文章で遊べる小説スレです。
SS職人さん、名無しさんの御感想・ネタ振り・リクエスト歓迎!
皆様のボケ、ツッコミ、イッパツネタもщ(゚Д゚щ)カモーン
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※(*´Д`)ハァハァは有りですが、エロは無しでお願いします。
※sage推奨。
※己が萌えにかけて、煽り荒らしはスルー。(゚ε゚)キニシナイ!! マターリいきましょう。
※職人がここに投稿するのは、読んで下さる「あなた」がいるからなんです。
※ちなみに、萌ゲージが満タンになったヤシから書き込みがあるATMシステム採用のスレです。
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前スレ FFの恋する小説スレPart2
http://game5.2ch.net/test/read.cgi/ff/1060778928/l50 >>2-10のどこかに過去スレ、詳細、及び関連スレッド
>>1乙〜
即死回避のことを忘れてた…。とりあえず即死回避カキコ。
最近は『このホストでは〜』がよく出て、スレ立てできなかったんですが、
今回は上手くいったようで安心。
このスレでも、マターリと書いたり読んだりできたらいいなと思っています。
即落ち防止(この板ではどうなのか未だに分からないけど)のため、
>>30まで保守カキコお願いします。
新スレおめでとうございます。
今スレも繁盛しますように。ナムナム(AA略)
チト暗い話でつが即落ち防止にシーモア話貼らせていただきます。
水底深く、深く。
沈んだ寺院の仄暗い灯りに照らされて、少年はそこにいた。
死んだ母親の部屋。少しずつ沈み始めている部屋は、ある一角から水が浸みだしているのだろう、きれいに整えられたシーツの端が濡れていた。
書き物机の上に無造作に置かれた写真は色褪せていた。その前に、花束が置かれている。
小振りながらも芳しい香りを放つそれを捧げたのは、彼が最も憎んだ父親だった。
「里へ、帰るか?」
澱んだ空気の中、壮年の男が口火を切った。
少年は、首を振った。まるで、返事をすることすらも拒否しているかのように。
「グアドの民も、幾分か寛容になった。母を失ったお前を、もはや以前のように異端として断じたりはしまい。それでも、ここに残るのか?」
今度は、少年は頷いた。
少年の後ろ手に立った男からは、彼の表情は見えない。
男は、おそらく泣いているのだろうと、思った。もしくは、泣くのを必死で耐えているのだろう、と。
母親を目の前で失ったのだ。しかも、彼女は望んで自らを石へと変えたのだ。
わずかな命を力に変え、息子に与える為に。
まだ幼い彼には、耐えられぬ事であろう。
「そうか」
少年に悟られぬように極力感情を殺した声で、言った。
どんな言葉も無意味だと判断したのだろう、一向に動こうとしない少年を残し、男は部屋の出口へと歩みを進めた。
ふと、思い出したように振り返り、うずくまる小さな影に向かって声を掛ける。
「私は、お前たちを守りたかった。それでも、許してはくれまいか」
今更、何を言おうというのか。男は一人ごちた。
(もはや、息子は私を父親と認めてはいまい。全ては、一族から妻と子を守る決意だに出来なかった私の罪だ。
許される筈もないのだ)
彼は、自嘲と後悔の念を噛み殺しながら、部屋を後にした。
硬質な足音を聞きながら、ゆっくりと少年は顔を上げる。
最初に彼がしたことは、真っ先に目に付いた花束を地面に叩きつけ、踏みつけることだった。
父親が捧げたそれは、生前の母親が好きな花だった。
しかし、この空間に父親の残り香が存在することに、彼は耐えられなかった。
冒涜だ、と少年は思う。自分たちを暗く寂しい孤島に閉じこめておきながら、自分は暖かな屋敷でぬくぬくと暮らしていた父親。
今日の日まで、一度もこの島を訪れることの無かった父親。
守りたかった、などという奇麗事は信じられなかった。
彼の瞳に映る物は、悲哀でも、悲痛でもなかった。
彼の瞳には、憎悪の炎が燃え盛っていた。
ヒトとグアドの間に生まれた混血の子と、その父親。
彼らはこの日、決別した。
一方には悔いを、もう一方には憎しみの火種を植え付けて。
母親のヒステリックな叫び声が響くと、少年は決まって耳を塞ぎ、壊れかけた柱の下に隠れることにしていた。
一度誤って小刀で斬りつけられたことがあったし、何よりも、憑かれたように狂い叫ぶ母親の姿を見ていたくなかった。
「殺して頂戴、お願い、殺して。死にたいの」
絶海の孤島での、母と息子二人だけの生活。
暗い寺院の中だけが二人に許された空間。
時折食料などを運んでくる一族は決して姿を見せず、二人はまるで腫れ物のように扱われていた。
実際、そうだったのだ。
ヒトである母親と、混血児である少年は、血統を重んじる一族からは白い目で見られ、あげくに里を追い出された。
父親は、二人をこの寺院に追放した。いつか迎えに来る、などという到底信用できない言葉を残して。
それは家族ではなく、族長としての判断だった。
「このまま生き続けるよりはいっそ死んでしまった方が幸せだわ。誰か、誰かお願い」
以前まで、母親が発作を起こすのは月に数えるほどだった。だが、だんだん頻度が増している。
今では日に二度叫び出すことも少なくはない。
そのうち正気でいる時間よりも長く頻繁になっていくのではないか。そう思うと寒気がした。
平時は優しい、朗らかな母親なのだ。だが数年間の孤島での生活が、彼女を変えた。
愛する夫に裏切られた、という気持ちも、それを助長したのかもしれない。
心の奥に押し殺された感情が現れたのだろうか。だとすれば、彼女の心は絶望で埋め尽くされていたことになる。
慟哭する彼女は、ひたすら死を望んでいたのだ。
しかし少年は、愛する母のただ一つの願いを、聞き入れることは出来なかった。
母だけが、少年にとって唯一の家族であり、肉親であり、愛であったのだ。
母親を失うことは、半身を失うようなものだ。他の願いならば叶えようと努力したが、その願いだけは叶えることはできなかった。
だから、耳を塞ぎ、目を瞑った。
死とはそんなのも望ましいものなのだろうか。湧き上がる疑問を抱えながら。
(僕がいなくなれば、かあさまはここからでられるかもしれない)
真夜中の海を見つめながら、少年は考える。
(僕がじゃまなんだ)
遠くにカモメの羽ばたきが聞こえた。
海面は穏やかで、まるで彼自身の心を表しているかのようだった。
不思議と彼は、彼自身をも簡単に呑み込んでしまいそうな海を、怖いとは思わなかった。
母親があんなに望んでいるのだから。
(僕が……)
海中に身を踊らせようとしたその時、少年は信じられないほど強い力で抱き留められた。
振り向くと、母親がいた。
「だめよ、シーモア。死んではだめ。母さまのように弱くなってはだめよ」
いつもの優しい母親だった。
「かあさま、でも……」
「シーモア、聞いて頂戴。母さまはね、もう長くないの。このままでは母さまは母さまでなくなってしまう。
だから、とても良いことを思いついたのよ。安心してお休みなさい。あなたも母さまも、きっとここから出られるわ」
訳も分からずに、少年は頷いた。
母親はそれを見て、美しい笑みを浮かべると、彼の頭をゆっくりと撫でた。
「母上、喜んでください。明日です」
海底に沈んだ廟に、低い声が響いた。かつての少年だった。
青い髪の少年は、冷たい瞳を放つ青年へと成長していた。
青年は、かつて母親であったものから、大いなる力と、ほんのわずかな哀惜の念とを得た。
水晶のように透き通った石は、まるでいにしえの虫を封じた琥珀のように、眠りについたかの人を閉じこめている。
重く、物言わぬ石へと化した故人を海の底へと運ばせたのは、他ならぬ彼自身だった。
父親には、指一本触れさせたくなかった。
「明日、あの男をあなたと同じ場所へ送ります。あなたと、まだ幼かった私とを、ここに幽閉したあの男です」
彼にとって、父親を殺すことは即ち慈悲であった。
母親が、その死と引き替えに少年に授けた力は、彼女の意志には反し、少年から慈愛や優しさという感情を奪ってしまった。
そして母親から伝染した幾分かの狂気が、彼の精神に暗い影を落としていた。
ゆっくりと、狂気は彼を蝕み始めていた。誰一人としてそれに気付く者はいなかった。おそらくは、本人さえも。
「それから、いつか私はシンとなり、あなたの求めた安息を……スピラにもたらします」
ただひたすらに安息を求める死への渇望は、形を変えて彼の心に具現した。
彼の心の中では、死こそが安らぎであり、幸福である。そして幸福は、幸福でない者たちに分け与えられなければならない。
かつて彼の母親が求めたように、全てのスピラの民は、そうあるべきだという考えが、彼の中に根付いていた。
「ですから、どうか、見守っていてください。冷たいその石の中から」
呟きを最後に、青年は、廟を後にした。
やがて彼は、唯一愛した少女の内に、母親の面影と慈母の愛とを見る。
しかしそれが、真に自分の求める物だと気付いた時には、もう遅いのだ。
安息を三度拒んだ彼を異界へと送ったのは、他ならぬ少女であった。
雫夜さんのジェクト話を読んで、よし自分はシーモアを!と思ったんですが、
全然ベクトルが違いますね…(゚∀゚)アヒャ
最初のSSがこれでスマソ。ありがちな暗い過去と一緒にとりあえず吊ってきます。
まだちょっと多忙のため、しばらくしたらまた来ます。
ドリルさん、FF7Aさん、雫夜さん、Rさん、今年もがんがってください。
まだ見ぬ書き手さん、作品お待ちしています。
今年もマターリとボケ・ツッコミでスレが盛り上がりますように。
それでは。
初代から数えて4スレまで続くとは…
乙です
こんな時ぐらしかカキコしてないけど、楽しませてもらってますYO
もつかれ様。こっちに投稿します。前スレの
>>480からです。
クラウドの目が見開かれる。「セフィロス……!?」口が半開きのまま、クラウドが剣を構えた。
セフィロスはよろめきながらも立ち上がった。「まずいな…最悪のタイミングだ」
ゼロがまたマテリアを入れ替えた。「クラウド・ストライフ…英雄達の中でも、リーダー格だった男…」
先程以上に歪んだ笑みを浮かべる。「全員まとめて、死んでもらうぞ!!」ゼロが剣を振るった。白い衝撃波が切先から飛び出す。
だがクラウドの目には、セフィロスしか入っていなかった。「生きて…いたのか…それならまた殺すまで…!!」
バスターソードを振り上げたクラウドに、衝撃波が直撃した。「グフッ!!」ダチャオ像を数十メートル下まで転げ落ちる。
「この男も、私の手で狩る。一つの通過点として」ゼロは再びセフィロスに剣を向けた。
「さあ、今度こそ終わりだ」このときゼロは余裕からか、一瞬の隙を見せた。セフィロスは流石に見逃さなかった。
セフィロスが正宗を傾ける。沈みかけた夕日が刀身に反射し、ゼロの目に入る。「うっ…!?」一瞬の閃きの間に、
セフィロスはゼロの前に居なかった。殺気を感じ、ゼロが上を向いた時にはセフィロスが自分に正宗を向けていた。
「ペイルホース!!」青い光が炸裂し、ダチャオ像で再び大爆発が起きる。今度は一体の頭が吹き飛んだ。
起き上がりながらゼロが呟いた。「何故だ…この力は何処から来る?満身創痍で体力も魔力も無いはずなのに、そんな力が
何処から沸いてくる!?」ゼロの瞳は憎悪に光っていた。斜面を駆け下りるユフィすら鳥肌が立つほどの殺気。
クラウドが身を起こした。ダチャオ像の膝の辺りまで落ちたらしい。「くっ…確かにセフィロスは倒したはずなのに!!」
ユフィが駆け寄ってきた。「お願い、クラウド!!セフィロスを助けて!!」クラウドはまた口が開いてしまった。
「…ハァ?何を言ってるんだユフィ、奴は弱っている…今がチャンスだろう?」どうやらクラウドは、誰が敵で誰が味方なのか
解っていない様だった。「違うんだ、クラウド!!セフィロスが時間を稼いでくれた…あいつはあたし達の知ってる
セフィロスじゃない!!あの翼を見て!!」クラウドは上のほうを見やった。セフィロスの左肩には、白い翼が輝いている。
「あれは多分、セフィロスに欠けていた何かが戻ったって事だよ!!…あの紅い剣を持ってる奴、クラウドも殺す気だよ」
クラウドはユフィを突き飛ばした。「セフィロスを助けろだって…?冗談じゃない、両方敵なら、まとめて斬る!!」
クラウドは斜面を駆け上った。ゼロとセフィロスが剣で激しい打ち合いをしている。クラウドにも、かすかに2人の会話が
聞こえてきた。「私の今の力は…殺すための力でも、自分が神になる為の力でもない!!何か、あるいは誰かを…守る為の力だ!!」
「いくら戯言をほざこうとも、お前と私の間には越え様の無い力の壁がある!!精神力が戦いに影響するのは認めてやるが、
人は皆、自身の限界以上の力を出す事はできん!!所詮貴様も元は…人間だ!!!」
ゼロが振り下ろした剣を正宗で受け止める。だが、凄まじいパワーで弾き飛ばされた。ゼロの瞳は暗く、それで居て燃える様だった。
「違うな…自らの限界以上の力を出せる事こそが人間の、守るべき物を持つ者の特権だ!!」クラウドは動けなかった。
今こそがチャンス。宿敵にとどめを刺す好機だ。だが、それでもクラウドは動けなかった。「あれが本当に…セフィロスなのか…?」
ハイウインドから降りてきたティファとシドがクラウドの脇に並んだ。「さっき俺様が見た様子じゃあ、あの紅い剣の男が敵らしいぞ」
「クラウド…ユフィの言った事、嘘じゃないと思うの…確かにセフィロスは私達の故郷を焼き払った。エアリスを殺した…でも」
ティファはクラウドの腕を掴んだ。「過去に何があったとしても、大事なのは今何をすべきか…でしょ?」
クラウドは走り出した。
スレ立て乙ですたー。漏れも即死回避の為にこちらへ書き込みしますです。
(´-`).。oO(前スレ、埋め立てとかするんでしょうか?)
>>FINAL FANTASY VII ATONEMENT
剣と魔法……戦闘の緊迫感とスピード感、そして迫りくる機器と混乱の描かれ方、
お見事です。
「過去に何があったとしても…」というティファの言葉、FF7本編中のミディール崩壊
(ライフストリーム)時のエピソードと遭わせて考えると、もの凄く説得力があります。
ミステリアスなエアリスとは違い、明確な導となっているのが印象的だったりします。
>>R@no-name ◆Vlst9Z/R.A
忠告どうもです。そして今年もエロ……もとい、よろしくおながいします。
また新作読めるのを楽しみにしつつ。
>>(前スレ)484
!! ……まだまだ読みが足りなかったという事か……不覚ですばい。
それでは次回、改めてモグタンとモグリンのSSを書いてリベンジしまs(あり得ないので略。
狂戦士…あれ? そう言えばウーマロも?
×機器が迫ってきてどうするんでしょうね。それは恐ろしい光景なんでしょうが。>○危機
>>8-11 シーモア話乙です! 個人的には念願叶った、という感があります。
FF10をプレイしてあれほど消化不良な人はいませんでしたから……。アルベドが
排斥思想の現れというならば、グアドは選民思想の最たる物として描けただろうに。
FF10でのシーモアの扱いは単なるストー(ry。
同じ「父」でも、確かにベクトルが違うかも知れませんね。シーモア父の場合は……
族長という公人としての立場と、父親という個人との間に挟まれていたわけだし。
(個人的にFF6のエドガーやFF7のリーブ(ケット・シー)、8のシド学園長なんかは
こういう分類に当てはまっているんですが。)
その苦悩が、ある意味生々しいほどに描かれていたので読み応えありますた。
……えぇと。恐らく長編になるであろう以下の投下分ですが、少々言い訳を。
・モーツァルトさんごめんなさい。元ネタ知ってる方、あるいはファンの方もごめんなさい。
・長編になる予定ですが、いきなりオチが分かっちゃった方もごめんなさい。
・でももしかしたら、途中で軌道修正するかも知れません。……完結できたらいいな。(w
・視点がちょっとオカシイかも知れません。
フィガロ王朝最後の王エドガー=ロニ=フィガロ。彼は後の世に名を残す程の
賢王であった。
軍事国家ガストラ帝国の圧政が蔓延る中で、彼は17歳にしてフィガロ国王に
即位した。それから10年後、エドガーは水面下で反帝国組織リターナーと協調
して戦いに赴くこととなる。
その後、帝国軍の幹部であった魔導士ケフカによってガストラ皇帝は打ち倒された
ものの、封印されし古の神『三闘神』の圧倒的な力を得たケフカは、その魔力を
もって世界を蹂躙した――世に言う[世界崩壊]は、こうして引き起こされた。
対帝国戦線の中で、各地域から集った仲間達はこの混乱で散り散りになるも、
元帝国軍将セリスの呼び掛けにより再び集束した彼らは、ケフカを滅ぼし『三闘
神』をこの地上から永遠に葬り去る事に成功した。
――歴史上、『魔法』が登場した最後の戦いであった。
***
元フィガロ国領の西端に位置する小さな島、その中にある図書館で膨大な量の
書物と向き合っているのは歴史学者を志す一人の青年だった。
彼が必死に読みふけっていたは『フィガロ年代記』という、かつてこの一帯を
領土としていた王国フィガロの歴史が記された分厚い歴史書だった。
「……で。お前はまーたそんな物ばっかり読んでるんだ?」
読んでいた本が不意に視界から消えたのとほぼ同時に、頭上から聞き慣れた声が
降ってきた。青年は気怠そうに顔を上げ、声の主を睨み付けるように見上げた。
「うるさいなぁ、興味ないなら放っとけば良いだろ!? 暇だからっていちいち
絡むな!」
日に焼けた肌と体格の良い外見を有する友人が図書館にいるのは少々不似合い
な印象を与える。その通りこの友人は歴史になど欠片の興味も無い。いつもここで
本ばかり読んでいる青年を冷やかしに来るのが日課となっていた。
彼は青年から取り上げた本を片手で不作法に扱いながら、何気なく漏らした。
「なぁ、この『フィガロ王朝最後の王』って確か双子じゃなかったっけ?」
欠片の興味も無いはずなのに、青年を冷やかしに図書館へ通ううちに身について
しまったらしい知識を披露する。
「ああ、兄エドガー=ロニ=フィガロが国王。で、弟はマシアス=レネー=フィガロ。
二人共『三闘神』を滅ぼし世界を救ったとされる『伝説の戦士』として名を連ねてる
ってーのも凄いよな」
感心したように、だが彼は目を輝かせてその名を口にする。
便乗ホシュー⊂⌒~⊃。Д。)⊃
>鈴氏
モアシーグッジャブ!! は、花束がー
関係ないですがΩのインタヴューだと老師(&スワベ)が物凄く
プッシュされてて、世間とのギャップが心に痛いです・゚・(ノД`)・゚・
>FF7A作者氏
大作乙彼様でつ
漢と漢の真剣勝負(・∀・)イイ!
>零夜氏
スレ建てご苦労様ですた〜
∬
( ゚Д゚)⊃旦 甘酒ドゾー
>ドリル氏
今年もヤパーリエロー(゚∀゚)アヒャヒャ……コラー( ´∀`)σ)´Д`)アアン
てことでサイシヴァ完全版(R-15?)を置いておきますよ
ttp://www.geocities.co.jp/Playtown-Part/1039/novel1/sxs1.htm 皆様今年もがばりませう〜!
遅いけど、あけおめ保守。
職人さん達、今年も適当に(根を詰めすぎない程度にって意味です)
がんがって下さい。
読み専だけど楽しみにしてる名無しより
「セフィロス、退けぇー!!」クラウドがゼロとの距離を詰める。セフィロスが飛ぶと同時に、バスターソードが
振り切られた。ゼロはその場を動かず、レーヴァテインでバスターソードを叩き落す。「ほう…宿敵に加勢とは。どういう風の
吹き回しだ、クラウド・ストライフ?」自分の剣で相手の剣を押え付けたまま、ゼロがクラウドに右手を向けた。
だが後ろに殺気を感じ、ゼロが飛び退いた一瞬後にセフィロスの拳が飛んできた。「…共同戦線か?賢い選択ではある。だが、
それでも私には勝てん」クラウドはゼロを見たまま言った。「後で話を聞かせて貰おうか、セフィロス」
セフィロスもゼロから視線を離さず言った。「いいだろう。元々お前に斬られるのは覚悟の上だ」
ゼロの右手が光ると同時に、2人はそれぞれ逆の方向へ飛んだ。一瞬前に2人の居た地面が吹き飛ぶ。
「さっきまでの戦いで奴も体力を消費しているはず…今なら!!」クラウドは左側、ダチャオ像の右腕の方からゼロに飛び掛った。
同じく右側、ダチャオ像の肩の方からセフィロスが飛んだ。「他方からの攻撃、一度に捌けるか!?」
しかし、ゼロは一辺たりとも余裕を崩さなかった。「ぬるい」
ゼロはまずクラウドの方を向いた。目の前にバスターソードが振り下ろされる。「6年前、あるソルジャーが持っていた剣」
ゼロは右手だけでバスターソードを受け止めた。そのままゼロの右手が光り出す。「魔法には、こんな使い方もあるのだよ」
バスターソードが、閃光と共に砕け散った。
「な…!?」驚愕するクラウドに、ゼロが再び右手を向けた。「この剣は元々ソルジャークラス1st・ザックスが
故郷ゴンガガで鍛えた剣。…あの程度の男にならこの剣でも用が足りただろうなぁ?」
クラウドは怒りに震えていた。「貴様…何故、ザックスを知っている…!?」
「私はセフィロスの遺伝子…つまり、ジェノバ細胞を組み込まれている。貴様と違うのは、組み込まれた部位だ」
ここまで言った時、後ろにセフィロスが現れた。正宗を振り上げる。だがゼロは振り返りもしない。
「タイミングがずれてはなぁ…やはりダメージが大きいか、セフィロス」僅かに右に動き、斬撃をかわすとセフィロスが
剣を構え直すより速くゼロの裏拳がセフィロスの腹に入った。後ろに吹っ飛ぶセフィロス。
ゼロはクラウドの方に向き直った。「私に組み込まれたのは、ジェノバの記憶を司る神経だった。ジェノバが
リユニオンする物だと言う事は知っているな?だがジェノバにはもう一つ特性があった」
ゼロは暗くなった空を見た。「ジェノバは自らの細胞を持つ者、子孫や分身の記憶を全て共有するのだ。
お前に組み込まれたのはどうでもいい細胞であったが、私やセフィロスが持っているのはまさにジェノバの記憶。」
「そして私は全てを知っている。セフィロスがライフストリームから吸収した膨大な知識を。ジェノバが見たお前の技を。
そしてお前やセフィロスの記憶…ザックスがソルジャーであった頃の事までな」
しかし、後ろから声が聞こえてきた。「いいや、お前は私がここに来た理由も、何故生きていたかも知らなかった。
つまり全ての記憶を共有できる訳ではないという事だ…違うか、ゼロ」セフィロスがまたゼロに剣を向けていた。
「フフフ…ご名答。確かに全てを共有していると言うのはブラフだ。だがもうどうでもいい事だ」
ゼロが空に剣を掲げた。レーヴァテインが闇の中に輝きだす。「貴様らは、どうせすぐに死ぬのだから」
ゼロは何か大技を使ってくる。これでとどめを刺す気なのだ。しかし、エネルギーを溜めるゼロには僅かな隙ができていた―
「今だ!!!」セフィロスが飛ぶ。ゼロは驚いて一瞬反応が遅れた。「馬鹿な…まだ動けると言うのか!?」
セフィロスはもう、リミットブレイクに充分なダメージを受けていた。「受けるがいい…真・超究武神破斬!!!!」
>>21 完全版キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!!!!! 1ページにまとまってると読みやすいですね。
どうも! そして。
……エロの真髄と奥深さを感じますた。(意味不明ですかそうですね)
同所にあったセフィロスティファ+レッド13の話、あれが非常にツボだったりした訳ですが。
去り際に証拠隠滅とは、やるヤツですわね。って感じです。(←思考能力決壊w)
なんか、真面目に感想を書くのが恥ずかしいと思ったのは今回が初めてだ…。(w
でも一言。あのセフィロスの描写はカナーリ(・∀・)イイ!
>>22 あたたかいお言葉をありがd。萌えと妄想は年中無休ですが文章能力が追いついてきません。
そんなわけで適当にがんがります。おまいもドライアイには気を付けて下さいってんだ。
>>23-24 リミットブレイクの存在を忘れていました……。そうか、そう言うテがあったか! と。
そして同時に、FF6にも1/16瀕死技ってのがあったな……などと芋蔓式に思い出しますた。
クラウドとセフィロスの共同戦線、読んでて楽しいです。(「楽しい」って言うのもチョット違う
気がしますが)
ところでシドやユフィやティファはどうしているのでしょう? と、少し気がかりでもあったり。
(前話は
>>19-20。一応「最後の王」というのは、
フィガロがその後王政を廃したという意味です)
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「弟は武闘家だったよな?」
「そうそう。兄は自ら開発を手がけた機械で、対照的に弟はその拳で戦ったって
話だぜ……にしてもお前、やけに詳しいな?」
歴史には興味がないハズだろう、と皮肉るような口調で問う。
「いんや。俺だって武道をたしなむ人間ですから。伝説のモンク僧には興味が
あってね」
分厚い書物を片手でいとも容易く扱い、目の前で座る青年の直上で寸止めする
様に振り下ろす。その姿に慌てた青年は、手で頭を覆う前に口が動いていた。
「わっ! お前なんて事するんだよ!! それは貴重な歴史書……」
「そういやフィガロ国王エドガーの生涯に興味あったんだっけ?」
青年の言葉を遮るように問いかけると、反論を諦めて彼は素直に頷いた。
「俺、フィガロ城の仕組みを解き明かしたいんだ。あの時代にあんな巨大な
仕掛けをどうやって維持していたのか。マシーナリーとしても有能だったエドガー
の思考や人生そのものにも興味があるし」
声を弾ませて答える彼の姿を見下ろしながら、友人はさり気なくこんな事を聞いてみる。
「それじゃあ、あの有名な歌劇は見たことがあるんだろう?」
「『フィガロの結婚』かい? あれなら学校でも見たことがあるよ」
さも当然といった口調で答える。
『フィガロの結婚』とは、世界崩壊を経て復興の足がかりとなるべく伝説の神・
三闘神に戦いに挑んだ14英雄のその後を描いた、喜歌劇である。この世界で
数多く公演されている歌劇の中で、恐らくは最も人々になじみの深いものだろう。
発祥は三闘神を倒した直後だと言われているが、詳しい作者などは不明である。
史実を元に作られているようだが、その後様々に手を加えられ、今の歌劇という
形になっている。
「その、原典が存在するってのは知ってたか?」
「原典……?」
そもそもこの『フィガロの結婚』は、幾つもの話をまとめ、作り上げられた
物だった。タイトル通りフィガロを中心に展開する歌劇だけあって、その周辺が
描かれているものが多い。
中でも国王エドガーを題材にした物ならいくつか読んだことがある。
しかし、この作品の原典と呼ばれる様な物が存在したかどうかについては、
作品完成から200余年を経た今でも原典批判が行われているほどである。
「いや……」
その真相を、学者でもない一介の青年が知るはずもなく。
セフィロスが瞬時にゼロの懐に飛び込む。避ける事も、弾く事もできぬ間に一撃目が入った。仰け反るゼロ。
「な…?何故セフィロスがあの技を…!?」思わず呆然としたクラウドに、後ろからシドが声を掛けた。「おいクラウド!!
剣が折れたままじゃ戦えねえだろ!!…これを使え!いざと言う時のために取っといたぜ!!」
シドが放り投げた物。クラウドの目の前で地面に突き刺さったそれは、「必要ないから」と捨てたはずの
アルテマウェポンだった。ティファが駆け寄ってきた。「折れた剣は私が何とかするから、セフィロスを!!」
クラウドは再び、ゼロとセフィロスの元へ走っていった。「12!13!!」次々と恐るべきスピードで繰り出される斬撃に
ゼロは回避もできず斬られていた。「14…」セフィロスが飛び上がった。しかしこの瞬間が最大の弱点なのだ。
「馬鹿め!!私の勝ちだ!!」ゼロが隙だらけで空中に居るセフィロスに剣を突き刺そうとしたその時、後ろに殺気を感じた。
振り向く間もなく、2度目の超究武神破斬がゼロに直撃した。アルテマウェポンの壮絶な威力と相まってその破壊力は絶大だった。
正宗が、青白い輝きを帯びる。クラウドも飛ぶ。ゼロは大きなダメージで反撃に転じるのが遅れた――
2人の15撃目が、同時に炸裂した。「ゴッ…ハァ!!」ゼロが叩きつけられると同時に、ダチャオ像に大穴が開いた。
「ハァ、ハァ……やったか?」クラウドが抉れた地面を覗き込む。ゼロは穴の底でうつ伏せに倒れていた。
「これだけの斬撃を受けて原形を留めているとは、驚きだ」セフィロスがそう言った時だった。
「まだ…だ…まだ…終わって…いない…!!」
クラウドとセフィロスは鳥肌が立った。抉れた地面の底でゼロが起き上がる。だが、顔の左半分と左足が消えている。
「死なんぞ…何よりも…強く…私は…全てを…越えし…者…」ゼロが一足飛びで空高く飛び上がった。
ハイウインドの操縦室から戦況を見ていたユフィが叫ぶ。「あ、逃げる!!」追撃する暇も無く、ゼロは東の空へ飛び去った。
セフィロスが飛ぼうとする。「逃すか…!!」だが、そのままセフィロスは倒れた。
ダチャオ像の上の方に亀裂が入った。「クラウド!!さっさと逃げるぞ!!…さっきの衝撃でダチャオ像がぶっ壊れる!!」
シドがセフィロスを抱えてハイウインドに走る。「艦長!!クラウドさん!!早く乗って下さい!!!」
ゼロが飛び去った空を見つめながら、クラウドは縄梯子に摑まった。クラウドの足が離れた瞬間、まるで待っていたかのように
ダチャオ像が崩壊した。
クラウドはティファの元へ行き、ティファが拾い集めたバスターソードの亡骸を見た。上下2つに砕けたような状態だった。
「…これなら、直せるかもしれない…」シドが剣の破片の一つを手に取った。「しっかしなぁ…誰が直せるんだ?」
クラウドはしばらく考え込んでいる様子だったが、突然顔を上げた。「…小屋の…武器職人!!」
「クラウドさん、行き先は決まりましたか?」操縦士が尋ねる。クラウドは答えた。
「ああ…武器職人の小屋に向かってくれ」その時、操縦席の後ろの方から声がした。
「どうでもいいからさぁ…アタシの足治してよ…」ユフィが椅子に座って足を押さえていた。
たまたま、「回復」マテリアが無かったのだ。
Rさんからのお茶を頂きつつ(*´Д`)つ旦、鈴さん、お久しぶりですね、と
思いつつ、前スレに続いて
>>30ゲトー(・∀・)
これで即死は回避されたかと。
新作がイパーイで読み応えありそうですね。
時間ができたら感想書かせて下さい。
ユフィと反対側の椅子に寝かされていたセフィロスが飛び起きた。「!?」すぐに痛みに顔を歪める。
そのセフィロスに、クラウドが剣を向けた。「さあ、意識が戻ったならたっぷり話してもらおうか。何故お前が生きているのかも、
奴が何者なのかも…何故お前がユフィを護ったのかも」セフィロスは正宗からマテリアを一つ外すと、目を閉じた。「ケアルガ」
虹色の光と共に、セフィロスの傷が大部分消えた。「これで、話す事ぐらいはできる」その後セフィロスはユフィの足にも
マテリアを近づけた。「ケアル」ユフィの足の傷も消えた。
「それで、何処から話せばいい?」マテリアを剣に戻しながらセフィロスが言った。クラウドはまだ剣を降ろさない。
「…まず、何故お前が生きているかだ」そしてセフィロスは偽る事も無く、全てを話した。ライフストリームの中に居た事、
夢か現実か解らないがかつて死んだ者達が自分に助言をした事、生きる意味を見出せた事―
「…エアリスが…お前に…会ったと言うのか?星の一部となって、精神エネルギーとなって…!!」
「…恐らく精神世界での事だろうから、信じなくてもいい。そして私は、奴の存在を知った…」
ユフィがクラウドの腕を見ながら(少々ヒヤヒヤしながら)言った。「ゼロって…言ってたよね」セフィロスが頷いた。
「宝条が、私を倒す為に作っていた実験生物兵器。形態は人間だが、能力は先程見た通り…しかも、ジェノバ細胞まで
持っている」クラウドが続けた。「だが、お前が居なくなって用済みになった、という訳か?」
「そう…奴が完成したのは私が死んだ後、誰も居なくなった神羅ビルのラボだった。たった一人で、ポッドから出て
奴は魔洸炉へ向かった。」 「何の為に?」
「奴はライフストリームが精神エネルギーだという事は知っていた。そして奴は、自らライフストリームの中に身を投じた」
クラウドは説明が無くてももう解った。セフィロスはライフストリームに落ちてもその強靭な精神力により逆に星の知識を
吸収した。ゼロも同じことをやったのだ。「奴はまず自分の力を試す為にジュノンへ向かった。奴は運搬船に乗り、
沖に出たところで船を吹き飛ばした。奴は自分の強大な力を実感した。
「でも、何故ウータイにいた?何故ユフィを狙ったんだ!?」淡々と語るセフィロスにクラウドは苛立ちを覚えていた。
「奴は、自分を生み出した人間を憎んだ。これは全ての人間への奴からの復讐なのだ。」セフィロスは目を閉じた。
ユフィはゼロの憎悪に燃える瞳を思い出していた。あの時体を駆け抜けた戦慄は一生忘れる事ができないだろうと思うほどに
恐ろしい殺気だった。「…でも、あんな小さい頃の約束を守ろうとするなんて…ちょっとカッコ良かったよ」
ユフィはセフィロスに笑みを見せた。あの時と変わらない、純真な笑顔。
「…だが、お前がどんなに変わっても、俺はやはりお前を許せない」クラウドが剣を構え直した。
「ちょっ…クラウド!!アンタ、自分だけが被害者なんだと思ってるんじゃないよな!?」ユフィの言葉にクラウドは動きを止めた。
「確かにセフィロスはクラウドの故郷を滅ぼした、家族を殺した…エアリスを殺した」
ユフィの脳裏に悲しみがよぎる。水の祭壇でエアリスが斃れるのを目の前で見ていた。一生かかっても忘れる事はできない。
「だけどな、クラウド…アンタ、自分も人殺しなんだって事を忘れんな!!アタシもティファも、シドも他のみんなも!!
あの時数え切れないくらい人を殺した!!…自分が生き残る為に。でも、神羅兵にだって家族が居たはずだ。たとえこっちに
どんな大義名分があろうと、殺された者の家族や親友に残るのは大切な人がテロリストに殺されたって事実だけなんだよ!!!」
ユフィの目にうっすらと涙が見える。「自ら罪を償おうとしてる者を殺すのか、クラウド!?…セフィロスをここまで導いた
エアリス達は、それで喜ぶと思うのか!?いや何よりも、そんな事アタシが許さない!!」
クラウドは、静かに剣を降ろした。「…俺は、今までそんな事は微塵も考えなかった。自分が人殺しだなんて、
思った事も無かった…!!…俺は、どうすればいい?」クラウドは剣の柄を握り締めた。関節が白くなるほど、強く。
セフィロスが立ち上がった。「生きる為に殺したのなら、生きろ。それが殺したものの償いであり、責任だ」
や、やばい…ユフィのキャラ違ぇ…
漏れは本来別の板でSS書いてた香具師なんでつけどね…やっとあっちの新スレが
立ったので忙しくなりまふ。しかも厨房なもんで昼間はまともに来られないという罠。
改めて読み返してみるとホントに読みづらい…改めてスマソ
いや、かっこいいッス。
このままごぉ!
(;´Д`)ハァハァ
>>FINAL FANTASY VII ATONEMENT
クラウドの前に立ちはだかるユフィの姿がカコ(・∀・)イイ! そして静かだけれども
見る者に確実に訴えかけるセフィロスもカコ(・∀・)イイ! クラウドの苛立ちや不安
といった心の動きも(゚д゚)ウマーく組み込まれてるから、更に緊迫感が伝わってきます。
そう言えばFF7本編中(ハイウインド内)でも、ケット・シーとバレットのテロの是非を
巡る口論がありましたが、あれも燃えましたね……。
ついでに。
差し出がましい事かも知れませんが、改行の利用(台詞と描写文を分ける)が
あると、個人的には読み易いんですが……改行規制に引っかかるという諸刃の剣?(w
他板でのSSもがんがって下さい。続きはマターリお待ちしてます。
こちらもいよいよ繁忙期ですよ。でも、これ(特にFF6の妄想w)は良い疲労回復と
ストレス発散になっていたり。(狂信者の塔逝きケテーイw)
(そんな訳で前話は
>>26-27。この話のオチは27に集約されてるかもw)
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そんな青年の反応を見下ろしていた彼は、得意げに微笑みながら言った。
「しかもな、ホントかどうかは知らないけどよ。エドガー著『マシアス恋愛記』
なるモノが実在したっていう噂まであるんだぜ?」
「『マシアス恋愛記』だって!?」
半信半疑――と、言うよりは。あり得ないと思いながらも――その言葉に興味を
示さずにはいられない。
国王エドガーは無類の女性好きだったという事は、賢王ぶりと共に後世にまで
知られる程のものだった。ところがモンク僧だった弟マシアスは生涯独身を貫き、
修行に身を投じたと伝えられている。
事実マシアスと血の繋がった子はおらず、かわりに数多くの“弟子”達が彼の
技と精神を継承する事となった。そして、その流れは現代まで途切れることなく
脈々と受け継がれていたのだ。
しかしマシアス本人が文学面に精通していた訳ではなかった為、彼は自伝を記
す事もなく、技を通して後世に名を残すのみであった。さらにそんな彼の『恋愛
記』なる物が存在していたとは。……もしそれが本当だとしたら、歴史的に価値
のある物だ。
「それは一体……!?」
期待に胸膨らませ、青年は好奇心に満ちた瞳で友人を見上げた。
「……まぁ、俺が持ってりゃ苦労しねぇよ」
青年の真っ直ぐな期待を思いっきり正面から受けてしまい、言い出した本人は
気まずそうに視線を逸らした。
「やっぱりそうだよな……」
肩を落とす青年に、それでも慰めの言葉をかけてやる。
「どうも、弟本人がその本を門外不出としたらしいぜ?」
「そう言われると、ますます見たくなるな……」
「俺がこの図書館に来た理由も、その幻の本を探す為だったんだけどな」
照れくさそうに笑う男の顔を見上げながら、青年もつられたように笑った。
「そうだな。ますますフィガロに眠る謎を解き明かしたくなって来たよ」
――後に、青年は歴史学者としてフィガロ城遺跡発掘調査団の先頭に立ち、
失われた機械文明の謎を解き明かす事になる。
遺跡発掘において彼は、幻とされていた『フィガロの結婚』の原典となりうる
書物を発見する。それはフィガロ城奥深く、なぜか機関室最深部の隠し部屋に設
計図面などと共に保管されていた。
そこに記されていたのは、長い歴史の中に埋もれてしまった『14英雄』の人間
らしい葛藤や、苦悩、彼らそれぞれの生き様を描いた物だった。
『Le nozze di Figaro』。その物語は、名もない孤島から始まる――。
――Le nozze di Figaro/序章<終>――
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次回からこの本編部分が始まります(多分w)。FF6ED後の話(ロクセリ…って言い切る
自信ないのですがw)になります。
>>ドリル氏
改行かぁ…一つのレスにできるだけ詰め込みたいっつーのか、
自分、焦燥に駆られております(撃爆
「本文が長すぎます」もしくは「改行が多すぎます」となる罠…
当たってますが、頑張ってみます。
「ククク…アルテマウェポンとは、予想外の事をしてくれる…」
左足と顔の半分を失いながら、ゼロはある場所に居た。
かつての魔洸都市・ミッドガル。そのスラムに、ゼロの姿があった。
「最初からこうすれば良かったのではないか…人間どもよ、貴様らに私からの…プレゼントだ…」
ゼロが両手をある物に向けた。それは、スラムに捨てられた機材、廃材、神羅の機動兵器等であった。
「受け取るがいい…恐怖を」ゼロの両手から、怪しい電磁波が放たれた。
「あそこですね?クラウドさん」操縦士が指差す所には、武器職人の小さな小屋があった。
「ああ…近くに降ろしてくれ」飛空挺が降下し、クラウド達は緑の草地に降り立った。
「おーい、武器職人のオヤジさん居るぅー?」ユフィが戸を叩く。すると間を置いて、中から
武器職人本人が出てきた。
「んんー?…おお、金髪の兄ちゃん達か。…なっ!?ちょっ、待て、何でセフィロスが!!?」
武器職人は明らかに動揺していた。いまやかつての英雄は星を滅ぼしかけた極悪人として知られていたからだ。
「落ち着いてくれ…今のコイツは敵じゃない…それより、俺の剣が折れてしまったんだ。直せるか?」
ティファがバスターソードの残骸を差し出す。武器職人はそれを見て、指を突き出した。「3日だ!!」
「3日で直してやる…いや、待て」武器職人の目がセフィロスの正宗に向かった。
「この剣も今にも折れそうだぞ…相当使い込んできたな?こっちも改造してやる。5日だ」
そういうと彼は、さっさと小屋に引篭ってしまった。
>>38-39 さり気なく存在を主張する武器職人が格好良すぎます。だけど心配なのは
ゼロからの贈り物に5日もの間耐え凌げるだけの余力が遺されているか、
なのですが……もしかしてここは総務部調査課とか都市開発部門とかの
出番なんでしょうか? しかし怪電波とは……(゚∀゚)アヒャ な感じですかね。
(着眼点がどこか違う…)
余談ですが。
改行規制には常に泣かされっぱなしですが、こういう制約の中で
意図する表現を目指そうと言葉を選んだりする過程も楽しかったり。(w
(前話は
>>36-37。)
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女性として……いえ人間として。
「……こんな感じかしら?」
今、私は幸せな時間を謳歌している。
「どうだい? セリス」
愛する人と共に……。
そこはかつてシドと私が暮らした小さな家。他の街とは隔絶されたこの孤島で、
ロックと二人で新たな生活を初めてからおよそ半年が過ぎようとしていた。
「なあ、セリス」
フォークを口に運びながらロックは呟く。
「ロック。口の中に物を入れながら喋るのはどうかと思うわよ?」
「あー悪い悪い。でもこれウマイぜ!」
口一杯に料理を頬張りながら嬉しそうにロックが言う。ほんの些細な事なのに、
彼の一言がもの凄く嬉しい。
「ほ……本当に?!」
嬉しいからこそ、そんな風に疑いたくなってしまう自分が卑しいとも思いながら。
「本当だって! セリスも食ってみろよ」
相変わらず嬉しそうに料理を口に運びながら、何気なくセリスの前に置かれた
皿に視線を落とした。食い散らかしていたロックとは対照的に、セリスの皿に
盛られた料理はほとんど手つかずといった状態だった。
「……お前、全然食ってないじゃん」
「え? あ、ええ。……作るだけでお腹一杯になっちゃって……」
そう言ったのは嘘じゃない。ロックの喜ぶ顔を見られただけで心も身体も
満たされた気分になるのだから。
「そっか? ちゃんと食わないと大きくならないぞ?」
悪びれた様子を見せずにそんな事を言うロックに。
「子ども扱いしないでよ! もう……」
なんて思ってしまう――もう、子どもじゃないのに――。
その日。島へ到着した定期船に乗り込むロックを、桟橋で見送る。
「他に何か買う物あるかー!?」
「特にないわ、大丈夫よ」
やがて船着き場から船が海原へ向けて進み始める。ずっとセリスの方を向いて
いるロックは、大きく手を振りながら満面の笑顔を浮かべて叫んだ。
「じゃあ行ってくるなー!」
「気をつけてー。行ってらっしゃい」
私も笑顔で手を振り返す。
お互いに、相手の姿が見えなくなるまで手を降り続けていた。
『セリスもたまには一緒に出ないか?』
そう言う彼の誘いを断り、私は自分の意志でこの島に残っている。三日に一度
やって来る定期船で島の外に出ているロックの話では、世界崩壊の痛手から立ち
上がろうと各地は復興の気運に溢れ、かつてのにぎわいを徐々に取り戻しつつある
という。
けれどこの島だけは、あの日から時を止めたままで。
そしてセリスはここに留まり、過去と向き合い続けていた。
41
×喜ぶ顔を見られただけで心も身体も
○喜ぶ顔を見られただけで、心も身体も
42
×手を降り
○手を振り
タイトルが長すぎて入るかどうか心配し過ぎて、誤字訂正にまで気が回らずスマンカッタ。
ミッドガルの住人は奇妙な音を耳にした。「何だ、この変な音?」
リーブも気付いていた。ケット・シーを呼び寄せる。
「これはまるで…無数の機械を動かしている音?」
考えられるとしたら、魔洸炉だろう。だが、こんな音は聞いた事が無い。
「いやな予感がする…何か、とんでもない事が起きそうな…」リーブはケット・シーの背に廻った。
このケット・シーMk2は以前の遠隔操作ロボットと違い、リーブが自ら乗り込むアーマードスーツタイプの機体だ。
さらに、町中に配置した量産型ケット・シーを遠隔操作することも出来る。
「全機起動!!警戒態勢に入るんや!!」同時に複数のユニットを操作する為にリーブは厳しい修行を積んだ。
夜のミッドガルに、異常な静寂が訪れた。住人も感じているのだ。得体の知れない不安を。
やがて、ミッドガルの各地で異変が起き始めた。
プレートの間から、列車の線路から、次々と大量のロボットが登って来たのだ。
「これは…神羅の機械化歩兵!?スラムに廃棄されとった奴やないか!!」
立ちすくむ住人達に、ロボット達は襲い掛かった。
「ええい!!全機、ロボットを破壊するんや!!」リーブも走り出す。
逃げ惑う人々の中、機械同士の乱戦が始まった。
ミッドガルで激戦が続いている頃、クラウド達は一夜目を越した。
「5日か…しかし、ゼロは一体何処に行ったんだ?」小屋の近くに停めたハイウインドの中でクラウド達は
待つしかなかった。シドは艦内をうろうろしている。ストレスが溜まってきたのか。
ユフィがふと窓の外を見た。今日も空は青い。一年前は赤く染まっていた空だ。
その空の彼方に、何かが見えた。「ん〜?」窓に近付くユフィ。
その「何か」が大きくなってきた。こちらに近付いているのだ。
「あれは…飛空挺?一体誰が…」ユフィはそこで一端言葉を途切れさせた。音に気付き、クラウド達も窓に
寄ってくる。セフィロスが飛んでくる飛空挺に目が釘付けになっている。
「あれは…建造中だった、神羅の大型飛空挺…!!?」
セフィロスが神羅に居た頃から計画はあった。が、一年前も未完成で建造は中止されていたはずだった。
それが何故――?飛空挺が降下してきた。着陸し、ハッチが開く。
現れた人物を見て、思わず全員が外に飛び出した。真っ先に、クラウドがその人物に近寄る。
「おや、クラウド・ストライフ…こんな所で再会するとはな」
「アンタ…生きていたのか、ルーファウス神羅!!」
>>44-45 > アーマードスーツタイプのケット・シー
(・∀・)イイ! というか是非ムービーで 見 て み た い 。ティナの魔導アーマーとか
その辺も好きだった漏れ個人的には、このミッドガル防衛戦は絵的に(゚д゚)ウマー。
機械乱戦の有様に期待しつつ、続々と集まってくるかつての関係者達……この先の
展開を考えるとワクワクしますね。
(前話は
>>41-42,。すいません短いですが)
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大方の家事を済ませて、セリスは島の北端にある崖へ足を運んだ。こうして毎日、
自宅の庭で育てた花を手向けるのが彼女の日課となっていた。
この島に残され、絶望した多くの人々が――かつて一度は、自らも命を絶とうと――
身を投げた崖に立つ。
「……シド……わたし」
――生きてるわ。
不思議な気分だった。
「おじいちゃんの分も、精一杯生きるから……」
――許してくれる?
いつからか、セリスは一人になるとそんな言葉を呟くようになっていたのだった。
心地よい木漏れ日の中に微睡む。
ありふれた日常の、ほんの小さな幸せの一時であるはずのそれは、しかし彼女に
とっては全く違う光景を映し出す。
『こんな小娘に将軍職などつとまる訳がない! 魔導だか何だか知らないが、戦は
お遊びじゃないんだ!!』
屈強の男達が集う部隊の中で紅一点のセリスを、最初は皆そんな風に詰った
ものだった。しかし、彼女の能力を目の当たりにした兵士達が再びその言葉を口に
出す事はなく、少女セリスを将とた中隊は、数々の戦地で勝利を収めていった。
『しかし、剣を持たなければタダの役立たずだろう?』
帝国からの離反を決意し、反逆者として囚われの身となった元将軍を見下ろし
ながら浴びせられた兵士の言葉が――微睡みの中、今でも時折甦る。
次の瞬間、彼女の意識はサウスフィガロの地下牢から孤島へと引き戻された。
『剣を持たなければタダの役立たずだろう?』
まるであの兵士の声が反響しているように――耳から離れない。
「……剣を持たない私は……」
手に入れた幸せは、将軍時代に行った殺戮の――多くの命の――上にある。
「私……は」
――お前は決して幸せになってはならないのだ。
誰かがそう囁いている気がした。
「まるで死んでいて欲しかったような言い方だな、クラウド。ウェポンの砲撃を見切る位容易い事だ」
最後に見た時と変わらない、不敵な笑み。確かにルーファウスだ。後ろにはタークスの3人とパルマーが
同じく笑って立っている。「久し振りだな、と」今タークスのリーダーはレノらしい。どうしてかは知らないが、
ルーファウスが直に任命したとの事。
イリーナとルードも健在だった。「あ!!また出た!!」 「……」
「あんた達が一体何の用でこんな所に?今オヤジさんは忙しいんだ…」クラウドの脇をすり抜け、
ルーファウスが小屋の戸を叩いた。中から怒鳴り声がする。
「ゴルァ!!あと4日待てっつったろうが!!」ルーファウスは空に向け、ショットガンを放った。岬に轟音が響き渡る。
「私は、3日前に注文した筈だが?今日完成と言っていたのはお前だ」
数秒の沈黙。そして、戸が開いた。オヤジがぶっきらぼうに長い包みを差し出す。
「出来は文句無え。最高の武器だ…だが、もうちょっと職人をいたわれぃ!!」
バタンと戸が閉まり、ルーファウスが包みを持って戻って来た。
「…重さは良さそうだ。後でテストでもしておくか…」ルーファウスがクラウドの前で立ち止まった。
「私はあの男に武器の製造を依頼した。…これで、納得がいったかな?」
「理由は…な。だが、一体何をする気だ?」生まれつき蒼いルーファウスの瞳がクラウドを見つめた。
「勿論、神羅の復活。我々は今『ネオ神羅』として世界を周っている。神羅の残党、かつての支持者
などを集めて我々が再びミッドガルに君臨する」隠しもせず、ルーファウスはさらりと言ってのけた。
「何だと…!?そんな事、できるはずが無い!!今ミッドガルの人々は平和に暮らし…」
「本当に、平和だと言えるか?魔洸炉の整備もしていないでか?」
「魔洸は星の命だ!!あんな物、さっさと壊れてしまえばいい!!」クラウドが叫ぶ。が、ルーファウスは動じない。
「それで?魔洸エネルギーに依存した住人達はどうするつもりだ?今や魔洸と人は切れない関係にある!!」
クラウドはこれに対して答えが無い事に気付いた。ライフストリームは無限ではない。だが、それを消費しなければ
ミッドガルの人々は生きられない。魔洸の無い暮らしに慣れていないからだ。
「それに最近、ミッドガルの治安が悪化していると聞いたが?6番街に不良や犯罪者が溜まっているんだったな?」
クラウドは何も言えない。「我々は秩序を取り戻す事も出来る。お前は、それでも我々の邪魔をするか?」
「…それでも、お前達のやった事は間違っている。今また同じ過ちを繰り返そうとしている!!」
ルーファウスは静かに笑った。「フフフ…以前言ったはずだ。俺はオヤジとは違う」
「そうだろうな。お前はプレジデントより悪い」クラウドは怒りがこみ上げてきた。
ルーファウスはタークスとパルマーを引き連れ、飛空挺に戻っていった。「俺はまだここに残る。やる事があるのでな」
クラウドも外に出た仲間を連れ、ハイウインドに戻った。「とにかく、後3日ある…みんなを集めよう。どちらにしろ
ゼロは他のメンバーも襲うはずだ」ハイウインドが浮かび上がった。たちまちユフィがうずくまる。
「まずは…バレットがどこにいるかは解ってる。あいつを呼びに行こう。俺達だけでゼロに対抗できるか解らない」
操縦士がいつもの位置にいる。「クラウドさん、行き先は?」
「北コレルに、向かってくれ」
今では、コレルも再建されて立派な町になっている。あの後新しい鉱脈が発見されて再び賑わいだしたのだ。
「ねえ、クラウド…バレットは今も、元気でやってるかな…?」
「さあ、どうだろうな…でも、たぶん元気だと思う」クラウドの視界に、コレルの町が見え始めた。
今やバレットも世界を救った英雄の一人として有名になっている。本人はあまり嬉しそうではないが。
町の一角に、石碑のような物がある。それは、かつてバレットの親友だったダインの墓だった。
この日、バレットはダインの墓に来ていた。時折墓参りに来るのだ。
一年前――コレルプリズンでダインが死んだ時の事がまざまざと思い出される。
自分が殺したも同然だった。ダインはバレットに戦いを挑んできた。バレットに倒された後、ダインは自ら
崖から身を投げたのだ。
無二の親友を殺した――あれから、ずっと罪の意識がバレットを苛んでいる。だが、ダインの娘である
マリンを育てる事で少しでも償いになれば…そんな気持ちもあった。
花と一つの弾丸を墓前に供え、バレットが家に帰ろうとしたその時だった。どこかで聞いた様なエンジン音。
再び振り返ると、ハイウインドが降りて来るところだった。
ハイウインドが降下し、着陸した。バレットは駆け寄っていく。
ハッチが開いた。「バレット…」クラウドが駆け寄ってくるバレットを見て呟く。
やがて、バレットはクラウドのすぐ前に来た。「ハァ、ハァ…な、何でお前らがここに!?」
「実は…今再び星の危機が迫っている。バレットにも協力して欲しいと…」
クラウドが言い終えない内にバレットは後ろを向いた。「断る!!」
クラウドが唖然とする前で、バレットは再び振り返った。
「俺はあの戦いの後…右手の銃を封印した。どんな危機だか知らねえが、やるならお前らで勝手にやってくれ!!」
バレットは町の方に歩いていった。「…初めてあいつに会った時は、まるで戦うために生きている様な奴だと思った」
クラウドはハイウインドに戻った。「でも違った…あいつ自身、神羅への復讐がしたかったと言った。
結局あいつも苦しんでいた…決して、喜んで戦っていた訳じゃ無い…」
セフィロスが静かに立ち上がった。「誰しも、喜んで戦える者などそうは居ない…好きで戦っている者も
多くは無い…皆、それぞれの理由のために戦うのだ。理由の無い者に戦いを強要してはいけない」
クラウドは不思議な感覚に襲われた。遠くを見つめる様なセフィロスの横顔を見ていると、彼がかつて「英雄」と
呼ばれていた頃の事が思い出せるのだ。
神羅屋敷で資料を見つけなければセフィロスはあんな事をしなかったのだろうか―そんな思いが脳裏をよぎった。
>>49-52 FF7本編中で彼らが言うところの“星を守る戦い”が彼らと、その世界にもたらした物
……ED後の考察では必ずぶち当たる壁ですが、ルーファウスやバレットの描写を
通して「各々導き出した答えが1つじゃない」という辺りを見せてくれている様で、漏れ
こういう描き方の話が好きです。
いやぁ、この展開だともの凄い(個人的に)ケット・シーとの口論再び! ってのを期待
したくなってしまうんですが……浅慮ですね。(w 乙です。
……えぇと……。すごく私的な話なんですが『Le nozze di Figaro』を書くにあたって
CD買ったんです、オペラの。鑑賞後は……ひ、平謝りです。本当にごめんなさい。
このタイトルを安易に選んだ漏れの愚かさを知りました。そんなわけで軌道修正どころか、
チョット再考させて頂きますです、
……世界って一人の人間が知覚するにはあまりにも広すぎます。と、そんな気分です。(w
「キリがないやんかーっ!!神羅の連中は何体捨てて行きよったんや!?いやそもそも何でこんなモンが今更動いとるんや!!?」
自動機銃を乱射しながらリーブが叫ぶ。倒しても倒しても、数限りなくロボットが沸いてくるのだ。
しかも、他の物も現れ始めた。大型の機動兵器、ガードスコーピオンや量産型キャリーアーマー。
このレベルになると、流石にケット・シー一体ずつでは倒せない。だが今ミッドガルには他に戦える者はいない。
集団戦でありながら、孤独な戦いだった。
しかし、住人が避難したはずの家から出てくる者達がいた。元神羅兵である。
それぞれが、かつて栄誉でもあった神羅カンパニーの制服に身を包み、機銃や剣を持って機械に戦いを挑んでいく。
「お、お前ら何で…」一人の元神羅兵がリーブの隣に並んだ。赤い制服からして、隊長クラスの兵士だったのだろう。
「俺達は、誇り高き神羅カンパニーの戦闘員だったんだぞ?ミッドガルを守るのは俺達の役目でもある」
リーブの周りに、かつての神羅兵達が集まってきた。
「やろうぜ、リーブさん!!会社が無くなっても、神羅の信念は不滅だ!!」
リーブが微かな笑みを浮かべた。「…よっしゃああああ!!!全員、各番街に散れー!!」
戦いは既に、20時間を越えていた。
ミッドガル上部で壮絶な戦いが繰り広げられている頃、その下スラムでは凄惨な光景が広がっていた。
破壊された家屋。積み重なる人々の死体。歩き回る機械達。
クラウド達によって復興された7番街スラムも、目を覆いたくなる様な状態だった。
そして、瓦礫の山に血の海と化した7番街スラムに、一人鈍い灰色の髪をした男が立っている。
「時間稼ぎには丁度良い…スラムに廃棄された機械兵器がこんな形で役に立つとはな」
ゼロは周囲を見回した。生存者が居る気配は無い。自分の邪魔をする者は居ないだろう。
別にロボットでもないが、廃棄された武器や機材が山積みになっている場所があった。ゼロはそこに
歩いていくと、再び手から電磁波のような物を発し始めた。
機械の部品や武器類が、独りでに動き出す。それぞれが重なり、繋がり、何か巨大な物を
形作り始めた。ゼロはその中に身を沈める。
「究極の力とは如何なる物か…見せてやろう…」
「星に危機が迫った時、それらは現れ、全てを無に還す…」
ウェポン――星の意思が生み出すモンスター。1年前も5体のウェポンが世界を大混乱に陥れた。
ウェポンは全て倒されたと思われていた。5体で全部だと思われていたからだ。
だが、星は不測の事態に備えて保険を掛けていた。
ジェノバが飛来するよりももっと前。
今ではマテリアにその姿と僅かな記憶のみが残されている名だたるモンスター達が
地上を駆け巡っていた頃、それは生まれた。
如何なる危機が来ても対応できる様にと、星が生み出した最強の最終兵器。
失われた最後のウェポン―考古学者の間では「オメガウェポン」と呼ばれている。
6体目のウェポンの存在を信じる者は少なかった。
1年前にも姿を現さなかったからだ。
だが、誰も知らなかった。今最後のウェポンが動き出そうとしている事を。
北の大空洞は、ジェノバが居なくなった事で、集中していたライフストリームが引き始めた。
本当にただの空洞と化したここの最深部に、妙な亀裂があった。
まるで、内側から破壊されたかのような。
アイシクルロッジの住人が数人、大空洞から何かが飛び立つのを見た、と言っていた。
後日、ある男が念願であったガイアの絶壁登頂を果たした時、喜びもしたが、同時にひどく狼狽した。
大空洞と周囲の森林は、焼け野原と化していたのだった。
何らかの魔法で木々を薙ぎ払った時の状態に似ている。それを数百倍の規模にした感じだ。
>>54-56 ……ウェポンはまったく気に掛けてませんでしたね……。読み尽くしたつもりでも、
まだまだ話ができそうでヤパーリFF7って面白いです。(FF7ACは、それはそれとして)
と、いうか。機械乱戦の有様以上に、リーブの元に有志集った元神羅兵達の描写が
感動。家族ネタとこういう「独立の旗の元に!!」(ネタ違)な勢いが好き過ぎてタマラン。
さり気に登場する小屋のオサーンのその後とか、FF7を隅々まで見てる作者氏の意気
込みにも乾杯。w
小ネタなら出てくるんですが、いざ長めの話を書こうと思うとなぜか手が止まってしまいます。
また10短編です。ユーミソの歌みたいな話になってシマタ。
>>ドリルさん
6キャラのその後が一気に読める(゚д゚)ウマーと思っていたんですが…
再びうpされる日をお待ちしております。
特にエドガー関係に期待。青年Aと一緒にわくわくしながらページをめくる気分です。
そういえば、フィガロの結婚には続編(前編かな?)もありまつよ。作曲はモーツァルトさんじゃないですが。
10モアシーのストーカー扱いはある意味仕方ないかと。
出生も計画も悪役振りも全て中途半端な中で、ストーカー行為だけは一貫してましたから。(私見です)
そこだけ目立ってしまったのでは(w
>>FF7Aさん
ゼロとウェポンとクラウド達の三つ巴の戦いになるんでしょうか。
新羅も加わって四つ巴か…益々目が離せないです。
なにより、本編よりクラウドが格好良くて(・∀・)イイ!
が、ちょっとルーファウスの言い分に同調してしまった。うーん、人それぞれですよね。
>>Rさん
スワベの声はハマってたと思いますが…マザコンでストーカーでは世間の風は冷たいのか。
悩みつつ甘酒いただきます。
>>雫夜さん
30ゲト乙でした。前スレからの続編も新作もマターリ待ってます。
(実にマイナーかつピンポイントなネタかもしれません。
脇役を掘り下げすぎて出られなくなった気分です)
一度でいいから、空を飛んでみたかった。
だって、この窓から見える空だけが、僕の世界だったから。
生まれた時から体が弱くて、ずっとベッドに寝たきりだった。
自分の足で立つことすらできない僕は、一度も外の世界を見たことがなかった。
お父さんとお母さんは優しかったから、僕が退屈しないようにいろんなことをしてくれたけど、僕はなにもいらなかった。
ただ外に出られればそれでいいと思ってた。
だけど、だれもその願い事を叶えてはくれなかった。
僕の身体はとても弱いから、外に出たらすぐに死んでしまう、とお父さんは教えてくれた。
お父さんもお母さんも僕のことが大好きだから、僕が死んでしまうのは嫌なんだって、お母さんは教えてくれた。
二人とも、本当に僕のことを大事にしてくれている。それは分かっていた。
でも、僕は一度でいいから外に出たかった。
そのせいで死んでしまっても、一生この狭いベッドの上で暮らすよりずっとしあわせだ。
歩けることも外に出られることもできる人たちには、僕の気持ちなんて分からない。
僕はだんだん、あの空を飛んでみたいと思うようになった。
空の上から地上を歩いている人たちを見おろすんだ。どんなに楽しいだろう。
切り取られた青空をながめながら、僕は僕の想像の中で、風を切って飛ぶ大きな竜になっていた。
弱い僕は本当の僕じゃなくて、本当の僕は強い竜なんだ。
夢を見ている間だけ、僕はしあわせだった。
ある朝目覚めると、枕元にお父さんとお母さんがいた。
そのころの僕は目がかなり弱っていたから、二人の何かを相談するような声がしなかったら気が付かなかったかもしれない。
お父さんは、僕に生きたいかと聞いた。僕はわけも分からずうなずいた。
お母さんは、「イノリゴ」になればもっともっと長生きができるのと言った。
「イノリゴ」になる。僕にはその意味がよく分からなかったけれど、このまま死んでしまうのはいやだった。
歩けるようになるの、と僕は掠れた声で聞いた。ああ、きっと。お父さんの大きな手のひらが僕のひたいをなでた。
じゃあ、なる。僕の返事に、二人のほっとしたような溜息が聞こえた。
それきり、二人は「イノリゴ」のことについて何も言わなかった。
やがて声を出すこともできなくなり、耳も聞こえなくなったころ、僕はだれかに抱かれて部屋を出た。
もっと早く出してくれればよかったのに。せっかく外に出られたのになにも見えないし、なにも聞こえない。
僕は必死で重いまぶたを開けようとした。
その時だれかが僕の骨と皮だけになった腕をつかんだ。
おやすみ……。耳元でお父さんとお母さんの声が聞こえた、ような気がする。
まぶたの裏の暗闇に光がさして、意識が遠ざかっていく。
気が付くと、僕は固い地面の上に立っていた。
立っていた。弱かった僕の足はぴんと伸びていて、なにも見えなかったはずの僕の目は夜の街を映していた。
恐る恐る足を前に出すと、ちゃんと地に足がついた。初めて歩いたことがとにかく嬉しかった。
泣き出しそうな顔で、僕はそこらじゅうを歩き回った。
僕はもう歩けるんだ。しかも、ごく自然に。
「イノリゴ」になってよかった。これでお父さんとお母さんも、もう僕のことを心配しなくてすむんだ。
そういえば、と辺りを見回すと、お父さんとお母さんの姿はなかった。
ずっと一緒にいたはずなのに。二人を探して歩いていたら、だれかに呼ばれたような気がした。
きっとお父さんとお母さんだ。そう思って、僕は呼ばれた方向へと駆け出した。
まばゆい光に包まれる。僕が僕でなくなっていくように感じる。
いつの間にか、僕の背中には大きな翼がついていた。
光の終点には青空があった。大きな翼で、僕は空を翔た。
僕はもう体の弱い少年でなくなっていた。風を切って飛ぶ大きな竜だった。
七色の雲を越えて大地に降り立つ、四枚の翼を持った鋼鉄の竜。
召喚獣の強さは思いの強さに匹敵する、ということで、
(建前上)最強の召喚獣の思いは生と自由への執念ではないかと思い書いてみました。
シューインを召喚獣にしたら卑怯なくらい強そうですね。いや、なんとなく。
えと、言いたかったのはそれじゃなくて
>>58ですが、Rさんのレスは雫夜さん宛でしたね。
投稿したあとで気付きました。お二方すいません。
(そして1レス消費してスイマセン)
>>ドリル氏 すみずみまでっつーか、ただ目立たなかったキャラを再利用
したかっただけの悪寒…(苦笑)
で、一つ聞きたいんですけど…マリンってバレットの事何て呼んでましたっけ?
読み返してみて、
>>56なんか文がおかしいし
>>50とかもう最悪(爆
正直終わった後魔洸炉をどうするかも決めてないし自殺行為…
長い話を書こうとするとき、その序盤には気を遣わないとあとでエライ矛盾になって
異議申し立てを喰らうことは必至。……かといって慎重になりすぎると進めなくなる罠。(そして以下長レスゴメソ)
>>59-61 ……その話を読んで、(具体的なアレでスマソですが)数年前の七夕を思い出しますた。
某病院玄関前で、七夕の笹に付けられた飾りの中にあった青い短冊。
今でもその時期になると思い出すんですが。
青い短冊にはひらがなで、「早くお家に帰れるように」とだけ書かれていた。
初夏を告げる空と同じように、青い色の短冊。
漏れにとっては、繰り返される当たり前の日常を、短冊に託しているヤシらがいる。
――病室の窓で区切られた四角い空を見て、彼らは何を思うだろうか?
なんて。この板では明らかに板違いな話になりますが、このことを思い出すといつも
涙が出てくる。命って、生きることって、それだけで幸せで。
廊下ですれ違う彼らは(少なくとも漏れよりは)それを知っている。だから、あんなに
純粋で「強い」と思うんだろうな、と。
けれど生きることを「日常」として繰り返すうちに、維持という苦労を知り、その中に
忘れてしまう幸せがある……凄まじく脱線スマソ。でも、祈り子となった少年の話を読んで、
同じ気持ちを思い起こしてしまったので、つい。
ところで召喚獣の強さは思いの強さに匹敵するっていう設定、(゚д゚)ウマーですね。
知りませんでした。
……すると、ようじんぼうは金への執着g(ry。
追記:
『セビリアの理髪師』から『フィガロ』に続いている伯爵と伯爵夫人、取り巻く人々の
“ドタバタ劇”は、なんか好きです。この辺のテーマは年月を越えてもずっと語られる
んですね。
>>63 「とーちゃん」もしくは「とうちゃん」だった気がします。。。(うろ覚え)
FF7初プレイ時、爆破ミッションを終えた一行をアジトで出迎えるマリンのこの一言に
衝撃を受けたもので……「子持ちの親父がテロリストかよ!?」と。(FF7にハマるきっかけw)
勢いに任せて書いてしまうという手もアリかと……>魔晄炉の処遇
クラウド達は、次にコスモキャニオンに向かった。レッド]Vことナナキが今もここに居る。
だがそこには思わぬ光景があった。「な、何が起きたというんだ…!?」
コスモキャニオンが燃えている。逃げ惑う人々。最も高い場所にある天文台の辺りに何かがいる。
大きい。あまりにも巨大だ。巨大な龍と蟲を掛け合わせたようなおぞましい姿。
「見ろ!!あそこでレッド]Vが戦っている!!」
巨大な「何か」と、山の上で対峙しているのは確かに彼だった。クラウド達が階段に走る。
上部では、天文台が今にも燃えそうな状態の中レッド]Vが必死に戦っていた。
「くっそー…何なんだコイツ、でかいし、速いし、強いし…!!」
もはやレッド]Vは満身創痍で今にも倒れそうだった。それでも彼は諦めない。尊敬した人の形見を守るために。
彼が守っている天文台は、今は無き「賢者」ブーゲンハーゲンが造り、住んでいた場所だった。
ナナキはブーゲンハーゲンを「じっちゃん」と呼んで慕っていた。父親の真実を教えてくれたのも彼だった。
「絶対…あきらめないよ…じっちゃん……!!」
クラウド達が階段を上る途中、長老の一人が座り込んでいるのを見つけた。
「何やってるんだ?早く逃げた方が良い」クラウドが言ったが、長老は立ち上がろうとはせず、こう言った。
「逃げる?逃げるなど不可能だ…世界は終わる…ハハハ…君達はあれが何なのか知っているのかね?」
「いいや、知らないな」長老はその場で高笑いを始めた。
「オメガウェポン、星が生み出す最後のウェポン…今度こそ破滅が来る、逃げられるはずが無い!!!」
長老はそのまま笑っていたので、クラウド達は仕方なく放置していく事にした。
「狂ったか…人間の精神は弱い。ちょっとした事で崩壊する物だ」
セフィロスが言うと妙に信憑性がある。そして、クラウドが梯子の上に出た。
目の前には、怒り狂うオメガウェポンに掴まれて窒息寸前のレッド]Vの姿があった。
クラウドが剣を取る。だが、それよりも速くセフィロスがオメガウェポンの腕に斬り付けた。
腕を切り落とすには至らないが、大きな裂傷ができている。
「クラウド、お前の剣も悪くは無い」セフィロスが借りたのはやはり日本刀だったが。
レッド]Vはもう意識が無い。ユフィが彼を抱え、階段を駆け下りる。
オメガウェポンが暴れる度に山全体が振動している。このままでは崩れるだろう。
「逃がすか、ウェポン!!」クラウドが同じウェポンから取り出されたアルテマウェポンで
オメガウェポンに斬りかかる。腹部の皮が(もはや装甲というべきか)
剥がれ落ちた。「今なら行ける!!」クラウドは追撃をかけようとした。しかし――
オメガウェポンは翼を広げ飛び上がり、上空で下を向いた。
「何をする気だ…?」口の中に小さな光の粒子が集まっていく。集束していく。
「まずい、逃げろ!!」セフィロスが決して軽くは無いクラウドを抱え上げ、数十mある崖を
飛び降りた。他のメンバーはもうハイウインドに乗り込んでいる。
2人が乗り、ハッチが閉じた瞬間「それ」は放たれた。そして、コスモキャニオンが灰となった。
レッド]Vがその光と轟音に気付いて目を覚ました時には、ハイウインドは全速力で飛び立つ所だった。
「うわぁぁぁ!!戻って!!コスモキャニオンが…コスモキャニオンが消えちゃう!!」
「レッド]V…もう…間に合わない…」逃げ遅れた人がどれほど居ただろう。
数十年絶える事無く燃えてきた聖火、コスモキャンドルも消え去った。あまりにも大事な物が失われた。
クラウド達が見上げると、ウェポンは羽ばたき、空の彼方に消えていった。
眼下に目をやれば、爆風が消えた後そこにはもう何も無い。レッド]Vが見てきた景色が、
世界でも有数に美しい場所として知られた光景が、唐突に失われた。
「あ…あぁ…じっちゃんの天文台も、コスモキャンドルも消えちゃった…どうして…ウェポンなんかが…!!」
「今また、星に危機が迫っているんだ。星は最終兵器を呼び覚ました、って所か…」
レッド]Vは椅子に座り、目を閉じているセフィロスを見つけた。
「セフィロス!?何でお前がここに居るんだよ!!」レッド]Vは戦闘体制に入っている。
「落ち着いて、ね?今の彼はもう…敵じゃなくて、私達と戦ってくれてるのよ」
ティファがなだめて、やっとレッド]Vは爪を収めた。
「…コスモキャニオンか…ソルジャーだった頃に来た事がある…」
セフィロスが静かに口を開いた。クラウドは正直驚いていた。セフィロスが自分から過去を話してくれたことなど
無かったのだ。だが――
「あれ!?ヒュージマテリアは!!?」窓から下を覗くユフィを見て、ほぼ全員がこう思った。
「ユフィ…空気読めよ…」
「ホラ!!あそこにまだあるよ!?」ユフィが下を指差した。確かに、崩壊した山の跡にヒュージマテリアが
浮いている。「すまん、ヒュージマテリアを回収するから一回降りてくれ」
ハイウインドは再び降下した。クラウド達がマテリアを艦内に運び込み、もう一度飛び立ってから
改めてセフィロスが語りだした。「あれは、仕事の休暇に先輩達と行った時――」
セフィロスがソルジャーであった頃。
当時の先輩(実力ではセフィロスの方が上だったが)ソルジャーとコスモキャニオンに行った事があった。
「これが、聖火コスモキャンドルか…」セフィロスは当時、コスモキャンドルの歴史に感銘を受けたものだ。
クラウド達には一度も言わなかったが、ブーゲンハーゲンは以前セフィロスと会っていた。
「こう言われた。『お前さん、どうして神羅なんかに居るんだ?』と。」
ティファやクラウドはセフィロスが神羅に入った動機を知らない。知りたい事でもあった。
「それで、何て答えた?」
「本当の事を言ったが…今は、話したくない」
クラウドはセフィロスの過去を知りたかった。かつて理解できなかったからこそ、深く知りたいと思った。
だが、今は聞くべきでない。話したくない相手に、無理に話させるのがどれほど酷か今なら解るのだ。
「…ブーゲンハーゲン氏は、逝ったそうだな」セフィロスがレッド]Vに何気なく聞いた。
クラウド達はその事を知らなかったので驚いた。「何だって?あの人が…死んだ?」
「星に還った…そういう意味では、悲しむべき事ではない。しかし、大切な人が死ぬということはやはり辛い物だ」
セフィロスの口からこんな言葉を聞くとは思っていなかった。
あああぁやっぱ駄目だぁ…
コスモキャニオン編は作者の未熟さが浮き出しまくりで文章も死亡…
ヒュージマテリアは神羅に回収させるつもりだったのにどうしよう(爆死
やっぱりストーリーが狂ってきた…読者スマソ
話の結論(主題)さえなんとかなってりゃ、あとは良い……軌道修正するのも
一苦労ではあるけれど、書き手の中での“予期せぬ展開”って、意外性を生み
出す(・∀・)イイ!手法なんじゃないかといってみるテスト。
>>65-68 コスモキャニオンが吹っ飛びましたか……。ゼロといい、ウェポンといい、破壊力が
インフレ起こしてます。(w
コスモキャニオン脱出のセフィロスと間一髪で飛び立つハイウィンドの描写が
カコ(・∀・)イイ! だからこそ、もうちょっとその光景を堪能したかった感はあります
が…。(こういうの好きなんですよね)
「降り注ぐ閃光と舞い上がる砂塵の中、消えゆくコスモキャニオンを背にして
ハイウィンドは飛び立つ(以下略)」とか。……想像した図はこんなんですた。(w
……突然、変なタイトルで話が書きたくなったので(ちょっとファンタジーって世界
ではないものの)局地的なネタを投下させていただきます。
舞台 : FF7(Disc4周辺)
登場人物: リーブとイリーナ………そう言う話の予定。(w
----------------------------------------------
彼らに与えられた最後の安息日。
故郷へ帰る者。肉親や愛しい者達と過ごす者。再び自分を見つめ直す者――彼らが
生きるか滅びるか。どちらにせよ、明日で全てが終わるのならば――せめて今日ぐらいは。
それぞれが、思い思いの場所で時を過ごしていた。
そんな中。
「……どうしてこんな所にいらっしゃるんですか?」
「君の方こそ。てっきり郷里に帰っているものかと思っていたよ」
建物の高層部分と、指揮系統が崩壊した神羅に、自らの意志で戻ってきた者達
がいた。
一人は普段通りのパンツスーツ姿。いま一人も――やや草臥れた感のある――
背広を身につけている。互いに、台車に積んだ数多くのファイル類を運んでいる
最中のようだった。
「わっ私は……その、残務処理です」
言葉を選んでいるのだろうか? 詰まりながら彼女は答えた。
「総務の方の資料整理か? ……そんな事より、彼氏の傍にでもおった方が
ええやろ?」
「……。統括こそ、こんな所で一人油を売ってる暇はないんじゃないですか?」
総務部調査課――通称タークス――の新米工作員・イリーナは、都市開発部門
統括に向かって僅かばかりの皮肉を込めて言うが、リーブは笑顔でそれを受け流
してしまう。
その飄々とした振る舞いを見ていると、都市開発という異部門のリーブをスパイ役に
抜擢した上層部の判断は正しかったのだろうと、今更だが納得するのだった。
「明日は、いよいよ大空洞でしたよね」
イリーナの表情に不安の色を見て取ったのか、リーブは頭の後ろに手を当て
ながら、戯けた口調で返した。
「言われても、実質わいは現地には行かへんからなぁ〜。でも、心配いらへんで!
明日は大安や!」
ケット・シーの占いだ、と付け加える。
「……統括ご自身は行かれないんですか?」
少し意外だという口振りで尋ねるイリーナに。至極当然といった表情を向けて
リーブは答える。
「出張費が経費で落ちんのや。わいの財政状況で大空洞遠征は無理やで」
イリーナは今度こそ呆れたように溜息を吐く――よく今まで、都市開発部門の
統括を務められたなと――カートを押し、再び歩き出そうとした彼女の耳に、小
さな声が届いた。
照れ隠しなのか、それとも申し訳ないという思いからなのか。本当に、小さな
声で。
「わいが行ったとしても、生身ではなんも力になれへん。……自分の実力ぐらい
弁えとるで」
書きたいことはいろいろありますが、今回はとりあえずうpりだけ。
『工事中』の看板、偶然発見したですよ>>ドリルさん
↓
↓
↓
続きがいつになるかわからない、ナゼコノフタリΣ(゚Д゚;)な話。
※ いつものように捏造気味なためご注意を。
照明が絞られたバラムガーデンの廊下を、キスティスは足早に歩いていた。
(だいぶ遅くなってしまったわね)
ガーデンの教員の中ではいちばん若いキスティスが、細々とした仕事を任されることは多く、
さらには近々行われるSeeDの実技試験の準備もあって、ここのところ残業続きだ。小さな窓か
ら射す月明かりに、そっとため息を漏らす。
魔女アルティミシアを倒してから二ヶ月、スコールたち同様、現場で活躍するSeeDに戻らない
かと誘われたものの、一度選んだ教師の道を全うしないまま戻ることにためらいを感じ、今もガー
デンに残っている。
空き教室の前を通りかかったとき、不意に中から現れた腕に手を取られた。そのままほの暗い
教室の中へ引き込まれる。かろうじて悲鳴を上げなかったのは、抱きしめてくる腕のぬくもりを覚
えていたからかもしれない。
「アーヴァイン?」
「今日も残業だったの? 毎日大変だね〜、センセイって」
背後からキスティスを抱き寄せて、アーヴァインが笑う。
何とか腕から逃れようとしてみても、キスティスの力では敵わない。
「もう、離しなさい」
「や〜だ。久しぶりに逢えたのに」
逢いたかったよ、キスティ、と舌足らずな声が耳元で囁く。
吐息を感じて、キスティスは少し震えた。
くちづける以上のこともしているのに、彼の体温をじかに感じることが未だに慣れない。
抵抗をやめると、これ幸いとばかりにアーヴァインが頬に唇をすべらせる。アーヴァイ
ンの唇がキスティスのそれに触れようとした瞬間、彼女は顔をそむけた。
「いや」
「どうして? 疲れてる?」
キスティスがアーヴァインの腕の中で向き直ると、彼は戸惑った微笑を浮かべていた。
(どうしてそんな顔をするの?)
気まずく思いながら、しかしはっきりとキスティスは告げた。
「ずっと後悔していたの。あの日から」
「とうちゃん、さっきなんか飛んできてたね」
家に戻ったバレットに、マリンが微笑む。これだけでバレットの一日の苦労が報われるという物だ。
「ああ…お前は気にしなくてもいいぞ」バレットは冷蔵庫から酒を出す。仕事の後の一杯、これ最強。
だが、マリンはバレットが予期しなかった事を言い出した。
「とうちゃん…クラウドのお兄ちゃんがいたよね。何話してたの?」
バレットは口に含んだ酒を吹き出した。口を拭いながら振り返る。
「な、何だ…見てたのかよ…あいつら、俺にまた戦えと言ってきやがった。でも心配するなよ。
俺はもう、戦いに行ってお前を一人にしたりはしないからな」
バレットはマリンに陽気な笑顔を見せた。いつも見せてくれる仕事の後の笑顔。
でも今日は何かが違っていた。笑顔の奥にほんの少し、悲しみが見え隠れする。
「…本当は…とうちゃんも行きたいんじゃないの…?」
バレットは思わず怒鳴ってしまった。「そんな事無え!!」
少し怯えるマリンを見て、バレットは我に返った。右手を左右に振る。
「いや、すまねえ…でも、そんな事…そんな事は…無い…」バレットは酒瓶をテーブルに置いた。
「もう遅いぞ、早く寝ろよ」マリンは寝室に戻った。
その夜、バレットはこっそり家を抜け出した。「済まねえ、マリン…俺はやっぱりあいつらを放って置けねえよ」
家を出て歩いていくバレットを、窓からマリンは見ていた。バレットが出て行くことは解っていたのだ。
「頑張ってね、とうちゃん…」
「して、何故ここに残っているのです?武器の製造が終わった以上、ここには用が無いはずでは…」
ゲルニカの中では、もう4日もルーファウスが何かを待っている。常にニヤついたまま。
何かとは、勿論クラウド達の事だろう。しかし何故待たなければいけないのか?
イリーナが勇気を出して訊いてみた。正直、答えは期待していなかったのだが。
意外にもルーファウスは答えた。「連中が戻ってくるまでに、ここで何かあるはずだ」
答えは得ても意味が解らない。「社長…何かあるって言っても…」
イリーナの文句は遮られた。飛空挺のレーダーに何かが映っている。
「高速で接近する多数の飛行物体を確認!!高度を下げてきます!!」
ルーファウスはここに来てまたも不敵な笑みを浮かべた。
「やはり来たか…新兵器のテストには丁度良い。砲手、シートに座れ。戦闘態勢だ」
ルーファウスの指示の適確さは舌を巻く物がある。これも天才というべきか。
「360mmリニアキャノン、2連自動キャノン砲全門目標にロックオン、タークスは私と一緒に表へ出ろ」
ルーファウスはハッチ開閉のボタンを押し、自ら外に出た。タークスが慌てて後を追う。
「ったく…社長は何考えてんだか…」ルーファウスは例の包みを手に持っている。
ルーファウスが包みの紐を解く。布が落ちる。
人が使うにしては馬鹿でかい、黒いバズーカのような物が姿を現した。
「出番だ、ゴッドフリート」
飛空挺の兵器が一斉に火を噴いた。目標が射程内に入ったのだ。
「レーダーの反応では、人間ではない…と言う事はモンスターかあるいは…機械」
ルーファウスがゴッドフリートのスコープを覗き込む。思った通りだ。数千機の飛行型機動兵器が
こちらに向かってくる。かなりの数が対空砲火で落されているが元の数が多過ぎる。あまり効果が無い。
やがて、敵が機銃の射程範囲に入ってきた。逆に言えばそれはルーファウス達も射程範囲に入ってしまったという事だ。
レノが電磁ロッドを引き出す。イリーナとルードはそれぞれ自動機銃を手に持っている。
しかし、ルーファウスは悠々とゴッドフリートを敵の大軍に向けた。大量のロボットが眼前に迫っていながら、
何故これほどまでに落ち着いていられるのか。
それは、揺ぎ無い自信から来る余裕だった。「さあ、テストだ」
10メートルも無い距離にロボットが入ってきた。と、その途端に消滅した。
ゴッドフリートが遂に火を噴いたのだった。黒い砲身から非現実的な閃光が迸り出る。
巨大な砲身を軽々と振り回すルーファウスも只者ではないが、その兵器の破壊力はもはや戦略級兵器とも
呼べる代物だ。青白いビームが、空を埋め尽くす機械を薙ぎ払う。空中に閃光が走り、大爆発の連鎖が起きる。
数千機いた機械が、その半数以下に減っている。今の攻撃だけでか?
「武器職人…良い仕事をするではないか」
微笑むルーファウス。そして再び、ゴッドフリートを空に向けた。
ゾ板で培った射撃戦〜♪(爆
今回はまあ比較的良く出来た(自画自賛自作自演
>>ドリル氏 そっちの方が良いので脳内修正キボンヌ…
後訂正。ブーゲンがセフィロスに聞いたのは「神羅に入った理由」
ではなく「ソルジャーになった理由」という事に…
これで、後々セフィロスの過去話が出来る(ニヤリ
>>79 前から思ってたんだけど、(爆)とか(爆死)とか使うのウザ
やめれ
自分語りもやめれ
激しくスマソ…逝ってくる
∧‖∧
( )
U ||
\U U
あっちの板からの癖でしてね…またやっちまいましたか
昔から、休日って地球の自転速度がいつもの3割ぐらい早くなってる気がするのは
なんでだろう?
>>74-75 放課後……というか、日暮れの教室ってなんつーオイシイ場所を……(;´д`)ハァハァ
久々に場所萌え(なんて言葉があるんだろうか?)しました。雫夜さんの書かれる話
には、常にどこかしらのツボを押さえられている気がしてなりません。(w
それにしても、(漏れ的には)珍しいこの二人の組み合わせ。その後の展開に期待sage。
75の5行目の様な書き方、好きだなぁ。
>>76-78 カコイイ……!! ルーファウスの持つ武器から放たれる閃光の有様もさることながら、飛空艇
ゲルニカ対無尽蔵な機械兵器との空中戦に激しく燃え。
チョット想像したのは某ゲームの宇宙船崩壊のシーンだったり。星間戦略兵器(・∀・)スキ。
再び死地へ赴かんとするバレット、クラウドの元へ集う仲間達とミッドガルで戦うケット・シー。
そしてルーファウス一行。ゼロとの対峙に向けて着々と話が進んでますね(゚д゚)ワクワク。
(
>>71-72より続く、神羅ビル崩壊後/北の大空洞突入前の一日)
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その言葉に、はっとして横に立つ男を見上げれば――彼の表情は思いの外
柔らかく。
けれど次の瞬間には、いつものどこか戯けているような、ケット・シー独特の
口振りに変わっていた。
「君とはもう会えんかと思とったけど、今日会えて良かったわ」
「どうかしたんですか?」
不思議そうに見上げながら、リーブの言葉を待つ。
「……どうしても、伝えておきたい事があったんや」
ゆっくりと顔を向け、イリーナを正面から見つめる。年齢相応の落ち着いた
雰囲気に、半ば圧倒されたように彼女は言葉を失う。
「聞いといてくれるか?」
無言で頷くイリーナの様子を見届けてから、話を続ける。
「もしかしたら、明日。全てが終わってしまうかも知れん。……わいらも、この
星も」
イリーナは無言で首を横に振った。
「せや。わいかてそんなのはゴメンやで。せやから明日、クラウド達と大空洞へ
行く。……100%の自信はあれへんけど、全力は尽くすで」
クラウド達とも幾度かは一戦を交えた事がある。だから彼らの強さは、ケット・
シーを通して共に行動しているリーブより、恐らく彼女の方が身をもって知って
いただろう。
クラウド達は確かに強い。
そんな彼らが立ち向かうのは、神羅にとってかつての英雄。
そして今、こうして居る自分たちは神羅の人間で――皮肉な話だと思った。
まるで仕組まれたような偶然。それとも神羅という組織が、一企業という枠に
収まらない程大きな力を持ってしまったという必然なのか。
保守
…本当はageたいんだけど……(2の方が上がってるし)
結局、タークスの出る幕は無かった。飛空挺の対空砲とルーファウスのゴッドフリートだけで
充分だった。「大軍を相手にするのならいいが…近距離で使うとまずいな、これは」
苦笑するルーファウス。そこにハイウインドが戻ってきた。
「ルーファウス…これは一体…!?」
クラウドが驚いたのも無理は無い。そこら中に機械の残骸が落ちていて、草原は煙を上げていた。
「どうやら我々が使っていた機動兵器のようだが…何者かがコントロールシステムを弄ったらしい」
ソルジャーでもないのに蒼いルーファウスの瞳が光る。白いスーツと背中に担いだ巨大なバズーカが
対照的で、それが妙に似合っている。
「何者か…もしかして、それは…」嫌な予感はした。今武器職人を襲う理由がある者といったら
一人しか思いつかない。完成する前に新しい武器を破壊するつもりでやったのだろう。
「ゼロ…一体、何処にいる…」
レノが煙草を取り出した。口に銜え、「ふしゅっ」と言う音と共に3mほど先に飛ばした。
「機動兵器が廃棄されてるのは何処だと思う、クラウド?」
意味不明な行動に似合わず、レノの言っている事は正確だった。
「ミッドガルの…スラム!!」クラウドは武器職人の小屋の戸を叩いた。
クラウドが呼ぶ前に、ドアが開いた。「ええい、もう呼び出されんのはうんざりだ!!ブツは出来てる。
持っていきな…これまた最高の出来だ」武器職人はニッと笑うと、戸を閉めた。
いつの間にか足元に、2つの包みが置かれていた。
「これが、新しい剣…」クラウドは大きい方の包みを手に取った。布を留めている紐を解く。
セフィロスが細長い方の包みを持ち上げた。こちらも紐を解いていく。
クラウドの手に、一見以前とあまり変わらないバスターソードが握られていた。
しかし、柄の部分や刀身に以前は無かった装飾が施されている。芸が細かい。
さらに、剣から伝わってくる波動はバスターソードの比では無かった。
ふと地に落ちた布を見ると、手紙が付いていた。それを開く。
「あんたが渡した剣は他人の剣だった。そろそろ『自分の剣』を持ってみろ」
クラウドはもう一度新しい剣を見た。マテリア穴が4つ、それを囲うように龍の彫刻。
「自分の剣、か…じゃあ、『バスターブレード』って所かな」
以前の面影を残しながらも、それとは違う剣。微妙な名前はそれを表したのだろうか。
セフィロスは自分が持っている刀を見て息を呑んだ。外見は正宗と同じに見える。
やはり少々の装飾など付いてはいるものの、長さも大きさも変わっていない。
それでも、セフィロスには違いが解った。刀自身が戦いを欲している。まるで脈打っているかのように
感じられた。「感じる…以前とは決定的に違うオーラを。刀身から発せられる闘気を」
セフィロスはその剣を腰に収めた。「そうだな、名は…『百式正宗』とでもしておこうか…
これで私も、『自分の剣』を手に入れた訳だ」
「『自分の剣』?正宗は元々あんたの剣じゃなかったのか?」クラウドが何気なく聞いた。
セフィロスはまるで辛い記憶を思い出した者のように顔を曇らせた。
「その話は…飛空挺に戻ってからにしてくれ。ミッドガルまでの暇潰しにもなる」
クラウド達が飛空挺に入って行くのを見て、ルーファウスも飛空挺に戻った。
「さて、連中がどう動くか…パルマー、奴らの後に続け」
意外にも、ゲルニカの主操縦席に座っているのはパルマーだった。パルマーだって、
神羅時代ただ「おひょ」とか言っていた訳ではなく飛行機、飛空挺などの操縦を学んで
一応知識は身に付けていた。ゲルニカを操るくらい難しい事ではない。
ハイウインドが飛び立った。少し間を置いて、ゲルニカも空に舞い上がる。
「――で、正宗を手に入れた経緯って…」ユフィは本当は気持ち悪いが、この話は聞き逃せないので
「乗り物酔い」のマテリアを装備して管制室に来ている(それでも椅子にくっついて)
セフィロスが遠くを見るように語り出した。
「あれは、神羅がまだウータイや周辺諸国と戦争していた頃、私がソルジャーとして未熟であった時…」
(※ここからしばらくはセフィロスの昔話です)
戦争末期。神羅のある小隊が辺境の反抗勢力を討伐しに行った時。
当時はまだ英雄でもなんでもなく、ただちょっと強いソルジャーでしか無かったセフィロスは
この部隊に所属していた。
部隊の隊長であったゲイル=ハルフォードは誰からも好かれる男で、それで居て腕も立つ
理想のソルジャーだった。セフィロスも彼を尊敬していたし、憧れてもいた。
「さて、諸君…我々は、これより辺境での討伐作戦に向かう事となる。辺境とはいえ
油断はするな。出来るだけ速やかに、被害を少なくして任務を完遂するように」
彼が持つ長刀「正宗」は強力で、他の者には使えなかった。ゲイルはいつもそれを腰に下げていた。
作戦説明の後、セフィロスとその部隊は戦地へと向かった。
森林での戦い。味方の被害は予想以上だったが、彼らは何とか任務を完了した。
そして、ミッドガルへ帰還する途中。山脈の間を歩いていた彼らに斥候が思わぬ情報を伝えた。
「大変です!!…ウータイの兵が大軍で、後方より接近してきます!!」
ゲイルは地図を広げた。「何…数は如何程か!?」
「200を超える騎兵。狭い山岳地帯を凄いスピードでこちらに向かってきます!!
このままでは追いつかれるのも時間の問題かと…」
ゲイルが地図をたたんだ。「良いだろう。私が囮になるゆえ、諸君らは急ぎ、ミッドガルへ帰還せよ」
セフィロスがゲイルの腕を掴んだ。「何を言うんです、隊長!!我々にあなたを見殺しにしろと言うんですか!?」
「被害は少なければ良い…この中で最も効率良く敵を阻止できるのは私だ。犠牲は一人で良い」
セフィロスには解っていた。ゲイルの意思は鋼のように堅く、自分が何を言っても聞かないだろう。
ゲイルは部隊の最後尾に回った。遥か遠くに土煙が見える。
「もう来たぞ…何をしている、総員ミッドガルへ急げ!!」
ゲイルは正宗を大地に突き立て、遠くの敵に向かい合った。
副長が全員に指示を出した。「…総員…ミッドガルまで走るぞ…後に続け!!」
部隊が動き出した。後ろで結んだ濃紺の髪を風になびかせ、ゲイルの後姿が夕日に映る。
セフィロスは半ば強制的に仲間に連れて行かれていた。本当なら、隊長と共に残って戦いたい。
だが、自分に何ができるというのか。200人以上の敵兵を相手にして、自分一人が加勢した所で
一体何の助けになるというのか?
「それでも…彼は、こんな所で死んで良い人間じゃない!!」
しばらく行った所でセフィロスはこっそり隊列を抜け出し、ゲイルの元へと走った。
「さて、1人で何処まで時間稼ぎができるか…少なくとも、50人はやれるか」
ゲイルはだんだんと敵の姿が見えてきた。地面と向こうの山の境界線の辺りで何か動いている。
何かとは、無論敵兵の大軍だった。
大地に突き立てた正宗を抜き放ち、常に掛けていたサングラスを投げ捨てる。
手に握り締めた剣に、ゲイルが呟いた。「我が身朽ち果てるまで、汝を納めはせぬぞ」
>>85-89 以下>>3より
>【推奨】
>※長篇を書かれる方は、「>>?-?から続きます。」の1文を冒頭に添えた方が読みやすいです。
かなりの長編ぽいので、レスアンカーつけた方が良いよ。
ここのやつらってみんな優しいなw
92 :
物体:04/01/31 20:24 ID:jYM/lr7A
>>90 そうですねぇ…気付かぬ内にめっちゃ連続投稿してたし。
てな訳で、
>>85-89は
>>78からの続きです。
しかし下がりすぎでは…このままdat落ちって事は無い…ですよね?
いざとなったらageてでも保守したい所ですが。
この板の仕様ってよく分かりませんが、下がりすぎるとdat落ちするもんなんですか?
(改行規制とタイトル文字数制限ぐらいしか知らない…)
>>85-89 ゲルニカの操縦席にパルマーがいるのには純粋にビクーリ(w。ふとっちょなだけじゃ
ないんですね。飛べないふとっちょは、ただのふとっちょですか?
それにしてもセフィロス過去話。意外だったのが正宗の持ち主が以前にいたという
ところ。しかも古風だ……。こいつらの戦いっぷりに期待しつつ保守。(w
このまま、冒頭のあの約束を交わす場面に繋がるのだろうか?
>>92-93 基本的には下がってても問題ないです。板の圧縮時のdat落ち基準は
最終書き込み時間であって、書き込み順位ではないので。
sageでもageでも保守はできると言われる由縁ですね。
(前話は
>>83。ここへ来てタイトル間違えたかも、と後悔し始めました。w)
----------------------------------------------------------
「…………」
ゆっくりと、何気なくイリーナが視線を向けた窓の先には魔晄炉の明かりが見える。
ぼんやりとした薄緑色の光が、倒壊の煽りを受け非常灯が点灯しているビル内に
漏れ入っていた。
かつて賑わいをみせていた神羅ビルの1フロアも、今やその面影すら失せてしまった。
静寂と薄闇の支配するそこは、まるで墓場の様だった。
「私達……生き延びられますか」
問うわけでもなく、独り言のよう零されたイリーナの声に。
「そればっかりは、分からんなぁ……」
ふう、と大きく溜息を吐いてからリーブは答えた。
「何と言っても、星の意志やからなぁ」
――それは恐らく、セフィロスですら分からないのではないか?――声には出
さず呟いてから、リーブも視線を窓外へと転じる。靄のかかった空のはるか彼方
に、目指すべきその場所がある。
星の生命。人々の思い――『ライフストリーム』――それを糧として生き続け
る地上の人々と、それを支える文明技術。そして、担い手となった自分達に突き
付けられた現実。
「魔晄――私達のやっていた事は……」
視線を外にやったままイリーナが続ける言葉を遮って、リーブは断言した。
「わいらは間違っとらへんで」
言葉に表れた相手の思いを遮ってでも、それだけははっきり言える。
「……統括?」
あまりにも自信に満ちたその声に、困惑しながら視線を目の前の男の方へ向け
たイリーナに、リーブは穏やかな表情のままで告げる。
「わいらはなんも間違っとらへん。こういう生き方を、わいらの意志で選択して
来たんや。……ま、中には不可抗力ってやつもあるんやろけど」
そう言って、微笑んだ。
(
>>89より)
「死ぬな、隊長…!!」セフィロスは走った。速く。何としてもゲイルを死なせるわけにはいかない。
当のゲイルは、ウータイの軍と向き合っていた。敵の大将らしき男が進み出る。
「貴様、神羅の者か?」ゲイルは正宗を降ろしたまま答えた。
「そうだ。我が名はゲイル=ハルフォード…神羅カンパニーのソルジャーである」
大将らしき男は槍を引き出した。「そうかそうか。では、ともかく死んでもらおう」
その男がゲイルに槍を向ける。「お前たち下がっていろ。この男は私が討つ」
「一騎打ちか。対等に戦って頂ける事、光栄に思おう」
ゲイルが第一の構え、『脇構え』の体制に入った。彼の間合いに入った者は即、斬られる。
だが相手の大将は槍のリーチを活かし、間合いの外から攻撃を繰り出してきた。
瞬時に構えを解き、槍をかわすゲイル。槍の柄を剣の柄で押えつつ、そのまま敵に突っ込む。
正宗もかなりのリーチを誇る武器だ。間合いに入ればゲイルの腕では負けない。
「フェイタルトラップ・コンプリート!!」様子見も兼ねて、蹴りの後に正宗を振り下ろす。
敵は手元にあった方の柄を盾にして正宗を止め、開いた右手の掌底でゲイルに反撃する。
後ろに跳び退って避けたゲイルは、相手の力量をひしひしと感じていた。
「成る程…中々出来る様だ。これは油断できぬ」
ゲイルが正宗を構え直した。第2の構え、『正眼の構え』である。
この構えから様々な技に派生する。しかし敵の方が間合いが広い以上、自分から距離を詰めなければいけない。
槍が次々と繰り出される。速い。並みのソルジャーなら一瞬で蜂の巣になっている。
ゲイルは「並のソルジャー」ではなかったが、この槍捌きには思いの他苦戦を強いられていた。
近付きたくとも近寄れないのだ。距離を詰めようとすると間合いギリギリで薙ぎ払ってくるので
後ろに避けざるを得ない。結局その繰り返しとなる。
ならば、遠距離攻撃。「虚空残心!!」
正宗から放たれた見えない波動が敵の大将に迫る。だがこの一撃をいとも簡単に避けると、
今度は槍が更に伸びた。内部にからくりが仕込んであったのだ。
「命破神槍ォーッ!!!」
セフィロスは戦場が見え始めた。人の輪が出来ている。ゲイルが囲まれているに違いない。
だが、戦っているのは1人だけだった。大将が一騎打ちを仕掛けたのだろうか。
セフィロスは人の輪を飛び越え、内側に入った。顔を上げる。
目に入った物は、槍を空に翳す大将とその槍の先に串刺しになっているゲイルの姿だった。
正宗は地に落ちている。やがてゲイルも地上に落された。
「隊長!!しっかりして下さい!!」
しかし、ゲイルは返事をしなかった。
いやぁ、ラスト侍観て何か「侍っぽいキャラが書きたい!!」と
思ったのでゲイルは当初の予定を変更し武士道キャラに。
(当初は誰にでも敬語で常にグラサンを掛けて正宗を背中に装備する
良い人キャラにする予定だった)
>>ドリル氏 そう、「飛べないふとっちょはただのデヴ」w
そして「書けない俺はただのヲタ」ww
あ、
>>95のシリーズいいですねぇ。リーブは良いキャラだ…
「貴様…よくも…!!」セフィロスは槍を持った男に向き直った。
「敵同士戦って、その男は敗れた。戦争においてこれは当然の事だ」
槍をセフィロスに向け、その男は高らかに名乗った。
「我が名はイスルギ。7代目ウータイ五強聖・総の武将だ!!」
五強聖の話はセフィロスも聞いた事がある。その中でも「総の武将」と言えばウータイ最強の戦士。
勝てる相手ではない。ゲイルですら勝てない相手に、セフィロスが勝てるはずは無かった。
だがセフィロスは、ソルジャーの基本武装であるハードブレイカーを振り上げ、イスルギに向かっていった。
「お前はその男ほどの闘気を感じない。私の敵ではない!!」
超速で槍が振り下ろされた。ゲイルならば何とか捌けても、セフィロスには反応できない。
左肩に直撃を喰らった。関節が外れるのを感じる。
セフィロスはマテリアに手を翳し、サンダーを使おうとした。だが魔法の発動よりも速く2撃目の槍が来た。
ハードブレイカーが、はめたマテリアもろとも粉々に砕けた。セフィロスも衝撃で吹っ飛ばされる。
いつの間にか、雨が降り始めていた。泥の中に倒れるセフィロス。
イスルギは、自分の圧倒的な力に酔いしれていた。「フフフ…努力によって無敵の力を得た私には
勝てん!!雑魚がいくら群れた所で圧倒的な『力』の差は埋め様が無い!!!」
しかし、倒れたセフィロスにゲイルが囁いた。生きていたのだ。
「セ…フィロ…ス…正宗を…取れ…お前ならば…使いこなせる…」
思いがけない言葉だった。「隊長、生きていたんですか!?」
「もうすぐ本当に逝く事となろうがな…とにかく、正宗は自ら使い手を選ぶ。お前ならば正宗に認められるだろう…」
ゲイルの口からは血が流れ出している。確かにこの吐血量では助からないだろう。
「あの男は強い…だが…お前の中に眠る力は…あんな物では…無い…」
そういうと、ゲイルは再び気絶した。
動かせる右手で、正宗を掴む。剣を頼りに立ち上がる。
そしてセフィロスは、外れた左肩を右手で嵌め直した。激痛が走る。
だが、セフィロスは全く痛みを感じないかのようにイスルギに向かって突進した。正宗が手の中で鳴動するのを
感じる。〔剣の奥義は、心を無に〕
ゲイルから教えられた剣の基本。今なら解る。敵の動きを見るのではなく、感じるのだ。
イスルギが繰り出す神速の槍をかわし、弾き、セフィロスは間合いを詰めていく。「見える…」
怒りと、僅かな恐怖に歪むイスルギの顔が分かる。「見えるぞ…!!」
最後の一撃を弾き、正宗を突き出す。一瞬の刹那、時が止まる。
「…ゴフッ!!馬鹿…な…この…最強の武将である…私…が…」
泥の中にゆっくりと斃れるイスルギを尻目に、セフィロスはゲイルの元へ走った。
>>96-100 武器が使用者を選ぶ、物に宿る思い。それを持つ者の思い。両者の共鳴。
……こういう思想大好きです。
一瞬、前に出てきた武器職人が何かの伏線になっているのかと思ったり
しました。ぶっきらぼうな武器職人、彼最強。(w
純粋に、決闘は燃える。
>>101-102 FF7ACが“映像作品”で出ると聞いて、ちょっと不満を漏らしていましたが、これ
見ると思わず傾きそうになる自分がいます。(というかもう傾いてる。w)
でもFF7はリメイクや続編より、ミッドガル都市開発(か、神羅カンパニーの経営)
シミュレーションの発売を、熱烈に期待してるんですが。(無理)
(前話は
>>95。…どうなんですかね? この路線で突っ走るのって。w)
-------------------------------------------------------
彼女には、それが不思議でならなかった。
何故この男は、こんなにも自信にあふれた表情で言い切れるのだろう?
多くの同僚達を失った。同僚だけじゃない、大切な人達を失った。神羅内外を
問わず、一連の出来事で犠牲になった多くの人々がいた。
神羅、そしてそこに与していた自分には、大きな責任がある。
決して弱いとは思っていないが、この重圧には耐えられそうにない。
現に、目の前で多くの人々が死にゆく様を見ている。そして今、星そのものが
滅ぼうとしている。
逃れようのない現実に、普通の人間であればとっくに命を投げ出し、生きる事
そのものを放棄していたかも知れない。けれど、イリーナはここにいる。
自らの足で神羅に、戻ってきたのだ。
何故?
不思議なのはリーブの態度ではなくて、自分の行動だった。
「間違っとらへん。あんたもそう思とるから、ここへ戻って来たんちゃうか?」
彼の言うそれが、全ての答えだった。
軽く肩を叩かれて、ようやくイリーナは我に返ったようにリーブを見上げる。
いつもの笑顔がそこにある。
そして。
「間違っとらへん。せやからもっと、リラックスしーや」
「でっ、でも……!」
今度はまるで宥めるように肩に手を置いて。
「たまたま、今回は納期が差し迫っとる仕事やと思えばいい。わいらなら出来る。
……いんや、プロフェッショナルやさかい、やり遂げたろやないか。な?」
一瞬、驚いたような表情を浮かべたが、直ぐに下を向いてしまうイリーナに。
「わいらはプロフェッショナルや」
繰り返し告げられた言葉。
それは、仕事ではない。
生涯をかけてこの星に懸けようという決意の言葉。
「……ミッドガルの人達は、一時的にプレート下に避難してもらおうかって思と
るんや」
元来、ミッドガルのプレートは貧民層を押し込めておくための隔壁ではない。
いざという時の為にシェルターとしての機能を持たせたその真価を、今こそ発揮
できるのだ――それは、都市開発に携わってきたリーブにとっては念願でもある。
自信と、希望に満ちた声は語る。
「わいは、これが正しいと思とる。せやからここに留まっとるんや。北の大空洞
へ行ったって役に立てへん。けど、ここにいれば出来ることがある」
――都市開発部門の長として、それが務めや。
それが武器を持たないリーブが選んだ、彼なりの戦い方だった。
「この男は強い」と、イリーナは心底思うのだった。
同時に、見失いかけていた自分を取り戻したような感覚を、その身に覚える。
沸き上がるこの感覚は、紛れもなく。
「統括。わたし……」
生きようとする力。
「私にも、手伝わせて下さい!!」
守ろうとする意志。
この星に生まれ落ちた者が背負う宿命と戦わなければならないと言うのなら、
最後まで抗ってみせよう。星の前に一個体の抵抗など無駄だと分かっていても、
そう思うのは性なのだと思う。
自信を持って言えるのは今、自分が生きているという事実。そして生きたいと
いう真実。ならばそれに、身を委ねるのも悪くはない。
「ただ、滅びを待つだけ」。
残念ながら人間とは、聞き分けの良い生き物ではない。
空から降る巨大な災厄にさえ、立ち向かおうとする彼らなら尚のこと。
「……待っとったで、その言葉」
リーブはイリーナの顔を見て、楽しそうに笑っていた。
「人手が足りんのや。……悪いけど、こき使うで?」
「のぞむところです!」
無意識のうちに、イリーナの声が弾む。
「危険やで?」
「承知の上です!」
躊躇い無く答えるイリーナの姿に、リーブは一瞬表情を崩したものの。それで
も彼女の固い意志を確認すると、こう告げたのだった。
「……そいじゃ、75分後に神羅ビル1F正面玄関入り口に集合や。時間厳守の無
理は禁物。ええな?」
「分かりました! それじゃあ、用意して来ます!!」
止める間もなくそう言って、イリーナはカートを押して走り出した。
「わっ! ちょ、イリー……」
走り去るイリーナの後ろ姿と、自分の発した語尾が薄闇のフロアに消え入る様
を見届けながら。
取り残されたリーブはやや困った表情を浮かべると、ポケットにしまってあっ
た紙片を取り出した。
都市開発部門統括・リーブに言い渡された最後の辞令。
それが、諜報活動。
紙片は、この任務遂行に際して発生する費用を申請するためのものだった。
結局、上層部へ提出することの無かったそれを見つめて、いたずらを思いつい
たように口元を歪め笑ってから、胸ポケットにしまってあったペンを取りだした。
「……申請、受理してもらえるやろか?」
提出する宛てのない、旅費精算の申請書を記入しながら呟いた。
行き先。希望を込めてその欄に書き入れた字は――
『約束の地』。
――旅費精算申請書<終>――
------------------------------------------------------------------
ありがちなオチですみませんですた。(w
>>104 自分の行動だった。 →自分の行動だと気付く。
>>105 それが武器を持たない →これが(以下同)
……勢いだけで書いたらイカンね。(w
「隊長!!」セフィロスは泥の中に倒れるゲイルに必死で呼びかけた。
しばらく間を置いて、ゲイルが目を開いた。「…セフィロス」
「隊長…やりました…俺は、あの男に勝ちました!!」
降り注ぐ雨と雨音が、包囲しているウータイの兵達から2人の会話を隠していた。
「おめでとう、と言ってやりたい所だが…どうやら私も、ここで終わるらしい…」
「何を言ってるんですか、何とかミッドガルへ帰り…」セフィロスはそこで止めた。
無理だと解っていたからだ。200人を越える敵兵の包囲を、手負いのゲイルと自分だけで
突破できるはずが無い。ゲイルもそれは解っていた。
「だが、お前だけならば…あるいは逃げ…られるかも…知れぬ…」
ゲイルの息が荒くなってきた。もう時間が無い。
「セフィロス…お前ならば…きっと…なれ…る…最高の…ソルジャーに…」
「…違う、最高のソルジャーは、あなたのような人を言うんだ…!!」
ゲイルが目を閉じる。「さらばだ…生き…よ、セフィロ…ス……」
それきりだった。もう、ゲイルが目を開ける事は無かった。
「よ、よ、よくもイスルギ様を!!…だが、恐れるな!!敵はたった1人だ!!!」
ウータイ兵達がセフィロスに槍を向ける。周りは全て槍の穂先で埋め尽くされている。
「見ていて下さい、隊長…」降りしきる雨の中、セフィロスはゆっくりと立ち上がる。
「俺は必ず…世界一のソルジャーに…『最高のソルジャー』に…なってみせる……!!」
山間を覆うウータイの兵達の中で、何かが閃いた。
(※注・付け忘れたが
>>109は
>>100からの続き)
その後セフィロスは、鬼神の如く戦った。並み居る敵を正宗で薙ぎ払い、魔法で吹き飛ばし、
ウータイの精鋭255人をたった1人で残らず葬った。
神羅はこの功績を認め、セフィロスに勲章を授与。民衆は神羅の大々的な報道によって
セフィロスを「英雄」と呼ぶようになった。
そして翌年、戦争は神羅の勝利で終結する。セフィロスは伝説のソルジャーとして
終戦後も人々に称えられた。
彼の持つ長刀の持ち主が誰であったか、知る者はごく一部のソルジャーだけだった。
彼は、ゲイルとの約束を果たしたのだろうか。世界一のソルジャーと呼ばれ、英雄と呼ばれた
あのセフィロスは、「最高のソルジャー」であったのだろうか?
別れ際のゲイルは、何を思ってセフィロスに「生きよ」と言ったのだろうか。
知る術は無い。彼はもういないのだから。
淡々と仕事をこなす日々に、いつしか埋もれていった記憶。
命令に従って、只管人を捕まえ、殺し、神羅の支配を早めただけの日々が、セフィロスの目指した
「最高のソルジャー」だったと言えるだろうか。
ウータイのミッションである少女にサインを渡した日――あの日以来セフィロスが笑う事は無かった。
嘲笑や、苦笑でない本当の微笑みを見せたのはあの日が最後。
――あの時、自分はもう死んだのだと―――
ふぁい。ここまででセフィロスの追憶編は終了。次からはまた本編に戻りまつ。
セフィロスは過去に何かあったキャラだと思ったので追加した始末。
>>104-108 …すッばらしい…イリーナに微萌え(´Д`)
>>101は偶然見っけたので貼ったモンですが…その日は忙しくて本編書けず。
申し訳ないので概出ながらもACを置いていった次第。セフィロスイイ!!!
「……これが、正宗を手に入れた経緯だ」
セフィロスの語る過去を聞いていた者は皆、しばらく動く事もできなかった。
そのうちに、ユフィがポツリと話し出した。
「…7代目、総の強聖…イスルギの槍といえば、五強の塔に保管されていた宝器だ…」
セフィロスは頷いた。「あの後槍の確認まではしなかったからな…」
クラウドには想像もできなかった。ソルジャーになり損なった彼には考えも及ばない。
世界一の、最高のソルジャーになる為に毎日只管訓練場と図書館を往復する日々。
自らの理想とした者の遺言を貫き通す強靭な意志。
しかし今のセフィロスはそんな男には見えない。椅子に座り込み、俯いて哀しげな笑みを浮かべる
セフィロスは触れたら壊れそうなほど脆く、どこか頼りない感じがした。
〔それもそうだろう、セフィロスだってベースは人間だ。…ジェノバの強さと対極にある、
人間の持つ弱さが今垣間見えた気がした――〕
その時だった。操縦士が突然奇声を上げたのだ。「うぇへほふぉ!?」
シドが操縦士の肩を叩く。「どしたぃ、変な声出すんじゃね……!!?」
シドの視線が釘付けになっている。クラウドが正面の窓から何かを見つけた。
「これは…」ミッドガルが微かに見える。そして、ミッドガルからは煙が立ち昇っていた。
「よ、よーし…雑魚の数も大分減ってきたで…」
額から汗を流し、息を荒げながらもリーブはまだ戦い続けている。
もうどれくらい戦い続けているだろう。あちこちにほとばしる爆炎と閃光で昼も夜も
解らない状況だった。「もう、煙で空が見えんわ…」
ミッドガルの6番街は、神羅兵やケット・シーを送る必要が無かった。
現場に住んでいた不良や犯罪者が片っ端から撃退してしまうからである。
だが、その隣…5番街では最も熾烈を極める攻防戦が展開していた。
「敵の数を良く考えろ!!この数ならコントロールしている大型機動兵器かアンテナがあるはずだ!!」
赤い制服を着た神羅隊長が叫ぶ。機械なら得意だ。
いつだったか、海底魔洸炉でテロリストの一味に捕虜にされた事を思い出す。
あの時死の危機を脱した事に喜んだ。だが同時に、何もできぬ自らの無力さに心の中で泣いた。
「――もう、あの日の俺じゃない」
バルカン砲を連射する。吹っ飛んでいくロボットの背後に、何か大きな影が揺らめいた。
「居たぞ!!あれが指令機だ!!」バルカンを向ける。その影がひび割れた街灯の下に現れた。
―――プラウド・クラッド弐号機。対ウェポン用機動兵器の強化型。
両腕のダブルガトリングが回転し始める。近くのロボットごと、仲間が蜂の巣になって行く。
とても、通常兵や量産型ケット・シーに勝てる相手ではなかった。
〔駄目だ。逃げなければ〕
神羅隊長は踵を返し、逃げようとした。だが、足が動かない。
――また…逃げるのか…?―――
頭の中に響いた声。それは紛れも無く、自分自身の声。
弱かった。惨めで、無力で、何もできない自分の弱さが憎かった。
潜水艦の中から解放され、空の彼方に消えて行く飛空挺を見送りながら誓った。強くなる、と。
「ここで逃げれば俺は…何も変わらない。弱くて情けない、ただの雑魚…」
身体中の火器を乱射するプラウド・クラッドを見ながら彼はバルカン砲を投げ捨てた。
「……嫌だ」
背中に掛けたもう1つの武器を手に取る。徹甲弾を装填したリニアレールガン。
狙うはただ1つ。あの巨躯の中心にある動力炉…MMR(Micro-Makou-Reactor)を撃ち抜くのだ。
弾丸は3発。一発目を放った。
腕に弾かれた。だが、それで左腕の関節がおかしくなったらしくガトリングの回転が止まった。
ニ発目。胸部のジャマーアーマー改がぶっ飛んだ。リアクターがむき出しになる。
弾丸の残りは一発。反動のおかげで自分の腕もこれが限界だ。
「当たれぇぇぇーーッ!!!」
一瞬の刹那。空を切り、飛ぶ弾がスローモーションの様に見える。
鈍い衝撃音。そして、リアクターを貫かれたプラウド・クラッドはゆっくりと崩れ落ちた。
「ハハハ…これで俺も少しは…強くなれたか…?」
今更ですが指輪物語って面白いかも…。残業切り上げてでも帰ってヨカタ(;´д`)。
……でも、えらく中途半端なところで終わったのはヤパーリ(ry。
>>FINAL FANTASY VII ATONEMENT
“目立たなかったキャラの再利用”にしては、(゚д゚)ウマーな配役だと思いますた。
ミッドガル攻防戦の有様以上に、無機質な標的(プラウド・クラッド2)へ伸びる
弾道と共に描かれる、一人の男の心理描写が対照的で(゚д゚)ウママー。兵器に勝るは
人の心なり。……ん? もしかして(などと考えつつ、次の展開が楽しみです)。
>>94 お礼が遅れましたが解説ありがd。ヤパーリここは、sage進行でひたすらマターリをキボンヌ。
FF6のアイテム『血塗られた盾』を巡る物語。前「The Executor - 亡失都市編」
から続いてるような気がする話。今回の盾装備者はセッツァー。
ちなみに前々スレから散らばっているものをとりあえずまとめたテキストとか↓
ttp://www5a.biglobe.ne.jp/~h-mizo/PiAftSt_FF/FF6SidSt1.txt(〜FF6SidSt3.txt)
----------------------------------------------------------------
停泊中だった飛空艇ファルコン。他の仲間達はまだ眠りの中にいるはずであろ
う真夜中――辺りに月の雫立ちこめる草原の中に、彼は一人で佇んでいた。
フィガロ城と砂漠の地下に眠る、滅びた古代都市で起きた『血塗られた盾』の
悪夢を思い出しながら。
「……一体コレは、どんな夢を見せてくれるってんだ」
持ち出したそれをぼんやりと眺めながら、セッツァーは小さく嗤った。
***
『血塗られた盾』とは、そもそも出所も分からない怪しい品ではあった。
炭鉱都市ナルシェの住民から託された、この『伝説の武器』は期待した程の性
能も備わってはおらず、挙げ句の果てにナルシェ領でのロックや、古代城探索中
のエドガーが示すように――文字通り、禍しかもたらさない武器だと思われた。
『呪い』と例えられたのは盾の『クセ』ではないか? 当初エドガーはそんな
推論を示し、それを実証する意味でも彼が装備し臨んだのが古代城だった。
しかし、古代城の奥で繰り広げられた光景は、盾の持つクセとは言い難い。
――それが、あの場に居合わせた誰もが導き出した結論だった。
伝説のハ竜との交戦中に倒れたエドガーが無事に目覚めたから良いようなもの
の、皆の待つファルコンまで戻ってくる道すがら、彼の口から事の真相を聞かさ
れた時は、悪い冗談でしかないと思った。
「……それで。結局のところ、お前はただ寝てたってのか? その間に、悪い
夢を見た。と?」
「そうなるな」
簡潔に言ってしまえばセッツァーの言うとおりだったから、否定のしようがない。
無論、あれが『死の宣告』であることは説明するまでも無いことだったから、
エドガーは真面目な表情のまま頷いてみせた。
「『そうなるな』じゃねーだろ!! ……ったく、俺達がどんだけ大変な思いで
フィガロ城まで辿り着いたと思ってるんだよ」
「すまなかった」
いきり立つセッツァーとは対照的に、普段と全く変わらないエドガーの態度が
余計に腹立たしく思えた。
もっとも、フェニックスの尾や魔法の力を借りて、すぐ意識を回復させなかった
事を弟の話に聞いていたエドガーは、彼がそうした意図をある程度汲んでいたか
ら――謝ることしか出来なかったのだが。
「そんな盾、捨てちまえ」
「そう言う訳にはいかない」
「なんでだ?」
「店で買える物ではないからな」
「んなモン、役に立たねーんだから律儀に持ってる必要ねぇだろ!?」
セッツァーの言う事すべてに対して、即座に反論されるから更に苛立ちが増す。
会話が進むにつれ、彼の口調は次第に強くなっていた。
一方のエドガーはといえば、セッツァーの苛立ちを目の前に見ながらも態度を
崩すことはなく、淡々とした口調で返し続ける。
「役に立たない物を大切に保管しているとは考えにくい。……ナルシェで出会っ
た彼が、あの盾を持ち続けていた理由は、そう言う事だと思うんだが」
「そいつが物好きだったんだろ?」
「そうかも知れない」
「なら!」
「……だが間違っていたのは俺だった。これを装備してみて分かったよ」
ことさら真剣な表情で言うものだから、セッツァーは口に出しかけた反論の言
葉をのみ込んだ。
『敵を斬るのは刃ではなく、己の念でござる。』
それは初めてこの盾を手にした日、カイエンが語ったことだった。
「あのとき俺は、カイエンの言った『念』の意味を深くは考えなかった。だから
盾を装備したロックの身に起きた出来事も、『呪い』ではなく盾の持つ『クセ』
だと解釈したんだ」
>>119の奴見れなくなってましたね…スマソ。
(
>>114から)
6番街は無法者の集う場所ではあったが、それでも暗黙の了解の様な物はあった。
まず1つ。危急の際は力を合わせ戦うこと。
2つ、訳も無く殺しを働かない。
そして3つ、「リーダー」の言う事は絶対であるという事。
「リーダー」の顔を見た物はほとんど居ない。にもかかわらず彼が荒くれ者達を束ねられる
理由は当然その実力によるものだった。
そして今回の防衛戦において、初めて彼を見たという者も少なくなかった。
初めてでなかった者――それは、意外な人物だった。
「6番街も一応見ておかんと…心配いらんとは思うがなぁ」
リーブはケット・シーMk2を駆りミッドガルを疾走した。もう主要な戦闘は終わった様で、
そこら中にロボットの残骸と人々の死体が累々。凄惨なほどにリアルな戦場。
6番街のゲート前にもロボットの残骸が山となっていた。ケット・シーを出て辺りを見回すリーブ。
その時だった。山積みの残骸の影から声がした。妙に聞き覚えのある声だ。
「お前は…神羅のリーブ…このロボットどもは一体何だ、何が起きている?」
端正な容貌と、それに似合わぬ暗い表情。
「ヴィンセントはん、何でアンタがここに!?」
仕事がなくなりそうだから、今度おいらもこのスレに書き込み挑戦します!
>>120 漏れがFF7のED後を予測した時、ヴィンセント氏はルクレルィアの洞窟で隠居生活
以外あり得ないと信じて疑いませんでしたが、こういう生き方もあるか…。「混沌の中の
秩序を司る沈黙の支配者」、というのは彼らしいですね。
それにしても119は何だったんだろう?(w
>>121 期待&応援sage
……誰か、アイテムに萌えたヤシっていないのか? いないのか!? 漏れがオカシイ
だけなのか?! そんな自問自答をしながらも投下。
たまにはアイテム萌えなSSがあっても……いいですか、ね?
(前話は
>>116-118。FF6に登場のアイテム『血塗られた盾』の物語。)
--------------------------------------------------------
「……そうじゃなかったのか?」
セッツァーの問いに、無言で頷く。
「エドガー殿はあの時、この盾に宿る『念』に反応したという事でござるか?」
続くカイエンからの問いに暫く考え込んだ末、エドガーはこんな話をした。
「……あの夢を見るまで……そう、盾を装備して敵前に立った時……確かに
聞こえた気がするんだ」
「何が?」
「分からない」
「お前さ……」呆れた様にセッツァーが呟いた。「言ってるコト矛盾してるの分
かってるよな?」
その指摘を受けてエドガーは苦笑しながら答える。
「……『聞こえた』、ではなくて『感じた』という表現の方が的確かな?」
「だから何を?」
いまいち釈然としないエドガーの反応に、やはりセッツァーは苛立った口調で
問い返す。
「この盾の元の持ち主の……思い、というか、願い……のような」
「以前の持ち主の願い……でござるか?」
「お前にしちゃ珍しく抽象的だな」
カイエンとセッツァーの言葉を肯定するように頷く。そしてエドガーは、自分
が今わかっているだけの事を告げた。
「この盾を持っていた人物は……それがどんな理由であれ、『戦い』を望んでは
いなかった。そんな気がするんだ」
――この盾が、二度と使われる事のない平和な世界を。
「エドガー殿の見た悪夢というのが、そのような内容だったのでござるか?」
今度は首を横に振ってそれを否定する。
――違う、そうじゃない。戦いを望んでいないのではなくて、まるで……――
これまでの会話を後ろで黙って聞いていたマッシュが、ふと呟いた。
「戦闘の妨げになるような事ばかり引き起こすんだもんな……。もしかしたら、
兄貴の言う通りなのかも知れない」
「だったら『盾』の意味ねーじゃん?」
「……そうなんだけど」
セッツァーの一言であっさり引き下がるあたりは、兄と違い舌戦に不慣れなマ
ッシュらしい姿だ。
「戦闘を妨げる盾、元の持ち主の望まぬ戦……。もしかするとその盾には、戒め
の意味が込められているのやも知れませぬ」
無駄な血を流さぬために、争いを避けるために。そんな風にカイエンは言った。
「だから捨てられない。いや、捨ててはならない様な気がする」
こうして、セッツァーの反論は封じられたのだった。
「それじゃあ、今度は俺が装備してやるぜ」
悔し紛れという訳ではないが、吐き捨てるように言い残すとセッツァーはその
場を離れ、早々にファルコンへと乗り込んだのである。
---------------------------------------------------------------
>>123の「ルクレルィア」は、「ルクレツィア」ですた。寒くてキーボード入力がツライ。
日に何度もすんません。今更なんですが訂正させて下さい。
>>83 「……どうしても、伝えておきたい事があったんや」
↓
渡しておきたいものが
こうしないと、オチとの矛盾が出てしまうという重要な部分に今更気付きました。
スレ汚しホントにスマソ。
127 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:04/02/12 12:53 ID:dCbrql7R
一番下に来たのであげます
最後まで読み終えた後に修正レスがあったりすると、
再読して文意を捉えなおしたりしなきゃならないので、できれば避けて欲しい。
つか、修正訂正多すぎじゃないかい?
充分な推敲は、当然しているんだよね?
いっそ、一度スレにうpしたらそれが完成品だと言う気概つーか
開き直りがあっても良いんじゃないかな。
うp後に訂正箇所に気づいて禿しくイヤンな気持ちは判るけど。
>>128 正論!!
……というか、正直スマンカッタ。
充分というには妥当かどうか分からないけれど、ここへうpる以上、他人様に晒す文章な
訳だからそれなりに……とはいえ、訂正修正多いですね。誤字程度なら良いんですが。
(´-`).。oO(コンカイノFF7SS、ホントハツォンネタダッタノガロセンヘンコウシテシマッタモンデ…ゴメソ)
余談で。
文面をそのまま受け取るともの凄く嬉しいレスにも読めますが…。どちらにせよ、ありがd。
しかし、一番恐いのは本編そのものの設定を読み違える事だったりもする。(w
以下小ネタ。突然こういうノリを書きたくなる日もある。……ストレスの産物。
舞台 :FF6世界崩壊後・飛空艇ファルコン
登場人物:多分その辺にいる仲間達。……って適当すぎますか?
----------------------------------------------------
彼らはケフカを目指し、今日も己の技を磨きながら旅を続けていた。
この艇(ふね)に集う仲間達は皆、それぞれ出身地も育った環境も違えば、職
業や立場も、それに伴って考え方も違う。そんな彼らに唯一共通している事とい
えば、『打倒ケフカ』という一点だけなのである。
今はこうして同じ艇に乗り合わせていても、誰一人として同じ目的地に向かっ
ている者はいなかった。
この旅路の果てに、彼らがまだ生きているのだとすれば。
その先に待つのは別れだという事を、知らぬ者はいなかった。
***
いつものように朝が来る。
仲間達の中で真っ先に目覚めるのはティナだった。
彼女は飛空艇を降りて、まだ日も昇らぬ薄暗いうちから外へ水を汲みに行く。
街や水場の近くに飛空艇を停めているから、それ程長い距離を歩かずに済むのだ。
鳥たちもまだ起きていない、薄闇と静寂に包まれた世界がティナは好きだった。
ティナが飛空艇へ戻って来る頃にはセリスとカイエン、それにマッシュも起き
ている。女性陣は食事の用意に、後の二人は早朝鍛錬に忙しく動き回っている。
その後、暫くしてからシャドウの姿も見かける。インターセプターを連れ立っ
て、やはりこちらも早朝鍛錬だろうか。
ここでようやく、地平線からオレンジ色の太陽が顔を覗かせる。
日の出と共に起床するのはストラゴスとガウ。この辺りはさすが、長寿の秘訣と
野生児の習慣というところだろうか。
とりわけ水場では、ティナとセリスが用意する食事を、こっそり横からつまみ食い
しようとするガウとの攻防が繰り広げられていたりもする。
さて、太陽はいつもの白い輝きを取り戻し天に昇る頃。ロックやリルム、エドガーに
モグやゴゴといった大方のメンバーが、朝食の匂いに誘われるようにして広間に集まって
来る。
「腹減ったぜ」
「いつも忝ないでござる」
早朝鍛錬に出かけていた仲間も戻って来て、食卓には簡単な朝食が並べられて
いる――余談だが、時折マッシュやリルムが朝食を作る時もあったりする。
「いただきます!」
こうして、大所帯ファルコンの賑やかな朝食が始まる。
皆がテーブルを囲み、各々のペースで朝食を摂る中。
「ねぇ、悪いんだけど頼んで良いかな?」
いつものようにセリスが告げた。彼女の申し出を受けて、リルムが渋い顔をする。
「え〜」
「そんなこと言わないで、ね? お願い」
両手を合わせて、必死に乞うセリスに。
「今日は誰か、代わりに……」
助けを求めるように周囲を見回すが、誰もリルムと目を合わせようとはしない。
「ちぇ。なんだよ……」
ロッドを握りしめ、リルムは意を決したように顔を上げると席を立った。
そう、これから彼女は『決戦』に向かうのである。
食卓を囲んでいた誰もが、小さな彼女の背中に無言で応援を送る。
安堵と期待の入り混じった視線を一手に受けて、リルムは決戦の場へと向かう
べく、広間を後にした。
やがて、彼女の前に一つの扉が見えてきた。
この扉の先に、“敵”がいる。
そう思うと、ロッドを握る掌にうっすら汗が滲む。
(……いっつも、リルムなんだよね……)
肩を竦めながら、扉の方へ一歩一歩近づいていく。
足音を立てず、息を殺してドアの前まで接近すると、意図的に肩の力を抜き、
深呼吸するのだった。
来るべき激闘に備え、リルムは体勢を整える。
(いくわよ……!)
壁に背を密着させ、左手にはロッドを握ったまま右手で扉に手を掛け、間髪を
容れず部屋の中へ一気に押し入る。
同時に早口で詠唱するのは、防御魔法プロテスだった。
――皆が集まり、食事をする広間からリルムを送り出して3分も経たない頃。
沈黙が支配する食卓に響き渡ったのは。
「こら! いつまで寝てんだこのヤロー!!」
「もっとマシな起こし方しやがれクソガキ!」
怒号の合間に、何かが割れる清らかな音。
「いつまでも寝てる方が悪いんじゃんか!!」
「こっちは色々と疲れてるんだ! お前みたいなのと一緒にするな!」
かと思えば、何かを抉るような鈍い音。
――そこらのモンスターよりも、朝のセッツァーはよっぽどタチが悪い。
「ふっざけんなよー」
「んだとコラ!」
その後、しばらくして耳に聞こえない音が響く。
(まずい!)
広間で誰かが叫んだのと同時に、艇が大きく傾いた。
この直後、ファルコン号にいた全員に避難勧告が出されたのは言うまでもない。
***
「だいたいなぁ……」
ファルコン号の外は、今日も穏やかな晴天に恵まれていた――とはいえ、ほぼ
一年以上続く旱天の空には、あまり喜ばしいものではなかったが。
セッツァーは臙脂色の空を見上げたあと、少しだけ視線を降ろして舌打ちする。
目の前には、傾いたファルコン。
「艇内で魔法ぶっ放すバカがいるか?」
しかもアルテマ。
さらに視線を降ろして、地上に立つ小さな自称・画家を半ば睨み付けるように
して見つめながら、腑に落ちないといった表情で呟いた。
「いーっつも寝坊する方が悪いんじゃんか!」
と主張するのは、狭い飛空艇内で攻撃魔法アルテマを放った張本人のリルムで
ある。
他のメンバーも外へ避難し、この騒動での負傷者は幸いにも0名。
……もっとも、こんな事で負傷者を出していたのでは先が思いやられるという
ものだ。
「この分じゃ、今日は飛べねぇぞ?」
「……仕方がないわね、これじゃあ」
誰の目から見ても飛空艇は空を飛べる状態ではなく、修理には時間がかかるこ
とは明かだ。
いくらかつての友人の頼みで、しかも世界を救うという大義名分を背負ってい
るとはいえ、旧友の寝起きの悪さにアルテマを使われた揚げ句、飛べなくなった
と言うのでは、この船の元の持ち主も浮かばれないというものだ。
――いやむしろ、空の上では化けて出るのを望んでいたかも知れない。
気まずいような、一方では途方に暮れたような沈黙の中。
ふむ。と、一つ息を付いてからカイエンは目を閉じてこんな言葉を呟いた。
「飛ばぬなら 飛ぶまでまとう 飛空艇」
――カイエン=ガラモンド
詩を詠むというのも久しぶりだ、と昔のことを懐かしむように穏やかな笑顔を
浮かべる。
その後ろから、ストラゴスが悪のりしたように続けた。
「飛ばぬなら 飛ぶまで寝よう 飛空艇」
――ストラゴス=マゴス
この様な歌詠みの風習は、世界共通という訳ではない。それでも彼ら二人の遣
り取りを眺めていたエドガーは、楽しそうな表情で歌会に参加したのだった。
「飛ばぬなら 飛ばしてみせよう 飛空艇」
――エドガー=フィガロ
飛空艇機関室の様子を見てくるよ、と、身振りで示した後、彼は機関室の方へ
と歩き去っていった。
そんなエドガーの後を追うようにして、セッツァーも流れに乗って。
「飛ばぬなら 黙って見てろよ 飛空艇」
――セッツァー=ギャッビアーニ
そう言って、エドガーの後を追うようにしてその場を去った。
これは、一定のリズムで言葉を繋いでいけばいいの? と、聞いてくるセリスに
カイエンが頷く。……正確にはそれだけではないのだが。
それじゃあ、とばかりにロックが言った。
「飛ばぬなら 歩いていこうよ 飛空艇」
――ロック=コール
歩いていくのはみんなの体力を考えても良くないよ。と、言う冷静な指摘に、
今度はマッシュが言う。
「飛ばぬなら 船でも行けるよ 飛空艇」
――マッシュ=フィガロ
こうなってしまうともはや、詩を詠むという展開ではなくなってきた。
「飛ばぬなら 筏も作るわ 飛空艇」
――セリス=シェール
もう、この辺から無茶苦茶である。
「飛ばぬなら ほしにく食いたい オレ好物」
――ガウ
脈絡もないうえに字余り。
ちなみに、字余りだと指摘するカイエンの話が理解できるはずもなく。これで
はティナに愛を説く方が早いのではないかと嘆いていたとか、いないとか。
「飛ばぬのは リルムのせいなの? 飛空艇」
――リルム=アローニィ
アルテマを放った張本人でありながら、悪びれた様子を見せずにリルムは詠う。
それでも、心なしか飛空艇に向ける視線に遠慮が見られる。
「飛ばぬなら 宿屋代わりの 飛空艇」
――シャドウ
現状を冷静に把握しつつも、さり気なく歌詠みに参加していたりするシャドウ。
口数こそ少ないものの、どうやら嫌いではないらしい。覆面の下の彼は、一体どんな
表情でこの詩を詠んでいるのだろうか。
そうしてなんだかんだと騒ぎながら、束の間だけれど平和な時間が過ぎて行く。
「飛ばずとも みんなの故郷 飛空艇」
――ティナ=ブランフォード
旅路の果てに、降り立つ地が違ったとしても。
今は、こうして共に笑い合いながら過ごす仲間。
掛け替えのない存在は、永遠に。
旅人達の歌詠みは、その後ファルコンが空に復帰するまでの間続くのだった。
同じ頃、遠く空で一筋の閃光が放たれた。
それは空を切り裂き、大地を砕く破壊の刃。
狂ったような笑い声と、狂気に満ちた塔の上から地上を見下ろしていた一人の男。
彼が、詠んだ詩。
「飛ばぬなら 壊してしまえ 飛空艇」
――ケフカ=パラッツォ
−タビビトノ詠<終>−
3日に1レス。これ基本。
すいません…アク禁がやたら長くて書けなかったんでつ。
書けないというのがこれ程までに鬱とは…
(
>>120から)
「あの戦いの後、私はルクレツィアと話した…小一時間と言わず、長い間語り合った」
リーブは黙っていた。さぞ気まずかっただろうと思いながら。
「彼女は、今やるべき事とできる事を考えろと私に言ってくれた…だから、今できる事をやっているまでさ」
そしてヴィンセントは笑った。滅多に(というか全く)笑わなかった彼が今笑っている。
変わったのだろうか。かつて愛した人と語り合い、1年の時間を人の中で過ごしてきた事が変化をもたらしたのだろうか。
「…そう、か。まあ、ここの不良どもがあんまり騒ぎを起こさんかったのはアンタのおかげなんやな?
感謝するで…ミッドガル自治会会長としてな」
5番街を担当した神羅隊長がリーブの元に走って来た。帽子に穴が開いているが、特に重傷では無い様に見える。
「リーブさん…滅茶苦茶な数でしたが、何とかなりました」
するとヴィンセントが隊長の腕を見て呟くように言った。
「…重火器の反動で相当腕を痛めたようだな。すぐに治療を受けるといい」
「な、何で解ったんですか!?」
隊長は相当驚いていた。ヴィンセントがそんな事知っている筈が無いからだ。
「なに、銃器に関してはタークスの頃に極めていてな。『魔弾の射手』などと呼ばれたくらいだ」
リーブには良く解らなかったが、その道のプロには解ると言う事らしい。
「はい、では病院が機能していないので臨時の治療所に行ってきます!!」
走っていく隊長の後姿を見つめながら、ヴィンセントは思った。
新兵だった頃から、随分と遠くへ来た物だ、と――
>>140 ……一貫したその姿勢が、実は凄く好きだったりします。(w
>>142 ヴィンセントにとってのルクレツィア、セフィロスにとってのエアリス……それぞれの
導となっている人物と、それによって行動を起こした彼らの姿がカコ(・∀・)イイ!
ミッドガル編はひとまず落ち着いたのでしょうか? すると次は……(そして続きを
期待sage)
そう言えば2/22ってシド(7)の誕生日らしいじゃないですか。と、言うわけでシド(7)
ネタを書こうとした……が。
舞台 : FF7(Disc4周辺)
登場人物: シドとシエラ………が出てくる。というだけで、主役はむしろマテリア(w
--------------------------------------------------------------------
彼らに与えられた最後の安息日。
故郷へ帰る者。肉親や愛しい者達と過ごす者。再び自分を見つめ直す者――彼
らが生きるか滅びるか。どちらにせよ、明日で全てが終わるのならば――せめて
今日ぐらいは。
それぞれが、思い思いの場所で時を過ごしていた。
そんな中。
「……どうしてこんな所にいらっしゃるんですか?」
「ここはオレ様の家だ。帰って来ちゃ悪ぃのかよ?」
ロケット村の中程にあるシドの家からは、役目を終え傾きながらもひっそりと
佇む発射台が見えた。
自宅の扉を開けると、中からは相変わらず白衣を身につけたシエラが出迎える。
絶世の美女とまでは言えないが、シドはこの女の事を悪からず思っている。
シド自身は意識していなかったのだろうが、「オレ様の家」に主以外の人間が
いる事に対する指摘がないのが、その表れだ。
――不思議なモンだ。と思う。
「なんつーかよ。やっぱ我が家ってのは落ち着くモンなんだな」
空が好きで、ハイウインドが好きで、そして念願だった宇宙にまで行った。胸
躍る様な興奮と、常に死と隣り合わせの戦闘、張りつめた緊張感。そして信頼で
きる仲間達と過ごす旅の日々――どれも、シドの望んだものだった。
けれど。
ここに流れているのは、そんな物とは程遠いひたすらに穏やかな時間。
椅子にどっかりと腰を降ろし、いつものように煙草に火をつける。
シエラは無言で湯飲みを差し出し、シドもまた無言でそれを受け取った。言葉を
交わさずとも、それが当たり前の日常。
「まぁ、オメェも座れや」
「先に片付けを済ませてしまいますね」
そう言って、シエラはあれやこれやと室内を忙しなく動き回る。
そんな光景をぼんやりと眺めながらシドは煙を吐き出すと、目の前に白い靄が
かかる。しばらくすると徐々にそれが晴れて、窓の外に見える発射台と――その
はるか上空に君臨するメテオが目に入った。
その禍々しい姿を見つめながら、無意識にシドは小さく舌打ちする。
「……クソッタレが」
そうして苛立ったように、まだ火をつけたばかりの長い煙草を灰皿に押しつけた。
お気付きの方もあるかと思いますが、71から続いている旅費精算申請書と
同じく「空白の1日」が舞台の話なんですが……その、今さらなんですが。
そもそもFF7にDisc4って……(SS書く以前の問題か)
>>ドリル氏 おまけとか追補編(セフィロスの過去とかw)を入れて
Disc4を作ればちょっと面白かったかも…
コーラス付きの田代音頭が見つからない…(´Д`)
(
>>142から)
「とにかく、以前と同じ様にパラシュートでミッドガルに降下する!!」
クラウドを筆頭に、パラシュートを背負って次々と飛空挺後部に向かう仲間達。
「…よし…みんな、行くぜ!!」
まさかまたこの感覚を味わうとは、ユフィは想像もして見なかった。
前回言わなかったが、ユフィはスカイダイビングも苦手だった。非常に辛い。
今回も飛んだはいいが、たちまち内蔵が浮き上がるような感覚に襲われるユフィ。
丁度遊園地にあるバイキング。得意な人は楽しいが苦手な人には拷問である。あれと同じだった。
「うぁああああ!?やっぱりこれはちょっ…と…!!」
顔面蒼白なユフィに、降下しつつもセフィロスが並んだ。
「直立したままだと苦しいから、少し身体を後ろに傾けてみろ」
「え?ああ……お、ホントだ。ちょっとバランスが…イイ感じに…」
本当はセフィロスはパラシュートなど必要無かったのだが(いつでも展開可能な翼があるからして)
ちょっとした心境の変化だった。
「そうだ…世界一のソルジャーになる為に、こんな事も訓練していた…」
やがて、全員が順にパラシュートを開いた。ゆっくりと着地するクラウド。
「みんな、ちゃんと降りられたか?…しかし、こんな光景は見た事が無いな…」
それもそうだろう。ミッドガルの街中にロボットの残骸と人間の死体が累々と転がっているのだから。
「おかえんなさい、クラウドはん」
着地した彼らを出迎えたのは、リーブとヴィンセントだった。
「あ、ヤバイ…また面倒な事に」
全員の不安が的中した。ヴィンセントとリーブの視線が同時にセフィロスに止まる。
「なっ、なっ、何やぁあ!!?」
「セフィロス…貴様、生きていたかッ!!!」
ヴィンセントがセフィロスの顔面にデスペナルティを向ける。
「何度でも、久遠の闇に葬ってやる!!」
クラウドが止める間もなく、至近距離から秒速800mの弾丸が放たれた。
しかしセフィロスはそれを避けた。そしてデスペナルティの銃身を掴むと、銃口を上に向けた。
「…確かに、私は到底償えぬ罪を犯した」
セフィロスは僅かに震えている。恐怖や緊張ではない。自分自身への怒りで震えているのだった。
「…だが、私を裁くのはせめて全てが終わってからにしてくれ…やるべき事が、果たすべき約束がある…!!」
ヴィンセントは銃を引き離し、力無くクラウドに訊いた。
「…クラウド、どういう事か説明してもらおうか…」
この後小一時間、これまでの経緯が説明された事は言うまでも無い。
「…何や、とんでもない事になってますなぁ」
当然だろう。セフィロス以上の力を持つ敵に、最後のウェポンと来れば充分「とんでもない事」だ。
「いいだろう。事が終わるまで貴様の処断は待ってやる。…だが、ウェポンとその男を倒した時には…
覚悟しておけ、セフィロス…!!」
目を閉じ、セフィロスは答えた。
「…甘んじて受けよう」
脇で見つめるユフィは、何故かも解らず哀しくなった。
>>148-149 遂に対面しましたか。
> 至近距離から秒速800mの弾丸が放たれた。
この辺の描写(・∀・)イイ! 激しくカコ(・∀・)イイ!
普段は物静かなヴィンセントというベースがあって、ここまでに語られてきた
話の展開があってのこの場面。重みが違います。
(バレット合流の時は一体どんな風になるのかが個人的には楽しみだったり。)
にしてもこの板に来てからというもの、FF7のラスボス戦は笑えて仕方ない…。w
(
>>144-145より続く、ロケット村/北の大空洞突入前の一日)
…というよりこの話、「白(黒)マテリアの個人的解釈」なだけかも知れない
-----------------------------------------------------------
「どうしたんですか? 艇長」
言いながら、茶菓子の入った皿を手にシエラがテーブルに着く。
「アレだ。邪魔ったくてしょうがねぇ」
彼女の問いに、顎で窓の方を指して答えた。
「メテオ……ですか?」
「空が狭く見えちまってよ」
「…………」
二人は無言のまま、窓外の景色を見つめた。
蒼く、澄み渡った空の上には目前にまで迫ったメテオの姿。
セフィロスが黒マテリアの力を用いて呼び寄せた、破滅の象徴とでも言うべき
それは、地上に生きるあらゆる生物の無意識に、絶対的な滅びという絶望を植え
付けていた。
「……簡単な……軌道計算をしてみたんですけど。でも……」
まるでその呪縛から逃れようとメテオから目を逸らし、俯きながら呟いたシエラに。
「お前も相変わらずマジメだなぁ。んなモンわざわざ計算なんかしなくったって
見りゃ分かるじゃねーか」
ここまで目前に巨大な隕石が迫ってきているのだ、この星が無事では済まない
だろうと言うことは、今さら軌道計算などしなくとも簡単に導き出せる。
むしろ、希望的な予測を立てる方が無理だと言っても過言ではないだろう。
裏を返せば、シエラはその僅かな可能性を探ろうとしていたのだろうか?
――誰の目にも明かな、絶望的状況を否定する根拠を……。
だが、そんな物は必要ない。と言ったのも彼だった。
「なあシエラよ、……オレ様が死ぬと思うか?」
シドの問いに、俯いていたシエラがゆっくりと顔を上げる。
目の前に座る男を見つめたまま。けれど、その瞳は揺れている。
「そっ……それは……、その。……分かりません」
“分からない”のではない。“分かりたくない”のだ。
この男に、死んでもらいたくはない。
けれど、そんな希望はメテオの前ではちっぽけな物に過ぎないのだと否が応で
も思い知らされる。
――ことさら、宇宙に出てこの星の姿を目の当たりにしたシエラならば。
「確かによ」
シドが二本目の煙草に火をつけながら話し出した。
「でけえと思ってたこの星も、宇宙から見たら小せえ小せえ」
暗黒の支配する宇宙空間に、ぽっかりと浮かぶ青い星。その姿はどこか心細い
印象を与えた。
「けどよ、シエラ」
シドは煙草をくわえたまま徐に席を立ち、部屋の出口の方に立てかけてあった
槍を手に振り返る。
慣れた動作で装備してあったマテリアを外すと、シエラに向けてそれを放り投げた。
「……艇長!?」
「それ、何だか分かるよな?」
「え? ……ええ。マテリアですね……回復……の?」
「上出来だ」
豪快な笑みを浮かべながら、シドは話を続ける。
「オレ様も良く分かんねぇがよ、こんな石っころの中にぁ大昔に生きてた奴らの
思念が詰まってるってんだぜ?」
マテリアとは、星を循環する魔晄エネルギーが結晶化したものである。魔晄
エネルギーとは星命学で言うところのライフストリーム。つまりは巨大な記憶と、
それに伴う知識の奔流である。
「まぁ、早い話がそっから魔法を拝借してるって訳だな。……だがよ、ただ単に
持ってるだけじゃあ魔法は撃てねぇ」
マテリアの中に収められた力を解放するには、必要な物がある。そう言って、
シドは胸を指しながら。
「それが、ハートってやつだ」
豪語した。
――黒マテリアを使い、メテオを呼ぶには膨大な精神エネルギーが必要なのだ
と。それは古代種の神殿、黒マテリアを手に入れた直後にエアリスが語っていた。
呼び出す魔法の威力に比例して、費やす精神エネルギーも大きくなる。多かれ
少なかれ、シド達は実戦を通してそれを肌身で感じている。
「だから、オメェが心配しなくても、オレ様達が死ぬなんて事ぁあり得ねぇよ」
いきなりの結論に、シエラはきょとんとした表情を向けた。
そんなシエラに、再びシドが別のマテリアを投げ渡す。
「……これは?」
「オレ様愛用の『全体化』マテリアだ」
自分の手の上で輝く、ぼんやりとした青色のそれを、シエラはじっと見つめていた。
そんな彼女に。
「似てると思わねぇか?」
と、シドは問う。
彼の問いかけに、無言で首を振ったシエラに。
「宇宙からこの星を見たときによ、思ったぜ。
『この星自体が、でっけえマテリアなんじゃねぇか?』ってな」
過去の膨大な記憶と知識を蓄えながら、星の中を巡るライフストリーム。
地上で今を生きる様々な生物たち。
この星を形成する彼らには全て意志があり、生きている。
そして、そんな彼らを育むこの星は、輝いている。
まるでマテリアのように。
様々な色を含んだ、星という蒼きマテリアの光輝。
それは、昨日までを生きてきた力強さと、明日を生きようとする希望の色。
メテオ迫る中。
二人は宇宙に出て、紛れもないその輝きを見た。
そして。
彼らもまた、この星に息衝く命の中の一つなのだ。
「オレ様はまだよ、死ねねぇんだ」
シドの声に応えるように、シエラは席を立ちゆっくりと彼の方へ歩み寄ると。
「……私もまだ、死ねません」
そう言って、渡された二つのマテリアを返した。
「シエラよ、……オレ様が死ぬと思うか?」
先程の問いに、今度は自信をもって答えられる。
「いいえ」
そう言ってシドを見上げたシエラの表情に、柔らかな笑顔が戻る。
一夜明けて。
再びあの笑顔を見るために、男は故郷を後にした。
−蒼きマテリアの光輝<終>−
「予想以上に連中が早くて出遅れたぞ、と」
頭を掻きながらレノが呟く。ルーファウスも不機嫌そうに頷いた。
しかし、ふと地上を見下ろしたルーファウスが何かを発見した。
「おい、スコープを貸せ」
遠視スコープを覗き込んだルーファウスは、静かに笑い出した。
「フッ…これは面白い。どうやら我々はつくづく連中と縁があるようだ…」
ルードが無表情のままポツリと訊いた。「それで、一体何が?」
「お前も見てみろ…何と何と、魔洸炉爆破テロの首謀者じゃあないか」
ルードは地上を見回し、走る一台のバイクを見つけた。
「隻腕の男…バレット・ウォーレスか」
「そう。もっとも、あの男にはクラウドほどバイクが似合う訳ではないが」
イリーナがタイミングを見計らったように、ルードからスコープをひったくった。
「それで社長…あの男、どうします?」
ルーファウスがまた笑い出した。
「…トラクタービームで引っ張り上げろ」
「…は?な、何故に?」
「フン、バイクでは時間も掛かろう。我々が連れて行ってやろうと言うのだ、ミッドガルに…」
この時タークスの面々は思った物だ。本当に真意の掴めぬ指導者だ、と。
だが、その時警報が鳴り響いた。
「レーダーに多数の飛行物体が…ミッドガルからです!!」
>>ドリル氏 遅くなりましたがグッジョブ!!
シド&シエラに渋く、優しく萌える漏れは最終解
うわ何をす(ry
ひょっとしたら自分は、ものすごく人の萌えに感化されやすいのかもしれない。
>>ドリルさん
怒涛のFF6&7話投稿乙です。
タビビトの詠が私的に好きでした。やっぱりドリルさんの日常の書き方は(・∀・)イイ!です。
各キャラの性格の違いもはっきり出ていて(しかもそれをしっかり掴んでいて)ウマーでした。
しかしなぜリルムが目覚まし時計代わりに…(w クチノワルサデ タメヲハル カラ?
…シャドウがさりげなくリルムのあとに続けている部分で何故か萌えますた。
こ、このスレでは萌え語りはSSにして出せばいいんですよね?と言ってみr(ry
>>FF7Aさん
ユフィに(*´Д`)ハァハァしますた。
一番感情が表に現れているからでしょうか。とにかく元気があって可愛い…
仲間が集まった後一体どうなるのか、
それから全てが終わったあとのセフィロスはどうなるのか(今一番気になるところです)、期待sage
>>雫夜さん
一日は短いですが人生は長いのであせらずゆっくりドゾー。
アーヴァイソ×キスティス(ですよね?)も前スレのお話の続きもお待ちしてますので。
唐突にシャドウ&リルムです。
2レス目が蛇足かどうかで迷っています。
個人的にはフィッシュバーガーに入ったデミグラスソースのような気がしないでもない。
(…そこだけ濃すぎるってコトで。曖昧な表現スマソ)
平生と変わらない禍々しい悪夢で目が覚めた。
目覚めは最悪だった。
悪夢を見ることにはすっかり慣れていたが、この後味の悪さにはいつまで経っても慣れることが出来ない。
親友を見殺しにしたあの日から見続ける悪夢。
唯一あの頃と違うのは、俺は今孤独ではないことだろうか。
手際よく積まれた薪の上で赤黒い炎が燃えている。その周りで彼らが談笑している。
俺は彼らからは少し離れた木立に寄りかかっている。
皆が寝入る前の僅かな合間にうたた寝をしてしまったらしい。
不思議なものだ。
異なる故郷を持ち異なる過去を持つ者たちが、共に同じ目的の為に旅をする。
俺のような日陰者でさえ組み込んでしまうその包容力のようなもの。
「仲間」という言葉の裏に隠された安心感、信頼感。
長く孤独であった俺が彼らに対しては気を許している。
寝首を掻かれぬように息を殺しシーツの中に身を潜めていた頃が遠い昔のようだ。
だが俺は彼らの輪に入ることはおそらく出来ない。それに入ろうとも思わない。
彼らの側には一時の平穏がある。
それを手にしてしまえば、今度こそ奴との約束を果たせなくなってしまうだろう。
いや、約束ではない。俺が一方的に決めたことだ。
敢えて言うならば、誓いか。
全てが終わったその時には奴の待つ地獄へと向かう、と。
安らぎはそんな俺の決心を鈍らせる。
あの村での生活のように。
平穏。俺には決して手に入れることの出来ないもの。
暗殺を生業とするようになって夢を見ることが多くなった。
職業柄いつ何時狙われるか分からない。深い眠りに陥ることはあまりに危険だった。
意識的に眠りを浅くしていた。だが浅い眠りの中では、かつての友の幻影が俺を苛む。
俺が殺した。俺が置き去りにしたから奴は死んだ。
罪の意識は決して消えることのない火種となって俺の中で燻り続ける。
そして夢の中で俺を焼き尽くす。
親友だった男の幻影。奴は笑いながら俺を手招きする。
早くこっちへ来いよ、と。
それは彼の望みなのか、俺の望みなのか。
分かっていることはただ一つだ。繰り返される悪夢からの解放を、俺は望んでいない。
人の生が影の夢であるならば、俺の夢こそがクライドという男の人生の全てだ。
親友を見殺しにした。妻子を置き去りにした。
クライドという名も捨てた。最後に残されたのは拭えぬ罪悪感だけだ。
今の俺はクライドという男の影に過ぎない。
影の俺は夢の中で捨ててしまったものの幻を追っている。
いや、夢が俺を成り立たせているのかもしれない。
罪が永遠に消えないことを知らしめる為に。
平穏。俺が決して手に入れてはならないもの。
「ん……」
傍らで、何かが身じろぎした。
リルムだった。インターセプターとじゃれ合ったまま眠ってしまっていたらしい。
黒いドーベルマン犬を抱えたまますやすやと寝息を立てている。
当のインターセプターは息を潜めじっとしていた。リルムを起こさないようにという配慮だろうか。
全く、よく懐いたものだ。俺以外の人間には懐かぬよう躾たというのに。
しかし……幼い少女の気配にすら気付かないほど鈍くなったか。俺は微かに自嘲した。
夜は冷える。早く火の方へ連れて行ってやらなければ。
そう思いながら起きあがった。その時、彼女が小さく体を震わせた。
ゆっくりと目蓋が上がる。子供らしい大きな瞳が露わになって、真上から覗き込むようにしていた俺と目が合った。
不意に彼女は呟いた。
「……パパ……また、リルムのこと、置いていくの?」
声は途切れ途切れに掠れ酷く聞き辛かったが、その言葉は幾重にも響き俺の耳にわだかまった。
ぎくりとした。きっと俺は戸惑いと逡巡の表情を浮かべていたに違いない。
厚い仮面に覆われていて良かった。押し殺していた感情がたとえ浮かび上がったとしても、全てを仮面が覆い隠してくれる。
俺は彼女を凝視したまま次の言葉を待った。
だが、それきりだった。
再び彼女の瞳は閉じられ安らかな寝息が聞こえ始めた。
しかし反対に俺の心臓は早鐘を打つように鼓動を繰り返していた。
子供のたわいない寝言だ。何度もそう自分に言い聞かせてみる。
気付いている筈はない。筈はないのだ。
彼女が物心つく前に俺は村を去った。
心臓の鼓動は止まらない。
捨てたはずの感情が嗚咽となって喉の奥からこみ上げてくる。俺は必死でそれを呑み込む。
そうだ、捨てた。
心はあの村へ置き去りにした。思い出もだ。
俺は罪人だ。罪を背負い放浪する身。
俺には父親だと名乗り出る資格さえない。それが彼女の望みであったとしても。
クライドは娘を捨てたのだから。
だから、彼女の呼びかけに応えることは出来ない。
ビリー、もう少しだけ待っていて欲しい。
この哀れな娘が平穏に生きることの出来る世が訪れるまで。
俺に出来ることは他にないのだ。
全てが終わったら必ずお前の元に向かおう。
お前は夢の中のように俺を責めるだろうか。
許されないことは分かっている。
だが、もう少しだけ時間が欲しい。
風が冷たくなってきた。
そろそろリルムをテントの中で寝かせてやらなければならない。
埋めたてに書いたリュックSSはしばらく放置になりそうです。
ギップルとリュックが書きたくなったので。…あと、展開に詰まったので。
とりあえず「爽やか」がテーマです。
(FF10-2 カプはギップル(15)×リュック(14)→10の2年前)
「おなか、すいたよ〜」
真っ暗な海に一隻の船が浮かんでいた。
アルベド族が好んで使う機械動力の機関船である。
しかし相当昔のものであるらしく、船体は錆び付きエンジンは動きを止めたままだ。
「ちょっと待ってろよ……すぐ釣れるからさ」
時折高波に揺さぶられる以外は、これといった方向に進むわけでもない船。
チカチカと点滅を繰り返す裸電球は、船の見窄らしさを際立たせている。
「ホントに釣れるの〜?エサも付けてないワイヤーで?」
その上船体後ろ、燃料タンクの辺りには、ひび割れて小さな亀裂が入っていた。
操舵室のメーターの針は、燃料切れの部分を指しつつ気怠げに揺れている。
既に燃料は全部、海に流れ出してしまったようだ。
風の向くまま潮の導くまま、船はどちらともつかぬ方向へと流されていく。
船に乗ったアルベド族の少年と少女の二人は漂流、もとい遭難していた。
「釣れたっ!!」
「うそっ!?」
申し訳程度にワイヤーを引っかけただけの鉄の棒を振り上げると、勢いよく水中から「何か」が飛び出した。
派手な水音と共に甲板に叩きつけられたのは……一匹の、ピラニア型モンスター。
「あ……惜っしーな、魚っつったら魚だけど」
「こんなの全然食べらんないじゃん!!」
だん、と思い切り踏みつけられて、ピラニアは緑白色の幻光虫に姿を変えた。
「どーしてくれんのさ、ギップル!!」
左手を腰に当て、右手で真っ直ぐにギップルを指差して、リュックは喚いた。
飛び去っていく幻光虫が、一瞬だけその怒りに染まった顔を照らし出す。
しかし、当のギップルの反応といえば、悪びれもせずに爽やかな笑顔で肩を竦めるだけ。
「ま、なんとかなるって」
「なーらーなーいーっ!!」
真夜中の海上に、リュックの悲痛な叫び声が響き渡った。
「来た様だな…」
ルードの表情が心なしか固くなる。(元々無表情だが)
レーダーに映った物は、以前よりも更に数を増した神羅の機動兵器の大群だった。
「やはり、ミッドガルに何かある…」
ルーファウスの自信は確信へと変わった。
「社長!!トラクタービーム照射できます!!」
「よし…やれ」
バレットの目にもそれは見えた。まるで湧き上がる黒雲の如く空に現れた機械の一団が。
「何だ、ありゃぁ!?」
バレットは止まってよく見ようとした。しかし、その時バレットが何かの影に包まれた。
上を見上げ、飛空挺を認識する頃にはバレットの身体が宙に浮いていた。
「う…おおおぉぉッ!?」
重力に逆らって引っ張り上げられるバレット。為す術も無く、飛空挺に引き込まれた。
「ゲートを閉めろ。それからトラクタービームを切れ」
その声に、浮いたままバレットが気付いた。
「ン!?てめぇは…ルーファウス神羅!!?生きてやがったのか!!!」
「やれやれ…お前も、まるで死んでいて欲しかった様な言い方だな」
ビームが消え、バレットが床に投げ出された。
「当ったり前だッ!!(しかもタークスまで居やがる)神羅はもう潰れたんだよ!!
社長もおとなしく死んどけってんだ!!!」
「お前達こそ、『星を救う』等と言う大義名分が無ければ単なるテロリスト…もうそろそろ引退したらどうだ?」
バレットは拳を握り締めた。
「もっとも、既に1年前も『単なるテロリスト』だったがね」
高笑いしながらルーファウスは続ける。
「それに…特にお前は最悪だな。醜い復讐心を『星を救う』と言う言い訳に隠して
何十人もの命を奪ったじゃあないか。オヤジと何が違うんだ?」
「黙れ!!!」
バレットがルーファウスに突進した。しかし、ルーファウスはその場を動きもせず、
勢いを利用してそのままバレットを後方に投げ飛ばした。
「むしろオヤジ以下だな。過去から逃げ、人殺しの罪を贖おうともせず英雄ぶっているのだから。
所詮、如何なる理由があろうともお前はただの…テロリストだ」
バレットは動きを止めた。ルーファウスの言葉が、ナイフのようにバレットの心を抉る。
自分は星の為に戦った。正義の為の戦いだと…そう信じていた。
だが、故郷を焼き払ったプレジデントの行為と何が違うのか。ルーファウスの言葉はあまりにも痛烈だった。
沈黙するバレットから視線を逸らし、ルーファウスが操縦席に近付いた。
「砲門を前へ向けろ。ミサイルバインダー、オープン…しっかりロックオンしろ。敵の数が多い…
弾を無駄にするな。…何をやっている、"全員"戦闘態勢だ!!」
人間、生きていると色んな出来事に遭遇します。経験値というのは増えてくのだろうか?
>>a shadow's dream
漏れシャドウを描くのが苦手だったんです。どうしてか、イメージがあっても形にならない。
ぼんやりと曖昧な彼の姿を(゚д゚)ウマーく表現されていて感服。
> 繰り返される悪夢からの解放を、俺は望んでいない。
この一言に、彼の全てが包括されているようで何とも言えません(;´д`)
>>少年少女漂流記
一転して、明るい(が、置かれている状況はちょっと危機的だw)雰囲気の……登場人物
がこの二人だからというのもあるのでしょうが、SSに期待sage。難破船の描かれ方(特に
操舵室のメーター描写とか)、こういう物の動きを通してその場の雰囲気を読み手に伝え
るの上手いなーといつも思います。
ちなみに……あれは一度、セツリルを書いてみたかっただけ……かも。(w
>>FINAL FANTASY VII ATONEMENT
>>166の最後の一行に、次へのもの凄い期待感が……!
それにしても、ルーファウスからその言葉が出るとは思いませんでした。よくよく考えて
みれば、魔晄誘致その他の問題でコレルが崩壊したのはプレジデントの所業ですし、
この図もあり得るかも。7はまだまだ読み甲斐のある作品だなと再認識しますた。
(前話
>>124-125。FF6アイテム『血塗られた盾』の個人的な捏造物語・第2弾
…あくまでも主役は血塗られた盾ですw)
-------------------------------------------------------------
***
それで何故、こんな夜更けにセッツァーが飛空艇を降りていたかと言えば。
「……つまらん話だ」
取り立てて理由はないのだが、どうも今日の出来事が腑に落ちなくて眠れな
かったらしい。
持ち出した盾を無造作に放り投げてから船底に背を預けると、懐から煙草を
取り出し火をつけた。
夜空に輝く星々へと吸い込まれるようにして立ち上る紫煙を、ぼんやりと眺め
ながら。
「……つまらん話……か」
脳裏に過ぎる記憶を振り払うかの様に、一つ頭を振った。
その動作に、背に流れる見事な銀髪が波打つように揺れる。溜息とともに吐か
れた紫煙は、音もなくただ空を目指して消えていく。
ゆらゆらと、形を成さず揺らめくその様を見ていると――。
「君が艇を降りてそこにいるなんて珍しいね」
思考を遮った声に顔を上げる。星空よりも近い高さには、蒼穹の如き青い輝き
と、太陽を思わせる笑顔があった。
「……お前こそ、こんな夜中に何してんだ?」
甲板の手摺から覗き込むようにして顔を出しているエドガーに、セッツァーは
問うのだが。
「溜まっていた“仕事”をね」
返ってきた答えは、予想通りだが思いの外あっさりしていたから。
「こんな夜中まで仕事とはな。つまらんヤツだ」
そんな風にして笑ってやった。
「セッツァーこそ、飛空艇を降りて何をしていたんだい?」
「寝れなかったんで一服、悪いか?」
「相変わらず不健康な生活だね」
「お前に言われても説得力がないな」
「でも、少なくとも君よりは健康的な生活を送っていると思うけどね?」
本当に口数の減らないヤツだと呆れながら、セッツァーは視線を地上へ戻す。
視線の先には延々と続く漆黒の闇。そこに浮かぶ星空――その雄大な光景は、
裂けた大地に多くの命をのみ込まれ、地上の姿が変わり果ててしまった今でも尚、
変わらない。
空を知る者は、自分がちっぽけな存在だと言うことを知っている。
だからこそ、どんな危険を冒してでも空へ挑みたいと思うのだろう。
――俺や、……。
「ダリルさん、かい?」
タークスの3人と、他の神羅兵はすぐに動いた。
「…お前も、死にたくなければ戦う事だ」
ルーファウスはバレットにそう言い放つと、階段を上っていった。
タークスが後に続く。「しゃ、社長!!何を!?」
「艦載の砲塔だけでは連中を捌けん。甲板から援護射撃だ」
ルーファウスはゴッドフリートを肩に担ぐと、階段の最上部のドアを開いた。
「皮肉な物だ…かつて我々が頼った物が今こうしてこちらに牙を向くとは…」
ゴッドフリートの照準が合わせられる。
「しかしそれ故に、弱点も承知済み」
一筋の光線が、空を切り裂いた。
機械達の群れに爆発の連鎖が起きる。そして、次々に誘爆していく。
「我々が作った機動兵器の弱点…それは、密集陣形を敷いている時にどれか一体でも破壊されると
圧縮魔洸バッテリーが大爆発し、誘爆を繰り返す事…」
数百機の機械の残骸が、地上へ落ちていく。だが敵の数が減った様には見えない。
あまりにも、敵が多すぎた。
ミサイルが、対空砲が、確実に機械を叩き落していく。それでも追いつかない。
機械の群れが接近してきた。そろそろ向こうの機銃の射程距離に入ってしまう。
ルーファウスは第ニ射目を薙ぎ払うように放った。空に爆炎が広がる。
しかし、煙と炎の向こうからは銃弾の雨が飛んできた。
神羅兵が、反撃を試みる。だが、凄まじい弾幕に弾が防がれる。
砂浜の波を、砂の城で防ごうとする様な物だった。
4日に1レス。これ応用。
……処理しても処理しても、仕事が増えていく一方なのはどうしてだろう?
DQ5のリメイクも発売したら絶対プレイすると決めているのに、FF10-2はラスダン
放置状態だし……メーガスツヨスギダ(;´д`)コルァ…!!
>>FINAL FANTASY VII ATONEMENT
FF本編ではあまり見かけない兵器を使った戦闘シーン(7ではウェポン襲来とかが
ありますが)描写が相変わらずカコ(・∀・)イイ!ですね。ところで大量の機動兵器を相手に
バレットは何か打つ手を持っているのかどうか、僅かばかり心配になってしまうのです
が……。
(前話
>>168-169。果てしなく、ひたすら『血塗られた盾』への個人的な期待と
妄想が入り混じった物語)
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今度は頭上からではなく、真横から聞こえてきた声の方へ顔を向ける。
「……用がないなら早く寝ろ」
「俺も眠れなかったんで一服。……それとも、お邪魔だったかな?」
厄介なヤツに絡まれたとでも言いたげな視線をくれただけで、再びセッツァー
は前方の景色に目をやった。
本当にエドガーが一服しに来たのかどうかは知らないが、寝付けないと言った
のは事実の様だ。
それから二、三――今後の進路やファルコン整備に関する事、あるいは各地域
のモンスターやその傾向。中には他愛のない日々の――話をして時間が過ぎてい
った。
そのうち、話題が昼間訪れた古代城の事に及んだとき。まるでその話題を嫌う
ように場を離れようとしたエドガーの視線が、ある一点で止まった。
「……君が装備すると言って預けたのが間違いだったか」
草原に放り出されたままの盾へ歩み寄ると、屈んでそれを拾い上げる。それを
もって艇へ戻ろうとしたエドガーに。
「勝手に間違いだとか決めつけるな」
そう言って、彼の手にあった盾を半ば奪うように取り上げたのだった。
その様子にエドガーが小さく笑った。
「何だよ?」
「……いや。君ならきっと、そう言うだろうと思ってね。ここまで見事に予想が
的中すると面白いものさ」
「他人の行動で勝手に面白がるな!」
不愉快だ――言葉に出さずとも、表情と態度が訴えている。が、それを一笑に
付しただけでエドガーは話を続ける。
「不愉快ついでに……セッツァー。君はその盾を持たない方が良いかも知れない」
「俺の扱いに不満があるって言いたいのか?」
それもあるが。と、笑いながら答えたエドガーだが。
「どちらかというと俺よりも、君の方が感覚が鋭いだろう?」
「知るか」
感覚――この場合、勘と感の両方の意味合いを含んでいた――あるいは魔力
に由来する物だったのかも知れないが。
「この盾は……」
何か言おうとするエドガーの話を遮って、セッツァーは言葉を発した。
「大きなお世話だな。……安心しろ、お前達の見てない隙に捨てるようなマネは
しねーよ」
ひらひらと手を振りながら、セッツァーは飛空艇の中へ戻っていった。
――何事もなければいいが。
エドガーの確信を持った不安は数日後、残念ながらこれも見事に的中すること
となった。
***
飛空艇ファルコンが目指すは狂信者の塔。
「あの塔の頂上にあるってアイテムを黙って見捨てるなんて、トレジャーハンターの
俺が許さないぜ!」
と、意気込むロックの提案により、再びその塔へ乗り込もうという事になった。
「じゃあ、お前一人で行ったらどうだ?」
ところが、いかにも面倒くさそうにセッツァーが言うものだから。
「……つれないコト言うなよ、な?」
ロックはそんな風に宥めてみたのだった――実のところ。あの塔に一人で乗り
込む自信はない。
「確かあの塔では魔法しか使えない……と、なれば自ずとメンバーは限られて
くるな」
エドガーは腕組みしながら何某かを考えている。魔法を軸とする戦法で臨むの
ならば、最適なのはセリスやティナ、リルムやストラゴスといった人選になるの
だが。
――女性や老人には無理を強いたくない。
という、エドガーらしい考えが先に立っているようである。
「本人達の意思を尊重するのが一番だな」
「誰が何と言おうと俺は行くぜ! ……魔法は……装備品でなんとかするよ」
威勢良く断言した物の、それが語尾まで続かないのはロックの正直さ故か。
「目的地まではまだ暫くある。中でゆっくり考えてりゃ良いじゃねーか? 操縦は
俺に任せておけ」
ということで、甲板には操縦者セッツァーを残して艇内で塔へ乗り込む人員を
協議することになった。
そんな中、皆と共に艇内へ戻ろうとしたロックの背中に。
「言っておくが、俺は行かないからな」
冷たく、釘を刺すセッツァーだった。
とちきい
>>177 ……すると、ゴゴはキラキラですね?(関係ないですか…でもこういうネタ好きなもんで)
>>1の
> 文章で遊べる小説スレです。
ええと…。上記に則して投下するこんなネタ。今しか書けない気がするのでちょっと
貼り逃げテストしてみたい衝動に基づいて書いてみましたが、期日中に全ネタが投下
できるかは非常に微妙な情勢です。…何卒ご容赦頂ければ幸いに存じます。
それと……いつもこんなんばっかで正直スマンカッタ_| ̄|○
=====================================
【再会】(名)スル
別れた者が久しぶりに会うこと。
=====================================
「10年か……」
宵闇と静寂に包まれたフィガロ城・玉座の間に響く耳慣れた声は、彼の意識を
10年前から現代へと引き戻す。
「あのチビがこんなにデッカくなっちまいやがって」
そう言って微笑む兄は機械文明の中心地フィガロを背負う若き国王。
「兄貴こそ、『国王様』が板についてるぜ」
兄の方を向いて同じように微笑む弟は、王族という地位を捨て自由を謳歌するモンク僧。
血を分け共に歩んできた二人の人生を決定づけた運命の日から、10年の歳月を
経て、今宵再びこの場所に並んだ双子の兄弟は、互いの成長と再会の喜びを分かち合う。
「10年か……。長かったな」
「……長かったな」
10年。
それは長いようで、それでいて短く。
生きとし生ける者、この世界に存在する総てのものに平等に与えられた“時間”
は、彼らに何をもたらし、あるいは奪ったのだろうか?
集った仲間達それぞれの「10年」の物語。
――FINAL FANTASY VI 発売10周年を勝手に祝ってみるSS――
1.10年目の再会
再会は、必ずしも喜びに満ちたものとは限らない。
「…………」
沈黙の中、確たる証拠もなくそれが唯一の肉親だと言うことに気付いたのは、
恐らく彼だけだった――と、少なくとも本人は自覚している。
(まさか……な)
こんな形で再会するなど、夢にも思っていなかった。記憶の彼方に忘却した筈の
愛しい面影が、急激に脳内に甦り始める。……幸せだった頃の思い出と共に蔓延
したその感情は、やがて心という小さな器から零れそうになる。
溢れ出したそれは、ついには言葉として外へ漏れ出てしまうだろう。
何があっても、それだけは避けねばならない。
――何故?
それは亡き友人からの贈り物なのか、それとも死に神からの警告なのか。
「わあ! かわいい犬」
「よせ。噛みつかれるぞ」
――再会。
彼女との再会を望んではいなかった。それは、彼女のためであり、俺自身の為
でもある。
――死に神に追われるのは、俺一人で十分だ。
だから……。
「大変じゃ! リルムが!」
「シャドウ!」
――関わりにはならない。俺はそう誓った。悪く思うな。
だから頼む、そっとしておいてくれ……。
俺は10年前のあの日、全てを捨てたんだ。
捨てざるを得なかった。そうやっても償える罪ではない――そんなことは分かっている。
お願いだ、ビリー……。
もうほんの少しでいい、そっとしておいてくれ。
(
>>170から)
「社長!!数が違い過ぎます!!このままでは…落されますよ!?」
イリーナが手榴弾を敵の群れに投げつける。ルーファウスはゴッドフリートの照準を合わせながら呟くように言った。
「最初から全滅できるとは思っていない。ミッドガルまで持てば落ちても構わん!!」
ゴッドフリートの3度目の閃光。無数の機械が瞬時に金属片と化し、爆炎が空を染め上げる。
それでもなお銃弾の雨は止まる事を知らない。神羅兵たちは各々バングルや神羅安式防具改を装備してはいるものの
ダメージを受け続ければ倒れて行くことに変わりは無い。
疲れの為か、ルーファウスにも一瞬の隙ができた。そこに飛んでくる弾丸。
ルーファウスは身をかわしたが、銃弾が腕を掠めた。よく見れば彼も全身傷だらけだ。
「社長、もう艇内に戻ってください!!これ以上は危険です!!!」
だが、ルーファウスは再びゴッドフリートを前へ向けた。コンバーターをフル稼働し、エネルギーをチャージする。
「何を馬鹿な…先頭に立ってお前達を導く指導者たる者が、部下を置いて逃げてどうする!!!」
甲板を踏みしめ、ゴッドフリートを横薙ぎ放射する。
「ただ上から指示を出し、部下が死のうと仲間が殺されようと!!ただ笑って椅子に座っているだけでは
オヤジと同じではないかッ!!…俺は……俺は…!!」
ルーファウスの身体が、微かに輝きだした。リミットブレイクの証だ。
「俺は……オヤジとは、違う…!!!」
甲板の扉が開いた。バレットが顔を覗かせる。
「ジュノンで捕まった時以来、初めてお前を誉めてやる気になったぜ…
…お前が馬鹿にしたテロリストの根性、見せてやるよ」
リュックとホバーに乗ったギップルが、並んで砂丘を駆け下りていく、
そんなSSを書きたいです。
>>ドリルさん
血塗られた盾のSSは、もしかしてウーマロ以外の全員分書かれるんですか?
と、前から気になってました。今回のロックがカワ(・∀・)イイ!
10年目の再会、フィガロ兄弟から始まるのかと思いきゃシャドウがトップでビクーリです。
今年で発売10年目…99まであとどれくらいかかるか逆算したくなってきますた(w
>>FF7Aさん
イイ社長だ…何て言うか、彼の成長が楽しみになってきました。
次回、新羅と元テロリストの重火器タッグが見れるんですね。期待sage
…>170の最後の行の表現が、個人的に大好きです。
その日の朝、ギップルは上機嫌だった。
以前から廃棄された部品を集めてはこっそりと組み立てていた小型のホバーが、ようやく完成したのだ。
「やっぱ俺って天才だよな!」
鼻歌混じりにスキップでもするような足取りで、狭いホーム内の通路を軽やかに駆けていく。
格納庫に着いたらすぐにでも試運転をするつもりだった。
だが、彼はあまりにも新しいホバーの事に頭が一杯で、目の前が見えていなかった。
通路の向こう側から息せき切って走ってくる人物に全く気付かなかったのだ。
そして向こうもまた、浮かれ気分のギップルに気付いていなかった。
「でっ!」
「……いたっ!」
不注意な二人は、あろうことか真正面から衝突した。
相手はギップルの服の金具に額を打って、ギップルは左足を踏まれた。
「って〜〜」
左足を押さえながら、尻餅をついた相手の方を窺うと、そこには見慣れた姿が。
「シドの娘?どーしたんだよ」
「どーしたはこっちのセリフだよぉ!あいたたた……」
「俺?俺は今からホバーの試運転に行くとこ」
「あ、完成したんだ!」
片手で額を抑えるリュックに手を貸して引っ張り上げると、リュックは「ごめーん」と間延びした声で応えた。
「完成したんだ」の言葉に気をよくしたのか、尻に付いた埃を払う彼女に、ギップルは自慢げに話し始める。
「おう、小型ミサイル搭載!オートマッピング機能搭載!アルベド印の無線も完備!すげえだろ?
ホントはもうちっと馬力を上げて、シドのおっさんのホバーと走り比べてみたかったんだけどな、
使い古しの部品じゃそこまでゼイタク言えねえっつーか、ま、そんなもんだ。小型な分俺のの方が小回りは利くけどな!」
(忘れてました。前回は
>>164 FF10-2 カプはギップル(15)×リュック(14)→10の2年前)
「アタシは、機関船の作業員になったから、ちょっとベンキョーしとこうと思っ……て、聞いてないね」
得々として語るギップルは、再び自分のホバーのことで頭が一杯になっていた。
熱中するととまらなくなるのが彼の欠点であり長所でもある。
(ま、そんなだから単細胞っていわれるんだよね……)
とリュックは思ったが、思うだけにした。と、その時。
「そうだ、お前も一緒に来るか?」
突然、ギップルが真剣な顔でリュックの方を見て提案した。
「乗りたいだろ?つーか、乗りたいよな?」
「あ、えーっと、あたし午後から研修が……」
がしっと、力のこもった手で肩を掴まれて、リュックはうろたえた。
どうやらギップルは、彼の努力の結晶であるホバーを誰かに自慢したくてたまらないらしい。
リュックとしては、そんな自慢話には大した興味もなかったが……
「乗・り・た・い・よ・な?」
「は、はい」
彼の情熱、もとい気迫に圧された。
四方を山に囲まれているためか、ビーカネル島では始終砂嵐が吹き荒れている。
サボテンダーの里は特に砂嵐の強い地区だが、その他の地域でも絶えず微風が吹き、乾いた風が旅人に砂を叩きつける。
が、砂漠暮らしの長いアルベド族にとっては、そんな風が寧ろ心地よいらしい。
「いい風だね〜」
「来て良かっただろ?」
「そうだね〜」
操縦席から振り返ったギップルに、ホバー後部のへりに腰掛けたリュックはのほほんと答えた。
何だかんだ言っても彼女はまだ14の子供である。
アルベド族の中では働き手として十分「大人」扱いされる年ではあったが、まだまだ遊びたい年頃でもあった。
結局、サボりの魅力には勝てなかったのだ。
「どこ行く?」
「海!!」
拳を勢いよく振り上げて答えると、ギップルの方もゴーグルをはめ、親指を立てて「了解!」と叫んだ。
見る見るうちに黄砂の向こうに霞んでいくホームに向かって、リュックは振り上げたままの手を開き、何度か左右に揺らした。
「スピード出すからな。しっかり捕まってろよ」
「きゃっ!」
「捕まってないとケガするぞ?」
急に車体ががくんと揺れて、黄色い悲鳴をあげるリュック。
そんなリュックをからかうギップル。
二人とも、ホームを抜け出すとそこには、わくわくするような冒険や宝物がいっぱいつまっているのだと、
素直に信じる年頃だった。
だが少なくとも、最初に海に行きたいと言ったのは、リュックだったのだ。
「幸いにも、さっきのお前の暴言のおかげで俺は今ブチ切れ寸前な訳で…」
バレットも右腕が光りだした。
ルーファウスは無線で操縦室に通信を入れた。半ば叫ぶように命令を出す。
「全火力を前方に集中、敵の防衛網を突破し、ミッドガルのスラムに突っ込む!!」
「なッ!?そんな事して大丈夫なんですか!?」
「言った筈だ…機体は落ちても構わんと。それより総員、俺とこの男を援護せよ!!」
ルーファウスは前方、ミッドガルに続く空を埋め尽くす機械達の一点を凝視していた。
「…あそこだ。機械が最も密集している……これなら」
バレットが飛んでくる機械を叩き落す。「これなら、何だって?」
「…お前、俺が合図したら同時にあそこを目掛けて撃て。それで連中の防壁に穴が開く。
その数秒で離脱し、ミッドガルに突っ込む」
「…上手くいくのか」
「無論だ。さあ、武器を構えろ!!」
バレットは奇妙な既視感を覚えた。あの日ジュノンで垣間見た、ルーファウスの不敵な笑み。
何故多くの者達が彼に付き従うのか、解った様な気もした。
「3…2…―違う、もっと右だ―…1……今だ、撃て!!!」
2人分のリミット技が、一気に炸裂した。
「行くぜ!!…カタストロフィ!!!」
「総員、衝撃に備えよ!!…ラストジャッジメント!!!」
2つの閃光が、幻想的とも言えるほど鮮やかな直線を描き、空を貫く。
その直線上に居た機動兵器は悉く消滅した。そして――
「全員艦内へ戻れ!!…操縦室、最高速度を維持しつつあの爆風に向かって飛べ!!」
ルーファウスが叫んだのと同時に、2筋の光が機械達の一群に着弾した。
核でも撃ったのかと疑う様な爆発。オレンジ色の爆炎。目に見えるほどの衝撃波。
ルーファウスとバレットはすぐに艦内へと引き返し、ルーファウスが操縦室へ飛び込んだ。
「よし、良いぞ…近付いてくる奴は残った火器で叩き落せ!!」
速度計は既に時速650kmオーバーだ。後ろの壁に叩き付けられる様な感覚が襲う。
本来ゲルニカ級飛空挺はあまり速度を出さない物だ。最新型ジェットエンジンによって
驚異的な速度を叩き出してはいるが、その分乗員の負担も大きい。
「あと少し…あの『穴』を抜ければ、後はミッドガルに飛び込むだけ…!!」
後ろから、横から、機械の大群が追い縋って来る。対空砲が火を噴く。
ルーファウスとバレットが穴を開けた地点まで、もう少し。
「よし…行け……行けぇーッ!!」
そして遂に飛空挺は、蠢く機械達の防衛網を突破した。
「もう時間が無い!!全員衝撃に備えておけ!!…高度を下げろ。ミッドガルまで1500mの地点に入ったら
減速用ブースターを最大出力で噴射、そのまま5番街ゲートに突入せよ!!」
ゲルニカが降下していく。減速用ブースターを噴射し、角度を調整しながら滑空する様に飛ぶ。
パルマーの超絶的な操縦技術があってこその芸当であった。そして…
「ハッチのロックを解除しろ!!停止する前に脱出する!!」
ルーファウスの思惑通り、飛空挺はミッドガルの5番街スラムに飛び込んだ。
>>185-187 子どもの持つ外界・未知の世界への憧れ。冒険と宝を求めて! っていう
楽し気なノリ+リュックとギップルの明るさも相まって、ワクワク感が文面から
滲み出てますね。読んでるとこっちまで楽しくなって来ます。読み進めてく
と、彼らと一緒に小躍りしたくなる心境です(それはちょっと違)。
血塗られた盾話、理想は全員分のエピソード(というか、戦闘255回分)が
書ければ良いな……って、理想で終わりそうな悪寒が既にしてますが(w。
>>188-189 ゲルニカの飛行っぷりにも燃えますが、重ねてルーファウスとバレットが
反目しあいながらも互いに肩を並べて同じ敵を討とうと協力する有様が
もの凄くカコ(・∀・)イイ! ルーファウスって神羅ビル屋上で戦うときリミット技
出したっけ? と記憶を辿る漏れ。横にいた愛犬の方が厄介だった様な…。
うーん。これが「10年目」にあたるかどうか、実はちょっと不安があるけれど
こじつけてみました。詳細ご存知の方、ご指摘プリーズ。
(前話
>>179-181。ゲーム発売10周年とゲーム内での10年をこじつけた話w)
----------------------------------------------------------------
***
再会とは、いくつかの偶然の上に成り立つものなのか。
それとも、数え切れない必然によって導かれるものなのか。
あるいは――この世界には本当に“神”が存在し、どこかで我々を見守り、導
いているのかも知れない――と、考える事がある。
とすれば我が主君ガストラの行いは、その御意に背く行為なのかも知れない、
と……。
男は、携えていた剣を見つめながらそんな風に思いを巡らせる。
運搬船は、彼らの思いと運命をも乗せて大三角島へ進路を取っていた。
「……不思議なものね」
海風を全身に受けながら、遠くに広がる星空を見上げて静かに呟いた。
「帝国に利用され、思考までもコントロールされていた私が、こうしてまた帝国
の人間と共に行動しているなんて」
それは奪われた時間と記憶への悔恨などではなく、ただ今という境遇に対して、
少女が抱いた素直な感想だった。
けれど、その言葉を受けた彼の心境は複雑だった。
「帝国の人間とて、同じ人間。全てがケフカのような奴ばかりではない」
男の名はレオ=クリストフ。
帝国の将軍を務めるだけの実力を備え、同時に人徳者と慕われる人物だ。
「あなたは……どうなの?」
そんな男の顔へ視線を落とし、少女は問う。
かつて帝国最強の魔導士として、ケフカやセリスと並んで――もしかしたら、
それ以上に――畏れられた少女ティナ=ブランフォード
彼女の向ける瞳は真っ直ぐレオへ向けられている。
それは責め咎められる事よりもつらい、とレオは感じていた。ティナから向け
られる問いの言葉も視線も、彼の心に痛みをもたらす。
レオはずっと昔から、その痛みの正体を知っている。
――それは今から10年前、軍部再編成の頃より抱えているものだったから。
193 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:04/03/16 22:31 ID:MxaxcgJS
保守
「ここや!!ここからぎょうさん神羅の機動兵器が沸いてきよったんや!!」
リーブが指差した場所は、墜落した元7番街があったプレート断面だった。
下の方は暗くてよく見えない。クラウドは背中を走り抜ける悪寒に気付いた。
7番街は、自分達が1年掛けて復興してきた筈だ。それなのに何だろう、眼下の闇から伝わって来る
この嫌な感じは。まるで冷たい闇が流れ出しているかのようだ。
「…行こう。きっと、この下にあいつが居るんだ」
目を閉じれば、ゼロの凍り付いた様な笑みが脳裏をよぎる。
クラウドはバスターブレードを手に振り返った。
ティファが、クラウドの肩に手を掛ける。セフィロスが、百式正宗を抜き放つ。
そして彼らは、暗闇の中へと降りて行った。
「…成る程、こうして見ると我々が如何に強大な軍事力を誇っていたかが解ろうと言う物だ」
5番街スラムの外、かつてエアリスが花を育てた教会の前にルーファウスは立っていた。
彼の視線の先にはジャンクパーツの山、そしてその上に蠢く無数の機械達。
レノは教会に入った。奇跡とでも言うべきか、あの花はまだ生きていた。
「…こんな憔悴しきった大地に…芽を出したのは不幸な事かもな…」
ふと奥に目をやると、部屋の隅で震えている子供が2人居た。
「…怯えなくても良いぞ、と。でももう少しそこでじっとしててくれよ、と」
レノはもう一度花を見た。ささやかだが、懸命に咲き誇る花々。
「いや、不幸な事なんかじゃ無いな…生きてるってのは、幸せな事だぞ、と…」
レノは教会のドアを開けながら電磁ロッドを伸ばした。着崩した服に似合わぬ、真剣な表情。
周りを見回せば、紅く輝くモノアイがスラムの闇を埋め尽くしている。
「意地でも通さないつもりか…上等だぞ、と」
ルーファウスがゴッドフリートのバッテリーをパージ(排出)する。
この武器は高密度マテリアバッテリーで動いている。一つのバッテリーでは撃てる数も限られている為、
ルーファウスは予備のバッテリーを持ち歩いているのだ。
「全部隊、各個敵の包囲網を突破し、私に続け!!」
バッテリーを入れ替え、ルーファウスはゴッドフリートのトリガーを引いた。
「何だこりゃあ……地獄だ…」
シドの口から、無意識の内に煙草が落ちた。
ウォールマーケットの北側に降りて来たクラウド達は、嫌な予感が本当であった事を知った。
かつて賑わっていた町の面影は何処にも無い。それを示すのはただ見渡す限りの血の海と、人々の亡骸だった。
建物の残骸の間に、神羅の機動兵器の姿が見え隠れしている。
ティファはあまりにも凄惨な光景に目を覆った。
「こんな事って…!!…酷過ぎる…どうして、どうしてこんなッ…!!!」
クラウドの予感は確実な物になりつつあった。だが、認めたくない。
「まさか…夢なら覚めてくれ…!!」
クラウドは7番街のゲートへ走った。そして、残酷な現実を目にした。
「嘘だ…7番街が……うああぁぁぁーーッ!!!」
クラウドに絶望を与えた物。それは、見る影も無く破壊された7番街スラムだった。
SS保管の千一夜サイト、更新しました。初代スレからいくつも保管されています。
http://www3.to/ffdqss(ブックマークはこのページにお願いします)
このスレの作品だけでなく、沢山の作品が読めますので、まだご覧になった事の
ない方も是非おいでください。 あ、でも21禁の板からも集めている都合上、
21禁サイトなんですけどw
>>196 このスレとかも保管庫あったんですか!!
…でも、見る限り漏れのは空気に合ってない…
_| ̄|○終わったら静かに逝こう
>>194-195 194の最後の一行は、神羅ビルでのタークス最終戦で「戦わない」を選択すると
似たような事を言って去ってった記憶がありますが、その辺とも絡ませている気が
して(゚д゚)ウママー.。
刻々と迫るゼロとの対峙な訳ですが、彼らの繰り広げる総力戦は読み応えありそうで
楽しみです。機械兵器と肉弾戦と槍とか剣とか手裏剣……いや、全員のリミット技に
耐えうる構造を持っているのか、ある意味都市開発部門統括の手腕g(以下脱線略)
>>196 更新乙です。
それにしても保管されてる本数には溜息が。
FFもDQも全シリーズ揃っているのって凄いし、他の方の作品への愛を感じる物も…(*´д`)
ついうっかりDQ5リメイクのCMを見ちまった……・゚・(ノД`)・゚・ヤリタクナルジャネェカコノヤロー!!
(前話
>>191-192。10年というテーマ関係なくいつの間にかレオの話になってる悪寒…)
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まだ魔導研究所が軍内部でもあまり知れ渡っていない頃。私とその男は時を
同じくしてガストラ帝国軍に入隊したと記憶している。
「……世の安定のためには、ある程度の力と、それによる抑止が必要なんだ」
彼は、ガストラに仕えようと入隊した理由をそう語った。
「ああ、その意見には私も賛成だ」
入隊したての頃、同胞とはいつも帝国や世界のあり方について夜通し語り合っ
たものだ。
「レオ、君はなぜ帝国に? そして世の安定を望んでいるんだい?」
「守りたい物があるから……という答えが一番妥当だろうか」
「家族か恋人か……待っている人がいてくれる君が、少し羨ましいね」
彼は、頭の回転が速く切れ者だったから、話をしていても飽きる事はなかった。
私はそんな彼と共に――信頼し、助け合い、時には好敵手として――互いの腕を
磨きながら、日々を過ごしていた。
しかし、彼と意見がすれ違い出したのはいつ頃だっただろうか?
「魔導。これほど素晴らしい力はないと思う。これこそ我らが求めていた力なのだと!」
「それは違う……」
同胞は目を輝かせてそう語った。しかしどうしても、私は魔導という物に好意的には
なれなかった。
そんな折り、かねてより魔導研究所でシド博士達の手により研究が進められていた
という『魔導注入』が、遂に人間を対象とした臨床実験の段階に入ったという報が
もたらされた。
程なくして彼は、その被験体に立候補したのだ。
「レオ、お前は魔導に好意的ではなかったな。……だが、やがて時代は剣ではなく
魔導を求める様になるだろう」
効率的で、圧倒的な力を誇る魔導。それが剣を凌ぐ物であることは誰の目にも
明らかだった。
無論、そんな事ぐらいは分かっている。
何も考えず、それを素直に受け入れられればこれ程楽なことはない、そうと知り
ながらも出来ないのだ。
それを、弱さだと笑う者もいるだろう。だが、私はそれでも構わなかった。
「……そう、だろうな」
彼は、私を見下ろしながら問う。
「それでも、お前は剣を取るか?」
「ああ」
そう答える声に迷いはない。
「そうか……」
僅かに何かを言いかけた様に唇が動いたが、結局何も言わずに彼は部屋を出ていった。
今思えば、私が本当の“彼”を見たのは、この日が最後だったのかも知れない。
再会したのはそれから数年後。
魔導注入の被験者は、彼を含めて数名いたが、生存したのは彼のみだ、と
後になって人伝に聞かされた。
しかし再び目の前に現れた彼は、以前とは全く別人になっていた。
力を得た代わりに、人としての大切な何かを失ってしまった――と。
彼は魔導士として、私は武将としての力を評価され、再編成後はガストラ直属の
部隊を指揮することになった。
彼のどんな非道も、正面から咎める事ができなかったのは――以前の彼を知る
が為の、無用の情があったから――己の弱さ故だと知りながら、私は彼の暴走を
止める事ができなかった。
守りたい物のために、レオは剣を振るった。
護りたい者のために、彼は帝国に帰属した。
そうして歩んできた道が、間違っていると思ったことは一度もなかった。
この世界からその存在が亡くなった、今でも。
>>192 > 彼女の向ける瞳は真っ直ぐレオへ向けられている。
↓
彼女の瞳は真っ直ぐレオへ向けられている。
10行目のティナ=ブランフォード「。」←ここの読点抜けてますた。
>>201 7ではなく8
以上3箇所だけ訂正させて下さい。お手数をおかけします。
音もなく通り過ぎる風のように。
「あなたは……どうなの?」
しかしはっきりとしたティナの声は、レオの意識を10年前から呼び戻す。
彼女の問いに、今さらだと思いながらもレオは思いを正直に打ち明けることし
かできなかった。
「お前が幻獣とのハーフであり、魔導の実験台として苦しめられているのを知り
ながら……それを止められなかった俺も、ケフカと同罪さ」
苦しめられている者を救えない一方で、そのために救われる者がいるかも知れ
ない、という僅かな可能性に、密かな望みを託していた。
そう、自分もケフカと同罪なのだ。
初期の魔導注入実験に参加した人間を、私はもう一人だけ知っている。
彼女は――。
「幻獣と人間が愛し合えるのなら、……その子である私と人間は……愛し合える
のかしら?」
ティナの純粋な視線は、真っ直ぐレオに向けられていた。
彼女の事を、私は――。
「もちろんだとも」
「でも……私はまだ愛という感情を知らない」
ティナの問いに答えながら、レオは後悔の念と共に記憶の狭間に漂う。
……愛して、いた――。
「お前はまだ若い。……いずれ分かるようになる。きっと……」
その感情を知った時、同時に己の内に潜む悪魔を見るだろう。
ティナ、お前がそれを見るには早すぎる――。
自分には何も語る資格はない。と、レオはティナに背を向けその場を後にした。
帝国と、操りの輪という束縛から解放され、自我を取り戻した彼女は恐らく、
思い悩んでいるだろう。しかしそんな彼女を助けてやる事は自分には出来ない。
結果的に、今も昔もティナを救ってやる事は叶わなかった。
再会して、自らの弱さを改めて知る。
翌朝。
レオにとって最後の朝日は、いつもと変わりなく彼を迎えてくれた。
平和への扉は、いとも簡単に閉ざされてしまう。
閃光と炎、そしてケフカの狂気を帯びた笑い声が満ちるその中で、
次々と命を奪われる幻獣達。その光景を目の当たりにして、遂に彼は
ケフカの前に立ちはだかった。
「ケフカ! お前の行いをもう許すわけにはいかぬ!」
剣を振りかざし、レオはかつての同胞にその刃を向けた。
10年の時を経て、再会がもたらす物は。
苦しみの中の生か、思いを遂げた死。
私には、残された信念を貫き通すという途しか残されていないのだ。
最後までお前の役に立てずに、すまなく思っている。
「……人はみんな、力が欲しいのね」
惨劇の後。
サマサの村は犠牲となった者達を鎮魂するように静寂に包まれていた。
レオを偲んで立てられた小塚に、彼の愛剣を立てて墓碑の代わりとし、その
前で皆が黙祷を捧げている。
「……もっと……あなたから色んな事を教えて貰いたかった……」
語りかけるように、ティナが静かに言葉を発し、また祈りを捧げる。
声には出さない祈りの中で、彼らはレオの遺志を確かに受け継いだのだった。
己の信じるものの為に、守りたい者のために――戦う、と。
3日に1レス。これ基本。
(
>>194-195から)
「行け!!恐らくお前の仲間は7番街だ!!」
ルーファウスがバレットに何かを差し出す。バレットはそれを受け取った。
小さなレーダーだ。エネルギーを感知する神羅の最新レーダー。
そしてマップ上の一点が光っている。それはそこに強力なエネルギーが存在する事を意味する。
バレットは小さく頷くと、7番街への通路を塞ぐ機械をミッシングスコアで吹き飛ばした。
走り去ろうとするバレットの背中に、ルーファウスが呟いた。
「…死ぬなよ」
意外な一言にバレットは一瞬戸惑ったが、すぐにニヤリと笑った。
「オゥ!!お前も死ぬんじゃねえぞ!!」
そしてバレットは、一人でスラムの奥へと走って行った。
「…それで、我々は如何致します?」
飛んで来た機械を電磁ロッドで叩き落すレノを横目に、ルーファウスはゴッドフリートを膨大な機械の群れに向ける。
「陽動だ。我々が出来るのは時間稼ぎ…残念だが、手柄はあのテロリストどもに譲ってやるしか無い様だな…」
長大な砲身から放たれる閃光。ルーファウスの蒼い瞳が光る。
神羅ビルの屋上でクラウドと戦ったあの日、ルーファウスの胸に1つの信念が芽生えた。
――頂点に立つ俺自身が、常に“最強”である事――
指導者が弱くては意味が無い。それこそが、彼の真理。
一年をかけて鍛え上げた身体をフルに使い、ルーファウスは戦っていた。そこにはもう、迷いなど無い。
「死ぬ覚悟で戦うのではない、生きる為に戦うのだ!!」
>>207 ルーファウスの心情描写に感動しますた。あぁ、うちのアホ上司にも見習っt(略。
死中に活を求める。というよりもっと前向きな(特に)ルーファウスはカコ(・∀・)イイ!
FF7本編、(うろ覚えですが)ウェポン襲来時、ルーファウスが神羅ビルに単身で
残っていたという行動が、少し違った解釈で読めそうです。
以下、ちょっと長めの投稿になるかも知れません。(4〜5レス程度)
末筆になりましたが、保守レスしてくれてる方、ありがd
(前話
>>203-205。舞台はFF6本編前半のサマサ)
---------------------------------------------
「しかし、こうなると帝国に残るエドガー達が心配だ」
――この事実を、帝国に残っている仲間達に一刻も早く知らせなければ――レ
オを失った事の衝撃と、焦燥と使命感とをない交ぜにしたような感覚の中、早口
になりながらロックが呟いた。
「無事だと良いんだけど……」
ティナは顔を上げてロックの方を振り返る。
彼の先、頭上から迫る影に気付いたのは、その時だった。
わき起こる風と轟音の中、辺境の村に降り立った飛空艇ブラックジャック。そ
の中から出てきた仲間達の姿に、ロックとティナは互いを見ながら安堵の溜息を
吐いた。
「帝国が裏切った。危うく罠にはめられるところだった」
舌打ち混じりに語られたセッツァーの言葉だけでも、ベクタで何が起きたのか
大凡の想像はつく。
エドガー曰く“礼儀”、弟マッシュ曰く“便利な特技”のお陰で窮地を脱した
のだと言う。そんな彼らもまた、サマサの急変を心配していたのだった。
「レオ将軍が殺された。ケフカにな!」
未だ熱の冷めやらぬロックの声に、今度はカイエンが驚愕する。
ベクタとサマサ。
双方で繰り広げられた事件の一部始終は、短い言葉の中に全て集約されていた。
帝国とリターナー、人間と幻獣、それぞれの平和。それはあと一歩、すぐそこ
まで来ていたというのに。――帝国のすべてを信用できた訳ではなかったが――
しかし驚くほど呆気なく訪れた結末に、仲間達は一様に苦虫をかみつぶしたよう
な表情を浮かべていた。
「とにかく作戦の立て直しだ。飛空艇に戻ろう」
この事態を脱するべく、エドガーが先頭を切ってそう提案する。
魔導という強大な力を手にした帝国の暴走を放って置くわけには行かない。彼
らに立ち止まっている時間はなかった。
同行を願い出た魔導士の末裔――青魔導士ストラゴスと、小さな巨匠リルムを
加えて、対帝国戦線はここに新たな局面を迎える事となった。
彼らにとって本当の平和――それはもはや、帝国対リターナーというだけで、は
なく――幻獣や魔導、1000年前より続く三闘神という見えざる神の支配から逃れ
自由を勝ち得るための戦いに変容していた。
失ったものと、決意を新たに仲間達は飛空艇へ乗り込んだ。
「どうしたの?」
そして、新たな局面を迎えたものはここにも。
「君、いくつだい?」
「10さいよ。変なの。先行ってるよ」
仲間達は皆、飛空艇へ乗り込んだというのに。
これからやらねばならない事はたくさんあるし、考えなければならないことも
山ほどある。それなのに。
一人地上に残ったエドガーが、自身にも聞き取れるかという程の小さな声でぽ
つりと呟いた。
「さすがに犯罪か……やめておこう」
男の中の何がそう思わせたのか、誰も知る者はいなかった。
***
10年。
「10さいよ」
――ある者にとっては、それが地上に生まれてからの総ての時間だと言う者も
いるだろう。
「10年か……。長かったな」
「……長かったな」
――あるいは、互いに別々の道を歩み、研磨に励んだ時間であった者達。
「生まれながらに魔導の力を持つ娘……。こんな形で再会するとは……」
――ひたすらに強さを求め走り続けた者。
「何も思い出せない……」
――宛てもなく彷徨い続けた者。
「俺はいつでも死神に追われている」
――罪の意識と後悔の念に囚われ続けた者。
それぞれの思いを胸に、時は彼らの横を過ぎていく。
そうして現在というひと時と、目的を共有する仲間として、この艇に集った。
この物語を垣間見た、あなたにとっての10年とは、どのような時間だっただろ
うか。
そうして、現在というひと時と、同じ物語から何かを見出しそれを共有する者
同士として今、巡り会えた事に。
「……生きてる……ガウ……し…あ…わ…せ」
心からの感謝と、喜びを。
−10年目の再会<終>−
--------------------------------------------------------------------
なんかクサイですが、本音です。(w
3日に1レス。これ基本。
214 :
206:04/03/30 06:37 ID:ATU4Mzyi
あ、本物だ。
=====================================
【斎戒】(名)スル
祭祀(さいし)などを行う者が心身を
清浄にすること。
=====================================
私に、マリアの代役など務まるのだろうか?
これまで剣しか振るったことのない私が。この手を血で染めた私が。人の心に
響く歌を唄えるのだろうか?
――それとも、求められているのは私……ではないのか……?――
――FINAL FANTASY VI 発売10周年を勝手に祝ってみるSS――
2.10年目の斎戒〜オペラ座の着付師
下地を整え、その上から白粉を施し唇に紅を敷く。目の前の鏡に映る自分の顔
が刻々と変化していく様を、複雑な思いでセリスはじっと見つめていた。
されるがまま、流されるままの今の状況に、じっと耐える。
手際よく施される化粧という行為に、いくばくか気恥ずかしさを感じていたの
かも知れない。鏡の中の一点だけを見つめながら、微動だにしなかった。
「……とてもキレイですよ」
そう言ってくれた着付師の言葉に、耳の辺りが熱くなるのを感じながら。
一方でその変化を悟られまいとしてか、セリスは無言で、耐えるように瞼を閉じた。
彼女の様子に、一瞬着付師の手の動きが止まる。
「セリスさん……ひとつお尋ねしても宜しいですか?」
恐る恐る口に出された言葉に、セリスは黙ったまま頷いた。
「舞台に上がるのは嫌ですか?」
『公演中のマリアを浚う』という前代未聞の予告状が届いた時は、団長をはじ
め、オペラ座に携わる全員がどうなることかと気を揉んでいた、そんなところへ
運良く――本当はそうでもないのだが――現れたのが、彼女たち一行だった。
顔ぶれを見れば、泥棒と元帝国将軍と王族とサムライ。という、なんとも妙な
組み合わせではあったが。その中の一人の提案によって、この替え玉公演が
決行されるに至ったのだ。
オペラ女優マリアの替え玉となるべく、今こうして目の前に座っているのが、
元帝国将軍だというセリスだった。
よくよく話を聞いてみれば、彼らも非常識なギャンブラーに用があったらしく、
彼を追ってここへ来たと言うのだけれど。セリスからしてみれば成り行きでこんな
事になってしまった、と言うのに変わりない。
とはいえ、マリアの代役として自分の名が挙げられた時の、動揺していたとはいえ
セリスの口から出た言葉は、彼女の心情を汲んでも尚、オペラに深く関わる者としては
聞き捨てならなかった。
――「そんなチャラチャラした事、できるわけないでしょ!」――
マリアがその場にいたら、物怖じしない彼女のことだろうからそのまま掴み
かかっていたかも知れない。……そう考えると、幸いだったなと思う。
けれど、そこまで行かなくても彼女の言葉に引っ掛かりを感じてしまうのは、
やはり自分が着付師としてオペラと深く付き合っている人間だからだろうか?
……少なくとも、オペラをそんな風に思っていて欲しくはない。
ましてや、これからその舞台に立とうという人間に。
その問いに、セリスはゆっくりと顔を上げてから。
「いや……。ただ」
そう言って、ゆっくりと首を横に振ったのだった。
(
>>207より)クラウド達の前には、7番街を埋め尽くす機械達が蠢いていた。
だが何故だろう。襲ってくる気配が無い。それどころか、彼らが通ると道を開けるのだ。
「俺達を…奥に招き入れている…?」
7番街の瓦礫の山を越え、機械達が後方に遠ざかった頃にクラウド達が最深部へと辿り着いた。
そこに、「彼」が居た。
初めは壁かと思ったが、それが巨大な機械の塊であると気付き、その後に機械の中央に何かある事に気付いた。
「…ようやく到着か…待ち草臥れたぞ…」
ゼロだ。
機械の中央に、上半身だけを突き出した形のゼロが居た。
その顔も失った左半分を機械で補っている為、戦慄を伴うおぞましさを漂わせている。
セフィロスが正宗を構えた。釣られる様に、クラウド達も武器を構える。
――遂に、決着を付ける時が来た―――
クラウドは、対極の存在として。
ティファは、非道なる行為への報復として。
セフィロスは、自分自身―そして、遠き日の約束の為に。
各々が決意を固めた時、ゆっくりとゼロの巨体が鳴動し始めた。
「…行くぜ!!」
7番街の暗闇で、その戦いが始まった。
上の方で凄い事になってますけど…
削除人さん達が頑張ってるそうなので恐らく大丈夫だと思われ。
何かもう…最終決戦がうまく書けるのか心配ですよ。
エイプリルフールでハメ外しすぎたヤシがいたっていう意味でしょか?
>>218 嵐の前の静けさ…道を空ける機械群の描写が、この先の最終決戦への
ワクワク感を盛り上げてくれますね。決戦後のセフィロスの処遇や、約束の
達成など、気になるところも盛りだくさんでお待ちしてます。
「10年一昔」とは言いますが、漏れにとっては現在進行形でハマり続けて
いるFF6発売10周年を勝手に祝うSS……セリス編です。
言われていたのに申し訳ないが一箇所修正スマソ。
>>216の 紅を敷く → 紅を引く
(前話
>>215-217)
-----------------
芸術文化に造詣が深いとは言えないものの、少なくともセリスはオペラその
ものに嫌悪を抱いているという訳ではなかった。
「ただ?」
けれど、先を促すようにして再び問われた声に返す言葉が見つからず。口を
つぐんでしまう。
――剣と盾を手に、時には魔導を駆使し赴いた地を手中に収めるべく戦う――
兵士にとって戦場での迷いや疑念は敗北をもたらし、敗北は死を意味する。そう
言う世界で生きてきたセリスにとって、オペラは自分に縁遠い世界のものだった
し、よもや自分がその舞台に立とうなどとは予想だにしていなかった。
「不安、ですか?」
宥めるように、諭すように。どこまでも優しいその口調に導かれるようにして
セリスは頷いた。
「……ああ」
「大勢の人間を前にするのは、慣れているのではありませんか?」
元とはいえ帝国の将軍まで務めたのだ。女優も将軍も、実力と度胸がなければ
務まろうはずがない。着付師はそんな風に思って問うのだった。
それから僅かの間があって、セリスは小さく、辛うじて聞き取れる程の本当に
小さな声で答えた。
「しかし。この……ままでは……剣も……鎧も、……何もないから……」
身を守る物が一つもない。
だから、不安になるのも仕方がない。と。
その言葉を耳にした着付師の手が止まる。
(…………)
無言で、目の前に座る少女に改めて視線を落としながら。
(……私が間違っていたわね……)
そこら辺の街娘と比べれば確かに鍛えられてはいたが、こうして舞台衣装を身
に纏ったセリスは、見まごうことなく女性なのである。
しかしわずか18歳の少女は、ここへ来るまで女としてではなく将軍として生きて
きた。世に生きる他の女達がごく当たり前のように享受する幸せを、彼女は知らない。
この少女の肩には、あまりにも重すぎるものが背負わされていたのだろう。
それを隠すために、彼女は剣を取り鎧を身につけ、武装した。
戦場で生き残るために。
自分を守るために。
それは恐らく、戦場で降りかかる危険だけではなく、
小さく壊れやすい身の内を、人知れず守るため――だったのだろう。
着付師は、彼女の後ろに立つと両肩に手を乗せてこう言った。
「セリス、鏡を見て」
言われるまま、セリスは顔を上げ正面に映る自分の姿と対面する。
そこにあるのは、化粧を施されいつもとは違う雰囲気を漂わせた自身の姿。
「ね、キレイでしょう?」
「……それは……。着付師であるあなたの施したものだから……」
そう言って、鏡から目を逸らす。
「お気に召さなかったかしら?」
「そ、そんなことは……。ありがとう」
着付師の言葉を否定し、ぎこちなく礼を述べる。
「なら、もう少し喜んだ表情をしてもらいたいものだわ」
「……すまない」
気まずそうに呟くセリスの顎に手をやると、強制的に正面を向かせる。こうな
ると否が応でも鏡の中の自分と目が合ってしまう。
「さ。動かないで頂戴」
「……!?」
そう言って、着付師は腰に下げていた袋から櫛を取り出すと、一度セリスの髪
を緩く束ねていた紐を解き、白金に輝く髪を丁寧に梳き始めた。
「あなた、綺麗な髪の色をしているわね」
「…………」
「マリアもそうだけど、この色は中々いないわ」
オペラ女優マリア専属の着付師である彼女は、手際よく髪をまとめ上げていく。
ただ晒しているだけだった長い髪を梳かれる心地良い感覚に身を委ねながら、
着付師の言葉が自然と耳から入ってくる。
「そ……そうなの?」
「ええ」
鏡に映る着付師はにっこりと微笑みながらも、手を休めることはしなかった。
「それに……こう言ったら失礼だけど、あまり手入れもされていないのに、
こんなに綺麗な髪質なんだから……」
手際よく整えられていく髪、それに連れて後頭部にかかる微妙な圧力も、
セリスにとっては初めてのような――それでいて、どこか懐かしい――感覚がする。
「羨ましいし、……嬉しいわ」
「嬉……しい……?」
「そうよ」
束ねた髪を頭部の高い位置に止めると、懐から取り出した藍色の紐で手早く結う。
「自分の手で目の前の人を着飾ることももちろんだけど、元々の素材が良ければ
磨く方も磨き甲斐があるっていうことよ」
言われたことの意味が分からず、きょとんとするセリスの姿に小さく微笑みながら、
棚にしまわれた髪飾りを取り出し、再び鏡の中に姿を戻した。
藍色の紐の上から褐色のリボンを結ぶ。「常勝将軍」と謳われたセリスに相応しい
色だと言うわけではなかったのだが、鮮やかなプラチナブロンドを結ぶリボンには
打ってつけだと思い、着付師はそれを選んだ。
一方のセリスはといえば、鏡に映る着付師の手際の良さに半ば見惚れている感が
あった。
そんな彼女に、着付師は言った。
「さあ、目を閉じて」
何がなんだか分からず、セリスは目を閉じる。
その間に、彼女は最後の仕上げと言わんばかりに忙しく動き回り、セリスの顔や髪に
仕上げを施していく。
――肌へ僅かに触れるその感覚は、初めてのはずなのに確かに懐かしいのだ。
懐かしい。
そう、以前にも同じ様な事があった……。
3日に1レス。これ基本。
クラウドが叫ぶと同時に、ゼロの巨体―もはや身体かどうか判別しかねるが―のあちこちから機銃や砲塔が
せり出してきた。そして、驚いて車の残骸に身を隠すクラウド達に向けて砲口が火を噴く。
スコールの様な激しい砲撃に晒され、車の陰から一歩も出る事ができない。
「いきなりこれかよ!!流石に、半端じゃ無いぜ!!」
悪態をつくシドの頭上を、白熱した砲弾が掠めた。髪が焦げるのを感じ、思わずシドの額に冷や汗が流れる。
「壊れかけた車では、そうそうこの砲撃に耐えられる物ではないだろう…まずは、接近しなければ」
そう言うとセフィロスは、懐から一丁のオートマチック銃を取り出した。
クラウドを始め、全員が驚いた様子だった。当然だ。これまでセフィロスは、手にした長刀だけで
戦っていた。彼が銃を使う所など、誰も見た事は無かった。
仲間達の唖然とした表情に気付いたセフィロスは、弾倉をぶち込みながら苦笑した。
「おいおい、驚く事じゃないぞ!これでも私はソルジャーの頃にあらゆる武器の扱いを学んだ物だ…
…とは言え、銃器は苦手だったがな。やはり私は格闘戦の方が得意だ」
そう言うが早いか、セフィロスは残骸の上に躍り出ると銃を連射した。
爆発音が聞こえ、砲撃が止む。ユフィが恐る恐る顔を出してみると、ゼロの砲塔の殆どが消失していた。
ヴィンセントが目を細める。
「…銃弾を全て砲口に撃ち込んで、暴発させたと言うのか!?この距離でか!!?」
射撃は苦手、と言って置きながらもこれ程の腕とは――ヴィンセント自身でも、同じ事ができるかは解らない。
ゼロはすぐに、新たな砲塔を出そうとしている。セフィロスが後ろに叫んだ。
「…何やってる?チャンスは今だ!この機を逃すな!!」
セフィロスが一瞬で間合いを詰める。
百式正宗が一閃し、ゼロの身体に巨大な傷を穿つ。だが、全体の大きさから見ればその傷はあまりにも小さい。
今度はゼロの身体の各所から触手の様な物が現れ、セフィロスを襲う。
それらをかわしながらセフィロスは低く呟く。
「…やはり、個々の攻撃では致命傷になり得んか…ならばこれでどうだ?」
剣にはめ込まれたマテリアが輝く。
「サンダガ!!」
轟音と共に、青白い雷がゼロを直撃する。
「機械系は総じて、電撃系攻撃に弱い…電気系統がショートするはずだが…」
セフィロスの独り言に対し、突然答えが返って来る。
「そう簡単には行かんよ、セフィロス!!」
煙の中から、いきなり触手が飛び出してきた。回避する間もなく、セフィロスは先端のアームに捉えられる。
「くッ…動けん…!!」
身動きを封じられたセフィロスに、対艦用と思われる巨砲が向けられる。
だがその時、後方から飛んできた手裏剣が触手を切り裂き、セフィロスは間一髪脱出した。
戻ってきた手裏剣をキャッチし、ユフィは照れた様に笑う。
「アタシさぁ…助けられてばっかじゃん!少しは借りを返させろ!」
表情と口調のギャップに、セフィロスは思わず吹き出した。
――こんな状況に、コイツは―――
いや、とセフィロスは思い直す。
こんな調子だからこそ、守りたいと思うのかもしれない。
hosyu
すんげーこのスレ気に入ってます。
がんばれみんな!!
保守
>>226-227 本職を差し置いて銃が出てくるのは意外でした(w。ベタなんでしょうがセフィロスって
武器として何を持たせても絵になりますね。モップも釘バットでも、……緊迫するこの
場面で、敢えて銀玉鉄砲とか出されたらそれはそれで(方向性が違うので以下略)。
ここら辺、ユフィがいい味出してます。
自分も保守がてら…。
唐突に、忘れた頃にやって来るこの話。(気分的に戦闘シーンが書きたかっただけ)
読んで下さってる方、ぶつ切り形式になってしまうことをお詫び申し上げます。
(前話
>>174-176。血塗られた盾(装備者セッツァー編)で進行中)
-------------------------------------------------------
『狂信者の塔』。
世界崩壊後、魔導士ケフカを崇拝する者達がいつの間にか築き上げたその場所は、
魔法以外の一切の攻撃が通用しないという、まか不思議な空間である。
ストラゴスとの再会以来、彼らがここを訪れるのは今回で二度目になる。
「そのことを念頭に置いて、できれば魔法戦術を得意とする者の同行を希望したい。
というのが本音なんだ」
エドガーの言葉に、一番最初に塔に向かうと名乗り出たのはセリスだった。
「じゃあ、私の出番ね。魔封剣もいざという時役に立つと思うし」
魔法に依存した戦略で臨むならば、必然的にMPの回復は重要な問題になる。
セリスの特技である魔封剣であれば、アイテムに頼らずその問題にも対応できる
というわけだ。
何があっても必ず塔へ乗り込むと断言したロック、名乗り出たセリス。問題は
あとの二名なのだが。
「ボク達も行くクポ〜」
思わぬ所からあがった声に、皆の視線は一斉に集まった。
「モグ……と、ウーマロ……が?」
呆気にとられたような表情で、ティナが彼らの方を向いた。
「ボクの『お守り』は便利だクポ!」
「そっか! その作戦があったか!!」
思い出したと言わんばかりにロックが手をたたく。モグの持っているお守りが
あれば、無駄な戦闘を回避することが出来る。
しかしウーマロが役に立つとは思えなかったのだが、モグたっての希望により
彼も同行することとなった。
「目的地に着くまで、四人は暫く休んでいた方が良いんじゃないか?」
いくらモグがいるとはいえ、いつ起きるとも知れぬ不測の事態に備え、体力を
温存しておくに越したことはなかった。
エドガーの提案で、四人はそれぞれ部屋で仮眠をとる事に。他のメンバーに達も
セッツァーの操縦で狂信者の塔に着くまでは取り立ててやることが無かったので、
思い思いに時を過ごすことにした。
そのころ飛空艇甲板上では、一人セッツァーが操縦桿を握っていた。
前方に延々と続く臙脂色の空を見つめながら、世界崩壊のあの日以来、一度も
この目で蒼穹を拝んでいないと言う事に思い至る。
(……退屈な色だな)
舌打ちしながら、懐の煙草へ手を伸ばそうとした、その時。
(なんだ?)
――前方?
指が震える、妙な感覚を覚え身動きを止める。
この艇(ふね)に近づいてくる何者かの気配。理屈は分からないが、確かに感
じるのだ。
――いや、直下か?
空を飛び続ける者の持つ、研ぎ澄まされた感覚はレーダーが如くファルコンに
迫りくる危機を捉えていた。
下の広間でくつろぐ仲間達の中でも、甲板上のセッツァーと同じ様な反応を示した
者が一人いた。
「ねぇティナ。なんか寒くない?」
そう言って、並んで座っていたティナの方を見やったのはリルムだった。
「……どうしたの?」
ティナは寒さを感じていなかった。確かに飛空艇の甲板なら吹き付ける風の影響で
寒く感じるかも知れないが、適温の保たれているこの室内で、そう感じることは無い
はず。なのにリルムは寒いという。
そこから導き出された、とても簡単な予想を口に出したのはティナではなく。
「もしかしたら、カゼかも知れない。……リルムも休んできたらどうだい?」
二人が座るソファの後ろから、エドガーが声を掛ける。
「そうね。熱でも出たら大変」
唐突に聞こえてきた声の方を振り返り、素直に賛意を示すティナ。
「大丈夫だよ……ただ、なんか」
二人の心配を受けつつも、リルムが言いたかったことは別にあったのだが。なにせ
本人にも、この感覚を伝えるに相応しい言葉が見つからなかったものだから、語尾を
曖昧に濁すことしかできない。
――なんだろう? でも、なんか……。
「あとで薬湯を持っていくよ」
「ありがとうエドガー」
二人の会話を聞きながら、違うのだとリルムは心の中で反論するが。
「行こうか」
彼らに促されるまま、リルムはティナと共に部屋へと戻ったのだった。
操縦桿を握る手が、うっすら汗ばんでいた。
(チッ……なんだってんだ一体!?)
先程よりもこちらとの距離を縮めているその気配に、無意識のうちに追い立て
られ、焦燥感に駆られる。
帝国空軍とは何度か小競り合いを演じた事はあるが、彼らのそれとは明らかに
違う。飛び慣れたセッツァーの耳に、特有の機械音は全く聞こえて来なかった。
それに、世界と共に崩壊した帝国空軍機がこの空を飛んでいるはずがない。
――帝国空軍でないなら、何が空飛んでるってんだ?!
飛空艇はこの一台しかない。
ならば、何が?
直後。考えを巡らすセッツァーの横を音もなく通り過ぎた“それ”の姿を、彼の視界は
隅の方で辛うじて捉え、主にその情報を伝達したのだった。
「なっ……!」
全速力ではないものの、世界最速の飛空艇の横を一瞬にして追い抜いた“それ”の
姿など分かる訳がない。
たとえ分かったとしても、あまりにも非現実的なことだから、この事実を理解するまで
には時間が必要だった。
「畜生! 何だってんだ!?」
セッツァーは操縦桿を握り直すと、めいっぱい右旋回を試みる。
しかし、それを嘲笑うように進路の目の前に現れた“それ”が、飛空艇の前に
立ちふさがる。
今度は視界の中央で捉えられたその様に、思わず息を呑む。
「飛行型モンスター……ってのか?」
空で魔物と遭遇した事など、今まで一度もなかった。
それだけでも驚きなのに、目の前にいるモンスターの大きさは半端ではない。
そう、その姿はまるでフィガロ城地下の滅びた古代城で出会った八竜だ。
世界が引き裂かれ、甦った古の魔物『デスゲイズ』。とある街で聞いたその名を
思い出し、思わずセッツァーは舌打ちした。
「通せねぇっつーなら、強行突破……しかねぇか」
吐き捨てるように言ってから、懐からカードを取り出す。目の前の巨大なモン
スター相手に、焼け石に水なのは百も承知している。それでも時間さえ稼げれば
それでいい。
――仲間のうちの誰かが気付くか、退路を確保するまでの――時間さえ。
右手で操縦桿を握ったままセッツァーは一人、デスゲイズと対峙することになった。
-------------
蛇足ですが
オルトロス&テュポ−ン戦、彼らは「モンスター」なんですが、空軍とセットにしてやって下さい。
長々スマソ。
.
保守兼ねて。
>右手で操縦桿を握ったままセッツァーは一人、デスゲイズと対峙することになった。
物語のワンシーンとして想像すると、すごく格好良いのですが、
ゲームの一場面として想像すると、「ひいい、死ぬ死ぬー!」。
(すみません……)
あ、でもセッツァーって、ダリルの墓作ったとき、奥にファルコン置いて
その後ちゃんと出口まで歩いて帰ったんだよな。
一人でも大丈夫かなー。
リアルなつっこみにワラタw
>>237-238 4人でも必死でしたから、1人では2,3ターンもてば良い方…Lv5の倍数なら即死(´・ω・`)...ハ、ハナシニナラナイ...
実はファルコン埋葬後に魔物が住み着いたんじゃないか? という仮説も捨てきれなかったりする>ダリルの墓
この辺、設定資料集とかに載ってるんだろか?
……戦闘絡む話は書いててホントに楽しいと思う今日この頃。
恐らくストレスの産物だと思われますが、お付き合い下さってる方、本当にありがd。
(前話
>>231-235。ファルコン飛行時に遭遇したデスゲイズ戦の模様をお送り…できたらいいな)
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「っ!!」
飛空艇に用意されていた部屋に備え付けられた、決して寝心地の良いとは言えない
ベッドに横たわっていたリルムは、弾かれたように突然飛び起きた。
横についていたティナが、その様子に驚いて声を掛ける。
「リルム、大丈夫?」
「……っう、うん」
言葉での肯定は何の意味もなさないとは知りつつも、そう答えてしまうのは何故
だろう、そんな風に思いながら。のどに詰まらせたような声を漏らす。
「……どうしたの?」
「な、なんか……いる」
――巨大な何かが、すぐ傍に!
ティナの目の前で、シーツを掴むリルムの手が震えている。説明しようのない
感覚が、小さな彼女の身に押し寄せる。
それでも。
「……行かなきゃ」
「待ってリルム!」
身の中で迫り上がってくる不安と、ティナの制止の声を振り切り、ベッドから
勢い良く飛び降りると、そのまま扉を開け外へ出ようとした。
次の瞬間、狭い室内には扉が開かれる音と、陶器の割れる音が同時に響いた。
「リルム!?」
その後に聞こえてきたのは呆気にとられたエドガーの声。体調の悪いリルムの
見舞いにと持ってきた薬湯は、彼の足元にオアシスを作っていた。
エドガーは散乱した陶器の破片を片付け、傍らにあった布切れで床の水気を取りながら、
リルムが走り去った方向を凝視していた。
「……ティナ」
そう言って、動かしていた手を止めて顔を上げる。
「何があったんだい?」
見上げたティナの表情は――まるで何かに怯えている様に――硬かった。彼女の
表情の変化を察し、エドガーが再び口を開こうとした時。
「……何か、いるわ……」
あの時リルムが何を告げんとしたのかを、ようやくティナが知る。寒い――寒さにも
似たこの感覚は――魔導の流れ。
「何かがいる。分からないけどこの近くに……とても大きな力を感じる」
「大きな……まさかモンスターが!?」
エドガーの記憶には新しい古代場の出来事が脳裏に過ぎる。
空でモンスターと遭遇した事など無かった。だからといって万が一八竜と遭遇したと
言うのなら――甲板にはセッツァーしかいない。
「ティナ!」
ティナとエドガーは互いの顔を見あい無言で頷いてから、彼女の後を追って甲板へ
向かった。
始める前から結果の分かっている勝負ほど、つまらない物はない。
常々セッツァーはそう思っていた。彼に言わせればそんな物、勝負ではない、と。
「畜生! なんだってんだ!!」
世界崩壊によって甦った古のモンスター・デスゲイズを前に、セッツァーは勝負に
ならない戦いを強いられていた。
それはかつて、空に君臨していた魔物と言うだけあって、攻撃力も魔力も、さらに
スピードも並みのモンスターとは比べ物にならない。
防戦一方……と、言うよりは明らかに劣勢だった。デスゲイズの放った攻撃は
確実にセッツァーから体力を奪っていく。こちらが回復や防御を講じる隙を与えず、
次々と攻撃が繰り出される。
巨大な翼が、セッツァーの目前で大きく揺れた。
「……!?」
次の瞬間、全身を襲う見えない刃が浴びせられる。
「かまいたち?!」
彼の身は元より傷だらけではあったが、そこへさらに幾筋もの傷が加えられる。
しばらくすると新たに出来た傷口からは赤い雫が滲み出し、滴り落ちたそれは、
甲板に赤い血溜まりを作った。
こうなると、事態は一刻を争う。
「……く、そ……っ」
悔しいが自分一人の力で、目の前の化け物を倒せる可能性はゼロに等しい。
ならば選択肢は二つに一つ。体力の回復をはかり時間を稼ぐか、この場から
早々に離脱し体勢を立て直すか。
「…………」
大きく息を吐いて、セッツァーは両手で操縦桿を握り直した。
同時に、手にしていたカードは主の元を離れ風に舞う――彼が選んだのは、離脱の
道だ。
(この艇と、ヤツのスピードはほぼ互角……それなら、なんとか振り切るしか方法は
ねぇか……?)
これはかつての友人が遺した大切な翼であり、今は仲間が乗った飛空艇。
なんとしてでも、守らなければならない。
何を差し出しても、これだけは失う訳にはいかなかった。
――差し出す物が、操縦桿を握る彼自身の命であったとしても――元より命は
チップとして賭けてある。今さら失ったところで、セッツァーにとってはどうでも良かった。
命よりも大事な物を、簡単に渡すわけには行かないのだ。
「なにやってんだよ!!」
――彼の正気が最後に聞いた声は、どことなく彼女に似ていると思いながら、
セッツァーの意識は混沌の中へと落ちて行った。
肌の上を滑り落ちた鮮血は、やがてその盾へと辿り着き、男に悪夢を見せるの
だった。
それは血塗られた盾の持つ、過去という悪夢の記憶。
.
***
――夢を、見ていたのか?
気が付けば俺は、アイツの横でファルコンの操縦桿を握っていた。空の色は
相変わらずダラダラと面白味のない色をしていたものの、平和な空の旅を続けていた。
「艇乗りってのは、空を見ただけで総てを知る事ができるんだ」
彼女はそう言いながら、計器類に目を走らせている。
そう言えば、俺に空に浮かぶ雲や星の名前を教えてくれたのもコイツだ。
「……見てみな」
宵闇迫る星空を顎で指しながら、そいつは言った。
「『妖星』だ」
妖星――聞いたこともない星の名だった。
一体何だ? と聞くと、奴はこう答えた。
「不幸を呼ぶ星」
沈み行く太陽を惜しむ様に、まだ昼間の名残を残す空の中で、ひときわ輝きを
放つ不思議な星だった。
***
「セッツァー! しっかりしろよ!!」
全身血だらけで、それでも操縦桿から手を離そうとはしないセッツァーの背中に、
リルムはありったけの大声で呼び掛ける。
それでも、彼は反応を示さなかった。まるで何かに憑かれたように、一心不乱に
操縦桿を握り前方を見据えて――その視界に、目の前の光景が映っているかは
別として――いる彼の姿は、鬼気迫るものがある。
数多くのモンスターを目の前に、そして命の危機にだって何度も直面して来た、
とても11歳の少女とは思えぬ度量を備えたリルムの、足が竦む。
それは目の前に立ちはだかるデスゲイズになのか、それとも血塗れのセッツァー
の姿になのか、にわかには判断できなかった。
「……っ!」
それでもリルムは意を決し、筆を宙に走らせた。
この状況下でこれ程の巨大なモンスターをスケッチする事など、ピクトマンサー
の能力をもってしても不可能かも知れない――しかし、成功させなければ後はな
い――小さな身体にかかる大きな重圧に、筆を持つ手が僅かに震えた。
「……!?」
その隙をつくかのようなデスゲイズの攻撃に、リルムがようやく気付いた頃に
は時既に遅く、放たれたのは即死魔法・デス。その効力が間近に迫るのを感じな
がらも、スケッチの態勢では防御魔法を唱える事も叶わない。
それでも筆を動かす手を止めようとはしなかった。止めたら本当にお終いだか
ら、ここで諦めるわけにはいかない。
(……え……?)
しかし、そんな彼女の手が止まった。
筆を握りしめていた手の先から湧き出る不思議な感覚。やがてそれは、全身へと
広がり、ついには目の前を覆うような淡い光に包み込まれた。
その光はまるで、デスゲイズからリルムの身を庇うように。
(……指輪……が?)
光っている。ほんの僅かだが、確かに光っていた。
それは物心ついた頃には既にいなかった彼女の両親が遺してくれた品。
記憶にはない彼らの、唯一の思い出だからと肌身離さず持っていた形見の指輪
だった。
(…………)
何も言わず、リルムはただ俯いて――笑った。
ありがとう。声には出さず口だけでそう呟くと、再び正面を向いて叫んだ。
「セッツァー待ってな! 加勢するよ!!」
リルムの前に立つ血塗れのセッツァー、奥に控えるデスゲイズ。そして、その
遙か後方の空で輝く、一際明るい星の姿を見つめながら。
セフィロスの作ったチャンスだ、無駄にする訳にはいかない」
クラウドは、新しい剣を実戦で使うのは初めてだ。
ゼロの巨体に、鮮やかな軌跡を描いてバスターブレードが振り下ろされる。
次の瞬間、巨大で深い傷跡が機械の塊に刻まれた。
共に戦ってきた友の剣が、クラウドの力となって甦る。
「これは…凄い」
生まれ変わった剣の力に驚くクラウドに、ゼロのアームが迫る。
反応しきれず、まともに喰らいかけたクラウドの前でアームが爆散する。
「気を抜いちゃ駄目よ!相手が相手なんだから!!」
得意のサマーソルトキックでゼロの触手を破壊したティファは、更に現れた触手に苦戦していた。
我に返り、クラウドはティファを襲う触手を薙ぎ払う。そして、示し合わせたようにゼロの巨体を駆け上る。
二人のコンビネーションは、まるで何年も共に戦ってきた者同士の如く完璧だった。
それは、仲間や幼なじみと言う言葉で説明できるレベルの物では無かった。
〔不思議だ…〕
こんな危機的状況下で、クラウドは笑みがこぼれるのを抑えられない。
〔ティファと一緒だと…負ける気がしない…〕
クラウドの剣が再び触手を薙ぎ、ティファはゼロの「本体」と見られる箇所――僅かに残った人型――
そこに、勢い良く拳を叩き込む。その手応えは、人間の様でそれに在らざる者だった。
「――動揺したな…?」
落下を始めるはずのティファの身体が、空中で止まっている。
半分が機械となったゼロの顔が、奇妙に歪んだ――笑っている。
戦慄に凍り付くティファの身体に、ゼロの残った左腕が向けられる。可視光線を遮断する黒い光が集束する。
クラウドが剣を振り下ろすのと、ゼロの左腕が光るのはほぼ同時に思えた。
巨大な火球が暗いスラムを明々と照らす。ティファを庇ったクラウドは吹っ飛ばされ、
数十m先の積み上げられた機械の残骸に突っ込む。
「クラウド!!…ぬぉッ!?」
彼の無事を確認しようとシドが駆け寄りかけたが、ゼロが放ったミサイルの嵐に阻まれてどうする事も出来ない。
リーブが機銃でミサイルを撃ち落とし、いつに無く強い口調で叫ぶ。
「何やっとるんや!!死ぬつもりか!?」
「何だとぅ!?」
怒鳴り返すシドに、リーブは背を向ける。
「…クラウドはんなら大丈夫や。それより、ヤツを倒す事に集中すればええ!!」
ケット・シーの機銃が、また絶え間無く銃弾を放ち始めた。
シドもビーナスゴスペルを振りかざし、巨大な敵に向かっていく。
〔…とにかく、あいつを信じるしか無ぇ…!!〕
クラウドは、これまでの激しい戦いが嘘であるかのような平穏の中に居た。
目を開けると、青白く輝く半透明の壁が見えた。空がある筈の所に、水面の様な物が見える。
忘らるる都――自分の見ている光景を理解するまでに、クラウドは数秒を要した。
気が付くと、誰かが自分の横に屈み込んでいる。視界が晴れて来ると、そこには懐かしい微笑みが――
「…エアリス……これは…夢だな…」
クラウドの記憶と変わらない、細い指がクラウドの頬を撫でる。
「なら、きっと良い夢ね…」
某映画のワンシーン、丸ごとパクって済まんかった…OTL
しかも間違えた。人生の汚点。
>>248の一行目、最初に 「 が抜けてました。
>>ドリル氏
自分は殆ど戦闘物…ストレスがもはや限界に?
「こんな(負荷のかかる)鯖がよく稼働するよな……落ちないのか?」
「落ちるときはおちるもんだ…。鯖移動とは(板の)運命を切り開く賭の連続」
game6鯖(暫定)復帰記念。何故かFF6ネタですが(w。
帰ってきたら鯖入院とか、いきなり復帰とか…中の人も忙しそうだ。
>>248-249 前話(
>>226-227)で切り込み隊長(?)セフィロスが作ったキッカケから
一丸となって戦うっていうパーティー戦な雰囲気が、たまらなく(・∀・)イイ!
ところでバレットって合流してますか? …とにかくあいつも信じてます(w
……ストレスが限界まで溜まると、妄想という形でリミットブr(ry。
(前話
>>245-247。 鯖、あるいはスレが落ちるまでは続くファルコン物語。w)
--------------------------------------------------------------
***
「不幸を呼ぶ星? ……それにしちゃあ、ずいぶん明るく光ってるじゃねぇか」
言いながら、俺はその星が輝く方角の空を見上げた。地平線に姿を消したばかりの
太陽が置いていった残光で、空は鮮やかなオレンジ色を帯びていた。
そんな明るい空の中でも、その星は一目で分かる程の輝き放っていた。
「……美女の魔性と原理は同じ。せいぜい惑わされないように気をつけるんだね」
星を見上げる俺の横で、奴は忠告めいた言葉を吐いてから、笑った。
***
……カラン……。
次の瞬間、甲板に響き渡ったのは筆が落ちる乾いた音と。
「……セッツァー?!」
戸惑いを含むリルムの声。
自分の身に一体何が起きたのか、目の前で繰り広げられている光景が何を示して
いるのか、とっさには分からなかった。
相変わらず片方の手は操縦桿を握ったまま、振り返ったセッツァーと向かい合う。
この時、リルムははじめてセッツァーの瞳が焦点を定めていないと知る。
――混乱しているのだ。
「まっ……!」
彼の意識を正常に戻そうと、リルムはとっさに白魔法エスナを唱えようとしたが、
鋭い痛みに意識を遮られて呪文の詠唱にまで至らなかった。
彼女の右腕から流れる一筋の血。
「! どう……」
混乱している。頭では理解できていても感情はそう簡単に納得できなかった。
「セッツァー待って!」
再度エスナを唱えようと詠唱を始めるが、またもそれは遮られた。今度は全身
に走る痛みに顔を上げれば、目の前にはデスゲイズの巨体が揺れている。
「……っ!!」
それでも諦めず、三度詠唱を始めたリルムの耳に、恐ろしいほど低い声で告げ
られた言葉は。
『邪魔をするな』
一言で総てを切り捨てるような彼の声は、ただ冷たく。それは明らかにいつもの
セッツァーではなかった。
「セッ……」
驚きと戸惑いに、目を見開いたまま立ち尽くすリルムを前にしても、セッツァーは
一向に反応を示さない。一体彼の身に何が起きているのか、リルムはまだ理解
できずにいた。
『お前は黙って見てればいい』
そんなリルムに向けて、セッツァーは淡々とした口調で語る。彼は自らが告げた通り
リルムから魔法の術を奪うと、再び背を向けて操縦桿を握った。
今や目の前の男は、セッツァーの姿をした別人だった。
(
>>248-249から)
「…ずーっと、気に病んでたのね」
エアリスの口調には、咎める様な響きがあった。それを感じたクラウドはエアリスに答える。
「ああ。…当然だろう、そんな事…」
エアリスは、少しだけ悲しそうな顔になった。
「人はいつか死ぬ。運命という形で流れるライフストリームの流れの上で、人は生きるのよ。
勿論、鳥だって、花だって…私がここで生を終えたのも、運命の一環よ」
クラウドは飛び起き、エアリスの肩を掴む。
「運命なんて!!俺があの時助けていれば…おかしくならなければ…!!運命なんて変えられるはずだ!」
「それは違うよ、クラウド。過ぎ去った過去に『もしも』何て概念持ち出しても意味は無いし、
変えられるのならそれは『運命』じゃないもの」
クラウドは唖然とした。全てを悟ったように語る、この女は誰だ?
自分の知っているエアリスではない…それとも、自分がエアリスの事を知らなかっただけなのか。
「そして、私がここで死ななければ今戦っているセフィロスは地上に戻れなかった。
彼が居なければあなたは『あの人』に勝てない…みんな、1つの輪の中に居るだけなの」
クラウドの視界が白くフェードアウトしていく。クラウドが伸ばした手を取り、エアリスはもう一度笑った。
「…だから、あなたは自分を責めたりしないで。笑ってるあなたが、私は一番好き。それから――」
クラウドの視界が、眩い光に包まれた。何も見えない中、エアリスの穏やかな声だけが聞こえる。
「それから…あなたを一番必要としている人の、そばに居てあげてね……」
堆く積み上げられた、残骸の山が吹き飛んだ。
舞い落ちる残骸と粉塵の中から、クラウドは飛び出した。
〔そうだ、俺はどうして気付かなかった?〕
仲間達は既に劣勢だ。ケット・シーの右腕は破壊され、ヴィンセントの銃は既に弾切れらしく
強化された腕のみで戦っている。クラウドと共に飛ばされたティファは、肩から血を流していた。
あまりにも強大な敵に、気力も尽きようとしていた。だが――
「とぉりゃぁぁぁぁ!!!」
ゼロの巨体を、横切った手裏剣の後に長い傷が走る。
この暗い戦場の一角で、ユフィとセフィロスはゼロに攻撃を続けていた。
この2人も、完璧なコンビネーションでゼロを圧倒していた。まるで何年も共に戦ってきた様に。
とは言え、やはりゼロに致命傷を与える事はできないでいた。
「むう…奴の弱点が解らん以上、あの耐久力ではな…」
「おいおい、冷静に分析すんのはいいけど何か手は無いのかよ!?」
ユフィが触手を弾きながらセフィロスに訊くが、セフィロスは更に難しい顔をする。
「…と、なると…広範囲を一気に削るか」
百式正宗が光った。セフィロスがそれを振るうと、太刀筋の後に白い光芒が弾ける。
「――地砕煉獄斬!!!」
3回の斬撃。だが、一撃ごとの破壊力が半端ではなく、それはゼロの巨体に穴を開ける。
一瞬、その断面に何かが見えた。青く輝く球体が―――
「見えたぞ…奴め、あのマテリアを核としてあの身体を維持していたのか!?」
「お、おい…その弱点って…?」
ゼロは機械の残骸を吸収し、その「核」を覆い隠した。
「新たなエネルギー源として、神羅が人工的に作り出したマテリア…実在するとは思わなかった…
…危険すぎた為だ、あの『原子』のマテリアは…」
「す、すげえ…撃ちまくってるぞ…」
ルーファウスとタークスの面々は、もはや時間感覚も無くなるほどの間押し寄せる機械の群れを叩き落し続けた。
どれほどの時間が経ったのか――突如、機械達の動きに乱れが生じた。戸惑ったようにざわめき出す。
「フ…我が社の誇る機動兵器も、とうとう変調を来したか…」
いつものオールバックが崩れたルーファウスは、どこかクラウドと似た雰囲気を漂わせていた。
そして、こんな状況でも余裕すら見せるルーファウスに、回りの部下達は勇気付けられるのだ。
だが、その勇気も一瞬で戦慄へと変わる。
瓦礫の積み上げられたスラムに、一瞬の白い閃光が迸った。次の瞬間、天地を埋め尽くしていた機械の大軍が
灼熱の爆風の中に消滅した。
ルーファウスがとっさに指示しなければ、彼らは全滅していただろう。だが轟音を圧する彼の声によって神羅兵達は
弾かれる様に物陰へと飛び退る事ができたのだ。
「…何だ、今のは」
ルーファウスが低く呟く。レノの鋭敏な耳が、空気の振動を捉える。
「社長、何か来るぜ…聞いた事のある音だ」
スラムの外側の方、曲がりくねった狭い通路の向こうに何かが見えてきた。
その物の体は紅く輝き、何者とも付かぬ形状は禍々しい竜すら連想させた。
「それ」が吼えた。ビリビリと空気が振るえ、瓦礫の山が崩れる。ミッドガルのプレートが軋む。
レノはその咆哮を、記憶の中から探り当てた。
「この声は…ちと違うが、間違い無い……ウェポンだ」
危機を排除する為に星の最終兵器が降り立ったのは、他ならぬミッドガルだった。
>>251はドリル氏…ですよね。
何かピヨってる(=混乱)人の表現が上手くて感服します。
デスゲイズのフィギュアを持っていた気がしますが…6のでは無い…?
事実リミットブレイクしそうですw
ほほほ
保守して頂き有り難うございますー。
>>255-257 ウェポン忘れてた…(w。
それにしても二つの地点で同時に行われる共同戦線+各パーティー戦という
形態が、いかにも巨大な敵に対峙している、という感じで彼らを繋いでる様に
見せてるのが好きです。(ミッドガル地上と飛空艇空中戦から引き継いでる雰
囲気だし)。クラウドとルーファウスの姿は対極で描かれているのかな? と
今さらながら思いますた。
ところで今回、個人的に気になったところがあったのでレスさせて頂きます。
> 過ぎ去った過去に『もしも』何て概念持ち出しても意味は無いし、(
>>255より)
このエアリスのセリフの部分なんですが、「概念」という言葉をエアリスが言っ
ているという場面になりますよね? 彼女が口にする言葉にしては「概念」って
ちょっと不自然というか違和感が。もう少し簡単でも良いような印象を受けますた。
「過ぎ去った過去にもしもなんて言ったって、はじまらないし」とか。会話の中で
自然に使う日常の言葉で語った方が(こういう場面では特に)重い感じになる
んじゃないかと。(セリフではなく補足(?)描写に使った方が自然な印象があり
ます>概念)。自分もやるパターンなので(w、気付いてみたりして。長々スマソ。
(前話
>>252-254。血塗られた盾@セッツァー編。ファルコン甲板上での対デスゲイズ戦)
----------------------------------------------------------------------
甲板へ通じる階段を二人は一気に駆け上がった。
扉の前で立ち止まると、エドガーが振り返る。ティナが無言で頷いたのを確認
してから、彼は再び向き直るとオートボウガンを手に勢い良く扉を開け放つ。
途端に吹き込んでくる強風に視界を遮られまいと、二人は甲板へと駆け出し、
周囲を見回した。
不気味な静けさの中に広がる光景。
そこには血塗れで操縦桿を握るセッツァーと、その後ろで傷を負い座り込むリルム。
そして飛空艇の前に立ちはだかるデスゲイズの巨体があった。一目見れば急を要す
る事態なのだと察しが付いた。ティナはすかさず全体回復魔法ケアルガの詠唱に入る。
「リルム! セッツァー!」
エドガーの呼び声に、向けられたリルムの表情に唖然となった。
強い風を正面からまともに浴びていたせいなのか、それともこの状況に恐怖――
あるいは絶望――を感じてなのか、両の瞳を潤ませながらそれでも懸命に何かを
訴えようとしていた。
「大丈夫かい?」
この状況下でもいつもと変わりなく、それを意識したエドガーの声には普段以上の
柔らかな響きがあった。
「っ、あ……」
座り込んだ彼女の元へ駆け寄り、いつもの様に優しく声をかけたエドガーに、
リルムは言葉にならない声を発し、必死にに頭を振った。
「……落ち着いて。さあ、これを」
事情を察したエドガーが手渡した万能薬は、リルムに声と言葉を取り戻させる。
同時に及んだケアルガの効力も相まって、リルムの声は必要以上に大きくなった。
「……セッツァー!」
――しまった。というのがエドガーの本音だろう。彼の声と表情に険しさが浮かぶ。
「ティナ! リルムを頼む!」
言い放つと、エドガーはセッツァーの横へ立ちデスゲイズの巨体へ向けてオート
ボウガンを構えた。
「エドガー?」
後方で叫ぶ二人の声が聞こえないふりをして、エドガーはそのまま矢を放つ。
ある程度のダメージは与えられるものの、やはり期待した程の効果は得られなかった。
『邪魔を、するな』
再び聞こえる冷たい声は、あからさまな敵意を含みながら、彼らの全てを否定する
かの様に放たれた。
その声に、エドガーは視線だけを横に移して声の主を視認した。焦点の定まらぬ瞳は、
エドガーの方に向けられてはいたが、恐らく彼が見ているのはエドガーの姿ではないだろう。
横に立つ男の姿にほんの一瞬、苦笑したような表情を浮かべたものの、それに気付く
者はいなかった。
「残念ながら今の状況では、君の要求には応じられないね」
感情を覆い尽して怜悧な笑みを浮かべながら、エドガーの口調は身内に対する
柔らかなそれとは違っていた。
『お前達がどうしようと勝手だが。私の目的達成の邪魔をするな』
――それはセッツァーであってセッツァーではない――明らかに彼以外の何者
かの意志によって語られた言葉。しかしエドガーもそれを意図して話しているのだ
ろう。
「それじゃあ、君は君自身の力でその目的を達成すると良い。ただ、君にも私達
の行動の妨げにはならないで欲しい。分かるかい? 交渉というのは一方的な
要求では成立しないものだよ」
そう言って、手にしたオートボウガンを床に投げ出した。
「……交渉は決裂した。ならば今すぐ返してもらおうか? 私達にとっては掛け
替えのない仲間なんでね」
言いながら、エドガーは腰に下げていた護身用の短剣を引き抜き、床を蹴った。
普段は機械を好んで使うエドガーだったが、剣の腕もなかなかの物で、それは
驚くほどの早さでセッツァーの手首へと振り下ろされた。
一点の躊躇いもなく。
そんなエドガーの行動を目の当たりにしたリルムとティナの表情が一変した。
『……ほう。掛け替えのない仲間……と呼ぶ割には手荒なマネを』
「残念ながら“君”を仲間と呼んだ覚えはないんでね」
社交辞令と言うにはあまりにもはっきりとした敵意を、笑顔の中に見せながら、
剣を向けたエドガーは笑う。
一方のセッツァーも無表情のままで盾を構え、その切っ先が自身に触れるのを
阻んでいた。
『愚か者が』
「君に言われたという事を加味すれば、最高の誉め言葉だ」
普段は見せない冷然とした二人の遣り取りに、ティナもリルムも表情を固くした
ままで手出しができない。
こうしている間にも、デスゲイズは次の攻撃態勢に移っている。4人がバラバラの
この状況では、眼前の巨大な敵と対峙したところで勝算は見込めない。
――なんとかしてセッツァーを正気に戻さなければ――焦燥感に煽られるばか
りで、彼女たちはその場から動くこともままならず、ただ事の行方を見守ることしか
できなかったのだった。
>>262の冒頭部分が抜けてますた。↓以下になります。
-----------------------------------------------------------------
「セッツァーが!!」
その声にエドガーは改めてセッツァーの方を見やる。ティナのケアルガのお陰
で身体の傷こそ幾分かは癒えた物の、彼はまだ操縦桿を握り前方から視線を逸ら
そうとはしなかった。こちらの呼びかけにも無反応のままだ。
エドガーが彼の身に装備されている盾の存在に気付いたのは、その直後だった。
-----------------------------------------------------------------
手落ちでスマソ。
>>260 しまった…自分の不注意でまたキャラ壊しちまった(ノД」アウチ
>>263の「愚か者が」→「君に言われた事を〜」の流れカコ(・∀・)イイ!!
266 :
鈴:04/05/01 00:58 ID:l39ipSfn
PC変更のためトリップ紛失中でつ。
少年少女〜の続きではなくて申し訳ないんですが、唐突に4です。
カイン×ローザということで、苦手な方はスルーをお願いします。
関係ないですが、カインに傷 だ ら け の ロ ー ザを歌ってほすぃ(w
感想書き込めなくてスマソ。でも書き込みがあるたびに読んでます。
「あなたらしく、ないわ」
それが、長い沈黙の後にローザが最初に呟いた言葉だった。
カインはある意味予想通りだった彼女の返答に、努めて平静を装おうとした。
しかし動揺は隠しきれず、わずかに声が上擦る。
「だが、俺はずっと……ローザ」
「私が愛しているのはセシルなの。お願い、解って」
カインの目前にはローザの瞳があった。この美しい瞳に熱っぽく見つめられたいと何度願ったことだろうか。
彼女を強く抱きしめたいと思わない夜があっただろうか。
手を伸ばせばすぐにでも触れられる。抱き寄せることが出来る。だが彼女はそれを拒むだろう。
そのことが何よりもカインを苦しめた。
「だから、ごめん……なさい、本当に」
独り言のように繰り返しながら右手を額に当てる。ローザもまた、混乱していた。
カインのことは大切な幼なじみだと思っていた。憧れの感情こそあれ、それ以上の気持ちを抱いたことはない。
そんなカインからの突然の告白。愛していると告げられても戸惑うばかりだった。
カインの表情をそっと窺うと、とても辛そうだった。
おそらく次の言葉を探しているのだろう。唇を噛み締めて何事かを悩んでいる様子だ。
だがローザはこの話をここで終わりにしたかった。
我が侭かもしれないが、カインとは今まで通りの関係を続けていきたい。幼なじみとして。それ以上にはなれない。
「もし、君が……セシルに出会う前だったら、君は俺を……」
愛してくれたのか?
絞り出すようにカインは言った。そんなことを聞いてもどうにもならないことは解りきっていた。だが聞かずにはいられなかった。
彼女が頷いてくれれば、ただそれで良かったのだ。
その答えだけを糧に生きていけると思った。
彼女を他の男に奪われてからしか想いを告げることの出来なかった自分の意気地の無さを責めながら。
「あなたのことは、年の近い兄のように思っていたわ」
苦悩するカインとは反対に、ローザは不意にある感情が自分の中で湧き上がるのを感じていた。
かつては憧れさえ抱いていた男。一人の家族として親愛の情を抱いていた男。
カインが、自分のことを狂いそうなほどに想っていた。お互いの間で交わされる視線は、その実正しく交わってはいなかったのだ。
初めて知った事実に、ローザは純粋に喜びを感じていた。
その点で、ローザは完全に「女」だった。
たとえ自分では愛していない男からであっても愛されることを喜び、愚かで、そして言い訳で取り繕うのが上手い。
「だから、あなたも私のことを妹だと思って。お願い、忘れて。きっと世の中には私よりも素晴らしい女性がたくさんいるわ」
ローザは一人の完璧な女だった。だがしかし男の感情を思うままに操ることに快感を覚える悪女の類では決してなかった。
そのせいだったのかもしれない。彼女は「兄として愛している」という言葉ならばカインの中にある情念を全て断ち切れると確信していた。
「……初めから駄目だったというわけか」
「ごめんなさい」
そう言って、ローザは悲しそうに微笑んでみせた。その名が示すとおり、薔薇のような微笑みだった。
朝露に濡れた咲きかけの薔薇。
思わず手に取ろうとして指先を刺す棘。
手に入れることができないのなら、せめてこの目に焼きつけておきたい。
カインはその表情を脳裏に刻み込むと、無言で部屋を後にした。
行き先などどうでも良い。ただ一人きりになれる場所が必要だった。
ローザの失敗は、カインの心の奥に根付いた想いの深さに気づけなかったことだ。
カインの不運は、その後もローザ以上の女性に巡り会う機会などなかったことだ。
うわぁぁ…切ない…。・゚・(ノД`)・゚・。
その後の展開を思うとたまらないッス。
>>265 “一見すると賢そうな遣り取り”って大好きなんですが、その辺が表現できていたようで
心底ホッとしてます。ありがd。
>>267-270 このスレで4ネタ、遂に来ましたか!(*´д`)
実際にプレイしていない漏れ的には、
>>270が蛇足というのではなく、むしろこの2行で
ご飯3杯いけそうな勢いです。(果たしてこれが、読んだ感想を的確に表現する言葉な
のだろうかと、書きながら僅かばかり疑問ですが)
…あれ? もしかしてFFって幼なじみ設定って多いのか?
関係ないですが、カイエンに傷 だ ら け の ロ ー ラという手もなくはない。(6ネタかよ)
アイテム萌え話……というか、戦闘描写に没頭しすぎて危うく置き去りになるところだった
話の続きです。多分ロクセリだけど、ロクセリというより
崩壊前/後のセリスの変貌ぶりをエピソードとして探ってみたかった話。
(前話
>>221-224。FF6オペライベント直前が舞台のお話。)
--------------------------------------------------------------
***
10年前。
ガストラ帝国が魔導を主軸とした軍備増強をはっきりと表に出したのは、この頃
だった。当時はまだ幼かったセリスは何も分からず、ただそのパレードに参加
していた記憶が――朧気ではあったが――頭の片隅に残っている。
帝国の魔導士ケフカ、将軍レオという二人の若き指導者による軍部再編成と、
その頂点に君臨する皇帝ガストラ。そしてルーンナイトであるセリス。彼らは象
徴として、帝国の新体制発足を祝賀するパレードに参加し、国民にその力を誇示
するというのが、一番の大きな目的だった。
そのために、セリスは今と同じように鏡の前に座り、いつもとは違う衣装を身に
着けることになった。
「……動きづらいし、なにかヘンな感じがする」
そういってごねる幼いセリスに、研究所の所員がにっこりと笑いながら。
「そんなことない! 格好いいよ」
そう言って、髪の毛を束ねてくれた。
――いつもはこんな事しないのに。
セリスの後ろに立つのは魔導研究所の研究員で、いつもは手に持った分厚い紙と、
機械を前に恐い顔をしてる人物だった。
彼女は事ある毎に数字を出さなきゃ、そう言ってセリスに色んな事を要求してきた。
――そんな人が、どうして?
「どうして?」
――こんなに優しくて、嬉しそうな顔をするの?
椅子に座らされたセリスは、彼女の方へ視線だけを向けた。
「今日は特別。みんなに見てもらわなきゃいけないからね」
そう言って微笑みながら、セリスの髪をまとめ上げた。
そうだ、あの日だ。
あの日、初めて私は――
***
「さ、もう目を開けてもいいわよ」
彼女の声に瞼を開けば、目の前に広がるのはオペラ座の広々とした控え室。
着付師はセリスの後ろに立って微笑んでいる。
「……こ、これ……が私?」
「どう、キレイでしょう?」
鏡に映る自身の姿に息を呑むセリスの様子を、着付師は黙って見守っていた。
所在なげに周囲へ視線をやりながら、自分の身体を、確かめるようにゆっくりと
触れていく。おぼつかないその動作は、まるで生まれたての雛のようだった。
「私達はね」
そんなセリスの様子を見ていた着付師が、口を開く。
「……剣を持って無くても、鎧を身につけていなくても、強くなれる生き物なのよ。
不思議でしょう?」
鋭い剣のように相手を斬ることはできなくても、艶やかな視線が武器となり。
固い鎧のように刃から身を守ることはできなくても、身につけたそのドレスは
人々を魅了する。
あの日、初めて私は女性として生まれてきた事の意味を知った。
そして今、私は女性として生きる術を知ったのだ。
「あなたにならできるわ、私が保証する。……舞台の成功、祈っているわよ」
そう言い残して着付師は控え室を去ったのだった。
残されたセリスは、改めて鏡の中の自分と向き合い、遠き日の記憶を辿っていた。
魔導――帝国のパレードに参加した10年前のあの日。今と同じようにして着飾った
自分に戸惑う一方で、内心では僅かの嬉しさを感じながら。もう一人のヒロインと
出会ったあの日の記憶。
***
彼女は薄い黄緑色の珍しい髪の色をしていたから、一目見たら忘れない。細身の
身体に整った顔立ち――決して表情豊かとは言えないけれど――生まれながらに
魔導の力を持つ少女。彼女がそう呼ばれていた事を、当時セリスは知らなかった。
けれど、彼女は何かを感じていた。自分にはない力と強さを。恐らくはセリス自身も
気付かない、無意識のうちに。
周囲の大人達からは、壊れ物に触れるように丁寧に扱われている彼女の存在は、
少なからずセリスの心に“何か”をもたらした遠因であったのは確かだった。
「わたしは、あの子のかわりなの?」
怯えたように、絞り出された小さな声は、やがて出迎えた群衆の歓声にかき消され
たのだった。
この板が人大杉になるのも時間の問題か?
俺も書いていいですか?
>>276 2chブラウザ導入したらええやん
(前話
>>273-275。FF6オペラ公演前)
----------------------------------
***
響き渡る歌声と、いくつもの弦が奏でる心地よい旋律の中で、落ち着かぬ
ロックは、遂に堪えきれずに席を立った。
「俺、控え室の方に行ってみるよ」
言い残すと足早にその場を立ち去った。
元々、オペラになんて微塵の興味もなかったし、親しみのあるものでもなかった
から、暇を持て余していたというのが本音にあったのかも知れない。
だが、この先に待つ“舞台”を思えば、退屈だなどと言っている場合ではない。
今の彼らにとってはオペラよりも、絶対に成功させなければならない公演が待って
いる――それはたった一人のギャンブラーの為に用意した舞台だ。
そのために、いくら帝国の元将軍とはいえ一人の女を囮にしようと言い出した
のは他でもない自分だという事に、多少の罪悪感が付きまとう。それを払底する
べく、彼は控え室に向かった。
しかし、部屋の扉の先で彼を待ち受けていた物は、彼自身想像だにしていな
かった“誤算”だった。
「おまえ……こんなキレイだったっけ……」
思わず口をついて出た感想だった。帝国に属し戦場を駆けていた女とは思えぬ
妖艶さを纏っている。剣を持っている時のそれとは全く違っていた。
――マリアに似ているというセリスの姿を見て――さすらいのギャンブラーと
自称する男が、わざわざ浚いたくなるという気持ちも分からないでもないな、と
そんな風に思ったが、さすがに口には出さなかった。
同時に、そんな風に思ってしまう自分と、思わせた目の前の女に対して羞恥にも
似た感情を覚えた。
視線を逸らそうと俯いたロックとは対照的に、セリスはひどく落ち着いていた。
化粧をしている間や、その直後に鏡と向き合った時の動揺はウソのように
消えていた。
――今なら、言えるだろうか? ……言えるかもしれない。
セリスは確信した。
サウスフィガロの地下室で、彼と初めて出会った頃から抱いていた疑問。
恐くて口には出せなかったその言葉を、今なら。
「ロック。なぜあの時、私を助けてくれたの?」
セリスが思っている以上に、発せられた声は穏やかだった。
相変わらず顔を上げないまま、ロックは居たたまれずに控え室を立ち去ろうと
する。
出口の扉の前で足を止め、僅かに躊躇った様に溜息を吐くと、それでも小さな
声で返したのだった。
「好きになった女に何もしてやれず失うのは……もうゴメンなだけさ」
瞬間、二人の間に訪れた沈黙。
まるでそれを埋めるかのように流れる、ゆるやかな弦の調べ。高音部と低音部は
やがて一つの大きな波となり、その中に加わる幾つもの声は、舞台上の劇が山場
を迎えた事を、控え室の二人に告げていた。
「……私は、あの人の代わりなの?」
セリスの声に、劇場内でわき起こる拍手が重なる。
ロックからの答えは、なかった。
愛しのあなたは 遠いところへ
色あせぬ 永久の愛 誓ったばかりに
望まぬ契りを交わすのですか?
どうすれば? ねえあなた
言葉を待つ
――『私達はね』
ありがとう 私の 愛する人よ
一度でも この想い 揺れた私に
静かに 優しく 応えてくれて
――『剣を持って無くても、鎧を身につけていなくても、強くなれる生き物な
のよ。不思議でしょう?」
いつまでも いつまでも
あなたを待つ
−10年目の斎戒〜オペラ座の着付師<終>−
282 :
277:04/05/06 20:25 ID:50hL5Ezn
↑泣きました。久しぶりに小説を読んで。
俺はFF6の10周年というかFF10-2のパイン サイドストーリーと書いてるんですよ。
それでも良ければOKですか?
>>282 そんな風に言って頂けて光栄です。
パインサイドストーリー、楽しみに待ってます。自分的には記録役という彼女の立場が
もの凄く好きだったので、とても興味深く期待待ちsage。
鯖と自己都合により、毎度毎度6ネタ連投気味になってますが、…スマソ。
(前話
>>261-263。
>>262の冒頭部分として
>>264を挿入して下さい。ごめんなさい)
-------------------------------------------------------------------
***
得意げな笑みを浮かべながら、女は言った。
「あの星が妖星って呼ばれる理由、教えてやろうか?」
それはあまりにも遠い昔の出来事で、今となっては事実を知る者も、それを記す
物もなく。ただそれは、悲惨な魔大戦の逸話として、人伝に語り継がれた事だと
付け加えながら。
その問いかけに、俺は渋々と頷いて見せる。本音は好奇心から今すぐにでも
聞きたいと思っていたのだが、それを態度に現すのはどうにもこの女のペースに
乗せられているようで、素直に聞きたいと口には出さなかった。
訝しげに俺のことを見つめていたが、やがて女は語り始めた。
「……まだアタシらが生まれるよりもずっと以前。この空には沢山の飛空艇が
飛んでたって話だ」
今となってはファルコンとブラックジャックの二艇だけになってしまった存在。
――そう言えば不思議だった。何故この二艇だけが現存しているのか。
「他の奴らはどうしたんだ?」
「空の藻屑と消えたらしい。……ひどい話さ」
前方に広がる空を見つめる女の横顔から、笑顔は消えていた。
言い伝えによると、魔大戦で活躍した化け物に対抗するために、飛空艇部隊が
編成されたのだと言う。天空に君臨するモンスターと対峙するため、人間は飛空艇を
利用したのだと。
「人間が化け物に敵うハズもなく、当時の艇乗りの多くは悲惨な最期を遂げた。
……って言ってたな」
やがて物資も尽きてきた人間がとった最後の手段――それが、飛空艇ごと敵陣
のただ中へ突っ込むという愚策だった。
「バカか!?」
「バカだったのさ」
当時の人々は、それが正しいことだと信じ、死へと続く航路を自ら選んで進ん
だのだ。今思えばバカとしか言い様がない。
誰に対する、あるいは何に対する怒りなのか――彼らと同じ飛空艇乗りとして
生きる二人の胸中に去来するその感情は、語気を荒くさせただけで行き場を失う。
少しの間をおいて、大きく溜息を吐いてから女は続けた。
「その様は、まるで真昼に現れた流星群だったって話だ」
皆同じ場所を目指し、空には幾筋もの軌跡が描かれたのだという。その姿はまるで
流れ星のそれを連想させたのだろう。
そして。
ファルコンとブラックジャック――二つの翼を残し、彼らは地上へ戻らぬ星と
なった。
「…………」
「あの星は」
黙り込む俺に、気付いているか? というように空を指しながら奴は告げる。
「他の星とは違う動きをするだろう?」
言われてようやく気付く。陽が沈み、漆黒のベールが降ろされ始めた空の中を、
その流れに逆らって進む様な軌道を描いている。普通に考えればあり得ない動きだ。
「その戦いで散った者達の魂が集まった星……だと言われてる」
――その星が天空に現れる時、その動きは人々を惑わすのだ――と。
別名を惑いの星。
「もしかして残った2つの飛空艇は……」
俺が口に出しかけた言葉を遮るように、女は言ったのだ。
「今、考えていることの逆が正解だ」
(
>>255-257から、滅茶苦茶間が開いてスマソ)
どう見てもウェポンがぎりぎり通れるぐらいしかない狭さにもかかわらず、神羅兵達の放つ攻撃は一向に当たらない。
透けてグロテスクな骨格が見える身体に惑わされて最初は見えなかったのだが、やがてルードが気付いた。
「奴は…身体を自由に変形させる事が出来るのか!?」
その言葉を理解したかのように、オメガウェポンはその姿を変えた。
一瞬で巨大な円盤状の形に変形し、ルーファウス達の頭上に飛来したのだ。
「軟体動物か…?決まった形を持たんとは…」
半透明の身体の中を見ると、変形に伴って骨格そのものが先程とは全く違う形態を取っている。
そして、円盤状になったウェポンの腹部―と思われる部位―に、エネルギーが集束していくのが解る。
ルーファウスはゴッドフリートを上へ向けた。どの道逃げ切れないのなら、相殺する――そう考えたのだ。
オメガウェポンが放った青白い光と、ルーファウスの放ったビーム。二つの光条は地上から数メートルの所で激突し、
輪の様な青い光が同心円状に広がる。
ルーファウスは頭上から降り注ぐエネルギーの巨大さに苦笑した。それを相殺するほどの武器を作った職人の腕も
見事な物だが、そう長くは耐えられないだろう。既にバッテリーが焼け付き始めている。
「所詮、人は人…星の力には逆らえないという事か…」
こんな状況で落ち着いていられる自分が不自然でたまらない。彼は昔からそんな自分が嫌いだった。
ルーファウスの生まれつき蒼い瞳が冷たく光る。
――だが、ここでただ星の裁きを黙って受けるつもりも無い。
「星の定めた運命など…人が呼び寄せた災厄だ、止められるのは人のみ!!
この戦いで死ぬ事が運命付けられているとしたら、私はその運命に抗う――最後までな!」
>>286 神羅部隊、カコイイな……。
FF7本編でも思ったけれど、主人公達とは違って純粋に「人の力」(≒科学)で
立ち向かってった彼らの勇姿は忘れません。ウェポン襲来のムービーと曲は、
今聞いても鳥肌立ちます。そんな緊迫感が出てて(・∀・)イイ!
スフィアマナージュ(FF10?)みたいな形態なのかと想像したんですが>ウェポン
時期的に仕方はないんだけれど、寝ても覚めても仕事ばっか…_| ̄|○モ、モウソウスルジカンヲ....!
(前話
>>284-285。)
---------------------------------------------
***
なるほど、これが『盾の呪い』なのかと、まるで他人事のようにエドガーは考え
ていた。
「……ティナ、援護を頼む」
「分かったわ」
エドガーは敢えて多くを告げなかった。魔法かあるいはそれと同等の効果を持
つ『何か』の影響でセッツァーは混乱している。それを止める為には、戦線離脱
以外に方法はない――あまり使いたくない手段ではあるが、他に術はなかった。
デスゲイズではなく、セッツァーと相対した形になったエドガーを見て、ティナは
聞くよりも早く事態をのみ込んだ。
「大気に満ち、木々を揺らす波動……」
ティナが詠唱している魔法の正体が分かった時、彼女の横にいたリルムもよう
やくエドガーが何をしようとしているのかを知った。
しかし決して理解できたという訳ではない。少女の横で止めどなく紡がれる詠
唱を聞きながら、リルムは筆を置いた。
「生命の躍動を刻め――リレイズ!」
同時に、セッツァーに向けてリレイズが放たれる。
「ありがとう、ティナ」
早口で――それも本人には聞こえているかどうかは分からないが――エドガー
は呟くように告げると、剣を握り直した。
もちろん、旅路を共にする仲間に刃を向けるのは気分のいい物ではない。だが
この状況を打破するためにはやむを得ない手段だったし、女性にそんな役を負わ
せる訳にはいかない――エドガーは意を決し、銀髪の賭博師と向き合った。
***
「だけどそれは、大きなミステイク……」
告げる女の声が、徐々に遠のいていく。
一体ヤツは、俺に何を伝えようとしたのか? それを聞く前にヤツの姿は消え
てなくなった。
「おい待て! 一体どうしろってんだ?」
出てくるだけ出て来やがって。悔し紛れに怒鳴ってみるが、返ってくる声はな
かった。
――「今、考えていることの逆が正解。だけどそれは大きなミステイク」――
それは、ヤツの口癖だった。
俺が見ていた夢は、そこで途切れた。
***
ルーファウスは、ゴッドフリートのグリップに付いたマテリアに手を翳した。
そして、ゴッドフリートから手を離す。チャンスは一瞬。
「まずは、弱点を知る事だ」
発動したリフレクが、頭上の巨大なエネルギー波と衝突する。
最初から跳ね返せるとは思っていない。ただ、弱点を見極めるまでの時間が稼げればいい。
ルーファウスは一度身を沈め、静かに跳躍した。
ウェポンの身体に右腕を突っ込む。思ったとおり、このウェポンの身体は――液体だ。
そして、突っ込んだ右腕を支えにウェポンの下にぶら下がる形になったルーファウスは、
上着の下から小型の拳銃を取り出した。
「私の予測が正しければ――弱点はあれだ」
おもむろに拳銃を握った左手をウェポンの体内に突っ込むと、奇妙な骨格を形作る
骨の1つに銃弾を撃ち込んだ。液体状の体内で放たれた弾丸が1つの骨を貫く。
ウェポンの全身に震えが走り、激しい痛みを伴ってルーファウスは落下した。
苦痛にのたうつウェポンの咆哮が聞こえる。やはり、あの骨が弱点だった。
あの身体は魔力の篭った骨によって支えられている。液体状の体内を独立した骨が動き回る事によって
その姿を自由に変える事が出来るのだ。
奇しくもその骨の数は、999個であった。まるで人の罪を表したかのような数――
神羅兵の一人がその数に呻いた。
「俺たちは…勝てるのか!?」
ルーファウスは励ますようにその兵士の肩を叩いた。
「勝てるさ。我々は誇り高き神羅カンパニーの一員であるという事を忘れるな」
>>290 自分は描写されてるルーファウスにはあまり違和感感じませんですた。でも困ったときは
再プレイかセリフ集(ネット上を放浪すると出てくる奴)を利用するのも一策かと。
途方もない数の弱点をつく策は……思いつきませんね。この先の展開を待ちつつsage。
ところでそこのサイト内に置かれていた“フィガロック.mid”に思わず目がいってしまった
自分はやはりFF6信者なのかと思った次第です。(w 絵と曲作れるヤシが羨ましい……。
FF10-2といい、FF5といい、とりあえず自分がプレイ中のゲームのラスボス戦の音楽を
ネットで探して真っ先に聴くクセは直した方がいいのかも知れない(w。
(前話
>>288-289)
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エドガーの目の前でセッツァーは倒れた。
意識を失っても操縦桿から手を離そうとはしないのは、飛空艇乗りとして生きて
来た彼の本能なのだろうか? そう思うとエドガーは苦笑を漏らした。
「……悪いなセッツァー」
自分の記憶にはない古代城の事を思いながら、操縦桿にもたれかかるようにし
て倒れているセッツァーの元へと歩み寄り、彼が手にしていた盾を引き剥がそう
と試みた。
リレイズの効力が及ぶまでに、セッツァーから盾を返して貰わなければ意味が
ない。また命懸けでセッツァーに刃を向けるのはエドガーとしてもご免だった。
「……望まざる戦い……か」
盾に向けて、エドガーは一人言葉を発した。
――血塗られた盾。それが見せる悪夢はまるで戦いを妨げるように我々を惑わ
す。かつての持ち主の意思の仕業か、それとも……――。
今この場で考えたところで、結論が出る物ではない。エドガーは頭の中から無
用な思考を追い出そうと、一つ大きく頭を振った。
力無く垂れ下がるセッツァーの手から盾を取り、かわりに自分のもっていた盾
を持たせた。エドガーがこの盾を持つのは3度目になる。
直後、天から降り注ぐ光条がセッツァーを包み込み、ティナのリレイズの効力が
及んだ事を知る。復活したセッツァーは全快とは言えないものの、これでひとまずは
デスゲイズと対峙できる戦力は揃った。
「おはようセッツァー。気分はどうだい?」
いたずらっぽく笑いながら、エドガーがハイポーションを手渡す。
「……最悪だ」
彼の厚意を断るとセッツァーが立ち上がる。途端に目の前の世界が眩しく光り、
自身の身体を支えきれず片膝を付いた格好になる。
そこへ畳み掛ける様にエドガーが言う。
「人の厚意は素直に受けた方が身のためだと思うがね?」
「……そうかもな」
諦めたような笑みを浮かべ、再び差し伸べられたエドガーの手からハイポーション
を受け取る。
「セッツァー!」
背後から聞こえてきたティナの声に、片手を挙げて応えた――心配をかけて済ま
なかったな――口に出される事の無かった言葉は、それでもティナに安堵を与えた。
「さあ、ここからが本番だ」
こちらが四人揃った今、改めてデスゲイズと対峙しようではないか。そう言って
エドガーは床に放っていたオートボウガンを再び手にした。
リルムは筆の代わりに手にしたホーリーロッドを握りしめ、ティナは魔法の詠唱を
始める。
「…………」
ダーツを手にしたセッツァーだったが、向かい合ったデスゲイズのはるか後方に
輝く“あの星”の存在に気付き視線を止める。
――妖星。
ついさっきまで隣にいた古い友人の残していった言葉が頭を過ぎった。
クラウドはある異変に気付き始めた。
ゼロの攻撃がセフィロスに集中し始めたのだ。ゼロの顔にはどす黒い憎悪が滲み出ている。
セフィロスは百式正宗一本で無数の触手や弾丸を良く捌いていた。だが、それにも限界というものがある。
セフィロスの右肩を、触手のロケットアンカーが削いだ。霧のように鮮血が吹き出す。
「そうだ、このマテリアを作ったのも!俺を生み出したのも!全ては人の為した事!!」
大きく体勢を崩したセフィロスに、とどめとばかりに砲塔が向けられる。
「――人は自らの望みに滅ぼされる運命にある!!いつだってそう、手に入れた強さを
試さずには居られない!!…そうして、古来より人は際限無く愚かな戦いを繰り返してきた!!!」
砲口に小さな光が見え始める。強力なビーム兵器の様だった。
「俺も!貴様も!同じく人の愚かさが作り出した世界の闇だ!!…だからこそ俺は貴様を恐れる。
この世界で唯一俺と対等の存在である貴様を――だからこそ、貴様を消す!!」
放たれたビームは真っ直ぐにセフィロスへ向かう。だが、その寸前でビームが拡散した。
「死なせないぞ、セフィロス!絶対に!!」
ユフィが、手裏剣を翳してビームの奔流からセフィロスを護っていた。
セフィロスの脳裏に、幼き日のユフィの姿が去来する。
――ああ、俺は何をやっているんだ。
「俺が守ると約束したのに…この世界を…彼女を…」
セフィロスは肩の傷を見やり、頬を緩ませる。
ユフィやクラウドと同じ――赤い血が流れている事が、妙に嬉しく思えた。
セフィロスはユフィの肩に手を置き、そのまま後ろに下がらせた。
「下がっていろ―――危ないから…」
怪訝そうな顔をするユフィを後ろに、セフィロスは心の中で呟いた。
――自分が例え、世界の闇でも構わない。俺の中のジェノバよ…
たった一度で良い、俺に“護る力”を与えてくれ……
最近単発ばかりでスマヌ…(ノД`)
>>ドリル氏
>>294で凄く「ああ、こいつらやっぱり仲間だ」と思いますた。
自分も良く考えればキモイくらい7信者ですがね…ヲタッキーなんでしょうか?
仕事もゲームも、楽しんだ人の勝ちだと思ったりしている今日この頃。しかもこのスレ
マターリ進行だから、恐らく誰にも迷惑はかけていないだろうとか必死に言い訳しつつ(w
>>296 死中に生を見出したセフィロスの姿に、読んでいてちょっと嬉しくなりました。本編中でも
どうにも孤独な姿ばかりが目立ったもんで。(そう言う描かれ方だったから仕方ないですが)
一方で、ゼロの言ってる事もかなり的を射ている様な気がしますね。力と欲に溺れる
人の愚かさ、それが生みだしたという自身を呪っているのか、……楽しんでいるのか。
ちゃんと本編にも沿ったテーマで描かれていることもあってか、この話すごく興味深く読ませて
もらってます。ペースはマターリでも続き待ちsage。
一時期に比べるとようやく落ち着いた感があります。マターリペースになりますが、お付き合い
頂けている方(が、いたらという前提でw)、どうもありがd。
(前話
>>293-294。舞台はFF6世界崩壊後の上空)
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「キズ野郎!」
「何してる?!」
リルムとエドガーがほぼ同時に叫ぶ声で、逸れていたセッツァーの意識が戻る。
飛空艇の目前にはデスゲイズの姿があった。
「リルムと私が攻撃を引き受ける、セッツァーは回復にまわってくれ」
1対4。数ではこちらの方が多いはずなのに、それでも補助・回復役が2人いない
と追いつかない。それを補うべく、ティナが2度目のヘイストを唱えているところへ、
デスゲイズの攻撃が繰り出された。
「……何!?」
「しまった!」
辺りに響き渡る不気味な声は死を司る使者の放笑――不意に放たれた即死魔法
に、全くの無防備だったティナがデスゲイズの前に倒れる。
残った3人が倒れたティナの回復にまわるため、必然的に攻撃の手は緩む。
「レイズを使えるのはリルムだけだね」
「分かってる。言われなくたってやるわよ!」
苛立ったリルムの声にエドガーは少し困った表情を浮かべていたが、お構いな
く詠唱に入る。
気を取り直そうと一つ溜息をついてから、エドガーはセッツァーに向かい小声で
告げた。
「……隙を見てこの場を離れたい」
この一言でセッツァーの表情が変わったことに気付きながら、先を続ける。
「奴の注意を引きつけて私達で時間は稼ぐ。できるか?」
「この俺にわざわざ聞く事じゃねーだろ。それより、……逃げるつもりか?」
賭博師からは予想通りの反論が返ってくる。
「退却も戦術のうちだ。ギャンブルだってそうだろう? 負けると分かっている
賭はしない、勝つか負けるか分からない『勝負』が面白いから賭けたくなる、そう
言うものではないのかな?」
そう口に出すエドガーの表情は笑顔こそ浮かべているものの、誰にも反論させる
気はないという強固な意思が見て取れた。
「理屈じゃねぇよ」
吐き捨てる様に言いながら、セッツァーは操縦桿に向かった。
「俺はお前らに命をチップに賭けたからな。……しかし帝国相手のギャンブルを
始めたつもりが、いつの間にか神相手だぜ? まったくイカサマもいいところだ」
言いながらも、セッツァーは退却の案を受け入れたのだ。まったく素直ではない。
「乗りかかった船だ。共に向こう岸を目指そうではないか」
対岸にあるのは、平和という名の自由の地。まったくエドガーらしい講説だと思った。
「お前らが勝手に乗り込んで来た艇は、ぶっ壊れたしな」
「いいではないか。セリスを自分の女にできるという夢を見られたのだし」
短い夢にしては、ずいぶんと高い代金を取られた物だと反論したかったが、口に
出した言葉は違った。
「国王サマよ、一つ間違ってるぜ」
不敵に笑んで見せるセッツァーは、操縦桿から目を離すとエドガーの方を振り
返ってこう言った。
「俺達にとって夢ってのは、見るだけのモンじゃないだろ?」
その言葉に、一度驚いた表情を浮かべたエドガーだったが。
「……その通りだ」
そう言って操縦席に背を向けた。
彼らにとって夢とは、見る物でも語るものでもない。
叶えなければならない物なのだ。
でなければこのまま世界は滅びるのだから。
叶えることを義務づけられた夢。
その為に武器を取って戦う。
血塗られた盾が、身につけた者に悪夢を見せたというのなら。
彼らの夢を妨げる存在だと言うのなら。
――その夢が潰えた世界、それこそが悪夢なのだ。
レッド]Vは襲い来る恐怖と戦っていた。
仲間を助けなければいけないのに、身体が動かない。圧倒的な威圧感が彼の身体を抑え付けている。
――オイラは何をやってるんだ?みんな戦ってるのに…腰が抜けて動けないなんて!
ゼロは彼の存在にすら注意を払っていなかった。だが、レッド]Vはその凍て付く様な憎悪が自分に向けられる事を恐れた。
「何で…怖がってるんだよ…!?」
その時、遠い昔に聞いた懐かしい声が聞こえた。
――恐れるな、ナナキ……
彼はその声を知っていた。真実を知った日からもう一度聞きたいと切に願い続けてきた声。
「…父さんッ!!」
彼の前に現れた姿は紛れも無く、彼の父セトの物だった。
――お前は私とは違う…共に戦う…仲間が居る…
もしもう一度逢えたなら、話したい事がたくさんあった。何より、長年の誤解を謝りたかった。
だが、セトを前にしたナナキは何も言えなかった。
――例えどんなに大きな壁がお前の道を塞いでも…決して…諦めるな……生きろ…
「ま…待って、父さん!!」
「…オゥ、何やってんだ?」
レッド]Vは目を瞬いた。彼の前に居たセトの姿は跡形も無く、自分の横には息を切らしたバレットが居たのだ。
「あれか、今回の悪玉は!!」
走り出そうとするバレットを、レッド]Vは慌てて呼び止める。
「ねえ……バレットは…怖くないの?」
彼の真剣な表情を見て、バレットは足を止めた。
「怖くないか、だって?…そりゃ、誰だって怖ぇだろうよ。だが、ビビって何もしなけりゃあ一生後悔するぜ…
俺はそんなの絶対に自分自身が許さねえから戦う…つーか、あいつらを助けたいだけかもしれないけどな」
バレットは不敵な笑みを浮かべ、レッド]Vに背を向けた。
レッド]Vはバレットに並んで走り出した。
そうだ。この戦いにはたった一つの理由があれば充分なのだ。
――護りたいから。
ライフストリーム渦巻くこの星を、愛する者達を。護りたいから戦う――それだけで、充分なのだ。
「クラウド!!加勢するぜッ!!!」
「!?――バレット…!?…来たのか」
ゼロに突進したレッド]Vは触手の一振りで跳ね飛ばされるが、空中で体勢を立て直し軟着陸する。
「もう逃げない…オイラは決めたんだ!!」
戦場の一角が激しく輝いた。
セフィロスの身体が金色の光を放ち、エネルギーの流れが目に見えるオーラとなって渦巻いている。
――この力は、命を削るだろう。
セフィロスは構わなかった。元々自分は生きているべき存在ではないのだ。
この呪われた力でも、『護る力』に出来るのならば…
セフィロスが消えた。同時に、彼に迫っていたゼロの触手が寸断され、爆散した。
ユフィは輝くオーラを纏ったセフィロスの後姿が見えていた。常人であれば速過ぎて見えなかった
であろうが、何しろ彼女は曲がりなりにも由緒正しき「ニンジャ」の末裔である。
「へへ…やるじゃん。…アタシだって!」
ユフィの指が複雑に組み合わさり、次の瞬間幾人もの分身を彼女の周りに出現させる。
「――伊達に忍者の修行してた訳じゃないんだからねっ!!」
>>ドリル氏
>>300の「キズ野郎」に爆笑した俺…何故?
しかしあなたの作品は何かカコ(・∀・)イイ台詞が多くて!
思わず仮面つけて「書いている人の(ry」とか叫びたい。リアルで。
>>303-304 セト!! なんて良いところでセトが出てきたんだ!!・゚・(ノД`)・゚・ブーゲンハーゲンではなく、
セトなのが良い。(ごめん、セトの存在を忘れていた訳じゃないんだ…)
FF7、相当好きなんだなと作品から溢れんばかりの書き手の愛が伝わってきます。
冗談抜きで。
登場人物の戦いっぷりは生き様を反映しているし、皆カコ(・∀・)イイ!から。余すところ
なくFF7を堪能できる話で(・∀・)イイ! 総力戦大好きだ。
ちなみにリルム嬢の「キズ野郎」発言は本編中のそれに則ってます。職業国王を
色男、元帝国将軍を年増女など。ある意味FF6中最強の毒舌家だったと思います(w。
取り敢えずこの話、勢い任せな部分がありますがご容赦下さい(w。
(前話
>>300-302)
----------------
向かう先には戦線に復帰したティナの姿があった。リルムのレイズは既に発動
していたのだ。
「ムダ口叩いてるヒマがあるなら、ちょっとは手伝え!」
リルムの声に背中を押されるようにして、エドガーはそのままデスゲイズと対した。
「……あいつの弱点は……」
手にしたオートボウガンの照準を合わせるようにしてデスゲイズを見つめなが
ら、エドガーが呟く。声に応えたのは横にいたティナだった。
「ここまでは即死攻撃と風属性の攻撃ばかりだったわ……。そうすると考えられ
る弱点は……」
彼女が全てを言い終わらないうちに、一歩進み出てリルムがロッドを構えた。
「まかせなよ!」
彼女は偶然にもホーリーロッドを手にしていた。スケッチよりも魔法で直接攻撃
を加えた方が効率的だと言うことは、既に経験済みである。それに、リルムには
指輪があった。即死攻撃から彼女を守ってくれる、形見の指輪が。
しかし、そんな彼女を制したのはエドガーだった。
「リルムは下がって!」
「こんな所で子ども扱いする気?」
ほんの僅かだが、リルムの言葉に怒気がうかがえる。現に、エドガーよりも
魔法戦術ではリルムの方が秀でているのだから。
「そうじゃない!」
「じゃあなによ!」
戦闘中と言う状況も手伝って、両者とも語気が荒くなる。
「二人とも落ち着いて。ここで言い争っている場合じゃないわ」
熱くなる二人に、冷静になるようティナが間に入った。そうしてリルムの方を
振り返ると、ティナは真剣な表情を向けた。
「リルムは補助魔法をお願い」
「ティナ!?」
彼女もまた、エドガーと同じ結論だった。それを不服として反論するリルムに
穏やかな笑顔を向けるとこう言った。
「私たちの方が、エドガー達よりも魔法は得意でしょう?」
その通りだった。黙って頷いたリルムを見て、そのままエドガーの方へと視線
を向けて続けた。
「そうよね?」
「ありがとう」
こうして彼らの対デスゲイズ戦は再開された。
リルムはヘイストを、ティナは即死魔法に備えてリレイズを、それぞれが詠唱
し終わる前にエドガーは一撃目の矢を放った。
確かにダメージは与えているはずだ。しかしデスゲイズが怯む様子は見られな
かった。このままいけば、それこそ長期戦は避けられないだろう。上空での予期
せぬ遭遇のため、こちらには何の準備もなかった。やはりこの場はいったん退く
方が得策だ。
(……頼んだぞセッツァー)
エドガーの視界の中で、操縦桿を握る男の背中が揺れていた。
「して…社長、いかが為されます?」
ルーファウスは頭上で蠢く巨大な敵を睨みつけていたが、不意に声を張り上げた。
「総員、液体火薬Bと特殊徹甲弾を装填せよ!!」
特殊徹甲弾――防御力の高いモンスターの外殻などを貫通し、内部にダメージを与える目的で開発された
神羅製の弾丸の1つである。標準装備の機関銃はA、B、Cと3タイプの弾丸いずれも火薬の詰め替えによって
1つの銃で運用が可能な代物であった。
「社長…一体、何を…」
怪訝そうに空薬莢を排出するイリーナに、上を向いたままルーファウスは答えた。
「何をするも…ただ、撃ちまくるだけの事だ」
おもむろにルーファウスは命令を出す。
「全火器、構え!! 目標…上空のウェポン!!」
彼が部下達に徹甲弾の使用を命じたのには勿論理由があった。
ルーファウスがウェポンに腕を突っ込んだ時、相当な抵抗があったのだ。あれでは通常弾頭が通る筈も無い。
短い使命を終えたゴッドフリートを足元に置き、武器職人に敬意を払いつつもルーファウスは腰に手を回した。
彼がその手に握ったのは、かつてクラウドと戦った時のショットガン――残る武器は、これだけだ。
感慨深げな一瞬の後、ウェポンの体内をエネルギーが流れ出すのが見えた。
神羅兵達は逃げなかった。自分達を導く者を信じていたから…
「………撃て!!!」
轟音と共に無数に放たれた徹甲弾は液状のウェポンを抉り、自在に動き回る骨を貫き、粉砕する。
恐らくは絶叫――であろう擬音と共に、オメガウェポンが身を捩る。
第一波の射撃で、ウェポンの骨はその半数を失っていた。
しかし、今度はウェポンの体から細い槍のような触手が無数に伸びて来る。幾人もの神羅兵が降り注ぐ凶槍に貫かれ、斃れ伏す。
「…これが、星の生み出す『兵器』の力なの!?」
ルーファウスとタークスの3人はその攻撃を巧みにかわしていた。だが、槍が引っ込むと同時に
再びオメガウェポンはエネルギーを集め始める。
「来るぞ!構えろ!!」
ルーファウスはエネルギーが集束する光点の真下で、ショットガンを上に向けていた。
味方が放つ弾丸も、身を捩るウェポンの“肉”も眼中には無い。
徹甲弾の嵐は再び動き回る骨を貫き、神羅兵達は銃身が焼け付くのも構わず徹甲弾を連射する。
やがて骨のパーツは残らず消えた様に見えた。少なくともルーファウス以外には。
――人類を裁く者。それは果たして神なのか?
ルーファウスは、見上げる光が網膜を焦がすのを感じた。
それでも、彼の瞼は閉じない。目を眩ませる光の先にある一点に神経を集中させる。
「確かに、我々は罪を犯しただろう…」
集約されたエネルギーが地に落ちる。それはルーファウスを直撃し、その身を灼く。
渦巻く光に包まれ、煉獄の光に焼かれながらもルーファウスは笑った。
「…だが、人は罪を償う事が出来ると…貴様は知らなかった…」
遥か遠くでイリーナの絶叫が聞こえる。自分の名を呼んでいる――
ルーファウスが握り締めたショットガンから、一発の弾丸が放たれる。
それは巨大な魔力の奔流を貫き、その後ろに隠されていた最後の骨を砕いた。
――太古の意志は知らなかったのだ。罪を償う、人の強さを――
ルーファウスはやっと瞼を閉じた。眩い閃光と頭上の爆風が、彼の意識を運び去って行った。
>>ドリル氏
いや、いつも「意表を突く展開」狙い過ぎではないかと心配で(JJ゚_゚)
昨日PCがイカレました。書いてたのが途中で消えました_| ̄|○
>>309-310 見方(神羅兵)の放つ無数の弾丸やイリーナの声がライフストリーム(生物の意志)の象徴で
ウェポンは古代種(というか星の意志そのものでしょうか?)の象徴をそれぞれ成している様に
読めました。止めが強大な威力を誇るゴッドフリートではなく、ショットガンという素朴な武器で
あることも、こういう読み方の上だと何だか興味深いです。
(前話
>>307-308。実際プレイしてデスゲイズがここまで強かったかは…正直微妙です。w)
------------------------------------------------------------------------
背後で繰り広げられる戦闘の様子を気にかけながら、操縦桿を握るセッツァーは
進路を決めかねていた。
デスゲイズから逃れるためには、ヤツよりも早く進路を決めて振り切らなければ
ならない。スピードではほぼ互角だが、機動力の面でファルコンはデスゲイズに
僅かに及ばない。速度の緩急や方向転換で隙を作ろうと試みるが、結果的に
主導権はデスゲイズに握られている。
東西南北上下左右、目に見える全ての退路を断たれたも同然だった。
「……どうすりゃいい!?」
これ以上戦況を長引かせるわけには行かない。彼ら3人でデスゲイズの相手を
するには準備不足だったからだ。万全の体制で臨む城や洞窟といった場所での
戦闘とは違う。ただでさえ今の状況はこちらに不利な要素が多かった。
――どう足掻いても逃げられないのならば。
「…………」
――逆に考えれば良いのか?
「!」
デスゲイズから逃げられない。ならばデスゲイズに向かって飛べばいい。退路が
ないのならば切り開けばいい――世界に唯一残ったこの飛空艇と、仲間達の命を
懸けた危険な賭にはなるが。
珍しく、セッツァーの手と額に汗が滲む。実行するならば決意が鈍らないうち
にした方が良い。
「いくぜ……」
操縦桿を握り直し、正面を睨み付ける勢いで顔を上げた。
そんな彼の視界には相変わらずに輝く妖星の姿が飛び込んで来た。
「!!」
――『その戦いで散った者達の魂が集まった星なんだ……。』
友人の言葉が脳裏に過ぎる。
妖星。別名を惑いの星。
「チッ……同じじゃねぇか」
視線を降ろして操縦桿から手を離すと、セッツァーは大きく息を吐き出した。
これでは奴らと同じだ。地上に戻らず、天空で生涯を終え星となった過去の奴ら
と……。自分に言い聞かせるようにして心の中で繰り返す。
「この俺としたことが」
思い直したように再び操縦桿を握った。正面を見据えると、視界の中には妖星と
デスゲイズの姿がはっきりと映し出された。
「決めたぜ。……誰にも文句は言わせねェ、これが俺の飛び方だ」
操縦桿を見つめながら、まるで語りかけるように言葉を吐いた。
「悪いが今の持ち主は俺だ。俺を信じて付き合ってくれるな? ……ファルコンよ」
そう言って笑った。普段は見ることのできない様な彼の笑顔は、なぜかとても
穏やかなものだった。しかし、その笑顔はすぐさま消えてしまった。
セッツァーは飛空艇に備わっている計器類に素早く視線を走らせると、手慣れた
操作で飛空艇ファルコンを操り始めた。
上昇しながら左へ旋回する。デスゲイズはまるでその航路を阻もうとするように、
飛空艇の前に立ちはだかっていた――やはり機動力ではデスゲイズに劣る。
セッツァーは仲間達に言い放った。
「あと95秒だ! 振り落とされても責任は持てねェぞ」
>>ドリル氏
ショットガン持ったルーファウスの姿が目に焼きついてまして…
あれほど奥が深い作品を扱ってると後になって「しまった、あの時こうすれば!」
という事が良くあります(他の作品も同様でしょうけれど…)
(前話
>>313-314)
-------------------
この際、艇の中の人間にまで構っている余裕はなかった。心配しなければなら
ないのは、いま甲板上にいる自分を含めた4名の身だ。少なくとも中の人間が艇外へ
投げ出される心配はない。壁や天井に頭をぶつける者は出るだろうが、被害は
最小限で済む。
セッツァーの声に、3人はある程度の事態を察することはできた。しかし戦闘
態勢にあって、与えられた猶予というにはあまりにも短すぎる。
「待てセッツァー!」
「飛空艇は急に止まれない! 今さら無茶言うな!」
エドガーとセッツァーの叫び声は、叩きつける風と空気を切り裂くようなプロペラ音
とエンジン音の狭間で交わされる。
エドガーが4度目のオートボウガンを放つまでに、20秒。
ティナのヘイスト詠唱が終わるまでには、それから更に18秒が経過していた。
二人はそれぞれに手摺を掴み、来るべき衝撃に備える。
――そうして、セッツァーの警告から52秒後の事だった。
まだ間に合う。リルムは手にしていたホーリーロッドをデスゲイズ目がけて投げ
つけた。
しかし彼女の手からロッドが離れるより僅かに早く、デスゲイズはエアロガを放った。
全速力で上昇を続けるファルコンの甲板には、殺人的な気流が押し寄せた。
「……!!」
「リルム!」
ロッドを投げた直後で体勢を崩すリルムの小さな身体は、凶器と化した大気の中に
晒された。
――残り38秒。
「セッツァー止めて!」
ティナの叫び声は渦巻く気流の中にかき消え、操縦者まで届かない。
「……リルム!!」
名を呼ぶよりも早く、とっさに差し出したエドガーの右手がリルムの腕を掴んでいた。
しかし、荒れ狂う気流の中で文字通り腕一本で彼女の身体と自身とをつなぎ止めて
いる。このまま左手で掴んでいる手摺が抜けてしまえば、自分もリルムも艇外へ放り
出されるだろう。そうなれば、助かる道はない。
二人の命を飛空艇につなぎ止めていた手摺には、想像以上の負荷がかかっていた
はずだが、そんなことを気にしている余裕はない。
エドガー自身どこまで持ちこたえられるか、正直分からなかった。
――残り17秒。
刻一刻とその時が近づいている。
手摺に掴まり、猛然と襲いかかる風圧を凌ぎながら反対側にいるエドガーとリ
ルムの身を案じるティナ。手助けしようにも、この状況ではどうにもならない。
下手に動けば自分が艇から振り落とされてしまうからだ。
セッツァーは操縦桿を握り、吹き荒れる風の中でどうにか飛空艇のバランスを保ち、
同時に己の身体を支えていた。後ろを振り返って仲間達の安否を確認している余裕
など、あろう筈がない。
来るべき時に備え、傍らに並んだ数本のレバーに手を添える。
「…火遁!!」
ユフィの腕から放たれた炎は大地を伝い、ゼロの巨体の真下で幾重にも爆発を繰り返す。
また別方向から分身が放った巨大な手裏剣が飛来し、ゼロの展開した触手を斬り飛ばす。
そして、それにより生じた一瞬の隙にセフィロスは百式正宗を振った。
一撃、二撃。長刀が鮮やかな弧を描く度にゼロの身体を構成する機械が吹き飛んでいく。
「馬鹿な……こんな力が何処に…!?」
憤怒に歪んだゼロの瞳は、逆方向より来る影を捉えた。
それを確認したと思った瞬間、無数のエネルギー弾が飛来した。
「――!?」
「おっしゃあ、どんどん行くぜ!!」
それを放ったのはバレットの右腕――“ミッシングスコア”であった。
マシンガンの如く撃ち出されるエネルギー弾は次々に炸裂し、爆炎がゼロの視界を遮る。
「…人間が……!!!」
ゼロの触手が動いた。
「!?バレット、気を付け――」
クラウドが気付いた時には遅かった。射出されたロケットアンカーはバレットの脇腹を抉り、
セフィロスと同じ様に霧の様な血が吹き出す。
「仲間が斃れようと言う時に…黙って見ている事はできないな…」
口から血を吐きながらも立ち上がったのは、ヴィンセントだった。「大丈夫か」と歩み寄るクラウドに、
ヴィンセントは頭を振った。
「頼む、クラウド…私にこれ以上、罪を重ねさせるな……今こそが、私の力が存在意義を示す時…」
低い唸り声を上げ、ヴィンセントが変身を始めた。
闇よりも深い漆黒の体と、広げた翼は優美にすら見える。
カオスだ。
ゆっくりと舞い上がったカオスは、その姿を消した。
これもまた例によって、想像を絶する高速移動によって見えなくなったと言う話だったのだが。
「自分の意思で…変身を発動した…!?」
クラウドは暫し呆然とする。あれほど自らの力を嫌っていたヴィンセントが、自らその力を使うとは。
しかも、以前のように攻撃を繰り返すだけではなかった。適確にゼロの隙を突いて攻撃を加えている。
彼は、自らの意思でカオスと言う身体をコントロールしていた。
放たれるビームマシンガンの嵐をかわし、逆にカオスセイバーでゼロを切り刻んでいく。
「皮肉な事にセフィロス…どうやらお前と私は…同じ穴の狢らしい…」
輝くオーラを纏ったセフィロスも、苦笑しつつそれに答えた。
「フン…こんな力、今使わずにいつ使えと言うのだ?」
ユフィは修行で身に付けた忍術を駆使し、ゼロを翻弄している。負けそうには無い。
しかし、セフィロスは胸の内の不安を拭い切れずに居た。じわじわと冷たい手で心臓を締め上げられるような、不快な戦慄。
奥の手は隠しておく――それはゼロとて、例外ではなかった。
「よくやっているよ、人間ども…全員生き残っていると言うのが特に、な」
ゼロは奇妙な顔をした。滲み出た憎悪のせいで、それが笑っているのだと理解するまでに数秒を要した。
「だが…愚かなる人の欲望はこんな物ではない。人が生み出した負を、人が止める事など所詮不可能!!」
ゼロの巨躯が蒼白く光り始める。それは内側から漏れる光だった。
やがて、青い光の中から何かが現れた。
「…あれは……まさか」
セフィロスの顔が青くなり、その“何か”に向かって突進した。
その時にはもう、全てが手遅れだった。
放たれた巨大なミサイルは黒ずんだ大地に着弾し、この世の物とは思えぬ、目も眩む様な閃光を発して爆発する。
“原子”のマテリア――それは、神羅がエネルギー問題解決の名目の下作り出した「核」だった。
狭いスラムに立ち昇るキノコ雲と、衝撃波で木の葉の様に吹き飛ばされていく機械達が非現実的な光景を映し出す。
たった一発のミサイルは7番街スラムの地形をも変え、そこにかつての面影は何も残っていない。
「…そう、人は自らの夢に滅ぼされる運命にある…いつどんな時代でも…」
勝ち誇った様に、ゼロが叫んだ。
「この世界は……滅ぶ!!!」
「俺たちは…死んだのか…?」
まさか、こんなに呆気無く死んで堪る物か。
――そんな思いと裏腹に、体の感覚が何も無い。
クラウドは近くに仲間が居る事を感じた。彼らも自分と同じ状況に置かれているのだろうか?
〔みんな、あなたと同じよ…〕
クラウドは目を開けた。いや、唐突に視界が戻ってきたと言うべきか。
ついさっき見ていた顔が、そこにあった。だが今度は他の者も一緒だった。
「……エアリス」
クラウドとセフィロスは互いの顔をちらと見合わせた。あまり驚いていないのはこの二人だけだったのだ。
それ以外のものは皆、幽霊でも見たような表情でエアリスを見つめている。
「…え…エアリス…なの…?」
ティファがおずおずと尋ねると、エアリスは以前と変わらぬ明るい笑みを見せた。
「ええ、そうよ!…久し振りね、ティファ」
今にも涙を零しそうなティファより早く、セフィロスがエアリスに訊いた。
「それで、お前がここに居るという事は…我々は、『死んだ』のか?」
エアリスは首を振り、しばらく考えた後答えた。
「まだ死んでないわ…尤も、それに近いけどね…」
>>318-320 きれい事を並べただけの話じゃないからなんでしょうか? これを読み進めていくに
連れて感じるリアリティの様な物は、ちょっと不思議な心地になります。
豊かになるための力を得る事を望み、力を得たが故にそれに溺れるというヒトの性は
否定できるものではないし、その上に私たちの生活が乗っかっている(7の魔晄文明
はその象徴だったと思います)ことも否定はできません。
FF7本編中では最初の方でこのテーマが描かれていたのですが、その辺をずっと引っ
張って来てくれているのが個人的に好みなんだろうなとか。(w
あと、こちらが優勢の時に感じる妙な不安の正体を的確に指摘されていてはっとしま
した。(w>奥の手−
>>316-317から引き続き、「こんな95秒ムービーがあったら燃える」話。(w
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――残り9秒。
エアロガの影響が弱まり、先程よりも幾分か風が収まった。エドガーは自分の
腕をたぐり寄せる様にしてリルムを引き寄せると、彼女の身の安全を確保する。
「……あり」
彼女が言葉を言い終わる前に、新たな衝撃が彼らを襲った。
――残り4秒。
リルムが投げたホーリーロッドは、複雑な軌跡を描きながらもデスゲイズに命
中し、巨体の中心で焼け付くような白い閃光を放ってホーリーが発動した。その
衝撃波がファルコンに到達する。
これまでに放ったどの攻撃よりも強烈なダメージを与えた事を、彼らが確認し
た。そして。
――カウント、0。
セッツァーが横に並ぶレバーを同時に引いた。
途端に飛空艇は声を失った様に沈黙。叩きつける全ての風の流れが止まった様
な感覚はほんの一瞬の出来事で、直後に襲い来る急降下にそれぞれが振り落とさ
れまいと自分の身体を支える事しかできなかった。
これは退路を確保すべく、セッツァーが選んだ最後の手段だった。ひたすらに
上昇と前進を続けていた飛空艇の動力を全て停止させ、落下速度に身を任せる。
急激な方向転換――機動力で勝るデスゲイズの前から逃れるための航路を確保す
るには、手荒だがその方法しかなかった。
物理的な法則と大地からの引力に従って急降下を続けるファルコン号。飛空艇
を導いている理屈は分からないが、セッツァーの計算は完璧だった。
地上に連なる山脈の鼻先を掠めるように、海上へと出た。そこでセッツァーは
再びレバーを戻し飛空艇動力を再起動させる。一時的とはいえ停止したばかりの
動力を起動させるまでには、それなりの時間を要する。
――賭だった。
起動する前に海面とぶつかればそれまでだ。
しかし、セッツァーには確信に近い自信があった。ファルコンは海面にたどり着く
前までに、再び浮上する。
――必ず。
クラウド達は、自分達がスラムに居ないという事に気付いた。
薄蒼い海中の様な不思議な空間に支えも無く浮かんでいる。
「さっきの攻撃で…精神が肉体から切り離されてしまったの。言ってみれば『魂だけ』の状態ね」
エアリスが下の方を見ると、クラウド達にも何かが見えてきた。
「…あれは…俺達の……身体?」
ぼんやりとモニターに映った様な幻像は、変わり果てた7番街スラムを映し出していた。
巨大なクレーターの周りには、数人の人間が倒れている。それは紛れも無くクラウド達自身であった。
「ねえ、エアリス…私達…勝てるのかな……?」
縋る様にエアリスに問いかけるティファの声には、少なからぬ絶望が含まれていた。
――人の負が生み出した現実。あまりにも圧倒的な闇の深さ。
止める事など不可能…ゼロの言葉が、生々しい冷たさを以って身に迫る。
ティファ以外の者達も皆一様に顔を曇らせた。どれだけ攻撃を続けても、憎悪に満ちた高笑いと共に甦る
ゼロを倒す方法など思いつかない。――むしろ、勝てる気がしない。
セフィロスとユフィは辛うじて弱点を知っていた。核となっているマテリアさえ破壊すればあの身体は崩壊する。
だが、ゼロの力の前にはそれさえも詮無い望みに思えた。
「…大丈夫よ」
驚いて顔を上げるクラウド達を見回し、エアリスは微笑む。
「いつだって私は…みんなと一緒にいるから…」
白い光と共に、輪を描いて天使が降りて来た。
クラウドは二度目となるあの感覚を味わった。視界が白くフェードアウトしていき、四肢に感覚が戻ってくる。
「ありがとう、エアリス…また君に…助けられた……」
大いなる福音は、柔らかい光と共にスラムに降り注いだ。
キャラが多すぎてうまく全員分書けない(・◇・)
総力戦の難しさはこの辺りか…
>>ドリル氏
カウントダウン形式はやはり緊張感出ますね。
それに飛空挺のスピード感が目に浮かぶようでもう(´∀|
保全ぬ
最下層のスレに記念書き込み
328 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:04/06/14 01:52 ID:uSrFhFj6
AGE
最下層でもsageでいいのかな?
保全カキコ
ドリルさん、FF7ACさん、いつも楽しみにしています。
二作品ともものすごい勢いというかスピード感というか、
そういうものが伝わってきて、文字だけでこれだけ表現できるのかと
感嘆しっぱなしです。
キャラがたくさん登場しているのにちゃんとそれぞれ立っているのも
長編なのに読んでいて全くだれない要因でしょうか。
応援しています、がんばってください。
ゼロの驚愕は半端ではなかった。跡形も無く消し去った筈のクラウド達が
身体を輝かせて起き上がり、自分に向かってきたのだ。
「何故だ…所詮は人間に、獣に、機械…私に勝てるはずが無いと言うのに!!」
ゼロの叫びはその言葉と矛盾し、焦りと恐れに満ちていた。
「…みんな!!全員のリミット技を一斉に叩き込むぞ!!」
クラウドが叫び、走りながらバスターブレードを構える。
彼の横にはティファと、セフィロスが並んでいた。
「クラウド…これでもう、戦わなくて済むのかな…?」
ゼロの放つビームの火線をかわし、クラウドに代わってセフィロスが答える。
「どうかな…人が生きる上で、戦いは必然の物だ。それでも」
表情を曇らせたティファに、セフィロスは続ける。
「今ヤツを倒す事…それが無意味な事とは、私は思わない」
奴は知らない。この世界を破壊し尽くし、人類を残らず抹殺した後に残る物を。
そしてまた、人との繋がりも、その温もりも、奴は知らない。
「貴様らが居なければァァ……私は、この世界への復讐を果たせるのだ!!!」
セフィロスは目を閉じた。
――たとえ世界を破壊した所で、その後には自分一人と空虚な“無”しか残らない事を、ゼロは知らないのだ…
他の者達も、それぞれの思いと共に武器を掲げる。
リーブは悲鳴を上げる愛機をフル稼働させ、仲間達と並んで走った。
この時だけ持てば良い。ゼロに一撃を入れる瞬間までで…
「確かに、僕には皆の様なスゴイ必殺がある訳でもあらへん…でも!」
ケット・シーMk2の胸のスロットが開き、回転を始めた。
バレット、レッド]Vはゼロの左側から接近していた。エアリスのくれた力のおかげで、多少のダメージは気にならない。
ヴィンセントにシド、ユフィも彼らと一緒に走っている。ゼロに渾身の一撃を叩き込めばそれで全てが終わる。
ユフィはちらりとクラウドと並ぶセフィロスを見やった。
何故だろう。彼と一緒に戦っていると思うと、負ける気がしない。
それは幼い日の記憶がそうさせるのか、あるいは何か別の要因による物なのか。
ユフィには解らなかった。実際彼女はゼロの動きに集中せざるを得なかったし、その必要があったからだ。
「私には…権利が…あるのだ…」
ゼロのコアの手前で、再び巨大なミサイルが形成され始める。
「人間の愚かさが作り出したこの力を…唯一正当に行使する権利が!!!」
ミサイルの直径は既に一発目を遥かに越えている。恐らく、ミッドガルを吹き飛ばすのに充分な威力だろう。
「邪魔をする者は排除する!!私の復讐は止められない!!!」
自分を包囲する様に迫ってくる小さな光。ゼロは狂気に満ちた瞳でそれらを見下ろした。
「愚者が見た夢の前に……滅ぶが良い!!!」
轟音と共に、巨大なミサイルが発射された。
駄目だ…決着まで書こうと思っていたがとても今の俺にそんなHPは残されていない…
>>329さん
そう言って貰える事がSS書きにとって何よりの励みです!正直キャラクターが多すぎたかなとか、
主要キャラだけに絞ったほうが纏まったかなとか考えてはいたのですが
そう言って貰えるならば書く甲斐があると言うものです。
ラストまでもう少しですが、引き続きよろしくお願いします。
保守カキコありがとうございますー。久々に戻って来て、一応このスレを見てくれている
方がいるのだと分かっただけで嬉しかったりします。まだ書いてても大丈夫そうかな、とか。
…厨くさい発言ですがお許しを。しかし本音ではあります。
>>324>>330-331(FF7A)
全員のリミット技を一括で叩き込むというのは、ありそうでなさそうな展開です。
ここいら辺、それぞれの描写が難しそうです。だけど見せ場! 期待してsageときます。
(と、暗にプレッシャーをかけてみるテスト。w)
ところで、いつもこれは書けずに避けているのですが、ケット・シーあるいはセッツァーの
ダイス技って、どういう描写したら良いんですかね? メガホンとかダーツとかなら分かる
けど、さいころ投げて相手にダメージってどんな描写したらエエですか?
というか、どういう理屈でダメージ与えてるんだろう??……誰か教えて。
>>329 感想頂き本当にありがd。今回の飛空艇話はFF7Aさんの戦闘物を読んでいて
ちょっと感化されて書いている節があったりします(w。戦闘物は良いですよねー。
直接スレの流れとは関係ないけど言わせて下さい。
ガ ラ フ か っ け ー ! ! いや、ドット絵時代のFFも面白いですね。それが嬉しくてたまりません。
しかし、元々がFF10から入り、FF7でハマったプレーヤーから見ると、FF5のガラフ後追い隕石ネタを見て、
思わず、「もしかしてお前らジェノヴァですか?」と、ツッコミたくなっt…
(前話
>>322-323。血塗られた盾@セッツァー編完結)
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落下を続ける飛空艇の甲板上で、手摺に掴まりながらティナは不安に満ちた顔を
前方へ向ける。不安なのはこの飛空艇が海面にぶつかるかどうか、勿論それも
あった。しかし、それが全てではないと――彼女自身がそれを自覚するまでには、
今しばらく時間が必要だった。
エドガーはリルムを腕の中に抱きながら、彼らもまた視線を操縦者の背中へ向け
ていた――不安がないと言えば嘘になる。だが、それ以上に操縦者を信頼して
いる。その思いが僅かに勝っていたのだろう――ここで起きる全てを目に焼き付け
ようと、向けた視線を逸らそうとはしなかった。
自分を含めた15人の仲間の命と、旧友の遺した艇の運命を両肩に背負い、さら
に3人の視線を背に浴びながら、セッツァーもまた前方を凝視したままでレバー
に手をかけた。
ファルコンが海面に接触するぎりぎりの高度で、彼はいつもより重みを増した
様なレバーを、あらん限りの力を込めて押し倒した。
次の瞬間、甲板にいた4人は身体にかかる重圧が変わったのを身をもって感じ
た。甲板上には風が戻り、落下が収まったことを教えてくれる。
初めは囁きのように聞こえていたプロペラ音は、やがて力強いいつもの轟音を
響かせながら、飛空艇を上空へと押し上げる。
高度を上げずに暫く海面上を滑空したファルコンは、空にできる飛行機雲を映
し出すように周囲の海面を白く彩りながら進んだ。ファルコンの周りを、まるで
歓喜するように踊る飛沫が甲板上の4人を濡らし、勝利の美酒とまではいかない
が――全身に浴びる風と潮の――彼らは生還の味を噛みしめ、その余韻に浸った。
その宴の中でエドガーはゆっくりと腕を解くと、リルムを解放してやる。
「大丈夫かい?」
「ありがとう」
リルムはエドガーを見上げて素っ気ないほどに短く礼を言うと、その場を離れた。
あまり無茶をしてくれるなよ。エドガーは声には出さず呟いたが、もちろん当人には
聞こえていない。
「セッツァー」
駆け寄るティナの声に改めてセッツァーは後方を振り返ると、甲板上にいた全員の
無事を確認した。デスゲイズ戦の疲労に加え、ずっと強風に晒され続けていた彼らの
髪や着衣は相当に乱れていたが、誰もそんな事を気にする者はいなかった。
「手荒なマネして悪かったな」
ティナは無言のまま首を横に振った。その横からひょいと顔を出したリルムが代わりに
とばかり言葉をかける。
「セッツァーらしい危なっかしい飛び方ね! まったく……」
「だろう?」
誇らしげに胸を張るセッツァーに、リルムはすかさず声をあげる。
「誉めてないわよ!!」
「そうか?」
ふざけ合う二人は――言葉にこそ素直には現れなかったが――改めて互いの生
還を喜びあった。
セッツァーは視線を上げてエドガーを見やってから、操縦桿を指すとこう言った。
「一度、近くの平原に降りるぞ。コイツにも無理させちまったしな」
「ああ。それに中の皆も心配だ」
一つ間をおいてから、エドガーは唐突に子供じみた笑みを浮かべて続けた。
「とりあえず、君の粗暴な運転に対する抗議が殺到する前に中の様子を見てくるよ」
「そ……っておい、ちょっと待てエドガー!」
セッツァーの反論から逃げるようにして、エドガーは甲板を降りていった。
「ジジイたち、大丈夫かな?」
エドガーの後に続いてリルムも艇内へ姿を消した。
「ったく、これだから素人は」
呆れたような、それでいて安堵したような溜息を吐きながら、大げさに両手をあげた。
そうして再び操縦桿に向き直ろうとして、まだ甲板上に残っていた彼女の存在に気付く。
「……ここは大丈夫だ」
向けられるティナの視線に、セッツァーが答える。それでもその場を離れようとしな
かった彼女を促すようにして付け加えた。
「あんな高度は飛ばないからデスゲイズに会うことはないだろう。それに、あそこに見える
平野へ行くだけだ。安心しろ」
「ありがとう」
少し不自然な笑顔を作りながら、言い残してティナは中へと戻っていった。
しばらくしてファルコンは草原に降り立った。
艇内からは賑やかな声が聞こえて来る。仲間達はどうやら全員無事のようだ。
甲板上でセッツァーは一人それを確認すると、ようやく肩の荷が下りたような気
がして、開放感にも似た感覚をおぼえた。
「……無茶させて悪かったな。だが、俺の操縦も少しは上達しただろう?」
思わず操縦桿に向けて語りかけるように呟く。
「助かったぜ。あの時お前がいなかったら……」
言いかけて、言葉を切った。
――まだ、俺はお前の後ろを飛んでるって事か。
思わず苦笑がもれた。
さあ、これから整備に取りかからねばならない。ひとまずは落ち着いたが、まだまだ
この先も旅は続くのだ――振り切るようにして自身の中で呟き、頭上に広がる空を
見上げた。
今はただ退屈な色が延々と続き、ついでに厄介な魔物までが住み着いた空には
妖星が輝いている。しかしそこは、紛れもなくアイツと共に駆けた空だった。
振り切ろうにも、振り切れるはずのない感情が込み上げてくる。
――あの時。俺の横にいたアイツは幻だったのか?
血塗られた盾の見せた悪夢だったのか?
それとも……?
どちらにしても、今のままではセッツァーがファルコンの主とは認められていない。
そのことを思い知った。
空を見上げ、己の胸に去来する様々な思いと敗北を振り切るのではなく、認めた後、
彼は再び誓う。
――お前に勝ったら、ファルコンをいただく。
その後この飛空艇と、操縦桿を握るセッツァーが本当の意味で世界最速だという事を
彼自身が示す事になる。
自分達を助けようと果敢に飛び続け、空に散ろうとした一人の少女。地上に連れ戻された
彼女の命こそが何よりの証となった。
−The Executorー心の御空編<終>−
>>ドリル氏
漏れの脳内妄想ではアレは爆弾で、サイコロの出た目に応じて爆発力が変わると言うかなり無理のある設定です…
しかもコレ某ゲームの雑魚キャラが使ってきた技なんだよな…とか今更反省。
完結乙です。いつもROMですが楽しみにしてます。
保全
>−The Executorー心の御空編
完結お疲れ様〜。
ドキドキ展開で楽しく読ませていただきました。
次作も期待してます。
>FF7A
続きをワクワクしながら待っております。
最後まで頑張って下さい!
あたたかいお言葉と、保全ありがd! 純粋に嬉しいです。
>>338 > サイコロの出た目に応じて爆発力が変わる
おお、なるほど! ケット・シーなんかはあり得そうですね。神羅の特殊兵器みたいな
感じで。各地に配置されている“占いロボット”ケット・シーが、実は暴動発生時には
鎮圧目的で兵器に転用されるという。……これ以上妄想が進むと、反神羅暴動ネタ
とか書きたくなりませんか? ダメですかね? バレットの前のリーダー暗殺ネタとか。
…となるとスロットのリールは一体どこで回っているのかと小一(ry。
多少実生活の方がごたついておりまして、ここへ来るのも以前ほど頻繁ではなくなり
ましたが、懲りずにFF6世界を『血塗られた盾』視点で探るという、とってもマニアックな
話を投下させて頂きます。……需要は殆ど無いに等しいかも知れませんが……・゚・(ノД`)・゚・スキダカラシカタナイ
The Executor「亡失都市編」・「心の御空編」に続くシリーズ『血塗られた盾』(懲りずに)第三弾。
話はたぶん繋がっている気がする。今回のメインはティナ・シャドウそして……マドリーヌ(の、予定)。
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デスゲイズとの死闘を繰り広げた後、ファルコンは整備のために海沿いの平野に
停泊していた。狂信者の塔を目指し進路をとっていたはずが、デスゲイズ戦で
すっかり当初の予定航路から逸れてしまっていた。塔を目指すロック達にとっては
思わぬ足止めだったが、時には休息も必要だ――世界崩壊から1年。仲間達と
再会し、再び旅を続ける彼らの中には――自ら進んで休もうと声に出す者はおらず、
誰もが打倒ケフカを掲げ歩みを止めようとはしなかった。そんな彼らにとっては
ちょうど良い小休止となった。
思いがけずにできた時間を利用して、皆はそれぞれに行動していた。飽きもせ
ず自己鍛錬に励む者、物資調達に近くの街へ出かける者。文字通り休息をとる者
や中にはここぞとばかりに仕事を片付ける者、十四者十四様の時を過ごしていた。
そんな中でティナはひとり、人気の無くなった飛空艇ファルコンの中を歩いていた。
彼を捜すために。
ティナが捜していた人物の居場所は、すぐに思い当たった。彼女はそこへ足を
運び入り口の扉を開けた。思った通りセッツァーの姿は機関室にあった。
ついさっきまで操縦桿を握っていた時の様子とはうって代わって、セッツァーの
後ろ姿かはどこか柔らかな印象を受けた。あんなに無茶な飛行を強いたファル
コンを労うように、彼は機械の部品一つ一つにまで目を配り手際よく点検作業を
進めていた。まるで周囲を気にしていないその背中に、ティナは声をかけるのを
躊躇ってその場に立っていた。
「どうした?」
手元の作業を休めることなく、セッツァーが声だけで問う。ティナが後ろにいる
ことには、どうやら気付いていたようだった。
自らの足でここへ赴いたというのに、セッツァーから唐突に声をかけられティナは
焦ったようにやや早口になりながら答えた。
「邪魔をしてごめんなさい」
「少しぐらいなら構わない」
「休まなくても平気なの?」
「……他のヤツらが帰ってくるまでには作業を終わらせておきたい。俺はその後で
ゆっくり休ませてもらうさ」
やはり視線は手元にやったまま素っ気なく言葉を返す。それでも彼の口調には
どこか優しい響きがある様に感じたのは、ティナの気のせいだろうか。
「……傷は、大丈夫?」
「心配する程じゃない」
セッツァーにしてみれば、肉体的にと言うよりは精神的な疲労の方が大きかった、
というのが本音だった。
「そう……。良かった」
それ以上なにも言わなくなったティナに、セッツァーは振り返ってこう言った。
「どうした? わざわざそんなことを言う為だけにこんな場所へ来た訳じゃない
だろう?」
「え……ええ」
ぎこちなく頷き返すティナに、再びセッツァーは手元に視線を戻しながら話を
続けた。
「聞きたいことがあるなら、なにも気を遣うことはない。今、作業を中断するわけ
には行かないが、話はちゃんと聞いてる。なんだ?」
「あの」
言いにくそうに口ごもるティナの言葉を、今度は無言で待った。狭い機関室には、
セッツァーの手元から聞こえてくる小さな金属音だけが響いている。
「……さっきは、どうしたの?」
「さっき?」
「ええ。……その、デスゲイズと戦っていた時……」
「ああ」
どうやら『血塗られた盾』を装備し、目の前で混乱状態に陥ったセッツァーの事を
言っているようだった。
「俺にもさっぱり分かんねぇ。……ただ……」
確かにセッツァー自身に混乱していた当時の記憶はない。ただ一つあるのは。
「夢を……見ていたらしい」
「夢?」
「エドガーに言わせれば『悪夢』ってヤツだろうな。……まぁ、悪夢ってわりには、
後味は悪くない」
どんな夢だったの? と尋ねるティナに、小さく吐き出すように苦笑する声が
聞こえた。
「くだらない昔の……な」
「よかったら、聞かせてくれないかしら?」
「お前が聞いても何のタシにもなんねぇよ」
ティナは無言だった。
なんだか突き放したような言い方だっただろうか? 珍しくそんな風に思い直して
セッツァーが小さく声を零した。
「つまんねー話だ。昔の……友人の、な」
>>344 後ろ姿かはどこか→後ろ姿からは
---------------------------------
「あなたを夢に駆り立てた?」
「え?」
そんな話をどこかでしたか? という表情でセッツァーが振り返る。
「帝国を出て大三角島へ向かう前に、墜落したブラックジャック号の中で、
あなたから聞いたわ。その話に出てきた……ダリル……さん? のこと」
その時セッツァーが口にした人物の名が『ダリル』であったかどうか、ティナの
記憶は曖昧だった。しかし、今と同じように機械を弄りながら昔話をしてくれた
セッツァーの姿は、不思議と脳裏に焼き付いている。
あれは世界崩壊前、帝国との講和会議が終わった直後のことだった。帝国領で
幻獣の襲撃に遭い、墜落した飛空艇を整備するため一人ブラックジャック号に
戻っていた時に、帝国の学者――シド、と言ったか――と、コイツとロックが整備中の
飛空艇を訪れたことがあった。
「そういえば……」
その時、そんな話をしたかも知れないな。観念したように溜息を吐くと、セッツァーは
求めに応じて話し始めた。
「セリスやエドガー達から聞いてるかも知れないが……。この飛空艇は昔、俺の
友人が乗っていた物で、世界最速を誇る艇だった」
ファルコンという翼を担い、いまは目の前で大人しく並んでいる機械を見つめ
ながら。
「俺はコイツとダリルを抜いて、自分が世界で最も速く空を駆ける男になりた
かった――だがその夢は奴らと共に、俺の前から消えちまいやがったが」
「…………」
無言で視線を向けるティナに、セッツァーはいつものように――けれど、どこか
作り物めいたような――笑みを浮かべた。
「……それじゃあ、今はあなたが世界最速?」
「所詮、比べる物がない世界じゃ張り合いがないだろ?」
笑顔のままで彼はそう言い切る。
「悔しいが――」
ティナから顔を逸らすように、宛てもなくどこか遠くへ視線を向けてセッツァー
は独り言のように言葉を吐いた。
「同じ艇に乗ってるはずなのに、アイツの方が速かった。ヤツの……デスゲイズの
前に出られなかったのは、この艇のせいじゃねえ」
――完敗だ。
「……セッツァー」
ティナの声で、思いがけず自分が弱音を吐いていたことに気付いたセッツァーは、
舌打ちしたい衝動を抑えながら再び向き直った。
「だがな、今の俺はアイツに負ける気がしねぇんだ」
次にデスゲイズに会ったら、それを証明してやるよ。セッツァーは今度こそ不敵に
笑んでみせた。
新作キタ━━━━(゚∀゚)━━━━ !!!!!
学園スレに触発されて5のあの剣士と8あのあの魔女の話を書きたいと思ってるのすが、クロスオーバーはどないでしょうか?
まあ、まだネタも固まってない状態なんですが・・・
>349
ワクワクしながらまったりとお待ちしております。
ケット・シーのスロットが静かに回る。
「ゼロ…とか言ったかいな」
ゼロのミサイルと共に無数の触手が飛び出し、中央のクラウド達を襲った。
「人間は愚かな生き物かも知れんがなぁ…その終末を決める権利はアンタには無いで――オールオーバーや」
スロットが不思議な模様を揃える。彼の横に、カオスの姿でヴィンセントも舞い降りた。
「全員のリミット技…いや、ここに居る全員の心のみが、ただ奴を止めるのだ…邪魔は、させん」
カオスが翼を広げた。同時に、ケット・シーのスロットが輝いた。
「――サタン・インパクト」
クラウド達の視界を多い尽くしていたゼロの触手が、一斉に爆発した。
「!?…貴様らァッ!!」
ならば、と今度はゼロの全身から砲塔が現れる。だがそれもまた、ゼロの上から降り注いだ光に悉く破壊される。
「愚かだろうと!殺しあってようと!俺は人間って生き物全てが悪とは思えねぇ!!」
バレットのカタストロフィは威力を失い切らず、ゼロの纏った「装甲」を削り取る。
なおも反撃を試みるゼロの目の前に、ユフィとレッド]Vが現れた。
「こんのぉぉぉぉ〜〜、自己中がぁッ!!」
「ライフストリームは…世界を作ってるんだ!!」
コスモメモリーが、森羅万象が、ゼロの纏った巨大な外装を吹き飛ばして行く。
「なめるなァ!! 貴様らの様なちっぽけな存在が、世界を変えられると思うのか!!?」
セフィロスは眼前のミサイルを睨みつけながら、小さく呟いた。
「変える必要など…無い」
同時に、シドがインカムに叫ぶ。
「ハイウインド、射角80度、全反射誘導で1番から18番まで…撃て!!」
シドがどんな技を使ってくるか警戒していたゼロは、意表を突かれて一瞬反応が遅れた。
一瞬で充分だった。狭い通路を縫う様に飛んできたミサイルの雨はゼロに直撃し、彼の纏っていた機械の鎧を完全に破壊した。
「がっ!…だが、そのミサイルをどうするかな!? こんな所で核爆発を起こせば、貴様らは間違いなく灼け死に――」
ミサイルの正面にいた3人は、足を止めなかった。地上に引き摺り下ろされたゼロの顔に、恐怖がよぎる。
「何故だ、何故止まらない!?」
死に向かって走る敵――その行動は、所詮宝条に作られたゼロには理解できる筈も無かった。
そして、彼は自分の理解できない行動に恐れを抱いたのだ。
「跡形も無く!! 消え去れェェ!!!」
ゼロが絶叫するのと、ティファの拳が光を放ったのは同時だった。
恐れは無い。それは心強い仲間の存在の為か、それとも身体を包み込む暖かい光のためか。
――クラウドが、セフィロスが、…そして、エアリスが力を貸してくれる。何も、怖い事なんて無い。
彼女は深く息を吸い込み、ファイナルヘヴンを放った。
次の瞬間、7番街スラムは再び白い閃光に包まれた。
灼熱の波動が蠢く機械を焦がし、大地に穴を空ける。
渦巻く炎を見ながら、ゼロは自分の勝利を疑わなかった。これで、忌まわしい人間どもの世界も終わり…
瞳を焦がす光の中から、クラウドとセフィロスが飛び出してきた。
ゼロが状況を把握するより先に、二人の刃が同時に彼の身体を切り裂く。
「1! 2! 3!」 「4! 5!」
痛みは無かった。身体を切り刻まれながらも、既に麻痺した痛覚神経は彼に現実を教えてくれない。
「8! 9! 10!」
ゼロは真っ二つになった顔で高笑いした。彼は勝ったのだ。もう理不尽な世界が、彼を悩ます事は無い。
「14!! 15ォ!!――超級武神十字斬!!!!」
――私の、勝ちだ…
30の斬撃は、衝撃波と共にゼロの身体をバラバラに吹き飛ばした。
前回から1ヶ月開いてるし…すみません、忙しかったんですマジで。
しかも「全員のリミット技で総攻撃」ってやりたかったネタがうまく書けないジャン!!orz
>>ドリル氏
何と、ケット・シーにそんな運用法が存在したとは!考えた自分で思いつかなかった…
自分はしばらく某板のSSスレに投下中の話でこちらに来られないと思いますが、
できれば書きたいですねぇ…旧アバランチのエピソード。
あと、1つ気付いた事が。どうやら自分の文章、行の始めにスペースが入ってなかったために
かなり読みづらい状態になっていた事が判明しました。
しかし、急に変化するのも不自然かと思い(もうすぐラストだし)そのままにしております。
でも最終話くらいは…読みやすくしようかな…
いつの間に移転したんだろう…。
>>349 > 5のあの剣士
……扉の後ろでバッツ一行が来るのをドキドキしながら待っていたという、律儀なあの
方でしょうか?(関係ないですが5をプレイしてから、ルナティックパンドラ(?)で登場
した時のあのセリフは結構感慨深い物がありますた)
自分もマターリ期待sage。
>>351-352 毎度の事ながら戦闘シーン、重量感があっていいですね。特に7は機械化が進んでいる
世界観をうまく活かす事で、話に緊迫感と現実味が出ているのでしょか? とにかく(・∀・)イイ!
だからこそというか、願わくばその場面の余韻とか、人物の心情描写をもう少し読んで
みたいと言う気がします。
「全員のリミット技一斉攻撃」の描写は確かに難しいですね。7のラスボス(リバースだか
セーファだかのセフィロス)戦の、各部位ごとの戦闘のように場面を書き分けしても良かった
かな、等と思ったり。少し長くなりますが、それでも飽きずに読み手のテンションを維持させる
だけの描写をされていると思うので、……決着なだけに、もちっと読みたかった。と、言うのが
自分としては率直な感想です。
>FF7反神羅暴動ネタ
魔晄炉誘致に絡む談合とか→コレルを舞台にした裏取引→……とか。バレットとダインの話と
並行するような形で進めれば本編とも違和感無くいけるかな? そして飛空艇内でのテロの
是非を巡る口論まで持って行ければかなり(゚д゚)ウマー!! ……細かな設定知らないからかなり
ホラ吹いてるとは思います。どうですか? こんなネタで。
長々スマソ。
(前話は
>>343-347。血塗られた盾@ティナ編……になるはず)
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***
この『血塗られた盾』を最初に装備したのはロックだった。
彼は、この盾を装備した時の記憶を全く持っていないと言う。
次に『血塗られた盾』を装備したのはエドガーだった。
彼が言うには、これは“悪夢”を見せる盾だと言う。
そして三人目の装備者セッツァーも、同じように“悪夢”を見たのだという。
何かに憑かれたように混乱し、攻撃本能のみで武器を振るい続ける彼らから、
確実に奪われていく体力と精神力。それは戦線離脱という方法でしか解除できない
不治の症状だった――その姿はまるで戦闘を妨げようと、盾そのものが装備者の
気力や体力、何もかもを吸い尽くそうと意志を持っているかのように。
『血塗られた盾』。
これに関する詳しい記録は何一つ残っていない。ただあるのは、古くから伝わ
る物だと言うこと。使われていた当時は最高の性能を誇る盾だったという、まこ
としやかな言い伝えのみだった。
それでも、魅せられたように彼らはこの盾を手放そうとはしなかった。
その理由を、ティナは知りたかった。
彼らを魅せる物の正体と、彼らが見る悪夢の正体を。
彼女がここを訪れたのも、セッツァーからこの盾を借り受ける事が一番の目的
でもあった。
***
残念ながら盾を持っているのはセッツァーではなかった。では誰が? と尋ねたティナに。
「エドガーじゃねぇか? 俺から取り上げて、どさくさ紛れにしまい込んでやがんだろ。
……だが」
急に真面目な表情に戻ると、幾分か声のトーンを落としてセッツァーが続ける。
「お前が装備すると言ったら、アイツはいい顔しねーだろうな」
「どうして?」
真っ直ぐに見つめてくるティナに、セッツァーは心底困ったなという表情を浮かべ
ながら答える。
「俺に、どうして? って聞かれてもな……アイツはそう言う男だ」
「ありがとう」
決して儀礼的ではないが短く礼を述べた後、ティナは機関室の重い扉に手をかけた。
「悪い事は言わねぇ。興味本位であの盾に近づくのはやめておけ」
ティナの背中に投げつけた言葉は、閉ざされた機関室の扉に跳ね返された。
「そこまでしてお前が盾にこだる理由が分からん」
扉を出たティナを出迎えたのは、抑揚のないシャドウの声だった。
「……聞いていたの?」
「初めから聞くつもりはなかった……と、言えば嘘になるかも知れん。たまたま
通りがかったところへお前達の会話が聞こえてきた。盾の事は――」
盾のことについては自分も興味があったから、結果的には立ち聞きした事に変
わりない。そう言って扉のすぐ横の壁に預けていた背を離し、胸の前で組んだ腕を
解くとシャドウは歩き出した。
機関室から広間までは一本の細い通路が続いている。シャドウの背を見つめながら
ティナもつられるようにして歩き出した。
「お前があの盾に拘る理由は何だ?」
「…………」
振り返らずにシャドウが尋ねる。ティナからの返答はなかった。
「言いたくないなら別に強要するつもりはない。だが、あの男も言っていた通り、
好奇心だけであの盾に触れようとしているなら、止すんだな。周りの者が迷惑を
被るだけだ」
突き放すような言い方だったが、シャドウの言っていることは正論である。
「……違い……ます」
「そうか」
短く答えるシャドウの声には、先程より幾分か柔らかさが伴っているように感じ
られたが、それでも言葉では肯定しておきながら、口調はどこか否定的だった。
「……他の人にとってはどうでも良いことかも知れない。だけど、興味本位や好
奇心じゃない……それだけは、違います」
穏やかな口調ではあるが、その中に垣間見える彼女の確固たる意志に、それでも
凝りを残したようにシャドウは頷いた。
「それなら良いんだが」
彼らの視線のすぐ前に、広間へと出る扉が見えた。
「お前達はまだ戦うという事を理解できていない面がある。戦うと言うことは、
他者の命を奪い自分の命を賭すだけの価値がある何かのためにやる事だ。所詮は
殺し合い……」
扉を開くと、狭い通路に広間の明かりが射し込んできた。
「どんな理由があろうと戦いは決してきれい事ではない。それを忘れるな」
なぜ、シャドウが自分にそんなことを告げたのかが理解できなかった。
確かに一時期は戦う力を失っていたけれど、モブリズで二度目にフンババと相対した
とき、分かったのだ。戦うという意味と意義を。そして、新たな飛空艇に集う仲間達の
元へ――戦いの中に身を置くことを――決意した。
戦うことも、ここへ戻ってきたことも、決して興味本位や好奇心からではない。
なのに、どうして――?
心の中で沸き上がる疑問は、そのまま言葉となってシャドウの背中に向けられた。
「……あなたは何故、戦うんですか」
所詮は自分のために行う殺し合いだと言い切ったシャドウの、戦う理由とは何
だったのか? 命を賭すだけの価値があるものとは何だったのか?
ティナの声に、シャドウは振り返らずに素っ気なく答えた。
「……探している物を見つけるためだ」
そう言えばシャドウとの再会はコロシアムだった。彼は『一撃の刃』を求めて
コロシアムを訪れていたが、なぜ崩壊した世界で『一撃の刃』を求めていたのかは
誰も知らない。それが、彼の言う「探し物」を見つけるための手掛かりになるのだろうか?
結局のところシャドウが探している物が何なのか――それは最後まで、彼自身の
口から語られることはなかった。
次々とキタ━━━━(゚∀゚)━━━━ !!!!!
どちらもカコイイです!がんがってください。
保全ぬ
ほっしゅ。
ほっしゅ保全キタ━━━━(゚∀゚)━━━━ !!!!! ありがd!
そんなわけで
>>355-359に引き続き、FF6血塗られた盾ネタです。
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***
セッツァーが言っていた通り、彼はいい顔をしなかった。
いくら旅の途中とは言え、彼が一国の王という地位にあるのは変わりなかった。
公務を片付けるために一人部屋に篭もっていた彼の元を訪れたのは、通路でシャ
ドウと別れてからそう時間が経っていない頃だ。
レディファーストを常とするエドガーだけあって、その話しぶりはとても紳士的
だった。しかしティナに向ける質問の手を緩めようとはしない。
「どうしてこの盾に拘るのかな?」
案の定というべきか、シャドウと同じ事を聞かれた。回答に窮したように黙り
込むティナに、エドガーは話を続ける。
「この盾よりも性能のいい物ならいくらでもある。それよりもこの盾を装備して
得られるメリットは、あまりと言うより殆ど無いと言っていい。それは先刻、ティナも
自分の目で見たはずだね。それでもなぜ、この盾に拘るのかな? その理由が
分からない限り、この盾を譲り渡すことはできない」
そこまで話をしてから少し間をおいて。
「この盾を装備するには大きなリスクを伴う。それを踏まえた上で、そのリスクに
見合う物を得られないのであれば……厳しいことを言うかも知れないけれど、
装備する意味はない。むしろしない方が賢明だ。本人にとっても、周囲にとっても」
「私が弱い……そう言う事ですか?」
ティナの問いに、首を振って溜息をつくように言葉を吐いた。
「当たらずとも遠からず、かな」
弱い、というのは確かにそうなのかも知れない――それは相対的に見て、盾よ
りもティナ、あるいは自分たち全員に――劣っている何かがある。だからこそ、
盾に宿る強い『何か』に所有者であるはずの我々が呑み込まれてしまうのではな
いか。
いまいち根拠が曖昧だとは思いながらも、自身の中でそう結論づけた上で
エドガーは知りたかったのだ。
「まずは聞かせて欲しい。君がなぜ、そこまでこの盾に拘るのか? その理由を」
「…………」
正面から見据えるエドガーの視線に耐えきれず、ティナは俯きがちに視線を床
へ落とした。それでも、質問から逃げることはしなかった。
「知りたいんです……私の、母が。なぜこの世界を捨てたのか」
ティナの口から語られた言葉は、エドガーの予測の範疇を超える物だった。なぜ
ここで母親が出てくるのか? 一見すると盾とは何の関連もなさそうな、それこそ
突拍子もない話のようにさえ思えた。
彼女の真意を汲み取るには、まだもう少し話を聞いてみる必要がありそうだ。
エドガーはティナの話に耳を傾けながら、同時にこれまでの経緯を頭の中で整理
していた。
そもそもティナは幻獣マディンと人間マドリーヌの間に生まれた子どもだった。
故に生まれついて魔導の力を持ち、それを帝国に兵器として利用されて来た。
そんなティナが世界崩壊を経て再びこの飛空艇に戻って来たのは――モブリズの
子ども達を守るため、この世界に生まれる新たな命を守るためだと。
彼女は自ら戦う理由を見出し、ファルコンと仲間達の元へ戻ってきた。
1年前。出会ったばかりの頃の彼女は愛を知らず、失われた記憶と共にそれを
探し求めた。そして目の前にいる彼女は、自らの手でその答えを見つけ出そうと、
あと一歩の所まで来ている。
しかし、だからといってマドリーヌの行動を理解できたわけではなかった。母は
この世界を捨て、森の中をさまよい歩いた末に幻獣界へと辿り着いた。そこで
父となるマディンと出会い愛を育んだ――マディンの記憶の一部を継承した
ティナにとって、彼らの思いが偽りでないことは分かっている。
しかし、マドリーヌの記憶は受け継がれなかった。
母は世界を捨てたのだとしたら、その理由が知りたかった。
それとも。
母が世界を捨てたのではなく、世界が母を捨てたのだとしたら……?
「悪夢でも構わない……夢の中で会えるのなら、聞いてみたい……」
拙い言葉で必死に訴えるティナの様子をずっと見守っていたエドガーが、一瞬
苦悶した表情を浮かべた後で、呟いた。
「聞いて、どうしようと言うんだい?」
「!!」
驚いて顔を上げる。そんなティナに向けてエドガーは淡々と言葉を紡ぐ。
「君の母上が幻獣界へ辿り着いた経緯を知ったところで、君が歩んできた歴史は
何も変わらない。それは変えようのない事実だからね。それに」
ティナが自分のしてきた事を否定しようとしているのではない事は、もちろん
分かっている。だからこそ、エドガーには彼女の真意が分からなかったのだ。
「君は君自身で戦う理由を知っている。今さら母上の事を知ったところで……」
そこまで言って、エドガーは声を失った――自らの意思とは関係なしに、身体から
力が抜けていく――この感覚には覚えがあるが、まさかと思いティナを見つめた。
「……ティ……ナ?」
「ごめんなさい。だけど私……」
その声と表情は、エドガーの「まさか」が現実であることを物語っている。
椅子から崩れ落ちるようにして倒れ込むエドガーを見下ろしながら、ティナは
深々と頭を下げると、僅かに震える声で告げた。
「どうしても、知りたい」
必死に意識を保とうとするが、さすがに戦闘外であったし無防備だったエドガー
の意識は簡単に術中に陥ってしまう。それでも、辛うじて踏み止まっている意識
の中で、声を振り絞った。
「……声……にま……」
告げようとした言葉を伝えることは叶わず、エドガーはそのまま床に倒れ込んだ。
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授業・業務中に陥るこの状況は、日常生活で唯一体感できる黒魔法です。(w
8月に入ったのでほっしゅほっしゅ
保全ぬ
自分も保守に参加しつつ、毎度の事ながらマニアックなネタ投下させて下さいー。
>>367 550本…。この板の歴史を感じます。乙ですたー。
今回投下分の根拠は、前話(The Executor@セッツァー編)
>>284-285です。
FF6世界の構成である種の捏造というか妄想が入っていますが、本来は別の
設定があったらすんません。(…この盾ネタ自体が妄想なんですが、そこは何とか穏便に。w)
(前話は
>>363-366。血塗られた盾@ティナ編の途中ですが、
ここで盾についての考察を交えつつ、季節柄なネタをお送りさせて頂きます。)
-----------------------------------------------------------------
***
――よくよく考えてみればデスゲイズ戦から地上へ帰還して以来、ずっとアイツの
様子がおかしかった。その事に、どうしてもっと早く気付かなかった?――頭の中を
渦を巻くそんな思いを振り払おうと、力任せにドアを開けた。
「おいエドガー! 起きろ!!」
「……あ、……?」
「あ? じゃねぇよ! ……ティナは?」
床に倒れていたエドガーの胸ぐらを掴み引きあげると、それこそ叩き起こすような
勢いでセッツァーが詰め寄る。
「ティナ……」
ぼんやりとした声でセッツァーの言葉を反復しながら、気怠げに顔を向ける。
この様子からすると、まだエドガーの意識は完全に醒めていないのだろう。
「そうだ。ティナはどこへ行った? ここへ来ただろ!?」
「……ティ、ナ?」
彼女の名を何度か口にしたエドガーの、徐々にではあるが表情と声にいつもの
鋭さが戻ってきた。それから程なくしてエドガーの意識が完全に回復すると、
セッツァーの手を払いのけるようにして身を起こした。
「……ティナは!?」
「聞いてるのは俺だ」
椅子に腕を乗せ、そこを支えに立ち上がろうとする動作は、傍目にも機敏といえた
物ではなかった。心なしか体が重く感じる。
「……参ったよ」
「スプリルか?」
苦笑がちに頷くエドガーに、セッツァーは笑いを堪えたような表情を向けた。
「どうせお前のことだ、こうなることは予想してたんだろ?」
「いや、魔法まで使って来るとは思わなかったよ……ティナは、それだけ必死なの
だと言う裏返しだろうな。そこまでは見抜けなかった」
「盾のことか?」
椅子に腰を落ち着け、頭を擡げながらセッツァーの言葉に頷いた。そんなエドガー
の様子を見ながら、更に続ける。
「俺には分かんねーな。どうしてアイツがあんだけ盾に拘るのかが」
「……なあセッツァー」
額に当てていた手を離し、エドガーがゆっくりと顔を上げて話し出す。
「俺も聞きたいことがある。お前は、あの時なにを見ていた?」
「……あ?」
「あ? じゃない。デスゲイズと戦っている時だよ、皆を罵倒していただろう。
覚えてないのか?」
「さっぱり」
「……そう自信をもって肯定されると話が続かないんだが……」
彼の言葉にセッツァーは、「そう言われても覚えてないものは仕方ないだろ?」
と両手をあげ首を傾げてみせた。
仕方がないとでも言いたげな視線をくれると、エドガーはやけに形式的な口調で
先程の戦いの最中に起きた事を話した。
「君は、恐らく君の意思ではない何者かによってリルムにこう言った。『邪魔をするな』と。
そして、彼女に刃を向けた」
やはり首を振る。セッツァーには全く覚えがなかった。
「ついでに、私はこう言われたな『愚か者』とね」
向けられたエドガーの視線がやけに鋭さを帯びているなとは感じたが、敢えてその
ことには触れずに、ただ首を横に振った。
「全く覚えていないのか?」
「ああ。そんな暴言吐いてたなんて知らなかった。悪いな」
「もっとも、君の暴言は今に始まった事じゃないと思うが」
いくら同じ艇に集い目的を一に旅を続ける仲間とはいっても、互いに生身の人
間であるには変わりない。受け入れられない事や慣れない部分は、少なからず
それぞれが持っていた。セッツァーにはどうしても、何か別の意図を含んでいる
様なエドガーの物言いがそれにあたる。
「何が言いたい?」
「言葉通りさ」
――こういう物言いしかできない男なのだろうか?――考えたところで余計に
腹が立つだけなので、それ以上は追及しないでおくことにした。
「話を元に戻そうか」
しきり直す様にしてエドガーが姿勢を正した。
「セッツァーにはデスゲイズ戦の記憶の一部が欠落している、この認識は?」
「間違ってない」
「だな。俺もそうだった」
話しぶりが少し前と違うのは何故だろう? と疑問には思ったが、気になるの
はエドガーの様子よりも話の中身だった。
「古代城から帰った後、お前が話してたことの意味がなんとなく分かった気がする」
「……お前も、あの“声”を聞いたのか?」
「声っつーより、俺は夢を見てた。だが、お前の言うような悪夢じゃない」
「あの時、セッツァーは何を見ていた?」
これで話はふりだしに戻った。
「ダリル……アイツがいた。俺は操縦桿の横に立つアイツと話してた」
「どんな話をしたんだい?」
「妖星の話だ」
妖星――これはエドガーにとって初めて耳にした言葉ではなかった。幼い頃に
神官長からそんな話をされた記憶が、朧気ではあるが残っている。その僅かな記
憶を頼りに聞いてみる。
「確か災厄を招くと言われている……あの『妖星』?」
「そうだ」
各地で呼び方の違いはあっても、太陽や星回りから暦を創り出したという大本
には共通の物がある。地上に住む人々から見れば、東から昇って西へ沈んでゆく
星々の瞬きは、実に秩序だった動きをしている。
しかし、数は少ないが中にはその秩序から逸脱した存在もあった――帚星、流
星――様々な姿、呼び名があるが、それらの総称が『妖星』である。天変地異や
疫病の前兆とされ、人々から忌み嫌われている存在だという認識は、国や地域を
越えて持たれているようだった。
「あの星は……大昔の飛空艇乗りの魂が集まった星だ。アイツはそう言っていた」
「飛空艇乗りの魂?」
人は地上で命が尽きると、その魂は天に昇り星の輝きとなる――自分達の記憶
にない母上の話をされた時、ばあやはそう語って聞かせたものだった。エドガー
はそんなことを思い出しながら、セッツァーの話に耳を傾けていた。
「魔大戦で空に君臨していた魔物と戦うため、俺達人間は飛空艇で対抗した……」
夢の中でダリルが語っていた事を、セッツァーはそのまま口にした。
操縦者の命と弾薬とを積んだ飛空艇は、魔物の巣へ向けて飛び立った。彼らが
地上へ戻る事のない航路を選び、空に散っていったという言い伝え。そしてその
魂が集まり、天空で一際あかるく輝く『妖星』となって人々を惑わすのだと――。
「……ちょっと待て! それじゃまるで自殺行為じゃないか」
「バカだろう? 俺もそう思った」
多くの飛空艇を失った中で、ブラックジャックとファルコンだけが後世に残る
事になった。その選択は、二艇の主が下した決断だったのか、それとも偶然だっ
たのか。今となっては彼らがそれを知る手だてはない。
「そんな話は……初めて聞いた」
「俺もだ」
重苦しい沈黙が訪れる。この飛空艇に、この空に、そんな悲惨な歴史があったなんて。
しかし嘘とは思えなかった。記録の裏付けがない以上、その真偽を確かめる方
法はなかった。ましてや『血塗られた盾』に影響されて、セッツァーが見ていた
幻影だと言ってしまえばそれまでだ。だが、そう言いきる事はできない――して
はならない――物のように思えるのだ。
となると。小さく吐くようにして呟いた後、組んでいた左手を顎にあてて何かを
考えながらエドガーは独り言ちた。
「……俺が古代城で倒れている間、夢の中で見たあの城の姿も……もしかすると
フィガロではなかったのかも知れないな」
今は地中深くに眠る古代城――その城が、かつて地上にあった頃の記憶。
もしかすると、盾を通して自分がそのビジョンを見ていたと――いや、根拠のない
ままで話が飛躍しすぎている。先走ろうとする思考を抑えようと、エドガーは大きく
頭を振って再びセッツァーの方に向き直った。
「しかし、これで分かった気がするよ」
「なにが?」
苛立ったようなセッツァーの声に小さく笑ってから、けれどもすぐさま真剣な表情に
変わると、エドガーはこう切り出した。
「彼女がこの盾に拘る理由、さ」
セッツァーは訳が分からず、話の先を促すように目の前の男の姿を見やった。
-----------------------------------------------------------------
>>374 > 帚星、「流星」→「凶星」 で、おながいします。
乙です。妖星のエピソードカコ(・∀・)イイ!!盾との関わりがたのしみです。
,,,,,..,,.,.,,,
三 ミ,, ・д・ミ < ホッシュホッシュ!!
三 iillllllllll彡 / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
三 ( ・∀・∩ < それ今だ!! マッチョマッシュホシュ━━━━━!!!!
三 ( つ v 丿 \______________________
三 ( ヽノ
三 し(_)
378 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:04/08/12 17:08 ID:DZ1gQwVa
おもろい。みんなガンガレ
暁。
それは夜明けが近いことを告げる空の色。
闇に閉ざされた世界に夜明けをもたらす為に、
立ち上がる戦士達が現れる。
その者達4人の心はクリスタルの導きと加護により、
暗黒に立ち向かう力を与えられる。
我々は、汝らをこう呼ぶだろう。
――『暁の4戦士』と。
賢者ギードから聞かされた言葉が発端となって旅を始め、やがて出会った俺達は
暗黒魔導士エクスデスとの戦いへと身を投じた。自国を守るために、あるいは、大切な
者を守る為に。
そして、訪れた最後の決戦――我々の住まう世界とは別の地に、エクスデスを
封印するという苦渋の選択は、これまで共に戦ってきた4人の心を引き離すには
十分すぎる理由だった。
「ドルガン、ここに集まるクリスタルの力を使うには、4人の心を合わせなければ!」
「ドルガン!」
去ろうとする仲間の背中に浴びせられた声に応え、彼は戦線へと復帰する。
しかし、その表情はどこか晴れやかではない。倒すべき敵を目の前にしながらも、
何かを迷うような表情だった事に――たとえ気付いていたとしても、その場では
どうすることも出来なかった。
――4つの心を合わせなければ、クリスタルの力を発動させることは出来ない。
彼らは心を1つにした。
そしてエクスデスを封印することに辛うじて成功し、30年という束の間の平和を得るに至った。
――しかし、彼ら4人の心はわずかに解れていたのである。
30年の後に訪れる、クリスタル崩壊とエクスデス復活の原因は、なにも封印世界の
人々のせいだけではない。
元より封印が不完全だった、というだけなのだ。
これが、ゼザの考えたエクスデス復活のシナリオだった。
ガラフとはここしばらく顔を合わせていなかったが――ヤツの事だ必ずエクス
デス打倒のために動いているはず――ゼザの決心は固まった。
私室から望む空と大地を眺めてから、ゼザは側近を呼んで静かに告げた。
「各部隊長をここへ召集。我々はこれより、エクスデス城への侵攻を開始する」
事も無げに語るゼザの姿に、側近は一瞬状況が飲み込めないという表情をした
が、すぐさま姿勢を正し恭しく一礼すると部屋を辞した。彼が去った後、扉の後ろは
俄に慌ただしさを増した。
(これでいい)
再び視線を窓外へと転じる。空と大地の先は大海原へと続いている。その遙か
彼方に、30年の時を経て復活した暗黒魔導士エクスデスの居城がある。
(……今度こそ、必ず)
己の決意を確かめるように頷いてから、瞼を閉じた。
暁の戦士と呼ばれた男の、最後の戦いはこうして始まったのである。
すんません。バリアの塔とムーアの大森林を終えたばかりで発作的に書いた物を
性懲りもなく投下しますた。考察のなさ&推敲の甘さetcな批判はしてやって頂けると
泣いて喜びます。
ちなみにこの話が続くかどうかは、ひとえにFF5の進行状況と漏れの腕(?)次第。
投下分は一応キリの良いところになってます。
でも、でもこの気持ちを汲んでやってくれ、ムダに熱い展開のFF5に感化されてもうた
ワシの気持ちじゃ…。
>>376-378 ありがd
FF5
∧∧
┃ ┏━┃ (,,゚∀゚) ┃┃
━┏┛ ┏━┃ ━━/ つ━━┛ .┃┃
━┏┛ ┛ ┃ 〜( ,ノつ ┛┛
┛ ┛ (/ .┛┛
OK、ブラックジャックゲット
__ ヾ|‖|||lliiヽ
/ヾ丿ノヽ .リ゛W""< .ゝ 流石だよな俺ら。
( ゞ゛ノハヾ (´<_` ヾノ これで帝国領へ乗り込めるぜ
wヾ ´_ゝ`) / ⌒i 〜
リ / \ | |
w/ / ̄ ̄ ̄ ̄/ | .。oO(イカサマだけど。)
ル_(__ニつ/ フィガロ / | .|____
\/____/ (u ⊃
……。
聞いてくれ弟者よ。
あの場ではあの方法が最善だったのだ。
__ ヾ|‖|||lliiヽ
/ヾ丿ノヽ .リ゛W""< .ゝ ……。
( ゞ゛ノハヾ (´<_` ヾノ 10年前の、王位継承者を決めた夜の出来事もそうだと?
wヾ ´_ゝ) / ⌒i 〜
リ / \ | |
w/ / ̄ ̄ ̄ ̄/ |
ル_(__ニつ/ フィガロ / | .|____
\/____/ (u ⊃
……。
__ ヾ|‖|||lliiヽ
/ヾ丿ノヽ .リ゛W""< .ゝ まぁ、俺、病弱だったし。
( ゞ゛ノハヾ (´<_` ヾノ (その後は山に引きこもってたし)
wヾ ;´_ゝ`) / ⌒i 〜
リ / \ | |
w/ / ̄ ̄ ̄ ̄/ | 国王って器じゃなかったよな。
ル_(__ニつ/ フィガロ / | .|____
\/____/ (u ⊃
違う。
弟者よ。
そう卑屈になるな。
俺は、お前のような弟を持って幸せだと思っているぞ。
__ ヾ|‖|||lliiヽ
/ヾ丿ノヽ .リ゛W""< .ゝ
( ゞ゛ノハヾ (´<_` ヾノ
wヾ ´_ゝ`) / ⌒i 〜 ……兄者?
リ / \ | |
w/ / ̄ ̄ ̄ ̄/ |
ル_(__ニつ/ フィガロ / | .|____
\/____/ (u ⊃
その身一つで列車を持ち上げるなり、叩きつけてみたり。
(だけどフェニックスの尾で簡単に倒せるんだがな)
倒壊寸前の家屋の柱となって、人命を救ったり。
(ツェンで販売しているスーパーボールは頼もしいアイテムだったしな)
頭上から落ちてくる鉄骨を軽々と投げ飛ばし、退路を確保してくれたり。
(なにせ、お前がいないと俺が鉄骨を支えなければならないからな)
…… こんなに力強い弟は、崩壊した世界広しと言えど、お前しかいない。
__ ヾ|‖|||lliiヽ
/ヾ丿ノヽ .リ゛W""< .ゝ
( ゞ゛ノハヾ (´<_` ヾノ
wヾ ´_ゝ`) / ⌒i 〜 ……兄者。
リ / \ | |
w/ / ̄ ̄ ̄ ̄/ |
ル_(__ニつ/ フィガロ / | .|____
\/____/ (u ⊃
聞いていて、ものすごく微妙な感じがするんだが。
気のせいだ。
=====================================
【崔嵬】(形動ナリ)
(1)山の、ごつごつして険しいさま。
(2)殿舎・楼閣の高く、立派なさま。
=====================================
「この10年間、家族のようで楽しかった……お世話になりました……!」
義母――いや、マッシュにとっては実母以上の存在だったのかも知れない――
に向けた精一杯の礼。
彼にとって、拳の師ダンカンと兄弟子バルガスを失った今、この家を再び訪れる
事がどれだけ辛かっただろう?
それでも敢えて、すぐにコルツを越えサーベル山脈へ向かわず、険しい道のり
をサウスフィガロまで引き返そうと申し出たのは、他でもないマッシュだった。
兄である俺に、頭を下げてまで望んだ道。
――マッシュよ。頭を下げるのはお前ではなく……。
俺の方だ。
不甲斐ない兄が、フィガロの王位を継ぐという選択をしてしまった事を。
お前に何もしてやれず、辛い思いをさせてしまったことを。
すまなく思っている。
――「家族のようで楽しかった」
心の優しいお前のことだ。
今まではもちろん、この先も俺には何も言わないだろう。
だがお前の口にしたその言葉が、俺の罪業そのものだ。
どうしたって償えない、謝罪の言葉は何の意味もなさない。
それは分かっている。
だからこそ、俺は……。
――FINAL FANTASY VI 発売10周年を祝ってみるSS――
3.10年目の崔嵬〜罪業の名
AAハゲワラタ。しみじみ深いSSと併せていいですねー。
おFF5があるーなんかウレスィー
ギルファリなんか出てきたらいいなー…なんて
ひとまず保守
FF5面白そうで(*´Д`)ハァハァ FF6もPS2リメイクキボンです
実は
最近投稿少ないが、FF7Aが凄く楽しみな俺が居る
実は
FFCCとか10-2とか10とか8とか7とか、ここへ投下されてまだ完結していない話の
続きが投下されるのを楽しみに待っている漏れもいる
作者さん達がまだここを見てられるかは分かりませんが
気が向いたら続きよろしくお願いします‥
実は
エアリスとヴィンセントの話の続きが楽しみな俺が居る
作者さんカムバーックщ(゚Д゚щ)
>>393 タイトルで検索かけると読めるやつあるよ。
実は
聖剣SSを楽しみにしている自分がいる。ノベライズ物って未プレイでも楽しい。
実は
>>389そう言って貰えるとカナーリ救われます。(w
>>390バリアの塔直前の船団との合流イベントで間違いなくゼザファリ物を書こうと血迷ってました。ゴメソ
血塗られた盾@ティナ編。言いたいことは全て国王に代弁させてる様な話。
前話は
>>371-375 ----------------------------------------------------------------------
***
飛空艇から逃げ出すようにしてティナは宛てもなく草原を走り続けた。
これから自分はどこへ向かおうとしているのか? 何をする為に?――そんな
疑問が浮かんでは消えていく。枯れかけた大地を踏みしめる自分の足音と、規則
的に吐き出される息の音が聞こえてくるだけで、その他には一切の音が無い世界。
静まり返る世界の中を、ティナは一人で走り続けた。
『今さら母上の事を知ったところで……』
まるで背後から迫る追っ手のように、脳裏に過ぎったのはエドガーの声。
『悪い事は言わねぇ。興味本位であの盾に近づくのはやめておけ』
さらに警告のようなセッツァーの声が甦る。盾を持つ手が僅かに震えてたのは
躊躇いか、あるいは迷いだったのかも知れない――このまま走り続けるべきか、
戻るべきか。
荒涼とした草原の先に、鬱蒼とした森が見えてきた。緑が失われ旱天の続く世
界にあっても、この一角だけはまるで何かに守られているのかと思うほど濃い緑
に包まれていた。
その深く濃い緑は何かに守られているのではなく、何かを守っていたのかも知れない。
『どんな理由があろうと戦いは決してきれい事ではない。それを忘れるな』
森に足を踏み入れる直前、シャドウの声が思い起こされた。
彼の声に重なるもう一つの声の存在に気付いた瞬間、彼女の正気が失われたのである。
***
良く聞いてくれセッツァー。
……正直、これから話すことにはあまり自信を持って人に言える予測ではないんだ。
だから自分でも整理しながら話を進めていきたい。すまないが全ての話を聞いてから、
口を挟んでくれないかな?
……らしくないって? 悪いな。しかしこの旅を続けていて、これまで培ってきた経験や
常識という概念を軽く超える現実が存在すると言うことを目の当たりにしてしまった以上、
どうもこういった話では確信を持って行動するなんて事ができなくてね。臆病だと笑って
やってくれ。
なんだって? それでも俺の振る舞いはそんな風に見えないって? 当たり前だよ。
仮にも一国の王を務める身だからね。周囲を不安にさせるような真似はできないさ。
ありがとう。
それじゃあ、話をはじめようか。
結論から先に言ってしまえば、『血塗られた盾』が引き起こす数々の現象は、この盾の
持ち主の残留思念の仕業だと考えたんだ。
それも、この盾の持ち主は――1人じゃない。複数の人間によって扱われた物なんだ
ろうと思う。ちょうど、今の俺達のように。
ロックの混乱、俺の見た悪夢、そしてセッツァーの夢に出てきたダリルさん。予測を立て
るには、まだ判断材料が少ないかも知れないが、今のところ共通して言えるのは、盾を
装備している間、俺達は自分の記憶の断片が混ざった夢を見ていたという事だ。そして、
外から見れば盾を装備した人間は夢を見ている間、完全に正気を失っている。治癒不能
の状態異常は、盾を身につけた者の戦線離脱と言う形で決着するまで続く。
地下に沈んだ古代城、空に君臨する魔物とそこに散った者達の記憶。これらは史実と
して残されてはいない。しかし俺達は現実にその痕跡を目の当たりにしている。そして
その痕跡が残るに至った経緯を夢の中で見ていたんじゃないか?
つまり、盾の持ち主からのメッセージ――という風に解釈できるんじゃないだろうか。
ああ。確かに言うとおり、ロックの混乱の内容については彼自身の記憶にないから
はっきりとは断言できないが。
「敵を斬るのは刃ではなく、己の念」
――カイエンが言っていた言葉の意味、携える武器に宿る思い、というのは確かに
存在する――持ち主が死して尚、武器はこの世界に留まり続け、また新たな主の元で
戦いを共にする。この盾は相当に古い物だとは見れば分かるし、『血塗られた盾』なんて
渾名され長年にわたって保管されていたのだから、それなりに曰くのある品なのだと思う。
この盾は、まるで俺達の戦いを阻むような現象を引き起こしているが、それは戦いを
阻むと言う意味ではなくて。
戦いを通して、魔導の力を借りて敵に向かおうとする俺達の意志を確かめている、
そんな気がするんだ。
400 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:04/08/30 19:54 ID:xdYCsWhI
400ゲッツ
>>394 今更そんな事言ってもらえると嬉しい…。ポ(照れた効果音)
あの時と変わらずパソコンdj状態のまま放置プレイ、中のデータも取り出せず…です。
今はただひたすら携帯で見てます。
小説投下したまま放置も無責任なので、何とか漫画喫茶とかで完成させようかな。過去スレでデータ追って…。
血塗られた盾@ティナ編の続きキタ━━━━(゚∀゚)━━━━ !!!!!
そして作者さんきたぁああああああ!!!
(*´д`*)ハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァ…ウッ
こちらはただの…不調?です。
終わり方は数通り考えていましたが、いざ来てみるとどれがいいのやら。
長らくお待たせしてすみませんが、終わりまでもう少しです。
最後に、>ドリル氏
戦闘が長く書けないのは最大の悩みでしたが、既に終わってしまいましたので…
お世辞で無く本当に、小説書きとしてあなたに及ばない自分に気付いた最近orz
>>401 作者さんの描かれる二人の雰囲気というか情景というか、その辺が大好きな作品でしたよ
楽しみに期待sage。気長に待たせて頂く所存であります、はい。(正直、作者さんが放棄して
いないと分かったのは嬉しかったですw)
>>402 ありがd!
>>403 「終わりよければ〜」の言葉通り、結末・締め方は悩みますよね。こちらも楽しみにお待ち
しております。気負いせずがんがって下さい。
> 既に終わってしまいましたので…
そう言われると少し寂しい気はしますが、また次(他板も含めて)の作品で活かせれば(・∀・)イイ!
んでないかと。
自分は逆に、FF7A書いてる物体さんの様な勢いと、文章上で戦闘をリアルに描き出す事が
出来ないのが悩みですね。どうも作り物というか、「きれい事」になってしまいがちと言うか。
戦闘と、その中に繰り広げられる人間臭さ……が書けないから話に重みがないっていうか
説得力がないっていうか。その辺が「FF7A」から吸収したい部分です。
と、いうことで最後の1行は身に余るお言葉です。
長々とすみません。
(そんなわけで前話
>>397-399。血塗られた盾@ティナ編です。……)
------------------------------------------------------
***
普段なら自分の意見を述べる時も、常に相手の様子や反応を見ながら話をする
男だった。そんなエドガーがここまで一方的に弁舌を振るうのも珍しいなと思いながら、
セッツァーは言われるとおりに黙って彼の話に耳を傾けていた。
そして、大きく溜息をついて話を終えたエドガーが呟く。
「ご静聴いただいて感謝するよ」
「口を挟む隙もなかったからな」
セッツァーの指摘に、ただ苦笑する。
「……でもま、俺も大体そんなモンだろうと思うぜ? 盾を装備したヤツじゃなけりゃ、
こうは思わねぇ」
「逆に言うと、盾を装備すれば自ずと分かる事なのかも知れない――そうさせることが、
この盾の意味なんだろうと思う。だから」
「『この盾を捨てる訳にはいかない』、か?」
その言葉にエドガーはただ頷いた。その様子を見たセッツァーがすぐさま反論を呈す。
「それにしちゃあ、リスクが大きすぎる」
「ああ。それは俺も考えていた。そして考えていた矢先にこの事態だ」
「ティナか」
その名前に、エドガーは表情を僅かに曇らせながら答えた。
「……彼女は、母親の事を知りたがっていた。彼女の母親がなぜこの世界を捨てたのか、
その理由を」
「母親?」
マドリーヌ――ティナの母親はごく普通の人間だった。そんな彼女が幻獣界で
幻獣マディンと知り合い、その愛の結晶として二人の間に生まれたのがティナである。
そういえば、とセッツァーが口を開く。
「たしかベクタの魔導研究所から持ち帰った魔石の中に、アイツの親父のそれがあったはずだが?」
「幻獣マディン」
「ああ、それだ」
あの時――ゾゾの一室でティナが目覚めたあと――の事を思い出していた。
魔石となった父親・幻獣マディンの記憶を引き継いだティナの口から語られた
真相。帝国が魔導国家としての軍拡路線を歩み始めるきっかけとなった、18年前
の出来事。
そして、自らの存在理由を知ったあの日に、ティナはもう一つの苦悩を抱える
事となった。
母はなぜ、人間界を捨てて幻獣界へ赴こうとしたのか?
それは幻獣マディンの記憶にはない、マドリーヌだけの持つ記憶。
『人間の世界がいやになってしまったの。憎しみや欲望が渦まくあの世界に嫌気がさして』
ティナがマディンの記憶を通して聞いた、母親の声だった。
母が捨てた世界を、自分は守ろうとしている――強行とも思える手段を執ってまで、
盾を手にしようとしたティナの気持ちは、理解出来ないものではなかった。
保
ぼ
ま
り
も
ん
「…終わったのか」
「ああ、これで全て…終わった」
青く明滅する原子のマテリアが、その光を失っていく。
ゼロは最後まで、気付く事が無かった。人が破壊以外の何かを生み出せる事を。
「かつての私も…奴と同じだったな…」
セフィロスはふと苦笑した。一時でも「神」を目指し、星を滅ぼそうとした彼だからこそ解る。
自分の価値、生きる意味、それらを見失った時人は壊れ始める。肝心なのは、それを正してくれる者が居るかと言う事だ。
バレットやティファ、共に戦った仲間達が駆け寄ってくる。揉みくちゃにされて笑うクラウドを見る自分の中に、
微かな羨望が生まれるのを感じて彼はまた苦笑した。
――自分は、あの中に入っていく事はできない。それは許されない事だ。
「なーに沈んでんのさ、アタシ達勝ったんだよ?」
いつの間にか傍らに居たユフィの声でセフィロスは我に返った。仲間達の輪にも入らず、何故彼女は自分の所へ来たのだろう…?
ユフィは彼の表情から疑問を読み取り、少しだけ哀しそうに笑った。
「あんまり仲良くし過ぎるとさ、いざって時にマテリア盗めなくなっちゃいそうだな…って思ってね」
それを聞いたセフィロスの顔に、一瞬驚いたような表情が浮かんだ。が、すぐに笑い始めた。
自身を嘲笑う苦笑いではなく、心からの笑いだ。
当のユフィはと言うと、何を笑われているのかも解らず一人で怒り出した。
「何笑ってんだ〜このイカ野郎がッ!」
が、次第にユフィもつられて笑い出した。何が可笑しかったのかは解らない。だが、理解の範疇を超えて
歳の離れた二人が笑い合うことができた。
「それで…」
笑いの波が去ると、ユフィは訊こうと思っていた本題を切り出した。
「この後、何処へ行って…どうするつもりだ?」
セフィロスがこの世界で生きていくのは簡単な事ではない。既に彼は「星を滅ぼそうとした極悪人」であり、
それ以前に死んでいる筈の存在なのだから。
彼は暗い天井――ミッドガルの底を見上げ、答えた。
「解らないな…でも、この世界にはその…『悪人が生きていける場所』と言うものがあるのでな」
セフィロスはきっとユフィが笑うだろうと思った。しかし、彼女は下を向いて言った。
「アンタは…今しがたこんなに立派な事をやってのけたじゃないか? それが何で悪人なんだよ…?」
その問いは彼にとって酷だった。どう説明すれば良いのか、解らない。
「…この世にはな、どんな償いを以ってしても許されない罪があるのだ。私は6年前から…その罪を負った」
「あのな、世界中の人々全てに許されようなんて無理に決まってんだろ?」
およそ少女のものとは思えぬ口調だったが、その言葉は塞がれた彼の心に穴を空けた。
「肝心なのは!罵られてもポジティブに生きる事だろ? アタシだってね…去年は神羅兵とか何人も殺ったさ。
たまには人殺しなんて呼ばれる事もあるよ、そりゃ? でも、そんな事は忘れなければ良いんだ」
そうだ――と、セフィロスは思い出す。彼女達も、何らかの形で誰かの命を奪っている。
「人前でまでうじうじしてっとねぇ、ヴィ…誰かさんみたいになっちゃうよ?
自分への戒めを決して忘れず! でもあからさまに落ち込んだり自己憐憫に陥らず! 少なくともアタシなら
そうできるけどね〜…ちょっと、アタシの生き様が羨ましくなってきただろ?」
セフィロスは「誰かさん」を見やった。彼をあんな風にしたのは自分でもあるが、確かに悪い見本だ。
そして同時に、目の前の少女ははっきり言って――特殊だと、そう思った。
「…ああ。カッコイイ生き方だ」
不思議と、暗く塞ぎ込んでいた気持が暖かいもので満たされていく様な気がした。
「…7番街で、またこんなに多くの人が死ぬなんて…思ってもみなかった」
クラウドの見つめる先には、かつて7番街スラムだった場所に広がる破壊の爪痕と、累々たる住人の死体。
そして、ゼロの死によって機能を停止した機動兵器が山となっていた。
「ねえ…クラウド。私、一年前に…もう泣かないって決めたの。でも…」
ティファが息を詰まらせ、その目から大粒の涙が零れ落ちた。
「――もう一度だけ、泣いても良い? これで…最後にするから…」
クラウドはティファの隣に肩を寄せたが、何も言わなかった。口を開くと、自分も泣き出してしまう気がしたからだ。
殆ど50レス開いちゃってる…前話
>>351−352です
>>ドリル氏
勢いと人間臭さ、ですか…それが長所であるのなら、伸ばしていきたいです。
前々から言いたかったのですが、あなたの文章は空白の入れ方が(゚Д゚)ウママーで
非常に読みやすい構成となっています。この辺も見習いたい所で。
>>415 かなり乙
セフィロスのその後が気になる‥
もう終わりなんですか?
>>413-414 力を持った人間は自らが神にもなり得ると確信し、理想郷実現のために破壊を繰り返す。
しかしそれ自体が幻想であり、人として末期の姿なのかなと。自分的にはFF6のケフカや7の
セフィロスに共通して抱いた感想で、この話の結びとなる部分でそれを語っていてくれるのが
(直前までの激しい戦闘シーンとはうってかわり、穏やかで)読み心地が良かったです。
この辺では彼らの人間味というか、温かみが良く出てます。(・∀・)イイ!
(ファイナルファンタジーというタイトルはラスボス視点からも解釈できて良いタイトルだと思ったり)
ちなみに空白は、この板に投稿し始めて自然にこうなってますた。
…っていうか、こんな事長々とかくあたり、そろそろ狂信者の塔行った方が良いかも知れない。とふつうに思う(w
(前話は
>>405-406で、血塗られた盾@ティナ編)
------------------------------------------
***
窓の外の景色をぼんやりと眺めていた彼女の視界の端に、白くふわふわとした
物が映った。何だろうとその物体に視線を落とすと、正体はすぐに分かった。
「……モグ?」
一体何をしているのだろう? 彼女は部屋を出て飛空艇の外へと向かった。
「どうしたの?」
「リルム!」
忙しなく動き回るモグに声をかけたのはリルムだった。いきなり背後から声を
かけられて、文字通りに飛び上がったモグの姿を見て、リルムは思わず吹き出した。
その様子を見て、モグが抗議の声をあげる。
「び、びっくりしたクポ〜……」
「ごめんごめん。で、どうしたの?」
笑いの波が収まってから、リルムが問う。
「ティナがいないクポ」
「ティナ?」
他の皆と一緒に、近くの街へ出かけたんじゃないの? というリルムにモグは
短い首を振ってこれを否定した。
「ちょっと前まで一緒にいたクポ」
「…………」
――なんだろう? 胸騒ぎがする。
先刻のデスゲイズ襲来時のような――魔導を身に感じているとはまた別の――
不安がリルムの心を揺さぶった。
その不安の存在を否定したくて、あるいは振り切りたくて。リルムは明るい表情と声を向けた。
「リルムも手伝ってあげる」
「ありがとうクポ!」
そう言って、二人が歩き出した時だった。
「あっ!」
唐突にリルムが大声を上げたものだから、またしてもモグは慌ててリルムを見
上げたのだった。
「インターセプターっ!」
リルムは草原の先に見える小さな影を指しながら叫んだ。モグはそれに従って
視線を向けると、確かに草原の先に小さな影が見える。
「……どうしたの?」
さり気なくモグが自分の後ろに隠れるように移動した事に気が付いて、リルム
が声をかける。
「ボク、どうも苦手クポ……」
身を竦ませながら呟くモグを、リルムは心配そうに見つめながら。
「なにが?」
と、尋ねた。
「…………」
彼女の問いに、モグは無言で視線を草原の先に見える小さな影に向けた。リル
ムも同じ場所へ視線を向けると、そこに見出した影の名を口にした。
「インターセプター?」
モグは黙ったまま頷く。
「いじわるされたの?」
今度は首を横に振った。
「じゃあ、どうして?」
「だってアイツ……無口だクポ」
――むくち?
果たしてインターセプターは無口なのだろうか? その前に、そもそも無口と
いう概念が通用するのかどうか。いろいろ思うところはあったのだが、モグには
きっと固有の能力(アビリティ)があったのだろう。いや、無かったとしてもあ
るのだと無理やり言い聞かせる事にした。
キタ━━━━(゚∀゚)━━━━ !!!!!モグかわええです。
がんがってください。
421 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:04/09/25 00:42:17 ID:5T87smR9
保守!
今日もまったりほっしゅほっしゅ
SSクレクレしつつ、のんびりほっしゅ。
自分もまったり保守の方向で。
>>418-419より、なんだか父娘ネタになって来ました血塗られた盾話。
--------------------------------------------------------
しかし、恐らく「無口」という形容はあながち的外れではない――それを示す
“証人”は、リルムのすぐ後ろを通り過ぎた。彼女が振り向くのがあと僅かでも
遅ければ、恐らくリルム達の事など気にも留めずに歩き去ってしまっただろう。
「シャドウ!」
ペットは飼い主に似るとはいうが、彼と長年を過ごしてきたインターセプター
が饒舌――とはいえ実際に喋る訳ではないが――だとは思えない。それに、
インターセプターの事を「ペット」などと言ったら、いくら寡黙なシャドウと言えど
黙ってはいないだろう。彼にとってインターセプターは、もはや相棒なのだ。
とはいえ、実際に彼自身が必死に反論するとも思えなかったが。
「…………」
自分の名を呼ばれシャドウは一瞬足を止めたものの、特に反応を示さないまま
何事もなかったように再び歩き出そうとした。そんなシャドウに対してリルムは
再び声をかける。
「リルム様を無視してどこ行くんだよ?」
足を止めることなくシャドウが短く応える。
「どこだっていいだろう」
「よくないね」
「……散歩だ」
いつものように冷たく突き放したような態度をとるシャドウに、リルムは早足
になって彼の後を追うと、その背中をじっと見つめながらピクトマンサーらしく
鋭い観察眼で対抗した。
「さんぽ?」
口調にも視線にも、シャドウに対する懐疑の念が伺える。それを隠そうとはせ
ずに、まるでどこかの衛兵のように彼の進路を阻むと、その出で立ちに目を向けた。
ハイポーション、エーテル、フェニックスの尾、一撃の刃に……風車。余談では
あるが、風車は店で買った風魔手裏剣をコロシアムで賭けて得られる貴重品だ。
確かに世界が崩壊してから、各地でモンスターが増え物騒になったとはいえ、
これではこの先やっかいな戦闘が起きることを事前に予測している様な装備だった。
「さんぽ、にしてはずいぶん準備がいいんだね」
疑いは確信に変わっている。完全に進路を塞ぐようにしてシャドウの前に立ち
はだかる。
「備えを怠れば命取りになる、それが戦場というものだ」
「そーお?」
確かに世界は崩壊したけど、ここは戦場なんかじゃないわ――そう言おうと
したが、口には出さなかった。
「…………」
シャドウとしては別にやましいことがあるわけではないのだが、自分がこれから
向かう先を知らせたくはないと思った。特にリルムには。
勘――よりももっと強いなにか――が、そうしろと告げている。それはシャドウの
中に流れる血だったのかも知れい。暗殺者として生きてきたその身が、この先に
待つ危険を察知しているのだろう。
「こーっそり一人で、かってな行動は困るんだからね!」
「すぐ戻る」
「アテにならないね。魔大陸でどっかの誰かさんがもたもたしてるから、危なく
みんなでお星様になっちゃうところだったじゃない」
それを言われると反論できなかった。シャドウ自身、まさかあんな場所で彼らが
自分を待っているなどとは思わなかったから。
――仲間と共に艇に乗り込み地上へ戻れると知った時……。いや、これ以上は
考えたくないなとシャドウは目を閉じた。
読まれるはずはない己の内を隠そうとするためか、何かを口に出したかった。
そのせいか、ほとんど苦し紛れに言葉を吐いた。
「安心しろ、今度はエドガーにもそう告げて……」
言い終えてから、迂闊にリルムの挑発に乗ってしまったと後悔した。シャドウ
自身ですら、らしくないと思うほど見事なまでの敗北だった。
「……なにしに行くんだよ?」
「お前には関係ない。飛空艇に戻ってろ」
こうなったら突き放してでもここへ置いていかねばならない。半ば強い義務感
に駆られたシャドウは、冷然と言い放った。
しかし、それは却って少女の対抗心に火をつける結果となってしまった。
「頭ごなしにそんなこと言われて、このリルム様が納得するとでも思う?」
「お前が納得するしないは関係ない」
「ふーん」
リルムは一歩も退こうとしなかった。
見かねたようにインターセプターが睨み合う両者の間に走り寄って来た。
夫婦喧嘩、あるいは親子喧嘩は犬も食わない。たとえこの時、耐え難い
空腹にあったとしても、インターセプターに言わせれば食いたくもなかった
だろう。それでも両者の間に入って宥めるように視線を向ける。
それからシャドウの足元に身を寄せると、促すように首を草原の方へ向ける
仕草をしてみせた。それに応えてシャドウは視線を降ろすと、小さく呟いた。
「……。待たせてすまないな、行くぞ」
「ちょっと待てよ!」
今度こそリルムの声を振り切って、シャドウは早足にその場を去った。
>>426最後の行が逆でした。
×早足に
○足早に
シャドウ渋いです。強気なリルムもイイ!がんがってください。