FFの恋する小説スレPart2

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456雫夜 ◆sizukTVGK. :04/01/05 20:59 ID:3JA0DIvi
遅くなりましたが、あけましておめでとうございます。
…今日から仕事始めです(´・ω・`)

>>447=452-454
感情を持った人間らしいセフィロス…興味深いですね。
本体(=『負の遺産』?)がこれから何をしようとしているのかも気になります。
タイトル『償い』だし…。
そしてエアリス萌え(*´Д`*)ハァハァ

>>449
確かに結婚より未婚のタイプかも>ベアトリクス

>>451
感想ありがとです。カワイイと言ってもらえて嬉しいです。
次スレ準備…今430kbですね。始めますか。
とりあえずテンプレ案貼ってみます。

>>ドリルさん
帰省中だったんですね。字数制限かつお忙しい中レスありがとです。
コテにワロタ>非装備…すみません_| ̄|○
PCの中から蔵出しキボンヌなレオ話、期待してます。

457雫夜 ◆sizukTVGK. :04/01/05 21:24 ID:3JA0DIvi
文章で遊べる小説スレです。
SS職人さん、名無しさんの御感想・ネタ振り・リクエスト歓迎!
皆様のボケ、ツッコミ、イッパツネタもщ(゚Д゚щ)カモーン
=======================================================================
 ※(*´Д`)ハァハァは有りですが、エロは無しでお願いします。
 ※sage推奨。
 ※己が萌えにかけて、煽り荒らしはスルー。(゚ε゚)キニシナイ!! マターリいきましょう。
 ※職人がここに投稿するのは、読んで下さる「あなた」がいるからなんです。
 ※ちなみに、萌ゲージが満タンになったヤシから書き込みがあるATMシステム採用のスレです。
=======================================================================

前スレ  FFの恋する小説スレPart2
http://game5.2ch.net/test/read.cgi/ff/1060778928/l50

前々スレ FFの恋する小説スレ
http://game2.2ch.net/test/read.cgi/ff/1055341944/l50

初代スレ FFカップルのエロ小説が読みたい
http://game2.2ch.net/test/read.cgi/ff/1048776793/l50
*廃スレ利用のため、中身は非エロ

>>2-10のどこかに詳細、及び関連スレッド
458雫夜 ◆sizukTVGK. :04/01/05 21:29 ID:3JA0DIvi
【お約束】
 ※「馴れ合いウゼー」などの煽りは、新スレになる度にあるのでスルーしましょう。
 ※18禁なシーンに突入したら、エロパロ板に書いてここからリンクを貼るようにしてください。
  その際、向こうに書いた部分は概略を書くなりして見なくても話はわかるようにお願いします。
【推奨】
 ※長篇を書かれる方は、「>>?-?から続きます。」の1文を冒頭に添えた方が読みやすいです。
 ※カップリング・どのシリーズかを冒頭に添えてくれると尚有り難いかも。

 初心者の館別館 http://m-ragon.cool.ne.jp/2ch/FFDQ/yakata/

◇書き手さん向け【以下は千一夜サイト内のコンテンツ】
 FFDQ板の官能小説の取扱い http://yotsuba.saiin.net/~1001ya/kijun.html#kannou
 記述の一般的な決まり http://yotsuba.saiin.net/~1001ya/guideline.htm
◇関連保管サイト
 FF・DQ千一夜 http://www3.to/ffdqss
◇関連スレ
 FF・DQ千一夜物語 第413夜
 http://game2.2ch.net/test/read.cgi/ff/1048322547/l50
◇21禁板
 ★FINAL FANTASY 壱〜壱拾&拾壱エロパロ小説スレ
 ttp://www2.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1048756173/1
 FF・DQかっこいい男キャラコンテスト第6幕
 ttp://www2.bbspink.com/test/read.cgi/801/1042383689/1-2

 どうしても議論や研鑽したい方は http://book.2ch.net/bun/
 挿し絵をうpしたい方はこちらへどうぞ http://ponta.s19.xrea.com/

◇専用ブラウザー http://www.monazilla.org/
◇トリップ http://www.2ch-trip.com/
459雫夜 ◆sizukTVGK. :04/01/05 21:44 ID:3JA0DIvi
テンプレ案貼ってみました。前々スレのアドレスミスった予感…i||i_| ̄|○i||i

関連スレの◇カップリングスレや◇リレー小説スレに詳しくないので、そちらに詳しい方にまとめを
お願いできたらと思います。

案を作るにあたって>>311-332の辺りを読み直し、※己が萌えにかけて〜と【お約束】をちょっと改変
してみました。
ですが、既に多くの方が言われているように「煽りに反応しなければいい」のであって、それをしつこく
書く必要もないのかなと思ってもいますが。

というわけでツッコミきぼんぬ。
460ドリル装備の名無し ◆Lv.1/MrrYw :04/01/05 23:30 ID:ySF04S9Y
“狭いながらも落ち着く我が家”を空けていたら、年まで明けた。
……と、いうわけで今年もほぼ6ネタだと思われますが、飽きるまで続けさせて頂こうかと思います。
今年がおまいらにとって良い年になると(・∀・)イイ!……な。

>>457-458(テンプレ案)
テンプレ案なんですが、そんなにしつこく書かなくても良いんじゃないかと思います。
……まぁ、主に反応した張本人が<<漏れ>>なので、発言権はないものと思いますが。(w
【お約束】の一行目は削ってもいいものかと。

ただ、帰省して正月の宴を見て思った事は。

「 踊る阿呆に見る阿呆 」

うん、この精神(ノリ)なんだろうと思う。(この言葉自体は阿波踊りですが。)

「 萌える阿呆に見る阿呆。 」

漏れらは何かに萌えている。アホだと煽られても、これは仕方ない。
だったら萌えた者勝ち。それで(・∀・)イイ!じゃないか。
……良いと思うよ、漏れは。(w

テンプレ案にツッコミ入れられるとしたらこの辺です。あとの関連スレは漏れも詳しくないので
スマソ。
461おまもり1:04/01/05 23:34 ID:ySF04S9Y
と、言うわけで新年早々ヤパーリFF6ネタしかありませんでした。
今年の干支にちなんで(…ませんが。)主役はモグ(の小ネタ)
-------------------------------------------------
 ラムウが教えてくれたのは、人間の言葉。
 ――だから、みんなと出会って旅をする事ができた。
 みんなが教えてくれたのは、戦い抜く強さ。
 ――だから、ケフカのいる場所までたどり着けたんだ。
 ケフカが教えてくれたのは、仲間を失うことの悲しさ。
 ――だから……。



 だから?


 
 ティナの腕の中で、愛くるしい表情をたたえる彼の姿は周囲に笑顔を運ぶ。
「あったかいクポ〜」
 真っ白な毛に覆われた――まるでぬいぐるみのような――彼に羨望の眼差しを
送っていたエドガーがふと漏らす。
「ああ、私もモーグリに生まれてくれば良かった。なぁ? ロック」
「だよな。俺もティナにふかふかされ……、……」
 エドガーとは反帝国の地下活動を通して友人と呼べる仲にあったロックは、彼の
意見に素直に賛同したまでだった。
462おまもり2:04/01/05 23:35 ID:ySF04S9Y
 が、その言葉を途中で呑み込まざるを得なかったのは、背後に迫る生命の危険を
感じていたからである。
 小さな異物感と大きな危機感を背中に感じながら、さらに冷たいセリスの声が
浴びせられる。
「あら、どうしたのロック? 何か言いたかったんじゃないのかしら?」
 先を促す言葉とは裏腹に、彼女の手に握られた短刀はロックの背にあてがわれた
まま動かない。
「まあ、セリス落ち着け。そう考えるのは男としての宿命だ」
 さらりと言ってのけるセッツァーの言葉は、けれど何のフォローにもなっておらず、
結果的にロックを窮地へ追い詰めることになる。
「セッツァー。それは言い過ぎだ」
 窮地に立たされた友人を救うべく、エドガーが間に入る。自分で話を振っておきながら、
後のフォローも忘れないというきめの細かさは、さすが一国の主となるだけの器なのだろう。

「ティナの腕に抱かれたいと思う前に、押し倒すだろう。ロックならば」
「まぁ、その方が手っ取り早いか」

 そんな冗談を交わしながら笑い合う三者に、この直後セリスの裁きが下ったの
は言うまでもない。
 以下は、目の前で繰り広げられる喜劇の傍観者達の声である。
「兄貴たち、相変わらずだなあ……」
「若さじゃのう……羨ましいゾイ」
「セリスってさ、ケフカの『裁きの光』より強いよね」
「押し倒すなんて言語道断。やはり、両者合意のうえで……」
「腹減った! う〜ガウ!!」

 ――本当に彼らが世界を救うのか? 疑問を乗せたまま、今日もファルコンは
空を駆けるのであった。
463FINAL FANTASY Z ATONEMENT:04/01/06 14:37 ID:4ZtttnjY
どうやら男が乗っているのは、ジュノンからの運搬船の様だった。「この男が…どうかしたのか?」
その時セフィロスは見た。その男の横顔に一瞬光る蒼い瞳を。「ソルジャー…?いや違う、こいつは…こいつは私と同じ物を…」
「彼は宝条博士があなたを…セフィロスを倒す為にセフィロスの細胞から造った生物兵器。完成が間に合わなくて、戦闘可能なまでに
培養が終わったときには神羅は無く、宝条博士も死んでいた。」
「…存在意義を失った者か…だが、この男が何かするとは―」画面が一瞬紅く光った。セフィロスが視線を戻すと、
運搬船が炎上し、見る間に沈んで行く。「…この男は今…一体…何をした…?」
「彼はあなたの対極であり、セフィロスそのものでもある…星が力のバランスを取ろうとしているのよ」
「だが、私には関係の無い事だ。私はこの星を滅ぼそうとした。私が生きていても何も…」
「あなたがソルジャーであった頃の事を思い出してみて―ウータイでの任務から帰る時の…」
もう一つ、別のヴィジョンが現れた。そこには、セフィロスがソルジャーだった頃の映像があった。
セフィロスがウータイに逃げ込んだテロリストの逮捕を命じられ、テロリストを神羅兵に引き渡した後、セフィロスも
町を出ようとした。その時に、セフィロスのファンらしい少女が色紙を持ってサインを求めてきた。
セフィロスは別に子供は嫌いではなかった。それでも彼がサインに応じる事は稀だったが、セフィロスは少女から色紙を受け取ると
さらさらとサインを書いた。「ありがとう!」少女が見せた、無垢で純粋な笑顔。セフィロスは思い出した。
「そうか…あの時、確か私は…」少女はその後こう言った。「あのね、もしもまた、大きな戦いがあったらセフィロスは
私を守ってくれる?」セフィロスはしゃがんで少女に微笑みかけた。「ああ、約束するよ。」
464FINAL FANTASY Z ATONEMENT:04/01/06 14:57 ID:4ZtttnjY
「あなたは、この子に約束した…戦いがあれば、この子を守ってやると。」エアリスはセフィロスを真っ直ぐ見て言った。
「…守れない約束はするな、と言う事か?だが、その男がこの少女に何の関わりがあると言うんだ?」
「彼は、この子を殺す為にウータイに向かっているのよ」エアリスの眼差しは真剣だ。嘘は言っていない。
「…何の為に?第一この男は何をしようとしている?」
「彼は自分の存在を悩んだ。そして苦しんだ…その苦しみはやがて怒りに、自らを生み出した人間への憎しみに変わっていった…」
自分の存在を悩む―今のセフィロスと同じ事をしながら、違う結論に辿り着いたこの男。
「彼の目的は人間への復讐…この星の全ての人間を滅ぼすまで彼は人を殺し続ける。そして、あの女の子は確実に彼の邪魔になる。
だから彼は邪魔になる者を一人ずつ潰していこうとしている。かつて星の危機を救った者達を。」
あの男はもう結論に辿り着いた。全ての人間に復讐する事。だがセフィロスはまだ迷っている。自分のやるべき事が
解らない―エアリスが、結論を導き出してくれている。「まだあなたに約束を守る気があれば、そして自分がやった事に少しでも
罪の意識があるのなら―あなたは―――」
セフィロスを倒した英雄として、クラウドとその仲間は有名になっていた。
全てを無に還す―そんな意味であの男が自らつけた名は「ゼロ」だった。始まりと終わりの数。
ゼロの向かう先はウータイ。かつての英雄の一人がそこに居た。
彼女の名は、ユフィ・キサラギ。
465FINAL FANTASY Z ATONEMENT:04/01/06 18:07 ID:4ZtttnjY
いつの間にかセフィロスの近くにはエアリス以外の見覚えのある人物が何人も居た。
タークスのツォンが、ザックスが、そして…宝条が。「…みんな、死んだから…ライフストリームの中に居るのか」
ザックスが顔を曇らせた。「セフィロス、アンタは自分のやった事の重さを背負って生きる事が存在意義だ」
ツォンは腕を組んでいる…様に見えるが、何だかセフィロスの視界はぼやけてきた。
「あの人は生きている。お前の助けになるやも知れん。」
宝条がセフィロスの目の前に来た。「…ソルジャーであったセフィロスが、お前くらい素直ならば…」
それぞれ、一言ずつ言って消えていった。気付けば、エアリスも居ない。
セフィロスはもう迷わなかった。自分が今やるべき事。「星が定めた運命と信じよう…奴を、止める」
ミディールの跡地、ライフストリームが池になっている場所に、水飛沫のような物が上がった。
今セフィロスの左肩には、光り輝く白い翼がある。「本体が片翼だったのは…何かが欠けていたからだ」
片翼の天使は今、両翼の天使となって空を駆けた。目指す先はウータイ。遠き日の約束を守る為に。
「右肩の黒い翼は、心の闇。そして左肩の白い翼は、誰でも心の中に持っている物…」
エッジ×リディアを応援するスレ
http://game5.2ch.net/test/read.cgi/ff/1066659211/
【盗賊】ジタン×ガーネットを応援するスレ【姫】
http://game5.2ch.net/test/read.cgi/ff/1049015065/
クラウド×エアリスでカプばな〜4
http://game5.2ch.net/test/read.cgi/ff/1073390530/
◇リレー小説◇
FFDQバトルロワイアル2ndEdition PART2
http://game5.2ch.net/test/read.cgi/ff/1058665079/
DQFFバトルロワイアル PART6
http://game5.2ch.net/test/read.cgi/ff/1059224923/
泣くぞ すぐ泣くぞ 絶対泣くぞ ほ〜ら泣くぞ 5
http://game5.2ch.net/test/read.cgi/ff/1059064131/
FF学園その12〜血の十二限〜
http://game5.2ch.net/test/read.cgi/ff/1056293409/

あってなかったらスマソ。鯖移転で消えたスレもあるな…
467ドリル装備の名無し ◆Lv.1/MrrYw :04/01/07 00:08 ID:UW4a7IKb
>>463-465
セフィロスの助けになってくれるという『あの人』ってのは誰のことなんでしょう?
頭の中で候補はいるのですが……まさかこの展開でチョコボ仙人だったりしたら
仰天です。
ミステリアスなエアリスが話を導いていくという役回りなのはやっぱり(゚д゚)ウマー!

>>466
多謝。
……いつの間にかガラファリスレが落ちてる事を知って(´・ω・`)。
スレたてが480kbぐらいで平気でしょか?

モグ小ネタ、このスレで完結できそうです。
468おまもり3:04/01/07 00:16 ID:UW4a7IKb
(前話は>>461-462。モグティナを装いつつモルル話)
--------------------------------------------



 一夜明けて、炭鉱都市ナルシェ。
 世界崩壊後、街から人々の姿は消え、かわりに魔物が闊歩する荒廃した光景が
広がっていた。
 閉ざされた家々の扉の奥で、それでも故郷を離れず息を潜めて暮らす人々もいるが、
かつての賑わいは見る影も無く。
 深い雪と静寂に包まれた街は、今や生気すらも失いかけていた。
「変わっちまったな」
「そうね……」
 それでも変わらずに降り続ける白い雪は、この街の移ろいを見守り続けている
ようで、それが余計にもの悲しさを増している。
 ロック達一行は、この街のどこかに眠るという伝説の武器を求めて方々を歩き
回っていた。
 ロックに同行したのはティナ、カイエン、そしてモグである。
「それにしても、モグ殿の身につけている『お守り』の効用には驚かされるでござるよ」
「モルルのお手製クポ〜」
 自慢げに胸を張って見せるモグの姿に、三人は笑顔を浮かべた。
「魔物たちに邪魔されずに探索ができるから、本当に便利だよな!」
「モグ殿を想う、モルル殿の御利益でござるな」
 有り難いと言いながら話すロックと、感心して深々と頷くカイエン。
 二人の横で、ティナは柔らかな笑みを浮かべていた。
 不意に、ロックが立ち止まる。
「そう言えば、前から持ってたっけ? そのお守り」
 思い出したように言葉を発した。世界崩壊前――魔大陸上陸前――モグがこの
お守りを手にしている姿を見たことがなかったような気がする。

「……これは……」
469おまもり4:04/01/07 00:20 ID:UW4a7IKb

 言ったきり、立ち止まって俯くと黙り込んでしまう。
 ただでさえ小さなモグの身体が、よけいに小さく見える。
「ごっ、ごめんな……」
 無神経なことを口にしてしまったと謝るロックに、モグは小さく首を振った。
「違うクポ……悪いのは……悪いのはボクなんだ」
 無言のまま、ティナはモグのすぐ横に屈み込むと。
「無理、しなくて良いから」
 優しく声を掛けた。
 そのまま皆、何も言わずその場に留まり、モグの言葉を待った。
 暫くしてから、顔を上げたモグはこんな事を口にする。

「これはずっと前にモルルがくれたお守りだったクポ」

 モーグリ達にとって、帝国の圧制が直接的な影響を及ぼす事は少なかったが、
それでも時折、炭坑に現れる魔物との戦闘で危険な目に遭うことは屡々あった。
 魔物と対峙した時、群のリーダーを務めるモグは前線で仲間達を守るべく戦う。
そんな彼の身を心配したモルルが、ずっと前にモグへ贈った物だという。
 役に立ったことは一度もなかったけど。と、付け加えた後。
「せっかくもらったのに、すぐモルルに返したクポ……」
 詫びるように告げたのだった。
「……そりゃ、あんま感心できないな」
 腕組みしながらロックは言うが、どうも自分にも思い当たる節があるようで、
複雑な表情を浮かべながらモグの話を聞いていた。
470FINAL FANTASY Z ATONEMENT:04/01/07 11:40 ID:wOKxqmDp
ウータイは大混乱の最中にあった。
町の南側は壊滅状態である。たった一人の男によって。
「出てこないならば…燻り出すまで…」ゼロの右手に黒い光が集束する。暗黒魔法の一つ、シャドウフレアだ。
一瞬で民家が消し飛ぶ。やがて、5強の塔と呼ばれる建物から2人の人影が飛び出してきた。「…来たか…!!」
ユフィ・キサラギとその父・ゴドーである。「これは貴様の仕業か!!」周囲はもはや火の海と化している。
「まっかせてよ、オヤジ!!あんな奴アタシがかる〜くぶっ飛ばしちゃうんだからさっ!!」
「…ユフィ、すぐに逃げろ」ゴドーはゼロから視線を逸らさず言った。「奴の闘気は半端ではない。ここはワシが喰い止める」
「な、な、何言ってんだよ!?2人で戦えばあんな奴…」「見えぬのか!?奴の殺気は…お前に向けられている!!」
ゼロがニヤリと笑った。懐から紫色のマテリアを取り出す。「何だ?全体化か!?」
ゼロが拳を構えた。ゴドーも格闘の体勢に入る。「今のワシでも、お前を逃がすぐらいの時間は稼げる!!さぁ、行け!!」
突然、離れた所からゼロが拳を突き出した。次の瞬間、ゴドーは後ろに吹っ飛ばされ、壁に叩き付けられた。
「ぐ…まさか…遠距離攻撃のマテリアと、拳の衝撃波でこれ程の威力を出すとは…!!」
今度はゼロが左手を空に掲げた。手の先に赤い光が集まっている。「…させんぞ!!5強の塔だけは…」
「ベータ」正面に巨大な熱の直撃を受けたゴドーは、そのまま仰向けに倒れた。
「グフッ…この…ワシが…近付く事も出来ぬとは…!!」ゼロはユフィが消えたほうを見た。遠くにダチャオ像が見える。
「馬鹿な奴だ…自ら逃げ場を失くしたか!!」ゼロはユフィの後を追った。
471FINAL FANTASY Z ATONEMENT:04/01/07 11:53 ID:wOKxqmDp
「誰でもいい…助けて!!」ユフィはPHSのナンバーに必死に電話を掛けていた。しばらくし、シドと繋がった。
「おう、ユフィか?どうしたぃそんなに慌てて?」「ウータイが変な男に襲われて大変なんだってば!!ハイウインドなら
ここまですぐでしょう!?お願いだよ、助けて!!」
シドは今確かに飛空挺の中にいた。「仕方ねえ、ちいとばかし時間が掛かるから何とかして時間を稼げよ!!」
ユフィは本当に必死だと判断した上でシドは操縦士に指示を出した。「まず、ミッドガル近くに降ろしてくれぃ」
いくらシドでも、一人でウータイを壊滅させる様な奴を相手に出来るか解らない。
シドはまず、応援を要請する事にした。
ユフィはまだ逃げていた。「時間を稼ぐったって…どーすりゃいーんだよ!?」
突然足に激痛が走り、ユフィは倒れた。「あうっ!…な、何だ!?」
ダチャオ像の陰からゼロが歩み出てきた。「思ったよりも時間が掛かった…まあいい」
ユフィが足を見ると、赤い傷が出来ていた。雷系の魔法を受けた時に出来る傷だ。
ゼロが右手をユフィに向けた。あの黒い光がまたゼロの右手に集束していく。
ユフィは逃げる事も出来ない。「う…あ…」光の集束が止まった。「終わりだ」
その刹那、ユフィの目の前で大爆発が起きた。
472FINAL FANTASY Z ATONEMENT:04/01/07 12:22 ID:wOKxqmDp
「……?」ユフィは目を開けた。自分はまだ生きている。
目の前には、以前見た流れる様に美しい銀髪と、長刀を構えるその持ち主が…
「…セフィロス?」ユフィは呆気に取られていた。以前死んだはずの敵が生きている。しかも、自分を守っている―?
ゼロが顔をしかめた。「やはりな。オーラが消えていなかった。…私の邪魔をするか、セフィロス」
セフィロスは答えない。「お前も、私と似た目的を持つ者だった。どうだ、私に協力しないか?お前が望んだ『神』に
なれるのだぞ…」セフィロスは正宗を構え直した。
「ゼロ…と言ったか。私が何故ここにいるか知っているか?何があろうと絶対に、メテオが落ちてこようが
コロニーが落ちてこようが貴様に協力する気など無いが何か?」
ゼロが歪んだ笑みを浮かべる。「クックック…愚かな事だ、セフィロス…もう少し長生き出来たと言うのに」
セフィロスは左足を引き、下からゼロに斬り付けた。だがゼロは、右手の指2本で正宗を止めた。
「私は元々お前を倒す為に、お前から造られた。つまり、100%間違いなく、圧倒的に私が勝つ。…それくらい解っているだろう?」
ゼロは指で正宗を弾く。すぐにセフィロスは至近距離で右腕を突き出した。「解っていても…戦う理由がある」
「スティグマ」ゼロの胸に紅い光が炸裂する。だがゼロはそれでも笑っている。「ククク…効かんなぁ、セフィロス」
「何故勝てない戦いなどするのか?…腑抜けとなった今のお前だから解るのだろうなぁ?」
473ドリル装備の名無し ◆Lv.1/MrrYw :04/01/08 00:10 ID:0JgpSFVp
>>470-472
決して勝算のある戦いではないと知りながらも、何かのため・誰かのために
敢えて危険に身を投じるヤシってカコ(・∀・)イイ! 孤独と迷いの中に(不確実でも)
理由を見出し、戦いに臨むセフィロスの勇姿が、対照的に描かれるゼロの強さと
その裏にある憎悪。両者のぶつかり合いが緊迫感をもって描かれているので、
どんどん先を読みたいと思わせ、続き期待sageと書きたくなります。(w
ところで、読み手として一つ贅沢を言わせていただけるとしたら、もう少し行動
(行動っていうか動きと言えば良いのでしょうか?)描写があってくれると、
彼らの立ち位置が頭の中にイメージしやすくなるので個人的に嬉しいかな、と。

……って、実はこれは自分が書くときにも同じ事が言えるので、他人に言う前に
お前自身のを直せというツッコミもあるでしょうが……、弁明の余地なしです。(w


と、言うわけで個人的には描写練習も兼ねたモグ小ネタ完結編。
474おまもり5:04/01/08 00:22 ID:0JgpSFVp
(前話>>468-469。仲間を失う事の悲しさを知ったモグがその先に見出すものの話)
------------------------------------------------------------------
「ボクよりよっぽどモルルの方が心配だったクポ。あいつ体力もないし……」
 戦いには向いていない。そんなモルルにこそ持っていてもらいたかったのだ。
「すれ違い、か……」
「どこの世でも、相手に伝えたい思いほど、伝わらずに行き違うものでござるな」
 ロックとカイエンは心の底から頷いた。二人とも生きてきた歳月も、置かれた
環境も違ってはいたが――過去にそんなジレンマを抱えた経験があったから。
「相手のことを大切に想うから。……なのに、それを言葉で言うのはとても難し
いわ。言葉では言えない、でも確かにある物」
 ――それが、感情? 「愛」と呼ばれるもの?

『お前はまだ若い。……いずれ分かるようになる。きっと……』

 世界崩壊前。束の間の再会を果たした船上での言葉を思い出しながら――ティナ
の閉じられた瞼の奥に映る彼は、微笑んでいた。


 世界が崩壊して、ボクは必死でナルシェを目指した。
 仲間達が待ってるあの場所へ。
 でも、みんないなくなってしまった……。

475おまもり6:04/01/08 00:24 ID:0JgpSFVp
「……モルルに返したお守りだけが残ってたクポ……」
「みんな死……」
 ロックは言いかけてそこで止めた。この先を続けてしまったら、誰も何も言えないと気付いたから。
 『大丈夫、きっとどこかで生きてるよ』そんな言葉は、慰めにもならない。
「モグ殿……」
 カイエンは彼と同じ痛みを知っている。
 仲間を失う事の悲しさ、故郷を奪われた者の孤独。
 自分だけが残された事実は、言い尽くせぬ喪失感と、己への嫌悪という刃となって突き付けられる。
 それはやがて、一生癒えぬ傷となるのだ。
「…………」
 胸中に去来する様々な思いは、カイエンから言葉を奪った。
 モグの隣に屈み込んだティナの手が、そっとモグの頭に触れる。毛並みに沿っ
て優しく動く手の温もりは、とてもあたたかくて心地が良かった。
 自然と緩むモグの表情の変化を見ながら、ティナは動かす手を休めずに問いかけた。
「……私達じゃ、だめかしら?」
 その言葉に、一瞬驚いて彼女の顔を見上げる。
「寂しいときは、一緒に飲もうや」
「僅かながら、お力添えするでござるよ」
 そこには皆の、柔らかな笑顔があった。
「ありがとうクポ〜」
 共に戦う仲間の尊さ、彼らの気遣いが、とても嬉しかった。
 モグは身につけていたお守りを見つめる。



 だから。



 失ってはじめて、気付く事ができたんだ。
 ボクにとってモルルが大切な存在だったっていうことを。
                                        ――おまもり<終>――
476ドリル装備の名無し ◆Lv.1/MrrYw :04/01/08 00:49 ID:0JgpSFVp
ものを書いて、自分の意図することを表現して人に伝えるのってヤパーリ難しいでつ。

>>473に補足させて下さい。
行動というか動き言うか、流れ。そこに至る経緯の描写という事を言いたかったんです。
言葉足らずでスマソ。
緊迫感はもの凄いよく出てると思います。

そして
>>475の訂正
× モグは身につけていたお守りを見つめる。
○ モグは身につけていたお守りを見つめながら、ここには居ないその持ち主の事を思うのだった。
477FF7A書いてる物体 ◆ozOtJW9BFA :04/01/08 18:04 ID:eyxcTVUw
そこに至る経緯ってのは、つまり…セフィロスとゼロがダチャオ像のどこにどういう位置で
戦っているのか…とかですか?動きは苦手でつ(爆死
ところで、そろそろ次スレのことを考えては…500逝きそうでつ
478FINAL FANTASY Z ATONEMENT:04/01/08 18:34 ID:eyxcTVUw
「そんな弱さなど、解りたくも無いがな」ゼロが腰から剣を抜き放った。紅く輝く刀身。
「これも宝条が作った、お前を倒す為の剣…魔剣・レーヴァテインだ」剣が再び妖しく輝いた。セフィロスの背筋に
寒気が走る。「この剣は…まさか」いつの間にか、日が沈みかけている。ダチャオ像の上に、紅い夕日を背にして立つゼロの
その滲み出る様な殺気がセフィロスにもユフィにも感じられる。
「…自らの弱さを呪って死ぬがいい、セフィロス」ゼロが像の頭部から飛び降りた。紅い刀身が閃く。
剣がぶつかり合う高い金属音。目に見えるほどの衝撃波がダチャオ像の腕を削る。「これ程か…!!」
レーヴァテインは正宗ほどのリーチは無い。だがゼロのスピードによってセフィロスは最適の間合いを取る事が出来ない。
ユフィは祈る様な気持ちで空を見た。「何やってるんだよ、シド…早く何とかして!!」
剣が離れた一瞬の間に、ゼロの右手がセフィロスの目の前に突き出される。「!!」とっさにセフィロスはマバリアを張った。
次の瞬間、ダチャオ像の内一体の右肩が吹き飛んだ。遥か遠く飛んできたハイウインドからでも、その爆発が見えた。
「艦長、何処に降りますか!?」「ダチャオ像でユフィがドンパチやってるみてえだな!!あそこに降ろせぃ!!」
シドの後ろからクラウドとティファが進み出た。シドは2人を呼びに行っていたのだ。
「暗くて、望遠鏡でも良く見えないな…」そう言いながらクラウドは、何故か心臓の鼓動が早まるのを感じた。
セフィロスは崩れ落ちた部分を見下ろした。「マバリアを張っていなければ、今ので終わっていた…」
すぐに爆炎の中から、ゼロが飛び出してくる。「よそ見できるのか、セフィロス?」一瞬の隙。セフィロスは振り返ろうとした―
「翔炎斬!!」レーヴァテインが焔を放った。
>>477
>そろそろ次スレのことを考えては
ちゃんとレス読んでる?
>>457-459
>>466
で案は出ているYO
480位で立てるのではないか
480FINAL FANTASY Z ATONEMENT:04/01/08 19:15 ID:eyxcTVUw
「ぐっ…!!」「炎」マテリアと「属性」の組み合わせだろう。斬撃と炎が同時にセフィロスに叩き込まれた。
「どうだ?お前は自らの力を過信し、マテリアの本当の使い方を忘れていた」セフィロスは胸に酷い火傷を負っていた。
「そして、マテリアの力と自身の力を合わせる事でマテリアの真価が発揮されるのだ!!」ゼロが跳んだ。
「氷烈斬!!」ゼロが剣を振るった所で冷気が結晶を成し、セフィロスの頭上に降り注いだ。「冷気マテリアと属性だ!!」
何とか正宗で全て払い落とす。しかしゼロはもうマテリアを入れ替えている。「くッ…!!次は何だ!?」
ゼロが突きの体勢を取った。「雷神撃!!!」切先から雷が伸びて来る。セフィロスは避けた。いや、掠った。
電光が掠った脇腹に激痛を感じる。ゼロは着地してからは1歩も動いていない。「これが、力の差だ」
セフィロスはダメージが大きく、もうまともに動けない。後ろで見ていたユフィも、倒れたままでは手裏剣も投げられない。
ゼロがセフィロスに剣の切先を向けた。「これこそが、私が造られた本来の意味」剣が光り出す。
「だが、今の目的はその先にある」細く、速い風が刀身を包む。「かつての英雄も遂にお終いと言う訳だな、セフィロス?」
「疾空斬!!」レーヴァテインから憎悪をはらんだ風が、セフィロスに向かって飛んでくる。「ここまでか…?」
終わらなかった。上空から飛んできたミサイルが巻き起こした爆風でゼロの風は掻き消されたのだ。
ユフィが上を見る。「ハアハア…お、遅いよ…」ハイウインドがダチャオ像の上に止まっている。梯子が下りてくる。
「邪魔に入ってくるとは…探す手間が省ける」ゼロはまた笑った。ユフィの近くに降りたクラウドが目にした物は、
深紅の剣を持ってほくそえむゼロと、傷だらけでうずくまるセフィロスの姿だった。
481まあくん@どうやら管­理人:04/01/09 02:44 ID:QZP0Jo1J
ttp://jbbs.shitaraba.com/study/2270/
↑の掲示板から逮捕者が
482R@no-name ◆Vlst9Z/R.A :04/01/09 02:50 ID:uobtnIG4
↑ブラクラですよー( ´∀`)σ)´Д`)

そして遅ればせながら皆様あけおめでたう
483FF7A書いてる物体 ◆ozOtJW9BFA :04/01/09 16:33 ID:FfomCAAu
>>479 …スマソ、逝ってきまつ…
480取りましたが、スレ立てられなかったので…
みんなは重大な事を見落としている… モグが『狂戦士』という事を…
ではお次は480KB(約残り40レス)踏んだ方が立てればいいのかな?
486雫夜 ◆sizukTVGK. :04/01/11 01:29 ID:1eqR4Gnq
ツッコミのあった部分を訂正し、かつ>>466さんの現在ある関連スレを加えたテンプレで新スレ立てました。
>>466さん乙

FFの恋する小説スレPart3
http://game5.2ch.net/test/read.cgi/ff/1073751654/l50
“埋め立て地”……ある程度察してやって下さい。









これ以下そうとう“中途半端”なネタの為、色々覚悟して読むことをお薦めします。
カプネタではありません。
488罪業の名1:04/01/24 23:22 ID:kZCmASeK
FF6・崩壊前の飛空艇(ブラックジャック)入手イベントを掘り下げて妄想してみた話。

------------------------------------------------------------------

「お願いエドガー……」
 懇願するセリスを目の前にして、エドガーはその申し出を拒むことは出来なか
った。求めに応じてそれを手渡す。
「ありがとう」
 自分の手から離れるコインに、僅かだが一瞬ためらったように手が震えた。
 一礼して背を向け、セリスは受け取ったコインで世界一のギャンブラーに勝負
を挑む――四方を海に囲まれた帝国領へ乗り込む為には、彼と飛空艇の協力が不
可欠なのだ――これは、やむを得ず選ばれた最終手段。
 本当は、そんな姑息な真似をしたくはなかった。
 それ以上に、隣にいる弟に10年前の真相を知られたくはなかったのだ……。



『エドガー、どんな事情があっても嘘をつくのは良くないわ。そんな男、最低よ』
 ――初めて恋い焦がれた女性の言葉。
『嘘をついてしまったら、責任を持ってそれを貫け。相手を思うなら尚更だ』
 ――厳格だが、優しい父王。
 そして。

『ウソつきなんて大嫌いだ!』


489罪業の名2:04/01/24 23:28 ID:kZCmASeK
 心の奥にしまわれた大切な思い出と、小さな痛みを抱えながら。エドガーは
セリスの投じたコインの軌跡を目で追った。
 決してセリスが負ける事はないその賭の行方を、ただ黙って見守る。
「……私の勝ちね。約束通り手を貸してもらうわ」
 ――オペラ女優だろうがイカサマろうが、何だってやってやる――元帝国将軍
と言うには若すぎる少女の声に垣間見えたのは気丈さと、覚悟。
 それを目の当たりにして、エドガーは思う。
(私も、腹をくくらなければならないか……)
 それでもまだ、一部の望みを捨てきれずにいた。
 ――願わくば。
「貴重な品だな、これは」
 ――そのコインには触れないで欲しい、と。
 セッツァーはコインを拾い上げて苦笑する。
 ――何も言わず、見過ごしてくれないだろうか?
 声に出せぬ願いに反して、目の前の男は。

「両表のコインなんて初めて見たぜ」

 エドガーが最も恐れていた言葉を、会ったばかりのギャンブラーは
いとも簡単に吐き捨てた。
 それは10年もの間、明かされることのなかった嘘が露見した瞬間。

「そのコインは……!? 兄貴!」

 ウソつきが嫌いだと言われたあの日の出来事が、昨日のことのように甦る。
 内心を貫く痛いほどの罪悪感に、エドガーは顔を上げることができなかった。
490罪業の名3:04/01/24 23:40 ID:kZCmASeK
                    ***

 世界に唯一の飛空艇・ブラックジャック号は空飛ぶカジノである。所有者
セッツァー=ギャッビアーニという男は派手好きで、予告状まで出して舞台公演中に
主演女優を浚おうという破天荒な振る舞いがそれを物語っている。揚げ句に艇(ふね)
と引き替えに女を買おう、などと平然と言ってのける男だ。
 しかし。そんな数々の信じがたい悪行とは対照的に彼の顔立ちは秀麗で、黙って
さえいれば品性を備えた――それこそ美男と形容しても支障のない――容姿をしている。
「で?」
 あからさまに不機嫌を露わにした声でセッツァーは問い返す。
 睨み付ける様な鋭い視線の先には、つい先刻知り合ったばかりの『フィガロ国王』だと
いう青年の姿があった。彼は賭博場の隅の壁に背を預け――何事かを考えているの
だろうか――腕を組み、静かに佇んでいた。
「なんだ?」
 エドガーは何も口に出していない。それでも何故、問い返すような口調を向け
られているのか理解し難い。それに加えて不機嫌を隠さない相手の声には、こちらの
気分まで不愉快にさせられる気がした。
「お前さ、俺に対して敵意もってねーか?」
「べつに」
 エドガーはセッツァーの顔を見ずに答える。――敵意は持っていないが興味も
ない――できれば、あまり深く関わり合いにはなりたくない人物だ、とは思っていたが。
 もちろん、本音を口に出すような事はしなかった。
491罪業の名4:04/01/25 23:25 ID:/okAb/zU
 ここで無用な混乱を招いたとあっては元も子もない。
「ふーん。ま、どうでも良いけど」
 そんな事情を知っているとでも言いたいように、エドガーに向けられた視線と
声音には、どこか含みがあるものに思える。
「…………」
 それにしても、どうでも良いのなら話しかけないで欲しい物だ。と、内心でエドガーは
反論を呈す。
「言いたいことがあるなら口に出せば良いだろう?」
「…………」
 セッツァーの実に的を射た指摘にも、エドガーは一切の反応を示さない。
 これは面白いといった具合に、セッツァーはさらに続ける。
「なんだ? それが国王サマの性分ってか?」
「…………」
 煽るような口調にも反応する事なく、エドガーはただ沈黙を守り続けている。
「ま。アンタぐらいのポーカーフェイスじゃないと、イカサマ仕組むなんてマネ
は到底ムリだろうな。納得したぜ」
「…………」
 その言葉に、冷ややかな視線だけが向けられた。
「何だよ?」
「…………」
 自分に向けられる物言いたげな視線に問うてみるも、相変わらず返答は得られ
なかった。
492罪業の名5:04/01/25 23:29 ID:/okAb/zU

「……言っておくがイカサマとウソは見破られるもんだ。仕組む方はそれを覚悟
でやるモンんだぜ?」

 不敵に笑んでみせるセッツァーに、ようやくエドガーは重たい口を開いた。
「……『イカサマ』? それは心外だね」
 その口から紡がれる言葉はどこまでも冷たく、相手を突き放す。
「イカサマじゃないって言うんなら、何だってんだ? 一般庶民の俺にも分かる
ように説明してもらいたいモンだな、フィガロの国王さんよ」
 冷淡なエドガーの口調に負けず、セッツァーの言いぐさはやけに刺々しい。
「手段、だ」
「奇策ねぇ」
 物は言いようだな。と皮肉るセッツァーから、エドガーは視線を逸らした。
「まぁ良いじゃねぇか。俺はお前らに協力する。お前らは帝国領へ乗り込める。
その為に俺とこの艇(ふね)が必要だった、結果的に望みは叶ったわけだろ?」
「ああ、そうだ」
「じゃあ問題ない。なのにどうして……」
 そして最初の質問に戻る。
「お前は俺を咎めるような目で見る?」
「……そんなつもりはない。だが、仮に君がそう感じる様な挙動をとっていたの
なら謝ろう。すまなかった」
「……誰も謝れとは言ってない」
「じゃあ何だ?」
 静かな中にも、エドガーの声には僅かばかりの怒気が伺える。
「その理由を聞いている」
「…………」
 しばしの沈黙を経て。
「理由なんて何もないさ」
 言い残して、エドガーは賭博場を後にしようと出口へ向けて歩き出した。
 そんな彼の背中に向けて、セッツァーは言い放つ。
「忘れるな国王サマよ。……協力した礼とやらは必ず頂くからな!」
 返答の代わりに、賭博場の扉が閉じられる音が響いた。
493罪業の名6:04/01/28 01:18 ID:FiB399mL



 どうも気分が悪い。それは初めて乗る飛空艇にも原因があったのかも知れない
が――気を紛らわすため風にでも当たろうと、エドガーはその足で甲板へと赴いた。
 眼下に広がる大地と、手の届きそうな位置にある雲が流れていく様は、初めて
空を飛ぶエドガー達にとっては非日常の光景だった。
 顔にまとわりつく後れ毛を手で押さえながら、目の前の光景に暫し見入っていた。

 ――それはかつて、幼い頃に憧れた大空。
    俺はあの頃、大空を飛ぶことを夢見ていた――

 風に逆らい前進を続ける飛空艇。その身の横を通り過ぎる風と共に、エドガーの
記憶は過去へと遡る。
494罪業の名7:04/01/28 01:23 ID:FiB399mL

                    ***

 機械弄りは好きだが。
「……この城の基幹を成す仕組みが完成したのは……」
 こういう退屈な話はどうも好きになれない。目の前で懇々と語り続ける神官長
の姿を見ながら、そんな風に思った。
(まるで「寝てくれ」って言ってるみたいだな……ばあやの話はいつも……)
 話半分でエドガーは窓外に目を転じた。外には雲一つない青空が広がっている。
その中央では、己の存在を十分すぎるほどに主張している太陽が輝いていた。
(……外、行きたいな)
 半ば軟禁とも言える状況に置かれた少年の目には、窓の外に広がる青空は
いちだんと眩しく見えるものだ。
 はぁ。
 小さく漏れた溜息の音に、神官長は話を止めて視線をおろした。
「エドガー様。ちゃんと聞いておられますか?」
「はい」
 神官長の問いかけに、幼いエドガーは室内に視線を戻すとにっこりと微笑んで
みせる。愛くるしさと社交性をバランス良く兼ね備えたその笑顔に。
「では、続けますよ?」
 敵う者はいなかった。
495 ◆I.gzBQjvh2 :04/01/29 06:23 ID:K+6vZGMB
スラムダンク32巻発売決定キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!!!!
ttp://unyuu.yoll.net/dq.html
496 ◆x835gPWO5A :04/01/29 06:30 ID:XYRasS6i
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497鈴 ◆BELLSBdFOI :04/02/02 23:16 ID:oj1mfFph
埋めたて支援。
最初はネタだったはずが何時の間にか続きものになってますた。
リュックファンの方には正直おすすめできない。
498(題名未定):04/02/02 23:18 ID:oj1mfFph
助けなければ良かった。
そうすれば今あいつはここにいなかった。
優しくしなければ良かった。
そうすればあいつのことなんて何も知らなかった。
好きにならなければ良かった。
……今さらそんなこと言っても、遅すぎるけど。

最初は、なんだかワケの分かんない奴だった。
自分は千年前に滅びたはずの街からやって来たんだーって言って聞かなかったし、
寺院のこともスピラのことも、全然分かってなかった。
アルベドのことも、覚えてなかった。
だからかもしれない。あたしたちを「偏見」のこもった目で見なかったから。
好意はそこから始まって、だんだん恋に変わっていった。
傾きかけた寺院からあいつを助け出して、飛空挺の引き上げ作業を(なかば強制的に)手伝ってもらって、
そして、シンに襲われてあいつが消えたあの夜。
あの夜から、何かにつけてあいつの顔がちらちらと浮かんでくるようになった。
その時はまだ、好きとかそういう言葉で表せるような気持ちを抱いていたワケじゃない。
だけど、もう一度会いたい、とは思っていた。
シンに呑み込まれた人が無事に戻ってくる確率なんてほんのわずかだったし、
(一回あいつは呑み込まれて戻って来れたみたいだったけどラッキーなんてそうそう続かないものだよね)
いつか毒気が抜けたら、あいつはアルベドに助けられたことを最悪の体験だと思うかもしれない。
そういうことを考えると、あたしがあいつにもう一度会って楽しく話ができる可能性なんて、
寺院がアルベドと仲直りするぐらいあり得ないものだった。
だけど、あたしは頭のどこかで、もう一度会えることを予感していたのだと思う。
そしてあり得ないほどの偶然の連続を重ねてあいつが再びあたしの目の前に現れた時。
あたしは、運命から偶然から、とりあえずあたしとあいつを引き合わせた全てを恨んだ。
それと自分の「女のカン」を恨んだ。
499(題名未定):04/02/02 23:19 ID:oj1mfFph

そして分かった。
人生なんて、何が起こるか分かんないものだって。
それから、運命も偶然もロクでもないものだって。
けど一番ロクでもないのは、希望を捨てきれずに旅に同行した、あたしだったのかもしれない……
500(題名未定):04/02/02 23:24 ID:oj1mfFph
書き忘れました。
カプはティユウで、ティーダに片思いのリュック。

テーマは女の業やら嫉妬やら…(ゴニョ
501マリスゴールド 3:04/02/04 01:21 ID:Axpha1lj
前回は>>498-499

「あっ!?リュック、リュックだよな!?」

二度目に会ったあいつは、ユウナのガードをやっていた。
ユウナはあたしのイトコで召喚士。おとなしくて、清楚で、可愛い。およめさんにしたいタイプって感じのコ。
で、当時召喚士を助けるためにいろんな活動をしていたアルベドのあたしに課せられた任務は、
ユウナをホームまで連れて行くこと、だった。もちろん手段は問わず。
幻光河で待ち伏せしてユウナを連れて行こうとしたんだけど、そこにあいつが血相を変えて飛び込んできた。
あいつは瞬く間にあたしの乗ってる機械をコテンパンにして、ユウナを助け出しちゃった。
別に、あたしの操縦が悪かったワケじゃないからね。
でもその時のあいつの表情ったら!メチャクチャ真剣で、怖かった。
モンスター相手にへっぴり腰で戦ってた頃とは気迫が違うみたいだった。
ああ、記憶取り戻しちゃったんだね、やっぱりチイもアルベドギライなんだね、ってその時は切なくなったけど、
実はそうじゃなかったんだ。
河原で顔を合わせた時は全然普通だったし、むしろ「顔色悪いよ」なんて心配しちゃってくれたし。
「毒気」は相変わらずみたいだった。
あたしは文句の一つも言いたかったけど、いつもオヤジやアニキにぶつけてる量の十分の一くらいしか言えなかった。
やっぱり再会できて嬉しかったのと、ケガが痛かったのと、それから、ムカついたのと……ちょっぴり、切なかったのかな。
ユウナを取り戻そうと向かってきたあいつのまなざし。ガードが召喚士に向ける……以上のもの。
大事な召喚士を取り戻そうとして向かってきた奴らはいっぱいいたけど、あいつほど強いまなざしをぶつけてきた奴は初めてだった。
なんでかなぁ。ピンときたんだ。
こいつ、絶対ユウナのこと好きだな、って。
自慢じゃないけどあたし、推理力とカンには自信があるんだ。でも、それって必ずしもイイことじゃない。

ユウナのガードになろうと思ったのは、ちょうどその時だ。



502マリスゴールド 4:04/02/04 01:23 ID:Axpha1lj

もちろん、ユウナのことは純粋に守りたいと思ってた。
今まで一度も会ったことはなかったけど、あたしと同じ年頃のイトコだし、こう……なんて言うのかな、
守ってあげたくなるタイプ?だったんだ。
それに想像以上にイイ子だった。
っていうのは一緒に旅を初めてから段々分かったことなんだけどね。
あたしにとってたとえ会ったことのないイトコでも、ユウナの話はオヤジに耳からオクトパスが出てきそうなくらい聞かされてたから、
あたしの中でユウナは家族同然だった。
アルベドは家族を大事にしたいっていう気持ちをすんごく大事にする。
だからほとんど決めてたんだ。だけど決定打はあいつとの再会。
ユウナのことが好きだろうと何だろうと構わない。ただ、一緒にいたかった。一緒に肩を並べて戦いたかった。
っていうのはタテマエで、そこに……もしかしたら、もしこのまま偶然が続いて、
あいつがあたしを好きになってくれたらっていう、都合のイイ想像が存在していたのは確かだった。
そうだ、思い出した。あたしはあいつが好きなのかなって気付いたのも、その時だったんだ。
その時から、あたしは自分の気持ちを巧妙に隠し始めた。
いつも明るく、ニギヤカにしてれば気付かれないだろうって思って。いずれ熱も冷めるだろうって思って。
アーロンにじっーと見つめられた時にはもしかしてフジュンな動機を見抜かれた!?とか考えて一瞬冷や冷やしたけど全然違った。
アルベドのことだって分かってむしろ安心したくらいだ。頭の中がごっちゃになってる時には、ホントに変なことを思いついちゃうみたい。
頭の固そうなオッサンに、そんな芸当とてもできそうにないしね。
ともかく、ユウナも、ユウナのお姉さん役のルールーも、他のガードの仲間も、あたしのメンバー加入を拒まなかった。
むしろ歓迎してくれた。ユウナを守りたいという思いが、より強くなったんだから。
あたしの目的はみんなとはちょっと違って、ユウナを守って旅をやめさせること、だったけど。
そのころは……ユウナを守ることが、あたしにとっての何よりの優先事項だったんだ。
少しずつ燃え始めた火種を、確実に消し止められると思っていたころ。

>>497-502
なんて言うんだろう? ティーダと共に正面きって「ユウナを死なせない方法」を
考えていた……と、言うことはこの二人は“対究極召喚”という見方では共同戦線を
組んでいた訳で、物語はティーダ(あるいはユウナ)視点だったから描かれなかった
もう片方の面が描かれて(゚д゚)ウマー。
……埋め立て地なので、チョット変な事を口走りますが、皆さんなんで一人称が上手い
んですか!?





思っていたよりマトモな作品(“オチが正常”という意味)になりそうだけど、書く手が
止まった罠(w。
504罪業の名8:04/02/06 23:25 ID:+33H8YHY
(前話>>488-494
-------------------------
 フィガロ城の一室で、二人の王子は日々勉強に勤しんでいる。教育係として彼らに
ついていたのは、知識豊富な熟年の神官長だった。
 彼女は再び話を始めようとしたのだが、隣に座っていた今一人の様子に気付いて,
僅かに肩を落としながら声を発した。
「……。マッシュ様。マッシュ様」
 いくら人生経験を積んできた彼女とて、やんちゃ盛りの幼い男子二人には少々
手を焼いている、というのが本音だった。
 兄エドガーは一見まじめに聞いているかと思えば、いつも違う事を考えている
し。弟マッシュはすぐに寝てしまう。
「……? ……。あ!」
 ――大人でさえ退屈だと感じる物だから、仕方ない事かも知れない――とは思
いながらも、そう言うわけにはいかない。
 彼らはこの先、フィガロを背負う事を宿命づけられた子なのだから。
「お願いですから、私のお話をお聞き下さいますよう……」
「ご、ごめんなさい」
 眠い目を必死に瞬かせながら、マッシュは素直に詫びた。
「それではお二人とも、先を続けますがよろしいでしょうか?」
「はい」
「うん」
 こうして、今日もフィガロ城の一室では幼い双子の兄弟がそれぞれ睡魔と戦って
いるのであった。
505罪業の名9


「ねえ」
「なんだい?」
 あの長い話から解放され、二人は回廊を歩いていた。
 フィガロ城が砂中へ沈む時ここは姿を消すのだが、地上に滞在している間は外に
迫り出て、灼熱の太陽と紺色に近い青空と共に、まとわりつくような暑さを満喫できる
のだ。
 その回廊の中程まで来た所で弟は立ち止まり、頭上に広がる空を見上げて
こう言った。
「……おれ、空を飛びたい。『砂の中に潜るお城』より、『空を飛ぶお城』の方が
かっこいいよ絶対!」
「…………」
 真顔で訴える弟の姿には、さすがのエドガーも苦笑を禁じ得なかった。
 この城の潜航技術が完成したのは今からおよそ200年前――ついさっきの神官長
の話ではないが――以来、数えきれぬ技術者達が、熱意と使命感をもってフィガロ
城の改修と機能向上に力を注いだ。
 いわば、この城そのものがフィガロの歴史――過去を生きた者達――の結晶、
なのである。幼くもマシーナリーとしての才に目覚めつつあったエドガーには、
やや皮肉とも受け取れる言葉だった。
 けれど、エドガーが弟に向けて口に出したのは。

「どうして空を飛ぶ城の方がかっこ良いと思うんだ?」

 そんな疑問だった。