Ruina 廃都の物語エロパロ 六世

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1名無しさん@ピンキー
フリーゲーム「Ruina 廃都の物語」のエロパロスレです

・前スレ
Ruina 廃都の物語エロパロ 五世
ttp://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1263472849/

・era板(兼・規制時の避難所)
【二次創作】eraRuina【Ruina】
ttp://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/12839/1259237750/

・有志の作成された過去スレ投稿作品まとめ
ttp://www1.axfc.net/uploader/Sc/so/71154.rar
2名無しさん@ピンキー:2010/05/26(水) 18:22:59 ID:pQ8Js80l
          _人人人人人人人人人人人人人人人_
         >      ごらんの有様だよ!!!  <
           ̄^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^
_______  _____  _______    ___  _____  _______
ヽ、     _,, '-´ ̄ ̄`-ゝ 、   ノ    | _,, '-´ ̄ ̄`-ゝ  、  |
  ヽ  r ´           ヽ、ノ     'r ´           ヽ、ノ
   ´/==─-      -─==ヽ   /==─-      -─==ヽ
   /   /   /! i、 iヽ、 ヽ  ヽ / / /,人|  iヽヽ、   ヽ,  、i
  ノ / /   /__,.!/ ヽ|、!__ヽ ヽヽ i ( ! / i ゝ、ヽ、! /_ルヽ、  、 ヽ
/ / /| /(ヒ_]     ヒ_ン i、 Vヽ! ヽ\i (ヒ_]     ヒ_ン ) イヽ、ヽ、_` 、
 ̄/ /iヽ,! '"   ,___,  "' i ヽ|     /ii""  ,___,   "" レ\ ヽ ヽ、
  '´i | |  !    ヽ _ン    ,' |     / 人.   ヽ _ン    | |´/ヽ! ̄
   |/| | ||ヽ、       ,イ|| |    // レヽ、       ,イ| |'V` '
    '"  ''  `ー--一 ´'"  ''   ´    ル` ー--─ ´ レ" |
3名無しさん@ピンキー:2010/05/26(水) 19:07:14 ID:VV6pQi0B

                   ___________
                       /               |
                     /                 |
                    /                  |
             /____ _____      |
                \__  / \___/      .|
                  |  //                    |   こ、これは>>1乙じゃなくて
                   |//                     |   モアイ像なんだからね
             //                       |    ヘンな勘違いしないでよね!
             | |____/|                |
                 \_____|              /
                  /                   /
              /____            /
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             \_____/         |
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                 /                     |
                  /                    |
       ' "''.'''"'""' "'''."''''"'"' "''' "''.'''"'""' "'''."''''"'"' "''
4名無しさん@ピンキー:2010/05/27(木) 08:54:09 ID:PnwIGWjt
     ._Λ__
   /     ヽ
  /__リV∠ .. .. ヽ こ、これは後れ毛なんだからね
  ノ(..)r、( .)¥  |_ ヘンな勘違いしないでよ!
  ヒ〃/ \///  ク/
  | ル.し_rへ  / ^/
  VFエエエク了ヽ | |乙
  i yニニニ| ヽ | |
  \ー―   ノ |
   ^T ̄ ̄ ̄ ノ |
5名無しさん@ピンキー:2010/05/29(土) 00:52:21 ID:cMoDbfXu
乙コールが無いのは規制のせい?

>>4
改めて見ると酷い黒歴史。
小型版あげるのでそれ忘れて下さい。
  .Λ__
 况∠ ヽ
 |ΘrΘ\ L
 ビ盆 ┐/ レ
 \己上ノ|
6名無しさん@ピンキー:2010/05/29(土) 09:18:58 ID:wHM4AmDM
     n            わ が は い か ら の >>1 お つ だ           n
    (ヨ )  ∧     ∧      ∧     ∧      ∧            ∧  ( E)
      (  ´∀`)ヽ(  ´∀`)/リル ´∀`)ヽ(  ´∀`)/(ミ{ ´∀`)ヽ(  ´∀`)ヽ(  ´∀`)
       (uu \ )  〇\〇  (uu) y  (uu) Y  \  Y(uu)  \    /   川uu)  \  Y
      (※※※つm)   ノ  /ノハノリつ ( ω  つ ( 川 ) (川Y川ルつ N   つ∞●
      と  ⌒   〜     と      と  ⌒     y〜   と     と
>>5軽量化に成功してるwwwww
>>4も表情が良く再現できてると思います、結構好き
7名無しさん@ピンキー:2010/05/29(土) 12:24:42 ID:j36u5XJ3
新スレ立ったのか
>>1
さっきパンかじっていたらふと
ドSマナが着衣メロさんにあんな事やそんなことをしていたら
用事を思い出し外出、そのままメロさん半日放置という姿が思い浮かんだ
8名無しさん@ピンキー:2010/05/29(土) 23:49:50 ID:cMoDbfXu
ズレを修正。
  .Λ__
 况∠ ヽ
 |ΘrΘ\ | L
 ビ盆 ┐/ レ
 \己上ノ|


顔3こと俺の嫁も作ろうとしたけど駄目でしたー。
儼 ̄⌒ヨ ̄`ヽ
ノ/ ノ丶, Yヾヽ |
rヘノヒ! 張|クi t (,
 | ト.ニ....ノリノ ∫ヽ
ノ ノ 上;;;;〃;;;r;;ヽ

というわけでシーフォン×フィーっぽい非エロでお茶を濁します。
9修正できてねえw  ◆DhjaoUVh9. :2010/05/29(土) 23:50:53 ID:cMoDbfXu
ある晩、フィーは読み返そうと思っていた魔道書が無い事に気がついた。
「そういえば、シーフォンに貸したんだっけ」
自室を出て彼の借りている部屋に向かい、こんこんと扉を叩く。
「シーフォン、起きてる?この間貸した本返してほしいんだけど……」
声を掛けると、部屋の中から大きな物音が聞こえてきた。
本を落としたり、椅子を引っ繰り返したりしているようだ。
しばらくして、扉を少しだけ開けてシーフォンが顔を覗かせた。
「……んだよ、明日にしろよ」
「ごめん、起こしちゃった?」
不機嫌そうな様子だったので、フィーは彼が眠っていたのだと思った。
「本って……ああ、「天体の運行」借りてたっけ」
フィーが肩越しに散らかった部屋を覗き見る。
「片付け、手伝ってあげるよ」
シーフォンの顔が強張る。
「やめろ、外で待ってろ。入ってくんな」
押し問答の末、フィーは猫のように隙間から部屋に滑り込んだ。
慌てたシーフォンが肩を掴まえるが、きょろきょろと周りを見回す彼女の言葉に凍りついた。
「ねえ、なんか変な匂いしない?」
シーフォンが走って部屋を横切り、勢いよく窓を開け放つ。
突然の事に、フィーはきょとんとしている。
「あ、あれだ。さっきまで薬を調合してたから、それだ、うん」
冷静を装うとしている彼の目は宙を泳いでいる。
フィーは相槌を打つと、床に散らばった魔道書を拾おうとしゃがみ込んだ。
さっさと退室願おうとシーフォンは無造作に本を積み上げていく。
倒れた屑籠から転がる塵紙に彼女の手が伸びると、それに気づいて先に奪う。
「……あ、こんな所にも……」
備え付けのクローゼットの裏の隙間に挟まった本を見つけて引っ張り出した。
時が止まったかのように二人の一切の動きが止まる。
表紙には、卑猥な題名と艶かしい女性の似姿。
シーフォンが絶句していると、フィーは無言でそれを元の場所に戻した。
俯いたままの彼女の顔色が窺えない。
「そうだよね、男の子だもんね」
立ち上がったフィーは気まずそうに目を逸らしている。
シーフォンは弁解しようと口を開くが、言葉が出てこない。
――今こそ閃け僕の灰色の脳細胞!
「……あ、あの、誰にも言わないから安心して」
そう言うとフィーはさっさと部屋から出て行ってしまった。
彼女が去った後、シーフォンは床に膝をつき、頭を抱えた。
聡明な彼女はきっと全てを悟っただろう。
思春期の少年は羞恥のあまりごろごろと床を転がった。
「どうしてこうなった!」
10 ◆1HLVKIREhA :2010/05/29(土) 23:59:06 ID:LMxh45Z9
「にゃあ!」

或る昼下がり。
ホルムを覆う異変も解決へこぎつけ、
駐留していた兵達も引き、
想い人とも結ばれた、と言ってもいいだろう。
そんな平和を噛み締めながらの昼寝から叩き起こされて聞かされた第一声がこれである。
「にゃっ!?」
誰かと思えば何のことはない、我が最愛の恋人、キレハである。
珍しく“耳”が出しっぱなしだが、今のホルムでそのことを気にする者もいまい。
しかし何を慌てているのやら。
「にゃ、にゃーにゃんうにゃあにゃ」
珍しいと言えばキレハがこういう遊びも珍しい。
まあ、ここは乗っておくべきか。
「ニャア!」
「う……うにゃにゃん」
合わせてやっただけなのにちょっと悲しげな顔をされた。
何を求められているのだろう。
とりあえず喉でも撫でてみよう。
「にゃふ……ごろごろ」
喉まで鳴らすとは芸が細かい。
心地よさそうな顔を見ているとこっちも和む。
「……んにゃ、にゃー!」
そろそろいっぱいいっぱいで泣きそうなキレハが可愛いので、話を聞くことにしよう。
「にゃにゃん、にゃあにゃあにゃあ」
ふむふむ。
「うにゃうにゃんにゃー」
なるほど。
「にゃにゃにゃにゃにゃにゃん」
何一つわからない。
業を煮やしたキレハが手を取り、“耳”へと持っていく。
今さらそんな……?
触ってみると、いつもと手触りが違う。
よく見てみれば、これは<狼>の耳ではない。
これは……猫の耳である。
「うにゃあ?」
意思疎通は相変わらず困難だが、キレハに降りかかった異変について推測してみよう。
猫の耳が生えた。にゃあとしか言えないらしい。
……何かの呪いだろうか。ピートさん辺りの。
「……にゃ」
暗さが見え隠れするキレハの頭をそっと撫でる。
自分の肉体が変質することを既に一度経験しているだけに、不安も一入だろう。
キレハの性格を考えれば、そんな姿を他人に見せたくないとか迷惑をかけたくないとかで相談することもできなかっただろう。
それでも頼ってきてくれたのだから、全力で応えるのが筋というものだ。
まずはその、猫のようにしなやかな身体を抱き締める。
「にゃっ……」
精神的に不安定な時、人の体温と鼓動を感じると非常に安心する。
実体験である。
11 ◆1HLVKIREhA :2010/05/29(土) 23:59:27 ID:LMxh45Z9
「うにゃ〜……」
恥ずかしげに身じろぎするキレハの身体から力が抜けるまで、辛抱強く抱き続ける。
原因究明や治療よりも、キレハの不安を拭い去るのが最も重要だ。
「……にぃ」
ほぅ、と一息ついたのを見計らって次へ。
にゃーにゃー言ってる唇へ、口付ける。
「んにゃ」
なるべく、優しく、と自分に言い聞かせながら。
大丈夫、大丈夫、とキレハに言い聞かせるように。
舌はザラザラしているのだろうか、などという疑問は胸の奥にしまっておく。
「ふ……は」
息継ぎに唇を離すと、頬を染めたキレハの顔が間近にある。
こんな状況で甚だ不謹慎ではあるが、やはり美人だ。
「んもう」
……んもう?
「って、あ。普通に喋れる!」
嬉しそうな表情に合わせて、ひこひこと猫耳が揺れる。
治ったのかどうか中途半端ではあるものの、本人が喜んでいるのでよしとしようか。
「ありがとう、あなたのおかげよ。恋人の……キス、なんて、ちょっとベタだけどね」
キレハの言葉通り、キスをしただけだ。感謝されるほどのことでもない。
「えーっと、あー、うん……ちゅ」
軽く、触れるだけの口付け。
「あ、アレよ、その、お礼。そう、感謝の気持ちということでね」
別に弁解が必要なことでもない。
が、そこで何か理由をつけないと恥ずかしいのだろう。自分が。
猫化したキレハも可愛かった、と言うのはまた今度にしておこう。
「ゔー……何をニヤニヤしてるのよお」
元に戻ってよかった。そういうことにしておく。
ニャーニャーしてたのはキレハだけどな!



にゃあにゃあ、にゃんにゃにゃうにゃー編
Ruinaと関係ないところで見かけたネタをキレハでやる暴挙
あるいは犬キャラに猫耳を生やす暴挙
結局何も判明してない辺りが俺らしさだと前向きに解釈してください

あと>>1おつ
って書いてたら投下かぶったー!?
12名無しさん@ピンキー:2010/05/30(日) 15:36:09 ID:iQFQb6fu
                                          ト-、___
                                      _,,-‐‐‐‐‐‐t-:、_ `‐、、_
                                  __,,,-‐'´     .:. ,,:.:``‐、;:;:;ヽ_
                   ,,,_____,,..、_,,,,,-‐‐‐-、、_,,-'´    ............:.:/: .:.     ````ヽ、_
                  〈=__,,,,__,,,,,,,,,,,,..::::::::::...  ;.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:,;ノ::.            `‐、、
               А Аヒ;-'(<ヽ!_.. .. . `````ヽ- '--‐‐'''''~~~'`::::ヽ:.:.:.....        、     ヽ、
i^ヾ'i.           ;'、;:;:;;;;:;;゙i .  ゙i !````:‐:‐:-:-.:__,,、、、、、  ....:.:.:.:.:.:.`:.:.:.:,;,;,;,;.:.:.;,;...........ヽ、ヽT   ◎ ヽ、
゙、_ ゙:、.          i'゙i;====ヨ    ,!              ````‐--:-:‐:':´:`:`´:: :::``:..、_:.:.:.:.:.:.:.ヽ、__ ,-==,
  ゙i `ヽ、       ! ''゙i;:;:;:;:;;! ,r‐'゙゙'' ,/                            ````‐‐:-:-:-:-:‐"
   :、  ゙'ー‐-、,,;---、ゞ ゙''''''i'/   /
    ヾ、        ゙     ゙`   ,ノ
     ゙''ー-、,,___    _l~l_ ,ソ
          // /  | ヽ \ \    .,,,_             ,,,,、
        ./ /  /|   |  |\ ヽ ヽ   ゙゙llll!   ._         ,,llll!      lll,,
        l l /   |  |  |   \|  |: :li,,,,,,,,illl,,,iiiiill!!!″      ,,iil!l゙゜     ,,,,!!lllilr
        i l  ̄| ̄  △  ̄| ̄ |  |  ゚゙゙゙゙゙lll゙ ̄         ,,ii!!゙’       ii!l!l  ,,il!ii 'llli゙iiili,,
        ヽ,| l~~l_l ̄ ̄l_|~~| l /   .llll: .,,,,,llllllllli,,,    .'llll,、        ,illl..lllii'     .'゙!li,,,
         ヽ, ヽ  >>1乙   / l/   ,llliil!!゙″  .゙lllll:    : ゙゙!lii,,、      .illl|       .,lll:!!
           ゝ、ゝ_l ̄l_/ ノ    ゙!!゙     ,,illll`     .'゙!lii,,、    ,,iil! !ll      .,,l!il!゙
         / `ー─── '" ´,!、       ..,,,,,,lill!!゙゙`       ゙゙!llii,     ゙!ll!!    ,,l!!ll!゙′
         /        _,,ノノ   ; ヽ、    .'''゙゙゙゙゙゙”           ゙!゙゜
       ,/       ,;-‐''′`ヽ、    ゙;、
         i'  /_,,;-‐''′     ゙:、    ゙i
         i   `i           ゙:、   ;゙ヽ
13名無しさん@ピンキー:2010/05/30(日) 18:39:58 ID:9JbNkXSd
定番の王子様ルックであるかぼちゃパンツに白タイツがもっとも似合うのは
本物の王子様であるアルソンさんが断トツだろうが
次点は高貴な生まれの歴女テレージャ
ラバン爺さんもなかなかいけるクチと思われ
筋肉ムキムキだがメロダークも意外にしっくりときた
シーフォンは普通に似合わないな
パリスにいたっては顔と身体が分離する始末だ

個人的には髪を後ろで一つ結びにしたキレハも倒錯的でいけると思う
14名無しさん@ピンキー:2010/05/30(日) 19:24:17 ID:ekIaq9oK
パリス可哀相な子
メロダークは全身タイツの方が似合ってそう
15名無しさん@ピンキー:2010/05/30(日) 19:50:12 ID:+wHqkj8Z
メロさんは裸外套の一択
16名無しさん@ピンキー:2010/05/30(日) 21:19:35 ID:uYTyQofK
>>13
テレージャ、キレハ、ウェンドリンあたりは本当に宝塚的な男装の麗人になりそうだな
逆にロリに男装させてみるのもなかなかいけるかもしれん
17名無しさん@ピンキー:2010/05/31(月) 03:54:29 ID:omuMnevv
キャシアスの妻となる女性が常に全裸では問題があるので
とりあえずドロワーズを履かせてみるが嫌がってすぐに脱いでしまうエンダに
ほとほと手を焼いて弱っている所に
いつもはKYなはずのキャシアスが気を回してみたのだが
嫉妬心が邪魔してツン対応してしまう自分自身が嫌になって悶々としている所を
エンダが心配してせめて綺麗に着飾ってみたつもりだけど所詮は野生児エンダのやる事なので
お祭りの仮装にもならないぐちゃぐちゃな姿に思わず心温まってしまい
「この子を立派なファーストレディにしてみせます!」と母性に目覚めてしまい
もはやキャシアスほったらかしでキャッキャウフフしながら
エンダの淑女教育に取り組むフランが俺脳内に降臨した
18名無しさん@ピンキー:2010/05/31(月) 20:25:08 ID:mEfBEqow
>>10
GJ!キスで解決とかそれなんて童話。
キレハは犬でも猫でも可愛いという事が立証されました。
19名無しさん@ピンキー:2010/05/31(月) 22:38:45 ID:jsiAN5qy
>>9を読んでて思ったんだけど、そういやなんで一度使った魔道書は消滅しちゃうんだろうな
ゲームのお約束と言ったらそれまでだが、何か納得のいく理屈はないものか
エロ本ならぶっかけて色々な意味で使えなくなる、とか納得できるんだが
20名無しさん@ピンキー:2010/05/31(月) 23:07:57 ID:d+MmQ8tj
あまりにも古くて一度読んだらボロボロに風化してしまうとか
21名無しさん@ピンキー:2010/05/31(月) 23:09:53 ID:mEfBEqow
魔道書に技を覚える為の魔法(鍵の書が読むだけでおkなのと似たやつ)がかかってて
一回使うとその魔力が無くなっちゃうとか?
不思議パワーは無くなったけど本としては読めるような感じかな。
22名無しさん@ピンキー:2010/05/31(月) 23:19:47 ID:7iTo2QIA
秘密保持目的で使用すると自然発火で燃え尽きるとは危険な本
23名無しさん@ピンキー:2010/06/01(火) 00:44:11 ID:ktyZvsOg
私の知る限り、その手の最も合理的な説明はこうだ。
食べる事で糧となる。そして食べられた物は無くなる。
24名無しさん@ピンキー:2010/06/01(火) 03:02:26 ID:Fmat7Bjm
>>21
D&Dの巻き物からの伝統だな
25名無しさん@ピンキー:2010/06/04(金) 22:54:26 ID:13PF8UGA
上にあった王子様ネタで劇「白雪姫」
白雪マナ眠り霧のビンで爆眠中
王子テレージャがキスで目覚めさせようとする
その後ろですごい形相で殺人パンを振りかざす小人メロさん
それを止める腕力持ちの小人ネルとアルソンさん
製作者を思いやりメロさんを援護するBP
BPを踏み潰し焦げた石をかじる小人エンダ
これ終わったら激辛ラーメン食いに行こうと相談している小人パリス、シーフォン、エメク
黒子フラン、ラバン、キレハは舞台の片隅でキレハのアップルパイでティータイム
26名無しさん@ピンキー:2010/06/04(金) 23:32:18 ID:d+z7O6Yj
避難所であるはずのera板の方が規制されてた。
両方規制されてる人もいるんだと思ったら全自動精米機が泣いた。
27名無しさん@ピンキー:2010/06/06(日) 18:55:10 ID:raC1OJlH
エンダが着用しているロングブーツをキレハに穿かせたい
それでパンツスタイルとか結構似合いそうだ
テレージャでもいいがSMの女王様化してしまいそうだ

フランはふくらはぎぐらいまでの編み上げのブーツ
エンダは裸足
テレージャはサンダル
ネルは普通のバックルついた革靴かな
28名無しさん@ピンキー:2010/06/06(日) 19:06:52 ID:o1iGyTjR
キレハは縛られてる姿が似合いそうだ
捕虜になったまま街を攻略した時にどんな目にあったか考えると心が踊る
29名無しさん@ピンキー:2010/06/06(日) 19:08:34 ID:+NF9OMbo
テオルが来るまで放置しておくと
「もうちょっと早く来て欲しかった…」みたいなこと言うんだよね
何かされたんだろうか…
30名無しさん@ピンキー:2010/06/07(月) 15:57:45 ID:xoymC5pn
前スレでシーフォンどっかいっちゃったけど
数年後フィーが赤子を抱いていてたというのがあったと思うが
この手の妄想が一番やりやすいのってやっぱりフィーなのかね
この世界だと未婚で孕んだ女をどういう見方するかは分からんが
領主の娘であるウェンドリンと神殿の巫女であるマナが身ごもると周囲の風当たりが厳しそうに思える
逆にそれがネタになりそうではあるが
アイリだと好奇の目にさらされる機会が少ないけど、因縁持ちが地元民パリスなのがやりにくい
よその男でならありか
それでも家族思いなパリスがぶちきれそうだ
31 ◆1HLVKIREhA :2010/06/07(月) 18:35:18 ID:XWKHQ9j6
頭頂部に生える<狼>の耳。
一本に結った黒髪。
額に鉢巻。
切れ長の目。
鼻から口、首元にかけてを覆う覆面。
前を合わせ、帯で留める形状の袖なしの上着。
その隙間から覗く、美しい形の胸の谷間と、身体に張り付くような鎖帷子。
両腕には、金属製の手甲。
下に穿いているのは、上着の裾で隠れてしまう程度の短いパンツ。
太ももから先も、網目の粗い鎖帷子。
脛を保護する、手甲と同じ意匠の脚絆。
足先を包むような布製の履物。

遺跡探索に各地から冒険者が集まっていたホルムでも見かけたことのない装束。
身に着けた当の本人であるキレハも、放浪の旅の中で見かけたことはない。
「着てから聞くのも間抜けだけど……何なのかしら、これ?」
動きやすく実用的である一方で妙に露出度が高いのが気になるらしく、恥ずかしげにキレハが問う。
その相手は、キレハに見惚れている、色素の薄い青年。
入手するためにピンガー商会で大枚を叩き、着せるために土下座も辞さない勢いで頼み込んだ、熱い心の持ち主だ。
「ねえ、聞いてる?」
重ねて問われ、我に返った青年が珍しく饒舌に語ったところを要約するとこうなる。

これはクノイチと言う遙か異国の女忍の装束である。
レンデュームの民のような業に加え、女性としての色気も彼女達にとっては武器である。
闇に忍ぶと同時にその魅力を最大限に引き出すため、最適化された一つの完成形なのである。
と、ラバンが言っていた。

「……あの方は何でそういうことばっかり」
半ば呆れたように聞き流していたキレハが、最後の一言で脱力する。
仲間内でのラバンの評価は大体エロジジイで固まっている。
しかし裏を返せば、そういった方面に関する知識は豊富だということになる。
そこに目をつけ、実行に移しすまでに青年を突き動かしたものは、やはりキレハの魅力であろう。
そして、着せただけで満足できる程度の勢いではない。
おいろけで悩殺するところまでがクノイチなのだ。
「あー……や、やっぱりそうなるわよね」
着替えた時点で予想はできていたのか、複雑な表情ながらもどこか納得している。
「でも、色気ってどうすれば……うーん」
口元に手を当てて考え込む、その仕草だけでも十二分に色っぽい。
だが、それを口にするほど迂闊ではない。
32 ◆1HLVKIREhA :2010/06/07(月) 18:35:39 ID:XWKHQ9j6
「こ、こう……かしら」
ぎこちなくしなを作り、上着の前を少し広げる。
こういうことに疎く、ついでに照れ屋なキレハにはこれが限界だろうか。
やらされている感が強く、むしろ自然に照れている方が色気があるかも知れない。
このままキレハに任せて悩殺されるのを待っていては夜が明けてしまう。
キレハを抱き締め、自らベッドへ倒れこむ。
「ふあっ」
外見的には、キレハが押し倒した形になる。
顔が近い。
「うー……えーっと、その、目、閉じて」
何とか、搾り出す。
きちんと目を閉じたのを確認し、一度深呼吸をしてから、そっと唇を重ねる。
「……ん」
軽い、キス。
ようやく覚悟を決めたのか、澄んだ瞳から迷いと照れが消えた。
「……遠慮しないからね」
慣れた手つきで肉棒を露出させ、繊細な指先を這わせる。
二人がこうして愛し合うようになってそれなりに経っている。
互いが感じる箇所や力加減は身体が覚えてしまっている。
「どう?気持ちいい?」
女を武器に、と呼ぶにはあまりにも低姿勢。
しかし、その上目遣いは間違いなく心に突き刺さる凶器である。
「ん、やっぱりおっきい……」
言いながら、緩急を付けて撫で、擦り、扱く。
いつもと違う格好のキレハ。
いつも通りの愛撫。
キレハほど鋭敏ではないがキレハの匂いぐらいは感じ取れる。
時折悩ましげな吐息の混ざる澄んだ声。
深い口付けで絡める舌。
五感の全てが、快楽へと繋がっていく。
「いつでも、いいわよ」
切羽詰まった顔と敏感な部分の変化を感じ、快感を与える動きから絶頂へと導く動きになる。
その感覚を一秒でも長く味わうために耐え忍び、しかしそうそう抵抗できるものでもない。
快楽の水位がそのラインを超えた瞬間、短く息を吐き、白濁液を吐き出す。
「あ……うん、気持ち、よかった?」
わかりきったことをあえて問うのは、もちろん言葉攻めではなく、天然である。
「まだ、硬い……これなら大丈夫よね」
何が大丈夫なのか、という疑問は無粋だ。
キレハが下着を脱いだ時点でわからなければ朴念仁だ。
露になったそこは多少湿ってはいるものの、準備ができているとは言いがたい。
33 ◆1HLVKIREhA :2010/06/07(月) 18:35:59 ID:XWKHQ9j6
「んっ……」
自身もわかっているのか、いきなり挿入はせずにまずは秘裂を擦りつける。
乗馬の心得があるキレハの絶妙な腰つきと、やわらかく擦り上げられる生殺し感。
――これは、まさに武器だ。
本人がわざとやっているわけではないと理解はしていても、これがクノイチのやり口か、と感心せずにはいられない。
「っは、あ、あんっ」
勝手に攻められている気分を味わっている青年をよそに、キレハも少しずつ自らを昂らせていく。
普段ならば淫らに腰を振るのも艶かしく喘ぐのも羞恥ゆえに抑え込むところだが、今日はそれがない。
根本的な原因はキレハにもわからないが、着衣がその一端を担っているのは間違いない。
「もう、いい、かしら」
燃え広がる快楽に浮かされたような顔で呟き、二人の体液でべとべとになった剛直を、体内へ沈める。
「あ、んんんんっ」
まだ中までほぐれてはいないものの、多少の抵抗で根元まで飲み込む。
お互いの形を覚えてしまい、繋がっていることに違和感がない。
「じゃあ、動くわよ」
最初は、ゆるい前後の往復。
密着感を堪能する。
「ふ、あああっ」
気持ちいいと言えば気持ちいい。
しかし、それ以上を知っているとやはりもどかしい。
少しずつ、速度を上げていく。
「っは、あ、やっ、んっ」
上下の動きが大きくなる。
キレハの口から艶のある吐息が漏れ、キレハの形のいい乳房が揺れる。
呼吸と水音に、微かな金属音も混ざる。
「やっ、腰、突き上げちゃっ」
もはや、色気で悩殺などという思考は飛んでいる。
ただ只管に互いが互いを貪る。
「ふあっ、なかっ、いいっ」
愛を、欲を、肉をぶつける。
愛し合い、求め合い、鬩ぎ合う。
「い、く……ッ!!」
一際甲高い嬌声とともに、キレハの全身が緊張し、膣内が収縮する。
急激に締め付けられたことで絶頂へ押し上げられ、二度目であっても衰えぬ勢いで射精する。
「……っはあ」
ふるふると余韻で震えていたキレハが一つ大きく息を吐き、横様へ倒れこむ。
<狼>の耳だけがまだ揺れている。
「悩殺、されたかしら?」
気の抜けたような、浮いているような声でそんなことを聞く。
その様が、今日一番の色気を醸し出している。
「じゃあ、もう一回やる?……なんてね」
悪戯に笑うキレハを見て、クノイチってすげえ、と深く思ったとか。




微妙に流れに乗ってキレハにコスプレさせちゃうぞ、くノ一編
俺の中でフランはメイドさんなのでやっぱりキレハの出番となるわけで
くノ一であることに深い理由はなく単なる好み
要するに以前書いたチャイナやブレザーと同じでござるよ、ニンニン
ファンタジーだから気にしないけど、金属製のパーツがあるコスとか着たままやると痛そうだよね
34名無しさん@ピンキー:2010/06/07(月) 23:13:03 ID:1fwQbBKr
>>31-33
か、加減しろバカ
股間が痛いでござるよニンニン
35名無しさん@ピンキー:2010/06/08(火) 03:17:29 ID:yKYB6BVx
やらしいなNINJAさすがいやらしい
36名無しさん@ピンキー:2010/06/10(木) 19:06:28 ID:SAL576Sb
キレハはエロいなあ
しかしコスプレに百合に非エロに、キレハの人の引き出しは多彩でうらやましいわ
37名無しさん@ピンキー:2010/06/12(土) 19:54:45 ID:c0kX+Zz4
BPや焦げた石が得意料理なメロダークでも作れる
食べられる料理を考えてみたがうどんなら作れそうかなと思った
メロダークの腕力スキルや剣さばきも活かせてきっと一石二鳥
(刀削り麺というのがあったような気がする)
ちなみに汁はマナが作ります
もしくは市販の濃縮液
38名無しさん@ピンキー:2010/06/12(土) 20:36:14 ID:nlcKCWhd
>ちなみに汁はマナが作ります
なんて卑猥なと思ったがよく見たら卑猥なのは自分の頭だった

メロダーク、両手を洗わずうどんを捏ねるしまな板も一緒に切って麺に混ぜそう
39名無しさん@ピンキー:2010/06/12(土) 20:58:37 ID:G9WHehx4
意思を持った麺でマナを触手責め、まで読んだ。
40名無しさん@ピンキー:2010/06/12(土) 21:35:02 ID:c0kX+Zz4
おまえらたいぶ爛れているな
と思いつつも白濁液(小麦粉溶いた水)に塗れるマナや
麺状の紐で緊縛されるメロダークが思いついたので人のこと言えんが
41名無しさん@ピンキー:2010/06/12(土) 22:58:43 ID:GtaXIZCo
>>40
後者誰得
42名無しさん@ピンキー:2010/06/13(日) 01:46:15 ID:a2Vb8QPg
テレ…得…?>後者
43名無しさん@ピンキー:2010/06/13(日) 01:47:14 ID:lr1GVNEj
麺状の紐ってなんだと思わないでもない
44名無しさん@ピンキー:2010/06/13(日) 02:06:29 ID:OeVbq9ZQ
メロダークが全裸で亀甲縛りされててもいつもの事とスルーされるが
フランが尻から尻尾生やして首輪をされていたり
狼イベント時にキレハが鎖で縛られ床に転がされたり
顔2の子がが服着た上から胸を強調するような縛られ方をされていれば
大人気になる
45名無しさん@ピンキー:2010/06/13(日) 06:26:29 ID:lr1GVNEj
町占領時に虜囚になったキレハが色んなことされちゃうSSまだかよぉ…
46 ◆DhjaoUVh9. :2010/06/13(日) 16:15:09 ID:lfju14SJ
だいぶ前の十世×フィーの続きがようやく出来ました。リアル幻都帰り。

自分でもうろ覚えなあらすじ
・失踪したシーフォンを捜すフィー
・鍵開けられなくて詰んだ
・ルカリオ

陵辱パートですが強引にハッピーエンドに持ち込んでみました。
471/7 ◆DhjaoUVh9. :2010/06/13(日) 16:15:50 ID:lfju14SJ
泣き疲れていつの間にか眠り込んでいたフィーが目を覚ます。
黒一色の世界の中で、柔らかい布に包まれて横たわっている。
辺りに立ち込める独特の匂いのせいか少し息苦しい。
置かれている状況を思い出し、起き上がろうとしてどきりとした。
誰かが自分を抱きしめている。
フィーが起きた事に気づき、緩やかに拘束していた体がもぞもぞと動き出した。
頭上を重い物が擦るように動く音がする。
現在地を悟ると同時にフィーは血の気が引いた。
――彼の柩の中だ。
隙間から光の帯と冷たい空気が入り込んでくる。
魔法の灯りの眩しさに暗闇に慣れた目が細められる。
ごとりと音を立てて蓋が落ちる。
フィーは身震いして肌を粟立たせるが、それは冷気のせいだけではなかった。
逃げるように上体を起こすと、腕に異形のそれが巻きついているのに気づいた。
振り返ると同時に、もう片方の手で強引に柩の中に引き戻される。
強い死の匂いがすると思った瞬間、口内に血の味が広がった。
フィーは呆然としていたが、何をされているのか理解すると、途端に逃げようともがきだした。
だが、強い力で後頭部を押さえられていて離れられない。
やっとの事で唇が離れたかと思うと、今度は抱き締められた。
それも、骨が軋み臓腑が圧迫される程の力で。
「ぅ……苦し…………離して……」
息を詰まらせながら懇願すると腕の力が少しだけ弱まったが、完全な解放には至らなかった。
主導権を握った死者が、捕らえた体を石棺に押し込むように組み伏せた。
傲慢な挙動に耐え切れなくなったフィーが彼を睨みつけるが、そうして目にしたものに凍りつく。
――笑ってる。
死せる皇帝が嗤笑とも朗笑ともつかない表情を浮かべて自分を見下ろしていた。
482/7 ◆DhjaoUVh9. :2010/06/13(日) 16:16:12 ID:lfju14SJ
その言葉の意味が理解できず、フィーは言葉を詰まらせる。
だが、それ以上語ろうとしない彼に尋ねるのは憚られた。
長く重い静寂が続く。
そして、ふと思いつく。
――彼らは始祖帝の名を名乗らされた。という事は……
「…………貴方の、本当の名前は……?」
首を横に振る彼の顔は、酷く悲しそうに見えた。
「覚えてないの?それとも――」
――元々無かったの?
口にしかけた残酷な問いを呑み込む。
言葉を探していると、いつの間にか顔が近づいていた。
慌てて挟んだ手に乾いた唇が触れる。
「……こういう事、やめて」
しかし、その願いは聞き入れられなかった。
十世は拒む手を取り払って二度目の口付けを交わす。
両手を押さえつけられたフィーは侵入してきた舌に噛みついて抵抗の意思を表す。
錆びた鉄のような血液に吐き気を催すが、噛まれた本人は動じる素振りすら見せない。
それどころか、彼は流れ出る己の血を拭き取ろうと口内を隅々まで舐め回している。
それが逆に汚れを広げているとは気づいていない。
出血が止まるまで続けられるであろうと覚悟し、フィーは目を瞑った。
視覚を閉じた事で、生臭い匂いと味が一層強まった気がした。
ぬめりを帯びた冷たい舌の這い回る感触が心を掻き乱す。
――気持ち悪い……もう夜は明けたかな……きもちわるい…………あぁ……
ぐるぐると回り続ける思考は次第に混ざり合い、形を失っていく。
一瞬とも永遠とも思える時間が過ぎて、蹂躙し尽くした口腔から死者が退いた。
フィーは安堵の息を漏らしたが、胸に違和感を覚えて視線を落とす。
形の成さない手が鼓動を確かめるように触れている。
しかし、両手を縛る感触は消えていない。
慌てて顔ごと向けて確認するが、束縛する物は何も見えない。
そうしてようやく気づいた事実に愕然とする。
墓所内に満ちる濃い魔力に紛れていた、彼自身の力。
それは自分や仲間達、知る限り最高の魔力を持っていた師よりも強いものだった。
493/7 ◆DhjaoUVh9. :2010/06/13(日) 16:16:34 ID:lfju14SJ
胸の中心に触れていた手が緩やかな曲線を描く部分まで移動する。
絡みつくようにうねる腕の感触に怖気立つ。
「やっ……やだ!離して!」
フィーは逃れようと身を捩るが、四方を囲む石の箱に逃げ場などあるはずがなかった。
布越しに撫でていた手が、直に触れようと服を脱がし始める。
「嫌ぁ!やだ、やだぁ!やめてよぉ!!」
抵抗しようにも、腕は主の意思に反して脱ぎやすいように彼の魔力によって動かされる。
蹴ろうとした脚もいつの間にか不可視の力に押さえつけられている。
成す術もないまま、ついに下着までもが取り払われてしまった。
異形の死者は羨むように繊細な肢体に触れ、白く柔らかい肌を撫で回した。
軽く触れるだけの手つきがかえって不気味さを際立たせる。
控えめな乳房に二又に分かれた腕を巻きつけ、もう一方も掌で包み込んで揉み始めた。
壊してしまわないように、優しく。
触れる肉体が徐々に熱を帯び、十世は更に丁寧に愛撫を施していく。
それでもフィーは諦めずに説得を試みる。
「やめて……ねぇ、お願いだから……」
十世は拒絶の言葉を無視してまだ柔らかい乳首を指先で撫で、摘む。
指の腹で押し潰して捏ね回すと、そこは徐々に硬くなっていった。
嫌悪の隙間を縫って湧き上がる感覚を否定するようにフィーは首を振る。
乳房全体を舐め回しながら先端を指先で弄る。
「ぅあ……いやぁ――ひゃっ!」
完全に起立した乳首に吸い付かれて、甲高い悲鳴を上げる。
強く吸い上げるそれは、愛撫というよりも赤子が乳を飲む動作に近かった。
硬くなった先端に偶然舌が触れて体がびくりと跳ねた。
その反応を見逃さなかった十世は更に責め立てる。
彼女がそちらに気を取られている隙に、軟体動物の触腕にも似た手が胸から腹へ、腹から腰へと下りていく。
「――ひっ!やっ、いやああっ!!」
乳白色の毛に守られた部分に触れられ、フィーは声を張り上げた。
閉じた陰裂に割り込む冷たい感触に身を捩って逃げようとするが、それは何の意味も成さなかった。
「………………?」
何かに気づいた十世は上体を起こし、懸命に閉じようとする脚をいとも容易く開かせる。
柩の端に細い足首を引っ掛け、彼女が隠そうとした全てを曝け出す。
「あっ…………」
再び手が触れ、くちゅりと水音が響いた。
「あ、あ……嫌、触らないで…………見ないでぇ……」
フィーは今にも泣き出してしまいそうなのを堪えて懇願する。
そんな彼女の顔を、十世は不思議そうに眺めていた。
504/7 ◆DhjaoUVh9. :2010/06/13(日) 16:16:59 ID:lfju14SJ
まるで観察するかのように陰唇を指で広げ、もう片方の手で擦る。
少し触れるだけで溢れ出る蜜が手の先に絡む。
歯を食いしばる少女から声が漏れる。
「……キモチイイ……?」
首を横に振る彼女の為にと、十世は色づき始めた小さな突起に矛先を向けた。
二又の腕が濡れた全体を撫でながら陰核に触れる。
「ひぅっ!?や、ぁあああぁっ!!」
敏感な性感帯は軽く突かれただけで体全体を激しく跳ねさせる。
それを見た十世が先程の問いを繰り返すが、フィーは首を振るだけだった。
彼女にもその答えが今以上の責めに繋がるとは解っていた。
しかし、死者に嬲られているという事実を認めたくなかった。
心とは裏腹に、肉体は与えられる快楽に反応する。
「……っ……ぁあ……んっ……!いや!やああぁっ!!」
探るように撫でていた手が入り口を見つけ、細い先端は閉じられたそこに易々と滑り込んだ。
奥へ進もうとすると、膣口が異物を排除しようときつく収縮し始めた。
十世はそれを理解しているのか、少しずつ馴染ませながら呑み込ませていく。
だが、徐々に太くなっていくそれに対して生娘の限界が訪れる。
「――痛っ!やっ、痛ぁっ!」
苦痛に歪む顔を見た十世はそれ以上進む事はしなかった。
その代わりに、きゅうきゅうと締めつける内壁を擦り始めた。
「ぅあっ!いっ、ぁ……やぁあぁっ!!」
体内で異形が蠢く感覚に自由を奪われた体が小さく弾けた。
それを片手で押さえつけながら十世は愛撫を続ける。
「……キモチイイ……?」
何度も繰り返す問いに彼女は頑として頷こうとしない。
十世は少し困ったように首を傾げたが、すぐに次の動作に移った。
ぐちゅぐちゅと音を立てて出し入れすると同時に、もう一方の先端で充血した蕾を撫でる。
内と外を同時に責められたフィーが悲鳴を上げて暴れ出す。
だが、四肢を封じられたその動きは打ち上げられた魚のように胴を跳ねさせるだけだった。
「だめぇ……だめえぇぇっ!や、ぁあっ!いやぁあああぁぁっ!!」
喉が張り裂けんばかりの金切り声を上げ、可能な限り体を反らせて痙攣する。
波が引くと、フィーは胸を大きく上下させながら焦点の合わない目で天井を見つめた。
「……キモチ ヨカッタ……?」
「…………ぅ、ん……」
ぼんやりと宙を見つめながらフィーが掠れた声で答えた。
その言葉を聞いた途端、十世は顔を綻ばせた。
熱の籠った体を再び絶頂へ導いていく。何度も、何度も。
抵抗する術を持たないフィーはそれを受け入れるしかなかった。
515/7 ◆DhjaoUVh9. :2010/06/13(日) 16:17:19 ID:lfju14SJ
散々甚振っていた手が抜かれたが、フィーが安堵したのはほんの一瞬だった。
解放されたそこに押し当てられたものの正体など見るまでもなかった。
「……っぃ、や……それ、だけは……いやぁっ!」
笑みを浮かべる死者に慈悲を乞う。
だが――
彼女の悲鳴は玄室から複雑な通路を抜け、開かない扉の外まで響いた。
長い絶叫の後、フィーは心底嬉しそうに笑う顔を呆然と眺めていた。
愛しい人にと大切に守ってきたものを奪われた。
――死者に……それも祖先に当たる人物に。
絶望すら消え去って心が空になる。
突然宙に放り出されたかのような感覚の中で涙が流れ落ちた。
「い、やぁ……ひくっ……やぁ――ひっく……うぇ、ぇー…………」
滲むように感情が戻ってきたフィーの反応に十世は取り乱す。
何故彼女が泣いているのか理解できないようだ。
嗚咽を漏らす彼女の頭をあやすように撫でるが一向に泣き止まない。
乾いた指先で引き攣った頬に触れ、擦るように涙を拭う。
「………………ゴメンナサイ……」
困り果てた末に皇帝が謝罪の言葉を口にした。
「あゃ……謝る、ぐらいな――ひぅっ……しないでよぉ……」
どこをどう解釈したのか、十世はそれを許しと受け取った。
彼女を悦ばせようと今までに知った性感帯を刺激する。
昂りを思い出した体が略奪者を締めつけると、彼はその奥を蹂躙し始めた。
「やっ……痛いよぉ……痛ぁ……」
弱々しいフィーの声は結合部から響く水音に掻き消された。
強引に穿つ男の動きには容赦――あるいは余裕が無い。
狭い膣壁を擦って奥まで一気に突き上げる。
子宮口を打たれる度にフィーは肺の中の空気を吐き出しては新しい酸素を求めた。
時折思い出したように触れられる乳房や陰核が苦痛以外のものをもたらされる。
「……アツイ……」
一切顔色の変えないまま十世が呟いた。
不浄な快楽にフィーは心身共に追い詰められていく。
「いやぁ!たすけっ……助けて……――――!」
組み伏せられた少女が助けを求めるように恋しい名を呼ぶ。
枯れた喉で何度も呼ばれるその名に、十世が興味を示す。
「……ナマエ……モット ヨンデ……」
フィーは鈍った頭で彼の言葉を繰り返すと、普段なら結びつかないであろう答えに繋がった。
「違う……貴方じゃ、ない……貴方の名前じゃない……」
彼はそれを自分の名前として捉えたのだ。
否定されても尚、その名を呼ぶ事を求める。
「やあぁ!――――!あっ、はぁ……――――!!」
フィーの思考が糸のように解け、出鱈目に絡まっていく。
自分の中にある男を逃がさないように締めつける。
その瞬間、フィーは自分が世界で一番醜い生物に変わってしまったかのように思えた。
収縮を繰り返す膣を突き上げた死者がどろりとした体液を放つ。
僅かに開いた奥の扉から流れ込む気配を感じ、フィーは目を見開いた。
「……ぁ……あぁ……」
526/7 ◆DhjaoUVh9. :2010/06/13(日) 16:17:39 ID:lfju14SJ
柩の中から上半身を覗かせて少年と少女が抱き合っている。
十世の背中に回された細い手には力が入っていない。
彼は上下する細い肩を抱きしめたまま、白い髪を引っ張って顔を上向かせる。
虚ろな赤い目は何も見ていない。
半ば意識を失っているフィーに十世は愛しそうに口付けた。
自らの魔力で力を失った体を思いのままに動かし、快楽を貪る。
人形のような少女を強く抱きしめ、その胎に濁った精を放った。
糸が切れたように背に添えられていた手が落ちる。
一方的に打ち込まれた楔が引き抜かれ、解放に安堵するようにフィーは目を閉じた。

フィーが次に覚醒すると、蓋の開いた柩に横たわっていた。
起き上がって辺りを見回すが誰もいない。
彼女は自分が服を着ている事を確認し、夢でも見ていたのではないかと思った。
だが、柩から身を乗り出した際に走った鈍い痛みに愕然とする。
しゃがみ込んで下着を下ろすと、血混じりの粘つく白い液が付着していた。
震える指でずきずきと痛む膣内から掻き出したそれが床を汚す。
手近な屍が纏う外衣を破れた部分から引き裂いて小さな布にし、汚れた股と手を拭った。
それでも死者の子を孕むのではないかという不安は消えなかった。
下着を履き直して、フィーは杖に縋りながら立ち上がる。
玄室の主が戻る前に逃げようと扉に振り返り、動きが止まった。
――いつから居たのだろう。
ゆっくりと近づいてくる死者に思わず後退ると、死骸に躓いて体が後ろに傾く。
倒れ込む体を骨の無い腕が支えた。
鮮明に思い出される記憶と恐怖にフィーはそれを引き剥がそうとした。
だが、それよりも早く、不安定だった体を起こした手が離れた。
十世がゆっくりと唇を動かす。
「……そ……そんな事言われても、私……」
首を傾げる彼にフィーは続ける。
「無理だよ……だって…………」
心臓を跳ねさせる恐怖を堪えながら、彼女は必死に言い訳を考える。
「……だって、貴方は私の名前を知らないでしょ?」
死者は何かを言おうと口を開くが、そこから音は出てこない。
「だから……貴方とは……一緒に居られない」
その答えに死を覚悟していたフィーが十世の顔を見ると、彼はとても悲しそうだった。
柔らかい手が再び伸ばされる。
手を掴まれてフィーは彼に導かれるままに歩き出す。
曲がり角の多い通路を抜け、鍵の掛かった扉の前で立ち止まる。
どうするのかとフィーが思った次の瞬間、カチリと音がして扉が独りでに開いた。
魔術師である彼女には、それが自分を弄んでいた念動力によるものだと解った。
――そうか。鍵なんて要らなかったんだ。
フィーは自分がした質問を思い出す。
――ここの鍵持ってない?
彼は嘘を吐いていないし、開けられないとも言っていない。
その事実に気が抜けたフィーが涙ぐむ。
――もし、あの時開けてもらっていれば……
腕を引っ張られて、空しい仮定から呼び戻された。
537/7 ◆DhjaoUVh9. :2010/06/13(日) 16:18:18 ID:lfju14SJ
墓所の構造を知り尽くす皇帝は迷う事無く階段や通路を進んで行く。
途中で出会った魔物は彼を恐れるように道を開けた。
生者の存在に気づいて襲い掛かってきても、十世の魔力で捻じ伏せられた。
フィーは彼が自分を守っているようにも思えたが確信は持てなかった。
黙って彼に従っていると、階段の上から吹き込む微かな風に首筋を撫でられた。
僅かに鼻を掠める苔や水の匂いが出口に辿り着いた事を知らせていた。
ずっと掴んでいた手が離れたが、フィーはその場から動けなかった。
少し上の段にいる十世が振り返って彼女を見下ろす。
「……ナマエ……」
その一言だけでフィーは、彼が自分の名を知りたがっているのだと気づく。
先程した自分の発言を念頭に、フィーは慎重に思考を巡らせる。
――もし、ここで答えて連れ戻されたら……
長考の末、フィーは決心する。
「私の名前は、フィー」
「……フィー……」
十世が数段下がって顔を近づけてもフィーは抵抗しなかった。
離れた彼が別れの挨拶を告げる。
「あ――」
「フィー!」
突然頭上から声が降ってきて、フィーはそちらを見上げた。
駆け下りてくる仲間達の姿が目に映る。
「もう、勝手にいなくなって……心配したじゃない」
フィーは隣を振り返るが、そこにはもう誰もいなかった。
「……ちょっと臭いよフィー。ここの臭いが移ったんじゃない?」
抱きしめてきたネルが眉を顰め、彼女の言葉にフィーはどきりとする。
嗅覚の鋭いキレハやエンダならば違う臭気が混ざっている事に気づいていただろう。
「……心配かけてごめんね」
「とりあえず、今日はもう帰ろう」
時間の感覚が狂っていたフィーは、仲間達から殆ど丸一日が過ぎていたと聞かされた。
「でも、シーフォンが……」
「どうせ、ばつが悪くて帰ってこれないだけだろ。ほっとけって」
フィーは反論しようとしたが頭が思うように働かず、その場にへたり込んだ。
「相当疲れてるみたいだね。ほら、おんぶしてあげる」
幼馴染の背中に身を預け、フィーは目を閉じた。



タイタス十世は玄室に戻り、柩に横たわった。
蓋を閉めると生者の柔らかな残り香に包まれた。
「……フィー……」
自分によく似た、それでいて正反対の彼女の名を呼ぶ。
そして、次に生まれる時は彼女のようになりたいと願いながら眠りについた。
54名無しさん@ピンキー:2010/06/13(日) 16:28:09 ID:lfju14SJ
あ、これにて完結です。

最近、インタビューのネル父の件のせいでネル母に胸が熱くなります。
55名無しさん@ピンキー:2010/06/13(日) 18:32:05 ID:3Wgkx6k0
>>54
お疲れ〜。
シーフォンとフィーは鉄板ですな。

本スレ久々に見てたらアイリでキレハに告白できると書いてあったが本当にできるのか?
もしできるとしたらRuina5週目に突入決定だ
56名無しさん@ピンキー:2010/06/13(日) 19:41:41 ID:404w8gCI
>54
そうかフィーは下の毛も白いのか…!と妙な所で感動してしまった
十世せつねぇなあ。完結乙です

>55
5周と言わず何故各主人公で8周しないのか
5715 ◆E9zKH0kZMc :2010/06/14(月) 06:07:21 ID:h0RIxRoa
>>46諦めてた続きがきてて感激のGJ、これが伝えたい為に
被せ気味になって本当に申し訳ありません。GJしたいです

エメクシリーズ、インタビューで気になったところを考察したら
できたま属性4000弱。ご迷惑をおかけします際はとりあぼんで
ご協力をお願いいたします
5815 ◆E9zKH0kZMc :2010/06/14(月) 06:08:50 ID:h0RIxRoa
「……暑い場所だな。鎧の下が汗だくだ……おもいきり」

「気分を盛り上げよう!」
甲高い声に虚をつかれて振り返ると、ほっぺをばら色にした小坊主がボロ布を頭に乗せて、小脇に
兜のサンダル履き姿でガラガラ荷袋を揺らしながら飛び跳ねていた。
「服はどうしたのだ」
「あっちーし」
…ずるい。
「なあに、どうかした?」
「いや…」
「その布はなんなんです」
「手ぬぐいのつもり」
顔から汗をふき取って丁寧に畳むと頭の上に据えつけた。
「ほら、石鹸もってさ、たらいは持ってきてないからかわりに兜だけどねー」
にやっと笑ってふんぞり返り、びたびたと手ぬぐいとやらを振り回してみせる。
「いい感じに硫黄の香りもするじゃんか。だから、何ていうか…ぶらり温泉湯煙紀行て感じを演出する
ホルム的小道具。おっさん連れで洞穴の溶岩に炙られてると思えば憂鬱にもなるけど、浴衣美人も
いるかも知れない浪漫溢れる湯煙路、て言えばそんなん、フフッ…」
「湯治場って、大抵年配のご婦人ばかりですよね」
「うむ」
「なにさ!夢くらいみたっていいじゃない!!1」
兜を投げ捨てオカマ走りで駆け出した所に翼を広げた火喰鳥が襲い掛った。羽ばたくたび舞い散る
火の粉に悲鳴を上げつつ氷塊を投げつけ槍でつき、終には輝く巨鳥に馬乗りになると首をへし折り
豪快に羽をむしりとる。派手に燃え上がって悶絶していると水妖の手に鷲掴みされ消し止められた。
「危なかった…それにしても、全く暑い場所だな。鎧の下があs」
「何も着てないほうが燃える材料がない分、かえって安全なんだよ」
「そう、なのか?火達磨になる時はどちらにせよ同じではないか」
「言ってみただけ。うわッチィー!!」
「駄目ですよう、防具をこんなに乱暴に扱っちゃ。アダさんがせっかく揃えてくれたんですからね」
「だって火傷しちゃうんだもん、対流熱で焼けるんだよ、手袋は難燃性だけど燃えないだけで熱いし」
「だからって何も裸にならなくても」
「裸じゃないよ、足の指が蒸れないタレーリアは標準装備。オプションで手ぬぐいと石鹸があります。
皆こそ熱くないの、火傷って怖いんですよ?」
「騎士たるものこれくらいで音を上げたりはしませんよ!」
「…いや」
「熱いんですか」
「ああ、そうだな…」
「むしろ、なーんでアルソンさんは平気なんだろう。汗も殆どかかないなんて、どこかおかしいんじゃ」
「脈を取れ、この指が何本に見えるか正直に言え。む…?どことなく…ひんやりするな、歩く死者か」
「ちょ、ちょっと、待ってくださいよ僕はまだ」
「ほんとだ。なんかひやこいアルソンさん、まるで…氷の棺担いでる気分だわ」
「もう、僕で涼をとらないでくださいよう、幾らなんでもむし暑いですってば!」
「おかしい、いつものアルソンさんならこんなにちべたい筈がない…何か悪いものでも食べたんじゃ」
「なぜ私を見るのだ」
「ああーそれにしてもいいわー、汗が引く…」
「ちょっと!鎧に顔の皮脂つけるのやめてくださいよ、あなたも指紋つけないで!誰か、だれかー!」
金切り声を上げて得物を振り回すと涼やかな息吹が顔に当たる。
「あ〜判った。アルソンさんが涼しいのは当たり前じゃん、この槍すんごいアイシーな感じがするもの」
「…冬神の槍か、確かに穂先から白い蒸気が立ち上っているようだな」
「これさえあれば僕でも火炎蜥蜴だろうが火喰鳥だろうが一網打尽ですから!さあおいでお馬ちゃん。
火の中に落ちたら最後です。気を付けて、僕の後に付いてきて下さい!」
5915 ◆E9zKH0kZMc :2010/06/14(月) 06:09:23 ID:h0RIxRoa
「そしたら迷子になったんだよねー」
「うむ」
胸を張って颯爽と歩いていく様子は実に立派。馬鹿だなあと思いながら眺めていると小僧が槍を出す。
「おしゃれなあなたに快適な洞窟ライフを約束する冬神の槍をさらに1本!16000Gでご提供いたします」
「買おう」
「原価1600Gですよ、アルソンさんのは拾った奴だからただだけど」
「な、に…?」
「ネルに頼んで団扇みたいに打ち直してもらおうか?こうやって一生懸命扇げば涼しくなるんじゃない」
「今から地上に戻るんですか?!」
「言ってみただけですよ。助けてアーk…、駄目だ。アークフィア様じゃ多分ここに来る前に蒸発しちゃう」
「河だからな」
「河だからね」
「そういうものなんですか」
「しらない。会ったことないもん」
「それもそうだな…ふう、暑い暑い」
「もー脱ぐなら脱ぐでさっさと脱げばいいのに。僕はこんな所はやくオサラバして釣りがしたいんだ」
そんな風に言われても、…あまり嬉しくない。いらいらした風でマントをひったくられた。
「脱がないなら行きますよ。あの人独りにしたら本当に逸れちゃう」
不満だ。アルソンのいた辺りから衝撃音が聞こえるなり置いていかれた。罠にでもかかったのだろう。
面倒なので休んでいると少し離れた所からなにか言って来た。まあ、無事だった様だしゆっくりいこう。
「見てくださいよーこんな所に囚われの」
制止する少年の声に混じって訳の分からない雄たけびが聞こえる。仕方ないので着なおして追いつくと、
檻の前で怪物が大暴れしていて子供たちが口々に何か叫びながら走り回っていた。愉快なので見守る。
「やっと…止めを刺せましたね、……驚きました」
「開けないでっていったでしょ、お仕置きで入ってる時だってあるんだから。メロダークさんはどこなの」
ぜいぜい息を切らしながら杖にすがりついている。流石に気の毒になったので助太刀に入った。
「大変そうだな。大丈夫か」
「…やっつけた後から駆けつけなくていいです」
「今までなにやってたんですかあ?薬草投げる係がいなくちゃ戦いになりませんよう」
「見ているほうが面白かったから」
向こう脛を蹴飛ばされた。手当てしてやった所で再び階段を探す。湯治客と騎上の人を連れた探索、
何とも言い難いものを感じながら土砂を掘り返した。天井が落ちてくるだとか、壁が移動してくるだとか
比較的対応の仕様がある罠ならよいのだが、こういう落盤であるとか滑落といったものにはいい加減
エメクの指示を聞いておとなしくしていて欲しいと思う。
「お前でも怪我はするものなのだな…」
「参りましたね!こんなに足場がもろくなっているなんて、全然気づきませんでした」
「やべっとかちょっと待ち給えとか匂いがとかそういう勘が働くんだったら今後も先頭歩いていいですよ」
「嫌だなあ、肩が外れてしまったみたいです。癖になったらどうしましょう…魔法で何とかなりませんか」
「うん、ちょうど拾った本が使えるねえ。いい機会だし、アルソンさんで練習しようかな。構いません?」
がっちりとした分厚い本を大きく振りかぶったエメクと目があった。
6015 ◆E9zKH0kZMc :2010/06/14(月) 06:10:03 ID:h0RIxRoa
「…やめておけ」
「平気ですよ!多少なら失敗してもへっちゃらです、僕は頑丈ですから」
「流石に首がもげたりするようなダメージ与えちゃうことはないでしょう」
「えっ」
「大丈夫。僕が駄目でもメロダークさんなら蘇生できます。それでも無理ならテレージャさんに聞けば
いいんだし。メロダークさんに来てもらっといて良かったー、僕だけじゃ死体を運び出せないもんねえ」
「それはそうだな」
「ちょっとまってくださいよう、なんで失敗ありきで話を進めてるんですか」
「我々は常に最悪の事態に備えて先手先手で行動するのだ。神官というものにもそうした面がある」
「いやいやいやあなたは傭兵でしょ、そんなに凄まないで下さい」
「まずは気を楽にして、ほら。ゆっくり息すって…あと一寸たりとも動かないで、メロダークさん抑えて!
あのね、筋骨たくましいマッチョなんかいくら手当てしてもなんにも嬉しくならないんです。わかります?」
「うわあ何するんですかうわああ」
「一生のお願いです、あなたくらいでかい人を棺に入れて担ぐ身になって欲しいなんて絶対口に出して
言いませんから、元気で健康に探索してください。はやくお家の人にうちの息子は立派になったよって
褒められるようになってくださいね。…僕には、一生経験できないんだから」
「はっそうか、エメク君にはご両親…」
一瞬ひるんだ隙に関節を嵌めたらしい。絶叫された挙句振り切られて突き飛ばされた。馬鹿力だ…。
わあわあとすすり泣いたりしていたが、機嫌を直したようなので再出発。味っ子への道のりは険しい。
思えば暇なら金を払うから荷物持ちしてくれなどと言う誘いに乗ったのがまずかった。そもそもは元を
正せば不審な動きがないかどうか探るのが私の任務だというのに一体何をしているのだろう。台所の
神秘やら撒き餌の手伝いやら、ほとんど碌な事をしていない気がする。最近はもう色々面倒臭いから
このままごろごろしながら過ごしたいとさえ思うが、流石に格好だけはつけなくてはなるまい。魚影に
気づかれないようにという指示を守って寝そべりながら釣りを楽しむ様子を眺める。アルソンのほうは
釣果を仕込んでスープ作りに励んでいる所だ。同じように料理はできるというのに、何故か道具にすら
触らせてもらえないのでやることがない。見ていると手をだしたくなっていらいらしてくる。魚捌きたい。
「そうやって膝を抱えてこっちを見ながら座っていられると不気味です」
「……………(しょんぼり)」
「僕と一緒に釣りしようよ。全裸で」

エメクが俺をいじめる。

<了>
6115 ◆E9zKH0kZMc :2010/06/14(月) 06:13:40 ID:h0RIxRoa
キレハさんについては、本スレでやりたかったことはほぼやりつくされてたのと
そんなことをさせたらエメクがぬっ殺される結末しか思い浮かばなかったため
騎士と傭兵に関係する点を中心に取り組みました。ごめんねぱかぱかごめん
62名無しさん@ピンキー:2010/06/15(火) 15:04:48 ID:jo2wYhsF
神官は性交、結婚禁止らしいがエロパロ的に大ピンチだな
特に戒律厳しいユールフレール神殿所属の狂信者メロダーク
やはり性的なストレス発散のための全裸なんだろうな
神官グッド後だと独自解釈してて都合のよく歪めてくれそうだが
シーフォン殺害時もそうだったし
63 ◆1HLVKIREhA :2010/06/18(金) 20:03:01 ID:ecNIs+uW
地下とは思えぬ広大な空間を占有する、廃墟。
かつては繁栄を極めていたであろう町並みも、今は無残に朽ち果てた姿を晒している。
その薄暗い空間で、心許ないランタンの光と二人分の足音だけが生ある者の存在を示している。
「ったく。何なのよ、もう」
半ば呟くように同行者――キレハが愚痴を零す。
混沌としか表しようのない、何だか判らない化け物に襲われ、撃退したところだ。
死闘を展開したわけではないが、キレハの気持ちも理解できないではない。
悪条件が重なりすぎている。
まず、この廃墟は異界の類に通じているらしく、夢か現か判然としない世界を行き来している。
そのせいで、出口がわからなくなった。
しかも、移動の鍵の一つが睡眠であり、起きればこの廃墟の中。
肉体的には問題ないものの、眠った気がしない。
さらには廃墟に住み着く種々の化け物。
夢の中(と便宜的に呼ぶことにする)では生身の人間ともやり合った。
精神的な疲労が限界に近い。
その証拠に、キレハがこちらを見たかと思えば目を逸らしたりと落ち着きがない。
早めに脱出方法を見つけるなりしないと危ないかも知れない。
「待って。(クンクン)……これは」
と、キレハの敏感な嗅覚が何かを捉えたらしい。
この鼻のおかげで数多の危険を回避してきたが、今回は少し毛色が違うらしい。
「神聖な匂い、と言ったところかしら」
言われて辺りを窺うと、確かに化け物の気配はせず清浄な空気が漂っている。
それが神聖な匂いなのかどうかは自信がない。
崩れた跡を見る限り、古い神殿であるらしい。
何が祀られているかは判別できなくなってしまっているが、その神性に敬意を払いつつ、
「少し、休ませてもらいましょう」
――そうしましょう。
このまま休み無しでは宮殿の骸の仲間入りだ。
「い、嫌なこと思い出させないで!」
宮殿、という単語を聞いた瞬間、露骨に嫌そうな顔をするキレハ。
妄執と怨念が渦巻く宮殿の怪異が心に大きな爪痕を残したらしい。
物理的直接的でないものが多かっただけに、より恐怖を煽るものだったのは確かだ。
自分だって怖かった。
「ゔぅ〜……」
厨房が、風呂が、日記がと呻きながら弱々しく座り込む。
「……あなたも座りなさいよ、疲れてるでしょ」
ぽふぽふ、と埃を払ってくれたので、ありがたく座る。
もぞもぞ、と密着する位置に寄ってくる。
「な、何よ」
何も言っていない。
「これは何かあった時に離れないようにするためであって怖いとかそういうのじゃないから」
早口でまくし立ててくる。まったくもって正論である。
ここが安全であるというのも確実ではないので、警戒するに越したことはない。
やはり旅慣れたキレハは頼りになる。
64 ◆1HLVKIREhA :2010/06/18(金) 20:03:21 ID:ecNIs+uW
「……ふあ」
とにかく、ようやく一息つくことができた。
キレハが欠伸を漏らす程度には気を緩めても大丈夫そうだ。
二人とも寝入ってしまわなければ多少眠ることもできるだろう。
「じゃあ、お言葉に甘えちゃおうかしら……寝てる間に変なことしないでよ」
この極限状態で変なことができるのは相当の猛者だ。
そもそも変なこととは具体的に何だ。
「た、ただの確認だから深く突っ込まなくていいの」
特になければ少しでも休んだ方がいい。
「……おやすみなさい」
相当に疲れていたのか、目を閉じてすぐに静かな寝息を立て始める。
珍しく険のない安らかな寝顔を見ていると、何故か鼓動が早くなる。
一人で周囲を警戒しないといけない緊張感だろうか。
だが、心の奥は逆に凪のように穏やかだ。
「ん……ぅ」
気持ちよさげなキレハを見ていると、こちらも眠くなってくる。
こんな地下遺跡の奥深くで寝こけるわけにはいかない。
そう思えば思うほど、キレハの寝姿が眠りへ誘う。
少しぐらいなら、と魔性の囁きが眠気とともに滑り込んでくる。
寝ては駄目だ、という思考を最後に、意識が沈んでいく――。

――翌朝(朝かどうか地下ではわからないが)。
「……ばか。二人して寝ちゃったら危ないじゃないの」
目を覚ましたらキレハに叱られてしまった。
当然だ。
しかし妙に機嫌が良さそうなのは、気のせいだろうか。
「気のせいよ。ええ、気のせいですとも」
そう言うキレハの声は、半分笑っていた。




フラグの立っているツンデレキレハさんと鈍感主人公編
久しぶりに本編中の時間軸で書いた気がする
まぁ、純愛的にはグッドエンド後が本編ですよね
65名無しさん@ピンキー:2010/06/27(日) 17:04:08 ID:EfsaArCU
GJ!
あんど保守。
66名無しさん@ピンキー:2010/06/28(月) 12:13:54 ID:Wh8uvBqf
乙、なんで急にこんな過疎になった
67名無しさん@ピンキー:2010/06/29(火) 03:18:25 ID:t7hFbb+2
>>66
今規制がひどい上に、全年齢板は解除されてもpinkはまだのプロバもあるし
pinkではP2が規制されてるらしい
そのせいでどこもかしこも過疎がひどくなった
68名無しさん@ピンキー:2010/06/29(火) 10:33:27 ID:aniRWvdO
>>67
知らなかった、ずっと悩んでた良くないけどよかった
69暇だから規制小ネタ:2010/07/01(木) 12:27:45 ID:rwebTI0Z
【文芸】廃都物語4巻が好評発売重版決定されるも新刊せっつかれ処刑の危機
1名前:我輩がゼスφ★ 投稿日:1002/03/01 15:49:13 ID:???0?PLT10000
次回作かかないともしかして我輩ったら死んじゃうかも?!新作も乞うご期待!!1

2名前:アルケアでも774さん[]投稿日:1002/03/01 15:49:24 ID:gO6tuKA1
ふしゅるるる〜

3名前:アルケアでも774さん[]投稿日:1002/03/01 15:49:28 ID:5roHTkiBb
ぐごごごごご

4名前:アルケアでも774さん[]投稿日:1002/03/01 15:49:32 ID:GortkI3C
しゅおんしゅおん

5名前:アルケアでも774さん[]投稿日:1002/03/01 15:49:41 ID:3seobach
>>2-4
ハイパー商売上がったりだよタイム

367名前:-{}@{}@{}-アルケアでも774さん[]投稿日:1002/03/02 00:05:08 ID:tA1TUs11
>>358
余の串はまだまだあるぞ、なめるな


111名前:アクたん▲★[]投稿日:1002/04/01 11:22:33 ID:???0
全サーバ規制お願いいたしますー。
arhgadeum222111011alkea.netを絞り込みなしのalkea.netで。
解除なしでよろですー。
70 ◆1HLVKIREhA :2010/07/02(金) 17:45:47 ID:HtOnlTnS
事実は小説より奇なり。
無限の可能性を秘めた現実に対し、人間の想像力には限界がある。
人間という枠を超越した始祖帝であっても、限界が存在する点に変わりはない。
深謀遠慮を掻い潜り、何かが狂って産まれ落ちた二つの“可能性”。
これは、よく似た境遇の、しかし対照的な性格の、二人の少女の“現実”という名の恋物語。

「こんにちは、アイリ」
色素の薄い大人びた風貌をにへら、と崩して挨拶をする少女、フィー。
とある賢者に大河の辺で拾われ、育てられた。
人の役に立ちたいという想いを抱く純粋な心の持ち主である。
「……」
その挨拶に、無言で片手を上げて返す、アイリと呼ばれた少女。
とある義賊に大河の辺で拾われ、育てられた。
可愛い女の子が大好きという素敵な趣味の持ち主である。
その愛は主に彼女の妹と、目の前に立つ幼馴染の少女に注がれている。
「フィー。キスしようか」
「え、な、ええーっ!?」
気楽かつ唐突に言い放つアイリ。
驚き、慌てふためくフィー。
その力関係は、誰の目にも明らかである。
「き、キスなんてそんな、だって、お、女の子同士だし」
「フィーも男同士がいいんだ」
「そ、そうじゃなくて!」
短い一言二言で翻弄される様を見て楽しんでいる節もある。
しかしその楽しげな無表情に、フィーは気付かない。気付けない。
「えと、そういうのはやっぱり好きな人とじゃないとごにょごにょ」
「フィー、大好き。キスしよう?」
「……はへ?」
ぼふ、と音がしそうな勢いでフィーの顔が朱に染まる。
「フィーは……私のこと、嫌い?」
隙だらけの懐へ、身も心もするりと滑り込む。末恐ろしい手練手管である。
「そんな、んと、アイリ、私も、す、す……ゔー」
嫌いかと問われて嫌いだと言える性格ではない。
もちろん幼馴染の少女に対する好意は充分以上にある。
しかし。
突然の愛の告白への戸惑いと。
接吻という行為への躊躇と。
ついでに彼女自身の性格が、素直に口に出すことを拒む。
純情なのだ。
「嫌だったら、言って」
その混乱に乗じて、アイリが動く。
右手はフィーの細い腰を抱くように。
左手はフィーの赤い頬に添えて。
瞳は、フィーの瞳を見据えて。
唇を、フィーの唇に重ねる。
「んむっ!?……ぷ、はぁ」
「奪っちゃった。ふふ」
妖艶に無表情で微笑むアイリ。
あうあうと意味のない呟きを漏らしつつ照れるフィー。
「受け入れてくれて、嬉しい」
体重をフィーの胸に預け、甘く囁く。
この絶妙な殺し文句の前では、拒絶する暇を与えない早業へのツッコミは無粋。
と言うか、フィーはツッコめる精神状態ではない。
「あ、アイリ、あの、ね」
抱き締めるべきなのか、と両手が宙をさまよう。
「私も……アイリのことが、好き」
顔を真っ赤にしながら、恐る恐る腰に手を回しながら、自らの想いを吐き出す。
幼馴染、家族、仲間、友人。
好きと言える相手は数あれど、そのどれに向けるものとも違う名状し難き感情。
人、それを恋心という。
71 ◆1HLVKIREhA :2010/07/02(金) 17:46:07 ID:HtOnlTnS
ここでハッピーエンドとなるのは、よくできた恋物語。
しかしこれは、“現実”と言う名の物語。

「好き同士なら、もっとイイコトしてもいいよね?」
胸に顔をうずめたまま、いやむしろ積極的に胸に顔を押し付ける勢いでアイリが囁く。
「……へ?」
イイコト、などという抽象的な物言いでわかろうはずもない。
女の身体を知り尽くしたアイリの指が、フィーの肢体を這い回る。
「ひゃ、んんっ、アイリ……ッ?」
その繊細な指使いによって引き出される感覚が、快感であることもわからない。
「あんっ、や、やだ、何これえ」
未経験の性感の奔流にただただ翻弄される。
「大丈夫。私に任せて」
甘いはずの言葉に、危険な響きを感じ取り、
「食ーべーらーれーるー!?」
訳もわからず叫んだ言葉は、見事に未来を予言していた。




パラレル主人公カップリング編
何かそれっぽいのが二人産まれたから両方流しちゃえ、というアグレッシヴな白子族の神算鬼謀による超展開
やっぱり甘々いちゃいちゃを書いてると落ち着く
アイリは百合的な意味も含め俺のお気に入りだが、このスレじゃフィーが人気だよね
ふぃー×ぽんのカップリングの人気かも知れないけど
7215 ◆E9zKH0kZMc :2010/07/04(日) 18:09:43 ID:maGaKMJ3
>>70にGJしながら4000強エメク。酷くいかがわしい屁理屈をこねた上
元気に轢死する程度のグロさがあります。とりあぼんでご協力ください
7315 ◆E9zKH0kZMc :2010/07/04(日) 18:10:15 ID:maGaKMJ3
逃げ込んだ小屋の中でぺたんこにされてしまった体をつなぎ合わせる。おぞましくも驚異的な魔術は
殆ど息絶えてしまった仲間の手足を引き合わせ、失われた体温を呼び戻していた。どう見ても即死
していたけれど、今は再び起き上がって悪態をつきながら飯を食っている。やっておいて難だけれど
本当に正しいことなのだろうか。生殺与奪が思うままというのは神の摂理とか何かにものすごく悪い
気がしてなんとも釈然としない。かつて神の存在を疑うとアダに打ち明けた時、考えすぎだと言われ
たけれど、人の生老病死を扱う者がこうしたことに無頓着で本当にいいものだろうか。

「なにふてくされてんだよ。とっとと食っちまえ」

横からパリスに小突かれながら、渋い顔で干物を鵜呑みする。嫌なげっぷをひとつ、不平を並べた。
「もう読むだけでも憂鬱になるの。みてこれ、患部の状態に応じたQ&A、切断面が綺麗なとき→36頁、
欠損があるが残っている部分もあるとき→42頁、損傷が酷くて利用できない時→51頁、大きな欠損が
ある時→58頁、一部を残して大部分が損なわれている時→最終頁・付録治療チャート参照」
「なんだこりゃ」
「解剖図だな、フーン。さすが古いだけあって図版もかなり精密だ」
「分るのかよ」
「当たり前だろ、僕様を誰だと思ってんの?」
「ヘイヘイ、さっきまで死にかけてたとは思えねえな。いい加減ここらで寝ろ」
「アレだけやられても治せるとか、もうなんなんだろうねえ」
「なんだよ。僕様になんか文句あるのか」
「んーん違うよ。例えばさあ、切り傷なんかちょっとしたやつ治すじゃん。初めすっげー!と思ったけど
段々みんな大して驚かなくなるでしょ。そのうち骨折なんかでも治せるようになるじゃん、で、やっぱり
すごいなって感じしなくなってくるじゃない。この前なんか鎌持った女に追っかけまわされて首ころっと
落とされたけど結局治ったじゃん。あれってどうみても死んでるよね。まあ死んでたんだけど。それで
今度はこれでしょ。象に踏みつけにされたのに、今はいっしょに飯食ってうんこして並んで寝てる訳。
ほーんと人生って分らないわなあ」
7415 ◆E9zKH0kZMc :2010/07/04(日) 18:10:52 ID:maGaKMJ3
顔を見合わせる。衣服や床に残された猛烈な血痕は、いまだじくじくと染みて生臭い匂いを放っており
残骸をかき集めて持ってきた外套は、一体何が刺繍されていたのか分らないほどどす黒くなっている。
冷静になればこんな有様で普通に食事できたのもおかしい。ある種の感覚を失っていたことに気づき
血の気がひいた。いま彼の体を駆け巡っているのは、床に流れ出したのとは別のものなのだろうか?
エメクはうつぶせになって魔道書を広げる。
「でっかい犬っころに腕食いちぎられた時も、流石にこりゃ死ぬかと思ったけど新しく生えてきたもんね。
ここなんかみてよ『ポインインチェッ!傷跡を綺麗にしよう!』だってさ。生まれつきのあざって怪我とは
違うから回復魔法は使えないんだけどねえ?古傷の治療を応用して組織を無理やり引っぺがしてから
回復させれば、あざのない綺麗な皮膚になる、って書いてあるの。僕ももっと色黒になれるかもよ、まあ
火達磨にでもならなきゃいけなそうだけどねえ。だったら白くていいや。あとは背を伸ばすためにはワザと
怪我させて足の骨を伸ばす治療なんていうのもある。これってもう…なんなの?」
「……なんだよ。何が言いてえ?」
「わかんない。有体に言えば生命倫理の問題、みたいな?」
「へぇー。お前馬鹿だ馬鹿だと思ってたけど、少しは頭使うんだな」
「よかったね、おめでとう」
「は?」
「賢くないと他人の賢さってのは分からないもんだよね、お前も少しは大人になったって事じゃなーい」
「は?!」
「寝ろよ、うるせえ。お前もそのむやみな自信はどっから沸いてくるんだ」
「根拠なんかないよ、それよりここのチャート見るとさ、とりあえず最悪でも頭さえあれば大体は技術者
次第で回復させられるみたいなんだよね。へぼ神官しかいなけりゃご愁傷様ってなんかすごく嫌だわ」
「お前がヘボなのはみんな知ってるんだ、仮に誰か死んでも僕は責めないね」
「そもそも僕って神官じゃないしね」
「まだいってんのかよ、だから吟遊詩人だけはやめろつってるのに」
「お前の葬儀があったら盛大に歌ってやるからね。まかせとけーい」
「参列者全員ぶち殺す気かお前は!転がってくんなやうっとうしい」
「うーるさいなあもう。あ、そういやあさ、死体なんか偶に歩いてるじゃない。ああいうのってものすごーく
頑張って回復させてれば、そのうち元に戻ったりしないのかなあ」
「連中じゃあ…どうみても死んでるだろ、ちゃんと布団かけとけ。とっとと寝ちまえよ、まるで休めねえ」
「首がもげても治せる時代だよ?やってみなきゃわかんないじゃんねえ?それにある程度喋ってみると
ちょっといかれちゃってる感じはするけど、生きてた頃のことって完全には忘れてないと思うんだよねえ」
盗み見たエメクの表情は、どことなく夢見るような…薄気味悪さに肩をすくめる。
「宮殿にいた内蔵ぶん回してきてた奴なんか結構気があって楽しかったくらいだしなあ。でね、もし半ナマ
でできるなら、からっからのミイラとか骸骨でもいけるんじゃないかと思うんだよなー…」
「例の死霊戦士どもとかか。てか幽霊なんか体はもうねーけど記憶は普通に持ってるんじゃないのかよ。
プリンがープリンがーつって泣いてた奴なんか、やっぱ母親のこと忘れられなかったんだろうな」
「そだねー。悪いことしたな…せっかく覚えてたのに」
「記憶は持ってたとしても完全ではないな、例えば死ぬ直前のこととか強い思い入れがあることぐらいしか
覚えてないし執着を失えば簡単に消える。だからあの兵士も同じ話しかできないし、食い物で消し飛んだ」
「あー、メロダークさんに頼んだのは失敗だったよね……僕いまだに後悔してるもん」
「絶対奴の料理はくわねえ、魔法で治るからってそう何度もゲロはいてたまるか」
「僕も治療するのいや〜、でもフランちゃんだと許せちゃうのって不思議だよねえ」
「お前ら、僕は今そんなこと話してるんじゃないぞ」
「わかってるよ、要するに夢みたいなもんでしょ、死ぬときとか一瞬思ったことがなぜか体から離れてって
たまたま通りかかった誰かと一緒にもう一度同じ夢を見るの。あの人のプリンの思い出みたいに」
「まるでわかんねえ。ほれ、元の場所にもどれ邪魔だ」
「うん。なんにせよあれじゃご飯食えないし釣りもできないもの、この世に残っててもしょうがないよねえ」
「けっ、僕様は釣りなんかできなくても一向に構わないね。だから転がってくんじゃねえぞクソが」
「餓死したけりゃ釣りができなくてもいいんじゃない」
すね蹴りされてごろごろ戻っていった。
7515 ◆E9zKH0kZMc :2010/07/04(日) 18:11:29 ID:maGaKMJ3
「それで話は戻るけどもし骸骨からでも治療できるなら、もっと少ない部分からでも元通りに出来るんじゃ
ないかと思ってたの。拾ってきた本の結論から言えば頭、それも特定の一部分さえあれば、回復治療が
できるんだってさ。ずっと僕は一番大切なのは心だし、それは心臓の中にあると思ってたから吃驚した。
まあ確かに心臓がなくても復活はさせられるんだよね。でも頭がなくなったら治療できない。じゃあ心って
どこにしまってあるんだろ、やっぱ脳みその中なの?」
体を起こした魔術師は、腕を伸ばしてエメクの枕にされた術書を引っこ抜いて広げる。
「心は脳みその機能だろ、命が心臓の機能なようなもんだ。どっちも存在すると認識してるだけで質量の
ある独立したなにかがある訳じゃないね。この本によれば脳の大部分は回復できるだろ?運動機能とか
言語障害とかな。だけど記憶だとか性格とか個々人で違うことに関係する場所がなくなると、もう元通りに
戻せないし、無理やり治療したとしても別の人間みたいになるらしい…ほらよ、大体ここら辺に載ってる」
「そうなると、パリスの幽霊の話ってすごく示唆的だよね。もしかしたら心って、どうにかすると体の中から
切り出せるのかもしれない。もしくは、なんていうか…欲しいとこだけ複写するっていうか?多分、普通の
やり方しても絶対に出来ないことなんだろうけどさあ。そうすればもう、体なんかいらなくなっちゃうのかも
しれないな、魔法的に」
「それって、生きてる意味あんのか?」
「わかんない。でも僕の勘だけど試しちゃったやつはもういるんじゃないかと思うね、例えばタイタスとか」
「奴らは代替わりしてるだろ」
「うん。時々夢にでてくるけど、結構気さくな人のかな?いきなりだーれだ☆っていってきたからしーらね☆
つったら帰ってったよ。僕なんかのところまでわざわざ何しに来たんだろうねえ?誰かと間違えたのかな」
「おいおい、お前のんきに話してていい話なのかそりゃ?なんかメチャクチャやべえんじゃねえの」
「わかんない、よく考えたらタイタスだゆー☆って自分では名乗ってないか…。やっぱ人違いかも知んない」
「夢ってのは見聞きしたものがでてくるからな。大体14日周期で体験したことを再体験する夢を見るんだ」
「なーるほど。それじゃ縁も所縁もないのに出てくる訳だわー迷惑だよねえ」
「心配して損したな、もう今度こそ寝よ」
「そんなこといってさ。お前らも想像してみなよ、子泣き爺みたいな訳わかんないよぼよぼが枕元で熱心に
ごちゃごちゃ言ってくるんだぞ?気の毒だから付き合ってるけど妙にくっさいの、これが絶世の美女なら…
あ。タイタスが男だったとはどこにも書いてなかったよね?!どう?ねえどう?ねえねえ灯り消さないでよ」
「もう寝ろ」
「綺麗な子だったら求婚して困らせたいな」
「寝ろ」
「年増なお姉さんだったら寝てる振りして匂いかごう」
「三秒で寝ろ」
「おおエメク、私の声が聞こえますね…スンスン」
「寝ろ」
「年下そうならお兄ちゃんて呼んでもらいたい」
「いいから寝ろ」
「お兄ちゃん(はあと」
「寝ろ!!」
「おにーいちゃん みゃは☆」
「うっさいボケェ!」
「呼んでくれない…」
「寝ろ」
「エンダが呼んでくれないの」
「もう寝ろ」
「パリスぅ、僕もお兄ちゃんて呼ばれたいよう」
「知るか馬鹿やろう」
「エンダああああああああああああああああああ」
「「い゛やあああああああああああああああ」」
「お兄ちゃんて呼んでよおおおン」

「「死ね!」」
7615 ◆E9zKH0kZMc :2010/07/04(日) 18:12:46 ID:maGaKMJ3
以上、以前みかけた回復魔法の考察を延々と膨らましました
77名無しさん@ピンキー:2010/07/08(木) 20:51:27 ID:MHzykoli
なんか規制が厳しくて感想レスできない人が多いとか。
規制されてる人はeraスレを避難所に使ってるので、あっちで感想言ったり。
こっちで反応無くてもちゃんと見てるから安心してくれって。
そんなお話。
ttp://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/12839/1259237750/l50
78名無しさん@ピンキー:2010/07/09(金) 20:40:23 ID:s0TmhQLI
        ____ 
   ,イ  /___ \
. ∧ハ/  |´・ω・`|  \    (避難所の)みんな〜
 (       ̄ ̄ ̄    \nmm
  \..             ノつノ
..   \             人
●るよ●い●見●いるよ●●●る●●見て●る●●●●見て●るよ見てい●●●●るよ
●い●見●いるよ●●●る●●見て●る●●●●見て●るよ見てい●●●●るよ●い●
●見●るよ●●るよ●い●見●いるよ●●●る●●見て●る●●●●見て●るよ見て●

できそこないさんてヨコハマタイヤ的な笑顔ですよね保守 いつでも●ているよ
79名無しさん@そうだ選挙に行こう:2010/07/10(土) 15:18:10 ID:0yA/yGo+
あげとくか
80 ◆1HLVKIREhA :2010/07/14(水) 01:49:54 ID:6Ca2Q2FW
パーシャ・シバ・アラヌスの婚姻に関する知らせは瞬く間に広がり、多くの人々を驚愕させた。
結婚相手がホルムの若き領主であったことや、
その若き領主・キャシアスが勇気に満ちた男であったこと、
西シーウァとホルムの関係が落ち着いたこともそうだが
何よりも姫将軍が大人しく嫁に行ったことにある。
人々は永く続く第三王女の独身に呆れ果てており、彼女を娶る男気溢れる英雄を渇望していた。
キャシアスの出現は救世主の到来に他ならなかった。
西シーウァ国王ははキャシアスをパーシャの正式な結婚相手と認め、領土問題に端を発したホルムと戦の終結を宣言した。

「お前は、不思議に思わなかったか」
寝台の上、誰もが目を疑う程に大人しく腰掛けたパーシャが、声をかける。
隣に座るキャシアスとは、微妙な距離がある。
「ホルム奪還ならば、政略結婚よりも侵略の方が私らしいのではないか、とな」
物騒なことを、誇るでも自嘲するでもなく、事実として言う。
パーシャをよく知る者であっても、よく知らないキャシアスであっても、その言に否やはないだろう。
「単刀直入に言おう。私は、お前に惚れたのだ。キャシアス」
本当に飾るところのない告白。
ろくに言葉を交わしたこともないキャシアスは、首を傾げるしかない。
「お前は、私と戦場で二度も対峙しながらも、こうして五体満足でいる。
その強さが口惜しく、嫉ましく、しかし何か惹かれる」
乙女の、瞳。
愛しい人を語るその姿は、王女も平民も関係ない。
「私を打ち負かしたと言えばテオルもそうだが……お前と比べることすら憚られる」
テオルとは婚約者であったと聞いたが、どうやら王女の誇りと逆鱗に触れていたらしい。
あの己様の態度から、容易に想像ができてしまう。
シーウァとの戦争において味方だったとは言え、キャシアスにとってもあまりいい印象のある相手ではない。
「とにかく。私はその強さに惹かれ、戦場でのお前の姿が忘れられなくなったのだ。
この結婚も、まあ、私が無理矢理ねじ込んだようなものだ」
パーシャの語る裏の事情に、疑問が一つ腑に落ちる。
戦の相手国の地方の一伯爵に王女が嫁入りなど、政略結婚としては格の差が大きい。
「だから……お前が受けてくれて、嬉しかった。
たとえホルムを想っての行動だったとしてもな」
それは違う、とキャシアスが首を横に振る。
確かにホルムのためという意識もある。
しかし、どうでもいい相手と結婚するほどホルムのために人生を賭けているわけではない。
パーシャほどはっきり好きだと言い切ることはできないけれども。
「そ……そうか。そう、か」
パーシャの頬が緩んでいく。
戦場で見せる、獰猛な熱を感じさせる笑みではない。
温かい想いでとろけていくような、微笑。
怪物、姫将軍と称される面だけがパーシャの全てではないと感じさせる。
「これ以上惚れさせてどうするつもりだ、お前は?」
キャシアスとの距離を詰め、身を寄せる。
手に手を重ねる。
空いた手を、キャシアスの頬に添える。
「……ん」
柔らかく、唇を奪う。
81 ◆1HLVKIREhA :2010/07/14(水) 01:50:15 ID:6Ca2Q2FW
「続きはどうする?旦那様」
いくらキャシアスが鈍感であっても、嫁に誘われていることはわかる。
そしてそれを断る理由もない。
「ふふ、その気になってくれるのだな」
キャシアスの伸ばした手よりも早く、するりと着衣を脱ぎ捨てる。
その裸身の美しさに、息を呑む。
圧倒的な膂力から想像されるイメージとは違う、丸みを帯びた女性の身体。
適度に筋肉がつき、適度に引き締まっている神がかり的なバランス。
思わず、素直な感想が口からこぼれる。
「見え透いた世辞はよせ」
ここへ来て珍しくネガティブなパーシャの言を否定する。
見え透いていようが子供騙しだろうが、滑らかに世辞が出るほどキャシアスは手慣れていない。
「……ならば、言葉通りに受け取っておくとしよう。
さあ。抱いてくれ」
羞恥も躊躇もなく、直接に率直に求める。
その態度がパーシャらしさなのだろう、と理解する。
遠回しなのが苦手なのはキャシアスも同じであり、言葉通りにパーシャを抱き締める。
「ああ、やっぱりお前は逞しいな」
恍惚としたパーシャの声が耳朶を打つ。
キャシアスは朴念仁ではあっても、幼くはない。
抱けと言われて抱き締めて終わりでないことはわかっている。
経験はないが。
「ひゃっ!」
可愛らしい、声。
乳房に手を這わせただけで敏感に反応をする。
パーシャも初めてではあるが、行為への期待はキャシアスの比ではない。
「ふ、あ、そう、優しく頼む……」
しおらしく、艶を含んで、貪欲に、キャシアスの指を全力で感じる。
その声を、もっと聞きたい。
内に潜む何かに押されるように、キャシアスが愛撫を続ける。
「いい、自分でするよりずっと……ッ」
性感と充足感で気が緩んでいるのか、とんでもないことを口走る。
比較できる程度には自分で慰める行為に慣れているということ。
一言から導き出される推測が、興奮を掻き立てる。
82 ◆1HLVKIREhA :2010/07/14(水) 01:50:36 ID:6Ca2Q2FW
「もう、我慢できんっ」
上擦った声で唐突に、キャシアスを押し倒す。
キャシアスも腕力に自信はある方だが、恋する乙女のパワーには敵わない。
「やはりされるがままというのは性に合わんな」
目にも留まらぬ早業でキャシアスを全裸に剥き、既に熱く猛った剛直へ手を這わせる。
「なるほど、これが……お前は逞しいな」
誉め言葉のつもりなのだろうが、基準がわからない。
ついでにその部分だけを誉められても何やら気恥ずかしい。
「では、奪うぞ?……ふふ。私も奪われることになるんだが」
感情の昂りとともに、笑みに高貴な野性が混ざる。
獲物を求めて涎を滴らせる秘唇へキャシアスが呑まれていく。
「く、ううう、っ」
一度たりとも進入を許したことのないパーシャの隘路へと進入していく。
殴る蹴る斬る突くとは違う未知の痛覚にさしものパーシャも躊躇を覚えるが、それも一瞬。
今更止まるはずもなく、最奥まで咥え込んで離さない。
「……繋がった、のだな。キャシアス……」
大きく息を吐き、一つになった感覚を存分に堪能する。
鍛え抜かれた筋力が生むきつい締め付けに、パーシャの身じろぎだけでも背筋を快感が駆け上がる。
「ひうっ!?こ、こら、いきなり動くな」
どうやら、自分が主導権を握らないと気が済まないらしい。
「そんなに我慢できないと言うのなら、手加減なしで行くぞ」
目の端を光らせ、瞳の奥もギラつかせ、パーシャが腰を振る。
大きな動きで擦り上げられ、いつ絶頂を迎えてもおかしくない。
身体の相性は抜群である。
それは、パーシャの方にも同じことが言える。
「はっ、あっ、ああっ!」
初めてとは思えぬほどに快楽を貪る。
「く、るっ!はううっ、キャシアスッ、すきだッ、愛してるっ!」
夢中で愛しい人の名を呼ぶ。
寄る辺を探るパーシャの手を、しっかりと握り返す。
動きを合わせ、腰を突き上げる。
「はっ、だめ、ひぐうっ!!」
パーシャの声が切羽詰ったものへ変わっていく。
キャシアスも、そう長くはもたない。
「あ、イあっ、イッ、くう!!!」
ぎゅ、とパーシャの全身が硬直し、キャシアスを締め付ける。
同時に、キャシアスも登り詰め、精を吐き出す。
「……っはあああ、あ」
幸福に包まれた脱力感の中で、くたりとキャシアスの胸に倒れこむ。
「私は……欲しいものは手に入れる女だからな」
褥での睦言というには力強い宣言。
「まだまだ、こんなものじゃ済まさない。覚悟しておけよ、旦那様?」
ホルムの夜は、まだ明けない。




キャーレム番外、いつの間にかパーシャフラグが立っていたでござる編
俺にかかればパーシャもこんなに乙女だぜHAHAHA
書き分けができないだけとか言わないのが優しさですよ
政略結婚からじわじわフラグ立ててくのも好きなんだけれども、どう考えても長くなって終わりが見えない気がしたので最初からクライマックス
パーシャとかウリュウとかオハラとかレナとかユリアとかアイビアとかのサブキャラももっと流行ればいいのに!

あと、eraスレの方も見て●るので、ツッコミなり何なりそっちで書いていただければしっかり読んで次への励みにしますですぜ
83名無しさん@ピンキー:2010/07/14(水) 07:36:10 ID:5IbOEuZz
GJ!!まさかのパーシャ様に歓喜
でもごめん
>手に手を重ねる。
>空いた手を、キャシアスの頬に添える。
>「……ん」
>柔らかく、唇を奪う。
目が滑って空手とか柔道とか見えて俺が崩壊した
84名無しさん@ピンキー:2010/07/14(水) 17:08:50 ID:265KROKf
乙ww
85名無しさん@ピンキー:2010/07/17(土) 08:11:43 ID:ZIIu3pqe
乙乙
パーシャ好きなので嬉しい
8615 ◆E9zKH0kZMc :2010/07/20(火) 09:12:08 ID:RmApR2GX
誰もいないから保守しにきたという小ネタ3500。例の如く
NGワードにお働きいただきますようお取り計らいください

はやく元のようににぎわって欲しいですね。
8715 ◆E9zKH0kZMc :2010/07/20(火) 09:13:25 ID:RmApR2GX
静まり返った森の中で、がさごそと揺れる木立ち。足元でかったるそうな表情の精霊と連れが二人。
所在なさげにぼんやりと立ち込める霧の行方を眺めている。折々どことも知れぬ彼方からおかしな
鳴き声が反響しては小枝が降ってくるのだった。
「ねえ、その辺にして諦めたらどう?」
「だーめ。これはラバンがくれたんだもーん」
「だいたい、その格好はなんとかならないもの?」
「草の汁って落としにくいじゃない、洗うの面倒なんだもん」
「あなたもどうして平然としていられるの」
「だってエメクじゃん」
「…だってって」
「こだわりますな」
「このまま落ちてきたらどうするのよ…」
「だいじょーぶだよ、エメク頑丈だもん」
「それを問題にしてるわけではないのよ」
「心配ないって、いいから先にいこ」
「すぐにはぐれてしまうのではないかしらね」
「平気平気、ああ見えて勘はいいもの。休めるとこさがしてるからねー!」
なにか返事があったようだが是非如何よりさきに歩き出している。ふらっと立ち上がったルギルダは
おかしそうに枝の中を見上げてからついてきた。
「全然そういう風に見えませんよね…」
「ぼけーっとして見えるもんね」
「そういえば食堂で食中毒騒ぎがあったとき、ひとりだけ手をつけなかったからピンピンしてたわよね」
「おかしいと気づいたなら止めればいいのに…」
「酒場に来てさあ、メロさんの料理見るなり窓から逃げ出したんだよ。あんな素早く動くのはじめて見た」
「お客さんたちが次々倒れたから、初めのうちは酒場で出した料理が疑われていたのよね」
「そりゃ大変だ…」
「損害は体で支払えーって言われて、あれからしばらく雑用から雨漏り修理までこき使われてたよ」
「用心棒としては効果絶大すぎよね、黙って立ってるだけで皆嫌がって入ってこないもの」
「そりゃエメクと二人揃って裸踊りなんかすればねー。謝るくらいならやらなきゃいいのにさ」
「あの人はああだからともかく、エメクはどうなってるの?顔合わせるたび真顔で子供を持つならやっぱり
兄弟がいないとだとか、一緒に住む時にはこんな小さな家は駄目だとか、毎日毎日…まいにちまいにち
まいにちまいにちまいにち…いつか、いつか間違って死なせてしまいそうよ」
「えー…」
「キレハさんはまじめだからなー、あんなの適当に聞き流してればいいんだよ。ほとんど思いつきなんだし。
いまだにあたしのお婿さんになって、あたしのお母さんにお母さんになってもらうーとかいってるもんね」
「さっき、私も似たようなこと言われたような……カエル一緒に育てよう、だったっけ」
「あれは……プロポーズだったの?」
揃って首をかしげる。宮殿を突破したのが数日前、地下だというのに廊下からいきなり郊外の森の中に
迷い込んだのが昨日のこと。花摘みをしたり魚釣りをしたり悠々自適に過ごしているうち、偶然不思議な
泉で件の主を釣り上げたのだった。お駄賃で同行してくれると言うので、二つ返事で陸へ引き上げたが
重たいものはもてません、魔法も水しか使えませんと、助っ人というには少々ひ弱い女史である。
「……ところで、ヌメヌメしたものは好き?」
「うん、僕はルギルダさんのほうがもっと好きだけどな」
「え?いや、カエルのことなんですけど」
「うん、可愛いよね。一緒に育てようよ!お玉ちゃんにあんよ生えるの見てるとすっごくたのしいよ」
大体このような流れだったろうか。釣り針を枝に引っかけ頓挫したがあのままなら養殖工場の算段をつける
方向で進んだ訳だ。
「人魚見るなりやっぱ同居したくないとか言って撤回してたね」
「同居人じゃないですよ…フフ」
「へー、そうなんだー…」
「ところでよく街中でも頻繁に裸でふらふらしているじゃない?あなたもホルムの人も殆ど気にしてないよう
だけど。町に来たばかりの頃は、この辺りのお坊さんはそういう習慣があるのかと思っていたけれど、そう
いう事ではなさそうね。一体…あれはなんのつもりなのかしら」
「そういう修行があるんだ……」
「子供の頃からだからじゃない?エメク暑がりだもんね。いっつも勉強そっちのけで河で遊びまわってたし
素揚げすると美味しいとかいって昆虫食べたりして、ちょっと変わってるけど、…ま、あれで幼馴染だしさ」
「あのー、これって…あなたが拾ったって言う竜の子の話?」
「いや、さっきの人間」
「まるで生き別れの双子ね、妹妹って必死になるのはそれでなのかしら…」
「へー…エメクは昆虫が好き、と。めもめも……」
8815 ◆E9zKH0kZMc :2010/07/20(火) 09:16:03 ID:RmApR2GX
「いまだにおにいちゃんて呼んでもらえないんだってさ」
「さらに妹萌え、と…」
「家族が欲しいのかしらね…でもエンダは姿こそ子供でも何千年も生きてきた、竜の生まれ変わりですものね。
兄のように呼ばないのも無理はないと思うわ」
「妹だったら誰でもいいんじゃない。子供の頃なんか妹がほしいとか言っちゃって、パリスに結婚申し込んだり
してたんだよ。それで案の定すっごく怒らせちゃって井戸に投げ込まれたんだからー、二回くらい」
「井戸が使えなくなるじゃない…」
「よく死ななかったよ…もしかしてそれ以来かな?ちょっと聞いただけじゃ言ってることが判んなくなったのって」
「余程打ち所が悪かったのね…」
大きなため息をつくと、手を取り合って森を進む。次第にせせらぎが遠ざかったかと思えば不意に川端に出くわし、
大木の前のところまで戻ってきてしまった。
「この道で、あってるのかしら?」
「この霧のせいで、道がよく見えないよ。どうなってんだろ」
「ははは」
「あなた本当に道がわかるの?」
「それよりヌメヌメしたものは好き?」
「………」
「あ、そういえばあの魚人みたいなものって普段から泉に」
「い ま せ ん」
「キレハさん、匂いかなにかでわからない?」
「そうね……」
一瞬訪れた静寂の中に、わずかな声を捉えたようだ。慎重に風下を選びながら近づいていくと古跡
のなかで楽しげに語らう妖精と竿を担いだ少年が現れた。
「おや? 人間だ!」
「わーすごい!ほんものの妖精さんだー!お話で読んだとおりだよ」
「さっきいった友達だよ、やほー!釣竿取りかえしたんだよ。木の枝ごととってきちゃった」
「ほんとは乗りかかったところで折れて一緒に落ちてきたんじゃないかしら」
「エメクは全然木の実をつってないよ」
「エメクはそらで釣りしたよ、木の実を釣り上げたんだよ」
「エメクは魚釣りの名人だよ、大きな魚を釣ったんだよ」
「釣り針って結構痛いんですよ…」
「そっか、ごめんねルギルダさん」
「なにしに来たんだい?道を聞きたいのかい?」
「僕なら正しい道を教えられるよ!」
「えーでもみんな嘘つきなんでしょ?」
「違うよ、正しい道を教えられるのは僕だよ!」
「ほんと?でも僕誰が誰だかわかんないや。全然見分けつかない」
「そんなー」
「似てないよ」
「にてないよね」
「たしかにそっくり」
「似てないよ」
「キレハさんどうかしたの、そんな怖い顔してさあ」
「なにってあなた……」
「地上では裸がトレンドなんですか」
「妹のこと?それともメロダークさんのこと?」

「「あなたよ」」
8915 ◆E9zKH0kZMc :2010/07/20(火) 09:16:36 ID:RmApR2GX
「ああ。だってこの辺の下草はみんな露が降りてるから、普通に着てたら衣が濡れて寒くなるじゃなーい」
「いや、普通は裸のほうが寒いんじゃ」
「それに引っかき傷ついちゃうよ。ほら、さっきちょうどタイツもらったじゃん。黒だし染みも気にならないよ」
「そうっか!それじゃ僕これきてようっと。ネル有難う」
岩に腰かけて靴を脱ぎ、さっそく履こうともぞもぞ。優秀な珍獣使いがいれば安心だ、目をそらしたままの
キレハは小妖精に声高に問うた。
「あなたたち森を抜ける道順をs「ねえ、それより人魚知ってる?」
「しらない見えない聞こえない」
「見たこともないよ!」
「見なけりゃよかったよ!」
「全然知らないよ!知らないもん!」
「フーン…。美人だった?」
「美人だよ!美人!!!うわー、うぅわー…美人だもん」
「美人だ、よ!とても…か、かわ…、うふっ」
「エメクはひどいや、わかってて聞いてるんでしょ」
「ほんとのこと、いう…た、楽しい……一杯、いいた…いよ」
「じゃああてるね。正直ものはおまえだー」
「あたり! あたりだよ!」
「あんた天使や!こんなにわたいら喜ばしよってからに!!」
「ほんまもんの天使様や!大天使さまやー!うあああん」
「おにー!あくまー!えがしら黒タイツぅー!!ドーン!!」
「てんしかと思ったらエメクだったーうわーん」
「ご褒美に知らなくていいことを教えてあげる!この先一世を倒したら、一度戻って宮殿の東にある部屋の
壁の隙間を何度も 何 度 も 何 度 で も くりかえし探してご覧!きっとだよ!!」
そう言い残すと、小妖精たちは泣き叫びながら飛び去っていった。

SPを2獲得!カルマが10上がった!

<了>
90名無しさん@ピンキー:2010/07/20(火) 13:11:58 ID:eTRpOjfk
乙w
91名無しさん@ピンキー:2010/07/25(日) 01:08:17 ID:Kva3HrVd
>>80
何故出だしがTOの4章の導入部だしw
確かに攻め込んできたとこの説明でそれを思い出したがしかしw
9215 ◆E9zKH0kZMc :2010/07/25(日) 05:56:10 ID:K3qjbA5a
ただの思いつきで実験2000文字ちょっと
重要な場面が台無しです。本当に注意してください
9315 ◆E9zKH0kZMc :2010/07/25(日) 05:56:45 ID:K3qjbA5a
「これであやつがおとなしく来るだろうか……。不安だ」

>貴殿の出生の秘密について伝えるべき事あり。明日、一人で墓地に来られたし。
>                                         メロダーク

普段の性向を思うに、これだけ思わせぶりに誘った所で、別にどうだっていいよねーとか言い出して
普通に無視される気がする。多少迷ったものの左の空白にそっと一言書き加えた。

>おかしもあります。

「うむ。これでかなり確実性が高まったろう……いや」
だがエメクのことだ、下手すればさらわれる危険を予期して仲間やら食い物、使いの者までぞろぞろ
引き連れて菓子を受け取りに来るかもしれない。これでは殆ど隠密の意味がなくなる。というかこの
情勢下では最悪袋叩きにあいかねない。考えようによってはかなり際どい作戦なのではなかろうか。
書き損じを眺めていると段々頭が痛くなる。
「むしろ射幸心をくすぐるべきかもしれぬ……」

>来る八月、当神殿では聖歌隊を新規募集いたします。諸君の歌声で神様にご奉仕致しましょう!
>全寮制で食堂も完備、万全のバックアップ体制でお迎えします。

「思えば私も、その手でなした料理で国を救おうといわれたのが切欠であったな……」
とはいえだまし討ちのようなやり方というのはどうなのだろう。何より勘のいい少年の事だ、うさんくささに
通報されるやもしれん。もっとこう、明るく砕けた感じで誘うほうがよかろう。

>やあエメク、元気かい?私はとっても元気だよ。じつは君に話したいことがあるからひとりで会いに
>来て欲しいんだ。手紙で書くわけにはいかないとても大事なことなので、かならずないしょにしておくれ。
>それじゃ明日、お墓であおう!                            友人・メロダークより

「墓で会おう!といって誰がのこのこ来るか」
いっそ差出人が自分からだと分らせないほうがいいかもしれない。例えばだ……例えば。

>突然のお手紙驚かせちゃったかナ(^_-)-☆じつは、キミに大事な話が^m^おっとここでバラす訳には
>イカナイのだ\(-o-)/明日暇かなー?(*^。^*)よければ墓地で会いましょう (●^o^●)まってまーす
>(^.^)/~~~きてくれなくっちゃオバケが怖くて泣いちゃうぞ(-_-)/~~~ピシー!ピシー!お墓で待ってるゾ☆ミ

「転職、したいな……」
もっとこう、子供心をくすぐるものがいい。そう、例えば……夏の風物詩のような。

>エメク、暑い時期には肝試しだ。明日墓地であおう!                   メロダーク

「駄目だ…下手を打てば私が肝をつぶしてしまう。そもそも夜とか墓で待ちたくない、虫に食われる」
何をされるか分ったものではない。あのガキは侮れない。もっと端的に誘い出そう。ふざける余地の
ないお堅い文章ならまじめに出てくるかもしれないだろう。
9415 ◆E9zKH0kZMc :2010/07/25(日) 05:57:34 ID:K3qjbA5a

>墓場にてお待ち申す。一切他言無用。必ず一人でお越し下さるよう重ねて申し置く事これ在り。
>                                                   滅路堕悪

「……これでは果たし状だな」
立会人がいるとかいって大勢連れてこないとも限るまい。ここは思い切って全てを打ち明けてしまう、
という手もあるだろう。ある程度嘘をおりこみつつ、誘い出すのだ。

>エメクへ、実は私は神殿軍の密偵だ。無論君も知っていると思うが、現在世界は危機に瀕している。
>そこで一人でも多くの仲間の力を集め、巨悪に立ち向かう必要がある。才能溢れる君の協力を借り、
>悪しき帝国の野望を打ち負かしたい。ぜひ助けて欲しい。一人で墓まで来てくれ。    メロダーク

「フォースを信じよ……」
まかり間違ってこんな手紙を他の者が盗み見るようなことになっては、どうなるか判ったものではない。
手癖の悪いものが多いだけに用心に越したことはない、ここはもっと暗号的に記述すべきだ。左様、
勘のいい少年だけが意味をわかり、他の者達では読み取れない、そういったものでなくては……。
消えかけたランタンに灯油を継ぎ足し、紙くずの山を書き分け腰かけなおし、散々しくって書き上げた。

>こんにちは。この前はどうも有り難う
>ろくなおかしも作れないぼくねんじんで申し訳ない
>さりとて出来合いの料理ではかっこうもつかない
>レディもまんぞくできる一品をだしたいので料理の
>ルールつまり教本などを探してくれると嬉しい

「……悪くない、か。だが」
これでもまだ甘いかも知れぬ、万々が一ということもある。なにしろ学者肌のものも多い。この私が
簡単に書ける暗号などあっさり解かれるかもしれない。より手が込んだ手紙のほうが更に安心だ。

> エメクヘ。夏真っ 盛りいかがお過 ごし ですか?こういう 暑い日が続くと
>心 ..配な のは 熱中 症で す。一に水分 補給、二に風通し、三に体調管理
>と 続き ..ます が水 分補給の場合塩分も一 緒にとることが大切で すよ。
> 汗がしょっぱい 事か ら 分る ように、 水分とともに無機塩類が失われる
> ので、 水分 だけ を 取り 続ける とミネラルバランスを保とうとしてより多く
> 汗を かい てしまう ため にかえ って危険な状態になってしまうのです。
> 手軽 に 水分 と無 機塩 類を摂取できるレシピを仕入れたので伝えます。
>水250 ml に砂 糖 10g 塩0 .5g をくわえ、レモン汁で香り付け。これで吸収
>しやす い 比率 にな ..る ので 後は 適度に冷やしておけばいいだけです。
>健や か で快 適な 夏 を 過ごしてくださいね。草々


なんだか同じ手紙を十人に送らなくてはいけない気がしてきた。そうして今日も夜は更けていく…。
<了>

9515 ◆E9zKH0kZMc :2010/07/25(日) 06:02:31 ID:K3qjbA5a
出所は忘れましたがレシピ自体はまっとうなものですので
普通にお試しいただいて大丈夫です
96名無しさん@ピンキー:2010/07/25(日) 08:59:41 ID:QUnuClg5
乙でさ
97名無しさん@ピンキー:2010/07/25(日) 13:32:38 ID:M7jfldW+
gj メロさんの迷走ぶりに笑うしかないw
98名無しさん@ピンキー:2010/07/29(木) 20:29:59 ID:P5hqlWwK
エロパロとはちょっと違うんだけどさ
エンダって沢城みゆきで読めるよね
99名無しさん@ピンキー:2010/07/30(金) 20:57:05 ID:9OwSn1cq
騎士男とテレ子さんのってあるます?
10015 ◆E9zKH0kZMc :2010/07/31(土) 07:25:02 ID:uMP0mQJT
>>93-95の続き、■警告■相変わらず犯罪レベルのぶち壊し3600
とりあぼんのうえ自動保守としてあぼ〜ん列をご覧ください
10115 ◆E9zKH0kZMc :2010/07/31(土) 07:26:06 ID:uMP0mQJT
――その夜、一通の手紙が届けられた。

明け方を控え、白み始めた川面はひと時の凪を迎えている。神殿兵たちは不満をこぼしながらも
目深に衣を引き被り、焚き火を囲んで付き合ってくれている。散々書き直していた結果、寝過ごす
恐れが生じ手紙を出した足で墓場に来てしまった。大の大人が言う事ではないが一人で待つ場所
ではない。なんで私は"明日"などと書いてしまったか。今さら酷く後悔する。眠い。暇つぶしなどで
百物語なんかしなければよかったのだ…。

「……来たか、エメク」

「おっはよー!今朝はまた随分早いねえ、どうかしたの?」
「お早うございます、メロダーク様」
「うわー…こんな時間から墓参りがいるぜ、やっぱトレンドなのか?あのマント」
「占領軍の目をはばかってこんな時間に来てるんでしょうか…」
「この暑い盛りに正気の沙汰じゃねえ、祈った挙句に集団自殺でもしねえだろうな」
「そりゃ片付けが面倒だー」
「一人で来いと書いておいたはずだが。まあいい」
「早起きというより、徹夜してたみたいですね…」
「メロダークまでいるならオレなんかこなくて良かったんじゃねえか?」
「昨日捕まんなかったから話してないよ。どうかしたの?反省文でも書かされたみたいな顔じゃない」
「……我々が探索を続けている遺跡を、誰が築いたかはもう知っているな?」
「うんうん。それじゃちゃちゃっと片付けますかあ。こりゃあ今日も暑くなるよ」
「午前中、涼しいうちに済ませられれば楽ですもんね」
「よっしゃ、いっちょやるかしょうがねえ。オレはこっちから刈るから、お前らはそっちからむしってろ」
「うんお願い、ねえメロダークさんも暇だったら手伝ってよ。時給600Gでまかないつきってとこだけど」
…ああ確かに、ああ分った。こやつら、普段持ち歩かないようなものをいつもは着ないような服装で…。
「どうかしたの、いやに晴れ晴れした笑顔じゃない」
「お前たちは、墓の手入れにきたのだな」
「うん。もうすぐお盆が来るでしょ。でもこんな時だから、皆お墓参りができるかどうか分らないし。なら
せめて墓地のお手入れくらいしておいてあげたいものねえ。でも今は僕も大っぴらにうろつけないし」
「いや散々うろつき回ってんだろ、全裸で」
「最初はふん捕まるかと思ったけど案外平気なんだよね。まあ、さすがに寝泊りまではできないでしょ。
今いる所も便所掃除しなくていいからいいんだけどさあ。それはともかく、この二人なら両手利きだし、
早く草がむしれそうだからね。頼んで付き合ってもらったんだよ」
「エンダ一人でもよかったんじゃないか、ぱぱーっと焼き払ったほうが早えだろ」
「活けてある花まで燃えちゃいますよ、多分…」
「あの温度じゃ墓石が溶けるか割れるかしそうだよね」
「……お前たち、手紙を読んできたのではないのか」
「手紙?なんか貰ったのか」
「どなたかの恋文ですね…ふふ」
「これくらいの封筒の…よもや読んでいないのではないだろうな」
「ああ、あったねそんなの。どこやったっけ」
10215 ◆E9zKH0kZMc :2010/07/31(土) 07:27:32 ID:uMP0mQJT
死神の鎌をほうりだして座り込み、鞄からくちゃくちゃの紙の束を取り出したので皆で奪い取る。
「夜寝るときには、暑い時期でもきちんと窓に鍵をかけて…てこりゃアダ婆さんだろ、そっちは」
「新刊発行延期…と、払い戻し手続きのお知らせ?」
「テレージャのか、何でお前が持ってんだよ。こっちは」
「小麦粉は篩にかけた後、三回に分けて1)と混ぜ合わせ…」
「レシピかよ、汚ねえ字だな。よく読めるわあんた、そっちは」
「エンダに貰ったんだ、僕が釣りしてるところ描いてくれたんだって」
「…目と鼻の穴が二つずつあるところが似ている」
「ラバンていわれりゃそうかと思うだろうな。その紙はなんだ」
「占領記念やけっぱちセールこっそり開催のお知らせ、お一人様よりどり十点まで」
「これもエンダ様のお絵かきがしてありますね」
「うん。ご飯食べてるとこだよ。裏が白い紙でいらないやつがあったらちょうだい、また描いてもらうの」
「だから他人の手紙みたいなのがこんなにあるのか」
「あ、この封筒にはエメク殿とありますよ」
「ならこれじゃねえか?みせな」

>手袋二組 肌着(半そで三枚 長袖三枚) 靴下五足 ふんどし五枚(色移り) 黒ビキニ

「なんだこれ」
「…洗濯メモ、でしょう…か」
「クール!」
「なんかと入れ間違えたんでしょ」
「ああ、そうだな…」
「疲れてるとやっちゃうんだこういうのってさ、怖い話だよねー」
「ああ、そうだな…」
「少し眠ったほうがいいと僕思うよ、顔色あんまりよくないもの」
「ああ、そうだな…」
「大丈夫?そこの人たち、なんかむちゃくちゃこっち見てくるけど。一人で帰れそう?」
「ああ、そうだな…」
不穏な気配が大気を満たす。背後でふてくされていた男達がマントを脱ぎ捨てた。武器が抜かれる。
「びっくりした、一瞬全裸かと思った」
「そういう問題なのか、いや驚いたけど」
「そうだ。私は神殿軍戦士団の一員だ。お前を捕らえろ、それができなければ殺せ、と命じられている」
「いや脈絡おかしいだろ」
「ああ。私は犬だ」
「エッチなのはいけないと思います!」
「メロダークさんにお手とかお座りとかしたくない!キレハさんなら可愛いのに!ばかばか!!ちね!」
「そういう問題ではない!!貴様らも少しは驚け!!私が密偵だったといっているのだ!!!」
「いや。だって…なあ?」
「…あれで隠密行動ってさあ」
「あたしとしてもちょっと評価しかねます」
「なんだと?髪も髭もぼうぼうにして耐えてきたのに、無口を装って誤魔化してきたのに、何故だ!!」
「メロダークさんの顔立ちや端々に出る方言って……ユールフレール周辺に多いです、よね…」
「傭兵の癖に治療とか魔法とかできるし、たまにまともなこと喋るかと思や抹香くさいしな」
「たまに、だと…」
「そもそも流れの傭兵なんてのはほんとただの食い詰め者とか、ヤサグレ軍団すら追い出されるような
半端者かその反対の一人でも仕官の当てがあるような途方もない人間ですよ。メロダークさんはどっち
でもないじゃない。それにね」
10315 ◆E9zKH0kZMc :2010/07/31(土) 07:28:05 ID:uMP0mQJT
エメクは立ち上がって手紙を懐に押し込める。というか、褒められたのか貶されたのか分らない。
「本気で隠そうと思うなら防御はしちゃいけないよね。ご加護があるのがすぐに分るよ」
「……忘れていた」
「むしろ神殿騎士団の厨房で何かやらかして縛り首にされかけた脱走兵とか言ったほうがマシだよな」
「ああ、なんだその手があったか」
「初めからそれでいけばよかった」
「酒場でやらかした時は確信したよね」
「民間人の発想は柔軟だ、参考になる」
「己、貴様らまで……ええい!!許さん!!!覚悟!!!!」
僧兵たちが、じりじりと間合いをつめてきた。足元の園芸道具を左右に押しのけ迎え撃つ。機を探って
にらみ合い、じわじわ陣を整える。水平線に日出の一閃が瞬いた。突如煙幕が視界を奪い次々鼻面を
殴られ横様に崩され踏みこたえた瞬間、大きく息を吸った少年は喉を震わせ声を張り上げる。

「「「やめてー」」」

口々に悲鳴を上げ草むらに獲物を取り落としてうろたえ機を逸す。がくがくパリスに揺すぶられながら
詠唱する少年の前で膝を折り、腰を抜かしたまま河へとまろび飛び込んで、偽傭兵だけがしかめ面で
太刀を振るうやエメクの兜が気持ちよく音を立てたのが関の山、かえって腕が痺れて歯に響く。
「すごい、橋の妖精たちと同じです。飛び込んじゃいました」
「くっ……さすがだ……」
「もが!もごごああ!!うむああああ!!!むももあああ!!!」
「暴れんな!!オレらまで戦えねえつってるだろうが!」
「違う、これは夜明けじゃない…お二人とも落ち着いて!殺気を感じます!」
「あんたもいい加減にしろ!どう考えてもこいつとか人違いだろ!」
「だがそれでも……任務を果たさぬわけにはいかない……!」
「うるせえ!あれをみろ!!」
断崖から逆光に沈む人影が腕を伸ばして這い上がってきている。筋骨逞しい禿頭、一本角、照り返し。
「こっちくんな!!」
「もー泉から遠いんだもん、こんなとこ登ってくるなんて大変だったんだぞ☆ぷんぷん!」
「変態です!変態変態!!!」
「とうとう見つけちゃったゾ〜〜♪頑張り屋さんのワ・タ・シ(はあと」
「なんでなんでなんで?なんで人魚が陸地を這いずり回ってるの?なんで今こんなとこにいるの?」
「覚えてろっていったじゃな〜い♪んもーイケズなんだからぁ(はあと」
「そうか。我等の徹夜の怪談話が魔のものを呼び出したのだな……ああよるな汚らわしい!!!」
額にさっくり食らって武器を弾き飛ばされのめってなお膝が落ちない、腕を振りほどき駆け抜ける。
「ここで……まとめて共に死ね!」
「えっ ちょっ、まっ」
「ぐえぁ」
「エメク様!!!」
「わああ!!あの野郎!!もうどうすりゃいいんだよおお!」
水しぶきが確認できたが浮かび上がってこない、慌てて武器も鎧も投げ捨て駆け出した。フランが不良
巫女をたたき起こす間にパリスは岸に沿って下流に走る。死ぬな死ぬなと繰り返しその名を叫んだ…。
やがて朝日がホルムに陸風を吹かせ始めた。

<続く>
104名無しさん@ピンキー:2010/08/02(月) 21:54:41 ID:1VDhWyKn
酒場で堂々と同人誌を描くテレ子
部屋にこもって深夜通して原稿に向き合うしーぽん
二ペン流でお手伝いするフラン
全力で手伝いたがるアルソンさん
裸体のモデルになりたがるメロダーク
801本のネタにされて凹むパリス
ノリノリでコスプレするネル先生
なし崩し的にそれに付き合わされるキレハ
最近の作品は随分変わったもんだと感心するラバン爺
混ぜてもらえず暇そうなエンダ

思いつくだけならタダっすよね
105名無しさん@ピンキー:2010/08/06(金) 14:18:38 ID:0qbr+H6C
やっと規制解除だ
15 ◆E9zKH0kZMcさん乙!
106名無しさん@ピンキー:2010/08/15(日) 21:44:13 ID:UUGOQlzp
保守がてらこちらで15 ◆E9zKH0kZMcさん乙
107名無しさん@ピンキー:2010/08/15(日) 23:13:12 ID:q2tjx1yM
ろだ投下乙です
ついにエメクも忘却界入りか、続きもお待ちしてます!
108 ◆1HLVKIREhA :2010/08/16(月) 18:46:41 ID:bcRdzUm5
――ウリュウが愛しくて堪らない病を患った。
本人に言ってみた。
「どうにかして下さい」
「……」
あぁっ、『頭の方の病気なんじゃないの』と言いたげな顔をしてらっしゃる。
ある意味大正解。
「……私に、何をしろと?」
「辛抱堪らんのでちゅっちゅしたいです」
「キミは本当に自由ね」
褒め言葉として受け取っておこう。
「けしからん格好をしているのがいかんと思うのですよ。
戦闘狂なのか露出狂なのかはっきりしていただきたい」
「戦闘狂ではないわ。自由でいたいだけ」
「パクリ剣技で何をおっしゃっているのやら」
「……」
「ごめんなさい」
視線だけで人が殺せそうだよ、この人。
「まあ、いいわ。そこまで言うのなら……キミの“自由”を感じさせなさい」
「望むところだと言わせていただこう」
薄く微笑むウリュウにゾクゾクしながら、気合を入れ直す。
気合を込めて、ウリュウを抱き締め、口付ける。
「んっ、ふ」
鍛えているはずなのに、マントの下は柔らかい。
もちろん、触れ合った唇も柔らかい。
女の子の身体は何でこんなにどこもかしこも柔らかいのだろう。ふしぎふしぎ。
「もっと、触れて」
「わお。積極的」
頼まれてしまっては断れない。
頼まれなくても触るけどな。
マントの合わせ目から手を突っ込む。
「おおぅ」
なんと。この感触は間違いなく素肌。
「全裸マントとは間違いなく露出狂」
「下着ぐらいは着けているわ」
「む……あ、本当だ」
まさぐってみると、確かに胸と下腹部は布に覆われている。
「ひあっ」
……誰ですか、この可愛らしい声は。
もう一度。
「あんっ」
やべぇぜ兄貴!普段が冷たいだけに破壊力高い!
「ふふ。いいわ、上手よ」
「お褒めに預かり恐悦至極」
形のいい乳房をもにもにしていると、段々と体重をこちらにかけてくる。
「はふ、ぅん」
自分の手がウリュウを感じさせている。
艶のある声を引き出している。
その事実が、病を加速させる。
「好きだ、ウリュウ。大好きだ」
もっと乱れた姿が見たい。女としてのウリュウを独占したい。
強い想いに突き動かされ、下半身へ手が伸びる。
「っふ」
下着が、微かに湿っている。
汗なのか別の液体なのかは判断できない。
「汗じゃないわよ」
「読心!?」
「気持ちいい、ということ。続けなさい」
「はいな」
気持ちがいい、と言われると俄然やる気が出る。あるいはヤる気。
109 ◆1HLVKIREhA :2010/08/16(月) 18:47:01 ID:bcRdzUm5
「あ……あ、そこ、いい……っ」
そこ、とはどこだ。
恥ずかしながらこういう経験は皆無なので、自分が何をやっているのかよくわかっていない。
よくわかっていないので適当にやろう。
「ここかー、ここがええのんかー」
「んんっ……ああ……たまらない、わ」
指に、汗ではないらしい液体が絡みつく。
気持ちいい、のだろうか。
「そろそろ……キミの主導権じゃ物足りないわ」
「っではう!?」
綺麗に脚を刈られ、盛大に倒れこむ。
……押し倒すにしてももう少しムードとかをですね。
「少し、じっとしていなさい?」
優しげな言葉を吐きながら、抵抗する隙を与えない早業。
卓越した身体能力の無駄遣いである。
「あ……っ、はぁ」
ずらした下着の脇からウリュウの膣内へ呑み込まれる。
「う……おっ!?」
「ふふっ、気持ちいい?なんて、聞くまでもなさそうね」
「気持ちよすぎ、ッつか、もう、訳わからん……!」
真っ白な思考に電流が走る感覚。
ウリュウが腰を振っているのか、自分が腰を突き上げているのかもよくわからない。
「んッ、ちゅ」
「むぅ、ん、ふっ」
貪るような接吻。
切れ長の目が、射抜くように見つめてくる。魅入られる。
「あン、あぁ!」
「ウ、リュウ……ウリュウ……ッ」
「あっ、これっ、いいとこ当たってる!
もっと、もっと突いてぇっ!!」
乱れ、翻る黒髪がやけに強く視界に残る。
「う、あー、あ」
「いいわよ、全部だしちゃいな、さいっ!」
ぐ、と締め付けられた瞬間。
「出、る……!」
「あはっ!あ、ん……アツいの、いっぱいぃ」
呆気なく絶頂を迎え、白濁液をぶち撒ける。
「はああ……私も、似た病気に罹ったかも知れない」
気だるげな表情で、倒れこむように抱きついてくる。
その呟きが、耳を侵す。
もう、ダメかもわからんね。
「……大好きだ、ウリュウ」
「そんなことをほざく奇矯な人間はキミが初めてよ」
最後にもう一度、甘いキスをする。

――なんやかんやで後始末を終えて。
「……それで、病気は治りそう?」
「悪化しますた」
そりゃあもう。
ウリュウが愛しくて切なくて心強い。
「そう。じゃあ、また逢いましょう。
病気で苦しむ様を眺めて楽しむことにするわ」
「うわっはぁ!イエスマム!」
ドSに見せかけたツンデレだこれ!
110 ◆1HLVKIREhA :2010/08/16(月) 18:47:30 ID:bcRdzUm5
ウリュウとフリーダムにちゅっちゅしちゃうぞ編
他所で見かけたネタをフリーダムにパクる暴挙第二弾
男がフリーダム過ぎて書いてる俺にも誰なのかわからん
ついでにウリュウのキャラもこんなんでいいのかわからん
ウリュウのマントの下は何であんなにエロいんだろうね

しかし規制のせいか雑談が少なくてネタ切れ気味だっぜ
111名無しさん@ピンキー:2010/08/16(月) 23:19:34 ID:Ulq+CmiR
まさかのウリュウGJ!
ウリュウ先生の太ももはガチ。
しかしアイビアはじめスリット&生足コンボが何気に豊富なゲームだと気付く
112名無しさん@ピンキー:2010/08/17(火) 21:24:13 ID:2X/Ncu2o
「お帰りなさ〜い!
 お風呂にする?
 ご飯にする?
 それとも……わ・が・は・い?」

うたた寝してたらこんな感じの夢を見た
113名無しさん@ピンキー:2010/08/20(金) 15:15:45 ID:izOPqjeB
変態だ
114 ◆1HLVKIREhA :2010/08/20(金) 23:09:14 ID:OrTQZPtU
「アイビアー!俺だー!結婚してくれー!」
びくぅ!!と、部屋の隅で膝を抱えていた女魔将が怯む。
くれー、くれー、くれー……と遺跡内に反響音が残る中、さらに男は畳み掛ける。
「スリットから覗く生足に一目惚れしました!
一服盛るぐらい構いません!
っていうか盛られたいです!
薬を盛られるぐらい愛されたい!
むしろ愛してます!
俺のために毎朝お味噌汁を作ってください!
ついでにおみ足を舐めさせてください!
嘘です!ついでの方が本命です!
アイビアの色気のせいで俺の欲望が劫火の王国!」
支離滅裂な愛の叫びが放たれるたび、アイビアが引いていく。
夜種を呼び出す余裕もないほど涙目である。萌え。
「その野暮ったい魔将の衣を剥ぎとりたい!
物理的にも概念的にも剥ぎとりたい!
魔将なんか辞めて俺の嫁になってください!
もっと可愛い服とかエロい服とか着てください!
ああでも魔将の衣のチラリズムもそれはそれでエロくていいです!
あれ、アイビアが着てるのって舞姫の薄衣だっけ?
まあどっちでもいいや!エロいから!」
じりじり後退するアイビアに、溢れる愛を説きながら接近していく。
「さぁ!こんな暗い穴倉の生活からおさらばしましょう!」
「でも……」
差し出された右手への返答は、躊躇。
肯定ではないが、拒絶でもない。
「ええい、何を迷ってるんだか知りませんが、始祖帝の器を舐めるなよ!
アイビアのおみ足は舐めさせてください!
大事なことなので二回目ですよ!
始祖帝の呪いなんか俺の熱いキッスで解いてみせましょう!
なんならもう今ここで奪う!」
初心な少女のように弱々しく首を振るアイビアのフードを剥ぎとり、唇を重ねる。
「んむっ!?」
驚きで見開かれた瞳が、徐々に潤んでいく。
「……っはふぅ」
「はい、お姫様の呪いは綺麗さっぱり消えてなくなりました!めでたしめでたし!」
最初から最後までクライマックスな勢いのまま、強引にハッピーエンドを引き寄せる。
いや、まだエンドには遠い。
「んじゃ帰りますですよー」
どこかへ視線が飛んでいるアイビアを、横抱きに抱え上げる。
「ひゃん」
「おお、軽い軽い」
至近距離にあるはずの顔よりも右腕に抱えた脚の方へ視点が固定されたまま、遺跡を出るべくぽてぽてと歩いていく。
と。
「ハハハハッ!」
どこかで見た騎士達と夜種が争っている。
先頭に立つのは、どこかで見たテオル。
「おや、貴公も化け物退治か?」
「そんな感じです」
「にしてはなかなか余裕のある姿だな」
「あ、やっぱわかりますか?
まあ、未来のお嫁さんですから」
「ハハハッ。何にせよめでたいのはいいことだ。
己たちは怪物どもを掃討してから帰ることにしよう」
「はい、おつかれさまでーす」
高笑いを残して去っていくテオル。
夜種を造っていた張本人が目の前で抱えられているなどとは夢にも思わないだろう。
「ひゃっはー!!うまくいったー!愛してるよアイビアー!!」
「……ふん、だ」
115 ◆1HLVKIREhA :2010/08/20(金) 23:09:34 ID:OrTQZPtU
>>111が名前を出すから筆が滑ってヴァラメアの魔女を娶っちゃったぞ編
真面目に口説き落とす方向だと何か重そうなのでギャグに走る
意識はしてないけどゲイナーっぽくなった自覚はある
そしてアイビアが何かもう普通の萌えキャラと化してるんですが誰ですか貴女は
何か都合のいい展開なのは、彼の中のタイタスに魂が惹かれたんだとか都合のいい設定を補完してください
でもこいつこんなこと言ってるけど、この後女神落としたり泉の精とぬるぬるしたりするんだぜ、きっと
116名無しさん@ピンキー:2010/08/21(土) 00:57:48 ID:BJKhm5UP
始祖と同じ偉業をなす者ってそういうことか!
117名無しさん@ピンキー:2010/08/21(土) 18:27:18 ID:MVK5eCY0
うむ、ザコの護りを剥いで生足スリットの魔将に襲い掛かる興奮は異常。
118 ◆1HLVKIREhA :2010/08/22(日) 21:27:16 ID:E3gciyfB
広大な空間に、微かな水音が響く。
「ふぅ……」
「うぅ……」
疲労感をまとめて排出するようなため息と、何かに耐えるかのような呻きが重なる。
後者の発生源は、折角の温泉だというのに膝を抱えて縮こまっている。
すらりとした長身がここまで小さくなるものなのか、といっそ感心する。
「もっとリラックスすればいいのに」
「どういう姿勢で入ろうが私の勝手でしょう。っていうかあんまりこっち見ないで」
御機嫌斜め四十五度である。
しかし全裸のキレハを前にして、見るなというのも難しい注文だ。
どうにかして隠そうという姿勢が想像力と好奇心をかき立てる。
「……なに?」
そして警戒感をあらわにする小動物みたいな雰囲気が微笑ましい。
「いくら興奮しても嫌がる相手を無理矢理襲うようなケダモノじゃないから安心したまへ」
「興奮してるのね……」
すすす、と若干距離をとられる。
「そういう問題じゃなくて、そもそも見られたくないのよ」
「さいですか」
それなら入らなきゃいいのに、とか。もっと離れれば湯気で見えなくなるだろうに、とか。
言うとまた御機嫌斜め加減が傾きそうな気がするので、心の中にしまっておく。
「綺麗なんだから隠さなくてもいいのに」
「き……ッ!?み、見ないでって言ってるでしょう!」
「すみません」
おっこらーれたー。
褒めても駄目とは、乙女心って難しい。
「まあ、たまにはゆっくり寛いで下さいな。いつも気を張ってると疲れるでしょ」
「別に気を張ってるつもりはないのだけれど」
「そう言いなさんなって。他人の世話は焼くくせに自分のことは一人で抱え込むんだもんなあ。
少しは頼ってくれないと、寂しくて死んじゃうよ?」
「いえ、でも。その……迷惑じゃ、ないのかしら」
「迷惑なんかじゃないさ。少なくとも、俺はね。
弱いところを見せられる程度には信用されてるってことだろうし」
「信用……してないのかしらね」
ぶくぶくぶくと顔の下半分辺りまで沈んでいく。
こういう姿を見ると、頼ってもらいたいという想いが強くなる。
とにかく、言いたいことは言い切った。あとはキレハの心の問題だ。
「……」
「……」
――ぶくぶくぶくぶくぶく。
水面に、泡沫が浮かんでは消える。
何を思っているのか、表情からは窺い知れない。
見上げると、湯気の向こうに岩の天井。
遠くには炎の鳥の啼き声が聞こえる。
「……ありがとう」
ようやく顔を上げたキレハが、ぽつりと呟く。
「あなたの言葉で、少し気が楽になった。
あなたが私のことを想ってくれているのが伝わった。
私も、あなたのことを……だから。ありがとう」
ふわりと蕾が開くような微笑。
胸が締め付けられる。鼓動が高鳴る。顔が熱い。
「い、いや、まあ、うん」
先程までよく回っていた舌の動きが、魔法にかかったように覚束ない。
「顔、赤いけど大丈夫?のぼせちゃったかしら」
「大丈夫だ。が、そろそろ上がろうか」
「そうね」
何気なく立ち上がり、こちらの視線を辿り、数瞬思考し、慌ててざぶりと座り込む。
「こ、こっち見ないでってば!」
「……すみません」
ばっちり見ましたけどね。
119 ◆1HLVKIREhA :2010/08/22(日) 21:27:37 ID:E3gciyfB
キレハと二人きりの温泉混浴編
本編では普通に入ってた気もするが、恥じらう方が可愛いから気にするな
俺は気にしない
とりあえずこれでキレハと四つの塔は制覇したかな
しかしウリュウ・アイビアの流れが抜けてないのか、普段の無口風主人公と違ってノリが軽すぎる
120 ◆1HLVKIREhA :2010/08/30(月) 21:39:50 ID:st10+YiT
一切レスのつかない、俺独りしかスレに残ってないんじゃないかという孤独感
それでも投下いたしますですよ
いつかまた賑わう日を信じて……!
121 ◆1HLVKIREhA :2010/08/30(月) 21:40:10 ID:st10+YiT
「キャシアス様、きついところはございませんか?」
気遣わしげに伺いを立てるフランに、目線で問題ない旨を伝える。
「はい。では、参りましょう」
差し出されたフランの手を取る。
いつものメイド服ではなくドレスでめかしこんだフランは、とても美しい。
華美ではないが、落ち着いた雰囲気でシンプルにまとまっている。
同じく正装したキャシアスと並んで歩いているのを見て、主従と受け取る者はいないだろう。
「お、遅いぞ主役」
ホールに入ると、珍しくちゃんとした格好のラバンがまず声を上げる。
その声につられて他の参加者の視線も集中するが、フランが歓談を続けるよう促す。
ホルム伯キャシアス・グリムワルドの結婚披露宴である。
挨拶等の形式的なことは終え、今は立食での自由時間である。
「フランもよく似合ってるじゃあないか」
「ありがとうございます、ラバン様」
女性の服装を自然に褒められる辺りに、豊富な経験の片鱗が見て取れる。
キャシアスには無理である。
「で、他の女性陣はまだなのか?」
「あたしはキャシアス様のお世話もありますし、着替えやすいドレスにしてもらいましたから」
つまり、もっと豪華なドレスが出てくるということらしい。
「きゃ〜し〜あ〜す〜……」
と、地の底から響くような声とともに、何かがキャシアスの肩にのしかかってくる。
有能なメイド忍者が気付けないような存在。ではなく。
単に友人が声をかけてきただけである。
「幸せになって、幸せにしてやれよう」
パリスもパリスなりに正装をしてきている。
既に酒が回っているのか、その顔は赤い。
「もう……おめでたい席で絡まないでよ、兄さん」
やや下方から澄んだ声が響く。
こちらは兄と比較にならないほど着飾っているチュナ。
短いスカートと、対照的に長く大きく腰にあしらわれたリボンが年齢相応の可憐さを印象付ける。
褒めてやれとでも言うようにラバンの肘がキャシアスの脇腹に刺さる。
そんなことをされても、キャシアスの脳内に女性への賛辞は在庫がない。
可愛いよ、とありきたりな一言に心を込めるぐらいしかできない。
「あ、う、うん。キャシアスにそう言ってもらえると、その、嬉しいよ……えへへ」
頬を染めてはにかむ姿は、年若いとは言え一人前の恋する乙女だ。
そう。彼女が本日の主役の一人。
領主様ったらロリコン、と評判の幼妻である。
「チュナを泣かせたりしたらぶん殴ってやるからな」
義母亡き後二人きりで寄り添って生きてきた最愛の妹を無二の親友の嫁に出す、その胸中は複雑である。
そして多分殴り合いになったらパリスでは勝てない。
「そんなこと、キャシアスがするわけないよね?」
一歩、チュナがキャシアスに近づくと、自然な動作でその肩を抱く。
身長差からは兄妹にも見えるが、その仕草には特別な絆が感じられる。
誰よりもチュナをよく知るパリスの目からすればなおさらだ。
「チクショウ、お前らなんか幸せになっちまえばいいんだー!!」
やり場のない想いを叫び、走り去る。
「……兄さん」
「わしが行こう。あいつもそろそろ妹離れしないとな」
ラバンが、颯爽とパリスの後を追う。
こういう時、人生経験の豊富な年長者は頼りになる。
122 ◆1HLVKIREhA :2010/08/30(月) 21:41:39 ID:st10+YiT
「……可哀想なパリス、ってね。やっぱ父親みたいな心境なのかなー」
「がじがじ」
「ああほら、折角おめかししてるのに食べ散らかさないの」
ちょっと湿っぽくなってしまった場へ、明るい空気を撒き散らす二人組が現れる。
明るい色でゆったりとしたシルエットのドレスを着たネル。
動きやすいデザインのものを選んでなおドレスに着られている感のあるエンダ。
肉に齧りついている口元をぬぐってやるその微笑ましい姿は、こちらの方が親子に見える。
二人ともよく似合っている、とやはりありきたりな台詞を吐くキャシアス。
自発的に出てくるようになっただけ少し進歩が見える。
「でしょ。ネルおねーさんは何を着せても似合っちゃって困るよ」
「エンダはもうぬぎたいぞ」
「はいはい、もう少しだから我慢して」
放っておくと本当に脱ぎかねないエンダをやんわりと押さえる。
腕力で対抗できるネルは、お守りにぴったりだ。
「しかし、チュナちゃんはアツアツでうらやましいね」
「う、や、これはその」
未だに肩を抱かれていたチュナが、慌てて一歩退く。
「照れることじゃないって。むしろ私がそこに収まりたいぐらい」
「ふむ、確かにこの逞しい腕は魅力的だね。キレハくんもやってみたまえ」
「……こう?」
空いたキャシアスの両腕に、二人の女性が抱きつく。
「あっ、ずるい!ていうかテレージャさんはともかく、キレハさんはそういうキャラじゃないでしょ」
「いえ、その。何となく」
テレージャに流されてやってはみたが、やはり少し恥ずかしそうにしている。
「めでたい席で細かいことは気にするものではないよ。
それよりもキャシアスくん、私達に言うことはないかね」
言外に褒めろと主張する。自分で言っては台無しである。
それでも特にツッコミは入れず、綺麗だ、とどうしようもなくありきたりな表現しか出てこない。
「……そう素直に来られると照れるね」
若干頬を染めて乙女ちっくな反応をするテレージャのドレスは、胸元のがっつり開いたセクシーなもの。
「気取った言い回しができないだけだと思うけど」
照れくさそうに冷めた意見を口にするキレハが着ているのは、
身体にぴったりと張り付いてラインを浮き出させる、別の形で色っぽいドレス。
「むう。フランちゃんも何とか言ってやりなよ。
『あたしだってキャシアス様に抱いてほしいでゴザルよ、ニンニン』とか」
「あたし、ニンニンなんて言いませんってば」
「……ツッコむところはそこでいいのかなあ」
しっちゃかめっちゃかである。
「やあ、みなさんお揃いだと華やかですね!」
さらに場をかき乱しそうな騎士様が何かを引き摺って現れる。
「ちょ、放せよ、僕はこんなところ……ッ!」
「……」
見たことのある、赤毛の少年と長髪の中年。
「ラバンさんが走っているのを見かけて、外を覗いてみましたらばったり出くわしましてね。
遠方からわざわざ祝いに来てくれる!素晴らしい友情ですね!」
アルソンとエンダを除くほぼ全員が、来るとは思わなかった、という顔をする。
招待状を出しておきながら、ひどい扱いである。
招待されていながら外から覗いているだけだった二人にもそれなりに問題はあるが。
「やはり私は祝いの席に居るべき人間では」
「何を言ってるんですか!祝おうという気持ちがあればそれで充分なんですよ!」
「正論だけれど、祝われる当事者が言うべき台詞だね」
「けっ。僕様にはハーレムの主様の気が知れないね。
女なんて面倒くさいだけじゃないか」
123 ◆1HLVKIREhA :2010/08/30(月) 21:42:00 ID:st10+YiT
「とか言っちゃって、本当は羨ましいんでしょ?
あ、テレージャさんちょっと詰めて」
憎まれ口を叩くシーフォンに見せ付けるように、ネルがキャシアスの腰の辺りに抱きつく。
「ばっ、バカじゃねーの!?全然羨ましくなんかねーし!」
「ぉー。エンダもまぜろー」
逆の腰に、エンダも抱きつく。
「……キャシアス様」
きゅ、と後ろに控えたフランが服の裾をつまむ。
「チュナ。ここ、変わるわよ」
「あ、えと、私は別に」
いい口実を見つけたとばかりにキレハがキャシアスの片腕をチュナに譲る。
「遠慮しないの」
「……えいっ」
気合を入れて、腕に抱きつく。緊張した顔は、数秒で緩んでいく。
キャシアスと六人の花嫁の合体である。
キャシアスは埋もれてわけのわからないことになっている。
「仲良しで大変よろしいですね!僕も混ざっていいですか?」
「それはやめておきなさい」
「シーフォンとメロダークも来てたのか……って、うぉ。何だこれ」
混沌としているところへ、パリスとラバンも戻ってくる。そして驚く。
「はっはっは。枯れてそうなキャシアスがこうなるとは、人生ってのはわからんなあ」
枯れているからかも知れない、とキャシアスは思う。
好きだと言われて悪い気はしないし、誰もが素敵な女性だ。
しかし、そこまで。そこから先の、男女としてどうこうという意識が希薄なのだ。
だからこそ全員を受け入れるという選択肢を選ぶことができ、
だからこそ未だに誰か一人を正妻として選ぶことができない。
「魅力。人徳。言葉にしてしまうと陳腐な部分ではあるね」
それでも。
「うりうり」
こうして囲まれていることが。
「がっついてないから逆にモテるのかもね」
愛されていると確かに感じられることが。
「こういうことって、やっぱり細かい理屈じゃないと思う」
とても幸せだ。
「そうですね。あたし達の想いは唯一つ」
願わくは。
「ええ。理屈も打算も抜きにして、キャシアスのことが」
彼女達も幸せでありますように。
「「「「「「大好き!」」」」」」
124 ◆1HLVKIREhA :2010/08/30(月) 21:42:20 ID:st10+YiT
キャーレムルート編最終話、俺達のハーレムはこれからだエンド
長々と放置した挙句、俺の力量ではやはり書き上げることができず、虚無の彼方へ放り投げる結果となってしまった
もし続きを期待されている方がいたら誠に申し訳ない
◆1HLVKIREhA先生の来世にご期待ください

しかし全員出すと恐ろしいことになるね
誰とは言わんが、毎回大人数で書いてる職人さんはすごいぜ
125 ◆DhjaoUVh9. :2010/09/02(木) 00:38:49 ID:51f5cd94
>>124
お疲れ様でした。来世マダー?


過疎緩和の為に巫女と妖術師の非エロ。
1261/1 ◆DhjaoUVh9. :2010/09/02(木) 00:39:20 ID:51f5cd94
 乾いた風が夏の終わりを予感させる。
 白い簡素な装束を纏った痩身の女性が立ち並ぶ民家の一件を訪れた。
「デネロス、デネロス!」
 彼女は戸を激しく叩きながら家主を呼ぶ。
「居るのはわかってるんだよ! 姿を見せな!」
 その巫女は繊細そうな容姿に反してかなり強気だった。
 しばらくして、カチリと金属音がした。
 建付けの悪い扉の向こうから長衣を纏った男性が大きな欠伸をしながら現れる。
「おはようございますアダ様」
「もう昼過ぎだよ」
 呆れ顔の巫女の言葉に、デネロスは眩しそうに空高く昇った日を見上げた。
「朝方まで調合しておったもんでのう、仮眠のつもりがつい寝過ぎてしもうたようじゃ」
 またも欠伸をしながら寝癖だらけの頭を掻く。
「その事だけど、近隣の住民から苦情が来てるんだよ」
 魔術師はふむ、と腕組みをした。
「夜中に大きな音がするとか怪しげな煙が昇るとか爆発するとか……」
 報告された内容を伝えていた巫女が彼の変化に気づく。
 こくりこくりと頷く姿は相槌ではない。
「話の最中に寝るんじゃない!」
 舟を漕いでいたデネロスは怒鳴り声に目を覚ます。
「聞いておるとも。つまり儂にこの町を出ていけと言いたいのじゃろ?」
「えっ?」
 神殿から禁忌と定められている魔術を扱う彼にとってはよくある話なのだろう。
「そこまでは言ってないだろう。ただ、自宅での実験を控えておくれ」
 生来の気の強さと共に優しさも兼ね備えた巫女はある提案をした。
「森の辺りに魔術用の小屋でも立てるといい。そこなら文句言う奴はいないさ」
「アダ様は優しいのう。神殿の巫女でありながら儂のような異端者にも情けを掛けて下さる……」
 男はわざとらしくしなを作ってよよと泣き真似をする。
「ああはいはい、わかったからこれからは気をつけるんだよ」
 巫女も真面目に相手にするのが馬鹿らしいと受け流す。
「……なんじゃ、つまらんのう……」
 立ち去ろうとする巫女装束の裾が翻るのを見た魔術師が些細な悪戯を思いつく。
 背中を向けた巫女にそっと忍び寄って……
「ほれ」
 薄い尻を逆手で撫で上げた。
 甲高い悲鳴が乾いた空気に響き、何事かと人々が振り返り、窓から顔を覗かせた。
 デネロスはカカカと愉快そうな笑い声を上げていたが次の瞬間、それは断末魔の悲鳴に変わった。
 大気が振動する。
 野次馬達が見たものは、顔を真っ赤にして平手を喰らわせる巫女と張り飛ばされる妖術師の姿だった。
「こ、のっ…………不埒者!」
 怒気を纏ったままのアダが歩き出すと群集は二つに割れ、彼女に道を譲った。
 後には無様に倒れたままの魔術師が残された。

 巫女が魔術師を張り飛ばして森へ追いやったという噂は、翌日にはホルム中に知れ渡っていた。
127名無しさん@ピンキー:2010/09/02(木) 00:40:55 ID:51f5cd94
鍵の書継承後にホルムに来たらしいけどいつの事なんでしょうね、という感じのあれ。
三十数年前だとしてもおそらく二人とも二十代後半から三十代。
128名無しさん@ピンキー:2010/09/02(木) 04:59:55 ID:Jw/h7/K/
この発想はなかったw GJ
129名無しさん@ピンキー:2010/09/02(木) 12:51:58 ID:bywNgJVX
若いのにジジイ言葉な妖術師と尻を触られて慌てる姉さん巫女うめえwGJ!
130名無しさん@ピンキー:2010/09/02(木) 17:02:56 ID:6/u095qF
GJ、アダ様かわいいなw
1311/3 ◆gABKABFcCo :2010/09/02(木) 20:01:59 ID:k3Ga+Vgv
>>124
ハーレム完結乙&GJでした。あのキャシアスになら女性陣全員任せられる、むしろ奴になら囲われてもいい
>>125
神殿の巫女と異端の魔術師って…いいよね…! GJですぞう

以下、キャーレムに影響されたはずなのにどうしたこうなった物を少々
※危機感知※
裸体など、破廉恥な表現が含まれています


 切欠は「畑の近くの森で夜種らしき姿を見た」という農夫の言葉だった。
 戦争も遺跡の混乱も収束したとはいえ、未だ癒えぬ傷を抱えるホルムの人々にとってそれは噂で片付けられるほど軽いものではない。
 来たばかりの新領主からエメクへ調査依頼がくるのも、あながち無理な話ではない。
 確かに自警団を送られるよりは慣れた自分達の方が確実だとエメクも思うが、それでも一人では心許ない。
 自分の領地に戻ったアルソン、それぞれの旅に出たラバンとフラン、胡散臭い店が忙しいパリス、すっかり鍛冶屋が板についたネル
 遺跡調査に忙しいテレージャと何故かつき合わされているシーフォンとキレハ。
「ちょっとバランス悪いけど……大丈夫かな」
「やれと言うのならやろう」
「ういうい!」
 こうしてアダ特製魚の干物とぱりす屋の野菜スープを携えた、持ち前の勘と腕力で強引に道や扉を切り開くパーティーは結成された。

「ひまー。つまらーん」
 三等分では足りず他人の魚までガジガジと齧りながら進むエンダの頭を撫でつつ、エメクはほっと胸を撫で下ろした。
 目撃地点からさほど離れていない洞窟に当りをつけて進んだが、いるのは小動物ばかりで夜種らしき影はどこにもなく、
 行く手を阻む罠も食らったエンダやメロダークが気づきもしない程度のものしかなかった。
「そろそろ終わりそうだが、気を緩めるな」
「はい」
 自分を守るように半歩前を歩くメロダークの背に答えるが、その後姿からも安堵が伝わってくるようだった。
 ただ一人、エンダだけは物足りなさそうに唇を尖らせているが、夕食時にでもなれば機嫌も直るだろう。
 この洞窟を踏破して異常はなかったと報告すれば領主も住民も納得するだろう。影はきっと、疲れた心が見せた幻影だったのだろう。
 例えまた現れたとしても、タイタスの力と叡智が失われた今、アダとデネロスと供に張りなおした結界を越えられるほどの力を持った夜種が出てくるとは考えにくい。
 その時は改めて退治すれば良い。
 不満そうなエンダには悪いが無事に終わりそうな予感に、エメクはふうと肩の力を抜いた。 そう、黒いカーテンと白い煙が表れるまでは――
1322/3 ◆gABKABFcCo :2010/09/02(木) 20:03:40 ID:k3Ga+Vgv
「第一回! 夜種王杯争奪☆一番エメきゅんに相応しいのはだーれだ☆たいかーい!!」
 最初からクライマックス(全裸)な真・夜種王がそう叫ぶと丸いテーブルを囲んだ他の夜種王たちも一斉に歓声をあげた。
 野太い振動で大地が揺れ、パラパラと小さな欠片が降ってくる。
「ぬはぁーん! 吾輩、胸が高鳴るぅ〜!!」
「ぬははははは! その高鳴り、吾輩の唇で収めてくれるわぁッ!!」
 いきなり頬を紅潮させて胸元の黄色い星を揉みしだき始めたマーメイドの顎をツイとさらい、純白のドレスに身を包んだプリンセスがブチューーっと熱いキッスをかます。
 地獄のような光景にも関わらず魔神や教授はやんややんやと囃し立てる。
 肴なのだろうか、ちくわやチーズの入ったちくわ、キュウリ入りちくわにちくわinちくわ、そしてなぜかこれだけ板についたままのかまぼこを貪り食っている。

 変態だ。

「エメきゅんにご奉仕するにゃん☆」
 なぜか猫耳をつけてそれらしいポーズまで決め、まずは魔神が高らかに声を上げる。
 魔法のランプから全体を出すと全裸なのだが、あれが服という認識でいいのだろうか?
「お黙り泥棒猫! あの人……エメきゅんの唇は吾輩だけのものなんだかぬぁんっ!!」
「吾輩の胸の星はエメきゅんのものぉーーーッ!!」
「この鍛え上げた肉体一つで勝ち取ってくれるわぁーーーッ!」
「心理テストで彼のハートを真っぱだカーニバル!!」
「もはや隠すのもめんどくせーーー!!」
 あちこちでバリィ! と布や黒い丸が破ける音が響き、見れば円卓の周りは肉色の全裸狂宴となっていた。
 腰を突き出し魅惑のブラブラダンスを舞い、エメクの名が木霊する様はまさに悪夢。
 
 変態だ。

「助けてアークフィア様」
 地獄より悲惨な光景が広がる現実に、エメクは頭を抱えながら思わずそう呟いた。
「ちくわ……じゅるり」と涎をたらすエンダと(うずうず)と参加したそうにしているメロダークはもう当てにならない。
 突撃などしたくない。想像はしたくないが大変なことになるのは火を見るよりも明らかだ。
 だがしかしこのまま放っておくわけにもいかない。
 報告通り夜種がいたのだから、これを放置したとなれば徐々に回復しつつある神殿への信頼が再び地に落ちてしまう。
「エメきゅんは吾輩のものっ!」
「いーや吾輩だ!」
「そこは吾輩というべきだ!」
「逆に考えて吾輩だろう」
「シンプルに吾輩で!!」
(吾輩ばっかだ……!)
 とぼやきつつ鈍い痛みに襲われる頭を抱えるとポコン、と何かが当たる。
1333/3 ◆gABKABFcCo :2010/09/02(木) 20:04:46 ID:k3Ga+Vgv
 カラコロと転がるそれを手にとって見ると、騒動で飛んできたのか、綺麗にかまぼこを食べた後の板であった。
「……あ」
 瞬間、電撃的に脳裏を駆ける既視感。それは遺跡の最奥、聖なる泉でつりをした時のこと。
 あの時も親切な女神は無駄な時間をすごさないように、とかまぼこ板のようなものに言葉を託してくれたではないか。
 普段ならゴミ袋に入れるのだろうが、状況が状況だけに縋れるものには縋りたい。
 自分以外にも頼れるものが出てきたのかもしれないのだから。
 祈るような思いで飛んできたかまぼこ板を見ると、そこには赤い小さな文字がびっしりと書き込まれ――いや、浮き上がっていた。

また他のひとの元へ行くなんて許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない
許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない
許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない
許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない
許さない許さない許さない許さない見ているよ許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない
許さない許●ない許さない許さない許さない許さない見ているよ許さない許さない許さない許さない許さない
許さない許さない許さない見ているよ許さない許さない許さない●さ●い許さない許さない許さない許さない
許さない●さない許さない許さな●い許さない許さない許さない●●ない許さない許さない許さない許さない
許さ●ない許さない許さない許●まるい許さない●さない許さない許さない許さない●さ●●許さない許さない
●さない●●ない許さない許さな●許●ない許さ●●い●さない許さな●見て●●よ許さない許さない●●さない
見てい●許●ない許さない許さ●い見てい●よ許さない●さ●●許さない●●ない見て●るよ許さない許さない許●●●
許●●●い許さない許●な●見ている許さない許さない●●●ない許●ない許さな●許さない許●ない許●ない許さない
許さない許さない許さない許さない●さない●てい●よ許さない許さない許さない許さない見ているよ許さない●さな●
●●な●●さ●●い許●●●許●ない許さ●い許●見て●●許さ●い許さな●てい●よ●さ●●許●●い●さない●●●●●

 みているよ

===
嫉妬深いヤンデレ女神様って人間臭くていいよね、という方向でどうか一つ
134名無しさん@ピンキー:2010/09/03(金) 12:09:36 ID:Zjr9kJQu
>>131
前口上に油断してたらもう嫌だ夜種王www
ヤンデレ怖えーよ! GJでした
135名無しさん@ピンキー:2010/09/03(金) 17:47:27 ID:F25uR6wR
へたれキャシアスのラブラブハーレムから夜種王ハーレムへ辿り着いてしまったあなたにはこの言葉を贈ろう

変態だ。



この投下ラッシュというか久々の賑わいは規制解除とか何かそんな感じなのだろうか
136名無しさん@ピンキー:2010/09/03(金) 19:47:29 ID:LtQsIull
>>131
変態だ。(古代語でGJの意味)
女神はあれにも嫉妬するのかw


>>135
元からいたけど投下できないような代物ばかり書いてました。
137名無しさん@ピンキー:2010/09/03(金) 21:16:52 ID:F25uR6wR
できそこないから夜種王まで受け入れるこのスレで投下できない代物とは・・・ごくり
1381/2 ◆gABKABFcCo :2010/09/03(金) 22:15:06 ID:87tfDI5I
>>136
You投下しちゃいなよ

昨日の今日で申し訳ないが、暑くてなんかムラムラして、気がついたらできてたブツをば
神殿主人公'sが姉弟で異変が起きるずっと前(十三〜四の難しいお年頃)の話
※危機感知※
「エロ味が足りない」

「エメク、エメク。どこです」
 夕陽も女神の大河の向こうに落ち、夜の帳が下りた頃。巫女長が近辺の村に出た神殿に残る巫女の凛と澄んだ声が響き渡る。
「いま行きます」
 読んでいるもののさっぱり頭に入らない本を閉じ、呼ばれたエメクは姉の声に応えて自室を後にする。
 開けた石造りの神殿は声をあちこちに反射させ音の迷宮を作り出すが、それに惑わされることなく声の主の元へ辿り着く。
 マナはいつも通り、礼拝堂の聖杯の姿をした神体の前に佇んでいる。
「どうしましたか、姉さん」
「……話があります。こちらに」
 貧相な燭台の上で揺れる炎に照らされたマナの顔は、いつもの固く神秘的な造りではなく淡いながらも感情が滲み出ている。
 橙の灯りを頼りに二人は、神体の裏へと回り込んだ。
「ここに来るのも久しぶりですね」
 小さい頃はよく二人でこうして蹲るように隠れていたものだ、とエメクは微笑する。
 人とは違う髪や眼の色をした彼らはとかくからかいや八つ当たりの標的になりがちで、幼いながらも感情の圧殺を強制させなくてはならない事が多々あった。
 ここはそんな運命を強いられた、たった二人の姉弟が逃げ込める場所。
「もう子供ではありませんから」
 それも長じて神殿の手伝いを始めた頃にはぱたりと止んだ。
 常に近くに巫女長がいるプレッシャーと、僧服や巫女衣装を纏った二人の幻想じみた神々しさが人々から悪心を取り除き、強い信心を生み出した。
 しかし人々が敬虔になるのと引き換えに、じわじわと黒い染みが二人を汚し始める。
「エメク。あなたはもっと強く神官の自覚を持つべきです」
「……?」
 瞼を閉じて苦々しそうに切り出した姉の言葉に首を傾げる。
 彼女ほど信心深くない自覚はあったが、それを補おうと書庫にある本を読み、仕事にも励んできたつもりだった。
「僕の何がいけないのでしょうか」
 何が彼女にそう思わせないのか、どうしても心当たりを見つけられないエメクは素直に問う。
「……夕方、」
 ぎゅっと巫女服を握り締める手をぼんやりと見つめながら、言われた頃の出来事を思い出す。
 夕方は今日の夕食やポララポ用にとアダに頼まれていた果物などの食材の買出しに二人で広場に出ていた。
 町の人々に声を掛けられながら買い物をしていると久しぶりにネルに会って、話していると「何か作りに行ってあげようか?」と言われたりもした。
 それは悪いからと断ると家へ駆け戻って、余り物で悪いけど、とゆで卵のサンドイッチを分けてもらい、家路に着いた。
「サンドイッチ美味しかったですね。明日にでもネルとおばさんにお礼を言いに行かないと」
「それはそうですが……そこではありません」
「え、じゃあ……」
 いよいよわからないと首を傾げると、マナがばっと顔を上げる。頬が上気しているように見えるのは、小さな炎に照らされているからか、それとも。
1392/2 ◆gABKABFcCo :2010/09/03(金) 22:17:17 ID:87tfDI5I

「お、女の子と親しくしすぎるのは、止めなさい!」
 珍しく声を荒げる姉に思わず仰け反る。元々丸い目を更に丸くして、はっと我に返って口元を手で覆う赤みを帯びた顔を見つめる。
「わ、私達はアダ様に拾って頂きました。そのご恩に報いるためにも、立派な聖職者にならなくてはなりません」
 言われてそういえば駆け寄ってきたネルに腕を組まれたな、と思い出す。
 どちらかといえば加速によって力を増したタックルを食らわされたと言いたいのだが、彼女にはそう見えなかったようだ。
「いらない誤解を招かないよう、己の言動に気をつけ……」
「誤解しているのは姉さんではないですか」
 露になっている肩に強い力を感じた瞬間、少年と青年の狭間で揺れるエメクの顔で眼前が覆われる。
 鼻と鼻がくっつきそうな近距離で吐息の温度を感じ、マナは思わず身を硬くした。
「エ、エメ」
「確かにネルは大事な友人ですし、可愛いです」
 普段伏せがちな目を広げて自分を見る姉を真摯に見つめ返しながら、肩から手を離し所在なさげな手を取る。
 時に畑を耕し、時にけが人を癒すその手は白く、細い指は一度も汚れたことがないかと思わせるほど透き通る様に白い。
「でも僕は彼女を……いえ、他の女性をそのように思ったことはありません。
 姉さん」
 微かに引いた顔と顔の間に取った手を持ち上げ、手の甲に唇を寄せる。
 ん、と小さな戸惑いの声があがると同時に唇を離し、代わりにぎゅっと強く握り締める。
「姉さんだけです、ずっと」
 もう片方の肩も離し、背中に回してぐっと細い身体を抱き寄せる。
 長い銀髪がサラサラと自分の頬を撫でる感触が心地よく、エメクは瞼を閉じてそれを楽しむ。
「久しく姉さんが構ってくれなかったから、寂しかったのかもしれませんね」
 明らかにからかいの色を含んだ言葉に、呆然とされるがままだったマナが慌てて身を捩る。
 しかし自分と同じくらい白い肌の下はいつの間にか年相応に逞しく、片手で拘束されているにも関わらずいくらもがいてもビクともしない。
「エメク! からかうのは……」
「からかう? 何故?
 姉を愛して何がおかしいのですか?」
 耳元で囁きながら髪を弄るエメクの手はただひたすら優しい。
 そうされている内にマナの激しく波打っていた感情も徐々に凪いで、全身を弟に預ける。
 肩口に顔を埋めてすぅと息を吸い込むと、うっとりするような安堵感に包まれた。
「姉さん」
 遠慮がちに片手で背中を掻き抱き、もう片手で短めに切られた髪を撫でるマナに呼びかける。もう、拒絶はない。
 それに満足して口を噤み、後はただ互いの身体を撫であう。聞こえるのは、微かな衣擦れだけ。

 暗闇に包まれた静かな礼拝堂の神体の裏で、姉弟はいつまでも、周りから相手を遮るように抱きしめあっていた。
140名無しさん@ピンキー:2010/09/03(金) 22:58:06 ID:F25uR6wR
大人っぽいけどヤキモチ焼きなマナがええのう
で、続きは?アークフィア様に見守られての近親とか背徳的な続きはどこですか!?
141 ◆1HLVKIREhA :2010/09/04(土) 22:10:09 ID:zQOZsH91
「ふんふんふふーん」
軽やかな鼻歌とともに、黒髪が翻る。
長く艶やかなその髪は、動きやすいように一本に結わえられている。
「ふんふんふんふん」
弓を手に馬に跨り荒野を駆け回っている時よりも活き活きと、家事に励む。
いいお嫁さんになると町でも評判だ。
結婚という形式を経ていないだけで八割方お嫁さんみたいなものだが、本人は頑なに否定するだろう。
キレハは、照れ屋なのだ。
「ふふんふふー……ん?」
そのキレハが、何かを見つけて掃除の手を止める。
「これ、って」
人目に触れぬよう巧妙に隠されたその本は、表紙からして紛れもなくアレでソレないかがわしい本。
もちろんキレハのものではなく、同居人である彼女の恋人のものであろう。
それなりの年頃である以上取り立てて珍しいことでもないが。
「……私じゃ不満なのかしら」
自罰的な性向のキレハは、自らに責を問うてしまう。
こんなによくできた恋人がいるのに、と憤ってもいいところだ。
「何が不満なのか、わかるかしら」
などと呟きながら、机に向かいぱらぱらとページをめくる。
好奇心に負けた自分への言い訳ではなく、本当にそう疑問に思っている辺りが“よくできた恋人”たる所以だ。
「……ぅわ」
あまり質のよくない紙面に踊る、煽情的な女体。
免疫がないわけではないが、若干怯んでしまうのも無理はないだろう。
それでも、自らに足りない部分を健気に分析するべく読み耽る。
「うーん」
着衣の乱れた勝気そうで豊満な肉体の女性が主導権を握っている。
全体の傾向をまとめるとそういった表現になる。
胸に手を当て、本の中の女性と見比べ、複雑な表情をする。
内に流れる混沌の血脈を忌み嫌ってさえいたキレハが、自分の身体の美醜を客観的に判断できるはずもない。
「やっぱり、もっと大きい方が……?」
乳房をやわやわとした手つきで揉みしだく。
決して卑下するようなものではない。
サイズは平均的。
張りのある感触。
つんとした美しい形。
巨乳ではないが、美乳。
そして感度は。
「……んっ」
自分の手で確かめた程度で甘い声が漏れる。
日々愛され抜いた成果である。
「やぁ……」
恋人に夜ごと、時には昼間に、触れられ撫でられ揉まれたことを思い出し、羞恥に苛まれる。
しかし、恋人を思い出したその指は止まらない。
性感帯を自分以上に知り尽くした動きをなぞるように、衣服の上を這い回る。
「ふぁ……――ッ」
ガタン!
「っ!?」
愛しい名が口から漏れ、動きに熱が入ろうかというところで、バランスを崩し椅子が音を立てる。
慌て、我に返り、周囲を窺う。
142 ◆1HLVKIREhA :2010/09/04(土) 22:10:30 ID:zQOZsH91
「ふぅ」
別に何があるわけでもないものの、何となく安堵する。
しかし現実に一度引き戻されると、再び没入するのが難しい。
さりとて、期待に焦れる身体を持て余したまま掃除に戻ることもできない。
「……ゔ〜」
はしたないと感じる理性を踏み越えてなお余りある劣情。
女の身体になってしまった。女の身体にされてしまった。
それが、決して嫌ではない。
「……ぇぃ」
どこか遠慮がちな動作で、寝台に飛び込む。
「――の、匂いがする」
汗の染みこんだ布団に包まれる。
嗅覚の鋭敏なキレハにとっては、抱き締められているのとほぼ同義。
理性など、どこかへ溶けてしまう。
「はぁ……ぅん」
再び、指が妖しく蠢く。
大胆、かつ繊細に。着衣の上から、柔肌を蹂躙する。
「――……ゃ、そこ……」
感じるポイントを、正確に。愛を込めて。
双丘に指が食い込み、形を変える。
「……ん、ぁ」
昂る感情に突き動かされ、右手が下半身へ伸びる。
汗ばむ太ももを撫でながら、足の付け根へ。
「うぁ……」
直接触っていないというのに、すでに湿り気を帯びている。
これより先を思い描き、ごくりと息を呑む。
「……ぅ、うん」
下着をずらし、まずは軽く入り口の周りをなぞる。
激しく攻めたりはせず、徐々にたっぷりねっとりと高めていく。
いつもされている通りに、だ。
「――……ん」
顔を布団に埋め、左手で自分を抱き締める。
目を閉じれば、瞼の裏に愛しい姿が映る。
「ん……っ!」
ゆっくりと動いていた指が敏感な場所に触れ、声が上擦る。
ショックで、ひょっこりと<狼>の耳が頭頂部に現れる。
「ふ、はぁ……」
一気に駆け上がった快感を落ち着かせるべく大きく息を吐く。
そして、吸う。
143 ◆1HLVKIREhA :2010/09/04(土) 22:10:50 ID:zQOZsH91
「あ……――……」
より鋭くなった嗅覚を、過剰な刺激が支配する。
胸が切なく締め付けられ、何かを求めるように右手の動きに激情が混ざる。
「んぅ……なか、に……」
潤い、ほぐれた中へ指が進入していく。
一本では物足りないのか、二本。
浅い部分を丁寧に往復する。
「あ、はっ……ぁん」
押し付けられた唇から、くぐもった喘ぎ声が漏れる。
左手が、ぎゅっと布団を握り締める。
<狼>の耳が、ふるふると揺れる。
感じる箇所に触れるのか、時折全身が跳ねる。
「ふぁ……ん、はぅ!――、きもちい、い……」
漏れ出る声音に、名前が混ざる。
名前を口に出すたび、その姿を、声を、行為を、指を思い出し、身体が震える。
想いが、さらなる快楽を求める。
「――……もっと、触って……もっと、気持ちよく、して……
ああっ、は、ん……――……もっと、愛してぇ……ッ!」
溶かされた理性を乗り越え、奥底へしまいこんだ本心が溢れ出す。
「好きなの、――、大好き……はあっ、や、っ」
自らの言葉に追い立てられるように、動きが激しさを増す。
「い、あ……ふわ、う、んんっ……だめ、ん、もう、ひあっ……
あ、ん、あぁ、は、あん、ん、んんっ」
呼吸が、浅くなっていく。
「イっちゃ、あ……ふぁ、う、やぁ……イ、くぅ……っ!!」
一際高い声とともに、キレハの全身が緊張する。
「〜〜っ」
本人の意思とは無関係に、ひくひくと跳ねる。
酸素を求め、喉の奥から声にならない音が漏れる。
どうやら、かなり高く昇りつめたらしい。
「あ、はぁ……ぅ」
数十秒後、ようやく落ち着いたところへ次に襲ってくるのは、脱力感。
「ん……――」
ふわふわとした高揚感から、緩やかに滑り落ちていく。



やってしまった。
我に返って、何だかわからないけれどそう感じた。
欲求不満なのだろうか。
自分には不相応なほど愛されているというのに。
そんな、どこか卑屈な思考がよぎる。
自らの深層を覗き込む勇気は、キレハにはまだない。
だが。
「今日はちょっと、甘えてみちゃおうかしら……」
少しの意地が消え、少しの勇気が芽生えた。
これはそんな、ちょっとした出来事。
144 ◆1HLVKIREhA :2010/09/04(土) 22:11:11 ID:zQOZsH91
恋するキレハはせつなくてどうのこうの編
六世まできて自慰ネタは初めてかも知れぬ
名前を呼びながら、というジャスティスを貫くためにちょっと仕込んでおきました
適当なテキストエディタにコピペして、――(ダッシュ二つ)をお好きな名前に置換してお楽しみください
実名(強く推奨)でもアイリでもウェンドリンでもチュナでも、キレハの想い人は思いのまま
こういう方式、最近はラブプラスの同人でよく見かけるようになりましたね
いい時代だ
145名無しさん@ピンキー:2010/09/04(土) 22:21:51 ID:hgbBHaHU
乙!
最近は規制の所為か寂しいぜ
146名無しさん@ピンキー:2010/09/04(土) 22:32:29 ID:0VzpEGm+
>>144
うおおおGJ!!
やはりキレハはいい!最高の嫁だッ!(血走った目で)
147名無しさん@ピンキー:2010/09/08(水) 18:13:27 ID:NUsXgZCz
>>137
ある意味すっげぇ偏ってね?
148名無しさん@ピンキー:2010/09/08(水) 22:03:57 ID:zgGjlZHI
偏っている感は否めないな
しかしできそこないや夜種王を端に置くとして、対極に来るのは何かと考えると難しい
できそこないからアークフィアまで(年齢的な意味で)とか
エンダから夜種王まで(胸囲的に)とかになるだろうか
149名無しさん@ピンキー:2010/09/08(水) 22:19:28 ID:7xhtp6t9
>>148
その胸囲はバスト占い準拠とみた
プリンセスが一番大きいんだっけか
150名無しさん@ピンキー:2010/09/09(木) 00:43:06 ID:yC+0xEM7
>>137
それらはギャグだけど、自分はガチで書いてるから。
151名無しさん@ピンキー:2010/09/09(木) 00:50:22 ID:8MXICIzV
>>150
別に書いた物をここに投下する義務なんてないんだから、
投下しない説明はしてくれなくてもいいよ
あんまり気にすんな
152名無しさん@ピンキー:2010/09/10(金) 04:52:50 ID:zEbaImys
>>138
エメクが余裕で、姉さんぶってもされるがままなマナいいなあ
情景描写もしっとりしててたまらんのー
153名無しさん@ピンキー:2010/09/11(土) 01:54:30 ID:41T3IDFP
死者の書イベントで操作ミスで「いいえ」を選んでしまったフィーにおしおきするミニゲーム。選べるおしおき3タイプ。どれを選んでもオチは同じです。
ttp://www.dotup.org/uploda/www.dotup.org1138060.zip.html
154名無しさん@ピンキー:2010/09/11(土) 09:59:09 ID:i1e9bsCI
>>153
頂きました、yuuki製のゲームやったの五年ぶりくらいだ

ソフト陵辱おいしいです。ほのぼのエロでおもしろかった
シーフォン鬼畜紳士すぎるだろw
155名無しさん@ピンキー:2010/09/13(月) 21:14:20 ID:bjKqNUxl
規制解除来た?

今まで書けなかったが、職人さん達、GJであります!
156名無しさん@ピンキー:2010/09/13(月) 22:12:26 ID:njN0njCx
a
157名無しさん@ピンキー:2010/09/13(月) 22:13:05 ID:njN0njCx
お、おおおおお!?
書ける、書き込めるぞ!?
規制されてる間に投下してた全ての職人に今改めてGJを言いたい
158名無しさん@ピンキー:2010/09/13(月) 22:19:19 ID:AVrdsFJD
規制解除と聞いて雑談しに来ました
まとめの人はいなくなってしまったのだろうか
159名無しさん@ピンキー:2010/09/13(月) 23:27:27 ID:aYjanEmE
駄目だろうけどtst
160名無しさん@ピンキー:2010/09/13(月) 23:31:58 ID:aYjanEmE
珍しく解除されてた!
というわけでまとめです。遅くなりすぎてすみませんorz

ttp://www1.axfc.net/uploader/Sc/so/153016.rar
161名無しさん@ピンキー:2010/09/13(月) 23:36:02 ID:TXiZsmjx
いつもありがとうございます
規制きつかったから大変ですねー
162名無しさん@ピンキー:2010/09/13(月) 23:36:35 ID:TXiZsmjx
お、こっちも解除きてた
とりあえず投下されてた職人の方々乙です
163名無しさん@ピンキー:2010/09/13(月) 23:50:20 ID:2VWDTpxl
>>160
乙です!
大量規制で大量解除だな
164名無しさん@ピンキー:2010/09/14(火) 07:21:12 ID:xmwA+uzI
てst
16515 ◆E9zKH0kZMc :2010/09/14(火) 07:26:23 ID:xmwA+uzI
ほんとに解除されてたwwwww皆さんもまとめさんも乙さんです
もう駄目かと思って記念に作っておいた俺まとめ+@です
ttp://www1.axfc.net/uploader/Sc/so/153122.zip
ダウン回数が見られるのに気づいて確認して多さに腰抜けました
ほんとに有難うございます。もしまた書けたらここで投下したいです
166名無しさん@ピンキー:2010/09/14(火) 08:33:34 ID:lfUYk9zj
>>165
頂きました
なんという才能の無駄遣いwww
167名無しさん@ピンキー:2010/09/14(火) 11:32:04 ID:QTILpGZC
ts
168名無しさん@ピンキー:2010/09/14(火) 11:32:43 ID:7pF3Ggvl
14がwww
169名無しさん@ピンキー:2010/09/14(火) 11:33:04 ID:QTILpGZC
三ヶ月ぶりの解除来た!!!!1
職人さん達、GJ!お礼を書き込めずにイライラしてたw
170名無しさん@ピンキー:2010/09/14(火) 11:43:32 ID:WZ15Pv06
>>165
頂きました、ありがとう!
こいつは見やすい
171名無しさん@ピンキー:2010/09/14(火) 23:48:07 ID:BtH9zi1S
>>165
なにこれすげえ
原作へのこだわり方が半端じゃねえな
172名無しさん@ピンキー:2010/09/15(水) 01:21:26 ID:m1fld7s9
     /   ' ,\      \
            /     ; |‐-     ̄ ヽ、
         /|       ; |ー-   / }  乂
       ./ .|     , ' 人    , '  .ノ ノノ.}`ヽ
      .ノ/ 弋'- - '"/| _ ̄ /.// / i  }
     ,*'"/ , '  ̄/ ̄ .人_ニ=-./  _ } /
    ,i' / ., '   ./    .r-x、_//   ̄~.//
   ,:' / ,'    ./    .{ 〆/-,-"´ rf‐示 { 
  ,'  i .,.'  ,      .i  |ゝf /    ヒ_リ  ヽ 
  ;!  ;i ,'  .;     |  |/ゞ {! ""     f´
  i   | i  !   .i .i.  弋  {i      ー´
    | |  i    ! ',ヽ.  `ヽ\ ..____ノ
    | |',  ',   |  ヽ.ヘ |`ヽ}  Y´
   ..| | ',  ハ  }{  } | i |   !.  |
     i.| ',  ヘ  ヘ |/ .|.|    ├-x
       ',i.',∧\ハ |ー.|.|‐-x,   !.  `ヽ 
          ゞ  Y}  リ  ー\ヽ、.i }
           /i!        ri=ェ|、|
        ,x'" ̄|     `ヽ,   .!t_リ┴──x、
       ./   .|       ',  /\_)    ハ.Y
       i    i        i-´ノノ. \  ノ.ノ }
       ノ    ヘ       |‐-       i /\
173名無しさん@ピンキー:2010/09/15(水) 14:26:32 ID:xHtZ+N7U
テレージャはおっぱいすごいよね
泣き叫んで抵抗するのを無理やり押さえつけて
服の上からおっぱい揉みまくりたい
174名無しさん@ピンキー:2010/09/15(水) 14:32:06 ID:B0yb41VI
そして胸以外には一切触れず向こうからねだってきても生殺しにしたい
175名無しさん@ピンキー:2010/09/15(水) 19:09:06 ID:aocVvYKW
いやいや、お前らテレ子さんを甘く見すぎだ
彼女ならいつの間にか主導権握ってそうだ

誰か!この御題で一つ書いてくれ!(他力本願スマヌ)
176名無しさん@ピンキー:2010/09/15(水) 19:55:49 ID:7t4i8JDU
テレさんは頭でっかちで、経験ないことも想像や知識で経験した気になるタイプらしいぞ。
実は女同士でちょっかい出してた他は言うほど経験なくて、
男に触られるとうぶかったりして。
177名無しさん@ピンキー:2010/09/15(水) 23:16:23 ID:rtfTVIsJ
そら貴族の令嬢で、思春期を修道院で過ごしたテレ子さんが、
男性経験豊富なわきゃないわな
178名無しさん@ピンキー:2010/09/16(木) 00:11:03 ID:6C0Z8c4R
真・夜種王にひん剥かれて悲鳴を上げたテレージャさんに女を感じた。
クソッ俺より先にテレージャさんを女にしやがって…!!
と嫉妬に燃える主人公を幻視した。
179名無しさん@ピンキー:2010/09/16(木) 02:34:32 ID:Pv37ghcV
>>178
普段の余裕ある態度との落差がたまらんのですよ
真・夜種王戦の敗北リアクションは
かわいく叫ぶテレージャと諦めて泣き出すフランが二大いやらし反応
180名無しさん@ピンキー:2010/09/16(木) 12:38:43 ID:0uZF9z+u
キスまでは強いけど
それ以降にまで至ろうとすると急に焦りだして
無視して押し倒すと悲鳴を上げて泣き出しちゃうテレ子さんと申したか
181名無しさん@ピンキー:2010/09/17(金) 13:31:40 ID:Qyh+H/mm
プリンセス戦が女性陣のファーストキスだと思ったらみなぎる
初めてなのにテクニック抜群のエンダ
俺にもやってみせろよと性的な好奇心で迫るヴァン
キスだけでヴァンを沈めるエンダ

人外ロリは慎みや恥じらいがないのが難点だな…
182名無しさん@ピンキー:2010/09/17(金) 20:22:16 ID:Lvyde81g
テレ子さんのおっぱいぶった切るけど
ネタが降りてこないのでみんなの力を貸してくれ
>>183のキャラで>>184のシチュを書く
同一IDは不可
183名無しさん@ピンキー:2010/09/17(金) 20:26:22 ID:ATGY4E12
ではチュナ、テレージャなんてどうでしょ?
エンダと迷うがチュナの方が常識がある分面白そうw
184名無しさん@ピンキー:2010/09/17(金) 20:28:57 ID:Qyh+H/mm
おっぱい大きくなる秘訣かキスが上手になるコツを教えてもらうシチュでひとつ
185名無しさん@ピンキー:2010/09/17(金) 20:44:43 ID:Lvyde81g
おーけー、なかなかいい百合ップル
連休潰していこう
18615 ◆E9zKH0kZMc :2010/09/18(土) 00:22:23 ID:nXpk8VYb
急に思いついた5000弱、こちらに投下するの久しぶりだけど
相変わらずま属性注意です。各位ご協力ください

あと大した事ではないですが>>165俺まとめの修正ファイルも添付します
中身を本体にぶちこめばおk!という、はず。多分……
ttp://www1.axfc.net/uploader/Sc/so/154329.zip
18715 ◆E9zKH0kZMc :2010/09/18(土) 00:23:51 ID:nXpk8VYb

青年は力なく呟く――。

「……死なせてよ」

冷たい土に打ちのめされてしんしんと泣く。げっそりとこけた頬は懊悩の色が濃い。もともと快活な男では
なかったが、ここしばらくの間にみるみるやつれてしまい、生ける屍のようになってしまった。近隣の者達
の見立てでは、近頃発生している様々な怪異から町を守るため、率先して指揮しているからだろうという。
……果たしてそうだろうか。真っ白な湯気を上げふらふらと起き上がり、亡霊のような有様で立ち去った。


天を仰いだパリスの足元では、ぬかるみで酔いつぶれている紳士が一人。
「河に投げ込んじまえよ面倒くせえ」
「馬鹿、オレらの腕力じゃ無理に決まってるだろ。ほら立てよ、しっかりしろ」
「いやだよぉ……死なせてよー しなせてったるぁ〜」
手近な妖術師をがくがく揺すぶり勢いあまって錫杖をへし折った。

「「嘘だろ!?」」

放り捨てた杖の残骸は、水あめみたいにぐんにゃりまがっている。
「ほんとに殺されたきゃ杖へし折るなよバカ!僕様だって魔術を使うには杖がいるんだからな!」
力いっぱいすね蹴りされた若君は、ずぶぬれのままその場に倒れこみ、はらはらと落涙しはじめた。仕方
がないので二人がかりで抱き起こし、何度も転んで泥まみれになりながら負ぶって連れ去った。
18815 ◆E9zKH0kZMc :2010/09/18(土) 00:24:32 ID:nXpk8VYb
「とりあえず風呂かなにかいれねえと、本当にこのまま死にかねねえ。といって館に送っても親父にどつき
まわされるのが関の山だからな」
「だからってここまでくるか普通」
「ついてきといてなんだよ。そもそもオレんちにゃ風呂がねえ」
「チッ、これだから貧乏人は」
「ほっとけ、ほらお前は足持て。一二の三で放り込むぞ」
満々と注がれた熱湯、真っ青な顔の飲んだくれはうんともすんとも言わずに沈んでいく。慌てて腕を引っ張り
頭を支えてみるが、はっきりしないうわ言を漏らすだけだ。
「こんなややこしいことするよりテレージャでも探してくりゃよかったか。おい、ちゃんと縁につかまれって」
「くぁwせdrftgyふじこ」
「あの眼鏡だってとっくに酔っ払ってたろ、治療できそうなやつっていってもあとはせいぜい陰気なタコ助くらい
しかいないけどな。神殿にでも連れてけばよかったんじゃないの?」
「診せる金がねえ。お前だって魔法使いなんだろ、治療の一つや二つなんとかなんねえのかよ」
「僕様のように誇り高い攻撃魔法の使い手様には、そんな軟弱な術は必要ないね」
言い返したいのをこらえた様子だが、鼻をくんくんさせてあたりを見回した。
「……しかし血なまぐせえな、あれだけ掃除したのにさっぱりとれねえ」
「化け物が住み着いてたんだろ?追い払ったからテメーで使おうってお前の発想は、まるで理解できないわ」
「だって風呂がねえんだもんよ、ここが使えりゃ水道代だってタダだぞ?こんなオイシイ話はそうそうねえ」
「そうか、考えてみればこれだって状態異常の一種だよな」
「なんだよやぶから棒に」
「だから治療だよ。つっても僕には診断はできないから、とりあえず万能薬あたりでも使えばいいんじゃないか?」
「なるほどな、よし。薬が入ってないか鞄を探せ」
「面倒くせ〜なァ。お願いしますくらいいうだろ、普通」
「じゃあお前がこいつ沈まねえように支えてろよ」
「聞こえないってか?この風呂なしがなにをエラソーに指示するって言ってんだよ、ああ?」
「一人でできないから頼んでんだろうが!一々つっかかってねえで何か手伝えよ!」
「うるっさい……」
「誰のせいだよ!!目が覚めたならお前もそういえ馬鹿野郎」
「……ここどこ」
「宮殿の風呂場だよ。どうだ、動けそうか?お前も支えてやれ」
「やだよ服が濡れるだろ」
「何でまた」
「意識不明で土砂降りの中ぶっ倒れてたからだろ」
「記憶ない」
「表で待ってるからその服は脱いで、こっちの乾いてるやつに着替えて来い。……眠るなよ」
「サムイヨ」
「クライヨ」
「ネムイヨ」
「コワイヨ」
「タスケテ」
「禍々しく喋るなよ!!怖えぇだろ!?」
「お前ってほんとビビリだよな」
「ほっとけ!それより、なんだってあんなべろんべろんになるまで呑んでたんだお前は」
「いつもクソまじめなコイツにしちゃ珍しい醜態だったよな、なにやらかしたんだよ」
「パリス、貴様の部屋にしばしかくまえ、金 な ら あ る !!!1」
「お前泊めるのに金なんかとらねえよ……それよりなんだ、その匿うって」
「フランが料理を始めたのは貴様らも知っておるな?もう館に帰るわけにはいかん。なんとしても俺は逃げ切る、
絶対だ。あのひょっとこ貴族、決っっして許さん!!!!必ずぶッ潰す!!」
「おいおい」
「料理なんぞやれだの唆しやがって平和ボケしたクソお坊ちゃま野郎、俺は絶対ただじゃおかねえ絶対だ!!」
「とうとう壊れちゃったよ……まあ、僕は遅かれ早かれいつかこうなるとは思ってたね」
「なんでフランとアルソンが逆じゃなかったんだアァァ!!!畜生!!!!うおおおお!!いけ!いっちまえ!!
とっととアルソンに貰われて嫁にいっちまえ!!!!二度と俺様の館で料理すんじゃねー!!!!」
「うるせーよ、風呂釜なげんな」
「毎日まいにち毎日台所でいちゃいちゃいちゃいちゃしやがってくっそおおおおおおお!!!!!しねええ!!」
大理石を叩き割ってかぶとを投げつけ扉まで粉々にしてしまった。小さくなって震えていると、散々荒らしまわった
キャシアスは、いつのまにか廊下ですやすや眠りについている……。恐る恐る近づき、鼻をつまんでも反応しない
のを確かめてから南面にある仮眠室へ運んだ。シーフォンが火を放ったりしたので幾らか騒ぎが大きくなりはしたが
終わってみれば無事に着替えも済ませてやれた。全力を出し切った二人は、そうして遅い眠りに就いたのだった。
18915 ◆E9zKH0kZMc :2010/09/18(土) 00:25:14 ID:nXpk8VYb


「それでなんでこんなにしょげ返ってんだよ、あんだけやりゃちっとは踏ん切りつくだろ、普通」
「ぼくちゃん怖い夢みちゃったのーだとよ、朝から面倒くせえやつだなーホント」
「……僕のことはほっといてくれ。このままここで生きてくから」
「よく言うぜ、俺が天下とるぅだかなんだか昨日は散々いきまいてたクセに」
「嘘だろ……僕が、そんなこといってたのか……」
「アルソンぶっ殺すくらいの剣幕だったよな」
「そんな大それたことを言ったのか!?ほ、ほほかかかかかにききき聞いてたものは」
「オレらしかいねえよ」
「本当か!?この件はどうか内密に頼む、下手なことをしたらお館様まで首が飛びかねん!!頼むどうかこの通り!」
「わかったから鉄格子ねじ切るのはやめろ」
「ふふふふ不安でたまらずつい……しししまった部屋の中がぐちゃぐちゃだ、整頓せねばまたお館様に叱られてしまう」
表に飛び出しった直後に悲鳴を上げて逃げ帰ってきた。あまりの破壊っぷりに肝をつぶしたようだ。泣きべそで掃除を
はじめた様子をみて妖術師は笑い転げているが、ゴロツキのほうはこめかみを押さえている。宥めても効果ないので
一緒になって手伝ってやり、それから地上に連れ帰った。
「もうこんなに日が高くなってるじゃんよ、見ろよな。ほんとお前、なんなの?」
「先夜のことは、大変まことに申し訳なく……グスッ」
「酒乱なんじゃねーの、一辺見てもらえよ。ココ(頭)な」
「うぅー……ッなさけのうございますご先祖様ぁ……」
「まあいいじゃねえか、とりあえず一旦館に帰ってみて、やばそうならオレんちに泊めてやるし、最悪でもそこらの探索に
出てりゃいいだろ。これだって公務は公務なんだし、何日ホルムを離れてようが誰も文句はいえねえからな。いくらでも
つきやってやるから心配すんな」
「ほんとに、君には何から何まで……ほんとに……ごめんよ、僕がもう少ししっかりした男だったら、君らにこんな迷惑を
かけたりしないだろうに、本当に……グスッ 申し訳ない」
「迷惑ってもんじゃねー、オメーはクソして寝ろ!」
「ごめんよ、ごめん。ほんとにごめん」
「お前はよくやってるって。ちったあ自信もて。親父さんがお前に厳しいのだって、あれは期待してる現われに違いねえ。
それだけの実力があるって信頼してるんだよ。オレらだってそうさ、お前はやればできる男だからな」
「たしかにヤればできるよな」
「ううっパリス……君はなんていいやつなんだ、僕には過ぎた友人だよ」
「おお、お前には出世してもらわねえとな。オレだって期待してんだぜ、右腕になってやるからよ、ホルムをばんばん発展
させてやろうぜ。な、わかったらしゃきっとしろ、昼飯食いに行くぞ」
「ああ、僕におごらせてくれ。昨日のお詫びだ」
「当たり前だろ、僕様が介護してやったんだからな」
「感謝するよ、ほんとに迷惑かけてしまって」
19015 ◆E9zKH0kZMc :2010/09/18(土) 00:25:55 ID:nXpk8VYb
おちょくられ混ぜっ返されてはくり返し謝りながら酒場の扉を押し開けると、入り口近くでラバンが出迎えた。
「おいおい、どうしたんだその顔は」
「ようラバン。昨日は大変だったんだ、なあシーフォン」
「あ?ああ。なんだよ小突くなよ」
「キャシアス様!?一体どうなさったんですか、昨日は……あれきりお戻りになられなくて、あたし本当に心配して」
「ああフラン、私なら大丈夫だよ、彼らと一緒に宮殿に行っていたんだ」
「おお、そりゃあすごい冒険だったぜ。なにしろこいつも術が使えなかったからな」
「いきなり錫杖へし折られたからな」
「これですね……」
彼女が手にしているのは道に捨ててきたアレ。思わず顔が引きつった。
「この折り曲げ方、キャシアス様のくせが出てるからすぐ分りました。だから……夜道で何かが起こったのではないかって」
「やあキャシアス君!昨日は僕につき合わせてしまって申し訳なかったです、ちょっと飲ませ過ぎてしまったのではないか
心配してましたよ。顔色があまりよくないですけど大丈夫ですか?」
「勿論ですともアルソン殿、わたくしこそ酒宴に同席させていただき光栄至極に存じます。また機会がありましたら是非」
「ええ!先夜は大変有意義でした。君と腹を割って話すことができましたからね。残念だったのはフランさんですよ、腕に
よりをかけて君のための朝食を用意してたんですから。もし僕のせいで酔い潰してしまったのだったら申し訳なくて」
「ハッハッハ滅相もございません。どうかお気になさらないでください。わたくしめならばこの通り元気げんきであります!
時にフラン、知らぬこととはいえ折角の食事を空振りさせてしまったのは悪いことをしたね。許しておくれ」
「いえそんな……勝手にしたことですし」
「そうかね。だが言っておかねばならない。お前も知っているとは思うが、洞窟の探索や町の外の治安維持で中々時間が
とられてしまう。今日のようにすぐ戻って来れればよいが、これからは何週間も町を空けることもあるだろう。それに何より
お前はすばらしい忍びの術やメイドとしての技術で私達に奉仕することができるが、料理長はその腕を持ってしか私達に
尽くすことはできないのだよ、彼の仕事を奪ってはいけない。これからは、私が頼んだ時に作っておくれ。頼んだよ」
「キャシアス様……あたし、間違ってました!これからは一生懸命探索のお手伝いをします!」
「ああ、期待してるよ。私はこれから友人と女将の料理で食事をするからね。お前もお腹がすいてるなら一緒におあがり」
「はい!有難うございます!あたし、がんばります!」
「ううむ、これこそ己が分を知るというものですね。さすがキャシアス君です」
「いやいや、大変お見苦しい所をお見せいたしまして、まだまだ至らぬ身でございます。ハッハッハ」
「ようし、僕も人の上に立つ身としてさらに一層精進しましょう!」
「ハッハッハ頼もしい限りですなアルソン殿、公国の将来も安泰でありましょう」
「君の働きに期待していますよ、今日のところは僕はこれで失礼します。では!」
「ごきげんよう!ハッハッハ」
がっしと握手を交わして出て行く。あっけにとられたまま、口を挟むこともできずに眺めていた仲間がアルソンからキャシアス
に視線を移すと、ぐったり虚脱状態でのめっている。
「……お、おい。大丈夫か」
「………………………………………………………………」
「キャシアス、……だいじょうぶ?」

「…………もうやだ、こんな生活」
19115 ◆E9zKH0kZMc :2010/09/18(土) 00:27:56 ID:nXpk8VYb
お粗末。なんてこったい/(^o^)\
192名無しさん@ピンキー:2010/09/18(土) 00:54:22 ID:FFW/FEsA
>>191
乙乙
なんというこの先不安なキャシアスw
193名無しさん@ピンキー:2010/09/18(土) 20:42:58 ID:fP+YZlhQ
何だこのキャシアス、残念すぎるw
194名無しさん@ピンキー:2010/09/19(日) 16:11:33 ID:cygF9hPC
本スレ見てて思ったんだが
本編ではあんなにねっとりと見られているのに
アルソンとテレージャのエロって見たことないな
195名無しさん@ピンキー:2010/09/19(日) 16:19:11 ID:ATRNdqtc
もう6世なのにアルソンはエロ1回くらいしか書かれてない
テレージャはそこそこ出てくるんだから問題はお母さんにある
196名無しさん@ピンキー:2010/09/19(日) 18:54:49 ID:cygF9hPC
言われてみたら確かに
非エロでは結構活躍してるのに

さらに考えたら主人公の性別でエンド分岐がある唯一の男キャラなのに
197名無しさん@ピンキー:2010/09/19(日) 18:58:10 ID:nvITfpiu
何、ユリアなんて一度もエロはないんだ
それに比べれば一回あっただけでも…orz
198名無しさん@ピンキー:2010/09/19(日) 19:07:07 ID:ATRNdqtc
エンダも一度くらい?ガチペド異種姦じゃハードル高い
ラバンは温泉で一度あったけど18禁て程ではなかったよな
でも人数の割には結構満遍なくネタになってるほうかもよ
199名無しさん@ピンキー:2010/09/19(日) 21:08:56 ID:AM3xE4yS
一度もないってのはユリアとかレナとかごく一部に限られてきてるな
回数に関してはかなり偏ってるけど
主人公で言えばふぃーぽんとマナメロが人気だし
女性キャラならキレハが突出してる感は否めない

まぁ、職人さんが食いつくようなネタを出せば誰か書くかもよ?
200名無しさん@ピンキー:2010/09/19(日) 22:00:34 ID:ATRNdqtc
マナメロは長編がんばった凄腕の職人さんがいる、何か金払いたい
フィーは長編、短編、中編どれも数が多い。相手はシーフォン中心
ウェンドリンは中編が充実してる、相手も筋もバリエーション豊富
アイリは百合が一杯。案外娼婦ネタ少ない、妹妹キレハたまに兄

キャシアスはバリエーションすごい、何度もハーレム開きやがって氏ねy(ry
ヴァンは少年誌系のノリが印象に残ってる、テレ子エンド冬至節俺と代われ
エメクは神殿エンドとか老衰エンドとか初期から一見地味だけどいいのが多い
アベリオンは思ったより少ないけど個別エンドがいくつかぐっとくるやつがある

だいたいの俺の記憶
201名無しさん@ピンキー:2010/09/19(日) 22:07:38 ID:cygF9hPC
この流れに乗って
1スレ目のキャシフラの続きがずっと気になってる
キャシアスに結婚話が持ち上がる奴
202名無しさん@ピンキー:2010/09/19(日) 23:53:35 ID:BshG6TQe
皆さんに一味違うエロスをお贈りしたい、と夜種王'sが一肌脱いでくれるようです
203名無しさん@ピンキー:2010/09/20(月) 00:51:35 ID:vfwla3dU
>201
御免 あと有り難う
話が長くなりそうでまとまらなくなってたんで短いのに日和ってた
待ってくれてる人がいるんなら、そのうち書く
204 ◆1HLVKIREhA :2010/09/20(月) 08:46:29 ID:M9jBZr+c
「まずは……そう。キスを知ることだ」
あぁ、この話は長くなる。
テレージャの眼鏡がきらめいた瞬間、チュナはそう直感した。
「敵を知り己を知れば百戦危うからずと異国の格言にある通り、知るということは大きな武器となる。
キスと一言で言っても唇と唇を合わせることが全てではない。内容、箇所は千差万別だ。
それはつまりキスに関する嗜好も千差万別であるということに他ならない。
舌を絡めて激しく求め合う情熱的なキスを好む者もいる。
ほんの少し触れるだけの軽いキスを好む者もいる。
頬や額、手の甲に口付けるのを好む者もいよう。
足先にキスをさせる趣味嗜好も存在する。
首筋にキスマークを付けられて悦ぶこともある」
テレージャ、キスを語る。
尼僧院でキス魔の異名を取った過去は伊達ではない。
聞いているチュナが若干引き気味であることになど気付こうはずもない。
「そして大切なのは、誰が、という点だ。
妖艶な美女ならばしっとりと舌を絡め、或いは耳元や首筋をなぞるのが似合うだろうし、逆に可憐な美少女であれば頬に軽く口付けるのが可愛らしい。
キスをする自分とキスをする相手を分析し、最適なキスを導き出し、あとはその場の雰囲気に合わせて感情の赴くままに唇を任せればいい」
「は、はあ」
一気に言い切り、ふう、と一息つくテレージャ。
もはやコメントのしようもない。
「続けて実践編といこうか。さあ、遠慮せずきたまえ。さあさあ」
「ふえっ!?え、えと、その」
いたいけな少女に接吻を迫る不良神官。
誰が見ても変態だ。だが。
「じゃあ、ちょっとしゃがんで下さい」
健気なチュナは、素直にキスをしようとする。
教えを請うたのは自分であるという意識が、退路を断った。
或いは、テレージャへの想いが、躊躇を振り切った。
おそらくは後者だ。
「できれば、目も閉じて下さい」
「ふむ。基本だね」
テレージャは元より何の躊躇もなく従う。
「それじゃあ……ちゅ」
意を決して、口付ける。
テレージャの講釈にあったような、頬に触れるだけの軽いキス。
チュナによく似合う、少し幼くぎこちない、優しい感触。
「ん、ああ、うん」
多少の肩透かしを食らったテレージャが目を開ける。
「……えへ」
はにかむ笑顔。
その破壊力は抜群だ。
「……」
へろへろと、テレージャの腰が砕ける。
「テ、テレージャさん!?」
「……いや、その。技術ではなく相手を骨抜きにするキスというのもあるんだなあ」
どこか呆然と、若干の嬉しさを混ぜた溜息を吐く。
無意識なのだろうか、指が頬をなぞる。
「チュナ。君は、そう。変に努力をする必要はない。
今のままで充分、魅力的なキスができるよ」
「そ、そうですか?」
「うん。この私が言うのだから間違いない。誇ってもいいよ」
「それは……多分、相手がテレージャさんだから、かな」
照れくさそうな表情が、テレージャの心の無防備な部分に触れる。甘く、切なく。
「ふふ。降参だ。私ではもう太刀打ちできそうにない。惚れた弱み、というやつかな」
「えへへ。惚れてるのはわたしも同じですよ」
「そうか。ふふ」
穏やかに笑い合う、姉妹と言うにも多少歳の離れた、恋人同士。

「何なら二代目キス魔と呼んであげても」
「遠慮します」
205 ◆1HLVKIREhA :2010/09/20(月) 08:46:50 ID:M9jBZr+c
テレチュナらぶらぶちゅっちゅ編
新機軸の百合ップルはいいが、思った以上に書きづらかった
その結果がこの短さだよ畜生
ああでもリクエストがなきゃこの二人で書くことはなかっただろうなあ
またネタに困ったらやってみよう
とりあえずこんな感じでよろしいですか>>183>>184
206名無しさん@ピンキー:2010/09/20(月) 11:19:55 ID:V/M4LBo0
>>205
よろしすぎですGJ!
ラブラブでかわいくてごちそうさまでした
テレージャもチュナもかわええのう…
207183:2010/09/20(月) 17:56:53 ID:InDBV1cN
>>205
面白かったですよー。
二人とも可愛いw
208名無しさん@ピンキー:2010/09/21(火) 15:56:22 ID:PDu+HoXJ
>>204
GJ!
これはいいキス魔
209名無しさん@ピンキー:2010/09/21(火) 19:17:45 ID:eXUHkCxR
このゲーム、ツクール2000で作られているから
本編そのものにエロ改変を加えることも可能だな。
210名無しさん@ピンキー:2010/09/21(火) 19:35:57 ID:JPKSSKmj
>>205
チュナ可愛いなあチュナ
21115 ◆E9zKH0kZMc :2010/09/22(水) 05:01:44 ID:7AY3BCPi
明日休みだと思うとおかしなものが湧き上がるのはなぜか、という
>>187-190つづきで3000字。例の如くとりあぼんなどご協力お願いします
21215 ◆E9zKH0kZMc :2010/09/22(水) 05:02:15 ID:7AY3BCPi
「……なにか、いま僕はおかしなことをいった……か、な」

唇をかんだまま友人の一人は目をきょろきょろさせ、もう一人はうなり声を上げながら頭をゆすっている。
つるはしを担いだキャシアスは仲間の異変に泥まみれのまま汗をぬぐった。足元には暗闇にキラキラと
ランタンの灯りを反射する鉱物が散らばっていて、武具のいくつかが脇に立てかけられている……。

女性を連れて行くと緊張してしどろもどろになってしまうし、アルソンの護衛に行く時は一睡も出来ない上
神経をすり減らせてしまう。それに引き換えあの傭兵は、とキャシアスは思った。
「指示したことだけを淡々とこなしてくれるから、余計な気を使わなくて助かる。……料理もうまいしね」

(まずい、まずいぞこりゃあ。下手に否定すれば誰に比べてマズイか旨いか持ち出さなきゃならなくなる。
てことはどっちにせよフランかアルソンを引っ張り出してくることになるからキャシアスは動揺するだろう、
しかし間違っても同意することだけは避けなけりゃあ、また奴さんと同行させられる羽目になりかねない、
ぐぬぬぬ……なんて危険な賭けなんだ)
(メロダークの料理がうまいとか普段どんなもん食わされてたんだよ、本気でこいつが心配になってきた。
病よけの装備品か何かすぐにでも探してこないとマズイが、そんなものこれ見よがしにつけてりゃ気を悪
くすること間違いなしだ、なにしろ普段着てるものはみなフランが手入れしてるからな。拙いことになった
ぞこりゃ、どうする。どうするよオレ!?)

「……ごめんよ、僕は君たちがうるさいと言いたかった訳じゃないんだ……気に障ったなら、申し訳ない」
「いやいやいや、お前さんが何かいったから腹立てたわけじゃないぞ、メロダークの料理がうまいてのが
意外だったからちょいと動揺したまでだ、なあパリス」
「えっ、ああそうだな。オレもちょっとびっくりしたがそんなもんだ。お前がおかしなこといった訳じゃねえ。
いやおかしいからびびったんだけど、問題にしてんのはお前の言ってるのとは別のことだし、そもそもお前
が何か言ったところでオレらは腹立てたりしねえよ。なあ?」
「おうともよ、お前さんが謝ることなんか何もないぞ」
「そ、そうですか……うぅーん」
言動のなにがおかしかったのか必死に思い巡らしているらしい。髭をこじりながらラバンはたずねる。
「そういやあお前さんの好物っての聞いたことがなかったな。そうだな……例えばひばり亭の料理はどうだ」
「あの店の魚のスープが好きですよ。体が温まっていい、オハラさんはとても素敵な方だし」
「じゃあネルの料理はどうだ、簡単なものならすぐ作ってくれるからわしは好きだな」
「気立てがよいお嬢さんだし、料理も家庭的でおいしいと思う」
「そうだな。あとオレはキレハの飯もうまいと思うぜ、異国の料理なんて滅多に食えねえし、このへんの料理
もすぐに覚えちまったくらいだから、腕は相当なもんなんじゃねえか?」
「そうだね……手際もいいし、味付けも僕の好みで変えてくれるから嬉しいよ。素晴らしい腕前の女性だね」
「意外だったのはアルソンだな。まさか料理が得意とは思わなかった」
「ああ……本当だね。アルソンさんは立派な方だよ。宮廷の作法にも通じているし、自然に上品な振る舞い
ができるところは本当にすごいと思う。長物の扱いは僕よりはるかに上だし、ちょっとしたことには動じない
強い精神力はとても適わない……ともに探索させて貰えるなんて僕は幸運だな。本当に学ぶところが多い」
「お、おう、そうか。よかったな」
「僕ももっと頑張らなくては」
まじめにそう呟くと改めてつるはしを構え、採掘を始めた。キャシアスが掘り出した鉱石を集めつつささやく。
「……食い物がうまいかどうかは一応区別ついてるのか」
「根本的に舌か頭がやられてんのか心配したけど、そういうことじゃあねえんだな……」
「なあ、わしはこの前の酒場の一件で、もうてっきり食事は給仕長がやってるもんだとばかり思っとったんだが」
「……夜な夜な飯の練習してるんだとよ。うっかりついてってオレも毒見させられかけたぜ。あいつも真面目だ
から一々つきあってやってんだ。少しは手ぇ抜きゃいいのに」
21315 ◆E9zKH0kZMc :2010/09/22(水) 05:02:46 ID:7AY3BCPi
どんな味であろうと自ら試してみ、心から褒めてやり、良くない所も傷つけないよう伝えてやり、何があろうと一つ
はいい所を探してやり、どうすればもっと良くなりそうか考えてやり、上達を諦めないよう励ましてやり、自らは死ん
でしまわないよう努力する。深夜に及ぶことも珍しくない過酷な料理の特訓は、アルソンまで巻き込んで、翌朝の
仕込みの邪魔にならないよう片付けまで含め、明け方近くまで洗い物に追われる日々……ホルムの館に訪れた
苦難は確かに、三人の間にある種の奇妙な友情を育んでいた。
「どう考えてもNINJYAの毒殺訓練しぎゃあああああああ!!!!」
斜めにすっとぶパリスの目の前で、つるはしの柄だけを持ったキャシアスが間抜けた顔で首をかしげている。
「ありゃ。刃がどこかに行ってしまったみたいだ……うん?」
「どこかやられたか。しっかりしろ、大丈夫かパリス」
「まさか……パリスッ!?」

「避けるわバカたれ!!十回くらいでぶっ壊れるつってんだろが!!!!お前も人生程ほどにしとけ!!!」

「…………ごめん」
「ままま、目を切ってたわしらも悪いわ、お前も落ち着け。そろそろここらで一休みしたほうがいいだろう、なあ?」
半泣きで縮こまっている。振りかぶった勢いですっぽ抜けたつるはしの刃は、向かい側の岩に突き刺さっていた。
謝り倒すキャシアスを宥めて焚き火を囲み、オハラの料理を温めた。憔悴しきった青年に食い物を与え、ぴりぴり
したままの無頼漢に燗をした弱い酒を飲ませて落ち着かせてやる。さすが、侠客は手練だ。ぱちぱちと爆ぜる火
を見つめながら、並んでコップを手に語らった。
「そういえば、以前から相談していたことですが……ラバン。僕は将来、野伏を目指そうと思うんです」
「ほう?弓術に興味があるのか」
「いえ、そういうことではないんですが。適性でいえば、剣聖や君主が向いているのだとは言われましたけれど、
僕は人の上に立って指揮を取るのは本意ではありません。できるなら、一兵卒として町を支えていきたい……」
ひどい人見知りの上に目立つのは苦手な子供だった。今でこそ演説もするが直前までかわやに篭城している。
領主の家にさえ生まれなければ、一生おとなしく壁と向き合って過ごしていただろう。
「まあ、男なら君主!て感じもしねえよな。おっさんみてえだもん。目指すならやっぱ剣豪とか暗殺者だろ」
「そうだね……でも一生を剣の道にささげるというのも、そこまで自信は……まだない、かな」
「親父さんはなにも言ってないのか?」
「父からは狂戦士が良いだろうとも言われています。不屈の精神を身につければ、どんな困難にも打ち勝つこと
ができる……僕にもっとも必要なのは、そういう揺らぎない信念なのかもしれません。でも、あなたやメロダーク
に補助してもらっていて思いました。僕も生存術を身につければアルソンさんの護衛ももっと円滑に進むだろうと。
……いつでも自分で万能薬が調合できるようになるし」
「己の身を守るってのは大切なことだ、いい…考えだと思うぞ……くふッすまん目に汗が」
「どんだけお前は食い物で苦労してんだよ……なあおい」
「そんなこと、ないよ…………ハハハ」

しんしんと泣きました。
21415 ◆E9zKH0kZMc :2010/09/22(水) 05:03:23 ID:7AY3BCPi
おそまつ
      ノVル
   γ⌒   <
   .ルハノリハ)
    ;| (○)(○|:
   :|ヽ (_人_)/;  …おい、お、おいし…そうだよ……フラン
.   :| |. ⌒ .|;
    :h   /;     ク
     :|  /; '   /⌒ヽワッ 
    / く、    /:::iWi:::::| <コギトエルゴスム
   ;| \\_ く|;;;;;|m|;;;;;|7
   ;|ミ /`ー=っ ≠/   \
215名無しさん@ピンキー:2010/09/22(水) 12:38:12 ID:aehZyKgs
>>214
乙 ちょっと泣いたw
キャシアス人間できてるな…
216名無しさん@ピンキー:2010/09/22(水) 21:49:12 ID:HHB+GX/s
>>214

美味いまずいはわかるのかかわいそうに
217名無しさん@ピンキー:2010/09/23(木) 23:50:21 ID:r4BLzqOw
>>214
『頑張ってる』と言ってあげるんですね


ところで今日も墓所の泉に秘石捨ててたんだけど、秘石が振動してるって文が出るじゃん

つまり秘石をマナとかフィーのごにょごにょに装備させて泉や扉に近づいたら
なかなか楽しいことになるんじゃないかと思ったんだが
218名無しさん@ピンキー:2010/09/24(金) 00:07:37 ID:NPSSGOAQ
>>214
乙!
やっぱりアルソンさんはすごい人だなあ
流石お母さんだ

>>217
なるほど
だから『秘』石なのか
219名無しさん@ピンキー:2010/09/24(金) 02:26:14 ID:QRqAXPeq
>>217
こんな気持ちのいいものを捨てるなんてとんでもない。
考え直すべきだ。
220名無しさん@ピンキー:2010/09/24(金) 17:14:22 ID:ipFdFrbN
テレ子さんに後ろの穴開発されたい
221名無しさん@ピンキー:2010/09/24(金) 20:30:08 ID:P5dYWKTG
墓所で秘所に秘石をシュート
222 ◆1HLVKIREhA :2010/09/25(土) 23:50:36 ID:3+rPNmdr
フィーの様子がおかしい。
周囲がそれに気付いたのは、フィーが半年ぶりにホルムに帰って来てからだった。
何かに悩んでいる。察せられるのはその程度のこと。
しかし、その時点で気にかけるものはいなかった。
その後の遺跡探索、西シーウァとの戦、師にして養父であるデネロスの死。
そして……フィー出生の秘密。
衝撃的な事件が立て続けに起こり、フィーの変化の発端まで遡る余裕などなかったのだ。
最終的に変化を決定付けたのは、“鍵の書”の継承。
神秘の魔道書の秘奥と、タイタスの器たるフィーの素質が、彼女の苦悩に光明を示した。
あまり自分の勝手を表に出さないフィーが、変わった。
遺跡探索とタイタス打倒を放り出し、本を漁るようになった。
奇跡的に焼け残ったデネロスの遺品を掻き集め、遺跡各所の書庫を駆け回り。
挙句の果てには、ピンガー商会を通じて怪しげな禁書の類すら集め始めた。

鍵の書奪取に失敗し、しかし悪びれもせず探索仲間として居座っているシーフォンはこう語る。
「ようやく魔術師らしくなってきたってことだろ」
そんな相手にごく普通に接しているネルも、ある意味で度量が深い。
「どーゆーこと?」
「目的のために手段を選ばない。
禁忌とか常識とか他人の作った枠を吹っ飛ばしてこその魔術師だ」
「ふうん。シーフォン君は確かにそんな感じだよね。
で、その目的って何かな?」
「本人に聞けよ。って言いたいとこだけど、想像はつくな。
重点的に調べてる本のキーワードは、『石人』『夢』『魂』ってとこだ。
始祖帝と同じ野望に目覚めたとか素敵なことじゃなけりゃ、あの甘ちゃんの考えることなんざ一つだろ」
「……石人にされた子供達を助ける?」
「十中八九、な。僕様からすれば折角の鍵の書の無駄遣いでしかねーけど」
「ふふー。そこがフィーのいいところなのだよ」
「けっ。さいですか」
フィーが、やはり他人を助けることを思うフィーのままであったことに喜びを隠そうともしないネル。
毒づくシーフォンもまたどこか嬉しげだが、これは単にフィーの読み終わった本をせしめているからである。
223 ◆1HLVKIREhA :2010/09/25(土) 23:50:57 ID:3+rPNmdr
――そんなこんなで三箇月。
鍵の賢者・フィーは独自の新魔術を編み出す。
準備万端整え、意気揚々と向かう先は大廃墟。
オベリスクに触れ、過去のアーガデウムへ降り立つ。その瞳に、迷いはない。
「……ユリアさん」
「なんじゃ、また来たのか。そなたも退屈なんじゃのう」
夢見の巫女は、相も変らぬ態度で鍵の賢者を待っていた。
真摯な視線を、受け流すように。
「今日は、私からお話があって来たの」
「ふむ」
「ここから、出よう」
フィーの口から放たれる、決定的な一言。
ユリアはそれを予期していたかのような薄い反応で、どこか諦めたような眼をする。
「……続けてみい」
「私は、ユリアさんを助けたい。初めて会った時からずっと。ずっと。ユリアさんのことばっかり考えてた。
その為の方法はようやく完成した。あとは、ユリアさんが決めるだけ」
「……ふ、はは。まさかこのような状況で告白されようとはの」
「こ、告白とかじゃ……っ、ない、です」
真剣な顔が、一気に真っ赤に染まる。
「そうかそうか。では、そういうことでもよかろ。
じゃが、前にも言うたな?妾は三千年前にこの都とともに滅んだ身。
このまま滅び行くのが運命じゃ」
「そんなの……そんなの、寂しい。
ユリアさんは、ここにいるのに。私と会話してるのに。退屈を感じるほどに生きているのに。
死者なんかじゃ、ないよ」
ふ、と目を細めるユリアの手を取る。
確かな感触。確かな体温。確かな、生の証。
「だから。私は、ワガママを通すよ。
ユリアさんがこのまま消えていきたいって言うなら止めない。
でも、ただ諦めてるだけだったら……無理矢理にでも、連れて行く」
強い意志を湛えた瞳。
「若いのう。妾も、まあ、そこまで強く想われて悪い気はせんよ。
言い切ったからには、幸せにしてくれると嬉しいのう?」
「……うん。するよ。絶対に」
手を握り、全力で将来を誓う。
誰がどう見てもプロポーズである。
「じゃあ、やるね」
気合を一つ入れて、それを取り出す。
石人の夢によって生と死の狭間にたゆたう存在を、現実の人間とする超魔術。
その、触媒。
224 ◆1HLVKIREhA :2010/09/25(土) 23:51:20 ID:3+rPNmdr
「これは幼すぎやせんかのう」
「ご、ごめんなさい。大きくなるのが待てなくって」
成熟しているとは言い難いユリアよりもさらに一回り小さな少女の、人形。ヒトガタ。
「人工精霊に近いモノ、か」
「うん。精霊化してないって言うか、まだただの器と言うか、そんな感じ。
私の辿り着いた結論が正しければ、これにユリアさんの魂を宿らせれば、“こっち”側の存在になるはず」
忘却界に存在する幻都から、夢によって維持されている仮初の魂を引っこ抜く。
ある意味では、死者を蘇らせるよりも無謀な行為。
しかし、霊体に強く関わる鍵の書の秘奥に触れ、確証を得た。
無謀ではあっても、無理ではない。
それを、これから証明する。
「三千歳の肉体も用意できんじゃろうし、これで満足するしかないじゃろう。
妾は何をすればよいのじゃ?」
「ただ、立っていてくれればいいよ。できる限り自分を強く持って……かな」
「うむ。では、やってくれい」
ユリアと人形が並んで立ち、フィーが両手をかざす。
「えいっ」
――ぷすん。
鍵の賢者フィーの編み出した、初めての大魔術。
朗々とした詠唱も、目が眩むような魔法陣も、派手な効果音も、ない。
可愛らしい掛け声一つと、空気の抜けるような音。表面上の変化はそれだけだ。
「どう、かな?」
「……ふうむ」
声を出したのは、幼い人形。
同時に、ユリアだった肉体はすみれ色の粉となって幻都の風に散っていく。
「成功、ということじゃのう」
「やったーっ!!」
冷静に拳を開閉したり肩を回したりして身体を確かめるユリアと対照的に、屈託なく純粋に喜ぶフィー。
「これでもう、ユリアさんは夢なんかじゃない!
私達と同じ時代に生きる、私達と同じ現実に生きる、何かその……ふええええん!!」
遂には感極まって泣き出してしまう。
「よしよし。ありがとうな。そこまで妾のことを想ってくれて」
小さな身体で、フィーを抱き背中をぽんぽんと撫でてやる。
外見にそぐわぬ、慈愛に満ちた仕草。
夢見の巫女が、三千年の孤独から解き放たれた瞬間。
「礼をしてやらんといかんの。もそっとかがめ」
「えぐっ、こう、ぐすっ、かな」
泣きじゃくりながら素直に姿勢を低くするフィーに。
「ちゅ」
柔らかい、唇の洗礼。
「……はへ?」
泣くことも忘れ、数瞬の思考停止。そして。
「あ、え、ああ、ふえええ!?」
涙で濡れた頬を、真っ赤にして照れる。
並みの魔術師では到達し得ない大魔術を成功させたのと同一人物とは思えぬ、小娘のような反応。
「何じゃ、騒々しい。幸せにしてくれるんじゃなかったのかのう」
「そ、ぁ、そういう意味じゃなくって……だから、そのぅ」
「さて、そろそろ行こう……いや、帰ろう、と言うべきかの。妾の新しい居場所へ」
「あ……う、うん!!」
手を繋ぎ、寝台へ横になる。
二人揃って。現の夢を見るために――。

鍵の賢者、フィーの伝説は数多い。
逸話の中では、彼女に寄り添う一人の少女の姿が描かれるのが常である。
その少女が何者であるのか、諸説あるが決定的な論拠はない。
だが、少女の言葉の中で唯一、はっきりと残されたものがある。
「フィーが初めて編み出したのは、妾の魂を救う魔術。
二つ目に編み出したのは……恋の魔法、じゃ」
225 ◆1HLVKIREhA :2010/09/25(土) 23:51:41 ID:3+rPNmdr
こんな感じでいいのかなあフィー×ユリア編
>>197が名前を出してくれたので書いてみました
ユリアってーとどうにも切ない流れになりがちだろうというところをあえてご都合主義のハッピーエンドへ
俺の遺伝子が幸せな結末を欲するのだよ……ッ
エロはまぁ何かネタがあれば書くかも知れない
226201:2010/09/25(土) 23:53:34 ID:7mkP+7eU
職人さん乙乙
人がいるって素晴らしい

>>203
うお、もうスレを見てないかと思ってた
書いてみるもんだ
楽しみにしてます
あと6スレくらい気長に待ってる
227名無しさん@ピンキー:2010/09/26(日) 00:00:54 ID:7mkP+7eU
>>225
GJ!
これはいいハッピーエンド
百合キスは正義

ユリアさん原作だと本当にいいことないよな
ラスボス戦後はそのまま成仏してるだろうし
228名無しさん@ピンキー:2010/09/26(日) 00:20:59 ID:j19+JeR0
>>225
乙!
ユリア分が補給できて良かった…
にしても魔術師の生まれとユリアはハッピーエンドに行けたりデネロス
が死んで精神的にかなり参ってる時に慰めてもらえたりしそうで相性がいいな
22915 ◆E9zKH0kZMc :2010/09/26(日) 11:15:38 ID:3EfW+lu9
乙です。6レスって一日で消費しちゃうようになりましたね。感涙でます
>>212-214続きで6000強キャシアス、とくになんという事もない感じなので
やや退屈かもしれません。不都合があればとりあぼんでお願いします
23015 ◆E9zKH0kZMc :2010/09/26(日) 11:16:12 ID:3EfW+lu9

「ちょっと、いいかな……鎧を修理してほしいんだ」

黄昏た街角、夕暮れの日差しの中久しぶりに姿を現した青年は、店先から少し距離を置いて語りかけた。
「おーきゃしゃりんではないかー。おっ帰りー、探索大変だった?」
「ああ……今回は、すこし堪えたかな。まだ直して使えそうなら直してくれないか」
身を乗り出してみれば、落としたゆで卵のようにへこんで引き裂かれた鎧をまとったまま微笑んでいた。
「どうしちゃったのー?!大丈夫?!鎧どころか中身のキャシアスの手当てのほうが先じゃん!お母さん!
ちょっと店番かわってよ!いいやもう閉めちゃえ。ほらすぐはいって、手当てしてあげるから」
「いや……何日も探索した帰りだから、ものすごく汚いんだ……くさいし。家の中を汚してしまうよ」
「何いってんのさ、これくらい靴脱いで入れば平気だよー。どうせならお風呂はいっちゃいなよ、このまま館
に帰ったら怒られちゃいそうじゃん」
「……それはさすがに、はばかられる」
「あらキャシアス君、酷い怪我してるじゃない!ほらここ座って、今お水もって来てあげるから、しっかりする
のよ!救急箱どこだったかしらね待ってらっしゃい、ネル!早く手当てしてあげないと、その前にお医者さん
呼んだほうがいいかしらね、まあまあすっかり泥んこになってるわ。きれいにしないと化膿してしまうわよ」
「ね?さっぱりしてきなよ」
「あ、ああ……いや、すみません」
「ちょうどお湯も沸かしてあるわ、温めてしまうと出血して痛みも酷くなるから、汚れを落とすだけにするのよ」
「大変有難いのですが、さすがにそこまでご厚意に甘えるわけには……」
「なにいってんの、大切な領主様の息子をこーんなぼろぼろのままお返ししたら申し訳ないわ、なにより娘の
幼馴染じゃない。むかしっから仲良くさせてもらって、あなたがどういう子なのかもよぉお〜く、承知してるわ」
雑貨屋の店主が意味ありげに含み笑いすると、戦士の顔は引きつった。
「か、かたじけない……」
ろくでもない記憶が走馬灯のように駆け巡る。おねしょをせずにすむ方法を相談したあの日、悪夢で眠れなく
なってお守りを貰いにいったあの日、叱り飛ばされ泣きついたあの日。握られてしまった弱みはあまりに多い。
ゆがんでしまって一人では着脱もできない鎧を脱がしてもらうと、ひどいにおいは自分でも感じられたが、嫌な
顔も見せずに足を洗ってくれる。幼い頃は気づかなかったが、随分とつつましい風呂だ。自宅の殆ど泳ぐために
あるような規模なのに慣れていると、膝を抱えるような風呂釜や、万歳もできない洗い場は冗談のように思える。
それでもあるだけマシだろう、何かの毛皮がついたままの肉片が零れ落ち、巨大な爪や牙の破片がそのまま
食い込んでいるのが出てきた。なぜかネルは涙声になっている、と思う。腫れ上がり回らなくなった肩に湿布を
してもらい、えぐられた深い傷を消毒してもらう。熱を持っていて、効いているのかどうかすら分らない。亡くなった
親父さんの衣というものを着せ付けてもらう。
23115 ◆E9zKH0kZMc :2010/09/26(日) 11:16:44 ID:3EfW+lu9
「借りておいてなんだが……ちいさいな」
「キャシアスがおっきいんだよ。ほら、ちゃんと上向いてて、傷薬がぬれない」
「これすごいわねー、まるでネルにやられたみたいよ?洞窟にはこんなのが一杯いるわけ?」
「んもー、お母さんまでそんなこといわなくってもいいじゃない、ねー?」
「ああ、相手は人間ではなくて……大きな獣で」
「薬が足りないからもってきてー」
「分ったわ。キャシアス君でもこんなにやられちゃうなんて、よっぽどの相手だったのね〜怖いわぁ……」
「私など、まだまだ未熟です……もっと優秀な男だったら」
唇をかんで黙り込んでしまった。町にこれほどの被害を出さずに収束させられただろう、と思う。
「しばらく、ゆっくりしてたほうがいいよ。このままじゃ…いつかほんとに死んじゃうぞ…………聞いてるの?!」
「いってえ!?……どうしたんだい、ネル」
「……あとでテレージャさんかメロさんにちゃんと見てもらいなよ、ほんとに応急手当してるだけだから」
「そうか、有難う。君がいなければ、館にたどり着く前に力尽きるところだったな……助かった」
差し出した腕にガーゼを当てて包帯を巻いてやる。真っ白な手には桜貝のような愛らしい色のくせに、可愛げの
ない爪が並んでいる。骨太でがっしりとしたあたたかな手のひらだ。いつまでも小さな弟分だと思っていたけれど、
いつのまにやら体格差は広がっていく……それでも優しいから、つい今でも張り合えるような気がしてしまうのだ。
「思ったより状態が悪そうだな……もう原形とどめてないようだ」
「うーん、破って脱がしちゃったもんね。新しいの作ったほうが早いかもよ、なにか素材はもってる?」
「ああ……僕には良く分からないから、適当なものがあるか見てくれるかい」
「よーし、どれどれー?なんだ……一杯あるじゃん、もしかして鉱脈でも見つけたの?」
「ああ、滝の塔の奥にひとつみつけたよ」
「すごーい、素材のお店開けるよ。これはなあに?鉱物じゃないよね」
取り出したのは彫金した亀の甲羅のような奇妙なかたまりだった。何かから無理にむきとったような様子がある。
「ああ、青いうろこの竜がいてね……。起こしてしまったので戦っていたら、ひとつ剥がれたので、持ち帰ったんだ」
「じゃあこれ竜の鱗なの?だったらすっごく強い道具が作れるよ。火でも燃えないし、氷点下でも素材が変質しない
んだってさ。大昔の武器とか、発掘された調度とか、そういうやつしか出てこないんだって。ガリオーさんがいってた」
「そうか……エンダにも、いずれこうしたものが生えてくるのだな」
「えぇえェェー」
振り返ると心底不満げな女将が扉の前に立っている。
「ああ、お母さん。まだ残ってた?」
「もういくつもなかったわねー。カブラ苔ならまだあるから作ってあげるわ、持ってらっしゃいな」
「お手数かけます。……それではネル、君に、これにかわるものを頼みたい。どれでも好きなだけ使って構わないよ。
あとで館のものにとりに向かわせるから、四・五日の間に完成させてくれるかな」
「まーかせて!」
「もう遅いし、おなかすいたでしょ。よければキャシアス君もうちで夕食食べてく?」
「いや、これ以上ご迷惑はかけられません。本日のところはこれで失礼いたします。重ね重ね、有難うございました。
またよらせて頂くこともあると思いますが、その際にはよろしくお願いします。では……これで」
「そう、残念ねー。もう暗いから気をつけて帰るのよ、ランタン持ってくといいわ、おやすみ」
「ご親切痛み入ります。おやすみなさい」
「おやすみー」
「相変わらず律儀な子ねー……」
母子で姿が見えなくなるまで見送って、それから部屋に上がった。
23215 ◆E9zKH0kZMc :2010/09/26(日) 11:17:16 ID:3EfW+lu9

城館前ではかがり火が焚かれ、歩哨の姿が見える。遺跡が見つかるより前はここまで物々しい警備はなかったが、
夜種の襲撃など治安の悪化から警戒が強められていた。青年の姿を認めるや敬礼して出迎える彼らに、手を上げて
応じていると、随分と待ちかねていた様子のフランがどこからともなく飛び降りてきた。
「キャシアス様!お帰りなさいませ、お怪我はございませんか」
「……ただいま。元気にしてたかい」
「あたしなんか……それよりキャシアス様、ひどいお怪我のようです」
「心配かけたね。誰か酒場にやってテレージャ殿を呼んできてくれ。もし聞こし召しておいでのようならお声はかけずに
メロダーク殿に頼んできて頂きなさい。彼なら夜遅くでも召し上がっていることは滅多にないからね。ただ、少し多めに
包むのは忘れてはいけないよ」
「かしこまりました」
「お部屋でお休みになりますか、それとも……なにか召し上がりますか」
「すこし疲れたな……いらしたら部屋にお通ししてくれ」
荷物や武具を預けてふらふらと階段を登るので追いかけて肩を貸す。夕食の席についていたカムール達に簡単な挨拶
を済ませて寝室に向かった。地図やら甲冑が置かれ、私物らしい私物がほとんどない部屋。何かの花が片隅に飾られ
ている以外は人間の気配もないような場所だった。着替えを手伝うが、下着の端々から真っ赤な傷跡や包帯が覗いて、
痛ましさに目を背けてしまう。寝台に腰かけるだけでもようやっとというキャシアスを寝かしつけ、アルソンが昼に作った
焼き菓子を運んでやった。連れて行ってもらえない……手当てもしてやれない。なんの力にもなれない。もう眠り込んで
しまったらしい精悍な横顔をじっと見つめる。
「……お前の顔が見たいと思って……帰ってきてしまったけれど」
「キャシアス様……?」
「声を聞いてほっとしたら……気が抜けてしまった」
傷がものすごく痛み出したと続けたところで部屋を飛び出していった。音もなく駆け抜け氷嚢をいくつも抱えて戻る。
「なにも……分身までしなくていいんだよ」
「だってはやく冷やさないとっ、お気をしっかり……!すぐに治療できる方がきますからっ」
「ほう。可憐な乙女に身を切るような思いをさせるとは、貴公も中々どうしてやり手のようだな」
振り返ると戸口に手をかけた華やかな男が微笑みかけていた。なんとも絵になる立ち姿、いくらか酔うておいでの様子。
「テオルど、ぬぎゃっ……ぐぐぐ」
「キャシアス様!!」
「おやおや、随分とやせ我慢していたのだな。無理をするな、そのまま寝ていろ」
たいして心配する様子もなく部屋を一周し、死に物狂いで体を起こしたキャシアスの顔をどこか楽しげにかえりみた。
「時に、毎夜毎夜恐ろしいにおいと物音がするのだが、あれは一体なんであろうな?この己もはかりかねる」
「ご不便をおかけして申し訳ありません……当館の者が料理の練習をしておりますので、その為ではありますまいかと。
アルソン殿にもたびたびご指南をいただいておりますが、なかなか未熟ゆえ」
「はっはっは!見た目に似合わず冗談も言うのだな。いやいやいや、あれが料……フハハハハハ。いやはや、失礼した。
今宵はゆるりと休まれるが良い、クッハハハハ!邪魔をしたな…ぷぷーっ」
気持ちよく大笑いをすると、踊るような足取りで出て行った。……実に上品な残り香だ。なおも廊下から笑い声が響いてくる。
「……あまり、気にしないように」
「すいません……」
「お前も一生懸命やっているのだろ。僕は、よく知っているから。だがテオル殿も大切なお客人だから、特訓は少し控えた
ほうがよいかも知れないね……鷹揚な方でよかった」
「はい、キャシアス様」
23315 ◆E9zKH0kZMc :2010/09/26(日) 11:18:19 ID:3EfW+lu9
しょんぼりしているうちに馬車が到着したようだ。フランが出迎えに行ったので目を閉じて痛みをこらえていると、ばたばた
と騒がしくなり、フランの金切り声に飛び起きる。
「駄目です!中に入っては……ああっ」
「キャシアス君!!!しっかりするんだ目を開けろォー!!1」
「しにかけてるって本当ですかぁ!?うわああああ動いたああああキャシャースくんがまだ生きてるう!!1」
「な、なな」
「よかったよかった!!僕はてっきりもう駄目なのかと、よかったよかった!!」
「……その辺にしておけ」
遅れて入ってきた傭兵が酔っ払いを引き剥がしたが、感激屋はなおも涙を浮かべてまくし立てる。
「僕はどんなに心配したことか、君のような立派な友人を失ってしまったらどれほどの損失になることでしょう、誇り高く武芸
に秀で、なによりまっすぐに目標に取り組む君の姿勢は」
「くぁwせdrftgyふじこ」
「あのっアルソン様、あまりゆすりますと傷にさわります……」
「ああっ申し訳ありません僕としたことがっ!さあテレージャさんメロダークさん、どうか僕の友人を治してあげてください!」
「よかろうよかろう、この私の出番だね!なあに、驚くようなことじゃ……おんやぁ?私の杖はどこかな」
「こちらにお席を用意してありますので。アルソン様もいらしてください、まずは酔いを醒まして」
「こらこら、からかっちゃいかんよ君。私がこの程度で酔っているとでも思うのかい。夜はまだまだこれからじゃないか」
「キャシアス君のことは僕も父上に手紙を書くつもりで、活躍ぶりは大変素晴らしく」
あれやこれやと騒いでいる飲んだくれを、半ば引きずるようにしてまとめて連れ出していった。
23415 ◆E9zKH0kZMc :2010/09/26(日) 11:18:54 ID:3EfW+lu9
「行きがかり上アルソンも連れ帰ってきたが、かえってまずかったか……」
「いや……、あなたに来て頂けただけでも十分だ、夜分にお呼びたてして申し訳ない」
「たいした技術は持っていないが」
「ある程度痛みが治まれば十分だ。よろしければ本日は、こちらの客室にお泊まり頂こうかと考えているが、如何でしょう」
「やれと言うなら、やろう」
ひっくり返った椅子を拾ってきて傍らに薬箱を広げる。掛け布団をはがして脈を取り、それらしい仕草をして診せ、聖別された
剣をとりだし祈りをささげた。自然の灯りとは異なる光源から不思議な影が零れ落ちる……あまり上手くいかないのか傭兵
の眉間のしわがどんどん深くなり、幾度も剣を構えなおし、ついには何事か呟き、待つように言い残して部屋を出て行った。
ぼんやり天井を見上げていると、かなり時を置いてから脂汗を浮かべた傭兵が、素面のテレージャをつれて戻ってきた。
「遅くなってすまない……状態異常を解くのに手間取った」
「はじめっから万能薬をくれていればよかったのに。まあ君も本職ではないから仕方がないけれどね。どれどれ……こりゃあ
またこてんぱんにやられたもんだね!よく死ななかったものだが、応急手当は一応してあるじゃないか。これはネル君かな」
「ええ。……よほど酷いなりだったのか、帰りに呼び止められて治療してもらいました」
「もう少し……自分を大切にしたほうがいいよ。身も細る思いで君を待ってる人間が、この町にいくらいるか分ってるのかね」
「私はそこ、そこまでの、お、男では……テレージャ殿は、買いかぶりすぎです」
とたん片言になるキャシアスを愉快そうに眺め、傭兵から取り上げた銀の剣で治癒を祈る。洗練された一連の動きに思わず
見蕩れると、目も眩むほどの閃光で視界がかき消される。がっかりした頃には完治してしまったようだ。なんともあっけない。
「せっかくの手当てでもったいないけれど、包帯はほどいてしまってもよいかな……いや、心のこもったネル君の手当てだ。
せめて一晩くらいはそのままいたまえ」
「テレージャ殿のご指示通り致します……有難う。宴の席を用意しましょう。お二人ともくつろいでいってください」
「遠慮せずいただきますよ。しかし君は、今夜はこのまま寝ていたほうがいいな。だいぶ疲れているようだよ」
「申し訳ないがそうします。……あなたもお疲れでしょう。ゆっくり休んでください」
「……いや、私は何もしていない。……気にするな」
目配せされたフランが人を呼んで二人を案内させ、起き上がったキャシアスに新しい寝巻きを着せてやる。
「彼らのお相手をしてくれるか。きっとテレージャ殿のことだし遅くなるだろうから、困るようならゼペックに頼んでいい」
「わかりました、何かあったらすぐ呼んでください。……あたし、いつでもとんできますから」
「有難う。……おやすみ」
彼女なら、本当に飛んでくるだろうと考え微笑んだ。目を閉じ、布団をかけてもらう。いくつか灯りを消し、静かに扉を閉める。
メイドは誰にも届かぬ小さな声で呟いた。
「おやすみなさいませ、キャシアス様……お戻りになって、あたし…嬉しいです」
23515 ◆E9zKH0kZMc :2010/09/26(日) 11:19:53 ID:3EfW+lu9
おしまい、選ばなかった人の動向を考察した感じです
改行しすぎで細切れになりました。すみません
236名無しさん@ピンキー:2010/09/26(日) 15:44:52 ID:wtA/fMt8
>>235

今度はテオルがかっこいいといいですね
237名無しさん@ピンキー:2010/09/26(日) 19:47:13 ID:32fRgMc/
>>235
足を洗ってあげるネルさんがすごくいい感じ
そしてエロい
「私の体で〜」じゃないけど他人の体を洗ってあげるって言うシチュってすごくエロいよね

いつかアルソンが大活躍してくれることに2デュカル
23815 ◆E9zKH0kZMc :2010/09/26(日) 20:20:38 ID:3EfW+lu9
即死判定がちょくちょく働いてるのに驚いて、つい……きてしまいました
>>238
大変下世話な話ですが、ほかでもなく足を洗う為には確実に跪きますからね
ついでに、最後のセリフは心のきれいな方には廊下で言ったように見えますが
(ryちなみに私には窓の外から覗きながら呟いているように聞こえます、はい
239名無しさん@ピンキー:2010/09/26(日) 21:44:22 ID:nfoTx+uy
女が男の足を洗うのは、凄い献身的でいいよねえ・・・
240名無しさん@ピンキー:2010/09/28(火) 12:40:06 ID:KqWufmxj
男が女の脚をペロペロするのも献身的でry
でもそーいうのが似合うSキャラがいないぜ
241名無しさん@ピンキー:2010/09/28(火) 21:41:08 ID:7/i4wiYf
>>230
おっしゃGJ
会話文上手くていいなあ

>>240
ユリアがいるじゃないか
あの脚線美といい微高慢お姫キャラといい
242名無しさん@ピンキー:2010/09/28(火) 21:50:05 ID:6baGyA9+
ユリアさんかなり気怠いからな
「なんじゃ奇妙な趣味じゃな。好きに舐めろ」くらいで
言葉攻めもご褒美の足コキもしてくれなさそう
好感度低い状態のテレージャならあるいは

ルギルダさんの下半身は魚臭そうだから嫌だ
243名無しさん@ピンキー:2010/09/28(火) 22:02:06 ID:k3Gr4W1V
好感度が低い状態のテレージャさんにこう、そういうことをして
妙な方向に好感度が上がっていくんですね、わかります
244名無しさん@ピンキー:2010/09/29(水) 00:24:02 ID:vqguYj5u
>妙な方向に好感度が上がっていく
グッドエンド時の選択肢がえらいことになりそうだ
245名無しさん@ピンキー:2010/09/29(水) 09:01:50 ID:LcOuxMPD
限界まで張り詰めたナニを脚で弄られ暴発
「こんなのがいいのか、君は……ふふ、変態だな」
精液に塗れた脚を顔面に押し付けて
「ほら、自分が汚したんだから自分で綺麗にするんだ」

こういう流れですね解ります
246名無しさん@ピンキー:2010/09/29(水) 09:06:07 ID:3GASwDRo
>>245
さあeraホルムのテレ子さん口上を書く作業に戻るんだ
足扱き以外にも色々してくれるぜ
247名無しさん@ピンキー:2010/09/29(水) 09:41:32 ID:8erPqiyN
ネルさんの剣粉戻し体験プレイもありますか
248名無しさん@ピンキー:2010/09/29(水) 14:53:22 ID:vqguYj5u
>>245
すごく…興奮します…

しかもテレージャってお姫様なんだよな
姫、巨乳、眼鏡、巫女、性的に奔放、キス魔、テクニック抜群、実は純情ときて
オタク属性がつくづく残念すぎて本当に素敵です
249名無しさん@ピンキー:2010/09/29(水) 18:52:30 ID:CaTvxP6y
ガチサドテレ子とか胸熱
テクは抜群だから性経験の薄い相手には前戯だけで無双出来るな
25015 ◆E9zKH0kZMc :2010/09/30(木) 18:09:35 ID:qMMwi822
前に一度途中まで書いたので、最後までやってみようという5000弱
じつはいろいろあって急に二話できたので規制に怯えるくらいなら
今日もう全部投下してしまいます。毎度ながら例の通りご協力ください
25115 ◆E9zKH0kZMc :2010/09/30(木) 18:11:06 ID:qMMwi822
「……さすがに、そう簡単には登頂できないか」

真っ白な地獄。視界を覆いつくす猛吹雪に行く手を阻まれ立ち往生する。二人がかりで雪濠を掘って、
荷物と一緒に騎士を押し込み、小さな灯りを頼りに膝を寄せ合い暖を取る。
「吹雪の中を歩いても迷うだけだ。焦らずに、嵐がやむのを待て。何か楽しいことでも考えて気を紛らわ
せているといい。将来の希望とか、そんなことを」
「将来の希望ですか。いいですね〜。メロダークさんは、どんなのを?」
「……私の希望か?そうだな……」
手袋をもてあそびながら言葉を選ぶ。
「……そのうち戦えなくなったら、一日中料理をしながら暮らしたい。小さな料理屋でも開けたら良いな」
「わあっ、いいですね。きっと人気出ますよ!ねえキャシアス君!」
「ソウテスネ」
「君はどんな希望をもってますか?」
「……きっと、お二人とも笑いますよ」
「そんなことないですよ、ねえ?教えてくださいよー、僕はもっと君のことが知りたいなあ」
「左様でありますか。はは……そうですね、僕は……僕はもしできることなら、いずれ」
うつむいてしまったが、消え入るような声で続けた。
「僧院に……入りたいのです」

「「なんでまた!?」」

二人とも飛び上がったので体勢を崩したままキャシアスは答えた。
「切欠ということはありません。ただ、心穏やかに……神の前にありたいと思うのです。弓取り矢矧ぐ
身にあって、おこがましい事かもしれませんが、許されるのならこの太刀を置き、信仰に身を捧げたい」
「そ、そ、それは……」
「……ゆくゆくは即身仏になるんだ」

「「!!?」」

「……あんな料理、もう 食べられない……」
横様に倒れたまま泣き出した。はっとした顔の傭兵が抱き起こすと突然声を荒げる。
「……低体温だ!!正気を失いかけているぞ。しっかりしろキャシアス!!希望を持て!諦めるな!!
必ずあの娘の料理を上達させる!誓ってもいい!!目を開けるんだキャシアス!!返事をしろ!!!」
「一生、穴の中で暮らそう…………エフフ、アハハハ」
「なぜ私の指導では駄目なのだーッ!!!」
「あ、あせることはないですよ!ここまで来てしまえば後一歩です。今は英気を養い、天候が変わるのを
待ちましょう。これだけ急にふぶきになるんです、あっという間に晴れちゃいますよ」
話をそらしてたたき起こす。こういう前向きな所を見習いたいのだ、アルソンの能天気な笑顔がまぶしい。
「こう寒いと体力の消耗が激しいですね。そうだ、くる時チョコパイを焼いてきたんです。みなさんで一緒に
食べませんか?甘いものを食べれば元気が出ますよ、ほらキャシアス君も食べてください」
「……いただきます グスッ」
にこにこと切り分け銀のフォークを添えて渡すがうまいとかあまいとか、二言三言単語を漏らすばかり。
寡黙というか口下手というか、よりによって陰気なものばかり連れて来てしまったことに今さらがっかり。
女たちならば香りが良いとか器が洒落ているとか、なんにせよ言葉を尽くして料理を褒めてくれるのに。
なにを話しかけても反応は今ひとつでまったく発展しないし、食い終わった仲間の皿を片づけてしまうと
すやすや居眠りまで始める始末だ。何度も起こしてやりながら繕い物をしていたがふっと溜息を漏らす。
25215 ◆E9zKH0kZMc :2010/09/30(木) 18:11:39 ID:qMMwi822
「うーん。何もできずにじっとしていると、気が滅入っちゃいますね」
「……左様で」
「ここは元気よく歌でも歌いましょう!」

「「!!?」」

「♪おお立て 我ら大地の子よ 敵は尽きねど 勝利の時は……♪」
アルソンが音痴な大声で歌う横で、護衛戦士は殊勝にも手拍子を打っている……もう、生きて帰れない
かも知れない、覚悟を決めるや立ち上がり肩を組み合って一緒になって歌いだした。傭兵は白目を剥い
たまま動かなくなっているが、揺り動かされて目を覚ましたとき、わずかに表が鎮まったことに気づいた。
「ね!僕のいったとおりでしょう。今日のうちに登頂できる予感があるんです。すぐにでも出立しましょう」
「御意に」
胸を張るアルソンをその場に残して埋もれた荷物を掘り起こし、装備を点検して後片付けを済ませ、新雪
で全くわからなくなった道を探り当てる。これまでにも何度もメロダークについて歩いて、船の操舵術やら
鎧のまま行う遊泳、薪のとりかたから火の起こし方まで、真冬の河に叩き落されようとも生きて帰る術を
身につけてきた。彼も積極的にあれこれと世話を焼くわけではないが、惜しみなく技術を披露してくれる。
賤業ながら、人生における経験ははるかに上だろう。こうした人物が自分の側で働いてくれたなら将来
どれほど心強いだろう。前歴があやふやな点は気にかかるのだが、本人に異存さえなければ叙勲して
雇い上げたいものだ。……ただ、頻繁に料理がどうこうと言い出すのにはやや苦慮している。もういっそ
のこと霞を食って生きていきたい。そうだ、ちょうどあのダッタのように……。

「意外と死なないものだな……」

半べそで生死を確認していたキャシアスは存外健康そうな応答に歓声を上げる。傭兵の大きなため息は
真っ白になって風に飛ばされていった。顔を突っ込み呼びかけるとクレバスの中から返事が聞こえた。即
死したとばかり思ったので驚いたのではあるが、それなりに重傷を負っているらしい。巻き添えを食わない
よう周囲を確認しながら移動して、奥行きを調べてみた。
「登れそうにも無いか。我々で釣り上げるしかない」
「動けるようなのがせめてもの救いだ……。そのままお待ちください!こちらで何とか致します!!」
「皆さんは無事なんですねー!なにかお薬投げてもらえませんか!」
「了解しました!ただいまロープに結んでそちらに降ろします!」
怒鳴り返す傍らで、傭兵は袋に取り分けた傷薬をなぞの神様のロープに結わえ付けた。それぞれの腰に
縛りつけてから、ばっくり開いた氷の裂け目に滑り込ませてみる……。
「そちらの縄の端を体に結びつけたら我々が引きます!手当てが済んだら教えてください!!」
「はーい!ちょっと待っててくださいねー……!」
治療の傍ら武器や装備品の一部を引き上げてやり、全ての準備を整えてから腰を落としてロープを構える。
地上と共に息をあわせて上へ、上へ。空気も薄いから呆れるほど消耗する。ようやく地表に腕が現れ、頭
が顔を覗かせた。距離をとりつつ引き寄せ、とうとう全身を確保することに成功した。メロダークにチョコレート
のどか食いをさせつつ治療させるキャシアスは、傍らに跪き心配げに二人を見守っている。
「大丈夫そうですか、アルソンさん」
「いや〜今度ばかりは危なかったです、ほんとうに有難う!君は僕の無二の親友だ!」
「ぐふっ 光栄です」
体当たりに近い抱擁を受けてめろめろにされた。装備を再点検して再出発する。頂上まであと一歩だ。遥々
上り詰めてきた自分たちとは違って一瞬で駆け巡る冷たい風に身をさらし、ゆっくりと歩みを進める。鮮やか
な青空。眼下に広がる一面の雪景色、ふもとの寺院群、そして平野。騎士はガッツポーズで喜んでいるが
キャシアスは帰りの道筋を思い巡らせ沈んでいる……。一段低い場で指示を待っていた傭兵が顔を上げた。
25315 ◆E9zKH0kZMc :2010/09/30(木) 18:12:44 ID:qMMwi822

『……すべては虚空に還る……』

「この声はどこから……」
警戒しつつ聞き漏らさないように神経を尖らし、不思議そうに見上げるアルソンの前後にさりげなく移る。
「大いなるものよ、小さき者にみ姿を見せたまえ!」

『……私に肉体は無い。名とともに捨てた』

「そんな簡単にできるんですかねー?」
「下手に当てたらたちまち殺されそうだな……」
「正体が見極められない以上、うかつに手は出せない、か……」
「でも当てないことには先に進めませんよ!すいませーん!お名前教えてくれませんかー」
「いや忘れたと仰せだが」

『それは私にも分らない。ただ遠い記憶があるだけ』

「あ、そっかー。うっかりしてました」
二人とも思わず頭を抱える。なおも響く何者かの声は歌のように山頂にこだましていた。

『時の始まりには金の産着にくるまれ。青年期には青と白の外套をまとい。老いては赤き一瞬の栄華に
包まれ。死して黒と銀の死衣で横たわる』

『そして再び時が始まるならば、光の中で蘇る!おお、私の名は?』

「まるで謎かけですねー。困ったな、僕こういうの苦手なんですよね。あれ?ものすごく顔色が良くないで
すけど……もしかして名前が分りましたか?」
「こ、こ、答えは……答えは恐らく、わか、わかるの、ですが……しかし」
兜越しにへんな脂汗を浮かべているのが見える。
「躊躇うな。お前が答えろ。ここまで来たのだ、いまさらどうなろうと私は構わない……」
アルソンがまっすぐに力強くうなづき、こうして逃げ場は奪われたのだった。深く息をついて顔を上げた。
25415 ◆E9zKH0kZMc :2010/09/30(木) 18:13:22 ID:qMMwi822
「問おう!そなたが、――かの偉大なる『空』か!!」

……へんじはない。ただかわりに、視界全体を覆っていた雲がひとところに集約されていく。

「えっ」
「えっ?」
「え っ ?」
「うわっ!?なんて大きさですかっ」
「うおあ一体どうしたらいいんだあ」
「落ち着けキャシアス、これもまた何者かに作られた姿に違いない。見ろ、たった今まで空だったものを。
剣を取れ!戦うのだ!!これまでお前がなしてきたことを思い出せ、お前は……一体なんだ?」
「……!!!」
僕は野伏……言い聞かせるように呟き空を見上げ水と風の加護を祈りを唱え、防御陣形を取るよう指示を
飛ばしたアルソンが雷撃に吹き飛ばされ悲鳴が尾を引けば覚えたばかりの倍力呪文を唱えた傭兵の眼前
腕を封じようとしたキャシアスがワイヤーに引っ張られてすっ飛んでいく。
「折角かけようと思ったのに、私しかいなくなってしまった……」
「と、突撃、突撃ィー!!キャシアス君を受け止めろ!!!」
受け止めろといわれても、巨人の一挙手一投足で大きく左右に振り回されて、いつ岩に叩きつけられるか
みているこっちも気が気でない、やけっぱちで斬りつけた脛からおびただしく出血しぬめって体勢を崩す。
「……攻撃が通るぞ!!」
「ゎ ヵ っ……ぃ っ は物理攻撃が通るんだ!!装甲がよ わ ぃ ヵ …………ぁぁああぁぁ〜!!!」
悲鳴を残して再びどこかに飛ばされていった。
「ああーっ、キャシアスくぅーん!!んもー肝心のところが聞こえないじゃないですか、てりゃー!!」
素早く二撃繰り出し打撃を食ったところに一刀両断、体より大きなこぶしが山肌を打ち砕き強風が牙を剥く。
目も眩む稲妻が降り注げば、巨大な足が振り下ろされ正に大気の運動そのもの、どこからかよじ登ってきた
キャシアスがじゃれつくようにつま先を駆け上って、素早く脇下を斬りつけ頭から血をかぶり飛び降りてきた。
すかさず間合いを詰めたアルソンの乱れ突きに巨人の手のひらが飛んでくる!指を狙った一刀両断、耳を劈く
吼え声が響き、真っ黒な雲から伸びる幾筋もの竜巻は……しかし水と風の精霊がこれを護る……。
「脇に潜り込んだのはうかつだった、凍死そうだ……。効いてるのかいないのか、これだけの巨体だと勝手が
違って手ごたえがつかめん……退却すべきでしょうか」
「いや、見てください。ふらついてます……確かに消耗してはいるんですよ!必ずいけます!間違いない!」
「持久戦は覚悟しろ、回復を怠るな」
うなづきわずかな薬を分け合い再び張り飛ばされる。返す拳を冷凍マグロの鼻面で受け止め走る走る。かく乱
を狙って右へ左へ息をあわせて逃げ回り、腹を立てた巨人は地団太を踏み弾き飛ばされて、咳き込みながら
斬りかかる。命がけの鬼ごっこ、小鼠をもてあそぶように打撃を繰り出す巨人に盾まで押しつぶされ、打ち倒
された次の瞬間、巨人は大きく体勢を崩して視界を横切り真っ逆さまに崖下へ……まるで夜が明けるかの様。
「ちょっと……卑怯だった、かな……」
「これだけの体格差があったんですよ?足をすくう位なんでもありません!大丈夫ですか、メロダークさん」
「ああ……問題ない、お前の作戦は奏功したようだな」
「有難う、みな無事で良かった」

どこか恥ずかしげに微笑む青年の手には、きらきらと陽光に輝く鉄線が握られていた……。
25515 ◆E9zKH0kZMc :2010/09/30(木) 18:15:27 ID:qMMwi822
雪山討伐編完。つぎのも5000文字ほど。>>237でお察しの通り
騎士らしくアルソンさん祭りです
25615 ◆E9zKH0kZMc :2010/09/30(木) 18:16:07 ID:qMMwi822
「ちょっと……もう、僕は自信が」

「しっかりしてください、動けますか?キャシアスさま」
「元気出してくださいって。ちょっと運が悪かっただけですよう、ねえ?フランさん」
「そうですよ、キャシアスさま。それに、この子の一族は昔からみんなとっても強いんです、ねジャスミン」
「ウッホウッホ、フンゴフンゴーウッキャ」
「君が致命傷を負ったのだって、フランさんをかばってあげたからじゃないですか。これこそまさに騎士道
精神の鑑です、君はとても立派だ!顔を上げてください」
「面目ない」
大猿と連れの仲間は心配そうに瀕死のキャシアスの顔を覗きこんでいる。
「郷のみんなは、このすぐ北の谷にある避難所にいるみたいです。案内しますから、行ってみましょう」
「ウッホホー」
小川に沿って移動し、途中からは馬を下りて侍従を待たせ、徒歩で北上する。苦労して崖を通り、終に
洞窟を目前とした。良く見れば切り出し窓のようなものが見えるし、古い櫓が組まれている。
「もう少しでつきますよ、がんばって下さいねキャシアスさま」
「随分と年季の入った遺跡のようですね。こんなところがあると うわあ!!」
「動くな」
動揺したアルソンに肩から叩き落されたキャシアスは、そのままぐったり地面に伸びている。
「我らの隠し砦を見られたか……。貴様ら、何者だ?」
「待ちなさい、ギュスタール」
「えっ、姉ちゃん!?」
「あなたは敵と味方の区別もつかないの?」
「うわあっ、ごめんよ姉ちゃん!」
「……『姉ちゃん』?」
「ああ、そういえば……弟がいたのだったね」
「大丈夫ですか!?おおなんてことを」
「おれは特に何もしていないが」
「そうだね……僕は何もされていませんよ。フラン、彼が弟御なのか」
「……恥ずかしながら……。この子はあたしの弟のギュスタールです。郷の若長をしています」
「……どうも。弟です。ちなみに14歳です」
「え?14歳?うわあ、年の割にすっごい偉そうですね!」
「余計なお世話だ。……フン。それはともかく。姉の仲間なら問題ない。歓迎しよう」
気の毒なほどぼこぼこにされたキャシアスを担ぐと、洞窟に招き入れられる。内部に来てみれば
想像以上に大勢の人間が潜んでいるのに驚かされた。誰しも気配を消すことに慣れているのか
少々ぼんやりする間に取り囲まれてしまう。幸い彼らはフランを歓迎しているらしいが少々怖い。
「ここは、我々レンデュームの民が非常時に篭城するための場所だ。もともと我々は、ホルムの
領主に臣従するまでは、この一体を支配していた。その時代のものだ」
「西シーウァに見捨てられた挙句、自棄になって篭城戦に持ち込んだせいで僕の伯父に処刑され
かかったところを、カムール殿が嘆願して助命されたんでしたっけ。あの癇癪もちを相手にしてよく
楯突く気になったものですねー、最悪カムール殿まで命を落としかねなかったです。こんなごく少
数の者のために体を張るなんて、僕じゃとてもこわくて考えられませんよ」
郷のものは明らかにむっとしているのだが、騎士はまるで気にも留めていない。確かに彼らを手勢
に収めたところで、ネスから身を守るに不十分なのは間違いない。何か勝算があったのだろうか。
「……斯様な情けをかけること自体、誇り高い一族の誉れを傷つけるに相違ないのでしょうが」
真っ青な顔で大きく息をついた。
「戦場で相対し、その実力を認め合った仲でもあります……。みすみす見殺しにするのは忍びないと
考えたのでしょう。ネス公も、一時は一族郎党すべて火刑に処せとまでのご命令を下されるほどの、
激しいお怒りがあったようですが、かのアークフィアの流れもさながらのお心映えの広さから、終には
ホルムに忠誠を誓うことを引き換えに一族の助命に応じてくださった……それだけの価値はあったと
私は考えている」
「貴様らさっきから何言っているんだ……」
25715 ◆E9zKH0kZMc :2010/09/30(木) 18:16:44 ID:qMMwi822
「こちらはネス公の甥にあたるアルソン様です。従兄弟のテオル様ともども、災厄の解決のためホルム
に滞在しているの」
「あ、ああ……」
「そして、こちらのキャシアスさまは、ホルムの若君です。じきじきに助けに来てくれたのよ。子供の頃
なんどか会ったことがあるのに、あなた覚えてないの。いっしょに遊んだりしたのよ」
「こいつが……?いや、それよりどう見ても死にかけてないか」
「気に……しないで下さい、いつものことです」
「……そういえば昔、家に来て早々、腹を壊して寝込んだ白髪の子どもがいたな。それがお前なのか」
「あったね、そんなことも……。君は随分大きくなったな。いつの間にか年まで追い越された気がする」
「ほっとけ!誰かこいつの手当てをしてやれ」
「ちょっと食べあわせがよくなかっただけです。放っておいてもじきによくなりますよ、ね!キャシアス君」
「ソウテスネ」
「……姉ちゃん、こいつの城で働いてるんだろ。変な事とかされてないか?」
「されてません!」
「されてるというか、どちらかと言えばしてるほうですよね〜。しょっちゅう皆でお腹壊してますよ」
「なに!!?まさかお前……姉を厨房に出入りさせてるのか」
「ソウテスネ」
「な、なんて命知らずな漢だ……」
「慣れてしまえば……どうということはない」
「キャシアスさま……!」
思わず畏敬の念を抱きかけたがそうはいかない、腕を組みなおして顎を突き出した。
「……フン。もし時代が数十年前だったら、こいつもおれも対等の立場。世が世なら、姉ちゃんが他人
の城で働かされるような事もなかったはずなんだ……」
「……いい加減にしなさい、ギュスタール!」
「フランさんの年齢だったら、普通に政略結婚とかして郷はとっくにでてるでしょうけどね。もしかしたら
君たちは今頃義兄弟だったかもしれませんよ」
「「えっ」」
「お前なんかに姉ちゃんやるわけないだろ!!!!!!!!」
「うわらば」
「わあキャシアス君!!ひゃあ!いつのまにかギュスタール君まで死んじゃいそうです!!大変だ!」
「姉ちゃん、頚動脈を切るのは卑怯、だよ……」
「…弟が失礼を言って申し訳ありません。普段はこんな子じゃないんですが……生きておいでですか」
「……僕が彼でも張り倒すさ、気にしていない。アルソン殿もお言葉が過ぎますよ、あまりおからかい
下さいますな。確かに彼がいてくれたら大変心強いことだし、父上もお気に召すでしょう。私より遥か
に立派な戦士だ。将来のホルム一円を担う優秀な人材であることは疑いの余地がありません……」
「す、少しは話が分るようだな……」
フランにぶっさされた傷から血を吹いた若長とともに、ぐらぐらしながら椅子に座らせてもらう。
「まずは支援要請に素早く応じられなかったことを詫びましょう。残念ながら、既にいくどかこちらに派遣
した偵察部隊は、現在もすべて消息を絶ったままです……。ホルムの正規軍は市民兵が主体だ。彼ら
のほとんどが、遺跡から湧き出した怪物にも太刀打ちできずにいる。レンデュームの歴戦の勇士ですら
手を焼く軍勢では、到底歯が立ちますまい……。だが、現在ホルムの財政状態は火の車だ、治安対策
と急速に増え続ける難民保護にくわえ、さまざまな怪異の対応に追われ膨大な支出を強いられて、いま
さら新たに傭兵団を雇い入れる余裕もない状況なのです。……身分に関わらず、叙勲と懸賞金で探索
参加者や志願兵を募るという苦肉の策をとっているが、いまのところ目立った成果は上がっていない」
支出の何割かは館に逗留している金食い虫が出所である、隣にいる貴族も同様だ。げっそりと面やつれ
した青年のただならぬ様子は、決して郷の守護者に負かされたため、だけではないのだと理解する。
「そこまで……厳しい状況だったとは」
ホルム伯が見せた最大の誠意。それがこの二名なのだろう。片方棺おけに足を突っ込んでいるのだが。
25815 ◆E9zKH0kZMc :2010/09/30(木) 18:17:16 ID:qMMwi822
「……ともかく、敵の親玉の居場所は分っているから、援軍が来たら一緒に攻め込もうと思っていたが
来た人数がこれだけじゃ、どうにもできないな……」
「もし興味がおありなようならば、テオル公子に出動を要請しても良いかもしれないな。どう思います」
「あの騎士団は実戦経験なんてほとんどないんじゃないかなあ、どうでしょうねー。きっとこういうのは
大好きだと思いますけどね。ちなみに、その敵というのはどのあたりに根拠地があるんですか?」
「それを聞いてどうするつもりだ?」
「接近して敵を観察します」
「怪物たちを統率している黒い魔女には熟練の戦士たちも敵わなかったんだぞ」
「……ならば得心もいく」
「どういうことだ」
「あなたがたは魔術に対する耐性が、ない……戦術も、魔法防御が手薄になりがちなものだ」
「なるほど、先の戦に敗北したのと同じ原因ですね。いまだに弱点を克服してないんですか?」
若長の噛みつかんばかりの顔もどこ吹く風。血でも吐きそうなキャシアスがようやく切り出した。
「……こちらで魔術の心得がある者を用意しよう、排除までの間、襲撃に備えて装備品の手配
をします。あとで守備隊の頭数を報告してください」
「いいだろう」
「それで、その黒い魔女は一体どこにいるの」
「……奴らは、ここの真東にある岩山の遺跡に巣を作っている。白い列石の先にある谷の奥だ」
「ここへ来る時みかけたね」
「だが命が惜しいなら、手を出そうとは思わないことだな」
「……そうだね。君たちもこの討伐には加わらないほうが良いだろう。お前もこの砦で待っておいで。
久しぶりに親戚の方と会えたのだし、ゆっくりするといい。……この中に魔女と戦ったものがいたら
話を聞かせてもらうが、構わんね」
しかめ面のままわずかにうなづいた。それからさらに奥の部屋に通され簡単な手当てを受けながら
戦士たちの言葉に耳を傾ける。揃って酷い火傷や凍傷を負っていた。代々受け継がれてきた技術が
あっさり蹴散らされ、傷心しているようだ……一人になったキャシアスは、古い本を取り出していた。
「随分と余裕のようだな」
「ああ……君か。先ほど古参兵から話を聞かせてもらった」
「彼らはおれより遥かに強い。……ホルムの次期当主というのは、あんなやつにおべっか使う必要が
あるものなのか?」
あざけるような態度で青年を見下ろしている。
「アルソン殿のことか。心証がよくないのはわかるがね……、大変高いご身分であそばされる割には
居丈高なところが全くないし、二心を持たない方だ。この機会に市井の生活をご覧いただいて、将来
国政に参与される折には、なにがしかご反映下さるものならと、不肖この私は考えているのです……」
少しくらい怒らせてみようと思ったのに、なんとも穏やかに応じられてしまった。
「……ずいぶん長いこと行方知れずになっていたそうだな。姉に聞いた」
「洞窟の中で崩落に巻き込まれてね……これはその時さまよっているうち見つけた本だ。よければ君も
目を通しておくといい」
「……ヴァラメアの、魔女?御伽噺だろ」
一瞬背表紙を入れ替えたものかと期待までしたのに、一体何を真顔で読んでいるのだと不審に思う。
「私は、これまでに幾人かの魔のものと戦った。そのなかに、術も剣も通じない男がいたのだ……ここ
を襲撃した魔女と、よく似ているだろう」
いぶかしんでいるギュスタールに、別の本を取り出して渡す。
「……これは古代の王の同胞(はらから)の物語だ。弟は兄になされた予言に従い、これを打ち倒した。
私は彼になされた予言に従い、これを滅した……理由は分らないが、確かに、古代世界の猛者たちが
今生に再びその姿を現しているのだ。……恐らく、黒い魔女もそのなかの一人と見てよかろう」
「それがこの本に語られてる王女だっていうのか?」
「さてね……。我々は一度ホルムに戻ります。次回訪問する時は、本拠地の襲撃と思って結構だ。大し
た量ではないが、援助物資を持ってきてある。活用してください。では……本日はこれで失礼する」
去り際に一瞬、謎めいた微笑を見せ立ち去った。この男といるとなにか胸騒ぎがする、と若長は思った。
数日後、軍勢を率いて来訪したテオル公子の攻撃であらかたの夜種が掃討される。だが実際のところ
あの魔女を始末したのはキャシアスとほんの数人のものたちと聞かされた。手柄を主張するでもない。
ことさら挑発にも応じてこない。ほんの数歳年上であるだけの相手に、なにとは知れないものの、歴然
たる差を痛感させられた……。歯噛みして、――そして若長は沈黙する。
25915 ◆E9zKH0kZMc :2010/09/30(木) 18:17:49 ID:qMMwi822
以上です。長々と失礼しました
260名無しさん@ピンキー:2010/09/30(木) 19:28:25 ID:d+OtBeRF

キャシアスが胃潰瘍にならないか心配だw
いいぞアルソンさんもっとやれ
>>251の終盤が完全に男だらけな家庭の主婦の愚痴でくそわろた

>>240
1スレ目のバッドエンド女王様ウェンドリンと下僕アルソンさんで
想像したら色々と大変なことになった
261名無しさん@ピンキー:2010/10/01(金) 13:16:59 ID:u/cJe6Ry

「ソウテスネ」にキャシーの苦悩が伺えるwww
262名無しさん@ピンキー:2010/10/04(月) 00:21:07 ID:YNe4illB
>>250
乙です!
続き楽しみにしてます
このキャシアス、ストレス溜まってタイタス化しそうで怖い
263 ◆1HLVKIREhA :2010/10/05(火) 20:29:34 ID:n/Ajs9MQ
幻都。
夢見の巫女が果てしなく長い数日間を過ごしてきたその寝室に、控えめな水音と
浅い呼吸が響く。
「んっ……ふふ。少しくすぐったいのう」
現の夢を見る巫女、ユリア。
三千年の時を退屈に過ごした精神に見合わぬ少女の顔に、艶然とした表情を浮か
べている。
その足元に跪く、一人の青年。
ユリアの言葉も意に介さず、行為に没頭している。
指先から指の股、足の甲と幅広い範囲に丁寧に舌を這わせる。
「まったく、奇特な趣味じゃのう」
舐めさせている、というわけではない。
むしろ逆。
青年の方から、舐めさせて下さいと頼み込んだのだ。
「妾はそなたの忠誠と隷属なぞ欲してはおらんというに」
呆れたような声音ではあるが、嫌がっている風もない。
気だるげに座った体勢から伸びる白い脚が眩しいほどに美しい。
「まあ、好きにせえ。悪い気はせん」
言われるまでもなく、好きにしている。
かかと、くるぶしを文字通り存分に味わい、さらに上へ。
足首から脛を舐め上げていく。
感覚としては、くすぐったい、としか感じない。
しかし、跪き、傅き、献身的に足を舐められる。
三千年の時を生きたユリアにとっても、未知の行為である。
と言うか、そもそもこんな行為に縁があるような人間はごく少数である。
「む?」
爪先やふくらはぎを撫でさすりながら、膝頭へ口付ける。
そのまま、円を描くように舌でなぞる。
その、とてつもなく変態的な行動に、何故か背筋にぞわりと快感が走る。
264 ◆1HLVKIREhA :2010/10/05(火) 20:30:03 ID:n/Ajs9MQ
「ふ、ふふふ……妾も興が乗ってきたわ。ほれ、こっちの足にも奉仕せい」
空いた足をぶらぶらさせると、すぐさま指先へむしゃぶりついてくる。
親指を口に含み、舌を絡ませる。
敬愛や情愛と呼ぶにはあまりに偏執的だが、これもまた一つの愛情表現なのだろう。
と、好意的に受け取れる寛大なユリア。精神年齢三千余歳は伊達ではない。
或いは、その高貴な血統から他人に傅かれることに慣れているだけか。
「そなたは、足を舐めるのが好きなのか?それとも、妾の足だから、かのう?」
もちろん後者でございます、と恭しく答え、再び跪く。
その行動に、一分の迷いもない。
「……そう言ってもらえるのは嬉しいんじゃがのう。
やっていることがどうにも残念じゃ」
ストレートな想いに多少の照れを見せるユリア。
しかし、足を舐めながらでは台無しだ。
「そなたは、足だけで満足かえ?」
再び膝へ向かって上がろうかというところで、ユリアが声をかける。
その問いへの答えを待たず、
「そなたの想いに報いてやろう。ちとそのままでおれ」
青年を跪かせたまま、ユリアが立ち上がる。
元の身長差もあり、ユリアの方が多少視線が高い程度。
「ふふ。いい子じゃ」
大人しくしている青年の頭を一つ撫で、
「ん……ちゅ」
先程まで自らの足を舐め回していたその唇に、唇を重ねる。
「妾とて、何も感じないわけではないのじゃぞ?」
呆気に取られる青年をよそに、楽しげにくるりと回る。
「どうする?足だけで満足か、のう」
着衣の裾をたくし上げ、すらりとした脚を惜しげもなく晒す。
ふりふりと揺れる裾から、太ももの付け根が見え隠れする。
その光景から、目が離せない。
ここまで誘われてなお理性を保持できる男など、いるはずもない。
「今宵は妾が蕩けるような夢を見せてやろう。
現の女では満足できないほどに、のう」
そう言って薄く微笑んだ表情は、戦慄を覚えるほどに妖艶だった――。
265 ◆1HLVKIREhA :2010/10/05(火) 20:30:29 ID:n/Ajs9MQ
ユリア様のおみ足をちゅっちゅぺろぺろさせていただくよ編
足を舐めるなどという素敵な話であれば俺の出番である
完全に乗り遅れた感は否めないが
ユリアを筆頭に、パーシャウリュウオハラアイビアアークフィア、と傅きたくなるのはサブに多い
逆にメインは……って感じ
チュナの足コキ書いた人間が言うことでもないけどね
キレハに土下座して足を舐めさせていただけるよう懇願するのもアリかなあ
266名無しさん@ピンキー:2010/10/05(火) 22:14:38 ID:e8ZX+u+F
GJ!
まあ、傅きたくなるようなキャラが操作キャラにいるのも
ゲームとしてはどうかって感じだからなw
267名無しさん@ピンキー:2010/10/05(火) 22:36:00 ID:l6s6yEcn
素晴らしい、グジョブ
やはり足舐めは服従の基本というか、そのやり方によって服従の度合いが解るから良い

キレハに限らずM気質からノーマルなキャラにも
舐めさせて下さいと懇願→ドン引きされる→土下座→仕方ないからとやらせてる内に変な気持ちに→Sっぽく!
とか夢がある展開だなと思った
268名無しさん@ピンキー:2010/10/05(火) 23:22:00 ID:lYCsBOJN
テレージャさんはぬとぬとした友情がお好き
ということはBL好きということで
BL好きとはすなわちBootLicking好きということだ
つまりテレージャさんは這いつくばって服従するのが好きなドMさんだったんだよ!
ナ、ナンダッテー
269名無しさん@ピンキー:2010/10/06(水) 13:51:37 ID:8xlI5nhO
いやいや、武勇を誇り男を歯牙にもかけぬような態度の裏で、自らよりも強き男に圧倒的な力で叩き伏せられ屈服させられたいと願うパーシャ将軍こそ真のドMでござる
270名無しさん@ピンキー:2010/10/06(水) 15:50:09 ID:i19BnGyM
俺がドMだ!
テレ子さんいじめてください
271名無しさん@ピンキー:2010/10/06(水) 23:01:27 ID:IsePP8zP
ユリアも出て、主要なサブキャラも概ね書かれた感じかな
あとは故人のレナぐらいか?
272名無しさん@ピンキー:2010/10/07(木) 00:03:29 ID:GdtY/eoG
個別の名前があるキャラはレナくらいかも
グラがあるキャラではタイタスの中の女性がまだ
あと宮殿にいる不服従さんと石になるあの人とか
273名無しさん@ピンキー:2010/10/07(木) 20:00:36 ID:UB4LF2uN
レナもなあ・・・主要人物のくせにキャラがわからんのだよねえ
オハラの昔話ぐらいしか手がかりがない
とりあえず美少女義賊コンビのイメージ画がノリノリなのは間違いないんだけど
274名無しさん@ピンキー:2010/10/07(木) 20:06:29 ID:Ds48OYEk
オハラとは正反対の性格だったろうなとは思うんだが
当時からオハラが何処か冷めた感じだったのか
それとも当時は熱血だったオハラがレナの死を機に達観し始めたのかが謎だ

というかレナを書くなら必然オハラに触れないといけないしなかなか大変そうだな
275名無しさん@ピンキー:2010/10/07(木) 21:31:44 ID:UgH+Z8Nh
名前出ないけどネル母は?
276名無しさん@ピンキー:2010/10/07(木) 21:49:50 ID:GdtY/eoG
市場と墓地にいる人たちはセリフも一定量あるし立ち姿もある
277名無しさん@ピンキー:2010/10/07(木) 22:13:02 ID:/bsDrxmQ
ユリアも出てきてくれて嬉しいねえ
女性上位で攻められるのもまたいいもんだ

…そういやまとめなんだけど、これまでのスレに投下されたものを順番に纏めていったまとめとは別に
キャラ別に纏めたまとめって需要ある?
278名無しさん@ピンキー:2010/10/08(金) 03:54:41 ID:SEcPFVe2
あります
ていうかお願いしますどうか
279名無しさん@ピンキー:2010/10/08(金) 04:27:40 ID:wppLiBaX
あったら嬉しい、お願いします
28015 ◆E9zKH0kZMc :2010/10/08(金) 06:21:00 ID:ZgkMtu1j
深夜の○○スレが原因でできた前振り程度の4000ちょいです
完全に花よりd(ryなのでご注意願います
28115 ◆E9zKH0kZMc :2010/10/08(金) 06:21:32 ID:ZgkMtu1j
「…………軽率、だったなぁ……。いまさら悔いても遅いのだが……」

淡い灯火のもと、広げた地図を前にして黙り込む。考えが堂々巡りしてばかりで一向に
まとまらず眉根をひそめて唇をかんだ。窓から見下ろす町並みに目を移してしばし黙考、
夜明けが近いのに気づいてため息をついた。くよくよしていてうっかり徹夜してしまった。
音を立てないように部屋を出て、軽食がとれそうか確認に行くと、案の定給仕長は厨房
の外で頭を抱えていたので、そのまま朝の見回りに向かう。キャシアスに全身で喜色を
表す犬たちを檻から出し、厩番のひいて来た馬にまたがった。
「お前たちのえさはいつも十分あるのだな……」
次第に白んでゆく空の下、連れの猟犬たちと舗道をぬけて郊外に出た。ここ数日来続いた
豪雨で報告のあった数箇所の地崩れと倒木を確認する。堤の破れは今日の午前中には技
師を送って見積もりさせる必要があるだろう。聞き取った範囲では、人的被害がさほど深刻
でない事を好ましく思う。牧草地帯を見下ろす高台にあがって朝風に吹かれる。気持ちよい
青空のもと、二匹の犬はご機嫌で指示を待っている。ずば抜けた体格の割には気性の大人
しい馬を遊ばせてやり、剣の鍛錬を積んで一休み。しかし鞄に何も食べるものがないので、
そのまましょんぼり汗を落として着替えした。遺跡の柱と見られる残骸によじ登って寝そべり、
雲が流れていくのを眺める。……どれをとっても旨そうなパンにしか見えない。
「………………ひもじい」
馬がのんびりと尻尾をふるって虫を散らしている。こんなにのどかだと言うのに……草むらや
雑木林には魔物が巣食っていた……これからどう処すればよいのだろう、潜ってももぐっても
先が続く不吉な洞窟は、まるで災いが封じられた箱だった。ホルムの危機的状況を前になす
術もなく流されていく自分……。理想の指導者像というものがある。それは父親だ。こんな自
分が跡を継いだとして、領民は信頼してくれるだろうか。些事に囚われては動揺し、仲間の手
を煩わせてしまう、一人では何ひとつできない至らぬ身だ。
「考えがまったくまとまらん…………帰るか」
悲痛なため息をつくと腹が大きな音を立てた。いや増すひもじさを水筒で紛らわせ、荷物を
まとめて馬を呼ぶ。草を食んでいたよき友は鼻をすり寄せ優しい瞳でじっと戦士を見つめた。
彼は変わらず主人を敬愛しているようだ、キャシアスの三倍は走り回った犬たちも。小麦畑
を進みつつ、くり返しため息を漏らしていたが、どこからか聞き覚えのある声で我に返った。
「控え」
犬に伏せを命じて顔を上げ、辺りを見回すと騎乗の狩人が遠方から手をふっていた。なんと
目が良いのだろう、手を上げて挨拶に応ずると、戦士が見慣れている軍馬に比べ酷く不安
になる細い足の外国馬にまたがり、華麗な手綱捌きで馳せてきた。
「君は……随分と朝が早いのだな」
「あなたこそ。私は久しぶりにいいお天気だったから、この子の散歩に出ていたのよ。あなた
は領地の見回りかしら」
答えながらキレハは、期待に目を輝かせた猟犬に干し肉を一欠けずつ投げてやる。
「ああ、いくつか……領民からの報告があったのでね。これから引き上げるところだ」
「そうなの。……さっきからため息ばかりついていたけれど、顔色が冴えないわね」
「……聞かれてしまったか。すまない、気に……しないでくれ」
気の弱そうな微笑を覗かせ、同行するか水を向ける。
「あなたさえ良ければ、私は構わないわよ」
「そうか。ならば供に参ろう」
「ええ、よろしくね。あなたもよ」
話しかけられた馬のほうは大きく外によれて戻ってきた。持ち主に似た性格らしい。
28215 ◆E9zKH0kZMc :2010/10/08(金) 06:22:03 ID:ZgkMtu1j
「余計なお世話かもしれないけれど、もしかしてあなた、朝ごはんもまだなのではなくて?」
「今朝は、少々厨房が忙しいようだったからね……」
「何言ってるの、館の主人の息子でしょうに」
「皆一生懸命やっているよ」
「私でよければ、今から何か作ってあげてもいいのよ。もし、あなたが嫌でなければだけど」
「助かる……。少し食料を分けてくれるか」
「いいわよ。この先にいい場所があるから、いってみましょう」
連れ立って清水の湧き出る木陰に向かう。馬をつなぐと青年に薪集めを命じて、火を起こす。
パンをこねこね、寝かせて発酵させる間に魚を下ろし、薬味で香り付けした油を使って軽く焼き
目を入れ、キャシアスがすすいで来た野草を手早く刻んで魚とともに蒸し、水を加え火にかけた。
「あなたは灰汁をすくっていて頂戴、こんな風にね」
「わかった……」
真面目にお玉をあやつる様子を、片づけしながら覗き込む。
「筋がいいじゃない。今日はあいにくと食材しかもってなかったのよね、普段ならパンの一つ位
は焼いてあるのだけど……だからもう少しの間、頑張ってもらうわよ」
「ああ、僕には勝手が分らないから……すべて君に任せるよ」
パン種の膨れ具合を確かめ火にくべたら、農家から分けてもらった生クリームをボウルに注いで
野伏に泡立てさせる。油を回し熱したフライパンに、香草をあわせて下ごしらえしておいた鶏肉
を乗せると香ばしい香りに思わず手が止まる。なんて旨そうなんだ!飼い犬たち同様そわそわ
し始めた若君に、焼き色を確認したパンのひとかけらを口に放り込んでやる。
「……んまいっ」
四つのつぶらな瞳がその動きを追っており、ひっきりなしに涎を撒き散らしている。あまりに魅力
的な焼き色の鶏肉をさっと厚切りにして、バターをたっぷり塗ったパンに香草と一緒に挟んでチキ
ンサンドのできあがり。青年からボウルを受けとって食卓に着かせてやり、焚き火の中心に鎮座
まします鍋を開ける。おいしそうな湯気がわっとあふれ出してきた、思わず喉がなるよい香り……
熱々の魚介鍋も完成だ。見とれるキャシアスにたっぷり盛り付けた椀を渡してくれる。
「お腹すいたでしょう。さあ、召し上がれ」
「有難う。君は……食べないのかい」
「ええ、沢山野苺を摘んできてるのよ。あなたが食べてる間にフルーツサンドも作ってあげるから
持っていくといいわ。おやつにでも食べてね」
「……どうも有り難う、いただきます」
両手で包み込んだ椀を見つめる。なんと充実した朝食なのだろう……こんな素晴らしいものが、
自分だけの為に……そう思った途端、胸の中に熱いものがこみ上げる。
「ちょっと!なに泣いてるのよ?!びっくりさせないで……そんなにいやなら言えばいいじゃない。
そこまで無理して食べることないのに」
大粒の涙をこぼしてむせび泣いている。キレハどころか犬までびっくりしているではないか。
「違う……そうではなくて、ヒッ……違っ、う…んだ。僕は…僕は感激して…………くふうぅっ!!」
「はぁ?!」
ボウルをほうりだして手ぬぐいを握らせてやる。足元でも鼻を鳴らして主人を案じている。
「すまん、こんなおいしそうな食事が食べられるなんて……なんて、なんて僕は幸せ者なのかと
思ったら、くよくよ小さなことで悩んでいたのが恥ずかしくなって……ぅっぅううう〜〜うわああぁん」
「な、なにも……泣くことはないでしょう。こんなものでいいのなら、言ってくれたらいつでも作って
あげるのに、私たち仲間じゃないの。遠慮してないでいつでもいいなさいよ」
28315 ◆E9zKH0kZMc :2010/10/08(金) 06:22:40 ID:ZgkMtu1j
男泣き……というのかはよく分らないが、おいおいとむせび泣く背中をさすって優しく慰めてくれた。
「ありがとう……ありがとう、グスッ」
「……私はあなたが一体何を悩んでるのかは知らないし、大したことはしてあげられませんけどね、
あなたさえ望むなら、いくらでも力を貸すのよ。それは酒場の皆も同じこと。あなたは何でも一人で
背負いすぎなのよ。そんなに無理ばかりして……見てるこっちが辛くなるわ」
「すまない……」
周りを心配させまいとするあまり、かえってやきもきさせていたようだ。胸がつぶれんばかりの顔を
した忠実な供の背中を抱き寄せてやると、耳をべちょべちょ。
「私に言われても嬉しくはないでしょうけど、あなたはよくやってるわ。自信を持つべきよ。宮殿にいた
化け物を倒したのはあなたじゃない。ほかの誰ができたというの?」
「あれは……僕だけの力ではないよ。仲間がいてくれたお陰だ、僕がやったことなど数える程もない」
うつむいて顔をぬぐう。
「あのね、もっと……自分でできることと、できないことを分けて考えるべきだと思うわよ。あなたでは
難しいことでも、酒場の皆ならできることだってあるじゃない。どんどん仲間の手を借りたらいいのよ。
そのための私たちでしょう。もっと、信頼しなさいよね……」
「……有難う」
「まったく、料理が冷めてしまうわ。あなた領主の息子じゃない、ちょっとくらいは偉そうにしてなさい」
「……ありがとう、僕のことを、そんなに真剣に考えてくれて。本当に」
「べべべ別にあ、あなたの為に言ってるわけじゃないからかかかか勘違いしないで、私はただっここの
遺跡の探索は、あなたが……あなたが指揮しなくちゃ上手くいかないから言ってるだけなんだから!」
「そうか、大変不躾なことをいって、申し訳ない……。では、謹んでいただきます」
律儀に頭を下げるとなぜか引っぱたかれて、尻尾を振っていた犬たちと一緒にぽかんとする。
「いちいち謝らないでよっ、ほんとあなたって……とぼけた人ね!!」
小突かれて謝り、再び叱られながら朝食をいただいた。耳まで真っ赤になった料理人はぶつぶつ言い
つつ、壊れたようにうまいうまいとしか言わなくなった青年にお茶を入れてくれた。よく見れば小骨まで
きちんととってあるし、チキンサンドを選んだのも、おそらくは訓練のあとには消化しやすい高蛋白の食
物が最適だと考えてのことなのだろう。丁寧に包んだフルーツサンドを氷嚢と一緒にして鞄にしまって
くれる。こんな人が、どうして一人で旅をしていたのだろう……。妻に娶りたいという男はいくらでもいる
に違いない。無論そんなことを口にすれば、張り倒されるだろうけれど。

「世話になった。……またいずれ、君の手を借りるだろう。その時はどうかよろしく」
「ええ、勿論よ。あまり、無理はしないでちょうだい」
「気をつけるよ。……今朝、君に会えて本当によかった。とても、美味しかったです。ご馳走様」
町の入り口で一礼し、珍しくにこやかな表情を見せると颯爽と駆け出した。思わず馬からずり落ちそう
になった狩人と振り返った犬の目が合った。……こうしてホルムは、今日も新しい一日を迎える。
28415 ◆E9zKH0kZMc :2010/10/08(金) 06:23:54 ID:ZgkMtu1j
以上です。深夜に出くわす食べ物画像は危険
285名無しさん@ピンキー:2010/10/09(土) 04:11:12 ID:ZxV9SB05
>>284
GJ!
キレハは本当に最強の嫁だな
286名無しさん@ピンキー:2010/10/09(土) 13:03:31 ID:xmccGVnM
調合も鍵開けも(途中から)こなす普通料理人を愛していたが
次の週はツンデレシェフを連れまわそうと決意した
287名無しさん@ピンキー:2010/10/09(土) 18:12:42 ID:T3cYU7pA
両方とも連れて行けばいいじゃない
スキル的に
さらに4人パーティーになったらテレ子さんも連れれば穴がなくなる
夢の4pへ


そしてフランはヤむ
288名無しさん@ピンキー:2010/10/09(土) 22:07:33 ID:s50UGSnO
深い眠りの中で、何者かの気配を感じた。
誰かが部屋の隅にいて、床を這い回りながら何かを探している。
<彼女>が探しているのは、あなただ。
このまま寝ていては見つかってしまう。

だがあまりに眠りが深すぎて、目覚める事ができない。

手足は粘土になったかのように動かせず、
感覚だけが鋭くなって、冷たい汗に濡れている。
あまりにも妖しい暗闇の中、
<彼女>があなたを探して蠢く音が響く。

やがて<彼女>があなたの枕元に這い寄って、
顔を覗き込むのを気配で感じた。
甘い匂いのする息が顔にかかる。

見てはいけない。
もし見たら、二度と元の自分には戻れなくなる。

だが高まる恐怖の中、持ち上がらなかったまぶたが、
不意にぱちりと開いた。

『…………様』
289名無しさん@ピンキー:2010/10/10(日) 01:46:44 ID:RU8ybrGU
「結婚しよう」って選択肢選んだら助かるんだろ?
大丈夫大丈夫
290名無しさん@ピンキー:2010/10/10(日) 13:33:00 ID:j+jjElbD
どの道人生の墓場(食事的な意味で)なんですね分かります
291名無しさん@ピンキー:2010/10/10(日) 18:40:31 ID:GppH1XJc
>>289
今度は選ばれなかったネル先生がヤみます
292名無しさん@ピンキー:2010/10/11(月) 08:23:40 ID:169QdkVP
みんなのキャシアス ですね
nice Gem...
293 ◆1HLVKIREhA :2010/10/12(火) 19:32:37 ID:BHRVLCCO
「にゃーん」
町の外れで、野良猫を見かけた。
普段なら気に留めず通り過ぎるところなのに、何故だろう、今日はその神秘的な瞳につい引き寄せられる。
「人に慣れてるのね」
近付いても全く警戒の色を見せず寝転んだまま、欠伸までしている。
誰かが餌をやったりしているのだろうか。
完全な意味での野良ではないのかも知れない。
野生の匂いが、薄い。
「私も同じかしら」
孤高を気取ってはいるけれど、いつの間にか馴れ合ってしまっている。
誰かと共に居るのは、居心地がいい。
でも、それに甘えちゃいけない。
その先の破局が、恐ろしい。
「結局、自分が可愛いのよね」
背を撫でてやると、嫌がりはしないが迷惑そうな顔をする。
自分勝手。我侭。
誰かを傷つけることも嫌だけれど。それ以上に、自分が傷つきたくない。
だから、深入りしない。
「あなたはいいわね、気楽そうで」
悩みもなさそうに昼寝しているその姿に、軽い羨望を覚える。
猫になりたい、か。
気ままに歩き、時折誰かに可愛がられて、ふらりふらりと生きていく。
自分の境遇を割り切れるだけの心の強さがあれば、そんな生き方ができるだろうか。
或いは、一人で生きていけるだけの強さが。
「……潮時、なのかも」
これ以上ホルムに留まると、離れられなくなってしまう。居心地が、良すぎる。
伸びをして立ち上がる猫が、一声鳴く。
「にゃー、なんてね」
鳴き真似をしてみる。
苦笑しか、出てこない。
「私も、そろそろ」
帰ろうか、と立ち上がり振り向き……固まる。
「にゃー」
無表情に平板な声で猫の鳴き真似をする少女、アイリ。
とぼけた情景ではあるが、風下に陣取り気配を消し、今の今まで気取らせなかったその隠行は驚嘆に足る。
「ど、どこから見てた?」
「人に慣れてるのね、あたりから」
「最初からじゃないの……」
全く気付かなかった。
「……行かないで」
とてとてと近付いてきたアイリが、ぽつりと漏らす。
「……どこへ?」
全部聞かれていたとなれば、わかりきっている。
でも、はぐらかす。
「もっと、キレハと一緒にいたい」
返ってくるのは、真っ直ぐな想い。
気持ちは、嬉しい。
自分がもしも普通の旅人なら、迷いなくホルムへ残っただろう。
「ダメよ。一応最後までは付き合うつもりだけれど、そこまで。
私には、私の旅の続きがあるわ」
「いや。子供っぽい我侭だってわかってる。それでも、離れたくない」
いつになく饒舌に。いつになく真剣に。
こんな瞳に抗えるほど、やっぱり私は強くない。
「……あーもう。わかったわよ。出て行くかどうかは保留。それでいい?」
「……うんっ」
嬉しそうな、無表情。
表情は変わらないのに、纏う空気がころころ変わる。
猫の目みたいに、っていうのはどこの表現だったかしら。
抱きついてくるアイリを受け止めながら、すっかり飼い慣らされていると実感した。
294 ◆1HLVKIREhA :2010/10/12(火) 19:33:04 ID:BHRVLCCO
ネコになりたいキレハ編
タチだとかネコだとかそういった意図はありませんですよ?
アイリとにゃんにゃんとかそういう意図もないんだよ?
もう少し和む話にしたかったけど、キレハの悩みを混ぜるとどうも暗くなっていかんね
例によってオチは特にない
295名無しさん@ピンキー:2010/10/13(水) 02:35:14 ID:xosLwNPD
>>293
GJ!!
二人ともかわいくて素敵だ
29615 ◆E9zKH0kZMc :2010/10/20(水) 21:25:04 ID:czKHl4TG
>>281-283つづきで二部立て1万ちょい、さる怖いけど
※冗漫・ま・尻切れ注意※各位ご協力ください
29715 ◆E9zKH0kZMc :2010/10/20(水) 21:26:00 ID:czKHl4TG
「…………またやっかいな」

主賓席ではテオルがカムール相手に語らっていたが、末席のキャシアスはひっきりなしに話しかけて
くる友人に、几帳面に頷いている。
「……最近、目ざとい商人が都へと、ここの遺跡の発掘品を売りに来るのだ。彫像のようなものをな」
「息子たちも、時折探索で見つけては、そうしたものを持ち帰ってきているようですな。お前たちはどの
ようにしてああした品々を手に入れてくるのだ?」
「は、私は田舎者です故、ものの良し悪しは皆目……従いまして大抵の場合は、雑兵狩りの戦利品
として入手致しております。その方面に造詣の深い者を同行させる時には、古文書の類を調査させる
場合もございます。最近献上いたしました剣術指南書などは、その際発見された品々であります」
「古代の技能書というのも、なかなか興味深いものだ。古代の叡智は魔術において特筆される……」
「いいですよねーテオルは。僕と違って魔法も使えるんですよ」
「ほほう、魔術を……」
「そう大したものではない。何より、いくら使えようが、実戦がなくては趣味の域だがな」
「雷をまとったテオルのいくさ姿は本当に格好いいです。そうだ、キャシアス君にも何か教えてあげたら
いいんじゃないですか?君もあんなのが使えるようになったら、きっと重宝しますよ。剣からイカヅチが
どっしーん!敵はウッギャー!ってなもんです」
「ソウテスネ」
「貴公も術をたしなむか。兵とばかり思っていたが、侮れん」
「これの母親に似たのでしょうかな、私はさっぱりですが息子は少しはできるようです」
「いえ……形ばかりで、ものの役に立つような代物では」
「でも僕なんかと違って回復治療も出来るし、キャシアス君はすごいじゃないですかー」
「いや。私には、何も考えず……ただ剣を振るっているほうが、性に合っているのです……」
不慣れな上に一々武器も選ばねばならない術など、使わずに済むならそのほうがよいが、そうも言って
いられない事情があるのだ。探索の供をするたび不用意に重傷を負う連れの顔をしみじみ眺めてみる。
……悪い人間ではない、ときどき、何もかも忘れて山にでもこもりたくなるだけで。むしろ、なるたけ助力
してやりたいと思わせる好人物だ。好人物だからこそ困る……スプーンの中の逆さまの自分を見つめた。
「こんなに控えめだけど、キャシアス君はとても強いんですよ」
不意をつかれてほめられギクリ、耳目を集めているのを感じてそのまま身をこわばらせる。
「僕がもたもたしてるうちに、皆敵を切り倒してしまう位ですからね。ただ……ちっとも自分の身を守ろうと
しないから、代わりに僕が守ってあげているんですよ。ね、キャシアス君。僕たち、中々息のあったいい
コンビだと思いませんか?」
はにかんで頷いたが、半分尻を浮かせたようなカムールが視界に入って背後のフランともども固まった。
「まさかお前は……アルソン殿に脇を守らせているのではあるまいな」
まなざしが何のための護衛だと言っている、これはまずい。叱られる前兆しか感じられない。下手に口を
挟んでもかえって機嫌を損ねるので、一瞬のうちにメイドもキャシアスも困り果てたが、テオルは気軽な
調子でその場を制した。
「そう案ずることではない。お前の石頭なら、多少のことで傷まぬだろう?」
「勿論ですよ!防御のことならいつでも僕に任せてくださいね!」
すっくと立ち上がったアルソンは胸をたたいてふんぞり返る。これが娘だったらさぞかし可愛らしいだろうが
現実は甘くない。思わぬ援護に口をつぐんだ館の主は、それでもまだ言い足りなさそうな顔でちらちらこち
ら見ている……生 き た 心 地 が し な い 。杯を傾けながらテオルは続けた。
「己の見たところ、どちらかといえばアルソンのほうが守りは上だが、身のこなしや攻撃においてはキャシ
アス殿のほうが長けているだろう。こやつは攻撃の威力こそ目を見張るものがあるが、何しろまるで的に
当たらぬからな。貴公も手を焼くだろう」
29815 ◆E9zKH0kZMc :2010/10/20(水) 21:26:52 ID:czKHl4TG
「……確かに、そうしたきらいもあるのやも知れませんが、仮にどこかで不足があるものなら装備で補えば
よいかと存じますし、何より……采配を振るう者には、采配を振るう者なりの戦い方があるのではないかと
思うのです。司令官の的確な指揮があってこそ、私も安んじて前衛に立つことが出来る……」
「適性を見て戦略を立てるは将校にとって最重要の能力だ。若いながら感心なことよ。よき子息をお持ちだ」
「勿体無きお言葉」
微笑んでいる……機嫌が直ったようだ。危ないところだった。胸をなでおろし若君の様子を窺ってみると、目
を見開いたまますっかり虚脱していた。もしまだ后がご存命であったら、自宅の中でまで罠だらけの洞窟を
ほっつきまわるような生活を送ることもなかったろう。寂しさを振り切るかのように職務にまい進し、実の子で
あろうと厳しく接するカムールと、それを受け止め必死に応えようとする若君と。声や見た目はさほどでない
が、互いに実によく似た親子だと思う。
「お飲み物は大丈夫ですか」
「……ああ、頼む」
氷を浮かべた水を注いでもらった。毎日毎日……砂を噛むようで料理がちっとも味わえない。竜の二三頭で
も相手にしていたほうがまだ気楽なのではないか、水を一口飲みたいだけなのに手が震えて杯を倒しそうに
なる。出来ることならば自分もがっちり防御を固めて、歩兵ないし術師を配して戦いたいのだが、アルソンの
供としてではそうも行かぬから苦労していると言うのに……。内々に、不慮の事故などが起こらぬよう身辺
を警護するよう申し遣っている。彼の身分には相当程度の立場でなくては釣り合わないから、結局いつでも
自分が引っ張りまわされる羽目になるのだ。けれど、とキャシアスは考えた。都住まいの貴族にありがちな、
格式どうこうと権威を振り回すような所のない、付き合いやすい男ではある……。真面目であるし、場を和や
かにする機転が効くし、手先はなかなか器用であるし、彼の作る料理は大変美味である。なにより、こうして
自分に厚い信頼を寄せてくれているではないか……にも関らずこうも疲れるのは、一重に彼の身分の高さに
よるのだろう。恐らくは、自分自身も町の者たちに同じような気持ちを味わわせているに違いあるまい。世間
というのはまったく煩わしいものだ。
「……お代わりは温かいお飲み物がいいですね、すぐにお持ちします」
「ありがとう」
29915 ◆E9zKH0kZMc :2010/10/20(水) 21:27:58 ID:czKHl4TG
ねえキャシアス君を乱発するアルソンに、あいまいな相槌をうちながら思い巡らせる。この男の場合、性能的
には傭兵と大差ないのだが……そういえば、メロダークの防御が妙に硬いのは、あれは一体何であろう?技
術的に見る限り、実は彼は僧兵崩れなのではないだろうかと思う。似たような指摘は、フランも幾度か仄めか
してきたことがあったが、特に過去の経緯を聞いたことはないし、これといって彼も隠している様子もないので、
気にしたことはなかったが、いずれホルムで仕官させるとすれば、何がしかの足枷になるやも知れない……
ひとり考えに沈んだまま、ちぎったパンを口に含んだ。
「……そういえばいつだったか、僕たちが見つけてきた大理石の彫像群は、随分気に入ったみたいでしたね」
「ああ。己は、あれを見て体が震えたよ。生きているかのように精緻で、今にも動き出しそうな、見事な戦士像
だった。それに比べれば、いま神殿に置いてあるような彫像など子どもの粘土細工だ」
「そうやってテオルは気軽にいうけど、彫るほうも掘ってくるほうも大変なんですよ?ねえ、キャシアス君」
「まあそういうな、金子は弾んでやる。……それにしても、一体どんな民があれを作ったのか……己が幼い頃、
教師たちから聞いたような、古き英雄たちの時代の人間があれを作ったのか……。そう想像すると、この目で
確かめずにはいられなくなったのだ。だが、実際となれば公務に縛られたこの身では……自由に遺跡を探索
できる貴公が羨まれる」
キャシアスにとってそれが公務なのだが、心底堪らなそうにため息をつかれては、返す言葉も出てこない。
「それなら一度皆で行ってみましょうよ!ねえキャシアス君」
「「!?」」
「ほう。この己とか」
「きっと楽しいですよ!どうです、いいと思いませんか?」
「はっ、閣下じきじきに息子のご指導が願えるなら、これほど有難いことはありません」
さあ、返事もせぬうち決まってしまった。いつものことだ。給仕していたフランは、若君が真っ青な顔で殆ど
息も出来ないほど動揺しているので水を注いでやる。テオルが微笑ましげに視線を投げかけたので畏まる。
「お前たちが普段どのように探索しているか、この己も興味があるところだ」
「そうですね。僕が探索を仕立てるときは、人選から物資の供給までいつもキャシアス君に一任してますよ。
大抵の場合は二・三人供をつれるだけですね。必要なことは皆彼らがやってくれますから、僕は陣頭指揮
をとるだけでよくなっちゃいますよ」
「そうか。ではそれに習って供はできる限り少数にしろ、極内密にして大げさにするな。あとは自由にせよ」
「……御意に」
「いいですね〜、そのほうが冒険してるって雰囲気があって。わくわくしてきますよ!ねえ、キャシアス君!」
「ソウテスネ」
「今度の週末あたりはどうですか」
複数の者たちが瞬時にして予定を確認してよこしたのだが、それすらすっとばして日取りが決まったらしい。
「よーし、僕もみんなの食事の献立を考えなくっちゃ。いいな〜、とても楽しみですね!」
「ソウテスネ」
……大変なことになってしまった。それから何をどう話し飯を食ったか記憶が無い。どこをどう案内して帰れば
良いか、失礼にならぬ範囲であまり危険がない程度で、何が何でも問題は起こらぬよう、アルソンとテオルを
護衛する任務……あとでカムールに呼び出されて慰められ、軍資金を授かったとまあ、これが一睡もできずに
朝を迎えてしまった所以なのであった。
30015 ◆E9zKH0kZMc :2010/10/20(水) 21:29:44 ID:czKHl4TG
つづいて後半です
30115 ◆E9zKH0kZMc :2010/10/20(水) 21:30:15 ID:czKHl4TG
「案外、悪くないかもしれん……」

普段にぎわっている酒場は、本日は朝からやや趣をことにしていた。和やかでこそあれ、騒々しさはない。と
いうのも店を開けてすぐ、皮袋だの木箱だのを担いだ力自慢が押しかけてきてせっせと調合を始めたためだ。
未来の領主様は臣民たちの起こした多少の不始末ごとき、ごちゃごちゃ文句を言うようなけつの穴の小さな
手合いではないが、一人前のホルムの市民であるのなら、若君がこうして一生懸命何かに取り組んでいるの
を見たなら、あえて騒ぎ立てて邪魔しようとは思わないだろう。どこぞのきらびやかなお屋敷で高価なお着物
をまとって、美しい侍女に傅かれながらふんぞり返っていて何の問題もない身分でありながら……というのは
市民の見解なのだが……とりたてて立派でもない戦姿や市民服で街中を行き、どんな飲んだ暮れや孤児で
あろうと真摯に耳を傾け要望に応えてくれる、ホルムの期待の星なのだから。未曾有の危機を前にしていても
このクソ真面目な青年ならば、いずれどうにか無事解決してくれるに違いないと信じていた。今最大の心配は、
彼がまだ独り身である事くらいだろう……一体どんな美しい后を迎えるのだろうかと、日々口々に噂していた。

「ワシは誰を選ぶか分かってるもんねー、なにしろそばで毎日みとるもの。じゃあ誰かって?それはナイショ!」

身分の違いを気にしない男であるから、きっと地位では選ばないだろう……郷土愛が誰より強いからこそ土地
のおなごから出るに違いない、或いは日々の探索で尽力している異国の娘たち?もしくはホルムの財政難を
解消するためどこそこの大財閥から輿入れがあるということもなくはない、順当に言って中央の貴族たちに縁
付け政治力を強化するというのは当然のこと。運がよければ見初めてもらえるかもしれない、期待に胸躍らせ
た娘たちはそれぞれの身の丈にあった最大限の注意を払って行動していた。もしそれが晩餐会に出られない
低い身分の娘だとしても、供すら連れぬキャシアスと出くわす機会は市や酒場、道端に幾らでも転がっていた。
彼と話すとき、大して美しくないと自覚のある娘でさえ、丁寧で礼節を尽くした態度に、自分がどこかの高貴な
令嬢になれたかのように感じられた。こんな若君なのだ、かならずすばらしい娘が選ばれるのに違いない!
こうして期待を背負ったホルムの若君は、本日も早くから薬作りに精を出しておいでだ。一体どういうことかと
メイドに事のあらましを聞かされた流浪民は、酒場の奥で思わず天を仰いでしまった。
「それで、朝だというのにあんなにため息ばかりついていたの……」
「でも、キレハ様のおかげであんなに元気そうになりました。ほんとに……ほんとに良かったです」
涙ぐむフランに事の深刻さを改めて痛感する。飯くらい、言えばいくらでも好きなだけ食わしてやれるのに……。
「でも問題が解決したわけではないのでしょう、なにかいい考えでも浮かんだのかしら……」
「さあ……ただ、事故があってはならないって…何度も言ってましたから……」
視線の先ではキャシアスが、向かいの席の雑貨屋とともに、カブラ苔をより分けてはすり潰しているところだ。
計量して調合したら小袋に封入せんといった、意図のわかる道具の配置はなかなかそつがないと言えよう。
二言三言言葉を交わしながら、淡々と作業に当たっていたが、表からはにぎやかに暑いの蒸すのと話し声
が聞こえてきた。ややおいて姿を現したのは、いかにも寝起きといった風情の無頼漢である。
30215 ◆E9zKH0kZMc :2010/10/20(水) 21:30:46 ID:czKHl4TG
「ようラバン、久方ぶりのおてんと様だってのに朝から酒場通いか。なんだお前ら、夫婦で手内職かよ」
のんびり近づいてきたパリスを、調合の手を止めないまま真顔でゆっくりと振り返る。
「…………なんか言えよ、こええだろ」
「……ああ、いや。数を、数えていてね。なんだい、どうかしたか」
「べつに、たいした事じゃねえけどよう」
「どうせ暇なんでしょー、パリスも手伝ってよ」
「なんだよ。てかまた、ええ?!これ全部やんのか?!こんなにどうしようっての」
「週末に、少々難儀な探索をせねばならんのだ、その準備だよ。今回は特別だからね……」
「へえ、ちったあ金になる話か?」
「いや、まったく」
じゃあ遠慮しておく、と言い返すより先に腕をつかまれた。この俊敏さはなに。
「だが……できれば君の手も借りたいところだな。無論、礼金は普段より上積みさせてもらうぞ」
「……おまえがそういうことを言い出すときは、大概ろくな話じゃねえ」
つかみ返して離れようとするが、キャシアスの目は嫌に必死だ。
「…………どうしても駄目か?」
「チュナを新しく来た医者に診せにいきてえしな」
「それは私が町に招待させるのでは駄目か?」
「それに屋根裏の雨漏りも修理しておかねえと」
「それは今日中に済ませるのでは駄目か?」
「……ピンガーに頼まれた仕事もあるしよう」
「それはキャンセル料の肩代わりでは駄目か?」
「オレだって、土日くれえゆっくり昼寝してえもの」
「普段からやってるじゃーん、パリスはさあ」
「うるせーばか」
「僕と探索するのは、そんなに……嫌、か……」
「……どーしてもオレじゃなきゃ駄目なのかよ」

「頼む、どうか こ の と お り」

悟り澄ました穏やかな表情で脱皮した蜉蝣が水面に現れるがごとく椅子から立ち上がると、伸ばした指先は
鶴舞うはかくぞとばかり広げてあわせ、下げる頭は大河に沈む落日を思わせる美しさで、足元に深々とひれ
伏し静止する……素人ながら実にエレガントなる全力の土下座。息を呑んで凍り付いていたパリスが悲鳴を
上げて椅子を跳ね飛ばした。
「やぁぁぁああああめえええぇえぇぇろおおおおぉぉぉぉ!!!!!!」
あわてて飛びつき抱き起こそうとするが、腕力ではとても敵わず膝を折られてしまって土下座返しカルタ大会
の様相だ。頭を上げろと頼むこのとおりの応酬が繰り返され、唖然として眺めていたラバンがやっと口を挟む。
「なにやっとるんだお前たちは」
「きゃしゃりんにここまでやらせるとか、おぬしは一体何者だー」
「拝むのはよせ!お前らもからかってる場合か!キャシアスいい加減にしろ!オレら馬鹿みてえだろ!!!」
「愚かに見えようと一向に構わん!僕には君の力が必要なんだ!!」
「考えても見ろ!オレが今までに、お前の頼みを断ったことがあったかよ!?」
掴みかからんばかりだったキャシアスは、口をつぐんでじっと見上げている。ラバンも何か言いたげな顔をして
こちらを見つめている。追い詰められたパリスは見る見る汗をかき始めた。

「……あっ…………た、っけ…?」

「覚えて……ない、か…………」
30315 ◆E9zKH0kZMc :2010/10/20(水) 21:31:18 ID:czKHl4TG
「いやいやいや、今のはものの勢いでつい言っちまったけど、本当になんかあったかよ、なあ」
「接、吻………………しなかったろう、姫……君?と」

「嫌にきまってんだろバカ!!!!」

「……つい僕も、戻してしまったからな。無理強いは……やはりできなかっ、た…………くっ」
双方とも正座したまま、沈痛な面持ちで黙り込む。
「ちょっとまって、何その話」
「聞いてないわよ、どういうこと」
「興味があるね、じっくり聞かせてもらおうじゃないか」
いつの間にかフランもすぐそばまで来ていて、笑顔のまま息が項にかかりそうなほど顔を近づけてくる。怖い。
「すまんが…………僕の、口からは…これ以上」
「「「ええー……」」」
「世の中にはな、知らんほうがいいこともあるんだ。わしだって思い出したかないわ、いや覚えてないぞこれっ
ぽっちもまったくさっぱり一切な!!見えんし聞こえんし記憶すらないわ!!!!あーあーえんがちょ!!!」
古老は錯乱状態だし兵は嗚咽をかみ殺しているし、賊のほうは生気なく肩を落としている。まるで意味が分か
らず問いただそうとしたが、傭兵が肩に手を置いてそっと首を振ったので仕方なく口をつぐんだ。一体……彼ら
に何があったというのだろう。二度と触れてはいけない何かに、言いようのない不安が襲ってくる。
「なあ……こうしてても埒あかねえだろ、話くらいは聞いてやるからさあ。まあ、立てよ。お互い席につこうぜ」
「ああ、そういえばまだ、君たちには話していなかったな……君は勘がいいし、その判断は……大体あって
いるのだが」
ため息をついて立ち上がり、テーブルをネルに任せて移動する。メイドが椅子を押してやり掛けさせてやった。
「今回の探索には……私的ながら政府高官が参加する。無論失態は許されないし、探索の成否にわがホ
ルムの命運がかかっているといっていいだろう」
「おいおい……そいつは本当か」
「ええ、極めて高度な政治判断というやつです……あまり大っぴらには出来ないので、諸君も内密に願う」
「そりゃわかるけどよ……本当にオレでいいのかよ、てか何でオレなのよ」
「どうか一緒についてきてくれ、頼む。とくに何もしなくていい、側にいるだけでいいんだ。僕一人では……」
「しぬね、間違いない」
「いやいやいやいや」
「アルソンの供する時でさえ、いまだに転寝ひとつできずに戻ってくるものなあ」
「寝ずの番とかどう考えたってやりすぎだろ、お前の頭はどうなってんだ?」
「眠らない、のではなくて……眠れんのだ、緊張して…………」
「君は真面目だからなあ、そうそう肩肘張らないで、多少手を抜くくらいでもいいのではないかね?」
「………………ゥグッ」
「無理、だったね……。すまん、私の戯言なんか真に受けないでくれたまえ、大丈夫だから、ねえ」
青い顔で手をひらつかせてきた。大丈夫だといいたいのだろう。そうは見えないだけで。
「お水、お水ですキャシアスさま……」
「だいじょーぶ?ほら、フランちゃんがもって来てくれてるよ。あたし最初、アルソンさんていびきがうるさいのか
なーと思ってた」
「いびき、いや、ああ……ええとそれは、なんとも言えんが、まあ、人並みなのではないかな……」
飲み干すのを見守りながら、仲間は話を聞きだしている。
「それで、他には誰か連れてくのかよ」
「ああ……、まずはアルソン殿だ。計画を発案された方だし、食料に関してはほぼ一任してよかろうと思う。
それからテレージャ殿にはすでに、万が一の治療と遺跡の案内を兼ねて、ご協力いただくことにしているよ」
30415 ◆E9zKH0kZMc :2010/10/20(水) 21:31:51 ID:czKHl4TG
にこやかに神官は頷いて見せた。じっと耳を傾けていたラバンに視線を送る。
「いいんじゃないか。お前さんは生存術も身についたし、この嬢ちゃんは勘もいい、なかなかの布陣だと思うぞ」
「だったらますますオレなんかいらねえだろ」
「鍵を、開けられる方がいると思います……」
「それはネルに頼めばいいじゃねえか、魔法鍵じゃんじゃん作らせてよう。てかもう、お前が行けばいいだろ?飯
でも何でも作れるんだし」
「あたしがー?」
「確かに、ネルは……料理も調合も一通り任せられるし、付き合いも長い、信頼の置ける女性だと思っているよ
……ただ、僕を含め部隊の構成員の過半数が重装歩兵というのでは、いささか機動性に欠ける」
「じゃあフランでいいだろ、一番はええんだし。なあ?鍵破りならオレと大差ないくらいできるんだし問題ないだろ」
「そのとおりだ。問題は、彼女では魔法に対する備えが弱い点にある。鎧や盾を持たせて守ってやりたいところだ
が、お前は体が小さいからね……私もお前を守ってやれるだけの余裕があるか、今回に関してはちと自信がない」
「キャシアスさま……」
ちらりとこっちを見た赤い瞳は、間違っても隊内で食中毒を出すわけには行かないと言っている。親父とそっくりだ。
「どうしても無理か?」
「……そんな目で見るのはよせ」
「すまん」
「なかなか落ちないね」
「ほら頑張れきゃしゃりん!あと一押しだ!」
「……え、そうなのか?」
「なんでそんなに渋るんだ?確かに面倒だろうが、偉いさんに恩を売るいい機会になるかもしれんだろう」
「だってよう……それこそオレなんかいたら場違いじゃねえか。下手うってこいつに恥じかかせちまったら元も
子もねえ、オレみたいな訳わかんねえやつの弟分してるっつう自体、既に問題あるだろうよ。それにテオルは
ネスの親玉の倅だぞ?まかり間違って怒らせたりしたらどうすんだ」
「それはアルソンさんだって同じじゃん、ネス公の甥っ子だよ?」
「第一キャシアスだって貴族じゃないか。それもホルムの跡継ぎだぞ。なあ?」
「……それは…………まあ、そうだね」
世が世なら一国の姫君と、さる高貴なる血筋に連なる女史、某名家の才女がこちらを見ている……。
「次期領主様ぅおん自らじきじきの指名であーる。頭がたっかーい。そこもとは、つつしんで命をうけよー」
「よせよ馬鹿」
「……確かに僕は貴族だし、ホルムの皆は僕を、将来の領主としてとても大切にしてくれている。……だがね、
人の価値さというものは、生まれや地位だけがその指標ではないのだと思うんだ……」
静かな語り口調に自然と周囲は耳を傾ける。うつむいたまま青年は組み合わせた手を見つめていた。
「これは……僕の考えだが、人生において最も重要なのは……戦場で背中を任せられるような、互いに信頼
のおける関係なのだと思う。僕は軍人だから……そうでない人生の機微というものはわからないが、この町で
暮らす人々の生活にふれた今では確信を持っていえる。ありふれたホルムでの日常こそ、身をなげうってでも
守る価値があるものだと」
30515 ◆E9zKH0kZMc :2010/10/20(水) 21:32:24 ID:czKHl4TG
穏やかながら確固たる意思を感じさせるまなざしだ。
「なにひとつ至らぬこの身を、町を守ることも叶わず、君の妹を助けることもできずにいるこの僕を、それでも尚
かわらぬ友情を向けてくれる君たちこそ、……僕の最大の財産なんだ。……今度の探索で、君を友人として
紹介したいと考えている。つまりそれは、いずれ君を館に招聘したいということなのだが……」
――封建社会において、領民や家臣団からの絶対的な支持を受けるには、対価としてそれ相応の気前の良さ
と確固たる庇護の力が求められていた。穴倉から沸き出でた災厄は、ホルムを四分させかねない危険をはらん
でいる……待遇に不満があるなら正当な評価を与えてくれる君主を求めてさすらうは必定、一旦無能と看做され
れば、遅かれ早かれ諸侯の反乱や下克上もありうる事、たちまち諸国の武力介入を食らって領民の流失を招く
だろう、そこからお家断絶・ネスの直轄管理化までほんの一息ではないか。今こうしてネス公子が滞在している
ことが、どれ程恐ろしい意味があるのか……時は、まさに戦時なのだ。
「ひょっとして、これは迷惑なのだろうか」
「め、迷惑ってことは……ねえけどよ」
「大出世じゃない」
「平民諸子の励みになるだろうね」
「給料弾んでもらえ、なあキャシアス」
「はい、そうですね……」
「けどさ、パリスじゃ毎日さぼって遊んでばっかしいそうだよねー」
「ほっとけ」
「……焦らず決めてくれたらいい、僕も無理にとは言わないよ。君の意見を尊重したい……まだ日はあるからね」
「押しが弱いなーきゃしゃりんは。どんとまかせろー四の五の言わずに俺様についてこい!世界の半分をお前に
やろう!!くらいのこと言えばいいのにさー、ねえ?」
「べつにたいしたことねえよ。こいつにたらふく安酒のましてみろ、びっくりするくらい強気になるからよ」
「やめてください、しんでしまいます」

社会的に。
30615 ◆E9zKH0kZMc :2010/10/20(水) 21:35:14 ID:czKHl4TG
一旦終了。というか、テオル連れ出す言い草もとめてどんどn伸びてしまいました
三週間も悩んでいるのに、いまだどのダンジョンにするか迷っていまして……
進行度墓所開封以前のどこかで>>307-310で決めたい。絶対他力祭りです
307名無しさん@ピンキー:2010/10/20(水) 22:34:50 ID:TfJFnZ7U
ドキドキ☆幽霊屋敷探検隊
308名無しさん@ピンキー:2010/10/21(木) 02:22:46 ID:ANG5Egtn
>>297-305
乙。ゲーム内の能力値やスキルからネタを抽出するSSって愛が感じられて好きだ
どうでもいいが、会話から察するにプリンセスと一戦交えたのはラバンなのだろうか。よく勝てたな…

テオルツアーは小人の塔でいいんじゃなかろうか。
あそこならテオルも関係する戦車と小人関連のイベントあるし。
あと温泉
309名無しさん@ピンキー:2010/10/21(木) 14:17:13 ID:kBWk5QOv
冬山に連れて行って
冷凍マグロ係りの音痴な歌を聞かせ
それでも『ハッハッハ』と笑っていられるかどうか試してみたい
露出さんの毒シチューも喰らわせてやりたいが
メンバー予定じゃないのか…
31015 ◆E9zKH0kZMc :2010/10/23(土) 07:01:52 ID:TFj78aD2
把握。がんばります
311 ◆/K08NdWDjo :2010/10/26(火) 00:53:36 ID:l5IazWta

実は経験豊富なエメクと、
頭でっかちだけど男との実践はよわよわのテレージャとかいう電波が来たので
さしあたって出だし置いときますね
312 ◆/K08NdWDjo :2010/10/26(火) 00:54:39 ID:l5IazWta
 冷たい光が、瞼の隙間から眼をくすぐった。
 テレージャはむずむずと不自由な肢体を揺すり、億劫ながらも眠りを脱する。
 見れば寝台脇の書き物机に置いた玻璃造りの瓶から、就寝前に被せた布が落ちており、
瓶に捕らえた星の光が皓々と漏れ出ていたのだった。
 この星は妖精族の牢獄であった塔の天井、偽りの夜空から一つだけ掴み取って来たもの
だが、油も魔法も必要なしに絶えず光を放つため、遺跡の探索では大層重宝をしたものだ。
一連の騒ぎが収束して発掘した宝物を分配する際には、魔術師のシーフォンと取り合いに
なった末、幾つかの書物を諦める代わりにテレージャの手元へ収まることになった。
 始祖帝の魔法によって灯された地下の星明かり。史料として、また法術を研鑽する上で
その価値は計り知れないし、懐や火の気を気にせず夜更かしができるという点も無論素晴
らしいことだったが、何より玻璃に閉じこめた星というのが良い。妖精の森の夜空から星
を盗んで来ただなんて、まるでお伽噺のようではないか。幻想的で叙情的で、何より、手
の届かないものを掌に留め置き身近な代物に貶める、倒錯的なロマンチシズムがある。星
は古代に作られたものだけれども、玻璃に詰めて灯に使ったのは自分達だ。遺跡から掘り
出した宝が幾つあっても、授かって、作り出して、由来をつけた品はこの小瓶の他にはな
い。いにしえと今を繋ぐ、一番新しい神話の宝物。そう思うと、テレージャが恋い焦がれ
てならない古代の知識をひとつふたつ、下品な現世利益主義者へ明け渡すことさえも、不
思議と耐えられたのだった。
 とはいえ、不意の起き抜けではそこまで情緒を働かせる余裕があるはずもない。安眠を
妨げる眩さばかりを感じる。テレージャは最初、横着してそのまま寝直そうと毛布へ潜っ
ていたが、しばらく落ち着かなげに身じろぎした末、仕方なく起き上がった。
 床の布に手を伸ばそうとしたところで、ぐい、とつんのめる。
 有無を言わせない逞しい腕が、テレージャの滑らかな裸身に絡みついていた。
「エメク……灯りを仕舞うだけだから」
 聞きやしなかった。
 より強く腕が絡みつき、ざらついた掌が肌身を這い回る。
 テレージャは「こら」と窘めて身を捩ったが、遠慮も躊躇もするつもりがないようだ。
 机の上の星明かりに、テレージャの細いブロンドが踊り、肌が照る。
 女らしい丸みとふくよかさを帯びた肢体は、十分な白さと瑞々しさを帯びてはいたけれ
ども、背後から抱きついている男の肌はよりいっそう色素が薄い。それがテレージャには
少しばかり面白くない。水晶を梳ったような髪。紅玉の瞳。古の末裔たる白子の容貌は、
異質ではあったけれども美しい。一度、「この顔をどう思う」と訪ねてきた彼へ、素直に
「美人だと思う」と答えたら唇をへの字に曲げていた。女々しい顔つきだとか、呪わしい
その由来を彼は疎んじているようだったが、テレージャはけっこう好いている。女の自分
でも羨ましいほどだし、血筋の希少価値も現実問題否定のしようがない。何を憚ることが
あるだろう。そう言ってやると、彼はきょとんとして、目を白黒させて、納得したような
してないような、「はあ」という生返事をした。
(可愛いな、こいつめ)
 だのと、呑気に思っていた頃だった。
313 ◆/K08NdWDjo :2010/10/26(火) 00:55:13 ID:l5IazWta
 触れてみると、エメクの体は筋張っていてけっこう硬い。神殿の作務で幼い頃から野良
仕事をやっているのだから当然だ。不作の時に振る舞う燕麦を拵えているのである。それ
に片田舎だったホルムは元来、公国の兵も少なく、神殿の男は獣や盗賊を追い払うため僧
兵の訓練までさせられる。貴族の子女が入れられる手習い半分の修道院とはわけが違う。
体だって逞しくなるというものだ。強く抱き締められると、ちょっと息が詰まる。
 多少強引なまぐわいを持ちかけられても、テレージャには抵抗のしようがない。
 寝台にぺたんと座り込んだまま好き放題されて、テレージャの息は段々と乱れていった。
抱き竦められ、手指で女を煽られてどうしようもならなくなる。腰が抜けて身動きもでき
ない。蒼光に浮かぶ首筋を吸われて、豊かな乳房を突き出すように仰け反る。
 玻璃瓶の明かりに浴して、テレージャは自身の痴態をはっきりと認識した。エメクの甘
えるような、心細げな眼差しも。
「っは、エメク、待って……ん、ふ…ぅ……ぁ……」
 懇願の途中で、テレージャの頤は節くれ立った指にむしりと掴まれ、ねじ曲げられた。
そのまま唇を吸われる。テレージャはぬらりと粘る舌から丹念に唾液を刮がれ、表も裏も
余さず舐られて、ぞくぞくと捻れた背筋を震わせた。汗が浮いた背に長い髪がへばり付き、
蒼く染まった凝脂に朱が混じる。翡翠の眼が潤んで眠たげに曇り、とろんと呆ける。常の
皮肉げな茶目っ気、見え隠れする怜悧な観察力も、今は綺麗に消え失せていた。愛欲と、
火を煽られた雌特有の物寂しさ、それから、恋人の我が儘を受け止める柔らかな女の許容
が、熱した蜜のように湛えられている。
 長く長く唇を貪られ、肌をさすられる。時折、脇腹や乳房といった敏感なところを強く
こじられるたび、テレージャは悲鳴を上げて跳ねるのだけれども、エメクの体に押さえ込
まれたままでは僅かな呻きと藻掻きにしかならない。そうしているうちにいつの間にか脚
を開かされて、ねじれた体の奥に、熱いものが押し込められた。この上なく密着した二人
の肢体がぐっと反り返って平衡を崩し、そのまま敷布へ倒れ込む。エメクが咄嗟に体を捻
って横向きになったから、テレージャは、肺を押し潰されて色気のない声を絞り出さずに
済んだ。彼女当人には死活問題なのだ。あまりこの年下の恋人に無様を見せたくないので
ある。ただでさえ押され気味なのに。
 倒れ込んだ拍子に口吸いから解放されたので、テレージャはゆっくりと息を整える。腿
と下腹を這い回っている恋人の手に指を絡めてあやしつつ、振り向けた顔は咎めるように
眦を吊り上げていた。
「エメク、こら……んッ…、は……」
 迎え撃ちに、物柔らかな口づけ。テレージャの目尻が緩む。詫びと謝意、不安。伴侶と
の交わりを求める胸の内。テレージャが知りたがっている諸々を、無言のまま伝えてくる。
勿論、常日頃からそうしているから伝わるのだが。
「どうしたの、いきなり……怖い夢でも見たのかい?」
「……」
「大丈夫だよ、どこにも行きやしないから。……っていうか、いつも君の方が早く起きて、
出かけて行ってしまうじゃあないか」
「ん……」
「……寝る前もあんな、したのに……足りないの?」
314 ◆/K08NdWDjo :2010/10/26(火) 00:55:52 ID:l5IazWta
「欲しい」
「……本当に、君は……ん、ゃ……」
 幾らか余裕を取り戻して来たところで、テレージャは甘く声を乱す。些か窮屈に差し込
まれたエメク自身が、ゆっくりと雌を捏ね始めていた。エメクは肩口に顔を埋めたまま、
何度も何度も首筋と頬に口づけてくる。幼子に縋られているようで、テレージャはくすぐ
ったくもあり、しかし相手は立派な青年で体力も相応以上に持ち合わせているのだから、
肉体の方は否応なしに翻弄されていく。縋られながら犯される。母性と被虐の両方をゆる
ゆると抉り出されて、テレージャは段々と噎び泣きを強めた。
「や、ん……あ……エメク……ぁ……あっ、あっ……エメ、ク……あっ、ぁふっ、あ、あ、
あ、あぁ……!」
 最初は、横抱きのまま腰を擦りつけるように深く、ゆっくりと。それが、行為に熱が籠
もり出して、いつしかテレージャは片膝を大きく持ち上げられ、エメクと股を噛み合わせ
るように蠕動している。卑猥な格好。闇の中での行為なら現実を丸ごと投げ出して肉深く
の感覚に精神を委ねることもできようが、玻璃瓶が、曖昧に逃げるのを許さない。一気に
首から耳まで赤くなって、テレージャはエメクに瓶を仕舞うように言う。エメクは聞き入
れず、むしろ見せつけるように胸元を指でいらい、卑猥に凝り経った乳首を扱いてみせた。
テレージャは窘め、叱り、懇願して、やがてただ雌の涕泣を漏らすばかりになった。恋人
の掌に指を重ね、自分の乳房と下腹を複雑に擽りながら、何度も何度も美しい肢体を跳ね
踊らせた。
315 ◆/K08NdWDjo :2010/10/26(火) 00:56:37 ID:l5IazWta
……お粗末
316名無しさん@ピンキー:2010/10/26(火) 08:14:09 ID:gph6YkiI
>>315
GJ!こりゃすげえ
美文でエロいな!
導入も面白かった
317名無しさん@ピンキー:2010/10/26(火) 19:22:49 ID:XLbfOxhq
おおおテレさんきたああああエロいなあ美しいなあGJ!
珍しく(?)押せ押せなエメクもいいねえ
31815 ◆E9zKH0kZMc :2010/10/28(木) 19:03:57 ID:FAlrLrLr
※なぜ こんなことに※ >>296-305続き安価で複線消化の1万くらい
まだこれは前編(予定)ですが、後編は骨子しか出来ていないという
犯罪的なくそボリュームです。どうか閲覧には細心の注意を願います
31915 ◆E9zKH0kZMc :2010/10/28(木) 19:04:31 ID:FAlrLrLr
「まさか、こんなことになるとはな……」

半分眠ったままついてくる仲間に気を配りながら、若君は余念なく辺りの警戒に当たっている。揺れる
灯火が長く影を引く不気味な廊下では、二人の貴人が熱心に会話を弾ませていた……。

「だからこそこの遺跡全体をそのままの形で保存していく事が、現代に生きる我々にとって、なにより
重要な課題なのです。幸運にもこうして伝来した貴重な古の文物を、我々の代でふいにしてしまう訳
には決していかないのだ!!」
「フム……この己が公子を務める代で遺跡が姿を現したは、ある種の因縁めいたものを感ずるよ。我
が領土でこうしたものが出土した以上、ホルム伯との連携を一層強化し、盗掘対策も更に徹底する必
要があろう。今後は学者たちの意見も一層取り入れていかねば」
テオルの名を継ぐものとしての自負、そして全身の隅々までいきわたる自信、青年が感じた眩しさは
掲げ持ったランタンのためだけではない。不可解な危うさを感じると同時に、強い憧れも覚えていた。
「なんと頼もしいお言葉か、嘗てこれ程までに考古の分野に深い理解を示した為政者があったろうか?
……否!大シーウァの長子たる西シーウァですら、神殿勢力が邪魔をして純粋な学術研究を妨げてい
るくらいだ。我が母国と所属する神殿にたてつく気はさらさらございませんが、事によるとこれらの新発
見がシーウァの領土だったりすれば、闇に葬られかねない危険を孕んでいたのではあるまいか。その
疑念が拭い去れませんよ。その点においても、この謹直な青年の父君が治める鄙びた田舎町が発見
の地となった偶然は、実に幸運だったといえましょう」
暗い顔で後ろに控えていた青年は、巫女の言葉に力なく微笑んだ。
「さあ、お見せしたいものがある。こちらへ、この辺にお立ちになって」
「む?一体なんだ」
「ご覧になれますかな、ほら君たち灯りで照らして差し上げたまえ。あの辺りだ、大理石の石柱であり
ます。上のほうにギザギザの鋸の歯のような装飾が見えますな、あれはキツネノタマゴ科の多年草を
モチーフにしたと言われておりまして、これは主にアデン湾周辺に自生する植物で、古代世界では頻
繁に用いられた典型的な沿海州域の装飾なのです。この大理石は大変美しい特徴的なマーブル模
様が見られますが、私はノロリオス付近で産出しているケーブオニクスではなかろうかと睨んでいる!」
「ほう?エルパディアの南か。随分と遠方の資材だな、この時代すでにこれ程の重量でも運搬が可能
な技術が存在していた、ということか……いや、今日では難しいかも知れぬ。水路では複数の都市国
家から通行税がかけられる上、難所も多く異教徒からの襲撃も頻繁だ。しかし西シーウァを横断したと
して山岳地帯を越さねばならんのでは手間がかかりすぎる。強大な統一国家が支配していたからこそ、
実現が可能だったと言えよう……」
「さすがのご慧眼!まさにその通り、広域で統一された通貨と単位によって巨大な経済圏が形作られ
ていたのですよ、その証拠が柱に代表される様々な由縁を持つ文物たちなのです。彼らの声は小さい
が、個々の情報をきちんと汲み取ってやる事で、その一つ一つが雄弁な時代の証言者となるのだ!」
「さっぱりわからないけどすごいですね!ねえ、キャシアス君」
「ソウテスネ」
「てかなんでこんなこと研究してんだ、お前は」
「何。大したことじゃないよ、その筋の専門家からすればハナクソみたいなものだね。ちなみに、この
宮殿に並んでいる六十四本の柱のうち六本がこの地域の大理石を用いています。現在あまり見られ
ないイシア近郊で出土するルムセン大理石が八本、こちら端正な揃いの柱はベル諸島産出で四本、
あちらの中央にふくらみがある石柱はハスのものでこれは三本、こいつは比較的古い時代の様式で
すな。その左手にあるのが今日でも大変高価なハロンの白大理石で年代を異にしたものが十二本と、
まあ実に様々な地域の大理石が使われておるのです」
「え?なんですって?もしかして、宮殿にある柱を全部数えたんですか」
「勿論だとも、床パネルの枚数だってきちんと頭に入っているよ。なんなら記録帳をお見せしようか?」
「はっはっは、貴公やはり只者ではないな。帰還後に改めて借り受けたい」
32015 ◆E9zKH0kZMc :2010/10/28(木) 19:06:06 ID:FAlrLrLr
「よろしいですとも。さて石柱に話を戻しますと、ご覧になれば判るとおり意匠や丈はまちまちで、土台
を拵えたり、上部に飾りを乗せて全体の景観を調節していますが、これも産出地域や制作年代が異な
る事の証左といえましょう。見たまえ、ここに金が出ているじゃないか。可哀想に、鑿を振るう度に火花
が散るから職人はとても嫌がるんだ。現代の我々からすると奇妙に思えるのですが、古代世界では運
搬それ自体が非常に難儀だった為、古くなった建物や不要になった建物はどんどん壊して利用できる
建材は流用してしまう事が多々ありましてね。これだけ広域に渡る多彩で良質な建材を豊富に利用で
きたというのは、帝国の支配地域や交流範囲の広さを端的に示していると言う事ができるのです。話
は変わりますが、この奇妙な獣の装飾は……」
そっと公子の様子を窺ってみる……心から感銘を受けているらしい。立て板に水というのか、一体言っ
ていることのどれ位が正しいのかすら判らないが、テオルは目を輝かして聞き入っているし、折々巫女
を喜ばせる質問を差し挟むので演説は一層熱を帯びていった。連れの騎士の方は放っておいて問題
はなさそうなだが、一人離れた場所で、じっとり汗を浮かべているものがいる……。
「大丈夫か、パリス……」
「おう、なんてこたねえ」
「……そうか」
何てことないようには全く見えないので、ランタンをおいて辺りを明るくしてやる。自分も瞬時にこの場を
離れたい、わーと声を上げて走り去れる身分ならどんなによいか、以前悪酔いして荒らした部屋をいつ
見られるか気が気でなく……ちょいと見るだけでも赤くなったり青くなったりしているのが判るだろう、皆
遺跡に夢中で助かった。パリスが見つけてくれなかったら、どこをどうぶち壊していたか……ぞっとする。
迷惑のかけ通しを悔いながら、いずれはなんとかして恩に報いたいものだと思い巡らす。明確な答えを
聞きだせぬまま酒場で別れた後、ゴロツキは直前の夜まで行方をくらましていた――。

「玄関から入ればいいのに……いくら君でも夜中にベランダからでは危ないだろう」

当てもなく地図と睨めっこしていたキャシアスが胡乱な気配を感じて顔を上げた時、硝子に鼻を押し付
けたパリスと目があった。いつから見ていたのだろう?馬鹿な友人の想像通り、怒りもしなければ笑い
もせず、地味な戸惑いをを見せるだけで驚かし甲斐のない青年は、陽気に悪態をつかれながら書籍を
まとめて机に移動させ、背もたれしか見えなかった椅子を掘り起こして出してやる。
「だってよう、もうおせえし、お前の親父とか苦手なんだものよ」
「ははは……僕も、得意じゃあないな。仕方ない。何か食べるかね」
「いらねえ、お前んちじゃ何食わされるかわかったもんじゃねえ」
「ははは、心配いらんよ。アルソン殿が僕の眼前でじきじきに作って下さったから、味は保障できるよ」
「なんだよ、そういうことははじめっから言えよ」
「少し持って行け。残すわけにはいかんのだが、僕にはちょっと量が多いからな」
「ならここで食うわ」
「好きにするといい」
水を注いで渡してやると自分も腰掛け、がっつく様子と手元の資料を交互に眺めた。わき目も振らずに
食い続け、とうとうすっかり皿を平らげ杯をあけたパリスは、ご機嫌で幸せそうなため息をついた。
「いやあ食った食った、やっぱ食い物はキレハかアルソンだな!」
「そうだね、時々作っていただくが毎回見事なものだよ」
皿をどかして茶をたててやる。ふんぞり返って足を乗せ欠伸する様は、どう見てもどこかの駄目亭主だ。
そっとカップを差し出しながら、躊躇いがちに切り出した。
32115 ◆E9zKH0kZMc :2010/10/28(木) 19:07:09 ID:FAlrLrLr
「君には、悪いことをしたな……公衆の面前で重大な決断を迫るような真似をしては、やはり断りづらい
だろう。……配慮が足りなかった。申し訳ない」
「なにいってんだ。謝ることなんかねえだろ、オレとお前の仲じゃねえか。第一誰が断るつったよ?」
引っ張り寄せた茶に口をつけ無遠慮にすする様子を、青年は深刻な顔で見つめている。
「…………違う、のか」
「おうよ、たった今ピンガーのとこの仕事をやっつけてきたのよ、アレやコレやゴタついて遅くなっちまっ
た。おかげで朝からなんも食ってねえ。アルソン様さまってとこだな」
飲み干したカップをぞんざいに放り出し、思い切り伸びをして部屋を歩き出した。
「そうか……無理をさせてすまない。本当に助かる。よければ今晩はこのまま泊まっていくといい」
「言われなくてもそうするわ、もうくたっくただからな」
すでに腰かけ布団を巻き上げ、泥だらけの靴紐を解こうとしていた。一体誰の自宅なのか。
「悪いが、まだ仕事が残っているから灯りは消せないよ。よく休んでくれ」
「かまわねえ。なんだこりゃ?もっといいベッド使えよ。なんでオレんちのみたいな固い寝台使ってんだ。
ほんとに親父は領主様かよ」
「あまり、深く寝入るのはよくないからね……武家とはそうしたものだ」
「お前はよう……いつまでオレみてえなのとつるんでんだ?お坊ちゃんとご懇意にしてりゃいいのによ」
「アルソン殿か」
「そうさ。人間、格ってもんがあんだろうよ。オレなんかと関ってると貧乏が移るぞ」
「望むところだ、僕らが贅沢をしていては……君らに申し訳が立たないじゃないか。それにね」
椅子を引いて、すでに寝そべっているパリスのほうに顔を向けた。
「…………母を亡くしたとき、君は真っ先に声をかけてくれたろ」
「覚えてねえよ、そんな昔のこと」
「そうかい。僕は今でもよく覚えているよ。……家族を亡くした君の気持ちに、ほんの少し近づけた気も
した。というのは……やはり浅慮だが。そういえば、君が初めて乗り込んできたのも、この窓だったね。
ちょうど僕が悪戯をして謹慎を命じられていたものだから、君まで酷く叱られてしまったんだ。…………
恐かったな」
「あの時はマジでぶっ殺されるかと思った。お前の親父恐すぎなんだよ」
「そうだな。…………申し訳ない。結局、いまだに君の母上について伺えないんだ」
「まだ気にしてんのかよ」
青年は言葉を選んでいる様子だ。パリスは起き上がってまじまじ顔を眺めた。
「しない訳、ないだろ。大切なことだ……あれから僕だけでも探したが、記録はまったく残っていない。
知っていそうな人にも尋ねてみたけれど、この件に関して何も聞かされていないようだった。……少な
くとも、そういう風に申告している。おかしいだろう、こんなの」
どんな軽微な事件も詳細な記録を残すのに。何かの力が働いているとしか思えないのだ。
「……君には、ただの酷薄な男に思えるだろう。僕も、とても恐ろしいが……でも、僕の父は……闇雲
に人を処刑するような…、そんな人ではないんだ。…………こんな事、判って欲しいなんて言えないが」
「馬鹿いうな、お前の親父だぞ?立派な人じゃねえか、フランの親父たち全員を助けてやった、そういう
男なのはオレだって分ってる。お前は誇りに思っていい。きっとお袋は……何か、やべえことに関っちま
ったんだろうよ、処刑されるようなな。そりゃオレも、ガキの頃は訳もわからず腹立ててたけどよ、今じゃ
これっぽちもお前らを恨んじゃいねえ。本当だ」
「……すまん」
「チュナのことだって……あれはお前のせいなんかじゃねえ。だからそんな気に病むな。お前はオレら
にずっとよくしてくれてる。……それで十分だよ」
「有難う」
「ダチじゃねえか。馬鹿なこといってないでお前も少しは寝ろよ。オレがいるから寝れねえのか?じゃあ
そこの寝椅子に移るから、毛布よこせ」
「ああ、別にそのままで構わんよ。資料室に行かねばならんからな……お休み」
ごっそり文献を抱えて部屋を出て行った。奥ゆかしいというか何と言うか。帝王学をみっちりしこまれる
傍ら、週末ごとに礼拝に出るだけで、自由に外出する機会もない哀れな少年を街角へ連れ出したのが
パリスたちだった。贖罪など望んでいない。それは既に十分伝わっているだろう。ではなぜ付き合うか。
金持ちとつるめば旨い汁が吸えそうだから?それは違う。どうも頼りないが、今にも死にそうな顔をした
この男に力を貸してやりたいのだ。自分のような男が素直にそう思うとは意外な気もするが、それだけ
の価値はあると感じられた――。
32215 ◆E9zKH0kZMc :2010/10/28(木) 19:07:45 ID:FAlrLrLr
あくる朝、従業員用の大浴場で一番風呂に(忍び込んで)浸かった後、いつのまにか用意されていた
上等な装備品一揃えを着込んで、朝食をともにしたのち出発した。別れ際、フランが持たしてよこした
不吉なブツを抱え、しょっぱなからやや憂鬱である。りゅうとした身なりの貴公子は、少なくとも本人の
考えでは目立たない服装らしいが、一般の探索者に身をやつしたとしている割に、目を引く男ぶりだ。
一斉に敬礼した洞窟の門番たちに見送られ、一角ならぬ探索の幕が開けたのだった。

「その時、すぅ〜っと生暖かな風が吹いてきて……カツーン……、カツーン…………」

昼飯を温める傍ら、手持ち無沙汰のテオルはしんねりねっちり語りかけている。
「怯えた侍従に揺り起こされた己は、意を決して大音声(だいおんじょう)にて呼ばう、我が眠りを妨げる
は如何なる者ぞ!尋常に姿を現せ!とな。だがその声も、闇に吸い込まれるばかりだった……辺りを
調べさせ、何事もないのを確かめさせ供も寝静まった折だ、何者かの這い回る気配に目を覚ましたは。
息を殺す己をめがけてヒタヒタ…ヒタヒタ………すぐ、側まで……いや、もうお前の 枕 元 に!」
「ヒぐッ」
「ダメですよテオル、パリス君そういうの苦手なんですから、ねえ?」
ねえと言われてキャシアスは料理の手を止めたが、さっぱり聞いていなかったらしい。
「ハッハッハ、貴公は怪談話が嫌いか」
「……と、得意じゃ、ねえです」
「なに。そんな縮こまることはないよ、この私がついてるんだから。しかし、この半年の間で君まで料理
を覚えてしまうとはねえ。なかなか様になってるじゃないか」
「貴公とて、生きてゆかねばならんからな」
意味深なことを真顔で言われて茶碗をひっくり返す。小麦粉を打っていた騎士が、不意に声を上げた。
「あっ。いま、あそこの角の所で青白い顔の子供が、笑いながらこっちを見ていましたよ」
「何、子供だと?」
「何かの見間違いじゃないのかね?」
「みえないみえないみえないみえない」
「特に、気づきませんでしたが……」
不思議そうにテオルと顔を見合わせたが、料理人は手を真っ白にしたまま槍を取った。
「こんな所に迷い込んでいるなんて。危ないから保護してあげましょう。キャシアス君、行きますよ!」
「い、いやお前、それって……ひいいい!」
「落ち着け、今度はなんだというのだ。……お前たちそう睨むな、己は今は何もやっておらぬぞ」
「テ、テオル殿!ほ、本当に……足音がっ」
巫女の狼狽した様子に灯かりを消して一斉に耳を澄ました……確かに、どこからともなく…空ろな反響
が……?ひたいを寄せ、声を潜めてささやきあった。
「冒険者、か?」
「一般に……彼らは単独では行動しません、何より足音が……軽すぎだ」
「さっきお前がいるから大丈夫っていったぢゃねえかっ」
「馬鹿いっちゃいかんよ君、私のこの身を守るのは神のご寵愛のみだッ」
「そんだけ着込んでよくいうわ、キャシアス。誰だかしらねえがいっちょ出迎えるか?」
「いや……いかが致しますか」
「今宵の指揮官は貴殿だ。任せる」
「御意。直ちに出立する、皆はぐれない様、密集陣形を取れ。このまま最短距離の経路をとって南面に
下ります。アルソン殿、パリスに代わって最後尾を任せたい。君はテレージャ殿を守ってくれ。撤収!」
「おう」
「了解しました!任せてください」
探索者たちは周囲を警戒しつつ荷物を片付け、移動し始めた。その様子をじっと窺うものがいる事など、
彼らには知る由もない……。
32315 ◆E9zKH0kZMc :2010/10/28(木) 19:08:17 ID:FAlrLrLr
「……考えが、ない訳ではない、よ?」

「うそこけ」
「突っ切るしかない、これ以上時間をかけていては何に遭遇するかわからんからな」
「でも通れなかったろうよ。てか本当にいいのかよお前、あそこは!」
「どういうことだ」
「は、この先の広間には……宮殿の亡霊どもが巣食っており、自由に往来できません。しかし我が隊
は大人数であり、魔法武器も備えております。他の探索者にこれ以上被害を出さぬよう、この機会に
始末しておくべきかと存じます」
「ああ、あの年がら年中晩餐会やってる連中だね。現世に未練たらたらだが中々楽しそうではあるよ」
「でも確か、以前戦ったときは負けちゃいましたよね?どうするんですか」
「そりゃ半年は前のことだろ」
「不思議な音楽が流れてるんです。もう少し行くと…………」
そのまま騎士は言葉を失った。
「一体、何があったというんだ……!なんてひどい荒らされようでしょう!!」
「なんだこりゃ!ドアがなくなっているし、部屋の中もむちゃくちゃじゃないか!!古代の風呂場が……」
「何者の仕業だ、いや化物というべきか……。この様子では、探索者の一人や二人では到底太刀打ち
出来まい。一体、どんな魔物に襲われたのだろうな?これだけ被害がでたとなると、我らでも仕留めるに
はかなりの手間だ」
「一体、いつからこんなになっていたんでしょう?どうしてこんなことに」
A.半年くらい前からです。
「君たち!その様子はもしや怪物と戦ったのかい!?何があったんだ、貴重な考古物をこんな、こんな!
ああーっなんと言う悲劇だ!恐ろしい力が働いているよ!!とんでもない怪力に違いない、あのパネル
を見たまえ!こなっごなのばらっばらだ!可哀想なモザイクたち、気の毒な装飾品、ああー……なんと」
「…………それを、投げたのは……私です」
「そうだろうとも、恐ろしい敵だったに違いない。こんなになってしまうなんて。もしかして私が呑んでいて
すぐに治療してやれなかった晩のことかい?ほら、君とメロダークと呼び出されて酒場から召還された。
ネル君が一生懸命君を治療してやった日の!」
「梅雨の頃か?貴公が姿を消す少し前のことだったか。手負いで戻ってきた事があったな」
「ええ、僕も覚えてますよ!キャシアス君が重体だって聞いて飛んで帰ったんです!!」
「…………重体?」
「可哀想に、こんな相手を敵に回して戦っていたとは。もっと早く治してやるべきだった、悪い事をしたね」
「いや……そういう訳では」
32415 ◆E9zKH0kZMc :2010/10/28(木) 19:08:53 ID:FAlrLrLr
「そうなの!!とんでもねえでっけえおっそろしい化けもんだった!なあ!?シーフォンなんかすぐにぶっ
飛ばされたし、あ、ってのは妖術を使うガキの名前で、そいつのことっス。で、オレらはぼこぼこにされて
間一髪!ってとこでこいつがぶん投げた風呂釜が会心の一撃!って訳よ、オレはすかっとしたね!!!
本当ひっでえ目にあったわ!こんチキショー!!なあ!!?」
つかみかかって激しく小突く。一瞬、目配せしてきたがキャシアスは絶句してしまった。
「そ う だ っ て い え!!!」
目をまんまるにしたまま固まっていたが、ぐらぐら揺すられおずおずと頷いた。
「なんだ、君が倒したのか。てっきりとり逃して未だにうろつき回ってるのかと思って心底ぞっとしたよ」
「はっはっはっは、貴公は己と違って己が武勲も吹聴して回らぬ男だからな。……よい友ではないか」
しどろもどろの若君は肩をしばかれながら涙目で搾り出す。
「……すまん、なにもかも」
「へっへー、いいってことよ。ほれさっさと進むぞ!お前ら」

「「えいえい、おー!」」

対象不明の勝ち鬨をあげると颯爽と立ち去った……。襲撃の機会を逸したらしい人影は、ただ静かに
闇に身を潜めていた。地上から来た人の声が賑やかに反響しては、くるくると楽しげに影は踊り……。
しきりに何か語り合っては、楽しげに笑い合う。その歓声を耳にする度に、一度として浴びたことがない
筈の、夏の日差しに射抜かれたような不思議な心持ちになるのだった。どうして……この手は彼らのよ
うに出来ていないのだろう?なぜ私には、ああして笑いあう相手がいないのだろう?一体この私は、誰
なのだろう……洞穴のような空しい胸中に去来した感情は、いつしか無視できないまでになっていた。

「これが、その亡霊どもか……」
「左様、この習俗は大変興味深いですな。実際どのように着こなしていたかという資料は間接的にしか
手に入りませんから、こうして恐らく当時の有様を相当忠実に再現できているというのは非常に面白い
事だ。出来ることなら色々と聞いてみたいくらいだが残念ながらそう上手くは問屋が卸さない訳でして」
「すごいなー、幽霊まで研究対象にしちゃうなんて」
「これ以上は……。あまり近づきすぎると、踊り歌に、囚われてしまうようです……」
「そいつをなんとかしねえと、いいように連中に踊らされちまって、手も足もでねえです」
「ほう。成程な」
にやりと笑ってあごをしゃくる。
「……やべっ」
「アルソン!」
「キャシアス君!!」
「ハッ、只今!」
「ちょっと待ちたまえ、一体何を」
とっさに声をかけたが歩みを止めない。
「うわっどうすんだ、あいつらさっそく奴らに気づかれたぞ」
「うぬぬぬ……彼の事だ、勝算がないわけでは、あるまいが……このまつわりつく様な悪寒は何だい」
嫌な予感しかしない。パリスも同様らしく、巫女の袖を掴んだままじりじり後退している。薄衣をまとって、
微笑みを浮かべた女たちが近づいてきて、テオルにしなやかな手を差し伸べた。一緒に踊りましょう、と
囁くより先に大きく息を吸った者たちがいる。
32515 ◆E9zKH0kZMc :2010/10/28(木) 19:09:34 ID:FAlrLrLr
「サン ハイッ!!!」

「「「はあっくぎぃんにかあがやくぅ しぃいろおき おじかぬぃい みちいびいかれえ!!ぅうおっしきぃい
テオぉルうううは とむおおがっるあとおお!!!ううちたおせし かぅあぁの魔ぬおとりぃいでえ!」」」

一人二人どころではない、一気に消し飛びなにも見えなくなった。心底驚いた連れの二人がやっと耳を
塞いだ頃には、宮殿に潜んでいた魑魅魍魎たちのあらかたが逃げ去るか、千々に千切れてばらばら。
歯噛みしながら何度もえづき、繰り返し妹の名を呼びながら考古の友を救わんとする若者が打ち倒され
幾たびも試みられる蘇生をも微塵に吹き飛ばすこの威力。巻き込まれたら首をへし折られそうな身振り
でおらぶる男たちは、ネスの騎士なら誰でも歌える"テオルの勲(いさおし)"を、歌って……いる、筈なの
だが、正直に言おう。

「こ れ は ひ ど い」

軍人というのは声が大きいものなのだろうが、それが災いしたとしか思えない。耳を塞いで声を上げて
もまだ聞こえる驚異的な声量は、天を揺るがし地を振るわせ宮殿のあらゆる場所の隅々まで轟き渡る。
連れはぼろぼろ涙をこぼして自らの苦境を訴えるのだが、彼らにはこれっぽちも届いていない。そこら
中一人や二人でないもの達が身もだえして呻きを上げる様は、最早地獄絵図と言うべき。一瞬生まれ
た真空は、半音あがり過ぎのソロパートで打ち砕かれ、巫女はとうとうその場に泣き崩れて嗚咽した。

「「「はっえあぁあっるう大聖ぃいいえぇえっるうううの なぁあっさあけ ぶぅうっかさぁんぃやあ うぅるぅう
わっしくぅう つっどいっしじゅううっさんきっしぃいの まっっっすらあああぉおおっぶうっりぃいやぁっ!」」

            フォース オブ ジャイアン リサイタル
「これが…これこそが真の史上最狂不協和音…………よもやこの地に伝承されていぅわー……酷い」

「「わっれらぁあはわれぇらうわあぁん とおっふぉお しゅっごー こんんじっしぃいきっしだぁあん!!」」

バリバリと渦巻く激烈な余韻が消えた頃、心地よい快笑が響き渡った。
「ハッハッハッハッハ、これは重畳!!!我らの号砲に恐れをなしたか!!愉快だなアルソン!」
「さすが、ネス公譲りのすばらしい美声です!ねえ、キャシアス君!」
いつもなら左斜め後ろから即答される友の声がない。ここではじめて後ろを振り返って悲鳴を上げた。
「ああっこれは!?」

――ハロゥインの夜に訪れた惨劇。
32615 ◆E9zKH0kZMc :2010/10/28(木) 19:11:41 ID:FAlrLrLr
前編・完!!

>>307-309実現。ほんとごめん、まじでごめん
327名無しさん@ピンキー:2010/10/30(土) 09:22:50 ID:oHu76FhB
どうしてこうなった
328名無しさん@ピンキー:2010/10/30(土) 09:28:01 ID:hSCMJue4
キャシー、あなた憑かれてるのよ…休息が必要だわ

これでまだ胃潰瘍起こさないとかどれだけ鉄の胃袋なんだw
329名無しさん@ピンキー:2010/10/30(土) 14:37:40 ID:ZaW4OIIu
全く関係ないけどへんなIDだな>>326
330 ◆DhjaoUVh9. :2010/10/31(日) 21:41:28 ID:hCU6kEp2
ハッピーハロウィィーン! よいこのみんなにカボチャ頭からプレゼントだよ。
いや、ハロウィンってそんな行事じゃない気がする。

というわけでシーフィーですがハロウィンは一切関係ありません。
3311/6 ◆DhjaoUVh9. :2010/10/31(日) 21:41:48 ID:hCU6kEp2
「たまには一緒に風呂入ろうぜ」
 その提案は夕食後にまったりとくつろいでいる最中、何の気なしに口にしたものだった。
 白い頬がぽっと赤く染まった。
「恥ずかしいから嫌」
 彼女はいつまで経っても生娘のような反応をする。
 それはそれでいいものだが、乱れた姿も見たいと思うのは男の性だ。
「もっと恥ずかしい事してるだろが」
 とは言っても、彼女がどうしても嫌がるので明かりを消した中でしか致した事はない。
 その上、まるでそれが悪い事だとでも言わんばかりに喘ぎ声を押し殺し、快感を表に出さないようにする。
 彼女の態度は心を許していないようにもとれるが、そんな訳がないと頭の中で打ち消した。
 だが、そういう時は決まって意地悪がしたくなる。
 本当に彼女が自分を好いているのか試したくなるのだ。
「温泉はいいのに自宅は駄目とかわけわかんねえ」
 あっという間に林檎色に染まった頬を隠すように彼女はそっぽを向いた。
「だって、温泉は男女別々だったし……それに、明るい所は……その……」
 段々小声になっていく彼女の腕を掴んで無理矢理引っ張っていく。
「お前の意見なんか聞いてねえよ」
 フィーはまだ何かぶつぶつ言っていたが、無視して脱衣所の扉を開けた。
 奥へ追いやってから扉の前に陣取り逃げ道を塞ぐと、恨みがましく一瞥した後に背を向けてしまった。
「何してんだよ、早く脱げよ」
 こちらは既に裸になったというのに彼女は相変わらずもじもじしているだけだ。
 痺れを切らして服に手を掛けると、素早く叩き払われた。
「あ……ごめん……自分で脱ぐから……」
 そうは言ったものの、フィーはこちらをじっと睨んでいる。
「見ないで」
「はいはいわかりましたよーだ」
 素直に反対を向くと洗面台があり、大きな鏡には狭い脱衣所全体が映っていた。
 幸いにもフィーはその事に気づいておらず、反転した世界で素肌を見せる。
 一枚一枚脱いでいく姿は淫美な見世物のようだった。
 レースで縁取られた面積の少ない下着を着けている事も、たった今、初めて知った。
 普段の恥じらいようからは想像もつかなかったが、そのギャップに情欲が煽られる。
 バスタオルで胸から下を覆うのを見て、堪え切れず振り返ってしまった。
「だから何で隠すんだよ!」
 その声に驚いたフィーも振り返る。
 無理矢理バスタオルを奪うと、今まで聞いた事がない彼女の悲鳴が――恐らく屋外まで――響き渡った。
3322/6 ◆DhjaoUVh9. :2010/10/31(日) 21:42:25 ID:hCU6kEp2
「…………」
 結局、鏡越しに観察していた事はバレてしまった。
 泣き喚く彼女を宥めつつ浴室に連れ込むまでの苦労を思い返すと、完全に失敗だったと認めざるをえない。
 無駄な消費によって体力が尽きてしまったらこれから試そうとしている事が泡と一緒に流されるところだ。
 フィーはといえば、背を向けてむすっとしたままだ。
「……見ないでって言ったのに」
「しつけーな、わざとじゃねえって言ってるだろ」
――元はこっそり振り返るつもりだったからな。
 余計な言葉は心の中にしまっておくが、謝罪の言葉も口にしない。
 だが、意外と頑固なところがある彼女も簡単には折れないだろう。
 温かい蒸気に包まれた浴室の冷たい沈黙の中、天井から落ちた雫がぴちゃんと音を立てた。
 こうしていても埒が明かないと体を洗い始めたが、その間に何度も彼女の様子を窺う。
 濡れないよう束ねた髪から跳ねる後れ毛から露わになったうなじへと視線を落としていく。
 更に下へと向かうと、湯煙に霞む滑らかな背中には間近で見ないと判らない程度の傷痕が多く残っていた。
 うっすらとしたそれらが裸身を見られる事を拒む理由だと、考えなくても理解できた。
 視線に気づいた彼女が覚悟を決めたようにこちらに向き直った。
 前面には更に多く、見慣れた四肢にさえも傷痕が散っている。
「……こんな傷だらけの体でがっかりした?」
「んなの、僕もだろ」
 見ろ、と言ったものの深緋の眼が自分を捉えるのは少しむず痒かった。
 その視線が胸元の一際大きな傷に移ると、涙を堪えて歪んだ顔が背けられた。
――この傷は彼女がつけたものだ。
 とはいえ、その原因は自分にある。
 その事について未だ謝罪していないせいか、彼女は負う必要のない責任を感じているようだ。
「……あー痛い痛い。傷に沁みるなー」
 予想通り、わざとらしい演技にも彼女はぎょっとしてこちらを振り返った。
 少し痛む振りをしただけでこの反応だ。後遺症が残ったと言えば何でもするだろう。
 こちらの言葉を待つ沈黙も、換気口から漏れてくる風と木々のざわめきで苦にはならなかった。
 懇願するように見つめてくるフィーを鼻で笑ってやる。
「ばーか」
 嘘だと気づいた彼女は少しほっとしたようだ。
 利用する為に近づいたはずなのに傷つけたくないと思ってしまう。
 素直になる事も開き直る事も出来ず、中途半端な対応しか出来ない自分は情けない男だろう。
 じっとこちらの様子を窺う赤い目に心の内側まで見透かされそうで、石鹸のついたタオルを押しつけて背を向けた。
 何も言わずとも、彼女は力を込めすぎないよう恐る恐るといった様子で背中を流し始める。
 傷の周りを撫でるように擦られるのはくすぐったかった。
 やがて泡を流す為、優しい手が離れた。
 彼女が桶で湯を汲んでいる隙に、床に置かれたタオルを手に取る。
「今度は僕が洗ってやるよ」
3333/6 ◆DhjaoUVh9. :2010/10/31(日) 21:42:52 ID:hCU6kEp2
「なんだよ、感じてんのか?」
「ちがっ、違うもん! くすぐったいだけなの!」
 慌てる様子が怪しい。
 片腕で体を抱き寄せ、タオルを持つ手を前面に回す。
「やっ……離して! 自分で洗えるから……ん……!」
 柔らかな曲線に沿うと、彼女はそれから逃れようとする。
 だが、こちらの胴にぴたりとくっついた背は僅かに泡の上を滑るだけだった。
 更に安定するよう、膝を立てる彼女の足首と尻の間に足を差し込み、胡座をかくようにして固定した。
 あっという間に硬くなった乳房の先端を指先で軽く擦る。
「……や……はぁ……そこ、だめぇ……」
 無遠慮な手を押し退けようと白い手が添えられたが、それに抑止力は無かった。
「っ、だめ、だって……こんな、とこ、で……やだぁ……」
 息も絶え絶えに絞り出される声はとても艶っぽい。
「ベッドならいいのか?」
 時折跳ねる背中を体で押さえ込みながら耳元で問うと、短く「意地悪」と返された。
 首を傾げてこちらを向いたフィーは困ったような、少し泣きそうな表情をしていた
 薄らと開いて熱い吐息を漏らす唇に自分のそれを重ねる。
「……いいよな?」
 恥ずかしそうに前を向いた彼女がこくりと頷いた。
 腕に添えられていた手が下ろされ、肘掛けのように左右を囲う脚の上に置かれた。
 突起を弄っていた手で乳房全体を包み、肌の上を滑らせながら緩やかに下ろしていく。
 肋骨の隙間を、小さな臍を、骨盤の頂点を、形を確かめるように撫でる。
 フィーは身を委ねるように凭れかかってきたものの、大きく息を吐いて呼吸を整えようとする。
 赤く色づいた耳に軽く歯を立てると、彼女は唇を噛みしめて小さく呻いた。
「声出せよ」
「や、だぁ……恥ずかし、から……」
「またそれかよ」
 臍の真下からすっと線を引くように滑らせた指を白毛の茂みに絡ませる。
「そう言われると逆に燃えるな。意地でも喘がせてやる」
 膝を閉じて拒もうとするが細い脚の付け根は三角形の隙間を作り、そこからたやすく侵入する事ができた。
 秘裂を押し割って肉襞を丹念に擦り上げる。
 ぬるぬるとした感触はどうやら石鹸のせいだけではないようだ。
 その事を口に出して伝えると、細い肩がふるふると震え始めた。
「……意地悪しないで……」
 蚊の鳴くような声で返された言葉の意味を考える。
「意地悪って、別に焦らしてなんかねえぞ?」
「ち、違っ……いやらしい事言わないでってこと……ひゃっ! やぁあっ!」
 襞の間に隠れた陰核を包皮ごと引っ掻くと、しなやかな背が大きく仰け反った。
「僕は本当の事しか言ってないぜ? つまり、いやらしいのはお前だな」
 愉快げにそう言うと、フィーは首を振って違う違うと繰り返した。
 下半身を捉えていた脚を緩ませ、膝裏を掬い上げる。
 彼女は嫌々と首を振り続けるが抵抗する様子は無い。
 細い脚を大きく開かせ、こちらの膝の外側に足裏を下ろす。
 改めて秘部に指を滑らせるとフィーは目と唇を固く閉ざした。
 上方の皮を片手で剥き、その中身をもう片方で嬲る。
 白い喉を晒して仰け反る頭を肩口で受け止め、敏感な小突起を摘み、押し潰す。
 時折漏れる声と紅潮した肌の感触に煽られ、小さな尻に挟まれた陰茎を扱くように腰を軽く揺らす。
 たったそれだけの事で我慢が出来なくなり、愛撫する手を離した。
 訝しがる彼女を退けて、濡れて冷たい床に仰向けに寝転がる。
 フィーを上に跨らせ、泡と愛液でぬめる下半身で逸物を包み込むようにして腰を下ろさせた。
3344/6 ◆DhjaoUVh9. :2010/10/31(日) 21:43:35 ID:hCU6kEp2
「そのまま腰使って擦れ」
 彼女は従順に前後に体を揺らし始めたが、陰茎を覆うばかりで亀頭まで届いていない。
 毛にくすぐられる先端がもどかしい。
 奉仕する腰に手を添えて全体に行き届かせるよう促した。
 フィーは前のめりになって床に手をつき、大きく腰を振る。
 雁首に陰核が引っかかる感触が堪らない。
「ん……シーフォン、気持ちいい?」
 とろんとした目で見つめながらの問いに、短く「ああ」と答えると、彼女に笑みが浮かんだ。
 いつもと同じはずのその笑顔はどこか淫らで、一瞬別人のように思えた。
 主の動きに合わせて揺れる乳房を両手で掴むと、甘い嬌声が上がった。
「……お前、そんな声出せんだな」
 そう言うと彼女ははっとして口を噤んだが、すぐに蕩けた表情に戻っていった。
「……っフォ、シぃ――フォ、んっ……! シーフォン!」
 覆い被さるように抱きついてきたフィーは一心不乱に腰を振り続けている。
「だめっ! だめっ! もう、だめぇっ!」
「……っ、出る……フィー、出すぞ」
 尻たぶを掴んでがくがくと震える腰を押さえつけ、ぴったりと合わさった腹の間に精液をぶち撒けた。
 その後しばしの間、大きく体を上下させるフィーと共に呼吸を整えていた。
「……あ……シーフォン……」
 ぼんやりとした視線が向けられる。
「わた、私、こんな……こんな、いやらしい……」
 白い液を糸引かせながらフィーが離れた。
「まったくだ」
 こちらも起き上がって逃がさないよう腕を掴んだ。
 完全に正気を取り戻した彼女はおどおどしている。
「挿入したらどうなるのか、スゲエ気になるな」
 口答えしようとする唇を塞ぎながら、とりあえずは泡を洗い流そうと考えた。
3355/6 ◆DhjaoUVh9. :2010/10/31(日) 21:44:22 ID:hCU6kEp2
「お前の好きな体位でやってやるよ」
 乱れた髪を直していたフィーの顔が引き攣る。
「ほら、どんなのがいいか言えよ」
 わざとにやつきながら詰め寄る。
「私、そんな……あの…………貴方に任せるから……」
 ここまでは予想通りだ。
「ふーん……じゃあ、野外で立ちバックがいいな」
 第三者に目撃される可能性に怯えているのか、フィーは真っ青になって震えている。
「……嘘だよバーカ。ま、本当にしてやってもいいけど?」
 暗に、言わなければそうすると脅しているようなものだ。
 せわしなく視線を泳がせ、言葉を詰まらせながらフィーが答える。
「あ、あのっ……向かい合って、座るの、が……」
 青ざめていた顔が今度は真っ赤になる。
「へー、お前あれが好きなんだー」
 意地悪くにやにや笑っていると、彼女は羞恥のあまり泣き出してしまった。
「……ほら、来いよ」
 涙を拭う手を引き、胡座をかいた自分の上に膝立ちにさせた。
 首元に吸い付き、形の良い尻を揉みしだくと、彼女は首に腕を回して縋るように抱きついてきた。
 双丘の割れ目から内腿を撫でるように手を滑らせていく。
 更に奥へと進むと既に、洗い流したはずの愛液が再び溢れていた。
「……いつも思ってたけど、お前ってほんと濡れやすいよな」
 くちゅくちゅと弄ぶ音が浴室に響く。
「わ……たし、じゃ……シーフォンのせいだもん……」
「あ? なに? 僕がテクニシャンだって?」
 揶揄するように言うと、抱きつく腕に力が込められた。
「だって……貴方に触られると、変になっちゃう……」
 耳元で囁かれて理性が飛びかける。
 自分は相手をその気にさせる為に言葉を選ぶが、彼女にはそんなつもりはないのだ。
 腰を掴んで引き下げると、完全に勢いを取り戻した逸物が濡れそぼつ彼女に触れた。
 彼女が戸惑っている間に、片手で先端を入り口に誘導して幹を支え、そのままもう片方で腰を引き下ろした。
「はっ……ひゃ……あぁあああぁ……!!」
 異物が強引に侵入する感覚にフィーが背を反らせる。
 中は溶けたように熱い。
 奥まで押し進む為、二度三度と腰を振って愛液を肉棒に絡めた。
「っ……ぃフォン、あ、ぁ、熱い、熱いよぉ……」
 フィーは腕だけでなく、足をこちらの腰に巻き付けて強く抱きついて離れまいとする。
 勿論、こちらだって離す気は毛頭無い。
 紅潮して傷を際立たせた体を抱擁し、そのまま腰を揺らした。
「あっ! そこ! そこぉっ! しい、ふぉ――! シーフォンんっ……!」
 フィーは上体を限界まで反らし、全身を震わせ、口端から涎を零し、悲鳴にも似た嬌声を上げている。
――彼女のこんな姿、見た事が無い。
 だが、今の自分にそんな事を考える余裕は無い。
 獣のように激しく腰を振り、白い喉に喰らいつく。
 絶頂に達しても尚、互いを求める事をやめなかった。
3366/6 ◆DhjaoUVh9. :2010/10/31(日) 21:45:01 ID:hCU6kEp2
 夜半、二人して半裸で寝台に寝転がっていた。
 フィーはぐったりとしていてとても辛そうだ。
 這いずるように起きてサイドテーブルに手を伸ばす。
 水差しからコップに波々と注ぎ、一気に飲み干して息を吐く。
 もう一杯注いで口に含み、ぼうとしている彼女に飲ませてやる。
 間近でこくりと飲み下す音が聞こえた。
 もう一口含むと、彼女に名前を呼ばれた。
「……もうしない?」
 恨みがましく見上げてくるが、怖くもなんともない。
 だが、事後の――湯当たりの辛さを考えると答えは決まっている。
「ああ、もう風呂じゃしねえ。ぜってーしねえ」
――だから、次からはベッドで見せてくれよ。
337名無しさん@ピンキー:2010/11/01(月) 02:11:38 ID:yWNxLgqb
>>331
GJ!!シーフィー待ってました!!
やはりラブラブエロはいい…!
338名無しさん@ピンキー:2010/11/01(月) 22:37:07 ID:2dRDWK7p
一枚上手な中二&いいようにされる魔女っ娘GJ!
風呂場プレイって本当にいいもんですねえ
339名無しさん@ピンキー:2010/11/02(火) 01:40:26 ID:Fw/0LP8Q
奥手な女の子っていいよな、GJ!

フィーはシーフォンのこと、能力面では尊敬している一方、
性格面では危うい感じで放っておけない人とか頑張り屋さんとか、
無意識のうちに割と母性的な目で見ているんじゃないかと想像できるんだが、
(あくまで俺のイメージね)
シーフォンはフィーのことどう思ってるんだろう?
フィーを見てると独占欲が湧くとか信念を持った奴が好きだとか、
そういう女の好みだけじゃなくて、やっぱり優秀な魔術師でないと興味持たなそうだ
ということは、二人の関係は魔術なしには成り立たないということなのだろうか
だとすると、シーフォンはフィーとどんな関係でありたいんだ?
……何か疲れてきた、もう寝ようww
340名無しさん@ピンキー:2010/11/02(火) 03:15:13 ID:SivnqeF7
基本的に才能持った者同士のガチな競い合いを求めつつも
相手がうっかりちょっと可愛い女の子だったものだから十代の性欲に振り回されてああなった
…って側面も有ったら面白いんじゃね?派だ
だから術比べは術比べでそういう関係で居たい一方で
おっぱい舐めたい!尻!ふともも!っていうかヤらせろ!とかで悶々とする夜が有れば良い

解釈的に少数派であろうことは予想が付いている
341名無しさん@ピンキー:2010/11/02(火) 03:40:00 ID:Bus+6XES
>>340
いやいや結構じゃないか
基本はライバルとして対抗心燃やしつつ
術合戦間も無防備にチラチラする白い肌にうっかり見とれて怯んだ隙に杖でブン殴られるとか最高ですねはい
342名無しさん@ピンキー:2010/11/02(火) 04:17:00 ID:WT8dLXEn
>>341
最初の術比べで勝った場合、ラッキースケベでうっかり服を破るとかなw
343名無しさん@ピンキー:2010/11/03(水) 01:08:42 ID:MJjD5QbW
>>340
なるほど、やっぱり思春期の異性意識みたいなのが影響してるんだな
女としてのフィーと、魔術師としてのフィーは別々に考えているけれど、
どちらも条件を満たしていないと恋愛には発展しないって感じか
おそらく異性・同年齢で自分以上の術師には会ったことなかったんだろうな
賢者編でのシーフォンの主人公への執着とか羨望とか半端ないから、
それが女としてのフィーへの感情と混ざったらそりゃあ大変なことになるよな

……何かすっきりした、もう寝よう!
344名無しさん@ピンキー:2010/11/03(水) 21:30:32 ID:IwRv7i3y
相変わらずシーフィーは大人気だな
俺のアイリが少ないのは相方が可哀想なパリスだからだろうか・・・
345名無しさん@ピンキー:2010/11/03(水) 21:57:15 ID:7B1hI1a/
キャラ設定や専用イベントでの健気要素でフィーに単体人気あるからな
アイリは家族想いのいい子なんだがちょっと掴みどころがないというか
イベントでの感情描写がパリスに振り回されて引っ張られてる感じで
どんな子なのかが少し分かりにくいのが難点かもしれん
346名無しさん@ピンキー:2010/11/03(水) 22:01:13 ID:VKwVI4Y7
>>331
素晴らしい
シーフィーやっぱ可愛いなあ
347名無しさん@ピンキー:2010/11/03(水) 22:09:53 ID:Ocn88VyO
叩かれるのを覚悟で言うが、
フィーが人気なのって顔4がデフォだったのも関係あるんじゃね
348名無しさん@ピンキー:2010/11/03(水) 22:57:43 ID:MJjD5QbW
>>347
顔にデフォとかあったっけ?
確かに俺はフィー顔4でやってたけど、統計取ったら4が多いのかな
やっぱりロリは強いと思うよ、うん
10代前半の非力な魔法少女ってだけで妄想膨らむ
マナと比べても、育ての親が死んでさらに健気なんだよな
349名無しさん@ピンキー:2010/11/03(水) 23:00:25 ID:NLFkT8Gy
え?内部的にはフィーは顔3だろ?
350名無しさん@ピンキー:2010/11/03(水) 23:02:14 ID:Z5fFqIFG
内部的には顔3だな
まあ俺のフィーは顔2固定なんで関係ないけどな!
351名無しさん@ピンキー:2010/11/03(水) 23:09:39 ID:Ocn88VyO
俺もスレで言われるまでは気付かんかったんだが、
確かHPのマニュアルが顔4でフィーだったはず
見てないんで内部データは知らんかった、すまん
352名無しさん@ピンキー:2010/11/03(水) 23:12:25 ID:z66yB8mf
マナはメロ以外ルート全くないよな
353名無しさん@ピンキー:2010/11/03(水) 23:13:20 ID:LAeXXImB
内部的には正面向きでロリの顔3なんだっけ?
ちょっとAs当時のフェイトさんっぽいの

>>348
>10代前半の非力な魔法少女ってだけで妄想膨らむ
>マナと比べても、育ての親が死んでさらに健気なんだよな

ベタだがやっぱりたまらんもんがあるよな
354名無しさん@ピンキー:2010/11/04(木) 00:23:30 ID:wuV9oVI4
>>351
ああ、そういうことか…確かにマニュアルは顔4フィーだな
しかしあのパーティ全員紙装甲だが大丈夫か

>>353
普通の斜め向いてる奴。正面のは顔一覧じゃないと見られない
少なくとも現バージョンでは
355名無しさん@ピンキー:2010/11/04(木) 00:40:40 ID:jH26bVYB
あっちの顔だと生真面目で気の強いタイプで、
最初の酒場でもシーフォンに食ってかかったりしてそうだよな
「こんなところで呪文を使うなんて、何を考えているの、あなた!」みたいな
劇中でもことある事に意見衝突、シーフォンの挑発を最初は受け流そうとするんだけどけっこうあっさり乗せられて喧嘩に
魔法の議論なんかしてても口論になってよくネルなんかに仲裁される

でも話が進むにつれて段々追い詰められて、気弱になって、
玄室での1世戦の後、向こうへ行こうとするシーフォンの背中へ飛びついて、
必死になってしがみついて、場が落ち着いて帰る途中でボロボロ泣いたり
356名無しさん@ピンキー:2010/11/04(木) 00:56:07 ID:SopcgcAW
ぶっちゃけてしまうとスレで人気が有る健気っ子な顔4フィーは俺の嫁とは別のキャラだなあ、と思うことならある。
いや、ロリもロリで好きだけど。

>>350
同士発見。
顔2いいよなあ。
357名無しさん@ピンキー:2010/11/04(木) 01:03:21 ID:BFEp20kY
そうなのか……
自分は顔3で>>331のような気弱フィーを想像してたわ
個人的に顔1ウェンドリン、顔2アイリ、顔3フィー、顔4マナと充ててた
で、マナは幼いけど打たれ強いっていうか、天然というか
割とすごい事言われても「そうなんだ^^(にぱー」みたいに流せるタイプかなーっと

そのせいか、フィーはアイリほど大人っぽくなく、マナほど天然でもなくて
どんどん押されてしまうタイプと妄想してたw
人それぞれだなぁ
358名無しさん@ピンキー:2010/11/04(木) 01:16:43 ID:wuV9oVI4
>>357とマナ観が近いかもしれん
顔1アイリ 顔2ウェンドリン 顔3フィー 顔4マナで
マナは肝の据わったアルソンさんみたいな感じ
殺人料理人が脱いでも眉一つ動かさない
フィーは一昔前のツンデレのイメージ
359名無しさん@ピンキー:2010/11/04(木) 02:22:53 ID:Qake4H52
>>357
やあ同士
そういえばその職人さんも3派だって言ってたな


フィーは本当に人それぞれだな
強気(?)の顔2
ツンデレor気弱の顔3
健気な顔4

あれ?顔1は?
360名無しさん@ピンキー:2010/11/04(木) 02:41:48 ID:SopcgcAW
端からシーフォンを完全に無視して進行するルートのフィーは
顔1の見た目をしていそうなイメージが有る。
自分にも他人にも厳しそう。
361名無しさん@ピンキー:2010/11/04(木) 02:47:33 ID:saA0MYGi
一番タイタスさんに近いフィーだな
362名無しさん@ピンキー:2010/11/04(木) 03:05:15 ID:EdH88aZt
意外と4って多くもないのか
顔とか選択肢とか、プレイヤーが自分好みの主人公として冒険できるのも
このゲームのいいところだよな

そう言えばタイタスさんのエロもないね
363名無しさん@ピンキー:2010/11/04(木) 03:57:29 ID:Yb9KivVM
10世×7世と申したか
364名無しさん@ピンキー:2010/11/05(金) 15:39:35 ID:a6om6AgL
>>344
パリスはチュナばっかり気にして、アイリには
わくわく冒険ランドとか訳判らんことしか言わないから、
ヤンデレ方面にしか展開しない感じ
365名無しさん@ピンキー:2010/11/05(金) 16:41:19 ID:LWS0lQ/R
>>364
ずっと自宅椅子に放置しておくと発狂して壁と会話し始めそう
366名無しさん@ピンキー:2010/11/06(土) 11:29:05 ID:zxhvvLjk
顔4はマナにしてるな
おっさんメロダークがちっちゃい女の子を崇めてるという
絵面が気に入ってる
367名無しさん@ピンキー:2010/11/09(火) 18:21:43 ID:W7M/TdLs
主人公像はかなり個人差があるんだなあ
まあ、このスレだけ見てもソウテスネの人とハーレムの主なんか共通点を探す方が難しいしな
368名無しさん@ピンキー:2010/11/09(火) 19:59:48 ID:kdblgShY
まあ、あまり公式公式言わない方が良いってこった
369名無しさん@ピンキー:2010/11/09(火) 20:23:07 ID:+27ZwEzZ
なんていうかお前らほんとにフィー好きだなと思ったよ
370名無しさん@ピンキー:2010/11/09(火) 20:55:13 ID:u45br3H7
ほんと、なんでこんな人気なんだろうなフィー
作中の健気な設定と本編でのガン不幸っぷり、あと絡む相手がシーフォンだからいぢめられる光景を幻視しやすいせいか
371名無しさん@ピンキー:2010/11/09(火) 21:29:47 ID:SMi0FbSi
>>367
主人公以外の仲間も個人差激しいしな
特にテレージャやメロダークあたり人によって全然違うし
フランやキレハの個人差も案外大きい
372名無しさん@ピンキー:2010/11/09(火) 21:38:31 ID:wSSgmMyu
>>370
あのメンバーの中で何かやらかしそうなのが
シーフォンくらいだってのもあるだろうな
37315 ◆E9zKH0kZMc :2010/11/10(水) 05:03:09 ID:iqTICFhE
先に謝っておく、そんな安価>>308採用1万くらい。後半はスルー推薦
書いてるこっちだって体調を崩したレベルです、ガチで
37415 ◆E9zKH0kZMc :2010/11/10(水) 05:03:40 ID:iqTICFhE
「あんなにお喜び頂けるなんて……。やはり、無理を押しても来てよかった」

珍しく明るい表情でつぶやいている。ほの暗い焚き火に揺らぐ小さな野営地では、仲間たちのため、
独り野伏が番をしていた。時折異変がないか辺りを見回る様子はとても貴族とは見えない、大変優秀
な兵士である。一巡りして戻ると、火に当たる人影に気づいた。
「お休みに、なれぬのですか……」
「うむ。まさか今生にあってアルケアの地を踏むことがあるとは……胸が高鳴って眠れぬ。フフ、年甲
斐もないことよ」
「なにか……温かなものでも、召し上がりますか」
上品に頷いたので、音を立てないように鍋を取り出し酒を温めてやる。
「しかし不思議だな。なぜ貴公だけが夢の都と行き来できるのか……。巫女も言っていたが、この遺跡
全体がまるでいきもののように……自ら探索者を見分け、己が秘密を分かち合ってよいか、日々値踏み
しているのだろうか?」
そっと注いだ杯を渡してやり、新しく薪をくべながら応えた。
「理由は判りかねますが、恐らくは最初に足を踏み入れたのが私であった事と何か関わりがあるので
しょう……。時折私は、この遺跡に誘い込まれたのではないかと思えるです。それが、一体なんの為
であるか……」
その念頭には、夢枕に立つ腐臭をまとった何者かが思い浮かんでいた。
「いずれ判ることだ。それにしても、貴公は本当にこのまま起きている気か」
「あとで、パリスに代わります」
「必ずそうしろ。貴公も大事なる身には違いない。怪我をさせて館に返すわけには参らぬぞ。あれの世
話は手がかかろうが、いずれは独り立ちさせねばならぬ。未曾有の国難にあって、貴公のような友を
得たは幸いなこと。堪えろよ」
「この身に変えましても」
「そう畏まるな。貴公とは、一度じっくり話しておきたいと思っていたのだ」
「有り難き幸せに存じます」
「呑まぬか」
「…………記憶が、とびます故」
「そうか」
くすくす笑いながら杯を傾ける。普段のすっぱい酒と違って容器は小さいくせに馬鹿高い銘酒だ。
「己が貴公らの年頃には、日々遊び歩いたものだが……。貴公はよく身を処し、父君の期待に応えて
いる。さぞかし鼻が高かろう。時に、話は変わるが将来これと決めた相手はあるか」
あまりの話の変わりように目を白黒、キャシアスは誤作動している。
「ハッハッハッハ、そう驚くなよ。いないなら輿入れに相応しい子女を見繕ってやる。無論既に目当ての
娘がいるなら己は引き下がるよ。どうなのだ」
「そ、それはその、相手もあることにて……しかし……先の探索でかばかりかの迷いが生じた事も確か。
あのように……いつ戻るとも知れぬ者を、独り……館に留めおくは忍びなく。次第相落ち着く迄、婚儀に
ついて考えるべきでは、ないのではありますまいか」
「ならば連れて行けばよかろう。娘の盛りを待たせて過ごさせる気か?一体、災厄に解決の目処もある
ならよいが、当てもなくばかえって酷だろう」
「……浅はかにございました」
37515 ◆E9zKH0kZMc :2010/11/10(水) 05:04:10 ID:iqTICFhE
「余裕がないのはわかる。女というのはやはりわずらわしいものだからな。しかし凶兆におびえる今だ
からこそ、この国には慶事も必要なのだ。己が口を挟むことではなかろうが、領主嫡男の務めでもある」
「勿論……無常なるは世の常、いつ潰えるとも知れぬからこそ、確実に嫡子を残すが至上命題である
ことは理解致しております。が……とどまるところを知れぬ凶事を前にして、ホルムの領主といえど我
がグリムワルドの縁に濃き薄きを問わず、困難に立ち向かい、国を、民を守れる人材であることを条件
として当主を据えるほうが、領民には幸いなのではないでしょうか。……必要ならば私は、いつでも館
を退く用意がございます」
「なん、と……」
ネスだろうが資するに値しないと看做せばいかに正当な血筋を引く王であろうと、最早認めないという
に変わりない。自覚しているのだろうか?突き詰めればそれが本来的なあり方であるし、乱世ならば
武勲こそ地位を担保する何よりの証、けれど一旦手に入れた座を守るには階級化こそが何より重要。
野心に燃える男などより目立たぬ分、疎かにしがちだが体制維持には妨げでしかない。万一自信を
深めるようなことになれば――地位、名声、財力、才覚と不足ないこの男に、なぜか決定的に欠けて
いる唯一のもの――面倒な存在になるやも知れぬ……この手合いは金も名誉も取らぬだけに、切り
崩しは骨折りになろう。だが逆に言えば、と思う。徹底的に心酔させることができるなら、全てが見限
るような極限であろうと、最期まで尽くすに相違ない。よい火遊びになる……民を思う心の深さと覚悟
の程を誉めてやり、今ホルムに必要なのは他でもないお前なのだと励ました。仮に駄目でも父親共々
始末する迄のこと、何も恐るるに足りぬと腹でつぶやきながら甘美な微笑を浮かべた。
「まあよいさ。これは預かりとする。楽にせよ」
「はっ」
「しかしな……酒も召さず女もとらず、貴公は一体何をして過ごしているのだ?もしや、衆道か?」
白湯が気管に回って悶絶、うんともすんとも言えずに涙目だ。
「ハッハッハ、しっかりしろ。貴公はからかい甲斐があるな、大丈夫か」
「ナンノモンタイモ」
「そうか?」
「……今のように、今のように顔を知られるまでは……折々、市中を散策しておりました」
「ほう、いかにしてか」
「友の衣服を借り受け、平民に扮するのです。……ただ私の髪が白いこともあって、遠方からも目を引
く故、今日日難しゅうございます。近頃では…ただただ、窓から眺めておるばかりになりました」
「上手くは行かぬものだな」
37615 ◆E9zKH0kZMc :2010/11/10(水) 05:04:42 ID:iqTICFhE
「左様で。それでも、大変趣き深いものでございます……見所もない鄙びた田舎ではありますが、その
分顔を見知ったものたちが往来する様を眺められますため、やはり面白いのです」
うつむいたまま、どこか懐かしむような表情をみせる。
「夕闇に家々の明かりがともる頃、家路を急ぐものたちの灯火が足早になって……。時折中の灯りが
大きくまたたき、主の帰宅を知るのです。……人々が寝静まった夜には、警邏のともし火に数多の星
がこぼれ……夜も明けぬうちに仕込みをはじめるパン職人の竈にかかる炎や、大河に煌めく漁り火。
夜明け頃にはちらほらと、朝餉の支度に立ち働く女達によって、白い煙が昇り始め……起き出した雀
たちとともに町へくり出す子らの交わす挨拶は、まだ静かな館にも聞こえてくるようです。……こうした
者たちの命を預かるのだと思うとき。山に一角引っ込んだ我が館から眺めやる景色にも、我が身の幸
運と同時に、職責の重さを噛み締めるのです……」
余暇の過ごし方を聞かれたのに、さっぱり仕事から離れていない。……ホルムに発した騒動は、想像
以上に彼を痛めつけていたのかもしれない。案外、脆いのではないかとみる。
「貴公はかの宮殿の不死者を打ち倒し、幾百もの探索者を亡き者としてきたこの大廃墟からも生還した。
これだけの手柄を上げた者にそう嘆かれては、己の立つ瀬がないな」
「くぁwせdrftgyふじこ」
「ハッハッハ、真に受けるな。貴公は……十二分にやっているよ」
肩を叩き、もっと自信を持てと囁きかける。一瞬あった真っ赤な瞳はすぐに伏せられてしまったが確信
するに十分な色を示していた。血気盛んな小僧に比べ随分と手がかかったが、やはり他愛もないもの
とほくそ笑む。
「……明日は小人国へ向かいます。そちらは公子もご興味がおありかと思われる点も多々ありますし、
よい温泉もございますゆえ、旅の疲れを癒していただけると存じます」
「確か、竜が住み着いていたとか言う場所だな?貴公らが討ち取ったそうだが」
「は。近くに住まう巨人族の鍛冶職人に依頼され討伐いたしました」
「御伽噺と思ってばかりいたが、現代にも実在していたとはな……いかなるものか」
「は。まず目を引くのはその大きさで……まるで小山のように見上げるばかりでありました。この鎧に
使っているのをご覧頂きますとお分かりの通り、硬くつややかな鱗で全身が覆われております……」
「献上品にもあったな。鍛冶職人の技も見事である。していかにし止めた」
なんとじきじきに誉められた、あとでネルに教えてやろう。
「はい。あれらは炎と水にて生まれたか、それらには強い故、術を結ぶよりは弓取りによるほうが向く
ようです。ただし、恐ろしい毒や炎から身を守ることは忘れてはなりません。……また、彼らが眠って
いるうちはよいのですが、一度目を覚ましてしまえば……らんらんとした眼は火花を散らすよう、女の
腕ほどもある牙は武装した我らをも……造作もなく引き裂き、噛み砕くのです。そして何より恐ろしい
のがその息吹にございます。し止めた獲物を開いたところ……喉と肺の間に毒袋がある様にて、これ
を搾り口から業火を撒き散らすものと存じます。……我らはこれまでに青いもの、赤いものとを討ち取
りましたが……恐らくは、まだまだどこぞに潜んでいるのでしょう」
「そのようなものが遺跡の外へあふれ出すようなことになってはならぬ。よくぞ仕留めた」
「恐悦にございます」
「うむ。では……そろそろ己は休もう。貴公もあまり無理はするなよ」
「畏まってございます」
相変わらずお堅い青年に微苦笑しつつ、床へ入った。……いっそ魑魅魍魎の蠢くあの川に身を投げ
てしまいたい。再び静まり返った大廃墟で、ぼんやりと謎めいた渡し守に思いを馳せた。竜の滝だけ
でなく、ああしてここでも待っていたのはなぜなのだろう。全ての問題の根幹について、何か知って
いるのではないか、理由の判らない不思議な親しみを感じるとともに、興味をそそられていた……。
37715 ◆E9zKH0kZMc :2010/11/10(水) 05:05:48 ID:iqTICFhE
この辺から危険水域、じつは>>303
>傭兵が肩に手を置いてそっと首を振ったので仕方なく口をつぐんだ
が複線だったりする後半です
37815 ◆E9zKH0kZMc :2010/11/10(水) 05:06:20 ID:iqTICFhE
「…………ああ、暑いね」

「階段は足幅が狭くて歩きにくいな。家々も軒が低すぎてくぐれぬか……」
ぶしつけなまでに観察して回るテオルを見守りながら、吹き出す汗を繰り返しぬぐう。思いついて布を
絞ると小さな水溜りが出来るほどだ。
「元気なオッサンだな、おい……」
「幾度か……慰みに手合わせいただいたが、相当な剣士だよ」
「へぇ〜。ほんじゃラバンと比べてどうだったよ」
「………………うむ」
「なんかいえよ」
ちらりとあたりに目を配り、思慮深く言葉を選ぶ。
「俊敏さはラバンが先んじているが、剣戟の重さでは同等か上回る程度か。いわゆる剣聖に連なる方
だが、他方で術の資質もおありだから……平たく言って魔法剣士と見てよい……かな。これまでに差し
上げた指南書のいくつかは、既に消化されたご様子だ」
「伊達じゃねえってことか。……はぁ〜〜〜。しっかし、あっちぃな……」
「ここは……僕が見ているから、遠慮せず彼らと先に行っているといい。辛い、だろう」
「どこいてもあちーのにはかわんねーよ。てか、もう……」

「オレは早く帰りてええぇんだぃょぉぉおおおおおおぉぉぅう!!!!1」

ばったり泣き伏してしまった。泣かしたみたいなキャシアスは飛びのいて固まっている。
「どうしたんだパリス君!足の小指でもぶつけたかい?!しっかりしたまえ、何があったというんだ!」
「うっうっうぅううぅう〜〜これはファンタジーファンタジーファンタジーファンタジィイイイやあああああン!」
「わあ!どうしちゃったんですかパリス君!!」
「おいおい……、何をそう騒いでいる。なんだ、通夜か?」
「それが我々にもさっぱり……話してご覧よ君たち。そんなに泣いてちゃわからないじゃないか」
「そのちょっと……公子。彼をやすませt ブフッ……うぐっ」
「ええ!?なんで君まで……何か、悪いことを言ってしまったかな」
「お前たち何かしたか?」
「ひぃぇ……そんなことれは なひん…れ  すいません…ングググ」
「な、泣かないでキャシアス君!どうしちゃったんですか、ねえ……ねえ」
「もらい泣きするなよ」

「……なんだね、この状況は」

――事の起こりは夏の終わりだった。
37915 ◆E9zKH0kZMc :2010/11/10(水) 05:06:51 ID:iqTICFhE
初めて足を踏み入れたのは夏の初めだ、その頃はまだ大廃墟のほとんどが未解明であり、遺跡への
出入りは小人の国からのみ行われていたが、ダリムも加えての抵抗運動は佳境に入り、キャシアスら
の訪れも頻繁になっていた。
「そんで沿海州ってのはどんなとこなんだ?」
「ざっくりいって海沿いにある国だな」
「海というのは?」
「ああ、でかい塩水の湖ってとこかな。広さでいえばそれこそ尋常じゃない規模でなあ。何日もかけて
渡らにゃならんほどだぞ」
「それでは金属はみな錆びてしまうでしょうな。恐ろしいところだ……」
「ここよりゃマシだが暑いとこだったわ。年寄り子供に限らず、姉ちゃんから年増まで、まるっと片肌薄
着でなーうひゃひゃ」
「いいいい、そんなの。どうせ地黒のぶっつりした女ばっかなんだろ」
「なんだ、ひっかからねえか。まあ、それはそれで可愛いもんだぞ?目がくりっとしてて」
「しっかし、あちーいとこだなー……。おいキャシアス、大丈夫か?」
「……ああ、すまん。僕に聞いていたのか」
「ほかに誰がいるんだよ」
「ご気分が優れぬようですが、大丈夫ですか」
ダリムの頭はキャシアスたちの腰ほどの高さにあるが、茶色の瞳が気遣わしげに見上げていた。
「ええ、大丈夫です。どうかご心配なく」
「ほんとかよ。お前だけ茹蛸みてえだぞ」
「……ハハハ」
比較的軽装な連れに比べ、全身隙間なく鎧兜を着込んだキャシアスはお喋りどころではなさそうだ。
入国してさほど経っていないが既に汗みずくである。なぜダリムは平気なのだろう。
「……あれは、メロダーク殿か」
「おお?よく気づいたな。見ろやパリス、あいつ服なんかきてやがるぞ」
「ほんとだな。てかいいんだよ、それで」
相手も気づいたのか歩みを止めてこちらを待ち受ける。
「お久しぶりです、メロダーク殿」
「どうしたオッサン。暇つぶしに町歩きか?」
「湯治を兼ねて探索だ……しかし、相変わらずなんという暑さだ。しかも湿気まである。服を脱がなければ
やってられんな。どうだ、キャシアス。実にクールでお前にもお勧めだ」
「キリっとした顔でなに言ってんだあんた。大体、たった今しがたまですっかり着てたろ」
「誰も見ていないのに脱いでなんの意味がある」
「鍛え抜かれた肉体美、人に見せずにいつ見せる。ってなあ?がっはっは!」
「いいから脱がなくていいから、一緒になって脱がなくていいから!」
「筋肉には、私も一家言あるのです」
足元を振り返ると、小人族の期待の若手は既に鎧兜をはずしていた。
「うわー、増えちゃったよ……」
「ほほう、こいつぁ確かに。こりゃあわかもんとばかりは侮れんな」
「このっ僧帽筋のラインが、このっ肩口にかけて一連の」
「ふんっ 六つに割れた我が腹筋 ふんっ」
「わしの耳目は胸鎖乳突筋のこの、このっ」
「……ここから身を投げよう」

「やべっ!?」

「もうオレらだけで先に行くぞ、ほれこいキャシアス!!」
38015 ◆E9zKH0kZMc :2010/11/10(水) 05:07:22 ID:iqTICFhE
「もう……。同行さえしなければ、見なくていいかと思ったのに…………」
「おいキャシアス、ボヤキが全部口からだだ漏れてるぞ」
「熱中症だな。体温を下ろ」
「裸でますます近づいてくんな!暑苦しいだろ!」
「そんななりで動き回ってりゃ誰でもなるわ。奴さんも伊達に治療術使えるわけじゃないぞ。少しはいう
こと信用してやれや」
「……申し訳、ありません。僕は……今大変、失礼なことを」
「気にするな。冷たい水だ、まずはこれを飲め。脱がすのを手伝え、お前は何かで扇いでやれ」
「上手いことだまされてる気がしねえか?」
「よせやい、野郎なんか脱がせて何が楽しいってんだ。なあ?」
「いや、この場合楽しいかどうかではないのでは」
「がっはっは、あんたも冗談が通じねえなあ。お前といい勝負だぞ」
ぶつぶついいつつ引っぺがし、飲ませるついでに頭からかぶせて様子を見守った。
「出来る限りのことはした……。寝不足だったろう?症状がでやすくなるぞ。今日のところはあまり無理
せず帰るといい。私はもうしばらくこのあたりにいるから、何かあれば呼びに来い」
「有難う……。助かりました」
別れた後、上のほうから見下ろすと確かにいつの間にか元通り着込んでいた……。

「ここは、何の部屋ですか?」
「嫌な予感がしやがる」
「いいからなんか着ろよ」
「どうしたのだ、お前たち。何を悲しんでいる」
「おお、ダリム様。そこの人たちも聞いておくれ。姫が倒れてしまったんだあよ」
「熱いキッスをすれば目覚めさせる事ができるのに、その勇気のある奴がいないんだべ」
「……なぜ、勇気がいるのだろうな」
「どうしたらいいんだべか……」
「なぜ……そう私を見るのです」

「ど う し た ら 、 い い ん だ べ か ?」

侠客も無頼漢もその瞳が、全身が、関わってはならぬといっているが、小人たちの圧迫に耐えかねた
キャシアスはそっと棺に近づいて覗き込む、その瞬間。

「ふんぬうっ!!」

完全にホールドされてしまってデコをぶつけた。こすれるひげの感触と生臭い脂汗の香り、昼飯か何か
の風味と熱烈な唾液が絡んだ肉厚の舌が唇をこじ開け、執拗に巻きつきちゅうちゅうと口を吸われた。

し に た い !!!

「ぷはあっ!!情熱っ!」

「おお、姫が目覚めなさった!」
「愛を求めて二千年。今宵もキッスが火を吹くわ」

「「ぎゃー!!!!」」

「さあ、わしを接吻で倒してみれ!ほらそこの!隅で泣かない!吐かない!惚れ込まない!」
「誰が惚れるか!!うわーっうわーっえんがちょ!!!えんがちょー!!!」
「こいつのどこが姫なんだよ!!お前ら一体なんてことしてんだ二千年も!!!」
「わしら嘘はついてないべ」
「んだんだ」
「誰も奴にはキスしたくなかったしのう」
「私もです」
「断言すんな!!うわーこっちよるな!!!あっちいけ!」
「大丈夫かキャシアス、しっかりしろ」
381再開です@15 ◆E9zKH0kZMc :2010/11/10(水) 10:25:07 ID:iqTICFhE
横座りでえずいている瀕死の友を抱き起こすと、おびえた顔で弱弱しく応えた。
「…………かっ…た……」
「なんだ?どうしたよ……おい」
「ぷりんとし、てて…やわらか、かった…………ぅっぷ」
「うわーしりたくねえ」
「……て…………のに……」
おいおいと泣き出すのを抱きしめていたが不意に意味が分かって悲鳴を上げた。不幸のどん底にある
汚物まみれの青年のもとにそっと囁きかけるものがいた。
「ずらかるぞ……」
「でもよ……オレら囲まれてるぞ」
「ここはわしに任せておとりになれ!!」
「そうか、任せた!ってうげっ、冗談じゃねえ!絶対にやらないからな!」
「アディオス!」
「いや、やらないってばよ!?」
すばやく鞭で足をすくって引っ張りよせ逃げ道を塞いだ。
「抜かったわー、抜かったわーくっそぉお」
「もうさんざっぱらいろんな女と付き合ってんだから今更惜しかねえだろ、お前がやれお前が!」
「待て待て待て。何が悲しゅうてあんなのと口づけせにゃならんのだ」
「さあさあさあ、ダリム手伝え!」
「押すな、後ろから無理やり押すな!」
「ふっふっふ、さあさあ。わしは誰でもウェルカムよー!!」
「待って……駄目だ。ここは僕が囮になる。君たちは足が速い」
「何言ってんだ、お前はもう」
「せめて……せめて、君たちだけでも……清廉なまま、生き延びろ」
「うおおおお作戦変更だパリス!!!わしらでこいつをぶち殺すぞ!!!」
「えっ ちょ、まっ」
「メロダークだ!!!やつんとこまで走れ!!キャシアスを治して弔い合戦だ!!!」
※しんでません。
「ダリム!キャシアスを担いで走れ!!!」
「はっ!失礼しますぞキャシアス殿!」
小人がひょいと頭に乗っけて走り出す、なんとも珍妙な様子だ。
「趣旨がおかしいだろ貴様ら!!!わしに恥をかかす気か!!!おんのれ、追え追えーい!!!」
「うわーッあんな服着て追っかけてきた!」
「お前ら急げ!!!丸呑みにされて食い殺される!」
「どこの怪物だー☆まてまてーい!!」
「しっかりしてください!キャシアス殿!!」
揺られて気分が悪いらしい、真っ青な顔でもごもご地面におろす様に哀願している。ロープを使い無理
やり飛び降り必死になってよじ登り、血の味がするほど息を荒げて駆け抜け、とうとう湯煙たなびく温泉
近くまで逃げてきた。振り返るたび着物を次々かなぐり捨てていく姫(自称)は尚も猛然と追っている!!
「メロダーク!!メロダーク!!!どこにいる!!!」
「探せ!!!この辺りにいるはずだ!!」
「メロダーク殿!!」

「……なんだ、お前たち」

湧き上がる湯気の中、裸で仁王立ち。なのになぜこうも今日は頼もしいのだろう。
38215 ◆E9zKH0kZMc :2010/11/10(水) 10:25:48 ID:iqTICFhE
「やべえんだ!キャシアスを助けてくれ!!」
「はやくはやくはやく!!お前の武器はどこやった!!」
「追われているのです、さあキャシアス殿。お気を確かに」
血相変えて騒ぐ仲間に驚き飛び出してきた。
「何があった。もう意識がないようだが」
「いいからちんこしまえっ」
「大変です!奴がもう」
「ぜいぜい うはー。お前ら馬鹿じゃないの。なにマジになって逃げてるわけ?もう超辛いんですけど」
「うわああぁ追いつかれた!!」
「ちょうどいい、先ほど湯船に浸かったばかりだから治療術が使えるぞ」
「フッフッフ、もう勘弁まかんならんもんねー!おお、これは……情熱の泉!!」
「温泉気持ち悪く修辞すんな!!」
「まず魚と果物を混ぜ合わせ」
「料理なんかいいの!!わしらの貞操の危機だぞ!!」
「それはまた、穏やかではないな……」
「駄目だ、オレら全員殺される」
「さあさあさあ、いざ尋常に勝負!わしを接吻で倒してみれ!みれ!!ぜえ ぜえ はぁはぁ」
「なんも得しねえ!!」
「接吻……させられかけているのか?」
「させられちゃったから死んでるの!!させられないようにぶっころそうとしてんの!!」
「てか負けそうよわしら!!だって気持ち悪いもん!!」
「げほっ、うう……メロダーク殿。どうか……彼らを、助けて」
「……それが俺の役目ならば、やろう」
「いやいやいやいやいや」
「戦場では相手の選り好みは出来ないものだからな」
「相手ってか仕事選ぼうぜ、なあ」
「……すまん。ほんっとうにすまん。お前さんしかおらん、どうか頼む」
「ふっふっふ。興奮するのう。わしのキッスでとろけるがいいわ」
汗でてらてら光っている上、走ってきた分肩で息をしているのでなおさら悲惨だ。目のやり場に困って
まごつくうち、べちょべちょいう虫唾の走る音に混じって鼻息が荒くなるのがわかる。勘弁してほしい。
堪らずかけていって胃袋を裏返して洗いざらい朝食まですっかり出してしまった。ある意味解脱した
気分だ。いやに晴れ晴れとした心地で戻ると、その場に力尽きたキャシアスの枕元で、防御部分が
ほぼ見当たらない鎧を手にした傭兵が、ぼんやり立っていた……。

「恐ろしい、おそろしい悪夢を…見たんだ……」

何を聞いてもそれしか答えないし、おびえた目をして震えているので、ダリムに挨拶した上で、工房
めぐりなどをして帰ることとなった。後々、それが大きな禍根を残すことになるとは思いもしなかったが。
揺らめく光の中を通り抜け、ホルムへと戻る……たった二日ばかりの行程でありながら、何年も町を
離れていたような心持である。心なしかふけてしまった連れもいるくらいだ。
「探索者は冒険を終えると、まず酒場に向かうのが慣わしです。馴染みのものたちに無事を知らせ、
近況を語りあるのですよ」
「ほう、成程な」
「テオルはそのまま庇をおろしたままでいてください。傷さえ隠しておけば、きっとわかりませんよ」
「フフ、さながら貴公の余暇のようだな」
「左様で」
「ちょっと待ちたまえ」
言いよどむ巫女を制し扉を押し開ける。姿を現した一行に加わる、立派な身なりの貴人に一瞬注目が
集まったが、活気ある酒場では昼間から酔っ払いが陽気に騒いで……いない。女将が小さく首を振り、
無頼漢が悲鳴を上げた瞬間だった。
38315 ◆E9zKH0kZMc :2010/11/10(水) 10:26:20 ID:iqTICFhE
「キャシアスさま!よかった、ご無事で!皆さんもおかえりなさいませ!!」
はじけんばかりの笑顔で飛びついてくる。
「ああ、ただいま。今日は、随分…楽しそう……だね」
「はい!あたしたち、みーんなでご馳走をつくったんですよ!!ね、メロダーク様!」
「ああそうだ。二日がかりで仕込みを行った。今度の晩餐料理は自信がある……」
真顔で言い切る。反論の余地がない。
「お前ら、にげろ。わしがいくら止めてもきかねえんだわ」
「あたしたちも、なんとかしよって頑張ったけど……さ」
「あなたたち、上手いこと裏から逃げなさい。私たちでは……もう、どうにもならなかったの」
「僕は上座について料理に手をつけます、パリス。君がその隙に公子を厠から逃がせ」
「なんだ?意味が分からぬが」
「いいから黙ってついてこいっ」
「なんとしても、無事に連れて行くんだ」
「テレージャさん、あなたは」
「私がいなけりゃ皆が死んでしまうよ。なあにこれ位、大したことないさ」
「さあ、感激している暇があるなら席にかけろ。我々が、腕によりをかけて作ったのだ……」
「うんこだうんこ!!朝飯のあとの!さっさと通せ!」
「防御陣形なんか組んでどうしたんですか、ほら!こんなに可愛く焼けましたよ」
「我思うと我思う、故に我あり」
「おお!?プディングが動いたぞ。こいつがクロコゲーというやつか」
「いいから進めってば!!」
「彼らは少々水中りしたようでね……」
「まあ、テレージャ様の治療は駄目だったんですか」
「いや、これでも治ったほうなんだよ。続きは私が満腹になってからだね!あっはっはっはー!!」
かじられながら席に座り、不吉な煙を噴き上げる磁器を前にする。時を稼ぐのだ……給仕する間こちら
にかかりきりになれば……。竜鱗盾を取り上げられラーヤの兜を預けさせられ、火鼠の手袋を持ってき
たせいで大切な護符を置き忘れてきたことを心底後悔する。どうしよう。ダリムを張り倒してでも指輪を
もってくれば良かったのかもしれない……。生焼けだが食べられないことはない肉料理、ちょっと辛い
が飲めないこともない煮物、やりすぎの気はするが石化まではいっていない土塊。それでも一生懸命
真心こめて盛り付け、どうか喜んでもらおうと様々な工夫を凝らしているのはよくわかる。あとは、それ
こそが問題の本質であることに気づいてくれればいいだけだ。一体、どう伝えたらいいのだろう。
「いやー年かねぇ。どうも近くていかんわ」
ふらりと立ち去り戻ってきた老人は、さりげなく合図してよこした。逃げおおせたのだ……お茶ですら
何か微妙なひっかかりを覚える風味を感じながら安堵する。でろでろと黒い油が染み出す何かの肉
を噛んでも噛んでも飲み込めず、筋を取る気遣いまでしているのに茹で加減を誤った野菜をいじくる。
口腔に残るラードの感触はなんとかならないものか。誉める手段も使い果たして言葉に詰まった。
「どうぞ」
「有難う。水もお代わりを頼むよ……」
「これは……驚いたね。普通においしいよ君。安全だ!ほら君たちも食べてみたまえ!」
「ええー」
「ああ……本当だ。柔らかさもちょうどいいようだね。味付けもだ。とてもおいしいよ」
「でも……でもこれは…………ただの、ゆで卵ですよ?」
「だからじゃないか!こういう一見何の手の施しようもないように見える単純な料理ほど、食材と料理人
のよしあしが如実にでるものなんだよ。これが上手くできるって言うのは、なかなか自慢できることなの
じゃないかな?ねえ、君」
「すごいじゃーん、よかったね。キャシアス喜んでるよ」
「はい!うふふ、やりましたやりました。お二人とも手伝ってくれて有難うございます!」
「おう!いいってことよー、ね!きゃしゃりん」
「有難う。心配かけたね」
「……あなたたち、それはどうやって作ったの」
「ああ……、そうだな」
傭兵は首をかしげて考える。

「とくに、考えてなかった」
384名無しさん@ピンキー:2010/11/10(水) 10:26:57 ID:iqTICFhE
以上、手間取りましたが終了です
385名無しさん@ピンキー:2010/11/23(火) 00:09:53 ID:yhzLJ0ao
保守
386名無しさん@ピンキー:2010/11/24(水) 23:33:00 ID:50zLJutp
何故急に過疎った
387名無しさん@ピンキー:2010/11/25(木) 06:58:39 ID:kNOsAgDS
この間大規模規制があったからな、それの影響じゃね?
…運営め
38815略@難民郵便局:2010/11/27(土) 17:15:53 ID:8j2ikfGa
盛大にスレの時を止めてしまったので、何か投下しようと思ったら来年まで規制とかね……
そこで代わりにロダに修正差分とか続きとかいろいろつめておきます。パスはいつものです

差分とキャシアスまとめ(クリアまでは進行していません)
ttp://www1.axfc.net/uploader/Sc/so/177850.zip

以前あげた本体はこちらです
ttp://www1.axfc.net/uploader/Sc/so/153122.zip
389名無しさん@ピンキー:2010/12/01(水) 09:43:02 ID:D8d5yXpg
>>388
乙です

それにしても俺が規制解除されてる時に限って過疎ってどういうことなの一体…
顔3キャシアスと爛れた関係なネルとフランが小人の国でキャシアス様に
「異種族間の交流のためだ、人間の女の体を教えてあげなよ二人とも」って命令されて
立ったままスカートめくりあげてパンツ下ろして小人族の眼前に股間を晒して
小人族たちに玩具にされまくる妄想を語りたいのに誰もいないなんてひどい!
390名無しさん@ピンキー:2010/12/01(水) 19:27:18 ID:8HkWZEZW
完璧に乗り遅れた話題だが、生い立ちは上から順番に、顔は1から順番にあてていってしっくりきた自分は少数派なのかな。
391名無しさん@ピンキー:2010/12/01(水) 20:27:38 ID:tiWB0yPc
>>389
いい趣味してるじゃねえかてめー
まず爛れっぷりの具体的説明をしてもらいたいのだがお願い致します

>>390
やらなかったが、なんか分かる
他のゲームで似たようなことやった気がする
392名無しさん@ピンキー:2010/12/02(木) 00:26:52 ID:CmvjCsBZ
>>391
eraホルムでいうなら主人公を頂点としたハーレムがすでに形成されており
・ネルとフランを抱き合わせて、その秘裂を交互に貫いた……
・キャシアスはフランの膣内に精液を放つと一旦ペニスを抜いてから
射精が止らないうちにネルに挿入し、最後の一滴まで注ぎ込んだ……
・ネルの中にたっぷりと射精してからペニスを抜き、
ペニスに付着した精液をフランに舐め取らせた……
こういった状態です

姉属性の幼馴染み二人を同時攻略美味しいです
393名無しさん@ピンキー:2010/12/02(木) 18:24:40 ID:SxrtiYul
本スレのチュナふたなり説を見て王室に都合の悪い皇子と王女同士
ふたなりタイタス十世とふたなりチュナがお互いの牝に牡を入れあうとかなんとか考えたが
全く接点の持たせようがないことに泣いた
394名無しさん@ピンキー:2010/12/02(木) 18:44:44 ID:E+i3Zxo+
チュナとアイリで近親相姦ふたなり姉妹孕ませ交合か
いいな
395名無しさん@ピンキー:2010/12/02(木) 21:14:48 ID:neGdVnDL
顔3か4のヴァン辺りが処理の仕方をこっそり教えてやる図というのも俺的には……
396名無しさん@ピンキー:2010/12/02(木) 21:25:13 ID:CmvjCsBZ
>ふたなりタイタス十世
この発想はなかった

そうか、足し算ばかりじゃなくて引き算もあるのか…
ふたなりシーフォンならいける
397名無しさん@ピンキー:2010/12/03(金) 03:00:05 ID:OybrPVDr
ちょっと待ちたまえ。掛け算を忘れてもらっては困るな。
398名無しさん@ピンキー:2010/12/03(金) 15:57:50 ID:5G2Ign/U
テレージャさんなにやってはるんですか

シーフォン最初は僕っ子だと思ったんだよな
顔グラが気の強い女の子に見えて

エンダは男だと思ってたしネルはホットパンツだと思ってたし
チュナはあんな超ミニだから7〜8才だと思ってたら12才でエロすぎるし
399名無しさん@ピンキー:2010/12/03(金) 20:05:58 ID:zgCQis24
おぞましき鉄串に刺されるふたなりタイタス十世ならあるよ。
400名無しさん@ピンキー:2010/12/04(土) 01:22:44 ID:iR/3zNKb
ダウンジング時のネルはミニスカかわいい

401名無しさん@ピンキー:2010/12/04(土) 03:16:31 ID:qCJafFCJ
>>393
そこでチュナをタイタス十七世にするルートだ
402名無しさん@ピンキー:2010/12/04(土) 11:22:30 ID:Eq1Q/L9f
Ruinaでフェラが似合う女キャラは誰だろうか(真顔
403名無しさん@ピンキー:2010/12/04(土) 12:28:55 ID:qdn9Nmh8
>>398
俺がいた。シーフォンは女の子かと思った
前に色々感想見て回ってたときにアルソンさんも結構女の子だと思われてた気がする
まあ、ぼ…アルソンさんの薔薇の如き美貌をもってすれば仕方のないことですよね
404名無しさん@ピンキー:2010/12/04(土) 12:57:27 ID:iR/3zNKb
>>402
テレージャ キス魔=お口の恋人、好奇心旺盛、おっぱいおっぱい
フラン 暗黒料理人(ゲテモノ料理に慣れてる)、メイドさん兼くのいち
ネル 器用、スキル習得速度抜群、自称お姉さん、なんでも引き受けてくれる
キレハ 女でもオッケーと寛容度抜群、神殿軍にアレコレされてる、けだもの
エンダ 焦げた石でも美味しく食べる味覚、常識ないからなんでもやれる、主人公を乳、いや父と慕う

とりあえず主要メンバーは全員伸びしろがあるというか、ご奉仕が似合う
405名無しさん@ピンキー:2010/12/04(土) 21:24:46 ID:rgVAfUsS
>>404
ウェンドリン 殿方を満足させるのも社交界のレディのたしなみ
アイリ プロの犯行
マナ 戒律があって性交渉禁止ならセクロスしなくても満足できるテクニックが必要
フィー 患者さんを立たせてしまってというのは鉄板ネタ、神殿軍にアレコレされてる
406名無しさん@ピンキー:2010/12/04(土) 23:44:58 ID:0QfKTshx
>>402
ルギルダさんとか
わざと初手からひょっとこフェラなんて暴挙に出たりしそう
平然と変顔しつつも上目遣いでこっそり観察して
(いきなりこんな顔するような女でも幻滅せずにすべてを受け入れてくれたりするかしら……どきどき)
とか考えてたり、みたいな
407名無しさん@ピンキー:2010/12/05(日) 01:56:27 ID:ltig26Ad
テレージャ、キレハは尖端をくわえこむイメージ
フラン、ネルはぺろぺろ舐めるイメージがある

エンダ? がじっと
408名無しさん@ピンキー:2010/12/06(月) 05:35:45 ID:T2RaF8oy
慣れないキレハに上目遣いに様子を伺いながらフェラしてもらいたい
あんまり気乗りしないと思わせておいて大胆にぱっくんして欲しい
臭くない?ってきいたら「臭いけど思ったより嫌じゃないわ」って言ってもらいたい
409名無しさん@ピンキー:2010/12/06(月) 13:29:02 ID:amAf5G9S
もっとツンデレっぽくしゃぶってくれ
410名無しさん@ピンキー:2010/12/06(月) 14:30:18 ID:69TzLsd/
「や、やれと言うんだからやってるんだからね!」
411名無しさん@ピンキー:2010/12/06(月) 16:22:27 ID:7I9J+8Vd
「私がやるの?面倒くさいわね」
412名無しさん@ピンキー:2010/12/06(月) 17:44:47 ID:T2RaF8oy
「勘違いしないでよね、ただおちんちんをしゃぶりたかっただけなんだから」
413名無しさん@ピンキー:2010/12/06(月) 19:22:43 ID:/3IbtjHG
「しゃぶれというならしゃぶろう」
414名無しさん@ピンキー:2010/12/07(火) 02:39:16 ID:NW24vW35
全部間違ってるのが一人混ざってるぞ
415名無しさん@ピンキー:2010/12/07(火) 12:51:32 ID:S+vl7RE2
「己に咥えろと言うのか? 面白い。精々食いちぎられぬようにすることだな」

よし
416名無しさん@ピンキー:2010/12/09(木) 00:44:44 ID:p5j9Gdk3
顔の傷にぶっかけか
417名無しさん@ピンキー:2010/12/09(木) 02:18:52 ID:vmC4s0zZ
宮殿のお風呂イベントってエロいよな
いつも女キャラを放り込んでニヤニヤしてる
418名無しさん@ピンキー:2010/12/09(木) 23:41:06 ID:Jz1xSWS9
>>417
枯草さんのお風呂にかける情熱はただごとではない
この長さのゲームにしては入浴シーン充実しすぎ

ところで攻略wikiには書いてなかったんだが
サウナのマッサージで異性キャラの好感度下がるってマジ?
どういうことなのいったい…
419名無しさん@ピンキー:2010/12/10(金) 00:27:15 ID:MbS9iIoJ
何それ初耳
420名無しさん@ピンキー:2010/12/10(金) 01:37:25 ID:ViVPcp4i
マッチョ男「ワーオ!シャチョサンイイカラダシテルネ〜」
キャシアス「おいこらやめr」
フラン「(どきどき)」
421名無しさん@ピンキー:2010/12/10(金) 05:56:44 ID:oylSAihy
>>419
本スレの過去ログに書いてあったんだが
そうなるとまさかまたしても混浴?と思いまして…

>>420
好感度むしろ上がってないか?w
422名無しさん@ピンキー:2010/12/10(金) 23:57:11 ID:m3aax8xb
主人公の性別でマッサージ師の性別が変わる程度の変化はあるが、好感度が下がるなんてことはないはずだぞ
どうでもいいけど、あのマッサージって主人公以外のパーティメンバーも受けてるのだろうか
シーフォンやテレ子辺りは粉々に粉砕されそうだが
423名無しさん@ピンキー:2010/12/11(土) 00:02:08 ID:ougvAbbJ
女主人公でしかやってないから知らなんだ
女だと火星の王女チックな人が出てくるんだよね
男だとどうなんの…アニキンゲトリクス?
424名無しさん@ピンキー:2010/12/11(土) 00:34:48 ID:PLIERkUq
>>418
ガセ。好感度に変化は無いよ。

>>423
アニキンに褌穿かせた奴が出てくる。
425418:2010/12/11(土) 08:33:23 ID:mpJoGLmp
変化ないのか、サンクス
426名無しさん@ピンキー:2010/12/11(土) 14:39:39 ID:CpqTrjej
テレージャとキレハの乳に挟まれたい
427名無しさん@ピンキー:2010/12/12(日) 08:05:52 ID:Nl3I+HSf
ホルムって水も薪も豊富だし、風呂の習慣はありそうだよなあ
人が少なかった頃はおざなりだったろうけど、
あれだけ町が大きくなったら共同浴場とか出来てたりして

人の少ない時間に行き会ったキレハがテレージャにちょっかい出されてるうち、
妖しい雰囲気になったりとかだな
428名無しさん@ピンキー:2010/12/12(日) 20:29:37 ID:axyj+W97
作者のことだからぬかりなく設定してありそうだ<風呂

インタビューのシーフォンやアルソンのあたり読み返してて思ったんだが
各キャラの生い立ちはかなり突っ込んだ設定してそうだな
資料集でいつか少しでも言及してもらえたら嬉しいんだが
429名無しさん@ピンキー:2010/12/12(日) 20:39:05 ID:uGY46fnl
>>428
風呂のことなら言及してほしいが、キャラの生い立ちや過去は言わぬが花という気がする
そこについて語りだすとノムリッシュの始まりだしな
430名無しさん@ピンキー:2010/12/12(日) 20:50:44 ID:axyj+W97
>>429
ノムリッシュw
それでも自分は設定があるなら公表してもらいたいわ
431名無しさん@ピンキー:2010/12/12(日) 20:58:45 ID:XT0XZ52x
年齢の設定でもそうだけど「バックボーンとしてのざっくりとしたイメージ」と
「公表できるほどのはっきりした設定」の間には大きな差がある
世界や背景に関してははっきりとした設定をつけるけど
キャラ個々の背景や設定はあえて大まかなイメージで留めてる印象
432名無しさん@ピンキー:2010/12/12(日) 21:01:46 ID:JUFOVIK7
最近枕元に皇帝様が下りてきて「ふたなりテレ子と賢者の弟子(女)のイチャエロ」という電波を飛ばして来るんだが。
私はどうするべきですかっ。
433名無しさん@ピンキー:2010/12/12(日) 21:02:53 ID:axyj+W97
>>431
インタビューで語られてたシーフォンとかアルソンとか本当ざっくりだよな
ああいう感じで来たら嬉しいわ
434名無しさん@ピンキー:2010/12/12(日) 21:10:12 ID:axyj+W97
読み返したら身がないっつーか俺闇雲な絡みレスだな
すまんかった、あんま気にせんでくれ
435名無しさん@ピンキー:2010/12/12(日) 21:12:44 ID:P1Fsk0Lo
>>432
とりあえずこのスレで話すなら賢者の弟子(女)なんて冷たい呼び方じゃなくて
ちゃんと名前で呼んで欲しいな

これをフィーの声で読め
436名無しさん@ピンキー:2010/12/12(日) 21:42:16 ID:JUFOVIK7
>>435
正直スマンかった。
いや、確かにそうなんだけどフィーなのか17世なのかがまだ見えて来なくて。
437名無しさん@ピンキー:2010/12/13(月) 01:59:59 ID:M94fwF51
>>436
何度も何度も話しかけているのに、まだ私の名前を呼んでくれないんだ……。
あなただけはわかってくれると思ったのに。もうみんな壊しちゃっていいよね。

これをタイタス17世の声で読め
438名無しさん@ピンキー:2010/12/13(月) 22:37:39 ID:hRYjIfQV
>>437
スイマセンスイマセン勘弁してくださいフィーさん。

で、まあ形になってきたけど。
割と全部ふたテレのおなぬーになってしまった。
一応上げて見ますけど、投下は直にここはったほうがいいんでしょうかね。
439名無しさん@ピンキー:2010/12/13(月) 22:49:52 ID:NTdSFQ/7
構わん、全部やれ
専ブラだと保存楽だし、後になって見た人が、流れてて悲しい思いをしなくて済む
440名無しさん@ピンキー:2010/12/13(月) 23:06:03 ID:AbIR877A
承知しましたー。
とりあえず備考のようなもの。

・フィーとテレージャ二人旅(クリア可能かとかは考えない
・顔グライメージは4
・テレージャ視点。というかほぼテレージャ。
441名無しさん@ピンキー:2010/12/13(月) 23:07:22 ID:AbIR877A
[宮殿]

「いやはや、この遺跡はまったく持ってすばらしいな。
 これほどの貴重な遺物や書物の数々が高いレベルで保管されているとは。
 まさに宝の山だよ、私としてははやる気持ちを抑えられんなぁ、そうは思わんかね?」

薄暗い廊下にランタンの明かりを頼りにあちこちの貴重な品の数々を、私は目を輝かせながら物色していた。
これも世のため人のためである、古代語を記された書物や器を遠慮なくアイテム袋に入れておく。

「…は、はぁ…。それはいいんですけど…
 あの…目的、忘れてませんよね…?」

「ん?ああ、もちろんだとも。古代遺跡の調査と探索。
 それによる知識を私の中に大事に保管してやることさ」

自信満々にそう答える。
フィー君がすこし呆れたような顔をしていたような気がするが気にしないでおこう。
……、これはぼろぼろすぎるな。これはただのガラクタ。
選別しつつ瓦礫とガラクタをどかしていくと、一つの箱を見つけた。
何の変哲もない木箱のようだが…、中を確認してみる。

「っ!!?」
その中身を見て、あわてて木蓋を閉じた。

「…?テレージャさん、何か見つけたんですか?」
「え、あ、あーいやいやいや!なんでもないなんでもない、ちょっとネズミがいただけだ、気にしないでいい!」

平静を装いながらも少し焦りは隠せなかった、動揺したような声を出してしまった。
訝しげながらもそれ以上は追求してくることは無かったが…。
フィー君が他所を見ているうちに木箱をこっそり懐にしまっておく。

「けふん…この部屋はこれ以上は何もないようだ。
 次に移りたいところだが…少し魔力が厳しいかな」
この遺跡は貴重な資料も多いがそれに比例して死霊も多い。
特に怖い相手でもないが、さすがに魔力が切れた状態では厳しい状況を強いられるだろう。

「それでしたら…さっき休めそうなところありましたよね。
 其処で一旦休息をとって、それから探索を再開するというのはどうですか?」
「ん…ああ、確かにあったな。
 では一旦そこで休憩して、それから再開だな…」
442名無しさん@ピンキー:2010/12/13(月) 23:08:28 ID:AbIR877A
そんなこんなで。
実験器具が立ち並ぶ部屋でひとまず体を休めることにした。
施錠した扉は頑丈そうでちょっとやそっとでは破られないだろう。

「…フィー君、君は先に休んでいたまえ。
 私は念のため見張っておいてあげよう、何かあっては大変だからな」
「あ、いいんですか…?すいません、それじゃあお言葉に甘えさせてもらいます。
 テレージャさんも、余り無理はしないでくださいね…」

そういうとフィー君は奥の部屋のベッドで横になったようだ。
しばらくすると規則正しい寝息が聞こえてくる。
……。
寝静まったのを確認すると、私は懐から木箱を取り出しもう一度それをあけた。
中に入っていたのは…まあ、いわゆるアレだ。男性器を模した物、すなわち張型。
偶像信仰か…まあ、実用に使うのは定かではないにしても、この手のものは古代でも変わらない物だな。
そう思いつつ、私は張型を手に持ってみた。

次の瞬間、張型が一瞬震えたからと思うと、触手のような物がいっせいに湧き出してきた!
「!? しまっ…!」
伸びる触手に即座に拘束され、身動きが取れない。
そうしてるうちに張型は私の法衣の中に滑り込んでくる。
おい、ちょっとまて、まさか。
「ひっ…ま、まて、やめろっ…!」
おびえた声を出しながら、必死で抵抗を心がけるが、とても抜け出せそうにない。
助けを呼ぼうにもこんな姿をフィー君に見られるのは嫌だ、だがこんなものに犯されるのも嫌だ。
張型が下腹部に触れる、恐怖で両目をきゅっと瞑って、身をこわばらせて…

……?
暫くしても、私の中に貫かれる感覚が来ない。
恐る恐る目を開けると、いつの間にか触手らしきものも何処かに消えてしまった。
助かったのか、と思ってそっと胸を撫でおろす…。
………な。
「なんじゃこりゃあぁぁぁっ!!11?」

「……むにゃむにゃ」
ひぃ!い、いかん、今ので起きてしまったか!?
「……お師匠、もうトカゲの糞集めは嫌ですー…むにゃ…」

…大丈夫だったようだ。
ほっと一息ついたところで、もう一度それに目を向ける…。
…法衣のスカート部分が何かで盛り上がっていた。
原因は…まあ、あの張型だろう。
どう言う仕組みかはわからないが、あの張型は対象に根を張って寄生しているようだ。
なんとまあ趣味の悪い代物だろうか…。
443名無しさん@ピンキー:2010/12/13(月) 23:09:05 ID:AbIR877A
どうすれば外せるのだろうか…とりあえず、スカート越しにそっと手を添える。
「ひ…ん、くぅ…ふ…」
かすかに膨らみからぴりっとした感触が来た。
か細い声を漏らしながら両手で握ったり擦ってると、膨らみが熱く、びくんと震えた。

疼く。

膨らみを揉む様にぎゅ、ぎゅっと握る。
熱さと電気が入り混じる。一瞬膝がかくんとなる、握るたびに力が抜けそうになる。

疼く。疼く。

傍にあったテーブルに腰掛けて、撫でるように膨らみを何度も擦ってみる。
ぴりぴりした心地いい痺れが膨らみから脳に伝わってくる。
次第に今の刺激ではもどかしくなる、少しずつ擦る手の動きを早める。

疼く。疼く。疼く。

衣服越しでは満足できない。法衣をたくし上げ、ぱんつをずりさげて、膨らみを直に晒す。
…初めて目にしたそれは、太く、雄雄しく、醜悪な肉の芽だった。
芽が外気に触れてひんやりする。両手で包んで暖めなければ…。
直に触れたそれは、さらに心地いい痺れを伴わせた。思わず吐息に熱が入るような感じがした。
だが、もどかしい。もっと速く擦らないと…もっと速く。もっと強く。もっと、もっと。

疼く。疼く。疼く。疼く。疼く。疼く。

「ひくぅっ!ん、んんっ!ふぅぅぅっ!!」
いつの間にかテーブルの上に寝そべって、肉芽を扱きたてる。
擦れば擦るほど疼きが強くなる。疼きがおさまらない。
これは、かなり、まずいのでは、ないか。
そうおもっていても、擦る手が止まらない。
肉芽の先端から汁のようなものがあふれ出てくる、指に絡んでねとついて心地いい。
意識の全てが肉芽に集中する。熱い吐息とはしたない嬌声が押さえきれない。
思考にしろいもやがかかってくる。それと同時に肉芽の疼きが強くなる。
「ひ、はぁっ。きゅ、ふ、うあぁぁぁっ」
思わずあふれ出た声は、一瞬誰の声かわからないほどに甘く響いた。
しろいもやが、思考を包む。なにも、考えられない。
頭が真っ白になっていき、肉芽の疼きが頂点に達したかのように、弾けた。

「うあああっ!?あ、ひきぃっ!ひぃぃんっ!!」
あられもない声をだしながら、肉芽からあふれ出た白い蜜が辺りに撒き散らされる。
疼きが肉芽を通して吐き出されるようで、すごく心地いい。
最後の一滴が吐き出されるまで、私は肉芽を強く握って、離す事が出来なかった。
気だるいような恍惚感。それとともに理性が戻ってくる。
444名無しさん@ピンキー:2010/12/13(月) 23:09:41 ID:AbIR877A
…うう、む…勢いに任せてとんでもないことをしてしまった気がする…。
結局少ししぼんだように見えるが取れるという様子はない。どうした物かな…。
………。
ハイゴカラ、シセンヲ、カンジル。
ぎぎぎ、と油の切れたドアのようにゆっくりと背後を振り向く。
 
「…あ、あのー…き、きのうは、おさかんでした、ね?」
起きてた、思い切りおきてた。
フィー君の顔を直視できない、思い切り引かれた気がする、かける声も何処か素っ頓狂だ。
終わった、私の遺跡探索はこれで終わってしまっt

「えっと、それ…呪いか何かではないでしょうか。
 もしよろしければ、私も協力いたしますけど…」
「……はい?」
今度はこっちが素っ頓狂な声を上げてしまった。

「いや、まあ、うむ。その申し出はありがたいのだけど…
 あー…その、何だ。なんとも思わなかったのかね?」
顔を赤らめつつ眼鏡を調えて尋ねる。フィー君も同じように真っ赤だ。
「…まあ、ちょっとびっくりしましたけど。
 苦しそうに見えたし、何とかしてあげたいなぁと…、め、迷惑でしたか?」

フィー君はどうも責任感が強いらしい、少しびくびくしながらも瞳に迷いは無いように見える
ああ、その純真さが痛い。
違うんだよ、確かに苦しいように見えたかもしれないが大分ニュアンスが違う。
しかしここで断っても、余計な波風を立てることになりかねない。

「う、む。ではありがたく受け取ることにしよう…。
 ただ、これだけは守ってほしいのだが、いいかね?
 誰にも言わないでくれたまえ、こればかりは知られていい気分ではない…」

念を押してフィー君に厳命する。
少し思い悩むが承知したようにフィー君も頷いてくれた。

「わかりました。この件は私たちだけで何とかしましょうね…。
 あ、あとテレージャさん、私からも一つお願いが」
「ん、何かね」
「…あまり不用意に怪しいものを触ったり身に付けないでくださいね」
「…善処するよ」
 
苦笑気味になりつつも、法衣を調える。
…どうやらはなしてるうちに肉芽は引っ込んでしまっているようだ。
下腹部は何事も無かったかのようになっている、夢でも見ていたようだが…。
それが夢でないと言うかのように、腹部の奥に、微かに疼きのようなものを感じていた。
楽しい遺跡探索のはずだったが、なかなか前途は多難のようだ…。
一人ぼやきつつも、私たちは探索を再開するのであった。
445名無しさん@ピンキー:2010/12/13(月) 23:11:23 ID:AbIR877A
以上です。
実験室の悪夢とか無くなってるけど気にしない。
…こんな感じでいいのだろうか。
こういうのは初めてだから不安でいっぱい。
446名無しさん@ピンキー:2010/12/13(月) 23:34:55 ID:ZIhD6LaT
>>445
ふたなりテレ子(・∀・)イイ!!
笑えてエロくて面白かった!

フィーとのイチャエロな続きも期待してよろしいですねッ!?
447名無しさん@ピンキー:2010/12/13(月) 23:41:14 ID:SMv6BJ3y
>>440
可愛いな、GJ!
448名無しさん@ピンキー:2010/12/13(月) 23:51:42 ID:hRYjIfQV
オーゥシャチョサンアリガトネー。
続きもちろんかく予定でござる。
予定だと死霊に取り付かれたフィーがお口でふでおろしとかも考えてたけど長くなりすぎになりそうで泣く泣く省いたのです。
まあ一番大事な既成事実は作れたし次回はスムーズに以降できればいいなぁ。
449名無しさん@ピンキー:2010/12/14(火) 16:17:00 ID:UAQtHAhW
>>440
GJ!
>>死霊に取り付かれたフィーがお口でふでおろし
ハァハァ
450名無しさん@ピンキー:2010/12/16(木) 23:13:47 ID:5WKjdHFz
戦争イベントとかを見てるとこう、四肢欠損とかを妄想して興奮するのは俺だけか
軽装で前線引っかき回すフランとか
451名無しさん@ピンキー:2010/12/17(金) 14:20:43 ID:jg30A24W
欠損するのは十四歳の片目だけで充分です
452名無しさん@ピンキー:2010/12/18(土) 01:01:34 ID:Q9W1Zj0c
ショタ顔の主人公にネル、テレージャを組ませるのがたまんねぇ
453名無しさん@ピンキー:2010/12/18(土) 09:15:07 ID:KyKt5bR3
>>450
パーシャのはらわたずるりでは興奮した
454名無しさん@ピンキー:2010/12/18(土) 19:50:55 ID:2krJe/n5
なにそれこわい
455名無しさん@ピンキー:2010/12/18(土) 22:11:08 ID:KyKt5bR3
避難所から転載

378 :15 ◆E9zKH0kZMc:2010/12/18(土) 21:24:55 ID:gDGkfAfI0
お久しぶりです。規制が解除されないので町の解放まで+おまけ拡張パックです
かなりむちゃくちゃに解釈を進めましたが一応は、SS通り攻略可能だった筈……
ttp://www1.axfc.net/uploader/Sc/so/184754.zip
前回添付の胸糞フォルダをいれると、一部がリンク切れになるミスがありましたので
修正しました。気づくのが遅くなって申し訳ありません。本体に上書きしてください
ttp://www1.axfc.net/uploader/Sc/so/153122.zip (本体)
456名無しさん@ピンキー:2010/12/19(日) 10:33:38 ID:kewwLeQH

しーぽん×フィーのエロssはまだか!!
己はそいつが見たくてたまらんのだ!!!!!

早く!!hはやくもってくぁwせrftgyふじこlp;@

457名無しさん@ピンキー:2010/12/19(日) 10:35:06 ID:kewwLeQH
age失礼
458名無しさん@ピンキー:2010/12/19(日) 14:23:13 ID:xnYun8PM
>>455
乙です、何をどこまでDLしたか分からなくなってきたから整理しないとなー

>>456-457
急に冷静になっててワロタw
どんな話がいいのかも書いていくべき
459名無しさん@ピンキー:2010/12/19(日) 15:47:44 ID:kewwLeQH
>>458
そりゃやっぱりグッドエンド後の2人がイチャイチャ
ペチャペチャする話でしょう?

で、それを仲間たちがニヤニヤしながら見て●るよ・・・みたいな
460名無しさん@ピンキー:2010/12/19(日) 15:57:14 ID:qmroRdLj
そこまで具体的ならもう自分で書いちゃいなYO
461名無しさん@ピンキー:2010/12/19(日) 16:16:54 ID:kewwLeQH
じゃあちょっと書いてみる・・・
けど目も当てられないような有り様だったら投下しないのでよろしく
462名無しさん@ピンキー:2010/12/19(日) 17:39:49 ID:gSCHXZYS
>>461
はじめては誰だってさんざんさ、こっちも結構あれだけど受け入れてくれたから心配するなぃ。

ういうい、ふたージャの人です。
大廃墟編に手を付けはじめたけど、オベリクス接触から始めると導入が凄まじく長いことになってきました。
ここは開き直ってことこまやかに書くべきか、開き直ってアレシーン以外は適当にはしょるべきかっ。
463名無しさん@ピンキー:2010/12/19(日) 17:49:56 ID:FsicycPs
シーフィーwktkwktk

>>455
頂きました、乙!
zipinzipはさすがにちょっと面倒すぎるぜ
注意書きついてるし胸糞編はそのまま同封でもいいんじゃないかな
先がどうなるのか予想つかん、楽しみだ

>>462
非エロもこってりエロのみも好きだ!
好きな方で書いてくれると嬉しい
464名無しさん@ピンキー:2010/12/19(日) 20:12:03 ID:kewwLeQH
>>461です。投下します。
初めてです非えろです勘弁してください

465名無しさん@ピンキー:2010/12/19(日) 20:20:07 ID:kewwLeQH
どうしよう。内容が無いようっていうエラーが出て書き込めない
なんでだ。

466名無しさん@ピンキー:2010/12/19(日) 20:32:11 ID:FsicycPs
>> 回線/サーバの障害やメンテナンスなどにより、2chサーバ側でデータを正常に受け取れなかったときに
>> 出るメッセージ

らしい
ちょっと待ってからまた試してみるといいんでないか
467名無しさん@ピンキー:2010/12/19(日) 21:06:59 ID:kewwLeQH
多分家の回線悪いから長い文は受け付けないんだ。
明日調子良かったらまたやってみる。
468名無しさん@ピンキー:2010/12/21(火) 11:43:18 ID:1Hrzv/d1
――墓所玄室――

目が覚めた。
まぶたを開き、目の前にある一条の光も射さぬ漆黒の闇を見つめる。冷たい石の感触を背中に感じ、小さく身動ぎした。
以前目覚めた時と何一つ変わったことはない。
もっとも、それが昨日の事であるのか、百年前のことであるのかは妾にはわからない。
人であった頃の多くのものと同様に、時間の感覚は今や壊れて用をなさない。ただ現在と過去があるだけだ。
永遠の静寂の中に妾は一人横たわり、かつての日々を想い返す。
想い返す。
想い返す――。
想い返す――――。


――古代都市――

目が覚めた。
まぶたを開けると寝台の天蓋が目に入った。部屋は明るく、天井にある明かり取りの窓からは柔らかな光が射し込んでいる。
どうやら正午を過ぎた頃であるらしい。空腹を覚えていない所を見ると、もう昼食は取ったのだろうか。この時間に寝台で寝ているなどとは珍しいこともあるものだ。
目が覚めた、といったが、それは正確な表現ではない。意識が妾のものに戻ったと言うだけである。
469名無しさん@ピンキー:2010/12/21(火) 11:55:29 ID:1Hrzv/d1
妾の体は始祖帝の憑巫であり、代々の皇帝もまたそうであると言うことを始めて聞かされたのはいくつの時だっただろうか。
夜、寝台の中で、いきなり聞こえてきたその声を、何の違和感もなく妾は受け入れた。
不思議と、夢ではないという確信があった。
一度も聞いたことのない声でありながら、不思議に懐かしく、心安らぐ声――思えば、あの時既に妾の心は始祖帝に魅入られていていたのだろう。
その声を聞いてから、時折意識がなくなった。その時間が長くなり、頻繁になっていっても、不思議と恐怖心はなかった。
妾の体を幼い頃伝説で聞いた始祖帝が使っていると考えるとそれはむしろ嬉しいことですらあり、威厳のある自らの姿を想像して一人忍び笑いを漏らしたりもしたものだ。
何より――時折、妾に話しかけてくれる始祖帝の声が私を夢中にした。
たまに私の質問にも答えてくれ、いとも簡単に難問に答える始祖帝に感嘆の声を漏らした
ことを思い出す。
その声を聞いている間だけ、妾は宗教のことも、いやらしい宦官や貴族のことも忘れ、ただ幸せの中にいることが出来たのだ。
しかし、始祖帝はいつも話しかけてくれるわけではなく、それほど長く話をしてくれるわけでもなかった。
いつしか、妾は意識のある時は始祖帝の声を聞くことだけを考えて生きているようになっていた。
それは――恋ともいえるものだったのかもしれない。
470名無しさん@ピンキー:2010/12/21(火) 11:57:15 ID:1Hrzv/d1
寝台に仰向けに寝そべったまま、妾は枕元の小机の上にある香油壺に手を伸ばした。
とろりと掌に溢れる琥珀色の液体がはだけた服や寝台に染みこむのも構わず、胸元から足の付け根まで、余すところなくたっぷりと垂らしていく。
体の上を流れる香油は体のくぼんだ部分いたるところに溜まり、午後の陽光を受けて宝石のように輝いている。
秘所に指を這わせると、くちゅり、と水音がして思わずびくんとしてしまった。
羞恥心を誤魔化すための香油は何の効果もなく、かえって指先に触れる香油とは違う感触を強調し、妾が我慢できずに溢れさせていることを思い知らせてくる。
快楽に引きずられるように、妾は指を進める。
自身の中はなお熱く、指が前後するたびに粘膜がこそがれ、襞が擦りあげられるたびに体が痙攣し、声が漏れるのを止めることができない。

顔も姿も知らぬ始祖帝の手が妾の秘所をかき回していると想像する。
想像?違う。今のあの人の体は妾の体ではないか。
あの人は妾。妾はあの人。
あの人の指が妾の体を、妾の指があの人の体を愛撫する。
あのひとは妾。妾はあのひと。

今、秘所を弄っている手は本当に妾のものなのだろうか?
妾の意志で動かしているのだろうか?
「妾」と始祖帝の境目はどんどん薄くなり、同時、頭を焼くような快感だけがますます強くなっていく。
妾の秘所は軽いアクメに浸りながら指を締め上げ、溢れてくる声を抑えることもせず俯せになって腰を振り、女王とは――いや、人間とは思えないような浅ましさで快楽を貪る。
妾の、あの人の、誰かの手で注ぎ込まれる、信じられないような悦楽。何も考えられなくなり、そして、視界が白く弾ける。
――始祖帝の声が耳元で聞こえた気がした。
471名無しさん@ピンキー:2010/12/21(火) 11:59:09 ID:1Hrzv/d1
目が覚めた。
気をやった後、意識を失っていたらしい。体中香油でべとべとのままだから、おそらく意識を失っていた時も妾は妾のままだったのだろう。
起きあがって、一つ吐息を捨てる。その吐息の熱さに、我ながら驚いた。
意識を失っている間にどれほどの時間が経ったのかわからないが、窓から射し込む光がまだ明るいところを見るとそれほど長い時間ではないに違いない。
それでも、普通なら体の火照りはおさまっていてもいいはずである。もう一度息を大きく吐き、深呼吸をする。しかし、今度はより一層熱っぽいため息が出ただけだった。
仕方ない――そう思って、どろどろのままのあそこにもう一度指をあてがい――


――墓所玄室――

ガチャン、と聞こえるはずのない金属音が響き、妾は在りし日の淫らな思い出から引き戻された。音を聞くという能力がまだ自らに残っていたことに驚きを覚える。
墓荒らしだろうか。こんな所まで来るとはご苦労なことだ。財宝も王家の宝である鞭も好きに持って行くとよい。
あの頃の思い出の他に、妾にとって価値のあるものはもうないのだ。

――どうなろうと知ったことではない――

そう思い、目を閉じた時――。
懐かしい声が聞こえた。
もはや心の臓無き胸が高鳴り、頭に血が昇る錯覚を覚える。
こんな事があるはずはない。死人も夢を見るのだろうか。
そう思ってみても、夢は覚めなかった。何を言っているのかはわからないが、確かにいつか聞いた声が聞こえる。厚い棺越しだからかほんの少し違和感を感じたが、この声を聞き間違えるはずもない。
聞こえるのは、永き時の中焦がれるように求め、常に思い返し続けた声。
――あの人の声。

思わず起きあがろうとして、体がきしんだ。永く動かしていない体は悲鳴を上げ、思い通りには動いてくれない。
それでも妾は起きあがり、問わなければならない。
死せる後、尚もこの心の内に残るこの感情に、あの人ならば答えを与えてくれるはずだから
472名無しさん@ピンキー:2010/12/21(火) 12:01:04 ID:1Hrzv/d1
ヤバイ。十四世ヤバイ。まじでヤバイよ、マジヤバイ。
十四世ヤバイ。
まず可愛い。もう可愛いなんてもんじゃない。超可愛い。
可愛いとかっても
「夜種王20人ぶんくらい?」
とか、もう、そういうレベルじゃない。
何しろ女王。スゲェ!なんか頭に宝石付けたりしてんの。メイドとか鍛冶屋とかを超越してる。民のことちゃんと考えてるし超可愛い。
しかももう死んでるらしい。ヤバイよ、死んでるんだよ。
だって普通は死んでたら起きあがったりしないじゃん。だってせっかく倒したボスがよみがえったりしたら困るじゃん。ク・ルームのマントが七回殺してもまだ風をはらむとか困るっしょ。
難易度が上がって、易しいのときは七回倒せば良かったのに、難しいのときは逃げる無しで十四回とか泣くっしょ。
だから一世とか復活しない。話のわかるヤツだ。
けど十四世はヤバイ。そんなの気にしない。復活しまくり。副葬品も手に入れてもう戦わなくなっても墓所に行けば復活してる。ヤバすぎ。
可愛いっていったけど、もしかしたら可愛くないかもしんない。でも可愛くないって事にすると
「じゃあ、歴代タイタスで一番可愛いのってダレよ?」
って事になるし、それは明らかに十四世。ヤバイ。誰にでも明らかなんて凄すぎる。
あと超色白。約1ルギルダ。単位で言うと一女神。ヤバイ。白すぎ。全く日に焼ける気配もなく色白。怖い。
それに超信仰深い。超敬虔。それに超上手くいかない。宦官とか平気で出てくる。宦官て。中国でも言わねぇよ、最近。
なんつっても十四世は武器が凄い。大鎌とか平気だし。
うちらなんて大鎌とかたかだかアイビア倒して手に入るだけでたいして使えないから現金にしたり、即死に期待してみたり、他の武器を使ったりするのに、
十四世は全然平気。大鎌を大鎌のまま扱ってる。凄い。ヤバイ。
とにかく貴様ら、十四世のヤバさをもっと知るべきだと思います。
そんなヤバい十四世と戦った主人公とか超偉い。もっとがんばれ。超がんばれ。
473名無しさん@ピンキー:2010/12/21(火) 12:03:17 ID:1Hrzv/d1
要するに十四世が好きなわけですね
たぶん吊り橋効果
474名無しさん@ピンキー:2010/12/21(火) 19:13:45 ID:xKX94zdd
一世の嫁
アークフィア様
アイビア
十四世←new!

ヤンデレ嫁が増えたよ!
やったね一世ちゃん!
475名無しさん@ピンキー:2010/12/22(水) 01:17:08 ID:8/FZhYmt
>>471┬─攻撃する→原作通り
   └─口説く→十四世が仲間に┬─一世戦に連れて行かない→@へ               
                   └─一世戦に連れて行く─┬─好感度低→一世を見て敵に→NTREND          
                          └─好感度高→一緒に戦ってくれる→@へ

@┬好感度が一番ではない┬─トゥルーエンド→墓所で再び過去の夢を見続けるEND
 │          └─ハッピーエンド→酒場でオハラの手伝いEND
 └好感度が一番────┬─トゥルーエンド→今更数百年など……妾が一体何年待っていたと思っているのです?END              
            └─ハッピーエンド→実は割と近親相姦END 
 
タイタスとかwと思ったが、十四世ね……アリかも
さあ次は九世×八世だ
476名無しさん@ピンキー:2010/12/22(水) 01:22:11 ID:8u4AkA8k
>>468
乙乙
14世とは斬新な

>>475
やだ…このフローチャート、本気の仕事だわ…
477名無しさん@ピンキー:2010/12/22(水) 01:25:43 ID:8/FZhYmt
>>471┬─攻撃する→原作通り
└─口説く→十四世が仲間に┬─一世戦に連れて行かない→@へ
└─一世戦に連れて行く─┬─好感度低→一世を見て敵に→NTREND
└─好感度高→一緒に戦ってくれる→@へ

@┬好感度が一番ではない┬─トゥルーエンド→墓所で再び過去の夢を見続けるEND
│ └─ハッピーエンド→酒場でオハラの手伝いEND
└好感度が一番────┬─トゥルーエンド→今更数百年など……妾が一体何年待っていたと思っているのです?END
└─ハッピーエンド→実は割と近親相姦END

なんでこんなズレるんだろう
478名無しさん@ピンキー:2010/12/22(水) 22:52:06 ID:ZDmamSo5
見た目が気になって今見てきたら十四世もスリット生足で吹いた
これ一世の好みだろ
479名無しさん@ピンキー:2010/12/22(水) 22:53:24 ID:ZDmamSo5
上げてしまった……
すいません
480名無しさん@ピンキー:2010/12/22(水) 22:58:04 ID:Okh2+/cs
>>468
ローション自慰とはエロいなこの野郎

>>479
無名スレだしたまには良かろうて
481名無しさん@ピンキー:2010/12/23(木) 06:32:30 ID:a46bZ/Yj
>>468の十四世が妙にエロ可愛かったので
名付けの術でタイタス十四世からただの人間に転生させられないだろうかという妄想。
十四世一言しかセリフないので口調は想像。女王っぽく。

遺跡の外に出ると、辺りは既に夕闇に覆われていた。空には三日月が浮かび、コウモリがふらふらした足取りで宙を舞っている。
出てきてもいいよ、と僕が言うと、後ろの茂みがガサガサと音を立て、時代錯誤な、というより、大昔の遺跡でしか見られないような格好の女性が姿を現した。
その女性は木々の枝越しの淡い月の光だというのに、眩しげに目を細めながら辺りを見回している。
彼女の名前はタイタス十四世。古のアルケア帝国の第十四代女王……だった。つい、一時間ほど前までは。

彼女と出会ったのは、アルケア帝国の遺跡の最深部。それも仲間が二人倒れて、全滅寸前の時だった。
彼女が眠っていた玄室に足を踏み入れた時は、正直にいってこれはまずいことになったと思った。けれど、棺が開いて、どんな化け物が出てくるのかと身構えていた僕は、棺から出てきた人影を見て、ぽかんと口を開けて固まってしまった。
もちろん、今まで出会ったタイタス達がみんな化け物だったのも大きかったと思う。
でも、彼女を見て僕が固まってしまったのは、ただ意外だったからじゃない。彼女は、ランタンの薄明かりでもはっきりわかるぐらい、そう、美しかった。
彼女が鎌を手に持っていることすら気付かずにその姿を見つめたまま、思わず僕は、綺麗だ、と呟いていた。
一瞬の沈黙の後、彼女は毒気を抜かれたように持っていた鎌を降ろして、少し話していかんか?と言った。
もちろん最初は、遺跡の最深部にいる、言い方は悪いけど『化け物』と話ができるなんて驚いた。
けど、よく考えれば、喋れるんだから意思疎通ができるのは当たり前だ。
……まあ、そう考えて他のタイタスに喋りかけたときには酷い目にあったけど。あれは頭がライオンだったのもよくなかった気がする。
そして去り際に、できれば一人でもう一度来て欲しい、と言われ、時々遺跡探索が終わってから一人で彼女に会いに行って色々話をする内に、彼女と僕は割と仲良しになって、そして今日、急にひらめいた。
482名無しさん@ピンキー:2010/12/23(木) 06:33:47 ID:a46bZ/Yj
エンダを人間に生まれ変わらせた時のように、名付けの術で彼女も人間になれるんじゃないかって。
このひらめきは大正解だったけど、今の状況をありていにいってしまうと、僕はとても困っていた。
正直なところ、転生という手段を思いついたことに浮かれて、後のことを何も考えていなかったんだ。
エンダは子供だったから神殿で受け入れてくれたけど、相手が妙齢の婦人とあっては難しいだろう。
どうしようかと思案していると、後ろから肩を叩かれた。
振り返ると、彼女が何か言いたげにこっちを見ている。
「妾を……主と共に住まわせて欲しい。主の他に頼れる人はおらぬのだ」
どうしたの?と聞くと彼女はこちらを見上げて、懇願するように言った。
しかし、それは無理だ。
どこからか女の人を連れてきたなんて知られたらフランに殺される。
ただでさえこの間、キレハとの浮気がばれて刺されそうになったのに。
言い訳を探していると、彼女が何か思いついたような顔で、今度は何故か少し嬉しそうに話しかけてきた。
483名無しさん@ピンキー:2010/12/23(木) 06:35:13 ID:a46bZ/Yj
「何なら主が墓所に住むのでも妾は構わない」
あまりに予想外なセリフに、思わず、僕の家に一緒に住みましょう、とプロポーズのような言葉を口走ってしまう。
「妾の生きておった時代から、人間住み慣れた場所の方がよいと言うぞ?」
墓所に愛着があるのか渋る彼女に、生身になったのだから食事が必要だと言ってみた。
「墓所にも食べられるものはたくさんある。『混沌』もよい味だし『闇』もおいしい。ちゃんと包丁もある。主が墓所に住んでくれるなら、今日は豪勢にイドの活け作りにしよう」
暗黒だ。
何故か、そんな言葉が頭をよぎる。
彼女の言う包丁というのは、あの返り血がべっとり付いた鎌のことだろうか。
ついにフランやメロダークの料理を心から食べたいと思う日が来るのかも知れない。
「イドでは不満か?ならばとっておきの二世を……」
なんと答えるべきかわからずに黙っていると、彼女がとんでもないことを言い出しそうだったので慌てて制止した。
牛だから美味しい可能性もなくはないが、とても食べたいとは思えない。
「……仕方ない。共に住まわせて貰うだけでもよしとしよう」
不承不承といった体で納得する彼女に、ほっと胸をなで下ろした。

「……」
多少の気の重さを感じながら、家に案内しようと歩き出すと、くいくいと袖を引かれた。
また墓所の話だろうか。そう思いながら振り返ると、
「……もう一度、妾の名前を呼んでくれんか?」
そう言って、彼女はチョコレートを貰う前のエンダのような顔でこちらを見つめる。
「――――      ――――」
僕が彼女の名を呼ぶと、月の明かりに照らされた彼女の不健康なほど白い頬に、ほんのりと朱が射した。
すごく綺麗だ。
そんな呟きを心の中に留められたのは、僕にしては上出来だったのではないかと思う。
「どうした?」
そういって首を傾げる彼女はとても嬉しそうで。
彼女を転生させてよかったと、そう思った。


ちなみにフランとはすぐに仲良くなった。……主に厨房で。
484名無しさん@ピンキー:2010/12/23(木) 08:37:16 ID:eUY41lzA
あれ、十四世が可愛く見える……。

なにこの洗脳スレ。
485名無しさん@ピンキー:2010/12/23(木) 08:53:57 ID:JUR3N5w9
とっておきの二世でマジで吹いた
素材から既にヤバいという全く新しいタイプの暗黒料理人……!
袖をくいくいするのが可愛すぎるから許すけどね
48615 ◆E9zKH0kZMc :2010/12/23(木) 21:47:33 ID:kxgOkfHz
解除キター!!!!!勢いでできた2700なつかしのエメク
久しぶりに装備復活※ま属性※どなた様もご容赦ください
48715 ◆E9zKH0kZMc :2010/12/23(木) 21:48:15 ID:kxgOkfHz
「やほー、ねえ。いま暇?」

はしっこにしなだれかかり、のんびりと尋ねる。繋いでいた手を振り切った子供は、ラバンから一欠けパンを勝ち取って頭をなでられていた。
「見ての通り、朝飯をねだり取られとるわ。どうしたお前さん、今朝は随分早いじゃないか」
「うんおはよ。ねえオハラさん。皆もう起きてる?」
「おはようさん。大体は起きてるんじゃないかい。ああ、あの子供はまだかもしれないわよ、昨日はだいぶ夜遅くまで騒いでたからねえ」
「へっ、ケツの青いガキはこれだからいけねえ。よう、世間に惑いし俗人ども!今日も元気に罪を犯してるかぁい」
「なんつー挨拶してんだお前は」
「おはよう罪悪にまみれし若人よ」
手を上げたかと思うとひょいとまたの下を通して放り上げたチョコレートが梁をくぐって飛んでいく。横っ飛びに飛んでいったエンダは勢いよく飛び
つき、そのままネルのもとまで駆けて行った。
「エンダすごいねー」
鍛冶屋見習いがごしごし頭をなでてやると、この寒いのに腹を出した竜人は機嫌よく抱きついて膝によじ登る。腕を回して抱えたネルは肩に顎
を乗っけて問いかけた。
「ね、エンダ。さっきからエメクなにいってんの?」
「ひつじがりと言っていた。お前も食うか」
「有難う。羊狩り?」
「ほらほら、いいんですか。そこまできてますよ。もう明日ですよ。いいんですかそのままで、いいんですか?そ の ま ま で」
「なんだよ、冬至節ならあさってだろ」
「おやおやー?いいのかなー、そんな態度で。来ちゃうぞー、冬至節。おまえのとこまできちゃうぞー」
「冬至節なら、毎年きてると思います……」
「鋭い。さすがフランちゃん」
くるりと回って宮廷式にご挨拶、それなりに応じてくれたメイドにウィンクして手を借りると、重いしりを上げてカウンターによじ登った。
「今年一年積み重ねてきたお前らの罪の数々、償うなら 今 し か な い」
「いいから降りろよ」
「どうせ僕と一緒で暇なんでしょ、神殿で施しのお支度があるから手伝ってよ」
「手伝いがほしいなら、初めからそういえば良いじゃない。料理くらいならいつでもしてあげるわよ」
「ほんと?有難う。キレハさんはいい人だなぁ、お婿さんになる人は幸せ者だよ?そう思いませんか、ねえご聴衆」
「がっはっは、素直じゃないところがまた可愛いんだわ」
言うが早いか狩人は耳まで真っ赤になってぶつぶつ、酒場の爺さんと視線がかちあってにやにや。
「やれと言うなら、や「「間に合ってます!!」」……(しょんぼり)」
「そんなもん、お前んちの尼さんとよろしくやってりゃいいだろ。なんでオレらなんか」
「なにいってんの、こんな時だからでしょ。遺跡見つけてから何回殺したと思ってんの?オバケなんだからいいじゃなーいって?殺生に違いなんか
ないでしょ、だって相手は自分では生きてるって思ってるんだもん。償っとくとき償っとかなきゃ、立派にこぞりし諸人とはいえませんよ」
「朝からなに訳わかんねーこといってんのお前。頭ダイジョーブですかー」
「おはようねぼすけ、ほら。まあお茶でも飲んで。ここにかけたら?僕がありがた〜いお説教してあげる」
裾を引っ張って無理やり椅子まで連れてくる。迷惑そうな赤毛の少年のもとへはメイドがお茶を持ってきてくれた。怖い。
「いいねいいねえ。そんなことを言うと君、まるで神官て感じがするじゃないか」
「違ぁうの、僕は神官じゃないの。吟遊詩人なの」
48815 ◆E9zKH0kZMc :2010/12/23(木) 21:49:03 ID:kxgOkfHz
「いい加減諦めろよ」
「むかぁ〜しむかしのことでした……」
「なんだなんだ」
「それは、ある、さむぅ〜い冬至節の夜のことでした……。静まり返った雪の夜。しんしんと降り積もるばかりで誰もいない筈の街角からはリンリン
……リン、リンリン……おかしい、そんな筈がない……!だってそこは建物の最上階!どうして杓杖の音が聞こえるのでしょう。おお哀れな罪人
よ心して聞くがいい。年に一度の帳尻あわせ、それが行われるのは冬至節の前の日のこと。その年その一年の行いが神々の御前に改められる
日なのです!悔い改めし者の枕元にはわずかばかりの褒賞が、穢れこそあれまあまあそこそこ程々なら平穏な眠りだけが訪れる、けれど……
咎だけがその身を証明する罪人たちの ま く ら も と に は」
「近ぇよボケ!燃やすぞコラ」
杖で打つとそのまま反対側で、不思議そうな顔をして眺めている貴族の背もたれに体当たり。
「その身にまとうは真っ赤に血濡れた緋の衣、床まで垂れ下がった赤マント。森の高い木より高い背をしてとんがり帽子、耳まで裂けた大きなお
口からはニカニカと白い歯がこぼれ、顎には真っ白なおひげがふっさふさしています。その様子はさながら沈む夕日にたなびく白い雲!胸元には
お見舞するための行き先と氏名年齢職業、ご希望のプレゼントを明記した上で今生の帳簿づけされた真っっ黒な手帳が納められ、囁かれるしわ
がれ声は柳の木を揺らす冬の風、きぃ〜んと凍りついた河の水より冷たい鋼の青い目をして貴方を見下ろし……天を突かんやその背にはビア樽
でぶより腫れたお腹の、大きな袋が満々と膨れ上がって担がれている……お空の三日月より鋭い、死神の鎌でばっさばっさと刈り取った咎人の
首 で 一 杯 の!!」
「ええっ、なんですって!」
「悪いことをする子のとこには惨多苦労巣さんがこらしめにくるよ!!!」
「またそれかよ。年々話を豪華にするのはやめろ」
「なに?お前。まさかクルシマスとか信じちゃってんの?よい子にはwごw褒w美wwwwwwwww」
「おうおう笑うが良いさ、何か言ってやってよ。偉大なる同志テレ者」
「勿論だとも、ヒサンダー・クルシマセル(Hixander Xrhtimasellアイサンデル・イクシマセロス)こと通称X'masはかのアルケアの世に実在した人
物がモデルとされており、12月24日の晩に犯した罪が元で罰を受けて地下世界に閉じ込められてしまい、毎年この日がくる度地上にさ迷い出で
て、世にはびこる罪人を罰していると言われているんだ。或いはまた、死ぬことを許されず、毎年訪れるこの日のため、地上に溢れかえる罪の芽
を摘み取る役目を与えられたとされている場合もあるんだが、その姿は地域によって長い衣であったり、ふかふかの毛皮であったりと多少の違い
はあるが、赤い衣に白いひげと言うのがお決まりの姿だね。これは私の考えだが、一年を通じて最も昼が短くなるこの日、太陽の力が最も衰える
日であると同時に、短くなる一方だった昼の時間はこの日を境に伸び始めていく。つまり、彼は死と再生の象徴なんだ!古くから伝承されてきた
この説話も或いは、何らかの形でタイタスが関係しているやもしれないな。遺跡の謎を解明することで、ひょっとしたら古くから子供たちを悩ませて
きた冬至節の怪談の謎が解明されるかもしれないね!」

「死☆狂い☆hell 死☆狂い☆hell 数珠が鳴る〜 もっりにぃい はやっしにぃ 悲鳴の輪んが 舞あぁうっ」

「「「やめて」」」
48915 ◆E9zKH0kZMc :2010/12/23(木) 21:50:11 ID:kxgOkfHz
おそまつ。投下してから気づきましたが
改行の横幅が広すぎました。ごめんなさい
490名無しさん@ピンキー:2010/12/24(金) 00:51:12 ID:S3wHzTTc
乙久しぶり
相変わらずいい意味でカオス
そろそろ規制が解けて人が増えることを切に望む

>>484一世ばりに洗脳するよ
まあこれで終わりだけど。元々一発ネタみたいなもんだし
テレさん×十四世

「キミの治世の評価を教えろって?本当にいいのかい?」
「絶大な権力を持つ皇帝が最も気にするものは後世の評価だと言うではないか。遠慮せずに教えてくれんか」
「なら言うけれど、キミの名前は宦官の傀儡皇帝の代名詞のようなものだ」
「う、嘘をつくでないわ!」
「嘘?私が嘘を言うはずがないだろう。今の学者達の間での通説を諳んじてあげようか?タイタス十四世は法を制定し、宗教を厚く信仰し、民に智恵を与えようとした」
「見るがよい。立派ではないか」
「しかしその理想は実現されることはなく、宮廷は宦官の専横により乱れに乱れた」
「あ、あれは宦官が」
「十四世は理想の高さに対してその才、極めて乏しく、宦官の専横に対する有効な対策を持たず、立派な法典はただの紙くずとなり、神を祭るために建てた神殿はありとあらゆる悪徳がなされる魔窟となった」
「妾も努力を」
「智恵を与えるはずだった民の評価も低く、宦官により賄賂が横行し、民の生活水準は落ちた。闘技場での試合の頻度を落としたこともあり、怨嗟の声は溢れ、皇帝を呪う声は絶えなかった」
「妾が、妾が悪かった、……もう許してくれ……。それ以上は聞くに堪えぬ……。」
491名無しさん@ピンキー:2010/12/24(金) 00:52:08 ID:2VSKVvJM
>>489
gj
清らかに冬至節ネタかと思いきやどうしてこうなったw
492名無しさん@ピンキー:2010/12/24(金) 00:54:40 ID:S3wHzTTc
「アルケア歴代皇帝の中でもその評価は極めて低く、王朝を一度潰した十世や在位二年の八世と比べても平和な時代に生まれながらことごとく政策を失敗させたことで下と見る向きもあり」
「あはは、妾はタイタスの名を名乗る資格などないできそこないだったのだな」
「特に前後の十三世と十五世の治世が極めて上手くいったことからアルケア最大の愚帝であるとの評価も」
「全部知ってました。宦官に舐められてるのも、始祖帝が妾のことはあんまり助けてくれないのも。きっと器としても妾はできそこないだったからなんですね。生まれてきてごめんなさい」
「ある、と。どうしたんだい?机に顔を伏せて?私がせっかく講義しているのだから最後までちゃんと聞いて欲しいものだね」
「うぇ……ぐす、ひっく」
「今のは嘘だ」
「……もう許してください……嘘?」
「すまないね。嘘扱いされたのに腹が立ってつい本当に嘘を言ってしまった。そもそもだね、歴史上の人物のどちらが立派だったのかなんてことはその人物が何をなしたかだけで決まるものではない。非道な手段を使って大きな仕事をした者」
「志は立派だったけれど様々な障害によってその志を遂げられなかった者。このどちらが人として立派だったのかなんて答えが出るはずもないだろう。もちろん残した業績は大事なことだ。でも、業績の大きさだけで人の価値が決まるわけではない。」
「……」
「少なくともキミの志は高く評価されているよ」
「そ、そうか。すまぬな。取り乱したところを……」
「まあ無能で宦官の傀儡っていうのが通説なのは本当だけどね」


神殿育ちのTさん無双。
古代帝国の女王とかテレージャさんにとってはこれほど興味のある実験体もいないと思う。
493名無しさん@ピンキー:2010/12/24(金) 00:57:48 ID:2VSKVvJM
リロってなかった、割り込み失礼
メリー冬至節
>>490
テレージャひどいw

でもどのタイタスも自分の業績きいたらちょwwwおまwwってなりそうだ
14世さんはまだいい方なんですよと教えてやりたい
494 ◆DhjaoUVh9. :2010/12/24(金) 01:02:29 ID:cwU7bGKc
メリー冬至節。よいこのみんなにプレゼント。
おまけを付けたかったけどリア充にカエル投げつける作業が忙しくて既出まとめしかなかったので断念。
べ、別に遊んでたわけじゃありませんよ。


というわけでシーフォン×フィーです。
4951/4 ◆DhjaoUVh9. :2010/12/24(金) 01:02:54 ID:cwU7bGKc
 日が暮れた頃、フィーはシーフォンの部屋を訪ねた。
 迷惑そうな顔をしながらも部屋に招き入れた彼が、二人きりの時に鍵を掛ける癖がついてから大分経つ。
「あのね、これ、冬至節のプレゼント」
 頬を紅潮させて緊張しきったフィーは長方形の包みを手にしている。
 萌葱色の包装紙の上には金のレースで縁取られた緋色のリボンが掛かっている。
 少年は差し出された贈り物を受け取ろうとするが、フィーは何故か手を離そうとしない。
「シーフォンの好きな物が分からなかったから、本にしたの」
「本って……流石に鍵の書じゃないよな。 珍しい魔道書か?」
 中身を想像して期待に目を輝かせると、フィーは更に顔を赤らめて「違う」と呟いて俯いてしまった。
 彼女は相変わらず包みを掴んだまま一向に渡そうとしない。
「くれるのかくれないのかハッキリしろよ!」
 痺れを切らしたシーフォンは包みを強引に奪い取る。
 彼女はあっと声を上げて取り返そうと手を伸ばすが、それより早く乱暴に包装を剥がした。
 破れた包装紙から覗く中身に両者の手が止まる。
 次の瞬間、フィーが扉の方を振り返った。
 逃げようとしているのだと察したシーフォンが咄嗟にその腕を掴む。
「おい! これはどういう事だよ!」
 背後の怒鳴り声に細い肩がびくりと跳ねる。
「だ、だから、好きそうなのを選んだんだってば」
「そうじゃねえ! なんでお前がこんなもん持ってんだよ!」
 包装紙の切れ端が纏わりついた本を送り主の目の前に突きつける。
 妙齢の女性が妖艶な微笑を湛えており、その胴は深い緑色の紙が隠していた。
 自分とそう変わらないであろう少女の、大人の色気を滲ませる笑みからフィーは顔を背けた。
「だって……男の子ってこういう本が好きでしょ。だから、買ってきたの」
 ぼそぼそとした小声での説明を聞き、シーフォンは大人しくなった彼女を離す。
 力を込め過ぎたのか手がじんじんと痺れる。恐らく、彼女の腕はそれ以上だろう。
「……一人で行ってきたのか?」
 首を横に振る姿にシーフォンは顔を顰めた。
「テレージャさんがついてきてくれたの。……選んだのは私だけど」
 シーフォンの眉間の皺が深くなり、同性にも粉をかける不良巫女が同行していた事に不快感を露にする。
「なんだよ。そういう羞恥プレイなら僕としろよ」
「違うもん! そんな、そういうつもりじゃないもん!」
 むっとしたまま揶揄する少年にフィーは慌てて弁解しようとする。
「……シーフォンに喜んでもらいたかっただけだもん……」
 顔を見るのが恥ずかしいのか、彼女はシーフォンにぎゅっと抱きついてその胸に顔を埋めた。
 その挙動にシーフォンは機嫌を直す。
「そうかそうか、そんなに僕様が好きか」
 幼い子供にするように年上の彼女の頭を撫でてやると、顔を押し付けたままのフィーが頷いた。
「だったら、お言葉に甘えて悦ばせてもらおうかな」
「…………えっち」
 シーフォンが肩を抱いて寝台に誘うと、フィーは寄り添いながら彼に従った。
4962/4 ◆DhjaoUVh9. :2010/12/24(金) 01:03:22 ID:cwU7bGKc
「どうせならこの本でも真似るか?」
 頁を捲りながら、服を脱いでいたフィーに声を掛ける。
「や、やだよ。だって……縛ったりするでしょ?」
「……読んだのかよ」
 彼女が内容を知っていた事を追求すると、脱いだ服で顔を覆ってしまった。
「っつーか、なんで僕がそういうの好きだって決めつけてんだよ」
「えっ……なんていうか、シーフォンって、その……サドっぽいから……」
 フィーは服の端から隠していた目を覗かせ、反応を窺うように上目遣いに見つめる。
「……ふーん。それってつまりアレ? してほしいって事か?」
「ちっ違うよっ! やだって言ってるでしょ!」
 必死に否定する言葉を受け流してシーフォンはにやにやと笑う。
 その手にはいつの間にか包装に使われていた赤いリボンが握られている。
 彼女が後退るよりも素早く動き、手首を捉えた。
「やっ! 痛っ、痛いっ!」 
 硬い紐を巻きつけられる痛みに少女の顔が歪む。
「やだぁ! やめてってばぁ!」
 彼女が涙を流し始めたのを見て、シーフォンはようやく本気で嫌がっている事に気付いた。
 すぐにリボンを外してやるが、既に痛々しい痕が残っていた。
「……仕方ねえな、これは今度にしてやるよ」
 シーフォンは自分に非があると自覚しながらも謝罪はせず、彼の性格を承知しているフィーもそれを求めたりはしない。
「…………あ、あのね……」
 涙を拭いたフィーがおずおずと話し掛ける。
「今日は、私がするから……ね?」
 そう言ってそっと口付けてきた彼女に、シーフォンは「ああ」とだけ答えた。
 膝の上に跨り首に腕を回してきたフィーを抱き締めると、彼女は愛しそうに頬や瞼に唇を落とし、特徴的な尖った耳に音を立てて口付けてきた。
 くすぐったそうに身じろぎするものの彼女の為すがままになっていたシーフォンだが、やがて堪えきれず彼女の頬に手を添えた。
 真っ直ぐに見据えられた潤んだ真紅の瞳は、不手際があったのかと心配している。
 シーフォンは熱の籠もった視線と深い口付けで答えると、彼女の後頭を押さえ込むように支えた。
 舌下も口蓋も頬裏の粘膜さえも、全て喰らい尽くすように口腔を犯す。
 自分の舌を絡ませて積極的に応えようとするフィーだったが、時折息苦しそうに呻いた。
 その様子にシーフォンは彼女を解放し、顎を伝う唾液を舐め取ってやる。
 一瞬とろんとした目で見上げると、フィーはもたれかかるようにして荒い息を吐く柔らかい唇を首元に押し付けてきた。
 皮膚越しに熱く脈打つ血管を舐め上げられる。
 首の後ろの細い腕が解かれ、それほど厚くない胸板に添えられた。
 鎖骨に舌を這わせながら白い手が胸をまさぐり始めると、シーフォンはぴくりとした。
「……くすぐってえ。女とは違うんだ、んなとこ感じねえよ」
「えっ、そうなの?」
 シーフォンはきょとんとするフィーの乳房を下から包むようにそっと持ち上げた。
 滑らかで柔らかなそれを優しく揉み解す。
「まっ……んっ、待って、や、私が……ぁ……」
 僅かな愛撫で勃ち上がった乳首を指先で甚振ると切なげに吐息交じりの声が漏れた。
 やめてと言って聞く相手ではないと、フィーは彼を止めようとしなかったが、二人の腹の間にそっと片手を忍ばせた。
 細い手が半勃ちの陰茎を優しく包み込み、緩やかに扱き始めた。
 少し撫でただけで硬度を増して天を向いた一物に、刺激を与えた本人が驚いている。
「……んだよ、何か文句でもあんのか?」
 シーフォンに睨みつけられたフィーがはにかんだ笑いを浮かべた。
「え? ううん……私の手で気持ち良くなってくれたのが嬉しくて……」
 シーフォンはその言葉にどきりとして顔が熱くなる。
 乳房を弄んでいた両手を離して、顔を背けた。
「じゃ、じゃあ、もっとやれよ。その……フェラ、とか」
 口に出してから断られるかもしれないと不安になる。
「うん……私、頑張るから……」
 予想が外れたシーフォンがバッと振り返ると、フィーは緊張した面持ちで膝から下り、蹲って下半身に顔を埋めてきた。
 彼女は覚悟を決めたようにごくりと喉を鳴らし、口を大きく開いた。
4973/4 ◆DhjaoUVh9. :2010/12/24(金) 01:03:48 ID:cwU7bGKc
 期待に疼く半身が柔らかい唇を通り過ぎて温かく湿った口内に招かれる。
 硬い口蓋と柔らかい舌の狭間でゆっくりと扱かれ――
「ってえ!!」
 シーフォンはフィーの頭を両手で挟んで引き剥がした。
 突然の事に彼女は唾液を糸引かせたまま驚愕の表情で見上げる。
「歯ぁ立てんなバカ!」
「ご、ごめんなさい!」
 一つ大きな息を吐いて、シーフォンは緋色の目に浮かぶ悔悟の涙を指で拭ってやる。
 そして、自分と違い素直に謝罪出来る彼女を少しだけ羨ましく思う。
「……次は気をつけろよ」
 ほっとした表情で頷いたフィーは男性器を掌で支えながら横から唇を押しつけた。
 そこかしこに吸いつき、根元から裏筋を通って先端まで舐め上げる。
 シーフォンは雁首まで咥えて舌で刺激してくるフィーを眺める。
 そのまま陰茎を手で扱き懸命に奉仕を続ける彼女に、ある疑問をぶつけた。
「お前、どこでこんなの覚えたんだよ」
「ん……オハラさんに教えてもらって、練習したの」
 フィーが口を離して答えるとシーフォンは威嚇するように顔を顰めた。
「練習だぁ?」
 不愉快を前面に押し出した表情にフィーは怯えたように眉を八の字に寄せた。
 彼女は浮気を疑っているのだと気付き、羞恥に言葉を詰まらせながら説明を始めた。
「あの……オハラさんが、自分の指と……あと……バナナとかでやるといいって言ってたから……」
 他の男を相手にしたのではないと分かり、シーフォンの眉間の皺が緩んだ。
「どうせなら僕で練習しろよ。教えてやっから」
 皮肉のつもりだったが彼女は素直に頷き、シーフォンは仰ぐ彼女にぽつりぽつりと指示を出し始めた。
 フィーはそれに従って今度は歯が当たらないようにと注意しながら深く咥え込むが、咽喉の奥を突かれて生理的な嘔吐感に咽てしまった。
「……別に、無理しなくていいからな」
 労わるような言葉に、フィーはうんと頷いて再び一物を口に含んだ。
 彼女は時折くぐもった声を漏らして口淫を行いながら陰嚢を優しく撫でる。
 シーフォンはしばらくその姿を眺めながら、温かい粘液に塗れた口と細い指の感覚を楽しむ。
 ぐちゅぐちゅと水音を立てて唾液を滴らせる彼女の顔に征服感が満たされていく。
 やがて限界が訪れ……
「出すぞ」
 一瞬、フィーと目が合う。
 目を伏せて亀頭を強く吸い上げる彼女の口内に精液を注ぎ込む。
 シーフォンは緩やかに頭が冷めていく中で、咽喉を鳴らす音を聞いた。
「……飲んだのかよ」
「えっ、そうした方が男の子は喜ぶって……いけなかった?」
「いや、別に駄目とは言ってねえだろ」
 不安げに見上げてくるフィーの頭を撫でてやると、彼女は嬉しそうに笑った。
 ふと、フィーがシーフォンの脇に置かれたままの艶本に目を留めた。
「あ、あの……もう一つ試したい事があるんだけど……いい?」
 彼女の視線の先とその言葉の意味を察してシーフォンは頷く。
 許可を得たフィーは上半身を彼の下半身に乗せると、揺れる白い二つの膨らみを自分の唾液に塗れた陰茎を挟むようにして押しつけた。
 その行為を予想していなかったシーフォンはどきりとする。
 それほど豊かとは言えないが柔らかい乳房の感触に萎えていた一物が勢いを取り戻す。
「ね、これ気持ち良い?」
 ぎこちない動きで体を前後させて刺激しながらフィーが尋ねる。
 余程興奮が顔に表れていたのか、彼女は返答を待たずに幸せそうに微笑んだ。
 情欲を煽る彼女の姿にシーフォンは堪らず両肩を掴んで引き離した。
 驚愕の表情を浮かべる彼女に四つん這いになるよう指示すると、フィーは脚を軽く開いて尻を高く突き上げるように彼に向けた。
 シーフォンは差し出された細い腰を掴み、触れてもいないのに濡れ始めていた彼女を貫いた。
4984/4 ◆DhjaoUVh9. :2010/12/24(金) 01:04:26 ID:cwU7bGKc
 寒さに目を覚ましたシーフォンが起き上がると、窓の外はまだ暗く、白い結晶が舞っていた。
 隣で寝ているフィーに視線を移す。
 微かに寝息を漏らして眠っているが裸のままだ。
 起こすのは気が引けるが、眠ったままの彼女に服を着せるのも面倒だ。かといって自分だけ服を着るのも男のプライドが許さない。
 すらりとした肢体に誘惑されながらも布団を被せる。
 柔らかく温かい少女を湯たんぽ代わりにして、シーフォンは再び眠りについた。
499名無しさん@ピンキー:2010/12/24(金) 01:14:23 ID:2VSKVvJM
>>494
うひょおおおおおおサンタさんありがとおおお!!
クリスマス爆発しなくてよかったあああ!!
シーフィーGJでした!ラブい!
500名無しさん@ピンキー:2010/12/24(金) 01:58:49 ID:PQBWnzCz
一晩に三作品とは……これがクリスマスの力か
三人とも乙、ギャグ萌えエロと三様に素晴らしかった


>>493
必要以上に褒められるならともかくディスられてるタイタスって以外といないと思うんだ
テレージャさんに言葉責めしてもらえる資格があるのは八、九、十、十四あたりだけ
そのなかでも十四世は頑張ったのにダメだった感があるからいい


いや、ミノタウロスやできそこない言葉責めするよりルギルダ似の女の子の方がいいとか
机に突っ伏して泣く十四世に萌えたとかはほんと関係ないんで
501名無しさん@ピンキー:2010/12/24(金) 11:16:43 ID:zrUCRlDU

なんというメリー冬至節
どれもおいしいですもぐもぐ

これに便乗してROM専書きこみ素人な俺が作品投下しても良いものか迷っている
502名無しさん@ピンキー:2010/12/24(金) 12:18:13 ID:dycIf5TN
あっこんな所にいやがったか
さあ早くメ欄にsageと書いてSSを投下する作業に戻るんだ
503名無しさん@ピンキー:2010/12/24(金) 14:17:32 ID:UflmiyFc
このスレ誘い受けの奴多すぎだろ
投下したいならしろよ
504名無しさん@ピンキー:2010/12/24(金) 18:05:18 ID:zrUCRlDU
501です、すみません下げかたが分からなくて…orz
ありがとうございます

こんな素人ですが投下してみます
・パリス→←アイリで非エロ
・兄貴がことごとくフラグクラッシャー
・この期に及んで続きもの

あまり文章を書かない奴が書いた文なんで読みにくいかとは思いますがこんな感じで
505:2010/12/24(金) 18:09:52 ID:zrUCRlDU

しばらく街だけではなく世界中を騒がせたあの事件も始祖帝なるものを俺の妹が倒す形でようやっと収束することとなった。
街には平和が訪れ、かつて行動を共にした探検者達もそれぞれの道を進んでいるようだ。
俺はと言うと探検中に溜まった金が想像以上に有り余ったのを利用しいっちょ自営店を営んでみようかと空き家を買い取り、
雑貨屋手伝いでその手の知識を蓄えてきたネルの手も借りつつ今のところはだが俺にしてはそれなりに成功をおさめている。


「パーリス兄っ、おはようっ!」
珍しく窓から差し込む日の光をうけて目が覚めた朝、
寝ぼけ眼で少し頭を掻こうかと頭に手を伸ばす前に俺の妹がまだ布団から抜け出せていない状況であるにもかかわらず
そのまま俺の腰へと勢い良く抱きついてきた。
俺は衝撃で傾いた体がそのまま落ちないように咄嗟に後ろに左手をつき
なんとかバランスを取り持つと、一息ついて残った右手で妹の頭をポンと撫で
そのままその華奢な体を自分から引き剥がした。
「…おはよう、アイリ。ったく、なんで毎日朝から抱きつきにかかるんだ。早く直した方が良いぞ?その癖」
いつものことなのでもはや呆れすらでてこないが、実際好きな人やら恋人なんかができた時にまでこのような癖が残っていれば二人の仲に多大な支障をきたすに違いないであろう。
そんなことも考慮してこうやってアイリが俺に抱きついたり手を組んだりして甘えることをするだび注意をしているのだが、当の本人はというと少し不機嫌そうに唇を尖らせながら
「なんで? 別にパリス兄にとっても悪いことはしてないじゃない。これくらいのスキンシップ許してよ、器が狭いなぁ」
なんて言って引き剥がした俺の右手をよけるとするりと俺の腕の中に入り…、あぁ全く、これが一番たちが悪いんだよ。

ちゅ、と柔らかい感触が俺の右頬のちょうど古傷のある辺りにほのかに残る。
何も言えずにアイリを見返すと街の英雄様である俺の妹は上目遣いのまま不敵に微笑んで
「んじゃあ早く着替えなよね。仕分けの方は手伝っといてあげるからさ」
すとん、とベッドから降りるとそのまま部屋のドアを勢いよく開けて出て行った。
506:2010/12/24(金) 18:16:54 ID:zrUCRlDU
いきなりしんと静かになった部屋で俺は深い溜め息をついて頭を抱えた。
抱きつきや腕組みはまだ、まだわかるとしても、だ。

「さすがにこの歳でキスってのはアウトだろう…」

頬ばかりではない、額や、…口にでさえもアイリにとっては日常茶飯事なのだ。
いくら家族愛なのだと言っても年頃の男にこうほいほいとするものではない、と散々注意しているのにも関わらず本人に改める気はさらさらないらしくどうしたものかという所である。

――本当、こっちの身にもなってくれってんだ。

そんなことを一瞬考え、いや、とまた自分の考えに首を振り、もう一度溜め息を一つついて俺は着替えに手をかけた。

*

お昼を少し回った頃、僕は久しぶりにその街、ホルムに足を踏み入れた。
以前に訪れてたのは何ヶ月前だったか、すでに忘れてしまったがとにかく歩き疲れた足と体を休めるためとりあえず近場にあったひばり亭のドアに手をかける。
僕の姿を見るなりオハラの奴が「あらあらあら、随分と懐かしい奴が来たものねぇ!」と背中を叩いてきた。ちょっ、地味に痛いんだけど。
「まぁ今は忙しいし募る話はまた後にするかね。ご注文は?」
「何でも良いから腹が満たされるもんが食いてぇ、スパゲッティとかねーの?」
まだ今日の昼は腹に入っていない上に長旅の疲れも相まって空腹だ。
はいはい、とオハラが調理台に消えるのを見送ってからいつもの席へと歩を進める。
お昼時もあってか結構な混み具合であったが僕愛用の席は運良く誰も先客はいないようだ。
満足しながら荷物を向かいの席に置き足を机にかけてやっと一息……
「ん?お前…シーフォンじゃねーか!!」
…つこうと思ったのに胸糞悪い声に邪魔されやがった。
思いっきり顔をしかめて見上げてやると、案の定くそパリスの野郎が僕の前に立っていた。
「おま、ひっさしぶりだなぁ!いつぶりだったっけか? なんでまたホルムに…「あっれ、しーぽんじゃん!!」
俺の表情など気にも留めなかったらしいくそパリスの言葉に全無視を決め込もうと明後日の方向を向いた途端、また面倒くさい奴の声が聴こえた。
僕はまたあからさまに嫌そうな顔をしてまたそちらを向く。
アイリの奴がいつものツインテールをたなびかせながらこちらに走ってくるのを認めると深く溜め息をつく。
「しーぽん言うなって何度言ったら分かるんだ!…てかまじお前らなんなわけ? 僕様の貴重な休息時間を邪魔しないでくれるかな!」
507:2010/12/24(金) 18:19:22 ID:zrUCRlDU
「えー、別に邪魔してないじゃない。にしても何時の間に来たのよー、あ、ひょっとして今!? ひゃあ、私ったらナイスタイミングだねっ!」
ああ、全くもってこのテンションについていける気がしない。しかし
「で? ここにはどれくらいいるんだ?」
「あれ、パリス兄いたの?」
とアイリの言葉で苛ついていた俺の心が少し晴れた。
はっwwくそパリスまじざまぁwwww
案の定パリスの野郎は傷付いた表情で隣のアイリを見やる。ぷくく、お可哀想なこって。
「え、何、お兄ちゃんの存在感はそんなに希薄ですか、いらない子ですか」
そのまま少し拗ねたようにパリスがボヤく。いいきみ。
もっと言ってやれ、と思いながら二人を見物してると次のアイリの行動に僕の気持ちは一気にどん底に落ちていった、というか一気にイライラがMAX値までたまった。
「……ぷっ、冗談だよお兄ちゃん? パリス兄はからかうと面白いからついさ、…ごめんね?」
そう言ってアイリはくすくすと小鳥のように笑うと俯き気味になっていたパリスの顔を覗きこみ

そのまま少し背伸びをしてパリスの口にふわりとキスをした。

――…こなくそ、そういうことかよこいつら!

「…あのなあ、お前こういうことすんのいい加減やめろって。しかも人前で」
「んーじゃあ何、お兄ちゃんには見られちゃ困る好きな人でもいるっての? まあいないだろうけど、…はっ、それはそれで面白いかも」
「そういうことじゃねーだろうが」
まじ何なんだよこいつらいちゃつくなら他でやってくれないかな本当ウザいんだけど。
「ていうか今日パリス兄唇荒れてた。もう、少しは自分のことも気にかけてよ」
「話を聞く気はねーわけだな、このやろう。まぁ空気でも乾燥してたんじゃねぇの、ってかそれ別に気にかけるような所じゃないだろ」
「気にするよー、あたしがやだもん。キスするとき時々血の味するし」
「なぜお前がキスすること前提なんだ」
「リップクリームとかもってないの?ネル姉の所にも売ってるじゃん」
くそが、まじリア充爆発しろ。とりあえず僕の前から姿を消せ。
「話を進めるな、…別にいらねーよんなもん。ほっときゃよくなるし」
「もう、じゃあこれ使いなよ。あたしがいつも使ってるやつ。まだ残ってるからさ」
「いやだからいいって、…っておいどこ行く」
「神殿にチュナの様子見にーっ。あっ、しーぽんまた話に来るねー、ばいばーい!」
来なくていいよこのやろう。そしてしーぽん言うな。
508:2010/12/24(金) 18:23:50 ID:zrUCRlDU
ああ全くもってイライラする。イライラしかしない。
このイライラをさっきから高速で揺らしている目の前のテーブル以外にどこにぶつけてやろうかと考えて、未だに突っ立ってるこのくそ野郎に何か言ってやろうと目を向けると
「………」
何やら複雑な表情でさっきアイリのやつから手渡された物をまじまじと見つめていた。
あーそういやリップクリームがどうとか言ってたっけか。
そういえばあれ、ここに入ってからよく見るな。確か小人族の技術を駆使して作られただかなんだかの、ええっとクリーム状だったのが固形化されたんだっけか?
なんにせよこんなもので騒ぐ女はつくづくわからねぇとは思う。
で、だ。目の前のくそ野郎はふうと息をつくとその最新鋭らしい使用済みのリップを自らのポケットに入れて…、ポケットに入れる?
「…使わねえのかよ」
思わず訊いてしまってしまった、と思った。
これ以上ノロケられたらたまったもんじゃない。
しかしはぁ?と不機嫌そうな顔で何言ってんだと言われた後に呟かれた言葉は、ある種ノロケよりたちが悪かった。

「だってよ、…その、間接キスになるだろうが」

………はあ!?
ちょっと待てちょっと待て、お前ら今さっきキスしてたよな?間接どころでなく直で!
いや意味がわからねぇ、どうして今更間接キスを躊躇うことがあるのか。頭がおかしいのかコイツ。
「え、まじで意味がわからねぇんだけど。じゃあさっきお前らがしてたのは何だったっていうんだ。ほんまもんのキスじゃないってか」
「あ? ああ、さっきのはアイリのやつの、ええと何だ、癖みたいなもんだ。…別にあいつはそんな気があってやってるわけじゃねぇ」
いやいやそんな気がなかったらどんな気があってそんなことしてるってんだ!
「まあきっとあいつなりの甘え方なんだろうとは思ってるんだがな、さすがにもう止めさせた方が良いって分かってるし言ってるんだが…、あいつ聞きゃあしねーしよ」
待てって、どんだけだコイツ。
あれだけやっといて兄妹愛です、で済ます気か?
「…本当、ちったあこっちの気持ちも考えろっての」
……ん?あれ、何かおかしくねぇか?
「俺はあいつの兄貴だ、って。わかってる、ああわかってるさ!くそ、まじであいつに恋人が出来た時にどんな顔でいりゃあいいのか見当がつかねぇ」
おい待て、それって
「お前、アイリが好きなのか?」
509:2010/12/24(金) 18:26:28 ID:zrUCRlDU
そう言うとこいつは大きく目を見開いて、それから額に手をやって俯き
「…そうだよ、もういっそのこと笑ってくれ」
「………」
何か、もう、唖然とするしかなかった。
笑うどころか、だ。
じゃあ何か、総括するとこいつらは年中キスまでしてて両想い同士だってのに付き合ってはいない、と。
「バカか」
「あぁ?」
「アイリのやつもお前のことが好きで、だからキスだってするんだろ。 両想い同士でめでたしめでたしはい終わりじゃね、…か」
言ってしまった後で自分の大失言に気が付き自分で自分を殺したい気分になった。
僕がバカか!こいつが気付いてないってことは当然アイリのやつも明確にこういうことを言ってないってことで、つまりは…。
アイリが笑っていない笑顔で本気で死獄を自分にくらわせている様子を幻視し身を震わせながらゆっくりとパリスの顔を窺うと、やつはいつも通りのいけ好かない顔ではぁと溜め息をつくと
「アホか、あいつの好きと俺の好きは質が違ぇだろ。俺の気持ちなんかあいつにとっちゃ迷惑でしかねーよ」
…とりあえずわかった。こいつ、僕が思った以上にバカだ。
「…ん、やべっ!もう店番の交代時間じゃねぇか!!つーことでじゃあなくそガキ!アイリに変なこと漏らすんじゃねぇぞ!!」
もうくそガキだのに言い返す気力もない。
僕は奴が慌ただしく出ていくのを無言で見ていた。
何か、ここまでくるともう鈍感とか通り越して尊敬までいくレベルだ。
アイリのやつが不憫過ぎる。
しばらくぼーっとしていると最初に入って来た時に頼んでいたスパゲッティが運ばれてきた。なんでここに来る前よりも疲労感が溜まっているのだろう。
もう考えるのをやめよう。
そう思い直して目の前の食べ物にようやく口をつけた。
510:2010/12/24(金) 18:32:23 ID:zrUCRlDU
一応以上です
ちゃんと投下出来ているか激しく不安ですが

書き忘れましたがアイリは顔3設定
くっつくまで書いてやろうかとは思ったがこっから手つかず状態
リップはつじつま合わせのため無理やり現代的なものになりました
小人族の技術はあの回したら出るような仕組みに使われているだと思います、たぶん
511名無しさん@ピンキー:2010/12/25(土) 01:48:27 ID:qg+TyROe
>>504
乙!
かわいい二人だw
512名無しさん@ピンキー:2010/12/25(土) 02:05:12 ID:PkB1KIy2

ダメ兄貴ェ……
513名無しさん@ピンキー:2010/12/25(土) 23:03:22 ID:VAc/ODxb
ふたージャが終わらない。
冬至節ネタにも便乗したい。
そうだ、魔将の冬至節を書こう←今ここ

変化球的なものを書こうとしたら出来たものはデッドボールでライトスタンドホームランのひどい代物でした。
まぬけ属性通り越してカオスと化したのでちょっとあれだけどとりあえず上げている。
514名無しさん@ピンキー:2010/12/25(土) 23:06:46 ID:VAc/ODxb
妖精の塔。
ここは我等妖精族の住まう森。
我等はここで、静かに時を過ごす。静寂と安らぎの空間である。

「ねえ、ちょっと酒がないわ、だれか注いでくれない?」
「我ハチキン作リデ手ガハナセン、他ニタノメ」

静寂と、安らぎの

「別にラァグには頼んでないわよ…ん、ク・ルーム注いでくれるの、ありがたいわ」
「うむ…昔から世話を焼くには慣れている…」
「気が聞くわね、夫と皇帝陛下がいなければ靡いてたかも…フフッ…」
「旦那に裏切られて魔将と化した女が何か言っているぞ…」
「ダセェwwwww」
「首をはねるわよあんたら」

「……ダーマディウス殿、その…なんだ」
「…何か…妖精王……」
「あー…いったいこれは何の集まりなのだ?」
「……冬至節………無礼講…」
「…なぜ、私の宮殿で?」
「……他に…無かったそうだ…」

いい迷惑である。冬至節と言うことで我らも粛々と祝う用意はしていたのだが…。
まさか彼らの来訪は正直予想外であった。
同時に、羽目を外した彼らがこれほどたちの悪いものであろうとは。

「仕方ないじゃない妖精王。
 よーく考えて御覧なさい、他の適当な場所を。
 たとえば他の三つの塔。龍の塔は廃墟同然だし巨人の塔は冬至節としては天候は最適だけど怪仙達が怪しくて雰囲気台無し。
 小人の塔なんて論外ね、熱がこもってるは小人の男臭さが上からにおって来るしラァグは余計暑苦しいし」
「暑苦シクテ悪カッタナ、中マデ火デアブルゾ」
「あら、怖い怖い…」

「…夢境の帝都では駄目なのか?
 あそこなら適当なところくらいいくらでもありそうなものだが…」
「……我…法の番人……。
 冬至節にうつつをぬかす……市民、兵士達の示しに成らざり……」
「ダーマディウスは万一にもそういう姿を見られたくないんだって。
 そういう性格だから仕方ないけど、生真面目よねぇ…」

言われてみれば彼は殆ど酒に手を付けていない。
公務の妨げにならない範疇で付き合っているわけか…。

「焼キ鳥出来タゾ、食イヤガレ」
「…ちょっと、まるまる一匹よこすとか無骨すぎるんじゃない?
 切り分けるくらいしたらどうかしら、気の聞かない奴」
「コウイウ料理ダ、ガタガタ文句イウナ。
 細カイコトデアレソレト面倒ナヤツダ」
「あぁら…御免なさいね。
 何処かの脳焼け魔将と違って生前は育ちがよかったもので…」
「……オ前モコンガリローストシテヤロウカ?」
「何よ、首をはねられたいみたいね?」

何故だか急に空気がギスギスし始めている。
祝いの席の筈だがどうしてこう険悪な空気になっているのだ…。
一触即発の空気に私は気が気ではない。ああ、胃が痛い。
515名無しさん@ピンキー:2010/12/25(土) 23:07:45 ID:VAc/ODxb
「あの二人も懲りぬものだ、久しい邂逅だというに…」
「捨て置けナムリス、じきに収まる…」

並ならぬ殺気を傍に浴びながら二人の魔将は平然としていた。
鳥の皮をちぎっては口に運んでおり、黒衣に隠れた顔からはぱりぱりと小気味よい音がする。

「お二方、さすがに私の住まいが壊されるようなことは避けたいのだが…」
「案ずるな、妖精王…あの二人も節度は心得ている。本気でやりあう事はあるまい…」
「…傍目にはどうみても今にも始まりそうな勢いだが?」
視線を横に移すと、片方は鎌を大きく振りかぶって上段の構えを取り
もう傍らは姿勢を低くしながらも身体に纏う炎は激しさを増していた。
これで案ずるなというのが無理な話である。
「案ずるなと申した。そういう時の仲裁役はしかと存在しておる…」
そういうと、黒い顔をくい、と横にやるナムリス殿。
その視線の先には。
「………」
ダーマディウス殿が沈黙しながらも二人を見据えていた。
その手には傍らから取り出した、血に赤く汚れた鉄串が威圧するようにちらつかせている。
それを見た二人は、悪態をつきながらもようやく構えを解いた。
アイビア嬢は不機嫌そうにしながらも、ローストチキンをおもむろに手で掴み、口に運ぶ
「……ふん、まずくはないわね」
「文句イワズダマッテクエ」
…何故だ。先ほどまで険悪だった割には今はそうも見えない。
口では不平をもらしつつも、若干やわらかくなった感じがするのは私の気のせいであろうか。

「全く、毎度飽きぬものだ…あの二人も…」
「聞こえたらお前に矛先が向くぞ、ナムリス…」
二人の魔将はマイペースに鳥皮を口に運んでいる。
この二人も仲がいいのかそうでないのか今ひとつ掴めぬ…。
私も鳥を一切れ口に運ぶ…うまい。
高温で焼き上げたためか余分な油は飛びながらも、肉に歯を通せば肉汁が染み出す。
決して固くもなく、ほどよい歯ごたえが良い食感を生み出している。
とりあえず今は思考を切り替えて冬至節の晩餐を堪能することにしよう…。

ひとしきりローストチキンを食し終えて、宴もたけなわと思われた。
だが新たに来訪者が冬至節につられて姿を現した。

「メリー冬至節〜…やや、皆様お邪魔します〜…」
間延びした声で現れたのは、妖精の塔、下層に位置する泉の女神。ルギルダであった。
「ルギルダ…?何故私の宮殿に?」
「冬至節と聞いては私も黙っていられませんので…
 魔将の皆様にも素敵な冬至節プレゼントをご用意してますよ〜…」
微妙に答えになっていないが、この者は大抵こうである。
とぼけている様で人を食ったような、まあ良くわからない性格なのだ。
516名無しさん@ピンキー:2010/12/25(土) 23:09:36 ID:VAc/ODxb
「ナムリス様にはこちら…。
 殺風景な龍の塔にいろどりをあたえる、イチゴヤドクガエルの詰め合わせでございます…」
「……嫌がらせかね?」
「いえいえ滅相もない…。
 私なりに考えた結果、これが一番いいかと…」

それともう一つ。この女史はしれっとした顔で嫌がらせをする。
なぜか彼女の贈り物は蛙が異様に多い。彼女の趣味なのかそれとも嫌がらせの産物か…。
真意は測りかねる、もしかしたら彼女なりに本気なのかもしれないが、少なくとも他者には嫌がらせ以外の何者でもないだろう。
タッパーにみっちり詰め込んだ毒カエルにナムリス殿も表情はわからないが困惑気味に見える。

「アイビア様には解剖用に多数のカエルをストックさせてお送りさせてもらいますね…」
「あら、丁度よかった。今切らせてたのよね…気が利くわ」
「いえいえ〜…喜んでいただけたなら私も幸いで…」

以外にもアイビア嬢は気に入ったようだ。
どこに需要があるのかはわからないものである。

「ダーマ様はこちら…。
 いつもの得物も少し気分を変えて。見えないところでおしゃれを引き出す…。
 蝦蟇油を塗りたくりたてのおぞましき鉄串でございます…」
「………」

おぞましきの意味合いが相当違うように思えるのは気のせいだろうか。
おまけに塗りたくりたてではきかないほどヌメヌメが滴っている。
あの無言ははたして気に入ったのかそうでないのか、わからないゆえ余計に不気味である。
それでも一応は鉄串を受け取ったようで、黒衣の中にするりと入れる。
…あとでとんでもないことにならないだろうか。私は余り考えないことにした。

「忠臣のク・ルーム様にはこちら。
 最高級のカエルをふんだんに盛り込んだ、まさに至高の一品…。
 殿様蛙の生ハム詰め合わせセットでございます。二世様とご一緒にどうぞ〜…」
「ほう…悪くない…。陛下も人肉は飽きたようで余り口にしなくなってな。
 味を変えるには大いに役立つであろう…感謝する」

何かがおかしい。何かがおかしいはずなのだが。
私はうまく言いたいことが出てこない。何かがおかしいのは間違いないのだが…ううむ。

「ラァグ様にはこちらを…。
 炎につつあれた乾燥肌に、ダブルで保湿と潤いを…。
 蛙の顔パックでございます。アマガエルが保湿でウシガエルが潤いですので間違えないでくださいね…」
「カエルシカナイジャネェカwww何ガチガウンダwwwww」
「まあ、滅相もない…こちらのカエルは妖精の塔の霧のなかで育ったまさにカエル・オブ・カエル…
 そんじょそこらのカエルとは一味も違っておりまして…」

まさかの2つセットである。
何かツボに入ったのか、ラァグ殿は膝を叩きながら大笑いしているようだ。
それに対してまじめに説明をしているルギルダの姿がひどくアンバランスでシュールである。
517名無しさん@ピンキー:2010/12/25(土) 23:11:45 ID:VAc/ODxb
「さてさてひとしきり魔将の皆様に配り終えたところで。
 続きましては妖精の泉名物、人魚の舞い踊りでございます」
*危機感知 
果てしなく嫌な予感を感じたが時すでに遅し。
どこからともなく太鼓の叩くような音が聞こえてくる…。

ズンドコズンドコズンドコズンドコ「イヤーン☆」

太鼓の音とけたたましい悲鳴とともに、人魚(?)が飛び出してきた!
人魚(らしき何か)は陸に上がった魚のようにあちこちをびちびち飛び跳ねながら何かわめいている。

「みんなー☆ワタシの冬至節ライブに集まってくれてアリガトー☆
 今日はワタシのセクシーなダンシングで楽しんでイってね♪
 あ、でもでもワタシに惚れちゃダ・メ・よ☆」

テーブルの上に両手を掲げて居座る人魚。
人魚というには…筋骨隆々としており、胸元は買いで隠されている。いかつい顔立ちに禿頭。
魚の部分はほとんどきぐるみであるように見えるが…一つだけいえることは。
変態だ。

「人の身で滅せぬはずのこの身が…なぜ…。
 そうか…そやつ、変態か……」
「ナムリスが巻き込まれたぞ…!?」
「…法を乱す者…死すべし…」
「え、ちょ、まっ

 お ぞ ま し き 鉄 串 

変態が飛び跳ねたときに運悪くナムリス殿に当たったようだ。
命に別状はなさそうなのが不幸中の幸いか。
鉄串が尾ひれに当たると、変態は尾ひれを脱ぎ捨て、捨て台詞を吐きながら逃げていった。
ルギルダをにらむと、平然と鶏肉をたべながら涼しい顔である。この女史は…。

色々と波乱を迎えたが冬至節の宴は無事に終息を迎えた。
一時期はどうなるかと思ったが…終わってみればまあ、それほど悪いものでもなかったか。
とはいえ2度目はさすがにごめんである、次回はさすがに断っておこうと決めつつ。
馬を駆り、戦車を引き、宙に翔けたりと5者5様の去り方をする魔将達を、ルギルダ女史と見送るのであった。

「…そういえば、妖精王様に冬至節の土産を上げるのを忘れてました…」
急に何を言い出すのか。
一連の騒動で忘れていたが、言われていれば私は特に譲り受けていない。
「……結構だ、どの道カエルであろう」
「いやいや〜…もう少しいいものですよ…すこし目を瞑ってください」
何だろうか。目を瞑っている隙に首筋にカエルを当てるつもりでもいるのだろうか。
訝しげにしながらも、言うとおりにする。
……。
何事もないようであるが…少し薄目を開けようとすると、唇にやわらかい感触が触れた。
驚きに目を開けようとすると、顔を離すルギルダの姿が見えた…。
いつもの涼しい顔に、かすかに頬を赤らめたような表情になっており、どこか視線を地にそらしているようで…。

「…メリー冬至節、ユールフュンデ様」

私が声をかけるより先に、ルギルダは森の中へと走り去っていった。
…なんだったのだろうか、彼女なりの新手のからかい方であろうか…。
そう思いながらも、唇にかすかに残る感触を確かめるように、自らの唇に指を当てるのであった。

ここは妖精の塔。安らぎと静寂の空間。
しかし私の心に安らぎが戻るのはもう暫くかかりそうである…。
518名無しさん@ピンキー:2010/12/25(土) 23:13:24 ID:VAc/ODxb
いじょ。
最後にとってつけたようにユルルギフラグとか立ててるけどこの二人で何か書く予定は多分ない。
…本当に上げてよかったものか、これ;
519名無しさん@ピンキー:2010/12/26(日) 01:14:54 ID:ddcUYgxe
なんという魔将&仙女様大ハッスル冬至節。まさにGJ!

しかしどうしてもカエルを唇に押し当ててるシーンしか思い浮かばなかったorz
520名無しさん@ピンキー:2010/12/26(日) 01:45:27 ID:g2tfW2jJ
>>518
イイヨイイヨー
面白かったwまさに狂宴
521名無しさん@ピンキー:2010/12/26(日) 02:02:45 ID:KWTO+zXS

ルギルダ好きの俺にはたまらん展開だった

しかし、最近のスレの流れ
十四世→十四世→エメク→十四世→シーフィー→パリアイ→魔将

人外率高すぎだろw
522名無しさん@ピンキー:2010/12/26(日) 17:49:13 ID:NW5hUVtz
ルギルダならまだわかるがアイビアとか14世で書こうって発想はどっから出てくるんだろうな
14世なんてセリフが一言、資料が一文しかない
523名無しさん@ピンキー:2010/12/26(日) 17:58:09 ID:IRuoKGDw
>>522
アイビアは作中現在ではない(やれなくもないがやりにくい)修羅場担当として優秀だし
14世はその資料から喚起される要素がおいしすぎる
ついでに16世の娘と処刑された騎士も要素としてはかなりおいしい
10世ですら上であったふたなり10世ならちょっとはアリかもしれんと思わなくもない
524名無しさん@ピンキー:2010/12/26(日) 17:58:46 ID:peBx+MBX
なんかいっぱい乙!!1
>>522
資料がないからこそ妄想の余地があっていいんじゃないか
525 ◆DhjaoUVh9. :2010/12/26(日) 19:38:52 ID:U0MfvyfC
ふたなり十世とか俺得な時代到来の予感!


連投気味だけど冬至節十世が書きたくなった。
生前妄想なので魔将の口調が違うけど笑って串刺しにして下さい。
非エロです。
5261/1 ◆DhjaoUVh9. :2010/12/26(日) 19:39:24 ID:U0MfvyfC
――異形の子が帝位に就いて半年経った頃。
 その日、皇帝は書斎で棚の中身をひっくり返し、書物が散乱した床に寝転がっていた。
 絵が添えられた幼児用の文字表を見ながら紙に何やら書いている。
 そこに唯一の家臣にして友人、保護者である将軍が現れた。
 余りの散らかりように眉を顰めて溜息を吐くと、彼の存在に気付いた皇帝が起き上がった。
「ン!」
 得意げな顔で差し出された紙を将軍は受け取った。
 覚えたての文字が紙面の上でぐにゃぐにゃと躍っている。

 さんたさ んえ
  おと おさんと おかあさ んに あ いたい

 短い手紙を読んだ将軍は、にこにこと笑っている皇帝をちらりと見やる。
 幼い頃に引き離されていた子は親に甘えた記憶など無いだろう。
 会わせてやりたいのは山々だが……
 彼の父である親友が我が子をどう思っていたか知っている将軍は悩む。
 何と答えれば納得するだろうかと逡巡していたが、やがて口を開いた。
「……サンタは良い子の所にしか来ませんよ」
 そして、自由気ままな皇帝の素行の悪さを一気に並べ立てる。
 期待に輝いていた目は見る見る内に涙で曇り、しょんぼりと項垂れてしまった。
「……冬至節は今年だけではありません。来年までずっと良い子にできますか?」
「スル!」
 意気消沈していた皇帝にぱっと笑顔が戻った。
「好き嫌いせず何でも食べますか?」
「タベル」
「毎日お風呂に入りますか?」
「ハイル」
「すぐに物を壊したりしませんか?」
「シナイ」
「では、部屋の片付けから始めましょう」
 大きく頷いた皇帝が両手を振り上げると、床に落ちていた書物が一斉にふわりと浮き出した。
 指揮を執るような動きに合わせて開かれていた巻物は紐を結び、棚の中に戻っていく。
 大量の物体を操作し、尚且つそのような細かな作業まで全て魔力だけで行えるのは天性の才を持つ彼だからこそだ。
 だが、魔術を知らない将軍は、便利なものだと感心していた。

 翌日には皇帝は約束を忘れ、中庭の木を引き抜く遊びに興じていた。
527名無しさん@ピンキー:2010/12/26(日) 21:45:04 ID:peBx+MBX
>翌日には皇帝は約束を忘れ、中庭の木を引き抜く遊びに興じていた。
やめて!チョコパイあげるからはやく植木を元に戻して!!
528名無しさん@ピンキー:2010/12/26(日) 22:51:49 ID:UTj8NzvH
なにこの魔将祭り
529名無しさん@ピンキー:2010/12/27(月) 06:20:42 ID:MsJuEQbd
八世、十四世がアイビアと同じ服装なのはメタ的には使い回しなんだけど
実は一世の嫁だったアイビアに憧れてとかだったらかわいいと思うんだ

七世さん?
七世さんについては多分混沌の獣の方が七世さんリスペクトなんじゃないかな
530名無しさん@ピンキー:2010/12/27(月) 08:02:25 ID:mo71CWcn
アイビアをお姉様と呼ぶ八世と十四世を想像したけど九世がマジギレする所しか思い浮かばなかった
531名無しさん@ピンキー:2010/12/27(月) 16:20:29 ID:vvotbnOr
十世に会って「なんか似てね!?僕のパクリじゃね!?」と密かに憤るシーフォン
十一世に会って「私の方が脱げばすごい!」と対抗意識を燃やすメロダーク
532名無しさん@ピンキー:2010/12/27(月) 20:44:22 ID:OktlTBa5













533名無しさん@ピンキー:2010/12/28(火) 00:31:59 ID:HvFkXVTN
何度見てもアイビアと八世は巨乳、十四世は貧乳にしか見えないんだ……
色のせいか?ロリ顔のせいか?脳の錯覚ヤバい
534名無しさん@ピンキー:2010/12/28(火) 02:00:00 ID:3LdnUdL3
テレージャとアイビア以外は全員並乳以下だと思ってる
535名無しさん@ピンキー:2010/12/28(火) 11:13:10 ID:QtXlhjHz
ネルは案外脱いだらすごいおっぱいなんじゃないかと予想
ていうかどのおっぱいも張りのある美乳で好き
変にデフォルメした巨乳じゃないのがいい

テレージャ 見せ方のうまいC
キレハ なぜか自分は小さいと思い込んでるC
ネル 隠れ巨乳のD
フラン 小さいけれど感度良好A
エンダ ぼにゅーぼにゅーAA

こういうイメージ
536名無しさん@ピンキー:2010/12/28(火) 16:55:38 ID:KAaR9wZz
あのメイド、己はさらしでなくば肋骨クラスの洗濯板と睨んでいる
537名無しさん@ピンキー:2010/12/28(火) 17:17:42 ID:HPFuupiK
そういえばRuinaでバスト占いの歌の動画あったな
538名無しさん@ピンキー:2010/12/28(火) 21:26:22 ID:HvFkXVTN

↑七世        そもそも数が2つじゃない。
 ジャスミン     ゴリラの授乳期間は人間の倍以上らしい。
 夜種プリンセス   どう見ても相当あるようにしか見えない。マーメイド時から大きく進化している。
 顔1        テレージャより大きい。仲間内で一番。
 テレージャ     エンディングの格好エロすぎ。仲間達の中では一番。
 オハラ       酒場の女将とか巨乳でエロくなかったら嘘だろ……。
 マッサージ姉ちゃん 地味にこのイベントはエロい。
 火星の王女     非常に大きさがわかりやすい。
 ミランダ      同一人物説もある。
 アイラ       古代の方が人の胸は発達していたのかもしれない。
 告死鳥       地味にでかい。
 ピンガー商会の子  そっくりな子が知り合いにいる。
 アイビア      一世を誘惑できる程度のボディーはあるはず。
 妖皇后       実はあまり覚えてない。
 八世        子供産んだら膨らむらしいよ。
 ネルの母ちゃん   同上。
 ルギルダ      彼女については貧乳でも巨乳でもあまり違和感がない。
 顔2        形は良さそう。ちょうど中間。
 ネル        一般的な女の子代表として彼女は平均。大きくもなく小さくもなく。
 キレハ       スレンダーなイメージが。ネルとは大差なし。
 パーシャ      ブラを渡さなかったのはなんでだろう。
 十六世の娘     娘って言っても密通するぐらいには大人。
 夜種マーメイド   あのコスチュームはエロ過ぎる。
 ユリア       この辺から貧乳の部類に。彼女は胸より足。
 顔3        ロリ巨乳でもいいと思う。
 アダ婆ちゃん    もしでかくてももう萎んでんじゃねーかな。
 アークフィア様   一世はおっぱい星人だったんだよ!
 パーシャ      アマゾネスは弓を引くために片胸を切り落とすらしい。
 十四世       ロリにしか見えないのマジで俺だけなんだろうか。
 顔4        中学生ぐらいのイメージ。フランよりはある。
 フラン       劇中で胸の大きさに触れられているのは彼女だけ。十四歳より年上の彼女に残された未来は短い。
 チュナ       年相応。フランとそう大きな差はない。しかし彼女には希望の詰まった未来がある。
 テオルの娘     チュナと年齢は同じぐらいだろうか。
↓エンダ       生まれたてだし。膨らんでてあの格好はやばすぎる。
539名無しさん@ピンキー:2010/12/28(火) 21:49:24 ID:iB5F7noN
>>538
とりあえずピンガー商会の子と二人いるパーシャについて問い詰めてやろうか
540名無しさん@ピンキー:2010/12/28(火) 21:58:39 ID:HvFkXVTN
パンツの子ターニャだっけ?
指摘されてもうろ覚えだ
541名無しさん@ピンキー:2010/12/28(火) 22:09:02 ID:QtXlhjHz
>そもそも数が2つじゃない。
初っ端からもう色々おかしいだろwww
542名無しさん@ピンキー:2010/12/28(火) 22:16:09 ID:jZWliYoj
ネルのおっぱいは柔らかそうなイメージ
キレハのおっぱいは弾力があるイメージ
543名無しさん@ピンキー:2010/12/28(火) 22:19:34 ID:KAaR9wZz
おい、肝心のプリンセスがいないぞ
544名無しさん@ピンキー:2010/12/28(火) 22:25:08 ID:3LdnUdL3
いるぞ。上の方を見るんだ
545名無しさん@ピンキー:2010/12/28(火) 23:03:29 ID:irZG9wcW
フランのおっぱいは小さいけど触り心地がよく、自分で開発済みのイメージ
546名無しさん@ピンキー:2010/12/29(水) 00:05:32 ID:KAaR9wZz
>>544
見えない。何も見えない
547名無しさん@ピンキー:2010/12/29(水) 02:04:19 ID:KhspCF/e
こんなに女性キャラいるんだなあ
一通り投下されるのはいつの日だろうか
548名無しさん@ピンキー:2010/12/29(水) 02:07:45 ID:MUTgNqnn
テオルの娘までいてウリュウがいないって何なの?
ふざけてるの?
549名無しさん@ピンキー:2010/12/29(水) 02:14:43 ID:KFJjQnBG
eraのパーシャとかキレハ職人のウリュウとか
台詞少なめなキャラでもよくあれだけ原作っぽく書けるもんだと感心する
550名無しさん@ピンキー:2010/12/29(水) 02:28:27 ID:KhspCF/e
逆に言えばあれだけのセリフでちゃんとキャラの個性たててる原作もすごいんだな
まあ、ウリュウもパーシャも割とキャラ付けしやすい個性の強いキャラってのもあるだろうけど
551名無しさん@ピンキー:2010/12/29(水) 09:33:03 ID:8w7TzcNc
墓場のお姉さんと市場の奥さんがいない
たまに神殿に現れる後家さんとか
奥さん達は絶対オペラ歌手系爆乳タイプ
552名無しさん@ピンキー:2010/12/29(水) 10:07:03 ID:arhzwCFg
>>538に告死鳥を入れる発想が、今の僕には理解できない。
553名無しさん@ピンキー:2010/12/29(水) 10:13:11 ID:8w7TzcNc
>>552
乳首ないけどノーブラノーパン当選確実
554名無しさん@ピンキー:2010/12/29(水) 10:33:08 ID:arhzwCFg
>>553
なにそれエロい
555名無しさん@ピンキー:2010/12/29(水) 17:29:19 ID:arhzwCFg
やだなんかageてた
556名無しさん@ピンキー:2010/12/29(水) 22:20:26 ID:XhxIbcr8
>>549
キレハの人は手当たり次第に書いてる感はあるな
ハーレムもあったし、ウリュウだけじゃなくパーシャやらユリアやらもあったし
それでもまぁキレハの人って呼ぶんだけど
557名無しさん@ピンキー:2010/12/29(水) 23:07:04 ID:bPWDLFGV
褒めてんのか貶してんのかよくわからんレスだな
558名無しさん@ピンキー:2010/12/29(水) 23:10:09 ID:MUTgNqnn
十四世でも書く人は書くってわかった以上もうたいてい何が来ても驚かない自信がある
559名無しさん@ピンキー:2010/12/30(木) 01:44:03 ID:PhJmjeaD
>>553>>554
落ち着けおまえら、半分くらい鳥だぞ
そのままでいくといつか獣鬼が全裸かつセクシーポーズだと喜ぶことに
560名無しさん@ピンキー:2010/12/30(木) 02:20:33 ID:YR1xuKKn
>>559
女の子の顔とおっぱいがあって羽根娘というのは大きすぎる違いだろ
561名無しさん@ピンキー:2010/12/30(木) 07:56:22 ID:JK7fC5l4
>>559
「迷子カ。仕方ナイ、家マデ送ッテヤルカラ背中ニノレ」
「どうも有難う死告鳥さん」
「コラ!ドコニサワッテルノ!」
「あっごめんなさ、うわっでも空から落ちちゃうしあっごめっ」
てできる。鳥さんなら
562名無しさん@ピンキー:2010/12/30(木) 08:56:56 ID:pxVgEgLh
告死鳥×子供メロさんはアリだと思うんだ
563名無しさん@ピンキー:2010/12/30(木) 13:01:01 ID:JK7fC5l4
カワハギプレイか。エンダもシーフォンのかわをはがすと
564名無しさん@ピンキー:2010/12/31(金) 01:19:10 ID:x+1E+9jx
エロパロ的な意味で皮を剥がれるシーフォンとな。
しかし所詮シーフォンなので余った先端部を噛みちぎられるとかそういうオチな気がする。
56515 ◆E9zKH0kZMc :2011/01/02(日) 17:28:03 ID:s7/S1c8F
書初めで6500くらい、キャシアスルートのホルム解放後〜戦前
つなぎの部分ですので全体として地味な仕上がりで新年を寿ぐ。
どなた様もよい年をお過ごし下さいますようとりあぼん願います
56615 ◆E9zKH0kZMc :2011/01/02(日) 17:28:36 ID:s7/S1c8F
「……私が 捧げてきた 祈りは」

しとしとと降り続く冬の雨は、しきりに硝子を伝っている。ぼんやりと表を眺めていた若君は、そのまま
自分の周りに誰かいるのか確かめもせず言葉を続けた。
「お前は……、なぜ私に従うのかね」
「それは、キャシアスさまがあたしの主だからです」
「そうか」
返事をしては見たものの、青年の様子はどうもうつろで耳に届いているのか心もとない。先の戦も間も
ないのだし、色々とあって疲れているのだろうと判断し、休むよう促しながら暖かな上着を着せてやる。
けれど着るだけ着せられたあとは書斎へこもってしまった。考えていることが読めない……。寄り添って
いるだけで、腹が減っているかとか寒くないかとか、なんでも手に取るように分るのに。閉ざされた扉の
前で佇んでいたが、ふと思い出したように仕事へ戻っていった。
遺跡探索を始めるようになって以降、一週間二週間と館を空ける機会が増えていた。半月やそこらは
戻れぬこともあり、春が終わり、梅雨が開け、夏の盛りが過ぎても帰らなかったあの時も、実際にそこ
まで案じていたわけではなかった。姿が見えずとも、元気にしていない訳がないと、疑いもしなかった。
毎日入り口まで迎えにいっては戻る生活。毎朝、毎朝アルソンと二人、せっせと料理を作っては持って
いく日々。その彼が銅像と石碑とどちらがいいか言い出したとき、初めて重大さに気が付いた次第。

揃って姿を現したのは、半年も後のことだった。連れの傭兵は、髪がさらにぼさぼさと伸びたくらいで
特に違いも感じなかったが、二人の幼なじみは随分と大人びて精悍になっていた。
特にキャシアス。巨人に教わってきたとかで、何かの飾りのようなものを目の前で作ってくれたときは
びっくりしたし、なによりかなり背が伸びた。城館の衣類はどれも殆ど合わなくなったし、鎧も手ずから
作り変えてしまった。やせっぽちで食が細くて、いつも青い顔をしていたのが嘘みたいにあちこち古傷
増やして、見惚れるほど逞しくなって。――けれど、はにかみながら答える顔は、なんのかわりもなく。
涙ぐんで頑張っている、とつぶやく声は昔と同じままだった。
「時があれば、参ります故……」
物思いに沈んだまま、公会議出席の誘いに言葉を濁す。華々しい勝利を挙げながら、寸でのところで
今再びネスの若君に世間の耳目を奪われた我が主の心中は、一体如何なるものなのだろう。市中に
おける評判は、グリムワルド親子のホルムに対する献身ぶりや、キャシアスの痛快……というかそれ
を通り越し、ほとんど鬼神のごとき闘争ぶりに重きを置いたものだったが、一歩町を出れば公子と彼が
持ち出した新兵器がもたらしたネスの圧勝ばかりが喧伝されていた。
「もう始まっているかな」
「はい、朝食のあとからずっとなにか話してるみたいです。キャシアスさまの席は用意されてないので、
出席するならカムール様のお側に控えててください」
頷いて中へと入っていった。たまに給仕に呼ばれるだけだったから、どんな様子でいたのか分らない。
だがひどく腹を立てて館を出て行ってしまい、その足で探索に出たかそのまま数日戻らなかった。また、
おいてけぼり。お使いに出た酒場はどこかもの寂しい。何かの終わりが近づいていることを感じた。
56715 ◆E9zKH0kZMc :2011/01/02(日) 17:29:08 ID:s7/S1c8F
「キャシアス様はどうされたのでしょうな。坊ちゃまには珍しく、色をなしてお怒りだったようでしたが」
「うむ。今度のことが、あれの立場をまずいものにしてしまったからな……」
別になにかをぶち壊すとか、汚い言葉をぶちまけるというようなことがある訳ではない。よく見知った者
でなければ、怒っているかどうか気づきもしないかもしれないが、あれはかなり頭にきていたと思った。
先の公会議に遅れて顔を出したとき、公子自ら、青年の指揮による混成部隊特攻があげた輝かしい戦
果が何度も強調され、我が一番弟子と言わんばかりに持ち上げ、都に招聘したいとまで褒めちぎった。
当の本人は、いつも通り反論もせず賛同もせず、父親と同じ仏頂面だったが。
「士族よりも、やくざ者や農民兵の方が頼りになるとでも考えておられるのか?」
「それは指揮官自身に聞いてみればよい。さあ話すのだ。キャシアス・グリムワルド卿。貴公の戦略は、
如何様なるものであったか。遠慮せずこちらのパリドン卿にお聞かせしてみせよ」
出席していたこと自体、公子が言い出すまで誰も気づいていなかったので、白髪の青年が口を開いた
時は、あまりにみすぼらしい身なりのせいで、彼が丁稚なのか小姓なのかも区別できなかった。最初
から準備していたのか、キャシアスはホルムの周辺地図を広げて簡潔に事のあらましを語った。
「……すでに焼かれてしまっておりましたゆえ、ならば逆手にとって市中の家々をも、我らが同胞として
参戦してもらおう。そう、考えたのでございます……」
地下道や下水道を通じて方々に爆薬を仕掛けてまわり、自ら先頭に立って囮となり、狭い路地に誘導
した敵軍を、建物の倒壊に巻き込ませて一網打尽、という訳だ。都市構造を知り尽くし建築の肝を押さ
えた完璧な作戦である。純粋な軍門だけでここまでなせただろうか。否……実働部隊に加わった市民
だけではない、有形無形に協力した無数の住民たちに支えられての成果だった。大上段に構え一気
にまくし立てたテオルは招き寄せた青年を指し示す。
「かつてこれほどまでに鮮やかな初陣を飾ったものがあったろうか?不ぞろいな装備、不ぞろいな兵士、
不ぞろいな兵器を用い、その生まれからして筋金入りの西シーウァの士族たちを、完膚なきまでに叩き
のめしたこの者の勝利がなにを示していようか。パリドン卿、おわかりか?指揮官が有能でさえあれば、
如何なる出自、如何なる兵器であろうかなど問題にならぬのだ。その出自ではなく能力で編成された
部隊は、何物にも変えがたい最強の軍団となろう。貴殿には、それだけの器があると……自らの働き
によって示せばよいだけの事だ。現に、この年端も行かぬ少年は、立派に成し遂げたではないか。そう
であろう?キャシアス・グリムワルド卿」
ことさら幼さを強調された青年は、まともに聞いているか疑われる態度で立っている。むすっとしたまま、
小さく頷いて引っ込もうとしたところにさらに問いかけてくる。
「聞かせてもらおう、あの目覚しい活躍の源は。さぞや苦労しただろうが、どうか教えて欲しい。いかに
して開発しえたのか、ここに居並ぶ諸侯に披瀝していただけぬかな?」
ちらりと父に視線を向け、確認を取ると静かに語り始めた。
「半年ほど前のことでございます。我がホルムにおいて発見された地底遺跡の深部で、大規模な崩落
に巻き込まれた折のことでした……。自力の掘削では目的が果たされぬと踏んだ私は、もろくなった岩
盤に発破をかけ、脱出を試みたのであります。……これは、土地で参ずる素材のひとつでございます」
ごそごそと胸元から取り出したのは、硝子の容器に封じられた黄色い粉だった。
「ある種のトカゲの糞に含まれる成分は強い発火性を有しており、賢人たちはこれを精製し、煙幕として
古くから用いてきました。また密閉容器に燃料と共に封じ込め、衝撃を与えて起爆させれば、魔術師が
起こす爆炎に匹敵する火力を生む事もできるのです……そこで、爆発力をさらに高める事で崩落箇所を
吹き飛ばし、退路を復旧させようと考えたのであります……」
56815 ◆E9zKH0kZMc :2011/01/02(日) 17:29:41 ID:s7/S1c8F
「して貴公はなんとしたのだ」
「同じ廃坑にて、黒竜と戦いました。これが契機となったのです。ご存知でありましょうが、その口から
放たれる火炎は銑鉄が一瞬で蒸散するほどの高温を誇り、竜族と申すは喉の奥に毒袋を持ち、これ
を空気に反応させ、強力な火炎を生じせしめるのです」
掲げた小さな硝子の容器には、重たげに黒ずんだ液体がこめられている。
「主成分は体液にも含まれていることから、化合させ高威力の起爆性を得ました。このたびの戦では
鋼の容器にくず鉄と共に封じ込めることで、殺傷力の高い破壊爆弾としたものが……こちらです」
片手に余るほどの大きさの、黒ずんだ丸い塊が置かれた。冷たく、重みがある。こんなものが?実感が
わかないが、本当にシーウァの軍勢を百人も吹き飛ばしたという代物というなら、こんな場所に置かれ
ては生きた心地がしないではないか。無表情な青年の顔を見るうち、じくじくと嫌な汗がわいてくる。
「結果目的は果たされ、我らが若き軍師殿はこうして無事我々の下へ参内したのだ。誇りに思うがよい。
これは貴公の勝利だ」
肩を抱き寄せ、皆に届くよう言って聞かせる。事実、テオルの唱える理念に最も合致した行動をとって
いた、まるで誰かにそそのかされたかのように。黙礼し下がったが、ホルムの関係者から見て青年は、
あからさまに機嫌を損ねていた。散会になりキャシアスを慰めようとしたときには、既に町を発ったと
聞かされ、あきれてしまう。息子がこれほど行動的だったとは!
自室に軟禁されていたカムールは、開放されてすぐに目の当たりにした町の惨状と、その破壊っぷり
の主犯が自身の倅であることに衝撃を受けたのではあったが、続々と館に集ってくる市民たちは異口
同音、青年が挙げた完全勝利の見事さを謳っていた。自分たちの町を、自分たちの手によって取り戻
したのだ、とじつに誇らしげに。
煤で真っ黒になって戻ってきた息子たちは、離れていたほんの数週間で見違えるほど成長していた。
相も変わらず口数が少ないが、態度は堂々としたものになり、相手の目をまっすぐ見ながらものを言う。
勤勉で実直で、何事もそつなくこなす我が子にどうか一つ、身につけさせてやりたいとかねがね思って
いた大切なものを、自らとうとう勝ち得たのだ。もう何も案ずることはない。この子ならば、いや、この男
ならばこの先も、立派に生きてゆけるだろう。人生を、彼自身に返してやらなくては。それが、今なのだ。
探索から戻ったばかりの青年を玄関先で呼びとめる。
「……キャシアス、少し、外を歩こう。話しておく事がある」
馬を並べ町を行く。いまだ封鎖されている区域もあるし、風に混じって遺体の腐敗臭や硝煙の香りを
感じるものの、撤去作業は始まっていた。さまざまな支出を思えば頭を抱えたくなるが、これだけ派手
にやっておいて意外なほど人的被害が少なかった。人間さえいればあとは何があろうとどうにでもなる、
そんな話をしつつ市内を周遊する。我々に気づいた市民は誰もが大喜びで手を振ったり挨拶をしたり、
歓声をあげてあとを追いかけてくる子供たちに混じって、街路にひざまずき帰依を表するものまでいる。
うんともすんとも言わない連れは、特に表情にも言葉にも示さないけれど、実に満足そうに思われた。
彼は父と呼ぶことはない。大抵お館様といい、常にへりくだって口を利く。ずっと以前から気づいていた
のだろう。自分たちの間に血のつながりは、ないことを。息子のように思っていたつもりだったが、実際
には拾い子という意識が残っていたのだろうか。自由に生きろと言われた青年は、これといった感慨も
表さず黙って頷く。カムールはそれからすぐ出立してしまったので、彼は知らない。キャシアスが、想像
以上の衝撃を受けていた事を。

「……すまん」

階下へ滑落しかけた友は抱き起こされながら、裏返った声で悪態をついている。押し殺した声で幾度も
謝り言い訳をした。
「大家殿には、君に伝え置くよう言ったのだが……大変申し訳ない」
「あの婆ならもう寝てんだろ?!ったく、お前も灯かりくらいつけとけよ!」
「すまん」
「わかったからお前も入れよ。なんか用があって待ってたんだろ」
普段は馬が繋いであるのでそれと分るのに、今日は歩いてきたらしい。鍵なら大家も持っているし常々
勝手に出入りしてよいと言ってあるのだから中にあがっていればいいのに、このクソ寒い中律儀に廊下
で待っていたのだ。それも真っ暗闇で。やべっとか叫んで飛びのいたのはまずかった。落ちたら死ぬ。
56915 ◆E9zKH0kZMc :2011/01/02(日) 17:30:13 ID:s7/S1c8F
「どうしたんだよ。なんちゃら会議で親父と公子からむちゃくちゃほめられたって聞いたのによ。何でお前
はそんなふて腐れてんだ。なにかあったのか?てかもっとこっちこいよ、お前もちゃんと火に当たれ」
「火の粉が跳ぶと、焦げてしまうから……」
「赤い奴きとけよ、ほれ。この前着てた奴があったろ」
「あれは……寒いんだ、薄いから。目立つから……嫌だし」
力なく答えてしょんぼりしている。忙しいのでほったらかしていたが、いつまでもぼけっと突っ立っている
ので、しぶしぶ声をかけてやる。
「…………よう、なんか食うか。なんもねえけど」
「本当に何もないのだな……ああ」
「んなため息つくなよ。しょうがねえだろ、この家飯食うのオレしかいねえんだもの」
「挙句僕が始終引っ張りまわしているものな……。すまん。妹さんの側に、いてやりたいだろうに」
「いたところでどうにかしてやれるのかよ。それよりゃお前と遺跡を発いてるほうがなんぼか意味がある
ってもんだ。なんなんだよ今更。本当に、なんかあったのか?お前変だぞ」
うんと頷いたが、案の定それ以上話さないので、若干危なくなっていそうな気配があるパンを分け合う。
キャシアスは手に持ったまま床の木目を眺めている。居心地が悪い。我慢できなくなって席を立ち、洗
濯物を拾い集めていると、後ろからぼそっと小さな声が聞こえた。
「お館様が仰せになった。町を、でて……いく、よう に」
脈絡が理解できず振り返えると、目に涙をためていてぎょっとする。
「やはり、あの者たちこそ ほんとうに……」
歯が音を立てて震えている。見ていて怖い。挙句足踏みを始めた。やめて、下の人起きるから。慌てて
寝台に座らせ、沸かした白湯を持たせてやるがほとんどこぼされてしまった。やめて、下の人怒るから。
パリスがやっと席につけたのは、腹が痛むとか言い出したキャシアスの為に薬の材料を集めてきた後
のことだった。脂汗を浮かべて調合し、なんとか飲み下した青年は寝台を借りて隅に寝そべる。しばらく
丸まってじっとしていたが、片付けようと部屋を行き来する無頼の友に、ぽつりぽつりと打ち明け始めた。
「お館様が本当の父でないというのは、薄々……分っていた。僕は、お館様にも、北の方様にもご先祖
様の、どの肖像にも似ていないし……魔術の系統が使える人間は、記録を見る限り一族の中で僕しか
いないからな」
本職には劣るものの、そこそこ使いこなしているのは確かだ。けれど、本当に問題にしているのはその
ことではない、とキャシアスは続ける。
「優秀なものを養子にとって跡目相続させるというのは、なくないことだ。だからこそ、お館様のご期待
に応えようと、あらゆる努力をしてきたつもりだった……。血筋や前歴によらず、そのものの行いや能力
で起用する……レンデュームの一族の登用や、僕の養育はそのことの表れだとずっと思っていたんだ」
大きくため息をつき、薬草交じりの吐息を漏らす。父に習って身分のわけ隔てなく、人と付き合ってきた
つもりでいた。
「僕は……僕はグリムワルドを継がせるに、値しないとお思い遊ばされたようだ」
見下ろす無頼漢の前で低い床から起き上がる。
「わかっている。あのような 穢れた化け物どもの同胞など」
「それと何の関係があるんだよ。オレとお前がダチなのと変わりねえように、お前の親父はあの親父
しかいねえ。考えてみろよ。あんな穴倉の連中がお前になんかしてくれたか?そいつらのどこが兄弟
なんだよ。今日の今日まで、お前の親父はお前に何をしてくれたんだ?あのおっさんは、多分この戦
で自分は死ぬと思ってるに違いねえ。それでもお前は、ハイソウデスカって出て行っちまうのか?」
口をつぐんだまま俯く。
「お前は今。どうしたいんだよ」
「ただ一言、さすが我が子だと……お前こそグリムワルドの血統にふさわしい、と仰せ頂きたい……」
結局、一番生まれを気にしていたのはほかならぬ、自分自身だったのだ。
「だったら、もうやることは決まったろ。力がいるならオレも連れてけ。必要ねえなら遠慮なくそう言え」
「ああ……そうだな。そうだ。この戦を治めてから、町を発ってもよいのだ。最後に、お館様にもう一度
叱られて別れるのもいいだろう……」
本日初めて見る穏やかな表情だ。あとで連絡するが恐らく参加してもらうことになると言い残し、夜中
だというのにそのまま帰宅した。嵐が去ったような心持で、窓からランタンの灯かりが遠ざかるのを見
送った。静まり返った部屋の中で、ぽたぽたとこぼれたまま忘れられた容器から水滴が落ちている。
けしかけてしまった。これでよかったのだろうか。何とも言えぬ胸騒ぎがしてパリスは眠れない……。
57015 ◆E9zKH0kZMc :2011/01/02(日) 17:31:09 ID:s7/S1c8F
以上です。今年もどうぞよろしく
571名無しさん@ピンキー:2011/01/03(月) 01:07:35 ID:SMowAL8L
>>570
あけおめことよろ乙
キャシアス編面白いな
572名無しさん@ピンキー:2011/01/04(火) 16:39:47 ID:EOeyXFrC
あけおめことよろ
573名無しさん@ピンキー:2011/01/09(日) 15:12:41 ID:8B/JtwOL
>>570
なんだこれ面白くね?
爆弾の説明とかキャシアスがカムールを御館様と呼ぶこととか
細かい設定が話の深みを演出してるし
心理描写も丁寧で良い感じ
視点が分かり辛いのと時間が結構とびとびで読み辛いのが難点か

フランとアルソンが二人で作った料理ってカオスそうだな
57415 ◆E9zKH0kZMc :2011/01/09(日) 23:05:00 ID:yq9Lb2LV
だからいつ戦争始めるんだよという2400文字、あっさりめ
ずっと俺のッターン!!でご免なさい。中々進まないです
次回こそ。例の如くとりあぼんなどで各位ご協力願います
57515 ◆E9zKH0kZMc :2011/01/09(日) 23:05:33 ID:yq9Lb2LV
「今年の刈り入れには間に合わなかったな……」

はるかトーラの北、フォーランディアから卓越してきた季節風が吹き渡る荒野には、碁盤の目のように
きっちりと整列した公国軍が見える。全体がひとつの巨大ななにかのように、よく統制が取れていた。
「また、春になったらはじめれば、きっと大丈夫ですよ、キャシアスさま」
「……その頃までに、終わるだろうか」
こんな場面でさえ、心に思うのは小麦の作付け状況らしい、すっかり踏み固められてしまった耕作地を
回復させるには、どれほどの時間を要するだろう。冬の日差しにきらきらと輝く兵士たちの鎧は、どれも
小人族が用いていた鋼のように見える。彼らが番える弓矢は改造され、射程は飛躍的に増していた。
圧倒的な戦力差を感じ、この戦いが一方的なものになるだろう事を知った。
「見事なものだろう」
「殿下」
さっと敬礼する二人を眺めていた無頼漢は、ふと立っているだけの自分が場違いだと気づく。さりげなく
姿勢を正したが、すっかり無視されているので天幕の支柱に寄りかかる。
「陣中見舞いか、グリムワルド卿。どうした?浮かぬ顔だな」
ぼそっとなにか言うのが聞こえる。
「分っている。すまぬ事をしたな、身の置き所もない思いをさせた。貴公には礼を言わねばならぬのに、
こうして会いまみえる機会もなく戦地まで来てしまった」
「いえ、そのような」
「貴公の働きなくしては、ホルムを解放することはおろか、ながらく遺跡に封じられていた製鉄や鋳造
の術を地上へと持ち出す事も叶わなかったろう。その先見の明、開発力、優れた指導力、見事な戦術、
全く……貴公のような千里馬がこのような寒村に埋もれていようとは、一時奪われていたと言え、我が
ネスの領土の中にその生を受けていたことを、改めて己は寿ごう」
ぶつぶつと謙遜する青年に歩みより、するりと退路に回り込む。
「それでありながら手柄を横取りする真似をした。不義理の数々、まったく申し開きの弁もない。許せと
は言わぬが、せめて己の言い分も聞け。これは貴公のためなのだ。考えてもみよ、この戦、どちらが勝
つにせよその名声は世に轟くに相違あるまい。ホルムの戦いが貴公の独断による指揮となれば貴公
は、神殿に刃を向けた外道に他ならぬ。いかに勝利を収めようとも、聖絶だ神敵だと攻撃の的になろう。
己とて貴公を守りきる自信はない。その点、全てはこの己によるものとしておけば、世の責めを受ける
はこの己一人で済むと言うもの」
言葉を切ると顔を覗き込み、さらに続ける。
「部下の責めを負うこそ、上に立つものの本分。貴公の為ならば、いくらでもこの身を張ろう」
戸惑う連れなどはなから居ないかのように、公子は恋々と口説く。
57615 ◆E9zKH0kZMc :2011/01/09(日) 23:06:04 ID:yq9Lb2LV
「貴公が迷っていることもよく承知しているつもりだ。この地は貴公が生まれ育った場所、先の戦でも
自ら先頭に立って奪い返した父祖伝来の領土。まして貴公のように上下の別なく親しむ身にとっては、
さぞや辛かろう。だが、会議の席でも申し渡したことだが、これは単なる慰みやその場の思いつきでは
ない……貴公ほどの大器をこのまま眠らせておいたのでは、ネスにとっても甚大なる損失というもの、
一体、このホルムで何ほどかの偉業がなせるというのだ。英雄とよばるるに足るだけの我らに応えうる
務めがあろうか?」
言葉に屈し、腕をつかまれたまま至近距離でにらみ合う。
「無論、すぐとは言わぬ、少なくとも……この戦にかたをつけるまで待とう。改めて通達する。それまでに
人選を済ませておけ」
「何の話だよ」
「貴公もこの戦いに加わるのか。市民兵でもないと言うにその郷土愛、見上げたものよ」
「あ?ああ、そりゃ……ダチの一大事に駆けつけねえ奴はいねえです」
「聞けば貴公の親族には、例の石の眠りを患うものがいるそうではないか。どうだ、こんな所ではなく、
都に上れば新たな治療の手立てを探すこともできよう?なあ、グリムワルド卿」
「おい、わけわかんねえぞ。こいつ何言ってんだ」
「公子は、私を都の近衛兵団に迎えようと仰せなのだ……。私の裁量で供を選んでよい、と」

「はっ!?」

腰を抜かさんばかりにのけぞる脇で、メイドは半べそになっていた。
「それじゃ、町は……町はどうするんですか」
「カムール卿が健在だろう。当面は任せておけばよいことだ。だが、いずれは……ネスの全領土はネス
の指導者によって管理される……それこそが己によるアルケアの再興だ。貴公には、その為の新たな
体制作りに尽力してもらう。見ただろう、先の会議ですらあの体たらくだ……旧態依然とした諸侯たちを
向こうに回して改革を推し進めるには、若く、柔軟で屈強で、揺るがぬ強い意思を持った人間でなくては
ならぬ。いかに謙遜しようと己の目に狂いはない。貴公こそ、己の理想をかなえるに必須の男なのだ」
そのまま頭から飲み込むつもりかというほどじっと顔を見つめている。
「期待している。励め」
それだけいって身を翻すと出て行った。ああとかいやとか、キャシアスはそれ位しか口を利いていない。
なんともいえない顔で見送り、いなくなった頃には深いため息を漏らしていた。腹痛も起こすわけだ。
「よう……」
「わかっている」
アルソンなら、大いに喜んでともに頑張ろうとでもいうだろう。鼻を南に向けた馬上で、暗澹としている。
「諸侯の子息を都に集めておられると聞く。戻った者たちは皆熱烈な公子の信奉者となっているという。
確かに、それだけの一人物であることは私が言うまでもないこと、優秀な者ならそのまま件の体制作り
とやらに取り込んでもよい。家々に連なる者を中央に送り込めば、諸侯にとっても有益である一方……、
体のよい人質ということもできる」
断る理由、正確に言えば断れる権利などないのだ。どこにも。いずれにせよ、いつまでもこのままでは
おられないと呻くようにつぶやき、さらに歩みを進めた。父の元へ。
57715 ◆E9zKH0kZMc :2011/01/09(日) 23:09:33 ID:yq9Lb2LV
以上、まえふりです
>>573
てにをはがおかしかったり、全体に混乱してますよね……
まとめで出すとき、少し整理してみます。ご指摘ありがとう!
578名無しさん@ピンキー:2011/01/10(月) 04:07:42 ID:X7rZdjcC
>>577
乙!
579 ◆P14Sjd8nT6T6 :2011/01/15(土) 00:50:01 ID:eWMYZefn
アベリオン(顔1)×ネル
俺の妄想の中でネルさんは結婚前は全然エロさを醸してくれないのに、夫婦になったらあっさり布団を
許してくれてしまいそうで困った結果がこれだよ!
ネル本人はほとんど出てきません。



 いつも、勉強を習いに来たその足で、薬草取りだの魚釣りだのと言って自分を連れ出していた。
 俺だって読みかけの本があったり、洗い物や山羊の世話があったりするのに、そんなことお構いなしだ。
 家事仕事があれば俺の二倍は手際よく片付け、山羊は大雑把な世話をされても文句を言うことはなかった。
 俺が世話すると、何だかだで甘ったれてぐずるっていうのに。
 パリスの奴は『そりゃお前がナメられてんだよ』と一言で片付けやがった。妹の尻に敷かれてるくせに。

 いつも俺の先に立って、俺の腕を引っ張って歩いた。
 俺よりちっちゃいのに俺より力持ちで、パリスと俺を一抱えにして「ほら、おねーさんと一緒においでー」と
のたまい、平然と町を練り歩くのが、いつもの風景だった。
 あの頃はまだ、一応は、お姉さんだと思っていた。
 だが、今はもうそう思ってはいない。

 ラバン爺の冒険についていこうと企んだとき。
 俺たちのわかりきった尾行に、ちらちらとこちらを振り返るラバン爺から隠れて、繁みに潜り込んだとき。
 暗くなったら怖いね、なんてしおらしいことを言いながら、楽しそうな目で唇に指を当てて、俺を見た。
 あの時わくわくしていたのは、はじめての冒険や、ラバン爺についていくスリルだけではなかった。

 それに気づいたのは、つい最近だった。
 可愛い山羊どもの乳のお陰で、ひょろいと言われつつも人並みに身長が伸びて、見上げていた顔を見下ろせる
ようになって、あちらは見上げる羽目になったことに不平を言いながらも、昔と変わりはしなかった。
 楽しそうな目で薬草取りに俺を引きずりだす時、歩幅のお陰でいつのまにか隣に追いつけるようになった。
 見下ろしたら、前髪に隠れて目はよく見えなかったが、少し低い鼻と、桃色の唇が見えた。健康的に透き通る
肌の中で、その色は鮮やかに際立っていた。
 ひっきりなしに楽しそうに何かを喋るその唇に見入って、少し恐ろしくなった。
 ――それ以来、腕をとられる前に動くようにした。
 もしまた同じことがあったら、ばれずに済むかわからない。
 それでも、人を山羊のように引きずる癖は相変わらずだから、心臓に悪い。
 少し歩調を緩めて、昔のように引きずられたままでいるのが一番安全なのだが、どうにもそれが出来ない。
 山羊にナメられてもしょうがない。

 シーフォンのバカにとって俺が目障りだというなら、俺は奴のことがあまり嫌いになれない。
 無論好きでもないが。むしろ殴りたい。邪魔くせえ。本読んでんだから邪魔するな。俺は死者の書より魔将の
使っていた技が知りたいんだすっこんでろ。なんてことがこの間あったっけ。交換した書物は確か……
580 ◆P14Sjd8nT6T6 :2011/01/15(土) 00:51:39 ID:eWMYZefn

『ネル』
『これ、お前が使ったら』
『前に一冊見つけて、メロダークに勧めた。剣と魔力、両方必要だって』
『爺さんが言ってたのは、お前の魔力がゼロって事じゃなくて、ある程度の高さの棚になると手が届かないとか、
そういう話だよ。魔力そのものは人間なら多少なりとも持ってるし、装身具で底上げ出来る。お前、そういうの
作るの得意だろ』
『……俺が自分用に作ったのでよければ、貸すけど』

 あのあとどうなったんだっけ。
 有難う、と言って本と装身具を押し抱いて、それから。
 ……思い出せない。鈍く、何かが脳を曇らせている。
 濃い魔力の中に放り込まれたような、晴れない霞。息苦しい。
 いや、何か本当に苦しい。比にならない。このままだと息が出来ない。脳どころか、酸素が、


「ぶはッ!!」
「おおー」
 俺を覗き込む青い目と白い髪。魚のような、今ひとつ真意の読めない目。そして、塞がれた鼻の感覚。
 それだけで何が起きたのか理解し、とりあえずそいつの腕をぽんぽんと叩いて、鼻をつまむ手を離させる。
「……なあ、エンダ。起こすときに鼻つまむのはやめような。頼むから」
「でも、アベリオンが寝たら退屈だ」
「何この子どこまで自分に忠実なの。パリスも、見てたなら止めてくれよ」
 溜息をひとつついて振り向くと、玄室を照らす玻璃瓶の光の影に隠れて、くくっと笑う気配がした。
「いや、止めようとは思ったんだよ。いい夢見てたみたいだからよ。けどよ、ここで起こさなかったら、お前、
かなり後悔するんじゃねえかと思ってさ」
 は、と聞き返そうとしたとき、パリスは身体を傾け、にたぁりと笑った。
「ネルがどうしたって?」
 俺は無言で玻璃瓶を引っつかみ、パリス目掛けて投げつけた。
「うおっやべっ! 明かり消えたらどうすんだよ。つか、それこそネルじゃあるまいし、力に訴えるなって」
 魔法を使わなかったのは、単に頭に血が上って呪文が出てこなかっただけだ。
 だが、それすら言う余裕もなく、ぎろりとパリスを睨む。体格ではどっこいか負けているが、気迫なら此方も
負ける気はしない。……そして酸素を吸い込みながら心の中で喧嘩の極意。焦りに気づかれてはならない。
「お気遣いありがとうよ。起こしてくれて有難うな、エンダ」
「おー」
 ぽんぽんと頭を撫でてやると、くすぐったそうにばたつきながら竜の子が膝から降りる。
 立ち上がり、壁に預けていた背中を伸ばすと、玻璃瓶を転がしながらパリスが首をかしげた。
「寝言の続き聞かないのな」
「続きがあったなら聞きたいけど、聞いてお前を喜ばせるのも癪だし。お前が言いふらせば、自動的にわかる」
 もっとも、そんなことがあれば、今度こそ大いなる秘儀の実験台にしてやるが。
 俺の物騒な感情を的確に読み取ったパリスは、「うへっ」と一言漏らし、苦笑交じりに肩をすくめた。
「『ネル』で終わりだよ。『寝る』とか聞き間違いじゃないことは発音でわかったから、からかっただけだ」
「ふうん」
 わざと気のないそぶりで言うと、パリスはまた「へっ」と笑った。今度は本当の苦笑だ。
「本人つれてくりゃ、うっかり寝て変な寝言言うこともなかったかもしんねぇぞ。最近鍵開けまで覚えただろ」
「冗談。お前のが気配に聡いし、本職だろ」
 戦闘の末に散らばった副葬品の群れを杖と足で避けて歩く。静かに積もっていた埃が散らばった。
「第一、あいつはお前やエンダみたく船動かせないだろ。前に滝の塔で挑戦したとき、櫂折るかと思ったぞ」
「……本人に言うなよ、それ」
「お互いにな」
581 ◆P14Sjd8nT6T6 :2011/01/15(土) 00:56:48 ID:eWMYZefn
 ひょいひょいと玄室入口まで歩いていたエンダは、同じく怪力の割に変な所で器用だ。件の塔でも船を操った
ことを思い出して連れてきた今、こうして新しい領域にたどり着いているのはこいつの功績である。
 船の扱いならばパリスが十分心得ているが、万が一の時――すなわち、パリスが罠などで重傷を負った場合を
考えると、船を動かせてかつしぶとい奴、火力のある奴を確保しておきたかった。
 その条件に当てはまる三者、ラバン爺、メロダーク、エンダをふるいにかけた結果、雑魚を一掃出来る長所を
選んでエンダを連れてきたのだ。……断じて、これ以上みっともない所を見られたくなかったわけではない。
「扉を開ければ守護者もしくは幽霊、船を動かせばぬろぬろした怪物が出るような場所に『かよわい女の子』を
連れてきちゃ駄目だって爺さんの遺言なんだ」
「いや、お前の爺さんの遺言ってもっと壮大じゃなかったっけ」
「ちょっと誇張しすぎた。正確には生前言われた。自称『かよわい女の子』と危険な所に行ったら、自分の方が
守られる羽目になって、死ぬほど哀しい目に遭うぞ、と」
 薬草採りに行ったとき、通りすがりのニョロが殴っても殴っても死なないことに半べそをかいていたら、すぐ
駆けつけてきて斧で一刀両断されたときだった……はずだ、確か。有難うとは言ったものの、死ぬほど悔しくて
家に帰ってからべそべそ泣いて、何事かと事情を聞いた爺ちゃんが同情に満ちた目で言った……気がする。
 詳しい顛末は話さないまでも、俺の言いたいことを概ね察したのだろう。あの時の爺ちゃんと似たような目で
こちらを見て、しみじみとパリスは言った。
「そういえば昨日、うっかり廃墟で妙なイカが出てきた時、ぬらぬらして気持ちワルー!! とか言ってたが」
「むしろ俺が触手に捕獲されて顔面やら腹やらに往復ビンタ食らった所を助け出して頂きましたよ文句あるか」
「いや、あの時は俺ほんとにお前が不憫だったわ……」
 触手と聞いて不埒な想像が脳裏を過ぎったことは否定しない。多分似たようなことをこの兄貴分も考えた。
 だからこそ、そんな目に遭わせてたまるかと張り切って唱えた天雷陣は不発。
 あいつの大暴れと、パリスの鞭による地道なダメージの蓄積で、俺が死ぬ前に謎の軟体動物は倒された。
 自力で治癒術を使っても、打ちのめされた心は治らない。
「前に調べたときは、あんなの居なかったよなあ。新しく住み着いたのかね」
「古代都市の時間の推移に比例して出てきたんだろきっと。……どうせ夢ならあの作家殺せば良かった。むしろ
今から古代都市行ってくるか、世界平和と俺のために」
「……悪かった、もう聞かないから、ヤケ起こすのやめような、な? もうすぐ最深部だからな?」
 まるで手負いの獣のような扱いを受けながら、エンダとはぐれないように玄室を出る。人の世の遍歴のような
長い螺旋の階段。いつもならちょろちょろしそうなエンダは、ただ険しい表情でかすかに唸っていた。……その
気持ちは何となくわかる。精緻で美しい建物だが、それにも増して禍々しい。死者の宮殿などかわいいものだ。
ここには、生きるものの業と欲が詰め込まれ、時間と共に闇に凝縮され、隙間という隙間から溢れ出ている。
582 ◆P14Sjd8nT6T6 :2011/01/15(土) 00:58:25 ID:eWMYZefn
 こんな場所を、ネルが、見たなら。
「何て言うんだろうな」
 人の痛みがわかる程度には細やかなくせに、与えられる痛みには鈍感な彼女は。
 半年以上経った今でもずっと、覚えているのだ。俺が見つけた洞窟の隙間から全てがはじまったことを。
 ――自分や彼女の主観では半年ではなかったのだが、そうでなくても、多分、きっと。
「どうした?」
「なんでもない。行こう」
 獣のように周囲の闇という闇を威嚇するエンダを、刺激しないよう、声と歩みだけで促す。
 ここまで来て、わかった。何としても終わらせなければ、俺は俺の続きを生きることが出来ない。
 続きの道を、また一緒に歩くことが出来ないのだから。



「……えっと、本気で行くのか?」
「何だよここまで来て。今が好機だろう。あのしつこい魔将はもう再生出来ないだろうが、雑魚は一山いくらで
沸いてくるぞ、ここは。蹴散らしといた今がチャンスだ」
「あ、ああ。けどさ。……料理も薬も、ねえぞ?」
「……はあ?」
「いや、だから。作り置きしてもらったフルーツサンドとかその手のもの、さっき全部使っちまった」
「はああ!?」
「魔将との戦いで相当消耗した上に、あの牛がやたらしぶとかっただろ。お前三回は倒れたし。治癒の石も二個
使っちまっただろ。傷薬は上等特上がかなり減ってる。霊薬は幸い残ってっけど」
 指折り数えられ、どうする? と目で問いかけられ、俺は膝から崩れ落ちたいのを堪えた。
「アルソン、いないよな」
「何もなくても走り回ってるからな。朝じゃなきゃまず捕まんねえだろ」
「……ネルに、頼むか」
「それがいいと思うぞ。ただ、出掛けにかなり買い込んだ所為で、材料売り切れかけてたよなあ」
「…………俺の人生どこまで支配すれば気が済むんだあの女!!! エンダ! こっち来い今日は戻るぞ!!」
「しゃーッ!!」
 後ろでパリスの溜息交じりの笑いが聞こえたが、それに文句をつけようとする前に、エンダに手を噛まれた。
 ……ああ、多分きっと、『薬足りない? 大変だねー、手伝うよ。何が要る?』とか言うんだ畜生。
 これがシーフォンだったら『ボス前でノコノコ帰ってきたのかよばーか』だろう。その方がまだマシだ。途中で
どれだけムカついても結果を出せばそれでいいのだから。
 これだから、「お姉さん」は嫌なんだ、本当に。


「一生だろ、どう考えても」
 見識深いのに妙に短気な弟分を眺めて、パリスは肩を竦めた。
 それは、もうずっと前から決まっている。チュナですら気づいていて、当たり前すぎて口に出さない。
「はぐれるなパリース! 帰り道で薬草の材料採るぞ!」
「へいへい」
 採るのは俺とエンダだけどな、という言葉は、喉の奥に慎ましく仕舞いこんだ。

 余談だが、帰り着いたときに本気でふらついてネルに抱きついた挙句、抱きついた本人に「大丈夫、大丈夫」
などと子供をあやすように言われ、ひばり亭二階で不貞寝モードに入ったアベリオンの説得には、実に二時間を
費やすこととなった。主にパリスが。
583 ◆P14Sjd8nT6T6 :2011/01/15(土) 01:00:44 ID:eWMYZefn
長くて読みづらい上にエロ描写なしとか本当にすいません。
俺内部のエロスは冒頭に凝縮されてます。幼馴染の醍醐味は身長差だ。
584名無しさん@ピンキー:2011/01/15(土) 06:27:14 ID:29tASLOs
女房がいない時にその価値を知る。
なるほど上手い。アベリオンこそだなあ。
585名無しさん@ピンキー:2011/01/15(土) 10:20:27 ID:TXxOJF0U
友人が言っていた
「胃袋と下半身を押さえられたら男の負けだ」と
586名無しさん@ピンキー:2011/01/15(土) 10:22:09 ID:3/wxtXJC
なんでかな、なにかを押さえつけて胃袋引きずり出して
これでいいのか?て持ってくるエンダが
587名無しさん@ピンキー:2011/01/15(土) 15:06:42 ID:fzz+cIOL
お姉さんネル最高
588名無しさん@ピンキー:2011/01/19(水) 16:28:23 ID:w5zRMR7C
次スレ●てていい?
589名無しさん@ピンキー:2011/01/19(水) 20:17:22 ID:jZ/m9mWX
おお、もうそんな容量か
立てられるようなら立てちゃってもいいんじゃないかな
590名無しさん@ピンキー:2011/01/19(水) 20:26:02 ID:w5zRMR7C
テンプレ案、まとめが>>160で更新されたからそっちに張り替えた
あとは何かあったっけ
↓↓
フリーゲーム「Ruina 廃都の物語」のエロパロスレです

過去スレ
Ruina 廃都の物語エロパロ
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1240244983/
Ruina 廃都の物語エロパロ 二世
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1246878474/
Ruina 廃都の物語エロパロ 三世
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1252418505/
Ruina 廃都の物語エロパロ 四世
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1255450328/
Ruina 廃都の物語エロパロ 五世
ttp://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1263472849/
Ruina 廃都の物語エロパロ 六世
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1274786836/

・era板(兼・規制時の避難所)
【二次創作】eraRuina【Ruina】
ttp://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/12839/1259237750/

・有志の作成された過去スレ投稿作品まとめ
ttp://www1.axfc.net/uploader/Sc/so/153016.rar
591名無しさん@ピンキー:2011/01/20(木) 19:05:16 ID:Nj+yswsT
それじゃスレ立ていってみる
592名無しさん@ピンキー:2011/01/20(木) 19:07:02 ID:Nj+yswsT
593名無しさん@ピンキー:2011/01/21(金) 14:12:54 ID:Xv3P5PMu
脱げば脱ぐほど>>592乙!!
そして埋めがてら
『もしもRuinaがギャルゲー(学園物)だったら』

◆学園Ruina大特集スペシャル◆
個性の叩き売りなヒロイン達とギャルゲーでは珍しい名文美分、そしてM仕様で話題沸騰の学園Ruina!
今回は甘酸っぱい青春時代を彩る美少女達を紹介だ!!

☆ゼス子☆(幼なじみ)
「もぅ、主人公くんったらエッチなんだからぬぁん!!」
・男の夢、毎朝起こしに来てくれ一緒に登校している隣の幼なじみ
☆ピン子☆(義理の妹)
「お兄ちゃんったらねぼすけなんだから! ぷんぷんっ」
・男の浪漫、一歳違いの血の繋がってない妹
☆メロ恵☆(年上の同級生)
「脱げと言うなら脱ごう」
・お色気担当の留年ヒロイン
☆バル代☆(委員長)
「次遅刻したら城門落としよ!」
・ニーソが堪らないツンエロ委員長
☆プリンセス子☆(学園のマドンナ)
「だーらん、だーらん、だーらんだーらんだーらん……(BGM:あれ)」
・世界で一、二を争うくらいに暴力的な美貌を持つ美少女
☆カム代☆(美人教師)
「はっはっは、調子に乗るなよ小僧」
・女手一つで娘を育てる苦労人女教師※娘は攻略不可
☆アルソ子☆(同級生)
「無理でした!!」
・金髪美形で優しくて名家のお嬢様でお料理上手……こう書くと完璧じゃね?
☆ぽん奈☆(後輩)
「(略)すなわち、僕が魔王だ!」
・重症中二病患者の僕っ子
☆パリ乃☆(先輩)
「あー、楽して稼ぎてー」
・マダオ路線爆走中の先輩
☆ラバン子☆(OG)
「ラブアンドエロス……アデュー」
・ぶらりと来てぶらりと去る風来の恋泥棒
☆十四歳☆(14)
「ちなみに十四歳だ」
・花の十四歳
☆二世☆(神戸牛)
「ぐるる……」
・飼育小屋で飼われているキュートな牛
☆できそこない☆(学園七不思議)
「 見 て ● る よ 」
・い●でも君を見●てい●●るよ

好きなヒロインを好きなだけ攻略してね!
594名無しさん@ピンキー:2011/01/21(金) 14:18:49 ID:nyNAxhEG
>>593
え?14歳?年の割りにすっごいおっぱいですね!
595@15 ◆E9zKH0kZMc :2011/01/22(土) 00:26:20 ID:EGiUJEv1
スレ立て乙です、うめがてらヴァンで小品、ま属性
出来立てほやほやな2400くらい。すごくひどい

  ※深刻なぶちこわしにご注意下さい※
59615 ◆E9zKH0kZMc :2011/01/22(土) 00:26:56 ID:EGiUJEv1
大理石の手すりをよじ登って、廊下を行ったりきたりする子供がいる。年のころは……十歳かそのくらい
だろうか。真っ白な髪をしていて、よれよれになった服に、皮ひもの鞭のようなものと短剣を携えている
ようだ。探索の真似事でもしているのだろうか。身なりや口調からすると、孤児なのかもしれない。少な
くとも、こんな場所に気軽に出入りできる身分ではないと思うのだが、城館の主はつまみ出すような指
示は与えていないらしい。汚い手で調度を触ろうとするたび、腰に投げ縄をぶら下げた若者が襟首を掴
んで制するのだが、たびたび腕を振り切ってはちょこまか歩き回って、下働きの者たちにちょっかいをか
けている。叱ってはいるが顔見知りのようで、時たま楽しげにケラケラ笑い声が上がった。そうこうする
うち、客人の目にも留まったようだった。手すりに抱きつき、ぐねぐねと逆上がりしている子供を見下ろす。
目が合うとそらす者が多いのに、子供は貴公子をじっくりと観察しはじめた。

「やべっ」

「己の顔の傷がどうして付いたか、気になるか?」
「悪さでもして、まどにつっこんだんだろ」
「何訳わかんねえこと言ってんだお前はッ」
「ほらこう、十字のわくのとこに、ガッシャーン!とかさあ」
「んな訳あるか!!」
「イデッ。だって、どうやったらあんな風にケガするんだよ。ほんとひでえもんな、あんたいい男なのに。
いったい何やらかしたんだ?手当てもしてもらえないほどって、こりゃよっぽどだぜ?金持ちそうなのに」
どこからぴしゃんと音がした、止める機を逸した小間使いたちがいっせいに自分のひたいを叩いたらしい。
「ハハハ、己は金持ちだぞ。この国の公子をしているからな。それにしてもいやに具体的だが、もしや
経験でもあるか」
「言っとくけど、おれならそこまで無様なまねはしねえよ、おれはいせき荒らしならな。なっ、あんちゃん」
兄と呼ばれた若者に笑顔を向けるが、その若者も城館の者たちも真っ青な顔で冷や汗を浮かべている。
「でもこの前、どうくつでたきにはまって、まい子になったんだ。てことは、あんま大したもんじゃねーな、
やっぱおれはみじゅくだわ」
「すんません、こいつバカなガキなもんで。ほんとに申し訳ねえっす。おら、あんま失礼なこと喋るんじゃ
ねえ、帰るぞ」
「気にするな。すると貴公らは兄弟か。名はなんと言う」
「おれはヴァンだよ」
「パリスといいます、弟がほんとにすんません」
「あんたどこから来た人?これからここにすむのか?」
「そうだ。己の家は都にあるのだぞ。黒鳥宮は貴公も知っているな?ナザリの王宮だ。己がこちらに来
たのは、遺跡探索を直に監督するためだ。問題が解決するまでの間、しばし逗留することになろう」
「ふーん。かんとくさんなのか。じゃあえらいんだな。だったらなおさら、どうしてそんなケガしたんだよ」
「これはな、己が幼かった頃に、我が親父殿――ネスの大公から、弱さを戒めるために刻まれたのだ」
「とうちゃんが下手人かよ!?ひっでえ」
「ネスは東方守護たる獅子公の血筋。惰弱ならば我が子でも殺す。その覚悟のあかしだ」
「ふうん……かわいそうに」
「いやなんでだよ」
「ぜったいあだ名はミイラ男かマスクマンだったろ。どうやってメシとか食ってたの?」
「なに?」
59715 ◆E9zKH0kZMc :2011/01/22(土) 00:27:30 ID:EGiUJEv1
「だって、神さまんちとこのハゲの坊さんにたのめば、キズなんか残んねえだろ?あんちゃんやあんた
みたいになっちゃうのは、金がないか、いきがってる奴らだけだよ。な?」
な、と同意を求める後ろで耳をそばだてていた侍従が泡を吹いて卒倒するし、丁稚は過呼吸を起こして
いるが、公子自体は愉快で堪らないという様子でくすくすと笑っていた。
「うるせー貧乏で悪かったな!って、いいからとにかく謝れよ、バカ!!」
「イッテ!!なんでぶつんだよさっきから!これ以上バカになったらどうすんだバカ!」
「あんだとお?!」
「ハッハッハッハ、その辺にしておけ。この己の傷を見てそんなことを言い出したのは、貴公が初めてだ。
兄上殿にも顔に傷があるのだな」
「そうだよ、ばさーっとやられて死ぬほど血は出るしほっぺたは穴があいちゃうし、包帯まいたら食えなく
なるし、でも巻かなくってもケガしてるからやっぱ食えないし、熱出してウンウンうなって何日もねこんで、
おれと妹とかあちゃんで一生けんめいかん病したんだ。ほんとひどいよ、ガキなんかどこのだれでもよわ
っちいもんだろ?それをりっぱに育てるのが親ってもんじゃねえか。ほんとにむちゃくちゃなやつだなあ、
あんたんちの親父はよう。ちゃんとかたぎのしょうばいやってるやつなのか?」
ここで執事は事切れた。メイド長が遺言を残したのはすぐ後で、給仕長は包丁片手に辞世の句を詠んで
いた。
「ばか!かたぎもクソもあるかよ!大公だって言ってんだろ、王様だよ王様!」
「うそだあ、そしたらこの人王子さまじゃん。ふけすぎだよ、ひげなんかモジャモジャしてるし。なあ?」
「ほう、王子に髯は不相応か。ではどんな男なら王子に見える」
「そうだなー。つってもおれは昔話でしってるだけだからなー」
一丁前に腕組みなんぞして考え込んでいる。会ったこともないといった独り言をぶつぶついっていたが、
ふいに顔を輝かせる。
「あっそうだ、ひばり亭にいってみなよ。今、いいとこのぼっちゃんがあそびにきてるんだ。妹のこときい
たら、急に泣いちゃってよ、なおすの手伝ってくれるっていってた。とってもかんじのいいやつなんだよ。
な!」
「いわれて見れば確かに、あいつはそんな感じだわな」
「そのような男が貴公の知り合いにいるのか」
「うん。ともだちなんだぜ、いいだろ。たぶん、ああいうのが王子様だよ。あんたはどっちかっていえば、
王様だな」
「ほう、己は王か。何故そう思う」
この時公子はひどくうれしそうだった、ろくな答えが返ってこないことなど、いあわせた殆ど全てのものが
わかっていたことだろうけれど。

「だってあんた、すげえたいどがでけえもん」

――カムールは人事不省になり、こうして城館の者は全滅したのであった。たったひとりの孤児によって。
59815 ◆E9zKH0kZMc :2011/01/22(土) 00:29:19 ID:EGiUJEv1
おわり。なぜか最初のレスのトリに@がついてましたが私です
599名無しさん@ピンキー:2011/01/22(土) 03:13:52 ID:pKI9LQFw
乙です!
相変わらず、シリアスもま属性もトバしてて面白いw
テオルだけま属性きいてないっぽいしwww
600名無しさん@ピンキー:2011/01/22(土) 18:50:16 ID:32HDsLrC
安心の酷さww
601名無しさん@ピンキー:2011/01/23(日) 05:01:59 ID:TjKzQYhp
>>593
カム代先生の娘、キャシ子はアルソ子と十四歳を攻略するとルート解放されるよ
602名無しさん@ピンキー:2011/01/23(日) 12:38:33 ID:rrFIIydv
キャシ子か……

あとランダムイベントで始祖子が夜這いしにくるらしいぜ
603名無しさん@ピンキー:2011/01/23(日) 17:29:56 ID:/lf2c7vG
ある程度エンディング埋めると八世くんから九ちゃん寝とるルート解放されるらしいぞ
それ目標に今はプリンセス子ルートやってんだがマジ難しい
いくら肺活量と技能鍛えても一瞬で吸い尽くされる
604名無しさん@ピンキー:2011/01/23(日) 21:36:43 ID:oJ199I2A
でね☆ろうじょす
年上萌えもしっかり抑えた本作最長老様とはぐくむ介護愛!
ルート攻略後は安部理緒ルートが開放されます

魔女っこリオンちゃん、マジックワンドがなくっちゃ
魔法が使えなくなっちゃうの!?
605名無しさん@ピンキー:2011/01/24(月) 03:59:05 ID:dhIkK6Vg
学園Ruinaの皇帝たちマジ萌えねえ?


☆始祖子☆(銀髪褐色ミステリアス★ガール)
・主人公のカラダを求めて夜這いに来たりしちゃう大胆な子
 一部のルートではぽん奈との百合ん百合んな絡みがあったり、ショタのチュナ左右衛門とにゃんにゃんしたりもするぞ!

☆三世子☆(空気)
・みよこと読む。
 よく一人だけ点呼を忘れられたり名前を間違えられるネタキャラ扱いの女の子

☆四世代☆(図書委員)
・哲学と不老不死についてよく物思いにふけっている、この年頃にはよく居る痛い子

☆八世くん☆(先輩)
・ヤンデレの妹に死ぬほど愛されて眠れないイケメン。
 親衛隊がいる。

☆九ちゃん☆(後輩)
・ヤンデレ妹。何をしようと兄一筋で付け入るスキがない。
 だが八世くんに毒でも盛ればあるいは
 親衛隊と敵対している。

☆十世たん☆(謎の少女)
・お墓で育った、電波入ってる不思議ちゃん。
 時折…いや基本的に、不思議ちゃんじゃすまない破壊活動に出てるけどそれも愛嬌のうち。
 小動物(できそこない)たちと心を通わせることができる。

☆十五世☆(OG)
・ニート。気怠げな怠惰っぷりがセクシー
606名無しさん@ピンキー:2011/01/24(月) 11:00:39 ID:1A8Qv6h3
>>605
ミ余子ちゃんマジタイタス
607名無しさん@ピンキー
しかしサブキャラの出番の多いスレだったな
十四世が大人気になるとは流石に予想外だったが