十四世でも書く人は書くってわかった以上もうたいてい何が来ても驚かない自信がある
>>553>>554 落ち着けおまえら、半分くらい鳥だぞ
そのままでいくといつか獣鬼が全裸かつセクシーポーズだと喜ぶことに
>>559 女の子の顔とおっぱいがあって羽根娘というのは大きすぎる違いだろ
>>559 「迷子カ。仕方ナイ、家マデ送ッテヤルカラ背中ニノレ」
「どうも有難う死告鳥さん」
「コラ!ドコニサワッテルノ!」
「あっごめんなさ、うわっでも空から落ちちゃうしあっごめっ」
てできる。鳥さんなら
告死鳥×子供メロさんはアリだと思うんだ
カワハギプレイか。エンダもシーフォンのかわをはがすと
エロパロ的な意味で皮を剥がれるシーフォンとな。
しかし所詮シーフォンなので余った先端部を噛みちぎられるとかそういうオチな気がする。
書初めで6500くらい、キャシアスルートのホルム解放後〜戦前
つなぎの部分ですので全体として地味な仕上がりで新年を寿ぐ。
どなた様もよい年をお過ごし下さいますようとりあぼん願います
「……私が 捧げてきた 祈りは」
しとしとと降り続く冬の雨は、しきりに硝子を伝っている。ぼんやりと表を眺めていた若君は、そのまま
自分の周りに誰かいるのか確かめもせず言葉を続けた。
「お前は……、なぜ私に従うのかね」
「それは、キャシアスさまがあたしの主だからです」
「そうか」
返事をしては見たものの、青年の様子はどうもうつろで耳に届いているのか心もとない。先の戦も間も
ないのだし、色々とあって疲れているのだろうと判断し、休むよう促しながら暖かな上着を着せてやる。
けれど着るだけ着せられたあとは書斎へこもってしまった。考えていることが読めない……。寄り添って
いるだけで、腹が減っているかとか寒くないかとか、なんでも手に取るように分るのに。閉ざされた扉の
前で佇んでいたが、ふと思い出したように仕事へ戻っていった。
遺跡探索を始めるようになって以降、一週間二週間と館を空ける機会が増えていた。半月やそこらは
戻れぬこともあり、春が終わり、梅雨が開け、夏の盛りが過ぎても帰らなかったあの時も、実際にそこ
まで案じていたわけではなかった。姿が見えずとも、元気にしていない訳がないと、疑いもしなかった。
毎日入り口まで迎えにいっては戻る生活。毎朝、毎朝アルソンと二人、せっせと料理を作っては持って
いく日々。その彼が銅像と石碑とどちらがいいか言い出したとき、初めて重大さに気が付いた次第。
揃って姿を現したのは、半年も後のことだった。連れの傭兵は、髪がさらにぼさぼさと伸びたくらいで
特に違いも感じなかったが、二人の幼なじみは随分と大人びて精悍になっていた。
特にキャシアス。巨人に教わってきたとかで、何かの飾りのようなものを目の前で作ってくれたときは
びっくりしたし、なによりかなり背が伸びた。城館の衣類はどれも殆ど合わなくなったし、鎧も手ずから
作り変えてしまった。やせっぽちで食が細くて、いつも青い顔をしていたのが嘘みたいにあちこち古傷
増やして、見惚れるほど逞しくなって。――けれど、はにかみながら答える顔は、なんのかわりもなく。
涙ぐんで頑張っている、とつぶやく声は昔と同じままだった。
「時があれば、参ります故……」
物思いに沈んだまま、公会議出席の誘いに言葉を濁す。華々しい勝利を挙げながら、寸でのところで
今再びネスの若君に世間の耳目を奪われた我が主の心中は、一体如何なるものなのだろう。市中に
おける評判は、グリムワルド親子のホルムに対する献身ぶりや、キャシアスの痛快……というかそれ
を通り越し、ほとんど鬼神のごとき闘争ぶりに重きを置いたものだったが、一歩町を出れば公子と彼が
持ち出した新兵器がもたらしたネスの圧勝ばかりが喧伝されていた。
「もう始まっているかな」
「はい、朝食のあとからずっとなにか話してるみたいです。キャシアスさまの席は用意されてないので、
出席するならカムール様のお側に控えててください」
頷いて中へと入っていった。たまに給仕に呼ばれるだけだったから、どんな様子でいたのか分らない。
だがひどく腹を立てて館を出て行ってしまい、その足で探索に出たかそのまま数日戻らなかった。また、
おいてけぼり。お使いに出た酒場はどこかもの寂しい。何かの終わりが近づいていることを感じた。
「キャシアス様はどうされたのでしょうな。坊ちゃまには珍しく、色をなしてお怒りだったようでしたが」
「うむ。今度のことが、あれの立場をまずいものにしてしまったからな……」
別になにかをぶち壊すとか、汚い言葉をぶちまけるというようなことがある訳ではない。よく見知った者
でなければ、怒っているかどうか気づきもしないかもしれないが、あれはかなり頭にきていたと思った。
先の公会議に遅れて顔を出したとき、公子自ら、青年の指揮による混成部隊特攻があげた輝かしい戦
果が何度も強調され、我が一番弟子と言わんばかりに持ち上げ、都に招聘したいとまで褒めちぎった。
当の本人は、いつも通り反論もせず賛同もせず、父親と同じ仏頂面だったが。
「士族よりも、やくざ者や農民兵の方が頼りになるとでも考えておられるのか?」
「それは指揮官自身に聞いてみればよい。さあ話すのだ。キャシアス・グリムワルド卿。貴公の戦略は、
如何様なるものであったか。遠慮せずこちらのパリドン卿にお聞かせしてみせよ」
出席していたこと自体、公子が言い出すまで誰も気づいていなかったので、白髪の青年が口を開いた
時は、あまりにみすぼらしい身なりのせいで、彼が丁稚なのか小姓なのかも区別できなかった。最初
から準備していたのか、キャシアスはホルムの周辺地図を広げて簡潔に事のあらましを語った。
「……すでに焼かれてしまっておりましたゆえ、ならば逆手にとって市中の家々をも、我らが同胞として
参戦してもらおう。そう、考えたのでございます……」
地下道や下水道を通じて方々に爆薬を仕掛けてまわり、自ら先頭に立って囮となり、狭い路地に誘導
した敵軍を、建物の倒壊に巻き込ませて一網打尽、という訳だ。都市構造を知り尽くし建築の肝を押さ
えた完璧な作戦である。純粋な軍門だけでここまでなせただろうか。否……実働部隊に加わった市民
だけではない、有形無形に協力した無数の住民たちに支えられての成果だった。大上段に構え一気
にまくし立てたテオルは招き寄せた青年を指し示す。
「かつてこれほどまでに鮮やかな初陣を飾ったものがあったろうか?不ぞろいな装備、不ぞろいな兵士、
不ぞろいな兵器を用い、その生まれからして筋金入りの西シーウァの士族たちを、完膚なきまでに叩き
のめしたこの者の勝利がなにを示していようか。パリドン卿、おわかりか?指揮官が有能でさえあれば、
如何なる出自、如何なる兵器であろうかなど問題にならぬのだ。その出自ではなく能力で編成された
部隊は、何物にも変えがたい最強の軍団となろう。貴殿には、それだけの器があると……自らの働き
によって示せばよいだけの事だ。現に、この年端も行かぬ少年は、立派に成し遂げたではないか。そう
であろう?キャシアス・グリムワルド卿」
ことさら幼さを強調された青年は、まともに聞いているか疑われる態度で立っている。むすっとしたまま、
小さく頷いて引っ込もうとしたところにさらに問いかけてくる。
「聞かせてもらおう、あの目覚しい活躍の源は。さぞや苦労しただろうが、どうか教えて欲しい。いかに
して開発しえたのか、ここに居並ぶ諸侯に披瀝していただけぬかな?」
ちらりと父に視線を向け、確認を取ると静かに語り始めた。
「半年ほど前のことでございます。我がホルムにおいて発見された地底遺跡の深部で、大規模な崩落
に巻き込まれた折のことでした……。自力の掘削では目的が果たされぬと踏んだ私は、もろくなった岩
盤に発破をかけ、脱出を試みたのであります。……これは、土地で参ずる素材のひとつでございます」
ごそごそと胸元から取り出したのは、硝子の容器に封じられた黄色い粉だった。
「ある種のトカゲの糞に含まれる成分は強い発火性を有しており、賢人たちはこれを精製し、煙幕として
古くから用いてきました。また密閉容器に燃料と共に封じ込め、衝撃を与えて起爆させれば、魔術師が
起こす爆炎に匹敵する火力を生む事もできるのです……そこで、爆発力をさらに高める事で崩落箇所を
吹き飛ばし、退路を復旧させようと考えたのであります……」
「して貴公はなんとしたのだ」
「同じ廃坑にて、黒竜と戦いました。これが契機となったのです。ご存知でありましょうが、その口から
放たれる火炎は銑鉄が一瞬で蒸散するほどの高温を誇り、竜族と申すは喉の奥に毒袋を持ち、これ
を空気に反応させ、強力な火炎を生じせしめるのです」
掲げた小さな硝子の容器には、重たげに黒ずんだ液体がこめられている。
「主成分は体液にも含まれていることから、化合させ高威力の起爆性を得ました。このたびの戦では
鋼の容器にくず鉄と共に封じ込めることで、殺傷力の高い破壊爆弾としたものが……こちらです」
片手に余るほどの大きさの、黒ずんだ丸い塊が置かれた。冷たく、重みがある。こんなものが?実感が
わかないが、本当にシーウァの軍勢を百人も吹き飛ばしたという代物というなら、こんな場所に置かれ
ては生きた心地がしないではないか。無表情な青年の顔を見るうち、じくじくと嫌な汗がわいてくる。
「結果目的は果たされ、我らが若き軍師殿はこうして無事我々の下へ参内したのだ。誇りに思うがよい。
これは貴公の勝利だ」
肩を抱き寄せ、皆に届くよう言って聞かせる。事実、テオルの唱える理念に最も合致した行動をとって
いた、まるで誰かにそそのかされたかのように。黙礼し下がったが、ホルムの関係者から見て青年は、
あからさまに機嫌を損ねていた。散会になりキャシアスを慰めようとしたときには、既に町を発ったと
聞かされ、あきれてしまう。息子がこれほど行動的だったとは!
自室に軟禁されていたカムールは、開放されてすぐに目の当たりにした町の惨状と、その破壊っぷり
の主犯が自身の倅であることに衝撃を受けたのではあったが、続々と館に集ってくる市民たちは異口
同音、青年が挙げた完全勝利の見事さを謳っていた。自分たちの町を、自分たちの手によって取り戻
したのだ、とじつに誇らしげに。
煤で真っ黒になって戻ってきた息子たちは、離れていたほんの数週間で見違えるほど成長していた。
相も変わらず口数が少ないが、態度は堂々としたものになり、相手の目をまっすぐ見ながらものを言う。
勤勉で実直で、何事もそつなくこなす我が子にどうか一つ、身につけさせてやりたいとかねがね思って
いた大切なものを、自らとうとう勝ち得たのだ。もう何も案ずることはない。この子ならば、いや、この男
ならばこの先も、立派に生きてゆけるだろう。人生を、彼自身に返してやらなくては。それが、今なのだ。
探索から戻ったばかりの青年を玄関先で呼びとめる。
「……キャシアス、少し、外を歩こう。話しておく事がある」
馬を並べ町を行く。いまだ封鎖されている区域もあるし、風に混じって遺体の腐敗臭や硝煙の香りを
感じるものの、撤去作業は始まっていた。さまざまな支出を思えば頭を抱えたくなるが、これだけ派手
にやっておいて意外なほど人的被害が少なかった。人間さえいればあとは何があろうとどうにでもなる、
そんな話をしつつ市内を周遊する。我々に気づいた市民は誰もが大喜びで手を振ったり挨拶をしたり、
歓声をあげてあとを追いかけてくる子供たちに混じって、街路にひざまずき帰依を表するものまでいる。
うんともすんとも言わない連れは、特に表情にも言葉にも示さないけれど、実に満足そうに思われた。
彼は父と呼ぶことはない。大抵お館様といい、常にへりくだって口を利く。ずっと以前から気づいていた
のだろう。自分たちの間に血のつながりは、ないことを。息子のように思っていたつもりだったが、実際
には拾い子という意識が残っていたのだろうか。自由に生きろと言われた青年は、これといった感慨も
表さず黙って頷く。カムールはそれからすぐ出立してしまったので、彼は知らない。キャシアスが、想像
以上の衝撃を受けていた事を。
「……すまん」
階下へ滑落しかけた友は抱き起こされながら、裏返った声で悪態をついている。押し殺した声で幾度も
謝り言い訳をした。
「大家殿には、君に伝え置くよう言ったのだが……大変申し訳ない」
「あの婆ならもう寝てんだろ?!ったく、お前も灯かりくらいつけとけよ!」
「すまん」
「わかったからお前も入れよ。なんか用があって待ってたんだろ」
普段は馬が繋いであるのでそれと分るのに、今日は歩いてきたらしい。鍵なら大家も持っているし常々
勝手に出入りしてよいと言ってあるのだから中にあがっていればいいのに、このクソ寒い中律儀に廊下
で待っていたのだ。それも真っ暗闇で。やべっとか叫んで飛びのいたのはまずかった。落ちたら死ぬ。
「どうしたんだよ。なんちゃら会議で親父と公子からむちゃくちゃほめられたって聞いたのによ。何でお前
はそんなふて腐れてんだ。なにかあったのか?てかもっとこっちこいよ、お前もちゃんと火に当たれ」
「火の粉が跳ぶと、焦げてしまうから……」
「赤い奴きとけよ、ほれ。この前着てた奴があったろ」
「あれは……寒いんだ、薄いから。目立つから……嫌だし」
力なく答えてしょんぼりしている。忙しいのでほったらかしていたが、いつまでもぼけっと突っ立っている
ので、しぶしぶ声をかけてやる。
「…………よう、なんか食うか。なんもねえけど」
「本当に何もないのだな……ああ」
「んなため息つくなよ。しょうがねえだろ、この家飯食うのオレしかいねえんだもの」
「挙句僕が始終引っ張りまわしているものな……。すまん。妹さんの側に、いてやりたいだろうに」
「いたところでどうにかしてやれるのかよ。それよりゃお前と遺跡を発いてるほうがなんぼか意味がある
ってもんだ。なんなんだよ今更。本当に、なんかあったのか?お前変だぞ」
うんと頷いたが、案の定それ以上話さないので、若干危なくなっていそうな気配があるパンを分け合う。
キャシアスは手に持ったまま床の木目を眺めている。居心地が悪い。我慢できなくなって席を立ち、洗
濯物を拾い集めていると、後ろからぼそっと小さな声が聞こえた。
「お館様が仰せになった。町を、でて……いく、よう に」
脈絡が理解できず振り返えると、目に涙をためていてぎょっとする。
「やはり、あの者たちこそ ほんとうに……」
歯が音を立てて震えている。見ていて怖い。挙句足踏みを始めた。やめて、下の人起きるから。慌てて
寝台に座らせ、沸かした白湯を持たせてやるがほとんどこぼされてしまった。やめて、下の人怒るから。
パリスがやっと席につけたのは、腹が痛むとか言い出したキャシアスの為に薬の材料を集めてきた後
のことだった。脂汗を浮かべて調合し、なんとか飲み下した青年は寝台を借りて隅に寝そべる。しばらく
丸まってじっとしていたが、片付けようと部屋を行き来する無頼の友に、ぽつりぽつりと打ち明け始めた。
「お館様が本当の父でないというのは、薄々……分っていた。僕は、お館様にも、北の方様にもご先祖
様の、どの肖像にも似ていないし……魔術の系統が使える人間は、記録を見る限り一族の中で僕しか
いないからな」
本職には劣るものの、そこそこ使いこなしているのは確かだ。けれど、本当に問題にしているのはその
ことではない、とキャシアスは続ける。
「優秀なものを養子にとって跡目相続させるというのは、なくないことだ。だからこそ、お館様のご期待
に応えようと、あらゆる努力をしてきたつもりだった……。血筋や前歴によらず、そのものの行いや能力
で起用する……レンデュームの一族の登用や、僕の養育はそのことの表れだとずっと思っていたんだ」
大きくため息をつき、薬草交じりの吐息を漏らす。父に習って身分のわけ隔てなく、人と付き合ってきた
つもりでいた。
「僕は……僕はグリムワルドを継がせるに、値しないとお思い遊ばされたようだ」
見下ろす無頼漢の前で低い床から起き上がる。
「わかっている。あのような 穢れた化け物どもの同胞など」
「それと何の関係があるんだよ。オレとお前がダチなのと変わりねえように、お前の親父はあの親父
しかいねえ。考えてみろよ。あんな穴倉の連中がお前になんかしてくれたか?そいつらのどこが兄弟
なんだよ。今日の今日まで、お前の親父はお前に何をしてくれたんだ?あのおっさんは、多分この戦
で自分は死ぬと思ってるに違いねえ。それでもお前は、ハイソウデスカって出て行っちまうのか?」
口をつぐんだまま俯く。
「お前は今。どうしたいんだよ」
「ただ一言、さすが我が子だと……お前こそグリムワルドの血統にふさわしい、と仰せ頂きたい……」
結局、一番生まれを気にしていたのはほかならぬ、自分自身だったのだ。
「だったら、もうやることは決まったろ。力がいるならオレも連れてけ。必要ねえなら遠慮なくそう言え」
「ああ……そうだな。そうだ。この戦を治めてから、町を発ってもよいのだ。最後に、お館様にもう一度
叱られて別れるのもいいだろう……」
本日初めて見る穏やかな表情だ。あとで連絡するが恐らく参加してもらうことになると言い残し、夜中
だというのにそのまま帰宅した。嵐が去ったような心持で、窓からランタンの灯かりが遠ざかるのを見
送った。静まり返った部屋の中で、ぽたぽたとこぼれたまま忘れられた容器から水滴が落ちている。
けしかけてしまった。これでよかったのだろうか。何とも言えぬ胸騒ぎがしてパリスは眠れない……。
以上です。今年もどうぞよろしく
>>570 あけおめことよろ乙
キャシアス編面白いな
あけおめことよろ
>>570 なんだこれ面白くね?
爆弾の説明とかキャシアスがカムールを御館様と呼ぶこととか
細かい設定が話の深みを演出してるし
心理描写も丁寧で良い感じ
視点が分かり辛いのと時間が結構とびとびで読み辛いのが難点か
フランとアルソンが二人で作った料理ってカオスそうだな
だからいつ戦争始めるんだよという2400文字、あっさりめ
ずっと俺のッターン!!でご免なさい。中々進まないです
次回こそ。例の如くとりあぼんなどで各位ご協力願います
「今年の刈り入れには間に合わなかったな……」
はるかトーラの北、フォーランディアから卓越してきた季節風が吹き渡る荒野には、碁盤の目のように
きっちりと整列した公国軍が見える。全体がひとつの巨大ななにかのように、よく統制が取れていた。
「また、春になったらはじめれば、きっと大丈夫ですよ、キャシアスさま」
「……その頃までに、終わるだろうか」
こんな場面でさえ、心に思うのは小麦の作付け状況らしい、すっかり踏み固められてしまった耕作地を
回復させるには、どれほどの時間を要するだろう。冬の日差しにきらきらと輝く兵士たちの鎧は、どれも
小人族が用いていた鋼のように見える。彼らが番える弓矢は改造され、射程は飛躍的に増していた。
圧倒的な戦力差を感じ、この戦いが一方的なものになるだろう事を知った。
「見事なものだろう」
「殿下」
さっと敬礼する二人を眺めていた無頼漢は、ふと立っているだけの自分が場違いだと気づく。さりげなく
姿勢を正したが、すっかり無視されているので天幕の支柱に寄りかかる。
「陣中見舞いか、グリムワルド卿。どうした?浮かぬ顔だな」
ぼそっとなにか言うのが聞こえる。
「分っている。すまぬ事をしたな、身の置き所もない思いをさせた。貴公には礼を言わねばならぬのに、
こうして会いまみえる機会もなく戦地まで来てしまった」
「いえ、そのような」
「貴公の働きなくしては、ホルムを解放することはおろか、ながらく遺跡に封じられていた製鉄や鋳造
の術を地上へと持ち出す事も叶わなかったろう。その先見の明、開発力、優れた指導力、見事な戦術、
全く……貴公のような千里馬がこのような寒村に埋もれていようとは、一時奪われていたと言え、我が
ネスの領土の中にその生を受けていたことを、改めて己は寿ごう」
ぶつぶつと謙遜する青年に歩みより、するりと退路に回り込む。
「それでありながら手柄を横取りする真似をした。不義理の数々、まったく申し開きの弁もない。許せと
は言わぬが、せめて己の言い分も聞け。これは貴公のためなのだ。考えてもみよ、この戦、どちらが勝
つにせよその名声は世に轟くに相違あるまい。ホルムの戦いが貴公の独断による指揮となれば貴公
は、神殿に刃を向けた外道に他ならぬ。いかに勝利を収めようとも、聖絶だ神敵だと攻撃の的になろう。
己とて貴公を守りきる自信はない。その点、全てはこの己によるものとしておけば、世の責めを受ける
はこの己一人で済むと言うもの」
言葉を切ると顔を覗き込み、さらに続ける。
「部下の責めを負うこそ、上に立つものの本分。貴公の為ならば、いくらでもこの身を張ろう」
戸惑う連れなどはなから居ないかのように、公子は恋々と口説く。
「貴公が迷っていることもよく承知しているつもりだ。この地は貴公が生まれ育った場所、先の戦でも
自ら先頭に立って奪い返した父祖伝来の領土。まして貴公のように上下の別なく親しむ身にとっては、
さぞや辛かろう。だが、会議の席でも申し渡したことだが、これは単なる慰みやその場の思いつきでは
ない……貴公ほどの大器をこのまま眠らせておいたのでは、ネスにとっても甚大なる損失というもの、
一体、このホルムで何ほどかの偉業がなせるというのだ。英雄とよばるるに足るだけの我らに応えうる
務めがあろうか?」
言葉に屈し、腕をつかまれたまま至近距離でにらみ合う。
「無論、すぐとは言わぬ、少なくとも……この戦にかたをつけるまで待とう。改めて通達する。それまでに
人選を済ませておけ」
「何の話だよ」
「貴公もこの戦いに加わるのか。市民兵でもないと言うにその郷土愛、見上げたものよ」
「あ?ああ、そりゃ……ダチの一大事に駆けつけねえ奴はいねえです」
「聞けば貴公の親族には、例の石の眠りを患うものがいるそうではないか。どうだ、こんな所ではなく、
都に上れば新たな治療の手立てを探すこともできよう?なあ、グリムワルド卿」
「おい、わけわかんねえぞ。こいつ何言ってんだ」
「公子は、私を都の近衛兵団に迎えようと仰せなのだ……。私の裁量で供を選んでよい、と」
「はっ!?」
腰を抜かさんばかりにのけぞる脇で、メイドは半べそになっていた。
「それじゃ、町は……町はどうするんですか」
「カムール卿が健在だろう。当面は任せておけばよいことだ。だが、いずれは……ネスの全領土はネス
の指導者によって管理される……それこそが己によるアルケアの再興だ。貴公には、その為の新たな
体制作りに尽力してもらう。見ただろう、先の会議ですらあの体たらくだ……旧態依然とした諸侯たちを
向こうに回して改革を推し進めるには、若く、柔軟で屈強で、揺るがぬ強い意思を持った人間でなくては
ならぬ。いかに謙遜しようと己の目に狂いはない。貴公こそ、己の理想をかなえるに必須の男なのだ」
そのまま頭から飲み込むつもりかというほどじっと顔を見つめている。
「期待している。励め」
それだけいって身を翻すと出て行った。ああとかいやとか、キャシアスはそれ位しか口を利いていない。
なんともいえない顔で見送り、いなくなった頃には深いため息を漏らしていた。腹痛も起こすわけだ。
「よう……」
「わかっている」
アルソンなら、大いに喜んでともに頑張ろうとでもいうだろう。鼻を南に向けた馬上で、暗澹としている。
「諸侯の子息を都に集めておられると聞く。戻った者たちは皆熱烈な公子の信奉者となっているという。
確かに、それだけの一人物であることは私が言うまでもないこと、優秀な者ならそのまま件の体制作り
とやらに取り込んでもよい。家々に連なる者を中央に送り込めば、諸侯にとっても有益である一方……、
体のよい人質ということもできる」
断る理由、正確に言えば断れる権利などないのだ。どこにも。いずれにせよ、いつまでもこのままでは
おられないと呻くようにつぶやき、さらに歩みを進めた。父の元へ。
以上、まえふりです
>>573 てにをはがおかしかったり、全体に混乱してますよね……
まとめで出すとき、少し整理してみます。ご指摘ありがとう!
アベリオン(顔1)×ネル
俺の妄想の中でネルさんは結婚前は全然エロさを醸してくれないのに、夫婦になったらあっさり布団を
許してくれてしまいそうで困った結果がこれだよ!
ネル本人はほとんど出てきません。
いつも、勉強を習いに来たその足で、薬草取りだの魚釣りだのと言って自分を連れ出していた。
俺だって読みかけの本があったり、洗い物や山羊の世話があったりするのに、そんなことお構いなしだ。
家事仕事があれば俺の二倍は手際よく片付け、山羊は大雑把な世話をされても文句を言うことはなかった。
俺が世話すると、何だかだで甘ったれてぐずるっていうのに。
パリスの奴は『そりゃお前がナメられてんだよ』と一言で片付けやがった。妹の尻に敷かれてるくせに。
いつも俺の先に立って、俺の腕を引っ張って歩いた。
俺よりちっちゃいのに俺より力持ちで、パリスと俺を一抱えにして「ほら、おねーさんと一緒においでー」と
のたまい、平然と町を練り歩くのが、いつもの風景だった。
あの頃はまだ、一応は、お姉さんだと思っていた。
だが、今はもうそう思ってはいない。
ラバン爺の冒険についていこうと企んだとき。
俺たちのわかりきった尾行に、ちらちらとこちらを振り返るラバン爺から隠れて、繁みに潜り込んだとき。
暗くなったら怖いね、なんてしおらしいことを言いながら、楽しそうな目で唇に指を当てて、俺を見た。
あの時わくわくしていたのは、はじめての冒険や、ラバン爺についていくスリルだけではなかった。
それに気づいたのは、つい最近だった。
可愛い山羊どもの乳のお陰で、ひょろいと言われつつも人並みに身長が伸びて、見上げていた顔を見下ろせる
ようになって、あちらは見上げる羽目になったことに不平を言いながらも、昔と変わりはしなかった。
楽しそうな目で薬草取りに俺を引きずりだす時、歩幅のお陰でいつのまにか隣に追いつけるようになった。
見下ろしたら、前髪に隠れて目はよく見えなかったが、少し低い鼻と、桃色の唇が見えた。健康的に透き通る
肌の中で、その色は鮮やかに際立っていた。
ひっきりなしに楽しそうに何かを喋るその唇に見入って、少し恐ろしくなった。
――それ以来、腕をとられる前に動くようにした。
もしまた同じことがあったら、ばれずに済むかわからない。
それでも、人を山羊のように引きずる癖は相変わらずだから、心臓に悪い。
少し歩調を緩めて、昔のように引きずられたままでいるのが一番安全なのだが、どうにもそれが出来ない。
山羊にナメられてもしょうがない。
シーフォンのバカにとって俺が目障りだというなら、俺は奴のことがあまり嫌いになれない。
無論好きでもないが。むしろ殴りたい。邪魔くせえ。本読んでんだから邪魔するな。俺は死者の書より魔将の
使っていた技が知りたいんだすっこんでろ。なんてことがこの間あったっけ。交換した書物は確か……
『ネル』
『これ、お前が使ったら』
『前に一冊見つけて、メロダークに勧めた。剣と魔力、両方必要だって』
『爺さんが言ってたのは、お前の魔力がゼロって事じゃなくて、ある程度の高さの棚になると手が届かないとか、
そういう話だよ。魔力そのものは人間なら多少なりとも持ってるし、装身具で底上げ出来る。お前、そういうの
作るの得意だろ』
『……俺が自分用に作ったのでよければ、貸すけど』
あのあとどうなったんだっけ。
有難う、と言って本と装身具を押し抱いて、それから。
……思い出せない。鈍く、何かが脳を曇らせている。
濃い魔力の中に放り込まれたような、晴れない霞。息苦しい。
いや、何か本当に苦しい。比にならない。このままだと息が出来ない。脳どころか、酸素が、
「ぶはッ!!」
「おおー」
俺を覗き込む青い目と白い髪。魚のような、今ひとつ真意の読めない目。そして、塞がれた鼻の感覚。
それだけで何が起きたのか理解し、とりあえずそいつの腕をぽんぽんと叩いて、鼻をつまむ手を離させる。
「……なあ、エンダ。起こすときに鼻つまむのはやめような。頼むから」
「でも、アベリオンが寝たら退屈だ」
「何この子どこまで自分に忠実なの。パリスも、見てたなら止めてくれよ」
溜息をひとつついて振り向くと、玄室を照らす玻璃瓶の光の影に隠れて、くくっと笑う気配がした。
「いや、止めようとは思ったんだよ。いい夢見てたみたいだからよ。けどよ、ここで起こさなかったら、お前、
かなり後悔するんじゃねえかと思ってさ」
は、と聞き返そうとしたとき、パリスは身体を傾け、にたぁりと笑った。
「ネルがどうしたって?」
俺は無言で玻璃瓶を引っつかみ、パリス目掛けて投げつけた。
「うおっやべっ! 明かり消えたらどうすんだよ。つか、それこそネルじゃあるまいし、力に訴えるなって」
魔法を使わなかったのは、単に頭に血が上って呪文が出てこなかっただけだ。
だが、それすら言う余裕もなく、ぎろりとパリスを睨む。体格ではどっこいか負けているが、気迫なら此方も
負ける気はしない。……そして酸素を吸い込みながら心の中で喧嘩の極意。焦りに気づかれてはならない。
「お気遣いありがとうよ。起こしてくれて有難うな、エンダ」
「おー」
ぽんぽんと頭を撫でてやると、くすぐったそうにばたつきながら竜の子が膝から降りる。
立ち上がり、壁に預けていた背中を伸ばすと、玻璃瓶を転がしながらパリスが首をかしげた。
「寝言の続き聞かないのな」
「続きがあったなら聞きたいけど、聞いてお前を喜ばせるのも癪だし。お前が言いふらせば、自動的にわかる」
もっとも、そんなことがあれば、今度こそ大いなる秘儀の実験台にしてやるが。
俺の物騒な感情を的確に読み取ったパリスは、「うへっ」と一言漏らし、苦笑交じりに肩をすくめた。
「『ネル』で終わりだよ。『寝る』とか聞き間違いじゃないことは発音でわかったから、からかっただけだ」
「ふうん」
わざと気のないそぶりで言うと、パリスはまた「へっ」と笑った。今度は本当の苦笑だ。
「本人つれてくりゃ、うっかり寝て変な寝言言うこともなかったかもしんねぇぞ。最近鍵開けまで覚えただろ」
「冗談。お前のが気配に聡いし、本職だろ」
戦闘の末に散らばった副葬品の群れを杖と足で避けて歩く。静かに積もっていた埃が散らばった。
「第一、あいつはお前やエンダみたく船動かせないだろ。前に滝の塔で挑戦したとき、櫂折るかと思ったぞ」
「……本人に言うなよ、それ」
「お互いにな」
ひょいひょいと玄室入口まで歩いていたエンダは、同じく怪力の割に変な所で器用だ。件の塔でも船を操った
ことを思い出して連れてきた今、こうして新しい領域にたどり着いているのはこいつの功績である。
船の扱いならばパリスが十分心得ているが、万が一の時――すなわち、パリスが罠などで重傷を負った場合を
考えると、船を動かせてかつしぶとい奴、火力のある奴を確保しておきたかった。
その条件に当てはまる三者、ラバン爺、メロダーク、エンダをふるいにかけた結果、雑魚を一掃出来る長所を
選んでエンダを連れてきたのだ。……断じて、これ以上みっともない所を見られたくなかったわけではない。
「扉を開ければ守護者もしくは幽霊、船を動かせばぬろぬろした怪物が出るような場所に『かよわい女の子』を
連れてきちゃ駄目だって爺さんの遺言なんだ」
「いや、お前の爺さんの遺言ってもっと壮大じゃなかったっけ」
「ちょっと誇張しすぎた。正確には生前言われた。自称『かよわい女の子』と危険な所に行ったら、自分の方が
守られる羽目になって、死ぬほど哀しい目に遭うぞ、と」
薬草採りに行ったとき、通りすがりのニョロが殴っても殴っても死なないことに半べそをかいていたら、すぐ
駆けつけてきて斧で一刀両断されたときだった……はずだ、確か。有難うとは言ったものの、死ぬほど悔しくて
家に帰ってからべそべそ泣いて、何事かと事情を聞いた爺ちゃんが同情に満ちた目で言った……気がする。
詳しい顛末は話さないまでも、俺の言いたいことを概ね察したのだろう。あの時の爺ちゃんと似たような目で
こちらを見て、しみじみとパリスは言った。
「そういえば昨日、うっかり廃墟で妙なイカが出てきた時、ぬらぬらして気持ちワルー!! とか言ってたが」
「むしろ俺が触手に捕獲されて顔面やら腹やらに往復ビンタ食らった所を助け出して頂きましたよ文句あるか」
「いや、あの時は俺ほんとにお前が不憫だったわ……」
触手と聞いて不埒な想像が脳裏を過ぎったことは否定しない。多分似たようなことをこの兄貴分も考えた。
だからこそ、そんな目に遭わせてたまるかと張り切って唱えた天雷陣は不発。
あいつの大暴れと、パリスの鞭による地道なダメージの蓄積で、俺が死ぬ前に謎の軟体動物は倒された。
自力で治癒術を使っても、打ちのめされた心は治らない。
「前に調べたときは、あんなの居なかったよなあ。新しく住み着いたのかね」
「古代都市の時間の推移に比例して出てきたんだろきっと。……どうせ夢ならあの作家殺せば良かった。むしろ
今から古代都市行ってくるか、世界平和と俺のために」
「……悪かった、もう聞かないから、ヤケ起こすのやめような、な? もうすぐ最深部だからな?」
まるで手負いの獣のような扱いを受けながら、エンダとはぐれないように玄室を出る。人の世の遍歴のような
長い螺旋の階段。いつもならちょろちょろしそうなエンダは、ただ険しい表情でかすかに唸っていた。……その
気持ちは何となくわかる。精緻で美しい建物だが、それにも増して禍々しい。死者の宮殿などかわいいものだ。
ここには、生きるものの業と欲が詰め込まれ、時間と共に闇に凝縮され、隙間という隙間から溢れ出ている。
こんな場所を、ネルが、見たなら。
「何て言うんだろうな」
人の痛みがわかる程度には細やかなくせに、与えられる痛みには鈍感な彼女は。
半年以上経った今でもずっと、覚えているのだ。俺が見つけた洞窟の隙間から全てがはじまったことを。
――自分や彼女の主観では半年ではなかったのだが、そうでなくても、多分、きっと。
「どうした?」
「なんでもない。行こう」
獣のように周囲の闇という闇を威嚇するエンダを、刺激しないよう、声と歩みだけで促す。
ここまで来て、わかった。何としても終わらせなければ、俺は俺の続きを生きることが出来ない。
続きの道を、また一緒に歩くことが出来ないのだから。
「……えっと、本気で行くのか?」
「何だよここまで来て。今が好機だろう。あのしつこい魔将はもう再生出来ないだろうが、雑魚は一山いくらで
沸いてくるぞ、ここは。蹴散らしといた今がチャンスだ」
「あ、ああ。けどさ。……料理も薬も、ねえぞ?」
「……はあ?」
「いや、だから。作り置きしてもらったフルーツサンドとかその手のもの、さっき全部使っちまった」
「はああ!?」
「魔将との戦いで相当消耗した上に、あの牛がやたらしぶとかっただろ。お前三回は倒れたし。治癒の石も二個
使っちまっただろ。傷薬は上等特上がかなり減ってる。霊薬は幸い残ってっけど」
指折り数えられ、どうする? と目で問いかけられ、俺は膝から崩れ落ちたいのを堪えた。
「アルソン、いないよな」
「何もなくても走り回ってるからな。朝じゃなきゃまず捕まんねえだろ」
「……ネルに、頼むか」
「それがいいと思うぞ。ただ、出掛けにかなり買い込んだ所為で、材料売り切れかけてたよなあ」
「…………俺の人生どこまで支配すれば気が済むんだあの女!!! エンダ! こっち来い今日は戻るぞ!!」
「しゃーッ!!」
後ろでパリスの溜息交じりの笑いが聞こえたが、それに文句をつけようとする前に、エンダに手を噛まれた。
……ああ、多分きっと、『薬足りない? 大変だねー、手伝うよ。何が要る?』とか言うんだ畜生。
これがシーフォンだったら『ボス前でノコノコ帰ってきたのかよばーか』だろう。その方がまだマシだ。途中で
どれだけムカついても結果を出せばそれでいいのだから。
これだから、「お姉さん」は嫌なんだ、本当に。
「一生だろ、どう考えても」
見識深いのに妙に短気な弟分を眺めて、パリスは肩を竦めた。
それは、もうずっと前から決まっている。チュナですら気づいていて、当たり前すぎて口に出さない。
「はぐれるなパリース! 帰り道で薬草の材料採るぞ!」
「へいへい」
採るのは俺とエンダだけどな、という言葉は、喉の奥に慎ましく仕舞いこんだ。
余談だが、帰り着いたときに本気でふらついてネルに抱きついた挙句、抱きついた本人に「大丈夫、大丈夫」
などと子供をあやすように言われ、ひばり亭二階で不貞寝モードに入ったアベリオンの説得には、実に二時間を
費やすこととなった。主にパリスが。
長くて読みづらい上にエロ描写なしとか本当にすいません。
俺内部のエロスは冒頭に凝縮されてます。幼馴染の醍醐味は身長差だ。
女房がいない時にその価値を知る。
なるほど上手い。アベリオンこそだなあ。
友人が言っていた
「胃袋と下半身を押さえられたら男の負けだ」と
なんでかな、なにかを押さえつけて胃袋引きずり出して
これでいいのか?て持ってくるエンダが
お姉さんネル最高
次スレ●てていい?
おお、もうそんな容量か
立てられるようなら立てちゃってもいいんじゃないかな
それじゃスレ立ていってみる
脱げば脱ぐほど
>>592乙!!
そして埋めがてら
『もしもRuinaがギャルゲー(学園物)だったら』
◆学園Ruina大特集スペシャル◆
個性の叩き売りなヒロイン達とギャルゲーでは珍しい名文美分、そしてM仕様で話題沸騰の学園Ruina!
今回は甘酸っぱい青春時代を彩る美少女達を紹介だ!!
☆ゼス子☆(幼なじみ)
「もぅ、主人公くんったらエッチなんだからぬぁん!!」
・男の夢、毎朝起こしに来てくれ一緒に登校している隣の幼なじみ
☆ピン子☆(義理の妹)
「お兄ちゃんったらねぼすけなんだから! ぷんぷんっ」
・男の浪漫、一歳違いの血の繋がってない妹
☆メロ恵☆(年上の同級生)
「脱げと言うなら脱ごう」
・お色気担当の留年ヒロイン
☆バル代☆(委員長)
「次遅刻したら城門落としよ!」
・ニーソが堪らないツンエロ委員長
☆プリンセス子☆(学園のマドンナ)
「だーらん、だーらん、だーらんだーらんだーらん……(BGM:あれ)」
・世界で一、二を争うくらいに暴力的な美貌を持つ美少女
☆カム代☆(美人教師)
「はっはっは、調子に乗るなよ小僧」
・女手一つで娘を育てる苦労人女教師※娘は攻略不可
☆アルソ子☆(同級生)
「無理でした!!」
・金髪美形で優しくて名家のお嬢様でお料理上手……こう書くと完璧じゃね?
☆ぽん奈☆(後輩)
「(略)すなわち、僕が魔王だ!」
・重症中二病患者の僕っ子
☆パリ乃☆(先輩)
「あー、楽して稼ぎてー」
・マダオ路線爆走中の先輩
☆ラバン子☆(OG)
「ラブアンドエロス……アデュー」
・ぶらりと来てぶらりと去る風来の恋泥棒
☆十四歳☆(14)
「ちなみに十四歳だ」
・花の十四歳
☆二世☆(神戸牛)
「ぐるる……」
・飼育小屋で飼われているキュートな牛
☆できそこない☆(学園七不思議)
「 見 て ● る よ 」
・い●でも君を見●てい●●るよ
好きなヒロインを好きなだけ攻略してね!
>>593 え?14歳?年の割りにすっごいおっぱいですね!
スレ立て乙です、うめがてらヴァンで小品、ま属性
出来立てほやほやな2400くらい。すごくひどい
※深刻なぶちこわしにご注意下さい※
大理石の手すりをよじ登って、廊下を行ったりきたりする子供がいる。年のころは……十歳かそのくらい
だろうか。真っ白な髪をしていて、よれよれになった服に、皮ひもの鞭のようなものと短剣を携えている
ようだ。探索の真似事でもしているのだろうか。身なりや口調からすると、孤児なのかもしれない。少な
くとも、こんな場所に気軽に出入りできる身分ではないと思うのだが、城館の主はつまみ出すような指
示は与えていないらしい。汚い手で調度を触ろうとするたび、腰に投げ縄をぶら下げた若者が襟首を掴
んで制するのだが、たびたび腕を振り切ってはちょこまか歩き回って、下働きの者たちにちょっかいをか
けている。叱ってはいるが顔見知りのようで、時たま楽しげにケラケラ笑い声が上がった。そうこうする
うち、客人の目にも留まったようだった。手すりに抱きつき、ぐねぐねと逆上がりしている子供を見下ろす。
目が合うとそらす者が多いのに、子供は貴公子をじっくりと観察しはじめた。
「やべっ」
「己の顔の傷がどうして付いたか、気になるか?」
「悪さでもして、まどにつっこんだんだろ」
「何訳わかんねえこと言ってんだお前はッ」
「ほらこう、十字のわくのとこに、ガッシャーン!とかさあ」
「んな訳あるか!!」
「イデッ。だって、どうやったらあんな風にケガするんだよ。ほんとひでえもんな、あんたいい男なのに。
いったい何やらかしたんだ?手当てもしてもらえないほどって、こりゃよっぽどだぜ?金持ちそうなのに」
どこからぴしゃんと音がした、止める機を逸した小間使いたちがいっせいに自分のひたいを叩いたらしい。
「ハハハ、己は金持ちだぞ。この国の公子をしているからな。それにしてもいやに具体的だが、もしや
経験でもあるか」
「言っとくけど、おれならそこまで無様なまねはしねえよ、おれはいせき荒らしならな。なっ、あんちゃん」
兄と呼ばれた若者に笑顔を向けるが、その若者も城館の者たちも真っ青な顔で冷や汗を浮かべている。
「でもこの前、どうくつでたきにはまって、まい子になったんだ。てことは、あんま大したもんじゃねーな、
やっぱおれはみじゅくだわ」
「すんません、こいつバカなガキなもんで。ほんとに申し訳ねえっす。おら、あんま失礼なこと喋るんじゃ
ねえ、帰るぞ」
「気にするな。すると貴公らは兄弟か。名はなんと言う」
「おれはヴァンだよ」
「パリスといいます、弟がほんとにすんません」
「あんたどこから来た人?これからここにすむのか?」
「そうだ。己の家は都にあるのだぞ。黒鳥宮は貴公も知っているな?ナザリの王宮だ。己がこちらに来
たのは、遺跡探索を直に監督するためだ。問題が解決するまでの間、しばし逗留することになろう」
「ふーん。かんとくさんなのか。じゃあえらいんだな。だったらなおさら、どうしてそんなケガしたんだよ」
「これはな、己が幼かった頃に、我が親父殿――ネスの大公から、弱さを戒めるために刻まれたのだ」
「とうちゃんが下手人かよ!?ひっでえ」
「ネスは東方守護たる獅子公の血筋。惰弱ならば我が子でも殺す。その覚悟のあかしだ」
「ふうん……かわいそうに」
「いやなんでだよ」
「ぜったいあだ名はミイラ男かマスクマンだったろ。どうやってメシとか食ってたの?」
「なに?」
「だって、神さまんちとこのハゲの坊さんにたのめば、キズなんか残んねえだろ?あんちゃんやあんた
みたいになっちゃうのは、金がないか、いきがってる奴らだけだよ。な?」
な、と同意を求める後ろで耳をそばだてていた侍従が泡を吹いて卒倒するし、丁稚は過呼吸を起こして
いるが、公子自体は愉快で堪らないという様子でくすくすと笑っていた。
「うるせー貧乏で悪かったな!って、いいからとにかく謝れよ、バカ!!」
「イッテ!!なんでぶつんだよさっきから!これ以上バカになったらどうすんだバカ!」
「あんだとお?!」
「ハッハッハッハ、その辺にしておけ。この己の傷を見てそんなことを言い出したのは、貴公が初めてだ。
兄上殿にも顔に傷があるのだな」
「そうだよ、ばさーっとやられて死ぬほど血は出るしほっぺたは穴があいちゃうし、包帯まいたら食えなく
なるし、でも巻かなくってもケガしてるからやっぱ食えないし、熱出してウンウンうなって何日もねこんで、
おれと妹とかあちゃんで一生けんめいかん病したんだ。ほんとひどいよ、ガキなんかどこのだれでもよわ
っちいもんだろ?それをりっぱに育てるのが親ってもんじゃねえか。ほんとにむちゃくちゃなやつだなあ、
あんたんちの親父はよう。ちゃんとかたぎのしょうばいやってるやつなのか?」
ここで執事は事切れた。メイド長が遺言を残したのはすぐ後で、給仕長は包丁片手に辞世の句を詠んで
いた。
「ばか!かたぎもクソもあるかよ!大公だって言ってんだろ、王様だよ王様!」
「うそだあ、そしたらこの人王子さまじゃん。ふけすぎだよ、ひげなんかモジャモジャしてるし。なあ?」
「ほう、王子に髯は不相応か。ではどんな男なら王子に見える」
「そうだなー。つってもおれは昔話でしってるだけだからなー」
一丁前に腕組みなんぞして考え込んでいる。会ったこともないといった独り言をぶつぶついっていたが、
ふいに顔を輝かせる。
「あっそうだ、ひばり亭にいってみなよ。今、いいとこのぼっちゃんがあそびにきてるんだ。妹のこときい
たら、急に泣いちゃってよ、なおすの手伝ってくれるっていってた。とってもかんじのいいやつなんだよ。
な!」
「いわれて見れば確かに、あいつはそんな感じだわな」
「そのような男が貴公の知り合いにいるのか」
「うん。ともだちなんだぜ、いいだろ。たぶん、ああいうのが王子様だよ。あんたはどっちかっていえば、
王様だな」
「ほう、己は王か。何故そう思う」
この時公子はひどくうれしそうだった、ろくな答えが返ってこないことなど、いあわせた殆ど全てのものが
わかっていたことだろうけれど。
「だってあんた、すげえたいどがでけえもん」
――カムールは人事不省になり、こうして城館の者は全滅したのであった。たったひとりの孤児によって。
おわり。なぜか最初のレスのトリに@がついてましたが私です
乙です!
相変わらず、シリアスもま属性もトバしてて面白いw
テオルだけま属性きいてないっぽいしwww
安心の酷さww
>>593 カム代先生の娘、キャシ子はアルソ子と十四歳を攻略するとルート解放されるよ
キャシ子か……
あとランダムイベントで始祖子が夜這いしにくるらしいぜ
ある程度エンディング埋めると八世くんから九ちゃん寝とるルート解放されるらしいぞ
それ目標に今はプリンセス子ルートやってんだがマジ難しい
いくら肺活量と技能鍛えても一瞬で吸い尽くされる
でね☆ろうじょす
年上萌えもしっかり抑えた本作最長老様とはぐくむ介護愛!
ルート攻略後は安部理緒ルートが開放されます
魔女っこリオンちゃん、マジックワンドがなくっちゃ
魔法が使えなくなっちゃうの!?
学園Ruinaの皇帝たちマジ萌えねえ?
☆始祖子☆(銀髪褐色ミステリアス★ガール)
・主人公のカラダを求めて夜這いに来たりしちゃう大胆な子
一部のルートではぽん奈との百合ん百合んな絡みがあったり、ショタのチュナ左右衛門とにゃんにゃんしたりもするぞ!
☆三世子☆(空気)
・みよこと読む。
よく一人だけ点呼を忘れられたり名前を間違えられるネタキャラ扱いの女の子
☆四世代☆(図書委員)
・哲学と不老不死についてよく物思いにふけっている、この年頃にはよく居る痛い子
☆八世くん☆(先輩)
・ヤンデレの妹に死ぬほど愛されて眠れないイケメン。
親衛隊がいる。
☆九ちゃん☆(後輩)
・ヤンデレ妹。何をしようと兄一筋で付け入るスキがない。
だが八世くんに毒でも盛ればあるいは
親衛隊と敵対している。
☆十世たん☆(謎の少女)
・お墓で育った、電波入ってる不思議ちゃん。
時折…いや基本的に、不思議ちゃんじゃすまない破壊活動に出てるけどそれも愛嬌のうち。
小動物(できそこない)たちと心を通わせることができる。
☆十五世☆(OG)
・ニート。気怠げな怠惰っぷりがセクシー
しかしサブキャラの出番の多いスレだったな
十四世が大人気になるとは流石に予想外だったが