【絶望先生】久米田康治エロパロ総合 Part25.5【改蔵】
3 :
名無しさん@ピンキー:2012/06/16(土) 22:35:05.92 ID:33oAcnsC
スレたて乙です!
おっつおつであります!
あるいはコレが最後のスレともなるのでしょうか・・・
でもまだ、見ていない絶望少女の艶姿があるんだァァァァ!
ありがとう…ありがとう…
島の男にレイプ→無理矢理結婚→妊娠発覚な絶望少女達
じょしらくもここでいいのかな
久米田センセは吹き出し係だけどいいんじゃないかな
ガンちゃんのえちぃのを読んでみたい
「クリ派? 中派?」「つまんねー事聞くなよ!」
絶望先生が終わったので、ふと思い立って6年ぶりにきてみた。
あの時書いた作品が保管庫に……読み返したくないほど恥ずかしいもんですね。
もぉ、死んじゃおっかな…。
このスレで僕の心中リストに入りそうなエロパロSSが手に入りますように…。
おれも保管庫見ると死にたくなる
あの時なんてへったくそなモノを書いていたことか! 今も大して変わってないけどw
最後にいっぱつ駄文をひねくりまわすのもどうだろうか・・・なんて・・・
けっこう当時の職人さんこのスレに残ってたのねw
>>10 原作設定の可符香でエロパロ書けたら天才だよ!
13 :
9:2012/06/21(木) 01:01:44.29 ID:pNAWJMK/
>>12 今となってはこんなに設定が明らかにされてしまった以上、書きづらいものはありますね。
原作設定の可符香に限らず、依り代少女達も。
正面突破とかハードル高くしないで、職人さんが書きたいものを書けばいいと思いますよ。
もちろん正面突破もアリで。
折角だし、
>>10さんが書くなら、ひさびさ頑張ってみるかな。僕の書きたいものは読み手のニーズに応えないけど。
望カフものが見たい
最近久米田の絵に色気を感じる
アンケート出した
投下します
・臼井の弱エロ
・原作最終話近くのネタバレあり(単行本派の方にやさしくないお話)
クラスの女子達のあいだで、なにやら不思議な遊びがはやっているようだ。
同じヘアピンをみんなが持ってて、つけたり外したり。
ヘアピンをさしてる人を可符香さんと呼ぶのがルールみたいだ。
…まあ、影が薄すぎて滅多に気づいてもらえない僕はどうせ混ぜてもらえないんだろうけど。
それにしても、可符香さん(今日は休みだったようだ)のいないところで、そうやってマネして遊ぶのは、ある意味イジメじゃないだろうか。
委員長(一応)の僕としては見過ごせない。
「ってことで、可符香さんがかわいそうだと思うんですが、って……先生聞いてます?」
望「あれ? 宿直室の扉が知らない間に開いてますね。小森さんですが?」
小森「ちがうよ」
望「建てつけが悪いんですかね?」
ガラガラ、ピシャン
やっぱりね。
せっかく放課後に宿直室に言いにきてもこのざまだ。
僕が見過ごさなくても、担任が僕を見過ごすんだからしょうがない。
もしくは、先生もぐるなのかも。
授業中、何人かが『可符香さんごっこ』をしてたけど、注意されなかったし。
絶望した。
担任がイジメに加担する世の中に絶望したっ!
・机に花
・さよなら色紙
・イジメの事実はありませんでした
・生徒とラブホに行ったのをセルフ隠し撮り
・廊下に立っとれ!
・理由不明の留年
・いるのに欠席あつかい
・委員長はなぜか木津さんだと思われてる
…ふう。誰からもつっこまれもせず、話をひろげてももらえないのはむなしいだけだ。
もう、帰ろう。
ぴらりん
!!
かばんをとりにクラスに戻った自分の目に、
垂れ落ちた包帯と柔らかみのある太ももが飛び込んできた。
「あ、あびるさん!」
あびるさんが、こちらを向いた。
「巻きなおそうと思って…」
僕の頭に、『まきますか?まきませんか?』の文字がおどった。
いやいや。
ここで自分が巻けば、マスターになるどころか警察行きだ。
それより。
あびるさんは『可符香さんごっこ』のことをどう思っているのだろう?
今日、僕が見た限りでは可符香さんのふりはしてなかったようだけど…
あびるさん…まさかあなただけは、そんな残酷な遊びに興じたりなどしてませんよね?
あびるさんのようなムチムチな太ももを持つ美しい人が、そんなイジメに加担してなんかいませんよね?
どうやったらあびるさんのようなムチムチな太ももができるんですか?
やっぱり揉むんですか?
いろいろ揉んでいるんでしょうか?
それとも食生活でしょうか?
そしてその健康そうな太ももの奥は何色でしょうか?
見えそうで見えない純白のオーラがただよってくるようで、僕はもう…もう……。
「が、我慢できないっ!!」
僕のなかで何かがはじけた。
「あびるさん!」
がばっ
「きゃっ! なに!?」
「さ、最近の、高校生の不純異性交遊についてどう思います!?」
僕は卑怯な人間だ。
包帯だらけのかよわい乙女を組み敷いておいて、あやまりもせず、自分の想いも伝えず、相手の気持ちも確認せずに…
ただ、少女のやわらかい肌の感触を堪能して、欲望のままに突き進もうとしている。
「包帯、僕が巻きなおしてあげますよ。全身のね……」
さらさらさら
白くざらついた布切れがゆるんだすきまから、白い綺麗な肌がみえてくる。
「…白ばっかりじゃないんですね。こことか…」
「う、臼井君、やめてっ…」
僕はあびるさんの口をふさいだ。
甘酸っぱい息が僕の口内へ流れ込んできた。
僕の口の中でなにごとかをうめいていた声は、やがて荒い息遣いへと変わっていった。
ときおり飛び込んでくる喘ぎ声は、そのまま僕の下半身に蓄積され肥大化していく。
いっぽう、あびるさんの腕や全身にこめられていた力はいつのまにか弱弱しくなっていた。
僕はくちづけを解いた。
左腕で彼女を床に押さえつけながら、あいた右手でズボンのベルトを緩める。
「あびるさん…僕がまだ禿げきらないうちに青春の思い出をください!!」
「…あ、赤ちゃんできちゃう…かも…」
「えっ...」
さっと、血の気がうせた。性欲は失せなかったが。
僕の目の前に、高校中退だの、低所得だの、ワーキングプアだのという文字がおどった。
「あ、赤ちゃんについては今はいいです…って、そうだ。僕、何かのためにと思って用意してました!」
押し倒したときに床に投げ出した自分のかばん。
右腕を伸ばすと、なんとかたぐりよせることができた。
「えっと、たしかかばんの奥のお守りの中に千円札と一緒に…」
かばんをかき回していると、あびるさんの力のないものうげな声がした。
「しっぽ? その黒いの」
「黒いの? あーっ!」
かばんからはみ出た黒いふさ。
最近めっきり髪が心細くなった僕の大事な宝物。
そう、カツラだった。
…少し前に買ったものなので、このごろの髪の減り具合は隠し切れないが、それでも心の支えになってくれるカツラだ。
「ちょっ…しばし待ってください」
いくら同級生といっても、こんなハゲ一歩手前と初めてを体験するのはかわいそうだ(あびるさんはもちろん初めてですよね!)。
そう思って僕はカツラを装着した。
これでいくぶんマシになったはずだ!
さあ、いざ青春の思い出をっ……
「…って、あれ?」
「どうしたんですか? 急に若返った妖精さん?」
「か…かふか……さん?」
なぜか僕が押さえつけていた左腕の下には、いつのまにかあびるさんではなく、可符香さんがいた。
スカートがたくし上げられ、セーラー服のリボンはほどかれ、下着も無残によじれ、髪も乱れている可符香さんが、にこっと笑った。
「誰かが言ってました。気持ちよくさせたら犯罪じゃないって!」
「えー! 初めてなのに急にハードルが高く!! というか、あびるさんは?」
「来世の神じゃ、不服ですか?」
「不服ってわけじゃないですけど……」
朗らかに笑う可符香さんを見ていると、先ほどまでの自分の異常な情熱が、みるみる引いていくのがわかった。
もしかしたら、可符香さんに吸い取られたのかもしれない。
「ご、ごめんなさい。僕、やっぱり、あびるさんのこと、一番好きだから…いま誘いにのったら、あびるさんを傷つけちゃう気がする……」
「あびるちゃんを傷つけちゃおうとしてたくせに…」
「そ、それは、一時の気の迷いというか…と、とにかく、さよならっ!」
それから一週間ほどひやひやしていたが、結局僕には何もお咎めがなかった。
そして、事の発端となった『可符香さんごっこ』も、あの日かぎりのものだったようだ。
可符香
「気持ちよくさせたら犯罪じゃない、って方法、他にはこんなのもあるようです・・・
・指だったら
・新聞紙を下に引いたら
・包茎だったら
・食事をおごったら
・指輪を買ったら
・結婚したら
・仕事をあげたら
・酔いつぶして忘れさせたら
・現実じゃなければ
……ご利用は計画的に。
なにかあっても私は責任を負えませんよ?
それにしても、殿方って不憫なものですね。かつらにしろ、なににしろ、なんでそう、外見に左右されるのでしょうね」
〜終わり〜
羅列ネタや臼井君の「らしさ」がたまらないッス
どんな超展開見せても絶望先生はこうだよねぇ…
面白かった
いいね
面白い
てかカフカちゃんあびるちゃんを庇ったんだろうか?
27 :
名無しさん@ピンキー:2012/06/25(月) 17:20:47.94 ID:VkjHpqfB
哺乳類の毛は免疫のスイッチ? 皮膚炎の解明にも期待
哺乳動物の毛には、皮膚から微生物などが入り込む危険を察知すると、
侵入者と戦う免疫細胞を呼び集める働きがあることを、慶応大医学部皮膚科の永尾圭介専任講師と天谷雅行教授らが発見し、
24日付の米科学誌ネイチャーイムノロジー電子版に発表した。
従来、毛には外からの衝撃や紫外線の影響を和らげるなどの物理的な防御機能があることが知られていたが
、免疫を働かせるスイッチの役割も果たしていることになる。免疫細胞が毛を攻撃して起きる脱毛症や、
免疫に関係して起こるアトピー性皮膚炎などの治療研究にもつながりそうだ。
2012/06/25 02:00 【共同通信】
28 :
名無しさん@ピンキー:2012/06/26(火) 12:37:37.63 ID:y5zg07d1
金田一とドラえもんと…留年だけ分からん。
面白かったです!GJ!
保管庫見ると「赤木杏−悲しい過去=可符香」なSS多いよね。
自分のSSのことだがな!
もう久米田の漫画は最終回を迎えるまで二次創作できないぜヒャッハー!
いや、今見ると滑稽かというとんなこたぁーない
今読むと両親自殺くらいで可符香が不幸だと思っていた自分は
何と能天気な考えを持っていたことか…!
32 :
9:2012/06/29(金) 18:11:38.51 ID:wmJ/S7NJ
本当に久しぶりに書いてみた。
・超次元SS注意
・原作のネタバレ要素アリ注意
・性描写薄め
ある朝、目覚めると久米田康治は無職になっていた。
とはいえ、仕事場にぽつねんと一人座っているのである。
最終集が残っている。吹き出し係の仕事もある。
そういう意味では、完全な失業ではない。
それまでに次回作を考えなきゃ。いや、次回作を考えられるかを考えなきゃ。
もう漫画を続けられるかどうかもわからないし。
もう気付かずにうっかりアレをパクっちゃったりするまで衰えちゃったし。
あーあ、もう廃業してしまおうか。
「先生」
突然背後から声をかけられ、びくっとした。
しかしこの声はよく知っている。聞き慣れた声優の野中藍さんだ。
ああ、連載が終わったから、野中さんがねぎらいに来てくれたんですか。
でも、忙しいのに仕事場にまでねえ・・・
だが、振り向くと、そこにいたのは野中さんではなかった。
「誰?」
いや、口をついて誰?、と言ってしまったが、わかっていた。
わかってたけど認めたくなかった。
というより、このセーラー服、この髪留め。
どう考えても認めざるを得なかった。
「いやだなぁ。私のこと忘れちゃ困りますよ」
まぎれもなく、それは風浦可符香の姿だった。
微笑む彼女のその眼差しはまるで、母のように優しく慈愛に満ちていました。
ああ、ついに、ボクもおかしくなってしまったんですね。
地丹が「見えてはいけないもの」が見えるようになったお話のように、ボクもついに幻覚を見るようになってしまったんですね。
でも、彼女が見えてしまったからには、折角ですしボクも役者らしいことを言いたいと思います。
「あなたは誰の中のカフカさんですか?」
「何を言ってるんですか。先生が救済してくれたから、私はここにいるんですよ?」
「・・・救済?」
断じてボクはそんなことをした覚えはありません。
原稿落として休載になったことはありましたが、それでは誰も救われません。
救いようのないのはボクの方ですよ。そんなボクが誰かを救えますか?
「そうです。先生が『さよなら絶望先生』を完成させてくれたお蔭で、私はようやく初めて来ることができたんですよ、そう、♪こっち側へ〜」
「アニメの主題歌みたいに首の振りまでつけないで下さい」
ボクの絵が実体化して動き出している・・・
「この7年の間に夢、叶いましたよねー。あれだけアニメ化されないってネタにしてたのに、3期まで制作されましたし、前作の改蔵だって・・・」
「あのー、もしもし?」
「素敵な思い出もありましたね、触らぬ女神からキラーパスとか」
「素敵じゃないです。ていうかあなたは何しに来たんですか」
「それは決まっていますよ。先生のお役に立とうと思って」
どがさっ ひい
急に彼女はボクに飛びかかってきた。二次元に、押し倒された。
「か、可符香さん。こういうのは、あのちょっと・・・」
「ずっと会いたかったんですよ」
「えー、あのそれは、わかりますが、突発的に二次元の女の子が現実世界に現れたら、ボクも心の整理がつかないのは当然で」
「それもそーですよね。久米田先生、[ピー]が止まらないみたいな素敵な展開はお好きじゃないんですよね」
「好きじゃないとか勝手なイメージ決めつけないで下さい。向こうのファンに怒られますから」
ぎゅ
身体から力が抜けていく・・・
そんな怪力の持ち主とかでもない女子高生に抱きつかれて。
ボクはそれくらいひ弱なんですね・・・
「さあ、出てきて下さい、久米田先生の中の先生」
ある朝目覚めると久米田康治は糸色望に
「そーですねぇ……まあ似てーるー…ところもあると思うんですけど、まぁ、
でも、僕、ボクはもうちょっとあのー、本気でー、絶望してることが(笑)
多いですね。あのー、一応漫画だと一応ギャグにしないといけないんですけど、
割とこう、そうですねリアルに、なんか、日々、絶望して、いますハイ」
(台湾のラジオ番組「星夜麒航」の「漫畫奇緣」にて。2008/9/18)
なっていた。
「こっちの世界の糸色先生は、ギャグでは済まないから深刻です」
「風浦さん・・・なんでここに!」
意識を取り戻した久米田康治の肉体の中には、糸色望が、いた。
「ていうかなんで私は押し倒されて拘束されているんですか?」
「だって、先生、逃げちゃうんだもの」
「はい?」
「先生、私と一緒に帰りましょう」
「えーと、どういうことなんでしょう。説明してもらえますか?」
「先生を救い出しにきたんですよ」
「救い出しに?」
「本当の絶望先生は、ずっと久米田先生の身体の中に潜んでいたんです・・・」
可符香の説明はこうだ。
絶望先生は、久米田先生の身体に宿っていた。
久米田先生は潜在意識にいる絶望先生の声に導かれ、「さよなら絶望先生」なる漫画作品を描いた。
7年の長きにわたって書き続け、その挙句、作品は完成した。
その最終局面で可符香が姿を消したのは、実はいわゆるこっちの世界へ飛び越えてくるためだったのだ。
久米田先生の中にいる、本当の絶望先生を連れ戻すために。
「・・ははは、風浦さん、よくそんなことに気付きましたね」
「団地の奥さんに聞いたんです。なんでも知ってました」
「そうですか。そんな古い伏線もちゃんと使うんですね」
「ということで先生、帰りましょう」
「しかし風浦さん」
「なんでしょう?」
「私は、こちらにいるべき存在なんじゃないでしょうか」
望にとって、こちらの方が自分の世界だと思ってしまう感覚は当然のことだ。
あまりにこちらの生活が長かったから。
「それに、私よりネガティヴな久米田先生の中にいる方が、私にとって居心地がいいんですよ」
可符香は首を横に振った。
「いいえ、先生、時間が、ないんです。このままだと、先生、消えちゃいますよ」
「へ?」
「久米田先生が、自分が絶望先生の依り代だったことに気付いたら、その時、先生は跡形もなく・・・」
「ひい!」
「『さよなら絶望先生』が終わった後の世界へ、先生を連れ戻すことができれば、永遠に生き続けることができるんです」
「いえ・・・やめて下さい」
きっぱりと望は拒否した。
「もう、そんな希望は、要りません」
「先生・・・」
「私は、久米田先生の身体の中、精神の奥底に潜んで長いこと経ちます。それで、もうすっかりここに馴染んでしまったんです」
「・・・」
「久米田先生の中から出ることなんて考えたこともありませんが、不可能です。入り込んだことすら記憶の彼方。気付けば出たくとも出口なしですよ」
「『なんたる失策であることか!』ですね」
「です。こんな絶望的な状態の時に、まやかしの希望をちらつかせないで下さい」
死にたくはないが、もう、出ることはできないんだ。
運命を受け入れて、このまま消えるしかない・・・。
「出たくともって言いましたよね」
「あ」
「大丈夫。突破口はあります」
「あなたはまだそんな希望を・・・」
「こんなところにヒントがありますよ」
可符香が指差しているのは、絶望先生のBlu-ray Boxだった。
「ブルーレイが、何か?」
「違いますよぉ。メビウス荒野ですよ」
「あの・・・それが?」
「メビウスの環を応用するんです」
「風浦さん? あの、メビウスの環って、ぐるぐる回って、いつまでも抜けられないんじゃありませんか?」
「理論上はそうです。でも、表と裏の世界を自由に行き来するための突破口でもあるんです」
「よくわからないんですが、具体的にどうすれば?」
「出口はあるんです。メビウスの環ではなくて、もう少し次元の複雑なのが」
するんぱし
可符香が急に望の(久米田先生の)股間をつかんだ。
「ひっ、ふ、風浦さん、何をするんですかっ」
「クラインの瓶です」
「クラインの瓶・・・」
「壷とも言いますけど、要するにメビウスの環の立体バージョンです。これで二次元と三次元を楽に行き来することができます」
「はぁ・・・でも、これが、なんでクラインの瓶になるんでしょう」
「目撃証言があるんです。大昔、このクラインの瓶は、下ネタワールドへつながっていたと言います」
「・・・まあ、そうでしょうね」
「今ではそちらの世界への道筋は封鎖されてしまったそうです。ですから言い伝えにすぎません。でも、この瓶には次元を超える力があるはず!」
「はあ・・・」
「この瓶を抜け出れば、きっと先生は出られます」
ぎゅっ
「ぎゃっ、い、痛いです!!」
「クラインの瓶なら、ねじらないと」
「ほ・・本当にそれで出られるのですか?」
「やってみなくちゃ」
ぐぎゅ
「うがああっ! もげたらどーする!!」
「多少のリスクは仕方ありません」
「多少ってレベルじゃぎゃあああああ」
「・・・困りました」
「なんですか?」
「先生を出すにはクラインの瓶は狭すぎます。摩擦熱を加えて膨張させないと」
「変態です! この娘は変態です!」
ごしごし
「うわああああ」
「先生、久米田先生」
「・・・はっ、夢か・・・」
夢の中で、ボクは・・・
「って、いる!」
「ええ、いますよ」
可符香がそばにいて、微笑んでいた。
「廃業とか、悲しいことを言わないでください」
「え・・・」
「連載が終わったって、次回作があります」
「・・・次回作なんて、考えつきませんよ。もう出口なんて・・・」
「お世話になった先生に、プレゼントです」
変な物体を渡された。
「これは・・・溲瓶ですか?」
これを使うほど衰えてもなお漫画を描き続けろという激励ですか?
それとも、叫ぶしびんの会とか描いてた頃に戻れという当てこすりですか?
「クラインの瓶です。どんなものでも、抜け出す道はあるから」
「・・・」
「それに、久米田先生は、漫画家をやめるつもりなんてありませんよね」
「毎日思ってますよ。自己嫌悪しながら書き続けてきましたよ」
大局的に見ればそれなりの作品になっていると見えるかもしれない。
でも、ボクの画業の一日一日は塗炭の苦しみだったんです。
締め切りに追われ、読者には見離され・・・
「一体ボクは、この長い漫画家生活の中、何をしてきたと言うんですか」
「わかってます。それは・・・」
「画力を伸ばしていたんですね! 面白さを伸ばしていたんですね!」
「はい?」
「思い出したんです。私、最初はもっとおデコの広い娘でした」
「・・・」
「どんどんかわいくなるように、先生は努力してくれました」
「ん・・・まぁ」
「先生は私の父のようであり、兄のようであり、そして時折見せる、あの底抜けに無邪気な笑顔は、はるか年下の弟のようでもありました」
「ん?」
「先生の考えは、すべての出来事、存在をあるがままに前向きに肯定し、受け入れることです」
いや、それはあなたの考えでは・・・と思ったが、しばらく聞くことにした。
どうせ止まらないし。
「それによって人間は、重苦しい意味の世界から解放され、軽やかになり、また時間は前後関係を絶ちはなたれて、その時その場が異様に明るく感じられます」
ああ、そんな風に考えていてくれてたんですね。
もしそういう読者が一人でもいて、救われてたとしたら・・・
それは、少し嬉しいかもしれない。
「この考えを先生は見事にひとことで言い表してます。すなわち、『これでいいのだ』と」
「タモリの弔辞かよ!! なんかすらすら出るなと思ったら」
「あなたにとって死もひとつのギャグなのかもしれません」
「まあ、絶望先生はそういう作品でもありましたけどね」
「次回作、楽しみに待ってます」
「ああ、なんか、頑張るよ・・・」
「ということで、先生、本当にお世話になりました。ありがとうございました」
「うん。可符香ちゃんも、元気で」
少し間を置いて、切なそうに、可符香は言った。
「最後に、抱きしめてもらってもいいですか?」
「ボクみたいなのが、女子高生と抱き合ったら・・・犯罪ですよね」
「都条例が発効する前に、やっちゃった方がいいと思いますよ。それに・・・」
「それに?」
「今なら、自分の漫画の登場人物と抱き合った漫画家第一号になれますよ」
思えば、あだち先生を目指したり、誰かに引け目を感じたり、常に人より遅れたポジションにいました。
でも、今、それが変わるんですね。
ボクは、先駆者に、なれる。
「好きだあああっ」
ボクは可符香を細い腕で力いっぱい抱き締めた。
思えば、あの瞬間、可符香の表情に横線が沢山入っていたのに、気付かなかったんです。
ガチャ
「ひっ」
警官が突入してきたっ!!
と思ってボクは腰を抜かしかけました。
しかし、のったりのったりした足取りで、アシの前田君が入ってきただけでした。
でも・・・
「久米田先生、やりましたよ!!」
妙にハイテンションな前田君がかわいらしい女の子を抱いている。
奥さんではない。出会い系か?
「かばん、見つかりました!!」
前田君は擬人化されたかばん少女に頬擦りをしている。
「ありゃー、先を越されちゃいましたね」
「絶望した!」
※こんな感じの風浦可符香という人物は存在しません
END
42 :
9:2012/06/29(金) 18:32:45.79 ID:wmJ/S7NJ
<あとがきのようなもの>
エロ要素薄くて、そういうのを求めてる方にはほんとすいません。
いろいろ書くと、「過度な謙遜、自虐」になりそうなんでやめときます。
ただ、なんとなく作中や作外のものを切り貼りしてつなげたらこんな感じのものが出来上がってしまった、というだけの話です。
楽しんで読んでくれたという人がいたら嬉しいです。スレ汚し失礼しました。
>>9 GJ、いろんな意味でハラハラしながら読みましたw
よかったです
時事ネタもいろいろ入っていて、ブラックで、でもちょっと切なくて
…すてきでした!GJ!
何と言うか色々話の運び方が上手いな
GJでした!
SSのプロット準備したのに世界樹Wが面白すぎて時間も気力も吸い取られている…
カフカすまねえええええ
PC内を整理してたら、だいぶ前に書いたものが出てきたので投下。
初めてなのでうまくできなかったらすみません。
・短い
・エロない
先生とまといたんがダラダラお話してるだけ
「先生は優しいですね。」
先生、私のことを好きじゃないんでしょう?
その問になんと答えて良いのか計り兼ね言葉を濁す。
『目は口ほどに物を言う』というが、目の前の少女の大きな瞳から真意は汲み取れなかった。
好きか嫌いかなら好きの部類には入るだろう。だからといって愛してはいない。
ライクな意味で好きなのだ。それを語弊なく彼女に伝えることはものすごく困難なことのように感じる。
いつだったか言った「一緒に死んであげますよ」を告白だと思う子だ。
好きだなんて言ったならば、プロポーズだと勘違いされるような気すらしてならない。
「好きでもない人間を側に置いてくださる先生は優しいです。」
「あなたが勝手に側にいるだけでしょう。私は側にいることを許可したつもりはありません。」
「先生が優しくなかったのならとっくに私は逮捕されています。」
人の話を聞いているのかいないのか、おかまいなしに紡がれた言葉に少し驚き、そして呆れる。
「………自覚あったんですか?」
法に触れている自覚があったのにそれでも続けてきたというのか…。
「えぇ、まぁ。」
「ならばすぐにストーカー紛いのことはやめなさい。警察に通報されたらどうするつもりですか?」
そういえば少女はゆっくりと、嬉しそうに愛おしそうに微笑んで「ほら、」と。
「されたら、ということは先生は通報しないんでしょう?」
そういう優しいところが大好きなんです。そういう先生だから愛してるんです。ゆっくりしっかり吐き出される愛の言葉。
「なんですか、急に。」
「いえ、好きの理由をお伝えしていなかったなぁと思ったので。」
そしてニッコリ笑って「好きです」と言う。
ついため息が出てしまった。
自分の生徒を警察に突き出す教師がどこにいる?
警察沙汰になれば担任の自分も少なからず被害を被る。
それくらいならストーキングされるほうが楽な気がして、そのままにしていただけのこと。
優しくしたつもりなんて、まして慕われる理由なんてありはしない。
いろいろ間違っているし、履き違えている。
それは彼女のいうところの優しさだとか、愛だとか。
自分の行動はけして優しさじゃないし、彼女の一方的な感情も愛ではないだろう。
こんな保身的な優しさがあるものか。
こんな押し付けがましい愛があるものか。
それでもそれを彼女に言わなかった。
正しいことを教えるのが教師なのだとすれば、自分はどこまでも教師として失格だ。
いつか間違いを正してやれる人物がこの少女の前に現れるだろうか?
正しい愛を教えるのは少なからず自分よりも彼女を愛してあげられる人間であれば良いと微かに祈った。
(愛してやれないけれど、祈るくらいは許されるでしょう?)
終わり
あとがきというか言い訳というか…
ストーカー少女がかわいくてしょうがなかった。ただそれだけなんです。
行間多いくて読みにくくなってしまったこと反省してます。ごめんなさい。
>>51 GJ
軽めな感じで読みやすかったです
いいですねこれ
むしろ行間空いてる方が好みです、GJ
まといはいいなぁ、絶望先生が終わったからもう読めなくなってしまうのかな
>>53 まといに限らず絶望キャラはいい感じに影を纏った感じが良かったわ
これからはじょしらく中心になってくのかねえ?
55 :
名無しさん@ピンキー:2012/07/15(日) 19:57:44.68 ID:ziAeGTlV
>>54 やっぱり仄かに狂気や死と退廃の匂いを感じるよな久米田作品のキャラ達。
だからこそ最終話の文字通り色が着いたような展開の美しさが印象に残るわけで。
ほしゅ
hosyu
30Xのアレってここ向きじゃね?
てか千里ちゃん達良く許したよなぁ
まさかカフカちゃんの細胞に人格乗っ取られてたりして・・・・・・・・・
――この忌まわしい島から加賀さんを連れ去って誰も知らない土地で穏やかに暮らしたい――
「…木野がただの観光でこの島に来たわけじゃないのは分かっているよ。」
「加賀さんをこの島から連れ出すのが目的かい?」
とある島の教会で親友との久しぶりの再会を喜ぶ間もなく久藤から発せられた言葉に俺は驚く。
…本当に人の心を読めるんじゃないかと信じてしまうほどコイツは他人の胸の内を見透かしてくる。
「…そうだ。止めても無駄だからな久藤、絶対に俺は加賀さんをこの島から連れ出すんだ!」
内心、俺の身を案じた久藤に加賀さんとの逃避行を止められるのではと動揺と焦りでパニクった俺は声を大きく張ってしまった。
ここには俺と久藤しかいないと分かっているのに今の話を他の誰かに聞かれていないか不安に駆られて周囲をキョロキョロと見回す。
「…僕は止めないよ。むしろ木野と加賀さんの逃避行に協力したいと思っている。」
そんな俺とは対称的に冷静な久藤は落ち着いた声で逃避行の協力を口にする。
てっきり逃避行計画に反対すると思っていた久藤の意外な言葉に笑みが零れかけるが俺の胸に一つの懸念が過った。
先に前置き投下忘れてすみません。
いちおう最終巻収録の30X話の設定で木野×加賀(エロあり)です。
深夜のテンションで書いたので見苦しいところが多いと思いますが宜しくお願いします。
では
>>60からの続き投下します。
「…久藤…いいのか?オマエまで危険に巻き込む事になるんだぞ。」
「ああ、あの噂…木野の耳にも入っていたんだね。」
この島…臓物島にまつわる奇妙な噂の一つに「先生と一緒に暮らす女に手を出そうとした男が行方不明になった」というのがある。
火のない所に煙は立たぬと言うのだから、噂の元になった行方不明事件は確かにあったのだろう。
ただ何者かの手でそれは揉み消されて真偽の分からない不気味な噂に留まっている…というのが久藤の話だった。
…もし俺が加賀さんを連れ出すのに失敗したら俺だけでなく協力した久藤だってただではすまない。
「でも、確実な逃避行のためにはこの島の地理に詳しい人間が必要な筈だよ。それなら僕がうってつけだ。」
久藤はかつて止むに止まれぬ事情でこの島で保護され、今はこの教会の牧師として在住している。
確実に加賀さんと島を脱出するためにはやはり土地勘のある久藤の協力は不可欠なのだ。
「…それに…僕たちは親友じゃないか、親友が困っていたら助けたくなるのは当たり前でしょ?」
小学校時代、俺がいじめにあっていた時も友達として変わらず接してくれたのは久藤だけだった。
昔から変わらぬ久藤の友情に心から俺は感謝する、彼がこの島にいてくれて良かった。
こんな心強い味方がいてくれるのだから、きっと俺と加賀さんの逃避行は成功する筈だ。
「とりあえず加賀さんをしっかり説得しないとね…僕が教会に彼女を呼び出してあげるよ。」
「それから後は木野次第だからね。」
チャンスは一度だけ、テレビゲームのようにリセットしてやり直しは出来ない。
そして島に来て二日目の昼、久藤から連絡を受けた俺は教会を訪れる。
逸る気持ちのままに教会の告解室の中に入れば数年前からずっと恋い焦がれ続けた彼女が佇んでいた。
「…え…木野くん…?…どうして…。」
着物に身を包んだ加賀さんは心なしか少し窶れたように思えた。袖口から覗く手首が痛々しいほど細く見えたのだ。
「加賀さん…俺と一緒にこの島を出よう。」
呆然とした加賀さんの元まで急いで駆け寄ると彼女の手をとりながら俺は説得を始めた。
「…私は先生の妻です…この島から離れるつもりはありません…。」
「先生が愛しているのは加賀さんじゃない、君に移植された臓器の持ち主だ!」
「知っています…それでも私は先生の傍にいたいんです…。」
加賀さんが俺の言葉に答え返す度に先生への愛を思い知らされ説得を諦めかけそうになる。
だが俺はこれ以上、加賀さんに不幸になんてなって欲しくなかった。
「頼む加賀さんっ、目を覚ましてくれ…俺なら君だけを…真実の君だけを見るから!」
その言葉がずっと頑なな態度だった加賀さんの心を解すきっかけになった。
加賀さんがよろめくように俺の胸に飛び込み、身体を預けながら今まで抑えていた感情を吐露していく。
「…先生が私を私として見ていないことが分かっていても…先生が私のじゃない名前で…私を呼ぶのを…心の何処かで悲しんでいたんです…」
「それでも先生の傍にいられれば構わないと思っていたのに…」
「…木野くんが…私の前に現れたから…」
俺に縋りついた加賀さんは今にも泣き出しそうな表情で俺を見上げてきた。
ギュッと俺のシャツを掴みながら震える身体をゆっくりと腕の中に収める。
「加賀さん…俺は君が好きだ、俺と一緒にこの島から出て二人で幸せになろう。」
「…本当に……こんな私でいいんですか……私だけを見てくれるの……。」
「ああ、俺は加賀さんじゃなきゃ駄目なんだ。」
「…じゃあ…ここで木野くんの言葉が嘘じゃないって…証明してください…。」
「…加賀さん?」
俺の緩んだ腕の中から抜け出した加賀さんが着物の帯をスルスルと解き始めた。
静かな教会の中で衣擦れの音だけが響き、加賀さんが脱いだ着物や帯が床に落ちていく。
「…お願い木野くん…私を…抱いて…。」
最後に恥じらいながら肌襦袢を脱ぎ落とし、一糸まとわぬ姿になった加賀さんは潤んだ瞳で俺の動向を不安げに待っていた。
小ぶりだけど形のよい乳房も薄い茂みもその下で息づく陰部も、
加賀さんの全てが俺のためだけにさらけ出されたと思うと堪らなかった。
俺は昂る感情のままに羞恥で俯く加賀さんの細い身体を抱擁し、彼女の唇を自分のそれで塞いだ。
「…んんっ…ふぁ…っ…。」
加賀さんがおずおずと差し出してきた舌を捉え、夢中で絡め合わせる。
彼女のほっそりした腕が俺の首にかかると俺は腰に添えていた手を移動させ、
加賀さんの水蜜桃のような瑞々しいお尻を撫で回せばピクピクッと敏感に反応を見せた。
それに調子付いた俺は深いキスを続けながら、加賀さんのお尻を撫でるだけでなく感触を堪能するように揉んでみたりする。
更に反応した彼女は可愛らしい乳房を俺の胸板にグッと押し付けながら小さく喘いだ。
「…加賀さんは…お尻触られるの好きなのか…今後のために忘れずに覚えておこう…。」
「…やっ…恥ずかしぃ…言わないで…。」
唾液で出来た糸を引きながら唇を離す、加賀さんの濡れた唇が女性器を連想させた。
俺の独り言のような呟きにも恥じらって上気した顔を俺の胸に埋めてくる彼女は本当に可愛い。
「木野くん…あっ、あん…あの…あんまり…強く吸わな…んぅっ…。」
立つのもやっとな様子の加賀さんを手近の椅子に座らせると俺は躊躇なく彼女の小さな胸の飾りを口に含んだ。
もう片方の胸の飾りを指で摘まみ上げて、クリクリと捏ね回せば甘い声を出して加賀さんが身を捩る。
段々と加賀さんの身体は快感で弛緩していき、ギュッと閉じられていた両足が少しずつ開いていく。それを好機とばかりに彼女の足の間に手を挟み込み、秘部に触れれば湿った手応えを感じた。
「…凄く濡れてる…。」
「…すいません!…こんなにいやらしい身体で…すいません…。」
クチュクチュと卑猥な水音を立てて加賀さんの濡れた秘部を弄り回しながら感想を言うと彼女から涙目で恥ずかしそうにペコペコと謝られた。
「…い、いやっ…俺はいやらしい加賀さんも好きだけど…寧ろもっといやらしくてもいい…。」
「…っ…そ、そうですか…じゃあ…。」
咄嗟に出た俺の言葉に一瞬キョトンとした後に、はにかんだ笑みを浮かべた加賀さんは床に俺を押し倒した。
「…木野くん…もう辛いでしょう…わ、私で…気持ちよくなってください…。」
そのまま加賀さんの手でズボンの前を寛げられ、
ガチガチに硬くなった陰茎を取り出されて顔を寄せてチュッと口付けられる。
それだけでも充分に昇天しそうなのに積極的な彼女は俺の股間に馬乗りになり、陰部に俺のモノを宛がうと一気に腰を沈めた。
「ふぁあん!」
「…くっ…。」
強烈な締め付けの快感に早々とイキそうになるが男の意地で堪えた。
結合の余韻に浸かっていた加賀さんが腰を忙しく動かし出す、
彼女の痴態に生唾を飲み込みながら手を伸ばして乳房に触れる。
それと同時に下から突き上げるように加賀さんを貫くと喘ぎ声が大きくなった。
「…はぁ、あんっ…木野くん…もう…私…イッ…ちゃう…あっ、あん…!」
「…俺もだ加賀さん…一緒に…うっ…。」
二人ほぼ同時に果て、加賀さんの膣内が俺の白濁で大量に満たされる。
力尽きた彼女は俺の方へとゆっくりと身体を倒すと、甘えるように頬を擦り寄せてきた。
…やっぱり、加賀さんは可愛い。加賀さんの可愛さは正義だ。
「…ねえ、木野くん…私の名前を呼んで…愛って…お願い…。」
「…愛…。」
二人で床にぐったりと身体を横たえていると切なそうな表情で加賀さんから懇願される。
何度も“愛”と名を呼ぶと彼女は顔をくしゃくしゃにして涙を流しながら幸せそうに笑った。
俺はそんな加賀さんがとても愛しくて涙で濡れた目元や頬にキスの雨の降らせた。
「…随分とお楽しみだったようだね木野。加賀さんの説得成功おめでとう。」
「ちょっ久藤、オマエ覗いていたのかよ!?」
加賀さんが教会から帰った後、久藤の俺に対する第一声に思わず飲んでいたスポーツ飲料を噴き出し顔を真っ赤にした。
「全く人聞きの悪い事を言わないでよ。そんなの加賀さんの様子を見れば分かるから。」
「ヤった後かどうかも見ただけで分かるのかよ…実は久藤オマエけっこう遊んでたのか?」
「…そんな事より予定通り、明日の夜に逃避行を実行するんでしょ?」
巧みに話をはぐらかした久藤は手にしていた島の地図を卓上に広げながら、ある一点を指で指し示した。
「ここは島の人でも限られた人しか知らない隠れキリシタンの祠だよ、ここに加賀さんと二人で夜明けまで隠れるんだ。」
「僕が迎えに来るまでは絶対に何があっても顔を出してはいけないよ。」
そして俺と加賀さんは久藤が懇意にしている漁師が出す本土への船に乗って島を脱出する手筈なのだ。
「何から何までありがとうな久藤。オマエがいなかったらこんなに上手くはいかなかった。」
「礼を言うのはまだ早いよ。無事に島を脱出するまで油断は禁物だからね。」
ついに俺が島に来てから3日目の夜が来た…逃避行を実行する時だ。
加賀さんと予め決めていた場所で落ち合うと久藤が教えてくれた祠に向かって走り出す。
遠くから加賀さんを連れ戻そうとする追っ手達の身の毛もよだつ叫び声が聞こえてくる。
俺はただひたすら恐怖で顔を青ざめさせる加賀さんの手をしっかり握りながら駆け続けた。
追っ手をかわして目的の祠のある小さな洞窟に辿り着くとその中に身を隠す。
「…木野くん…私達…この島から出られるよね…」
「…ああ、出られるに決まっているさ…大丈夫、もうすぐ加賀さんをこの島の外に連れ出してみせる…。」
ぴったりと不安と恐ろしさで震える身体を寄せ合いながら久藤が迎えに来るのを待っていた。
――夜明けが来たら俺達はこの忌まわしい島から脱け出して本当の幸せを掴めるのだ――
いったん区切らせてもらいます。ハッピーエンドをお望みの方は
>>67で読むのを止めるのを推奨します。
この後に投下するバッドエンドはとても後味が悪くて微グロです。それでも平気な方はどうぞ。
――僕は愛する人のために親友を裏切りました――
「久藤…どうして…。」
木野と加賀さんが身を潜めていた祠へ“彼女達”を案内した。
僕の声を聞いて安心しきった顔で祠を出た二人は僕が一人でなく木津さん達と一緒にいる事に酷く驚愕する。
加賀さんが素早く彼女達の手で木野から強引に引き離された後に木津さんのスコップが無情にも彼に振り下ろされた。
「いやああああああぁああああああああぁ!!!!!」
辺りに大量に飛び散る血、加賀さんの悲鳴…そこから先はあまりにも惨くてとても詳しく語れそうにない。
…かつて木野だったモノは…光の届かない暗い海の底に沈んでいった。
最後に見た木野の無惨な姿はこれからずっと悔恨と共に僕につきまとい続けるだろう。
「自分の保身のために親友を裏切って死に追いやった気分はどうじゃ?」
教会の祭壇の前で膝をついて祈りを捧げる僕の背後から凜と涼やかな声が聞こえた。
祈りを中断し、すっと立ち上がって後ろを振り返り声の主と対峙する。
「…倫さんか…まぁ、あんまりいい気分ではないね…ところで木野がこの島に来た痕跡は消せたかい?」
「それはもう完璧にな、私を誰だと思うておる…これでオマエと私は共犯者だな。」
「そういう事になるね。」
「ふふっ、共犯者…なんと甘美な響きよ…久藤いまなら私を好きにしてよいぞ。」
倫さんの顔が吐息がかかる程に近付いたかと思えば耳許に唇を寄せて囁かれた。
大抵の男はこの甘い囁きに陥落して彼女を押し倒して自分の下に組み敷きたくなるだろう。
妖しく微笑む倫さんの華奢な身体が密着してくる、更に誘惑するように背中に手を回された。
「せっかくの君のお誘いだけど断らせてもらうよ、一時の感情に流されたくないんでね。」
「ふん、つまらぬ男じゃ。」
しかし、僕には分かっていた…彼女には全くその気がなく聖職者である僕をからかいたいだけなのだと。
丁重に断れば倫さんは興をそがれたように不満げな表情で僕にくっつけていた身体を離していった。
僕は知っている、この目の前にいる可憐な少女の兄に対する異常なまでの愛情を。
その愛情ゆえに公に出来ない残酷な事も平然とやってのけている事を。
…そして、僕はそれを知りながらもずっと見て見ぬ振りをしているのだ。
「…私はお兄様の幸せを壊そうとする者は許せないのじゃ…それが久藤オマエでも容赦はせぬぞ…。」
「大丈夫だよ、僕は絶対にそんな真似はしない…倫さんこそ、このままでいいのかい?」
…僕の問いの意図を汲んだ倫さんの唇はさも愉快そうに弧を描いたが、その瞳はけして笑ってはいなかった。
「ふっ、私はあの愚かで哀れな女どもの仲間入りをする気などない。」
「私は糸色倫、糸色望の最愛の妹…他の何者にもなるつもりはないわ。」
それはけして個として認識されることのない彼女達へ対する優越感に満ちた笑みだった。
――歪んだ僕らはこれからも歪んだまま、この島に囚われ続ける――
BAD END
以上で投下終了です。
…結末は3パターン考えていたのですがバッドエンドしか完成させられませんでした。
それでは失礼します。
乙
もはやホラー漫画だなw
名作です。
最終巻からの望カフが見たい
自分で書けたらなあ
そもそもあの時点の絶望少女たちに自分自身の意思というものはあるのだろうか
独占欲が強かった少女たちが不自然に先生を共有してることを考えると既に自己意識が失われてる気がする
可符香の細胞や遺伝子が定着して
>>59が言うように可符香として行動するようになってしまったとか
臓物島の船長ネタとか、羽美ちゃんにハァハァしてた身にとっては超俺得w
この島は臓物島である。
倫理はもうない。
時田、時田。
はいお嬢様。
本土より来たお客はどうした?
つつがなく、万事整いましてございます。
そうか…哀れなものよな、何の因果でああなってしまったのか。
左様で。
もう何人目であろうか、お兄様が愛する器がまた増えてしもうた。
左様で。
…こうなっては我らは見守るしかあるまい。
左様で。
ぱたぱたぱた
あ、りんさま
おや倫廻(りんね)、どうしたひとりで来たのか?
ううん、かあさまを探してるの
そうか、まぁ来やれ、お前の母君は此処にはいないが叔母さまがもてなしてやろう。
うん
お前は本当にかわいいな。わたしはお前がいちばん好きじゃ。
わたしもりんさまだいすき
そうか、なればわたしの名を授けた甲斐もあるというものだな、時田。
左様で、お嬢様。
ねえりんさま
ん?なんじゃ?
次はいつ来てくれるの
おほほ、気が早いな倫廻は。まだわたしはこの島に来てさほど……さほど……。
りんさま?
…時田、時田。
はいお嬢様。
………わたしは…いつこの島に来たのだったか?
勢いで書きました
反省はしていない
続き書くかも
82 :
名無しさん@ピンキー:2012/08/21(火) 20:29:08.71 ID:58LvDziw
なぜに倫が武士口調?
でもここまで古めかしくはなかった気がするけど>倫の口調
>>71>>80 どちらも面白かった乙!
>>71は1日であれを書いたのか…すごいな
りんねっていうと高橋留美子の漫画を思い出す
先生、今日は私たちの、101回目のウェディングですね。
先生との結婚式なんていう素敵な思い出が101回もある、わたしはなんて幸せなんでしょう。ああ、この教会の鐘も、いつ聴いてもとっても素敵。
久藤君、私たちの式をいつも見守ってくれて本当にありがとう。
倫ちゃん、交くん、絶命先生、絶景先生、絶縁先生、時田さん、今日の式も来てくれてありがとう。みんなと家族になれて私、幸せです。
千里ちゃん、まといちゃん、霧ちゃん、あびるちゃん、芽留ちゃん、奈美ちゃん。いつも私たちを祝ってくれてありがとう。私たち、これからもきっと幸せになります。
カエレちゃん、藤吉さん、三珠ちゃん、加賀ちゃん、大草さん、大浦さん。そしてマ太朗。ごめんなさい、そして、安心してね。本当はみんな好きだった先生のことは、私がみんなの分も幸せにします。
受付の根津さん、丸内さん、いつも手伝ってくれて本当にありがとう。
他にも、駆けつけてくれたみんなありがとう。
…ねえ、先生はもう気づきました?
今日は、101回目にふさわしい特別な日なんですよ?
なんと、今日は二のへの生徒が全員揃ってるんですよ。ほら、見てください。男子も全員来てくれて、昔の授業みたいで懐かしいでしょう。
これまでの結婚式は、みんなが揃うことなんか滅多になかったですから。
あれ?それは学生時代からでしたっけ?
まあ、それはおいといて〜
みんな、この日のために来てくれたんですよ。私、嬉しくて泣いちゃいそうです。
そうだ、式の後で、みんなで写真を撮りましょうよ。
よく考えたら、私たち、集合写真も撮ったことが無いんですもの。
………………………………………
…あはは、今一瞬だけ、もう一人の私が見えました〜
きっとあれはゲッペルドンガーさんですね。ゲッペルさんは楽しいときに現れるもの。
さあ、ゲッペルドンガーさんにはお引き取りいただきましたから、もう大丈夫です。結婚式を始めましょう。
先生、私、風浦可符香は先生のことを一生愛すると誓います。
ありがとう、先生、ありがとう、みんな。
〜HAPPY END ?〜
以上です。駄文を失礼しました。
>>88 おつかれ
文章も読みやすかったし、ほっこりした気持ちになりました
>>78 ぶっちゃけあの歌見た時、羽美はこの島出身なのかと思った
変にポジティブな所あったし、あの子
91 :
名無しさん@ピンキー:2012/08/25(土) 20:04:11.67 ID:Sf7nm890
>>90 案外、絶望少女のだれかと親戚だったりしてな。キャラ系譜的には千里(の中の魂)の身内とか。
いつか、すず部長(医師)の病院と望以外の糸色一族がクロスオーバーする話みたいなぁ。
すず部長と砂丹と命が同僚だったとかは普通にあってもおかしくない
改蔵とのクロスオーバーは保管庫にあった気がする
先生が死んで可符香が壊れて入院した精神病院がすず部長達のいたところで
命と砂丹が同級生かなんかだったような
あの話面白かったけど、保管庫のどの話なのか見つけられない
可符香が教祖になるやつだっけ?たしかオフエアバトルの話の延長戦上にあった
>>94 探したら意外と早く見つかった
保管庫2の13ー32氏の「オンエアされなかったバトル・その後」に続く、14ー251氏の「オンエアされなかったバトル・その後アナザーストーリー」じゃないか
「ヒポクラテスの誓い」まで続いてるのかも
俺は可符香が風邪ひいて先生がお見舞にくる話が好きだ。266氏だったか
久しぶりに読むかな
470 名前:名無しかわいいよ名無し [sage] :2012/08/29(水) 18:03:39.92 ID:TaSvcTMi0
せやな、301話あなたは誰の中のカフカさんですか?からのよく見たら霧ちゃんでしたエンドでええんや
見てくださいよウェディングドレス集合絵での霧ちゃんの堂々とした佇まいを。本妻の余裕ですよ。
『すべてがKになる』
「あん……はあっ、はあっ」
壁の向こうから、今夜も荒い息遣いが聞こえてくる。屋敷は広いはずなのに、隣室の二人以外には音を立てる人はいない。
「ああっ、先生……焦らさないで…んんっ」
まったく、隣に私がいることを知っているはずなのに、二人とも毎晩毎晩お熱いことだ。おかげで夜はろくに眠れやしない。
文句の一つも言いたいところだけれど、命を救われた上にこうして屋敷で私の面倒までみてくれる相手には、さすがにそれは言えない。
どうしてこうなったのかは分からない。いや、思い出せない。
ハーレム男の取材にこの島を訪れたところまでは覚えているけど、そこから先の記憶が抜け落ちていて、気がつけば包帯だらけで、この屋敷の部屋で寝かされていた。
聞けば、私は荒れる海に一人でボートで乗り出して座礁し、大怪我を負ったという。
大怪我を負った私は、たまたま近くにいた女達にこの屋敷に担ぎこまれた。失血で死にかけていたらしいが、女達の輸血で一命を取り留めたらしい。
そして、今は屋敷の主人…糸色氏の好意によって、屋敷で怪我の治療を受けている。
「んっ……あっ……はああっ」
隣では、二人の息遣いがさらに激しくなる。
ハーレムだと聞いていたが、夜の相手は妻一人らしい。少なくとも、今のところは、だけど。
夫の糸色氏の方は何度か会ったけれど、妻の方の顔をまだ知らない。取材はしたはずなのだが覚えていないし、その時のノートや写真も今や海の底だ。
まあ案外、私の看病をしてくれる女達の誰かが妻なのかも知れない。
「はあっ、はあっ、せんせえ…もっと、ぎゅっと抱きしめてえ…」
「…こうですか?」
「あうっ…もう、そんなに動かないでくださいよう…んんっ」
壁一枚隔てて、その謎の妻が喘いでいる。
体が万全なら、取材のためにもっと近くで聞いてやるのだけれど、今はろくに動くこともできない。
仕方がないからこうして、布団の上で聞き耳をたてている。
でも、こう毎晩毎晩喘ぎ声を聞かされていると、なんだか体の奥が熱くなってくるから困る。
動けないし、別にやらしいことをしたいわけじゃないけれど、この数日、この疼きを押さえるのには苦心している。
「はあっ、はあっ、先生…そんなに動かされるから、私の心臓、もうばくばくですよう」
「ああ、本当ですね。こうして胸に耳をあてると、貴女の中でどくどくいっているのがよく分かります」
「ああん、おっぱい舐めないでくださいぃ…はああん、そんなに動いたら私…」
「…気持ちよくなって、もっとばくばくになるんでしょう?もっと聴かせて下さい…貴女の心音を。」
それにしても糸色氏の性癖は幅広いらしい。昨夜はさんざん妻を散々焦らした挙げ句、その喘ぎ声を長々と楽しんでいたし、その前はやたらと眼に執着しているようだった。
毎晩毎晩やる方も大概だけど、妻の方もあれでよく体が持つと思う。
「ああっ、先生、もう私…」
「私もそろそろ…一緒にいってくれますね…」
「はい…先生……先生……っああああっ」
「くっ……」
そして、静かになった。
喘ぎ声がしなくなり、しばらくは二人の荒い息遣いが聞こえていたけれど、それもまた、寝息に変わった。
でも、私の疼きはなかなか治まらない。今夜は妙に身体が火照って、また眠れそうにない。
怪我が治ってからのこととか、色々考えなきゃならないことも多いのに、心が乱れて考える気になれない。
いっそのこと、このままここに止まって、潜入取材のためにハーレムに加わってやろうかしら。
そんな馬鹿なことを考えてしまった。どうやら、また熱でも出てきたらしい。
明け方頃、隣の部屋から誰かが出て行く気配がした。どうやら女らしい。
でも、何故か妻の気配とは違う。
女は私のいる部屋の前を通るときにわずかに襖を開けて、私の方を窺った。
寝たふりをしたらそのまま立ち去っていったけれど、その顔は見ることができた。
あれは、屋敷にいる女の一人で、千里と呼ばれている人だ。
あれが糸色氏の妻?
でも、彼女とは言葉を交わしたことがあるけれど、さっき隣から聞こえてきたのとは声が全然違う。
どういうこと?いつの間にか、妻と千里が入れ替わったの?それとも、初めから三人いたとか?
考えれば考えるほど混乱してきた。頭を使いすぎたのか、さらに熱がでてきた。それになんだか頭痛もする。
何か重要なことを思い出しそうになるけれど、頭の奥がぼんやりとして思い出せない。
これは……これは……これは……
これは、そう、手品なんですね。
先生の寝室から私が消えて千里ちゃんと入れ替わる大イリュージョン。流石は千里ちゃん、きっちりお仕事するわね。
「…ああ、目覚めるとまた一人。私の妻は…可符香さんは、今度はどこへいったのやら…」
隣から先生の声が聞こえました。
糸色先生、そんなところを探さなくても、私ならここですよ。
昨晩あれほどチュッチュチュッチュしてたのに、もう私に会いたいんですか?
襖が開いて、先生が部屋に入ってきました。
「ああ、今度はこんなところにいたんですね、可符香さん」
先生は私の布団をはぎ取ると寝間着をはだけさせました。そして絆創膏を剥がして、まだ傷の治っていない胸元に舌を這わせます。
先生の舌が、唾液が、ちょっとしみます。
先生、私はいつでも先生のそばにいるんですよ。また、思う存分愛してくださいね。
…たとえ、身体は違っていても、ね。
了
以上です。
陸さんものを書いてみたくなったのですが、なんだかホラーな感じに…
それでは失礼します。
乙
みんな妊娠したらどういう反応するんだろうか。
乙
モノローグが可符香に変わるところでぞくぞくした
乙です たのしい
臓物島の屋敷には、何気に智恵先生も混じってそうなきがしてきた。
そして可符香覚醒時にはセーラー服を着用する智恵先生…
初投下です
エロなし・臼井視点
ではいくぜ!
「約束」
今日も話しかけられなかった…
この島に来てもう一週間が経つ。
そしてこの一週間、僕は誰とも会話をしていない。
いや、それどころか存在を認知さえされていないだろう。
今だって狭くて薄暗い部屋にひとりきりだ。
そもそもこの屋敷には人が多すぎる。
そのせいで僕は物置で眠らなければならない。
教師が若い女学生を家に住まわせるなんて、破廉恥極まりない!
明日こそは行動を起こそうと心に決めて、僕は眠りについた。
この島の朝は早い。
島の周辺に潮の流れがぶつかる場所があるため良い漁場となり、朝になると港に漁師が帰船するのでその汽笛とサイレンが聞こえるのだ。
今朝もいつもと同じように、その音で目を覚ました。
僕は部屋を出て、洗面所に寄ってから縁側に向かった。
そこには早起きした少女たちが、集まって雑談をしていた。
そして僕の視線の先には彼女がいた。
彼女とは小節あびるさんのことだ。
何を隠そうこの僕は、彼女に付いてこの島に来た。
僕が守らなければいけない人。彼女を守るためにこの島に来た。
今決心がついた。
僕は右手を強く握って、先生の部屋を目指した。
やっぱり無理だ。
いざ部屋の前に立つと、襖を開けられずにいた。
今日はやめて明日にしy
「そこにいるのは誰ですか?」
突然部屋の中から声がして、僕は飛び跳ねた。
額から嫌な汗が吹き出る。
「今開けますから」
まずい、今見つかるわけにいかない。
隠れる場所を探したが、近くにそんな場所はなかった。
ガララッ「おや、誰もいませんね」
存在感の薄さが幸いして、気づかれることはなかった。
しかし目の前にいる元担任教師は、僕の大切な人を誘拐したうえに、今も監禁している。
そう考えたらこの男を許せなくなった。
「先生、ここです」
僕は頭からかつらを取って言った。
「どうして君がここに?」
「先生に話があります」
「とりあえず座ってください」
僕は広い座敷に通された。
「わざわざ来てくれたのですから、まぁゆっくりしていってください。おい、倫!」
ガラッ「どうしました、お兄様」
後ろの襖が開いて、和服の女性が入ってきた。
「お茶を淹れてきてください」
「分かりましたわ、お兄様」
そう言うと、すぐにそそくさと出て行った。
「それで話とはなんでしょうか?」
僕は息を吸い込んで、それから話し始めた。
「小節さんを、小節あびるさんを連れて帰ろうと思います。」
精一杯毅然とした態度を装って続けた。
「彼女はこの島にいては、幸せになれません。彼女だけじゃありません、この屋敷に住む生徒はみんな家に帰るべきです。」
「それはできません」
答えは無情なものだった。
「彼女たちは私の妻です。それにこの屋敷に住んでいるのも、彼女たちの決めたことです。それがあの子達の幸せなのです」
「お茶がはいりました」
倫が僕の前にお茶を置く。
僕は立ち上がり言った。
「それでも諦めませんから」
その夜、僕は物置で考えていた。
今彼女が幸せならば、それを壊さないことが本当の優しさなのかもしれない。
だけど僕はこの手で彼女を抱きしめたい、この手で彼女を幸せにしたい。
いったい僕はどうすればいいのだろうか。
そんなことを考えていると、部屋の外から足音が聞こえてきた。
その音はどんどんこの部屋に近づいてくる。
僕は身をかがめて音が通り過ぎるのを待った。
ガチャ
部屋の扉が開いた。
さらに近づく足音。
「臼井くん」
顔を上げるとそこにはあびるさんが立っていた。
「あびるさん、ど、どうしてここに?」
僕は心底驚いていた。
なぜ彼女がここにいるのか。
なぜ僕のことが見えるのか。
「先生から聞いたのかい?」
僕は出来るだけ嫌味を含まないような言い方で聞いた。
「違うの。私の話を聞いて欲しくて」
悲しげな顔で彼女は言った。
そんな表情を見ていると、僕も泣きそうになって「…うん」と答えるので精一杯だった。
「臼井くんはもう帰ってしまうの?」
「えっ、どうしてそう思うの?」
「今日、廊下ですれ違った時悲しそうな顔してたから」
彼女には僕が見えていたのか。
それを知らないで、僕は結果的にこの子を無視していたのか。
「…ごめんね」
「えっ、じゃあやっぱり帰るの?」
「うん、その前に聞かせて欲しいんだけど、君は今幸せかい?」
僕はこの質問の答えに、運命を委ねることにした。
数秒の沈黙の後に彼女は口を開いた。
「とっても幸せ。たくさんの友達と一緒に暮らして、順番待ちは辛いけど先生にも愛してもらえて、あなたにもまた会えて。臼井くんは幸せ?」
「もちろん。僕ほど幸せな人はいないかもしれない」
(なぜなら、あびるさんが幸せだから)
「ははは、じゃあもっと幸せにしてあげるね」
そう言うと彼女は、僕の頬にキスをした。
「じゃあまたね」
彼女は早足で物置を後にした。
夜が明けて僕は港で船を待っていた。
もうこの島に未練はない。
水平線を眺めていると、後ろから声が聞こえた。
「間に合いました。もう帰るのですね」
「先生、今日は僕が見えるんですか」
「ええ、それにしても今日はいい天気です」
先生は目を細めて、空を見ながら口を開いた。
「彼女は、いえ、彼女たちは必ず私が幸せにします。だから安心してください」
「もちろんです。泣かせるようなことがあったら、すぐにとんでいきますから」
快晴の下で僕たちは誓い合った。
もうすぐ船が来る。
完
最終話に出てこなかった臼井くんが、報われればと思い書きました。
以上です。
>>119 乙です。
そうだね…臼井も報われて欲しいよね…
片思い相手を教師に盗られて傷心のオシャレ未来人と未来泥棒少女の話を希望age
纏「あんっ!先生っ!先生っ!いいっ!あんっ!イクうっ!あああああ!!!」プシャー
望「!?」ビュクビュクッ
纏「あっ…!中で…出てる…」
望「…シてたんですか」
纏「ええ、ずっと」
『尻描き佐平次』1/2
手虎「秋ねえ」
キグ「秋ですねえ」
マリー「つまんねーこと言ってんじゃねーよ!」
苦来「秋といえば、芸術の秋ねえ。」
マリー「話聞けよ!」
丸京「我々も伝統芸能に携わる身、某黄色い師匠を見習って芸術活動に携わろうじゃないか」
手虎「芸術活動って、例えば?」
キグ「一番手っ取り早いのは、お絵かきじゃないですか?」
苦来「でも、描くっていっても何を描くのよ」
丸京「…」
マリー「…おい、何で私を見るんだよ…おいちょっとやめろ、ちょ、待て、服を脱がすなあ!」
丸京「さあみんな、マリーさんを描こうじゃないか」
マリー「何で脱がす必要があるんだよ!」
手虎「まあ、モデルっていったらやっぱりヌードだからね」
マリー「じゃあ、せめて真正面から描け!後ろにばかり集まるな!」
キグ「マリーさんといったらやっぱりお尻だからねえ」
マリー「やらしい言い方をするな!」
キグ「描けましたー」
マリー「尻と手足しかないじゃないか!私は春日部の幼稚園児か!」
キグ「ええー?じゃあ、顔を描き足しますよー」
マリー「私の尻に直接描くな!」
丸京「描けましたー」
マリー「私の尻はそんなにでかくて丸くない!度が合ってないんじゃねーかのバイオレンスメガネ!」
丸京「そんなことはないよ」
マリー「痛っ!?何故尻を叩く?ちょ、痛っ、ひぎゃっ、ひぎゃん、いやあん」
丸京「ほら、モデルのとおり描けている」
マリー「腫れ上がって大きくなったんだよ!」
キグ「うわ、マリーさんのお尻、真っ赤っか」
『尻描き佐平次』2/2
苦来「描けました…」
マリー「何だよその抽象画は!?どこの海洋生物だよ!?もはや尻ですらねーじゃねーか。」
苦来「ちゃんとマリーさんを描いたわよ、ほら」
マリー「ちょ!?何故私を四つん這いにする!?」
苦来「これが尾骨、これが菊門、これが大臀部、これが蒙古斑、これが大陰茎、ほら、モデルと同じ」
マリー「そんなどアップで描かれたら判んねーだろ!ってか何を描いてるんだよ!」
苦来「じゃあ判るように注釈入れとくわね」
マリー「だから入れるなら絵にやれ!私の尻に書き込むな!」
丸京「あ〜あ、マリーさんが暴れるから、字がぐちゃぐちゃじゃないか」
キグ「あ〜あ、まるでどこかの古代文字みたい」
マリー「私が悪いんかい!」
手虎「うーん」
丸京「あれ?手虎はまだ描けてないのか?」
手虎「描いてるうちに、モデルがどんどん変わっていっちゃったからねえ」
マリー「だから私のせいじゃねーだろ!」
手虎「もう、めんどくさいから写真にしちゃおう」
丸京「まあ、写真も芸術活動だからな」
手虎「はーいマリーさん笑ってー、そうそういいわよー、じゃあ次は脱いでみよっかー」
マリー「お前はアラー○ーか!ってか、もうとっくに脱いでるよ!」
手虎「写真プリントアウトしてきたわよ」
丸京「うーん、これはもう、マリーさんだと判らないな」
手虎「ちょっとアップで撮りすぎたかな?」
苦来「というか、お尻だって言われてもそうと判らないわね」
三浦氏「こ、これは新しい!」
手虎「え?」
三浦氏「このアートは新しい!そうだ、せっかくだから客にも見せよう!」
マリー「おい、やめろ!」
三浦氏「そうだ、拡大コピーを襖に張って、高座の後ろ一面に並べよう!芸術の秋だし!」!
マリー「やめろおおおおお!」
お後がよろしいようで。
127 :
名無しさん@ピンキー:2012/10/09(火) 19:31:57.92 ID:i+EImkuH
やっぱりじょしらくだと官能は難しいのかな。
128 :
(前書き):2012/10/13(土) 05:08:18.93 ID:3qx3GZAn
失礼します。単発のSS書きです。
じょしらくのウザンヌ・マリーさんのエロパロSS投下させていただきます。
以下、SSに関する注意書きになりますので、ご一読ください。
・長さは20レス分です。
・ウザンヌとマリーさんの百合描写を含みます。
苦手な方は、お手数ですがスルーまたはNG指定していただくよう、お願いいたします。
――えぇ、本日もいっぱいのお運び、ありがとうございます。
……我々のように、言葉を扱う事を生業としておりますと、折に触れ感じるのが、言葉の有りようってのは時代につれて、実に
めまぐるしく、移り変わっていくものだなぁという事でございます。
有名なところでは「役不足」なんて言葉がございますね。
昨今では、「ある役割に対し、それを務める人間の能力が不足している」という意味で使われるのが一般的ではありますが、
もともとは全く逆の意味で、人間の技量の方を高く評価する意味合いの言葉であった、という、まあ知られた話でございます。
よく「あのキャラクターにあんな素人声優当てるとか役不足だろwwwスタッフわかってねぇwwwドゥフフwww」とか、
したり顔でのたまう輩がおりますが、そういう手合いに聞かせてやりたいもんですな。
……閑話休題。
えー、「ウザい」なんてのもそんな言葉の一つですね。
もともとは「うざったい」だったのが、短くなって「ウザい」になったわけなんですが、最近の若い方々の中にはそもそも
「うざったい」という言葉をご存じなく、初めから「ウザい」という日本語だと思い、使ってらっしゃる方もいるとかいないとか。
さらに語源をたどりますと、江戸時代の中ごろ、邪魔くさい様子をあらわす、「うざうざ」という言葉から変化した、なんて説が
あるようですので、あながち「ウザい」という表現も間違っちゃあいないのかもしれませんが、これなんかも、時代による変化かと。
何でもかんでも、短く縮めて、簡単に。そういう方向に、時代が進んでるってことなんでございましょうねぇ。
……とある演芸場の楽屋。ここに、五人の女流落語家がおりました。
この面々、普段はまあ、実につまらない話をしてヒマをつぶしておりますが、今日は何やら調子が違う。
どうも、この場にはいない、最近仲間に加わった、新入りの話をしているようです。
女性が三人以上集まれば、姿の見えない者の、あることないこと言いたい放題が始まるのは世の常。別段珍しい事じゃあ
ございませんが、どうやら今回に限ってはその新入りも、たいそう問題のある人物のようでして……
「……ああ、もう、ウザいったらありゃしない!」
すうっ、と襖を開け、楽屋に一歩踏み込むなり、蕪羅亭魔梨威――マリーが、不機嫌さを爆発させるような声音で叫んだ。
「何が? 蚊?」
「近所の子供?」
「エウリアン?」
「わかりきった事聞くなよ! アイツだよ、アイツ!」
ちゃぶ台の前にどっかりと腰を下ろしたマリーが、同じ卓を囲んでいる仲間の質問に、がぁん、と拳を叩きつけながら答える。
「ウザンヌの事に決まってんだろ!」
――宇座亭ウザンヌ。かつて、一日入『楽』を許された見習いとして楽屋に現れ、その、あまりにウザいキャラクターにより、
マリー達五人を散々に振り回した人物である。
「……そう言えばあの後、マリーさんの師匠の所に、正式に入門したのよね」
「で、何やかんやで、今はマリーさんの付き人として、カバン持ちをしてるとか」
湯のみに注がれたお茶をずず、とすすりつつ、防波亭手寅と空琉美遊亭丸京が会話を続ける。
「アイツのどこがカバン持ちだ!」
マリーが乱暴な動作で、茶受けとして用意されていたせんべいを一口かじり、ばりぼりと音を立てながら怒鳴り散らす。
「そもそもアイツ、何で私のこと『マリーさん』って呼ぶんだよ! 付き人なんだから、そこは『師匠』って呼ぶべきだろう!」
「それはまあ、マリーさんはマリーさんだから……」
「そうそう、師匠とか弟子とか、そういう関係を超越してるもんね、マリーさんの場合」
怒りの収まらないマリーをなだめるように、暗落亭苦来と波浪浮亭木胡桃が優しく言う。だが、マリーの不満は未だ
冷めやらない。
「その上何度注意しても、『ご苦労サマンサ!』だの『ご苦労サマルトリア!』だの挨拶ひとつロクにしやがらないで!
おぼっちゃまくんかよ、アイツは! 大体この間だって……」
――その後も、マリーによるウザンヌへの愚痴は留まる所を知らず、延々と続くのであった。
――三十分後。
「ったく、ホントに……どうしようもない奴だよ、アイツは」
ひとしきり当り散らしたのち、ようやく落ち着きを取り戻したマリーが、はぁぁ、と大きなため息をつく。
「たまには一回くらい、ガツン、と懲らしめてみたら?」
「やっぱ、そうするしかねーのかなぁ……私、そういうの苦手なんだけど……」
手寅の言葉に、なおも嘆息したマリーは、お茶を一口がぶりとあおると、心底困ったという表情で、楽屋の中空を見据えた。
「……だったら」
その時、『懲らしめる』という手寅の台詞に、丸京と苦来が素早く反応した。
握り拳を固め、懐からわら人形と五寸釘を取り出しつつ、両者が低い声でマリーに囁きかける。
「――ボコるか?」
「――呪いますか?」
「い、いや……誰もそこまでやるとは言ってないけどさ」
シャレで済みそうもない二人のテンションを察知したマリーが、冷や汗をたらりと流しつつ、あわてて発言を打ち消す。と、
「こらしめるなんて、そんな、ヒドいです! みんな、もっと仲良くしましょうよ!」
突然立ち上がった木胡桃――「キグ」が、ウザンヌをかばうような発言をし始めた。まっすぐにマリー達に向けられた瞳には、
一点の曇りも浮かんでいない。
「キグ……そうは言うけどな」
「やっぱり、悪いことしたら叱らなくちゃ、ね?」
「キグはホントに優しいなぁ」
その瞳に、マリー達はすっかり毒気を抜かれてしまい、キグの頭をよしよしとなで回す。
(……こらしめるとか生ぬるい事言ってないで、さっさと潰すべきだろ。ホント私とキャラ丸かぶりなんだっつーの)
その一方、心の中で、キグが激しく毒づいている事には、誰も気付いていなかった。
「まあ要するに」
ばっ、と扇子を広げると、若干、得意そうな顔をしてマリーが言う。
「このマリー様の付き人を務めるにゃあ、ウザンヌは役不足ってこったな」
「……マリーさん、それ、使い方間違ってるから」
「え? どこがだい?」
丸京の指摘に、きょとん、とした顔で、手のひらの中の扇子をためつすがめつするマリー。
「でもまあ」
その様子を完全にスルーした上で、手寅が、ゆっくりと口を開いた。
「あの子がマリーさんを本当に尊敬してるのかどうか、確かめてみる必要はあるかもね。……ね、こういうのはどう?」
「ん、何か、いい考えがあるってのかい?」
四人はその場に座り直し、手寅の方へ注目する。
「うん、あのね? まず、あの子がすごく大事にしてるものを、申し訳ないけど、わざと壊しちゃうの」
「おいおい、なんだか穏やかじゃないね。……で?」
「で、それに関係して、マリーさんが何か危ない目にあった、って事にする」
「ふんふん、それで?」
「そんな場面に遭遇したとき、マリーさんと自分の宝物の、どちらを心配するか試してみる、っていうのはどうかな?」
手寅が話し終えると、四人はそれぞれ神妙な面持ちで、「う〜ん」と唸った。
「……何だか、どこかで聞いたような話だね」
「うん、確かにどこかで聞いたような話だ」
「でも、一体いつどこで聞いたのか」
「さっぱり思い出せません……」
が、終いには四人そろってけろっと笑顔になり、
「ま、いっか」
とうなずき合うのだった。
「しかしまあ、何だか面白そうじゃないさ」
マリーが扇子をばちんと畳む。
「ようし、そうと決まりゃあ、アイツの大事なものを探すところからだな。ええと……」
ぐるり、とめいめいに楽屋を見回す五人。部屋の中には、いろいろな物が乱雑に散らばっていた。
「つーか……改めて見ると、この楽屋、いつの間にかアイツの私物だらけだな」
「だね……着替えや化粧品に、マッサージ機まで置いてあるぞ」
「完全に、自分の部屋と同じ感覚で使ってますね……」
そんな会話をしつつ、あれこれと探し回っているうちに、キグがすっとんきょうな声を上げた。
「あれれ? これ、何ですか? 私、見覚えがないんですけど」
どれどれ、と覗き込んできた他の四人に向けて、キグは、楽屋の一隅に置かれていたそれを手にとって見せる。
そこにあったのは、表面に、黒くて大きな耳を持ったネズミのキャラクターがデザインされている、小さな絵皿だった。
「ああ、それもアイツのだよ」
得心がいった、という風に、マリーが何度も頷いてみせる」
「今朝、『やぁっとポイントたまったんですぅ〜』なんてはしゃいで、見せびらかしてきやがった」
「ポイント……ああ、今、コンビニで、買い物するとたまるポイントで、もらえる景品でしたっけ」
苦来の問いかけに、隣で一緒に絵皿を覗き込んでいた手寅が答えた。
「そうそう、商品についてるシールを集めて、交換用のシートに貼っていくの。私も集めてるよ」
そう言って、手寅が自分の荷物にごそごそと手を突っ込み、「ほら」と、一枚の紙を取り出してみせた。きちんと四つに
折りたたまれたそれを広げてみると、表には、今まさに目の前にある絵皿と同じ見本が載っており、裏側には、「1点」や
「2点」と書かれた10枚程のシールが、きれいに整列している。
「私ももう少しで、交換できるポイントまでたまるんだ。……そう言えばあの子、そのシリーズのキャラクター好きだよね。
バッグとか携帯にも、いっぱいストラップぶら下げてるし」
「……ほほう」
何気なく手寅がもらしたその一言に、マリーが、ニヤリ、と意味ありげにほくそ笑んだ。
「え? マリーさん、まさか……」
「その……まさかだっ!」
そう言うが早いか、マリーが、キグの手から素早く絵皿を取り上げる。
「ちょ、ちょっと、マリーさん!」
あわてて止めようとするキグにも構わず、マリーはぶうん、と勢いをつけて、絵皿を床に向かって叩きつけた。
がちゃん!
という金属音を立てると、絵皿はたちまち、細かい欠片をまきちらしつつ、三つに割れてしまった。
「……あ〜あ」
「……いいの? 簡単に手に入れられるものじゃないんでしょう」
やっちゃった、という空気が楽屋に広がる中、マリーだけは平然としており、苦来のじろり、という上目遣いにもしれっと
答えてみせる。
「いーんだよ、これくらいやらなけりゃ、アイツは本心を見せやしないだろ」
そして、畳に散らばった絵皿の破片をちらりと見やり、ふんっ、と鼻白んで言葉を続けた。
「それにそもそも、これを交換するためのポイントだって、私がアイツに頼んだ買い物でためてたんだよ? もちろん、
金の出所だって私の財布からだ。言ってみりゃ、半分ぐらいは私にも、好きにする権利があるってもんさね」
「……そうかなあ」
「後でちゃんと掃除しとかないと、また席亭に怒られちゃいますね」
そんなマリーの、むしろ堂々とした態度に、苦来とキグは、そろって首をかしげるのだった。
「さて、次は……」
それまで、黙って事のなりゆきを見守っていた丸京が、突如、のっそりと動き出し、マリーの背後へと近づいた。
「これに関連して、マリーさんが危ない目に会わないといけないわけだが……その辺は、私に一任してもらおうか」
「お、おい……あくまで、フリでいいんだから、な? フリで」
その様子に、どことなくイヤな予感を感じたマリーが、ぷるぷると震え出す。
「いやいやぁ……ウザンヌの本心を引き出すためには、フリだなんて甘っちょろい事を言ってる場合じゃない……だろっ!」
「おわぁっ!?」
すぱん! と、いきなり足払いを食らわされたマリーが、前のめりにずっこける。
そこを逃さず、丸京が素早くマリーの下半身をがっちりと押さえ込み、着物をはだけさせにかかった。
「やるからには、徹底的にやらないと! とりあえず、ケツを出せ、ケツを!」
「ちょ、ちょっと待ちな! いくら何でも、脈絡がなさすぎやしないかい!?」
「ああ、それなら大丈夫よ」
必死で抵抗するも、徐々に着物を脱がされてしまいつつあるマリーの訴えに、隣でにこにこと微笑んでいた手寅が、
あっけらかんと答えた。
「その辺はまあ、後で適当な作り話をでっち上げておくからね」
「……という事だ。さあ、観念してもらおうか、マリーさん!」
丸京の眼鏡がきらり、と光る。
その奥の瞳が、ドSの輝きで満ち溢れているのを察したマリーが、心の底からの叫び声を上げた。
「か、勘弁してくれぇぇっ!!」
その悲痛な願いはしかし、続いて響く、すぱぁん! という、乾いた小気味よい打音によって、空しくも打ち消されてしまうので
あった。
――そして。
「――ごっ苦労サマージャンボぉ!」
珍妙な挨拶とともに、襖がたあん、と音を立てて開き、その向こうに、珍妙なポーズで宇座亭ウザンヌが姿を現した。
「みなっさんお待ちかね、ウザンヌちゃんのご登場! でーっす! あれあれ? どうしたんですかぁ? みなさんお揃いで
辛気臭い顔しちゃってぇ。ほらほらもっと笑ってないと、幸せが逃げてっちゃいますよ? なーんちゃって! じゃあいっつも
笑顔なのにぜーんぜん幸せになれない私って何〜、みたいな!? でもまあ幸せの形っていうのは人それぞれで違うものって
言いますから………ん? んん?」
いつも通りの超ハイテンションでまくしたてるウザンヌではあったが、皆の様子がいつもと違う事に気付いたのか、はたと
動きを止めた。
そして、楽屋内にすうっ、と目を走らせ、畳の上に散らばっている白い破片を捉えると、飛び上がらんばかりに驚いた。
「ああっ!? せっかくもらった私の大事なお皿がぁっ!」
ばばっ、とその場にしゃがみ込み、破片を手に取って確かめるウザンヌ。その合間に、さりげなく視界の端に飛び込んできた
光景に、またも驚きの声を上げた。
「その上マリーさんが着物をひん剥かれ、お尻には平手打ちをしこたま食らったような跡が! 一体、何があったんですか!?」
「……話すと長くなるんだけれど……」
真剣な表情で、手寅が語り出す。
それに耳を傾けるウザンヌもつい釣り込まれ、らしからぬマジメな顔つきになってしまう。
「あなたが楽屋に置いていった絵皿を、マリーさんがうっかり取り落として、割ってしまったの。…そうしたら突然、
謎の一団が楽屋へ現れて……」
「な、謎の一団って……?」
ごくり、と息を飲むウザンヌに対し、手寅はそこで、すっ、と言葉を切る。
代わりに、傍らで、録音モードになっていたラジカセの再生ボタンを、ぱちん、と押した。
『…ハハッ、やぁ、お皿を割ってしまった悪い子はキミかな?』
『グワッ、グワァッ!』
『アッ、ヒョ!』
「こ……これは……!」
ラジカセに残されていた、この世のものとは思えない異形の声に、ウザンヌが戦慄する。
「私たちも、必死で応戦したんだが……何しろ、多勢に無勢でな」
「マリーさんにお仕置きをくわえると、楽屋の外に停めてあった、やたらと大きくてぴかぴか光る乗り物に乗り込んで、
あっという間に飛んでってしまったんです!」
「……多分、方角的に見て、千葉県の方向に……」
残る三人も、口々に惨状の様子を語る。
それを聞くウザンヌの表情には、怯えとも羨望ともつかない色が、ありありと表れていった。
「……まあ、そんなわけで」
どういうわけだか分からないが、丸京がすっと立ち上がった。マリーを除いた三人も、それに続く。
「私らはちょっと席亭に報告をしてくる。ウザンヌは楽屋に残って、マリーさんの面倒を見といてもらえるかな」
「りょ……了解しました……です」
そして、マリーとウザンヌを二人きりで楽屋に残し、ぱたん、と静かに襖を閉めた。
(……おい、どっから持ってきたんだ、あの音源)
楽屋前の廊下に出た四人は、その場で立ち止まり、ひそひそとささやき合う。
(どう、似てたかな? ついさっき、自分で声マネをして、吹き込んでみたんだけど)
(おお、さすがは芸人)
(しっ、静かに……)
すっ、と唇の前で人差し指を立て、苦来が、今閉めたばかりの襖にそっと指をかけ、ほんの隙間の分だけ開く。
中の様子をうかがうと、マリーがむっくりと起き上がるところであった。
「あいてて……まったく、ひどい目にあったよ」
着物の乱れを整えると、よっこらせ、とばかりにマリーが畳の上に座り直す。
そして、改めてウザンヌと割れた絵皿に視線をやりつつ、軽い調子でしゃべり出した。
「おう、ウザンヌ。悪かったな、せっかくの景品だったのに壊しちまって」
わざとけらけらと笑い、ウザンヌの気に障るような謝り方をしてみせる。ひょっとしたら、怒り出してしまうかもしれないが、
それはそれで、ウザンヌの本心を引き出すという目的にかなっていると言えるだろう。
「まあ、また一からポイントためて、交換すりゃあいいやな。今日のところは、水に流しとくれよ」
あっはっは、と笑い続けるマリーの正面で、ウザンヌは、畳の上に膝をそろえて、じっと口をつぐんでうつむいている。その
様子を観察していたマリーは、内心不安になってきた。
(ヤバいな……うんともすんとも言いやしない。こりゃ、マズい事しちまったかね……)
息苦しい雰囲気に耐え切れず、マリーがすっ、と笑いを引っ込めた、その瞬間。
ウザンヌが、ばっ、と顔を上げた。
「……!?」
その顔を目の当たりにしたマリーが、驚きに目を瞠る。
何故なら、ウザンヌは、その大きな瞳いっぱいに、湛えるように涙を浮かべていたから。
そして。
「ごめんなさいっ!」
「うわあっ!?」
その涙が一滴、ぽたり、と落ちるのと同時に、ウザンヌがマリーに向かって、がばっ、と抱きついてきた。
「お、おい、一体なんだってんだい!?」
突然の事態に、思わずうろたえてしまうマリー。
だが、ウザンヌの取り乱しようは、マリーのそれを遥かに超えていた。
「本当に……本当にごめんなさい! 元はと言えば、私が、楽屋にあんなものを置きっぱなしにしてたのが悪いんです!
マリーさんは何にも悪くないのに、それなのに、こんなひどい目にあって……!」
そう言って、ウザンヌはさらにマリーにむしゃぶりついて来る。がっしりと抱きすくめられ、マリーの背骨が悲鳴を上げた。
「い、痛たた、とりあえず、落ち着かないかい!」
「はっ! す、すみません!」
あわててウザンヌがぱっと身を離す。ようやく解放されたマリーはほうっと一息つき、改めてウザンヌと向かい合った。
先程より落ち着きを取り戻してはいるものの、一度その顔に浮かんだ、申し訳なさそうな表情は残ったままだ。
「ふう……じゃあ、何かい? お前さん、私が皿を割っちまった事に関しては、怒ってないっていうのかい?」
「……そりゃあ、残念な気持ちはありますけど……」
口元でごにょごにょと呟いた後、ウザンヌが決然とした態度で言い切る。
「でも、そんなのはマリーさんが言うとおり、もう一回もらえばいいだけです。…それよりも、マリーさんに何かあったらと
思うと、私、とてもじゃないけど耐えられないんです!」
「………」
まっすぐな瞳で、まっすぐに自分を見つめてくるウザンヌに耐えきれず、マリーはつい、助けを求めるようにちら、と、
襖の向こうへと目をやってしまう。
(……めちゃくちゃいい子じゃないか)
(何か……だんだん、悪い事してる気分になってきました)
(確かに、胸のあたりがちくちくと……)
襖の外側では、一同が、苦虫を噛み潰したような顔で立ち尽くしている。
が、キグだけは一人、相変わらず楽屋を覗き込んだまま、噛み付きそうな形相でウザンヌを睨み付けていた。
(――普段ウザキャラなのに素の顔がイイ子ちゃんとか、キャラ被りどころか真逆じゃねえか――!)
(……ん? どうしたの、キグちゃん?)
(へ? あ、いや、何でもないですよ、何でも!)
(こりゃ、参ったね……どうも)
襖の向こうの四人と同じく、事の当事者であるマリーもまた、すっかり困り果てていた。
今さら、実はこれこれこういうわけで、とネタばらしをしてしまえば、それこそ本気で傷つけてしまいかねない。かといって、
このままウソを突き通してごまかすのも、それはそれで、良心の呵責に苛まれるだろう。
(一体、どうしたもんかねえ……)
うんうんと、難しい顔でマリーがうなっていると、ウザンヌがぽつり、と小さくつぶやいた。
「やっぱり……そうですよね」
「え?」
よく聞き取れなかったマリーが訊き返すと、ウザンヌは弱々しげに言葉を紡ぐ。
「私の、普段の様子があんな風ですから、急にこんなこと言ったって、信じてもらえないの、当然だと思います」
「あ……いやいや、別にそういうんじゃ……」
「わかりました!」
あわてて手をひらひらと振り、その言葉を否定しようとするマリーに対し、ウザンヌが、その場にやおら立ち上がった。
「だったら私、証明してみせます! 私が、マリーさんをどれだけ大事に思ってるか!」
「お、おい、ちょっと……!」
慌てふためくマリーにも構わず、ウザンヌがその身を再び、マリーの側へぐいっと寄せる。
――そして。
「ふんむっ!?」
そのまま顔を近寄せると、マリーの唇にキスをした。
(……こ、コイツ、何やって……!)
すっかり混乱したマリーの頭の中で、思考が激しく渦を巻く。
だが、ウザンヌの行動はそこで留まらず、吸い付いた唇に、ぺろり、と舌を這わせてきた。
「んちゅ……はぁ……マリー、さぁん……」
鼻にかかったウザンヌの声が、マリーの耳をそっとくすぐる。ウザンヌの舌は熱く火照り、ぴちゃり、ぴちゃりという微かな
水音を立てて、マリーの唇を塗らしていった。
「んっ……はふっ、おっ、おい、あんまり先輩をからかうもんじゃ……うわっ!?」
つつぅ、という光の糸を渡しながらも、何とか唇を引き離したマリーが文句を言おうとした、その時。
ウザンヌはさらに身を乗り出し、マリーにのしかかると、畳の上へと押し倒してしまった。元々体格に優れているわけでもない
マリーであり、ウザンヌに完全に組み敷かれてしまう。
「お、おいコラ、一体どういうつもりなんだい!? 何でこんな事……」
身動きが取れないながらも、なんとかじたばたともがき続けるマリー。
そんなマリーを真上から見下ろしつつ、ウザンヌが、落ち着き払った声で言う。
「別に、深い意味はありませんよ? 私はただ、先輩方にお願いされただけですから」
「お、お願いって……」
そして、天井の照明から落ちた影の中で、ふふっ、といたずらっぽく微笑んだ。
「――マリーさんの、面倒を見るように、ってね」
「こ、こら、どこに手をやってるんだい……!」
着物の懐に、するりと手を差し込まれ、マリーがウザンヌに抗議する。だがその声には、いつもの覇気が微塵も感じられない。
「怖がらないでください、大丈夫……」
「べっ、別に怖がっちゃ……ひゃっ!」
子供をあやすようになだめられた事に、ムキになって反論しようとするマリー。だが、胸元にひたり、と添えられたウザンヌの
手の、ひんやりとした感触に、思わず高い声を上げてしまう。
「どうですか……? 気持ちいいでしょう?」
「あ……んっ、やめっ……!」
すりすりと、ウザンヌがマリーの胸をなで回す。さらには下着の中へと指を差し入れ、さほど盛り上がってもいないその丸みを
手の平ですっぽりと覆ってしまった。
くにくにと揉みほぐされるたび、マリーの胸が形を変える。それと同時にウザンヌは、手の平の中央にほんの少しだけ力を込めて、
二つの小さな突起をつんつんと刺激していった。
「うふっ、マリーさんのおっぱい、可愛いですね……」
くすくすと微笑むウザンヌに、マリーの顔がみるみる真っ赤になっていく。
「くそっ……アンタまで、人の事を子供扱いしやがって……」
「子供……? そんな事ありませんよぉ、だって、ほら……」
すうっ、と、ウザンヌが片手をマリーの胸から引き抜く。そしてその手を、ゆっくりとマリーの着物の帯の結び目へと持って
行くと、器用な手つきで、あっという間にするすると解いてしまった。
「ちょ、ちょっと……!」
「こっちはもう、こんなに……」
露わになってしまったマリーの下半身へと、ウザンヌが手を差し伸べる。
下着越しに、くちゅぅっ、という淫らな音が響き、ウザンヌの指先を透明に汚した。
「……オトナ、ですもんね?」
「あふっ……んっ……どうですか? 気持ちいいですか、マリーさん……?」
にちゃにちゃと、粘り気のある音を立てながら、ウザンヌがマリーの陰唇を弄ぶ。さらには自らも半裸になり、空いた手で
自分の体を慰めながら、マリーに訊ねてきた。
「くぅっ……! ん、んんっ……つ、つまんねー事……!」
聞くなよ、とマリーが言おうとした矢先、つぷり、とウザンヌの指がマリーの中へと挿入された。その爪の先端が、わずかに
マリーの感じる部分をこりっ、と刺激する。
「はぁんっ!」
「んふっ……ココがいいんですか? だったら思いっきり可愛がってあげますね。ほら、ほらぁ……」
二度、三度とウザンヌの指が、マリーの中で往復する。つぷり、つぷぅっと出し入れされる度、マリーの感じる快感は増し、
次第に息が荒くなり出した。
「ああっ、ふぁぁんっ!」
喘ぎ声を上げるマリーを見下ろし、ウザンヌがぞくぞくと身を震わせる。
「マリーさん、ホントに可愛い……。これからもずっと、私が面倒見てあげますからね……?」
そして、再び顔を近づけ、唇を交わらせる。
そんな柔らかな刺激の波に翻弄されながらも、マリーの心の中は、悔しさと情けなさでいっぱいになっていた。
(――くそっ、こんな小娘にまでバカにされて……! あたしゃ一体、どうしたら……)
その時。
マリーの脳裏に、不意に、誰かの声がよみがえって来た。
(――たまには一回くらい、ガツン、と懲らしめてみたら?)
その声が、萎えかかっていたマリーの意志に火を付けた。
(……そうだ、もう、苦手だの何だの、四の五の言ってる場合じゃない……!)
マリーは五体にぐっ、と力を込めると、がっしりとウザンヌの肩に手をかける。
そして、全力をもって、自分の体から突き放した。
「へ? ……きゃあっ!」
突然の反撃にあったウザンヌは、抵抗する暇もなく、畳の上に、仰向けに引っくり返ってしまう。元々乱れていた着物はさらに
はだけ、ほとんど全裸に近い格好になってしまった。
「……いつまでも、調子くれてんじゃないよ……!」
その足元で、マリーがゆらり、と立ち上がる。
その全身から立ち上る、尋常ならざる雰囲気に、ウザンヌが思わずぞくっ、と身をすくめた。
「マ、マリーさん……?」
「あたしの方が、お前より立場は上なんだからな……だから……」
そう言って、傍らの畳に転がっている物を、おもむろに手に取るマリー。
「そ、それ、私の……! まさか……!」
マリーが手に掴んだのは、ウザンヌが楽屋に投げ出していた、マッサージ機だった。
かちん、とスイッチを入れると、その先端がぶるぶるぶる、と激しく痙攣し始める。
その手を大きく振りかぶりながら、マリーは叫んだ。
「――お前の面倒は、あたしが見なきゃなんないんだよ!!」
勢いよく、マリーの手が振り下ろされる。
その手の先のマッサージ機が、ウザンヌの股間へ、ぴったりとあてがわれた。
「あっはぁぁんんっ!」
ぶぶっ、ぶぶぅっ、という小刻みな振動が性器全体に広がり、ウザンヌの体を激しく刺激する。元々、自慰によって
高められていたその性感は、いともたやすくその刺激を快感へと繋げていった。
「ああっ! ダメっ、ダメですぅっ! これっ、気持ちよすぎぃっ!」
体裁を取り繕う余裕もなくなってしまい、辺り構わぬ大声でウザンヌがむせぶ。だが、マリーは全くその責め手を緩めようとは
しなかった。
「ほらっ、ほら、どうだい! ちょっとはあたしを敬う気持ちが出てきたかい!?」
「はぁぁんっ! そんなのぉっ、そんなの分かんないですぅっ!」
甲高い嬌声の合間に、途切れ途切れにウザンヌが答える。
「だったら、体で覚えさせてやるよ! ほら、ほらぁっ!」
マリーがなおも、マッサージ機を強く押し当てる。その一部が、ウザンヌの陰核に、つん、と触れた。
その途端、「あひぃん!」とウザンヌが一際大きく叫び、その身をびくん、と弓なりに反らせる。
「ほらほら、ココがいいんだろ、どうなんだい!」
その反応を見逃さず、マリーが重点的に陰核を攻め立てる。緩急を付けて一定のリズムで刺激するうちに、ウザンヌの呼吸が
はっ、はっ、と早まっていく。
「あっ、はぁっ、マっ、マリー、さぁんっ、私っ、もう……!」
うるうると潤んだ瞳で、ウザンヌがマリーを見上げる。何かを懇願するかのようなその目付きに、マリーは自分の体の芯が、
ぞくり、と震えるのを自覚した。
「何だい、もうイッちまうのかい?」
「はっ、はいぃっ! 私、もうダメですぅっ!」
「全く、こらえ性のない奴だねぇ……いいさ、あたしがきっちり見届けてやるから、派手にイッちまい――なっ!」
その言葉と共に、ぐりん、とマッサージ機が強く押し当てられた。
「はっ、イっ、イくぅぅっ!!」
その瞬間、ウザンヌの全身は電流が駆け抜けたように細かく震え、股間からは、びしゃあっ、と盛大に潮が吹き上げられた。
「はぁっ……はふ……っ」
息も絶え絶えで、ぐったりと、畳に全身を投げ出すウザンヌ。
そんな彼女に、マリーがすっ、と、一枚の手ぬぐいを差し出した。
「マリー……さん?」
「ったく、全身汗まみれで、なんてえザマだい、見ちゃいらんないよ。これでとっとと体を拭きな」
「あ……ありがとう、ございます……」
ようやく息を落ち着けたウザンヌが、渡された手ぬぐいを広げる。
すると。
「え……」
その表面には、絵皿と同じ、黒い大きな耳を持ったネズミの絵柄が縫いこまれていた。
「これ、って……?」
思わず、マリーの方を振り返るウザンヌ。
マリーはそっぽを向いたまま、いくぶん恥ずかしげに顔を赤らめていた。
「……あー、ちょっと前に、差し入れでもらったモンなんだけどさ。あたしにゃあ、自前のがあるから……」
そして、ちょっと口ごもってから、ほとんど投げ出すようにして、ぶっきらぼうに言った。
「……その、何だ、アンタにやるよ。大事にしなくちゃあいけないよ?」
「……!」
見る見るうちに、ウザンヌの表情がぱあっと輝いていく。
「ありがとうございますっ、マリーさん!」
喜びでいっぱいの声色で感謝を伝えつつ、ウザンヌがマリーに抱きついてきた。
「こ、こら、はしゃぐんじゃないよ! 全く、子供みたいな奴だねえ」
「えっへへー、それ、マリーさんには言われたくないでーす♪」
「何だとー!?」と返しながら、マリーが笑う。それにつられて、ウザンヌもさらに笑う。
(――にぎやかな弟子がいるってのも、案外、悪くないもんだねえ――)
二人の大笑いは、いつ果てるともなく、延々と続くのであった。
(……どうする)
(……どうするも何も)
(流されやすいなあ、マリーさん)
――その一方で、すっかり置いてけぼりを食らっている、襖の向こう側の四人。
(まあ、ここはとりあえず……)
物音を立てないよう、一同はそっと楽屋を離れる。
そしてそのまま演芸場の表へ出ると、そろって同じ方角を向いたまま、路上に整列した。
「一同、千葉県へ向かって……!」
丸京の号令で、四人が一斉に深々と頭を垂れる。
「礼!」
「ありがとうございましたー!」
――夕暮れ空の向こうから、『ハハッ』という、甲高い笑い声が聞こえたような気がした。
……さて、そんなこんなで時は夕刻。
楽屋の窓の外――どこの街並みやらわかりかねますが――とにかく、建物の立ち並ぶ合間から、一日の終わりを告げる夕日が
差し込み、仲睦まじく寄り添う二人を、まるで一揃いのさくらんぼのように、真っ赤に照らし出しておりました。
「しかし……何だねえ、あたしゃアンタのことを誤解してたみたいだよ」
しみじみとそう呟くマリーに、ウザンヌが、きょとんと目をしばたたかせます。
「誤解?」
「ああ、まさかアンタが、あたしをそれほど大事に思ってくれてるとは……これからも一つ、よろしく頼むな」
そう言って、にかっと笑いかけるマリーさん。
それを受けてウザンヌも、お天道様のような満面の笑みでもって答えました。
「そんなの、当たり前じゃないですか! だってマリーさんが居てくれないと……」
そこでウザンヌ、自分のカバンから、まっさらの景品交換用シートを取り出して、一言。
「明日っから、くまの●ーさん絵皿のポイントが集められやしませんので」
……おあとがよろしいようで。
149 :
(後書き):2012/10/13(土) 05:35:18.85 ID:3qx3GZAn
150 :
149:2012/10/13(土) 05:36:31.00 ID:3qx3GZAn
大変申し訳ございませんでした。
テンプレの百合板への誘導を見落としておりました。
スレの皆様に迷惑をかけてしまい、本当にすみません。
153 :
名無しさん@ピンキー:2012/10/14(日) 19:56:32.40 ID:jsYHoJ0m
>>149ぱちぱちぱちぱちぱちぱち
ぱちぱちぱちぱちぱちぱち
ぱちぱちぱちぱちぱちぱち(拍手)
カフカ?「嫌だなあ。私が先生の子供を妊娠してないわけがないじゃないですかあ」
望「また急に何を言い出すんですか!」
霧「最終回の流れかと思いきや」
晴美「その実、普段通りの流れの上でだったりして……」
まとい「先生の御子は私が妊娠するのよ……!」
あびる「っていうか可符香ちゃんなら普通にコンドームに切れ目とか入れてそう」
千里「……(ピキピキ」
望「せっかく美しくエンド迎えたんですからその流れ蒸し返すのやめてくださいほんとに!」
156 :
名無しさん@ピンキー:2012/10/16(火) 17:05:30.30 ID:d3SzIAWz
命「望、それで結局、孕ませたのはどの可符香さんなんだい?」
可符香「もちろんまぐわった全員ですよ。part25のリレー大乱交からいい感じに日にちも経ちましたし、みんなだんだんお腹が大きくなってきたんじゃないですか?」
並「お腹がまん丸になっちゃったじゃないですか!もーどうしてくれるんですかー先生!」
望「貴女は腹っていうか全身まん丸じゃないですか!」
並「えー!?だって最近酸っぱいものが食べたいですしー」
望「サムラータンの三杯目を食べながら言わないで下さい」
千里、あびる「奈美ちゃんはそうでしょう」
マリア「ていうかリレー乱交では奈美ちゃんアナル姦だけだったナ」
晴美「子宮でなくても妊娠できます(ふんばっ」
望「あぁ、男が……」
奈美「妊娠してますよ! ほら見てくださいこのお腹!」
千里「まぁ、この時期だからね」
まとい「私は公式で既存事実がありますので」
千里「私は第一巻の時点ですでに事実がありますので」
既成事実って言わない?
既存事実って言い方初めて聞いたわ
あびる「既存の事実だから間違っている感じはしないけど……」
マ太郎「ただの誤字だロ」
普通「まといちゃんはお手付きね」
カエレ「いやあんたが言えることじゃ……」
167 :
名無しさん@ピンキー:2012/12/05(水) 20:55:31.87 ID:BzBxwXHh
突然だか、
久米田殿の次回作はどんな少女が出るのだろうか…?
カフカ生存かつ30X話のハーレムENDとか面白そう
ジュン以来の関西弁少女とか。
170 :
名無しさん@ピンキー:2012/12/29(土) 09:09:00.68 ID:ZAZsXjuY
読み切り結構面白かった
まとめにあった久藤君と大草さんの話がよかった
まとめはたまに読みふけってる
けっこう良作が多いね
173 :
名無しさん@ピンキー:2012/12/30(日) 21:27:03.76 ID:YHF9Dz7K
まとめにあった
絶望戦隊ノゾムンジャーの
続編が読みたい
hosyu
保守
一巻から読み直したけど愛ちゃん可愛すぎて最終回が来たことがいまだに辛い
177 :
名無しさん@ピンキー:2013/01/26(土) 15:34:27.51 ID:BTOAMigi
>>176 俺も…。
久米田殿の最新作で再登場してくれないかな
新作は春ごろ予定だっけか
俺はまといちゃんと霧ちゃんが恋しい 絶望先生はいろんなニーズに応えててヒロインそれぞれに良さがあったのが改めて分かる
全員大好き
我が青春の大草さん 麗しき倫様 そして悩ましきマ太郎・・・
182 :
名無しさん@ピンキー:2013/02/02(土) 22:11:49.24 ID:+8dWt/wS
絶望少女たちよ帰ってきてくれ
彼女たちには帰る場所がある 俺達のいるここじゃない
いいじゃないか見送ろう 彼女たちは先生の胸に背に戻ったんだ その去りゆきし姿に感謝を
そして祈ろう 彼女たちの魂の、安らかならんことを
春を待とう
185 :
名無しさん@ピンキー:2013/02/08(金) 00:01:40.83 ID:PzH7xsxh
名前:零崎 ◆mdzHN7.opY [sage] 投稿日:2013/02/07(木) 20:11:14.91 ID:7vIrTZOZ0 [2/8]
>>262 >そしてなにより可符香は「物事を何事もポジティブにしか取れない少女」を演じているのだから
断じて演じていねえぞ?役不足だ!!!
そんな最初の設定や表面上の肩書きにいつまでテメェらは囚われてんだ???
ポジティブじゃねえだろ?
可符香は無敵で最強ですげえ頭がいいんだよ。腹黒でずる賢いんだよ!!ポジティブ思考で不幸な過去と戦ってるか弱い少女じゃねえんだよカス!!
どう考えても弱者を虐げる強者だろが!!!!!
「物事をポジティブに捉えなければならない少女」?「物事をポジティブに捉えないと生きていけない薄幸の少女」?
大概にしろ!!!そういうテメェ勝手な理想や悲壮感の押し付けを見るたびにに吐き気がする。
エロパロやpixivでそういう趣旨の2次創作を見ると本気で吐き気がする。
そんなにテメェらは可哀想な人間が好きなのかよ?そういう憐みは完全に「見下し」だからな!!
>とりあえず設定上間違いなくポジティブということでいいんじゃないかな?
>遺伝子まで持ち出して久米田はそれを推したのだから
あんな久米田の適当なこじつけを本気にしてんのかよ???マジもんの地沼だな。
普通に保守
>>183 やだやだー、30X話嫌いな俺は彼女達に是非小石川に
戻って来て欲しい・・・せめて俺の嫁だけでも帰ってきて、
先生の事千里やあびるら程好きじゃないんだからさ
最終回がきれいに決まったのはそれはそれで好きなのだが
このスレで以前あった「可符香=売春とか無理やりさせられて辛い過去を送ってきた赤木杏を捨てた少女」説が未だに好きだったりもする
189 :
名無しさん@ピンキー:2013/02/25(月) 17:10:50.08 ID:tdDhU5V4
190 :
名無しさん@ピンキー:2013/02/25(月) 17:12:19.47 ID:tdDhU5V4
エロパロの新作が出るの7ヶ月ぶりって・・・
191 :
名無しさん@ピンキー:2013/03/14(木) 10:26:31.58 ID:jubqEK7S
誰かハーレム妊娠もの書いてくれ・・・
193 :
名無しさん@ピンキー:2013/03/28(木) 09:24:34.31 ID:taEXhXQd
保守
194 :
名無しさん@ピンキー:2013/03/28(木) 22:21:50.02 ID:taEXhXQd
手元にエロなしのがある。
投下していいですか?
やれヤレ破れ殺れ犯っちまえーーーーー!
196 :
名無しさん@ピンキー:2013/03/29(金) 21:53:20.42 ID:0WndzBiW
では投下します。
・エロなし
・木野→加賀メイン。後半加賀さん視点
・キャラの呼び名が一貫してない。
197 :
名無しさん@ピンキー:2013/03/29(金) 21:54:41.38 ID:0WndzBiW
加賀愛は迷っていました。
「いいですか?バケツを持って廊下に立たせるという漫画によく見られる光景は、今は体罰と言って禁止されているのです」
教卓では糸色望先生が水の入ったバケツを二つ持って騒がしい講義をしています。真面目な加賀さんはまともな授業でなくてもちゃんと聞いているのですが、今はそれどころではありません。
(ダメです!今手をあげたら、授業が中断されて皆さんに迷惑をかけてしまいます!)
加賀さんはトイレに行きたいのでしたが、内気な性格と加害妄想から手をあげられずにいました。
「マリア、水こぼさないで回せるヨ」
刻一刻と限界に近付いていきます。しかし、加賀さんの不調に気づく人はいませんでした。加賀さんは窓際の席で、後ろの席はボーっとした大浦さん、隣の席は隠れて漫画を描いている藤吉さん、前の席は隠れてポチポチとメールを打っている芽留ちゃんです。
いいえ、一人いました。加賀さんを一途に想う、斜め後ろの席の木野国矢くんです。
(やっぱり手をあげましょう。高校生にもなって…皆さんにもっと迷惑をかけてしまうよりは)
しかし今度は動けなくなってしまいました。
(ああ、もう・・・)
加賀さんの机の下に落ち、広がる水滴を、木野君は見逃しませんでした。まだ誰も気づいていません。
(だめ・・・!)
「目が回るヨ〜」
「マ太郎、ちょっと貸して!」
バシャ!
木野くんはマリアに駆け寄りバケツを奪い取ると加賀さんにかけました。
198 :
名無しさん@ピンキー:2013/03/29(金) 21:55:25.29 ID:0WndzBiW
「き、木野君…」
びしょぬれになり、助かった、と見上げる加賀さんに、木野君がほほ笑みかけたのもつかの間。
パン!
「加賀さんに何するのよ!」
木野君をひっぱたいたのは千里ちゃんでした。彼は何も言わずうつむいています。
「加賀ちゃん、大丈夫?」
奈美ちゃんが背中をさすってきます。他の女子も一斉に集まってきました。加賀さんの下着が透けて臼井君は喜びましたが、こんな騒ぎの中誰も影の薄い彼のことなど気にかけません。
「加賀さんに謝りなさい!」
「違うんです、木野君は悪くないんです。私が…」
「加賀さんたら…相変わらず加害妄想なんだから。」
加賀さんの言うことを誰も取り合いません。
「違うんです、違うんです…」
ああ、私はなんて臆病なんだろう。真実を言えば木野君は責められないのに・・・。
「やだなあ、木野君が何の理由もなくこんなことするわけないじゃないですかあ。これは洗礼です。そうですよね?」
そう言ったのはポジティブ少女風浦可符香でした。
「皆さん落ち着いて。あなた達、とにかく加賀さんを保健室に連れて行ってあげてください」
「加賀ちゃん、いこ」
「すいません、すいません!」
奈美ちゃんたちは泣きじゃくってあやまる加賀ちゃんを連れて教室を出て行きました。
「一体どうしたんだよ木野、大丈夫か?」
心配そうな青山の横で、お気楽な声を出したのが芳賀でした。
「あれだろ、好きな子いじめってやつか?」
後ろで三珠さんがなぜかうんうんとうなずいています。
「木野君…」
望が話しかけようとしたその時、木野君はダッシュで教室を出て行きました。
「木野君!・・・仕方ないですね。あなた達、掃除をお願いできますか?」
望が加賀ちゃんの机の周りに残っていた女子にお願いすると、千里が講義しました。
「こういうことは木野君がきっちり責任とるべきなんじゃないですか!?」
「まあでも、次の授業が遅れてしまいますし…」
元々お姉さんのおかげもあって掃除に慣れている千里ちゃんです。しょうがない、というふうに委員長ぶり(実際の委員長は臼井君ですが)を発揮して皆に命令しました。
「晴美はバケツ持ってきて、芽留ちゃんは雑巾!ほら大浦さんどいて!」
「ど〜したの〜?あ、なんか濡れてる〜」
「あの騒ぎで気づいてなかったの?ホント、おおらかな子。」
199 :
名無しさん@ピンキー:2013/03/29(金) 21:58:06.98 ID:0WndzBiW
「木野…あの話、覚えてたんだな」
久藤くんも真実に気付いた一人でした。直接見たわけではありませんが、ずっと前木野君にこんな話をしたからです。
『おい久藤!今度こそお前を…』
あの日いつものように突っかかってきた木野君。もう久藤君の物語を聞きたいだけだとしか思えません。
『「恥ずかしがりの女の子」。あるところに…』
久藤くんもいつものように話しだしました。
気弱な女の子の授業中のおもらしをごまかすために水をかけた男の子が退学になってしまう話。木野君はもちろん号泣でした。
『また泣かされたぜちくしょー!』
『やれやれ』
「先生」
「おや、久藤くん」
「木野を裏切るみたいですけど、先生には真実を知ってもらいたいんです。空き教室に来てください」
(まさか・・・告白!?)///
「ちょっと晴美、どこ見てんのよ!」
久藤君の話を聞いた望先生は驚きを隠せませんでした。
「なるほど、そんなことが」
これは先生の声ではありません。先生は振り向きました。やっぱり、常月まといです。
「いたんですか」
「ええ、ずっと。安心してください。加賀さんの秘密は誰にも言いません」
「助かるよ、木野のためにも」
「なんだ、告白じゃなくてがっかり。でも・・・」
「晴美!掃除戻るわよ!」
「そんなことより千里…」
200 :
名無しさん@ピンキー:2013/03/29(金) 21:59:31.09 ID:0WndzBiW
そのころ。
「木野君にも困ったものね」
智恵先生は内心では「あの子には本当のSとは何か教えてあげなくちゃ」と考えています。
「違うんです、すみません、すみません!」
送ってきた奈美たちはとっくに教室に戻っています。今日は体育の時間はないので体操着もありません。びしょぬれで謝り続ける加賀さんを前に途方に暮れているとがらりと保健室の戸が開きました。
「加賀さん、これ!」
木野君が洋服店の袋を差し出してきます。
「加賀さん、さっきはごめん。できるだけ似あうのを選んできたんだ」
「木野君、あの…」
「加賀さん」
いいんだ、何も言わないで。木野君はほほ笑んでいました。
私は本当に臆病ものです。この期に及んで木野君の優しさに甘えてしまって…。
「じゃあ俺、教室戻るから」
お礼も言えず、木野君の去って行った方向を眺めるしかできませんでした。
さて、「似合うのを選んできた」と言っていた木野君でしたが、彼のファッションセンスはたかが知れています。
どんな服であったかはご想像にお任せしますが、その日早退した加賀さんを多くの人が「レディー・ガガだ」と指さして見ていたことだけはお伝えしておきましょう。
うつむき加減で廊下を歩く木野君。途中で望先生に出くわしました。
「あの、先生…」
先生はうなずきました。
「わかっていますよ、私は。あなたがあんなことをした理由を」
「今も、迷っているんです」
自分のしたことが正しかったのか。
「みんなにばれたら、加賀さんはその性格上恥ずかしさと、迷惑をかけてしまったことで二重に苦しむ」
だが彼女は、自分のせいできっと今三重に苦しめられている。そして、自分も迷っている。
「木野君」
望は木野君の肩をそっと抱き寄せました。
「何が正しいのかなんて簡単にわかりません。先生なんて、物心ついてから間違いだらけの人生ですよ・・・それでも、その時の木野君がそうしようと思って行動したのだから、それでいいのではないですか」
「先生」
「掃除終わり…#§&∀∞!」
運とタイミングの悪いことに、掃除を終えた教室を開け、その場面を目撃したのはよりによって藤吉さんでした。
藤吉さんは鼻を手で押さえながら奇声を上げ、「ちょっと晴美!鞄忘れてるわよ!」という千里ちゃんの声も無視して廊下をすっ飛んで行きました。その後しばらく木野君と先生が妄想のネタにされたのは言うまでもありません。
ちなみに教室は掃除している途中で千里ちゃんに火がついたらしく、「大掃除カヨ」というレベルで本格的に磨き上げられ、元の状態よりはるかにピカピカになったとか。
201 :
名無しさん@ピンキー:2013/03/29(金) 22:01:37.55 ID:0WndzBiW
そんなこともありました。恥ずかしい話です。
服代を返し、あれから私は木野君のアプローチを避け続けていました。本当に、最低です。
それでも木野君は私を怒ることはありませんでした。秘密をネタに私を脅すことだって可能だったはずなのに、それをしませんでした。
そのやさしさに最後まで甘えて、ああ、私はどこまで最低なんでしょう。
私は結局、先生と結婚することになりました。女子全員で、です。私たち全員でカフカちゃん、なんですから。
「加賀さん!俺…」
この期に及んで私なんかにプロポーズしてくれる木野君。返事は決まっていました。
「申し訳ありません…」
「いいんだよ。俺、加賀さんが幸せならそれで幸せだから」
どれだけ優しい人なんでしょう、この人は。
「また気に入った服があったら送るよ」
そ、それはちょっと…。
「じゃあ、もう行くから」
贓物島から船がもうすぐ出てしまいます。小さくなっていく木野君の後ろ姿に、私はたまらず土下座しました。
「すみません!すみません!」
「気持ちに応えられなくてすみません!優しさに甘えてしまってすみません!」
「あの時、本当のことを言えなくてすみません…!」
202 :
名無しさん@ピンキー:2013/03/29(金) 22:02:38.23 ID:0WndzBiW
「加賀さん…」
嗚咽する私の肩を抱いたのは常月さんでした。
「あのとき、おもらししたんだったわね」
「え・・・」
「久藤くんが先生に話してるのをストーカーして聞いたのよ。口止めされたけどね」
「私も久藤くんと先生の会話を盗み聞きしちゃった」
途中で強制的に千里に連れ戻されたけどね、と藤吉さんが笑います。
「そんな、それじゃあ先生も…」
「私たちみんな知ってるよ」
驚いたことに、日塔さんもそう言うのです。みんなもうなずきました。
「掃除したのは私たちよ。嗅覚の鋭いマ太郎がいて気づかれないと思う?」
「マリア、口止めにお菓子いっぱいもらったヨ」
「そうそう。木野君には悪いことしたからきっちりお返ししてもらおうとしたんだけど、『女子はひっぱたけない』だって。本当に優しいわね。」
「・・・・」
「代わりにって加賀さんへの告白の練習台になったの。ほぼ全パターンのプロポーズを聞かされたわ。」
木津さんは苦笑します。そんなにも、木野君は私のことを思ってくれていたのでしょうか。そしてみんなは、私のために今まで気づかないふりを――いえ、それはおこがましいことです。皆が気づかないふりをしていたのはおそらく、木野君のため。
私は木野君のために何かをしたのでしょうか。こんなにも想われて、優しくされておきながら――。
「加賀ちゃん」
日塔さんが私の横にしゃがみ、言いました。
「木野君は多分加賀ちゃんに謝ってほしいんじゃなくて、感謝してほしかったんじゃないのかな」
「いいこと言うわね。普通に」
「普通っていうなあ!」
木野君の姿は小さいけど見えている。今ならまだ間に合います。
「行っておいでよ」
それは誰が言ったのか覚えていません。もしかしたら、カフカちゃんだったのかも…。
私はみんなに深々と頭を下げ、駆け出しました。ありがとう、みんな…。
「木野君!」
振り向いた木野君に、私は深々と頭を下げました。
「ありがとう、ありがとう、木野君――!」
「加賀さん」
「ありがとう――」
最後に木野君は笑っていました。船が去った後も、私は頭を下げ続けていました。
ありがとう。
203 :
後書き:2013/03/29(金) 22:03:40.54 ID:0WndzBiW
この話は有名なコピペをヒントに書いたものです。
絶望先生等の二次小説を書いたブログサイトをやっていますが、諸事情がありこの話はブログには載せられず、自己満足ですがここに投下いたしました。
お目汚し失礼しました。読んでくださった方がいらしたらありがとうございます。
久しぶりに覗いたら投下来てたー
木野は報われないけど、余韻がいいですね
そうか加賀ちゃんお礼言ってなかったんだ、と自分もラストで気付かされました
水ぶっかけてごまかす話は
江戸時代まで元ネタを遡れるとか何とか
205 :
197:2013/04/02(火) 08:59:58.96 ID:V8uU9ptj
感想ありがとうございます
エロパロに投下すること自体初めてだったので今でもドキドキしています
206 :
197:2013/04/02(火) 22:04:37.16 ID:V8uU9ptj
今気付いたんですが「知ってるのは木野君だけと本人が思っている」と
最後の千里ちゃんのくだりが思いっきり矛盾してます。
「千里ちゃん以外は」誰も知らないと木野君が思ってる、ということにしておいてください
今まで気づかないとかどれだけあほなんだ私、と思います。すみませんでした。色々悔やまれます。
次の投下に期待しています
207 :
名無しさん@ピンキー:2013/05/19(日) 21:35:20.36 ID:jhB+8yyh
久米田殿の新作出たら、
「久米田康治作品で百合」レス立ててみようかな
210 :
名無しさん@ピンキー:2013/07/11(木) NY:AN:NY.AN ID:F39YceX2
保守
かふかちゃんが違う意味で昇天するSSが見たい・・・
212 :
名無しさん@ピンキー:2013/09/25(水) 20:36:55.79 ID:3Q7Q1ffb
新連載age
せっかち伯爵が連載したのに見向きもされない不思議
まだ連載始まったばかりだからね
話せるような話題がないんでせう
せっかち伯爵はストレートな下ネタ過ぎてエロ妄想の余地がないw
普通人類の性交は上人類にとってものすごいスローセックスになるわけだな
・・・焦らしプレイが捗りそうだ
217 :
名無しさん@ピンキー:2014/02/15(土) 21:07:02.70 ID:wL03RH3i
もうちょっとで話ができそうなんだ
保守
投下します。
絶望先生の丸井さんで何か書けないかと思ってたらなぜかできてしまったものを今発掘。
2のへ女子ズが丸井を襲います。丸井兄×丸井要素もあります。
当然百合要素なので苦手な方は「某ネズミの嫁入り」でNGお願いします。
みんなで先生に嫁入りに行く。
「委員長」千里の提案、いや決定を聞かされた時、皆が首肯した。
ただ一人、某ネズミの会社に訴えられてしまいそうな危うい二つのお団子ヘアーが特徴の少女、出席番号29番、丸井円を除いては。
円曰く、彼女には美大に通うという夢がありそのための勉強もしてきた、ディズニーランドでバイトもしてみたい、先生より同年代のイケメンと結ばれたい、とのこと。確かに彼女はクラスの大半の女子のように元担任の糸色望を
クラスメートたちはこぞって反対した。その中でもクラスの委員長ポジションであり、企画者である木津千里の反対は最も大きかった。
「一人だけ来ないなんて、きっちりしてないわ!許さない!」
千里は円の所属する(仮入部だが)茶道部の部長である。円は千里をかねてから極端に恐れており、頭が上がらなかった。それゆえ円がこの言葉に反発したのは、千里にとって思いがけない事だった。
「いまさら何言ってるんですか部長。私なんて、ずっといてもいなくても同じような扱いだったでしょう」
・OPで一人だけ名前が省かれる
・単行本表紙にも裏表紙にも登場せず
・フルネーム判明後も29集では実質出番なし
・読者のイラストに対しての作者コメント「誰だっけ」
「絶望した!臼井影郎以上の影の薄さに絶望した!」
彼女は実際クラスに馴染めていた方ではなく、友達はいたがその殆どが別のクラスの生徒だった。キャラ付けも薄く、それゆえ出番は女子の中では一番と言っていいほど少ない。フルネームが判明したのも最後であった。その結果が上記の扱いである。
結局自分などいてもいなくても変わらないのだろう、そんなクラスになぜ義理立てしなければいけないのかわからなかった。
「私は先生じゃない人と結婚したいの!」
その途端、皆の目の色が変わった。
「どうする?」
「千里、凶器沙汰は駄目だよ」
「仕方ないわね…。」
「なっ何?」
じりじりと寄ってくるクラスメートたちに円は尻込みした。三珠真夜がマリアに何か耳打ちする。マリアはうなずき、跳躍した。
「スキアリっ」
「あっ」
マリアは自身の運動神経を利用して、取り外し可能である円のお団子を掻っ攫った。
「ま、待って…!」
「今よ!」
クラスメートたちは次々円の体に襲い掛かり、押し倒す。
「な、何するのはなしてっ」
円は抵抗するが、大勢対一人ではかなうわけもない。あの加賀愛までも「すみませんすみません!」と言いながらのしかかってくるのだ。
「丸井ちゃんは先生じゃない人のところにお嫁に行きたいんですか。だったら…」
ぞくりとした。それは聞こえるはずのない、忘れかけていた人の声。
「先生以外にはお嫁にいけない体にしちゃえばいいんですよ」
「ふ、風浦さん、どこに…」
辺りを見回そうとした円の言葉は途切れた。唇が千里のそれによって塞がれたからだ。
「……んむっ!?」
千里の舌が口内を蹂躙し、舌がからめとられる。何とか振りほどこうとするが、大勢で押さえつけられていてかなわない。
初めてのキス。まさか同性に奪われるとは思わなかった。
「…ぷはっ」
唇を離した時、円は涙目になっていた。唾液の橋が二人の唇をつなぐ。
「うなっ!」
円が何か言う暇もなく、千里が円の服を引きちぎった。あっという間に覗いたブラも無残にはぎとられた。
「いやああああああああああああっ」
「すごーい。丸井ちゃんって胸も丸いんだ」
日塔奈美が感想…というか普通に滑った駄洒落を飛ばす。だがそれも無理ない事だった。そこには千里でさえ息をのむほど正確な2つの半球があったのだから。
「見ないでっ、やめてえ…」
クラスメートたちに胸を凝視される屈辱に、円は耐えた。
『半モブのくせしてんな胸してんじゃねーよ』
携帯画面にそんな文章を書いて見せたのは音無芽留。彼女のコンプレックスがそうさせたのだろう。千里も同じ顔をしている。
『だから、こんな胸オレがムチャクチャにする権利がある!』
次の瞬間、芽留はそんなおかしな論理を展開させて円の胸を鷲掴みにした。
「ふぁっ!?」
そのまま芽留が大胆にこね回すたびに、半球が滑らかに形を変える。
「ひゃううううっ、な、何を…」
さらに芽留は右の乳首に吸いついた。初めてとは思えぬ舌使いでそれを舐め、転がし、舌鼓を打つ。その間も芽留の手は左胸をもみ、乳首を弄っていた。
「はぁぁっ、ぁああああんっ」
『いっちょ前に感じてんなよネズミ女』
芽留が携帯画面にそんな文章を書いて見せてくるが、嬌声を上げる円はその意味を理解する余裕もない。目はトロンとして、口元はだらしなく涎が垂れる。
「うわー丸井ちゃんすごく気持ちよさそう」
そんな彼女を見て奈美は率直な感想を漏らした。
「奈美ちゃんもやる?」
「へっ?」
いきなり隣の小節あびるに振られ、奈美は面食らった。
あまり親しくない(ということはお土産を値踏みされたことで立証済みだ)クラスメートの胸を弄るなんて、普通の少女は決して経験しないものだ。
(ん、ということはこれで普通少女脱却ってこと!?)
常日頃から「普通は嫌だ、特別扱いされたい」と思ってきた彼女にとって、これは一世一代のチャンスに思えた。迷わずかがみこむ。芽留は空気を呼んで左胸から手をどけた。
「いただきまーす。はむっ」
「はぁん…いたっ」
悲鳴を上げたのは、奈美が強く歯を立てて左の乳首をかんだからだ。お土産の時の恨みがそこにはあった。
「いたいっ…ひゃ、ぁあん…」
自分の下で乱れる円は、奈美の嗜虐性を煽るには充分であった。
「丸井ちゃん?」
「ひ…とぉさ…助け…あんっ」
「単行本21集読んだんだけど、私へのお土産、値踏みどころかただでついてきたものを渡したんだってね」
「ご、ごめ…」
「許さないから」
「あうっ!」
言い放ってから、もう一度強く歯を立てて噛む。
自分が一方的に円を支配している。その優越感に奈美は酔っていた。
(すごい、私は神様かもしれない!)
「ひぁあああんっ…つっ…ぁああ…」
右胸からは快楽、左胸からは痛みを受け、円は混乱しながらも悶える。だがこれで終わりではなかった。
あびるの手がスカートの中にもぐりこむ。
「やだ、触ってもないのに濡れてる」
あびるによって下着が脱がされ、皆の間で回された。
「やめっ、返し…」
「うわ、ほんとにビショビショ!」
「胸だけでこんなに感じちゃったんだね。いつも一人でやってるの? まったくいやらしい子」
どこかで聞いたような台詞を薄ら笑いと共に吐くのは藤吉晴美。
「もしかして奈美ちゃんに噛まれるのも気持ちよかったとか? 丸井さんはマゾだったのね」
「ちっちが…ひぁっ」
丸裸になった尻に手を回したのは小節あびるだった。途端につまらなそうに言う。
「丸井さんにはネズミのしっぽが生えてるかもしれないと思ったのに」
「生えてるわけないで、しょっ…んぁっ」
断続的に与えられる苦痛と快楽。円の秘部からはなおも液が溢れる。
「じゃあ私が舐めるね」
あびるの長い舌が割れ目をなぞる。
「ひゃううっ」
「ずるーい、マリアも舐めたい」
「駄目、順番」
「あ、じゃあ乳首代わってあげる」
「私たちおもちゃ持ってるから」
円には今や、どれがどの少女の台詞なのかわからなかった。
視界がぼやける。目に映る、自分を襲う少女たちがだんだん同じ背格好、同じ髪形、同じ声を持つあの人物に似てくる…。
「やだなあ、いらない子なんかいるわけないじゃないですかあ」
「ふぁっ」
言いながら、クリトリスを甘噛みする。
「一見目立たなくても、実は役に立っていたなんてこと、いっぱいあります」
「ぁんっ」
言いながら、乳首を転がす。
「私たちへ組の仲間じゃないですか。私たちがそろってこそ、『風浦カフカ』なんです」
言いながら、性器に指を突っ込んだ。
「ひぁあああっ…」
深く差し込んだ指が、唐突にぴたりと止まる。
「あれ、丸井ちゃんもしかして初めてじゃない?」
「う…」
「もう彼氏がいたなんて。木野君?久藤君?面食いの丸井ちゃんのことだからさぞかしイケメンなんだろうなあ」
「うう…」
「…もしかして言えない相手?道ならぬ恋というのも…」
「うっうわああああああああああああんっ」
円は大声で泣き出した。
思い出してしまったのだ。自殺未遂の理由を。
もう何年前になるだろうか。「未来ニート」兄の部屋を訪れ彼を詰った時、激高した兄に押し倒され、破られた。
二次元にしか興味なかったはずの兄が、しかも実の妹に対して、こんなことをするなど思いもよらなかったのだ。ただ、「親がお前ばかり贔屓するから…お前のせいで…」という兄の言葉は覚えている。
自殺未遂から一命をとりとめて、いろいろあって2のへに編入。以来その記憶を封じ込め、何事もなかったかのように学校生活を送った。
あれから捕まることもなく相変わらずのニート生活を送る兄だが、二度と妹を襲うことはなかった。
さすがに罪悪感を覚えているのかもしれないが、あれ以来円の身に着けた「未来泥棒」と呼ばれるほどの運の良さも役に立っているのかもしれない。
入学時から身に着けていれば、千里のいる茶道部に仮入部することなんかなかった。
「辛かったのですね…」
誰かに身を預け、子供のように泣く円。その背中を撫でながら、誰かもわからない少女は優しく慰める。
「わすれて、たんです。わ、わたし、けがれてっ…も、もうおよめにっ…」
「やだなあそんなわけないじゃないですか。先生なら、どんな体だってお嫁さんにもらってくれます」
見上げるとそれは、確かに風浦カフカの顔だった。自身を見つめる母のようなまなざし。
「未来泥棒」の自分が避けられずここに来てしまったのは、運命なのだろう。
円はゆっくりとうなずき、目を閉じた。
「おめでとうございます…17人目のお嫁さん」
終わり
ちなみにこれのひとつ前の加賀ちゃんの話を書いた者です。
あれから一年近く経って新連載も始まっているのに、一つも投下されていないことに絶望した。
(って自分も新連載の話書けないけど)
お目汚し失礼しました。
それと自分は保管庫にある木野君が奈美で告白練習する話が好きです。
224 :
名無しさん@ピンキー:2014/02/21(金) 19:54:12.19 ID:JjB3uoWX
お疲れ
おつおつ
それぞれのキャラが活き活きしてる分、ラストにみんなカフカちゃんになる様にいろんな意味でゾクゾクきました!
カフカまみれな円が目に浮かんだ!!
>>223氏乙です!
もう一個発掘したので打ち捨てときます
望×あびる
228 :
傷跡:2014/04/10(木) 14:15:51.24 ID:pqkYdKsr
動物たちが好きだ。
彼らと触れ合うのが好きだ。
好きなことをしているのだから、その代償など厭わない。
だけど周りはそれを許さない。
「あびる、動物園のバイトはもうそろそろやめたらどうだ?女の子がこんなに体に傷をつけて、お嫁に行けなくなったらどうする」
そうお父さんに言われるのは何度目だろうか。昨夜も一緒にお風呂に入っているときに大喧嘩になり、ついまたお父さんを殴ってしまった。反省しないと。
わかっている。お父さんも心配なんだって。いまだに時々一緒にお風呂に入って、そのたびに傷を増やしてゆく娘の体を見ているのだから、なおさらのこと。
「あびるちゃん、漫画読んでるの?」
奈美ちゃんが興味津々に覗いてくる。
「藤吉さんから借りたの?」
「ううん、家から持ってきた」
彼女から借りたのなら十中八九少年漫画かBL漫画になるだろうが、生憎私が持っているのは少女漫画だ。
「どんな話?面白い?」
「まあね。ヒロインは火事で体に火傷を負って、それをずっとコンプレックスに思ってたんだけど、それをヒーローは『綺麗だ』って言ってくれるの」
そう、今の私には他人事とは思えなかった。傷を含めて、ありのままの私を受け止めてくれる人が現れることをずっと前から夢見ていた。もっとも傷ついた経緯がヒロインと私では違うのだけど。
「へえ、ロマンチック。でも意外だな。あびるちゃんみたいにクールな子が少女漫画好きだったなんて」
屈託なく笑う奈美ちゃんは、「あ、でもしっぽ好きのほうがよっぽど意外か」と付け加えた。なぜ誰もしっぽの良さに気付かないんだろう。あんな可愛らしい器官、人間にないのは凄く勿体ないのに。
229 :
傷跡:2014/04/10(木) 14:20:37.35 ID:pqkYdKsr
「カフカさん、カフカさん」
呼ばれて気づく、目の前には糸色先生。私たちは生まれたままの姿で布団の中。
そうか、今日は私の番で、私達褥を共にしている最中だったんだ。
「なんですか先生?」
私の口から発せられる声は、自分のモノとは思えないほど高く朗らかだ。
「言わせるんですか?まったく…あなたが、しごいてください」
「はい、先生」
朗らかな声が答え、私は言うとおりにする。
「綺麗ですよ、カフカさん」
先生は私に語りかけ、私の体中撫でる。傷跡など全く気にせずに。感じるたび私は細い声を上げた。
私の目を覗き込み先生は言う。
「その瞳、角膜…とても綺麗な色です」
ああ、とため息をつきたくなった。
角膜を褒められるのが嫌いなわけじゃない。このオッドアイだって、包帯で隠していた私のコンプレックスだった。それにこの角膜は私の命を救ってくれ、私を轢いた犯人を見つけてくれたものだ。感謝している。
だがこうも思うのだ。先生は私を通して「あの子」を愛でているだけなのだと。
お嫁には行けた。かねてからの想い人、先生は優しく抱いてくれる。十分幸せなはず。なのに、先生は「ありのままの私を受け止め」てくれるどころか、見ようとすらしない。私の傷なんて、どうでもいい。
わかっていたはずだ。ずっと…。
「うっ…イキます、中に出しますよ、カフカさん」
私の体も熱い。先生のモノが私の中をかき回す。イク前にと、私は先生を抱きしめ、言った。
「先生…ぁあんっ…角膜だけじゃいやですっ…」
「か…カフカさん?」
「はぁんっ…傷跡…んっ…傷跡綺麗って言ってください…!」
ここでの生活で、もうずいぶん動物たちと触れ合っていないため、包帯も取れ、傷もだいぶ治りかけていた。
このまま完全に治ってしまう前に、かつて私が少女漫画を通してみた夢を訴えかける。
先生は優しく笑い、うっすら残る傷跡を撫でながら囁いた。
「綺麗ですよ…その傷跡」
その瞬間、私の体はびくりと大きく跳ねた。中に熱い液がぶちまけられる。余韻に震えながら私は大きな多幸感を味わっていた。
この島に来てから私は何度となく先生と体を重ね、何度となくイったが、これほどまで幸せな絶頂はなかった。
ああ…叶った。それがたとえ先生の本心ではなかったとしても。一瞬だけでも「彼女」ではない私を見てくれた。
「中に、いっぱい出してしまいましたね。また子供ができてしまうのでしょうか…」
「きっと可愛い赤ちゃんができますよ」
私とも「彼女」ともつかない声が答える。
「先生、愛してます」
「私も愛してますよ。カフカさん」
唇を重ねながら考える。私以外のみんなはこうしたことに――先生が愛しているのは私達でないことに、悲しんだり不満を持ったりしないのだろうか。思っても黙っているのだろうか。まといちゃんは?霧ちゃんは?千里ちゃんは?奈美ちゃんは?加賀ちゃんは?
ああ、隣の部屋で泣き声が聞こえる。のぞむが愚図ったのだろうか。
「やっぱりあなたの瞳は綺麗です」
先生の言葉に今度は反発を覚えず、純粋にうれしかった。
傷跡も消え、動物とも触れ合わなくなり、尻尾にさえだんだん興味をなくし、これから私は名実ともにカフカちゃんに近くなる。そうすれば苦しむことなんてない。
だけどせめて、「傷跡が綺麗」そう言われた時の嬉しさはずっと覚えておこう。それくらいは許されるよね、カフカちゃん?
end
乙しこりん
231 :
名無しさん@ピンキー:2014/05/22(木) 20:58:12.03 ID:HKWYDF+Y
まといとあびると倫の3人と3日3晩くんずほぐれつしたい
ぼくは愛ちゃんと霧ちゃんとキタ姉
大草さんは俺が幸せにしてやる
ナーミンは俺がもらいますね