【改蔵】久米田康司エロパロ総合 Part3【南国】

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1名無しさん@ピンキー
「かってに改蔵」「行け!南国アイスホッケー部」ほか久米田康司作品のSSスレです。
もちろん「育ってダーリン」「太陽の戦士ポカポカ」「ルートパラダイス」も歓迎。

*前スレ*
かってに改蔵 Part2 【久米田康治総合】
http://idol.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1083582503/


*これまでに投下されたSSの保管場所*
2chエロパロ板SS保管庫
http://sslibrary.gozaru.jp/
*あぷろだ(SS保管庫付属)*
http://www.degitalscope.com/~mbspro/userfiles_res/sslibrary/index.html
2初代スレ396:05/01/10 10:11:03 ID:TJbGgh+a
自演で>>1
即死回避を兼ねてSS投下します。舞台は南国アイス8巻から「雪の女王」後日談。

のっけから主要キャラがほとんど出ていない作品です。ご注意下さい。
3氷の微笑 1:05/01/10 10:12:42 ID:TJbGgh+a
俺の名前は島山朋《モエ》。女みたいな名前だがれっきとした男だ。
面構えはまあまあの部類かな。
身体が細いせいか弱そうに見えるが、これでも空手三段の実力者だ。
杉山豪一みたいな力だけが取り得の野郎だったら簡単に捻じ伏せてやるぜ。
――自己紹介はこのくらいで止めておこう。本筋ともあまり関係のない話だし。

俺はとあるスキー場から見てさらに山奥、山頂付近の広大な屋敷にいた。
いや――
規模を考えると、屋敷と云うよりは宮殿と云った方が正確だろうか。
敷地には○京マリンくらいのドデカいプールが備えられ、椰子の木が整然と植えられている。
そのど真ん中に立てられたトルコ帝国の宮殿みたいな建物に、俺は滞在していた。
――え、俺が作り話をしてる? 何でだよ。
スキー場が開設できるような雪山の頂上に、椰子の木が生えてる訳ないって?
そう思うのも無理はない。まるでマンガみたいな設定だろうからな。
だけどこの程度の話が信じられないんなら、こっから先の話を聞く必要はない。
俺はもっと信じられないような出来事を語る事になるだろうから。
それはマンガじゃない、現実にあった話なんだ――

カラカラ帝が作ったかと思うほど豪華で広い浴場で俺はシャワーを浴びる。
ライオンの口から湯が出ていて、それが鍾乳洞みたいな段状の湯船に注ぎ込まれている。
どうでもいいが、あれがゲロ吐いてるみたいに見えるのは俺だけか?
リッチな光景を台無しにする下品な事を考えながら、俺は視線を下の方にやる。
空手で鍛えた身体の下に、その塊はあった。

――氷
4氷の微笑 2:05/01/10 10:13:15 ID:TJbGgh+a
俺自身はもう見慣れてしまったが、見る者が見ればそれは異様な光景に映ったことだろう。
スキー客だった俺がたまたまこの宮殿に滞在した際、俺のチン――失礼、もといナニは
ここの主こと雪の女王によって氷漬けの呪いを受けてしまった。
しかも萎えた状態でだ。これじゃ彼女も出来やしない。
熱い湯が直接かかっているにも関わらず、この氷は一向に解けなかった。本来驚くべき事ではあるが、
俺は何の感慨もなしにそれを眺めていた。氷を解かそうと、それまでに色々な方法を試して来たのだ。
全部徒労に終わったけどな。
呪いを受けたのは俺だけじゃなかった。
女王様の怒りに触れ、多くの男がチ――またやっちまった失礼、ナニを氷付けにされ、
宮殿の地下にある牢獄へと幽閉されていたのだ。
そこで出会った勇者と一緒に脱走して色々あった訳だが、詳しい話は省略させて貰いたい。
寒い話はもう"こおりごおり"だからな。

結局俺達の努力の甲斐あって女王様は改心し、呪いを受けた連中の呪いは解けた。
あの勇者も、今頃はポニテの彼女とよろしくやってるんだろう。俺好みじゃなかったけど、
中々可愛い娘だったし。あの娘気が強そうだから、勇者の奴は尻に敷かれてるかもな。
俺はふと氷付けにされていた彼のナニを思い出して、彼の通り名を考える。
――勇者タートル
俺は自分の寒い思い付きに吹き出し、すぐに愕然となった。
これでは杉山の奴を馬鹿に出来ないじゃねえか。
あの野郎でかい図体してながら、ギャグのセンスはひ弱なネクラ四天王と同じだったっけ。
今の俺はそのレベルまでズレてるって訳か。
シャワーの栓を捻って湯を止める。
大理石の床を通って脱衣所に向かい、バスタオルを頭から被る。
髪をに続いて全身の水気を拭き取るとドライヤーを手にする。髪はパンクスの命だ。
髪の乾燥は自然まかせだなんて、髪が痛む上にハゲの遠因となるので絶対出来ない。
入念に髪を乾かすと、準備そろそろOK。バスローブを羽織って、景観の良い中庭を横目に
長い回廊を歩く。
目指すは、女王の待つ玉座の間――
今から俺は彼女の手で、氷漬けにされたナニの呪いを解いてもらうのだ。
5氷の微笑 3:05/01/10 10:13:47 ID:TJbGgh+a
階段を上って天守閣の真下に位置するその部屋の前に俺が辿り着くと、
上半分がアーチ状となった城門のような重い扉が勝手に開いた。
俺は部屋へ一歩踏み込み、その異様な光景に目を見張る。
豪華な調度品の数々が目に入る。ソファより座り心地の悪そうな玉座、天井付きの
キングサイズベッド、これらは以前と変わらない。だが部屋の壁を見渡すと一面に
――ミドリガメ
――象
大小あわせて数百枚もの写真やらポスターやらが貼り付けられていた。写真の中の
亀や象が俺を凝視してるみたいで、正直気持ち悪い。
「天井にもかよ」
上を仰ぎながら呟いていると、低く掠れた女の声がベッドから聞こえた。
「いらっしゃい」
俺は視線を豪華なベッドに戻す。下着も付けずにシースルーのガウンを羽織った髪の長い女が一人。
目鼻立ちの整った南方系の顔に、全身ムラなく日に焼けたコパトーンの肌。
シーツの上で横たわり、肘枕をしながら部屋の入り口に恥ずかしそうな視線を送っている。
この女が雪の女王様だ。
名前を解凍雪と云う。
思いっきりトロピカルな印象を受けるが、俺たちが云う処の雪女って奴だ。
「何でこんなに一杯写真貼ってるんだよ?」
相手は女王様にも関わらず、俺はタメ口で彼女に問いかけた。
女王様は俺の言葉遣いを一向に気にしない。以前だったら「無礼者」とか云われてナニどころか
全身氷漬けにされてた所だが、大分心を許してくれているみたいだ。女王様は少女のように
はにかみながら、俺の質問に答えた。
「ラッキーとタートルに見守ってもらうのよ、私が男嫌いを治す所を」

――えーと。
電波な台詞が出て来たので少し補足しよう。雪の女王様は男嫌いだった。
その理由は男を見ると、幼い頃飼っていたペットとの悲しい別離を思い出すからだそうだ。
ラッキーとタートルって云うのは、ペットだった象とミドリガメの名前である。
何で男を見ると象とミドリガメを思い出すのかって? そりゃ自分で考えろよ。
6氷の微笑 4:05/01/10 10:14:23 ID:TJbGgh+a
とにかく。
女王様は男と付き合う事を決意した。男嫌いを治すついでに、子孫を残す上で必要な
お婿さんをゲットしてしまおうと云う魂胆らしい。
その相手として俺が指名された。俺の呪いだけが解けなかったのは、女王様が指名した
お婿さん候補だったからかも知れないと後に本人から訊いた。
それから始まった二人の関係は、それはもう高校生か中学生くらいにプラトニックなモンだった。
別に俺が奥手だった訳ではなく、ナニがナニだけに肉体関係の持ちようがなかったのだ。
さっき云った事と内容が重なるが、女王様は俺の呪いだけは解かなかった。男嫌いを治す為に
付き合うといっても、いきなり身体の関係を迫られたら怖いのだと彼女は云った。
それだけではなく、俺が呪いだけ解いて貰って逃げ出しても困る、というのが彼女の言い分らしい。
確かに呪いさえ解ければ、俺はこの宮殿に用はなかった。キレイなねーちゃんとお付き合いが
出来るのは嬉しいが、だからと云ってこんな山奥で仙人みたいな暮らしを送るのは御免蒙りたい。
俺はパンクスに生きるのだ。そして女の子にもモテたいのだ。ナニが氷漬けのままだと、
そんなささやかな俺の願いも叶わない。
かくして俺は三ヶ月もこの宮殿に滞在して、交換日記やらデートやら矢鱈甘酸っぱい事を
やっていた。女王様はその度に、子供に戻ったように喜んで見せた。
だがそれも今日で終わる。ナニの呪いを解いて貰って。

「ちょっと、何あさっての方を見てぼーっとしてるのよ?」
雪女王様の不機嫌な声で、俺は我を取り戻した。女王様はシーツの上で横座りしながら
俺を睨んでいる。
「もう、女が呼んでるのに来ないなんて」
「ああそうだった。女王様――」
呼び掛けて、俺はすぐにしまったと内心舌打ちした。俺達は一応恋人という事になっている。
それが「女王様」なんてよそよそしく呼んでしまったら、せっかく三ヶ月も掛けて築いた
関係が台無しになってしまう。
ヤバい、釣り上がった女王様の目に涙が溜まっている。彼女の怒りを買えば、ナニどころか
全身氷漬けにされちまう――
「――雪」
女王様はほんの少し、気分を召されたらしい。氷漬けは寸での処で免れたようだ。
7氷の微笑 5:05/01/10 10:14:56 ID:TJbGgh+a
俺は彼女の機嫌が損なわれなかった事に胸を撫で下ろしてベッドに歩み寄る。
端に腰掛けたが、ベッドのスプリングが押し返して来て座り心地としてはあまり宜しくない。
女王様――雪が俺の後ろから、腕を俺の胸元に回して抱き付いて来た。
薄手のガウン越しに、俺の背中へと豊かな胸が押し当てられる。
「ってか大丈夫なのか? 男嫌いだって云ってたじゃないか」
「それだってもう三ヶ月も前の話よ」
女王様は俺の耳元へと息を吹きかけるようにそう云った。
「男の人と付き合うって決めたんだもの。それにこんなスキンシップ自体は初めてじゃないし」
「女の子とかい?」
少し身震いをしながら俺は返した。
以前の女王様は男嫌いだったので、女の子とべったりしていたのだった。ポニテの娘は
イヤがっていたし、魔物使いの堀井優子に至っては、愛(レズ)を受け入れなかったばっけりに
男だらけの地下牢――といっても貞操は保障されていた――に放り込まれる始末だった。
全くもって迷惑な話だ。ただし。
これから始まる夜を過ごそうと、雪女王様は俺に頬擦りしている。彼女は男そのものが
生理的に嫌だという訳ではなさそうだ。その点は救いとなりそうだが。
「ええ。それにしてもこうやってると、つくづく男の人って女の子と違うな、って実感できるし」
どう違うんだと俺は訊ねる。彼女は掌を俺の胸板に滑らせながら答える。
「やっぱり女の子と違ってなんか全体的にがっしりしてる。それにこうしてるだけで何か幸せ」
俺はちっとも幸せじゃない、そう叫びたくなる気持ちをじっと堪える。
キレイなねーちゃんと個人的なスキンシップが出来るのは、ある意味願ったり叶ったりだ。
けど俺の股間はカチンコチンの氷漬けにされている。固い氷の下のナニは、どれだけ俺が
興奮しようとぴくりとも反応しない。美味しい場面に遭遇しながら、肝心のモノが使えない
状況というのは男として結構寒いものだと俺は思う。
性欲がない訳じゃない。けどムラムラ来てもナニが固くならない以上、自分で処理する事も
スノーマペット南国2号のお世話になる事も出来ねえ。
8氷の微笑 6:05/01/10 10:15:53 ID:TJbGgh+a
気が付くと、雪女王様の顔が俺に迫っていた。彼女は後ろから俺を愛撫するのを止めて、
俺の正面に座り直していた。
ガウンの胸元がはだけ、柔らかそうな小麦色の乳房が露になっている。ガウン越しに
つんと勃った乳首や下腹部の茂みまで見える。それでも氷漬けにされた俺のナニは
ぴくりとも反応しない。
雪の女王様は真っ直ぐに、俺を見ている。心配そうな目をしながら彼女はは云った。
「どうしたの朋?何だか怖い顔してるわよ」
「いや、その――」
云って俺は視線を自分の股間に移す。短いガウンの裾から姿を覗かせている、
氷漬けのソレが目に入った。
「ああ、あなたのラッキー君ね。もう呪いが解けてもおかしくないと思うんだけど」
女王様はそう云うと、困惑の溜息を吐いた。結構艶かしい表情だ。
人のナニを象に喩えるのは止めて欲しいんだが、この際呼び方はどうでも良い。
それよりも俺は、彼女が云った『解けてもおかしくない』という部分に引っ掛かりを覚えた。
「もしかして自然に解ける物なのかコレ?」
「そう。あなたが私の事を女として見てくれたら、その――中から――」
「早い話が、勃ったらOKって事なんだな?」
女王様の顔が真っ赤に染まった。俺から視線を逸らし、シーツの上を見ながら彼女は云う。
「もう!平気な顔して恥ずかしい事云わないでよ!」
人のナニを『ラッキー君』呼ばわりする事は恥ずかしくないのかよ、などとは突っ込まない。
雰囲気が壊れるからだ。
それよりも俺には、彼女の妖艶な容姿と初々しい反応のギャップが面白かった。
シーツの上に指を這わせたり、顔を覆ったりして一通り恥ずかしがった後、雪女王様は
ぽつりと云った。なんだか沈んだ声だ。
「つまり氷が割れないって事は――」
彼女は一瞬言葉に詰まる。頭を垂れ、震えるような声で女王様は云った。
「私は、女として魅力がないって事なのね」
声だけではなく、肩まで震わせている。
「ごめんねラッキー、――ごめんねタートル。私の男嫌い、やっぱり治らないのかな」
そんな事ある訳ねーだろ、と俺は素早く返した。
9氷の微笑 7:05/01/10 10:16:24 ID:TJbGgh+a
俺は雪女王様の肩を抱き寄せた。彼女に口付けて離れると、これ以上ないって位に真剣に云う。
「勃たないのは君のせいじゃない!君はものすごく可愛いし色っぽい!」
「うそ!」
「嘘なもんか! あそこにいるラッキー君とタートル君に懸けて誓う――」
俺は壁一面に貼られた写真やポスターの群れを指差した。そして
「アウッ!!」
すぐに目を瞑って顔を手で覆い、壁から首を逸らす。
何百もの視線が気持ち悪くて、写真を正視できなかった。
咄嗟に目に付いた物に懸けて誓いを立てるのは今度から止した方がいい。
だが女王様は、俺の態度を嘘つきのそれだと解釈したらしい。目に涙を溜め、怒りと
云うよりはヒステリックな口調で喚く。
「やっぱり嘘なんだ!私なんかその辺に立っているお地蔵さんとおんなじなんだ!」
「だから違うって云ってるだろ! いつもならとっくに勃ってるんだよ!」
「じゃあどうしてよ!」
「俺は勃ちにくいんだ!」

彼女が女としての自信を失くしかけていたからって、思わず恥ずかしい事を口走ってしまった。
途端に女王様は怒気を失い、目を丸くしてきょとんと俺を見て云う。
「勃ちにくいって――本当?」
「ああ――」
女王様から目を逸らして壁をいるのは、嘘をついているからじゃなくて単純に恥ずかしいだけだ。
だからっていつまでも写真の亀や象と睨めっこをするのも気分が悪い。
「だからもっと直に強い刺激が加わればいいんだが」
強い刺激、と俺の言葉を反芻して、女王様はふーむと唸った。彼女の様子を見守っていると、
すぐに何かを思い付いたらしく彼女は晴れやかな笑顔で俺に云う。
「私に任せて」
多分今度は俺の方がきょとんとした顔をしていたろう。彼女は俺から身を離し、
俺の股間をしげしげと眺めながら云った。
「待っててね、ラッキー君。今氷から解放してあげるから」
10氷の微笑 8:05/01/10 10:16:55 ID:TJbGgh+a
「ちょっと何をする気なんだ雪?」
彼女は俺の顔を見上げて、自分に任せろといった笑顔を俺に向けた。
「私に任せてって云ったでしょ。絶対大丈夫だから」
雪女王様の言葉と共に、細い指がすぅと氷に向かって伸びた。

俺は女が正常位でされるように、仰向けに寝て足を開き、膝を立てていた。自分じゃ
間抜けな格好だとは思うが仕方ない。天井にも貼られた無数の写真を見たくなかったので、
俺は首を曲げ、自分の股間の方向に目をやった。
女王様の細い指が、氷塊の表面をなぞっている。
人差し指が、中指が薬指が表を。
親指がその裏を。
ソルトレークのフィギュアスケート優勝者みたいに、華麗に滑り。
離れて、優しく着地する。
こうやって表現すると結構詩的だが、しかし氷の下には――俺の萎えたナニが眠っている。
馬鹿馬鹿しい事この上ない光景だ。それでも笑うわけには行かない。
女王様の眼差しはこの上なく真剣だった。彼女は彼女なりに一生懸命なのだ。
時に優しく、時に激しく。
指の腹で、指先で。だが――
分厚い氷越しでは、女王様が与えようとしている刺激がナニまで伝わらない。
欲情していない訳ではない。キレイなお姉さんが一生懸命になっている姿には
確かにそそる物はある。あるのだが、直接的な刺激が伝わらない以上
残念ながら俺のナニは反応しない。
「おっかしいわね。こうすれば男の人は反応すると思ったんだけど」
女王様はそう云って、俺の氷を両掌で包むように挟んだ。おいおい何をする気だよ。
「えい――えいえいえい」
女王様は俺のナニを、原始人が火起こしをするような要領で捻った。
11氷の微笑 9:05/01/10 10:17:27 ID:TJbGgh+a
「いででででで!何するんだよオイ!」
ナニの根元に千切れるかと思うような激痛が走り、俺は腰の力で飛び上がった。
「え、気持ちよくなかったのコレ?」
女王様は手を止めて無邪気な顔で俺に聞いた。罪がない分始末が悪い。
「いい訳ないだろうが。あのな雪、確かに強い刺激って俺は云ったよ。
けど今のは強すぎた。痛いだけで全然気持ちよくならないよ」
俺は呆れ気味に云った。
「そうなの?男のラッキー君って扱いが難しいのね」
「そうだよ」
俺が云うと雪女王様は、納得の行かぬ表情を浮かべて自分の顎を指で触った。
「ならもう一つの方法があったはず。今からそれを試してみから、もう少し足開いてくれる?」
彼女に云われるままに、俺はオムツを換えられる介護老人みたいに足を開く。
畜生、これじゃケツの穴まで丸見えじゃねぇか。間抜けを通り越して腹立たしささえ
覚えた。雪女王様の顔が嬉しそうなのが、余計に腹立たしい。
彼女は氷塊に口を近付けて云う。
「あなた初めてするネコみたいな顔してるわよ」
「うるせー、猫に知り合いはいないぞ」
「じゃなくて、女同士で楽しむ時には受け役をネコってゆーの。知らないの?」
知らねーよ、と俺がぶっきらぼうに答えた時には、彼女はもう氷の塊に口付けていた。

ちゅぱ、ちゅぷと淫猥な音を立てて、雪女王様が氷を舐る。
氷の表面に舌を這わせ、吸い付いた唇が撫でる。
幼子が飴を舐るように。
彼女の顔にはえらく妖艶な赤みが差し、口は蠢き続ける。
12氷の微笑 10:05/01/10 10:17:59 ID:TJbGgh+a
こう表すと蠱惑的だが、しかし彼女が舐めている氷の下には――
やはり俺の萎えたナニ。
奇妙極まりない光景だった。女王様は氷塊を舐りながら云う。
「ほーりほあひはふふ」
「スマン舐めるか喋るかどっちかにしてくれ」
ちゅぽんと音を立て、女王様の唇は惜しそうに氷塊から離れた。
「氷の味がする、って云ったのよ」
そりゃそうだろう、氷なんだから。
塩だったら塩の味がするし、小麦粉だったら小麦粉の味って云ってた所だろう。
雪女王様は猫のチャ○ランみたいな目で、仰向けになった俺を見下ろした。
「ヘンな味がするかと思って、覚悟を決めてたんだけど」
「ところでさ雪」
何、と首を傾げた雪女王様に俺は云う。
「アンタ男と付き合った事はないって云ってたよな。なのに何でソレの舐め方とか
ナニがヘンな味だって知ってるんだよ」
「幾ら何でもこの年齢でしょ、それに雑誌。週刊誌とかによく特集が載ってたりするわ」
「へー、あれってTONY・TAWARA特集しかやらないと思ってたよ」
そうは云っても彼女の話は納得の行くものだった。
確かに少し前の少女マンガでは乳首を描いたら売れたそうだから、読者の年齢層が
それよりも高い女性週刊誌の中身なら推して知るべしという訳か。
雪女王様は必要な知識をそこから得たと云った。なるほど彼女は耳年増って奴なのだな。
彼女の歳を考えると『耳年増』という云い方にも違和感を覚えるが。

否もうそんな女性週刊誌だの耳年増だのと云った類の物事などどうでも良い。
肝心なのは俺のナニを封印する氷が一向に解ける気配を見せない事だった。
熱湯を掛けても焼き鏝を当ててもダメ、況や手コキフェラも効果がない。
どれ一つ俺の凍て付いた心(そしてナニ)を解かしてはくれなかった。
それもこれも全て――
「お前の所為だろうが!!」
俺は自棄になってつい怒鳴ってしまった。
13氷の微笑 11:05/01/10 10:18:30 ID:TJbGgh+a
一度怒鳴ってしまえば、堰を切ったように雪女王様に対する昂ぶった感情が溢れて来る。
感情にそのまま流されて、俺は怒鳴り続ける。
「お前のせいで俺は一生不能だ!俺はもうぶっこくのも南国二号のお世話になるのも、
ましてや女とまともに付き合う事ももう無いんだ!」
吐き出してしまってから、俺は猛烈な後悔に襲われた。
俺を見上げる雪女王様の目に涙が溜まっているのを見てしまったのだ。
「そう――よね」
泣き笑いのような表情で雪は呟いた。
「私があなたのラッキー君を凍らせたのよね」
少し上ずった声でそう云い、雪は目線をシーツの上に落とす。長い髪に隠れて
顔は見えなかったが、雪の肩は小刻みに震えていた。
胸に小さな痛みを覚える。
何で俺が泣きそうにならなきゃいけないんだろう。そもそも彼女は俺のナニを
氷漬けにした張本人じゃないか。どれ程頑張っている姿を見せた所で、
俺が苦悶の日々を送った数ヶ月間の時間は戻らない。
その間にあんな子供みたいなデートなんかで喜んでくれた位で、好きだと云って
くれた位で、少し氷の呪いを解こうと俺のナニを触ったり舐めたりした位で――
雪女王様に対するそんな反発心を覚えながら、しかしなぜか年甲斐もなくはにかんだ
彼女の笑顔ばかり思い出してしまう。
気付いた時には俺は、彼女の肩を自分へと強く引き寄せてあやすように撫でていた。
14氷の微笑 12:05/01/10 10:19:03 ID:TJbGgh+a
「ごめんな――」
雪女王様の身体の震えが止まった頃、俺の口を自然と突いて出た言葉がそれだった。
不思議な物でその時の俺には、決して自分に顔を見せようとしない彼女の姿が、
ナニを氷漬けにされた事よりも重大な出来事のように思われたのだ。
やはり俺は甘ちゃんなのだろうか。
「酷い事云ってしまってごめんな」
「いいの」
顔を上げずに雪は答える。彼女と向き合ってしゃがみ込み、彼女の肩に手を置く。
「あれだけ色々試したのに――」
そこまで云って雪の様子が一変した。俺の目と鼻の先でいきなり顔を上げたので、
俺はビックリして少し身を後ろに引く。彼女はその分俺の方に踏み込み、俺の肩を
両腕で掴み返して真剣な眼差しを見せた。
「お願い、もう一回試させてくれない?」
少し目を腫らしてはいたものの、彼女はもう泣き止んでいた。
「いいんだよ、俺もう――ダメだ」
「そんな瀕死のエックスみたいな事云って諦めないで。まだよ――まだ行ける」
エックスとゼロを知らないとかなり寒いやり取りを交わし、女王様は扉を向いてパチンと指を鳴らす。
部屋の扉が重い軋みを立ててゆっくりと開く。
扉の向こう側から、女王様と同じような露出の多い格好をした女が両手に銀の盆を抱えて現れた。

銀の盆をベッドの枕元に置くと、女はそそくさと部屋を出て行ってしまった。
同時に部屋の重い扉も、開いた時と同じ軋み音を立てて閉じる。
まるで舞台装置のようだ。一体どういう仕掛けになっているのか、と雪女王様に聞こうと
思ったが、それは止める事にした。
当たり前の出来事を当たり前に受け止めている、泰然とした表情を浮かべていたのだ。
15氷の微笑 13:05/01/10 10:19:34 ID:TJbGgh+a
雪女王様は枕元までシーツの上を膝立ちで歩く。銀の盆に載せられた物を手に取ると、
俺の前にそれらを突き出した。
「さ、飲んでみて」
彼女の右手には水の入ったグラス、そして――
「これが最後の手段なのか?」
思わず訊いた俺の声は、自分の耳にも素っ頓狂な調子に聞こえた。
彼女の左手には薬方シートに包まれた青と白の錠剤があった。商品名を挙げると
地雷になりかねないので避けた方が良かろう。
ええそうよ――雪女王様は俺の問いにそう答えると、小首を傾げてにっこり微笑む。
「これで駄目なら私も諦めが付くわ。でも試さずに諦めるのはもっと良くないから」
俺は少し悩んだ。どちらかと云えば俺のナニは柔らかい部類に入るが、それでもコレの
お世話になった事は一度もない。
そもそも呪いだろこの氷って。大体コレを飲んだ所で本当に氷は解けるのか?
ず、と雪女王様が膝立ちで身を乗り出した。さらにグラスと薬方シートを
俺の目と鼻の先に突き出す。魚眼レンズかドアの防犯窓越しの風景を見ている
みたいだった。
にこやかな表情ながらも、彼女はどこか迫力ある雰囲気を醸し出していた。
「元は私の所為でそうなったのは解ってるし、悪い事をしたとも思ってるわ。
けど今は私もあなたの氷を解かしたいの。あなたはどうなの?」
俺は――俺の目の前には。
今二つの道が示されている。一つは薬を飲まない道。もう一つは薬を口にする道。
薬を飲んでも氷は解けないかも知れない。しかし飲まねば――
俺のナニは確実に一生氷付けだ。
身を乗り出し息を呑んだ所に、雪女王様のぽってりした唇が止めを刺すかのように動いた。

――なぜベストを尽くさないの?

俺は彼女の手から、錠剤の入った薬方シートを素早く引っ手繰った。
16氷の微笑 14:05/01/10 10:20:07 ID:TJbGgh+a
雪女王様は俺の勢いに跳ね飛ばされ、少し離れて横座りに俺の様子を見ている。
そんな彼女の様子をどこか遠い風景のように感じながら、俺は薬方から錠剤を取り出した。
普通は二錠で足りるけど、状態が状態なだけにもっと必要だろう。
俺の掌の上を、青と白の錠剤が四つ転がる。
「水」
呆気に取られて俺を見る雪女王様にそう云うと、彼女は焦ったようにグラスを俺に差し出した。
取り出した錠剤を口の中へと放り込む。水で一気に喉の奥へと流し込む。
冷たい塊が胃の腑に落ちると、何かが自分の中で音を立てて壊れたように感じた。
どくん――
地響きにも似た大きな心音が、俺の肉体の中で反響した。

どくん――
忘れていた力が俺の股間に蘇る感覚を、俺ははっきりと感じ取っていた。
地響きのような脈動が走り、部屋そのものを揺らしているような気分にさえする。
否――揺れているのは俺の身体の方か。
あまりの力に、俺とその部分との主客が転倒したかのようだ。
高々数ヶ月経験していなかっただけで、その力は時分を呑み込んでしまう程の物にも思われる。

どくん、どくん――
氷の表面に細かな亀裂が走る。亀裂は小さな氷の破片を零し、その長さも幅も広がって行く。
その度に新たな亀裂が次々に走る。それがまた広がり――数も大きさも爆発的に増す。

どくんどくんどくんどくんどくん――
「うおおぉぉぉおお……!!」
俺の雄叫びなのだが、それすら自分が発した物だとは俄かに信じられなかった。
まるで声の質が違うのだ。今まで自分がこんな声を出すという事さえ俺は知らなかった。
意識と無意識との端境で俺の喉笛から熱い物が込み上げる。
構わずにそれを叫び声へと変える。
「らいとにんぐ・ぶれいかあぁあ―――!!」
雪女王様はきゃっと短く叫んで目を瞑り、弾け飛んだ微細破片が彼女の姿を晦ませる。
写真の亀や象から降り注ぐ幾千もの視線が微細破片に反射させられて、
女王の間のあちこちにキラキラ散乱した。
17氷の微笑 15:05/01/10 10:20:41 ID:TJbGgh+a
強烈な衝撃が俺の腹筋に叩き付けられた。
俺の視界に雪女王様の姿が戻って来る。歳の割に弾力のある肌がの表面に、
霧に晒されたような細かい水滴が汗のように浮いていた。
雪女王様は口元を両手で押さえ、信じられないような物を見るような目つきで、
俺の下半身を見つめていた。
彼女の手から上ずった声が漏れる。
「ら――ラッキー君、じゃない?!」
ラッキー君が象だったと俺が思い出すより早く、彼女は次の言葉を告げた。
「――タートル君が巨大化した!?」
「え?」
俺は彼女の見つめる部分へと視線を落とす。
チン――もといナニが腹筋に張り付かんばかりの勢いで天を仰いでいる。
俺はその光景を一瞬現実の物だと捉える事が出来なかった。
「――お」
何ヶ月も俺を封印して来た氷が、あの薬を飲んだだけで内側から解けたのだ。
漫画のような出来事だったが、しかしその光景は漫画でもなければ物語の中での物でもない。
これは現実の光景なのだ。そう気付いた時の俺の感動と云ったら。
あまり明るくないオフコースの小田のように、嬉しくて嬉しくて言葉に出来ない位だった。
「――おぉ、――おおぉ」
俺の頭の中を、四天王のジジイ(享年七十六歳)が残した言葉が反響する。

――チンコは男のパワーの源なのじゃ!!

今ならジジイの気分がよく解る。
しかも俺はまだ若い。だからジジイのようにエロ本一冊で心臓発作を起こすなどという
間抜けな事態を気にせずに、復活したナニの真価を存分に発揮する事が出来る。
いや、それ以上だ。普段を凌駕する固さに加え、スタミナも半端じゃなく高まっている。
六〇年とは云わないまでも、通常ではあり得ない長い禁欲を強いられて来たのだから。
18氷の微笑 16:05/01/10 10:21:13 ID:TJbGgh+a
俺は視線をゆっくりと雪女王様に戻す。彼女の身体が一瞬びくっと震える。
彼女はまるで危険な物を見るような目で俺を見ていた。
「ちょっと朋、あなた目が血走ってるわよ?」
云いながら彼女は、三角座りの状態でゆっくりとシーツの上を後ずさる。
俺が一歩大きく踏み出す。
雪が後ずさる。
「ねえどうしちゃったの朋。朋?島山朋さーん?」
もしもーし、と俺を呼ぶ彼女の瞳が大きく開かれて――
彼女の黒い瞳に、荒々しい一角獣のような自分の姿が映っていたような気がした。

「雪――――!!」
俺はシーツぎりぎりの低空を飛び、雪女王様を組み敷いた。
彼女は一瞬何が起こったのか判らない様子だったが、ガウンの胸元に手を掛けた
俺の姿を見て悲鳴を上げた。
「キャァア――――ッ!!」
俺の胸板をぼかぼかと叩き、顔を引っ掻いて反撃する。
俺が脱がせるまでもなく、薄地のガウンの襟元がはだけて彼女の豊かな胸が零れる。
仰向けになっても尚ボリュームのあるその先端にむしゃぶり付くと、雪が小さく鳴いた。
「ちょっと――こんな乱暴なの――イヤ」
脚をばたばたとシーツの上で掻き、俺の顔を手で押し退けてようとするが。
「あうっ!!」
吸い付かれた乳首にさらなる刺激が加わり、雪女王様は仰け反った。男を知らない割に
えらく反応がいいのは、俺と付き合う前から女と乳繰り合っていたお蔭だろうか。
ともかく彼女の抵抗が止んでいる内に、俺はガウンを肌から剥ぎ取る。剥ぎ取って
覆い被さり、彼女が再び抵抗できないよう二の腕もろとも抱き込んだ。
胸同士がさらに密着して乳首同士が擦れる。肘から先でシーツをばたばた叩きながら
女王様は懇願した。
「こんなのヤだ!!もっと優しくしてぇ!!」
女の柔肌。久し振りに肌と肌とが触れ合うのは中々気持ちの良いものだ。
俺は硬くなったナニを雪女王様の太腿に押し付けた。
19氷の微笑 17:05/01/10 10:22:08 ID:TJbGgh+a
俺は馬乗りになった姿勢から雪を見下ろす。目を瞑り嫌々と首を振る彼女の表情は、
貫禄のある女王様と云うより女の子の顔に見えた。
「せめてキスくらいして!!お願いだから!!」
気持ちは分からないでもないが、しかし俺を突き動かしているのはこの猛り切った
ナニから溢れるパワーなのだ。
今の俺はナニをぴつたりと納める匣に過ぎない。匣は中身の為にあるものだ。
ナニと云う中身を抑える為の我慢は、匣にとってもう無理な相談だった。
――もう無理よ《もうりょう》の匣
どこか遠くで、心の四天王が寒いダジャレを吐いていた。

女王様は俺から抜け出そうとして身体をくねらせた。その様子は頬を赤らめた恥らいの
表情と相まってものすごく色っぽく見える。
ヤバい、彼女が抵抗する時のじたばたした動きだけでイッてしまいそうな位だ。
もう我慢の限界だ。
俺の意識はナニに突き動かされるまま、声を大にして正直な欲望を叫ぶ。
「責任取ってくれえ!!」
一旦彼女から離れる。雪女王様は薄目を開けて俺を見上げ、ほっと身体の力を緩めた。
その隙を狙い、俺は彼女の膝を掴んで脚を大きく開く。
手入れのされた陰毛の下から、少し褐色の肉が姿を現した。
「やーっ!!やっ、や――――っ!!」
当然の事ながら雪は脚を閉じようとするが、そうは問屋が卸すものか。
俺は自分のナニの腹を雪の秘裂に押し当てて数度往復させた。こうすれば――
「――あうっ――ねぇっ」
硬い突起が起き上がって俺のナニに反撃を加え始めた。同時に膝の抵抗が若干緩む。
これ幸いにと俺は、ナニを押し当てる圧力に強弱を付け始めた。
女王様の息が荒ぐ。裂け目の奥から蜜も漏れ出して俺のナニを濡らす。
例の薬で猛り切ったナニの先端で入り口を探る。それはすぐに見つかった。
「ちょっと朋、私まだ心の準備が――え?!」
女王様の秘裂は俺の先端を半分ほどを飲み込むと、中に小さな抵抗を覚える。
俺はそれを突破すべく、薬で硬くなったナニを強引に捻じ込む。
処女だからと予想していた以上に、呆気なく雪女王様の中に突入する――
20氷の微笑 18:05/01/10 10:22:39 ID:TJbGgh+a
雪女王様は俺の侵入と共に短い呻き声を上げた。
長い禁欲生活の後で、しかも生。俺はあっと云う間にぬめっと暖かく柔らかい彼女の中で果てる。
「え、何?何なのコレ?」
どくどくと打ち込まれる感覚に、雪は戸惑った様子で俺を不安そうに見上げた。
全然快感には繋がっていないようだ。
薬の所為か一向に硬さは解けず、俺は彼女と繋がったまま云った。
「これからスゴい物見せてやるからな、雪」
「え?」
俺自身溜まっていたお蔭で、一度くらいの射精では到底満足の行く物ではなかった。
彼女の中に入ったまま、俺は彼女を突き上げる。
彼女の胸が上下して、しゃっくりのような彼女の声が上がった。
「ふぁっ?!」
自分の声に戸惑いを見せる彼女をもう一度突く。もう一度その声が聞こえる。
一度動きを止める。彼女はシーツの上から、鳴き声の合間を縫って俺に訊ねた。
「あんっ……?!朋……朋ってば……んっ……?!」
「何だよ」
「何なのよ……っ、この感じ……?」
「気持ちいいのか?」
わかんないわよそんなの、と彼女は途切れ途切れ俺に返した。
全身を快感に支配されるようになるのはもう少し先の話か。
だが中の動きを確実に感じている分素質は十分ある。その時が楽しみだ。
雪の呼吸に合わせ、中が規則的に締め付けて来る。俺と彼女との分泌液で、
結合部が粘っこい水音を立てる。
俺は彼女の手を取って上半身を起こし、彼女は俺に凭れ掛かるように抱き付いた。
雪自身の体重で俺のナニがより深く沈む。奥に当たった時、彼女はまた短く叫んだ。
ベッドのスプリングを生かして、何度も奥を叩く。
その度に女王様は可愛い喘ぎ声を立てる。
21氷の微笑 19:05/01/10 10:23:26 ID:TJbGgh+a
限界はあっと云う間に近づいた。
再び彼女をシーツの上へと仰向けに寝かせ、俺は最後のスパートをかける。
腰を突かれる動きに合わせ、雪は腹の中を圧されたような声で喘ぎ、
「あ、あ、あ、あ――」
俺は薬で固くなったナニを、彼女の中で螺子締めのドライバーのようにぐいぐいと捻った。
これぞ正しく文字通りの――
「バイ○グラ・ドライバぁ――――――――っ!!」
ヤバいので一部伏せ字にして絶叫しながら、俺は二度目の絶頂を迎えた。

結局俺は氷の呪いが解けた後も雪の宮殿に居座った。
何となく居心地が良いのは確かだが、俺の中で決断が下せないのが最大の理由だった。
二人の関係はその一件以来、世間一般でのお付き合いと云った按配である。
身体の関係を結んだ以上、雪としては結婚を真剣に考えているようだが、
俺の方は彼女と比べて今一つだ。
パンクス演って女にモテたいのだが、こんな田舎ではライブハウスや女の子は勿論
バンドを組む仲間だって集まりはしない。どうしても演りたきゃ山を降りるのが上策だ。
さりとて彼女と別れたら、今後彼女ほど美人でスタイルも良く金持ちの女とは
現実的に考えて一生ご縁が無い、と云うのも自覚している。
雪はライブハウスで見たどの女の子よりも綺麗でいい女だし。
俺と彼女とで時々ケンカになるのも、元を正せば俺の優柔不断が原因だろう。

俺が思うに、例の商品名を伏せて然るべき薬をどこか他の場所で使ったのなら、
何も彼女を抱く必要はなかったのではないか。
そうすれば呪いが解けた後まで、雪の宮殿に引き止められて長々と居座る事も
なかっただろう。街に降りてロック三昧という選択肢をすんなり選べたはずだ。
ただ雪の宮殿に残る事が即ち間違っている、とも一概に言い切れない。
明るく積極的な素の彼女を見ていると、いつも幸せな気分になるのは確かだ。
もしヤリ逃げしたら彼女の笑顔ごと幸福感を捨て去る事になる。それに最近の雪は、
自分からも俺の事を積極的に求めて来るようになった。今離れるのは勿体無い。
俺は自由になりたい心と、彼女と一緒に居たい心の狭間で揺れていた。
22氷の微笑 20:05/01/10 10:24:07 ID:TJbGgh+a
雪を初めて抱いた時から数ヶ月経ったそんなある日の事――

ご飯作るねという雪の一言で、その日の晩飯は珍しく彼女のお手製と決まった。
使用人も数多くいて、普段雪は家事らしい事はあまりやらない。
庭のプールサイドでビーチパラソルなんか広げ、ドリンク片手にトロピカル三昧の
日々を味わっている。それでたまに隣接するスキー場や、所有する国内外の
リゾート施設と関係のありそうな決済書類に目を通している。
傍目には実にヒマそうに見える光景だが、正直な感想を雪に云ったら怒られた。
彼女の説明によれば、何でもなごり雪グループやらハイジコンツェルンやら
新規参入組の攻勢が激しく、目下それらと凌ぎを削っている状態なのだそうだ。
何もスキー天国サーフ天国と避暑地軽井沢とがケンカする必要はないと思うのだが――
閑話休題。

少し不規則なリズムで動く包丁の音に、雪の鼻歌が混じって聞こえる。
刻みたてのネギが放つ青臭い匂いが、暖まった味噌汁のそれに混じると
どうしてそんなに美味そうな物に変わるんだろうか。
さらにグリルから少し脂っぽい匂いが混じる。鰆の味噌漬けを焼いているらしいが、
ちゃんと切り身を上に皮を下にして焼いているんだろうな。焦がすなよ。
俺は畳敷きの四畳半で新聞の文化欄に目を通し、卓袱台に置いたコップにビールを
瓶から注ぎながらそんな風に考える――

えらく庶民的な光景だって?オレも確かにそう思う。
だが雪は自分で料理する時は、いつもこの安アパートみたいな小部屋を好んで使う。
食材をすぐに調達できるからという事で厨房の隣に増設された物だが、彼女はこの部屋の
恋人同士水入らずの雰囲気が好きなんだそうだ。全く金持ちの考える事は解らん。
ただ彼女の云う事にも一理はあるもので、それほど上手とは云えない彼女の手料理も
ここで食うと何だか暖かな味がする。だから俺もこの部屋をそれなりに気に入っていた。
23氷の微笑 21:05/01/10 10:24:52 ID:TJbGgh+a
包丁の音が不意に途切れた。
俺は彼女の後姿に目をやる。彼女はエプロンを身に着けていたのだが、普段の格好が
格好なだけに裸エプロンと大して変わりない。
ふつふつと湯気を立てる味噌汁鍋の隣で、おひたし用の大鍋がぐつぐつと音を上げている。
彼女の手が完全に止まっていた。料理の手順で分からない部分でも出たのだろうかと
心配になり、俺は声を掛けてみた。
「どうしたんだ雪」
ねえ朋、と振り返らずに雪が云う。穏やかでどこか暖かな幸せを含んだその声に、
俺は何かを感じて黙り込んでしまった。繰り返すように彼女は云う。
「ねえ、聞いてくれる」

突如として俺は、自分が感じた何かが違和感であった事に気付いた。
コンロの前に立つ彼女の尻がシースルーのガウン越しにまる見えだが、
今日に限って俺のナニが彼女の後姿に反応していない。
一体何故だ――
この平和な風景も何度か見ている。が、何かを確実に忘れている。
一体それは何の記憶だったのだろう。
そしていつ何処で見た物だったのか。
俺は奇妙な既視感の中、自分の記憶を懸命に探った。
とても近い記憶、精々がこの一年の間に見たはず。
平穏で幸せな空気。それと相反するようで実は密接なつながりを持った、
身を切られるような途轍もなく寒い風。岩石のような氷柱の数々。
まさか――
何かを朧気ながら掴みかけた時、俺の背筋に冷たい予感が走った。
心の警報機は最大音量で俺に何かを告げている。
――何カガ来ルヨ
潜在意識の奥深くに眠っていた危険な記憶が、徐々にその姿をはっきりと現して来る。
そんな俺の心の動きとは対照的に、雪はゆっくりと振り返って俺を見つめた。
彼女の穏やかな微笑みは、幸せを噛み締めているようにも見えた。
自分の中にある大切なものをゆっくりと確かめるように、彼女は呪文を紡ぎ出す。
俺が奇妙な既視感の正体を完全に思い出した時、既に全てが終わりを告げていた。
24氷の微笑 22:05/01/10 10:25:23 ID:TJbGgh+a

――アレ、一か月も遅れてるの。

四畳半の平穏な空気が、吹き荒ぶブリザードへと一瞬の内にすり替わる。
彼女が紡ぎ出したのは、最大級の冷却系呪文『アレ遅れてるの』だった。
――そう云えば四天王最強の女からこれを食らったっけ
同棲カップルみたいな風景に寒々しい予感を覚えたのも、なぜか氷柱の姿を思い浮かべたのも、
全部当時の記憶に繋がる出来事だったからだ。
いや。身に覚えが有り過ぎる以上、呪文の威力は当時に比べて大幅に増していた。
感覚と思考が、そして記憶が徐々に薄れて行く。俺はその場に流れる時間ごと

凍り付く――

<<終>>
25初代スレ396:05/01/10 10:27:34 ID:TJbGgh+a
以上で終わりです。ここまでお付き合い下さいましてありがとうございます。
それではあいつは改蔵の第六話を始め、久米田作品SSの投下をお待ちしております。

次回は改蔵と南国とポカポカ、どれで行こうかな…
26名無しさん@ピンキー:05/01/10 11:47:35 ID:HfQ3WReK
乙カレー
27元229:05/01/10 20:25:12 ID:7DydZPEq
ああ、昨日携帯から前スレの>522を読んで、新スレ立てるかどうしようか訊こうと思って来てみたら…

もう投下されてるー!

396様(ちゃんと初代スレ、になってるのね、当たり前だけど)乙です。
>18 の、三角座りで後ずさったり胸板をぽかぽか叩く女王様に、個人的には萌えましたです。

> 次回は改蔵と南国とポカポカ、どれで行こうかな…
ポカポカ、カモーン(なんて無責任な)。

さて、ここで私として困った事が一つ…(メール欄)。では。
28名無しさん@ピンキー:05/01/11 17:45:57 ID:I/coobjh
ほしゅage
29名無しさん@ピンキー:05/01/11 20:14:18 ID:I/coobjh
>>27
オチに使うのとネタに使うのとでは受ける印象も違うと言ってみる
30名無しさん@ピンキー:05/01/12 03:07:06 ID:ujfxHLHs
えーと…
大変面白うございましたが…これ本当に南国が元ネタ?
31名無しさん@ピンキー:05/01/12 20:01:47 ID:A23joT8c
>30
8巻が元ねただからねぇ。もう6,7年前の話かな?ぜんぜんあてずっぽで書いてるけど。

関係ないが、島山朋 ってのはやっぱ 鳥山明 からとったのであらうか。
32元229 携帯より:05/01/14 22:47:49 ID:Q1KSlA4+
>29 冒頭でつかいます
33名無しさん@ピンキー:05/01/14 23:18:07 ID:s6Jf9k/S
小ネタ:南国の床屋(何巻の髪型にしますか?のアレ)

そあら:お客さん、かゆい所はございませんか?
月斗 :ちんちん!
そあら:そうですか、では……
月斗 :(うひょ、ラッキー♪)
         (中略)
月斗 :ふう、スッキリした♪
そあら:お客さん、かゆい所はございませんか?
月斗 :え、またやってくれるんですか?
そあら:ええ。かゆいって言ったの、お客さんですよ?
月斗 :(サービスいいな、このままだと本番まで行けるかな?)
         (中略)
そあら:お客さん、かゆい所はございませんか?
月斗 :あ、いや。多分その方法だともうかゆみが取れないと思うので……
そあら:おかしいわねえ。まだかゆいの治まりませんか?
月斗 :はい。多分口かアソコかでやらないと……
そあら:ダメよ。
月斗 :……ダメですか?
そあら:ダメよ。
月斗 :……。
          (中略)
そあら:お客さん、かゆい所はございませんか?
月斗 :は―――ん!頼むからもう止めてくれよ、もう弾切れだ!
    もうセクハラもしないし下着を盗んでオカズにもしません、だから許して……っ!
そあら:ダメよ。
月斗 :そんな……。
          (中略)
そあら:お客さん、かゆい所はございませんか?
月斗 :……ゆる……し……て………。
そあら:お客さん、かゆい所はございませんか?
月斗 :………………………。
34元229:05/01/15 20:48:38 ID:VKP71Uia
元229です。>33 シンプルでワロタ。

第6話、すなわち最終話を投下します。

冒頭いきなり >27 >32 で述べた通り、困ったセリフで始まります。
でもって突然に回想シーン(かつエッチシーン)突入なのでわかりづらい構成かも。
話を纏めきるのに全精力を注いだため、エッチシーンは冒頭に一回、あとは終盤に一回だけです。
2回ともかなりあっさり味、しかも終盤の2回目のほうのSEXは寸止めだったりします。
あらかじめご容赦のほどを。

なお、今回、作中に「一年前」「一年間」という言葉が何回か出てきますが、それは作品中の時間
経過が2002年4月(第一話)から2003年4月(最終話:今回)となってるためです。
それと、ある人物に関し妙に思わせぶりな設定をしましたが、実はほとんど意味がありませんので
裏の意味とか考えないでくださいね。

長さは今までより少し長い14分割になるはずです。
35あいつは改蔵 第6話:その1:05/01/15 20:50:54 ID:VKP71Uia
「ねえ改蔵…私、アレが来ないんだけど…」
3月のまだ肌寒い朝、起床直後の二人のお部屋で私が言った。
改蔵はさすがに険しい表情だ。やっと治った風邪がぶり返しそうに動揺する。
「…遅れてんのか?いつからだ?ひょっとしてあの時のアレのせいか…?」
「うん、あの時のアレかもしれない…て言うか、出来てたとしたらアレしかないと思う…。」
『あの時のアレ』というのは、少し前、改蔵が風邪をひいてた時の出来事だ。

その日、改蔵は39度の熱を出して寝込んで学校を休んでいた。
(言っとくけど、まんがの中みたいに『熱を出すと天才に』って事はないのよ。)
おばさんは用事でうちを空けてたので、私が速攻で学校から帰ってきて制服のまま看病を。
「改蔵大丈夫?ごめんね、私の寝相のせいで。」
「いいよ別に…ゴホゴホ…ああ、せめて死ぬ前にいちど、やなせたかし氏に会いたかった…会って直接
『アンパンマンマーチ』の歌詞に突っ込みを入れたかった…」
「あーはいはい、わかったから寝てなさい。」
風邪の原因はセリフの通り。今の部屋はWベッドで仲良く一緒に寝てる(おばさんとかには内緒でだよ)
んだけど、まだ寒い夜中に同衾者に蹴飛ばされ全裸でベッドから落ちるのを繰り返してれば誰だって…。
で、その看病の最中、私は急に突飛な事を思いついたのだ。
ほんの出来心、ていうか、改蔵の風邪の間エッチしてなかったんで、欲求不満のせいかも。
「ねぇ改蔵…汗をいっぱいかくと風邪が治るって言うよね…」
言うなり私は改蔵の布団に入り込んだ。顔だけ出し彼に馬乗りになる。
「おい、ちょっとまて、なにする…こ、こら、やめ…ゴホッ、ゴホッ…」
制服のミニスカートをめくり、彼の股間に自分の股間を擦り付ける。パンツ二枚とパジャマのズボンの
合わせて3枚の布越しだけど、改蔵が刺激でボッキしてくるのがよくわかった。
キスをしつつ、パジャマのズボンから中に手を入れた。硬く脈打つ彼自身…じかに触ったのは初めて。
最初は半分冗談だったんだけど、指と掌で弄んでるうちに本気で欲しくなって…布団にもぐり、改蔵の
パジャマの下とパンツを無理やり下ろした。彼は抵抗したんだけど力が出ない。
36あいつは改蔵 第6話:その2:05/01/15 20:51:42 ID:VKP71Uia
この時、実は私は一瞬躊躇したのだ。避妊具つけないとまずいかな…と。だけど、いつもは改蔵が自分
でつけるので私はつけ方を知らなかった。改蔵は協力してくれないだろうし…
私は布団から顔を出し、馬乗りのまま自分のパンツを脱いだ。
「じゃ、挿れるね…ん、ん…っ」
「ちょ、ちょっと待てったら…ゴホッ…おい、羽美、こら…う…」
「…入ったぁ…改蔵、入っちゃったよ…う…動かすね…あ、あん…ああ…」
初めての女性上位。しばらくは二人のあえぎ声と改蔵の咳、Wベッドのきしむ音だけが続いた。
改蔵が何度か寒そうに震えたので、その度に布団を被り直した。
(たしか、立ち読みした女性誌に、お尻の穴をすぼめるとアソコも一緒に締まるって書いて…)
と思いつき、ギューッとすぼめてみたりとかもしてみた。
そして改蔵は限界に。私も良くなって、思わず、
「あ…あ…いいよ、いいよ…改蔵、出したいんでしょ、出しちゃっていいよ…!」
と言ってしまった。体力が落ちてて堪え切れなかったらしく、言った直後に私の膣内に熱いものがどく、
どく、どく、と…熱があるせいか、いつものより熱かったのを覚えてる。
私はくたっとあいつの胸に突っ伏した。熱い液は、まだどんどん出続けていた。
「あ、あいかわらず無茶苦茶だな羽美…ゴホゴホ…」
「でも…気持ちよかったでしょ…ねぇ改蔵?汗かいたね、風邪治るといいね…。」

その後、改蔵の風邪は治るどころか悪化しちゃったんだけど…それはまた別の話なので現在に戻ろう。
「医者は?検査薬とか使ったか?」
「ううん、どっちも。ごめんねこんな事になっちゃって…でも、お医者とかどこか知ってる?それに検
査薬をバレないように買う方法ってあるかなぁ?ねぇ、もし妊娠って事になっ…」
私はびっくりして言葉を飲み込んだ。お部屋のドアが少し開いてて、おばさんが立ってる。
久々に見る、おばさんの忍者モード。いや、そんなこと考えてる場合じゃなくって。
「そう…私ももう、おばあちゃんになるのね。」
おばさんはお部屋に入ってきつつ、さほど表情を顔に出さず言った。いつもの事だけど。
「5日遅れじゃまだわからないわね…お医者に行くのはもうちょっと待ちましょう。保険証は由美さん
(うちのママ)から預かってるから大丈夫。検査薬も買うのは私がするわ、それから…」
37あいつは改蔵 第6話:その3:05/01/15 20:54:10 ID:VKP71Uia
「あ、あの、おばさん…怒ってないんですか?妊娠したかもしれないって事は、私改蔵と…」
「だっておめでたいことじゃない、お互い好きあって結ばれたんですもの。それに母親から息子の将来
を考えたら、得体の知れない女とくっつかれるより、昔から良く見てる素性の知れた娘さんと一緒にな
ってもらった方がいいと思うわけ、わかる?」
無表情のままなんだけど、態度や口調からしておばさんはなんかウキウキしてるようだ。
「そうそう。この際、出来てても出来てなくとも籍だけは入れる準備しときましょうね。」
「え?改蔵と私のですか?」
「ちょっとちょっと、俺は18になってないよ、まだ半年以上先。それになったとしたって未成年だよ、
両方の親の全員の同意署名とか、いろいろややこしい事がいるんだろ?」
「そのへんはね…実はすでに済んでるのよ。もう2ヶ月前にね。」
おばさんは一旦自室に行くと、戻ってきて一枚の紙を差し出した。改蔵とそれを見る。
正真正銘の婚姻届。私と改蔵の、だ。
「…は?」
「あとは、あなたたちが自分の署名をするだけになっているわ。」
「あらかじめ作っといたって?2ヶ月前…暮れに、区役所へ届出用紙を色々取りに行ったあの時の…」
「そうよ改蔵。早めに婚姻届を作ろうって言ったのは由美さんなんだけどね、羽美ちゃんが来た日。私
は急ぐことないって言ったんだけど…作っといてよかったわ。まあ半年じっくり話し合って。」
うー。おばさん忍者みたいって思ってたけど…私が居候した日からって…実は予知能力者?
いや、作るって言ったのはうちのママだから、予知能力者はママ?あれ?
な、なんか混乱してきたな…。
「なんか色々裏で動いてると思ったら、こういうことかよ。」
「ごめんなさいね。ちょっと強引だったかなとは思ってるわ。もっとあっさりくっつくと思ってたもん
だからちょっと焦りもあってね…二人とも、いろいろ圧力かけて悪かったわね。」
「あ、あの、話が全然見えないんですけど?なんでもう婚姻届が出来てるの?圧力っていったい何?」
「羽美、オマエやっぱり気づいてなかったのか…おふくろが色々画策してた事。」
「え?え?え?」
私は二人を交互に見比べる。改蔵は気難しい表情だ。おばさんはすましてる。
38あいつは改蔵 第6話:その4:05/01/15 20:54:52 ID:VKP71Uia
ちょっと一人になれた。そうだ、ママに電話。
『あら羽美、赤ちゃん出来たってね、おめでとう。こっちから電話しようかと思ってたのよ。』
「…ちょっと待ってよママ。誰に訊いたのそれ、何で知ってんの、ビックリとか慌てたりとかしない
の?普通こんなことになったら怒るでしょ母親は、怒らないの?」
『別に。初めからこうなるもんだと思ってたから。男の子かしら女の子かしら、ああ楽しみ。』
「あのね、まだ、妊娠って決まったわけじゃないのよ?てか、なんで婚姻届が出来上がってんの、なん
であの日にはもう婚姻届を作ろうって言い出したの?いったいぜんたいこれはどういう事なの?」
『あら、ダメな娘ねぇ…その辺は空気をしっかり読んでれば、そちらにご厄介になった日には気づいて
るはずの事なんだけど。だいたいあんたそちらの嫁になるんだから、もうお姑さんに何を要求されてる
か訊かなくともピンとくるようにならなきゃダメなのよ?』
「嫁ってママ、ねえママ?なんか前提条件がどんどん先走って、私を置いてけぼりにしてるわよ?」
『あ、それからね。しばらくは身体冷やしちゃダメよ、もうあなた一人の身体じゃないんだから。まさ
か「産まない」なんで言い出さないでしょうね?だめよちゃんと産んで育てなきゃ。』
「ママってばー。」
『安心しなさい、偶然出来ちゃった子だって頑張ればちゃんと…いや、その…それなりに育つもんだか
ら。じゃね。』

私が電話を終えた後、朝ご飯の食卓を囲む席でも話し合いは続く。おばさんが言う。
「学校の事は心配しないで。その辺は私が何とかするわよ、その手の交渉ごとは心得てるし。」
「そんな事していただくのは…」
「いいから。羽美ちゃん、あなたと改蔵の事で何かあったら力になるって言ったでしょ?で、問題は夫
婦になったとして、いかに自立できるようにするか、って事ね。」
おばさんはもう私と改蔵が夫婦になって子供を産むことを前提として喋ってる。
困ったな、ママもそうだったけど、私、そんな自信ないのに…私の戸惑いを知ってか知らずか、おばさ
んは自分の話を続ける。
「その辺も私が考えるわ。もしどうにもならないなら…この人の所で鍛えてもらうわ。ね、あなた?」
おじさんは味噌汁をすすりながら頷く。
39あいつは改蔵 第6話:その5:05/01/15 20:59:14 ID:VKP71Uia
うげ。
おじさん(改蔵のお父さん)の所で鍛えるって…おっと、これ以上はここでは無理。
あ、ちょっと弁解させてね。
おじさんは、急にここで出てきたわけではない。最初のシーンからずっといたんだよ。
ていうか、これまで一年弱にわたり話をしてきたけど、その間ず――――――っと…実はおばさんが出
てくるシーンでは8割方、おじさんはその場にいたの。
ただちょっと訳ありで、わざと触れずにいたんだけど…その訳ってのは言えない。言えない理由もね。
まんがでも改蔵のお父さん、意図的に描写を避けられてるでしょ?
そのうちどうしても登場させる必要が出てくるかもしれないけど、本当の事は描けないから、多分わざ
とリアリティのないギャグ設定で出てくると私は思う。
それは置いといて、てかこれ以上言えないから、先に進むね。

とりあえず登校。途中でも二人で話し合った(他人には聞かれないように)。
けど、ほんとに産んで育てられるのか結論なんて出っこない。出ないまま学校に着いた。
二人してなんとなく朝から部室へ。部長がPCでチャット中。
「あら、おはよう…どうしたの、何か浮かない顔ね、二人とも?」
そうだ、部長なら力になってくれるかも。
「うーん…実は…私たち、赤ちゃんが出来ちゃったかもしれないんですよ…」
あれ?部長が一瞬衝撃を受けたような…こないだの喫茶店を出た時のセリフが頭をよぎる。
でも、少したって「…そう」と言うと彼女はチャットに戻った。よかった普通じゃん。
と思ったら、いきなり改蔵が私を廊下に引っ張りだした。
「オマエ馬鹿か、なんであんな事いったんだよ?」
「え、何よ、私は別に…それにあの人、改蔵に抱かれたのは私たちを結びつけ直す為だって…」
「あん時の言葉が全部本気だと思ったのかよ、ちょっと考えりゃわかるだろ!?」
「わかんないよ!あんたこそそんな女心の奥底、一回のエッチで判るもん?実は私には内緒で、あの後
も何回か部長と寝てるんじゃないでしょうね?」
「アホかオマエは!?あー…出来たのか産むのか育てるのか問題山積みだってのに、さらに増やし…」
改蔵が言葉に詰まる。私も改蔵の向いてる方を見た。
地丹が全てを聞いていたのだ。このパターン、今朝2回目。
40あいつは改蔵 第6話:その6:05/01/15 21:00:49 ID:VKP71Uia
「いい事聞いちゃった。赤ちゃん出来たって?いけないなぁ。」
地丹はくひひと笑う。
「実はね、おとといおうちに遊びに行ったとき、タンスの裏から『いいもの』見つけたから冷やかしネ
タにしようと大量にコピーしといたんだけど…もひとつ、より強力な冷やかしネタが出来たねー。」
言いながら『いいもの』を見せびらかす。なんと、私と改蔵の『けっこんとどけ』を両面コピーだ。
「さて、教室に行ってこれをばら撒きながら『羽美ちゃん妊娠だって』って言いふらそうかなっと。」
「ま、まちなさーいっ!!」
私と改蔵は地丹を追いかける。校舎の中をどたばた走り回る三人。途中で気づいた野次馬がついてくる。
それもだんだん人数が増えて…なんなのよこれ、あーもう、どうすればいいのよ!
教室に行くはずがなぜか屋上に出た。改蔵が出入り口のドアを閉める。
「はあはあ、ドアにつっかえ棒をしたからしばらく野次馬は来れないぞ…要求を聞こうか。」
「要求?何それ改蔵?」
「こいつが単なる冷やかしでこんな事するわけがない。なんか取引をしたいんだろ、そうだろ?」
「そうだよ。僕の要求を呑んでくれれば、この紙もばら撒かないし秘密も言わないよ。」
『紙とか秘密って何だ、教えろ!』
と、野次馬はドアの向こうから叫び、がたがた開けようとしてる。
「僕の要求は2つあるんだ…1つはね、『科学部の次期部長は、僕にする事!』」
「いいよ。そうしよう。」
改蔵があっさり言う。地丹は拍子抜け。
「じゃ、次の要求だ、『改蔵君のうちに行っても追い返さないで飲み食いさせる事!』…どうだ!?」
…なにそのセコイの。ほんっと器の小さい奴…同時にドアが開き、野次馬たち登場。
「だめよ坪内くん、そんな事したらこの二人のエッチの邪魔になりかねないわよ?」
ほかの野次馬も「そうだそうだ!」とはやし立てる。なんか大騒ぎになって…
え?あれ?
なんでみんな、私と改蔵がエッチする関係だって知ってんのよ!?
「何だよみんな、僕は別にSEXまで邪魔する気はないぞ、飲み食いするだけだ!もー言ってやるぞ、
だいたい邪魔も何も、この二人は赤ちゃんが出来たかも知れ…」
「わー!やめてー!!」
「そりゃ子供だって出来るだろこの二人なら。だからって好きなだけ飲み食いはやりすぎじゃないか?」
41あいつは改蔵 第6話:その7:05/01/15 21:02:40 ID:VKP71Uia
「そうだ坪内、せめてそれは一日に一回だけ使える権利、とかにしとけ。」
「…うーんそうか、じゃそうしようか。」
「ちょっと、みんな待ってよ!?何で私と改蔵の仲がばれてんの?なんで私の妊娠に誰も驚かないの?」
「ばれてんの、って…秘密にしてるつもりだったの羽美ちゃん、それ?」
「てか、うちのクラスで『二人にいつ子供が出来るか』賭をしてたの、気づかなかったか?」
私は呆然。改蔵はなんか遠くの空を見ている。
「何してんの、もう一つ冷やかしネタは手元にあるんだよ?2番目の要求、呑むの呑まないの?」
「ねえ坪内くん、なんで二人の邪魔したいの?」
「だって羨ましすぎるじゃないか!前から言おうと思ってたけど…全ての幼馴染カップルが改蔵くんた
ちみたいにずっと一緒で仲睦まじく結ばれるわけじゃないんだよ!僕にだって、小さい頃よく遊んだ幼
馴染の女の子はいるんだ。でも今じゃ道ですれ違っても挨拶もしないよ、普通そういうもんさ。」
何人かの野次馬が頷く。
「羽美ちゃんさ、こないだ春一番が吹いて君のスカートがめくれてパンツが僕に見えて…改蔵くんが怒
って僕をどついた時何て言った?『ごめん、改蔵って小学生のころからこうなのよ』そう言ったよね?」
「え?それ、なんかへん?幼馴染の男の子って、大きくなってもみんなそうなんでしょ?」
「んなわけないだろー!!」
これは地丹だけじゃなく、複数の男の子で合唱に。
「ねえ君たち、自分たちがどんなに恵まれた幼馴染かわかってないよ。一緒に暮らせるなんて普通ある
わけ…とにかく少しくらい分けてくれよ!一日一回の権利、それだけだよ!?」
「わかった。その要求呑もう。」
改蔵が真摯な態度で答えた。うー…まぁしょうがないか。
「それと、オマエの幼馴染の事なら大丈夫だと思うぞ。たまに見るあの眼鏡の娘だったよな?きっと今
からでもうまく行くさ。」
あら、改蔵が人の恋路のフォローするなんて…やるじゃん、珍しく。
「彼女から2月にチョコは貰えただろ?なんせ俺だってチョコ貰えたくらいだしな、その娘からは。」
地丹の顔が、まんがの地丹が愕然とした時の表情と同じになった。
そして『きょえ――――っ!!』と叫ぶと、二人のけっこんとどけを屋上から盛大にばら撒き始めた。
42あいつは改蔵 第6話:その8:05/01/15 21:05:29 ID:VKP71Uia
一言多いのは改蔵の悪い癖だ。それ言うと『オマエが言うか』って返されるけど。
地丹にコピーをばら撒かれた結果、今教室には人が押し寄せてる。
私の書いた懐かしい文面、また改蔵の書いた不発弾文面に誘われて皆は来たんだけど、そこに次々と妊
娠の噂は伝わり、もう手の施しようもない。
「やっぱ結婚して産む気なんでしょ?予定日は今年の暮れ頃だね。」
「出来たのって改蔵が風邪で寝込んでた頃だよな?あれほんとに風邪だったのかよ?」
あ、部長も来てる。改蔵が真っ赤になるたびクスクス笑ってる。やっぱこの人は大丈夫じゃん。
相当冷やかされたが、祝福もいっぱいされ、放課後やっと落ち着いた。
学校当局にも騒ぎは伝わった筈だけど、今の所何も言われてない。
「おふくろがなんか先手を打ったんだろ。それで済まないならおやじが出てきた、かな。悔しいけど。」
「つくづくあんたの両親ってすごい人たちだね。」
周りもいろいろ協力してくれてるんだ。もう二人とも覚悟決めるしかないよね。とりあえず私たち自身
に出来る事は、これから二人…いや三人で暮らしてゆく準備を整えておく事、かな。
「ごめんね今回の事は…発端は私なのにね、いけない娘よね…あ、もう『娘』とは言えないか。」
やっと二人きりになった廊下。私は改蔵に近づき寄り添った。少し冗談めかして言う。
「これからもよろしくね、改蔵パパ…」
「パパ、ねぇ…あー大変だなぁ。」
難しい表情の改蔵。しっかりしてよ、と言いかけたその時…下腹部に特有の感覚が。
「え…あれぇ…あ!あー!改蔵、来た――――――っ!!!」
「なんだなんだ、おい人を急に引っ張ってどこ行く気だ、そこは女子トイレだぞ!」
なんと5日遅れで始まったのだ。こんな遅れる事なかったのに…。
一応の処置をして個室から出ると、笑いながら改蔵の手を取った。
「アレ始まったよ、アハハハ…覚悟決めたのにバカみたい。なんか拍子抜け、アハハ…どしたの改蔵?」
改蔵は笑ってないのだ。私も気づく。
私たちを取り巻く状況は、ドミノ倒しのように連鎖的に変わってしまった。そして、ドミノ牌の最初に
倒れた一個が元通りに立ったからといって、連鎖で倒れていた他の牌はひとりではに戻らない。
それどころか、今こうしてる時点でもどこかで何か変わりつつあるかも知れないのだ。
43あいつは改蔵 第6話:その9:05/01/15 21:12:02 ID:VKP71Uia
「なによっ、悪いのはあんたでしょっ。」
一週間経ち今日は卒業式の日。もはやお約束なので、駅前商店街の店々のおじさんおばさんは「ああま
たか」って笑顔で二人のケンカを見てる。
どうも『けっこんとどけ』は風に乗り街中に飛び散ったらしいのよ。
ケンカの原因?それは、まあ、他愛もない事で…
要するに、また駅の階段で、私がパンツを下から他の男に見られた見られてないで揉めただけなのだ。
思い返すと、二人が一緒に暮らすことになった日の下校の時のケンカも同じ原因だったな。
仲直りして腕を組もうとする…そこで改蔵が急に電波系雑誌を買うのもお約束。
超文明とかUFOとか面白いのかなあ?どうせなら呪いとかそっち系統の本読みなさいよね。
この一週間いろいろあった。
私たちはまんがとは直接の繋がりはなくなっちゃった。定期報告ももうしない。
二人がデキちゃった事、編集部にも伝わったしね。まんがの中の「改蔵」と「羽美」をやりまくりカッ
プルとして描くわけにもいかないから、今後はオリジナルエピソードで続くんだって。
でも私たちのケースが初めてって訳じゃないんだそうよ、こんな風にまんがの予定してない所でモデル
の二人がデキちゃって、その後完全創作で描き続けられていくの。
内緒との約束の下、そんなまんがの例を編集部はいくつか挙げてくれた。教えられないけどね。
私が妊娠してなくて、ママは大落胆。よっぽど孫の顔が見たかったらしい。おばさんはさほどでもない
んだけど、教えてない私のアノ日の周期をなぜか正確に把握してたのが引っかかるなあ。
クラスでは私の妊娠不発で少しの間しらけた。でも今は、結局学校が何も言ってこなかったのをネタに
『学校公認やりまくり同棲カップル誕生〜!』とはやしたて盛り上がってる。
あと自分で驚いたのは、妊娠してなかったのを私が少し残念に思ってる事。
もちろん今すぐまた赤ちゃんが欲しいって訳じゃないんだけどね。
そして、二人の仲は、この事件で少し成長した…と思える、かな。

二人は喫茶店に。部長(正確には『前部長』なんだけどね)とお茶の約束なの。
彼女も卒業しちゃったけど、多分頻繁に遊びに来てくれるよね。お店に入ってきた私たちに気づいた。
「いらっしゃい。ちょっと昨日、編集部で面白い話を聞いてきたのよ、興味あるでしょ?」
44あいつは改蔵 第6話:その10:05/01/15 21:14:58 ID:VKP71Uia
「『精神病院オチ』ですか…」
「そうよ。あのまんががすぐ終わるって訳じゃないの、まだ1年…もっと続くかもしれない。ただもう
この機会に、最終回のオチはそう決めたんだって、センセイが。」
彼女は昨日はお別れの挨拶でサンデー編集部に出向いて来たのだ。
「不満?二人とも患者でした、まんがの中の出来事は全部病院内で起きた事を病気のフィルターを通し
てみた半分妄想のストーリーでした、って事になるみたいだけど。」
「オレたち、治って終わるんですか?ならいいんじゃないですか?特に羽美なんか、患者だったって事
にでもしないと問題な事ばかりしてますからね。」
「まんがの中では、でしょ?まあ、私も特に不満って事は…」
しばらく無駄話の後、珍しく部長が支払いをし、喫茶店を出た。彼女の家はここからだと反対側だ。
「じゃ今日はこれで。さて、卒業のけじめだし…決着をつけとかなくちゃね、改蔵くんの事。」
「え…じゃ、やっぱり部長、改蔵の事を…」
「まあね。これでも私ずいぶん悩んだのよ、見た目わかんなかったかもしれないけど。で、結論はね…」
言いつつ彼女は携帯でメールを打ってる。誰に送るんだろと思ったら、私と改蔵の携帯に同時に着信。

『二人に 幸あれ。』

目の前の彼女は私たちに微笑んでる。今まで見た部長の笑顔の中で最高の、とびっきりの笑顔。
軽く手を振るとすぐに踵を返し、彼女はそれきり振り向かずに去って行った。

そして春休み。この家に居候してもうすぐ1年になる。いい天気の朝。
「ねえ羽美ちゃん、ちょっと…」
「はいなんでしょうお義母様っ!お茶でしょうか食器洗いでしょうか、ええと、掃除はもう…」
「あのね、そんな無理に私の要求を先読みしようとしなくともいいのよ、もっと自然に…」
「うう…マリッジブルーですわお義母様!」
「こらこら飛躍しない。それとその『お義母様』ってのやめてね、恥ずかしいから。ま、ぼちぼち仕込
んであげるわ。ちょっときついかもしれないけど覚悟してね。」
おばさんは軽く微笑む。私はちょっと後悔。
「色々教えなきゃね…料理、洗濯、将来に備え育児関連…お望みなら『夜のテクニック』もね。」
「い?いえ、そこまではっ。」
私は今度は慌てた。おばさんは冗談でなくそういう事を言う時があるのよね。
45あいつは改蔵 第6話:その11:05/01/15 21:19:31 ID:VKP71Uia

「あっそ。それはそれとして、今日の私とうちの人の予定は知ってるわね?」
「はい、今日は平日だし、いつも通りお仕事にお出かけですよね。」
「そうよ。だから昼御飯と晩御飯は羽美ちゃんの考えで作って食べてね。あとは…」
細かく言われ、私はメモに取る。
え?おばさん達を送り出したら、家事をほっぽり出してエッチばっかりするんだろうって?
しないわよ。お正月の時とはもう違うの、私たち。ちゃんと節度をわきまえてるんですからね。

1時間かけ、改蔵にも手伝わせて家事を一段落させた。トイレ休憩しよう。
個室に入りパンツを足首まで下げたら、急にドアが…あいつもトイレ休憩を考えてたみたい。
改蔵に見られたままおしっこをする私。
「スケベ、2階のトイレ行ってよ!」
「…スカート下げて隠せばいいだろ。なにもヘソが見えるまでたくし上げてなくとも…」
「しぶきがかかるから駄目よ。改蔵出て行かないの?ね、ここの鍵、何で壊れやすいの?前の時だって。」
「1年前のアレか?オマエ、おふくろのしてた策略まだ気付いてないんだな、アレは壊れたんじゃなく
って細工されてたんだぞ。アレが二人を深い仲にするきっかけになったと言えなくもないのに。」
「策略?細工?きっかけ?何の話よ?」
「いいよ、オマエは最後まで気づかないよきっと。だけどよく出るな…なあ、もっと脚を開いてくれ。」
「あんた変態?エッチの時とは違うの、こんなとこ見られるのすっごい恥ずかしいんだよっ。」
私は脚を広げ、おしっこを続けながら言う。改蔵は顔を近づける。
「うー、結局モジャモジャでよく見えないな…なあ、部屋に行ってもっと…」
「やあよ、トランプで負けた時、思う存分見せたでしょ?」
「SEXしたくなったんだよ。嫌か?なら独りでするさ、あの頃を思い出して。思えばあのトイレ以来、
オマエの着替えの盗み見とかオカズに2階のトイレで…早く一つになりたいって思いながらしてたな。」
「そ…そうだったんだ…実はあの頃は、私も同じ事…」
おしっこは終っちゃった。そして私、改蔵としたくなってる…
ごめん、さっきの『節度』の話は撤回ね。
お部屋に行き裸になり、Wベッドであちこち互いにキス。彼は手早く避妊具を被せ、私に挿入す…
「かいぞーくーん、うみちゃーん、いるー?いるんだろー?」
46あいつは改蔵 第6話:その12:05/01/15 21:21:07 ID:VKP71Uia
…地丹くんだ。改蔵は勃起がおさまらないので、私がさっと服を着て応対。
「なによ何しに来たのよ、私たちそんなにヒマじゃないのよ?」
「ラフな格好だね羽美ちゃん、いかにも慌てて着た感じ…おっとそんな殺人鬼みたく睨まないでよ。こ
ないだ約束した例の権利を行使に来たよ。」
地丹は結局1時間居座って、ケーキとコーラを飲み食いしてやっと帰った。
私は醒め切っちゃってたんだけど、二人に戻るとすぐ改蔵は私を押し倒しせっかちに裸に剥いた。
改蔵はこの時とばかりに私の例の弱点を攻める。電気のように強い快感が身体を駆け巡り、身体がカー
ッと熱くなる。アソコも濡れて息も荒くなり、ついに甘ったるいおねだり声が出始めて…
「ごめんくださーい。名取様いますかー?」
…私は上っ張りだけ羽織って玄関へ。おどおどした女の子が立ってる。
「あ、名取様、今いいですか?あのですね、こないだの、ヌンチャクの片方にヘンなものをつけて意外
性を狙うって件なんですけど、イマイチいいのが思い浮かばなくて…」
「生肉でもつけとけば?」
てきとーに言ったんだけど。彼女は物凄く納得した表情で、ツインテールを翻し帰って行った。
「ごめんね改蔵、あの娘ね、まんがの私とこの私をごっちゃにしてて、私の家来になった気で…」
改蔵は憮然としてる。やっと一つになれそうって所で玄関に出ちゃったもんね私。
うーん仕方ない、おわびに指と唇と舌で彼のモノを可愛がってあげちゃおう…ほら、改蔵も再び昂ぶっ
てきた…こんなに硬く大きく…
「改蔵くーん、いるー?ねーねーみんなでカラオケいこー、久しぶりに改蔵くんの『実写版鉄腕アトム
の主題歌』が聞きたいなー。羽美ちゃんなんかほっとけばいーじゃん、ねーねー。」
私はキレかかり、半裸で構わず玄関に。
「改蔵は今はカラオケなんかしませんっ!!あんたらなんか、一生の間ずっとしんでろー!!」

でもなぜか今日はその後も、私たちがいよいよ繋がろうとする度に邪魔が入ってくる。
私の弟が「改蔵が探してたレアカード見つけたから」とやってくるし、怪しげな自称霊能者が「この家
の階段下の小部屋にはお化けがいると聞きましたが」と除霊に来るし、ついには竿竹屋まで…。
急に改蔵がハッとした。何よ、何か原因に思い当たったの?
「こ、これは…家庭訪問に違いない。」
47あいつは改蔵 第6話:その13:05/01/15 21:24:28 ID:VKP71Uia
「は?」
「きっと今週は家庭訪問が解禁なのだ。誰がどの家を、家庭訪問してもいい週なのだ!!」
素っ裸のまま改蔵は力説し始める。私も引きずられて全裸で突っ込みをいれる。
「アホかあんたは、家庭訪問って、何でクラスメートとかが来んのよ、普通来るのは教師でしょ?」
「教師が家庭訪問なんかしたら、家庭教師になってしまうではないか。」
「…わけのわかんない事言わないでよ!?」
「家庭教師なんていたら大変だぞお…『マツダユ●サクに殴られたり』とか『シンゴちゃんにポスター
隠されたり』とか…それに…」
「わー改蔵壊れないでー!そんなことよりいいことしよっ!ほらっコレ好きでしょっ!」
私は小ぶりながら弾力には自信のあるおっぱいの間にあいつの顔を埋めさせ、ムギューと抱きしめた。
「うう…このプニプニ感は…いや、それより…家庭菜園で聞いたこともない野菜…」
「えーいしつこい、これでもかー!」
「おお、やわらかいなあやっぱ…家庭…家庭用サウナで…普段かかないような色の汗…ん…んむ…」
むりやり乳首を口に含ませた。よしよし一心にしゃぶり出した。なんとか精神崩壊は押しとどめたかな。
舌使いにも調子出てくる。私も気持ちよくなって来た…ああ、やっと愛してもらえる…
『あら、家庭訪問のネタいじりはもう終わりなの?』
『代わりにおっぱいいじりを始めたみたいな会話してるぞ。』
ちょっとちょっとちょっと、窓の外で聞いてんじゃないわよ!!
「おいオマエ等、さっきからなんなんだよ、邪魔するな!」
改蔵がカーテンを開けて言う。皆は笑うだけだ。私はシーツで身体を隠し真っ赤な顔。
「地丹くんまでいるじゃない?あんた今日の分の権利行使は終わったでしょ?何でまだいんのよ!?」
「あ、今度は伝言だよ。センセイがね、もし二人が結婚とか本当に妊娠って事になったら教えてほしい
んだって。話はオリジナルで続くんだけど、そういうイベントはまんがに入れておきたいらしいんだ。」
「え?」
「前の部長の提案らしいけど。じきメールが二人にも入ると思うよ。今日のこの事も報告しとこうか。」
じゃ、私たちが結婚したら、次かその次の週あたりで、まんが「かってに改蔵」でもオリジナルの話の
途中に、急に二人の入籍のシーンが挟まる…って事?
私はそんなことを考えてたけど、改蔵は違ったらしい。『帰れこのヤロ!』とギャラリーを追い払うと、
突然服を着始めた。
「ダメだ羽美、この家じゃ…ラブホかどっか行こう、でないと続きができねえよ。」
「え?続き?まだする気なの?おばさんに言われてた家事の残り、そろそろ始めなきゃいけないのに?」
「オマエ、もう続きしなくともいいのか?」
「…したいけど。」

皆に気づかれないよう、そーっとうちを出た…筈だったんだけど。
「あ!いたわ、逃げてどっかでエッチする気よ、追いかけて!」
私たちは逃げる。二手に分かれたり藪を抜けたり…だけど連中も追いすがる。いつの間にか桜並木の下。
「ハアハア、なんか楽しいー!ねえ改蔵、私、すぐにでも改蔵のお嫁さんになりたいのー!」
「は?何を急に電波な事…ハアハア、ほら逃げないと!」
「改蔵お願い聞いて、私あなたの妻になりたいの、奥さんになりたいの、『勝 羽美』になりたいの!」
「まてー!待つんだ二人とも…ハアハア、新部長の命令だぞー!!」
「あなたの赤ちゃんたくさん産みたいの、夫婦仲良過ぎだねって冷やかされるようになりたいの!」
満開の桜の下、私たちは花見の人々の間を縫うように走る。見知った顔もいる。私はなお言う。
「30才40才になってもエッチいっぱいしたいの、ハアハア、えっとそれから…」
「してやるよ、だから急げ、追いつかれるぞハアハア…」
少し遅い私の手を取ろうと、走りながら自分の手を差し出すあいつ。
「だいたい、何をいまさらな事言ってんだよ!それって俺たち小さい頃から誓い合ってた事だろう!?」
聞いてた花見客たちが『おー!』と賞賛する。私は自分の表情がぱあっと明るくなるのがわかる。
「そうだよね!私言ったもん、『うみはかいぞうくんのおよめさんになることをちかいます』って!!」
走りながら私も手を伸ばす。まだみんなは追いかけてきてる。手がもうすぐ届く…掴まえた。
桜の花びらが舞う中、私は駆け抜ける…幼い頃と同じように手を取り合って、大好きな人と。
あいつは改蔵、私と将来を誓い合った事もある幼馴染の男の子だ。

そして、その誓いは…

―完―
49名無しさん@ピンキー:05/01/16 11:20:03 ID:dUAqAXB0
>>35-48
すげーGJ!!!
全篇を通して言える事だけど、部長の辛さ寂しさとか両家の親の浮かれっぷりとか
クラスメートの生温かい視線とか、背後の人間関係についての描写が面白かったです。
オチもラブコメというか映画のラストシーンみたいで綺麗でした。
改蔵設定を使いこなした上で、別作品みたいに仕上げる筆者の力量も凄まじい!

ボリュームのある作品お疲れ様でした。また次回作にも期待しております!
50名無しさん@ピンキー:05/01/18 18:34:28 ID:w7Rrw3pr
あいつは改蔵乙です
かなりボリュームがあり正統派な感じで楽しめました
これからも頑張ってください
51元229:05/01/21 21:51:13 ID:DFmA8ltS
>49,50
ありがとうございます。
やっぱり連載ってきついです。入れたいエピソードはもっといろいろあったんですが、これが私には精一杯の分量ですね。
決まった時点ごとに決まった品質のものがコンスタントに書ける専門の物書きさんってえらいなあ。

さて、次は、ダーリンのかるーいしょーもない身も蓋もない短編を書こうと思ってます。では。
52名無しさん@ピンキー:05/01/23 02:41:19 ID:Gj7AhYdm
                ∩
                ( ⌒)      ∩_ _グッジョブ !!
               /,. ノ      i .,,E)
               ./ /"      / /"
   _n グッジョブ!!  ./ /_、_    / ノ'
  ( l    _、 _   / / ,_ノ` )/ / _、 _    グッジョブ!!
   \ \ ( <_,` )(       /( ,_ノ` )      n
     ヽ___ ̄ ̄ ノ ヽ     |  ̄     \    ( E)
       /    /   \   ヽフ    / ヽ ヽ_//
53名無しさん@ピンキー:05/01/23 04:11:32 ID:t3LSGTiX
あいつは改蔵今回もとっても良かったです。
49さんに激しく同意。
羽美ちゃん可愛いなコノヤロー
54名無しさん@ピンキー:05/01/25 23:16:31 ID:k6Z9Zwep
久しぶりに見たら・・・完!
グッジョブです!いいもの読ませてもらいました!
55名無しさん@ピンキー:05/01/29 15:06:16 ID:LnqJ6L2F
保守下げ
56名無しさん@ピンキー:05/01/30 03:35:32 ID:FMr/2tP1
なんか今更だけど、感動した。
これからも元229氏の作品は読みたいですね。
57名無しさん@ピンキー:05/01/30 18:51:35 ID:7Te7A1ES
うみちゃんの放尿シーンが良かった
GJ!!
58元229:05/02/04 21:46:43 ID:Rpb9iuGo
元229です。>52-57 皆さんありがとうございます。

んー…
「あいつは改蔵」が終結する頃には、久米田氏の新連載が噂くらいにはなってると思ったのになー。
当てが外れた…。

それはさておき。以前もそうでしたが、込み入った時間のかかる作品を書いた後は、軽い空っぽな
話をさくさくと書きたくなります。
というわけで、「育ってダーリン」の身も蓋もないしょーもない話を書きました。
以前に投下の大学生同士の初エッチエピソードとは、全くつながりがありません。
エッチシーンありません。オチは数通り思いついたうち、一番馬鹿馬鹿しいものにしました。
読んだ後に何も残らない作品です。おそらく7レス消費。

なお、私が今まであまり使わなかった単語を登場人物が何度も何度も連呼してますが、べつにこれ
は私が欲求不満だから、ってわけではないです。いや、ないと思う…んだけど…
59見ちゃだめダーリン。 1:05/02/04 21:50:25 ID:Rpb9iuGo
小学生というのは、ミもフタもない生き物である。
たまたま女子が一人もいない昼休み、教室で冬馬は小太郎に質問された。
「なあ冬馬、オマエ、高校生の女と一緒に暮らしてるんだったよな?」
「え?あ、まあ…」
「一緒に風呂入ったりするのか?」
冬馬はドキッとする。なぜか小太郎を含む友人達数人は、威圧感を漂わせて彼を取り囲んでいる。
「そ、それは…そんなこと、別に、うららはそんなことは、特に特別な場合の状況のときはそんな。」
しどろもどろで答える、というか言い逃れようとする冬馬。
「つまりだな、確かに俺は男だけど小学生だぞ?だからそういうことは、うららだって不都合もあるわ
けで、やっぱりあまりおおっぴらに出来ることではないわけで、一緒に風呂に入るとか入らないとか。」
「…わけわかんねーぞ?要するに、一緒に入ったことがあるのかよ無いのかよ?」
「だからさっきから言ってるように、そういうことが可能な状況は滅多に…」
「つまりあるわけだな、たまには?」
「…まあ、そういうことに、なるのかな。」

冬馬の言うことが要領を得ないので補足しよう。
うららと彼は普段は別々に風呂に入ってる。別にやらしい関係になるといけないからとかいう訳ではな
い、単純に一緒に入る理由が特にないだけの話だ。
ただ一月に一遍くらい、家事や宿題やらの時間の関係で、一緒に風呂に入ったほうが都合がいい場合が
出てくる。そうすると別にうららは躊躇しないし冬馬もそんなに意識はせず、普通に一緒に風呂に入り、
そして身体を洗って出る。それだけだ。それだけなんだけど…。
冬馬を取り囲む同級生男子達は目をらんらんと輝かせて次の質問を。
「で、どうなんだ?見たんだろ?」
「そりゃ一緒に入れば…言っとくけどうららの胸ってそんなすごくボインってわけじゃないぞ。」
「おっぱいなんてどうでもいいよ、そんなの小学生だって本とかテレビとかその気になりゃ見れるさ。
今ここで聞いてるのはマ○コの事だよ。見たことあるんだろ、正直に言え。」
60見ちゃだめダーリン。 2:05/02/04 21:52:11 ID:Rpb9iuGo
「う…それは…あるけど…」
「見たのかマ○コ!?」
「マ○コを見たことあるのか、オトナの女のマ○コを!?」
もちろん実際の会話中では伏字は存在しない。
繰り返すが、小学生というのは、ミもフタもない生き物である。このあたりマッスグなのだ。
「あ、あるよ…たまに、チラッと、だけど…」
「教えろ!」
「は?」
「どんな形してるんだ、教えろ今すぐ!!」
「ちょっと待て、たまにチラッと、だって言っただろ、そんな詳しく…」
「いいから、とにかく描いてみろ!」
画用紙と鉛筆を差し出される。
取り囲む5人の10歳児の血走った視線に圧倒され、冬馬はしぶしぶ描き始めた。
そして数分後。
「…なんだこりゃ。」
「いや、だから…うららの…マ○コだよ。」
「…なあ冬馬、前から思ってたけど…おまえ、絵、下手だな…」
冬馬の絵は、逆三角形をモジャモジャっと描いて、その下に縦長の細長いグニュグニュしたものを描い
て、その左右にまばらにチリチリした線を描いた代物だ。
「仕方ねーだろ、俺は図工は2なんだよ、それにそんなマジマジ観察したわけじゃねーんだよ!」
「それにしたって…なんだよこれがマ○コかよ?便所とかの落書きのとずいぶん違うじゃねーかよ。」
「冬馬、これ、どこが何なんだよ?このモジャモジャが毛なのはわかるけど…この縦長の線は何だ?」
「だから、これが…本体だよ、割れ目になってる部分。こっちが尻の穴のほうで、こっちが前で、前と
両脇にこう、毛がチリチリ生えてて…」
「そりゃわかるよ、そんくらい知ってるよ。違くて、この本体ってやつのどこが何なんだよ?どこがチ
ンコの入る穴なんだよ?」
「わかんねーよ、穴なんて見えねーんだよ!」
「とにかく、わかるようにもう一度、本体だけ詳しく描いてみろよ。」
61見ちゃだめダーリン。 3:05/02/04 21:54:18 ID:Rpb9iuGo
また数分後。
「こ、これでどうだ?色はだいたい唇の色より少し薄いピンク色で…この両側は結構盛り上がってて普
段は割れ目の中は見えないんだ。脚を開いた時だけこうなるんだけど…」
「それはいいよ、それより穴だよ。どこが穴だよ?おしっこはどこから出るんだ?」
「え?穴からだろ?」
「だから、その穴はどこだよ?」
「同じ穴じゃないんだっけ?」
「確か違うはずだぞ。」
あいまいな知識をつき合わせて侃々諤々の大議論。だが結局何がなんだかよくわからない。
「だめだやっぱ良くわかんねーよこんな絵だと。あー、なんで図工が2の奴しかマ○コを見たことねー
んだよ…」
冬馬の名誉のために言えば、この冬馬の絵は、下手なりにうららの性器の特徴を上手く捉えているもの
であった。陰唇のよじれ具合とか、陰核は包皮で隠れて見えない所とか…。
だが子供たちにはそれがわかっていない。教科書の抽象化された模式図のそれのように、膣口とか陰唇
とかもっとはっきり区分けされてるものと思い込んでいるのだ。
だんだんみんな思いつめた表情になってくる。小太郎がポツリとつぶやいた。
「…写真、だな。」
「そうだな。それしかないな。」
「え?どういう…まさか、俺に、風呂でうららの…」
「そうだよ。マ○コの写真を取って来るんだよ。デジカメ持ってんだろ?」
「無茶言うな!!あのな、うららは自分から見せてくれたわけじゃないんだぞ?屈みこんだ所を後ろか
ら見えちゃった時とか、湯船の縁を跨ぐんで脚を持ち上げたのが正面から見えちゃった時とか…たまた
ま見えただけなんだよ。写真なんか撮ったら俺の命が…」
「冬馬…親友にマ○コの形を知らせるために、君の捨て身の覚悟が必要なのだよ。とにかく写真撮って
来い、友情の証として。」
「頼むよーこの絵で許してくれよー!!」
「やだ。(←全員で)」
62見ちゃだめダーリン。 4:05/02/04 21:56:49 ID:Rpb9iuGo
自宅に帰ると、しかたなく冬馬は作戦を練った。
(とりあえず、うららをどうやって一緒の風呂に誘うか、だな…。それさえ成功すれば、後は何とかな
るはずだ。うーん、どうやって騙すか…うーん。)
うんうん唸りながら作戦を練ること3時間。9時近くになってうららが高校から帰ってきた。
「ただいまー。あー遅くなった疲れた…冬馬、めんどくさいからお風呂一緒に入ろ、そんで寝よー。」
「う…うえ?」
あわてる冬馬。どうやれば一緒に風呂に入れるかの事ばかり考えてて、その後どうすればアソコを写真
に取れるか、どうやってデジカメを風呂場に持ち込むかを全く考えていなかったのだ。
「ほら、何してるの、早く着替えとタオル持っていらっしゃい。」

一ヶ月ちょっとぶりの一緒のお風呂。
(ちょっと痩せ過ぎっぽい気もするけど…でもそのぶん、おっぱいが大きく見えるよな…)
腕も脚もすらっと伸びきってなかなかスレンダーなプロポーション。円錐形の乳房、乳輪の目立たない
ピンクの乳首、面積は広いが全体的に薄くしか生えていない陰毛…。
冬馬は服を脱ぎ終えてこれから風呂場に入る所だ。
うららは洗い場でむこうを向いた。背中にかかる髪の毛の末端が濡れている。肩甲骨の目立つ背中、腰
のくびれの細さ、小さめの尻。脚が細いので、両脚をぴったり閉じていても股間には手が余裕で通るく
らいの隙間がある。だから普通に立っていても、後ろからだと少し性器が見えてしまう。
彼女はこちらを向くと屈みこんで風呂のお湯を身体にかけ始めた。股間はこちらに向け開いている。
(湯船に浸かる前、今しかないな…えーい、やっちゃえ!)
タオルで巻いてカモフラージュしたつもりのデジカメを持ち込み脱衣所から洗い場に。さりげなく、あ
えて堂々と、当たり前のような動作でカメラを持ち込めば意外と気づかれないのではないか。冬馬はそ
れに賭けたのだが。
「きゃ、冬馬あんた…そのデジカメ何する気?」
「え?いや、これは単なるタオルを巻いただけのものだよ。」
ごちん。
殴られた。カメラを取り上げられる。ばれたのだ。
まあ、当たり前だ罠。
63見ちゃだめダーリン。 5:05/02/04 21:57:57 ID:Rpb9iuGo
冬馬は事のいきさつを話した。
うららは洗い場にいる。冬馬は湯船の中だ。奪い取ったデジカメを弄びつつうららが言う。
「…何そればっかみたい。小学生って意外とエッチなのね。そんなに、その…女の子の…見たいもんな
の?まだ自分には毛も生えてないくせに?」
「見たいんだろ。あいつら、目が血走ってたし。」
「じゃなくて。あんたよ、冬馬は見たいの?まあさっきの話だと、こうしてお風呂に入ってる時って、
ちらちら私のを盗み見してたみたいだけど。」
「…」
「で、どうしようかこのデジカメ。まだ一枚も撮ってないよね?」
「撮ってねーよ。って、ひょっとして…撮らせてくれんのか?」
「んな訳ないでしょ…あ!」
冬馬が一瞬の隙を突いてうららからカメラを奪い取ったのだ。
闇雲にシャッターを押し捲る冬馬。脚をぴったり閉じ、両腕で胸と股間を隠して対抗するうらら。
「撮るな馬鹿、撮るな撮るなー!」
「撮らせろー!マ○コ撮らせろ、俺の友情のために撮らせろ!マ○コ撮らせろマ○コ!」
「マ○コマ○コ大声で言うなー!」
うららのほうがまだまだ腕のリーチは長い。冬馬から強引にデジカメを奪い返す。
「はあはあ、あーまったくやらしいったら…とりあえず全ファイル消去、っと。」
「あー!少しは写ってたかもしれないのに…」
「冬馬聞きなさい!だいたい私はね、歳は離れてるけど一応あんたの恋人よ?『理想の男の条件――』」
うららはびしっ、と右手人差し指を立てる。
「『男たるもの、他の男が恋人の肉体に興味を示したら、断固それを粉砕しなければならない!』のよ!」
冬馬は湯船の縁に腰掛けてまだ憮然としている。うららはため息をつく。
ところが…次の瞬間、唐突にうららは無茶な事を思いついた。
「ねえ冬馬…もし、『一枚だけ撮らせてあげるけど、後はそれっきり』ってのと、『撮らせない代わり
に冬馬にだけは好きなだけ見せてあげる』っていうの、どっちか選べって言ったらどうする?」
「え?」
64見ちゃだめダーリン。 6:05/02/04 22:00:08 ID:Rpb9iuGo
「先のを選んだら、一回だけアップで撮っていいよ、大きく広げた所。あとは友達に見せるなりなんな
りして構わないわ。ただし、もうそれっきり、二度とあなたにはナマでは見せてあげない。」
冬魔はうららの言うことが先回りして飲み込めてきた。どうしよう…。
「後のを選んだら、デジカメで撮るのはなし。その代わり、今夜…好きなだけあなたにだけ見せてあげ
る。どこまでも心ゆくまで…私のオマ○コを。ね、どっちがいい?」
男の友情か、自分の性的好奇心か…冬馬は迷った。うららがイタズラっぽく微笑む。

結局、冬馬は、自分の欲望に従った。
お風呂場では湯冷めしてしまうので、寝室に行きのベッドの上でだ。パジャマ姿で下半身だけ脱いだう
ららの股間に、冬馬は顔を寄せる。
「見えない?ほら…これだけ広げれば、よく見えるでしょ…?」
あと10年もすると、毎晩こんな風に見せて…そしてそのときは弄らせたり舐めさせたりするんだろう
か。うららは将来の自分たちの夫婦生活の一端を垣間見たような気がしている。
冬馬のほうはそれどころではない。目の前のものを頭に理解させるのに全力だ。
(うわ…こ、ココがおしっこの出る穴か…ほんとただの点みたいな穴だな…それに比べるとこっちの穴
は…ここまで広がるのか…しょ、処女膜ってこれかな…へえ、普段からこんなに濡れてるんだ…)
それは普段からいつも濡れてるんではなく、見られて感じてきて濡れてきたのだよ冬馬君。まあそのへ
んはうららに悪いので内緒にしておこう。
とにかく冬馬は今夜、10歳にして許婚の性器(それも17歳でまだ処女のそれ)を舐めるほど近くで
細部まで奥まで詳しく観察する…という、ほとんどの男に永遠に縁のない体験をしたのであった。

翌日。
見たもののせいであまり眠れなかった冬馬だが(写真を撮れなかった事、あいつらに問いただされる前
に釈明してしまおう…)と考え、始業前の悪友の群れている所に行った。
「あのな、昨日の約束の事だけどな…」
「あ、あれか…あれはいいや、もう。」
「はあ?」
65見ちゃだめダーリン。 7(終):05/02/04 22:02:10 ID:Rpb9iuGo
「実はな、昨日あの後、帰り道でこいつ(といいつつ仲間の一人を指差す)の兄貴に会ってな…」
「兄ちゃんに昨日の話をしたら『なんだそれなら俺の秘蔵のDVDを見せてやるよ』って事になって、
裏DVDを5巻くらい見せてもらったんだ。もうマ○コはげっぷが出るほど見ちまったよ。」
小太郎がふっ、と口元で笑う。
「まあ、なんつーか…俺達も、少しだけ大人の世界を垣間見た、って感じ?」
「そうだな。冬馬にはまだちょっと見れない世界を見たよな。」
「なんだよなんだよ!俺を半日悩ませといてそれかよ、そんなもので大人の世界を見たとかいうな!俺
なんか夕べはな、うららのマ○コを、それこそ2,3センチくらいの距離から1時間以上じっくり見さ
せてもらったんだぞ!ぐにぐに触ったりもしたんだぞ!(←誇張入ってる)」
「へーそりゃすごい…でも、俺達はTVの画面でだけど、チンコが出たり入ったり、中に出したのが流
れ出してくる所とかも見たぞ。冬馬は見てないだろ?」
「そ、そんなの見れるわけないだろ、どうやって見るんだよ…でも、お前たちの見たのはあくまで画面
の中の事だろ、俺はナマのマ○コを…」
「ナマのマ○コより画面上でもチンコが入るところを見たほうが…」
「いや、やっぱりマ○コはナマで見るに限るわけで…」
「ちょっとあんた達っ、何の話してんのよ!?ここは教室よ!」
いつの間にか大声になってたらしい。『やらしいわね』とかあちこちで女子の声。担任教師が教室に。
「あ、みどりセンセー、男子がマ○コとかチンコとか大声で連呼してます、何とかしてください!!」
「…は?マン…?」
「うるせーな!マ○コの話題してんだから、マ○コをマ○コっていって何が悪い!?」
「聞きましたセンセー?さっきからこいつら、マ○コってばっかり言ってるんですよっ!」
大騒ぎになってきた。教室内を伏字のない単語が大量に飛び交う。先生の顔が真っ赤に。
「みんな静かにしなさーいっ!マ○コとかチンコとか、他の教室に聞こえたらどうすんのよ、先生恥ず
かしいわ!小学生がマ○コとか口にするもんじゃありませ――――んっ!」
みどり先生の声が、学校中に響き渡った。

―おしまい―
66名無しさん@ピンキー:05/02/05 02:10:43 ID:7qAKiP0Y
元229氏乙です!
今回も楽しませてもらいました。
こうみると冬馬は実に羨ましいですね
67名無しさん@ピンキー:05/02/05 15:30:06 ID:x/rdWxEV
>小学生がマ○コとか口にするもんじゃありませ――――んっ!
いやみどり先生、小学生だから連呼するんじゃないかとw

GJです!
伏字単語のおかげで小学生の生々しさが一層伝わって来ました。
68名無しさん@ピンキー:05/02/09 12:09:53 ID:JrXFZrmL
あげ
69名無しさん@ピンキー:05/02/12 17:31:13 ID:jyLU75eP
元229さん…
あんた神だよ。

あいつは改蔵最高!!!

GJ!! GJ!! GJ!!
70名無しさん@ピンキー:05/02/16 20:49:57 ID:5LKw9jT7
俺ハタチだけど、
いつも部屋でマンコしてーマンコしてー連呼してるよ。
71名無しさん@ピンキー:05/02/17 20:51:32 ID:0vagys7C
>70 というのは、ミもフタもない生き物である。
72名無しさん@ピンキー:05/02/17 22:24:25 ID:94dqzPSl
マンコーレンコー
73名無しさん@ピンキー:05/02/19 16:46:09 ID:pprgFZOt
>72 も、ミもフタもない生(r
74名無しさん@ピンキー:05/02/20 19:12:14 ID:JQWFkEjy
>>72に、座布団一枚。
75名無しさん@ピンキー:05/02/22 16:59:31 ID:i98yUDtN
正直、あいつは改蔵を漫画化したい。すごい良かった。
もう一つの最終回みたいだった。
俺の画力は活気あるエロスレに投下したら3つくらいGJ!って言ってもらえるくらいだが…。
頑張って描いてみようかな…。

大学再受験生だから、時間はあまり無いんだが…。
俺よりうまい奴とかが描く気があるなら喜んで譲るけど。
半角虹板で有志を募ってみるとか、無しかな?
自信はないが、漫画化した物を見たい。
76名無しさん@ピンキー:05/02/22 20:20:11 ID:y0LJCrK2
>>75
あんた…
その決心が地球を救うんだよ。
その決心に◎
7775:05/02/22 21:52:06 ID:i98yUDtN
でも、俺の画力じゃ…。(´・ω・`)
普通に叩かれてもおかしくないレベルだからな…。
仕事と大学受験勉強で時間は取れないし、何か月かかるかわからないけど頑張ってみた方が良いのかな…。
誰か絵心ある香具師来てくれ…。
78名無しさん@ピンキー:05/02/22 22:05:01 ID:y0LJCrK2
>>77
大丈夫だ。
79名無しさん@ピンキー:05/02/23 00:51:01 ID:YOFOFkIb
>>77
てめえが描かねえで誰が描くんだよ!
8077 ◆CSCBs4vc.s :05/02/23 12:31:59 ID:qeMH6bmk
カゼ引いた。しかし、それを言い訳に会社休んでイラスト描いてみた。
三枚くらいイラスト描いてみたんだが、スキャナ動かねぇ…。orz

なぁ、もし来年受験がうまく終わったらペンタブ買う気なんだが、その後になるかもしれない…。
それでもおまいらは許してくれるか?俺は頑張って久米田絵を練習しながら勉強するからよ。
8177 ◆CSCBs4vc.s :05/02/23 13:04:17 ID:qeMH6bmk
と、思ったら色々いじってるうちに取り込めますた。
でもまぁ、大学入試をがっちりやった香具師(俺二回目wwwww)なら分かってくれるとは思うが、何にせよ時間があまりにも無い。
すんごーくゆるゆる進めて、最終的には本当に一年経つかもしれない。そこらへんは分かって欲しい。
あと、俺はトーンもつかえないし、コンピュータでの着色技術等も一切無い。
こんな感じのラフ画、良くてペン入れくらいのものしか出来ないと思う。

改造&ちたん
ttp://r.skr.jp/128/files/1068.jpg
鈴(二人に幸あれ)
ttp://r.skr.jp/128/files/1069.jpg
羽美(下着姿)
ttp://r.skr.jp/128/files/1069.jpg
8277 ◆CSCBs4vc.s :05/02/23 13:06:27 ID:qeMH6bmk
そんなわけで、上でも言ったが完成形はかなり先になると思う。
ペンタブ買ってから手直ししだすかもしれないし。

あと、エロパロ的にはすれ違いかも。別にどっかにスレ立てるべきかな…。
8377 ◆CSCBs4vc.s :05/02/23 13:07:37 ID:qeMH6bmk
ミスった。
羽美ちゃんこっち。
ttp://r.skr.jp/128/files/1070.jpg

連投スマソ
84名無しさん@ピンキー:05/02/23 16:17:46 ID:cukH9phR
なんだ、うまいじゃん。
またーり待つから大学受験も漫画化も頑張ってくれよ。
8577 ◆CSCBs4vc.s :05/02/23 16:31:04 ID:qeMH6bmk
や、うまくはないと思うんだが。
羽美ちゃん難しすぎる…。つーか、ある程度お手本となりうるコマが無いときついッス。
86名無しさん@ピンキー:05/02/23 17:36:19 ID:hiyZblEG
イイネ!イイネ!
77氏がんばれ!全然スゴイですよ。
働きながら受験ですか。偉いですね。
頑張ってください。
8777 ◆CSCBs4vc.s :05/02/23 18:00:40 ID:qeMH6bmk
どうもです。(´ω`)
ていうか、作者の方的にはこんなでしゃばった事してる私を見てどう感じていらっしゃるのでしょう…。
作る以上、許可なり何なり、挨拶させて頂きたいのですが。

…まだ見てんのかなぁ?w
88名無しさん@ピンキー:05/02/23 18:49:34 ID:tpCWs3YV
77さん…
あんた、うまいなぁ。

あと、単行本に絵筆やら、じごんすやら、萌々木アニ学のコーナーがあるってことは、OKってことだろ。
8977 ◆CSCBs4vc.s :05/02/23 19:18:24 ID:cukH9phR
や、私の言ってる作者は上の方で執筆なされた「あいつは改蔵」の方ですね。(´∀`)スマソ
ケータイからでレス番確認できませんが。

しばらくはリハビリと改蔵キャラの練習も兼ねてイラストをちまちまうPするつもりです。

もし、皆様が必要だと感じられましたら、どなたかまとめサイトか何かを作ったりして下さると大変助かります…なんてコソーリお手伝いさん要求してみるテストw
なにせそういうスキルゼロでして。ごめんなさい。
9077 ◆CSCBs4vc.s :05/02/23 19:39:39 ID:cukH9phR
飯作るのめんどいんで改蔵好きなリアル友人と一緒に飯食いに来た出先から友人のケータイからカキコ中なんですが、コイツがこの板の住人ですたwwww
テラワロスwwww
世間は狭いですねぇ。(´ω`)
91名無しさん@ピンキー:05/02/23 21:04:48 ID:tpCWs3YV
>>89

Wiki作ってみたよ。

ttp://wiki.spc.gr.jp/kaizo/

Wikiだから、誰でも書き込んで編集できるよ。

>>90
そうですかぁ。世界は輪っかですねぇ。

では、また! ノシ
92名無しさん@ピンキー:05/02/23 21:11:48 ID:tpCWs3YV
追加!
>>1
にうpろだのURLあるから、そこら辺は大丈夫だと思うよ。
93名無しさん@ピンキー:05/02/23 22:02:04 ID:azydKaKw
94名無しさん@ピンキー:05/02/23 23:56:02 ID:YOFOFkIb
誰だよ本スレに晒したのwwwwwwwww
9577 ◆CSCBs4vc.s :05/02/24 01:16:32 ID:sqccAwCc
おやすみなさいの前にご挨拶。

一応、構図?っていうんですかね、コマ割りとかそういうのを考え出しました。
やり始めちゃうと熱中してしまうので数時間すぐ経っちゃうのが怖いです。w

あと、色々描いてみた結果、漫画初体験ということもあり、手や人と人が重なってるようなのを書くのが凄い苦手なのを再認識。
イラストだったら苦手な部分を無意識に避けてるんでしょうね。
さてさて、どんな出来になることやら。

一番描きたかったラスト2ページくらいはおおまかに描けました。
明日昼休みにでもコソーリうpするかもしれません。

それでは皆さん、良い夢を。
9677 ◆CSCBs4vc.s :05/02/24 01:18:06 ID:sqccAwCc
>>91
GJです、ありがとうございます。(;´Д`)l \ァ l \ァ
色々うまく使えないか試してみますね。
97名無しさん@ピンキー:05/02/24 10:25:23 ID:QZaE9O6+
すげぇ…。
期待age

無茶せずに頑張れよ。ノC
98名無しさん@ピンキー:05/02/24 16:14:14 ID:hNdlhRpm
神展開……。77さんすげぇわ。気楽に頑張ってください。

しかし本スレに晒した奴はアホだな……
エロパロとか嫌いな人も多いだろうし、なにより文面が必死で痛い……
原作者と77さんに謝れ。
9977 ◆CSCBs4vc.s :05/02/24 18:18:49 ID:SPNBglGf
ttp://r.skr.jp/128/files/1120.jpg
ttp://r.skr.jp/128/files/1121.jpg
ttp://r.skr.jp/128/files/1122.jpg

ちわっす。
つなぎに練習に描いた絵でも投下しときます。
明日にでも、本屋さんに行って漫画用の原稿用紙?を買ってまいりますね。
何ヶ月かかるか分からないとは言ったものの、熱中しだすと止まらない性質でして…。(汗)
案外早く出来るかもしれませんね。皆さんのご期待に沿えるように、未熟者なりに頑張りたいと思います。

んで、ついつい描きたくて後ろから2ページ目あたりになるであろうページのサンプル?を描いてみました。
大体こんな感じになると思います。出来てからのお楽しみにしたい方はクリックなさいませぬよう。
普通紙にさらさらと描いただけなので、これそのものを使うわけではありませんがね。

どぞ。
ttp://r.skr.jp/128/files/1123.jpg
10077 ◆CSCBs4vc.s :05/02/24 18:20:28 ID:SPNBglGf
いやー…、正直羽美ちゃん激ムズです。
久米田サソ、改めてスゴー(゚Д゚)ーイ
服のしわとか、手とか、等身とか、本当にお上手な漫画家さんでしたね。
10177 ◆CSCBs4vc.s :05/02/24 18:23:08 ID:SPNBglGf
補足。
ラストの締め方ですが、どんなのがいいか迷ってます。

「そうだよね!私言ったもん、『うみはかいぞうくんのおよめさんになることをちかいます』って!!」
走りながら私も手を伸ばす。まだみんなは追いかけてきてる。手がもうすぐ届く…掴まえた。
桜の花びらが舞う中、私は駆け抜ける…幼い頃と同じように手を取り合って、大好きな人と。
あいつは改蔵、私と将来を誓い合った事もある幼馴染の男の子だ。

そして、その誓いは…

―完―

とありますが、手をつないだところで終わるか、ウェディングドレス羽美ちゃんでも足すか。
ご意見いただきたいところですね。まぁ、絵に関しても、漫画に関してもどんどん口出ししてください。ではノシ
102名無しさん@ピンキー:05/02/24 18:23:57 ID:4E+F6h6n
GJ
103名無しさん@ピンキー:05/02/24 19:59:27 ID:hNdlhRpm
いいね!GJ。最終回間際に近い絵ですね。
104元229(携帯から):05/02/24 21:00:06 ID:yepZ0/Fl
見てますよ。GJ!諸般の都合で・・・詳しい感想は明日あたり。
105antron:05/02/24 21:14:38 ID:3nmINUuM
みなさんこんばんわ〜
おれ、今日から名前入れるようにするわ。
常連になっちゃったし。

今までは
jyLU75eP
JQWFkEjy
y0LJCrK2
tpCWs3YV
のIDで書き込んでるのは俺です。

で、77師の新作見ました。
いいっすねぇ。
77師のは顔が似てるんです。

ttp://wiki.spc.gr.jp/kaizo/
Wiki追加しました。

あと、本スレ晒しみました。
まぁ、荒らし系なんかは無視の方向で。
Wikiが荒らされた場合は、みなさん修正お願いします。
106名無しさん@ピンキー:05/02/24 22:11:47 ID:6MS4rpR6
サイコー!
羽美ちゃんの涙がツボにズズーン!です!
なんかやたら感動的に終わりそう。素敵です。
77師は絵柄が本物に忠実で良いですねー、漫画のノリもできるだけ忠実なのを希望します。贅沢ですが。
もう新作を見れないはずの改蔵が俺の中で復活してる(゚∀゚)ヤホーイ
107名無しさん@ピンキー:05/02/25 10:16:11 ID:5hXaL2BG
すげぇ…、すげぇよ77師!!
アンタは神いわゆるゴッドだよ!
そして絵もさることながら、>>99の一番下!羽美ちゃんかわいすぎだろ!
そして感動的過ぎるだろ!

超超超期待だ(*゚Д゚)ゴルァ!
108名無しさん@ピンキー:05/02/25 21:58:46 ID:3A/qYe7C
絵のうp無いと静かだな。(苦笑)
109名無しさん@ピンキー:05/02/26 13:27:32 ID:LEI1Ue4Q
うわ、何このスレ。
俺より絵下手なヤツがなんか調子こいてるしwwwwwwww

お前らアフォかwプwww
110名無しさん@ピンキー:05/02/26 15:50:18 ID:uGirgStV
>>109の絵に激しく期待w
111名無しさん@ピンキー:05/02/26 18:45:54 ID:IlP+gOU3
だな。
>>109よろすく(^^)/
112名無しさん@ピンキー:05/02/26 18:57:47 ID:IlP+gOU3
>>108
そうそう。そうなんだよ。
元229さんの降臨激しくぎぼんぬ。顔出すだけでいいから。

てか、久米田せんせ、漫画やってるんかな?
11377 ◆CSCBs4vc.s :05/02/26 20:19:36 ID:ZPQYb9nb
>>109
いやはや、耳が痛いです。
私はもともとより良い方がいらっしゃればお譲りするつもりでしたので
引き継ぐお気持ちがあるのであれば、お願いしますね。(・∀・)

>>108
スマソorz
114名無しさん@ピンキー:05/02/26 21:11:17 ID:ulTPQ3qP
ていうかこれだけ書き込みがあるのが異常なんだがw

まあマターリいくのが一番でしょ
115109:05/02/27 09:23:08 ID:4lJ7ICju
うはwwwwwwwwwwなんでww俺wが書かなきゃwwwwなんねーんwwだよwwwwww
クソwwwがwwww
駄作w漫画家wwが駄作www小説wwwをカバーwwするとかwギガワロwスwwww
116名無しさん@ピンキー:05/02/27 10:44:50 ID:JjVZC1pD
「W」っていっぱいあると、コイルに見えない?
えっ?
俺だけ?
117名無しさん@ピンキー:05/02/27 10:48:06 ID:4lJ7ICju
俺は回路の抵抗に見えるな。

うぇwwwwうぇwwぇwっwwwwwwww
118名無しさん@ピンキー:05/02/27 10:49:36 ID:caxahyQV
山田君に見えりゅ
119名無しさん@ピンキー:05/02/27 12:28:15 ID:iObupkTL
>>115
おまえがVIPPERでないならよし、もしそうだったらここで絵描かないとかクオリティ低いことはしないだろ?
120名無しさん@ピンキー:05/02/27 12:45:15 ID:4lJ7ICju
うはwwwwwVIPPERwwってw何かwわwからねぇwwwうwぇwうぇwwぇっww w
121名無しさん@ピンキー:05/02/27 17:47:35 ID:q1ys+Ej8
ったく、ageるから変な虫が湧いたじゃないか。

お前等もスルーしろ。
122名無しさん@ピンキー:05/02/27 19:41:38 ID:uwR+2OU4
久米田新連載らしいね。しかもマガジン。ネタか……?

なんかここといい、最近忙しいな、改蔵関係っていうか久米田関係。
123名無しさん@ピンキー:05/02/27 22:47:04 ID:gtdoNbC0
マジ?ソースおくれ
124元229(携帯から):05/02/27 22:50:48 ID:vjkmmNVt
>112 スミマセン アクセス規制に引っ掛かってまして・・・しばらくPCからカキコは無理みたいです。
12577 ◆CSCBs4vc.s :05/02/27 23:41:42 ID:bDbP/i02
みなさん、しばらく動きが無くてごめんなさい。
近くの本屋には漫画用原稿が置いてないんですよ。
ちょっと遠出すればスクリーントーンとかやたらゴソゴソ置いてあるヲタさん向けみたいな本屋があったので明日行ってみます。

>>124
ふむ、それはお気の毒です…。
書ける様になったら、是非一言お願いしますね。楽しみにしてます。(´ω`)
126名無しさん@ピンキー:05/02/28 01:07:10 ID:slk2LDTQ
127名無しさん@ピンキー:05/02/28 13:49:10 ID:y/PTA8pU
>>124
お帰りなさい!!
いつでもいいですよ。
128名無しさん@ピンキー:05/02/28 13:49:56 ID:y/PTA8pU
↑sageわすれてた…_| ̄|○
スマソ
12977 ◆CSCBs4vc.s :05/02/28 21:39:05 ID:TY8DjObc
漫画用原稿が無い…!
どうしたもんかな、普通の紙じゃアトがついて書きにくいんだがな…。
もうちょっとよく調べてみます。お待たせして本当にごめんなさい。
130名無しさん@ピンキー:05/03/01 03:15:39 ID:7MdcFQdx
「あいつは」の地丹は、連載初期のそれなりに頭身があった頃の絵のほうがいいかなー、とか言ってみたり。
「あいつは」の現実世界の地丹を、「かってに」でディフォルメして3頭身ゲーハー地丹にしてるっぽいから。
1巻とかの頃の地丹は、まだ現実(あいつは)の地丹のまま描いてた……みたいな。
131名無しさん@ピンキー:05/03/01 13:26:00 ID:Ov9iJeAb
えー、俺はデフォルメされてた方がいい。
どうにも初期だと「あいつは」のチタンとはイメージ的に合わない。
くひひと笑う感じはしない
132元229:05/03/02 00:07:25 ID:7peEHYMS
やっとアクセス規制が解けた元229です。
パロ作家なのに「原作者」の称号を頂いてしまいました(笑)。

>77様
いいですね。期待しています。
ちなみにエッチシーンを描くとどんな感じになるのか、物凄い勢いで興味があります、はい。

>101
ラストの締め方ですか。
映画っぽくまとめるなら、手をつなぐ二人を背後から描いて、遠景に街が見える…
ドタバタコメディっぽくまとめるなら、走る二人を正面から描いて、後ろからみんなが追いかけてくる構図…
少女漫画っぽくまとめるなら、手をつなぐ二人を真横から描いて、ちょっと結婚式のエスコートのような
構図の所で切り取って、ウェディングドレスの羽美ちゃんがオーバーラップする…
ってなかんじですかね。そしてどれにおいても、舞い散る桜の花びら。
まあ絵になる時点で私の手は離れると思ってるので、単なる個人的意見ですが。

>130,131様
確かにちょっと苦しいですよね、あの設定。絵にしてどうなるか、全く考えずに描いてましたからねぇ。
77師がどう消化するか期待しましょう(笑)。

しばらく虚脱状態だったんですが、刺激を受けてまたいろいろ創作意欲が湧いてきました。では。
133名無しさん@ピンキー:05/03/02 08:03:15 ID:KV/ry3Vv
改蔵絵でエッチシーン大変だろうけどなー。
134名無しさん@ピンキー:05/03/02 15:41:27 ID:KV/ry3Vv
77ってどんな顔してんの?
135名無しさん@ピンキー:05/03/02 19:02:43 ID:jC1wczn1
>>132
乙!
13677 ◆CSCBs4vc.s :05/03/02 20:34:06 ID:6+3/B/4X
こんばんわ〜。

>>130.131
むむ…、等身低めで行こうと思っていたので、困りましたね…。どうしようかな…。

>>132
レスありがとうございます。
エッチシーンは結合部とか、生々しいような描写は描けないと思います。できるだけ「元祖らしさ」を損ないたくないので。
まぁ、ふいんき(←なぜかへんk(ry)や表情でどれだけエロを描写できるかは自信0ですけど。(´ω`)

そしてひとつ、元229さんに許可を取りたいことが。
細かな部分を微妙に変更させていただくことになるかもしれません。
大筋はそのままのつもりなんですが、話のつなぎ方を出来るだけ「元祖らしく」したいので
ギャグ風味を織り交ぜたいんです。最初はいつも通りのギャグのノリ。最後に行くにつれ感動。
という実物のラストっぽい雰囲気を出したいんです。
これは完全に私の我が儘です。もしよろしければお許しください。

>>133
お察しのとおり…。どうなるかは未知数ですが、あまり過剰に期待なさらぬように…。

>>134
(´ω`)
137名無しさん@ピンキー:05/03/03 13:30:18 ID:kCJRZ0NA
俺は別に多少内容は変わってても良いかと。
俺はね。
138名無しさん@ピンキー:05/03/03 18:27:31 ID:kVa1Cxyi
 
139名無しさん@ピンキー:05/03/03 18:28:11 ID:kVa1Cxyi
ミスった。
>>136
俺は改蔵らしさを大事にしてほしい。いつものノリが大好き。
140元229:05/03/03 21:06:06 ID:h3TBgq1e
二晩続けての書き込みは珍しい元229です。

>136
うーん、個人的には、鉄球や刃物を振り回す羽美ちゃんに戻られるとショボーン(´ω`)なんですが、
それを含めて自由にアレンジしていただいて結構です。
そのほうが面白くなるかもしれませんものね。
(そういうアレンジではないのなら、それはそれで『どうぞどうぞ』状態です。)

>133
そういう意味では私は楽をしていますよね。
いないと思うけど、私の旧作『二人が互いにわざと負けようとした理由』をまんがにしようとする人は
ものすっごい苦労するだろうなあ。

支離滅裂ですが、ではまた。
14177 ◆CSCBs4vc.s :05/03/03 21:20:26 ID:MOEF0VeY
こんばんわ。

>>140
そこまで壊さないですw
するとしても、改蔵への絡みに多少の暴力?(ばこっと叩いたり、ノリで軽めに押さえつけたり)する程度ですね。
改蔵の壊れっぷり上限は、改蔵後期
羽美ちゃんの壊れっぷり上限は、改蔵初期(股裂き始める前) にするつもりです。
142名無しさん@ピンキー:05/03/04 01:15:35 ID:bviU67Dz
すず「で、結局改蔵君は羽美ちゃんのこと、どう思ってるの?」
改「嫌いじゃない…というか気になるのは確かですけど何かトキメキがないというか。
  別に今関係を進めなくても、と思いまして。」
すす「なるほど、それで他の女の子にちょっかい出してるって訳ね。
   分かったわ…でも一番大切なものを無くしてしまうリスクも胸に留めといて。」
改「はぁ…じゃあ僕はもう帰ります。デートあるんで。」

すず(要するに、羽美ちゃんに惚れられてるのを分かっててワル乗りしてるわけね。
   羽美ちゃんの性格からして男も出来ないだろうと踏んでるのか…タチ悪いわね。
   まあ距離が近すぎるってのもあるんだろうけど。)
143名無しさん@ピンキー:05/03/04 01:34:59 ID:bviU67Dz
すず(ふーん、このバランスを崩してみるのも面白そうね。改蔵君のリアクションが楽しみだわ。)
   あの男にやらせてみるか…。)
メルメルメル
なにやらすずはメールをはじめるのだった。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜下校途中〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
羽「はぁ〜私、クラスで孤立してるし、メル友にはアドレス変えられるし、家庭崩壊してるし。
  結局アイツに頼るしかないのに…そっけないし…。うざがられてるだけなのかな。」
ドン
男と肩がぶつかる。男の荷物が散らばった。
羽「あ、すっすいません、考え事してて。」
男「いえいえこちらこそ、ってもしかして君友達募集してなかった?」
羽「う、あ、そーんなこともあったかな、なーんて。」




144名無しさん@ピンキー:05/03/04 01:50:15 ID:bviU67Dz
男「いや、してたしてた。確か名取さん、じゃなかったっけ?今月のトラウマウォーカーにのってた。
  実は俺、引っ越してきたばっかりだからこの辺知った人いないんだよね。
  袖振り合うも縁っていうし、良かったら友達になりませんか?」
羽「え!本当ですか!!(よく見たらかなりカッコイイし悪い人じゃなさそう)
  わ、私…どちらかっていうとクラスで避けられてるほうだし…
  友達とかもあまりいないし、何かとやらかすけどそれでもいいの?」
羽「って図星ぢゃん…。」
男「あはははは!名取さんって面白いし可愛いしこちらこそラッキーですよ。
  じゃあとっととアドレス交換しましょー。
  ………そうだ。名取さんはこれから時間あります?なんなら何か
  食いに行きません?俺おごりますよ。」
145名無しさん@ピンキー:05/03/04 02:10:33 ID:bviU67Dz
羽「え、えーと、でももう6時だし、人の家で食べさせてもらってるんで遅れたら
  あれかな、なんて…。」
ピロポロピロポリ
羽美の携帯に改蔵母からメール。
『今日あの子遅いらしいし、私も実は夫と集会いかなきゃならないから
 悪いけど外で食べてもらえるかしら。急なことでほんとに悪いんだけど。』
羽「う…あっでも…やっぱりOKです。てかむしろ御願いします。
  (人におごられるなんて初めてだし誉めてくれるし、良い人!)」
男「じゃ、そーと決まったら早速行きましょ。って僕の名前言ってませんでしたね。
  アキラです。呼び捨てでいいっすよ。名取さんの下の名前教えてくださいよ。」
羽「あ、羽に美しいで羽美です、美とか似合ってないってほざく輩もいますケド。」
ア「あははは、そんな事ないよ。そうだねーポジションで言ったらヒロインだね、
  羽美ちゃんは。(さてと第一段階は突破したか。すず様に報告せねば。)」


146名無しさん@ピンキー:05/03/04 02:21:52 ID:bviU67Dz
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜一方改蔵〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
しえ「あはは楽しいね〜、って改蔵君どうしたの?元気無くない?」
改「いやそんな事ないよ。元気元気。(何だ…博士の言葉が気になってるのか?まさか)
  じゃあそろそろご飯食べにいこっか。どこにする?」
ピロポロリン
改(博士か…ん?駅前のCAFE憂鬱の無料電子チケットペア券?よく分からないけど
  使えって事か?相変わらず博士の考えてる事はつかめないな。)
改「あー思い出した。俺実はCAFE憂鬱のタダ券もってるんだよね。
  ほらほら、新しく出来たやつ。行こうよ、雰囲気いいんだよあこ。」


     
147名無しさん@ピンキー:05/03/04 02:24:50 ID:bviU67Dz
ってバテました…やっぱ精神的に来るものがあるわ…
続きは明日で…
148名無しさん@ピンキー:05/03/04 15:28:58 ID:zsyFww6v
新作キタ━━(゚∀゚)━( ゚∀)━(  ゚)━(  )━(  )━(゚  )━(∀゚ )━(゚∀゚)━━━!!!!!
149名無しさん@ピンキー:05/03/04 15:53:56 ID:9AriLU8U
え?もちろん77師はまた漫画化するんだよね?www

しかし、感動作の漫画化と新作が同時進行するとは祭状態だな。支援
150名無しさん@ピンキー:05/03/04 23:52:53 ID:PhVLfqVd
>>142-146 乙!

>>81>>83>>99の試作絵見返そうと思ったのに、流れちゃってた…(´・ω・`)
自分も漫画描いたことないけど、77師の頑張りを見てると、挑戦してみるか?って気になってくるw
77師の絵のそんなところがいいなあ。
151名無しさん@ピンキー:05/03/05 15:05:04 ID:UsY2xRef
77さん、>>150のために、もう一回あげていい??
おれ、一応保存しといた。
15277 ◆CSCBs4vc.s :05/03/05 17:30:20 ID:CXnRvIZ4
おこんばんわ。

>>151
全然オッケーです。転載とか、そういうのあまり気にしませんので。
自分が投下したスレでの再うpなんて毛ほども気にしません。どうぞご自由にうpしちゃってくださいな。
むしろ、「あ、また見てくれてるのか」とちょっとうれしいです。(´ω`)


漫画の原稿用紙ゲト。
さてさて、そろそろ本作業に入るべきか、先にネーム全部作るべきか。
漫画って難しいのね、段取り悪い私にはちょっと大変ですw

パソコンでかるーく、単行本の改蔵っぽく着色?出来たら良いのになぁ。
15377 ◆CSCBs4vc.s :05/03/05 21:38:41 ID:CXnRvIZ4
------------------------チラシの裏--------------------------------
ヤンクミ鑑賞中…。

やっぱかわいい。メガネがまた好い。
どれだけ忙しくても、これだけは見たいですな。(*゚Д゚)
いやー、かわいい…。
154名無しさん@ピンキー:05/03/06 10:09:04 ID:dNQMth2w
おれもヤンクミ激萌。

77師、表紙だけでも描いてみれば?
155150:05/03/06 15:15:38 ID:WbKibrfb
>>77
カラーは無理かもしれないけど、グレスケでなら着色できるかも。
151が再うpしてくれたら、それ試しに塗ってみていいかな?
15677 ◆CSCBs4vc.s :05/03/06 19:13:11 ID:qJJGmLXW
>>155
全然オッケーです。
というか、とてつもなくありがたいですね。期待してますよ〜。(*゚Д゚)

>>154
イケる口ですねw


ここでひとつ困ったことが。
私がこのスレに来たのは、>>75が初めてなんです。
よって、あいつは改蔵は第六話しか知らないんですよね。;
もとより、私は第六話のみ漫画化するつもりだったんですが…。
大丈夫でしょうかね…?
157名無しさん@ピンキー:05/03/07 00:02:04 ID:dH8AD2l7
>>156
まとめサイト行けば第一話からありますよ〜


地丹のタッチは現実カムトゥルーに出てきた現実味あふれるタッチで描けば万事解決……しませんかね、やっぱ。
158名無しさん@ピンキー:05/03/07 09:21:47 ID:KVTdFvKX
1話から描いたら大変な労力になるから、元々6話作成を考えてたんならとりあえず6話描いたらいいんじゃね?
77師忙しそうだし。

チタンはなんか意見別れてるな。俺はもはや小さいチタンじゃないとチタンと見れないんだが…。
159名無しさん@ピンキー:05/03/07 10:53:24 ID:Jfb+WqgY
俺もちっちゃいほうが好き。と言ってみるテスト。

決採ってみるか?w
160名無しさん@ピンキー:05/03/07 16:24:35 ID:AicGKl76
>>158
おれ、めがねが渦巻き?みたいなんじゃないちっちゃいほうで。
161名無しさん@ピンキー:05/03/07 19:47:06 ID:ploerHlP
162名無しさん@ピンキー:05/03/08 21:39:44 ID:6dVRw4AV


どうしたんだ、この殺伐っぷり。
163名無しさん@ピンキー:05/03/09 00:53:18 ID:ZkyODzg9
むしろ一時期の祭りが終わっただけかと
164名無しさん@ピンキー:05/03/09 03:16:51 ID:a5CBcZs/
元々はこんなもんじゃないほど人いなかったしなwwww
165名無しさん@ピンキー:05/03/09 11:26:18 ID:Krv0mWQH
77氏の表紙マダー?チンチン
色つきうpマダー?チンチン
というか、77氏の絵の際アップマダー?チンチン

チンチン

(・∀・)
(つ  )つ
しωし))
16677 ◆CSCBs4vc.s :05/03/09 17:38:29 ID:KUObts08
おひさです。

一応、私の一存でチタンは小さいものとさせていただきたいと思います。すみません。
大きいのは何度か試してみたんですが、どうにもうまく描けませんで…。

表紙かけました。まだラフですが。
これから手直し+ペン入れくらいはするつもりですが、お披露目という事で。
今までうpしたもの、全てまとめて圧縮しましたので、どうぞ。
ttp://49uper.com:8080/html/img-s/44751.lzh
16777 ◆CSCBs4vc.s :05/03/09 17:40:33 ID:KUObts08
表紙は薄くて見にくいかも知れません。
イメージビューアで駄目なようでしたら、インターネットエクスプローラから見たほうが良いかもしれません。
では。

もしよろしければ感想をお聞かせください。m(・∀・)m
168名無しさん@ピンキー:05/03/09 19:06:58 ID:a5CBcZs/
まあなんていうか、お遊戯の域は出てない
ま、これから次第でいいものが出来上がるかもしれないし
今の流れもいい感じなんでもっと頑張って欲しい
169名無しさん@ピンキー:05/03/09 19:26:24 ID:FigBHTUS
え?これお遊戯っつーか、完璧に自己満足+俺ら満足のためだけの活動じゃねーの?
これくらいのクオリティ維持してくれたら俺は充分満足だが。
最初から絵には自信無いって公言してんだから、俺はそんな高尚なもんまで期待してないよ。
仕事や勉強に差し支えない程度にその調子で頑張ってくれれば俺は良いよ、無理はしないようにね。>77氏
170名無しさん@ピンキー:05/03/09 20:14:51 ID:VeaTorZI
俺は良いと思うけどな。
ロゴとかもしっかりこれから詰めていくんだろうし。ていうかあのロゴ案外むずいよな。
>>168さん、具体的なポイント指摘したほうが良いもの出来るとおもうよん。
171初代スレ396:05/03/10 06:52:51 ID:CqNDoXPJ
ども。スレタイで致命的なミスをやらかして、今まで出るに出られなかった初代スレ396です。
おまけに即死回避も自分でやっちゃったので、気付いた時には手遅れでした。最悪……
そんなスレでも活用してくれる皆さんに感謝。

SS行きます。

・ネタはポカポカ、百合注意。
・一人称語尾の関係で読み辛いです。

じゃ、投下開始。
172りんちゃんの憂鬱 1:05/03/10 06:54:19 ID:CqNDoXPJ
私はチャプチャプ。はるか昔にポカの大地に生まれた水の戦士ですの。
古き大地が滅びを迎えた時に、時のゆりかごに生体情報と記憶を記録され、
何万年もの眠りを経て現代によみがえったんですの。
得意技は、持ち歩いてる金魚鉢から海竜のハクちゃんとおさかなを召喚することですの。
特にマグロは時速百五十キロで泳ぐですから、戦闘とか急ぐ時に重宝してますの。
私よみがえったのはいいんですけど、ふるさとのポカの大地はとっくに消滅していたので、
住む場所がなくて困っていたんですの。そこで今は時のゆりかごを持っていた、
紀元鈴《りん》ちゃんっていうかわいい女の子の所でお世話になっているんですの。

りんちゃんはいつも元気な中学生ですの。それで学校ではお隣に住むりくさんと、
それからポカの首飾りを持つ者と同じクラスでお勉強してますの。
あ、説明が足りませんでしたの。りくさんっていうのは、私の愛しい太陽の戦士
ポカポカ様が今お世話になっている方ですの。
もちろん私も学校に通っているんですの。学校に行けば、ポカポカ様や風の戦士
ピューピューといった大昔からの仲間とも会えるからとっても楽しいですの。
学校の制服を着るのも面白いですの。だから私、学校が大好きですの。
でもトレードマークの水中ゴーグルとシュノーケルを取るように先生から言われるですの。
それがちょっとだけ不満ですの。

りんちゃん、最近何だか元気がないみたいですの。
いつも隣のりくさんを起こしてから学校に向かって、それからシャンバラの鍵を
持つ者や世界征服クラブのおバカ三人衆と笑ったりして過ごしているんですけど、
なぜか時々ため息を吐いたり、さびしそうな顔をする事があるんですの。
この間なんか、いつもは三杯平らげるご飯を、最後の一口だけ残したんですの。
食いしん坊さんのりんちゃんがご飯を残すなんて、居候としては見すごせない異常事態ですの。
それで私、ピューピューに相談したんですの。でもピューピューは役立たずでしたの。
「そんなのホットケーキ」とか寒い駄ジャレしか言わなかったし。
173りんちゃんの憂鬱 2:05/03/10 06:54:54 ID:CqNDoXPJ
それで仕方なく、放課後に世界征服クラブの部室へ行きましたの。
部長さんにりんちゃんの様子を話して、一体何が起きてるのか聞いてみたんですの。
「恋だね」
部長さんはあっけなくそう言ったんですの。
「恋、ですの?」
ああ恋だよ、部長さんは念を押すように言いましたですの。
「いいねえ恋、あたしも恋してみたいモンだねえ」
部長さんは言い終わって、ほっぺたを赤くしたんですの。
そのまま部長さんは、シャンバラでも見るかのような遠い目をしてみせたんですの。
何だかんだ言って、部長さんも恋に恋するお年頃ですの。でも――
「部長、僕ではどうですか」
「部長、私がいますよ」
立候補したのは、キャプテン天草さんとハルク岩男さんだけでしたの。
正直どっちも恋人としては問題のありそうな、クセの強すぎる人たちですの。
部長さんはキレイでスタイルもいいのに、とことん男運に恵まれない方ですの。
「アンタら乙女心ってモンを全然理解してないよ!! あたしゃマルチオタクと
固太りはイヤだって、アンタたち何度言ったら解るんだい!!」
部長さん、キレましたの。ヒステリーを起こすのはみっともないですの。
長居は無用と、私は部室を後にしましたの。

「で、りんが恋してるからオレにどうしろと言うポカ?」
学校の裏に呼び出されたポカポカ様は、ものすごく機嫌悪そうに言いましたの。
そこまでの途中経過を話すと長くなるので、はしょらせて頂きますの。
「ときめき布があるって聞いたから学校の裏まで来たポカ!なのに何で
チャプチャプがここにいて恋の話、略してコイバナを聞かされなきゃ
ならないポカ?!ときめき布はどこなんだポカ!!」
ポカポカ様はパンツの事を『ときめき布』って呼ぶですの。
初めてそれを見たとき、ポカポカ様はなぜか胸がときめいたそうですの。
どーでもいい話ですけど、私この世界に来て初めてパンツの事を知りましたですの。
ポカの大地にはなかった下着ですけど、使ってみるとすごく便利ですの。
174りんちゃんの憂鬱 3:05/03/10 06:55:45 ID:CqNDoXPJ
女の子の下着――
それでときめくポカポカ様は変態ですの。しかもそんな物に釣られて
のこのことやって来るポカポカ様は単細胞の大バカ者ですの。
私、変態で単細胞で大バカ者のポカポカ様をにらみ付けて言ってやったんですの。
「そんな物ここにはありませんの!!」
「それじゃオレに用事はないポカ」
パンツがないと知らされた途端――ポカポカ様は回れ右で帰ろうとしましたの。

だから私、ポカポカ様にオニカマスの大群をけしかけたんですの。
カマスの歯は鋭いから噛み付かれるとすごく痛いんですの。食用だ、とナメない事ですの。
よい子は絶対にマネしちゃダメですの。
「女の子にとっては大事な話ですの!それでりんちゃんの恋の相手は誰ですの?」
「多分りくだポカ」
ポカポカ様は体にカマスを何匹もひっ付けながら、質問にあっさり答えたんですの。
カマスがぴちぴち跳ねてましたの。
「じゃあポカポカ様には、りくさんにその事を伝えて欲しいんですの」
「イヤだポカ」
女の子の、女の子の頼み事を――ポカポカ様はたった一言の下に拒みましたの。

だから私、ポカポカ様の頭にマカジキを突き差したんですの。
マカジキの角は固いから船腹も突き破るんですの。昔はそれでよく漁船が沈みましたの。
よい子は絶対にマネしちゃダメですの。
頭から血を流して、ポカポカ様は話を続けたんですの。
「りくはこよみが好きだポカ。だからりんの気持ちは絶対に伝わらないポカ。
オマエの頼み事はムダだポカ。オレムダな用事はイヤだポカ!」
何と――そういう事だったんですの。
りくさんはいつも自分を起こしてくれるカワイイ幼なじみより、後から出会った
首飾りを持つ者の方が好きだとおっしゃるんですの?
でも、とポカポカ様は言いましたんですの。何かりんちゃんの手助けになる方法が
あるのかと思って、私ポカポカ様の話に注意してみましたの。そしたら――
175りんちゃんの憂鬱 4:05/03/10 06:56:26 ID:CqNDoXPJ
「りくがダメでも、りんにはオレがいるポカ!オレがりんのさみしさを慰めてあげるポカ!」
ポカポカ様はそう言って明るく笑ったんですの。言うに事欠いてなんて事おっしゃるですの?!
この私が、私という恋人がありながら、この男わ――

だから私ハクちゃんを召喚したですの。
ハクちゃんの虫歯が心配だから、ポカポカ様をデンタルガムの代わりにしてみたですの。
よい子は、ってマネ出来ない技ですの。
――りんちゃんは、りくさんが好き――
学校から帰ろうとしたら、校門の辺りでパトカーや消防車や救急車とすれ違ったですの。
振り返って見ると、ハクちゃんがはしゃいだせいか校舎が半壊していましたの。

学校から家に戻ったりんちゃんは、やっぱり元気なさそうに見えましたの。
おやつのぽてちもビッグサイズを一袋しか開けなかったですし、いつも読んでる
かってに改蔵も途中で止めてしまったんですの。
ベッドの上でごろんとあお向けになって、りんちゃんはイラついた声で吐き捨てましたの。
「改蔵くんと羽美ちゃんが幼なじみじゃなかったなんて、そんな結末アリなの?」
あれはりんちゃんにとっては受け入れがたい結末でしたの。羽美ちゃんと自分とでは性格が
全然違うんですけど、でも幼なじみを好きな所は一緒だった、とりんちゃんは言ってたんですの。
それが改蔵の最終回を見たら、結局二人は幼なじみじゃありませんでしたの。りんちゃんは
それでものすごくショックを受けて、一時は単行本も全部捨てるって泣きわめきましたの。

とりあえず、かってに改蔵の話はどうでもいい事ですの。
確かにポカポカ様はりんちゃんの事が好きですの。でもりんちゃんはポカポカ様に
恋してるわけじゃないので、私は恋敵という目でりんちゃんを見る事はできませんの。
好きな相手に好かれないなんて、りんちゃんがとってもかわいそうですの。
私にはりんちゃんの気持ちがよくわかるんですの。私の好きなポカポカ様は、
いつだって私の事を好きだって言ってくれないんですの――
176りんちゃんの憂鬱 5:05/03/10 06:57:07 ID:CqNDoXPJ
せめて少しでもりんちゃんを元気付けようと思って、私クマノミを出してみましたの。
この前りんちゃんと一緒に見た映画で、クマノミが大活躍してましたの。
あの映画を思い出して、いつもの明るいりんちゃんに戻って欲しかったんですの。
でも効果はありませんでしたの。
お部屋ごとびしょぬれになったりんちゃんは、立ち上がって力ない目で私を見ましたの。
「――ありがとチャプチャプ。心配してくれてたのよね」
お風呂入ってくる、としょぼくれた様子で肩を落としたりんちゃんを、
私はお部屋の中から見送る事しかできませんでしたの。

今日のりんちゃん、三杯目のご飯を半分も残してましたの。りんちゃんのお母さんも
心配そうに、学校で何があったのと私にたずねてきましたですの。
私は「りんちゃんは恋してるんですの」とだけ言いましたの。お母さんはその一言で
安心したみたいで、それきり何にも言わなかったですの。
私はお夕飯も済ませてお風呂から上がると、りんちゃんのお部屋に戻ろうとしたんですの。
お部屋のドアは閉まっていましたの。しかもドアにはプレートがかかってたんですの。
『りんのへや』『入るな!』
いつもドアは閉まってるんですけど、『入るな』ってプレートは初めて見ましたの。
だから私は心配になったんですの。中の様子を知ろうと、私ドアに耳をひっ付けてみましたの。
そしたらリズムのある息づかいと、それから声が聞こえましたですの。
「……んっ……はぁ」
りんちゃんの声だとすぐにわかりましたけど、でも何だか普段と調子が違うですの。
もう少し様子を探ってみようと、耳を強くおし当てましたの。
「……ううん」
お熱を出して浮かされているような、それでいてとっても切ない感じですの。
聞いている内に何か恥ずかしい、いけない事をしてるような気分になる声でしたの。
それでもドアの向こうから聞こえるりんちゃんの息づかいは、聞かずにはいられない
魔力みたいなモノを帯びてましたの。
あっ、と短く声を上げて、りんちゃんはそれきり黙ってしまいましたの。
私それでドアを開けたんですの。
まっくらなお部屋の中から、今度ははっきりと、りんちゃんの声が私の耳に届きましたの。
「りく……」
177りんちゃんの憂鬱 6:05/03/10 06:58:13 ID:CqNDoXPJ
私ドアの隣のスイッチを押して、お部屋の電気を付けましたの。
明りがついたお部屋を見ると、りんちゃんが花柄のパジャマ姿でベッドの上に
寝転んでいましたの。
仰向けになったりんちゃんの、パジャマの上着は前が空いてましたの。
りんちゃんはブラジャーを着けておりませんでしたの。りんちゃんは自分のことを
ずん胴で胸が小さいと悩んでますけど、それでも私から見れば大きい方ですの。
私なんか胸がヒラメですから、正直りんちゃんはゼイタク者だと思うですの。
それはともかく――
りんちゃんは自分の胸の上に、だらしなく手を置いてましたの。
もう片手は両脚の間に伸びてましたの。クマさんのパンツは膝まで降ろしてましたですの。
ここだけの話、りんちゃんって同い年の女の子に比べて毛の生え方が薄いんですの。
その毛はぬらっと肌にはり付いて、指先と一緒にぬれてましたの。
私あっけに取られて、ドアノブをにぎったまま動けませんでしたの。
けどりんちゃんも似たような状況でしたの。
目が遭ってせいぜい何秒かくらいの時間が、何分にも思えましたの。

りんちゃんの丸いほっぺたが、かぁーっと赤くなったと思ったら。
いきなりりんちゃんは毛布をかぶって体を隠したんですの。
首を毛布から出して、りんちゃんは私をにらみましたの。
「出てってよ!」
りんちゃんの叫び声は、多分一階には聞こえていませんでしたの。
下の階からお母さんに呼ばれることがあるですけど、この部屋で大声を出して
返事しても、お母さんは何度も呼び返すんですの。
部屋から出て返事すれば聞こえるみたいですけど。
もっともりんちゃんの「出てってよ!」が聞こえたとしても、お母さんは
私たちのケンカに口を出す方じゃありませんの。
せいぜい「二人とも仲よくしなさいね」って優しくおっしゃる位ですの。
178りんちゃんの憂鬱 7:05/03/10 06:58:45 ID:CqNDoXPJ
それでも――
りんちゃんがそんなに怒鳴るなんて思いもよりませんでしたの。
とりあえずお話をして、りんちゃんが何で怒っていたのか聞き出そうと、
私はベッドに近づきましたの。
「出てってって言ってるのが解らないの、チャプチャプ?!」
見たこともない位に目が釣り上がってるですの。もしりんちゃんが毛布から
飛び出してきたら、げんこつの一発や二発は覚悟しないといけません。
でもなぜか、りんちゃんはお布団から出てこようとはしなかったですの。
その代わりにお布団の中で、何かもそもそと動いてましたの。
「何で怒ってるですの、りんちゃん?」
「こんな恥ずかしい所を見ておいて……」
「何が恥ずかしいんですの?チャプチャプにも分かるように言ってほしいですの」
私がベッドに腰を下ろしますと、りんちゃんの目がきょとんと丸くなりましたの。
「まさかチャプチャプ、私が何をしていたのか知らないの?」
はい、と私は首を振りましたの。
勉強机の時計の音が、こちこちとお部屋にひびきましたの。

二人とも黙ったまんまだと、お部屋の空気がだんだん重苦しくなるですの。
何かしゃべらなくちゃ。そう言えばりんちゃんに元気になってほしいと思ってたですの。
りんちゃんがさっき口にした名前を思い出して、私しゃべってみたんですの。
「りんちゃん、りくさんの事が好きですの?」
りんちゃんはほんの少し私の言葉に首をかしげたかと思うと、ほっぺたがかぁっと
赤くなりましたの。がばっと毛布をはね退けて、ベッドの上にひざ立ちで迫ってきたですの。
さっきみたいにだらしない格好じゃなく、ちゃんとパジャマを着てたですの。
「……チャプチャプ、もしかして今の聞いてたの?!」
しまった、と思いましたですの。私りんちゃんを見上げながら、あわててフォローしたですの。
179りんちゃんの憂鬱 9:05/03/10 07:03:01 ID:timcoDQo
「ち、違うです!さっきのりんちゃんはりくさんと言わなかったですの!」
「つまり聞いてたのね?!サイテー!!」
「違うですの!違うですの!」
身ぶり手ぶりで訴えているのに、りんちゃんは全然信用してくれませんですの。
うう、りんちゃん怖いです。今度こそ本当に殴られそうな雰囲気です。
りんちゃんのゲンコツはハッキリ言って凶器ですの。痛いのはイヤですの。
「あ、いや、だからみんなにそう聞きましたですの!別に今のは関係ないですの!」
りんちゃんの目が、じとっと私を睨んだですの。
「みんなって誰の事言ってるのよ。一体誰が私の事、りくが好きだなんて言ってたの?!」
誰って――誰と話しましたっけ。指を折って数えてみるですの。
えーっと、ピューピューでしょ、部長さんでしょ、キャプテンにハルクさんでしょ、
それから――ポカポカ様でしょ?
まっカニ燃えた太陽みたいなりんちゃんの顔から、血の気がモンゴウイカの体みたいに
すうっと引いて行きましたの。
「それって、本当にみんなじゃない……」
りんちゃん、その場にグニャっとへたり込んだですの。
陸に上がったミズダコみたい、私にはりんちゃんがそう見えたですの。
ちょっと誤解があるですの。
りんちゃんの好きな相手を知ってたのはポカポカ様だけだったですの。
「いや、みんなが知っていたわけじゃないですけど」
泣きそうな目で見られると、私も辛いですの。
「部長さんとかにも聞いて回ったんでしょ?もうみんなに知られたも同然よ」
ああ、とりんちゃん肩を落としましたの。ひざを抱えて突っ伏しましたの。
「りんちゃん……」
一応名前をつぶやいてはみましたけど、全然呼びかけになってませんでしたの。
りんちゃんの肩が小刻みにふるえましたの。アオウミガメみたいにうずくまった
体の下から、声がもれてたですの。
「ふふ……ふふふ……」
笑ってましたの。何で、どうして?
「りんちゃん?どうしちゃったですの?」
肩をゆさぶってみましたですの。りんちゃんはそれに気付くと、ジンベイザメみたいに
ゆっくりとした動作で顔を上げましたの。そのまま猫背ぎみの正座で座ったですの。
180りんちゃんの憂鬱 9:05/03/10 07:05:25 ID:timcoDQo
ほほえんだりんちゃんの目元に、涙の痕が残ってたですの。
すごく不思議な感じがするです。笑ってたんじゃないですの?
「大丈夫よチャプチャプ。なんだか私バカみたいね」
どうせみんなにはバレる事なんだから――ため息まじりに落ち着いてそう言いましたですの。
「そりゃそうよね。でなきゃいくら幼馴染だからって、毎朝アイツを起こしたりしないもんね。
何で隠そうとしたんだろ。ホント私――」
――バカみたい。
あきれたように繰り返すりんちゃんの笑顔は、しかしどこか空っぽに見えましたの。
海水を飲み込んだ時みたいに、胸がしめつけられてのどが乾く感じがしましたの。

りんちゃんはほっと息をついて、おもむろに口を開きましたですの。
「ねえチャプチャプ」
りんちゃんの顔が間近に迫りますの。とりあえず私に対して怒ってないですの。
それはいいとしても、不安が胸から消えません。なんだろう?
笑顔は笑顔なんですけど、りんちゃんのこんな顔は見た事がないですの。
私の不安、顔に出てたみたいですの。
りんちゃんは私の前にぺたんと座って、ポンポンと軽く私の頭をたたいたですの。
「そんな悲しそうな顔しないで」
「……はい」
「私のしてた事が何なのか、知らないって言ってたわよね」
返事しながら、何の話をしているのか思い返したですの。
私がお部屋に入った時、りんちゃんがパジャマを半分脱いでいた事を思い出したですの。
「ドキドキした?」
少し、だけ。私はうなずいたですの。
りんちゃんとは一緒にお風呂に入ってますから、裸は見慣れてますの。
女どうしで裸を見て、ドキドキするはずもないのに。
分からない、と首をかしげてますと、りんちゃんが続けるですの。
「カラダの中が熱くなったんじゃない?」
確かに―ーそれにお腹の下がウズウズしてたですの。
今のりんちゃんの顔、それを見てもウズウズしますの。マトモに見ていられませんの。
目をそむけると、南の海のホンダワラみたいに、りんちゃんが巻き付いて来たですの。
181りんちゃんの憂鬱 10:05/03/10 07:07:01 ID:timcoDQo
一瞬何が起こったのか、私わからなかったですの。
ただ何か怖いモノが来る――私、肩にぐっと力を入れて身をちぢめたですの。
「大丈夫よ」
りんちゃんの声はとても優しかったですの。ホントのお姉さんみたいですの。
「何で私があんな事してたのか、知りたくない?」
それは――知りたいですの。
けど知りたいのに、なぜか不安が抑えられませんですの。
「りんちゃん、それって恥ずかしい事じゃないんですか?」
そうね、とりんちゃんはささやいたですの。
「けど知られちゃったから。だったら誰かに私の気持ちも知って欲しいと思うの」
「だったらりんちゃん、りくさんに『好きだ』って告白すれば――」
いいですの、と言おうとしたら、りんちゃんの髪が耳をなでたですの。
「そうね。でも――言えないの。だから心が苦しくなって、それで――あんな事を」
それが、りんちゃんが今さっきしていた事なんですの?
私には分かりませんの。でもでも。
りんちゃんがどんな気持ちでいたのか、知っておかなくちゃいけない気がしたですの。
「どうすれば――どうすればりんちゃんの気持ちがわかるですの?」
私にまかせて――と言うささやきが聞こえて、りんちゃんの冷たい手が私の肩にふれたですの。

――くすぐったい!
最初に感じたのはそれでしたの。その時点でパニックになってしまったですの。
肩なんか自分でさわったとしても、全然くすぐったくないですの。
大体くすぐって遊ぶのなら、りんちゃんはわき腹とか足の裏をくすぐるはずですの。
なのに。
優しく動くてのひらが、。
何で?
どうして?
肩が自然に動いたですの。自分の体が、手の動きを妨げようとしてましたの。
かまわずにりんちゃんは私をなで続けましたの。
肩を抱きとめられて、くすぐったいのから逃れられませんの。苦しいですの。
「いや……ですの」
182りんちゃんの憂鬱 11:05/03/10 07:08:12 ID:timcoDQo
首をふっていると、りんちゃんのぷにぷにしたほっぺたが顔にくっつきましたですの。
サラサラのショートヘアが鼻にかかるですの。シャンプーの匂いがするですの。
抱きしめられて、りんちゃんの体から温もりが伝わって来るです。
人肌に包まれていると、どうして心が安らぐのでしょうか。
日差しを浴びながら、波打ち際にプカプカ浮いているみたいですの。
それがくすぐったい感じと混ざって、不思議に心地いい――

――チャプチャプ
いきなり呼ばれて、私現実に引きもどされたですの。頭が少しクラクラするですの。
「何……ですの?」
「私がしてるみたいに、チャプチャプも私の事さわっていいのよ」
言われて私、自分の上に乗ったりんちゃんを抱き返していた事に気付いたですの。
その手を動かして、りんちゃんの背中をさすってみたですの。
自分がされたみたいに、優しく、優しく。
「……あ」
りんちゃんのあったかそうな声が、私の耳にかかるですの。
ちろっと耳たぶをなめられると、体がぶるっとふるえるです。
熱いような冷たいような。ヘンな気分ですの。
ヘンな気分と言えば――
りんちゃんのお肌をさわりたい、なんて思ってしまったですの。
パジャマ越しではお肌の感触が伝わらなくて、それが少し不満ですの。
大体りんちゃんは服着てるのに、私の服は露出が多いから不公平ですの。
りんちゃんが私の首すじと、それから鎖骨をさわり始めたですの。
またゾクゾクが始まったですの。りんちゃんの体が少しはなれたですの。
そのスキにパジャマのボタンに手をかけると、りんちゃんの顔が少し驚いていましたの。
けれどもすぐにお姉さんみたいな優しい目になって、私の手の動きを見守ったですの。
183りんちゃんの憂鬱 12:05/03/10 07:08:56 ID:timcoDQo
りんちゃんのかわいいおっぱいが、パジャマの下から現れたですの。
私が部屋に入った時、りんちゃんは確か自分でこれをさわってたですの。
さわるとどうなるんだろう。やっぱりくすぐったいんですの?
洗いっこはした事があるけど、スポンジなしでじかにさわるのは初めてですの。
そっと手を置いてみるです。ほっぺたとおんなじように、プニプニして柔らかいですの。
それでコリコリした乳首がてのひらに当たって、何か面白いですの。
――チャプチャプ
りんちゃんは目をつぶって、私がモミモミと手を動かすのに合わせて、深く息つぎするですの。
りんちゃんが薄目を開けて、普段より少し高めの声で言いますの。
――あなたにも、してあげるね
りんちゃんのため息がまじった声に続いて、私の薄い胸にてのひらが置かれましたの。

じん、と頭の中が熱くなったですの。
りんちゃんの手が、布地の上からサワサワと私のおっぱいを形作るように
なで回したですの。りんちゃんに体重をあずけ、なすがままになったですの。
吐く息が熱いですの。ほてった体の熱が、息にも伝わっているですの。
そんな私を見て、りんちゃんがいたずらっ子っぽくほほ笑むですの。
――チャプチャプって金魚さんみたい
――きんぎょ、さん?
そうよ、とりんちゃんは耳元でささやくですの。
――金魚さんみたいな、ヒラヒラの服着てるから
面白そうに言いながら、りんちゃんは私の背中に手を回して結び目を解きましたの。
りんちゃん、耳に息をかけないで下さい。

――クマノミ、みたいです
体を少し持ち上げて、私と顔を突き合わせて、りんちゃんは聞き返してきたですの。
「クマノミ?ニモと何か関係あるの」
私はううん、と首を横にふるです。息が少し整いました。
頭の中を整理しながらしゃべるですの。
――イソギンチャクの中にいて、なでられている気分ですの
184りんちゃんの憂鬱 13:05/03/10 07:09:45 ID:timcoDQo
りんちゃんが、いぶかしげに私を見つめるですの。
ダイオウイカの墨に身をくらまされた、マッコウクジラみたいな目ですの。
――何よそれ?
――こそばゆい、ですの
それを聞いたりんちゃん、ぷっと吹き出したですの。私の上からどきましたですの。
りんちゃんは口を押さえて、ケラケラと笑い出しましたの。
笑い声に合わせて、パジャマの下のおっぱいが小刻みにゆれてるですの。
りんちゃんは何がおかしかったんでしょう?
夢見心地なふんいきが、たった一度で台無しですの。でも――

いつもの、りんちゃんです。

こうやって見ると、りんちゃんにはやっぱり笑顔が似合うですの。
何だかんだ言っても、りんちゃんの明るい笑顔には元気が含まれているですの。
見ていてこっちがホンワカとなるですの。
りんちゃんが私の視線に気付くです。どうやら笑い泣きしてたようですの。
――ゴメンゴメン、あーおかしかった
りんちゃんはつぶやいて、目じりにたまった涙を指でぬぐいましたの。
「なるほど、イソギンチャクね。面白い表現だけど、言い得て妙だわ」
うんうん、とうなずいたですの。
「そうだね。私もこんな気持ちになるとは思わなかったわ」
りんちゃんの声は、最後の方がかぼそくなってましたの。りんちゃんは私の両肩を持って、
そのまま自分に引き寄せたですの。
「一人よりは、二人の方がいいよね」
それはりんちゃんの言う通りですの。もし私一人でこんな目にあったのなら、
心細さのあまり泣き出していたですの。
――りんちゃん、こんなに切ない気持ちをおさえてたんだ。
こんな気持ちを一人で抱えていたなんて。
りんちゃんの辛さを思い浮かべると、目頭が熱くなるですの。
泣き顔をりんちゃんに見せたくなくて、私りんちゃんの肩に首をうめたですの。
185りんちゃんの憂鬱 14:05/03/10 07:10:27 ID:timcoDQo
お互いに、さわりっこですの。右、左と一個ずつおっぱいをさわるですの。
無意識の内に、つい体を相手から離そうとしてしまうですの。
それを止めようと、相手の背中にまわした腕が、しっかりと相手を
そんな事してる内に、胸の覆いに手が忍びこんで、胸を直接押されましたの。
お肌をなでられた時のくすぐったさを、何倍かに濃くしたようなゾワゾワ感が、
背すじをかけ上って頭の中まで届きましたの。
――私、私
とっても切ない。りんちゃんにそう訴えるですの。
もう座っていられませんの。私、体をベッドの上に投げ出したですの。
スプリングが私の背中をはね返して、首ががくんとゆれたかと思うと、
りんちゃんが上から被さって来て、胸とお腹をぴったりと合わせたですの。

りんちゃんの息づかいに合わせて、肩とお腹の肌がすれ合います。
お風呂上りだったから、お肌がしっとりしています。
私も知らない内に汗をかいていたですの。後でお風呂に入らなきゃいけないですの。
それに――りんちゃんのおっぱいが、ムニュっと私の胸を押して息苦しいですの。
乳首がこすれて、少し痛いくらいですの。
身動きがとれません。
と言うか、体がこの流れに身をまかせようとしていて、思うように動けないですの。
しかもそんな状態は不自由なんだとも思えないし、
くすぐったいはずなのに不愉快だとも感じませんですの。
生きのいいホタテのように甘くって、それでいてトラフグのようにシビれる毒――
そう、まるで毒ですの。
切なさをまぎらわせるために、体をすり付けてたはずですの。
なのに余計に切なくなって、もっと体をすり付けたくなるですの。
どんどん深みにはまって行くのは、きっと体が毒におかされているからですの。
分かっているのに。
それが止まらない。
186りんちゃんの憂鬱 15:05/03/10 07:11:15 ID:timcoDQo
毒が体の中に回ったせいか、さっきからむずカユいような、おもらしをしたいような
気分になって困ってますの。けど言葉にならないですの。
りんちゃんがお部屋で一人上げていたのと同じ声が、私から飛び出すですの。
言葉が出ないですの。
――お願い、りんちゃん、助けて、
それを見て取ったかと思うと、りんちゃんはほほ笑みながら私を見下ろして、
それから手を私の足元にやったですの。
腰のパレオが取り払われ、パンツがすっ、とずらされて――

デンキナマズがお腹の中で暴れたみたいに、ビリビリっと頭の中まで来ましたの。
――りんちゃん
甲高い悲鳴が、私の耳に届いたですの。
それが私の上げた声だって気が付くのに、一秒かそこらかかったですの。
りんちゃんが手を止めて私を見守っているです。その手はほとんど毛の生えてない、
私のお腹の下にかくれているですの。
ほっぺたをまっかにして、何やら嬉しそうですの。
――気持ちよかったんじゃない?
りんちゃんはそう言うと、手首をまた動かしたですの。
私の中で、デンキウナギのシビれが暴れますの。息が止まるですの。
熱いですの。
アメフラシが磯を動く音がするですの。
自分の体からそんな音が出るなんて――
私は目で、りんちゃんに返事したですの。
――強すぎるですの
りんちゃんの手首といっしょに、シビレが一旦止まったですの。
息を整えて、私はりんちゃんに言うですの。
――もっと優しくして欲しいですの
りんちゃんは少し考えたですの。それから私の両足の間に片方のひざを置いたですの。
もう一度しっかりと抱き合って、りんちゃんの重みを確かに感じとったですの。
187りんちゃんの憂鬱 16:05/03/10 07:17:54 ID:timcoDQo
タツノオトシゴを横倒しにしたら、多分今の私たちみたいになるですの。
りんちゃんの手が肌をなでるたびに、息苦しくなるですの。
お互いの太ももをはさみ合って、その奥をなすり合ったですの。
手でさわられるよりもビリビリは弱いけど、かえってこの方が痛くなくていいですの。
りんちゃんも私とおんなじ気持ちだったのか、パジャマのズボンとパンツを下ろしてたですの。
ぬちぬちと音が立ちますの。その音が、私を狂わせるですの。
もっともっとすり付けたい。体中をかけめぐるシビれが、もっともっと欲しいですの。
波にさらわれて、溺れそうになるですの。それで息が荒くなるですの。
――りんちゃん、りんちゃん
――チャプチャプ
苦しい息の中、お互いに名前をよぶですの。
腰を動かせばよけいに苦しくなるのに、それを体が求めているみたいに。
勝手に動くですの。
無性にキスしたくなったですの。見上げて途切れ途切れの声で訴えると、
りんちゃんは首をいやいやとふったですの。
――りんちゃんの、イジワル
あえぎながら、りんちゃんは答えるですの。
――キスは、好きな人に、してあげたいの
りんちゃんの体が、産卵するサケみたいにぶるぶるしたです。
いや、ふるえてるのは私の体かもしれないですの。
とにかくりんちゃんと私の区別は付かないですの。
るんちゃんと抱き合い、獲物をむさぼり食うネズミザメの群れみたいに、
ばたばたと必死で動き続けるのに疲れたのでしょうか。
視界がぼやけるです。意識もぼやけるです。
でも私、自分をヘンな体にした、この感じの正体に気付いたんですの。
ずっと私を支配してた、りんちゃんのお肌を求めたくなる気持ちは――


ポカポカ様を想う時におぼえる、胸のうずきと似てますの
188りんちゃんの憂鬱 17:05/03/10 07:18:56 ID:timcoDQo



――
クラゲですの。
私はクラゲになって、ベッドの上でけだるく漂流してたですの。
まだ体が熱いですの。起き上がれないですの。
夢見ごこちで手足を投げ出していると、ずっと遠くの方から
すすり泣く声が聞こえるですの。
りんちゃんですの。
首を真横に向けると、りんちゃんが裸で私のとなりにうずくまっているですの。
時々思い出したように、肩をふるわせるですの。
夕暮れ時の砂浜でひとりぼっち。そんな風景が似合っていると想うですの。
涙をすすり上げる声。それに混じって、呼び声が聞こえるですの。

――りく

あの甘くて激しい時間と場所に、りんちゃんの好きな人はいなかったですの。
切なくて、心細くなった時にしがみ付くのは、好きな人の方がよかったですの。
体をヘンにするぐらいの気持ちを受け止めて欲しい相手は――
りんちゃんなら、りくさん。
私なら、ポカポカ様。
できるならその人と同じ時間を過したかった、ですの。
りんちゃんの泣き声が、タンカーからもれた原油みたいに私の心を染めたですの。
カツオノエボシに刺された後みたく、しくしくと胸が痛みましたの。

<<終>>
189初代スレ396:05/03/10 07:31:27 ID:timcoDQo
前スレのリクに面白そうなネタが転がってたんで、それで何か書こうかな。

>77氏
初めまして。密かに>>166のZipファイルもDLしておりました。
お仕事と将来の夢を両立されつつ、それらと別に漫画まで描く労力は想像に余ります。
絵の出来ですが、私には『上手い』以上の事は分かりません。
あなたの絵に口を挟む余地はありません。ただ応援しております。ガンガレ、超ガンガレ
190名無しさん@ピンキー:05/03/10 18:03:00 ID:MYYPyIe/
オティンティン ポ━━━━━(゚∀゚)━━━━━ン!!!!
191名無しさん@ピンキー:05/03/10 20:30:29 ID:psIYjGFh
>171
>スレタイで致命的なミスをやらかして

あら、私、意図して変更したもんだとばっかり信じこんでましたんですの。
多分言わなきゃ誰もミスだと気づかなかったと思うんですの。

>179以降
timcoDQoなんて恥ずかしいですの。
でも、そこからのカキコの内容が、とっても萌えますですの。

文体が間違ってたら、申し訳ありません、ですの。
192名無しさん@ピンキー:05/03/11 13:35:40 ID:YZK7mVi0
さよなら絶望先生もこのスレになるのですか?
193名無しさん@ピンキー:05/03/11 17:28:28 ID:j4jbjzFL
いや、専スレ立てませう
194名無しさん@ピンキー:05/03/11 17:28:31 ID:pDn08gWe
クメタン総合スレだし、そうじゃない?
77師光臨待ちage
195名無しさん@ピンキー:05/03/11 17:29:27 ID:pDn08gWe
あ、そうなんだ。
196名無しさん@ピンキー:05/03/11 17:30:42 ID:j4jbjzFL
いんや、專スレ立てっぞぁ ごるあ
197名無しさん@ピンキー:05/03/11 17:31:30 ID:j4jbjzFL
そうなんです。分かればいいんです。
198150:05/03/12 12:20:45 ID:tcx7nL0Z
ttp://r.skr.jp/128/files/2457.jpg
塗ってみました。やはりカラーは無理かと。
3色になると、髪の陰が不自然になったので、2色のみで。

>>77
勝手にペン入れして、そのあげく足が大変なことになってしまい、申し訳ない…
199名無しさん@ピンキー:05/03/12 15:46:35 ID:pRLt6Br2
>>146のつづきまだ〜?
20077 ◆CSCBs4vc.s :05/03/12 22:24:45 ID:gQkWMMYb
>>198
グッジョブです!
ていうか、足良くなってるじゃないすか。私、靴部分が超苦手なので、「ん!?こんなに上手くいったっけか?」と思って、原画確認までしちゃいましたが。w
個人的にはペン入れは私がしても良いですし、是非色塗りお願いしたいですね。
ただ、漫画に塗るとなれば、また大変でしょうからまた検討すべきかもしれませんが。
うすーく、影部分だけ塗るとか…?
201150:05/03/14 18:55:30 ID:gRL/yF0N
靴を無理矢理移動させたせいで、左足がぐにゃりと行ったのが失敗でした。
ペン入れは77師に任せます。靴の部分だけは残すとかでもw
漫画になった時は、 ttp://r.skr.jp/128/files/2541.jpg こんな感じを想定してます。
(濃淡は後で調節しますが)

ところで、このままこのスレ使ってていいんでしょうか?
SSスレなので、スレ違いになりそうな予感。
Wikiに移動か、メールにするかした方が無難な気がするのですが。
適当な掲示板借りて、Wikiからリンクするとか。
202151:05/03/14 20:16:44 ID:MWqEQFVN
>>165

すまん。おれのパソコン壊れてもうた。
とりあえず、データは残ってるはず。
探すから、もうちと時間くれ。
203151:05/03/14 20:18:24 ID:MWqEQFVN
または、親切なだれかさんよ、うpしてやってくれ。
204名無しさん@ピンキー:05/03/15 16:04:07 ID:Zpi0OdPF
>>191

あ、ほんとだ。amazonは久米田 康治だもんな。

どうりでググってみたらこのスレのWikiがでるんだ。
205名無しさん@ピンキー:05/03/16 19:16:37 ID:aEGhYP+z
色が付いてるのは良い事だ
206191:05/03/18 20:13:40 ID:5N8W2bST
>あ、ほんとだ。amazonは久米田 康治だもんな。

あらら、致命的ミスって、そこでしたんですの。
私てっきり「ポカポカが抜けてる事」かと思ってましたんですの。
でもだって、「治」が「司」になってるなんて、言われなきゃ気づきませんですの。
恥かいたんで、回線切って首吊って来ますですの。
207名無しさん@ピンキー:05/03/19 16:35:32 ID:zCg9T/3y
>>206
まーまぁ、まてや
みんな気づかなかった&知らんぷりのどっちかなんだから、いいじゃねーか
208名無しさん@ピンキー:05/03/19 17:10:38 ID:Wcbpjpjj
77氏どうしたんだろ
209名無しさん@ピンキー:05/03/19 18:04:45 ID:zCg9T/3y
>>208
あの方はいろいろ忙しいからなぁ
210元229:2005/03/22(火) 23:03:07 ID:bekaQ1qw
小康状態ですね。
作品投下して大丈夫かな?
できればあさってくらい
211名無しさん@ピンキー:2005/03/22(火) 23:07:14 ID:8EqMAMZZ
かもなべいべー、あっすーなずゅきゃん
212名無しさん@ピンキー:2005/03/23(水) 18:49:34 ID:ihyBFAgp
>>210
どうぞどうぞ。
最新作楽しみにしてます。
213元229 携帯:2005/03/24(木) 22:30:55 ID:bchKRGoW
ごめん明日ね
214名無しさん@ピンキー:2005/03/25(金) 12:01:07 ID:VIYa65ql
了解っす
215名無しさん@ピンキー:2005/03/25(金) 12:36:01 ID:4G9lQVJt
期待sage
216元229:2005/03/25(金) 22:03:04 ID:0Gk6cVQf
元229です。やっと投下できそうです。

地丹×亜留美がメイン。何話構成になるか未定の連続作品でして、今回はその第一話です。

内容は、改蔵たち退院後の病院の様子で、地丹が退院するまでになるはずです。
これ、前に少し言いましたが、最終巻(26巻)の裏表紙のカバー下の、「地丹の退院」の
イラストからインスピレーションを貰って以来ずっと暖めていたものです。
私の今までの作品とは、全くリンクしてません。
以前書いた地丹ものの作品から借用してるエピソードがありますが、あくまで借用であって
リンクしてるわけではないと思ってください。一種の再利用ですね。

また、今回は、わざと連載を細かく切って内容を小出しにして、男性成人週刊誌によくある
連載エロ小説っぽい雰囲気にしようと思ってます。
当然、各話のラストは寸止めで終えて、次回への興味を引くのです(笑)。

第一話は8レス位でしょう。では。
217箱庭のある情景 第一話:1:2005/03/25(金) 22:05:02 ID:0Gk6cVQf
「なんだよ改蔵も羽美ちゃんも、オレにだまって勝手に転校していきやがって!」
地丹は、とらうま町の駅前商店街(といっても、今ではとらうま町の商店街は『すべて駅前』商店街な
ようなものなのだが)の真ん中に腕を組んで仁王立ちになり、今では一日3回はつぶやくのが習慣にな
ってしまったいつもの愚痴を言っていたのだが。
「あら地丹くん元気?」
「あ、部長こんにちは。」
すずはブラウスにセーター、すれすれのミニスカートに紺のソックスといういつも通りの格好だ。18
歳にしては大人びて見える、20代前半と言われても通用するその熟れた肉体を制服で包んで…。
ええっと…そうか、今は放課後なんだっけ。地丹は再確認する。
すずはぐるっと周囲を見回す。
「しかしこの街も、異様に鉄道網だけ充実してきたわよね。」
「でしょう?目をみはる発展ですよ、我がとらうま町は!JR、私鉄含め、16線が乗り入れるという
いまや日本屈指のターミナルですよ!」
「すごいねえ。そのうち空港できるかもね。」
「空港はできないんですよ。そのかわりに来年には新幹線も通る予定ですよ!」
地丹は得意そうに、建設途上の新幹線の駅を見つめている。

<以下、病院内>
地丹は得意そうに、新幹線の駅を紙工作で作り続ける。少し離れてすずは立っている。
若先生がその病室にふらっと入ってきた。地丹の様子を黙ってみている。特に用事はないらしい。
天井の隅などにビデオカメラが複数あり、治療の様子は常に撮影され続けている。改蔵たちが最初に何
もないテーブルの上に普通高校を作り始めた時からの記録テープは膨大な量になる。それらはいつか、
新しい治療法のための貴重な資料として役立つ筈だ。
若先生がすずと会話を始める。
「なんかすごいことになってますね、彼の街。」
「これをただの治療法や戯言と言ってしまうのは簡単だけど、彼等にとっては紛れもない現実の一部…」
218箱庭のある情景 第一話:2:2005/03/25(金) 22:07:11 ID:0Gk6cVQf
すずは時折窓の外の『現実』を眺めて対応させるようなそぶりを見せる。
「まあ、かくいう私たちも、それぞれの街、そして国家という共同の幻想の中で戯れてるに過ぎない。」
「夢のむこうはまた夢…ですか。」
「そして、現実の向こうはまた現実。」
そこに事務員がパタパタ走って入ってきた。すずを見つけると伝言を。
「あ、彩園先生、探しましたよ。青松理事がお呼びです。至急来て欲しいって。」
若先生の顔が曇り、すずをチラッと見る。
その理事が以前に『そんな療法では治るはずがない!』と言い放ち、それに反して改蔵と羽美が治癒し
たことですずに恥をかかされたと思っている、それやこれやで何とか彼女を追い落とそうとしている…
というのは院内においてほとんど公然の秘密であった。
そして、追い落としたあかつきには、すずを自分の愛人にしようと画策しているということも。

「君のあの治療法によって勝改蔵と名取羽美が退院して、8ヶ月が経過した。」
理事は彼の部屋で、深々と椅子に腰掛けたまま言った。理事室には豪華なソファがあるが、すずに腰を
下ろせとも言わない。
「で、もう一人…坪内地丹はいつになったら治るのかね?先の二人が治ったとき、地丹もすぐに治るん
じゃなかったのかね?」
「私はそれを請合った覚えはありませんが。」
すずは無表情のままだ。特に表情を作る必要は感じなかった。箱庭世界での『つまらないものを欲しが
るヘンな社長』のモデルとなった彼は、さもつまらなそうにすずを見上げている。
「つまりいつ治るかわからないということかね?いつまで君の実験に予算をつぎ込まねばならないのか
ね?予算は無限にあるわけではないんだよ?」
「それはわかっています。理事が予算決定の権限のかなりの部分を持ってらっしゃることも十分認識し
てるつもりです。」
「わかってるならいいんだ。ただね…」
理事は椅子から身を乗り出した。
「あまり長引くようだと、私も考えなくちゃいけない。私は院長ほど気が長くもないんでね。」
219箱庭のある情景 第一話:3:2005/03/25(金) 22:09:07 ID:0Gk6cVQf
「前も言いましたが、地丹くんの快復のペースは予想より特に遅いわけではないんです。改蔵くんと羽
美ちゃんがあの時期に快復した方が予想外に早かったわけで…」
理事は黙ってすずの身体を嘗め回すように眺める。
実年齢よりずっと若く見える。20歳代前半と言われても通用する若々しい肉体を白衣で包んで…。
(箱庭世界でこの女は、患者達に自分を女子高生と信じ込ませてきた、いや今も一人信じ込ませている
わけだが…実際、高校の制服を着たら女子高生と見まがうルックスだな。いや実に…)
すずは理事がそんな目で自分を見ているのを気づいていたが、あえて無視して本題を続けている。
「改蔵くんたち二人に関しては、ちょっと早い、時期尚早かもしれないと思ったくらいなんです。だか
ら、地丹くんの件についてはもう少し待っていただけませんか。」
「もう少しってどのくらいかね?2年かね3年かね?」
「わかりません。あとは何をすれば彼が良くなるかは判っているんです。ただ今の研究段階では、それ
はかなり強引な手法になるので…別な方法がないか探ろうとさらなるデータの蓄積を試みてるんです。」
「そんなことを言って研究を長引かせて、予算を多く取ろうという方便なんじゃないのかね?」
「別にそんなつもりは。」
すずは独特の『しれっ』とした表情で微笑んだ。
「つまり、どうしても今期予算内に彼を退院させて研究を終わりにしろとおっしゃる訳ですね?でした
ら今考えている手段で彼の治療を完了させますが…さっきも申し上げましたが少し強引ですよ?」

すずは、精神科病棟の自分の診察室に戻る廊下で考えを巡らせていた。
実は今、はっきり言って箱庭療法は行き詰りかけている。
長いことあの療法が続けられてきたのは、改蔵というストーリー作りの才能を持った患者の存在が大き
かったのだ。無限に湧き出すヘンなネタやエピソード、それらが3人にどれだけ刺激になったか。
だが改蔵がいなくなった後、地丹には自分でストーリーを発展させることはできなかった。際限なく鉄
道が増殖するだけで…そしてすずも万能ではない。その箱庭世界を軌道修正できるほど豊かなストーリ
ー創造能力があるわけではなかった。
局面を打開するためのきっかけが欲しい。そう思っていたところなのだ。
220箱庭のある情景 第一話:4:2005/03/25(金) 22:10:35 ID:0Gk6cVQf
診察室に着いた。部屋に入り椅子に座ると、内線でナースセンターを呼び出した。
「彩園です。今そっちに泊亜留美さんはいるわね?私の所へよこして欲しいんだけど。」

コンコン、とノックをすると、返答を待たずに亜留美はすずの診察室に入ってきた。
「お呼びでしょうか彩園先生?」
すずは黙って亜留美の顔を見ている。執務机に両肘をつき両手の指を組んで口を隠すようなポーズ、ま
るで某アニメの司令官のような。
彼女には珍しいことだが、すこし逡巡しているのだ。
(強引な手法…これをやれば地丹くんも改蔵君たちみたいに上手くいくはず…でも…この娘にこれをさ
せてしまって、果たしていいんだろうか?地丹くんは彼女を好いているし、これをしてもらう適任者は
彼女しかいないんだけど…)
成功しても恨まれるだろうし、失敗すれば全て失う…
いいだろう、全責任は私が負おう。すずは決心し、静かに切り出した。
「あのね亜留美ちゃん…あなた、配属になって自己アピールの時、『私の目標は、身も心も捧げつくす
ような看護で、患者さんの快癒に貢献することです』って言ってたわね?」
「はいっ!私、それが目的で看護師になったんです!」
握りこぶしを作って、元気いっぱいのポーズ。
「そもそも私がそう思うようになったきっかけは、小学2年生のとき…」
「ごめん、その話はもう4回聞いたからいいわ。でね、ひとつ聞きたいんだけど…それを本当にやって
みるつもり、ないかしら?」
「ありますよっ!」
「相手…つまり対象の患者さんは、坪内地丹くんなの。あなたも見たあの箱庭で、彼に身も心も捧げ…」
「ああ地丹くんですか!やりがいありそう、俄然ファイトが沸いてきました!」
「最後まで聞いて。彼には催眠誘導で偽りの記憶を与えるわ…『ずっと亜留美ちゃんと恋仲で、今も毎
晩愛し合っている仲だ』っていう記憶。あなたはそういう役割を演じることで彼の治療に貢献するの。」
「へー、すごいですねー、偽の記憶ですか、そんなこと可能なんですかぁ。」
221箱庭のある情景 第一話:5:2005/03/25(金) 22:11:22 ID:0Gk6cVQf
「…亜留美ちゃん、『恋仲になって毎晩愛し合う』の意味判ってる?男と女が毎晩愛し合うって、何をど
うする事なのか、ちゃんと把握してる?」
「はいっ。」
やっぱりわかってない。すずはそう思った。噛んで含むように説明するしかない。
「ここでの『愛し合う』っていうのは、つまり肉体的な関係を結ぶ、って事なのよ、わかる?」
「はいっ。」
「あのね、亜留美ちゃん…肉体的な関係って、性交渉をするって事なのよ?」
「はいっ。」
「もっと直接的に言うとね…あなた、地丹くんと毎晩SEXをする事になるのよ?」
「はいっ。」
「…それでもいいの?」
「はいっ。」
もう一回、胸の前で両手に握りこぶしを作って引き寄せ、元気いっぱいのポーズ。
「もちろんですよっ!患者さんが治るお手伝いになるなら私、SEXだってしますし火の中に飛込みだ
ってします!初めからその覚悟でこの世界に入ったんですよ!」
「…」
「そういうのって、そんなに特別なことじゃないと思ってますよ私。だいたい、しえ先輩だって、改蔵
くんを治すために彼とそういう仲になったじゃないですか、私はあれを知って『立派だなぁ、献身的だ
なぁ、すごいなぁ』って思ったんですよ。」
「しえちゃんが改蔵くんとSEXしたのはアクシデントに近かったんだけど…まあいいわ。それより、
これを実行したら、あなたはもしかすると一生後悔する心の傷を負うかもしれない。身体だって…」
「大丈夫です!私こう見えてもタフなんですよ、ちょっとやそっとじゃくじけません!」
なんだか瞳の中に星飛雄馬のように炎がめらめら燃えてるような気がする。
「さーがんばるぞぉー。まずは地丹くんの好きなものから覚えなきゃ。確か彼、鉄道関連が好きなんで
すよね。そうそうそれより、女の子のタイプはどんなのが好みなんでしょう、先生知ってます?」
すずはため息をついた。本当に彼女に任せて大丈夫だろうか。
222箱庭のある情景 第一話:6:2005/03/25(金) 22:12:47 ID:0Gk6cVQf
<以下、箱庭世界>
とらうま町新設の新幹線の駅「新とらうま中央駅」は、ほぼ外観が完成した。
まだまだこれから開通するまでは中に色々工事が入る。でも見学会に出席した地丹はご満悦であった。
見学会が終わって駅から出てきたところですずに会った。
「あ、部長。部長も新駅を見に来たんですか?」
「まあね。なかなか立派な駅じゃない。」
「でしょ?しかものぞみもこまちも止まりますからね、日本でここだけですよそんな駅は。」
「そりゃそうでしょうね。」
休日なのですずは春めいたブラウスに膝丈のスカート姿だ。地丹に下半身由来のモヤモヤした感情が。
「ぐふふ。ねえすずちゃん?」
「なに?」
「コネで特典として新鹿児島まで無期限無記名の定期を貰ったんだけど…それも2枚ね。どう?欲しく
ない?僕と一緒に、そうだな3泊4日くらいで出かける気があるなら、あげてもいいんだけどなぁ。」
「なーに言ってんの、そんなことしたら婚約者に怒られちゃうわよ。」
「へ?婚約者?すずちゃん婚約してるの?」
「ちょっと地丹くん大丈夫?私じゃないわ、あなたの婚約者よ。おうちで帰りを待ってる筈でしょ。」
「僕に?婚約者?」
「…見学会の興奮が行き過ぎてぼけちゃったのかしら。地丹くんには、ひょんなことで肉体関係を結ん
であなたを好きになった娘がお部屋に押しかけてきて、なし崩し的に婚約者になって、今では寝起きも
一緒、毎晩エッチする仲…家族と私以外には内緒でだけど。そんな大事なこと忘れちゃったの?」
地丹は呆然とした。なんだって?
「ほら、早く帰ってあげなさい。寂しがってるんじゃないの?」
「え…で、でもだって、い、いきなりそんなこと言われても…」
「いきなり?もうずいぶん前からずっとこんな状況でしょ?さあ早く。」
すずはにっこり微笑んだ。
「婚約者が…亜留美ちゃんが待ってるわよ。」
地丹は弾き飛ばされたように走り出した。
223箱庭のある情景 第一話:7:2005/03/25(金) 22:13:32 ID:0Gk6cVQf
走って家に帰りながら考える。
亜留美ちゃんが僕の婚約者だって?ずっと前に押しかけてきて、それ以来うちに一緒に住んでるって?
毎晩濃厚に愛し合ってるって?みんなにはそれを内緒にしながら、だって?
そんなばかな。なんだその、出来損ないのエロゲーみたいなシチュエーションは?
いや…
そういえば、ずっとそんな状況で暮らしてた…記憶がある。
毎晩、欲望のおもむくままお互いの身体を求め合っていた…記憶がある。
今朝だって出がけに玄関でキスされて送り出された…記憶がある。
そして「帰ったらすぐ、晩御飯前に一度エッチしようね」って言われた…記憶がある。
何でそんな大事なこと忘れてたんだろう?
うちの玄関が見えてきた。
いつもどおりただいまも言わず家の中へ。
母親が「おかえりなさい、晩御飯まではまだ一時間くらい…」と言いかけるのを遮り「るせぇババァ!」
と返す。そうだこのあたりはいつも通りだ、それには確信がある。問題はこの後だ。記憶が確かなら…。
階段を駆け上って自室のドアを開ける。
「おかえりー!!」
たたたと駆け寄る足音と共に甘々な声を出したキャミソールの胸がボディアタックしてきた。
むにゅう、と柔らかく暖かい乳房の感触と共に、細くすらっとした両腕が地丹の頭を抱きしめる。
「ねー遅かったじゃない、『帰ったらすぐ、晩御飯前に一度エッチしようね』って約束したでしょー?
ほら、もうあと一時間で晩御飯なんだよっ。ほら、こっちこっち。」
地丹は心の半分でそれを聞きながら、残りの半分は亜留美の姿態に気を取られている。
目の前すぐには半分あらわになった胸の谷間(隠れ巨乳とはよく言ったものだ)。かなり肉付きの良い長
い脚。マンボウ柄のパンツがキャミソールの裾から丸見えになってる。
「どしたの地丹くん?なに…じろじろ見てるのよ、恥ずかしいじゃない。」
「え?い、いや、だって…亜留美ちゃん、そのカッコ…」
「あ、これ?このキャミ可愛いでしょ?」
「そうじゃなくって、あの、何でそんな下着姿で…」
亜留美は訝しそうな表情になる。
「へんかなぁ?でもエッチの前って私、だいたいこんなカッコでしょ、いつも?」
そ、そうだったっけ…そういわれてみればそうだったような気も…。
「ねえ、早くしようよー。いつもみたいにしてよぉ。してくれないなら、私の方からしちゃうぞ。」
亜留美は自分からキスをしてきた。

地丹はどうしても頭の中の整理が出来ずにいる。
デ・ジャ・ビュ(既視感)というのがある。初めて見る・体験するものが、なぜか前から記憶にあるよ
うな気がする錯覚の事だ。今の地丹はちょうどその逆の感覚を味わっているのだ。
つまり、確かに前からそれを体験していた記憶があるのに、頭のどこかではどうしてもそれが初めての
体験なような気がしてならない…そんな奇妙な感覚だ。
記憶だと二人は毎日十回以上の割合でキスをしている筈だ。でもなぜかこれが初キスのような気が…
キスはまだ続いている。それどころか亜留美は舌を絡めてきた。唾液を交換するような濃厚なキス。
地丹は下半身が反応し、強くボッキしてくる。ズボンの中で張り詰めて痛いくらいな怒張。
「ほら、元気になった…さ、ズボン脱いで。」
亜留美は地丹のズボンに手をかけ脱がせて行く。ズボンを脱がせるとパンツも…と思ったら、パンツの
すごい盛り上がりを見て手が止まった。
「あ、あとは…自分で出来るよね…私、自分が脱ぐからね。」
何かをごまかしているような感じで急いでキャミソールを脱ぐ。
まんまるなおっぱいがあらわになり、元気そうにぷるんとゆれた。中央より少し上に乳輪のほとんどな
い薄桃色の乳首がつん、と飛び出している。
ついで、するするっとパンツを下ろす。ベッドに横になった。恥ずかしそうに脚を開く。
陰毛は恥丘にのみ生え、割れ目の両脇には全く生えていない。ほんの縦すじだけのピンク色の部分。
地丹はまだ半分確信をもてないまま、パンツを下ろしてベッドに登り、彼女の両脚の間に割って入った。

つづく
225名無しさん@ピンキー:2005/03/27(日) 12:06:20 ID:NAUtipdU
新作投下お疲れ様。
あざーす。( ^.^)( -.-)( _ _)
22677 ◆CSCBs4vc.s :2005/03/27(日) 17:30:05 ID:p6PwOF73
こんにちわ、ちょっと忙しくて漫画どころじゃなくなっちゃっています。
すいませんが、もうちょっと待ってください。(;´Д`)
227名無しさん@ピンキー:2005/03/27(日) 18:58:05 ID:NAUtipdU
>>226
77師の好きなペースでいいんですよ。
228名無しさん@ピンキー:2005/03/31(木) 01:42:01 ID:baZIld2O
保守
229ゲットマン〜新たなる野望!!:2005/03/31(木) 21:16:50 ID:XRTSIB5s
――西暦20XX年――

人とロボットが平和の内に共存していた鹿児島の街は、たった一夜にして
恐怖のどん底に突き落とされた。
ここに住んでいた少年を逆恨みする科学者の亀頭が、持てる科学力の全てを
駆使して完成させたロボットを市街地に放ち、彼らに破壊の限りを尽くさせたのである。
脅迫、盗撮、痴漢、婦女暴行――
彼らの魔の手から逃げ惑う市民を助けようと、一人の科学者が反旗を翻した。
ロボット工学の権威、毒田博士その人であった。
彼の姪である岡本そあらには、将来彼女の夫となる予定のボーイフレンドがいた。
蘭堂月斗――
英語と体育以外に何の取り得もない、頭の中は年中エロの事しか考えていない
平凡な少年であったが、毒田博士は彼を自分の趣味から、
もとい、
鹿児島の街に平和を取り戻す為の戦闘ロボットに改蔵、もとい改造したのだった。
それが、ゲットマンである。

ゲットマンの活躍によって亀頭の野望は三度に亘り阻止され、元凶である亀頭自身も
戦いの渦中で行方不明となった。博士の願い通り、平和な日常が訪れたかに見えた
鹿児島だが、再び新たな脅威がこの街を襲う。
若き天才科学者、天草健太郎くん(17)が、彼らの配下を引き連れての犯罪と
破壊工作を開始したのだった。
親友である天草くんの暴挙を止めるべく、ゲットマンは再びヘルメットを被って
戦いの舞台へと戻る事を決意した。
この頃には西駅まで延長されている筈である、800系新幹線つばめの屋根の上で――

「寒いじゃねーかこの格好!ブーツとグローブとパンツ以外素っ裸なんてひでーよ!」
そうは言っても、そあらのブルマーを穿いても良いというお墨付きを博士から貰って
まんざらでもないゲットマンであった――
230ゲットマン〜新たなる野望!!:2005/03/31(木) 23:06:33 ID:XRTSIB5s
グローブにブーツ、ヘルメットにそあらのお下がりブルマーという戦闘スタイルに
着替えた所で、ゲットマンは毒田研究所の一室に呼び出された。
何でも毒田博士が、彼の武器であるゲットバスターの改良に成功したとの事で、
一刻も早く天草くんの下へ行きたいと思うゲットマンにとって、武器の改良など
どうでもいい話だった。
だが、もし来なければ殺すと岡本そあらに脅されたら――
さしものゲットマンでも生きてはおれまい。彼が苦手とするのは何も、
針の敷き詰められた床だけとは限らないのだ。
渋々訪れた毒田研究所の入り口で、岡本そあらが彼を出迎えてくれた。
「月斗いらっしゃい。あ、今はゲットマンだったわね」
にこやかな笑顔でそう言うなり、そあらはゲットマンの腕を組んでぴったりと寄り添った。
そあらは女房気取りでゲットマンの手を引き、研究棟へと入る。白を基調とした
内装が、整然と片付けられた廊下と相まってこの上ない清潔感を醸し出していた。
「叔父さんは第二ラボで待ってるわ。ここ広いから私の案内がないと迷子になるでしょ」
いらねーよ、とゲットマンは腕を振り払おうとした。そあらの腕力は殊の他強く、
強化改造を受けたゲットマンでも手を離す事は叶わなかった。
背筋に冷や汗を覚えつつ、ゲットマンは仕方なくそあらの為すが侭である事を選ぶ。
ただしそあらのお節介な態度に、文句を付ける事は忘れなかった。
「広いったって毒田研究所は平屋建てで、しかも単純な部屋割りでキレイに区切られてるだろ。
子供じゃないんだから入り口の案内図を見れば分かるよ。大体何の為にインターホンがあると
思ってるんだ」
まーまー、とそあらは笑顔でゲットマンを宥めた。この程度の皮肉では、ゲットマンと
一緒に居られる事で良くなっていた彼女の機嫌を崩すには至らなかったらしい。
「出番少ないんだから文句言わないでよ。あ、それから今回は私がナビするから」
まかせなさい、とそあらは胸を叩く。
相変わらず成長の乏しい胸だな、とゲットマンはその必要もないのに口に出し、
ヘルメット越しでも充分に効く拳骨の一撃を食らった。
231ゲットマン〜新たなる野望!!:2005/03/31(木) 23:08:28 ID:XRTSIB5s
教室ほどの広さを持つ第二ラボに入室するや、ゲットマンは博士からニューゲット
バスターの説明を延々と聞かされた。
毒田博士が、見た目にも明らかに苛立ったゲットマンの態度を咎めるような口調で問う。
「聞いておるのかね月斗くん?いや間違えた、ゲットマンか」
聞いてますよ博士、とゲットマンは目の前の博士に向けて面倒臭そうに返事した。
博士は失望も露に肩を落とす。はぁ、と長い息を吐いた。
「そういう返事をするのは、人の話を聞いていない証拠じゃ。いいかゲットマン。
もう一度説明するが、今度のゲットバスターは溜め撃ちが出来るのじゃぞ」
博士はそう言うと窓際に足を進め、壁に立てかけてあったアイスホッケーの
スティックを手に取る。三度ゲットマンの武器として活躍した割には傷も少なく、
説明がなければ新品と見紛うような品だった。
ラボの滑らかな床にパックを置き、スティックを構え、博士は数メートル離れた
一辺約50センチメートルの強化コンクリートブロックに狙いを定める。
現役のアイスホッケー部員よりも正確な動作で飛ばされたパックが、一直線に
ブロックへと当たる。パックが弾き飛ばされたが、ブロックには僅かな皹も
生じなかった。
ゲットマンはそれを無表情で見つめる。博士は彼に顔を向け、新たなパックを
床に置きながら説明を続けた。
「これが今までのゲットバスター。しかし今度はゲットマン、君のエネルギーを
チャージする事によって……」
構えの姿勢に入る。スティックを振り上げ、博士はそれを握る手に力を込めた。
そのまま暫し。時間にして三秒だったが、ゲットマンにはかなり長く感じられた。
博士のショットを、ゲットマンは目で捉える事が出来ない。
豪快な破壊音と共に、強化コンクリートのブロックが四散する。額に汗を浮かべ、
博士はどうじゃ、と満足げに笑った。
「どうでもいいっすよ」
さも興味無さそうなゲットマンの態度に、博士の目が点になった。
「何で?」
「確かにニューゲットバスターの威力は凄かったけど、でもオレ」
――アイスホッケーやらないもん

(次回:ブライトマンステージ攻略予定)
232ゲットマン〜新たなる野望!!:2005/04/02(土) 11:56:59 ID:Mfd1Htq7
〜ブライトマンステージ〜
READY

そこは何の変哲もない住宅街に建てられた、ひっそりと静まり返った一軒家だった。
本当にこんな所にキャプテンの配下がいるのだろうか、という疑問を抱きながら
ゲットマンは門の呼び鈴を押す。

ぴんぽ〜〜ん

間延びした音に続いて、お邪魔しまーす、とゲットマンは元気よく挨拶した。返事はない。
ヘルメットの内側で短い電子音が鳴った。研究所からの通信を知らせる合図だ。
メットに内蔵されたイアホンのスイッチをオンにすると、そあらの呆れ声が聞こえた。
『月斗、じゃなかったゲットマン。何でそこで普通にチャイムを押すかな?』
ゲットマンは返事した。集音マイクの性能が良いため、普通に話す要領で喋るだけで
彼の声がラボ側でクリアに再現されるのだ。
「何言ってるんだそあら。初めて行く家には、ちゃんと挨拶して入らないと
いけないだろ?中の人に断りも無く入ったら犯罪なんだぞ」
そーゆートコだけ律儀なのね、とそあらの溜息がイアホンから漏れた。
『いい?ブライトマンはどうやらその家から一歩も出ないらしいわよ。
近所の人の話だと、電話も玄関の呼び出しにも応じないんだって』
そあらの説明を聞いている内に、ゲットマンはドヨンドと落ち込んで行った。
それではただのヒキコモリではないか。名前はブライトマンなのに、
話から受ける印象はちっともブライトじゃない――
「家から一歩も出ないんだったら、全然問題ないじゃねーか。そんなヒキコモリ
なんかほっといて、キャプテンの所に行った方が手っ取り早いだろ?」
だめよゲットマン、そあらの声がメットの内側で窘める。
『キャプテンの居所について、配下の者が何かの手掛かりを持っているはずよ。
だからブライトマンの所に来たんでしょ。応対がなくても気にせず、その家に入っちゃいなさい』
わかったわね、とそあらの声に念押しされ、ゲットマンは渋々門から玄関に向かった。
233ゲットマン〜新たなる野望!!:2005/04/02(土) 11:57:40 ID:Mfd1Htq7
鍵の掛かっていない扉を開けて一歩踏み入る。日中でも家中の雨戸やカーテンを
閉めているらしく、採光を考えて施工された家とは思えないほど重い空気が支配していた。
「せめて電気くらい点けろよ。これじゃ暗くて何も見えやしない……」
手元に電灯のスイッチを見つけたので、ゲットマンはそれを触る。
ショッキングな光景がゲットマンの眼前に広がった。

床一面に敷設されたNゲージ。足の踏み場もない、という言葉はこの場合修辞に留まらない。
床板の一枚につき一本の軌道。コンセントというコンセントが、列車模型の動力源として
フル活用されている。
すぐ近くに見えた二階への階段も、スイッチバック専用の軌道が占領している始末だった。
――マニアだ
天草くんにも匹敵するマニア振りに、ゲットマンは少したじろいだ。
カチカチと無機質な音を立てて、列車の模型が台所から走って来た。総延長距離の割に、
列車はこの十二両一編成しか見当たらない。軌道に予算を注ぎ込みすぎたのだろうか。
しんと静まり返った家の中に、列車の走る音だけが響く。どこまでも寒々しい光景だった。
既にかなり削がれていたゲットマンのやる気は、ここに至って完全に失せてしまった。
研究所のそあらを通信に呼び出す。出て来たそあらに状況を説明し、ゲットマンは
泣き言を漏らした。
「そあら、オレもう帰りたいよ……」
『頑張ってゲットマン。ブライトマンに勝ったらチュー一回だからね』
貧乳女のチューなんて別に要らない、と声に出さずゲットマンは唸った。
「何でこんな不気味な家の主人を訪ねないといけないんだ。ここの家にいるのは
間違いなくマニアで、しかもヒキコモリだよ……」
『マニアでヒキコモリだから何だって言うのよ。ブライトマンは二階よ、早く上がりなさい』
「そりゃ二階からしか人の気配がしないから判るよ、でもそあらはここに居ないから
そんな風に普通に言えるんだ。一回ここに来て見ろ、キャプテンの部屋より凄い事に
なってるんだから」
ラボからの声が一瞬途絶える。息を呑む音がイアホンに伝わった。
234ゲットマン〜新たなる野望!!:2005/04/02(土) 11:58:43 ID:Mfd1Htq7
天草くんの例を挙げるまでもない事だが、マニアは自分の持ち物に恐ろしく執着する。
二階へ昇るにはNゲージの軌道を踏んで進まなければならないが、それをやると
ブライトマンが怒る事は目に見えている。ヒキコモリなだけに小心者だろうから、
彼が怒り狂ったら何を仕出かすのかゲットマンには予想も出来なかった。
とはいえラボのナビゲーションシステムと音声だけでやり取りを交わしているので、
そあらにはゲットマンが浮かべた困惑の表情までは判らない。彼女はあくまで冷静に、
優等生そのままの的確な指示を与えた。
『ここに見取り図があるけど、それによると二階まで吹き抜けになってるわね』
「だから?」
『ケントコイルがあるでしょ。今から犬斗そこに送るから、大ジャンプで二階に上がりなさい』
ゲットマンの背後でわん、と声がする。犬斗、いやロボット犬のケントが、
既にケントコイルを背中に装備して三和土の上に立っていた。さも嫌そうな顔だ。
毎度の事ながら、どこからこの家に侵入したのだろう。それに来るのが早過ぎる気もする。
いつも心に浮かぶ疑問を、ゲットマンはいつものように忘れ去った。考えても仕方のない事だ。
ケントの背に飛び乗った。
「ぎゃん!!」
ケントの痛そうな鳴き声と共に、強力なバネの付いた台がゲットマンを天井近くまで撥ね上げる。
幸い二階の床は、一階ほど軌道に占領されていなかった。着地。階下からケントの吼える声がする。
ゲットマンはイアホンの万能翻訳機をオンにした。相手が犬でもパートナーである以上、
細やかな意思疎通は欠かせない。
犬の鳴き声が、徐々に人間の言葉へと置換されて行く。ゲットマンは注意深く耳を傾ける。
――人を足蹴にしておいて礼の一つもないのか!動物虐待で訴えてやる!
ケントの訴えを聞かなかった事にして、ゲットマンは軌道を踏まないよう慎重に進む。
半開きになったドアを開け、暗闇が支配する一室へと侵入した。
235ゲットマン〜新たなる野望!!:2005/04/02(土) 11:59:29 ID:Mfd1Htq7
〜BOSS ATTACK:ブライトマン〜

ゲットマンが部屋の明りを点そうと、ドア周りのスイッチに手を掛けた所で、
「電気を点けるな!」
と暗闇の奥から怒声が飛んで来る。少し甲高いが、少年の声だと判別できた。
ヒキコモリのマニアだ。姿は見えずともゲットマンには解る。だが電気を
点けないと暗くて不便である。おそらくは室内にも敷かれているだろう
Nゲージの軌道も、ゲットマンは出来れば踏みたくなかった。
「何言ってるんだ。昼間なのに雨戸全部下ろして、おかしいじゃないか。点けるぞ」
きょえー、とテンパッた怪鳥のような声を無視して、ゲットマンは室内灯をともす。
60Wの消費電力から光度を予想していたゲットマンは、突如として室内を包んだ
眩しい光に目を塞いだ。
恐る恐る、ゆっくりと目を開く。キャプテンにも匹敵するマニアの正体は――
小柄な少年だった。どうやらブリーフ一丁らしいが、それについてゲットマンは
何も言わない。自分だって似たような格好なのだから。
少年の頭部が、天井からの光を反射している。眩しさを堪えてよく見ると――
頭頂部が波平さんクラスの後退ぶりを示していた。ゲットマンは少年の
禿げ上がった頭部を反射的に指差して叫ぶ。
「その頭、オマエはブライトマンだな?!」
「ブライトマン言うな!だから電気を点けるなって言ったのに!」
少年は怒りの形相でゲットマンを睨む。だが彼がどう否定しようとも、ゲットマンの
中で彼の呼び名は既に決定していた。
何せ貧乏ゆすりする度に、頭頂部が電灯を反射してぴかぴかと光るのだ。
小柄な体格もあってか、少年の動きはコミカルな印象をゲットマンに植え付ける。
ゲットマンは笑いを堪えるのに必死だった。笑ってはいけないと意識すれば、
かえってブライトマンのおかしさが目に付いて仕方がない。
そーだよハゲてるよ若ハゲが悪いのかよ、開き直った口調でブライトマンが捲くし立てると、
ゲットマンは余りのおかしさに、ついに腹を抱えて笑った。ブライトマンがキー、と
金切り声を上げた。
「オマエ今オレの事笑っただろ?笑ったな?笑うな、オレを笑うな!」
236ゲットマン〜新たなる野望!!:2005/04/02(土) 12:07:03 ID:Mfd1Htq7
YES・NO枕が、いきなりゲットマンの顔面を直撃した。2ゲージ分のダメージ。
間髪入れず電気スタンド、マンガに教科書、月刊おっぱいに勉強机と、あらゆる物が
次々にゲットマンを襲う。大きな洋服箪笥は14ゲージ、もし二発食らえば死んでしまう。
それは攻撃と言うより、寧ろ家庭内暴力と言った方が表現として適切だった。
「ヒキコモリでマニアで、その上家庭内暴力かよ!コイツ性格暗すぎるぞ!」
『ゲットマン、バスターで反撃するのよ!こんな時の為のチャージショットでしょ!』
ラボからモニターしていたそあらが、一方的に攻められる様子に耐えかねて指示を出す。
飛来するベッドをスライディングで掻い潜り、ゲットマンはそあらに向かって叫んだ。
「出来るかっ!チャージどころか普通のゲットバスターも撃てねえよ!」
その通り。しかも他所様の家でホッケーのスティックを振るったら、押し込み強盗
そのものではないか。
床に落ちたベッドの脚がNゲージの軌道を粉々に砕く。自分の宝物が塵へと変わったにも
関わらず、ブライトマンは一向に意に介さない。
むしろ投げる物が増えたとばかり、破片を拾っては石飛礫の要領でゲットマンにバラ撒く。
再び2ゲージのダメージ。ゲットマンの足が止まる。ブライトマンが悲痛な調子で叫んだ。
「モテないわパシリにされるわストーカー呼ばわりされるわドーテイだわ、
テメーみたいなチャラチャラした奴にオレの苦労が解ってたまるか!」
オマケにてっぺんもハゲたしな、とブライトマンは付け加えた。頭頂部がきらりと光る。
「この頭のせいで、近所の湯屋に行くのにも人目を忍んで参らなきゃいけないんだぞ!
だからこうしてひっそりと隠れていたんだ!そうするとな、気分が滅入ってくるんだよ!
今じゃもう、誰かオレを殺してくれないかな、とか思ってる位だよ!」
「だったら外に出て、明るい太陽の日差しを浴びればいいじゃないか!」
きえー、とブライトマンが金切り声を上げた。ゲットマンにすれば彼を励ました
つもりだが、かえって彼の傷口に塩を塗り込んでしまったらしい。
「太陽がまぶしいと余計死にたくなるんだよっ!若ハゲも目立つしな!
大体この頭のせいで外に出られないんだって、何度言ったら解るんだテメエはっ!」
237ゲットマン〜新たなる野望!!:2005/04/02(土) 12:08:07 ID:Mfd1Htq7
床に倒れて身動きが取れなくなったゲットマンの上に、割れたガラス片や壁の建材が
雨あられと降り注ぐ。2ゲージずつとは言え、身体が硬直した所に細かく攻撃を受け
続けたら、蓄積するダメージも相当な量になった。例え今ブライトマンの攻撃が止んでも、
ゲットマンには瓦礫から這い出る為に必要な腕の運動だけでも苦痛を伴う有様だ。
『ゲットマン!月斗!ねえ月斗、しっかりして……』
意識が朦朧とする。そあらの呼び掛けにも涙声が混じる。それすら耳から遠のいて行く――

破壊に伴う激しい物音が、いつの間にかぴたりと止まった。
唐突に訪れた静けさの中で、ゲットマンはゆっくりと瓦礫を押し退けた。目を見張る。
室内の様子は一変していた。最早屋外と室内を隔てる壁まで消失し、家の骨組みまで
剥き出しになって、これではもう部屋とは到底呼べまい。
全壊、という表現がまさに相応しい。
そんな解体現場なみに散らかった元部屋の中央で――

白目を剥いたブライトマンが、胸から血を流して宙に浮いていた。

どう、とブライトマンがうつ伏せに倒れる。背中には包丁が突き刺さっていた。
彼が立っていた場所に、血染めワンピースを身に着けた長い黒髪の少女が立っている。
髪型こそ違うが、体型も背丈も顔立ちも、どことなくそあらに似ているような――
――そあらよりも胸がない女なんて、初めて見たぞ……
『月斗、月斗聞こえてるの?』
そあらからの通信でゲットマンは我に帰る。事態は貧乳どころの騒ぎではない。
これは明らかに殺人だ。それにこの少女、一体いつどこからやって来たのだろう。
何でブライトマンを殺したのか。訊きたい事は山ほどあったが、ゲットマンは
何を訊くべきか判断に迷ってしまった。言葉が出て来ない。
少女の口が、沈黙を破る。やや掠れ気味の声で、やはりそあらと良く似ていた。
「殺されたがってたから、殺したの。それだけよ」
そう言って彼女は、いきなり高らかな笑い声を上げた。瓦礫と死体を前にして
大笑いする少女を前に、冷たい汗がゲットマンの背中を滴る。
少女は素早く跳び上がり、無事に残った天井も屋根も突き抜けて空高く去った。
彼女を追って問い正そうにも、ゲットマンの体力は既に消耗しすぎていた。
238ゲットマン〜新たなる野望!!:2005/04/02(土) 12:09:55 ID:Mfd1Htq7
ゲットマンは女の跡を目で追って、天井を仰いだ。彼女が開けた穴が屋根を突き破って
青い空が見えている。その他の場所はきれいな物で、天井の室内灯も無傷で残っていた。
「……これでいいのか?」
ゲットマン自身の出る幕はなかったようだ。それにキャプテンの行方も判らず仕舞いだった。
実写版キャシャーンを見終わった後のような、割り切れない感情が胸にしこりとして残る。
とは言えブライトマンは倒れたし、これにて任務完了だろう。そうと決まれば長居は無用。
ただしここを去る前に、警察に電話ぐらいはしておくべきだとゲットマンは判断した。
通報は善良な市民の義務だ。皆さんも犯罪の現場を目撃したら、すぐに警察を呼ぼう。
「確か一階に、電話の親機があったはず……」
ゲットマンはNゲージの軌道が敷き詰められた廊下へと踏み出し、今や機能的には
バルコニーと呼んだ方が相応しいまでに全壊したブライトマンの部屋を後にした。

〜ブライトマンステージ クリア〜
YOU GOT NEGATIVE STOPPER

(次回:ファラオマンステージ攻略予定)
239名無しさん@ピンキー:2005/04/02(土) 12:25:49 ID:amFwVFH7
投下乙ー
で、素朴な疑問なんだが…



















こ れ 、 エ ロ パ ロ か ?
240名無しさん@ピンキー:2005/04/02(土) 12:35:58 ID:Mfd1Htq7
確かにエロが当分先の話になりそうですな。
保管庫のSS投下専用板に続きを投下できないかどうか相談してみます。
とりあえずこっちへの投下は差し止めで。では失礼
241名無しさん@ピンキー:2005/04/04(月) 19:37:29 ID:D5F2aopW
別にこのスレで続けりゃいいと思うが
242240:2005/04/05(火) 00:28:19 ID:T6UQPzJp
失礼します。

やはり一度言い出した事なので、もしSS投下板の許可が頂けたら
そちらに続きを投下した方がいいかも知れません。
オリキャラ(と言ってもネタ的な物ですが)も登場しますし、予防策という事で。
それに別館があれば、書き込み禁止時の避難所的な用途も期待できますしね。
243元229:2005/04/05(火) 20:31:39 ID:Y8xrKtUM
元229です。

>240
>確かにエロが当分先の話になりそうですな。
うお、エロになるのですか。普通にアクションコメディみたいな感じで読めました。
どこでやるにしろ、続きが出来たら知りたいです。

ということでとりあえず、私のを投下しても大丈夫かな…?
いいや、やっちゃえ。

>217-224の第二話です。
6レスになる予定。では。
244箱庭のある情景 第二話:1:2005/04/05(火) 20:34:18 ID:Y8xrKtUM
地丹は、まだ眼の前にある亜留美の裸体を現実のものと信じきれずにいる。
暗めにした照明の下、恥ずかしそうに、しかし大胆に大きく広げた亜留美の局部。
陰毛は恥丘に申し訳程度に生えているだけで、割れ目の両側はすべすべしている。両側の盛り上がりは
かなり強く、そのせいで内側の粘膜の部分が縦筋にしか見えない。まるで幼女のように…。
上半身を見る。きれいなまあるいおっぱいが、大きな二つの眼のように地丹を見つめ返している。乳房
は幼女どころか、立派な大人のそれに成長しきっている。なんと不釣合いな上半身と下半身だろう。
亜留美自身は薄目を開けて恥ずかしそうだ。
「だーかーらー。そんな穴のあくみたいに見ないでよ…なんか変よ地丹くん、帰ってきてから?」
亜留美が身じろぎすると、おっぱいがつられてぷるんと揺れる。まるで皿を動かされたときのプリンの
ようだ。おっぱいの下側、彼女には自分では見えないところにあるホクロもつられて揺れる。
そうだ、このホクロには見覚えがある。ストーカーをしてた頃はちょくちょく着替えを覗いたもんだ。
公園のトイレでおしっこしてるのをアクシデントで見てしまったことも…だから以前から、おっぱいも
アソコも見た事がないわけじゃ…
いや待て、あれから何がどうなって今みたいな関係になったんだっけ?
そうだ、たしか、科特部の鍋パーティーで、酒『のようなもの』を飲んで酔った勢いで初体験して…
それがきっかけで何度もエッチを繰り返して…
まもなく彼女はうちまで押しかけてきてエッチをするようになって…
なし崩し的に僕の部屋に居ついちゃったんだっけ。
そして彼女はそのまま独力で双方の両親を説得(地丹はどうしていいかわからず傍観者状態)して…
強引に押し切って事実上の『婚約者』宣言をして…
だけどなんかまるで箇条書きみたいな記憶なんだよな、どうしてなんだろう?
「ねえ、地丹くん…早く来て…私もう…」
亜留美がおねだりしている。
それも口ではなく、今見てる淫靡なもう一つの縦長の方の口から聞こえるような気がする。彼女は自分
の乳首を両方とも弄りながら自らを昂ぶらせているのだ。
次第に、縦筋だけに見えていたピンク色の小陰唇が開き始めた。花が咲くように…。
地丹はもうたまらなくなった。
245箱庭のある情景 第二話:2:2005/04/05(火) 20:35:15 ID:Y8xrKtUM
そうだ、いつもやってる通りにやればいいんだ。
亜留美が自分からおねだりをしだすのは、『前戯はもういいからもう挿れてよ』の意味だったよな、ち
ゃんと覚えてるぞ。よし挿れちゃうぞ…なのに穴の位置がわからないのはなぜだろう…毎日してるはず
なのに…?
地丹が少し戸惑い始めた所で、亜留美が地丹のものを手探りで握り、自分の入り口にあてがった。
「ここだよ…今日はちょっと焦ってるね…大丈夫、リラックスして、いつも通り…」
地丹は腰に力を入れた。
かなり抵抗がある。ほんとに入るのかな。もうちょっと力を入れて…
ぬるっ、とした感触。
「ふわわ!?」
亜留美が身体を反らし妙な声を上げた。地丹は少しビックリしたが、腰は意思とは別に前に進む。
「ほわぁ?あ、ああ…っ、ちょっとまっ…」
痛がってるのではない。ただ戸惑ってるような…
陰茎が半分ほど入った所で、やっと本能による腰の動きにストップがかかった。
「ど、どうしたの亜留美ちゃん?大丈夫?やめようか?」
「そうじゃないの、そうじゃ…ただちょっと、こんなおっきいと思ってなかったから…」
「え?」
「ああっ、今のは忘れて、なんでもないの!そ、それより…動いていいよ、ね、いつも通り動かして。」
最初は遠慮がちに、次第に大胆に、地丹の腰の前進に力が入る。
亜留美はまた悶え始めたが、こんどは声を出さない。おっぱいがさっきと同様、二つのプリンみたいに
ぷるぷる揺れている。少しのけぞるようにして、目をきつく閉じ、シーツを両手で掴み…
まだ違和感があるようだ。
奥まで届いた。地丹は夢中で往復運動を始めた。
心臓が早鐘のように鼓動している。そんなきつい運動でもないのに…息も荒い。
そしてあっけなく地丹は果てた。
どく、どく、っと亜留美の中に即物的に…出し終えた。気持ちがいいとかどうとかは良く分らなかった。
246箱庭のある情景 第二話:3:2005/04/05(火) 20:36:05 ID:Y8xrKtUM
真下からか細い声がする。
「地丹くん…地丹くん、動いていいんだよ…私は大丈夫だから…。」
「いや…でも、出ちゃったからすぐには動かせないし…」
亜留美が「え?」という表情になり、次いで二人が繋がった所に目を持っていった。
「あ…で、出ちゃったんだ…そ、そっか、終わったんだね、ごめんごめん。」
「気づいてなかったの?」
「その、えっと、ちょっと…む、夢中になってたから…ね、もう抜ける?抜いていいよ。」
地丹は訝しみながらも腰を後退させてペニスを抜いた。先端はまだ白い液を滲み出させている。
亜留美は少し、ふう…とため息をついた。それが急に慌てだし、困った様子でティッシュを探し始めた。
数枚をババッと手に取ると股間に押し当てる。
「わ、わ、わわ…うわすごい、ほんとだぁ…こんなに出てたんだ、やだ私ったら…」
ほとんど独り言のように言う。上体を起こし、真っ赤な顔でなお股間にティッシュを押し当てている。
地丹はそれをぼんやり眺めている。
(ビデオとかにはこんな、出したのを拭き取るシーンってないんだよな…だいたい女の子って夢見ごご
ちみたいな表情のカットで終わっちゃうし…でも当然出したら拭かないといけないんだよな)
AVとかでは見たことのない女の子の精液の後始末の仕草…なんか妙にリアリティがある。
今の今まで現実か夢か良く分らなかったが、ようやく自分は亜留美とSEXをしたんだなあという実感
が湧いてきた地丹であった。
「地丹くん、私ちょっと…シャワー浴びさせてね、終えたらついでに晩御飯も持ってくるからね。」

<以下、病院内>
亜留美は病室から出ると、一目散に浴室(本来は患者用)に走りこみ、シャワーを浴びだした。
身体を流し終えた頃、シャワーカーテンのむこうに人影が。
「亜留美ちゃん、今いいかしら?あ、シャワーは続けてていいわよ。」
「あ…彩園先生。私、何とか地丹くんと…」
「言わなくていいわ、判ってる。でも…ねえ亜留美ちゃん、あなた初めてだったんじゃないの、違う?」
247箱庭のある情景 第二話:4:2005/04/05(火) 20:36:46 ID:Y8xrKtUM
「ええ、まあ…」
「やっぱりね。何でそれを早く言ってくれないの、知ってれば別の手段を考えたのに…」
「いいんですよ。」
「こんなロストバージンの仕方でほんとに良かったの?」
「はい。痛くなくってよかったですー。」
「そう…まあ、出血もなかったみたいだけどね。」
「あははー。私、中学のときに部活で激しく動いたら生理でもないのに血が出ちゃいまして。あちゃー
破けちゃったーって思いまして。だから今回、出血はないだろなって予想はしてたんですよ、あははー。」
「あははーってあなた…まあいいわ、あなたがそんなあっけらかんとしてるなら、気を揉むだけムダね。」
「あは…すみませーん。」
すずは、浴室のカーテンの向こうの亜留美が自分の頭をこつんと拳骨で叩くのをシルエットで見てため
息をついた。
SEX時の様子や出血の有無をなぜすずが知っているのか。もちろん地丹の病室の目に付かない所にビ
デオカメラがあって、今回の様子は逐一モニタされていたからなのだが、その辺にまるで無頓着なのが
亜留美らしいというべきか。
彼女はシャワーを終え、身体を拭き始めているようだ。
「うーん、地丹くんがイッちゃったの、私気づかなかったんですよね…ちょっとまずかったですかね?
私の経験不足、ばれちゃったかな?」
「さあ?地丹くんもそこまで女の子の身体の事はわかってないと思うけど。」
「そうですね。よし、次はちゃんと彼がイクのにあわせて私もイクぞ。」
「演技でいいのよ。」
「はい。」
「それより、中に出されちゃったけど大丈夫なの?事後ピル処方しましょうか?」
「あ…できたらお願いします。」
亜留美はそう言うと素っ裸のまますずの前に出てきた。そしてまた元気ポーズ。
「よーし2回目もがんばるぞ、亜留美ファイト!」
248箱庭のある情景 第二話:5:2005/04/05(火) 20:37:49 ID:Y8xrKtUM
亜留美はキャミソールを着ると、婦長から夕食(二人分)を受け取ってまた地丹の部屋に入っていった。
婦長がすずに心配そうに顔を向ける。若先生がやってきた。彼も少し心配そうだ。
「…ほんとにいいんでしょうかこんな事をして?病を治すためとはいえ、看護師に患者とのSEXをさ
せるなんて…よく青松理事が納得しましたね。」
「まあそれはね、改蔵くんとしえちゃんの例があるから…。」
「改蔵が治ったのは彼女とSEXしたからじゃないでしょ?それに意図してああなったわけじゃ…」
「そうよ。でも、前例としては価値があるのよ。あの理事には改蔵くんとしえちゃんがああいう関係を
持った責任があるしね。」
さすがに先ほどの理事も、今回の手法を説明すると『それは確かに強引だな…』と躊躇したのだ。
もし院外に説明不足のままこの件が漏れたらスキャンダルに発展しかねない。理事にも話を通してある
と知れたら彼の責任も追及されるだろう。
しかし理事は最終的には承認した…それは、患者と看護師が肉体関係になるという事態には前例があり、
その前例ができたのにはある程度彼に責任があるためなのだ。

ほぼ2年前、改蔵と羽美はかなり親密になっていた。
『父がリストラされた羽美が、改蔵の家に居候になった』という箱庭内設定を作り出し、現実世界では
ほとんどの時間同じ病室でいちゃついていたのだ。
このままだとすぐに肉体関係を持つだろう。みなそう思った。ほとんどのスタッフがそれで構わない、
そのほうが二人の精神の安定にプラスになる…と思ったのだが、件の理事だけは違った。
「そんなふしだらなことが病院内で許されるか!」
そして患者同士がそんな関係になるのを防ぐ為、看護師に改蔵の性欲処理させろと無茶を言ったのだ。
もちろん性欲処理と言っても手ですることを想定したのだし、過去にも他の患者にそういう処理をせざ
るを得なくなった例は実際にあった(精神科病棟では色々あるのだ)のだが…。
その役を任された二人の看護師が、お互いのライバル意識からか次第に『処理』のやり方が積極的にな
ってゆき、ついにそのうちの片方のしえがある夜改蔵とSEXをしてしまったのだ。
しかも、した直後を羽美に見られてしまったから騒ぎは大きくなった。
すずが上手く三人(改蔵、羽美、しえ)の間に割って入り、催眠誘導による記憶操作術も駆使してなん
とか関係を安定状態に戻したが、しばらくの間は羽美がそれを思い出してすずが「あれは見間違いだっ
たのよ」と納得させなければならない、ということがしばしばあった。
そこで、すずは普通とは逆の解決法を取った。改蔵としえを引き離すのではなく「改蔵は、しえとも、
それ以外のたくさんの女の子ともつきあっている」と言う箱庭設定を作り出した。
つまり、大きな一つの浮気を、小さなたくさんの浮気で目立たなくさせ、騒動を発散させたのだ。
副作用で羽美は改蔵とあまりいちゃつかなくなり…改蔵の性欲処理も必要なくなっていった。
その騒ぎの最中、青松理事はうろたえるばかりで何もできなかった。という訳で、あの理事も、自分が
看護師と患者の肉体関係にとやかく言える立場ではないのをわかっているのだ。

<以下、箱庭世界>
晩御飯も食べ終え、夜も更けた。母親が食器を下げに少しだけ顔を出し、そしてまた二人きりに戻った。
そうか、そうだったな。僕が引きこもり同然の生活をしてるから、亜留美ちゃんもほとんどこのうちで
は引きこもり同然なんだ。地丹はそれも思い出した。
そして、また二人は裸になって…
「あ、あん、ああ…ん…」
薄暗くした部屋で亜留美がかわいらしく喘いでいる。地丹は上でぎこちなく腰の往復運動をしている。
(そうか、だんだん思い出してきたぞ…たしか、この娘は…イク時って、背中に爪を立てるんだっけ…
背中には彼女の引っ掻き傷が結構残ってるはずだよな、あとで調べてみよう…)
ふくよかなおっぱいを鷲掴みにし、乳首をしゃぶり、夢中で自分の硬い物を突きたてる。2回目だとい
うのに、地丹は2分もしないうちにもう出しそうになってきた。今度は亜留美は地丹の変化に気づいた。
「あ、ああ、地丹くん…イキそう…なの?ハアハア…私も…もう…」
「あ、亜留美ちゃん…もう出ちゃうよ…」
「地丹くん、イッちゃう…亜留美…イッちゃう…」
亜留美が、地丹の背中に爪を立て始めた。

つづく
250名無しさん@ピンキー:2005/04/05(火) 20:48:21 ID:85SKHANq
http://www.square-enix.co.jp/magazine/yg/next/index.html
久米田先生、4月19日発売のヤングガンガンに読み切りだそうな。
251名無しさん@ピンキー:2005/04/06(水) 14:42:27 ID:XmghMPOu
15日じゃなかったかな?
25277 ◆CSCBs4vc.s :2005/04/06(水) 16:47:23 ID:QxWOR6Tz
15日ですね。
会社のパソコンから。ヤヴァイですw

えーと、表紙はペン入れ完了、1P目は半分くらい下絵が出来ました。
数日中に1Pまでは晒せるかと。

あぁ、上司が見てる!でわ!w
253名無しさん@ピンキー:2005/04/06(水) 22:26:51 ID:XmghMPOu
会社!?
就職オメ━━━━(゚∀゚)━━━━!!
254名無しさん@ピンキー:2005/04/07(木) 13:17:49 ID:3YxXkBdM
>>252
お疲れっす。
好きなペースで仕上げてください。
255240:2005/04/09(土) 01:20:20 ID:nLXUtYAZ
えと。
前言撤回で申し訳ないが、出来ればこちらに続きを投下したいと思っている。
自分の判断が軽率だった。独断はイクナイな。
皆様スマン。
256名無しさん@ピンキー:2005/04/09(土) 03:06:05 ID:aVNG8XdN
>>255
どんどん投下しちゃっていいんじゃね?
257名無しさん@ピンキー:2005/04/09(土) 09:47:40 ID:nlHKq2ZF
77氏光臨したのに、案外反応が薄い点について。
もう旬がすぎたんじゃねーの?
258名無しさん@ピンキー:2005/04/09(土) 15:18:27 ID:yUY0pgbs
漫画自体はうpされてないんだから、光臨しただけで騒ぐことないと思うが。
77師には地道にがんがって欲しい
259240:2005/04/09(土) 22:07:52 ID:5flZMChn
機会を頂けたみたいなので、>>229-238の続き投下します。
ファラオマン(?)ステージ、下品注意。

ではステージ決定。
♪たらったらら〜 たららったらら〜
♪たらった たらった たらららら〜
260ゲットマン〜新たなる野望!!:2005/04/09(土) 22:08:24 ID:5flZMChn
〜ファラオマンステージ〜
READY

ゲットマンは首まで砂に埋まり、顔を上気させて寛いでいた。
ここは指宿、砂風呂で有名な観光地である。毒田博士の指示でこの地に降り立った彼は、
真っ先に砂風呂へと向かった。
何しろ彼はブーツとグローブ、それからそあらのお下がりブルマーを除けば全裸に近い
格好なのだ。砂風呂で暖まって行きたいと思うのは人情だろう。温泉と違って手足を
自由に動かせないが、諦めて熱い砂に身を委ねると快適快適。
いつも身体の冷えているゲットマンは、周りの観光客以上に砂風呂をじっくりと味わった。
メットの内部で鳴った電子音が、ゲットマンの極楽気分に水を差す。しばらく放って
おくと、研究所からの遠隔操作で強制的に回線が開かれた。
『ゲットマン、呑気に砂風呂なんか入ってないでさっさとピラミッドに向かいなさい』
ああもう、と舌打ちして、ゲットマンは応答に出た。
「何だよそあら。人がせっかく砂風呂で暖まっているのに邪魔するなよ。
一緒に入るとか言うんじゃないのなら切るぞ」
別にいいよ、そあらは動じる様子もなくさらりと答える。ゲットマンは思わぬ返事に
回線を切るタイミングを逸した。
――そあらの事だから、スケベとかヘンタイとか叫びながら回線を切ってくれる筈だったのに。
思惑が外れてゲットマンは黙り込んだ。そあらはそのまま率なく話す。
『砂風呂なら身動きできないから、エッチなイタズラされる心配もないしね』
アハハとイアホンの声が笑う。挑発を切り返されて、ゲットマンは少しむくれた。
『それよりブライトマンの所でもキャプテンの手掛かりが掴めなかったんだから』
「わあってるよ。今度こそ、だろ?」
ゲットマンは殊更に大きな声で返事した。
「だからオレはファラオマンの所に来たんだろ?早くキャプテンを見つけて
何で鹿児島の街を襲ったのか訊き出さないと」
そうよ、そあらはゲットマンそっくりの口振りで強調した。
『そこから海が見えるでしょ、ずっと波打ち際に枕崎方向に進んだら、ピラミッドが
見えるはずなんだけど』
261ゲットマン〜新たなる野望!!:2005/04/09(土) 22:09:10 ID:5flZMChn
ゲットマンは首を動かして、そあらが言った方角を確かめる。空気が澄んでいて見晴らしが
良く、ゲットマンは弓状に窪んだ入り江の先に、それらしき三角の影をあっさりと見付けた。
『そのピラミッドの中にファラオマンはいるわ。早く砂風呂から出て――』
嫌々ながらもゲットマンは手足に力を込め、砂風呂から出ようとした。
が、力んでも彼を覆う砂はびくともしない。足も同じだった。
「――悪いそあら、何か体が沈んでるような気がするんだ」
えー大変じゃない、と叫ぶそあらの声が、ゲットマンの耳から徐々に遠のいた。

辛くも砂風呂から脱出し、ゲットマンは走ってピラミッドに向かう。
さっきは危なかった。あの時咄嗟にジャンプを思い付かなければ、今頃は砂の圧力で
ペシャンコに潰されていた所だろう。
今も時折ジャンプしないと、流砂に足を飲まれそうになるほど足元が不安定だ。
まったく指宿の砂浜というのは、いつから流砂帯になってしまったんだよ――
などと思いを巡らせている内に、ゲットマンはピラミッドの正面に到着したようだ。
足元には巨大な陥没、ゲットマンの跳躍力では飛び越えられそうにない。
『ゲットマン、そこはケントコイルで飛び越えた方がいいわ』
折り良くそあらからの通信が入った。ゲットマンは応答する。
「方がいい、ってゆーのはどういう事だ?穴に入ってもいいと言う事か?」
『確かにその穴からもピラミッドに侵入できるんだけどね、そこを飛び越えた
先のルートではバルーンが手に入るらしいの。膨らませると足場として使えるわ』
そんな便利な物があるのなら、当然穴を飛び越えて進むべきだろう。ゲットマンが
呼ぶより早く、研究所からケントコイルが到着する。
矢張り前回と同じく、踏み台役が嫌で仕方ないといった不機嫌な様子だった。
ぎゃん、という悲鳴と共に高くジャンプ。穴を飛び越えたゲットマンの背後で
ケントが怒りに吠え狂う。
「悪いケント、もうオマエを踏み台にする事はないから安心しろよ!」
ゲットマンは振り向かずにそう呼び掛ける。さらに続く流砂の上を、時々飛び跳ねて進む。
ピラミッドの正面に辿り着いた。高さおよそ三十メートルほどはありそうだ。
入り口近くに、小さな紙箱が落ちていた。ゲットマンはそれを拾い上げ、箱に書かれた
文字を目で追った――
262ゲットマン〜新たなる野望!!:2005/04/09(土) 22:10:20 ID:5flZMChn
「えっとこれは『臼臼 一ダース入り』……ってこれじゃ足場にならねーじゃねーか!!」
確かにコンドームは風船のように膨らむ。だがこれを足場にしろと言うのか。
こんな物を足場にしたら恥ずかしい上に、第一ゲットマンの体重を支えられそうにない。
とは言え――足場以外に使い道はいくらでもある。
「まあいいか――折角だから貰って行こう」
ゲットマンはあっさりと立ち直り、四角く開いたピラミッドの入り口から侵入した。

道中は案に反して、易々と進む事が出来た。ツタン仮面(カーメン)が石室や通路の壁に
整然と並んでいたが、それらは別にゲットマンに対して危害を加える事はなかった。
ただ、固まった笑顔をゲットマンに向けるだけだ。それでも十分気味が悪かったが。
悪趣味な演出から早く逃れようと、ゲットマンは最深部を急いで目指した。
針の床を飛び越え、立方体の石を並べて築かれたブロックを走る。一見行き止まりの
石室にあったごく狭い通路は、スライディングで潜り抜ける。
正に本家本元のロックマンと比較しても、遜色のないアクション振りだった。
少し南国のカラーとは違うような気もするが――
最深部の石室へと続く扉の前に立つ。恐らくこれが最後だろう。
意を決して扉に体当たり。鍵は掛かっていなかった。

その先にあったのは、一際広い立方体の空間だった。壁や床、天井を構築する石も
道中にあったそれらと比較して滑らかである。素人目にも堅い材質だと判断できた。
――王の間――
天草くんから聞いたピラミッドの話を、ゲットマンは思い出した。ピラミッドの重心に
位置する空間は、王の間として利用されるのだ。用途は王の遺体を安置する場所と
いうより、むしろ祭壇としての意味合いが強い。
感傷に浸る余裕は無かった。ゲットマンは石室の中央に位置する直方体の石棺を視界に捉えた。
その上には――
ツタンカーメンの仮面を被り、黄金の軽装鎧に身を固めた男が一人立っていた。
263ゲットマン〜新たなる野望!!:2005/04/09(土) 22:10:53 ID:5flZMChn
BOSS ATTACK:ファラオマン

「オマエがファラオマンだな?」
ゲットマンが身構えながら、石棺に立ったマスク男に問う。マスク男はゲットマンを横目で
見下ろしつつ、否と返事した。しなやかな動作で右手を掲げ、天を指差す。
「予の名は――」
王の仮面が口から顎にかけて、腹話術人形のように四角くぱかっと開く。その奥には
ダッチワイフの口と似たラバーの丸い穴。その形にゲットマンは卑猥な形状を連想し、
ファラオマンならぬマスク男の名に思い至る。果たして、ゲットマンが予想した通りだった。
「予は――フェラオマン」
『下品ねっ、本当に下品ねっ!』
モニターしていたそあらが、フェラオマンの名乗りに対して反射的に大声で突っ込みを入れる。
鼓膜が破れる思いを味わったゲットマンが、耳鳴りを堪えながらすかさずそあらに通信を返す。
「えーいカマトト振るなそあら!元々南国なんだからお約束だろこーゆー展開は!」
『けど前回のブライトマンはマジで戦ってたじゃない!こんな下品なの私イヤよ!』
「イヤでも何でも、ナビはちゃんとしてくれよそあら!」
『ヤだー!ゲットマンが自分で何とかしなさいよ!』
この、と叫びかけた時、ゲットマンは下半身の異変に気付いた。いつの間にかブルマーが
足首まで擦り落ちて、そあらが言う所の「カワイイおちんちん」が剥き出しになっている。
恐らくはブルマーのゴムが切れたのだろう。中古のブルマーを穿いていれば何時でも
起こり得る事態ではあるが、しかし何も――
――この大事な時に!
ゲットマンが舌打ちしたその間に、フェラオマンが美しいピッチングモーションから
振り被って、手にしたツタン仮面《カーメン》を投げ付ける。道中にあった仮面と同じ物だ。
ツタン仮面は一直線にゲットマンの股間を目指し、カワイイおちんちんへと喰らい付く。
仮面がおちんちんを口に含み、唾液を舌で塗し出す。すぐにゲットマンのおちんちんは
反応し、ツタン仮面は口内で膨張した感覚に一瞬顔を顰めた。
ちゅぱちゅぱと音を立て、ツタン仮面がゲットマンのチンコを吸い上げる。ゲットマンは
自分の屹立から伝わる快感に、思わず顎を上げて叫んだ。
「ああ……いやっ!」
264ゲットマン〜新たなる野望!!:2005/04/09(土) 22:11:52 ID:5flZMChn
ゲットマンは自分の上げた声に驚いた。これではやおい同人漫画の登場人物ではないか。
が、すぐに彼は己の正気を取り戻す。仮面を股間から剥そうと、両手を掛けてぐいと押した。
――このままではツタンカーメンのマスクでイった男、ツタンカーメンファッカーとして
一生十字架を背負っていかねばならない。
イッてしまう前に、早く――
あっさりと仮面は剥がれた。唾液の付いたゲットマンのおちんちんが、だらりと地面を向く。
ツタン仮面のテクニックに翻弄されたのが嘘のようだ。イキそうになったのも錯覚だったの
だろうか。
「これは?!」
ふふふ、とフェラオマンは口を下品に開いたまま笑う。ちなみにこの口の開け方で笑うと、
普通は決して彼のような笑い声にならない。大抵は「ほほほ」となるだろう。
暇な方は試してみると良い。
フェラオショットなるぞ――フェラオマンは威厳ある低い声で語った。
「その正体こそはタタンカーメンの呪い。其方のチンコは、これでもう二度と勃たぬ。
其方はこの先、女人と契る事も適わぬ体で生きて行かねばならぬ運命に有るのだ」
「そんな!」
試して遣わそうか――フェラオマンは口を丸く開けたまま不敵に微笑んだ。間抜けな
絵面ではあるが、そんな事を気にする余裕はゲットマンに残っていない。
フェラオマンがぱちん、と指を鳴らす。石棺の真上にあった天井が左右に開き、半畳ほど
開いた穴からゲットマンのよく見知った人物が、手首を荒縄で縛られた状態で
吊り下ろされて来た。

「マ○コちゃん?!」
ゲットマンが言い終わるよりも早く、そあらの怒鳴り声がゲットマンの耳元で響いた。
『本当に下品ねっ、ゲットマン!何がマ○コよ、伏字にすれば何を言ってもいい訳じゃないのよ!』
――このカマトト女め、自分の方がマ○コとか言ってんじゃないかよ。
再び耳鳴りを堪えながら、ゲットマンが返す。
「何を勘違いしてるんだ、俺はマイコちゃんって言ったんだよ!今オレの目の前にいるんだ!」
イアホンの声が一瞬息を呑んだ。彼女の級友が、人質に取られていると知らされたのだから。
265ゲットマン〜新たなる野望!!:2005/04/09(土) 22:15:23 ID:5flZMChn
人質が辛うじて石棺の上につま先立ちできる程の高さで、荒縄の降下が止まった。
ゲットマン助けて、とマイコちゃんは涙目で叫ぶ。キャミソールに短めのスカートと
いった格好は、街を歩けば通りすがる男の目を惹き付けて止まないだろう。
荒縄の食い込んだ手首が痛々しい。ゲットマンは彼女の姿に魅入り、呟いた。
「できれば全身亀甲縛りの方が……ってマイコちゃんに何をする気だ?!」
何を当然のように、とフェラオマンは小馬鹿にした口調で首を竦めた。
彼は顎が刃のように尖った仮面を新たに出して、右腕に装着しつつマイコちゃんへ近付く。
「決まっておろう。其方が例え如何程に欲情しようとも、チンコが勃たぬ事を示して遣わすのだ」
右腕が唸った。一瞬マイコちゃんが、紙吹雪そっくりの細かい布切れに包まれる。
丸く大きく突き出した胸、あと三センチ細ければそあらと同じ位になる括れた腰、下着や水着の
線に合わせて手入れの行き届いたアンダーヘア。
徐々にその姿を現すマイコちゃんの見事な裸体に、ゲットマンの目が釘付けとなった。
何とか裸体を見られまいと、マイコちゃんはじたばたと足を宙に泳がせる。が、手の不自由な
状態ではどうにも出来ぬと渋々諦めた。
マイコちゃんはクラスメートに見られる羞恥から顔を伏せた。それがまたゲットマンには可愛らしい。
「如何だ下郎?この娘の生まれたままの姿は」
フェラオマンの声に、ゲットマンは我に帰って反論する。
「それがどうした!オレはいつもマイコちゃんの裸を見てるから何ともねーよ」
『ホントなのゲットマン?』
そあらがイアホン越しに怒声を浴びせる。いい加減通信を切りたい所だ。
「成程。では斯様にすれば」
フェラオマンは腕の仮面を投げ捨てるとマイコちゃんの後ろに立ち、彼女の膝の裏に手を回す。
ぐい、彼はとマイコちゃんの片膝を大きく持ち上げた。
「いやぁ!」
叫びながらマイコちゃんは、自由な方の足を浮かせて抵抗を試みた。手首に食い込む荒縄の
痛みに、マイコちゃんが顔を顰める。ゲットマンの血走った視線が、肉付きの良い太腿の付け根を刺した。
日焼けの少ない白い肌を覆うアンダーヘアの中央に、大陰唇が赤くふっくらと盛り上がり、
その中央を走る亀裂の間から覗かせていた控えめな陰唇が、普段よりも大きく開かれた。
266ゲットマン〜新たなる野望!!:2005/04/09(土) 22:17:11 ID:5flZMChn
『ちょっとゲットマン何やってんの?!マイコの悲鳴が聞こえたわよ!』
そあらの苛立った音声がゲットマンの耳に呼び掛けた。うるせー、とゲットマンが怒鳴る。
「せっかく今いいトコなのに、邪魔するなよそあら!」
『いいトコって何なのよ?!今マイコは何をされてるの?!』
こちらを見よ、とフェラオマンに呼ばれ、ゲットマンは通信を切った。マイコちゃんが
何も覆い隠す物がなくなった秘部を人前に曝け出され、恥辱でメソメソと泣いている。
「下郎」
ゲットマンだ、とフルチンヒーローから訂正を受け、フェラオマンは言い直した。
「ではゲットマン。女人のここを見て何も感じぬのか?」
フェラオマンが目を細め、クククと淫靡に笑う。ゲットマンは嫌悪感を覚えつつ言葉を浴びせた。
「ムラムラするに決まってるだろ?!バカじゃねーの?」
果たしてそうかな――フェラオマンの言葉に、ゲットマンは違和感を覚えた。
「ならば其方のチンコを見るが良い。欲情を示しておれば勃起する筈だが、如何」
フェラオマンの指摘通りだった。
普段は滅多に見られぬマイコちゃんの秘部を見せ付けられたにも関わらず、ゲットマンの
おちんちんはすっかり萎れて頭を床に向けていた。普段なら既にぎんぎんに勃起している
筈なのに、どうして――
内心の動揺を隠しつつ、ゲットマンはそれでもフェラオマンと対峙する姿勢を崩さなかった。
「それがどーした!オレはマイコちゃんのハダカぐらい、しょっちゅう見てるんだよ!」
『それ、本当なの月斗?まさかアンタ、マイコとデキてるんじゃないでしょうね…』
冷静にそう語るそあらの声に、ゲットマンの背筋に冷たい物が走った。彼女から、まるで
ブライトマンステージに現れた謎の女そっくりの静かな威圧感を覚えたのだ。
あの時の惨劇が脳裏に蘇る――
頭から血の気が引いて行く様子を自覚しつつ、ゲットマンは必死の思いで通信を返した。
「違う、違うんだそあら!マイコちゃんには手を出してないぞ!大体マイコちゃんは処女だよ、
マ○コ見てるから判るって……」
口走ってからゲットマンは、しまった、と頭を抱えた。今のは明らかに余計な一言だった。
267ゲットマン〜新たなる野望!!:2005/04/09(土) 22:17:58 ID:5flZMChn
回線は開かれているなのに、応答はなかった。ゲットマンはごくり、と唾を飲む。
「左様か、では斯れならば」
鷹揚な声に、ゲットマンは状況を思い出した。今はマイコちゃんが剥かれているのだ。
フェラオマンの指が、マイコちゃんの秘所にすっと宛がわれる。彼女が身を硬く震えさせた。

「いや……こんなの、いやぁ……」
ビラビラした部分を撫でられ、二本の指で開かれた内側の粘膜まで露出させられて、
マイコちゃんは啜り泣きながらフェラオマンに抗議する。指の動きはあくまで淫靡で、
彼女に痛みを感じさせる事なく、本能的な動きを引き出して行く。
ぴくり、ぴくりと腰を前後させ始めた。滲み出てきたマイコちゃんの体液が、秘部と
恥毛を妖しく濡らして行く。粘膜と指が奏でる、くちゅくちゅとした水音が漏れ出した。
そんな状況に至っても、ゲットマンの露出したおちんちんはピクリとも動かない。
普段の彼なら既に頭には血が昇り、戦闘衣装を脱ぎ捨てて、マイコちゃんへ獣のように
襲い掛かっている所なのだが――
蛇に睨まれた蛙のような目付きで、彼はフェラオマンの方を見ていた。
「女人の痴態を前にして、チンコが機能せぬ心境はどうか」
マイコちゃんを弄る手を止めて、フェラオマンは訊ねた。マイコちゃんが首をがくんと垂らし、
息も絶え絶えにゲットマンを上目遣いに見やる。
苦虫を噛み潰したような顔で、ゲットマンは渋々答えた。
「認めたくない物だな、若いのにチンコが勃たないという事実は」
彼は言いながら、せっかく手に入れたバルーンも使えないじゃねえか、と内心で悪態を吐く。
フェラオマンはふん、と鼻を鳴らした。
「どうやらこの娘、もうそろそろ気を遣りそうだわ。ここで一気に」
マイコちゃんの顔が再び蒼褪めた。持ち上げられた膝をじたばたさせて藻掻く。
268ゲットマン〜新たなる野望!!:2005/04/09(土) 22:18:32 ID:5flZMChn
「イヤイヤイヤ、もう止めて!これじゃ私、お嫁に行けなくなっちゃうよぉ……」
陰毛に隠された突起をぬるりと触られて、マイコちゃんはヒッ、と短く叫んだ。
フェラオマンはそれを指で剥き、あくまで優しくあくまで猥褻にその中身を擦る。
持ち上げた太腿を腕に巻き込み、フェラオマンは二箇所同時の責めに入る。
一方は茂みの奥の敏感な突起、もう一方は襞の狭間の入り口ごく浅く。
「いやっ、やっ、やっ、ああっ……!」
マイコちゃんの喘ぎが、フェラオマンの指の動きに合わせて間隔を徐々に狭める。自分で
触る時には得られない、ぞわぞわした感覚に身も心も支配されたようだ。
傍目にはまるで痴女そのものだった。まだ本物の男を知らないと言うのに――
マイコちゃんが目を強く瞑った。絶頂の訪れを予感したのだ。
「……あああっ!」
マイコちゃんは喉を仰け反らせ、大きく戦慄いて足を脱力させて、再び完全な宙吊り状態となった。

達してもまた責められ続けるマイコちゃんを前に、ゲットマンはどうすればいいのかと自問する。
マイコちゃんを嬲り者にされ、その間自分はその様子を見ていただけだ。
ナビを頼もうにも、そあらが通信に出ない。ということは――
そあらがピラミッドに向かっている可能性を、ゲットマンは否定し切れなかった。
もし、ゲットマンが何もせずマイコちゃんの痴態を見物していただけだとそあらに知られたら
彼はどうなるか。考えるのも嫌になる、一つの結論しか思い浮かばない。
――殺される?!
当然の帰結だった。その前に何としてもフェラオマンを倒さねばなるまい。
ケントコイルが出動に要する時間を考えれば、今すぐそあらが現れても不思議ではなかった。
早く倒さねば、何か手持ちの武器で有効な物はないのか。
ゲットバスターは、マイコちゃんがフェラオマンと密着している為に危険だ。この場にケントを
呼んで、一体何をすれば良いのだろう。残るのは――
フェラオマンがマイコちゃんに気を取られている隙に、ゲットマンは特殊武器への換装を敢行した。
269ゲットマン〜新たなる野望!!:2005/04/09(土) 22:19:10 ID:5flZMChn
――面妖な。
――女人に対して、奇妙な疼きを感じたのは初めての事だ。
――今まで幾千人もの男に呪いを掛け、彼らの前で女陰を弄び、
――それでも勃たぬ事実を見せ付けて、再起不能に追い込んだ。
――女人などその為の道具に過ぎない存在だった筈だ。
――それなのに。
――今まで感じ得なかった疼きに苛まれる。
――こんな事は初めてだった。
――この世に生を受けて以来、
――女人への興味など
――予は持ち得ぬと信じていた。
――だが。
――今はこの娘が欲しい、さもなくば
――身を焦がすほどの疼きが収まらぬ。
――予に責められ、本能的に男を求める
――この乙女の痴態に中てられて
――蜜の滴る肉に身を埋めたいと切に願う。
――しかし


――勃たぬ。
――如何程切に予が望もうとも
――予の男根は一向に首を擡げぬ。
――かつて我が呪いで屠った
――幾千もの男共と同じ様に。
――今頃になって、彼らの無念が少しばかり解る。
――斯くも辛く
――斯くも虚しい心持ちで在ったのか。
270ゲットマン〜新たなる野望!!:2005/04/09(土) 22:20:25 ID:5flZMChn
――疼きと女人を抱けぬ無念とが心を黒く淀ませ
――それが水底深く沈み、静かに暗く腐敗して
――心身の至る所に腐敗した瘴気を充満させ、
――おぞましくも狂おしく我が身を朽ちせむ。
――女人との交わりを持てぬ者は
――呪われしゲットマンに在らず。
――タタンカーメンの化身、
――呪いの本体、根源たる
――予こそ女人を抱けぬ者なる。
――これまでも
――これからも
――童貞として
――生きて行かねばならぬ。
――命続く限り
――女を知り得ぬ者として。
――予は法老王
――君臨する者。
――下々の内で最も愚なる者にも経験し得る出来事を知らず
――虚しき屈辱の内に
――永劫の時を過すなど

――耐えられぬ。

フェラオマンの手が動きを止め、彼は静かにマイコちゃんから離れた。
解放されたマイコちゃんは最後に短く引き攣って叫ぶと、力なくその場に崩れた。
271ゲットマン〜新たなる野望!!:2005/04/09(土) 22:23:29 ID:5flZMChn
「ゲットマンよ」
フェラオマンは静かな声で、石棺の下から自分に右掌を向けた敵に呼び掛けた。
ゲットマンはその姿勢のまま全身に力を込め、フェラオマンを強く厳しい目で見据える。
童貞の法老王は口を丸く開いたまま、フルチンの若い勇者に温かな眼差しを向けた。
今ひとつ――どころか非常に間の抜けた絵柄だった。フェラオマンが告げる。
「予の負けだ。従って予は消滅を選ぶ。我がマスターは――」
「キャプテンはどこにいるんだよ!」
ゲットマンが叫ぶと同時に、フェラオマンが石棺からゆっくりと降下する。彼は着地して、
法老王に相応しい堂々とした足取りで出入り口へと向かった。
ゲットマンの掌は、常に彼の方向に向けられていた。フェラオマンは振り返らずに言う。
「天草健太郎は、眩しき光の中に在る」
扉が自動的に開き、フェラオマンはその先へと歩み去ってしまった。
最後に一言、我が人生に一片の悔いあり、と残して――

フェラオマンの姿が完全に消え去ると同時に、ゲットマンはがっくりと膝を付いた。
特殊武器のエネルギーを全二十八ゲージ分消費してしまったのだ。疲労もかなり蓄積していた。
ゲットマンは今すぐ仰向けに寝転がってしまいたい気分だったが、広い石室にはまだ人質が
残っている。マイコちゃんを解放しなければならない。
近寄って荒縄を解くと、マイコちゃんもだらしない格好で床の上に倒れる。
フェラオマンの指攻めで何度もイッていたので、これも当然だろう。
彼女を仰向けに寝かせて、肩を起こすように抱く。マイコちゃんはようやく落ち着いた
面持ちでゲットマンに尋ねた。
「フェラオマンは?」
ゲットマンは無言で首を左右に振った。彼の生死や消息について、マイコちゃんはそれ以上
質問する事を諦めた。
「そうなの。私も気が付いたらここにいたから何も分からないわ」
「キャプテンがどこにいるか、マイコちゃん知らない?」
マイコちゃんは力なく首を振った。キャプテンと仲良しのマイコちゃんが知らないとなると、
手掛かりはフェラオマンが最後に残した言葉、『眩しき光』のみ。雲を掴むような話だ。
272ゲットマン〜新たなる野望!!:2005/04/09(土) 22:24:09 ID:5flZMChn
「ところでゲットマン」
何だよ、と彼はマイコちゃんに応じた。頭の中で考えが纏まらず、つい苛立った声で応えてしまう。
「フェラオマンは勝手にどっか行っちゃったみたいだけど、ゲットマンは何かしたの?
何もしてなかったように見えたんだけど……」
その事なら、と口に出しながら、ゲットマンは問題を一旦頭から片付けた。少し元気が
戻ったような気がした。
「ネガティブストッパーを使ったんだよ」
マイコちゃんは疑問形でゲットマンの言葉を繰り返す。ゲットマンは頷いた。
「説明するとだな――」

ネガティブストッパーとは、ゲットマンがブライトマンを倒して(?)入手した特殊武器である。
武器エネルギーをマイナスエネルギーに変換し、対象をネガティブ思考に追いやって活動を
中止させる、一種の精神波攻撃と考えて良い。
効果はステージ全体に及ぶ。これを受けた敵は悉く自信もやる気も失い、例外無く己の人生に
絶望する。稀なケースではあるが、副作用の結果自ら来世へ旅立ってしまう例も有り得るという。

「何せヒキコモリでマニアの家庭内暴力少年から手に入れた武器だからな」
「何それ、キモいよゲットマン」
マイコちゃんは早々に引いていた。だがゲットマンの説明はこれでまだ半分だ。
「フェラオマンの場合、自分がインポだって事に気付いたんだろうな。何せ本人がタタンカーメン
なだけに、仮にSEXしたいと思っても出来なかったんだろう。憶測だけど、あいつドーテイだよ。
ドーテイのまま一生を過すなんて、プライドの高いファラオには多分できない相談だったんだ」
「キモい、キモすぎるわ!私インポのドーテイに嬲られたっていうの?!」
イヤー、と甲高くマイコちゃんは叫んだ。ゲットマンは彼女を優しく抱き締めて宥める。
泣きじゃくるマイコちゃんは、普段のセクシーで大人びた物腰からは想像も付かないほど
しおらしく可愛らしい。おまけに全裸で、身体にはまだ火照りが残っている。
男の欲を誘われ、血迷った一言がゲットマンの口を突いて出た。
「オレが代わりに責任を取ってあげるからね」
273ゲットマン〜新たなる野望!!:2005/04/09(土) 22:25:07 ID:5flZMChn
どん、とマイコちゃんが彼の胸板を突き飛ばす。石棺のすぐ傍らに尻餅を付いた
ゲットマンの一物は、すでに充分な漲りを誇示していた。
おそらくフェラオマンが去った事で、タタンカーメンの呪いも同時に解けたのだろう。
彼は既に戦闘ロボットのゲットマンではなく、ヘルメットを被った蘭堂月斗に戻っていた。
災難なのはマイコちゃんである。せっかくフェラオマンの魔の手から逃れられたというのに、
今度は悪名高いスケベ少年と密室に二人きり。しかも身を守る物は何もない。
「バルーン一杯持ってるから、避妊対策もバッチリだよ!マイコちゅわ〜〜ん!!」
「いやああぁ!!月斗くんやめてぇ!!」
月斗は素早くマイコちゃんを押し倒して覆い被さる。音を立てて彼女自慢の巨乳を吸い始めた。
マイコちゃんの下腹部に手を伸ばす。指弄りの余韻が残っていて、まだ充分に濡れていた。
「痛いもっと優しく、って優しくされてもヤだーっ!!」
一難去ってまた一難。マイコちゃんは足掻いて抵抗するが、膝を掴まれて足を大きく広げられ――

ごん、と言う激しい衝撃音と共に、月斗はマイコちゃんの上に倒れた。

ゲットマンのメット越しにタンコブが生じる位の拳骨を当てられるのは、この世に一人だけ。
そあらが到着したのである。すっかり失念していたが、彼女が応答に出ない事から導き出された
ゲットマンの推論は正しかったのだ。
あと一秒到着が遅ければ、マイコちゃんの処女は散華させられていた。まさに、危機一髪。
「まったく、人が心配して来てみればこのスケベ男が。何が『マイコちゃんには手を出して
ない』よ、聞いて呆れるわね」
そあらは気絶した彼の首根っこを犬のように掴み、マイコちゃんから引き摺り離した。
「さ、帰るわよっ」
返事を待たずに、ゲットマンを引き摺って出入り口へと大幅で進む。ぴた、と歩みを止め、
そあらは呆気に取られてその様子を見守っていたマイコちゃんを振り返る。
「ゴメンねマイコ。急いでたから忘れちゃったけど、替えの服はとれのに持って来させるから」
空いた手で拝む真似をしつつ、そあらは片目を瞑って最高にチャーミングな笑顔を見せた。

〜ファラオマン、もといフェラオマンステージ クリア〜
YOU GOT FELAOH SHOT
(次回:リングマンステージ攻略予定)
274ゲットマン〜新たなる野望!!:2005/04/09(土) 22:26:19 ID:5flZMChn
蛇足:

「え〜ん!幾ら出番が少ないからって、私こんな格好ヤだー!」
岡本そあらの妹、とれのの声が、ピラミッドの石室に反響する。いい歳をして姉の使い走り、
それもドラム缶を被らされた上でだ。そりゃ女子高生でなくとも怒るだろ普通――
マイコちゃんはとれのから受け取ったそあらの服を身に着けながら、胸が苦しいわね、
と軽くぼやいた。
275240:2005/04/09(土) 22:27:48 ID:5flZMChn
さて、続き書かなきゃ。ではまた次回…
276名無しさん@ピンキー:2005/04/10(日) 01:50:46 ID:gSY8Uyza
240コールだよ
277元229:2005/04/10(日) 22:52:06 ID:fcC0uaf5
>240 GJです
278名無しさん@ピンキー:2005/04/13(水) 07:17:00 ID:oaRG7Pfh
朝の保守。
279元229:2005/04/13(水) 20:14:25 ID:myAeyAMA
元229です。

時間がないのと、「いいがかり姉さん」が気になってしかたないので、前置きはあまりなしで連載第3話。
ちょっと暗い部分もある、5レスの短さです。

では。
280箱庭のある情景 第3話:1:2005/04/13(水) 20:15:47 ID:myAeyAMA
「ああ、地丹くん、気持ちいいよお…ね、一緒にいこうね、ね?」
亜留美のそんな反応で、地丹の気持ちが加熱した。
それまで夢か現実かわからず釈然としないままそれでも何とかコントロールして腰を使ってたのが、制
御不能な無茶苦茶な刹那的な腰の動かし方になってきた。
もう、出る寸前なのだ。
亜留美が地丹の背中を掻きむしるようにして身体をのけぞらし始めた。おっぱいがプルプル揺れる、も
ちろんホクロも一緒だ。綺麗な眉根を寄せ、びくんっと硬直し、彼女は搾り出すように言う。
「あ、地丹くん、いい、イク…ウ…ッ…」
もうたまらない。ぴゅ、ぴゅっ…地丹はまた果てた。
今日一回目よりは、射精の実感があった…気持ちも良かった。
だが、何か物足りない、まだ『こんなものなのかな』という気がしているのも事実だった。
亜留美が真下で、軽く微笑んで地丹を見つめている。
「よかったよ…ね、チュウして。」
下半身が繋がったまま、二人は唇でも繋がる。
しばらくは、上下の二箇所で粘膜を擦り付け合い、体液を混ぜ合い、抱きしめ肌を重ね合った。

深夜。隣に全裸の亜留美が寝息を立てている。地丹は寝付けない。
欲情しているわけではない。
ただ、同じ寝床にやわらかく暖かいものの違和感が眠りを妨げているのだ。
毎晩こうしてるはずなのに、どうして今夜だけ眠れないんだろう?
慣れてるはずなのに、なんで今夜だけ、隣に寝てる亜留美ちゃんを異物みたいに感じるんだろう?
地丹は思う。
(どうもまだ、以前から二人が『押しかけ婚約者との引きこもり同棲状態』だったって記憶に実感がな
いなぁ…でも、この暖かくって柔らかい肌には実感があるな。それにSEXにも…)
逆説的だが、SEXに物足りなさやぎこちなさを感じたという事実が、地丹に今回のSEXが現実に行
われた出来事だとの確信をさせている。
281箱庭のある情景 第3話:2:2005/04/13(水) 20:16:22 ID:myAeyAMA
地丹は昔からずっと亜留美を抱く夢や妄想は見ていた。
夢や妄想では自分も亜留美も理想化される。
そこでは、地丹はテクニック抜群で亜留美を自由自在にいかせまくりだった。
だが、今回は腰使いも思い通りに行かなかった。それに、今思えば亜留美の絶頂もなんか演技っぽい。
地丹にとって、『現実』は思い通りには行かず少し不満が残るくらいのほうがリアリティを実感できる
のだ。今回がまさにそれであった。
そして他にもこまごましたリアリティが――例えば、始める前は全裸では少し肌寒いのが、挿入の頃に
は暑く感じてきて、イッた直後は汗だくになるとかいったことだ。その他にも瑣末だが『そうだよな、
大した事じゃないけど、実際のエッチではそうでないとおかしいよな』と納得がいく小さな経験がいく
つもあった。
その積み重ねが、地丹に今回の事が『本当に起きたことだったんだ』と実感させているのだ。
そこでふと地丹は、さっきイッた時になぜ物足りなさを感じたのかに気づいた。
オナニーでイク時と違い、女の子の膣の中に出してしまう時は当たり前だが自分の射精は見えない。ど
くどくっと出るのを見れなかった事が、射精時に今ひとつ満足感を得られなかった理由だったのだ。
そんな物足りなさも、今の地丹にとっては結ばれたという実感の一部であった。
隣では亜留美があどけない寝顔を見せている。
地丹はシーツをめくり、彼女の全裸を改めて観察してみた。胸の双丘が寝息に従って上下している。そ
のてっぺんにある乳首が可愛らしい。ホクロも彼女の呼吸に従って上下している。
そっとおっぱいを触ってみた。軽く揉みしだいてみる。マシュマロのように柔らかい。
「うーん…」
亜留美は少し反応した。少しもぞもぞする。しかし目覚めはしないようだ。
(暖かいなぁ…スベスベだし…ほんとに亜留美ちゃんとエッチしたんだオレ…でも明日起きたら元通り
一人きりって事、あり得るよな…)
例によって悲観的な考え方をする地丹であった。
しかし、SEXを2回した疲れは思いのほか強い。
地丹は彼女のおっぱいに手を置いたまま、いつの間にか眠りに落ちていった。
282箱庭のある情景 第3話:3:2005/04/13(水) 20:17:05 ID:myAeyAMA
<以下、病院内>
すずはモニタで地丹が眠りに着くのを確認すると、回転椅子を反転させてレポートにその旨記入した。
もう少しして完全に彼が寝入ったら、催眠誘導で彼から今回の感想を聞きだす予定だ。
そして同時に、今回の出来事のどこかに矛盾を感じなかったかも聞き出して、それに応じて記憶に小さ
な変更や補完も加えて具体性を補強する必要もあるだろう。
もちろん、地丹が目を覚ました時、それらの処置は一切覚えていない。
(でもそれをするのに亜留美ちゃんを起こすのはかわいそうね。彼を一時的に別の部屋に移そうか…)
考えながらもレポートとカルテをすずは書き進める。
モニタの中で地丹がもぞもぞと動いたが、またすぐ寝息を立てた。
すずは、ふと、全ての発端に思いを巡らせ始めていた。
いまから5年前の事である…。

この街で、同じ日の、夜半のほぼ同じ時間に、3件の家族が無理心中を図った。
そして、3件とも、中学生の子供一人ずつだけが生き残った。
その3人の子供が同一中学に通う同じ学年(3年生)の同じクラスの生徒だったため、事件は注目を集
めた。これが偶然のはずがないというのだ。
警察もマスコミも3つの家族の接点、心中の原因を探ったが、結局何も出てこなかった。
3人はクラスメートだったがそれ程親しいというわけでもなく、それぞれの親もPTAで一度顔をあわ
せた他は全く付き合いはなかった。同一日時に申し合わせたように心中をする理由は何もなかったのだ。
家族構成も心中の原因も場所も三者三様、3人が生き残った理由も全く別々であった。
すずもあとで何度か彼らの深層心理を探ってみたが、やはり接点は見つけられなかった。
つまり…『全くの偶然』というのが真実だったのだ。
3人の15歳の少年たちは一時的に警察に身柄を移され、その後色々もみくちゃにされた挙句この病院
に連れてこられた。3人とも心に傷を負っており、その頃はすでに言動に変調が出始めていたのだ。
もちろん中学の卒業式には出られなかった。卒業写真では、3人は、よくあるように写真の上の方に楕
円で囲まれて載っている。
283箱庭のある情景 第3話:4:2005/04/13(水) 20:17:47 ID:myAeyAMA
3人の心の変調はそれぞれの性格・個性に応じてかなり違っていた。ただ、連れてこられた当初から治
療を任されたすずには、3人を一緒にグループ化して治療を試みるのが最良と考えた。
他の方法もいくつか試みて破棄された末、たどり着いたのがこの療法であった。
――『箱庭の街を作る』という療法。
青松理事をはじめ、この計画を頭から否定する上層部は多かった。
にもかかわらず予算がおりて実行に移せたのは、院長が後押ししてくれたのが大きい。
なんとかそのうち二人を社会復帰させることができた。後は地丹、この子だけなのだ…。
すずはそこまで思いを巡らせると、先ほど計画した処置を開始するために席を立った。

<以下、箱庭世界>
朝。地丹が目を覚ますと、ベッドに独りだ。
(あー。やっぱ、あれは夢だったんかな…あれ?でもパンツ綺麗だ、夢精してないぞ?)
とんとんとん、と階段を上がってくる足音。学校の制服姿で亜留美が顔を出した。
「おっはよー。地丹くん起きた?ご飯持って来たよー。」
朝食を食べながら、地丹は夕べの事を反芻する。
亜留美の柔肌…ぬるぬるして熱いアソコの中…背中に爪を立てられた痛み…。
それ以前の、押しかけてきてからの細々した記憶も蘇ってくる。昨日はなんかあいまいで抽象的だった
それらの記憶が、なんか具体的に細部まで脳内に刻み込まれてる気がする。なんでだろうと地丹は思っ
たが、それより亜留美のパンツが気になりだした。
彼女は床にじかに座り込んで、地丹と一緒にのりたまご飯を食べているのだが、正座ではなく脚を崩し
ているのでミニスカの裾から水玉模様のプリントのパンツが丸見えなのだ。
「もっと見たい?しょうがないなぁ、サービスだよぉ。」
亜留美が微笑みながら言う。立膝になりパンツ丸見えの状態にし、そのままご飯を食べ続ける。
地丹は亜留美が押しかけてきたときに家に持ってきたパンツの枚数とその柄を思い出す事にした。
(うん、全部覚えてるぞ、マンボウ柄、イチゴ、青い縞々、水玉模様、花柄三種類、無地が4枚…。お
となっぽいシルクのレース飾りのも3枚あったけど、あれはまだ穿いたことがないんだよな。)
記憶と目に見えるものが昨日より一致するし具体的だ。地丹はすっかり、二人がずっと以前から同棲状
態だったというのを信じきる気になっていた。
(ぐふふ。なんておいしいシチュエーションだろう。竹田の奴に教えたら鼻血を出して羨ましがるだろ
うな、だけどこれって学校のみんなには内緒なんだよなあ…それより俺、今夜になるまでエッチをガマ
ンできるんだろうか?困ったなぁ、ぐふふ。)

一緒に登校する。
「ねえ亜留美ちゃん、今夜も帰ったらエッチしようね。」
「ば、ばか、聞かれるでしょっ、それ、人前では言わないでよ。」
亜留美は顔を赤くしてたしなめる。少し歩調を速め、すたすた先を歩いてゆく。そして言葉を継ぐ。
「するのは当たり前じゃない。ずっとずっと、そうしてきたでしょ私たち。」
地丹は亜留美のミニスカの尻とそこから伸びた太腿に気を取られている。スカートの中、ちらちら見え
ているパンツ。このパンツの内側の濡れたアソコに自分のものを挿れ、さらに射精までしたんだよなあ
と思いながら。
「ね、もう学校の前だよ…わかってるよね?」
「え?あ、そうか…」
地丹は思い出した。『婚約者、同棲中なのは学校では秘密。普通の先輩と後輩の関係になること。』そ
うそう、二人は同棲関係になった直後、そう約束したんだ…
って、あれ?先輩と…後輩?
「じゃね、私は日直だから先に行くよ。」
「あ、亜留美ちゃん…」
「こーら。亜留美ちゃんじゃないでしょ、『亜留美センパイ』でしょ?ね、『2年坊の坪内地丹クン』?」
彼女は子供を諭すように言い、背を向けるとそのまま足早に校舎に向かう。途中で地丹と同じクラスの
娘から「お早うございます、泊先輩」と声をかけられて「よ、おはよっ」と返す。
あいかわらず切り替えが早いなぁ…そう思いながら、自分も校門を通り校舎に向かう地丹であった。

つづく
285名無しさん@ピンキー:2005/04/13(水) 23:17:49 ID:EFRXILU3
GJ!!
286名無しさん@ピンキー:2005/04/14(木) 01:36:13 ID:aAdhtiAj
いっその事、真相は羽美一人が三軒全滅させて、
「私は未成年です。全員の量刑を軽くするのはこれが最善の方法だと結論しました」
とかのたまい、そして十五年後世間から隔離された研究所で殺人事件・・・

みたいな展開だったらイヤだなと思ったw
287名無しさん@ピンキー:2005/04/15(金) 11:53:25 ID:n5+7m7nv
羽美復活記念age

このときの改蔵がどうしてるのか気になるなあ
288名無しさん@ピンキー:2005/04/16(土) 20:05:57 ID:C8hYmHrm
さっそくいいがかり姉さんでキボンしてみます。
289初代スレ396:2005/04/17(日) 22:04:57 ID:SGBt8O+v
どうもこんばんは。
リクに刺激を受けて「いいがかり姉さん」のSSに挑戦させて頂きました。
最初は一気に投下しようと思っていたのですが、書いている内に長くなったので二回に分けます。
エロシーンも(予定では)二回登場しますし。

「起承転結」の「起承」に相当します。弟&地丹視点。
では投下します。
290いいがかり姉さんDestiny:2005/04/17(日) 22:06:44 ID:SGBt8O+v
夕方部屋でマツケンと少年サンバーを読んでいると、玄関のドアが乱暴に開閉される音が聞こえた。
間を空けず、苛立った甲高い叫びが続く。
「まーったく、あのクソオヤジが!人が下手に出てたらって調子に乗ってんじゃないわよ!」
――姉さんだ。
姉さんが荒れていたのは明らかだった。どすどすと階段の床板を踏み締める音が近付いて来る。
僕は慌てて小学生から愛用して来た勉強机に向かい、直ちに理科の問題集を引っ張り出して
開いた。宿題にその他の勉強、今急いでやる必要はないのだけれど、姉さんが僕の部屋を訪れたら、
勉強をしていない、といいがかりを付けて来るだろう。自分の事を思いっ切り棚に上げて――

世間ではニートと呼ばれていた姉さんが仕事を始めたのは、正直奇跡にも近い事だと思う。
姉さんのいいがかりは半端じゃない。先日もスラ●ムの冠のある場所を教えろとス●エニ社に電話を
掛け、ユーザーから得た利益を妙な事に使うなと一時間以上もクレーム担当者を引き止めた位だ。
普通は『ゲームの内容まではお答え致しかねます』となるのが常識だろう。それ以前に攻略情報とか、
自分でチェックするだろう。いやそれ以前に名前で、スラ●ム系から取れるアイテムだと解るだろう。
そういった常識の類が、姉さんにはまるで通用しない。
姉さんが学校を出ても仕事に就けなかった一番の原因は、その性格的な部分にあると心の底から思う。

ばん、と部屋の扉が勢い良く開き、僕は一瞬だけ後ろを振り返る。
ライトグレーのスーツ上下に黒のパンストを身に着けた姉さんが、不愉快な顔で廊下に立っていた。
なるべく目を合わさないよう、机の問題集に視線を戻す。背後には、ずかずかと僕に接近する気配。
昔から繰り広げられて来た光景だ。子供の頃と違うのは、姉さんが通勤姿になっている事と
髪を切った事くらいか。
「どーせ勉強するフリして、エロ本とか読んでたんでしょう?!ったく思春期の少年はこれだから…」
気付いた時には姉さんが僕の右手側から、勉強机の上を舐め回すように確かめていた。ちなみに
勉強机の右隣は僕のベッドで、姉さんはそこに両膝を突いて立っている状態だ。
いつもの言葉が、僕の喉を突いて出る。
「いいがかりだよ姉さん――」
291いいがかり姉さんDestiny:2005/04/17(日) 22:09:04 ID:SGBt8O+v
姉さんは蛇のような目を僕に向けると、うつ伏せにベッドの上へと倒れ込んだ。
ごそごそと物音がする。何やら良からぬ物を探っているようだ。
「…枕の下なんか探しても何も出て来ないよ。大体僕はいつの時代の中学生なんだよ」
おだまり、とベッドの上から一喝されて等圧線の問題に戻る。散々悩んだあげく、仙台の風向きを
答える欄に『北東』と書き込んだ所で、姉さんがああ、と唸った。
まったくこの人は、僕の勉強を見に来たのか邪魔しに来たのか。
がばっと跳ね起きて、姉さんはヤ●グサ●デーをぱらぱらと捲り僕の前に突き出した。
「これよこれ!このマンガに出て来る実習用のコケシ、私が高校の時に作った人形と同じ顔だ!」
――またか。
「いいがかりだよ姉さん――」
自分に対する気休めのつもりで、僕はやんわりと姉さんを窘めた。勿論姉さんはどこ吹く風だ。
「何がいいがかりなのよ翔太!もしかしてあんたも少学館の回し者なんじゃないでしょうね?!」
「いいがかりだよ姉さん。姉さんが昔作ってた人形の顔なんか、何の面識もない漫画家が知ってる
 訳ないだろ?百歩譲ってそのコケシが姉さんの人形の顔と似ていたとしても、偶然、たまたま……」
「そんな事ないわよ!見てよこの生気のない顔、私以外に人形とかコケシの顔に使おうとする人間が
 どこの世界にいるっての?!」
「少学館に抗議してやる」と姉さんはケータイを取り出し、慣れた手付きで番号を押した。
どうでもいいが姉さんのケータイのメモリは、ほとんど企業のお客様相談室の番号で埋められている。
一度盗み見た事があったけど、友達らしき番号も見当たらなかった上、着歴も数ヶ月前のが残っている。
どうやら電話が繋がったらしい。姉さんはケータイのマイクに向かって捲し立てた。
292いいがかり姉さんDestiny:2005/04/17(日) 22:09:37 ID:SGBt8O+v
「あ、ヤ●グサ●デー編集部ですか?水商なんですけど、小道具を私が昔作っていた股裂き人形から
 パクったでしょう?何、私が何者かって?善良な一ユーザーですよ。それよりこの電話で話して
 いるのはどなたですか?ハ●さんの担当?ならついでに言わせて貰いますけど、●ちゃんねるの
 ネタで漫画描いて、あんなの電●男の本読んだら話わかるじゃない?アレ読んでる人いるの?
 大きなお世話?ちょっと、ユーザーの意見をいいがかりだなんて、あなたそれでも社会人なの?
 もういいわ、あなたじゃお話になりません。ヨン様出して下さい。何ですって、ヨン様を知らない?
 バカにするな知ってる?…ってそのヨン様じゃないわ!編集長のヨン様よ!去年少年誌の編集長
 やってた、あのヨン様――」
293いいがかり姉さんDestiny:2005/04/17(日) 22:10:54 ID:SGBt8O+v
どこからどう突っ込んでいいのか判らないが、しかし姉さんの言う事が全くのいいがかりであるのは
中学生の僕にも解る。電波な客のいいがかりに反論できない担当の人が気の毒に思えた。
鉛筆を置き、姉さんに呼びかける。
「あの、姉さん。今日はなんで荒れてたの?」
ちょっと待って、と姉さんは手振りで僕に邪魔するなと伝えた。こうなると話し合いで解決は無理だ。
僕はベッドに飛び乗って姉さんを組み伏せ、ケータイを取り上げて通話を切った。
良かった、今回は九分十四秒。前回●●クエの件でいいがかりを付けた時の通話時間は一時間を
超えていた。それに比べたら格段の進歩だろう。
姉さんは逃げるようにベッドの端で縮こまった。怯えたような目を僕に向ける。
「ちょっと翔太何するのよ!いくら性に興味のある年頃でも、姉を犯そうとするなんて信じられない!」
「いいがかりだよ姉さん――」
一体今日何度目だろう、この台詞を喋ったのは。僕は姉さんが迷惑をかけないよう振舞っただけなのに。
「あの、姉さん。帰ってきた時姉さんは荒れてたけど、何か仕事でイヤな事があったの?」
そう言いながら姉さんに目を向ける。目が合った瞬間、姉さんはよくぞ聞いてくれましたと言わんばかりに
身を乗り出して来た。
「そーなのよ翔太聞いてくれる?」
弟の目から見てもかなり可愛らしい態度だ。どうやらヤ●グサ●デーへのいいがかりについては、
綺麗サッパリ頭の中から消えてくれたらしい。ほっとするのと同時に、姉さんの愚痴を聞かされる
事への重い不安が頭をもたげる。
もっとも姉さんは、そんな僕の気持ちなんかに注意を払う人じゃない。
いや、相手が誰であろうが人の気持ちを読めないのだ。姉さんはベッドの上に目を落とし、
ぽつりと呟いた。
「今日仕事でね、いいがかり付けられたんだ」
「姉さんが?」
意外な告白だった。姉さんがいいがかりを付ける事はあっても、付けられたという話は弟のにも初耳だ。
僕の驚いた口調に合わせ、姉さんはそーなのよと続けた
294いいがかり姉さんDestiny:2005/04/17(日) 22:11:28 ID:SGBt8O+v
「私今派遣先で電話の応対やってるんだけど――」
それは――姉さんに最も似合わない仕事だと思う。が、言えば話が進まないので突っ込みは入れない。
「今日オッサンから電話があってね。あ、オッサンだっていうのは声で判ったんだけど、ソイツこう
 言ったんだ。
 ――自分には借金があるけど、その整理の仕方について相談したのに応対がなっていない。
 宣伝で言っていた『恋人のように親切な対応をする』って言うのは嘘だったのか――ってね」
姉さんははぁ、と溜息を付いた。自分の表情が不自然に固まっているのを自覚する。
そのくらいのいいがかりなら世間にゴマンと溢れている、なんて僕が思うのは、姉さんの理不尽さに
すっかり毒されたせいかも知れない。肉親じゃなかったら、姉さんみたいなキャラクターとは絶対
関わりたくないのが正直な話だからね。
しかし姉さんの愚痴に対して、中学生の僕が何か言えるはずもない。仮に何か言った所で
「世間知らずの中学生がナマ言うんじゃないわよ」と一蹴されるのがオチだから、何を言われても
黙っているのが一番なのだ。
そんな僕の態度が、姉さんの癪にさわったらしい。
姉さんは僕の顔を両手で掴み、僕が目を逸らせないようにして言った。
「ちょっと翔太聞いてるの?あんたが『パタ西・クロニクル』みたいなキャラ使い回しアニメを
 見ている間にも、私は真面目に働いて給料を稼いでいるのよ。そんな姉の役に立とうとか
 思わないの?」
だからさっき電話を取り上げて通話を切ったんじゃないか、なんて姉さんの弟をやって行く上では
絶対に口に出してはいけない言葉だ。かといって黙っていても姉さんから逃げられない。
咄嗟の思い付きで、僕はこう言った。
「じゃあ、姉さんがそのオジサンの恋人みたいにふるまったらいいじゃないか――」
295いいがかり姉さんDestiny:2005/04/17(日) 22:12:00 ID:SGBt8O+v
姉さんの目がかっと見開かれ、僕はいきなりベッドの上から床に投げ出された。
その拍子に椅子の角で頭を打ってしまう。コブが出来てやしないかと頭をさすりながら起き上がると、
姉さんは何か決心したようにベッドから立ち上がった。
「それよ!翔太あんたアタマ良いわね!」
僕、何か姉さんの悩みを解決するような事を言ったのだろうか。問い出そうとしたが、姉さんは
入って来た時と打って変わった軽い足取りで廊下に走り出て行ってしまった。
今日は珍しく、姉さんからそれほど絡まれる事はなかった。それは良いのだけれど――
思い込みの激しい姉さんの事だから、何かよからぬ企みを思い付いたんじゃないだろうか、という
不安を拭い切れない。
こんな時、自分が中学生である事が無性に悔しい。姉さんの暴走を止めるのに必要な体力も頭も、
そして社会的な身分も持っていない無力な身の上だから。
せめて母さんが菓子折りを持って頭を下げなきゃいけない事だけは避けてくれ、と祈る思いで、
僕は問四の電流の問題を片付けようと勉強机に座り直した。
296いいがかり姉さんDestiny:2005/04/17(日) 22:13:03 ID:SGBt8O+v
オレは日課としている近所のコンビニ通いを終え、アパートに戻る道中で昨日の出来事を思い返した。
どう遣り繰りした所で、オレの借金が減る可能性はないに等しい。収入の道が閉ざされているのだから
仕方ないと言えば仕方ないのだが――
収入を得る為には働かなくちゃならない。だがオレは働いたら負けだ、と思っている。
せめて働かずとも借金を返す方法はないのか、と思って消費者金融に電話したのだが、応対に出た
女の子の言葉遣いが頼りないものだったので、オレの苛立ちはさらに増す事となった。
そこで女の子に、こう言ってやったのだ。
「恋人のように親身になってご相談します、って嘘かよ!オレの恋人になってちゃんと話を聞け!」
胸がすっとする思いだった。
しかし後で冷静になって考えてみると、菓子折りの一つも貰えない、時間の無駄でもある。
しかもオレを取り巻く状況に対して何の解決にもなっていない。余計にヘコんだ。
そうこうしている内に、我が家の前までたどり着く。
風呂なしトイレ共同、今時貧乏な苦学生でも住まないようなボロアパートの一室がオレの部屋だ。
おかげで家賃だけは安いが、しかしそれも滞納しているだけに追い出されるのも時間の問題だ。
体力も頭脳も彼女もなし、おまけに大人なのに仕事もない。弟切荘のみすぼらしい外観が、無情にも
オレに厳しい現実を突き付ける。
「ボクは…どこで間違えたのかな…」
どっかのSRPGゲームに出て来た台詞を呟きながら、オレは塗装が剥げ所々錆びた階段を一歩ずつ登った。

南京錠で何重にも施錠されたドアを開けた時の驚きと言ったら、オレの人生で最も印象深い物だった。
夢にまで見て、叶うはずもないと諦めた光景が目の前にあった。
――女だ
――女がオレのみすぼらしい部屋で、料理を作ってオレの帰りを待っていたのだ。
ぱっと見十代くらいの幼い顔立ちをした、髪の短い女だ。言っちゃ悪いが、体つきも成人している
ようには見えなかった。
オマエ何者だ、とオレが問う前に、女はオレのいた玄関を振り返って挨拶した。
「お帰りなさい。ご飯にする?それともお風呂――ってお風呂ないんだよね」
照れ隠しのように頭を掻いて笑う仕草を、オレは不覚にも可愛いと思ってしまった。恥ずかしい話だが、
こういう場面には免疫がないので、激しい心拍を抑えられない。
297いいがかり姉さんDestiny:2005/04/17(日) 22:13:36 ID:SGBt8O+v
が、オレは何とか冷静な頭を取り戻した。彼女が不法侵入者である事実には変わりないし、何よりこの
部屋には頻繁にドロボウが入り込むのだ。彼女もその一人で、部屋の主が帰宅した途端に居直った
可能性を否定し切れない。
「何が…何が目的なんだ?」
震える声でそう尋ねると、女はきょとんとした顔で訊き返して来た。
「あなたこそ、私の声に覚えないんですか?昨日私に、恋人になれって言ったじゃないですか」
言われてみて、彼女の声に聞き覚えがある事を思い出した。まさかという期待を抱きながら、
一応尋ねてみる。
「電話の応対に出た――女の子か?」
「はい」
彼女はにっこりと微笑んだ。久しく忘れていた、明るい笑顔だった。
「それで――オレの恋人になるって訳か。メシ作ってくれたのも、そういう事だからか?」
「はい」
どうやら半分冗談で言った事を本気にしたらしい。
今時珍しい、直線的な考え方の持ち主なのだろう。これなら年齢イコール彼女いない歴のオレでも
扱い易いというものだ。
だが本当に恋人になってくれるのかという疑念は残る。あまりにもオレにとって都合よく話が
出来過ぎているじゃないか。
これはマンガや小説ではない。オレの目の前で、現実に繰り広げられている光景なのだから。
ならば確かめる必要がある。普通なら引くような質問だとは思ったが、オレは敢えてストレートな
内容で訊ねてみた。

「って事は――その、セックスも有りって事だぜ。大人同士が恋人になるってのはそういう事だが、
 その覚悟はあるのか?」
ほんの少し戸惑うような仕草を見せたが、彼女は何か決意したように口を開いた。
「もちろん」
その一言でオレの理性は飛んでしまった。靴を脱ぐ間も惜しく、彼女に跳びかかって畳の上に押し倒した。
見た目以上に細い腰、綺麗な黒髪にキメの細かい首筋の肌。服の上からは目立たなくとも、胸はやっぱり
男のそれと違って柔らかな弾力があって――
298いいがかり姉さんDestiny:2005/04/17(日) 22:14:14 ID:SGBt8O+v
「ちょっと、やだ……待って」
彼女はじたばたと手足を動かし、上に乗ったオレを引き離そうとする。
ナマイキな――セックスも有りだって言ったのはオマエの方だぞ。何で今頃になって拒むんだよ。
太股の間に手を滑らせて、短いスカートの中に侵入しようとした所で彼女から言われた。
「ダメ、先に……お風呂入って」
「風呂?そんなモンこの部屋に無いのは知ってるだろ?」
だから銭湯でも何でもいいから、と彼女は哀れむような目付きで頼んだ。
「恋人同士なんだったら、なおさらムードとかが大事なの。あなたその歳で知らないの?」
ナマイキな――しかし彼女の言う事にも一理ある。一理あるが――
「そんな事言って、オレが銭湯に行っている間に逃げようって魂胆だろう。騙されるモンか!」
騙さないよ、彼女はそう言ってオレに退くように手振りで促した。立ち上がり、少し乱れた着衣を
直そうと襟元に手を掛けた所で、何か閃いたようにオレを振り返る。
「絶対に逃げられないような格好で待ってるから。それなら信じて貰える?」
「確かにな。けど名前も知らない奴の口約束なんか信用出来ないぞ、オマエだってそうだろう?」
確かに――彼女は頷いた。
「そう言えばまだ名前を教えてなかったわね。私羽美――名取羽美よ」
「羽美ね――いい名前だ。けどそれが偽名とか源氏名じゃない証拠は?」
頷くように軽く鼻を鳴らすと、羽美は部屋の中央にある古い卓袱台の傍に座り込んだ。見慣れない女物の
バッグを何やらごそごそとやって、中から一枚のカードを取り出す。
身分証だった。確かに『契約社員 名取羽美』と書いてあり写真も彼女のものだ。ICチップ付きの
プラスチック製で、簡単に偽造出来る代物じゃないと素人目にも分かった。
「どう?私が嘘を言ってないって、信じてもらえたかしら」
ああ――頷いてそう答えるより他になかった。もし彼女がドロボウや美人局だとしたら、絶対に取り
得ない行動だったからだ。
身分証を偽造してまでオレに近付く理由は、どう考えても思い浮かばなかった。恥ずかしい話だが、
ウチにはドロボウに入られても盗られるような金目の物はないし、オレ本人は職も彼女も社会的地位も
何もない男なのだ。そんなオレに近付くために身分証を揃えるのはリスクが多すぎて、例え実現可能でも
実行は非現実的だと断言出来る。
299いいがかり姉さんDestiny:2005/04/17(日) 22:16:11 ID:SGBt8O+v
それにしても――役所じゃあるまいし、本物の身分証を赤の他人に見せるか?
オレも世間を知ってるとは言い難いが、彼女はオレ以上だろう。
オレはもう一度、名取羽美の顔を確かめるように見回した。言動は少々電波が入っているが、中々
どうして可愛らしいじゃないか。
そんな女が、オレと恋人になると言うのだ。筆下ろしのチャンスが、オレにも巡って来たという事だろう。
ならば迷う事はない――オレは玄関へ駆け出し、扉のノブに手を掛けて振り返る。
「じゃあ風呂に行って来るぞ、逃げるなよ」
名取羽美はクスクスと笑い、「行ってらっしゃい」とオレに告げた。

いつもの倍近い時間を銭湯に費やして、オレは全身を念入りに洗った。他の客からイヤな顔をされながら、
歯磨きも風呂で済ませて来た。
湯冷めしないように全力でアパートに帰る。
ドアを開けて目に飛び込んだ光景に、オレは最初に帰った時以上の衝撃を受けてその場に固まった。
300いいがかり姉さんDestiny:2005/04/17(日) 22:16:42 ID:SGBt8O+v
女、いや名取羽美が流しに立って俺を待っていた。それだけならさっきと同じなのだが――
――裸、エプロン?!
歳甲斐もなく鼻血が出るような格好だった。確かに裸エプロンで逃げる事は出来ないだろうが――
――ここまでやるか普通?!
オレの驚きとは裏腹に、羽美の態度は「これが普段着なのよ」と言わんばかりの自然な物だった。
彼女がオレに気付いて言う。
「あ、お帰りなさい。寒いし恥ずかしいから、早くドア閉めてよ」
「あ…ああ」
言われるままドアを閉めながら、気の利いた台詞を頭の中でシミュレートする。月並みな台詞でもいいと
オレが結論付けたのを見計らったように、羽美がにこやかな顔で訊ねて来た。
「ゴハン食べる?」
来た――妄想では何度も口にした事のある台詞が、オレの口を突いて出る。
「それより先にキミを食べたいな」
改まった口調でそう言ったところ、エッチ、と羽美がケラケラ笑った。
――有りなのか、これも有りなのか?!
「羽美――――っ!」
玄関で着衣を脱ぎ捨てる。ジャージとアンダーシャツ、ズボンとブリーフをそれぞれ丸めて放り投げ、
最初と同じ様に飛び掛かって彼女を畳の上に押し倒した。より露になった全身の肌の白さが、リアルな
感触と共にオレを獣に変えて行く。
「やっ、ちょっと……危ないって……あははっ」
一応の抵抗は受けるが、風呂に入る前ほど力強い拒絶の意志を感じ取れない。むしろオレがエプロンの
上から慎まし気なおっぱいを揉んだり、括れた脇腹をくすぐったりするのを楽しんでいるようだ。
――これが
――これが、女か
さらさらとした髪の質感、甘ったるいと形容したくなる匂い。
掌に吸い付くような感触の肌、いつまでも触れていたいと思わせる肉感。
現実に自分がこのような形で女に触れるなんて想像もしていなかった。
エプロンの脇から手を入れ、生の乳房を揉みしだく。その先端を指先で弄っていると、コリコリした
反応が返って来た。
301いいがかり姉さんDestiny:2005/04/17(日) 22:17:49 ID:SGBt8O+v
くすぐったそうにケラケラと笑っていた羽美が、甘い声を上げ始めた。目がとろんと酔い、キスを
求めると応じてくれる。
乳首を摘むと喉が仰け反らせる。目を開けて、ばつの悪そうな誤魔化し笑いを浮かべる。
「あん、ちょっと……何するのよ」
彼女の抗議を他所にエプロンを肩から捲ると、慎ましい二つの脹らみが現れた。乳首もそうだが乳輪も
子供みたいに小さなピンク色だ。しゃぶり付いて吸い上げる時、わざと緩急のリズムを付けてみた。
「ん、ん、ん、……」と連続した、悩ましげな声を耳にエプロンの裾をまさぐる。
「やっ……そこは」
太股の間にある固い茂みを掻き分けると、男を迎え入れるべき肉の裂け目が既に湿っているのに驚いた。
濡れ易い体質、なのだろうか。手探りで襞を捲り、指をその奥へと繋がる粘膜に宛がったら、羽美が
痛そうに顔を顰めた。
「やだ……痛い、痛いってば。まだちゃんと濡れてないのに」
「ゴメンゴメン。ちゃんと濡らさないといけないよな」
もう――羽美が呆れた様子で溜息を吐いた。けど顔は既に上気していて、乱暴にさえしなければ
準備OKのようだと判断出来た。
「もう少し優しく……ってやだ、そんなのヤだよ!」
エプロンの裾に顔をうずめると、羽美はばたばたと足を泳がせた。噎せるような女の匂いに誘われるまま、
茂みの奥にあった妖艶なピンク色の襞に舌を当て、中を掬うように舐め取る。
「んんっ……」
羽美の腰がびくっと震えた。と同時に足の抵抗も止み、太股もオレの顔を受け入れるかのように自然に開く。
味は――少し塩っぱい。誰だよ女のアソコが甘いとか言ってた奴は。
舐めてる内に、唾液よりも少し粘り気のある愛液が、勢いの悪い間欠泉みたいに少しずつ滲み出て来た。
羽美はもう何も言わず、オレの動きに身を任せている。
その内にオレは、乳首みたいに尖った部分がある事に気付いた。多分クリトリスだろうと当たりを付けて、
両脇から皮を剥く。現れた小さな突起を指の腹で優しくなぞると、羽美は腰を浮かせてオレの顔に
押し付けた。同時に裂け目の中が、浅く挿入されたオレの舌をきゅっと締め付ける。
「ダメっ……そこ、感じちゃう……っ!」
羽美をイカせようとして、オレはその動作に集中した。羽美の腰ががくがくと揺れ、後は意味のある
言葉にならない。
302いいがかり姉さんDestiny:2005/04/17(日) 22:18:27 ID:SGBt8O+v
もう頃合だろう。オレは指で入り口を広げ、そこに勃起した自分の物を宛がう。
腰を沈めると、羽美の身体は何の抵抗もなくオレを受け入れた。

自分で扱く時と比べて、羽美の膣は締め付けが緩い。もちろん愛液や、それからうねうねと妖しく蠢く
内部の肉襞の感触は初めてのものだったが――
さすがに挿入後三擦り半でイッてしまう事はないだろう。安心して腰の出し入れを始めると、羽美が
それに合わせて声を上げる。
「ううん……ん、うう……」
AVなら女優の喘ぎ声に合わせて物を扱く所が、自分の動きに合わせて女が喘いでくれる。
少しの違いだが、大変感動的だ。
大胆になって、腰の動きを大きく早く変えてみた。確かに気持ちいいが、しかしこのまま続けても
イケるようには思われない。それまでずっと目を瞑っていた羽美が、オレの顔をちらちらと覗き見る。
――マズい、このまま白けたら
咄嗟にオレは羽美の脚をさらに広げ、体重を掛けて奥に押し込んだ。何かが先端に当たった瞬間、
羽美の反応に明らかな変化が現れた。
「ああっ……」
ぎゅっと目を瞑り、クリトリスを弄った時と似たような反応を見せる。内部の圧力がぐっと高まり、
襞が奥へと誘うような動きを示した。
――これだ!
何度も何度も、羽美の奥へと叩き付ける。こりこりとした物が亀頭に当たる感触は、間違いなく
セックスの時にだけ得られる物だ。
「ああ、あ、あ……」
羽美の喘ぎ声が、徐々にその間隔を狭めて来た。オレの限界もすぐそこに迫っていた。
「羽美……出す、出すよ」
行為に熱中していたとばかり思っていた羽美が、ビックリしたようにオレを見た。
「ダメよ、中はダメ……!」
「そんな事言っても、もう、ほら……」
「お腹でも顔でも、どっちでもいいから……外に、おねがい……っ!」
引き抜いてクリトリスの上に勃起を宛がい、腰痛になっても構わないとばかりに出来るだけ素早く
前後させた。
303いいがかり姉さんDestiny:2005/04/17(日) 22:19:02 ID:SGBt8O+v
「あああぁぁぁ……っ!」
今までで一番勢いのある叫び声と共に、羽美が全身を痙攣させた。オレは自分の物を手で扱き、
射精を促した。あっという間にオレも達する。
ぐったりとした羽美のエプロンから胸近くにかけて、俺の少し黄色い精液が執拗に降り注いだ。

「ごめんね、ホントは中に出したかったんでしょ?」
羽美は寝転んだままの体勢で、身体に掛けられた精液を脱いだエプロンで拭いながらオレに言った。
ティッシュに換算してもう四枚目くらいだが、それでも完全には拭い切れていない。
溜まっていたとはいえ、射精の量に我ながら驚いた位だ。
――これがセックスの時に出る量か。やっぱりオナニーの時と全然違うな。
童貞だったとバレるのが嫌だったので、なるべく平静を保って羽美と話を合わせる。
「まあな。けどやっぱ中出しはマズいだろう」
そうね、と羽美がしおらしく頷いた。
「赤ちゃん出来たら困るでしょ。また今度安全な時に、中に出してね」
そう言って笑った羽美の顔を、オレは初めて大人っぽいと感じた。

<<後半へ続く>>
304名無しさん@ピンキー:2005/04/19(火) 23:18:20 ID:FrLsC4MH
後半待望sage
305名無しさん@ピンキー:2005/04/20(水) 12:05:32 ID:/wbiBHC/
今日ヤングガンガン買って来るぜ!

77氏どうしたのかなぁ。
306名無しさん@ピンキー:2005/04/20(水) 23:27:15 ID:TSWT31Jj
後半まだ〜?
307名無しさん@ピンキー:2005/04/21(木) 00:54:20 ID:Eifm8qTi
絶望先生まであと一週間か・・・・
308初代スレ396:2005/04/23(土) 20:21:48 ID:tudjF6cm
「いいがかり姉さんDestiny」後半出来ました。お待たせして申し訳ございません。
以下注意書きを少々:

・実験的にエロシーンをビデオ鑑賞視点にしてみました。
・結末は少しダーク、というかアウトロー入ってます。苦手な方はご注意を。
・最後の方、説明臭いかも。筆者の力量の問題ですがお許しを。

では投下開始。
309いいがかり姉さんDestiny:2005/04/23(土) 20:22:38 ID:tudjF6cm
オレに恋人が出来て、三ヵ月とちょっとが過ぎた。
最初に結ばれた後で心配した『アレ遅れてるの』攻撃もなく、それ以後はきちんと避妊具を買って
行為に及んでいるから今後とも大丈夫だろう。結構な出費だが
さすがに彼女持ちだと、身繕いにも余念がなくなるものだ。名取羽美に逢う時はきちんと風呂に
入り、ヒゲも剃る。歯磨きを忘れるなんて以ての外だ。きちんと歳相応の髪に戻ろうと、育毛剤を
頭に振り掛ける傍ら植毛のパンフレットにも目を通す。
デートも近所の●ニーズという訳には行くまい。羽美が美味しいコンソメスープが飲みたいとねだった
時は、雑誌で紹介されたシュプリームSとかいう店に連れて行った。味はと言うとコンソメスープが
期待したほど美味くなかったんで、キレた羽美が店員にいいがかりを付けられたけど。
まあその後で妙に精力が付いてしまって、二人で一晩眠らずに組んづ解れつやったんでオレ的には
大満足だった。
それより記憶に残っているのは、●ィズニーシーへ行った事だろう。三ヶ月前には自分が行くなんて
想像もしなかった。入場して初めて実感した事は、あそこは家族持ちかカップルで行く場所であると
いう事だ。あんな所に独り身で行く奴の気が知れない。

もっと嬉しい事もあった。
羽美と付き合い始めてから、ア●ムの借金がほとんど消えてしまったのだ。試しにお自動くんで借り入れを
申し込んでみたところ、真っ更の状態と同じ額を借り入れる事ができると判明した。
そればかりか羽美は生活の援助までしてくれたのだ。こらそこのチェリーボーイ、オレをヒモとか言うな。
恋人が出来た事が、間違いなくオレにとってプラスの向きに作用していた。
310いいがかり姉さんDestiny:2005/04/23(土) 20:23:12 ID:tudjF6cm
心身ともに充実した気分で、オレは休日を迎えた。
久々にコンビニで立ち読みを済ませて自室に戻り、部屋のカーテンを全部閉めた。
こうすると新しく買った三十二インチの画面が映えるのだ。羽美がしばらく逢えないと言うので、
一人AV鑑賞会と洒落込む。日曜の午後、まだ日の高い内から結構な贅沢だと我ながら思う。
しかも今までのAVと違う所は――これから鑑賞するものが自主制作の映像だ、という点である。
モザイク無し、しかも自分が直接体験した事だから抜き所も最初から全部わかっている。どこで
抜くべきかというスリルは無いものの、想像の上でオナニーする事に比べたら得る所の方が大きい。

これも新品のハ●ディカムをDVDプレイヤーのUSB端子に接続し、テレビと共に電源をオンにする。
待つ事しばし、画面に先週訪れたラブホテルのベッドが映された。

『ねえ、ホントにビデオに撮るの?なんか趣味悪いわね』
羽美が文句とも取れる事を言いながらベッドに近付いた。マットレスの反発を確かめるようにぴょんと
座ると、画面に向けて手を振って来る。映るのはブラウスから淡いピンクの短いタイトスカート腰辺り
までで、顔は見えない。
『あ、映ってる映ってる』
声は上機嫌だった。自分が画面に映る事そのものについては、単純に嬉しいらしい。
既にブリーフ一丁となったオレの小柄で貧相な体が、画面に近付いてこちら側へにゅっと腕を伸ばした。
画面が振れ、それが一旦収まると今度は天井。もう一度振れを経てピントが合わさると、画面は羽美の
笑顔をアップで捉えた。彼女はすぐ恥ずかしそうに目を逸らす。
画面の中のオレは『あれおかしいな』とか言いながらビデオカメラを弄くっていた。
――何やってるんだ、それじゃ二人が絡み合っている所が映らないだろ?
311いいがかり姉さんDestiny:2005/04/23(土) 20:23:44 ID:tudjF6cm
画面の中のオレに文句を付けると、ようやく画面がズームダウンした。
上は天井の丸いライトから下はベッドの脚までが画面に収まる。これならヤってる所を撮影出来るだろう。
オレが羽美の向こう側に座り、しなだれかかりながら彼女に言った。
『いやその、逢えない時だってあるだろ?そのために撮っとこうって思ったんだけど』
『そんなのヘンタイみたいだよ……って、あん……ちょっと』
羽美が身を捩じらせ、オレから逃れようとして画面手前へと倒れる。その上からオレが覆い被さり、
服の布越しに身体を擦りつけ合いながらのキスが続いた。
しばらくして、羽美が下から手でやんわりとオレを押し上げる。これから自分の手で羽美の服を
脱がそうという思惑を外され、不満気にオレは。
『ちょ……ちょっと待ってもう、シャワー浴びてくるから』
えー、と声を上げたオレを窘めながら羽美が立ち上がった。彼女が澄ました足取りで画面から消え、
一人ベッドに残されたオレがつまらなさそうに画面側へとうつ伏せに寝そべる。
オレはしばらく足を折り曲げて空気を掻いていたが、やがてシャワー音が画面外から響いて来た時、
急に起き上がった。画面こちら側へと近付く。
画面が揺れてオレの視点になると、それは上下に揺れながらゆっくりバスルームへと移動した。

オレは少し身を乗り出して画面を凝視した。ここから映像は佳境に入って行くのだ。
312いいがかり姉さんDestiny:2005/04/23(土) 20:25:48 ID:tudjF6cm
すいません間違えました、>311は透明あぼーんでお願いします.…
以下、>311訂正分



画面の中のオレに文句を付けると、ようやく画面がズームダウンした。
上は天井の丸いライトから下はベッドの脚までが画面に収まる。これならヤってる所を撮影出来るだろう。
オレが羽美の向こう側に座り、しなだれかかりながら彼女に言った。
『いやその、逢えない時だってあるだろ?そのために撮っとこうって思ったんだけど』
『そんなのヘンタイみたいだよ……って、あん……ちょっと』
羽美が身を捩じらせ、オレから逃れようとして画面手前へと倒れる。その上からオレが覆い被さり、
服の布越しに身体を擦りつけ合いながらのキスが続いた。
しばらくして、羽美が下から手でやんわりとオレを押し上げる。これから自分の手で羽美の服を
脱がそうという思惑を外され、不満気にオレは彼女の脇に退いた。
『ちょ……ちょっと待ってもう、シャワー浴びてくるから』
えー、と声を上げたオレを窘めながら羽美が立ち上がった。彼女が澄ました足取りで画面から消え、
一人ベッドに残されたオレがつまらなさそうに画面側へとうつ伏せに寝そべる。
オレはしばらく足を折り曲げて空気を掻いていたが、やがてシャワー音が画面外から響いて来た時、
急に起き上がった。画面こちら側へと近付く。
画面が揺れてオレの視点になると、それは上下に揺れながらゆっくりバスルームへと移動した。

オレは少し身を乗り出して画面を凝視した。ここから映像は佳境に入って行くのだ。
313いいがかり姉さんDestiny:2005/04/23(土) 20:26:20 ID:tudjF6cm
最初に目に付いたのは、バスルームの扉に映った彼女のシルエット。
シャワーの音に混じって、時折鼻歌が聞こえて来る。
この曇りガラス一枚を隔てて、羽美が生まれたままの姿でお湯を浴びているのだと思うと興奮を覚える。
映像だけでなく音声も全部拾いたいのに、マイクはヘンタイのような洗い息遣いばかり拾って役に
立たない。一体撮影者は何を考えてやがる。きちんとその場の状況を映像と音声に収めるのが仕事だろ?
床のビニル張りに視点を落とすと、ストッキングにショーツとブラが乱雑に脱ぎ捨てられてあった。
ただしスカートとブラウスは脱衣所の籠にきちんと畳んである。恐らく服に皺が寄るのを嫌ったのだろう。
画面が床にしゃがみ込み、片手でブラジャーを拾い上げた。肩紐の部分を摘んで空中に吊る。
白い清楚な感じのシンプルなデザインに見えるが、アップでよく見ると縁取りに限らず全体にレースを
ふんだんに使った高価なものである事が分かる。
裏返して胸当ての内側を見る。
オレの手が肩紐から胸当てへと器用に持ち替え、パッド部分を手で挟むように揉む。
パッドに指がめり込んだ。それはパッドと言うより、クッションと表現した方が適切な分厚さだった。
オレの声が、バスルームの羽美に聞こえないようひそひそと解説を加える。
『内側がまだ温かいです。直前まで身に着けていたんですね』
その温もりを今この場で味わえない苛立ちを何とか抑えた。中のオレがブラを床に落とし、今度は
ショーツを手に取った。これも清潔な印象を与える白で、ブラジャーと揃いの高価そうな代物だ。
画面に近付け、これも嘗めるように全体を万遍なく撮る。それが画面から消え去り、鼻息に続いて
うっとりとしたオレの声が喋る。
『少し湿ってます。映像だけでは湿り気と匂いを伝え切れないのが残念です』
くふふ、と人を小馬鹿にした含み笑いが続いた。シャワーの音は途切れる事無く脱衣所にも響く。
現実のオレは羽美のアソコの匂いを記憶から引き摺り出す。その彼女は、今オレの傍にはいない。
撮影者のオレに対して怒りが湧いた。
――だからそれはオレが一番よく知ってる事なんだよ。グズグズしてないでその扉を開けろ。
『では早速、ご開帳――』
314いいがかり姉さんDestiny:2005/04/23(土) 20:26:53 ID:tudjF6cm
音を立てずに扉が開き、湯気に包まれたバスルームの中でお湯を浴びる羽美の立ち姿が画面に飛び込んだ。
アップで見ると、シャワーの湯が胸のきめ細かい柔肌に当たった所が窪みになっていると分かるだろう。
その下の乳首はもう立っている。視点がムダな肉のない臍周辺、それから下腹部の茂みへと徐々に下がる。
湯気で画面が曇って行くのが惜しまれる。もっと見ていたいのに。
『ちょっと坪内さん、こんな所まで撮りに来てるの?!』
画面が引くと、羽美がこちらを見ているのが辛うじて判った。現実のオレが気まずい思いをする。
『ゴメンゴメン、いや大人しくベッドで待ってるから』
もう、と羽美が声でオレを窘めた。画面の曇りでよく見えないが、しかしもしオレの記憶が正しければ
彼女は別に怒っていなかった筈だ。ぼやけた羽美の輪郭が画面に近付いて――
『すぐ上がるから、もう少し待っててね』
羽美が画面に顔の輪郭を向けながらそう言って、バスルームの扉が閉ざされる音がした。

薄暗い部屋にいたオレは、ハ●ディカムに近付いて再生速度の四倍で早送りする。ここからしばらくは
羽美が戻って来るのを待つばかりで、抜き所もなければそれ以外の面白い事も何もない。
やっぱり面倒臭がらずに編集しておくべきだったか。二日前にもこの映像をオカズに抜いたんだから、
本物のAVみたく余計なシーンをカットする暇はいくらでもあったはずだ。
とは言え、今からやるのも暇が掛かって面倒臭い。既にオレのズボンの中身は、これから再生される
予定の映像に反応してしまっているのだ。
羽美がバスタオルを胸に巻いてシャワーから戻って来た。髪は既にドライヤーで乾かしてあるようだ。
カメラは最初の位置に戻されている。ベッドに羽美が浅く腰掛けた所で、オレは再生速度を通常に戻した。
315いいがかり姉さんDestiny:2005/04/23(土) 20:27:27 ID:tudjF6cm
並び座った状態でのキスの応報から始まった。チュッチュッとキスの音が、オレ達の仲を見せ付けるかのように
離れた位置にあるカメラのマイクまで届く。
羽美が頭を画面のこちら側に倒れ、オレは自然に覆い被さる。頭を掴み、更に深いキス。
脱がせるまでもなく、羽美を覆っていたバスタオルがはだけてシーツの上に広がる。見た限りでは
判らないが、彼女はそれ以外何も身に着けてはいなかった。
記憶の中で、仰向けに寝ると小学生か中学生くらいしかない羽美の小さなおっぱいが蘇る。そのずっと下には、
二十代相応に生えた黒い茂み。プールや海で他の女に見られる機会が少なかったのか、手入れはされていない。
『ヤだ、やっぱりこの格好恥ずかし……ん』
抗議する羽美の口を塞ぎつつ、画面のオレは調子に乗って羽美の肌に手を伸ばした。
オレの頭が画面向こう側に下がり、羽美のおっぱいにむしゃぶり付く。
キスのような音は止まない。乳首を口に含んで、一心不乱に吸っているのだ。
羽美が頭を擡げた。乳を吸うオレを見つめる彼女の眼差しは優しかった。
やがて頭を戻し、息を徐々に荒げて行く。オレの肩がもそもそと動いたと思ったら、羽美が突然短く叫んだ。
『あん……ちょっとソコは…早すぎない?』
オレが濡れ具合を確かめようと、茂みに手を伸ばしてピンク色の粘膜に触れた事を言っているのだ。
『そうか?もう十分――』
――濡れてたじゃないか。
途切れた言葉を現実のオレが補完すると同時に、羽美はピクピクと痙攣を始めた。
おっぱいと肋とで肉感の違う境界線辺り、臍の下と触ったり舐めたり。あちこち弄りながら茂みの割れ目を
擦っていると、いつの間にか手にねっとりした湿り気を覚えるのだ。
『場所変えない?』
『え――』
両腕で彼女の胴に抱き付いて身を起こす。そのままひっくり返って、二人とも画面に尻を向ける。
画面のオレが起き上がって接近した所で、オレは通販で買った物を取りに立ち上がった。
316いいがかり姉さんDestiny:2005/04/23(土) 20:30:10 ID:tudjF6cm
エロ鑑賞に必要な物を手近に取り揃えて画面の前に戻ると、画面の様子も一変していた。
羽美のアソコのどアップだ。そう言えば押入れの中をガサ入れしていた間、スピーカーからは『ヤだよう』
『恥ずかしいよう』と羽美の声が流れていた気がする。
けれど最終的に、羽美はカメラの前で彼女の全てをさらけ出した。オレのうざったい息が音声に混じる。
画面一杯に広がった羽美の股間。陰毛は恥丘の部分に密生していて、画面の上下に走る亀裂付近は
意外と毛が少ない。触れたらプニプニと押し返して来そうな肉と、そこから慎ましくはみ出した花弁は
実に健康的なピンク色をしていて、既に妖しげな粘液で濡れた光を放っていた。
オレの指が、秘裂を左右に開く。外側よりもさらに鮮やかなピンクの粘膜が露出し、奥の入り口がきゅっと
窄まった。中指で目立たない突起にそっと触れる。入り口の穴がまた反応する。
うう、と声がスピーカーに漏れた。画面の外で羽美の反撃を受けたオレの呻きだ。
現実のオレも自分のモノを曝け出す。羽美が触る時は、自分で扱く時よりもずっと優しい手付きだ。
握り込むのではなく、細い指でそっと挟むように扱き始めた。
やがてオレの指が羽美の中へと進入する。出し入れを始める。中から出した指にも粘液が絡み付き、
実に滑らかな動きだった。にゅるにゅるという音まで聞こえるような錯覚に陥る。
指を二本に増やす。今度は羽美の中で生まれる体液を掻き出すような動き。
くちゃくちゃとした水音が目立つようになった。
羽美の喘ぎ声がそれに混じる。
現実のオレは自分を扱く指の動きを早めた。無意識の内に羽美が反撃するペースと同じ位に調整していた。
この強さなら何時間扱いてもイク事はあるまい。気付かないくらい僅かに、羽美の割れ目が前後した。
317いいがかり姉さんDestiny:2005/04/23(土) 20:30:55 ID:tudjF6cm
カメラは急にアソコのアップから離れた。画面両脇には羽美のほっそりした太腿、手前に臍、奥には
可愛らしく勃起したピンクの乳首と羽美の顔。
じゅるじゅると羽美の体液を啜る音がする。羽美はカメラを向けられているにも関わらず、こちらに目を
向ける事なくイヤイヤと首を振った。
『ダメ……それダメ……恥ずかしいって』
堪えるような呻きに混じって、頼むような口調で抗議する。呼吸の間隔が短くなって――
背中を仰け反らせた。カメラが羽美から離れ、脚を大開きにぐったりとなった彼女の全身を捉える。
もう一度近付いてアソコのアップ。最初と比べて少し開いた襞の奥に指を一本突っ込む。
とろりと、纏まった量の愛液がこぼれ出た。

カメラを羽美の脚の間に置き、オレは紐の付いたカプセル状の物体を画面の中へと持ち込んだ。
通販で買ったバイブだ。コードの部分を持ち、低い唸り音を立てるそれを秘裂の先端にゆっくりと
宛がうと――
『ああっ……』
一回イッて敏感になった羽美が、膝をがくんと立てた。そのまま腰をモジモジとさせてオレから、
いやバイブの刺激から逃れようとする。彼女は意識していないだろうが、実にいやらしい動きだ。
オレは強引に羽美の中へカプセル部分を押し込んだ。
『いやぁ……』
羽美が繰り返し鳴く。というか泣き声だった。身体の中から生まれる刺激に耐えかねたのだろう。
それがまた唐突に止む。画面のオレが自分の勃起した物を羽美の口元に押し付けたのだ。
紐と繋がった秘裂が画面大写しでひくつく。現実のオレは手元の瓶を引き寄せて中身を掌に取った。
バイブと同時に買ったローションだ。自分の体温で暖めてから、ゆっくりとモノに滲ませる。
膣とは違う、けれど羽美の体温が暖かい口の中を思い出す。表面を撫でるようにすると近いが――
口の中の様子は再現が難しい。特に吸われる感覚は手で生み出す事が出来ない。
――早く本番行けよ。
オレが酔い痴れた羽美の愛撫は、現実のオレに与えられない。あんなに楽しんでいた行為なのに、
画面の中のオレが羽美に舐められたり吸われたりしているのを思い出すだけで腹が立つ。
318いいがかり姉さんDestiny:2005/04/23(土) 20:32:19 ID:tudjF6cm
と思っていたら、オレの膝が羽美の脚の間に割って入った。画面中央に腰を落ち着ける。
――コラ、汚いケツをオレに向けるな。オレは羽美のアソコを見たいのに、邪魔だっつってんだよ。
いや、オレの怒りが的外れな物だって事くらいは判っている。オレは今から挿入を果たす所なんだから。
画面のケツが少しシーツから浮き、羽美の膝裏を持ち上げる。
ケツの間から見えた、太く大きく反り返っている大きなモノは一瞬自分の物と思えなかった。
まあこの角度は自分で見る事の出来ない物だから当然と
言えば当然なのだが――
――しかしこうして見るとサオもタマも結構デカイな。尿道のスジってこうなってたのか。
腰を浮かせると、異様な迫力を持ったそれが余計に目立つ。
画面の中のオレは手を添えて、はみ出たピンク色の花弁に亀頭を宛がった。
ぬちぬちと音を立て、半分肉の襞に埋もれた亀頭が粘り気のある愛液に塗れる。
塗りながら挿入の位置を確かめる度に、羽美が切なげな声を上げた。

『……ちょっとまだなの?……まだ……挿れてくれないの?』
オレもそう思う。見ていて映像のオレは余りにも手際が悪く、いつまで経っても挿入出来そうに思えない。
早くしろよ、と願った途端、オレの腰が一気に沈んだ。

『ああぁぁあ……』
挿入の瞬間に漏れた羽美の声は、快楽に溺れながらもどこか安心したように聞こえた。
映像のオレも現実のオレも、暖かく滑り、時折全体で優しく包み込む羽美の膣肉に感極まった声を上げる。
画面の左右に広げられた羽美の内股の間で、オレは腰の出し入れを開始する。
現実のオレも自分の物を握る手の力に緩急を付けて――
テンポ良い羽美の喘ぎ声と同じリズムで、勃起した物に刺激を加える。
ローションが乾く。オレは顔だけを画面に向けたまま、瓶から直接粘性の液体を亀頭にかけた。
画面の中ではというと、羽美から溢れる体液で動けば動くほどに腰の律動はスムーズになっていた。
319いいがかり姉さんDestiny:2005/04/23(土) 20:33:21 ID:tudjF6cm
調子に乗ったオレが羽美の膝を押し上げ、上から自分の物を叩き込んだ。
羽美の肛門と、二人の結合部が丸見えになっていた。
オレの物がピンクの亀裂を左右に割って、タマの辺りまで押し入る。
引き抜けば竿の部分が羽美で濡れており、尿道の形に陰影が生じているようだ。
また羽美の中に埋もれる。奥まで侵入させて一旦動きを止めると、羽美が喜びの声を上げた。
『深い……深いよぅ……』
ちょうど彼女の内部では襞がオレに細かく絡み付く。ベッドのスプリングを利用して何度も何度も叩く。
オレの動きと、それに同調した羽美の喘ぎ声とが徐々に切羽詰まって――
現実のオレが達したのとほぼ同時に、画面の動きと音声が止まった。
タマが僅かに上下する。しばらくしてオレは腰をシーツの上に下ろし、深い息を吐いて画面から離れた。
花弁の間から、白く粘った滴がどろり、とこぼれ落ちる。
オレは画面の外で自分の始末をしながら、感慨深くそのエロティックな光景を凝視した。
画面の中ではオレが膝歩きで羽美の顔へと駆け寄り、彼女の肩を優しく叩く。
気怠そうに羽美が半身を起こすと、大量の白濁液が彼女の中から溢れ出てシーツの上に液溜まりを作った。
320いいがかり姉さんDestiny:2005/04/23(土) 20:33:57 ID:tudjF6cm
結局さらに後背位で一回、屈曲位で一回ずつ羽美と交わり、最後に羽美から引き抜いた所で映像が途切れた。
オレは暗い部屋で茫然と画面の青色を眺めていたが、やがて満足な気分で立ち上がる。散らかした紙屑や
ローションの瓶を片付けて回った。確かにオレは不精者だが、そんな物を人目に付く所に放っておく訳には
行くまい、といった程度の常識なら持ち合わせている。
天井から垂れ下がった紐を引いて電気を点ける。観始めた時は日も高かったが、今やカーテンの外は
夕闇が支配する世界に変わっていた。
――我ながら中々素晴らしい映像だ。
つい不敵な笑みを口元に浮かべてしまう。
三度の絶頂、全て生で中出しだった。しかもその様子を映像に収める事が出来たのだから、これはもう
オレにとっては最高の経験だと言える。こんな喜び、チェリーボーイ共には想像も付かないだろう。
だが映像に関して言えば、若干改善の余地はある。
何と言っても、エロシーン以外の無駄な時間が長過ぎた。羽美の入浴シーンは外せないとしても、それ以外で
一回絶頂に達してからもう一度絡み始めるまでに結構な時間を費やしている。
愛の記録としてはこれでいいのかも知れないが、出来ればエロビデオみたいにセックスシーン連発の方が
欲求不満の解消には適している。せっかく巷のエロビデオよりも興奮できる映像なのに、これでは勿体無い。
となれば何が必要か――そう、映像の編集だ。
撮った映像はそれ単体で保存しておくとして、抜き用の自家製裏ビデオを作っておきたい。それには――
DVDプレイヤーのHDD上じゃなくて、キャプチャでPCに取り込んだ方がいいだろう。
その方が圧倒的に簡単だし、しかもこれから増えて行くであろう大量の映像を圧縮データで保存できる。
さらにネットの接続環境を整えて、オレのを打ち込まれて泣き叫ぶ羽美の様子を全世界に流してやるのも、
もし別れ話になった場合の報復措置として使えるだろうし――
PCを買おう。そしてその金は羽美に出して貰おう。
あの世間知らずなら、「君がオレの家でネットが出来るようにするから」とか言えばホイホイ金を出すだろう。
自分の恥ずかしい姿を全世界にバラまく事になるかも知れないというのに。
馬鹿な、女だ――
321いいがかり姉さんDestiny:2005/04/23(土) 20:34:37 ID:tudjF6cm
玄関の扉を叩く乱暴な音が唐突に聞こえた。日曜の夕方に来訪者だ。
こんな時間に来るなんて、少なくとも表に出て応対していいタイプの相手じゃない。
オレは急いで画面を消し、居留守を決め込もうと押入れに向かう。子供がよく使う手だが、幸か不幸か
家の押入れには家財類が少ない上にオレの体格が小さい為、簡単に身を潜める事が出来るのだ。
が、その前にDVDとハ●ディカムが付けっ放しになっていた事を思い出した。
消してしまわないと物音で居留守がバレてしまうかも知れない。
慌てて引き返しAV関連の電源を全部切った。それから再び押入れに向かったが、
――遅かった。
押入れの引戸を開け、頭を突っ込んだ所で扉が破られた。傍若無人な足音が背後から迫る。
――土足で上がり込んだな。
上半身を潜り込ませた所で、オレは自分の体重を失った。手足が虚しく空気を掻く中、視界が百八十度回転する。
オレは頬に古傷のある、にやけた凶悪な犯罪者顔の男と感動のご対面を果たした。
初めての体験に感動しすぎて、声もまともに出ない。
「隠れん坊の場所が押し入れって、オマエ今年で幾つだ」
まあまあ、と犯罪者顔の後ろから、背広に身を包みメガネをかけた身形のきれいな男が取り成す。古傷男と同様の
いやらしい笑いを顔に浮かべていた。
その背広がオレを向いて口を開く。爬虫類のように、どこまでも冷たく感情を読めない目だった。
「坪内地丹さんですね。あなたがトイチローンから借りた元利合計三百万、ウチで買い取らせて頂きましたよ」

天地がひっくり返るような一言だった。
――トイチローンって一体どこだよ?
――大体オレは三百万も借金した覚えはないぞ?
――精々ア●ムで二十万とか三十万とかそれくらいだ。
――桁違いじゃないのか?
色々と聞きたい事が頭の中に浮かんでは消えた。だが男二人組みに気圧された所為か、身体が強張って
頭の回転に付いて行かない。
古傷男に首根っこを掴まれたオレの前へ、メガネが平然とした足取りで近付く。
メガネは胸の内ポケットから一枚の紙切れを取り出した。
目の前に広げられたその現実は、オレに取ってまさに悪夢としか言いようが無かった。
322いいがかり姉さんDestiny:2005/04/23(土) 20:35:41 ID:tudjF6cm
――借用書 金参百萬三千ニ百八拾円也
――返済期限 融資開始日より百日以内

視界に捉えた六畳一間がぐにゃりと歪む。気持ち悪い。吐き気がする。
口が利けない。ヘビに睨まれたカエルの心境というものを、オレは生涯で初めて理解した。
「消費者金融が貸してくれなくとも、トイチなら相手してくれるんですね」
穏やかな口調でメガネが言う。穏やかであったが故に、却ってどす黒い不気味な迫力を感じた。
「毎月五十万の新規借り入れ、利子は十日で一割。三回の借り入れがあって、初回の借り入れから今日で
百日になります。そうするとこの金額になるんですね」
マーブル模様の六畳一間を背景に、メガネは目以外の部分で微笑んだ。怖い。
「オマエどうするんだ。このままだと利子だけで毎月百万近く払わなくちゃならねぇぞ。
 見た所オマエ働いてないようだから、返す当てもなさそうだな」
この時、少しでもオレに度胸があれば良かったのかも知れない。
オレじゃない、オレはここ三ヶ月どこの金貸しにも相談に行っていないと主張できてさえいれば。
だが天から降って湧いたような事態に、冷静に対応できる人間なんているんだろうか。
少なくとも、オレはそんなタイプじゃない――
「まあ月並みな台詞だとは自分でも思いますがね。地下帝国と腎臓と、どっちが宜しいですか?
 地下帝国だと月あたり百万円返済として扱いますが」
それだ――目の前に光明を見出したとばかり、オレは叫んだ。
「それ、それだ!三ヶ月あったら全額返せるだろ?」
古傷とメガネが顔を見合わせて、それから爆笑した。オレは大真面目なのに、一体何が可笑しいんだ?
ああおかしい、と古傷が目尻を拭いながら言った。
「オマエ、地下に潜ったら利子がチャラになるとか思ってるのか?つくづくお目出度いハゲだな。
 オレは言ったぜ、このままだと利子だけで月に百万近くなるって」
その通りですよ――メガネは笑顔を消しつつ、フレームの眉間を指で押し上げた。
「最初の一ヶ月であなたの返済額は五千九百十四円。あなた何年地下にいるつもりなんですか?」
オレは冷静な頭を取り戻した。こう見えて計算はオレの得意分野だ。
毎月の元金返済分を多めに見積もって六千円としよう。そうすると借金が三百万円だから――
323いいがかり姉さんDestiny:2005/04/23(土) 20:36:14 ID:tudjF6cm
――五百ヶ月以上?!

カイジで読んだが、地下帝国建造なんて今時外国からの出稼ぎ労働者でも嫌がるようなキツくて厳しい
仕事だ。それを四十年以上続けたとしたら、オレの身体が持つ訳が無い。
ハッキリ言って殺される。それに残りの一生を何の楽しみもない、日の当たらない場所で過すなんて――
正直な所、もう一方の選択肢が魅力ある物に見えて来た。心が揺れ、考える時間が長いのか短いのか
自分では良く判らなかった。
「――腎臓なら」
二人の目に、興味ありそうな反応が見えた。もしかしたらと思って、オレは訊ねてみた。
「腎臓なら、一個幾らで買う用意がある?」
しばらくオレの顔を物珍しそうに眺めたと思うと、メガネは古傷に近付いて何やら耳打ちした。
「一個四百万からだが――いいのか?何ならもう少し上乗せしてやってもいいぞ」
「ご――五百――まん」
震える声で何とか希望額を告げた。
いいのか――古傷がメガネを振り向いて尋ねる。オレの口には唾が溢れ、何とか飲み下す。
いいでしょう――メガネが落ち着いた声で言った。オレの喉がごくり、と鳴った。
「まさか本当に腎臓を売るなんて言い出すとは思いませんでしたよ。そうなると手術の段取りが――」
急いでくれ、とオレは手足をバタバタさせながら訴えた。早くしないと利子で百万近く取られてしまう。
古傷もメガネも困った目でオレを見ていた。
「オマエらわざと手術の時期を引き延ばして、利子で百万ぶん取ろうって魂胆だろう!ドロ――」
古傷が慌ててオレの口を塞いだ。最初からこうすれば良かったんだ。
メガネが商売人の笑顔を作って、オレにお辞儀をした。
「判りました。もし今夜空いてる医者がいたらどうします?やりますか?」
オレは首を縦にコクコクと振った。善は急げだ。
これで今度こそ借金ともおさらばだ。余った金でPCを買ったら、羽美のエロシーンを何枚もDVDに
焼いて新大久保の路上で売って生活の足しにしてやる。それ位はしても罰は当たらないだろう。
あの女オレをハメやがって。借金を消してキレイな身になったら、覚えてやがれ――
324いいがかり姉さんDestiny:2005/04/23(土) 20:36:51 ID:tudjF6cm
黒い車に坪内地丹が乗せられる様子を、私は弟切荘の階段の下から見ていた。
別に彼が心配だったからじゃない。それ処かあいつなんて恋人でも何でもない。
そうじゃなくて、あいつの最期を確かめに来たの。
そもそもこんな事になったのは、あんたが私にいいがかりを付けたのが悪いのよ。
大体出会いの場面からしておかしいでしょ?
自分がいいがかりを付けた相手が、わざわざ恋人になりたがるはずがないじゃない。
それにチビでハゲだけならまだしも、働きもせず女の稼ぎだけで食おうとする男を好きになる女なんて
どこにもいない事くらい、普通に考えたら判る筈でしょうに。
裸エプロンも疑わなかったし。あれものすごく恥ずかしかった。
いきなり挿れられてちょっと痛かった。それをあいつ、私が感じてるって思い込んで動き早くして。
私が喜んでたかどうか、イッたのが演技かどうかも見抜けないんだもの。
私いつもエッチの後でぐったりしてたでしょう。あれ終わってくれてホッとしてたの。
本当に下手よね。おまけにすぐに中に出したがるし。
一週間前仕方なく許してあげたけど、あれは私にとっても予想外の悪夢だったわ。
チビでハゲでブサイクなおっさんの精液が私の中に――思い出しただけで吐き気がする。
ここだけの話、あの日家に帰ってから無性に泣きたくなった。
しかもエッチの様子をビデオに収めて、一人エッチのオカズにしてたみたい。まじサイテー。
もっともあれで身体の相性が良くて、私が離れられなくなってしまうのもゾッとしない話だけど。

それを何とか我慢して三ヶ月も付き合ってやったのは、あいつが自滅する姿を見たかったから。
でもまあ、それも今日で終わり。明日からまた適当にバカな事言ってれば、私が裏でどんな事
してたのかママや翔太にも想像出来ないだろうし。
今だから告白しちゃうけど、私あんたの名前で月五十万トイチで借りてたんだ。総額百五十万円。
最初の月はあんたがア●ムから借りた分の返済に当てて、次の二回は生活費という事で。
ごめんね、月に十五万しか生活費渡さなくて。けどあんた、他にも十万近くせびってたよね。
ううん別に怒ってないわよ、元はあんたの金だもの。
それよりさ、元は百五十万円の借金のために腎臓売るなんて言い出して、あいつ本当に馬鹿よね。
地下帝国の方がよっぽどマシなのに。
325いいがかり姉さんDestiny:2005/04/23(土) 20:37:40 ID:tudjF6cm
教えてあげようか?
地下帝国で仮に月百万円ずつ返す場合、確かに最初の月は利息と相殺されて六千円も返せないわ。
けどその条件で返済を続けて行けば、三百万円の借金を何ヶ月で完済できるか分かる?

正解は十八ヶ月――つまり一年半でいいのよ。

もっとも地下帝国に一年半もいたら狂うかも知れないけどね。健康にも悪いだろうし。
それでも腎臓より遥かにマシな選択肢よ。
だって腎臓を取る側に立って考えてごらんなさいよ。
腎臓を取った後、そこに寝転がっているのは何だと思う?
もう一個の腎臓、肝臓に心臓、角膜も揃った臓器バンクなのよ。
しかも相手は麻酔が効いていて無抵抗。取るのに同意を求める必要もないわ。
腎臓の代金も踏み倒せるし、あいつの口から臓器売買の話が漏れてお縄になる危険も減らせる。
口封じの為にも、どうせやるなら徹底的に――だから腎臓一個で済む訳ないのに。

そうそう。ハ●ディカムとDVDデッキ、持って帰らなくちゃ。
アレのシーンが人目に触れたら私もヤバいもんね。速攻でデータ消さないと。

全身顔まで黒のボディスーツに身を包んだ私は、車が去ったのを見届けてから足音を立てずに階段を上り、
あいつの部屋に侵入して手早くハ●ディカムとDVDデッキを梱包する。
三十二インチは持って帰れないので諦めよう。その代わりカメラとデッキは家で有効利用してあげるわ。
用事を済ませた立ち去り際、私は覆面を一旦脱いで――
二度と主の戻らない散らかった六畳一間を振り返った。

――さよなら


<<終>>
326初代スレ396:2005/04/23(土) 20:38:44 ID:tudjF6cm
えーと。劇中で羽美ちゃんの言葉を借りた説明がありましたが、あれは本当です。
地下帝国で返済コースを利用した場合の期間ですが、自分で計算してみて結果に驚きました。
残金二百万円辺りを境に、それまでの苦労が嘘のようなスピードで償却できます。
ちなみに月々の返済額が九十万でも百十万でもバランスが崩れて、話的に面白くなりませんでした。
興味のある方はどうぞご確認下さい。●xcelで充分出来ます。

……って、エロに力入れろよ自分!ここエロパロ板だろ?!

ついにさよなら絶望先生の連載が始まりますね。
もう早売りは出てるんでしょうか?非常に興味があります。楽しみです。水曜日が待ち遠しい…
327名無しさん@ピンキー:2005/04/23(土) 22:58:33 ID:G2ydjWFM
GJです 画面右にワード 左にエクセルを開き執筆の模様が目に浮かびます
328名無しさん@ピンキー:2005/04/24(日) 02:42:31 ID:b2sCTXRp
黒い話はやめてくれ
こういうのはグロスレで頼む

途中までは面白かったけど、いくら改蔵ネタでもこれはダメだろう
329名無しさん@ピンキー:2005/04/24(日) 14:20:06 ID:lltlC0ma
>>328
>>308
自己責任な
330名無しさん@ピンキー:2005/04/24(日) 16:12:54 ID:2bCgnOuj
>328
このスレの一番最初の作品(初代スレの、な)のダークさはこんなもんじゃなかったぞ。
オレは本作品、結合中田氏あたりが実につぼに来たので文句なしだな。
331名無しさん@ピンキー:2005/04/25(月) 19:05:02 ID:PE8GWxD+
77氏は、おそらく上司にばれて二度と書き込めなくなってしまったのでわ、
といってみるテスト。
332名無しさん@ピンキー:2005/04/25(月) 19:38:20 ID:pgmYd4gR
77氏だって、会社のパソコン以外に家にパソコンあるだろうと言ってみる。
再受験生は忙しいからな。
333名無しさん@ピンキー:2005/04/25(月) 20:10:56 ID:XbW42k6X
あと最近見かけないが小噺氏もな。
俺あの人の小気味いいエロギャグ大好きなんだが、最近顔を出してくれなくて寂しい…
334名無しさん@ピンキー:2005/04/26(火) 23:31:38 ID:Ms2EQDzy
鬱が悪化してるんかもな・・・鶴
335名無しさん@ピンキー:2005/04/27(水) 16:54:14 ID:/d7DyTi6
連載記念age
336名無しさん@ピンキー:2005/04/29(金) 01:56:42 ID:LJMJc+mM
さすがにまだ絶望先生ネタは無理かね
337元229:2005/04/30(土) 16:50:29 ID:1idOEyIR
〜桃色ガヴリエルの下で〜

「桃色係長。」
その娘は、右手の人差し指を立てつつ笑顔でそう言ったのです。あゝなんという事でしょう。
「私これからあなたのこと桃色係長って呼びます。」
「か…勝手に呼ばないでください!」
私は蒼白になりました。そんなグラマー喜劇みたいな名前で呼ばれたくありません。
「私が桃色係長なら、あなたはいったい何なんですか?」
「私ですか?私は当然、『桃色女子高生』に決まってるじゃないですか。」
「も、ももも、ももいろぢょしこうせい…」
私はその単語に反応し、思わず鼻血を出しました。
そうです、人間というのは弱い生き物なのです。対象物をそれ自体として先入観なく見ることはできず、
それに貼ったレッテルによって強力に印象が左右されてしまうのです。
彼女が自分に『桃色女子高生』と名づけたせいで、私はどうしてもその娘をその手のエロい対象物として
しか見られなくなってしまったのです。
「わあ、すごい鼻血ですね桃色係長。私を見てエッチなこと考えたんですねっ?」
彼女は臆面もなくいいながら微笑みます。私は恥ずかしさのあまりもう一度首をつろうかと考えました。
しかし彼女はなお言うのです。
「その反応、あなたきっと童貞ですね?すばらしいわ、今時その歳で童貞の方がいるなんて。」
「い、言わないでください!『顔が改蔵とほぼ同じなのに童貞なんておかしいじゃないか』なんて言わな
いでください!」
「誰も言ってませんけど。いいじゃないですか、私だってバージンなんですから。」
「う、うそだ、うそに決まってる!!」
「ほんとですよ。それより、ほら、ちょうど今日は下着も桃色なんですよ。」
その娘はそういうとセーラー服の紺のミニスカートをめくり上げたのです。
なんということでしょう、両脇が紐になったそのパンツは、確かに桃色、というか桜色であったのです。(つづく)
338元229:2005/04/30(土) 16:52:30 ID:1idOEyIR
私はもう我慢ができなくなりました。
そして、私の隠し所は強く反り上がり、袴の股間の前部分を強く押し上げてしまったのであります。
「ああ桃色係長が私に欲情している…すばらしいわ!」
そして彼女は私を押し倒し、私の袴を無理矢理下ろしたのです。そして私の勃起を見て言いました。
「わあ!さすが童貞さんですね、奇麗な色…そう、これも名前をつけましょう…そう『桃色つくしんぼ』
がいいかしら!?」

『 桃 色 つ く し ん ぼ 』
ああああああ。私は目の前が絶望で桃色一色になりました。
「そ、そんな…ならあなたはどうなのです、あなたのアソコはどんな色で何という名前なのです!?」
すると彼女はにっこり笑って自分のパンツの紐を両側とも解いたのです。
「あなたが名前を付けてください…さあ、桃色ガヴリエルの下でお互い初体験しましょう!!」
そして彼女は脚を開き、私に跨がり、私のものを自分のそこに押し込むようにしてくわえこみました。
彼女のそこは、満開の桜の花と同じ色をしていました。そしてそこは今濡れて、私の桃色つくしんぼを
中に収めて締め付けているのです。私は快感のあまり、それに名前を付ける余裕などありません。
「あ、ああ、桃色係長…いいです、イッちゃいます…」
そういいながら腰を振る彼女に耐えかねて、私はあっという間に昇天してしまいました。
数秒も経ずに冷静になった私は言いました。
「はあはあ…な、なにが私はバージン、ですか、血も出なければ痛がりもしなかったじゃないですか!」
「あははー。私、中学のときに部活で激しく動いたら生理でもないのに血が出ちゃいまして。あちゃー破
けちゃったーって思いまして。だから今回、出血はないだろなって予想はしてたんですよ、あははー。」
「あははーってあなた…てか、別作品からのコピペで手を抜かないでください!ああ、絶望した!!女子
高生まで平気で純潔を捨てて笑っている世の中に絶望した!!」
私は泣いてそう叫びながら、私のほうから彼女を押し倒すと、腰を激しく突き立て動かしていたのです。
どうせ死ぬのなら縊死より腹上死と思ったのですが、娘の方は実に気持ちよさそうでした。
桃色ガヴリエルは、私たちのそんな行為を咲き誇る花々でもって見下ろしておりました。

(つづきません。)
339箱庭のある情景 第4話:1:2005/04/30(土) 16:55:58 ID:1idOEyIR
ナースセンターの角、小さなテーブルを囲んで看護師達がお茶会をしている。亜留美もその輪の中だ。
「でも、亜留美ちゃんも無茶するわね。」
「あははー。」
「…で、どうだった?地丹くん。」
「なにがです?」
「いや、だから…アソコの具合とか、テクニックとか色々と。」
「おっきかったですよー。ビックリしちゃいました。」
それはちがうわよ。しえは思う。しえは拘束衣を着て動けない地丹のしびんを替えてて勃起させてしま
ったことがあるのだが、思ったより少し大きいかな、くらいなものだった。
(地丹が『ごんぶと』だというのは、改蔵が作り出した箱庭設定である。)
亜留美にとっては、初めてだったから大きく感じられただけなのだろう。
「出ちゃうまで何分くらい保ったの、彼?」
「えっと、一回目は、30秒くらいかな…二回目は2分くらいかな?」
「早いわね。」
「仕方ないわね。」
「ま、そんなもんかしらね。」
先輩看護師達は、自分達同士で納得する。なんか今日は暇で、ナースコールも全く鳴らない。
「でもさぁ、いいの?地丹くんなんかと…その…しちゃって?」
「いいんですよー。」
「ふーん…」
少し会話が途切れる。怪訝そうな亜留美。少ししてから独り言のように言う。
「おっかしいなぁ…みんな訊くんですよね、『地丹くんなんかとSEXして平気なの?』って。そんな
に変かなあ…ねえ神崎先輩?」
「へ?私?い、いや、変じゃないけど…初体験って、もう少し相手を選ぶもんじゃないの?普通。」
「地丹くんが初体験の相手じゃ、変でしたかね?」
「…いや、まあ…てことはさ、亜留美ちゃん…あなたも地丹くんの事、好きなわけ?」
「え?」
340箱庭のある情景 第4話:2:2005/04/30(土) 16:57:14 ID:1idOEyIR
「単に献身的に身も心も捧げて患者さんを治したい、ってだけじゃ出来ない事でしょ、違う?」
亜留美は意味が判らないらしく、きょとんとしている。
美智子はそれ以上は突っ込んだ質問はしないことにした。
経験から無意味だと知ってるのだ。
亜留美が配属前に研修に来た当初は、美智子もしえも他の看護師たちも、亜留美の男性関係や経験に興
味を持ってお茶会や飲み会で突っ込んで訊きだそうとしたものだ。なんせかなり可愛いし、こういうき
ゃぴきゃぴ系の看護師がこの病棟に来るのは初めてだったからだ。
しかし何を訊かれても、亜留美は『あははー』と笑うかきょとんとしてるかで、要するに質問にちゃん
と答えなかった。最初ははぐらかしてるのかと思った先輩看護師達だが、何回か質問するうちにわかっ
てきた…亜留美は、その手の質問に答えられるだけの経験をした事がないのだ。
亜留美が今までSEXの経験がなかったどころか、本格的な恋愛の経験もないことは間違いなかった。
先輩たちの濃い恋愛談義にも全くついていけないのもそのせいらしかった。

病棟の廊下で、よし子が『授業』をしている。生徒は地丹と若先生の2人だ。
よし子は一種の異能児で、実際に高校生に授業をする知識と才能を持っている。ただそれでいながら、
自分が実際には7歳児でここは病院内だという事実に関しては認識できていないのだが。
彼女は若先生の重要な研究対象で、なぜこんなアンバランスな精神の持ち主になったのかをこうして授
業を受けてるフリをしながら調べられている。
もちろん地丹はそんなことは知らない。しかも今は授業を聞いておらず、椅子に座ったままニヤニヤし
つつボッキさせている。どうやら、今夜どうやって亜留美を攻略するか妄想してるらしい。
「では、今日の授業を終わります。起立、礼!」
よし子は自分で言うと、ぺこりと頭を下げて自分の部屋に入る。小さなセーラー服がひるがえる。
地丹の脳内ではここから放課後だ。よし子の病室前から、箱庭の部屋に移動する。
いつもなら科特部の部室(に行ったつもり)ですず、亜留美(改蔵と羽美がいなくなってからは正式に
科特部員になってる)とムダ話をしつつ時を過ごすのだが、今日は入ってきた亜留美にすぐ声をかけた。
「亜留美ちゃ…いや先輩、今日は帰りましょう。」
341箱庭のある情景 第4話:3:2005/04/30(土) 16:58:43 ID:1idOEyIR
彼女がきょとんとしていると、すずが小声でささやいた。
(部室前であなたを待ち構えていた、って設定らしいわよ。早く帰ってエッチしたいんでしょ、きっと。)
亜留美はああそうかという顔になる。そして言う。
「こら、一緒に帰ると怪しまれるからいつも別々に帰ってるじゃないの。ね、また街でお互い時間をつ
ぶして別々におうちに帰るのよ、判った後輩クン?」
「はーい先輩。」
地丹は素直にそういうと、箱庭内で自分の人形を学校から街の中へと移動していった。
「なんだよ全く一人だとつまんないな…そもそも、改蔵と羽美ちゃんが黙って転校なんかするから…」
例の口癖を言いつつ、人形を鉄道喫茶や鉄道グッズショップに短時間だけ立ち寄らせる。そしてすぐに
自宅位置に移動させ、箱庭の部屋を走るようにして出て行った…自分の病室へ向かったのだ。
「あらあら、早い帰宅だわね。早くあなたとエッチしたくて仕方ないんでしょうね…。」
すずがそう言うと、亜留美はちょっと顔を赤らめた。が、すぐに地丹の後を追う。
「じゃ、先生、私…地丹くんとセッ…あの…彼の治療をしに行きますね。」

<以下、箱庭世界>
ただいまーと亜留美が帰宅。いつも通り、そのまま直接地丹の部屋に入ってドアに鍵をかけた。
地丹は、昨日は2回とも結局は必死で何がなんだかわからないうちに始まって終わってしまったので、
今日は冷静に色々試しながらやってみるつもりでいる。
まずは彼女の制服を思い通りに脱がせてみよう。
学校指定のセーターを脱がす。ついで、ぎりぎりまで短いスカートを…脱がさず、めくり上げてパンツ
を脱がせる。アソコがあらわになった。彼女は制服を来たまま外性器を地丹に見せていることになる。
「な…地丹くん、これ、何かイメクラの制服プレイみたいだよ?」
「何でイメクラなんて知ってんだ亜留美ちゃん。てか、いつもやってることじゃん。」
「そ…そうだね、確かにそうなんだけどお…」
亜留美はそう言っておとなしくなった。
外陰部をなめてみる…ほのかに石鹸の味。ひく、ひく、と蠢く。そして濡れてくる…滲み出てくる雫。
342箱庭のある情景 第4話:4:2005/04/30(土) 17:02:39 ID:1idOEyIR
頃合いを見てブラウスを脱がせる。チューリップ柄のブラをめくり上げる…『隠れ巨乳』が、ぼよよん
と弾けるように開放され、元気いっぱいに揺れる。乳首を吸うと、それは堅くなり突き出してきた。
「やあ…ん、もう…ねえ、早く…う…」
そうかそうか、もう前戯はいいっていう意味だよな。地丹は、紺のソックスを履いている以外は全裸状
態にした亜留美の太股を両腕でぐいっと広げ、せっかちに挿入した。
で結局、地丹は今回も2分持たずに出そうになってしまった。自分で手で刺激するのとは違う、膣内と
いう環境の熱くぬるぬるした気持ちよさがわかるようになってきたのだ。
「あ、亜留美ちゃん…だめだぁ…でちゃうよぉ…」
「…ね、出して、いっぱい…あ、イク…イク…イッちゃう…」
どくっ、どくっ、どく…射精の満足感と、大好きな女を自分のものにしているという征服感。
ふう…とため息。地丹はささやいた。
「好きだよ、亜留美ちゃん…」
亜留美は、なぜかちょっと意外そうな顔をした。

<以下、病院内>
モニタでの監視を中断したすずの診察室に婦長が来訪。すず自らお茶を入れて菓子も出しつつ訊く。
「で、どうでした?」
「はい、だいぶ収入も安定してきたみたいです。あそうそう、羽美ちゃん大検(大学入学資格検定)を
受験しなおして、今度はほぼ間違いなく受かったみたいですよ、改蔵くんとの答え合わせだと。」
「ほんと?良かった。」
「これで二人そろって大学にいけますね。」
お茶を飲む婦長。彼女は改蔵と羽美の部屋をたまに訪れ、退院後のケアをしているのだ。
本当はすずが自分でやりたいのだけれど…しばらくは会えない。
それは、あの箱庭世界で密接にかかわった人が現実世界でしばしば顔を会わせるようだと、『むこうの
世界』に引き戻される…つまり病気の快復が無になってしまう可能性を危惧しているからだ。
婦長も確かにあの箱庭世界に『地丹の母親』役で出てきた(現在も出続けている)。しかし改蔵・羽美
とは接点が薄かったので、この役を任されているのだ。
343箱庭のある情景 第4話:5:2005/04/30(土) 17:05:49 ID:1idOEyIR
ちなみに、改蔵たちの消息を知りたがってる看護師は多いが、そんな理由もあって、すずは彼女らには
二人の現状は詳しくは教えていない。尋ねられると「さあ…うまくやってるんじゃないの?」とかあい
まいに返答することにしていた。
さて。改蔵と羽美は現在、この病院から程近いアパートの一室を借りて同棲生活をしている。
婦長によれば、二人は、午前中はアルバイトをして午後は予備校に通う生活をしているらしい。
改蔵は春の大検にあっさり合格してしまっていた。羽美は同時に受験して不合格だったので…秋の大検
に備え、大学の夏期講習とかにも参加して頑張っていた。夏期講習キャンパスには、改蔵も大学受験に
備えるため一緒に行き、例によって学生達の会話に蛇足的な突っ込みをいれたりしたらしい。
『羽美ちゃん「改蔵のあーゆー性格、病気と一緒に治して欲しかったのに」って愚痴ってましたよ。』
それが婦長が前回に彼らの元を訪れた際に聞いてきて、すずに伝えた伝言だ。
話を戻そう。
「そうそう、面白い話があるんですよ…実はですね、彼らのアパートの隣の部屋に住んでるOLの人と
話す機会があったんですけど、なんかその女性、あの二人の夜の生活に結構詳しかったりするんです。」
「あらあら。どうも壁の薄いアパートみたいですしね。」
「で、二人のいないときを見計らって、改蔵くんと羽美ちゃんが引っ越してきた日の夜の事をそのOL
さんにさりげなく訊いたら、彼女もう『待ってました!』とばかりにぺらぺら話してくれたんです。誰
かに話したくってしょうがなかったんでしょうね。」
婦長の目がきらきら輝いている。彼女もすずに話したくってしょうがないらしい。
「引っ越してきて挨拶のあった日の夜はですね、OLさんが壁にコップで耳を押し当てて聞いてたら…」
「あら、本格的ね。」
「隣の部屋では、会話して笑いあったりするのが20分くらいあってから、ふっと会話が途切れて…喘
ぎ声が5分くらい続いたなと思ったら『痛い痛い』って羽美ちゃんの声がして…『じゃあやめようか』
って言う改蔵くんの声がして、また元通り会話して笑いあうのが20分くらいあって、またふっと会話
が途切れて喘ぎ声が始まって…夜明けまで延々それを繰り返すだけで、結局できなかったんですって。」
「ふんふん…それで?」
344箱庭のある情景 第4話:6:2005/04/30(土) 17:06:45 ID:1idOEyIR
「で、次の晩も同じパターンだったんですけど…何回目かの羽美ちゃんの『痛い痛い』に対して、改蔵
くんがやめなくなったんですって。ガマンできなくなっちゃったんですね。で、そのOLさんが壁に耳
を押し当ててハラハラしてたら、羽美ちゃんの『痛い』が急に止まって改蔵くんの『ごめんな』って声
がして…翌朝に顔を合わせたら、二人はラブラブでベタベタだったんだそうです。」
「ふふふ。」
「でも次の日も羽美ちゃんは痛がってたらしいんですけど、さらにその次の日には感じるようになって
来たらしくって…OLさんは『いいところなのにちょっともったいないなあ』と思いながらも、以前か
ら計画してた3泊4日の香港旅行へ行ったんだそうです。」
「たしかにそれはもったいないわね。」
「ですね。で、帰ってきたら、夜には隣の部屋からはすでに…羽美ちゃんの悦びの声が何度も何度も聞
こえるようになってたんですって。」
「今も仲良くしてるのかしら?」
「みたいですよ。あまりにも毎晩仲良く愛し合ってるんでそのOLさんもあてられて、ケンカしてた元
カレとよりを戻して、今ではこちらは週一ペースで楽しんでるそうです。」
すずは微笑んだ。色々これから苦労もあるだろう。けど、あの二人の上に確かに幸せは訪れているのだ。
そこにインタホンの看護師の声が。
『彩園先生、隠しマイク音声だと、そろそろあの二人、今日2回目を始めそうな雰囲気ですよ。』
「あらそう…婦長さんごめんなさい、続きはあとで聞かせてね。」
婦長も興味深そうに身を乗り出す。思いついたようにインタホンに向けて言う。
「山田さん、あなたも一緒に見たくない?ここに見に来ない?」
インタホンから『山田さん』のくすっという微笑。婦長が『あそうか』という顔になる。
「あ、ごめんなさい山口さん。いやだわ、私ったらまた旧姓で呼んじゃって…」
いいんですよとインタホン。苗字が変わったのは2年以上前なのだけれど、たまにまだ間違われるのだ。

すずの机上のiMacの1ウインドウに見える、服を脱ぎだした地丹と亜留美。地丹はパンツを下ろす
所だ。彼の勃起したものがびょん、と元気いっぱいに跳ね上がるのが、液晶画面に映し出された。
<以下、箱庭世界>
地丹はパンツを下ろす所だ。彼の勃起したものがびょん、と元気いっぱいに跳ね上がるのが、亜留美の
視界にとび込んできた。何でそんなに元気なの、という表情を浮かべる亜留美。
なんせ、地丹は早く2回目を始めたくって仕方なかったのだ。
引きこもり状態で同じ部屋にずっといる亜留美が、ノーブラで丈の短いキャミソール姿ですごしている
わけで…ちょっとこっち向きで屈んだだけで綺麗なピンクの乳首が見えるし、素足の太腿は露わなまま
だし、木綿のパンツのお尻はおいしそうだし、近くにくるとシャンプーと石鹸のいい香りがするし…。
地丹は今回は、灯りを落とさずに亜留美のパンツを脱がせた。さすがに困ったように言う亜留美。
「やだ、明るすぎるよぉ…全部見えちゃう…」
「なんだよ、いつもこうしてるじゃないか。」
「…まあ、そうなんだけどぉ…」
亜留美はそうつぶやくと、恥ずかしそうに両脚を開いて陰部を地丹にさらけ出した。
明るい所だと、こんなに細かいとこまで見えるものなのか…地丹は少しビックリ。
亜留美の割れ目の両側は全くの無毛ではない事がわかった。肌のほかの部分(太腿とか)と比べるとほ
んの少しだけうぶ毛が長くて濃いのだ。
地丹は割れ目を押し広げてみた。
まだ全く色素の沈着してない色鮮やかな粘膜の襞と二つの穴。まるで薄桃色の和菓子細工――ちょうど
『すあま』で作るとこんな感じか――のような、美しく、可愛らしく、そして淫らな造形だ。さらに広
げると、破れかけの処女膜も良く見える。
いじってみる。繊細に反応しヒクつく。恥ずかしい突起が肥大してくるのも、下の穴から透明な液が滲
み出してくるのも、実に良く見える。地丹はお尻の穴も触ってみた。こっちもピンク色で実に…
「ちょ、ちょっと、ねえ地丹くん?ほんとに…そんなことも前からしてたっけ?」
「してたよ、何言ってんだよ亜留美ちゃん。」
「そ、そうだっけ?そうだったんだ…そうかなあ…」
それきり黙る亜留美。地丹は調子に乗って、肛門から膣口にかけてのあたりを舐めて味わい始めた。

つづく
346元229:2005/04/30(土) 17:13:35 ID:2meQ1pgC
ども、ID変わりましたが元229です。
混乱したかもしれませんが、「絶望先生」のエロパロを書いたのを先にもってきて、そのあとに
「箱庭のある情景」を何の予告もなくいきなり開始しました。ちょっと急いだもので、すみません。

箱庭〜の次期投下はGW中に出来ると思います。
では。
347名無しさん@ピンキー:2005/04/30(土) 18:50:26 ID:DLwhOt7W
さっそく可符香ちゃんでヌキました。
348名無しさん@ピンキー:2005/04/30(土) 22:43:10 ID:40aXkS5c
GJ!桃色係長、太宰の短篇みたいで面白かったです。
桃色つくしんぼ…つくしんぼ…つくし…(ツボにきた)

>>339
借入
a1:=500000(借り入れ初日)
a2:=a1*1.1^3+500000(三十日目元利+新規借り入れ、元本計1,000,000)
a3:=a2*1.1^3+500000(六十日目元利+新規借り入れ、元本計1,500,000)
a4:=a3*1.1^4(百日目元利合計、元本計1,500,000)で\3,003,280
ここまでが借り入れ分、以下は返済
b1:a4*1.1^3-1,000,000(一ヶ月目)
b2:b1*1.1^3-1,000,000(二ヶ月目)
b3:b2*1.1^3-1,000,000(三ヶ月目)
    (中略)
b18:b17*1.1^3-1,000,000(十八ヶ月目)でマイナス\49,903、完済
繰り返し計算は縦または横ドラッグで代用可、というかドラッグお勧め。
349名無しさん@ピンキー:2005/05/03(火) 23:06:38 ID:OV3HAyxi
「ドラッグお勧め」ってそこだけ抜き出すとなんかやばい文のようだ…w

それはそうと職人皆さんGJです。
350名無しさん@ピンキー:2005/05/06(金) 23:09:55 ID:iqYcR6nn
>348
私、あなたの事をこれから『桃色経理課長』と呼びます。
それとも『桃色ローンマネージャー』がいいですか?
351元229:2005/05/07(土) 16:37:18 ID:L8ZOOVrY
まだGW内にいる元229です。

>348
うー、何かエクセルの設定が悪い(桁を丸めてる?)のか合いません…GW明けにエクセルを
詳しい人に聞いてみよう。
でも、「これなんの計算式?」って訊かれたらどうしよう。まさか「トイチローンを地下帝国
で返す計算式だよ」って言うわけにも…まあこちらの設定のせいですので、あとはいいです…。

まあそれとして。
私はやっぱ短編の方が性に合ってるのかもしれません。なんかノリもよかったですし我ながら。
でも、連載は、まだまだ入れたいエピソードがいっぱいあるので続きます。
恐らくこの連載が終わる頃には、絶望先生でそれなりの分量を書けるだけのネタもたまるでしょう。

では。短い、5レスの分量です。
352箱庭のある情景 第5話:1:2005/05/07(土) 16:38:54 ID:L8ZOOVrY
お尻の穴を地丹に舐めさせていた亜留美だったが、1分弱でとうとう耐え切れずに言い出した。
「ね、お尻は嫌…い、いつもしてるかもしれないけど…きょうはお尻はヤダ…ヤダ…ヤダってば!」
声に怒気がこもりだしている。アナル舐めはお気に召さないようだ。
まあいいや、挿れようか…地丹は覆いかぶさるとゆっくり結合部を見ながら挿入した。
「あ、あん、あん…」
彼女はまだ少し恨めしそうな表情のまま喘いでいる。明るい所で見る亜留美のおっぱいは実にやわらか
そうに揺れている。ホクロ、そして乳輪のほとんどない小ぶりな乳首がそれにあわせて上下運動する。
さすがに今回は地丹も5分ほど我慢できた。
スチールパイプ製のベッドを狂おしいほどギシギシ軋ませ、汗だくになりながら、地丹は亜留美の中で
卑猥な往復運動を繰り返す。亜留美ももう汗びっしょりだ。ちょっと苦しそうな表情。
肉棒をつきたてる角度を変えてみたり、リズムをかえてみたり、結合部が良く見えるような体位にして
みたり…地丹は終わりに近づいていった。膣内で出す直前のめくるめく気持ちよさに浸りつつ。
「あ、亜留美ちゃん…好きだよ…好きだよ…ああ、亜留美ちゃんの中、すっごくいい…もう…オレ…」
「…出していいよ…」
「あ…あっ!…あっ!…ああ…はあ、はあ、はあ…あ、亜留美ちゃん…はあ、はあ…」
地丹は亜留美に全体重をかけたまま喘いでいた。喘ぎつつ射精の愉びに浸りきっていた。

<以下、病院内>
亜留美がシャワーで汗びっしょりの肌を流していると、すずが様子を見にきた。気づいて亜留美がシャ
ワーカーテンを少し開けた。身体はそのまま洗いつつ、むくれた表情で彼女を見据えて言う。
「うう…先生、ひどいですう…」
「あら私?どうしたの?」
「だって、地丹くん、『いつもやってることだから』って言って、恥かしい事とかやらしすぎる事一杯
したんですよ…なんで偽りの記憶に、そんなことまでしてるって植えつけたんですか?」
「ちょっと亜留美ちゃん勘違いしてない?二人がどんなプレイしてるかとか、そんな細かな事までは記
憶設定してないわよ私は?」
「え?だって地丹くん、そう言って…」
353箱庭のある情景 第5話:2:2005/05/07(土) 16:39:59 ID:L8ZOOVrY
「あれは彼が勝手にそう言ったのよ。あなた地丹くんって子の事が判ってないわね、あの子は図に乗り
出すとあーゆー事を平気で言い出すのよ。」
亜留美は少し呆然としてるようだ。身体を洗う手が止まっている。
「そんなぁ…てっきり私、そういう設定だと…話をあわせなきゃって、恥ずかしいのをこらえて…」
「ふふふ。ま、男の子ってかなりの割合でそうなんだけどね。」
気を取り直したように亜留美は局部を洗いだした。石鹸の泡とは明らかに異なる乳白色のドロッとした
液が彼女の太腿を流れ落ちる。すずは言う。
「ね、もう、じかに出させるのはやめた方がいいんじゃない?はっきり言わないとダメよそこは。」
「あ、はい、そうですね、そうします…」
亜留美はそう言いながらお尻を洗う。どうやら舐め回されたお尻の穴が気になるらしい。
「だけど先生…ひどいですよね地丹くん…私の事を『好きだよ』ってまで言ったんですよ。」
「え?」
「いくらエッチを自分主導でやりたい、私の気を引きたいからって…図に乗りすぎですよね。」
「…それは図に乗っていったわけじゃないと思うけど…。」
「え?じゃ、あれは植えつけられた記憶だったんですか?」
「それも違うわ。」
亜留美はけして馬鹿ではない。お尻の割れ目に右手を挟み込んだまま、今の会話から論理的に導き出さ
れる事実に戸惑っているようだ。
「…なーんだ、そうだったのかー。地丹くん私の事好きだったんだ、あははー。」
「それとなくは気づいているかと思ってたんだけど…ほんとに全然気付いてなかった?地丹くんがあな
たに好意を持ってるって事?」
「…はい…」
「そう。今回のパートナーの選択は、そのことが決定的な要因だったんだけどね。」
亜留美はお尻の穴の石鹸を洗い流しながら、明らかに落ち着かない様子になっている。
「まあ、亜留美ちゃんはあまりその辺は考えないで。地丹くんがあなたをどう思ってるかは、それ程気
に留めないでいて欲しいの。治療にはそのほうが…今まで黙っててごめんね。」
354箱庭のある情景 第5話:3:2005/05/07(土) 16:41:00 ID:L8ZOOVrY
一応うなずいたが、顔はまだ戸惑ったままの表情だ。すずは訊いてみることにした。
「ねえ亜留美ちゃん…彼の、地丹くんからの好意を知ってどう?嬉しい?」
「わかりません。わかんないです。」
亜留美は真っ赤になった。

それから数日が過ぎた。すずは注意深く地丹と亜留美の仲を観察し続けている。
地丹は、亜留美が『いつもやってることだから』にごまかされなくなった事、そして急にスキン着用を
要求するようになったことに戸惑っているようだった。それが原因でケンカもしたようだ。結局今では
仲直りして、また二人は律儀に一晩2回の割合で交わりを重ね続けているのだが。それより、
『亜留美が地丹からの好意に気づいた』
という事実で、夜の病室内でどんな変化が起こるか。モニタの際の注意点はそこにある。
すずにとって、いや今回の治療にとって、亜留美が地丹にどんな感情を持つようになるか…それは計画
の根幹にかかわる重大事であった。場合によっては計画を修正しなければならないかもしれない。
すずとしては、亜留美には地丹とのSEXに本気になって欲しくなかった。後々のことを考えると、地
丹との関係にのめり込まないほうがいいと思ったのだ。
幸い、やはり、亜留美は絶頂に達するフリをしてるだけであった。
「あまり感じてませんよ。なんか少しいいかな、イッちゃおうかな、と思う時もありますけど…まだま
だ抑制できるレベルです。」
亜留美はすずの問いにそう答えた。地丹のSEXのテクニックもまだほとんど上達していないようだ。
このままなら心配はないか…すずはそう考え始めていた。
しかし、事態はすずの思ったようには進行しなかった。

最初の日から6日後の夜。その夜の二度目の亜留美と地丹の『夜の治療行為』。
いつも通りすずはモニタで二人の行為を監視していた。そして亜留美がいつもと違うのに気づいた。
(…あの娘、喘ぎ方が少し変わってきた…なんか演技じゃないみたい…ひょっとしたらこれ…)
そのとき突然、亜留美が地丹の背中に爪を食い込ませ、叫びだした。
「あ、ああ、地丹く…ん、だ…め…え、なんかヘン…やだ、私ヘン、ヘンになっちゃったよ…!」
355箱庭のある情景 第5話:4:2005/05/07(土) 16:50:33 ID:L8ZOOVrY
亜留美は戸惑う地丹に構わず、切羽詰った表情で彼に必死でしがみついている。
彼女の抑制が吹き飛んだのだ。亜留美は本気で達しつつあった。
地丹の背中の肉に食い込むほど強く爪を立てる。地丹はたまらずうめく。
「う、いたい…亜留美ちゃん痛い…ど、どうしたの…苦しいの…?」
「やあん、いいの、すっごくいい…だめだよお、ヘンになっちゃうう…」
亜留美はぽろぽろ涙を流し始めた。もう一度のけぞる。そしてさらにもう一度。額にびっしょり汗をか
き、のけぞるたびにあそこが地丹のものをぎゅーっと締め付ける。
彼女のすらっとした脚がもがくように動き、のけぞる度に何度もびくん、びくんと宙を蹴り上げる。
背中の痛みにかかわらず、地丹は気づいた。
(そうか、これが本当の…いてて…女の子の、亜留美ちゃんの「イク」って事なんだ…昨日まで、いや、
さっきした一回目まで、亜留美ちゃんは演技をしてただけだったんだ…いててて)
亜留美はどんどん絶頂の高みに近づいてゆく。二人の繋がった所から、亜留美の分泌するいやらしいド
ロドロの泡が漏れ滴ってシーツに染みを作ってゆく。
「あ、あうう、やだ、こんなの嘘…死んじゃいそう…亜留美壊れちゃう、地丹君、やめて…」
「え?」
「ううん、やだやだ、やめないで…イッちゃう、イッちゃ…あ、あん、あん、あ、ああ…!」
地丹の下半身ももう限界、腰の動きが早くなる。ギシギシギシギシとベッドの音。
もう、亜留美の口から出るのは、意味のある言葉では無くなっている。裏返った悲鳴のような愉びの声。
アソコがヒクヒクヒク…と締め付け、地丹の背中を物凄い力で掻きむしり下ろす。肌に血が滲む。
そして、地丹も何も言えなくなるくらいの荒い息とともに腰を動かし続け…
その動きが急激に早くなったかと思うと突然止まった。

地丹の陰茎の根元から肛門にかけてが、ひくっ、ひくっ…と蠢いて精を亜留美に搾り出す。
亜留美の膣も強くしかし絶妙に蠕動し、彼の欲望を一滴残らず搾り取ろうとする。
二人をゴムの膜が隔てているのがなんとももどかしい…。
苦しそうでうっとりとした、淫らな表情の亜留美の、地丹の背中に立てた指から力が抜けてゆく。
夜の静けさが、二人の部屋に染み入ってきた。
数分後。地丹は亜留美から、萎みはじめた自分自身を抜いた。避妊具の口を縛りつつ亜留美を見る。
さっきまで乱れまくっていた娘は、まだ茫然自失の表情でぐったりとベッドに横たわっている。
地丹の背中がまた痛んだ。生暖かいものが流れ落ちる感覚。掻き毟られた傷からまた出血したらしい。
「…亜留美ちゃん…」
「…」
「今まで、イッてたのって、ホントじゃなかったんだね…イッたフリをしてたんだ。」
「…ごめんね…」
「今日初めて、僕を相手に本気でイッたんだ。そうなんだろ?」
亜留美は頷いた。
「ごめんね…だって、地丹くんには、愉んで欲しかったんだもん…」
「そう…まあ、なんか演技っぽいな、とは思ってたんだけどね…」
「ごめんね…でも…」
彼女は真っ赤になった。急に身体を反転させ、うつ伏せになって枕に突っ伏す。
「やだ、やだ、恥ずかしい、こんな事って…私、自分があんなに乱れるなんて…あんなに気持ちいいな
んて…ホントあのまま死んじゃってもいいって…単なる治療、献身的看護のはずだったのに…ああん、
やだ、恥ずかしいよぉ…。」
恥ずかしさからなのか、うつ伏せで顔を隠したまま脚をバタバタさせる。
地丹は彼女が脚をばたつかせるたびにお尻の二つの丸みがぷるぷる動くのをぼんやり眺めていた。
今の彼女のせりふに何か引っかかる言葉があった気がするけど、聞き返すのも変かな、と思いつつ。
急に亜留美はがばっと起き上がった。おっぱいが揺れる。
「そうだ地丹くん、背中大丈夫?ちょっと見せて。」
「え?あ、大丈夫だよ、それ程…」
「いいから見せて…やだ、すごい…血だらけじゃん…ごめんね、痛かったでしょ?」
「平気だって。」
「ごめんね…私の…私だけの…」
亜留美は、地丹の背中にそっと頬を寄せた。地丹は黙っていた。亜留美もそれきり無言になった。

つづく
357元229:2005/05/12(木) 21:12:43 ID:fhjKqOY3
ども。
何の前置きもなく、さくさく連載を投下。6レス。
358箱庭のある情景 第6話:1:2005/05/12(木) 21:13:33 ID:fhjKqOY3
学校で、地丹は、夕べの亜留美の乱れっぷりを思い出してはボッキさせていた。
もっともこれはある程度仕方のないことで…なにしろ、背中がまだまだ痛むのだ。痛む度に、その傷の
原因となった亜留美の背中への爪立てを思い出し、必然的にそのときの情景を連想してしまう。
今も、半分ボッキさせかけて前屈みになりつつ、廊下を歩いている所なのだけれど。
廊下を曲がった所で、当の亜留美が下級生(神崎美智子と、もう一人はたまに見る一年生女子)とだべ
っている。亜留美は地丹に背中を向けている。他の二人も会話に夢中で地丹には気づいてない。
ふと、一年生の娘が薬包紙(なぜ学校で?)を取り落とした。
拾い上げてやろうと上体を屈ませる亜留美。実に柔らかい身体、膝を曲げず脚を伸ばしたままで容易に
手が床に届く。それはいいが、屈みこんだせいでミニスカートがめくれてパンツが丸見えだ。
今日はいままで穿いた事のなかったレース地のパンツ。
亜留美のアソコの両脇の盛り上がりが、薄い布を通してよく判る。そして布地の中央が、それが隠して
いる秘部の縦筋どおりの形に食い込んでいる。隠されているソコの形状を熟知している地丹にして見れ
ばなおさらその本体を連想させる食い込み方…地丹は思わずまた夕べの事を思い出してしまった。
一年生の娘が、パンツを眺めてボッキさせている地丹に気づいた。
「あ!泊センパイ、男子にお尻見られてますよ、パンツ丸見えですよっ!」
亜留美は慌てて上体を起こし、スカートの裾を両手で押さえつつ振り向いた。キッとした表情、なんか
夕べとは別人みたいだ。戸惑う地丹。
「…ち、地丹くん…見たわね?」
「うん…あ、いえ、はい…あ、いやいや、あのその…」
「やらしい子ね。ちょっといらっしゃい。」
(なんだよ、パンツぐらい見えたっていいじゃないか、だいたいそのパンツ、今朝全裸で僕に『ね、今
日はこのパンツはいてみようと思うの、どうかな?』って言って穿いて、『似合うかな、ね、ね?』っ
てお尻を向けたり股間を見せたりしてたじゃないか…。)
でも言われたままに近づいてゆく。と突然。
パコンっ。
軽い音がする。亜留美に頭をゲンコツで叩かれたのだ。
359箱庭のある情景 第6話:2:2005/05/12(木) 21:14:05 ID:fhjKqOY3
彼女は地丹の手を引っ張り、すぐ脇の科学用具室に連れ込んで戸を閉めた。地丹は叩かれたことに抗議
しようとしたのだが。
「い、痛いじゃな…んむ。」
いきなり唇をふさがれた。だけどすぐに亜留美の唇は離れる。
で、パコンっと2発目を叩かれた。
「こら坪内地丹!上級生のパンツを見てやらしいこと考えて、タダで済むと思ってんの!?」
「いてて、だって、亜留美ちゃ…じゃなかった、先輩、さっきのは事故…」
またキスされた。そしてゲンコツ3発目。
「オチンチン硬くさせてたでしょ、いけない子っ!」
そして、さらにまたキス。今度は舌を絡めてくる濃厚なキスだ。
もちろん、キスされている所は美智子たちには見られていない。戸の向こうにいる二人娘からは、地丹
が亜留美に殴られつつお説教をくらってる風にしか聞こえていないだろう。
キスをしてる最中の亜留美の顔は、夕べの亜留美の表情だ。地丹は少し安心した。
と思ったら、またゲンコツとお説教。
「ほらっ、目上の女性相手に恥ずかしい思いさせたんだから、ちゃんと謝って欲しいもんだけど?」
「あ、その…ごめんなさい、亜留美先輩…」
またキスされた。今度は地丹からも積極的に舌を絡める。二人の唾液が入り混じる。
亜留美は小声で『ごめんね』と囁いて戸を開けて出て行った。地丹も後についてゆっくり出てゆく。
「さ、お仕置きは終わったわ。行きましょ。」
「あ、はい亜留美先輩…でもきびしいですねぇあいかわらず…」
「上下関係はキチンとしておかないといけないわ神崎さん。先輩ってのは舐められちゃダメなの。」
彼女らは角を曲がり、後は地丹からは声だけ聞こえている。亜留美の毅然とした物言いは続く。
「いくら同じ科特部のメンバと言っても、先輩と後輩だからね。ほっとくとつけあがる子だし。」
「さっすが泊センパイ、カッコいーい。じゃ、私ここで…」
これは一年生の声だ。
渡り廊下、つまり亜留美や美智子とは別方向にパタパタ駆けてゆく足音を、地丹はぼんやり聞いていた。
360箱庭のある情景 第6話:3:2005/05/12(木) 21:14:41 ID:fhjKqOY3
<以下、病院内>
一年生役の薬剤師の女性(実は31歳なのだが、童顔なのと背が140cm台なので、箱庭世界では後
輩ということにされてるのだ)が渡り廊下をパタパタ駆けてゆく。亜留美と美智子はまた歩き出した。
「先輩役が上手になったわね、亜留美ちゃん。」
「そうですか?神崎先輩たちを後輩として扱うの、ちょっと心苦しいんですけどね…」
「いいのよ。それよりさ、亜留美ちゃんそういうパンツもはくんだ、知らなかったわ。」
「え?」
「いや、前は、イチゴ模様とかミッキーマウスのプリントとか、そういうの着けてたじゃない。」
「あ、それは…なんか子供っぽ過ぎるかな、って思い始めて…似合いませんかね?地丹くんは『似合っ
てるよ』って言ってくれたんですけど…」
「…ふーん…いいんじゃない?素敵だと思うわ。」

二人は休憩室へ。
ドアを閉め二人きりになると(廊下はなんだかんだで人がいた)、美智子の目つきが変わった。
「ね、亜留美ちゃん、聞きたいんだけど…『イク』って、亜留美ちゃんにとってどんな感じだった?」
「はあ?」
「夕べ初めて、エッチで本気でイッちゃったんでしょ?ね、どうだった?」
これが彼女が本当に質問したかったことなのだ。
亜留美は真っ赤になった。
「あ、あのですね…一人エッチでイク時とずいぶん違う、って言うか質が違うって言うかなんて言うか
…ほんと、もう、どうにかなっちゃう、死んじゃう、もう死んじゃってもいい…っていう感じで…やだ
恥ずかしい…何でそんなこと聞くんですか?」
「え?い、いや、た…他人の『イク』って感じをちょっと、知りたくって…」
「同人まんがの新作のためですか?」
「え?え!?い、いやその、なんていうかっ。とと、とにかくどんな感じだった?」
「はあ…なんか、今思い出しても、天に昇るような気分です…」
361箱庭のある情景 第6話:4:2005/05/12(木) 21:15:12 ID:fhjKqOY3
美智子はドキッとした。
思い出して恍惚の表情の亜留美が、女の美智子から見てもぞくっとくるほど色っぽかったのだ。
(い、いけないいけない…私はやおいを描く趣味はあっても、そっちの趣味は…)
慌てて美智子はトイレと称して席を立った。
美智子はそして――これはみんなには秘密だが――この病棟の看護師仲間の中で『SEXではイッたこ
とのない唯一の女』に自分がなってしまったことに一抹の寂しさとかなりの焦りを感じていた。
(なによ、私だって好きでイッたふりしてる訳じゃ…あーあ、何で私の歴代彼氏はSEXが下手なんだ
ろ…コミケで知り合った男たちじゃあれが限界なのかな…私も天にも昇る気持ち、味わってみたい…)

その頃すずは、若先生と共に、青松理事に呼び出されていた。
理事はつまらなそうにレポートを読んでいた。若先生が書いた地丹の箱庭作業の観察レポートである。
「これを読むと、坪内地丹の病状は快復していないようだね。3ページ目13行に『…ただし今のとこ
ろ鉄道の敷設にいそしむことが彼の最重要関心事項であることに変化はない模様で…』とある。」
おいおいおい、と若先生は思った。
彼の書いたそのレポートは今回の『治療』に関してきわめてポジティブな内容になっている。このレポ
ートを書いた目的は批判的な上層部に『上手く行っている』と報告する事なのだ。だからどちらかとい
うと、少し露骨なくらい肯定的な方向にバイアスのかかった文章である。
そんなレポートからもごく一部を取り出して拡大解釈し『快復していない、この治療は失敗だ』という
結論を導き出そうとするのだから…まあそういう手合いはいつでもどこにでもいるもんだが。
すずはといえば、少なくとも外見上は平静だ。
「それ程見た目は変わるものではありせんよ。それは改蔵君たちもそうだったはずです。」
「内面は変わりつつあると?断定できるのかね?」
「いえ。兆候はありますが、まだ…」
「いったいいつまで続ける気かね?この『治療』が尋常でないことは判っているだろう?外部に漏れな
いうちに終了させないと…それに、治療のパートナーの看護師が本気で…その…オルガズムスに達する
ようになってしまったそうじゃないか。」
362箱庭のある情景 第6話:5:2005/05/12(木) 21:16:45 ID:fhjKqOY3
もう情報が伝わっているのか。まあ仕方ないが…。
「彼女が仕事としてでなく、本気で肉体関係にのめりこんだらどうするんだ?恋愛感情に発展したら、
いや、もし妊娠でもしたら君は責任が取れるのかね?」
すずがすぐには言葉を返さなかったことで、理事は自分が精神的に優位に立ったと思ったらしい。さら
に彼女を追い込もうというのか、急に全く関係のないはずの話題を持ち出した。
「ときに彩園君、君の離婚調停の件はどうなっているのかね?娘さんの親権問題は解決したのかね?」
若先生は穏やかでない…それはエグすぎだろう、と思う。
しかしすずは「しれっ」とした表情のままだ。
「まだまだですね。で、それが今回の件とどういう関係が?」
「いや別に。ただちょっとね。君もまだ若いし、なんだその、そろそろ再び男というものの温もりを…」
急に若先生が携帯を取り出した。メールを見つつ慌てて声を上げる。
「先生大変です。退院した筈の患者が病棟にやってきて、ガードマンと悶着を引き起こしてるそうです。」
「元患者って誰よ?」
「例の男ですよ、元229号室に入院してた彼。ほらこの前も来て『早く約束のエリア55への無料招
待券を渡せ』と言ってひと悶着あったじゃないですか。」
話の腰を折られて不機嫌そうだった理事がゲッとなる。彼を退院させたのは青松理事だったのだ。院内
では、あれは誤診だったというのが今の評価だ。すずは言う。
「青松理事、この話は終わりにしていいですか?ちょっとあっちに行って騒ぎを収めないといけなくな
ってきたみたいなので。大丈夫です、地丹くんはちゃんと快復させますよ。」
理事があいまいに頷いたので、すずと若先生は理事室を後にした。

「ありがとう。」
廊下を歩きながらすずは言った。冷静ではあったが、あれ以上理事が彼女の離婚調停の話を続けていた
らどうなっていたか彼女にも判らなかったのだ。若先生がメールを受けるふりをしてくれなかったら…。
「いいんですよ。でも…この治療、絶対に成功させないといけなくなりましたね。」
「…そうね…」
それきりですずは足早に歩きつづけた。
<以下、箱庭世界>
「昼間はよくもパコパコ殴ったね。少し痛かったんだぞ。」
学校が終わり、うちに帰って自室に引きこもった二人。地丹は亜留美に不機嫌そうに言った。
亜留美は(やっぱりそれを言い出したか)という表情だ。そしてすまなそうに両手を合わせる。
「ごめーん。だって、学校では、先輩と後輩のけじめをつけるって約束でしょ?」
「そりゃそうだけど…」
「地丹くぅん…許してお願い。少しくらいなら、エッチでサービスしたげるから、ね?」
地丹は何か企みを思いついたらしく意地悪そうな流し目で亜留美を眺める。ほんとは叩かれる間にされ
たキスに萌えたのだがもちろん黙っている。
「じゃ、そうだな…お口でしてもらおうかな?」
「ええ!?口で…う…うーん…」
「嫌なの?あのね、昼間はよくもパコパコ殴…」
「わ、わかったわよー…ただし、咥えるのと、口の中に出すのは無しだよ、それでいいでしょ?」

キャミソールを脱いで全裸になり、亜留美は地丹の勃起したものにくちづける。おずおずと、そしてこ
わごわと…。軽く手を添え、竿のところから、次第に先端の方へ、チュッ、チュッとキスをしてゆく。
地丹のペニスは、剥けた状態が普通になってまだ一年たっていない。
竿の部分は濃い肌色で…剥けた膨れ上がった亀頭は鮮紅色になっている。地丹のそれを、亜留美はちろ
ちろとなめ始めた。なるべく味を感じないようにしたいという表情だが。
「は…はは…亜留美ちゃん、なんかくすぐったいや…もうちょっと、ねえ」
亜留美は答えない。一心に地丹の陽物を舐め、キスをし、また舐め…を繰り返している。
臍につきそうなほど反り返ったモノを引き下ろすように、亜留美のほっそりした指が軽く添えられた状
態で、亜留美は地丹の先端の尿道口の辺りを舌の先端だけで舐め始めた。結構上手だ。
「気持ち良い?…地丹くん…」
亜留美が上目遣いで尋ね、そして上目遣いのまままた地丹の亀頭の裏筋にキスをしだした。

つづく
364名無しさん@ピンキー:2005/05/13(金) 00:41:43 ID:/Qq2DiMr
みっちゃんに笑わせていただきました。
いつも乙です!
365名無しさん@ピンキー:2005/05/18(水) 00:26:04 ID:LwgVrRfl
初代スレ396氏に、ぜひ、

可符香が過去に「父や母が身長を伸ばそうとした」頃のエピソード
(当然彼女自身も借金のカタにアレやこれやをされてしまう・・・)

を、内容は思いっきりダークに、しかし文体は病的なまでに明るく前向き、
という形で書いてみてほしい・・・とチャレンジしてみる。
366名無しさん@ピンキー:2005/05/18(水) 16:13:44 ID:6k8diKXH
ねぇ、、、77氏は…?
367名無しさん@ピンキー:2005/05/19(木) 22:05:00 ID:EEEVr28L
実は77氏というのは、初代スレ336氏か元229氏かどちらかが、スレ活性化の為に
自作自演した人格ではないか、と思ったりしたこともある。

いやそれどころか、初代スレ336氏=元229氏であって、ほとんどこのスレで一人で
作品を投下し続けているのではないか、と思ったりした事もある。

いやいやそれどころか、オレ以外のすべてのカキコは全部同一人物のカキコであって、
オレはそれにだまされているだけなのでは…と思ったりした事もある。

もちろん、それらはあまりに電波なので、このスレに書き込んだりするつもりは決してない。
368名無しさん@ピンキー:2005/05/19(木) 23:34:03 ID:AnVQJMQB
俺はこのスレの俺以外の発言は全部羽美ちゃんだとばっかり思ってますた
369名無しさん@ピンキー:2005/05/20(金) 00:12:52 ID:bVEhXYy7
知ったな
370初代スレ396:2005/05/21(土) 02:17:22 ID:Xf2uHlg6
今週のまといちゃんで書いてましたが、書いてる途中でファイルがあぼんしてしまいました。
現在書き直してる最中です。絶対最初の方がマシだった…

可符香…電波な女の子はキャラとして比較的動かしやすいです。
371元229:2005/05/21(土) 18:56:28 ID:6l5qwqHG
>370
あーそういう悲しい事は私もありました。
あと、半分完成した作品を入れたUSBメモリをどこかに落としたかもしましたがね。
…あのメモリ、どこにいったんだろ。誰が拾ったんだろ。

ところで、まといちゃんパロは明日までに完成しますでしょうか。するなら待ちます。
しないようなら、先に明日、くだんの連載を投下しようかと。
372初代スレ396:2005/05/22(日) 00:30:10 ID:SnOIGx4T
ありがとうございます。
投下の件ですが、遠慮ご無用でお願いします。>元229氏、に限らず投下予定の皆様
373元229:2005/05/22(日) 15:23:13 ID:TLdXLxx7
>372
ありがとうございます。では、さくさく投下。6レスです。
374箱庭のある情景 第7話:1:2005/05/22(日) 15:24:19 ID:TLdXLxx7
亜留美はちろちろと裏筋の先端を舌先で刺激する。
「あ、いいよ亜留美ちゃん…」
彼女は上目遣いのまま目だけで少し微笑んだ。
地丹は、できればくわえ込んでしゃぶって欲しい、と思ったが、それはさせない約束だし…。
彼女の舌先は温かく少しざらざらしていて、裏筋を通じ刺激が下半身全体にむず痒く伝わる。睾丸が上
がってゆく。細い指が根元を少し締め付けているのも快感を増幅させる。
「亜留美ちゃん…出そうだ…そこを舐めるの、出るまでずっと続けててね…」
そして地丹は最終段階に。息が荒くなり、刺激されたソレの反り返りが急激に強くなり、亀頭がはちき
れそうなほど膨れ上がり、そして先走りの液が出て…。
一瞬遅れ、白く熱い液が、どぴゅ、どぴゅ、と勢いよく噴出した。
亜留美の上唇から鼻、右頬のあたりが乳白色で汚れてゆく。
すぐにそれは自重で流れ落ち、彼女の顎から首筋、胸の谷間にかけてをべとべとにする。
液はまだ出続ける。勢いを失ったそれは彼女の太腿に滴り落ち、そこからさらに畳まで濡らしてゆく。
「ふう…すごく良かったー…。」
亜留美はそれに答えず、精液で汚れた自分の肌を拭っている。左ではティッシュを使って胸の谷間あた
りを、右手は素手で自分の口の周りを…右手の二本の指で拭い取った、濃厚な乳白色の滴をしげしげと
眺めている亜留美。
そして、何を思ったかそれを口に含んだ…そして慌てて左手に持ったティッシュに出した。

亜留美がシャワーを浴びて戻ってきた。
肌がちょっと赤っぽくなっている。ヌルヌルやネバネバが気になったのだろう、かなり念入りに顔の下
半分を洗ったらしい。
彼女はすぐにバスタオルを取るとベッドに寝そべり、娼婦のようにあっけらかんと両脚を開いて陰部を
即物的に地丹にさらけ出した。
「じゃ…今度は私の番だね。夕べみたいに気持ちよくなれるといいな…」
そんな期待されたって、うまくあんな風に出来るかな…と、プレッシャーを感じる地丹であった。
375箱庭のある情景 第7話:2:2005/05/22(日) 15:25:41 ID:TLdXLxx7
<以下、病院内>
朝、すずは定刻通り、車で病院に出勤した。まだ少し眠い。
昨夜は熟睡できなかったのだ。地丹と亜留美の行為を見続けてきたせいか、久しぶりに身体が疼いてし
まって…しかし、病院の通用口をくぐると同時に仕事の頭に切り替えた。とにかく今は仕事第一だ。
さて、今日の計画をざっとおさらいしよう。まず朝一番に深夜勤務の看護師からのレポートを…おや、
その深夜勤務だった美智子が足早にやってくる。明らかにすずを目指して。
「彩園先生、あの…地丹くんと亜留美ちゃんが、ケンカを始めちゃって…」
「え?」
そういえば昨夜は、亜留美はとうとう本気でイク事が出来ずに地丹が先に終わってしまったので、かな
り不満そうにしてたっけ。寝る直前もしばらくぶつぶつ不満をこぼしていたけど…それが朝まで尾を引
いてるのか。
すずの耳に、亜留美の泣き声が、隔離病棟のドアを通し微かに聞こえてきた。

この二人、ケンカは今度で2度目だ。
元々「異性とのケンカ、仲直り」の経験のなかった二人なので、彼らのケンカの修復には手間がかかる。
すずや美智子のとりなしで、何とか亜留美は泣き止んだ。だがまだかなり怒っているようで、地丹と口
をきこうとしない。地丹もなんかうんざりしたような顔をしている。
ケンカの原因は、直接的にはやっぱり、ゆうべSEXで亜留美が絶頂に達せずに終わってしまったこと
だが、それ以外にも色々鬱積した不満やら何やらがお互いにあったようだ。
まあ、地丹は性格に少し問題があるし、亜留美は男というものを知らなかった娘特有の無神経さみたい
なものがあるし…。
でも仲直りしないわけには行かないのだ。なにしろ一日のほとんどの時間を同じ部屋に引きこもって顔
を合わせているわけで…地丹はこれ以上引きこもりようがないし、亜留美も自分が押しかけてきて両親
に大見得を切ってこの部屋に住み込む決意をしたので、「ケンカしたから実家に帰ってきました」と簡
単に言えない。(これらはもちろん箱庭世界の設定で、であるが。)
とりあえず周囲は、二人が自分達で自発的に仲直りできるかどうか、一日様子を見ることにした。
376箱庭のある情景 第7話:3:2005/05/22(日) 15:26:17 ID:TLdXLxx7
地丹は箱庭の部屋にこもっている。
「まったく、亜留美ちゃんがあんな強情な子だとは思わなかったよ…だいたいさぁ、そもそもは、改蔵
と羽美ちゃんがオレに黙って転校なんかするからこんなことに…」
とか愚痴りながら、あいかわらず鉄道敷設にいそしんでいる。新幹線の駅もだいぶ完成に近づいてきた
ようで、彼は近々開通セレモニーを計画しているらしい。
亜留美は地丹の相手以外にも看護師としての仕事はたくさんある。まだ新人なのであまり大きな仕事は
任されていないが、それでも一日忙しい。
仲直りはおろか、二人は顔もあわせないままで、半日はすぐに過ぎた。

午後になった。しえが休憩室に入ると、亜留美がぼーっとお茶を飲んでいた。
軽く挨拶をして、しえも自分でお茶をついで椅子に腰掛ける。亜留美から声をかけてくるまで、こちら
からは話をきり出さないように言われていた。が、その必要もなかった。
「先輩、一つ訊いていいですか?最近ずっと気になってたことがあるんです…」
「あら、なあに亜留美ちゃん?」
「あの…しえ先輩が改蔵くんとエッチしたの、あれ…好意があっての事だったんですか?」
「まあね。」
「…そうだったんですか。単なる治療の奉仕じゃなかったんだ…」
「知りたい?あの時の事。」
「いえ…あ、やっぱり聞きたいです。」
「えーとね…まず、私が『処理係』になってから、その日までの間にも、いろいろあったのよ…」
―――
『処理係』は、彼女ともう一人の看護師がその役をいいつかって、夜勤のほうの看護師がそれをする取
り決めだった。しかし、二人とも元々、自らその係を望んだようなものだった。そのため…。
彼女たちは処理の際、改蔵に自分の胸を揉ませたり、襟から胸に手を入れさせたりしていたのだ。そし
て二人は対抗意識から、やることがどんどんエスカレートしていった。
さすがに二人ともこのまま本気になるとまずいと感じ、「もう張り合うのはやめようね」と取り決めた
…事件はその翌日に起きた。
377箱庭のある情景 第7話:4:2005/05/22(日) 15:27:45 ID:TLdXLxx7
しえはその夜の『処理係』だった。
病室に入る。改蔵は寝入っていた。
シーツをそっと剥ぎ、パジャマのズボンを下ろし、パンツも下ろす。改蔵はまだ起きない。
医療用の合成樹脂製の使い捨て手袋を右手にはめ、まだぐにゃりとしている改蔵のものを揉むように刺
激し始める。軟らかかったそれに次第に手ごたえが感じられてきて、濃い陰毛の茂みの中からむくむく
と起き上がりだす…しえは頭の中に湧き出した感情を振り払った。
(だめよ、だめ…エッチなこと考えちゃダメ)
「…ん…ん?しえちゃん…?」
「あ、改蔵くん…目、覚めちゃった?」
改蔵をしごくしえの手に情熱がこもる。ゴムをかぶせた改蔵のものは、先端が臍の下につくほど強く反
り返っている。赤黒い、元気一杯の、どの女にもまだ一度も入ったことのない若く猛々しいソレ…。
あまり時間がかかると自分が欲情してしまう。しえは言った。
「出ちゃう?ガマンしないで、もう出しちゃっていいよ…」
「…お仕事とはいえ…大変ですね…」
しえはドキッとした。
改蔵は、ごくまれにだが、自分がどこにいてどんな境遇なのか思い出すことがある。
最もすぐまた元に戻ってしまうのだが。その夜も、結局は自分がどこにいるのか、今が夢なのか現実な
のか判らなくなっているようで、半分まどろんだような顔で快感に身を委ねていた。
「…きもちいい…」
「そう?もうでるかな?」
「今夜は…夕べみたいに…口でしてくれないの…?」
え?としえは思った。夕べは私の当番ではなかった。あの女…!
心に火がついた。
「口でされて気持ちよかったの?じゃ、今夜は私が…口でするよりもっと気持ちいい事、してあげる…」
しえはパンツだけ下ろすと改蔵のベッドにもぐりこんだ。躊躇は敵だとばかりに、改蔵が戸惑ってるの
も構わずにあっという間に彼にまたがって、ペニスを自分に一気に挿入した。
「し、しえちゃん…」
378箱庭のある情景 第7話:5:2005/05/22(日) 15:28:37 ID:TLdXLxx7
「どう?手より、お口よりいいでしょ…?」
上になったまま腰を振り始めた。騎乗位はあまり好きじゃないんだけど、今回だけは…。
白衣の前をはだけ、ブラのフロントホックも外す。改蔵は露わになった乳房を鷲掴みにし始めた。
(ああ、私…改蔵くんの童貞を奪っているんだ…)
ベッドの軋む音に混じり二人の喘ぎ声。しえはさらに白衣を脱いでゆく。改蔵の上半身もはだけさせ、
全体重でもって、自分の子宮を改蔵の膨れ上がった先端に突き上げさせた。硬くて熱い、気持ちいい…。
その直後、しえの内部で改蔵の本体が爆発し始めた。しえはまだ腰を振り続けた。
「か、改蔵くん…好きよ、好きだったの…ずっとこうなりたかった…!」
彼女は改蔵の上でびくん、と身をそらした。ナースキャップが外れ、お尻の後ろに落ちる。
喘ぎつつしえは改蔵の身体に突っ伏した。そして満足してため息を。
しばらくしてからベッドの改蔵の隣に横になった。半裸で抱き合った状態で話しかける。
「…ごめんね、ほんとはこんなことする予定じゃなかったんだけどね。でも気持ちよかっ…」
物音に気づいた。病室のドアのノブが動く。そして開いた。
喘ぎ声を聞きつけ、不審に思った隣の病室にいた羽美が覗きに来たのだ。
羽美は蒼白な顔でこちらを見ていた。しえは修羅場を覚悟し、シーツで顔の下半分を隠して身構えた…
―――
「で、どうなったんですか?」
亜留美が身を乗り出して聞く。同時に股間をもぞもぞさせる。しえは答える。
「羽美ちゃんが少し騒ぎかけたんだけど…すず先生がすぐ駆けつけて…タイミングからするとおそらく
監視されてたのね…で、先生が鎮静剤を打って…私は先生に叱られて…その夜はそれでおしまい。」
「へー。」
「で、先生が数日かけて羽美ちゃんに『あれは見間違いだった』って記憶を植えつけたの。」
「それきり改蔵くんとはエッチしてないんですか?」
「したわよ。何度かばれないように。すず先生にはみんなお見通しだったんだけどね、あははー。」
「あははーって先輩…なんか凄いですね。」
「そう?女も私くらいの歳になるとね、もっと凄い事も色々あるのよ。」
「はあ…」
亜留美はまた股間をもぞもぞさせた。
「うふふ。亜留美ちゃんほっぺ真っ赤ね。聞いててエッチな気分になったんでしょ?」
「え?う…うう。」
「ね、意地を張るの、やめにしたら?地丹くんも、早く仲直りしてエッチしたい、って思ってるかもよ?」
「…そうですかね…そうですよね…。」

<以下、箱庭世界>
「竹田ぁ、女ってのはなぁ…まーったく、強情で自分勝手で無神経で、やんなっちまうよ…」
「はあ…でも、いいっすね先輩、ケンカが出来て…自分なんかケンカする女の子もいないッスよ。」
放課後、ハンバーガー屋でバイト中の二人だ。
「あーあ、別れちまおうかな…オレだってその気になりゃ、他の女に乗り換えたっていいんだしな。」
「でも先輩、これは人に聞いた話ですけど、強情でつけあがってるように見えて、実は女の子って、口
走っちゃった後で『ああいけない、まずいこと言っちゃった』と思ったり…なのに、相手の男の態度の
せいで謝れなくって、さらに思ってもないことを言っちゃったり…って事もあるみたいですよ。」
「…まあ、男にも、そういうことはあるしね…」
「でしょ?今その彼女、地丹センパイと仲直りしたい、抱いてほしい、って思ってるかも知れませんよ。」
「…そ、そうかな?」
「そうですよきっと。あ、これも人から聞いた話ッスけど、上手くタイミングよく自分から…じゃなか
った、その人からごめんねを言ったら、すごく嬉しそうに許してもらえて、その晩はもう相手の娘すご
く燃え上がっちゃって、久々に大興奮の夜になった、なんて事があったそうですよ。」
「んー…そ、そうか、そうだな…あんまり意地を張るのも、面白くないかもな…」

夕方、地丹と亜留美はあっさり仲直りした。そして夜、何度も求め合う二人。
あまりの濃厚さに、モニタしていたすずですら身体の疼きに堪えられなくなり、とうとう彼女も自分で…。

つづく
380名無しさん@ピンキー:2005/05/25(水) 17:34:19 ID:0THzjUah
乙!!
38177 ◆CSCBs4vc.s :2005/05/25(水) 22:10:04 ID:UHkIbVMz
どうもです。ご無沙汰してすみません。
仕事と受験の両立はマジむりぽです。一応勉強も進んでますが、死にそうな毎日で漫画のことは考える余裕が殆どありませんでして。

受験終わった後に、描きたいとは思っていますが…。
申し訳ありません。
382名無しさん@ピンキー:2005/05/25(水) 23:52:25 ID:UT41kdyp
>>77
謝ることないですよ
スレに顔出して現状説明してくれるだけでも十分です!
383名無しさん@ピンキー:2005/05/28(土) 16:42:19 ID:Ueu8MdXM
>>381
>>382の言うとうりですよ。
こちとら、何十年でも待てるんですから。
384初代スレ396:2005/05/29(日) 21:13:17 ID:m5DImkTv
ども。まといちゃんSS上がったので落とします。
旬逃した感はありますが、今週も小っこく出てたので救われた気分です。

エロシーンはまといちゃん視点です。少し眩暈を起こす可能性がありますのでご注意下さい。
385What are you DOING? You drive me CRAZY:2005/05/29(日) 21:14:39 ID:m5DImkTv
たかし――
まといはね、あなたの事を考えると夜も眠れません。
あなたが最後に放った一言で、まといがどれだけ傷付いたかわからないでしょうね。
今度こそは――
今度こそはずっといっしょだよ――
そう信じたからあなたの求めに応じて身も心も捧げたのに、あんなに愛し合ったのに、
結局今までの恋人と同じような血も涙もない別れの言葉を突き付けたのね。
どうして?
たかしは一体まといの何が不満だったの?
一人暮らしのたかしのためを思ってご飯作りに泊り込んだり、たかしのためにごくせん
観るのを諦めたり、フェラチオが好きっていうから口で受け止めて飲んであげたのに、
お尻の穴が丸見えになるバックも許してあげたのに――
電話したりメール送ったりファックス流すのだって、たかしの事が心配だからやってるのよ。
それを何?迷惑?そんなヒドい言い方ってあるの?!

まさか――
まといの他に女が出来たとか言わないよね?冗談でしょ、相手は誰?
そう言えばたかし、世界ふしぎ発見が好きだったよね。
チリチリ?吉野紗香?まさか――黒柳さんじゃないでしょうね?!
夢見てるんじゃないわよ!テレビに出るような芸能人が、一般人のあなたの事なんか
相手にする訳がないでしょう!
――もういいわ。
たかしの本心がどうあれ、私がたかしの事を愛しているのには変わりないから。
あなたと逢えない今この時にも、まといの心はたかしで占められているんだから。
狂おしくて、自分がまるで生ける屍になったみたい。
386What are you DOING? You drive me CRAZY:2005/05/29(日) 21:15:13 ID:m5DImkTv
だから今、会いにゆきます。
たかし――
たかしたかし――
たかしたかしたかしたかしたかしたかしたかしたかしたかしたかしたかしたかしたかしたかし
たかしたかしたかしたかしたかしたかしたかしたかしたかしたかしたかしたかしたかしたかし――

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「――それでケーサツのお世話に?」
職員室で同僚の甚六先生から事情を訊くと、今時珍しい袴姿の青年は腫れ物に触るような目付きで、
ソファに腰掛けたセーラー服の少女を見下ろした。
女生徒は青年の視線に気付き、おずおずと顔を上げた。彼女は震える声で袴の青年に呼びかけた。
「糸色先生――私、その」
女生徒は一瞬思案してから、すみません、と頭を下げた。ガラスのテーブルに向けて顔を伏せる。
袴の青年こと糸色望は、彼女の向かいに位置するソファに深く腰掛け、呆れ顔で少女に応じた。
「私に謝っても意味がありませんよ。ええと――」
女生徒の名を呼ぼうとして、糸色は口篭もった。彼女の名前が出て来なかったのだ。
常月ですよ常月まとい――背後から甚六先生が小声でフォローを入れた。そうそう、と糸色は頷く。
彼が受け持つクラスの生徒ではあるにも関わらず、名前が出て来ないのは糸色自身も奇妙に感じた。
「常月さん。ケーサツのご厄介になるなんて尋常じゃありません」
「――すみません」
彼女は啜り泣きを交えながら、単調な謝罪の言葉を何度も繰り返す。
泣きたいのは私の方だ――糸色は天井を仰ぎ右手で顔を覆った。
もし学生から逮捕者が出たとなれば、学校の評判は地に落ちるだろう。当然のその責任追求は厳しい
物になり、矛先は担任である糸色にも向けられる。免職でさえ充分考えられる事態だ。
さっきから泣いている常月まといは、果たしてそういう事態に想像が及んでいるのだろうか――
387What are you DOING? You drive me CRAZY:2005/05/29(日) 21:15:45 ID:m5DImkTv
普段ならもっと些細な事で死にたくなるのに、今日ばかりは糸色も首を吊る気分にならなかった。
それが糸色望なりの、心の動揺だった。糸色は口調を和らげ、傍目の甚六先生には親身で熱心な
教師に映る――それ故に信頼を勝ち得る――鷹揚な態度で話し掛けた。
「一体どんな付きまとい方をしたんですか君は」
言い終わるや否や、常月まといは唐突に顔を上げる。その剣幕に糸色の表情が引き攣った。
頬には涙の跡が残り、しかし真っ赤に腫れた目を吊り上げたその顔はさながら鬼瓦のようである。
ばん、とガラスの卓を叩く音が職員室に響く。室内の耳目を集める中、常月まといが大声で叫んだ。
「私付きまとってなんかいません!」
気圧された糸色が思わず立ち上がり、まといはそのまま机に突っ伏して泣き喚いた。

常月まといはショートヘアの特徴的な可愛らしい娘だった。
芸能人に例えるなら、竹内結子に似ているかも知れない。世間的には充分美少女と呼べるだろう。
そんな彼女が受け持ちのクラスに居て、何故印象に残っていなかったのか。
じっくりとソファに腰を据え、ぬるい茶など啜りつつ辛抱強く相手をする事で彼の疑問は氷解した。
常月まといは授業中ずっと俯いて、交際相手にメールを打っていたのだそうだ。しかもまといは糸色の
授業のみならず、他の教科でも五分おきに長文を送信していたのだと言う。
その時点で生徒としては論外である。が、その程度ならば長時間職員室に引き止める必要はなかっただろう。
もっと悪い事に、彼女は交際相手を付け回して写真を隠し撮りした上、深夜相手のアパートに押し掛けたり
部屋に盗聴器まで仕掛けていたという。
「正真正銘のストーカーじゃないですか――」
幼児のように訥々と語るまといを前に、糸色は重い息を吐いた。もっともそれで彼の心に圧し掛かった
重荷が下りる訳ではないが。
どうして彼の受け持つクラスばかり、学校でも札付きの問題児ばかり抱えてしまうのだろうか。先週引き
こもりの件を片付けたと思った矢先に、今度はストーカーと来た物だ。
厄介者は自分一人で十分だ――糸色の呟きは本心をそのまま吐露した物だった。死ぬに死ねない。
388What are you DOING? You drive me CRAZY:2005/05/29(日) 21:16:17 ID:m5DImkTv
糸色は生徒の態度に然程関心を寄せない。それでも彼の受け持つ現国の授業中に騒ぐ生徒は誰一人とおらず、
水を打ったような静けさの内に授業時間が過ぎて行く。この為糸色は甚六先生からの信頼を得ていたが、
実際には生徒の方が糸色を腫れ物扱いしているだけの話だった。
新学期早々に起こったある事件で、生徒達は糸色が病的に繊細な人物だと知ってしまったのだ。
先生は心の弱い大人なんだ――
大人なんだ――
生徒達は糸色をそう評した。自分等が授業中騒いで、その結果糸色の自殺を招いたりすれば――
残りの一生を後悔の内に過ごす羽目になるだろう。そんな訳で糸色の扱いにはいつも注意を払っている。
それが人一倍心の弱い大人を担任に頂く、二年へ組の張り詰めた姿であった。
とはいえ――
意外に思われるかも知れないが、糸色はこの厄介な案件を片付けるのに吝かではなかった。
責任追及の末に職を失う事だけは避けたい。最悪免職になれば、教師以外の職能を持たない
糸色は生活の糧を失って餓死してしまうだろう。
それだけは嫌だ――
いくら糸色が死にたがりと言っても、彼でさえ死に方だけは自分で選びたいと思うものである。
死ぬまでの苦痛も長引くだろうし、骨と皮ばかりに痩せ衰えた骸を晒す事になる。そんな死に方は
糸色の望む所とは正反対の極地にあった。

何度目かのチャイムをやり過ごした頃、まといが思い詰めた顔を上げて正面の糸色を見た。
「私――」
弾力のありそうな頬に残る、乾きかけた涙の跡が生々しい。
「恋をするとダメなんです。どうしても好きになった人が気になって」
先生には解らないわ――まといは呟く。気を利かせて糸色が出した茶に手も付けない。
「先生には私の気持ちなんて解りません。私がどんなに深く彼の事を想っていたのか、私がどれほど
 彼を愛していたか知らないでしょうから」
389What are you DOING? You drive me CRAZY:2005/05/29(日) 21:16:50 ID:m5DImkTv
「愛ですか――」
ちゃんちゃら可笑しい、と糸色は内心腹立たしく思った。そんな幼稚な考えで行動した結果が、
今回のケーサツ沙汰を招いたのだ。高校生が簡単に愛などという言葉を出さないで欲しい――
糸色は関心の薄い態度で、まといの言う『愛』という言葉に触れず言った。
「だからって交際相手の部屋に盗聴器を仕掛けますか?とても普通じゃないと思いますがね。
 いずれにせよ君がやった事はストーカーです。君も高校生なんだから良く考えて――」

「ストーカーですって?!」
突然耳元で聞こえた素っ頓狂な黄色い声に、糸色は会話の中断を余儀なくされる。
天真爛漫を絵に描いたような幼い顔立ちの少女が、いつの間にか糸色の隣に腰掛けていた。
彼女の存在に、糸色の気分はさらに暗澹たる物となった。
ペンネーム、可符香――
先日の進路希望調査票をペンネームで提出した時点で論外だが、さらに彼女が記入した進路希望先は
『第一希望 神』『第二希望 未来人』『第三希望 ポロロッカ星人』という、頭の悪い小学生でも
書くのを躊躇うような凄まじい内容だった。
以来彼女は糸色の中で、最も注意を要する生徒に認定された。

早々に立ち去って貰いたい――痛む頭痛を抱えつつ、糸色は彼の茶碗を啜る可符香に声を掛けた。
「なぜ君がここにいるのですか?それに君が飲んでるのは私のお茶ですが」
糸色先生と間接キスしちゃった――可符香が茶碗をガラステーブルに置いて無邪気にはしゃぐ。
聞いちゃいない――とどこか冷めた糸色の視線に気付いて、彼女は茶碗を置いた。
「先生が気になって職員室まで来たんですよ。そしたら先生が常月さんと向き合って、ストーカーが
 何とかって話をしてたでしょう。もうビックリしちゃいました」
糸色はそうですか、と力なく肩を落とした。
余計な話を聞かれた以上、論外の干渉を覚悟せねばならないだろう――
390What are you DOING? You drive me CRAZY:2005/05/29(日) 21:18:17 ID:m5DImkTv
論外こと可符香はそんな糸色の苦悩を察する事もなく、自分のクラスメートに目を向けて声を掛けた。
「常月さん、どうして先生とストーカーの話をしていたの?」
まといが目を細めて俯く。自嘲気味に小さく吐き捨てた。
「私ストーカーなんだって先生に言われた。たかしを愛してただけなのに――」
先生ヒドい――可符香の叫びに、まといと糸色が同時に目を大きく開いた。ただし一方は思わぬ味方の
出現に、もう一方は論外の取った予想外の言動に対する驚きという違いはあったが。
可符香は立ち上がり、自信に満ち溢れた表情できっぱりと言った。

「常月さんはストーカーなんかじゃありません。私たちの身近にストーカーなんかがいるわけ
 ないじゃないですか」
彼女の目は世の中を疑う様子など微塵も見せず、キラキラと輝いていた。糸色の苦手な目だ。
ストーカーでなければ、では何だと言うつもりなのか。糸色が尋ねると、可符香は糸色の気付かない
僅かな間を置いて答える。
「彼女のはただの純愛ですよ。常月さんは一途だから、それだけ相手の事を好きになっちゃうんです。
 マジメに書いたら本になって売れちゃいますよ。ちょっとしたディープラヴじゃないですか」
何がディープラヴですか――糸色はげんなりとした物を胸に覚えながら反論した。
「違う意味でディープなんでしょうが。盗聴器仕掛ける事のどこがラヴですか?」
「――そうよね常月さん?」
可符香は彼を無視してまといに目を遣った。
聞いちゃいない――糸色は彼女の言動に眩暈を覚え、こめかみを指で押さえた。
半ば予想はしていたものの、可符香の脳構造から編み出される解釈はやはり常軌を逸しているように思える。
先週は引きこもりの生徒を『座敷童』呼ばわりしたのだが、脳のどの部分を捻ればクラスメートを妖怪
呼ばわり出来るのか糸色には不思議で仕方ない。
391What are you DOING? You drive me CRAZY:2005/05/29(日) 21:19:20 ID:m5DImkTv
一方のまといは、横に立った可符香を少し慌て気味に見上げた。
やがて救われた表情で頷いたかと思うと、彼女は立ち上がって糸色を圧するように力強く言った。
「彼女の言う通りです先生!私ちょっとだけ愛が濃いだけなんです!好きなんです、仕方ないんです!」
アイコですか――糸色は呆れた面持ちで、しかし口調だけは穏やかに応じた。
「高校生がラヴなんて口にしても、大人の前では底の浅さは隠せませんよ。大体大人のラヴが出来る
 人間は、最初からストーカーなんてやらかしません――」
論外と厄介にニ方向から睨み付けられ、圧されるように糸色は黙った。
「私ストーカーなんかじゃありません!これだけ私が何度も言ってるのに、先生は私がどれだけ思い
 詰めているのかさえ解らないんですか?!」
一旦口火を切ると、言葉という物は止め処なく溢れ出るらしい。糸色に言葉を挟む隙さえ与えず、
まといは早口で捲くし立てた。

「私はただ彼を好きになっただけなのに、彼を愛してしまっただけなのに、どうして私の行動は
 解って貰えないんですか?! 好きになった相手が気になるのは当然でしょう?!
 それとも何ですか?先生は愛してしまった人を心配するのが良くないって言うんですか?
 そんなの不自然ですよ!もしかしたら先生、大人なのに愛する心を知らないんじゃないですか?!
 可哀想――糸色先生可哀想ですよ!私彼の事を考えただけで、胸が暖かくなって――」
まといはきゅっと右手を鳩尾で握り締めた。この手の少女にありがちな自己陶酔まみれの演技、と糸色は見る。
可符香がまといの大袈裟な演技に、感動した面持ちでその通りだと大きく頷いた。
「解るわ常月さん!それがラヴよね!」
可哀想なのは君たちの脳味噌です――と、糸色は自分が教師である事も忘れてそう叫びかけた。だが。
三角に釣り上がったまといの目をまともに見て、糸色は彼女を表現し得る、いかなる言葉をも失った。
392What are you DOING? You drive me CRAZY:2005/05/29(日) 21:20:34 ID:m5DImkTv
完全に――
逝っている――
こんな女に付き纏われるそのたかしという相手に、糸色は同情を禁じ得なかった。別にたかしでなくとも、
常月まといの異常な精神に触れたら気がおかしくなるに違いないだろう。
まといは天井に顔を向け、最早聞き手の存在など意にも介さず喋る。
「――だけど同時に、ものすごく不安な気持ちも生まれるんです。私が付いていない間、彼は一体何を
 してるんだろう。好きな彼――たかしの事なのに、私が知らない事なんてあって良いんでしょうか?
 そんな筈ないわ、それって愛が足りないって事じゃない!彼の一日二十四時間の行動を把握しないと、
 逢えない時間に思い浮かべるたかしの姿に現実味が伴わなくなるわ!そんなの只の妄想じゃない!
 私の中のたかしは、現実のたかしと一緒じゃないと駄目なんです!私の知らないたかしなんて
 この世に存在してはいけないんです! ああたかし――あなた今何をしているの?!
 電話くれたっていいじゃない!電源切れてわかんない!何処に、誰といるんだかわかんない!
 たかし、ちゃんと私の事見てる?たかしに逢えないと、この苦しみが治まらない――
 だから今、会いにゆきます――」
たかし――
たかしたかし――
たかしたかしたかしたかしたかしたかしたかしたかし
たかしたかしたかしたかしたかしたかしたかしたかしたかしたかしたかしたかしたかしたかし――

壊れた機械のように、ここにはいない恋人に対して幾度も幾度も呼び掛けるまといの姿は、とても生きている
人間のそれには見えなかった。
喩えるなら幽鬼と云うか生ける屍と云うか。精神状態も尋常のそれとは程遠い状態にあるのは明らかだ。
やがてまといは糸色を突き飛ばし、凄まじい勢いで職員室を飛び出す。糸色は床に打付けた後頭部を擦りながら
起き上がり、すかさず彼女の後姿に呼び掛ける。
「待ちなさい常月さん!今度相手の部屋に侵入したらタイホですよ!」
呆気に取られた可符香をその場に残し、まといを追って糸色も袴の裾を翻して走り出した。
393What are you DOING? You drive me CRAZY:2005/05/29(日) 21:21:16 ID:m5DImkTv
袴穿きという事もあって、糸色の足は遅い。それでも校内で常月まといに追い付けたのは、歩幅が世の成人男性
相応にあったのと、追い付いた場所が下駄箱であった事が幸いしたのだろう。まといが靴を履き替えるのに必要な
タイムラグが生じるからだ。
靴も履かずに逃げ出そうとした常月まといの後ろから、糸色は覆い被さるようにして羽交い絞めに抱き付いた。
糸色の胸板の感触が、制服の上着越しを通してまといの身体に伝わった。腕の筋肉も女のそれとははっきり違う。
まといの抵抗が一瞬止んだ。その間に糸色は彼女を抱えて立ち上がる。
だがすぐにまといは手足をばたつかせ、担任の国語教師と、それから自分の中に沸き起こった何かを振り払おうとした。
「先生はなして!邪魔しないで、たかしが私を――」
待っているのだ、と言いかけた丁度その時、まといは数人の生徒が自分達を遠巻きにして取り囲んでいたのに
気付いた。時間からして恐らく教室移動の途中にあったのだろう、とまといは当りを付ける。
彼らに向かって、まといは懇願した。
「ちょっと誰か助けてよ!糸色先生が私に抱き付いて――これってセクハラじゃないの?!」
互いに隣り合う生徒同士で顔を見合わせ、雑談とも相談とも付かぬ冗長な会話が繰り広げられた。

――あれストーカーじゃないのか?
――知ってるの?
――ああ。何でも隠し撮りしたり盗聴器仕掛けたりするみたいだぜ。
――うわ、あんな可愛い娘が?マジで?
――マジだよ。今日だって職員室でずっと説教食らってたんだってよ。
――オマエ詳しいな、何でそんな事知ってるんだよ?ソースは?
――今日の現国って自習だったろ?その娘の担任が絶望だからさ
――ああへ組か。それで絶望が捕まえてるんだな?
――どうするお前、あの娘助けたらどうだ。彼女欲しいって言ってたろ?
――盗聴器仕掛けるんだろ?オレはイヤだよ。
――オレもだ。第一付け回されるなんてキモいじゃねえか。
――そうだよね。それに下手に関わって糸色先生が自殺したら夢見悪いし。
――どっちも厄介者だからな。関わらないのが一番だ。
394What are you DOING? You drive me CRAZY:2005/05/29(日) 21:22:05 ID:m5DImkTv
まといが昨夜やらかした事件は、昼頃にはすっかり学校中に知れ渡っていたらしい。そして彼女を捕らえている
袴姿の国語教師も、生徒たちの間では腫れ物として有名だった。どちらも関わりたい相手ではなかろう。
何で私を助けてくれないの、とまといは涙の滲む目で無責任な生徒達を睨む。会話がぴたりと止んだ。
彼等は組み合った教師と女生徒を困惑の目で見る。二人とも、彼等には荷が勝ちすぎた。
「あの――ごめんなさい!」
女生徒の一人が頭をぺこりと下げて回れ右をする。それを合図に、彼等は蜘蛛の子を散らすように逃げ去った。

絶望的な表情で、まといは彼女から逃げ出した制服の後姿を見送った。
そんな常月まといに、糸色は優しげな低い声で耳打ちする。
「あなたを心待ちにしている人が、ケーサツを呼んだりしますか?」
まといの髪が僅かに揺れるのを糸色は見て取った。彼女はいやいや、と拒絶の態度を取る。
糸色の言葉を信じまい、と心に決めているようだ。
「絶対何かの間違いよ、私たちあれほど愛し合っていたのに!」
「愛――ですか」
身体を密着させ、落ち着いた口調で語る糸色の言葉は、意志とは関係なく自分を落ち着かせるような
不思議な力を持っている。まといにはそう感じられた。
「ならばお尋ねしましょう。彼の目を思い出せますか?最後に会った時、彼に何を言われましたか?
 それは――愛し合っている人のものでしたか?」
一言づつ丁寧に紡がれた糸色の呼び掛けが、まといの頑なな心の隙間を潜って彼女に染み込んで行く。
くすぐったいようなもどかしいような気分の中で、まといは昨夜の記憶を手繰り寄せた。

彼の――たかしの怯えたような顔。激しい怒りを含んだ叱責の言葉と、それに続く冷淡な口調。
――ケーサツ呼んだから。
駆け付けたケーサツに両脇を抱えられて部屋を出る時、縋り付くように振り返って見た物は――
395What are you DOING? You drive me CRAZY:2005/05/29(日) 21:24:33 ID:m5DImkTv
自分とは全く違う人種、いや生物を見るような冷たい目付き。
「あんなに一緒だったのに――もう」
まといの目尻から涙が零れ、身体からは力が抜けた。糸色は打ち拉がれた彼女の体重を支え、
寄り掛かったまといの顎を指で自分の顔に向けさせる。
「言葉一つ通らないんですね。宜しかったら、私が本当のラヴを教えて差し上げましょうか?」
まといの髪や頬を撫でながら、口調はあくまでも優しく。彼の姿は教師と云うより、文学青年気取りの
手馴れたジゴロと表現した方が相応しかった。
高校生のラヴではない――
本当のディープラヴを――
無言で頷いた常月まといに、考える力も抗う意思も見出す事は出来なかった。
396What are you DOING? You drive me CRAZY:2005/05/29(日) 21:25:04 ID:m5DImkTv
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

糸色先生――
本当の愛を教えてくれるって言いましたけど、結局は身体の事なんですね。
保健室に連れて来られた時に気付くべきでした。私にはたかしがいるんです――けど。
糸色先生に抵抗できません。ベッドの上に横たえられた時も、先生の為すがままになって――
先生――
先生の手って暖かいんですね。制服越しにも丁寧な愛撫が伝わって来ます。
服を着てるのがもどかしくなってしまいます。
上着もブラウスも早く脱がせて欲しい――
やだ、何を考えているのだろう。私にはたかしがいるのに。
私たかしを裏切るつもりなんてありません!お願いだから上着のスカーフに手を掛けないで下さい!
お願いだからスカートのベルトを緩めないで、裾を捲くり上げないで――パンツ見えちゃう。
やだ食い込んでる、そこ触らないで!って、触らないんですか?
たかしなら筋上に食い込んだそれを指で撫って、その内布越しでは足りなくなって
パンツの中に手を突っ込んで来るんですが。
触られてもいないのに、
内側から――
下りてくる――
違います!パンツに染み出来ちゃったけど、先生を受け入れるつもりなんてありませんから!
そんな不敵な目で見ないで下さい!やだ近づかないで抵抗できない――
うなじ舐めないで内股撫でないで――ああくすぐったい。
ヘンな声が出てしまいます。決して糸色先生で感じてる訳じゃありません。
397What are you DOING? You drive me CRAZY:2005/05/29(日) 21:25:36 ID:m5DImkTv
やだ、糸色先生重いわ――先生から逃げられない。
頬擦りしないでキスしないで――私の口の中を舐め回さないで下さい。
頭の奥の方がずん、と痺れてしまいますから。無意識の内に先生の舌を突付き返してしまいます。
ダメ、上顎の裏は弱いの――
くすぐったくて息が苦しくて。でももっと欲しくなって、先生の首を掴んで私からも
ディープキスを返しちゃいました。
上着の裾から先生の手が入って来ます。上着の下でブラウスのボタンが外され、先生の手がブラ越しに
私のおっぱいを鷲掴みに揉み上げました。
ダメよ――おっぱいはもっと包むように触って下さい。
そうそう、そんな風に優しく触ってくれるのなら別にいいんですけど。
ああ、何だか先生の手付きって安心できますね。
このまま何時間触られても揉まれても――
先生がほっぺたとかおでことか、あっちこっちにキスしてくれてる。
私も手を襟の中に突っ込んで、先生の広い胸板を撫でちゃおう。
――結構固いのね、男の人だから当たり前か。
先生の唇をついばみながら、彼の肌触りと体温とを感じ取ります。甘々な雰囲気に酔い始めて、
この人とならいいかも、とか思ってしまいます。
だって先生の顔、キレイなんだもの。糸色先生からは生理的にイヤな印象を受けません。
それに優しいし。ホントはたかしにもこうやって、優しく愛撫して欲しかったな――
って先生、いきなり何するんですか!
そんな乱暴に上着脱がさないでスカート引き摺り下ろさないで!
最後に残ったパンツまで取り去られて仰向けにされ、遂に来るのかと身構えます。
先生と触れ合っている内に私もそろそろ――
目を瞑って覚悟を決めました。先生が入りやすいように足を広げます。
398What are you DOING? You drive me CRAZY:2005/05/29(日) 21:26:08 ID:m5DImkTv
けれども先生は私の恥ずかしい部分には直接触れませんでした。内腿を指で撫でたかと思うと
次はちょっとモジャモジャした茂みの地肌をくすぐるように――
先生、触ってくれないんですか?
もうイヤだ、こんなに下りて来た私のソコには興味ないんですか?
手足をじたばたさせていると、先生は突然私の足を掴んでようやくその部分にキスしてくれました。

舌で身体の中を舐めまわされて、ヘンな声が出ちゃいます。
そんなぺちゃぺちゃ音を立てないで、恥ずかしいよ!
イヤ、広げないで!そこ舌で突付かないで!痺れる――
お願い糸色先生、どうせイクのなら先生に抱かれてイキたいの!
先生だってイヤでしょう、せっかく女の子が目の前にいるのに抱けないなんて。
まといなら大丈夫ですから、ねえ早く!
先生のソコ、固く大きく反り返ってますよ!早く私の中に入りたいって言ってますよ!
やだ、焦らさないで!焦らすくらいなら、私腰を突き出して先生を迎え入れちゃいますよ!
何を驚いているの先生?私がこんな風になっちゃったの、先生が苛めたからですよ。
あ、先生大きい。深い、深いよぅ――

気分が落ち着いたので薄目を開けると、糸色先生の顔が間近にありました。
ううん、顔だけじゃない。私の中に糸色先生の熱い脈打ちがはっきりと感じられます。
やっと先生と一つになれたんですね。私からもう一回キスしちゃいます。
先生の方が私の態度にビックリしてました。そうだよね、私あんなに嫌がってたもんね。
嬉しい、糸色先生がまといの中で動いてくれてる。
にちゃにちゃ言ってる。私そんなに濡れてたんだ。
先生の動きに合わせてヘンな声出ちゃうけど、それは先生も一緒。
やだ足広げないで、アソコが繋がってるのが見えちゃう!
399What are you DOING? You drive me CRAZY:2005/05/29(日) 21:26:55 ID:m5DImkTv
ぬらぬらとした光沢に覆われた私の裂け目を、同じく私ので濡れた先生が大きく広げながら
分け入って、その度に規則的な昂ぶりが私の中に生じて――
二人の息も鼓動も重なってきました。私の身体も先生を求めて自然に動きます。

先生が私の腰を掴んだと思うと、一層激しく私の中に打ち込んで来ました。
ああ先生凄い――
また来ちゃう――
息が苦しくなって、頭がまともに働かなくなります。先生が何か叫んでいます。
私も我慢出来ない、先生一緒に、先生、せんせい――

先生を何度も呼んでいる内に、私飛んじゃったみたい。
ゆったりと目を開けると、目を瞑った糸色先生の顔が間近に見えます。
肩で荒い息を吐きながらどくん、どくんと私の中に浴びせてる糸色先生を感じていると、
自分がたかしの事なんかどうでも良いと思っているのに気付きました。
けれども寂しいとか悲しいとか全然思いません。私には先生がいるんですから。
糸色先生と身も心も結ばれた喜びに比べたら、たかしの事なんか些細な問題なんですから――

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
400What are you DOING? You drive me CRAZY:2005/05/29(日) 21:27:33 ID:m5DImkTv
常月まといから引き抜いて彼女の横に寝転ぶと、糸色は深い溜息を吐いてまといを眺めた。
行為の余韻が身体の中で燻っていたのか、まといはしばらく仰向けのままでつつましい胸を
上下させていたが、やがて首だけを隣の糸色に傾けて
にっこりと
微笑んだ。
「たかしに会うのだ」と狂ったように喚いていた少女の面影を、糸色は欠片も見出す事は出来ない。
ひとまず落ち着いて話を聞いてくれそうな雰囲気に、糸色は自分の仕出かした事の重大性にも気付かずに
少しばかり胸を撫で下ろした。

まといは息を吐いて身を起こすと、脱ぎ散らかしたスカートのポケットからティッシュを取り出して
内腿から少し濃い目の茂み辺りを軽く拭った。
一枚では足りなかったのか、二枚三枚と取り出す。流れ出てきた二人分の体液を四枚目のティッシュで
受け止めると、まといはそれを丸く纏めながら感慨深げに呟いた。
「素敵――これがディープラヴなんですね」
「さすがに課長島耕作みたいには行きませんでしたが」
糸色はそう言って苦笑した。まといは何だか良く分からないといった風な、きょとんとした顔を
彼に向けて訊ねる。
「課長島耕作って?」
一瞬だけ部屋の空気が止まった。
糸色はまといの反応に軽い失望を覚える。最近の娘は島耕作に課長時代のエピソードがあった事を
知らないのだろうか。何気ない会話の中にも、微妙な世代間のギャップが顔を出すものだ。
「銀座のママや大株主の娘を、中年のねっとりとした性で骨抜きにするエピソードですよ」
「やらしー、家の父親が読んでる新聞の連載小説みたい」
まといは忍び声で笑いを上げた。
若い娘には伝わりにくい話だったか、と糸色は島耕作のエピソードを自分一人で消化してしまう事に決めた。
401What are you DOING? You drive me CRAZY:2005/05/29(日) 21:28:05 ID:m5DImkTv
糸色はベッドの脇に立ち、脱ぎ散らかした羽織と袴を身に着ける。足を開き気味に伸ばしたまといの隣に
座って、彼女を手招きした。まといは素直に応じ、彼の隣に座って身を預ける。
頭を引き寄せてそっと髪を撫でながら、糸色はまといの耳に囁いた。
「でもね常月さん」
まといって呼んで――少女が微笑んだ顔を上げて糸色を嗜めた。
「――まといさん、究極のディープラヴってこんな物じゃないんですよ」
「どういう事ですか?」
無邪気に尋ねるまといに対して、糸色は揺るぎない口調ではっきりと告げた。

「心中です」
心中――まといは糸色の言葉を口の中で繰り返した。
「愛し合う男女は一緒に死ぬ事で、その愛を完成させられるのです。結婚だって似たような物ですよ」
「どういう事ですか?」
「一緒の墓に入るんだから同じです」
それって――まといは目を輝かせ、糸色の眼鏡の奥を真っ直ぐに捉えた。
どうでしょう――糸色は苦笑しながらはぐらかす。
「私の持ち歩いている鞄の中を見せましょうか?」
纏わり付く全裸の少女をそっと引き離し、糸色は着衣を整えて床の鞄を手に取った。
横向けに座る彼女の目の前でその留め具を開ける。
練炭――
荒縄――
睡眠薬にエンヤのCD――
まといはしばらくそれを見つめたが、やがて不思議そうな様子で糸色に質問した。
402What are you DOING? You drive me CRAZY:2005/05/29(日) 21:28:57 ID:m5DImkTv
「どうしてエンヤなんですか?ニルヴァーナじゃ駄目なんですか?」
「死ぬ時くらい好きな音楽を聴きたいでしょう。別に曰く因縁のあるアーティストを選ぶ必要はありません。
 好きなアーティストなら、例え一青窈でも直太郎でもクイーンでも構いませんよ」
しかし直太郎やクイーンを聴きながら練炭で眠るというのもシュールな絵柄だ、と糸色は自分で
言いながらもそう思う。嗜好の問題とはいえ、糸色がやればギャグにしかならないだろう。
エンヤ好きなんだ――まといが声を漏らさずに笑う。
そうです――糸色は顔を背けて決まり悪そうに答える。
「私もエンヤ好きですよ。糸色先生と一緒です」
それは良かった、と糸色は頷いた。まといは殊更喜んだ様子で、先生と一緒、と繰り返す。
「常月、いやまといさん――」
はい、とまといは真面目な顔で返事する。すぐ目の前に糸色の優しそうな顔があった。
「死にたくなったら、私が一緒に死んで差し上げます、その時は是非私を呼んで下さい」
そう話す糸色の手を取り、まといは微笑んでキスをした。

その翌日――
朝のホームルームを迎えた二年ヘ組の教室で糸色が点呼を取っていると、横開きの扉が突然がらっと開いて
爽やかな朝の挨拶が教室に飛び込んだ。
「おはやうございます」
少し澄ましたレトロな発音に、糸色も生徒も一斉に扉へと注目する。
淡い桜色の羽織に紺の袴姿の少女。はいからさんが通るかサクラ大戦の世界からそのまま飛び出たような
彼女が、和傘を折り畳みながら教室へしずしずと足を踏み入れる。
常月まといだった。生徒たちの間に不吉な予感が走る。
居並ぶ生徒たちが言葉を失い、教室が凍り付いたような静けさに包まれた。

――常月まといが大正浪漫に染まった
彼等の身近な大正浪漫と言えば、当てはまる対象はただ一つ。彼等はそれに向けて一斉に視線を浴びせる。
当の大正浪漫こと糸色望は、しかし生徒の視線に気付く事なく普段通りの落ち着いた態度でいた。
403What are you DOING? You drive me CRAZY:2005/05/29(日) 21:29:40 ID:m5DImkTv
「艶やかな出で立ちですな常月さん。何か祝い事でもあるのですか?」
前日まといと交わした関係など微塵も見せない、冷静な口調だった。
それでもまといには糸色から声を掛けられた事が嬉しいらしく、教卓に向けて微笑を送った。
それから恥ずかしそうに目を伏せる。大勢のクラスメートなど、彼女の視界には映っていないようだ。
常月まといと糸色とを順に見比べ、生徒たちは二人の間に生じた関係を雰囲気から読み取る。
糸色の泰然とした雰囲気は、自らの立場を理解した上でのものなのか――女生徒が堪らず手を挙げ、
糸色は彼女の発言を許可した。
「先生、ご自分のピンチわかってますか?」
「何がですか?」
状況をまるで理解していない糸色の返答に、彼女はいいです、と諦めた様子で教科書を広げた。
まといが教卓の正面にあった空席に腰を下ろす。糸色は勝手に着席した彼女を嗜めた。
「常月さんそこは今日休みですよ。君の席はもっと後ろでしょう」
いいじゃないですか先生――まといはニコニコとした笑顔を糸色に向けた。
「私前の方でしっかり勉強したいんです。いいでしょ先生?」
教室にどよめきが起こり、糸色はそれを制した。着席したまといを指差しながら、糸色は教室中の生徒に話す。
「聞きましたか皆さん。皆さんも彼女の勉強熱心な所を見習って下さいね」
先生――今度は男子生徒が挙手した。
「先生、彼女の場合は勉強熱心なのとは違う気がしますけど」
「どう違うんです?」
少し首を捻り、男子生徒は糸色から目を逸らしながら曖昧に答えた。
「えっと――その内解ると思います」
そう言って自分の卓に目を落とした男子生徒を、糸色は不審な目付きで眺める。
そんな糸色を、常月まといが教卓の前から笑みを浮かべて眺める。
そんな三人を、教室の生徒たちは不安そうに見守った。
404What are you DOING? You drive me CRAZY:2005/05/29(日) 21:30:17 ID:m5DImkTv
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

糸色先生――
まといはね、先生の事を考えると夜も眠れません。
私の知る限り、一番リアルで神聖な愛を教えてくれたのが先生なのだもの。
好きになって当然でしょう?
だから私も先生に近付こうと、先生と同じ袴を穿いてみたの。クラスのみんなには不評だったけど、
先生の一言でそんな事どうでも良くなっちゃった。
艶やかですね――
先生私の格好を見て、そう言ってくれたよね。お世辞でも私本当に嬉しかったよ。
ねえ先生見てる?
先生と同じ格好をした私が一番前の席で、授業中に胸元を見せてるのに気付いてるでしょ?
ほら、ここ――鎖骨の下、胸が膨らみ始めるこの場所。
先生が付けてくれたキスマークだよ。今日はブラ着けてないから、鳩尾の辺りに付けられた
もっと沢山のキスマークも見せてあげるんだけど。
そしたらおっぱい見えちゃうね。それはさすがに恥ずかしいか――
いいよ、先生にだけ見えるのなら。それで先生の目が私に釘付けになるのなら。
こんな事できるのも、一番前の席だからだよ。これ見て何とも思わない?
私がこんな風にユーワクする相手って、先生が初めてだよ。
私たちの関係が学校にバレたら――その時は先生、一緒に死にましょうね。
小指同士を赤い糸で繋いで、二人仲良くあの世へ旅立つの。高校教師みたいで素敵じゃない?
405What are you DOING? You drive me CRAZY:2005/05/29(日) 21:30:56 ID:m5DImkTv
先生――どうして私から目を逸らすの?
黒板に書かなくても、先生の授業だったらみんなノートに取るじゃない。その気になればずっと
私だけを見ながら授業できるのに、どうしてそうしてくれないの?
もしかしてエッチなまといは嫌いですか?じゃあ止めますけど――やっぱり見てくれない。
別にエッチなのが嫌いって訳じゃないのよね。あんな事やこんな事もしてくれたし。
あ、先生!どうして授業が終わるとすぐに職員室に戻っちゃうの?
何で他のクラスでも授業するの?その間私たちは離れ離れになってしまうけど、先生は寂しくないの?
他のクラスでもそうやって淡々と授業してるの?それとも他のクラスにも私以外に女の子がいて――
ああ気になる、気になって仕方ない。
今先生が何をしているのかも、先生が私の事を想い続けてくれてるのかどうかも。
先生の何もかもが気になるのよ。電話はダメでもメールならいいでしょう?

何で――何で返事が来ないの?
早く返事してよ。好きだって返信してよ。
でないと私おかしくなりそう。ちょっとでも先生の事を考えると、それが後から後から膨らんで
私の心を押し潰すの。
先生――もしかしてメールに返信できないの?
だったら待ってて、FAXならどう?
これだけいっぱい「好き」って書いて伝えたら、私の気持ちも解ってもらえるかな。
ううん違うわね、私の気持ちは「好き」って言葉だけじゃ伝えきれないかも。
生ける屍みたいにおかしくなりそうなんだもの、こう書こう。先生、先生――
406What are you DOING? You drive me CRAZY:2005/05/29(日) 21:31:28 ID:m5DImkTv
先生――
先生せんせい――
せんせいせんせいせんせいせんせいせんせい
せんせいせんせいせんせいせんせいせんせいせんせいせんせい
せんせいせんせいせんせいせんせいせんせいせんせいせんせいせんせいせんせい
せんせいせんせいせんせいせんせいせんせいせんせいせんせいせんせいせんせいせんせいせんせい
せんせいが私を見てる――

買い物しながら――
捨て犬を雨から守りながら――
睡眠薬を飲みながら――
文豪のお墓に手を合わせながら――
部屋の壁いっぱいに貼られた色んな先生が私を見てる。私だけを見てる。
目線は私の方を向いてないけど、でも私には判るの。
見ることは見られる事――私が先生を覗いている時、先生もまた私を覗いているから。
だから部屋中から注がれる先生の視線を浴びて、私は――
ああ先生――私はもう我慢が出来ません。
まといの身体が先生の物だからって、そんな恥ずかしい所まで見ないで下さい。
まといの指に乗り移って、身体のあちこちを触らないで下さい。
敏感な所を苛めないで下さい。身体の奥を掻き回さないで下さい。
そんな事するなら、私先生の指を締め上げちゃいますから。
ヤダ先生、そこだけはダメなの――
逝っちゃいます――何も考えられない。ただ大好きな糸色先生の事だけ。
心を闇に引き摺り込まれながら、壊れた私は何度も口に出して叫ぶの。
407What are you DOING? You drive me CRAZY:2005/05/29(日) 21:32:00 ID:m5DImkTv
先生――
先生せんせい――
せんせいせんせいせんせいせんせいせんせい
せんせいせんせいせんせいせんせいせんせいせんせいせんせい
せんせいせんせいせんせいせんせいせんせいせんせいせんせいせんせいせんせい
せんせいせんせいせんせいせんせいせんせいせんせいせんせいせんせいせんせいせんせいせんせい
――――
――

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

常月まといが放心状態から回復するや、彼女のいた部屋の外から足音が聞こえた。
自慰の余韻に浸る感傷も得られないまま、まといは素早く身繕いに取り掛かる。
開いた胸元、引き摺り落ろしたショーツと袴の順に着衣を直し、零してしまった
椅子の上の愛液はその上に座ることで誤魔化す。
まだ熱の冷め切らない敏感な部分に濡れた布地が当たる。その感触にまといは小さく身悶える。
ノックの音がした。
「まといちゃん、入るわよ」
はーい――努めて平静な声でまといが応じると、扉を開けて彼女の母親が部屋に足を踏み入れた。
極く普通の主婦に見える。一見する限り、彼女はストーカー少女の母であるようには思われない。
もっとも明らかにそれと判る母親がどんな物なのか、知っている人間の方が少ないが――
「夜遅くまでお勉強ごくろうさま。お茶持って来たんだけどいかが?」
うん飲む――まといは机に向かったまま、母親を振り返らずに応じた。紅潮した顔を見られて、
自慰に耽っていた事を知られまい、と考えたのだろう。
母親はまといの机に向かおうとしたが、やがて娘の部屋に違和感を覚えて部屋の中を見渡した。
408What are you DOING? You drive me CRAZY:2005/05/29(日) 21:32:32 ID:m5DImkTv
ピンク系の内装に縫いぐるみといった、世間一般でイメージされるような女の子の部屋からは
程遠い。机にはPC、その他本やマンガなどを収める棚の代わりに金属製のラックが用いられた
極めて殺風景な部屋である。
どちらかと言うと男の子のそれに近いだろう、その部屋全ての壁に――
和装束の青年を撮影した写真が
びっしりと
隙間なく張り付けられている。
買い物の途中を捉えたもの――
捨て犬を雨から守る様子――
睡眠薬を呷る光景――
文豪の墓前で手を合わせる姿――

数百枚、いや数千枚はあろうか。しかもどれ一つとして、青年の正面を捉えた物はない。
暫し考えを巡らせて、母親は違和感の理由に辿り着いた。
娘は自分の好きな相手を写真に収め、壁中に隙間なく張り付ける癖がある。その写真の人物が、
先日部屋に入った時とは違う。つまり――
「まといちゃん、新しい好きな人出来たのね」
母親は茶碗を娘の傍らに置きながら、穏やかな笑みを浮かべて尋ねる。
娘に恋人がいる事を素直に喜んでいるようだ。
――うん、ママ
常月まといは机の前に張ったお気に入りの一枚を見つめたまま、歪んだ笑みを口元に浮かべて答えた。

<<終>>
409初代スレ396:2005/05/29(日) 21:35:26 ID:m5DImkTv
しまった、絶望先生があんまり絶望してない!
これ失敗かもな…

ホリえもんのSS,、とか落としたらヤバいだろうな…お休みなさい。
410名無しさん@ピンキー:2005/05/30(月) 21:14:21 ID:sUVZ9+3z
>>初代スレ396氏
GJ!

411名無しさん@ピンキー:2005/05/31(火) 22:32:22 ID:XEfVOd96
あっ、しまった、絶望先生まだ一回も読んでないじゃないか。
思い出させてくれて有難う。読まなきゃ。
412名無しさん@ピンキー:2005/06/01(水) 18:16:45 ID:copUI+z9
>>409
乙!!

あと、話の脱線しちゃって戻れなくなるのは久米田にはいつものことです。
413元229:2005/06/01(水) 19:27:00 ID:Smtxm6KQ
GJです。あぶないなぁまといちゃん。

ホリえもんのSS?
ホリえもんのSS?
414名無しさん@ピンキー:2005/06/01(水) 20:30:09 ID:I2bau3YO
まといちゃん怖えぇ〜 GJ!

ところで、いまのとこ絶望先生にでてきてるの、女生徒ばっかりですよね。
糸色先生が心中相手探して次々と女生徒食ってくのとかどうでしょう。
415元229:2005/06/06(月) 19:10:48 ID:dGk8qHEK
このままあと半年もすれば、3P4Pどころか10P以上できそうなくらい女の子が揃いますね。

たくさんの女の子を出してはエッチ、出してはエッチ…ってのはネタとしてはとても美味しそうです。
書き分けるの大変そうだけど。ちょっと考えてみよう。

話は突然強引に変わって、まだ箱庭ねた連載を投下します。
最終回・および直前話はもうほぼ出来てるのにそこへのもって行き方で苦労中、よってもう少し続きます。
6レス。
416箱庭のある情景 第8話:1:2005/06/06(月) 19:12:28 ID:dGk8qHEK
夕方、地丹と亜留美はあっさり仲直りした。そして夜、何度も求め合う二人。
あまりの濃厚さに、モニタしていたすずですら身体の疼きに堪えられなくなり、とうとう彼女も自分で
…彼女自身を慰め始めた。
白衣の前を開き、プラの下に右手を入れ、乳房を揉み始める。さすがに乳首の色は仕方ないが、柔らか
さも弾力も大きさも10代から変わっていない、亜留美のそれよりさらに豊かなふくらみ。
モニタからは、
『あ、地丹くん…あっ、あっ、いい…もっと…そう、もっと、もっと…』
と、亜留美のおねだりの甘い声が聞こえてくる。
モニタ画面の亜留美の表情は実にエロティックだ。そんな亜留美に、今夜のすずはどうしても感情移入
してしまい、自分がまるで愛されてるような気分になってしまう。もう熱く濡れて仕方がない。
いけないと思いつつ、地丹が亜留美にしているのと同じ事…アソコの小さく硬く膨れた所を、濡らした
右手中指と薬指でつまんでこねる…を、自分に対して行ない始めた。
白衣の前ボタンを全て開けた。黒いタイトスカートをめくりあげ、下着の股間の部分を左にずらして、
自らの液で濡れた肉の襞を刺激する。
亜留美のあげている悦びの声と、自分のそれがだんだん重なってゆく。
深夜だし、この診察室に他人が入ってくる気遣いはない。だけどあまりにもはしたない…すずは思った
がもうやめられない。
モニタの中で、地丹は亜留美に挿入し、それを一生懸命往復させている。
すずも、自分の中に指を入れて、同じリズムで往復させる。
美しい脚が宙に浮く。太腿までの長さがある紺のストッキング。
もう下半身は完全に露出させている。上半身も肩から今にも白衣がずり落ちそうだ。
長いこと自ら封印していた愉びが、全身に満ち溢れてゆく。
地丹の動きがどんどん激しさを増し、亜留美は半泣きになりながら叫び始める。
『あ、ああーっ…いい、イク…嬉しい…今夜はイケそう…地丹くん、地丹…あ、ああ、あっ…!!』
背中に爪を立てる。また出血が…。
そして、すずも自席の事務用椅子を軋ませながら絶頂に達した。
417箱庭のある情景 第8話:2:2005/06/06(月) 19:13:05 ID:dGk8qHEK
翌朝になった。スタッフたちはすずが出勤するのが遅れると連絡を受けた。
ナースセンターで朝のカルテの整理をしている看護師達もその話題をしている。
「珍しいわね、決して遅刻なんてした事のない人なのに。」
「身体の不調とかじゃないんでしょ?どうしたのかな、離婚調停とかは今週は関係ない筈だしね。」
やいのやいの、みんな当てずっぽうを言い合う。だが結論は出ない。まあ、夕べ深夜の事情など誰も知
らないし、彼女がどれだけ恥じ入っているか知りようもないのだから当然なのだが。
その話題が一回転した所で、亜留美がため息をついた。というか、前から何度もついていたのだ。
「?どうしたの亜留美ちゃん?」
「うーん…聞いてもらえます?なんか私、今になって、先輩たちが何で『地丹くんなんかとエッチして
平気なの?』って言ってたか、ようやく判って来たような気がするんですよね…」
「あれ?ケンカは仲直りしたんじゃなかったの?」
「しましたよ。」
他の看護師たちは、もうカルテ整理の手は止まってる。憶測での話題より、具体的な話のほうがいい。
「仲直りしたのなら、なんで地丹くんに対してさっきみたいな感想になるの?」
「自分でもよくわかんないですけど…まあ、仲直りできたからこそ、さっきみたいな事を感じ始めてる
ってのを人に話せるんで…って言ってもわかってもらえませんよね?」
「ううん、わかるわよ。たまにあるわそういう事。」
「そうですか、よかった…でも、ホント地丹くんって、スケベで自分勝手で…だいたい結局、私の私物
とか持ち出したりしてたストーカーって、地丹くんだったらしいじゃないですか。」
亜留美が愚痴りだした。先輩たちは適当に相槌を打ったりする。
しばらくしてそれも一回転した。
「なるほどね、亜留美ちゃんも大変だわ…ところで亜留美ちゃん、今日の下着はどんなの?」
「え?ピンクのレース地です、けっこう透けてたりするんで恥ずかしいんですけど。」
「あらセクシーね。何でそれにしたの?」
「あ、えっと、地丹くんがこれお気に入りみたいなんで…何でですか?」
「いえ別に。さ、仕事仕事。」
418箱庭のある情景 第8話:3:2005/06/06(月) 19:13:38 ID:dGk8qHEK
カルテ整理が終わり、別の用のある亜留美を残し、看護師たちは廊下を通り休憩室へ戻りつつある。
「亜留美ちゃんも、地丹君のことぐちぐち言うわりに、彼好みの下着をつけたりしてまあ…」
「いいじゃない、あなたにもそういう事あったでしょ?」
「まあありましたけど。そうそう、亜留美ちゃんの話に戻りますけど、おとといかな、『なんかやだなあ、
私って自分のエッチが先生とかにモニタされてるの、恥ずかしいって思うようになってきたんですよね
最近。』って言ってましたよ。」
「そう。初めの頃は見られてるのを知っても『あははー』とか笑ってたのにね。」
「まあ、あの頃の彼女の感覚ってちょっと…まあ、あの娘にも普通の羞恥心が出てきたって事ですか。」
「地丹くんに対する感覚も、だいぶ普通っぽくなってきたし…あら噂をすれば本人だわ。」
地丹が、給湯室で竹田先生と会話しているのだ。

彼の脳内では、バイト先のハンバーガー屋で会話中、ということらしい。
「まいっちゃったよ夕べは…彼女、昼間はあんなに怒ってたのに、仲直りしてエッチをし始めたら『ご
めんね、昼間はごめんね』って言いながら何度も求めてくるんだもんなー。」
「う、うらやましいッス…先輩は恵まれてますねぇ。」
後輩役にされている竹田先生も大変だ。
女性心理の専門家で、『ガールフレンドとのトラブル相談室』みたいなコーナーを男性週刊誌に連載し
ているほどの人なのに…よく地丹に話が合わせられるなあ、と周囲は感心する事しきりだ。
ふと、地丹がこちらに気づいた。
「やあ山一さん、今日は天才塾とのバトルはお休み?」
おいおいまだ『山一さん』扱いかよ…と隣で聞いていて思うしえ。
『山田さん』が結婚して『山口さん』になったのを知り、まだ治療中だった改蔵が面白がって「名前が
次第に失われていく奇病」というヘンな設定を作ったのはもうだいぶ前の事だ。
もちろん、その後、彼女は『山一さん』になどなっていない。下の名前だってちゃんとあるのだ。
もっとも当の彼女はほとんど気にしていないようだ。地丹に笑顔で言葉を返す。
「そうね、今日は天才塾も襲ってきていないわね。ところで地丹くん、先せ…じゃない、竹田くんとず
いぶんエッチなお話をしてたみたいね?」
419箱庭のある情景 第8話:4:2005/06/06(月) 19:14:29 ID:dGk8qHEK
「う、うん、えへへ。」
「地丹くんのガールフレンドって誰なの?教えてくれないわよね。」
「そうなんッスよ、自分にも教えてくれないんスよ、相手の女の子が誰なのか。」
「な、内緒にしようね、って約束してるんだよ…でもさあ、彼女さあ、なんていうか…自分が年上だか
らっていろいろ主導権を握ろうとしたり、鉄道に関心がまるでなかったり、『何でこんな事で?』って
ちょっとした事で機嫌を悪くしたり…あー、女の子って大変だなぁ…」
「あら、仲直りしたんじゃなかったの?」
「うーん…まあ、仲直りした今だから、こんな愚痴もいえるんだけど。」
「あっそ。おアツいことで…あ、そうそう、関係ないけど、ねえしえちゃん、亜留美ちゃんって今日は
ピンクの透けた下着をつけてるそうね。」
「え?あ、そうみたいですね、山一さん。」
地丹の目つきがかわる。
「え?そ、そうなんだ、あの下着…今日つけてくれてるんだ…」
「あら地丹くんどうしたの?亜留美ちゃんの下着の話は、地丹くんとは特に関係ないでしょ?あなたは、
あなたの彼女の事だけ気にかけていればいいじゃない。」
「いやそうなんだけど…あ、そうそう用事を思い出した。店長に今日はこれであがらせてもらうって言
っといて竹田。」
地丹は給湯室を飛び出した。

看護師たちは、再び休憩室に向かいつつ、カップルの次の行動を予測する。
「亜留美ちゃんを呼び出すわね。彼的には携帯を使ったつもりで、実は病室のインタホンで。」
「そうね、恐らく亜留美ちゃんは、仕事をほっぽり出して彼の元に行くわね。」
「で地丹くんは、その透けたセクシーな下着を鑑賞しつつ脱がせる、と。」
「亜留美ちゃんは恥ずかしそうにしながら、でもわざと無抵抗で脱がされる、と。」
「あとはもう昼間だというのに、ハメて入れて咥えこんで、出してイッてまたハメて…」
「で、明日になると、またなんだかんだ愚痴を言ったり『女なんて』って言ったりする訳ね。」
420箱庭のある情景 第8話:5:2005/06/06(月) 19:15:00 ID:dGk8qHEK
ちょうど休憩室についた。
そこで山一さ…じゃない、『山口さん』が、皆の思いを締めくくった。
「ほんと…やっかいな患者さんと、やっかいな看護師さんのカップルね。」
彼女は微笑みながらそれを口に出し、そして口に出した直後に気づいた。
『やっかいな』には、好意を込めて言ったつもりだったのだが、考えてみると別な意味にも取れる。
あの二人がこのまま甘い生活を続ける時間はもうあまりない。これから起こる出来事に関し、自分たち
は出来る限り彼らの支え役になってやらなければならない訳で…。

地丹の病気が治る時、それは―――あの二人の別れの時でもあるのだから。

すずは正午前に出勤した。
もう夕べのダメージも癒えている。自分の気持ちに折り合いを付けるのに関してはプロである。
今彼女は自分の診察室で、地丹や改蔵、羽美の治療レポートを見直している所だ。
治療レポートの見直しはしばしば行なっている。理論や計画に誤りや抜けがないか確認する為だ。
レポートは医療関連(特に精神医学関連)の専門用語、データや数字が溢れていて普通の人には読みづ
らいものだが、それを平易な言葉に直して示せば以下のようになった―――

『勝 改蔵。中学三年生の時、家族の一家心中に遭遇。本人のみ一命を取り留める。
心中から生還して意識を取り戻した際、自分が集中治療室にて医療装置類に無数の管で繋がれていた印
象からか、自らを改造人間と思い込むようになった。トラックを止めようと道に立ったり、空を飛ぼう
と10階のベランダから宙にとび出ようとしたため病院へ。
箱庭療法では主導的な立場、その世界を構築する牽引的な役割を演じる。
治療を開始するとすぐ、自分が改造人間であるという妄想はほぼ消えた。ちなみに、この事実が
「箱庭世界内で妄想の自分に住人の役割を演じさせ、その病的部分をその世界内に吐き出させることで
現実の本人の精神バランスを快復に向かわせる」
というこの療法の有効性に対する最初の実証例となり、その後の計画にはずみをつけることとなった。
彼はしかしヘンな空想力・妄想癖をその後も根強く保ち続け、空想と現実の区別がつくようになるまで
は時間がかかった。詳細は今後の解析が必要だが、観察によれば、名取羽美と坪内地丹がこの世界で吐
き出した病的部分の受け皿としての機能を彼が担っていた為、という印象を受ける。
それでも名取羽美と入籍後はかなりすみやかに精神状態の正常化を見せた。
2004年4月退院、現在は予後経過観察中。』

『名取 羽美(現在は勝羽美)。中学三年生の時、家族の一家心中に遭遇。本人のみ一命を取り留める。
事件後、彼女は「自分は心の奥に殺人衝動を持っており、それがいつか抑えきれなくなって街中で凶器
を持って暴れだしかねない」という妄想を抱くようになる。
「被害者を出す前に自分は死ぬべき」と考えリストカットを繰り返しため病院へ。
ちなみに、現実の彼女は、自分の腕に止まって血を吸っている蚊に気づいても、かわいそうといってそ
れを叩くのが出来ない性格である。また、どのように深層心理を探っても、本人の言うような凶暴な衝
動・別人格は現れてこなかった。一人生き残った罪悪感が歪んだ形で現れたものと考えられる。
箱庭療法では、初期と後期ではかなり異なった立場になった。初めのうち彼女は、心の中の「妄想の人
格」をさらけ出すことをせず、一種普通の女の子的立場を保ち続けた。「痛い性格でキレると街中で暴
れだす」という妄想の人格を箱庭世界に解放させるようになるのはある程度経過してからである。
そうなってから後はリストカット騒ぎは一度しか起こさずに済んだ。
病的部分を箱庭世界に吐き出すレベルがある一線を越えた後は、きわめて順調に回復が進むようになり、
勝改蔵と入籍後まもなく退院可能なレベルまで達した。
2004年4月退院、現在は予後経過観察中。』

さて、とすずが次に地丹のレポートを読もうとしたところでインタホンが。
机の上のiMacの液晶画面をつける。まだ昼間だというのに地丹と亜留美が部屋にこもっている。
ピンクの透けた下着姿の亜留美を、地丹がスケベそうに見回しながら愛撫する。
やがて亜留美は『脱がせて』と言い…モニタの中央には、彼女の幼女のような性器が丸映しになった。

つづく
422名無しさん@ピンキー:2005/06/09(木) 00:12:52 ID:neCw79ot
保守
423名無しさん@ピンキー:2005/06/11(土) 19:52:24 ID:yhj7jwJR
箱庭の人面白い!GJ!がんがれ
42477 ◆CSCBs4vc.s :2005/06/17(金) 10:36:09 ID:krW0oUCP
どうもです、受験の方はそこそこに進んでいます。
勉強に専念したいので仕事も今月いっぱいで辞めます。

初回模試で偏差値60に届いたのでなんとかなるかもしれません。
受験が終わったならその時は、それこそ全話漫画化したいとも考えています。
今しばらく、お待ち下さい。
425名無しさん@ピンキー:2005/06/17(金) 21:16:48 ID:2SRIILox
気体age
426名無しさん@ピンキー:2005/06/21(火) 10:26:49 ID:qLfLDE6r
77が降臨してもこの寂れ具合。

77はもういいよ。やめれ。期待して待ってる奴なんて極少だっつの
427名無しさん@ピンキー:2005/06/22(水) 21:14:49 ID:jRJjHfYz
漏れは待っていますよ
428元229:2005/06/23(木) 19:04:29 ID:cKaEKz8a
私も待ってまつよ
429名無しさん@ピンキー:2005/06/24(金) 22:45:38 ID:myhxANMW
今週絶望にでてきた褐色の子に萌
430名無しさん@ピンキー:2005/06/29(水) 23:26:22 ID:O9xgyr9F
保守
431名無しさん@ピンキー:2005/07/01(金) 19:03:28 ID:+YvfO8Qr
保守ありがとう
432元229:2005/07/04(月) 18:57:47 ID:KaBFR5fH
ということで、何事もなかったかのようにさくさく投下。

これを含め、あと3話です。では。
433名無しさん@ピンキー:2005/07/04(月) 19:01:01 ID:KaBFR5fH
『あ、地丹君…ああ…いい、そこ、もっと…』
モニタの中から亜留美のかわいい声がする。あれだけ酷使されながら未だに整った形の小陰唇の隙間か
ら、透明なしずくが滴るのがモニタにもはっきり見える。
すずは窓の外、隔離病棟の中庭を見た。患者達がいつも日向ぼっこをしている。
患者たちは、当然だが、すぐそこ10メートルと離れていない病室で、今まさに一組の男女が激しくフ
ァックしつつあることにまったく気づいていない。
車椅子の少女(地丹が妹だと思い込んでいる眼鏡の少女)が中庭に出てくる。恐る恐る立ち上がってす
ぐにまた座った。彼女は脊髄の感染症が原因で下半身が麻痺に近い状態となり、短時間しか自分で立っ
ていることが出来ない。感染症自体は治癒したが、精神的な理由からリハビリが進まないのだ。その為、
現在は精神科病棟に移され、若先生が心理療法を試みているところなのだが…。
すずはそれらを横目で見つつ、再びレポートに目を戻した。地丹のレポート部分である。

『坪内 地丹。中学三年生の時、家族の一家心中に遭遇。本人のみ一命を取り留める。
事件前の彼はきわめて陽気でお調子者、ただしクラスではその明るさが上滑りして浮いている…という
タイプであった。一命を取り留めた後はそれが一変し、極めて内向的で悲観的、没交渉的な人格を装う
ようになった。周囲との断絶のために彼を取り巻く状況が破綻をきたしたため病院へ。
箱庭療法中、初めのうち彼は冴えないがも普通の少年を演じていたが、まもなく(名取羽美より早い時
期に)きわめて内にこもる問題の多い性格を箱庭世界の中に吐き出すようになった。
箱庭世界内での登場人物としての坪内地丹が病的なくらいマイナスの性格の塊なのは、地丹自身がそう
いうふうに演じ続けたからに他ならない。箱庭内で彼が蒙った悲惨で破滅的な出来事の数々は、自ら改
蔵たちに願ってそうさせてもらっていたものである。
治療中に彼のあまりのネガティブさに辟易した改蔵や羽美が、「ごんぶと(改蔵による)」や「めがねを
取ったら美少年(羽美による)」といったポジティブな属性を与えようとしたが、本人は取り合わずにそ
の設定は立ち消えに。
434箱庭のある情景 第9話:2:2005/07/04(月) 19:02:08 ID:KaBFR5fH
ちなみに、名取羽美が病的性格を箱庭内に吐き出せるようになったのは、地丹が先にそうなった事に引
きずられたから、という可能性が高い。
現在もまだ現実と妄想の区別があいまいなままで、改蔵や羽美が退院したのも、自分に黙って勝手に転
校していったものだと思っている。
2004年4月現在、入院・治療続行中。』

液晶画面の中では、地丹と亜留美の行為の真っ最中。後背位で犬のように交わっている所だ。やわらか
そうな巨乳がぷるんぷるんと揺れる。桃のようなお尻は地丹の両手で鷲掴みにされている。可愛らしい
喘ぎ声も聞こえる。
それを見ていても、すずは今日は身体も疼いてこない。夕べは身体の状態が何か特別だったらしい。
『治療』は佳境に入った。モニタの中で二人は、位置を入れ替え正常位になった。一心不乱に腰を動か
している地丹。ぐちゅぐちゅ…と音が聞こえてくる。モニタからは見えないが、繋がった所からは泡立
った愛液が滴り落ちてるのだろう。
地丹はもう射精に向けて限界のようだ。亜留美のあえぎ声も次第に大きくなる。と、急に、
『地丹くん…好き…好きだよ…あ、ああ…好き…』
下になっている亜留美が感極まったように言った。顔を地丹の顔に近づけキスをし何度も…そして。
『あ、ああ、地丹くん…イキそう…あ、イク…あ、ダメ、ダメダメ、死んじゃう――――っ!!』
響き渡る亜留美の絶叫に、中庭の患者たちが一斉に地丹の病室のほうを見た。
しかし、あまり関心を寄せているようではない。そして皆、すぐにそれを忘れた。
亜留美はまだビクッ、ビクッ…と痙攣しつつ恍惚の表情だ。地丹が肩で喘いでいる。背中から血が滲む。
すずは、ふう、とため息をつくと、ふと思いついてレポートに以下の文章を付け加えた。

『付記:坪内地丹に関しては本レポート作成後、新しい治療を彼に試行中。
女性(看護師の一人:箱庭内では彼がストーキングをしていた相手の上級生役)をパートナーとして性
交渉のある関係にすることで、状況を打開しようというもの。
これによる状況の変化、およびそれに伴う彼の心理状態の変化については、別途レポートが発行される
予定なのでそちらを参照されたい…』

435箱庭のある情景 第9話:3:2005/07/04(月) 19:02:46 ID:KaBFR5fH
すずの診察室の窓の外では、元天才だった人たちが、若先生に引率されてぞろぞろと中庭に現れた。
彼らの入院も長くなった。彼らに箱庭療法の応用は効かないものか…。
そこで、すずはふと、亜留美がイク間際に地丹に『好き』と言ったのに気づいた。亜留美は地丹とのS
EXにではなく、地丹自身に溺れ始めているのだ。
これはよくない兆候だ。
予測していた出来事ではある。しかし思っていたより早い…もうあまり時間はないのかもしれない。
治療の最終段階を、開始すべき時が近づいている。

二日後、すずは決断を下し、彼女を…亜留美を内線で自分の部屋に呼び出した。
彼女が部屋に来るまでの間、地丹と亜留美のそれぞれの「変化」について思いを巡らせる。
亜留美はこの十日ほどで大きく変わった。
『治療』開始前までは、下着は子供っぽい柄のプリントのパンツやブラ、白衣でないときの服装はキャ
ラクター物のTシャツにジーンズというのが彼女の普通の姿だった。
それが今では、下着はシルクかレースをあしらった白やベージュのものを身に着けるようになり(一度
だけ、黒のTバックを穿いてきて先輩看護師たちを驚かせたこともあった)、上着も大人の女らしいブ
ラウスに落ち着いた色のスカートを着るようになっている。
そして立ち振る舞い、表情なども急激に子供っぽさが抜け…年齢相応か、場合によってはそれ以上に大
人びた雰囲気を感じさせるようになった。
長い間蕾だった花が急に咲き始めたかのように、彼女は『女』へと変貌を遂げつつあるのだ。
病院勤務の若い男達(医者やらX線技師やら薬剤師やら)の間でも『精神科病棟の新人の看護師のコが
急に色っぽくなった』という噂はかなり広まっているようであった。もっとも、彼らは『治療』の事は
知らないのであるが。

地丹のほうはと言えば、見た目ではそれほど劇的な変化は見せていなかった。
あいかわらずに箱庭でせっせと鉄道を増殖させている。そのペースは鈍っているが、それは別に鉄道へ
の興味が薄れたからではなく、亜留美との夜の営みに時間を取られるせいらしかった。
436箱庭のある情景 第9話:4:2005/07/04(月) 19:03:33 ID:KaBFR5fH
ただし、さすがに女性関係の経験値は上がっているようで、竹田先生によれば、『よう竹田、女って言
うのはよぉ…』と薀蓄を垂れる際の内容は、かなり具体的かつ現実的なものになってきているそうだ。
こんな例もある。ついこの間だが、地丹はすずに冗談でちょっかいを出してきた。
『亜留美ちゃんばっかりも飽きたし、すずちゃん、今晩どう?』
その時すずはしれっと微笑んだだけのつもりだったのだが、地丹はすぐに
『あ、冗談冗談、今のは忘れて。』
と取り消しをかけてきた。すずがほんの一瞬、普通の男なら気づかないほど僅かにみせた拒絶の仕草を
感じ取ったのだ。昔の地丹なら絶対に無理だったはずだ。
SEXの経験値も上がってきており、まあ普通の成人男子並みのテクニックと持続力になった。亜留美
を相手になら、ほぼ毎晩少なくとも一度は彼女を絶頂に導くことが出来ている。
そして、彼の、表には見えないところで、何かが変わりつつある。それがなんなのかをまだすずにも説
明することは出来ないのだが、一種の精神科医としての勘のようなものとして、彼の快復への兆候のよ
うなものを感じ取れているのだ。そう、改蔵と羽美の時と同様に…条件は整ったのだ。
すずがそこまで考えた所で、部屋に亜留美が入ってきた。

「…わかりました。」
話を聞くと悲しそうな顔をした亜留美。だがそろそろ来るべき出来事だとは思っていたようだ。
「いいの?あなたが望むなら、このまま二人の関係、いや恋仲を続行させてあげても…」
「いやだなあ、それじゃいつまでたっても地丹くんの治療が完了しないじゃないですか。もともと治療
目的で始めたことですよ。もっとも自分の感情がこんなほうに動くって言うのは、想定外でしたけどね。」
「亜留美ちゃん…。」
「さ、全部教えてください。治療の最終段階って、何をするんですか?私はどう振舞って、彼の反応に
どう対応すればいいんですか?それと…」
―――そしてさらに翌日、『それ』は実行に移されることになった。

『治療』開始からは、12日が経過していた。
437箱庭のある情景 第9話:5:2005/07/04(月) 19:04:17 ID:KaBFR5fH
『その時』は来た。地丹は例によって箱庭の部屋にいるようだ。
すずはそっと彼の後ろに立つ。地丹は新幹線の駅の最後の仕上げを行っている所だ。後頭部、毛が薄く
なっている所(ただし、毎晩の行為で男性ホルモンが活性化されているのか、だいぶ修復されつつある
のだが)をこちらに向けて一心不乱に細々した加工を行っている。
足元に何か手製の二つ折りの書き物が落ちている。すずが屈みこんでみるとそれは新幹線開業記念行事
の(自作の)プログラムらしかった。
そうこうするうち地丹は、自分の人形をとらうま町の中で動かし、箱庭内の学校の場所に持っていった。
科特部の部室に向かった、ということらしい。
すずは、彼に聞こえないように合図をして、亜留美をすぐ傍らに待機させた。

<以下、箱庭世界>
間もなく行われる新幹線のとらうま町の新駅開業記念行事に向け、地丹は忙しそうに準備を進めている。
色々とコネがあって、彼もその行事には(下っ端でだが)出席できるのだ。
やっとここまで来たか、これが開業した暁には盛岡も新鹿児島もあっという間だ…などと思いつつ、記
念行事のプログラムを部室で見返している地丹。そこに、亜留美が入ってきた。
「なにしてるのー?」
後ろから首っ玉に両腕をまとわりつかせる。
「い、いや、今度の駅の開業記念パーティーの。」
「もう、電車電車で私の事を構ってくれないのね。今みたいに毎日一緒、毎晩一緒ってのは来週いっぱ
い、3月いっぱいで終わりなんだよ?もっと愛し合おうよー。」
そういやここんとこ、こっちに忙しくて、夜の亜留美との行為も少し手抜きになってるな、今夜あたり
は濃厚にしてあげて機嫌を取らないとまずいかな…。
甘えつつ亜留美は地丹の股間をズボンの上からさする。同時に隠れ居乳を後ろから背中に押し付ける。
(あはは…このコ、こういう大胆な行為も最近は平気でやるようになってきたなぁ…恥じらいはもとも
とあんまりないコだけど…でも気持ちいいなあ。)
チュ、と後ろから頬にキスし、ズボンのチャックを下ろし、手をパンツの中にまで入れる。
438箱庭のある情景 第9話:6:2005/07/04(月) 19:05:26 ID:KaBFR5fH
地丹はボッキし始める。亜留美は心得ていて、それに応じ手の動きを変えて刺激する。
(上手になったな…だけど、なんかさっきの後半の言葉が引っかかるな、どういう意味だろう?)
地丹がそれを訊こうとした所で今度はすずが部室に入ってきた。亜留美はぱっと身体を離す。
「あら、続けてていいのよ。私に構わないで。」
「そ、そんなことできるわけないじゃないですかっ。」
「でも、せっかく、二人が部室でもSEXができるようにと思って、部室にもベッドを置いたのに。」
「使えるわけないじゃないですかぁ。」
すずと亜留美の会話を聞いていて、ちょっとだけこのベッド使いたいなと考えたことは内緒にしておこ
うと思った地丹である。
「残念ねぇ…だって、このベッドを普段の放課後のプレイとして使えるの、もう今日と明日しかチャン
スはないのよ?それを過ぎたら、わざわざ学校に訪れて来て使うことになるわ、それって変でしょ?」
「まあそうですけどぉ。」
「とりあえずこのベッドは来年もこのまま置いておくけど…そうそう遊びに来るわけにもいかないんで
しょ?看護学校に入ったら忙しいだろうし。」
「そうなんですよねー。入学直後から色々結構あって、時間が取れないらしいんですよ。」
「…何の話をしてるの?」
地丹が会話に割って入る。すずと亜留美はきょとんとした表情で地丹のほうを。
「何って、地丹くん、亜留美ちゃんの来月…4月からの話だけど。」
「あーあ、ホントもうちょっと近い看護学校に行ければよかったのになー。ごめんね地丹くん、でも私
だってさびしいんだよー。」
「いや…話が全然見えないんだけど…4月からって何?あれ?今って3月だったっけ、あれ?」
「どうしちゃったの地丹くん?こないだもそうだったけど…あなた、また自分と亜留美ちゃんに関する
大事な事…あんなに大事な事を忘れちゃったの?」
すずは不思議そうな顔をして、そしてその顔のまま言い続ける。
「例年どおり彼女だけは歳を取るから、あさっての卒業式で亜留美ちゃんは卒業するんじゃないの。」

つづく
439名無しさん@ピンキー:2005/07/09(土) 00:07:12 ID:yjPBcEzG

440名無しさん@ピンキー:2005/07/09(土) 11:50:58 ID:HezHrCM7
おっちんこ
441初代スレ396:2005/07/09(土) 18:53:30 ID:99cQVFjn
どうも、この前言ってたいいがかり姉さんのSSを投下します。
読んで下さる奇特な方々、今回は絶対に注意事項を頭に入れて頂きたい。

・キャラはホリ○もんの♂と♀。作中作のエロパロです。
・陵辱物ですが全く萌えません。全くエロくありません。
・自分で言うのも何ですが駄目すぎます。よって基本的にはスルー推奨。

では投下開始。
442大長編人気マンガ ホリ○もん:2005/07/09(土) 18:54:45 ID:99cQVFjn
ぼくホリ○もん。
ネコ型ロボットでもネット長者でもないよ。22世紀からやって来たポロロッカ星人です。
ちなみに♂です。あんな夢こんな夢、魅惑の道具でみんな叶えてあげます。
今日も不幸せげな顔をした地球人を救いに、ちょっと公園に出かけてみよう――

そこのメガネかけたハカマ姿の青年、何か悩み事でもあるのかい?
何でわかるかって?
そりゃマル急デパートで買った荒縄と踏み台なんか持って、桜の枝っぷりを悲しそうに眺めてたらね。
さっそく魅惑の道具の出番だね。四次元半ズボンから道具出すから、ちょっと待ってて――

――はい、借金ポケット♪

借金ポケットを使うと無限にお金が借りられるんだ。
貧乏くさいデザインだけど、ア○ブラだってこのポケットほどの信用保証はしてくれない。
見ててごらん、ほら一千億円借りられた。このお金を好きに使えば悩みなんて吹っ飛ぶよ。
お金で解決できない悩みなんてないよ。所詮人間の心だってお金で買えるんだから。
さあ遠慮せずにこのお金で好きな会社を買ってみなよ。ラジオ局なんかお勧めだね。

ちょっと何引いてるんだい、顔色が真っ青だよ。一千億円って言っても、たかがお金なのに。
そんなお金要らないって?冗談でしょ、お金がキライな人なんているの?
何、絶望した?金汚い世の中に絶望したって?
こらこら青年、踏み台に昇るな。枝に荒縄をくくるなって、あーっ!

あーあ、あの青年ホントに首吊っちゃったよ。
何かセーラー服着た女の子が駆けつけてぶらさがって、運良く縄が切れたからいいけど。
死んだらどーするとか言ってるよ青年。ワケわからん。
それに借金ポケットから出した一千億円の札束に人が群がり始めたし。
それが公園からあふれて街に広がり、あっちこっちから悲鳴やクラッシュ音やサイレンが聞こえたし。
ぼく知ーらない、と。
やっぱりこういう時はトンズラを決めるに限るね。夕方のニュースでこの騒動取り上げるだろうから、
後でカウチポテトしながらゆっくり見ようっと。
443大長編人気マンガ ホリ○もん:2005/07/09(土) 18:55:17 ID:99cQVFjn
何気ない顔をして、近くの駅から地下鉄に乗ったんだ。ビクビクしてたらかえって怪しまれるし。
でもなぜか周りの目を集めてしまう。しかもそれが珍獣でも見るかのような目ときたもんだ。
きっと半ズボンが良くないんだろうね。オシャレ過ぎるのも考え物さ。
さて、杖突いたおじいちゃんが乗り込んで来た。シルバーシートじゃないけど、お年寄りには席を譲ろう。
と――
左側のドアをはさんだロングシートの向かい、つり革につかまっていたのは間違いなくホリえもんだ。
こんなトコロで同胞に遭うとは思わなかったよ。しかも♀じゃないか。
鉛色の光沢を持った肌、ビア樽みたいなお腹、でっぷりと後ろに突き出た毛のない頭。
そしてTシャツの下から透けて見える乳首がとってもセクシー――
思わずアゴがボッキして左右に飛び出ちゃったよ。ちょっと彼女に近付いてみよう。
別にお茶しようって声かける訳じゃないよ。ぼくはシャイだからね。

――はい、うえくさミラー♪

これで半ズボンの上からでも彼女のパンツを見られるのさ。スカートの中をのぞくならともかく、
半ズボンを見る分にはチカンじゃないからね※。
イチゴパンツでも見えないかな。どーれ、って――

ノーパンは反則だろ?!鼻血噴いてまたヘンな目で見られちゃったじゃないか!

この♀は痴女じゃないかと思った。まさかぼくを誘ってるんじゃないだろうね?
だったら簡単にヤらせてくれる訳で――
あ、次で降りるみたいだ。うえくさミラーをしまって、後を追ってみよう。
♀のホリえもんは改札を定期で抜けた。どうやらこの辺りに住んでいるらしいね。
夕方なのに彼女の通った出口は人っこひとりいなかった。なのに彼女は辺りをキョロキョロ見てる。
尾行がバレたのかな、とも思って身を隠したけど、彼女はぼくの方をあまり振り返らなかった。
ぼくの存在には気付いていないみたいだ。こりゃ好都合♪
444大長編人気マンガ ホリ○もん:2005/07/09(土) 18:56:33 ID:99cQVFjn
壁の所々がひび割れた古臭い階段を上ると、そこは商店街だった。
ほとんどの店がシャッターを下ろしたゴーストタウンだ。都心にこんな所が残っていたのかと思うと、
ここを植民地として再開発してやりたい衝動に駆られる。
♀のホリえもんは段ボールハウスが立ち並ぶアーケードをひょこひょこと潜り抜け、これまた老朽化した
住宅街の真ん中を右に左に千鳥足。
交尾とはご無沙汰なのだろうか、彼女は関節のない腕を欲求不満ぎみにブラブラさせた。

空家や電柱のかげに隠れて追跡を続けたところ、彼女は空き地の前に差し掛かった。
有刺鉄線で囲われ、土管が三本。ちょうどド○えもんに出てくるような空き地だと思ってくれたらいい。
今は六時ごろだろうか。夕闇がおおう空にカラスの鳴き声がブキミにひびく。
真っ暗闇よりも人目に付きにくく都合がいい。もう隠れている必要もないし、公園に連れ込んじゃえ。

――はい、さつじんカッター♪

刃渡り四十センチのさつじんカッターを持って、♀にダッシュで近付いた。後ろから、
「ヤらせろ〜!」
と声をかける。
♀が振り返った。ぼくの存在に気付き、口からスチームを吐き出して驚いている。
逃げるかと思いきや、♀はなんと半ズボンの中に手をやってごそごそ動かした。
下半身をいじって気持ち良かったみたいだけど、すぐに抜き手のかまえから魅惑の道具を取り出す。

――生肉ライト♥

生肉が次から次へとぼく目がけて飛んだ。さつじんカッターを左右に振って、それに斬りつける。
けっこう脂身が多い肉だったから、四つ斬ったところで刃がダメになった。
ぼくの顔に雨あられと生肉が貼り付く。ベタベタして気持ちわるい。息が苦しい――
445大長編人気マンガ ホリ○もん:2005/07/09(土) 18:57:26 ID:99cQVFjn
長い舌で生肉をなめ取って噛まずに飲み込む。視界が戻ると、彼女のライトも電池が切れたようだった。
♀が空き地に逃げ込んだ。ぼくも追い駆けなきゃ。
「まて〜!♀ぅ〜!」
ジャ○アンみたいなセリフだけど、シチュがシチュだけにしょうがないか。
♀のホリえもんは下半身をごそごそやりながら走るので、逃げ足が遅くなってる。
追い着いたと思ったら、彼女が振り向きざまに再び抜き手から魅惑の道具――

――心のドア♥

うおう危ねえ。勢いあまって心のドアの中に吸い込まれそうになったよ。
あの中に吸い込まれたら、心の闇に切り刻まれちゃうよ……
何とかその場に踏み止まったけど、さつじんカッターをドアの向こうに落としてしまった。
まあどうせ刃がダメになってたからいいけど。その間に♀はものすごく高い声で必死に叫んだ。
「だれかたすけてぇ!!♂に犯されるぅ!!」
お生憎さま。そんな高い声で叫んでも地球人の耳には届かないよ。
ぼくらの金切り声は、地球人が超音波って呼んでる奴だからね。
遠くで犬の鳴き声がする。道では街灯の周りにコウモリがぽとぽと墜落する。
けどやっぱり、♀のホリ○もんを助けてくれる人間は誰も来なかった。
今の内に次の一手――

――はい、くぼずか草♪

このくぼずか草をいぶしてその煙を吸うと、とてもいい気持ちになれるんだ。
はいお終い。♀は目をとろんとさせて、赤茶色をした土の上にへたり込んだ。
ぼくもちょっと煙吸い込んじゃったから、頭がクラクラする。うーんマンダム。
ま、これも想定の範囲内だから全然オッケー。
うつぶせになった♀の頭を鷲づかみにする。♀はやっぱり巨頭に限るね。
446大長編人気マンガ ホリ○もん:2005/07/09(土) 19:01:13 ID:99cQVFjn
「柔らかい、柔らかいよ♀」
ぼくのスペシャルテクで頭を弄られた♀が、たまらず喘ぎ声を上げた。
「ぬむぅ……んにゅ……」
そんなに頭を突き出さなくても、ちゃんと揉んであげるから。
「君だって男日照りが続いて我慢出来なくなってるんだろ?」
「そんな……へみむる……っ!」
頭頂部を吸ってあげると、♀がぴびゅくん、と身悶えた。頭全体を撫で回している内に、
♀の足から力が抜けて行く。

あーあ、自分ばっかり気持ちヨクなっちゃって。よし今度はぼくもいっしょに――
苦労して半ズボンを脱がせる。シャツはめんどうだから脱がさなくていいや。
♀がノーパンだったのはうえくさミラーで知ってたけど、今初めてそのことを知った風に
わざとおどろいて見せるんだ。それが交渉術ってやつさ。
「わーおノーパン♪ そんな格好で出歩いてたら、こんな目にあっても仕方ないだろ?」
「ぬやぁ……そんなトコ、見ないで……むきゅわおぐぇ……!!」
ポロロッカ星人の♀は足を開けば、地球人と同じ所に性器があるんだ。感じると入れやすく
なるのも地球人と一緒なのさ。
ほら、♀は知らんぷりで恥ずかしがっているけど、彼女のアソコはいい具合に白い粉を吹いている。
ぼくの愛撫に感じているのさ。今ならボッキしたあごもするっと入りそう。
びっしりと生えたイトミミズみたいな触角の中心に、青毛虫花を思わせる五つに割れた
ピンク色の肉ヒダがみえる。
ぼくはすっかり固くなった右あごを、肉ヒダにゆっくりと宛がった。
447大長編人気マンガ ホリ○もん:2005/07/09(土) 19:02:11 ID:99cQVFjn
彼女の中は新鮮な生首魚みたいにヒヤッと滑ってとても心地良い。ドーテイの頃は良くあれで
あごを包んで代用した物だが、本物の♀には遠く及ばないね。
♀はというとぼくのダイナマイツあごを入れたいっしゅん、とても嬉しそうに鳴いた。
「べふっ……べふぢ……っ……ぬけぁぎ……」
細かい触角が顔を撫でる。挿入の時に嫌がっていたけど、身体はというか触角は正直だね。
ぼくのダイナマイツあごに冷たくまとわり付き、あごを往復させる度にキツく締め上げる。
彼女が名器なのもあるけど、久しぶりだからかものすごくイイ。意識的かそうでないのか
知らないけど、触角が挿入されてないぼくの左あごをワサワサ撫でた。
「初めてじゃないだろ。そんな風に触角であごを撫でるなんて」

きにゅぶん、と♀が鳴いた。ひとみを恨めしそうな様子でたてに細めた。
「どうでも……いいでしょ……へみぐれっ!!」
深々とあごを差し込んでやると、♀は目を瞑って黙り込んだ。彼女の奥にあるらせん状の
ヒダヒダが、毎秒三万二千回転で右あごをかき回す。
あまりの良さにあごに血流が集まって、それが彼女の腹回りを十倍にもボーチョーさせた。
♀は細かい触角と丸太のような脚で、ボクの頭を抱え込んだ。
合体した二人の様子はもはやビア樽じゃなくて、胴体とボクというおまけが付いた巨大なボールだ。
それが空き地の地面を所せましと転がりまくる。全身性感帯となった♀が地面を転がるたびに、
コンクリートの壁や土管やゆうし鉄線へとぶつかるたびに、♀は身体の中からわき上がる悦びで
たまらずに叫ぶ。
「げぴゅぶわああぁん!!」
448大長編人気マンガ ホリ○もん:2005/07/09(土) 19:03:25 ID:99cQVFjn
これだよ。このゴロゴロと目が回る感じがないとセックスしてる気にならない。
♀に押し潰されたら死んじゃうけど、それもまた♂と♀との交わりって感じがしてイイね。
うーん久々の♀ということもあって気持ち良い。けどもう充分愉しんだし、そろそろ限界だから
イッてしまおうか。
「イクよ♀、イッちゃうよ!!」
それまで酔いしれていた♀の顔が、血の気を失って鉛色に褪める。
「イヤぁ……中に出さないで……」
ぼくは首をふってイヤがる彼女を無視して両方のあごを回転させた。身体の中で右あご、
そしてびっしり生えた触角で左あご、二箇所を同時に攻められたんだから♀はたまらない。
「イヤ……来る……あぎとぉあああああぁぺ……!!」
右あごから彼女の膨れた腹に相当するカタマリをぽっきゅりとひり出し、ボクは満足して
彼女の中からすっかりしぼんだ右あごを引き抜いた。

触角におおわれた五枚の襞がぱっかりと開いてヒクヒク言っていた。
中心からカタマリの分泌する深い緑色の粉が出ている。彼女の白い粉と混じってとってもエロティック。
「ヒドい……中に出さないでって言ったのに」
そう言って♀はボクに襲われた時の倍音を響かせて泣いた。だからそんな高周波で泣いても
誰も助けに来ないって言ったのに。
卵ができたらどうしよう、♀はゲズゲズと目粉をすすりながら言った。
「想定の範囲内じゃん」
ヒドイわ、と♀がさらに六オクターブ高い音で喚いた。一秒あたり1300×1000振動、地球人が
ラジオで遠隔地と交信する周波数だ。
夕方のラジオ番組を聞いている人間がノイズを聞き止めるかも知れない。そういう手合いなら
問題はなかったけど、ボクにはもっと心配な事があった。盗聴マニアだ。
既に彼女の泣き声を拾っているかも知れない。という事は僕の想定範囲よりも早くこの場所が
嗅ぎ付けられる可能性は充分に高いだろう。
早く退散しないと見つかっておナワになる、そう思ってボクは一目散に逃げる事に決めた。
しかしそれより早く、♀は半ズボンもはかずに空き地を後にした。青毛虫花みたいな
いやらしいアソコを隠さず、膨れたお腹で転がりながらだ。腹が十倍に膨れていたから
穿けなかったんだろうけど。
空き地を立ち去ろうとして、地面にまかれた緑と白の入り混じった粉がイヤにエロく見えた。
449大長編人気マンガ ホリ○もん:2005/07/09(土) 19:04:03 ID:99cQVFjn
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

「私のネタがパクられた!!」
名取羽美は内装がピンクに統一された自室の机に座り、デスクトップの画面を見つめて憤慨した。
丸みを帯びたボディに、15インチの液晶ディスプレイ。購入した三年前の時点で既に型落ちしていた
デスクトップだが、デザインが洗練されている為か古臭さをちっとも感じさせない。
そのディスプレイ一杯に拡大されたブラウザの中身は、真っ黒な背景にライトグリーンや
ショッキングピンクやらの大きなフォントを使った、素人くさい作りのウェブサイトだった。
画面上に張られた広告から18禁エロサイトらしいと見分けが付くが、それにしてもセンスが欠片ほども
窺えない。展示されたエロ画像は乳や女性器を異常に強調したもので、色鉛筆で塗ったのだろうか
所々塗りムラが残っている始末だ。

憤然たる表情で、羽美はオレンジのフォントで書かれた部分を凝視する。
――大長編人気マンガ ホ○えもん
これと全く同じタイトルのマンガを、羽美は小学生だった十年以上前から暖めて来たのだ。
大学ノート三冊にも及ぶ大作で、映画化も視野に入れていた。後は出版社に持ち込み、世間に発表する
タイミングを計るばかりの所まで漕ぎ付けたのだ。
羽美のプランでは作品の映画化に伴って大金を手に入れ、母や弟に小遣いを渡す身分になる筈だった。

そのアイデアが盗まれた上に、何者かの手によってエロ小説に書き換えられた上に発表されたのだ。
まだマンガや映画として発表されたのならいいだろう。原作者である羽美の手に金は入らないが、
しかし世の中に『さつじんカッター』や『猫専用なべ』がウケた事を示す証になるからだ。
羽美の機嫌を二重に損なっていたのは、『大長編人気マンガ ホリ○もん』が選りにも選って
こんなセンスの悪くアクセス数も少ないアダルトサイトの投稿小説掲示板で発表された事だった。
しかも悪文で読みにくい。羽美は○リえもんの姿を知っているからまだ情景の想像が出来たが、
単純に文章だけから登場人物の容姿を想像するのは極めて困難である。
450大長編人気マンガ ホリ○もん:2005/07/09(土) 19:05:29 ID:99cQVFjn
実際作品に寄せられたコメントとして多かったのが「人物描写が判り辛い」という物だった。他に
「こんなのエロでも小説でもない」「キモい」という意見を合わせて、全体の九割以上を占めている。
羽美にとっては自作を汚された思いだった。

しばらくじっと明朝体のフォントを見続けた彼女が、やがて新規メールを立ち上げる。
羽美は唇を噛み締めながらキーボードを叩き、真っ白なメールの本文が猛烈な勢いで埋められた。
三時間もその作業に没頭していれば、文字列だけで百キロバイトを越す長文の猛毒メールでも
出来上がりそうな雰囲気を彼女は醸し出していた。否、実際に彼女はその程度はある長文メールを
某社のお客様相談窓口に送り付けた事もあるのだ。羽美の記憶が確かなら、その時は窓口の担当者が
メールを読むなり救急車で運ばれ、逆に母親が某社まで頭を下げに行った物だった。
送付先は言うまでもなくこの『小説』を投稿した人物、それにこのアダルトサイトの管理人である。
「呪ってやる…いや訴えてやる…!!」
鬼気迫る表情で十五インチを見つめながら、羽美はいつまでもキーボードを叩き続けた。

おしまい。

※半ズボン越しに下着を見たら痴漢になります。痴漢は犯罪です。
451初代スレ396:2005/07/09(土) 19:07:05 ID:99cQVFjn
大変見苦しい物を投下致しまして、ご迷惑をおかけした事お詫び申し上げます。
これだけじゃあんまりなので、明日小節さんSS落とします。それでは…
452名無しさん@ピンキー:2005/07/09(土) 21:58:26 ID:4TzoJ/Tt
すずのエロパロきぼんぬ
453初代スレ396:2005/07/10(日) 19:29:54 ID:/EQ9Yumw
こんばんわ、昨夜に引き続いて懲りずに投下します。
絶望先生の五話「ヒジニモ負ケズ ヒザにも負ケズ」から。

昨夜と違ってまともなSS,のはずです。では投下開始。
454A tiny tale of twisted tail:2005/07/10(日) 19:34:19 ID:/EQ9Yumw
 どこにでも居りそうな、けれども珍しい娘の話です。
 三つ編みのおさげが愛らしいその娘は、いつも包帯だのギプスだの三角巾だのを
巻き付けた痛々しい姿で学校に通っておりました。腕が治ったら今度は足、目が
治ったと思ったら肋といった具合に、普段からどこかに傷を創っていたのです。
 彼女が包帯もギプスも付けずにいる所を見たという生徒が、学校には一人も
おりませんでした。彼女が頻繁に傷を負っていた理由も、誰も知りませんでした。
 教師である、この私もその一人です。新任の教師である私は最近ようやく生徒の
名前を覚えたばかり、とても生徒達の家庭の事情まで把握するには至っておりません。
あまつさえ最近は同僚の甚六先生から過剰な期待を寄せられるやら、引き篭もりの
女生徒を学校に連れ出そうとして死にかけるやら、思い込みの激しい女生徒に
付き纏われるやらで、自分の抱える問題だけで手一杯な状態です。とても生徒の
怪我にまで注意を払うような余裕などありませんでした。
 その間にも学校では、彼女の怪我について色々な噂が飛び交っておりました。
ある生徒は虐めが原因だと云い、ある生徒は援助交際に纏わるトラブルと語り、
またある生徒は痴情の縺れたどしたり顔で話します。
 けれども一番説得力を持って実しやかに囁かれた噂は、おさげの彼女が父親から
虐待を受けているのだという事でした。スクールカウンセラーの新井智恵先生は私に、
担任として事実を調べるようにと断固とした恐い眼差しで告げました。
 私は渋々承諾して商店街に出かけ、父親を発見して調査を開始しました。
 書店でスーツ姿のままいぢこ100%を買ったのは意外に思えましたが、しかし虐待の
確たる証拠は全く掴めませんでした。
455A tiny tale of twisted tail:2005/07/10(日) 19:35:02 ID:/EQ9Yumw
 けれどもその途中、思わぬ所で彼女が負った傷の原因を突き止める事が出来ました。
 智恵先生から突然呼び出しを受け、私は調査を中断して動物園に駆け付けました。
虎のケェジに私の生徒が落っこちてしまったのです。虎は頭にコブを創った制服姿の娘を
じっと見据えながら、前足を低く屈めています。鳴き声一つ上げません。
どうやら腹を空かせている按配です。おそらく彼女――可符香さんを喰うつもりなのでしょう。
 いくら私が教師だと云っても、ケェジに降りて可符香さんを助け出す訳には行きません。
袴を身に着けていれば動きも落ちるし、二人とも喰われるのが関の山です。
 智恵先生もそれは判っているのでしょう。私の横で血相を変えて様子を見守る以外に、
智恵先生は何も出来ませんでした。普段から沈着冷静な彼女にしては珍しい表情です。
 そんな悠長な事を論じている場合ではありませんでした。私の生徒が虎に喰われる
瀬戸際なのです。誰か親切な人が虎の飼育係を呼びに行ってくれたようですが、その
飼育係が到着する気配はまったく窺えません。
 可符香さんは私の姿を見つけると、自分なら大丈夫だと逆に私を笑顔で励ましてくれました。
「金剛明経という仏教の本に『捨身品』という章があります。空腹の虎に自らの体を
 食べさせて、来世でお釈迦様になったという尊いお話です。だから――」
「だから何だと言うのですか?」
「だから虎に食べられても大丈夫!私、来世で神になれるから――」
 語尾がかすれて、最後の方は私には聞き取り辛く感じました。可符香さんは遠目にも
判るほど、目に涙をいっぱいに溜めております。最期の最後までポジティブであろうと
するのは、さすがの可符香さんにも無理があったのでしょう。
456A tiny tale of twisted tail:2005/07/10(日) 19:35:36 ID:/EQ9Yumw
 虎が右の前足で地面を掻き毟りました。腹の底に響く声で吼えながら、虎は可符香さんを
覆うように勢い良く立ち上がります。体長は三メェトルはあった事でしょう。
 智恵先生が手で顔を覆いました。私も血肉が飛び散る凄惨な光景を予想して観念します。
このような事態に対して、私たち教師というのは全員無力なのかも知れません。
 ――これが本当の私なのか。結局誰も救う事が出来なかった――
 宙を舞った虎がまるで静止したように緩やかに、しかしあくまで尾を引く残像を見せぬ
鮮やかな動きで可符香さんに接近します。恐怖の為か可符香さんが力なくその場に崩れます。
 虎が右前足を振り被りました。爪の一撃で獲物を仕留めるつもりなのでしょう。
 永劫にも思われる時を経て、いよいよ可符香さんが喰われる――と思った刹那の出来事です。
 裏返った女の子の声がケェジの周囲一帯に響き渡りました。

「おいで、ラインバックおいで♥」

 時を同じくして私の耳に野次馬の騒擾が戻り、視界には智恵先生の立ち姿を捉えます。
 虎はいつ体勢を入れ替えたのか、口から泡を吹く可符香さんの鼻先に着地しておりました。
そして背後を慌てて振り返ります。全身傷だらけの少女が、餌の入ったバケツを持って立っています。
 例の虐待を受けていたと噂されていた娘でした。何故彼女がこんな所にいるのでしょうか。
 いやそれよりも――
 彼女も喰われるか――私たち見物していた衆がそう思っていたところ、虎は急いで彼女に
駆け寄ると、猫のような甘えた声でじゃれ付きました。よく見ると虎の表情が、印度大陸最強の
肉食獣からやんちゃな仔猫のそれへと豹変しているのが判ります。
「よーしよし、いい子ねラインバック」
 彼女も手馴れた様子で抱き返します。どうやら彼女が虎の飼育係だったようです。
 気絶した可符香さんを他所に、虎のラインバックと少女は抱き合ったまま地面をごろごろと転がりました。
私たちはほっと胸を撫で下ろし、暫しその微笑ましい光景を暖かな眼差しで見守ったのですが――
 ぽき――
 骨の折れる嫌な音が聞こえ、私は思わず顔を顰めました。
457A tiny tale of twisted tail:2005/07/10(日) 19:38:23 ID:/EQ9Yumw
 可符香さんも無事救出された所で、智恵先生と私は彼女から事情を聞き出しました。
 それによると彼女は動物が好きなあまり、動物園でアルバイトをしていたとの事です。
傷が絶えないのも虐待を受けていたのではなく、猛獣とじゃれ合って負傷したのでした。
危険ですので高校生のアルバイトとしては問題がありますが、私は取り敢えず虐待が
無かった事には安堵を覚えました。
 隣をさり気なく窺いますに、智恵先生も常の落ち着きを取り戻したようです。
普段の物腰に戻った智恵先生は、納得した面持ちで言いました。
「動物と触れ合う事で心が癒されるという訳ね。確かに最近の精神医学上においても、
アニマルセラピーの効果は注目されているけど」
 アニマルセラピー――アニマルさんが癒す事ではないかと思って、私は口を挟みます。
「つまり浜口京子の事ですね。あんな偉大な父親に褒められたら、確かに効果がありそうだ」
 言い終えた途端、智恵先生は私に目を向けて怪訝な表情を作りました。少なくとも
私の想像は間違っているのだと、彼女の目からそう判断出来ました。

 糸色先生――智恵先生は何事も無かった風に私へと呼びかけます。私の我儘を許さない、
毅然としたあの目をしております。蛇に睨まれた蛙のごとき萎縮した心境になりながら、
私は彼女に神妙な態度で返しました。
「とにかく一度この娘の家に行って、父親と話をしてきてくれませんか」
「なぜですか?別に家庭内で虐待があった訳でもないのに」
智恵先生は何も判っていない、と言いたげに首を横に振りました。
「確かに動物と触れ合うのは良い事です。けどやはり高校生が猛獣と直接触れ合うのは
危険が大きすぎるでしょう。普通の父親なら娘がそんな危険な目に遭う事を黙って見過ごす
筈がありません」
 だから彼女は親御さんに内緒で飼育係のアルバイトをしているのではないか、智恵先生は
そう言いました。私には教師としての立場から父親に娘の事情を説明して欲しい、との事です。
 私は生徒思いの熱血教師と傍から見られるのが嫌なものですから、内心で智恵先生の提案に
軽い反発を覚えました。けれども彼女の目は、小心者の私には大変恐ろしく感じられます。
 その場で渋々承諾した所、動物好きの彼女がやった、と小声で喝采を挙げたように聞こえました。
458A tiny tale of twisted tail:2005/07/10(日) 19:39:13 ID:/EQ9Yumw
 そういう経緯で、私は急遽彼女の家庭訪問を行う事になりました。
 半ば浮かれ気分でいた彼女の案内で、閑静な住宅街にある一軒の家の前に辿り着きます。
一見したところ彼女の家は、どこにでもありそうな一戸建てでした。別にこの街でなくとも、
例えば名古屋の住宅街にあったとしても、別段不自然ではないように思われたでしょう。
 しかし――
 私の頭髪が一本、風もないのに逆立ちます。
 上機嫌で私の手を取り、敷地に上がるよう促す彼女を呼び止めました。
「やはり親御さんが帰宅してからの方が宜しくないですか。若い娘が誰もいない家に男を
上げると云うのは、やはり相手が教師であっても憂慮すべき事だと思いますが」
 口ではこんな事を申しますが、私だって男の一人です。年頃の美しい娘を前にすれば、
どうして心躍らぬという事態が有り得ましょうや。それに社会的にも道義的にも許されぬ
願望ではありますが、密かに美しい娘との心中さえ浅ましくも望んでいる有様です。

 私が清廉な教師にこそ相応しかろう言葉を口にしたのは、この家から何となく漂う違和感を、
恐らく自分でも気付かない、意識の俎上にも上らぬレヴェルで感じ取った故でしょうか。
 上がってはならぬ――心の何処かで踏切のそれにも似た警笛が鳴ります。
 まあ先生――彼女は私の内面を全く考慮しない、朗らかな笑顔で応じました。
「先生は古風な格好をしてますけど、考え方も古いんですね。先生がそんな事を私にする訳
ないじゃないですか」
 それに父ならすぐに帰って来ますから、それまでお茶でも飲んでゆっくり待って下さいよ――
彼女はそう言ってぐいと手に力を込め、私を強引に玄関へと上げます。
 下駄を揃えて脱ぎ、彼女に手招きされて居間に向かった私は――

 言葉を失いました。 
459A tiny tale of twisted tail:2005/07/10(日) 19:39:52 ID:/EQ9Yumw
 ――リカオン
 ――イリオモテヤマネコ
 ――ココノオビアルマジロ
 ――フェネックギツネ
 ――ライオン
 ――ミケネコ
 ――チワワ
 ――ベンガルタイガー
 ――コモドドラゴン
 ――ピューマ
 ――ユキヒョウ
 ――ノウサギ
 ――ミシシッピアリゲーター
 ――ウマ
 ――アライグマ
 ――アフリカゾウ
 ――アフリカノロバ
 ――トウブダイヤガラガラヘビ
 ――ニホンザル
 ――ドクリス
 ――ヤマネ
 ――タンチョウヅル
 ――ハローハリネズミ

 居間の壁という壁から、
 みっしりと
 無数の動物のしっぽが隙間なく生えていました。
 家の前で感じた違和感の正体は、おそらくこれら動物のしっぽだったのでしょう。
460A tiny tale of twisted tail:2005/07/10(日) 19:40:28 ID:/EQ9Yumw
 「――これは?」
 覚束ない足取りで吸い寄せられるように壁に近付き、柔らかな黒い毛が密に生えた一本の
しっぽを手に取ります。その光沢と手触りから、まるで生きているように感じました。
 手の中で動いた――そんな気がして思わずしっぽを手放し、隙間無くしっぽが生えた壁を見渡します。
 空間がぐにゃりと歪んで、赤白黒青と出鱈目で毒々しい色彩の触手が、私を捕らえようと
手招きして蠢いているようにも見えました。どうやら私は立ち眩みを起こしたのでしょう。
 柔らかく生温かい動物の消化器官に入り込んだとしたら、やはりこんな気分になるのでしょうか。
「いま先生が触ってたのが、クロシロエリマキキツネザルです」
 視界から外れていた娘が、いきなり私の側で説明を加えました。心臓が縮んだ気がいたします。
どうやらこの居間は、人と人との距離感すら容易く狂わせてしまうらしい。私は眩暈を我慢しつつ
彼女に問いました。
「そうではなくて、なぜ壁からしっぽが生えているんですか?」
 もちろん私が好きだからですよ――彼女はやや興奮した面持ちで自慢げに応じました。
「私、動物のなかでもしっぽが大好きなんです。あのぴょこっとした感じがカワイイじゃないですか。
だからつい引っ張ってしまうんですけど、動物が嫌がるみたいでよく反撃されるんです。
虎のしっぽを引っ張って噛み付かれた時は、もうダメかと思いましたよ」
 そう云うと彼女は明るく哄笑しました。
 成る程――彼女が負傷したのは、猛獣に嫌がられた事が原因だったのかと妙に納得が行きました。
それにしてもこのしっぽ、見ても触っても本物そっくりに感じられます。と言うより全て本物では
ないか、そのような疑念が私の中で頭を擡げました。
 私が問うと、彼女は平然と答えます。
「大丈夫ですよ先生。いちおう全部作り物って事になってますから」
 ――いちおう、なっている。
 不安を煽る答え方です。彼女が動物のしっぽを引き千切り、その傷口から血が滴っている様子すら
頭に浮かんでしまいます。私は自分自身の想像した光景に吐き気すら催しました。
 彼女が心配そうに私の顔色を覗いました。
461A tiny tale of twisted tail:2005/07/10(日) 19:41:13 ID:/EQ9Yumw
「大丈夫ですか先生?私いい物持って来ようと思うんですけど、ちょっとここから出てもいいですか?」
 気分の悪い私の為に洗面器でも持ってきて呉れると云うのでしょうか。だとしたら殊勝な心掛けです。
私が頷くと彼女は嬉々とした様子で居間から飛び出て、程なく何か紙切れを手に戻って来ました。
 彼女は紙切れを私の眼前に広げてみせます。それは蛇のように細長い墨蹟でした。
「見てくださいよ先生。これ、私のしっ拓コレクションです」
 しっ拓とは――それが何なのか解らなかったので私は訊きました。
「しっぽの拓だからしっ拓ですよ。魚だったら魚拓っていうでしょう」
 私はそれを聞いて、しっ拓とは彼女の造語であると理解しました。
 それを言うなら、尾の拓だから尾拓と呼ぶのではないでしょうか。識者たちが国語能力の低下を
憂う昨今ですが、真逆こんな所で日本語の崩壊を目の当たりにするとは思いませんでした。
 しかしここは学校ではないし、況して今は授業中でもありませんから、彼女の日本語のおかしい点を
指摘する気にはなれませんでした。それよりも立て続けに奇怪な物を見せ付けられ、眩暈と吐き気に
加えて頭痛まで催してきました。
 無礼を承知で手近に合ったソファに身を横たえます。しばらく横になって身体を休めておりますと、
幾分和らいだ心地になって、心配そうに私を見遣る娘に対して声をかける位の余裕は戻りました。
「君は本当に動物のしっぽが好きなんですね」
 精一杯皮肉に云ったつもりでしたが、娘は恨み言と取らなかったようです。娘は莞爾としてさも
得意げに返しました。
「ええ先生。私いつか世界中の動物のしっぽを引っ張って回りたいんです。自慢じゃありませんけど、
すでに町内のネコで私にしっぽを引っ張られた事のない子はいません」
 それは確かに自慢できる事じゃありませんね――呆れた口調で私が云い、二人のいた居間に暫しの間
沈黙した空気が流れました。
462A tiny tale of twisted tail:2005/07/10(日) 19:43:58 ID:/EQ9Yumw
 その場の気不味さに耐えられず顔を顰めていたところ、娘は毛皮のソファに伏したままの
私を凝視して、唐突にぽつりと漏らします。
「先生って――」
 考え込んだ彼女の瞳が、心なしか輝いていたような気がいたしました。私はなぜかそんな
彼女に対し、薄ぼんやりとした不安を抱きます。一体何を考えているのか、心の奥を読み
透かそうとしても適いません。
 次に彼女が口を開くまで、私はぴんと張り詰めた時間を息を止めて遣り過ごしました。
「先生って、どんなしっぽが似合うんだろう?」
 そう言って彼女はきゅん、と愛らしく肩を窄めて見せます。
 えっと愚鈍に応じました処、娘はソファに臥したままでいた私の上へと覆い被さり、
逃れる間もなくがっしりと押さえ込みました。

 ここまでに至る話と比較して、余りにも唐突な展開に私は戸惑いました。娘は抗う術も知らぬ
私の唇を電光石火の素早い動きで奪ったかと思うと、しきりに身体を擦り付けて来ます。
教師と生徒との間に有るまじき行為である、と私は彼女の肩に手を掛けて引き離そうと試みました。
 しかし――
 手負いの状態であるにも関わらず、娘は存外に力がありました。考えてみれば日々猛獣と戯れて
いるのですから、私ごとき末成り教師の力など娘にとっては意にも介さぬ物だったのでしょう。
否応無しに彼女と密着している内に、私は自分が決して道徳的には許されない劣情を催している事を
はっきりと自覚いたしました。
 私の陽物が袴の中で大きく膨れ上がり、娘の下腹部に当たります。たかがキスくらいでと思われる
方もいらっしゃるでしょうが、しかし発育の良い女子高生の柔らかい身体と甘い匂いに包まれた男が、
自らの意思で以って本能的な生理反応を制御できるものでしょうか。
463A tiny tale of twisted tail:2005/07/10(日) 19:45:05 ID:/EQ9Yumw
 唇が離れ、私は大きく息継ぎをして娘を諭しました。男性としての部分が反応した事を誤魔化そうと
して、声に少々苛立ちが篭っていた事を記憶しております。
「いけません、お父上が帰宅されたらどうなさるおつもりですか?!」
 娘は赤らんだ顔を上げ、蕩けた目で私を見つめて云いました。
「大丈夫よ、家の父ならもう一二時間は帰って来ませんから。父は買い物に時間を掛けるんです」
「そういう問題じゃありません!大体あなたは男性教師を家に引き込んで、一体何をするつもりで
いるんですか?」
 何をって――娘は逡巡の後、ゆったりとした口調で答えました。
「先生にしっぽ付けるのよ。だって先生可愛いんだもの、しっぽを付けたらもっと可愛くなるに
決まってるわ。先生はどんなしっぽがいいですか――」

 ――ピカチュウ?
 ――ゴヂラ?
 ――それとも火の鳥?

 一つ一つ尋ねる度に、穏やかな笑みを湛えた包帯だらけの顔が近付きます。私は底知れぬ恐怖を
彼女に覚え、無駄とは知りつつも彼女から逃れんと手足を泳がせました。
 ブラックデビルのしっぽなぞ付けられた日には、私はどんな顔をして教壇に立てば良いのでしょう。
一刻も早く彼女の腕の中から、否この家から脱出を図らねばなりません。しかし娘はそんな私の
動きを読んでいたのか、むずがる赤子のおしめを取り替える如き的確な動作で私の腰帯を解きます。
 抵抗虚しく袴を脱がされ褌も取り払われ、劣情で膨れ上がった私の陰茎が、元気の良い姿を
娘の前に晒しました。下半身裸の無様な自分に、死にたくなる程の恥辱を覚えます。
 娘はそれを凝視して一瞬躊躇った後、再び私に覆い被さって肩を抱きました。そして自らの腰を
私の固くなった陽物に押し付けたのです。思わず腰で押し返した所で、毛皮から離れた私の裸の臀部を
何か冷たい物が走りました。
 次の刹那――
「痛いっ!!」
 菊座に体験した事のない異物感と激痛を覚え、私は喉を仰け反らせて声を振り絞りました。
尻をソファの毛皮に降ろすと、私自身の体重でそれがより深く内部に押し込まれるのが判ります。
横向けに寝かせる事で、僅かながら痛みが和ぎました。娘は知らぬ間に私から離れてソファの横に
立ち、息も絶え絶えの私を満足そうに眺めておりました。
464A tiny tale of twisted tail:2005/07/10(日) 19:46:04 ID:/EQ9Yumw
「やっぱり先生可愛い――動物みたい」
 娘の言葉が何を意味しているのかと戸惑いながら、私は菊座に覚えた異物感の正体を探るべく
尻に手を回しました。何やらふさふさとした物が菊座から外に向かって伸びているのを確かめます。
兎に角引き抜こうとした刹那、猛獣をも平伏させるような激しい叱責が飛んできました。
「しっぽ抜いちゃ駄目!!」
 ――しっぽ?!
 私は目の前から光が失われて行くような絶望感と、身体中の血を失ったかの如き脱力感を覚えました。
己の目で確かめる事は叶いませんが、しかし私が尻からしっぽを生やしているのは今や明らかでした。

 女子高生の前で男の下半身を晒しただけでも精神の均衡を揺らがせる程の出来事だと云うのに、
私はその上菊座にしっぽまで挿入されたのです。
 教師として否人間としての尊厳を破壊され、死にたいという気分にさえなれませんでした。
 私は普段から自死を試みておりますが、それはあくまで人間としての死を望むが故の行動です。
今死ねば私は、しっぽの生えた変態教師としての恥辱を墓碑に刻まれてしまう事でしょう。そして
本来の命日ではなく毎年紫陽花が満開となる季節になると、墓標の前に教え子が集まって私の死を
嘆き悼むのです。

 桜桃忌ならぬ、しっぽ忌として――

 恥ずかしいやら情けないやらで涙が湧き上がります。下半身裸の見苦しい姿のまま、私は
どうする事も出来ずに固まっていました。
 こんな時にも関わらず私の陽物は猛々しく反り返り、直腸の中で蠢くむず痒さと同じ周期で
ぴくぴくと脈打っております。所詮私も生理現象に支配される動物でしかないのだと悟りました。
 どうにでもなれ、と放心しておりますと、娘が私の腰あたりで屈んで陽物を凝視しております。
何をする気なのだと私が自棄気味に尋ねますと、娘は小さく微笑んだ顔を私に向けました。
「これもぴょこっとしてる――先生」
 おずおずと手を伸ばし、彼女は秘宝に触れるが如く慎重な様子で陽物に指を宛がいました。
 甘美な痺れが陰茎に走り、私は情けない声を上げて腰を引きました。勃起しているとは雖も、
触れられただけで性感を覚えるのは初めての事です。おまけに直腸のむず痒さが陽物に連動し、
それが私の脊髄を遡上して脳髄を揺らしました。
465A tiny tale of twisted tail:2005/07/10(日) 19:47:09 ID:/EQ9Yumw
 娘は何が起こったのかと驚いて飛び退きましたが、それが収まると今度は感動気味に呟きました。
「すごい――先生そんな風になるんだ」
 最初は片手で、次は両手で、彼女は夢中になって陽物を弄ります。そう云えば彼女がしっぽを
好きになったのも、ぴょこっとして可愛いからだと聞いておりました。
 つまり私の物が可愛いと云われたも同然です。娘が自分の性器に嫌悪感を持たなかった事に
安堵する反面、可愛いと云われて男としての自信を失う虚しさもあり、複雑な心境がいたします。
 陽物に向けられた娘の眼差しを眺めていると、熱と真剣味を徐々に帯びて来ているのが判ります。
ただ女子高生の拙い指使いだけで達する事は難しく思えました。もどかしくは思いますが、
しかしその内に彼女が飽きて私を解放してくれるだろう、という何ら根拠のない期待を
心のどこかで抱いたりもします。

 やがて彼女が私から手を離しました。少考して後、いきなり半袖のシャツを脱ぎ始めました。
私は逃げる事も忘れ、地味な下着に包まれた発育の良い二つの脹らみを凝視してしまいます。
乳房の肌地は極めが細かく、手で押したら突き立ての餅のごとく押し返して来そうです。彼女が軽く
屈んで後ろに手を回し、揺れる乳房の先端に色素の薄い先端が姿を現します。娘は更に革の腰帯を
解き、デニム地の長穿きを足首まで下げてから蹴るように脱ぎ払いました。
 動き良さそうな下穿きを残して裸になった娘の身体を、私は改めて食い入るように観察しました。
女子高生としては豊かに実った胸に対して腹部の周りは細く、縊れた腰から下に目線を辿れば
雌鹿のようにすらりと引き締まった脚が体重を支えておりました。運動量の多い生活の賜物でしょうか、
娘の身体付きは健康的かつ均整の取れたものです。
 私の視線に気付いたのか、娘はほんのりと顔を赤らめて乳房を両腕で抱えました。
「あんまり見ないで下さいよ先生。恥ずかしいんだから」
やや上ずった声でそんな言葉を溢します。劣情も露な私の視線から女人のふくらみを隠そうと
試みたのでしょうが、そうすると腕が乳肉に食い込んで谷間が寄り、余計に私の官能を刺激します。
466A tiny tale of twisted tail:2005/07/10(日) 19:48:25 ID:/EQ9Yumw
私は再び首を擡げた陽物と直腸での脈動に呻き声を上げました。それでも堪えつつ娘を叱ります。
「恥ずかしいのだったらすぐに止めなさい!何考えてるんですか君は?!」
「何って――」
 戸惑う気配も見せず、彼女は艶やかな微笑みを浮かべました。
「スキンシップよ。動物と解り合うには、それが一番効果的なんだもの」

 既に僅かばかりの矜持を粉々に砕かれていた筈なのに、彼女の一言で胸の痛みが再び押し寄せました。
確かに菊座から尻尾を生やした無様な姿ではあれど、人間の端くれ程度には己を認識しておるつもりです。
 それが動物呼ばわりされるとは――本来は憤怒として顕れるはずの感情が、それと等価の深い悲嘆と
なって私を苛みます。強いて喩えるなら、砕かれた心をさらに踏み躙られたと云うべきでしょうか。
「誰が動物ですか!いいから早く私を帰して下さい!」
そう反論したものの、欲望に苛まれる男性器を露にしたままでは説得力の欠片もありませんでした。
 案の定彼女は私の意思を無視するように、膝を持って脚を広げます。
 その間に入り込んで身体を横向けに寝かせた彼女の二の腕を、私は本能的に内股で掴みます。
 娘は僅かにたじろぎましたが、すぐに桜色に上気した胸の柔肉を両手で持ち、小刻みに震える
陽物を挟んで一緒に揉み込んだのでした。

 手で扱かれるのとは違い、娘の乳房は私の強張りを見た目通りの柔らかさでもって優しく包みます。
指で扱かれた時の戸板の如き堅い性感とは違い、真綿の如き分厚く深い娘の乳肉は、それ自体が
私にとって甘美な罠であり拷問でした。菊座の痛みが痺れに変わり、心地良く感じます。
 時がこのまま過ぎればいい、とさえ私は思いました。靫葛に捕獲された虫は夢現の狭間に意識を
委ねたまま身を溶かされて行くと申しますが、その時は捕食される者の心地良さが理解できました。
 まるで私の陽物と一体になろうとするかの如く、娘は上下に揺り動かし時折挟む力加減を変え、
次第に行為そのものへと没頭して行きました。
467A tiny tale of twisted tail:2005/07/10(日) 19:49:47 ID:/EQ9Yumw
 息遣いが大きくなるにつれ、娘の声には房事の時に屡耳にする高い物が混じります。
 下腹から男根の付け根にかけて荒い吐息が掛かり、私がそこが気になって下を見遣りました。
俯いた娘の頭越しに押し潰された乳房が窺え、その隙間では私の亀頭が彼女の柔らかさに身を
委ねつつ、控えめに姿を現しておりました。
 娘は鎖骨に掛かったお下げ髪を肩の後ろに撫で払います。
 そして困ったような上目遣いで、瞳を射抜くように見詰め返して来ました。

 正常な心拍が衝撃で大きく揺さ振られ、それが暫し尾を引いて呼吸を煩わせます。 娘の妖艶な
笑みは私の肉体的な部分のみならず、精神までも虜にしてしまったのでしょうか。
 乳房の尖った先端が姿を現し、娘は乳で私の陽物を挟みながらもそれに指先を這わせ、快楽を
貪る行為に溺れた様子で尋ねました。
「どうですか先生――嬉しい?」
 嬉しいも何もありません――そう言って私はぷいんと首を背けます。
 嘘でしょう――娘は両の乳房をぴったりと寄せ合い、その手の指先で乳首を弾いて肩を震わせます。
「先生の、私の胸の中でぴょこぴょこ言ってるもの。動物は嬉しいとしっぽで反応するんだから」
 娘が喘ぎ喘ぎ言う通り、私の物が女人の肉体に触れる喜びで脈打っていたのは事実です。ですが――
 私のそれはしっぽではありません――私は目に涙を浮かべて精一杯否定しました。娘は無言で
胸を私の陽物から離し、お下げ髪を後ろへと鬱陶しげに払います。首を屈めながら一言、
「キスしちゃおう、っと」
 張り詰めて表面に光沢すら走る陽物の先端に、娘は軽く唇で触れました。
 私は大きな叫び声を上げながら立膝を泳がせます。
 その間に私の先端は暖かな滑りに飲み込まれ、軟体動物の如き動きで絡み付く舌の肉感に愛撫を受けます。
 私の意志を無視し、独立を図ろうとするようにびくびくと脈打つ私の陽物を、娘はさも愛おしそうに
吸い上げて嘗め回します。尻を僅かに浮かせ、内股を擦り合わせております。
 私の菊座は再び訪れた陽物からの性感を、激しい痛みと知覚する程敏感に反応しました。
 最早私は自身が人間であるという考えを捨て去っていました。そうするとこのまま果ててしまっても
構わないという余裕が若干生まれ、ならばそれまでの時間を楽しもうとさえ考えます。
468A tiny tale of twisted tail:2005/07/10(日) 19:50:46 ID:/EQ9Yumw
 しかし娘はまたもや私の浅薄な考えを裏切る行動に出ました。
 娘の手が私の尻に回ります。どうやらしっぽを掴んだようです。
 その途端菊座がぐいと掻き回され、何か固めの弾力を帯びた部分に触れて――
 内蔵が抉られるような痛みと、腰椎に直接二十ジュウルの激しい電流を流されたような強い射精感の中、
私の意識は完全に消滅してしまいました。 
 
 激しい疲労と倦怠に揺蕩とする中、私は腕に力を込めて起き上がりました。下世話な意味も含めて
精も魂も尽きた状態で、立ち上がるのがやっとの事でした。
 立ち眩みを堪えて場況を見渡すに、どうやら私たちは知らぬ間に床へ移動していた模様です。
足元には全身脱力した状態で娘が仰向けで寝ていました。だらしなく開いた太股の付け根から
腹にかけて信じ難い程大量の白濁液が纏わり付いており、娘と肉体関係を持った事実を私に
改めて突き付けます。
 私も男ですから、茂みに覆われた娘の陰部から目を離せませんでした。縦の裂け目からは乳首と
同じ色の、花弁に良く似た形状の陰唇がはみ出し、行為の余韻にひくひくと打ち震えておりました。
娘が息を吐くたびに陰唇が小さく捲れ、男と触れ合うための粘膜が鮮やかな色を見せます。
 そこから流れ出た生臭い体液の痕跡に混じって、処女を散らした名残が僅かに糸を引いておりました。
 部屋に充満した性臭が鼻腔の粘膜を刺します。しかし私が顔を顰めたのは決してその所為
ばかりではなく、教え子に対して獣の欲望を打付けてしまった事に対する悔悟の念と、欲望を
制御し切れなかった自分自身への嫌悪感と絶望もありました。
 明日からこの娘を前にして、私は一体どんな顔で授業を捏なさねばならないのだろうか――
 娘が呼吸する度に、豊かな胸が上下に揺れました。何かを呟いているようにも見受けられます。
私は暫し迷って、何を言っているのかを自身の耳で確かめようと彼女に近付いて膝を折りました。

「しっぽ――」
 訳の分からない事を呟いております。その意味を問いながら彼女の意識を呼び戻すと、
首を傾けて薄目を開け、情欲に身も心も溶かされた恍惚の表情で答えました。
469A tiny tale of twisted tail:2005/07/10(日) 19:53:21 ID:/EQ9Yumw
 ――先生やっぱり
 ――しっぽが似合ってる
 
 彼女の一言で、脳の片隅に追い遣った筈の忌まわしい記憶が洪水のように押し流されて来ました。
 菊座に異物を捻じ込まれた痛み――
 彼女から動物扱いを受けた屈辱――
 そしてしっぽから受けた未曾有の官能――
 娘が思うように動けないのを幸いに、私を未経験の性感で苛んだそれを抜こうと毛の部分を
掴んで力一杯引いてみたのですが――
 ――取れない
 しっぽがまるで腸壁の一部と癒着したかに思えました。無闇に引っ張ると直腸の壁が剥離する
恐れがあります。誰かに取って貰わねばなりませんが、この娘は取って呉れないでしょう。
では父親に頼むかとも一瞬考えましたけれど、私がしっぽを挿入されるに至った経緯を説明すれば、
教師の身で生徒と関係を持った事実が明るみに出る恐れがあります。
 ならば何とかして自分で引き抜き、医者に傷口を見て貰えば事実は闇に葬られます。ですが――
 肛門科を訪れる自分を想像して、更なる身震いを覚えました。診察台の上に寝かされ、白衣を纏った
厳めしい医師に、怪我の理由について質問されるのです。どう対応するべきなのでしょうか。
 しっぽが生えたのでそれを引き抜きました――などと正直に答えよう物なら失笑を買うでしょう。
最悪の場合怪我の治療を受けた後、自宅へ帰れずにそのまま石神井の大きな病院へと搬送され、長い間
箱庭を使った精神療法を受ける羽目になるかも知れません。

 呆然と立ち尽くす私に首を向けて、娘は私の絶望へと穏やかに追い討ちを掛けました。 
「そのしっぽ、私でも取れないの――これで先生は、私の物」
 ――ふさふさして
 ――素敵よ

 この時の娘が見せた微笑ほど、私を激しく動揺させた物はありません。娘は絡新婦の如き淫蕩で以って
私を捕らえ、精も魂も奪い取るだけに飽き足らず、彼女の所有物としての刻印を私の肉体に施したのです。
470A tiny tale of twisted tail:2005/07/10(日) 19:58:22 ID:/EQ9Yumw
 嫌だイヤだと私は泣き叫びましたが、しかし尻の方で不自然な力を感じて恐る恐る振り向きます。
 信じられない事に――
 私の菊座から生えた、タヌキのように幅の広く毛並みのふさふさしたしっぽが――
 何の物理的な支えも受けず、誇らしげに仰け反っておりました。
 同時に私は背筋も凍る恐ろしげな気配を感じ、壁に目を遣ります。
 娘の蒐集物である無数のしっぽ達が、一斉に
 ゆらりと――
 揺れました。
 壁から密やかな会話が聞こえます。私は何故かその不明瞭な声をはっきりと聞き届けました。
 ――おい、オマエついにご主人様を捕まえたんだな。
 ――おめでとう。ぼくからの選別だけど、蛇の目の毛をあげよう。
 ――じゃあ俺等からはこの硬い鱗が選別だ。オメデトウ。
 ――有難うみんな。これで俺も久々に大手を振って街を歩けるってモンだ。
 ――いいなぁ。妾なんかもう五年もこの壁に付けられたままだっていうのに。
 ――おいおい、仲間の旅立ちに文句を付ける奴がどこにいるってんだ。
 ――その通りさ。今じゃワシントン条約に違反するってんで、私ゃ永久にお蔵入りの身なんだから。
 ――みんな済まない。俺ばっかり君たちを置いて外に出るなんて。
 ――何を言ってるんだタヌキの。オレ達の分も幸せになるんだぞ。
 ――うん。俺はこのご主人様の事、絶対に離さないからな。

 私に付けられたしっぽに向けて、壁のしっぽが祝福の言葉を仕切に浴びせています。
その度に平衡感覚が捩れて私の視界が歪み、壁から生えたしっぽがまるで生きているかの如く揺らめきます。
 私がこの家に留まっている理由など有りませんでした。もたついていると父親が帰って来て、私と娘との
情事を厳しく追及する事でしょう、それよりも――
 娘が起き上がり、まだ何か物足りなげな悩ましい目付きを私に向けました。
私の陽物がいつのまにか屹立しておりましたが、最早これ以上娘と接するつもりもありませんでした。
471A tiny tale of twisted tail:2005/07/10(日) 20:00:06 ID:/EQ9Yumw
 無造作に脱ぎ捨てられた自分の衣服を、私は素早く拾い上げました。褌はしっぽが邪魔になるので諦め、
袴を穿いて腰帯を結びます。腰の辺りからしっぽがはみ出てしまいますが、この際致し方ない。
 先生、と情欲に塗れた女の声で呼び止める娘をその場に、私は居間を飛び出して玄関に向かいました。
下駄を履いて扉を開け、家の外へと転がるように脱出します。
 すっかり夕暮れが支配した街には美味しそうなライスカリーの匂いが漂って来ます。空きっ腹がぐうと鳴り、
娘の家で起こったしっぽに纏わるエトセトラが、幻の時に摩り替わるような安心感を覚えました。
 振り返ればどこにでもありそうな平凡な家が一軒。しかしもうあの家には戻りたくありませんでした。
 なぜならあの家には彼女がおります。あの娘は――
「変態です、あの娘は変態です!!」
 私はしっぽを付けた間抜けな姿でいるのも忘れてそう叫び、逃げるように駆け出しました。昼間通りがかった
商店街を抜け、黄色い電車に乗ろうと駅を目指します。彼女の父親が雑貨屋で、サランラップの箱を片手に
店員と何か話しているのを見かけました。普段感じる背後からの視線も、今日に限って気になりません。
そんな心の余裕など、女からの陵辱にも近い昼間の情事で失われていたのですから。
 胸板に衝撃を受け、私は立ち止まります。ずれた眼鏡を直して前の視界を確認すると、見覚えのある制服を
身に着け、眼鏡を掛けた娘が尻餅を突いておりました。
 私の受け持ちの生徒です。彼女は立ち上がると、私の腰辺りに目を向けました。
「先生、しっぽ――」
「え?」
早々と生徒に情けない姿を見られた事に愕然とします。この娘から変態教師だと思われないでしょうか。
 と、思いきや――
472A tiny tale of twisted tail:2005/07/10(日) 20:00:34 ID:/EQ9Yumw
 娘は私を馬鹿にするどころか、眼鏡の奥の瞳を輝かせて喜色を見せました。
「先生のしっぽ可愛い――何だか胸がきゅんってなっちゃう」
タヌキの耳を配ったカチュウシャを鞄から取り出し、眼鏡娘は足の竦んだ私へと躪り寄ります。
「しっぽ付けてるんだったら、これも付けるべきですよ」
 どうやらこの眼鏡娘は、しっぽ娘と同じ人種に属する変態だったようです。
 一日で二人もの変態と巡り合わせた不運を嘆く私を前に、眼鏡娘は私を家の中へと招き入れた時のしっぽ娘と
寸分変わらぬ嬉々とした笑みを浮かべ、静かに告げました。

「だったら――このタヌキ耳も付けるべきですよ、先生」

<<終>>
473名無しさん@ピンキー:2005/07/11(月) 00:50:21 ID:WGq42/ET
>396氏乙!

今回も面白かったです。
474名無しさん@ピンキー:2005/07/13(水) 15:31:00 ID:6bN9f9np
激しく萌えた・・・・・・(´Д`*)ァハン
また楽しみに待ってます!
475元229:2005/07/15(金) 19:04:40 ID:mO4mE+Vf
>396氏
よかったっす。尻尾娘はイイ!ですね。あと、文体に苦労されたんじゃないかなあと思ったりしますです。

んでもって私も投下です。あと二話、なんとか保って欲しい…。
476箱庭のある情景 第10話:1:2005/07/15(金) 19:06:53 ID:mO4mE+Vf
「例年どおり彼女だけは歳を取るから、あさっての卒業式で亜留美ちゃんは卒業するんじゃないの。看
護学校に進学す…あら?どうしてそんなびっくりした顔をするの?前から決まっていたことでしょ?」
亜留美は、なぜか固い無表情だ。すずは続ける。
「地丹くんだって『看護師になるのが亜留美ちゃんの夢だったんだから』って了解した事じゃない。そ
れに毎年ずっとこうだったでしょ、私は3年生、地丹くんは2年生で、亜留美ちゃんだけが進級して…」
「そんなのヘンだよ、非現実的だよ、そんなコトありえないよ、あるわけないだろ!!」
「どうしちゃったの地丹くんホント…今までと同じパターンでしょ?いつだって、毎年一瞬だけツッコ
ミが入って、後はさらっと流されてたじゃない。」
「いや、そ、それは…そうだった…けど…」
「大丈夫、私は卒業しても、ちょくちょくに遊びに来るよ。それに夜は一緒にいられるんだし。」
「いや、亜留美ちゃん、そういう問題じゃ…」
亜留美はまたきょとんとする。すずと顔を見合わせる。地丹は食い下がる。
「ねえちょっと待ってよ!じゃ、来年はどうなるの?再来年は?5年後は、10年後は…」
「ずっとこのパターンよ。私も地丹くんも、しえちゃんも神崎さんも今のまま。で、亜留美ちゃんだけ
歳を取っていくの。看護学校を卒業して、看護師になって、成人して、結婚して子供を産んで…」
「亜留美ちゃんは僕の婚約者じゃなかったの!?」
「そうよ。」
「ぼ、僕はずっと17歳のままなの?じゃ、永遠に結婚できないじゃないか!?」
「あら、改蔵くんは17歳のままで羽美ちゃんと結婚したでしょ。出来るのよ、色々あってね。」
「なんだよそれ、わけわかんないよ!!」
地丹は頭がぐらぐらし始めた。
こんな非現実的な話があるか、これは何かの間違いだ。そう思ったがぐらぐらは止まらない。
以前のように、まるで後付けのように記憶が思い出されてくるのかと思ったがそういうわけでもない。
すずと亜留美は『なんでそんな当たり前の事を驚いてるの?』という顔をしている。
何がなんだかわからないまま、状況は彼を完全に振り落としてどんどん進行していった。
そして地丹には何も納得できていないうち―――翌日は来て、卒業式になった。
477箱庭のある情景 第10話:2:2005/07/15(金) 19:07:35 ID:mO4mE+Vf
卒業式も、物凄い勢いで式次第は進み…そしてあっという間に式は終わってしまった。
地丹は部室に1人でぼーっとしている。まだ呆然としたままだ。
『亜留美が卒業してしまう』という事実を知らされたのは昨日の放課後のはずだ。なのにあれからまだ
数分しか経ってないような気さえする。
おかしいな、あれから何したんだっけ、夕べの夜は何を…ショックから立ち直れないまま家に帰ってい
つも通りに亜留美を抱いたのか…?だめだ、まるで覚えていない。
そこに亜留美が入ってきた。
「あー、終わったー。とうとう卒業しちゃった…長いようで短い3年間だったなあ。」
感慨深げに言う。
亜留美は、卒業証書の入った筒を持ち、胸に『卒業おめでとう』のリボンの花をつけている。
「…ねえ、亜留美ちゃん…ホントに卒業しちゃうの?」
「はあ?」
亜留美は呆気に取られる。
「だって、卒業式で私の名前が呼ばれたの聞いてたでしょ?卒業するわよ、当然。」
「…僕は、2年生のままなんだよ?」
「そうよ。ずっとそうじゃない。ねえ、へんだよ地丹くん…昨日からずっとそこにこだわってるじゃん。」
「看護婦さんになっちゃうの?」
「最近は、『看護師』って言うのよ、後輩クン。いろいろな事情からそう決ま…」
「やだ。」
「へ?」
「やだよ。ずっと同じ学校の先輩と後輩でいようよ、科特部の部員同士でいようよ!そうでないなら、
秘密の同棲なんて止めだ、すっかり別れたほうがましだよ!」
「何わけわかんないこと…駄々こねてんじゃないわよ、ねえー?こ・う・は・い・クン?」
「後輩後輩言うなよ、2年前までは僕のことを『センパイ』って慕ってきてくれてたじゃないか!!」
地丹は亜留美を部室のベッドに押し倒した。からからん、と、卒業証書の筒が乾いた音を立てて転がる。
「きゃ!?ちょ…ちょっと…な、なにす…地丹くん、やだ、ん…ぐ。」
478箱庭のある情景 第10話:3:2005/07/15(金) 19:08:06 ID:mO4mE+Vf
唇を塞ぎ、舌を無理やりねじ込み、右手は脚の間に入れてパンツの中に。亜留美は必死に口を離す。
「やだ、そんなふうにされたら痛いよ、痛いってば!」
抵抗する亜留美に構わず、ブラウスを引きちぎるようにして胸を開く。『卒業おめでとう』のリボンが取
れかかった状態で脇の下に垂れた。
黄色の布地に白糸で薔薇の刺繍のあるブラ。それをずり上げる。隠れ巨乳とその小ぶりの乳首が露出し
た。娘はまだ抵抗しているので、乳房は大きく暴れるように揺れている。
「やめてってば!こんなことしたらさよならだよ、無理やりなんてヤダ、同棲解消しちゃうから!!」
「もうどうでもいいよ、こんなんなら別れちゃったほうが…むちゃくちゃにしてやる…」
地丹は彼女のパンツ(ブラとおそろいの、黄色の布地に白の薔薇模様)を引きちぎった。
強引に太腿を開く。よく見知った彼女の性器が現れる。
陰毛は恥丘に申し訳程度に生えているだけで、割れ目の両脇はまったく生えていない…そして、ほんの
縦筋だけのピンク色の部分…。
地丹はすでに反り返るほどになった彼自身をズボンから引き出すと、その彼女のピンク色に突き立てた。
「ね、だめだったら…別れたくないなら止めて、挿れないで…どうしても挿れるならお別れだよ、ほん
とだよ、それでいいの?」
「いいんだ…もういいんだ、だから挿れる…そして中でイッて、それきりで終わりにするんだ…」
ぴたっ、と亜留美の抵抗が止まった。
「そう…」
躊躇せず地丹は挿入した。初めて、濡れていないところに無理やりと…亜留美の顔が苦痛にゆがむ。
「…痛い…挿れちゃったね…ダメだって言ったのに…」
答えずに地丹は腰を動かし続ける。
「これ、どういう事か、わかってる?ほんと、もう…これっきりだよ…そういう約束だから…これが最
後のエッチなんだよ…ねえ、答えてよ地丹くん…ああ、痛いよ…」
地丹がこれほど破壊的な感情になったのは、単に彼女が卒業してしまうから、ではない。
このまま、彼女だけが歳を取るということを繰り返してゆくとどうなるか…亜留美だけが成人し、子供
を産み、年老いて、自分が今のままなのに彼女は…その結末を悟り、慄然したからなのだ。
479箱庭のある情景 第10話:4:2005/07/15(金) 19:08:50 ID:mO4mE+Vf
数分はそうして彼女の膣内を暴力的にかき回し続けた。しかし、やがて…
破壊的衝動は、嘘のようにおさまっていった。理由は定かではない。ただ『そうじゃない、僕のしたい
のはそういうことじゃない』という別の感情が、時につれ優勢になってきたのだ。
地丹の動きが変わる。彼女を、丁寧に、入念に愛してゆく…すぐに、亜留美は、さっきまで嫌がってい
た娘とは思えないくらいに濡れて昂ぶって来た。拒絶の心も溶けてくる。
「あ、あう…ああん…いい…いいよぉ…地丹くん…もっと…」
亜留美はそう口走りはじめた。ぐちゅ、ぐちゅ、と繋がったところから音がしている。
「あん…あん…ずっとこうしていたい…でも…ねえ、地丹くん…なんでこうなっちゃったんだろ…」
胸の、『卒業おめでとう』のリボンが取れかかったままゆらゆら揺れている。部室の外からは、卒業生と
在校生たちのやり取り、笑い声や泣き声などが聞こえてくる。そして室内では二人のあえぎ声。
「あん、ああん…ねえ、なんでなの…なんでなんだろ…私わかんないよ…」
「…はあ、はあ…はあ…」
「ねえ、地丹くん、答えてよ…あ、いい…ちゃんと…こたえ…あ、あん、ああ…あ、ああ!」
地丹は攻めた。彼の全力で亜留美を攻め続けた。泡だった愛液が、二人の繋がったところから滴り落ち
る。初めて使用されるそのベッドの真新しいシーツはもうぐしょぐしょで、二度と使えないだろう。
「あ、ちた…ん…くん…好き、あ、いく…好きだよ、来て…一緒に…一緒に…あん、あん、あああ!!」

地丹が我に返ると、すずが部室にいた。いつ入ってきたのか。
それに気づいているのかどうか、服を着直しながら亜留美が言う。
「ね…地丹くん、あの…さっきのは別に、約束ってことにしなくともいいよ?」
パンツを穿こうとする。だが、脇の部分で引きちぎれてしまっていて穿くことができない。
「あの、ね?やっぱ…お別れは無しで…」
「いいんだ…どうせ、君だけどんどん歳を取るなら…これでおわりにして別れたほうがいいんだ。」
「なんで?『ずっと一緒にいたいけど、看護師になりたいって言うのは亜留美ちゃんの長年の夢だった
から叶えてあげたい』って地丹くんも言ってくれたじゃない。」
「そんなこと…言った覚えないよ、そんな記憶ないよ…。」
480箱庭のある情景 第10話:5:2005/07/15(金) 19:09:47 ID:mO4mE+Vf
「ずるいよそんなの…私、どうしても看護師になりたいの。病気の人を、身も心も捧げつくすような献
身的な看護で治す仕事がしたいの…そもそも私が看護師になりたいと思ったのは、小学校の…」
「聞きたくないよ!そんな話聞きたくないよ!」
亜留美は口をつぐむ。すずはずっと黙っている。
しばらくは誰も何も言わなかった。やがて、
「…じゃ、私…記念撮影とかあるし…行くからね…もう、さよならだよ…」
パンツを穿いていない事が気になるのだろう、しきりに制服のミニスカートの裾を引き下ろしている。
亜留美は、そして最後に、切なそうにに彼を一瞥すると、そのままミニスカをひるがえし(その瞬間、
産まれたままの状態の下半身をチラッと見せつつ)部室を出て行った。
また、長い無言の時間。
「亜留美ちゃん、出てっちゃったわ…悲しそうだったわよ。本当にさよならなのよ、あれでいいの?」
少ししてから、すずが口を開いてそう言った。地丹は俯いたまま答えない。
「終わり方は残念だけど、全部地丹くんには好ましい方向に働いてたでしょ?亜留美ちゃんだけ歳を取
るから、年下の娘とクラスメートと年上の女性っていう状況を一気に体験できたし…」
「いらないよそんなの、したくなかったんだよ!」
すずを見ずにうずくまったまま、久々に地丹が口を開いた。
「こんな事になるなら、そんな経験したくなかったよ、何もかも最悪だよ…」
「…」
顔を上げずに、地丹は続ける。
「こんなのないよ、だいたいなんかヘンだよ最初から…まるで作りものみたいで…演技から始まった出
来合いの恋人関係も、思い通りに鉄道ばっかり出来る街ももううんざりだ…」
「地丹くん…」
「もうやだよ…そもそも、改蔵と羽美ちゃんが黙って転校なんて…するから…二人ともどこいったんだ
よ…リセットしてあの頃に戻りたいよ…そして亜留美ちゃんも年をとらないでずっと一緒に…。」
地丹は泣き始めた。泣きながら続ける。
「もういらないよ、こんな生活…とらうま町なんか、もう…消えて無くなってしまえばいいんだ…」
それきり黙る。すずは、少し時間を置いて、まるで自らに呟き聞かせるかのように言った。
「…本当にとらうま町がなくなってしまえばいいと思うの?」
地丹は頷く。
「本当にそう思うの?」
地丹はもう一度頷く。
「そう…実はね…」
すずは、外ハネを揺らしながら地丹の前に片膝をついてかがみこむ。
地丹からミニスカートの裾の奥が見える角度だが、特に気にしていないようだ。現に地丹には彼女の紫
色のパンツが見えているが、彼も特にそれで何かを感じるような心理状態ではない。
「実はね、私は…いいえ、私たちはね…あなたがその言葉を言うのを待っていたの。地丹くんがいつそ
う考えるようになるか、そのタイミングをずっと待っていたの…今回の事は、全て、そのために作り上
げられたものだったのよ…」
地丹は涙目の顔を上げ、すずを不思議そうに見た。
すずの表情が、いつもと違うことに気づく。いや、これが彼女の本来の表情なのだ…そう直感する。
「もう大丈夫ね。こんなダメージ受けたばかりの時で変に思うかもしれないけど…あなたは大丈夫よ。」
すずは立ち上がり、部室の壁際に向かう。向かいつつ胸ポケットからカードキーを取り出す。
ピッ、と電子音。すずが、部室の壁を押す。
この光景には見覚えがある…地丹はそう感じたが、なぜか思い出せない。
隠し扉が開いた。
「さあ…この扉をくぐるの。」
隠し扉の向こうから、明るい光が差し込んできている。
地丹は、その扉の向こうに行くと、二度と今のこの世界には戻って来れない事に気づいた。理由は判ら
ないが、間違いない、そんな確信があった。どうしようか…彼は少しだけ迷い、そして決心した。
すずがそこを先に抜けながら言う。地丹がついて来るのを確認し、軽く微笑みながら。

「いらっしゃい。あなたには…この扉のむこうにあるものを手に入れる権利があるわ。」

つづく
482元229:2005/07/15(金) 19:20:43 ID:mO4mE+Vf
スレ汚し失礼しました。

思えば、地丹に >480 の最後のせりふを、すずに >481 の最後のせりふを言わせたいがために、
ここまで長々と話を引っ張ってきたともいえます。あとは、まとめをするだけ、です。近々投下予定。

で。

問題は、そろそろ、480KBの壁が迫ってきているということなんですが…。
483名無しさん@ピンキー:2005/07/17(日) 06:52:59 ID:9gZsYav/
このラストは泣けるなあ・・・
いやあ乙です。
次スレは・・・>>500任せた
484元229:2005/07/21(木) 19:01:46 ID:6eGaoQ0l
やっと最終回です。さあ、さくさくと投下。
6レス消費、直接のSEX描写はありません。では。
485箱庭のある情景 第11話:1:2005/07/21(木) 19:03:59 ID:6eGaoQ0l
地丹が、病院の中庭…いつもの隔離病棟の中庭ではない、一般病棟の中庭…に出てきた。パジャマ姿の
まま、しえに付き添われて。美智子から花束を渡される。
看護師たちが口々に何か彼に言っている。すずの部屋からは距離があるのでよく聞こえないが、『退院
おめでとう』と言っているのだろう。
婦長がうれし泣きしている。眼鏡を取り、ハンカチで涙を拭う。
すぐ脇を、例の車椅子の少女が通り過ぎる。車椅子を押す山口さんも、そんなささやかなセレモニーを
見て微笑んでいる。
当の地丹だけが―――あの扉をくぐってからすでに一時間経った今も、まだ完全には状況を理解しかね
ているらしく―――所在なさそうにしている。
今回の『治療』を開始してからはだいぶ抜け毛が減り修復されつつある後頭部、そこだけがすずからは
見える。だが、すずには地丹が今どんな心理状態にあるのかがよく理解できた。
すずもそのセレモニーに参加したかったのだが…窓から見えるそれから目を離し、屋内に向き直った。
亜留美は窓の外の情景に背を向け、うつむいている。
すずが何か言おうとしたのを遮るように口を開く。
「すいません…私…」
涙が流れ落ちる。
「大丈夫です…恋とか愛とかじゃなかったんですから、平気です…だけど…ただ…」
「亜留美ちゃん…」
「気にしないで下さい…私、こう見えても結構タフなんですよ…ちょっとやそっとじゃくじけ…」
それきり言葉が続かない。窓枠の下にしゃがみこんでしまった。床に涙がいくつも滴り落ちる。
無理もない。すずは思う。どうしても必要なことだったとはいえ、つらい出来事ではある。そしてそれ
は、すずが計画し、こうなることはわかっていた上で亜留美に行わせたことなのだ。
すずは無言で彼女の肩に手を置いた。特に言うべき事はなかった。釈明も意味がないだろう。
亜留美はすずを恨んでなどいないと言う。
それが本当の事だとしても、恨みというものは数年、いや十数年を経た後で、突然沸き起こったりもす
る感情である事をすずは知っていた。まあ、恨みを買うのは慣れてるし…彼女はそれは構わなかった。
486箱庭のある情景 第11話:2:2005/07/21(木) 19:04:44 ID:6eGaoQ0l
構わない、では済まないのは、亜留美の方だ。
『時がたてば心の傷も癒える』とよく言われるが、そう簡単に行くものではないことを、職業柄すずは
嫌というほど見てきていた。彼女は立ち直れるかどうか…。
すずはまだしゃくりあげている亜留美の方に、無言で手を置いたまま佇んでいた。

そうして、地丹は婦長の所に引き取られていった。
しえもほかの看護師も、ちょっと気の抜けたような状態になった。
『やっかいな患者さんだったけど、いなくなるとさびしいわね。』
皆の思いは同じようだ。竹田先生は話し相手がいなくなって手持ち無沙汰だ。
ただ、美智子だけが、なんだか浮かれた表情でいる。どうやら、新しい彼氏がSEX上手らしく、やっ
と彼女も本当の『天にも昇る気持ち』を堪能できるようになったらしい。きっと次に描かれる同人誌は、
彼女の実体験からのエクスタシー描写を大盛りに盛り込んだものとなるだろう。
しえは今では元ライバルとは仲良しだ。たまに過去の改蔵の事で口論になるが、それももう二つも前の
事件になってしまった。本気で言い争うには遠すぎる過去のことだ。
そうして地丹の不在は次第に埋め合わされていった。ちょうど、改蔵と羽美のそれのときのように…。

「説明してくれないか?」
今、すずは青松理事の部屋にいる。さっきまでは二人とも理事会に出席していた。すずはその中で小さ
な一議題として地丹の治療終了の報告をしてきた所なのだ。彼は自分の椅子にふんぞり返る。
「どうも理解できないんだよ。何であれで、いままで治らなかった坪内地丹の病状が快復したんだ?却
って傷つくんじゃないのか、あんなことをしたら…。」
「確かに彼は傷ついたでしょうね。でも、それも必要なことだったんです。」
理事は説明を開始しようとするすずに、ソファに座るように促した。
「今回の『治療』の要点は、彼に、とらうま町の存在を全否定させるためにはどうすればいいか、の一
点にあったと言っていいんです。そのために、彼に理想的な、思い通りにいかないという点でもリアリ
ティのある状況を箱庭世界に作り上げ、経験させのめりこませておいて、そこから一気にそれを壊す…」
「残酷だな。」
487箱庭のある情景 第11話:3:2005/07/21(木) 19:11:31 ID:6eGaoQ0l
「確かにそうです。だから最初に、今回の計画は強引だ、と申し上げたわけで。」
すずはしれっと微笑んだ。
「先に治った二人の快癒に関する解析がもう少し進んでからなら、『なぜ改蔵くんと羽美ちゃんがとら
うま町の全否定に至ったか』解って、それを地丹くんに対して応用できたんはずなんですが、そうも…」
理事が『私のせいかね?』という表情をしたので、すずは話題を切り替えた。
「ご存知の通り、この療法の根本は、『患者の病的部分を虚構の世界に思い切り吐き出させ、十分にそ
れが進んだ段階でその虚構世界を患者に全否定させる』ことにあります。患者自身に『自分の病的な部
分は虚構世界に置いてきたのだ、もうあの性格・性質は自分から切り離されたのだ』と考えさせること
が重要なんです。」
「…」
「そんな意味で、この療法は、普通一般のいわゆる『箱庭療法』とは異なるわけですが。とにかく、現
在は地丹くんに対しては、彼に強い印象が残っている内に『とらうま町は全て虚構だったのだ、地丹く
んの心の不具合の部分は全てあの町においてきたのだ、もうあなたは元通り健全な心の持ち主なのだ…』
という後暗示を与え、その状態の定着を見守っている所です。」
「そしてそれは上手く行っている、と。」
「はい。」
「SEXの関係にあった看護師に関する感情はどうなってるんだね?」
「…たしかに、今気がかりな点はそこにあります。彼女への恋愛感情が彼をあの世界に引き戻さなけれ
ばいいのですが…彼にとってはつらいことですが、はっきり言って、その点に関しては突き放して見る
以外に方法はないですね。今のところ、二人とも立ち直れそうな方向で状況は推移していますが。」
「そう推移することも、君の計算に入っていた部分なのかね?」
「いいえ。偶然です。こうはいくまいとの前提で対策案を立ててあったんですが…必要なくなりました。」
「つまり、彼らにとって良かったことも悪かったことも、全部君の計画にはプラスに働いた、という訳
だ…今回の事は全部君の評価点の加点になり、私の失点になった…」
理事は、椅子を回転させ彼女から視線をそらすと呟いた。
「つまらん。実につまらん。」
488箱庭のある情景 第11話:4:2005/07/21(木) 19:13:51 ID:6eGaoQ0l
<以下、商店街>
地丹は街に出た。
新しい自宅から商店街への道を、戸惑いながら歩く。とらうま町ではないその市街地。しかし昔の自宅
からさほど遠くない…そこを、中学当時の記憶を引き出しながら。
ふと、一つのビルに目がいった。そういえばあのビルの2階に、鉄道グッズショップがあったはずだ。
そう思い行ってみると、そこは漫画喫茶に衣替えしていた。
(そうだよな…あれからもう、5年が経ってるんだ…)
仕方なく、当てもなくふらふらする。現実の街のはずなのに、何だかふわふわした非現実感がする。
そして思う…この街が現実なのだとしたら、この足が地に付いていない感覚は、きっと自分自身にリア
リティがないせいなのだろう。現実世界で自分はいったいどんな「坪内地丹」であるべきなのか。
どん、と誰かにぶつかった。思わず膝をつく…と、視界に、マンボウ柄のパンツが飛び込んできた。
ぶつかって尻餅をついた女の子、大開脚状態のその娘は女子高生か。
ぱっ、と両脚を閉じ、真っ赤になって地丹を睨み付ける、強気そうなショートの茶髪少女。
「すけべっ!!」
平手打ち。眼鏡が外れ、かちゃんと落ちる。
一緒にいた友人と思われる娘が眼鏡を拾いながら言う。
「だ、だめよ乱暴でしょ!?す、すみません、この娘ちょっと乱暴で…」
地丹は手渡された眼鏡をかけなおす。
礼を言おうと相手を見ると、その三つ編みの娘は少し頬を染めて彼に見とれていた。
ショートの方の娘が彼女の腕を引っ張り、耳元でささやく。
「またぁ…あんたね、誰でも彼でもー目見ただけでのぼせあがっちゃダメよ。」
「すみませんでした。じゃ。」
地丹は無表情でその場を離れた。彼女らは何か言いたそうだったが、それに背を向けて。
(…まるでラブコメの第一話冒頭みたいなシチュエーションだな。でも、この世界ではそうはならない
んだ…あの娘たちとは二度と出合うことはないんだろうな。)
それは正しいのかも知れないし、そうではないかも知れない。それは誰にもわからない。

なぜなら、この続きに関して、すずのようにシナリオを書いてくれている人はいないのだから。
489箱庭のある情景 第11話:5:2005/07/21(木) 19:20:33 ID:6eGaoQ0l
また少し背中が痛んだ。亜留美との愛の行為の記憶が蘇る。
自分が完全に社会復帰できるまで、亜留美とは会うことが出来ない。
だが、地丹はもう亜留美と会うつもりはなかった。社会復帰できた頃は、おそらく彼女は彼女自身の新
しい恋を見つけているだろう。そうでなければいけないし、そうであって欲しいと思う。
だけどやっぱりそれは悲しい…地丹は無理やりにでも別のことに考えを移すことにした。
(そうだ…改蔵くんと羽美ちゃんのアパートに行ってみようか…。)

住所は教わっている。それほど遠くない所…もうすぐだ、その角を曲がると…
「…なのよね、あのアパートの新しい夫婦。苗字なんだっけ、『勝さん』だっけ?」
道端で会話する奥さん達の会話が耳に。地丹は立ち止まる。
「そうそう、ホント仲いいみたいよ。ていうか、まるっきりやりまくり夫婦なの。隣に住んでるOLっ
て人が事細かに話してくれたんだけど、今も週末なんて明け方までずーっとSEXですって。」
「こないだ薬局で、奥さんのほうがスキンのお徳用を大量に買い込んでるのを見たわ。そりゃもう、あ
のかわいい顔を恥ずかしそうに真っ赤にして。」
「そりゃ勤労学生の夫婦だし、避妊しないとね。でも昼は何の仕事を?二人とも日に焼けてるわよね。」
「これもOLさんからだけど、休みの日には、ちょくちょく二人で海を見に行ってるらしいの、電車を
乗り継いで。なんでも、『もっと広い世界が広がっている』っていう事実を実感しに行くんだそうよ。」
「ふうん…それより夜のほうの話はもう無い?二十歳そこそこの新婚夫婦の性生活、私興味あるのぉ。」
「あるある、あのね…」
そこまで聞いたところで、地丹は二人には会わずに引き返す事にした。
『もっと広い世界が広がっている』か…
よかった、二人が仲よさそうで、世界にリアリティを持てていて。
僕はもう少し待とう、そして、同じようにリアリティを感じられる自信をつけてから顔を合わせよう。
そうだ…とりあえず、それを今の自分のとりあえずの立ち直りの目標にしよう。
今は会えないが、改蔵も、羽美も、すずも、箱庭ではないこの街で自分と同じように暮らしてるのだ。
そして会える機会はないとしても、亜留美も…。
そう考えると、この街とその上に今立っている自分に、地丹はようやくリアリティが感じられ始めた。
490箱庭のある情景 第11話:6(全話完結):2005/07/21(木) 19:22:03 ID:6eGaoQ0l
<以下、病院内>
すずはまた箱庭のある部屋にふらりと入ってきた。
とらうま町。
住人を失ったその箱庭の街は、完成直前まで出来上がりかけていた新幹線の駅もそのままに、ひっそり
と静まり返っている。
ここに、とすずは思う、ここにまるで本当に人々が生活していたかのように、賑やかに活気溢れていた
時があったのだ。そしてその中で、自分も実際の生活者であるかのように振舞っていたことも…。
今その箱庭は存在意義を終えた。
しかしそれは十分に役割を果たしたのであり、今後は少しずつ解体されながらどのようにそれが作られ
たかを分析されることになっている。その分析データはまた、べつの治療研究に役立つはずだ。
すずは、箱庭と、窓の外の現実世界を見比べるように視線を移した。窓の外の世界では、いまも改蔵と
羽美が仲良く暮らし、地丹も街に出て新しい世界に慣れようとしていることだろう。
背後の廊下を、看護師たちが慌しくかけてゆく音が聞こえる。
「ほら急いで…今日は新しい仕事を覚えてもらうわ、ちょっときついけどがんばってね。」
「はいっ、わかってます亜留美センパイ、私がんばりますっ。」
足音が遠ざかる。
亜留美の下に、試験的に看護学生を見習いとしてつけてみたのだ。
しばらく虚脱状態だった彼女も、後輩ができてはりが出てきたようだ。
すずもそろそろ仕事に戻らなければなるまい。
彼女にも現実があった。青松理事は今後も彼女に絡み続けるだろうし、離婚調停や親権問題に関しては
彼女のほうが元夫より分が悪い状態なのだ。若先生のお誘いもいなさなければならないし…。
彼女は、もう一度箱庭を見つめ、その上で起きた色々なドタバタや愛憎劇を、最後に一度だけ思い起こ
し直した。面白かったことも、困り果てたことも、同じように懐かしみながら。
そして彼女はそれらの思い出を胸にしまいこんで踵を返し、病棟での仕事に戻っていった。
ドアが閉じられ、時が止まった箱庭の街の上には、いつまでも午後の日差しが穏やかに降り注いでいた。

おわり
491名無しさん@ピンキー:2005/07/21(木) 23:22:26 ID:BOk+vjJH
>>299
あ な た は ネ申



…これしか言葉が出てこないんだ
492名無しさん@ピンキー:2005/07/22(金) 04:47:35 ID:JBJgvZge

元229神、お疲れ様でした。

素晴らしかった!公式って言われても違和感ないもん。
いいもの見せて頂きました〜ありがとう!
493名無しさん@ピンキー:2005/07/23(土) 22:26:56 ID:632OkwBk
楽しみにしてきた連載がついに簡潔…
299氏、乙でした。
ほんとなんて言ったらいいかわかんないけど、ありがとう!面白かった。
494名無しさん@ピンキー:2005/07/24(日) 01:20:04 ID:7TaJQJGk
真にGJです
495名無しさん@ピンキー:2005/07/24(日) 12:06:02 ID:qKTHSvqq
お疲れさまでした。
496名無しさん@ピンキー:2005/07/29(金) 11:42:28 ID:eYay3LzQ
sage
497名無しさん@ピンキー:2005/08/01(月) 22:33:15 ID:ZnnygEoK
hoshu
498名無しさん@ピンキー:2005/08/01(月) 23:22:02 ID:80jKlSbe
>元229氏
超GJ!読んでいて毎度気分が爽やかになったものでした。
次回作もお待ちしております。

何とか次スレ即死予防用のSS書いてるから、ちょっと待って頂きたい。
あ、埋め立て用のSSも必要か…もうすぐ圧縮があるからいいか
499元229:2005/08/02(火) 18:49:56 ID:agk86CT7
皆さん多謝。スレ落ちが怖いのでまた後程…。
500名無しさん@ピンキー:2005/08/04(木) 21:57:04 ID:H+M96zxK
500get&age
501名無しさん@ピンキー:2005/08/07(日) 05:28:16 ID:tDBcQHcQ
これは、『勝手に改蔵』のもうひとつの物語。
502スレタイ案:2005/08/07(日) 22:44:13 ID:9nqWjZw0
【絶望先生】久米田康治エロパロ総合 Part4【改蔵】
字数大丈夫かな…
503初代スレ396:2005/08/09(火) 23:49:59 ID:OXQnNDbK
一応絶望先生でSS出来ました。もう次スレ行っても即死回避はバッチリです。
問題はこっちなんですが、きっちり残り容量使い切った方がいいんでしょうか?
504元229:2005/08/11(木) 19:05:30 ID:sU8AU/6e
>503
>一応絶望先生でSS出来ました。もう次スレ行っても即死回避はバッチリです。
>問題はこっちなんですが、きっちり残り容量使い切った方がいいんでしょうか?

次スレ行きませう。題名は>502 でイイ!と思うです。

こっちは…静かにこのまま置いといてはどうでしょうか?自然に任せる、と。
505初代スレ396:2005/08/11(木) 23:46:39 ID:eqWRwbp/
昨日の今日ですいませんが、こっちの分も書いちゃいました。
なので投下しようと思います。
舞台は南国アイス22巻の『超強力接着剤』の話から。
二人がそあらの部屋で寝ている所から始まります。

では投下開始
506彼と彼女のケミカルボンド:2005/08/11(木) 23:47:49 ID:eqWRwbp/
 軽くて暖かい毛布を跳ね除け、オレはベッドの上で身を起こした。
 きちんと毎日干してあり、シーツも清潔で快眠を保障してくれそうな寝具なのに、
そこに身を横たえても変に目が醒めて仕方ない。普段オレが使っている煎餅布団と
違うのも原因の一つだろう。オレは枕が替わると眠れない性質なのだ。
 だがどちらも些細な理由に過ぎなかった。オレは部屋の中を見渡して思う。
 持ち主の性格よろしくきっちり片付いた部屋、教科書やノートをコーナーに揃えた机。
内装の趣味、枕元に置かれた縫い包みの数々、それから――
 頭を掻こうとして、オレは自分の右手が使えない事を思い出した。自分の肩から
腕へと視線を移して行き、やがて右手の先へと辿り着く。
 少し骨張った俺の右手の中に、細くて柔らかい左手が収まっている。
 これがオレが眠れない最大の理由だった。

 別に好きでこうやって手を繋いでいた訳じゃない。
 話せば長くなるが、事の発端は彼女が叔父である毒田博士の所に行ったのが始まりだった。
博士の所から接着剤を持って帰った彼女と街で偶然出会い、ちょっと貸してくれと彼女が
持っていた接着剤入りのチューブを握り込んで中身が飛び出して、何とかしようとした
彼女がオレの手を掴んで――
 結果的に手を繋いだまま、今日一日を過ごす羽目になったのだ。お蔭で散々な目に遭って
疲れているというのに、彼女がオレの傍で不用意な寝姿を晒しているかと思うと妙に興奮する。
 こんな事別に初めてでもないのに何故だろう。彼女の家という特殊な状況のせいなのか。
「そあら――」
 呼びかけるでもなく、オレは不眠の原因となったこの女の名前を呟いた。
 彼女の寝顔は無邪気そのもので、本当にコイツがあの凶暴なそあらなのかとつい疑ってしまう。
 パジャマの襟から覗かせている鎖骨に、オレの目が引き寄せられた。白い喉元がびくりと
動いて、同時に彼女の寝息が一層大きくなる。
 誘惑されているのだろうか、などとあらぬ妄想を思い浮かべた。そあらは痩せて胸も尻も
薄い癖に、こういう所だけ妙に女らしいのだ。
 言ったらそあらに付け込まれるので、彼女の前では言わないのだが。

 いっそ襲い掛かってしまうか、とオレは考えた。
 寝る前にくれぐれも襲わないようにと釘を刺されたのだが、オレを差し置いて
自分だけ気持ち良さそうに眠っているコイツを見ていると何だか無性に腹立たしい。
それにオレも健全な男である。好きな女とベッドを共にしているというのに、
手を出さないなんて事があって堪るか。
 こういうのを日本語で何と言ったっけ。そうそう、『据え膳食わぬは男の恥』だった。
 そあらを起こさないよう、オレは手を引っ張らないように注意しながらシーツの上を
こっそり這った。彼女の脇にぴったりと寄り添う形になる。
 高級なボディーソープの匂いがオレの鼻をくすぐる。普段のポニーテールを下ろしただけで、
彼女の雰囲気がまるで違って見えた。
 そっと彼女の頬っぺたに横から顔を近付けて――

 握られたオレの手に力が篭り、そあらの寝息の不自然さにオレはようやく気付いた。
507彼と彼女のケミカルボンド:2005/08/11(木) 23:48:46 ID:eqWRwbp/
「人聞きの悪い事言うわねアンタ。こうなったのも不可抗力でしょ?」
 そうだよ不可抗力だよ――月斗が腹立たしげに声を荒げた。
「お蔭で今日は一日振り回されて大変だったよ。キャプテン達に追い回されるわ、ゲーセンで
対戦ばっかりやって時間は潰すわ、カラオケではデュエットばっかり歌ってしまうわ――」

 いつの間にか彼は私と顔を突き合わせて喋っていた。どうせお話するのなら、お互いの目を
見ながらした方が遥かに楽しい。
「ホントだね。よく考えたら手と繋いだままでも別々に歌えたのに、それをからかわれたもんね」
「マイコちゃんが一番酷かったな。彼女絶対仲人とかやりたがるタイプだよな」
「あはははは、確かにそうよね。マイコってあれで結構おせっかいだし。ねえ月斗知ってる?
 彼女キャプテンと付き合っているんだって」
「だろうとは思ってたけど、しかしあのキャプテンのどこがいいんだか。あいつ重症のマニアだろ?」
「好きになったら仕方ないわよ。ねぇ」
 最後の方は身を起こしながら、月斗の顔をじっと見つめて言った。コイツ鈍いから私の目が
何を訴えているか察する事は出来ないだろう。それに口に出して言えるほど私は可愛い女じゃない。
 月斗がぷい、と顔を背ける。さっき愛い奴と言ったの訂正、可愛くない奴。でも――
「――楽しかったね」
 月斗がぴたっと固まったのが見て取れた。そっぽを向いた彼の横顔が見る見る真っ赤になる。
 私はそんな彼の様子を面白がって眺めていたけれど、彼がだんまりを決めた事で私の口数も
自動的に減ってしまう。
 無意識の内に、私の自由な右手が彼のシャツを掴んでいた。気付いたけれども手を離したくない。
気恥ずかしさというのは心細さと連動しているのかも知れないな、などと私は思った。
508彼と彼女のケミカルボンド:2005/08/11(木) 23:49:58 ID:eqWRwbp/
済みません>>507でミスりました。こっちが本物↓


「そあら――起きてたのか」
 月斗が私の耳元で甘く囁いた。くすぐったさに私はぎゅっと目を瞑る。
 ――ええ起きてましたとも、ベッドに入った時からずっと
 私は目を開けずに、心の中で月斗に返事した。だって仕方ないじゃない。
 家族が留守にした家で、彼氏と手を繋いで眠るなんて新婚夫婦の寝室みたいな状況なんだもの。
がさつな月斗には、私がどれだけ嬉しかったか解らないだろう。そんな事を言うと付け上がるので
彼の前では絶対に口にしなかったのだが。
 私はそんな甘々な気分を思う存分味わっていたかった。もう少しで幸せな気分に包まれて
眠りに落ちて行けたのに、彼の誘うような声がそれを妨げる。
「寝た振りするなよ。それとも本当に寝てるのか――」

 私の左隣でシーツの擦れる音が聞こえ、私は胸を揉み回される前に目を開けて横を見る。
 絆創膏が目立つ彼の顔が間近に迫っていて、胸の動悸を悟られまいと私は努めて自然に応じた。
「起きてるわよ月斗。それより寝てる間に私の胸を触ろうとしてたでしょ」
「してねーよ」
「してました。そのヤラしい手付きが何よりの証拠よ」
 言い返せなくなった月斗が拗ねた顔になり、左手で鼻の頭を掻いた。中々愛い奴じゃ。
そう思えば心に余裕が生まれて来る。私は肘をシーツに突き、彼と身体が軽く触れる程度に近付いた。
「月斗でも眠れない事があるんだ、知らなかった」
 オレはナイーブだからな――目線を私の元いた場所に落として月斗が呟く。
「オ○ニーだってオマエが見てたら出来ない位だぞ」
 私の前で下ネタ話するぐらいなら目をちゃんと見ろ。全くこのバカ男は小心なんだから。
「女の子の前でオナ○ーの話は禁物です。だからアンタ女の子にモテないのよ」
 私以外にアンタと付き合う女なんて誰もいないんだからね――口に出さずにそう付け足す。
「うるせぇよそあら。大体そんなオレをベッドに誘ったのは何処の何奴だって言うつもりだ?」
「人聞きの悪い事言うわねアンタ。こうなったのも不可抗力でしょ?」
 そうだよ不可抗力だよ――月斗が腹立たしげに声を荒げた。
「お蔭で今日は一日振り回されて大変だったよ。キャプテン達に追い回されるわ、ゲーセンで
対戦ばっかりやって時間は潰すわ、カラオケではデュエットばっかり歌ってしまうわ――」

 いつの間にか彼は私と顔を突き合わせて喋っていた。どうせお話するのなら、お互いの目を
見ながらした方が遥かに楽しい。
「ホントだね。よく考えたら手と繋いだままでも別々に歌えたのに、それをからかわれたもんね」
「マイコちゃんが一番酷かったな。彼女絶対仲人とかやりたがるタイプだよな」
「あはははは、確かにそうよね。マイコってあれで結構おせっかいだし。ねえ月斗知ってる?
 彼女キャプテンと付き合っているんだって」
「だろうとは思ってたけど、しかしあのキャプテンのどこがいいんだか。あいつ重症のマニアだろ?」
「好きになったら仕方ないわよ。ねぇ」
 最後の方は身を起こしながら、月斗の顔をじっと見つめて言った。コイツ鈍いから私の目が
何を訴えているか察する事は出来ないだろう。それに口に出して言えるほど私は可愛い女じゃない。
 月斗がぷい、と顔を背ける。さっき愛い奴と言ったの訂正、可愛くない奴。でも――
「――楽しかったね」
 月斗がぴたっと固まったのが見て取れた。そっぽを向いた彼の横顔が見る見る真っ赤になる。
 私はそんな彼の様子を面白がって眺めていたけれど、彼がだんまりを決めた事で私の口数も
自動的に減ってしまう。
 無意識の内に、私の自由な右手が彼のシャツを掴んでいた。気付いたけれども手を離したくない。
気恥ずかしさというのは心細さと連動しているのかも知れないな、などと私は思った。
509彼と彼女のケミカルボンド:2005/08/11(木) 23:50:31 ID:eqWRwbp/
 あれほど熱心にオレをからかっていたそあらが、唐突に黙り込んでしまった。同時に手が力強く
握られ、シャツの襟を引っ張られる形で彼女と向かい合う。
 無意識の内に、オレの自由な左手が彼女の肩をそっと抱く。そあらはオレの胸に顔を埋め、
それまでの饒舌が嘘のように訥々とか細い声で呟いた。
「ご飯――美味しかった?」
「ああ。ピーマンとかシイタケとか、自分の嫌いな物ばっか食わそうとしたのはアレだけど」
 とは言え食卓にぴったりと並んで座り、右手の使えないオレの口へと箸を運んでくれたのには
一瞬ドキッとときめいた物だった。もしオレ達が本当に結婚などしたらそんな風になるのだろうか。
メチャクチャ恥ずかしい気もする。しかしオレとそあらが人目に触れる恐れがない所でどれほど
恥ずかしく振る舞うのかと考えると、羞恥心を振り切って本当にやりかねないだろう。
 ゴメンね――そあらがオレの襟を引き寄せながら言う。シャンプーの匂いが心地よい。
「私好き嫌い多いから――お子ちゃまだよね」
 学校とか街中でそあらのそんなセリフを聞いたら、間違いなくからかっていただろう。
そして調子に乗ってそあらの鉄拳制裁、というのがお約束だ。
 もっともそあらはこんな可愛いセリフ、人前で吐く事は絶対に有り得ない。
 オレと二人きりの時だけ、そあらは妙に可愛くなる。
 誰も知らないそあらの姿を知っているのは堪らなく嬉しい気分だ。もっとも口に出して言えば
そあらが付け上がるので、絶対にそんな心境を告白する事はないのだが――

 そあらの身体を引き寄せる。密着して彼女の肉感と体温をパジャマ越しに味わう。
肩から背筋にかけて優しく撫でていると、目を瞑るそあらの赤い唇が迫った。
510彼と彼女のケミカルボンド:2005/08/11(木) 23:51:34 ID:eqWRwbp/
 上唇を吸い、次は下唇。攻めるのは月斗よりも寧ろ私の方だった。
手を繋いでいた事で、私は妙に積極的になっていたようだ。彼の右手は封印されていたから、
その分私にはアドバンテージが与えられていたように思えた。
 いつもいつも月斗にばっかり主導権を握られるのは癪に障る。だから私から求めるのだ。
ムキになった月斗が、反撃とばかりに私の前歯を突付く。彼の舌が進入するより早く、
私は彼の上顎の凹凸を嘗め回した。
「んー、んんー」
 月斗が目を剥いて何やら苦しげに呻く。その拍子に舌の裏側を舐められた。
「……んっ!」
 今のは月斗じゃない。胸を触られて急に息苦しくなったのだ。服越しでも感じ過ぎて
頭の中が飛んでしまうから、人目があったら絶対胸は触らせない。
 
 けれど今は月斗とのキスに酔っていたかった。パジャマの襟元のボタンが一つ一つ外され、
彼がブラの中に手を入れて来る。お互いの舌を絡めて舐める度に、月斗の手が私の手を
強く握り返す。彼も興奮しているのだ、とハッキリ判るのが嬉しい。
 だから私は彼を受け入れてしまったんだろう。
 蕩けた頭の芯が、胸の先に生まれた痛い痺れでがんがんと揺れる。
 彼が私をパジャマもブラも半脱ぎの状態にして、貪るように胸を吸っていた。
 少し高価なレースのブラだったんだけど、彼は気付いているかどうか。彼の興味は
私の下着より、専らその中身に向いているようだった。
 彼はパンツの上から潤みを触り、私が腰を浮かせている間に染みの出来たそれを脱がせて
中に指を突っ込んだ。
 普段はもっと荒々しい手付きで中を弄るのだけれど、今日の彼はどうしちゃったのだろう。
入り口と突起をねちっこく愛撫して来る。おまけに突き出した舌の先同士で軽く触れ合って
いたので、脚を大開きにしてそこへ顔を埋めるような真似もしない。
 そして二人はずっと手を繋いだままだ。時がこのまま過ぎてしまえばいいとさえ思った。
 だが今日は――
 絶頂が普段よりも早く訪れる予感を覚えた。

「そあら――」
 月斗の声が切なく響く。私の中に早く入りたがっているのだ。
 私が無言で返事する。彼は私から離れ、ベッド下に脱いだジーパンに左手を伸ばす。
財布から包みを取り出して彼が戻り、私たちは協力して包みを開けた。
 避妊具は私が付けてあげる。利き手が塞がっていたんだもの、仕方ない。
それにしても月斗のアレ、つくづく大きくなる物だと思う。彼は小さいと気にして
いたけど、する時気持ちいいから私には充分なのに。
 何で男ってアレの大きさを気にするのか私には判らない。私たちが胸の大きさを
気にするのと同じ心理なんだろうか――
「何ジロジロ見てるんだよ」
 ゴメン、と謝りながら月斗に抱き付いた。キスをしている間に仰向けに寝かされる。
パジャマの下とパンツを抜かれ、私はいつもの受け入れ態勢を取る。今日は股間よりも
私の顔を見つめていたので、脚を開く事への抵抗は少なかった。というか早くして欲しい。
 ずっと繋ぎっ放しの左手だけじゃなく、もう片方の手も彼と繋ぐ。
 熱い視線で見詰め合い、固くなった彼のアレがゆっくりと打ち込まれる感覚に身を委ねた。
511彼と彼女のケミカルボンド:2005/08/11(木) 23:52:33 ID:eqWRwbp/
「月斗、月斗ぉ……!!」
 オレが動く度、そあらは切羽詰った大声を上げた。家の者に聞こえないという状況が、
彼女から遠慮を取り去っていたのだろう。
 実際オレの部屋でする時も、ソアラは声を押し殺してオレの愛撫にじっと耐え続けている。
普段の気の強いそあらも、いじらしいそあらも良いのだが、しかしこうやって快楽に溺れる
そあらもオレは好きだ。
 などと口に出して言ったら付け上がる性格だから、絶対そあらには言わないけど。
 正直パジャマの上下と下着を半脱ぎ、というのは裸よりもかなりエロい格好じゃないか。
女の子に恥ずかしくて動きの不自由な格好を強いる事で、何物にも替え難い興奮と征服感を
得られるからだろう。
 中が妖しくオレを締め付けた。多分無意識だろう、彼女は腰を前後に激しく振る。
 そあらが熱に潤んだ目をオレに向けた。キスの合図だ。
 お互いの唇に食らい付き口を塞ぐ。酸欠になりそうだったので離れたが、そあらの唇は
それでも離すまいと最後まで未練がましく吸い付いた。
「もっと……もっと!」
 せがまれたのでツンと勃った乳首を口に含んだ。舐めて吸って舌で転がして、その度に
そあらの身体でも一番セクシーな白い喉が仰け反る。
 限界は意外と早く迫ってきた。オレはとっさに体位を変える事を思い付き、左手を解いて
息も絶え絶えになったそあらの片足を持ち上げて繋がったまま横に寝かせる。
 オレのが中で捩れ、そあらは苦しげに顔を顰めた。こうして右手を繋いだまま交われば――
 思った通り、亀頭がそあらの一番奥に当たった。しかも膣の絡み方がいつもとは違う。
「月斗――それ、いいの……ああ、ああぁ……」
 ポニテを解いたそあらが、オレの動きに合わせて髪を振り乱していた。
 繋いだ手を引いて、深く深く腰を打ち付ける。余った手をパジャマの前に運び、ブラから
こぼれた彼女の乳房を弄りながら最後に大きく奥に擦りつける。
 絶叫が途切れ、がくがくとそあらの肩が揺れる。
 彼女の細い手が力一杯オレの手を握った所で、オレもそあらの奥深くで達した。
512彼と彼女のケミカルボンド:2005/08/11(木) 23:53:18 ID:eqWRwbp/
 翌朝二人並んで家の玄関を出た所で、私たちはその場に立ち尽くした。
 キャプテンにスズキくん、それにマイコ――昨日私たちを散々からかった面子が、
冷やかすような顔付きで出迎えてくれたのだ。
「おはようそあら、仲良く並んで登校だなんて羨ましいわね。それより昨夜はどうだった?
 月斗くんスケベだから、かなり激しいんじゃないかと思うんだけど――」
「違うわよマイコ、彼と手が繋がったままだから仕方なくよ。それに昨日は別に
 何も無かったんだから」
 自分がここまで白々しい嘘が言えたのは、ちょっとした発見だった。私たちの関係を
隠す為には嘘も方便、って奴ですか。
「ふーん、そうなんだぁ」
 マイコはヤラしい事考えてますよ、と言わんばかりにニヤニヤしている。私の事全然
信じてない。一方キャプテンとスズキくんは月斗に駆け寄り、わざとらしく彼を祝福した。
「おおついに月斗も大人になったんだなぁ」
 嘘泣きなんかして、キャプテンも中々いい性格をしている。それに比べたら
スズキくんは軽いジェラシーを見せていた分、キャプテンよりは素直だろう。
「チクショー、オレも女とよろしくヤリてぇよ」
「その前にオマエはインキン治さないとダメだろう」
 ああダメだな――月斗がキャプテンに相槌を打つ。知ったな、と凄い剣幕で睨むスズキくんを
華麗に躱し、彼は私に目で合図を送った。
 ――気にすんなそあら。コイツら冗談半分で言ってるだけだから
 私が首を横に小さく振る。
 ――けど昨日一緒に家に入るトコと、今朝出て来る所の両方見られてるのよ
 月斗の目はあくまで自信に満ちていた。
 ――大丈夫だって。いざとなったらキャプテンとマイコちゃんの話で反撃すりゃいいだろ
「あんた達――」
 マイコの呆れたような感心したような声で、私たちはアイコンタクトを中止する。
再び何事も無かったように取り繕い、私はマイコに向かって逆に問い返した。
「何か?」
「いや、あんた達今目で会話してたような」
 私が反論しようと一歩踏み出す前に、月斗が気のせいだろ、と誤魔化してくれた。
「それなら別にいいけど――手は?」
 スズキくんがそれ以上突っ込む前に、私は素早く月斗の手を取って握った。

 実は私たちの手を繋いでいた接着剤は、とっくの昔に効き目が切れていた。
その事に気付いたのは、家族の留守をこれ幸いにと散々愛し合った末に、彼の腕枕で
まったりと快感を思い出していた最中だった。
 不自由なはずの右腕に、私は頭を預けていたのだ。お蔭で折角の後戯が台無しになった。
 一度気付いてしまえば、それまで気にも留めなかった些細な矛盾点が幾つも出てくる。
最初は月斗の手の甲を持っていた筈なのに、掌同士で握り合っていた事。そこから更に
手を組んで繋ぎ直した事。
 だいいちお風呂に入った後、私はどうやって手がくっ付いたままでパジャマに袖を
通す事が出来たのだろう。トポロジカルに考えても不可能じゃないの、だとすれば――
 接着剤が切れたのは少なくともその時、いやお風呂に入る前という事になる。
 それでも。
 手が繋がったままのエッチは本当に幸せな物だったし、それに――
 自由になったが故に、かえって手持ち無沙汰になった私の左手を、月斗は眠っている間中
ずっと握っていてくれた。お蔭で私は心細さを感じる事もなく、幸せな気分で眠りに就いた。
 寝ている間に私に振り回されても、ベッドの床に身体を叩き付けられても、それでも
彼は私が目覚めるまで手を離さなかったようだ。
 寝相の悪い私のせいで、月斗は翌朝までにボロボロになっていた。この時ばかりは私も
素直に謝ったし、彼も気持ち悪い位あっさりと許してくれた。
513彼と彼女のケミカルボンド:2005/08/11(木) 23:53:52 ID:eqWRwbp/
 いきなり手を握られたので何事かと少し驚いた。が、そあらの行動でその理由を察する。
「ほらこの通り、生憎と全然取れなくて困ってるの」
 そあらはオレと繋いだ手をスズキに見せ付けていた。そう言えばそあらの家を出る時、
オレは手を繋ぐのを忘れていた。まさか三人が迎えに来る事もあるまい、と楽観的に考えて
いたので、気恥ずかしさからそうしなかったのだが。
 スズキは一応納得した様子で腕時計に目を落とした。
「そろそろ学校行かないとヤバいぞ」
 あっホントだ――マイコちゃんも自分の時計で確かめるや、キャプテンの手を取る。
 先行する三人衆の後に続き、オレ達も手を繋いで登校した。公園の前を通り過ぎて、
先週もこの面々でお花見に行ったなと回想した。あの酔っ払いサラリーマンは、多分
マイコちゃんの親父さんじゃなかったかと思うんだが――
 今や公園の桜もすっかり散ってしまった。最近特に時間の流れが速くなった気がする。
オレの左手を歩くそあらの横顔を覗き見て、オレはそのまま首を動かせなくなった。
嬉しさを噛み締めるようで、本当に幸せそうな顔だ。
 左手に少し力をかけるとそあらがこちらを見た。オレは彼女に目で会話を送る。
 ――今偶然接着剤が切れたとか言って手を離すか?
 ――学校に着くまでまだ時間あるよ。もう少しこのままでいて
 そあらは自分の意志を確かめるように小さく頷くと、微笑みながらキュッと握り返す。
オレはそんな彼女の冷たい指先を擦ったり、手の甲の肌を撫でたりするのが心地良かった。
キャプテン達に気付かれぬよう注意しながら、オレ達は手でじゃれ合う。
 三人の真ん中を歩く、キャプテンの後頭部が傾く。唸り声に続いてキャプテンが
漏らした言葉に、オレ達は致命的なミスを思い知らされた。
 その場に固まったオレとそあらの心に、キャプテンの軽い口調が重く圧し掛かる。
気付いてないのか、それとも単にとぼけているのか、オレには何とも判断の下しようがなかった。

「なんか違うんだよなぁ――月斗の奴昨日は右側だったっけ、それとも左だったかな?」

<<終>>
514初代スレ396
以上で終わりです。お楽しみ頂けたでしょうか。
なお次スレ立てましたので、そちらの誘導も兼ねてのご挨拶。

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では次スレでお会いしましょう。