暁。
それは夜明けが近いことを告げる空の色。
闇に閉ざされた世界に夜明けをもたらす為に、
立ち上がる戦士達が現れる。
その者達4人の心はクリスタルの導きと加護により、
暗黒に立ち向かう力を与えられる。
我々は、汝らをこう呼ぶだろう。
――『暁の4戦士』と。
賢者ギードから聞かされた言葉が発端となって旅を始め、やがて出会った俺達は
暗黒魔導士エクスデスとの戦いへと身を投じた。自国を守るために、あるいは、大切な
者を守る為に。
そして、訪れた最後の決戦――我々の住まう世界とは別の地に、エクスデスを
封印するという苦渋の選択は、これまで共に戦ってきた4人の心を引き離すには
十分すぎる理由だった。
「ドルガン、ここに集まるクリスタルの力を使うには、4人の心を合わせなければ!」
「ドルガン!」
去ろうとする仲間の背中に浴びせられた声に応え、彼は戦線へと復帰する。
しかし、その表情はどこか晴れやかではない。倒すべき敵を目の前にしながらも、
何かを迷うような表情だった事に――たとえ気付いていたとしても、その場では
どうすることも出来なかった。
――4つの心を合わせなければ、クリスタルの力を発動させることは出来ない。
彼らは心を1つにした。
そしてエクスデスを封印することに辛うじて成功し、30年という束の間の平和を得るに至った。
――しかし、彼ら4人の心はわずかに解れていたのである。
30年の後に訪れる、クリスタル崩壊とエクスデス復活の原因は、なにも封印世界の
人々のせいだけではない。
元より封印が不完全だった、というだけなのだ。
これが、ゼザの考えたエクスデス復活のシナリオだった。
ガラフとはここしばらく顔を合わせていなかったが――ヤツの事だ必ずエクス
デス打倒のために動いているはず――ゼザの決心は固まった。
私室から望む空と大地を眺めてから、ゼザは側近を呼んで静かに告げた。
「各部隊長をここへ召集。我々はこれより、エクスデス城への侵攻を開始する」
事も無げに語るゼザの姿に、側近は一瞬状況が飲み込めないという表情をした
が、すぐさま姿勢を正し恭しく一礼すると部屋を辞した。彼が去った後、扉の後ろは
俄に慌ただしさを増した。
(これでいい)
再び視線を窓外へと転じる。空と大地の先は大海原へと続いている。その遙か
彼方に、30年の時を経て復活した暗黒魔導士エクスデスの居城がある。
(……今度こそ、必ず)
己の決意を確かめるように頷いてから、瞼を閉じた。
暁の戦士と呼ばれた男の、最後の戦いはこうして始まったのである。
すんません。バリアの塔とムーアの大森林を終えたばかりで発作的に書いた物を
性懲りもなく投下しますた。考察のなさ&推敲の甘さetcな批判はしてやって頂けると
泣いて喜びます。
ちなみにこの話が続くかどうかは、ひとえにFF5の進行状況と漏れの腕(?)次第。
投下分は一応キリの良いところになってます。
でも、でもこの気持ちを汲んでやってくれ、ムダに熱い展開のFF5に感化されてもうた
ワシの気持ちじゃ…。
>>376-378 ありがd
FF5
∧∧
┃ ┏━┃ (,,゚∀゚) ┃┃
━┏┛ ┏━┃ ━━/ つ━━┛ .┃┃
━┏┛ ┛ ┃ 〜( ,ノつ ┛┛
┛ ┛ (/ .┛┛
OK、ブラックジャックゲット
__ ヾ|‖|||lliiヽ
/ヾ丿ノヽ .リ゛W""< .ゝ 流石だよな俺ら。
( ゞ゛ノハヾ (´<_` ヾノ これで帝国領へ乗り込めるぜ
wヾ ´_ゝ`) / ⌒i 〜
リ / \ | |
w/ / ̄ ̄ ̄ ̄/ | .。oO(イカサマだけど。)
ル_(__ニつ/ フィガロ / | .|____
\/____/ (u ⊃
……。
聞いてくれ弟者よ。
あの場ではあの方法が最善だったのだ。
__ ヾ|‖|||lliiヽ
/ヾ丿ノヽ .リ゛W""< .ゝ ……。
( ゞ゛ノハヾ (´<_` ヾノ 10年前の、王位継承者を決めた夜の出来事もそうだと?
wヾ ´_ゝ) / ⌒i 〜
リ / \ | |
w/ / ̄ ̄ ̄ ̄/ |
ル_(__ニつ/ フィガロ / | .|____
\/____/ (u ⊃
……。
__ ヾ|‖|||lliiヽ
/ヾ丿ノヽ .リ゛W""< .ゝ まぁ、俺、病弱だったし。
( ゞ゛ノハヾ (´<_` ヾノ (その後は山に引きこもってたし)
wヾ ;´_ゝ`) / ⌒i 〜
リ / \ | |
w/ / ̄ ̄ ̄ ̄/ | 国王って器じゃなかったよな。
ル_(__ニつ/ フィガロ / | .|____
\/____/ (u ⊃
違う。
弟者よ。
そう卑屈になるな。
俺は、お前のような弟を持って幸せだと思っているぞ。
__ ヾ|‖|||lliiヽ
/ヾ丿ノヽ .リ゛W""< .ゝ
( ゞ゛ノハヾ (´<_` ヾノ
wヾ ´_ゝ`) / ⌒i 〜 ……兄者?
リ / \ | |
w/ / ̄ ̄ ̄ ̄/ |
ル_(__ニつ/ フィガロ / | .|____
\/____/ (u ⊃
その身一つで列車を持ち上げるなり、叩きつけてみたり。
(だけどフェニックスの尾で簡単に倒せるんだがな)
倒壊寸前の家屋の柱となって、人命を救ったり。
(ツェンで販売しているスーパーボールは頼もしいアイテムだったしな)
頭上から落ちてくる鉄骨を軽々と投げ飛ばし、退路を確保してくれたり。
(なにせ、お前がいないと俺が鉄骨を支えなければならないからな)
…… こんなに力強い弟は、崩壊した世界広しと言えど、お前しかいない。
__ ヾ|‖|||lliiヽ
/ヾ丿ノヽ .リ゛W""< .ゝ
( ゞ゛ノハヾ (´<_` ヾノ
wヾ ´_ゝ`) / ⌒i 〜 ……兄者。
リ / \ | |
w/ / ̄ ̄ ̄ ̄/ |
ル_(__ニつ/ フィガロ / | .|____
\/____/ (u ⊃
聞いていて、ものすごく微妙な感じがするんだが。
気のせいだ。
=====================================
【崔嵬】(形動ナリ)
(1)山の、ごつごつして険しいさま。
(2)殿舎・楼閣の高く、立派なさま。
=====================================
「この10年間、家族のようで楽しかった……お世話になりました……!」
義母――いや、マッシュにとっては実母以上の存在だったのかも知れない――
に向けた精一杯の礼。
彼にとって、拳の師ダンカンと兄弟子バルガスを失った今、この家を再び訪れる
事がどれだけ辛かっただろう?
それでも敢えて、すぐにコルツを越えサーベル山脈へ向かわず、険しい道のり
をサウスフィガロまで引き返そうと申し出たのは、他でもないマッシュだった。
兄である俺に、頭を下げてまで望んだ道。
――マッシュよ。頭を下げるのはお前ではなく……。
俺の方だ。
不甲斐ない兄が、フィガロの王位を継ぐという選択をしてしまった事を。
お前に何もしてやれず、辛い思いをさせてしまったことを。
すまなく思っている。
――「家族のようで楽しかった」
心の優しいお前のことだ。
今まではもちろん、この先も俺には何も言わないだろう。
だがお前の口にしたその言葉が、俺の罪業そのものだ。
どうしたって償えない、謝罪の言葉は何の意味もなさない。
それは分かっている。
だからこそ、俺は……。
――FINAL FANTASY VI 発売10周年を祝ってみるSS――
3.10年目の崔嵬〜罪業の名
AAハゲワラタ。しみじみ深いSSと併せていいですねー。
おFF5があるーなんかウレスィー
ギルファリなんか出てきたらいいなー…なんて
ひとまず保守
FF5面白そうで(*´Д`)ハァハァ FF6もPS2リメイクキボンです
実は
最近投稿少ないが、FF7Aが凄く楽しみな俺が居る
実は
FFCCとか10-2とか10とか8とか7とか、ここへ投下されてまだ完結していない話の
続きが投下されるのを楽しみに待っている漏れもいる
作者さん達がまだここを見てられるかは分かりませんが
気が向いたら続きよろしくお願いします‥
実は
エアリスとヴィンセントの話の続きが楽しみな俺が居る
作者さんカムバーックщ(゚Д゚щ)
>>393 タイトルで検索かけると読めるやつあるよ。
実は
聖剣SSを楽しみにしている自分がいる。ノベライズ物って未プレイでも楽しい。
実は
>>389そう言って貰えるとカナーリ救われます。(w
>>390バリアの塔直前の船団との合流イベントで間違いなくゼザファリ物を書こうと血迷ってました。ゴメソ
血塗られた盾@ティナ編。言いたいことは全て国王に代弁させてる様な話。
前話は
>>371-375 ----------------------------------------------------------------------
***
飛空艇から逃げ出すようにしてティナは宛てもなく草原を走り続けた。
これから自分はどこへ向かおうとしているのか? 何をする為に?――そんな
疑問が浮かんでは消えていく。枯れかけた大地を踏みしめる自分の足音と、規則
的に吐き出される息の音が聞こえてくるだけで、その他には一切の音が無い世界。
静まり返る世界の中を、ティナは一人で走り続けた。
『今さら母上の事を知ったところで……』
まるで背後から迫る追っ手のように、脳裏に過ぎったのはエドガーの声。
『悪い事は言わねぇ。興味本位であの盾に近づくのはやめておけ』
さらに警告のようなセッツァーの声が甦る。盾を持つ手が僅かに震えてたのは
躊躇いか、あるいは迷いだったのかも知れない――このまま走り続けるべきか、
戻るべきか。
荒涼とした草原の先に、鬱蒼とした森が見えてきた。緑が失われ旱天の続く世
界にあっても、この一角だけはまるで何かに守られているのかと思うほど濃い緑
に包まれていた。
その深く濃い緑は何かに守られているのではなく、何かを守っていたのかも知れない。
『どんな理由があろうと戦いは決してきれい事ではない。それを忘れるな』
森に足を踏み入れる直前、シャドウの声が思い起こされた。
彼の声に重なるもう一つの声の存在に気付いた瞬間、彼女の正気が失われたのである。
***
良く聞いてくれセッツァー。
……正直、これから話すことにはあまり自信を持って人に言える予測ではないんだ。
だから自分でも整理しながら話を進めていきたい。すまないが全ての話を聞いてから、
口を挟んでくれないかな?
……らしくないって? 悪いな。しかしこの旅を続けていて、これまで培ってきた経験や
常識という概念を軽く超える現実が存在すると言うことを目の当たりにしてしまった以上、
どうもこういった話では確信を持って行動するなんて事ができなくてね。臆病だと笑って
やってくれ。
なんだって? それでも俺の振る舞いはそんな風に見えないって? 当たり前だよ。
仮にも一国の王を務める身だからね。周囲を不安にさせるような真似はできないさ。
ありがとう。
それじゃあ、話をはじめようか。
結論から先に言ってしまえば、『血塗られた盾』が引き起こす数々の現象は、この盾の
持ち主の残留思念の仕業だと考えたんだ。
それも、この盾の持ち主は――1人じゃない。複数の人間によって扱われた物なんだ
ろうと思う。ちょうど、今の俺達のように。
ロックの混乱、俺の見た悪夢、そしてセッツァーの夢に出てきたダリルさん。予測を立て
るには、まだ判断材料が少ないかも知れないが、今のところ共通して言えるのは、盾を
装備している間、俺達は自分の記憶の断片が混ざった夢を見ていたという事だ。そして、
外から見れば盾を装備した人間は夢を見ている間、完全に正気を失っている。治癒不能
の状態異常は、盾を身につけた者の戦線離脱と言う形で決着するまで続く。
地下に沈んだ古代城、空に君臨する魔物とそこに散った者達の記憶。これらは史実と
して残されてはいない。しかし俺達は現実にその痕跡を目の当たりにしている。そして
その痕跡が残るに至った経緯を夢の中で見ていたんじゃないか?
つまり、盾の持ち主からのメッセージ――という風に解釈できるんじゃないだろうか。
ああ。確かに言うとおり、ロックの混乱の内容については彼自身の記憶にないから
はっきりとは断言できないが。
「敵を斬るのは刃ではなく、己の念」
――カイエンが言っていた言葉の意味、携える武器に宿る思い、というのは確かに
存在する――持ち主が死して尚、武器はこの世界に留まり続け、また新たな主の元で
戦いを共にする。この盾は相当に古い物だとは見れば分かるし、『血塗られた盾』なんて
渾名され長年にわたって保管されていたのだから、それなりに曰くのある品なのだと思う。
この盾は、まるで俺達の戦いを阻むような現象を引き起こしているが、それは戦いを
阻むと言う意味ではなくて。
戦いを通して、魔導の力を借りて敵に向かおうとする俺達の意志を確かめている、
そんな気がするんだ。
400 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:04/08/30 19:54 ID:xdYCsWhI
400ゲッツ
>>394 今更そんな事言ってもらえると嬉しい…。ポ(照れた効果音)
あの時と変わらずパソコンdj状態のまま放置プレイ、中のデータも取り出せず…です。
今はただひたすら携帯で見てます。
小説投下したまま放置も無責任なので、何とか漫画喫茶とかで完成させようかな。過去スレでデータ追って…。
血塗られた盾@ティナ編の続きキタ━━━━(゚∀゚)━━━━ !!!!!
そして作者さんきたぁああああああ!!!
(*´д`*)ハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァ…ウッ
こちらはただの…不調?です。
終わり方は数通り考えていましたが、いざ来てみるとどれがいいのやら。
長らくお待たせしてすみませんが、終わりまでもう少しです。
最後に、>ドリル氏
戦闘が長く書けないのは最大の悩みでしたが、既に終わってしまいましたので…
お世辞で無く本当に、小説書きとしてあなたに及ばない自分に気付いた最近orz
>>401 作者さんの描かれる二人の雰囲気というか情景というか、その辺が大好きな作品でしたよ
楽しみに期待sage。気長に待たせて頂く所存であります、はい。(正直、作者さんが放棄して
いないと分かったのは嬉しかったですw)
>>402 ありがd!
>>403 「終わりよければ〜」の言葉通り、結末・締め方は悩みますよね。こちらも楽しみにお待ち
しております。気負いせずがんがって下さい。
> 既に終わってしまいましたので…
そう言われると少し寂しい気はしますが、また次(他板も含めて)の作品で活かせれば(・∀・)イイ!
んでないかと。
自分は逆に、FF7A書いてる物体さんの様な勢いと、文章上で戦闘をリアルに描き出す事が
出来ないのが悩みですね。どうも作り物というか、「きれい事」になってしまいがちと言うか。
戦闘と、その中に繰り広げられる人間臭さ……が書けないから話に重みがないっていうか
説得力がないっていうか。その辺が「FF7A」から吸収したい部分です。
と、いうことで最後の1行は身に余るお言葉です。
長々とすみません。
(そんなわけで前話
>>397-399。血塗られた盾@ティナ編です。……)
------------------------------------------------------
***
普段なら自分の意見を述べる時も、常に相手の様子や反応を見ながら話をする
男だった。そんなエドガーがここまで一方的に弁舌を振るうのも珍しいなと思いながら、
セッツァーは言われるとおりに黙って彼の話に耳を傾けていた。
そして、大きく溜息をついて話を終えたエドガーが呟く。
「ご静聴いただいて感謝するよ」
「口を挟む隙もなかったからな」
セッツァーの指摘に、ただ苦笑する。
「……でもま、俺も大体そんなモンだろうと思うぜ? 盾を装備したヤツじゃなけりゃ、
こうは思わねぇ」
「逆に言うと、盾を装備すれば自ずと分かる事なのかも知れない――そうさせることが、
この盾の意味なんだろうと思う。だから」
「『この盾を捨てる訳にはいかない』、か?」
その言葉にエドガーはただ頷いた。その様子を見たセッツァーがすぐさま反論を呈す。
「それにしちゃあ、リスクが大きすぎる」
「ああ。それは俺も考えていた。そして考えていた矢先にこの事態だ」
「ティナか」
その名前に、エドガーは表情を僅かに曇らせながら答えた。
「……彼女は、母親の事を知りたがっていた。彼女の母親がなぜこの世界を捨てたのか、
その理由を」
「母親?」
マドリーヌ――ティナの母親はごく普通の人間だった。そんな彼女が幻獣界で
幻獣マディンと知り合い、その愛の結晶として二人の間に生まれたのがティナである。
そういえば、とセッツァーが口を開く。
「たしかベクタの魔導研究所から持ち帰った魔石の中に、アイツの親父のそれがあったはずだが?」
「幻獣マディン」
「ああ、それだ」
あの時――ゾゾの一室でティナが目覚めたあと――の事を思い出していた。
魔石となった父親・幻獣マディンの記憶を引き継いだティナの口から語られた
真相。帝国が魔導国家としての軍拡路線を歩み始めるきっかけとなった、18年前
の出来事。
そして、自らの存在理由を知ったあの日に、ティナはもう一つの苦悩を抱える
事となった。
母はなぜ、人間界を捨てて幻獣界へ赴こうとしたのか?
それは幻獣マディンの記憶にはない、マドリーヌだけの持つ記憶。
『人間の世界がいやになってしまったの。憎しみや欲望が渦まくあの世界に嫌気がさして』
ティナがマディンの記憶を通して聞いた、母親の声だった。
母が捨てた世界を、自分は守ろうとしている――強行とも思える手段を執ってまで、
盾を手にしようとしたティナの気持ちは、理解出来ないものではなかった。
保
ぼ
ま
り
も
ん
「…終わったのか」
「ああ、これで全て…終わった」
青く明滅する原子のマテリアが、その光を失っていく。
ゼロは最後まで、気付く事が無かった。人が破壊以外の何かを生み出せる事を。
「かつての私も…奴と同じだったな…」
セフィロスはふと苦笑した。一時でも「神」を目指し、星を滅ぼそうとした彼だからこそ解る。
自分の価値、生きる意味、それらを見失った時人は壊れ始める。肝心なのは、それを正してくれる者が居るかと言う事だ。
バレットやティファ、共に戦った仲間達が駆け寄ってくる。揉みくちゃにされて笑うクラウドを見る自分の中に、
微かな羨望が生まれるのを感じて彼はまた苦笑した。
――自分は、あの中に入っていく事はできない。それは許されない事だ。
「なーに沈んでんのさ、アタシ達勝ったんだよ?」
いつの間にか傍らに居たユフィの声でセフィロスは我に返った。仲間達の輪にも入らず、何故彼女は自分の所へ来たのだろう…?
ユフィは彼の表情から疑問を読み取り、少しだけ哀しそうに笑った。
「あんまり仲良くし過ぎるとさ、いざって時にマテリア盗めなくなっちゃいそうだな…って思ってね」
それを聞いたセフィロスの顔に、一瞬驚いたような表情が浮かんだ。が、すぐに笑い始めた。
自身を嘲笑う苦笑いではなく、心からの笑いだ。
当のユフィはと言うと、何を笑われているのかも解らず一人で怒り出した。
「何笑ってんだ〜このイカ野郎がッ!」
が、次第にユフィもつられて笑い出した。何が可笑しかったのかは解らない。だが、理解の範疇を超えて
歳の離れた二人が笑い合うことができた。
「それで…」
笑いの波が去ると、ユフィは訊こうと思っていた本題を切り出した。
「この後、何処へ行って…どうするつもりだ?」
セフィロスがこの世界で生きていくのは簡単な事ではない。既に彼は「星を滅ぼそうとした極悪人」であり、
それ以前に死んでいる筈の存在なのだから。
彼は暗い天井――ミッドガルの底を見上げ、答えた。
「解らないな…でも、この世界にはその…『悪人が生きていける場所』と言うものがあるのでな」
セフィロスはきっとユフィが笑うだろうと思った。しかし、彼女は下を向いて言った。
「アンタは…今しがたこんなに立派な事をやってのけたじゃないか? それが何で悪人なんだよ…?」
その問いは彼にとって酷だった。どう説明すれば良いのか、解らない。
「…この世にはな、どんな償いを以ってしても許されない罪があるのだ。私は6年前から…その罪を負った」
「あのな、世界中の人々全てに許されようなんて無理に決まってんだろ?」
およそ少女のものとは思えぬ口調だったが、その言葉は塞がれた彼の心に穴を空けた。
「肝心なのは!罵られてもポジティブに生きる事だろ? アタシだってね…去年は神羅兵とか何人も殺ったさ。
たまには人殺しなんて呼ばれる事もあるよ、そりゃ? でも、そんな事は忘れなければ良いんだ」
そうだ――と、セフィロスは思い出す。彼女達も、何らかの形で誰かの命を奪っている。
「人前でまでうじうじしてっとねぇ、ヴィ…誰かさんみたいになっちゃうよ?
自分への戒めを決して忘れず! でもあからさまに落ち込んだり自己憐憫に陥らず! 少なくともアタシなら
そうできるけどね〜…ちょっと、アタシの生き様が羨ましくなってきただろ?」
セフィロスは「誰かさん」を見やった。彼をあんな風にしたのは自分でもあるが、確かに悪い見本だ。
そして同時に、目の前の少女ははっきり言って――特殊だと、そう思った。
「…ああ。カッコイイ生き方だ」
不思議と、暗く塞ぎ込んでいた気持が暖かいもので満たされていく様な気がした。
「…7番街で、またこんなに多くの人が死ぬなんて…思ってもみなかった」
クラウドの見つめる先には、かつて7番街スラムだった場所に広がる破壊の爪痕と、累々たる住人の死体。
そして、ゼロの死によって機能を停止した機動兵器が山となっていた。
「ねえ…クラウド。私、一年前に…もう泣かないって決めたの。でも…」
ティファが息を詰まらせ、その目から大粒の涙が零れ落ちた。
「――もう一度だけ、泣いても良い? これで…最後にするから…」
クラウドはティファの隣に肩を寄せたが、何も言わなかった。口を開くと、自分も泣き出してしまう気がしたからだ。
殆ど50レス開いちゃってる…前話
>>351−352です
>>ドリル氏
勢いと人間臭さ、ですか…それが長所であるのなら、伸ばしていきたいです。
前々から言いたかったのですが、あなたの文章は空白の入れ方が(゚Д゚)ウママーで
非常に読みやすい構成となっています。この辺も見習いたい所で。
>>415 かなり乙
セフィロスのその後が気になる‥
もう終わりなんですか?
>>413-414 力を持った人間は自らが神にもなり得ると確信し、理想郷実現のために破壊を繰り返す。
しかしそれ自体が幻想であり、人として末期の姿なのかなと。自分的にはFF6のケフカや7の
セフィロスに共通して抱いた感想で、この話の結びとなる部分でそれを語っていてくれるのが
(直前までの激しい戦闘シーンとはうってかわり、穏やかで)読み心地が良かったです。
この辺では彼らの人間味というか、温かみが良く出てます。(・∀・)イイ!
(ファイナルファンタジーというタイトルはラスボス視点からも解釈できて良いタイトルだと思ったり)
ちなみに空白は、この板に投稿し始めて自然にこうなってますた。
…っていうか、こんな事長々とかくあたり、そろそろ狂信者の塔行った方が良いかも知れない。とふつうに思う(w
(前話は
>>405-406で、血塗られた盾@ティナ編)
------------------------------------------
***
窓の外の景色をぼんやりと眺めていた彼女の視界の端に、白くふわふわとした
物が映った。何だろうとその物体に視線を落とすと、正体はすぐに分かった。
「……モグ?」
一体何をしているのだろう? 彼女は部屋を出て飛空艇の外へと向かった。
「どうしたの?」
「リルム!」
忙しなく動き回るモグに声をかけたのはリルムだった。いきなり背後から声を
かけられて、文字通りに飛び上がったモグの姿を見て、リルムは思わず吹き出した。
その様子を見て、モグが抗議の声をあげる。
「び、びっくりしたクポ〜……」
「ごめんごめん。で、どうしたの?」
笑いの波が収まってから、リルムが問う。
「ティナがいないクポ」
「ティナ?」
他の皆と一緒に、近くの街へ出かけたんじゃないの? というリルムにモグは
短い首を振ってこれを否定した。
「ちょっと前まで一緒にいたクポ」
「…………」
――なんだろう? 胸騒ぎがする。
先刻のデスゲイズ襲来時のような――魔導を身に感じているとはまた別の――
不安がリルムの心を揺さぶった。
その不安の存在を否定したくて、あるいは振り切りたくて。リルムは明るい表情と声を向けた。
「リルムも手伝ってあげる」
「ありがとうクポ!」
そう言って、二人が歩き出した時だった。
「あっ!」
唐突にリルムが大声を上げたものだから、またしてもモグは慌ててリルムを見
上げたのだった。
「インターセプターっ!」
リルムは草原の先に見える小さな影を指しながら叫んだ。モグはそれに従って
視線を向けると、確かに草原の先に小さな影が見える。
「……どうしたの?」
さり気なくモグが自分の後ろに隠れるように移動した事に気が付いて、リルム
が声をかける。
「ボク、どうも苦手クポ……」
身を竦ませながら呟くモグを、リルムは心配そうに見つめながら。
「なにが?」
と、尋ねた。
「…………」
彼女の問いに、モグは無言で視線を草原の先に見える小さな影に向けた。リル
ムも同じ場所へ視線を向けると、そこに見出した影の名を口にした。
「インターセプター?」
モグは黙ったまま頷く。
「いじわるされたの?」
今度は首を横に振った。
「じゃあ、どうして?」
「だってアイツ……無口だクポ」
――むくち?
果たしてインターセプターは無口なのだろうか? その前に、そもそも無口と
いう概念が通用するのかどうか。いろいろ思うところはあったのだが、モグには
きっと固有の能力(アビリティ)があったのだろう。いや、無かったとしてもあ
るのだと無理やり言い聞かせる事にした。
キタ━━━━(゚∀゚)━━━━ !!!!!モグかわええです。
がんがってください。
421 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:04/09/25 00:42:17 ID:5T87smR9
保守!
今日もまったりほっしゅほっしゅ
SSクレクレしつつ、のんびりほっしゅ。
自分もまったり保守の方向で。
>>418-419より、なんだか父娘ネタになって来ました血塗られた盾話。
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しかし、恐らく「無口」という形容はあながち的外れではない――それを示す
“証人”は、リルムのすぐ後ろを通り過ぎた。彼女が振り向くのがあと僅かでも
遅ければ、恐らくリルム達の事など気にも留めずに歩き去ってしまっただろう。
「シャドウ!」
ペットは飼い主に似るとはいうが、彼と長年を過ごしてきたインターセプター
が饒舌――とはいえ実際に喋る訳ではないが――だとは思えない。それに、
インターセプターの事を「ペット」などと言ったら、いくら寡黙なシャドウと言えど
黙ってはいないだろう。彼にとってインターセプターは、もはや相棒なのだ。
とはいえ、実際に彼自身が必死に反論するとも思えなかったが。
「…………」
自分の名を呼ばれシャドウは一瞬足を止めたものの、特に反応を示さないまま
何事もなかったように再び歩き出そうとした。そんなシャドウに対してリルムは
再び声をかける。
「リルム様を無視してどこ行くんだよ?」
足を止めることなくシャドウが短く応える。
「どこだっていいだろう」
「よくないね」
「……散歩だ」
いつものように冷たく突き放したような態度をとるシャドウに、リルムは早足
になって彼の後を追うと、その背中をじっと見つめながらピクトマンサーらしく
鋭い観察眼で対抗した。
「さんぽ?」
口調にも視線にも、シャドウに対する懐疑の念が伺える。それを隠そうとはせ
ずに、まるでどこかの衛兵のように彼の進路を阻むと、その出で立ちに目を向けた。
ハイポーション、エーテル、フェニックスの尾、一撃の刃に……風車。余談では
あるが、風車は店で買った風魔手裏剣をコロシアムで賭けて得られる貴重品だ。
確かに世界が崩壊してから、各地でモンスターが増え物騒になったとはいえ、
これではこの先やっかいな戦闘が起きることを事前に予測している様な装備だった。
「さんぽ、にしてはずいぶん準備がいいんだね」
疑いは確信に変わっている。完全に進路を塞ぐようにしてシャドウの前に立ち
はだかる。
「備えを怠れば命取りになる、それが戦場というものだ」
「そーお?」
確かに世界は崩壊したけど、ここは戦場なんかじゃないわ――そう言おうと
したが、口には出さなかった。
「…………」
シャドウとしては別にやましいことがあるわけではないのだが、自分がこれから
向かう先を知らせたくはないと思った。特にリルムには。
勘――よりももっと強いなにか――が、そうしろと告げている。それはシャドウの
中に流れる血だったのかも知れい。暗殺者として生きてきたその身が、この先に
待つ危険を察知しているのだろう。
「こーっそり一人で、かってな行動は困るんだからね!」
「すぐ戻る」
「アテにならないね。魔大陸でどっかの誰かさんがもたもたしてるから、危なく
みんなでお星様になっちゃうところだったじゃない」
それを言われると反論できなかった。シャドウ自身、まさかあんな場所で彼らが
自分を待っているなどとは思わなかったから。
――仲間と共に艇に乗り込み地上へ戻れると知った時……。いや、これ以上は
考えたくないなとシャドウは目を閉じた。
読まれるはずはない己の内を隠そうとするためか、何かを口に出したかった。
そのせいか、ほとんど苦し紛れに言葉を吐いた。
「安心しろ、今度はエドガーにもそう告げて……」
言い終えてから、迂闊にリルムの挑発に乗ってしまったと後悔した。シャドウ
自身ですら、らしくないと思うほど見事なまでの敗北だった。
「……なにしに行くんだよ?」
「お前には関係ない。飛空艇に戻ってろ」
こうなったら突き放してでもここへ置いていかねばならない。半ば強い義務感
に駆られたシャドウは、冷然と言い放った。
しかし、それは却って少女の対抗心に火をつける結果となってしまった。
「頭ごなしにそんなこと言われて、このリルム様が納得するとでも思う?」
「お前が納得するしないは関係ない」
「ふーん」
リルムは一歩も退こうとしなかった。
見かねたようにインターセプターが睨み合う両者の間に走り寄って来た。
夫婦喧嘩、あるいは親子喧嘩は犬も食わない。たとえこの時、耐え難い
空腹にあったとしても、インターセプターに言わせれば食いたくもなかった
だろう。それでも両者の間に入って宥めるように視線を向ける。
それからシャドウの足元に身を寄せると、促すように首を草原の方へ向ける
仕草をしてみせた。それに応えてシャドウは視線を降ろすと、小さく呟いた。
「……。待たせてすまないな、行くぞ」
「ちょっと待てよ!」
今度こそリルムの声を振り切って、シャドウは早足にその場を去った。
>>426最後の行が逆でした。
×早足に
○足早に
シャドウ渋いです。強気なリルムもイイ!がんがってください。