【LAS】アスカの日記 7冊目【LAS】

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1名無しが氏んでも代わりはいるもの
前スレ
【LAS】アスカの日記 6冊目【LAS】
http://anime.2ch.net/test/read.cgi/eva/1135476374/

過去スレ
【LAS】アスカの日記【LAS】
http://comic5.2ch.net/test/read.cgi/eva/1099731728/
【LAS】アスカの日記 2冊目【LAS】
http://anime.2ch.net/test/read.cgi/eva/1114245799/
【LAS】アスカの日記 3冊目【LAS】
http://anime.2ch.net/test/read.cgi/eva/1119106493/
【LAS】アスカの日記 4冊目【LAS】
http://anime.2ch.net/test/read.cgi/eva/1127140426/
【LAS】アスカの日記 5冊目【LAS】
http://anime.2ch.net/test/read.cgi/eva/1130462494/

ダミーアスカ氏の保管庫
http://mitada3.hp.infoseek.co.jp/asukaindex.htm
初代1氏の保管庫
http://f18.aaacafe.ne.jp/%7Eshadow/ffss/ffss.html
2名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/02/20(月) 00:21:21 ID:7CX2pk5z
2?
3名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/02/20(月) 00:21:36 ID:???
412:2006/02/20(月) 00:24:42 ID:???
記念マスカキコ
5名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/02/20(月) 00:26:59 ID:???
職人さんまち
6名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/02/20(月) 01:15:47 ID:???
>>1
スレ立乙
7名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/02/20(月) 07:10:12 ID:???
>>1俺乙
職人様よろしくお願いします。
8名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/02/20(月) 17:08:37 ID:???
8ゲト
9名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/02/20(月) 18:28:25 ID:???
職人さんは此処がわかるのか??ヾ(。∀゜*)ノ
10名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/02/20(月) 18:31:01 ID:???
10ゲト
11>:2006/02/20(月) 18:32:14 ID:???
分かると思いますよ、実際自分もそうでしたので。
ちなみに10ゲト
とりあえず急いで書きます。新すれは自分がファーストランナー行ってみせます。
12>:2006/02/20(月) 18:55:39 ID:???
2月20日

「ちょっ…うっ…うわああああ!!」
部屋のドアを開けると同時にシンジの絶叫。
「どうしたの?」
見てみると猫に追いかけられている。
少し太り気味な猫だった。

「夕飯作ってたらこの猫がいつの間にか入ってきてて…どうすれば良いのかな」
アタシに聞かれても…とりあえずこの可愛げのあまり無い太った猫は家においておく事にした。

しばらく2人で考えて、餌に缶詰を急遽買いにいくことに。でもこんなに外が暗いと行く気が出ない。
「シンジ、行ってきなさい」
シンジは渋々行ってくれた。でもここで自分だけ何もしないのもいやだったから、ミサトの飲みかけビールを飲ませてみた。結構美味しそうに飲むわ飲むわで、まったくこの猫はミサトの分身かと思ったくらい、グビグビ飲んでたなぁ…ついでだから5本目まで飲ませた。
13>:2006/02/20(月) 18:57:34 ID:???
しばらくしてシンジも帰宅、缶詰を3缶買ってきていて、とりあえず一缶目をあけてみると、それはもうすごい勢いで完食してしまった。
「すごいわね…」
「そうだね…」
しばらくはその猫と楽しく過ごしていたんだけど、どこからともなくミサトが現れ、その猫を観察しはじめた。
「いきなり出てきて何やってんのよ」
「アタシのビール…飲ませたわね?」
はいはい、そういう事ね。アンタがいつも飲んでる分を猫に与えただけよ。
「これでしばらくはミサトの変わりにこの猫に酒を買わなきゃならないわね…」
ミサトの目がかなりシビれた。そこにシンジが割って入って、餌のことを言い出した。
「ふっ、二つ目も食べさせてあげようよ…ね…ねっ?」
ミサトはしょうがないといったような顔でアタシを指差した。
「明日ビール追加で10本緊急補充しなさい」
シンジは何もいわずにアタシ達の様子を伺っていた。

とりあえずは落ち着くと、自分たちの部屋に戻って色々考えていた。
ミサトは飲んだくれてそのまま「もう寝ちゃっていい?」なんて言い残して布団の中。
その後シンジをアタシの部屋に連れ込んで色々話した。
もちろん、猫以外の目的もあったんだけど、猫の話だけした。
14>:2006/02/20(月) 18:59:34 ID:???
話に終止符が付いた後、シンジの方から話が挙がった。しかも飛びっきりの良い話。
「ねぇ、アスカ…明日僕も付いていって良いかな…?」
顔がみるみる赤くなるのを感じながら必死で変なマネだけはしないように堪えていた。
シンジも顔を赤くしている。
「しっ、仕方ないわね…つっ、付いてきなさいッ」
なんとか耐え抜いてアタシ達は猫のところまで行った。
「明日はアンタも一緒に来る?」
シンジのやつ尻尾を立てた猫を見ながら“多分答えはNOだ”なんて言っちゃって。
「安心しなさい、答えが何であっても明日は2人きりだからね。」
まったく可愛いやつだ。ちょっとこればかりは堪えきれず手だけ繋いで教えてやった。

それじゃあ、明日も多分早いし、今日はもう寝るかな…
15名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/02/20(月) 19:06:14 ID:???
>氏乙です。



一番乗りオメ
16ホリデイ ◆A7RGAj24KE :2006/02/20(月) 20:56:46 ID:???
>>1
毎度乙であります、深く、深く、感謝しております。

>氏の心意気に感服しつつこちらも負けずに投下しましょうか、では↓
17ホリデイ ◆A7RGAj24KE :2006/02/20(月) 20:58:15 ID:???
曉は月ただ日

とても恥ずかしい話だけどなんだかとてもアイツと過ごしたくなったのよ。
それもひと気のない放課後、何にも考えず屋上で二人きりにと、
まるで安っぽい青春映画の様な青臭い馬鹿げたシチュエーションを。

いつもなら別々に帰ってるかそれとも気まぐれに二人で帰るはずの夕暮れ、
茜色に全てが染まった屋上から世界を見下ろせばただ何も云えず口をつぐむだけ。

手すりによりかかって二人並んでも別に弾む話などない。
特にアイツったらなんて言葉で口火を切ったと思う?「今日はいったいどうしたのさ…?」だって!
可愛くないし気のきかない答え、ほんといつまでたっても鈍感ヴァカよねアンタって。

そんなにイヤならさっさと一人で帰りなさいよなんて数多の文句をぶつけておいた。
もっとも「そうじゃなくて…アスカから誘うの珍しいからさ」とちゃんと嬉しさを体現してくれたから、
口から出した全ての文句なんて所詮は嘘、素直になれないアタシの無駄な楯、あるいはささくれた刃。

夕焼けをぼんやり見つめてたアイツ、そんなアイツを手すりにもたれ座りながら見つめてたアタシ、
少しだけ肌寒さを感じさせる風がひとすじ流れたら、アイツはアタシの隣に座ってくれた。

オレンジ色に染まって二つが一つになった、気のきいた言葉なんていらない、
たった一度でも目が合えばそれから二人は間違いなく手と手が触れ合う、今日もその通りになった。

何よ自分だってこんな事したかったくせに、そんな想いを視線にこめれば、
そうだよ、何が悪いのさ…と何だか力強い視線を返された、時々見せるアイツのオトコノコな部分、
それが一つでも見つけられたらその日はもう最高な一日になるわ。
18ホリデイ ◆A7RGAj24KE :2006/02/20(月) 20:59:46 ID:???
曉はただ互いを染めただけと思った、でも何か違うものも注いだとわかったのは、
アイツがアタシにそっと、それもぎこちなく頭を肩にもたれさせてきた時だ。
「バカ、何してんのよ」「う、うん…そう云われると思った…で、でも」
「でも?何よ?」「…今こうしたいって…とてもそう思ったんだ…」
「…何云ってんのよ…」「ご、ごめん、僕おかしいよね…ごめん」
「謝る話じゃないでしょ」「いいの…?」「イヤだったらとっくに殴ってるわよ」「…うん」

眩しさと黄昏にすっかりまみれた頃アタシの携帯が不粋な音をたててきた、
「ちょっち早く終わったから学校まで迎えにいくわよー加持君も一緒よ♪」
校門で待ってるわと素っ気なく答えて二人きりの茜色は終わりを告げた。

「今日は賑やかな夕食になりそうだね」「加持さんが来るしね、楽しみ、会うの久々だから」
「そう…なるべく邪魔はしないよ」「あら妬いてんの?顔に出てるわよバカ正直に」
「そ、そんなんじゃないよ!」「アンタからかうとほんと面白いわよね、ふふ♪」
「…その性格直した方がいいと思う…」「何か云った?!」「いや何も…はあ」

家に帰ろう、と、アタシはアイツの手をしっかりと握り引っ張った。
家主が辿り着くまでの時間それは離れる事などなかった。
離したりするもんか、って思いながら、離したくない、とも思いながら。

でも、まあ、誰もいない階段の踊り場でちょっとだけ強く抱きしめてくれた、
アイツの離したくないって気持ちにはちょっと負けたと思う、
くそう、許せないわね、何にもできないバカだと思ってたのに…むう。

校門までの短い道も曉はただアタシ達を照らしてくれた。
その輝きと光景が忘れられなかった一日、今日はそんな日だったわ。
19名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/02/20(月) 21:03:37 ID:???
「むう」    萌え〜   GJどす!
20名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/02/20(月) 23:39:39 ID:???
やはりホリデイ氏のアスカはイイ(・∀・)!!
21ホリデイ ◆A7RGAj24KE :2006/02/21(火) 01:38:03 ID:???
>>19-20
レスありがとうございます。
皆様のあたたかい御支援、何よりの励みになります。
これからも何とか頑張っていきますので何卒よろしくお願いいたします。

というか、よく思い返したら「曉」って明け方じゃねーかよと、
矛盾してるじゃねーかよと、激しくorzですよ。
語感だけで言葉を選んだ自分の浅はかさにあきれてしまいましたよ。

…申し訳ありません、心気一転、明日以降は気を引き締めて、
こんなバカな間違いなど無いようにします、ではまた。

…とほほ。
22DAHLIA ◆0VwZh5AEOE :2006/02/21(火) 02:09:42 ID:???
2月20日

私の入浴中は、ずっと背中を向けて気を遣っている相棒。
これは今日に限らず毎日のことだが、異性として意識されている時間。
それに対して私は、まじまじと見たりはしないが、あえて目を逸らしもしない。
ただぼんやりと眺めているのだが、これが相棒には不快に映る時があるようだ。

恥ずかしいから出来るだけ見ないでほしい、と哀願するシンジの顔は、まるで子犬。
渋々横を向いてやるのだが、そもそもこちらは見られても構わないと思っているから、
お互いにとって理不尽な価値観のぶつけ合いになっている。 少しだけ、イライラする。

変なヤツだと思う。 寝る時はアリの子一匹通さぬほどにピッタリくっついているのに、
肌を見られるのがイヤだなんて。 もしくは、あまり羞恥心を感じなくなった私がおかしいのか。
多分ここに他の誰かがいれば違ったと思う。でも、二人しかいないのだ。隅々まで知り尽くした
腐れ縁だけで唯一の他人と繋がっているのに、こんな事を気にしていても無駄ではないか。


本音はもっと、心の奥底にあることも知っている。 相棒になら、見られたいって事。
シンジになら、触られたいって事。 考えれば熱くなる気持ちを、どうにかして欲しいって事。
今まで泣き濡れた心を拭ってくれたコイツになら、頼めそうだから、任せられそうだから。
まだ少し先の話かもしれないけど、その時が来るのを私は待っている。
強く私の手を引いて歩いてくれる日を、 たった一人の…親愛なるバカシンジが。


なんだか今日は、私が変な気分になっている。 このままでいたいと、思ってる。
23DAHLIA ◆0VwZh5AEOE :2006/02/21(火) 02:23:01 ID:???
>>1
スレ立てお疲れ様です。使わせてもらってばかりで申し訳ないですが、
これからも日課として書いていきたいと思いますのでよろしくお願いします。

>ホリデイ氏
前スレで賞賛をいただき非常に嬉しく思っています。
しかし自分のはどうしても暗く憂鬱な雰囲気になりがちなので、あなたの明るい日々の
描写はまた、こちらに無いものとして羨ましく思います。
何よりシンジとアスカの間にある「強い絆」という点では通ずるものを感じていますので、
後発の者として続きたい所存です。 これからも楽しみにしています。
自分も先日ありましたが、誤字脱字はそれほど気にしなくても大丈夫だと思いますよw

>>氏
前スレから楽しく読ませていただいてます。 独占欲の強さはまさにアスカな感じで、
それでいて可愛いと思える所が良いですね。お忙しそうですが無理をせずに、これからも
他の生徒に立ち向かう二人を描いてくださいw 期待しています。

毎回応援の声や感想をいただける住人の皆様のおかげで、こちらも楽しく書かせていただいています。
日課になりつつあるので、どうか今スレでもよろしくお願いいたします。
24名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/02/21(火) 02:34:33 ID:???
乙です

皆さんに投下していただけてスレ立てした甲斐がありました。
25名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/02/21(火) 04:37:41 ID:???
職人さんぐっじょぶです。
僕昨日誕生日だったんですよ。
アスカに…っぐっ…!あぁあアスカ…にっ祝って…っぐ…もらいたかった…
26名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/02/21(火) 04:51:50 ID:???
1氏スレ立て乙です。

職人さん達乙です。

ここに来て職人さん達の日記を見るのが日課になっています。
自分には文才が無くただのスレ住人になっていますが、これからも皆様のご活躍に期待しております。

27ホリデイ ◆A7RGAj24KE :2006/02/21(火) 19:29:08 ID:???
パラ月ダイス日

三度目の災厄が訪れたのに第三新東京市はあっという間に復興した。
長い歴史を紐解けば大震災と爆撃にさらされても復興した東京そして日本、日本人は、
世界でもそのパワーと行動力、結束力が高く評価されていたらしい。

「皆、生き残るのに必死なのよ」そうつぶやいてたなミサト、
彼女もまた二度目の災厄から生き残り続けた人、
缶ビールを旨そうに飲干す姿からは想像もできないけど。

そうして世界は元通りになった、人々の心が同じままなのかはわからないが。
補完の洗礼が意味するのは私はあなたでありあなたは私であったという事。
それが正にあるいは負に作用したかは人それぞれ、今は知る術など無いが。
さらに口外した人物は皆無、思い出したく無いのかそれとも忘れてしまったのだろう。

けれどもアタシとシンジにとっては正に作用したと思う。
知りたくなかったそれでも知ってしまった、なのに…心に刻まれた。
それなりの真実を把握できなければ今こうしてつきあおうなどとは思わなかった。
忘れたいが為互いに傷つけあったあげくはなればなれを選んでいたはずだ。

母を失い父に捨てられ泣いていた子供、それがアタシとアイツ。
そうアタシは知ってしまった、二人は同じ傷に苦しみ同じ何かに癒されたかったと。
同じだから傷を舐めあうのではなく同じだから互いに補って生きていこうと思いあったから。
28ホリデイ ◆A7RGAj24KE :2006/02/21(火) 19:50:17 ID:???
楽園を追い出されたアダムとイヴはその末裔に至るまで真の楽園を築けなかった。
何不自由ない便利な街とて人々がほんとうに安らげる楽園などではない。
それでもまだ見ぬ楽園を欲し求めるがゆえ、街は、偽の楽園は、再び生み出された。

大いなる楽園などないのならそれぞれの楽園を造り出すしかない。
だからこそ他愛無いふれあいに同じ意味を価値を求めてしまうのだろうか?
いつもの様に二人でリビングにいた時そんな事を考えていた。

入れたてのコーヒーとアイスティー、それ以外何にも小道具なんていらない。
相変わらず膝を抱えて座り込むアイツの隣にいつしか座っていた、狭間は20cmくらい。
目が合う、少しはにかみあう、慌ててアタシはそっぽを向く、狭間はもう無くなった。

ぶすっとした顔のくせに頭はもうアイツの肩の上だ。
やれやれって顔しながらやがてシンジは肩に乗っかったアタシの頭に、
自分の頭をゆっくりと預けてくれる、そんな瞬間がいつだって大好きだ。

たぶんこの世に楽園が存在したとしても、
アタシは絶対シンジとキスなんてしないだろう。
そんなものいらないのが楽園と呼べるものなのだから。

それでも、口づけがなければ何かを確かめあえない、
今このいびつな楽園でもアタシは満足してる…とても…ふん。
29名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/02/21(火) 20:52:09 ID:???
楽園はいつも君と共に在るお(^ω^)
30>:2006/02/21(火) 21:54:22 ID:???
2月21日

朝、シンジに起こされて朝食へ向かう途中、嫌なものを見てしまった。
「二匹…?」
シンジも困っている。
「昨日の猫のお友達…かなぁ?」
昨日の猫に引き続きまたもや猫。今度は可愛いし、スタイルもいい。だけど少し凶暴そうだ。
「今日はたくさん買わなきゃいけないわね」
昨日シンジが買ってきたのは全部食べられてしまった。
今日は一匹分も無いのに、二匹目まで来るなんて。
「どうする?アンタが少ししか買ってこないからよ。遅刻でもいいから買ってきなさい」
仕方ないわ、猫に飢え死んでもらうよりは全然マシだ。
だけどシンジはすねてすっかり下を向いてしまった。まったくこの弱虫さん。
「仕方ないわね、今日は休むわよ」
シンジは驚いている。もうここまできたら流れに任せるしかないみたいな諦めた顔。この可愛い顔が大好きなのよ。そう、大好き。だっ…大好き…

「ねぇ、アスカ?でもさ、そのさ、僕さ、この猫返したくないなぁ…なんて…ね?」
この猫たちをこの家に置くことはできればしたくなかったが、久々にこうやって自分の意見をなんとか言ってくれたこいつに対するご褒美として、OKという答えをくれてやった。
「ただし、この猫に餌を買いにいくときは独りで行かないこと。分かった?」
心の内側ではもう興奮しすぎで死に掛けているアタシがいた。
まったく…この鈍感。少しはアタシのことをいたわりなさい。
まさかそのまま「うん!」なんて普通に喜んでいるところを見せてくるなんて本当に何考えてんだか…アタシは死に物狂いで黙っていた。
31名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/02/21(火) 21:56:09 ID:???
ホリデイ氏乙です。

今日の日記は少しだけホリデイ氏の香りがしたのは私だけでしょうか?

それにしても毎度GJです。
32>:2006/02/21(火) 21:56:18 ID:???
とりあえず学校はサボって買い出しも兼ねたミサトと猫のビール緊急補充に行った。
「ミサトは十本って言ってたわよね?」
歩いている途中、何回か手を繋いだりもしたけど、学校サボってるのにそんなことしてたら誰かに見られたときマズイことになる。
できるだけそれは慎んでおこうと話した。
歩きはじめて2、3分経ったときに、シンジが口を開いた。
「うれしいな…アスカとこうやって一緒に外に出られるなんて」
いきなり何を言い出すのかとどついてもみたがそれほど力を入れたつもりはなかった。
だって嬉しいんだもん。さっき話し合ったばっかりなのに、またこっちから手を伸ばしてまった。
「いいこと言うじゃない。これはアタシからのご褒美よ」
誰も居ないかどうかは関係なく、シンジの頬にキスをした。

長いこと歩いていたけどその間ずっと手を繋いで歩いていたアタシたち。
頬を赤めながらときどきアイツが漏らす嬉しいお言葉。
もちろんアタシ自身の頬も沸騰していたことなど、教える気はさらさら無い。
33>:2006/02/21(火) 21:59:01 ID:???
何か今日も急いで書いたので微妙になちゃいました。
この・・・なんというか急いだせいで当初自分が思い描いていた形が
再現できなくなってしまうという・・・
今度のもそうなってしまいました。
そういや>>31さん挟みましたね。
34名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/02/21(火) 22:22:26 ID:???
>氏乙です。31です。
挟まれてしまいました。我ながらバットタイミングですな(>_<)
35DAHLIA ◆0VwZh5AEOE :2006/02/22(水) 02:21:23 ID:???
2月21日

かつて仲の良かったクラス委員の子は、同じクラスのある男子に想いを寄せていた。
それを打ち明けられた唯一の友人として私は、その時の彼女の照れ顔を鮮明に覚えている。
彼女は、世界に自分と想い人の二人だけになればいいのに、などという妄想を語ったこともあった。

笑ってしまう。 想い人かどうかは別にして、私とシンジの状況は、ありえないはずだったその妄想
そのものなのだから。 実際にこんなことになってしまえば寂しくて心細くて、やっていられない。
恋をしてそんな妄想を抱くのは、現実から遠ざかろうとするほどに舞い上がっているせいだ。
実体験として結論を言えば冗談じゃない、そんな世界はまっぴらなのだ。

けど、良い部分もある。色んな束縛から、ほぼ全て解き放たれたこと。これは物理的な意味じゃなくって、
邪魔なものが何もないから、自分と向き合えるようになったっていう、精神的なもの。
相棒への強烈な執着心が、少しずつ愛情に変わっていくのを私は感じ、楽しんでいる。
依存しながら、強くなっていく私が嬉しくて、今日も生きていられる。 恋なんて言葉じゃ足りない気持ちが
芽生えたことは、この異常な世界がもたらした潤いなんだと思う。


今日、その子の誕生日が三日前だったことに気付き、少し悔やみながらのシンジとの思い出話。
ヒカリは、どこにいるのかな。 また、会えるかな。 熱血バカは、どこにいるのかな。 
先に夢をかなえたのが私達なら、ゴメンね。 私も、同じように恋をしていた。
離れられなくなったこと、教えてあげたい。 シンジと一緒に、教えてあげたい。


また、会えるかな?   会えるよね。
36名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/02/22(水) 07:25:05 ID:???
乙です

かわいい。
37名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/02/22(水) 20:56:45 ID:???
スレ変わりしてから人口減ってません?


もちろん俺はずっと居ましたけど
38ホリデイ ◆A7RGAj24KE :2006/02/22(水) 20:57:13 ID:???
心の銃を月撃て日

気のきいた事なんて出来やしないアイツを、
それでもこっちに気を向かせるのはいつも一苦労だ。

たとえリビングで二人1mも離れてなくても、
何にも知らずぼんやりしてるもどかしい男にアタシは何かを放つ。
感情を想いを弾にこめてハートの形をした拳銃から撃ち出す。

ねえ云って、ちゃんと云って、聞こえるように。
ねえ聞いて、ちゃんと聞いて、聞こえないふりしないで。
こっちを見て、しっかりと見て、もう泣かなくていいように。
抱いて、強く抱いて、この体に刻みつけるように。

弾はいつまでも尽きない、次の想いが着実に装填されてアイツの心へまた解き放たれる。
もうどれくらい撃ったのだろう、戦場ならばとっくに白旗があげられてるはず。

何かに気づいたのかアイツはゆっくりとこっちを向く、「何か云った?」ととぼけた顔をして。
アタシはそっぽを向き雑誌に見入るふりして別にと素っ気なく答えてあげる。
困ったような恥ずかしいような顔をしながら鼻をぽりぽりとかいて考えこむアイツを見るのが好き。

そうして始まる他愛無い会話の全て、粋な文句なんて一つも浮かばず飛び交わない、
なのに触れあいじゃれあいなんだか心地よい言葉のヒット&アウェイを楽しんでしまう。
39ホリデイ ◆A7RGAj24KE :2006/02/22(水) 20:58:14 ID:???
今日面白かったのはシンジの癖の話、なぜか手を握っては開いて繰り返すあれの事。
理由を知る事はなかったけど弱味を見せた様に恥ずかしげな怒り方が可愛かったな、ふふ。

ただそれだけのものなのにいつの間にか二人は近づいてこの状況を楽しむ。
キスしたいとか抱きつきたいなんて直接的な行為など欲しいとも思わず。
ただこの何でもない何かに惹かれ触れあい心を交わしあう。

想いの弾のたぶん百の内一つはアイツの心に突き刺さってくれたんだろう。
そうでもしなきゃ重い腰をあげない鈍感ヴァカだけどそれでも一生懸命、立派なものよ。

これはたぶん恋なんだろう、愛してるとかそんな言葉で飾る必要のない。
もっと深くまでいけるのになぜかちょっとした所で今二人満足してる。

好きだけど嫌い、あるいはうんざりするほど大好き、そんな感情で彩られる毎日。

これが恋でないなら何なのか?わからないわ難しい理屈なんて。
でも一つだけわかるのは最後に待ってるのは柔らかい口づけ、それだけは二人理解してる。
たぶん撃ち放った百の内もう一つも必ず突き刺さっているって事ね。

とても満たされてベッドに入ったアタシはまた訪れる明日の為に、
心の拳銃を丹念に磨き、想いを詰めた特製の弾丸を一つ一つ作り直し充填する。

明日は何発撃って何発当たるかな?いつかは全弾命中させてやりたいわ、覚悟してなさいよシンジ。
40名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/02/22(水) 21:10:37 ID:???
乙です

女の子ですねー。
41名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/02/22(水) 22:13:46 ID:???
乙です。

心のスナイパーアスカ。

スレ人口が減ろうとも俺もここにいます。
42>:2006/02/22(水) 22:40:55 ID:???
くそう・・・
もう来週まで投下できそうにありません。
少人数ながらも自分の投下を待ってくださる方が居ることに感謝しながら、
来週まで投下はお休みさせていただきます。
すいません
本当にすいません
43名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/02/22(水) 22:57:42 ID:???
謝ることはないですよ〜
まったりいきましょ〜まったりと
44名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/02/22(水) 23:50:13 ID:???
マターリもいいですが、あんまりマターリしすぎると某日記スレのように時間が止まってしまいますよ〜(笑)
45名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/02/23(木) 02:28:59 ID:???
俺もいるよ〜職人さんGJです!
46ホリデイ ◆A7RGAj24KE :2006/02/23(木) 12:49:12 ID:???
ダウ月ナー日

月に一度のお約束、女である事を痛感する日々がやってきた。
気力体力ともに低下ししばらくは学校を休む事にした、そうでもなきゃやってられない。

「大丈夫?」と気にするアイツをうっさいバカ早く行けと、
体調不良ゆえの不機嫌丸出しで送りだしてしまったのは少し後悔した。
前屈みで部屋に戻る間、帰ってきたら少し甘える事で謝っておこうかなと反省したわ。

座椅子に体を預けながら見たくもないTVのヴァラエティでごまかしても何だかおさまらない。
しかたなくベッドに寝転がりうだうだしてみてもどうにもこうにも落ち着かない。

気分は最低、動きたくなんてない、そのくせそばに誰かいて欲しい、悩ませてほしい。
アイツが帰ってくる夕方がなんて待ち遠しかったか、そのくせこういう時に三バカで過ごしてくるんだから。
着替えもせず一番最初にアタシの部屋を訪れたその心意気は買ってあげるけど…ふん。

「朝いつもみたいに怒るから今月は大丈夫なのかなと思って」「先月も来月も辛い事に変わりないわよ」
「そ、そうだよね、僕男だからそこまでわからないし」「女の苦しみがアンタなんかにわかってたまるもんですか!」
「う、うん、ごめん…」「そのかわり男としての役割は果たしてもらうわよ」「??」

気分は変わらず最低だ、なのに心はとても最高だ、どうしてそうなったか?その…つまりね…

ダウナーだからこそ落ち着いてしっかりと甘えてみただけの事よ、
今日だけアタシを世話しなさいよ、そんな事できるのアンタだけなんだからね有難く思いなさいよ!って。

そうして寝たままのアタシと座りこんだアイツと過ごした夕食前のひととき、
アイツが隣にいるそれが何より嬉しかった、ただしこの時だけよ、そ、そうなんだからね。

せっかくだから添い寝してくれる?そうからかうと顔を真っ赤にして、
「な、何いってるのさ!?」と慌てふためいたアイツ、バカねえ本気にしちゃって、ふふ。
ほんとはそうして欲しかったなんてアタシだけの内緒だ、口が裂けても云ってあげないけどね、ふん。
47名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/02/23(木) 13:26:15 ID:???
乙です


そんな時でも一緒にいたい…か。アスカ(゚д゚)アマー。
48名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/02/23(木) 15:14:01 ID:???
乙です。

昼間の投下は珍しいですね。
49名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/02/23(木) 16:33:11 ID:???
いやいや、ホリデイ氏は昼間投下が結構多い方ですよ(・ω・`)
50>:2006/02/23(木) 21:21:28 ID:???
2月23日

今日は良い天気で、決して悪い気分になるはずなどなかった。なかった…なかったのに…

学校の帰り、ヒカリののろけみたいな話をずっと聞かされ、でも楽しんでいたら、あの忌々しい女子軍団。無効も気付いて、こっちを睨む。
もう…こいつら大嫌い。
「ヒカリ、ちょっと道変えて良いかな…?」
「いいけど…何かあったの?」
答えたくないよぉ…こんなこと。
「ちょっと…ねぇ…」
と…その女子軍団は今度はこっちへ踏みよってくる。
何なんだろうこの弱々しい人間を見るような感じは…アタシが見てるのは自分だ…弱々しい自分。そんな風にして逃げるようにうつむいて歩いてたアタシに、ヒカリは優しい一面を見せてくれる。
「アスカ?大丈夫?」
「うっ…うん。大丈夫…」
ヒカリは首を伸ばすようにアタシの顔を覗き込んできた。
「ほぉ〜んとぉ?」
くそう…ミサトか何かかヒカリ。
「あいつらとちょっと嫌な思い出があってね…アタシだってあんなやつらどうってことない筈なのよ…」
そうこうしてるうちにヒカリとは道が分かれてしまった。
家まで独りで歩く。
すると、向こう側に、見慣れないアタシより年上の男子が何人かたまっていた。
タバコに携帯、それから…バッド?
まずい、悪徳女子軍団の次は悪徳男子軍団なんて…シンジ、助けてよぉ。
その時、シンジがその向こうを歩いているのが見えた。
51>:2006/02/23(木) 21:23:44 ID:???
焦りながらシンジを探すアタシを先に見つけたのはあの集団。
「おぉ〜っ?カワエエじゃん」
「見ろ見ろ、なんか居るぞ!」
アタシが逃げるようにシンジを探し続けると、その男子が3人こっちに来た。
「お前可愛いじゃん、どうよ。俺らと一緒にちっと遊ばね?」
「ひっ」
肩を持たれて声が詰まってしまった。シンジ…早く…
「あっ、アスカ!どうしたの?その人たち…」
シンジを振り返ってアタシを捕まえていたやつらがどんどん離れて行く。
「あぁん?てめぇ何よ」
何か古臭いなこいつら…いやいやそんな事考えている場合ではない。
シンジはアタシの顔を見て分かってくれたのか、少し怒ったような顔だった。
1分。1分間でシンジは3人倒した。後ろからの攻撃で少しひるみ、倒れかけたけど残りの3人のうち2人は倒した。

だけど…多勢に無勢、最終的に疲れて動きが鈍くなったシンジは残った1人にボコボコにされてしまった。
「シンジ!」
絶叫とかいうやつだった。本気で叫んだ。出せる力を全部出して叫んだ。
「アハハハハ、無理無理、もうこいつ気絶してるよ」
一瞬でアタシは悲しみのどん底から怒りの最高潮まで上り詰めた。
猛ダッシュでヘラヘラと笑っているその男に向かって出せる力を全部振り絞ってかばんをふりおろした。
「いってぇな、オイ!」
ぶっ倒れた男が何とか起き上がって繰り出したこぶしがアタシの顔をかすめ、わきばらが目の前にきたときに、アタシは強烈なパンチを入れた。
男は完全に動きを止めてしまった。
52>:2006/02/23(木) 21:26:50 ID:???
ボコボコとグチャグチャな2人が並んでかえる途中、またまた路上でキスをしてしまった。
自分からしたことなのに、いきなり何すんのよと叱ったら、
「僕もっとアスカと近くなりたいな〜なんて…思っちゃって…」
なんてうれしいお言葉をどうも。その言葉に従ってアタシから肩を預けてみた。
向こうも頬を赤めながらこっちに頭をあずけてくれた。身長の差はあったけど気にする程のことではなかった。
「ふ〜ん」                       
「僕はアスカのこと…その…好きだから」
「それじゃあアンタはアタシがアンタのこと好きだと思ってる?」
シンジは少し驚いたような顔で、頬をさらに赤めながらアタシの方を向いて怒り始めた。
「そっ、そんなこと言わないでよ。僕はアスカのこと…その…大好きだから離れるなんていやだし、そういうのは悲しいよ…」
アタシも大好きだよ。安心してね、この世にアタシ達を邪魔する人間は少なからずいるだろうけど、だけどアタシ達はずっと一緒に居れると信じている。
キスがそれを確かめる最高の方法だった。今日も、それを確かめたんだ。
毎日毎日こんな風に確かめていけたら、良いと…思う…
53>:2006/02/23(木) 21:29:17 ID:???
なんとか今日まで書けました。
来週の月曜日にはまた投下できると思うので、よろしくお願いします。
54名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/02/24(金) 02:16:18 ID:???
俺も毎日見てます。ROMさんが結構いるんジャマイカ?
職人のみなさま、乙です。本当に嫌されます。中学高校のころの淡い気持ちなんかを思い出したり(つд`)

くそぉ!なんで俺の青春時代にアスカがいなかったんだっ!
55名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/02/24(金) 02:54:36 ID:???
嫌されてどうするw
56DAHLIA ◆0VwZh5AEOE :2006/02/24(金) 03:01:30 ID:???
2月23日

私が先に目を覚ました今日は、明るい時間に相棒の寝顔を見ることが出来た。
私は、コイツの寝顔が気に入っている。 男に対して抱く感情ではないかもしれないが、
可愛くて、綺麗な顔。夜は月明かりでしか見ることが出来ず、少しだけ貴重な思いだった。

その思いが私をおかしくしてしまったのか、寝ているシンジの唇から目が離せなくなった。
今、思うととても恥ずかしいが、そのまま理性を働かせる事なく寝ている王子にキスをしてしまった。
そしてそれが相棒の微かな眠りを奪い去った。 目覚めと共に間近で姫と対面し驚いたのか
しばらく言葉を失っていたが、すぐに微笑を返すコイツの優しさがいい。 それが私の独占欲を
激しく掻き立てている。 何度唇を重ねても飽きないのは、多分、恋人じゃないから。

今日は少し冷え込んだ。 だからどこにも行かないで、二人でずっと抱き合っていた。
恋人じゃないから、恋人ごっこ。 でも、恋人よりも熱くなる。 だから、抱き合っていた。
シンジの鼓動が伝わってくる距離で、私の鼓動も伝わるように力を込めて。
息遣いが聞こえる距離で、考えていることはお互いの事ばかり。 ちょっとだけ不安で冷たくて。


でも、温かい。 私はこの時間の為に生きているから、他には何も要らない。
碇 シンジを私のものにして、惣流アスカラングレーをコイツのものにして、それだけでいい。
今日も紅い海が私達を見ていた。 恋人じゃないけど、それ以上にいちゃつく私達を。
57名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/02/24(金) 07:02:46 ID:???
乙です

恋人じゃない恋人以上がいい。
58名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/02/24(金) 12:59:50 ID:???
恋人じゃない恋人以上はものすごくツライヨ

実体験
59肉じゃが:2006/02/24(金) 18:30:51 ID:???
みなさまお久しぶりです。
そして相当遅くなりましたが1さん乙であります。
携帯が未だにつながらないまま、知り合いの携帯からのレスですorz
これからも楽しみに見させていただきます(*^−^)ノ
60名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/02/24(金) 19:49:05 ID:???
>>58
kwsk
61ホリデイ ◆A7RGAj24KE :2006/02/24(金) 19:51:23 ID:???
男の子には月冷たくしていいの日

まだなんとなく体がだるい、ああもお早く終わってほしい。
少し前から始まったからあとちょっとで終わるはずなんだけど、
結局ベッドから出る気がしなくて今日も学校を休んだ。

アイツも慣れたもので襖から顔を出すと「無理しないでね」と一言。
アンタも休んでくれりゃこき使って楽してやるのにとこっちも文句を一言。
「その元気があれば心配ないね、いってきます」と最高にむかつく一言、ちくしょう…

体に楽なゆったりめのワンピースを着てたからじたばたしても苦しくない、
何が苦しいかと云えばさっきのアイツの生意気な言葉、何よバカシンジのくせに!
怒りの矛先をどこに向けていいものか分からず枕に顔をうずめてバカバカ大ヴァカ!と叫んでおいた。

それでも、それでもよ…アイツは今日早めに帰ってきてくれた。
「やっぱり心配だよ、もし倒れてたりでもしたらさ…」何よ何よその言葉!ああもうほんとにむかつく!
人の心弄びやがってこの純真ヴァカ!そんな事云われたらさ…どうしていいか…わからなくなるわよ…くそう。

「とりあえずして欲しい事ある?」
待っていた質問にアタシは何日も前から想定問答したかの様にこう答えた、
「何にもないわよ、とりあえずほおっておいて」
あきれたようなすねたようなアイツの顔がとても可笑しかった。

なんでそんな答えをって?決まってるでしょ、アイツの出方が見たいだけ。
一生懸命になるアイツの姿、今日もそれが見たかっただけ、感じたかっただけ。
62ホリデイ ◆A7RGAj24KE :2006/02/24(金) 19:52:19 ID:???
それなのにアタシは全ての行為に言葉に素っ気なく対応してしまう。
こっちの内情を知ってか知らずかアイツはそれでもアイツなりに応えてくれた。
そこまでしてもまだ態度を改めなかったアタシ、いいのよ男の子なんて冷たくしても。

でもちょっとだけ怒られた、「…ちゃんと、ありがとうくらい云ってよ」って。
持ってきてくれたアイスティーは今までで一番美味しかった、
だるい体を起こしてそっとアイツのほほに手をあててありがとうと云っておいた。
前言撤回よね、らしくないアタシ、い、いいのよ男の子も時には温かくしてあげないと。

「そ、そう云ってくれたら、う、嬉しいよ…」とアイツはとても恥ずかしげ。
そそくさと部屋を出ていく瞬間おどおどと振り返ると、
「美味しい夕飯用意するから待っててね」ちょっぴり困った微笑みを向けてくれた。

男の子には冷たくしてもいいのよ、
でも時には温かくしてあげないとどこかへ行ってしまう、
扱いに困るけどとてもとても大事な存在、今日もその恩恵にあずかったわ。

でも唐突なキスだけはしないでね、
もっともそんな事しようものならただじゃすまないわよ、
けどアタシが仕掛けたら黙って受け入れなさい、命令よ。

ただし今日は何もしないでもらった、ただ…その…傍にはいてもらったけど。
こ、これだけで十分なんだからね、な、何よその顔はも、もう!

くそう、シンジだけはずっと冷たくしてやるわ、どんな男の子よりも、
もちろんその分温かくもしてやるんだから、どんな男の子よりも、ね、ふふ。
63名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/02/24(金) 20:22:43 ID:???
乙です。



傍にいるだけで良い関係。


俺もそんな関係欲しい!
64名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/02/24(金) 20:53:19 ID:???
↑禿同

乙です。
シンジウラヤマシスギ

65名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/02/24(金) 23:41:08 ID:???
辛い時は辛いよね(´・ω・`)
お大事に、アスカ。


私もこんな優しい彼氏ホシスorz
66DAHLIA ◆0VwZh5AEOE :2006/02/25(土) 02:25:54 ID:???
2月24日

ふと、相棒を呼んでみると無視された。
腹が立って怒鳴り気味に呼ぶと、ようやく振り向いて謝る相棒。
どうやら、無視していたのではなく耳が遠くなっていたらしい。
だから手頃な小ささの棒を拾って、簡単にだけど耳掃除をしてやることにした。

私がどちらかと言えば不器用なのを知る相棒が、やや不安そうにしているのを
無理矢理押し切って、膝の上に寝かせた。ボロボロと面白いように出てくる垢を
捨てて、たまに痛がるシンジをからかいながら、少しだけ暖かい時間を過ごした。

ついでだから、その後私の耳も掃除させようとしたら、なんと拒否する相棒。
その理由はあまりにしょうもないので書かないが、これをまた押し切ってシンジの
膝枕を堪能することにした。 気持ち良かったし、これでお互いの声がよく聞こえるなら
素晴らしいことだと思う。 何よりシンジは手際が良く、私より上手かった。

膝枕しての耳掃除、思えばこんなことも初めてだったりする。
私達は、今まで何もしてこなかったのではないか、と思わされた。
二人で生きている、暮らしている。 もっともっと、二人でできる当たり前のことを
探さないといけない。 でないと、なんだか恥ずかしいから。 これからも生きていくのに、


恥ずかしいから。
67名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/02/25(土) 13:35:53 ID:???
乙です。



俺も耳掃除して欲しい!ヾ(・ω・´)
68ホリデイ ◆A7RGAj24KE :2006/02/25(土) 19:24:34 ID:???
いやはや、なんとも、困ってしまいますな。

EOEまできっちり見ると、せめてあの二人だけでも幸せにさせてやりたいというか、
絶望の果てに見た希望として二人が共に歩む物語を紡がせてあげたいというか、
自分はそう思って可愛い二人を描いてしまうもので、
申し訳ない(・∀・)ニヤニヤ

では本日分を投下しますかな、今回は銀髪の「彼」がちょこっと登場します、では↓
69ホリデイ ◆A7RGAj24KE :2006/02/25(土) 19:25:20 ID:???
君の目に月映る私日

朝からシンジの様子がおかしかった。
いつもののほほんではなくてずっと真剣な顔。
何かに悩んでる顔、とらわれてる顔、…ファーストの事を考えてる顔。

でもファーストの時よりもっと固く今にも泣き出しそうな顔。
こんな顔見た事ない、でも見覚えのある表情、そうだ、あの時の顔だ、
白い渚で目覚めた時目の前にあった顔、初めてほほを撫でた時の顔。

何にも云ってくれないのはいつもの事、それでも気になるわよ、辛気くさい顔で傍にいられると。
まだ万全じゃない体を無理矢理引きずってリビングに来てやったってえのに、
どうしてこう常々タイミングの悪いやつなんだろう…まあいいわ。

がっかりしてとても寂しくて頬杖をつきながら伏し目がちにアイツを見つめた。
ちっとも崩さない表情にうんざりしながらもそれが何を意味するのかアタシは知ってしまった。
「僕を見て」寂しいのは私だけじゃない、あなたも同じなのね、もう何も云わないでいいわよ。

悲しくなるほど好き、嫌いになるほど好き、突然じゃないけど気づいてしまった。

いつの間にかアイツがアタシをじっと見つめていた、少しだけ柔らかな表情に変わったとたん。
「ありがとう」そう云ってる様な慈しみに満ち満ちた顔、つきあってからやっと見る事ができた顔。
「ばか、何見てんのよ」そう云うといつもの恥ずかしげな顔に戻っちゃった、あと五秒くらい同じ顔してなさいよもう…

それでもシンジはずっとアタシから目を離さなかった、離してくれなかった。
最後にはベッドへ戻ろうとしたアタシに後ろからそっとそして力強く抱きしめてきた。
顔を見る事ができなかったけど、間違いなくシンジの心と体は泣いていた、涙も声も出さないのに。
同じ事はアタシにもあるだから痛いほどそれが伝わった、だから何も云わず包んでくれた両手をぎゅっと握った。

嬉しくて切なくていつもよりしおらしくなったのはらしくない、
元気になったらこうは行かないわよ、振り回してやるんだからおぼえておきなさいシンジ。
70ホリデイ ◆A7RGAj24KE :2006/02/25(土) 20:01:09 ID:???
僕の目に月映る君日 ―同日のシンジ日記―

夢の中にカヲル君が出てきた、夢っぽくない夢、現実の様な不思議な夢。
あの時と変わらない微笑みを向けながらカヲル君は話しかけてきた。
「君は今幸せなのかい?」って。

「あの時と同じなんだ、幸せがどこにあるのかわからない、今そうなのかもわからないんだ」
「そうなのかい?僕の目に映る君はあの時よりも幸福に満ちているよ」
「そうなのかな…?まだ自分がわからないんだ…これでいいのかなって…」
「その答えを教えてくれる存在は今君のすぐ傍にある、それが幸福へと結びついている」
「どう云う事なの?」「君が求め求められる人が隣にいるって事さ、つまり…」
「つまり?」「君と彼女は結ばれている、それが幸福の証、心の糧と云う事さ」

カヲル君はそう云うと少し悲しげな笑みを僕に向けて言葉を続けた。
「でもよかったよ、正直云うと心配だったんだ、君は繊細だからねとても。
 もう僕が何かを成す必要はない、希望は君達と共にある、何も迷う事ないよ」

僕がそんな悲しい事云わないでよと云うとカヲル君は真剣な顔つきになり、
「これ以上邪魔しちゃ悪いからね、また会える日を楽しみにしてるよ」と、
どこかへすうっと消えてしまった、そしてそのすぐ後僕は目が覚めた。

カヲル君、ありがとう、でも大丈夫、僕はもう心に決めているから。
僕は僕として傷つき苦しんでも生きていく、どんなに辛い事があっても。

アスカは女の子だ、わからないし気まぐれだしとても厄介だ、いつも困ってしまう。
思ってもない事でお互い傷つけあう、それでも僕にできる事はまごころを伝える事、
それぐらいしか僕にできる事なんてないけれど…それだけは伝えていく。
71ホリデイ ◆A7RGAj24KE :2006/02/25(土) 20:03:10 ID:???
心の糧、幸福の証、その言葉を思い出しながら気づけばアスカを見つめてしまった。
「ばか、何見てんのよ」っていつもの一言をもらったけどなぜか今日はそれが嬉しかった。
そして僕はずっと見つめる事をやめようとしなかった。

幸せを教えてくれる存在、結びあい求めあうもの、
アスカの言葉や表情、行動を受け止めながらそれが何なのか今さらながらにわかった。

そして僕は、たぶん、今幸せなんだろう、アスカをしっかりと抱きしめた時ただただそう思った。

いつまでたってもとらえられない、わがままな女の子に振り回されても、
僕はイヤだとは思わない、それが女の子なんだから構わない。

たった一つでも気持ちの込められた言葉や行為があれば、それがわかれば、
僕は何にもいらない、それくらい満足だ、つまりは…幸せだと思えるんだろう。

今日も、唐突に抱きついた僕の両手をそっと握り返してくれた。
顔を見る事はできなかったけど、たぶん少しだけ微笑んでくれたのかな?
それは僕が一番好きなアスカの顔、そして時折見せてくれる彼女のたった一つのまごころ。

いつもならそれでもつんけんした文句と振るまいが待ってるんだけど今日それはなかった。
代わりにいつもより大人しい(それは体調もあると思うけど)アスカとそのまま部屋で過ごした。
…いつもこんな風にしてくれたら楽なのにな、それだけは云わないけど…ふう。

「おやすみ」と共にそっと頭を撫でてあげた時のアスカの笑顔も可愛かった。
何にもできないけどいつだって一生懸命応えてあげたい、そう思いたくなる笑顔だった。

幸せがどこにあるかまだわからない、でもそれへ連なる道の入り口は見つけた気がする。
どうなるかなんてわからないけど、今はこのまま進んでいこうと思う。

僕が思ってるようにアスカも僕を糧にしてくれたら嬉しいけど…
それは僕のわがままだから日記だけの秘密にしておこう…今日はこの辺にしてもう寝ようかな。
72名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/02/26(日) 00:30:24 ID:???
久々のシンジ日記ヨイヨイ
これでゆっくり眠れるよ…
73DAHLIA ◆0VwZh5AEOE :2006/02/26(日) 01:29:47 ID:???
2月25日

相棒との思い出話が、今日はお互いにとって一番痛い部分に至った。
ネルフ本部に戦略自衛隊が侵入し、戦闘状態になった時のこと。
名前も知らずとも同僚だった職員達は、何も出来ずに生命を奪われていった。
シンジも、あの人が守ってくれなければ同じ運命を辿っていた、と言う。

人間同士での殺し合いなんて、冗談じゃない。参号機事件の時もそうだったが、殺すくらいなら
殺された方がマシだと言い切った相棒の頬を、私は思い切りひっぱたいてしまった。

私を殺そうとしたくせに。 その奇麗事が、私には許せなかった。
私の首に両手をかけて、情けない、小さな殺意を向けてきたくせに。
もう責めるつもりはなかった。でも、水に流したわけじゃない。
少しだけ赤く腫らした左の頬を押さえ、シンジは力なく謝ってみせる。
どこまでも、弱々しさだけが際立つ男。 気持ち悪いとしか、あの時は言えなかった。

出逢って、どのくらい経っただろう。 どうでもいいと思っていたのに、いつからこうなったのか。

今日は、とことん問い詰めた。知らない間に、私も泣きながら、何度も好きって言わせた。
グシャグシャのひどい顔になりながら、何度も愛してるって言わせた。 
抱きついて、子供みたいになりながら、飽きるまで愛してるって言わせた。

自分の気持ちが分からない。 コイツのことが好きなのか、憎いのか。
殺されるのは、まっぴら。 でも、私がコイツのものなら、捨てられるよりは…。


シンジ、私だけを見てなさい。  いつか、いつか、私がアンタを殺してあげる。
アスカ、シンジだけを見るのよ。 次にその手が首にかかる時の、覚悟は出来ているから。
どうにもできない辛い気持ちは、シンジと一緒に味わって誤魔化して。
74名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/02/26(日) 05:28:18 ID:???
乙です。敢えてタブーを持ってきたDAHLIA さんのその勇気。
一見何気なく情け無い(?)最終行の率直な言葉の中に、
彼らなりの辛い「現実」の「関係」が見え隠れするようです。

私はこういうの好きです。GGGGGGGGJJJJJJJJJJJ
75名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/02/26(日) 08:31:03 ID:???
乙です

確かにそれをなんとかしないと進めないのかも。切ないね。。
76ホリデイ ◆A7RGAj24KE :2006/02/26(日) 12:24:38 ID:???
ひく月ヒク日

朝からしゃっくりが止まらなかった。
寝方が悪かったのか?呼吸器の不全かしら?
ともかくずっとひくっひくって鬱陶しいったらありゃしない。

「わっ!!って驚かしても…止まらないよね…はは」
当たり前じゃないそんな弱気で驚くもんか、余計ひどくなったわよこの役立たず、バカ。

鼻をつまんで息を止め水を一気に飲めば止まるとミサトに教えられたので従った。
二・三度試してみるといつの間にかしゃっくりはどこかへ消えたわ、ダンケ、ミサト。

それなのに今度はシンジの奴が止まらなくなった。
慌ててパンと紅茶をがっつくからよ、ほんと世話が焼けるわね。
困った顔で体を震わせながら「どうしよう…ひくっ」なんて云われても。

仕方なくさっきアタシが治したのと同じ方法を試させてみたけど、
何杯飲んでもちっともおさまりゃしない、アンタってほんとグズなんだから!
「…自然に治るのを待つよ…ひくっ」体をたぷたぷにさせてこのザマだ。
77ホリデイ ◆A7RGAj24KE :2006/02/26(日) 12:25:35 ID:???
リビングにいても時々体をビクッてさせるアイツが気になり落ち着かない。
このままでは少し可哀想だと思いアタシは一計を案じる事にした。

「ねえさっき驚かせたら止まるって云ってたわよね?」
「うん、でもそんな簡単に驚いて止まるのかな?」
「うっさいわね、要はアンタがびっくりすればいいんでしょ?!」
「そうだけど…一体どうするってのさ…」

間髪入れずアイツの鼻をつまんで長く熱いキスをしてあげた。
目をぱちくりさせながらアイツほんとにびっくりしてたな、ふふ。

唇が離れるとアイツ真っ赤になってきょとんと見つめてた。
「びっくりしたでしょ?」「なな何するのさ!…でもそう云われると…確かに」
「止まってるじゃないしゃっくり」「あ、ほんとだ…あ、ありがと…」
何嬉しそうな顔してんのよ、ほんと男の子って単純でバカなんだから。

「あらシンちゃん止まったのね、やっぱりあたしの云った方法は抜群でしょ〜これに限るわよ」
「そ、そうですね…はは」「どうしたの顔真っ赤よ?」「な、何でもないです…」

アタシとアイツにしかできない違う方法で解決した事はミサトに内緒だ。
即効性ならこっちの勝ちね、とはいえ二回目はあまり利きそうにないけど、まあいいか、ふふふ。
78名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/02/26(日) 12:49:02 ID:???
乙です


しゃっくりになりたい今日この頃。
79名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/02/26(日) 15:29:30 ID:???
乙です。

キスは魔法の薬。
80名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/02/27(月) 01:34:45 ID:???
ひくヒク?エロイな。
81DAHLIA ◆0VwZh5AEOE :2006/02/27(月) 02:43:14 ID:???
2月26日

昨日は、ケンカをした訳じゃない。 でもお互いの心にシコリが残ってしまったのか、
あとを引いたように、口も利かない、目も合わせないような朝を過ごしてしまった。
お互いが意地を張って、望んでもいない状態が続くこと、珍しくないけどやっぱり苛つく。

こんな時、壁を壊す勇気を相棒は持っていない。 特に今回はコイツに負い目があるだけに
尚更だった。 それなら、私が打開するしかない。 不本意ではあっても、シンジの理解者を
自負する以上、やむを得ないと自分の中で納得させて、胎を決めた。

膝を抱えて座り込む相棒。後ろから悟られないように近付き、パッと両手で首を掴んだ。
流石に驚きと恐怖で、思わずわあっと悲鳴を上げる相棒。 私は後腐れなく元通り、仲直りを
考えた結果、ちょっときつめのジョークという選択をしたのだ。 最初の言葉は、

「これで、おあいこよ。」 あとは精一杯の笑顔で、あの時のことを許してやればいい。
そう思っていたのだが、相棒はそのまま、こっちを向こうともしなかった。
ちょっと、和睦の手段としては悪趣味だったかな、と思いそっと、相棒の顔を覗き込んでみると、泣いていた。
目に涙を浮かべて、震えながらうっすらと微笑んでいた。 喜んでいたんだ。

私は何も言わず、シンジの唇を奪った。 たった一人の他人と、いがみ合うのはもうやめよう、そう誓って。
これからもケンカはするだろうけど、できるだけしないようにしよう…そう誓って。



…と、ここで終わっていれば良かったのだが、実はシンジの涙の意味は違っていた。
どうも、私が脅かしたせいで、その、あの…。
あまりにかわいそうなので、私が洗ってあげた。


この世で一番大切な男の、下着とズボンを。
82名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/02/27(月) 03:22:25 ID:???
全米が泣いた!
83名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/02/27(月) 05:44:06 ID:???
乙です


ったくなんでこんなヤツ好きになったのかしらねー。でもいいの!みたいな。オチ付き。
84名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/02/27(月) 09:21:31 ID:???
乙です。

アスカが甲斐甲斐しくなってる・・・
85>:2006/02/27(月) 23:15:18 ID:???
くそう....
このまま今月一杯書き込めません....
86ホリデイ ◆A7RGAj24KE :2006/02/27(月) 23:50:11 ID:???
>氏

気にしないで下さい、御自分のペースで焦らず迷わず、いつでもお待ちしてますよ。

夜分遅くの投下ですが、ではどうぞ↓
87ホリデイ ◆A7RGAj24KE :2006/02/27(月) 23:51:22 ID:???
清涼月飲料日

今日は珍しく最初から最後まで一人で帰った。
話し相手もなくからかうには丁度いいアイツもいない帰り道、
寂しかったけど別に落ち込みはしない。

長い時間をせっかくだから生かしてやろう、そう考え、
日々思う色々な事を頭に巡らせ一つ一つ自問自答してみた。
何をどう問いかけたかなんてすぐに忘れちゃったけど、
自分が自分としてどうあるべきかどうするべきか、それを再確認できた気がした。

だからと云う訳じゃないけど何だかアイツがとても恋しくなった。
今頃何してるんだろう、どうせまた馬鹿げたふざけあいしてんでしょ、もう。
暇つぶしに遠回りした事を悔やみ歩みを速めると歩道を駆け抜けた。

走った、ただ走った、何にも考えず息苦しさも忘れて。
どうせ遠回りしたんだもの少しくらいおまけがついたっていいでしょ、
そう思い高台にある公園へ辿り着いた、大きく息をついて展望台に急ぐ。

黄昏色の都市を一望すれば世界がアタシを包みこむ。
同じこの空の下アイツがいてアタシがいる、そんなセンチな思いを抱いたのは不覚。
自販機で買ったジンジャーエールを息もせず飲んでみた、
半分ほどで飽きてやめたけど、透明な味が少し切なくなった、なぜ?
88ホリデイ ◆A7RGAj24KE :2006/02/27(月) 23:52:16 ID:???
家々にビルに街に明かりが灯され慌てて元の道へまた駆け出した。
このバスを乗り過ごしたらもう二度とアイツに逢えない、
そんな下らないおまじないすら自然に出てしまう、今日は何だかとても変だ。

息せき切って辿り着いた扉の前、何事もなかった様に深呼吸して開ける、
「ただいま」「あ、おかえりアスカ」
他愛ない挨拶、でも一人で帰るから聞ける言葉、とても愛おしい瞬間。

いつもこの後は大体決まってる、今日だってそうだ、部屋に戻るアタシをつかまえ、
「ミサトさん早く帰ってくるから夕食の支度ちゃんと手伝ってよ」だって。
コロッケの数を一つおまけしてもらう事で承知した、でもたまにはデザートを奮発しなさい。

帰りに買ってきたジンジャーエールを風呂上がりに飲んだ、
さっきとは違う味がした、こんな味だったかしら?
再び口に含んで確かめてみた、やっぱり違った。

シンジにも分けてもう一度飲んだ時、あの味が少し戻っていた、そう、たぶんそういう事ね。
よくわからないけどなぜかアイツの頭をよしよしと撫でておいた。
アイツもよくわかってなかったけど、ありがとうと云ってくれた、変なのアタシもアイツも。

寝る前にもう一度飲んでみた、さっきよりも味が戻っていたわ。

これは同じペットを分け合った、つまり間接キスのせいではないと記しておく、念のため。
まったくアイツも意識し過ぎだ、今さらそんなの気にする間柄でもないくせに。

たぶんシンジのせいなんだろう、心に引っかかる味わいの原因は。
あと何回飲めばまたあの味になるの?そう遠くはないと思うけど、また同じのを思い出させてね、シンジ。
89名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/02/28(火) 00:03:58 ID:???
乙です。





俺もその味飲んでみたい(´・ω・`)
90名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/02/28(火) 00:15:44 ID:???
乙です


いいなあ。
91名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/02/28(火) 02:06:16 ID:???
くるりを思い出した。
92DAHLIA ◆0VwZh5AEOE :2006/02/28(火) 02:57:56 ID:???
2月27日

いつからか、ちょっとした散歩の間もずっと、相棒の手を離さなくなった。
夜は、抱き合っていないと眠れなくなった。 何もせずに物思いにふける時も、
必ず視界に、相棒の姿を入れているようになった。 それが、当たり前になっている。
ふと思うと、ずっと一緒に生きていても、一緒に死ぬことは出来ないのだから、と危機を
感じた。 それなのに相棒の存在に縋りきっているのは、他でもない私自身のこと。

シンジは、いずれ他の誰かとも会えると言う。 自分のかたちをイメージする事は、
そう難しくはないはずだから。 それは私にとっても望むところだけど、それにしても
アンタの代わりはいないのよ、と釘を刺した。
赤くなって喜ぶシンジを、先日の反動でどこまでも甘くなる私はそのまま押し倒して、
もう累計がわからなくなったキスをした。 たとえ誰かがいても、この唇は、この世に一つしかない。
私をいつも眠らせてくれる温もりは、ここにしかない。 色々複雑な思いはあれど、たった二人なら、
やはりシンジで良かったと思う。


最近、涙もろくなってきた。 今日もシンジの制服を、少しだけ汚してしまったと思う。
その時にゆっくりと力を込めて包んでくれる相棒の瞳が、また涙を誘うから困り者。
泣き顔なんて、見せたくないのに、泣いちゃう。
本当はいつも笑っていたいのに、泣いちゃう。

いつだってバカで、情けなくって、気持ち悪くって、優しいやつのせいで。
93名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/02/28(火) 06:40:07 ID:???
乙です


かけがえのないあなた。
94名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/02/28(火) 08:05:51 ID:???
乙です。

泣いてくれる人が欲しい・・・
95名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/02/28(火) 15:42:52 ID:???
おつ
96DAHLIA ◆0VwZh5AEOE :2006/03/01(水) 02:59:57 ID:???
2月28日

今日で短い二月が終わる。 不思議と、月日が経つのを早く感じるようになった。
辛くて苦しい生活のはずなのに、それゆえに新しい一日を喜びと受け止める気持ちが
あるからだろうか。凍えるほど寒くても、平気な顔をしている心がそう言ってる気がした。

風邪をひいたあの日からたまに、二人で一緒に入浴するようになった。
無論、そうは言ってもちゃんとしたお風呂場などなく、裸になって赤い海で
汗を洗い流すだけ。 これも不思議なことに、石鹸もないのに意外なほど綺麗になる。
今日は三日ぶりくらいに、一緒に入ろうと提案した。いつもいつも、私からでなければ
実現しない。 本当は、誘ってくれるのを待っているのに。

未だに慣れないのか、まともに私の顔を見ようとしないシンジ。 身体が反応していることは
生理現象だから気にしていないのに、やっぱり羞恥心を捨てられない小心者。
そんな不器用な誠実さが、以前の私には鬱陶しく見えていたのに、今は愛おしい。
私も随分、変わってきたことを実感しながら、今日は悪戯のメニュー、少し贅沢にご馳走した。
いずれ、私達以外の誰かと出会ってしまえば、こんな戯れもそうは出来なくなる。


今だけだから、楽しんでおこう。 シンジと二人きりの楽園を。
もう、三月。 明るくなぁれ、なってゆけ、 わたしたちの、楽園。
97名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/03/01(水) 04:26:25 ID:???
ほんのりエロスと前向きアスカGJ乙
98名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/03/01(水) 04:35:18 ID:???
乙です


二人だけの世界。
99名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/03/01(水) 05:01:51 ID:???
乙です。

アスカはシンジにどんな悪戯をしたのか・・・

おっきした
100ホリデイ ◆A7RGAj24KE :2006/03/01(水) 17:48:22 ID:???
アタシと月あたし日

何事もなく心地よい日常が営まれていくのに、
時々アタシの心の中はそれを破壊しかねない何かが現れてしまう。

それはもう一人の『あたし』、負であり悪しき感情と情念が詰まった『あたし』。
ふと気づけば背後からあるいは目の前に現れてアタシに刃のような言葉を突きつけてくる。

「あんたあんな男を許してやるつもり?何もしなかったくせに汚すだけ汚した裏切者を」
「ただ逃げたいだけでしょ?真実から目をそらし甘い作りごとの世界へ」
「あれだけ嫌って馬鹿にしてたくせにいつの間にかころっと騙されるなんてヘドが出るわ」
「数え切れないキスに抱擁?そんな真似あたしにはできない、いえ絶対したくないわ、誰があんな奴と」
「死んでもイヤって云ったのは誰?イライラするって云ったのは誰?気持ち悪いって云ったのは誰?」

自分でも一番嫌だと思う蔑んだ悪意に満ちた表情で問いつめる『あたし』。
目を背けてもどこへでも現れ、「答える事などできない」と追いつめる『あたし』。

怒りと悔しさのあまり一度だけ彼女の首を絞めて抵抗した。
その時の恐ろしい笑み、「ほら云った通りでしょ?嘘ばっかり」という言葉、
ありったけの声をふりしぼり「いやああああ!!!!」と叫んだ瞬間目が覚めた。

それ以来何があろうと『あたし』にはアタシの本心と決意でしか抵抗しない事に決めた。

「たとえそう思っていたとしても今のアイツは昔のアイツと同じじゃない」
「互いに、という事なのよ、アイツも少しづつ心を開いた、だからアタシも開いただけ」
「傷つく事も裏切られる事ももう知ったわ、だから信じてやるの、絶望の果ての希望、最後のチャンスとして」
「人を好きになる事で自分を認められた気がする、求め与えあうのアタシもアイツも、だから一緒にいるの、悪い?」
101ホリデイ ◆A7RGAj24KE :2006/03/01(水) 17:50:21 ID:???
『あたし』はそれでも憎悪に満ちた瞳と表情を崩さない。
だからアタシはいつも最後にこう云ってやるのだ。
「誰が何と云おうとアタシはアイツが好き、たとえあなたが忌み嫌い許さないとしても」

「せいぜい頑張る事ね、あとで独り泣く事になっても誰も慰めてくれないわよ」
悪魔のような狂気に満ちた笑みをたたえて『あたし』はいつも消えていく。

『あたし』に向き合った後アタシはいつもシンジの元に赴く。
「どうしたの?」とぼんやり見つめるあどけない無垢な顔、
その裏に自分本位で救いようのない甘えとわがままが潜んでいると知ってしまったけど、
それでもアタシは信じている、その中に優しさと愛情も潜んでいるって。

何も云わずにアイツのほほをぎゅってつねった「い?!いひゃいよあひゅか…」
「悪い夢見たからよ、今は夢じゃないわね」いたずら心たっぷりに言い返して満足するアタシ。
お返しにつねろうとするアイツをいなしアタシは痛そうなほほをそっと両手で包んだ。

「つねるよりこっちがいいでしょ?」「え?う、うん…でも僕つねられ損だよ」「うっさいわね」
心地よい会話を続けながらそのままシンジに倒れこんだ、胸にゆっくりと顔をうずめながら。
「どうしたの?」「今はこうさせて欲しいだけよ、じっとしてなさい」「もう…いつも突然なんだから」
そう云うわりにはちゃんとアタシを抱きしめてくれたじゃない、このムッツリスケベめ。

何も知らず残業にいそしむ家主に罪悪感をおぼえながらもアタシはこの瞬間をたっぷりと味わった。
それはもちろんどこかで見てるであろう『あたし』に対する宣戦布告としての意味もある。

あなたがどう考えようとアタシはアタシ、どうなるかわからなくてもこのまま進んでみるわ。
いつでも現れなさいその度に戦ってやるんだから、アイツが好きという言葉を拳に変えて。
102名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/03/01(水) 18:59:29 ID:???
毎度乙です。

孤独な戦い。揺るぎない気持ち。

側にいるからこそできること。

GJ。
103名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/03/01(水) 23:02:45 ID:???
DAHLIA氏、ホリディ氏、乙。
最近、感想が少なく感じるんで、ちょと職人さんたちにマジレスで感想述べます。
(ほかのひとはスルー汁)

通勤電車の中や寝る前にこのスレをチェックするのが日々の日課になりました。
話の一つ一つはそれほど奥行きや深みはないけれど(失礼!)、ただ毎日描かれていく、シンジとアスカの生活が日記を通して感じられる。
FFやSSというより、何か親しみをもてる空気を含んだ文書を書けるお二人をはじめとした職人さん皆様、
本当にすばらしいです。
ホリディさんの私達の現実に近い、日常の中での出来事や気持ちを私達に思い起こさせるような描写…とても素敵であたたかいです。
DAHLIAさんのEOE後の補完後世界を切なく描かれていくその感性、二人の非現実的生活を丹念に描かれる技は、ほかにはみられない世界を描かれていらっしゃる。
そのほか沢山の職人さん達が描かれる、彼等の物語は、どれも世界や生活を感じさせるものばかり。
決して長いストーリーじゃない。
むしろ短いといってもいい一つ一つの話が、こうやってほぼ毎日投下されるからこそ、世界や生活が見えるのかなと思います。
毎日のようにアスカの日記を描いていける文才、本当にすばらしいですよ。
一読者として、何かつっこんだり意見もしたいのですが、なんか今のスタイルに文句なんて一つも思い浮かびません。あえて一つ言うならば、「たまに心情描写がリアル過ぎて自分の過去思い出して痛ぇょ」とか「ていうかこのスレに現実逃避したくなる」ぐらいです(ぇ?
職人の皆さん、いつもマジありがとうございます。

長文マジレス、スマソ(´・ω・`)
104DAHLIA ◆0VwZh5AEOE :2006/03/02(木) 02:28:20 ID:???
3月1日

今日は朝から、少し強めの雨に降られた。 鬱陶しい天気だった。
風も重なって吹き付けてくる雫を避ける為小屋に篭ったが、相棒が戻ってこない。
いつもの膝を抱え座り込んだ姿勢のまま、外でその身を晒し濡れているではないか。
せっかく風邪が治ったのだから速く戻れと言ったのに、上の空。

どうやら、本人の希望だったようだ。 雨に濡れて、心に根付く罪悪感を
溶かしていく感覚が、好きだと言う。 何にもならないことが、分かっていても。
バカな奴には違いない。 でも、私にはそれを止める気が起きないのだ。
たとえどんな痛みや苦しみを伴っても、シンジが選んだことなら、見守るしかないと思う。
シンジは私のものだけど、私が制御して「らしさ」を消しては、いけないから。

私も一緒に外に出て、並んで座って、一緒に濡れた。 昨日、新しい包帯が手に入ったから、
気にせず空を見上げてみた。          …なるほど、空も泣きたい日があるんだ。
私達が流す涙と、そう変わらない気がした。 思ってることは、多分シンジと同じ。

今は二人で温まりながら、背中を毛布にしている。 あの頃と同じ空を見た、今日はいい一日。
過去は忘れられないけど、どんな過去でも生きていけるって、分かった。
思い出が嘘でも、夢が飾りでも、同じ空が広がってる。 悔しかったのは、先にシンジに
気付かれたことくらい。 腹いせに、その身体からたっぷり熱をもらってやる。


何も知らずに寝てるから、そっと…。
105DAHLIA ◆0VwZh5AEOE :2006/03/02(木) 02:29:16 ID:???
3月1日

今でも、夢なのか現実なのか戸惑う時がある、アスカと二人だけの世界で
生き始めて、もう半年近くになる。 新しい月の、初日。
今日は朝から天気が悪かったけど、僕はこの方が落ち着く。
アスカは許してくれたけど、僕は世界を壊してしまったと、まだ思っている。
だからまだ、自分が嫌になって、自虐的になるのもしょっちゅうだ。 アスカと
仲良くなれたけど、それだけが支えなのは言い過ぎじゃない。

アスカの忠告も無視して、雨に濡れてしまった。 また熱が出るなら、それでいいと思って。
無理矢理小屋の中に連れ戻されるかと思ったけど、なんとアスカは僕に合わせて、一緒に外で
座り込んだ。 これにはビックリしたけど、口ではブーブー言いながら、僕の気持ちを分かってくれる
アスカが、また一つ好きになった。 まだ、怖い時があるけど、それを思い込みだと思わせてくれる、
そんなアスカがいてくれて、僕はなんとか生きている。

僕は泣き虫だから、雨が降ると空が、神様が泣いてるように見えてしまう。
それで雨に打たれて少しだけ気持ち良くなるのも変な話だけど、アスカが共感してくれて
すごく嬉しかった。 聞いたわけじゃないけど、アスカの心を感じ取れた。

今日もアスカの匂いの中で眠れる。 本当に幸せだと思う。
独りでも良かった、そう思わなくなったから、幸せなんだと思う。
おやすみなさい、アスカ。
106名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/03/02(木) 02:39:36 ID:???
乙です


今回はシンジ日記付きなんですね。深まる絆。
107DAHLIA ◆0VwZh5AEOE :2006/03/02(木) 02:40:11 ID:???
>ホリデイ氏
今日の作品は特にイイです! こういうカタルシスを伴う描写は自分のツボなもので…。
それでいてシンジ君への愛情にいつもの甘さもあって、なんというか…素晴らしい!
先日の耳掃除話はふと振り返るとホリデイ氏の過去作品にそっくりでした…すいません。
意識下にあったものをインスパイアした格好になり、申し訳ないです。

そして謝っておきながらなんですが、貴方に倣ってシンジ日記も書いてみました。
が、難しいですね。 同じ状況を別の立場で書くのは楽しくもあるのですが。
これからも張りの無い内容が続くと思いますが、よろしくお付き合い下さいませ。

今後の作品にも、期待しています。

>>103
ご感想、ありがとうございます。ホリデイ氏はともかく自分がそこまで持ち上げられると、本当に恐縮です。
以前、突っ走って問題になってしまったこともありますし…。
読んでいただけているだけでこちらも非常に励みになります、有難いことです。
一人のエヴァヲタの妄想に過ぎませんが、これからもお付き合いくだされば光栄です。
108ホリデイ ◆A7RGAj24KE :2006/03/02(木) 23:23:58 ID:???
>>103氏そしてDAHLIA氏

なんだか恥ずかしくなってしまうほど熱意と愛情に満ちたお言葉。
穴があったら入り埋めてくれと懇願したくなるくらいの気持ちです。

でも決まりきった二人の時に淡く時に甘い日々の話、
辛辣な方々からすれば鼻で笑うような他愛ない日常の物語、
気合を入れたつもりはなくてもそれなりに「どう読まれてるんだろう?」と、
気になってしまう事は多々あります、私も人の子ですから。

だからこんな温かく真摯な評価を見るととても嬉しいです。
冥利に尽きるとは言い過ぎですが、できる限りはこれからも可愛い二人の物語を紡いでいこう、
そう心に決めてキーボードを叩きたくなるような喜び、ありがとうございます。

>>103氏には今後の御贔屓を願うと共に癒される物語を贈り続けたいです。
長文マジレス気にしてませんよ、素直な心情を綴って下さったあなたの行為に、
とても、とても感謝しております。

>>DAHLIA氏にはあなた独自の物語を突き進んでほしいという願いと、
そして私の事など気にせず盗めるものはどんどん盗んで下さいという思い、
切なく悲しげでそれでも心を通わせようとする二人の物語、こちらこそ楽しみにしてますから。

では本日分を投下しましょうかね↓
109231 ◆hFF06WgFzU :2006/03/02(木) 23:25:08 ID:???
最早忘れ去られたかも知れませんがお久し振りです。231と申します。
先刻携帯を購入したので、やっと投下が可能になったのですが…
正直どこまで書いたかを忘れてしまったのでわけのわからない展開になるかもしれないですorz
110ホリデイ ◆A7RGAj24KE :2006/03/02(木) 23:25:08 ID:???
気のきいた月男の子日

女心を夢中にさせるかっこいい男の子なんているのだろうか?
周りの子達が口ずさむ誰彼の評価に聞き耳を立ててるとそう思う。

実に簡潔な形容詞でしか表現されない賞賛にうんざりしながらも、
親愛なる友人はこう云ってくれた「それでも皆かっこいい男の子に憧れてしまうものよ」アタシもそう思う。

でも今アタシのそばにはとてもかっこわるい男の子がいるだけだ。
ペンペンにえさをあげながらのほほんとしてるアイツを見てもとてもかっこいいとは云えない。
なんでこんな奴好きになったんだろう、そう思ってじろりと見つめてやった。
「どうしたの?」どうもしないわよ、アンタには一生わからない悩みでしょうね。

でもアイツがプレイボーイ並に気のきいた男の子だったら、
手には花束を欠かさずいつも素敵なレストランに誘ってくれるなんて。
どう考えてもヘドが出るほど気持ち悪くておまけに笑いが止まらなかった。
「ふふ、アンタがそんなはずないわよね」「何がさ、人の顔見て笑って」「ないしょ」

でも確かにそんな気のきいたシチュエーションで惑わしてはほしい。
それは女の子なら誰もが憧れる理想の世界、あるいはわかりやすい幸福。
111ホリデイ ◆A7RGAj24KE :2006/03/02(木) 23:26:52 ID:???
パーティをたっぷり楽しんだ後そっと連れ出してくれて、
二人きりで星空の下の公園か人けのない隠れ家の様なレストランまで送ってくれて、
そのまま他愛ないおしゃべりして、笑いあって、最後にはキスが待っていて。

たぶん叶いなんてしないだろうけどそれはそれで嬉しいものだ。
でも何度考えてもアイツがそんな大それた事しでかせるはずがないわ、想像つかない。

だいいちアタシだってそんなの一度きりで飽きてしまうだろう、
そうよいつだってわがままなのよ、別に悪いなんて思った事はないけど。
そんなアタシにそれでもつきあってくれるアイツはそれはそれで偉いと思う、それだけよ、他は偉くない。

豪華な食事もツボを心得たデートもバラの花束もアタシには必要ない。
もちろんそれをさらりと用意してくれる優しくて可愛くてお金持ちの男の子も必要ない。
気弱でさえなくて鈍感でそのくせこっちの心をどきどきさせてくれる男の子だけで十分だから。

今日だってそうだ、あのバカのせいで心が少し熱くなった。
何がきっかけだったか忘れちゃったけど「アスカの傍にいれる、それだけで嬉しいんだ」だなんて、
嬉しい事云ってくれるじゃない、気のきかない男の子、なのに時々きかせ過ぎる男の子、とても大好きよ。

嬉しさのあまり甘めの長いごほうびをくれてやったけど、
もしかしてそれを狙ってたのかしら?だとしたらこれはいけない、とても不覚。

そんな気回しができる奴だなんて思ってないけど踊らされるなんて死んでもイヤ。
どういうつもりなのか聞き出して仕返ししてやろうっと、楽しみがまた一つ増えたわ、ふふふ。
112ホリデイ ◆A7RGAj24KE :2006/03/02(木) 23:29:36 ID:???
>>231
おや、バッティング申し訳ない、復旧おめでとうございます。
作品投下是非ともお願いします、楽しみにしてますよ。
113名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/03/02(木) 23:48:02 ID:???
ホリデイ氏乙です。

毎度の投下、楽しみにしています。

感想すら満足に打てない程の文才の無さに自分でも呆れますが、あなたがた職人に救われている者がいるということは事実です。
これからもよろしくおねがいします。

231氏、お久しぶりですね。投下、楽しみにしております。
114231 ◆hFF06WgFzU :2006/03/03(金) 00:13:30 ID:???
DAHLIA氏&ホリ氏

乙です。しばらく見てないうちに新スレ…




ツイキ

どこまで書いたか忘れたので(一回なのにorz)、最初から書き直します。
115DAHLIA ◆0VwZh5AEOE :2006/03/03(金) 01:51:42 ID:???
3月2日

今日は珍しく、相棒の方から話しかけてくれた。
第三新東京市に初めて訪れ、訳も分からずエヴァに乗せられた時の話。
生まれて初めて、死の恐怖と向かい合った、忘れる事の出来ない日のことを。
私はどうだったのかと振ってきたが、正直エヴァに初めて乗った時のことなど
よく覚えてはいない。 パイロットに選抜され、ずっと訓練を受け続けていた。
ある日突然、日本へ出向することが決まり、記憶が鮮明なのはその後からだから。

戦争の道具にされていた? 違うとは思うけど、大人達は私達二人をどう見ていたのだろう。
人類を護るためだなんて、結局は嘘だった。 何も残せなかった現実を突きつけられ、今は
苦笑いするしかないのだから。 分からないけど、そんなエヴァのパイロットであったことが、
この場に二人で生き残る術、選択を与えてくれた。 分からないけど、生存競争には、勝ってしまった。

初めてエヴァに乗った日、まだ私を知らなかった日のシンジは、冷酷な現実に囲まれ兵士になった。
傷付いて傷付いて、ただの裸で投げ出されてみればここに二人だけ、似たもの同士。
私が傍にいれば熱くなる心に、今日もキスマークを刻んで、少しでも傷が癒えていくように。

私はずっと一緒だから、心配しなくていいの。 その優しさだけで包んで欲しいの。
願わくば道化のような人生から二人で抜け出して生きていきたい。
明日も抱き合っていたい。 キスしたい。 痛くない一日にしたいから。


少年よ、神話になれ。   なんて格好良すぎだから、私達二人で神話になろう、シンジ? 
116名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/03/03(金) 08:37:32 ID:???
きっといつか 神話になるよ
あたしくらい あんたを愛した女はいないって 神話になるよ
本当だよ それは本当だよ
きっといつか親和になって あんたとあたしの二人が
星座になって輝くときが来るよ きれいだろうね 本当だよ
きれいだろうね 本当だよ                           (「神話」 さだまさし)
117名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/03/03(金) 09:46:52 ID:???
乙です


優しいお姉さんアスカ。
118名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/03/03(金) 09:51:21 ID:???
>231氏
待ってました!忘れるなんてとんでもない!
もちろん他の職人さんと読者のおかげでスレの保守、メンテナンスは完璧。あとはパイロットだけですので(意味不明)
119ホリデイ ◆A7RGAj24KE :2006/03/03(金) 18:16:03 ID:???
夜を月駆ける日

夜の過ごし方をまだ知らないアタシ達でもその時間が素敵なものだとはなんとなくわかっている。
今日もそうだ、きっかけは突然食べたくなった出来合いのジャンクフード。

買ってこいと命令しても重い腰をあげないアイツにしびれを切らして立ち上がれば、
「…行くよ、行けばいいんでしょ?」とすね気味に答えてむこうも立ち上がった。

じゃあアタシが立ち上がった意味は何?せっかくの好意を無駄にさせるつもり?!
結局そうやって二人でコンビニまで出かける事となってしまう。
ノートPCから手が離せない家主に二・三の買い物を頼まれドアの外へアタシ達は向かった。

変わらない夏とはいえさすがに夜は肌寒さを隠せない、
カーディガンを羽織ったアタシとジップパーカを着たアイツ。
近づき並び歩いてしまったのはわずかな温かさでも欲しかったため、
もっと云えばいざという時の風よけにアイツを使いたかっただけ、念のため。

無機質なチャイムと無愛想な店員の挨拶がお出迎え、
好きじゃない歌が延々と流されてる事も相まって気分は最悪だ。

それでもカゴの中にそれぞれ食べたかったものと頼まれたビールとおつまみを次々に放り込む、
「ねえこれ食べる?」「ううん、それ僕嫌いだから」何でもない会話と行為、
なのにどこか嬉しくて心地よかったのはなぜだろう、まあいいか。
最後にあんまんとカレーまんを買ってアタシ達は店を後にした。

ちょっとだけひんやりした空気の中二人でほかほかの中華まんを食べて帰った。
シンジのあんまんに熱い視線を注ぐと「…食べる?」と嬉しい返事、
3分の2ほど好意を受け止めたらまたすねた顔、しかたないでしょおいしいんだもん。
120ホリデイ ◆A7RGAj24KE :2006/03/03(金) 18:19:12 ID:???
見上げれば漆黒の空、星はわずかに在し月は雲に隠れてさみしそう。
それでもなぜか綺麗と、美しいと思い、泣きたくなるくらい胸がきゅってした。
どういうわけか部屋で聞いていた好きな歌が頭に流れた、切なく悲しげで温かい歌。
つい口ずさんでしまい気がつくと不思議そうに見つめてたアイツ。

「それなんて歌?」「うっさいわね、邪魔しないでよ、帰ったら教えてあげるわ」
ラジオから流れてた曲はポップなのに歌詞は切ない歌、
『間違いだらけでも二人は進む、つまりそれは恐れず幸せになる切符を手にしてる』その通りなんだから。

歌うのをやめ、温まった体から発せられる温もりがどんなものか知りたくて、
先程からやけにぶつかってくるアイツの手をしっかりと握ってみた。
心の温度が少しづつお互いに上がっていくのが分かる、鼓動はもう鳴りっぱなしだ。

もう一度しっかりと今度は指をからめて握り直した、
アタシがいちばん好きな握り方、たぶんアイツも。
暗闇の中浮かび上がったともしびのような二人、
小さくてもゆるぎない炎を灯すアタシとアイツ。

帰ってからさっきの歌をシンジに聞かせてみた、
「いい歌だね、もう一度歌ってみてよ」やんわりと断っておいた、
人に聞かせるもんじゃないしだいいち恥ずかしいじゃない、アンタなんかに聞かせるなんて。

そうやって大した事のない会話とじゃれあいに彩られて夜は過ぎていく。
わかりやすい享楽があるわけじゃないけどそれでもそうやって夜の価値を知ってきたわ。

ところで夜にはもう一つ価値があるって事はアタシとアイツの内緒だ。
誰にも言えないわ、いつもの【約束】を交わしあうかけがえのない時間だなんて。
121名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/03/03(金) 18:49:28 ID:???
乙です


流されてもいつかは幸せに。夜が待ち遠しい。
122名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/03/03(金) 21:28:54 ID:???
乙です

積み重なる二人の夜。
123名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/03/04(土) 00:26:34 ID:???
乙です。

最近自分で日記書き始めたのだが、早くもやめそうな気配。
改めて毎日投下される職人様のスゴさを実感したりする。

日常を表現するってマジむずい。ネタとかにできない。
このスレのなかの話って日記形式だけど、よく日常出来事をネタにできるなぁと。
いざ、自分の日常の出来事って日記におこせないんだよなぁ。

ほんとマジ乙ですホリディさんDAHLIAさん。

スレよごしスマソ
124DAHLIA ◆0VwZh5AEOE :2006/03/04(土) 01:50:38 ID:???
3月3日

相棒が、何処で拾ってきたのかある物を私に見せた。
かつて私が普段着として着ていたものにそっくりな、黄色いワンピース。
誰かの家に仕舞われてあったのだろう、傷みもなく良好な状態でたたんである。
何かのイタズラとも思ったが、サイズも少し大きめながら私が着れるものだった。

当然、シンジの要望は、私に着てみて欲しいというものだった。
そんな他人のものが着られるかと一蹴してみたものの、プラグスーツ一着のみという
状況に私の欲求も溜まっていたのか、少しの時間を置いて折れることになった。
懐かしい、感じがした。 シンジは相変わらず学生服のままだけど、これが初対面の時の
再現になっていたからだ。 純粋に、嬉しそうな顔をする相棒。 似合うねと、捻りの無い
誉め言葉に不覚にも泣かされてしまった私は、シンジの頭を軽く叩いて抱きつくしかなかった。


空母の上で感じていた、風が蘇る。 もう一度見てみたい、蒼い海の想い出が蘇る。
もう一度感じてみたい、蒼い海の潮の香りが蘇って。 似た服を着た、それだけの事なのに。
弱くて頼りなかった、虚勢を張っていた過去の自分も、今ならほんの少し好きになれる。
新しい夏の陽を待っていよう。 シンジと出逢った日を、もっとキレイに思い出すために。

遠い、遠い夏の陽は、私達を照らしに来るはずだから。 私達を包みに来るはずだから。
125DAHLIA ◆0VwZh5AEOE :2006/03/04(土) 01:58:43 ID:???
>>123
自分の日記の方が難しいですねw 変な話ですが。
なんでも創ってしまえる架空の日記は、考えるよりは楽だったりします。
私もここで毎日書きながら、自サイトの更新が止まってたりして痛感してます。

毎日の事ながら住人の皆様のご声援、感謝いたします。
126名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/03/04(土) 02:10:15 ID:???
自サイトとはどこですか?
127肉じゃが:2006/03/04(土) 02:21:43 ID:???
2月某日

今日は休み!久しぶりに目覚めが良かった♪
リビングに向かうといつものようにボーっとテレビを見ているアイツ。
私に気づくと
「朝ゴハン出来てるよ♪」
とアイツも機嫌が良さそう。
パンに野菜スープに目玉焼きにベーコン。
普通の料理のハズなのに、アイツの料理は相変わらずおいしい。
アタシは料理を食べ始める。
目線を上げると向かい側に座るアイツが、両手で頬杖を着きながらアタシを見ている。
アタシは、それに気づくと恥ずかしくなりごはんを食べながら真横を向いた。
アイツもそれに気づくいたのか、焦ったように謝った。
「なによ?」
「ごめん。」
「アタシは謝って欲しい訳じゃないの!なんで見てたのよ?」
「アスカがおいしそうに食べてるのがなんだか今日はいつも以上に嬉しくて…。ごめん。」
「あっそ…。別に謝ることなんてないじゃない。」
アタシは食べ終わると食器を起き、テレビに向かい座る。

「こ、紅茶でも入れるよ。」
背中越しにアイツが紅茶を入れ終わるのを見計らいアタシは自分の横にクッションを起き、パンパンとそれを叩き、アイツがそこに座るのを促す。
128肉じゃが:2006/03/04(土) 02:24:30 ID:???
アイツは横に来て紅茶を渡してくれた。
「いつもありがと。本当にそう思ってるから。」
アイツを意識しないように、テレビから目線を外さず紅茶をすすりながら言ってみたけれど、たぶん顔は真っ赤だったんだろうな…。
「…うん。」
アイツの言葉はそれだけだった。
けど、アイツが入れてくれた紅茶が冷める頃にはアタシ達の距離は無くなってた。

別にアタシがアイツに寄って行ったんじゃないわよ!いつの間にかよ!だって今日はそういう気分だったんだからしょうがないじゃない!たまにはいいの!そういう日なの!
夕暮れまでなにも話さずただ二人寄り添ってテレビを見ていただけだけど、なんだか幸せだった!
やっぱり素直になるっていうのはとても良いこと♪
こういう日がこれからも続けばいいな♪と、アタシの心の声を書き留めて今日の日記は終わり。
本当にこの日がいつまでもずっと続きますように♪
129肉じゃが:2006/03/04(土) 02:48:47 ID:???
新しいスレになって初めて書きました。みなさん覚えてくれているかと心配です…
それと日記がまだ2月某日になってるのは許して下さい書いた2月だったもので…それを思うとやはり毎日書いている職人のみなさまはスゴいと改めて感じます。自分のは内容が薄いのですが読んでいただければ嬉しいです。

ホリデイ氏
自分の都合で前に比べて時間をおいて見るのですが自分の栄養になります。これからもよろしくお願いします。

DAHLIA氏
いつも詩のように、読むと心にとめさせていただいています。ありがとうございます。

231氏
読ませていただいてました。これからの投下ワクワクしながら自分は待ってますのでよろしくお願いします。

時間があったらまた書きたいのですが、その時はまたスレを汚すかもしれませんがよろしくお願いします。
130名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/03/04(土) 02:57:27 ID:???
職人さんってすげぇな。
どこからこんな文章出てくるのやら。
俺も後僅かな余命、日記でも書いてみようと思った。
131肉じゃが:2006/03/04(土) 03:11:41 ID:???
うわ!sageってませんでした!ゴメンなさい。
やっぱり俺ってダメだ…orz
132名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/03/04(土) 03:21:40 ID:???
君はなかなか面白いな
133名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/03/04(土) 06:35:39 ID:???
ホリデイ氏、DAHLIA氏、肉じゃが氏、乙です。
ここにきて職人さんが勢揃いですね。
また頑張っている様子を見て自分も頑張ろう、と思う今日この頃です。
134名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/03/04(土) 07:52:23 ID:???
乙です

自分を見つめ直すということ。
135肉じゃが:2006/03/04(土) 12:18:50 ID:???
3月4日

今日の夕食後。
テレビを見ていた。特に目当ての番組があったわけじゃない。ただ見ていただけ。
適当にチャンネルを変えているとあなたの願いを叶えますという番組があった。
ちょっと内容に興味が出て、見てみようかとリモコンを置くと、洗い物をしていたハズのアイツがなぜか焦ってアタシの横に来て尋ねてくる。
「アスカの叶えて欲しい願いってなんかある?」
突然だった。
アタシは訳も分からないまま、
「突然なによ?」
と言葉を発しつつ、アタシはテレビのCMを指差す。
「あれが欲しいわね♪♪」
そこにはアタシ達のおこづかいじゃ到底届きそうにないネックレスが映っていた。
「えっ、あんなの無理だよ。」
「アンタが願いごとを言えって言ったんじゃない?じゃああれもイイわね♪」
またテレビに指を差す。そこには旅行会社のCMで世界一周食べ歩きツアーというものが映っている。
「こんなのもっと無理じゃないか〜。」
「?…さっきからいったいなんなのよ?」
「いやそれは…。」
「もういいわ。アタシおフロに入るから。準備出来てるわよね?」
「…うん。」

体を洗い湯船につかって、なぜアイツがいきならあんなことを言ったか考えてみる。
136肉じゃが:2006/03/04(土) 12:21:24 ID:???
わかったわ。そういうことね。
アタシはおフロを出て、さっきの洗い物の続きをしているアイツの背中に近づき、頭をアイツの背中に預けてみる。
「ど、どうしたのアスカ?」
「ちょっとのぼせたの。大丈夫だから、ちょっとこのままでいて。」
「…分かった。」
「「……………。」」


「ねぇシンジ?アタシは別に欲しい物なんか無いわ。ただ、…アンタの気持ちが欲しい。」
「えっ…?」
アタシは自分の言いたいことを伝えると急ぎ足で自分の部屋に戻った。

今、日記を書きながら冷静になってきたが、自分でもよくあんな恥ずかしいこと言ったと思う…。
きっとだけど、ホワイトデーにチョコのお返しをしてくれようとしてアイツはあんなことを聞いてきたんだと思う。
でもお返しをしてくれようとしたアイツの気持ちだけでも嬉しかったのも事実。自分の気持ちをキチンと伝えた自分を今日は誉めよう♪
なんだか最近、アイツに対しては自分の素直な気持ちを伝えることが出来るようになってきた気がする。これはとてもいいことだと思う♪これからも鈍感なアイツには正直な気持ちを伝えなきゃ♪待ってなさいよ鈍感シンジ♪♪
137ホリデイ ◆A7RGAj24KE :2006/03/04(土) 19:36:10 ID:???
>>肉じゃが氏
乙です、
のぼせたって言い訳しながらちゃっかりなアスカさん、可愛いです。

ではこちらも本日分を投下しましょうかね、
今日のは少し…きわどいかもしれませんね、あるいは甘さが目立つというか、
お気に召されなければ一笑してくださって構いません、では投下↓
138ホリデイ ◆A7RGAj24KE :2006/03/04(土) 19:38:54 ID:???
キス・キス月バン・バン日

今日の話は唇に関する甘い話、こんな事ばかり書いていたら誰かにあきれられそう、
でもこれはアタシの日記、心情を綴る唯一の方法、誰に見せる訳でもなし、別に気にする事はない。

昨日の事だ、いつもの様に口づけを交わしたアタシとアイツ、
もう何回目かなんて忘れるくらい慣れたうえ楽しんでしまう馬鹿な二人。

とっくに寝てしまった家主が見つけたらなんて顔されるんだろう?
何も云わず見逃すか「子供のするものじゃないわよ」とやれやれな顔されるのかな。
そんな事考えながらアイツの下唇に吸いついてあげた、「これがドイツ式のキスよ」って。

それはともかくとしてふと思ってしまった。
最初の頃に較べたら幾分かやり方を心得てきたアイツの口づけ、
でもその最初が問題なのだ、なぜか少しだけ慣れていたアイツ、とても疑問だ。
いつか出来心のいたずらで無理矢理に交わした時の様なぎこちなさが少なかったから。

「ねえ、アンタって…キス…慣れてるよね…」ちょっと意地悪い顔でたずねてみた。
今まででいちばん真っ赤な顔で「なな何云うのさ!…そ、そんなのわからないよ!」と否定された。
ばっかみたい、今さら恥ずかしがる間柄じゃないでしょ、なのにおろおろしちゃって。
139ホリデイ ◆A7RGAj24KE :2006/03/04(土) 19:40:27 ID:???
別に他の誰かとしてたって気にしてないわよ、
アンタみたいなのがそんな真似できるとも思ってないけど。

ウソ、ほんとはイヤ、アタシ以外の誰かにそんな事されるなんて、
アンタはアタシだけのもの、他の誰のものでもなく、アタシだけの男。

でもそれもウソ、他の誰かに何されても気になんてしないわ。
ただし今アンタの唇を独り占めできるのはアタシだけ、世界でアタシだけの唇なんだから。

でも…気になるのはアイツまた少し真剣な顔してたのよね…
やっぱり何かあるんでしょ?と問いつめても何も答えてはくれなかった。
まあいいわ、どんな返事があるにせよ、今はアタシがここにいるんだから。

それを今日アイツの唇に刻みつけておいた、アイツも「うん」と刻み返してくれた。
言葉に変えられない約束を交わしてアタシ達はそっと抱き合った。

それから何をしたかなんて内緒、ただそれだけ夜は長かったって事よ。
心配しないで寝ているアタシに何かするほどアイツはバカじゃないわよ、ふふ。
140ホリデイ ◆A7RGAj24KE :2006/03/04(土) 19:43:08 ID:???
接吻月泥棒日 ―同日のシンジ日記―

昨日の夜、口づけの手際よさをアスカになじられてとても困った。
だって云えやしないよ、大人のキスをミサトさんに教えてもらったなんて。
…別に…あれは…なんて云うかその…もういいじゃないか!…ミサトさんにもアスカにも悪いよ…

でもふとあの時の言葉を思い出して僕はよせばいいのに風呂上がりのミサトさんにたずねてしまった。
三缶目のビールを旨そうに呑んでいたからほろ酔いならうまくごまかせるかなと思って。
「あのー…ミサトさん」「何シンちゃん?おこづかいUPならダメよ今月ピンチなの」
「そうじゃなくて…」「何?」「…その…いつか云ってましたよね…」「何をよ?」
「………帰ってきたら…続きをしましょうって」「?!」

それからのミサトさんには…ちょっと困ってしまった…
少し真剣な顔して考えるとそっと僕に顔と体を近づけてささやいてきたんだ。
「…続きがしたいの?」「…そ、そうじゃないですけど?!」
ふわっと鼻先をくすぐったシャンプーの香りとミサトさんの匂い、
アスカとは違う…なんていうのか…そこには間違いなく僕の知らない大人の女性がいた。

「でもそんな事しちゃうとアスカが可哀想よ♪」「何の話よミサト?!」
ミサトさんがすっと離れ目線の先を伺うと後ろにはバスタオル姿のアスカがいた。
…あぶなかったなあ…誤解されちゃうよこんなとこ見られたら…
って云うよりミサトさんが意地悪すぎる、やっぱりこの人にはかなわない、大悪魔、そう思った。
その場をやり過ごそうとこっそり逃げ出した僕はアスカにあっさり捕まった。
「シンジ!アンタまた何かミサトに吹き込んだでしょ!」最後まで昨日の答えと今日の話は秘密にした。
こんな事知られたら…アスカは…二度と口聞いてくれないだろうな…はあ。

結局僕はそのままアスカに捕まり答えを云うまで逃がしてもらえなかった。
ベッドの上まで引っ張って自分はさっさと寝ちゃうんだから…おまけに唇まで盗んで…もう。
「ごめんね、おやすみ」そっと抜け出しちゃったから明日怒られるんだろうな…まあいいや…
でももう少し一緒にいてもよかったかなあ…寝顔可愛かったし…な、何書いてるんだ…もう寝よう…
141名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/03/04(土) 20:49:53 ID:???
乙です


甘いキスの記憶。
142名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/03/04(土) 21:31:51 ID:???
乙です。

うんうん、いいですね。
143名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/03/05(日) 00:38:35 ID:???
ホリデイさんキスさせてください。
144ホリデイ ◆A7RGAj24KE :2006/03/05(日) 01:26:28 ID:???
レス頂いた皆様、毎回どうもありがとうございます。

>>123
私もDALIA氏と同じく架空の日記なればこそそれなりに書けるのであって、
自分の日記だったらもっと殺伐とそして日記ゆえの秘密に満ちた内容にしちゃいます。
例えば「マックでコーヒー飲む、百円」なんて生活臭に満ちた描写ばかりになりますね。

ただ、まあ、ここに記す時は普段自分が見つけた瞬間や出来事、
あるいは感化した小説、エッセイ、歌からネタを絞り出してはいますが。

一番多いのはアスカのセリフがぽっと浮かんで、
それにどう物語を関係付けるかそんな考えをしながら投下する事ですね、
もっともいつも変わらない甘い二人のおはなしになってしまいますが、申し訳ないです。

やっぱり本編やEOE見ちゃうと少しでも仲良く幸せな二人を描きたくなってしまうんです、
言い訳じゃないけど自分が書く話はどうしてもそうなっちゃうんで、
だからあまりLAS好きにはオールOKな物語ではないと反省してますが…

それゆえここでレスを下さる皆様には改めて深く感謝しております。

最後に>>143氏!オイタはいけませんぜ、あなたにとって大事な人と思う存分して下さい。

長文すみませんでした、では。
145DAHLIA ◆0VwZh5AEOE :2006/03/05(日) 03:11:18 ID:???
3月4日

相棒の手を取り出かける散歩。今日は普段、あまり行かない方角へ出向いてみた。
相変わらず、人影は無く静寂に囲まれているのに、唯一聞こえてくる波の音さえ
消えてしまうような場所まで歩いてみた。 独りじゃ不安で、こんな遠出は出来ないけれど
シンジが一緒なら、時間の許す限り歩いていける。 もっとも、先に同じことを言ったのは、
シンジの方だったけど。

おそらく、元はコンビニだったのだろう、という建物の残骸に辿り着いた。
見覚えのある看板、散乱したゴミとの区別も付かない商品たち。 看板と同じ
模様が描かれた、破片となったガラス。 通っていた学校の近くにあった店と
同じチェーンであることは間違いなかった。 もしくは、入った事のある店、そのもの
なのかはまでは分からないけれど。

缶詰とか、食べられるものは全てかき集めた。 二人だけだし、お互い少食だからそんなに
不自由はしていないけれど、いずれ無くなってしまうし必要不可欠な食糧。 全てかき集めた。
しばらくの間の保証は出来た。 でもいつか尽きてしまえば、私達の人生は終わる。
いつそうなってもいいように幸せを感じ続ける、それが私とシンジの課題なのかもしれない。

缶コーラを一本、手に入れた、形も崩れてなく、まだ飲めそうだった。
二人で分けて、ゆっくりと時間をかけて飲んだ。久々に、美味しい、涼しい感じを
味わった。 当然、今の暮らしになってからは、炭酸飲料など初めてだった。
シンジは、二人で飲もうと決めた時、コップを探したが私は要らないと言い放ち、
缶のまま二人で飲んだ。 このバカな相棒は、今更間接キスに遠慮をしていたのだ。

子供じゃないんだから、もっと堂々としなさい。 これからもキスは何度もすると思う。
お互いの唾液が混ざり合うことには、私だって抵抗感はある。
でも、アンタのなら欲しいから。 私のも、あげたいから。 つまらない遠慮は捨てなさい。
今晩もまた、病気のように唇が疼く。 それは、相手がアンタだから。 初めての相手であり、
永遠の相手である、アンタだから…。

コーラの空き缶は、不器用な愛に濡れたまま私達を見ていた。
146DAHLIA ◆0VwZh5AEOE :2006/03/05(日) 03:17:34 ID:???
>231氏
遅ればせながら携帯復活、おめでとうございます。
大変だとは思いますが投下、お待ちしております。 
なにげに自分が参加し始めてからもう3スレ目です。 早いものですね。

>肉じゃが氏
お久しぶりです。久々の作品、楽しませていただきました。
スレ汚しだなどと、とんでもありません、アスカのストレートな台詞に熱く
させていただきました。 次作にも、期待していますよ。
147名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/03/05(日) 09:37:38 ID:???
DAHLIA氏、乙です。

今日は特にラストの一文、あれは何ですか!


素晴らしすぎです。
情景が眼に浮かびます。
148名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/03/05(日) 09:58:12 ID:???
乙です


不器用でもいいのは優しいから。
149名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/03/05(日) 10:26:40 ID:???
↑禿げ同。

DAHLIA氏、乙っす。
最後の一文。胸をうたれた…
150ホリデイ ◆A7RGAj24KE :2006/03/05(日) 12:34:16 ID:???
さわ月さわ日

それはリビングに寝転がるアイツをふと見つめた時。
枕の上ですやすや気持ちよさげな寝息をたてているアイツの顔、
何が気になった訳じゃないけどよくよく見てみれば…うっすらと生えたうぶ毛。

ひげなのかと思ったがそれほど濃くはない、気になってふとミサトにたずねたら、
「シンちゃんの年頃じゃ生えるにはまだ早いわよ、まあ個人差はあるけれどね」
二人してその瞬間碇司令の顔が浮かびあご髭をふさふささせたシンジを想像して苦笑した。

しかしまあ目立たないとはいえ今一度見直すと気になるのよね、
夢の世界にいるのをいいことにアタシはそおっとアイツの顔をなぞりはじめた。

ほどよく整った眉毛から始まり、ほほに薄くそろったうぶ毛、それからもみあげの近く、
まだつるってしてる鼻下とその周り、唇をなぞったら少しどきどきしたのは内緒だ。
あごのまわりで締めようとしたら「う、うん何するのさペンペン、僕は魚じゃないよう…」だって、
何を夢見てるのかこのバカは、どうせなら寝言でもアタシの名前呼びなさいよ、ふんだ。

怒りにまかせていっそう指先を細かく動かしなぞるというより撫でる様にしたら目が覚めやがった。
「なな何してるのアスカ?!」タイミング悪いわね、ほほを両手でつまみ引っ張って返事にしておいた。
「いひゃいひょあひゅかあ…もお」「これで目が覚めたでしょ?下らない夢なんか見ないでよ」

しかしアタシは見てしまった、とんでもないものを、困るアイツのあご下にぽつんと生えた…そう…ひげを…
脱兎のごとく洗面所へ駆け出し毛抜きと肌荒れ防止クリームを持ってくると準備OK。
何も知らずなすがままのアイツを押さえ込み短いとはいえ立派な一本を抜き取った。

ようやく理由が分かりなんだか傷ついたすね顔で見つめられたが知るもんか。
アタシは父親譲りのあの顔になって欲しくないだけよ、そう、これは親切、感謝しろ、むう。

もう一つ、生えてもらうと困るのは口づけの時にあごがちくちくするのがイヤなの。
もっともそんな理由誰にも云えないし、恥ずべきアタシの心情だからこの日記だけの内緒だ、いいでしょ!
151名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/03/05(日) 22:56:10 ID:???
乙です

かわいいね。
152名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/03/05(日) 23:13:10 ID:???
ホリディ氏のネタって、なんかリアルだよな。
153DAHLIA ◆0VwZh5AEOE :2006/03/06(月) 02:23:04 ID:???
3月5日

夢の中に、ミサトが出て来た。 いつもは、私が想いを寄せていた男性と一緒に
幸せそうな顔で現れるのに、今日は憂いに満ちた、悲しげな眼で何かを訴えてきた。
それは、私達の未来に待つ、苛烈な現実を突き付けるものだった。 私が相棒、碇シンジと
共に生きていくこの先には、サードインパクト以前以上の困難が待っているらしい。
終わっていないのだ。 私とシンジは、戦いを終えてこの地にいるのではないらしい。

使徒は全て消え去り、エヴァの存在もない今、何より二人だけで生きている今、何が起こるのかは
教えてくれなかった。 でもそれは、巨大な壁となり私達を戦いに誘う現実だそうだ。
ハッキリ言ってもらえなければ、どうしようもないのに、そのままミサトは消えてしまった。
ただの夢とは思えなかった。 ミサトは亡き人でありながら、私達のすぐそばにいる事、私は知ってるから。


目覚めた相棒に、もしやと思って尋ねてみれば想像通りだった。
シンジの夢には、加持さんが現れ、同じ事を言ったのだという。 ただ違ったのは、
私達二人が手を繋いでいれば大丈夫だ、と言ってくれたことだけど、これはこの人の
性格がもたらした詭弁かもしれない。 結局心につっかえるものが出来ただけで、迷惑な
ことこの上ないが、これが何かの警告であるなら、構えておかなければならないのか。


今日は私が下になって、シンジの重みを感じながら寝ることにした。
寝心地は多分、良くはないだろうけど、時として抱き合っても足りないものがある。
何も無い世界だと思っていたのに、何かあると知ればそれは楽しみでもある。
ずっと、手を繋いで待っていようと思う。    その、新しい戦いを。


何があっても、私とシンジは生き残るんだ。
154名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/03/06(月) 10:04:11 ID:???
乙です


波瀾万丈の予感。二人でなら生きてゆける。
155名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/03/06(月) 12:53:44 ID:???
乙。

新展開かな?かなりwktk!
156ホリデイ ◆A7RGAj24KE :2006/03/06(月) 18:43:14 ID:???
100万ドルの月チョコ日

突然チョコが食べたくなって帰りに専門店へ飛び込み買ってしまった。
スーパーでブラックチョコ一枚にしておけば節約にもなったというのに、
わざわざ2500円もする高級チョコを選ぶなんて頭が悪いとしか云いようがない。

しかし時にはそんな自分の為の無駄遣いをしてみたくなるのだ、
「金は無駄遣いした時にこそ光り輝く」誰が云ったか知らないけどそれもまた真実。

美容にも健康にも悪影響しか無いというのになぜこんなものを欲してしまったのか、
ショーケースに並べられた褐色のダイヤ達を見ればそんな文句云えなくなるわよ、
極上の甘さを提供してくれるスウィーツの魅力にとらわれたら逃げる事はできない、
ゆえにアタシは分不相応な買い物であろうと許可してしまった、そう言い訳しておく。

なのにせっかく買ったそれをとっとと食べずに眺めてるだけで満足してるなんて、
綺麗な箱に宝石の様なチョコ達、矛盾してるが食べるのがとても惜しくなったのだ。
目を離せずにいると近づいてきたアイツが興味を持ったのか色々とたずねてきた、
要は自分も食べたいという事なのだがいつも通りのもどかしい意見具申が腹立たしくて無視。

「いいじゃないかあ…一つぐらい」「アンタねえ!幾らしたと思ってんのよ!」「…けち」悔しいがその通りだ。
「千円払ったら食べさせてやってもいいわよ」ほんとに千円持ってきたので殴っておいた、どこまでヴァカなのよ!
どうしても食べたそうな顔がいじらしい、コイツも宝石に魅せられたのね、しかたないか。

そういうわけで一つだけ手にとると目の前で旨そうに食べてやった、
唇と指先に残ったチョコを舌で絡めとればアイツの視線はアタシに釘付け、
欲望に負けじと我慢しながらも破裂しそうに真っ赤なアイツがとても可愛い。

「…そんなに食べたい?」「う、うん…」「ならたっぷり味あわせてあげるわ」
甘くほどよく溶かしたチョコを唇を介してしっかりと食べさせてあげたらとても満足してたなアイツ。

そうこれは巨額の富を持ってしても代えられない瞬間、無駄遣いとは対極、それもまたアタシにとっては満足、ふふふ。
157名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/03/06(月) 18:53:20 ID:???
乙です


ガムを交換するってのもあるけど、ホリさんはなぜこんな甘いのだろう。溶けそう。
158名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/03/06(月) 19:37:18 ID:???
あのコピペでは交換してないな(w
159名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/03/06(月) 20:47:37 ID:???
乙です。

甘いものがさらに甘いもので包まれている・・・

心の虫歯にしみます。
160名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/03/06(月) 22:00:24 ID:???
      パシャッ
    ∧∧
パシャッ (  )】Σ
    /  /┘
   ノ ̄ゝ
  ミ∧∧ パシャッ
 ミ (/【◎】
.ミ /  /┘
  ノ ̄ゝ
161名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/03/06(月) 22:51:45 ID:???
最近無かったが久々に言っていいかい?

アマーーーーーーーーーーーーーーイ!!
162名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/03/06(月) 23:45:53 ID:???
またしても補完されてしま…………






パシャ……
163DAHLIA ◆0VwZh5AEOE :2006/03/07(火) 02:34:27 ID:???
3月6日

ワンピースに着替え、わずかに暖かくなってきた季節の変わり目を堪能した。
以前は感じることが出来なかった、眠りから覚めていくような気候の変化。
これがいずれは、かつての常だった夏へと変わるのだろう。少し楽しみだ。
相棒と手を繋いで、恋人みたいにじゃれ合ってみた。捕まえてみろと言って
逃げてみると、追いつけずにすぐに諦めるコイツは、恋人失格だとは思う。
立場を逆にしてみても、今度は一瞬で捕まえてしまって面白くもなんともない。
結局、私のほうもあきらめざるを得なくなるのは、なんとも情けない話。

本当に頼りないから、私がついていてあげないとダメ。
本当に何もできないから、私がそばにいてあげないとダメ。
それを悔しいとも思わずに微笑んでしまうバカだから、私が一緒じゃないとダメ。


そんな男を、私は選んでしまったから仕方が無い。
そんな男に、私は選ばれてしまったから仕方が無い。
こんな男に、心を捧げてしまってもう、引き返せない。
今日の星空は、苦笑する私の肩を叩くかのように煌めいている。

後悔はしてない。 満たされてもいる。
世界に一人しかいない相棒の笑顔が、大好きだから。


ワンピースを着る時、私にはまだ下着がない。
気持ちは解るが、鼻血を噴出す相棒には正直、呆れ気味。
からかい甲斐のあるところは、嫌いではないけれど。 
164名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/03/07(火) 03:17:18 ID:???
「ワンピース」と言う言葉が印象的ですね。
2回、とても効果的に使われていて、日記と言うよりは詩的歌的?
GJ
165名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/03/07(火) 06:59:16 ID:???
乙です

リフレインが効果的。DAHLIAさんは詩人ですね。
166名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/03/07(火) 08:00:08 ID:???
乙です

ツンデレ詩人ですな
167名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/03/07(火) 09:28:10 ID:ACempCd4
ここは俺には甘すぎる…切なすぎる…
168名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/03/07(火) 11:34:23 ID:???
>>167
分かる、お前の気持ちが

ところでまとめサイトはないのか?
誰か作ってはくれまいか?
169ホリデイ ◆A7RGAj24KE :2006/03/07(火) 18:58:16 ID:???
女が髪を月切る時日

クラスメイトの子が突然髪を切ってきた、意味深なショートヘア。
片思いに別れを告げたの?と不粋な質問するほど親しくないからやめたが、
周りの評判は上々だし心なしか男子の見る目も何か違う気がした。

うってつけとは云わないけどこういう時に目はしのきくメガネに聞いてみたら、
「そりゃあれだね、ショートは美人にしか似合わないって云うし、新鮮だしね」
珍しく理にかなった話をしてくれたわね、感謝はしなかったがとても納得した。

帰ってから鏡の前で色々と髪をいじって考えてみた。
後ろでまとめるようにしてショート風な感じにしてみたもののしっくりはこない。
自分で云うのも何だが長い方が可愛いわよね、何となくそう思った。
ショートは美人にしか似合わない、けれども似合わない美人もいるって事よ、そうよ、そうに決まってる。
とてもわがままで恥ずべき帰結だがこの時はそう確信してしまったのだ、いたしかたない。

でも部屋で見た雑誌に載ってたキュートなベリーショートの女の子、
とてもとても気になった、美人にしか似合わない、か…
ここまで筋が通ってたらわかるけどアタシにはなあ…
彼女の名前はジーン・セバーグと書いてあった。
もっとも彼女は彼女、アタシはアタシ、互いに知らない同士、勝手にしやがれ、だ。

でも、まあ、やっぱり気になるのは乙女心としてしょうがない。
「ねえアタシがショートにしたらどう思う?」そうアイツに聞いてみた。
「うーん…似合うんじゃないかなあ…」しばらく考えてその答えか、気のきかないバカね。
「アンタねえ、ショートは美人しか似合わないってえのに!」恥ずかしい挑発、語るに落ちるとはこの事だ。
170ホリデイ ◆A7RGAj24KE :2006/03/07(火) 19:01:21 ID:???
「…そういうわがままな所直したら似合うと思うよ…」「ぬ、ぬわんですってえええ!!」
平手を二・三発お見舞いしアタシの右手はアイツの涙で濡れていった。
何よ軽口とはいえ大した度胸見せてくれるわね!平手で済ましたアタシの優しさにちったあ感謝しなさい。
他の女の子だったら二度と口きいてくれないわよ!…けっこう傷ついたんだからね…この時は…

もっともアイツが云いたかったのはアタシは長い方が似合ってるし、
その方が好きなんだという事らしい、最初っから素直にそう云やいいのに、ふん。

すっかりむくれたアタシにようやく気づいたのかアイツはおどおどと謝ったり機嫌をとったり。
今さらながらのやり口にひどく腹が立ったがそんなのいつもの事だから気にはしなかった。
もしこのまま機嫌を直させる一言がなかったら危うくなっていただろう、
…でもシンジはやっぱりシンジだ、
知らんぷりして答えを待ってるとちゃんと見つけだしてくる、それも一生懸命に。

「だって…僕…アスカのあの髪形が好きなんだよ!…」ようやく出してくれたわね、遅いわよバカ。
せっかくだからいつか可愛いと云ってくれたポニーテールにしてあげるととても嬉しそう、
といってももじもじとさっきの勢いなんてどこへ行ったかのもどかしい反応、もう。

「あらアスカまた気分転換?」「そーよ、たまにはこうでもしないとバカの世話でストレスたまるからね」
「ふーん、シンちゃんの仕業ねえ〜」「ぼ、僕何にもしてませんよ…」
「すっかりもやもやしてるくせに♪あれ気に入ってるんでしょ?」「な、何いってるんですか…」
「顔見ただけで丸分かりよん♪」「…そ、そんな事ないです…」「ちょっと何こそこ話てんのよ二人とも!」

もう十分よ、分かりやす過ぎるんだからあのヴァカ。
でも…ふむう…そういう所が好きでもあるけど…まあ心はスッキリしたからいいわ。

おやすみを云う前には愛おしそうに頭と髪を撫でてくれたし、満足満足、ふふ。
171名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/03/07(火) 19:07:09 ID:JiHSYaWn

がんばって下さい
172名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/03/07(火) 19:12:31 ID:???
乙です。

まあよくぞここまで乙女心を描写できますね。
毎回感心することしきりです。

頑張ってください。
173名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/03/07(火) 19:16:34 ID:???
乙です


微妙な揺れ動きがいいですね。
174ホリデイ ◆A7RGAj24KE :2006/03/07(火) 19:37:58 ID:???
>>170、22行目の訂正です

×「ちょっと何こそこ話てんのよ二人とも!」
◎「ちょっと何こそこそ話してんのよ二人とも!」

申し訳ないです。

並びに早めのレスありがとうございます、
明日からもがんばろう、そんな気持ちにさせる源、
それがレス、嬉しく思っています、これからも何卒よろしくお願いいたします。
175名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/03/07(火) 19:39:09 ID:???
謙虚な態度もGJ!!
176名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/03/07(火) 22:53:20 ID:???
乙です。

ささいなミスはみな脳内補完するんで大丈夫ですよ(`・ω・´)
177名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/03/07(火) 23:33:22 ID:???
アスカの日本語が不自由なせいでおk
178名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/03/07(火) 23:58:41 ID:???
人間なんてのはな所詮完璧じゃないんだよ。
だからこそ面白いんだけどな…フッ……。
179DAHLIA ◆0VwZh5AEOE :2006/03/08(水) 03:27:07 ID:???
3月7日

する事が何も無ければ、とりあえず寝ている。 昼寝も日課の一つ。
身体を休めておくことも大切だと思うから。 それなのに、嫌な夢を見てしまった。

幼い日の、子供の自分と向き合う夢。 サルのぬいぐるみを抱いて、何度も母親の名前を
呼び続ける、見たくない自分の姿を突きつけられる夢だった。 この頃鏡を見た記憶など
ほとんどないが、それが自分だと自分であるがゆえに気付いた。 私の声は、過去の私には
届かない。 聞き苦しい泣き声だけが、延々と私の心に流れ込んできた。

振り切ったつもりだったけど、心の傷は簡単には癒えない。 癒えたつもりだったという現実を
思い知らせる夢は、嫌なもの以外の何物でもなかった。 ふとしたことで、こうやって心の僅かな
亀裂から手を伸ばし、私の心をえぐりに来る。

目を覚ました時、見たものは相棒の不安そうな表情だった。
急に私が両手で右手をギュッと掴んできて、離そうとしなかったらしい。
少し恥ずかしかったけど、シンジはそのまま、私を抱いてくれていた。
私が見た夢の事、全てではないけど気付いている。だからあえて、何も話さなかった。

ずっとそのまま、シンジの胸に顔をうずめていた。 何度も何度も、髪を撫でてくれた。
今度は気持ち良く眠れますように、そんな言葉を心に伝わせるような相棒に甘えて、
もう一度、眠った。 夢を見ない、深い眠りだった。


おかげで今夜は、眠れそうにない。 シンジの心が、まだ私を離そうとしないから。
180名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/03/08(水) 08:21:31 ID:???
乙です


過去は向こうから追いかけてくる。安らぎの中の眠り。
181名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/03/08(水) 08:26:34 ID:???
乙です。

安らかな眠りと愛の昂ぶりは紙一重。
182名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/03/08(水) 13:05:37 ID:???
乙です。

それにしてもスレ住人諸君。
だんだんと感想がセンチメンタルに傾いている気がするぞ。

まぁ悪くない。
むしろイィ、このスレは。
183名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/03/08(水) 15:08:02 ID:???
ホリデイ氏やDAHLIA氏に感化されてるんだな、
きっとみんな。
それでもここは良スレだ。
184>:2006/03/08(水) 21:00:32 ID:???
ふぅ...
なんとか...
なんとか...
明日から...
投下できそうです...
185名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/03/08(水) 21:18:24 ID:???
投下お待ちしております。

ガンガレ
186糞コテ ◆hFF06WgFzU :2006/03/08(水) 21:53:30 ID:???
乙です。
まとめホスィ…



ところで書いてるうちにわけのわからない方向に突っ走ってしまったのですが…

日記なら…



なんとか…
187ホリデイ ◆A7RGAj24KE :2006/03/08(水) 22:33:37 ID:???
恋人の月ウェイヴ日

なぜだか知らないがアイツの声にぞくぞくしてしまった。
それはヒカリと帰った際、いまから帰るわよと電話を入れた時の事。

今日はずっとすれ違いばかりだったのだ。

朝、二バカがアイツを迎えに来てアタシは独り寂しく登校。

昼、朝方の事をうんと叱ってやらなくちゃと心に決めてアイツの元へ向かえば、
「…ごめん今日はトウジとケンスケと朝約束しちゃったんだ…」なんて主体性のない奴、ふんだ。
結局ヒカリとお昼を囲んだけどその席で云われた一言、
「ごめん…アスカ夕方つきあってくれる?」いつもの相談ね…親友の切なげな顔には勝てないわ。

「シンジ悪いけど今日は一緒に帰れないわ」色々と気まずい時は単刀直入に云うのが一番。
「僕も二人の買い物につきあう約束しちゃったから…楽しんできてね」
ちったあ悲しんでくれるかと思ったのになんだそのあっさりな反応は、くそう。

でも表情を見ればすぐわかる、ほんとは何事もなく一緒に一日を過ごしたかったねって。
互いにわりきれないまま目と目で伝えあった「明日は一緒にいよう」と。

そうしてアタシは先述のように一報を入れたのだけど、どうやらとっくに帰ってたらしい。
「早いね、いつもの長話は?」「ばか、そんなんじゃないわよ」
この頃見せ始めた意地悪い軽口、腹は立つけど嬉しくもある、なんて云うの…言葉のじゃれあい?

ちょっとした会話に心が揺れてしまったのか、少しだけ胸が熱くなった、不覚。
188ホリデイ ◆A7RGAj24KE :2006/03/08(水) 22:35:22 ID:???
もっと不覚なのはこの後だ、このアタシが帰るんだからさっさと支度しなさいと云ったら、
「…うん、待ってるよ」言葉は普通、なのに声はまるで素敵、それがぞくぞくした瞬間。

加持さんのような甘く囁く大人の低い渋めな声とは違う、
映画スターのような女の子をめちゃくちゃにさせる魅力溢れる声なんかじゃない、
わずかな言葉に想いがありったけ詰め込まれたとてもとても安心する声…

心のオシロスコープに完璧なウェイヴが美しく描かれ記録された。
帰るまでの間それはノンストップでリピートされ、
大好きなポップソングよりも簡単に心へ刻まれアタシの全てを包み込んだ。

寝る前にもう一度同じ言葉を吐かせてみたが完璧なウェイヴは二度と描かれる事はなかった。

やはりあれはあの時の感情、それが産まれるまでの過程、
そしてとても耐え難い餓えの様な感覚、そういった事象が複雑に絡みあい感じたものなのだろう。

アイツの言葉と声はいつもの弱気でもどかしさたっぷりなものに戻ってしまった。
それも別に悪くはない、が、やはりもう一度あんな声でひどく悩ませそして夢中にさせてほしい。

望めど夢は叶わないからしかたなくまっすぐな言葉を云わせて我慢した。
「ねえアタシの事…好き?」「…うん、好きだよ」いつだっていちばん聞きたい問答。

たぶんこの時二人のオシロスコープは素敵なウェイヴを互いに描いてるだろう、きっとそうだ。

今度はいつまた完璧なウェイヴが描かれるのかな…楽しみね、待ってるわよシンジ。
189名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/03/08(水) 22:39:52 ID:???
乙です


恋は全てをバラ色に。女の子だなぁ。いいっす。
190231 ◆hFF06WgFzU :2006/03/09(木) 00:04:15 ID:???
乙です。

…神の直後に申し訳ないのですがアホ路線いきます


心月 重ねて日


どうやら明日からは「春休み」らしい。でも、「春」と言われても、年がら年中夏なんだから、どうもしっくりこない。
ということで、ミサトに、日帰り家族旅行に連れて行ってもらうことにした。行き先は「四季体験センター」

入口の扉をくぐると、普段の暑苦しい風とは違う、心地よい風が吹いてきた。
「へー、これが春ね…」
「なんか、気分がいいね。でも、セカンドインパクト前はこんな季節があったなんて、うらやましいなぁ」
「そうねぇ…でも、冬ってのもあるんでしょ?」
「うん。ガイドブックにものってるよ。『冬になると、雪(写真2参照)が積もり、幻想的な雰囲気が〜』」
「ふうん、でも、寒いのはちょっとね…」

そんな会話をしながら、ワンカップ片手にお花見コーナーにダッシュしていったミサトを放置して、シンジと二人、「夏」に向かった。
191231 ◆hFF06WgFzU :2006/03/09(木) 00:05:17 ID:???
「季節の道」を進んで行くと、だんだんと暑くなってきた。やけに寂しげな顔をした外国人が多いのを見ると、
妙にやりきれない気持ちになって、柄にもなく感傷に耽ってしまった。ちくしょう。

「秋」は、ほとんど春と変わらない感じで。でも明らかにどこかが違うのに、どこが違うのかわからない。
シンジに聞いてみても、「わからないなぁ」の一言。しまいには「春がCとして、秋はCメジャー7云々」などと、わけのわからないことを言い出す始末。
季節って不思議。

「当センター一番の見所」、秋から冬に向かう途中、はたとシンジの足が止まった。






あたしはそのとき初めて、冬という季節、そして雪というものを知った。
それなのに、どこか懐かしい感じがする。なんでかはわからないけど、確かに感じた懐かしさ。
シンジに至っては、感きわまったのか涙目で黄昏てる始末。
というか、後ろから追いかけて来た異常に酒臭い作戦部長がいなかったら、間違いなく泣き出していたに違いない。
192ここで終了しても結構です。 ◆hFF06WgFzU :2006/03/09(木) 00:06:47 ID:???
ひとりおでん屋台に向かったミサトはほっといて、出口までは手をつないで歩いた。
…寒かったからよ。変な意味じゃないわ。



か…帰り際に…その…唇が寒かっただけよ!バカシンジ!








193231 ◆hFF06WgFzU :2006/03/09(木) 00:10:16 ID:???






…と、ここで終わってくれてれば、実に気持ちのいい一日だったはずなのに。
わざわざ日記に書くのも憚られる事態が起きた。何故か。そう、キスをしたそのときからだ。

あたしはなぜかシンジになった。もちろん(?)シンジはあたしに。


多分これは悪い夢だから寝ればなおるはず…
194DAHLIA ◆0VwZh5AEOE :2006/03/09(木) 01:10:10 ID:???
3月8日

名前も知らない、ある家族の写真を拾った。 若い夫婦に小さな男の子、女の子。
四人で幸せそうにカメラに向かい微笑んでいる、一家の写真だった。
日付は一年ほど前になっている。 この場所が街だった頃の風景を残すものだった。
サードインパクトが、この微笑みも、幸せな時間も奪ったことを考えると、気のせいか
左目の傷が痛む。 知らない他人のことなどどうでもいい、そう考えてきた私がなぜ、こんな
感情を抱いたのかは定かでは無いけれど、右目から零れる熱いものを抑えられなかった。
相棒は、その写真をしばらく見つめ私に合わせ泣きそうな表情を見せる。私以上の同じ気持ちに
なっていることは、小さな震えが物語っていた。  どうでもいいはずなのに、悔しい。


罪悪感なんてない。 私とシンジは悪くないから。 たとえ数え切れない命と心があの時消え去った
事実があっても、エヴァの中でもがいていた私達に責任なんてあるものか。
相棒が悪い癖を出さないように、面倒だけど包んであげた。 変えられない過去を心に馴染ませるための、
くだらない行為を繰り返して。 気付けば熱くなるのは私のほうだけど、好きになれる時間が欲しかった。


シンジ、
私達が、家族になろう。 この人達のぶんまで貴重な時間を紡いでいこう。
アンタで我慢してあげるから、私を今以上に大切にしなさいよね。
振り返っても、戻れやしない。 なら二人で、少しずつでも前へ、前へ。
家族になろう。 はがゆさに耐えるのはもうおしまいにして、笑っていよう。

名前も知らない他人の写真を波にさらわせて、今日もシンジと手をつなぐ。
いつかきっと、もっと眩しい写真を撮ろう。 暗い世界で、精一杯輝こう。
今日の涙は、明日への踏み台。 四本の脚で、一緒に跳ぶための。
195>:2006/03/09(木) 01:20:16 ID:???
3月9日

いつものようにシンジと登校。
その辺に咲いてる花を見ては「きれいだね」を連呼するシンジ。
それを指摘するアタシ。
なんでもない、どうでもいい、何の価値もない会話。
だけど、そこには確かにいくつかの笑い声とか、笑顔とかがあった。
それを幸せと呼ぶんだろうか、なんて二人で帰宅してから話した。

そのあと、そのいわゆる幸せな時間が訪れた。
アタシが靴下を脱ぎ散らかして、そのまま布団にもぐりこんだときだった。
「もう、ちゃんと洗濯機に入れなきゃ…」
ユウジはアタシの靴下を持って洗濯機に放り入れる。
「ちょっと、それお気に入りなんだから大切に扱いなさい」
「え?えぇ?だって脱ぎ捨ててたよ?」
「それはたまたまよ、たまたま」
口をつぐんでから、またまたぶつぶつ色々言い出す。
これが見たい、これが見れれば一日幸せだったって思えるような気がする。
「靴下なんか…」
196>:2006/03/09(木) 01:22:06 ID:???
それから、靴下についてベコベコ話をしていたら、ユウジがほかの話題を出す。
帰宅後の話の続き。
どういうものが幸せなのかとか、他愛無い話こそが本当の幸せなのかとか、幸せって何なのか…ずっと話し合ってた。
「僕は今幸せ?」
「そうね、多分幸せなんじゃない?」
「じゃあアスカは?」
「アタシの幸せはこれよ!」
キスをしたあとの爽快感?優越感?
なんというかそういうのがアタシの幸せ。
「これがアタシの幸せよ。分かった?」
もう少し深くしてやると、顔が真っ赤になるユウジ。
この顔もまた、アタシの大好きな顔。困ってる顔。
「あっ、アスカ…ぐへっ」
大好きな顔を見ながら、大好きな鈍感バカと、キスをする。
これがアタシの幸せ。これがあれば、アタシはやっていける。
少しくらいの壁なら、食べてやる。そのくらい、アタシにとって大切な時間で、本当の幸せ。
そのままアタシたちは寝てしまい、ミサトに二人の唇が重なった状態で寝てるのを見られてしまったのは、いい意味でも悪い意味でも笑えた。
197>:2006/03/09(木) 01:30:54 ID:???
お久しぶりです、
明日また忙しくなったら書き込んだ意味ないので、
今のうちに書いておいた明日の分投下しました。
これは、木曜日のモノだと考えていただいて結構です。
なんつーか、あれですけど、久々なので一読者として、感想でも

DAHLIA氏
なんつーか、すごいあれですよね、すごい分厚い涙が出ます。
サードインパクト後の二人に救いを作ってあげられるDAHLIA氏はすごいと思います。
こういう感動できるものなんて、作る技術ありませんけど、応援します。
これからも頑張って下さい

ホリデイ氏
毎度毎度、忙しい時なんかは次の日に溜め込んで読んだりするんですが、
正直わがままが効くなら一日2回投下してほしいぐらいです。
強気で独裁的なアスカに振り回されるユウジ見てると、うらやましくなりますねぇ
これからも、先輩的位置に居るホリ氏を、応援させていただきます。

231氏
久々に戻ってきたら投下されてたようですね。
ふたりの黄昏シーン、良いです。
これからまた、復活を遂げた戦友とか勝手に意識させていただいた上で、
一緒に、がんばって投下しましょう
198名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/03/09(木) 01:57:33 ID:???
>氏乙です
しかし途中からでてきたユウジって誰・・・
199名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/03/09(木) 01:58:42 ID:???
名前間違えたらいかんよ…
200名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/03/09(木) 02:00:57 ID:???
乙です


今日の辛さは明日の幸せ。二人で作る未来。
201名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/03/09(木) 02:13:32 ID:???
yuuziwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww
202名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/03/09(木) 02:17:46 ID:???
乙です。

すんません馬鹿な漏れのために作者さんごとの設定が欲しいんですが…
二人が付き合ってるとかないとか、舞台はEOE後or学園準拠or鋼鉄準拠だとか、まだ二人はkissまでだとかヤっちゃうまでいったとか。
楽しみな分、それぞれの職人さんごとの世界をしっかり把握したいんで…
203名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/03/09(木) 05:11:23 ID:zVYyJM0C
202氏

そいつぁ野暮ですヨ。
204名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/03/09(木) 06:25:31 ID:???
職人さん達乙です。

ここにきてまた盛り上がってきましたな。

これからもみんなでほどほどに盛り上げて行きましょう。

あとは肉じゃが氏ですな、気長に投下お待ちしております。
205名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/03/09(木) 13:13:52 ID:???
か…神が五人…
待ち望んだ日が遂に…
206>:2006/03/09(木) 18:44:14 ID:???
>>198
・・・・・・
友達の名前...
207ホリデイ ◆A7RGAj24KE :2006/03/09(木) 20:28:19 ID:???
ワン月プラス・ワン日

「明日は一緒にいよう」そう交わした口ならぬ眼差しの約束。
しかし結局今日も互いの友人と過ごす事に貴重な時間を費やした。

どうせ三人で馬鹿なふざけあいを繰り広げてるんだろう、
そう考えながらヒカリと別れた帰り道、寂しくはないけど心に小さい穴が空いたような。

誰もいない家に「ただいま」と無意味な挨拶を響かせ余計に気が滅入った。
振り払うように普段着に着替え顔を洗い台所でカップにコーヒーを煎れるとリビングへ向かった。
しばらくはぼんやりとイスにもたれたまま何もせずふわふわしてたけど、
ふと思い立ちベランダへ向かう事にした。

黄昏時、茜色の世界、空も雲も風も皆染まってしまった。
遠くに見える町並みを眺めてもそこにアイツがいるわけじゃない、
それでも何かを探してしまった、今ここで感じた風がアンタの所にも吹いてる?って。

たぶんもう少し大人になってたら、加持さんや赤木博士のように煙草の一本でもふかし、
あるいはグラスのお酒を少し飲みたくなる瞬間なのかもしれない、
でもアタシはそのどちらもまだ全然知らないから、それが心の発露となるのかわからない。

代わりというのではないけれどカップに注がれたコーヒーを飲干してみた。
疲れを癒すカフェインにゆったり浸かると少しだけ気持ちがやわらいだ。

早く帰ってきなさいよ…バカ、そんな甘えた言葉がつい口から漏れたのは、
精神を緩ませる一杯のコーヒーのせい、まったくもって不覚だ、アタシらしくない。
208ホリデイ ◆A7RGAj24KE :2006/03/09(木) 20:29:06 ID:???
染められた世界が暗闇に変わりつつある頃、声が聞こえたなと思ったら、
遥か下界には重そうなスーパーの袋を懸命に振り上げてこっちに合図するアイツ、
さっさと来なさいよと返したらいそいそと建物に入っていった。
それからの数分がなんと待ち遠しかったか…いけないこれもまた不覚ね、ふ、ふんだ。

「今日は挽肉が安かったからハンバーグにしようと思ってさ」
そうやって三バカで過ごしてても忘れてないのね…
何よこっちだってアンタの倍も忘れてなんかいやしないのに…くそう、バカ、バカ…

制服なんかとっとと着替えてこっちに来いと珍しく誘ってやったのに、
「でも買ったもの冷蔵庫に入れないと…悪くなっちゃうよ」だなんてほんとグズね、
このアタシが呼んでんのよ!さっさと終わらせりゃいいでしょ!…ずっと待ってたんだから…もう。

マイペースながらも急ぎ足なアイツを心の中で褒めベランダで夜の始まりを二人眺めた。
「どうしてここに呼んだの?」云えるもんか、二人で同じ何かを見つめたかったなんて。

なぜかくしゃくしゃした気持ちがおさまらなくてアイツのTシャツの裾をぎゅっと掴んだ、
アタシから離れるな、一緒にいようって約束したでしょ!そう云いたい気持ちをこめて。
何するのさ…と云いたげにアイツは裾からアタシの手をはがすと代わりに自分の手を掴ませた。
そうしてアタシ達は何かがあったわけじゃないけどずっと手をつないで離さなかった。

夕食の支度が気になるとこぼすアイツにアタシが手伝うわよとせっかく優しい所見せてやったのに、
「珍しいね…自分からなんて…でもアスカミス多いからなあ…」だって云ってくれるわね!

ミサトが教えてくれたけどシンジがそんな生意気さを出すのは心を許してる証拠らしい。
それを思い出し嬉しさを噛みしめながらもなんだかとても腹立たしいので、
さっさとやるわよとアイツの耳を引っ張り台所まで連れてった、痛い?知るもんか。

たぶんアタシはアイツと今日見た夜の始まりをしばらく忘れないだろう、
二人で一つを見つめるという事、それが何より得難いものであるからこそ、
今度はいつそんな機会があるだろう、また訪れないかな…今度はずっと一緒にいなさいよシンジ。
209DAHLIA ◆0VwZh5AEOE :2006/03/09(木) 21:31:44 ID:???
3月9日

浜辺で膝を抱え座り込み、ぼんやりと海の向こうを眺める相棒。
機嫌がいいのか鼻歌まで聞こえてきた。 昨夜の少しだけ濃い時間が、
曇りをスッパリ取り払ったのだと、よく分かる。 本当に単純な奴。
気分良く歌っているその背後から、悪ふざけで飛びついて横に倒してやった。

そのまま抱きついて、意味も無く降参だと言わせて小気味良くなる私も、単純だと
思うけど。 ふと見てみると、シンジの座っていた場所の右側に、砂地に指で書いた
文字が見えた。私がそれに気付くと相棒は慌てて消そうとしたが、こういう時、速さも
力も勝る私は、シンジに決して遅れは取らない。

シンジを抑え付けて見てみると、そこにあるのは相合傘だった。
碇 シンジと惣流・アスカ・ラングレーという名前を結びつけ天辺にハートを
描いた、女の子の描きそうな可愛い傘だった。
恥ずかしそうに俯いて、何かを言おうとするがまとまらない相棒の顔を覗き込む。
悪いことでもないのに謝りそうな雰囲気を察した私は、先んじて頬に唇を付けてやった。

私達二人しかいなくなった世界、男と女。 相合傘で当たり前なのに。
この寂しい世界で、何にも特別なことじゃない。 これだけの時間が経てば、
それだけでお互いに魅かれている証拠だから。 今更、つまらないことしちゃってさ。


相棒には、教えてあげない。 以前お風呂場で、鏡に同じものを描いたことがあるなんて。
だからって訳じゃないけど、すごく嬉しくて、心が火照っていたことなんて。
210名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/03/09(木) 21:41:35 ID:???
乙です

「しばらく忘れない」「教えてあげない」っていいな。
211名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/03/09(木) 21:50:04 ID:???
ホリデイ氏やDAHLIA氏の文章をまとめたサイトないの?
212名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/03/09(木) 21:59:21 ID:???
まとめサイトの立案、作製は、>>211、君に一任する。
213名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/03/09(木) 22:01:13 ID:???
乙です。

>ホリデイ氏
相変わらず時間描写に心情を重ねて表現する手法はさすがの一言ですね。
個人的に夕方から夜に移り行く時間は大好きなもので・・・
これからも期待しております。

>DAHLIA氏
全く持って詩的な表現で心情を描くのにはついつい心を乱されてしまいますよ。
これからもそのセンスでばく進していただきたいです。
214名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/03/09(木) 23:19:03 ID:???
うはw
職人もつかれ!
215名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/03/10(金) 00:04:33 ID:???
ホリデイ氏、DAHLIA氏、231氏勢揃い乙。
肉じゃが氏はいずこへ…


ホリデイさん、猫の方も一つよろしく。
216名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/03/10(金) 00:48:16 ID:Npzys7yf
>>204さん
>>215さん
自分なんかのこと覚えていただいていてありがとうございます!!
また書きたいと思っていますので、待っていただけたら嬉しいです!
ホリデイ氏
お誉めいただきありがとうございます!

DAHLIA氏
自分のはまだまだ駄文ですので…orz
正直他の職人さん達が羨ましいです…

>氏
おくらばせながら開通?おめでとうございます
これからも期待してまたせていただきます!小さいミスは気にせずいきましょう♪
それではまたよろしくお願いします!
217名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/03/10(金) 01:13:00 ID:???
>はつまらん
218名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/03/10(金) 10:59:40 ID:???
じゃ来るなよぉ

ホリさんが素敵だ。
恋愛長編とか書けそう(笑)
219ホリデイ ◆A7RGAj24KE :2006/03/10(金) 20:35:49 ID:???
お別れに月一曲日

夕食後三人でぼんやり見てたTVのニュース。
その時の内容は最近亡くなったTVプロデューサーのお葬式の模様。

彼にまつわる幾つかのエピソードや参列者のものものしいコメント、
悲しみにくれる遺族の様子や出棺の瞬間が巧みに編集され、
不謹慎な言い方だけど人生最後を締めくくる盛大なイベント、
そう思いたくなるほど手際よく仕上がったニュースに三人とも見入ってしまった。

そのなかでもアタシが気になったのは出棺の際に聞こえてきた曲、
およそ粛々たる状況には似合わない軽妙洒脱なビッグバンドジャズ、
アナウンサーの言葉を聞けば故人が希望した葬送曲なのだとか、
よくもまあそんな人を食った真似が死ぬまでできるわねと、ある意味感心した。

その後ミサトから彼が生前製作してた幾つかの作品の思い出話を聞き、
ついでに余計ごとながらミサトの思い出話にもシンジと二人つきあった。

「だからこそ人の死は儚く辛く決して忘れてはいけないものだけどね…」
おちゃらけた話の中でミサトがこぼした言葉、珍しく重々しい表情と瞳。
ミサトもまた生と死の境目を幾度となく味わった人、
彼女に云わせればアタシとシンジもそうであり、済まない事をしたわねと悲しく笑っていた。

そんな話やめてと二人でたしなめておいた、子供と大人の立場が逆だ、何をしてるのかまったく。
220ホリデイ ◆A7RGAj24KE :2006/03/10(金) 20:38:23 ID:???
話題を変えようとアタシは先述の葬送曲についてひとくさり、
今思えばさらに悪い方向に向かってしまったけど…軽率だったと思ってる、反省してる。

あれだけ洒落た曲を流してくれるなんて素敵じゃない、
アタシはそこまで軽妙な曲は選ばないけど悲しくなるようなのはイヤ。

「私が死んでも泣かないで/明日になったら忘れて/悲しくなんかならないで
 私の事なんか思い出さないで/私によく似た人を好きになって/」
そんな歌詞なのにすごくポップな歌を思い出し、流すなら今の所この曲がいちばんだわ、
そう二人に向かって話してしまった、自分の葬式の事を考えるなんてアタシはまったくアホだ。

もっとアホだったのはその後シンジにこんな言葉を吐いた事、
「だからアンタもしっかりアタシの棺を見送りなさいよ、でないと許さないんだから」

「許すとか許さないじゃないよ!誰かが死んだ後なんか考えたくないよ!ましてや…あ、アス…」
顔を真っ赤にしながらめちゃくちゃ怒られた…そして今にも泣き出しそうな顔…
そうだ、シンジはこういう話を冗談ではなく真剣に受け止めてしまう奴だ、それを忘れてた。
そこが生真面目というかバカ正直というか…普段はこんな凄まじい真剣さなんて出さないのに…むう。

憂鬱な怒りを見せるシンジに驚くアタシへミサトは諭すような意地の悪い笑顔を向けていた。
「だめよ冗談でもそれ云っちゃ、アスカの事いつも真剣なんだからシンちゃん」
後々そっと小声で微笑みの意味を教えてもらった…そう、そう云う事なのね…もうあのバカ。

たぶんそれだけアタシの事を考えているというか大事に思っているんだろう…

そんな事を理解させてくれたのはいいが、やっぱりあの大悪魔、余計な一言云うんだから…
「葬送曲を考えるより結婚行進曲の事考えなさいよアスカ♪」
何をいってるのか自分こそと云いかけたが、妙にニヤつくミサトの目線を追うと、
そこにはさっきと違う真っ赤な顔を見せるアイツがいた…今度はこっちも真っ赤になってしまった、不覚。

まったくアタシ達はとんでもなくアホだ…まあいいか…むう。
221>:2006/03/10(金) 21:12:16 ID:???
>>217
ごめんねぇ
222名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/03/10(金) 22:03:13 ID:???
作者別に、独立した話なんだろうけど
最近、実はどっちかが夢で・・・・っていう
目眩のような絡み合いが見えちゃったりする。
223名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/03/10(金) 22:38:11 ID:???
>>222
わかるわかるwww
もしそうだとしたら壮大な釣りだけどな

それにしても、ホリディさんのはマジ心があったかくなるエピソードばっか。
これがホリディ・クオリティ?
224名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/03/11(土) 00:05:46 ID:???
俺なんか
DAHLIA氏→ホリデイ氏
という時系列なのでは?
と思った事があるぞ。
225名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/03/11(土) 01:13:53 ID:???
乙です

悲しさの後の喜び。
226DAHLIA ◆0VwZh5AEOE :2006/03/11(土) 01:43:30 ID:???
3月10日

今日は散歩の最中に、相棒が珍しいものを拾った。
よく、焼けずに残っていたなと感心する、誰かの財布だった。
大人のものだろう、中には重みを感じさせるお金がズッシリと入っていた。
こんなに多額のお金は、使ったことはもちろん見るのも初めてだった。
私とシンジは、少し興奮気味にお札の枚数を数えた。 私達のクラスの人数ほどの
枚数だった。 サードインパクト前に貰っていたお小遣いだと、何年分かという額だ。

もう、使う場所も価値も無くなってから、こんな拾い物をしても旨みはない。
分かっているはずなのに交番に届けなきゃ、などという相棒の頭を叩いてやった。
そしてそのまま、その財布を思い切り海の向こうに投げた。 小さな水柱を立て、誰のもの
かも分からない財布は消えた。 勿体なさそうな顔をするシンジ。 変な奴だと思う。

お金がいくらあったって、何も買えないのに。 買えるなら、アンタに新しい服でも買ってやりたいのに。
でもそれが出来ないから、持っていてもしかたがないから、捨てただけなのに。
持っていたら使えない悔しさだけが残りそうだから、要らないと思ったのに。

「よく考えたら、いらないよね。」  これが、私の好きな碇 シンジ。
過去という名のお金を全部はたいて手に入れた、私の最高の買い物だったと思う。
他には、何もいらない。


「当たり前でしょ、バカシンジ。」 これが、一番を手に入れた私の自信。
227名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/03/11(土) 01:52:04 ID:???
乙です

パートナーは自分の人生の価値に釣り合うもの。末尾が効いている。
228名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/03/11(土) 02:05:10 ID:???
乙です。

なんというか、表現がお見事。
229名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/03/11(土) 02:49:35 ID:???
両氏乙です。

何だか最近ますますクオリティが上がっているような・・・
レス書く人もなかなかナイスですね。

これからも極上のをおねがいします。
230肉じゃが:2006/03/11(土) 17:31:07 ID:???
またしてもダラダラ長い文を書いてしまいました…
暖かい目で読んでいただけたら嬉しいです。
それでは↓
231肉じゃが:2006/03/11(土) 17:34:58 ID:???
3月某日

なんだかスパッと起きられた!
起きた瞬間にアタシは朝日を浴びくなりアイツのおはようも軽く受け流し一直線にベランダへ向かった。
青い街を眺め、背伸びをする。
朝日って気持ちいい♪

でも次に目に入ったのはベランダの端に溜まっていたゴミ。
ホコリや正体の分からない紙クズ、枯れ葉や枯れ枝。

けれど、その中にアレがあった。
アイツを呼び、それをゴミ溜まりの上から拾い上げて見せる。

「うわ〜、キレイだね〜!」
と言いアタシの手の中を覗きこむ。
「たぶんそれ、桜の花びらだよ!?」
「やっぱりそうよね?キレイなピンク〜。どこから来たのかしら?」
そう。アタシが見つけたのは、薄い白に近いようなピンクの色をした花びら。
異常気象の影響で被害にあった植物や動物は数えきれない。
この植物も例外ではなく、アタシは以前に咲いていた花の代表として本で見たことがあるだけ。実物なんて見たこと無かった。それはアイツも同じだ。
232肉じゃが:2006/03/11(土) 17:37:16 ID:???
「本当にどこから来たんだろうね?今の季節の風はだいたい…」
「南からよね?」
「だと思うけど…。」
「よし!出かける準備しなさい!?」
「えっ、もしかして…。」
「どこで咲いてるか探しに行くわよ!!」
いつものアイツならここでグチグチ文句を言う。だけど今日はそれも言わずに準備を始めた。
それもそのハズ。こんなにキレイな花が満開に咲いているなんて誰でも見たくなるハズよ!
アタシとアイツは急いで支度を整えて家を飛び出た。



分かっているのは、たぶん南から来たということだけ。
アタシとアイツはただ南に向かった。
電車やバスを乗り継いで南へ向かう。
今思えば少し下調べくらいして行けば良かった…。
バスを降りバス停を見る。
「…ここどこよ?」
「僕に分かる訳ないじゃないか…。」
周りは田んぼか畑か林。
なぜか暑い…。南に来たから暑いというわけでは無いと思うけど、周りがこれでは暑く感じるのもしょうがない…。
「どうしよう?」
アイツがアタシの顔を見る。
「当然行くわよ!」
アタシが歩みを進めるとアイツはとぼとぼとついてきた。
233肉じゃが:2006/03/11(土) 17:40:03 ID:???
どのくらい歩いただろう…。
腕時計を見るとバスを降りてから2時間以上過ぎている…。風景に変わりはなし。しかも心なしか登り坂になっている…。
「アスカ!あれ!」
アイツが指を差した先には、小さな商店のようなお店が、登り坂の上にあった。その前には自動販売機とベンチがあり、二人でそこまで走る。
お店のほうは閉まっているが自動販売機はやっていた。
ため息とともにベンチに座る。
アイツにお茶を買わせ一息つく。
お店の影で少しは涼しいが暑いのに変わりはなかった。
二人とも疲労で、出るのはため息ばかり。
今から引き返すことにしても、今来た道を戻ることを考えると気が重くなる…。
アタシ達の重い空気の中、どこから来たのか、老人がアタシ達の前を通り自動販売機でなにかを買っている。
年のわりに若い格好だがそれが似合っている素敵な老紳士だ。
飲み物を買い終えた老紳士がアタシ達の前にくる。
「アンタらよくここまで来たな〜?目的はアレかい?」
老人が目線を向けたほうから風が吹く。

その風の中にピンク色の物が見えた!
アタシ達は顔を見合わせると今までの疲れも忘れ、走り出した。
234肉じゃが:2006/03/11(土) 17:43:33 ID:???
坂を登りきった先には大きな桜の木が2本立っていた。
片方は白に近い薄ピンク色。もう片方は赤に近い濃いピンク色。
風が吹く度にその木々から花びらが舞い、とても綺麗だ…。

初めて見た桜はアタシが本で見たものより幻想的で優雅でずっと見ていると引き込まれて違う世界に行ってしまいそうな魅力があった。
「キレイじゃろ?」
そう言いながら老紳士はアタシ達の横を過ぎ歩いて行く。
桜に気をとられて気づかなかったが、良く見ると木の間にはさっきのベンチと同じ物があり、そこにはまた老人が見えた。
その老人に老紳士が歩み寄り、さっき買っていた飲み物を渡している。
老紳士がアタシ達を手招きして呼んでいる。
近づくとベンチにいた老人は老紳士の奥さんのようだ。キレイな金に近い髪に青い目。この国の人ではないようだ。
桜の下は風が通っていてとても涼しい。
奥さんはアタシ達にお団子がのった皿を渡してくれた。
「若い人達はこういうの好きじゃないかもしれないけどね〜。」
と言われたがとんでもない!そこら辺の洋菓子なんかよりよっぽどおいしかったわよ!
老夫婦はアタシ達にいろいろな話を聞かせてくれた。
235肉じゃが:2006/03/11(土) 17:45:17 ID:???
この二本の桜は、昔一面に桜があった中に老夫婦が秘密で植えたもので、約束の証なんだとか。
約束の内容は聞かなくても分かったけど。
周りの桜は異常気象ですぐに枯れてしまったがこの二本だけは毎年咲くらしい。
この桜が枯れる時はワシらがこの世からいなくなる時だな!なんてつまらない冗談に可愛らしい笑顔で答える奥さん。アタシ達もそれにつられて笑顔になる。
まさに理想の夫婦のようだった。
帰り際に紳士が今日の思い出に持って行ってやってくれ。とアタシ達に小さな桜の枝を渡してくれた。アタシ達は受け取れないと伝えたが、紳士いわく、その方がこの桜も喜んでくれるそうだ。
アタシ達は枝をもらい、時計を見るともうバス停に向かわなければならない時間になっていた。アタシ達は老夫婦にそれを伝えると老夫婦も帰るようだ。
アタシ達は頭を下げお礼を言いバス停に向かう。
その時、アタシは聞いてしまった。

「じゃあワシらも帰ろうか。」
「はい。シンジさん。」
アタシは驚き、立ち止まり振り返る。
そこには手を繋ぎ寄り添って歩く二人の姿があった。
「アスカ、乗り遅れちゃうよ!?」
数メートル先のアイツが言う。
アタシはアイツに駆け寄りそのまま二人で走る。
236肉じゃが:2006/03/11(土) 17:46:49 ID:???
少し先で振り返ると桜がアタシになにかを伝えるように風の中にいた。
アタシはそれを目に焼き付けるように数秒見つめる。
「アスカってば〜?」
「分かってるわよ!」
また少し先にいるアイツに駆け寄る。するとアイツは手を差し出して来た。アタシもそれに答える。
帰り道、長いはずだったのにコイツと手を繋ぎ歩いたらすぐに着いてしまった。
バスの中でアイツが僕達、あの桜に呼ばれたみたいだね。と言っていた。アタシも同じ気持ちだった。
237肉じゃが:2006/03/11(土) 17:49:18 ID:???
今は、リビングで小さな花瓶に刺さっている二本の桜を見ながら今日の不思議な体験の日記を書いている。
アタシの横には、疲れたのか無防備に眠るアイツがいる。
調べたのだが、花言葉は『精神美』
あの桜はアタシに心をキレイにしろって言いたかったのかしら…?
確かにこの桜を見ていると心が澄んでいく気がする。
今日だけよ?そう思い。アタシはアイツにタオルをかけ、頭をそっと持ち上げて膝枕をしてあげた。
頭を撫でてやる。
すると寝言でアタシの名前を呼んだのだ!
なんだかアイツがいつも以上にすごくいとおしく感じてしまった。
コイツは世界に一人しかいないんだということを感じてしまった。
桜はアタシにコイツの大切さを今まで以上に教えてくれた。
今ハッキリと体全体にコイツが好きということが刻まれた。
これはずっと変わらない気持ちだと思う。
これからも二人で生きていこうね?シンジさん♪
ふと桜を見ると風が無いのに揺れているように見えた。
238名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/03/11(土) 19:10:30 ID:???
肉じゃが氏、長文乙です。
気合い入ってますね。「シンジさん♪」は何だか「めぞん一刻」を思い出させるようなフレーズですね。
これからも期待しております。

肉じゃが料理(名付け)人より
239ホリデイ ◆A7RGAj24KE :2006/03/11(土) 21:15:13 ID:???
眩きは月月の光日

昨日の雨で乾ききらなかった洗濯物を干しっぱなしにしたまま忘れてて、シンジに注意された。
何でアタシがやらなきゃいけないのよと文句を返したらまた怒られた。
「何で僕がアスカの下着とりこまなきゃいけないのさ…」それもすっかり忘れていたわ、
うるさいこのムッツリスケベと捨て台詞を吐いてアタシはベランダへ。

いつもみたくあのバカにまかせなくてよかったと思いながら、
見上げた夜空に浮かんでいたのは数少ない星々たちと、
対照的に誇らしげな光を見せつける月一つ。

薄い雲に覆われながらも決して光を絶やさず注ぐ月があまりに綺麗で、
S-DATに夢中だったシンジをベランダへはしゃぎ半分に誘ったのはらしくない行動、
つまりはそれだけ心をときめかせる月の光がいけないのであって、
アタシがそんな可愛げをふりまくような女などではないと名誉の為にあえて記しておく。

連れ出されて不満げなアイツも月光に魅せられたのかしばらくは立ち尽くすのみ。
やっと口が開いたかと思えば嘆息混じりの声にならない声が聞こえるだけ。
それでも美しさは知ったのだろう、ずっと空を見上げたまま、視線を崩さなかったわ。

出会ってしまったアタシ達は今同じ月を見ている。
いつも不安だ、何を信じればいいのか迷っている。
だからこうして同じ何かを見つめ感じあって安心したいんだろう。

月光にまみれたアタシの姿が、もっと云えば髪や顔がその手が足が、
とても綺麗でそっちに見とれたと恥ずかしそうにアイツは云ってくれた。
月の光を借りなくてもいつだって見とれさせてやるわよ、そう心で呟いたのは内緒だ。
それはそっと近づいて肩を寄せあい二人光の中に包まれてた時、アタシとアイツが見つめあった時。

そして月下のベランダでアタシ達はそっと口づけを交わした、それは月からの贈り物、
アタシはそう思っている、アンタは…どう思った?その内教えなさいよ…次の満月までにね、ふふ。
240名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/03/11(土) 21:48:27 ID:???
肉じゃが氏、ホリデイ氏乙です
241名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/03/11(土) 22:00:49 ID:???
ホリデイ氏乙です。

ああ、今宵もホリデイ氏の描く世界に溶けていく・・・







パシャァァァン
242名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/03/11(土) 22:03:28 ID:???
乙です


月明かりの恋人。
243DAHLIA ◆0VwZh5AEOE :2006/03/11(土) 22:13:19 ID:???
3月11日

朝から、相棒の態度がおかしかった。 私と顔を合わせようとせず、
こちらから覗いてやるとすぐに目を逸らす。 顔が紅く高揚しているのに
気付いた私は、テレパシーではないけど、少しだけATフィールドを解放し、
コイツの心に入り込んでやった。 世界でたった一人、シンジにだけ出来ること。

私の脳裏に流れ込んできたのは、あろうことか私の下着姿、もしくは裸だった。
更には触れたときの感触やその先まで、以前なら強引に打ち切って即座に殴り倒して
やったであろう、卑猥な妄想の数々だった。 異性のことは、まだまだ分からない。
男とはこういうものか、と納得しつつも嫌悪感を覚えるが、そんな気持ちを抑制しつつ
尋ねてみた。 どうも原因は、暖かくなってきたので服を中途半端に着て大の字になって
寝ていた私にあったようだ。 まだ、私が無防備でもそれに付け込むような思い切りの良さは、
シンジには無いようだ。 結果として、持っていく場のないシンジの昂りは、生殺しにされていたのだろう。


知っている。 以前はミサト、ファースト、私の三人がシンジの心の中にいた。
シンジの女性への欲求が、いつも三人に向けられていたことを。
ちょっとだけ複雑な気持ち。 それは、今のシンジの中に私しかいないこと。
いつでも覗いてしまえるから知っている。 明けても暮れても、私の事だけ。
見るのも触れるのも、感じるのももう、私しかいないから、当然だけど。

いつだって、満たしてあげていい。 望むままに、してあげていい。
いつだったか忘れたけど、それが約束だから。 ほんの少し、勇気をだせばいいのに。
このままじゃ、私が負けてしまいそう。 たまに狂いそうになるんだ。

今夜は、心も身体も熱くなりそう。 我ながら、気持ち悪い感覚なのに止められないのが
馬鹿げてると思う。

なんとかしてよ、シンジ。
244名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/03/11(土) 22:20:27 ID:???
乙です

少しだけ手を伸ばせばかなう願い。
245名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/03/12(日) 02:19:34 ID:???
>なんとかしてよ、シンジ。
俺でよければ是非なんとかするのに…

あー、これで231氏が降臨すれば四天王勢揃いだったのに…
246名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/03/12(日) 20:06:49 ID:???
ネコアスカの話萌え。
ホリさん。GJ!
多分皆様知ってると思うけどアスカが猫になっちゃた。というスレにホリさんが書いてます。
247名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/03/12(日) 20:50:43 ID:???
なーお!
248ホリデイ ◆A7RGAj24KE :2006/03/12(日) 22:34:58 ID:???
>>猫アスカ
おやおや、見てていただけたのですね、戯れの投下に反応していただけるとは嬉しいです。
でもそこまでな話かなと思ってたのですが…まあ喜んでいただけるなら、
これ以上の喜びはありません。

手前味噌ながら実はもう一つのスレにちょこちょこ投下してます、
LASとは全然関係ないですが、御興味があれば一読をそして一笑していただけたら幸いです。

では本日分を今さらながらとはいえ投下しますか↓
249ホリデイ ◆A7RGAj24KE :2006/03/12(日) 22:36:23 ID:???
神月様日

この世界に神がいるなんてアタシはちっとも思ってない。
信仰の成果が信ずる者に与えられるならばもう少し住みよい世界になっている、
そう思うと何一つ叶えられない理不尽な世界はどう説明すればいいのか?
なればこそ神の存在を否定したくなるけれども。

貧困も飢餓も不幸も困窮も戦争もいさかいもストレスも骨肉の争いも、
全てがちっとも無くならないなんてそれは神の力不足、
何よりアタシにとってはあのバカが少しでもいい方向に向かえないそれだけでも神の力不足、だ。

戦争は終わったの?それともまだ続いてるの?塹壕の中から見渡すばかり。
降伏の白旗すら見る事のできない混沌とした戦場のような日々、
それでも心の銃をあるいは爆薬を抱えて道を迷ってるなんてどんな気持ち?

今日だってそうだ、ちっとも何一つ叶えてくれない力不足の恋人、
いつも通りのそれなりなコミュニケーションはまあまあ心を支えてくれた、
それでも満足できず燻ったハートに悩まされてしまうのはわがままだけれど、
要はそういう何かを見せてほしいアタシなりの欲望、そうなんだから。

ぶつけようのない気持ちを抱えればどうにもならない心と体の袋小路、
それでも、それでもだ、アタシは無神論者ながら神に感謝してしまった。

「ねえ、隣に行ってもいいかな…だめ?」待ち望んでいた言葉、希望の光、それはアイツの御業。
「うるさいわね、したけりゃすりゃいいじゃない」寝転んだままそう答えたら素直に従ってくれた。
そのままアイツの膝枕に全てを預けてしまったなんて、それがアタシの望み?まったくもって不覚だ。

偶然のような必然、生まれいでた奇跡、それはこの世のどこかにいた神の気まぐれそして御業。
感謝なんてしなかったけれどアタシは神の存在を少しだけ認めた、ひざまずくほど全ては預けなかったが。
その証拠にどうせならアイツをもっと気のきいた男にしなさいよ、そんな願いを押しつけたほどなのだから。

ともあれ叶えられた願いをたっぷりと膝枕という形で味わってやった、今日もまた良き日也、ふふふ。
250DAHLIA ◆0VwZh5AEOE :2006/03/12(日) 22:48:52 ID:???
3月12日

あまりにも、美しい星空に導かれて夜の散歩に出かけた。
街の灯りがないから、真っ暗なのは仕方ないけどそれでも、なんとなく明るさを
感じる程の星空。 近い場所なら、それとなく地形だって把握できているから、大丈夫。

勿論、相棒と一緒に。 手を繋いで、いつもの無駄話をしながら大切な時間を紡いだ。
真っ暗なのに、相棒の顔だけはハッキリと見えるのが不思議だ。それどころかシンジの瞳が、
私に向く度にぼうっと熱くなるような感触が心に走る。 
アンタも同じなの? 無言で頷く相棒。 目を瞑れば、お互いの鼓動さえ聞こえてきそうな感覚。
闇によって研ぎ澄まされているのか、原理、理屈は分からないけど、本当に不思議。

いつぞやの電車の椅子が、手招きをしているように見えたからまた、座った。
繋いだ手から考えていることまで筒抜けになってしまうのは、よく分からないけど凄いと思う。
灯りはないのに、こんなに明るい夜。 素敵だと感じる心が、無意識にシンジの唇を求めてた。
灯りはないのに、寂しくない。 真っ暗なのに、眩しいくらいに。
本当に綺麗な夜空。 流れ星なんかなくっても、願い事はなんでも叶いそうだ。
だってもう、いくつかは叶ってしまったから。 この時間が、そう言ってる。
この温もりは、決して離さない。  次に叶えたいのは、永遠。


シンジをずっと、抱いていられますように。
シンジにずっと、抱かれていられますように。
251DAHLIA ◆0VwZh5AEOE :2006/03/12(日) 23:06:43 ID:???
実は私も別スレに投下していますが、LASと無関係なので名前は伏せています。
皆似たようなことやってるなぁって、微笑んでしまいましたがw
最近はアスカ日記の情景が夢に出たりする始末ですが、頭から出てくる限りは
行くとこまで行こうかな、なんて思ってます。

ご感想をくれる皆様、毎日の様にありがとうございます。
また読者として職人の方へ感謝しつつ、これからもよろしくお願いしますです〜。
252名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/03/12(日) 23:20:53 ID:???
乙です

人はそれを運命と呼ぶ。ホリ氏の別スレは確認してます。When you wish upon a star. DAHLIA氏はあれかなと思ってみたり。頑張ってね。
253名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/03/13(月) 08:59:21 ID:???
乙です

あったかさに生きる気力がわいた
254ホリデイ ◆A7RGAj24KE :2006/03/13(月) 20:52:59 ID:???
風月待ち日

帰り道のさなか風がアタシに吹いてきた。
なんだかわからないけどとても妙な気分だ、一陣の風、それは何を呼び起こしたのか。

花の香りが運ばれたわけではない、美しい水の匂いが鼻を満たしたのでもない、
それなのに落ち着いた心、鎮められた情念、そして躍りだす想い、これは何?

風の源はどこなのか探し求めるように周りを見渡してもそれらしき何かはまったくない、
なればと風の神に導かれるように五感だけで歩いてみた所、行き着いた先はいつもの我が家。
まさかそんなはずないわよね、アタシも相当なおバカさんよ、これは誰にも内緒、
そう思って扉を開けたら先に帰っていたアイツの情けないおかえりの声、
もう一人のバカがいたわね、苦笑したのも内緒。

何一つ起きずさりとて驚きのない一日、着替えていつものようにリビングへ赴き、
シンジと話すまではそう思っていた、でもやはりサプライズはいつも唐突、そういうものだ。

風が心地よくなったと話し始めたアイツが珍しくて、
そうねさっきも心地いいというか心を落ち着かせる風が流れたとつい口を滑らした、
不思議そうにみつめてたアイツ、バカだと思ってんでしょ、そう考えたが違うようだ。

「アスカも感じたの?僕もさっきそんな不思議な風が吹いたと思った、ベランダにいた時」
アタシがついしてしまうようにアイツも今日はベランダでアタシの帰りを待っていたとか…
そっか…風の源はやっぱりここだったのね…風神の導きなのかしら、まったく何してんのよお互いに。

それぞれから吹いた風を感じあえたなんてとても嬉しかったが、わざと内緒にしておいた。
ただし、いつもよりはざまを10cm縮めて過ごしたのはつまり喜びを与えてくれたアイツに対する感謝、だ。
アタシが近づいたんだからちったあ嬉しそうにしなさいよ…そう思いちらりと見れば、
いつもより妙にはにかんだ笑みのアイツもちらちらと見つめてた…うん、少しは素直になったわね。

もう一度、今度はしっかり見つめておいた、アンタの風嬉しかった、そう伝えるように。
想いがさっきと同じ風にのって届いたかはアイツのほほにさした赤みを見れば十分よ、ふふふ。
255名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/03/13(月) 22:04:40 ID:???
乙です

想いは風に乗って。
256名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/03/13(月) 22:26:37 ID:???
乙っす。

二人をつなぐ絆
257>:2006/03/13(月) 22:54:15 ID:???
3月13日

最近自分の体格が悪く見えて仕方が無い。
鏡で見たときも、誰かと話しているときも、
自分の小さな仕草がどうしょうもなく悪く見えるのだ。
今朝のびをしたときも、なんだか自分の腕が太く見えてしまって、
すぐやめたりした。

アタシ程完璧な人間は居ないのに…
どうしてもそう見える。理由なんて知らないわ、見えるんだから仕方ない。
でも、このまま自分に自身が持てなくなるなんて想像できない。

そして、ついに夕飯が済んだ後、訊いてしまった。
「シンジ、アタシどう?」
「えっ?どうって訊かれても…」
「話の通じないヤツねぇ、アタシがアンタからどういう風に見てるのか教えなさいって事よ!」
向こうもやはりこんな質問にパッと答えられるはずが無かった。
むぅっと黙り込んで、考えている。
「だからさ、どういうってどういうのさ」
少し、いやとてつもなく恥ずかしい質問だった。
このバカ、アタシだって困ってるのよ。
「アタシの…体格…」
ぶすっと答えてしまった後はもっと良い言い方が有ったんじゃないかと悩めてきたが、
向こうの答えを待つことにした。
「うぅ、そんな事聞かれても…答えらんないよ…」

そう、答えられるはずも無い。だけど、こんな質問をしてしまったことに意味が無いと開き直ってしまえば、このとてつもない恥ずかしさが犠牲になる。
「ねぇどうなの?」
「うーん、そうだなぁ」
258>:2006/03/13(月) 22:55:28 ID:???
シンジの顔が少しずつ赤らんでいくのを見てると、
自分の顔も赤くなっていくような気がした。
「………」
完全に真っ赤なアタシ達は黙ってしまった。
部屋のすみっこに落ちてるホコリとか、そんなのをじっと見たり、
確実にアタシは目を反らしていた。
シンジもシンジで、爪のよごれを気にし出した。
恥ずかしかったけど、もう一度聞いてみる。
「どっちぃ?」
「そっ…そんな事いきなり聞かれても答えられるわけ無いよ…」
どうやら答えてくれそうに無い、ここでこのギクシャクした雰囲気を残すワケにも行かないので、別の質問に変更。
「アタシのこと、好き?」
こればかりは分からないとは言わせない。
それに、この質問なら堂々と胸を張って訊ける。
「大…」
クスッと笑ってしまった、あの反応には思わず笑ってしまっても問題無い。
それに、結構気の利いたこと言ってくれるじゃない。
まさかあのバカが”大”をつけてくれるとは思わなかった。
「すっ…」
”す”まで言ってくれれば後はもうこっちのモンだ。
ご丁寧に目を閉じてやった。ちょっとは綺麗にしてやらないと、
向こうが満足できなければアタシにもできない。
「き…」
アタシはじっとこらえて待つ。早く来い!
259>:2006/03/13(月) 22:56:14 ID:???
シンジの顔が少しずつ赤らんでいくのを見てると、
自分の顔も赤くなっていくような気がした。
「………」
完全に真っ赤なアタシ達は黙ってしまった。
部屋のすみっこに落ちてるホコリとか、そんなのをじっと見たり、
確実にアタシは目を反らしていた。
シンジもシンジで、爪のよごれを気にし出した。
恥ずかしかったけど、もう一度聞いてみる。
「どっちぃ?」
「そっ…そんな事いきなり聞かれても答えられるわけ無いよ…」
どうやら答えてくれそうに無い、ここでこのギクシャクした雰囲気を残すワケにも行かないので、別の質問に変更。
「アタシのこと、好き?」
こればかりは分からないとは言わせない。
それに、この質問なら堂々と胸を張って訊ける。
「大…」
クスッと笑ってしまった、あの反応には思わず笑ってしまっても問題無い。
それに、結構気の利いたこと言ってくれるじゃない。
まさかあのバカが”大”をつけてくれるとは思わなかった。
「すっ…」
”す”まで言ってくれれば後はもうこっちのモンだ。
ご丁寧に目を閉じてやった。ちょっとは綺麗にしてやらないと、
向こうが満足できなければアタシにもできない。
「き…」
アタシはじっとこらえて待つ。早く来い!
260>:2006/03/13(月) 22:57:35 ID:???
はーやーくー 来い!
待ちきれなくなって、丁度下を向きながらこっちへ顔を近づけるシンジに、
アタシは堂々と突っ込んでしまった、額がヒットして後で頭を抱えることになったが、
とりあえずは、満足した。アタシがしたんだから、アイツもしたんだろう

もし、”大”が入ってなかったら、アンタをこんなに困らせることはなかったのよ、
自業自得だわ。
そういえば、キスした後はいつもより自分が綺麗に見えたわ。
心も体も満足したから、こんなに充実したキスをありがと。

心から、体から、ありがと
261>:2006/03/13(月) 22:59:28 ID:???
ぐふぅ
何とか投下
もはや臨界点を突破した多忙期間でしたが
何とか抜け出せました、
これからも駄作投下させていただきます
まぁ手は抜いてるつもり無いので、レス消費という言葉だけは出さないでくださいね…
262名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/03/13(月) 23:45:46 ID:???
263名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/03/14(火) 04:07:20 ID:???
GJ!!
264DAHLIA ◆0VwZh5AEOE :2006/03/14(火) 05:42:41 ID:???
3月13日

サードインパクト前の暮らしを、いまだによく夢に見る。
心が何処か懐かしがって、大勢の人がいた世界を求めている。
朝から夜まで、時間に合わせ様々な音が聞こえてきた、あの世界。
すっかり慣れたとはいえ、恋しい気持ちが捨てられないのは仕方がない。

目を覚ますと、次第に薄れてはいる絶望感。 そこに手を差し伸べるのは同じ
痛みを知るシンジだけ。 私がその夢を見ていることは、頬に伝う涙で分かってしまう。
いつも先に起きる相棒は、拾いもののハンカチで拭ってくれている。 自分も泣きそうなのを
必死にこらえながら。 今朝もそうだった。震える手で、頼りなく優しさを振りまいてくれた。
泣き顔を見られるなんて屈辱だけど、同じ思いの相棒は責められない。 どうしようもない時は、
二人で一緒に、気が済むまで泣いている。 そうしないと収まりがつかないから。


暖かくなる季節の変わり目に、冷たい心をぶつけ合う。 取り戻せない時間への未練が、
それを超えられない悔しさが、少しでも溶けていくように、と。
不覚。 それは相棒の泣き顔が美しく見えること。 見たくないのに魅きつけられること。
目覚めた現実が悪夢なら、それを僅かでも彩ってくれるシンジには感謝している。


いつまで続くのだろう、 冷たいのに熱いこの旅路は。
まだ、信じてる。 変えられないものを変えていけること。
たとえば十年後、生きているかどうかは分からない。 それでも、
相棒と一緒にいることは信じたいの。 嫌いなものは他でもない、自分だけ。

明日も泣くかもしれない。 でも、シンジが拭ってくれるなら、次の日がやって来る。
似たもの同士なら、堕ちていくのも悪くはない。 だって、生きてるんだから。
265名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/03/14(火) 09:19:49 ID:???
乙です。

明日をのぞむチカラ。
二人でなら生きていける。
266名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/03/14(火) 09:41:04 ID:???
前から聞きたかったんだけど、↑の一言ポエム感想は同一人物?
267名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/03/14(火) 10:31:20 ID:???
乙です


変えられないものを変えていける。いいね。
268ホリデイ ◆A7RGAj24KE :2006/03/14(火) 20:28:43 ID:???
3月14日

結論から云ってしまおう、とてもドキドキしてる、何なのよこの感覚。
今までわからなかった何かが起きた一日、知らなかったなんて云わせない、アタシ自身に。
どうしていいものかわからずペンを握りしめ日記に感情のつぶてを記してるわけだが。

いつもと変わらなかった、別々にお昼食べて、別々に帰った、しかもアイツはアタシより遅かった。
哀れな少女を飢え死にさせる気?!とこれまたいつも通りの文句を云ったのに、
「あ…ごめん」と悪びれずさらりと受け流されたなんて、今日は最悪な日だ、そう思っていた。

抗議の意を表してあっという間に夕食を平らげてリビングへふてて一目散、
少しは何か感じてフォローの一つもと考えていたアタシは甘かった、
ゆっくりと食事に専念しミサトと軽口叩きあい後片付けを丹念にしてたアイツ、くそう。

すっかりつむじを曲げて膝を抱えたままほほをふくらませてたアタシの元に、
アイツがのほほんとやってきたのはそれよりも更に後だ、ふざけてるわよね、
二度と口きいてやらないんだから、そう構えてたのにすぐに前言撤回する事になるとは、不覚。

やっぱりいつも通りのご機嫌伺い、その口調死ぬほど嫌い、ささくれた心は止まらない、
なぜか恥ずかしげでおどおどしたアイツがアタシの肩口から差し出してきたのは、
小さめの包装された箱、はん、プレゼントで騙そうってえの?!そこまで安っぽくないわよ!

何度も開けてとせがむので痛めつける口実には中身が何かわかった方が良い、
見てなさいよ二度と起きあがれないほど傷つけてやるんだから…そう思いながら開けると…
269ホリデイ ◆A7RGAj24KE :2006/03/14(火) 20:29:43 ID:???
出てきたのは天使をかたどったホワイトチョコだった。
「…今日14日でしょ、先月は忘れてたから悪いと思ってさ…」
小箱を抱えたままゆっくり振り返るとほんのり赤く染まったはにかんだ笑みのアイツ、
な、何よ、アタシのいちばん好きな顔、し、してくれちゃって…

「アンタこんなもの買ってきてどういうつもりよ?!」
「ど、どうって、き、今日はだからホワイトデーだし…」
「だいいちこれいくらしたのよ!店の名前知ってるけど、
 あそこアンタみたいなバカなガキがほいほい行けるとこじゃないでしょ!」
「え、えっと…二千円…で、でもそれ貯めたお金だから、問題ないと」
「この大ヴァカ男!!…ほ、ほんとに大ヴァカのバカシンジ…なんだから…」

ちっとも嬉しくない顔を懸命に見せてやったが、間違いなくアタシの口はゆるんでいただろう。
そしてたぶん人知れず耳まで真っ赤にさせてしまっていたに違いない、不覚も不覚、大不覚よ。

さりげなくリビングの様子をのぞいていたミサトに呼び出され、
「少しは喜んであげなさいよ、シンちゃんが珍しく自発的に行動したんだから」
あの鈍感バカの一挙一動にいちいち一喜一憂してられないわよとすねて返せば、
「素直じゃないわねじゃじゃ馬娘は、でもお姉さんアスカの心お見通しよん♪」
中身を見た瞬間のかすかな笑みは見逃してなかったらしい、やはりあなたは大悪魔、恐るべし。

「よかった?」とうるさいアイツへ聞こえないようにありがとうとは云っておいた。
それも寝る前に襖を閉める瞬間、我ながらこの可愛げない始末にヘドが出そうだ、自分がイヤになる。
そのくせ閉じた後ベッドに潜り込んでじたばたしたあげくチョコを胸に抱いたまま、
誰にも見せないにへらとした笑顔を飽きがくるまでしでかしてしまうのだから…ふむう。

ここまで書いてみてやはり心が落ち着かないというかスッキリしないというか、
惣流・アスカ・ラングレーとして何一つ仕返してないわね、
傷つけられたプライドは10倍にして返してやるというのに、これでは口惜しくてたまらない。

そう、きちんとした礼を云われず悶々としてるアイツにしっかりお礼をしてやらねば、
それは熱い抱擁?それともいつもの口づけ?攻撃方法はいくらでもあるわね、待ってなさいシンジ、ふふふ。
270名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/03/14(火) 21:00:38 ID:???
乙です


微笑ましい二人。
271>:2006/03/14(火) 22:04:50 ID:???
3月14日

ずっと前からヒカリに借りてて返そうとしてた本があって、
弁当に喰らいついているヒカリに渡しに行くとき、
嫌な物を見てしまった。

ゴキブリ

忌々しい大害虫。この世に存在するムシの中でもっとも有名かつ恐ろしい。
家政婦なら誰でも知っている。恐れている。まさに化け物。
ヒカリはあんなの放って置けば何もしないなんて、ハチじゃないんだから。
トイレの前に伏せるその化け物は、ひたすらコソコソと動く。
こんなムシ取るに足らないけど、やはり気になってしまう。
あまり深く考えすぎたせいか、尾行されているような気すらしてきた。
「ごめん、ちょっと頭冷やして来るわ」
一人で教室まで戻って、くだらない授業を受ける前。
教室にそれは現れた。

シンジは弁当の時間を3バカで過ごしていたんだと思うけど、
アタシがゴキブリに変な視線を向けているのは見えていたらしい
「どうしたの?」
女子の絶叫が渦巻く中、男子はワイワイ騒いでホウキでゲーム気分で楽しんでたし、
とにかく教室が荒れていた。
たかがムシ一匹でこんなに空気が変わるなんて小学生でもほとんど無い。
272>:2006/03/14(火) 22:06:12 ID:???
でも実際変わってしまったのだからそれはそれで気楽に受け止めておく。
「なーんにも、ゴキブリ一匹がッ」
足元にやってきた”それ”はアタシを睨んでるのか知らないけど、
そこで一瞬動きを止めた。
「アスカ止まって!」
シンジはクラス全員の前で堂々と手を伸ばし、素手でその弾丸を受け止めた。
空気が一瞬静まり返り、その後は男子にからかわれて女子からは避けられるの始末だった。
でも、一番酷いのはアタシに対する男子の目だ。
シンジとアタシの関係と言うモノは既に気づかれている。
もう隠せるモノでは無い。
のんきに手を洗いに行くシンジがうらやましかった。
(何でそんなにいっつも顔が平行なの…?)
そうだ、ほとんど顔色が変わらない。
だが、抑えられたゴキブリを無理矢理野郎どもが放ってしまい、大パニックが再来。教卓もあたふた。
あのバカ、こんなときにのんきに手ェ洗ってんじゃないわよ。
男子の目的はどうせあれだ。シンジの反応。
無理矢理こっちに誘導しているのは一目瞭然。
授業の始まりを告げる鐘がなった時、シンジが戻ってきた。
アタシも顔が勝手に変わってたみたいで、シンジも
「どうかしたの?」
という顔をしていた。

結局シンジにもアタシにも恥ずかしい思いをさせるつもりだったろうから、
アタシは思い切ってヒロインを超えた。
足で思いっきり化け物を踏みつぶしてやったわ。

汚れたって良いから、守られた守ってあげた。
273>:2006/03/14(火) 22:09:50 ID:???
うわぁぁぁぁぁ!!
守られた分、守ってあげた
でした、すいません。ホントすいません
14日のじゃなくて、すいません
274名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/03/15(水) 00:52:03 ID:???
おつ
275名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/03/15(水) 01:16:17 ID:???
良作あげ
276DAHLIA ◆0VwZh5AEOE :2006/03/15(水) 01:25:47 ID:???
3月14日

今朝、目を覚ますと相棒の姿がなかった。 また、一人になってしまったのかと
思うと不安な気持ちは並じゃない。 でも今回は、相棒のすぐ戻るという置手紙を
見つけ、いくらかは焦りも和らいだ。 心配だけど、おとなしく待つ事にした。

お昼前に、シンジは帰ってきた。 ニコニコ笑い、それでも不在の時間を謝りながら。
当然、聞かれると分かっていたのだろう。可憐な相棒を置いて何処へ行っていたのか、
シンジの方から話し始めた。 あるものを、造っていたのだと言う。 以前貝殻のペンダントを
くれたことがあった。 今回は貝殻の数を増やして、綺麗なネックレスを造り上げていた。
そのネックレスは、ただ貝殻を繋いだものではない。色彩は鮮やかで、大きさもバランスよく並ぶ、
シンジのセンスが光る出来栄えだった。 これを、私に渡すため、見えないところで造っていたらしい。

今日は、バレンタインのお返しをする日だから…これが、理由だそうだ。
何を考えているのか、この馬鹿は。 お返しも何も、私は先月、何もあげていない。
本当はあげたかったチョコレートも、こんな暮らしでは儚い夢。 なのに相棒は、
今日何を渡そうか、随分前から思案していたらしい。 冗談じゃない。

これじゃ、私ばかり借りを背負っていく事になる。 でも、ネックレスを突き返す気にはなれなかった。
キレイで、見ているだけで中にこもったシンジの優しさが見えるようだったから。
そこら辺に転がっているもので、宝物を創れるなんて少し尊敬する。
朝、寂しい思いをしたことは許してあげていい。 コイツのせいで、手ぶらの私がどんどん重くなってゆく。

どうせなら、動けなくして欲しい。ずっとここでいられるように。 ここだけでいられるように。
隣に座る、馬鹿な男に感謝の口付け。 飽きているから、今日は恋人にしていてあげる。
ホワイトデーに、乾杯。 貝殻のネックレスに、乾杯。


碇 シンジに、乾杯。
277名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/03/15(水) 01:32:57 ID:???
乙です


想いの重さ、歓びの思い。
278名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/03/15(水) 08:20:17 ID:???
乙です。

詩的な一言感想は多分同一人物ではありません。

と、たまにカキコするモノが申しております。
今日は先越されましたから・・・
279名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/03/15(水) 12:37:16 ID:???
乙です

無償の優しさ
280DAHLIA ◆0VwZh5AEOE :2006/03/15(水) 23:47:55 ID:???
3月15日

暖かな一日。 少し汗ばむくらいの陽気に、つい涼しさを求めた。
プラグスーツを脱いで、紅い海で海水浴をした。 私の意思を汲み取ってくれているのか、
丁度いい冷たさで私を受け入れてくれる。 泳いで、たまに寝たまま浮かんでみて。
相棒を誘ったが、暑くないからいい、などといって断わる。 嘘つきなさい。
私が裸だから、恥ずかしいのだ。 一緒に裸にでもなろうものなら、私がまた喜んでからかうことが
分かっているからだろう。 そんな本心を知ってはいるが、まだ隠してくるコイツの不器用さが好き。

ただ一人で泳ぐのにも飽きたので、あがることにした。そのまま浜辺に座り込んで、身体が
乾くのを待つ。 強めの陽射しは、そんなに待たせないはずだから。
するとシンジは、私の隣に座って、肩に頭を乗せてきた。 次は自分が先に入ってるから、その時
一緒に泳ごうって言ってきた。 その時こそ、少しだけの勇気を出してみせる。そんな小さな決意だった。

女は、惚れた男のために生きる生き物だなんて、ずっと前にTVで見た記憶がある。
でも、これは逆だ。 シンジは、朝も昼も夜も、私のために生きている。
それが無意識になっているから、私にはとても大きな愉悦となってシンジが映る。
気持ち良い。 シンジを想えば気持ちがいい。  やっぱり、この世界に生きていていいよね。

夜になれば裸の私でも抱き締めるくせに、明るければ恥ずかしがる馬鹿なやつ。
こんな所を治すために、しばらく何も着ないでいてやろうか。 荒療治だと思うけど。

こんなに暖かくなったら、そんな考えも浮かんでしまう。
だって、心はとっくに裸だから。 何も着ずに、抱き合っていられるベストパートナー。
何が恥ずかしいのよ、バカシンジ。 私達に、装ってるヒマなんかないの!
281名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/03/15(水) 23:54:32 ID:???
乙です

もう、あの壁はない。最後のアスカ口調もいいね。
282名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/03/16(木) 00:29:31 ID:???
乙です。

ますます近付く気持ちとカラダ。
283>:2006/03/16(木) 02:22:11 ID:???
3月15日

気付けばアイツは毎夜15分程度自分の部屋でテレビを見ている。
毎日放送されているこの夜の番組。
シンジは欠かさず見ているが、アタシはそんなもの興味無いから見ていない。
「それ面白い?」
やっぱり気になったから聞いてみる。
「僕にだって見たいテレビくらいあったっていいでしょ」
この糞生意気なバカ。
「まいど毎度アタシの言葉を捻じ曲げて受け取るその姿勢変えなさい」
「だって…それじゃもっと分かり易く訊いてよ」
「そのテレビのどこが面白いの?」
自分でもあんまり言い直した気がしなかったが、
とりあえず向こうの反応を待つ。
「ちっとも変わってないじゃないか…僕だって見たいと思う時もあるんだ…」
うっさい、バカ。もう良いわよ。こんな質問したアタシが悪かったですすいませんね。
と、心の中で呟きつつ面白くなってきたので続けてみる。
「アンタ何でこれ毎日欠かさず見てるの?」
「それはッ………うーん…」
どうやらいえない理由があるらしい。
コイツは正直すぎて逆に面白い。
「ふーん、何かあるんだぁ?」
アイツは恥ずかしそうに俯いて上目遣いにこっちを見ている。
284>:2006/03/16(木) 02:23:11 ID:???
「教えないと明日朝ご飯抜くわよ」
少し危機を感じたのか、ようやくアイツは口を開く。
「占い…それだけだよ…ホントにそれだけだってば」
だんだん見えてきた。
「ホントにぃ〜?」
「うっ、うん…そうだよ。疑わないでよ…」
「そんな顔したら誰でも疑うわよ」
さてと、この辺りで疑うのは止めて、
それを口実にアイツを喜ばせてみようか。
「それさぁ、何の占いよ」
「星座で…何か、するやつ…」
分かり辛い説明だと批判しておいて、
実は自分でも顔が変わっていたのかもしれない、と、思った。
その矢先、まったくアイツのこういう所に魅かれてるんだと痛感させられた。
「僕あんまりそういうの分からないし、アスカともっと仲良くなれたら良いなぁ…って」
アタシはいわゆる『キュン死』を食らった。
貫かれたらもう躊躇う事は無い。
アイツにも死んでもらわなければ困る。
今日は命中した。明日も明後日もこの唇でアンタを殺してやる。
だからアンタもアタシをもう一度貫きなさい。
そうしないと、いけない気がする。
だからずっと、撃ち合っていよう。

15分程度のテレビでも見ながら…
285名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/03/16(木) 02:35:02 ID:???
相変わらずシンジがユウジでアスカがアスミでも何ら問題ない物語
286名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/03/16(木) 02:43:52 ID:???
287名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/03/16(木) 10:44:06 ID:???
乙です。

セクシャルバイオレット。
288DAHLIA ◆0VwZh5AEOE :2006/03/16(木) 23:28:37 ID:???
3月16日

ユニゾン訓練の時に使っていた曲を、ふと思い出したように鼻歌で歌ってみた。
今思えば出逢って一週間ほどしか経っていなかったのに、よくもあそこまでユニゾンを
完璧に仕上られたものだと、我ながら感心する。 あの時はパイロットとしてのプライド、意地が
完成させたのだと思っていた。 それは、間違っていたとは思わない。    …けど、
今は、きっとこの相棒との間に、特別な何かがあったのでは、と思ってしまう。
それが何なのかは、ハッキリとは分からないけれど。

私の鼻歌に合わせて、隣で同じ曲を奏でる相棒。
知らない間に立ち上がり、二人であの時のダンスを再現していた。
不思議なもので、すぐにあの時の同調が蘇ってくる。 それこそ、ブランクは
計り知れないものなのに。 かつての住居だったマンションの風景まで目に浮かぶ。
ミサトやペンペン、クラスメート達までが蘇ってくると、踊りながら涙ぐんでる私達。

ばっかみたい。 楽しむつもりで始めたのに悲しくなるなんて。
シンジは、少しずつ私の手を握る力を強めていく。 顔が、少しずつ赤くなる。
やめて欲しい。 楽しいダンスで、このままじゃ号泣してしまう。
それが嫌で私は、シンジの足を引っ掛けて、倒してしまった。 手を強く握られて
いたから、二人で倒れてしまった。シンジを押し倒すような形で、浜辺に、バタンと。


今日のキスは、少し苦かった。 飲み込んだ涙の味が混ざったから。
背中にまわされたシンジの腕は、ちょっとだけ甘かった。
時間だけが過ぎていく。 たまに吹く風に撫でられて、私達は生きている。
今でも完璧なユニゾン、誰かに見せたいけど、叶わない。


それでも、私とシンジは踊り続ける。 火傷しそうな心が、踊らせる。
ただ過ぎてゆくだけの時間を、大切に思ってる。
289名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/03/16(木) 23:36:03 ID:???
乙です

流れゆく時の中で永遠に続くロンド。
290ホリデイ ◆A7RGAj24KE :2006/03/16(木) 23:53:28 ID:???
つぶて月彼に向かって日

いつの間にか降り出す雨がいちばん嫌いだ。
陽射しが注ぐ朝を忘れて雲がどんよりと染める死にたくなるほどの空に変わる昼、
夕方ともなればもう風と雨だれのつぶてが全てに襲いかかりうんざり、うんざりよ。

ヒカリと別れた頃本降りの兆しを見せたため慌ててコンビニで傘を買った。
そういえばアイツも今この近くに二バカといるのよね、思いだして電話を手にとる。
「さっき別れたから今帰る所だよ」天気予報と同じくらい頼りない声、
そのままこっちに来いと云って電話を切ってやれば困った顔のアイツがすぐに思い浮かんだ。

急ぎ足で向かう途中大通りのスクランブル交差点で足止めを喰らった時、
苦々しく見つめた先には全てが雨に染まった世界、
ビニール傘をつたう水滴に光すらも濁った世界、曖昧と鮮烈が同居する不思議な世界。
そのさなかに、視線の先に、ひどく見なれた弱々しい男、何よそのとぼけ顔、気づいてるくせに。

交差点の真ん中ではにかんだアイツと少しむくれたアタシが向かい合った。
「早かったね」「アンタが遅いのよ」「もういいの?」「悪い?さっさと帰るわよ」
青信号が点滅するまでの間交わされた短い会話、それでも通じ合う、絆がなせる御業。

強くなってきた雨足から逃れるように歩みを速めるとまっすぐ帰る事にした。
ちゃっかり折畳み傘を持っていたアイツをサディスティックにからかうと、
お返しに三本目の購入となったアタシのコンビニ傘が不経済と怒られた。

気がついたら随分云いたい事云えるようになったわね、まあそれもいいか、
きっと…余裕なんだろう、ようやくお互いを捉えられるようになったと思えば喜ぶべき事よ。
291ホリデイ ◆A7RGAj24KE :2006/03/16(木) 23:55:53 ID:???
すっかり荒れ狂う雨と風の中なんとかコンフォート17まで無事に帰ってきた。

知らぬ間に髪を体を制服を靴下を濡らした雨へ不機嫌を丸出しにしても始まらない。
まず成すべきはこの冷えた体の処置、素早くタオルを用意してきたアイツの行動に、
これも全て日頃のアタシの鍛練の賜物と身勝手な納得、別にいいでしょ!よしよし。

ダイニングでタオルを懸命に動かし雨を拭き取っていた時、
アイツの少し濡れた前髪と顔の周りをそっと拭ってあげたのは、
用意周到なアイツに対する感謝であり、別に優しくしてあげたかったわけじゃない。

でも「ありがとう」と云いながらこっちの髪も拭いてくれたのが嬉しかったのはこの日記だけの内緒。
それなのに「バカ勘違いしないでよ」といつもの返し方をした自分が恨めしかったのも内緒。

普段着に着替えてきたら「今日は温かいのがいいよね」と、
カップに注がれた熱いコーヒーと紅茶がリビングのテーブルに並べられてた。
これぐらいこっちに用意させなさいよと云いかけたが、やっぱりアタシはアタシだ、
「いい心がけね、それくらい当たり前でしょ」とまた可愛くない言葉、こういうの少し直そう。

勢いを増す雨と風を感じれば気になるのはずぼらな家主の行く末だ、
「大丈夫かなあ…」と不安そうなアイツにアタシはこう云っといてあげた、
「どうせ今頃残業明けのうえ車をあぜ道に突っ込ませてずぶ濡れでひーひー云ってるわよ」
我ながら的を得た空想にアタシとアイツは笑いあった、微笑みからお腹を抱えるまで。

温かい一杯に心も体も満たされた事にアイツへそっと感謝をしながら、さてミサトの帰りを待とうかな。

追記
かなり遅くに泥だらけの姿でミサトは帰ってきた、同じ状態の加持さんも引き連れて。
「残業明けでヘトヘトなのに車があぜ道乗り上げてらちあかなくてJAF頼んでずぶ濡れ、もおー最悪!」
噂をすればという事なのか、アタシとシンジは何も悪くないわよねとそっと顔を見合わせた。

繰り返すけどアタシ達は何にも悪くない、わ、悪くないんだからっ。
292名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/03/16(木) 23:58:50 ID:???
乙です

二人だけのぬくもり。
293>:2006/03/17(金) 01:12:59 ID:???
3月16日

今日はリビングが凄まじく荒れていたのでシンジに掃除を依頼した。
でも、シンジはずっと寝っ転がってて、掃除を始めようとはしなかった。
今日のシンジは少しおかしい。
「バカ、早くやりなさい」
何回言っても『うん』だけで、一向に起き上がろうとしない。
今考えてみればその時アタシはボーッとしていたのだろう。
少し甘すぎた。
でもまぁ、アタシだっていつまでもそれを放って置く気にはなれなかった。
「やらないと明日から朝ご飯抜くわよ」
やはりこれは効果があった。渋々起き上がろうと構える。
「いっつもそればっかりだ…」
「うっさい、それしか思いつかないんだから良いでしょ」
やっと起き上がってくれたかと思うと、ブツブツぼやきながら自分の部屋に行ってしまった。
「どうしたの?今日ヘンよ。かなり」
「………」
そのままシンジは部屋に入ってしまった。それとほぼ同時に迷惑な思いがこみ上げてきた。
このアタシが、どうしても理解できない。シンジと一番近い筈のアタシが、アイツの事を理解できない。
ふと思い立つと、少し荒っぽくなってしまったがシンジの部屋に無理矢理入った。
ムカっとしていたから、襟を引っつかんで引き寄せた。その時は焦りもあったと思う。
「今日なんかおかしいわね、何かあったの?」
294>:2006/03/17(金) 01:14:28 ID:???
「これ…おそろい…」
ボソッと呟いてそのまま頭がフラフラ揺れだす。ある意味気持ち悪くもあっが、
可愛かったから放って置く。
それは置いておいて、シンジの指差すところには、廃材で作ったと思われる綺麗なネックレスが二つ、おいてあった。
少々カラフルすぎたかもしれないけど、まぁ廃材なんだから合格。
「ふーん…」
実はすっごくうれしかったんだけど、出来る限り表面には出していないつもりだった。
でも、アタシにも限界がある。
「眠い…昨日寝てない…」
これを徹夜で作ったというのだから、尊敬もした。
少しずつアイツの全身から力が抜けていくのが見えた。
そのまま地面に膝をついて寝てしまったシンジ、放って置いても問題は無いのに、
アタシは少しバカだから、こいつをわざわざ膝の上で寝かせてやった。
ネックレスはもちろん、首に掛けて、アイツの首にもそっと通してやった。
「バカ…」
優越感と共に、アタシも眠くなってしまった。こんなに気持ちよさそうに寝られたらアタシだって眠くなる。
「シンジのバカ、鈍感…」
膝からゆっくり頭を下ろして、隣に寝てやった。ただ、布団の中で勝手に手を繋いで、
距離は0ミリ。頭も少し傾けて、アイツの肩にあずけてみる。

さて、今から眠りにつくつもりだけど、朝どうしよう…バレたらとんでもないことに…
295名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/03/17(金) 01:45:37 ID:???
乙です

おそろい。
296ホリデイ ◆A7RGAj24KE :2006/03/17(金) 19:41:56 ID:???
パーティー月ジョーク日

二人でリビングにいるとたまにどちらかが知らず知らず寝入ってる事がある。
気がつけばタオルケットがかけられてちょっぴり嬉しくなるのがアタシの場合、
ならばアイツの場合はどうなのか?決まってる、格好の標的が生まれたと云う事。

何一つ気兼ねなく無防備な寝姿をさらけ出せるなんて、それだけ心を許してる事なの?
でもそれは逆にアタシだってアイツの前で披露してしまうのだからお互い様といった所か、
ほほを寄せたくなるくらい可愛い寝顔を見ながらそんな事を思ってみた。
寄せはしなかったがそっと指先で顔をなぞってしまった、しかたがない、耐えられなかったわ。
鼻やほほをつんつんといたずら心たっぷりにつついたのは暇つぶしでもあり、
さっさと起きて相手して、アタシをほっとかないで、そんな弱い心でいっぱいだったから、不覚。

「どうしていつもこうやって意地悪して起こすのさ…」
「うっさいわね、一人だけ夢の世界でいい思いしようったってそうはいかないわよ」
「別にそんなつもりないけど…云いたい事は夢の中で聞くよ…おやすみ」
「夢で逢いましょうってわけえ?!冗談じゃないわよ夢より現実でしょ!ほら相手する!」

いつもの文句が羅列する聞くに耐えない会話はまるでパーティージョークのよう、
つまりは面白くもないがその他愛なさに可笑しくなってしまうと云う事。
でもお決まりなパーティージョークが交わされたら、二人はその後どうするかなんて決まりきった事、
遊び上手な男と女が過ごす映画を見てればすぐに思い浮かぶでしょ、そういう事よ。

今日だってこんなパーティージョークが最後に交わされ、物語はまた動きだした。
「僕が起こすと全然起きないうえに怒るんだから、ほんとひどいよね」
「しょうがないでしょ、睡眠は美容にもっとも効果のある方法なんだから」
「…わがままな眠り姫だよね…アスカは」「なら眠り姫の起こし方くらい心得てるでしょ?」

眠り姫の眼を覚ます方法をしっかりと確認させてアタシは満足した、夜はまだ長い。

明日こんな方法で起こされたらそれはそれで最高だが、たぶん怒ってしまうだろう、
もちろんアイツがそんな真似できるほど大した男じゃないとわかってるけど…無駄な期待はしておくわよ、シンジ。
297名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/03/17(金) 22:11:11 ID:???
乙です。

ぽえーん。
298名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/03/17(金) 22:19:44 ID:???
乙です

キスの記憶。
299名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/03/17(金) 23:10:39 ID:???
乙です。

どうせ目覚めるならキスで目覚めたい・・・

でもそんな人がいない・・・orz
300>:2006/03/18(土) 02:06:10 ID:???
3月17日

アタシはシンジの何が嫌いで何処が如何好きなんだとか、ハッキリ断言できる。
でもアイツは違うらしい。
「アスカの嫌なところが好きというか…」
自分で自分の言いたいことが見つからないなんて情けないヤツよまったく。

そのくせして、アタシの要求にしっかりと答えてくれる時もある。
キスをしろと言えばぎこちなくても、しっかりとアタシを満足させようとする。
満足したアタシの顔が見たいとか、アタシ
格好良い言葉の数が今より増えるともっと優しくしてあげられるのだが。
残念ながらあのバカには今のが限界らしい。
それにアタシだってそこまで甘く接するつもりはない。
無くてもしてしまうときがほとんどなのも事実だけど…

今日はその信念を貫き通す為に、できるだけシンジとは距離を置いてみた。
正直、かなりキツかった。
インスタントラーメンの3分、あれを待つような思いでいた。
限界ギリギリのところで、シンジにやっと話しかけられた。
特に距離があたことなどは気にしていない様子だったから、
いつもと同じように素っ気無く返事をしておいた。

息抜きの様なイメージで、その無駄話を終わらせると、
シンジは何かブツブツぼやきながら歩いていった。
アタシも、言えに変えると少しずつ寂しさが込み上げて来て、
我慢の限界と言うものを見てしまった。
301>:2006/03/18(土) 02:07:51 ID:???
遅れて帰宅するシンジを、ミサトに見付からない様に部屋まで連行する。
と、その時気づいた事だけど、シンジの顔色が悪かった。
「気分悪いの?」
そんなことを言いながら部屋に入ると、シンジはまたぶつぶつ言い出した。
「悪いと言えば悪いけど別に吐き気とかそんなんじゃなくて…」 
「アンタのその話って結末が無いよね」
「僕だって言いたい事があれば言ってるよ…」
「この生意気な鈍感」

今まで堪えていた分を全部一度に放つような感じで、唇を奪う。
またもやいきなりで困ってしまったのか、顔が一瞬青ざめていた。
一度口を離すと、
「わけ分かんないよ…どうしたのさいきなり」
「理由なんて要るかしら?」
「僕だっていきなりされたらびっくりするよ…」
「うれしーんでしょ」

その時のアタシは取り敢えず奪えればそれで良かったからそれ以外の事は何も考えていなかったせいか、
アイツが赤くなるのを見てもそんなに影響は受けなかった。
だけど、アイツが二回目は自分から来てくれたのには、
少し、赤くなってしまった。

「そういうトコ直しなさい、バカ」
「僕だって、寂しくなることくらいあるよ…」
さっきの顔もこういう事だったのね。

アイツも寂しかったんだ。信念もことごとく折り曲げられ、
アイツとアタシが離れる事はできないと、改めて痛感してしまった。
302>:2006/03/18(土) 02:08:56 ID:???
満足したアタシの顔が見たいとか、アタシ

            このアタシいらないですはい
303DAHLIA ◆0VwZh5AEOE :2006/03/18(土) 03:24:06 ID:???
3月17日

昨夜は、変わった夢を見た。
相棒のお母さんが、現れたのだ。 とても爽やかな草原の上で、二人で
向かい合う夢だった。 その人は、碇 ユイと名乗った。
シンジに似ていた。以前シンジの夢を覗いてお目にかかった事はあったが、
今日は本当に近くで見られたから、そう思った。 私が羨ましく感じるほどの
美人だった。 年上の女性として感じる器量は、ミサトの比ではない。

シンジを大切に想ってくれてありがとう。 私に似てボンヤリした子だけど、とても
優しい子なの。  色々な話を聞いたが、要約するとこんな所だった。
微笑まれると、こちらがウットリしてしまいそうな和みで包んでくれる。
この人が、今もシンジの傍で、シンジを見守っていると思うと、少し嫉妬するほどに。

夢から覚める前に、頼みごとをした。 ずっと、私はシンジと一緒にいるから、たまにこうして
会いに来て下さい、と。 ユイさんはまた微笑んで、快く承諾してくれた。
夢から覚めると、いつものように二人分の食事を用意している相棒の姿が眼に映った。
シンジの顔が、お母さんとだぶってしまう。夢の話をすると、少し照れくさそうにエヘヘと頭を
かく相棒。 今まで通り、何も変わらないけどこれからは、約束を守らなければならない。

ずっと一緒にいるって、約束した。 シンジと、ずっとずっと一緒。
ユイさんは、私のお母さんにもなる人かもしれない…
なんて、シンジには言わないけれど。



その日を、待っていよう。
304名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/03/18(土) 07:48:02 ID:???
乙です

夢としての想いと誓い。
305名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/03/18(土) 12:52:30 ID:???
>相棒のお母さんが、現れたのだ。
無愛想な父親の方が出てきてたら何と言っただろうか。
小声で「シンジを頼む…」かな?
306名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/03/18(土) 17:14:06 ID:???
「結婚しろ!!でなければ帰れ!!」
307ホリデイ ◆A7RGAj24KE :2006/03/18(土) 18:46:17 ID:???
男の子の殺し方月教えます日

最近流行ってるという女性アーティストのPVを借りてきてシンジと見た。
キーワードは「エロかわいい」果たしてそれは額面通りなのか。

期待して観た割には大味でこれでもかと見せつける態度はちっとも「エロかわい」くない。
もっとこう、女であるアタシにもゾクゾクさせる色気が溢れだすかと思えば、
要するにそれなりな衣装来てストリッパーまがいのわかりやすいリアクションだけでしょ、
こんなのそんじょそこらの女の子ならいくらでも見せられるものよ。

もっともそれでもシンジには少々刺激的だったらしく、やや赤らめた顔が可愛らしい。
先述の感想を教えても「でも僕には十分すぎるよお…」とすねた困り顔がまた微笑ましい。

しかしよく考えたらそんな女にもドキドキするなんて何だか口惜しい、
すぐそばに同じくらいドキドキさせられる女の子がいるってえのに!

「アタシにもできるわよ男の子をイチコロにするなんて」そう挑発すると、
「…ミサトさんなら可能だけど…アスカじゃ無理でしょ」可愛くない奴ね。
すぐ真っ赤になるくせになんだその憎たらしい口のききかたは。
308ホリデイ ◆A7RGAj24KE :2006/03/18(土) 18:47:05 ID:???
いつもみたく煮え切らない態度のアイツに怒りをおぼえて、
アタシはアイツの近くににじり寄ると「無理かどうか見てなさい」そう宣言してやり、
男の子を無理なく殺す方法、それを実践してやった。

息吹を感じるほど顔を近づけて舌舐めずり、
それなりでも存在感ある胸をちょっと寄せてアピールしてやる、
アタシは知っている、いつものキャミに短パンでもアイツはドキドキしてるって、
自分でいうのもなんだが長い足をしなやかな腕を柔らかそうな体をめいいっぱい見せつける。

最後にはしっかりと見つめながら得意げにそれでいて誘うように問いかける、
「ねえ、アタシの事…好き?」アイツは狼狽しながら答える「…う、うん、好きだよ…」
「そう、それなら、アンタの全てでアタシをめちゃくちゃにして…」めいいっぱい甘い声でとどめ、だ。

さっきのPVなんて比較にならないほど瞬時に顔を真っ赤にさせてアイツはKO。
「そ、そ、そんな事いきなり云われても、わわわわからないよおお!!」

すっかり慌てたアイツに「どーお?アタシなりの男の子の殺し方?威力がわかったでしょ?」
はたと我にかえったアイツをいたずら心いっぱいに見つめ返してあげると、
「…も、もう、アスカの意地悪…小悪魔…ひどいよう」どうやら納得してくれた様だ。

しかしアタシはこの時気づいてなかった、アイツもとっておきの女の子の殺し方を心得てた事を。
夜寝る前にそれをカウンターパンチのごとく喰らったのはまったくもって………不覚よ。

でもまあいいか、世界中の男を殺すよりもアイツをイチコロにできたんだから。
今度はもう二度と生き返れないくらい殺してあげよう、そう心に決めて今日は寝る事にした、ふふ。
309名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/03/18(土) 19:04:15 ID:???
仕事前にいいもの見たよ、ありがと&GJ!!
310肉じゃが:2006/03/18(土) 20:09:46 ID:???
乙です。



小悪魔…。可愛いだけで十分。
311名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/03/18(土) 20:56:45 ID:???
乙です。

目のやり場に困るシンジテラウラヤマシス
312名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/03/18(土) 21:16:14 ID:???
おっきした
313名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/03/18(土) 22:46:36 ID:???
一度で良いから、そんな言葉を俺に言って欲しい………………







パシャ…
314名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/03/18(土) 22:49:35 ID:???
乙です

小悪魔アスカいいなぁ。
315名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/03/18(土) 23:27:54 ID:???
ホリデイ氏乙です。

今回のニャスカ、もといアスカはポイント高いですよ〜

きっと色んな所で萌え、そして悶えている椰子がいるハズ・・・


今日は少し気合いをこめて

GJJJJJJJJJ!!!
316DAHLIA ◆0VwZh5AEOE :2006/03/18(土) 23:35:50 ID:???
3月18日

今日の遠出で見つけたものは、女性向けの雑誌だった。
表紙は破けてボロボロ、表面のページも黒焦げで読めやしない。 それでも、
それ以外の部分は読めるから、ちょっと立ち止まって読んでみた。
相棒も興味ありげに覗き込んできたが、男の子が読んで面白い本じゃないのに。

ファッションのことやら漫画やら、適当にパラパラとめくっていると、相棒がある
ページに目を引かれ私の手を止める。 そこは、恋愛相性占いと書かれたページだった。
元々こんなものにお互い、興味はない。それでも退屈なこの日々の余興にはなるかもしれない。
それにしたってシンジの表情は真剣だった。 恋人でもないくせに、やってみよう…なんて。

結果は、最悪だった。 お世辞にも縁があるとは言えない関係で、別の相手を探したほうがいいだろう、
などと書かれた散々なものだった。 ふとシンジの顔を見ると、目が、潤んでいる。
どうしよう、と蒼い顔で訴えてくる。 真に受けているのがなんとも愚かしい。
私はこんな結果など気にしないし、占いなどほとんど外れるものだと言って慰めた。
いくらか救われたような顔で、ありがとうを繰り返しながら私の腕に泣きつくシンジ。

馬鹿だとは思うが、純粋に私を大切に想ってくれている。 それは嬉しい。
かつて私の首に掛けた両手も、真摯な感情の表れだったなんて、好意的に解釈できるくらい。


シンジが、可愛くってたまらない。 弟みたいで、愛おしい。
本当は以前、この雑誌を読んだことがあった。 この占いをやってみたこともあった。
結果が「運命の人」だったことも知っていた。 だからわざと、シンジに意地悪をしてみた。

ゴメンねシンジ。 私は運命をまっとうしてあげるから、許してよね。
こんなことで、泣かないで。
317名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/03/18(土) 23:53:59 ID:???
乙です


意地悪なのは好きだから。優しいね。
318名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/03/18(土) 23:57:37 ID:???
もすかう!もすかう! 夢見る副指令
ゲンドゥですか? シャアですか?
おほほほほ ヘイッ!

息子!息子! 大事な4号機
なくしたりしたら大変よ
あはははは ヘイッ!

もすかう!もすかう! バルディエル神よ!
NERV戦争 決戦だ
おほほほほ ヘイッ!

シンジ!シンジ! とにかく最低だ
アスカ実質3000円
あはははは! ヘイッ!!
319名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/03/19(日) 00:08:35 ID:???
いつもみたく煮え切らない態度のアイツに怒りをおぼえて、
アタシはアイツの近くににじり寄ると「無理かどうか見てなさい」そう宣言してやり、
男の子を無理なく殺す方法、それを実践してやった。

息吹を感じるほど顔を近づけて舌舐めずり、
それなりでも存在感ある胸をちょっと寄せてアピールしてやる、
アタシは知っている、いつものキャミに短パンでもアイツはドキドキしてるって、
自分でいうのもなんだが長い足をしなやかな腕を柔らかそうな体をめいいっぱい見せつける。

最後にはしっかりと見つめながら得意げにそれでいて誘うように問いかける、
「ねえ、アタシの事…好き?」アイツは狼狽しながら答える「…う、うん、好きだよ…」
「そう、それなら、アンタの全てでアタシをめちゃくちゃにして…」めいいっぱい甘い声でとどめ、だ。
「いただきまーーーーーーーーーーーーす!」
アイツは瞬時に下着を脱ぎ捨てアタシにルパンダイブしてきた。
「えっ!?ちょっと…嘘…嫌っ!…んっ…んあぁ…。」
320名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/03/19(日) 00:35:07 ID:???
殺す?ミサトを殺せばいいの?
321名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/03/19(日) 01:06:38 ID:???
( ゚Д゚)ハァ?
322名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/03/19(日) 01:09:04 ID:???
超電波的なカキコがあったがああいうのは無視するのが得策だぞ
323名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/03/19(日) 11:43:55 ID:???
>>320
なんて作品だっけ?
324>:2006/03/19(日) 14:28:11 ID:???
3月19日

アタシがここに来る前は、シンジにとって頼れるのはミサトだけだったらしい。
そりゃリツコなんかずっとネルフに居るし、指令なんて敵で、
ファーストもまだその頃は只の無表情優等生だった。

ペンペンは………知らない……

ミサトだって十分滅茶苦茶な生活だし、そりゃ性格が悪いなんて事無いけど、
少しは窮屈さを感じていた筈。

「慣れればそうでもなかったよ」
と本人は言うがホントかどうは分からない。もう少し追求してみると、
「そりゃ初めての時は色々分からない事だらけだったし、結構大変な時もあった」
らしい。ほら見なさい、そうでもなかったなんて事無いじゃない。
ミサトはそれに責任も罪悪も感じていないと言うが、
その割に結構シンジに対して優しい部分は多い。

そして、アタシも訊いてみたかった事があった。
「じゃあアタシが着てからは如何なの?」
目が大きく開いて目の行き場を失ってから、シンジは俯いて考え込んでしまった。
「分かんないけど別に最初はアスカのこと只の独裁的な…つんつんした…そういう…」
一発殴ったのはさておいて、痛そうな顔しながら頭をさげ続けるシンジが何となく可愛かった。
325>:2006/03/19(日) 14:30:32 ID:???
「でも、だんだん、だんだんだよ?優しくしてくれるようになった…様な気がする」
もう一発殴って、泣きそうな顔して倒れこんでるシンジを、
しゃがみこんで慰めてやったのは少しだけ嬉しかったからだ。
「アンタみたいなのに価値付けられる程アタシはお安くないわよ」
と、まぁ自分で意識していても出てしまう素っ気無い返事を、
優しく流してくれたシンジにはありがとうと心の中で言っておいた。
だけど、それじゃ少し、ほんの少しだけ可愛そうだから、
「まぁ、今は頼ってくれても良いのよ」
と言ってしまった。
まったく自制の効かないバカよアタシ。
「うん!」
と、嬉しそうに笑うアイツの頭にぽんぽんと手をのせてやったら、
「う…」
と、即刻真っ赤になってしまった。
ぶすっとした顔でこっちを見ているアイツはやっぱ可愛い。
今日は自然と二人同じタイミングで近づいて、唇が重なった。
頼っているというよりは求めているのがアタシだが、
アイツはアタシから来るのを待っている。要するに頼ってくれている。
アタシも頼ってやるからアンタはもう少し自分から行動しなさい。
そしたらアタシも甘えてやるわよ。死ぬまで甘えてやるわよ。

そんな日は来ないと思うけど…願っている。
326名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/03/19(日) 21:43:55 ID:nqWLKpGv
良い
327名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/03/19(日) 21:44:47 ID:???
乙です。

4-4-1のダブルプレー。
328DAHLIA ◆0VwZh5AEOE :2006/03/19(日) 23:57:26 ID:???
3月19日

今晩の月は、とても綺麗だった。 夜空に大きな白い灯りとなって私達を
照らしてくれている。 空に残った紅い血のシャワーまで鮮やかに見せてしまうのは
皮肉ではあるけれど。 こういう月夜は、嫌いじゃない。

幻想的な月と、同じ視界に映る相棒の姿。 どこまでも切れない、現実。
このコントラストに酔いそうになる自分を止められない。背伸びをしたがっていた
以前の自分にはなかった余裕が、優しく心を溶かしていく。
いつもと同じように、相棒と並んで座って、耳朶を軽く噛んでみた。
こんな距離でかろうじて聞こえるような声を出し、シンジも酔っていく。

愛しながら、憎んでる。 たった一人の他人は希望。
私はただ、愛されるだけ。 碇シンジの心を痛いくらいに縛ってる。
人生なんて、限られてる。想いに沿うことは間違いじゃない。
月が微笑ってる。 小さな意地を張る私を? 小さな夢に賭けてるシンジを?
分からないけど、二人だけを照らすなら、これからもずっと微笑っていてほしい。

綺麗な夜空って、罪深い。
冷たいくせに、包んでくれたりして。 心の中を暖めてくれたりして。
シンジの白い肌を、より栄えさせたりして。 私の傷を、少しだけ癒してくれたりして。


私達を、恋人同士にしてくれたりしちゃって。
329ホリデイ ◆A7RGAj24KE :2006/03/20(月) 00:00:57 ID:???
心に月つまびき日

いつか聞いたチェロをアイツに弾けと命令したらやんわりと断られた。
あの時は気持ちが昂ったからこそ弾いただけでそうでもなければ弾かないらしい。
そういえばあの日はアイツの母親の命日、父親と言葉を交わした日、そうなのね…

じゃあアタシとの日々は昂る何かもないってえ事?!そう突きつけ答えを待ってみたが、
「下手くそで人に聞かすものじゃないよ、ましてやアスカになんて…」だってさ。
上達を待つ頃にはアタシはしわしわのおばあちゃんになってるわよ、まったく。
もっともそれだけちゃんとした何かを聞かせたいんだろう、そう受け止めておいた。

しかたなく最近アイツが気に入ったと云うクラシックを何曲か聞く事で我慢した。
流れてきたのはファランドール、いつかみたくこれで踊りあってみろって事?
躍動感溢れる旋律をバックにアタシが見つめた先には、
少しおどけて舞踏会の紳士みたく手を肩に添えたアイツの姿。

本式に踊りをしでかすほどアタシはバカじゃない、でもおどけたアイツにお姫さまみたく、
ツンと手をさしだしたのは珍しいジョークに少し乗っかってあげただけ。
それでもまあ、空想の舞踏会に二人が身を委ねたのは…馬鹿げてるけども事実。

あんな風にまた二人は心を一つにして踊れるかしら?そうたずねたら、
「いつも僕はアスカに踊らされてるようなもんだよ…」可愛くないんだから、ふんだ。
でもそれはパートナーがアタシって事よね、そう返したらはにかんだ笑顔のアイツ、
いいわよいつだって踊らせるから、ラストダンスまでつきあってもらうから。

もう一度ファランドールをかけてアタシ達は心の中で踊り明かした、
三分半だけ夢のフロアーで息もぴったりのダンスを披露しながら。

アタシがアイツのアイツがアタシの琴線をつま弾きあった夜は、
長く終わる事なくそれでも互いの中に生まれた音楽をただ美しく消費し、
最後には甘く熱いコーダが訪れ更けていく、今日もそうだったわ、ふふん♪
330ホリデイ ◆A7RGAj24KE :2006/03/20(月) 00:04:08 ID:???
>>DAHLIA氏

申し訳ない、かぶってしまいました。
しかしいつもながら情感溢れる描写…いいですねえ、
自分には真似できないその力に激しくGJ!です。
331名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/03/20(月) 00:30:35 ID:???
乙です

月光の癒し。甘い調べ。
332名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/03/20(月) 00:53:10 ID:???
GJ!!!!!!!ここはとてもいい雰囲気なので好きです。
333名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/03/20(月) 01:14:22 ID:???
>>323
短パン氏
334名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/03/20(月) 03:04:24 ID:???
ほんとここはオアシスです。
しかしホリデイ氏のボキャブラリーの多彩さには感服します。
335名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/03/20(月) 10:44:38 ID:???
DAHLIA氏、ホリデイ氏、両氏乙です。


この二人はネ申の領域

しかも進化系
336名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/03/20(月) 18:04:49 ID:???
ホリはホントよくネタが続くな
感心するわ
337ホリデイ ◆A7RGAj24KE :2006/03/20(月) 19:12:46 ID:???
呼べど月叫べど日

ふとしたいたずら心からアイツを「碇」と名字で呼んでみた。

「ちょっと碇、コーヒーもってきなさいよ」
また何を始めたのかとあきれ顔で対応してたのが気にくわなくてずっと続けてみた。

さすがにかちんときたのかお返しにアタシの事も名字で呼び返してきた、
「ぼ、僕にはシンジって名前があるんだよ…そ、惣流…」
強気な発言の割には弱々しい声なところがまったくもってアイツらしいと云うか。

「碇、夕食早くしなさいよ」「碇、ごはんおかわり」「ごちそうさま、碇」
ほとほと困った様子でアイツはミサトに助けを求める視線を向けたが、
「あらちょっとした気分転換じゃない?い・か・り♪」うなだれるアイツもまた可愛い。

とうとうムッとした顔で変わらぬ調子ながら「そ、惣流!は、話がある…」とお叱りの意見。
「…どう、どうせなら『くん』ぐらいつけてよ…」どうしてこう弱腰なのか呆れ返るわ。

しばらく考えてアタシはそっと「わかったわよ、碇…くん」と声に出してみた。
338ホリデイ ◆A7RGAj24KE :2006/03/20(月) 19:14:55 ID:???
いったいなんなのだ、この妙な感覚は、
「碇くん」と字にすればわずか三文字の言葉なのにどこか恥ずかしい、
いや、一度も使わなかった呼び方、それなのに甘酸っぱくなるような呼び方。

きちんとここに記しておくがアタシはそんな気持ちがあって発したのではない、誓ってもいい、
甘くなるにはまだ早い夕食後のひととき、なのに心は三文字のおかげで揺れ動いた。

アイツもアイツだ、アタシにそう呼ばれると、こっち以上に照れくささを見せながら、
ほほをぽりぽりと人指し指でかくと「あ、ありがと…惣流…さん」何が「さん」だ、バカ。

よくわからない恥ずかしさにまみれどうしていいかわからず、
互いに顔を少しだけ赤くしながら力なく笑いあったアタシ達は…ほんとうにアホだ。

解決策として下らないいたずらをやめたアタシ達は、
「ねえシンジ」「…なに、アスカ」うん、いつもの呼び方がやっぱり性にあってるわ。
ただし今日はなぜか会話より互いの名前を呼び合う事が多かったな、どうしてかな?ふふふ。

おやすみを言いあう頃にはほとんど名前しか口に出さなかった、
何かを確かめあうかのようにそうしたのかもしれない、シンジ、アンタもそうなの?

やや冗長とも云える呼び合いに嫌気がささないよう、言葉を遮るために、
あるいはうるさい唇をふさぐために何をしたかなんて今さら記す事じゃないわ、そういう事、ふふ。

今日もまた何もなく、まあ、何かはあったけど、良き日也、他に記すべき事無し。
339名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/03/20(月) 19:19:42 ID:???
乙です

呼び名って大切。
340名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/03/20(月) 20:43:25 ID:???
乙です。

爽やかな風。

改まって呼べばまた春が近付くように。
341>:2006/03/20(月) 22:11:04 ID:???
3月20日

アタシは時々、アタシとシンジがもしエヴァのパイロットじゃかったら、
と並んで如何なっていたのか想像したりする。
そして、必ず行き着くのは、もっと平和で自由な暮らしができたということ。
今日も夕日を見ながら、シンジ座とってコーヒーを飲んでいたとき、
そんなことを考えていた。

エヴァのパイロットじゃなければ、アタシは忙しくないし、
それこそまさに幸せな生活が送れたと思う。
今のままでも十分過ぎるほど幸せだと思っているし、
エヴァのパイロットだから出会えたというのもあるけど、
エヴァのパイロットではないアタシ達がもし出会えたなら、もしそうだったら、
アタシ達はどれだけ笑っていられたか。
今の何倍笑えたか。
そんな事が頭の中で廻る。

でもシンジは違うらしい。
「もしエヴァのパイロットじゃなかったらまずアスカと話す勇気すら無かったよ」
もちろんそれは頭に着たが、正論だったから許す。
「アスカみたいな身勝手で意地悪な女の子って悪いイメージあるから…」
これはさすがに我慢できずに一発殴った。
アタシほど他人思いの女の子なんて居ないわよ。
「よりによってアンタに“意地悪“なんて言われるとはね。このバカ、鈍感」
ついでに言っておく。だ。
でもあの泣き顔結構好き。
「アンタにはムリなのよ、アタシの値段を決めるなんてね。一生ムリよ」
342>:2006/03/20(月) 22:12:49 ID:???
ここまで言ってもそんなに気にしていない様子のアイツが憎らしいし、
逆に助かる。いちいち泣かれても困るだけ。
「僕は思ったことを言っただけだよ、それにアスカ良い所もあるし…」
「それが駄目って言ってるのよ」
嬉しかったから頭をがしっとつかんで撫でてやっら、満足した様子。
可愛い顔でにこにこしている。
「やっぱりアスカは良いとこもあるよ、うん!」
ばか…

もし、コイツがエヴァのパイロットじゃなければ、
コイツがどうだったかなんて知らない。
それに、コイツがパイロットだから、
助け合って、仲を深めていけた。
こんな鈍感バカ、アタシから見れば下僕ですらなかったかも知れない。
「如何したの?」
シンジが顔を覗き込んできてふと気づくと、
少し微笑みながら空を染めている夕日を、見ていた。
含んだ笑顔は如何しても隠せず、少し、にひっと声が出てしまったのにも気づいた。
「お互いエヴァのパイロットだからここに居るのよ?分かってる?」
「さっき言ってた事と違うじゃないか」
うっさい鈍感、あんたのその鈍感も、
今ここに二人で居るから好きになれる。
今隣に座ってるのがこんな鈍感なバカだからこそ、幸せを感じられる。
それがアタシの幸せ。
アンタにとって、隣に居るアタシがそうであれば、どれほど嬉しい事か。
もしアンタにとってそうなれれば、今の何倍笑えるだろう。
エヴァのパイロットだから優しくなれる、笑い会える、頬が赤くなる、
ここに二人で居られる、頭を撫でてあげられる、手をつないで歩ける、

こんなバカとだってキスできる、エヴァに乗るから与えられる、二人だけの幸せだから…
343>:2006/03/20(月) 22:14:13 ID:???
比較的言いたいことがかさばって長ったらしい文章になる自分、
それでも投下するのに、理由はいらない。
そういうことです
344名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/03/21(火) 00:05:07 ID:???
うわ、今日のホリデイ氏かなりヒット!!
「碇…くん」とかエロ過ぎだって!!!!
これからも頑張ってくださいな
345名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/03/21(火) 01:37:17 ID:???
ホリさん、DAHLIAさん、>さん。
乙です。

失恋したあとのこのスレは果てしなく痛いことに気付きました
うわぁぁぁぁぁああああああああ!



パシャ
346名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/03/21(火) 02:23:57 ID:???
亀レスですが

>288
すごくよかったです。
ぐっときました。
言葉の置き方も大好きです。
携帯ですが保存しました。
ありがとう。
347DAHLIA ◆0VwZh5AEOE :2006/03/21(火) 02:50:51 ID:???
3月20日

今日は、朝から相棒の様子がおかしかった。
普段にも増して、元気がないようだった。
尋ねると子供みたいな理由で笑ってしまったが、怖い夢を見たらしい。

サードインパクト前に知っていた全ての他人が、シンジに責任を求めてくる夢だったそうだ。
とても怖くて、何も言えず、謝っても許してもらえず、ただ耳を塞いで怯えていた。
先の見えない、不安だらけの今の暮らし。 なのに目覚めて夢でよかったと思ってしまった。
世界中の人々に問い詰められたら、どう償うべきなのか分からない。 誰も助けてくれないことは
分かってる。 やっぱり、生きていてはいけない気がする…と、シンジの説明はこんな所だった。

やれやれと、私は溜め息をつくだけ。 コイツの悪い癖がまた出たか、と思って。
ふと思い立って、おとぎ話をしてやった。

「むかしむかし、あるところに臆病で弱虫の王子様がいました。 王子様のそばには、
きれいなお姫様がいつもいます。 王子様は王様の大切にしている花瓶をうっかり割ってしまい・・・

〜〜〜

・・・全部、自分が悪いと思い込んでる王子様でしたとさ。」


少しは気休めになったのか、シンジの表情が明るくなった。 本当に、世話の焼ける奴。
うってかわって、今は幸せそうな寝顔を私のすぐそばで見せている。 ヨダレまでたらしてる。
仕方がないから、舐めとってあげた。 今日は、楽しい夢を見られますように…。
私のおとぎ話の、結びを話し損ねてしまったのはちょっと残念。



「それでもお姫様は、そんな王子様を愛しています。」
348名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/03/21(火) 07:16:46 ID:???
乙です

眠れたのは聞かなくても伝わる愛があったから。
349名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/03/21(火) 15:37:54 ID:???
>ヨダレまでたらしてる。
>仕方がないから、舐めとってあげた。

エロ(・∀・)イイ!!
350 ◆A7RGAj24KE :2006/03/21(火) 20:05:51 ID:???
我想う月ゆえに我あり日

なぜ男の子は女の子に夢中になるのか、
いえ、女の子も男の子に夢中になるのだろうか。

家主のいない休日のしめくくりをアイツとの外食に費やした時、
ふと思い出したかのようにアイツはぽつりとつぶやいた。

「あのさ、アスカ」「何よ」「そのスカート…可愛いね」「何云ってるのよ」
「別に…ただ可愛いと思った、それはほんとうだから」「ほめるなんてめずらしいわね」
「そうかな…でも」「でも何よ」「ううん…なんでもない」「気になるじゃない…ばか」

ぼんやりした表情の中に隠された真剣な瞳、それだけでアイツの気持ちが痛いほど伝わった。
頬杖をつきながらもわずかな笑みを見せて感謝を伝えてあげたわ。
そしてアタシとアイツは互いにしかぜったいわからない微笑みを交わしあった。

おろし立てでもお気に入りでもないものが突然光り輝いてしまうなんて、
なんでもない何かに心をときめかしてくれたアイツ、
そんな純粋な男の子らしさをアイツから知る事ができ喜びをおぼえたアタシ。

たぶん好きなんだと思う、そして気づいてしまう、愛しあってるのかな…?って。
見つめてしまう、微笑んでしまう、触れたくなってしまう、つながりたくなってしまう…
悲しくなるくらい、泣きたくなるくらい、うんざりするくらい、好きだから。

世界でいちばん心の底から大っ嫌いと云ってやりたい男の子、
土下座されても世界でいちばん心の底から大好きだなんて云ってあげないから。

そんな事を考えながら月明かりの帰り道、そっとアイツの腕に抱きつきながら歩いたなんて、
とても恥ずべき、あのバカを図に乗らせる行為だったと今は反省している。

でも、最高に嬉しかったのは事実だ、二度としてあげないけどお願いしたらわからないから、ね、シンジ♪
351名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/03/21(火) 20:22:13 ID:???
乙です

好きな気持ちは好きだから。しかし、ホントネタ続くね。お見事。

352>:2006/03/22(水) 01:31:14 ID:???
3月21日

今日はヒマだったからテレビを3人で見ていた。
叶わぬ恋ほど美しいモノは無いと昔の誰かさんは言ったらしい。

でもそれは正直ただの負け犬の遠吠えにしか聞こえなかった。
互いの気も落ちを分かり合えたふたりよりも、
失恋した負け犬の方が美しいの?
それはおかしい。
互いに同じ気持ちを持つふたりが偶然出会い、
仲を深め、いつかは互いの気持ちを分かり合うなど、
偶然の中の偶然だ。いや奇跡だ。

そんなことをテレビを見た後言ってみると、
シンジにもミサトにも「それもおかしい」と言われてしまった。
「何だかんだ言って実はそういうものなの」
と説得力に欠ける説明をミサトに受け、
「そもそも勝ち組かどうかは分からないよ」
なんてまたバカバカしい理想論をシンジに叩き付けられて、
ふたりに同時に、
「負け犬だってその後頑張るさ!」
なんて、呆れ返って部屋まで行ってしまった。

その後、笑いながらシンジをなだめるミサトの声が聞こえた。
「アンタほんとに良いのぉ?」
シンジは一瞬顔を引きつらせていたと思う。
353>:2006/03/22(水) 01:32:42 ID:???
大体想像出来るから、これだけ毎日アイツのいろんな顔を見てれば…
「なっ、なななっ…何がですかっ…?」
ミサトが今度は爆笑しはじめた。
「あっはは、アンタホントに正直ねぇ」
その後は多分そのへんでミサトに自分の意見を吐かされるまでもじもじしてたと思う。

「行ってきなさい、楽しくなるわよ」
全然楽しくなんか無いわよ。
「ごめんなさい!」
大声でドアの前で叫ぶアイツを、今度は思いっ切りふっ飛ばす。
こんなに悲しい顔をしてるのはアイツの勇気を認めてやれないからだ。
すぐにくじけてアイツはミサトのところへ戻る。
「無理みたいです…」
ミサトはもう少し頑張れとか言ってたけど、アイツはそれ以上は何もしてこなかった。
夜中トイレに行ったあとアタシの部屋に来てくれたこと意外は…

大嫌いよアンタのそういうトコ。
何を言っても如何でもよさそうな顔してる、
そのくせ独りで泣いてる。振り絞った微かな勇気もすぐにへし折られる。
例え今キスができなくても、明日二度すればいいと思えた。
それでもやっぱりしてしまうアタシのそれはわがまま。

「アスカっていっつもいきなりだよね…」
「こんな感じ?」
鼻をつまんで、アイツと初めてしたときと同じように、二度目のキスをした。
それが勝ち組の証なら、アタシはそれを誇る。
こんな貧弱で鈍感なやつだから、アタシはこの証を掲げられる。

勝ち組なんて、そんなもんだから
354>:2006/03/22(水) 01:33:45 ID:???
このスレ進行速度はなにゆえ?!
と言いつつ長文書いてスレ消費に貢献する自分
355DAHLIA ◆0VwZh5AEOE :2006/03/22(水) 02:19:02 ID:???
3月21日

昨夜、相棒の寝顔に見惚れてしまい今日起きたのは昼過ぎだった。
慣れない臭いに誘われ小屋の外へ出てみると、相棒がむせ返っている。
なんと、煙草を吸っていたのだ。 驚きで走り寄り、問い詰めた。
身体に悪いものだとは、分かっているはずなのに。 久しぶりに、叱りつけた気がする。

たまたま、私のかつての想い人が吸っていたのと同じ銘柄を拾ったので、好奇心から
これまた拾ったライターで火を点けてみたそうだ。 当然、初めてなので味もなにも分からない。
確かに、見覚えのある箱だった。 そう考えると、懐かしさを感じなくもない。
でも、何もシンジが、真似をする事はない。 私が相棒と呼ぶのは、古い想いと混ぜている訳では
ないのだから。 何より、同い年なのに幼さの残るシンジには大人の嗜好品が全く似合わない。

もうやめろと忠告しながら、私にも芽生える好奇心。 一口だけ吸ってみたが、苦くて不味い。
こんなものがクセになるとやめられなくなるなんて、到底理解出来ない。 理解したいとも、思わない。
だから、墓標代わりに立てた木柱にお供えしておいた。 ミサトが傍にいるなら、控えめにね…。


二度としないと誓うシンジ。 当然だと言い放ってやった。
許せないのは、健康云々もだけど、口付けの時に不快な思いをさせられることだから。
勝手に汚すことは許さない。 どんな時だって、清潔にしておかなきゃ許さない。

その唇は、私のものなんだから。 私のためだけに、綺麗なままで。   絶対に。
356名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/03/22(水) 02:23:38 ID:???
乙です

憧れと想い出と背伸び、そしてかけがけのないあなた。
357名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/03/22(水) 02:37:24 ID:???
ホリデイ氏もDAHLIA氏も乙!!
358名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/03/22(水) 05:45:51 ID:???
職人さんがんばって
359名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/03/22(水) 06:18:01 ID:???
大切な人のために、煙草を吸わない・・・

素直に感動しました。

自分はもう吸わなくなりましたが、未来の大切な人のために健康でいたいものですね。

マジレススマソ。
360名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/03/22(水) 10:14:40 ID:???
漏れも吸わなくなって十年
361ホリデイ ◆A7RGAj24KE :2006/03/22(水) 21:20:31 ID:???
アタシとアイツと月ミサト日

今どきの女の子のホンネを特集した番組を観てたのは夕食後。
ヴァラエティらしいウソのようなホントのエピソードの羅列に加え、
どうにも生々しさをステロタイプに伝えようとする偏向された内容が今一つだったけど、
ミサトと二人観てたせいか、やはりそのへんの探りあいみたいな会話が生まれてしまう。

年が離れてる事もあって100%共感できる話は少なかったけど、
やっぱりミサトも女なんだなって思った、同族嫌悪と同性への親しみを同時に生みながら。

なんだかんだいってうまくいってる二人は、イヤな事も耐えられない事も知りながら、
破綻を回避してるなんてそれはつまり互いが許容できる、そう大人なんだろう、うらやましいな。

「ほんとうの大人ってのはもう少しうまくやれる人をいうのよ、私と加持くんだってまだまだ子供よ」
ミサトは笑いながらそうやってやんわりと否定したけど、アタシ達からくらべたらやっぱり大人だ。

一方通行な想いの交錯を繰り返してちっとも目的地まで届いてはくれない。
要領を得てるのかあるいは無意識の発露なのか、確実性の少ない唐突な、
それでいてまっすぐすぎる純粋な答えを知っては困って迷って悩む日々。

「あるべき壁があれば人はそれを乗り越えようと切実な努力をするわ、
 その果てに得るものが幸せであり、そうねアスカとシンちゃんにとっては想いが成就したって事でしょ?」
それはそうだがだいいち煮え切らないし、毎日がもどかしくてやりきれない、そう返すと、
「いいじゃないそれで、答えが簡単に得られるならそれは恋とか愛じゃないわよ」

女は女であるって事ね、少しだけ気持ちが落ち着いた、
答えではないけれど年を重ねたからこそ云えるアドヴァイスをくれたミサトに深く感謝したわ。

「年重ねたってのは余計よ!三十路とはいえこれでもまだまだ若さは失ってないわよ!」
肌の張りから始まって力説するミサトがおかしくてアタシは、そして二人は笑いあった。
362ホリデイ ◆A7RGAj24KE :2006/03/22(水) 21:22:08 ID:???
潤滑油代わりのお茶とミサトのビールをとりに台所へ向かうと、
皿洗いにいそしむシンジから珍しく話しかけてきた。

「楽しそうだね、二人とも」「あら、妬いてんの?」
「そうじゃなくて、なんだかいい雰囲気だなあって」「邪魔な男の子がいないからね」
ちょっとすねた顔でふりむいたアイツへいたずらたっぷりに笑ってやった。

恨みたっぷりな文句の一つでも返してくるかと思えば、
代わりに返ってきたのはさっきまで観てた番組の話、
「女の子ってやっぱりあんな風に考えてるのかな?」意外と気にしてそば耳立ててたのね。

「一般論よ、おまけにTVなんだから少しは大袈裟に伝えてるでしょ」
そうだよね…って答えたアイツの背中を見つめてたら少し安心したような仕種が気にくわなくて、
どうせアンタだっておしとやかで純粋な男に好かれやすい女の方がいいんでしょ、
今度はこっちが恨みたっぷりな気持ちを返してしまった、何をやってるのかまったく。

でもそれがとんでもない間違いだったと気づいてしまった、
「…みんながみんなそうだとは思いたくないし…それに…」「それに?何よ?」
「…わがままでうるさくて振り回されるけど…女の子ってそういうものだよね…」「何が云いたいのよ?」
「…だから、僕は今そんな女の子といるけどそれでよかったって事…」「………」
「…わからないし厄介だ、でも知りたいし…だから好きなんだなって…」「…アンタってホントヴァカね…」

目線を合わさず、いや、合わせられるほど度胸のある奴なんかじゃない。
だからこそいつもより少し本音を出してくれたんだろう、
あるいは最近とみに見せてくる余裕、もしくはそれなりに一生懸命な許容。

後ろから思いきり抱きしめてやろうかと思ったけど、
ぬるくなったビールを持ってったら勘のいい家主に何を云われるかと考えてやめた。

そのかわり今日これからおやすみの挨拶は熱く甘い何かで返してやろうと決めた。
部屋で寝転がってる場合じゃないわよ、待ってなさいシンジ、こぼした心の代償は高いんだから、ふふん♪
363名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/03/22(水) 21:38:03 ID:???
乙です

相手にふさわしい自分になりたい。
364>:2006/03/22(水) 21:46:29 ID:???
3月22日

最近気づき始めたことが一つある。
シンジの言葉使いが、少しだけ大人っぽく聞こえてしまったのだ。
いや、どちらかというといつものシンジじゃない気がしてきた。
「ごちそうさま」
こんな言葉の中にも、何か、大人っぽさを感じてしまう。

意識しすぎなのは自分でも気づいてる事。
だけどやっぱり、最近のあいつは少しおかしい。
今日は、アイツが「ごちそうさま」と言ったのをチャンスに、
少しだけ聞いてみることにした。
「あれ〜?シンジが何か大人っぽくなったわねぇ」
何事も無かったかのように、
「そんなことないよ」とか言い残して去ってしまう始末。
「ホントにぃ〜?」
「うん、別に如何もしてないよ」
そのまま部屋に入るアイツがまた、大人っぽかった。
いつもなら、大変恥ずかしい事に、アタシが意地張って部屋にこもったとき、
「大丈夫?」と必死で声をかけに、部屋の前までアイツが来るのが普通。
ところが今回は逆だった。
おどろくほど理由も似ていた、アイツのことが気がかりになるのだ。

「ねぇシンジ…?」
部屋には当然のごとく鍵を掛けてなかったから、少しだけドアを開けて見てみた。
部屋は暗くて、何も見えない。如何したんだろう…
365>:2006/03/22(水) 21:48:41 ID:???
正直すごく気になっていたので、足元が少し震えていた。
何で怖かったんだろう、理由は全く分からない。
「………」
アイツの返事は無く、アタシも黙っていた。もう一度声を掛けたいと思わなかった。
部屋のドアを閉めたとき、「アスカ…?」
と、布団を被っていたシンジがのそっ、と出てきた。
「どう…したの…?」
「ばか…何か今日素っ気無かったから叱りに来ただけよ」
ため息ついてムクっと起き上がり、アタシの前まで来たアイツ。
「入るわよ!」
急に慌て顔になってアタシを追い出すアイツ。
絶対何かあると思ったけど、特にそれらしいモノは見つからなかった。
「そう…じゃあ何?3バカで何かあったの?」
「ぼく何とも無いよ…ほんとうだよ」
「あっそう、じゃぁもう良いわよ、これ以上はしんぱいしてやんないから」
少し俯いてるアイツの方をずっと気にしながらドアを開けて出るとき、
「ごめん…ぼく、言いたい事があるんだ」
ぱっ、といかにも自然な感じで振り返った。
「最近、アスカが大人っぽく見えてさ、ぼくもそうしなきゃだめかなぁって」
アイツは悲しそうな顔して、アタシに何度も謝った。
なんというか、お互い背伸びしあってたんだと思うと、
ちょっぴり嬉しくなって、目が少し痛む程度の涙が出てきた。
頬を伝わらなかったところに感謝しつつ、アイツを精一杯叱り付ける。
「隠しててごめん」
「そんな悲しそうな顔で隠せる筈無いじゃない」
「でも、ほんとに、アスカが…その、大人っぽい…び…びびび…び、びじ…」
正直過ぎていやになる。だけど、そのおかげで言いたい事が良く分かる。
「何よ、言って見なさいよ」
「びびびっ、びっびびび…じっじじっ、じじ……ん…」
「ふーん…」
366>:2006/03/22(水) 21:49:44 ID:???

その後は、その言葉のお礼に、精一杯背伸びしたキスをした。
初めはどうも馴染めず険しい顔だったが、だんだん嬉しそうな顔になってくれた。
「ホントアスカは毎日いきなりだ…」
「うっさいバカ、ほんとは嬉しいくせに…ばか…」

明日も思いっ切り背伸びして、大人ごっこしよう。
=========================

くそぅ、最近長くなり過ぎるよぅ
やっぱあれか、自分は簡潔な文を書けないわけですよ
367名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/03/22(水) 21:52:55 ID:???
乙です。

いつから打算と腹の探り合いの付き合いしか出来なくなったのだろうか・・・

改めて真っ直ぐな恋っていいですね。
ホリデイ氏の日記を見るといつもいい意味で考えさせられます。

368名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/03/23(木) 00:28:00 ID:???
頑張ってホリデイ氏。
369名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/03/23(木) 01:40:33 ID:???
>氏乙です。

自己レスは本文と分けたほうがよろしいかと。
あまり自己など批判せずに精進して下さい。

これからも期待しております。
370DAHLIA:2006/03/23(木) 02:15:14 ID:???
3月22日

人々が、自分の形を失った世界。 サードインパクトのさ中、誰が誰かも
分からないLCLの海の中で、私とシンジも一つになっていた。 今日の思い出話は、
そんな割と最近のことが焦点になった。

痛みや恐怖の無い世界を求めていた相棒は、望んだ世界の虚しさに引き返す決意をした。
それはプラスではなく、マイナスがゼロに戻っただけの話だった。でもそれこそが、シンジに
とってはとてつもなく大きな進歩だったことは言うまでも無い。
ハッキリ言われた訳じゃない。 それでも、なんとなく気付いてたことがある。
その決意をさせたのが、頑なに他人を、シンジ個人を拒んだ私だということ。

「絶対に死んでもイヤ」 この言葉は、何もかもを満たすもの以外は認めなかった
私の歪な求愛表現だったなんて、今になってみなければ自分でも気付けなかった。
シンジは、私に感謝しているという。 全てが一つになった世界で、突き放してくれた
私のことを。今だから心から、ありがとうが言える、と微笑んだ。

自分の気持ちも整理できないまま、目頭がチリチリと熱くなる。
黙って、力の限り抱きしめた。 相棒の左肩まで伝って濡らすほどに、
派手に涙腺が決壊してしまったのだ。 軽蔑、それに近い言葉に、ありがとうだなんて。

コイツは本当にバカ。 ゆっくりと歩み寄りながら、私を雁字搦めに縛ってくる。
優しさで。

私は、もっとバカ。 そんな男を相棒と呼び、束縛しながらされている。 愛しさで。

「私のほうこそ、ありがとう。」 素直になれずに、今日も噛み殺してしまった言葉。
察しているのか、もう一度、笑顔という弾丸で撃ち抜いてくるシンジ。
私たちは、愚か者同士、抱き合っているのがお似合い。 今日もまた、離れない。
371名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/03/23(木) 05:41:43 ID:???
DAHLIA氏乙です。

ひとつになる、という感覚。時間すら越えられるように。

うらやましい・・・


このまま突き進んで下さい。応援してます。
372名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/03/23(木) 06:22:31 ID:???
乙です

伝えなくても伝わる想い、全てが包まれるから。愛してる。
373名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/03/23(木) 11:14:02 ID:???
374名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/03/23(木) 11:39:34 ID:???
職人さん達乙です。
それで、肉じゃが氏はどこへ…?
375 ◆A7RGAj24KE :2006/03/23(木) 18:58:49 ID:???
パッシング月バイ日

ちょっとイヤな事があって、せっかくの親友の誘いも断り独り喫茶店に向かった。
大した事でもなければ悲しくなったわけでもない、それなのに胸の中を風が吹き抜けるような、
そんな感覚がひどくアタシを包み込んでしまった、一杯のコーヒーすら全てを忘れさせてくれないほどに。

座り心地の悪い椅子にうんざりしながらも何もする気が起きずぼんやりしただけ。
聞きたくもない音楽と下らない他人のおしゃべりがとてもしゃくにさわった、
でも怒る気にはなれなかった、とにかく何もかもにうんざりしてたから。

隣の席ではいい年の恋人達が痴話喧嘩の真っ最中、大した理由でもないくせにエキサイト、
いいわよね、セレモニーのようなぶつけあい、ほんとうはただのじゃれあい、
それはつまりいびつな愛情の確かめあい…アタシ達も誰かにそう見られてるのかな??

いつの間にか男は飛び出した女を追いかけて店の外へ、ガラス越しに結末を見守ると、
数度の罵り合の果てに二人はいつの間にか抱き合いそしてそのまま歩いていった。
安っぽい三流ドラマを見せられ呆れてたアタシのそばを通り過ぎながら。

ただその時仰ぎ見た二人の顔は間違いなくいつもの恋人同士の顔、それくらい満ち足りた顔。
また一つかすかな風が心の中を通りすぎたとたんアタシは携帯を鳴らしていた。

「どうしたの?」「今日はハンバーグが食べたいのよ」
「…なら帰りに買うの手伝ってよ」「うっさいわね、その代わりアイスも買いなさいよ」
歯切れよく通話を切ると急ぎ足で店を出た、待ち合わせた場所はほど遠くない。

さっきまで曇り空のような顔を浮かべて座っていた過去のアタシを、
ガラス越しに、何も云わず、振り返りもせず、ただ通りすぎてアタシは足音軽く駆け出した。
心の中をまた風が吹いた、でもそれはさっきまでと違いとても爽やかな風だった。

この日逢ったとたん手を握ったのは別にそこまで飢えていたわけではない、
ただ…少し縋りたかっただけだ…自分でも認めるが…不覚よ、いつもこうとは限らないんだからね、ふんだ。
だいいち、このアタシがそうなんだからちったあ自分から繋いでみなさいよ!ったく…もう………ばか。
376>:2006/03/23(木) 19:39:11 ID:???
3月23日

アイツは最近、ふいに「犬か猫が飼いたい」と言い出す。
この前拾った猫は失踪したし、とにかく何かペットが欲しいんだという。
こんなに美しく愛おしいアタシを前にしてペットなど、ふざけている。
「アタシが居れば満足でしょ!?」
するとアイツは黙り込んで小さく「ごめん」とか言う。
ちょっとした冗談なのに、アイツはかなり本気で受け止める。
その辺がアイツの可愛いところ。

ミサトは外出、こういう空気は好きだから、二人きりを楽しんでみる。
「そりゃアスカが居てくれて僕も幸せだけど…」
それと、ペットのこと忘れてもらいたかったから、会話を続ける。
「大体犬か猫っつったってペットは高いでしょうが」
そのとき、思いも寄らぬ、最高のアイデアが思い付いた。
最高、これでアイツもペットのことは忘れてくれるだろう。
「ペットの何が良いのよ、あんな金のかかる奴要らないわよ!
もうそろそろ、アイツがすねはじめるころだ。
「だって、顔とかぺろぺろ舐めるし、鳴き声可愛いし…」
来た!!!!
「こんな感じ?」
肩を掴んで引き寄せ、アイツの頬を犬みたいにぺろぺろ舐めてみる。
少し勇気が要るが、おかまいなしだ。
一瞬で顔を真っ赤にしたアイツは、一瞬楽しんでからすぐに逃げた。
「いっ…いいいいっ、いきなり何すんだよ…そ…その…びっくり…するじゃないか…」
「顔ぺろぺろ舐めれば良いんでしょ」
とにかく真っ赤なアイツは面白いというより可愛い。
こんなことをすればすぐにあんな風になるアイツ、虐め概あるといえばある。
「そりゃ…犬がやってくれたら可愛いかもしれないけど…」
さて、もう少しひねってみるとする。
377>:2006/03/23(木) 19:43:16 ID:???
「少しの間だけ飼われてあげる」
顔を思いっきり近付けて、甘えた顔で言ってみると、
アイツはより一層焦りを募らせた。
「犬のしつけ位分かるわよね?」
真っ赤な顔で、何とか逃げようとするシンジ。
「ほっ…ほんとにやるの…?!」
あったり前でしょ、アンタがペットよりアタシを選ぶまではやってやるわよ。
無駄なのにそれでもあがくアイツも、割とすんなり決意を固めた。
「じゃっ、じゃあ…やらせていただきます…」
やっぱり嬉しいのは丸見え、それでも気づかないフリをしてあげる。
今はややこしい事は考えずに、アタシのことだけ考えてくれればそれで良い。
「おっ…おす、おすっ…おすわり!!」
必死で笑いを堪えながら、言われたとおり、
椅子の上に足を持ってきて犬みたいに座ってみる。
「お…お…おて…」
真紅に変わった顔を下に向けて必死で隠しながら、手を差し出すシンジ。
ぽんっ、と手を置くと、アイツの手は汗でびしょびしょ。
「やっぱりこれが犬の最大の愛情表現かもね」
と、アイツの頬をもう一度舐めてみた。半ば諦めた様に、
アイツは下を向いて黙っている。もう体にも力を入れたりしない。

「アンタ猫と犬と人間、どれが好き?」
「そっ、そりゃ人間は言葉分かってくれるし…」
一瞬笑って、そのあとは、人間同士が最も愛を伝えやすい行動を取る。
やはり顔は真紅なままで、目だけは見開いている。
「これが、アンタにとって一番なんでしょ?」
「う…うん」
今日はアタシが飼われてやった、だからアンタも、
明日はアタシに奉仕しなさい。
378 ◆A7RGAj24KE :2006/03/24(金) 00:21:06 ID:???
>氏乙です。

いいなあ、こんなアスカそしてシンジきゅん。
可愛い二人の描写、GJですね。
悩む事なんてないですよ、そんな二人の日記、いつも楽しく読ませてもらってますから。
379DAHLIA ◆0VwZh5AEOE :2006/03/24(金) 02:09:26 ID:???
3月23日

外で見る景色は、毎日の様に同じ。 ファーストの右半分の顔が浮かぶ海に、
磔になったエヴァシリーズが佇んでいる。 これがいつまで経っても変わらないから、
サードインパクトを忘れることが出来ない。 時間が経てばもう、忘れるとはいかずとも
相棒との新しい世界だけを見ていたいと思うのに。

今日の相棒は、拾ってきた漫画に夢中になっていた。 クスクスと微笑んでいたので、面白いなら
見せろといった。 すると、出てくる女の子が私そっくりらしい。 いつも主人公の男の子のそばにいて
ケンカばかりしている。 けど、本心は主人公を大切に想っていて、素直になれないだけ。
口では否定したけど、まさに私のようなキャラクターだと、私も思った。 その漫画は学校を舞台にした
平和なコメディ物。 あれ以前の私達に、そのまま当てはまるような楽しい漫画だった。

海の向こうを見て、思う。 当たり前の幸福は、気付けないから失いやすい。
その痛みに慣れてしまっても、痛いことには変わりがない。 辛い。
見慣れてしまっても、異常な風景には違いない。 飴細工の様に折れ曲がった電柱など、
普通は見られるものじゃないから。 平和かもしれないけど、冷たい。
暖かいのは、今、夢のような空想を楽しむ相棒の心と身体だけ。

読み終わって、寝転がるシンジに言った。
漫画の主人公みたいに、格好良くなりなさい。 私が、ヒロインになってあげるから。
シンジは、もうとっくに、自分にとってのヒロインだと言い返した。
そんなもの、定義はハッキリしてないけど。 時として、シンジが放つ強い眼差しは、
世界でたった一つ、私をたじろがせるものになることがある。  …分かってる。


この世界の主人公は、碇シンジ。 ヒロインの私だけが、知っている。
380名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/03/24(金) 02:28:53 ID:???
乙です

なんでもない事が幸せだったあの日、そして今のかけがえのない想い。皆様頑張って。
381ホリデイ ◆A7RGAj24KE :2006/03/24(金) 19:11:58 ID:???
せめて月女の子らしく日

加持さんが遊びに来た今日、アタシはまたいつものように馬鹿げたわがままを云う始末。
お決まりのああしてほしいこうしてほしいなんて無理難題な希望を、
つまりはアイツがちっとも叶えてくれない乙女心をくすぐる行動を言葉を、
うっぷんを晴らすように加持さんにぶつけてしまうのだ。

困りながらも笑顔で聞いてくれる加持さんはやっぱりどこかのバカとは大違い、
でも…なんだか無理を強いているようで嫌気がさすし、悪い気がしてしまう。
だいいち…これじゃあのバカを引き合いにして悦に浸ってるようで…それもイヤだった。
何もできないけど…優しさは知ってるのに…どうしてこういびつにしか表現できないんだろう…くそう。

そう思いながらも面白かった事がそのさなか起こった。
「お姫さまだっこくらいしてほしいな」と調子に乗ってこぼしたら、
「じゃ、ちょいと試してみるか?」と加持さんが実演してくれたのだ。

「はは、子供とはいえやはり重いな」けっこう失礼な言葉を云われたが、
今までされた事のないそれはやはり色々な意味でどきどきするものだ。
普段はありえない慣れたあしらいを受けてこれくらいアイツもしてくれりゃいいのに、
そう思いながらちらっと見たら…わあって拍手してたあのバカ、ったく情けない!

「あら、アスカには優しいのね、私を運んでくれた事なんてあまりないくせに」
「葛城、悪いな、俺の腕は5t以上の乗り入れが禁止されてるんだ」
「誰が大型トラックだってえのよおおお!!!」飛び交う怒声と拳の数々、
いい大人が二人じゃれあいのような追いかけっこを見せたが、いつもの事だ。
382ホリデイ ◆A7RGAj24KE :2006/03/24(金) 19:13:00 ID:???
エキサイトするミサトとなだめてるのか煽ってるのかわからない加持さんをほっといて、
そういえば、とアタシはさっきシンジが見せたちょっと気にかかる仕種を思い出した。

何にも知らず拍手してたとあの時はそう思っていたが、
よく見れば少し口惜しそうな、それもちょっと妬いた瞳でこちらを見つめてたのだ。
やっぱりね、アタシの心にもない文句の一つ一つをあきれた顔で聞いてたかと思ったら、
そうよね、誰だってたとえアイツだって…気持ちいいわけないわよね…

加持さんが帰りミサトが部屋に戻ってからしばらくして、話した時。
「…やっぱり心中穏やかじゃないんでしょ」「…別にそんな事はないよ」
「ま、アンタなんかにあんな抱き方できないわよねー」「…またそういう事云うんだから」
「このアタシにちったあそういう真似しようとか思わないの?!…いくじなし」
そこまで焚きつけられて黙ってるやつだったらアタシはたぶん一生軽蔑しただろう。

「…ぼ、僕だって男の子なんだよ…」そう云うと座っていたアタシをぎこちなく抱えた。
あっちにふらふらこっちにふらふらとほんと頼りないお姫さまだっこ、
それでもベッドの上まで不備一つなく運んでくれたのは褒めてやってもいい。
もっとも降ろした途端少し赤くなった顔で息切れしてるなんて頼りないのは変わらずだったが。

腰や腕をさするアイツに「やればできるじゃない」と頭を撫でてやれば、
「アスカがどうしてもと云うから」だって可愛くないやつね、生意気云ってくれて。

そのくせもう一回だけ抱きかかえさせて楽しんでしまうのだから、
一応記しておくけど、これはアイツがどうしてもってお願いしてきたからよ、
でも…アイツが云わなくてもアタシはお願いしてただろうな…な、何云ってるのよ!

二度目の時そっとアイツの首に絡ませた腕の感触をもう一度感じ直して、
今日は眠りにつく事にしよう…ま、まあ、嬉しかったんだからね!…ふ、ふむう。
383名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/03/24(金) 19:16:24 ID:???
乙です

恋する者にはいつでもお姫様。
384>:2006/03/24(金) 22:53:55 ID:???
3月23日

昨日の事を含む、今までシンジにしてしまった色んな大胆な行動を、
今更ながらすごく恥じている。
アイツは嬉しそうにしていたから、ペットのことは大丈夫かと思っていたが、
やはり今日も言い出し、結局昨日のアレは無駄になってしまった。
「もうペットの事は忘れろ」
と直接単刀直入に言ってもどうせぼけっとした顔で流されるに決まっている。

「もうやってあげないからね」
とあの後言ってしまったせいで、
アイツの中にペットがほしいという願望をより深く植えつけてしまったのかと、
今となってはかなり後悔している。

「犬と猫と人間でどれが良い、って聞いたらアンタ人間って答えたでしょ?」
と、たまたま思い出した事を言ってみると、
「人間の次に犬が欲しいだけ」
とか言い訳された。
「で、その次は猫なの?」
と聞くと、「うん!」らしい。
ふざけんじゃないわよこのバカシンジふぜいが、ペットなんて大人になって、
良いお嫁さんもらって、子供も授かって、自分ででっかい家買ったときに…

そん時は…アタシが…アタシが…

それ以上は考えなかった、アタシがこんなバカと…
まいにち毎日コイツの思う壺だ。
どれだけ言っても楽しそうな顔が変わらない。
でも、小さいことですぐ泣きそうになる。
こんなバカの…アタシが…
考えるほど追い詰められ、逃げ場は目の前に居るただのバカ。
385>:2006/03/24(金) 22:55:17 ID:???
「ペットなんて要らないわよ…」
と、あたかも悲しんでいるような目で言う。
それを見るとアイツは直に、
「わっ、分かったよ…泣かないでよ…」
と、泣いても無いのに言い出す。
それはそれでいい、アイツの良いトコ、ただ一つの良いトコ。
「じゃあもうペットの事は言わないでね」
なんて、最終的に言うアタシはバカだ。

「ごめん…」
と、ここまでは順調、
後は甘えた声で何か刺激を与えればすぐに片付く。
「じゃあ、許してあげるから、アタシの言う事も一つ聞いて」
わざと命令文はやめた。
こうすれば、あんな鈍感でも少しは気づいてくれるだろう。
これは只の甘えじゃない、願いだってこと。
本当なら頭を下げて頼み込むとか、そういうのが当たり前なんだろうけど、
アタシがこんなバカに頭を下げる筈ない。

アタシはアイツに、時々だけど、自分から何とか、唇を持って来させる。
そして、今日もアイツはアタシを、を天にも昇る気持ちにさせてくれる。
一方的だが、アイツにとってはそれが十分過ぎるほど、
公平に感じるらしい。そして、世界が終わっても、
どこか別の世界へ飛ばされても、どっかに居る神様がアタシたちから何を奪おうと、
アタシ達は毎日のように、「自分を見て」と叫ぶ。

唇に任せて
386名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/03/25(土) 00:10:07 ID:???
太郎さん!太郎さん!!
387名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/03/25(土) 00:11:29 ID:???
誤爆スマソ
ホリデイさん毎日乙
388DAHLIA ◆0VwZh5AEOE :2006/03/25(土) 00:25:00 ID:???
3月24日

偶然、シンジが付けている日記帳を見つけてしまった。 私に見つからないように
隠していたつもりだろうが、今日、その場所へしまう姿を目撃したのだ。
相棒が寝静まった今、悪いとは思いながらも辛抱できず、少しだけ読んでしまった。
が、それを今は痛烈に後悔している。 何故なら、こちらまで沈んでしまいそうな
自己嫌悪とそれによる葛藤ばかりが綴られていたからだ。 私の前で、多少無理をして
明るく振舞っているのは知っている。 けどこれが本心だとしたら、コイツはどこまで馬鹿なのだろう。


「生きていてはいけない」 「でも死んでも許されはしない」
これが何十回と繰り返されている。 正直、お世辞にも読んでいて愉快ではない。
私が日記に書いている出来事は追記のように記されているだけ。 
本編にあたる部分がとてつもなくドス黒い。 まるで遺書のようだ。

冗談じゃない。こんな思いを抱いていて欲しくない。 だって、一緒に
生きている「相棒」なのだから。 半分は性格から来る癖だとは思うが、なんだかんだと
言いながらコイツを見続けている私の気持ちを無為にしないでほしい。

そう思えば、もう耐えられない。 明日、何を言われようと構わない。
シンジの日記帳に、学校の先生の様にコメントを付けてやった。 共に生きる、相棒として。
私もいつのまにか、変わってきたような気がする。 二人だけの世界に、変えられたのだろうか。

「採点…0点  もっと前向きになりましょう」


あなたのおかげで前向きになれた、 あなたの担任より        
389名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/03/25(土) 01:02:56 ID:???
DAHLIA氏乙です
最後の一文書き込むアスカとその内容、めちゃめちゃかわいいです

ホリデイ氏も乙です
ミサトと加持の会話笑いました、5tトラックて…
ホリさんは加持とミサトの描き方が上手い気がします

〉氏も乙です
二人のなんやかんやでかわいいふれあい、いいですね

390名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/03/25(土) 01:06:56 ID:???
乙です

せんせー可愛いです。
391名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/03/25(土) 23:50:23 ID:???
まち
392>:2006/03/26(日) 00:48:47 ID:???
3月24日

今日は、空が割と綺麗だったから、
「見に行こっか」
とテキトーにアイツに言って見た。
「あれれぇ?何ィ?深夜のデート?」
と、酒に溺れてる三十路の家主に言われたが、
「たまには良いでしょ」
とバカシンジを図に乗らせるような事を言って逃れた。
少し後悔はしたが、たまにはこういう形で、
アイツと二人きりになってみるのもまた楽しめそうだった。

屋上からは、綺麗な星たちが見えた。夜のこの静けさに身を包まれると、
何だか二人だけの世界にいるような気がした。
「綺麗だね…」
10分くらいしてからアイツがそれを言い出した。
「アタシのが綺麗よ」と言っておいて、後はずっと沈黙。

「正座何か言える?」
うなずいたアイツが最初に指を刺したのは、アタシの顔。
「アスカ座」
一瞬目を見開いてから、思いっきり顔を殴った。
でも、面白そうだったので、アイツを引っつかんで隣に座らせて、適当にお話を作ってみた。
「『ある日、空いっぱいに広がる宇宙に、アスカとシンジという、
とても中の悪い男女が居ました。しかし、二人はある日とても大きな悪者と戦わされ、
その中でアスカはシンジを少しずつ信頼するようになっていきました。
393>:2006/03/26(日) 00:49:44 ID:???
シンジはバカで鈍感ですが、二人は一生懸命分かり合うと努力し、
その二人を見て神様は幸せそうな二人を永遠に見れるように、
お空に二つの正座を作りました。それがアスカ座とシンジ座です』」
ぼけっとした顔でこっちをじっと見ているシンジ。
「それ…何…?」
と赤い顔で訊いて来るもんだから、いつものようにアイツをからかってみる。
「嬉しいでしょ?」
「えっ…え…っと…その…」
赤くなった顔を必死でしたに向けて隠そうとしながらも、
ちょこちょここっちを見る。「二人は幸せになれたのかな…」
なんて、ムリしちゃって。
「このお話、続き思いついたわ」
「うん…」
下を向いて構えるアイツの背中に手をぽんぽんと乗せながら話を続ける。
「『そのふたりは、たがいの正座を見ながら、毎日幸せを叫びました』」
「………?」
仕方ないか…と全然分かってないアイツの顔をぐいっと掴み、引き寄せる。
「要するに、こういう事」
『空の上じゃなく、その空に浮かぶ星の中に、二つの正座がありました。
ふたつの正座は、仲が悪いのに、毎日、二人の愛を確かめ合っていました』

物語の結末など、教える必要も無かった。二人とも、分かっていたから…
394>:2006/03/26(日) 00:53:37 ID:???
あぁっと、
良く見たら日付ずれてる!!
今日は25日か・・・
395名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/03/26(日) 01:21:48 ID:???
あぁ、ネ申職人さんが来なかった……
396DAHLIA ◆0VwZh5AEOE :2006/03/26(日) 03:05:16 ID:???
3月25日

今朝、先に目が覚めたのは私だった。 だが、普段と違ったのは、いつになっても
相棒が起きて来ない。 私より先に寝ついたのに、昼過ぎになっても起きて来ない。
気になって、背中を向けている相棒を揺すってみると、様子がおかしい。
うなされているのだ。 顔中に、赤い斑点が出ている。 熱はないようだが、何かの
病気には違いなかった。 恐怖を覚えた。 治療する手段など何もない。 知識だって
最低限のものすら、私は持ち合わせていない。

何も出来ずに、相棒を失うかもしれない。 そう思うと、焦りで気が狂いそうになる。
風邪の時の様に温めていれば良いというものでもなさそうで、右往左往している間に、
相棒の苦しみようは激しくなっていく。 呼吸が荒くなり、見るからに辛そうに見える。

恥ずかしいけど、泣いた。 何もしてあげられない。 シンジが、死んでしまう。
この浜辺で最初に目を覚ました時、シンジは私の上で泣き伏していた。 今日は、私が
同じ事をする羽目になった。 助けてあげたい。 シンジがいなくなったら、生きていけない。
そう思うと泣くしか出来なかった。 自分の無力を、ひたすら詫び続けるしかなかった。


…と、思っていたら。 夕方には、斑点はすっかり消え、ケロッとしている相棒。
拾い物のマジックで付け、後のは全て演技だったと言う。 これで、日記を盗み読みしたことを
水に流そう、と言って来たのだ。


………。
397DAHLIA ◆0VwZh5AEOE :2006/03/26(日) 03:06:02 ID:???
思い切り殴ってやりたかった。
でも、相棒の潤んだ瞳が、それを止めさせた。
私に対する謝罪ではなく、ひたすらに感謝の言葉を繰り返すシンジ。

日記を見られたことは腹立たしいけど、書いてくれた言葉は、とても嬉しかったと言う。
それに、死ぬとなったら泣いてくれる、それも嬉しかったと言った。
コイツは、一体どこまでマイナスの世界を広げていたのだろう。 ポジティブになれと
書いたのも、(騙されていたのはシャクだが)苦しんでいれば辛くなるのも当たり前なのに。

あんた、バカぁ?


これしか言葉が出て来ない。

相棒は、私のこのセリフを聞くたびに笑顔を見せる。
何があっても、切れることのない絆を感じる。 明日は、シンジとどんな思い出が
作れるのか、それが楽しみで、私は生きている。

「採点…100点  本当にいつもありがとう だましたりしてゴメン」


あなたと一緒に生きていく、 「相棒」より
398名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/03/26(日) 04:46:32 ID:???
乙です。

あなたとなら、きっと生きていける。
399名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/03/26(日) 07:19:59 ID:???
乙です

恋は駆け引き、か。頑張って。
400ホリデイ ◆A7RGAj24KE :2006/03/26(日) 22:52:08 ID:???
君の月心のはざまに日

ふと考えてしまった、これは何なのか、恋ではないのか。

一生懸命宿題として出された「将来の自分に向けての手紙」を、
苦心しながら傍らで原稿用紙に向かうアイツを見ながら。

もしも、もしもよ、ミサトが加持さんと結婚する事を前提に同棲すると決めたら、
つまりアタシとアンタ二人きりで放り出されるはめになったとしたらどうするの?

「うーん、考えた事ないけど、そうだなあ…」次の答えは予想通りだった。
「たぶん僕は一人で暮らす事にするよ、前もそうだったし、一人が楽だし」呆れたがそれがアイツらしさだ。
「だって…独りなら誰も傷つける事ないし…誰も傷つけたくないから」それがアイツだ、まったく馬鹿らしい。

ほんとうは云ってやりたかった、アンタそれでほんとにいいの?!って。
アイツの閉塞を受け入れたわけじゃない、かといって自ら変わらぬ同居を提示するなんて、
それは希望であり願望、されど独りよがりなかけ声なんてまっぴらよ、アンタから云ってくれなきゃ。

思ってるのはいつもアタシの事、このまま二人きりになっても構わないという決意。
それが言葉に行為に体現されたらそれはとてもとても待ち焦がれてるものなのに。

でもたぶんアイツの中には父親の事、母親の事、そして…自分の事でせいいっぱいだ。
それはアタシだって同じよ…ママの事はパパの事は…いちばん最初に思う事…
でも、でもだ、その隙間にアタシが存在してほしい、アタシの中にはアンタがちゃんといるんだから…
401ホリデイ ◆A7RGAj24KE :2006/03/26(日) 22:53:07 ID:???
ねえ、もしも、もしもよ、今のまま二人で暮らそうって云ったら…?
とうとう我慢できずにぽつりとつぶやいてしまった、ちょっと悲しげに、それでいていたずらっぽく。

さっきとは違って真剣でなのに恥ずかしげな表情を一瞬見せると、
「…僕の事…どういう風に思ってるの…?」つきあってるくせにこの言葉だ、嘆かわしい。
使い勝手のいい同居人に決まってるじゃない、そう答えてあげたら案の定すねた顔、
でも勘違いしないで、このアタシの傍にいさせるのよ?!よほどの男じゃなきゃ、
アタシの眼鏡にかなった男の子じゃなきゃ隣になんていさせないんだからね!そうつけくわえた。

少しぽかんとしながら「…それって…つまり…そういう事?」なんてほんのり桜色で答えたアイツ。
それ以上云わせたらぶん殴るわよ、そう返すと大好きな笑顔をそっと見せて、「…うん」とうなずいてた。
あたりまえでしょ、そういう事よ、女の子に全てを云わせるなんて最低な男のやることよ!

いたたまれなくなったのか座をはずしたアイツの隙を見て作文を覗いてみた。
「社会的な融和をあるいは生活を第一に考えます、けれども、
 僕と、そして僕にとって大事な人と健やかに暮らせる事を望みます」

…ったく何書いてんのよ、何も云わないくせに考えてる所は考えてくれちゃって…

アタシが担任なら二重丸の花マルで採点してあげるわよ、絶対してあげないけど。
その後少しだけアイツの近くに居ようとしたのは別に深い意味はない、い、いいでしょ、ふんだ。

おやすみを云った後、アタシも課題の作文を読み直して、結びの一文を消すと書き直した。
「どうしようもなく頼りないバカでも共に生きていく事を望み、共に暮らしていこうと思います」
そういえば今日はもう一つの結びをしてない事に気づいた、忘れてはいけない二人の約束。

寝るにはまだ早い休日の最後の秘め事、拒もうが困ろうがきちんとしてやるんだから、
さてこの日記を書き終えてそっと忍び込んでやろうかな、待ってなさいよ、シンジ、ふふ。
402名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/03/26(日) 23:04:57 ID:???
乙です

察してあげられるいい男になれる日はいつの日か。しかし、二人でいれば、いつか、必ず。
403>:2006/03/26(日) 23:40:19 ID:???
3月26日

今日は、何故か早く起きたので、
まだ寝てるミサトのとこまで行って「散歩」と言い残して出て行った。
次はシンジのとこへ行って「ごめん、ちょっと散歩」と言い残す。
「ひとり?」と訊かれたが答えない。それでも普通に考えれば分かること。
悟ったのか「じゃあぼくも行く」とアイツも起き上がった。
こんな時間に一人で出歩くのは危険らしい。心配性め。

腕時計はまだ4時。深夜と早朝を繋ぐところ。
息を荒くして走る犬と飼い主が横を過ぎて、「早いですね」と声をかけられた。
「暇なので」と適当に言うと、向こうは笑顔をひとつ送ってまた走り出す。
いつもとは一味違う朝。いつもなら、今横にいる奴が起きて朝食を作る。
家主はビールを飲みながらまた愚痴り始める。朝食を済ませれば学校へ行く。
いつもと同じ、平凡な一日。今日はそうならない事を祈りながら、歩く。

途中、少しは悪戯もしたくなり、まだ一言も喋らないアイツをつっついて走り出す


「待ってよ」と走って追いかけてくるアイツを角のところで待ち伏せ、
ばさっ、と上着で覆って捕まえる。「誰でしょう」というと、
「だ…れ…?」と怯えながら言う。バカ。
「そんなのも分かんないってどんなのよ」
ちょっとした笑いが生まれ、その後また歩き出す。

腕時計は4時50分。そろそろミサトも起きるかな。
いや、起きるわけないか。しばらくはまた黙って歩いていた。
「あっ、そうだ…」
とアイツが静寂を破る。
404>:2006/03/26(日) 23:42:02 ID:???
「何よいきなり」
とアイツの方をちらちらと気にしていると、ポケットからはウォークマンが出てきた。
「そんなものばっか聴いてるから内向的になるのよ」
「ひどい…」
そんな会話もすぐに沈黙の中に持っていかれた。
と、アイツはいつかのユニゾン訓練のときのように、アタシの耳に片方のイヤホンを突っ込む。
ちょっと赤くなったのはアタシの方。済ました顔して笑ってるアイツも、
少しだけ恥ずかしそうに音を上げる。あのときと同じ音楽。
「懐かしい…ね…」
アイツの声が少し、音楽の影響で小さく聞こえた。
「こうやってると何か、アスカと繋がってる感じがする…」
そのつもりでこうしているのだと、しっかり教え込んだ。
黙ってアタシの手を握ろうと手を伸ばすアイツ。
「手…つないでいいかな…」
「うっさい、やりたきゃしなさい」
と、二度目の勇気は少しひん曲げてやった。
おどおどしながら手を握ってくれたアイツにちょっとした褒美として、強く握り返してやった。
懐かしい音楽と繋いだ手のぬくもりに心が高まる中、アタシ達は沈黙。

惜しくもそのまま時間が過ぎ、そろそろ帰るか、と背伸びして考えていると、アイツも
「もうそろそろ、帰ろっか…」
とウォークマンの中からカセットを取り出す。ブツッと途切れた音楽はそのまま止まる。
「手…まだ離さないで…こっちの方が暖かいから…」
と少し甘えてみると、赤くなった顔で「うん…」と嬉しそうに頷くアイツ。
そのまま家に帰るまでずっと手を繋いでたアタシ達。

最後の最後、ドアを開ける寸前、アイツが振るった三度目の勇気に、
部屋に戻った後ずっと赤くなっていたのは教えない。教えるもんか
405DAHLIA ◆0VwZh5AEOE :2006/03/27(月) 01:26:09 ID:???
3月26日

星の見えない夜は、漆黒と呼ぶに相応しい闇に包まれる。
かつてネルフ本部内が停電させられた中で使徒が襲来し、全て手動で機械を
動かし、エヴァで戦った時のことを思い出す。 あの時はファーストを加え
三人で、真っ暗な本部の中を手探りながらケイジに向かった。

相棒は、あの時蹴られた顔面の痛みはまだ覚えていると言う。 私も何気に
蹴ったことは覚えていたが、コイツの記憶力は妙に冴えているからたまに焦らされる。
間近でお尻を見られるのが恥ずかしかったから、それがあの時蹴り付けた理由だった。
でも今にして思えば、それは女としての建前を通していただけ。変な話だが、シンジが
ハッキリと後ろを歩くけどいいか、などと聞いてくれば、私は拒まなかったと思う。

説明できない、不思議な感情。初めて逢った日から、少しずつ私の中へ
入り込んでいたシンジという存在。 バカ、バカと言い続け、それでもそのバカさ加減が
愛おしいのだから、訳が分からない。 シンジという男に、ハマっているのだから仕方がない。

真っ暗闇、相棒の手を繋いで目を瞑る。 暗いのは怖いけど、二人でくっついていれば平気。
このまま夢の中へ堕ちていきたい。 闇が甘美な時間を奏でる。 男のくせに、柔らかい手。
視線を向ければ、あの時蹴った右の頬に唇を預けてみる。 この感触も、忘れさせたくはない。
シンジを欲しがる気持ちが明かりになって、私の心を照らしてくれる。


そしてシンジも私を求めてくる。 だから、闇夜はこんなに美しくなる。



大好き。
406名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/03/27(月) 01:35:13 ID:???
乙です

触れる程愛しくなる想い。だから愛してる。末尾が効果的。いつも感心するけどセンスいいね。
407ホリデイ ◆A7RGAj24KE :2006/03/27(月) 18:34:38 ID:???
春にして月君を想う日

アイツより先に帰宅した夕方、いつも通り普段着に着替えて顔を洗うのだが、
今日はいつもの短パンにキャミというスタイルをやめてなぜかワンピースを着てみた。

ややゆったりした空色のそれは随分前に購入したがすっかり忘れていたもの。
外着にしては着回しがきかないのでクロゼットに閉じ込めていたけれども、
こうして部屋着にすれば問題ないとは気がつかなかったな。

着心地の良さに今さらながら包まれて一杯のコーヒーが全てを満たしてくれた頃、
起きぬけのようなアイツの「ただいま」が扉の空気音と共にアタシの空間へ侵入した。

何事もなく同じように部屋で着替え顔を洗いカップ片手にリビングへ赴いたアイツ、
でも今日はおやって顔をして入ってきた、「その格好珍しいね」だなんて、ふふふ。
たまにはリラックスした格好がしたいのよと平静を装って返したものの、
なんだかアイツの視線はアタシに釘付けでどうにもこうにもやりきれない。

そんな嬉しい反応の真意が知りたくて意地悪く問いつめると、
「うーん、なんて云うのかな…色がきれいで…アスカに似合ってるし…そ、それに…可愛いよ…」
あまりに正直な感想に心は揺れて眼前でそう?そうなの?って一回転したのは不覚だが。

そのアタシを見ながらアイツはくすくす笑うんだから、何よ、いいでしょ、
アタシが女の子らしく振る舞うのがそんなにおかしいってえの?!
そう云いたいアタシもなぜか恥ずかしげな笑みでいっぱいだ、く、くそう。

「そういえばもう暦の上では春だものね」
アイツはアタシのワンピースからまだ見ぬ春を想像したらしい、空色から導かれた季節ってことね…
「ミサトさんの云う通り四季が戻ったら…もっとアスカと色々なものが見れるのになあ…」

どうしてコイツは無意識にそんな言葉を吐いてくるのか…う、嬉しいけどさ…
そうね、同じ何かを見つめ同じ何かを感じあう瞬間が4倍になるなんて、何が待ってると思うシンジ?
いつの日かそんな世界が訪れる事を願って今日の日記は結んでおこうっと。
408DAHLIA ◆0VwZh5AEOE :2006/03/27(月) 23:27:23 ID:???
3月27日

今日は久しぶりに、黄色いワンピースで過ごそうかと思い立った。
着替えようと小屋に入ると、相棒が何か言いたそうにして寄って来る。
着替えるところを見たいのか、このスケベと挑発してみると、顔を赤くして
否定するシンジ。 その真意は、私の想像を少しだけ超えていた。

数日前に、遠出の際に拾っていたらしいのだが、今の私に足りないもの…女性用の
下着を渡してくれた。 プラグスーツは衣服としてはあまりにも特殊なため、それを
着ているぶんには必要無かったものだ。 恥ずかしくてなかなか渡す機会がなかったとか。
ブラジャーとショーツ、一枚ずつ。 思えばコイツはかつて家事全般をまかなっていた。
なるほど、私のサイズも把握済みだったよう。 ジェリコの壁などと言いながら無防備だった
自分に苦笑してしまう。 それでも、もじもじしている相棒の可愛さに母性が刺激され、
微笑って受け取ってみせた。 私自身が無頓着だったというのに気を遣ってくれたシンジに感謝しながら。


返礼として、ワンピースを着るのをやめた。 下着姿のままで、ずっと過ごしてやった。
困り果てて真っ赤な顔をしながらも、つい顔がニヤけている相棒。 からかい甲斐がありすぎて。
心なしか、裸よりも嬉しそうな反応をしている。 男の趣向というものは難解だと思う。


今日は楽しい一日だった。 こんな戯れの中で今日も、私が食べる側なのが不満だけれど。
一度くらい、食べられてみたい。 意気地なしのバカシンジ、奥手すぎるバカシンジ。
勇気は、あるくせに出さないバカシンジ。 強い気持ちは持ってるくせに、弱気なバカシンジ。


後で後悔しても、知らない。 美味しいうちに、来なさいよね。
409名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/03/27(月) 23:36:07 ID:???
乙です

ちょうどワンピース合わせですね。季節と共に高まる想い。女の子は待っている。職人の皆様頑張って。
410>:2006/03/28(火) 01:20:16 ID:???
3月27日

何だか最近やる気が出ない。
いや、どちらかというとすることがない。暇だ。
とにかくすることが無くて、ただじっと座って何かが起こるのを待っているような感じ。
それも面白くないのは当たり前、暇過ぎてついに落ちてたビール瓶一つ投げてしまった。
がしゃんと音を立てた後はまた暇という感情がこみ上げる。
ついに頭の中の何かが切れたのか、アイツと何処かに行きたくなった。
できるだけ露出度高めな服を選び、着てみる。隠れて読んだ週刊誌にしっかりと刻み込まれていた、
少しいやらしい服。こんなん着てるアタシを見た時のアイツの顔、
思い出すだけで何とも微笑ましい気分になる。

「ホラ早く」
ただぼーっと赤い空を見ながら、ウォークマン片手に眠りかけてるシンジを、
何も言わずに着替えさせて外に出る。
「何…?」
「最近暇だからね、久々にこういうのも良いかなってね♪」
楽しそうに振舞うけど、ホントは飢えていた。ひたすら時間を掛けて何かしたかった。
「これって…」
アイツが少し赤い顔になるのを見届け、ニコッと笑って返す。そう、
「デートよ」
気付けば暗い顔になっていたのには気付かず、まずアイツはアタシの方をチラチラ見る。
横目で見えてるのに、無防備にも顔ごとこっちを向けて。
ちょっとした礼に、今気付いたフリをする。
「アンタ何見てんのよ!スケベ!」
げしっ、と一発引っぱたく。ただし力はほとんど入れていない。
411>:2006/03/28(火) 01:22:13 ID:???
「だ…だってぼく男の子だよ?」
力なく続けるアイツを、黙って見守ってあげる。
「そっ…そんな服着てたら…気になっちゃうのは仕方ないじゃないか…!」
まだ何か言いたそうな顔していたが、もうすっかりと黙り込んでしまった。
そして時間が流れる。赤い顔してこっちを上目遣いに伺うアイツ。
そこを狙ってまた、声をかける。
「アンタねぇ、一発殴られてもまだ見るかぁ?大体この服のどこが…」
アイツは歯ぎしりをしながら、指を立て、ゆっくりとアタシの胸元を指す。
「この網みたいなの………」
大して網目大きくもないのに、なんて言っておきながら実はココが一番見てほしいところ。
見てほしいとこををちゃんと言い当ててくれるなんて、
自分では気付いていないだろうがコイツは気が利く。
暇だからこんなに大胆なことができたのか、上着を脱いでしまった。
夏で良かった、夕方は確かに少々冷えるが鳥肌が立つほどでもない。
流石に自分の顔色が心配になったのかできるだけ見ないように自分を制止しながらも、
時折ちらっとこっちを見てくる。
「そんなに見たけりゃしっかりアタシを酔わせてからにしなさい」

暇でよかった。暇じゃなかったらわざわざこんな意味も無いデート、
こんなバカとしたりしない。やることないから、最後の最後に残されたただ唯一の楽しみ。
その後しっかりとアタシを酔わせてくれたのは、
アイツの唇とアタシを縛り付けるアイツのやわらかい手。
アイツはアタシを酔わせてくれた、後はアタシからサービスしてやった。
今日は本当に暇でよかった
412名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/03/28(火) 08:36:27 ID:???
乙です

本当は理由なんかいらないのに。
413名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/03/29(水) 00:11:26 ID:???
お尻にネギでググッたら
こんなの出てきた。

ttp://www2.osk.3web.ne.jp/~dema/eva58.htm
414名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/03/29(水) 00:21:46 ID:???
〇月〇〇日(晴れ)

ママ…。今日は懐かしい思い出の花を見たの。
なぜか今さらシニアハイスクールに通ってる事は前にも話したと
思うけど、日本の学校には遠足という行事があって、ただひたすら
目的地に向かって歩くって団体行動なの。
どうやら、前世紀の大戦以前からの風習らしいんだけど疲れるの!
まぁ、今日その遠足でナントカ山公園に行ったんだけど、そこには
植物園があって、咲いていたのよ…。

エーデルワイスが…。

南国みたいな日本で出会うなんて不思議ね?
エーデルワイスの白い花びらを見ていたらママと一緒に見た事をとても
リアルに思い出したわ。
ママが一番好きな花だったわね…。


そしたら、いつから傍にいたのかバカシンジが、泣いてるの?なんて
声をかけて来たの!
バカ言ってんじゃないわよっ!って、怒ってやったんだけど、間違い
なく見られちゃったみたい。
何とかして忘れさせなきゃ。
時間があったらまた見に行こうと思うんだけど、公園の名前が漢字で
書かれてるから読めなくて名前が良くわからないの。
明日、シンジに聞かなくちゃ。

おやすみなさい。ママ…。
415名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/03/29(水) 01:25:31 ID:???
乙です

新しい職人さんですね。頑張って。
416>:2006/03/29(水) 03:36:36 ID:???
3月28日

今日はアタシの方が遅く帰宅、アイツは既に飲みかけのコーヒーと抱き枕と一緒に昼寝をしていた。
どうやらコイツのお気に入りのコーヒーだったようだが、まだ暖かいから飲んでしまった。
どうせ後で起きて来て間接キスについてお嘆きになるだろうが気にしない。
ふと気が付けばアイツの寝顔に見とれてしまったが可愛いんだから仕方ない。

もう10分も経ったというのにまだアイツの寝顔をじっと見つめていた。
要するにコイツの顔は見てて飽きないのだ。
途中何度かつっついたり頬を引っ張って伸ばしたりしたが、まったく起きない。
もし起きたら目を見開いて真っ赤になるかな、なんて考えながら遊んだ。
と、ようやく寝言のようなものを発したアイツは、のっそりと動き出し、
「ようやく起きたみたいね」なんて自然な台詞を言う準備をしたが、
寝返りを打つとそのまままた寝入ってしまった。このバカシンジめ。
少し暇になってきたので、何かやろうと思ったが、一筋縄で行けそうもない。
しっかり作戦を練るのに5分掛かったがコイツはまだ起きない。
ゾクゾクしてるのは自分でも分かった。こんな可愛い寝顔晒してちゃアタシだって悪戯したくなる。

口のはしっこにあるよだれはコイツの服でふき取り、首に腕をまわす。
今度はコイツのいびきで振動を感じるくらいまで顔を近づけ、
そして「シンジ」という声とともに体をゆする。
ゆっくり目を開けたアイツに意識が宿ったと同時に、
近付けた唇を一気にくっつける。少し舌が入ったのはおまけ。
予測通りアイツはいきなり目を見開いて真っ赤になった。
「ようやく起きたみたいね」
417>:2006/03/29(水) 03:37:26 ID:???
と、さっき言えなかった自然な台詞でいつもの様に振舞う。
「お……おはよ…」
意外とノリは良いみたいだから、今度は体ごとななめに乗っかるような感じで、
押し付けるような勢いで唇を再びくっつける。こんどはちょっと入れすぎちゃったかな。
「とっとと夕飯作りなさい」
またまた自然にいつも通りに。とりあえず夕方は楽しませてもらった。

「いきなりあれで起こすなんてひどいよ」
なんて、帰宅した家主の前で言うなんて、まったくアイツはどうかしてる。
「何?あれってなーにぃ?」
早速地獄の尋問が始まった。一缶目のビールを飲み干し、二本目のふたを開けると、
「また何かやったんでしょアスカ」
なんて、まぁ…正解なんだけどね…
良く覚えてないけど
「このバカシンジが寝てたからちょっとびっくりするようなことして起こしただけよ!!」
見たいなこと言ってたと思う。何とか尋問は切り抜け、部屋に戻って寝る支度。
ため息一つついてベッドにばさっ、と体をあずける。
どうせならもう少し何かしてやりたいのが本音。
「アンタホントに分かり易いわ、でもアスカって意外と可愛いとこあるのねぇ」
ミサトの笑い声、あのバカが漏らしたのかと思うと、腹が立つ。
数分後部屋に入ったアイツを、ベッドに押さえつける。
「よくもミサトに漏らしてくれたわね!」
びくっと思い出したように反応するアイツの上に乗っかる。

「さっきの続き、しっかりとやらせてもらうわよぉ」
なんて言いうとアイツはすぐに気絶に近い顔になった。
それじゃ、おやすみシンジ。アタシの方が早く起きたら、明日もこれで起こしてあげる。
418名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/03/29(水) 07:01:05 ID:???
乙。

デリカシーのないシンジ。
419名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/03/29(水) 07:04:44 ID:???
昨日はDAHLIAさんもホリデイさんもこなかったのか(´・ω・`) ショボーン
420名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/03/29(水) 10:55:20 ID:???
俺も(´・ω・`)ショボーン
421名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/03/29(水) 11:41:51 ID:???
まあ良いじゃねぇか、新しい職人さんも居るわけですし
422名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/03/29(水) 12:33:59 ID:???
>>419-420
こういうヤツらってほんと気持ち悪い。
423名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/03/29(水) 16:01:27 ID:???
まぁまぁ、そう苛立つな>422よ
スレの和みを乱す発言はいかん。
>420も>421も(`・ω・´)シャキーンしなさい
424ホリデイ ◆A7RGAj24KE :2006/03/29(水) 17:28:56 ID:???
銀河と月恋人日

激しい雨と風の日の次の夜は、とても空が美しい。
もちろん雲一つない朝の青空もとてもとても美しいんだけど。

いずれにせよそういった理由から今日は上機嫌で過ごした。
そんなアタシを「悪いものでも食べた?」なんてびくびくしながら見てたアイツ、
なんなのよその態度、このアタシが優しくしてやってんのに、まったく、ふんだ。

おびえる必要も探りあう必要もないと、しっかり諭してそばにいてもらった。
「機嫌のいいアスカ別人みたいだから」いいかげん慣れなさいよ、どっちがほんとのアタシなのか、
気づいてるくせにまだ疑問視するんだから、世話の焼ける恋人、それもまたアイツらしさだけど。

せっかく絢爛たる一面の銀河を一緒に眺めたってえのにまだぐずるんだから、
輝く月、彩りを加える満天の星、漆黒の闇の中、あなたと二人きり、
そんな最高の瞬間なのに、ちっとも気分良くさせる言葉の一つも云わないなんて。

そうやってやきもきするアタシはまったく無駄の極致だ。
わかっている、アイツは無意識のジゴロ、本人も威力を知らない秘密兵器の持ち主。
アタシをときめかせる言葉、さっさと云ってみなさいよ、そう思い見つめた時…
425ホリデイ ◆A7RGAj24KE :2006/03/29(水) 17:30:45 ID:???
ベランダの手すりによりかかり、離れて銀河を見上げるアイツを見つめ直すと、
いつの間にか奴の視界にはアタシが入りこんでいたのか、少し真剣な眼差しが加わった。

何見てんのよと、答えたアタシにはにかみながらアイツは教えてくれた。
「銀河と月と夜空、その間に立つアスカが…なんていうのかな、綺麗なんだ…」
神々しさ、あるいは複合した美の結晶、とそこまで自画自賛するつもりはないけど、
アイツにとっては心から綺麗だと思ったワンショットだったらしい。

何云ってんのよ…かっこつけちゃってさ…もう…ばか。
そう云ってるくせになんだか優しげな微笑みを返してしまった、鼻で笑えばよかったのに、不覚。

もっと不覚だったのは、それから後、眠りに入る前のひととき、アイツが漏らした言葉。
「さっきクスッて笑ったでしょ、あの瞬間がいちばん好き、いちばん綺麗だった」
なんだかもうどうしようもなくなって、ついアイツの口をほほをぎゅってつねってごまかしておいた。
「ひふぉいよほおあひゅか…」うるさい、そこまで云えと願ったおぼえは…な、ないんだからっ。

ほんとうはすぐにでも抱きついてキスでありがとうを伝えたかったけど、
前述の通りなんだかとても恥ずかしかったのでやめておいた、ふむう。

しかたないので今夜は枕がキスの相手だ、くそう、自分からしてくれりゃいいのにあの鈍感バカ、
きらい、でも、すき、でも、きらい、どっちなのよ、もう。

明日は言葉だけじゃなくて行動で惑わしてくれるように願いを銀河にこめて今日は就寝。
426名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/03/29(水) 18:36:54 ID:???
乙です

星々の輝きの中で誰より愛するあなたと共に。
427名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/03/29(水) 23:25:57 ID:???
>>>氏

ミサトさんはシンジを「アンタ」とは呼ばないのでは?
「シンジくん」とか「シンちゃん」と呼ぶと思います(´∀`)
428名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/03/30(木) 00:00:59 ID:???
>>427
映画で
「アンタねぇ、」って言ってなかったっけ
429DAHLIA ◆0VwZh5AEOE :2006/03/30(木) 01:39:27 ID:???
3月28日

今朝は、私の目覚めが先だった。 普段は相棒が先の日が圧倒的に多いけど、
こういう日は明るい中での寝顔を目の保養にしていること、本人には内緒。
すると魔がさしてしまい、あろうことか唇を近づけていた私。 触れ合う瞬間に
気配で目を覚ます相棒。 見慣れた顔ではあっても間近だと少々驚きを見せる。

ちょっとふざけてみただけ、本気でするつもりはなかった、と動揺から言い訳を並べる
自分が、なんとも情けなかった。 夜は躊躇いなく交わしている唇。それが朝だと言うだけで
なぜこうも変わるのだろう。 分からないけど、別にシンジが不快な思いをした訳ではないので、
私も気にするのをやめた。 そう考えていると、シンジからある提案が出された。

これから、キスで起こしてもいいかという許可を乞うものだった。
断わる理由は無い。 自分が試みて未遂に終わったことを拒否出来る立場でもない。
毎晩抱き合って、蟻一匹入りこめないような格好で寝ている。その上に唇を交わす行為は
すでに暗黙の了解になっている。 何も言わずとも、お互いの唾液を飲むことが寝酒代わり。
なら、それが朝でも別に構わない。 承諾すると純粋に嬉しそうな顔をする相棒が、私を和ませる。

いやらしいとは思っていない。話してはいないが私はまだ、シンジの唇しか知らない。
多分これからも、ずっとたった一人の男だと思う。 恋人じゃない。 愛してなんかない。
それでも、必要な存在には変わりない。 明日から、起こされるのが楽しみになった。
私の寝起きが不機嫌なのを、シンジはよく知っている。 気持ち良い目覚めをくれるのかな。


二人だけの暮らし。 少しずつ、幸せを創っていく。 生きる時間を、紡ぐために。
二人だけの暮らし。 これまでもこれからも、慣れた唇に溶けていたい。 昨日へは戻れないから。
430DAHLIA ◆0VwZh5AEOE :2006/03/30(木) 01:41:12 ID:???
3月29日

膝を抱え、浜辺に座り込みなんとなく遠くを眺めていると、これで何度目だろうか、
遠くに立つファーストの姿が見えた。 幻覚と言えばそうなのだろうが、こちらが語りかければ
しっかりと返事は返ってくる。 今日、いつもと違ったのは向こうから話しかけてきたことだった。

私の心が、見違えるように澄んでいることを羨む言葉だった。
同じ時間を生きていれば、ファースト自身も同じ潤いを持てただろうか、と
寂しげな顔で尋ねてくる。 不覚にも、可愛いと思った。 無感情ですまし顔、
同胞でありながら気に入らなかった人形女の姿は、そこにはない。
サードインパクトを経て、確かに人間であり、私やシンジと変わらない心を持つに
至ったのか。 真剣に考えて、答えた。 ファーストだって、これからの人生が
あるじゃないの、と元気付けてみた。 私は妄想しているつもりはない。
綾波レイという、生きた人間に話しているのだから。

私の優しさに感謝して、ファーストはまた消えてしまった。 次に会うのはいつになるだろう。
三人で戦っていた思い出がある。 私に関わった数少ない他人の一人。 ファーストにだって、
幸せになってほしいと思った。 それは、同じ時間ならば得られるなどと、単純なものじゃないけど。

ファースト、
私には、シンジがいるから、満たされてるの。 何もかもを失って、たった一つ残ったもの。
ファースト、
あなたには譲れないけど、あなたの心も満たされるように、願ってる。
ファースト、
シンジも私も、あなたのことは忘れない。 儚さと一緒に抱いていてあげる。


他人と求め合うことが、私を大人にした気がする。 過去を薄れさせたくないと思って。
シンジと血の流れを混ぜてしまったから、優しさが伝染ったのかもしれない。
苦笑したけど、自分を少しずつ好きになっていく。 エヴァパイロットの絆に、護られながら。
431名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/03/30(木) 01:52:28 ID:???
乙です

うらはらに想いは深く絆は強く。そして二人で作るキスの記憶。
432名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/03/30(木) 12:50:50 ID:???
433名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/03/30(木) 17:34:37 ID:???
428

基本的には「シンジくん」か「シンちゃん」だけどたまに「アンタ」って呼んでるよ
434DAHLIA ◆0VwZh5AEOE :2006/03/30(木) 21:55:54 ID:???
3月30日

相棒が言うには、今日は母親の誕生日だそうだ。 
普段ボケッとしている割に、こういう記憶力がしっかりしているのは私に無い部分。
家族だけでなく、知る機会のあった誕生日は、ほぼ覚えているという。
今となっては、覚えているからといって何が出来る訳でもない。 どんなに大切だった
人も、思い出の中にいるだけだから。 でもそれ故に、忘れられないと呟くシンジ。

二人だけの暮らしを始めて、もうかなりの時間が経つ。不自由さにはまだまだ慣れないことも
多いけど、帰らない人達の記憶とそこからこみ上げる思い、それと闘い続けている。
闘ってるつもりになってるだけかもしれない。 それでも、シンジが強さをくれたことは信じていたい。
寂しいから、手を繋ぐ。前に進むために、心を通わせる。 私は少しずつ、この日々を愛し始めている。
相棒が同じ想いであるなら、私だって、届かない人達の誕生日、祝ってみせたい。
強く生きるために、現実に背中を向けないために、虚構だなんて言わせない、誰かの誕生日。


シンジは、海の向こうを見つめていた。 亡き初号機へ、コイツの想いは届いたのだろうか。
私も、シンジの手を取って並んで立った。 驚くほどに馴染んだ手と、手。 確かな日々の証を噛み締める。
声には出さない。 それでもシンジには聞こえているんでしょう。 だから、心を込めてみる。


「おめでとう、お義母さん。」
435名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/03/30(木) 21:59:26 ID:???
乙です

記念日はその出来事を意味づける。かけがえのない人への思いと共に。
436ホリデイ ◆A7RGAj24KE :2006/03/30(木) 22:39:48 ID:???
ラフ月ミックス日

アタシは決して音楽マニアではないが、戯れにあるいは意識的に借りてきたCDには、
よくボーナストラックとしてデモ音源やラフミックスが収録されてて、
それは時に気に入った曲が産まれる過程を知る事ができ、
得したなと思い、あるいは神の御業とでも云うべき瞬間に立ち会ってるような気がしてとても嬉しい。

今日のもそうだった、ピアノの弾き語りと作曲者の男が切なげに歌う歌は、
いくつものダビングを経て、可愛い女の子の情感溢れるポップな曲に仕上がるなんて、
デモ音源だけでもたぶんアタシは好きになってしまうだろう、そう思えるほどよかった。

幾つものアイディアと気まぐれな音楽の神の降臨と戯れの偶然、
そしてプロフェッショナルの打算が合わさって産まれる心を撃つ傑作の誕生。

それはまるで愛しあう男女の道程にも似た、いやそのものと云っていいほどの、
つまりほんの少しの始まりから荒削りの結晶を幾つも産み出してそして結実する何か。
そうやって、色んな事があって、ほんとうに素晴らしいたった一つの冴えたやり方が産まれるのだ。

なぜそんないかめしい事を記してるのかと云うと、今日のアイツとアタシは正にラフミックス。

音楽に夢中なアタシの所へ訪れたアイツ、アルバムカヴァーを手にとり気になるアイツ、
そして一枚選ぶとアタシの傍におずおずと近づくアイツ、それなのに間の大きさに気がつかないアイツ。

それなのに気をきかせて近づこうなんてしないアタシ、鼻歌でごまかして顔も見ないアタシ、
そのくせ聞かせたい歌詞の所はちょっと大きめに歌ってあげるアタシ、
でもやっぱりちっとも気づいてくれないバカに心であかんべえしてむくれるアタシ…もお…
437ホリデイ ◆A7RGAj24KE :2006/03/30(木) 22:42:28 ID:???
どういうわけかアイツも鼻歌に加わってきた。
恥ずかしそうにふんふんと小声で仕掛けてきた勇気をからかいたくて、
ならばとこっちはもう少し大きい声でかき消すように歌ってやる、
するとアイツもより大きな声でやり返してきた、やるわね、バカシンジのくせに。

二人のハミングは異なったヴァイブを心のオシロスコープに描いてたのに、
いつの間にか完璧なユニゾンを形成していた、いつかのように?ううん、もうそれは確固とした絆、よ。

でもそれはどことなく調子っぱずれでいびつで、なのに心地よい旋律、
手腕に長けたアプローチからは産まれない、二人だけのラフミックス。

決して整えられた音ではない、でもパワフルでコミカルでアグレッシヴ、
誰かが云ってたわ、それはスピリチュアルなティーンエイジ・シンフォニー、
世界中の男の子と女の子の中でアタシ達にしか奏でられない名曲。
でも荒削りでスマートなんかじゃない、クールでもヒップでもない産物。

曲が終わってアイツがちょっぴりしたり顔で見つめてきた、
何云ってんのアタシのおかげよ!と見つめ返したら、クスッて嬉しそうに微笑んだアイツ、
アンタが加わったせいでB-と採点したら、せめてB+にしてよと生意気な言葉、
イーヤって言い返せば困り顔のアイツ、そうしてまた笑いあってしまう二人。

歌声を響かせた最中そっと手を重ねあってたのは、荒削りなアイツのアプローチなのが嬉しかったけど、
まったく、それくらいしかできないの?!いつになったらそのもどかしさ治るのかしら。

そうして幾つも産まれるラフミックスを知る度にあと何回ダヴィングをミックスダウンを繰り返せば、
マスターテイクが産まれるのかな…いつになったら聞かせてくれる?締め切りまでは間がないんだからね。

寝る前にもう一度曲をハミングしたらどこかの部屋から同じ旋律が聞こえてきたわ、
もう一度ラフミックスが聞きたいからこれから覗いてやろうかな、そのまま歌ってなさいシンジ、ふふふ。
438名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/03/30(木) 22:46:16 ID:???
乙です


想い合う気持ちが生むハーモニー。
439名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/03/31(金) 07:18:10 ID:???
440ホリデイ ◆A7RGAj24KE :2006/03/31(金) 19:55:39 ID:???
女と月靴下日

放課後ヒカリと面白いものを購入した、それは膝下までのストッキング風ソックス。
ヒカリは網タイツっぽい可愛いのをアタシは綺麗な刺繍が施されたのをそれぞれ選んだ。

「お互い今度逢う時が楽しみね、鈴原も碇君もどんな反応するかな?ふふ」
「熱血バカはいい反応見せてくれると思うけど、問題はあの鈍感ヴァカよ、
 ぜったい、気づきもしないか気のきかないコメント云うのが関の山よ」
「とかいって、ほんとはわくわくしてるんじゃないの?碇君の反応」
「それだけはぜえっっったいにないわ」

ヒカリもこの頃アタシに挑発的というか意地悪な言葉を向けてくる、どうしたものか。
意外に厄介な親友とそれぞれの建設的な展開を望みあって別れたわ。

アイツが帰ってくるまでの間を利用してどんな風になるかさっそく履いてみた。
モノトーンを基調にして黒のキャミに色落ちの良いブラックデニムのミニとまとめれば、
うん、なかなかのものじゃない、鏡の前何度も見つめたり見返してたら扉の開く音。

待ち望んだ審査員が着替え終わるのを待ってリビングへ心持ち急ぐと、
やっぱり、ぼんやりのほほんとリラックスして座ってたアイツ、
そーっと近づいて眼の前に回りこむといつもの挑発的なポーズで見せびらかしてあげた。

空母の上、初めて逢った時と同じく腰に手をあててツンとそして自慢げな気持ちたっぷりのポーズ。
「じゃーん、どお?」「今日どこかへ出かけるの?」
「バカね、そうじゃなくて、さてどこか気にならない?」「…うーん…そう云われても…」

いつもならそうやってほんとに気づかないバカへしっかり教え込んでやるんだけど、
今日は違った、アイツも男の子だって、いえ、それなりの嗜好を持ってるって気づいてしまった。
441ホリデイ ◆A7RGAj24KE :2006/03/31(金) 19:56:29 ID:???
「…うーん」「どうせわからないでしょ?!いいわよバカシンジの考えてる事な…」
「…足元…ストッキング」「?!」
「…それ僕も好きだな…刺繍が大人っぽいし…アスカそういうの好きそう」「………」
「正解?」「な、何云ってんのよっ!…ったくほんとうに大ヴァカなんだから…」

そういえばさっき見せつけた時アイツはアタシの顔でも体でもなく足元に眼がまっしぐらだった。
はは〜ん、アンタストッキングとかにめちゃめちゃ弱いんでしょ?そうちくちくいじめてやれば、
いつもならあきれながら否定的な言葉でごまかしてしまうくせに、アンタってほんと正直者よね、
恥ずかしげに俯いたまま「…す、好きで、わ、悪いかよっ…」なんて全肯定な言葉。
ちったあそういう男気を普段から出しなさいよ、それもアタシをドキッてさせるようなのを!

まあいいわ、えらくリーズナブルな必殺兵器になったけど、
それでこそ買った甲斐があるってものよ、このムッツリスケベめ。

さんざん見せびらかして満足したアタシがいつも通りの普段着に着替えて戻ってきたら、
「…あ、もう脱いじゃったの?」と残念そうな顔、まったくバカ正直なんだから、
おまけに珍しくアイツから明日はどこかへ出かけようと誘ってきた、どうせあの姿が見たいんでしょ、
まあそれで少しでもアタシに夢中になってくれればいいと思い、快くOKしてあげたわ。

しかしあんな小道具一つでこの変わり様なんて男の子ってみんなこうなのかしら?
嬉しいようで恐い真理を知ってしまった、一つ勉強したと思えばいいか、むう。

もう一つ珍しかったのはいつもより力強い抱擁がアイツから仕掛けられた事、
それだけ火が着いてたって証拠だけど、ちゃんと燃え上がらせて唇で鎮火しといたわよ、ふふ。
さてああ云い切った以上、アタシを喜ばせる土曜日にしなさいよシンジ。

しかし今日の笑顔はいつもより可愛げがあって嬉しそうだったわね…
ほんと大ヴァカのムッツリスケベなんだから…顔なんか真っ赤にしちゃってさ!
…でも「好きな人が好きな服着てるの…嬉しいし…可愛い」だなんて!!
まったく眠れやしないじゃないの!明日にでもこの責任はとってもらうからね!ふんだっ!!
442名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/03/31(金) 20:07:00 ID:???
乙です

はしゃぎまくりのアスカって感じ。可愛いね。
443名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/03/31(金) 20:57:57 ID:???
ちっ、ニーソじゃないのか…
444ホリデイ ◆A7RGAj24KE :2006/03/32(土) 00:09:15 ID:???
>>442
はしゃいでましたか?申し訳ないです。
たまにはシンジきゅんにやきもきするアスカさんを描写しようかなと思ったもので…
どうなんでしょうか、こういうアスカさんもいいのかな…?なんて次第です。

>>443
ニーソにしようと最初は思いました、でも周りにそういう子が少なかったので、
というか、ニーソって意外と厳しいらしいって話を聞いたので…
だったら普通っぽいのでいこうかなと…あわわ言い訳じみてますね、すみません。

お二方の萌えいずる話を展開できなくて反省してます。
445442:2006/03/32(土) 00:15:45 ID:???
ああ、ホリデイさん、気にしないで。そういうつもりではないです。ちゃんと溶けてますって。
それに、いつもよくネタが続くし、アスカ口調も堂に入ってるし、他のキャラも立っているし、お見事と思ってるので。
そして、人は個々のシチュで変わるもの、色々なアスカが見れてGJですよ。
446名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/03/32(土) 09:59:06 ID:???
447ホリデイ ◆A7RGAj24KE :2006/03/32(土) 18:46:36 ID:???
彼の話した月二、三の事柄日

約束通り昨日見せびらかした格好でおでかけしてあげた。

いつもよりはしゃいでるようなアイツの言葉と行動が可笑しかったけど、
そのくせ恥ずかしそうに時には無関係を装うようなしぐさ、何気取ってんのよ、もう。

確かにアイツも黒のポロシャツに細身のブラックデニム、
後で気づいたがちょっとしたペアルックだったわね、どうりで恥ずかしがるわけだ。
決してそんなつもりはないけど恋人同士と周囲に見せつけるような感じだったなんて。

それならそれでしゃきっとしてりゃいいのに周りの目を気にしてるのか、
どこかおどおどして二人で並んで歩いてもちょっと距離感とるなんて、
このアタシをエスコートできるのよ!ちったあ嬉しそうに堂々としなさいよ!ふん。

でも、でもね、そんな調子じゃアイツが可哀想に思う、なんだかつきあわせてるようで。
夕食時、ほんの出来心からそんな心の迷いをアイツにぶつけてみた。
アンタ、アタシに振り回されて嬉しいの?ほんとは疲れてんじゃないの?どうなの?って…

「…そんな事云わないでよ…それもアスカらしさなんだし…僕別にイヤだと思ってないよ」
困ったすね顔、怒ってる証拠、おまけに目は真剣そのもの、間違いなくほんとに怒ってる証拠。
それなのに言葉を続けてしまうアタシはまったくアホだ、でもね…確かめたいの、聞きたいの、アンタの口から…

…ほんとうは甘えたいんでしょ?優しくされたいんでしょ?弱さを受けとめてくれる優しい女の子がいいんでしょ…?
448ホリデイ ◆A7RGAj24KE :2006/03/32(土) 18:48:04 ID:???
フォークを動かす手をぴたりと止めうつむきながらアタシを見つめたアイツ。
「…僕…弱音吐いたり、イヤな事ぶつけたいために人を好きになったんじゃない…
 それに…自分だけが癒されたいなんて思ってない、好きな人を癒してあげたい、そう思ってる…」

声も顔も泣き出しそうだった、ああコイツ自分がまだ何もできないって思い込んでる、
そう瞬時に理解したアタシはテーブルを手のひらで少し強めに叩くとこう云ってやった、
「アンタねえ!それくらいできてなかったら今日!ここで!一緒になんか過ごさないわよ!!」
云い切ってハンバーグを口に入れたのはふくれっつらをごまかすためだ、悪いか、むう。

ちょっと潤った目で見つめアイツは「…うん…ありがとう」と柔らかな笑みを返した、わかったようね、もう。
ところでさっきの答え聞いてないわねとアタシはまた意地悪に聞き返してみた。

「疲れてないしイヤじゃないって…」「それじゃなくて、甘えたいんでしょ?って話」
「…ううん、それは…いいんだ…でも…」「でも?何よ、さっさといいなさいよ」
「…やっぱり…たまには僕に優しくしてよ…」「…アタシが優しくないってえの?!」
「…そうじゃなくて…優しいのは知ってる、でもね、もう少し僕にわからせて、お願い…」「………」

最初からそう云やいいのよ、ったくほんともどかしいんだから男の子なんて…いやアイツだからかな。

そういうわけで帰りは少ししおらしく、アイツに甘えるように優しくしてやった。

こっちから握った手をぜったい離そうとしてやらなかった事、
しかも時には腕に抱きついてこれまた離れてなんてしてやらなかった事、
バスの中眠くなったふりをしてアイツにもたれてずっと体を預けた事、
以上、アタシが優しさと気持ちをたっぷりこめて頼りない男の子にしてあげた事。

いつものツンてした言葉なんて一言も発しなかった、態度だって同じ、
そんなアタシのアプローチに嬉しそうな笑顔で返してくれたからアイツも満足してるだろう。

と思ったら夜寝る前にキュッて強く抱きしめられて胸に顔をうずめてきた、何よやっぱり甘えたかったんじゃない。
でも、甘えられるより甘える方が好きかな、ごめんねシンジ、また困らせちゃうけど、それだけは我慢しなさい。
449名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/03/32(土) 19:45:24 ID:???
乙です


ようやくしおらしくなったアスカ。甘えることと甘えられること。パシャ。
450DAHLIA ◆0VwZh5AEOE :2006/04/02(日) 00:35:47 ID:???
3月31日

今日のお昼時、相棒は未開封のインスタントラーメンをコンビニの焼け跡から
拾ってきた。 すでに滅んだ世界なのに、水道は止まっていない。 相棒はライターを
ポケットから取り出し、二人で食べようと言ってきた。 何個かあるけど、大切に
するために、一個を二人で食べる。 貧乏臭いと思うけど、ことはそういう次元じゃない。

いい匂いに気を良くし、唯一の他人に寄り添って三分を過ごす。
違う味になるまえに唇を味わいあって、無味の唾液で洗えば準備は終わり。
一緒にラーメンを食べるなんて、いつかの屋台以来。 自然と、あの時の
思い出話になった。 シンジは、あの時の食事が一番美味しかったと言う。
使徒を倒し父親に認められた達成感、充実感。 そしてミサト、ファースト、私。
一番信頼していた三人と一緒に並んで食べたことが、最高の味付けだったなどと詠ってみせた。

適当に相槌を打って流したけれど、同感だったことが恥ずかしかったというのが本音。
ステーキのはずだった予定外のラーメンなんて拍子抜けもいいところだったけど、あの時ほど
感じたことはない。 何を食べるかじゃなくて、誰と食べるかが味を決めるということ。
本当に、美味しいラーメンだった。 私だって、今もずっと忘れていない味。


今日のラーメンは、比べれば安い味。でも、美味しい。
誰と食べるかが、決め手だから。 最高に美味しいと思えなきゃいけない。
またいつか、どこかのお店で食べられる日が来るだろうか。 その時は、コイツと二人で。
二人だけで食べるから、とても美味しい食事になる。 幸せだと思う。


未来は闇に包まれてる。 でもその幕はとてもとても、薄いもの。
すぐに破ってしまえそう。 シンジの寝顔は、そう思わせてくれる。
すすったスープの味がする今日のキス。 とっても美味しい、今日のキス。

また食べようね、シンジ。
451DAHLIA ◆0VwZh5AEOE :2006/04/02(日) 00:37:28 ID:???
4月1日

今日は、驚く事が立て続けに起こった。 相棒が、あらたまって話がある、と
私の前に座り込んだ。 その表情は真剣そのもの、軽い気持ちで聞ける空気ではなかった。
必然的に私も険しい顔付きになりシンジと視線をぶつけ合っていた。 顔に力が入って
いたせいか、巻いている包帯が突っ張るような感覚を、今も覚えている。

シンジは、結婚しようと言ってきた。 二人だけの世界で無意味な求婚だとは
分かっているけど、夫婦になりたいと言うのだ。 他人じゃなくなる、その悦びが
欲しいと、真っ直ぐな眼で訴えてきた。 本気だと思えた。
私は、断わった。 相棒は、相棒以上の存在にはならない。 ママの二の舞になるのは
ゴメンだから、一人の男に生涯を捧げようという気は全くない、と強く拒否した。
こういう時に顔を出す私の根性が、更にはシンジへの罵倒へ繋がってしまった。
心にもないこと、結婚ならシンジより頼りがいのある別の男を選ぶなんて、言ってしまった。
言った後で凄まじく後悔する事が分かっているのに、これは私の、自覚する最大の欠点だ。

傷つけてしまったのか、口を利いてくれなくなったシンジ。 言い過ぎたと謝って、改めて急に
結婚などと言い出したその真意を尋ねてみた。 すると…
今日はエイプリルフールだから、ちょっと言ってみただけだったという回答。
そんなくだらない行事を覚えていたこと、しかし私が忘れていた事、全てが少しだけ
腹立たしかった。 じゃああんなに真剣に私を「妻にしたい」と言ったのは嘘だったのか。
結果的に私も嘘でお返しした格好になったのは皮肉だが、もう少し、違う嘘はなかったのかと
なだめて、暴言に近い言葉を吐いてしまったことは、いつもの求愛行為で水に流させた。

いつもこうだ。 仲直りが簡単だから、よくケンカをしてしまう。
原因がほとんど自分にあることに、苛つきもしてしまう。 今日だって、
気付けなかったその嘘、あと一押ししてくれれば、


OKしようと思ってたのに。
本当は、めちゃめちゃ嬉しかったのに。 
嘘にさせない、つもりだったのに。
452名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/04/02(日) 00:46:21 ID:???
乙です


二日おくことで気持ちの動きが明確になりますね。3/31、可愛いね。4/1押しの弱いのがシンちゃんだから。中の人は関西系?
453DAHLIA ◆0VwZh5AEOE :2006/04/02(日) 01:23:13 ID:???
>>452
>中の人は関西系?
そう思われたのはどの部分でしょう? 当たらずとも遠からじで、驚いています。

あくまで自己満足ですが、三月皆勤達成できましたw 大した内容ではありませんが。
連日ご感想&声援を下さる皆様、毎度ながらありがとうございます。

>>他の職人様
新しい方も含め、全ての作品を自分の糧にするつもりで読ませていただいています。
簡潔ではありますが、今後の作品への期待とエールを送らせてもらいます。 頑張ってください!


完全に余談ですが、創作する前に漫画版四巻を常時手元に置いております。
時としてサントラを流したり、色々やってます。
454452:2006/04/02(日) 01:54:17 ID:???
DAHLIAファンですから。皆勤お疲れ様です。また創作余話もありがとうございました。
このスレでの詩的なイメージと繊細な情感が作り出す世界は、とても好きです。
その一方で、時々見える構成のあり方から、ギャグとオチに富んだ世界も巧みに作れるはず、と勝手に思ってます。
関西系云々については、そうですね、例えば今回の作品だと、「めちゃめちゃ」という表現の使い方が、この人は・・と感じました。

私も時間がないので全作品にコメントできませんし、またいつも要約・短評ですみませんが、他の職人の皆様もせびがんばってください。
455名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/04/02(日) 02:51:31 ID:???
456ロメオ ◆rHza36ec2U :2006/04/02(日) 03:50:47 ID:???
ファミレスで、隣のテーブルに、葛城一家が座ったんです。
若作りしてる作戦課長と、中学2年生ぐらいのチルドレン。
どこにでもいるネルフ職員と思ったんですが……
ミサト「ほら!早く決めなさいッ!ったく、トロいんだから!」
ミサトさんが、デフォルトでキレてるんですよ。サードがなにをしても、怒鳴りつけるんです。
シンジ「それじゃ、僕カレーにするー」
ミサト「そ。わかった」
シンジ「僕、カレー好きー」
ミサト「うるさいな! そんなこと聞いてないでしょ?!」
カレー好きって言っただけじゃん!なんで、怒鳴るんだよ?!
セカンドの方は、もうこの作戦課長に呆れてるのか、無表情でそっぽ向いたまま、一言も喋ろうと
しません。注文を決める時もメニューを指さしただけ。関わり合いになるのを、極力控えているみ
たいです。料理が届いてからも、作戦課長はキレっぱなし。
シンジ「いただきまーす」
ミサト「黙って食べなさい」
シンジ「・・・(´・ω・`)ショボーン」
ただカチャカチャと鳴り響く、食事の音。
シンジ「あ、そだ、ミサトさん!聞いて聞いてっ!あのね!えとね!今日、学校でね、
とってもいいことが……」
ミサト「うるさい!食べてる時は騒がないの!周りの人に迷惑でしょ!」
ちっとも迷惑じゃないよ! うるさいのは、アンタだよ!むしろ、そのコの話、聞いてあげてよ!
怒鳴られてびっくりしたサードが、カレーをテーブルにほんのちょっと落としちゃったんですが…
ミサト「あーもー!汚いな!なんでちゃんと、食べられないの?!綺麗に食べなさい!綺麗に!
あーもームカツク!」
シンジ「うう…ごめんなさい……」
457ロメオ ◆rHza36ec2U :2006/04/02(日) 03:53:20 ID:???
ブツブツ文句いいながら、作戦課長はケイタイをいじくっている。
サードは涙目。セカンドは一言も喋らずに、黙々と食べています。こんな食事、楽しいはずがない。
すると。作戦課長のケイタイが鳴り始めました。
ミサト「ちょっち、ワタシ、電話してくるから。サッサと食べちゃってね」
そう言い残して、ケイタイ片手に作戦課長は店から出ました。
電話するヒマがあったら、チルドレンとしゃべれよ!もうちょっとエヴァパイロットとの接し方ってもんが
あるだろ、精神崩壊してからじゃ遅いんだぞゴルァ!
と、隣のテーブルで、漏れはキレまくっていたんですが……
サードのようすを見て、怒りも吹き飛びました。
そのコは、涙目のまま、一生懸命カレーを食べてたんです。
作戦課長の言いつけを守りたいから、ゆっくり食べていたら怒られてしまうから……味わう余裕もない
ぐらい、急いで食べてたのです。でも。もともと、食べるのが遅い子なのでしょう。焦っているからか、
口の周りをべそべそに汚してしまっていて……きっと、それをまた怒られてしまうのに、それすらも
気付かずに必死にカレーをかき込んでいたんです。目にいっぱい涙を溜めて。一生懸命に。あぐあぐ。
そのコが健気で不憫で、漏れは泣きそうになってしまいました。
もうね、ネルフには人情はないのかと、寂しい気持ちになってしまいましたよ。
あんな作戦課長はやめて、漏れんチの子になれと、そう言って抱きしめてあげたくなったほどです。
458ロメオ ◆rHza36ec2U :2006/04/02(日) 03:55:08 ID:???
そのとき。一言も喋らなかったセカンドがボソッと言ったのです。
アスカ「……そんなに急がなくてもいいわよ」
シンジ「え?」
アスカ「ゆっくり食べなさいよ」
シンジ「で、でも……ミサトさんが」
アスカ「いいから。好きなんでしょ、それ」
シンジ「うんっ」
セカンドは、チラッと作戦課長が出て行った出口の方を確認しつつ…
アスカ「で? なにがあったって?」
シンジ「???」
アスカ「学校でいいことあったんでしょ」
シンジ「う…うんっ! あのね! えとね! 今日学校でね!」
サードは、楽しげにしゃべり始めました。他愛もないことだったんですが、とっても嬉しそうに。
きっと、聞いてもらえるだけで嬉しいんでしょう。さっきまで涙目だったのに満面の笑みを浮か
べています。セカンドは、にこりともせずに話を聞いてあげていたのですが、
アスカ「そう。良かったわね」
と言って、サードのべそべそになった口元を拭いてあげたのでした。
人情は見えなくとも、チルドレンの情はちゃんとありました。(つД`)
きっと、この二人はまっとうに育つと思います。
459名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/04/02(日) 04:20:59 ID:???
巣に帰れ
460名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/04/02(日) 04:54:46 ID:???
残念ながらスレ違いだな、アスカの日記じゃねえし。
ツンデレスレなら歓迎されたであろうに
461名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/04/02(日) 05:00:30 ID:???
なにしてんだここで。
てかアスカの日記じゃねぇ
462名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/04/02(日) 20:55:39 ID:???
しかも面白くねぇ
何かのコピペにエヴァの登場人物の名前入れただけじゃねぇのこれ
463ホリデイ ◆A7RGAj24KE :2006/04/02(日) 22:54:00 ID:???
>>ロメオ氏

自分は普通にああこんなアス×シンもありだなあと、
エピゴーネンにすぎない自分の物語とはまた別のアプローチとして、
素直に面白いとは思いました、皆はそれぞれ云いますが、リアルな風景としてはよかったです。
ただ、ミサトさんを悪者にしてはちょいと…ってな所ですかね、それが自分には不満です。
某スレでの精進期待してますよ。

個人的には>>414氏も素敵な話で期待してますね、いい話ですよ。

DAHLIA氏は言わずもがなと云うか…これからもスレ住人の皆様を喜ばせて下さい。
もちろん肉じゃが氏、231氏も今後の投下、期待しております。

では本日分を投下しますか↓
464ホリデイ ◆A7RGAj24KE :2006/04/02(日) 22:58:25 ID:???
男と女の月勝負日

昨日の今日でシンジがアタシに実はめろめろだとはわかった。
たかがソックス一つであんなにクラッとくるなんて、男の子はほんとうにバカでスケベだ。

アイツにとってアタシって何なのだろう?
心をくすぐる異性?女は女であるという事?あるいはただの性的欲求を満たす対象?
どれも腹が立つ扱いだけど、ほんとうの答えはいつもアイツの胸の中、だ。

なんとなく悲しくなる、恋人だとか愛する女であるとか、アタシを騙せるくらいの理由じゃなくて、
その場しのぎなていのいい代償、もしくはアニマを現実にしたいだけのわがままな欲望の果て?
ああもお、そんな考え始めたら自分がイヤになるくらいネガティブで気持ち悪い理論しか生まれない。

何一つ云ってくれやしない、全てを満たす言葉を、そのうえびっくりするくらいの行動さえも。
なんであんなバカの何かにこうやきもきしてしまうのかしら、愚かねアタシって。
でもそれはわかっている、そんな己の衝動があるいは疑問が簡単に解決させられてるって事を。

難しい解釈も気のきいたセリフも何一ついらない、すぐに生まれるのよ答えなんて。
そう、いつだってこっちのアプローチ一つですぐに真摯な言葉と姿勢を見せてくれるんだから。
ほんと、ほんとうにバカよ、アイツは…あの純粋ヴァカシンジは…

なんでかって?アイツはいつだってそうなのよ、
アタシにだけ、アタシにしか、誰にも見せない感情の発露を想いのたけを、
しっかりとそれでいて不器用に見せつけてくるんだから、まったく扱いづらいったらありゃしない。

ほんと…そんなにちゃんと考えてるならいつも見せてくれりゃいいのに…あのバカ。
465ホリデイ ◆A7RGAj24KE :2006/04/02(日) 22:59:25 ID:???
今日だってそうなんだから、なんでアタシの気まぐれな言葉を受け止めるの?
アンタってほんと、自分を出さない弱々しい奴よねなんて戯れの挑発を。

いつもなら黙ってやり過ごすはずの態度がなぜかこっちを見据え言葉の応酬、
「…それは僕が男になれば満足するって事…?」間違いない、その時のアイツは男の顔、
いや、獣な感情を秘めた恐るべき15才の男、それだけは瞬時にわかってしまった。

気がついたらいつの間にか押し倒されていた、そのくせ優しげに抱きとめてるんだから。
「…こういう事…いつでもできるんだよ…」そう悲しげに云うと部屋にこもってしまった。
ぽつんと独りリビングに残されたアタシは、アイツの激しさを、秘めた強さを知って呆然としていた。
口惜しくてそのくせプライドを傷つけられた気がして我に帰ると一目散にアイツの元へ向かった。

アンタの男はわかったわ、ならアタシの女も思い知りなさい!
そう云い切ってたっぷりといじめてやった、記すのもためらわれるほどの愛撫、その繰り返し。
「だからそういうのがいいんじゃな…うう、やめてよアスカあ…それ以上されたら…」
女の恐ろしさを体をもって教えておいた、アンタみたいなバカなガキ、虜にするのはわけないんだからね、ふんだ。

すっかりしょげかえったアイツを満足そうに見つめたアタシは、それなのに、それなのに、だ。
再び攻撃に転じたアイツのしびれるような口づけでKOされた、何よこの秘密兵器!く、くそううう!

「…こ、こういう事、アスカじゃなきゃしないんだからね…」そう云ってぴしゃりと閉められた襖、
な、なによ、こんな展開、アンタに負けるなんて、バカなアンタに負けるなんてええ!

勝負の行方はまだ決まっていない、そう確信してこの日記をひとまず書き終えたら、
アイツの部屋に枕とタオルケットを持って再戦を提示してやる、まだ夜は長いんだからっ!
いい?このアタシがアンタに負けるなんて許されないのよ?!もっと完全にアタシをKOしてみなさい!

さて、まだ燻っているアイツの所へ赴いてやろうか、覚悟してなさいよアタシのバカシンジ、ふふふ。
466名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/04/02(日) 23:07:35 ID:???
乙です

ムキに張り合うアスカが可愛く、そして、きわどいですね。ハラハラドキドキもの。
467DAHLIA ◆0VwZh5AEOE :2006/04/03(月) 00:08:24 ID:???
4月2日

補完計画の最中相棒はあるビジョンを見た、という話をした。
エヴァの無い世界で、平和に暮らす自分の姿。楽しくて、楽しくて、
今話せば辛くなりそうな世界を見たそうだ。 両親に見送られ学校へ行けば
クラスメート、担任のミサト、明るくて活発なファーストの姿。
呆れるような話だが、これがシンジが一番望んでいた世界なのかもしれない。

でも別に、悪い事ではないと思う。 多分世界中の誰でも、考えそうなことはほぼ
同じじゃないかと、思えるから。 これだけ後ろ向きに生きてきた男にしてはまっとうな
願望だと思えば、私も少しだけ嬉しくなる。 そして、現状への物悲しさも湧いてくる。

シンジ曰く、その世界では私が幼馴染の友達だったらしい。 毎朝起こしに来てくれて、クラスの
連中からは仲の良さをはやし立てられる、そんな関係だったとか。
調子に乗りすぎだよね、と少し照れながら頭を掻く相棒。 同感だったけど、心が動いた。
私達は、まだ知り合って二年も経っていない。 でも、十年以上に匹敵する時間を一緒に過ごしてきた。
こんなに深く中に入り、入らせた他人はいないから。 もし、昔からの知り合いだったなら、その絆は
どうなっていたのか。 エヴァがないなら、かつての憎悪も存在し得ない。  想像も出来ない、そんな世界。


夢想だと思う。 でもどうすれば幸せになれるのか、その答えは夢想の中にある。
相棒と、これからでも幼馴染になってみようか。 なれないけど、目指してみようか。
夢に熱くなれる世界は、もうどこにもない。 なら、一人だけの他人に拘ってみるのも
一興だと思う。 幼馴染、いてくれたら私はどうなっていたのかな。 シンジは、どんな男に
なっていたのかな。 体温を感じあう時間に、そんな想いを馳せてみた。


幼馴染のシンジ、私の夢。
一緒に学校へ向かって走る、私の夢。
手を繋いだまま離さない、私の夢。
468名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/04/03(月) 00:16:47 ID:???
乙です

夢は実現しないから夢。儚い夢。でも実現するための努力はできる。
469ロメオ ◆rHza36ec2U :2006/04/03(月) 02:13:45 ID:???
>>ホリディ先生

思いつきで書いて尊敬するホリ先生のスレを汚すことになってしまった。
すいません。
別にミサトにキライな訳ではなく面白ければいいかなとw
自分にとってアスカは青春の思い出で不滅の恋人なので
ホリ先生DAHLIA先生他職人さんたちこれからもカワイイアスカを
書いて下さいネ。

ちなみに某スレでのパロディには悪意はありません。
お体に気をつけて頑張って下さい
470肉じゃが:2006/04/03(月) 02:19:11 ID:???
>>463 >>ホリデイ氏 自分のことを覚えてくれていたというのが嬉しくて思わずレスしてしまいました。
>>職人のみなさま いつも楽しく時には切なくいろいろな感情を感じさせて頂きながら読ませていただいています。ありがとうございます。

また自分が書く機会がありましたら職人のみなさまをはじめ、住人のみなさまに暖かい目で読んで頂けたら嬉しいです。

それではまたいつかの機会に
471名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/04/03(月) 06:04:31 ID:???
472名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/04/03(月) 09:23:39 ID:???
おつ
473ホリデイ ◆A7RGAj24KE :2006/04/03(月) 22:30:32 ID:???
腹立月半分日記日

このところやや感情的な日記に終始してしまったので今日は落ち着いて記そう。

朝、相変わらずの目覚めの悪さをシンジに注意された、
起こす身にもなってくれと随分な言い方だが、何がいけなかったのか教えてくれない、
さては不機嫌丸出しな返答が傷ついたのかと勘ぐってみたがなんのことはない、
寝言のふりしてアイツの名前を二・三度呼んだ事が原因だったらしい。

「あんな風に云われたらいい夢見てるかと思って何もできないよ」だとか、
朝っぱらから聞いた風な口をきくものねと思いうるさいと軽く殴ってごまかしておいた。

昼はアタシの要望を汲んでデリバリーピザにしてくれた。
暇つぶしにジャンケンで負けた方がモノマネしながら応対すると提案し実行、
もちろん負けたのはアイツ、ほんと期待通りなのが少し情けなく思った。

プレッシャーに潰されそうなアイツが時計の針とバイクの音にびくびくする姿は、
それはそれで可笑しかったけど、どうしてこう弱々しいのかしら、とって食われるわけじゃないのに。

「お待たせしましたー」「?hーん、いわゆるひとつのピザですねー」
華麗にスルーした店員と寒々しいアイツにリビングで爆笑しておいた。
「やーいすべったー」「…僕だって自信があったわけじゃないんだ…」
ピザをぼそぼそと食べるすね顔のアイツがまた可愛いなんて、誰にも内緒だ。

たぶんアタシはそういうシンジが見たくてしかたないのだろう、
だから意地悪してからかって小悪魔じみた行為に出てしまうんだろう、
いつも思うけど悪いくせよね、日記の上だけでも謝っておく、ごめんなさい。
474ホリデイ ◆A7RGAj24KE :2006/04/03(月) 22:31:56 ID:???
たいていそうやって昼や夕方に意地悪すると夜は予期せぬ仕返しを喰らうのだ。

それはともかく夕方ヒカリから電話が来た、夕食を食べないかとの事。
ジャージも一緒らしいので誘ったのだろうがのろけ話につきあわされるのも困るし、
今日はダブルデートするような気分じゃない、だいいちさっきシンジと夕食の話をしたばかり、
今日の献立はコロッケで手伝うのを約束してしまったのだ、以上の理由でやんわり断った。

このアタシが手伝うなんて畏れ多い事よと軽口交わし二人で作ってると家主が帰宅、
さらになぜかファーストも帰宅、ってここはアンタの家じゃないでしょ!
美味しい匂いがしてきたのでそれを辿っていたらここに着いた、以上ファーストの答えた理由。

働かざるもの食うべからずという葛城家の家訓によりファーストも一食分手伝わせた。
当の家主がビール片手に見守るのはいかがなものかと毎回思うが参加させたら一大事だ、死が待っている。

とにかくファーストには食卓に皿やコップ、箸入れを並べてくれと命令したが、
案の定一枚割ってしまった、慣れない事をさせたこちらもばつが悪かったが、
何よりシンジが意外と心配してるのが気に食わなかった、何よいいとこ見せちゃって、ふん。

さりげなくその場を仕切ったらファーストのやつ、
「…私は…哀れなシンデレラ…まま母が虐めるの…」ちょっと誰がまま母だってえの!!
そうつっこむと不敵な笑みを浮かべてそ知らぬふりをされた、くそう、くやしい。

そういうわけで今日は四人で夕食を囲んだ、でもファースト、ちょっぴり嬉しそうな顔してたな…
こういう食事慣れてないのに、なんだかファーストがとても可哀想に思えた。
お腹が空いて死にそうになったらまた来なさいよと云ったらこくんとうなずいてた、
何だか不思議な気分だ、むう。

そういえばアイツがしでかした仕返しが何かまだ書いてなかったわね、
まあいつもの事よ、うるさい口をふさぎわがままな行為を鎮めるのに、
アイツがどうやってやりかえしてくるなんて、ふふふ、唇をなぞり思い出しながら筆を置こうっと。
475名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/04/03(月) 23:27:41 ID:???
乙です


キスの魔法は二人だけの秘密。ギャグレイ登場ですね。
476DAHLIA ◆0VwZh5AEOE :2006/04/04(火) 04:05:07 ID:???
4月3日

お昼時、相棒と二人で何となく空を見上げていると、飛行機雲のような一筋の
細長い雲が視界に入った。 飛行機など飛んでいる訳がないから、偶然こういう
形になっただけだろうけど、相棒はあることを思い出した。
エヴァパイロットという肩書きのせいで、修学旅行へ行かせてもらえず、屋上でシンジと
こんな雲を見上げたことがあった。 あの時の歯がゆさは、私の方がシンジより数段、上だったと思う。

高校に上がったら、その時こそはと思っていたのに。 私達の修学旅行をはじめとする学校行事は、
みんな幻になってしまった。 そんなに未練はないけど、思い返せばやっぱり、悔しい。
ドイツから日本へ来る時は船だった。 私は、飛行機に乗った経験なんてない。
相棒に尋ねてみれば、私を迎えに来た時のヘリくらいだと言うので、二人で苦笑するしかなかった。

機会があったら、二人で旅行しようねと笑顔をくれる相棒。 その日暮らしの中でなんとも
能天気なことを言ってくれる。 ついでのわがまま、飛行機に乗せてみろと突きつけてみた。
いつかきっと、なんて言って承諾したシンジの顔は、私の一番好きな表情をしていた。
コイツと空を飛べる日が、いつか来るだろうか。 弐号機で飛ぶのではなく、お客として
空を舞うこと、密かな願望だったかもしれない。 無期限なのが難点だけど、シンジが約束してくれた。
それを信じていようと思う。 雲の上へ、連れて行ってくれる日を。


細長い雲。 大空への憧れ。 自分はなんでもできると思っていたのに、あんなに遠くに霞んでる。
なんにも出来ないと思ってる男に、任せようとしている自分。 笑っちゃうけど、今の自分が好きだから。
今もずっと、シンジと一緒に旅をしてる。 同じところをぐるぐる、ぐるぐると。
まだ、終わらせたくはない。 今日見た雲より、長く長く、続いていてほしい。


シンジがいるから、飛べそうな気がする。
477名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/04/04(火) 07:00:55 ID:???
乙です

Fly me to the sky.言い換えればあなたが好き。
478名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/04/04(火) 20:04:43 ID:???
479ホリデイ ◆A7RGAj24KE :2006/04/04(火) 20:27:50 ID:???
密かな月愉しみ日

ふと気づいてしまった、それはアイツが洗濯物をとりこむ姿を見てた時、
そういえばアタシやミサトの下着はアイツが洗濯する事もあるんだっけって。

一応当番表は作成してるのだが時としてアタシとミサトは意識して守らない事が、
つまりはさぼってしまうのだけどそれもアイツが渋々ながらしてくれる好意に甘えてるわけだが、
すっかり忘れていた、このアタシの下着がアイツに見られてるなんて?!

でも何も云わずアタシやミサトの分をたたんで渡してくれるアイツは、
気づいてるのだろうか?いえそりゃ意識してるでしょ、異性の下着なんだから、
もとよりアイツはスケベ心満載な15才のバカでガキな男の子、ぜったい何か思ってる。

でもそんな事は聞けやしない、聞くだけ野暮で、そのうえ語るに落ちるとはこの事だ。
しかしアイツが悶々としながら洗濯してとりこんでるなんて思いたくもない、
どうしても気になる真意を知りたくてアタシはある罠を仕掛ける事にした。

一人で内緒で出かけたランジェリーのショップで購入したピンクの上下、
やや薄めの生地でおまけにきめ細やかな刺繍が記されたちょっと艶かしい代物、
なんでそんなものをと思うかもしれないが、アタシだって女なのよ。

そういうので男の子をKOしてやりたい、あるいは大事な時に着て喜ばせてやりたい、
鈍感バカが鼻血我慢しながら困る姿が見たくて見たくてたまらないのよ、そ、そういう事よ!

要するに今日の洗濯物の中にそれをそっと忍ばせておいたのだ、
あのムッツリスケベがどう対応し克服かあるいは軍門に下るのか知りたくて。
480ホリデイ ◆A7RGAj24KE :2006/04/04(火) 20:29:14 ID:???
さてどうなるものかと見守ってみたけど…つまんない男、なんなのよ、もう。

かごを持ってベランダへ向かった朝、それをとりこんだ午後、そして畳んだ夕方、
なんにも反応なし、それどころか「何見てるのさ…暇なら手伝ってよ」なんて生意気云われて、
ああもお口惜しいったらありゃしない、ちったあわかりやすい姿見せなさいよ!

…って何考えてたのかこの時のアタシはまるでこっちがスケベ心丸出しじゃない!
ええそうよ、もやもやしてしょうもないことしたわ、今はとても反省してる。

気づくべきだった、ほんとはアイツの視線が少しだけ違っていたって事を、
それがわかったのは夜遅く、一日の終わりを締めくくろうとした時のさなか、始まりはアイツの言葉。

「…アスカ…これからは洗濯物も分担制にしようよ…」「何の事よ?」
「…わかってるくせに…僕だって男の子なんだよ…」「知ってるわよムッツリスケベって」
「そうじゃなくて!?ひどいよ!あんなの干す僕の身にもなってよ!」
「あんなのとは何よ!!はは〜んアンタそうやってアタシの洗濯物見て…いやらしい」
「ち、違うよ!だけど、そ、その…あのさ、い、いくら何でもあれは…」「何よ」
「…な、なんでもない…僕は…僕が…」「僕が?何よ?」「…意地悪…うう」

思った通りだがこうも好反応を見せるとはさすがアタシのシンジ。
態度やその他の言葉からアイツがそういう思いを抱きつつも不純さにまみれてないとはわかったけど、
しかしまあ、ほんとわかりやすいんだから、そんなに可愛かったアレ?ふふふ。

心配しなくてもいつかはぜったい見せつけてやるんだからこれを着て、ね。
その時にはもうほんとうの意味で全てが一つになっているだろうけど、わかってるでしょ、シンジ?
それは短いようで長い時間が必要だけどどうしても叶えたい願いそして希望の一つ。

アンタがどうしようもなくなるくらいにしてやりたいんだから、いつか、いつか、ね。

だからといって今日みたく唐突な抱擁は困るわ、気をつけなさい、ちょっとは嬉しかったけどね、ふふん♪
481名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/04/04(火) 20:35:48 ID:???
乙です


小悪魔アスカの甘い誘惑。
482DAHLIA ◆0VwZh5AEOE :2006/04/05(水) 02:48:03 ID:???
4月4日

相棒の方から、昨夜の夢の話をしてきた。 私達がエヴァパイロットとしてその
任務を全うし、サードインパクトを防いでいたら、というなんとも虚しい仮定のもとに
繰り広げられた夢。 以前と変わらぬ街や人の中で、日々が紡がれている、世界。
その役目を終え、私がドイツへ帰る事になり、シンジは必死に引き止めた。 周りの
人間の中、私を引き止めるのは自分だけだったそうだ。 その冷たさに憤慨しながら、相棒は
私を日本へ留まらせることを願い続け、訴え続けた。  私の方が恥ずかしくなる話だ。

いよいよとなった時、シンジは私を抱き締めた。 心の中では「絶対に行かせない」としか言って
なかったらしい。 眼に熱いものを溜め込んで、力の限りに私の身体を包んでいた。
私から、慣れた匂いが漂ってきたと思えば目が覚めて、この浜辺の景色に我に戻ったそうだ。
他の人に蔑まれても、私との時間は譲れなかった。 変な話、本当に今の暮らしが悲惨なものなのか
分からなくなったと、シンジは照れながら呟く。 どちらが悪夢なのだろう、と悩み顔も見せる。

私にだって、それは分からない。 分からないところまで、来てしまったのだろう。
もう、パイロット仲間じゃない。 どんな理由があっても引き裂けない絆がある。
見渡せる世界が悪夢なら、悪夢の中に幸福を見つければいい。 そう思えるようになった。
私もよく見る、もしもの世界の夢。 似たようなシチュエーションで、私もやっぱり、別離を
拒んだ他人がいる。 結果として、この海の香りに戻ってくるのだ。 自分に呆れながら、微笑ってる。


この悪夢、悪くないと思う。 こちらが夢なら、もうしばらくは覚めないで。
また、残った片目が熱くなって紅い海が滲む。 何も言わないけど、後ろからそっと
包んでくれるいつもの心を感じながら、今日も暖かい時間を過ごせた。

これが悪夢なら、このままずっと寝ていよう。
満たされれば、それでいいのだから。
483名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/04/05(水) 05:09:13 ID:???
乙です


二人で生きる夢と現実。恋のメタフィクション。
484名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/04/05(水) 09:56:33 ID:???
485ホリデイ ◆A7RGAj24KE :2006/04/05(水) 19:40:36 ID:???
ある午後の月二人日

長雨に祟られた一日を退屈なく過ごすにはどうするか?
決まってる、こういう時にちょうどいい暇つぶしの相手をつかまえることだ。

あからさまにつきあいきれないとぶすって顔を返すアイツに腹が立ち、
隣に座り込みいろよい返事をもらうまで頑張る事にした、とっとと云う事聞け、このバカ。
じろりと睨みつけても眉一つ動かさずそ知らぬふりをし続けたアイツ、
「?hー」と怒りをあらわにしても全然気づいてくれない、ええいもおこのバカバカバカ。

とうとうしびれを切らしアタシは今思えばまったく馬鹿馬鹿しい行動に出た。
人指し指をぴんと立てアイツの柔らかいほほにつんとさしぷにぷにぷにぷにして催促。
八の字眉毛の困り顔を見せてもずっとぷにぷにぷにぷにしてやった、へへん。

そしたらアイツもアタシのほほに指をさしてぷにぷにぷにぷにやり返してきた、
互いにぶすっとした顔でほほをつつきあうアタシ達は…まったくアホだ。

真似されたのがくやしくて今度はほほをぷにってつねってやった。
「あひゅかなにひゅるのひゃ…」そうやって困ってるくせにアイツも慣れたもの、
つつくのを即やめて向こうもこっちのほほをつねってきやがった、このマネっこめ。

そうやってたがいにほほをつねりあい「?hー」「むー」とうなりあいじゃれあってたさなか、
傍らを見ると帰宅した家主がなんだか困った様子でアタシ達を見つめていた…
くすって微笑むと彼女は「仲よき事は美しき哉…か」と満足げな顔で部屋へ。

なんだか見られたくないものを見られたアタシは恥ずかしくて、
ぽかんとしてたシンジの頭を小突いてごまかしておいた、アンタのせいなんだからっ!って。
それなのにアタシをしたり顔で見つめてたアイツ、何よ、くそう、いいでしょ!

暇つぶしなんて嘘、じゃれあいたいんだから、でもそれを見透かされたような瞬間、
あまりに口惜しいこの気持ちはよりじゃれあった事で紛らわした、それくらいいいでしょ!バカシンジめ、ふん。
486名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/04/05(水) 19:46:30 ID:???
乙です


ほっぺプニプニ。かけがけのないあの日。
487名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/04/06(木) 00:12:20 ID:???
良作あげ
488名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/04/06(木) 00:40:11 ID:???
(´ー`)σ)´ー`)
(´ー`(а(´ー`)
489名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/04/06(木) 00:55:52 ID:???
GJ
490DAHLIA ◆0VwZh5AEOE :2006/04/06(木) 03:29:11 ID:???
4月5日

共に眠りに落ちている時間、お互いの意識が溶け合ってしまうことが、たまにある。
子供の頃の嫌な記憶。 よりによってそんな夢を見ていたときに、シンジに覗かれてしまった。
宇宙から攻撃してきた使徒がいた。 その使徒にも、私は心をかき乱され、傷を負った。
限りなく近い他人のシンジ。 昨日の話に触発されたせいか、こんな事になってしまった。
あの時を髣髴とさせる、何処かの皮膚がズルっと剥がれたかのような、痛くて不快な感覚。
あの時は、誰も助けてくれなかった。 弐号機のコクピットでうずくまり、いつ通り過ぎるか分からない
痛みを必死にこらえていた。 本当は苦しかったのに、手を差し伸べられることを自尊心が
拒絶したのだ。 今朝の夢は、それらが全て復元していくような恐怖に満ちていた。

でも、今回は違った。夢の中の相棒は、泣きじゃくる幼い私を、頼りない腕で抱き上げた。
頭を撫でて、頬に唇のサインを刻んで、

「あの時はゴメンね。」 と囁いた。

苦しい感覚が、太陽に包まれていくように明るくなる。 なんてことのない、たった一言で。
子供の私が泣き止んで、シンジにキスを返した。 一生懸命首を伸ばして、相棒の頬に唇をつける。
断ち切ったはずの過去に苛まれながら、今の私がいる場所を教えてくれた、そんな夢だった。
目覚めれば、まだ寝顔を晒すキスの相手がすぐそばにいる。 また一つ、助けてくれたんだ。

言葉を交わさずじまいの夢の中、シンジはずっと微笑んでいた。
他人に過去を覗かれるなんて、本当なら許せない。 絶対に許せない。
なのに、どうして、私は喜んでしまっているのか。

考えるまでもないけど、心が埋まっていく感覚にもたれかかって、もう一眠りした。
弐号機の中より、この浜辺が優しいなんて思いもしなかった。 今なら、差し伸べられた手を
躊躇いなくつかむことができそう。 プライドが無くなったんじゃない。


碇シンジの相棒として、新しいプライドを手に入れたから…。
491名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/04/06(木) 05:43:59 ID:???
乙です


救う言葉、謝る言葉、そして立ち上がる想い。
492名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/04/06(木) 09:40:38 ID:???
493ホリデイ ◆A7RGAj24KE :2006/04/06(木) 20:21:39 ID:???
ブルーズは月もういらない日

毎日のようにアタシとシンジはふざけあう、じゃれあう、…何かを交わしあう。
いつかのように拒みあいせめぎあい傷つけあう日々などなかったかのごとく。

どうしてこうなってしまったのだろう、世界でいちばん嫌いな男、そうだったのに。
たぶんアイツも思っていたはず、アタシが世界でいちばん嫌いな女って。
それがいつの間にか近づいて何かを知ってちょうどいい関係を築きあうなんて。
信じられる?いいえ信じられないわ、虚構でもこんな展開は形成されない。

たぶんもし何かが変わったとしたら、そう変わったのだろうアタシとアイツは。
溶け合う心の中で知った真実を礎にして少しだけ前に進んでみたのだから。
与えられる事ばかり望んでいた二人は与える事をおぼえそれゆえに近づいたのだから。

世界でいちばん嫌いなのは誰でもない自分だったのだとも知った、
人を好きになれないのは自分を好きになってない証拠、それはまた真理。
人を好きになる事でそれに努める自分が次第に好きになっていった、
好きだからこそ自分を見せたい、見せるためには自分の汚れを拭わなくてはいけない、
そうして変わっていったから今こうして満たされないとはいえそれなりの幸を得たのだ…

それでももう一人の「アタシ」は常にアタシを責め克服した過去を疼く傷を突きつける、
もしかしたらアイツももう一人の「アイツ」に同じような目にあってるのかな…
だったらいつでもアタシに逃げなさい、アタシもアンタに逃げてるんだから。

それは栄光ある撤退、勇気ある逃避、決してただの逃げではないんだから、
互いの中にある不安を消すために秘められた強い想いを確かめあう男女の戦い。
ちっとも逃げてなんかないわ、目を背けずアタシとアンタいつだって向き合ってるんだから。
494ホリデイ ◆A7RGAj24KE :2006/04/06(木) 20:24:19 ID:???
でも、でもね、やっぱりアタシは心の弱い女、脆弱な意志に嫌気がさす。
どうしてもわからなくなる、先にも記した通りなんで好きになったんだろうって。
人にたずねられたらこれだという理由を提示できない自分が情けない。
○○だから好き、ではない、言葉にも理屈にもならない好意としか表現できない。

優しいのは知っている、そのくせ頼りなくて弱気で優柔不断で内省的でもどかしいのも。
やればできる奴だってのも知ってる、けれども引っ込み思案で逃げたがりで重い腰あげないってのも。
純粋なのも知っている、なのに悶々として妙に意識過剰で実はムッツリスケベだってのも。

ここまで記してみてわかった、それだけ知ったからこそ好きになったんだなって。
たぶんこれ以上互いが似ていたら間違いなく嫌悪感しか生まれなかった、
たぶんこれ以上互いが違っていたら親近感すらわかず心の琴線にも引っかからなかった。
理想にかなっていたらすぐに飽き、現実に近ければ妥協としか思えない、そうなっていた。

ちょうどよかったのだ、遠からず近からず、上手く重なりあった二人、それでいいのだ。

でもやっぱりアタシはアホだ、やめりゃいいのについ聞いてしまう、これが性分ってやつ。
アタシのどこが好きなのかアイツに聞いてしまった、ああもお、ほんとに情けない。

アイツもアイツだ、アタシと同じようにこれという理由をあげず、
記すのも馬鹿馬鹿しいくらいのこそばゆい好意ばかり並べて、まったく似た者同士ね。
顔が赤くなりそうなのを必死にこらえて我慢して聞いてたけど…最後にはこれだ。

「…振り回されて、困らされて、いつもわけがわかんなくて悩んじゃうけど…
 それでも僕はこれでいいんだって、生きてるって、一生懸命誰かの為にも生きてるって…
 …そう思えるようになった、好きな人と共に生きる事で知った、だから…僕は…アスカが…」
それ以上聞こうなんて思わなかったからアイツの口に人指し指をたてて黙らせた。

なんでアタシがアイツの事を好きなのか少しだけわかった気がした。
もうキスも抱擁も今夜はいらなかった、ただ隣に心を離さないバカがいるだけで…よかったから。
いつも聞いてた憂鬱なブルーズを今夜は消して心地よい静寂に身を委ねよう、夜はまだ長いから…ふふ。
495名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/04/06(木) 21:55:35 ID:???
乙です

キスのない日(この後あるのかもしれませんが)もいいですね。とても心に響きました。
496ホリデイ ◆A7RGAj24KE :2006/04/06(木) 23:00:49 ID:???
>>495氏のレスを読んで…

「な、なに云ってんのよ!欧米じゃキスなんて挨拶代わり、何意識してんの?ばっかみたい」
「じゃあ僕にするのもおやすみの代わりって事?」
「そういう事よ、アンタ人におはようって云われたら告白されたと考えるの?正真正銘のバカでしょ」
「そういう云い方ないだろ、つまり僕にするのは単なる挨拶って事なんだね…わかった」

今晩のキスは当然のごとく拒否され大いにへこむアスカさん。

どうしても許し難く「あ、アンタとするのは別よ!挨拶なんかじゃないんだからっ!」と、
お願いしてしまいよけい墓穴を掘るアスカさんでもありました。

もっとも「…ったく、いつも素直じゃ無いんだから…まあいいか…はあ」と、
シンジ君はシンジ君で潤いの残る唇をなぞりながらちゃんとわかっていたのでありました。






って何書いてるんだろ自分…

いえ、ホントはキスも何もない話がいいんですが、オチとしては的確でわかりやすいのでついつい…

でもそういう風に云っていただけるとこちらも嬉しく、心に響きます。
何より毎回の投下に丁寧にレスしていただける事も重ねて嬉しく思ってます。

しかしこれからも精進してもっと多くの方々に喜ばれる話を紡ぎたいものです。
ほのぼので変わりなくそれでも愛くるしいアスカさんとシンジくんの物語を、
きちんと構成して投下しなくてはと、襟を正してのぞみます。
497名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/04/07(金) 02:21:50 ID:???
GJ!

ホリデイ氏乙です。
毎回ハイクオリティな作品にKOされっぱなしです。 これからも頑張って下さい。
498DAHLIA ◆0VwZh5AEOE :2006/04/07(金) 03:17:10 ID:???
4月6日

暖かくなってきて、持て余す昼の時間に海で泳ぐのが気持ちよくなってきた。
プラグスーツを脱ぎ捨てて、私と相棒の貸切ビーチを堪能する。 恥ずかしがって、
相棒は入ってこないがまるで保護者かのように浜辺に座り、私を見つめている。
一緒に泳げと言っても、泳ぎが下手なので怖いという理由で、その服を脱ごうとはしない。
全く、私だけが裸身をさらしているのは割に合わないとも思うが、それでいいと言ったのも、私。

僅かに口元を緩ませる相棒。 流石に私も少し恥ずかしくなって、シンジに思い切り水を撥ね掛けてやった。
どうせ、いやらしい事を考えていたのだろう。 無理もないけど、一方通行なのにちょっと憤っただけ。
するとシンジは、私が私に見えなかったと、口にした。 広大な海の中、一糸纏わぬ姿で泳ぐ私は、さながら
神々しさすら漂う女神のようだった、などと形容してみせた。 知らずに、久しぶりに、真っ赤な顔になっていた。

シンジは黙って学生服のボタンを外し始めた。 初めて、自分から一緒に泳ごうと言ってきた。
平気なはずだったのに、今日は私の方が緊張してしまっていた。 細くて、綺麗なシンジの身体は、
私を昂らせ精神のバランスを失くさせた。 まともにシンジを、見ることが出来なかった。
たまらない。


灯りを消した後、いつも抱き合ってる身体なのに、どうして?
分かりきった、一番馴染んでいるものなのに、どうして?
いつものバカシンジ、何も変わらないバカシンジ、どうして?

不覚。 装いを捨てる覚悟がないのは、私のほうだった。 ちょっとだけ勇気を見せた
シンジに、こんなにドキドキするなんて我ながら格好悪いことこの上ない。 悔しい。
私からは、何も言わない。 そうすれば鼓動高鳴る私の身体は、シンジが包んでくれることを知ってるから。
私は、女神なんかじゃない。 こんな情けない女神はいないはずだから。

相棒の愚かな妄想に過ぎないけど、今日はそのままで良しにしておく。
女神に恋した男の顔は、私の一番好きな顔。 夢に溶けるのは、いい薬。
今日は女神でいてあげる。   紅い海に彩られながら、アンタを愛していてあげる。
499名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/04/07(金) 09:13:24 ID:???
乙です

恋する二人が作る神話。想われて人は神になる。いいね。
500名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/04/07(金) 12:22:46 ID:???
501DAHLIA ◆0VwZh5AEOE :2006/04/08(土) 01:58:01 ID:???
4月7日

私は、自慢ではないが寝相が悪い。 このところ気温が上がってきたせいでそれが
顕著になりつつある。 今朝、相棒の上に覆いかぶさってしまい無意識に胸でシンジの
顔を押さえつける格好になってしまっていた。 苦しくて目を覚ました相棒はたまらず
私を起こした。 が、寝覚めの不機嫌さから誤解してシンジの頬に平手打ちを見舞ってしまった。
後で考えれば明らかに悪いのは私。 シンジに謝ったが、このパターンに慣れてしまった相棒は
余裕を見せて、苦しかったが私の胸の感触は気持ちが良かった、などと微笑んでみせる。

反射的にもう一発、手が飛びそうになったがそれはこらえて、今度は意識してシンジの顔を自分の
胸の合間に埋めてやった。 言葉が出ずに硬直するシンジの頭をポカポカ数回殴ってやれば、少し気も晴れた。
プラグスーツ越しではあるが、殆ど直に近い感触。 これは、そういう服だから。
どうせ悶々として、動けなくなってるのは分かってる。 この相棒は、まだまだ私の手を引っ張って
歩いてくれそうにはない。 だったら、私が先んじて抱き寄せるしかない。 それは、もどかしい。

いちいち日記には書いていないが、毎日入浴時にはシンジをからかっている。
夜の暗がりではなく、明るい時間に見る何も着ていない異性に、まだ戸惑いを
隠せない可愛い相棒。 傍に近付けば近付くほど、熱くなる心が感じ取れて面白い。


明日は何をして遊ぼうか、シンジ?
502名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/04/08(土) 02:06:49 ID:???
乙です


第一次的接触で導くステージ。二人でなら、いつか。
503名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/04/08(土) 07:09:43 ID:???
504名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/04/08(土) 09:28:34 ID:???
職人はもちろんスゲーが、毎回一言感想をつけてるヤツもよく続くよな
505肉じゃが:2006/04/08(土) 12:46:37 ID:???
今日はスゴく嫌な夢を見た。アタシが今まで見た中で最低の夢。夢の内容はアタシの存在がなくなってしまうというものだ。アタシが死んだとかいうのではなく、最初からいない。しかもみんな何事もなく生活している…。そんな夢だ。
なんだか変にリアルで、本当にアタシの存在があるのか部屋の襖を開けるのが怖かった。
少しだけある勇気を振り絞り襖を開けるとリビングには誰もいない。アタシは更に不安になり急ぎ探す。家主の部屋もアイツの部屋もからっぽ…。
もう頭の中が真っ白になってしまう。ボー然とリビングに立つアタシ。

そんな時、脳天気なアイツの「ただいま」の声。
アタシは玄関に向かいそこにある存在を確かめるように無我夢中でアイツを抱き締めた。アイツも最初はビックリしていたけど、スグに抱き返してくれた。アタシはなんだかスゴく安心してそのまま涙を流してしまった。スグ拭いて隠したけどバレてたかな…?
506肉じゃが:2006/04/08(土) 12:49:33 ID:???
少しして冷静になると急にアタシのとった行動が馬鹿馬鹿しくなってしまい「ビックリしたでしょ?」などと幼稚なごまかしをしてしまった。

その後はいつも通りに時は流れたが、体は勝手にアイツに寄り添っていた。


アタシは時々アイツに心を読まれてるんじゃないかと思う。
「僕はアスカから離れないから。もう勝手にどこかに行かないようにするから」
これがアイツの寝る前の言葉だ。
真剣にアタシを見つめる瞳にアイツの存在の大切さを改めて痛感した。なんだか恥ずかしくて部屋に戻り、こうして日記を書いている。
でも言葉だけじゃアタシは不安。だから寝てるアイツにこれから潜り込んで来ようと思う。

さぁてアイツの反応が楽しみ♪♪
507ホリデイ ◆A7RGAj24KE :2006/04/08(土) 23:47:39 ID:???
>>肉じゃが氏

久々の投下乙です、いいですね、愛し愛される二人。

こちらも投下しますかね。
508ホリデイ ◆A7RGAj24KE :2006/04/08(土) 23:48:50 ID:???
愛月餓えを日

恋人たちを見ると心が疼くのはなぜなのだろう。

珍しく二バカと遊びに行ったアイツの事をふと思い出しながら歩いた街角、
土曜日の午後なんて誰もが皆浮かれてるようで華やかな街並に相応しい彩り。

すれ違うのは全て幸せそうな恋人たち、これからたっぷりと楽しむのかしら、
並んで歩くもの、肩を抱き合うもの、繋いだ手を離さないもの、
なんて素敵なの、やっかみ半分にやぶにらみしても空しくなるだけ。

口惜しさを紛らわすためにお気に入りの格好で出かけてみたものの、
ほんとうは誰にそれを見せつけたいなんて、わかってるわ、でもね…
心地よい風がひとすじ吹いた、でも心は安らぎなんてしない、むしろ憂鬱になるだけ。

繋がるはずのない電話に吹き込んでおいた、
「気が向いたらこっちに来なさいよ、待ってるからね」それはわがまま、困らせるだけの意地悪。
いつかは震えるはずの携帯をそっと握りながら二杯目のコーヒーを飲干した。

隣では初々しいカップルが甘ったるい話を繰り返して腹立たしいったらありゃしない。
ふと目が合った女の勝ち誇ったような顔、何よ!アタシだってちゃんといるんだからね!
アンタの相手より数倍いい男の子とつきあってるんだから!空しき文句が心で渦巻いた。

鳴るはずのない携帯を見ながらとても恋しくなった。
今すぐ逢いたいと思った、叶うはずのない希望、それは絶望と同意義、
それでも逢いたかった、何もいらない、今はそばにいて…
同じ空の下にいるはずのアイツへ声なき叫びをあげた、届くはずもないのに。
509ホリデイ ◆A7RGAj24KE :2006/04/08(土) 23:50:18 ID:???
あてどなく彷徨う街なんてよけい心に穴を開けるだけ、
ベンチに座ってぼんやり考えてたら隣にカップルが座った、
そそくさと立ち去る自分に嫌気がさして離れたゴミ箱にケリを入れてごまかした。

その時短くふるえた何か、急いで確かめると「駅につきました、どこにいけばいい?」
慌てて返す「なにやってんのよ、電話すりゃいいでしょ!」心震えながら今度は長いヴァイヴ。
そうしてアタシとアイツは待ち合わせてめぐりあった、遅すぎるわよバカ…待ってたんだからね。

漆黒の闇に染まった世界、謝罪代わりの二人だけの夕食に満足しながら、
帰りはそっとアイツの腕に抱きついた、さっきまでのフラストレーションを消すため。

いいえ、世界に見せつけたかったの、アタシにも大切な人がいるのよって。
浮ついた恋人たちに見せたかったの、アンタ達より幸せなんだからって。

駅までずっとそうやって歩いた、アイツときたら真っ赤な顔して…ったく情けない!
振り返る恋人たちの顔が見物だったわ、ざまあみろ、口惜しかったらせいぜい頑張りなさい。

その後はそっと手を繋いだまま離さずコンフォートまでの帰り道を楽しんだ。
こっちのアプローチに感化されたのかしら?珍しくアイツが途中の公園に寄ろうと誘ってくれた。

誘ったわけはわかった、アイツもアイツでこの二人きりの時間を楽しみたかったのね。
月明かりと申し訳の街灯の下アタシ達はそっとそれでも強く抱き合った。
お節介な家主と気のきかない一匹の目を気にする事のない二人きりの世界。

いつもより強く熱く甘い口づけを交わしたのはそういう理由。
しょうがないでしょ、互いに餓えていた二人、これは当然の帰結なんだから。
ただ、普段出さない甘えたアタシを見せたのは不覚、またアイツは増長しちゃうから。

餓えた心を満たしてくれてありがとうシンジ、それだけで嬉しい、アンタがいるって事だけで。
でもこの餓えは簡単には解消されないの、それだけはしっかりとわかってなさいよ!ふふふ。
510名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/04/09(日) 00:15:07 ID:???
おお、肉じゃが氏久々の投下乙です。
これからも期待してます。
ホリデイ氏乙です。

ふたりだけの世界は少しだけ甘いのがいいですね。
511名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/04/09(日) 00:20:18 ID:???
乙です


満ち足りぬ心、それは求め続けているから。In other word,I love You.
512名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/04/09(日) 00:46:14 ID:???
肉じゃが氏ホリデイ氏乙
相変わらずかわいい二人の描写がGJですな

ところで最近レス少ないな、ROM派が多いのかな?
513DAHLIA ◆0VwZh5AEOE :2006/04/09(日) 01:36:07 ID:???
4月8日

今日の拾い物は、一冊の週刊誌。 焼けずに残っていて、綺麗な状態のものだった。
エヴァと使徒の戦いが非公開だったがゆえに騒がれて、謎の巨大生物とロボットの戦い、
と書かれていた。思えばクラスメートも平気で知っていたのだ。 マスコミへの情報操作など
この程度のものだったのだろう。 相変わらずの見当違いな記事に、相棒と二人で笑い合った。

相棒が目に留めたのは、表紙を飾るグラビアアイドル。ハーフらしく、茶髪と蒼い眼が印象的な
私達と同じくらいの歳の娘だった。 シンジは、このアイドルが好きでよく、歌を聴いていたという。
でも好きになったのは割と最近、初号機の中から生還したあの時以後だったそうだ。
伊達に四六時中一緒にいる訳じゃない。 シンジの言いたい事はそれだけで充分、伝わった。

このアイドルが結構、私に似ている。エヴァでの訓練や戦闘に明け暮れながらも楽しかった日々が
傾き始めた頃、言うなれば気の置けない同居人だった私が遠ざかり始めた頃、このアイドルが私の
代わりになっていた、と言いたいのだろう。 他人を怖がるくせに、すがらなければ自分すら保てなかった
シンジらしい、心の動きだと思った。 もっとも、私も人の事は言えないと自覚してる。
でも芸能人なんて、所詮遠い他人でしかない。 いざとなったら、気休めにもならない。
シンジだって、それは分かってる。 少し恥ずかしい思い出だと言って、照れ隠しに頭を掻いて。

私がシンジだけのアイドルでいるから、コイツは微笑ってる。
辛い暮らしの中で、これだけはとっても、贅沢だと思わせたい。
誰もいないから、邪魔されないこと。 誰もいないから、幸せを感じること。
週刊誌は、焚き火の燃料にしてしまった。 表紙のアイドルから、卒業するシンジ。

私は、すぐそばにいるアイドル。  この狭い世界で、たった一人を虜にした、アイドル。
シンジの心の中は、表紙も中身も全部、私の載ってるページばかり。
それは、生命を燃やす燃料になっている。 私の心と、同じ。
週刊誌は、すぐに燃え尽きてしまったけど、 この炎はずっと、消えることはない。

シンジも、私だけのdas Idol。
 
514名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/04/09(日) 01:43:55 ID:???
乙です

あなたがいるから生きていける。偶像ではないかけがえのない大切なあなた。
515DAHLIA ◆0VwZh5AEOE :2006/04/09(日) 01:47:19 ID:???
>>肉じゃが氏
お久しぶりですね。 現実と夢のコントラストが、とてもいい感じです。
シンジ君の力強い台詞にも、書き手として共感するものがあります。
これからも期待してますので、自分のペースで投下なさってください。

>>ホリデイ氏
待ち合わせて出会うまでのアスカの高揚感が伝わってくるようです。
本当に「恋人」、でも不器用なアスカ、とても可愛くて頬っぺたが落ちそうですw
連日、シンジ君一筋のアスカの生活が見えてくる描写は、お見事と言う他ありませんです。
毎日の楽しみの一つになっています。 これからも、頑張ってください。


そして、これからもスレの一端を担うためにアレコレと妄想している自分であります。
一言感想をくれる方に刺激を受けたりもしているので、様々な励みと合わせ、感謝いたします。
516名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/04/09(日) 02:35:19 ID:???
お〜すげ〜
乙華麗
アイドルって聞いてI”s思い出した。
517名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/04/09(日) 08:55:39 ID:???
518名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/04/09(日) 09:14:17 ID:???
>>512
ノシ ROMってます。職人さんの皆様、いつも感動です。
>>ホリディ氏
すばらしいです。日常の暖かさ。
>>DAHLIA氏
二人だけの世界。二人だけの生活。素敵です。
>>肉じゃが氏
久々ですね、腕をあげましたか?心に染みます。

ROMってる人書き込もう!
519名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/04/09(日) 12:01:07 ID:???
忘れたのか
みんなホリの日記でパシャパシャと補完されていっただろ
520名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/04/10(月) 01:23:04 ID:???
仕事が忙しくて週1も見られないほどなんだ。
許してくれ。

神々、いつも楽しませていただいております。
今後ともヨロシク!
521名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/04/10(月) 02:02:20 ID:???
>>519
そういやそうだったなwww
みんなLCLの中にいr

パシャッ
522名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/04/10(月) 02:07:18 ID:???
4月8日

今日は久々に眠くなったので午後の数十分は家でひとりで寝ることにした。
休日はもっとパァっとするべきなのだが、シンジは朝早くから加持さんのとこへスイカをもらいに行っている。
ミサトもどうやら仕事らしい。2人分の置手紙を見ていると少し寂しさが残った。

ミサトはさておきシンジが居なくてはこれだけ余った時間が無駄になる。
「1人で寂しくない?」
とか電話の一本や二本かけてくれたって良いでしょバカシンジ。
ミサトはともかくこのアタシを一人にするなんて良い度胸よあのバカ。
と、アイツが作った小さなクッキーみたいなのが台所に4袋も置いてあったので、
そのふわふわした外見と甘い香りに誘惑され1袋まるごと食べてしまった。
やはりあのシンジが作ったというだけあって味については申し分無い。
アイツへの怒りに似たそれはもうとっくに何処かへ行ってしまい、
手は二つ目の袋を開けようとしていた。と、同時に、電話が鳴る。
受話器を取ると、向こう側から聞こえたのはバカシンジの弱弱しい声。
「もしもし……あの…あ、あの…アスカ?」
アイツからの電話はいつもこんなんだ。
「何よ、言いたいことあるならさっさと言いなさいバカ」
またいつも通り切った電話。でもアタシが少々ご乱心なのを悟ったのか、
電話がもう一度鳴った。
「どうしたの?何か…ヘンだよ…」
「何も無いわよ!」
「だって…いきなり切るなんて…おかしいよ…」
「それ以上言ったらこのクッキー全部食べるわよ!」
「あ、それアスカのために作ったんだよ、すぐ帰るから味の感想…」
「わ、分かったわよ、食べときゃいいんでしょっ!」
また切った電話。いつもとは違う。一瞬で表情を変えたかのように言い出すアイツ。
523名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/04/10(月) 02:09:01 ID:???
『すぐ帰るから』
こんな言葉だけで赤くなる顔。何かを蹴っ飛ばしてやりたくなる。このムズムズ。
結局3袋目まで完食。舌なめずりするといつものように元気良い「ただいま」が聞こえた。
本当にすぐだった。少々持て余してしまった飢餓も忘れ、ひたすらアイツに近寄ろうとする始末。
ぎこちないその命令文の中には自分でも後々恥ずかしくなる物だって入っている。

クッキーの味の事などどうでも良い。もらってきたスイカと野菜を見ながら、
「おしそう」
なんて呟いてるアイツを縛り付けるのはアタシの唇。ゆっくりと後ずさるアイツが、
ソファに当たって逃げ場を失い、そのまま後ろに倒れる。それでもなお離さない口元。
地面に頭がつくほど押し付けてもまだ離してやらない。苦しそうな顔をし始めてやっと離す。
目のやり場に困りながら赤い顔して笑ってみせるアイツ。もう一度ひとつになるアタシ達。
頭をアイツに預けながらも「美味しかった」なんて言ってアタシは静かにアイツの横に転がる。
「1人で寂しくなかった?」
言って欲しかった言葉が電話越しじゃなく真横から聞こえた。
「んわけ無いでしょ、誰に言ってんのよ」
「そうだね…」

せっかくの嬉しい言葉もこうやって捻じ曲げるアタシが嫌い。
あのよわっちい鈍感な家政婦でバカで臆病なコイツが好き。
何日離れてもどれだけグチっても絶対心は1人じゃないから。
どこにいても心は共に在る。時々擦り減るこの見えない糸。重ねた影がその材料。
できあがった糸はいつだって、繋がってるから。毎日「好き」って言わせてやるんだから!
524名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/04/10(月) 02:10:00 ID:???
久々の投下、最後のピザ食い損ねた後書きました。
525名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/04/10(月) 11:35:42 ID:???
526ホリデイ ◆A7RGAj24KE :2006/04/10(月) 23:49:07 ID:???
雨のち月晴れ日

リビングで珍しくぐったりと横たわってたシンジにアイスティーを入れろと云ったら、
「…今日はごめん…自分で入れて」とあしらわれた、聞けば筋肉痛になったらしい、弱っちい奴め。
けしかけてもいっこうに反応しないので仕方なく自分で煎れたが、なぜ筋肉痛に?

「…長雨…三人分の洗濯物…荷が重かったよ…」そういえば三日も続いた雨、
アタシとミサトの洗濯物がかごどころか洗濯機の周りまで転がっていたのは記憶に新しい。
そしてこういう時の当番は決まってアイツだ、なんて運の悪い男、まったく情けない。

しかもせっかくの晴れ間を無駄にしたくないとかで布団まで干してくれたらしい、
なぜそこまでする必要が、いや滅私奉公にいそしむ思考が生まれるのか、問いつめたら、
「…だってほっといたら…二人の事だもの…家事崩壊の危機」アタシ達をなんだと思ってるのか。

しかし事情はどうあれ懸命に問題を解決してくれたのだ、感謝せねばならない。

だからシンジの体をマッサージして疲れを癒してあげたのはそういうわけ。
一応明記しておくが、これはあくまでギブ&テイク、決して優しさを見せたわけではない。
だいいちこのアタシがしてあげるってえのよ!ちったあ感謝しなさいよ!
それなのにぐったりしたままなんて!少しは強くなれこのバカシンジ!

でも…まあ…「…ありがとう」って云ってくれたし…それなりにほぐしてあげたら、
「?hーん…きもちいい…」なんて甘えた声で嬉しそうな笑み浮かべちゃってさ、
そりゃこっちも嬉しくてつい頑張っちゃったわよ、わ、悪い?!…ふんだ。

結局この日は夕食の支度も含めてシンジの世話で終わった。
ったくアタシがいた事に(もちろんミサトにも)感謝しなさいよ!

けれどもふと見上げた雲一つない青空に今度はちゃんと洗濯を手伝ってやろうかと思ったわ。
こんな素敵な空をアイツと見ながら過ごすのもいいかなと…いうのは絶対内緒だ、絶対云うもんか、むう…
527名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/04/11(火) 00:15:51 ID:???
乙です

素直になれないところがいいですね。アマー。
528>:2006/04/11(火) 00:31:28 ID:???
4月9日

今日は鬱陶しい雨。雲のせいで日も当たらない。外を見ても気分は悪くなる一方。
カーテンを閉めてシンジに作らせたコーヒーで心を落ち着けようとするも、
うるさい家主の面白くないジョークで気分は傾く一方。
そのぶすっとした顔に気遣ってかシンジは桃太郎の本を持ってきた。
こんな子供向けの本に興味は無いと言い張ったが、
「日本の歴史の勉強になるよ」
なんてバカバカしい理屈を立てられて読んでもらうことになった。

それから10分くらい、日本の文化に少々惹かれた事を若干悔いながら、
何時の間にか5冊も読ませていた。特に面白かったのはタケトリモノガタリとか言う奴。
本当はかなり太いらしいのだが、これはそうでもなかった。
今はかぐや姫とか言う名前でかなり簡易化され普及しているらしい。
もう日本へ来てから随分と経っている割に、こういうモノには少しも触れていなかったのだと思う。
しばらくの間は以外な面白さに胸を躍らせていた。

疲れたのか急に眠りに付いたシンジにそっと布団をかけ、いまだ勢いを増しつづける雨と風に感謝した。
少し意識が戻り始める頃、真横にアタシが居たら何て思うだろう。
目を開けた瞬間アタシの寝顔が目の前にあるなんて、コイツの事だ、跳ね起きる。
そんな事考えた結果がこれ。少し狭かったが声を上げるほどの事ではない。
雨のおかげで眠くなってくれたコイツ、色んなお話を読んでもらって満足したし、
ミサトもビールを大量に注いで無理矢理眠りに付かせた。後で酔っても知ったこっちゃあない。
寝言で「大豆、大豆、大豆ぅ」などと呟くアイツは面白かった。
頬にそっとキスすると、こっちの心が満たされた。

今日は鬱陶しい雨。雲のせいで日も当たらない。外には感謝すべき雨と風。
目の前に大好きな寝顔。
他に記すべき事無し。
529>:2006/04/11(火) 00:32:30 ID:???
昨日のやつコテ付いてなかったっすね。
久々なもんでw
530名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/04/11(火) 10:31:15 ID:???
531名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/04/12(水) 00:52:21 ID:???
乙です。
たまの雨にも風情のある投下に心落ち着きます。
532肉じゃが:2006/04/12(水) 01:03:24 ID:???
みなさま自分に対してのレスありがとうございます。これからも少しづつですが書けていければと思っていますので暖かい目で見てやって下さい。

>>518さん 腕を上げたとか言われてスゴく嬉しかったです!短く出来るところはして、会話を最低限に、など自分なりにいろいろ考えた結果にそういうレス。本当に嬉しかったです。
しかし他の職人の方々の作品を見て刺激や感動をもらうと同時に自分の力不足を感じる日々です。前の書いた物など恥ずかしい限りです…orz
これからも少しづつ前進していければとも思っていますのでよろしくお願いします。
長文すみませんでした。
533名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/04/12(水) 07:08:10 ID:???
534名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/04/12(水) 22:35:15 ID:???
ホリデイ肉じゃがDAHLIA231太郎マンセー!!
535>:2006/04/12(水) 22:52:12 ID:???
何か久しぶりにキーボード叩いてるので、
我ながらタイピング速度遅くなったような気がしないでもないです。
またこれからも投下していくことになるんで何卒宜しくお願いします
536名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/04/13(木) 07:17:15 ID:???
まぁホリデイさんが来ない日もあるさ…
537名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/04/13(木) 09:11:19 ID:???
DAHLIAさん忙しいのかなorz
538 ◆A7RGAj24KE :2006/04/13(木) 23:33:05 ID:???
女のいる月部屋日

それはTVのヴァラエティに飽きた頃、以前録画した映画のディスクがないものかと、
TV下の台をあれこれ探していたアタシは後ろにシンジがいた事などまったく気づかなかった。

それはまあいいとして、問題なのはその時のアタシの格好、
隅々まで探そうとしたせいか四つん這いになり腰をやや高くあげた姿、
ひどい云い方をすればどことなく卑猥な印象のするポーズをしていたのだ。

もちろんアタシは無意識にそうなっていたのであって決して誘惑しようなどとは思ってない、
しかしあの15の純粋バカはやはり男の子、アタシのそんな姿にドギマギして直立不動。

どうせ不純な気持ちで見つめてたんでしょこのムッツリスケベ、そう文句を云ったら、
「そ、そんな事思わないよ!」瞳は泳ぎ顔は背けたアンタは嘘のつけないバカな男の子。
「だいたいアスカは無防備すぎるよ…」うるさいわね好きでこんな格好したんじゃないわよ、
人に云う前にアンタこそ、同居している身、ちったあ女の子に慣れなさいよ、ふん。

いつまでもそのうぶな反応をからかってやったら、
「誰だろうとそういう行動に無反応な男なんていないの!」と怒られた。
それはそうだけどアンタはとくに反応がわかりやすくていじりがいがあるんだもの、
不純さと本心を隠し一生懸命ごまかす姿が情けないと思いつつ愛くるしいのよ。

とりあえずもう少しだけ慣れなさいよと、その後そっと後ろから抱きついてあげた。
これに耐えられるなら大したものよ、とはいえやっぱり熱くなったほほと体は隠せなかったらしい。

それでも今日は夜までこの試練に耐えてくれたのだから褒めてあげよう。
少しは慣れた?と聞いたら恥ずかしげにこくんとうなずいてた、ふふふ。
よしよしと撫でてあげるとすねた顔して抗ってたけどそれもまた可愛らしいのよね。

それからもう一度今度はしっかりと抱き合ってアタシたちは「おやすみ」を交わした。
鼻先に残った誰かさんの香りが心地よい眠りへ導いてくれるかそれとも眠りを忘れる興奮剤になるかお楽しみね…
539名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/04/14(金) 08:39:22 ID:???
乙です


シンちゃん生殺しだけど、それもよし。えとスミマセン。情景が目に浮かびます。
540名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/04/14(金) 12:56:14 ID:???
541名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/04/14(金) 15:42:51 ID:???
乙です。関係が発展するのもいいがこのままの関係もイイ!
542名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/04/14(金) 23:21:01 ID:???
投下ペースダウンのような気が。環境が変わったのかな。それとも年度始めだからかな。とにかく職人の皆様頑張ってくださいませ。
543名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/04/15(土) 11:49:13 ID:???
それだけ良スレだったのさ。
544名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/04/15(土) 18:27:26 ID:???
まち
545DAHLIA ◆0VwZh5AEOE :2006/04/15(土) 21:32:41 ID:???
4月15日

街を歩いている。 生きるために動いている、脆弱だけど純粋な街を。
一度は取り払われたATフィールド、自分のかたちを失くしたヒトという生き物たち。
恐怖はないけど幸福もない世界を拒絶し、他人を望んだ人達がこの街には生きている。
私の故郷もこの国も、かつて異国との戦争に敗れそこから再起した国。 私の生まれて
いないその頃も、こんな風景だったに違いない。 生きることに必死。 薄汚いけど清々しい姿。
飾りがないから、悪くは見えない。 不自由過ぎるけど、歪んでいないことが素晴らしい。


相棒を失って、三日は泣き伏していた。 重ねあい過ぎて、求め合いすぎて、アイツは満たされて
しまった。私の前に残ったのは、見慣れた海と同じ液体と、主を失った学生服だけだった。
死の恐怖に震えながら、夢のようだったシンジとの暮らし。 でも現実は私にとって、
もっともっと、残酷なものだった。 最後に見ることが出来たシンジの満面の、笑み。
それに救われたように丸三日、眠りもせずに歩き続け、他人を知られる場所へ着いた。

世界に二人だけなんて、思い込みだったこと。 出来れば、二人で気付きたかった。
もう、泣かないでいようと思う。 誓ったから、ここまで歩いてきた。
プラグスーツじゃ目立ちすぎるから、シンジのくれたワンピースで歩いている。

最初は、恨みもした。 でも死んだ訳じゃないからまた、逢える日がきっと来る。
その時は、まだ言ってない言葉を伝えたいと思う。 伝えなきゃ、と思う。
独りは寂しいけど、アンタ以外の他人じゃ代わりになりゃしないけど、   頑張る。


ありがとう、シンジ。
またね、シンジ。
546名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/04/15(土) 21:46:15 ID:???
乙です

あらま、急展開。じゃ、もう一度逢えたらあの時言えなかった言葉を言うよ。そして願いは叶えるもの。
547名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/04/15(土) 21:56:13 ID:???
マジで?マジで?

マジで終わりなの?

なんだか……涙が…
泣いてるのね、俺………


DAHLIAさん、お疲れ。
あなたの作品は好きだった。
神話みたいな世界が好きだった。
救いのないEOE後の二人を救ったよ、あなたは。
改めて、シンジとアスカとDAHLIA氏、お疲れさんでした。







そして、前みたいに何事もなくDAHLIA氏が書き続ける事態を激しく期待。
548名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/04/15(土) 23:55:07 ID:???
いやああああぁああぁぁぁ
549名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/04/16(日) 00:19:00 ID:???
始まりがあれば、必ず終わりがある。

それが、かのように突然であったとしても。

DAHLIA氏の描く世界観、とても魅力的でした。
また是非このスレに戻って投下してくださることを期待してます。
            それにしてもあまりの突然で混乱している漏れがイル・・・
550名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/04/16(日) 00:46:20 ID:???
うわぁ…これは急展開ですな。
もう疲れてしまった…そうなんか?
最初は、恨みもした。でも全部保存してるからまた、読める日がきっと来る。
その時は、まだ言ってない言葉を伝えたいと思う。伝えなきゃ、と思う。
独りは寂しいけど、貴殿以外の他人じゃ代わりになりゃしないけど、頑張る。


ありがとう、DAHLIA氏。
またね、DAHLIA氏。
551>:2006/04/16(日) 01:36:46 ID:???
4月15日

間接の痛みが激しくなり時折背伸びする休日の午前中。
あまりに暇で、頭がおかしくなりそうになった。
久しぶりに夜更かししたせいか起きたのは11時。シンジに叱られた。
「夜更かししたら顔に出るよ?」だなんて、アンタの言う事じゃないわよ。
ミサトは今日も何処かへ行っている。危険な匂いがするのは多分気のせい。
こんなに良い日に一言も気の利いたこと言ってくれないことが少々頭に来て、
自分からまるでおねだりするかのように横に座った。
顔色変えずに考え事をしてるアイツが恨めしくって、何かしてほしくって、
その弱々しくも暖かそうな肩に頭を預ける。
それでもまだ顔色変えないアイツ。もうそろそろ諦めていれば良かったのに、
まだ無茶して頬を不自然に擦り付けたり。

それから10分。もうどうでも良くなってきた。自分がバカらしく思えてきた。
素直になれば良いのに、唇だけは絶対に渡さない。唇が重なりさえすればアイツだって意識し始めるのに。
「ごめん…ちょっと…」
思い立ったようにアイツは携帯を取りに行った。そしてまた戻ってくる。アタシの横に座る。
黙って見てると恥ずかしそうに「どうぞ…」と首を一回ひねった。
友達に電話らしい。「トウジ?えぇと、今から…」
良く聞こえないが結構楽しそうな口調なのは分かった。
「じゃあ、ケンスケにも掛けとくね…うん……じゃあ、また後でね」
耳を掻きながら、電話を切った後は少し黙り込んで、置いた電話をもう一度手に取る。

「膝、借りるわよ…アタシ起きるまで立たないでね」
自分で何を言ってるのか分からなかった。正直もう一度時間を戻したいと思った。
552肉じゃが:2006/04/16(日) 01:37:48 ID:???
DAHLIA氏
553>:2006/04/16(日) 01:38:33 ID:???
アイツはジワジワと顔色を変え、視線が定まらずとりあえず携帯の数字に逃げ込んだ。
「おやすみ」
「お、おや…おやすみっ…!」
勝手に占領して、目を閉じる。暖かかった。理想の温度と、しがみついたシャツ。

本当に眠くなり、アイツの声を子守唄にして、ゆっくりと眠りに付こうとした。
したけど…… もう寝たと思ったのだろうか、アイツの手がアタシの頬を撫でる。
誰も居ないと思い込んでいるくせに、恥ずかしそうな顔。目が覚めた。
少々荒っぽかったから。そこに何か母親や父親のような愛を感じて。
とっくの昔に失くした筈の温もりを、今感じている。そう思うと心が安らいだ。
と、急に大きな声で喋り出した膝枕の主。
「ご…ごめん!行けなくなっちゃった!」
相手様も大声で、「なんでだよ!?」と言ったのが聞こえた。
「ごめん、ちょっと、立ち上がれない理由が…理由が…」
深く問い詰められたのか、ようやくアイツは答えた。
「何かっ…膝の上に…えっと、その…おお、おともだちが居て…」
またびっくりさせられた。アタシが寝てる間はコイツもお構い無しね。
結果的にその“おともだち”とはペンペンに設定された。

赤い顔を枕にうずめて、頭の中に廻るのは、アイツが友よりアタシを選んでくれた喜び。
後でとっておきのご褒美を与えられてもコイツは気付かないだろう。
なら、気付かせてやろう。うずめた顔を上げて、「立って良いよ」と言う。
「え…まさか、起きてた…?」「全部聴いてた、撫でてくれてありがと」「え、あ・・・ごめん…なさい…」
急いで掛け直したアイツの頬にそっと触れてみる。
「これで許してあげる」顔をこっちへ向けたアイツへの褒美。
中断された電話越しの会話、困った顔。それが代償。
久しぶりに心温まる休日をありがとう、バカシンジの膝枕。
554名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/04/16(日) 01:41:52 ID:???
前にDAHLIA氏の作中に張られていた伏線はこれなのかな?
加地さんが言ってたことはこれなのか?
なら二人で乗り切れるはずなんだろう。

もし、…もしDAHLIA氏の補完自体の終局ならば、DAHLIA氏にありがとうと言いたい。
唐突で憤慨すら感じたけど、でもそれこそがこのスレの真骨頂かもしれん。
物語じゃないからな。
日記なんだから。
日記が終っても、彼等の世界はまだ続くはず。


くっそー!
何言ってもやっぱり本音は寂しいぞぉぉ!
(TдT)フォォオ
今までマジGGGGGGGGGGJ!DAHLIA氏ありがdddddddd!
555>:2006/04/16(日) 01:42:50 ID:???
DAHLIA氏、自分にとっては、肉じゃが氏、ホリデイ氏、
そんで貴方が自分の描いてるやつに大大大大大大影響与えたわけですが、
まぁ簡単に言ってしまえば“先輩”のような感じであったのです。
これからも、投下してくれることをかなり望んでいます。
今日のうちに言っておかないとクレクレになりますんで、言います。

DAHLIA氏、これまでありがとうございました
そして、





パシャッ
556肉じゃが:2006/04/16(日) 01:43:04 ID:???
挟まれてしまいすいません。
しかし動揺しきってます。
乙でしたとも言いたくないですし、無理に書いてとも言えません…。
ただもっとDAHLIA氏の物語りを読みたいです。
557>:2006/04/16(日) 02:09:13 ID:???
なんか長いわりに内容は薄い長文しか書けないので、
>>555みたいな悲惨な結果を招いたりしますが、ほんとに言い忘れてました。
これだけ言わせてください。


GGGGGGGGGGGGGGGGGGGGGGGGGGGGGGGGJ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
558肉じゃが:2006/04/16(日) 22:03:27 ID:???
4月15日
今までいろんなものをもらった気がする。近づく恐怖。離れる恐怖。今まであったものが無くなるという悲しみも最近教えてもらった。
始まりがあれば終わりがある。始まった時、それは既に終わりに進んでいる。今世界にあることは全て終わりに向かっているんだ。
つきつけられた現実だけれど、終わりの先にもまた新しい始まりがあると思ってる。これは自己中心的なエゴだとも分かってる。

いろんな言葉があると思うけど、やっぱりこれが一番あてはまるかな…
ありがとう。
ここに書いたから伝わるということでもないけれど、書かずにはいられないと思った。
559名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/04/16(日) 22:19:17 ID:???
こ、これは?!
どうした、肉じゃが氏!どうしたんだ!!
560ホリデイ ◆A7RGAj24KE :2006/04/16(日) 22:41:40 ID:???
メッセージ月・メッセージ日

ある日部屋に舞い込んできたのは一通の手紙。
差出人の名も住所も書いてない素っ気ない便せんが内包された手紙。

内容を読めば誰がこれを書いたかなんてすぐにひらめく、
それはアタシに関する幾多の文句、よく云えば意見の提示、
しかしまあよくもこんなもどかしくぐじぐじした雑文を書けるものだ、
これもある意味才能よね、もう少しこういう所も伸ばしてみたらいいのに、あのバカ。

普段の仕草、言動、行動、あしらいから愛し方に至るまで切々と記された言葉。
それなりに流し読んでみてもそれだけアイツがアタシに普段何を思ってるか知る事ができて、
貴重な文ではあった、感謝はしたものの…まったくちったあ正面きって云いなさいよ、もお。

直してほしいとか改めてほしいなんて勝手な言い分じゃなくて、
むしろ認めながらも耐えられない事への苦しみ、それはつまりアイツなりの気回し。
随分な方法にうんざりしながらもとりあえず意見として受け止めてはあげた。

でもねえ…「少しは家事手伝ってよ」とか「朝はもう少し寝覚め良くして」とか、
「暇つぶしに僕を虐めるのやめて」なんてのはまだ良い方で、
「月に一度僕に襲いかかるのやめて…」アタシは獣か?!アンタの方がよっぽど獣よ!?
ったく人の気も知らないで好き勝手云ってくれるわね、何よ何よ…アタシは…アンタを…

まあいいわ、まだアイツは気づいてない、アタシの本意を虚飾の裏を何一つ。
561ホリデイ ◆A7RGAj24KE :2006/04/16(日) 22:42:38 ID:???
そうよ何一つ気づいてないんだから、
全ての行為が言葉の一つ一つが何のために発せられたのか知ってるの?
それはアタシのわがまま、好きな人にしか見せない幾多の本音…

受け止めてくれるわけじゃない、それでも無駄撃ちとは思ってない。
困りながらもアタシをアタシとして感じ対応してくれる誰かさんの、
その全てが欲しくて感じたくてそしてわかちあいたくて…出してしまうのよ。

どうでもいい連中になんて決して見せない姿そして気持ち、
世界でただ一人にしか見せたくないのよ、それが誰かなんて…わかってるでしょ?!

明るい陽射し、心地よい風、美味しい水、抱かれるような緑、
どれを感じても引き金になって何かを欲するの、つまりその先にある想い…
ああもお!!少しはこっちのそんな気持ちちゃんと感じてみなさいよ!

そう思って読み尽くした言葉のない、想いの詰まった手紙。
最後の一文にはこう記してあったなんて…くそうバカシンジのくせに…

「僕はアスカを好きで、好きでいたいから、色々云いたい事を記した、
 でも一つ一つがすぐに直らなくても構わない、今のアスカも変わるアスカも、
 それはすべてアスカなのだし、だから僕は…どうなろうと気には病まない。
 ただ…僕として気になる事を挙げただけだから…頭の片隅に置いてくれればいい…
 たぶん世界で僕しかこういう事は云えない、だから勇気を持って手紙にしました…ごめん」

だからそういう事をしっかり目を見て口に出してみなさいよ!
いつだってそういう所はもどかしいままなんだからこの鈍感純粋大バカのヴァカ!

返信をいちいち記すくらいならこの文句をしっかりぶつけてやろうと思い、
これからアイツの部屋を訪れよう、メッセージは知ったわ、その答え…出してあげるんだからね、ふんだ!!
562ホリデイ ◆A7RGAj24KE :2006/04/16(日) 22:48:24 ID:???
>>肉じゃが氏
割り込むように投下した事お許し下さい。
しかしこれは兆し?それとも急展開?wktkしながら先を望みます!

>>>氏

その熱い思いを投下にフィードバックして下さい。
これからの綴り、待っておりますよ。

>>DAHLIA氏

私は信じてます、これが最後ではないと。
必ずやめくるめく素晴らしき物語が紡がれる事を。
しかしこれが終わりであっても悲しむ事ではない、むしろ完結としては文句のない展開、
いずれにせよ導き出される答えを待ち望んで今は静観いたしましょう。

そして全てのレスを書き込まれた皆様に多大なる感謝をもって結びとしましょう。
563肉じゃが:2006/04/16(日) 22:59:25 ID:???
ホリデイ氏
乙です。ちょっと自分にも似たような経験があり、ドキドキしました。
いつも感想の一文を書いてるか人のを真似させて頂きます。

その人にしか書けない手紙がある。その人にしか伝わらない気持ちがある。分かりあえる二人。素晴らしいです。
それと>>559さんと重ねてレスすることになりますが、急展開でもなんでもない、ホリデイ氏の日記から借りると『メッセージ』のようなものです。はい。日記にしようとしたものの、なってないですね…。
ただDAHLIA氏の日記が読みたいだけです。すいません。スルーして頂いて結構ですので。
無駄レスそして長文すいませんでした。
564名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/04/16(日) 23:37:40 ID:???
乙です

口では言えないも時間をかければいつかは届くもの。多分直接言った方がホントは上手くいくはずだけど、不器用なラブレター。
えと、DAHLIA氏は終わる時には挨拶があるはず。今回のは伏線の展開と考えてます。投下お待ちしております。
565肉じゃが:2006/04/16(日) 23:42:11 ID:???
>>564さん
そうですね!なんか自分一人で自己簡潔しちゃって恥ずかしい限りです。
566名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/04/17(月) 00:19:17 ID:???
いつもケータイでこのスレ見てて今日も最新の十件をチェックしたらこの流れ。
もう一瞬、ついに荒しが来たのか?なんて不安になりました。

>DAHLIA氏
まさかの急展開、驚いています。
ほかの人と同じく、物語の転換、伏線だろうと願っていますが、
これが終局ならば、それはそれで納得できる形だと私は感じました。
いつも非現実的世界の現実さを描写されてましたから、
このような突然の別れ、終局というのが逆に現実さを持って、
物語のしめとしてはしっくりきます。
もちろん、新たな展開が待っているのであれば、
また、あの繊細なアスカの心理描写を読めることに
期待し、応援するだけです。

>肉じゃが氏、>氏、ホリディ氏
いつも素晴らしい読み物を提供して下さり感謝しています。
もし万が一DAHLIA氏が引退なさるとなるとスレにも寂しさが少なからず生まれ
やはり自分も含め読者の幾名かは皆様により期待をしてしまうと思います。
しかし、皆様には決してプレッシャーをかけたくないですし、
もちろん強迫観念的なことを感じられてほしくありません。
読者としては、職人さんが引退することは全く咎めることと思ってません。
多分他の読者も、感謝こそしても、恨むようなことはないと思いますから。
だから、今後も無理せずマイペースに投下していって下さいな。

長文駄文すいません。
いつもあったかい物語を生み出す職人さん達に感謝ってことです。
567>:2006/04/17(月) 01:06:15 ID:???
4月16日

昨日は、昼寝の影響でまた夜更かししてしまった。
それが原因か、寝ぼけたシンジがいきなりアタシの部屋に入ってきた。
はにかむような笑顔を鏡に映しながら、目を見開いていたのはアタシの方。
「シンジィ…起きてんの?」
「僕はもういらないよ、アスカが食べれば?」
はっきりとした口調のくせに言ってる事は明らかに寝言。

諦めてアイツにはアタシの脱ぎ散らかした服をかけてやった。
ジャンバー、キャミソール、Yシャツ、短パン、靴下、それから下着も。
寒かったのか、時々くしゃみをしていた。可愛そうだからやっぱり布団を分けてあげた。
「シンジ…起きてる?」答えは返ってこない。頭に掛かった下着をどけて、
ゆっくりと顔を近付ける。鼻息がこそばゆいくらいの距離まで行って、目を開けたアイツ。
飛び跳ねたアイツはアタシの額に赤い後を付けて部屋から出て行った。
どうやら気付いていないらしい。本当は別の理由だけど、アイツを呼び戻して、
ベッドの上でデコピン5発食らわせてやった。まるで頭に何か刺さったみたいに額をぎゅっと抑え、
うめきながらグチるアイツ。ようやく痛みも引いてきたのか、
「僕だって眠たかったんだから仕方ないだろ!」と叫んで、立ち上がった。
「まだ眠い?」「いきなり起こされたからもう眠くない」
「まあ良いわ、横、空いてるわよ」
「良いよ…自分の部屋があるから」
「このアタシが許してんだから遠慮なんかしてんじゃないわよッ!」
結局最後は強制して、渋々入ってきたアイツ。
でも、繋いだ手から吹き出る汗から容易に想像できた。 アイツはドキドキしていた。
寝ぼけていたのかそれともあれは単純に抑えきれなかったのか。
今度はアイツから近付いてきた。
ゆっくり近付いて、離れたときは、上目遣いな笑顔が残った。
一週間のリズムの終わりに当たる日。終わりであって、始まりでもある日。
何処か切なくて、ずっとそのままで居たくなるような、暖かさ。
暖めてくれたのは他でもない、アイツ。いつもの何倍も目覚めが良かった。
二度目のおやすみは、ありがとう
568>:2006/04/17(月) 01:11:14 ID:???
いやぁ、今会いにゆきますは感動しますねぇ
最近こういうのばっか観てるんで多少涙もろさが身に付いてしまいましてw
ここ来ると時々感動してます
569名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/04/17(月) 02:00:05 ID:???
ホリデイ氏はとにかく乙。
帰ってこいDAHLIA氏。
そして先が気になる肉じゃが氏。
ここは素晴らしいインターネッツですね。
570DAHLIA ◆0VwZh5AEOE :2006/04/17(月) 02:14:54 ID:???
4月16日

淀んだ空は、私の気持ちにそっくりだ。 今日も、縋り付くものを探している。
己に残る壁を憎みながら、それでも声を掛けられるのを待っていた。
思えば、あれが起こる前に第三新東京市の市民はほとんど街を離れていた。 物理的な
面では今、私の眼に映る人達の事は不思議でもなんでもなかった。
皆、ネルフやエヴァを恨んでいるのかな。 何も知らされずとも、何も知らないってことは
ないと思う。 シンジがたまに怯えていたこと、他人を目の当たりにすれば共感してしまう自分が情けない。

とにかく、知っている何かに、私の欠片に出会いたくて色々と歩き回った。
親切なおばさんが、りんごを一つくれた。 あと二日は自分探しができそう。
そろそろ、シンジに似た後姿を見るたびがっかりするのにも慣れてきている。
考えてもいなかったが、右手に抱えた学生服は心強さをくれている。 今でも
匂いがするようで、捨てられない。 いずれ、返す日が来るんだし。


今日は残念ながら、何も見つからなかった。 その代わり、一つ閃いたりした。
相棒がいないこと、寝るときが一番辛い。 暖かくなってきたのに、冷たくて眠れない。
かつての小屋よりも、大きな建物で夜露を凌いでいるのに風に負けそうになって。

淀んだ空は、私の気持ちにそっくりだ。
シンジと幸せになる夢が、今夜も見られるといいな。
571DAHLIA ◆0VwZh5AEOE :2006/04/17(月) 02:24:36 ID:???
お騒がせしてしまったようですみません。
終わりではなく、ここからが本題…に近いので、しばしお付き合いくだされば光栄です。
何より皆様の暖かい声援に、思わず目頭が熱くなってしまいました。
本当に、ありがとうございます。

毎度、紛らわしいものを書いてしまってすみません。
日記形式はそのままに、進行形の創作としてシンジとアスカを書きたいと思っています。
声援を下さる方々のお陰でモチベーションも高まり、自サイトと連動させることが出来そうです。

昨日よりレスを下さった全ての方に感謝しています。 重ね、ありがとうございました。
572名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/04/17(月) 06:50:08 ID:???
乙です

新展開ですね。既に人が戻っている世界?人は夢見ることで今日を生きていける。それから、DAHLIA氏の連動サイトが気になりますね。
573肉じゃが:2006/04/17(月) 11:00:51 ID:???
DAHLIA氏
乙です。
そして勝手に騒いですみませんでした。
574名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/04/17(月) 13:45:37 ID:???
DAHLIA氏乙です。

勝手に混乱して騒いだうちの一人です。

安心と気恥ずかしさが入り交じった気分です。   
これからの展開も期待してます。
575名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/04/17(月) 16:39:44 ID:???
同じく勝手に騒いだ一人ですorz
ただ一言 GJ!
576名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/04/17(月) 22:32:08 ID:???
577ホリデイ ◆A7RGAj24KE :2006/04/17(月) 22:43:59 ID:???
食卓の月意味日

体重計の数値がわずかながらの変化を見せたせいで今日は不機嫌だ。

ぎすぎすさをかもし出したアタシにアイツはいつも腫れ物に触るような態度。
よけいささくれた気持ちになって「アンタの作る物が美味しすぎるせいよ、責任とりなさい」なんて、
どうしてこう人のせいにしたがるんだろう、いちばん悪いのはアタシだとわかってるのに、
何よりそんな自分が嫌いでたまらないのに、ああもう、ほんと自己嫌悪の極み。

「美味しいって喜ぶ顔が嬉しかったから…でも、ごめんね」だからアンタのせいじゃないのに。
ミサトやアタシの反応が励みになって炊事当番も苦にならなかったらしい、
褒められる事が何より最高なアイツにとっては一つのアイデンティティだったのに、
それを全否定するような言葉を吐くなんて…心底自分に嫌気がさしたわ…

おかげで今日は支度をしないなんて言い出す始末、
デリバリーを探そうと躍起になるアイツを腹立たしく思いながらもなんとかなだめ、
家主の帰る前に台所へ立たせる事には成功したわ、だって…このままじゃアイツ…もお。

もちろんアタシが手伝ったのは自分の発言の責任をとるためと、
不安定でめちゃくちゃなアイツの心を是正してあげるためであり、別に優しくしたわけじゃない。

二人のエプロン姿なんて、なかなかな見物だったわね、こういうのもいいな、ふふん。
だってそうでしょ?!このアタシがかいがいしくそれもエプロン姿見せるなんて、
ちったあ嬉しそうな顔でも返しなさいよ、それができなきゃ言葉でもいいんだから!わかってるのシンジ?!

またいつものひねくれた態度しかできないなんて、いびつな自分にあきれたけど、
アイツもたいしたものね、すね気味の顔はたまに「まったく自分勝手なんだから」と云いたげな、
見透かしたような目つきと笑み、気づいて見つめ返すと知らぬふりしてたわ、くそう。
578ホリデイ ◆A7RGAj24KE :2006/04/17(月) 22:48:33 ID:???
互いの好物が用意されたわけでもなくいつも通りの食卓は整い、
後で針の指す数に驚愕する事すら覚悟の上で感謝しながら美味しくいただいたわ。

「結局元のままでいいの…?」
「ごはん二杯を一杯にするからいいわよ、だいいちアンタが原因じゃないんだから…」
「…よかった…さっきの言葉やっぱり気になったから…心配させてごめん」
「だから云ってるでしょ、責任はとってもらうわよ、アタシの健康と美容のね」
「…それって?」「つまり、健全な肉体を保つ為の食事療法を一任するわよって」
「難しい云い方じゃわから「ああもお!要するに!これからも美味しいの作らないと怒るわよ!って事!!」

わかったようなわからないような仕草でほわほわしてるシンジと、
まっすぐなようで曲がりくねったやり方しかできないアタシを、
微笑ましく眺めてたミサトのしたり顔がやけに辛かった…まあいいわよ…しかたがない。

「シンちゃん、どうせなら、つまみにもう一品加えて欲しいわ」
「…いいですけど…その一品で酔いが進んだら誰が世話すると思ってるんです…ミサトさん…」
「ミサトにはサバ缶一つで十分よ、シンジ」「あたしゃ猫か、云ってくれるわねアスカ」

シンジとアタシにあしらわれてむくれ顔でやりかえしてくるミサトが、
大人なのか子供なのか時々わからなくなる、でもね三十路の女が見せる真似じゃないわよ。
仕事の愚痴とアタシ達への説教が混じった独り舞台をそっと抜け出し後片付け。

まだヒートアップを続けるミサトから離れて互いの部屋に戻ろうとした時、シンジがつぶやいた、
「今日の顔も嬉しそうでよかった、ミサトさんもアスカも」そういうアンタの顔も嬉しそう、
その顔いつもしてなさいよ、好きなんだから、そう思いつつわかればよろしいって軽く返しておいた。

部屋に戻り短い時間を使ってこの日記を記している、これが終わればリビングに赴き、
二つのカップを持ったアイツが訪れて、いつしかほろ酔いの家主も加わり、心地よい夜を迎えるだろう。
頑張ってくれたアイツをどうミサトとからかいつつき喜ばせてあげようかな、ふふ、面白いわね。

いつも思ってるんだから、アンタは嬉しそうに笑った顔が一番いいって、
口では云わないけど、教えてあげないけど、それだけは真実だから、ほんとうよ、シンジ…
579名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/04/17(月) 23:35:47 ID:???
ホリデイ氏乙です。

ほんわかとした晩餐の情景もまたGJ。
580名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/04/17(月) 23:53:18 ID:???
乙です

かわいい二人。微笑ましいですね。
581DAHLIA ◆0VwZh5AEOE :2006/04/18(火) 02:58:21 ID:???
4月17日

コンクリートの片隅で膝を抱えて座り込み、ウトウトしていた午後。
雑踏というには静かだし、たまに車のエンジン音が聞こえるのも子守唄のアクセント。
髪止めとして付けたままのインターフェイス・ヘッドセットから私をかつての
パイロットと認識した大人が二人、話しかけてきた。

かつて同じような状況で帰りたくない場所へ連れ戻された事を思い出し不機嫌になった。
尋ねてみれば日本政府の関係者らしい。 現在は、ネルフに関する情報を追求しているとか。
私にとっては、それはどうでもいいこと。 何を聞かれても答えようなど無いし、自分に
後ろめたさだって微塵も無い。 この男二人に何を言われようと、毅然と応じる準備は出来ていた。

…なのに、聞かれたのはサードチルドレンの居場所。 戦犯として捜索している、などと聞けば私は
無意識にそれを言った方に平手打ちを放っていた。 格好悪いけど、また泣いた。
なぜ相棒が罪人扱いされなければならないのか。 無駄だとは思いつつも、私は必死に訴えた。
知りうる限りの、サードインパクトの真実を。 その中で必死に戦った、愛する男のことを。

誰にも裁かせは、しない。 その意志が、男達を退けた。
その上、もし見つかれば報せてくれるとの約束までしてくれた。 信用する気はないけど、喜べた。
街の片隅で、真実への探求は続いてる。 分かっているけど、イライラする。

何も知らない奴らに、近寄って欲しくはない。
碇 シンジ以外に、近寄って欲しくはない。
582名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/04/18(火) 05:48:01 ID:???
乙です


思惑なんか関係ない。純粋な想い。
583名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/04/18(火) 06:00:50 ID:???
584名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/04/18(火) 14:19:05 ID:???
>DAHLIA氏
期待を裏切らない展開。
これがアスカ日記クオリティ?

それにしてもDAHLIA氏の連動サイトが気になって夜も眠れない件について。
585名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/04/18(火) 16:05:18 ID:???
毎回ホリディ氏のネタの多さに感動する。
多分、いや絶対に、漏れの日常よりはるかにマトモな日常がこのスレにはあるなorz
586名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/04/18(火) 21:53:19 ID:bcoExaeJ
587名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/04/18(火) 23:39:23 ID:???
DAHLIA氏の日記ではとりあえずみんなLCLから戻ったのかな?
588>:2006/04/19(水) 00:20:52 ID:???
4月18日

頭が痛い。
シンジとケンカした。
今までの苦い記憶と一緒に込み上げて来た黒い感情を思いっきり叩きつけた。
もう随分と長い間、伏せ泣きしている。握りつぶしたアルミ缶。ベコベコになるまで蹴ったダンボール。
ベッドの上でひとりで、思い出していた。

たまたま見つけた小さな紙切れ。多分メモ帳。
そこには荒く書かれた、どちらかというと焦って書かれたような感じのスケジュールが並んでいた。
その1つ目は、「今日は張り切る 燃肉」
漢字を間違え、書いた者でないと分からないような文。
二つ目には、「綾波の家で肉を食べる訓練をする」
三つ目、「今日は綾波の家とこっちで作らなきゃいけないから少し大変だけど、綾波が笑ってくれたら嬉しいから頑張る」
四つ目、「綾波が…」もう、見たくなかった。というより、見れなかった。
何時の間にか熱く、重くなった体。悲しいというより、空しかった。
握りつぶして捨てた紙。まだ部屋に居たシンジを、いつものように軽く問い詰めてみた。
「これどーゆー事ぉー?」
「え…あ…それはっ!…それは…その…」
「あーあ、アンタなんかに幸せ見せ付けられるとはアタシの10代は終わったわね」
「そ、そんなことないよ…アスカはいつだって元気だし…それに男の子に人気あるし…」
「うっさい!」
殴りかかるように押し倒して、一発平手打ち。頬を押さえてうずくまるアイツを背に、部屋から出て行った。
「待ってよ!」
自分の部屋の扉を思い切り閉め、ベッドに倒れる。
「僕は別に…そんなこと…!」
589>:2006/04/19(水) 00:22:23 ID:???
ドアの前で今にも泣き出しそうな幼稚園児ぐらいの子供みたいに必死で叫んでくれた。
自分の中に、ファーストにシンジを持って行かれそうな寂しさと、
そんなことないと分かっていても気になって仕方が無い自分。そしてドアの前にはそれを必死に訴えるシンジ。
そのくせ、こんな自分が嫌いで嫌いで仕方が無くて、情け無いったらありゃしない。
そのどうしょうもない自分をどうにかしてアタシから締め出してやりたくて。
でもそれが自分であり、分かっていてもこみ上げるそれは無意識のうちに、叫んでいた。
「アンタなんかこのまま帰ってこなきゃ良いのよ!」
今時流行らないお決まりのような台詞でも、アイツには十分、泣くだけの傷を負わせる事はできた。
保てない平常心。気付いていてもどうしょうもない、それと同時に鳴ったチャイム。
嫌な予感。ドアを開けて入ってくるファーストの第一声。「買ってきた……」
少しの沈黙があった。「それじゃあすぐ行くから先に降りといてくれるかな」
無言でドアを開けて出て行ったファーストを見送ったようなタイミングで、
アイツは今日の最後の言葉をくれた。
「明日は絶対帰るから……行ってきます…」
最後の最後までアタシを見ててくれた。
自分を傷つけたくて、こうして部屋をメチャクチャに荒らして、硬いもの蹴って、
殴って、噛んで、とりあえず、十分痛い思いはした。
でもまだ足りない。アイツなら電話の一本くらいかけてくれるかもしれないけど、とりあえず今日は早めに寝よう。
もう、あんな声聴きたくないから。こんな自分は見たくないから。こんな自分の続きは見たくないから。
590>:2006/04/19(水) 00:24:37 ID:???
>>587
自分の中では一部の人だと考えています。
>>恐怖はないけど幸福もない世界を拒絶し、他人を望んだ人達
のとこからそうなんじゃないかなぁ、と。
しっかし毎日が緊張ですねDAHLIA氏の投下は。
591DAHLIA ◆0VwZh5AEOE :2006/04/19(水) 01:32:23 ID:???
4月18日

私と同じく、大切な誰かを失い彷徨っている人達も少なくない。
今日は瓦礫の上でうずくまる4〜5歳程の男の子を見つけて、声をかけてみた。
誰とも顔を合わせようとせず、ウジウジと泣きじゃくる姿に誰かさんが重なったから。
泣き止むまで待ってみて、家族とはぐれたのかと聞いてみた。 自分をお姉ちゃんなどと
名乗ってみたのも、初めてだったかもしれない。

この子の父親は、先立った母親の名前を呼びながらこの子の前から消えたそうだ。
LCLを、オレンジジュースだと言う無邪気さが私の心を打った。癒えようのない傷から、
限りない痛みがこの子の心を蝕みにきているのが分かる。 でも、止める術など知らない。
私には気を許してくれたようで、私の事も聞いてきた。 答えるのも辛かったけど、
同じ傷なら晒してみるのも一興。 相棒の話をした。

この世にたった一人、私の心を抱いてくれた相棒。
良い思い出にも、悪い思い出にも必ず関わっている想い人。
この子の父親も、シンジも、死んではいないからいつかは逢える。 そう諭すと、
気丈にその子はお姉ちゃんもがんばって、と激励を残して走り去った。


開いていた穴が、ほんの少し埋まった気がする。
少しずつ軋む心が壊れる前に、シンジを見つけなければいけない。
名前も知らない男の子の後ろ姿が、分かりきってる決意をもう一度私にさせた。

心の中、暗いけど、
真っ暗じゃない。
592DAHLIA ◆0VwZh5AEOE :2006/04/19(水) 01:38:10 ID:???
>>584
恥ずかしながらまだ未完成もいいところなので、お見せできる状態では
ありません(苦笑)。

>>587氏、>氏
設定云々については、読んでくださる方の解釈にお任せしたいと思います。
それがエヴァだと思っていますし、自分でも決めずに書いてたりしますw
>氏の作品も楽しませていただきました。信頼あってのケンカというのは良いものですね。
次の作品にも、期待しています。
593名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/04/19(水) 01:46:44 ID:???
乙です

暗いのは夜が明ける前だからこそ。想い続ければいつかかなう。大切な人だから。
594名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/04/19(水) 01:47:27 ID:???
DAHLIA氏乙。
休日さんは…
595名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/04/19(水) 07:59:36 ID:???
596名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/04/19(水) 14:29:22 ID:???
>>氏
乙。
続きかなり期待!wktk!
>DAHLIA氏
乙。
想いが再びつながる日まで。
597名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/04/19(水) 14:30:15 ID:???
ホリちゃんまち
598名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/04/19(水) 16:12:06 ID:???
とにかく凄いね、
599ホリデイ ◆A7RGAj24KE :2006/04/19(水) 19:32:28 ID:???
スリーピング月ビューティー日

アタシの寝覚めの悪さは自分でも悩むくらいひどいものだが、
今日は珍しくスパッとそれでいて自然に心地よく目が覚めた。

いつもならアイツが不機嫌なアタシを警戒しておどおどと起こしに来てくれる、
でも今日はその必要ないなそう思い体を少し起こそうとした時、やっぱりいたずら心がもぞもぞと蠢いて、
アイツがどんな風にアタシをその手練手管で起こしてくれるのかじっくり見たくなったのよ。

とてとてと部屋に近づく足音が聞こえたので慌てて壁側にそっぽを向いて狸寝入り、
開かれた襖からは息を殺しそっと歩みを進めるアイツ、「アスカあー朝だよう…」なんと弱気な。
段々とトーンを上げる呼び声が通じないとわかるとアイツはアタシの体を揺すり始めた。
ゆらゆらゆらゆら、まったくこれじゃ誰も起きやしないわよ、一事が万事弱々しいんだから、ふん。

今までこんな調子だったなんてと、呆れたアタシは少しからかってやることに。
揺らされた反動を利用して薄目をあけながらばっちりアイツの目の前に顔を近づけてみた。
どきっとしちゃって、ふふ、なにそんなにまじまじと見つめてんのよ、何も知らないおバカさん。

ごくってのどを鳴らし見つめ続けるアイツへさらにいたずらを仕掛けてやる、
「…うん……ううん…シンジい…」我ながら恥ずかしすぎる言葉、けどこれはいたずらだからよしとする、
心なしかほほをうっすら染め上げたアイツ…少しだけ顔が、そして唇が近づいた…
600ホリデイ ◆A7RGAj24KE :2006/04/19(水) 19:33:36 ID:???
何かが行われようとした瞬間、パッと目を開けて「はいそれまで」とつぶやいてあげたわ。
声も出せず驚いてたじろぐアイツの姿ったら!?ほんとに可笑しかったんだから、ふふふ。

「…最初っから起きてたんでしょ」「あら、悪い?これでも目ざめのいい朝は来るのよ」
「僕には最悪の朝だよ…今日はいい日じゃないな…」「うっさいわね、だいたい何しようと思ってたのよ!」
「べ、別に、アスカが起きないから、それで…」「唇奪おうとしたわけ?最低ね、アタシの方が最悪な朝よ」
「だ、だいたい、アスカが僕の名前呼ぶから、い、いけないん…」「何が?何がいけないの?」
「…なんでもない…お弁当作るから僕もう台所に…」「ちょっと待ちなさいよ」

なんだよう…ってふてくされて顔を近づけたアイツの肩にそっと腕を絡めて抱きついた。
いつもいつも起こしてくれてありがとう、と云いたいけど云いたくなかったからそれでごまかした。
戸惑いながらも身をまかせてくれたアイツはすっかり赤くなって小声でもお…って、
まったく少し甘えてやるとこれなんだから、ほんとだらしないわよね、ふふふ♪

台所から流れてくる調理の匂いと朝の済んだ空気、いつもの香りに加えて、
今日は互いの香りを味わって一日の始まりをめいいっぱい感じた。
時にはこんな朝があったって…い、いいでしょ、わかってるわよ、
ぜったいいつもなんてしてあげないんだから、今日はたまたまよ、そ、そうよ!ふん。

「フライパンが焦げてる理由はこれだったのね、シンちゃん私の朝食も忘れないでねん♪」
部屋の入り口には歯ブラシ片手に寝起きのあきれ顔でアタシ達を見つめる家主。
「眠り姫を起こすのが大変だとはわかってるけどキスで目覚めさせちゃ駄目よ」
「「そ、そんなこと、し、してません(ないわよ)!!」」
ミサトが見せたしたり顔の笑みがなんと口惜しかったことか、まあいいわよ、もう。

今日何事もなく過ごせたのはこんな良き朝が迎えられたせいかな…まあそれはないわね。
アタシの日頃の行いがいいせいよ、シンジ?それはどうか、なんたってバカシンジなんだから。

さて日記を終えたらアイツの部屋でも行ってまたからかおうかな、ふふ。
ところで、起こし方が不得手でも寝かし付けは手慣れてるでしょシンジ?期待してるわよ。
601名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/04/19(水) 22:08:22 ID:???
乙です

いたずら好きなお姫様。かわいいね。
602名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/04/19(水) 23:05:39 ID:???
乙っす
相変わらず巧い
603名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/04/19(水) 23:56:50 ID:???
乙です

シンジへの愛のいたずらが何よりの快楽
ゾッコンラブがぴったり
604>:2006/04/20(木) 00:24:50 ID:???
4月19日

目覚めると、誰も居なかった。いつもみたいな寝起きじゃない。
頭が動き始めたときには、そんなことしか分からなかったが、
昨日の記憶がすぐに戻った。不安さがどうしても押さえら切れない。
どうしたことか、お腹が空かない。暖かいカップを手に取るも、飲む気がしない。
頭を掻きながら歯を磨いて、着替えて、出る準備が整ったところで、ようやく時計を見た。
まだ30分もあった。テレビを付けて、早朝にやっている番組を見た。
茶の受けくらいにはなるようなトークもあったが、笑えそうにもなかった。

もうそろそろ出ようかと、鞄を手にとり靴を履いてドアを開ける。
半分開いたドアの隙間から、いつも通りの朝の景色が見えた。目が覚めた。
腹は減らないから、コーヒー一杯飲んで出てきた。ゆっくりと閉めたドア。
振り返ってもいつもと同じ。まさかと思って期待しても変わらない現実。
昨日の言葉を現実の起こしてみせるほどアイツは強くない。
言葉だけで嬉しかったから、どうでもよかった。最後の言葉に笑顔が付いてたことは、
なんとなく分かるから。分かってたから。死に物狂いで傷つけた自分も、今は多分笑ってる。
少し暗い通路を通って、思い出したのは昨日の寝る前。
何も考えないようにして、できるだけ早く寝たかったけど、怖いもの見たさに取り憑かれて想像してしまった。
帰ってこなかったときのこと。もしアイツが何日か戻らなかったら、アタシには何も無くなるような気がする。
そのくらい、大切なんだろうか。あれだけバカにしておいて、本当は失い難いたった一人の大切な人。
思い出してみれば、単純なことだった。自分にはシンジが必要だから、少しでも近寄られるのが気に障る。
そんな自分を必要としてくれるヨレヨレのアイツが、ただ1人許せる人間だから。
汚されたくない。誰にも取らせない。ただの独り善がりであって、それ以外の何でも無い。
605>:2006/04/20(木) 00:26:41 ID:???

久しぶりだ、「ごめんなさい」を言わなきゃいけないなんて。
わざわざこちらから赴いて、ファーストのガタガタマンションまでアイツを迎えに行ってやった。
「おかえりなさい」なんて分かりやすい言い訳と、「夕飯の支度さっさとしなさい」といういつもの言葉。
「ごめんなさい」を言うのは簡単だが、ミサトが横に居て、そんなことできる状態でもない。
第一ミサトはこの事知らないし、昨日も酔ってたかどうかしてたんだろう。
夕飯を終え、それぞれが部屋に戻るとき、ミサトの視線がどこかへ行ったと同時に、
アイツの後を追って部屋に侵入。少々慌て気味のアイツをそっと後ろから抱いた。
結局言葉にはならなかったが、悪戯でもただの遊びでもない事は分かってくれたのか、
「ありがとう」と耳元で囁いてくれた。言わなきゃいけないことがあるのはアタシなのに…

悔しいがこれはこれで良い。アイツが少しでも明るくなれれば、それだけで喜べるから。
少しくらい、泣いても良い。たまになら、アイツに全て任せたって良い。
「分かってるくせに」「何が?」「アタシ昨日泣いてた」「僕もだよ」「アンタは相変わらず泣き虫だからね」
「アンタも少しくらい格好良いセリフ言ってみなさいよ」「そういうの…ちょっと……」
両手を取られて無防備になったのはアタシの方だった。
「いつものアスカの真似くらいしか……」少し恥ずかしそうに俯きつつ、その目はちょくちょくこっちを見つめていた。
「それで良いのよ…ちったあ嬉しそうな顔したって良いんじゃない?」「どうして……?」「鈍感…」
取られた腕を抜き取って、アイツの首に回したのはちょっとしたオマケであり、
ついでにその唇を近づけて最終的には重ねたことも、回した手で少しの間その唇を離さなかったのも、
全部、オマケ。本当に言いたかったのは、「ごめんなさい」なんて、何より簡単なのに、
こうしなきゃいけないんだから、アタシはもう少し学ぶべきか。
後はアイツの部屋にもう一度戻って二度目のキスを、悪戯として楽しむのだ。
アイツの反応は見えているけど、それが楽しみ。何より、嬉しいから。
606>:2006/04/20(木) 00:30:01 ID:???
DAHLIA氏は進行形になるようですね。
自分は未だにホリデイ氏のアスカに萌えてるみなさんにホリデイ氏の後ろ深夜投下で子守唄歌ってますw
607DAHLIA ◆0VwZh5AEOE :2006/04/20(木) 01:23:00 ID:???
4月19日

ところどころに焦げ跡が生々しく残る役場代わりの建物がある。
そこでは朝八時から、パンの配給が行われている。 名簿に名前を書き
拇印を押すことで一日一個、小さなパンをもらえる。 聞くところによると
これが始まったのもつい最近らしい。 初めて並んだが、クォーターである
事は本能的に隠したがったのか、惣流明日香と、書いてしまった。

味の無い、小さなパン。 空腹に不味いものなしとは言うけど、美味しいとは思えなかった。
私は日本に来てから、相棒の作ったご飯しか食べていなかった。 サードインパクトの後も、
探してきたり、食事を用意するのはいつも、シンジの仕事だった。
知らない間に、食べかけのパンが涙で滲んで見えていた。 美味しいと思えない理由は、もう解ってるから。
だから、シンジのもらってきたパンだと、自分に言い聞かせてみた。 思い込んで、食べることにした。


少しでも、違ったような気がする。 虚しいけど、悔しいけど。
明日は、もう並ぶのをやめようと思う。 どんなに、お腹が空いても。
辛くなるだけの食事なんてしたくない。
シンジの心しか、受け付けない私の味覚。 不便だけど、これが私。
608名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/04/20(木) 01:50:14 ID:???
乙です

食べ物で気づく絆。
609名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/04/20(木) 09:20:19 ID:???
610ホリデイ ◆A7RGAj24KE :2006/04/20(木) 19:57:16 ID:???
それもまた月男の子日

アイツはやっぱり男の子、バカでスケベでガキな男の子。
だってアタシを見る眼差しは時々恐くなるくらい何かを秘めた熱さがあるのよ。
今日だってそうだ、いえ、今日だけじゃないわよ、いつもなのよ、ふん。

それというのも最近はなぜかスカートを家でも着る事が多く、
もちろんそれは過ごしやすい短パンにちょっと飽きたからで、別に誘ってるわけではない。

家ではいつもそんな活動的でリラックスした格好を好むアタシやミサトに対して、
苦言もかねたアイツの一言、スカート姿を見ると女性である事をひどく意識するという一言、
それを聞いたからスカートの比重を増やしたわけでも…ない、ぜったいない、ないんだからっ!

だってミサトがそれを聞きすぐにタイトなスカートに履きかえ、
アイツの目の前で足を組んだりほどいたりしてからかってたらなんて顔してたと思う?
書きたくなんてないわよ、何よ一人でほわほわしちゃって、ムッツリスケベ、ふん!

要するにアンタがスカート姿好きなだけじゃない、ばっかみたい。
だからアタシがスカートを履いてるのはアンタを喜ばすわけじゃないわよ、
最近はそんな気分なだけ、決して、決してアンタの言葉に惑わされたのではない。

とまあそういう風に思っていたが…まあいい、これはアタシの日記だ、記しても機密は漏洩しないわ。
611ホリデイ ◆A7RGAj24KE :2006/04/20(木) 20:00:10 ID:???
冒頭にも記したようにアイツの熱い眼差しはアタシがスカート姿の時によく向けてくる、
ぎらついてなんかない真摯な眼差しではあるけれど気づいてしまうとどこか厄介なもの、

タイトめなデニムのミニやふわってしたエアースカートっぽいのや、
普通にゆったりした感じのものと種類が違ってもアイツの眼差しは変わらない。
それゆえにとうとう…また悪いくせが出たのよね、気になると聞いちゃうって…あーあ、不覚。

予想通り隠してたものを見つけられたみたくアイツは困って恥ずかしがってしまったけど…
「だ、だってさ…僕…アスカのその姿好きなんだもの…」「アンタそれミサト聞いたら怒るわよ」
「ミサトさんは…もっとこう…大人っぽくて…アスカとはまた違う…」
「ああそうよね、アタシはどうせお子ちゃまよ!悪かったわね未成熟で!最低!」
「そうじゃないよう…僕が云いたいのは…ミサトさんも素敵だけど、それよりアスカの方が」
「方が?方が何?最後まで云わないと返答次第では許さないわよ、ぶん殴ってやる」
「………アスカの方が僕はす」「す?すう?なーに?」「…恥ずかしいよ」「殴るわよ」
「…これなら殴られた方がマシだよ…」「ぬわんですってえええ!!」

アイツも慣れたものだ、意地悪な誘導尋問をアタシが好むなんてとっくに承知、
「云わなくてもわかってるじゃないかあ…」そんな顔でやんわりと逃れようとする、
もちろんアタシは最後までちゃんと云わせて満足するのだが、悪く思わないでシンジ。

今日もちゃんと聞き出してしまったのはわがまま、ごめんね、でもね、聞きたいのよ…
だって、その、やっぱり…な、何書かせるのよ!冗談じゃないわ!こっちが誘導されるなんて…く、くそう。

誘導ついでに本音を少し書いて今日の日記を終えよう、
実はそんなアイツの熱い視線は時々こっちも熱くさせてしまうのだ…
なんて云うの?弱々しいアイツにも秘められた「男」が垣間見えるってのが…意外で…
そういう部分を見つけちゃうと嬉しくてそして心動くのよね、それはアタシも「女」であるゆえか。

視線じゃいやらしいだけだから他の所でそういう部分アタシに見せなさいよ、
ただし、このアタシだけに見せなさいよ、他の奴になんか見せたら承知しないからね、ふんだ。
612名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/04/20(木) 22:48:18 ID:???
乙です


好きな人ならHな視線もok。でもたまに別の男らしさが欲しくなる。いい男になって欲しいから。
613名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/04/21(金) 06:28:28 ID:???
614ホリデイ ◆A7RGAj24KE :2006/04/21(金) 22:15:30 ID:???
ふたり月ぼっち日

ふと思い立ってシンジにたずねてみた、これから先もこのまま同居してくの?と。
いつまでもミサトの世話になるのは悪い気がする、かといって今すぐ出られるわけじゃないけど。
何よりアタシとアイツももう少しで高校生、そろそろ…その…まあ、意識の問題があるわ。

別にお節介な家主が邪魔なわけでもない、そりゃタイミングの悪さには閉口することしばし、だけど。
でもいずれミサトも誰かと結婚するわけだしその辺の事情を考えればいつまでも…ねえ。

するとあいつは独身寮に近い施設があてがわれるんだから心配ないと思うよなんて、
天下泰平な、いや、アタシにしてみりゃなんと鈍感な返答を、ったく人の気も知らないで…ふん!

鈍いお子ちゃまにもわかるように、要ははっきりと云ってしまったのだが…
「あ、アンタさえ良ければ…その…このまま…同居してやっても、い、いいのよ」
少しはこっちの云いたい事もわかってくれるかと期待したアタシはまだまだ甘かった。

困り顔を返したのはいいとして経済的社会的事情からそれがいかに困難であるかを、
切々と説かれるなんて…ああまったくもお!それくらいアタシにもわかってるわよ!このヴァカ!
そうじゃなくてアンタはしたいのかしたくないのか…なんでアタシがもやもやしなきゃいけないのよ!

怒鳴りたい気持ちを懸命に抑えて、もし一部屋しかあてがわれなかったらどうするの?と、
質問の仕方を変えて返答を待ってみた、それならしょうがないよ…とはなんて言い草だ、
じゃあ二部屋だったら別々でもいいってえの?!そんなもんなの、アンタとアタシって…?!

少しだけ悲しげな声を出してしまった様だ、アイツはようやく気づいてくれたけど。
615ホリデイ ◆A7RGAj24KE :2006/04/21(金) 22:16:45 ID:???
さっきよりもっと困った顔でそれでも慰めるようにこう云ってくれた。
「…僕、アスカと一緒に住みたくないなんて云ってないよ…むしろ…その…一緒に…
 ただ、こういう事は個人の思惑だけじゃどうにもならないからさ…つい…」

わかってるわよ、アンタの考えも、現実を踏まえ地についた未来を描くのは必然よね。
でもね、聞きたいのよ、安心させて、良いも悪いもアンタの想いって奴で…

ちょっとだけ気分を戻してすがるように言葉を吐いた、苦しいくせに虚しき挑発をこめて。
「…このアタシと一緒に暮らせるのよ…ずっと、ずっと、二人きりなのよ…」
「二人きり…」アイツはかみしめるようにつぶやいた、真剣な顔を垣間見せて。
「…一人はもうイヤなの…」「…僕だってイヤだよ」「…これ以上云わせる気?」「…ううんもう云わないで」
ささくれた顔を上げたらその先には柔らかな笑みをたたえたアイツ、ありがとう、わかったわ。

ちょっとだけ隣に近づき心を戻したアタシはまたいつもの強がりでアイツをからかう、
「…アタシと同居できるのよ、ちったあ有難く思いなさいよ」
「うん、わかってる、ただ寝相の悪さと家事をサボるのだけやめてくれたら何にもいらない」
「な、な、なんですってえええ!自分の事棚に上げてえええ!!」「…僕が何したって云うんだよお…」

むーと顔をふくらましてぽかすか叩いたアタシ、
それをあきれ顔でため息つきながらしょぼんと受け止めたアイツ、
そうやって過ぎていった夕方、ちょっとだけ微笑みを返しあい全ては丸くおさまる。

だけど夜寝る前のいつもの【約束】を交わした時、ふたりきりじゃこれだけでは済まないわよと、
いたずらっぽくつぶやいたら、顔は真っ赤なくせに「ぼ、僕だって…済まないよ!」と弱気なつよがり、
ふふん云ってくれるじゃない、こっちも待ってるからね、男に二言はないのよシンジ♪
616名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/04/21(金) 22:36:08 ID:???
乙です

かけがえのないあなた。そしてきわどい一線。ドキドキ。
617DAHLIA ◆0VwZh5AEOE :2006/04/21(金) 23:23:07 ID:???
4月20日

街の中央に設けられた大きな掲示板。 親族、知人を探す人達のために作られた物で、
無造作に数々の尋ね人の名前が並んでいる。 皆、薄い可能性であろうとそれに賭けようと
する真摯な思いを込めているんだろう。 馬鹿馬鹿しいと思いながら、私の心も複雑になる。
なぜなら、私も無意識の内にその掲示板に見入っていたから。 親しくなくても、知っている
人間は一人でもいないだろうか、と。 その日暮らしの生活が入り乱れる廃墟の中で、誰だって
暖かみが欲しくなる。


そして心を廻るのは、私を探す相棒の字。 ある訳ないのに、探してしまう。
筆跡が似ていれば、ググッと釘付けになってしまう。 その後の落胆は、薄い膜で
覆われるような感触。 きっとここに書いた人達が全て、一度は味わっているであろう、感触。
振り払いたくて、掲示板に近付いた。 備え付けのペンを取って、吐き出すように深呼吸。


シンジにだけ通じる言葉が、たくさんある。 使わなければ勿体ない。
日本語だって、だいぶ綺麗に書けるようになった。 
「2ndより3rdへ  相棒を待っています
                          A,S」

たった一人へと、せめて届きますように。
618DAHLIA ◆0VwZh5AEOE :2006/04/21(金) 23:24:21 ID:???
4月21日

以前から、街を歩いていれば見知らぬ男に声を掛けられることがあった。
私が誇りの一つに思っている容姿は、顔に包帯を巻いた今でも男を魅きつけて
いるようで、今日は頭の悪そうな下卑た顔付きの三人組に絡まれてしまった。
こんな状況で呑気にナンパを試みる奴らに腹立たしさもあった。

連中は私より背が高く、年は18〜20に見える。 ニタニタ気味悪く笑いながら
付き合わないかと持ちかけてきた。 下劣な下心が見えるどころか臭いそうで不快。
睨みつけて跳ね除けると、強引に手を掴んできた。 思ったとおりなのが、これは腹立たしい。

何より、相棒以外の男に気安く触れられる事が許せなかった。 だから、こうなれば遠慮はしない。
私には、武道の心得なんか無いけれど、一人の鼻を蹴りで折ってみせた。 激痛にうめく男、驚く残り二人を、
殺意を持って睨んでやれば、震え上がって退散していった。 皮肉な話、この包帯もハクを付ける意味で
役に立ったのだろう。 無駄なエネルギーを使った気がして、今日は気分が悪い。

シンジはいい男だったと、実感してしまった。
頼りない、冴えない、バカな奴だと言いながら私には魅力的だったんだ。
私の横にいるのに、相応しい男だったんだ。 いい所がたくさんあったんだ。

もっといい男なんて、私にはいないんだ。
619名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/04/21(金) 23:31:08 ID:???
乙です

4/20誰にでも開かれている言葉だけども、分かるのは一人だけ。4/21不在が引き立たせる存在という逆説。
620>:2006/04/22(土) 00:45:01 ID:???
4月21

今日はアイツの夢を見た。
また調子に乗って背中合わせさせて一緒に座って何故か澄んだ水を飲んでいた時、
ふとアイツが歌いだした鼻歌で眠くなり、このほわほわしたのが好きで、アイツに頭を預けて寝た。

どうして?寝てる時、いきなり出てきた。アイツ。目の前で、いつも通りS-DATに夢中になっていて、
少しだけ漏れている音は恐らくオーケストラかなんかの音だ。
そしてアタシもいつもより少しだけ調子に乗って、「おっはよー」などと言ってみた。
するとアイツは黙って自分の部屋に戻り、自分の落書きを見せてきた。
笑いながら「これどう?」とか、まるでアタシを見てるみたいだ。
さらに、アイツの常備品S-DAT。
前からアタシも良く見てるのに、「格好良いでしょ?」とか言われ、
とうとう苛付いて、無視してみると、またアイツは寄ってきて、夕飯は何がいいかなどと色々聴いてきた。

目が覚めた。
まだアタシの背中はアイツにもたれかかっている。相変わらず辛気臭くて何だかやり辛そうな顔して。
だから思った。たまにはこういう意味不明な夢も見て良いかなって。
そこに自分が見えたから、やっと分かった。あまり鮮明じゃないし、話として成り立っても居ないが、
ある程度理解した。今、アタシは自分のようなのを欲しがっている。でも本能では今のシンジが1番なのかもしれない。

621>:2006/04/22(土) 00:46:07 ID:???
ようやく口に出したのは「眠い」という言葉。こんなことしか言わないからいつまでもヘボなんだって、
いつも通りとは行かず、もっぱら別の言葉に言い換えて書くことが多い“それ”も今日はアタシから、
積極的なアイツより、こんな貧弱なアイツが好きだから。
たまにはアタシからフォローしてやっても良いのよ。今日は言ってやらなかった。
アイツにもたまにはリラックスさせてやりたかったから。
見慣れた物。夢に見たS-DATの代わり。アタシが持っているもの。髪留め代わりの、インターフェース・ヘッドセット。
「これどう?」「どうって言われても…いっつも付けてるし…」
「今まで見てて思ってたこととかあるでしょ?」「感想なんて急に言えないよ」
「ホラ、『綺麗だね』とか『可愛いね』とかたまには言ってみなさいよ」
「き…きれいねッ!」
裏返った声で言うとアイツはそそくさと逃げていった。もう追いかけなかった。
今から寝るところ。部屋の明かりを消してから、アイツが出てきたら誉めてやろう。
強いシンジも弱いシンジも、結局好きだと分かったから。結局悩む事になっても、悔やまない。
622名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/04/22(土) 01:47:56 ID:???
お三方、乙です。

スレクオリティの高さはさらにアップですな。
これからも頑張って下さい。
623名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/04/22(土) 02:00:25 ID:???
いやー、しっかしホリデイ氏もDAHLIA氏もすばらしいですなー
624名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/04/22(土) 07:59:16 ID:???
625名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/04/22(土) 13:01:39 ID:???
乙。
----スルーしてね↓----
しかし>氏、文書の意図がわからない。
こう書いたら荒れるかもしれんが、>氏の文書はたまに意味がとりづらい。
なんつうか主語を省きすぎだし、会話が唐突だったり。
結局話のすじをとるのに何度も読み返してしまう。
その辺、一読者として気になる。

626名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/04/22(土) 22:02:23 ID:???
荒れるも何もどっちの氏かしらんが、





それが持ち味だよ!

だいたいアレがいままでスルーされてたことで理解してくれ!
君は住人としてはまだまだだね。
627名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/04/22(土) 22:17:58 ID:???
まち
628名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/04/22(土) 23:17:32 ID:???
>>625は率直な意見を述べているだけなのに、

>どっちの氏かしらんが、
この発言はホリデイ氏DAHLIA氏に対する侮辱ではないか? 侮辱で返すようですまないが、文面から>>626
>に見えてしまうしつじつまが合ってしまう。
629名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/04/23(日) 00:09:15 ID:???
>>626
>どっちの氏かしらんが
>君は住人としてはまだまだだね。

見苦しいぞ>
自演見え見えなんだよ
630>:2006/04/23(日) 00:25:34 ID:???
ちょ…うわ・・・あら…
私じゃないですよ、いや、こんなこと書くから荒れるんですかね。
すいません、こういうときどんな顔すればいいか分からないの
631名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/04/23(日) 00:27:28 ID:???
キニスンナ
荒らしの自演だから
632名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/04/23(日) 00:34:16 ID:???
だからスルーしろよオマイラ
633名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/04/23(日) 00:54:23 ID:???
なんだ?
流れがわからんぞ?
今北産業
634名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/04/23(日) 00:59:23 ID:???
しばらく見れなかったけどDAHLIA氏の作品読んで泣きそうになりました。
まじでGJです。
でも一つだけ疑問が…







シンジ腹上死?
635626:2006/04/23(日) 00:59:27 ID:???
すんません、626です。
>>スレ住人の皆さんへ
あれは、ホリディ氏やDAHLIA氏ではなく、
>氏に対して意見を言ったのです。
誤解を招くような書き方の上に、でしゃばった意見を言って
スレをよごしてすいません。

>>職人の方々へ
いつも楽しく読ませていただいてます。
>>626の意見については完全スルーでお願いします。

ほんとすんません。。。
636ホリデイ ◆A7RGAj24KE :2006/04/23(日) 01:17:14 ID:???
青い月瞳日

シンジに云わせればアタシの青い瞳に見つめられるとドキドキするらしい。
何を朝っぱらからふざけた言葉をと思ったらそういう意味ではなく、
日本人にはない、なんていうのか外人特有の、つまり他にはない独特の趣きがあって、
それゆえに不思議なあるいは心に引っかかる何かを感じてしまうのだとか。

そっか…そうよね…ドイツ、アメリカそして日本、複数の国の血が混じってるものね…
確かに道行けば色々な人に不思議な視線を投げかけられて困る事は多々あったわ。
憧れ、妬み、畏怖、もの珍しさetc…どれもあまりいいものではないわよ。

「排他的、と云っては言い過ぎだが、そうやって狭い国土を必死に守ってきた人種だからな俺たちは」
加持さんがそんな事を云ってたっけ、なんだか悲しげで自らを嘲笑うように。
そう、自虐、これも日本人特有の精神ね、授業で国民性の比較を学んだ時云ってたような。
ドイツ人もまた悲観的らしいがそれは理屈を尊び質実剛健な意識が重んじられるゆえに…
やめよう、本題からはずれ過ぎてるわ、だいいち日記にまで小難しい事書きたくないし。

黒髪に黒い瞳、白とアイボリーの中間な肌の色、それが普通であり、この国に生きる人々の姿。
栗毛色の髪に青い瞳、白人特有の肌の色、それは異端であり、この国に生きるアタシの姿。
別に気に病まないけど…いいえむしろ誇りにすら思っているけど…ふむう。

複雑な想いとは裏腹に、またアタシはアイツをその青い瞳で見つめてしまった。

まず大事なのはアタシに見つめられるという点、
それだけでもドキドキするとは、ふふん、まったく云ってくれるじゃない。
ただやっぱり独特の瞳の色がより心を揺らすらしい、そっか…アンタも日本人だしね…むう。
637ホリデイ ◆A7RGAj24KE :2006/04/23(日) 01:18:40 ID:???
でもそれは先に上げたような一般的な興味とかではなく、純粋な意味で、らしい。
そうよね、ドイツの時の男連中が云ってたけど「日本人の瞳ほどエキゾチックなものはないよ」って。
それと同じ事よね、異人種だからこそわかる魅力、違うからこそ惹かれるもの。

でもアイツったらファーストの瞳が赤い事にも同じ何かを感じたらしい、
ったくこれも云ってくれるわよね、アンタやっぱりあの女の事…考えたくもないけど浮かぶ文句。
「だから綾波はそういうんじゃないよ…なんていうのかな…わからないんだ…何だろうって」
うん、アタシもわからない、でもアンタは何かわかってるんでしょ、アタシの知らない所で。

「違うよ、何だろう…もう一人の自分のような…他人なのに自分のような…」
いいのよ、わかってるわよ、気になるだけよ、アンタファーストの事となると難しい顔するんだから。

ちくちく云ったせいか「でもいちばんわからないのはアスカだよ」とすね気味な返事。
少しはわかったの?と聞いたら「まだわからない事ばかりだよ」とはまったく情けない。
たぶんそうとはわかってる、だから今日だって一緒にいて離れなかったでしょ?

こうしてやっと一日に一つアタシの何かを教え知ってくれるのだが、こんな調子じゃ気が遠くなるわよ。
「推し量る」これも日本独特の意識、全てを知る事なんてできないし教えられもしないから。
でもね、もう少しだけほんとうの何かを見せなさい、これは命令よ、いいことシンジ?

アタシ?アタシはいつだってちゃんと見つけてるわよ、今日だってそうよ、
わかってるんだから、アンタがアタシの青い瞳に惹かれるように、アタシもそうよ、
アンタの日本人特有の黒と茶色の混じった瞳に惹かれいつだってその中に映して欲しいと思ってるんだから。

それはアタシにしかわからない気持ち、いいえアタシ以外には知って欲しくなんかない秘密。
ひどいわがままだとは思ってる…でも見つけたんだからしょうがないでしょ?ふん。

色々と考える事はあるけど今はこうして何かを見つけられればそれでいいのよ。
さて明日は何が見つかるかな?もちろんアタシからも見つけなさいよバカシンジ、ね?
638ホリデイ ◆A7RGAj24KE :2006/04/23(日) 01:40:47 ID:???
色々御意見ありそうですが、
自分はかつてスレ住民の方々から色々と指摘されそれを正して今に至ってます。
確かに書かれれば手痛い意見とは思いますが、それによって自らが良き方向に向かうのであれば、
これにすぐる喜びはありませんし、何よりそれだけ読まれてるのですから。

ですから>氏も気になさらずさりとて指摘された部分は修正して、
いっそう優れた作品を投下すればそれでいいとは思います。
意外と自分の文章って客観的に見れないですからね、
今も自分が投下する度それが原因でどきどきしてますよ、ええ。

ともかく>氏、いつも乙です、これからも可愛い二人の物語をお願いします。
綾波との事で悶着する二人の、ギクシャクした確かめあい、あの日記面白かったです。
なんか自分にはない二人の表現の仕方、それだけでもいいなあって思いました。

出過ぎた真似のような雑文、お許し下さい。
しかし私もかつて同じように指摘されその辛さを味わった一人なので、申し訳ないです。
639名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/04/23(日) 01:56:16 ID:???
>はコメントがさらにキモイんだよな
640名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/04/23(日) 02:58:55 ID:???
ホリディ氏、乙。
さすが、よいこと言いますな。
641名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/04/23(日) 12:45:51 ID:???
ロムする者にとっては職人以外はスルーでよろし、
どんなに適切な意見であろうとも、ウザイことこの上ない。
個人の感性なんかそれぞれだし、このスレには意見なんかいらないと思う。
642名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/04/23(日) 20:46:33 ID:???
乙です

少しずつ縮めていく距離ともどかしさ。
643名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/04/23(日) 21:06:48 ID:???
シンジ→男としてはできるだけなるべく早めにアスカを落としたい。
しかし失敗はわずかでも許されない!だから慎重。

アスカ→もうすでにほとんど心を許してる。

実際には『アスカ、好きだよ!』
とか言って、やさしめに押し倒せばゴールイン。
644DAHLIA ◆0VwZh5AEOE :2006/04/23(日) 21:27:15 ID:???
4月22日

今朝目を覚ますと、下唇の辺りがムズムズした。 痒いような痛いような、気持ち悪さ。
少し怖くなって、ガラスの破片を鏡代わりに己を映してみる。 予想通りだった。
荒れて、ガサガサになっている。 ろくな食事を摂っていないのと、心の拠り所を失った
ストレスのせいだと思う。 自覚できているのがせめてもの救い。

でも、この不快感が今の私には相応しいような気がして苦笑いしてしまった。
最大の原因はどうしようもないし、諦めて空を仰ぐ。
以前はどんなに辛い事があっても、綺麗な肌を、この美貌を保っていたのに。
こんな事で想いの大きさを思い知ることになるなんて、皮肉な自分が恨めしい。

夕方には少し、引いてきていた。 昼間に取った仮眠で、シンジの夢を見たから?
夢の中のシンジが、手を握ってくれたから? 抱き締めてくれたから?
キスをしてくれたから? 微笑んでくれたから? また逢えるって、言ってくれたから?


分かってる。 それが全て、信じられたから。
645DAHLIA ◆0VwZh5AEOE :2006/04/23(日) 21:28:28 ID:???
4月23日

街を歩いていると、建物の影でボロボロの服を着て座り込んでいるお婆さんを見かけた。
目に生気が無く、こちらを見てはいるが視線として感じられないような弱々しい老人だった。
ちょっと不気味だと思ったけど、慢性化している孤独感が、声を掛けるように私を動かした。

セカンドインパクトで息子を失い、サードインパクトで娘と孫を失ったそうだ。
もうじき、会いに行くつもりだと擦れた声で呟いた。 眠っているように目を閉じたまま話し、
まるで寝言のようにも聞こえた。 なのに、お婆さんは私に話を続ける。
驚いた。 私が世界の運命を背負って戦っていたこと、想い人と離れ苦しんでいることを
言い当てられたのだ。 私からは、何も話していないのに。 超能力かとも思ったが、
なんとなく、後で納得してしまった。

知り合ったばかりの私の幸せを願い、お婆さんは眠りに付いた。 安らかに、安らかに。
悲しみに埋もれた生涯を手放せることを喜んでいるような、笑顔を残して。
涙は出なかった。 ただ何故か、鼓動が高鳴って私を走らせた。
誰かの思いを刻み付けて、今なら探し物に辿り着ける気がしたからだ。 それがどんなに遠くても。


今日の誰かに、さようなら。
目を閉じれば浮かぶシンジの姿が、僅かに近付いた今日の夜。
今、見上げてる月を、きっとアイツも見ているはず。
出逢ってみせるわ、おばあちゃん。
646名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/04/23(日) 21:49:14 ID:???
乙です

4/22信じる気持ちがもたらす救い。4/23距離を縮めるのは想いの力。なんとなくロードムービー。
647名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/04/23(日) 22:08:57 ID:???
乙。
えぇ話やなぁ…
648ホリデイ ◆A7RGAj24KE :2006/04/23(日) 22:44:41 ID:???
百薬の月長日

何という事か、このアタシが…書くも不覚、思い出すも不覚…まったく…

風呂上がりにのどが渇き一杯のミネラルウォーターを注ぎテーブルに置いた。
トイレに行って戻ってから一気に飲干したその時、ミサトの意地悪な微笑み、
この時気づくべきだった…でも当のアタシは渇きに勝てなかったのだから…くそう。

ひどく甘い水に訝しながらもコップを空にしたら、
「アスカ気分はどう?」なんて聞いてきたミサト、決まってるじゃない爽快よと答えれば、
「そー♪親の意見と冷や酒は後で効くわよん♪」なんだか嬉しそうな彼女、
この言葉の意味に後で気づくとは…そうとも知らず云われるままに注がれた水を飲んだアタシ…くそう。

なんだか体がとても熱くなり顔は火照ってしかたがない、
リビングで覚まそうと休んでいても体温はいっこうに下がらない、世界はめちゃくちゃだ。
それから後のアタシは…もう思い出したくない…死んだ方がマシよ…ううう。

気づいた時には同じく風呂上がりのシンジを抱きしめながら、
訳のわからない言葉を吐いて…いえ憶えてはいるわ…普段そんな事云いたくもないのに…ううう。
649ホリデイ ◆A7RGAj24KE :2006/04/23(日) 22:45:29 ID:???
なんでアンタはいつももどかしいのよ!とか、
このアタシと一緒に居れるんだからちったあ感謝しなさいよ!とか、
しかも胸や体にぐいぐい押しつけてアイツに襲いかかりながら…ああもお生きていけない…

泣きそうな顔でなすがままに弄ばれるアイツとエキサイトしたアタシを眺めながら、
ミサトは缶ビール片手にニヤニヤニヤニヤ悪魔のような微笑み、ちくしょう、ちくしょう。

そんな視線に気づいていたのかアタシも見せ物じゃないわよ!と口走ったのを筆頭に、
それなら見せつけてやるわよ!覚悟してなさい!なんてもっとエキサイトして…うう。
シンジの耳を甘噛みしたり息吹きかけたりほほにすりすりしたり…なんて事を…

しばらくそうやってひどくアイツをいじめたあげくアタシは飽きたとでも云いたげに部屋に戻った。
おまけになぜかガンガンする頭…今こうして日記に記してるのが不思議なくらいよ。

明日からアイツにどうやって顔を合わせればいいのだろう…絶対アイツも意地悪な顔を向けてくるはずだ。
…くそう、くそう、朝一番でミサトに文句云ってやる…この三十路大悪魔!って…

でも…そうでなければ発露されなかった一連の言動と行動はアタシの本音なの…?
いいえ、違うわ、勢いに負けてつい出てしまった恥ずべき衝動、もう二度と出すもんか、むうう。

…少しだけ落ち着いた今、そっとアイツの部屋を伺ってさっきの非を詫びよう。
…お願いだから、お願いだから、蔑まないでアタシの事を…それだけはほんとうにお願い。
でも、少しでも生意気な口聞いたら許さないわよ!…い、一応、信じてるんだからね、ふむう…
650名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/04/23(日) 22:52:12 ID:???
乙です


コメディタッチで可愛いですね。翌日はきっと高飛車に・・かな?
651名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/04/24(月) 09:05:51 ID:???
652名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/04/24(月) 21:46:24 ID:???
前前から言いたかったんだがさ、DAHLIA氏のはまじで感動する。
これはもう半端じゃなく、本当の本当に泣けると思う。
長ったらしい前置きがあるからこそラストは泣ける小説じゃなく、こうやって少しずつ書き留めて行く感覚?
これがあるからこそDAHLIA氏の日記は本当に目頭熱くなる。
ここが日課になってる人なんかはもうそれこそDAHLIA氏の日記が本当の本当に待ち遠しいと思う。
わがままですまないがこれからも僕らのタメに書いてくれることを望んでいます。
ありがとうとがんばれ、同時に言わせて頂きます
653ホリデイ ◆A7RGAj24KE :2006/04/25(火) 00:05:19 ID:???
ホンキイ月トンク日

つきあって半年してもあなた手をつながない、そんな歌を思い出した。
なんて歌だっけ、憶えてるようで忘れた、まあいいわ。

アイツはそこまで鈍感じゃなかったなと連想したからその歌が頭の中を流れたのだけど、
そういえばこの頃しっかりと手を握りあってない事も思い出してしまったわ。
たった数日の間なかっただけで心が揺れ動くなんて、そんな自分が信じられない。

忘れた頃にしでかしてしまう、人の気も知らない調子っぱずれなアイツは、
そうよやけに弱気なホンキイトンク、合わせる事なんてできやしないわ。

けれども西部の荒くれ男達が銅鑼声あげてますます調子っぱずれに歌ったように、
アタシもなんだか知らない内に合わせてるのか合わせられてるのか不思議な気持ち。
はずれた同士いびつな旋律はどこかでめぐりめぐって一致してるのかしら、おかしな話。

三日ぶりにつなぎあった手をゆっくりと絡めあいながらそんな考えを思い出しくすくす笑ってしまった。
「何がおかしいのさ?」「ないしょ、ぜったい教えない」「…意地悪」「あら、今頃気づいたの?バカね」

すねた顔つきを見せた後逃れようとしたアイツの左手、それはせいいっぱいの抗い、
もちろんそんなもの許してやろうなんて思わなかったから逃さずにまたしっかりと握り返したわ。
でも握り返したアタシの右手をまたアイツも強く握ってきたのは、
ああこれもそうね、調子っぱずれな二人がいつの間にか起こすホンキイトンク、いつの間にか流れるなんて。

でも、幾多のもどかしいやりとりを経てつながれた手と手の温かさ、
それだけはちっともはずれたものなんかじゃない、なるべくして成ったものよ。

忘れないよう今、そっとまたほほに手をあてて思い出した。
半年以上経って変わらなくてもいいものだってある、そんな想いもこめながら。

調子っぱずれの鼻歌をもういちど繰り返してしっかりと心に刻みつけおこうっと。
654DAHLIA ◆0VwZh5AEOE :2006/04/25(火) 01:27:55 ID:???
4月24日

見上げた空は、変わらない青と白い雲。
今日、何気なく耳に入った他人の会話がある。 エヴァンゲリオンは、結局
化け物に負けたのだと。 だから世界はこうなってしまった。 またあんな怪物が
現れたら、その時は本当にお仕舞いだな、と言う中年男性同士の話だった。

何処からか知れ渡ったエヴァの名称以外、間違いだらけ。
それでもそこに割り込んで語ろうなどとは思わなかったし、信じてもらえる気もしなかった。
何より、私が関係者だと知られれば何を言われるか分かったものではない。

心に引っかかったことがある。 世界を護れなかったという事実。
私はサードインパクトを防がんとする戦いに、敗れたという事実。
私は、敗者なの? 過去を乗り越えて全力を出せたのに、負けたんだ?
そう考えると、今更ながら、悔しくてたまらなかった。 パイロットである誇りなんか、
かつては私を支えていたのにもう、滑稽で陳腐な自己満足でしかない。


「違うよ。」
急に、相棒の声が聞こえた。 当然どこにも姿は見えないけど、気のせいだとは思えない。
何が違うと言うのか。その問いかけに答える声は無かった。 無責任な奴。
それでも、その声が淀んでいた心を洗ってくれたような気がした。 今日、自分の中にシンジがいる気がした。

今は、この空の様に澄んだ気持ちでいる。 歯がゆくて、また泣きそうだったけど。


まだ、勝敗なんてついていない。 何もかもが終わった訳じゃない。
生きてさえいれば、明日はいつまでも明日なのだから。
シンジの声がこう続くと思っていたい。 傍にいないけど、一番近くにいる。
今だって、一緒に生きている。

ずっとずっと、一緒に生きていく。
655名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/04/25(火) 02:34:39 ID:???
きっとアスカは自分に言い聞かせるように書いてるんだろうな
656名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/04/25(火) 07:43:11 ID:???
乙です

ホリデイ氏:I will follow you.いえ、二人で踊るカントリーダンス。可愛い意地悪。
DAHLIA氏:信じればもう一度逢える。心の中には一緒にいるから。だから頑張る。
657名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/04/25(火) 11:45:17 ID:???
DAHLIA氏は格段によくなったね。素晴らしい
658名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/04/25(火) 11:46:17 ID:???
ホリディ神
659名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/04/25(火) 14:23:01 ID:V7H+/ogt
DAHLIA氏は本当にすごい
660名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/04/25(火) 17:36:54 ID:???
アスカの日記ってなぜか2つ有るけど、こっちが本スレ?
661名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/04/25(火) 18:43:11 ID:???
DAHLIA氏の作品でシンジがいなくなった描写はドコ?
662名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/04/25(火) 21:33:04 ID:???
>>660
あちらはダミープラグです
663ホリデイ ◆A7RGAj24KE :2006/04/25(火) 23:54:32 ID:???
テイスト・オブ・月ハニー日

ミサトの出張土産は新鮮なハチミツ一瓶、なかなかその地では有名なものらしい。
さっそく朝のトーストに塗りつけてたっぷりと味わったアタシとシンジ。
ほどよい甘さに健康的な成分が加わってるなんてまったくなんて素晴らしい食品なのか。

すっかりとりこになって気づいたらシンジとミサトにニヤニヤ笑われてた。
気づけば口の周りはひどくべとべと、夢中なのはわかるけどそこまでなんて…ねえ?
「いーだ!」って顔を二人に返し、舌で懸命に、仕上げはティッシュでしっかりと拭っておいた。

帰ってきてからもあの味は忘れられない、
童話に出てくる蜜壺に顔をうずめちゃう可愛い熊みたいに幸福を感じながら、
そっとスプーンですくいながらちろちろと舐めてはやめ、舐めてはやめ。

「せっかくのお土産なんだから…それに独り占めしないでよ」
至福の時を邪魔したアイツの気のきかない言葉、アンタも蜜のとりこなのね、
でもイヤ、ぜったい渡さない、これはアタシだけのもの、渡してたまるもんですか。
どうしても不満を隠さないアイツにそれならばとアタシは少しだけ与える事を許した。
このアタシの優しさってやつをちったあ有難く受けなさいよ!なんていつもの挑発も加えながら。

そっと指に蜜をからめるとアイツの口に運んであげたの、
恥ずかしそうに目をそらしながらちゅばちゅばと吸い付くアイツの顔ったら…ふふ。
おいしかった?と聞けばこくんとほほを赤らめたままうなずくアイツも…ね?ふふん♪

そして今度はアイツの手をとりその指先に蜜をまたからめると、
アタシはそれを美味しそうにそして愛おしく舐めあげしっかりと味わったわ。
「あの時のアスカの顔…ドキッて…した」そうよ、見せつけたんだから、可愛い顔のお返しにね。

もっともそんな味わい方をしたせいか、あれからハチミツの瓶はどこか知らない所へ隠されてしまったわ。
そんなにとりこにさせる味だったのシンジ?それともアタシへの戒め?どっちでもいいけどね、ふふふ。

でもね、ほどよい甘さにもう一つ何かが加わった蜜の味は二人だけの秘密よ、それだけは忘れないでね。
664名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/04/25(火) 23:57:07 ID:???
まじで泣ける
665名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/04/26(水) 01:33:46 ID:???
ヨーモニー
666名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/04/26(水) 02:42:01 ID:???
ハチミツ=大路恵美
トラウマです
667名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/04/26(水) 05:50:08 ID:???
>>665
なぜここに冬ソナ…。
668名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/04/26(水) 07:16:36 ID:???
>総司令執務室
>
>「なんだ、シンジ。貴様にかまっている暇は無い。用件を言え、さもなければ帰れ」
>「おとうさん、お弁当作ってきたんだ」
>
>ユイが初号機に取り込まれてから、殆ど接点も無い親子
>親子といえるのは今となっては戸籍の記述とDNAだけと思っていた
>その息子が、ユイの面影を残す息子が・・・私に弁当を作ってきた
>
>無下に扱うこともあるまい
>
>「弁当はおいていけ。箱はあとで葛城に返す」
>
>「一緒に食べたいんだ、父さん。おねがいだよ・・・」
>
>時刻も昼時を過ぎ、空腹感を感じていたところであった
>「わかった、そこで食べよう」(ニヤリ)
>と、いつも冬月が詰め将棋をしている応接机を指し示す
>
>
>--- 総司令執務室での「お弁当」 ---
669名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/04/26(水) 08:31:41 ID:???
残念だがスレ違い
670名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/04/26(水) 09:16:47 ID:???
乙です

甘いキスの味。いいなあ。
671名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/04/26(水) 16:06:53 ID:???
672朴&李:2006/04/26(水) 16:59:04 ID:???
>>668
そのネタもらった!
673DAHLIA ◆0VwZh5AEOE :2006/04/26(水) 23:11:02 ID:???
4月25日

今、夜露を凌いでいるのは他にも大勢の人達が利用している廃屋。
寝心地は決して良くはないけれど、贅沢を言える状況ではないので仕方がない。
気候は暖かくなってきたから、配られた毛布一枚でも眠れなくはない。
ただ、私は別の理由で、なかなか眠る事ができない。

毎晩毎晩、相棒と抱き合って寝ていた。 吐息が聞こえ、鼓動が聞こえ、血の流れまで
伝わりそうな距離で。 その温もりがなければ、この冷たい意識から離れられない。

だから、シンジの学生服をギュッと握り締めて眠っている。 アイツの匂いが残っている気が
するから、アイツを抱いてる気になれるから。 
いつから私は、こんなに弱くなったのだろう。 本当は、もう逢えないのが怖くて。
信じているものが、崩れるのが怖くて。 心細さに、侵されそうになって。


これを書きながら、涙が止まらない。  


逢いたいよ、シンジ
674DAHLIA ◆0VwZh5AEOE :2006/04/26(水) 23:12:12 ID:???
4月26日

また今日は、フラフラと街を歩きながら相棒に似た後ろ姿を探していた。
背格好、髪型、なんでも合っているものがあれば声をかけたくなる。 そのすぐ後で
ガッカリする事が分かっていても。 そして似たようなことをしている人も
割と頻繁に見かける。 私はみてくれが特徴的なためか、声を掛けられることはないけれど。

心のどこかで、シンジが肩を叩いてくれるのを待ってる気持ちがある。
私は、追いかけること、探すことが嫌いだから。 向こうから逢いに来るのを、待っている。
気が付けば、このところ毎日泣いている。 瞳が乾く時間がほとんどない。
寂しい。 どれだけ強がっても、味わったことのない辛さに壊れそう。


今日も、シンジはいなかった。  冷たい一日だった。
675DAHLIA ◆0VwZh5AEOE :2006/04/26(水) 23:13:11 ID:???
?月?日

日記を書くのは久しぶりで、日付もはっきり分からない。
ただ一週間以上経っているのは、置いてあった食べ物の具合で分かった。
なんでか分からないけど、しばらく気を失っていたみたいで、一昨日目を
覚ますと、これまたどうしてか、僕は裸だった。 何も着ていない。


何より、アスカがいない。 何処へ行っちゃったんだろう。
二人での暮らしに、嫌気がさしたのだろうか。 僕はこの上なく幸せだったのに…。
アレコレ色々考えても、分からない事が多すぎて埒があかない。 だから、
探しに行く事にした。 この格好じゃ万が一、誰かに出会った時が大変だから、
アスカ用に拾っておいたシャツと…
スカートを使うことにした。 まるで変な趣味の人みたいだけど、仕方がない。
僕には女子の制服でも似合うだろう、と言ってたケンスケの言葉を思い出した。 なんてことだろうか。


今日はひとまず、適当な場所で宿をとっている。 寂しいけど、その…なんていうか、
アスカも僕を探しているような、そんな気がする。 だから、がんばろう。
二人で過ごした日々は、決して夢なんかじゃなかったんだから。



アスカが最後に換えた、使用済みの包帯がある。
これで自分を慰めてるのが、恥ずかしい。
アスカに叱ってもらわなくちゃ、こんな僕を。

だからもう一度、逢わなくちゃ。
676名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/04/26(水) 23:31:16 ID:???
乙です

4/25不在が作る存在感の大きさ。想いは一つだけ。4/26待つ事の辛さ。私の元に逢いに来て。?/?君をこの腕でもう一度抱きしめたい。
シンジ復活。切々とした情感の中で、スカートにクスッ。
677名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/04/27(木) 02:08:13 ID:???
>DAHLIA氏
あぁ…やっとシンジ復活か…
なんか今回のアスカの日記はかなりきた。
やっぱり純粋な想いは心を動かされるなと改めて実感。
シンジの女装には少しワラタがwww
現在系で二人がどうすれ違っていくのか期待。
>ホリディ氏
あまぁぁぁぁぁ〜いヽ(´▽`)/
もう萌え氏ぬ。。。。。。。。。
678名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/04/27(木) 03:31:23 ID:???
675の感想


最初はツマンネと思ったが…



いいねいいねいいね


アスカ包帯でコイてるんですか、そうですか!
679名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/04/27(木) 10:58:24 ID:???
シンチャン復活キタコレ
680名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/04/27(木) 12:04:26 ID:???
シンジがなんか正直なのが日記らしくてイィ。
アスカと再会できるといいね
681名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/04/27(木) 19:17:35 ID:???
DAHLIA氏の作品マジでつかめないんだが・・・。今シンジとアスカが一緒にいないのは何故?
>>513->>545ですげー変わってて中身がとらえられないんだが。
682名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/04/27(木) 20:41:50 ID:???
>>545を100回嫁と言いたいが。
>>545でシンジはLCLにパシャッとしてしまったのです。
だからアスカは一人になり、歩きまわって人のいる町にいるわけ。
シンジはやっとLCLの海から帰還したのではないか?
683ホリデイ ◆A7RGAj24KE :2006/04/27(木) 21:07:13 ID:???
さよならは月云わないで日

ささいな事でケンカをする事はよくあるけど、それはいわばセレモニーのようなもので、
ただ互いのはざまにある何かを確認したいだけなのだろう、ミサトと加持さんのように。

それならば、朝方に始まったいさかいは夜のとばりにおさまってしまうのに。
けれども今日は違った、わかってるわよ、悪いのはアタシ、下らないわがまま。
いいえ、ほんとうはわからない、急にアイツが、そして自分が世界が信じられなくなったの。

分厚い日記帳がくたびれるくらい記された甘き日々の想い出、
今一度読み返してみて幸せだった頃がひどく懐かしく思えるなんて。
あの時間を返して、心を戻して、誰かに当てるようで自分に突きつけた刃。

「アタシの事なんて何一つわかってないくせに!近づかないで!」
心に何かが突き刺さったかのようにアイツは悲しい顔でただアタシを見つめていた。
言葉は何一つ生まれる事なく二人の間にできた溝は深みを増しただ時間だけが過ぎていった。

うつむいた顔を起こしてアイツを伺うと眼にはうっすらと光るものが。
「…やっぱり…僕は何もできないんだ…何一つ…ただ傷つける事しか…」
絞り出すような声を残してアイツはどこかへ消えた、そして戻ってこなかった。

ミサトは残業で夜遅くまで帰ってこない、だから今日も二人きりの夕食を囲むはずだったのに。
まあいいわよ、そのうち戻ってくるんだから、頭でも冷やしてくれた方がお互い丁度いいのよ。
少しだけ音を立てたお腹を恨めしく思いながらリビングで見たくもないTVに没入する事で何かをごまかした。

ヴァラエティが終わりニュースが始まり、時計の針が何回回ってもアイツは戻ってこなかった。
どうせ公園でうなだれてるか帰るのに迷ってとぼとぼ歩いてるかどっちかでしょ、
かすかな胸騒ぎをしずめるように自分に嘘をついた、それでも少しづつ乱れていく鼓動。

限界を迎えた空腹を満たすためにデリバリーピザに電話して、なぜかLサイズを注文した。
やる気のない配達員の言葉が空虚に響く玄関から逃げるようにピザをダイニングへ運ぶ、
テーブルに置かれた1.5?Pのコーラとやけに大きいピザはますます虚しさをアタシに容赦なくつきつけた。
684ホリデイ ◆A7RGAj24KE :2006/04/27(木) 21:15:55 ID:???
最初の一切れはとてもおいしかった、でも二切れ目からはおいしくなくなった。
「また食べきれないのに無理して注文するんだからアスカは」どこからか聞こえてきた声。
おぼろげな温かい湯気の向こうに浮かんだ幻影、かけがえのないかつての現実…でも今は…ただの消えゆく幻…

いつもなら気持ちが並んでるはずのテーブルにはほぼ原形をとどめたままの冷めきったピザが佇むだけ。
なにより今ここにはアンタがいない、そんな所で何を食べてもおいしくなんかない。
気の抜けそうなコーラで残りを無理矢理胃に流し込むとピザのケースを無造作にステンレスの上に置いた。

ミサトから今夜は泊まり込みになるから二人でよろしくと電話が入ったのはそのすぐ後。
ほんとうの事など何一つ云えずわざと明るい声で返事をするのがせいいっぱいだった。
ホントの事を云えばよかったのに、相談すればよかったのに、そうやって自分を責めるだけ。

「恋人ごっこもこれで終わりね、だからいったでしょ?これは欺瞞の果て、現実の続きよ」
また「あたし」が現れた、しばらく見ないと思って安心してたのに、ちくしょう。
「とんだお笑いぐさよね、信じてるなんていっていちばん信じてないのは自分なんだから」
成す術もなく沈黙を貫くアタシにけたけた笑いながら「あたし」は次々と心をえぐった。

気づけばなぜか洗面所の鏡の前、くしゃっとした顔の憂鬱そうな少女が目の前にいた。
その顔はいつしか悪魔のような笑みを浮かべた「あたし」に変わっていった。
「見せかけのおままごとにすがった結果がこれ?哀れなものね、最初から誰も愛する事などできないくせに、報いね」
違う!違う!違う!かき消すように叫んだアタシを嘲笑いながら「あたし」は消えた。

こぼれ落ちそうな涙を隠したくて手のひらいっぱいにすくった水を顔に打ちつけた。
やけにすっきりした気持ちで鏡を睨んだアタシはその先にある何かに復讐を誓った。

誰も居ない家で独りで寝る事がこんなにも苦痛だなんて、気を紛らわすための日記も無意味だなんて。
もう逢えないかもしれない、禁断の言葉を口に含み飲み込むとそれなら逢いに行く、と言葉を変えた。
まだ、さよならを云われたんじゃないんだから、だから信じてみよう、アタシを、アイツを、そして世界を。
685DAHLIA ◆0VwZh5AEOE :2006/04/27(木) 22:22:03 ID:???
4月27日

朝、街中が妙にざわついて落ち着きの無い空気を放っていた。
その原因は、丁度お昼前に訪れた事態の急変への予兆だった。
物騒ななりをした白人が数名、偉そうに大通りを歩いてきたのだ。 胸や肩に
小さく刻まれた星条旗の刺繍から、アメリカ人だと推測できた。
怯えたような表情で話す大人たちの声に聞き耳を立てれば、この場所が第四新東京市として
日本復興の礎になるそうだ。 そして暫くは、米国の管理下に置かれるということらしい。

政治になんて興味は無い。 アメリカでもどこでも乗っ取ってくれていい。
今の私にとっては、国のこれからなんか気にかけている場合ではないのだから。
でも心配なのは、元ネルフ関係者を戦犯と言ったいつかの男達の言葉だ。
いずれ私も、何も知らない勝手な大人たちに捕まるのだろうか。 そして、見当違いの
罰を受けさせられたり。 それは怖いというより、ただただ腹立たしさしかない。


それならいっそ、自分から行ってやる。
そう思った私は、通りを歩く米軍人達を呼びとめ、セカンドチルドレンだと名乗り出てやった。
それを聞いた連中は、英語で何か話した後、私を連れて行った。


独房に入れられるかと思ったが、そうでもなかった。 よく残っていたなと思える政府の
建物の中で、接待室の様な綺麗な部屋に通された。 ここまでは、優遇されている気がする。
一体今、ネルフはどう思われているのか。 そこからして不透明だから、どう解釈すべきかも迷う。
やがて、言葉の解る日本人が部屋に現れ、しばらくここで過ごすようにと言われた。
一枚の書類を渡された。 そこには十数人の人名が書かれていた。 ほとんど、知っている名前。
686DAHLIA ◆0VwZh5AEOE :2006/04/27(木) 22:22:56 ID:???
碇 ゲンドウ
冬月 コウゾウ
赤木 リツコ
葛城 ミサト
日向 マコト
伊吹 マヤ
綾波 レイ
惣流 アスカ ラングレー
碇 シンジ
鈴原 トウジ・・・etc

おそらくこれは、現在日本政府が確認しているネルフ関係者の名簿だろう。
私の名前を指した男は、これはあなたですねと確認してきた。 素直に頷いておいた。
そうすると私の名前にボールペンで印を付けた。 それから、簡潔な説明がされる。
米軍の協力も得て、これらの人間を捜索しているそうだ。 戦犯として追求する動きも
あったが、ある事を機に全ての罪状は無効になったらしい。 現在はサードインパクトの
実態、事実解明のために協力者として迎え入れる姿勢だと、男は語った。

驚きもあったが、それならこの厚待遇にも合点がいく。 何より、知人に会える可能性が
高まったことは喜ばなければいけない。 でも、忘れてはいけない事、私は釘を刺した。
687DAHLIA ◆0VwZh5AEOE :2006/04/27(木) 22:23:41 ID:???
相棒の名前を指差して、一番に探して欲しいと言った。
これは私自身のエゴに過ぎないが、この男がいなければ私は何も協力など
出来ない、と言って強く促しておいた。
それから、ミサトが既に故人であることも伝えた。 承諾した男が、
名簿に斜線を入れたときとても寂しい感覚を覚えたけれど、これも事実だから。


会いたい人は、たくさんいる。
でも、逢いたいのは一人だけ。
逢える日は、そんなに遠くない気がした。 細いけど熱い絆を感じられた。
気が付けば、本当にシンジのことしか考えていない。
そんな自分が好きなんだ、私は。 日本に来て、良かったと思う。


追記…名簿を見た時に、違和感を感じた。 何かがおかしい。
      近い内に、何かが起こる気がする。 今はまだ、よく分からないけれど。
688ホリデイ ◆A7RGAj24KE :2006/04/27(木) 22:29:22 ID:???
さよならも月云わずに日 ―同日のシンジ日記―

アスカとけんかした。
といってもけんかなんていつもの事だからいまさら記すべき事ではないけど…
ただ、今回はちょっと様子が違うと云うのか、なんて云うんだろう…
ささやかな反抗?ううん、たぶんそんななまやさしいものではないと思う。

別にアスカが嫌いになったんじゃない、我慢の限界が来たわけでもない。
ただ、僕はアスカの言葉に耐えられなかった、あれは常套句のようなものだけど、
でも、聞きたくなかった、受け止めたくなかった、いちばん云って欲しくなかった言葉。

わかりあえやしない、わかる事なんかできない、それでもわかろうとした。
少しはわかりあえたのかもしれない、そんなささやかな希望は一瞬にして砕けた。
だからいたたまれなかった、僕が僕でなくなり世界が粉々になった瞬間、ガラスが砕けた音に包まれて。
つまり、僕はアスカから逃げ出した、衝動のままにただあの空間から逃れたかった。

いつか来たオールナイトの映画館、その薄暗がりの中この日記を記している。

どうしてまた僕は近づき触れすり減らしあう感覚を受け入れないんだろう。
心が剥けていくあのひりひりとした何かにまだ耐えきれないんだろう。
ちっとも変わってなんかない、だからまた逃げ出した、
父さんから、エヴァから、世界から逃げ出したあの時のように。
こんな事したって何の解決にもならないなんてわかってるのに。

でも今日は帰りたくない、帰れない、どんな顔して逢えばいいの、アスカに…?
いつものように僕を叱ってなんかくれない、蔑んだ目で僕を拒むんじゃないだろうか、
そんな恐ろしい考えにとらわれたら…足が家に向く事なんてなくなってしまった。

さよならも云わずに飛び出した僕をアスカが受け入れてなんかくれやしない。
でもさよならなんか云いたくない、ほんとうは…「ただいま」と「ごめんね」が云いたいんだ。
さよならなんて悲しい言葉が僕とアスカの交わした最後の言葉なんかになってほしくないから…どうしたらいい?いいの…?
689名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/04/27(木) 22:31:17 ID:???
青葉がいねぇw
690ホリデイ ◆A7RGAj24KE :2006/04/27(木) 22:33:16 ID:???
>>DAHLIA氏

バッティング申し訳ないです。
今回はシンジ日記も書こうとさきほど思いついたもので…ほんとうにごめんなさい。

そういうわけで>>688のシンジ日記は>>683-684のアスカ日記と対ですので、申し訳ありません。
691DAHLIA ◆0VwZh5AEOE :2006/04/27(木) 22:56:10 ID:???
>>ホリデイ氏
いえいえ、こちらこそです。
全く気にしていませんし、そう言われるとこちらが心苦しいです。

私のほうは「日記」から逸脱してしまっているので、スレ住人の皆様にも
申し訳なく思います。 ひょっとすると今後は投下先を改めるかもしれませんが、
これからも一住人ではあり続けるつもりですので、よろしくお願いします。
692名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/04/28(金) 00:27:00 ID:???
投下先ヲアラタメル?
へぇ、何言っテんノ?
あなタ、ちょッとおかシいこと言ッテなイ?
693名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/04/28(金) 00:27:09 ID:???

なんか今日は両氏とも泣けた
GJだよ!うう・・・
694名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/04/28(金) 00:28:57 ID:???
少年兵書いてる人はどっかに投稿してないの?
695名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/04/28(金) 00:30:13 ID:???
↑誤爆w
696名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/04/28(金) 01:32:56 ID:???
>追記…名簿を見た時に、違和感を感じた。 何かがおかしい。

青葉がいないもんな、ていうか気付いてやれよアスカw
697名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/04/28(金) 01:44:38 ID:???
ハッ!ロン毛のカツラをかぶってるお寺の坊主がいないわ!!
698名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/04/28(金) 02:07:20 ID:???
DAHLIA氏、投稿先変えないで。
お願い。
699名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/04/28(金) 10:09:18 ID:???
700名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/04/28(金) 10:50:28 ID:???
青葉wwwwwwww
701ホリデイ ◆A7RGAj24KE :2006/04/28(金) 15:41:25 ID:???
あなたのいない月世界で日

もやもやしてても仕方がないので学校へ行く、ひとりぼっちの通学路、空しい。
浮かない顔をヒカリに見破られたけど何も云えなかった、云いたかったけど云えなかった。
傍らでは二バカも無断欠席のシンジを訝しがっていたけど病欠だろうと結論づけられて話は終わっていた。
いつものように授業が始まり全てが消化されればアタシとシンジの事なんていつの間にか忘れられたわ。

くしゃくしゃした気持ちで足早に教室を去ろうとした時、もう一度ヒカリに呼び止められた。
嘘はつけないものなのね、いつもと違う姿を問いつめる彼女にアタシは思わずこぼした。
「もう…駄目かもしれないのかな…あのバカ…」引き止めるヒカリの声から逃れるようにアタシは去った。

独りで街中をあてもなく歩き回った、仲睦まじいカップルの姿に嫉妬と後悔を抱き、
アタシに下卑た目を向ける男達に嫌気が差しながらどこへ行くともなくうろうろするだけ。

もし今優しげな男の子に誘われたらたぶんついていってしまいそう、それくらいすさんでいた心。
いいえ、以前のアタシだったらそれくらい許してしまったかもしれない、誰でも良かったから、
でも今のアタシは違う、誰かじゃなきゃイヤ、そう、こんなに心配させるあのバカじゃなきゃ…

暇つぶしに費やす幾つかのCDとDVDを抱えて戻った家、誰も迎えるものなど居ない。
ただいまを云いかけて飲み込んだ、空しさをこれ以上増やしてどうするのよ?そう思いながら。

リビングにディスクを散乱させたまま見る事も聞く事もなく、なぜかアタシはシンジの部屋の前に立っていた。
ついこないだまで「生」が存在していた主のない部屋、ただそれを眺めた、時間など気にする事なく。
ずっと、ずっと、立ち尽くし眺めてしまった、まだ残ってるかもしれないアイツの証を見つけるように。

かすかに鼻をくすぐったのはアイツの残り香、石鹸と柔らかい体臭が混じりあったあの匂い。
あっという間に刻みつけられたそれを感じたら訳もなく泣きたくなった、なぜなの?

昂る感情を覚ますかのように電話が鳴った、帰宅を告げる家主の声に力なく答えるしかできなかった。
702ホリデイ ◆A7RGAj24KE :2006/04/28(金) 15:42:31 ID:???
不在のシンジを不審に思いミサトはアタシに聞いてきたけど、
ジャージの家に泊まってくるらしいと適当な嘘をついてごまかした。
「シンちゃんにしては珍しい行為ね」真実を見抜かれたようでどきっとしたけど、
ミサトはそれ以上何も云わず疲れた体を万年床の待つ部屋へだらしなく引きずっていった。

借りてきた映画はちっとも役になんか立ちやしない、早送りで適当に観ておいた。
なぜこんな時にラブストーリーなんて借りてくるのかしら、ほんとばっかみたい。
不機嫌が頂点に至る前にスイッチを切ってお風呂で紛らわす事にした。

湯上がりのほわほわした体が今日はやけに違和感を感じて困った。
ほんとうならば今頃アタシの隣にはアイツがいて、やめてそんな悲しい事考えたくない。
いつもより早く入ったベッドの中そっと携帯電話をいじってまた自分を紛らわす。

いつか残しておいたアイツの吹き込んだ留守録、なんで聞いちゃったんだろう。
弱々しくて情けなくてそのくせ可愛い声を今はもう聞く事はできない、また心が軋んだ。

電話帳をアイツの名前にセットして発信のスイッチに指を這わした、
後少し力を加えればもしかしたら何かが繋がるのかもしれないのよ?
何度もスイッチをなぞって禅問答を繰り返したけどどうしても押せなかった…

もう一度留守録の声を再生して聞いてしまった、繋がらない電話から流れてくる声、
なんて意味のない事をしてるの?妄想に溺れてるような自分にヘドが出そうだった。
携帯を放り投げてシーツに絡まりながら眠りの世界へ逃げようとした、でも体は眠ってくれない。

…湯上がりのまま熱さの逃げない体を鎮めたくて…アタシはまた馬鹿な方法を選んだ。
…自分で自分を慰めるなんて…唇を噛み声を押し殺し刹那的な逃避に堕ちていくなんて…ほんと…バカよね…
いつの間にか摺り替えたアイツのシーツに全てを埋めながら…だって…その…
そうよ、欲しかったの、温もりが、他の誰でもない…あのバカの…くそう…

全てが頂点に達した後、訪れた脱力感に嫌悪を感じながら、アイツの名前を呼んでみた、
何も返ってこないと知りながら、それでも何かを感じたかったから、夜はまだ長いわ、後何回呼べるかな…?
703ホリデイ ◆A7RGAj24KE :2006/04/28(金) 15:44:05 ID:???
ここにきみは月いない日 ―同日のシンジ日記―

今日はケンスケのキャンプに世話になる事となった。
この日記もケンスケの傍で書いてるんだけど、さっきから覗き込もうとして、
まったく、僕にもプライバシーってのがあるんだよケンスケ…それに日記は日課なんだから…

朝が明け僕はオールナイトの映画館を追い出され人気の少ない公園でぼんやりしていた。
誰かの通学路にかちあわない所を見つけて午前中はそこで過ごしたけど、
時と共にだんだん増えてきた人々、浮浪者にサラリーマン、子供を連れた母親、学校帰りの子供達、
それらに嫌気がさして、それにその人達が僕に向ける好奇の目に耐えられず公園を出る事にした。

ちょうど学校も終わる時間帯、帰るあてのない僕の甘いわがままだけど、
ケンスケに電話をしてしばらく居させてと無理をお願いして、そして今に至ったわけだ。

ケンスケは何も聞かなかった、それが僕にとっては安心できたけど、
前の時と同じくあえてケンスケはそういう事に触れない性格なんだろうな、ごめんケンスケ気づかってくれて。

でも今僕がいるべき場所はここじゃない、それだけはわかっている。
いつまでこうやって人の好意に甘えて逃げ続けるつもりなんだ?
僕が帰るべき場所はあそこなんだ、それを知ってるくせに…僕は…僕は…ちくしょう…

待っているのかな?ううん、もしかしたらアスカだから…好きにやってるかもな…
でも、でも、僕は戻らなくちゃいけない、向き合わなくちゃいけない、もう逃げちゃ駄目なんだ。
誰にも聞こえない声でアスカの名前を呼んだ、どこかで返事が聞こえた気がした…ううん気のせいだよ。

それでも僕の気持ちはおさまらなかった…おまけに…恥ずべき事だけど…
溜っていた感情を放つかのように…僕は…僕は…自分を慰めてしまった…
誰も居ない野原の物陰で…アスカの名前を呼びながら…ほんと…最低だ…俺って…

今ここにいない、それがとても悲しくて、苦しくて、だから耐えられなくて…
…僕はほんとうにどうかしてしまったんだろう…自分に嫌気がさす…もう…寝よう…くそう…
704名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/04/28(金) 20:37:58 ID:???
最低だ…俺って
ワロスww
705名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/04/28(金) 21:06:34 ID:???
乙です

D:募る想い。違和感…加持の死も政府は掴んでいる?
  和解編とその後の消失編とで唐突に世界観が変わったと感じました。が、日記形式ですから、投下はここで。
ホ:さ;もう駄目だと思った時どうするかで絆は強くも弱くもなる。シンジには少し荷が重いけど。ハラハラドキドキ。
  あ/こ;シンクロする二人。離れていても想いは一つ。愛してる。
706名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/04/29(土) 00:08:29 ID:???
乙。
職人さんが本当に神様に見えるときがあるな。
泣ける。
707DAHLIA ◆0VwZh5AEOE :2006/04/29(土) 03:34:43 ID:???
4月28日

食べるものや寝る場所に不自由しなくなった。 蒼い絨毯の敷かれた、殺風景だけど
清潔感のある部屋に住まわせてくれているからだ。 お風呂もあれば食事も一日二回
運んできてくれる。 監視付きだけど外出も自由。 いつだって国の偉い連中は、一般市民の
苦労を全く別の次元で眺めているのだと、自分がその立場で痛感してしまった。

さて、今日はどうしたものかと小さな窓から外を眺める。 新しく建てる余裕はまだないのか、
傾いた建物の修復だと思われる工事の風景が遠くに映った。 こうやって少しずつ、かつての
第三新東京市の様な光景が戻ってくるのだろうか。 私の見た感じでは、人口はまた大きく減ったに
違いないけど。 人間が作り上げる文化など虚構とすら思える現実を見た以上、未来に心が昂らない。

いまや一張羅となった黄色のワンピース。 これも相棒の思い出の品。
そしてシンジの学生服。 快適な部屋でも、私に安眠をくれるのはこの布きれしかない。
ズボンの方に、ある重みを感じてポケットを探ってみると、十字架のペンダントが出て来た。
ミサトの遺品。 シンジが別れ際に受け取ったという形見。 私が持ってきてしまった。
これも、やはりシンジに返さなくてはいけない。私が持っていてもいいけど、やっぱり、ね。


街を歩く人達を見ながら、無意識にシンジを探している。
今日もそっくりな後ろ姿を見かけたけれど、多分あの格好は女の子。
薄汚れたスカートが痛々しかった。 かなり遠いところから歩いてきたのだろう。


きっと、アイツも私を探してる。 
次のページへ、進みたがってる。
その時は、私と手をつないでいてよね、バカシンジ。
708名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/04/29(土) 09:40:28 ID:???
乙です

つのる想い。求め合う心とすれ違う現実。しかし再会はもうすぐ。
709>:2006/04/29(土) 11:43:15 ID:???
4月19日

空は蒼かった。
深く深く重なり合う蒼い空が、流れる雲の間に見え隠れしながら世界を覆っていた。
となりで一緒に世界を覆うそれを見ていたのはどうしたことか、ミサト。
今日は暇だから、休日は実に心地よく安らぎのあるものだからと言うズレた理由を叩きつけられた。
確かに休日は好きな時間ではあった。面白くない学校が終わればその瞬間から開放感に包まれるように、眠くなる。
今日は何故かお気に入りのビールは飲まずに横で人生について色々と話してくれた。

色々とあったがとりあえず自分は今を幸せに過ごしているという。
心に、体に、その大きなキズを負わせたセカンドインパクト。涙という消毒液は心を少しずつ癒した。
でもいつか、それすら出なくなりついに言葉の無い状態が数年続いたと言う。
孤独を人一倍恐れるアタシとシンジよりも、大人のミサトが語るそれはどうしても大きく見えた。
その遠くを見詰める微笑みの裏には、哀しい過去が隠れていた。その眼が見ていたのは過去か、それとも今の自分か。
シンジを、アタシ達子供を利用することを選ばなければならなかった時、自分自身をあざ笑ったと言う。
一滴の涙が彼女の頬を伝う瞬間をアタシは見てしまった。声を噛み殺して無理してたわけじゃない、ただ微笑んでいた。
アタシも思わず感動というもので涙を流しそうになった。遠くを見るその眼。確かにいくつもの涙を超えてきた証だったから。
その眼に何かを教えられ、立ち上がる。このまま置いておけばミサトにとっても何か考える時間になりそうだ。

部屋に戻る前、「お大事に」と心の隅で言っておいた。声をかける気にはなれなかったけど。
アタシもいつかそんな顔できるだろうか。あの眼で、微笑みながら、遠くを見て。
乗り越えてきた災難を振り返り、幸せを感じ、もう一度何かあったときも乗り越えられるように…。

ベッドに倒れこんだとき、たった一言、誰にも聞こえないようにつぶやいた。
「頑張れ」
いつかあの眼で過去を見るとき、この声が救いになるだろうか。夢の中でも良いから。
日が落ち始める頃、シンジを隣において、清清しい心の赴くままに話した。
その時、聞こえた。もう聞こえた。「頑張れ」って。
明日も一緒に話そうかな。あの声、あと何回聞けるかな。
710>:2006/04/29(土) 11:44:31 ID:???
すいません、私にいくつかレスを付けてくださって、納得はしましたし、
文章を圧縮してしまうクセを直すために何日か色々考えて、休ませて頂きました。
これからも、わけのわからない文になってしまうかもしれませんが、
そのときはまたレスをください。頑張っていこうと思います。
711名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/04/29(土) 13:14:04 ID:???
乙。
文書をブラッシュアップしようと努力する姿勢が現れてると思う
「頑張れ」
712名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/04/29(土) 16:04:09 ID:???
>>707
>今日もそっくりな後ろ姿を見かけたけれど、多分あの格好は女の子。
>薄汚れたスカートが痛々しかった。

ひょっとしてアスカ用のシャツとスカートを着たシンジだったんじゃ…
惜しい、惜しいよアスカ。
713ホリデイ ◆A7RGAj24KE :2006/04/29(土) 17:48:08 ID:???
嘘だと月云ってよ日

世間は大型連休の初日とあって浮かれ気分をまんべんなく見せつけるけど、
アタシにとっては果てしない苦痛と憂鬱の日々が始まっただけ。

そしてミサトに全てがばれた、いつまでたってもアイツが連絡一つよこさない事を発端に。
お説教を喰らうみたいにダイニングのテーブルで向かい合ったアタシとミサト、
いつもと違う真剣な顔つきと目線に耐えきれずアタシは真実をぽつりぽつりと話した。

すぐにミサトは監視員に連絡をとり、シンジがロストされてない事を把握すると、
「シンちゃんの行きそうな場所、アスカの方が思い当たるでしょ?」と促された。
「自分が蒔いた種は自分で刈り取りなさい、何もせず後悔するだけじゃ…私許さないからね」
戦いの場で見せるようなミサトの悲痛な顔はアタシの心を呼び覚ました。

監視員の報告によるとメガネのキャンプを出てからは把握してないらしい、
とすると次に向かいそうなのは間違いなくジャージの元だ、
ヒカリに電話してジャージにシンジが来たら伝えてと口を早めてお願いした。

「やっぱり…何かあったんでしょ?まあいいわ、その代わり後で二人ともお説教よ!」
途切れた電話が再び鳴るとまだシンジは来てないとか、一応ジャージにも主旨は伝えてくれたらしい。

親友の助力に深く感謝し電話を切った時、ふと考えてしまった。
ではアタシはこれから何をすればいいの?家の前に待ち構えて連れ戻せばいいの?
いいえ、何もする気が起きなかった、やっぱり…どんな顔して逢えばいいのかわからなかった。

事の発端はアタシのささくれた気持ち、それを全て謝るなんて…どこか自分が許せない。
妙なプライドなんて捨てなさいよ、自分にそう訴えても体はちっとも動かない、動きたくない。
今さらのこのこ現れて…もし…アイツに拒絶されたら…ううんアイツぜったい許してくれなさそう…

「やっぱりふんぎりつかないの?」部屋を覗いてきたミサトにずばりと云われた。
「…まあしかたないわよね、でもうやむやな気持ちのままじゃ見透かされるわよ」アタシもそう思う。
714ホリデイ ◆A7RGAj24KE :2006/04/29(土) 17:49:49 ID:???
結局家から出る事はなかった、どうしていいのかわからないまま逢えやしない。

うつむいた顔を崩さず食べたくもない夕食を眺めてたら、ますますアイツの事が恋しくなった。
「レトルトだけど結構いけるのよコレ?腹が減っては戦はできぬ、よアスカ」
一口食べたらカレーがカレーじゃなかった、既製品をここまで破壊できるなんて…ミサト、あなたは一体…?
やむをえず食欲がないふりを見せつけて残りは回避、別の意味でアイツの事が恋しくなった…

昨日と同じようにTVで時間をごまかしてた頃電話が鳴った、ヒカリだ。
やっぱりシンジはジャージの所に厄介になってるらしい、ほんと短絡的よねアイツって。
「迎えに行かないの?」それができたらとっくにしてるわよと返したら、
「それでいいの?…碇君やけにはしゃいでるって…鈴原が心配してたわよ」
構わないの、と答え、後ろ髪を引かれる思いで電話を切った…

ひざを抱えたまま次第に目が熱くなっていくのを感じた。
何をためらってるの?素直になるって決めたんじゃないの?はなればなれでいいの?
幾多にも積み重ねられていく問いかけの山に押しつぶされそうな瞬間、
じわじわと視界が何かに染められひどく乱れていった。

後ろにミサトの気配を感じた時「何も云わないで!」とまたしでかしてしまった。
「何も云わないわよ、その代わりこれでも飲んで落ち着きなさい♪」
そっと置かれたのはグラスに入ったワイン…未成年になんという事を…
でも有難く頂いた…意志薄弱なアタシ…むう…

それからは記憶がとびとびになって気づいたらベッドの中にいたわ。
枕の上には二つの濡れた跡…まったく何やってるのアタシったら…

楽しそうにジャージの元で過ごすアイツを思い浮かべたらまた枕が濡れた。
嘘でしょ、嘘だと云ってよシンジ…狂騒の裏に隠した本心は…違うんでしょ?
うめき声を消すために枕へ顔を埋めた、後いくつの水滴をこぼせば…願いは叶うの?教えてシンジ…
715ホリデイ ◆A7RGAj24KE :2006/04/29(土) 17:54:48 ID:???
茶色の瞳に月映るもの日 ―同日のシンジ日記―

ケンスケのキャンプを後にした僕は、結局トウジの所へ身を寄せる事となった。
ケンスケが前もってトウジに連絡してくれてたのでわずらわしい質問を受ける事はなかったけど、
妙にトウジが心配そうな顔を崩さない事がやけに心に引っかかった。

気まずい雰囲気が苦手な僕はやけにはしゃいで機嫌をとるように接してしまったけど、
今思えばそんな僕の姿なんて異様だしさらに何かを疑問にさせてしまった気がする。
「ま、なにはともあれ今夜はオトコ二人でパーッと騒ごか」なんてトウジも乗ってくれたから、
ひとまず全てが白日に晒されることは無くなったので僕は安心した。

下らない話を幾つも繰り広げた頃トウジの携帯が鳴った、
「すまんなセンセ、いいんちょからや、ラブラブな電話を邪魔したらアカンで」
嬉しそうに部屋へ戻るトウジの姿がなぜかとてもうらやましく映った。

独りになった僕は、やはりこないだからの事が心に甦ってくる。
どうしてこう僕は前に進めば、乗り越えれば全てが解決するのに、それをためらうんだろう。
エヴァに乗る時も、逃げた時も、アスカが使徒にめちゃくちゃにされた時も、白い死神に汚された時も…
僕は何一つ越えようと、その先に踏み込もうとしなかった、それが今も変わってないなんて…

戻りたいんだあの場所へ、変わりたいんだ誰かの為に、認めたいんだ自分を他者を。
でも、その時アスカはどう思うの?またいつかみたいに僕を拒絶するの…?

戻ってきたトウジの顔が少し険しかったのが気になったけど、
そのまま僕らはまがりなりにも楽しい時間を過ごして眠りについた。

でも明日からはどうしよう…いつまでも厄介になってたら悪いし…はあ。

眠りにつく前瞳の先にはいつもの意地悪そうなアスカの顔が浮かんだ…そう…そうすれば…いいの?
瞳に映ったアスカは何にも答えてくれなかった、わかった、答えは自分でさがすよ、おやすみ…アスカ…
716名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/04/29(土) 21:24:02 ID:???
作者に意見するのはいいけど、ATを低下させるようなやり方はよしてくれよな
こんないいスレ他にはないんだぞ
アラばっから探してるようで嫌だわ、また投稿先を帰るなんて言わさないようにしてくれよな!
頼むぜ
717名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/04/29(土) 21:34:14 ID:???
乙です

もう少しだけ素直になれれば。逡巡し思い悩む描写がいいですね。
718名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/04/30(日) 00:59:00 ID:???
719DAHLIA ◆0VwZh5AEOE :2006/04/30(日) 02:40:06 ID:???
4月29日

遷都計画。 2018年に第四新東京市、2028年に第五新東京市。
今日はこんな話を政府の男から聞かされた。 正直、関心など無いので
右から左に聞き流していたけど、男は意気揚々と話してきた。
新しい街が作られる事は、喜ばしいことなのだろう。 私だってかつての
第三新東京市が好きだった。 当たり前の日々を送れた、あの街が。

でも、そっくりそのままあの街が帰ってきたとしても、あの日々が、あの暮らしが
戻ってくる事は無い。 今となっては戻ってきて欲しいとも思わないけど、それならば
新しい都市になんの意味があると言うのだろう。 私を満たしていたのは、周りにいた
人達に他ならなかったのだ。 そして今は、ある一人にこだわって、執着している私がいる。

こんな話で返せば、本当に彼がお好きだったのですねと微笑まれた。
男は30半ばの大人。 多分私の必死の想いも、子供の淡い恋愛感情だと思っているのだろう。
別に好きな訳じゃない。 ただいなければ何も始まらないだけ。 そう念を押したが、
果たして私の真意は伝わったのか。 どちらでもいいけど、早く相棒を見つけて欲しい。

新しい街は、これから創られていく。 私はそれを目の当たりにする。
でも、それが喜びとなるには、独りじゃ足りないものがある。
今日も、街は動いてる。 密やかに商売をする人達も現れ、僅かに活気付いてきた気はする。
少しずつ、お膳立てが出来つつあるんだ。


あとは、アンタだけだから。 私にとっては、アンタだけだから。
泥臭い街の中で、待ってるんだから。 ずっとずっと、待ってるんだから。
今はそのためだけに、生きてるんだから。
720名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/04/30(日) 08:42:18 ID:???
乙です

移ろいゆく外的世界、けれど内なる心は変わらない。好きなのはあなただけ。可愛いね。
721名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/04/30(日) 17:04:00 ID:Vf9Ox3uK
おはようマクガーレン大尉
722名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/04/30(日) 22:48:03 ID:???
DAHLIA氏の


泣けます
723名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/04/30(日) 23:35:55 ID:???
むしろ泣
   い
   て
   ま
   す
724DAHLIA ◆0VwZh5AEOE :2006/05/01(月) 02:04:19 ID:???
4月30日

夢枕に、ファーストが立った。 生きているのか死んでいるのか分からないこの女は、
こうして現れるときはいつも、シンジの言う「二人目」が現れる。
以前から、悪意はないにせよその口利きが私の気に障ることは多々あった。
今日は私の心が泣いていると、覚えたくは無い指摘をされて気分が悪くなった。
本来なら突っぱねる所だったが、どこか吹っ切れている今の私は思い切って叫んだ。

シンジが好きだから、いなくなってしまったから、泣いて何が悪いのかと。
人に恋焦がれたことのないアンタに、この気持ちが解ってたまるかと叩き付けた。
でも、これで動揺したりはしないのが、この女の性質。 今はもう、前の様に嫌っては
いないが、やはりこういう所はまだ、好きになれそうにない。

気休めのつもりだろうか、ファーストはこう言った。
今、私とシンジが離れ離れになっている事には意味がある、それも大きな、とても大きな
意味が。 それはいずれ判るからと言って、私の言葉も待たずに消えた。
目覚めれば、まだ落ち着かない感のある自分の部屋の、真っ白な天井が広がるばかりだった。


ただの夢じゃ、ないと思う。 ファーストからの、メッセージだったに違いない。
いずれにしたって、シンジが見つからなければ、私は生ける屍。 どうしようもない。
すっかり陽気な一日だけど、つまらない一日。 夢以外日記に書くことがないのだから。



追記…後日、私達の別離の意味を知ることになったけど、ファーストはこれを
    知っていたのだろうか。 分かったはずの「綾波レイ」という存在が、
    さらに遠ざかってしまった。          人形なんかじゃ、ない。
      
725名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/05/01(月) 08:29:39 ID:???
726名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/05/01(月) 19:19:24 ID:???
すまない、追記のとこ少し意味が分からない
俺がバカなだけなのかな…
727ホリデイ ◆A7RGAj24KE :2006/05/01(月) 20:57:13 ID:???
待ち人月還る日

シンジが帰ってきた、帰ってきてくれた。

といっても自発的にではなくジャージが連れてきたんだけど。
「下手な小細工していいんちょに怒鳴られたらかなわんからな、ほな」
「御苦労な事ね、いちおうお礼は云っておくわ、ヒカリによろしく」
シンジに同情の目を向けてジャージは帰ったけど、何よその態度、バカじゃないの?もう。

最初に飛び出した言葉は「ごめん」、ほんとアンタらしくてかなわないわ。
好き勝手に出てってごめんもないわよ、そんな調子でまた返してしまう愚かなアタシ。

アンタのいない数日間どんな気持ちで過ごしたのか知ってるの?
ひとりぼっちにさせて、心配ばかりさせて、枕をどれくらい濡らしたと思ってるの?
その手を体を温もりを、瞳を唇を声を、どれだけ欲していたのかわかってるの?

本心を全て声高に叫びはしなかったけどその代わり怨み節のような文句を連ねるばかり。
シンジは何も云わずそれを黙って聞くだけ、唇を噛みしめながら試練に耐えるかのように。

吐き出した言葉の果ては強烈な空腹感が襲った、そう云えば朝から何にも食べてない、
厳密には少しパンをかじっただけ、だって…誰かの作ったご飯じゃなきゃイヤだったから。
「とにかく!三日もほっつき歩いたら葛城家は食糧難!飢餓に悩まされるのよ!
 アタシはピザでも我慢できるけどおー、ミサトがどうしてもアンタの食事がいいって云うから…」
我ながらどうしようもない言い訳だけど、そうとしか云いたくなかったのよ、いびつな自分、まだ直す気がないなんて。

ちょっとだけ何かが灯ったように明るさを取り戻したシンジの顔。
「…それってつまり…いいの?…でも…アスカは僕の事…」
「うっさいわね!自分で作るよりも誰かかの作ってくれたものがいいのよ!
 ほら!わかったらさっさと支度する!もうすぐ夜よ!早くちゃっちゃとしなさいよ!」

いつもならそのまま台所に向かうはずのアイツは、なぜかこっちを見つめて離してくれない、なに?なんなの?
728ホリデイ ◆A7RGAj24KE :2006/05/01(月) 21:03:18 ID:???
「でも…でもね…僕は…僕は…」
溢れ出る何かを抱えたままそれを伝える術を知らないあのバカ。
だからアタシが代わりにたぶん云いたいであろう何かを、そう「推し量って」答えた。

「だから!こんなのアンタにいて欲しい理由の一つに過ぎないわよ!
 …ほんとは…ほんとはもっと理由なんて…いっぱいあるんだから…」
「…でもその理由…僕にはわからないかもしれないよ…またこないだみたいに…アスカは…」
「だったら!その理由を全て知るまでアタシから離れるな!ずっと…そ、そばに…い、いなさい!」
「…うん…わかった…もう離れない、そばにいる…」「また逃げたら一生…恨むわよ!」

ダイニングで待っていたアタシはアイツがおずおずと支度にとりかかるさまを見て、
「…一人でやるの大変でしょ?」困った顔でアイツは振り向く「ううん、いつも慣れてるから…」
「またアンタが逃げた時の為に少しは炊事を教えてもらおうと思ってね…手伝うわよ」またいびつな気持ち。
ようやく理解したのかアイツはクスッて笑うと「もう逃げないけど…じゃあ手伝って」と承知してくれた。

そうして築かれた久しぶりの三人の夕食、何もなかったかのように振る舞うアタシとシンジを見てたミサトの、
やけに優しげな視線がとても痛かった「そうよ、それがあなた達らしさなんだから…もうけんかしちゃだめよ」と。
いつもと変わらないのに、いつもより心苦しかった食卓、満たされたはずなのに少し切ないなんて。

約束通りシンジにはずっとそばにいてもらった、離れようとしたら逃がさないくらい。
でもどこか脅えたアイツの物腰は、まだ引きずってるのね、もう恐れないで、アタシを、自分を信じて。
強くなれなんて云わない、理想に添えなんて思わない、ただ…近づいて、こっちも近づくから。

でも久しぶりに二人で揃ってリビングで寝てしまうなんて、
そういう意味で近づこうとは思ってなかったわよ、これは偶然、そこまで全てを許してなんてないんだから。
…けど…誰もが寝静まった頃…そっと抱きしめたら…求めていた何かがあった。
失いたくない何か、かけがえのない何か、それをたっぷりと感じて全てを許そうと決めた、アタシをそしてシンジを…
729ホリデイ ◆A7RGAj24KE :2006/05/01(月) 21:05:16 ID:???
還るべき月場所日 ―同日のシンジ日記―

朝早く起きて昼頃までする事もなくぼんやりしてた僕とトウジは、
けだるさをごまかすように行くあてもなく近くをうろうろと歩き回る事に決めた。

でも結局どこへ行こうか迷ってる内に日はだんだんと暮れもの悲しい時間に。
「そろそろ腰上げなあかんなセンセ」トウジの言葉でようやく僕らは家を出た。
浮かない顔でまだ迷っていた僕をトウジは何も云わず他愛もない話を繰り広げて気づかってくれたけど、
次第に僕はトウジの導く道程が見なれた景色に彩られてた事に違和感をおぼえた、
そうして僕はいつの間にかコンフォート17の前に連れてこられた。

抗う事もなく逃れようともせずただ漫然とついてきた僕にトウジは、
「騙したようで悪いなセンセ、せやけど、やっぱり向き合わなあかんで、
 いいんちょからも頼まれたさかい、後は二人でとことん解決せえ、せやけど逃げたらあかんで」
言葉が終わると同時にトウジの指先はインターフォンに触れ、懐かしい返事と共に扉は開いた。

現れた姿を見た僕は、探していた何かが見つかったのを知った、探していた答えが見つかったんだ。

使命を終えて帰るトウジに耳もとで「こういう時は謝ったもん勝ちやで、ほな」とささやかれ、
他人事だと思ってさ…と見送る僕はすぐにけたたましくそれでいて温かい声に襲われた。

それからはもう記す必要なんてない、ただ…僕は僕を、そしてアスカを信じようと、それだけは心に決めたから。
アスカの言葉の端々から、僕は抱えていた重りを捨てる事ができたから…だからそれでいいんだ…

それでも僕の心は何かに餓えていたんだろう、離れるなと云ったアスカの気持ちを受け止め…
そして久しぶりに二人で眠る事にした、といってもリビングに並んで寝転がるだけだけど。
でも、夜深い頃、僕とアスカは静かにそして優しく抱き合った、離れないようしっかりと。
忘れかけてた互いの温もりを匂いを逃さないようにしながらいつしか唇を重ねたなんて。
ミサトさんにからかわれてもいいや、そう思い僕はそのまま絡めた腕を離さない事にした。

ごめんね、アスカ、もう二度と逃げない、もう少し自分もアスカも信じるから、だからアスカも僕を信じて。
730名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/05/01(月) 21:11:39 ID:???
乙。
いつものホリさん作品とは一味違う、動きのある連続した日記だったけど
相変わらずうまいなぁと思わせられた。ベリィグッジョブb
731名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/05/01(月) 21:50:28 ID:???
乙。
ニャスカもイイがこっちもいい。まさにネ申!!!!!!!
732名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/05/01(月) 22:21:33 ID:???
乙です

D:遍歴は主人公の成長をもたらす。レイは狂言回しの役かな?
ホ:再会と気持ちの確認。雨降って地固まる。めでたしめでたし。
733名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/05/02(火) 01:40:51 ID:???
えっと…何故日記に後日〜という未来からのことが記されているのかがわからないのだけど…
734名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/05/02(火) 01:57:29 ID:???
乙です
次作にも期待
735DAHLIA ◆0VwZh5AEOE :2006/05/02(火) 02:11:11 ID:???
5月1日

ネルフの再建。
この言葉に一瞬、目が点になった。 今朝、部屋を訪れた政府の男が唐突に告げた。
セカンドインパクト後に世界を牛耳っていたゼーレという組織は、当人達の安楽の為に
世界を犠牲にするという過ちを犯した。残された今の世界は、何があっても守り抜かなければ
いけない。 ネルフにはそうした志の者がいたことを知る人間は、かつての超法規的特務機関に
もう一度、人類にとっての試練を託そうというのだ。 

私は、この言葉の裏側にゼーレ亡き今後、有事の責任を負わせようという目論みがあることを察したが、
口には出さなかった。 その後の話は、まさに予想通り。 私に協力を仰ぐものだった。
当然、断わった。 もう厄介ごとは御免だ。 相棒が見つかれば、相棒と一緒にひっそりと暮らすつもりだから。
もう、エヴァともお別れしている。 これからの世界がどうなるかよりも、今はシンジを見つけることしか
頭に無い。 そうやって、持ってこられた机上の空論をつき返すと、男は部屋を出て行った。


でも数分後、続いて現れた人物が、私の度肝を抜く事になる。
736DAHLIA ◆0VwZh5AEOE :2006/05/02(火) 02:12:37 ID:???
その人物とは、面識はあってもそこまで親しかった訳じゃない。
それでも、あの出来事以降、相棒以外に初めて出会う知人だった。
懐かしさに比例して水増しされる親しみは、おそらくお互い様だったはず。

以前と違い、顎に無精髭が目立ち少し不衛生な感じがしたが、私がそれで見間違う
顔でもない。 何せ特徴的だった髪型がそのままだったから。 その男性は、私と目を
合わせるとニッコリと微笑み、再会を喜んでくれた。
かつてはネルフ内で二尉という階級。 私やシンジのサポート役だった人。
名前を呼ばれ、私も思わず呼び返した。 以前は、ろくに話もしなかった仲なのに。

「青葉さん。」

先に部屋を訪れた政府の男と同じ服装をしていた。 私が中学生にしては聡明なのを、この人も
知っている。 あえて長々と話さずとも、もう用件、要点が伝わってしまったのだ。
こうなったら、仕方がない。 私は、再びネルフの一員に逆戻りだ。
現在は、前身ネルフの残した資料をかき集めている段階だとか。 何より、青葉さんの言葉はアッサリ
信じてしまう自分に苦笑いする。 それだけ、旧知の仲とは重いものなのか。

そして、私にとっての朗報もあった。 この街で、すでにシンジを見つけているらしいのだ。
だが、何故か確保が出来ないらしい。 他人を寄せ付けない何かがあり、所在を掴んではいるが
連れて来られないとか。 青葉さんは自分が声をかけようとも思ったそうだが、その役は、私に
譲ってくれるそうだ。 この人も、サードインパクトの中で苦しんでいた私やシンジを知る人。

数日前に名簿を見せられた時の違和感も氷解し、さらにシンジの心すら私には伝わってくるような
報告。 相談して、明日、相棒に逢いに行くことを決めた。 今すぐ行きたかったが、心が躍ってしまって
ままならない。 今夜のうちに、心の準備をしておこうと思う。


待ってなさい、シンジっ!
737DAHLIA ◆0VwZh5AEOE :2006/05/02(火) 02:14:35 ID:???
?月?日

アスカを探して歩き続け、知らない間に街にたどり着いてもう数日。
いろんな人達に出会ったけれど、アスカの手掛かりはまだ、ない。
この服装がいけないのか、数日前怖い人達に襲われそうになった。
僕が男だと知ったら、ガッカリして去っていったけど、去り際に女性を
襲ったら返り討ちにあった事をボソボソ言っていたのが気になった。
やっぱり、平和そうに見えて殺伐としてるんだ。 そう考えるととっても
怖くなった。 誰とも、話も出来なくなった。 片隅で、ずっと膝を抱えて
座り込んでた。  まだ僕は怖いんだ、アスカ以外の他人が。


アスカが探しに来てくれることを望んで、ずっと座ってた。
お腹は空く。 目眩もしてきた。 多分、このままだとあと何日持つかわからない。
そう思えば、この日記帳に何か書いておこうと思った。 でも、もう手も震えてて、書くのが辛い。


誰か、  助けて。   みんなが怖いんだ。
アスカ、 助けて。   どこにいるの?
僕なんか死んでもいいって思ってたりする。


アスカ、助けて。
738名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/05/02(火) 11:24:48 ID:???
乙です
青葉が何だかかっこいい
739名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/05/02(火) 12:10:23 ID:???
キモスレ晒し上げ
740名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/05/02(火) 12:44:04 ID:???
ごめ、青葉に惚れた
741ホリデイ ◆A7RGAj24KE :2006/05/02(火) 18:55:38 ID:???
マジカル月コネクション日

10数えたら願いが叶う、そんな下らないおまじないを試してみた。

急ぎ足を止めた気のきかない信号機に数えてみた、数え終わると信号は青に、よしよし。

邪魔でたまらない目の前を歩くカップルに向かってまた数えてみた、
数え終わると二人はショーウインドーを覗き込み左側へそれた、これもよし。

無駄に並ぶ本屋の行列に腹が立ちまた数えてみた、数え終わるとアタシを促す店員の声、これもまたよし。

バス停が近づいた時数え終わればバスが来る…試してみたけどこれは叶いっこない。
あまりに来ないので途中で数えるのをやめた、飽きた、また腹が立った、これはよくない。

過ぎ行く景色と帰るには少し早い時間が気になって、また数えてしまうバカなアタシ。
数え終わったらどこからか響く振動音、開かれた画面には願いを司る誰かの名前。
「もう帰っちゃった?今バス待ってるけど…」30分以内に来なきゃ置いてくわよと返し、
この世のどこかで、一本抜けたような、下らなくそれでいておかしな魔法を少し信じる事にした。

30分の間何度数えられるか試してみようと思ったけど、
どこまで数えたか忘れた頃、空気音と共に弱気な足音が訪れたので、
がらにもない魔法使いの真似はひとまず止める事にして手を繋ぎ歩く事にした。
742ホリデイ ◆A7RGAj24KE :2006/05/02(火) 18:56:31 ID:???
帰宅後しばらくして、からっぽになりそうなお腹が気になり、
また数えてみたら音が生まれ始めた台所、でもこれじゃアイツが可哀想よね。
7まで数えてやめてアタシは手伝う事にした、そういえば今日はアタシが当番の日だ…不覚。

支度の度にリズムをとって数えるアタシをアイツは不思議そうに眺め、
「なにかいいことあったの?」なんて気にしちゃってさ、
ぜったい内緒、ヒカリには教えてもアンタには教えない、そうからかってやると、
「はいはい、そう云うと思った」すぐすねるんだから、冗談通じないと嫌われるわよ、ふん。

まだ魔法の効果はあるのかな?そう思って封印してた呪文をもう一度唱える、
1・2・3・4・5・6・7・8・9・10…どうなるんだろう?
もう一度数え直す暇はなくそれでも試したかったから、
ふさがれた唇ゆえに小声で唱える事はできず心の中でつぶやいた…うん…願いは叶ったわよ、ふふ。

おまじないが魔法に変わり願いは幾多も叶えられた事を思い出しながら、
ベッドの中でまた数えてみる事にした、1から10までゆっくりと噛み締めるように。

この後何かが叶うのかな?ううん、もう何も起こらないでしょ、
もしかしたら明日目覚めた時何かが叶ってるのかもしれないわね、
それに何かアイツが絡んでくればいいなと思いアタシは目を静かに閉じた。

眠る前か、夢の中か、それとも目覚めた先か、願いが叶うのはいつなのか、
世界でアタシにしかわからない魔法をもう一度信じてみよう。
743DAHLIA ◆0VwZh5AEOE :2006/05/03(水) 03:04:27 ID:???
5月2日

昨夜は眠れなかった。 この街にたどり着いてはや半月、眠れぬ夜は幾度か
あったけど、昨夜はそれらとは全く違う、変な言い方だが心地よい睡眠不足だ。
昨日、再会を果たした知人がいる。 そして今日は、相棒との再会が待っているのだ。
これが興奮せずにいられようか。 だって、「相棒」という言葉じゃ足りない気がするほどの、
アイツだから。

新品の包帯を顔に巻き直し、知らぬ間に板についてきたな、などと鏡に向かって
微笑んでしまう。 上機嫌な時は全てが喜ばしいものに見えるものだ。
きっとシンジは、雨雲のような気持ちで私を待っている。 早くこの喜びをわけてあげなきゃ。

そんなすっかり浮かれる私に、部屋に来た男が告げた言葉が気分を一転させた。
シンジはこの数日、あるコンクリートの建物の隅でずっと、座り込んでいたらしい。
今朝、政府の人間が確認しに向かうと、倒れて意識を無くしていたそうだ。

すでに青葉さんや私の言葉から、重要視されている人物であるシンジ。
すぐに運ばれ、今は病院で治療を受けているらしい。 栄養失調による衰弱で、
幸いにも生命に別状は無く回復に向かっているそうだ。 それを聞き、最も安心したのは、
間違いなくこの私。 出逢い頭に何を言ってやろうかと考えていたのに、予定は全部すっとんで
しまった。 私の向かう先は、いまだ設備も心もとない病院へと変更になったのだ。
744DAHLIA ◆0VwZh5AEOE :2006/05/03(水) 03:05:49 ID:???
駆けつけた病院は、少し嫌な臭いのする無愛想な建物。
政府の人に送ってもらい、病室へ駆け込んだ。
入り口に掛けてあったプレートに「碇 シンジ」という名前を確認した瞬間、
心臓が暴れだすのがすぐに分かった。 離れていたのは、たった半月。 なのに…。

一日千秋。まさにその思いで飛び込んだ先に、子供のような寝顔を見せる、シンジを見た。
力を込めた瞬きを繰り返して、何度も見直して、間違いなくシンジだと思った瞬間、

せきを切った様に、涙が溢れ出た。 右目だけなのに、左目のぶんまで出ている気がした。
涙で滲んで、よく見えなくなってしまったから近付いて、腰を下ろした。 眠るシンジの
手を両手で握って、 ああこれはシンジの手だって、噛み締めた。 嬉しくて、格好悪いけど
鼻水まですごかった。 こんなに泣いたこと、ましてや嬉しさでなんて、初めてだった。


もう、離すもんか。 今日、何百回も心でそう叫んだ。
私だけのバカシンジ。 一番多くの時間を過ごしたバカシンジ。 
私だけのバカシンジ。 嫌いだけど愛してるバカシンジ。
私だけのバカシンジ。 今はゆっくり、おやすみなさい。


夢の中でも私に逢えるように、半月ぶりのキスをして。
今日は、いえこれからシンジが目覚めるまで、ここに泊まることにした。
離れないから、
私だけのバカシンジ。
745名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/05/03(水) 04:01:32 ID:+c1dZERp
バカアスカ乙
746名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/05/03(水) 04:03:44 ID:???
すいません。下げ忘れwwwww
747名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/05/03(水) 08:53:21 ID:???
乙です

D:5/1必要なのはあなただけ。5/2パラフレーズに込められた想い。
ホ:恋する魔法。女の子してますね。
748名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/05/03(水) 09:36:50 ID:???
>夢の中でも私に逢えるように、半月ぶりのキスをして。

これ好き
749名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/05/03(水) 11:53:04 ID:???
DAHLIA氏の日記を読む度頭の中でラルクのとある曲が流れる…
アスカ、シンジに会えてよかったね。
750名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/05/03(水) 13:32:25 ID:???
おぃDAHLIA!

ほろっと来たぞこんにゃろー(つд`)
751名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/05/04(木) 01:34:41 ID:???
瞳の住人
752名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/05/04(木) 02:59:34 ID:???
キモスレ晒し上げ
753名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/05/04(木) 21:56:13 ID:???
754名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/05/04(木) 22:04:40 ID:???
「もんか」と「バカシンジ」っていうこの音の響きが涙をそそる
755名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/05/04(木) 22:12:59 ID:???
乙。
これからまた新しい展開になるのかな?wktk
756名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/05/05(金) 01:45:10 ID:???
今日は二人とも来ないのか……あるいみGWだしなwwww
757名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/05/05(金) 15:12:40 ID:???
ある意味GWってなんだよ 事実上GWだろ?

まぁあるいみホリディだしな
758名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/05/05(金) 19:14:38 ID:w13LBWRc
誰がうまい事言えと(ry
759名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/05/05(金) 22:39:25 ID:PySRwIQS
つ〜かホント来ねえな
やっぱGWだからかなぁ?
760名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/05/05(金) 22:53:26 ID:???
みんなきっとGWの日記を待ってんだろうか?
まぁ職人さんたちがGWから面白いものを考え付いてくれれば俺たちはそれだけでよいのでは?
761ホリデイ ◆A7RGAj24KE :2006/05/05(金) 23:00:38 ID:???
暗闇の中の月青春日

大型連休とか行楽日和とかそんな下らない文句が踊ってもアタシには関係ないわよ。
ミサトは可哀想に休日出勤で休みは通常通り、つまり変わらぬアタシとアイツで過ごす日々。
せっかくのヴァカンスくらいせめて退屈な日常を忘れさせて欲しいわよ、まったく。

世界にはアタシの知らないリゾートやアミューズメントが山のようにあるんだろうな、
各地の盛況を事細かに伝えるTVニュースを眺めながら狭い部屋で過ごす現実を少し恨んだ。

それならばどこかへ連れ出してくれればいいものをあのバカは、
「人ごみの中なんて行きたくないよう…この週だけはゆっくり寝させてよ…」なんて始末。
三日前に安請合いした約束を思い出させるために映画館の割り引きチケットを突き付け、
「だったら人けのいない場所なら満足でしょ!忘れたとは云わさないわよ!」ようやく支度を始めたアイツ、ふふ。

無理矢理連れていったわりにはお互いが満足する映画なんて無くて、
仕方なく雑誌でプッシュされてたのを選んだけど、これがまた評価に困る作品で、
退屈しのぎにはなるけどこれといって面白さは感じないなんて、お金返して欲しいわ。

シンジのやつは暗闇のせいで眠たげな目をしょぼしょぼさせてほんといやんなっちゃったけど、
まあ…下らない作品につきあってくれただけでも一応感謝しておこう、アタシが悪いんじゃない、映画が悪い。

762ホリデイ ◆A7RGAj24KE :2006/05/05(金) 23:02:02 ID:???
それなのに、それなのに、だ。

物語などどうでもよくなりふと覗いたアイツの顔、
眠ってたら張り倒してやろうと思ったけど案外耐久力はあるのね、感心したわ。
いつものぼんやりした顔が可笑しくてふと思い立ったいたずら、それはまた悪いわがまま。

手すりにだらしなく落とした左手に間違えたふりして触れてみた、
そ知らぬふりのアタシを驚いてちらっと見たアイツ、さっきまでの顔が嘘のようにほんのり赤く染まってた。

アイツの右手はいつしか離れるとアタシの左手を覆い少しづつ指に絡みつく、
指の根元まで食い込んだアイツの手をアタシはそ知らぬふりのままそっと握った。

つまらない映画でもこけおどしのクライマックスは訪れる、
やけくその爆発シーンが画面を塗りつぶし勢いだけのラブシーンが訪れてもそんなのはどうでもよかった。
だってアタシとシンジは作りごとよりももっとリアリティのある、
それでいて演出過多なんかじゃない二人だけの名場面の真っ最中だったから。

明るくなった館内を合図に繋がれた手はそっと離れたけど、
なぜか見つめてたアタシとシンジは互いにうなずくと何も云わず席を立った。
たぶん心は繋がってると、なんとなくわかった…と云うのは自惚れかな?まあいいわよ、ふん。

それからのアタシ達が束の間のヴァカンスをどう楽しんだかなんて記す必要はない。
何でって?決まってるじゃない、素敵な物語はそうやすやすと語るものじゃないわ。
名作は心に刻まれるもの、書かなくても忘れない想い出になるのよ、そういう事、ふふふ。
763名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/05/05(金) 23:41:26 ID:???
よかったね、アスカ!。・゚・(ノД`)・゚・。
764名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/05/05(金) 23:48:11 ID:???
乙。
期待を裏切らないホリディクオリティ
漏れみたいにGWも家にいる人間には、
ちょい痛かったorz
765ホリデイ ◆A7RGAj24KE :2006/05/06(土) 00:23:06 ID:???
ごめんなさい。
GWでも私は仕事仕事で休みなし、明日も明後日もなので…すみません言い訳です。
言い訳ついでに別スレへの投下を優先してました、申し訳ないです。

本業をおろそかにしてはいけませんね、ネタが浮かび次第通常のペースには戻したいです。
御心配かけてすみませんでした。
766名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/05/06(土) 00:32:18 ID:???
>>756
お仕事お疲れさまです
767DAHLIA ◆0VwZh5AEOE :2006/05/06(土) 00:38:04 ID:???
5月5日

昨夜、意識を取り戻した私の相棒。 病院へ担ぎ込まれた状況を理解すると早速、
見知らぬ医師に怯えている様子が相変わらずだった。 落ち着きを取り戻すのにまた、
少しの時間を要したみたい。 私が出て行けば即解決だったのだろうが、私自身の提案で
実はまだ、シンジの前には姿を見せていない。 コイツがここへ運ばれた日に、私は運命の
再会を一方的に済ませてしまったので気持ちに余裕が出来ている。 シンジには
悪いが、私を散々泣かせた事への返礼、ちょっとだけじらすことにしたのだ。

しかしそのままでは不安の余り塞ぎこみかねないシンジのために、先に青葉さんが姿を見せた。
シンジとは文化祭の時にプライベートの交流もあったようで、安心して表情を緩ませていた。
影でコッソリ私が覗いていることには、まだ気付いていなかったようだけど。
少しでも気を許せば、あとは問題ないのがシンジの特徴。最初の壁が、あまりにも厚いのが悪いところだ。
けど、青葉さんの前で泣き出したコイツの口からは、私の顔が真っ赤になるほどに…

アスカ、アスカ、アスカ、アスカ。 逢いたい逢いたいと繰り返すばかり。
それは私の求めていた相棒の気持ちに違いないが、ここまで露骨だと、なんとも。
おかげで、姿を見せてやるときが一層、楽しみになった。 そしてそのための布石を、
青葉さんに打ってもらったのだ。

生殺しとは悪趣味だと思うけど、これはシンジにだからしていること。
たった一度の、運命の再会。 サードインパクトを、本当の意味で乗り越えて。

あとは、シンジ次第。
私達の物語は、これからだから。
768DAHLIA ◆0VwZh5AEOE :2006/05/06(土) 00:40:00 ID:???
5月5日

今日は俺の誕生日だが、多分覚えているのが自分だけだから悲しい。
あの出来事のあと、いつのまにか地球に降りてきていた俺は運悪くネルフ本部の
一番近くに倒れていたらしく、すぐに国の連中に拘束された。
尋問を受けたが、俺はそもそも何も知らない。 何も答えられなければ、ネルフの
捜査に協力しろと、人手不足の解消に一役買わされてしまった。

話を聞けばネルフ関係者を戦犯だなんだと言われて、つい熱くなった俺はせめて、
14才の子達は助けてくれと主張した。 彼等こそ必死に戦っていただけで、直接力に
なれなかった自分が口惜しかったからだ。 それだけじゃなく、他のスタッフだって、
サードインパクトを防ぐために頑張っていた。 それを犯罪者扱いされるのに我慢ならなかった。

俺にとって幸運だったのは、ゼーレとやらが残した人類補完計画の資料が一部見つかり、
これが元でネルフスタッフ達の疑いが晴れたことだ。 司令と副指令はいまだ容疑者扱いだが、
あの時あの場にいた俺の見解では、あの二人はもう戻ってくることはないだろう。
そしてネルフ再建の責任者などと、体のいい転嫁の的になった俺は仕方なく承諾した。

その後すぐにシンジ君とアスカちゃんが見つかったことに、俺は何か運命的なものを感じた。
そして再会した二人に、以前とは違う何か…オーラの様なものを感じた。 アスカちゃんは
あの時の傷が痛々しいが、無理をして背伸びしている感がなくなっていた。 まぁ、成長だな。
シンジ君は相変わらずだが、アスカちゃんの話を聞く限りでは、彼も一皮むけたっぽい。

そして、シンジ君と最初に話をしたのは俺だが、この子は笑うと本当に可愛い。
荒唐無稽な申し出だが、新生ネルフに手を貸して欲しいと持ちかけた。 これはアスカちゃんと
相談して決めた話だ。シンジ君は考えさせてくれと言って回答を保留した。
769DAHLIA ◆0VwZh5AEOE :2006/05/06(土) 00:41:02 ID:???
事あるごとにアスカちゃんの話しかしないシンジ君への切り札を用意しながら、
俺は今、この交渉を楽しんでる。 この二人の兄貴分として、ある意味傍観しているんだが。

元々は人類を守るって言葉に魅かれてネルフに入った俺が、何の因果か第二章を始めることに
なってしまった。 正直、何も出来る気はしないが、シンジ君とアスカちゃんがいれば、なんとでも
なる気がしてくるのも不思議だ。 あぁ、補完されちまわないで良かったな、って。
俺はあの時、怖いって記憶しかなかった。 同僚が幸せそうに溶けていったのに、なんとも己が不憫だ。
その借りを返すって訳じゃないが、できるだけのことはやってみようと思う。


そして、誰かに誕生日を覚えてもらえる男にならなきゃな、って思うんだ。
770DAHLIA ◆0VwZh5AEOE :2006/05/06(土) 00:55:19 ID:???
私もGW中休みなしです。
これでなんとなく職種がバレるかもしれませんねw

このところ自分の勝手な物語を書かせていただいているので、以前の一日完結形式を
喜んで下さった方々に申し訳なく思っています。数日投下が滞ったのは、日記形式だと
難しいなと考え込んでいたせいです。 苦肉の策で、完全にスレ違いな青葉日記を
挟んでみました。


もし「LAS日記」から逸脱していると感じられたならば、遠慮なくご指摘いただきたいと思います。
完全に自己満足の域だと自覚していますし、以前投下先変更をちらつかせたのも今後がちょっと
心配だったためです。 早い話が、つまらなければやめますので意見をお待ちします。

>ホリデイ氏
お仕事お疲れ様です。 猫スレの方でもかなり楽しませていただいていますので、
これからも無理をせずに頑張ってください。
771名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/05/06(土) 01:06:14 ID:???
お疲れ!!!
772名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/05/06(土) 02:46:59 ID:???
GJ!
773名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/05/06(土) 09:14:11 ID:???
やっぱり青葉はいいヤツだな
774名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/05/06(土) 09:20:42 ID:???
面白くなってきましたね
職人さん達これからもがんばれ〜
775名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/05/06(土) 09:30:13 ID:???
乙です

職人さんたちお忙しい中ありがとうございます。これからも頑張ってください。
776名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/05/06(土) 10:54:40 ID:???
無理
777名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/05/06(土) 13:07:58 ID:???
乙です
青葉ってエヴァの中じゃかなりリアリストだよな〜
778名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/05/06(土) 13:41:53 ID:???
>770
つまらんからやめろ
779名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/05/06(土) 14:02:09 ID:???
乙です。
何でだろ、青葉がかっこいい…
休日なのに忙しいのは自分も同じです!
780名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/05/06(土) 14:29:00 ID:???
DAHLIA氏は作品は面白いんだけど、コメントから傲慢な性格が
透けてきたのでちょっと萎えた
781名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/05/06(土) 20:14:07 ID:???
その理由が知りたい
782名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/05/06(土) 20:36:48 ID:???
DAHLIA氏のコメントはもう書きたく無いって言ってるように感じるんだが?
783名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/05/06(土) 20:42:06 ID:???
そうは思わないよ
784名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/05/06(土) 22:56:59 ID:???
ま、GJだな
785名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/05/07(日) 00:41:54 ID:???
もういいじゃん、俺たちが何も言わずに昔と同じような進行でやってりゃ何もおこらねぇんだよ
786名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/05/07(日) 12:38:06 ID:???
青葉って誰だっけ?
787名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/05/07(日) 13:33:15 ID:???
>>786ヒント:エアギター
788名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/05/07(日) 16:28:57 ID:???
ヒント:ロンゲ
789名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/05/07(日) 17:09:56 ID:???
容量がもう486KBなんで、次スレを用意しました

【LAS】アスカの日記 8冊目【LAS】
http://anime.2ch.net/test/read.cgi/eva/1146989124/
790名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/05/07(日) 17:13:21 ID:???
職人の皆様投下お待ちしております
791名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/05/08(月) 00:47:13 ID:???
ほす
792名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/05/08(月) 07:01:33 ID:???
保守
793名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/05/08(月) 12:58:13 ID:???
まち
794名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/05/08(月) 14:28:03 ID:???
投下まち
795名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/05/09(火) 01:18:29 ID:???
まち
796名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/05/09(火) 04:05:53 ID:2kJVI1uA
投下まち
797名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/05/09(火) 20:59:43 ID:???
まだかな〜wktk
798名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/05/09(火) 22:29:40 ID:???
ホリ待ち
799名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/05/09(火) 22:47:02 ID:???
DAH待ち
800名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/05/10(水) 00:30:07 ID:???
神々を待つ
801名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/05/10(水) 07:49:28 ID:???
二人のネ申待ち


忙しいのかなぁ
802名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/05/10(水) 10:21:38 ID:???
たまに休んだりして充電してがんばって!
803名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/05/10(水) 12:48:27 ID:???
一週間以上かけて読ませて頂きました。

感動でした。

続きを待っています。
804名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/05/10(水) 19:04:10 ID:???
>721
亀レスだがスレ違いすぎwww
805ホリデイ ◆A7RGAj24KE :2006/05/10(水) 20:42:33 ID:???
きっかけは月雨日

雨なのかくもりなのかはっきりしない天気、腹が立つけどしかたがない。
それよりもイヤになったのは突然の通り雨、まさか帰る途中に遭遇するなんて。

足を早めるアタシ達に比例するかのごとく雨足も強さを増して、
互いに鞄を傘代わりにしたって結局何の役にも立たなかった、ほんとむかつく。

やっとの思いでコンフォートに辿りつき、アタシ達は洗面所でタオルの奪い合い。
一足早く奪い取ったアタシが自慢げな顔を見せたのが口惜しいのかアイツはいつものすね顔、
弱肉強食はこの世の理よとからかえばもっとあの可愛いすね顔を拝めるかと思ったら…

冷たい目線を向けてたはずのアイツは熱っぽさを伴った顔に早変わり。
風邪でもひいたのかしらと不思議そうにアイツの視線を追ったら…

ほんと最低、バカな男のガキってこれだからいやんなる!何見てんのよもお!
目線の先には制服のブラウスからうっすらと透けた…その…つまり…アタシのブラ。

ええそうよ、パステルトーンの刺繍が綺麗なのをつけてたわよ、誰に見せるわけじゃないけど、
でもアンタにはぜえったい見せない見せたくない、それなのに見せてしまった、いや厳密には意識的ではなく…その…
ああもお!とにかく!このムッツリスケベヘンタイ女の敵い!ぜええったい許さない!

こっそり逃げようとしたアイツの襟首掴み凄みを聞かせてたずねる、「何も見てないわよね?」
目が泳ぎ嘘ついてる表情のアイツがとぼけながらも必死に否定する、「な、なにも見てません…」

そう云ったくせに泳いだ目はしっかりアタシの胸先を意識してた。
806ホリデイ ◆A7RGAj24KE :2006/05/10(水) 20:43:25 ID:???
「今この瞬間、目にした全てを忘れなさい、い・い・わ・ね?」
胸倉を掴み補完の時のような心底冷たい目を向けてそう命令したらアイツは何も云わず従った、よしよし。
平手が飛ばなかったのはアタシにも慈悲の心はあるという事、感謝しなさいよバカシンジ。

もっとも薬が効きすぎたのかそれから部屋にこもって閉じこもっちゃった。
あまりに退屈なので何度か「おーいでてこーい」と呼んでみても返事はない。
次に出てこなかったら一生嫌うわよと叫んだらしぶしぶ襖は開いた。

すねが半分困ったが半分な顔はほんと弱々しい子犬みたい、まったく心を揺らす悪い顔。
別にそこまで怒ってないわよといくら云っても態度は変わらない、
というよりもいつもより二割増しの恥ずかしげな対応だったわね、なんでだろ?

帰宅したミサトも通り雨のひどさに参ったらしく、今日は季節に反するけど熱めのお風呂をたてる事にした。
風邪は万病の元、ましてや濡れた体をそのままにしておくなんて狂気の沙汰、
シンジに命令しちょうどよい熱さに設定、ミサトと一緒に命の洗濯を満喫したわ。

せっかく働いてくれたのだから報酬代わりに「一緒に入ってあげてもいいわよ?」と挑発。
「な、な、何云ってるんだよアスカ!か、からかわないでよお!」二割増しが八割増しの恥ずかしさね、ふふ。
決まってんじゃない、予想通りの反応とても可笑しかったわ、ムッツリスケベのバカシンジ♪

アタシとミサトの長湯がおわりそそくさと風呂場に向かったシンジにアタシはまたいたずら、
アイツがリラックスした頃に扉の前で「背中流してあげようか?…シンジ」と甘え声一つ、
騒々しい湯舟の音と「…もういいよう」なんて可愛い声が返ってアタシはまた満足、満足。

何が理由か知らないが珍しく長風呂なアイツがほわほわして出てきたから、
アタシとミサトは冷たい飲物を持ってベランダへ案内してやった、ほほをなぞる風がとても気持ちいい。

すっかり茹で上がったアイツにジュースをあててからかうアタシをにやけ顔で眺めるミサト、
通り雨がきっかけの気持ちいい一日の終わりなんて、ほんと世界は面白いわ、そう思わないシンジ?ふふ。
807名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/05/10(水) 21:43:48 ID:???
読み終わる度に訪れるこの爽快感。期待以上のホリデイクオリティー
808名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/05/10(水) 22:24:05 ID:???
待ったかいがあったものだ
GJ!
809名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/05/10(水) 22:28:13 ID:???
乙です


悪戯とからかいの狭間に。ホント上手いなぁ。
810名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/05/10(水) 23:59:42 ID:???
乙です!
変わらない良さGJ!!
811名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/05/11(木) 09:40:00 ID:???
812名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/05/11(木) 22:20:53 ID:???
wktk
813捨てシンジ:2006/05/12(金) 01:35:10 ID:ciEOJ2/3
夢月 拾日 雨
今日、下校途中に神社でシンジを拾った。
ダンボールの中で膝を抱えたまま動かないので
はじめは死んでるんじゃないかと思ったけど
恐る恐るつついてみたら顔をあげて震えだした。
どうやら人間が怖いらしい。こんなに怯えている
こいつを雨の中ほっておくのも可哀想だったので、
無理やり家に連れて帰ってきてしまった。
身体が濡れて冷えきっていたのでお風呂にいれてやろうとしたら
顔を真っ赤にして暴れる、暴れる。
あまりにも暴れるのでドライヤーで乾かすにとどまる。
ママにばれると不味いので私の部屋で様子を見ることにする。
風邪をひくと可哀想なので一緒に寝ようとしたら、
また暴れる。ここで寛大な私も堪忍袋の緒が切れた。
風呂の件といいこのままでは飼い主の沽券にかかわる。
よって、スリーパーホールドにてスリープしてもらうことにした。
今は、私のベッドで安らかに死ん・・・じゃなくって失し・・・でもなく 
眠っている。
明日はママにばれずにコイツの食事の確保をしなければ、
頭が痛い早く寝よう。
814捨てシンジ:2006/05/12(金) 02:39:04 ID:ciEOJ2/3
夢月 嘘から出た真の日
今日は最も危惧していたことがおこった。ママにシンジを発見されてしまったのだ。
部屋でシンジに食事を与えているときにたまたま早く仕事から帰ってきたママに見つかってしまったのだ。
「どうせ面倒見切れないでしょ。元ある場所に捨ててきなさい!」
というママに対して私は相当パニクッてたのかトンチンカンな事を言ってしまった。
「シンジはね。すごいのよ!家事ができるくらいお利口なんだから!」
とっさに不味いと思った時には後の祭り。
「ふーん、すごいわねー。じゃあ、私の代わりに晩御飯作って貰おうかしら。
さっぱりした和食が良いわねー。」などと鬼の首でも取ったかのように言ってくる。
「いきなり料理なんかできるわけないじゃないの!せめてお使い位から・・・」
と言ったら「アスカちゃん!最初に話をはぐらかしたのはあなたでしょ!」と凄まれる。
「だいたい最後まで面倒見切れるの!アナタはただでさえ飽きっぽい性格なんだから、
結局ママが面倒見ることになるんだから返してきなさい!」
「そんなことないもん。最後まで面倒見るもん!」
「この前のお祭りの金魚だって・・」などと一時間ぐらいママと喧々囂々と怒鳴りあった。
ふと、リビングから漂ってくるいい匂いに気づき部屋お出ると、
食卓には、炊き立てのご飯とカレイの煮付け、アサリと小松菜の味噌汁にホウレン草の
胡麻あえまでついている。
「これ、アナタがつくったの?」恐る恐るママがいうと、シンジは顔を赤くしながら
コクンと頷いた。「ちょっと、お箸!」といってカレイに口をつけたママが固まる。
つられて私も口につけたが・・・・・。「美味しい・・・。」思わず呟いていた。
柔らかさ、味の染み込み加減、全体のバランス、文句のつけようが無い。
結局、三人で夕食をとり、「ね、すごいでしょ。」というアタシにママは憮然としながら
も頷いてくれた。今日はすごく気分よく眠れそうだ。明日は洗濯に挑戦よ!
815捨てシンジ:2006/05/12(金) 02:43:42 ID:ciEOJ2/3
夢月 自慢日
とうとう学校にシンジを連れてきてしまった、前々から親友のヒカリに見せてあげたかったのだ。とりあえず、朝イチで教室にいき誰もいなのを確認してから
掃除用具いれに押し込めておく。
放課後、掃除当番のヒカリ、マナ、レイ、に見せることにした。
半日ぶりに掃除用具入れから出したシンジはグッタリしていたが、女性陣の反応は良好だった。「きやー!かわいいー!」元気印のマナが叫ぶ。
普段こんなことには興味を示さない優等生のレイも頬を染めながらシンジを見つめている。
唯一ヒカリだけが「学校に連れてきたらダメよ、アスカ」と
クラス委員長の務めを果たそうとしたが、シンジに見つめられると、
「今日だけよ・・・。」と許してくれた。
「コイツはねー。炊事、洗濯、掃除もこなせるのよ!」
などという自慢話が終わってさあ帰ろうかという段になって
マナが「ねー、一日だけで良いからさ貸してよ。シンジ君。」
などといってきたので思いっきり突っぱねてやったら
「わかった。いくら欲しいの、言い値で聞いてあげる。」
などとのたまりやがった。一体アタシをなんだと思ってるんだ!
ちなみにレイもマナの後ろで財布の中身確認している。
オマエラ足ノ小指ノ骨、骨折シロ・・・・。
816名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/05/12(金) 08:12:27 ID:???
新しい人みたいだな
今までの日記とはまた違うタイプの話だが
GJ!
817名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/05/12(金) 14:15:00 ID:???
よかったが、まずsageてくれ。
メール欄にsageと書くんだ
818名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/05/12(金) 14:25:12 ID:???
半角小文字でsageよろしく
819名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/05/12(金) 15:06:22 ID:???
シンジの設定は何?
料理できるし
820名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/05/12(金) 16:27:42 ID:???
DAHLIA氏まち。しっかり充電してまた書いてほしいな

新しい人も乙。シンジは子犬的イメージだよなぁ。アスカはもちろんニャスカで。
821名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/05/12(金) 17:23:16 ID:???
現在496KB
822捨てシンジ:2006/05/12(金) 18:13:21 ID:???
夢月 鎖月
シンジは本当によく働く、炊事、家事、洗濯なんでもござれだ。ママもパパも大変気にいってくれたらしく、完全に惣流家の市民権を得たみたい。
ただしこのところ問題も出てきた。最近ママが家を出るときに「じゃあ、ママ今日も遅くなるからシンジ君、アスカの世話お願いね。」「はーい。」
と返事してからよく考えてみる。アレ?主語と目的語が逆じゃない?他にも朝起こすときにフライパンとオタマを耳元で叩き鳴らす。ママに言いつけたら
「アスカちゃん、それくらいしないと起きないでしょう。」と完全にシンジの味方だ。
極めつけは夕食、チャーハンの中にアタシの嫌いなピーマンがずっごく細かく刻まれて
入っていたのだ。絶対入れるなって言っておいたのに!アイツは絶対、ピーマンアタシに
食べさす気だ。つまり、最近シンジが生意気になってきたのだ。ここは一つ飼い主の威厳を示さなければ・・・・。

sageってこんな感じで良いですか? スイマセン初めてなんで勝手がわかんなくて、
また変な所があったらアドバイスお願いします。シンジの設定は・・・あまり深く考えないでください。スイマセンかなりテキトーです。
もしかして500KB超えるとまずいすっか?
823名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/05/12(金) 18:31:21 ID:???
500KB超えると書き込みがほぼ不可能になり、新しくスレ建てるしかなくなる。
だから、490越えたときは案内として、次のスレの案内を書き込む余地を残すのが慣わし。
824名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/05/12(金) 19:32:16 ID:???
【LAS】アスカの日記 8冊目【LAS】
http://anime.2ch.net/test/read.cgi/eva/1146989124/
825名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/05/12(金) 19:37:33 ID:???
前スレ
【LAS】アスカの日記 6冊目【LAS】
http://anime.2ch.net/test/read.cgi/eva/1135476374/
過去スレ
【LAS】アスカの日記【LAS】
http://comic5.2ch.net/test/read.cgi/eva/1099731728/
【LAS】アスカの日記 2冊目【LAS】
http://anime.2ch.net/test/read.cgi/eva/1114245799/
【LAS】アスカの日記 3冊目【LAS】
http://anime.2ch.net/test/read.cgi/eva/1119106493/
【LAS】アスカの日記 4冊目【LAS】
http://anime.2ch.net/test/read.cgi/eva/1127140426/
【LAS】アスカの日記 5冊目【LAS】
http://anime.2ch.net/test/read.cgi/eva/1130462494/
ダミーアスカ氏の保管庫
http://mitada3.hp.infoseek.co.jp/asukaindex.htm
初代1氏の保管庫
http://f18.aaacafe.ne.jp/%7Eshadow/ffss/ffss.html
関連スレ
アスカの日記 4冊目
http://anime.2ch.net/test/read.cgi/eva/1111761234/
綾波レイの日記 2冊目
http://anime.2ch.net/test/read.cgi/eva/1122215092/
碇シンジの日記 2冊目
http://anime.2ch.net/test/read.cgi/eva/1123423924/
葛城ミサトの日記 2冊目
http://anime.2ch.net/test/read.cgi/eva/1137160023/
霧島マナの日記
http://anime.2ch.net/test/read.cgi/eva/1131333238/
渚カヲルの日記
http://anime.2ch.net/test/read.cgi/eva/1119309531/
826名無しが氏んでも代わりはいるもの
職人の皆様、乙です。
新しい日記でお待ちしております。 
   
                                                
                                     
                                   
                                             
                                     
   
                                   
                                   

                                   

                                                
                                                                  
                                   
                                                
                                     
                                   
                                             
        
                                                
                                     
                                   


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