をするうちに打ち解けた様子。

最近主人公が、いじめられても平気そうな顔してたのはこういうわけか、恋の力って偉大だね!と言うフツメンに対し、
慌てる主人公と笑う詩織。「うーちゃん可愛い!」

それからフツメンはたまに子猫を見に来るようになり、学校でもよく主人公と話すようになりました。
主人公へのいじめも徐々に収まっていき、逆に不良たちのほうが浮いた存在になりつつあったようです。
これからは自分が詩織を守れるようになりたい、詩織のそばにいたい、と願う主人公。

――許されると思っているの?
――さんざん私たちを犯しておいて、自分だけ幸せになろうなんて、許されると思っているの?
――プレゼントしてあげる 絶望を
301鬱夫の恋:2011/06/12(日) 16:21:01.23 ID:xk5t2QlT0
朝。目を覚ました主人公がリビングへ向かうと、母親が倒れていました。
病院のベッドで、疲れがたまってただけよと微笑む母親。
ずっと専業主婦だったのが最近外へ働きに行きだしたばかりだったので、そのストレスだとも。
心配しなくていいから学校へ行ってらっしゃいと言われ、わかったと答える主人公。

登校すると、また不良とイケメンが絡んできます。
「午後から登校たー偉くなったもんだな」「最近態度でかくなってきたよなーお前ら」……

さて放課後。主人公と詩織が神社で子猫を構っていると、そこにフツメンがやって来ます。
……不良とイケメンと一緒に。
すまん、と謝るフツメン。やはり彼も完全に不良に抵抗はできなかったようです。自分の身が可愛い気持ちはよくわかりますが…

まさかお前らがなあ、と笑う不良。
「知ってんだぜ。お前、エンコーばれて前の学校追い出されたんだってな」
それで?そんなくだらない事言いに来たんならさっさと帰って、と気丈な詩織。ですが、
不良「俺にもやらせろよ」
近寄る不良を払いのけ、主人公の手を引っ張る詩織。「逃げよう、うーちゃん」
神社の奥へと駆け出す二人。――子猫をその場に残したまま。

逃げた先は行き止まりでした。追ってきた不良たちに、逃げ道を塞がれる二人。
詩織をかばうように前に出る主人公を嘲笑う不良。
「その女よこしな。そいつは俺のもんだ」「誰があなたのものよ!勝手なこと言わないで!」
「そんなキモイブサイクのどこがいいんだか……」「あなたたちのほうがよっぽどブサイクよ!」
何もしてない人を虐めて、蔑んで、嘲笑って、傷つけて……どうしてそんなことが出来るの、と叫ぶ詩織。

「うざってえなあ……さっさとやっちまおうぜ」
フツメンに主人公を押さえるよう指示する不良。フツメンは躊躇う様子を見せますが、
「俺らにそんな態度とっていいわけ?どうなるかわかってるよな」と言われてしまっては、もはや言いなりなるしかないようです。
すまんウツオ、詩織ちゃん……と呟くフツメン。

倒れた主人公を前に、詩織が叫びます。
「もうやめてよおおおおおおお!!」
(はっきりと描かれてないので推測ですが、たぶんフツメンが不良の指示で主人公を殴ったのかと)

詩織を両側から押さえ、奥へ引きずっていく不良とイケメン。
そして――…
302鬱夫の恋:2011/06/12(日) 16:22:19.03 ID:xk5t2QlT0
それから数日後、主人公の母親が他界。末期の胃ガンだったそうです。
それを言い訳にして、子猫の世話をしに行かなくなった主人公。
詩織は学校には来ていましたが、主人公と彼女が言葉を交わすことはありませんでした。

相変わらず学校では不良たちに絡まれる日々の中で、次第に感情が麻痺していく主人公。
子猫の様子が気になって久々に神社に寄ってみると、そこには空のダンボールだけが残されていました。
死んでしまったと、あとから来た詩織が教えてくれます。もともと病気があったようで、獣医に連れて行ったが手遅れと言われたと。

うーちゃん、全然来てくれなかったね。キャットフードいっぱいあるのに、無駄になっちゃったね。
そして、その次に詩織が呟いた言葉は、

「生理……来ないんだ、今月」

ねえ、どうして私なの
どうして私ばっかりこんな辛い目に遭うの
ねえどうして、どうして黙って見てたの
どうして助けてくれなかったの

それからしばらくして、詩織は学校から姿を消しました。また転校したのだと、誰かが噂していました。
あれから10年、一歩も部屋から出られなくなった主人公。

――ただいま
――おかえり

「鬱夫の恋」 完
303ゲーム好き名無しさん:2011/06/12(日) 16:23:04.19 ID:xk5t2QlT0
以上です。

各章というかレスの最後にある「――」から始まるセリフは人形が喋ってます。
「犯す」というセリフからダッチワイフ的なものかと思ってたんですが、
別の何かの比喩だとかただの演出だとかいろいろ言われててどれが正解かわかりません。
ラストシーンで主人公は部屋で人形に囲まれてますが、これが何を意味しているのか…
にしても書きにくい話でした。筆者は以前「タオルケットをもう一度2」も書かせていただいたんですが、
あれとは比じゃない胸糞悪さです。まさに誰得。
しかし一番衝撃的だったのは、これが製作者の実体験らしいということです。しかも詩織の存在だけフィクションという……

ともあれ「鬱夫の恋」はこれで終わりです。何か質問などありましたらどうぞー。



304ゲーム好き名無しさん:2011/06/12(日) 20:20:58.61 ID:9QHUvg4x0
クリミナルガールズ続き行きます
305クリミナルガールズ:2011/06/12(日) 20:28:03.58 ID:9QHUvg4x0
ユコが自分の罪を受け入れた事で、影が消え校舎の扉の封印が解けた。
残る罪人はあと一人。
<16:00、水菜悠里の記憶>
教室の中で、人影が何やら騒いでいる。
「あれ?オレの筆箱どこいった?お前知らない?」
その集団に、アリスそっくりの人影が近づいてきた。
「アリスには見える。アナタの失せ物、北東の方角暗い場所。」
筆箱はそこから北東のゴミ箱の中にあり、的中に驚く一同。
しかし、それを見ていたアリスの表情は暗い。
「後ろ暗いことがあるのか?」
尋ねた主人公に、アリスは一言「アリスは、嘘つき」と返した。

「水菜さんって、よく予言みたいの当てるでしょ?
 それで親が祀り上げて、宗教みたいのやってるんだって…
 なんか怖くない?あっ私が言ってたって言わないでよ!呪われたりしたら怖いし…。」
「なんか地震が来るの言い当てたんだってよ。
 水菜さんマジすごくね?ケガとか治しちゃうしさ…。
 おっと、アリスか。割と可愛いけど変な子だよな。自分の事アリスとか呼んで。」
別の教室では、アリスの影がうずくまっていた。
「アリスは、アリス…。みんなとは違うの…。」

アリスの影に近づくと、その腕は真っ赤に染まっていた。
「かまってほしいのか?」
そう尋ねると、本物のアリスが口を開いた。
「そう…かまってほしい…。一人はいや…。
 だからいっぱいうそをついたの…」
「いいんだよ。アリスの嘘は、みんなを幸せにする嘘だから。
 これは、赤い絵の具。これをサッとふき取るだけで、
 みんなアリスがケガを治したってビックリしてくれるの。
 アリスは特別な力を持ってるけど、
 いつもいつもはうまくいかないから、時々こうやって嘘をつくの。」
悪びれず、スラスラ流暢にしゃべるアリスの影。
「人をだますのは悪いことだぞ!」
「それは普通の人の話。
 アリスは特別だから、少しくらいズルしてもいいの。」
平然と話すアリスの影の前で、アリスは目を閉じてうずくまってしまう。
306クリミナルガールズ:2011/06/12(日) 20:30:23.40 ID:9QHUvg4x0
アリスが捨てさせたユーリ教のパンフレット、あれがきっとアリスの罪の証。
泥の試練4Fに戻ると、そこには人影がまばらに立っていた。
「ユーリ様は素晴らしい方です!
 あんなに小さな体で、私達の為に祈ってくださる!ゴホッ…ゴホ…
 この手術痕見てごらんなさい、私は末期ガンだったのよ?!それが今は…ゴホッ…」
「母ちゃんがハマっちゃって、無理やり連れてこられたんだ。
 友達と遊ぶ約束してたのになぁ。大体、何でも叶えられるなら、
 お布施集めてないで自分で大金持ちになればいいのに。」
「ユーリ教の手引き」と書かれた薄いパンフレットが、元の場所に落ちていた。
拾い上げ、アリスの元に帰る。

パンフレットを渡すと、アリスは目を開いた。
「…ユーリ、アリスの名前…。
 アリス、いっぱい嘘の予言した…。」
アリスの影が続きを引き取る。
「アリスの予言が当たると、パパとママはとっても喜んでくれるの。
 パパとママだけじゃなくて、知らない人もたくさん喜んでくれるの。
 だからアリスはいっぱいいっぱい予言するの。
 外れるのもあるけど、当たってるのもあるんだから、いいよね。」
「でも、嘘をついて色んな人からお金をとった…!」
「アリスは特別だからいいの!
 嘘だけじゃなくて、本当の時もあるんだから。
 アリスの力は本当なの!死んだ人を生き返らせることだってできるんだから!
 本当なの!本当だもん!!あなたの体で、証明してあげる…!」
アリスの影は実体となり、「水菜悠里」との戦闘が始まる。
メンバー1の魔法使いなだけあり、恐ろしい程のMAT。その分DFが低いので速攻で殴り倒す。

「最初は全部本当だったの。パパとママもすごく喜んでくれた。
 でもそのうち、アリスのわからないことも聞かれるようになって…
 できないと、パパとママが凄く悲しむから、アリスは…」
「もうそんなことしなくていい。」
主人公が言いきると、アリスは微笑んだ。
「みんながいるから、もう特別はいらない…。」
アリスの頬を涙が伝う。
307クリミナルガールズ:2011/06/12(日) 20:31:40.72 ID:9QHUvg4x0

アリスが自分の罪を受け入れた事で、影が消え校舎の扉の封印が解けた。
その先には、また階段があった。
上に登ると、そこもまだ学校の中だった。
ぼんやりした人影達が何やら話している。
「あの子ウザ…ない?騎士…補だかな…だか知らな…けど、お高く…まっちゃって…ぁ。
「そう…う、一人だけ…然戦わな…しさぁ…
 さす…騎士候補様、余……ねぇ。」
一体誰の記憶なのだろう。ノイズがひどくて聞き取り辛い。
ミウ教官が言っていた、ヨミガエリのシステムの異常だろうか?

別の場所では、同じく不鮮明な1人の人影が、複数の人影に寄ってたかっていじめられていた。
「あ…た、一人だけお荷物…のよ…い…かげ…にしな……よ!」
「メ…メソしちゃ…さ!泣けば…いと思…るわけぇ?」
「今度足…ぱったら、…当に置……いくからね!!」

いじめられた人影は、一人で泣いていた。
「も…イヤ…、あん…人達と……しょに行…なん…、浄化…んてできな…
 どう…て騎士…んかに選らば…たの?もう帰…たい…。」

よく分からないが、どうにもできなさそうだし、階段も見つかったので上に進む。
そこは学校の屋上だった。夕焼け空がいっぱいに広がっている。
その夕焼けに照らされて、巨大な化け物が主人公と7人を待っていた。
「…なんだか、懐かしい感じ」
「うん…私、こいつを見たことがある気がする…」

化け物から声が響いてくる。
「そう、私はあなた達の罪。
 あなたたちが来る日を待っていた。そして、あなたたちを殺せる日を待っていた。
 今なら分かるでしょう、私の苦しみが。
 あなたたちの汚さ、醜さ、罪深さが…。」
「ええ、今なら分かる。そして、あんたを乗り越えなきゃいけないってこともね!」
「私達は、変わるんだよ!!」
「変わる?おかしなことを。
 私は変わらず、地獄の淵で苦しみのたうち回っているというのに。
 あなた達だけ変わるなんて、救われるなんて、許さない。」
308クリミナルガールズ:2011/06/12(日) 20:47:18.56 ID:9QHUvg4x0
少女達の罪の化身、<ディスペア>に戦いを挑む。
旅の初めの少女たちなら、ひとたまりもなく瞬殺されていただろう相手だ。
でも、今の少女達は7人力を合わせ、相手と対等に渡り合っている。
死闘の果てに、罪の化身は少女達に倒され、消えていった。
その向こうには、夕焼け空に続く階段が見えている。
4つの試練は終わった。これを登れば、<ヨミガエリ>は終了だ。

オレンジ色に染まった屋上で主人公と7人はしばし物思う。
「これが終わったら、みんな離れ離れになるんだな。」
サコとユコ以外は、皆散り散りに別れてしまうだろう。
「うふふ、これでやっとサコさんのいびきに起こされんで済むわぁ」
「ええっ!いびきなんかかいてたか!?」
「…寝言と、はぎしりもひどかったの…。」
「あうぅ、それはユコかも…!」
「私はいびきとかよりも、シンのうんちく聞かなくてよくなるのが嬉しいわ♪」
「なっ!あんたこそ、メイクだのコーデだの、役にも立たない話ばっかりして。
 全くくだらないったら!」
軽口を叩きあう皆の目に、いつの間にか涙が溜まっていた。
「なんや、卒業式の朝みたいやわ。」
辛いと思っていた学校も、巣立つときには名残惜しく愛しい。
切ない気持ちで、主人公と7人は階段を登った。
309 忍法帖【Lv=7,xxxP】 :2011/06/12(日) 21:08:52.55 ID:MxLeJFF90
支援
310ゲーム好き名無しさん:2011/06/12(日) 21:09:43.04 ID:ysYRLD6/0
支援
311ゲーム好き名無しさん:2011/06/12(日) 21:12:16.49 ID:fmIFftjB0
支援ー
312ゲーム好き名無しさん:2011/06/12(日) 21:19:42.95 ID:9QHUvg4x0
申し訳ありません。ワイヤレスが切れちゃって再起動してました。
313クリミナルガールズ:2011/06/12(日) 21:21:26.07 ID:9QHUvg4x0
5層【少女地獄】
塔の最上階は、毒々しいピンク色の上に浮かぶきらびやかで可愛らしい東屋だった。
あとは、出口を探してここから出ればハッピーエンドだ。

歩き出そうとすると、目の前にクリミナルが立ちふさがった。
「何でここにもクリミナルいるの…!?」
ただ徘徊している雑魚クリミナルにしては強すぎる。
何とか倒し、東屋を探索すると、ワープギミックを見つけた。
それに乗ると、同じピンクの上に浮かぶ別の東屋にワープした。
どうも、ここがゴールとは思い辛い。
「ミウ教官が言ってた、ヨミガエリのシステム異常ってことかしら…?」
「でも、どんな異常にぶつかっても私達は上に登って来た。
 それなら、やることは一つだぜ!!」
今までと同じように、力を合わせて探索を始める。

しばらく進んだ時、アリスが突然叫んだ。
「ダメ!!!ダメなの!怖い子が来る…!」
皆反射的に足を止めた。一瞬の後、
「先生、あぶない!!」
生徒達に押され、もつれるように後方へ転ぶ。
今全員が立っていたところに、光の弾が炸裂した。

「あなたたち、痛いのが好きなの?」
現れたのは、ヒメカミだった。
「嫌い?だったら今ので死ねば楽だったのに。
 何も知らずに死んだ方が、怖くないでしょ?もう、無理だけど。」
ヒメカミは一方的に襲いかかって来た。
こちらの攻撃が全く通じず、ヒメカミの発する謎の攻撃に全員瀕死状態になる。
「ヒメカミ、どうして…」
「だって、おかしいじゃない?
 あなたたちみたいな悪い子が地獄を抜けだして生き返るなんて。」
「だ、だって…それがヨミガエリっていうシステムじゃ…」
「そう。だから壊さなくっちゃね。あなたたちも、先生も、この塔も。
 大丈夫よ。私はいい子だから、すぐ楽にしてあげる。」
ヒメカミが少女達に向けた手に、白い光が集まる。
主人公は咄嗟に駆け出し、ヒメカミの手を掴んで自分の体に押し付けた。
「どうして!?どうして悪い子をかばうの…」
314クリミナルガールズ:2011/06/12(日) 21:23:37.18 ID:9QHUvg4x0
気がつくと、涙を浮かべた少女達に取り囲まれていた。
「先生!聞こえる!?」
返事をしたいが、のどが焼けついて喋れない。
「いいよ、しゃべらなくて…。」
ヒメカミが土壇場で日和ったのか、命は助かったようだ。
「先生をこんな目にあわすなんて、許せない…!」
「ああ、許せねぇよ。あたし達は本気でヒメカミを心配してたのに…」
ヒメカミの怖ろしい強さは身にしみて思い知った。
でも、今までも到底かないっこなかった敵を倒してきた。きっと手立てがあるはずだ。

しばらく彷徨った後、見知った後ろ姿を見つけた。
「ミウ教官!!」
「あなたたち…!これは一体どういうことなの!?
 それに、キミのそのケガは…?」
ヒメカミにやられたことを伝えると、ミウは激しく動揺した。
「ヒメカミ、やっぱりあの子…でもどうして私の所に来ないの?
 …いいえ私のせいじゃないわ!当然のことをしたまでだもの!!
 私だって被害者なの!早く帰りたいのに!!」
ミウの気持ちが落ち着くのを待って、状況を聞き出した。
今、ヨミガエリ自体に前代未聞のシステムエラーが生じているらしい。
委員会が必死に修復を図っているが、見通しは絶望的とのこと。
それでもあきらめない皆は、ミウ教官にヒメカミのことを問い質す。

「…君はいい先生になれたみたいね。」
ミウの言葉に、主人公は「生徒に助けられてばかりだ」と返す。
「ずいぶん謙虚なのね。でも、それこそが囚人を率いていくのに必要な素質なのかもしれない。
 そして、私はそれを持ち合わせていなかった…。」
ミウ曰く、ヨミガエリが実行に移されたのは今から3年前。
しばらくして、実験的に「騎士化」という制度が導入されたらしい。
悪の因子である半罪人7人と、善の因子である良い子1人を共に試練に臨ませるという制度。
良い子には、半罪人たちの魂を浄化する役割が任される。
その為に、旅の中で成長し、半罪人達と信頼関係を結んだ後、強大な力と騎士の称号を与えられるのだという。
選ばれた早逝の良い子が、蘇生のチャンスを与えられる代わりに、半罪人のお守りを押し付けられるわけだ。
結局、肝心の騎士化がうまくいかず計画はすぐ頓挫した。
315クリミナルガールズ:2011/06/12(日) 21:28:46.72 ID:9QHUvg4x0
ヒメカミはやはりその騎士化の被験体だった。
「あたし達が騎士になって、ヒメカミを倒せばいいじゃねぇか!」
少女達の思いつきをミウは一蹴する。
「騎士化は、あんたたちの手に負えるようなもんじゃないのよ!
 私はこの先を調べに行くわ。あんたたちはさっさと諦めるか、じゃなきゃ好きにしなさい。」
諦めるなんて選択肢は元からない。とにかく塔を登っていく。
所々で、ヒメカミがヨミガエリに参加していた頃の音声が切れ切れに聞こえる。
案の定、相当いびられていたようだ。
大体、地獄に落ちるほどの根性悪7人の中に、大人しい良い子を1人放りこんで、
「この子はあなたたちと違ってとってもよい子だから、あなたたちを浄化してくれますよ」
なんて言った日には、何が起きるか想像くらいつきそうなものだ。

塔を上へ進むうち、切れ切れに聞こえる音声の中にミウの声が混じり始めた。
ミウがヒメカミ+7人の担当教官だったようだ。
ミウは、7人の更生がうまくいかないことに焦り、
7人と良い関係が結べないヒメカミに、責任を押し付けて当たり散らしていた。
「どうしてあなたはこんなこともできないの!?あなたがそんなじゃこっちが困るのよ!!」
「ご、ごめんなさい先生、ごめんなさい…」
7人から陰険な嫌がらせを受け続けるヒメカミ、
そのヒメカミを叱るばかりで追い詰めていくミウ。
「もういいわ!これを使って早く騎士化しなさい!!」

「もうイヤ…。あんな人たちと一緒に行動して、魂を浄化するなんて、私にはできない…
 どうして騎士に選ばれたの?もう、帰りたい…。」
聞き覚えのある言葉だった。4層の校舎で聞いたノイズ混じりの声だ。
4層をもう一度探索すると、ヒメカミにそっくりの人影が教室に入っていった。
「これを飲めば騎士になれる…。でも、あんな人たちの魂を浄化するなんて、私にはできない…。
 私、もういいんだ。悪い子になっても…。」
ヒメカミの人影は、手に持った何かを教室隅に投げ捨てた。
行ってみると、そこには青い液体の入った試験管があった。
「…ヒメカミを倒すんじゃなくて、救ってやることはできねぇのかな?」
「このままじゃ、可哀想なの…」
「私達が騎士になれば、ヒメカミのタマシイも浄化してあげられるんじゃないかな…?」
316クリミナルガールズ:2011/06/12(日) 21:30:43.40 ID:9QHUvg4x0
5層に帰り、上へ進んでミウ教官に追いつく。
騎士化試験薬を見つけたことの報告と、使い方の質問だ。
最初ミウは、騎士化は簡単なことではないと拒んでいたが、熱意に負けて説明を始める。
騎士になるには、その薬を飲むだけで良い。ただしその試験管には一人分しか入っていない。
その薬は善良な良い子しか飲んではいけない。
だから今の7人のうち1人が飲むなら、その少女は完全に更生した本当の良い子でなければならない。
少女達は、騎士候補の選択を主人公に委ねる。

主人公は、手塩にかけてきた少女達のうち、最も信頼する少女を選ぶことになる。
 メタ的には、全スキル習得しているキャラから選択可。
 騎士化した少女は、コスチュームが囚人服モチーフから、
 それぞれの戦闘スタイルに特化した物に(そしてエロく)変わる。
 その子のボイスだけ一新され、おしおきがとても性的な有様になる。
 
主人公は選んだ少女に、試験管を手渡す。
少女は主人公を信じて薬を飲み干し、力を授かって騎士になる。
すんなりと騎士化を終えた少女を見て、ミウはもう口出しをすることをやめた。
少女達を率いて、ヒメカミの元に向かう。
ヒメカミは塔最上部の玉座に座っていた。

「私を救う?面白いこと考えるのね。
 でも私は救われたくなんてない。」
異形化し襲いかかって来るヒメカミとの、最終決戦が始まる。
またもヒメカミに攻撃が利かないが、
騎士になった少女が進み出て、ヒメカミのバリアを打ち破る。
「騎士…!?そんな、ばかな…。」
あとは7人全員で力を合わせ、ヒメカミと激闘を繰り広げる。
弱ったヒメカミは人の姿に戻るが、まだ戦意を喪失していない。
「まだよ…。騎士なんて、騎士なんてエエェェェl!!」
皆の声援を受け、騎士がヒメカミに最後の一撃を加える。
317クリミナルガールズ:2011/06/12(日) 21:44:55.84 ID:9QHUvg4x0
勝負がつき、ボロボロになってもまだ、ヒメカミはあきらめなかった。
自分も7人も悪い子だから、ヨミガエリごと消し去ると言う。
「まって!!!ヒメカミさん…」
ミウが玉座の間に駆けこんできた。
「ずっとあなたに謝りたかった…。
 私はあの時初仕事で、そのプレッシャーをあなたに押し付けて…
 筋金入りの悪い子達の中で、あなたは本当に素直で頑張りやだった。
 あなたが脱走して初めて、自分の罪に気付いたわ…」
「やめて!言い訳なんて聞きたくない。」

「言い訳じゃない。これは、懺悔なの。最低の教師のね…。
 ヒメカミさん、あなたさえ許してくれるなら、もう一度この塔を二人で登りましょう。
 今度は絶対、絶対に、あなたを見捨てたりしない。」
ヒメカミは顔を歪ませ、大声を上げて泣き始めた。
「…怖かったの…!ごめんなさい…!」

抱き合って泣く師弟を眺めてると、突然警報が鳴り始めた。
「委員会がシステムエラーの原因を突き止めたんだわ…。
 処罰を与える為に犯人捜しが始まる。」
皆はヒメカミに、逃げようと促す。すぐそこが現世への出口だ。
しかしヒメカミは、残って処罰を受けることを選んだ。
これ程大規模なエラーを引き起こした罪が、どのくらい重い物になるか分からない。
ミウは一緒にその罰を受け、二人でやり直すと決めたようだ。

※初回orキャラエンドの場合
ヒメカミの後ろにある扉が音を立てて開き、そこから眩い光が溢れだした。
この扉をくぐれば、現世へ帰ることが出来る。
立派にヨミガエリをやり遂げた少女達は、現世へ向かって巣立っていく。
主人公も騎士に選んだ少女と手を繋ぎ、二人で光の中へ歩き出した。
暗転の後、選んだ少女と現世で幸せに過ごしている後日談が入って終り。
318クリミナルガールズ:2011/06/12(日) 21:52:26.02 ID:9QHUvg4x0
※トゥルーエンドの場合
ヒメカミの後ろにある扉が音を立てて開き、そこから眩い光が溢れだした。
扉をくぐり、光の中を歩いていけば現世に帰れる。
でも、このまま帰っていいのだろうか?ヒメカミとミウに、危険はないのだろうか。

「ヒメカミとミウを置いて帰れない」
主人公の選択に、少女達7人も賛成する。
光の中を引き返すと、もう玉座にミウとヒメカミはいなかった。
警報と共に、重大な違反者2名が確認された旨と、その確保の為に現世への扉を施錠する事が放送された。
振り向けば、扉は閉まりビクともしなくなっていた。
自分達の選んだ事だから仕方ない。もう退路は断たれたのだから、二人を助けに行く。

玉座の間の外へ出ると、ちょうどヒメカミとミウが、出現したワープポイントに捕捉され吸い込まれるのを目撃した。
主人公達もそのワープポイントの中に駆けこむ。

X層『支配者ノ領域』
そこは、発光体が点在する宇宙の様な空間だった。
足場を伝い、アンチウィルスやガードシステムが巡回している。
ここがヨミガエリを運行、管理している場所の様だ。

大所帯は早速セキュリティマシンに発見される。
「侵入者を8名発見。騎士を1体確認しました。
 騎士は現在ヨミガエリシステムの管理対象外に設定されています。
試験薬KNシリーズの廃棄を確認してください。
強制排除に移ります。」
とりあえずボコボコにぶっ壊しておく。
どうやら騎士は、ヨミガエリ運営側にはタブーとなっているらしい。

セキュリティをぶっ潰しながらヒメカミ達を探しまわると、
一際大きな扉を見つけた。アリスはその中からヒメカミ達の声が聞こえると言う。
手をかけてみたが、ビクともせず警報が鳴る。
システム管理対象は、ここに立ち入ることはできないという警告だった。
「スタッフ以外お断り」みたいなものだろう。
なら、システムの管理から外れた騎士なら入れるのではないだろうか?
319クリミナルガールズ:2011/06/12(日) 21:54:17.01 ID:9QHUvg4x0
試験薬の廃棄の確認を、とセキュリティマシンが通信していた。
急いで探しまわれば、まだ騎士化試験薬がいくつか残ってるかもしれない。
広大な空間を探しまわると、いくつもの別な廃棄薬品が保管されている中、
あちらに一本、こちらに一本と、それらに紛れて騎士化試験薬が見つかる。
案外杜撰な管理体制だ。根気よく探しまわり、とうとう6本見つけて、
一度少女地獄まで戻り、少女達に試験薬を配る。

スキルを全開放していれば、全員つつがなく騎士化に成功する。
騎士専用奥義スキルを一通り覚えさせたり等前準備をして、再び支配者の領域に突入。
もう一度大きな扉に手をかけると、すんなり扉は開いた。

扉の中には、無機質な金属で覆われた大天使の様なものがいた。
その向こうに、拘束されたミウとヒメカミがグッタリとしている。
機械天使は統括システムと名乗った。ヨミガエリプログラムのマザーコンピュータ的存在だ。
ヨミガエリのシステム改竄、ヨミガエリへの再参加という二つの違反を犯した二人に、
処刑という罰が執行されようとしていたのだった。

「まちなさいよ!ヒメカミは、あんた達の実験の被害者なのよ!?」
「この二人は違反を犯しました。ルールは絶対です。例外はありません。」
「だから!そのルールが間違ってるって言ってるんじゃない!」
統括システムは、聞く耳を持たない。
主人公達も当然ルールを違反しまくっているので、処罰の対象になる。
「違反者8名、排除に移ります。」

統括システムは鬼のように強いが、
騎士化少女達も冗談みたいな強さなので、接戦となる。
よく訓練された少女7人に、完成された連携でメタメタにされ、統括システムは強制終了する。
「しすてむ…ダウン……再起動 デキマ…せ…」
320クリミナルガールズ:2011/06/12(日) 21:56:03.38 ID:9QHUvg4x0
システムがダウンしてる内に、急いでヒメカミとミウの拘束を解く。
あんまり考えずにここまで来たけど、現世の扉の鍵開いてなかったらどうしよう?
困る皆に、ミウが「統括システムがロックを管理しているから、今は全ロックが機能していない」と教えられる。
それならもう、あとは急いでトンズラするだけだ。
「ヒメカミ、今度は残るとか言わないわよね?」
泣き笑いのヒメカミとミウを連れて、現世の扉まで急ぐ。

最後にまた、光の前でしばし別れを惜しむ。
「ここをくぐれば、皆はなればなれになるんだな…」
「あーもう、湿っぽいのは無し!」
「そうさ、案外みんな近所に住んでるかもしれないぜ?」
「学校が近いかもしれないしね!」
「…私、20歳なんだけど…」
隠れ最年長のシンに、ユコが慌ててフォローを入れる。
「うーっそれはっ…大丈夫だよ、ほら定時制とかあるし!」
「先生とも離れたくないよ…。先生が担任の先生だったらいいのに。
 ミウ先生は生活指導の先生かな。」
和気あいあいと騒ぐ少女達の輪の中で、ヒメカミも笑っていた。
こんなにしっかり結ばれた絆なんだから、きっとみんなまた会える。
ヒメカミとミウ、主人公と少女達全員で光の中へ進んでいく。
321クリミナルガールズ:2011/06/12(日) 22:12:56.88 ID:9QHUvg4x0
暗転後エンディング。

とある高校の会議室へ着くと、中から少女達の賑やかな声が聞こえて、
主人公は中に入らずそっと覗きこんだ。

そこでは、制服姿の7人の少女達とヒメカミがかしましく会議をしていた。
「もー、まとまんねぇなぁ!」
「早く決めないと、先生のお誕生日はもう来週の日曜日だよ?」
「まぁしょうがないわよ。私達、まとまったことなんてないじゃない?」
主人公の誕生日のプランを練ってくれているようだ。
「あの…なにかみんなで手作りするのはどう?」
控え目にヒメカミが案を出し、サコがそれに喰いつく。
「何作るんだ?ハンバーグか?オムライスか!?」
「そ、そういうのじゃなくて、色紙に寄せ書きするとか…」
「んー、悪くないんだけど、ちょ〜〜っと地味じゃない?」
「せっかくの誕生日なんだから、とびっきりの物にしないと!」

そのうちに、先生の欲しい物が分からないから、自分達の欲しい物をプレゼントしようという流れになる。
「うちはやっぱり…センセ自身が欲しいなぁ…♪」
「おいおいおい、トーモーエーー!」
「だけど、ユコもそうかも…♪」「ゆ、ユコぉ!?」
女子力有段者2名の発言に騒然となるが、段々その方向に意見がまとまってくる。
「1日で8人全員が、先生と順番にデートってのはどう?」
「先生がちょっと、大変じゃないかな…?」
「大丈夫大丈夫、オヤジは頑丈だもん!」
「それじゃさ、最後は先生の部屋に全員で集合して、サプライズで誕生会しない?」
「うはーー!なんか楽しそうだぞー!」
「デートの順番決めなきゃなの…」
「なら恨みっこなし、いつものやつで決めましょうか。」
賑やかにじゃんけんをしている少女達の元に、扉を開いて入っていく。
途端に少女達がわぁわぁと詰め寄ってきた。
「センセ、次の日曜日のご予定は?」
「何で?って、野暮なこと聞かずに開けといてよね!」
「すっごく楽しー計画があるんだからな!」
日曜は、大変な1日になりそうだ。

END
322クリミナルガールズ:2011/06/12(日) 22:15:02.02 ID:9QHUvg4x0
ちなみにトゥルーエンド後、隠しコマンドを打ち込むと続きがある。
「虚空座標437のソラ」というダンジョンに飛ばされ、
「ちょっと!私達生き返れたんじゃなかったの!?」という展開に。
「これって、エクストラダンジョンじゃない?」
「サコ知ってるぞ!うらめんってやつだろ?」
という訳で、最後の一花咲かせたろかい、ということになる。
ラスボスZEROが倒せなくて、最後どうなるのかわかりません。
完クリ済の方教えてください。

これで終わりです。支援して下さった方ありがとうございました。
おしおきだけがウリのバカゲーかと思いきや、普通に面白かったです。
むしろおしおきはボイス以外全然大したことない。
323ゲーム好き名無しさん:2011/06/12(日) 22:21:00.60 ID:pVm4AP350
>>322までをWikiに収録、未解決リストに反映しました。

最終投稿から3ヶ月以上経ったので「Halo: Reach」を ●途中 の欄から消しました。
324ゲーム好き名無しさん:2011/06/12(日) 22:24:42.35 ID:R7R+Dy0gP
クリミナルガールズの人
管理人さん

乙です
325ゲーム好き名無しさん:2011/06/12(日) 22:36:41.73 ID:VuRC/hA80
調べてみてこれなんてエロゲー?と思ってたがいいストーリーだった、乙です
326ゲーム好き名無しさん:2011/06/14(火) 18:20:29.56 ID:6jEZRQOMO
すみません! コナミのゲーム「パワポケ13」のストーリーを知っている方がいましたら、教えてください!
327ゲーム好き名無しさん:2011/06/14(火) 18:22:48.32 ID:P4aFGDMe0
>>326
テンプレも見ない奴には誰も教えないよ
328ゲーム好き名無しさん:2011/06/14(火) 19:02:44.03 ID:ZyesWJKU0
>>326
sageる。
未解決リストに収録してくださる方に迷惑がかかるから、
ちゃんとハード名と正式名称書いてリクする。
329ゲーム好き名無しさん:2011/06/14(火) 21:44:52.33 ID:6jEZRQOMO
>>328
こちらの勘違いで、あんなことになってすみません・・・

改めてコナミのゲームでハードはDSの「パワプロクンポケット13」を誰かお願いします!
330ゴルゴ13 ファイルG13を追え:2011/06/14(火) 22:10:19.52 ID:Pjc4VqZ/0
ニンテンドーDSのアドベンチャー、『ゴルゴ13 ファイルG13を追え』いきます。
プレイ内容を思い出しながら書いているので細部が違っているかもしれませんがご容赦を。

(各シナリオ共通の人物)

『久我京平』
このゲームの主人公。職業はフリーのジャーナリストで、以前は大手新聞社に勤めていた。
作中では殺された親友の仇を取るべく世界を股にかける。

『内藤真二』
久我の親友で、オカルトネタや陰謀論といった、
不確かな噂を扱ったネットサイトの運営を仕事としている。
ひょんなことからGファイルというデータをP2Pで入手するが、
何者かに射殺されてしまう。

『増子健』
政府の国際的な様々な問題を処理する部署に所属する男。
以前から久我と知り合っており、内藤を殺した犯人がゴルゴ13、
またはそれに関係する人物ではないかと考え、
ゴルゴ13に無暗に関わる事で国際的な問題が起きるのを防ぐため、
そして久我の安全のためにも久我に事件から手を引く事を勧める。

『ゴルゴ13』
ご存知、裏社会に生き高額な報酬で仕事を請け負う超一流スナイパー。
狙撃技術だけでなく、肉体・精神・知識など全てにおいて超一流。
義理堅く自分のルールを頑なに守る男でもある。


『シナリオ序盤』
久我は内藤に「ネットのP2Pで凄い物を見つけた!」と言われ、
彼のアパートに行ってみた。
彼が手に入れたGファイルは一見文字の羅列だけのファイルだが、
パスワードを入れることで
世間では謎とされているさまざまな殺人などの事件の詳細ファイルとなるのだ。
しかもそれらの事件は全て同一人物の起こした事件らしい。
ネット上で1分足らずの短い時間だけ公開されたこのファイルを完全に手に入れたのは
内藤ただ一人。
まだ全てのファイルのパスワードは分からないがそれらもP2Pで引き続き調べてみると
内藤は意気込んでいた。
だが翌日内藤は何者かに銃殺されていた。部屋のパソコンは完全に破壊され、
Gファイルは生前に内藤が渡してくれたUSBメモリの中にあるのが唯一存在するものとなった。
久我は、内藤を殺した犯人はGファイルに書かれた事件の犯人ではないかと考え、
内藤がパスワードを解析できた日本とシカゴの2か所での射殺事件を手がかりに、
その人物を追う事にした。
その後の行動によってストーリーは4通りに分岐する。
331ゴルゴ13 ファイルG13を追え:2011/06/14(火) 22:11:39.42 ID:Pjc4VqZ/0
『イギリスサッカー編』

(登場人物)
『藤原美和子』
スポーツジャーナリストで、イギリスのサッカーに詳しい。



日本の事件について調べている途中に増子に今回の事から手を引けと言われ、
政府に関係ある人物が忠告してくるということは相当な事だろうと考え
素直に手を引く事にした久我。
そこへ、以前勤めていた大手新聞社の元同僚のからサッカーの取材依頼を受けた。
イギリスかドイツのどちらかで取材してくれと言われたのでイギリスに行く事にした久我。

イギリスへ向かう飛行機の中で女性と隣の席になったので話をしていくと、
彼女がスポーツジャーナリストの藤原と知り、二人は意気投合した。
久我がイギリスサッカーで最近話題になってることは無いかと聞くと、
八百長の噂があると教えてくれた。
サッカーの勝敗を賭けるサッカーくじの売り上げや配当を操作するべく
選手がわざと負けようとしたりするという事だが、
藤原は、自分で言いだしておいてなんだがサッカーでの八百長は難しいから
本当かどうかは分からないとも言ってきた。
サッカーは多人数で行う競技なので一人がわざと負けようとしても、
他のチームメイトが普通に勝とうとすれば簡単に勝敗を操作はできないと言うのだ。

とりあえず藤原の取材に同行してみた久我。
とあるチームのディフェンダーとライバルチームのコーチの二人を取材した際、
久我がサッカーの八百長の噂を聞いてみると、二人とも激怒してしまった。
久我は藤原に取材を邪魔してすまないと謝り藤原は気にすることは無いと慰めてくれたが、
ホテルに帰って冷静に考えてみるとあそこまで怒るのは不自然だと気付いた。
もちろん大好きなサッカーを侮辱されたとか自分が関係あると思われたといった理由で
怒る事も考えられるが、それにしても怒りが強すぎるのだ。
その久我の意見を聞いた藤原は、二人がディフェンダーとコーチと言う事から、
サッカーにおける八百長の上手くいきやすい稀なパターンを思い出した。
サッカーはプレイを怠けるだけではなかなか勝敗を操作できないが、反則を起こせば話は別。
コーチが攻めさせたタイミングで相手のディフェンダーが味方ゴール近くで反則をすれば、
コーチ側のチームは敵ゴールのすぐ近くから直接ゴールへボールを蹴り込める大チャンスを得られる、
あの怪しい二人がコンビで八百長を仕組んでいると言うのもありうる、というのだ。
もちろん証拠は無いが、その可能性も考えながら取材をしようと決めた久我だった。
332ゲーム好き名無しさん:2011/06/14(火) 22:12:58.22 ID:Pjc4VqZ/0
次の日、その二人のチームの試合があるので観戦に行くと、
藤原の仮説そのままのように、コーチが攻めさせたところでディフェンダーが重大な反則を犯し、
コーチのチームは得点のチャンスを得た。
と、その時、いきなりコーチとディフェンダーが倒れた。
チームメイトが近寄って見ると両者とも頭部を狙撃され即死しており、サッカー場は大混乱。
久我が後で事件の捜査について調べてみると、
犯人は観客席から密かに二人を狙撃してから悠々とその場を去ったという事だ。

もしかしたらその男は内藤を殺した犯人かもしれない。
殺人は絶対に許せない事だが、それでも世の中には彼を必要とする人もいるのかもしれない、
そう考える久我だった。

(バッドエンド)
サッカーの取材先をドイツにしたり、イギリスへ向かう途中で藤原と話している時に
重要単語について詳しく聞かなかったりすると、
大事な試合の日に酒の飲みすぎで観戦の機会を逃してしまう。
元同僚に「帰りの飛行機代は自腹で出してもらうからな!」と怒られてしまう久我だった。
333ゴルゴ13 ファイルG13を追え:2011/06/14(火) 22:14:03.38 ID:Pjc4VqZ/0
『YR投資編』

(登場人物)
『山村隆二』
YR投資のリーダー。発展途上国リズシア国内に眠るレアメタル利権で大きく稼ごうと言う経済的な野望と、
それによってリズシアが経済的に発展して貧困から脱却してほしいと願う優しさを併せ持つ男。

『関本理恵』
YR投資の紅一点。その美貌と社交性から広報的な仕事も担当している。

『橘栄一』
YR投資のメンバー。大柄で強い肉体と豪快な性格を持つムードメーカー。

『藤井良太』
YR投資のメンバー。投資の戦略・戦術を考えるのが得意で、メンバーの中でも知能労働担当の面が強い。
政治家を目指しており、そのため権力に対する執着心が強い。

『ンディアイ=グラメ』
クーデターによってリズシアの政権を取った、現首相。
昔日本に留学した際に山村の父と知り合い、その縁で山村にレアメタル利権の取引を持ちかけ、
その利益で自国を発展させようとしている。


日本の事件について調べている途中に増子に今回の事から手を引けと言われたが、
内藤の仇を取るためにも引けないと考え、狙撃犯がいたと思われるビルの屋上や
被害者の撃たれたホテルとその部屋について自分で調べ聞き込みもしていくと、
当時の被害者が泊まっていた部屋を借りていた4人組がこちらの捜査に気付き接触してきた。
食事をしながら話をしましょうというのでその話に乗ると、
彼らは色々な事を正直に話してくれた。
彼らは4人チームの新鋭ファンド『YR投資』のメンバーであり
近いうちに発展途上国リズシアに眠るレアメタルを発掘する権利を得て大儲けする予定だが、
リズシア首相ンディアイにレアメタルの取り引きの条件としてゴルゴ13の情報を求められており、
そのためにゴルゴ13について調べていたと言うのだ。
そこまでの情報で、Gファイルに書かれた人物とはゴルゴの事で
内藤を殺したのもゴルゴではないかと考えていた久我は、
彼らと情報を共有して調べていけばゴルゴに近づけると考え
手元にあるGファイルについて正直に話し、調査に加えてくれるように頼み、受け入れられた。
その晩に関本と仲良くなりホテルの一室の中で男女の仲となった後、
情報が集まったので一旦リズシアに行こうということで5人でリズシアに行く事にした。

リズシアの宮殿に行くと首相ンディアイに直々に歓迎され、宴が催された。
その中でンディアイは山村と知り合ったきっかけについて懐かしみながら話したり、
山村はこの取引によってリズシアが経済的に発展してほしいと力強く語ったりした。
その晩、久我はまた関本とベッドの上で肌を寄り合わせていた。
「私がンディアイ首相に気があると思って嫉妬した?」
「いや…まあ…」
「安心して、ンディアイさんみたいなお年寄りを男としては考えないから。
20年若かったら違っていたかもね」
334ゴルゴ13 ファイルG13を追え:2011/06/14(火) 22:15:21.66 ID:Pjc4VqZ/0
次の日、久我は山村・関本と一緒に3人で、
YR投資の先行投資で少しは生活が楽になったリズシア国内を見て回る事にした。
しかし色々見ていくうちに様子がおかしい事に気づく。
以前にYR投資から資金で井戸を作ったということで写真を送ってもらっていたので
それを探そうとしても見つからず近くの人に写真を見せて井戸について聞いてみると、
「ここらへんは井戸を掘っても地下の毒物が入ってしまうから井戸なんて掘れないよ」と言うのだ。
これはどういう事だと考えていると道の真ん中で人が寝てるので
「こんな所で寝てると車に轢かれてしまうよ」と起こしてあげようとすると
「こんなデコボコ道、車なんて走れないよ」と言い返してきた。
確かに、よく見ると道は舗装されてなく、車が走るのは難しい道であった。
その事にも山村は違和感を覚える。
宮殿付近の主要な道路は全てYR投資の資金で整備され車が走れるはずなのだ。
さらに関本が、以前新しい学校ができたという事で報告された時に送られた写真と同じ建物から
軍人が何人も出てきたのを見た。どう見てもあれは軍事施設として運用されている。
以前に知らされたリズシア発展の様子とあまりに食い違いが多い事に戸惑う山村と関本だった。

その頃藤井は、ンディアイに自らの知略を見せつけて特別に目をつけてもらい
後に政治家になるための援助をしてもらおうと、今後のリズシアについての策略を語っていた。
(その内容は詳しく覚えてないが、いろいろ利用できそうな人間について
「殺してしまって、その混乱を利用しましょう」
などと話していた事から、あまり上等な策では無かったはず)
話を聞き終えたンディアイは
「良く話してくれた、お前には褒美をやろう。鉛の勲章をな!」
と言うと藤井を射殺してしまった。
「その程度の話、思いつかなかったとでも思うのか。余計な時間をとらせおって」
ンディアイは権力者故の残酷な驕りで藤井を殺したのではない。
久我のGファイルの存在を知った時点で、
用済みの久我とYR投資メンバーを皆殺しにするつもりだったのだ。
次にンディアイは宮殿に残っていたもう一人のYRメンバー、橘を殺す準備に入る。

その頃久我は山村・関本と共に、少数民族の長老だった老人から話を聞いていた。
「ンディアイが革命のために自ら血を流した英雄だと!?とんでもない!
あいつは我々のような力の弱い民族の若者を脅して前線で送る事で、
自分の子飼いの兵士は温存したまま若者たちを捨てゴマにして革命を成功させた大悪党だ!」
ンディアイの正体を知り呆然とする三人の所の所に、橘から電話が入る。
「やあ。今日はいい天気だなーってことで電話したくてな。ハハ、ハハハ…
逃げろ、今すぐリズシアから逃げるんだー!ぐああああっ!」
橘を脅して宮殿に戻ってくるように電話させて皆殺しにしようとでもしたのだろうが、
このまま皆殺しにされるくらいなら他の人だけでもと、橘はそれを土壇場で拒否したのだ。
335ゴルゴ13 ファイルG13を追え:2011/06/14(火) 22:17:03.76 ID:Pjc4VqZ/0
ンディアイは死んだ橘の携帯を拾い上げると、久我に真実を話す。
YR投資に以前報告した国内の発展は全て嘘でYR投資の援助は全て軍事予算に使い、
リズシア国内でレアメタルが取れるという話も嘘。
その目的はYR投資から金を騙し取るだけでなくゴルゴ13について調査をさせ、
その内容を元にゴルゴ13を脅し、リズシアのためだけに働かせようとする事だ。
さらには、内藤がGファイルを手に入れた事をネット経由で知り、
手に入れるために部下に強盗させて殺したと言ってきた。
ファイルG13を手に入れようとして襲撃しパソコンごと壊してしまい困っていたが、
久我が持っているメモリのGファイルさえあれば問題無い、
もうお前たちは用済みだ、皆殺しにしてやる。
そう言うとンディアイは電話を切った。

近くの軍人が3人を殺そうとするので逃げ回るが、途中で山村は撃ち殺されてしまった。
逃げ回るうちに軍用バギーを見つけたので走らせようとするが、走り出す直前に関本も射殺された。
最後の一人になってしまった久我は必至でバギーを運転し市街から離れようとするうちに、街の外へ出た。
だが看板を見るとここは地雷原らしく、適当に走ればすぐに地雷で爆死してしまうだろう。
しかも後ろからはリズシア軍のバギーが迫って来る。
絶対絶命かと思われたが、いきなりリズシア軍兵士たちが狙撃され、追手は全滅した。
そして久我の前の地面の地雷が狙撃され爆発していく。
地雷を除去する事でこちらへ招いているのでは?そう考え久我は爆発の跡をなぞるように進む。
進んだ先には、目つきの鋭い筋肉質な男がいた。そう、ゴルゴ13だ。
久我は全ての事を正直に話した後、Gファイルの入ったUSBメモリを見せて
「これを渡すから、親友の内藤やYR投資のみんなの仇を取ってくれ!」と頼む。
ゴルゴ13は了承してメモリを受け取ると、宮殿の警備状況を久我に聞く。
そんなこと急に言われても覚えていないと言う久我に
「お前のジャーナリストとしての腕前はそんなものなのか?」
とゴルゴ13が挑発すると、プロフェッショナル根性を刺激された久我は
「よーし待ってろ、今思い出す!」と必死になって思い出しゴルゴ13に伝えた。
一通り聞くとゴルゴは、このまま進めば助かると言い残し宮殿の方へ向かって行った。

その後ゴルゴ13が宮殿に乗り込み全ての敵兵を撃退しンディアイを殺した事は言うまでも無い。
ニュースでンディアイが死んだ事を知った久我は内藤の墓前で仇を取れたと報告するのであった。

(バッドエンド)
宮殿到着後寝る前に重要単語について詳しく調べずに寝ると、
寝込みをンディアイ直々に襲われ射殺されGファイルも奪われてしまう。
本編でも普通にそうすればンディアイは目的を達成できたはずだが、
重要単語を調べる事とンディアイに寝込みを襲われない事の関係性は不明だ。
(ゲームだからと言ってしまえばそれまでだが)
336ゴルゴ13 ファイルG13を追え:2011/06/14(火) 22:18:21.19 ID:Pjc4VqZ/0
『エクセプト・サーティーン編』

(登場人物)
『ポーラ=ベイ』
兄にゴルゴを殺されたと思い、ゴルゴを殺して兄の仇を取るために、
ゴルゴ13への復讐を誓う者達の集団『エクセプト・サーティーン』へ加入した女性。

『ロイ=ポートマン』
同じくゴルゴに恨みを持つ、強大な権力を持つ大人物。エクセプト・サーティーンのリーダー。

『ドール』
シカゴの事件現場のすぐ側にあるリードホテルに雇用された
『ホテル探偵(ホテル内での事件の予防や解決を担当するホテル所属の探偵)』の女性。
漫画ゴルゴ13の作者さいとう・たかをの連載漫画『ホテル探偵DOLL』の主人公であり、
漫画やテレビアニメのゴルゴ13の1つの話として
ゴルゴがリードホテルに宿泊した際にゴルゴと会っている。


シカゴの方の事件を調べる事にしてシカゴへ飛び、
事件現場付近にあるリードホテルの近くの喫茶店で聞き込みをしたり
リードホテルでも聞き込みをしていると、ドールと名乗るホテル探偵が怪しんで話しかけてきた。
こちらの事情を説明すると、最初は早く出て行くように言ってきたが、
食い下がるとドールも情熱を認めて情報を教えてくれた。
「私が彼の怪しさに気付いて『ホテルでのトラブルは許さない』と言ったら、
彼はホテルや私を巻き込まない様に、どうやったかは分からないけど
ホテルの外で、標的であるマフィアのボスの額を狙撃ように見せかけてくれたのよ。
たった一発の正確な狙撃でスマートな仕事だった。
彼は素晴らしい技術を持つと共に、約束を守る義理堅い男よ」

その後も調査を進めるていと、老人が「君もあの男の事を調べているのか?」と聞いてきた。
その老人ロイ=ポートマンはゴルゴ13という男に恨みを持っており、
ゴルゴに復讐を誓う者達の団体『エクセプト・サーティーン』のリーダーを務めているという。
久我は自分が持っているGファイルの事を話すと、
「素晴らしい!是非とも私たちの一員になってくれないか?」と勧誘してくる。
こうなったら彼らと一緒に内藤の仇かもしれない男に近づこうと、
久我はエクセプト・サーティーンへ加入したのであった。
337ゲーム好き名無しさん:2011/06/14(火) 22:19:30.09 ID:Pjc4VqZ/0
ロイの所有する屋敷でのエクセプト・サーティーンの会合の中で、
久我はポーラという女性と出会う。
彼女は兄をあのリードホテルの中でゴルゴ13に射殺され、
それでゴルゴ13を憎みエクセプト・サーティーンの一員になったのだ。
その話を聞いて久我は、ポーラの兄の殺害が、
ドールの教えてくれたゴルゴの狙撃よりも後の事だと知り、違和感を覚える。
ゴルゴはリードホテルやドールに迷惑をかけないと言う約束を守るために
わざわざホテル外で狙撃をしたのだ。
なのになぜその後リードホテル内で犯行を行ったのか?
その事についてドールに聞くと、
ドールはその事件はゴルゴの仕業ではないと思っているようだった。
ゴルゴと交わした約束の事以外にも、
ポーラの兄の事件の時は背中から何発も銃を乱射され部屋まで壊しつくされており
ゴルゴのようなスマートさが無かったとドールは語った。
考えてみれば内藤が殺された時も、
部屋の中は銃痕だらけで荒らされており、
Gファイルの中にあったゴルゴの仕事ぶりとは合わない。

こうして内藤の仇、そしてポーラの兄の仇が
本当にゴルゴなのかと悩みながら次の会合に参加すると、
会合の中でロイが「ついにゴルゴへの復讐の手段が整った」と会員全員に説明する。
「その手段は、ゴルゴへの依頼を装い近づき、前払い報酬が入っていると思わせたアタッシュケースに
周囲1kmを爆破する爆薬を仕掛け、その場で爆破させるというものです。
もちろん依頼者役として接近した人も死にますが、これは必要な犠牲です。
そしてその尊い役目を果たすのはポーラ君です!」
ポーラも嫌がっている様子は無く、自分のこの計画への意気込みを全員に伝えると
早速爆薬入りアタッシュケースを持ってゴルゴと接触するべく旅立ってしまった。
それを止めずに応援する他の会員達に囲まれ、止めるわけにもいかない久我だった…。

「自爆しての復讐、それも関係ない人を多数巻き込んでなんて狂ってる!
しかし俺の持っている証拠だけでは彼女を止めるのには不十分。
彼女の兄の仇がゴルゴ13ではないという決定的な証拠は無いものだろうか」
そう悩み屋敷内の廊下で考えているとロイが側近の部下と話しているのが聞こえ、
その内容に興味を持った久我は立ち聞きをした。
「ポーラの奴め、
兄の本当の仇は部下に殺害を命令した俺だという事も知らずにまんまと騙されおって。
しかも爆破させる場所の周辺は敵対マフィアの縄張りだ。
邪魔なゴルゴ13と敵対マフィアを両方潰せて一石二鳥、
さらには代償はあの馬鹿な小娘の命だけ!うまくいったものだ!」
338ゴルゴ13 ファイルG13を追え:2011/06/14(火) 22:20:30.92 ID:Pjc4VqZ/0
久我は彼女が向かったゴルゴ13との接触場所へ向かった。
詳しい場所は知らされてないがゴルゴと接触し自爆を決行するまではまだ時間がある、
そう考え必死にポーラを探してなんとか見つけ出し、説得する事に成功した。

その晩、ホテルのベッドの上に二人はいた。
「考えたら、自爆して関係ない人をたくさん巻き込むなんて恐ろしい事を…
エクセプト・サーティーンの中に長い間いるうちに洗脳されてたのね」
「これから君はどうするんだい?」
「この事が終わったら好きな人と恋をして結婚して、子供を産みたいわ?」
「それって誰だい?」
「もう、分かってるくせに…」

次の日、久我とポーラは当初の暗殺計画による偽依頼の段取りを使ってゴルゴと接触した。
そして、本来はこうして会う約束はゴルゴを爆殺するための偽の依頼だったが、
ポーラの兄の仇がゴルゴでは無いと知りやめることにした、と正直に説明した。
久我はGファイルの入ったメモリを手渡し
「あなたの秘密が入ったこれを報酬に、ポーラを騙し大量殺人を企てたロイを止めてくれ」
と依頼する。ゴルゴはメモリを受け取ると去って行った。

その後ゴルゴがロイ一派を殺すために行動を開始すると、
ポーラが言う通りにしなかったと感づいたロイたちもゴルゴへの応戦だけでなく
久我とポーラを報復として殺そうとし、久我を庇いポーラは射殺されてしまった。
その後、ロイたちは全員ゴルゴに殺され、事態は終息した。

数日後、久我は日本からやってきた増子に礼を言っていた。
増子がゴルゴ関係の騒ぎが起き久我も関わっていると聞いて日本から飛んできて、
事情を聞いた増子は自分の職務権限を使って
久我が当初の予定より長い間アメリカに滞在できるよう手配してくれた。
そのおかげで久我は、ポーラの葬式に参加して埋葬することができたのだ。
「ところで久我、ゴルゴは最初から自分を狙っているロイ達を殺すつもりだった。
だから彼らを排除するためにGファイルを彼に報酬として渡す必要は無かったんだよ」
「ということは増子さん、あのGファイルを
内藤の仇を取るという依頼の報酬として渡していれば?」
「多分、ゴルゴは依頼として仇を取ってくれただろうな」

日本に帰った後、内藤の仇はゴルゴでは無いと知った上で、
改めて内藤の仇を探すために活動を始めた。
「いつか仇を取って見せる、待っててくれ内藤…!」
339ゴルゴ13 ファイルG13を追え:2011/06/14(火) 22:21:44.96 ID:Pjc4VqZ/0
(バッドエンド1)
ロイにGファイルの入ったメモリを見せておきながらエクセプト・サーティーンへの加入を断ると、
一旦は紳士的に参加の拒否を了承してくれるが、翌日拉致されメモリを強奪された上に
昔のままの暮らしをしているインディアンがいる森の奥深くまで車で連れてこられて放置される。
幸い大使館に助けてもらい日本には帰国できたが、
Gファイルを失い内藤の仇の手がかりは失われた。
「あの世のアイツに顔向けできないな…」
自己嫌悪しながら今までどおりのフリーライターとしての仕事をする久我だった。

(バッドエンド2)
ゴルゴを調べるためにシカゴの事件を調べている最中に自分をつけ狙うような動きを察知した久我は、
命を狙われこのままでは危険だと考え、しばらくのどかな島国に身を隠す事にした。
そして5年後、その島国に仕事で来た増子が見たのは
現地の女性と結婚して永住している久我だった。
増子はゴルゴを追う事をやめて家族を持ち幸せに暮らす久我を見て安堵するのだった。
「すまないな内藤、お前の仇を取れなくて。
でも俺にも大事な家族が出来たんだ。まさかここに運命の人がいたなんてな。
家族を危険な目に会わせるわけにはいかないんだ、分かってくれ内藤。
そうだ、そのうち日本に行って内藤の墓参りをしないとな。両親にも妻を紹介したいし…」
340ゴルゴ13 ファイルG13を追え:2011/06/14(火) 23:01:41.04 ID:Pjc4VqZ/0
『電子の墓場編』

(登場人物紹介)
『ヤン・リー・カッター』
ゴルゴ13の漫画原作やテレビアニメシリーズに出てきた、
神の手と呼ばれるほどの腕前を持つ天才外科医。
CDの印刷ラベルをなでるだけで
印刷部分の微細なデコボコから曲名を言い当てられるほどの繊細な手を持つ。
元はストリートチルドレンだったが慈善家(ヤンは親父と呼んでいる)に拾われ育てられたため、
自分自身も慈善活動を精力的に行っている。
今回のゲーム出演に際し、日本人は全員サムライの子孫だと思っているという
『日本を勘違いしてる系外国人属性』がついている。

(原作およびテレビアニメでの話)
ゴルゴが交通事故で右手に大怪我を負ったのを手術した後、
ゴルゴが自分を育ててくれた慈善家を狙っているという話を聞いても
医者としての使命感を優先し
再手術を受けさせて手の神経を破壊してしまうべきだと言う友人の意見に耳を貸さなかった。
ヤンが全て承知の上で医者としての使命に忠実だったと知ったゴルゴは
慈善家を狙撃する際にわざわざ左手用のライフルを使って現場に残し、
治してもらった右手は使わなかったという意思表示をした。
そして依頼者である慈善家のライバルを契約違反の報復として射殺した時は、
右手用ライフルを使って現場に残す事で、
治してもらった手で狙撃をした事を知らせたのだった。

『ドール』
エクセプト・サーティーン編と同一人物。

『ンディアイ=グラメ』
YR投資編と同一人物。


日本の事件を調べている途中、乱暴な運転をする車に軽くぶつけられ足を痛めた久我。
そのまま行ってしまった車に毒づきながら足を引きづり歩いていると、
通りがかったヤンが足の怪我に気付き、病院まで連れて行って治療してくれた。
「痛がらないでくれ、日本人はみんなサムライの子孫なんだろ?」
とか言いながら治療をしていくヤンに、
治療の前に看護師から、
ヤンが慈善事業に力を入れていると聞いていたのでその事について聞くと、
ヤンは自分を育ててくれた慈善家の話をしてくれた。
その慈善家の話について聞くと、親父はもう死んでしまったと言うヤン。
悪い事を聞いたと思いつつ、ついつい親父の死因まで踏みこんで話を聞くと
凄腕の狙撃手に射殺されたと聞き、
それがGファイルのあの男なのかもしれないと、
偶然得られた情報に驚きつつ久我はGファイルの事を正直に話した。
ならば、私も数日後アメリカへ行くので一緒に行きましょうという事で、
ヤンと一緒にアメリカへ行き、シカゴの事件を調べる事にした。
341ゴルゴ13 ファイルG13を追え:2011/06/14(火) 23:02:26.07 ID:Pjc4VqZ/0
数日後、シカゴに行く前にヤンは自分が引き取られた孤児院に連れてきた。
子供のころは移民だったヤンは生きていくためにやむなくスリなどをして生活してたが、
慈善家に捕まってしまい、その時は死すら覚悟したという。
だがその慈善家は「神からもらった素晴らしい手を、そんな事に使ってはいけないよ」
と言い、ヤンを引き取って立派な医者に育ててくれたのだ。
そしてまた日本のサムライについての話になった時、久我はこう語った
「ヤン、昔の日本人はほとんどが農民で、侍なんてそんなにいなかった。
でも、幕末や第二次世界大戦後を、日本国民は力を合わせて乗り越えた。
侍というのは身分ではなく、心意気や魂を指すものだと思う。
そしてもちろん、それは日本人に限った事じゃない。
他の国にも、勇気を持って困難に挑む人はたくさんいると思う」
そう言う久我に、「では、俺の親父もサムライなのかい?」とヤンが聞くと、
「ああ、君の親父も侍だよ」と言う。
「やはり、君と出会えて良かった」そう言ったヤンは、
久我への手土産としてゴルゴの似顔絵を書いて渡した。
久我は礼を言って受け取ると、内藤の仇を取るべく一人でシカゴへ向かうのだった。


シカゴでエクセプト・サーティーン編と同様にドールから事件の話を聞いた後、
他の人からも話を聞くべきと、事件現場近くの食堂で女店主に話を聞いてみた。
すると話の中で「事件が起きるほんの少し前に、ふっと顔を上げた」という証言が出てきた。
記者のカンからその事が重要な意味を持つと考え、なぜ顔を上げたのか聞くと、
何かが光って眩しかったからそれが何か見ようと顔を上げたと教えてくれた。
その証言を聞いた後事件現場へ行き、被害者が倒れた場所へ実際に立ってみた久我。
そこで顔を上げると、ゴルゴが当時宿泊してたとドールが言っていた部屋が見えた。

この時久我は、ゴルゴがホテルの外から狙撃をした方法、
もとい、ホテルの外から狙撃をしたように見せかけた方法に気づいた。
警察が、ホテルの上の階の部屋からではなくホテルの外で狙撃をしたと考えた理由は、
銃弾が額の前方から後方へまっすぐ水平に頭を貫通しており、
その時ゴルゴにはホテルの上の階の宿泊していた部屋にいるというアリバイがあった。
ゴルゴが普通にホテルの部屋から狙撃をすれば銃弾は頭部の上の方から入り下から抜けるはず。
だから警察は、被害者と同じ高さの場所、
つまりホテルの外から撃たれたものだと考えた。
だが実際は、ゴルゴが射撃元を誤魔化すために
ホテルの窓で鏡を太陽光で反射させてまぶしくして、
それに気付いた被害者が何だろうと上を見上げた所を射殺したのだ。
そうすれば実際にはホテルの上の階の部屋から撃っても
見上げている被害者の額を水平に貫通し、
被害者と同じ高さから射殺したと見せかけられる。そう久我は推理した。
(久我自身は確認できない事だが、この推理は当たっている。
原作漫画やアニメでゴルゴが実際にその方法を使っている)
342ゴルゴ13 ファイルG13を追え:2011/06/14(火) 23:03:32.06 ID:Pjc4VqZ/0
こうして自力で一つの事件の謎を解いた久我だったが、
それがゴルゴが本当に内藤の仇なのか、そしてゴルゴが今どこにいるのか、
それを知る手掛かりにはならない。
とりあえず今日の調査はここまでにしてホテルで一泊することにした。
そして寝ていると、誰かが入ってきた。
慌てて侵入者を確認すると、それは久我に向けて拳銃を向けたゴルゴ13だった。
ゴルゴは自分を調べようとする者の存在に気付き、
ヤンやドールから久我の事を聞き、居場所を突き止めたのだ。
Gファイルを使って何をする気だ?そう聞くゴルゴ13に、
久我は正直に、Gファイルに書かれた男が内藤を射殺したかもしれないと考え
仇を取るために調査をしていたのだと話した。
久我が全て話した後、今度はゴルゴが話し始めた。
Gファイルの正体は、とある犯罪組織がゴルゴを脅迫するために作った
ゴルゴの仕事内容について記録したファイルだった。
その犯罪組織は既にゴルゴが潰したが、
犯罪組織は既にそのファイルを誰にも完全に潰せない究極の隠し場所、P2Pへ流していたのだ。
一旦P2Pへ流れたファイルはネットに繋がれた全てのパソコンに入っている可能性がある。
流石のゴルゴも全世界の全てのパソコンを壊しつくすわけにはいかないのだ。
それでいてパスワードをかけておけば、別の者がファイルを手に入れる事もできない。
…実際には内藤という例外が出てしまったわけだが。

その次にゴルゴは、内藤の仇は俺では無いと言ってきた。
ゴルゴがやっていないという確実な証拠はゴルゴも出せなかったが、
一応久我はゴルゴは内藤を殺した犯人ではないと納得したようだ。

全てを話したゴルゴはこう言った。
「これで分かっただろう?分かったらGファイルを渡してもらおう」
そう、ゴルゴは自分の事を書かれたファイルは全て消し去るつもりで、
当然久我が持っているGファイルも消すつもりなのだ。
久我はゴルゴに、
「Gファイルを渡すからそれを報酬として内藤の仇を取ってくれないか?」
と持ちかける。だがゴルゴは
「Gファイルは俺の情報、元々俺のものだ。それを取り引きの材料にはできないぞ」
と冷徹にそれを拒否する。(なぜYR投資編では了承したのかは不明)
久我は、Gファイルを読んで知った、
ゴルゴが自分の情報を完璧なまでに隠そうとし
情報を暴こうとする者には容赦しない事を思い出し、
助かるためにGファイルを渡す事を選んだ。
Gファイルの入ったメモリを受け取ったゴルゴは
そのまま部屋を出て行ったのであった。

ゴルゴが犯人で無いと分かった以上Gファイルは必要ない、
そういった意味でGファイルを渡してしまった事は大きな痛手ではないが、
Gファイルに書かれた男が内藤の仇では無いと分かった事で、
手がかりが無くなってしまった事には変わりない。
Gファイルを手に入れるために一般人を平気で殺す者はいくらでもいる。
その中のどれが内藤の仇なのか、ただのフリーライターに調べられるはずが無いのだ。
久我は失意のまま日本へ帰国することにした…
343ゴルゴ13 ファイルG13を追え:2011/06/14(火) 23:04:57.09 ID:Pjc4VqZ/0
次の日の朝、アメリカの軍事施設内の会議室に
大統領やその側近が集結していた。
ネットによって他国の首相その側近とも連絡をとっている。
「ゴルゴは我々の依頼を受けてくれるだろうか?」
「ゴルゴを意のままに操ろうとするリズシア首相ンディアイを殺してもらわないと困る!
ゴルゴが一つの国のために働くようになったら世界の軍事バランスはどうなるのだ!」
そう話し合っていると、連絡員が入ってきた。
「ゴルゴ13は依頼を拒否しました!」
「なぜゴルゴは拒否したのだ!?彼にとってもンディアイは殺すべき敵のはずなのに!」
「拒否の理由についても既に接触した者から聞いております。
”これは自分のルールによって行う事だからだ”ということです」
「そうか、自分を狙う敵を殺すことは自分のルールによって自発的に行うから、
依頼として受けるわけにはいかないという事だな」
「ともかく、こうなっては彼の動向を見守るしかあるまい」

数日後ンディアイのいる宮殿は、たった一人の男によって襲撃されていた。
「相手はたった一人だぞ!誰か、誰かいないのか!
…お、お前は!」
「……」
ンディアイが最期に見たのは、無言で銃を向けたゴルゴ13だった。

久我が日本に帰って数日後、郵便が届いた。
中に入ってたのはGファイルが入っていたメモリ。
中のファイルはきれいさっぱり消去されており、
内藤の遺品と言う事を除いてはそこらで売ってるのと変わりない物になっていた。
これが送られた理由について久我は2つの理由を思いついた。
一つは、Gファイルというデータはゴルゴの物であるが
メモリ自体は久我の物なので、それを律儀に返したという事。
そしてもう一つは、送り元がリズシアの宮殿であり、
リズシア首相ンディアイが宮殿で何者かに襲われ殺されたという報道と
照らし合わせて考える事で、
内藤を殺した犯人が何者か理解できるようにしてくれたという事だ。
ゴルゴのメッセージを受け取った久我は親友の墓へ行き、
ゴルゴが仇を取ってくれたことを報告するのであった。

最後に、
『P2Pはファイルを気軽に共有できる便利なものだが、
一度ネット上に流してしまったファイルの消去はほぼ不可能と言う危険もある。
流れてしまったファイルを他人が発見できないようにする方法として
ファイルの検索データ部分を破壊することで検索しても見つからないようにしたり、
大量のダミーデータを流す事で埋もれさせて死蔵化させる事があるが、
それらも完全な対策とはならないのである…』
と、原作漫画の社会問題系の話の最後のページのように、
P2Pに関する実際の問題点がナレーションとして流れる。
344ゴルゴ13 ファイルG13を追え:2011/06/14(火) 23:07:11.84 ID:Pjc4VqZ/0
(バッドエンド1)
シカゴの事件を調べている最中、
増子から「君に至急頼みたい仕事があるんだ、すぐ戻ってきてくれ!」と電話が入る。
それに応じて帰国すると、空港内で適当な容疑でしょっ引かれてしまう。
知り合いとしての情より職務を優先した増子は、
ゴルゴを刺激しないように久我を拘束するつもりだったのだ。
半年もの間何度も意味の無い取り調べを受けた後で釈放された久我だったが、
当然Gファイルは取り上げられてしまい、
内藤の仇を探す手掛かりは完全に失われたのだった。

(バッドエンド2・3)
Gファイルを使って何をするつもりだ?と聞かれた時に
『Gファイルの中身を解明するため』を選ぶと、
いきなり久我が「なあ、これを公表しないか?ピュリッツァー賞間違いなしだ!」
と俗物的な事を言い出す。そんな久我をゴルゴは
「そのファイルに、俺がそんな取り引きには応じない、とは書いてなかったのか?」
と言ってから射殺するのであった。

また、Gファイルを渡す事を迫られた時、
意地でも渡さない事を選んでもやはり殺されてしまう。
自分を狙う相手ならば女子供でも躊躇なく殺すゴルゴ13にとって
自分の情報を守るために親友の仇打ちに燃える男を殺す事など当然なのだ。



以上です。ゲーム内には前述の4つのシナリオ以外にも
テレビアニメ版のダイジェストの話やゴルゴクイズ、ミニゲーム等もありますが、
本編のシナリオが非常に短く、値段に見合っているとは言えません。
短くてもいいからゴルゴのゲームオリジナルの話を読みたい!
という人以外にお勧めするのは厳しい一品だったりもします。
345MonstreWaltz:2011/06/15(水) 22:12:27.51 ID:HNG9X1SL0
夢魔の天蓋までしかないっぽいからネクロノミコン書こうかなとも思ったが、
クリア済データ(外伝最終戦直前)しかない上にやり直す時間がないので
何故か公開中止されたモンストラバルツの方にします。
シーン回想って素敵。

MonstreWaltz(ezアプリ)

夢魔の天蓋の20年前。ジャッジマンがまだ人間だった頃。
主人公ジンの師匠、ノーマンの若かりし頃の話。
ついでに子シンや子シェーラも出てくるよ!

【序章】
師匠の遺言により、10年間ミスカトニック大学の教授をつとめたノーマン。
(ちなみに師匠はラバン・シュリュズベリィ。他にも弟子がいた様子)
不満も多少はあったものの、割と幸せな時間であったらしい。
が、私設図書館の設立という夢のため、ノーマンは大学を去る。
資金も溜め、場所も(いわくつきの館だったため格安だった)確保してあった。
しかも大学からは退職金替わりにいくつか本をせしめたらしいw
そして、ウィスコンシンで「卿斎志異」の原典と噂されるという本が出品されるという情報を
悪友から入手し出向くことに(前後の発言からして悪友はおそらくジャッジマン)。
が、予想以上に額が跳ね上がり、結局入手はかなわず。

ノーマンがホテルのレストランで競売場にいたブロンド美女がノーマンに声をかける。
座ってた席の位置まで覚えてるノーマンってw
とにかく、彼女と同席することに。
彼女はコーデリア・レンヌール。個人投資家。業界では異端とうたわれるほどの手腕の持ち主。
(ただしジャッジマン談。ノーマン自身は経済にはうとい)
彼女が持っている土地で未踏の遺跡が発見され、その遺跡を調査した人が次々と消えていったという。
遺跡自体は奥行き10m、幅3mの一本道。明らかに異常なので、コーデリアは遺跡付近を立ち入り禁止に。
そんな折、彼女は建築業者からシュリュズベリィ博士に異常な事件を解決してもらったという話を聞いた。
が、博士は既に故人であったため、弟子であるノーマンにたどりついた。
が、ノーマン自身は余生を太陽の下で終わらせたいと思い引退を考えていた。
のだが、そこは永遠の淑女の味方(嘘じゃない。本人がそう言ってるんだw)ノーマン・アトキンス。
むげにできず、ジャッジマンに振ろうかとか学生引っ張り出すかとか色々葛藤。
しかし、コーデリアは切り札としてさっきの競売で競り落とした古書をちらつかせる。
ノーマン、敗北。(続く)
346MonstreWaltz:2011/06/15(水) 22:38:34.62 ID:HNG9X1SL0
【処女の靴跡】
コーデリアや現地スタッフと共に遺跡を訪れるノーマン。
ちなみにここから「魔術師は紳士であれ」という師の思想を込めたお素敵な衣装(師の遺品)。
スタッフが怖がっていたためノーマンは途中で車をとめ一人で行くと提案したが、
コーデリアだけは同行すると主張、入り口までという条件でノーマンが譲歩した。
調査の結果、術式が古くなって地表に出てきてしまった異界の門であると判明。
この段階でノーマンは犠牲者の生存は絶望的と判断。が、小さいので封印も簡単と踏む。
ついでに、これを最後に杖を折って引退することも決意。そしてコーデリアを食事に誘うこともw

単独突入大丈夫かなと内心思っていたノーマンだったが、年の割にはよく動く。
まだまだ現役いけるかなー、などと思ってもみたりw
そして遺跡の最奥にいた中核の帰依者「屍塊神」をあっさり撃破、異界の掌握に成功。
自己崩壊させて脱出しようとしていた矢先に、翠の少女がいきなり出現。ノーマンびっくり。
ばたりと倒れる少女を、とっさに抱きとめるノーマン。すると背後にいきなりコーデリア出現。さらにびっくり。
コーデリアはノーマンに銃を突きつける。暢気に口径とか聞いてんじゃねえノーマンw しかもほめ殺しかよw
ノーマンの腕の中の少女をみて、「生きていて驚いた」とのたまうコーデリア。
もうノーマンに利用価値がないとして、コーデリアは引き金を引く。
「さようなら」
が、発射されたのは銃弾ではなく白い煙。ノーマンがとっさに銃弾を聖灰化させていたのだ。
殺されかけてもなおコーデリアに手を差し伸べるノーマン。どこまでも紳士です。
が、コーデリアは取り返しはもうつかないと拒否。
「私、夢があるの」
素敵に狂気を浮かべた笑顔でそう言い残し転移。

コーデリアがあれこれ無茶をしたせいで界が歪んでしまい、ノーマンは急いで脱出することに。
と、ここで少女が目を覚ます。
「立てるかな、お嬢ちゃん?」
ノーマンが声をかけると、少女はすさまじい皮肉を返す。が、流石紳士。丁重にやり直しをお願いする。
「お嬢さん。お手をどうぞ」
少女はシェーラと名乗ったが、ぶっちゃけそんな悠長なことやってる暇はないので、ノーマンは彼女を抱き上げる。
が、そこでうっかり失言をしてしまったためにシェーラに耳をかじられることにw

そんなアホなことをしていたためか、崩壊まで3分を切ってしまい界の上書きが間に合わなくなる。
シェーラ一人なら脱出させられるといったノーマンにシェーラは激怒。
優雅に皮肉の応酬をしていると、突然ノーマンの杖が共鳴し男の声が。
声は術式を指定し、魔力供給と誘導を行うと言った。
脱出する寸前、シェーラは奇妙な影のある笑顔をうかべて異界の深淵を見つめていた。(続く)
347MonstreWaltz:2011/06/15(水) 23:36:16.25 ID:HNG9X1SL0
無事に脱出に成功した二人。そんな二人の前に立っていたのは、悪友ジャッジマン。
ノーマンと同じ師の元にいたためか、シェーラの爆弾発言も優雅にスルー。
そして、ジャッジマンの息子ジン。立ち絵が実に初々しくていい感じ。
さらに「プリンセスヴァシャール」の後継人ナインアルパ・トライエントも。
どうやらジャッジマンの救出タイミングがよかったのは彼女が計らったせいらしい。
ナインアルパは、ジャッジマンにお願いしたいことがあるという。

二千年前、凪の星の洗礼を受け太祖の力を得ながらも人としての形と心を失わなかった者がいた。
その人物はこの星を護るために太祖らと戦い、また魔道の基礎理論を確立させた。
(まあ一説によれば実在しないんじゃないかとか言われてるけど)
その「姫君」に仕えた人々の子孫が集まって作り上げた組織が「プリンセスヴァシャール」。
あらゆる歴史を収集・編纂し「形見箱」に管理・保管しており、政財界にも影響力を持つ。
形見箱は姫君の遺産で、忠臣の血族の記憶を全て保存しているという。
ちなみに、血の濃い者は「後継人」と呼ばれ、形見箱の情報を引き出せるんだとか。
シュリュズベリィ博士も懇意にしていて「何かあったら弟子に任せるといいよ」とか言ってた模様。しかも念書つきw
で、この組織の目的は3つ。形見箱の管理、行方不明になった姫君の探索、「黄昏の痕跡」の発見・管理。
(「黄昏」は姫君が活躍していた時代。その頃はなぜか太祖が大量発生していたらしい)
ナインアルパによれば、あの小さな遺跡の奥には「城砦」と呼ばれる大きな異界があるらしい。
そこではかつてある太祖の崇拝者達が姫君相手に徹底抗戦していたという。というか城砦そのものが太祖なんだとか。
頑張って制圧したはいいものの、太祖が大きすぎて消滅させると地球もまずいため、やむなく休眠させることに。
その時、もし封印に何かあった時のための非常用通路として作られたのが「処女の靴跡」。
コーデリアは実は後継人であり、いち早く城砦の情報を得たが同胞には知らせず単独で探索。
(魔術師でもないのに魔術を使ったのはこのため。箱から魔術を引き出して習得した)
しかし彼女は緊急連絡路を使う資格がなかったため、資格のある後継人を巻き込んだ。
それがシェーラだった。
シェーラによって起動された遺跡は、コーデリアがいたために拒否反応を起こし彼女をはじき出した。
その影響で休眠中だった城砦や帰依者も復活、シェーラは遺跡に取り残された。
そしてコーデリアはノーマンの術式を利用して判定領域を飛び越え城砦に侵入、連絡路を破壊した。
とはいえ城砦そのものの入り口は残っており、侵入は可能(ただし遠回り)。
ただ、現在と様式が違うためかノーマンやジャッジマンでは封印を解除できない。
しかし、シェーラは遺跡に触れたためか遺跡についての情報にアクセスできるようになっていた。
また、封印解除そのものも資格のある後継人にしか行えない。つまり、シェーラの同行は必要不可欠。
不本意ながら、ノーマンはシェーラと共に城砦の攻略に挑むことに。
そして、シェーラからの「資格について全て挙げよ」との質問に渋い顔をするノーマン。(続く)

※凪の星……これに触れられると「太祖」という超強力な化け物になると思ってくれ。
※帰依者……異界に適合してしまった人や獣の成れの果て。ぶっちゃけモンスター。
※資格………遺跡の名前で分かれ。分からなかったらコーデリア再登場まで待て。
348MonstreWaltz:2011/06/16(木) 00:06:31.90 ID:1GJDRuTW0
【火王子の座】
プリンセスヴァシャールによって下準備も根回しも全て完璧。
とりあえずグラフくらいはまともに読めよノーマンw あんた元教授だろw
時間がかかりそうな仕事なので、妹の誕生日が近いジンはちょっと心配そう。

シェーラの実に可愛らしい詩によって門は開く。珍しくツッコミを入れるノーマン。
門の先は熱性魔素がうずまく世界。そこでノーマンは「炎成す杖」「躯骸の杖」を発見。
入手した杖も駆使して敵や仕掛けを突破していくノーマン。
道中で、結界に封じられた見たことの無い帰依者を発見。ぶっちゃけスルーしたいが、
結界と魔素の流れが密接なため、結界を解かないと先に進めない。仕方なく解除するノーマン。

最深部にいたのは、クトゥヴァの落とし子。
これを中核にしていたため、この階層には熱性魔素が充満していたらしい。
鮮やかにこれを撃退し、この階層の掌握は完了。
ノーマンの戦う姿にシェーラは感動、騎士というよりダンサーねというお言葉を賜られました。
当のノーマンは気に入らなかったみたいだけど。

とりあえず帰還したノーマン、パソコンに情報をまとめたジャッジマンに愚痴をこぼす。
(ノーマンは大の機械嫌い。ネクロノミコンで携帯電話を持っていたことにシェーラが驚いていた)
と、妹と電話しているジンを発見。どうやら帰りが遅くなることを告げてすねられたらしい。
ちょうどいいので彼にパソコンの使い方を習うことに。

その頃シェーラもナインアルパに報告中。やっぱり近道はできないらしい。
会話から察するに、シェーラはまだ後継人として正式な儀式をしていない様子。丸1年かかる儀式って……。
その際に後継人としての洗礼名をつけられるらしいが、シェーラは「何か不吉で、仰々しいの」とリクエスト。
(ちなみにコーデリアにも「アルバトロ・テリブル」という名が。ただし本人は嫌がっていた模様)
儀式が終われば形見箱が見られるのかというシェーラの問いに、ナインアルパは少し沈黙し、考えておくと返答。
どうでもいいけどシェーラの発言が微妙に物騒。(続く)

※ジンの妹……おまけflash並びにネクロノミコンに登場。かわいいよマジかわいいよ。
※洗礼名………シェーラの洗礼名についてはネクロノミコン参照。実に物騒な名前になっている。
※聖灰化………ちょっと前で説明し忘れていたので。魔素の影響を受けた物質が劣化すると聖灰と呼ばれる白い粉になる。
349MonstreWaltz:2011/06/16(木) 00:37:40.75 ID:1GJDRuTW0
【凍えし牢獄】
なかなか物騒な詩で開封された次なる異界は、冷性魔素の満ちる場所だった。
この時点で残りの異界に満ちる魔素が原初の四理論である斥力と引力であると推測。
ちなみにシェーラ曰く、コーデリアは興奮すると噛み付くクセがあるらしい。お前も噛み付いたよなw
ここでも「氷成す杖」を入手。なんか怪しげな名前をつけようとするシェーラはスルー。

ノフ=ケーを見て珍しがっていると、シェーラが中核についての情報を引き出すために扉を叩き始める。
「眠らされていた」「防衛手段」「酷く大きな」「色々な目や口」「悪夢のように柔らかい」
この断片的な情報から出した結論はズバリ「ブイヤベース」!w
もう少し情報を引き出していくと、どうやら周辺にいる帰依者が怯えているらしい。
「仕事はなんだ……?」
扉の向こう側に意識を持っていかれていたシェーラを呼び覚まし、ノーマンは先へ進むことに。

途中、前の階層で解放した帰依者と再会。今度は敵意バリバリです。解放しなきゃよかった。
シェーラによれば、あれは城砦に身を捧げることで不滅となった帰依者「殉じたるもの」。
その性質上、この積層異界では倒せないという。何というチートっぷり。
(最深部以外では本当に無敵。こいつのおかげで石碑獲得が面倒臭いったら)
何とか逃げ出す二人。

最深部にいたのは、伝説の人造帰依者「ショゴス」。
どうやらこいつを凍結封印するために冷性魔素が充満していたらしい。
まともに戦っても勝ち目がないと思案するノーマンに、シェーラが助言する。
周辺の帰依者(グラフィックはグール)の爪にショゴスに有効な術式が施されているらしい。
こいつらを杖で操ることで、何とかショゴスを撃退し界を把握する。
生命秘術を主に研究しているノーマンはサンプルをとりたがったが、残念ながら無理だったらしい。
そしてシェーラが生意気だったらw

一度帰還し、ジャッジマンとワインを楽しむノーマン。
同門のアンの話になると渋い顔をする。どうやらよからぬ事をたくらんでいるような。
そしてジャッジマンの「家族で楽団を作る」という夢を聞く。前作知ってるとフラグにしか聞こえないw
希代の魔術師でありながら夫であり、父であるジャッジマンをうらやましいと思うノーマン。
(ただ、外見について何度か触れているあたり、その辺もうらやんでいる様子w)
ついでに禁煙も勧めてみるがあっさり却下された。(続く)

※扉を叩く……形見箱から情報を得ることについてのシェーラなりの表現。ちなみにナインは「聞き耳をたてる」、コーデリアは「噛み千切る」。
※石碑…………一度もダメージを受けない、もしくは一定時間内にクリアすると入手できるアイテム。石碑枚数はクリア特典に影響。
※アン…………ちなみにおまけflashで、彼女の弟子(?)が速水に接触しようとしている様子が。どうにも不穏な雰囲気。
350MonstreWaltz:2011/06/16(木) 01:10:10.73 ID:1GJDRuTW0
【魔笛の森】
ナインアルパが侍女から報告を受けている。
それによると、規定人数が情報に辿り着くとそれ以外の後継人は形見箱に拒絶されるらしい。
ちょっと姫君を恨んだナインを侍女がたしなめる。まあ気持ちは分からんでもない。

マザーグースばりにえぐい詩でもって開いた第三階層。
口笛のような音の波に斥力を秘めた魔素が流れる夜のままの森。
早速扉を叩いたシェーラが中核がこの風を生み出しているという情報に辿り着く。
何らかの決意を持って異界探索に挑もうとするシェーラを護ることを、改めて決意するノーマン。

今度も斥力を発する杖「風の杖」を発見。
杖を持ってれば魔術に関する情報を引き出せるんじゃないかと考えたシェーラがノーマンのマントに手を突っ込む。
「最後の女」発言といい膝に座ろうとしたことといい、積極的すぎるんじゃないかw
ピンボールまがいの仕掛けにちょっと辟易していると、シェーラが今まで踏破してきた場所も再確認しようと言い出す。
(実際、最初の段階では行けない場所があるステージがあり、そこには能力増強アイテムがあったりする)
どうやらノーマンはピンボールやボウリングよりもチェスがお得意らしい。

より複雑になっていく仕掛けに、もうちょっと情報はないのかとシェーラに質問するも、どうやら索引がないらしく上手く引き出せないらしい。
鎖カタビラの洗い方だの、関係ない誰かの記憶だのにヒットしてしまうこともしばしば。
(ちなみにこれはちょっとした複線だったりする)
なおも軽口を叩いていると、どうやらその中に中核情報にヒットするワードが含まれていた模様。

最深部にいたのは盲目の風王。口笛みたいな音の正体はこれの鳴き声。
先ほどシェーラが引っかかった「ブレーンを切り離す」というヒントを元に撃退。
ここで、ショゴスと構成素材が同じであることにノーマンが気づいた。
そこで、ショゴスの時に引っかかった情報の1つである「淵の神」に注目。
太祖についての情報にたどりつけるかもしれないため、詳しく調べてみることに。
どうでもいいけどバットマン知ってるんだねノーマンw
異界で軽口を叩き合うことに、ふと師と共にいた頃の記憶が蘇り郷愁にふけるノーマン。
それって死亡フラグじゃんと気づいてしまうあたり、彼はフラグクラッシャーのようだw

ホテルで資料をダシにナインアルパの侍女を口説き倒すノーマン。当然シェーラによって阻止されるw
そしてしっかり観戦していたジャッジマンによると、ダコタインディアンに「淵の神」関連の言い伝えがあるらしい。
それが地の神イブホブの伝承。シェーラ情報によると「泡立つもの」という意味らしい。
獣の姿で人を食らう巨人を生み出し、その巨人を自ら食らう神。この時点でノーマンとジャッジマンは嫌な予感が。
それでも念のため、ジンにミスカトニックにある文献を調べさせることに。ジン可愛いよジン。
ただ、ジンをミスカトニックに向かわせるのは、手が足りないということと、ジンの安全のためでもあった。

※チェス……おまけflashに、ノーマンにフルボッコにされ妻に助けを求めるジャッジマンとおいしいお菓子でノーマンの気を引くユリさんの姿が。
※淵の神……クトゥルフ神話に詳しい人は、この情報だけで何となく正体が分かるはず。かなりオリキャラ化されてるんだけどね。
351ゲーム好き名無しさん:2011/06/16(木) 01:17:40.25 ID:1HYW2to60
モンストラヴァルツ支援。
「ラプラスの魔」とか「パラケルススの魔剣」みたいな雰囲気だな

ゴルゴの人も乙
352MonstreWaltz:2011/06/16(木) 01:42:17.64 ID:1GJDRuTW0
【地の墳墓】
開封のための詩がちょっとアレなため、耳をふさがせるシェーラ。資格の件でノーマンを揺さぶった割には乙女だw
(実際それっぽい単語がありそうな詩で、要所は伏せられているw)
引性魔素の荒野に降り立ち、前の仕返しとばかりにさりげなくシェーラをいじるもあえなくスルーされる。
どうやらシェーラは去り際のジンから拳銃を借りたらしい。援護射撃は勘弁とばかりに止めるノーマンw

ここでも引力を操る杖「大地の杖」を入手。シェーラよなぜそう噛み千切ることに固執するw
手ごわくなった帰依者や仕掛けを、ノーマンの機械嫌いをいじりながら突破していく二人。ほっといてやれよw
どうにも中核の気配がつかめないためシェーラに頼ることに。
「地に飲まれた人」「這い上がるための翠の翼」「産み出される翼達」「でも全部望んだ姿じゃない」
と情報を引き出していくが、シェーラに疲労の色が濃いと見たノーマンは一時退却を提案する。
が、勢いがないと扉を叩けないからとシェーラは拒否。不安ながらも、ノーマンは先に進むことに。

最深部にいたのは、変わり果てた姿になったコーデリアだった。
シェーラの異変の原因は、彼女がこうなったことを薄々感づいた結果だったらしい。
「もう一度産みたい」と呟くと、コーデリアは二人に襲い掛かる。
落とし子達もろとも彼女を倒すと、彼女は地面に溶けて逃げていった。
ノーマンはコーデリアのことを知っている様子のシェーラに、「子供を産みたい」という呟きの意味を尋ねる。

コーデリアには娘がいた。幼くして後継人として目覚めた優秀な少女だった。
しかし、常に誰かの記憶を引き出している状態だったため、そのうち自分が誰なのか分からなくなってしまった。
そしてある日喚きながら四つん這いで道路に飛び出し、母親の目の前で車にはねられ死亡した。
そこでコーデリアは、娘の誕生から死亡までの完全な記録と城砦の体組織、母体の遺伝情報を利用することで
娘の再生をもくろんだのだった。
途中からシェーラをとめようと叫んでいたノーマンに、シェーラはうわごとのように呟く。
「わたしは、だれになるの?」

その頃、ジャッジマンは「淵の神」の正体を特定。「自存する源」ウボ=サスラだった。
この太祖の存在意義はシンプルで、ひたすら生き物を作ってはそれを食べること。
その単純さゆえ、何者かがそのコントロールをもくろんだ結果が城砦ではないかとジャッジマンは推測。
討伐方法などについてはさらに詳しく調べる必要があるとのこと。

結局あの後昏倒してしまったシェーラだったが、あっさり復活。
お腹が空いたとたくさん食べるシェーラにあきれ返るノーマン。
ノーマンは、シェーラが倒れている間に彼女の話を聞いていたらしい。

6歳くらいのとき、シェーラは孤児院に捨てられた。両親のことは思い出せないらしい。
孤児院に入って1年もすると、彼女は後継人としての能力が目覚め、様々な知識を身につけた。
それからはメディアに取材されたり、大学から研究者が来たりと見世物扱い。
そのうちプリンセスヴァシャールの目に留まり、彼らは孤児院に大金を積んでシェーラを引き取った。

ついでだからそっちの生い立ちも語れと急かすシェーラに、ノーマンはパフェをやって黙らせようと画策。
しかし同じものを食べさせられたあげくに「これは執行猶予よ」と返される始末。まあ頑張れw(続く)

※コーデリアのセリフはなぜかドイツ語なのでさっぱり分からんかったw
353 忍法帖【Lv=5,xxxP】 :2011/06/16(木) 01:48:46.60 ID:4hueplvN0
支援してみる
354MonstreWaltz:2011/06/16(木) 02:12:13.39 ID:1GJDRuTW0
【夢魔の城砦】
またもや微妙な詩でもって開封された最後の城砦。
本当にこれを最後の仕事にするのかと問いかけるシェーラに、ようやくそのことを思い出したノーマン。
まあ、それどころじゃないので侵入開始。

そこにあったのは、果て無き大地にそびえる山のような城砦。
と、そこにジャッジマンから通信が入る。新しい情報が入ったらしい。
ジャッジマンはその情報を伝えるが、伝えきれずに通信は途絶える。
ついでに、脱出も不可能になったようだ。
こんなのは想定内とばかりに食糧を持ち込んでいるノーマンは流石だ。どうやら開き直った様子。
改めて、「共に地上へ戻ろう」と誓い合う二人。
そしてここで空気を読まずに友人宣言をするノーマン。悔しいけれどシェーラも同感らしい。

城砦内で「追跡の杖」を入手したノーマン。早速不可視の星の精相手に役に立つ。
先に進みながらも、扉を叩きまくっているシェーラに色々と話を聞くことに。

伝承から察するに、姫君がウボ=サスラをなだめて地に導いたことはほぼ確実。
なだめる際に「羽」「息」と称される何かを与えている。
それは何か。コーデリアを倒した際にうわごとのように呟いたのが、答えだった。
「『形見箱』はここにある」

つま形見箱はウボ=サスラをコントロールするための装置で、それに姫君が「羽」や「息」を足したものが形見箱。
姫は自我を得たウボ=サスラに同情し、その孤独を癒すために形見箱に臣下の記憶が流れ込むようにしたらしい。
現在の伝承は、その真相を知った臣下達が捏造した結果らしい。
奥にコーデリアの気配を感じ取り、二人は彼女を止めるためにさらに先へ進んだ。

三度まみえたコーデリアは、ウボ=サスラの制御に失敗し端末にされていた。
「シェーラの望みが叶うことを祈っている」と告げるコーデリアに疑念を抱くノーマン、うなずくシェーラ。
問いただす間もなく、コーデリアが襲い掛かる。

再び敗れたコーデリア。心の中で、娘の名前を呟く。
だが、死ぬ間際に城砦の制御権をシェーラに譲ると言い出した。
息絶え溶けていったコーデリアを見送り、ノーマンはコーデリアの言葉の意味をシェーラに尋ねる。しかしシェーラは答えず。
「受理する」
その瞬間、魔素が渦巻きシェーラに集まって、最初に見た緑色の姿になった。

コーデリアはシェーラの目的を理解していて、その上での発言だったらしい。
二人とも、目的のためには城砦に入るしかなく、それでお互いに利用しあう形で遺跡に侵入した。
狼狽するノーマンに、シェーラは答える。
彼女の目的は、形見箱の破壊。

その頃、遺跡外部ではナインアルパが28時間ぶっ通しで監視を続けていた。
遺跡からは光の柱のように魔素が噴出しており、ジャッジマンはおさえるのに手一杯。
アメリカ政府にも露見してしまい、プリンセスヴァシャールの力を持ってしても介入を防ぎきれなかった。
しかたなく、ナインアルパは形見箱の所在を含む概要報告書と救出依頼書の送付準備を始めることに。

※コーデリアのセリフは(ry
355MonstreWaltz:2011/06/16(木) 02:57:23.02 ID:1GJDRuTW0
【真相】
モノローグのみ。主はたぶん「姫君」
本文全部載せようとしたら長すぎるって怒られたんで概要だけ。希望者いたらあとで載せるかも。

・箱はウボ=サスラの制御に加えて無限に増える肉を脳として使用していた
・ウボ=サスラに自我が芽生え、同族たる姫に味方したため姫側が勝利
・が、やっぱり大きすぎて滅ぼすと地球がまずいことになる
・っていうかなついてきたから可愛くて殺せないよね
・一人にさせると多分自我が壊れるけど、星辰の関係でそろそろ眠らないといけない
・なので、いざという時に箱のところまで安全に来られるようにしよう
・でも悪用されたくないから、自分の血族じゃないと来られないようにしよう
・まあ血族っていっても術で私の血をコピーした子達とその子孫だけどね
・しょうがないじゃん、子供生めるようになる前に人間やめちゃったんだから
・壊れちゃうかもしれないから、本体部分の封印の解き方とか内部情報も入れとこう
・血の術式が消える前には多分私も起きられるでしょ
・あと、孤独を癒すためにもう一工夫っと。血族の記憶が流れ込むようにしましょう
・絶えるかもしれないから、そうなったら最初から全部再生してね
・起きたらちゃんと皆をこの責務から解放して、私ももっといい方法見つけるから

・えっ、そういう解釈してたのみんな?
・っていうか近親相姦してまで血を濃くするとか予想外
・しかも私の名前も利用して箱の情報引き出してるなんてもうびっくり
・でも都合のいい真実がまかり通ってるんだけど
・それでも、私は貴方達を愛しています。好きに使いなさい
・あと、踊る魔法使いさん。私とよく似たあの子をよろしくね

※つまり、「門を使う資格」は姫君の臣下の血族たる十代の処女であること。コーデリアは完全アウトw
※「踊る魔法使い」は恐らくノーマン、あの子はシェーラのこと
356MonstreWaltz:2011/06/16(木) 03:17:22.91 ID:1GJDRuTW0
【帰路】
ノーマンは一人、どことも知れぬ異界をさまよっていた。

18時間前。
シェーラは、ノーマンに自分の思いをぶつけていた。
彼女の脳内には、形見箱からの情報が常に流れ続けている。
その情報で、シェーラの記憶は押し流されていっていた。
家族の顔も、住んでいた場所も、自分の年齢すらも情報の波に飲まれて消えた。
洗礼の儀式を受ければ情報制御は可能だが、押し流された記憶は戻らない。
生まれた瞬間から、シェーラは姫の臣下として、後継人として生きなければならなかった。
自分の人生を自分で生きたい。そのために、シェーラは形見箱を破壊することにした。
形見箱を破壊すればウボ=サスラが知性を失い世界中の人々を食い始めると警告するノーマン。
しかし、シェーラは箱と一緒にウボ=サスラを滅ぼすと宣言。
が、ウボ=サスラを滅ぼすと、地球の形が大きく歪んでしまう。
止めようとするノーマンだったが、シェーラは聞く耳を持たなかった。
ノーマンに出口への道を示し、こう告げた。
「さようなら」

その後、ノーマンは振動に巻き込まれて強制移動。そして冒頭に戻る。
程なくして、ノーマンは出口を見つける。敗北のショックで弱気になって、外に出ようとするノーマン。
その時、ジャッジマンからの通信が届いた。地表もなかなかひどいことになっている様子。
泣き言をいうノーマンに、ジャッジマンは「次の名前が必要かな」と流す。
「今度は私が名付けようか?」
今ここで逃げれば、魔術師ノーマン・アトキンスとしての人生が終わる。

※ここでのみ、ノーマンはジャッジマンのことをジェイと呼んでいる。実に可愛らしい。
※ノーマンは工場の隅で血まみれで泣き喚いていたところを師匠に拾われたそうな。何したのw
 そして「No-one(誰でもないもの)」になりたいという彼の願いを聞き、師匠は彼に名前と人生を与えたらしい。
 ちなみにこの名前になる前の名前は、ジャッジマンも忘れてしまった模様。
357MonstreWaltz:2011/06/16(木) 03:39:14.93 ID:1GJDRuTW0
【城砦中枢】
遺跡入り口付近に残るジャッジマンとナインアルパ。
結局ナインアルパは例の文書を送ったらしい。20時間もすれば米軍がやってくるとのこと。
これでプリンセスヴァシャールの秘密が露見してしまったことに。
ノーマンを信頼して術式の展開を続けるジャッジマンをうらやむナインアルパ。
ジャッジマンは、飄々とした笑顔で呟いた。
「さて……そろそろ彼が踊り始めていることだろう」

ノーマンは再び城砦に侵入。やっぱり差し向けられる帰依者達。
それらをかいくぐっていくと、あの「殉教者」が現れる。
以前は倒せなかったが、中枢部分、彼らが「殉じた」場所であればそうではない。
神への崇拝を最後まで貫き通して果てた殉教者に、ノーマンは敬意を表した。

自暴自棄になってうずくまっているシェーラに、ノーマンの足音が届く。
その頃、ノーマンもシェーラがいないことで寂しさを感じていた。

制御基盤に辿り着いたノーマンに、融合が始まっていたシェーラは驚く。
協力者がいたとうそぶきながらも、シェーラを助けられるかもしれないとノーマンは踏んだ。
ノーマンはシェーラの迷いを指摘し、友人を叩き起こしに来たと告げる。
そして、周囲に転がっていた端末を衝撃波で吹き飛ばして制御基盤にぶつけた。
すると基盤の殻が割れ、魔素回路を全身にまとった緑色のシェーラが飛び出してきた。
自己防衛のため、本能的にシェーラの体を使ってノーマンを排除しようとしている。
踊るようにその攻撃をかわし反撃していくと、シェーラを捕らえていた術式が分裂した。
術式が凝り固まってできた呪力顕現体は超広域の攻撃術式をわずか数秒で収束させる。
対抗施術が間に合わず死を覚悟したノーマンだったが、拘束を解かれ自我を取り戻したシェーラがそれを防いだ。
シェーラはまだ城砦への干渉が可能であり、それによってノーマンを護ったのだった。
共に舞おうと誘うノーマンの手を、シェーラは取った。

呪力顕現体を破壊し、落ち着いたシェーラにノーマンは語りかける。お説教タイム。
「身の程を知りたまえ、小娘」
ノーマンに抱きしめられ、泣き出すシェーラ。
しかし若い者を導くのは面倒臭いとかいうんじゃないよ元教授w

※協力者……正体はエピローグにて。侵入時に、実に紳士的に入り口を開けてくれるよう頼むノーマンのモノローグがある。
358MonstreWaltz:2011/06/16(木) 04:00:00.10 ID:1GJDRuTW0
【エピローグ】
一週間後、ノーマンはナインアルパの申し出た追加報酬を辞退していた。
もう「姫君」やプリンセスヴァシャールにかかわりたくなかった。
が、ここで悪い癖が出たノーマン。報酬替わりにナインアルパの本名を教えてくれと言い出した。
が、ナインアルパはここで「舞い上がると耳に噛み付いちゃうかも」と言い出す(マジでw)。
ドン引きするも、それでもいいやと覚悟を決めてナインアルパに耳を寄せるノーマン。馬鹿だw
と、そこにタイミング悪くジン登場。ジン君慌てて逃走w
結局ナインアルパの本名は聞けなかったが、ノーマンもシェーラの暴走の件は黙っている様子。

シェーラを正気に戻したあと。
ウボ=サスラは二人との会話のためにシェーラの姿を模した端末を作り上げた。
そして、形見箱も出現。シェーラも結局実物は拝んでいなかった様子。

ウボ=サスラは最初の騒動で叩き起こされていた。
遺跡に取り残されたシェーラを取り込むことで保護し、次にやってきたノーマンに託した。
その後コーデリアに機能を掌握されるものの、コーデリアがシェーラに制御権を移した隙に機能の一部を奪取。
それにより、ノーマンを城砦まで導いたのだ。

ウボ=サスラの望みは「今までどおりでいたい」。
が、防衛機能の停止や休眠状態への移行は自分自身では行えない。無論、ノーマンにも無理。
箱の記憶をたどれるシェーラだけが、それが可能なのだ。
誰かの手のひらで踊らされていたような感覚に、シェーラは脱力する。
それでも、ウボ=サスラと意識を共有するため、シェーラは彼と手を合わせる。
それは、合わせ鏡を見ているような奇妙な光景だった。

コーデリアは、ちゃんと報酬を払っていた(本も届けていた)。
シェーラは、面倒くさいと言いながらも儀式はちゃんと受けることに。今の名前も捨てることにしたらしい。
ノーマンも、教育者として杖を振るうことにした。弟子の打診も来ているらしい。
そしてシェーラからのありがたい報酬。災厄とか言うんじゃないノーマン。腰にくるとか言うんじゃない。

※弟子……ネクロノミコンに登場する残念なイケメンのこと。書類上は興味深い人物だったらしい。
※報酬……背伸びしても届かないなら、胸倉つかんで引き寄せればいいでしょ?
359MonstreWaltz:2011/06/16(木) 04:15:12.75 ID:1GJDRuTW0
【エンディング】
結局弟子とは8年で道を違え、その2年後にジャッジマンも人間をやめてしまう。
(この辺から夢魔の天蓋→ネクロノミコン。弟子についてもネクロノミコン外伝にて語られる)
シェーラは「ニアデス・トーテム」と名を変え、姫に目を捧げるという誓い通り世界中を回った。
それでも二人はお互いに会って、言葉を交わした。

20年後。(ネクロノミコンの数ヵ月後)
ウボ=サスラとの約束のため、二人は城砦を訪れていた。
約束とは、10年に一度検診として彼の元に訪れるということ。
中がごたついているから掃除する間待っててと待たされている間、
シェーラは魔素対策済の椅子やらテーブルやらパラソルやらティーセットやらを広げ始める。呆れるノーマン。

ジンは速水の実家に事件の顛末を告げた後、しばらく日本に残ったりしていたが
自宅の処分の際に話をした際にはちょっとは吹っ切れていたっぽい。
が、完全に割り切るにはまだ時間が必要とのこと。
20年もたって、もう踊れなくなったのかという問いに、速い曲はもう無理だと素直に答えるノーマン。
だが、ワルツでよければとシェーラを誘う。

End

【Extra Episode】※完全にネクロノミコン外伝
・たまーに誰かが介入してくるウボ=サスラの情報野。いつものように隔離する
・でもそれが人間男性っぽく、会話できそう。しかも気配が「姉」に似ている
・魔法使いやあの子との約束を破ることになるけど、興味があるのでちょっと話をしてみることに
360MonstreWaltz:2011/06/16(木) 04:39:09.99 ID:1GJDRuTW0
・どうやら彼は夢を見続けているらしい。以下、夢の内容を抜粋。

週末の朝。
長い金髪のおっとりした彼女をバイクで学校まで送る。
まだ寝ぼけているのか、彼女は信号待ちの度にずり落ちかける。
そのまま朝のバイク便。2件。
終わったら夕方まで講義。
テンションの高い黒人の講師。ジョーク5割に講義が5割。まあ、人気はあるらしい。
講義の後は少しだけ彼女と携帯で話して、またバイト。
バイク便のチーフは元軍人の気のいい親父さん。あだ名は中尉。
午後、初めの仕事はプレゼントの宅配。キツイ匂いの花束だった。受取人の女の子も同じ匂い。
やたら人懐こい子で、受け取りのサインのついでに飛びつくようにキスされた。
急ぎでもう一件仕事。なんだこれ? えらい短いドレス。
ちと遠いな? 前に路上生活者の人から教わった裏道を活用。
辿り着いたのはでかいお屋敷。出てきたのは、赤い人影。
何故だか歪んだ影のように見える。……おそらく男。
見覚えがあるのに、思い出せない。
上品そうな「ありがとう」って声だけが妙に耳に残った。
屋敷の中から話し声。違う。男一人だけだ。
とにかく本日の仕事も無事終了。
週末だし、国際電話。また仕送りの事で心配された。
確かにこんな額に大した意味はない。今のビザで仕事してるのだって本当ならご法度だ。
ただの意地だってわかってる。だからこそ解ってくれよ。母さん。じゃあまたな。
そのまま下宿先へ帰る。寝る前にもう一度彼女に電話。
明日は、海に行こうって。

・邪魔して悪いと謝る彼に、ウボ=サスラは構わないといい、再構成も手伝うことに
・思い出せたのはうなるような、虫の羽音のような音、歌、煙草の匂い
・ここで時間切れ、彼は別の夢に移動
・獣が目覚めることはない、一人では舞う事などできないと考えたところで感化が始まっていることに気づく
・予定通りこの情報野は削除しようとしたが、思いなおして彼のための椅子を残した
361MonstreWaltz:2011/06/16(木) 04:46:17.38 ID:1GJDRuTW0
【あれこれ補足】

・モンストラバルツの頃には、ジャッジマンは既にダゴンとお知り合いだった様子
・ノーマンはシェーラが元老院と起こしたトラブルの仲裁もしていた様子。がんばれw
・シェーラが借りたあれこれはパットから。彼女の主人の作。最後まで残念なイケメンだw
・夢の意味がわからんつまらんと思ったあなたはネクロノミコンをプレイしよう。あれをやると意味が解ってマジで泣ける


こんなもんですかね。
ではお付き合いくださりありがとうございました。流石にもう寝るw
362ゲーム好き名無しさん:2011/06/16(木) 09:36:08.91 ID:e/dja5va0
大空にそびえる黒鉄の城!    

      __ _
   r :「 :| :| :ハ
   | ::| :!_:」__j _:!
   ヽ'ヽ´, -'-イ:人
    `´!ー…'´ .:',    ,、 ,、
      ヽ    ::.i 〈ヽf二ソ、〉
       ヽ.   /',-ヘ◇_◇Y=-
        ト- '  -、-トVイハ  /7'  _/二',
         \ _ノ ヽ\_T >' /_  L」--、}
          !: : : : ノ \_|:i:|_/:!:.}、/l Lニ.ノ
           `i: :´: : : ; -- 、: : V /.: ` ーイ
            \:./     Y\{、 /       マジンガー乙
             |   _  - 、|    ̄
             j/. : : : : : : ヽ
             / : : : : :, -−、:|
             {, -- 、/    |'
363ゲーム好き名無しさん:2011/06/16(木) 10:29:01.89 ID:WZbd1rUcO
モンストラバルツ乙
しかし公開停止はされてないはずだが…
364ゲーム好き名無しさん:2011/06/16(木) 12:04:55.40 ID:yOjLLyd3O
>>363
去年あたりに公式でアナウンスがあった<配布停止
今さっき配布元サイト確認してきたけどやっぱりなかった
365ゲーム好き名無しさん:2011/06/16(木) 12:16:10.71 ID:tWSvxJ+sO
モンストラバルツ乙です!
おもしろそうだからやってみたいとおもったのに、公開停止とは。残念です
366ゲーム好き名無しさん:2011/06/16(木) 13:03:12.29 ID:WZbd1rUcO
ゲームワールドは?
少なくともアプリダウンロードはできた、課金はまだしてないけど
367ゲーム好き名無しさん:2011/06/16(木) 14:20:53.20 ID:wFTyWkCz0
ラバルツ乙
4月に配信サイトが変更されたみたいだね
368ゲーム好き名無しさん:2011/06/16(木) 14:48:05.18 ID:YpcIsFloO
バルツ乙
序盤のボスが倒せなくて投げたが、いろいろ予備知識が必要なゲームだったみたいね
ヒィヒィ言いながら進めるよりかはマシだったか
369ゲーム好き名無しさん:2011/06/17(金) 19:01:34.82 ID:p6NOOwKY0
PSの『ジャガーノート 戦慄の扉』お願いします。
370ゲーム好き名無しさん:2011/06/18(土) 01:08:03.20 ID:IKP8mAxG0
期限過ぎましたが、HALO:Reachの続き行きます、最後まで

ネタバレトリップはいらないよね。発売から半年以上過ぎてるし
371HALO:REACH:2011/06/18(土) 01:08:58.34 ID:IKP8mAxG0
2552年 8月13日 20:17 スルドック・リッジ
情報を解析したUNSCは、先の戦いで破壊したスパイアは空母からのテレポーターでも有ると判断した。
そして隠れる事を放棄させられた空母は、察知される事を恐れない大規模な攻勢にでたのだと。

蹂躙されつつあるリーチだが、吉報があった。通信が回復したのだ。
そして全UNSC艦隊の60%がリーチへ迅速に向かっているという。最初の艦隊の到着は、48時間後。
「48時間?”迅速”ねえ」
皮肉気に語るジュンだったが、同じ思いを持っているメンバーが居た。キャットはカーターに空母への攻撃を進言する。
歩兵による対艦攻撃は、強行乗艦による核爆弾の設置がセオリー。だが星系内の核爆弾は全て破壊されてしまっている。
キャットは爆弾の代わりにスリップスペースドライヴの使用を提案した。このワープシステムに'誤動作'を起させ、シップを何処かへと消し飛ばすのだ。
敵艦に進入し、持ち込んだドライブを誤作動させる。核弾頭に因る破壊工作と基本骨子は変わらないが、ドライブも衛星軌道へ上がる方法も、簡単には手に入らない。
だがキャットには一つのプランが存在した。政府が存在を否定し続けている、宙域防衛用戦闘機・セイバー。その打ち上げ場が、この近辺にあるというのだ。
「そしてうちの新人さんだけど、確かそこのパイロットだったはず」
「怖い女だぜ、まったく」
機密事項、それもリーダーであるカーターにも知らされていない経歴を調べてあげていた事に呆れるエミール。
とにかく実行の可能性は残されたが、セイバーの利用もドライヴの調達も、ノーブルチームの司令官、ホランド大佐の許可がなければ出来ない。
そう反論するカーターに、キャットは通信機を差し出した。
「交渉次第よ」
「答えはノーだと思うがな」
372HALO:REACH:2011/06/18(土) 01:09:55.41 ID:IKP8mAxG0
2552年 8月14日 12:48 セイバープログラム発射場/研究所
「まさか大佐が許可するなんてな」
「名案過ぎると断れないのよ」
「セイバーを飛ばすぞ。大佐の気が変わらないうちにな」
セイバーの発射施設に到着したノーブルチーム。施設はコヴナントの攻撃を受けてたが、ジョージとシックスを乗せたセイバーはギリギリで打ち上げに成功した。

セイバーチームが軌道ステーション・アンカー9に到着したと同時に、アッパーカット作戦が発令された。最終目標はコヴナントの超巨大空母の破壊。
作戦の第一段階は、巨大空母へと帰還するコヴナントのコルベット級シップを占領すること。
占領し、針路を巨大空母に設定したコルベットにUNSCフリゲート・サバンナから提供されたスリップスペースドライヴを載せることで、空母をスリップスペースの事故に巻き込むのだ。

攻撃部隊は任務を達成した。コルベットの艦橋は制圧され、格納庫に運び込まれたドライヴも守りきった。だが損害も大きいものだった。
コルベットに突入した部隊はジョージとシックスを除き全滅し、コルベットの妨害に参加したサバンナもまた沈んだ。そしてもう一人。

脱出用の降下艇とドライヴを調べていたジョージは、現状をシックスに報告した。
降下艇の損害が大きく、リーチへの再突入には個人用装備での単独降下になること。そして、タイマーが壊れたので手動で起爆する必要がある事。
「お前はもう行くんだ。まだやるべきことがあるだろう。なあ、リーチは俺の故郷だ。恩返しをしなきゃな……止めないでくれ」
ジョージは自分の認識票をシックスの手に握らせ、そのままコルベットの格納庫から外に投げ飛ばした。

降下するシックスの目の前で、コルベットは巨大空母に到着し……発生したスリップスペースに艦の半分以上が巻き込まれ、破壊された。


『スリップスペースが出現』
超巨大空母が破壊された直後、アンティードットからの報告が入る。コヴナントシップの一群が、リーチの軌道上に到着したというのだ。
『スリップスペースが出現。スリップスペースが出現。スリップスペースが出現。スリップスペースが出現……』
コヴナントの先遣隊は壊滅した、だが到着したのだ、コヴナントの主力艦隊が。リーチに。
373HALO:REACH:2011/06/18(土) 01:10:50.34 ID:IKP8mAxG0
2552年 8月23日 15:34 ニュー・アレクサンドリア
リーチへの再突入に成功し、一人撤退を続けていたシックスはニュー・アレクサンドリア市に到着した。
だがニュー・アレクサンドリア上空には、コヴナントの艦隊が存在していた。

UNSCの増援艦隊はコヴナント艦隊と交戦するも後退、制宙権・制空権が脅かされているという。
スペースポートの存在するニュー・アレクサンドリアは民間人たちの脱出作業を急いでいたが、コヴナントの妨害により遅々として進んでいなかった。
そしてコヴナントは、特に凶暴な事で知られるブルートの攻撃部隊を使って民間人達を狩り出していった。
シックスは現地の海兵隊と合流、占拠されていた対空システムを取り返し、避難船団の脱出する隙を作り出す事に成功する。

飛び立つ避難船を見送るシックスに、キャットからの通信が入る。ノーブルチームもまた、ニュー・アレクサンドリアで戦っていたのだ。
避難船が全て発進した事でコヴナントの攻勢も下火になっていた。この隙にシックスはノーブルチームと合流する。ジョージの訃報と共に。

2552年 8月23日 18:57 ニュー・アレクサンドリア
コヴナント艦隊はとうとうガラス化――生態系レベルまで地表を破壊する銃弾爆撃を、ニュー・アレキサンドリア市街に向けて始めていた。
ノーブルチームは各地に取り残された部隊の救出活動と、通信回復の為にコヴナントのECM装置の捜索・破壊活動を始める。

生存者の救助とECM装置の破壊を終えたノーブルはONIビルに集合した。だが、そこにはあの感傷的な大男の姿は無い。
それぞれのやり方でジョージを悼むノーブルチームに、司令官のホランド大佐からの通信が入る。暗号化も、隠蔽すらもされていない通常通信。明らかに異常事態であった。
だが通信を受け取った直後、事態はさらに急変した。コブナントのニューアレクサンドリアに核攻撃を仕掛けたのだ。

ONIビルから退避し、近くの核シェルターへ避難するノーブル。ビルを降りる途中カーターはホランド大佐からの命令を皆に伝える。
ソード基地の破壊。超巨大空母の攻撃により陥落したソード基地に向かい、機密情報を守るために基地データの破壊を指示されたのだ。
既に陥落から一週間近くが立っているのに関わらず、そして貴重なスパルタン戦力を投入してまで行われる破壊命令。
不自然な命令に疑念を持つキャット。だが、彼女はシェルターの入口で待ち伏せをしていたエリートに狙撃されてしまう。
374HALO:REACH:2011/06/18(土) 01:12:00.81 ID:IKP8mAxG0
2552年 8月29日 26:16 ONI・ソード基地
UNSC一般部隊の支援の下、ノーブルチームはソード基地へ進入、破壊工作を試みようとする。だが……

「逃げ遅れたようですね」
「あるいは、逃げなかったのかもな」
「逃げ遅れたんですよ。何もない」
指示された地点にやってきたノーブルチーム。周囲には簡易陣地とUNSCの兵士達の死体が転がっていたが、そこはエミールの言うとおり、ただの行き止まりであった。
アンティードットに位置の再確認を指示するカーター。ドットは指示された位置だと答えたが、直ぐに訂正する。正体不明の上位AIから位置の変更を伝えられたというのだ。
修正位置は、ソード基地から東に1.5キロ、地下2000フィート。疑念を口に出すジュンとエミールだったが、その直後、行き止まりだった壁が動き出した。
『修正ルートですリーダー』
「……いいだろう。ここまで来たんだ」

『強引なやり方をして悪かったわね。でも他に方法がなかったの』
隠し通路に設置されていた路面電車に乗り込んだノーブルを待っていたのは、ソード基地の戦いで死亡したと伝えられていた、ハルゼイ教授だった。
コブナントが執着する先時代文明の研究者でもあるハルゼイ教授を守るため、UNSCはソード基地の陥落にあわせて教授の死亡報告をでっち上げていたのだ。
『あなたの二人の部下もそうだったらよかったのに』

データの破壊指令は、ノーブルチームはおろかホランド大佐を含む広範囲に対する欺瞞命令であり、本当の命令はデータの回収であった。
かつてビシェグラードでキャットが回収していたデータモジュール。それは博士達が予想していた通り、先時代文明のデータ解析を大きく進めるものであったのだ。
人間ともコブナントとも違う種族の残した、人類には理解する事も困難なレベルの技術。これはリーチが陥落した人類にとって、最後の希望とも言えるデータであった。
そのデータの管理をするAIが、リーチを脱出するまでの護衛として選んだのだ。シックスを。
教授はシックスにAIパッケージを託し、ノーブルチームにリーチからの最後の脱出艦であるUNSC巡洋艦、ピラー・オブ・オータムに向かうよう指示した。

隠しラボから近隣のキャッスル基地へ退避するハルゼイ教授。拒む彼女を押し切り、カーターはジュンに彼女の護衛を命じる。
ジュンと別れ、三人となったノーブルチームはオータムの待つアソード宇宙船解体場へと向かった。
375HALO:REACH:2011/06/18(土) 01:12:52.04 ID:IKP8mAxG0
2552年 8月30日 16:52 アソード
アソードで待つオータムの元に、降下艇を使い向かうノーブルチーム。だがコヴナントはそれを見逃さず、コヴナント航空部隊の追撃を受けていた。
パイロットを務めるカーターは、自身と降下艇を囮にしてエミールとシックスに地上ルートを使うことを指示する。

徒歩と車両で解体場へと向かうエミールとシックス、だが解体場を目前にしてコヴナントの大型機動兵器スカラベに捕捉されてしまう。
エミールは強行突破を行おうするが、通信を受けたカーターは支援がなければ無謀だと二人を制止した。
貧弱な火力しかない降下艇、だがカーターは支援に十分な火力があると応じる。その言葉に、エミールは諦めたように言葉を返した。了解です、ブチかましてください、と。
スカラベは破壊された。カーターの乗った降下艇の体当たりを受け、谷底へ突き落とされて。

地上に事実上唯一残された地球軍のシップを目指して、コブナントも解体場へと集結しつつあった。
二人はオータムからの降下艇が向かっているランディングパットまで到達したが、そこも既にコブナントの攻撃に晒されていた。
「シックス、行け。パッケージを届けて、この星から脱出するんだ」
エミールはシックスにランディングパットを任せ、一人対空マスドライバーへと向かう。確実にオータムを脱出させるために。

「よくやってくれた。キャサリンの言っていたとおりだ」
降下艇に乗り、AIを受け取りにやってきたオータムのキース艦長。彼はAIを受け取り、ノーブルチームを称えた。
だが直後、コブナントのCCS級巡洋艦がアソード上空に到着し、シックス達もコブナント降下艇による奇襲を受けてしまう。
艦長の護衛を行っていたUNSC降下艇も撃墜されたが、コブナントの本命はキース艦長の降下艇ではなくマスドライバーであった。
低空から近づき、マスドライバー直上から降下するエリートの最精鋭部隊。すぐさま迎撃に移るエミールだったが、シックス達の見守る中エリートの攻撃を受け、倒れてしまう。
オータムを離陸させるには対空支援が必要だが、地上に支援可能な戦力は一門しか残されていなかった。
シックスは降下艇から差し伸べられた手を断り、エミールの残したマスドライバーの確保に向かう。

マスドライバーの砲撃を受け損傷するCCS級巡洋艦。制空権はギリギリでUNSCに取り返された。
そして一人地上に残ったシックスの目の前で、オータムは離陸し、リーチを脱出した。


2552年 9月12日
「コルタナ、奴らを振り切れたのか」
「残念ながら……」
地球の情報の絶対秘匿を命じる「コール議定書」に則り、コヴナントに追尾されたままではUNSC軍は地球へと向かえない。
ブラインドワープを行いリーチから地球とは別方向へとジャンプしたオータムだったが、コブナントはそれを見逃さず追跡しきっていた。
単独で撤退を続けるオータム。その進路の先には巨大施設が存在していた。宇宙空間に浮かぶ、巨大な環状惑星が。
376HALO:REACH:2011/06/18(土) 01:13:42.32 ID:IKP8mAxG0
2552年 8月30日 20:00 惑星リーチ 
破壊されたリーチの大地。その中でシックスは一人、戦い続けていた。

"スパルタンは不死身だ。奴等は行方不明になっているだけだ……"


2589年 7月7日 惑星リーチ
抉られた大地と山脈、破壊されたシックスのヘルメット。その上に根を張る草々。それらを背景にハルゼイ教授が語っている。

ほどなくリーチは陥落した。敵の攻撃は容赦なかったが、完璧とはいえなかった。
歴史は確実に受けづかれた。あなたのおかげでヘイローが発見され、その秘密は明らかになり、敵の目論見を阻止する事ができた。
我々、いえ、あなた達の勝利は間近だったのに。
でもあなたはリーチに消えた。肉体も、アーマーも、全てガラスの様に砕け散った。
唯一の残されたのは、あなたの勇気。勇気は消えなかった。勇気が、未来を作る。
377HALO:REACH:2011/06/18(土) 01:18:05.10 ID:IKP8mAxG0
以上でリーチ終了です。予想できていても、ラストにヘイローに向うオータムとかファン狂喜と言わざるをえない
ハルゼイ教授の護衛に就いたジュンのその後は完全に不明
日本語未翻訳の小説版があってそこで教授も救助されるけど、そこにはジュンの姿はないとのこと

ちなみにスパルタンには戦時特例法があるので、戦死者は本当に一人も居ません
作戦行動中行方不明なら一杯居ますが
378ムンラビ:2011/06/18(土) 15:23:21.58 ID:OVWunCIt0
今は無きBlueSky製作フリゲ「Moonlight Labyrinth」をば。
どうあがいても絶望なゲームです。


簡単5行あらすじ

ある日いきなりさらわれ、魔物と罠だらけの危険な城に閉じ込められたリリア姫。
数多の危険をかいくぐり、城の中で生き残っていた人々や友好的な魔物と協力しあい、
ついには助けに来た兄クリスとも再会。
色んな犠牲を払いながら、何とか城から逃げ出したリリア。
しかし、彼女に安息の日々は来ないのだった……。

嘘じゃねーよどのルートでも大体こうなるんだよ。
以下もうちょっと細かいストーリー。



今日はミスティーズ王国の姫リリアの18歳の誕生日。臣民を招いた華やかな祝賀会が開催されていた。
リリアは儀式を経て王家の証(グラフィックはペンダント)を受け取った。
兄クリスは、これを期に王位継承権を妹に譲るなどと言い出す。(名前がなぜかレオン表記なんだけど。どっちだよ)
しかし、王様には何か気がかりがある様子。

宴もたけなわになった頃、突然天気があやしくなり、黒フードの人物登場。
そいつはガレスと名乗り、契約に基づいてリリアをいただくと宣言。
兵士達が立ち向かうも、全員返り討ちに。クリスの目の前で、リリアはさらわれてしまう。

リリアが目を覚ますと、そこは西の塔と呼ばれる場所のてっぺんだった。遠くにミスティーズ城が見える。
そして、王家の証を塔の下に落としてしまう。
悩んでいると、何かの吠え声が。逃げるように進んでいくと、そこにはミノタウロスが。
(この辺でセーブはスロット使い切るくらい小まめにと公式アナウンス)

ミノタウロスの目をかいくぐって鍵を見つけながら塔を下りていくと、オークを発見。
彼は襲ってはこないが、助けてもくれない様子。その代わりゾンビじいさんのことを教えてくれる。
リリアが彼を訪ねると、ゾンビじいさんは魔法陣の使い方やモンスターグループのリーダーの情報などを教えてくれた。
彼の助言に従ってリーダーの狼男がいない隙に彼らのテリトリーを通過、なくしていた王家の証を取り戻す。
しかし、戻ろうとしたところで帰ってきた狼男と鉢合わせ。殺されそうになった時、王家の証に激しく反応した。
「まさか、ミスティーズの……」
379ムンラビ:2011/06/18(土) 15:24:13.54 ID:OVWunCIt0
狼男の名前はレオン。何とリリアの叔父にあたる人物で、リリア同様ガレスに誘拐されここに。
王家の証には各々特殊能力があり、それによって獣人化し生き延びたという。
また、この城の内部では時間の流れが違うとのこと。
レオンとしばらく話をした後、ミニドラゴンのバンと共に北の塔を調べることに。
そして現れるミノタウロス。バン、戦うも攻撃が全く通らない。この役立たずめ。
慌てて逃げ出す二人。しかし、途中ではぐれてしまう。
部屋の仕掛けや様々な仕掛けを解いて塔を探索しながら、バンも探すことに。
と、水路の向こうに兄クリスの剣が。何故こんなところに……。(剣を取るかどうかでEDが変化します)
ようやく見つけたバンは、トラップに引っかかっていた。仕方ないので解除してあげる。
ざっと探索しても、誰かの遺品だろう王家の証以外は特に何もないので戻ることに。

戻ってみると、アジトは血まみれ。何があったのだろう。とりあえず、南の塔に逃げることに。
南の塔は薄暗く、罠とスライムの巣窟となっていた。道中ランプを発見して進むリリア。
と、ハーフキャットを発見。その後を追いかける。
地雷原での鬼ごっこの末にようやく捕まえるものの、引っかかれ逃げられてしまう。
落胆した帰り道、ちょっと寄り道してみるとまたもや彼女を発見。今度は王家の証をタテに話を聞いてもらうことに成功。
ミミと名乗った彼女に案内された部屋には、小さな女の子が。
彼女はティア、何と15代目のミスティーズ王女。ちなみにリリアは18代目。
ミミに会うまでは王家の証の力で、それ以降はミミに守ってもらい今まで生き延びてこられたらしい。
(ティアの王家の証の力は弱いモンスターを遠ざけること。実際これ以降南の塔からスライムがいなくなる)
北の塔で拾った王家の証をティアに返すと、ミミはリリアにティアを託していなくなってしまう。

ティアと共に西の塔に戻り、一旦北の塔に戻り探し残した場所を探索することに。
(これをスキップするとエンディングが変化します)
落ちていた髪飾りを拾うと、半透明の女性が出現。彼女はルナ=ミスティーズと名乗った。2代目王女だという。
彼女は、ミスティーズの子孫とガレスを救うためにここに来たという。
が、危険を避けるために体と精神を切り離してしまい、体は行方不明。そこで体を捜すため、髪飾りを持ち歩いて欲しいとのこと。
しかし、東の塔への通路はガレキでふさがれていた。そこで、バンが頑張ってどかすことに。
すると、西の塔から瘴気が流れてくる。このままでは危ないので、バンは最後の手段として鏡の迷宮に逃げ込むことを提案。
わき道にある鏡に触れると不思議な光がリリアを包み、鏡の迷宮に誘った。その背後で、かすかに鏡の割れる音。
バン曰く、通った後に鏡が割れることがあり、そうなった鏡は使ってはいけないという。
つまり、もう引き返せなくなってしまったのだ。仕方ないのでそのまま鏡の迷宮を抜けることに。
すると、途中で兄クリスと再会。しかし、レーザーが兄妹の合流をはばむ。
クリスはリリアに鍵を渡し、リリアは拾った剣をクリスに返す(拾ってない場合は返さない)。
どこかで合流できることを祈り、リリアは再び迷宮へ。
レーザーや鏡の向こうの自分の助言だの妨害だの襲撃だのをかいくぐり、何とか迷宮を抜けたリリア。
そこで、ついにリリアはクリスと合流できたのだった(ただし剣を返してないと瀕死、ほどなく死亡)。
するとそこへガレスが現れる。
(クリスが死んでいるとお前は帰してやるといわれ、バンは反撃するものの一撃で即死。
 さらに髪飾りがないと続いてティアが拷問部屋送りに。髪飾りがあるとガレスが動揺、逃げていく)
髪飾りがあると、ルナが登場。そしてミミこそがルナの体であることが判明。
ガレスを説得するためにも同化しようというルナに、ミミは遣り残したことがあると拒否。どこかへ行ってしまう。
380ムンラビ:2011/06/18(土) 15:24:41.97 ID:OVWunCIt0
ついに東の塔に到着。そこは、血の沼とただよう瘴気が人を死へ追いやる場所だった。
まずはクリスが侵入するのに使った魔法陣の場所へ向かうことに。
(クリスが死んでいるとここでエンディング。髪飾りの有無でバッド1か2になる)
・バッドエンド1
たった一人で生還したリリア。しかし、罪の意識と恐怖に苛まれ続け、ついに発狂。
「皆をあの男に苦しめさせるわけにはいかない」と一族郎党皆殺し、自身も喉を掻き切って自害。
ガレスにとっても予想外だったが、不本意でも満足のいく凄惨な末路ではあった。

・バッドエンド2
ミミとルナのことを気にかけるティアに、ルナは大丈夫だから自分を置いて脱出するように説得する。
そして二人は生還。しかし三年の月日が流れており王は既に他界していた。
リリアの義妹として城で仲良く暮らしていたティアだが、ある日再びガレスにさらわれる。
結婚せず禍根を断ち切ろうとするリリアだったが、覚えのない子を孕むことに……。

クリスが生きていると、転移魔法陣のある部屋の扉が開かない。仕方なく、他の方法を模索することに。
途中、試練の魔法陣でリリアが溶かされそうになるものの、3人で力を合わせて突破。
罠をかいくぐって仕掛けを動かし、ついに大広間へと辿り着く。
(髪飾りがないとノーマル1になります)
・ノーマル1
そこにはミミがいた。嬉しそうに駆け寄るティアに来てはいけないと警告するミミ。しかし遅かった。
ミミの背後には血肉のタペストリーになったレオンと、『次は貴様らだ ミスティーズの汚れた王女達』という血文字が。
血の匂いで魔物が来ることを懸念し、ミミの提案で魔法陣の部屋に戻ることに。しかしバンはしばらく残ると言い出した。
仕方なくバンを置いて戻ると、広間から魔物達の食事の音が……。(戻るとバンが死んでいる)
ミミの提案で、塔の頂上からロープを垂らして魔法陣の部屋に侵入することに。
最初にミミが下りて安全を確認、次にティアが下りているところにガレス登場。しかしクリスも王家の証を使い応戦。
するとガレスはティアに標的変更。ミミが気をそらそうとするも失敗、ティアはいたぶられたあげく塔から落とされる。
クリスがガレスと戦う間にリリアは魔法陣の部屋に到着、クリスも人間離れした技でガレスの心臓に剣をつきたて部屋に到着。
しかし、ガレスは生きていた。リリアの右腕を切り落とし、クリスを殺害。そしてリリアを強制送還するのだった。
ミミはガレスに復讐するためにリリアと手を組み、次にガレスが狙うであろう彼女の子供を勇者にすることに。
そのためには、時に非情な手段もとられた(というかミミはモノ扱いしてる節が)。
しかし、復讐の成否をリリアが目にすることはなかった……。
381ムンラビ:2011/06/18(土) 15:25:16.63 ID:OVWunCIt0
大広間ではレオンとガレスが戦っていた。駆け寄る一同。
ガレスは怒りをあらわにし、ティアを狙う。すんでのところであらわれたミミがティアを救出。
(ここである装置を動かしていると「真実への扉を開いた」、動かしてないと「まだ終わってないのに残念」と言う)
そしてミミは髪飾りを受け取り、ルナと一つになる。ガレスはかなり動揺。そして逃げるように消える。
レオンが事情を尋ねると、ルナはかつての真実を教えてくれた。

レクイエム王国が栄えていた頃、忌み子とされた獣人達の吹き溜まりの集落が存在した。
彼らはいずれバーサーク症を患い理性を失った獣と化し、南の監獄城に幽閉される運命だった(ここが今回の舞台)。
しかし、ある時バーサーク症に耐性を持つ獣人が登場。これがミスティーズ家の始まりとなる。
ミスティーズ家は集落をまとめてどんどん大きくしていき、近隣諸国にまで勢力を伸ばしていった。
レクイエム王国はこれに反発、獣人達も希望を捨てたくないと必死に抵抗。結果戦争になり、多くの犠牲者が。
しかし獣の力と積年の恨み、どうせ死ぬならという気迫もあってレクイエムは圧されはじめ、ついに陥落。
戦争によってどちらも疲弊していたため、レクイエム王国の王子ガレスとミスティーズの娘ルナの婚姻で終結させることに。
しかしこの頃、一族の中にバーサーク症を発症する者が現れ始める。よりによって王様まで。
そしてルナとガレスを引き離し、レクイエムに連なる者を全員追放してしまう。ルナは軟禁され、ガレスは王に講和を求めるも門前払い。
一ヵ月後、ガレスを含むレクイエム家全員がふっつりと姿を消す。誰一人、その行方はつかめなかった。
それから数年後、王は惨殺され、次期国王の兄も行方不明に。
一方、ルナの耳に王家の不幸は王がレクイエムの人間達を南の監獄城に監禁した報いに違いないという噂が。
ルナはガレスに会いたい一心で弟に王位を譲り、監獄城へ。しかしそこには、おびただしい血と誰かの骨、魔物の群れが。
このままでは魔物の餌食になってしまうため、王家の証の力を使い精神を分離、肉体を獣人化させミスティーズの人間を助けるよう命じる。
精神だけでも話ができると思ったのに、復讐に囚われたガレスには精神体のルナが見えず、声も届かなかった。
仕方ないのでまず話ができる人を捜しているうちに、ガレスが何をしているかを知ってしまう。
様々な人と話をするものの誰も髪飾りを見つけてくれず。ついにリリアがそれを手にしたのだった。

ルナいわく、ガレスは東の塔の頂上にいるだろうとのこと。そこでもう一度説得するという。
(ここで塔の頂上に行くとノーマル2。ミミが真実への扉を開いているなら地下牢ルート出現)
・ノーマル2
塔の頂上には、ガレスがいた。説得しようとするルナに、ガレスは「何も知らないのか」と真実を告げる。
本来なら魔物の巣窟でありトラップなどなかったこの城にトラップを作ったのはミスティーズ家。
そして、ミスティーズがそこにレクイエムの人間を全員閉じ込め惨殺したのだ。
しかし、ガレスはルナに恩義と愛情を(未だに)持っており、ルナが味方してくれるならもう復讐はやめると言い出す。
ルナは悩んだ末に、ガレスについていく。するとガレスは、ミスティーズを一気に根絶やしにすることで復讐を終わらせることに。
ここでルナは完全にガレスを見限り、自分の全てをかけてガレスを王家の証に封印することに。
しかし封印が持つのは一年ほど。(といっても塔内なので現実では100年〜300年くらい)
その間にこの惨劇を世に伝え、ガレスへの対抗策を見つけるよう告げ消えていく。
魔法陣の部屋に入れるようになったため、リリアたちはその間に脱出。
リリアは女王として即位し、レオンやティアも王族として迎え入れることに。
そしてこの惨劇を世に伝えるが、それが後世に伝わったかどうか……。
……いつともしれぬ時、塔の頂上には壊れた髪飾りとガレスが。そして、ガレスはどこかに消える……。
382ムンラビ:2011/06/18(土) 15:25:39.50 ID:OVWunCIt0
ガレスと会う前に真実を確かめようとすると、ルナが先に塔の頂上に行っているといい離脱。
理不尽トラップをかいくぐって穴に飛び込むと、リリアは水瓶に激突。目が赤くなってしまった。
後戻りできないので先に進むと、剣山トラップが。誰かがスイッチを押していると発動しないようだ。
ここでクリスとレオンがトラップの奥に行くことに。帰りを待っている3人だったが、虫の大群に襲われ逃げることに。
しかし、逃げる途中でバラバラになってしまうのだった。
途中でバンやティアを見つけるも、何かが変。あげく、さっき会ったはずのティアに「会ってない」と言われたり、
突然レオンにニセモノ呼ばわりされて襲われたり。どうやら、リリア達のニセモノがいる様子。
虫から逃げながらも仕掛けをといていくと、真実の間にたどりつく。そこには、レクイエムの人々の恨みが綴られていた。
真実の間から逃げ出すと、そこにはニセモノ大集合。乱闘になり、誰が本物かわからない様子。
しかし、リリアのニセモノは何故かいない。そこで、近くにあった魔法陣を使ってまやかしを消し去ることに。
そしてもう一度真実の間に入ると、なんと記述が書き換わっていた。あれもまやかしだったのだ。
そこには、ミスティーズを恨んだレクイエム王家の一部の人間が、この城を改装して一族をここで惨殺し
ガレスに全ての憎しみを集結させてからバーサーク症にし魔王にするという計画の一部始終が綴られていたのだ。
するとここでリリアのニセモノが登場。リリアに水をかけた上でここに綴られていない真実を話し始めた。
リリアの王家の証の力は、獣人としての力を高めるもの。そして最初に浴びた水は、バーサーク症を誘発させる薬品だった。
(初代の王がバーサーク症を患ったのもこのため。ちなみにさっきかけた水もこれ)
そしてリリアの背中から翼が生え、ニセモノを殺してしまう。皆は驚くが、リリアはいたって冷静。
そして真実の間の奥で時の魔石を発見。この城の時間の流れが遅いのはこれが原因だった。
しかし壊せないので、台座から切り離して持っていくことに。そしてリリアの翼でトラップの上を飛び越え、東の塔へ。
383ムンラビ:2011/06/18(土) 15:33:28.72 ID:OVWunCIt0
・トゥルーエンド
ルナはリリアの姿に驚くも、今はそれどころではない。結局説得も封印も失敗し、なすすべがなかった。
リリアはガレスに地下牢で見た真実を告げる。しかしガレスは認めない。
ガレスはリリアを殺そうとしたが、リリアはその攻撃を時の魔石で受け止める。あっけなく砕ける魔石。
その中に閉じ込められていた時間が一気に流れ出し、ガレスはルナと共に時間の流れに押しつぶされ消えた。
そして城も、時の重さに耐え切れず崩壊を始める。慌てて逃げ出す中、リリアは髪飾りを拾い上げる。
道中、ティアが倒れる。彼女も百年前の人間であり、時間に押しつぶされ始めていたのだ。
リリアはルナの王家の証の力を使い、生きたいと願ったティアの精神を切り離した。
しかし、魔法陣のある部屋の入り口は崩壊していた。リリアの力では全員の脱出は不可能。
あきらめていた時、時の流れがバンにも押し寄せてきた。しかし、バンは押しつぶされずに成長。立派なドラゴンに。
バンとリリアで力を合わせ、全員が脱出に成功した。こうして、レクイエムの呪いは終わりを告げた。
しかし、リリアはバーサーク症の進行を自覚していた。ティアを救ったのは、人として残った最後の優しさだった……。

その後、クリスは国王に。民はリリアの変貌に悲しんだが、真実を知らないためまだリリアを敬愛していた。
ティアは精神だけとはいえ平穏な生活を楽しみ、レオンは寿命が縮まったものの王族として迎え入れられた。
そして行方不明になったリリアに思いをはせる。国中をあげて探しているが、彼女はまだ見つからない。
きっと彼女も、どこかで自由に飛んでいるのだろう……皆、そう思っていた。

クリス以外に誰も知らない地下の一室。そこにリリアはいた。
リリアがどこかに飛んでいく前にクリスはリリアを閉じ込め、その間にバーサーク症の研究を進めることにしたのだ。
しかし研究はうまくいかず、リリアの心はどんどん壊れていく。毎日話しかけるクリスのことを兄と認識しているかすら怪しい状態。
そしてある日ついにリリアは獣となり、鉄格子を破壊し――

As long as there is light, moon keeps shining through all eternity.
As long as she has breath, the beast keeps alive with her.

The End
384ゲーム好き名無しさん:2011/06/18(土) 21:13:17.57 ID:oWxO0c2M0
同人ゲームのPersona - The Rapture予約します。
385 忍法帖【Lv=2,xxxP】 :2011/06/18(土) 22:15:06.28 ID:upZSVcLw0
次スレ・・・
386 忍法帖【Lv=6,xxxP】 :2011/06/19(日) 00:10:50.70 ID:GJLV3ywn0
490kb超だし、投下は控えたほうがよさげかね
387ゲーム好き名無しさん:2011/06/19(日) 00:44:54.91 ID:bjoi95p/0
>>383までwikiに収録しました。
ごめん次スレたてられなかったorz
388 忍法帖【Lv=11,xxxPT】 :2011/06/19(日) 01:37:10.00 ID:qlEEJG9U0
忍法帖【Lv=ナントカ,xxxPT】っていう風に「T」がついてないと立てられないんですよね、たしか
投稿量は制限されるしマジでめんどくさいですね
389ゲーム好き名無しさん:2011/06/19(日) 01:38:24.99 ID:qlEEJG9U0
って、私立てられるじゃないか、いつのまに
それではちょっと立ててきますよ
390ゲーム好き名無しさん:2011/06/19(日) 02:10:01.15 ID:qlEEJG9U0
立てました。
それに先立って>>389までを未解決リストに反映しました

ストーリーを教えてもらうスレ part58
http://toki.2ch.net/test/read.cgi/gsaloon/1308416895/l50

つづいてテンプレを貼ります
途中で長く途絶えたら連投制限などに引っかかって中断したと思ってください
391ゲーム好き名無しさん:2011/06/19(日) 02:26:19.27 ID:qlEEJG9U0
テンプレを貼り終えました
392ゲーム好き名無しさん:2011/06/19(日) 04:35:17.23 ID:olidP+tC0
乙です。スレ立てありがとう
393ゲーム好き名無しさん:2011/06/19(日) 10:26:35.62 ID:nOsVVpuRO
スレ立て乙です。
394ゲーム好き名無しさん:2011/06/19(日) 11:37:20.66 ID:KcaB6xjxP
乙です
395ゲーム好き名無しさん:2011/06/19(日) 12:00:20.10 ID:nUBK861W0
ムーンライトラビリンス乙。

同じ作者の「寄生ジョーカー」はプレイしたが、
ムンラビもかなり救いようのない話だなw
396ゲーム好き名無しさん:2011/06/19(日) 13:20:08.58 ID:AKVsHBx4P
虫の部分が怖くて夢に出たんでゴミ箱つっこんじゃったわ
397ゲーム好き名無しさん:2011/06/19(日) 14:03:02.28 ID:x9jIHTP80
スレ立て乙です。
容量に気付かずに予約しちゃってごめんなさい。
398ゲーム好き名無しさん:2011/06/21(火) 21:02:36.97 ID:BBUWtbw90
Xbox360の未解決リストに載ってるプロジェクト シルフィード、続きからこちらに前半投下します。
それでスレがほぼ埋まるはずなので後半は次スレで
399ゲーム好き名無しさん:2011/06/21(火) 21:03:35.13 ID:BBUWtbw90
惑星レーベンドルフへ向かう部隊の一部に攻撃を受ける第931飛行隊。
デルタセイバー一機を搭乗者の新兵と共に失うも、アクロポリス及び第931飛行隊はアダンの攻撃をかいくぐりレーベンドルフに帰還を果たした。
しかしレーベンドルフも当然ながらアダンの攻撃を受けており、アクロポリスも補充兵を受け取り次第防衛戦へ参戦した。

奇襲と戦力差と通信妨害に耐えつつ善戦するレーベンドルフ駐留艦隊だが、艦隊司令官ヴィエラ中将が旗艦ごと敵前逃亡するという椿事を機に防衛線は崩れていく。
レーベンドルフ衛星軌道上のシュロス基地司令官ビギンズ中将は、アダンの一次攻勢を凌いだ直後にレーベンドルフ放棄を決定。星系からの脱出計画を開始する。
アクロポリス隊には、特にアダンの報復対象となりうる民間人退去者の護衛任務に当てられた。そこにアダンの精鋭戦闘機隊が襲い掛かった。

戦いの末レーベンドルフからの退去に成功したアクロポリス隊。
しかし脱出中に受信した敵のブロバガンダ放送を見て、931飛行隊・ライノ小隊所属の新兵カタナの顔色が変わった。
レーベンドルフで交戦した敵の精鋭部隊、ナイトレイヴン隊の隊長は、カタナとその同僚であるエレンの士官学校時代の友人、マーグラス・メイスンであったのだ。
マーグラスの出生地、惑星アケロンはアダン自由同盟に参加していた。
惑星国家の軍事連合であるアダンの発足に伴い、アダン参加国出身者は母国に強制送還され、マーグラスもその一人であったのだ。
しかし、「故郷に帰ってもアダン軍に入ることはしない」と言っていた彼が、何故兵士として帰ってきたのだろうか。

追撃部隊やエンジントラブルに悩まされつつも、星系から脱出、アダンの第二目標と目される惑星ハージェンティーンに到着したアクロポリス。
ハージェンティーンの領域に到着した直後、アダン軍の先遣隊との遭遇戦始まり、飛行隊長のレイモンド・ローガン大尉が負傷してしまう。
友軍との合流を行えたアクロポリス。搭載部隊兼訓練部隊であった第931飛行隊は、その戦果からそのままホワイトグリフォン隊として再編された。
そしてその隊長には、頭角を現していたカタナが選ばれる。

ハージェンティーンには各地から地球軍艦隊が集まってきているが、アダンもまた総攻撃の準備を着々と整えていた。
地球軍は艦隊終結までの時間を確保するため、第十七独立艦隊を臨時編成、陽動作戦としてアダン領へ進入・ゲリラ戦を行う事を計画する。
アクロポリスは第十七艦隊に、レーベンドルフで失態を演じたヴィエラ中将とともに編入される事となった。

アダン領への進入に成功した第十七艦隊は、戦力を前線に回し手薄になったアダンの拠点を攻撃して回った。
そしてアダン自由同盟が武装勢力となったきっかけであり、当時のアダン自由同盟議長と数千の民衆が犠牲となった惑星アケロンに近づいていた。
400ゲーム好き名無しさん
惑星環境システムの故障によって壊滅したアケロン周辺には、「手ごろな」アダン軍が駐留していた。
連戦連勝に油断していたヴィエラ指令はこれを追撃、しかしそれは敵の罠であったのだ。
放棄された惑星環境システムに潜んでいた敵部隊に奇襲を受ける第十七艦隊。ヴィエラ指令はまたもやアクロポリス隊を囮に使い逃亡してしまう。
ナイトレイヴン隊からの襲撃も受けたアクロポリスも、レイモンドの犠牲によって窮地を逃れる事になる。
そして戦いの最中、カタナはマーグラスを問い詰める、何故戦うのかと。
マーグラスの答えは簡潔であった。彼が故郷に到着する目前に起こったアケロンの悲劇、これは事故ではなかったからだ。
あれはイーガン議長を狙った地球統合政府のテロリズムであり、これはその復讐なんだ、と。

単独での逃避行の末、無事ハージェンティーンへ帰還したアクロポリス。
第十七艦隊は半壊したものの、時間稼ぎ目的は成功、ハージェンティーン周辺宙域は地球軍艦隊に埋め尽くされていた。
アクロポリスは、とうとう処罰されたヴィエラ指令に変わりビギンズ中将の元に配備され、アダン艦隊との決戦に臨む。
正面決戦は各戦域で差はあるものの、おおむね地球軍優位に進む。しかし艦隊戦のさなか、突如アダン軍は陣形を変更する。
そして変更された陣形の中央、地球軍種直艦隊正面の空間にアダン自由同盟軍の超兵器、プロメデウスドライバーがワープアウトした。

惑星環境開発システムを基に作られたプロメデウスドライバーの主砲は、ハージェンティーンごと地球統合軍艦隊主力を打ち砕いた。
艦隊旗艦や司令部も消滅、混乱する中残存する地球艦隊は地球へと脱出した。しかし、地球軍はその主力を、僅か一戦で失ったしまったのである。
アダンでは逆に、地球艦隊に与えた戦果に沸き立った。しかし、艦隊ごと惑星ハージェンティーンを、しかもその住民ごと攻撃した事に嫌悪と反発を感じる人々も、確かに存在したのであった。

統合政府は防衛ラインを地球圏まで後退、アダンの進攻…プロメデウスドライバーによる地球攻撃を防ぐために戦力の再集結を急いでいた。
先行するアダン軍との小競り合いの中、防衛・監視システムに損害が出始めていた。
その穴を埋めるために出撃したホワイトグリフォン隊は、威力偵察を行うナイトレイヴンと遭遇する。しかし結果は、ホワイトグリフォン隊の圧勝。
かつての同輩に完敗し、そしてプロメデウスドライバーの使用に怒りと困惑を持っていたマーグラスは、生き残ったナイトレイヴン隊とともに投降した。

マーグラスによってもたらされた情報を元に、地球軍はプロメデウスドライバーへの攻撃を決意する。
プロメデウスドライバーの排気口は、その心臓部に直結している。戦闘機隊をここに突入させ、破壊するというのだ。
ビギンズ中将に率いられた艦隊の援護の元、アダンの防衛部隊を破り、ホワイトグリフォン隊とナイトレイヴン隊を中核とした戦闘機隊はプロメデウスドライバーへ肉薄する。
マーグラスは己を犠牲にし、カタナを心臓部に送り込む事に成功する。心臓部は破壊され、プロメデウスドライバーは大破し、搭乗していたアダン自由同盟の議長もまた運命を共にした


破壊され荒廃し、そして今緑の草原に包まれる惑星となったアケロン。カタナとエレンはたった二人、そこにたたずんでいた。