1 :
姫君のナイト:
┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
┃カップル萌えスレのお約束です
┃1.常時sage進行。この板は下からdat落ちすることはありません。
┃2.煽り・荒らしは放置。特に他カプ萌え派を装うヲチ厨に注意!
┃3.他スレで萌えキャラが貶されていても一切無視しましょう。
┃4.SS投稿するときはできるだけトリップをつけてください。
┃5.エロSSや画像をうpする時は注意書きをしてください。
┃ ∧ノ~ 21禁以上のエログロ汚物系はピンク鯖で投下してね。
┃ ミ| ・ \
┃ ミ| ... '_). /
┗ ミ| (| ゚ヮ゚ノ! / ━━━━━━━━━━━━━━━━━━
| (ノ 姫.|つ | オウマサンデモカワイイ
|~ ̄] ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|  ̄\| ̄∧_∧ ∧ ∧
| ̄| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄| (゚\ 8 ) (゚ )
| | | =====⊂ ∞ヽ==⊂ ヽ======
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ||──( ノ〜─( ノ〜─||
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前スレ
【主人公×ミーティアを応援してみるスレ part5】
http://schiphol.2ch.net/test/read.cgi/ff/1160656312/l50 過去ログは以下にて
乙!
乙!
乙!
…い、いや、これはただ単に、お使いに行って酒のおつまみを買ってきて、
そのお釣りを確かめてたってだけなんだからねっ!
9発売までもうすこしだっていうのにここは相変わらずまったりだねえ
>>1乙
PS2は御臨終しちゃったけど二人への愛は消えない
新スレに一つssを
子供主姫の他愛もない話です
若干時期外れなところはご容赦ください
少し空気の冷たい食事の間に、ミーティア姫がぽつんと座っておりました。恨めし気に見遣る視線の先には美
味しそうなスープが湯気を上げています。食欲をそそるいい匂いに、空腹に耐えかねた姫は何度かスプーンを
入れてはみたものの、一匙掬っては深い溜息を吐いてまた戻すことを繰り返していたのでした。
今もまた、目をつぶってスプーンを口元まで運んだのですが、やっぱり食べられません。
(どうしたらいいのかしら)
今日何度目かの溜息を吐いた時、給仕のための出入り口の扉が動きました。
※ ※ ※
事の発端は「ミーティア姫の偏食を直す」という教育係の方針でした。最近漸く減ってきてはいたのですが、
それでもまだまだ食べられない物も多いため、先々のことも考えてそのようなことになったのです。
このことはもちろん、父親であるトロデ王も了解し、それを是としておりました。ですが一人娘に甘い王のこ
と、同席する食事の際に姫が悲しそうな顔で、
「これ、きらいなの。食べられないの」
とでも言おうものなら、
「よしよし、無理せずともよいぞ」
と甘やかしてしまい、何の効果も上がっていなかったのが実情でした。
これではいけない、と教育係は考えていたある朝、とびきり新鮮な牡蠣を手に入れたという話を料理長から聞
きつけました。時期も終わろうとしている今ですが、最盛期である冬でも珍しいくらいよく太った、ぷりぷり
の身をしていて、牡蠣好きなら大金を積んででも食べたい代物なのだそうです。
そういえばミーティア姫は牡蠣が嫌いだったことを教育係は思い出しました。時期が限られていて食す機会が
少なかったのと、見た目から受ける印象があまり良くなかったのか完全に食わず嫌いで、一度も食べようとし
なかったのです。
この栄養豊富で美味でもある食べ物が食わず嫌いとはよろしくない、と教育係は考えました。特に牡蠣は、季
節には前菜として生牡蠣が饗されることが多いのです。主賓、主催となることも多いであろうミーティア姫が
全く食べられないという事態は対外的にもあまり好ましくありません。
折も折、トロデ王は遠くに駐留する連隊の閲兵のために昼間は留守になることが分かっておりました。そこで
この機会に、昼餐に牡蠣を出すことにしたのです。見た目が嫌だということは分かっておりましたので、生牡
蠣ではなく細かく刻んで形を分からなくし、スープの実として使うことにしました。料理長ご自慢の出汁とま
ろやかなクリームのおかげで、抵抗なく食せる筈だったのですが…
「これ、何のスープ?」
普段おっとりとしておりますが、嫌いなものについては妙に鋭いミーティア姫、何か自分の好きではないもの
が入っていそうな気配を察したようです。
「チャウダーでございます。料理長さんが腕を奮って作りましてございます」
教育係は内心ぎくりとしました。ですがそんな動揺は押し隠してにこやかに答えました。さりげなく「何のチ
ャウダーか」については誤魔化しつつ。
「そうではないの。これ、何のチャウダーなの?」
「…牡蠣でございます」
姫の質問に答えない訳には行かず、渋々教育係は答えました。途端に姫の顔が曇ります。
「ミーティア、カキは食べられないの。下げてくださいね」
ああやっぱり、と教育係はがっかりしました。でもここで負ける訳にはいきません。
「いいえ、下げないでください。こちらはよいのであなたは下がるように」
給仕に向かってぴしりと申し付けると、
「姫様はこの牡蠣のチャウダーをお召し上がりになるのです」
と言い渡しました。
「だって、食べられないのですもの。形がこわいの。ぐちゃぐちゃになっているのですもの」
何となく頼みに思っていた給仕にも出て行かれ、教育係と二人きりになってしまった姫は涙目になってしまい
ました。
「形がお嫌いでいらっしゃることは存じております。細かく刻みましたので何も怖くありません。それに獲れ
たてですのでとろりと甘くて美味しゅうございますよ」
泣き落としには聞く耳持たず、さりとて厳しすぎては姫も怖かろうと断乎としつつも言い含めるように諭して
やると、姫は恐々スープ皿に眼を遣りました。どうやら「甘い」という言葉が心を捕らえたようです。
「…食べてみます」
随分長く逡巡した挙句、漸く心を決めてミーティア姫はスプーンを取りました。それでもまだ躊躇って、そう
っと器の中身を突いているうち(マナー違反ではありましたが、その件については今回だけは、と目をつぶっ
ておりました)、もっとまずいものを見つけてしまったのです。
「どうなさいました」
ちゃんと食べられるかと目を光らせていた教育係は、姫の顔色がはっきりと変わったことに気付きました。
「何かへんなものが」
怖々指し示すスプーンの先に、牡蠣の欠片が浮かんでいます。
「ああ、牡蠣でございますね。これはいい色をしておりますこと。さぞ美味しいでしょう」
実は無類の牡蠣好きを自認する教育係はこともなげにそう言いましたが、姫の顔は一層強張りました。
「だって、だって緑色なのですもの」
育つ環境にもよるのですが、牡蠣の内臓は時折緑色をしていることがあります。栄養豊富な場所で育った牡蠣
に多いので美味の証とも言えるのですが、ちょっとくすんだ緑色の、それもぐにゃっとした得体の知れないも
のにミーティア姫はすっかり怖気づいてしまいました。
「ほうれん草もブロッコリーも、野菜はみな緑色をしているではありませんか」
「だって、あれはきれいな緑色ですもの。これは…何だかとても悪くなっていそうだわ」
姫も必死です。何としてもこの変な緑色の物体を口にしたくないのです。
「いいえ、どこも悪くございません。それどころかちっとも生臭くなくて美味しゅうございますよ」
「でも…」
言い訳も尽きてしまい、ついにミーティア姫はスプーンを置いて俯いてしまいました。
「姫様は先程、お召し上がりになると仰いましたが」
「でも…」
「嘘を仰ってはいけません、といつも申し上げておりますが」
「うそつくつもりなんてなかったのですもの!ほんとに食べられると思って」
「姫様、『ほんとに』ではなく、『本当に』でございます。
…お召し上がりにならないのでしたら、今日の昼餐はなしということに」
「いやっ、それはだめ!」
姫は慌てました。午前中一生懸命勉強したのでお腹ぺこぺこです。それに午後、エイトと遊ぶ約束をしていま
した。空腹のままではとてもエイトについていけません。
「ではお召し上がりになられますよう」
「…分かったわ、食べるわ」
ミーティア姫は渋々そう答えたものの、全く以って手は動きません。
「姫様、お手が動いていらっしゃいませんね」
厳しい視線を向ける教育係にそう言われ、姫はついに癇癪を起こしてしまいました。
「だって、そんなにじろじろ見られていては食べられないのですもの!ちゃんと食べるから、出て行って!」
「…ようございます」
厳しい口調を崩さぬまま、教育係は言いました。教えるとはいえ主君であるミーティア姫に「出て行け」と命
じられたら従わねばなりません。もっとも、今まで姫はそういうことはほとんどしたことがなかったのですが。
あまり強制するのもよくない、と少し妥協することにしました。
「こちらを下がりますので、どうぞゆっくりでもいいのでお召し上がりくださいませ。お召し上がりになられ
ましたら、お声掛けくださいますよう」
「…はい」
一礼して教育係は部屋を出、姫一人が残されたのでした。
※ ※ ※
そうして冒頭の状況になったのです。教育係がいなくなって監視の眼はなくなったのですが、目の前の問題が
片付いていないことには変わりありません。
(何か別の物のふりをしてくれたらいいのに)
ミーティア姫はしょんぼりと皿の中の牡蠣を見遣りました。こんなにも自分を困らせるこの牡蠣が段々憎たら
しくなってきましたが、先程スプーンで小突いたら身が崩れて余計始末に負えなくなりそうになってしまった
ので、時間稼ぎにそんなこともできません。
(どうしたらいいのかしら)
空腹のミーティア姫は、段々心細くなってきました。
その時かちゃっと扉の金具の音がして、姫は思わず飛び上がりました。が、振り返って見慣れた顔を見つけ、
ぱっと顔を輝かせました。
「エイト!」
「あ、ごめんね」
注意深く扉を閉めると、エイトが近寄ってきました。
「大丈夫?何か困ってるって聞いたんだ」
他に誰もいないのでエイトも普通にしゃべっていますが、本当は、
「姫様にちゃんと牡蠣を食べさせる」
という使命を帯びておりました。
いくら時間をかけてもいい、と教育係は考えておりましたが、中々そうも言ってはおられません。姫が食事を
済まさない限り、それに関わる料理人、給仕人、後片付けの人、そして教育係も昼食にはありつけないのです。
それを見越した使用人用の食事を作る料理人が手早く食べられるものを用意しておいて順次食べさせるように
していたのですが、料理の責任者である料理長はもちろん、教育係も一人だけ先に昼飯を食べるというつもり
は毛頭ありませんでした。もちろん、下っ端のエイトもまだ何も食べておりません。
部屋の外に出てさてどうしたものかと考えていた教育係ですが、丁度皿を下げに来たエイトを見つけ、「これは」
とその役目を与えたのです。エイトとミーティア姫がとても仲の良い友だちであることは周知の事実でした。
それに教育係はエイトの存在が姫に良い影響を及ぼしていると高く評価しておりました。何より姫の好き嫌い
が減ってきたのもその一つで、
「エイトが作ったものなら」
とちょっとずつでも手をつけるようになっていたのです。
そこで、
「姫様のお食事の手伝いをして差し上げるように。ただし、代わりに全部食べたりしてはいけませんよ」
と言い含めて送り込んだのでした。
そんな扉の外の事情はさておき、部屋の中ではミーティア姫が牡蠣がどんなに嫌か訴えています。
「えーっ、でも、すっごくおいしいって料理長さんが言ってたよ」
エイトは疑わしげな顔をしました。記憶にある限りエイトは牡蠣を食べたことがなかったのですが、厨房での
話を聞いて食べてみたくなったのです。
「でも…でも、へんな色なの」
姫も食い下がります。
「エイトだってぜったい食べられないと思うわ」
「そんなことないよ」
姫の言葉にかちんときたエイトは言い返しました。
「料理長さんの作るスープはすっごくおいしいんだ。この前ちょっとだけ手についちゃったからこっそりなめ
ちゃったけど、すっごくおいしかったもん。これだっておいしいに決まってるよ」
今度は姫がむっとする番です。
「じゃあ食べてみて」
「いいよ。こんなの平気だよ」
売り言葉に買い言葉でそう答えると、エイトはスープ皿を覗き込みました。そして固まりました。
「…」
確かに緑色です。それも厨房で見た生牡蠣は鮮やかな色をしていたのに、火が通ったせいかくすんだ色になっ
ていました。
これは無理だ、とエイトは思いました。でも、
「こんなの平気だよ」
なんて言ってしまった手前、食べない訳にはまいりません。
「エイト?」
ミーティア姫は心配そうにエイトの顔を窺いました。エイトが食べるのだったら自分も食べられそうな気がし
ていたのに、それが食べようとしないのですからどうしようという気持ちになったのです。
「たっ、食べられるよ」
その視線を撥ね退けるようにエイトは勢いよくスプーンを皿に突っ込みました。例の緑色の物体を掬い上げ、
躊躇わずに口の中に入れたのです。
「エイト!」
「…うめえ」
びっくりする姫の前で、思わずそんな言葉が漏れました。口の中に入った時に自分でも涙目になったような気
がしましたが、ともかく食べ切ったことは事実です。
「何でもなかったよ。すっごくおいしかった」
ものすごく空腹だったという事実を差し引いても、本当に美味しいスープでした。でも一口食べてしまったせ
いで、エイトはますますお腹が空いてしまいました。
「食べちゃいなよ」
先程のエイトの食べっぷりに見ていた姫も何だか無性にお腹が空いてきました。
「え、ええ」
スープ皿からは相変わらずいい匂いが漂ってきます。お腹空いた、と思った途端、エイトと姫のお腹が同時に
「ぐー」と鳴りました。
「…」
「…」
不可抗力ではあるのですが、不意打ちのこの音に二人ともちょっと恥ずかしくなりました。
「あ、いいこと思いついた」
エイトが何か思いついたようです。
「あのさ、こうしてみたらどうかな」
と牡蠣の他に具として入っていたえんどう豆をスプーンいっぱいに乗せました。緑色の豆のおかげで、確かに
例の部分は目立ちません。
「はい」
そのままミーティア姫の前に差し出したのです。
「…」
こうなっては姫も食べない訳には行きません。ちょっと涙目になりながらも、エイトの差し出すスプーンをぱ
くっと口の中に入れました。途端に口の中いっぱいに新鮮な豆と濃厚な牡蠣の味と香りが広がります。
「…おいしい」
言葉と同時に涙がぽろっと零れましたが、安堵の涙だったのでしょう。それに実際食べてみるとエイトの言う
通りとても美味しくて、エイトからスプーンを渡されると今度は自分で食べ始めました。
「よかったね」
エイトの言葉にミーティア姫はこくんと頷きました。
「じゃあ、次の料理持ってくるね。ひき肉といもとチーズの入ったオムレツだって言ってたよ。いもは僕がむ
いたんだ」
「まあ、そうなの!早く食べたいわ」
エイトが手伝った料理と聞いて、姫はますます食べたくなりました。
「すぐ持ってくるね」
※ ※ ※
そうして漸くミーティア姫の昼餐は終わったのでした。
嫌いなものを食べ切ったということは姫にとって大事件だったので、夕方遅く城に帰還した父王にこと細かに
報告しました。トロデ王も大層喜ばれ、教育係や料理長、エイトにもお褒めの言葉を賜ったのです。
終わってみれば牡蠣はそんな怖いものではなく、ただ美味しいだけだったのですが、ミーティア姫は後々まで
何かあるにつけ、「あの時のこわいスープ」と引き合いに出したものです。そしてエイトもまた「あの時のこわ
がりぶり」を話の種にして、二人で笑ったのでした。
(おわり)
大したことないネタですみません
保守代わりになれば幸いです
乙です!
「うめえ」ってミーティアの前でも素になっているエイトが素敵。
あーん、ってしたのね。
二人が仲良く並んで食事をしてる風景が目に浮かびます。
SSありがとうございました!
感想ありがとうございます
子供同士意地張ってみる二人が書いてみたくなってこんなネタになりました
多分みーたんはエイトが来るまで意地を張る相手なんていなかっただろうと思うと、
何かちょっと可哀想だなあとも思ってみたり
まとめサイトを久々に更新しました
・part4〜5の117作品と過去ログを保管
不備があれば連絡ください
>>18 おおお乙です!
見たところ特に不都合なところもありませんでした
更新ありがとうございました!
保守です!
>>7-14 乙です!
なんか語り口が日本古典みたいでよかったw 「虫めづる姫君」を思い出したり。
自分は特に「キライ」っていう食い物がない。牡蠣も美味いからなあ。
エイトくんは何が食えんのかなあ。
>>18 乙であります!!
新スレに来るのは初です(リアルで忙しくて)
…という訳で、遅ればせながら
>>1乙です!
>>7-15 牡蠣のクリームスープ、すごくすごく美味しそうだ…。栄養もありそう。
自分も
>>22氏同様、語り口が素敵だと感じました。
みー様に対する礼儀は守りながらもお城の人達の雰囲気が暖かくて、家族のようにみー様を大切にしてるのも良かったです。
>多分みーたんはエイトが来るまで意地を張る相手なんていなかっただろう
そこは同意であります。
お城の人たちは結局は家臣だし、大人ばかりだから、
幼いみー様が自分の心をぽんぽんと口に出せるようになれたのはエイトに出会ってからだったろう…と。
自分は前スレの800あたりで「みーちゃん様のお祖母さまは結構心が狭くてヒドい人だったんじゃないか?」というような考察というか妄想を書いたんですが、
懐いていたらしいお祖母さまを亡くした後、
同じ歳のエイトがお城に来た事で、みー様の心も行動も、きっとぐんと成長したと思う。
みー様の世界の扉を開いたというか。
なんか長くなりましたが、GJでした!
>>18 いつも乙です!
>>23 高校の古典の時、敬語表現について「書き手から読み手への尊敬」だの「書き手から登場人物への尊敬」だのと教えられ、
正直イヤになってたけど、現代語に上手に訳してみれば
>>7-15の作品のような品のある物語調になるんだろうなー。
>お城の人たちは結局は家臣だし、大人ばかりだから
なるほど。それはたしかに嫌気も差すなw
妄想を巡らすと、みー様と大人たちの仲を調整するのは、エイトは意外と巧そうな気もするw
ひとまず保守
保守
保守
>23
>お城の人たちは結局は家臣だし、大人ばかりだから
そうなんだよね。
みーたんの心を先読みしてあれこれしてしまうだろうから、どんなに礼儀作法を
修めたとしても一番大事な「相手を思いやる」という部分が育ち難いだろうなと
思っていた。
それが同じ位の年齢の子供=エイトだとそうはいかないから色々考えられるように
なっていったのかも。
結局、何が言いたいかというと、みーたん最高!ってことです
保守
保守
保守
保守
hoshu
数日前、おそらくここではとっくに既出で、住人さん達はご存じだと思われる、
「エンディングでトヘロス」
を初めてやってみてすごく感動した。
だから保守。
なんぞそれ?
書き方悪かったかもしれない、すまんでした。
たまたま見つけた考察サイトでちょっと読んだだけで、別に公式でも何でもないんだ…。
だけど自分が最近まで知らなかっただけで、一部では有名な考察なのかと思って…。
EDで、みーちゃん様を迎えに行く前にお城を自由に歩き回れますね、
その時にトヘロスをかける。
(ルーラなど他の魔法だと、例によってふしぎなちからでかきけされてしまうため)
この時、ふつうにMPが減ります。呪文を使ったのだから当然です。
みーちゃん様を連れてサヴェッラへ。
チャゴスと再会したりクラビウスと話したり一連のイベントをこなした後、主人公は宿屋に泊まります。
翌朝、操作可能になった主人公のMPを調べて下さい。
MPは回復していません、トヘロスを使って減ったままです。
宿屋で休んだらHPもMPも回復するはず。それなのにどうして?
ここから考察、というか想像↓
…主人公は宿屋に泊まってベッドに横になったけれど、一晩中ミーティア姫の事が案じられて一睡も出来なかった、
(明け方にウトウトくらいはしたかも)
つまり「休んで」はいないから、MPも回復していないのだろう、と。
妄想乙と言われそうだけど、この考察をたまたま見つけて読んで、実際にやってみてすごく感動したのでしたよ…。
ついたての向こうのみーちゃんも、悲しみや不安や責任感やいろんな感情が渦巻いて、一晩中眠れなかったんだろうな。
長文すまんでした。
hoshu
みーちゃんを守れ!
保守
いよいよ明日DQ9発売なんだが
過疎ってるし落ちちゃうかな…
40 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/07/11(土) 08:37:11 ID:RkZB5DMeO
悲しいこと言うなよ…
9買っちゃったけど、PS2は去年ぶっ壊れちゃったけど、二人への愛は消えてないよ。
9やりながらも、二人の小話に使えそうなネタを探している自分がいる。
思いついたら、また何か書きたいですね。
>41
是非!
保守
44 :
41:2009/07/12(日) 20:07:18 ID:/TNSswjp0
9買った人
黒騎士とメリア姫のとこでエイトとミーちゃん思い出した人挙手
忙し過ぎてネタが書けん…書きたい話あるのに
9もやりたいけどそんな訳で手をつけてないや
ほしゅ
保守
DS持ってないんで当然9やってないんだけど、エイトとみーちゃん似のキャラが作れるかな?
作れるんだったらその為にDSごと買って一緒に冒険をさせたいw
>>48 バンダナ装備させればエイトっぽくはなる。
でもミーちゃんみたいな腰まで届くロングは再現できないのだ。残念ながら
>>50 情報サンクス。キャラ設定でエイトに似せようと工夫してた俺の努力はどこへ・・・
その動画では8のパーティーメンバーでククールだけ確認できなかったけどちゃんといるのかね?
ところでエイトってバンダナ取ると、どんな髪型してんだろ?
>51
北米版でバンダナ取るシーンあるよ
スーパーハイテンションだからスーパーサイヤ人状態だけどw
スーパーサイヤ人状態になる髪型って実際どうなんだろう
頭のてっぺんの毛が相当長くないときれいに△にならないよな
サイドは短めかな
甲装備の時蒸れるから適当な長さの短髪だと思ってたんだけど、
何か分からなくなってきたw
保守
現在再プレイ中
やったー泉についたよ!
この後のチャゴスイベントが辛いが
俺はチャゴス嫌いじゃないけどなあ・・・彼は彼で一生懸命だし。
みーさまに馬乗(ryのシーンでは馬に蹴られて死んでいただきたいところではあるが。
チャゴスみたいな駄目な子が、惚れた娘のために、
弱い自分に鞭打ってエンヤコラ
て、なれば良イベントになるんだけどねぇ。
ほ
馬姫様保守
保守
永遠の保守
63 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/08/23(日) 16:43:33 ID:4PQJKleyO
こんなスレあったんだ〜
馬とのスレはあるのに、なんで主人公とゼシカのスレはないの?ふざけないでよ!
ほしゅ
全力で保守
まだクリア前だけど、ミーティア可愛いな
泉にばっか通ってしまう
保守
保守
>66
遅レスですまんが、宿屋に泊まるのを忘れるなよ
みーちゃん一人占めだからな!
…あのイベント、触感とかあるんだろうか
っていうか本当にみーちゃんと同じ夢を見ているのかな
>>69 >触感とかあるんだろうか
落ち着いてください。
71 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/09/21(月) 10:55:16 ID:TyQDOXz60
いまいち押しの弱い姫だったな
だからこちらから押さねばならんのだよ。
押しの弱い(ヘタな)エイトとの組み合わせもおもしろいかもしれないけどw
ほす
保守
保守代わりに小ネタ置いていきます
主姫度薄くてすみません
ある錬金術士の日記(抄録)
○月○日
今日付けで私はトロデーンに錬金術士として雇われることとなった。ほとんど無給で、食事と寝床が支給され
るだけなのだが、それでもあの錬金釜を使って自由に研究できるということは破格のことだ。
この城に仕官するに当たり、この紙束を渡された。見出した錬金のレシピは勿論、失敗した物も全て、私が行っ
た実験は遺漏なく書き記せとのことである。
それだけのこと、と思う者もあるかもしれないが、私はこのことによりより一層研究の道への思いを深くした。記録を残すことは基本中の基本である。
思えばただほんの僅かな怠惰によって失われたレシピのいかに多いことか。私はそのような
△月○日
何たることだ!突然凄まじい衝撃に襲われたと思ったら、数ヶ月もの月日が経っていたとは。
どうやらあの衝撃は城全体に呪いがかかった時のものらしい。辛うじて難を逃れた王様と姫様、そして一人の
近衛兵がその呪いを解くために奔走なさったとか。
それにしても呪いごときに我が学究の道を邪魔されるとは!これは明日から気合を入れて研究に励まねばなら
ぬ。
△月△日
再び何たることだ!私の与り知らぬところで研究が先を越されてしまっていた。それも一介の近衛兵に。
あの呪いを免れた王様と姫様とその例の近衛兵が錬金釜を持ち出して、旅の合間に色々作っていたようなのだ。そのうち賢者の石を作り出したらしい。
賢者の石と言えば、錬金に携わる者なら誰しも一度はこの手で作り出したいと願う代物である。古代にはその
製法が伝えられていたらしいのだが、失われて久しい。
先程現物を見せてもらった。近くに寄るだけで漲る元気、確かにこれは本物のようだ。悔しいが、己の敗北を
認めざるを得ない。
△月×日
例の近衛兵(近々近衛隊長になるらしい。メイドの噂)が我々の実験室にやってきて、しばらく歓談していっ
た。
初めてその近衛兵の顔を見たのだが、随分若い。私と十歳も違わないだろう。とても呪いを打ち破った者とは
思えないが、愛用の剣でその辺に転がっていた錬金素材用の鉄剣を斬ってみせてくれた以上、信じざるを得な
い。
近衛兵は気さくにエイトと名乗り(一介の錬金術士と近衛兵とは生活の場が違うのだから、面識がなくて当た
り前だ)、旅の合間に書き留めたという錬金のノートを見せてくれた。それを彼は、
「皆さんの研究に役立ててください」
と惜しげもなく寄付するという。何とありがたいことだろう。
△月※日
あのノートは中々興味深い。錬金が上手く行く組み合わせには一定の法則があるようだ。
△月□日
「お前は武器類の錬金にいいひらめきがある。より精進せい」
との言葉を長からいただいた。ありがたいことである。
どうも人により得手不得手があるらしく、熟練していくにつれそれぞれが得意な分野のみを作るようになって
いくようだ。隣の者など毛むくじゃらの大男でありながら、天人の羽衣もかくやというような繊細で美しい装
束を作り出す。外見は関係ないらしい。
かく言う私も、武器を扱うには貧弱な身体つきである。
×月○日
かねてより私もその中の一人として工夫を凝らしてきた「軽くて丈夫でありながら費用を抑えて作ることがで
きる剣」が完成した。
早速軍にその由伝えたところ、近衛隊長殿直々にこちらにきて試し斬りをしてくれた。昇進したてで張り切っ
ているようだ。
が、張り切りすぎたのかハリボテ人形を粉々にしてしまい、工作兵に怒られていた。
×月△日
今日は王女殿下がこの室にお出ましになり、色々ご覧になられて現在進められている研究についてご下問にな
られた。我々の研究にお眼を留めてくださり、まことに光栄である。
惜しむらくはもう数週間のうちにサザンビーク王家へ嫁がれるため、トロデーンをお離れになられることであ
る。
※月○日
何と、姫様がお戻りになられた!
正直なところ、婚約相手だったというサザンビークの王子はよく言ってボンクラで(メイドたちの噂)、とても
王女殿下のお相手にふさわしいとは言えない方だったらしいので、この展開にはほっとしたと言っても過言で
はないだろう。
さらに驚くべきことには、近衛隊長殿が王女殿下と結婚されることになるという。大っぴらには言えないが、
どうやら近衛隊長殿は正しく先代サザンビーク王の血を引く生まれであるとのこと。政治向のことであまり大
きな声では言えないらしい。
ともあれ、正式な婚礼を挙げるにはいくつか越えなければならない問題もあるため、現時点では婚約という形
を取り、追々改めて式を行うことになるとのこと。
※月△日
昨日の今日で、早速陛下から勅が下された。
「一致団結してよき品々を参らせよ」
とのことである。非常に多岐に渡るご下命ではあるが、恐らくは今まで以上の装束や武具などを式までに作れ
という命令であろうと長は解釈している。
時間はあるようなので(各地の領主との折衝が面倒らしい。筆記官の話)よりよい物を作り出すべく、努力は
惜しまぬつもりだ。
なお、近衛隊長殿は婚礼の準備のため、今朝故郷へと出立なさった。
※月※日
全く眼の回るような忙しさだ。だが、どの者の顔も明るく楽しげであり、疲れは感じない。
隣席の同僚がまた実に美しい姫様のための衣装を作り出し、陛下からお褒めの言葉を賜った。が、その直後殿
下から、
「それに対になるような男物の礼服もお願いします」
と言われ、頭を抱えていた。奴は男物が苦手らしい。
私も儀式にふさわしい、豪華で美しい武器を作らねば。
※月□日
当の本人がいないことには衣装合わせもままならない、ということで衣装の件は一時止まっている。が、おお
よその方針は決まった。エイト殿は近衛兵であることから、武官の大礼服を基本としてそれに変更を加えてい
くことになるらしい。
こちらはというと、若干手詰まり気味である。仕方なく何がしかの手がかりを求めてエイト殿のノートを見直
しているところだ。やはり大変参考になる。
が、どうにも解せないのが何かのレシピを書き込んだ後に、黒く塗り潰された箇所が一つあることである。一
体何が書かれ、そして何故消されたのだろう。
□月○日
エイト殿が竜神族の里から戻られた。早く例の懸案を片付けなければ。
だが、糸口は見えたような気がしている。明日からその方法を試してみることとする。
□月△日
一回で作ろうとするからうまく行かないようだ。二、三回に分けて錬金することが肝要であると思われる。
□月×日
ついに完成した!随分苦労させられたが、これぞと言える武具ができあがって大変嬉しい。
その旨申し上げたところ、是非見たいので練兵場まで持って来て欲しい、とのこと。早速布に包んで参上した。
意外なことに王女殿下もその場においでになり、お二方にお目にかけることとなった。
エイト殿は私を覚えていてくださったらしく、あの剣についてのその後の使い勝手のことなど話してくださり、
今回の件を労ってくださった。姫様とも仲睦まじく、こんなことを言っては不敬に当たるのかもしれないが、
大層似合いの一組である。
布を取るあの瞬間、何と誇らしい気持ちだっただろう!
「まあ、何と美しい剣でしょう。ね、エイト」
姫様はそう仰ったが、エイト殿は呆気に取られたかのように鞘の飾りに眼を留めたまま、何も言わない。
「…これは」
長い沈黙の後そう聞かれたので、この剣についての説明を求められていると思い、説明申し上げた。
「世継ぎの婿君にして世界を救った勇者にふさわしい、豪華にして威厳のある剣を、と思いまして作製いたし
ました。
プラチナソードに金塊を用いて強さと華麗さを出し、スライムの冠にて装飾いたしました剣、名付けてキング
ソードでございます!」
が、エイト殿は私の言葉を聞くなり頭を抱え込んでしまった。
「エイト?どうしたの?大丈夫?」
と姫様がご心配なさったが、
「金塊…金塊ね…スライムの冠…はは、やっぱりやっちゃうものなのか…」
とそのようなことをぶつぶつ繰り返すばかり。
漸く顔を上げ、
「ご苦労でした。後でお礼の品を届けます」
とだけ言い置いて、心配そうな姫様と一緒に若干よろよろしながら練兵場を出て行かれた。
エイト殿の反応は解せないが、自分の仕事には満足している。
□月※日
今朝早く、近衛の制服を着た男に叩き起こされた。
「貴殿の仕事に感謝し礼としてこれを与え、新たな任務を命じる、との隊長のお言葉である。速やかに任務に
当たられよ」
寝ぼけ眼を擦りながら見ると、大鎌のようである。
「スライムの冠三つと、金塊三つを持ち帰るように。なお、慣れるまでは隊長のご友人であるヤンガス殿がご
指導くださることになっている」
近衛兵に急かされながら着替え、ささやかな抵抗を試みた。
「私は武器など扱ったことはないのだが」
「何、そのうち慣れる」
と近衛兵は素っ気無い。
「ひたすらその鎌で獲物を狩り続けるだけだ。大したことではない」
あっさりそんなことを言われてしまった。
「場所もよく分からないのだが…」
「隊長殿の郷里だ。私が呪文で送ることになっているから安心しろ」
何だ?何かまずかったのか?とにかく近衛兵が急かしてくるのでこれを書いたら出立する。
この日記はここで終わっている。
なお、報告によれば彼は現在、スライムの冠二つと金塊一つを集めたようだ。
トロデーン王室図書部蔵書 印
(終)
以上、「キングアックスは極北の地」をお送りいたしました
…っていうか、何で鳥が違ってるんだろ
間開きすぎて何か間違ってんだろうか
おもしろかった
黒く塗りつぶされた場所に何が書いてあったのかが気になる。
ヤンガスとこの錬金術師は折り合いよく行っているのかな?とかも。
鉄の斧+金塊だろうな
金の斧+スライムのかんむりでキングアックス
戦わないお姫様が物語の最初から最後まで帯同するって結構珍しいな
エンディングで馬車を引く馬も白馬だけど、やっぱりミーティアは馬になっても可愛いんだな
馬の時から好きでした
お馬さんでもかわいい
ほしゅ
保守
主姫にはまってはや5周年
保守
もういっかいやろ
保守代わりにネタを一つ置いていきます
注意
・若干きわどいネタが入ってます
・バカポー注意
1.
何だか騒がしい夢を見たような気がした。
「エイト様はまだお休みです!」
「分かってるさ。でも急用なんだ。頼むから通してくれ」
とか、意識の向こうで何か叫んでいるようにも聞こえたんだけど、とにかく眠かったし夢だということにして
眠り続けていたんだ。
「そのようなご無体は!」
「だから本当に急いでいるんだ。後でエイトには謝っておくから」
「そんな」
やけにはっきりした夢だなあと思っていたら、バタンと音がしてひんやりした空気が顔に触れた。
「すまん、エイト」
ちぇっ、ククールか。どうせならミーティアだったらいいのに。
「何?どうしたの?」
と返事したつもりだったけど、後で聞いた話ではどうも「ふにゃふにゃ」としか言えてなかったらしい。
僕のそんな様子は気にも留めず、
「すまん、ちょっとでいいから預かっていてくれ。責任がない訳じゃないんだ」
と訳の分からないことを言って何かを寝台の中に押し込んできた。
「責任…?うん…?何だっけ…」
押し込まれたその何かはほんわりと温かく、柔らかい。
「訳は後で話す。じゃあな」
「ああ、うん…じゃあね…」
何だろう、湯たんぽか何かかな。最近寒いし、何て都合のいい夢だ。
「ああっ、ククール様!そんな、窓からお帰りになるなどまるで夜盗ではございませんか!」
「いいんだ。これが一番手っ取り早いんだよ。ルーラ!」
さらにひやっとした風が顔を撫で、またどこかで言い争う声がした。全く騒々しい夢だ。
そしてまた、静かになった。
※ ※ ※
はずだった。
ふと、異様な気配を感じて眼が覚めた。
「エイト様、お目覚めですか」
眠い眼を擦って見回すと、僕付きの侍官やらメイドやらがぐるっと寝台を囲んでいる。
「お、おはよう…どうしたの」
「お目覚めのところ恐れ入りますが」
ずいっとメイド頭が進み出る。身体を起こしかけていた僕は反射的に身を引いた。
「こちらのお子様についてご説明願いたく存じます」
一瞬で目が覚めた。
「えっ、こ、子供?」
夢の中で押し込まれた温かくて柔らかい物は小さな人の形をしている。大きさから言って三つか四つくらいの
子供のものだ。
「ええっ、何だこれ!何でこんなところに子供が」
うろたえる僕に対し素っ気無いまでの口調でメイド頭が答える。
「今朝方ククール様がお預けになったと伺っております」
傍らの侍官─昨夜の当直だ─が僕にガウンを差し出しながら深く頷く。
「ですが、そのようなことは今は問題ではございません。
正直にお答えください」
メイド頭のおっかない顔が目の前に迫る。
「は、はい」
「こちらのお子様は、エイト様のお子様でいらっしゃいますね」
「へ?」
思わず間抜けな声が出てしまった。大体、どうしてそんな結論になるんだ?
「ククール様は『責任がある』と仰ったと伺っております。ということはどこぞでこしらえた隠し子というこ
とでございましょう」
隠し子─!そんな、どうしてそんなことになってるんだ。僕は誤解を解くべく必死に反論した。
「そんな、違うって。大体身に覚えがないよ」
「浮気がばれた殿方というものは、大抵そう言うものだと決まっております」
「だから本当に違うんだ。信じてよ」
みんな一斉に疑わしげな顔をした。
「ああそう」
これには僕もむっときてしまった。
「そんな風に見てたんだ、僕のこと」
ぷいと顔を背けてやると、周りの人たちは口々にしゃべりだした。
「それは…その」
「分かってはおりますが、その」
「まあその…姫様とそれはもう仲睦まじくいらっしゃることは存じておりますが」
「ですがその…もののはずみというものもございます故」
「近衛兵でいらっしゃった頃にちょっとばかり羽目を外されたことなど」
「ないよ!」
いつまでも続きそうだったのでぴしゃりと言ってやった。
「近衛の連中に訊いてみたらいいだろ。何だったら典医殿にでもいい。『ちゃんと婚姻を遂行できるか不安だっ
た』って言われたんだから!」
ああもう、どうしてこんな恥ずかしいこと朝っぱらから言わなきゃならないんだ。
それもこれもここでのんびり寝ているこの子供のせいだ。そう思って勢いよく掛布を剥いでやった。
「う…ん…むにゃ…パパ…」
中から現れたのは小さな女の子だった。ごく淡い白金に近いような金髪の巻き毛をしている。
「これは…金髪ではありませんか」
「エイト様は黒っぽい髪ですし…」
「どうやらエイト様の仰ることは本当のことのようですな」
「だから最初から本当のことしか言ってないってば。大体、何で金髪だと僕の子じゃないんだよ」
どうやら疑いは晴れたっぽいんだけど、その理由があんな恥ずかしいをした僕の発言じゃなくて実際に見た子
供だということに納得がいかない。
「金髪は二親揃って金髪でないと生まれないものでございます。ましてこのように淡い金髪では」
やや年配のメイド─もうすぐ最初の孫が生まれるって言ってたな─が説明してくれた。
「ふーん…」
そうなんだ。じゃ、ミーティア似の金髪の子供はできないんだな。ちょっと残念。
「で、この子なんだけど」
差し当たっての問題であるこの子供の正体について水を向けた。
「どなた様のお子様なのやら…」
「そしてどうしてククール様がこちらに連れてきたのかも」
さっきから心に浮かんでいる僕なりの推理を口にする。
「…ククールの子なんじゃない?」
言った途端、皆腑に落ちた顔になった。
「それは確かに」
「あり得る話ですね」
「髪の色も似ておりますし」
「いやいやもしかしたら将来を見越して、自分の手元で自分好みに育てようという魂胆やも」
「魂胆って。そこまで外道じゃないだろ」
あまりの言われっぷりに苦笑してしまった。
「とにかく、この子が起きたら話を聞いてみよう。…あ」
子供が眼を覚ましたようだ。
「起きたかい?」
メイド頭がさっきとは打って変わって優しい声を掛けてやる。と、子供はびっくりしたように眼を開いた。
「ここ…どこ?」
「びっくりさせてしまったかい?ここはトロデーン城だよ」
呆然としたように眼を見開き(これまたククールそっくりの青い眼だった)、ふと不安げな顔になった。
「パパ?パパはどこ?」
子供には罪はないのだし、いきなり見知らぬ人々に囲まれていたらやっぱり怖いだろう。その気持ちは分かる
ような気がしたので僕も優しく話しかけてやる。
「パパって、銀髪の青い眼をした赤い服の人のことかな?」
僕の問いに子供は脅えたように頷いた。
「パパは?パパどこ?」
余程ククールに懐いて頼っていたようだ。今にも泣き出しそうな子供の上で全員が一斉に視線を交わし、頷き
あう。
「お嬢ちゃんのパパはね、」
とメイド頭が優しく語りかけた。
「ちょっとだけお出かけなんだよ。それでお友だちのいるこのトロデーンに連れてきたの。すぐ戻るよ」
「…うん」
メイド頭の言葉が効を奏したのか、子供は泣き出すことなく(それでもちょっと涙目だったけど)納得したか
のように頷いた。
「うーんと…それじゃ」
このままという訳には行かない。着替えさせて朝ごはんにしないと。が、どうもククールはこの子身一つで置
いていったみたいで、何もない。
「忙しいところ悪いんだけど、この子に合う服、出してもらえないかな。それから朝ごはんを」
「かしこまりました」
「さ、こちらにいらっしゃい。そのままでは寒いでしょ?着替えしましょうね」
子供好きと思われるメイドたちがいそいそと子供を連れていった。
「ところで」
ふと思い当ることがあり、試しに聞いてみることにした。
「このこと、ミーティアには話してないよね。何て説明しよう」
「あっ」
メイド頭が真っ青になった。
「申し上げたんでございますよ。『エイト様の隠し子が現れた』って。そこの侍官が詰め所で他の兵たちに話し
ているのを私が聞いて、それでこちらに伺ったんでございます」
「ええっ、何だそれ!」
※ ※ ※
「まったくもう…」
朝からのどたばたで、僕はすっかりげっそりしていた。そしてそのげっそりの原因である子供は、僕たちの側
の毛足の長い敷物に座り込んでミーティアが出してやったままごとの道具で遊んでいる。
「お疲れさま、エイト。はい、お茶をどうぞ」
「ありがとう」
どんなに疲れていてもミーティアの顔を見ると元気が戻ってくるよ。ミーティア自身が淹れてくれたお茶付き
だとさらに。
「それにしてもどうしたらいいのかな…」
兵や使用人たちの間に広がってしまった噂を打ち消したり(ククール父親説は非常に説得力のあるものだった
らしい。あっさり僕への疑いは消えた)、トロデ義父上に事情を話しに行き(これまたククール父親説を出した
ところ、納得された)、最後にミーティアのところへ説明しに行った。
ミーティアは今までの経緯から考えていたよりもあっさり僕を信じてくれたけど、どうも隠し子というものが
よく分かっていなかったらしい。
「子供を隠すなんてよくないわ。隠したまま見つけてもらえなかったらどんなに寂しいでしょう」
なんて最初言ってたし。
そこから話が始まって、今度は「結婚していないククールにどうして子供がいるのか」が納得してもらえず、
ミーティア付きのメイドもいる前で説明する羽目になってしまった。何だかもう、朝から何かの罰を受けてい
るような気がしてならない。
「色々予定が狂っちゃって、次何をしたらいいのか迷うから疲れるんだよね。ちゃんと予定が決まっていて、朝から晩まで仕事の方がまだ疲れないような気がする」
そう言うと、ミーティアは労わるような笑みをちらりとこちらに向けて葡萄の房を取り分けてくれた。
「そうね、確かに。でも本当だったらこうしてお茶を一緒できなかったでしょう」
「そうだね」
本来は一日丸ごと使って野外行軍演習の予定だった。もちろん昼食は自炊。近衛の兵は基本的にいい家の出な
のでそういったことをしたことのない者が多い。なので週一回は必ずやるように決まっているんだ。
「まあいいか。みんな大分慣れてきたし、今度は敢えて天気の悪い時を狙ってやってみようかな」
「まあ、鬼の隊長さんね」
旅をしていて分かったんだけど、雨の日に火を熾すのはものすごく難しい。厨房にいた時は立派な竈があった
し、軍に入ってからの演習でも晴れた日にしか行わなかったものだから、旅に出て最初の頃は全然上手く行か
なかったんだ。そういったことはヤンガスがものすごく上手くて、どこかからか手際よく乾いた焚き付けと薪
を見つけてきてくれて、本当に助かったっけ。今でもすごく感謝してる。
「で、さ」
思い出に浸りそうだったので、意識を今直面する問題に向ける。
「余りあちこち動かさない方がいいと思うんだ。行き違いになるとよくないし」
当の子供もここにいるので言葉を選びながら切り出す。事情を話したら
「ここに連れてきて」
とミーティアが言ってくれたので子供はひとまず僕の目の届くところにいるんだ。
「そうね。それに『預かって』と言ったのでしょう?戻ってくるつもりではないかしら」
ミーティアもやや改まった顔になった。
「確かにそうだね」
あの時僕は寝ぼけていたけど、当直の侍官が会話を全部聞いている。彼のおかげで事の全容が分かった(余計
な推察を入れてくれておまけにあちこちでしゃべってくれたけど)んだ。
「もしミーティアが嫌じゃなかったら、しばらくここにいてもらおうかと考えているんだけど」
「ええ、構わないわ」
ミーティアはそう言ってくれてありがたかったんだけど、本当のことを言うと実は余りおもしろくない。せっ
かくの二人きりの時間だというのに、子供が僕の側を離れようとしないので連れ歩かざるを得ない。で、ここ
に連れて来たら来たでミーティアを見るなり、
「ほんもののおひめさま!」
と言って今度はミーティアにべったりになってしまった。ミーティアもミーティアで、古いままごとの道具を
出してやったり葡萄の皮を剥いてやったりしていて、僕だけ置いてきぼりのような気がしてならない。ほら、
また葡萄を剥いている。
「エイト」
「な…むぐ」
ミーティアの呼びかけに振り向きざま、きれいに剥かれた葡萄の一粒を口に押し込まれた。甘い果汁が口の中
に広がる。
「…おいしい」
「もう、やきもちやきさんね。そんなに拗ねた顔していてはだめよ」
ちょん、と鼻の先を突かれてしまった。
「そんな顔してた?」
いや、言われてみればそうかも。確かに「おもしろくない」って思っていたんだし。
「…そっか。そうだったかも。ごめん」
謝りながら、果汁で赤く染まったミーティアの指先を拭いてやる。二人きりだったらもっと色々できたのに!
という考えはひとまず置いといて、で。
「ククールを探し出して、それから、だね」
そう。話はそこからだ。子供には罪はないけど、奴にはきっちり対価を支払ってもらわないとね。
(続く)
何回かに分けての予定です
それから前に感想くださった方々、ありがとうございました
この場を借りてお礼申し上げます
乙
どうなっちゃうんだ…
エイトもミーティアも女の子もそしてククールもお城の人たちも…
105 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/12/14(月) 10:50:22 ID:GuzN36KeO
リメイクではミーティア連れて冒険出来そうだね
さて、今晩辺りから数時間おきに保守かな
メダパニ〜
エイトは混乱した!
エイトは馬車に向かって突進してミーティアにだきついた!
トロデ「ワシのかわいい姫にだきつくとは何事じゃ!」
ククール「…あれ混乱したふりしているだけなんんじゃねだろーな」
ヤンガス「それあまり笑えねえでがすよ」
保守
保守
つられて踊るエイトにミーティアはうっとり
ほしゅ
EDであと少しの所でカメラアングルが引きになったとき悶絶した
思えば5年前の今日からこのスレが始まったんだなあ…
>>95-101の続きいきます
2.
いやー、久々に兄貴のところに行ったら、色々困ったことになっていたでがすよ。
見たことのないちっこいガキが出てきたと思ったら、
「ドワーフのおじちゃん!」
と指差してきやがった。あっしは正真正銘人間でがす!
「あっ、ごめんね、ヤンガス」
ガキを追っかけて出てきたエイトの兄貴はすっかり疲れた顔をしていたでがす。
「兄貴、どうしたんでげす?そんなに疲れた顔をして」
「疲れて?…うーん、そうかな。子守なんて慣れないことやってるからかな」
はあ、と溜息を吐く兄貴。うう、気の毒でげす。
「ククールがあの子を置いてったんだ。何の説明もなく」
姫さまのピアノの置いてある部屋に落ち着くと兄貴は事情を説明してくれやした。ガキは姫さまの側にへばり
ついてピアノで遊ぶようでがす。
「何て野郎だ。兄貴に迷惑かけるなんて」
「まあでも子供は何も悪くないんだし、こうやって面倒みてるんだよ」
何と優しいんでげしょう。でもこんないい服着せて兄貴やミーティア姫さまの居間で面倒みなくたってバチ当
たらねえと思うんでがすがねえ。誰かに預けっちまえばいいんでがすよ。気になったもんで、そう聞いてみた
でがす。
「うん。最初はそれも考えたし、周りもそう言ってくれたんだ。
でもね」
兄貴はちょっとの間遠い眼をしてからこう答えやした。
「そんなたらい回しみたいなことされたら、きっとすごく悲しいと思うんだ。目の前から頼っていた人がいな
くなって気付いたら知らない人たちに囲まれていたりしたらものすごく心細いだろうし。そう考えたら別に子
供が好きってことはないけど、ここにいる以上は最後まで見てやろうと思ってさ」
さすがは兄貴でがす!あっしはこの度量の大きさに惚れたんでがすよ。
「でもククールは見つけ次第落とし前つけさせてやる」
…怒ってるでがす。あっしは急いで話を変えることにしやした。
「このガ…子供なんでげすがね、おふくろさんがいるんじゃねえかと思うんでげすが」
「うん、それなんだけど…」
兄貴の顔が心なしか曇りやした。
「どうもあの子の母親、いないみたいなんだ。『きれいなおうちからおでかけして、おおきなあながあいて、マ
マいなくなっちゃった』って…」
「それは」
あっしは息を呑みやした。
「うん。僕もそれだと思ってる」
あの時のゴルドでがす。儀式を見るために神殿の中に入っていた人たちがたくさん巻き込まれっちまったんで
げした。
「ということはいいとこのお嬢ちゃんなんでげすかねえ」
あの時「庶民はダメだ」って言われたんでがすよ。
「そんな気がしてる」
「名前は分からねえんでがすか」
「聞いてみたんだけど、どうも愛称みたいなのしか言えなくてさ。おまけに舌足らずではっきり聞き取れない
し」
「そりゃ困ったでがすねえ」
あっしは子供の方を見やした。ミーティア姫さまと一緒に歌を歌っていて、とても楽しそうに見えたでがす。
「ひとまずゴルドっていう手がかりはあったから、人を遣って調べさせているんだ。
─どうやらククールもゴルドにいたらしい」
兄貴は声を低くしやした。
「えっ、本当でげすか」
「そこで出会って、あの子が『パパ』と呼んだもんだから宿の亭主に押し付けられたらしい。宿賃を多めに置
いてあったらしくて、あの時からずっと見捨てることもしないで養ってたんだってさ、いいとこのお嬢さんっ
ぽいから、迎えがくると思って。気の毒な話だったから、モンスター金貨置いてきてやったんだ」
「や、優しいでがすねえ…」
モンスターというところが引っかかるような気もするんでげすが、あれは売ればいい金になるでがす。
「その分も取り立てるさ」
…ククール、早く出てきた方が身のためでげす。兄貴の眼が全然笑ってねえ。
「あっしもパルミドで情報集めてみるでがすよ。どうせ帰るついでなんで」
「ありがとう。そうしてもらえるとすごく助かるよ」
部屋の隅でこそこそそんなことを話し合っていると、今度は姫さま一人で歌い出しやした。いやー、いいもん
でがすねえ。あっしには歌心なんて洒落たものは持ってねえんでげすが、すごくいいもんだということは分か
るでがすよ。
「ミーティアがいてくれて、本当に助かったんだ。城のみんなも」
歌を聴きながら兄貴はぽつりと呟きやした。
「僕一人じゃどうしようもなくて右往左往するだけだったと思う。もちろんヤンガスも、ね」
「え、あ、あっしでげすか」
急に自分の名前が出てびっくりしたでがす。
「僕はもう、前のように思った時に思ったことをする訳にはいかない。今の地位にはそれなりの責任があって、
勝手なことをしたらみんな困ってしまうから。だから、代わりに他の人が色々やってくれて本当に感謝してる
んだ」
「…照れるでがす」
やっぱり兄貴は兄貴でがす!どんなにお偉いさんになっても謙虚さを忘れない、さすがでがす!
「そ、そんなことより兄貴、竜神族の里からお土産言付かってきたでげすよ。今朝作りたてのチーズと苔桃の
ジャムでがす」
「ありがとう。いつも悪いね」
「いいんでがすよ、これくらい」
兄貴はちらっと笑みを向けてから、ピアノの前の二人に声をかけやした。
「おーい、お茶にしようよ。ヤンガスがいいもの持ってきてくれたんだ」
「まあ、嬉しいわ。いつもありがとう、ヤンガスさん」
ピアノの蓋を閉めてこちらに来た姫さまにそう言われて何だかくすぐったくなっちまいやした。『ヤンガスさ
ん』なんて呼ばれたことねえもんで。
ふと、服の裾を引っ張られてることに気付いたんでがす。
「何でえ」
振り返ると例のガ…子供がにこにこしながら立っていやした。
「ありがと、ドワーフのおじちゃん」
だからあっしは正真正銘人間でがす!
※ ※ ※
あれから半月、神出鬼没なククールさんは全く見つからない。いえ、「〜の街で見た」というような情報だけは
たくさん入るのだけれど。
「あいつ呪文で移動できるからなあ」
エイトはすっかりあきらめ顔になってしまった。
「それにどうも酒場やカジノで遊び歩いているって感じでもないみたいなんだよね」
そう、ククールさんは酒場よりむしろあちこちの領主の館の前でよく目撃されていた。
「ククールさん、あの子のご実家を探していらっしゃるのではないのかしら」
ここ数日ずっと考えていたことを口にすると、エイトも頷いた。
「うん。僕もそうなんじゃないかって気がしてたんだ。早くとっ捕まえて文句の一つも言ってやりたいんだけ
どね」
ククールさんはゴルドであの時の宿帳を見せてもらっていたという。
「宿帳に本当の名前を書いていたらいいのだけれど」
「それなんだよね…仮名で泊まる人って結構いるらしくてさ。僕もサザンビークでは居住地は嘘書いてたし」
だとすると探すのはものすごく難しいことになる。
「…あの子、どうなってしまうのかしら」
先のことを考え、ちょっと悲しい気持ちになってしまった。お母様が亡くなられ、ククールさんも行方知れず
だなんて。
「できる限りのことはしてあげようと思ってるよ」
思慮深い眼をしてエイトが答えた。思えばエイトも、何もかも失った状態でトロデーンに来て、助けられた。
屈託なく笑うその陰にたくさんの苦労があったことを忘れてはならない。
「ミーティアに何ができるのかしら…」
ただ後見という形で養うことは簡単だろう。きちんとした教育を受けさせて。でもその後は?
その時、急にあることに思い至った。あの子はたまたま私たちのところへやってこれた。けれどもそうではな
い子供たちはどうなってしまうのだろう。エイトは助けてもらえたけれど、それはとても運のいいことで本当
はたくさんの寄る辺ない子供たちが倒れていってしまっているのかも知れない。教会に行けば守られるという
ことは知っている。救貧院や孤児院といったものがあるということも。でも孤児院を出た人の子供がまた孤児
院に入ってしまうということが繰り返されているらしい。どうしたらそれを止められるのかしら?
「ミーティア?」
はっと気付くと、エイトが私の顔を覗き込んでいた。
「どうしたの、恐い顔して」
色々考えているうちに、眉根をぎゅっと寄せていたらしい。
「…エイト、あのね」
私にできることって、何かしら。
「今までで一番役に立ったお勉強って、何?」
唐突な質問にエイトはびっくりしたようだったけれど、すぐに考え込んで答えてくれた。
「…言葉遣い、礼儀作法、読み書き、かな」
「言葉遣い?」
思いがけない返事に思わず聞き返してしまった。
「うん。読み書きとか簡単な算術とかも役には立ったんだけど、やっぱり一番は言葉遣いだと思う。僕は里で
ちゃんとした訛りのない言葉遣いをするように躾けられていたらしいからあんまり問題なかったんだけど、も
しそうでなかったら近衛兵になんてなれなかったと思う」
「でも、近衛兵になるためにそんな規約があるなんて知らなかったわ」
「『品行方正、不行跡のない者』に引っかかるんだよ。貧しい出身だと訛りを直さないままになってしまうもん
だから、どんなに優秀で忠誠心の篤い兵であっても近衛には昇進できない。結果として正しい言葉遣いで躾け
られたいい家柄の者だけが近衛になる。近衛への門戸は開かれてはいるけど、実際はそういったことでふるい
落とされているんだよ」
「まあ…」
「それにね、城で働くメイドさんたちも地元の領主さんの館や教会とかで訛りを直して礼儀作法を教え込まれ
てからここに来るんだよ。特に城内で働く人はね」
「言われてみればそうね」
メイドさんたちの顔を思い浮かべた。確かに彼女たちはきちんとした言葉遣いをしている。
「領主さんも無償で行儀見習いさせている訳じゃないし、余りにひどい訛りで直せない者は貧しいままでいる
しかないみたいだね。商いをやるにしてもお金持ちはちゃんとした言葉遣いの店にしか行かないし」
「そうなの…」
知らなかったわ。エイトが教えてくれなかったらそんなことには気付かなかったかもしれない。
「何か考えてる?」
「ええ。でもまだ考えているだけ。もう少しまとまってきたら聞いてね」
ただ子供を集めて衣食住を与えるだけじゃ駄目。でもちゃんとした言葉遣いを教えて礼儀作法を心得させれば
身の振り方も色々考えられる。
「うん、楽しみにしてる」
今まであった施設がうまく行ってなかったのは、その辺のことが考えられていなかったのかも。子供たちの気
持ちを汲んでやれるしっかりした方がいてくれて、実際に役立つ教育を与えられる、そんな場所があってもい
い。成り立たせるための資金など、考えることは多そうだけれど。
「協力してね、エイト」
一瞬きょとんとしたけど、エイトはくすっと笑った。
「さっきから何のことかさっぱり分からないけど、いいよ。ものすごく変なことじゃなければ」
「ものすごく変なこと?」
「変なこと…そうだね、例えば」
でもどんな変なことだったのか、その先を聞くことはできなかった。
「恐れながら申し上げます」
扉の向こうで衛兵が声を張り上げた。
「どうぞ。こちらに」
エイトの顔がさっと仕事中のものに変わり、入室を促す。
「恐れ入ります」
入ってきた衛兵は直立不動のまま、私たちに告げた。
「ゼシカ様、急のご来訪でございます」
(続く)
後1、2回で終わる予定です
前回感想くださった方々、ありがとうございました
121 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/12/26(土) 10:08:21 ID:mIFCWeiPO
ミーティア9にゲストで来るかな?
5周年を祝いに来たら大作がきてる!
完結、楽しみに待ってます!!
>>120 乙であります!!
>「ちょっとばかり羽目を外されたことなど」
本当に見に覚えがry
8を最初からプレイしてる。
初めて気づいた。
おっさん(トロデ氏)って、マイエラで院長に身代わりになってもらってるけど、みーさまにも身代わりになってもらってるのな。
結果的には2人とも魔法をかけられたが。パルミドの酒場の件といい本当に軽率だよなあ。
>>114-119 大作のシメ期待。
125 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:2010/01/11(月) 13:04:12 ID:CqQ8p4s00
保守
>>124 そりゃおっさんは家宝の杖を道化師に盗まれたり、杖に暗黒神が封じられてるのを知らなかったり
通常EDでは自ら結婚式をぶち壊しにしてサザンビークの顔に泥をぬったりと
軽率どころじゃない失態ばかり演じてる人だからなぁ
ほっしゅ
おっさんは政治面はダメダメっぽいけど、人に好かれる才能はあるんじゃないかな、思ってる。
ククールが仲間になってすぐ辺りの、みんなが寝入ったあと、教会の外で自分の過去をおっさんに語るイベントとか好きだった。
「たたかいのきろく」でも、最近はベージュが似合うだの、チョコレートパフェがうんたらだの、朝起きたらバニーちゃんの海だったらだの・・・
まあ、彼がいるから冒険を楽しめてるのも事実か。
昨日「もっとミーティアを泉につれてけカス」的なお説教を頂きました。申し訳ございません。
トロデは愛嬌があるからわがままな言動とっても許されてる得な人だなあ
>「もっとミーティアを泉につれてけカス」
娘に馬車を引かせて自分は御者席に座ってるくせに偉そうなこと言うなー!
>>130 みーさまの父親というだけで許せてしまう気もする。俺も末期だな・・・
意外と名君だったりするんじゃないかな、とも思う。適度に人間臭いからね。適度?
3.
何なの?何なのよ全く!
どうして顔もろくろく覚えていないようなメイドからいきなり、
「ククール様のお子様がご滞在なんですのよ。お気の毒でございます」
なんて言われなきゃならないのよ!それもこれっぽっちも気の毒なんて思ってないようなにまにま笑いで!挨
拶みたいなあいつの口説きを真に受けているのはあんたでしょう。
「エイト!」
取り次いでもらうのももどかしく、蹴破らんばかりの勢いで扉を開けた。
「あっ、ゼシカ」
「ようこそ、ゼシカさん」
エイトがあからさまに動転している横で、ミーティア姫さま(結婚なさったから称号が変わっている筈なんだ
けど姫さまは姫さまだ)おっとりとした笑みで私を迎える。
「ごめんね、急に来て。だけどもう頭きちゃって」
そう、ここに来たのには理由があった筈。それをあんなメイドの言葉で動揺して頭からすっぽ抜けてしまうな
んて。
「もう少し早くいらっしゃったら、正餐をご一緒できたのに」
「ありがとう。でも私も食べてきたの。というか、その食事中にちょっとね」
ふっと気が緩み、思わず溜息混じりになってしまう。
「とりあえず、これでもどうぞ」
落ち着きを取り戻したらしいエイトが、慣れた手つきでココアを淹れてくれた。
「ありがとう。…これ、おいしいわ」
ココアにバニラを混ぜてあるのか香ばしい中に甘い香りが立ち上り、昂った気持ちを落ち着けてくれた。アル
バート家は海運もやっているから他の国のものもたくさん食べる機会があったけど、ここまでいい品は口にしたことがない。
「よろしかったらお泊りになりませんか?」
「嬉しいけど、気になさらないで。どこかで適当に宿取ろうかって考えてるから」
「そう?でも今時分からだと結構難しいよ。特に女一人だし。
ここだと今日運よく客間の掃除日だった筈だから、すぐ使えると思うけど?」
「そうね…じゃあ」
二人に押し切られ、泊まることになってしまった。宿を取る手間が省けたと思えばいいんだけど、二人とも押
しが強いわ。特に姫様。優しそうな顔している分、余計そう感じる。
「よく分かったわね、今日どこか外に泊まるつもりだったってこと」
「だって正餐の後にお出かけしたらとても遅くなってしまうでしょう」
「で、今日は何で喧嘩したの?」
にやにや顔でエイトが訊いてきた。うっ、ばれてる。
「…母さんと。今後のことで」
一度話し出すとすらすらと言葉が出てきた。
「二言目には『アルバート家の名を汚さぬような結婚を』なのよ。いい加減聞き飽きたわ」
二人とも黙って聞いているのをいいことに、どんどん日頃の鬱憤をぶちまける。
「私だってアルバート家のことは大切に思っている。兄さんがいなくなってしまった今、私が守り立てていか
なくちゃならないことも。だけどどうしてそれが結婚につながるのよ」
本当は母さんの言っていることは分からなくもなかった。でも何か引っかかるものがあって、その言葉を素直
に受け入れさせてくれない。
「何だ。またお見合い話持ち込まれたんだ」
エイトのにやにや笑いって本当に腹立つわ。
「懲りてくれないのよね。今日なんて五十も上のじじ…いえ、お年寄りよ」
そう言って某伯爵家の当主の名を挙げた。かなりの資産家で、老い先短いだろうからということも考えた上で
の話らしい。そりゃお金が大事なことは分かっている。アルバート家の事業の発展には有利に働くだろうこと
も。
「お金は大事だけどね…考えなくちゃならないこと、いっぱいあるのに」
アルバート家の次の当主として考えていかなければならないことはものすごく多くて、その責任の重さに思わ
ずはあ、と溜息が漏れた。
「ゼシカさん」
今まで黙って聞いていた姫様が口を開いた。
「その答え、ゼシカさんの中ではもう出ているのではないのかしら」
「えっ」
「でもお忙しい毎日を送っていらしては心の奥を探ることもできないでしょう。ゼシカさんが望む限りトロデー
ンにいらっしゃって考えてみては?」
「はあ…」
何で知ったようなことを仰るのかしら。私はただ、兄さんの遺志を継いで…
兄さんの遺志?それは…
今ここで考え込む訳にはいかない。
「話は全然変わるんだけど、ククールの隠し子がいるんですって?」
頭を切り替えようとさっきの話を持ち出したんだけど、やたら刺々しい感じになったような気がする。
「あ、ああ。うん、そうなんだ。正確にはククールが何の説明もなしで子供を置いていったっていうのが本当
なんだけど」
苦々しげな口調でエイトがその辺の事情を説明してくれた。
「で、たらい回しにするのはかわいそうだからここでこうして預かっているんだよ」
「エイトってほんとお人よしだわ」
一連の話を聞いて、ちょっと呆れてしまった。
「そのまま逃げられたらどうするの、子供押し付けられて」
「その時はその時だよ。僕とミーティアとで最後まで後見してやろうと思ってる」
何か思うような口調でエイトは答えた。が、その直後、
「でもその前に必ず見つけてふん縛ってやるけどね」
…メタルキングを見つけた時の顔だわ。闘志満々のアレ。
「そうそう、そのことで考えていることがあるの」
と姫様が話に入ってきた。
「何?」
「エイトにも聞いてほしいの。ほら、さっきのこと」
「ああ、さっきの話ね」
「ええ。
あのね、孤児院を作りたいの。でも、今まであるようなただ子供を集めて衣食住を与えるだけではなくて、もっ
とちゃんとした教育を受けて世を渡って行けるようにする所を。最初は読み書き算術礼儀作法を身に付けさせ
ようと思っていたのだけれど、もう少し踏み込んだことを考えてみてもいいかしら、って」
「ふーん、いいんじゃないかしら?」
王族が慈善事業を行うのはよくある話だし、別にここで話すことでもないんじゃないのかしら。ふと隣を見る
と、エイトが何か分かったような顔をして頷いている。
「そこでゼシカ・アルバート殿、折り入って相談が」
「は、はい」
姫様が突然改まった口調になり、慌てて居住いを正した。
「アルバート家におかれましてはなおご繁栄のこと、まことに喜ばしい」
「きょっ、恐悦至極に存じます」
あれっ、答え方ってこれでよかったのかしら。
「そこでトロデーン王家として貴家に提案いたしたきことがございます。
トロデーン王家として計画中の孤児院の運営に共に携わり、その教育課程においてご助力願いたく存じます」
「…それって、孤児院作るから金を出せってこと?」
姫様の言葉をじっくり考えた後、まずはその点を単刀直入に訊いた。
「いいえ、そうではないの」
元の口調に戻って姫様が答えた。
「お金は大切だわ。出していただけるのなら大変嬉しい。でもそうではなくて、子供たちの教育に関わってい
ただきたいの。例えば…世間に出た子供がすぐに奉公なり船員として働けるように」
「…なるほどね」
何となく話が見えてきた。言葉は悪いけど、先に唾つけておいて教育して院を出たらすぐ雇うってことよね。
「アルバート家として即答はできかねますが、よく話し合って…あっ!」
ということは家に帰らなくちゃならない。
「いいのよ。すごく急いでいる話ではないから。ゼシカさんがリーザスに戻りたくなって、それからでいいの。
だって、他にも相談しなければならない人がたくさんいるのですもの。グラッドさんとか」
「グラッドさん…そっか」
私は姫様がさりげなく開いてみせた札を見逃さなかった。薬草作りの名人、グラッドさん。孤児院で栽培する
にしろ、直接オークニスから輸入するにしろ、その品物を運ぶのは誰?もしアルバート家が請け負うことがで
きるのならばその利益は大きい。資産を目的とした政略結婚なんて考えなくてもいいくらいに。
「私一人で考えていい問題じゃないし、よく話し合ってから返事するわ。それでいい?」
「ええ。前例のないことになると思うので、じっくり考えていただきたいわ」
それにしても交渉上手いわ。お姫様とはいえ、トロデーンのお世継ぎとしての立場であることをこういう時実
感する。兄さんが跡を継ぐものだとばかり思ってそういったことを学ばないできてしまったから、余計に。
「頑張ろっと」
自分に向けた言葉だったけど、それを聞きとめたエイトがにやっと笑った。
「これに付いて行かなきゃならないんだよ。何か願い事があるとああやって説得してくるんだ。いつも負けちゃ
うんだ」
「まあ、ひどいわ」
二人とも笑ってる。本当はエイト、姫様に「負ける」のが楽しくて仕方ないんじゃないかしら。
その後は三人で他愛のない話をしてさてお開きとなって客用寝室に下がろうとした時、姫様に引き止められた。
「ゼシカさん、差し出がましいと思っていらっしゃるかもしれないけれど」
「何?」
「自分が本当に望んでいることが分からないって、よくあることよ。自分に素直になれないことも」
「え?ええ」
内心首を捻った。今日の姫様は本当に分かり難い。
おやすみの挨拶をしながら、もう既に上の空だった。
私の望むこと……兄さん…隠し子…母さん…アルバート家…リーザス…仲間…船員たち…クク…ちょっと待っ
た!あいつのことは関係ない。もう一度最初から。兄さんの遺志…私の思うとおりに…私の思うこと…それは
何?ああもう一晩中考えることになるのかしら。
今夜もまた、眠れそうにない。
※ ※ ※
子供が来て半月ばかりになるけど、知れば知る程謎が増えているような気がする。
ククールの隠し子というのはともかく、色んな手掛かりはあの子がいい家の出であることを示している。訛り
のない言葉遣い、風呂を嫌わない(貧しい出の兵は風呂嫌いであることが非常に多い)、親がゴルドの神殿内に
入れる立場にある、等等。でももしいい家の出なのだとしたら、あの子の親族は何をしているんだろう。母親
がゴルドで亡くなったとして、その実家はなぜ子供を捜そうとしないのか。ククールが間男だとしたらあの子
のいう「きれいなおうち」を維持するのは母親の方だ。維持にはそれなりの財が要る。そんな資産がある家な
ら親類なんてぞろぞろいそうなものなんだけど。
「おはよう、エイト」
「おはよう」
色々考えながら朝食の場に行くと、もう二人とも先に来ていた。
「おはよう、ミーティア。今日もきれいだね」
「まあ。エイトもすてきよ」
ちょっと離れていただけなのに、簡素なドレスにリボンで髪をまとめただけのミーティアははっとする程新鮮
で美しく見えるのはいつものこと。それに対してちょっと心配なのがゼシカで、心なしか沈んで見える。
「おはよう、ゼシカ。よく眠れた?」
「ああ、うん。ちょっと考え事してたら夜更かしになっちゃって」
「そう?あんまり根詰めすぎないでね」
「ありがと。でも大したことじゃないから」
…ぴしゃりと言い切られてしまった。こんな時は何を言っても無駄だ。
「ところで今日だけど」
と言いかけたところで扉がばたんと開いた。
「おはようごじゃいまちゅ!」
ほとほと手を焼いている、という顔のメイドを従えて例の子供が駆け込んでくる。が、彼女にとって見知らぬ
ゼシカの姿を見とめ、立ち止まった。
「あら、その子が?
おはよう」
ゼシカがその子に話しかけた途端、子供はひしと僕の膝に縋り付いてきた。
「どうしたの?この方はお客様で、僕たちの大事な友達のゼシカ・アルバートさんだよ。ご挨拶なさい」
こんな時、ちょっとだけ父親の気分になる。この先どうなるかは分からないけど、こんな感じなんだろうか。
が、そんな感慨に浸ることはできなかった。子供はきっとゼシカを見据えて、
「パパは〜ちゃんとママのものなの!きょ、きょぬ、きょにゅーなだけのおんなになんてまけないんだから!」
と言い放ったんだ。
「こらっ、そんな失礼なこと言っちゃ駄目だろ!」
慌てて謝らせようとしたけど、聞いちゃくれない。
「だってそうだもん!いつもママいってたもん!パパはきょにゅーのおんなにめろめろだって」
めろめろ…ククールならそうかもな…いやいや、ここは自分が悪かったってことを分からせないと。
「知らない、ずっと年上の人にそんなことを言っては駄目だ。大体、ゼシカのこと知ってたの?」
「…ちらない」
子供は渋々認めた。
「人違いだったらどうするの?全然関係のない、何も悪くない人に失礼なことされたら君も怒るだろ」
「…うん」
「さ、謝りなさい」
「ごめんなちゃい」
「僕じゃなくて、ゼシカさんに」
途端にふくれっ面になったけど、さらに促すと漸くゼシカに向かって頭を下げた。
「…ごめんなちゃい」
ゼシかもそれに対して素っ気無く頷く。
「こちらにいらっしゃい」
とミーティアが子供を呼び寄せ、やっと朝食となった。
「ああそうだ。ゼシカ、ここにいる間だけでいいんだけど」
熱々のオムレツにナイフを入れながら話しかける。ふわりと湯気が立ち上り、チーズが蕩け出た。
「攻撃呪文について習いたいっていう兵が何人かいるんだ。もしよかったら彼らに教えてもらえないかな」
「あら、いいわよ」
ちょっと目が腫れぼったく見えるのは寝不足なのかな。あんまり追求すると怒り出すから聞けないけど。
「ゼシカさん、もしよろしければ今日のお昼は外でいただきませんか?風もなくて暖かそうですし」
「それ、いいわね。そうしたいわ」
女の子二人楽しそうだ。僕は仲間はずれかい。
「…じゃあ、近衛に通達だすよ」
「あら、必要ないわ。だって、近衛隊長自ら警護なさる予定ですもの」
「それは心強いわ」
「最初から三人で行きたいって言ってよ」
やれやれ。いつもこんな感じで振り回されている。でもそれでいいんだ。今回はゼシカもいるし、竜神王さま
突然のご乱心で襲撃、っていうんでもなければ大丈夫だろう。
と、今まで黙って目の前のスープと格闘していた子供が、もの言いたげにこちらを見ていることに気付いた。
「どうしたの」
「あのね、じゅ、じゅもおちえて」
「じゃあゼシカさんにお願いしなさい。呪文を教えてください、って」
「…」
うっと言葉に詰まったようだったけど、最終的には頭を下げた。
「じゅも、おちえてくだちゃい。パパがだんろにしゅぱっとひをつけるみたいなの」
思わず腰が浮いた。
「パパは呪文が使えるの?火を点けるのね?」
さりげない顔でミーティアが確認する。その問いに子供は誇らしげに大きく頷いた。
「うん!とーってもしゅごいの!」
僕たち三人の視線が子供の上で交錯する。ククールの子じゃない!奴は炎系の呪文は全く使えなかった筈だ。
「…ともかく、私も一言言ってやりたいから事が結着するまではここに居させてもらっていいかしら」
底冷えのする声でゼシカが言った。うっ、怖い。
「ええ、よろしくてよ」
気付いているのかいないのか、ミーティアが長閑に答える。
「あっ、そうそう。エイト、午後はワルツの特訓よ。忘れないでね」
「…はい」
…忘れていてくれたらよかったのに。
「へえ、踊りの練習なんてあるのね」
「ええ、年末に大舞踏会があるの。ゼシカさんも是非いらして」
「素敵。嬉しいわ」
内心凹み気味の僕などお構いなしに、二人とも楽しそうだ。ダンスごときに苦戦している僕が馬鹿らしく思え
てくる。
「そうすると今日の午前中は僕は兵の訓練、ミーティアは謁見、ゼシカはその子に呪文を教える。で、午後は
僕とミーティアがワルツの特訓でゼシカは希望者に呪文を教える。こんな予定でいいかな」
「ええ、いいわ」
「ええ、それでいいわ。何もしないのも気が引けるし」
朝食の席で一日の予定を確認するのは旅していた頃からの習慣だ。
「おねがいちまちゅ」
子供がゼシカに向かってお辞儀している。ゼシカもまた、
「頑張りましょうね」
なんて優しく応えてやっている。
色々あるけどそれなりに平穏な一日が始まる。そんな筈だった。
(続く)
141 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:2010/01/30(土) 16:24:15 ID:7OvxlekU0
保守
>>140 年跨ぎ超大作乙
子供の舌っ足らずさがかわいいです
ほ
保守
保守
147 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:2010/02/19(金) 22:17:32 ID:jTqkl+4v0
保守
4.
「兄貴―!」
午前の仕事を終え、さて今日は外でピクニック気分の昼食だ、先に行って準備しておこうと城門を出たところ
にヤンガスが駆け込んできた。
「やあヤンガス。どうしたの、そんなに急いで。ゼシカが来てるから一緒に外で昼にするところなんだけど、
一緒にどう?」
「あ、ありがとうございやす、兄貴」
息を切らしながら背負っていた大きな袋をどんとばかりに下ろした。
「ふぎゃ」
情けない声を上げ、袋がもぞっと動く。
「しゃ、しゃべった?!」
「つっ、捕まえたんでがす」
「捕まえた…ククールか!」
思いがけない言葉に飛び上がりかける。
「そうでがす。いやー、苦労したでげすよ」
「分かった。ありがとうヤンガス。本当に助かったよ。ちょっと魔封じの杖持ってくるから見張ってて」
「合点でがす!」
呪文は封じておかないと、また奴に逃げられてしまう。急いで錬金の研究のために貸していた杖を取ってくる
と、ミーティアとゼシカが既に合流していた。
「鞭と呪文とどっちがいい」
なんて物騒な質問を袋に向かって投げかけている。
「ふがふがふがーっ!」
呪文を唱えられないよう猿轡でもされているのだろう、袋の中から必死な叫び声がした。
「ゼシカ、消し炭にするのは止めてくれよ。まずは責任取られなきゃならないんだから」
「そうだったわね」
しれっとした顔でそう答えると、僕が渡した杖を突きつけて呪文を封じる。袋の口を開けるとげっそり顔のク
クールが転がり出た。
「まあ、ククールさん、大丈夫かしら?何だかとても具合悪そうよ」
「魚の塩漬けの入っていた袋でがす。気持ち悪くもなるでげすよ」
自業自得と言わんばかりのヤンガスが猿轡を外してやる。
「おい」
水を与えると、漸く顔色が戻ってきた。
「…何て奴だ。酒場で寛いでいたらいきなり後ろから猿轡されてあの袋だぜ」
気障な仕草で前髪をかき上げたけど、いかんせん生臭い臭いが漂っている。
「仕方ねえだろ。てめえが逃げるからいけねえんだ」
「ククールさん、どうして夜中にいらっしゃってあの子を置いていかれたの?昼間いらっしゃったらちゃんと
お預かりしましたのに」
ミーティアの言葉をきっかけに僕とヤンガスとゼシカの三人でククールを包囲する。
「何の説明もなかったせいで大迷惑だったんだぞ」
「いやそのことについては悪かった。だけどあの時時間なくて」
「あんなに世話になっときながら兄貴に迷惑かけるなんて男の風上にも置けねえ」
文句を言う僕とヤンガスとは対照的に、ゼシカは何も言わない。ただ黙ってククールを睨みつけているだけな
んだけど、それがまた怖い。
「本当にすまなかった。逃げも隠れもしないから、そこら辺のことを話させてくれ」
「…分かった」
甘いかなとは思ったけど、事情を知ることの方が先だ。
「全部話してくれ。隠し立てせず、全部」
※ ※ ※
あの子供と出会ったのは、もう調べがついてるとは思うが、ゴルドだった。どうにもならないことは分かって
いたんだが、やっぱり気になることがあってあの場所に足を向け、宿屋の隅で膝抱えて小さくなっていたあの
子を見つけたんだ。というより、あの子の方がオレを見つけた。
「パパ?」
ってな。そうしたら宿の主がすっとんできて、あれよあれよと言う間に押し付けられちまった。放り出しもせ
ず養ってやっていたらしいが、宿賃はしっかり請求してきやがった。おかげでしばらく魔物狩りの日々だった
ぜ。
※ ※ ※
「ちょっと待った!まず確認しておきたいんだけど、あの子、本当にククールの子じゃないって断言できるん
だね?」
「ああ。日頃の行いがアレだから信じてもらえないかも知れねえが、それだけは誓ってもいい。『行為一瞬、後
悔一生』がオレの座右の銘だ。その辺はいつも抜かりない」
※ ※ ※
それでまとわりついてくる子供を放り出して逃げる訳にも行かず、旅をせざるを得なくなったってことだ。宿
の主人からあの子が置き去りになった状況を聞いて、あの時に巻き込まれたなとは見当付いたんだが、肝心の
母親が偽名で泊まっていやがったんだよ。どこの誰だか分かりゃしねえ。
そんな時だ。とある酒場で聖堂騎士団の奴を見かけたんだよ。それも法王就任式の時の警備担当でオレも知っ
ている奴。そいつに式に参加していた連中の名簿を見せてもらおうと思ったんだ。が、子連れではいかにもま
ずい。年齢から言ってオレが騎士団にいた頃にできた子になっちまうし、そっちの方面にはお堅い奴だったか
らな。
※ ※ ※
「それで僕に押し付けた訳か」
「押し付ける気はなかったんだが、結果的にそうなっちまったな。すまなかった」
「もっと早く相談にいらっしゃれば協力しましたのに」
「本当にそうしておけばよかったと後悔しております、姫」
※ ※ ※
不測の事態で子連れになっちまったことはうまく隠し通して、奴からあの時ゴルドに招待されていた連中の名
簿を手に入れることができた。たくさん酒を奢らされたがな。
一人で参加した奴は関係ない。一族郎党引き連れて全員の名を堂々と書いている奴もだ。探すのは二人で来て
いて片方の名しか書いていない奴だ。女を偽名で泊まらせておくような奴が連れの名前を堂々と書くとは思え
ない。女の方も後ろ暗い立場なんだろうと見当つけてさ。
この時に一回トロデーンに戻って子供を引き取ろうと思った。が、よく考えたら子連れでそういった場所を訪
ね歩くのはいかにもまずいってことに思い当たったんだ。訳ありっぽい子供を連れて相手の男の家に乗り込ん
でみろ、門前払いならいい方でそのままお家騒動に巻き込まれる可能性だってある。それで一人で様子見して
当たりをつけることにした。
※ ※ ※
「結構いただろ、そういう名前不明の奴を連れた客」
「うん?ああ、そうだ。一件一件虱潰しにやっていったらこんなに時間かかっちまったんだ。でもヤンガス、
どうしてそれを?」
「パルミドの情報屋から聞いたんだよ。赤い服の男が嗅ぎ回っているってな」
「情報屋…そうか!最初から聞いてみりゃこんなに苦労せずに済んだんだな」
「で、見つかったの?」
※ ※ ※
ああ、見つかった。本妻のいる貴族の妾とか、僧籍にある奴の隠し妻だったらどうしようかと思っていたんだ
が、そこまでヤバイ女じゃなくて助かったぜ。
あの子の父親は某侯爵家の総領息子で(と、南の大陸に伝わる家名を挙げた)、色んな女をつまみ食いしている
ような銀髪の女たらしだった。あの子の母親もその中の一人だったんだが、そのうちあの子を身篭ったんだ。
男にちょっといいところがあったとするなら、子供を産んだ女を見捨てたりせずに小綺麗な家を与えて暮らし
向きの面倒は見てやっていたってところかな。
侯爵家の当主である両親は息子の女遊びが激しいことは分かっていて仕方なく眼を瞑っていたが、さすがに子
供が生まれていたことまでは知らなかったらしい。遊びは遊びとして決められている許婚と早く結婚するよう
にせっついていたんだ。息子は息子で自由を失いたくないもんだから縁談から逃げているうち、体調を崩して
いた当主の名代としてゴルドへ行くことになったんだ。ここはオレの推測だが、ちょっとしたご機嫌取りであ
の子の母親を連れて行くことにしたんじゃないのかな。身分が違うから子供は認知できるが女は妻にすること
は絶対にできないし。
それであの災害に巻き込まれ、今に至った訳だ。
※ ※ ※
「ふーん」
所々で突っ込みを入れつつもククールの長い話が終わり、僕は考え込んでしまった。
「じゃあその方のご両親、っていうか〜候はあの子の存在を知らない訳?」
とりあえず頭に浮かんだ疑問から問い質す。
「ああ。女性関係はある程度把握していたらしいんだが、子供の存在は隠し通していたらしい。跡取りの息子
を亡くしてついにお家断絶かと嘆き暮らしていたらしいんだが、あの子がいることを教えてやったら喜んで引
き取る気でいたよ」
と言いつつも、ククールは浮かない顔をした。
「何か不都合でもあるのですか?」
ミーティアもそれに気付いて心配そうな顔になった。
「いや…あの子にはいい後見が付くだろうけど、生まれが庶子だ、色々差別されるだろうし年頃になったら結
局政略結婚させられちまうのかな、って思ってさ」
「うーん…」
確かにそうだ。衣食住に不足のない、むしろ庶民とは比べ物にならない贅沢な暮らしができるだろうけど、そ
の分制約も多いだろう。一見自由に生きているようなゼシカだって政略結婚の話がどんどん入ってくるのだか
ら。
「あっしにはどうして迷っているのか分からねえでがすよ」
と、そこへヤンガスが話に入ってきた。
「ゼシカの姉ちゃんはいいとこのお嬢で、ククールは教会育ち、その前は箱入りのぼんぼんだ。兄貴は苦労な
さっているでがすが、それでも王宮暮らしで明日の生活があったでげしょう。あっしのように道端で寝て、明
日のことじゃねえ、今日一日どうやってやり過ごすかばかり考えてみなせえ。真人間になんてなろうったって
なれっこねえでがすよ。
政略結婚がなんだってんだ、その時がきたらそんなもんぶっちぎっちまえばいいんでがす」
「…そうだね」
一々重く心に響いた。ヤンガスが真っ当な生活がしたいと願ってきたことを知っていたから余計に。
「ヤンガスの言う通りだ。今は安心して帰っていける場所を作ってやることの方が先だと思う。先々のことは
その時が来たら考えればいい」
それこそ政略結婚をぶっちぎった僕が言うのも何だけど、考えたことを素直に言ったら皆頷いてくれた。ミー
ティアがゼシカに何か耳打ちする。と、ゼシカが大きく頷いた。
「今日連れて行くというのは忙しないし、先方の準備が整ってからの方がいいかな。お別れの会もしてやりた
いし」
「そうね。一月近くここに居たのですもの、何かしてあげたいわ。お父様も色々仰りながらもあの子をお気に
入りでしたもの」
ミーティアの何気ない一言に驚く。
「えっ、そうなの!?知らなかったよ。そんな素振り全然見せなかったしさ」
「お父様付きのメイドさんから聞いたのよ。『こっそりおもちゃを作らせておいででした』って」
それであの子の部屋の物がいつの間にか増えていたのか!
「あの子には妙に人好きするところがあるでげすしねえ。ドワーフ呼ばわりさえしなければ、でがすが」
ヤンガスが苦笑いした。
「確かにな。それに将来は間違いなく美女だ」
ククールがうんうんと頷く。その様が妙に気に障った。
「あ、そうそう。トロデーンではあの子、ククールの隠し子説と自分好みに育てるためにどこかから攫って来
た子って説のどっちかってことになってるから」
「何だそりゃ!」
「何それ!」
ちょっと苛めてやれ、と思って言ったことにゼシカまでが反応した。
「ちょっと、あんな小さい子にまで手を出すなんて、どういうこと?!信じられない、本当に見境なしね!」
「ぐ、ぐるじい…」
絞め殺さんばかりの勢いで喰ってかかっている。でも手加減しないと本当にまずいぞ。
「…放っておくでがす」
ぼそっとヤンガスが呟いた。
「そういえば毎度のことだしね」
旅の間何度も繰り返された光景を思い出し、気の抜けた返事をする。
「先に行きましょう。あんまりあの子を待たせてはかわいそう」
「そうだね」
三人で頷きあい、
「先行くからねー」
と喧嘩中の二人に向かって言うと(聞こえた風は全くなかった)、丘の上へと足を向けた。
しばらくは坂を上ることに専念していたが、不意にミーティアが口を開いた。
「あのね、エイト」
「何?」
ミーティアはせっせと足を運びつつ、息を整えながら思いがけないことを言った。
「昨日の孤児院のことだけれど、ククールさんに院長をお願いしてはどうかしら」
「え!」
「子供の気持ち、分かる方だと思うの。だって、似ていたとは言え初対面の子供が懐いた訳でしょう。それに
エイトの言うように言葉遣いがきちんとできる方ですもの。実際に子守をすることは近隣の子育てに慣れた方
を雇うとして」
「どうかな…」
突飛過ぎる提案に思えて首を捻ると、逆にヤンガスは深く頷いた。
「いや、案外上手く行くかも知れねえでがす。あっしには難しいことは分からねえが、すかした顔しやがる割
には面倒見はいい奴でげすよ」
「…そんなものなのかなあ」
他の人って色んな目線で人を見ているもんなんだなあ。かっこつけでちょっと間抜けで、熱血。そんな風にク
クールを見ていたから。
「おもしろいね、色んな考え方があって」
僕たちに気付いた子供が丘の上で手を振っている。
「行きましょう」
近付いていくと、駆けてきて僕の膝に抱きついた。
「ゼシカおねーたんは?」
もう懐いているようだ。
「向こうでお話ししているよ。呼びに行きたい?」
「うんっ!」
子供は元気いっぱいで答えて丘を下りかけたが、はたと立ち止まると戻ってきた。
「どうしたの?」
ぷうと頬を膨らませつつ、子供は答えた。
「…いいの。まってる」
何かあったのか?と振り返ったけど、立ち木の陰になってよく見えない。
「先に食べていましょう。話さなければならないことも多いでしょうし」
素知らぬ顔でそんな含みのあることを言われると気になるじゃないか。
「…何か隠してるでしょ」
「隠してなんかいないわ。ただ、先のことは分からないから言わないだけ」
「またそう思わせぶりなことを」
「あっしには」
と言い合う僕たちにヤンガスが割り込んできた。
「昼飯が旨そうだってことだけは分かるでがすよ」
「そうだったね。食べていようか」
「わーい、いただきまーしゅ!」
肉入りパイを一心に食べる子供は、とても幸せそうだ。あと数日、トロデーンで過ごしたら新しい明日が待っ
ていることなど知らずに。
繰り返される毎日は同じようでいて、一日として同じ日はない。少しずつ変わり、思いがけない明日を呼び寄
せることもある。大人でも子供でも、同じこと。その標を見失わず、進んで行くしかないのだろう。昨日を変
えたいというどうしようもない願いを持たずに済むように。
「あの計画さ」
小さな声で隣のミーティアに言った。
「絶対成功させようね」
「ええ。頑張りましょうね」
自信がある訳じゃない。新米王族として右往左往の毎日だ。だけど目標があって、助け合える仲間がいる。そ
して何よりミーティアが一緒にいてくれる。だから頑張っていけるんだ。自分の、そして皆の明日のために。
(終)
以上です
読んでくださった方、感想くださった方、ありがとうございました
喧嘩していて置いて行かれた二人とか、何で子供が戻ってきたのかについては
主姫スレの趣旨からは完全に外れるのでしかるべきところに投下します
乙
>>156 久々にこのスレ来てみたら感動大作が!
それぞれのキャラの価値観は違うけどそれをお互いに受け入れ共有し合っていく様が、仲間っていいなぁって思いました
皆が皆それぞれ平等に幸せになることは難しいけど、このエイト達なら本当の平和に導けると信じております
なんだか色々と考えさせられた気がします
乙でした!
GJ!
ゼシカ、ククール、子供の方は…まあなんとなく予想はつくw
保守
感想くださり、ありがとうございました
以下、ちょっとしたおまけです
以前気にされていた方がいらっしゃったので、ある錬金術士のその後の近況も
ちょっと書いてみました
「ところでさ」
のんびり食事をしている時にふと思い出し、ヤンガスに話しかけた。
「あの錬金術士、元気にやってる?」
「元気にやってるでがすよ。最近大分慣れたみてえで、『やっと金塊二個目取れた!』っ
て大喜びしてたでがす」
温かい南瓜のスープ(苦心して保温した状態で持ってきた)を飲みながらヤンガスが答え
る。
「そっか。それはよかった」
「最初はあんなひょろいうらなり、大丈夫かと思ったんでがすが、持ちこたえたでげすね
え。陽に焼けて、ちっとは見られるようになってきたでがす。おまけに持病だったらしい
頭痛と肩こりが治ったみてえで」
「あはは」
ヤンガスの言葉に笑う僕の横で、ミーティアが頚を傾げた。
「肩こりがなくなるの?じゃあミーティアも魔物狩りをすれば肩こりが治るのかしら?」
「ちょっ…ミーティア!そんな危ないことしちゃ駄目だって」
ミーティアはたまにずれたことを言うんだよな。いや、理論上は合っているのかもしれな
いんだけど、いきなり飛躍しすぎだろう。
「どうして?あの錬金術士さん、随分痩せていらしたわ。ミーティアにだってできるかも
しれないわ」
「あの人は元々、簡単な護身程度なら武器を使えるらしいんだ。推薦状にもそんなことが
書いてあった。
ミーティアは武器なんて使ったことないだろ。危ないよ」
「でも肩こりが治るのでしょ?」
言葉を尽くして諦めさせようとしたんだけど、ミーティアも引き下がらない。
「まあ女の人はどうしても肩こりしやすいって話でげすし、軽い運動でもすりゃあいいん
でねえかとおもうんでがすがねえ」
困っている僕にヤンガスが助け舟を出してくれた。
「軽い運動…」
「お父様のなさっているトロデーン第一体操かしら」
「まあ姫様はお忙しいでげしょうし、時々肩揉みでもするといいでがすよ。その、ドレスっ
ていうんでげすか、着ている服が重いって聞いたもんで」
「ああ、そうか」
言われてみればドレスって重い。豪華なものになると完全武装並みの重量になる。身体に
添うように作られているからそんなには重さを感じないって言ってたけど、実際には身体
で支えている訳だし。
「そりゃ肩も凝るわ…」
これからは毎晩ミーティアの肩を揉んでやろう、と心に決めたところでふと疑問が浮かん
だ。
「それにしてもよく知ってるね。そういうことはククールの得意分野のように思ってた」
途端にヤンガスが口篭る。
「いやその…まあ…ゲルダの奴がその…最近ドレスなんぞを着るようになって、そんなこ
とを愚痴たれていたもんで」
「ふーん、そうなんだ」
何だ、そういうことか。ちょっと気にしてたんだけど、仲良くやってるみたいでよかった
よ。でも、二人とも大人なんだし、実はあんまり心配はしていない。
「あっ!」
と言ってる端から丘の下の方で火柱が!
「わあっ、しゅごい!」
子供は手を打って喜んでいるけど、あれはまずい。
「ゼシカさんたら、少しは手加減なさったらよろしいのに」
なんてこと、おっとり言ってる場合かい。
「行くぞ、ヤンガス!」
ああもう、ククールも命知らずなんだから。
「合点でがす!」
(終)
乙保守
保守
保守
何かネタは無い物か…orz
俺も無いから文句は言えない…orz
保守
168 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:2010/03/22(月) 23:14:57 ID:kNbZuY5E0
保守
ごめんageちゃった
保守
保守
保守
保守
だれもいなーい
みんな6の方に行ってしまったのだろうか
保守
保守
ククゼシスレのお花見のSSの主姫がかわいかったwラブラブだ
昨日ちょっとやり直してみた
どこ歩いてもついて来るミー様には頭が下がります
保守
保守れば
保守っとこう
長期規制→やっと解除→あっという間に、また規制
なんて仕打ちを受けると
黙々と馬車を引いて、泉でちょっと話して、またすぐ馬に
そんな姫の気持ちがちょっと分かる。かも…?
今更だけれどこのスレは何もSS専用ではないんだよね。
つまり二人への愛も語りたい放題語ってもいいんだよね。
もしチャゴス王子が、主人公に勝るとも劣らない麗しのルックスと
逞しい身体とまともな人格とを有していたら
ミーティアはサザンビークに嫁いだだろうか……。
チャゴスのデブなところは許せる。
しかしあのふしだらな性格は許せん。
>>184 チャゴスがどんな人物だったとしても、姫と主人公が先に出会った時点で勝ち目はない気が…
ずっと一緒だった幼馴染と見知らぬフィアンセじゃ前者の方が印象深いよな
ただ自分よりも頼りになりそうなチャゴス(仮)を見て、「やっぱり嫁いだ方が幸せなんだろうな」と悩む主人公
姫様カナヅチって言ってたけれどトロデーン周辺でどこか泳げそうなところってどこだろう。
ポルトリンクの辺りか?
トロデーン城のすぐ南に泉があったよ
泉で水浴びか・・・みなぎってきた
実際に姫とその家臣の恋ってのはあるのかね? たとえあったとしても実りはしないだろーけど
その反動か、二次元では騎士と姫は王道だよな
騎士と姫は見かけるけど、エイトは兵士だからね。
兵士と姫は珍しいかも。近衛だからヒラではないだろうけど
テンプレ
ストリートチルドレン→小間使い→一般兵→近衛兵→近衛隊長
テンプレなんだw
王道でいけばエイトじゃなくククールとミーティアだったのか
想像すると面白いな
ミーティア姫はドラクエで一番のヒロインですな
エンディングはドラクエ史上最高だよ
どのエンディングも好きだけれど8はその中でも一番好き
初回と真エンディングの絵を完全に変えてくれたらもっとよかった
保守
199 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:2010/06/27(日) 08:08:30 ID:JZCRcwSvO
age
しかし、ss職人さんもいなくなってしまったなぁ。
ここのssはレベル高かった。
また見たいなと。
これはひどい過疎
201 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:2010/07/19(月) 13:36:29 ID:4xixE2GG0
保守
幼馴染み萌え