【ゾンビか】バイオ小説創作スレFILE5【ガナードか】
2 :
ゲーム好き名無しさん:2007/05/28(月) 22:10:37 ID:8RFpIK7tO
やかましいわ
紅蓮の炎と形容しがたい臭気に包まれた街
その街を徘徊する住人たちは腐乱した体を引きずり、その白濁した目で周囲を窺いその飽くなき食欲を満たす餌を探す
そしてこの世のいかなる生物とも異なるフォルムを持つ異形の者たちもまた、獲物を探してその残忍な牙を光らす
化け物が跋扈するこの街にはまだ、一握りの生者たちが居た
彼らは恐怖に苛まれ、絶望に蝕まれながらまだ、その足をとめようとはしない
一筋の希望を信じ、生還への糸口を掴むために彼らは走り出す
今日もまた、果て無き地獄の逃避行が始る―――――
5 :
ゲーム好き名無しさん:2007/05/28(月) 23:01:27 ID:dzUPwYyQO
大人になった戦うシェリーを出してくれ。
クレアから貰った赤いベストも忘れずに
↑すまん、前スレだったorz
暑い…もう初秋だってのに体が熱い…
まとわりつくような暑さに目を覚ました青年の名はトニー。時計は零時をまわっている。
齢は28、親との折り合いが悪く、現在はさびれたボロアパートで一人暮らし。
生活は親の仕送りをあてにしていた。そんな生活に後ろめたさを感じつつも彼は惰性でこの生活を6年も続けていた。
しかし暑い…熱でもあるのか…?
彼はそう呟くと体中の汗を流すため、シャワー室に向かった。
運動をしなくなって長く、労働から遠ざかっているトニーの体はお世辞にも良い体躯とは言えなかった。
服を脱ぎ、ふいに視線を鏡に向けたトニーは違和感を覚えた。
白色であるはずのトニーの胸は赤く腫れ上がり、熱を発していた。
ダニ…じゃあなさそうだよな…。シャワーの蛇口をひねり、汗を流したトニーは、ベッドに戻り、寝苦しい夜を眠った。
喉の乾きに再び目を覚ましたトニーは、普段は静かな窓の外に変化が見られる事に気づいた。
嫌に騒々しい。
何か事件でもあったのか?
冷たい牛乳を飲みながらつけたテレビの中ではスタジアムでの暴動のニュースを伝えるキャスター。
だめだ僕文才ないです
スレ汚しごめんなさい
なんだ、続き読みたかったのに
狂った現実がトニーを襲ったのは、それから間もなくの事だった。
窓の外から鋭い悲鳴が聞こえた。
女性の…悲鳴か?
トニーは今まで人とかかわり合いになる事を避けて生きてきたし、他人に感心がなかった。別に助けようというつもりもなく、ただ、野次馬的な考えから、窓の外に視線を落とした。
…?…!!
トニーは目の前に広がる映像を現実であると理解する事に抵抗を覚えた。まるで現実味がない。
うつ伏せで倒れている赤い服を着てる女性を、膝を落として囲む数人の人影。
その人影は、倒れている女性を食べているように見えた。女性はまったく動かない。その代わり、と言うのも滑稽ではあるが、人影は数日食事をしていない奴隷のように、いやそれ以上に、目の前にある御馳走を胃袋に放り込んでいた。
トニーの額を嫌な汗が流れた。人との干渉を避けるなどと考えている場合じゃない。早く女性を助けなければ。
直感的に、あの女性はもう絶命しているという事などトニーにはわかっていた。
だがトニーは怖かった。誰かと話がしかった。警察、救急、どちらでも、いや誰でも良かった。
救急に電話をしたところ、今現在救急車が出払っている、もう少し時間がかかる、という事だった。なんでも今夜は事故事件が多いらしい。
受話器を耳に当てながら窓の下を見ると、そこにあるのはさっきまで女性だったもの。その周りには変わらずの人影。心なしかさっきより増えている気がする。まだ、食事が終わっていないようだ。救急車が来たところでどうにもならない。
トニーは無意識に電話を切ると、ひどい空腹感に襲われた。体中が暑いし、かゆい。
夕飯からもう大分経つから腹も減るだろうな、そう思ったトニーは、こうも考えた。
今さっき女性が食われているのを見たのに食欲…?そういや俺、科学の実験でのマウス解剖すら苦手だったじゃないか。
窓の外を見ると女性の体が野ざらしにされている。周りには人影。そして悲鳴をうめき声。そう、この数分の間でアパートの前通りは悲鳴とうめき声が入り交じる、人々の、混乱を引き起こし始めていた。
続きwktk
胃に不快感を覚え始めるトニー。トイレに駆け込み、内容物を戻す。夕飯に食べたサンドイッチが、殆ど消化されてない。タンクトップを脱ぐと体中には大量の汗。
鏡に映ったトニーの顔色は悪く、そして全身に広がりつつある、皮膚の腫れと痒み。
トニーは自分を含むまわりのセカイがただ事ではない事態になりつつある事を心から理解し始めた。
外はますますの悲鳴。うめき声。そしてサイレン。
…サイレン?
トニーは無意識のうちに、タンクトップを着、ジーパンを乱暴に履いた。ただ事じゃないこの状況、警察でも救急車でもいい、
自分の身を守ってもらえる事にトニーは確信を持っていた。
警察の拡声器による警告が聞こえる。耳までおかしくなってしまったのか、
よくは聞き取れないが、暴徒で溢れかえっているここいら一帯を封鎖するらしい。
早くアパートを出て保護されなければ。
無造作にサンダルを履き、息をあげながら部屋を出たトニーは、エレベーターで1階に向かった。
エレベーターのドアが開き、1階の廊下に足を踏み入れるトニー。足下には大家が植えていた植物。
目線を上げると、ゆらゆらと具合が悪そうに歩く人間。風貌から隣の部屋の住人だろう。
普段から近所つきあいを
疎かにしていたトニーだったが、状況が状況である。それにむしろ一緒に逃げた方が心強い。
あんた!さっきの警告聞いたか!?早く通りに出ないとまず…
隣人がうめき声をあげ、掴みかかってきたのは、トニーがそう言いかけた瞬間だった。
うあぁあぁ!!
壁に押さえつけられたトニーの肩口に隣人の歯が食い込む。
うがぁあああっ!!
危機感から反射的に隣人を振り払おうとするトニーであったが、隣人の力は凄まじかった。
動く事から遠ざかっていたトニーは、暴徒と化した隣人の前では非力であった。
隣人の目は濁っていて、体からは腐った肉のような、嗅いだ事のないような、異様な臭いを放っていた。
死にもの狂いで隣人を振り払うトニーは反動によって尻餅をついた。隣人もバランスを崩したのか、仰向けに倒れている。
恐怖に囚われたトニーは震えが止まらなく、動けなかった。
なぜ?なぜ?なんだこれは…?
トニーが状況を把握する前に、状況は再び動く。
チーン。
突然の、エレベーターが1階に到着した音。
まさか?…また暴徒か!?
自身の中の恐怖を必死に抑えながら、アパートの出口に脱兎の如く駆けだしていた。
後ろからエレベーターから出てきた、避難する人であるか暴徒であるかは不明であるが、話し声が聞こえた。
が、トニーは恐怖のあまり振り返らなかった。この時の行動が、後のトニーの命運をわけるのだが。
とにかく、トニーはだらだらと6年間を過ごしたアパートを後にした。
続きが気になる
20 :
ゲーム好き名無しさん:2007/06/06(水) 23:12:45 ID:ZUuaPntdO
続きマダー
続き!wktk!!!
22 :
ゲーム好き名無しさん:2007/06/09(土) 20:24:28 ID:iFOARh1uO
このスレまとめサイトに載ってないな
前スレからかなりブランクがあったから気づいてないのでは
アパートを出ると、目の前には叫び逃げ惑う人々と警官と暴徒の群。
それは、さっきまでトニーがアパートの一室から見下ろしていた俯瞰の映像ではなく、ただ、リアルだった。
今まで客観的に、まるで映画でも見ていたような気分であったトニーは、アパートを出た瞬間から、映画の登場人物にでもなってしまったかのような
錯覚を覚えた。
警官は既に暴徒に向かって発砲を開始していた。
肩口の傷を抑えながらアパート前の階段を下るトニー。呼吸は荒く、汗にまみれている。
肩の出血は思ったほどひどくなく済んだらしい。
アパートの前の通り、裏路地ではあるが、週末になると美味い酒を求める会社員やOLで賑わう通りだ。
近くにはアップルインという、大きな吹き抜けのあるホテル。この裏路地の隣の大きな通りがアップルイン通りと呼ばれている。
トニーにとっては特に刺激もなく、ただ生活してきただけの街ではあるが、それでも今までのんびり暮らせた良い街だった。
しかし、目の前の現実はどうだ。一人、また一人と暴徒の餌食になっていく。
警官に撃たれて倒れる暴徒、暴徒に襲われ倒れる民間人、この世界は一瞬にして地獄になっちまったのか。
銃を発砲しながら警官が叫んでいる。金髪のなかなか渋い中年の警官だ。
この道路は封鎖されます!奥のアップルイン前通りに非難してくださいっ!
地獄のような混乱の中、その言葉を落ち着いて聞ける民間人がいるのだろうか。
トニーはもう殆んど出血が止まった肩口を抑えながら、大勢の避難者と共にアップルインへ向かう為走るトニー。
それは、行列であった。
後ろでは警察官が民間人と協力してなのか、パトカーを押している連中が見えた。
その中に、ウェイトレス…っぽい服装の…名前はわからないが、まぁいい。今は走るしかない。
いつ暴徒が襲ってくるかわからない。
警官の指示に従って今はアップルイン前通りを目指そう…。
避難者と行列の中を進むトニーの顔色は悪く、呼吸は乱れ、自分でも具合が悪い事はわかっていた。
しかし、それと反比例するかのように、空腹感だけは過剰な程あるトニーであった。
あまりアイディアが沸かないのと平日の忙しさから
超マイペースで書きます
文章は下手だし、ストーリーもめちゃくちゃでありますが
お許し下さい。
あまりに目に余るようでしたらスルーして下さい でわ
自分のペースを守るのは大事ですよ
まったり書いてください
続きを楽しみにしてます
28 :
30:2007/06/11(月) 23:35:12 ID:YD7PtP+Q0
「・・・さーて、お送りした曲は、エイポーンの「街が泣いてる」。
何ともタイムリーな曲じゃないか。
さて、次は・・・
交通情報か。そうだったな。
ニュート頼むぜ!
・・・ってニュートはさっきやられちまったんだったな・・・・・・・・
ええと、誰だい?レポーターは」
「こちらヒックスだ。交通情報を聞いてくれ」
「おい、ディレクター自らレポートかよ・・・
せっぱ詰まってきたな。まぁいいや、ヒックス頼むぜ」
「オーケー、ドレイク。任せてくれ。
さっきニュートが最後に伝えてくれた通り、ハイウェイは大破した車の残骸に
阻まれて全面的に通れない。幹線道路で残ってるのは西13通りとビショップ通りの
二本だけだ。だがどっちもあちこちで車が燃えてるんでそうすんなり通れるとは
思わないでくれ。裏道はまだいくつか無事なようだが・・・
あとはそうだな・・・
大学通りが比較的平穏なようだ。さっきも『人間』が何人か歩いて行った。
動物園通りは救助のヘリがやられてから誰も通っていない。空いてはいるが、
もうどこにも出られないから行くのは自殺行為だ。
・・・今はそんなところかな。また1時間後に伝えるよ」
「サンキュー、ヒックス。あんたも気を付けろよ。
しかしひどい状況だな。みんな生きてるか?
オレの放送を聞いて無事にシティから脱出してくれよな。
・・・さて次は?
うん、うん・・・わかった。
さっきバドソンが街で拾ってきた声を聞いてもらおうか」
じょおだんじゃないぜ!!せっかくここまで逃げてきたってぇのにっ
軍のやつら、ヘリを引き上げちまいやがったんだ!
市民のみなさん、すでにヘリや車両は定員をはるかに超えています。
我々は一旦市外へ人々を運んで、その後、またここに迎えに来ます。それまで
うるせー!!それまで生きてられるって保証がどこにあんだよぉ
俺たちも乗せろー!!
お願いっ、子供だけでもー
おまえらだけ逃げる気かぁー
落ち着いてください!!
これ以上乗っては危険です!さがって!
このままでは一人もシティから出られません!!さがってください!!
バーン!!
きゃーっ!
ちくしょう!撃ちやがった!!
何すんのよー!!
ふざけんな!!撃つなら死んでるやつらを撃てっつーんだよ!
うわっ、やめ
30 :
30:2007/06/11(月) 23:37:09 ID:YD7PtP+Q0
「わかった、もう止めてくれハドソン・・・
何て有様だ。
いいか、この放送を聞いてるみんなはくれぐれも落ち着いてくれよ!
我を忘れた者が真っ先に死ぬんだ。
冷静に行動することが生き残るための必須条件だからな。
じゃあ曲に行こうか・・・
また「街」かい。ええと、Z.スパンクマイヤーの「街一番の変わり者」。
みんな、曲の間に死ぬんじゃねーぞっ!!」
♪街一番のー変わり者ー
♪街一番のー変わり者ー
♪頭に咲いた赤い花ー
♪花びら散って実がなってー
♪街一番のー変わり者ー
♪はじけた頭も赤い花ー
「何だか訳のわかんねぇ曲だな。
さてと、実を言うとここもだんだんヤバくなってきた。
さっき自家発電に切り替えたばかりなんだが、どうやら発電機用のガスが残り少ない
らしいんだ。タンクに穴が開いてて中身が漏れてやがった。
ひでーもんだ。
放送は可能な限り続けたいが、これじゃいつ終わるかわかったもんじゃない。
て訳だから、ここからは予定を変えて脱出に必要な交通情報をメインに伝えるぜ。
ヒックス、頼むぞ」
ザーーーーーー
31 :
30:2007/06/11(月) 23:38:09 ID:YD7PtP+Q0
「ヒックス?
どうしたっ!!ヒーックス!!!」
ボンっ!!
「うわっ!何だ?
爆発したぁ
逃げろー
ちくしょう火がっ
ハドソン!ハドソン!!
おい、ちょっと待てっ
うわぁあああっ!!
ぎゃっ
ドーン!!
ぐっ・・・て、天井が!
ひでぇなまったく。煙が入ってきやがった。
うがっ!
ちくしょう・・・
・・・みんな
ええと、突然だがオレはこれからちょっとデートに行かなきゃならなくなったんでな。
おまえに彼女がいたのかって?大きなお世話だぜはははは・・・
じゃあ最後にさっきADのゴーマンが持ってきた情報を伝えるからよく聞いてくれ。
32 :
30:2007/06/11(月) 23:39:11 ID:YD7PtP+Q0
ビショップ通りはもうダメだ。西の13から27へ抜けたところにインターチェンジが
あるだろ?そこからハイウェイに乗るんだ。さっきまではダメだったが、大きな爆発が
あって道を塞いでいたスクラップがぶっとんだらしい。そこからサービスエリアまで
歩くんだ。車は通れない。道が穴だらけだからな。
だから歩け!
サービスエリアには消防のテントがあって救護施設も用意されてるって話だ。
いいか、サービスエリアまでは山道で登りが続く上にかなり遠い。
だから気を引き締めて行くんだぞ。みんなで集まって行け。一刻も早く!
何があっても諦めるな!足がちぎれるまで歩くんだ!
そして生き延びろ!死んでいったみんなの分までな。
生き延びてこの惨状を伝えてくれ。
これからあの世へデートに行くオレの分もな・・・頼んだぜ。
WLRFM、こちらはリバティラクーン。
周波数9x.xMHz、出力・・・
E N D
33 :
ゲーム好き名無しさん:2007/06/12(火) 00:49:52 ID:ZWvE9rXO0
神降臨age
すごい
このスレの新参な私だが楽しませてもらったよ
乙でした
35 :
ゲーム好き名無しさん:2007/06/21(木) 11:06:21 ID:m2pEiYIpO
保守
ほ
しゅ
保 しゅ
保守
保守
42 :
ゲーム好き名無しさん:2007/08/06(月) 23:02:44 ID:Xwss5QY3O
ほ し ゅ
保守しますね
44 :
ゲーム好き名無しさん:2007/08/15(水) 01:30:48 ID:cSzPFzyz0
俺の名は佐々木。日本がウイルス汚染で壊滅して二年、アメリカを筆頭に
各国の研究機関が、荒廃したこの国で対生物兵器の実験を行ってきた。
実験対象はゾンビ化した日本人である。
生き残った人々は、殆どが外国に移り住み、一部の者は瀬戸内海の離島
や、被害の少なかった北海道札幌市などを中心に独自の都市形態を築いていた。
自衛隊と米軍による、感染地域と、そこに生きる生物への殲滅作戦によって
破壊された各都市は、もはやその都市機能を失っていた。
特に被害の大きかった東京は、現在も米軍によって隔離され、ゾンビ化した
市民への発砲音が常に飛び交う、まさに地獄の様相を呈していた。
俺が札幌を出て、海路で仙台に着いたのは2008年3月17日。湿った冷たい風が
吹きすさぶ早朝だった。札幌を出発した自衛隊の戦車大隊が仙台市を制圧して
1週間後のことである。
ゾンビ化した人間に知性は無い。とは言え、本能によるものなのか、彼らは
日本のあちこちに集結地を形成し、一定の周期ごとに集団で移動を繰り返す
習性があった。通称「コロニー」と呼ばれだしたその行動に目を付け、
集結しているところを一気に殲滅しようというのが臨時内閣の決定した作戦だった。
米軍のナパーム爆撃などが効を奏し、感染レベルが引き下げられた都市などは
次々に入植者が入り、日本の再興をスローガンに懸命な努力が行われていた。
俺が立った仙台市もそうである。
市内の至る所から噴煙が起こり、日米の連合軍兵士が重武装で配置されている。
二年前の春に、この小さく美しい政令指定都市がこんな状態になることを、一体誰が
予想できたであろう。
戦場カメラマンとして、外国に行くことはあっても、まさか自国でその仕事を
請け負うとは、不覚ながら俺には予想できなかった。
イランへの武力行使をアメリカが議決して数日後に日本の壊滅が始まったのである。
すでに多くの報道関係者が状況を見越してイラン入りしていた。
俺もその一人で、東京が生物兵器らしき攻撃により壊滅という戦慄の一報を聞いたのは
隣国イラクはバグダッドのカフェの中だった。
隣にいたフランス人記者が叫んだ。「佐々木、これは大変な事になるぞ!」
閉鎖された国際空港を避け、台湾経由で新千歳空港に着いたのは2ヶ月後だった。
てな始まり方をする小説って、まとめスレのログのどこにあるかわかります?
いくら探しても見つからないのですが・・・
それはここのスレじゃないよ
同じ趣旨の別スレで「バイオハザードの小説を書くスレ」って名前だった
今ではもうdat落ち
誰かまとめてるかはわからない
レスさんくす
あきらめがついたお
47 :
46:2007/08/29(水) 12:20:09 ID:sj4DazRZ0
48 :
ゲーム好き名無しさん:2007/09/08(土) 16:46:26 ID:j4okG03ZO
保
49 :
Y:2007/09/17(月) 22:35:51 ID:vRNyfQoY0
「先生、コイツを見せりゃ不審者どころか切り裂きジャックでさえ逃げ出すぜ!」
差し出されたのは大型のリボルバーだった。
「私にこんな大きい銃使えるかしら…」
「言ったろ。切り裂きジャックもこの銃を見ただけで逃げちまうって。別に撃たなくてもいいのさ。
それにこの銃は強力すぎて、ドンピシャ当たっちまったら即死だよ」
「そうね。自分を守るためでも人を撃つのはいい気分しないもの。穏便に済むならそれが一番ね。
じゃ、これ頂こうかしら」
「毎度!」
10日前。最近、物騒な事件が多いので護身用の武器を買おうとガンショップに足を運んだ。
女性が使う護身用武器と言えばスタンガンだけど、相手に近づかないと使えない。
それならば遠距離から威嚇できる拳銃の方がいいと思ったからだ。
それからは出かける時は必ずそれを持つようにした。
もちろん、今日も例外ではない。
リドリーは自分のデスクに置いてあるバッグを開き、
他の先生達に見えないようにこっそりとそれを取り出した。
(これがあれば大丈夫…よね)
ポケットに銃身を突っ込み、はみ出たグリップ部分はシャツで隠す。
ずっしりと重いリボルバーは、いつもよりずっと心強く感じられた。
51 :
Y:2007/09/17(月) 22:38:30 ID:vRNyfQoY0
「異常だ…こいつら…」
さっき階段の踊り場にある窓から外の様子を見たのだが、”学校見学者”たちは学校の前の通りを埋め尽くすほどだった。
見学者達は校門をガンガンと叩きつけていた。それを食い止めているのは小さい南京錠だけ。
通りを埋め尽くすほど人が集まるのもおかしい事だが、もっとおかしいのは見学者たちの身なりだ。
血まみれの服を着ているもの、指が欠損しているもの。
中にはえぐれた肉の中から白い骨が見えているものまでいた。
おまけに、さっきから何度も声をかけているのに低いうなり声を上げるだけで全く反応してくれない。
アーサーは夢であるなら覚めて欲しい、と願った。
「先生!ちょうど良かった!」
後ろから声をかけられてハッとした。
「用務員さん…」
校門の近くにある用務員室から初老の男性が飛び出てきた。
「そいつらは異常者だよ。話が通じなかっただろう?ま それは一旦置いておいて、
さっきやっとこさ警察に電話が繋がったんだよ!」
用務員の男が興奮気味に言った。
「本当ですか!それで、警察はいつくるんですか?」
「…町の至る所で殺人事件が起きていて警察も対処しきれないらしい。
奴らのことを話したら、危険だから絶対に入れるなだとさ。
いつ来るかは聞く前に切られちまったよ。あちらさんも相当忙しいみたいだから。そのあとはまたずっと電話中だよ」
「そうですか………しかし、校門の外にいる連中が全員殺人鬼なんて考えられな…」
その時。”見学者”たちの執拗なノックに耐え切れなくなった門を支える蝶番が壊れ、ガシャンと音を立てて校門が押し倒された。
52 :
Y:2007/09/17(月) 22:39:16 ID:vRNyfQoY0
同時に、後ろにいた見学者達が校庭になだれ込んで来る。
「校門が壊された!?」
言い終わらないうちに、アーサーは駆け出していた。
しかし、用務員の男はその場に突っ立っていた。
「今、奴らの中に確かに教頭がいたんだ!」
「何を言ってるんですか!早く逃げろ!」
「いや、見間違えじゃな…うわっ!」
話をさえぎる様に”見学者”たちが数人、用務員の体を掴んでそのまま引き倒した。
周りにいた見学者達もすぐに用務員の体に群がり、その肉を食い始めた。
辺りに絶叫が響き渡る。
「噛んで…いや食って…る…!?」
信じがたい光景を見て、アーサーはその場に立ち尽くしてしまった。
と、その時。上の方から声が聞こえた。
「キャーーーーーーーーーーーッ!」
「血が出てる!」
「アーサー先生!」
一部始終を見ていた5-4の生徒達の声だ。
その声でアーサーは我に返り、また校舎の入り口に向かって駆け出しながら叫んだ。
「みんな!早く安全な部屋に逃げるんだ!」
53 :
Y:2007/09/17(月) 22:41:36 ID:vRNyfQoY0
あとで読んでみたら明らかに日本語がおかしいところが数箇所…
国語力低すぎだ…俺…
過疎ってるから読者も少ないだろうけど、ちゃんと読んでるよ。
期待してるので続きをよろしくお願いします。
同じく
続きが楽しみです
56 :
Y:2007/09/23(日) 15:00:36 ID:fbVB+vIi0
なんとかアーサーは校舎の西通用口に辿り着くことが出来た。
殺人鬼たちは全員動きが遅いので、逃げることは容易だった。
(あいつら、東側の入口からもう中に入り込んでるかもしれない!はやく、他の先生にこの事を伝えなければ!)
扉を施錠して、2回への階段を駆け上がろうとしたとき、後ろから声をかけられた。
「アーサー先生!無事でしたか!」
長身で眼鏡をかけた若い男………クライン先生だった。
恐らく、倒れた生徒を保健室に運んでそのまま室内で教頭からの連絡を待っていたのだろう。
「何なんですかあの人たちは…!?」
「クライン先生!詳しい話は後で、はやく職員室に!」
57 :
Y:2007/09/23(日) 15:01:57 ID:fbVB+vIi0
アーサーの声を聞いて、教室は騒然となった。
「アーサー先生が逃げろって…」
「安全な部屋って!?」
「! あいつら校舎に入ってきたぞ!」
口々にみんなが叫ぶ。
「どうするんだ!?テッド…」
フレッドが慌てて聞いてきた。
「下で何が起こったかはわからないけど、用務員さんはたぶんあいつらに殺されたんだ…」
フレッドが窓から下を見てみると、校庭には確かに用務員が血まみれになって倒れている。
「まじかよ………どうすんだよ!早くどっかに逃げないと!」
「視聴覚室に行こう!あそこの扉はでかくて厚いし、中も広いからみんな入れるぞ!」
「あっ視聴覚室があったな!さすがエンリケ!」
エンリケの名案に、フレッドが親指をパチンと鳴らした。
「そうと決まったらみんなにも教えないと。フレッドとエンリケは他のクラスのみんなに伝えるんだ!
僕はみんなに話すから!」
テッドが力強く言った。
「わかった!」
そういって2人は教室を飛び出した。
テッドは教室にいる全員に大声で言った。
「みんな!視聴覚室に逃げるんだ!扉が頑丈なあそこなら絶対大丈夫だ!」
「本当に大丈夫なの!?」
泣きそうな目でアンジーが聞いてきた。
「大丈夫さ。それより視聴覚室は二階だから、はやく逃げないと
あいつらも上がってくるぞ!」
言い終わらないうちに廊下がもっと騒がしくなった。
他のクラスの生徒が廊下を走っている。
同時に、フレッドとエンリケが戻ってきた。
「みんなには話したぞ!俺たちも早く逃げよう!」
フレッドが言った。
「よし、行こう!」
続き待ち保守
落としはさせない
60 :
Y:2007/10/01(月) 21:16:42 ID:ADUci2+l0
風邪でぶっ倒れたのでうp遅れそうです。すいません。
おかゆ うま
61 :
ゲーム好き名無しさん:2007/10/08(月) 06:59:35 ID:nrzCVJTIO
保守
62 :
Y:2007/10/08(月) 19:51:34 ID:lHvi1p5a0
5-4の生徒達が教室を飛び出してからすぐに、階段付近にいた集団が騒がしくなった。
「……はダメだ!…の階段を…」
誰かが叫んだが、ざわめきでよく聞き取れない。
と、さっきまで前で押し合っていた生徒達が一斉に戻ってきた。
「うわっ!」
肩や腕がぶつかり、転びそうになる。
「おい、どうしたんだよ!?」
フレッドが逃げる生徒の肩を掴んで聞いた。
胸に青いワッペン−6年生の証−をつけている。
「殺人鬼が3階まで上がって来たんだ!早く逃げないと殺される!」
6年生は顔面蒼白になりながら言った。
「逃げるって、どこに?下はもうダメなんだろ!?」
「き、来たっ!!」
フレッドの質問には答えず、それだけ叫ぶと6年生は逃げていった。
63 :
Y:2007/10/08(月) 19:58:39 ID:lHvi1p5a0
そこにいたのは血まみれの服を着ている人間だった。
殺人鬼たちはテッドたちの存在に気付き、うめき声のような咆哮をあげながら向かってきた。
「なんだあいつら!!」
フレッドが叫ぶ。
「あっちからもきた!」
アルが悲鳴をあげた。逆側の階段からも、殺人鬼たちが上がってきたのだ。
殺人鬼たちの動きは遅いが、徐々にその距離を詰めてきている。
もう、逃げ場所は一箇所しかない。テッドは決心して言った。
「教室に入って、扉の前にバリケードを作るんだ!もうそれしかない!」
教室の扉は横にスライドさせて開けるタイプの扉だ。
大人が強く蹴ったり殴ったりすればすぐ外れてしまう。
たとえ机やイスでバリケードを作ったとしても、奴らを完全に防げる保証はない。
しかし、このままぐずぐずしていたら…
そのことを考えると、選択の余地はなかった。
64 :
ゲーム好き名無しさん:2007/10/09(火) 13:07:50 ID:smQUEMvh0
65 :
ゲーム好き名無しさん:2007/10/13(土) 04:05:47 ID:QX1x6LKrO
保守
66 :
ゲーム好き名無しさん:2007/10/14(日) 18:21:20 ID:cJqq3JIH0
67 :
Y:2007/10/30(火) 23:27:14 ID:F3tryRA30
バリケードはすぐに出来上がった。スライド扉の前に教壇や机、みんなの荷物が入っているロッカーまで積んだ。
さらにドアがスライドして開かないようにバット −野球部のテリーとベンの愛用品だ−をつっかえ棒にして、
即席のバリケードが完成して数秒後に、殺人鬼たちが扉をガンガンと叩き始めた。
「神様、どうか助けて下さい…」
ラリィが泣きながら鼻声で呟いた。
口には出さなかったがテッドたちも同じ気持ちだった。
扉のすぐ前に積んだロッカーがガタガタと揺れる。
その震動で、うしろに積み重ねた机の山が崩れた。
もう、終わりだ。誰もがそう確信した時。
「あったぞ!逃げ道がっ!」
大声を上げたのは、フレッドだった。
68 :
Y:2007/10/30(火) 23:30:16 ID:F3tryRA30
更新がクソ遅れてすいませんでした。
仕事が忙しくて…
これからもゆっくりですが更新を続けて行きたいと思います。
おお、待ってたぞ
こっちもゆっくり読ませてもらうよ
70 :
ゲーム好き名無しさん:2007/11/04(日) 08:45:29 ID:jOA3QbJLO
保守
補修
保守っとく
73 :
ゲーム好き名無しさん:2007/11/26(月) 12:52:01 ID:23ZgbwNPO
ほ
74 :
Y:2007/11/28(水) 21:31:54 ID:L1dIM5iD0
「コイツだよ!」
そう言ってフレッドは窓の外を指差した。
「ここを進めば、はしっこの理科室まで行ける!」
フレッドが指差したのは、大人一人が歩けるほどの幅しかないキャットウォークだった。
「いくぞ!」
そう叫んでフレッドがキャットウォークに飛び降りた。
フレッドに続くように、テッド、アル、エンリケ、ラリィと次々に窓から飛び降りた。
細い道を一列になって早歩きで進む。
キャットウォークは非常に狭い上にここは3階。落ちたら無事ではすまない。
理科室はもう目前、というところで、ラリィが泣き言を言った。
「理科室にもあいつらがいたらどうするの!?」
ラリィがぐずりながら聞く。
「逃げる!」
テッドとフレッドはほぼ同時にそう怒鳴った。
その瞬間、教室のほうから何かが崩れるような大きな音が聞こえた…
75 :
Y:2007/12/02(日) 22:45:44 ID:TPBGYwC20
「…中、誰かいるか?」
「……いや、誰もいないみたいだ!良かった…」
窓から様子を伺っていたフレッドが大きくため息をついた。
「ラリィ!うしろ、あいつらは!?」
「いや、来てない。だいじょぶだよ!」
ラリィの顔にも幾分か安堵の表情が浮かんでいた。
理科室の中に入った5人はまず、扉に鍵がかかっているかを確認した。
廊下側の入り口と、理科準備室からの入り口。どちらも確かに施錠されていた。
確認が終わると、5人は部屋の隅に集まり、今後のことで話を始めた。
「なあ…これからどうする?」
アルが呟いた。
「どうするって、助けがくるのを待つに決まってるだろ」
と、フレッド。
「他のみんなは無事かな…先生達も…」
アルもぼやく。
結局、アルの言葉を最後に、誰もしゃべらなくなってしまった。
あたりはしんと静まり、教室の外にいる殺人鬼の雄叫びだけが聞こえる。
76 :
Y:2007/12/02(日) 22:46:21 ID:TPBGYwC20
「ねえ、さっきから思ってたんだけど」
沈黙を破ったのはテッドだ。
「あいつらがもし殺人鬼だとしたら数が多すぎやしないか?ドラマでも映画でも、100人以上も犯人がいるなんて聞いたこと無いよ」
「確かに。さっきまではパニくってたからそんなこと考えてる余裕も無かったけど、どう考えてもおかしいよな」
アルがウンウンと相槌をうった。
「かといって殺人鬼じゃあない…わけないよな。何されたかは知らないけど、用務員のおっさんはあいつらに殺されたんだから…」
汗で湿ったハンカチを弄りながらフレッドが言った。
「そのことなんだけど」
さっきからずっと黙っていたエンリケが口を開いた。
その顔はいつになく真剣な表情だ。
「さっき、窓の外を歩いてたときチラっと下を見て気づいたんだ」
それから数秒ほど間をおいて、話を続けた。
「用務員さんの死体が、消えてた」
椅子
Yさん待ち保守
新年保守
はやく5発売にならんかな
5が出ればここもまた少しは活気づくだろうに
・・・と言って保守
81 :
Y:2008/01/14(月) 21:11:50 ID:vx9/I6hZ0
「死体が消えるわけねえだろ」
誰よりも早く、フレッドがみんなの思っていることを口に出した。
「確かに消えてたんだ!」エンリケが声を荒げた。
「しっ!奴らに見つかるだろ!もうちょっと詳しく話してよ」
テッドが小声で注意する。
「ごめん。それで、死体がなんで消えちゃったのかを僕なりに考えたんだけど…」
エンリケはそこで数秒間をおいてから話を続けた。
「…これからする話、みんな信じてくれるか?先に言うけど、僕は頭はおかしくなってないからな」
「…そんなの聞かなきゃわからないよ」
フレッドがいかにも『いいから話せよ』ムードを漂わせながら言う。
「…ありがとう。じゃあ話を続けるよ。僕が思うにあいつらは『ゾンビ』だと思うんだ。前に映画で見たん―」
「お前はもっと頭がいいやつだと思ってたけど…」
「マジで言ってんのか、エンリケ?大丈夫か?」
話を遮って、フレッドとテッドが言った。
テッドは言ってからしまった、と思った。
前に、自論を熱弁していたエンリケにジュリが何回も口を挟んで大喧嘩になったことを思い出した。
そのことがあったから、今の発言にアルもラリィも口出ししなかったわけだ。
すぐに、頭の中で言い訳を作り始める。
『あまりにも話が飛んでて、つい…』
しかし、エンリケは全く怒らなかった。それどころか、何も言わずに話を続けた。
ダイガンダー
83 :
ゲーム好き名無しさん:2008/02/03(日) 01:15:33 ID:FCbyCTfgO
保守
84 :
Y:2008/02/06(水) 22:19:13 ID:BhoPu+pY0
test
85 :
Y:2008/02/06(水) 22:21:31 ID:BhoPu+pY0
「僕は本気で言ってるんだ。まず、僕があいつらを見て思った疑問は
1:なぜあんなに人数がいるか
2:皆が血まみれの理由は?
3:なぜか凶器を持っていない
の三つ。
あの人数で、全員血まみれでしかも武器を一つも持ってない殺人グループなんていると思う?
普通に考えているわけないよな。それで、いろいろ考えてたんだけど、その時ふと頭に思い浮かんだのがゾンビだったわけ。それで、」
「ごめん、ちょっと質問」
アルが苦笑いしながら手を挙げた。
「ゾンビって何なの?危なそうってのはわかるけど」
「何だ、何も言わなかったからてっきり知ってると思ったよ。
ゾンビは、昔あったホラー映画。
死者が蘇って生きている人間を食いにやってくる。
それで、ゾンビに噛まれた人間はしばらくするとゾンビになる。
そしてさっきまでの仲間を襲ってさらにゾンビが増えていって、どうしようもなくなった政府はミサイルを使ってゾンビで埋め尽くされた街を吹き飛ばす…って話」
86 :
Y:2008/02/06(水) 22:29:10 ID:BhoPu+pY0
「はは…それでエンリケはこの学校に入ってきた奴らがそのゾンビだって言うのか…」
アルの顔は苦笑いのまま固まっていた。
どうやらその手の話が苦手らしい。
(エンリケはホラー系が好きなんだな)
テッドは心の中でそう思った。
ちなみに、「ゾンビ」は最初の30分で怖くて見るのをやめてしまったことは秘密だ。
「そう。他のみんなは大丈夫だね?続きを話すよ。
ゾンビの特徴はまだあって、
銃で撃たれても死なないほど体力があって、しかも痛みを感じないからひるまない。
けど、歩くことしかできないし頭が悪くてドアも開けられなし道具も使えない。しかも喋れない。
校舎にいた奴らも何にも持ってなかったろ?扉を全く開けようともしなかった。
服が血塗れだったのは人を食ったときについたとか…銃で撃たれたとか…そういうことだと思う。
これが、僕があいつらをゾンビだと思った理由だよ…」
エンリケの話が終わった。
正直言ってバカげてる。テッドはそう心の中で思ったが、同時にこの話を反論することができない自分に気がついた。
さっきまではバツの悪そうな顔をしていたフレッドも、真剣な顔をして何か考えているようだった。
87 :
Y:2008/02/06(水) 22:30:20 ID:BhoPu+pY0
やっとucomの書き込み禁止解除されたw
話がgdgdですいません。
待ってました
おーい
誰かいるかー
90 :
30:2008/03/02(日) 21:56:35 ID:4X+HMHmD0
「じゃあ30分後、ここで落ち合うことにしよう」
私たちはそう言って別れた。
ここはおそらくアンブレラの研究施設のひとつと思われる。
デビットがパワープラントをオーバーロードさせたので、もうあと4〜50分でここは
爆発する。その前に彼は武器を、私は残り少なくなった抗ウィルス剤をできるだけ
たくさん集めるために、周囲の部屋を片っ端からあたって行った。
かなりのカプセルが手に入った。シューターに装填してもまだ余っている。
これだけあれば当分は大丈夫だろう。
あとひと部屋だけ見たら戻るつもりで扉を開いた。
だがそこは今までの部屋とはかなり雰囲気が違っていた。
薄暗い部屋の中には小さなベッドがたくさん並べてあり、そのベッドひとつひとつの
脇にはぼんやりとあかりの灯ったモニタが置いてる。点滴のようなボトルがいくつも
吊してあり、そのチューブの先はブランケットの中につながっていた。
部屋の奥にはガラスで仕切られたところがあり、その中には培養タンクが数本並んで
いる。何か動いたような気がして近寄って見ると、いきなりガラスを破って緑色の
物体が飛び出してきた。
ハンターだ!
◇
91 :
30:2008/03/02(日) 21:57:34 ID:4X+HMHmD0
この施設に潜入してから幾度となく行く手を阻まれた敵だ。咄嗟の出来事に私の
心臓は乱れ打ち状態だったが、これまでの経験が反射的に体を動かした。
シューターを構えると、飛び上がったハンターの腹部をめがけて発射する。
命中
すかさずよける。私が立っていた場所に落下したハンターは、悶絶しながら絶命した。
やれやれ危なかった。私は培養タンクを観察するため、割れたガラスを踏みしめながら
隣室に入った。
タンクの中には完全なハンターが一体、他は・・・
それは、医者の私でさえ胸がムカつく光景だった。
上半身は人間で他の部分が緑色のウロコでびっしり埋め尽くされた個体が一体。
顔の半分が変形してハンターに変質しかかった個体が二体。
あとの三体はいずれもまだ人間で、ところどころウロコ状のシミができはじめている。
しかもこれらはみな体が小さい。
培養タンクの異様な生き物はみな人間のこどもが変質したものだったのだ!
私は軽い吐き気を覚えて後ずさりした。
確かにこどもの細胞はおとなとは比較にならないくらいに成長が早く、適応力も高い。
だが、それは人間として成長するための能力であって、こんなおぞましい異質の怪物に
されるためではない!
私は傍らのベッドに手をつきながら体勢を保った。
その時、ブランケットの下から誰かが私の手をつかんだ。
◇
92 :
30:2008/03/02(日) 21:58:35 ID:4X+HMHmD0
「先生・・・」
私は悲鳴こそあげなかったが、反射的に手を引っ込めた。
「・・・先生・・・おうちには・・・いつかえれるの?」
薄暗い部屋に慣れた目でブランケットの端を見ると、こどもだった。
腕から首にかけて無数のチューブが体に刺さっている。そしてその皮膚は、緑色に
変色していた。
私は絶望的な思いで部屋を見回した。
そう、このベッドに横たわっているのは全部こどもだったのだ。
このこどもたちは近い将来、あの培養タンクに入れられてモンスターになって行く
運命にあるのだ。
私は声が出なかった。
怒りと恐怖と絶望が一度に襲ってきて、私の頭はほとんどパニックを起こしかけていた。
いったい人間という生き物はこんな恐ろしいことを実行できてしまうものなのか?
そんなやつらと同じ人間でいることが死ぬほど汚らわしいと思った。
「先生・・・」
声はいつの間にか周り中から聞こえていた。
「先生・・・パパとママはいつ来てくれるの?」
「先生、先生、先生・・・
こどもたちの声が私の頭の中で無限に響いていた。
93 :
30:2008/03/02(日) 21:59:34 ID:4X+HMHmD0
◇
結局私はこどもたちを救えなかった。
立ち上る黒煙を見つめながら、時間を忘れて立ちつくしていた。
あの状態では抗ウィルス剤を投与してももう手遅れだ。あそこまで変質していては
逆に死に至らしめることになる。いや、でも何か出来ることがあったのではないか?
その堂々巡りの思考がずっと私を捕まえて離さなかったのだ。
だが、やっと分かった。
私がしなければならないのは、生き延びることだ。
あのこどもたちを見てしまったからには、このラクーンシティを脱出するまで
絶対に死ぬことは許されない。私はもう自分のためだけに生きているのではないのだ。
あのこどもたちの声、私の手をつかんだあの冷たい感触。
あの絶望を、怒りをみんなに伝えるまでは・・・
「ジョージ」
デビットが話しかけてきた。その声は私に気を遣っているように聞こえる。
彼もあのこどもたちを見たのだ。きっと考えていることは私と同じに違いない。
「・・・わかった、行こう」
私は振り向くとデビットに頷いた。
彼は黙って歩き始める。
私も後に続いた。
数歩行って振り返る。
小規模な爆発がまだ続いていた。
私はあのこどもたちに誓った。決してあきらめない、と。
E N D
94 :
30:2008/03/02(日) 22:04:12 ID:4X+HMHmD0
ごぶさたしてます、30です。
と言っても前回の書き込みから9か月が経過し、「誰だよオメーは?」状態
でしょうから、一応自己紹介すると
小説創作スレFILE1の30で初カキコをして、それ以来時たま出没している者です。
せめてバイオ5が発売されるまでこのスレを落とすまいと・・・
まぁそんなことはどうでもいいですね。
このスレもひっそりしてしまったので、私もこっそり置いておきます。
>>94 30さん
おつかれです。新作お待ちしてました!
突破の小さいハンターを思い出しました。
次々湧いてくるハンターも、人から作られていると考えると、攻撃しにくくなってしまいますね。
でも撃ちますがw
Yさん続きが気になります。お待ちしています。
私もぽつぽつと投稿している者です。
なかなか作品が出来なくて投稿できませんが、皆さんの書かれる小説を毎回楽しく読ませていただいてます。
このスレの1つめが立ってから大分経ち、停滞してしまってますが
原作あっての創作小説ですから、バイオ5が出ればまた人も戻ってくるんじゃないかなと思いますよ。
バイオ5以外にもWii版0が出る事が決まったりして、他の作品の移植もあるのかなと勝手に期待してます。
96 :
Y:2008/03/04(火) 23:49:36 ID:6y1IyXuQ0
Yです。更新が停滞していてすいません。
近いうちに必ず更新します。
取り合えず生存報告だけで失礼します。
97 :
まもめ:2008/03/05(水) 05:52:14 ID:lLHqBbCh0
バイオハザードの小説を書くスレ、ログ持ってる分だけですがupしておきました。
99 :
ゲーム好き名無しさん:2008/03/13(木) 17:52:20 ID:YoyRpUU5O
あげほ
100 :
ゲーム好き名無しさん:2008/03/15(土) 01:45:11 ID:jrhuFG6jO
結局俺が100ゲットか…
初めて来ますた。
職人さんガンガレ!子供達諦めるな!
103 :
Y:2008/03/22(土) 12:04:39 ID:8rznVv8X0
アーサーとクラインは階段を二段飛ばしで駆け上がり、職員室に飛び込んだ。
「! アーサー先生。外の様子はどうでしたか?」
バーグレーが尋ねる。
「殺人鬼達が……校舎に入ってきました。ここにもすぐに奴らが来ます!」
「殺人鬼!?アーサー先生、冗談は止めてくださいよ」
「ラルフさんが奴らに殺されたんです。このままでは生徒達が危険だ。早くどこか安全なところへ…」
そのとき、職員室の扉がバタンと開き、廊下で様子を見ていたクライン先生が入ってきた。
「あいつらが来ました!早くカギをかけるんだ!」
入ってきた扉の鍵を閉めながらクラインが叫ぶ。
「こちらのカギはもうかけてある!皆さん部屋の真ん中に集まって、扉の近くにいかないように!」
ビタンと大きな音がして殺人鬼たちが扉に張り付いて体当たりを始めた。
その顔は血まみれで目の焦点があっていない。
アーサーは危険を再認識した。
他の教師―リドリー、バーグレー、クライン、ニールセン、モーレス、サンドラ―は
呆然とした顔で扉を叩き続ける人たちを見ている。
「バ、バリン先生!?」
バーグレーが素っ頓狂な声を上げたと思ったら、ふらふらと扉に近づいていった。
「開けちゃダメです!バリン先生がいるはずがないでしょう!」
(そういえばラルフさんも教頭を見たと言っていたな…しかしそんな…)
「いや、確かにいたんだ…」
バーグレーが呟きながら扉のカギに手を延ばす。
「開けさせるな!」
アーサーが走り、それにサンドラも加わった。
だが、もう遅かった。
104 :
Y:2008/03/22(土) 12:07:21 ID:8rznVv8X0
カチャンと音がしてカギが開いた。
サンドラとアーサーがバーグレーを扉から引き離したのはその一秒後であった。
サンドラがカギを再度閉める前に殺人鬼たちが部屋になだれ込み、扉の前にいたサンドラと逃げ遅れた
バーグレーを飲み込んだ。
サンドラとバーグレーに喰らいついたおかげでアーサーは間一髪危機を逃れた。
群れの中から二人の絶叫が聞こえ、リドリーとニールセンが悲鳴を上げた。
殺人鬼たちは開いた扉からどんどんと室内に入ってきている。
二人の肉を食いそびれた奴らがこちらに向かってきた。
「来るな!」
そう叫び、モーレスが椅子を投げつけたが、殺人鬼たちはまったく動じていない。
「校長室の方から逃げるぞ!」
アーサーが大声を上げ、隣にいたバレンタインの腕を掴んで走り出す。
モーレスとニールセン、クラインもそれに続いた。
職員室と校長室は隣接しており、職員室内にある扉から簡単に行き来できる。
もちろん、校長室側の出入り口に奴らがいないとは言い切れないが、今ここにいるのは死を待つだけだ。
「キャアッ!」
校長室への扉を開けたとき、ニールセンの悲鳴が聞こえた。
振り向くと、床にうずくまっている彼女の姿があった。躓いたのだ。
そこに殺人鬼たちが群がり、彼女を食い始めた。
「痛いっ!ぎゃあアアッ助けて!!」
聞き取れたのはここまでだった。あとに聞こえたのはこの世のものとは思えない悲鳴だけ…
アーサーたちはその光景を呆然と―と言っても数秒ではあるが―眺めていた。
「ぼーっとするな!早く行け!」
モーレスが叫んだ。その声で覚醒したアーサーは泣いているバレンタインを引っ張り、また走り出す。
105 :
Y:2008/03/22(土) 12:08:14 ID:8rznVv8X0
「奴らがいても強行突破するぞ!」
アーサーたちは校長室に飛び込み、すぐさま廊下側の扉を蹴り開けた。
幸い、まだ奴らは職員室の扉に群がっており、校長室の方には誰もいなかった。
しかし、生者を見つけた何人かがこちらに向かってきた。
「どこか安全なところへ逃げるんだ!」
後ろでクラインが叫ぶ。
アーサーはがむしゃらに走った。
奴らがいたら方向を変え、階段を上ってまた走り…
3Fの廊下を走っているときにはもうリドリーは泣き止んでいた。
「アーサー先生、もう…大丈夫です…一人で走れます」
ぜぇぜぇと息をしながらリドリーが言った。
「リドリー先生、ここは安全そうです。しばらく休みましょう」
言いながら、アーサーは社会科室の扉を開け、中に入った。
――消えた4時間目は社会の授業だった。
106 :
Y:2008/03/22(土) 12:10:40 ID:8rznVv8X0
うp遅れて申し訳ありません。
これからもスローペースになるかもしれませんが、必ず完結させます。
誤字・文才の低さを生暖かい目で見ていただければ幸いです。
GJ!
スローペースなのは気にせずこのまま行っちゃってください。
物語の展開が丁寧に描かれててイイと思いますよ。
108 :
ゲーム好き名無しさん:2008/04/01(火) 08:40:45 ID:3KnDT+wYO
保守
保守の代わりに・・・
------------------------------------------------------------
シンディは夢を見ていた
バーの客との他愛ないジョーク
休日のショッピングセンターでぶつかった風船を持った子供
プランターのハーブを食べてしまった近所の猫
地味だけど今思うと幸せだった
とてもとても遠い日々
気が付くと猫が足元をぐるぐる回っている
子供が遊びに行こうと手を引っ張る
バーの客が振り向く
その目は白く濁っていた
息は腐った臭いがする
客は手を伸ばして近寄ってきた
大きな音とともに客だった怪物は砕け散った
猫が、子供が微笑んでいる
行こう
シンディは足を踏み出した
外はまだ暗かった
ほんのひと休みのつもりがすっかり寝込んでしまったらしい
行かなくちゃ
重いザックを背負って立ち上がる
まだ終わりじゃない
わたしにはまだできることがあるはずだから
E N D
110 :
ゲーム好き名無しさん:2008/04/25(金) 02:04:03 ID:7XbeLVWWO
ほし
111 :
名無しさん@全板トーナメント開催中:2008/05/01(木) 23:00:09 ID:NjkoROX2O
ほしゅ
112 :
Y:2008/05/06(火) 14:33:04 ID:5R9VdaQj0
エンリケの長い長い話が終わり、改めて今後の行動について話し合った。
議論の結果は全員一致で、
「職員室にある電話を使って助けを求める」
事になった。
電話が設置されている部屋は他にもあると思うが、実際に見たことがないのでアウツ。
進路指導室や保健室などにはありそうだが、わざわざそんなところに行く必要はない。
さらに、職員室には特別室のカギも置いてある。
警察に通報すればすぐに助けは来ると思うが、万が一の為だ。
助けが来るまでどこかの部屋で身を潜めていれば良いだろう…
議論が終わった後、皆で理科室内を物色した。
探索中は皆無言だった。できるだけ物音を立てないように物漁りをしていると、
3時間目の終了を告げるチャイムが鳴った。
「そっか…もう11時半か」
「もういいよな、武器はたくさん見つかったんだから。一旦戻ろう」
フレッドとアルは準備室の探索を切り上げ、理科室に戻った。
「そっちはどうだった?」
「武器になりそうなのはこれぐらいしかなかったよ。やっぱり準備室のほうが色々あるんじゃないか?」
ホウキと棒切れ数本―モップの先を外したものだ―を並べながら答えた。
「これみろよ、すごいぜ」
フレッドが2段式のワゴンを転がしながら部屋に戻ってきた。
ワゴンに積まれているのは大量のアルコールランプだった。
「すごいなぁ…何個くらいあったんだ?」
「ざっと40個。ライターとマッチも見つけてきた。これ以外は特に使えそうなものはなかったな。
薬は沢山あったけど、俺たちには何がなんだか分からないし」
「でも、こんなのを投げてたら火事になっちゃうぞ」
自慢げに話しているフレッドにエンリケが突っ込んだ。
「大丈夫だよ…大体そんな危険なものだったら実験になんて使わないって。ゾンビが灰になる頃にはもう火も消えてるさ」
エンリケはフレッドの話を聞かずに道具をまとめ始めた。
113 :
Y:2008/05/06(火) 14:33:52 ID:5R9VdaQj0
探索が終わってから数分後、出発の準備が整った。
テッドとフレッド、アルはホウキと棒切れで武装し、
エンリケとラリィは片手にアルコールランプ1つと火種、それに追加のランプを5個ずつ袋に入れて携帯した。
もちろん、中身が出ないようにテープでフタのまわりを封印してある。
出発前にエンリケを中心として作戦会議をした。
まず、テッドたちホウキ隊に顔を向けた。
「映画ではゾンビの弱点は頭なんだけど、僕らは銃を持ってないからまともに相手をしちゃだめだ。
邪魔な奴だけをどかすだけでいい」
テッドは強く頷いた。エンリケは次にラリィをみて、
「ラリィ、アルコールランプは危険だから極力使わないようにする。本当に危ないときだけ使うんだぞ」
「うん、わかったよ」
ラリィが小さく頷いた。
「よし、じゃあ作戦会議は終わりだ。…絶対に死ぬなよ。みんなでここから逃げよう」
テッドは言い知れぬ不安を感じていた。
警察は本当に助けに来るんだろうか?
街の方もゾンビだらけになっていて、大混乱になっているのでは?
何より非常事態にもかかわらず、どこかまだゲーム感覚…緊張感に欠けているこの空気が不安だった。
地獄ようなサバイバルが今、始まった。
114 :
ゲーム好き名無しさん:2008/05/13(火) 12:39:12 ID:/iNosqVwO
保守
☆
100時字までの制限を付けようかなと考えています。
117 :
ゲーム好き名無しさん:2008/06/16(月) 19:54:18 ID:NQDBjV7PO
保守
119 :
Y:2008/06/29(日) 22:01:47 ID:QB4Oc2zi0
テッドが理科室の引き戸を少し開け、廊下の様子を伺った。
「奥のほうに数人いるだけだ。出よう」
5人は静かに理科室を出て、忍び足で廊下を進みだした。
いつもは何気なく通る廊下が異常に長く感じられた。
それにしても今日は暑い。
9月も終わりだと言うのに、天気予報では最高気温が29度と言っていた。
廊下を歩く五人は皆顔に汗を浮かべ、着ている服はべったりと肌に張り付いている。
階段までもう2・3メートル…その時だった。
「あっ」
思わず声が出た。
十字に分かれている廊下の左側からぬうっと男が出てきたのだ。
服は血に塗れ、今にも倒れるんじゃないかと思うぐらいの足取りは映画で見たゾンビそのものだった。
焦点のあっていない目がテッドたちを見つけ、唸り声を上げながらをあげながらゆっくりと近づいてきた。
「うわあぁぁああ!!」
後ずさりながら、ラリィが悲鳴を上げた。
その声に反応し、廊下の奥にいた何人かがこちらに向かってきた。
「横をすり抜けよう!1・2…3!!」
エンリケの合図で5人は一斉に走り出した。
120 :
Y:2008/06/29(日) 22:06:34 ID:QB4Oc2zi0
良かった、奴らはいない!
階段を駆け下り、途中の踊り場で廊下にゾンビがいないことを確認してから一気に職員室に駆け込んだ。
室内に飛び込み、すぐさま扉を閉め、錠をかける。
周りを見渡し、ゾンビがいないことを確認した僕達は心のそこからほっとした。
「だれもいないな」
フレッドが荒い息をしながら言った。
ひっ、と小さな悲鳴が聞こえた。ラリィだ。
「これ、血じゃ…」
扉付近の床は血の海だった。
給食当番のときに、スープで満たされた容器を倒してしまい、
中身を全部ぶちまけてしまったときのことを思い出した。
思わずそれを思い出してしまうほどの血の量だった。
それを見てエンリケが小声で言った。
「誰かがここで殺されたんだ。それで生き返って…
だから死体がないんだよ」
誰かが殺されたって、まさか先生が!?
いや、たまたま職員室に来ていた生徒かもしれない…
そうだ、今はそんなことを考えてる場合じゃない。警察に電話をかけなければ。
僕は一番近いデスクの電話の受話器を取り、警察の番号を叩いた。
番号を押してすぐに待機音が鳴り始めた。
他のみんなも行動を始めた。
アルとフレッドは特別室のカギを取りに、職員室の奥へ進んでいった。
その場に留まったエンリケは、周囲を警戒している。
ゾンビが現れたらすぐに知らせられるようにするためだ。
「ぼ ぼくも家に電話するっ」
ラリィが別のデスクにおいてある受話器を取り、番号を叩き始めた。
どこの番号かはなんとなく想像はつくが。
121 :
Y:2008/06/29(日) 22:35:56 ID:QB4Oc2zi0
ルルルル…ルルルル…
何コール目だよ!?
テッドは心の中で毒づいた。
まだ、待機音が鳴り始めてから1分も経ってないが、警察とかならすぐに電話に出るはずだ。
「つながらないのか?」
エンリケが不安そうな顔で尋ねてきた。
「押し間違えたかも」
一旦電話を切り、もう一回…今度は慎重に警察の番号を押した。
さっきは慌ててたから番号を押し間違えてしまったのだ。
きっとどこかに繋がってしまったんだろう、と自分に言い聞かせた。
再度、待機音が鳴り始める。
しかし、誰も出ない。
それを察したエンリケが言った。
「救急は!?」
僕はエンリケに返事もせずに電話を切り、乱暴に番号を叩いた。
ブツッ
「出た!」
喜びのあまり、つい大きい声が出てしまった。
122 :
ゲーム好き名無しさん:2008/06/29(日) 22:36:26 ID:QB4Oc2zi0
《こちらは救急対応司令部です》
若い男が電話に出た。
「もしもし、もしもし!学校が大変なことに…」
テッドは状況を説明しようとしたが、それを遮るように男が話し始めた。
《……現在、ラクーン市全域で大規模な暴動が多発しております。その為――》
「は?なんだよそれ。何なんだよ!?」
「どうした?なんて言ってるんだ??」
不安そうにエンリケが聞いてきた。
「留守電だったよ…」
「え…」
「ラクーン全体で暴動が起きてるって…救急隊も全部出ちゃってるんだ」
嫌な予感が的中してしまった。
隣のデスクでは、ラリィがガチャガチャと受話器を置いては取ってを繰り返して
いるが、全く気にならなかった。
というより、街全体で暴動が起きている事がショックだった。
一体僕たちはどこに逃げればいいんだ!
「じゃあ学校だけじゃなくて街のほうにもゾンビが…!」
エンリケもそこまでは考えていなかったらしい。
顔には一旦引いたはずの冷や汗が、見る見る浮いてきていた。
そのときだ。
職員室の奥へと慎重に歩を進めていたフレッドたちの悲鳴が聞こえた。
お、続きがアップされましたね乙です。
だいたい月イチペースのようですのでまた来月覗いてみます。
124 :
Y:2008/07/01(火) 21:28:55 ID:oeLRZotJ0
毎度毎度書くのが遅くてすいません…
文章力無さ杉て泣けてくる
125 :
ゲーム好き名無しさん:2008/07/18(金) 05:22:07 ID:qmo3Fh6BO
保守
126 :
ゲーム好き名無しさん:2008/08/01(金) 16:45:23 ID:puKBqLOX0
>>124 すごく面白い。
ただもう少し早く書いてくれるとうれしいw
127 :
Y:2008/08/08(金) 21:39:55 ID:qz4f/j8w0
フレッドは今まで生きて来た中で、一番気持ち悪いモノを見ている。
一年生の時に、樹に張り付いた毛虫にふざけてデカい石をぶつけた事があった。
毛虫は石と樹皮にサンドイッチにされ、緑色の体液をぶちまけて死んだ。
最初は面白半分でやったことだったが、潰れた毛虫を見ているうちに怖くなり、その場から逃げた…
あの時みたいに今すぐにでもここから逃げ出したい。
安全な場所があれば、だが。
「フレッド」
後ろから声が聞こえた。
悲鳴を聞き付けて、テッドとエンリケがやってきたのだ。
「何かあったのか……!!…これって…!」[それ]をみた途端、二人の表情が固まった。
128 :
Y:2008/08/08(金) 21:40:58 ID:qz4f/j8w0
女性が床に仰向けの状態で倒れていた。
身体の至る所を食いちぎられた様な跡があり、特に腹部に至っては内臓が飛び出している程だった。
それが死んでいるのは小学生であるテッドたちも即座に分かった。
「この服…ミリー先生だよな…」
アルが続ける。
「他の先生たちもゾンビに殺されたんだ!もう、どおすりゃいいんだよ!」
俺は反射的にアルの胸ぐらを掴んだ。
「うるせえぞ、アル…先生が皆死ぬはずねえだろ!この野郎!」
「フレッド、やめろよ!争ってる場合じゃないだろ!皆を探しにいくんだろ!?」
「ミリー先生もすぐにゾンビになる!はやく、鍵だけとって出るぞ!」
割って入ったのはテッドとエンリケだった。
そうだった…!
さっき聞いた話をもう忘れていた。
ゾンビに噛まれたら、そいつもゾンビになる。
ゾンビになったミリー先生なんて…俺は絶対に見たくない!
129 :
Y:2008/08/08(金) 21:48:05 ID:qz4f/j8w0
「悪い…アル。俺がどうかしてたよ」
そう言い、シャツから手を離した。
「ごめん、俺もパニくってた」
アルはそう謝るつもりだった。
だが、自分の真後ろで物音が聞こえ、喉まで来ていた言葉を唾と一緒に一気に飲み込んだ。
腸が飛び出ている人間がいきているはずがない。
眼球がえぐられ、そこから血の涙を流している人間がいきているはずがない。
それなのに。
絶対に死んでいるはずなのに。
ミリシア・ニールセンは起き上がり、ギクシャクしながら体勢を整えた。
食べ物は?
たっぷりある。
彼女はかつての教え子を喰うために、歩き出した。
130 :
Y:2008/08/08(金) 21:49:30 ID:qz4f/j8w0
>>124 本当に申し訳ないです…
今月はもう一回UPできるように頑張ります。
131 :
X:2008/08/11(月) 14:27:43 ID:xfqC8MVK0
どうも。バイハで検索してたら偶然ここにたどり着きました。ちょっと暇なので、駄作でよければ書こうかと思います。良かったら感想プリーズ。
あ、後2chへもカキコはこれが初めてだったり。
132 :
X:2008/08/11(月) 14:56:38 ID:xfqC8MVK0
最初はアウトブレイクから。
【あるハンターの話】
俺に名前は無い。ただ、一部の奴らが俺の仲間を含めて<ハンター>と呼んでいた。ニンゲンと呼ばれる奴らがそう呼んでいる。
俺がやることは大して変わり映えが無い。仲間以外の動く物を殺すだけ。しかし、最近それに疑問を覚えてきた。
イヌとかいう生き物や、カラスとかいう生き物はまぁいいとしよう。奴らは死ぬときに大きな声を出すだけだ。しかし俺達が主に狩っているニンゲンという生き物は違う。死ぬときに様々なことをするのだ。
「助けてくれ!!」と大声で叫んでくる奴。こいつはイヌとかと変わらない。
「逃げろぉ!!」他のニンゲンを助けようと叫ぶ奴。自分が殺されると分かっているからだろうか。それとも仲間が助かることを確信したのだろうか。こいつ等は妙な顔をして死んでいく。何故だろう。こいつ等の顔を見ると胸ん中が変な風になる。
「おおおおお!!!!」囮になって向かってくる奴。こいつ等は手強い。死ぬことを覚悟して向かってくるから、物凄く強い。後、こいつ等も死ぬときに妙な顔になって死んでいく。
何故なのだろうか。様々な人間の死を見ていくうちに、俺は段々とニンゲンを殺すのが嫌になっていた。
仲間に話そうにも、俺以外の仲間は口を聞くことすら出来ない。叫んだり、俺の指示通りに動くことはできるのだが、ニンゲンのように会話をすることは出来なかった。どうやら俺が特別なようだ。
しかも最近、俺は頭が痛くてしょうがない。時たま頭痛と一緒に変な物が見えることもある。
一体何だってんだ? 何で俺だけなんだ? と言うか俺は一体何なんだ?
様々な疑問が浮かんでは消えていく。しかし、どれにも答えることが出来ない。俺はいつしか震えていた。
誰か・・・俺に教えてくれ・・・・・・。
133 :
X:2008/08/11(月) 17:06:59 ID:xfqC8MVK0
続き行きマース。
【あるハンターの話】その2
俺は血や死体、事故車が散乱する町を1人(いや1匹か?)で歩いていた。
いつもなら、指示出しや狩りのときの効率を重視して何匹かの仲間とともに獲物を探しているのだが、今は違った。
話掛けても何も返さないあいつ等といると、自分には仲間がいないように感じてしまい、どうしても一緒にいることが出来なかった。
幸いにも他の仲間は俺が離れていっても何の反応も示さず、俺は簡単に1人になれた。しかし、仲間と思っていた奴らから何の反応も無かったとき、俺の胸の奥に少し痛みが走った。
俺はそのことを頭から振り払おうと勢い良く頭を振り、取りあえず回りを見ることにした。
俺は町の通りを歩いている。道路には行かない。時々車と言うやつが来て危ないからだ。
前を見ると、体の所々が腐っているニンゲンが突っ立っていた。あれは確かニンゲン達が<ゾンビ>と言っていたやつだな。こいつ等は少しメンドイ。首をぶった切るか頭を文字通り真っ二つにしない限りくたばらないからな。
ゾンビとかいうやつは、俺の存在に気が付くとのろのろとおぼつかない足取りでこちらに近寄ってきた。俺はその場で飛び上がり、ゾンビの頭上まで近づいたところで自慢の爪を振り下ろした。
134 :
X:2008/08/11(月) 19:17:03 ID:xfqC8MVK0
変なとこで切ってしもたーーー!!
取りあえず続き逝きます・・・。
【あるハンターの話】その2
「いよっと・・・。」
俺は最後に残っていたゾンビに近づくと、右手の爪で首を切り落とした。切り落とされた首は地面へと転がり、ゾンビはそのまま崩れるように倒れた。
俺はこれ以上ゾンビがいないのを確認すると、爪に付いた血を振り落とす。こいつ等は血があんまり出ないから、俺には返り血は少しも付いていない。ただ、ちょっと問題が起きてる。
「あ、ああ・・・・。」
ニンゲンの女が俺の後ろにいるのだ。
実は最初のゾンビをぶった切った後、10数匹ほどのゾンビの群に追われてこいつが走ってきたのだ。無視するのも何だったので、取りあえず助けたのだが、俺を見て随分と怯えていらっしゃる。
まぁ緑色のごつごつした肌に、爬虫類みたいな顔。血まみれの鉤爪を持ってる俺を見たら誰でもビビるか。
・・・とりあえず、どうしよう?
136 :
X:2008/08/11(月) 22:54:24 ID:xfqC8MVK0
また間違えてもたーーー!! その2が二つあるーーー!!!
と、取りあえず前回の134は「その3」ということにしといてください・・・。
137 :
X:2008/08/11(月) 23:14:20 ID:xfqC8MVK0
それじゃ続きです。
【あるハンターの話】その4
ん〜取りあえずニンゲンがやってるみたいに話しかけてみるか。俺はそう考えると彼女に近づいていく。
「!? こ、こないで! あっち行って!!」
俺が数歩近づいただけで彼女はヒステリックに叫び始めた。腰が抜けてるらしくて立てないようだ。あんまり怖がらせるのもなんだし、話しかけてみるか。
「待てよ。俺はあんたを食ったりはしねぇって。」
「あっちへ行って・・・・・へ?」
俺が言葉を発すると、余程驚いたのだろう。彼女は叫ぶのも止めて呆然としている。
「だから、危害を加えたりはしねぇって言ってんだよ。OK?」
「え、あ、えと・・・・・ハイ・・・。」
混乱はしていたが、俺がさらに話しかけると彼女は返事を返してくれた。彼女の警戒心を少しでも減らすため、俺はしばらく喋り続けることにした。
続く。
今回は少し短くしました。もうそろそろアウトブレイクのキャラを出そうかと思います。
138 :
X:2008/08/11(月) 23:49:10 ID:xfqC8MVK0
【あるハンターの話】その5
彼女に最初に話しかけてから15分ぐれえかな。俺は彼女とともに街を歩いていた。
10分ほどの時間をかけて、ようやく彼女の警戒を解くことができた。親睦を深めるために彼女の話を聞いてみると、元々彼女はこの街の生まれではないらしい。
この街に暮らしていた兄が音信不通になり、消息が分からなくなったため彼女は心配になり探しに来た。そしてこの地獄に巻き込まれたらしい。
「なんつーか、運がねえな。」
「言わないでください・・・。」
だってそうだろ? こんなときに来るなんてよっぽど運がねえ証拠だぜ。
「それにしても・・・。そんなに兄貴が大事なのか? わざわざ探しに来るなんて。」
「はい。兄は私を心配してますから、連絡をよこさないなんてありえないんです。事件に巻き込まれてるかも・・・。」
あ〜あ〜随分とまぁ暗い顔になっちゃって。何でだろ、こいつが暗くなると嫌だな。
・・・しょうがない。励ましてやるか。
「んな暗い顔すんなって。まだ面はおろか死体すら見てないんだろ? なら、まだ無事かもしれねえだろ。」
「ハイ・・・。」
「信じろって。お前の兄貴は絶対生きてるよ。」
139 :
X:2008/08/12(火) 00:00:33 ID:xfqC8MVK0
【あるハンターの話】その6
「・・・ありがとうございます。でも、あなたに励まされると何だか変な感じですね。」
「うるへー気にすんな。」
俺は照れ隠しにぶっきらぼうに返すと、彼女は可笑しそうにクスクスと笑っていた。
・・・まぁ笑顔になったから良しとするか。
そのまま俺達はしばらく他愛も無い話をしていたが、ふいに彼女があることに気づいた。
「あ、そういえばお互い自己紹介がまだでしたね。私はレイ=アーノルドと言います。」
「ん〜俺は名前がねえんだよなぁ・・・。」
そう、俺には名前が無い。他のハンターといたときは名前なんていらなかったので、特に名前なんてついていないのだ。
「あ、じゃあ私が付けてあげますよ。」
とても楽しそうに提案するレイ。なんだろう・・・・すっごい不安・・・。
「まぁ、お手柔らかにな・・・。」
一抹の不安を抱えつつ、俺の名前が考えられることになった。
・・・あれ?何だろう。何か、前にもおんなじことをしたことがあるような・・・・・・・気のせいか。
続く。
140 :
X:2008/08/12(火) 11:37:35 ID:LZE/IRg80
出ない・・・・まだアウトブレイクのキャラが出ない・・・。
【あるハンターの話】その7
つーわけで、俺の命名大会(参加者1名と1匹)が開かれたのだが・・・。
「グリーンさん!」「却下。」「えっと・・・ガイくん!」「何それ?」「ゴリさん!!」「泣くぞコラ。」
・・・ネーミングセンスゼロだった。つーか適当に言ってねえか? これ以上変な名前付けようもんならキレるぞ。
俺が少しバイオレンスな考えに傾こうとしたとき、彼女が呟いた。
「シャープ・・・。」
・・・なんだ? 俺の爪のことを言ってんのか? ま、確かにシャープそうかもしれねえが・・・。
「コレです!!コレですよ!! あなたの名はシャープです!!」
「しゃ、シャープ?」
余程気に入ったのだろうか、彼女は随分とご機嫌だ。俺の名前を決めてんだけどな。
しかしシャープか・・・・。中々カッコいいし、俺のことをきちんと表してるし、こいつでいいか。
「よし分かった。俺の名はたった今からシャープだ。よろしくなレイ。」
俺が片手を上げてそう言うと、レイは嬉しそうに笑った。
「よろしくシャープ。」
こうして、俺は<シャープ>となった。
141 :
X:2008/08/12(火) 16:44:07 ID:LZE/IRg80
【あるハンターの話】その7
俺の名前が決定した後、レイと俺は街を当てもなく彷徨っていた。何せどこから脱出できるか分からんし、いけるかなと思ったらゾンビがわんさかいたなんてこともあった。
レイは武器を持っていない為ゾンビは俺が担当するしかなく、いつしか俺は返り血で酷いことになっていた。
「ああくそ、段々赤色が嫌いなってきた。」
俺は近寄ってきた2体のゾンビを同時に葬り去ると体についている血を鬱陶しそうに見る。
「ごめんなさい・・・・。私が足手まといだから・・・。」
「武器持ってねえんだから仕方ねえだろ。後で頑張ってくれ。」
俺は彼女が暗くならないよう気を配りつつ、周囲を見渡す。すると、地下鉄の入り口らしき階段が目に入った。
・・・・外よりはマシだろ。俺はそう考えるとレイとともに地下鉄へと向かう。
「レイ。あそこに行くぞ。」
「あ、ハイ。」
さ〜て、何が待ってるかね・・・。
【あるハンターの話・巣窟編】に続く。
142 :
X:2008/08/12(火) 16:48:54 ID:LZE/IRg80
取りあえずここで一区切りとします。
次回はOBのFILE2の巣窟が舞台になります。OBのキャラも出していく予定です。
感想、意見などありましたらどうぞズバズバ言って下さい。
143 :
X:2008/08/16(土) 13:39:17 ID:P/rqBCNN0
4日ぶりに来ました。Xです。
久しぶりにOBやったら随分と迷いました。ジムはやっぱきつかったか・・・。
それじゃあ巣窟編、逝きマース。
144 :
X:2008/08/16(土) 13:54:04 ID:P/rqBCNN0
【あるハンターの話・巣窟編】その1
地上よりはマシだろうと、地下鉄に足を踏み入れた俺とレイ。たった今駅構内へと入ったのだが、見事に誰もいない。いたらいたで困るけどな。
「誰もいませんね・・・。」
「ゾンビが見当たらないだけマシだろ。まぁ1匹もいねぇってのは無いだろうが・・・。」
周りは不気味に静まり返っている。外ではゾンビの喚き声なんかがずっと響いていて鬱陶しかったが、この静けさも少々キツイな。レイの奴なんかは大分びびってるみてえだし、先行きが不安になってきた。
そんなことを考えつつ、俺達は改札口を抜けていった。
146 :
X:2008/08/26(火) 19:07:25 ID:SaLN97YT0
随分と間が開いてしまった・・・。
【あるハンターの話・巣窟編】その2
改札口を抜けても閑散とした雰囲気は薄れなかった。気味が悪いほどに静かなままだった。
「! シャープさん、あそこに誰か倒れてますよ!!」
「ん?・・・ホントだな。しかし、様子が変じゃないか?」
奥にあるトイレの前に、男が座り込んでいた。パッと見ても怪我などは見当たらなかったが、彼女の声が聞こえているはずなのに全く反応を示さないのも変だ。
俺は何気無く近づきつつ、どんな体勢でも爪を振るえるように身構えた。
ある程度近くにまで行き、声をかける。
「おい、大丈夫か?」
俺の問いに、男は黙ったまま立ち上がることで答えた。
その顔は、見慣れたゾンビのものだった。
「やれやれ・・・・。」
俺は素早く爪を振るい、男の顎から頭へ突き刺してやった。男は脳にまで達した爪の一撃であっさりと動かなくなった。
「そんな・・・・。」
リンは随分とショックを受けているようだ。ようやく生きている人に出会えたと思えたらゾンビだったもんな・・・。
俺は彼女をどう慰めたらいいか考え、ふと地下鉄のホームへと続く下り階段が目に入った。
「下に行ってみよう。ここでじっとしてても始まらないし。」
「・・・はい。」
幾分明るくなった彼女に安心しつつ、俺は会談へと足を向けた。
147 :
Y:2008/08/27(水) 17:32:42 ID:VbfdAxQB0
「おい!!今、動いたぞ!」
最初に気付いたのはエンリケだった。
僕たちは驚いてその場から飛び退き、様子を見た。
死体の手がピクッと動いたと思うと、ミリー先生はゆっくりと上体をあげ、危なっかしく立ち上がった。
僕たちは全く動けなかった。
映画のショッキングなシーンで、これから殺されることが分かっているのに逃げようとしない―たった今分かった事だが、これは逃げようと思っても驚愕のあまり身体が動かないからであった―哀れな死に役の気持ちを一瞬で理解した。
ぐちゃぐちゃになった腹から血と肉片がぼとぼとと落ちる。
僕たちは死体がゾンビとして生き返る瞬間をこの目で見てしまった…!
「うええっ」
僕は急に気分が悪くなり、その場に吐いてしまった。
アルがそれに続いた。
血で真っ赤になった目を向け、先生はギクシャクと歩き始めた。
他の皆が悲鳴をあげ、後退る。
口内に残った胃酸を吐き出しながら、僕とアルも壁際まで後退した。
ミリー先生だった者は2メートル弱まで近付いて来た。
148 :
Y:2008/08/27(水) 17:39:05 ID:VbfdAxQB0
「お、落ち着けみんな。ゾンビは走れないんだから」
エンリケが向かって左手側にある机(リドリー先生のだ)を指差し、
「そっちから奥へ行って、鍵だけ取ったらすぐに出るぞ!」
「分かった!」
僕は反射的に答えていた。
返事を聞くやいなや、エンリケは走り出した。
僕と他の皆もそれに続く。
壁際の通路を進み、並んでいる机の裏に回る。
先生は獲物を捕らえようと腕を突き出したが、机の向こう側にいる僕たちには届かない。
しかし先生はそれが分かっていないようで、バカみたいにいつまでも腕を突き出して机の上に置いてある物を引っ掻き回していた。
これが「ただの頭がおかしい殺人鬼」であったなら、机を乗り越えてあっさり僕たちは殺されていただろう。
「分かってないのか?」
「はは…ゾンビになるとバカに」
「いや」
アルが慌てて言い直す。
「ゾンビになると、体育の成績が悪くなるみたいだな」
鍵が入った小型ロッカーの前につき、その中を漁る。
いくつかの鍵がフックから消えているのは、先生達が授業で使うために持ち出したのだろう。
「全部もってくの?」
「当然」
150 :
ゲーム好き名無しさん:2008/09/05(金) 19:25:12 ID:C0zj5NPJO
151 :
ゲーム好き名無しさん:2008/09/05(金) 23:25:33 ID:otZgG4HmO
やばい、ハンター小説熱すぎる
ネタ投下の人GJ!
続き楽しみだわ
152 :
X:2008/09/07(日) 21:03:09 ID:IZFelk7H0
久しぶりに見てみて、随分と反響があって驚きました。皆さんありがとう!!マジで!!
Yさんも中々素晴らしい作品を書いてるみたいですし、私も頑張りますよ!!
・・・でも今日は無理です。すんまへん。orz
明日ぐらいにアップします。
153 :
X:2008/09/08(月) 19:43:43 ID:jLRVkiMZ0
それでは宣言どおり逝きます。
【あるハンターの話・巣窟編】その3
地下鉄のホームへと続く階段を、俺とリンは無言で下りて行く。彼女はまださっきのことを引きずっているらしく、少々落ち込んでいる。
だがここで彼女を慰めている時間は無い。ここにもゾンビが居る以上長居は出来ないからな。
俺は早く彼女が安全に休めるところを探してやろうと、足早に階段を下りる速度を早めにする。
ホームに降り立つと、俺は彼女に目配せして周囲に敵がいないか確認するよう指示する。
彼女も理解してくれたようで、俺の背後に回って目を光らせる。
ホームには人影はなく、壊れたベンチと何故か止まっている電車があるだけだ。
「電車か・・・・。リン、運転できるか?」
「さ、流石に電車は・・・・。でも、何か武器が残ってるかも。」
「かもな。よし、入ってみよう。」
「ハイ。」
俺は爪を肩ぐらいの高さまで持ち上げていつでも闘えるようにしつつ、電車へと近づいていった。
154 :
X:2008/09/08(月) 19:46:23 ID:jLRVkiMZ0
こんなものですかね。
取りあえず、週一のペースで書いていこうかと思います。
完結まできちんと持っていくので、気長に付き合ってください。
155 :
ゲーム好き名無しさん:2008/09/08(月) 23:48:45 ID:ySsMVCJwO
今さら何だが・・・
地下鉄が出てくるのは「巣窟」じゃなくて「異界」だぞ
もっと言うと「巣窟」はFile1
157 :
X:2008/09/20(土) 22:30:06 ID:vM3lAn2l0
アアアアアアアアアアーーーーーーーー!?!?!?!!??
うわ恥ずかしい!! マジで気づいてませんでしたよ!!?
今度からは直すにしても今までのは残ってるし・・・・・。
死にてーーー!!! 口にマグナム咥えて引き金引きてーーー!!!!
ショットガンでもいいから誰か貸してくれーーー!!!!
158 :
X:2008/09/20(土) 23:04:23 ID:vM3lAn2l0
・・・気を取り直して続きです・・・・。あと今回から異界に直しときます・・・。
あ、あと今回は視点を変えます。OBのケビンに。
【あるハンターの話・異界編】その4
俺の名はケビン・ライマン。このラクーンシティで警官をやってる。
そこそこ気に入ってたバーでいつものように仕事をサボり、いつものように1人で酒を飲んでいたら、突然妙な客が入ってきてマスターのウィルに噛み付きやがったんだ。
そっからは随分と慌しかったぜ。何せ、いつの間にか外にはウィルに噛み付いた奴のお仲間がたむろしてて、俺はすぐさまやばそうな雰囲気を察して店にいた連中と一緒に逃げ出した。
そんで、どこからともなく現れるゾンビ(だってよ、どうみても致命傷受けてんのにピンピンしながら襲って来るんだぜ?そう呼ぶしかねえだろ)どもを振り切って逃げまくり、挙句の果てには通りでアホ面下げて集会かましてたゾンビの大群を強力してふっ飛ばしてやったぜ。
その後、乗ってた護送車がゾンビどもからの熱いアプローチ(つまりは囲まれて)事故って使えなくなっちまって、地上よりは安全だろとの提案でここに逃げ込んだんだが・・・。
「なぁ・・・ありゃなんだ?」
俺は気がついたら一緒に逃げていた仲間に尋ねてみる。
「さぁ・・・?少なくとも人間じゃないでしょ。」
新聞記者のアリッサは、その職業柄か好奇心に目を輝かせつつ窓から外を見てる。こんなときにもネタ探してんのかね。
「で、でも言葉を話してるぜ?」
地下鉄に逃げることを提案した、駅員やってるジムがどうみてもビビッちまってる感じだ。声震えてんぞ。
「でも、傍に居る女の子は怖がってないわよ?」
あの逃げ出したバーでウェイトレスやってたシンディは、比較的冷静にそれを眺めてる。あ、それ俺も気になってたんだよ。
何を見てるかって?・・・いやよ、何だか妙なモンがプラットホームにうろついてんだよ。
緑色の変なバケモンが。女の子連れて。
159 :
X:2008/09/21(日) 21:59:02 ID:UzTSTC6R0
もう就職関係のことは落ち着いたんで、週に2回ほど更新してきます。
160 :
Y:2008/09/24(水) 01:02:32 ID:wylKNkHn0
エンリケにそう言われ、次々にフックから鍵を外し始めた頃だ。
「おい!先生、気付いたぞ」
アルの言葉を聞き、僕は振り向いた。
ミリー先生が例のギクシャクした動きでこちらに迫って来ている。
「もうすぐだ」
そう呟き、僕は鍵を外す作業に戻ろうとしたその時だった。
校長室につながる扉が開き、ゾンビが2体飛び出してきた!
「うわっ!!」
驚いた僕は手に持っていた鍵の束をすべて落としてしまった。
カシャンと音をたてて鍵が床に散らばる。
ゾンビは扉をぶち破った勢いはそのままに、こちらに突進して来た。
「こっちだ!!」
そう叫ぶやいなやフレッドが目の前のアーサー先生の机に飛び乗り、向かいあって設置してあるバーグレー先生の机上にあるものを蹴り飛ばしながら向こう側に飛び降りた。
僕は床に落ちている鍵を適当にひっ掴んでポケットに滑りこませ、机に上がった。
「そんなもん捨てて早く逃げろ!」
ああ、とか、わあと声をあげているラリィに先に机に乗っていたアルが怒鳴った。
そんなもん、とはアルコールランプが入っている袋の事だ。
161 :
Y:2008/09/24(水) 01:04:05 ID:wylKNkHn0
ラリィは袋を放り捨て泣きながら机に上がって来たが、ゾンビの手はすぐそこまできていた!
咄嗟に僕はラリィの腕を掴んで思いっ切り引っ張った。
反動で僕たちはバランスを崩して机から転げ落ちてしまった。
獲物を見失ったゾンビたちが机にダイブし、ふっとばされた机上の雑貨がばらばらと頭上に降り注いだ。
「テッド、ありがとう」
鼻水を啜りながらラリィが言った。
「早く皆のいるところにいくぞ、ラリィ」
「うん」
扉の前には既にエンリケたちが待機している。
僕たちが駆け付けると廊下の様子を伺いながらエンリケが言った。
「奥から5人来てる…遠回りになるけど右のトイレ側からいくしかないな」
「分かった、行こう」
僕たちはあまり音をたてないよう注意しながら職員室を後にした。
(さよなら、先生)
生者のいなくなった部屋にああ、という呻き声が小さくこだました。
[これは録音です。こちらは救急対応司令部です。現在ラクーン市全域で大規模な暴動が多発してており、救急・消防・警察ともに車両及び人員がすべて出払っている状況です。
以上の理由により、真に申し訳ありませんがそちらの救助に向かう事が非常に困難な状態です。
屋内にいる方は頑丈な扉の付いている部屋で鍵を掛け、救援がくるまで今しばらくお待ち下さい!
屋外にいる方は速やかにお近くの建物または消防指定避難所に避難して下さい!
消防指定避難所は警察署、セントミカエル時計塔、ラクーン・ズー正門トラムターミナル,ラクーン大学、レイブンズゲートブリッジの以上5箇所です。
なお、ラクーンスタジアムは避難する事が出来ません!絶対に近付かないで下さい!繰り返します…]
162 :
X:2008/09/27(土) 21:27:33 ID:t7mfenfs0
>161さん乙。いやぁこういうとこが舞台なのもええね。
さ〜て、俺もいっちょ書きますか。棒アイス片手に。
163 :
X:2008/09/27(土) 22:00:00 ID:t7mfenfs0
【あるハンターの話・異界編】その5
引き続き、ケビン視点です。
「何なんだ? あの緑色のバケモン?」
何かやたらと鋭そうな爪持ってるし、肌色宇宙人みてぇな色だしよ。けど、どうやら話ができるみてぇなんだよなぁ・・・・。
一緒に行動してる17〜8くらいの嬢ちゃんも随分と信用してるみてえだが・・・。でも外見おづみてもバケモンだしなぁ・・・。
「アラ?」
俺が悶々と悩んでいると、後ろの座席に座って外を見てたアリッサが突然声を上げやがる。何だよ。面白いモンでも見つけたのか?
「アレ、こっち近づいてきてるわね。」
・・・はいぃ!!??
「ちょ、マジィ!?」
ジムの奴が慌てて窓を覗き込む。おい! 俺が見えねぇだろ!!
身を乗り出すように窓に張り付いちまったジムを、中身の足りてねぇオツムに殴りつけることでどかすと、俺はあの化けモンの姿を確認する。
確かに、あのバケモンは嬢ちゃんを引き連れてこっちに向かってきてる。段々と聞こえてくる2人(1人と1匹か?)の会話を何とか聞き取ってみると、どうやらこの車両に入ろうとしてるみてぇだ。
・・・つーことは、俺らは意地でもアレと顔合わせをしなけりゃならねえのか・・・。
「どうするの?」
シンディが不安そうな声色で皆に尋ねる。どうするっつったってなぁ・・・。
「このタイミングじゃ逃げることもできねえし、迎え撃つしかないだろ。」
「全く、いい加減にしてほしいわね。」
アリッサが、駅内で発見したグロック17を構えてため息をついてる。俺だってうんざりしてるよ・・・。
けどま、まだ死にたくねぇしな。
164 :
X:2008/09/27(土) 22:03:23 ID:t7mfenfs0
ああくそ・・・。ミスってるとこが・・・・。
でも外見おづみても化けモンだしなぁ・・・。
↓
でも外見どうみても化けモンだしなぁ・・・。
に変えといてください。脳内で。
本日はこんなもんです。続きはまた。
165 :
ゲーム好き名無しさん:2008/10/07(火) 22:06:13 ID:QJSzCEFu0
保守
166 :
X:2008/10/18(土) 19:18:17 ID:wzGeAIOT0
視点シャープに戻しまっせ〜。
【あるハンターの話・異界編】その6
「すんませ〜ん・・・。誰かいるか〜?」
電車内へと体を入れつつ、俺は声をかけてみる。すると、返事は弾丸になって帰ってきた。うわアブネ。
元々当てるつもりはなかったのか、突如として飛来した弾丸は俺の頭上の何も無い空間を飛び去っていく。
俺は顔色を変えることなく(つーか変わるのか?)、撃ってきたと思われる人物へ視線を向ける。
視線の先には、硝煙の立ち昇る拳銃を構えている警官とかいう人間と、赤いスーツとやらを着ている同じく銃を構えてる女。それから肌が黒い男と、唯一敵意の感じられない目で俺を見つめてくる女がいた。
俺はリンに流れ弾がいかないよう後ろに庇いつつ、警官の男へと放しかけてみる。
「・・・随分と手荒い歓迎だな。こっちはか弱い女の子を連れてるんだぜ?」
「お前さんみたいなのが来たら、絶対こういう対応だろ。」
・・・否定できないのが辛いとこだな。
「ま、待ってください!」
俺と警官が今にも殺し合いになりそうな緊張を出しているのを見て耐え切れなかったのか、リンが俺の後ろから出て声を張り上げる。
167 :
X:2008/10/18(土) 19:19:52 ID:wzGeAIOT0
今回はこんだけっす。
次回はいつになるかな・・・・。
オリジナルキャラとの絡み、楽しみだな
またよろしく
169 :
Y:2008/10/28(火) 00:40:14 ID:bzBIe5sW0
「少し休んでいて下さい」
アーサーが扉のサムターンを回した後に言った。
「ええ…」
リドリーはそう言い、近くの椅子に座った。
「このぶんじゃ中等部も…」
アーサーが窓から外の様子を見ながら呟く。通りも怪物だらけだった。
遠くには白煙をあげているビルも見える。
「今、聞こえた!?」
リドリーの声にアーサーはびっくりして振り向いた。
「いえ、何も…」
ぼうっと外の様子を眺めていたせいか、声は聞こえなかった。
「ほら…また!」
窓を締め、アーサーは耳に神経を集中させた。
「あ…!」
確かに、女の子の悲鳴のような声が聞こえた。
この遠さから考えると…
170 :
Y:2008/10/28(火) 00:54:19 ID:bzBIe5sW0
「助けに行かないと!」
リドリーが叫び、扉の取っ手に手をかける。
「待って下さい!声の遠さからして生徒がいるのは上、四階なんですよ!」
「でも!」
「それにもう…」
少し間を開けて続ける。
「もう、どこか別の場所に逃げているはずです。
今から助けにいくのは危険過ぎる」
「ごめんなさい…私、またパニックを起こしてしまって…」
「気にしないで。彼女が無事であることを祈りましょう…」
このあと、二人は何も話さなかった。
耳に入るのは廊下から聞こえて来る怪物の不規則な足音と唸り声だけ。
生徒たちは無事だろうか?
どこか安全なところに隠れられていれば…
時間は刻々と過ぎて行く。
事が起きたのは時計の針が正午を回った頃だった。
今度は男子生徒の悲鳴が聞こえたのだ。
171 :
Y:2008/10/28(火) 01:03:30 ID:bzBIe5sW0
「先生!」
「今度は近いぞ!」
声の主がいるのは間違いなくこのフロアだ!
錠を回し、スライド扉をほんの少しだけ開けて廊下の様子を伺う。
「いた!理科室の前…!」
理科室前の廊下に生徒数人と、その怪物が一体いる。
理科室は社会科室とちょうど真向かいの位置関係にある。
距離はあるが全力で走ればまだ間に合う!
「僕が助けに行きます。先生はここで待っていて下さい。
僕が出たらすぐに鍵を!」
「え、あッはいっ」
返事は聞かず、アーサーは部屋を飛び出した。
172 :
Y:2008/10/28(火) 01:18:48 ID:bzBIe5sW0
職員室から出たあと、僕たちはずっと走りっぱなしだった。
途中、たくさんのゾンビとすれ違ったが、身長が低い僕たちは(子供でよかった!)
なんとか捕まらずにとうとうゴールにたどり着いたのだ。
「はぁ…なんとか…はぁ…ついたね…!」
ラリィが息を切らしながら言う。
「はやく、中に入ろうぜ」
エンリケが取っ手に手をかけた。
が、回らない。
「カギがかかってる!」
「はぁ!?」
フレッドは声を上げ、扉に近づいた。
「開けろ!」
そういい、扉をけりだした。
173 :
Y:2008/10/28(火) 20:54:27 ID:bzBIe5sW0
「テッド、職員室から持ってきたカギの中には?」
僕はポケットからカギを引っ張り出し、一つ一つタグを確認したが
視聴覚室のカギはなかった。
首を横に振ると、アルは一言呟いた。
「マジかよ」
「開けろって!いるんだろ!!」
さっきより大きな声でフレッドが叫び、扉に激しく蹴りを当てた。
「やめろ!ゾンビがきたらどうするんだよ!!」
「おい、中で何か音がするぞ」
アルの言葉でフレッドは扉を蹴るのをやめた。
確かに、扉のすぐ後ろでガタゴトと何かをごかしているような音がする。
それと同時に僕はあることに気づいた。
扉の上についてる小さな小窓から、男子生徒が一人、こちらをじっと見ていた。
見張りなのか…?
そう思ったとき、扉がガチャンと音を立て、中から六年生
が二人出てきた。
「なんで早く開けないんだよ」
フレッドが早速噛み付いた。
「先に入れ。話は中でしよう」
174 :
ゲーム好き名無しさん:2008/11/01(土) 12:57:46 ID:9LLKoJlUO
保守
175 :
ゲーム好き名無しさん:2008/11/13(木) 23:37:30 ID:QYE1weZgO
期待アゲ
ハンター小説の人、乙なんだがオリキャラの名前途中で変わってるよ
177 :
Y:2008/11/24(月) 21:50:56 ID:KKDTt0g60
視聴覚室の重い扉が開かれた。
最初に目についたのは、そこら中に転がっている机と椅子だった。
僕たちがしたように、彼らもこれを積みあげて、砦の防壁をより頑強なものにしていたのだろう。
「よっ」
声をかけてきたのは、さっき小窓から様子を見ていた男子だった。3段積み重ねた机のてっぺんからこちらを見下ろしている。
「助かったよ」
僕がそういうと、彼は自分の坊主頭を引っ掻きながら二カッと笑いかけてきた。
「フレッド、エンリケ!無事だったんだな!」
生徒たちの中から飛び出して来たのはおなじクラスのベンとメイスン、それにロブだ。
「ベン!」
「良かったな!助かって…
ここなら安全だぜ」
フレッドやアルたちのように、僕もはやく同級生たちと再会を喜びあいたかったが
「メイスン、ここには何人いるんだ?」
パッと見たところ四、五十人いるようだが…
僕がメイスンに聞くと、背後から返事が返って来た。
「七十七人」
返事をしたのは砦の扉を開けた六年生だ。
「エドっていうんだ。宜しく。あとあいつは見張り役のジム」
そう言い、エドが手を差し出してきた。
僕はそれにこたえてから、簡単な自己紹介をした。
178 :
Y:2008/11/24(月) 21:51:49 ID:KKDTt0g60
「五年が44人、六年が33…うち風邪引き5人」
エドが続ける。
「こんな時に風邪でダウンなんてついてないよな」
教室の隅に目をやると、男女が5人床に寝かされていた。
服装・顔に覚えがないから多分全員六年生だろう。
「なんか、人数が思ったより少ないな」
フレッドだ。
「五年生はもうちょいいると思ったんだけどなー、メイスン」
「そ、それは…」
メイスンが口ごもる。この部屋で何かあったのだろうか?
「仕方がなかったんだ」
アルがえっ、と声をあげる。
「仕方がないって、なにが」
「ここに入れたのは本当にギリギリセーフだった」
「だからどういうことなんです?」
アルが質問した。
「俺たちは友達を見捨てたんだよ」
エドは信じられないような事を話し出した。
「六年の先頭集団にいた俺たちは、奇跡的にここに逃げ込めた。
しかし、後方集団のすぐ後ろからやつらが迫ってきていた。全員がここに逃げ込むまで待っている余裕は…なかった」
なんということだろう。適当に計算したとして、一クラス30人で1学年4クラスあるんだから、5・6年生だけで約240人。
ここにいるのは77人…そのうちのたった三分の一だけ。
つまり、まだ170人以上もの生徒が校舎のどこかにいるという事だ。
179 :
Y:2008/11/24(月) 21:52:28 ID:KKDTt0g60
「てめえ!」
フレッドがエドに掴み掛かる。
「そんなかには五年生もいたかもしれないのに!」
見兼ねた二人の六年生が、友達を今にも殴り倒さんとしているフレッドを無理やりひっぺがした。
「バカ野郎!」
金髪の六年生が怒鳴る。
「扉を閉めることに全員が賛成した。
つまりみんな共犯ってワケだ」
もう一人、眼鏡をかけた方の男子が続ける。
その言葉を聞いてフレッドは愕然とした。
「みんなも、みんなもほんとに同じ意見だってのかよ!?」
フレッドが叫び、生徒たちを睨み付けた。
目があった生徒は、皆一様に目を伏せた。
「なあ、どうなんだよマイク、ブレア、ルシエ、ケイミー…」
同級生たちに答えをあおぐ声は次第に小さくなっていった。
「フレッド、仕方がなかったんだ」
「やつらを一匹でも入れてたら、俺たち皆殺しにされてたんだぜ…?」
親友たちの言葉を聞いたフレッドは床にドカリと座った。
「分かってるよ!分かってるけどよお…くそっ…!畜生…」
もし自分がそんな状況にあったらどう行動すればいい?
僕は何も言わず、それを考えていた。
……フレッドの前では絶対言わないけど僕もきっと、エドさんたちと同じ事をしていただろう。
アルたちも同じ意見だと思う。
でも、僕はフレッドのことも六年生達のことも攻めたりはしない。
状況する発言が違えど、お互いの言っていることは間違いなく正しいからだ。
一区切りついたところで、今度は僕たちが何を見てきたかを伝えなきゃ。
180 :
Y:2008/11/24(月) 21:55:12 ID:KKDTt0g60
状況する発言 ×
発言する状況 ○
誤字+更新ペース遅くてすいません…
ハンター小説おもしろいですね!!俺もなんか書いてみようかな。
182 :
X:2008/12/05(金) 19:46:02 ID:nV6rhyvH0
ども、お久しぶりです。ハンター小説書いてたXです。
最近めっきり書いてませんでしたけど、やっぱ完結まで書かないと気がすまないんで、勝手ながら再開させていただきます。
あと、
>>176さん、ご指摘ありがとうございます。そして俺のバカ・・・orz
オリキャラの名前はレイです。ホントすいません。
今日中には更新する予定ですが、マウスが故障してて、何故か勝手に画面が上下に激しく動くという謎の怪奇現象に見舞われているので遅れます。
たまに直るから始末に負えない・・・。
ぜひ完結まで読みたいですよ
今このスレで発表を続けているのはXさんとYさんだけなんで
おふたりには期待しています
184 :
X:2008/12/05(金) 22:37:10 ID:nV6rhyvH0
【あるハンターの話・異界編】その7
「ま、待ってください!」
レイの叫びが功を奏したのか、今にも飛び掛ろうとしてた俺は飛び出すタイミングを見失ってしまい、警官とスーツの女もレイへと気を散らしちまったようだ。
「この人は襲ってきたりしません! だから銃を下ろしてください!!」
「わりいがお嬢ちゃん、こんなゴリラのバケモンみてーなのを信用できるほど、俺はおおらかじゃないんでね。」
警官はレイの言葉を全く聞き入れずに俺に銃を向け続ける。う〜んどうすっかねぇ・・・。正直レイをこいつらに預けて俺はどっかに行こうかと思ってんだけど。
でもそれだとレイがうるさそうだな。
「・・・随分余裕なのね。」
「ん? そうか?」
対応に困って爪で頬をぽりぽり掻いていると、スーツの女が呆れた様子で話しかけてくる。
「いやまぁ・・・・おたくらの銃じゃ2,3発食らっても平気だし、俺はレイが無事ならそれでいいしな。大して問題ないんだよ。」
「アラそうなの? じゃ、こんなの向けてても意味無いわね。」
そう言うと、女は銃を下ろした。
「お、おいアリッサ!? 何で銃下げてんだよ!!」
アリッサと呼ばれたスーツの女の後ろでビクビクしてた肌の黒い駅員が慌てて噛み付くが、アリッサは肩を竦めるだけだ。
「腕が疲れたのよ。ちょっと休憩させて。」
「いやいやいやいや! この場面で休憩とかありえないだろ!! そいつに殺されるかもしれないだろ!?」
そんなキャラだったんだなお前。ちょっと意外。
「アラ、それなら大丈夫よ。」
185 :
X:2008/12/05(金) 22:40:20 ID:nV6rhyvH0
【あるハンターの話・異界編】その8
「ど、どうしてですか・・・?」
「何でそう思うんだ? もしかしたら、次の瞬間には俺の爪がおたくの喉に食い込んでるかもしれないぜ?」
俺と一番後ろにいるウエイトレスの女が疑問をそのまま口にする。
俺は若干声質が楽しげな物に代わっていたと思う。何せ、初対面でこんなことを言われたのは初めてなのだ。つい面白がってしまう。
「そうね・・・・。あなたが一度もその鉤爪をこっちに向けてないからかしら。」
「む・・・。」
「あ・・・。」
中々鋭いなコイツ・・・。思わず俺は唸ってしまい、ウエイトレスも気づいたのか微かに驚きの声を出している。
そう、確かに俺はこいつ等に対して一度たりとも俺の唯一にして一番の武器である『爪』を向けてはいない。
「・・・だが、それだけじゃ信用なんてできねえぜ。」
「別に信用しなくてもいいんじゃない? お互いに利用し合うなりすればいいでしょ。」
警官が俺に銃口を向けたままアリッサの持論に反論していたが、簡単に言いくるめられてしまい二の句が告げなくなってた。アララ。
「・・・・・。」
「お願いします・・・。」
「ケビン・・・・。」
しばらく無言のまま俺を睨みつけていたが、レイの懇願とアリッサの不機嫌そうな声に説得されたのか銃口を下ろしてくれたぜ。
「・・・不審なマネするんじゃねえぞ。」
「分かってるよ。」
警官はまだ疑念の篭っている目で俺を睨みながら釘を刺してくる。俺は軽く手を振って返事をしてから、自己紹介を始める。
「俺の名は<シャープ>。見ての通りバケモンだが、まぁよろしくな。」
「あ、えっと・・・。レイ=アーノルドです。」
「ケビン・ライマン。警官だ。」
「アリッサ・アッシュクロフトよ。職業は新聞記者。」
「し、シンディ・レノックスです。」
その後、各自自己紹介やこれまでの経緯を話すことに。
「ちょ、俺は!?」
黒人の男が忘れ去られてたことに気づいたのは、大体の話が終わった頃だった。お気の毒。
186 :
X:2008/12/05(金) 22:43:17 ID:nV6rhyvH0
今日はこんなモンっす。
続きはまた今度で。ではさいなら〜。
保守
新春保守
ほ
し
ゅ
そろそろバイオ5ネタの小説来ないかな
ほしゅ。
それにしても3ヶ月も誰も書いてないんだな・・・
誰かカキコしないかなぁ・・・
「やあ、主任(チーフ)。このところ徹夜続きだと聞いていたが、案外元気そうじゃないか」
クリス・レッドフィールドはBSAA北米支部付属研究所の主任研究員から呼び出しを受けた。
アフリカへの出張当日、まさにこれからヘリで空港に向かおうというところだったが、
重要な件でどうしてもと言われて寄り道をすることにしたのだ。
「そうでもないのよ。でもあなたの出発までにどうしても完成させたかったの」
そう言ってチーフはデスクの脇のワゴンに乗せられたものをクリスに渡した。
それは透明な筒状の物体で、中には乳白色の液体が4分の1ほど入っている。
ちょうど大ぶりな試験管のようだ。
クリスはその筒状の物体を目の高さにかざして中身を蛍光灯に透かしてみた。
「これは?」
「新兵器という訳ではないのだけれど、きっとあなたの役に立つと思うわ」
チーフはワゴンの上にもうひとつ乗っていた同じ筒を取り上げた。
先端はキャップになっていて外れるようだ。
チーフは部屋の隅のプランターに群生しているラクーンハーブの葉を数枚ちぎって
筒の中に押し込み勢いよく振った。
一瞬の後、激しく泡だったと思うと乳白色だった液体が、ハーブの緑色に変わっていた。
「ハーブをその場で救急スプレーに合成するの」
そう言ってチーフは出来たてのスプレーを自分の手に噴射して見せた。
クリスは目を見開いて手に持った筒を凝視した。
「そいつはすごい」
「今まではハーブをすりつぶして使用するか、工場で加工してスプレーにする必要があった。
でも、これは見ての通り一瞬よ。持ち運べるスプレー工場といったところかしら」
クリスはちょっと首をひねってチーフに言った。
「しかし、使い切りではこれを何本も持ち歩かなければならない」
チーフは噴射したあとの筒をクリスの目の前に差し出した。
その中身は先ほどの乳白色の液体に戻っていた。
「これはどういうことだ?」
「この液体はハーブをスプレーに合成するための触媒の役割をするの。
しかも、一定の割合を合成すると一部は元の状態に還元するのよ」
「ということは・・・無限に使える?」
チーフは微笑んで言った。
「無限という訳にはいかないわ。
そうね、今のところ実験では数十回から条件が良ければ百回弱程度ね」
「申し分ない。これは素晴らしい発明だよ、チーフ」
「なるべく土などの不純物を入れないことが長く持たせるコツよ」
クリスのヘッドセットに通信が入った。
短く答えると、クリスはチーフに握手して言った。
「もう行かなきゃ」
チーフは自分が持っていた分もクリスに渡した。
「さらに改良版を試作中よ。帰ったら使用データをお願いね」
「もちろんだ。
素敵な贈り物をありがとう、スズキチーフ」
そう言ってクリスは旅立っていった。
恐怖と混沌が彼を待ち受けていだろう。だが、彼はきっと帰って来る。
スタッフの誰もがそう信じて疑わなかった。
E N D
>>194-195 久々に来てみたらナイス作品が!
5の背景にこんなエピがあったらいいなぁ
すげぇ面白そうなスレなのに過疎ってんな‥‥
文才のない自分には支援できないのが辛い。
保守
Hey DJ 俺は声をかけた。 だが返事がない 首が変な風にまがっている おい、だいじょうぶか! おれは体を揺すってやった そいつがふりかえった・・・
200 :
Z:2009/04/02(木) 23:49:28 ID:ITZqq18DO
今日もいい天気だ
おっとそろそろ昼か、メシにしよう
そんな事を考えながら車を走らせる男がいた。
名前はロジャー・ハイソン。
アメリカ北西部フレゴリアタウンに住む陽気な男―
軍隊に所属していたが、上司とのいざこざで辞めて今はいわゆる「遊び人」である。
短い間だが、特殊部隊グリーンベレーに所属していた事もあった。
そんな彼が、お気に入りのレストランに行き、車を降りる・・・
※登場する街や団体は架空の物です
但しグリーンベレーは例外として出します
201 :
194:2009/04/06(月) 19:30:41 ID:29agWtOH0
この無人の村に着いたのはまだ午前中の暑さがピークを迎える前だった。
隊長はデルタチームを半分に分け、交互に休息を取るよう命じて一時解散となった。
夜通し敵の襲撃をかわしながらの行軍に隊員たちは疲労しきっていたのだ。
同行取材を許されて専任の隊員をガードにつけてもらったあたしでさえ、
昨夜は神経をすり減らし体力を削り取られるには十分すぎる経験をしたのだ。
若い頃に比べて無茶が効かなくなっている。ラクーンでの経験がそんなあたしの弱気を
叱咤するように蘇っては消えてゆくのだった。ここでゆっくり休んでいる暇はない。
ためておいた取材メモから記事を起こし、デジカメ画像の整理にかかった。
ちょっとうとうとしてしまった。無線連絡が入ったと隊長を呼ぶ声で目が覚めた。
あたしたちは生物兵器に関係すると見られるあるテロリストを追って作戦行動を展開中だ。
本来ならこの先の鉱山で、先行する別チームと合流してターゲットを確保するはずだったのだが、
昨夜の戦闘で燃料輸送車を失ってしまったため、ここでの補給待ちを余儀なくされたのだ。
無線はその合流予定のチームからかもしれない。
あたしはあてがわれた部屋を出て隊長のもとへ向かった。隊長はひとりの隊員に指示を出し、
彼は機銃を2基積んだ軍用車で村を出て行った。どうやら一台分の燃料は賄えたらしい。
隊長があたしに曇った顔を見せて言う。
「新型のB.O.W.が鉱山に輸送されたという情報が入った」
「それじゃ先行チームは敵の罠にかかりに行くようなものじゃない!
今行った隊員はひとりだったようだけど増援は?」
「チームの疲労も激しいし、この拠点を確保するためにはこれ以上の人員は割けない。
我々の装備で最大火力の武器を持たせたから、彼らなら切り抜けてくれると信じている」
彼ら・・・
あたしも最初に聞いたとき驚いたのだが、その合流予定の別チームはたったふたりなのだ。
北米から派遣されて来たエージェントと地元エージェントのコンビチームだと言う。
彼らが誰なのかあたしには知らされていないが、ふたりだけで敵地を突破して来たところを見ると
かなり腕の立つベテランチームらしい。隊長にはそれがよく分かっているようだ。
そこに隊員が駆け寄ってきた。
202 :
194:2009/04/06(月) 19:31:57 ID:29agWtOH0
「鍵のかかった巨大な倉庫を発見しました。中から機械の動作音のようなものが聞こえます」
チームの半分が休息、半分が村の警備にあたっていた。隊長はその警備の人員から数人を連れて
倉庫に向かう。正面以外に出入口がないことを確認すると、すべての隊員で扉の前を固めた。
あたしはそこからさらに後方で、ガードの隊員に守られながら様子を見ていた。
鍵はこんな貧しそうな村には不似合いなほど頑丈で、銃底で叩いたくらいではびくともしない。
隊長が指示を出し、ひとりがハンドガンで鍵を撃った。2発で鍵は外れ地面に落ちた。
倉庫の扉を開くと、低く響いていた機械音がさらに耳障りになった。中は暗くてよく見えない。
どうやら相当広いようだ。ふたりの隊員がライトを装備したアサルトライフルを構えて中に入った。
あたしには何か白っぽいものがちらっとだけ見えた。
すると突然大きなビープ音が鳴り、地面を踏みならすような低音が断続的に響き始めた。
そして咆哮!
ここにもB.O.W.が!?
隊員たちに緊張が走る。
獣とも何ともつかない咆哮がまた轟いたかと思うと、暗い扉の中から何かが飛び出して来た。
続けてもうひとつ。
それは最初に倉庫に入った隊員たちだった。どちらもありえない方向に手足が曲げられて
血だらけになっている。ひと目見てすでに生きていないことがわかった。
隊長の声が響く。
「抵抗はやめろ!従わない場合はやむなく排除する!」
返ってきたのはさらに大きな咆哮だけだ。
全員が銃を構えて倉庫の出入口を凝視した。
だが、咆哮の主は正面ではなく屋根を突き破って現れたのだ。
身長は5メートルくらいだろうか、白く乾いた皮膚に無数の傷や鎖で絞められた跡がある。
動物を基本にしたクリーチャーではなく人間ベースの巨人だ。
あたしのガードは後ろに下がれと言う。あたしは後退しながらもカメラは下ろさなかった。
203 :
194:2009/04/06(月) 19:33:14 ID:29agWtOH0
「撃てっ!!」
隊長の声に続いてすさまじい銃声が響く。銃弾の雨が巨人を襲った。
だが巨人は無傷だ。その白い肌からひと筋の血さえ流していない。
巨体に似合わず巨人の行動は素早かった。崩れ去った倉庫から巨人は体を宙に躍らせる。
その行動は完全にあたしたちの意表を突いた。
倉庫を囲んでいた隊員たちは落下してきた巨人の足の下で絶命してしまった。
「全員に戦闘態勢を取らせるんだ!」
あたしのガードにそう指示を出した隊長は、単身ライフルで巨人を牽制しながら建物の影に進んで行く。
それを確認したガードの隊員は、チームの仮設宿舎とされている建物の方へ向かう。
あたしはそれに付いて行った。
204 :
194:2009/04/06(月) 19:34:56 ID:29agWtOH0
◇
ようやく陽が落ちた。
あたしは建物の影に身を隠して逃げ回っていた。
兵士たちは弾を撃ち尽くしたが、巨人にはまったく効果がなかった。
そもそもあんな巨大B.O.W.は想定していなかったため、大した武器は装備していなかったのだ。
唯一威力が期待できる機銃は鉱山に向かった車に積んであった2基だけしかない。
手持ちの武器が通用しない以上、悔しいが逃げるしか道はないのだ。
だが、撤退を決意した隊長は行方不明だし、脱出を試みた隊員たちは車ごと潰されてしまった。
戦闘のプロが死んでジャーナリストのあたしが生き残っている。相変わらず悪運だけは強いらしい。
ガードはどうしただろう。最後まであたしに付き添ってくれていたが、壊された車の無線を直して
救援を呼ぶと言って出て行ったきりだ。
孤独だ。
生きているのはあたしだけなのだろうか。
敵がいなくなって巨人はおとなしくなったようだが、時折あの腹に響く足音が聞こえる。
まだ近くにいるのだ。
?
空耳じゃないとすれば・・・車が近づいて来る音が聞こえる!
鉱山で別チームと合流した車が戻って来たに違いない。
巨人も気づいているはずだ。早く彼らに危険を知らせなければ。
あたしは周囲を警戒しながら隠れていた建物から出た。どうやら車は広場の方に行ったらしい。
なるべく身をかがめながら物影伝いに広場へ向かう。
だが遅かった。巨大な咆哮と何かが投げつけられるような音が響く。
それに続いて機銃の発射音が轟いた。
焦って走り出したあたしを誰かが掴んだ。
その瞬間、広場からの流れ弾があたしの頭をかすめる!
振り返ると、あたしを掴んだのはガードの隊員だった。
彼がいなかったらあたしは確実に命を落としていた。
205 :
194:2009/04/06(月) 19:36:16 ID:29agWtOH0
隊員は負傷して口も利けないほど衰弱していた。
失血が激しい様子で、顔は蒼白だ。
「ありがとう。あなたのおかげで死ななくてすんだわ」
手を握ると、まるで氷のように冷たい。
隊員は笑顔を作ろうとしているようだったが、うまく顔の筋肉が動かない。
何か伝えようと声の出ない口を必死で動かしている。
あたしはガラにもなく涙が出そうになった。
『気をつけて行けよ』
隊員はそう言いたかったのだ。
そして動かなくなった。
いつの間にかあたりに静けさが戻っている。
とぼとぼ歩いて広場に行ってみると、機銃を積んだ車に巨人が覆い被さって死んでいた。
予想以上に腕利きのコンビらしいわ。
何かのエンジン音が聞こえる。
音の方へ行ってみると、ふたりの人影がホバークラフトで水路を遠ざかって行くところだった。
あたしたちが追っているテロリストは確か湿地帯にある油田の関係者でもあったはずだ。
なるほど、沼地にある原住民の部落を突っ切って油田に向かうつもりなのね。
あたしは武器と移動手段を探すため村に引き返すことにした。
待ってなさい。何とかして追いついてやるわ。
真実を解明するときはあたしも一緒よ。
E N D
>194
こういう熱い話、大好きだ
207 :
ゲーム好き名無しさん:2009/04/14(火) 19:16:09 ID:Jorz4Ytd0
ほしゅ
5が出てもここの過疎は変わらないなぁ
ちっとはageた方がいいのか
209 :
ゲーム好き名無しさん:2009/05/11(月) 23:58:21 ID:D1oZixTuO
まとめサイト消えてるな
210 :
N53:2009/05/14(木) 21:47:51 ID:lv+q7tKZ0
『23 September 1998』
果てしなく広がる無人の平原の上を、夜風は我が意とばかりに枯れ草を薙(な)いで走る。ビョウビョウと
鬨の声を張り上げ、漆黒の闇の中を縦横無尽に駆け巡り駆け抜けていたが、不意に現れた男の冷たい頬
に触れた瞬間、逃げるように上空へ掻き消えていった。
ヘリポートにぐるりと囲むように廻らされた夜間灯火が、UH-60ブラックホークを暗闇の中にぼんやりと浮
かび上がらせている。
戦闘服に身を包んだ男は足音一つ立てずに近付くと、主無き機体を見遣った。鷹は灯火を足元に従えて、
鋭い爪をとぎ、静かに目を伏せて我が身の出撃を待っているようだった。
もう一時間もしない内に、自分はこの鷹と共に夜を飛び立つ。目指すは、ラクーンシティ警察署地下。G-ウィ
ルスの確保が、彼に課せられた任務である。
片耳に嵌められた無線用のイヤホンから、小さく音が漏れる。短く切られた金髪の下、ハンクはすっと目を
細めた。
「よう!忘れモンだぜ、大将!」
ハンクの耳がピクリと動いた。だが、それは声を聞いたのではない。音を、掴んだのだ。
背後から飛んできた物体を、ハンクは振り返ることなく、片手で受け止めた。ケブラーヘルメットにガスマス
クが無造作に詰め込まれている。ハンクの知り得る限り、こういう無神経な入れ方をするのは一人しかいな
い。
果たして、黒髪の男が一人、ニタニタと笑いながら歩いてくる。ヘリの操縦士、ナイトホークだ。
忘れたわけじゃないと反論しかけた言葉を、ハンクは呑み込んだ。一言言えば、十言も二十言も突っ返し
てくる相手だ。腹の底でブスブスと燻ぶっている感情を噛み締めつつ、ただ簡潔に、
「サンクス」
とだけ答えた。
ナイトホークは踊るようにくるりと踵を返すと、両腕を頭の後ろに組んで、後方に並び立つ倉庫を見た。
「へえ、あれが今回の死神ご一行様ってわけか」
その言葉に促されるように、ハンクもまた、倉庫の方に目を向けた。ハンクと同じ、黒い戦闘服姿の人間た
ちがぞろぞろと扉から出てくる。厳しい顔つきの者、馬鹿デカい声を張り上げている者、何かブツブツ呟いて
いる者、鼻歌を鳴らしている者と色々だ。
211 :
N53:2009/05/14(木) 21:48:44 ID:lv+q7tKZ0
ハンクは何かから逃れるように、彼らから視線を外した。と、傍らまで来ていたナイトホークが身を屈ませて
いる。そっと伺うと、愛用のポマード「ロイヤル・クラウン」で決めた頭の下で、せっせと手が動いている。よくよ
く見れば、骨太の指の間に、恐縮したように縮こまっている吸い殻が挟まれていた。
「おいおい、何処の馬鹿野郎だ?飛行場で煙草吸ってんのは。火気厳禁って看板が読めねえのかね」
ぼやきながら、ナイトホークは丹念に吸い殻に息を吹きかけている。ハンクはその様を横目に見ながら、
「お前じゃないのか」
「馬鹿言え。俺がそんな危ねえ真似するわけねえだろ」
「どうだか」
すると、ナイトホークは徐に吸殻を口端に咥え、ハンクの目の前で人差し指をクイクイと動かして見せた。ハン
クは天を仰いで盛大に溜息を漏らすと、服の内ポケットからライターを取り出した。ナイトホークはヘヘっと笑い、
揺れる炎に顔を近づけた。
「しっかしまァ」
ナイトホークの呼気に応えるように、吸殻の先端が仄かに輝く。
「毎度毎度、無線から聞こえてくるのはアンタのダミ声ばっかりだ。偶にァ、お仲間を助けてやったらどうだい。え?」
「必要ならそうする」
「人命救助は必要無しってか」
「救助が目的なら、911にコールすればいい。生憎と俺は専門外だ」
「掛けてる間にウィルスにヤられなきゃいいけどな」
大口を開けて笑った途端、煙草の先端が指に触れて、ナイトホークは素っ頓狂な声を上げて飛び上がった。
涙目になりながら、ジンジンと疼く指先に必死に呼気を吹きかける。
「それなら、それでいいだろう」
傍らで呟かれた言葉に、ナイトホークは動きを止めた。
顔を上げる。ハンクはこちらに背を向け、真っ直ぐに鷹を見つめていた。
「少なくとも、恐怖に怯えなくて済む」
すっと、ハンクの指先がイヤホンに触れる。風に乗って、ナイトホークの耳に、微かにその音が聞こえたような
気がした。
再び、指に息を吹きかけ始める。
U.S.S(アンブレラ特殊工作部隊)の中でも、特にハンクの存在は衆を圧倒して際立っていた。どのような困難
な作戦においても、必ず生き残る。そういう人間は、部隊の中では「強運」と有難がられるものだが、ハンクの
場合は違う。彼は確かに、あらゆる作戦を生き残ってきた。だが、一人だ。常に、ただ一人、生還する。
212 :
N53:2009/05/14(木) 21:50:26 ID:lv+q7tKZ0
兵士という人種は、古今東西に関わらず、酷く迷信深い。誰がというわけでもなく、波紋のようにその名は広
まっていった。
曰く、「死神」。
ハンクと共に出撃した人間は、冷徹な死神の大鎌に首を刎ねて殺されると恐れられた。
その死神が、「恐怖」と呟いたのだ。
ナイトホークにとっても、それは意外な一言だった。無論、死神と信じているわけではない。ではないが、この
男の頭の中に「恐怖」などという単語が存在していることが、どうしても信じられなかった。幾多の作戦を共にし
て来たが、無線から聞こえるハンクの声は、憎たらしいほど冷静沈着で、思考の揺らぎなど微塵も感じさせな
い。恐怖という感情とは無縁の存在、そう思っていた。
そこまで考えて、ナイトホークははっと気が付いた。
(信じてないなんて言って、結局俺も、死神信奉者の一人じゃねえか)
くっくと喉を鳴らすと、訝しげな視線が首筋に刺さった。視線に答えずに立ち上がると、基地内に召集をかける
ブザーが鳴り響いた。
「へいへい、分ァってるよ」
ハンクは尚も不審そうな目でこちらを見ていたが、倉庫前に人が集まりだしたのを知ると、無言で歩き出した。
遠のいていく背中に向かって、ナイトホークは大声で名を呼んだ。
ハンクは歩を止め、振り返った。予想通り、眉間に皺を寄せた、大層不機嫌そうな面がこちらを睨んだ。
「万が一ゾンビになっちまったら、俺ン家に電話しろよ?ゾンビになった死神なんて、地獄にいったって会えそう
にねえからな。ビール持って、面ァ拝みに行ってやるぜ」
やや、あって。
ふっと、ハンクの口元が綻んだ。
「抜かせ」
ぶら下げていたガスマスクを勢い良く被ると、ガラス部分が夜間照明に反射して、キラと輝く。ハンクは扉の前
で屯している仲間たちに向かって手を掲げた。
それから暫くして、死神たちを乗せた夜鷹は歓喜の叫び声を上げて、力強く翼を旋回させた。轟音に震え上が
るように、ヘリポートの片隅に転がっていた吸殻が揺れる。捩れた吸殻は翼風に煽られ、宙に舞い上がったかと
思うと、直ぐに闇の向こうへ消えていった。
_______________
バイオ6の主人公がハンクになることを祈願して投下
遅ればせながらN53氏に乙
ハンクは主人公とまでは行かなくても最低登場はしてもらいたいね
まとめとか見れなくなってない?
久しぶりにアウトブレイク1のエレベータゾンビの話見たかったんだけど…
datなら持ってるけどうpろうか?
217 :
ゲーム好き名無しさん:2009/06/07(日) 01:22:06 ID:P6VKhV6A0
ここは小説じゃなくてもよろしいのでしょうか?
たとえば「飼育員の日記」みたいな日記形式とか・・・
それだったら投下してみたいのですが。
>>217 いいと思うよ
視点が真新しそうでむしろ歓迎
楽しみにしてます
219 :
ゲーム好き名無しさん:2009/06/07(日) 19:11:33 ID:P6VKhV6A0
【日本】バイオハザード拡大中 生き残り7日目【オワタ】
1 :名無しさん@さばいばー:2017/10/10(火) 17:55:34 ID:ogkTQA9/
おまいら生きてる?新スレたてたよー
2 :名無しさん@さばいばー:2017/10/10(火) 17:56:08 ID:QAq/70op
>>1乙
3 :名無しさん@さばいばー:2017/10/10(火) 17:56:18 ID:1OLyLy99
だいぶ人減ったな
4 :前977:2017/02/10(火) 17:56:22 ID:K+8a9j/S
ちょwwww玄関すごい勢いで叩かれてる
オワタ\(^o^)/
5 :名無しさん@さばいばー:2017/02/10(火) 17:56:55 ID:+/Pq01aA
とりあえず発病した祖母を処理したわけだがこれって燃やすだけでいいのか?
6 :名無しさん@さばいばー:2017/10/10(火) 17:57:08 ID:/XMX+01W
977大丈夫かwww
何か武器になりそうなものとかないの?
7 :名無しさん@さばいばー:2017/10/10(火) 17:57:21 ID:QAq/70op
>>5 政府発表だとそれでいいはずだが
8 :名無しさん@さばいばー:2017/10/10(火) 17:57:50 ID:1OLyLy99
>>5 できれば頭部も切断しておけ。お前噛まれてないだろうな?
9 :名無しさん@さばいばー:2017/10/10(火) 17:57:59 ID:7Aho0/QW
>>4 笑い事じゃねえぞ。外はゾンビなのか?もしくは別の?
10 :前977:2017/10/10(火) 17:58:08 ID:K+8a9j/S
食糧があって頑丈だからってだけで移転したから武器とかなにもねえよwwww武器らしい武器といえばうまい棒しかねえwwwwwwww
11 :☆救世主☆:2017/10/10(火) 17:58:10 ID:pl+oOqdw
実況スレ全滅みたい、移動してきました
12 :名無しさん@さばいばー:2017/10/10(火) 17:58:22 ID:QAq/70op
>>9 もう笑うしかねえだろ・・・俺が977にレクイエムでも歌ってやるよ
13 :名無しさん@さばいばー:2017/10/10(火) 17:58:25 ID:gT+T/a99
コテは喰われて死ね
14 :前977:2017/10/10(火) 17:58:44 ID:K+8a9j/S
ちょwwもうだめだwwwwwwwおまいら、絶望の中でも俺に希望を与えてくれてありがとうよ
そろそろ逝くわ
15 :名無しさん@さばいばー:2017/10/10(火) 17:59:04 ID:7Aho0/QW
実況スレ全滅?やっぱ武器調達とかいって移動したのがまずかったんだろうな…世田谷班なかなか規律とれてたのにな
現実にバイオハザードが発生したらネット情報は生命線だろうな
面白いよ。できたらもっと続けてほしいね
実際は早急にネット回線は制限されると思うがな・・・
補修
ほ
226 :
ゲーム好き名無しさん:2009/07/17(金) 23:48:11 ID:FXRvnnww0
しゅ
HOSYU
228 :
ゲーム好き名無しさん:2009/08/27(木) 08:11:11 ID:wrV5cGAp0
hoshu
229 :
ゲーム好き名無しさん:2009/09/09(水) 04:04:14 ID:F1ddymLg0
まとめが消えてるとか
まじだ。なんてこった…
保守しとくか
もう誰も見てないよな
232 :
ゲーム好き名無しさん:2009/11/13(金) 19:36:27 ID:LQgry1b1O
続き楽しみにしてます
保守
保守しとくか。せめてまとめだけでも…無いな
↑このスレの運勢
定期保守
236 :
ゲーム好き名無しさん:2010/02/18(木) 05:11:53 ID:9kqiMkP00
せっかくバイオ創作小説スレを見つけたのに…
せめてまとめだけでも生きてれば過去の名作読めるのにな
まとめか…
オルタナも出たし、人がこっち来るといいんだけどね
239 :
ゲーム好き名無しさん:
保守