乙女@【一つ】ストーリーを教えてもらうスレ【よろしく】
426 :
422:2012/04/16(月) 12:27:13.19 ID:???
遅くなったが秀雄ルート投下しておく
ゲームの面白さの十分の一も伝えられない要約で申し訳ない
誤字脱字等あるだろうが、一つご容赦願いたい
物語の主人公は野宮子爵家の娘、百合子。その16歳の誕生日に、にぎにぎしく開かれた夜会
家同士の付き合いがある尾崎男爵家の一人息子、陸軍少尉の尾崎秀雄も招かれていた
幼馴染ではあるがやや疎遠となった今、冷たい容貌や態度の秀雄に近づきがたいものを感じる
秀雄と顔を合わせた時、この宴が自分の結婚相手を探すためだと耳にする
結婚について聞かれ、嫌だがしなければいけない、と答える百合子に「手を引いて逃げてやろうか」と言う
冗談だと笑う百合子。だが秀雄は家のことを考えるなら、金持ちとの結婚は義務だと言い切る
家のことをバカにされたと憤る百合子だったが、逆に秀雄こそ自分の家をバカにするなと返す
莫大な借金があるとはいえ、代々続く大名華族の野宮家には、維新以降に家を興した勲功華族の尾崎家を成り上がりと蔑む者がいるのだ
しばらくして、秀雄はさっきのことを詫びに来る
今日の自分はおかしくないかと百合子に聞かれ、「いつもよりきれいだ」と、どもりながら答える秀雄
秀雄の体から立ち上るせっけんの香りに、なぜか泣きたくなる百合子だった
夜会の途中で乱入してくる暴漢。秀雄は血刀をふるって対抗する
あわや暴漢に切り伏せられようとする百合子
死を覚悟した瞬間、華麗に登場して窮地を救ったオーデ・コロンの香る男
それを見て、秀雄は苦虫をかみつぶした表情を隠しもしない
突然屋敷中に響く母の悲鳴。何者かに殺された父を見て、母が上げたものだった。その傍らには青い桔梗
その日以降、野宮家に暗雲が立ち込める
日を改めて、百合子を助けたあの男、貿易商の斯波が求婚に訪れる
金で買われるのは嫌だと百合子は拒否するが、母の繁子は乗り気だ
その日から三日もたたないうちに再び野宮邸を訪れた斯波。斯波は、百合子を外へ食事に行こうと誘う
兄の瑞人はこの縁談に反対で、妹と二人で外出させるわけにはいかない、と条件を付ける
秀雄に付添いを求めると、最初は戸惑うが瑞人に説得され承諾する
食事の席で、斯波から秀雄の婚約者について初めて知らされた百合子。茫然自失の体で後のことは覚えていない
帰ってきた野宮邸の前で話をする二人
聞けば、婚約者は名門華族白田家の一人娘だという
なぜ話してくれなかったのか、となじる百合子を、ただ幼いころ一緒にいた関係で何でも打ち明けられるわけではないと切り捨てる
冷たくとげとげしい秀雄に打ちひしがれる百合子
秀雄と百合子の縁談が持ち上がったこと、百合子の母繁子が一笑に付したこと、それに怒った親せきが意趣返しに名門の令嬢との縁談を画策したことを話す
百合子は今までの非礼を謝った。秀雄に怒りの色はない。それどころか、「縁談に乗り気ではない」とまで断言する
先日の夜会での出来事を思い出して「どこかに連れて行ってくれないかな」というと、秀雄は驚く
お互いの身の上に持ち上がった縁談を思い、暗澹たる気持ちになる
せつなげな表情の秀雄は、令嬢と結婚しても、他に愛する人がいるから幸せにできない、と打ち明ける
それではお互い不幸になるだけだと返すが、どうせ華族の結婚など体面のためにするものと言われ反論できない
秀雄と結婚できていれば、きっと幸せになれたという百合子
なぜか秀雄は憤り、「結婚は遊びじゃない。お前は俺の子が産めるのか」と真剣に問う
すぐ冗談だ、と秀雄はごまかしたが、その言葉を信じるほどほど鈍感な百合子ではない。そして、その言葉に秘められた意味も。
この日から、百合子は秀雄を幼馴染としてではなく、一人の異性として意識していくことになる
野宮邸を訪れた斯波から、天海家の食事会に誘われる
あまり気は進まないが、秀雄とその婚約者も招かれていると聞いて、百合子の胸はざわめく
穏やかならぬ気持ちを抱えながら、百合子は兄の瑞人と食事会に出かけることになる
食事会当日。政界財界の貴顕淑女が一堂に会し、贅を凝らした食事会に気後れする百合子
斯波と鏡子が交わす当意即妙な会話の最中も、百合子の目線は秀雄を探していた
しかし、意に反して秀雄とその婚約者の姿はない
彼らがいたらいたで平静を保てないだろうが、いないならいないでやにわに不安が募る
宴の途中で、瑞人は帰宅を促す。周囲は儲け話に興じるものばかり。金儲けの亡者だと蛇蝎のごとく嫌う瑞人
秀雄のことを思うと後ろ髪がひかれる思いだったが、正直に打ち明けるわけにもいかず食事会を中座する
帰ろうとする野宮兄妹に、斯波が声をかける。「秀雄の姿を見たが、挨拶だけして帰ってしまったようだ」と
どうやら、婚約者が気分を悪くして食事会に参加できなかったようだ
期待はずれの思いを胸に、百合子は席を立ったのだった
食事会の会場であるホテルを出ようとしたその時、後ろから聞き覚えのある声がかかり、百合子を引き留める
軍服姿のまま息せき切って走ってきた秀雄だった
帰ったのじゃなかったのか、と問う瑞人に、秀雄は「連れの女性が気分が悪くなったので、部屋を取って休ませていた」と答える
再び百合子に帰宅を促す瑞人だったが、秀雄と話がしたいとやんわり拒否する
瑞人は、百合子が食事会に来た目的は秀雄のようだ、と図星をさして先に帰宅する
夜の銀座のにぎわいの中、居心地のいい沈黙に満たされたままそぞろ歩く二人
秀雄の婚約者について話しているうち、いかに自分がおてんばなのか思い知る百合子
しかし、秀雄はそんな百合子を好ましいとみている
そうして語らううちに、遠かったお互いの距離が縮まるような気がした
秀雄は打ち明ける。「自分が冷たいのは意地を張っていたからだ。百合子にとって、自分は不必要な存在に思えて」と
この瞬間、二人の間にあった見えない壁は打ち砕かれた
頬を染め、急いでさっきの言葉を打ち消す秀雄。本心とは裏腹な言葉が泳ぐ
夜の街に生暖かい風が吹く。立ち尽くし、お互いを見つめあう二人
秀雄と交わす会話、そして、秀雄と共に過ごす時間。この瞬間も、言い知れぬ幸せを感じる百合子だった
そして訪れる母の死。母を死に追いやった桔梗。百合子も悲しみに打ちひしがれ喪に服す
それから、秀雄はしばしば野宮家を訪れるようになった
百合子も、それを福音のように感じている
母の死からひと月近くたった時、秀雄は一つの提案をする
知り合いから浅草のオペラの券をもらった、そろそろ家から外出してみればどうか、というのだ
秀雄の婚約者に罪悪感を抱きながらも、気遣いに感謝して提案を受け入れる
浅草は大変な人混みだった。はぐれないように秀雄に手を握られ、心が温かくなるのを感じる百合子
オペラが終わり、食事をしようと誘う秀雄。婚約者のいる秀雄に依存してはいけないと戒めるが、百合子の心のタガは緩んだまま
もう少しだけ秀雄と一緒にいたい、と思う
その時、人込みから響く男の声。秀雄の同僚の軍人だった
酔いの回った軍人は、百合子と秀雄の仲を下卑た言葉で揶揄する
憤然として鉄拳をふるう秀雄。たちまちあたりは大混乱になる
軍人同士のけんかを、百合子はただ見ているだけしかできない
秀雄は百合子を人力車に乗せて家に帰るよう指示し、駆けつけてきた警官に出頭したのだった
浅草の事件から数日後、相も変わらず不遜な態度の斯波がやってきた
そして、秀雄が例の件で謹慎を命じられたと聞く
斯波が去った後、いてもたってもいられなくなった百合子は、ささやかな見舞いの品を持って、尾崎邸を訪れたのだ
部屋に通された百合子。秀雄は傷だらけだったが元気そうだ
部屋には秀雄が昔から好きだった鳥類の剥製、そして動物学の書物が並んでいる
秀雄の幼少時代を思い出し、しばし思いを馳せる百合子
浅草の件で百合子は謝罪するが、秀雄は「お前のせいじゃない、お前との仲を馬鹿にされるのが我慢ならなかった」と答える
その言葉に意味を問おうとした時、女中がドアをノックする。秀雄の婚約者がもうすぐ来る、と
帰ろうとする百合子の腕をきつくつかみ、秀雄は屋敷を出て近くの河原にまでやってきた
婚約者と会うより、百合子と会っていた方がいい、と胸中を吐露する秀雄。我知らず、百合子の胸は高鳴る
燃えるような夕焼け空の下、百合子に請われた秀雄はぽつぽつと婚約者のことを語る
婚約者の名は白田佐和子。由緒正しい名門白田侯爵家の一人娘
そんなことを語りながらお互い無言になった時、写真屋が一組の男女を撮影する声が聞こえた
百合子は、幼いころの秀雄との思い出を語る。バツの悪い思い出話に、不機嫌な表情になる秀雄
その時写真屋が二人に歩み寄り、秀雄と百合子も写真を撮ってはどうかと勧める
未婚の男女が共に写真に写るということがない時代、それは恋人同士か夫婦であることを意味する
「ひとつ撮ってみるか」という秀雄の誘いに、百合子は迷いながらも承諾してしまう
撮影後、秀雄の顔がぼろぼろだ、と笑う百合子
傷だらけなのに、よくも写真など勧めたものだ、と
秀雄に引き寄せられ、急に視界が暗くなる。そして、百合子の唇に重ねられた秀雄の唇
心臓は早鐘を打ち、頬は紅潮している。恐ろしいまでの幸福に満たされる
初めての口づけ。お互いに別の相手と縁談があるというのに
それまでの甘い空気はどこへやら、罪悪感を感じた百合子は秀雄と口論になる
そして、けんか別れした百合子は夢中で屋敷まで帰る
遊びで口付けなどできない、生真面目な秀雄。その秀雄をどうしようもなく愛してしまった百合子
この状況にどう片を付けていいかわからない百合子だった
数日後。百合子は鏡子の訪問を受ける。
元気がないのを心配した斯波が牛鍋を食べさせたいと言っていたと、鏡子から外出の誘いを受けるが、無論瑞人は反対する
鏡子なら両親の死に関わる謎、とりわけ桔梗について知っていることがあるかもしれない、と百合子は承諾する。しぶしぶ瑞人も同伴する
外出先の料亭で斯波と合流する三人。既に斯波は出来上がっている
斯波は百合子に、秋草が描かれた金蒔絵の鼈甲櫛を送る
高価な品を送られても困ると拒否するが、斯波は強引に百合子の髪に櫛を付ける
それを見て似合うとはしゃぐ鏡子。仕方なく似合っていると認める瑞人
鏡子は、斯波はシベリア出兵が決まって儲かっている、もっといろんなものをねだってしまえとけしかける
酒が進み、桔梗のことは聞きだせる雰囲気ではなくなっていた
百合子は、食事の間も秀雄のことばかり考えてしまうのだった
その日の夕方。ようやく野宮邸を訪れた秀雄
憎まれ口を聞く百合子に、秀雄は話をしようと庭に出る
硬い表情の秀雄は、百合子と結ばれるためにシベリア出兵に志願したと告げる
戦争未亡人の再婚は難しい。秀雄のシベリア行きを聞くと、白田家は婚約を破棄してくるだろう、と目論んでそういう選択をしたのだった
秀雄はなおも続ける。斯波か、あるいは他の誰かの男と結婚する百合子を見たくなかった、と
だが、秀雄自身が戦死してしまう可能性もないとはいえない
茫然とする百合子に「万が一の時はこれをくれた男に頼れ」という秀雄
斯波からもらった櫛を、うっかり髪に差したままにしていたのだった
何もかも一人で決めてしまった秀雄に怒りが募る百合子。感情のままに言葉をぶつける
罵り合いのさなか、秀雄が好きだと口走る百合子。それを聞いて一瞬秀雄の頬が染まる
秀雄も、「俺でなければ、あの物好きな成金以外にお前の相手はいない」と返す
どさくさにまぎれ、お互いの気持ちを告白してしまった
泥沼の口論がしばらく続いた後、呆れて背を向け、別れの言葉を口にした秀雄。
自分はどうするべきなのか。焦燥感にさいなまれた百合子はある行動に出る
【諦める】→白エンドへ
【追いかけてひっぱたく】
秀雄を追いかけ、その頬に平手打ちをお見舞いする百合子
茫然とする秀雄に、百合子は怒りに任せて秀雄をなじる
百合子のためを思っての苦渋の決断を非難され、秀雄も怒りが募る
後は売り言葉に買い言葉。二人の大声を聞きつけた真島が仲裁に入る
「残された時間が少ないなら喧嘩しないでください」という真島。その言葉に我を取り戻す二人
秀雄は後日出直すといい、野宮家を去って行った
その時、秀雄が落としていったものがある。例の、河原で写した二人の写真だ
写真を胸に抱きながら、百合子は秀雄の帰還を毎日祈ろうと決意する
翌日。軍服姿で野宮家を訪問した秀雄。無言のまま絡み合う二人の視線。こみ上げる様々な感情
やがて秀雄は口を開いた。「浅草に行って、十二階に上りたい」と
「この国を覚えておきたいんだ」という秀雄の言葉に、百合子は従う
十二階の屋上で、秀雄に肩を抱かれ、周囲を見渡す百合子
他愛もない話をしながら、物悲しさがこみ上げるのをどうしようもできない
絶対帰ってきて、と言われ、「俺は帰ってくる。絶対帰ってくる」と誓う秀雄
二人は固く抱き合い、お互いの唇を求めあった
秀雄は震える声で「お前の全てを見せてくれないか」と願う
その言葉に秘められた意味を理解したうえで、自分も秀雄を感じたい、と答える百合子だった
ふと、あの夜会の夜を思い出す。あの時も、秀雄に連れて行ってと答えたことを
あのときは戯れだったが、今となっては、秀雄と真剣にどこかへ逃げてしまいたいとさえ思う
ただの幼馴染から、一人の男性として愛するようになったのは、百合子にとってごく自然な流れだったのだ
うらぶれた待合に入り、夢中で口づけを交わす二人
あらゆる所へ口づけをしながら、愛の言葉を囁く
いつしか口付けだけでは飽き足らず、お互いの肌を求めるようになる
秀雄は経験がない様子で、女の帯の解き方もわからない
そのことに驚く百合子。秀雄は瑞人よりも年上で、既に経験があると思い込んでいたのだ
しかし、潔癖で女にだらしない瑞人を嫌っていた秀雄は、そういう誘惑も一切断っていたのだろう
その幸福に酔いしれる百合子。ぎこちないながらも、二人はお互いを高め合う
隔てるものがなくなったとき、重なる肌と肌。溶け合う心と心
事後、秀雄と枕を並べながら語り合う。百合子のために秀雄は出征する。その事実を重く受け止めながら
かすれる声で「俺を待っていてくれるか」と問う秀雄
泣きぬれる百合子に「お前と俺はもう夫婦だ」と告げる
時間の許す限り、固く抱きしめあう二人だった
秀雄はシベリアへと出征した。百合子の耐える日々が始まる
数日後、秀雄からの手紙が届く。はやる心を抑えて開封する百合子
そこには几帳面な文字でシベリアの大地、軍の様子などがつづられていた
文を読み進むうち、二人で撮ったあの写真をなくしたから別のものを送ってほしい、と秀雄の希望が書かれていた
さっそくいいものがないか引き出しを物色する百合子
その中に、一年ほど前に使用人と撮った写真があり、自然な表情をしているそれを送ることにした
自動車の音が外から響き、藤田が来訪者の名を告げる。「白田佐和子様です」と
緊張の面持ちで佐和子と対面する百合子。美しいが表情の変化に乏しいその顔からは、なにも窺えることができない
突然の来訪を詫びる佐和子。単刀直入に秀雄のことを切り出す
百合子にとって、秀雄はどんな存在かを問われたのだ
【ただの幼なじみ】→うそつきエンドへ
【大切な人】→鳥エンドへ
正直に、幼馴染として、そして一人の男性として大切な人だと答えた百合子
秀雄に恋をした佐和子は、百合子がどのような女性か確かめ、胡乱なものなら二度と秀雄に近づけないようにするために来たのだった
嘘いつわりのない誠実な心を感じ取った佐和子は、目尻に涙を浮かべて敗北を受け入れる
聞きたいことは聞いた、とばかりに佐和子は茶も飲まずに帰っていく
秀雄のこと、佐和子のことで千々に心が乱れる百合子だった
そしてまたやってきた斯波。伊達男らしく、赤い薔薇の花束と贈り物を持って
求婚を断った百合子を、軍人のことかと言い当てる斯波
斯波は、たとえ恋人がいようと、百合子を妻にさえできればいいとうそぶく
身分目当ての求婚だと受け取り鼻白む百合子
秀雄の存在を知ってもなお諦めない斯波に困惑していると、いつの間にか訪れた鏡子が助け船を出す
全力で警戒する斯波をさておいて、鏡子は百合子に尋ねる。「白田家の佐和子さんが来たのね」と
聞けば、佐和子は無断で家を出奔し、どこへ行っていたか尋ねられても答えないという
白田夫人から相談された鏡子は、秀雄との縁からここに来たのではないかと思ったのだ
込み入った話になるから、野宮家来訪の件は内密にしておく、という鏡子
そして、鏡子から帰宅した佐和子が婚約解消を口にしたことを知る
秀雄を愛しているにもかかわらず、二人の間に割って入ることはできない、と知るや身を引いた佐和子の潔さに打たれる百合子
話は変わって鏡子は、白田夫人が古書収集の趣味があること、亡き母の繁子も読書家だったこと、
母の書物を買い取る仲介をすることなどを伝えて去っていく
瑞人に相談すると、どの本を処分するかは百合子が決めればいい、という
百合子は、真島に蔵の整理を手伝ってほしいと願う。繁子の品を整理すると聞いて、一瞬動きが止まる真島
了承した真島から、秀雄の消息について聞かれ、手紙が来た、と答える百合子
真島に励まされ、胸に熱いものがこみ上げるのだった
その夜。まどろむ百合子は、窓から見える明りにおののいて目を覚ます
その光は、蔵のあたりに位置していた。何か盗まれたらどうしようと思うが、兄も藤田も帰ってこない
決心した百合子は一人で蔵に近づく
その中にいたのは三郎だった。蔵の中を荒らす様子に激昂する百合子
理性のかけらもない三郎は、百合子をとらえて犯そうとする
そこへ響く一発の銃声。右肩を打ち抜かれ、無様なうめき声をあげて倒れ伏す三郎
かけつけてきたのは日本にいるはずもない、夢にまで見た愛しい人
百合子が送った写真に写っていたのは、大陸で有名な阿片売買の大物。そのことを知って危機感を抱いた秀雄は、軍律に背いて帰ってきたのだった
駆けつけてきた真島を一喝し、正体を暴く秀雄
いくら問い詰められても、真島はとぼけてしらを切る
蔵を荒らした理由を問われ、「思い出が欲しかった」とつぶやく真島
真島は銃を取り出し、百合子につきつけながら茂みに隠れる
慌てて追いかける秀雄だが、時すでに遅し。三郎の口を封じ、まんまと逃走したのだった
後日、秀雄の部屋で語らう二人。真島のことを話しながら、話せば話すほど謎に包まれていくのを百合子は感じる
この話はもうよそう、という秀雄。二人の仲はようやく周囲に認められたのだ
嬉しいが、またいずれ出征してしまう不安に駆られた百合子に、秀雄は軍を辞めると宣言する
かねてから望んでいた、鳥類の研究をするため大学に入りなおす、と
シベリア行きといい、軍を辞めることといい、相変わらず秀雄は何でも一人で決めてしまう
この性格はきっと変わらないのだろう
家庭を持っても、お互い子供のように言い争うに違いない。そう思った百合子はおかしさを隠せなくなった
秀雄は百合子の手を取って口付け、「これから同じ鳥かごに入って暮らすんだ。最高だな」という
苦難の末につかんだ幸せの極みを味わい、ほほ笑む二人だった
【グッドエンド・鳥】
数年後。夫婦となった秀雄と百合子の間には、二歳になる息子が生まれている
鳥類学者となった秀雄は、奥地の調査に行くときも百合子を必ず伴う
日本領である、南海の島に大学の研究者と新種の鳥の調査にやってきた秀雄と百合子
百合子は、あまりの未開ぶりに癇癪をおこす
例によって言い争う二人。こんなところはちっとも変わらない
が、笑い顔も増え、冗談の一つも口にするようになってきた秀雄
百合子の機嫌を取りながら、濃密な空気が二人の間に漂う
他の仲間に気兼ねしながら、熱帯夜の下熱烈に愛し合う秀雄と百合子
事後の寝物語に、いつしか話題は瑞人のことになる。困ったことに、放蕩を改めない瑞人
秀雄は、瑞人が百合子に対して抱く感情について、うすうす気が付いている
幼いころの思い出話から、「百合子を剥製にしたいと言って母親をギョッとさせた」と思いだす秀雄
その言動に寒気を覚え、これなら母が拒否しても仕方ないと思う
結ばれるまでの回り道は、実は秀雄のせいではないかと少し恨めしく思う百合子
だが、そんな秀雄を抜き差しならないところまで愛してしまっている。それは秀雄も同じこと
先に寝入った秀雄を追いかけるように、百合子にも眠りが訪れたのだった
【バッドエンド・うそつき】
佐和子に秀雄のことを聞かれ、ただの幼馴染とごまかした百合子
白田家というと、政界でも有数の大立者だ。その娘の意向に逆らうことが、貧乏華族の百合子にできるはずもない
それを聞いて、怪しい女を秀雄に近づけるわけにはいかない、安心して秀雄と一緒になれると佐和子は宣言する
命をかけて、百合子と結ばれようとした秀雄の真心を台無しにしてしまったのだ
佐和子はすぐに野宮邸を辞する。百合子は秀雄との将来を思って暗澹となる
百合子のことを思ってシベリアから帰ってきた秀雄。だが、白田家との縁談は保持されたまま
諦めたくない、と苦しい思いで口づけを交わす二人だったが、様々なしがらみが二人を縛りつける
尾崎家を出た百合子を迎えたのは、斯波だった。最近の斯波は、見境もなく百合子を追いまわすようになっている
お互い、別の相手と結婚するしかないのか、と諦めた百合子だった
二年後。斯波の妻となった百合子。秀雄を諦めたくはなかったが、白田家の圧力からそれを受け入れざるを得なかった
決まった時の決まった時間に秀雄との逢引を繰り返している
白田家、斯波家の暗黙の了解の中、行われているこの逢引
白田侯爵の婿となり、軍での出世街道を登る秀雄。容貌の冷たさにも磨きがかかってきた
秀雄は、百合子の下の毛を剃刀で剃る。百合子の必死の哀願にもかかわらず
斯波の妻となったことを「うそつき」と罵る秀雄。彼が反応する女性はただ一人、百合子だけ
夜ごと斯波に抱かれている百合子には、詫びることしかできない
斯波の子を身ごもっていると知りながら、強引に交わる秀雄。百合子もそれを受け入れる
嫉妬に駆られながら、暗い快楽に酔いしれる二人
交わりながら、秀雄は百合子に罵倒の限りを尽くす。痛みに似た快楽を与えながら
極まったとき、「消えてなくなってしまえ!」と叫ぶ秀雄。情事の余韻のさなか、百合子はそうした方がいいか尋ねる
震える声で「嘘に決まっているだろう」と答える秀雄。泣いてすがりつく秀雄を、愛おしいと思う百合子
歪んでしまってはいるが、そこに存在したのはやはり愛以外の何物でもなかった
お互いをの全てを嘘で塗り固めながら、これからもこの逢瀬は続く
【バッドエンド・白】
シベリア行きを決めた、去りゆく秀雄を諦めた百合子。
翌日浅草に赴いた二人は、古びた待合で結ばれる
帰還を約束する秀雄。涙ながらに待つと誓う百合子
そうして秀雄は出征していったのだった
訪れた斯波から、この戦争は長引くと聞いて不吉な予感に駆られるが、百合子にできるのは待つことだけ
しかし、待てど暮らせど秀雄は帰ってこない。手紙は時折届くが、徐々に疲れをにじませたものへと変化していった
そして季節は秋となり冬となり。年が明け、野宮邸にも雪が降り積もる
極寒のシベリアに思いをはせる百合子
そんなとき、瑞人が帰ってきた。疲れた様子の瑞人は、尾崎家に行ってきたことを告げる
内々に、秀雄の戦死の知らせが伝わったと残酷な真実を告げた
百合子の頭は、言葉の意味が理解できない
そして、婚約解消を急いだ白田家から鏡子を介して瑞人が持ち帰ったもの。それは、あの河原で撮った写真だった
薄汚れたその写真を、秀雄は常に肌身離さず持ち歩いていたのではないか、と瑞人は言う
直立不動で写った写真を見ている百合子の視界がぼやける
激情に駆られ写真を破り捨てようとするが、秀雄の形見であることに思い至り思いとどまる百合子
ふと、脳裏に在りし日の秀雄の面影がよみがえる
初めての口づけ。交わした愛。そして、果たされなかった約束
写真をつかんだ百合子は、瑞人の制止も聞かず家を飛び出した
力の限り駆けて、着いたのはあの思い出の河原
見渡す限り一面の白、白、白。倒れ伏した百合子に、しんしんと雪が降り積もる
しかし、なぜか冷たさは感じない。その時、聞こえたのは耳に懐かしい声
秀雄が、百合子を迎えに来たのだ。これでようやく結ばれる、と百合子の胸は嬉しさでいっぱいになる
重苦しい肉体を脱ぎ捨て、魂となった二人は、もう二度と離れないと誓って天駆けるのだった
これで蝶毒はすべてのルートのバレがそろったな
だが、初回限定版のエクストラディスクやフルコンプのご褒美シナリオが楽しすぎるので、気になる人は買って損はないと思う
スレを長々独占して申し訳ない
長文おつおつ
長文乙
だが
>>427の冒頭の百合子の年齢16歳ってのは間違いではw
百合子の年齢は設定されてないし、名目上は18歳以上のハズ
学習院の現在で言う高校を卒業して最初の誕生日だから
実際百合子は18歳以上な気がするな
なんにしても長文乙
蝶毒の説明はどれもガッツリ書いてくれたので、プレイ後のまとめ的に読むのも面白いな
プレイ前に読んじゃうとちょっと勿体無い気がするw
銀の冠碧の涙の榛名ルートお願いします
439 :
板移転投票実施決定@詳細は自治スレへ:2012/04/17(火) 20:44:01.80 ID:CBW92mxm
1
>>438 あっさり描写だがよかったらドゾー
主人公の高橋綾は、恋人である谷村慎一郎からプロポーズされるが、受けるべきかどうか迷っている。
ネット通販が趣味で、様々な商品を注文するのが好き。
ある日、商品の注文をしたところ、配達に来たのがいつもの人ではなく、バイトの青年だった。
青年の名は榛名誠。
いかにも今時の男の子、といったチャラい見た目、ノリの榛名。
綾の下着が見えていると言って追い出されたり、あっけらかんとキスをねだったり。
しかし、彼と接するうちに、意外と真剣な面が見えはじめる。
職場の後輩、和泉亮からキスされて悩む綾。
思わず榛名に打ち明けると、口調こそチャラいものの、「本気でないなら、これ以上気を持たせるようなことはしない方がいい」と答える。
真摯な回答に綾が驚いていると、「自分は生き方が軽いから、言動まで軽くなると中身がなくなってしまう」という意味のことを言う。
榛名に「見直した?」と聞かれて同意する綾。
だが、「惚れた?」と聞かれて即座に否定する。あからさまにがっかりする榛名。
しかしめげない榛名はこれから遊びに行こう、と誘う。仕事を休んで一緒に行く綾。
水族館や海でデートを楽しみ、少しだけ榛名のことを知る。
慎一郎と結婚した綾。(慎一郎と別れて榛名に付き合いを申し込まれるエンドもあり)
籍こそ入れてないものの、一緒に暮らすようになったのだが……。
仕事が多忙で出張続きの慎一郎は、めったに家には帰ってこない。
帰ってきたと思えば、睡眠をとっただけですぐに仕事に出ていく。
さびしさが募った綾は、榛名会いたさに通販の回数が増えていく。
通販を頼むたびに、榛名との会話が楽しくて仕方がない綾。
通販を頼むたびに、心の隙間が埋まっていくような気がする。
榛名は楽器のチェロ奏者で、オーディションを受け続けている。
時間の自由がきくことと、チェロを預ける倉庫があるから運送会社のバイトを選んだ、と。
外出先でチェロを奏でる榛名。その音色に聴き入る綾。
榛名にキスされ、罪悪感を覚えながらも彼に惹かれることを止められない。
とあるきっかけから、榛名の家族について聞く綾。珍しく榛名は言葉を濁す。
実は榛名は、とある会社社長の息子。兄が一人いる。
榛名自身は兄が後継ぎだと思い、音大に進んだのだが、親戚の者が兄より榛名の方が出来がいいのに、なぜ後継者にしないのか、と抗議したのだ。
それが原因で、兄は心を病んでしまう。
いたたまれなくなった榛名は家を出て、一人で生活するようになったのだった。
その後、綾はダイレクトメールが開封されていたり、怪しい手紙が届くなど続く嫌がらせに神経質になる。
慎一郎に相談するが、実害はないと取り合わない。
精神的に追い詰められ、榛名に今すぐ来て、と言ってしまう。
駆けつけた榛名にすがる綾。そんなもろい様子の綾を、榛名は抱く。
目覚めた後、風呂場で一緒にシャワーを浴びながら、クンニ&フェラ。
事後、二人が会話を交わしていると、一本の電話がかかってくる。
慎一郎からだった。「あの書類は、破って捨ててほしい」と。
自宅に仕掛けられた盗聴器から綾が浮気したことを知り、婚姻届を破棄するように言ったのだった。
携帯のアラームが鳴り、申し込んでいたチェロのコンクールの時間が来たと知った榛名。
綾を一人にはしておけない、という榛名だったが、夢をかなえるように言われて、コンクールを受けに行く。
コンサートホールで開かれたオーディションの二次予選を、綾は休みを取ってこっそり見に行っていた。
その後、榛名のコテージで、買ってきたケーキに火をともして、ささやかだが祝う二人。
いい雰囲気になった二人は、再び愛し合う。
榛名に送られて家まで帰ってきたとき、玄関先で慎一郎が待っていた。
そして展開されるガチ修羅場。殴られる榛名、それをかばう綾。
榛名は、悪いのは綾を放置していた慎一郎だ、と怒りを露わにして言い返す。発揮されるチャラ男の本気。
綾の平手打ちを受けた慎一郎は、一言詫びて誰とも目線を合わせずに去っていく。
慎一郎に殴られ、左手が動かなくなった榛名は、綾と病院へ行く。
チェロが弾けなくなったらどうしようと思ったが、骨や神経に損傷はなく、きちんと手当てをすれば元どおりになると聞いて安心する。
この出来事をきっかけに、榛名は一生チェロを続けようと決意する。
そうして綾は家を出た。
後日。コンクールは落ちていたが、榛名は留学を勧められることになった。
待ってて欲しいという榛名。承諾する綾。
留学費用の貯金に悩む榛名に、綾は一緒に住もうと勧める。
「いつでもHできるしね」と、こういうところは相変わらずチャラい榛名。
榛名の愛の言葉に、幸せというものを実感した綾だった。
以上です。
これ以外に、榛名をコンクールに行かせずにセフレ状態を続けるエンドもあります。
とにかく榛名はいいギャップ萌えの塊でした。
仁義なき乙女の灰谷ルートのストーリーどなたかお願いします
買う金ない子に教えてあげて
教えたげてよう
未解決まとめから「赤ずきんと迷いの森」狼さん√GoodEDまでいきます。
長くてごめん。台詞の言い回しとか、微妙な細かい部分の前後とかが
違うかもしれないけどその辺は許してくださいませ。
「叔父さんのところにパンとワインを届けて」と継母に頼まれた主人公。
だが地図通りに行ったところ、そこは村の人たちに恐れられている
迷いの森で、おまけに叔父さんの家だと印のついた場所は断崖だった。
あやうく崖から落ちそうになった主人公は思う。
「つまりは全部嘘で、ママはわたしにいなくなって欲しかったわけね」
主人公は自棄になり「じゃあ、お望みどおりすごい死に方してやる!」と
迷いの森の狼に食べられることを決意する。だが出会った「狼さん」は
主人公をまだ子どもだといい、自分は成熟した大人しか食べない主義だと
その願いを一蹴した。それでも「狼に食べられたい」などとは
よほどの事情があるのだろう、と話を聞いてくれ、主人公に行くあてが
ないことを知ると「まぁ、育てれば自分好みの極上の肉になるかもなぁ」
などと言って自分の家に住まわせてくれることになったのだった。
こうして主人公の森での生活が始まった。
森には狼さん以外にも色々な住人がいた。狼さんに憧れており、彼の家に
住み込んだ主人公にライバル意識をむき出しにしてきたきつねさん。
きつねさんの同僚で一緒にレストランで働いている良き隣人たるウサギさん。
彼らが働くレストランのオーナー、山猫さん。
そして可愛いがどこか不思議な小人さん。
森の中にある、だれもが不気味がる灰色の花畑に現れる謎の存在ナイトメア。
彼らは皆その名前でしか呼ばれない。なぜならこの森の中では
主人公以外の者は「本名を名乗る」と恐ろしいことになるからだ。
だんだんと森のルールにも馴染み、ここでの生活にも慣れてくる主人公。
共に暮らす狼さんは森の中では特別な存在で、争いや災いから森と住人を
守るためにいつも尽力していた。その尽力の見返りとして彼は物を
買ったりする時の支払いなどを免除されているのだが、そのため狼さんの
元で庇護されている主人公も、何不自由なく暮らすことができた。
主人公はただの居候では心苦しいと家事を引き受けるのだが、料理をすれば
狼さんは満面の笑みで「美味しい」と誉めてくれる。彼は日々の生活の中
いつも優しく親切だった。
森の住人は「狼さんが人間なんか食べてるのをみたことない」と言うし、
狼さんが自分を食べるというのも方便なんじゃないのかなとも思ったりするが、
それはあまりに自分に都合がよすぎる考え方だと主人公は自戒する。
いくら親切にしてくれていても狼さんは「食べる」約束を忘れていないことを
ほのめかすし、それにレストランのオーナーである山猫さんはこう言っていたのだ。
「狼さんは人間を殺したことならありますよ」と。
山猫さんは出会った当初から主人公のことを「美味しそう」などといっており
「狼さんはあなたを子ども扱いするけれど充分に食べごろです」などと
何かにつけ妖しく誘いをかけてきていた。狼さんはそんな山猫さんに対して
「(主人公は)自分が育ててる肉だから手出ししたら容赦しない」と
予防線をはってくれ、かつ主人公にも充分警戒するようにと言い置いていたので
主人公は必要以上に山猫さんには近づかないようにしていた。
山猫さんは主人公にとっても狼さんにとってもどこか油断のならない存在で
彼は森の番人たる狼さんの言い付けに逆らって「灰色の花畑」に出入りしていた。
花畑にある花は全て灰色でどこか禍々しいのだが、不気味だと森の住人から
厭われるのは夜になると花畑の中を白く透明な人影が徘徊するところだった。
花畑に現れるナイトメアが言うには、この人影は「名乗ってしまった人の魂」だという。
彼は小人たちからそれを聞いたようだが詳しくは知らず、ただ恨みや悲しみを
抱えたまま、ただ嘆くしかない魂を切なそうに見ているのだった。
その上、花畑には森に災いをもたらすリンゴの木があるのだった。
リンゴの木はどうやら魔性の力を持っているようで、昔、うっかり枝を
折ってしまった者がいたのだが、その時など森の中はあらゆる天変地異に襲われ
大変だったのだという。そんな恐ろしい森に住人が居続けるのは別段我慢している
からではない。彼らは森から出られないのだ。この森には、昔ここで死んだ魔女の
呪いがかけられており、住人たちは出ようとしてもまた森に戻ってきてしまうのだ。
だからこそ住人はお互いに助け合い、森の平和を守る狼さんを頼りにしていた。
そんな彼に逆らってまで尋常ではないこの花畑に出入りする山猫さんの意図は
誰にも分からなかった。だが、主人公もまたこの花畑を心から恐ろしいと思いつつ、
どこか気になる気持ちを捨てきれないのだった。
狼さんには「怖いものみたさなんて子供」と言われつつも。
主人公が森で落ち着いたある時、狼さんは一度家に戻ってみてはどうかと
水を向けてきた。継母はさておき、父親は「叔父さんの所に行ってから戻ってこない」
娘を心配してるかもしれないし様子だけでも見に行ってはどうだと。
気遣う言葉に勇気をもらい主人公は自分の家を見に行ってみた。
だが、自分の食器が袋にいれて捨てられているの見た上、お腹に子どもがいる
継母が父親と楽しく過ごしているのを目の当たりにしてしまい、もう自分の居場所は
この家のどこにもないと主人公は泣きそうになりながら森に逃げ帰ってきた。
そんな主人公をパトロールの途中で見つけた狼さんは何も聞かず、
ただおかえりと出迎えてくれたのだった。
さすがにその出来事に気落ちしてしまう主人公。
するとそんな彼女のため、狼さんは森の住人を誘ってピクニックを開いてくれた。
きつねさんやウサギさん、小人さんも皆、主人公が元気がないことを心配していた。
山猫さんですら主人公を慰め、次に悩みごとがあれば自分にだけ話してください
などと本気か冗談か分からない言い方で主人公を励ましてくれた。
森の住人は、みな優しい。その優しさが嬉しくて主人公は涙がでそうだった。
そしていつまでも落ち込んでいられないと思ったのだった。
冬が近づき、主人公は狼さんのためとせっせとマフラーを編んでいた。
気分を変えて家の外で、木々の間に腰を下ろして冬の気配を感じながら
編み物をする主人公。マフラーにイニシャルをいれてあげたいと考えて、
主人公は今さらながらに狼さんの本当の名前を知らない、と思った。
――名乗ってはいけない、名前を聞いてはいけない。
この森のルールにすっかり馴染んでいたからだ。
そんな時、主人公は森に迷い込んできた中年男に出会う。森に来て久しぶりに見る
同じ人間だ。だが男はとんでもない不埒者であった。襲われそうになり、主人公は
必死に狼さんに助けを求める。森をパトロールしていた狼さんはすぐに
来てくれたのだが、男は銃を持っており、二人は絶体絶命の窮地に陥ってしまう。
主人公は「森のルール」を思い出し、知恵をめぐらし男から本名を聞き出した。
すると名乗った男は尋常ではない力によって灰色の花へとその姿を変えてしまったのだった。
『名乗った者、名前を呼ばれた者は花へと姿を変える』
それはこの森にかけられたもう一つの呪いであった。
とんでもないことをしてしまった、人を殺してしまったと恐怖と罪悪感に
おののく主人公。だが狼さんは主人公を支えながら
「お前が奴の名前を聞き出さなければ二人とも殺されていた。
それに死んだわけじゃない、花になっただけだ」と必死になだめていた。
それはある意味では事実だ。だが男の人生を奪ったことには変わりないと思う主人公。
そんな中、山猫さんが二人の前に現れる。彼は場にそぐわぬウキウキした様子で
男が変じた灰色の花を根から引き抜くと、それを花畑に植え替えると笑いその場から去った。
その不可思議な毒気に当てられて呆然とする主人公だが、狼さんはもう一度
彼女に語り掛ける。この事を忘れることはできなくても、必要以上に自分のせいだと
思いつめないで欲しいと。約束してくれ、と狼さんは真摯にそう言い募ったのだった。
主人公は森に来てからよく悪夢をみるようになっていた。
誰かが、誰かをナイフで刺す夢だ。そして真っ赤に染まる手。
ある夜、飛び起きた主人公はあまりに怖くなり、狼さんの部屋に行ってしまう。
受け入れてくれた狼さんは主人公の悪夢の話を聞いて「夢は夢だ」と優しく諭してくれた。
だが、主人公は血に染まった手が誰の手だったのか、それがどうしても気になってしまう。
そして気がついてしまった。夢の中、血に染まった手は狼さんのものだったと。
だがそれを口にしてしまった主人公は、すぐに深く恥じ入った。
優しい狼さんを夢の中で殺人者にしたからだ。だが狼さんは言う。
血に染まった手を俺のものだと思ってくれて良かったと。主人公が自分で
誰かを殺したと思えば傷つくだろうから。だが、その言葉に主人公は自分を
傷つけたくないからといって狼さんを傷つけたと気がついて思わず泣いてしまう。
狼さんは困ったように笑い主人公を慰めてくれた。そして言う。
「もう泣きやんでくれ。……お前の泣き顔は可愛いけど、ずっと見てると
変な気持ちになりそうだ」すると不意に狼さんは主人公にかすめるようなキスをした。
驚く主人公だったが狼さんは何もしてないかのように振舞っていた。
眠るまで頭を撫でていてやるという狼さん。そして主人公は狼さんと
一緒のベッドに並んで寝ていた。そして「さっきしたこと」が何なのかを聞いた。
だが、とぼけられてしまい「答えられないならさっきと同じことをして」とお願いする。
すると狼さんは一度だけだと言い置いて次はもっと長い、それでも
優しいキスをしてくれたのだった。甘くふわふわする気持ちの中、主人公は
悪夢をいっとき忘れて眠りに落ちた。その寸前狼さんの苦笑交じりの
呟きが聞こえたような気がした。
「……困ったやつだな、俺の気持ちをかき乱して何が楽しいんだ?」
あくる日、レストランに調味料を分けてもらいに行ったものの、そこで狼さんに
気がある大人っぽい女性に、まるで子供だと揶揄されて本気で腹をたてる主人公。
それを帰ってきた狼さんに話せば案の定大笑いされ、主人公はすねてみる。
だけれども狼さんは主人公のことを大人っぽくなってきたと言ってくれた。
色気がでてきたといわれたいと言う主人公の言葉にまた笑う狼さんだが、
それでも色気が出てくるのもすぐかも、と言うのだった。今だって時々不覚にも
どきっとすることがあると。主人公はそれを聞いてすっかり機嫌を直して嬉しくなってしまう。
だが、果たしてそれで良いのかとふと我に返った。
大人になるということはすなわち、狼さんに食べられるということなのだから。
いつしか主人公は狼さんとずっとずっと一緒にいたいと思うようになっていた。
大人になっても狼さんの傍にいられたらいいのに。悩んだ主人公は、相談にのるよと
言ってくれたウサギさんに悩みを打ち明けるのだった。
すると彼はこう励ましてくれた。「なら、恋人になってしまえばいい」と。
恋人になれば大人になって食べられずにすむ。そう言われて主人公は
「狼さんの側にいるため」頑張ってみると決めた。
だが、主人公は自分が恋人になりたいというほどはっきり狼さんが
好きなのかと自問していた。出会ってそんなに時間の経っていない人を、
自分のことを「食べる」と宣言している相手を好きだといえるのかと。
考えれば考えるほど迷ってしまう。そのせいか、主人公は狼さんを前にして
考えていたのとは違う切り出し方をしてしまった。
「大人になっても食べられずにすむにはどうしたらいい?」
狼さんは面食らっていた。「食われるのが怖くなったのか」という狼さんの問いに
顔をあげることができない主人公。そのまま黙ったままうなずく。
すると狼さんは珍しく苛立ったようだった。
「食われるのがそんなに怖いなら出ていけ」という言葉に、主人公は
「行くところがない」と返す。だが、他に行く場所を探したのかという
問いに否を返す主人公に狼さんは軽蔑するように言った。
「楽をして生きていきたい。現状を打破する気力もない。
そういうのを子供だというんだ」
だが呆れられても軽蔑されても主人公の心にあるのは狼さんと
一緒にいたいという気持ちだった。食い下がる主人公に狼さんは挑発的にいう。
「……ならお前は俺の玩具になるか」
男の好きにさせる玩具になるなら、大人になっても追い出さず側に置いてやると
語る狼さんの表情は主人公にとって、初めてみるような冷たいものだった。
悲しくなる主人公だったが、その要求を受け入れると答えてしまう。
すると狼さんは驚いたようだった。一瞬戸惑う狼さんだったが、そのまま
結局主人公を抱いてしまう。行為の後に自分に触れる腕にすがろうとしたとき、
狼さんは主人公の手を振り払った。
「最低だな。男の家にいたいというためだけに、こんな簡単に初めてを捧げるのか」
その剣幕に主人公は家を追い出されるかと思ったが、狼さんは主人公を家におき続けた。
だが彼はすっかり変わってしまい、優しくあたたかな狼さんではなくなってしまった。
日を置かず、気が向くたびに主人公を抱いて冷たい言葉で主人公を傷つける。
相談に乗ってくれたウサギさんはそんな事とはつゆしらず、森で出会うと
ウキウキと「狼さんは捕獲できた? 恋人なれた?」と尋ねてくる。
「恋人じゃなくて、玩具になったわ」
そんな風にいうしかない主人公はただただ悲しかった。
そんなある夜、いつものように狼さんは主人公を抱こうとするが
突然気が変わったと言って主人公を突き放した。もうお前は抱かない、飽きたからと。
森には自分のような飽きっぽい男ではなく一生面倒を見てくれるような奴が
いるはずだからそっちをあたれと。自分にしたのと同じことをすればいいという
狼さんに主人公は嫌だといい募る。だが、狼さんは彼女に向かって言った。
「……幻滅したんだよ。お前はもっと一生懸命な子だと思っていた。
こんな簡単に男の玩具になることを了承するような、そんな女だと思ってなかった。
この森にいたいだけなら他にいくらでも男がいるだろう」
主人公は思わず泣きながら言い張った。自分は別にただ森にいられればいい訳じゃない
自分は、狼さんの傍にいたかったんだと。だが狼さんは冷たく言い返す。
「……そんな事は抱かれる前に言うものだ。それでも、そんなこと言われたら
抱く気はなかった。お前に好かれても迷惑だからだ!」
狼さんは激昂したように叫んだ。
「俺が好きだとそんな風に言うのなら、もう俺に顔を見せないでくれ。
お前を見てると気が狂いそうになる。……いや、俺はもうおかしくなってるんだ。
お前が、俺のせいでこの森を嫌いになってしまう前に出ていってくれ!
明日からの居場所について朝までに考えておくから、もう部屋に戻っていろ……」
連投エラーになってしまったので一旦。
そこまで言われてその場にいられる主人公ではなかった。
だが、部屋には戻らず家を飛び出し森を彷徨い歩く。落ち葉の中に身を沈め
消え入りたいと思いながら空を見ていると、ふと聞き覚えのある声がした。
「……これは素晴らしい落し物ですね」
拾って帰ってもいいかと聞かれ、もうどうにでもなれという状態の主人公は
山猫さんのレストランへ、彼の私室へとついていく。
そこで詳しい事情は伏せながらも、狼さんを怒らせて家にいられなくなった
という状況を話した主人公に山猫さんは楽しそうに笑う。
狼さんならさもありなん、と。
彼はずっと人間を殺したかったに違いない。彼は主人公をいつか殺すために保護した。
それでも、傍に置いていたら情が湧いてしまって殺せなくなってしまった。
それでも人を殺したい本能は止められないからそのジレンマが狂気を招いたのだと。
言い聞かせるような山猫さんの言葉に主人公は衝撃を受ける。
狼さんは自分のことをずっと殺したかった――。そしてはっと気がついた。
にっこりと笑う山猫さんがあまりにも近くにいることに。
彼は主人公を引き倒すと笑いながら言った。狼さんはこんな可愛らしい主人公を
捨てるなんてもったいないことをした。自分はずっと主人公のことを欲しいと
思っていた、だから自分のものになればいいと。
狼さんが相手ならば快楽を感じることをできた行為は別の相手では嫌悪感と
恐怖しか感じないものだった。必死に逃れようとするものの、山猫さんの
力は非常に強く、びくともしなかった。だが、それが不意に体が軽くなる。
狼さんが山猫さんを主人公から引き剥がし殴り飛ばしたのだ。
「人の家に勝手に入られては困りますよ……」
不敵に笑う山猫さんにかまわず、狼さんは主人公を自分の体の後ろに
しっかりとかばった。そして「こいつは俺のものだ。お前にも誰にも触れさせない」と
宣言する。すると山猫さんは狼さんが主人公に手を出してるとは思わなかった、と
言い、主人公が処女ではないならもう興味も失せたと言い放った。
そしてさぁ帰れといわんばかりに二人を部屋から見送ったのだった。
怒った様子でずんずん前を歩く狼さんを必死に追いかける主人公。
名前を呼んでも振り返ってすらくれなかった。
――自分にしたのと同じことをすればいい。
――この森にいたいだけなら他にいくらでも男がいる。
主人公は自分のした行動が、狼さんの言葉を裏付けるような、誤解を招く行動だと
分かっていた。だからこう言わずにはいられなかった。
「ごめんなさい、ごめんなさい……山猫さんの家に行ったりして。
ごめんなさい、そんなつもりじゃなかったの……」
すると狼さんが振り返った。
「この馬鹿! 山猫の家にいったらどうなるかくらい分からなかったのか!?
そんな事も分からないから子どもだって言うんだ!!」
主人公が山猫さんに連れられて歩いているところを偶然きつねさんが見ていて
それを彼が狼さんに伝えてくれたらしい。だからこそ間一髪で助かった。
だが、きつねさんが気がつかなかったら。狼さんが間に合わなかったら。
狼さんは怒ってはいたが、その怒り方は主人公を心から心配する
主人公が大好きな優しい頼りになる狼さんの顔だった。
「ごめんなさい……」
泣きながら謝る主人公に狼さんは、すまなかった、謝るのは自分の方だと言った。
「あんな言い方をしたら、お前が家を出たくなるのは当然だ。
本当に悪かった。……許してくれ」
主人公は許すもなにもなかった。だから狼さんに向かって思いの丈をぶつけた。
「どうしたら好きになってもらえるの……?」
今になってはっきりと分かった。自分は狼さんが好きなのだと。
だが、どうしたら好きになってもらえるのか分からない。
そう訴えると狼さんはそれは難しい質問だ、と答えた。
やっぱり無理なんだと諦めそうになった時、狼さんは主人公を抱きしめてキスをする。
「もうとっくに好きになってるのに、どうやったらこれ以上好きになれるんだ?」
そして晴れて恋人同士になった二人。
狼さんは主人公に対してした酷い言動の数々を謝った。そして主人公のことを
子どもだなんだと言っていたが、自分の方がずっと子どもだったと言った。
「大人になったら食べる」なんて、本当じゃないことくらい分かってくれていると
勝手に思いこんでいたと。主人公は自分のことをすごく信頼してくれてると、
愛情を向けてくれてるとそんな風に思っていただけに、あの時
「本当は食べられることに怯えている」と言われて、失望したのだと。
愛情も信頼も、自分の勘違いだったのだとそう思ってがっかりしたと。
「玩具になれ」という言葉も主人公の性格なら絶対に怒って食って掛かってくると
思っていたのに、あんな風に言われて、今の今まで思っていた主人公とは違い
自分に体を使って媚を売っている女に見えたと。
それでも抱いてしまえばもう止まらなかった。いつか手放さなければならないのに
ずっと自分のものにしたいと思った。主人公の事を愛しいと思いながら一方で酷い事を
強いている。自分に従う主人公を求めながらも、じっと耐える姿を見るのも辛かったと。
「……それでも一番辛かったのはお前だ。本当にごめんな……」
だが主人公は首を振る。一番辛かったのは、出て行けと言われたことだ。
狼さんの傍にいられるのなら、どんなことでも耐えられたのだからと。
それからの日々は本当に主人公にとって幸福なものだった。
狼さんは主人公にとって強く優しく、いつも頼りになる存在であった。
それは昔、近所に住んでいて主人公が大好きだったお兄さんを彷彿とさせる事に
主人公は気がついた。本人じゃないかと思うことも多々あった主人公は
ふとカマをかけてみた。
「……昔、狼さんにプロポーズしたのに全然相手にしてくれなかったわ」
「だってあの時のお前は本当に小さかったから」
うっかりそう答えた狼さんは慌てて話を合わせてみただけだと誤魔化した。
主人公はそれ以上詮索することをやめる。どんなに隠し事がいっぱいでも、
嘘をついていても、自分が好きなのは今の狼さんなのだからと。
だが、その幸福に水を差すのはあの悪夢だった。ナイフで人を刺し、血だらけになる夢。
その夢は更にリアルに詳細になっていき、主人公を苛んだ。
恐怖に叫んで目を覚ます回数が増えていく。そのたび狼さんは主人公をなだめてくれるのだが
主人公も狼さんも悪夢に追い詰められていった。そしてある時、森の中で主人公は
狼さんとウサギさんがこっそりと話しているのを聞いてしまう。
「……あの夢を見るのは俺が傍にいるのが原因かもしれない」
そう語る狼さんの言葉をウサギさんは神妙に聞いている。
「すっかり忘れているようだから安心していたが、思い出し始めているのかもしれない」
「強烈な記憶、強烈すぎて一度忘れる」
ウサギさんはそうぽつりと言った。だが、そういった記憶は潜在意識に刻み付けられ
本当に忘れることはないのだ。
「強烈過ぎる、記憶。自分の母親、刺した」
「あいつが全てを思い出すのが怖いよ」
ウサギさんは狼さんに、自分はいつでも力になると励ますように言っていた。
それらを聞いて主人公は混乱する。二人が話していたのは誰のこと?と。
夢は更に主人公の精神を浸食していく。夜に寝付けずにいたためにお風呂場で
うとうとした主人公はお湯に浸された体が血だらけだという妄想に陥り、
前後不覚に陥って失神してしまった。
狼さんはそんな主人公が見ていられず、一度自分の傍から離そうと決めたようだった。
ウサギさんを家に呼び、主人公に向かってしばらく彼の家で暮らせと言い諭す。
だが、他の男と暮らせと言われた主人公は納得がいかない。
絶対に嫌と叫んで狼さんの家を飛び出した。だが行くあてなどない。
結局来てしまったのは元々の自分の家だった。こっそりと物陰から伺っていると
継母が荷物を抱えて家に帰ってきたところだった。そこに近所のおばさんが声をかける。
「あの子がいたら手伝ってもらえたのにね。まだ叔父さんの所に預かってもらってるの?」
「ええ……なんというか、何かあってもいやなので……」
継母の言葉に近所のおばさんは納得したようだった。
「あの子は良い子だけど、昔あんなことをしでかしてるんじゃ、
一緒に暮らすには怖いわよねぇ。分かるわよ」
主人公はそれを聞いて思わず声をあげてしまった。二人は主人公に気がついて
顔色を変えた。おばさんはさっさと自分の家に戻ってしまい、主人公は継母の
荷物を取ると、良い子の顔でいっしょに家の中に入った。
「……叔父さんにはここに来ることは言ってあるの?」
継母は嘘をついたことなど、とうに主人公にバレているだろうにまだその設定で
話を進めていた。だから主人公もそれに乗ってやってあえて否定せずにいた。
すると「もし言ってないなら心配する」などと言いながら追い返そうとするので
主人公は思わず笑ってしまう。
「大丈夫よ、ママ。聞きたいことがあるだけ。それを聞いたらすぐに戻るわ」
そして主人公は切り出した。自分が母親を刺したことについて。
「思い出したの……!?」
思い出してはいなかったが、そのまま話を促すためはっきりしない部分が
あるから事実を確かめたいとだけ言った。そして継母は主人公に過去の話を語った。
「いまだにあなたへの疑いが晴れないのは……あなたが彼女の娘だからよ」
主人公の母親は、魔女だった。村の若い娘が一人死に、二人死に。
彼女たちを殺したのは主人公の母親だった。彼女は殺した人間の血を魔術に
使っていたのだ。彼女は村を追われ、森に逃げ込んだ。幼い主人公は母親の後を追った。
そして翌日、主人公だけが村に帰ってきたのだ。手を血まみれにしながら。
「ママを刺した、お兄さんが傍にいたけど、わたしが刺した」
確かにそう言っていたという。幼い主人公は森に住む狼をお兄さんと慕っていたと
主人公の父親から継母は聞いていた。そして結局魔女は帰ってこなかった。
村の人間は噂した。森に住む狼が魔女を殺した。いや、あの魔女の娘が母親を殺した、と。
どちらが本当だ? と。だが、結局その後も森で行方をくらます人間が相次いだために
狼が魔女を殺したという話の方が真実なのだろうと村では落ち着いた。
だが、それでも皆魔女の血を引く主人公を恐れていた。幼い主人公は記憶を一部
失っているようだったが、その記憶を取り戻したら、あの魔女と同じように
血を欲するのではないかと。その前に殺すべきだという人もいたが、主人公は
幼く不憫だったのでできなかったのだ。
継母はそれら全てを主人公の父親から聞いたようだった。
「でも、あなたのお父さんも恐れていたわ……あなたが記憶を取り戻すことを」
主人公は笑った。「ママ」の話をすると怒る父親。自分を遠巻きにする村の人達。
自分を可愛がってくれない継母。その全てに意味があったことがようやく理解できたからだ。
「教えてくれてありがとう。……元気な赤ちゃんが生まれるといいわね!」
そう言って主人公は踵を返す。すると継母はなぜか慌てたように主人公に声をかけた。
「待って! 待ちなさい……っ!」
主人公は森へ駆け込んだ。おりしもその日の森は嵐に見舞われていた。
継母の話を聞いてようやく思い出した。そう、自分は村人に追われて森に逃げ込んだ
「ママ」を追いかけたのだ。でも見つからなくて森の中をさ迷って走った。
そして「お兄さん」の傍で倒れている「ママ」を見つけたのだ。
だけど「ママ」は「お兄さん」に向かって何か魔法で酷いことをしようとしていた。
「お兄さん」を助けたくて自分はナイフを振りかざしたのだ。
主人公は自分が得た真実をかみ締める。絶望と共に。
(わたしがママを殺した)
雨も風もすごく、主人公は木の下に座り込んだ。ここからは少しも動けそうになかった。
どうしたらいいのか分からなかった。だがそんな時、ふと自分を呼ぶ声が聞こえた。
嵐の中、雨でずぶ濡れになりながら必死になって自分を探してくれているその姿は
見間違えようもない最愛の人のものだった。胸が愛しさでいっぱいになっていく。
「狼さん……っ!」
主人公は彼に駆け寄った。狼さんに連れられて帰った家の中、びしょ濡れの
主人公を狼さんはタオルで拭いて、暖めようとしてくれていた。
狼さんの愛情を信じる主人公は真実を告げた。自分は母親を刺して殺したと。
だがそれを聞いて狼さんはかぶりを振った。
「お前は誰も殺してない」
否定しようとする主人公だが、狼さんはなおも言った。主人公の母親は確かに
魔女だった。そして村の人間を殺し、それが露見して続けられなくなると
今度は森の住人に標的を変えたのだと。魔女は森の中で一組の夫婦を殺した。
住人を傷つけたのならば、森の番人は彼女を許すことはできない。犠牲者の血を
使って魔力を高めつつある魔女に対して一刻の猶予も持てないと狼さんは
魔女を殺すことを決めた。
「お前が来たときには、彼女はもう既に事切れていた。
だからお前が殺したわけじゃない。……俺が恐れたのはお前に
俺が母親を殺した男だと知られることだった。お前の「お兄さん」である事を
認めなかったのも、その記憶からお前が全てを思い出してしまうのが恐かったからだ」
主人公にとっての母親は朗らかで優しく、いつだって愛情深い母親であった。
だが、主人公はもう分かっていた。母親がけして善人とは言えなかった事を。
そして狼さんが優しい嘘で自分を守ってくれていることも分かっていた。
だからこそ主人公はその嘘に守られ、彼を愛することを決めたのだ。
冬が間近になり、主人公は狼さんのマフラー編みのラストスパートにかかっていた。
だが、狼さんはそんな彼女に甘えかかっては邪魔をする。
主人公とじゃれあいながら彼はいきなりこう告げるのだった。
「冬になったら結婚でもするか!」と。驚く主人公に狼さんは言う。
子どもも欲しいし、そうなれば結婚だって考えるさと。
そして彼は愛の誓いとして主人公の手のひらに文字を書いた。
――それは、彼の名前だった。
そして狼さんは冗談めいた口調で「ベッドの中で呼ぶなよ」と笑うのだった。
(GoodEnd 冬をまちわびて)
この後、(おそらく好感度?なのかな)によって「真実の扉」とかいうのが
開くか開かないかがあって、「真実の扉」が開いて初めて狼さんの
Trueエンドが見られます。わりと真実の扉以降もボリュームがあって長い。
ちなみにBADは真実の扉前のEDと後のEDの計2つ。どっちもわりと切ない。
もう一個、三角関係EDってのがあってそれがかなりサイコ+後味悪い。
他の攻略対象のルートも見ごたえがあるので興味がある人は
ぜひプレイしてみて欲しい!
おつです
こういう話だったのか〜
乙乙
機会があったらやってみたくなった
未解決のDessert Love〜彼とのはじまり〜の榊誠司ルート書いてみた
上手くまとめられてなくて読みにくかったらスマソ
主人公は入社4年目のOL。
3年間は総務部で働いていたが、4年目の今年は企画営業部に配属となり、慣れない仕事に何とかついていこうと頑張っている。
榊誠司は企画営業部の部長。47歳、既婚者。一条秀之は主人公の直属の上司に当たる。
会議中に居眠りしてしまった主人公を叱責する榊を、最初は少し怖いと思っていた。
が、主人公に差し入れをしたり、主人公に付き合って残業したりしていくうちに、次第に二人の距離が縮まっていく。
榊にお茶を入れ、味がいいとほめられ素直に喜ぶ主人公。
主人公は、毎日の激務に追われる榊を心配する。
一条をサポートしてやってくれ、という榊に、それはもちろんだがいずれ榊のサポートもできるようになりたい、と答える主人公。
それを聞いて、榊の顔がわずかにほころんだ。
話しかけても相変わらず不愛想な榊だが、主人公の心から苦手意識は消えていた。
新たに営業補助に配属されてきた藤乃綾子は、一条の元彼女で主人公を敵視している。
仕事上のデータを謝って削除してしまった主人公に、藤乃がきつく当たる。
榊に相談すると、思いがけず励ましと慰めの言葉が返ってくる。
自分も取り返しのつかない失敗はしたことがあるが、それでもこうして部長の地位についている。
失敗を乗り越えないと人は成長できない、主人公にもこの企画営業部で成長していってほしい、と。
躊躇いながら、主人公の力になれたら……、という榊の顔は、わずかに赤らんでいた。
気分転換に、と一条から飲みに誘われた主人公。
良かったら一緒に、と榊にも声をかけた。
来ないだろうなと思っていた主人公だったが、意外にも顔を出した。
一条が言うには、榊は結構付き合いがよく、時々飲みにつれて行ってもらっていたそうだ。
酒の席で、社内の女性社員が行う男性社員ランキングについての話が出た。
一位は榊、二位は一条。
二人と一緒に仕事していてよく妬まれる、というと、一条はただの上司と部下に過ぎないのに、と言う。
それを聞いて、内心寂しさがこみ上げる主人公だった。
会計を済ませて榊が店を出ていく。一条によると、こういうときは必ず榊が払ってくれるのだという。
家まで送るという申し出を断ると、一条は地下鉄で帰って行った。
店の外で、一条について語り合う主人公と榊。
自分と違って人当たりもいい一条は、マネジメントの実績を積めば早いうちに管理職になれるだろう、と語る。
一条を育てているのか、と問う主人公に、上司とはそういうものだと答える榊だった。
榊とタクシーに同乗して家まで帰ってきた主人公。
もう少し榊と一緒にいたかったと思うが、榊には妻がいる。そう思うことは許されない。
背を向けた榊の腕を思わず取り、また誘ってもいいかと尋ねると、薄く笑って、楽しみにしている、と答えて去っていく。
妻がいる人なのに、恋をしてはいけないのに、と考え、この気持ちは気のせいだと思いこもうとする。
出社してきた榊の顔色が悪いのを心配する主人公。
体調が悪いなら帰ってはどうか、と勧めるが、今日は大事な会議があって欠席するわけにはいかない、と言う。
しつこく休養を勧められてイラついた榊は、つい主人公を怒鳴ってしまう。
言い過ぎた、と思って詫びる榊。めまいと頭痛から、つい八つ当たりをしてしまった、と打ち明ける。
榊は主人公の勧めに従い、医務室で休んでくる、と言う。
主人公は不思議になって聞いてみた。体調の悪い榊が出かけようとしていれば、妻に止められたりしないのか、と。
妻は何も言わない、という榊の答えに、複雑な感情を抱く主人公だった。
休日にすることをやり終えた主人公は、まだ仕事が残っていたことに気付いた。
予定もないし、休日出勤して仕事をこなそうとする。
そこに現れたのは、いつものダブルのスーツとは違う、ラフな私服を着た榊だった。
休日出勤とは大変だな、という榊。お互いさまでしょうというと、私はいつも休日出勤しているから、という答えが返ってくる。
そういうふうだから体調不良になるのだという主人公に、榊は謝る。
謝った様子が可愛い、と言うと、榊は怒った言葉を吐くが、照れる表情を隠し切れない。
仕事が一段落ついて、榊から食事に誘われる。
最寄りの喫茶店に入り、休日の過ごし方について語り合う二人。
読書ぐらいしか趣味のない様子の榊。主人公は、外出したいと思ったが、一人で出かけてもつまらないし、仕事のことが気にかかったから、と話す。
だしぬけに、榊が主人公に恋人はいないのか、と尋ねてきた。二年前に別れてからはいない、と答える主人公。
そして、話題は榊の結婚のことになる。
榊は、36歳で取引先の専務の娘と見合い結婚したのだ、という。それまで、仕事優先で私生活は二の次だったから、早い結婚ではなかった、と。
もっと聞きたいと思う主人公だったが、榊はそれ以上自分のことは話さず、焦らずに相手を決めるといいと語るのだった。
社内運動会に参加した企画営業部の面々。
借り物競走に出場した主人公は、「あなたの一番好きな上司」と言うお題を出され、榊を連れてくる。
無事に一位を取って、喜ぶ二人だった。
借り物のお題を榊から聞かれ、恥ずかしがりながらおずおずと紙を差し出す主人公。
それを見て、明るく笑う榊だった。
運動会も終わり企画営業部は一位の成績を収めた。
榊が、これから食事でも一緒にどうか、と声をかける。
榊の妻のことを思ってためらう主人公だったが、自宅に妻はいない、帰っても一人だ、という榊。
それを聞いて、一緒に食事に行ってもいいか、と思う主人公だった。
食事の席で、今日は残業しないのかと尋ねる主人公。
そうするつもりだったが、帰る様子の主人公に思わず声をかけてしまった、という榊。
それはどういう意味か、と尋ねたが、笑って答えない榊だった。
榊から、主人公が企画営業部に移ってから、部の雰囲気がやわらかくなった、と告げられて驚く。
当たり前の人間的なところを思い出させてくれる、と言われて、嬉しさを隠せない主人公。
自分の存在が榊の役に立てているのなら嬉しい、と思う。
数日後。職場で榊が険しい顔をしている。また、体調が良くないようだ。
めまいがするが大丈夫だ、という言葉のそばから、榊の体が揺らいで倒れた。
動揺する主人公に、同席していた一条が医務室に連絡を取るように言う。
医務室で、ただの過労だと言われた榊。一条は休養するために帰宅を促し、自宅からの仕事の指示は不要だという。
榊は、自宅でもある程度の仕事を持ち帰ってしているという一条。
そんなふうに激務だから倒れるのだ、と言う主人公に、榊は何も言い返せない。
タクシーで帰宅する榊に、自宅まで付き添う、と申し出る主人公。
最初は辞退していたが、一条の勧めもあり、早退する榊に付添うことになった。
榊の自宅に入って、十分看病してあげたいと思う主人公。だが、妻のいる身の榊には、そんなことはできない。
一瞬もの言いたげな表情をした榊は、一条に礼を言ってくれ、と言って自宅に入って行った。
次の日。主人公は榊が病欠なことに寂しさを覚えた。
昼休みになって、思わず榊の自宅に電話してみる。妻が出たらどうしようと思ったが、電話に出たのは榊自身だった。
今自宅にいるのは榊一人だと聞いて、主人公は見舞いに行ってもいいかと尋ねる。
来てもいい、と言われ、様々な感情が渦巻きながらも、半休を取って榊の家を訪ねる主人公だった。
自宅での榊は、和服を着ていてくつろいでいる様子だ。
庭に入った時、小犬に飛びつかれて驚く主人公。
別に飼ってはいない、えさをやったら居着かれただけだ、と榊は言うが、小犬のことを想いやっている様子が微笑ましいと思う主人公だった。
家の中に入って、和室に通される。妻はいないのかと聞かれて、二年前から別居している、と答える榊。
それを聞いて、法的には妻がいるが、心理的には一人なのだと思い、榊への想いが膨らんでいく。
まだ食事を取っていない榊に、主人公は料理の腕をふるう。
あり合わせの材料で雑炊を作ったところ、榊は驚いていた。
いつも外食と出来合いの総菜、そしてサプリメント中心の食事しかしていない榊からすれば、手作りの料理は美味しく感じられたようだ。
そんな食生活はいけない、私が食事を作りに来ます、という主人公に、私のような年寄りを相手にしてはダメだ、と遠慮する榊。
榊に会いたいから毎日でも来たい、と言うと、いろいろな意味にとれるからやめたほうがいい、とやんわりたしなめられる。
半休を取ってまで話したい、世話がしたいという主人公に、榊は手を伸ばそうとして止める。
主人公といると、人生において大事なものは何だったかを思い出すと言って、榊は礼を言う。
そんな榊を、思わず抱きしめたくなる主人公だった。
そろそろ帰宅を、と榊に促される。
ここで、榊のことが好きだという気持ちに気がついて告白する。
長い沈黙の後、榊自身も主人公に惹かれていると打ちあける。
だが、その気持ちは、上司に対する信頼関係を恋愛感情と錯覚しているのだ、と言って主人公の想いを否定する。
冷静になれ、と説得されて、冷水を浴びせかけられた気持ちになる主人公。
帰りなさい、という言葉に抗えず立ち上がるが、こみ上げる思いを抑えきれず榊にしがみつく。
この機会を逃せば、きっとなかったことにされてしまう。そんなのは嫌だ、という思いが主人公を駆り立てた。
必死に思いを打ち明ける主人公に打たれ、榊は主人公を受け入れる。
主人公を否定したのは、傷つくのが怖かったからだ、という榊。
20以上も年上で、仕事しか取りえのない、不器用で口下手な自分でもいいのならば、と……。
そうして、身も心も結ばれた二人だった。
次の日、睡眠不足に悩まされる主人公。
榊も出社していて、もう体調は元に戻ったという。
自分も、榊を見習って頑張ろう、と思う主人公だった。
その日の夕方。主人公は体調を崩し、一条から顔色が悪いと指摘をうける。
その後もボーっとしながら仕事をしていた主人公だったが、榊から早退を促される。
休むと会えない、と思うが、榊は以前の主人公のセリフを返し、休養するよう勧める。
自分が風邪をうつしたのか、という榊の言葉に顔を赤らめる主人公だった。
帰宅しても、体調は良くならないどころか悪くなっているようだ。次の日も病欠を取って自宅で過ごす。
食欲もなく、マイナスな考えばかりが渦巻いていってつい泣いてしまう。
そこへ、見知らぬ番号から電話がかかってきた。出てみると、なんと榊だった。
何度か言い淀んだ末、榊は今、主人公の自宅前まで来ている、と言う。
ドアを開けると、会いたかった榊が立っていた。思わず涙ぐむ主人公。
主人公をベッドへ寝かせ、やたらと大量の差し入れを照れながらテーブルに広げる榊。
人の世話などしたことがないから、つい買いすぎてしまったという榊を、改めて可愛いと思う主人公だった。
全快して出社する主人公。一条から、昨日はすごく榊部長が心配していたと聞く。
榊も、心配のあまり一条が緑茶に砂糖を入れて飲んでいたと暴露する。
二人に心配してもらえて、幸せを感じる主人公だった。
社内旅行の日がやってきた。主人公は諸事情で一人部屋を割り当てられる。
経理部所属で親友の桜井理沙と榊のことを話していたら、本人がやってきた。
理沙から、榊の雰囲気がやわらかくなった、と聞いて、確かに今の方が話しやすいと思う。
宴会から席をはずしたとき、一条と藤乃のもめ事について聞いてしまうが、関わらないようにする主人公だった。
そこへ、ろれつが回らなくなるまで酔いのまわった主人公を心配した榊が現れ、部屋まで送って行く。
部屋の中で、なぜ飲み過ぎたのかと尋ねる榊。藤乃に優しすぎる一条にイライラして、と答える主人公。
一条はまだ自分が悪者になる覚悟はないんだろう、主人公に気があるようだし、と言う榊。
自分に気があるなんてありえない、と否定する主人公だったが、榊は君が鈍いから、という。
ヤキモチを焼いて嬉しい、と思う主人公は榊を抱きしめてキスしようとする。
が、ここではだめだ、と叱られて自重するように言われる。
激しく動揺する榊を可愛いと思いつつ、キスできなくてがっかりする主人公だった。
社内旅行が終わり、帰ろうとするとき榊に飲みに誘われる。
飲みすぎるなと釘を刺され、耳が痛い主人公だった。
躊躇った末、榊は自分と主人公が一緒にいるのは良くない、と言う。
主人公のことを思うなら関係を続けるとこはできない、望むような幸せを与えてあげられないから、という榊。
詫びの言葉を聞いて、目に涙が浮かぶ。
泣く主人公を慰めもしない榊に、終わらせたいというのは本気なのだと思うのだった。
榊の顔を見もせず、席を立って帰る。
改めて榊との関係は不倫なのだと思い知らされ、雨に打たれながら涙が止まらない。
だが、それでも榊を愛してると思う主人公。榊が忘れられない、日の当る所に出られなくてもいいとさえ思う。
意を決して、榊の家を訪ねる主人公。ずぶ濡れの姿に驚く榊。
しかしそれに構うことなく、主人公は自らに胸の内を吐露する。
正しい恋ではないことは分かっているが、それでも好きだというと、榊は主人公につらい思いをさせたと言って詫びる。
そうして、本当のことを語り始めた。
榊は、実は二年前に離婚していた。
だが、業務上のことを考えると不利益になる場合があるので、会社の上部にのみ報告し、結婚生活が続いているふりをしていたのだ。
なぜそう言ってくれなかったのかとなじられると、ただの男として主人公の愛を勝ち取る自信がなくて怖かった、と。
別れを言いだしたのも、いずれ主人公と別れることになるのなら早い方が傷が小さくて済む、と考えてのことだった。
こんな臆病で情けない自分でもいいのか、という榊。榊のことだけを想っている、という主人公。
心の底から理解し合えたと思った二人は愛の言葉を交わすのだった。
後日談。相変わらず二人は会社で働き続けている。
榊に、明後日から出張だと言われて、寂しがる主人公。
榊は来年取締役に昇格することを明かし、主人公が秘書になれば出張にも一緒に行けると語る。
社長の秘書は社長夫人だと聞いて、内心結婚を予感する主人公。
愛している、と言ってキスをする榊。榊と愛し愛される日々に、主人公は幸せをかみしめるのだった。
以上です。
榊とのフラグを折っていくと、総務に戻るエンドになります。
昔のゲームなのでシステムはもっさりしていますが、スーツ萌えおじさま萌え低音ボイス萌えの方にお勧め。
立ち絵は微妙な榊ですが、スチルだとイケメンになる率高しw
乙〜
赤ずきんの山猫さんルートが知りたいです
>>468 今攻略途中なので、つたない&クリアまでお待ちいただけるのでしたら…
≪シュタインズゲートと先発作品の共通点≫
●バタフライエフェクト
・主人公に脳障害、死んだ幼馴染を助けるため何をやっても裏目に出て死ぬをループする、そのうちに病む
・主人公が余計なことしたせいでそもそも女は死んだ
・世界線移動すると特定キャラの関係が切れる事があり主人公のみが移動してきた元の世界線の記憶を持っている
・彼女を死の運命から救うため関係断ち切ったヒロインと雑踏ですれ違い振り返るエンド
●タイムマシン映画版
・タイムマシン使って死んだ好きな女助けるが女はまた死ぬ 女を助けるすべはないと知る
●未来からのホットライン
・まんまDメールで文字数制限あり送れる日数制限はあり未来からメールが送られてきて過去が変わり、メールが手元に残る
日数制限を破るために何度も何度もマシンを経由して過去に送る。
Dメール送った瞬間に世界が再構成されて、主人公たちが切ない事になる。
・ 時間を超えて通信が出来る装置、研究者チーム、ヨーロッパの巨大実験施設、宇宙ステーションの墜落、友人の避けられない命の危機…と
●遥かなる時空の中で
好きな死んだ女を救うため何度も過去に時空移動するが助けられず、彼女が生きれる運命の時空をさまよう(男女逆もあり)。時空移動により精神にダメージ
●ぜーガペイン
・ループ、ヒロインが二人、ヒロインの一方幼馴染で死ぬ、もう一方のヒロインが幼馴染の方のヒロインを救う、主人公が時間を犠牲にしてパッピーエンド
・男の娘がいる
●ドニー・ダーコ
・彼女が死ぬのを助けようとして何度も過去を繰り返す、その彼女を助けるため自分が死ぬ(その彼女を助けるには自分が死ぬしかない)
・結局、一つの不幸を救うと別の不幸が降りかかる
●未来の想い出
・ループ、死んだ好きな女を救おうと死亡フラグ回避してもまた死亡フラグが。自分の命をかけて女を救おうと挑む
●ターミネーター
・『ターミネーター』で未来から現代に送り込まれた『T800』は体制側の殺人アンドロイドでテロリスト側の主導者を抹殺しようとしていたのに対し
『シュタインズゲート』の『鈴羽』はテロリスト側の戦士で、体制側の計画を破壊しようとしている
・T800は未来におけるテロ集団の指導者が指導者として立ち上がる前の子供のうちに殺してしまおうとしている。
鈴羽はタイムマシンの発明者がタイムマシンを作ることになるきっかけを壊そうとしている。
●デジャヴ
好きな死んだ女救うため過去に手紙(メール)送り未来を変えようとしたり、 過去に行って未来を変えようと挑み(ループ)命と引き換えに女を助けだす。
●酔歩する男
・失った愛する女を救うため自分でつくった装置でタイムリープ
元ネタなら他にも山ほどあるぞ。
それぞれ白の女王(まゆり)と赤の女王(助手)を擁する2つの相争う世界線ってのは「航時軍団」
始まりと終わりのプロローグからあれこれあって終りと始まりのプロローグへ至る、東京の時代風俗をたっぷり描写したループSFは「マイナス・ゼロ」
タイムマシンを製作して歴史改変が可能な世界においては、最終的にタイムマシンが最初から存在し得ないように改変が収斂するのは「ニーヴンの法則」
「それが、シュタインズ・ゲートの選択だ」は勿論「高機動幻想ガンパレード・マーチ」冒頭「それが、世界の選択である」
ジョン・タイターが実は少女・阿万音鈴羽なのは「時をかける少女」。鈴羽ルートはバックトザフィーチャー。
未解決にあるんでラヴァーズコレクションの直樹√投下します
1月20日に店に入った万引き犯を捕まえてもらったことから知り合い、度々店に姿を現すようになった北村直樹。
その後ひなこの祖父母とも面識を持つに至ったが、遊園地に行ったことがなかったり不出のはずのパリコレ内部映像
を借りて見せてくれたりと彼の過去・職業・出生はともに謎だらけだった。
(共通√はこれまで。2月14日から各キャラ個別√に分岐)
2月14日
それでもそんな直樹に求愛され惹かれ始めていたひなこは、バレンタインデーにチョコを贈ることを決意。
……と思っていたら、直樹は店に直接やって来てひなこを揶揄うように皆の前で強引にプレゼントを渡してきた。
「お客様から物を貰うのは原則禁止だぞ!あの人は強引だから断るのは無理かもしれないが……」
当然平山部長からお叱りを受けたが、なぜか初対面のはずの直樹を知っている口ぶりだった。
次の日二人で食事をした時にチョコを渡し、ひなこと直樹は正式に恋人同士となった。
2月21日
直樹から悲恋ラブロマンス映画に誘われたひなこは二人で映画を見に行くが、その映画の途中直樹は呟いた。
「……誰かを愛して泣くときは、本当に失う時だけだよ」
意味が解らず帰りに直樹の家で聞いてみたひなこだったが、帰ってきたのは意味深な答えだった。
「人って……本当に悲しいと、涙も出ないんだよ。絶望しか残ってない人間には、泣くことなんてできない。あまり
に突然であまりに衝撃的だと、受け止めきれなくて泣くこともわめくこともできない」
直樹の顔には暗い影が落ちていた。
2月23日
ひなこが一人で接客していると、店にそぐわない不審な客がやって来て買い物もせずひなこの退店時間を聞いてきた。
「……ということは9時過ぎか…………っ!?ちっ……」
不審なその男は、店に近付いて来るハヤトの顔を見るなり慌てて退散。ハヤトもまた不審な顔をしていた。
「あいつらは今この町に増えてる、東アジア系のその筋さ。日本でいうところのヤクザ、日本語が通じない分なおどうにもならない」
そうして話しているところに、直樹から久々のメールが。仕事で忙しかったという直樹に何気なく今しがたの不審な
客の話を振ると、なぜか直樹は直接電話してまで食い付いてきた。
「今度その人が来たら覚えておいて。それとむやみに話しかけないで。いいね?」
2月27日
あの日以来、本格的に直樹のメールは途絶えた。そうしてひなこが悶々としていたある日、ビル内で密談している直樹と平山部長を発見した。
「最近物騒なので、あまり動き回らないでください。情報共有は必要ですが、あの事故のことなど調べる必要はないんですから」
「……それよりも、ひなこは元気かい?」
「元気とは言い難いんじゃないですか?あなたが連絡しないから」
「今連絡したら、ひなこが妙なことに巻き込まれるかもしれない」
何の話かは解らなかったが、ともあれひなこはその夜直樹にメールで問い詰めておいた。
3月7日
「今度の決算の時に、役員の大幅入れ替えをするみたいだ。6月の株主総会の決定でね」
「社長も替わるの?」
「もう70だしね。それで後継者が欲しいみたいで」
「お子さんいらっしゃらないのかな?」
「うーん、いないんじゃないのかな?全然聞こえてこないからなあ」
相変わらず直樹からはろくに連絡も無かったが、ひなこは仕事中ふとしたことから悟に会社の噂を聞いた。
「まぁそんなこともあって、今専務派と社長派が対立してるらしい。社長派の言う通りなら、平山部長が専務に抜擢
される可能性があるんだ。若い役員を数名入れたいらしいんだが、その候補が現専務と意見が合わないらしいよ」
直樹が派閥の調査をしていることを悟ったひなこは、その日の内に直樹にメールを送り問い詰めた。
「そのことについては、とりあえず明日会って話をしたい。明日、会えるかな?」
3月12日(※明日と言っていたのになぜかゲーム内日付は12日。バグ?)
約束の日、直樹は辺りを異様に警戒しながらいつもは歩く距離をタクシーに乗りひなこをマンションへと連れて来た。
「話せることと、話せないことがある。それと、物によっては嘘が混じる。この条件でいいのなら、話をするよ」
ひなこは悩んだ末に話を聞くことにしたが、得られた答えは直樹がリヒトクラフトの調査をしていることと平山部長
がその報告先であるということくらいだった。
「今の僕には、本当にここまでしか答えられない。ひなこに話してしまうのは、とても危険だったんだ……今も調査対象の動きによっては、どうなるかわからない」
「でも……理由があるから話せないって、初めに言って欲しかった。そうしたら、不安にならなかったのに。一緒に苦しみや悲しみを分かち合いたいのに」
「それを言ってしまえば、ひなこは心配するだろう?分かち合えない苦しみや悲しみも……あるんだよ」
ひなこは家に帰ったが、眠るまで泣き続けていた。
3月13日
ひなこは出勤したが、顔は歪み仕事は上の空。悟に言われて化粧を直しに行ったが、結局は早退を言い渡されてしまった。
だが気を取り直したひなこがその事を直樹にメールして帰ろうとした瞬間、突如現れた先日の男たちに捕まり気を失ってしまう。
そして目が覚めると、そこはラブホテルの一室。ひなこの周りには5人ほどの男たちが囲んでいた。
「ボスからの連絡はまだなのか?」
「もう喰っちまおうぜ?別にいいんだろ?何か問題あるのかよ?」
男たちはとうとうひなこに襲いかかり、ひなこは服を脱がされひとしきり体をまさぐられた……
(ここから3つのEDに分岐。玉の輿EDに続いて輪姦EDいきます)
【玉の輿ED】
3月14日(なぜかこのタイミングで日付が変わる。11時59分だった?)
「ひなこ!大丈夫か!?どこも、怪我は……」
すんでのところで乱入してきた直樹らと警官隊により助け出されたが、ひなこはショック状態であった。
「平山!!救急車!!お願いだ……!!」
「……いやっ!!病院はいや!!……病院は、いやぁ……」
ひなこは直樹にすがりついたまま眠ってしまったが、やがてうっすらと目を覚ますと直樹とともに走る車に乗っていた。
「僕とひなこは……本当は17年前の事故の時、病院で会っていたんだ……」
微睡むひなこに、直樹は昔話を始めた。
「もうわかっていると思うけど、僕はリヒトクラフトの創始者北村浩三の息子だ。僕の母は後妻でね……先妻の姪の
友達で、世間は年の離れた社長夫人を娼婦のように言って冷たかった。特に専務(リヒトクラフトは一族経営で、専
務は社長の従兄弟)は僕も誰の子かわからないなんて言って母をなじってね……」
やがて車はホテルに着き、二人は予約のある豪勢な部屋に入った。
「あの事故の日、母は親戚の名代で法事に出かけて帰らぬ人になったんだ。事故は仕方がなかったんだけどね……親戚の
嬉しそうな態度に怒っていたら、ひなこが僕を慰めてくれた。ひなこはその時、いっぺんに家族を亡くしたのにね……」
ひなこは涙を流し始めていた。
「その後結局、僕とひなこは別れてそれっきりだったんだけど……父の具合いが悪くなって日本に帰ってきた僕に待
っていたのは、専務の横領事件だった。この証拠を掴むため僕は調査を始めた。6月には大幅に役員を入れ替えるこ
とにしてやっと証拠を掴んだという時に、ひなこを巻き込んでしまった……」
ひなこが大丈夫だったからもういいと言うと、直樹は真剣な瞳で見つめてきた。
「僕は誰も信じられなくなって日本を離れて……海外で暮らして色んな人に出会ったけれど、ひなこほど印象に残った人はいない……
ひなこだけが、僕の中で唯一残った人間だったんだ……ひなこと一緒にいたい……僕たちはずっと昔に出会って、離れてまた出会った……
僕はこの奇蹟を信じてる。これからはもう、一人で生きたくない……ひなこがいないと、だめなんだ」
二人はそのまま抱き合い、夜を過ごした。
その後二人は海外で結婚式を挙げる。ちなみにひなこは社長夫人になっても、商品企画部へと異動して仕事を続けるという。
「僕達のはじまりは、あの病院の悲しみの中で。僕達は、人の悲しみ、憎しみ、出会いと別れを見つめて、離れてい
たお互いの運命がもう一度交差した時……僕達の幸せは決まっていたんだ……これからはずっと二人で、幸せに向か
って歩いていける……ずっと、ずっと二人で……」
〈END〉
セルフ支援
【輪姦ED】
三ヶ月後。
直樹は社長に就任し専務派を一掃。平山部長の昇進が間近に迫ったところで、直樹は悟に部長昇進の打診をした。
「……君の力を、一時僕に貸して欲しい。そのかわり、君の憎しみを僕は甘んじて受ける」
ひなこはあの事件以来正気を失い、外出もできず直樹とひたすら淫蕩に耽るのみとなってしまった。
「直樹さん……直樹さん、直樹さん……」
祖父母は悲しみに暮れるあまり無理心中し、残ったひなこを直樹は引き取った。精神病医によるとこれは自傷行為で、
事件と同じ状況に置かれることを本人が望んでしまうらしい。
「直樹さん……どうしたの?泣いてるの……?悲しいの?」
「ううん……僕は、幸せだよ、君がいるからね……」
「わたしも、直樹さんが好き……大好きよ……わたし、本当に幸せ……」
〈END〉
以上です
あと一つノーマルEDがありますがこちらはホテルに行ってもHせず結婚もせず付き合いを続けるというだけの内容なので省きます
それと今更ですが
>>117さんの疑問に答えるとあのリンカーンは挿入されたところでブラックアウトして場面が三ヶ月後
にいくので他キャラバッドEDでの愛のあるレイープとか堕落したセクースと雰囲気は大して変わりません
乙です