1 :
う:
●お約束●
1 投下の際は、カップリング(A×B)と特殊な場合は傾向(レイープ、鬼畜など)を事前申告のこと.
見やすいところに『続く』『終わり』等の区切りを入れることを推奨。
基本はsage進行で。
2 エロなしSSはスレ違いです。直接行為がなくてもエロい雰囲気であれば可。
エロい雰囲気というのでもなければ、こっち↓
エロくない作品はこのスレに9
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1199377879/ 3 カップリングや作風など、自分の趣味嗜好に合わないSSに対して、
文句を言うのは止めましょう。
4 鯖に優しい2ch専用ブラウザ導入推奨。人大杉でも閲覧可。
絡みや煽り、荒らしにはスルーの精神で、マターリ
以上です。
天麩羅は気付いたものを変更しましたが、抜けていたら適宜修正おながいします。
>>1 (゚◇゚)ソクイ!
乙であります。感謝感激雨霰であります。
>>1はエライ!であります
こっちにも新作カマーン!
7 :
名無しさん@ピンキー:2010/01/17(日) 02:08:03 ID:DZhFuhpV
前スレ995さんスレ立てて頂き恐悦至極。楽俊ネタ続き落としときました。
嬉しいので引っ張てた素股プレイ落とします。
あ、一つ業務連絡。この場合の陽子って処女?経験済みどちらがいいんだろう。
風俗ネタってより、風俗技なんですけどね・・・。
常世って泡姫御殿(ソ―プランド)はなさそうだしな・・・。
8 :
素股ぷれい1:2010/01/17(日) 02:34:27 ID:DZhFuhpV
「いい加減にしなさいよ!」
いきなりそう怒鳴られ供麒の動きが止まる。
「しゅ・主上・・?」
「『主上?』じゃないわよ!この下手くそ!!」
へ、へたくそ・・・・・
そりゃあ自分でも手管に自信があるわけではない。がしかし。
「ナ・何がいけないのですか・・?」
ほとんど半泣きの供麒の胸をぐいと押す。すべて収まっていたわけでない猛りがずるりと現れた。
「なにがもなにもないわ。はあはあはあはあ動くばかりで私とあんたの体格差わかってる?」
「主上がおちいさいのは存じておりますっ!!」
まだ幼く思春期の入口に立つその肢体に薄布を巻きつけ珠昌は宣告した。
「あんたなんか素股で充分よ!」
前スレとともに投下gjです!うれしいな〜。
陽子はどっちでも話の展開が面白そーです。
ちなみに泡姫はなくとも緑の柱の館でしてそうだw
10 :
素股ぷれい2:2010/01/17(日) 10:33:35 ID:YV3Jaroz
しくしく。そんな擬音が似合う泣き方は女性がしてこそ、美しいのに。
そう思いつつ景麒は目の前の大柄な同族を見る。
冬とはいえ、一国の宮殿、手入れされた庭園は見る者の目を楽しませてくれる。
向かいに座すのがおとこでなければ。
「私はどうしたいいのでしょうか・・・・!」
―知るか。
何故私がそのような相談をされなければならないのだ。第一この麒麟に会うことすら初めて
だというのに。
11 :
↑の誤字発見!:2010/01/17(日) 10:41:06 ID:YV3Jaroz
供麒のせりふの「どうしたいいのでしょうか」→「どうしたらいいのでしょうかです。
すんません・・・・
9さん、確かに緑の柱でならオプションプレイで可能ですね・・。
本番なしだと需要はなさそうだしな・・・。
12 :
素股ぷれい3:2010/01/17(日) 11:05:45 ID:YV3Jaroz
「景台輔にしか相談出来ないのです・・」
ずび、と洟を啜る供麒を厭そうに見やりながら湯呑みに手を伸ばす。
―茶でも飲まなければ―本当ならば酒が良いのだが無いので代用だ。−やってられない。
「景台輔も女王と伽をなさる仲だとか。」
ぶふっ!!
見事な擬音つきで景麒は自国の名産である高級茶を噴き出した。
気管に入った茶に噎せながらも供麒に確認。
「・・・・だ、誰がそれを・・・」
「卓朗君です。」
凡そ悪気などない声音で伝えてくる。
―情報源は延王か・・・!!
心の殺す手帳に彼の王の名を加える。(一応彼も慈悲の生き物です。)
「とても上手くいっていると聞き及んでおります。」
それは、片方の諦めと許容により成り立っているのだ。どちらとは言わないが。
「どのように伽をなさるのでしょうか・・!!」
がっ!と手を掴まれる。大きく骨太な感触が気持悪い。
そのようなことを聞くな。
表情でそう伝えるが鈍い供麒は気づかない。
ちっと麒麟にあるまじき舌打ちが景麒の唇から漏れた。
13 :
素股ぷれい4:2010/01/17(日) 11:21:06 ID:YV3Jaroz
大体、『伽』と言う言い方が気にくわない。
そのような物言いでは身体だけの繋がりだと言われている様ではないか。
冗談ではない。身体だけなどでは断じて―無い。
―ない、はず・だ。
欲望に押され押し倒してなどいないし(偽証です。−被害者Y子さんの証言。)
厭がる唇を無理矢理ふさいだりなどもしていない(これも偽証です―目撃者k翰さんの証言。)
きちんと合意の上で情を交わしているのだ。
おおっ! 次々に投下が〜
いいです。いいです。いきま〜す♪
職人さん、出来ればメール欄にsageを入れてね。
16 :
お教えて頂き感謝:2010/01/17(日) 19:27:03 ID:W3yBs6kR
イエス!マム!
陽子さんは処女でいきま〜す。
そのほうが景麒変態くさいしな。←何だと思ってんでしょうね。一応麒麟なのに・・
でも、変態っぽいんだもの!!
17 :
素股ぷれい5:2010/01/17(日) 19:54:41 ID:W3yBs6kR
ー何よりまだ、本格的に抱いていない。―色々触ったりはするが。
やーい、偽善者〜と泰麒には囃され。
延王と延麒は「いつ、陽子を抱けるか」と、賭を始め。
浩翰は鼻で笑い。
桓魋はいやに優しく視線を投げ。
遠甫は遠慮会釈もなくげらげらと笑いだした。
ー思い出すだに腹が立つ。
大切にしてーは?何が大切ですか?byk王ー何が悪いと言うのだ。そもそも虎嘯など女御に気持を伝えることさえしていないのに
行動を起こした自分が笑われる筋合いなどない。
しかし。
この目の前の麒麟は。
王を抱いていると言うのか。
その顔で、その図体で。
供王は確か御歳十二ではなかったか。
じとりと、供麒を睨む。
―幼児性愛者め・・・・。
景麒は異常者を初めて見たとばかりの態度だが、自分も少女性愛者だと周囲から思われてることに気付いていなかった。
18 :
素股ぷれい5:2010/01/17(日) 20:08:06 ID:W3yBs6kR
「で、私はどうしたらいいのでしょう!」
幼児性愛者が、そう問うてくる。
「どうしたらとは・・?」
ごくりと、唾を飲み込んで供麒は言う。
「素股です。」
はあ?
なんなのだそれは。
「主上がおっしゃられたのです。私は素股で充分だと。」
ではそれでいいではないか。そう思う。
「しかし、私は寡聞ながら『素股』とやらを知らないのです。」
私とて知らない。とは矜持が高い景麒は言い出せなかった。
「ご教授下さい!!景台輔!!!!」
その夜、金波宮から、庭の鸞が飛び立った。
19 :
素股ぷれい6:2010/01/17(日) 21:47:17 ID:Q7Dl/05v
ー莫っ迦じゃなかろうか。
真面目な顔で何やら読んでいた景麒の持つ本の内容を聞いて陽子は心からそう思った。
延王から下賜されたというそれは蓬莱で二十冊以上巻数を重ねる青年向けの漫画だった。
ーいやらしい内容の。
ー今時の少女漫画のが凄い内容なのだが陽子は読んだ事がないのでこのさい、割愛。−
「で、何でそんなもの読んでるんだ。」
「後学の為です。」
それより、そもそも蓬莱の文字など読めないくせに。
「絵で理解しろとのことです。」
ーどいつもこいつも莫迦ばっかりだ。
蓬莱のお父さんお母さん、陽子の彼氏はこんなんです・・・・。
冷静に考えると何故こいつが好きなのか自分でも良くわからない。
―私趣味悪いの・・・か?
20 :
素股ぷれい7[sage]:2010/01/17(日) 22:13:04 ID:Q7Dl/05v
ぱさり。
冊子を書机の上に置き景麒が真剣な表情で陽子を見る。
「な・なに。」
ふうと息を吐いて一言。
「試してみませんか」
ナニヲタメスンデスカ・・・・・・・
「これです。」
見せられた頁には。
裸の男女が。
男のアレが。
女の太ももの間を。
ー行ったり来たり。
がくりと膝を床に落として心底思う。
ーもう本当に厭だ。
「どうですか、主上。」
死んでいただきたい。
真面目な顔して声も冷静なくせになんて提案をするのだ。
「い」
厭だと伝える前に。
耳元で景麒が囁いた。
「どうですか、陽子。」
狡い。
そう自分に呼ばれるのが弱いと知っていて囁くなんて。
「厭ですか・・?」
最後までするのはまだ怖いと散々またせてるのだ。
景麒だって辛いだろうと思う。蓬莱の友人で「やらしてくれないなら終わり」と振られた子がいたのを
思い出す。
手とか口でしてやれと祥瓊は言うが恥ずかしいし方法が分からない。
脚の間に挟むだけ。
何度か口の中でだけそう呟き。
ぽそりと。
景麒にだけ見せる顔で。
景麒にだけ聞かせる声で。
了解を伝えた。
投下おつおつ!!!
続きたのしみにしてまっす!!
22 :
素股ぷれい[sage]:2010/01/18(月) 01:14:53 ID:kWpGETiZ
おかしい・・お笑いノリなはずなのに・・微妙に少女漫画だ・・15年位前の・・
〜続き行きます。
sageてないよ!sageてないよ!ww
24 :
素股ぷれい8[sage]:2010/01/18(月) 01:35:08 ID:kWpGETiZ
了解を得たとは言え「素股」とやらの所作が今一分からない。
どうすれば良いのか。
教本である「漫画」とやらではさくさくと行為が進行していたが、こちらはそう上手くいくはずもない。
ちらりと陽子を見れば妙に真面目な表情だ。「不退転の決意」そのような感じの。
まず、お互い裸になる必要があるようだ。しかしそれ事態が高い壁。
裸になれと頼んだ所で了承されるかが怪しい上、下手をしたら泣かれる恐れがある。
泣かれたら大変なのだ。
祥瓊には殴られるだろうし、浩翰からは一月主上に近付くのを禁止される。
断じて泣かせるわけにはいかない。
(まあ、泣き顔も可愛いいのだが。)
さて、どうするか。
無表情なので外からは分からないが、数秒の間に景麒はそう思案する。
25 :
素股ぷれい:2010/01/18(月) 01:51:44 ID:v1nYSnb4
こう?
26 :
素股ぷれい:2010/01/18(月) 01:54:01 ID:v1nYSnb4
こうか?
27 :
素股ぷれい:2010/01/18(月) 01:55:46 ID:v1nYSnb4
メール欄だと[sage]て入らん・・・
28 :
素股ぷれい:2010/01/18(月) 01:57:18 ID:v1nYSnb4
わかんねえ・・・
31 :
素股ぷれい:2010/01/18(月) 02:17:33 ID:v1nYSnb4
おおう・・・何か有難うございます・・。
このスレの人達やさしいなあ・・・。人生捨てたもんじゃないね・・。
嬉しいので続きいきます!
32 :
素股ぷれい9:2010/01/18(月) 02:42:36 ID:v1nYSnb4
教本をもう一度見る。何やら湯殿で致しているらしいのがわかったが、何の解決にも
ならない。
一緒に湯浴みなど女仙としかしたことがない。
『主上、湯殿に入りましょう。』
そんなこと、言えるか。子供では無いのだ。本当は言ってみたいが、金波宮でそのようなことを言ったが最後捩じり切られる。
(何を?とか良い子は聞いてはいけません。ー芥湖ー)
「景麒?」
恐る恐る陽子は問う。
先ほどから、何やら悩んでいるようだ。
「どうした・・・?」
「・・・いえ。」
何でもないわけないだろう。
多分『素股』とやらの方法が分からないのだろうーだったらやるなとのつっこみは今の状況の陽子には無かったー。
我慢させたのだから、『素股』位はやらしてあげるべき!
変なところまで生真面目な性格のせいで、何やら可笑しな思考に陥っていることに陽子は気付いていなかった。
景麒の持つ漫画をちらと見る。
―裸。だ。
きゅ、と景麒の長袍の袖を掴む。
「主上・・?」
「・・・・脱げば・いいの?」
>>1 (~)
γ´⌒`ヽ
{i:i:i:i:i:i:i:i:}
ノ⌒マ ( ´・ω・)
<´ ノ ``と ) _,,..,,,,_
ヽ ィ'´人__j ./ -ω-ヽ
ー'´ し'⌒ J l l
`'ー---‐´
(~)
γ´⌒`ヽ 〃
{i:i:i:i:i:i:i:i:} / ノノ
( ´・ω・)う..,__ ダラララララ
( つ Y'´ `ヽ
./__人 .ソ ノ j i .ム
し'⌒ /__j_,、 _ _、ゝ
(~)
γ´⌒`ヽ
{i:i:i:i:i:i:i:i:} ハイッ
( ´・ω・)う、_,へ
/つ<⌒''´ ,ヽ、
∠ /゚ \ 丶 ヽ、 `7 ノノ
し'⌒い `ー ⌒''ー''´
______
|
>>1乙 |
.  ̄ ̄_,,.∩, ̄ ̄
./ ,' 3 `ヽーっ
l ⊃ ⌒_つ
`'ー---‐'''''"
33さん、AA可愛い。
なかなか、プレイに入らない二人・・・
店でなら、簡単なんだろうに・・。
そもそもの疑問、「恋人同士って素股すんのか?」
35 :
名無しさん@ピンキー:2010/01/18(月) 14:02:41 ID:5YVLJAA6
やばいとんでもないスレを見つけちまった
36 :
素股ぷれい10:2010/01/18(月) 14:22:57 ID:6b2FBUOb
広い王宮手入れは行き届いているが人気のない房室などいくらでもある。
一応男の面子として自宅ーと言うのも変だがーである仁重殿にと陽子を景麒は誘う。
その場の雰囲気で、というのは幾度かあるが了承を得てからと言うのは初めてだ。
柄にもなく、緊張しつつー表情にはでてないがー搨に腰を降ろす。
一方こちらは傍目からみても明らかに緊張しているのが分かる陽子。
心臓が早鐘を打つ。
頬が熱を持っていく。
掌に汗が滲む。
(ぬ、脱げばいいんだ・・・)
とは、思うもののおいそれと出来るものではなく。
大体鈴や他の女御に着替えさせて貰うことさえ恥ずかしいのに。
震える指で官服の腰帯を握る。
「・・え?」
帯に触れる指に重なる白く大きな手。
「−私が。」
「・・・・・・・うん・・」
内心ほっとしたが、逆にこのほうが恥ずかしいのだとはまだ陽子は知らなかった。
しゅる、と布の擦れる音。
袷の間から冬の冷たい空気が侵入してきてびくりと身体が震える。
幾枚かの布を景麒の指が剥がしてゆく。
(・・どうしよう・・・)
蓬莱でなら勝負下着というものが在るし―持ってはいなかったがー可愛いい意匠の下着は幾つも持っていたが
こちらのそれは、色気も素気もない衫のみ。
色くらいは何色も揃えられていたが、今日のはただの白。
こうなるとわかっていたらもっと違うものを纏ったのに・・!今更ながら、簡素な服装を好んだ自分に腹が立つ。
「主上・・?」
景麒の声に我に返る。
「あ・あ・ごめん・・」
何故謝るのか。視線でそう問いてくる。
「え・と・あの・・」
目を見ていられなくて泳がした視線で自分の身体を見降ろす。
―白い衫から見え隠れする日に灼けた肌。
に、直接触れる景麒の手。
身体が一気に熱くなる。
服の上から触られるだけでも恥ずかしいのに、これは何だ。
ただ、触れているそれだけのことなのに、人の体温を肌で感じるとはこんなことなのかと、学習する。
「・・景、麒。」
「はい」
どうしよう。言ってもいいものなのか。しばし、逡巡する。
いやらしいと思われたくないけど。
紅い顔で。潤んだ瞳で。
伝える。
「キス、して・・?」
37 :
素股ぷれい11:2010/01/18(月) 15:09:11 ID:6b2FBUOb
陽子の願いどうりに景麒は唇に近づいた。
一体どうしたと言うのだろう。今まで接吻を強請られることなどなかったのに。
柔らかな頬を掌で包み瑞々しい唇に己の唇で触れる。
愛しい相手の望みを叶えるとはこんなにも喜ばしいことなのかと初めて知る。
幾度か、啄む様に接吻を続けると緩く閉じられていた唇が微かに開く。
する、と舌を滑り込ませた。
「・・っく・・」
慣れぬ感触に逃げようとする身体を抱きよせもっと深く唇を合わせる。
歯列を舌でなぞり、戸惑う舌を絡め取り吸う。
「んんんっ・・」
漏れる息まで、逃がさじと追い続ける。
僅かに呼吸の為に唇を離す時間さえ惜しい。
再び角度を変え唇を奪う。
ーこれ以上は耐えられない。
38 :
素股ぷれい12:2010/01/18(月) 15:32:08 ID:6b2FBUOb
荒く息を付く陽子の胸が大きく上下していた。
服の上からでは知ることの出来ない色と匂い。まだ成熟には遠いが子供という
ほどではない。
首筋から、鎖骨へと指で辿り目的の膨らみへと辿りつく。
大きいというわけではない、寧ろ可成控えめだろう。
視線に気づき恥ずかしいのか、腕で隠そうとする。
「駄目です。」
やんわりと、その行動を阻む。
「え・・で・でも『素股』なんだろ・・?」
素股なら、胸触る必要は無いのではないか。
「その様なことはありません。」
「なんで?」
「視覚効果というものが必要です。」
何もことに到ることだけが重要なのではないと力説された。
「好いた相手だからこそすべて知りたいのです。」
恥ずかしそうに嬉しそうに笑いながら陽子は答えた。
「・・・そゆこと真顔で言うなよ。」
39 :
素股ぷれい13:2010/01/18(月) 16:30:07 ID:XLltebL5
景麒の片手に収まりそうなほどの膨らみが外気に触れる。冷たい空気に触れて頂が立ち上がる。
「どうしました?」
くつりと笑いながら問う。
「さ、寒くて・・」
・・・・では、温めて差し上げる。
低くそう呟くと陽子の桜色の頂に唇を寄せた。
「ええ?!ちょっと!」
驚く陽子の声を聞きながら、唇で頂を軽く食む。
「ひゃっ・・・」
上げる声まで可愛らしい。
舌先でちろりと舐め上げると息を飲む音が聞こえた。
包み込む様に舌で遊んでいない側の胸を掌で揉みあげる。
「やっ・・・んっ・・」
優しくそちらの頂を爪で撫で、舌を這わしたこちらの頂を軽く吸う。
「い・・たっ・・!」
―刺激が強すぎるのだろうか。と考え、唇を離す。
「痛いのですか。」
「・・・うん・・ごめん・・」
俯く顔は灯りに照らされ儚な気な輪郭を見せる。
「では、こちらですね。」
見せたことの無い笑顔で景麒は陽子に笑いかけ手を胸から、細腰へとずらした。
おおっ! GJ!!!であります。更に続きをキボンヌ
毎日楽しみですw
test
今日職人さんこないなと思ったら、また規制増えてるっぽ。
延王×陽子を書いてみました
甘めな感じです
45 :
延×陽@:2010/01/20(水) 03:19:42 ID:vNrg44NN
「・・・っん・・・あ・・・っ」
胸の頂きを強く吸われて、甘い声が部屋に響く
長椅子に座った男の膝の上に跨がされて、体中を愛撫される
「あ・・・っ、ダメ・・・です…延王・・・!」
「何がダメなんだ?身体はこんなに正直なのに」
露があふれ出る泉を指で強くかき回され、一層大きな声が上がる
「あああ・・・!んっ・・・あ!!」
その声に押されるように、指の数を増やしていく
熟れた真珠を親指で転がすことも忘れない
「あ・・っ…んんっっ…!」
言葉とは裏腹に、陽子の体は熱を上げていく
「ああ!・・・ん、だめ・・・・・・もし誰かがきたら・・・っ、景麒に見られたら・・・!」
その男の訪問は突然だった。
場所は金波宮の奥、宮の主の臥室で、陽子が今日終わらなかった書類と
机に向かっている時、突然後ろの窓が開いた。
初冬の冷たい夜風と共に男が部屋に入り込む。
「・・・な、え、延王・・・!?どうしてここに・・・」
「どうしてだと思う?」
驚きで立ち上がったまま固まった陽子に、尚隆は笑って答えた。
「もう三ヶ月だぞ。これ以上は我慢できぬ」
お互い忙しい王の身で、逢瀬を重ねるのは困難だった
なんとか月に一回は会えるようにと調整してきたが、柳の国が傾き、巧が目も当てられないほど酷く荒れ
ていく現状で、日々忙しくなっていく。
更に慶では二度目の諸官の整理が行われようとしていた。
他の女を抱いても満たされなくなった尚隆には苦難の日々だった。
どうやら慶も落ち着いたようだと聞いた途端、騶虞に乗って玄英宮を飛び出していた。
固まってる陽子に近づき、深く口付ける
「・・・う・・・んっ・・・あ・・・」
舌を絡ませて、唾液が交じり合う
息をする暇もないほど攻め立てられて、陽子の身体が震える
ようやく解放されたときには力が抜け、崩れ落ちる腰をがっしりとした腕で支えられた
「・・・はぁ、はぁ・・・・・・・私も会いたかった・・・でも」
ここは、金波宮。鍵もかかってない臥室。
いつもは玄英宮か関弓の大きな宿で交わされていた逢瀬。
こんなところで・・・
「すまないが我慢できない」
そうして近くの長椅子に押し倒された
46 :
延×陽A:2010/01/20(水) 03:21:10 ID:vNrg44NN
我慢していたのは陽子も同じで、一度火をつけられてしまえば、もう身体の熱は鎮まるはずもなかった
何度も舐め上げられる胸の飾り、もう片方の胸は激しくもまれ、陽子は声を我慢できない
「・・・あっ、んうっ・・・!」
泉に沈められた指は陽子の感じるところを確実に攻め、溢れた蜜でくちゅくちゅと淫らな音が響く
「ああっ・・・いやっ・・・あ…っ」
「こんなに濡らして・・・陽子はいやらしいな」
「あっ・・それは、延王・・・が…っ」
「尚隆と呼べと言っただろう」
そうして熟れた真珠を強く指で擦られて、陽子は背を反らせて達した
「あああああ・・・!!!!」
ぐたりと尚隆の肩にもたれかかり、荒い息を吐く
「・・・はぁ、はぁ・・・尚隆・・・だめです・・・誰かが来たら・・・」
「まだ言うか。見たいやつには見せておけばいいだろう」
くつりと笑いながら、尚隆は自分の猛りを取り出し、
向かい合わせに座った陽子の腰を持ち上げて、ゆっくりと沈めていく
「は・・・っ、・・・・・ああ・・っっ」
達したばかりの身体に侵入する熱いものに、身体が震えた
自分の体重で奥まで貫かれて、息を呑む
そのまま激しく揺さぶられて、かき回される
「ああっ、あああ!!んんっっ・・・!」
強い締め付けに尚隆はすぐにも出したくなるのを我慢する
「よう・・・こ・・・っ」
お互いの唇を貪り、腰の動きを早めていく
「んん・・・っ!うっ・・・んむっ・・・」
唇を放すと同時に、熱いものが陽子に注がれた
「ああっ、ああああ!!」
47 :
延×陽C:2010/01/20(水) 03:21:45 ID:vNrg44NN
昇りつめた快感と合わさって、なんともいえない幸福感に包まれる
そのまましばらく息を整えながら抱き合う
「…尚隆・・・ずっとこうしたかった」
「俺もだ」
「会いたかったよ」
「ああ」
優しい口付けを交わしながら、陽子は体内の熱がまた堅さを取り戻すのを感じた
「…あっ」
にやりと笑って尚隆は陽子を膝から下ろし、長椅子の上にうつ伏せにさせる
「あ・・っだめっ」
後ろから一気に貫いた
「あああ!!」
そのまま激しく腰を打ち付けられ、ぐちゅぐちゅとくぐもった水音が響いた
「ああっ、んん・・・っ・・・!」
三ヶ月も我慢して、一回で済むわけが無かったのだ
「あ・・・っああ!」
陽子の腰を支えていた手が前へ回り、胸をもみしだく
頂きをぎゅっと摘んで転がせば、締め付けが素直に答える
「・・・んっ・・・あっ、あああ・・・!!」
「くっ・・・」
奥の奥まで差し込んで、二度目の精を放った
「はぁはぁ・・・」
尚隆はずるりと己自身を引き抜き、陽子の身体を起こして抱きしめる
「やはり陽子とするのは良いな・・・」
耳元で囁かれ、喜ぶと同時に何かひっかかる言葉に陽子の脳みそが回りだす
「尚隆・・・・・・他の女(ひと)と寝たの…?」
「ああ」
なんの悪気もないように頷く尚隆に、陽子の頬が怒りで染まる
「そんな…・・・!!」
「だが、やはり陽子でないと満足できなかった。だから来たんだ」
ストレートに言われて、嬉しさで固まる陽子に尚隆は笑う
「お前じゃなきゃ駄目なんだ」
嫉妬の怒りもどこへやら、ここまで言われては顔を真っ赤にして
口をパクパクするしかない
尚隆はそんな様子を満足げに見ながら
再び深く口付けていった――。
<了>
48 :
44:2010/01/20(水) 03:24:20 ID:vNrg44NN
>>47のタイトルは
「延×陽C」→「延×陽B」の間違いです
すいません
gj!ありがとうっす!
おおっ! GJ!であります。感謝感激雨霰でございます
エカッタ〜♪
51 :
名無しさん@ピンキー:2010/01/20(水) 22:47:35 ID:jlMX90CD
ありがとうございます。ありがとうございます。
久しぶりにこのスレに来たら、小説がたくさん投稿されていて感激しました
作家さんありがとうございました。
規制解除までほしゅしゅ。
規制解除ほしゅ。
ふと思ったんだけど
延王と氾王って犬猿の中だけど間に陽子を挟んだら
色々と仲良く出来そうな気がするんだ
趣味嗜好が大きく異なるだけで別に犬猿の仲ではなかろう。
延王の方は延麒に天敵と断言された位だから氾王を「苦手」かもしれないが
それでもいがみ合う訳じゃない。以外と仲は悪くない気がする。
3Pか…と思った自分はry
泰麒捜索時、慶の一室を占拠した氾王が陽子を気に入り手を出したところにタイミングよく延王登場
「・・・他国に来てまで摘み食いとは趣味が悪いぞ」
「おや、人の事が言えた口かえ?」
「お前には言われたくない。こいつは返してもらうぞ」
「お待ち、それでは私が面白くない。ここは陽子にどちらがよいか決めてもらう、というのはどうじゃ?」ニヤッ
「いいだろう、後悔しても知らぬぞ」ニヤニヤ
「ほう、その自信がどれ程のものか見ものじゃな」ニヤニヤ
「お二人ともお止めくだし、あ、あんっ」
とか・・・
と言いながら二人とも前後、上下で責め続けw
規制長・・・
うおおお・・・・久々に来たら規制解除・・?
今のうちに続き落とすしか・・!
61 :
素股ぷれい14:2010/01/28(木) 02:36:10 ID:xfn5i8EE
「こちら・・?」
怪訝そうに問い返す陽子に対して思わず溜息が出た。
「何だよ。」
今私ムカついたんですけど〜?そんな表情で景麒を睨みつける。
「・・・・・いえ・・・。」
いい加減に少しはこの手の話題を学習して頂きたいと思う。側近くに仕える女史などはあんなにも・・・・なのに何故この人は
こうも疎いのだ。直接ずばりと言えと言うのか。延王でもあるまいに。
「だっ、大体な!」
景麒の手からするりと抜け出し陽子は放られたままの漫画を手に取った。
「『素股』ってなんかこういう作法でするものじゃあないんじゃないのか?」
素股に作法なんて求めるのは可笑しいのでは・・・そう思うが口に出さない景麒。
ー何やら方向性が変わってきている・・・。
「ほら!
やっぱり違うじゃないか。」
「何がです。」
「ちゃんと書いてあるだろ。」
「私が蓬莱の文字を読めないのはご存じでしょう。」
「人には勉強しろって五月蠅いくせに・・・ま、いいや。それでここ。」
「ここ・・?」
指さす絵は手に何か筒を持つ女。
「これが・・?」
「ローションを使うんだって。」
ーろおしょん・・?
62 :
素股ぷれい15:2010/01/28(木) 03:03:17 ID:xfn5i8EE
「・・・・・・ろおしょんとは・・?」
「とはって・・」
言われてみれば、なんと伝えれば良いものやら。
基礎化粧品・・・?
赤ちゃんのお風呂あがりに肌につけるやつ・・?
「透明で、」
「透明で?」
「少し粘り気のある、」
「少し粘り気のある?」
「肌に触れても害のない液体。」
ー何だ、それでは。
ぐいと陽子の腕を引き自分の脚の間に座らせた。
「な、ナニ?」
「ろおしょんが必要なのでしょう・・?」
「・・そうみたいだけど・・」
「ではこちらで。」
緩んでいる両脚の付け根に指を這わす。
「―っ?!」
予定外の景麒の行動に反応が遅れた。
ゆっくりと指が秘裂を撫でる。
「・・・や、やだ・・」
「ろおしょんは、」
言いながらも指は優しく陽子を愛で続けている。
「・・やめて・・」
蚊の鳴く様な声で停止を求められてはいそうですかと出来るものではない。
それに。
「主上に出して頂かないと。」
触れている身体の体温が一気に高くなったのが分かり笑いが漏れそうになる。
「だだだだだだしてっ?!」
「はい。その様な面妖な液体はこちらには御座いませんので。」
―確かに無さそうだけれど・・・
「ですので。」
指が更に優しく強く触れ出す。
63 :
素股ぷれい15:2010/01/28(木) 04:07:36 ID:xfn5i8EE
こんな風に誰かに触れられたことなんてない。
これは当たり前のこと?
皆していること?嘘だ。こんなに恥ずかしいのに。
景麒の指が動く度水音が房内に響く。
直接なかを触られているわけでもないのに蜜がとろとろと溢れ出す。
(・・・・・なんで・・?)
自分でだってあまり触ることの無い場所なのに何故他人が触れているんだろうか。
くちゅ、と音が鳴る。
「・・・・・っ。」
恥ずかしいのに。なんで、本気でやめろと自分は言わないのか分からない。
指に纏わりつく蜜に欲望が刺激される。
声を出さずに―と言うよりも出し方を知らないのだろう。―震える陽子をすぐにでも自分の物に
してしまいたい。
しかしそれでは駄目だ。きちんと優しく段階を踏まねば今までの努力が水泡に帰す。
64 :
素股ぷれい17:2010/01/28(木) 04:34:45 ID:xfn5i8EE
時間を掛けて触れていたせいか押し当てた指がゆっくりと飲み込まれてゆく。
「〜っ!や・・」
小さく啼く陽子の耳に唇で甘く触れる。
「・・・ん・・」
「・・本当に・・厭ですか・・?」
ぴくりと反応した陽子の手が景麒の袍を握る。
「だ、だって・・」
「はい。」
「―触られるの・・・恥ずかしいんだ・・」
では、良いのだと解釈する。
途中で侵入を止めていた指を奥に進めた。まだ誰も踏み入ったことのないそこは想像以上にキツく熱い。
「ひうっ!」
驚いたのか陽子が声を上げた。
―なんて声を出すんだ。と思った。我ながら。
こんな、高く、甘い。
―なんて声を出されるのか。
こんなにも、高く甘い嬌声。
もっと聞かせて貰えないだろうか。
そう考えながら、指を動かす。奥まで届いたソレを入口近くまで戻す。
「あ・・やっ・・」
ああ、また、啼いてくれた。くつくつと笑いながら景麒は指の動きを繰り返す。
65 :
素股ぷれい18:2010/01/28(木) 05:07:29 ID:xfn5i8EE
息が短く漏れて鼻にかかった声が出る。景麒の顔が見れない。
先ほどから聞こえるのは自分の声と淫らな水音。動く景麒の指に合わせてくちゅくちゅと響く。
「んっ・・・・ふ・・」
もう、なんか、わけわかんない。
どうしてこんな声が出るのかも、なんでこんなことしてるのかも。
溢れた蜜は搨の上の絹の敷布にも浸みているだろうか。
(明日なんて言いわけするのかな・・)
押し寄せる感覚に翻弄されながらもついそんなことを考える。
(そろそろ頃合いだろうか。)
秘唇の感触をもう少し楽しみたいがこちらもそう我慢が効くわけではない。
何しろやっと肌に直接触れられたのだから。
(アンタ正丁前じゃないでしょうに・・・・ー班渠ー)
「・・・・良いでしょうか・・?」
「・・・・・・・ぇ?」
ぼうっとした頭で考える。
―なんでこんなことしてるんだっけ・・・・
「あ”」
そうだ、たしか、素股とか・・・
「どどど」
「どどど・・?」
「どうぞっ?!」
―何がどうぞか。莫迦か私。
真っ赤になった陽子の顎を持ち上げて景麒は軽く接物を額に落とす。
「・・・・景・・麒・・?」
「可愛いですよ、陽子。」
66 :
素股ぷれい19:2010/01/28(木) 05:38:46 ID:xfn5i8EE
初めて見るそれは記憶にある父や祖父、従兄弟のものとは全然違う。ついでに桂桂のとも違う。
(そんな顔してこんなの付いてるのか・・)
「なんです。」
憮然として景麒が問うが言えるわけがない。
「・・何でもない・・」
「あの絵の様に動いて頂くのは些か問題ですので。」
「は?」
ひょいと陽子の身体を抱えて後ろから抱き締めるように自分の脚の上に降ろす。
「え、あの。」
「そのまま。」
景麒がそのまま脚を崩すと陽子の脚も同じ様に崩れた。
くいと脚を腰の方へと引かれ、すとん、と景麒の両脚の隙間に身体が落ちた。
ぴとり。
と陽子の秘唇に当たる熱を持った猛り。
(ええええええええええ!?)
あまりのことに声も出ない。
脚の間に挟むのじゃないのか、何してんだこいつは!
とは思うものの驚きのあまり声が出ない。
後ろから陽子の腰に回した腕に力を込める。その刺激で秘唇が猛りを挟む。
「やうっ・・」
漏れた声を了承と取ったのかゆっくりと景麒が腰を動かし出した。
67 :
素股ぷれい20:2010/01/28(木) 06:15:52 ID:xfn5i8EE
音が、する。
にちゃにちゃと肉と肉の擦れる音が。
挟まれた猛りは蜜に濡れ。
蜜の生まれる秘唇は淫らに光る。
(・・へんだよ・・こんなの・・)
まだちゃんとしたわけでもないのにこういう特殊な方法はありなのか?
今更ながらにそう思うが触れあう肌は心地よく掛かる吐息は熱く。
何より、後ろから自分に触れる景麒は愛しく―可愛い。
(私の身体なんかで興奮してくれてる・・)
祥瓊の様に胸が大きいわけではないし鈴の様に華奢なわけでもないし廉麟の様にたおやかなわけでもない。
こっそりとある劣等感が消える様な気がする。
(・・・これはこれで良いのだが・・)
腰を緩急つけ動かしつつも景麒は思考した。
この様な情の交わし方などしたことなどなかったし、大層悦くもあるが。
陽子の声や反応、汗や匂いそすべても心地良く僥倖でさえある。
―が!
これで最後までなのだろうか?!
出来ないこともない、出来ないこともないがそれは、かなり
地獄だ。
ぴたりと景麒の動きが止まり不思議そうに陽子は問いかけた。
「・・・・景麒・・・・?あの・・」
低い聞こえるか聞こえないか位の呟き。
「・・・・・・ですか」
「ですか?」
後ろに振り返り聞き返す。
「ですから」
「うん?」
「侵入ってもよろしいでしょうか」
何だって・・・・・・?
たっぷり二分かかって今聞いた言葉が脳に届いた。
はいる?はいるって・・・・
「だ、駄目!!」
68 :
素股ぷれい21:2010/01/28(木) 06:45:36 ID:xfn5i8EE
「無体な!」
「何が無体だよ!莫迦!」
「無体でしょう!このままでいろとおっしゃるのか!」
「しらないよ!自分で頑張れば?!」
貞操の危機の女と、欲に駆られた男と。
どちらが悪いわけでも無いだろうが。
しかし蜜着したまま言い合いを続けた陽子の方が些か分が悪かった。
ぐいと景麒の手が陽子の背中を押す。
「え、なに??」
搨に上半身が倒れこむ。
(ちょっとまて!これって・・・・?!)
所謂これは。
いやそれよりも無理矢理って言わないかこれ!!
「ヤダったら!いい加減にしろ!」
「そちらこそ焦らすのはいい加減にして頂きたい!」
「逆ギレかよ!」
ぎゃあぎゃあと怒鳴り合う二人は房室の扉の外の声に気づいていなかった。
「うちの莫迦が間抜けな質問をしたので」
すって?悪かったわね。
そう続け様とした供王珠晶は、見事なまでの素早さと操作力で沓を脱ぎ振りかぶる景麒の顔面に投げつけた。
「麒って言うのは何処もこれしか考えらんないの!!??」
まだ解除中?
展開こうきたかww続きwktk!
71 :
素股ぷれい22:2010/01/28(木) 20:20:08 ID:JlKq7Jrc
黄金の右。
意識を手放す前の景麒が最後に見たのがそれだった。
「この国の警備体制甘過ぎるわ!」
慶国冢宰を睨みつけて十二歳女子は声を荒げた。
「−返す言葉も御座いません。」
「当たり前よ!あのね女にとって何が大事って雰囲気なのよ!?
それが何?半分強姦みたいなものじゃない!!」
―事実そうなのだが、何故台輔の情交の所作まで私が責められなければいけな
いのだ。
「兎に角ね、景王は暫くうちで預かります。」
「−は?」
理解力の無い子供に対する教師の様な顔で浩翰に諭す。
「あんな状況人に見られて平気で日常に戻れると思うの?」
それはそうだろうが。
大声を上げて人を呼び付けたのは他ならぬこの娘だと言うのに。
王と台輔が恋仲だと知ってはいても具体的にどうだと分かっていたわけではない。
しかも陽子は王であることを抜かしても妹弟子で身内の様な感覚だのに。
「ああそうそう。」
くるりと振り返り珠晶。
「供麒は置いてくわ。元はと言えばあの莫迦のせいだし。
至急の仕事が出たら持たせるといいわ。それ以外でもげこき使ってやって頂戴。」
ひらひらと手を振り正殿へと向かう。
一人残された浩翰は小さく呟く。
「あれが、九十年続く王か・・」
「金持ちお嬢はおかえりになられまして?」
横から現れた女史に状況を尋ねた。
「罪人は・・?」
「太師宅にて大木女御に正座させられてます。」
事態発覚より四刻は立つ。意識回復からは三刻。それはいい仕置きだろう。
「冢宰さま・・?」
「なんだ?」
「まさかこれで、許したりなどしませんわね・・?」
「−孫女史。
私がそれほど甘い男だと・・?」
くつりと二人は笑い合う。
「生爪でも剥がす、と言うのは?」
「それは素敵。」
決局二人にとって大切なのは陽子であって景麒ではない。
「二、三枚剥がしたところで死ぬわけでなし。」
「そうですわね。」
―三月ほどして恭を訪れた延王が興奮した面持ちで慶にこう報告したと言う。
『恭の妓楼の素股遊戯とやらは良いぞ!』
と―。
目を逸らし小し歪な右手の爪をそっと隠した景麒をそれは冷やかな目で見据える浩翰と
頬を赤くして話題を変えた陽子を訝しげに見ていた延王が事実を知り爆笑するまであと一月。〜終〜
長々とスレ汚し失礼しました・・。誤字脱字も多くすみません。
今度はシリアスに初体験か―!?
と、言うわけでどなたか『いけない!李斎先生❤』書いて下さいな。
mjで爪やられたんか…wともかくgj
ですた!
キタァ〜!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
素股ぷれいの続きキタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!!!!
とっても萌えました、陽子かわいいw
景麒カワイソスww
ID:JlKq7Jrc
いいですなぁ〜 感謝であります
やっと規制解除。保守
ほしゅなり。
規制が長くて禅譲なり。
ありゃ、書き込めた・・。
規制解除は、いつまでなのか・・。関係ないけど、過去ログみてたら、六×陽って意外に需要あるんだなと、実感。
純愛系キャラなのか・?
テクはあるけど優しい年下男子。←美味しいな、六太!
ついでに浩瀚は鬼畜なのか・・・優しい小父さま系だと思ってたのは俺だけか・・
>>80 二次の浩瀚は、文章もイラスト&漫画も、結構幅がある御仁って印象だなあ
鬼畜からダンディなおじさままで色々だし、絵柄の違いじゃ片付かない差異が一番出てる感じ
いろんなサイト回ってみると浩瀚、小松は経験豊富で、景麒はそのサイトにより経験なしだったり。
楽俊は童貞が基本で泰麒は黒のが多い傾向。
でも上手な人って文章にするの難しいと思うのですが・・・
何が言いたいかと言うと!
バレンタインだし浩×陽落としたいのに上手くいかないと言う次第・・。
それでこっそり「いけない!李斎先生❤」シチュ。
〜舞台は泰国白圭宮。
七年ぶりに帰還した台輔は何か色々あって落ち込んでいましたとさ。
「・・・・台輔・・」
柱の影から見守るのは泰麒付きの太師に出世(?)した李斎。
遠くからでも分かる位深い溜息を吐く泰麒。
王からも台輔を公私に渡り支えてくれと頼まれている李斎。
「・・・帰りたいな・・・・」
ぽつりと零された本音。
(た、た、台輔〜!?)
泰麒が帰りたがる場所など蓬莱位しか知らない。
しかし、帰られては困る!
泰麒蓬莱に帰還→王またいなくなる(?)→戴国またもや大危機!→各国に再び迷惑かける→
色々→台輔自殺!!
ルナ先生的思考でそこまで考えた李斎。
「こうなったら・・・・!!」
微妙にエロい方法で泰麒に式典の作法とか教える李斎先生でした。
みたいなノリなら簡単なんですが・・・
よくわからんけど面白そう!w
続きキボンヌ!
昔のエロコメ漫画ネタなのです・・・。
二十年位前の・・。何でも悲観的に捉える家庭教師の先生と高校生男子の軽いエロ。
でもこのノリだと泰麒らしくなくなるので落とすのは自主規制。
明日も書き込めると良いなあ・・。
こっそり(あるか知らんが)温泉で景×陽初Hとか書いたりしたい・・・。
おおっ!待っておりますぞ
その漫画タイトルだけは昔よく見てたよwww
温泉ネタ楽しみにしてますw
Wakuwaku Tekateka
「温泉?」
いつもの時間、いつもの政務の合間の休憩時間。
向かいに座す浩瀚がぽつりとその単語を漏らしたのを陽子は聞き逃さなかった。
「ええ、泰台輔から内々にと書簡を頂きました。」
「高里くんから?」
「戴で枯れていた温泉が再び湧いたとかで。」
温泉・・・
魅惑の言葉だ。ただでさえ寒いこの季節。身体を芯から温められるなんて最高じゃないか。
いつか自分で稼げるようになったら温泉巡りがしたかったのだ。
湯布院、有馬、草津、箱根、強羅、行きたい所は沢山あったが今の状況で
『蓬莱温泉巡りツアー』
なんて出来るわけがなく仕方なしに延麒に貰う入浴剤で我慢していたのだ。
「それで。」
後ろから掛かる低い声に現実に引き戻される。そういやこいつが居たのだった。
「戴台輔のご招待だそうです。
色々世話になったので礼としていらして欲しいと。」
「行きたい!!」
間髪いれずに叫んだ陽子に『人をイラっとさせることに感しては十二国一』な溜息を吐いて景麒は抗議
する。
「何を莫迦なことを・・、読み書きさえも儘ならない身でありながら娯楽を求めるなど十年早い。」
「う・・」
真面目な委員長気質な王は正論に押し黙る。
「よろしいですよ。」
「−へ?」
「−は?」
いきなり掛けられた了承の言葉に陽子は驚きの声を、景麒は不満の声を上げる。
「近頃根を詰めて政務に当たられていましたし今火急にやらねばならない事案も御座いません。」
にこりと浩瀚は笑う。
「ゆうるりと羽を伸ばしていらっしゃいませ。」
「浩瀚!!」
叫んで陽子は浩瀚の首に抱きつく。後ろで瞠目している景麒には気づかずに。
「ありがとう!大好き!」
その言霊に激しく抉られた景麒を見ながら浩瀚は心の中で大笑いする。
(小学の子供でもあるまいに・・)
一緒に行きたいなら行きたいと正直に言えばいいのだ。それを遠まわしどころか捻りすぎてただの嫌味で止める
とは。情けないにも程がある。
少し悪戯心で王の御髪に顔を寄せると分かりやすく台輔の顔に不快の文字が浮かぶ。
「楽しんでいらしてください。」
「お土産買ってくるね!」
嬉しそうに微笑む王の顔は年頃の娘そのもの。普段は見られぬその表情に胸がちくりと痛む。
娘としての愉しみを取り上げられたと言うのに。
「あ、」
陽子はくるりと後ろを振り返り景麒に問う。
「景麒もいかないか?」
「いらっしゃい。中嶋さん。」
「高里くん。御招きに与りまして。」
ぺこりと頭を下げ合う二人を微妙に複雑な気分で景麒は見る。
「凄いね、ちゃんと温泉旅館てかんじ。」
「向こうの情報誌とか建築書とか持ってきて完成させたんだ。」
「露天風呂とかある?」
「あるある。内風呂なら檜風呂とかあるよ。」
嬉しそうに笑いながら陽子は横に立つ景麒に話を振る。
「檜風呂だって!」
はあ、と気の無い返事を返す下僕に軽く眉を顰めた。
「中嶋さん、部屋どうする?ツイン?ダブル?」
「わ、なんか蓬莱っぽいね、それ。」
「英語だしね。」
「じゃ、ダブルで。」
その言葉を聞いて戴麒は目を瞬く。
「高里くん・・?」
「ああうん・・そっか・・ダブルだね。」
受付の従業員に向かい何事か言いつける。
「荷物なら運んで置くから温まって来たら?」
じゃあお言葉に甘えてと湯に案内される陽子の後を追いかけ様とした景麒の襟を戴麒は掴んだ。
「・・っ何をっ。」
陽子より少し高い程度の身長のその麒麟は低く言い放つ。
「泣かせたら殺しますよ・・?」
黒麒ならではなのか個人的になのかは分からないどろどろとした暗く強い気を放ちつつ睨まれる。
(なんなのだ・・一体・・?!)
それと同じ台詞を浩瀚にも、桓魋にも遠甫にも言われた。
祥瓊に至ってはみぞおちを軽く殴りつつ。
『人の気持を考えて行動しましょう。』
景麒に通知表があるとしたら必ずかかれるであろうこの文章。
ちょっとだけ景麒に想像力がありさえすれば簡単に分かるであろう陽子の思考を
丸わかりな泰麒は深くそう考える。
(ごめんね・・中嶋さん・・不甲斐ない兄で・・)
どうせ、この男は空回りして突っ走るくらいしか出来ないのだ。
女の子から行動を起こした理由にも思い至れないらしい。もしかすると『二人で御泊り』の意味さえ分かってないのかも。
訝しげに自分を見降ろす景麒につい蓬莱で遊んだ遊戯の登場人物の名台詞が口から零れた。
「『臍でも噛んで死んじゃえばあ?』だ・・」
初めてリアルタイムで遭遇!
浮き浮きとした気分で長い髪をくるくると纏め簪で止める。
北国の冷気に晒され冷たく湿る襦裙を丁寧に畳み籠に置き、ふと気づいて脱衣所の鏡を見る。
明度の高いそれは明らかに蓬莱の物。
誰もいないのを良しと取り衫を肩から滑り落とす。
日に焼けた肌、浮き出た鎖骨、それなりに括れた腰、程よい太さの腿、すらりと伸びた脚、頭髪より濃い赤い叢。
ここまでは、まあいい。
問題はこの胸だ。
お世辞にも豊かとは言えない。形はそれなりに良いが自分でも小さいなあと思う。
蓬莱に居たころはそれなりにあったのだ。
『そろそろ1サイズ大きいブラ買わないと駄目よ』
母がそう言っていたのに。
こちらに来たらがくりと胸の肉が減った。
食うや食わずだったからかとも思ったが三食きちんと摂れる今でもこの小ささ。
虚しくも悲しい。
「こんな小さいの触ってたのしいの・・?」
胸が小さくなった原因に問うてみたいがそうもいかず。
自分で見るなら平気なのにな・・呟きつつ手ぬぐいを籠から取る。
「兎に角温泉楽しもう。」
うん、と頷き引き戸を開けた。
王×麒麟(逆も)って獣姦…
何を今更w
湯煙にけぶる岩風呂を見て思わず歓声が漏れた。
「凄い!凄い!すっごーい!!」
ちゃんと温泉だ。外気温との差で産まれる湯煙で前が見えない。折良く小雪が舞うのも幻想的で良い。
手早く内風呂内で軽く身体を流し外に出る。
「〜ぅあ・・・」
寒さに可笑しな声が出るが気にせず熱い湯に片足を浸けゆっくりと身を沈めた。
「〜〜ん〜!!」
熱い湯がびりびりと肌を刺すのが心地よい。
思わず鼻歌まで飛び出しそうになって我慢する。
「・・・気持いい・・」
うっとりと呟いてから中央に向かい湯を掻く様に進む。
どん、と誰かにぶつかり慌てて謝る。
(だ、誰もいないと思ってたのに!!)
「す、すいません!前が見えなくて・・」
「主上・・?」
は?
「なななな」
「なな?」
「なんで女湯にいるんだよ!!莫迦!!」
「何故と言われても。」
家族風呂ではない露天の女風呂に麒麟とは言え、男がご入浴。
立派な犯罪者だ。
「早く出ろよ!」
「『こんよく』と伺いましたが。」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・はい?
「ですからこんよくだと泰麒に。」
混浴ー男女が一緒に入れる風呂。
「・・・なん・・で・・」
「こちらだと案内されたのですが。」
平然と言い放つ景麒にくらくらと眩暈がする。
(高里くん・・・気回し過ぎ・・!!!)
思わず脚がふらついた陽子の腕を景麒が掴む。
「大丈夫ですか。」
「う、うん、ありが・・・」
今やっと気づいた。
私、裸じゃないか・・・・・!?
ついでにこの状況ならば景麒も同じだろう。
(うわわ!どうしよう・・?!)
順番が違う!!
何でいきなり風呂で鉢合わせなのだ。そうじゃないだろう、まず部屋でじゃないのか、それよりもここは他に人が来
知れないんじゃないか?ぐるぐると脳が回り出す。
「主上?」
覗き込む様に見つめられて頬に血が上る。
「ち・・・違う!」
「違う・・?」
違わないが違うのだ。こうじゃないはずだったのに。
「お前が悪い!!」
どん!と景麒の胸を押し陽子は乱暴に湯を蹴散らしつつ岩風呂から上がる。
「なんなのだ・・・・」
この風呂に入れと案内されて入っただけだ。
まさか主が居るとも思っていなかった。
脚がふらついていたから腕を取り助けただけだ。
「それの何が悪いのだ・・」
言い様のないもやもやとした気持が胸にある。
浩瀚に抱きついた。
泰麒と親しげに会話した。
思うのはこちらばかりで、あちらは露程も自分の行動がどう他人に映るかなど考えていないのだろう。
莫迦らしい。
遠慮に遠慮を重ね甘やかした結果がこれだ。
容赦などもう出来るか。
甘甘初Hになるはずだったのに・・なんか黒いYo〜!!??
何か強姦になりそうな予感・・・タスケテ・・・・
頑張れ職人サン!
じゃあ、強姦風の甘甘でお願いします。
ダメ?
楽しみに待ってる。
強姦て経験ないんで(あるほうが少ないっつの)どうなるやら・・・
大久保清みたいなのか、アンドレイ・チカチーロみたいなのか・・ああ駄目だこの二人じゃ陽子殺される・・・・
一応愛はあるんですよ、景麒さんにも・・・
すれ違ってるけど・・
自分の中の鬼畜度全部だすと酷い事になりそうなので15%位で頑張りたいと思いつつ。
陽子、ごめん!!
〜本編
案内など乞わなくとも王気を辿れば陽子が何処に居るかなど容易く分かる。
おざなりに拭いた身体に纏わりつく『浴衣』とやらがうっとおしい。
すれ違う者達が金の髪に驚いているようだがそんなもの関係ない。
いくつかの、房屋を通り過ぎ一番奥まった多分この宿では高い部類であろう扉の前に立ち手をかける。
意外なことに鍵は掛かっていない。
蹴破る勢いで来ただけに多少拍子抜けだ。
扉を音をさせず開け房内に入り小声で班渠を呼びだす。
「誰であろうとこの扉は開けぬように。」
痛ましげに自分を見つめる芥瑚の視線を無視し扉を締める。
邪魔など誰にもさせるものか。
「・・何・・?」
何処か消え入りそうな風情の主がこちらを向く。
竹で編んだ搨に浅く腰掛けた陽子を見下ろす。
細い肢体、緩く纏めた髪、袷から除く肌。欲しくて欲しくて溜まらなかったもの。
伸ばした指で紅い髪に触れる。
「・・・景麒・・?」
おずおずと問いかける陽子の髪を指に絡ませぐいと引く。
「いたっ!!」
引いた髪ごと自らの胸に引き寄せ邪魔な動きが出来ぬ様に背中側から陽子の浴衣を引き降ろした。
「や、やだ・なに?!」
五月蠅い口を塞ぐ為にそのまま床に突き飛ばす。
がしゃんと音がして小机に乗せてあった茶碗が床に落ち割れた。
「・・った・・」
床に倒れた拍子に打ちつけたのか肘が赤い。
四肢で牢を作るかに覆い被さる景麒を見上げて陽子は初めて『女』として恐怖を覚えた。
「な、なんのつもりだ・・」
低い朝議の時の声をー王の声をー出したつもりがか細い震える声しか出てこない。
こんな風に手荒に扱われる関係などではない。ないはずなのに。
景麒は何も答えず冷たく自分を見下ろすばかり。
柔らかな胸の肉は左右に流れ微かな隆起を残すだけ。
視線で景麒の意図が分かり腕で身体を隠そうとして気づく。絡んだ浴衣で腕の自由が利かない事に。
つ、と伸ばされた指が怖い。
触れた先から壊されそうな気がして景麒の指が胸に辿り着く前に身を捩り避ける。
「・・・・そこまでお厭か・・」
嘲る口調は陽子へ向かうものか、己へ向かってか。
「厭ならば、助けを呼びますか。」
感情の籠らぬ目で翠の瞳を睨めつける。これに映るのは自分だけで良いのに。
桓魋などと笑うな。虎嘯などの肩に触れるな。桂桂などを膝に乗せるな。延麒と菓子など食べるな。延王に誘われたからと
市井に降りるな。浩瀚などが何故息が掛かるほど側に寄るのを許す?
「・・何故・・泰麒と知らない名で呼び合う・・?」
「・・な、に・」
ぐいと乱暴に胸の肉を引き絞るように掴む。痛みに上がる声を無視し更に爪を立てる。
「そう貴女が呼ばれる度に私がどう思うか考えたことなどないのだろう?」
自嘲気味に囁いて陽子の下肢に手を伸ばす。
ぎりぎりと立てた爪が肉に食い込み微かに血の香が漂う。
「やめて・・」
怯えた顔で、声で中止を強請る陽子に薄く笑い囁く。
「誰が止めるものか・・」
自分で書いといて何なんですがこいつ大人気ねえ!!
甘甘に戻れるかな・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・でも実は書いてて愉しいのは秘密・・
明日も解除中なのを祈って・・つかこの話バレンタイン関係ないな・・時期ネタにしたかったのに・・。
規制ないことを自分も祈りつつ楽しみに待つよ
温泉話書いてる者ですが・・十二国記で恋愛相談出来る人って誰でしょうか・・?
経験豊富なお姉さまキャラって思い浮かばない・・。
李斎は何か違うし祥瓊は床上手だけど恋人は一人目な感じで・・。
文姫先輩かな・・?
珠晶とかどうだろ…?
身近に相談、だったらやっぱり祥けいかなぁ…
人生経験とても豊富 酸いも甘いもかみ分けた黄姑
スレた大人の恋愛話なら梨耀
テクニックなら命がけで身に着けた祥瓊
レス有難うございます。
展開的に登場しても可笑しくないのは・・珠晶すかねえ・・。
おまけで利広もついて来る!
黄姑は・・・素敵なお婆ちゃんですが説教臭くなりそうだー婆ちゃんは難しいので。
何でこうなったんだろう。
涙で霞む視界に景麒を捕えつつ陽子は考える。
ずっと無理をさせていたのは知っている。
我慢していてくれたのも。
怖いからと言えば待つと言ってくれた。
頑張るからと言えば無理せずとも良いとも言ってくれた。
顔には出ないけれどこの人は優しいのだと嬉しかったのに。
抵抗なんて、本気を出されれば意味などないと知る。
暴れる脚を軽く片手で押さえられれば声で抗議するしかなく、厭を唱える唇は男のそれで、いとも簡単に
塞がれた。
「・・・・っ。」
内股を辿る感触にぞわりと肌が粟立ち何を求められているか明確に理解する。
赤子の頃以来他人が触れたことなど無い部位。
いつか景麒になら触れられても良いと思ってはいたがこんな風にじゃあない。
怯える主の肢体を弄りながら昏い考えが身の内からじくじくと溢れだす。
好きだ、と微笑んでいたのは嘘だったのだろうか。
これが好いた相手に対する態度だとはとても思えない。
同情だったのか、それとも獣に対する憐憫か。
募る怒りに合わせ用意の整わない花唇に指を押し入れる。
「いっ!!」
湿りのない内部は景麒の指を押し戻そうと収縮し始めるが意に介さず更に奥へと進める。
「おねがっ・・やめ」
漏れた哀願が憎らしい。では誰の指なら拒まないと言うのだ。
ぎりと歯を鳴らし狭いそこにもう一本指を捩込ました。
「い・・・やだ・・」
泣き声で停止を求める陽子の耳元で呟く。
「・・・助けをお呼びなられますか・・?
浩瀚は無理でも泰麒なら来てくれるやもしれない・・。」
班渠を門番として置いたとは言え傲濫を出されれば敵うはずがない。
そう言えば『泣かせたら殺す』と言われていたなと思い出す。
ーこちらこそ、殺されたようなものだ。
無理に抜き差しを繰り返す二本の指に薄く血が纏わり付き景麒は眉を顰めた。
厭わしい性だ。
この程度の血で気分が悪くなるとは。
ず、と指を引きぬくと陽子の口から安堵の息が漏れる。
ーそんなにも私の指は厭か・・。
ぐいと陽子の両膝に手を掛け左右に大きく開かせると先ほどまでの動きで切れた花唇の奥底
から赤い液体がぽたりと床に落ちた。
青ざめた顔でゆっくりと景麒を見上げ陽子は息を飲む。
何をする気だとか、やめろとかそんなのもう意味が無い。どうされるかなんてもう知っている。
好きな相手なのだから良いとも思う。けれど。
ー絶対に今までの関係性が壊れる。
戻れなくなる、もう笑えない、平気な顔して隣になんて立てない。やめてやめてやめていやだ。
言いたい言葉は沢山あるのに歯の根が合わない。口が動かない。
指で花唇を開き己の猛りを当てる。
潤滑剤となる蜜はない。微かな血がその変わりか。
酷いことになるだろう。
ただでさえ未通なのだ、優しく丁寧に扱うつもりだったはずなのに。
でも止まれない。止まれるものか。
陽子の腰を掴み逃げられぬ様固定し己の猛りに手を添える。
「ぃや・・・・」
小さく泣く娘が哀れだとは思うが、自身の心も哀れだった。
ぎち、と侵入を拒む内壁をこじ開けるかに少しづつ奥に体を進め様とするがキツく狭いそこは
容易にはそれを許さない。
「−きっ・・」
腕が自由なら押し返したいのだろう。
強張る下半身が如実に語る痛みと恐怖。この様な事を愛しい相手に強いる自分の何処が仁獣なのか。
とん。
壁がそう、鳴った。
「何をしているのかな。」
柔和な顔の男。それが誰なのか陽子は知らなかった。
「離れなさい。」
低くそう景麒に良い放つ声は厳しい。
「君達の間に何があったかは知らないがこれは許される事では無い。」
一国の宰輔に対しての物言いとは思えぬ口調に陽子はぼんやりとこの人は誰かと誰何する。
「王だから、ですか。」
皮肉気に頬を歪めた景麒に呆れた様にその人は返す。
「そうだとしか思えないのなら君は本当に最低だよ。」
「・・ねえ、どうし」
後ろから故を問う声には聞き覚えがあった。
―供王。
「・・・何てこと・・」
王は綺麗事だけではやってはいけない。それはこの九十年で身に染みて分かってはいる。
この様な事が世界中で簡単に起きていることも。
けれど、これは、この二人は。
「貴方麒麟でしょう!!」
高く叫び陽子に駆け寄ると景麒の身体を押しのけた。
「だ、大丈夫?」
大丈夫なわけなどないのだ。
割れ散らかった茶器、引き裂かれた襦裙、微かな血の匂い―。
「すみません・・だいじょう・・」
居心地悪気にする陽子に自身が羽折っていた袍をふわりとかける。安心したのかぺこりと頭を
下げた陽子の身体に腕を回し抱き締める。
「出なさい。」
厳しい声音でその男が景麒に退出を促した。
「利広。」
「私が話をするから珠晶は景王とここに。」
「駄目。
私がきっちりけじめつけさせるから、貴方は陽子の側に居て。」
きつく、景麒を睨めつけ珠晶は王の声で命令する。
「付いて来なさい景台輔。」
「―こう言うことを聞くのも野暮だけれど。」
散らかった部屋を片づけながらその人は陽子に問い掛けた。
「君と景台輔は恋仲だと聞いていたのだけれど。」
手伝おうとした陽子を手で制し、離れた椅子に腰掛ける。
「そう・・だったんですけど・・・・なんか・・・」
優しい問いかけに涙が滲む声で答える。
「怖かったろう・・?」
「・・わからなくて・・・ずっと・・無理させてそれで・・かなって・・」
「こうなった・・?」
こくりと頷いた陽子に溜息を一つ落とす。
「無理したからと言ってこんな事をして良いはずが無いんだよ。」
「・・・・・え。」
「以前にね、奏に来た彼はとても君のことが大切なんだと漏らしたんだ。」
「・・・奏・・?」
「ああ。私は奏の人間だから。」
ゆっくりと立ち上がり陽子の座る搨の前に歩を進める。
「あのね、景王。」
「はい・・」
「辛いのもきついのも片方だけでは無い。」
「かたほう・・」
ふわりと陽子の頬を両手で包む。
「君のほうが物慣れないのは相手も承知なのだからね、自分ばかり悪いと思うのは『卑屈』と言うのだよ。」
「・・・・卑屈・・」
この人は本当に誰なんだろう。
温かい手に心地よさを感じながらそう、思う。
「許せる・?」
「景麒・・・?」
「そう。許せるも許せないもないのだけれど。」
くすりと陽子は笑う。
「私にああいうこと出来る人あいつしかいないから。」
ふうん、と意外そうに呟く。
「痛かったし、怖かったし、酷い扱いされたけれどあいつのこと好きなんです。」
「出会いは最悪だときいたけれど?」
「それでも、なんでか分からないけれど。」
好きなんですよと、笑う陽子の頭をぽんぽんと軽く叩く。
「延王が言っていたのだけれど。」
「・・はい。」
「・・君が妹の様な気がするって。」
「・・あんなお兄ちゃんは・・ちょっと・・」
本気で厭そうな陽子に破顔して伝える。
「それもそうだね。
では、私はどうかな?もう妹は一人居るけれど。」
「・・・・?」
「私の妹は文公主と言うんだ。」
利広の喋り口調はこんなでしたっけ・・・
図南が手元に無いのでうろ覚えです。
後ろに付き従う景麒からは先程までの乱暴な様子は伺えない。
小さく心の中で溜息を落とし珠晶は考える。
(本当はぼこぼこに殴る位の勢いで連れ出したのに・・)
殴ったからと言っても溜飲が下がるのは自分だけなのだけれどそれでも珠晶はこの麒麟を殴りたかった。
女にあんなことをするなんて最低の最悪だ。
麒麟でなければ禁軍に突きだしてやるのに。
いくつかの階段を上がり回廊を通り抜け開けた鐘楼で脚を止める。
「・・・・・ここなら邪魔は入らないと思うわ。」
くるりと景麒に向き直る顔は外見に似合わぬ『女』のものだった。
「なんで、あんなことしたのよ。」
「・・・・・。」
答えられないのか、答える気が無いのか。
無言のまま二人の間に居心地の悪い空気が漂う。
(本当に殴ろうかしら・・・)
ちいさな拳を軽く握り締めた珠晶に低い声が聞こえてきた。
「私では駄目なのかと・・・・」
はあ?
幾度かその大きな目で瞬きを繰り返し景麒をまじまじと見る。
「私よりも他の誰かと共に在る時の方が愉し気にされる。
獣に対する同情で隣に居られるのかと思い・・・・・・・・」
何だその子供思考は。
確かこの麒麟は三十前後ではなかったか。
供麒の時も思ったが蓬山の女仙の教育方針は―間違ってる。
「あのねえ。」
額に拳を当てながら諭す。
「不安なら口に出せば良いの!
なんでああ言うことになるのよ?」
「・・・それは」
口籠る景麒に利広経由で延王が景王を評していた言葉を思い出した。
『今時珍しい純情な娘』
あちら育ちなのを引いても奥手なのだと。
確か蓬莱では身体を重ねることにより子を為すのだったか。海客や山客は身持ちが固いとも聞く。
胎果だとは言え快楽を求めるだけの行為に二の足を踏むのは想像に難くない。
「個人差はあるんだろうけど。」
一回り違う娘に何を求めるのか、この阿呆は。
「もう少し大人になりなさい、景台輔。」
「・・・充分に大人ですが」
むっつりと返す景麒に流石に堪忍袋の緒が切れそうになるのを必死に堪える。
(大人の対応よ珠晶!)
「独占欲が強いのも結講よ。
ならそれをちゃんと本人に伝えた?」
「―先程。」
あんな状況でなど伝えたとは言わない。
ふるふると震える拳を押さえつつ珠晶は勢一杯の優しさで問い直す。
「どうして景王が二人きりで貴方とここに来たか分かる?」
奥手な娘からの最大限の意思表示。
分からないのならこの男は本気で万死に値する。
「―泰麒の誘いだからですが。」
にこり。
と、それは可愛らしく笑いながら履いていた『すりっぱ』とか言う沓を脱ぐ。
「景台輔。」
「・・・・はい。」
「貴方、一遍死んできたら?」
すぱーん!!と小気味良い音が鐘楼に響いた。
「おや。」
二人を探してここまで来た利広は目を丸くした。
正座で押し黙る景麒と手に持つ沓をぶんぶんと振り回し説教垂れる珠晶。
―想像通りの展開だ。
「あら、利広。」
「景王からの伝言を伝えに来た。」
「伝言・・・」
「そう、君にね。景台輔。」
終わりなのだろうと思う。
自分の行動の結果だ。
「食事は大広間でなく個室で摂るから、だそうだよ。」
「・・・・・・・・・・・・・・・・」
あら、目が点だわ。珠晶は面白そうにそう、呟いた。
房に戻った景麒は陽子が広い寝台に座るのを見つけた。
「お帰り。」
見下ろした視線で身体を辿れば先程までの狼藉は嘘の様だった。
乱した髪は緩く編まれ背中に流れ落ち、乱暴に引き下ろしたせいで破れた浴衣は新しい物に
変わり、荒れた室内は綺麗に整えられてある。
微かに紅い陽子の目元と床に突き飛ばした時の額の小さな傷だけが証拠として残るのみ。
「本当はね、ツインでって浩瀚が頼んでくれたんだけど。」
ぽつりと囁く。
「ツインて寝台二つって事な。
でもダブルに変えて貰ったんだ。」
小さく恥ずかしそうに笑う。
「二人で寝るなら広い方が良いと思ってさ。」
上目使いに景麒を見る。
「意味、伝わってる・・?」
腕が自然と伸び陽子の身体を包んだ。
「景麒・・・」
「・・・・・・・すみません・・」
「うん。」
すり、と景麒の胸に頭を擦り寄せる。
「あのな。」
「はい。」
「私、おまえの事が好きだよ。」
「・・・っ。」
「他の誰でもなくて『景麒』が良いんだ。
それじゃ、駄目?辛い・?」
背中に回された腕が強くなった。
「・・・そんな・・ことは・・。」
「おまえは私のこと好き・・?」
腕を解いて陽子の頬に触る、柔らかく心地の良い愛する者の肌に。
「私も、好き、です。」
「誰を?」
悪戯っ子の様な表情で問うその額に軽く接物る。
「『陽子』を、です。」
嬉しそうにくすくすと笑うと景麒の首に腕を回し抱きついた。
「合格。
これでさっきの無し。プラマイゼロ。」
意味の
分からぬ言葉に首を傾げるとさも可笑しそうに笑い出す。
しばらく笑い続けてふと押し黙り景麒の耳に囁く。
「・・・あのさ。
―しよう・・・?」
あ、甘甘に戻れた・・・。
利広さんと珠晶さんは良いコンビですねえ・・。
廉王、廉麟でも使えそうだ〜!あ、でもこの二人は喧嘩しないか。
「―そのような事は男から言うものでしょう。」
薄く笑いながら陽子の髪紐を解くとゆるりと紅い髪が背中に散る。
「・・あのね、凄い勇気出して言ったのにそれは無いと思うけど。」
小さく剝れる頬に触れた指を頤に移し唇を唇で軽く塞ぐ。
「・・・ん・・」
触れるだけの幼い接物を繰り返しながら、浴衣の帯を解く。
衣擦れの音に僅かに震える陽子に問い直す。
「怖い、ですか。」
「・・・こわい、よ・・でも、」
細い指で景麒の手首を握る。
「この手なら良いから・・・。」
肩から滑り落ちた浴衣が無くなれば身を隠すものは何もない。
「・・・あんまり見るなよ・・。」
自信ない「からと囁くのが可愛くて先程よりも幾分乱暴に唇を塞ぐ。
「・・っふ・・」
羽の裏を舌先でなぞり、角度を変えて更に深く舌を差し込み慣れぬ動きに縮まる陽子の舌を絡め取り
思うまま咥内を味わう。
―甘露としか表現出来ない唾液の味に翻弄される。
しつこいほどに繰り返される接物を息苦しく思うものの、逆に嬉しくも思う。
同じ気持ちなのだと分かるから。
きっと自分の方が手慣れていたなら同じ様に唇を塞いだのは私なのだと思うのだ。
「・・ふぁ・・」
ゆっくりと唇が離れた拍子に可笑しな声が漏れた。
愛しげに腕に肩に触れる指に小さく反応すると景麒の目が嬉しそうに細まった。
首筋に落ちた唇の感触に驚く間もなく新たな刺激に声が飛び出る。
「え、やっ!!」
景麒の指が辿りついたのは陽子の小さな膨らみ。
きたきたきたきたーーーーー!
甘甘景陽いいですね!
続きも正座してまってますw
いいですなぁ〜 GJ!であります。続きWakutekaであります
職人サンうちと同じプロバだろうか。
夜中に規制始まったわw
職人さんは規制ですか・・・・・
Wakutekaしてまってます
規制でなきそう・・・
あ。今回規制解けるのはやっ!
「あ、あ、あああのっ。」
「−はい?」
今まで見たことの無い程の赤い顔で小さく囁く。
「・・な、無い・・から。」
無い。何がだ。
そう思った事が表情に出ていたらしく怒ったような困ったような声音で更に囁く。
「・・・・・・む、胸・・・。」
(そのような事を気になさるか・・)
薄く笑いながら景麒は陽子の儚げな膨らみに唇を寄せた。
「ええ!ち、ちょっと・・!」
抗議する声を無視し頂に触れればびくりと大きく肢体が慄く。
柔らかく唇でそれを食めば更に大きく反応が返る。
敏感な反応が愉しく景麒は赤子の様に頂に音を立てて吸い付いた。
ちゅう、と音が鳴る。
擽ったい様なそうでない様な可笑しな感覚。
触れられる部位は狭いのにどんどん熱さが広がって行く様な。
(景麒・・赤ちゃんみたいだ・・)
包み込む様に舌から掌で揉み上げつつ、親指と人差し指で優しく擦られて思わず息が漏れた。
「・・んっ。」
保守
カキコできるか〜?
やっほうこっちも解除されたw
職人さん投下wktk
まってま〜す♪
相談ですが。
SS書庫の司書さんがずっとおられないようなので
第2書庫を作ってもいいですかね?
5スレ目までは入ってるようなので6スレ目からって事になります。
体裁はこんな感じ。
・作品のレスをそのまま掲載。その他は注意書きや訂正等のレスのみ適宜挿入。
(誤字脱字修正とか現行書庫のように小説っぽくまとめるとかの手間はかけない)
・対象は作品っぽいレス全部。設定とか妄想の小ネタかなと判断した物は対象外。
SS職人さんが「収録パスね」と申告した場合も対象外。
・基本はスレ毎にサブメニューを作る。
(余力があればカプ別や傾向別のサブメニューも作る感じ)
もしこんなんでも試しに見てみたいって事であれば、
サンプルとして造った6&7スレ分を無料鯖でうpします。
(゚听)イラネって場合はスルーして下され。
ぜひ造って下さい
>>132さん
管理大変だと思いますがお願いしたい!
135 :
132:2010/02/20(土) 21:56:43 ID:JUi0iqcN
6&7スレの分をサンプルとしてうpしました。
こんな感じで良ければ管理できますけどどうでしょうか?
http://12kingdoms.x.fc2.com/eroparo/ 内容は作品レスをほぼそのままコピー、
SSページの外観は外出しのCSSのため割と省力型。
基本はスレ別サブメニューで、
余力があればカプ別等のサブメニューも作るかと言う感じ。
なおどれがSSか、どれが単なるネタかと言う切り分けも難しい部分があるので
職人さん自身から「これも入れて」「これは下げて」と要望されたら
対応すると言う形になります。
しばらくこの状態で置いとくので、ご意見等があれば宜しくです。
>>135 おおおお!!すごい!
見やすくて読みやすくて最高です
ありがとうございます
1〜5スレ目も一緒に収録してくれたらもっと嬉しいです…
おお!ありがとうございます。見やすい!
個人的には紫の膝の人が読みたいw
ありがとうございます!司書さんいなくなって寂しい思いをしていたのでうれすぃです。
>>135 申し訳ないけど背景色変えた方が良くねえ?
趣味の問題だけどパステルカラー系とかでないと毒々しい
頑張って作っね
141 :
132:2010/02/21(日) 10:40:20 ID:YClWPLfU
デザインとか判らないので適当なんですけど
見やすいようで良かったです。
じゃあ取り敢えずこれで仮開設と言う事で。
このまま特に異論が無いようであれば、そのまま本開設とします。
それとあくまでこのスレの付属物だと思うので、
解析とか連絡ツールとかは不要かなと思って付けませんでした。
リンク切れや注意書きの間違い等はスレで指摘して貰えれば、
何日かかかるかもしれませんが対応します。
もしメルフォとか、連絡ツール代わりの※欄付き拍手とかがあった方が
良いのであれば、探して付けてみるので言って下さい。
(FC2は拍手があるようなので単にそれで済むかも)
>>135 元のSS書庫があるので、
そっちで見て貰えばいいかなと思ったんですけど要りますかね?
どっちにしても8〜13スレの収録が終わるまでそれなりにかかると思うので、
その後で改めて要望を出して貰えればと。
>>138 8スレ目の『秘密の花園』かな?
8スレ目は途中までしか収録してないんですけど上げておきますね。
>>140 すいません、自分のディスプレイだと目が疲れないのが青系統で
パステルカラー系はむしろ見辛い感じだったので。
背景色とか文字色をRGB値で指定して貰えれば
それでサンプル作って置きます。
必要な色は、各ページについてこんな感じなので宜しくです。
背景色、文字色(タイトル、本文等それぞれ)、
リンク色(通常、マウスオーバー時、訪問済)
142 :
132:2010/02/21(日) 10:41:33 ID:YClWPLfU
パステルカラーは自分も目が疲れるのであれで良いと思。
スレサルベージに関しては
>>3にある過去ログまとめを利用すれば良いかと存じます。
意見等はスレにて賄えると思います。
以上、個人的意見w
自分もパステルカラーは苦手だから今のままが良いです。
紫の膝の人が収録されてて嬉しい。
ありがたいです。
で、職人サンはまた規制なんだろうかw
146 :
132:2010/02/24(水) 18:48:20 ID:N3kn2Jiq
このスレの完結分まで第2書庫に格納しました。
…が、元ネタとしてまとめさんにあったスレを利用したのですが、
12スレ目の#77が無かった為その部分が欠けてます。
それ以外は最低限の注意書きはしてある(と思う)ので
とりあえず閲覧に支障は無いかと。
(リンクや記載のミス等があったら指摘お願いします)
以上、お知らせでした。
>>146 第2書庫司書様
とても見やすくて感動しています
ありがとうございます&今後もどうぞよろしくお願いします
ID:JUi0iqcN
乙であります。GJ!であります。感謝感激雨霰であります
>>146 カップリング別リンクに感動しました
素晴らしいです
スレの過去ログ倉庫見てみたらまだ新スレ更新されてないんですね…管理人さん忙しいのかな。
12スレ目の過去ログ持ってますがどうしましょう?
151 :
132:2010/02/25(木) 19:48:59 ID:mK+8pa+i
>>150 お手元に、書庫に入れられなかった12スレ目の#77があるという事でしょうか?
それなら1レスだけだし、ここに貼り付けて貰えればと思うんですが
そう言うのってまずいですかね?
>>132 12スレの#77は↓
77 名前:祥瓊の激しい夜・1[sage] 投稿日:2008/05/02(金) 19:44:41 ID:GNDp9aVA
カップリング・祥瓊×鈴
特殊・男体化
半獣は生まれつきのもので獣と人間の二態を持つ。
だが生まれつきでないこれは、なんと呼べばいいのか。
天帝の粋な計らいなのか、祥瓊と鈴が、自分たちが二態を持つ存在であることを
知ったのは、つい最近のことだ。
しかも、この二態は半獣とは違い、いったん姿が変わってからというもの、
二人とも元の姿に戻れなくなっている。
「こんな姿はいや」
むせび泣く鈴の背中に祥瓊はその逞しく筋肉の張った腕を優しくまわす。
「泣いてはダメよ。私はむしろ、今の鈴のほうを好ましく思っているわ。
私はこんなガッチリした骨格に筋肉と脂肪が盛り上がった男性が理想だったの。
私を見てごらんなさい。鈴を上回ってガチムチでしょ?
鈴が自分の姿を貶めるのは私を貶めることにもなるのよ」
祥瓊はいかつい顔を鈴に寄せ、そっと口付ける。
「ごめんなさい・・・・・・そんなつもりじゃなかったの」
ついでに9冊目
#864でこんなのがありました↓
864 名前:陽子の独白 :2006/01/28(土) 00:00:17 ID:/w4/nzH6
アブノーマルの世界に惹かれて行く自分が怖い。
陽子は最初、常世と蓬莱の風習の違いに時に強烈な違和感を覚えた。
その最も大きな違いは、人々のエロの感覚であった。
蓬莱では、異常もしくは、そのような少数の限られた人々がいるらしい、
程度にしか陽子が知らなかった事を、
常世ではごくフツーの人たちがおおっぴらに、
しかも白昼堂々と一目をはばからずに公然と行ない、
また、誘い合い、語り合っていることだった。
陽子がしつけの厳しい家のおジョーちゃんであった事を割り引いても
余りの落差に目眩にも似た戸惑いと、強烈な嫌悪感を覚得るのが常だ。
そのエロの風習とはホモ、レズの同性愛だけでなく、
サドマゾ、ソドミー、スカトロ、ロリコン、フェチ、スワッピング、
多人数プレイ、近親相姦、獣姦などのありとあらゆる変態行為について
常世の人々が何の異常さも感じないまま行なっているという事実。
そして単に行なっているだけでなく、毎日ごく自然に周囲の人間を
誘い、パートナーを変えて楽しんでいるということ。
陽子はいつもその誘い合う光景を目にして、嫌悪感から背筋に戦慄
を覚えるのであった。
しかし、当初と比べるとその感覚は少しずつ薄れていた。
年月とともに自分の感覚が麻痺してきていことに
陽子は戸惑いを覚えていることも事実だった。
それには理由がある。
未経験だった陽子も、常世でロストバージンを済ませて、
女の歓びを覚えた。
相手は景麒、楽俊、桓?と既に3人も経験している。
そしてこの3人は、人の身体だけでなく、獣の身体も持っている。
当然、それぞれのバリエーションで楽しんだ。
陽子は自問自答する。「これはやはり獣姦だろうか?」
やってよかったのだろうか? 気持ちはよかったけど・・・と
しかし、悩んでいた時間は短かった。
その翌日には景麒、楽俊、桓?まとめての4Pを体験済ませた。
祥瓊や鈴とのレズ行為だってやってしまった。
今夜は6Pの約束をしている。
「ああ、やはり常世は蓬莱と違う。私をこんなに変えてしまうほどに。」
と感慨にふける陽子であった。
しかし、もう引き返しはできない。こうなったら全ての行為を体験して
快楽の追求に貪欲になろう。快楽の道でも女王になろう、
気持ちいいからと、変態行為に益々惹かれていく陽子であった。
ID:Cwp5gSI9様
ありがとうございます
第2書庫司書様
よろしくお願いします
156 :
132:2010/02/25(木) 23:49:32 ID:PSk59Pdy
>>153 それ、パッと見て考察だと思ってしまってた…
機械的に作業してたのがバレバレですな。えへ。
9冊目に追加しておきました。d
>>155 手元のログは何故か#77が抜けるのでどうしたもんかと思ってましたが
(何かNGに引っ掛かったのかも)
別所から引っ張って来れました。お騒がせしました。
157 :
150:2010/02/25(木) 23:57:00 ID:6SEJjRrF
おっと貼る前にどなたかの親切なお方が!ありがとうございますw
>>155 一応以前に司書さんにお知らせしましたよんw
ずっと規制中かなあ・・・
鯖復旧記念
職人さんまだかなまだかな
規制解除・・?
第二書庫嬉しすぎ・・・!凄い読みやすいです!
傾向が分かるのも助かりますですよ。(人体改造系は苦手なんで。)
二代目司書さん、感謝です!
景麒が視線をずらすと小麦色の肌に走る細い赤い血が見える。
―先程の狼藉の痕だ。
自分のしたことだとは言え、痛ましく、その痕に舌を這わした。
乾いているとは言え、血は血でしかなく軽く眩暈がする。
「・・・景麒・・?」
訝しげに問う恋人の腰に手を回しぎゅうと抱き締める。
「苦しい・・」
「これ以上は・・」
「・・?なに?」
「おやめになられたほうが・・」
見える場所だけでも手首の痣、ぶつけた肘、肩や背中の擦り傷。襦裙を剥いで見ればそこかしこに残る凌辱の傷。
無理に指で拡げ、猛りを―先だけと言え―押し入れた花唇はきっと酷く痛むのだろう。
陽子が良いと言っても体には良いわけない。
「・・・・・やだ。」
「・・は?」
間抜けな声が出た。
「やだって言ったんだ。」
「しかし・・」
「だってどうしたって痛いものなんだから。」
先程の事は気にするな、と囁く。
「・・・・痛いですよ。」
「平気。」
「本当に痛いですよ。」
「痛いの得意だから。」
獣の爪や牙で抉られたり刀で貫かれたり剣で斬られたりいろいろあったから、と笑う。
「所々嫌味に聞こえますが。」
「覚えがあるならそうなんじゃないか・・?」
ふうと息を吐いて。
「善処しますが・・後で抗議されません様に。」
可笑しそうに景麒を見て陽子は不敵に笑む。
「望むところだ。」
指先が触れる場所が熱い。
景麒の唇は胸にあるが指は陽子の太腿を撫で擦る。
『望むところ』だと言った以上やめろなどとは言えず、陽子はされるがままに褥に横たわるのみだ。
ちゅくちゅくと胸の頂を舌で舐めながら軽く吸われ何やら頭の芯が痺れる様な感覚。
(―なにこれ・・・)
こんな経験は初めてでどうしたら良いのかどうすれば良いのか分からない。
今まで一切景麒と何もしなかったわけではないがそれでも軽い接物や―今にして見れば―児戯の様な淡い戯れだけで
上がる吐息は吐きだして良いものなのかさえも稚い知識しか持たない陽子には分からなかった。
「―きゃあ!」
かり、と軽く頂を噛まれ高い悲鳴が上がる。
「痛い!景麒莫迦!!」
「抗議は聞きませんと言いましたが。」
平然と言い放ちながらなおもそこに舌を這わす。
「ねえ、ちょっと・・」
「なんです。」
ちゅと音をさせて舌を離し問いに答える。
「あの、さ」
「・・はい。」
「胸・・・ばっか触らなくていいから・・」
可笑しそうに景麒は陽子に問う。
「何故です・?」
うー・・と子供の様に唸り頬を赤く染める。
「なぜ、です?」
再度問われ視線を逸らし呟きを落とす。
「・・・・ちっちゃいからやなんだ・・・」
「気になさらずとも良いと。」
「お前は良くても私がやなの!!」
横になると有るかなきかの隆起。無理して触っている様にどうしても感じる。
「私!蓬莱ではもっと大きかったんだから!!」
祥瓊まではいかなくとも鈴並にはしっかり存在感があったのに。などと口走る。
何故か半泣き状態な陽子にうろたえながらも景麒はその細い手首を優しく掴む。
「・・お可愛いらしい・・」
「・・はあ?」
小さな胸が何だと言うのだ。
愛しい相手のものの何に不満を覚える必要があると言う?
「陽子であれば、すべて、愛おしく思える・・」
ぽろりとつい唇から漏れた景麒の本心にはにかみ微笑む。
「・・・・陽子って言うの・・・狡い・・。」
ようこ、と自分を呼ぶ人は十人いるかいないかで。
それでも延王などに比べれば恵まれているのだろうけど。
いちばん、そう呼んで欲しい人は常には尊称でしか自分を呼ばず。
しゅじょうと、呼ぶ声は自分だけに向けられたものではなく。
前の主。
そして、多分、きっと景麒が抱いたであろう女もそう呼ばれたのだ。
―醜い、汚い、独占欲。
欲しいのだ、全部すべて。
「名前で呼んで・・・」
金の髪を引き寄せ囁く。
「なにしてもいいから・・」
驚いた顔でこちらを見る景麒にもう一度強請る。
「・・・ようこって呼んで・・」
甘く何処か蠱惑的に強請る陽子の耳元で囁く。ようこ、と。
ぎゅうと首に腕を絡めてくるさまが可愛らしい。
「ようこ。」
「・・うん。」
「ようこ。」
「・・うん。」
呼び続けると涙混じりの声が房内に響く。
「・・・・景麒・・」
「−はい。」
「・・・だいすき・・」
子供のような声音に愛しさが募る。
胸を弄っていた手はするりと下肢に下ろされてゆく。
滑らかな肌を。
窪んだ臍を。
浮き出た腰骨を辿り、景麒の手は両の太腿、膝へとおりてゆく。
小さく陽子は息を飲む。
さっきは怖いだけだった。でも今は違う。
怖いのもある。
勿論恥ずかしいし、見ないで欲しいとも思うが。
「―っ!!」
ゆっくりと足が拡げられてゆく感覚に普段は外気に触れぬそこがびくりと慄く。
見てる。
見てる。
見られてる。
本当は逃げ出したい程恥ずかしい。
自分でだってちゃんと見たことの無い場所。
そろりと伸ばされた指が柔らか気な赤い叢へと近ずく。
伸ばした指で触れた先から体が蕩ける様な気がした。
叢から指を下ろし微かに開いた花唇を優しく撫でると脚に力が入ったのが分かる。
ふくり、と柔らかなそこを数度指先で上下に擦る。擽った気に陽子が身を捩った。
目が合えば恥ずかしそうに微笑む。
と、
「―いっ!!」
眉を顰め痛みを訴える様子に触れた指先を見れば薄皮の切れた一枚奥の花唇。
「―」
謝ろうと口を開きかけるが止める。
痛みを上回る感覚を与えて差し上げればよいのだと思いついたので。
静かに景麒の顔が花唇に近ずくのを呆っとみていた陽子は慌てて押し留め様とする。
「駄目!」
「―何故?」
「だって・・そんなとこ・・・」
触るのなら分からないでもないが舌、とかありえない。とは思うが言いだせる程には羞恥は消えず。
困って視線を彷徨わす陽子に苦笑し景麒は指で花唇に触れる先程の薄皮の切れた。
「っ!!」
「痛いでしょう?」
こくりと頷いた陽子に囁く。
「だから。」
―舌を使うのですよ、と。
開ききっていない合わせを舌先で擽り、逃げようとする腰をしっかりと抱える。
生温かく滑る知らない感触に快楽よりも先に嫌悪が走り思わず口元を押さえた。
(・・・気持悪い・・)
景麒には悪いと思うがそう感じる。
指より舌のが良いとは聞くが何にがどう良いのか検討もつかない。
ぬるり。
と何かが陽子の内に這入り込み知らず声が出た。
「−あっ!」
奥ではなく浅い入口辺りをちろちろと舌が彷徨う。柔らかく開けられたそこから微かにだが温かな蜜が溢れだした。
「・・・・っん・・く・・」
気持ち悪いでは無い感覚が少しずつ陽子に広がっていった。
溢れた蜜を舌に絡め更に奥へと進む。
温かな内部は柔らかな舌であろうとも関係無いとばかりに締めつけてくる。
ほんの少し脚を拡げさせ景麒は陽子の内に差し入れた舌を縦横無尽に動かす。
「やめっ・・!!や、やあっ!!」
―これだけの刺激でも耐えられないのか。
考えてたよりも初心な肢体に更なる刺激を与える為に舌を熱いそこから抜く。
ほっとした様に息を付く陽子の花唇の中心。
薄い桃色の小さな蕾に舌を寄せ軽く突く。
「・・っひああ!!」
自分の出した声に驚いたのかぎゅうと敷布を掴む手が強まり、景麒の顔の横に在る両脚にも力が這入るのがわかった。
「・・け、けいき?」
「はい。」
「何、今の・・」
くつりと笑ってもう一度舌で蕾を突く。
「あ、やっ・・んっ!」
「これですか・・?」
赤い頬でこくりと頷く。
「女性の悦い場所のひとつです。」
よいばしょ・・・口の中で呟いて不思議そうに問いかける。
「なんで・・?」
何故かと問われても景麒にだって分からない分かるのは一つ。
―陽子は胸などよりもこちらのが好きなのだろうと言うこと。
シエン?
職人さんキタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!!!!
関係ないんですが、WОWОWでロスト見てたら驍宗さまがいらっしゃいましたよ・・。
戴じゃなくて、無人島にいたんじゃみつからないはずだ・・。
??どゆこと?
>ID:yjnjPdOx
乙であります。GJ!であります。感謝感激雨霰であります
続きがあるならWakutekaして続っているであります
まだカキコ出来る〜?
女体の一番敏感な場所。
普通の女子高生であれば持っているであろう知識を幸か不幸か陽子は持っていない。
真面目で厳格な父親がその手の情報は可能なかぎり持ちこませなかったのだ。
だから、今初めて知ることになる。
肢体中の熱がそこに集中する感覚も。
無意識に相手の頭を強く押さえることも。
背中が、胸が汗を搔いてゆくことも。
高く甘い断続的な啼き声が自分の唇から漏れるのも。
「や、・・ああ・・んっ・・ふあ、あ・・」
(こんな声知らない。)
元々蓬莱でもそんなに高い声ではなかったのに。
鼻にかかった様な誰かに媚びる様な声音。
(・・・どうしたんだろう・・私・・)
耳に届くのは甘える様な自分の声と景麒がたてる淫らな水音。
ぴちゃぴちゃと。
時折何かを啜る様な音も。
(・・・・可笑しくなっちゃう・・)
緩む思考のなかでそんな風に陽子は考える。
ぽてりと充血した蕾は景麒の唾液に濡れている。
その下の柔らかな花唇の奥からは蜜がとろとろと溢れて来る。
知らない光景などではないのに。
―まるで初めて女性を抱く少年の様な。
ぞくぞくと背筋に走る快感に知らず景麒自身も翻弄されてゆく。
「・・・もぉ・・平気・・」
舌足らずな子供の様に陽子は囁く。その声に顔を上げ景麒は答える。
「まだ、ですよ。」
「・・いいよ、もう・・」
なんだか分からないが一つだけは陽子にだって分かる。
「・・・・保健の授業で・・」
「・・保健・・?」
―男性の性的興奮は視覚に拠るものが多いい。
そう、習ったのだ。
「だから・・」
自分ばかりこうされているのは狡というか。
「・・しかし、」
まだ、早い。
多少濡れてきたといえ指さえ挿入していない場所に桁違いの質量の部位が易々と挿入出来るはずも無いだろう。
破瓜の相手など初めてだがそれ位の知識はある。
潤んだ瞳で自分を見る陽子を見つめかえす。
「・・・・いいって・・言ったよ・・?」
薄い盛り上がりを残す胸の上で右手で左手を掴んで。
小麦色の肌は汗ばみ、微かな匂いを放つ。
―ああ、女の匂いだ。
女色に乏しいなどと、無能な官が揶揄していたが。
乏しいのではなくただ、気づかなかっただけだろう。
上肢を起こし景麒は纏っていた浴衣を脱ぐ。
―白い肌と大きな手。
陽子が知る景麒の体はそれだけ。
(意外・・・)
細身なのにしっかりと筋肉が付いている肩も腕も今初めて知った。
指を伸ばしその肌に触れる。
―感触が自分と違う。
男と女の違いなのか種族―人種?−の違いなのかは知らないが思わず言葉が零れた。
「・・・・綺麗・・」
「・・・ん。」
ぴとりと何か硬いものが花唇に触れた。
―景麒の、だ。
息を飲んでそれが挿入ってくるのを待つ。
どんな感覚なのだろうか、他人が自分の体に這入るというのは。
溢れた蜜を掬い自身の猛りに塗りつける。
それはとうに熱く硬く張りつめていた。
(・・本当に良いのだろうか・・)
指で花唇を押し開きみなぎる猛りを当てると陽子が震えるのが分かる。
「・・主上・・」
その言葉にむっとした顔で答える。
「・・陽子。」
思わず苦笑が零れ愛しさが募る。
―そうだ。
主上などではない。
愛しい、大事な。
―なによりも大切な初めての宝物―。
「・・陽子。」
「・・・うん・・」
ぐい、と脚が大きく開かれる。
―蛙。
何故かそう思った。
猛りに手を添え、蜜に濡れる花唇の奥底に進み始めるが簡単にはいかない。
開かれ慣れていない其処は景麒を受け入れるには狭く小さいのだ。
「陽子・・」
心配そうに問う景麒に首を横に振る。
―いいよ。
痛くてもいい、それよりも早く知りたい。景麒を全部。
陽子の腰を掴み引き寄せる。
―もう無理だ。我慢など出来ない。
「ご無礼を・・!!」
ぐぐ、と猛りが強い力で押し込まれてゆくのがわかった。
「―っ!!」
痛いとか、そういうのでなく、熱い。
熱い何かが自分の中に入るのが分かる。
「・・な、にこれ・・」
出した声は泣き声に近い。
びりびりと肉が裂かれるみたいな。
痛いの得意とかそんな次元の問題じゃない。
(いいって言ったけど言ったけど!!)
息を吐くだけでも痛い。
動かないで欲しい、せめてこの痛みに慣れるくらいまでは。
激痛に耐えているであろうことは理解している。
強張る体、ぼろぼろと零れる涙、かみしめた唇、爪が白くなるまで握り締めた拳。
せめて接物でも出来れば気を紛わせられるのに。
締めつけ押し戻そうとする陽子に捕えられ動けないのだ。
(仕方がない・・)
荒く息をついて景麒は更に猛りを進めた。
本当に痛いと痛いなんて言えない。
血の匂いがするのがわかる。初めてなのだから当然と言えば当然だが何にか忘れてる気がする。
(血・・・・)
痛みでままならない思考。血がなんだっけ・・・?
血は穢れ。
神に悪魔に奉げられる供物。
触媒としても有効な。
聖なる存在が忌み嫌う・・・・
「―景麒!!」
顔色が悪いのがわかる。麒麟は血に弱いのに。
「莫迦!!なんで言わないんだよ!!」
叫べばその振動でなのか痛みが増すが今はそんな場合ではない。
辛いのは。
―景麒の方だ。
辛いのはそちらだろうに。
優しい陽子の心根が嬉しい、元々恨みのある血では無いのだから然程辛いわけではないのだ。
「・・お気になさらず。」
「気にするよ!莫迦!」
平気ですと囁いて身を屈める。
繋がったまま陽子の細い肢体を抱き締める。
―温かい。
ゆるりとお互いの体温が伝わり合う。
「・・ごめん・・ね。」
啜り泣くような声で陽子が言う。
「何がですか・・?」
「・・おまえの言うこと・・聞けば良かった・・・」
痛いのも辛いのも片方だけではないと教わったばかりなのに。
「・・・・陽子・・」
はあ、と溜息をついて。
「そのように、可愛らしいことばかり言わないように。」
「・・・・え。」
ずいと顔を近づけ言う。
「手加減出来ません。」
憮然といつものように発した言葉が可笑しくて。つい、笑いが零れた。
「何を笑われる?」
「・・ごめん・・でも・・」
―痛いけど、大声で泣くかも知れないけど。
やっぱり、
景麒が。
この、男が。
全部、欲しい。
唇だけで囁き伝えた言の葉は
「―動いて。」
景麒の動きに合わせて中が引き攣れる。
「っ・・・ん・・いっ・・」
前後に動かれる度に息と共に声が漏れた。
『気持いいのよ。』と、祥瓊は教えてくれたが陽子にはわからない。
ただわかるのは。
痛みと、熱さ。
「・・ふ、んんっ・・」
内側から響く痛みが・・・・・嬉しい。
これは、証だから。
愛しい男を自らに迎え入れた証拠。
知らず零れる涙に敷布が濡れる。
最初の印象は最悪だった。
碌な説明もなく言いたいことだけ言い怒鳴る。
『守る』などと言いながら一人にさせて。
本当に死ぬかと幾度も思わせ。
―楽俊がいなかったら死んでたのに。
その大恩人の楽俊にさえ冷たい嫌味人形で。
汗ばむ景麒の背中に腕を回す。
ただの嫌味人形などではない温かな、体温。
嫌味はただの口下手なのだと。
足りぬ行動は照れなのだと。
気がついた時にはもう、遅かったのだ。
「・・すき・・」
好きに理由なんてない。
頼りになるのなら延王、一緒にいて愉しいのなら六太くん、話が会うのは高里くん、好みだと言うなら浩瀚。
なのに、こうしていたいのは欲しいのは景麒だけで。
誰にもあげない。次の王になんて渡さない。私のもの。
ぎゅう、と背中に爪を立てる。
「・・私のなんだから・・・」
何処かうっとりと呟く陽子を揺らしながら景麒は思う。
私だけの王。
今この瞬間ほど慶の麒麟である事に感謝をしたことはない。
可愛い、愛しい娘。
次の王などいらない。この方が望むのならば何処へなりとも行こう。
民のことなど知るか。
この方だけが私にとっての『慶』。
景麒の動きが増すと中の熱さも増してゆく。
「・・景麒・・」
荒い息で問う。
「っは・・い」
「・・あつい・・?」
幼女の様に、いや慣れた妓女の様な声音で。
―ああ、熱い。
肌を打ちつける音と軋む寝台の音、そして繋った部位から溢れる淫らな音楽。
高められるのだ、どうしようもなく。
陽子が、まだ『悦く』なっていないのはわかるがもう限界が近い。
景麒が体を震わせる。中で何か熱いものが放たれたのがわかった。
「・・けいき・・?」
大きく息をつく彼に聞くが答えてくれない。
(失態・・・・)
確かにそうだよなあ!!と、延の二人なら同意しそうだった。
自分だけ先に達するなど愚の骨長。情けないにも程がある。
しかも相手は自分と一回りも違う破瓜の娘。狭かった、などとは言いわけにならない。
「・・景麒・・あの・・」
「・・・・・・」
無言で陽子を見つめる。
「大丈夫・・?」
「・・・?」
「やっぱり・・辛いの・・?」
血が、と。
「いえ。」
体を起こし弛緩した猛りを抜く。
「・・んんっ。」
びくりと強張る身体からでたそれには自身が放った液と破瓜の証の血。
混ざり合い少し赤の強い桃色に染まるそれを見て呆けた様に陽子は言う。
「・・・なんか・・信じられない。」
「何が・・です。」
「そんなの私の中に居たなんて・・嘘みたい・・」
顔を近づけ口づける。
啄む小鳥の様なそれを繰り返すと陽子は笑う。
「景麒・・・?」
「・・はい。」
「あのさ、頑張るから。」
なにをと答える前に景麒の唇は陽子に塞がれる。
子供の遊びの様だが意味が違う。
―陽子から景麒に贈られた初めての接物。
フリーズした玩具の人形みたいな景麒を見上げ陽子は声を上げた。
「温泉なのに・・!!」
「は・・?」
「温泉入ってない!!」
「最低だ。」
ぶすったれた表情で陽子は言う。
「切角の温泉なのに。」
側に控える景麒は口を引き結んで何も言わない。いや言えない。
「腰も、股関節も痛いし!」
ぶんぶんと両腕を振る。
「足の間に何か挟まるかんじだし!!」
背中に当てられた枕を握り締める。
「お湯が染みて痛くて温泉に入れないじゃないか!!!」
も〜やだ最悪!!と叫ぶ陽子に景麒は甲斐甲斐しく仕えるしかなかったのだった。
尚「二回目は二十年後だな!!」
六「願望垂れ流してんじゃねえよ。」〜終〜
えーと・・あの・・色々ばっきばきですみません・・・。
甘甘!!恥ずかしい!!オチはギャグですがね…
女の子のあそこは優しく触らないとすぐ切れるですよ。中も爪が伸びてると切れるですよ。
お湯も染みると痛いが塩サウナとか入るとぶち痛いと。
スピンオフで祥×桓編とか需要ありますかちら・・?
朝からガンバッタ、乙!
個人的にはスピンオフのほうに需要があるw
>>181 ラブラブっぷりが良かった。GJ!です。破瓜直後に温泉なんか入れないねえ、二、三日無理だw
スピンオフも楽しみにしてますぜ
投下の区切りがついた所で、第二SS書庫正式開設のお知らせ。
FC2のはサンプルを上げる為に借りた鯖だったので、別鯖を借り直しました。
一時はこのままでもいいかなぁとも思ったんですが
閲覧時に鯖側でJS追加されるし、FC2の管理画面って使いにくかったもので。
tp://2ch.12kokuki.net/eroparo/
では黒子に戻ります。
職人さん、司書さんGJです!
ちなみに今サイバーテロで鯖がふっとんだおかげ?で、規制が全部解けてるそうなので
書くなら今のうちですよ職人さんw
> ID:4MostFGE
おおっ〜 乙であります。GJであります。そしてWakuであります
需要がありそうなので祥瓊攻ないちゃばかパラダイス落とさせていただきます・・。
あ、本当に莫迦ですよ。祥瓊さんちょい百合入ってますよ?
お厭なら飛ばしてくださいね?
禁軍将軍の屋敷は汚い。
金波宮で働いている者ならば誰でもそれを知っている。
「・・・・・知ってるけど・・」
これは無いだろう。
恋人でもある、男の房内で祥瓊は今更ながらに心からそう思う。
どう汚いのかを説明するのも厭な位に汚い。
「どうりで私を屋敷に呼ばないわけよね・・」
陽子と台輔が『おんせんりょこう』に出て二日。仕事もさして忙しくなく自分も桓魋も朝議に関係がないのだから
ゆっくり久しぶりに過ごそうと訪れてみれば。
「・・・・臭いわ・・・」
美少女だと他国にも名を馳せるその顔を盛大に歪める。
毎日掃除してるのに汚いんです!!
下女が泣いて陽子に直訴してたわね・・・などと呟きながら何気なしに転がる酒瓶を手に取る。
べり。
零れた酒で床にへばりついていたそれを壁際に置く。
「確か・・こっち・・」
扉を開け廊下を渡り湯殿に向かう。
『桓魋毎日朝夜入浴。』
陽子が夏の体臭に耐えきれず出した勅命によりこの場所だけは清潔に保たれていた。
「ふ〜ん・・」
一人で入るのには広すぎるだろう湯船。
酒好きの桓魋らしく風呂でも飲めるように杯も置いてある。
「ここでって言うのもいいかもね〜」
―最近ご無沙汰だったし?
今日も疲れた・・・
新入りの兵士たちの訓練に付き合い『まらそん』とやらをまず金波宮三周。腹筋背筋各百回。
『くーるだうん』に『すとれっち』のあと剣の素振りに体術の鍛練。
ついでに浩瀚さまに付き合わされた食事会と言う名のキツネとタヌキの化かしあい。ーこれが一番堪えたー。
(風呂で酒でも飲んで寝るか・・。)
湯につかりながら飲めば量も少なくて済むしな、などと良いとこのボンらしからぬ思考で調子っ外れの鼻歌など歌いながら
湯殿へと脚を進めた。
「・・・ん?」
自分の下手な鼻歌などでない綺麗な声が湯殿からする。
意味不明の言葉の羅列だが高らかに美しいこの声は。
脱衣所の籠に畳まれた藤色の襦裙に淡い緑の帯。
陽子が選んでくれたの、と嬉しそうに笑った。
驚きに震える手で湯殿の衝立を掴む。
「・・あら、お帰りなさい桓魋。」
乳白色の湯の中で白い真珠のような肌を浸しながら祥瓊は当たり前みたいに言う。
「なんでいる!?」
なんでとは失礼ね。形の良い眉を顰めつつ説明。
「陽子がいないでしょ。」
「・・・・・・いないな・・」
「だからつまらないのよ。正寝にいても。
―虐める相手もいないし。」
「・・・・・それ、台輔のことか・・?」
「台輔以外の誰を私が虐めるって言うのよ。」
湯の中で傲然と胸を張る。
柔らかでそれでいて張りのある豊かなそれがぽよんと揺れる。
(その格好は『お誘い』か・・・?)
桓魋の思考を呼んだのかきゃらきゃらと祥瓊は笑った。
「―あたり、よ桓魋。」
しえーん?
「なんで湯がこんな色なんだ・」
ざぶりと湯に肩まで浸かり桓魋は問う。
「『にゅうよくざい』なんですって。」
「にゅうよくざい?」
「色と匂いと疲労回復に効果のある蓬莱製の温泉の元・・・とかって陽子が言ってたわ。」
「−蓬莱は便利なんだなあ・・」
「・・・・そうよねえ・・」
長年連れ添った夫婦の様に同じ頃合いで溜息が出る。
温泉に行きたいのだ。自分達も。
こっそりと覗き込んだ泰台輔からの書状には『皆さんでいらして下さい』と書いてあった。
しかし貧乏国にそんな金は―無い。
一番倹約家な陽子と衣食に金の掛からない台輔の道中の宿泊費用だけで手一杯。
「どんだけ貧乏なんだ・・うちは・・」
実際に中枢に近くなって初めて知ったのだ。
「・・それもこれもあの甲斐性なしが悪いのよ・・」
ざば!と勢いよく湯から立ち上がる。
何も身につけていないのが初めてわかった。
細身の肢体なのにそこだけ目立つ胸の中央の薄茶の頂も括れた腰も縦に括れた臍も桓魋を優しく強く包み込む鼻びらも
すべて見えた。
「祥瓊!隠せ!」
「・・・なによ。」
高官の家に産まれ公主育ちな娘は裸体を他人に見られることに慣れていてあまり恥じらうことがない。
他のことでは不満がないがその点だけは少々不満な桓魋である。
(・・・・台輔はいいよなあ・・)
同じくらいの外見の娘と恋仲なのだ。悪いとは思うがついつい比べたりもしてしまう。
意外にも少年の様な陽子の方が娘らしい反応をするのだ。
女っぽい祥瓊のが結講さっぱりとしていたりする。
(・・・・閨にまで持ち込めばまた別なんだがなあ・・・)
「もう!」
機嫌悪気に湯に身体を沈めると祥瓊はぶちぶちと文句を言い出す。
「大体台輔の癖に生意気なのよ。陽子と二人きりで旅行なんて!
二人きりってことはそういうことでしょ?!
なんで陽子の初めてが台輔なのよ!」
ぶっ!!
口に近づけた杯の中身を物体無くも湯に拭き飛ばした。
(なんてこと叫ぶんだおまえ!!)
遅い時間とはいえ下働きの者は数人屋敷に控えているというのに!
元々娯楽の少ない宮中では噂話が広まるのが早いのだ。
あの大僕幼女趣味だぜとか、主上って延王のことおにいちゃんて呼んでるのよとか、冢宰は人間とするの嫌いなんだぜとか、
台輔主上の衫盗んだんですって・・・等々真贋怪しい噂に困らされて来た日々が甦る。
「しょ、祥瓊・・!!」
「狡いわよ!!陽子の身体を台輔が触るなんて!!」
きっ!!と桓魋を睨みつける。
「な、なんだ・・」
「陽子ってね、胸ちいさいの。」
「んなっ!!」
次から次へと何をぶっちゃけだすのか。
「でもねそれを気にしてるのが凄い可愛いのよ。ちいさいわりには弾力もあるし。」
「・・・・・・」
「肌もねすべすべしてて気持がいいの。」
「・・・・・・」
「腰も締まってるしお尻は綺麗よ桃みたいで。」
「・・・・・」
「下のあれは多いほうじゃないわね、髪よりも色がちょっと濃いかしら。」
「・・・・・・・何で黙ってるのよ。」
「べ、別に・・・」
視線を泳がせぺひゅ〜と下手くそな口笛を吹きつつそろそろと祥瓊から離れ様とする
桓魋をにやりと笑い祥瓊は逃がさじと両腕で閉じ込めた。
「あ、こら離せ!!」
「本気で厭なら話すわよ?」
祥×桓キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!!!!
すんばらし〜い! GJであります
流れぶち切ってすいません、景麒×陽子を投下します
景麒がちょっとだけ?Sです
「んっ・・・景麒…やめ…っ…あ…っっ」
どうしてこうなったんだろう――
「やめろってば…ああ…っん…」
与えられる感覚に身を捩じらせながら、回らない頭を必死に動かす
「嫌だとおっしゃられる割には、身体は素直なようで―」
景麒は蜜が溢れる泉に顔を埋め、ぴちゃぴちゃと音を立てて舐める
「ああっっ…やっ…」
陽子の両手は後ろ手に縛られ、上半身は書斎の机に突っ伏し、
足は床に届くか届かないかの距離でぷらぷらと揺れ、尻を景麒の顔に突き出す格好をさせられていた
すべすべした内股や尻を撫でまわされた後、秘められた泉には景麒の舌が差し込まれて、舐め回される
「ああんっ…んっ……はっ…」
零れ出る愛液を一滴も逃さないようにすすり、音を立てて吸い上げる
「んん!!…ああっ…いや…っ、やめて…景、麒ぃっ」
主の懇願は一切無視し、ひとしきり味わいつくしてからようやく顔を放した
ひくひくと物欲しげにうごめく其処をたっぷりと眺めたあと、つぷりと己の指を挿し込む
一本、二本、と数を増やし、くちゅくちゅと抜きさしてかき回す
「あっ…んんっ……っ」
「気持ちいいですか?主上」
指はそのままに、陽子の耳元へ囁くと、びくんと陽子の身体が震えた
ぶんぶんと首を振って否定の意を示すが、景麒は薄く笑って耳朶を舐め上げる
「嘘おっしゃい。こんなに蜜を滴らせて…そんなに私が欲しかったのですか?」
「ちがう…っ、…これ、はっ…おまえが…っ…んっ」
そんな陽子を責めるように、泉をかき回す指の動きが速くなる
溢れた蜜を指で掬い、奥で鎮座する花芽へ擦りつけると
悲鳴のような声が上がる
「ああああっっ…だめ……っ…」
陽子の身体の内で高められた快感が一箇所に集まり、今にも弾けそうになる
「けい、き…っ…やめ…っっ……ああああああああっっ」
何度も花芽が擦られ、溜まりにたまった快感は一気に陽子の身体を突き抜けた
頭の奥が真っ白になって何も考えられなくなる
荒い息を繰り返す陽子の泉から指を引き抜くと、こぽりと蜜が零れた
それを指で掬って陽子の口元へあてがい、
「ほら、主上の味ですよ」
と口に含ませようとするが、陽子はいやいやをするように顔を背ける
片手で陽子の頭を固定し、無理やり突っ込むと、諦めたように陽子の舌が動いた
ぴちゃぴちゃと丁寧に全て舐めさせてから、ようやく指が引き抜かれる
――今すぐにもこの方の中に入りたい
景麒は興奮しきった己の一物を、なんとか宥めていた
今日は、あの台詞を言わせるまでは、入れないと決めた
既にギリギリの自分を必死に抑え、中途半端にはだけてる陽子の衣に手をかける
縛り上げた手はそのままに、陽子の官服の帯を解き、肩から下へ衣をずり下げる
玉のような汗が浮かぶ背中と肩が空気に触れ、陽子はびくっと震えた
背中からうなじにかけて何度も接吻を落とし、控えめな大きさの胸へと手を伸ばす
やんわりと揉み上げて、既に固くなってる頂きをきゅっと摘む
「…あっ・・んん…は……っ…ああん…っ」
自然と景麒の身体は後ろから陽子に覆い被さるような形になり、猛りきったものが布越しに陽子の尻へと当る
景麒が動くたびに、熱いものが尻、太ももへと押し付けられて、陽子の顔が真っ赤になる
達したばかりの身体は熱を含み、もっともっと強い快感を求めていた
こんな無理やりな形で攻められているのに、いつも以上の興奮を覚える自分がいる
その事実から目を反らしたくても、身体の内から溢れ出る欲望は止まる事を知らず、
景麒が欲しい――
早く、早く入れて――
と、今にも懇願してしまいそうな自分を陽子は必死に抑えていた
そんな陽子を見透かしたように、景麒は、愛液に濡れた内股を焦らすように撫で上げた
「ひゃんっ……」
感じやすいところを避け、触れるか触れない程度で身体中をなでまわす
「あ…っん……んう…っ」
「主上、わたしを、欲しいですか?」
耳元でゆっくりと囁いた
それでも尚、陽子は首を振った
固くつぶった目の端からは涙が零れる
強情な主に苦笑しながら、指をゆっくりと秘所へ差し込む
「ああ!…ん…っっ」
「ほら、私の指をこんなに締め付けて…本当は欲しいのでしょう?」
「ちがう…っっ…ほしく、なんか…っっ!」
陽子は限界だった
細い指じゃなくて、もっと太い熱いアレが欲しい――
早く己の内を景麒の熱で満たしてほしい――
景麒は泉から指を引き抜くと、自分の衣をはだき、固くそそり立つ猛りを取り出して、陽子のうるみきった秘所へあてがう
既に限界な自分をどうどうと抑え、猛りをくちゅくちゅと泉の入り口へ擦り付けて
奥で鎮座する花芽へ当るようにゆっくりと動かす
「あああっっ!…んっ……けい…きぃ…っ」
「欲しいと、おっしゃい、主上」
「ああっ!……欲しいっ……景麒、が…欲しい…っ!!」
ついに陽子は折れた
求めたご馳走を鼻先まで突きつけられて、我慢できるわけがなかった
景麒は求めた言葉に、この上ない喜びを味わいながら、後ろから一気に陽子を貫いた
「あああああああ…っっ!!」
高い声が上がり、陽子の身体がびくびくと震える
そのまま奥の奥まで貫いて、また引き抜く
限界まで引き抜いてから、また一気に差し込んだ
何度も何度も腰を打ち付けて、陽子の中を貪り味わう
―パン、パン
―ぐちゅ、ぐちゅ
肉と肉が当る音と、くぐもったいやらしい水音が部屋を支配する
「…ああっ…はっ…んん…っっ…あんっ…あっっ!」
陽子の口からはひっきりなしに喘ぎ声が漏れ、ようやっと与えられた熱を全身で受け止めていた
「…は…っ…すごい、締め付けですね、主上…よほど、我慢していたと見える…」
「ああ…んっ…いや…っっ…言わな、いで…ぇ……あ…んん!!」
陽子の腰を支える手を胸へと伸ばし、頂きをきゅっと摘めば、内壁が敏感に反応する
「…あっ…んん…っ…はぁ…ん……っっ」
もっともっとお互いを味わいたくて、景麒の腰の動きが早まる
ぐっと腰を押し付けて、ぐちゅぐちゅと陽子の中をかき回すようにすれば、
「あああ!!…けい、き…っっ…ああ」
陽子の背が弓なりになって、高い嬌声が上がる
「…あっ…んっっ…もぅ……だめ……イっちゃう…、イっちゃ、うよ…っ…けいき…!!」
「…っ……一緒に、いきま、しょう…主上!」
きゅうきゅうと絞り上げる内壁に耐えて、何度も何度も泉へ猛りを打ち込み、これ以上ないほど奥まで貫いてから、己の精を吐き出した
「あああああああああっっ!!」
遥かの高みまで上り詰めた快感が陽子の身体を駆け抜けて行った
同時に、熱いものが自分の中へ注ぎ込まれ、足りなかった何かを満たされたような気がした
そのまま荒い息を繰り返し、しばらくお互いの熱を感じあう
そして、ようやく景麒はずるりと猛りを引き抜いた
陽子の手を戒めていた紐を解いて、己と向かい合うように抱き起こし、その身体を優しく抱きしめた
「申し訳ありませんでした、主上」
「景麒……」
陽子から身体を離すと、景麒は静かに言葉を紡いだ
「私は…主上の口から、他の男の名が発せられるだけで、身が狂いそうなのです…」
「お前……」
「主上、何故私にまだ名前を付けて下さらないのですか?」
「ええっ……それは…っ」
いきなりの追求に陽子はたじろいだ。
「泰麒は『高里くん』と主上から親しげに呼んで貰えるのに、私だけ号で呼ばれるのは不公平ではないですか?」
「ううっ…」
これ以上ないくらい真剣な顔で訊ねてくる下僕に、言葉に詰まる陽子。
景麒に名前をつけない理由なんていえるわけない…。
今まで何度か訊ねられたが、その度に適当に誤魔化してきた
「主上?どうしても私に教えてくださらないのですか?」
顔を赤くしたり青くしたりして俯いてしまった陽子に、景麒の表情がきつくなっていく
「……今日ばかりは、私も引くことができません。主上、お覚悟を決めてください」
「?…どういうことだ、景――んむっ!?」
景麒に唇を貪られて、陽子の言葉は遮られる。
深く舌が差し込まれ、絡み合い、口中を蹂躙され、唾液が交換される
はだけたままだった衣の隙間から景麒の手が入り込み、胸をやわやわと揉まれ、まだ敏感な頂きを擦るように弄ばれる
「…んっ……ふぅ…っっ…景麒……やめっ……!」
やっと唇が放されて、お互いの口端を結ぶ銀の糸がつーっとかかった
すっかり息が上がった陽子は、懸命に理性を手元へ引きつけながら、声を上げる
「景麒……なにを…!?」
「主上が理由を言ってくださるまで、今日は主上を離しません」
「…な!?」
とんでもないことをさらりと言う景麒に、脳がフリーズする。
「主上が言いたくなるまで、私は主上を抱き続けます」
はぁ!? そんな…こんな精力絶倫麒麟男にずっと責められたらどうなるか…!
神の身である陽子は人より体力があるが、それでもせいぜい5時間くらいが限界だった
過去、何度「もう無理だよ、景麒…」と懇願して聞いてもらえなかったか分らない
一晩中、なら経験はある。だが今はまだ昼下がりのティータイム時刻。
ほっといたら24時間やりかねない…
恐ろしい未来を垣間見て、陽子の背中を冷たい汗が伝っていった
「主上もそこまで頑なに拒まれるということは、よっぽどの理由かと思われる。わたしも相当の覚悟で望む所存です」
お前はただヤりたいだけだろ…!!
そう突っ込みたいのを必死に抑える陽子。
「では、よろしいですね?」
そう言って、陽子の胸の頂きを口に含み、ころころと転がし始めた
「…ふぁっ・・ああっ…待って…景麒……っ」
やばい。これはやばい。
体力はともかく、ずっとこんな快感を与えられたら、壊れてしまう―
自分の精神(こころ)が。
「まって景麒!言うから!!…理由を言うから!!」
ぴたっと景麒の動きが止まった。
「…本当ですか?」
「本当に言うから…だから…」
陽子の目の端から涙が零れるのを見て、景麒は身体を放した
静かに陽子の言葉を待つ
「…こわいんだ」
ぽつりと呟かれた言葉に、景麒は首を傾げた
「…こわい、とは?」
「お前に名前を付けてしまったら…、その名前で私がお前を呼んだら、…きっと、私は歯止めが効かなくなってしまう…。お前を自分だけ
のものにしたくなって、醜い嫉妬や独占欲で自分の中が一杯になってしまう気がするんだ…。お前は慶国全ての民の為にある麒麟だ、私だ
けが独り占めしていいわけない…。でも怖いんだ、今だって、もっともっとお前が欲しくてたまらないのに…」
思わぬ陽子の告白に、今度は景麒の思考が固まった。
…まさか、こんなにも、こんなにも主から求められていたなんて…、今死んでもいいと思うくらいの幸せがこみ上げてきて、景麒は陽子を
ふんわりと抱きしめた
「景麒…」
「…大丈夫です、主上。私は貴女に仕える為だけに存在するのですよ。私にとっては、貴女が慶という国なのです。慶国の全ての民の為に
あるのは主上なのですよ。それを支え、いついかなる時も主上の命に従うことが私の役目であり、私の幸せです。貴女に全てを捧げること
は、私の宿願なのです…ですから、どうか、ご遠慮なさらないで頂きたい」
そう優しく語られて、陽子はその言葉の温もりを恐る恐る抱きしめた
「…本当にいいのか?…私は欲張りだから…お前が嫌だと言っても、お前を離さないぞ?」
「そんなことは有り得ません。私の方こそ、主上をひと時も離したくないのですよ」
そう耳元で囁かれて、陽子の顔は真っ赤に染まった
「ばっ・・・!おま・・・っ!」
「主上、私はもう名をつけろと無理強いすることは致しません。そのかわりに…」
「…?」
「貴女をもっと味わいたい。私が貴女のものである証に、あなたに私の全てを感じさせたいのです。よろしいですか?」
「…えっ!?」
「お嫌ですか?」
雨に濡れた子犬のような顔で見上げてくる下僕の表情に、陽子はうっとなった
断りたいけど断れない何かがそこにはあり、まだ己の身体が熱を燻っているのも事実だった
「…嫌、じゃない、けど……その、ここで?」
そうここは書斎だった。景麒が人払いしてあったせいで誰も近づいては来なかったが、普段政務を行う場所でこれ以上続けるのは躊躇われ
た。
そんな陽子にくすりと微笑うと、己の上着を脱いでその身体にくるませ、ふわりと抱き上げる
「景麒…!?」
そのまま、すたすたと書斎を出て廊下を歩む。
「どこへ…!?」
目を白黒させて尋ねる主に、優しく答えた
「もちろん主上の臥所です。其処ならば主上もご安心でしょう。今宵は離しませんので、お覚悟を」
身も蓋もない言葉に陽子は口をパクパクさせたまま言葉が出てこない
そんな主を優しく見やり、
今きっと自分は世界で一番の幸せ者だろうと思いながら、景麒は足取り軽く、陽子の臥所へ向かうのだった――
<了>
202 :
195:2010/03/07(日) 18:32:51 ID:kI/lk1HH
えーっと・・・すいませんなんかほんと…
行き当たりばったりで書いたら、最後自分でもわけわかめになってました…
お目汚し、失礼しました!!
なんですか・・・サド景麒祭りですか!!??
やりたがりの麒麟野郎は最低ですな!!←褒め言葉です。
それにしても・・・・一晩中・・・体力あるなあ陽子。強いんだね!!(何がかは自分で気づいてね)
景×陽また書きたくなってきた・・・
「・・・・・これはなにかしら・・?」
太腿に先程から当たる程良いー祥瓊にとってー大きさと硬さの何か。
「・・・・なにって・・」
分からないほど子供でも無いくせに純情そうに嘯く祥瓊を困り顔で見下ろす。
「・・こんなに硬くして・・悪い子ね〜」
十も年上の男を捕まえて『悪い子』とは。
「・・陽子の。」
「は?!」
「今頃台輔が陽子の身体好きにしてるのよ・・」
ぎゅうと。
祥瓊の爪が桓魋の腰に食い込む。綺麗に手入れされたそれはこんな時には凶器と化すのだ。
「いてえ!」
「あ〜、むかつくわ〜なんで台輔なんかが陽子の胸とかあれとかそれとか触ったり吸ったり舐めたり・・・!!」
怒りだした祥瓊の爪はぎりぎりと桓魋の腰の肉を苛む。
「祥瓊!」
「大体あんな租チンが陽子の破瓜の相手ってこと事態可笑しいのよ!!初めての相手こそ慣れた上手な人であるべきでしょ?!」
「・・・・そうですか・・」
「そうなのよ!優しく丁寧に自分勝手に事を進めたりしない・・冢宰みたいな人とするべきなの!!」
―多分祥瓊は興奮してて自分が何を口走っているかわからないのだろう。
でなけりゃ『租チン』などと言うわけないよな・・痛む腰に意識を集中させつつ桓魋はそう好意的に解釈する。
―いくつになっても男とは女に夢を持つ『ろまんちすと』なのだ。
「陽子の中に入るのよ・・あの租チンが・・」
すこし『病ん』だ祥瓊の様子に溜息をついて桓魋は苦笑する。
「祥瓊。」
「なによ。」
むっとした顔で下からねめつける祥瓊。
―こいつは本当に主上が好きなんだなあと再認識した。
ぐいと右腕で腰を引き寄せ左手で顎に触れる。
桓魋が何を望んでいるか分かって祥瓊は顔を傾け目を閉じた。
近づく唇に自ら吸いついて祥瓊は思う。
なんて男なんだろう。
こんなにも別の誰かに対する愛情を見せつけられても私を求めるなんて。
―イライラしたりしないのかしら。
例えば母。少しでも夫に気があるような素振りの相手は麒麟であろうとも近寄ることを許さなかった。
里家にいたころの年上の顔も名も忘れた男。
好きだと言うわりには他の男と喋ったと怒り出した。
そしてあの、陽子だって、気のきかない誰かが予王と台輔の話をしたりすると笑顔で拒否という高等戦術を展開すると言うのに。
「ん・・・」
唇から離れた桓魋の顔をじいっと見る。
「なんだ?」
「・・・・変な男ね、青将軍。」
珍しく役職で自分を呼んだ祥瓊に笑いかける。
「わたくしを抱かせてあげてよ。」
「・・・・それは光栄の至り。」
湯殿の床に紺青の髪が広がる。
新作一杯で嬉しいよ〜〜!!gj!
>>203職人もまた書いて下さいw
その大きな白く柔らかな胸は横になったとしても存在をしっかりと主張している。
包み込む様に触れつつ指がゆっくりと頂を撫でる。
「焦らすのがお好きね・・将軍・・?」
「・・・胸はお前も好きだろう?」
くつりと笑い祥瓊は桓魋に手を伸ばす。もうすでに硬く張る肉茎。
「しょ、祥瓊っ!」
「このままでは。」
そろりとそれを撫であげる。
「わたくしがお前を抱くわよ?」
なんて顔をする。
淫らな妓女の様な美しい娘。
「・・・・願ってもありませんがね・・」
外見に騙されてはいるが祥瓊は宮中で三十年生きた女。
あれやこれやそれの手管は桓魋などよりは一枚も二枚も上手であった。
舌先で裏の筋を舐め上げながら開いた手でやわやわと袋を触る。
ちろちろと軽く舐めたかと思えば舌全体で茎を刺激する。
淫らな水音を立てながら桓魋を祥瓊の唇が含む。
―まったくなんてお嬢様だ。
誰よりも清らかな顔をしている癖に誰よりも愛することに貪欲だ。
刺激にあがりそうな声を堪えつつそう考える。
じゅるじゅると音をたて茎を大きく硬く育てながら祥瓊は自分の秘所に触れる。
―もう充分に溢れ返っている。
(・・・・だって待ってたんだもの・・)
二月近くこうして触れあうことが出来なかったのだ。
いつもより慌ただしく性急かもしれないけれど。
顔を上げ、桓魋の身体を床に押す。
「祥瓊・・?」
「ごめんなさい桓魋。
私、もう我慢できないの・・」
自分からこんな風に男の身体に跨るなんて、以前では考えられなかった。
―相手は自分に奉仕して当然。閨でもその他でも。
それが出来ない相手なんて必要ない。
そう、思っていたのに。
硬く熱いものをゆっくりと身の内に取り込みながら甘い息を吐く。
「・・・・っあ・・・」
ごりごりと肉壁を掠る感触に身震いする。
両手を桓魋の腹に当ててすべてを納め様と肢体を沈めてゆく。
「・・んふ・・・・」
「・・っ祥瓊・・」
気持ち良さ気に声を出した桓魋の両手が祥瓊の柔らかな腰に伸びる。
「・・あっ、駄目よ!」
「なんで?」
少し辛そうに眉を寄せて答える。
「私が抱きたいんだもの・・」
ちょろちょろ誤字が多くてすみません・・
あと2スレくらいで終わりますんで・・
「・・っあ・・ん・・」
甘い吐息と共に嬌声を吐きながら祥瓊は桓魋をすべて身の内に納めた。
―硬く大きいそれを自分から取り込んだのは初めてだ。
「・・平気・・か?」
「・・・ええ・・」
自分の欠けた場所にぴたりと嵌る。
―何て心地良い充足感。
「・・ん・う・・っ」
腰を浮かしそろそろと動き出す。
じゅぶじゅぶと淫らな音が鳴りだしどうしようもなく―乱される。
(・・・・こんなこと陽子とだって出来ないわ・・)
肢体の奥から産まれる快楽に狂いそうになる。
(―違う。)
『産まれる』じゃない。
祥瓊自身が望んで『産む』のだ。この繋がりから響く音も唇から漏れ出る悦楽の歌も。
祥瓊に取り込まれた己の猛りはそろそろ我慢が利かない。
(本当になんて女だ・・)
甘い声と結合部から響く音と自らの荒い息。
三者が混じり不思議な旋律を奏で出す。
祥瓊の腰を掴み自分の腰を激しく前後に揺すれば高音の嬌声が湯殿に響き渡る。
「あんっ桓・・たいっ!!」
「・・悪いな・・辛抱出来ん・・っ」
肌と肌ぶつかり合う音とずちゅぐちゅと響く繋がる証の艶音。
突かれ腰を動かし。
脚を絡め深く誘う。
下から唇を求められ求め返し。
いやらしく股を開き更に深く飲み込み挿し入れ。
「・・・やん・・っ駄目桓魋っ!
わたくし・・っもお・・」
「・・っお・れもだ・・」
同時に悦楽の頂点へと駆け上がる。
「・・・・なんか・・私すごい淫乱みたいね・・」
陶然と呟く祥瓊を抱き締め桓魋は大声で笑う。
「何よ!!」
「いやいや。
あれだけしといて今更言うのかってな。」
「厭な男ね!!」
べしんと平手で桓魋の胸を打つ。
「痛い!」
「女心を傷つけた罰よ。」
ひりひりと打たれた痕が赤く痛む。
「まあでも。」
「・・?」
「俺にとっては最高の女だ。」
「・・・・・・・・・あら。」
上気した頬を更に朱染め、桓魋にしなだれかかる。
「どうした?」
「私、陽子が好き。」
「ああ。」
「可愛いの。愛してるの。」
「うん。」
「桓魋にしてるみたいなことして啼かせたいわ。」
「・・・そうか。」
「でもね。」
まっすぐに視線をぶつけてくる。
「こうして繋がりたいの、桓魋だけなのよ。」
それは、所謂。
(『殺し文句』と言うヤツだ。)
肌理の細かい滑らかな首筋に唇を当てる。
「桓魋・・?」
「そんなこと言われたら止まれない。」
くすくすと笑う。
「−いいわよ。
私は『淫乱』だから。」
「ならばおれは、本能の赴くままな動物だな。」
顔を合わせ笑い合う。
その夜禁軍将軍の屋敷では明け方近くまで悩ましげな声が響いていたと言う。〜了〜
はい!莫迦でしたね!
お前らもう一生やってろよ!!てカンジですね!
祥瓊は「あん」とか「いやん」とか書けて愉しい・・。
それにしても規制ふっとんで良かった・・・。
ラブラブ祥×桓きてたー!!
職人様乙です
黒い景麒もきてたー!!
黒いのもっとくれもっともっとくれ
おつおつおつなのです!!!
また規制再開したようです。
そこは雁の関弓――。
大きな宿屋の最上階で、共に一国の主である二人の密会は行われる。
部屋に入るなり、早急に唇が重ねられた。
最初は優しく触れ合い、次第にどちらからともなく舌が差し入れられ、深く絡み合って貪りあう。
ようやっと唇が離されて、陽子は大きく息を吐いた。
「…苦しいです、延王」
「すまん。陽子がかわいいのでな、つい」
そう言って尚隆は陽子の身体を抱き上げ、寝台へ放り投げる。
「…きゃっ!」
抗議を言う間もなく荒々しく衣が剥ぎ取られ、男の余裕の無さが窺えた。
陽子の艶のある肌が露になると、真っ先に胸の頂きへと吸い付く。
「…っああ…んっ…」
ちゅうちゅう吸いながら舌で転がし、まるで飴を舐めるように弄ぶ。
「は…っ……っああ」
その間も尚隆の手は陽子の身体中を這い回り、ついに内股へと辿り着いた。
焦らすようにそこを優しく何度も撫でる。
「陽子は此処が弱いのだったか?」
そう言って内股へ唇を寄せ、赤い跡がつくまで吸った。
「きぁ・・っ・・・ん…っ・・・は・・・っ」
いくつも赤い跡をつけては舐め上げて、そこへきれいな花園を創り上げる。
陽子の口からは悩めかしい吐息が漏れ、頬を真っ赤に染めて身をよじった。
「・・・えん、おう・・・っ」
「ん?どうした?」
分ってるくせに――。
わざと問い返す男に、陽子はじりじりと追い詰められる。
「…そこじゃ・・・っ、なくて…っ」
「ほう?どこを触って欲しい?」
笑い含みに言われて、陽子は言葉に詰まる。
「・・・もっと、っ…奥の…っ」
それで精一杯だった。
「ここか。」
そう呟いて、一気に男の指が秘所へと沈められた。
「…ああっ!!」
そのままぐちゅぐちゅと音を立ててかき回される。
「よく濡れているな」
「…ああっ……ぃやっ…んっ」
「陽子もとんだ淫乱になったものだ」
くつくつと意地悪く言う男に、
「・・・それは・・・っ…あなたが・・・っ」
と頬を染めて抗議すれば、
「ああ、そうだな。俺のせいか。それはとんだ光栄だな」
と素直に返されて、陽子は与えられる刺激に身を委ねるしかない。
男の唇は秘所へ寄せられ、花びらを丁寧に一枚ずつ舐め上げられる。
「…っあああ!…んっ…は・・・っ」
熟れた真珠もぺろりと舐められて、吸い付くように責められた。
「・・・あっっ・・・っん・・・ひゃっ・・・ぁ」
泉からは絶え間なく蜜が溢れ、男の指を濡らしていた。
やがて指と唇が離れていき、別の熱いモノがそこへあてがわれる。
「入れるぞ、陽子」
尚隆はゆっくりと腰を沈めた。ぴたりと吸い付いてくる内壁を押し分けて奥へ奥へと進む。
ようやく全部入って、陽子は大きく息を吐いた。
圧倒的な質量が自分のなかにある感覚、熱いソレはどくんと脈打って、男の興奮を陽子へ伝える。
陽子の右足を持ち上げて自分の肩へ乗せ、繋がりを深くするとゆっくりと己を引き抜き、また押し込む。何度も腰を打ちつけて、熱い泉をかき回す。
「っああ…は…っ…うん…っ」
長い緋色の髪は寝台へ扇型に流れ、潤んだ翠色の目は男の視線と交わった。
陽に焼けたような肌にはいくつも汗が浮かび、男が腰を突くのに合わせて小ぶりな胸はぷるぷると揺れた。
その淫靡な光景は尚隆を煽るのに充分で、もっともっと女の乱れる様を見たいと思う。
揺れる胸を空いた手で掴み、強く揉みしだく。
「…っんん…あ…っ…ふ…ぅっ」
普段の声色とは違う、鼻にかかったような高い喘ぎを漏らす陽子の唇を自分のそれで塞いだ。
深く貪って、互いの唾液を交換し合う。
上からも下からも激しく犯されて、陽子は何も考えられなくなる。
男の厚い舌も、自分のなかを強く貫くモノも、自分をただの淫乱な女へと変えていく。
普段は王として一時も気を緩められず、一国の責務を背負うそのプレッシャーは相当なものだった。
周りは王としての自分だけを求め、自分もそうであろうとした。
ただこの男に抱かれている時だけは、一人の女でいられた。
男のモノを銜え込んで腰を振る、その普段からは考えられない自分の淫らな姿に陽子は溺れていく。
ようやく唇が離されて、どちらのものかも分らない唾液がつーっと糸のように二人の口を繋いだ。
尚隆は陽子の両足を大きく開かせ、深く自身を打ち付ける。
「ああっ…ふぅ…んっ…っあ…」
どこかからやってくる強い快感の波に、陽子は一際高い声を上げた
「…っああ!…しょう、りゅう…っ……尚隆・・・!!」
自分の名を呼ばれて男はふと笑みを浮かべた。
きゅうきゅうと締め付ける内壁に耐えて、早い動きで腰を打ち付ける。
「…っ…陽子…!」
奥まで差し込んで、大量の白い精を放った。
「あああああああ…っっ!」
背を弓なりに反らせて陽子も高みへと辿り着く。全身を震わせながら男の精を受け止めた。
尚隆はそのまま陽子の上へ倒れこんだ。
しっとりと汗ばんだ肌が重なり合う。
荒い息遣いをすぐそばで聞きながら、その逞しい背中を陽子は恐る恐る抱きしめた。
「陽子は末恐ろしいな…」
ようやく息も整ったころ、尚隆がぽつりと呟く。
「?……どういう意味です?」
首を傾げて問う陽子に尚隆は苦笑した。
「いつか俺の手には余るようになるかもしれん…」
そう言って陽子の唇に軽い接吻を落とし、首筋、鎖骨へと舌を這わせる。
「…は…っ…ぁん…っ」
達したばかりなのにその身体は敏感に反応し、ひっきりなしに甘い喘ぎが漏れる。
胸の頂きを口に含んで転がし、秘所へ手を伸ばせば既に新しい蜜が滴っていた。
(まったく――この姿がどれだけ男を狂わすものか無自覚とはな…)
会うたびに色気と艶を増す陽子の淫らな姿が嬉しくもあり、どこか不安も覚える尚隆だったが、今はただ二人、熱を与え合い、終わりの無い快感の波間に身を委ねるのだった――。
<終わり>
gj!!!
いやこれは濃厚…GJ!
第二って携帯からは不可?見つからない…
おおっ! いや〜きましたね〜 GJであります
222 :
名無しさん@ピンキー:2010/03/14(日) 01:30:39 ID:yxkIoC5b
捕手あげ
「――最近、よく眠れてないみたいなのよ、陽子。」
内殿を出て正寝に向かおうとしたところを、女史の祥瓊に呼び止められた。
「目の下の隈も酷いし、なんだかフラフラしてるし。もう見てられなくて。」
と、心底困った顔で景麒に訴える。
(…そのことか。)
と、内心で軽く溜め息を吐いた。
毎日顔を合わせるのだから、最近主上の様子がおかしい事はとうに気付いていた。
「それでね、お香を炊いたり、よく眠れるっていうお茶を延台輔から頂いて、
休憩のとき煎れてみたり、私たちも色々試したんだけど、どうも効果がないみたいなの。」
私たち、とは女御の鈴のことだろう。
「だから、台輔から何か言って貰えないかしら。」
「――何か、とは?」
「陽子ってほら生真面目だし、頑張り屋だし、なかなか弱音を吐かないでしょう?
もしかしたら、私たちには相談出来ないことを一人悩んでるのかもしれないわ。」
祥瓊は少し悲しそうな顔をした。
「でも台輔になら陽子も話せるんじゃないか、って思ったの。」
景麒は困惑した。
陽子が一番親しい祥瓊と鈴に話せないことが自分に話せる?
有り得ない。断じて有り得ないと思った。
政事に関してあれこれ言い合うことは多いが、陽子の私情に立ち入ったことは殆ど無い。
大体、自分がそんな陽子のプライベートに口を挟んだって
『あぁわかったわかった、私は大丈夫だから。お前はもう下がれ』
と、追い払われるのが目に見えている。
王と麒麟はお互いを半身とし、通例は仲が良いことが多いが何事も例外はある。
景麒と陽子の仲が悪い訳ではないが、公私に渡って全てを分かり合う仲では勿論無い。
自分には無理だと祥瓊に告げようと思ったその時、景麒の頭にあるアイデアが浮かんだ。
これなら、主上の不眠も解消されるのでは――。勝手に一人でそう確信する。
「わかった。私の方から主上に話をしてみよう。」
そう祥瓊に言うと、大層嬉しそうな顔をして景麒に頭を下げ、内殿の方へと去って行った。
―その日の夜。
陽子は自分の臥所でごろりと寝返りを打った。
(……やっぱり寝れないか)
これが俗に蓬莱で言う『すとれす』による不眠症なのは自分でもわかっていた。
毎日朝も早よから朝議に出て、青筋を浮かべながら涼しい顔で前王の時代から
古く宮中に蔓延って来た諸官と激しいバトルを繰り広げる浩瀚を感嘆の目で眺め、
そして終わり頃には景麒の溜め息としかめっ面を拝む。
それが終わればいくら片付けても終わらない書簡と格闘し、
その合間を縫って祥瓊と字の読み書きの練習。
登極から数年が経つが、まだまだ陽子は王としての道を歩み始めたばかりだった。
焦ってはいけない、とわかってるつもりだった。
でも、もっと自分がしっかりしていたら――。
もっと政治の事に詳しくて、せめて文字くらい読めて、
諸官とやり合うだけの度量と知識があったら――。
自分が至らない部分を、浩瀚と景麒に多く補ってもらっている現状がなんとも心苦しかった。
それにこの頃いつも、夜になると蓬莱の父と母のことが思い出された。
自分は家出した失踪少女として扱われ、もう捜索はとっくに打ち切られただろう。
陽子の部屋で泣いてるだろう母を思うと、ひどく胸が痛んだ。
そんなことをつらつらと考え、何度目か分らない寝返りを打った時、
コツコツと部屋の扉を叩く音を聞いた。
こんな夜更けに何だろうと、寝台から身を起こすと
「私です、主上。」
景麒の声が扉の向こうから響いた。
「…景麒? どうした、何かあったのか?」
女官も通さずに直接景麒が訪れるのは珍しい。
「いえ。私用で参りました。」
ますます珍しい。とりあえず「いいよ。入って」と声を掛けた。
景麒は人払いを済ませてから、陽子を訪れた。
陽子の声に答えて扉を開ける。
後ろ手で扉を閉め、寝台へと歩み寄る。
「どうしたんだ?景麒」
その問いには答えず、枕辺の椅子を指した。
「座ってもよろしいでしょうか?」
「…ああ、どうぞ。」
何処かがいつもと違う景麒に、陽子は微かに戸惑った。
椅子に腰を下ろし、ひたと景麒は陽子を見据えた。
「女史の祥瓊から、主上がこの頃よくお眠りになられていないようだとお聞きしました。」
(…その話か。)
陽子は内心で溜め息を吐いた。
「それで、主上は何かお悩みになられているご様子。私でよろしければ、それが何なのかお話し下さらないでしょうか?」
景麒の意外な言葉に陽子は目を見開いた。
あの仏頂面の溜め息製造マシーンからこんな言葉が出るなんて…。
それに只でさえ忙しい景麒に余計な心配は掛けまいと、陽子が気丈に振舞ってきたのも事実だった。
「…景麒、お前熱でもあるのか?」
自分のことより、あまりにいつもと違う景麒の方が心配になった。
「それとも、何か悪いものでも食べたのか?」
本気で聞いてるらしい陽子に、景麒は顔をしかめた。
「そのようなことはございません。それよりも主上、私の問いに答えては頂けませぬか?」
真剣な顔で自分を見る景麒に、陽子はうっと身を引いた。
悩みを言えと言われても、至らない自分に落ち込んでたとか、蓬莱が懐かしいとか、
そんな景麒からしたら些末な事を告げるのは何だか気が引けた。
「大した事じゃないんだ…。それにお前には関係ない事だし…。」
ぽつぽつと呟く陽子の言葉に、景麒はピクと片眉を上げる。
(…関係ない?主上の麒麟である私に?)
なんだか酷く苛々する。
「…分りました。では質問を変えます。――主上は、誰かと床を共にした事はおありですか?」
「……………………は?」
質問の矛先が変わってホッとしたのも束の間、景麒の口から出た言葉に陽子は固まった。
「ですから、異性と一晩床を共にした事はおありか、と聞いているのです。」
その言葉の意味を理解するのにたっぷり数十秒はかかった。
ようやく理解した途端、陽子の顔が湯気も出そうなくらい真っ赤に染まる。
「……なっ、な、何をいきなり言うんだ、お前は…!!」
思わず寝台から立ち上がる。
そんな陽子を冷静に見やり、景麒は静かに言葉を重ねた。
「おありにならないのですか?」
「あ、あるわけないだろうっ…!!」
蓬莱に居たときは、恋愛に興味はありつつも自分から積極的に動くことはしなかった。
周りの女の子達が彼氏だ恋人だ初体験だと騒ぐのを横目で見ていただけ。
この世界に連れて来られてからは言わずもがな。
王としてギリギリの毎日を送ってるのにどこにそんな暇があるのか。こっちが聞きたい。
「――では、主上はご存知ないのですね。」
何をだ?と聞こうとした時、景麒の唇が陽子のそれに重なった。
突然の事に陽子の反応は遅れた。
優しく重ねられた唇は何度も触れるだけの接吻を繰り返し、
やがて景麒の舌が下唇をなぞったかと思うと、
呼吸の為に開かれた陽子の口を割って口腔内に侵入する。
歯列をなぞり、陽子の舌を絡め取って強く吸った。
逃げ惑う陽子の舌を執拗に追いまわす。
陽子は初めて味わう感覚に戸惑いながら、すぐに息が苦しくなって景麒の胸を叩くが、
景麒は無情にも反応しない。
次第に陽子の身体から力が抜け、腰ががくがくと震えだしたころ、やっと唇が離された。
崩れ落ちそうな身体を景麒の腕が支える。
「…っ…はぁ…っはぁ……、お前、私を殺す気なのか!?」
「まさか。そのようなことは…」
「というか一体何なんだいきなりさっきから……っ、お前今日おかしいぞ…っ!」
陽子は混乱していた。
景麒から耳を疑う質問をされたかと思えば次は接吻、それも濃厚なディープキス。
そういえばこれがファーストキスだと今気が付く。
子供のころ夢見ていたロマンチックな状況とは程遠かった。
「主上、人は異性と身体を重ねた後、それはよく眠れるのだそうですよ。」
そんな陽子に構わず、景麒は淡々と言った。
「…………はぁ…!?」
「ここは不肖ながら私めが、主上のお役に立とうと思う所存です。」
つまりこの麒麟は自分が陽子を抱くと言っているのだった。
陽子の混乱はここに極まった。
不眠解消のためとは言え何故そんなことをせねばならないのか。
そして何故この麒麟がその行為の相手として名乗り出てくるのか。
只でさえさっきの接吻で頭はぼーっと霞んでいて、とっさに言葉が出てこない。
「ご安心ください。これでも私、それなりに経験がありますゆえ、
主上の悪いようには致しません。」
「そういう問題じゃ――」
ない、と叫ぼうとした言葉は遮られ、陽子の身体は寝台へと押し倒される。
そして再び唇が重ねられた。
舌が差し入れられ、さっきよりもっと深く執拗に陽子の口腔中を責め立てる。
呼吸がしやすいように何度も口を離しては角度を変え、
互いの唾液がほぼ混ざりきったころ、景麒の手が衣にかかった。
「…っっんん…!!」
じたばたと足掻くも空しく、全身に景麒の体重が押しかかって身動きがままならない。
体格も違えば力も違う。男と女の違いをまざまざと見せ付けられた気分だった。
なんとも器用に陽子の衣を剥ぎ取ると、その艶やかな肌へ手を伸ばす。
ようやく唇が離されて、陽子は大きく息を吐いた。
「…っ…はぁっ…けいき…っ、やめろ…ってば…!」
陽子の言葉を無視してその首筋に舌を這わせ、鎖骨へと下りて行く。
やや控えめな胸のふくらみに差し掛かると、強く吸って赤い跡を付けた。
「…っぁ……っんん」
何もかも初めての感覚に陽子は身を捩った。
景麒に触れられた部分が熱を持ち、じわじわと全身に広がっていく。
口の中に景麒の舌の感覚がまだ残っている。他人と唾液を交換し合うなんて―。
今までとても考えられなかったその行為に陽子の思考は麻痺していく。
初めて見る陽子の生まれたままの姿に、景麒は予想以上の興奮を覚えた。
褐色の肌には薄く汗が光り、触ればなんとも滑らかで景麒の手の平に吸い付くようだった。
やや小ぶりな胸の頂きは陽子の呼吸に合わせて上下する。
よくくびれた腰は引き締まり、太ももは年相応に肉付きよく張っていた。
そして自分を見る潤んだ翠色の瞳――。
ああ、もっとこの方を喘がせたい―。自分の全てをもって犯し尽くしたい。
そんな黒い欲望が景麒のなかで膨らんでいく。
胸元に赤い跡をいくつも咲かせてから、そおっと胸の頂きを口に含んだ。
唇で挟んでやわやわと擦り、舌の先で軽く押す。
舐め上げてしゃぶって吸って、軽く歯を立てた。
「…っああ……っんん…っや…」
その優しくも甘美な刺激に陽子は甘い喘ぎを漏らす。
一旦唇が離されたと思うと、もう片方の頂きをまた口に含んで同じように愛撫する。
「…っはぁ…っん……」
――なんなんだろう。この感覚は。
甘く、強く、己の身体を支配していくこの痺れるような疼きは――。
一人で自慰をしたこともない陽子は、これが性の快感なのだと初めて知るのだった。
景麒の薄い色の金髪が垂れて、陽子の肌をくすぐった。
ふとその髪に指をからめてさらさらと梳いた。
思ったよりそれは心地よくて、何度も繰り返す。
その間も景麒の動きは止まらず、ようやく頂きから口を離すと
胸元、下腹部へと唇を落とし、時折思い出したように赤い跡をつける。
「…っん…っぁ…」
そして淡く濃い紅が茂るところへ手が伸ばされた。
「…っ…!」
景麒の細くて綺麗な指が、何度も優しく溝をなぞる。
そこは既に蜜が濡れそぼっていた。
景麒はなんともいえない嬉しさを感じ、陽子の両足に手をかけて大きく開かせる。
「…っあ!」
そして其処をまじまじと眺めた。
あまりの羞恥に陽子は顔を真っ赤にして身を捩った。
あふれた蜜でてらてらと光るそこは綺麗なピンク色で、
誰も踏み入ったことのない聖域だった。
我知らず感動しながら吸い寄せられるように唇を寄せた。
「…そんなっ、に…みないで…っ…けぃき…っ」
恥ずかしさで消えてしまいたいくらいなのに、
更に景麒がそこへ顔を近づけたときは目を疑った。
温かくて柔らかい何かが触れて、自分でも触ったことがないそこを優しくなぞっていく。
「…っぁあ…っん…っ!」
蜜を舐め取るように丹念に舌を動かした。
「…っひゃ…っぁ…ん…っ」
甘い痺れが全身に広がって陽子を蹂躙する。
熱い、熱い何かが身体の奥から湧き上がってくるのを感じた。
どこもかしこも敏感になってる身体は景麒の吐息にさえ反応してしまう。
次から次へと溢れる蜜に景麒は内心感嘆した。
今までこんなに熱情的に相手に愛撫を施すのは景麒自身も初めてのことだった。
自分の動きに反応する陽子の一挙一動が愛おしくて、執拗なほどに舌で嬲る。
熟れた真珠を優しく舌の先で押して、ぺろりと舐めた。
「…っっぁあ!!」
陽子の身体がびくんと跳ねる。
びりっと電気が流れたかと思う強い刺激に陽子は目をつぶった。
でもそれは今まで味わったことのない強烈な甘さを持ち、
もっと、と言うかのように陽子の腰がくねる。
何度も舐めてから軽く吸い付く。
「はぁ…っ…んっ…ぁあ…っっ!」
何かが来る――。
景麒は指で花びらをなぞりながら、なおも舌で真珠を責めた。
「…ぁあっ…っん…けい、き…っ、…けいき…っ!」
その何かが怖くて、景麒の名を何度も読んだ。
「…っぁ…ああああああっっ…!!」
ついに陽子は初めての絶頂を迎えた。
押し寄せた快感の波が身体中を駆け抜けて、頭が真っ白になる。
泉からは大量の蜜が零れて、今にも物欲しそうにひくひくと震えた。
景麒は陽子の身体の震えが収まったのを確認すると、
しとどに濡れた泉へ指を一本差し込んだ。
これだけ濡れていてもまだそこは狭く、景麒の指をねっとりと締め付ける。
ゆっくり奥まで差し込んでは抜き、また差し込んで、じっくり慣らして行く。
本当は今すぐにも挿入したかったが、さすがにまだ痛むだろうと思いながら指を二本に増やす。
くちゅ、ぐちゅ、くちゃ、と指が動くたびにいやらしい水音が響く。
「…っはぁ…っああ!…んっ……あっ」
達したばかりの身体は敏感に反応して、陽子の口からは絶え間なく喘ぎが漏れた。
やがて泉がすっかり景麒の指に馴染んだころ、優しく引き抜いた。
「…っぁ…」
なんとなく物寂しさを感じて陽子は軽く息を吐く。
しかしすぐに別の熱い何かがそこにあてがわれて、身体を震わせた。
「…よろしいですか?主上」
この期に及んで景麒は陽子に問うた。
よろしいも何も既にここまで散々弄ばれて、どこもかしこも舐められて指まであそこに
入れられてかき回されたのに、何故ここに来て陽子に確認を取るのか――。
陽子は頬を赤く染めて視線を反らした。
肝心なところが鈍い麒麟に内心で歯噛みする。
「主上?…やはり、お止めになりますか?」
陽子のそんな様子を否定の意と受け取ったのか、景麒は不安そうに陽子の顔を覗き込む。
「………ないで」
「は?」
「…やめ、ないで…景麒」
蚊の鳴くような声で陽子は答えた。その顔は真っ赤に染まっている。
景麒は安堵の息を吐いて、陽子の額に優しく口付ける。
「では、参ります。主上」
そう耳元で囁いてから、泉の入り口にあてがった熱く滾る己のソレをゆっくりと陽子のなかへ沈めて行く。
「……つっ…!」
何かが引き裂かれるような痛みに、陽子は息を詰めた。
初めは痛いものだ、と知ってはいたけれど想像以上の痛みに内心悲鳴を上げる。
景麒に心配かけまいと声を堪えるが、その眉間には深く皺が寄り、固く表情が強張った。
そんな陽子の様子を気に掛けながらも、景麒も熱く己に絡み付いてくる陽子の内壁(なか)に
余裕がなく、痛みを引き伸ばすよりは、と一気に奥まで貫いた。
「……っっあああ!!」
声にならない悲鳴が喉をやいた。あまりの痛みに意識が遠のきそうになる。
抜いて欲しい、と懇願しそうになった言葉をぎりぎり喉元で飲み込んだ。
――狭い。
陽子の痛がるのも当然で、誰も踏み入ったことのない其処は景麒の猛りをきゅうきゅうと
強く締め付けた。
あまりの快感と、陽子の破瓜の証がなかで滲んで、血に弱い麒麟の景麒は軽く眩暈がする。
それでも陽子の味わう痛みと比べたら、と必死に己を奮い立たせる。
それに自分の麒麟の性(さが)よりも、雄(おす)として陽子を犯したい欲望の方が遥かに勝っていた。
「主上…っ、動いてもよろしいか?」
陽子はその目尻に涙を浮かべて、微かに頷いた。
その圧倒的な質量がゆっくりと引き抜かれて微かに息を吐くが、またすぐ押し込まれて息がひきつる。
何度も何度も抜き差しが繰り返されて、少しずつではあるが痛みが引いてくるのを感じた。
「…っ…ぁ…っっん……は…っ」
景麒は自分が突くたびに揺れる陽子の胸の頂きにしゃぶりついた。
先ほどのように何度も舐めて吸って、じっくりと味わう。
「ああっっ…んっ…う…っ…んぁ…っ」
甘い痺れがまたよみがえって泉へと伝わり、溢れた蜜が潤滑油となって景麒の動きを助ける。
胸から口を離して陽子の腰を抱え直し、角度を変えながら浅く深く攻め立てた。
「…っはぁ…ぁあ…っ…んっ」
陽子の喘ぎに甘みが含まれたのを知ると、陽子が反応したところに何度もごりごりと猛りを擦り付けて、時折かき回すように強く腰
を打ちつけてはまた引き、どこまでも陽子のなかを貪っていく。
今や痛みよりも快感の方が強まり、陽子はその景麒の激しい動きに翻弄されていた。
「んっぁ…っああ…ふ…っ…ぁぁ!」
引いては押し寄せる熱い波に、陽子は身をくねらせて高い声を上げる。
景麒が自分を激しく求めているのが伝わってきて、我知らず胸の奥が熱くなる。
何かを堪えるように眉間に皺を寄せて自分にその熱を打ちつける麒麟を、何故か愛おしく思った。
景麒は今にも精を吐き出したいのを必死で抑えていた。
なんとか陽子も一緒に高みへ昇らせたい――。
陽子の半開きの口へ唇を重ねて舌を絡め、深く貪る。
そのまま手をのばして、繋がった箇所のすぐ上の熟れた真珠を指で優しく転がした。
「…ふ…っぅ…んむ…!?」
その瞬間、陽子の身体がびくんと大きく跳ねた。
何度も指の腹で擦っては軽く押して、嬲るように弄ぶ。
再び与えられた強い刺激に、陽子は身体を震わせて歓喜し、
同時にまたあのせり上がってくる快感の波に意識を攫われて行く。
景麒は唇を離して、何度も強く陽子を貫いた。
「ああっ…っあ、…けぃ、き…っ…けいき…っっ!」
「…っ…主上…!」
陽子の内壁が強く景麒を絞り取った。
たまらず一番奥へ猛りを差し込んでから大量の白い精を放つ。
「あ、あっああああああああ……っっ!!」
熱い奔流を受け止めながら、全身を震わせて遥かな高みの絶頂へと駆け上って行った。
陽子はぐったりと寝台へ身を預けた。
荒い息を繰り返しながら、呆然と天井を眺める。
心地良い脱力感と共に睡魔が襲ってきて、景麒の言ってたことは本当だったんだ、とぼんやり思った。
全部吐き出してすっかり小さくなったソレを景麒はゆっくりと引き抜いた。
その後を追って陽子の純潔の証と自分の精が混ざったものが零れ出る。
景麒は綺麗なものを己の手で汚してしまった軽い罪悪感と、陽子の身体を自分が犯したという征服感で心の内が満たされていくのを感じた。
なんとなく決まりが悪くて、陽子の身体を優しく抱き締めてその唇に接吻を落とす。
陽子はそんな景麒の首に腕を回してすがり、お返しとばかりに唇を重ねて舌で軽くなぞった。
景麒は一瞬驚きを見せたが、すぐにその動きに合わせて舌を絡めていく。
ひとしきり味わってから唇を離すと、陽子が静かに口を開いた。
「…景麒…その…」
「はい。」
「…血は、あの、わたしの血は大丈夫なのか?なんか、出るんだろ?そういうの…」
破瓜の血のことを言ってるのだろう。自分のことより相手を気遣う陽子にふと笑みを零す。
「大事ございません。穢れのものではございませんので。」
きっぱりと言う景麒に陽子は安堵の息を吐く。それからもじもじと頬を赤く染めて下を向いた。
「主上?どこか痛むのですか?」
「…いや、そうじゃなくて…あ、いや、ちょっとは痛いけど…」
歯切れの悪い陽子に景麒は首が傾げる。
「…あの、その…すごい、気持ちよかったんだ…」
尻すぼみに声が小さくなって、景麒はかろうじてその言葉を聞き取った。
「主上……っ」
とっさに陽子を強く抱き締めて、陽子から苦しげな声が上がる。
「けいき、いたいよ…っ」
腕の力を緩めるが、陽子を放そうとはしない。
初めはただ主上の不眠解消のためにと思いついたことだった。途中からは完全に欲望のままに腰を突き動かし、最後に今まで知りえなかった幸福感に包まれた。
この方の麒麟でよかったと心の底から思った。
「あの、景麒…っ、その、おかげで眠くなったから、寝たいんだけど…」
自分を放さない景麒に困ったように声をかけた。
そもそもそれが目的であった、と景麒は我に返るが、首をもたげ始めた欲望は理性など知ったことではない、とますます熱く膨らんでいく。
「…主上、もう一度しませんか?」
「ええっっ!?」
やっぱり景麒は景麒だった。陽子を思いやってるのかいないのか、なんだかんだと我儘である。
「いや、でも朝議もあるし…」
「明日くらい休んでも大事ございませんでしょう。これまで主上はよく頑張られた。少し力を抜いてもよろしいかと。」
優しく振りそそいだその言葉に陽子は目を見開いて、その翠色の瞳から一筋の涙が伝い落ちていく。
「主上…!?泣くほどお嫌なのですか?」
「…ちがう、そうじゃないんだ、そうじゃない…」
涙はあとからあとから零れ出て陽子の頬を濡らして行く。景麒はしばらくおろおろとしてたが、やがてそおっとその涙を舌で拭い取った。
温かいものが目尻に触れて、陽子は目を閉じた。
冷たく凍りつくように胸の内でたまっていた何かが、熱く溶けて行く。
――自分は孤独(ひとり)じゃない。仲間が居て、官がいて、そしてこの麒麟が居る。
何も思いつめることはなかったのだ、周り(みんな)が支えてくれるのだから。
手の甲で涙を拭って、景麒へ笑顔を向けた。
「うん、景麒…ありがとう。…その、いいよ。景麒がしたいなら、私もしたい。」
主上のこんな晴れ晴れとした笑顔を久々に見たと思った。後半の言葉に目を見開いてから、すぐ笑みを浮かべて
陽子の唇へ優しく口付けた。
「……主上」
陽子の身体を再び寝台へ押し倒し、触れるだけの接吻を繰り返しながら、やわやわと胸を揉みしだく。
「…っぁ…んっ…ふぁ…っ」
再び高まっていく身体の熱を感じながら、
景麒の温かな肌に、身も心も委ねていくのだった――。
次の日、一向に朝議に現れない主従に痺れを切らした浩瀚が祥瓊から事の次第を聞き、
額に青筋を浮かべてにこにこと景麒を説教したのはまた別のお話である。
<終わり>
GJGJGJGJGJ!
来ました! 待ってました! サイコーです!
GJJJJJJJ!!!w
このスレになって新作しょっぱから多くて嬉しい!!
234 :
223:2010/03/19(金) 21:38:21 ID:Rn3zYupl
こんなん需要あるんだろうか…とハラハラで投下したものだったので
温かい言葉に涙がちょちょぎれました
本当にありがとうございます
その勢いで
尚陽を書き上げましたので投下します
よりによって尚隆との逢瀬を約束していた日に
火急の事案が官から奏上されて、
景麒と浩瀚の協力も得てなんとか大急ぎでそれを片付けてから
班渠に飛び乗って、ふたりで決めた舎館(やど)へと向かった。
約束の時間はとうに過ぎていて
息を切らして案内された房室(へや)に入ると、
尚隆は窓辺で月を見ながら酒の杯を傾けていた。
その背中がなんとなく近寄りがたくて
入り口に立ち尽くしていると、男が振り向いた。
「どうだ、陽子も一杯やらんか」
と徳利を持ち上げて陽子へ示した。
「いえ…あ、はい…。」
おずおずと近付いて卓上の杯を取ると、
尚隆が徳利を傾けて酒を注いでくれた。
慣れない匂いに戸惑いながら少しだけ口に含んで、
なんとか飲み込むが、それで杯を卓へ置いてしまう。
「無理をしなくても良い」
申し訳なさそうに見上げたら、尚隆が笑っていた。
「…怒ってないんですか?」
その笑顔に押されて、遅れた事を責めもせず問いもしない尚隆に問うたら
「まさか。」
と返された。
「王とは基本、国の為に粉骨砕身するために存在している。
ましてや登極から間も無い国なら尚更だ。」
と、陽子が遅れた理由を遠回しに言い当てて、どこか寂しげな瞳で月を見る。
「そうですね…」
陽子も何となく月を見て、今日は綺麗な満月だと気がついた。
「延王は…嫌になることはないのですか?」
その淡い光に吸い込まれるように、思わず言葉が滑りでた。
言ってからハッとして、
「すいません、こんなこと…」
「いや、構わない。もちろんあるとも。」
そう言って陽子の手を掴んだ。
「お前のような女と一緒に居られるなら、王になった意味もあったかもしれないがな。」
そうして陽子の手の甲に口付けを落とし、徐々に上へ向かって舌を這わす。
「…えん、おう…っ」
陽子は息を呑んだ。
その舌があまりに熱くて、触れられた部分から火が出るような気がした。
急にその手をぐいと引っ張られて、男の胸へと倒れこむ。
どくどくと鼓動が聞こえて、反射的に顔を赤くした時、
大きな手で身体を抱き上げられ、膝の上へと座らされた。
潤んだ翠色の瞳を見ながら、そっと唇を重ね合わせた。
「…んっ……ぅ…」
舌を差し入れて歯列をなぞり、陽子の舌を絡めとって強く吸うと、
腕に抱いた細い身体がびくんと震えた。
「…っ…は…っ…ん…っ」
しばらくして唇を離すと、
「お酒くさいです…」
抗議の声が吐息とともに陽子の口から漏れた。
床にたくさん散らばった徳利が、自分が一体どれだけの酒を煽ったかを示していた。
声を上げて笑ってから再びその唇を重ねる。
襦裙の隙間から手を忍ばせて、その柔らかな胸を手の平で包んだ。
優しく揉み上げて頂きを指の腹で擦ると、悩ましげな吐息が零れる。
襦裙を大きく開かせて、露になった肌に吸い付いた。
鎖骨を舌でなぞってから強く吸って赤い跡をつけて、徐々に下へと向かい、
やがてぷっくりと主張するその頂きを口に含む。
「…っっぁ……んっ…」
ころころと舌で転がすと、甘い嬌声が上がって、
まるで飴をしゃぶるように執拗に責めて、軽く歯を立てた。
「んっ…ぁあっ…は…っ」
そのまま太腿に左手を伸ばして、そのしっとりと吸い付く肌を撫で上げる。
焦らすように手の平を滑らせて、秘められた泉を下着の上から優しくなぞった。
「っあ…っ…うっ」
せわしなく下着を抜き去って指を差し込むと、そこは既に濡れていて尚隆の指を
嬉しそうに締め付けた。
くちゅくちゅと音を立ててかき混ぜて、すぐに引き抜く。
そして固く反り返った熱い猛りを其処へあてがった。
「…っぁ……えん、おう…っ」
早急に進む事に驚いて男の名を呼ぶと、
「すまんが、堪えてくれ」
と耳元で囁かれて、その手で支えられた陽子の腰がゆっくりと沈められていく。
「ああ…っっ」
まだ慣らし始めたばかりの其処を熱く太いものが押し入ってきて、陽子は息を呑んだ。
そのまま奥まで貫かれて、とっさに男の首に腕を回してしがみつき、
自重でいつもより深く当るソレに息苦しさを感じて深く息を吸った。
尚隆はそのまま陽子の腰を揺さぶって、下から強く突き上げる。
「…っんん…っあ…っ!」
何度も下から貫かれて、なかをごりごりと擦り上げる熱に悲鳴を上げる。
いつになく余裕が無い尚隆は、陽子の狭く熱い内壁(なか)を貪りながら、
目の前の赤い唇に食らいついた。
深く舌を絡めて吸って、執拗に陽子の口腔内を舐めまわす。
上からも下からも激しく責め立てられて、陽子は頭の芯が痺れていくのを感じた。
ようやく唇が離されて、また下から強く猛りが打ち付けられる。
「ああっ!…はっ…っ…んぁっ」
熱いモノが奥まで当たって、そのまま押し付けるように腰を回されて、
その強い刺激に声にならない声を上げて身悶える。
「んっ、…ぁっ…ああっ…、もう……っ!」
「…陽子…っ」
男は吐息と共に女の名を囁いてから、一番奥で白い精を放った。
「…っ、ああああああああ…っっ!」
びくびくと身体を震わせて、陽子も絶頂へと駆け上がる。
熱い何かが己の身体で弾けたのを感じながら、その逞しい背中にしがみついて
その激しさをやり過ごした。
「はぁ…っ、はぁ…」
荒い息も整わない内に、男は陽子を貫いたまま立ち上がった。
「…ぁっ…!!」
さっき吐き出したにも関わらずソレはまだ固く反り返っていて、
男が歩くたびに微妙な振動が陽子のなかを突き上げて、
それから逃れようと必死に男の首に腕を回して自重を支えようとする。
やがて男は立ち止まり、陽子の身体を寝台へ下ろしたかと思えば、
そのままひっくり返して尻を高く上げさせ、再び後ろから猛りを突き立てた。
「あああっ…!」
ぎりぎりまで引き抜いてまた押し込んで、何度も腰を打ち付ける。
「っは…ぁっ…んんっ…っあ」
あまりに激しくなかを責め立てる熱く太いモノに、陽子は意識が遠のきそうになった。
奥の奥まで貫いて、きゅうきゅうと己を締め付ける陽子の内壁(なか)に全てを委ねていく。
部屋には、繋がった箇所から漏れ出る淫らな水音と、肌と肌が強く当る音と、二人の荒い息遣いが響いていた。
やがて尚隆は陽子に覆い被さるように柔らかな胸へ手を伸ばして揉み上げた。
「ああっ…んぁ……っ…はぁ…っ」
そのまま腰の動きを早めて、強く腰を打ちつけてから大量の精を放つ。
「っぁ、っああああああ……っ!」
その瞬間に胸の頂きを摘まれて、甘い刺激とともに再び訪れた絶頂に全身を震わせる。
自分の背中にのしかかった男の吐息が、耳元で響いていた。
やがて尚隆は寝台にごろんと倒れこむように横になった。
繋がった箇所はそのままに陽子を横抱きにして、その紅い豊かな髪へと顔を埋める。
「…尚隆?」
どこかいつもと違う男の様子に、躊躇いつつ名を呼ぶと、
太い腕が腰に回されて、繋がった箇所が深まるように引き寄せられる。
「……っぁ…!」
思わずびくんと反応してしまって、くつくつと笑う声が耳元で聞こえた。
なんとなく悔しくて、身を捻って男の方へ振り返り、その唇を舌でなぞって、
唇を割って舌を差し入れると、待ってましたとばかりに男の舌が絡みつき、
何度も深く貪られて息が上がる。
唾液がまんべんなく混ざったころやっと解放されて、大きく息を吐く。
男は笑っているのにその瞳がどこか寂しそうで、
「…何か、あったんですか?」
と思わず聞いていた。
そんな陽子の髪を撫でながら、
「何故そう思う?」
と問い返すと、
「…なんとなく」
心細そうな返事が返ってきて、声を上げて笑った。
「そう心配するな。何もないさ。何も…ないから、かもしれんな。」
「…え?」
頭上から降ってきた言葉の意味を知る前に、尚隆の猛りが泉から引き抜かれて、
「…っぁ…っ」
なかを擦る感覚に小さく息を吐く。
尚隆は陽子の身体を仰向けに寝かせて、その可愛らしい胸の頂きを口に含んで吸った。
「…はぁ…っ、…しょうりゅう…っ、まだ、するんですか…っ」
何か、大切な何かをこの手につかむ前に消えてしまった気がしながら、
今日何度目か分からない交わりに抗議の声を上げると、尚隆は陽子の秘所に手を伸ばした。
「ああっ…んっ……や…っ」
愛液と吐き出した精でそこはしとどに濡れ、尚隆の指をなんなく飲み込んでいく。
二本目もあっさりと入って、ぐちゅぐちゅと音を立ててかき回すと、
陽子は顔を真っ赤にして視線を反らした。
「陽子のここは嫌がってないようだが」
意地悪く耳元で囁くと、
「ちが…っ、…んっ…あっ」
否定の声は喘ぎにかき消されて、ただ尚隆の動きに翻弄されていく。
いつまでも押し寄せる快感に朦朧としながら、ふと窓を見ると、
冷たく神秘的に光る月が、自分達を照らしていた。
その美しい孤独の星が、尚隆と似ている気がして、
自分を貫く男の背中に腕を回して強く抱き締める。
せめて今は、今だけは、
自分の熱い思いを感じていて欲しいと思いながら――。
<終わり>
>ID:Rn3zYupl
いや〜次々と投下頂き
感謝であります
感激であります
GJであります
ありがとおおおおお!!!
ID:Rn3zYuplさまGJです!
独り言です
愛のあるドSな浩×陽なんて読みたいな
ドS浩瀚読みたいw
>>234 GJ!
独り言は気にしないで
好きな時に好きな内容で投下してくれると嬉しいです
244 :
234:2010/03/20(土) 22:26:01 ID:AXm8Uyyx
温かいコメント、本当にありがとうございます!
>>241さんへ
無い頭を捻って絞ったら
こんなんしか出ませんでした…orz
短いしエロくないしほんとすいません!
**********************
「浩瀚は、わたしをどう思う?」
いきなり主上から出た言葉に、意味を図りかねて固まった。
「…どう、とは?」
そう聞き返すと、何故か主上の頬は赤く染まっていて、
「だから…その…、女としてどう思うか…って…」
そのまま下を向いて私から視線を反らす。
思わずふっと微笑んで、主上の後ろに回ってその御髪を手に取った。
「浩瀚…?」
不思議そうに主上が振り返る前に、その白いうなじに唇を寄せた。
「…っ!!」
主上が勢いよく立ち上がって、
「…こ、こうかん…!? 何を!?」
自分が口付けたところを手で押さえながら、耳まで真っ赤に染めて自分を見るので
その桜貝のような唇を己のそれで塞いだ。
「……んんっぅ!?」
深く何度も口付けて、舌を差し入れて柔らかく温かいなかを貪る。
逃げようとする舌を捕らえて吸って、唾液を混ぜ合わせた。
「…っ…ふ…ぅ…っぁ」
しばらく味わってから唇を離して、すっかり力が抜けて崩れ落ちる主上の腰に腕を回して支えた。
何度も息を吸って、恥ずかしそうに私の胸へと顔を埋める主上の耳元にそっと囁く。
「これでお分かりになられましたか?」
「…な、なにが…?」
とても小さな声で問い返すので、
「ですから、私が主上をどう思っているのか…ですよ」
そう言いながら白い耳朶を舌でなぞると、
「…っ…ぁ…やっ」
身を捩ってますます私にしがみ付く。
その様子が可愛らしくて、だんだん首筋へと舌を動かし、
襦裙の合わせを少し開いて、その艶やかな肌に赤い跡を付けた。
「…こ、こうかん…っ、待って…っ」
「何をですか?」
意地悪く囁いて、鎖骨の下へと舌を這わす。
やや小ぶりな胸のふくらみに差し掛かったところで
急に唇を離した。
「…ぁ…」
そして何事も無かったように乱れた襦裙を直してから身体を離す。
「主上がお望みなら、今夜、私の部屋へいらして下さい。
続きをして差し上げます。」
そう笑顔で言い放って、書斎から退出した。
顔を真っ赤にして床にへたり込んだ主上を一人残して。
<終わり>
>>244 ギャー!!
GJ!!
ありがとうございますごちそうさまでした
浩陽ってここだと少数派だから嬉しい
浩瀚好きって珍しい?
私は浩陽にものすごいエロスを感じるのだけど…
248 :
名無しさん@ピンキー:2010/03/21(日) 00:03:43 ID:JnenKvDV
浩陽大好物です。
浩陽ありがとうございます。
マイナーだけど好きだ!
サイトは結構多い気がするけどね<浩陽
251 :
244:2010/03/24(水) 22:40:46 ID:8DzLuxHC
浩陽ネタを思いついたので投下します
はたして仙は風邪を引くのだろうか?いや引かないだろう…
そんな葛藤は虚海へ投げ捨てて、なんとか書き上げました
どうか細かいところはご寛恕下さると嬉しいですm(_ _)m
252 :
浩陽@:2010/03/24(水) 22:41:31 ID:8DzLuxHC
「…ま、まって…っ…こうかん…っ!」
「待てません」
美味しそうなウサギが懐に飛び込んできて、それを食さないオオカミがこの世にいるだろうか。
風邪の見舞いだろうがなんだろうが浩瀚の部屋に一歩でも
踏み込んだ時点で陽子の運命は決まっていた。
「でも…っ、…熱が…あるのに…っ!」
「大した事はございません」
熱などよりも、目の前のご馳走をどう料理するかで頭は一杯だった。
寝台に押し倒して唇を塞いで、舌を絡めながら
襦裙を一枚ずつ剥がして行く。
「…んっ…ふ…ぅっ」
熱い浩瀚の舌を感じて陽子は震えた。同時に着ているものを剥がされて
咄嗟に抵抗するが、その体格に似合わない強い力で押さえ込まれる。
陽子の露になった胸の突起に吸い付いて、もう片方の胸を揉み上げながら
舌で転がしてその小さな実をじっくりと味わう。
「ぁっ…ん…っっ」
甘い声が聞こえて、突起から口を離し、代わりに指の腹で擦りながら
下腹部へ向かって舌を這わしていく。
艶のある褐色の肌はとても滑らかで、強く吸って赤い跡を付けると
とても綺麗だった。
茂みの傍まで来ると、
「…こう、かん…っ、…やめ…っ」
未だに陽子からは抵抗の言葉が漏れ、
それに応えて既に蜜が滴っている秘所へ唇を寄せた。
「ああっ…や…ぁっ」
蜜を舌ですくって、何度も花びらをなぞる。
秘所へ差し込んで蜜をかき出して啜ると、
「あぁ…っ…はっ…んぁっ」
陽子の身体が大きく跳ねた。
しばらく味わってから唇を離し、代わりに指を入れて激しくかき回す。
ぐちゅ、くちゅ、といやらしい音が響いて、
「嫌だとおっしゃられる割には、随分と此処は素直でいらっしゃいますね、主上」
耳元で嬲るように囁くと、
「っ…ちが…っ、…ああっ」
羞恥に顔を染めて身を捩って、秘所はますます浩瀚の指を締め付ける。
その様子に微笑んでから指を抜いて、固く反り返った猛りをあてがい、
そのまま一気に奥まで貫いた。
「…ああぁっ!」
熱くて狭い其処に一度息を吐いて、ゆっくり引き抜いて、また貫く。
陽子の左足を持ち上げて肩に乗せ、深く何度も腰を打ち付けた。
253 :
浩陽A:2010/03/24(水) 22:42:19 ID:8DzLuxHC
「っや…っ…ぁあっ…んっ」
その激しい動きに陽子は息も絶えだえに翻弄される。
抉るように奥まで達するソレが浩瀚の激情を表している気がして、
ただその熱を受け止めるだけが陽子にできることだった。
「ああっ…ふぁっ…っん」
回すように腰を押し付けながら、胸の頂きを口に含んで転がす。
内壁(なか)がきゅうきゅうと浩瀚のモノを締め付けて、
奥へ奥へ突いてから、精を吐き出した。
「っあ、あああああぁ…っっ!!」
熱い何かが注がれるのを感じながら、
陽子も絶頂へと辿り着く。
「はぁ…、はぁ…っ」
頭は熱でぼうっと霞んで、身体は倦怠感に包まれていたが、
まだまだ欲望は大人しくはならない。
一度猛りを引き抜いて、陽子の身体を反転させて
後ろから再び貫いた。
「ぁっ…は…っ…んんっ」
また強く腰を打ち付けられて、敷布を握りしめて陽子は必死に堪える。
「…こう、かん…っ…」
ふと名前を呼ばれて、動きを止めた。
ある事を閃いて、一度猛りを抜く。
「…ん…っ」
後ろからの圧迫感が無くなって小さく息を吐いた時、
身体を引っ張り起こされて、何事だろうと思ってるうちに
寝台に横になった浩瀚の上へと導かれる。
天まで反り返ったモノがどくんと脈打っていて、
さっきまでこれが自分に入っていたとは信じられなくて
顔を真っ赤にして視線を反らす。
そんな陽子に微笑みながら浩瀚は口を開いた。
「ご自分で入れてごらんなさい」
陽子は自分の耳を疑った。
まさか、と思って浩瀚を見れば、そこには有無を言わさない微笑があって、
できない、と言おうとした言葉を飲み込んだ。
「ほら、どうしました?」
動こうとしない陽子を責めるように、
熱い猛りが濡れそぼった其処をゆっくりと擦る。
「っぁぁ……や…っ」
熟れた真珠に押し付けるように腰を動かされて思わず高い声を上げる。
「主上もそのままではお辛いでしょう?」
にっこりと言われて自分には選択肢がないことを知り、
躊躇うように寝台へ手を付いて腰を持ち上げ、
猛りの先端をなんとか飲み込んだ。
254 :
浩陽B:2010/03/24(水) 22:42:50 ID:8DzLuxHC
そのまま腰を沈めて、
固い大きなモノが侵入ってくる感覚に我知らず歓喜しながら
ようやく全て飲み込んで大きく息を吐く。
「よくできましたね、主上。ご褒美をあげましょうか」
そう聞こえたと思った途端に下か強くら突き上げられた。
「…っああ!」
深く奥まで当たるモノに身体が震えて、咄嗟に前に手をついて
浮き上がりそうな身体を支える。
浩瀚の手で腰が揺さぶられて、また下から貫かれて、
喉の奥に悲鳴が張り付く。
「…っっ…ぁ…んっ」
男のモノを銜えてよがり声を上げる自分を下から舐めるように眺める
浩瀚の視線すらも、自分の中の熱を高めていく。
かき混ぜるように腰が回されて、なかをごりごり擦られて、
あまりに強い刺激にその目尻に涙が浮かんだ。
「ああぁっ…や…ぁっ…んぁっ」
そんな陽子が可愛くてたまらなくて、もっと鳴かせたくて、
何度も突き上げては、揺さぶった。
「ぁ…っ…もう…っ、ぁあああああっっ…!」
ただただ激しい快感が陽子の身体を駆け抜けていった。
背を弓なりに反らして全身を震わせたあと、
浩瀚の上に倒れ込む。
すぐ側に降りてきたその唇を塞いで、深く貪りながら
浩瀚も最後の突き上げとともに二度目の精を放った。
「…ふ…っ…んんっ」
全部注いでから唇を離して、その汗ばんだ身体を抱き締める。
「はぁ…っ…は…ぁっ」
激しさのあとの余韻で静まり返る部屋に、
お互いの荒い呼吸だけが響いていた。
やっと息も整って身体を起こした陽子は、
浩瀚が目を瞑ったままぐったりしている事に気が付いた。
そういえば熱があったんじゃなかったか、と思い出して
「浩瀚…!?大丈夫か…!?」
慌てて浩瀚の上から降りて、心配そうに声をかけると、その瞼がゆっくりと開いた。
「…大丈夫です。少し眩暈がしただけで…」
「こんな無茶をして大丈夫な訳ないだろう!今、瘍医を呼んでくるから!」
その辺に散らばってた衣を何枚か羽織って部屋を出ようとしたら
後ろから手首を掴まれた。
255 :
浩陽C:2010/03/24(水) 22:48:49 ID:8DzLuxHC
「浩瀚…?」
「…ここに、居てください」
その表情はとても真剣で、思わず足を止める。
掴まれた手をそっと握り返したら、浩瀚は微かに笑みを浮かべた。
やがて規則的な寝息が聞こえてきて、ほっとして枕辺の椅子へ腰掛けた。
空いた手で薄布を何枚も掛けてやりながら
その額へ手を伸ばすと、思ったより熱くてぎょっとする。
周りを見渡して、置いてあった水桶に布巾を浸して絞り、その額へのせた。
仮にも仙だから大丈夫だとは思うが、やはり瘍医を呼ぼうと立ち上がったら
浩瀚に握られた手がどうにもこうにも離れない。
一体どこにこんな力が…と半ば感嘆して途方に暮れていたら、扉を叩く音を聞いた。
「お薬と夕餉をお持ちしました。」
浩瀚の世話をしている女官だろう。
「ああ、ありがとう。そこに置いておいてくれ。
それから…その、すまないが瘍医を呼んできてくれないか?」
「え?…あ、…は、はい。畏まりました。」
大層困惑した様子で頷いてから慌てて遠ざかっていく足音に安堵の息を吐きながら、
冢宰の臥室からいきなり自国の王の声が響けば無理もないと思って苦笑する。
変な噂が立つかもしれないなぁと思いながら、自分の手を握りしめる温もりと、
浩瀚のどこか幼い寝顔を見ながら、微かな独占欲が胸を満たしていく。
普段はどこか冷たく澄ましている浩瀚が自分にだけ包み隠さずぶつけてくる
その激しい感情が怖くもあり嬉しくもあった。
過労による熱で倒れてしまったのもどこまでも無理をしてしまう真面目な性格と
周りにそれを悟らせない精神力の強さ故だろう。
切れすぎる程切れる頭脳を持ちながら、自分に関してだけは不器用な姿が
痛々しいと同時に愛おしかった。
そっと頬に口付けてから、残り僅かな二人だけの時間(とき)を
陽子はこの上ない宝物のように抱き締めるのだった。
<了>
浩陽ありがとうw
257 :
名無しさん@ピンキー:2010/03/25(木) 06:10:42 ID:EM99Kyh9
激しくGj
いやーーー!GJGJ!!
浩陽キテター!!!!
GJ!GJ以外言葉がないです
浩陽いいね
ほしゅ。
いろんなカプもの待ってるでよw
たびたび同じカプをすいません。短い上になんだかいまいちになりました
ほんとすいません。
************************
何度目かわからない交わりを終えて、
お互い力尽きたように、寝台に身を委ねた。
行為の後の余韻と、触れ合ってる体温が妙に心地よかった。
しばらくして、
ふと横の男が寝台から立ち上がった。
どうしたんだろうと視線だけで追ったら、
男は部屋の隅から水差しを持って戻ってきた。
二杯分注いで、こちらに差し出す。
「あ、ありがとう…。」
喉が渇いていたのは事実なので、その杯へ手を伸ばした時、
すっとそれが遠のくように男の手が引かれる。
驚いて見上げたら、あの意地悪そう笑みが浮かんでいた。
そのまま男は水を口に含んだと思ったら、女の頬に手を添える。
口移しにぬるくなった水が流し込まれて、慌てて飲み込んだ。
離したと思ったらまたすぐ水を口に含んで唇が塞がれて、
与えられるままに何度も飲み下して、頭がぼーっとしてきた頃、
やっと男が身体を起こして、近くの卓へと杯を置いた。
口の端から零れたものを手で拭いながら、
「…はぁ…っ…自分で、飲めるのに……。」
少し恨みがましそうにその男を見上げたら、
「主上はお疲れだと思いましたので。」
と、涼しい顔で言われて、
「そんなにやわな身体じゃない。」
とっさに言い返していた。
「おや、そうでございましたか。」
その嬉しそうな顔を見て、自分が失言したことに気が付いた。
ギシと寝台が音を立てて自分へと覆い被さってくる男に、ビクと身体を震わせたら
ふんわりとその腕に包み込まれて、そのままゆっくり倒れるように横たわる。
男の鼓動をすぐ側で聞きながら、ほっとするように息を吐いたら、
くすくすと笑う声が上から響いた。
思わず顔が赤くなって、悔しさを誤魔化すように目の前の胸板に噛み付いた。
「キスマークにしては随分乱暴ですね…。」
それでも男の余裕な態度は変わらなくて、その小さな突起を口に含んで転がした。
「…っ…」
微かに漏れた吐息を女は聞き逃さなかった。
何度も舌で嬲ってから口を離し、その男にしては白めの肌をなぞるように
舌を這わせたら、急に身体が反転して、寝台へと押し付けるようにされる。
完全に雄の目になった視線に見下ろされて、一瞬怯えるが、
次の瞬間優しく身体中にキスが落とされて、声のかわりに深く息を吸って吐いた。
「キスマークの基本からお教えなおした方がよろしいようですね。」
男はそんな事を言いながらどこか楽しげに、女の肌に跡を付けていく。
またじわじわと身体の熱が蘇ってきて、とっさにその頭を手で押さえたら、
それに応えてすっかり濡れそぼった其処へ舌が寄せられて、
もう我慢できずに高い声を上げた。
<おわり>
GJ!
浩瀚様をありがとう!GJ
充分すぎるほどエロい…
GJであります!
ようやく規制解除であります。とてもGJであります
感謝感激雨霰でうります
書庫引越しました?
最近過去スレを人物別に(笑)まとめてくださった方いましたよね?
無くなっちゃったorz
0
>>268 267じゃないんだけど、自分もそれクリックしても
『このページの表示が認められていません』て出て
開くことができない…
もしかして開けるひとと開けないひとと両方いるんじゃないのかな?
理由はわからなけど…
もしかしてISPのフィルタリングにひっかかってんじゃないかな?
自分はplalaで
>>268 のページは表示できるんだけど
他のエロイとこwで似たような表示が出て見れなかったのがある
今
>>268のページのソース見たけど
メタタグでratingってのが入っててadultになってた
これでフィルタリングされたとか?
>>270-271 そんな画面他でも見た事無いんだけど
ISPって勝手にフィルタリングとかすんの?
実は270がリア中とかリア高で
親が契約した携帯で見てたってオチじゃないよな?
>>271 まじでか…orz
ISPのフィルタリングってのよく分からないんだが解除方法は無いと思えばいいのかな?
でもおかしいな、先月までは普通に見れたんだけどな…
272が言うように、最近になってmetaタグに追加されたんだろうか
>>273 誤解させて申し訳なかったですが、もちろんパソコンです
しかも自分一人しか使っていなくて、誰もフィルタリングをかける可能性がありません
>>274 開設してからディレクトリー名&メニューファイル名の変更はしたけど
入口は変えてないし、mataタグは元から入れてます。
正しい書き方かどうかは知らず、他サイトからパクっただけだけどw
検索除けとか外国弾きとかの設定以外は変えてない筈だから、
先月見れて今月見れないのは変ですねー。
入口ページのmetaタグを外してみたんですがどうでしょう?
入口が見れてその先が駄目ならフィルタリングだと思います。
>>275 お手を煩わせてしまって申し訳ありませんでした
外国弾き、で思い当たる節がありました
とある事情で言語設定を日本語以外にしていたのが原因でした
『日本語』に設定を戻したら、無事開くことができました
相談に乗ってくださった方、司書さま、本当にありがとうございましたm(_ _)m
解決したようで何よりです。
ちなみに
>>270-271はIEでの閲覧時じゃないかと想像。
エラーページが512バイト以下だったか未満だったかの場合
IEは表示内容をIE標準のエラーメッセージに差し替えるから
『このページの表示が認められていません』はそれだった可能性が。
(Safari、Firefox、Operaならそのまま表示)
この場合アクセスの為に有用な情報が元画面にあったとしても
IEでは見られない事になるけど、インターネットオプションの
詳細設定で「HTTPエラーメッセージを簡易表示する」の
チェックを外しておけば大丈夫(多分)
267です。
>>268さん、ありがとうございます!!見れました!
返事が遅くなってすみませんm(_ _)m
さーて、職人さんこないかなっ
元々の書庫の方見てるんだけど
結構見れないページあるよね?
リンク切れもあるけどNot Foundにならないやつ
これって途中で職人さんの要望とかで下げたのかな?
それともリンクミスか何か?
新参者なので経緯を知ってる人がいたら教えてくれると嬉しい
安西先生…桓陽が…読みたいです…!
>>279 よく判んないけどもう中の人いないんだから
気にしなくていいよ
まとめさんの過去スレ見れば
全作品あるよ
保守っとくか
GWなのにこの荒廃。消滅間近か・・・・・
田舎に帰省してて書き込めないんじゃないの?
それとも規制か?
まー大丈夫じゃないの
何だかんだ言って職人さんはいつも帰ってきてくれるし
ここは恵まれてる
景陽的な何か。
確かめるように身体の線をなぞるその手は、着実に陽子を追いつめていく。
何かを考える余裕など、もうとっくに失せていた。
だから、景麒にさりげなく脚を開かされたことにも、
肌をすべる彼の指がついに中心にある泉へと触れたことにも、
陽子は気付かなかった。
気付いたときにはもう、それから逃れることは許されなくなっていた。
細くきれいな指が、湿り気を帯びた陽子の中心に触れるたび、
さらにその奥へと探るように埋められるたび、陽子は息をのみ背を浮かせる。
景麒は、陽子を、あくまでも優しく、だが執拗に攻め立てた。
徐々に熱の高まる部分を慈しむように愛撫すれば、
彼女の、吐息を含んだ甘い啼き声がする。
もっと、聞かせてほしい。
そんな欲望が頭をもたげる。
みたいな。
ごめんなさい。
久々の景陽ありがとう
そこでやめるなぁ〜
続きキホン
やめないでぇw
>>287 続きかもしれないような。
悩ましげに、切なげに、もうやめてほしいと請われても、景麒の指先が止まることはない。
敷布を固く握りしめ、どうにかして耐えようとする陽子の歪んだ表情を、この上なく綺麗だと思った。
とめどなく潤いを生み出す、その場所。
景麒は、知らず、引き寄せられるようにして奥へと唇を近づけた。そうして、そこにある美しく小さな蕾に、そろりと舌を這わせる。
とたん、陽子の身体が今まで以上に大きくしなった。
顎を上げ首筋をそらせ、喉の奥からは抗うことのできない音が発せらる。
「……景、麒」
ほとんど泣き出しそうになりながら、震える声音で陽子は愛する者を呼ぶ。
縋るように。
ああ……。
もう、耐えられそうにない……これ以上は。
景麒は、愛おしい少女の身体に全身の重みをかけた。
欠けてしまった破片を探り合わせるように。
互いを補い合うように。
二人はただひたすら番う。
もうこれ以上は無いというほどに、身体と身体を重ね、深い海の底へと沈んでいく。
「……まだ」
――まだ動かないで。
陽子は囁く。
しばらく、重なり合ったまま夜の静寂に身を置いた。
沁み入るほど、何かが満たされていくのを感じる。
やがて、耐えかねたように景麒が身を起こした。
静かな、けれども確かな熱を孕む瞳で陽子を見下ろしながら、彼はゆっくりと動き出した。
身体の感覚が、どこもかしこも鋭さを増していく。
呼吸が、荒くなる。
吐息だけでは抑え切れない喘ぎ声が、切迫の色を帯び、高くなる。
強く押さえ付けられた手首の痛みが、酷く愛おしかった。
次第に大きくなる揺れと、激しくなる快楽の中、何度も意識が飛ばされそうになるのを、必死で堪えた。
もっと。もっときつく。もっと奥へ。貪欲なまでに溺れてしまいたい。
加速度をつけて張り詰めていく空気の中、終わりがすぐそこまで迫っていることを、二人は同時に悟った。
もう――。
引き攣るように呼吸を止めた瞬間、陽子の身体が孤を描いてひときわ大きくのけぞる。
一拍遅れて、吸い込んだ息と共に、強靭とも言えるような甘い叫び声が解き放たれた。
耳元に高く響くその声に、景麒は背筋が粟立つほどの歓喜を覚えた。
沸点を越えた二つの身体が、穏やかな充足感に満たされる。
荒い息がおさまる頃には、包み込みような微睡みが優しく意識の上に覆いかぶさってきた。
ほんの少しだけ互いの視線を交えると、どちらからともなく瞼をふせた。
――やすらかな眠りへと落ちるために。
おしまい。
エロくできなくてすいません。
ちょっとした出来心でした。
言葉遣いとか変なのあっても見逃してください…。
g・j!!!
やた!続き!
ありがとう!!
おおっ〜乙であります。GJであります。感謝であります。更なる続きもキボンであります
296 :
桓陽を:2010/05/05(水) 21:58:23 ID:CL0FZC1R
280さんが桓陽を…とおっしゃってたので、がんばってみたんですが…。
初めて書いた二次なもんで、あんまりまとまりもなく、
A4用紙7枚くらいの長編(?)になってしまって…。
需要があれば、読んでいただきたいのですが…。
どうでしょう?
Wakuteka waku
>>296 頼んだ本人じゃないが、投下お願いします!
300 :
名無しさん@ピンキー:2010/05/05(水) 23:19:11 ID:CL0FZC1R
296です。
こんな短期間にお返事いただいて、ありがとうございます。
つたない文章ですが、温かい目で見守ってやってください。
桓x陽 書庫にて
301 :
桓x陽 書庫にて 1:2010/05/05(水) 23:21:19 ID:CL0FZC1R
午後の政務を終え、陽子は大僕を伴って、王宮の書庫を訪れた。
日は傾き、黄昏よりも暗い。目指した書庫内の一室に明かりが見える。
―誰か、先客が?―
半分だけ開かれた扉からそっと中を窺う。
窓際の榻に人影。窓から差す夕日の逆光ではっきりと見えない。
大僕に目配せし、扉を開ける。
足を一歩踏み入れ、その人影を誰何する。
想像もしていなかった人物が、真剣な眼差しで書物の文字を追っていた。
「桓魋?」
慶東国禁軍左将軍が書物から顔を上げる。
軍人である彼が、こちらの気配に気づくのが遅れるほど、読書に没頭していた。
一瞬、鋭い目つきでこちらを見据えた後、声をかけた者が誰であるかを認識すると
困ったような微笑を浮かべて椅子から立ち上がった。
「主上。…どうしてこちらに?」
そう言いながら、手に持っていた書物を閉じる。
「おまえこそ。めずらしいな、左将軍が書庫で調べものとは。」
「いやぁ、来月から始まる護岸工事の下調べを…。
州師の一兵卒の頃は、上から言われたことをやってれば良かったんですが。
今は指示を出さなきゃならない立場を拝命したもんですからね…。」
桓魋が手にしている書物は過去の護岸工事に関する資料のようだった。
「こうして、人目を忍んで勉強しているわけですよ。」
先ほどの微苦笑の訳を弁明した。
自嘲気味に視線を落とすと、手に持った書物をパラパラとめくる。
「なるほど…。私も似たようなものかな。
浩瀚に何でも聞いているようじゃダメだと思って、こうしてこっそり勉強をしに来るんだ。
もっとも、字を読むこともままならないんだけどね。」
―浩瀚には内緒だよ。― 人差し指を口に近づけて片目を瞑る。
桓魋は口の端を少し上げた顔で黙って頷いた。
彼の側に近づき、その手から書物を取り上げ、数頁めくる。
「…ふぅん。やはり、早く字が読めるようにならないとだめだね…
あ、でもこれは図が多くあって判り易いな。」
ぱたん。と書物を閉じて、桓魋に返す。
桓魋はそれを受け取りながら優しい眼差しでこちらを見ると、
「主上はよく頑張っておられると思いますよ。」
そういって、微笑んだ。
302 :
桓x陽 書庫にて2:2010/05/05(水) 23:23:43 ID:CL0FZC1R
「まだ、ここにいるだろう?」
「ええ、もう少し。」
「…邪魔じゃなければ私もここで読書していてもいい?」
「邪魔だなんてとんでもない。どうぞ、お掛けになってください。」
そういって桓魋は榻をすすめた。
―左将軍がいるから。―
そういって陽子は大僕をさがらせた。
ちいさな房室に二人、それぞれの書物をめくる音が響く。
一刻ほどたって、陽子は卓子に書物を置き、背伸びをした。
「喉、渇かないか?」
卓子の反対側の椅子に座る左将軍に声をかける。
「ええ、そういえば。…女官にお茶でも淹れてもらいましょうか。」
そういって立ち上がろうとした桓魋を手で制する。
「いいよ。あそこにあるもので。」
主が指差した房室の奥、茶器が一揃えおいてあるのが見える。
近づいて湯差しに触ると、ほんのり暖かい。
「ちょっと冷めてるけど。いいよね?」
普通、王は臣下に対してこのように気安くはない。
まして手ずからお茶を淹れるなど、他国では考えられないことだ。
しかしこの王は全てにおいてそういったことに頓着がない。
桓魋は苦い顔をする宰輔と冢宰の顔を思い浮かべ、笑った。
「ええ、ありがとうございます。」
303 :
桓x陽 書庫にて3:2010/05/05(水) 23:25:18 ID:CL0FZC1R
人肌に冷めた茶器を受け取り、口に含む。
湯気が立たないので、香りも少ない。
―このお茶…。はじめて飲む味だ。―
桓魋がつぶやく。
「…主上。これ、ホントにお茶ですか?」
「え?」
「あ、主上はまだ飲んではいけませんよ。今のところ、毒ではないようですが…。」
陽子は手の中の茶器を覗き込む。
見た目は普通の茶葉だったけど…。
湯差しに書かれていた文字は…。
…まさか…。
「そもそもなんでこの部屋に茶器が…?う…がはっ…ぐぁ…。」
突然、桓魋が苦しみだした。茶器を卓子に叩きつけるように置く。
「桓魋!?どうした?大丈夫か?桓魋!桓魋…。」
桓魋の顔が、首が、腕がみるみる赤く染まる。足をもつらせ、手をついて倒れる。
「体が…熱い…。はぁ、はぁ…主上。すみません。」
陽子は床にへたりこんだ桓魋を抱え上げ、榻へ座らせる。
衣越しでも感じる、桓魋の体温は確かに高い。
「横になるか?すぐに痬医を呼んでくる。」
駆け出そうとする陽子の二の腕を掴んで桓魋は首を振った。
「いえ…こうしていれば…すぐ治まると思います。はぁ…はぁ…。」
「でも…。」
「主上お一人で…お歩きになるほうが…私には心配です…から…。」
桓魋は眉を寄せ、瞳を閉じてあえいでいる。呼吸で肩が大きく上下する。
304 :
桓x陽 書庫にて4:2010/05/05(水) 23:26:22 ID:CL0FZC1R
しばらくして、陽子の二の腕を掴む力がゆるんだ。
自由の身となった陽子は急いで桓魋の官服の襟元を緩める。はだけた胸元まで赤い。
顔を覗き込む。
うっすらと開かれる瞳。
陽子の翡翠の瞳と視線が合った瞬間。
桓魋の腕が陽子の背中に回った。
強い力で引き寄せられ、陽子の顔が桓魋のはだけた胸へぶつかる。
汗ばんだ肌。荒い呼吸。熱い体温。
「桓魋!」
陽子は必死にもがくが、強靭な腕力に押さえ込まれびくともしない。
「…陽子…。」
陽子の頭上から、声が響く。
和州の乱終結以来、彼が一度も口にしなかった陽子の名前をつぶやく。
陽子は顔を上げ、桓魋の顔を見る。
荒い呼吸に上下する胸。うつろな瞳。正気を失っているようだった。
「…好きだ…ずっと。」
うわごとの様に繰り返す。切ない表情、寄せられた眉。
「ずっと…。」
陽子は桓魋に抱き締められたまま、それを聴いていた。
305 :
桓x陽 書庫にて5:2010/05/05(水) 23:28:24 ID:CL0FZC1R
桓魋が目を開ける。先ほどとは違う。焦点の定まった視線。
こちらを見下ろす。見開かれる瞳。背中に回った腕がサッと離れる。
「ご無礼を!」
正気に戻った桓魋は慌てて床に跪き叩頭する。
まだ、息が荒い。額から滑る汗が顎の辺りで玉になっている。
正気と狂気の間を彷徨っているようだ。自分は今、何を?
俯いた桓魋の頬に陽子は手を添える。
「顔を…上げられるか?」
桓魋は叩頭したまま首を横に振る。
「お許しください。」
「いや、そうじゃなくて…。」
桓魋の顎に指を掛け、上を向かせる。
汗の玉が喉を伝い、胸元へ消えた。
桓魋の視線が泳ぐ。
「桓魋、私を見て。」
視線を捕らえ、両手で桓魋の汗ばんだ頬を包む。
「ごめん。私が悪い。桓魋が飲んだものは…たぶん、媚薬だと思う。」
うっすらと、涙を湛えた翡翠の瞳。青ざめた顔。
戦慄いた唇から吐息が漏れる。
「なんで…。」
306 :
桓x陽 書庫にて6:2010/05/05(水) 23:29:27 ID:CL0FZC1R
「本当にごめん!湯差しに何か文字が書いてあったんだけど
…読めなかったから、わざと見逃した…。」
桓魋は天井を仰ぎ。苦笑した。
「…主上は本当に鷹揚でいらっしゃる…。その湯差しを見せてもらえますか?」
陽子は立ち上がり、房室の奥の湯差しを手に戻ってきた。
そっと、差し出す。
それを受け取ると、文字を読んだ。
―催淫剤―
「…確かに…。主上はもう少し字と、慎重さを学んでいただかなくてはいけませんね。」
しかし、なぜこんなものが書庫に…あぁ、冬官の誰かが調べて、片付け忘れたか…。
「それで…体はどうだ?まだ、苦しい?」
「いえ、もう…ほとんど…。」
はっ。と先ほどのことが蘇る。主上の背中に手を回し、自分は何を口走ったのか。
再び顔に朱が上がる。随分おさまっていた汗が再び噴出した。
「桓魋?やっぱりまだ…。」
「いえ、そうではなく…。」
心配そうに顔を覗き込む。翡翠の瞳。しかし、ふいに逸らされる。
「さっき…、陽子って…。」
「あぁぁ〜、忘れてください。ご無礼申し上げました。」
慌てて手を振る。赤くなった顔。うつむいたまま、目を合わせられない。
307 :
桓x陽 書庫にて7:2010/05/05(水) 23:30:38 ID:CL0FZC1R
「桓魋…私ね。嬉しかったんだ。陽子って、呼んでもらえて。」
「……。」
「桓魋に抱きしめられて…。」
はっと顔を上げる。頬を紅く染めた陽子がこちらを見ている。
陽子の指が桓魋の肩にかかる。黒い官服がはだけたままの胸。そっと指を這わす。
「主上…。なりません。」
その指を掴み、それ以上の進攻を妨げる。
「どうして?桓魋は私のこと好きって。いってくれたじゃない?」
「それは…。」
「媚薬のせいだっていうのか?」
「しかし…。っ!」
桓魋の言を遮るように、陽子はその唇を自分のそれで塞いだ。
そっと、離す。
「しゅじょ…。」
桓魋の唇に人差し指を当てる。
「ようこ。」
「で、でも…。」
人差し指をゆっくりずらし、唇をなぞる。
「陽子と…。呼んで。」
「……よう…こ…。」
翡翠の瞳が細められる。口の端に笑みがこぼれる。頬は上気したまま。
「陽子…。陽子…ずっと…。」
「うん。嬉しい。私も桓魋のこと。ずっと。」
308 :
桓x陽 書庫にて8:2010/05/05(水) 23:31:50 ID:CL0FZC1R
箍が…外れた。
陽子の体を抱きしめ、緋色の髪に顔を埋める。
ふと、顔を上げ、陽子に口づける。
触れるだけで震える唇。自嘲が漏れる。
ずっと、想っていて。ずっと、考えないようにしていた感触。
今、自分の腕の中に…。
「陽子…好きです。」
「うん。」
「媚薬のせいなんかじゃないですよ。」
「うん。ごめん、本当にごめん。」
「それでも、今からすることをお許しくださいますか?」
「え?」
桓魋は口角を上げ、陽子の耳朶に噛み付いた。
309 :
桓x陽 書庫にて9:2010/05/05(水) 23:33:37 ID:CL0FZC1R
「はぁ……や…ん。」
首筋を這う、桓魋の舌。耳朶のすぐ下を彼の柔らかい前髪がくすぐる。
びくりと体が震える。
目を閉じ、眉を寄せ、彼を感じる。
半分開いた唇から、甘い吐息が漏れる。
桓魋の舌は、鎖骨の辺りを愛撫し、その指は官服の袷を押し開いている。
片方の肩を抜き、露わになる腕、胸。
背中を這い回る桓魋の指が肩甲骨のくぼんだ部分を刺激する。
盛大に跳ねる体。
くすり。桓魋が笑みをこぼす。
「ここが…感じるんですね。」
「やぁ…。」
頬を紅く染め、首を横に振る。
「そんなこと…。」
「あるでしょう?」
そう言って、反対側の肩も抜き、陽子の背骨を指の腹でゆっくりなぞる。
「はぁっ!ぅん…。」
粟立つ体。陽子は桓魋の頭を抱きしめる。
桓魋は陽子の肩を軽く噛んだ。
「あん!」
「本当に主上は…感じやすい体をしておられる。」
310 :
桓x陽 書庫にて10:2010/05/05(水) 23:34:36 ID:CL0FZC1R
潤んだ翡翠の瞳で桓魋を見下ろす。
「そんな瞳で見ないでください…止められなくなってしまう。」
「止める気なんて…。」
「まぁ、ないですけどね…それでも、自制心が……ぁっ!」
今度は陽子が桓魋の耳朶を食む。
舌が耳の付け根を撫でる。
「よう…こ…やめ…。」
「いや。」
「陽子!ふ…っ、あ。」
「桓魋も、感じやすいね…。」
密やかな声が直接、耳に、鼓膜に響く。
指が桓魋の喉に触れる。唾液を嚥下する音。―ごくり。―
上下する喉仏。愛おしくて、口づける。ゆっくりと。吸い付いて離れる。
「私に…火をつけましたね?」
桓魋の目が意地悪く光る。
陽子の官服の帯を解き、その褐色の肌をすべて露わにする。
榻にその体を押し倒し、胸の頂を口に含んだ。
ちろちろと、舌で弄ぶ。軽く歯を当て、吸い付いた。
「はぁっ…ん、ふっ、ぅあっ…やぁぁ…。」
か細く啼く声。艶を含んだ声。水気を孕んだ声。
「もっと、陽子の啼き声が…聴きたい。」
指を太ももに這わす。びくん。跳ねる体。
無意識に閉じようとする両膝を難なくこじ開け、その一番奥に触れる。
311 :
桓x陽 書庫にて11:2010/05/05(水) 23:35:48 ID:CL0FZC1R
―くちゅ―
湿り気のある音が響く。
「あ、やぁぁ…恥ずかし…ぃ…。」
陽子が顔を覆う。
「そうですね。こんなに感じて。こんなにあふれさせて…。」
指を更に奥まで進める。とろとろとした感触。
「ここは…こんなに熱いんですね。」
「や…やだ…言わないで…。」
「どうしてですか?ほら、こんなに悦んでおられるのに…。」
淫らな蜜を絡めた指を陽子の眼前に突き出す。
二本の指の間に渡る、透明な糸。
陽子が見ている前で、丹念にそれを舐めあげる。
ツンとした香りの。甘い蜜…。
赤い顔をした陽子がそれを阻もうと指を掴む。
その陽子の指ごと口に含んだ。
陽子の瞳を見つめながら、爪の付け根に舌を這わす。
「やっ。」
軽く吸って、解放する。
陽子の顎を持ち上げ、唇を合わせる。
半開きになった唇に舌を侵入させ、口腔を蹂躙する。
冷たい舌が熱を帯びる。
「…陽子…陽子の中に入りたい。」
陽子の耳元で囁く。
陽子は目を見開き、ほんの一瞬、思案した後
「うん…桓魋が、欲しい…。」
恥ずかしそうに呟いた。
潤んだ瞳でこちらを見上げる。頬は上気し、唇は桓魋の唾液で濡れていた。
312 :
桓x陽 書庫にて12:2010/05/05(水) 23:37:05 ID:CL0FZC1R
―だから、そんな顔で見るなと…。
桓魋は目を細め、もう一度触れるだけの口づけをした後、自分の官服の帯を解いた。
すばやく官服を脱ぎ去り、陽子の中へ侵入する。
「あぁっぁあ。は…ぅぁぁぁ…。」
ひときわ甲高い声を上げる。
眉根を寄せて目を閉じ。全身で桓魋を感じる。
緩急をつけて陽子を揺さ振る。その度に上げられる嬌声。
「あ…あっ…あっ…んっ…ふ…あぁっ…桓魋…桓魋、愛してる。」
陽子の細い腰をしっかり抱え、自分の腰を打ちつける。
甘い声が漏れる唇を塞ぎ、その舌をきつく吸った。
緋色の髪を梳き、頬を、首を撫でる。
「…陽子…。」
目を開き桓魋を見る。桓魋はしっかりと陽子を見据え、言った。
「陽子。愛しています。」
「嬉しい…。」
口付けを交わし、もう一度視線を合わせる。
陽子は桓魋の首にしがみつき、耳元で囁いた。
「桓魋の…全部をちょうだい…。」
313 :
桓x陽 書庫にて13:2010/05/05(水) 23:38:54 ID:CL0FZC1R
桓魋は陽子の背中をきつく抱きしめた。
ゆるゆると、体を上下させる。徐々に速度を速め、陽子の体を揺さぶった。
それに合わせて陽子が声を上げる。
「あ…あっあっあっ…やぁっ、桓魋!いっちゃう…。」
「陽子…く…ぅ。…いってしまえ。」
「や…やぁぁぁあっ!いっちゃう。いっちゃうよ……あぁぁぁ…。」
陽子はふるふると体を震わせ…達した。
桓魋を包み込んだ内壁がきゅうっと締まる。
思わぬ刺激に、桓魋の終わりも近づく。
急に速度を増す。陽子の耳に桓魋の荒い息遣いが響く。
「よう…こ…。」
桓魋の体が震え、陽子は自分の中に注がれたものを感じた。
陽子を抱きしめ、そっと、体を離した。
白濁した桓魋の欲望の証が陽子の中から溢れる。
その感覚を目を閉じて味わう陽子に、桓魋は苦笑しながら言った。
「次は媚薬なしで愛させてくださいね。」
「ほんとごめんって!」
すまなそうに顔を伏せる陽子にもう一度口づけた。
―了―
みたいな…ああ…すみません…お目汚しでした。
怒濤の投下GJでした!
桓祥もいいけど桓陽もいいなあ!
ぐじょーぶです
いつもいろんなカプありがとう!
お疲れ様です。
恒陽もいいですね。
主上と呼ばせてくれ
おおっ〜 直ぐにきましたねぇ〜
感謝感激雨霰であります
サンキューであります
GJ!であります
乙であります
うおおお桓陽頼んだものです、ありがとうございます!!
ただのクレクレ発言にまさかこんなに早く投下がくるとは…!
お疲れ様です、本当にありがとうございましたGJGJ!!!
やっぱり桓陽いいわ…!!!
そういえば桓陽って少ないのかな?
王道はやっぱり、桓魋なら桓祥
陽子なら景陽か尚陽?
もはや十二国記ジャンル自体あんまり残っていないので
桓陽はほとんど見ないですね…
王道ならあとそれに楽陽が加わるかと。
あとは驍李とかも見かけるような?
一応あるよ桓陽。今も更新してるのかわかんないけど。
つかどのカプも最近殆ど…いや、寂しいからやめとこう。
楽陽派の自分は少数派なのか・・・
スレさえ落ちるのを待つしかない801よりはマシかと
801スレって一応ここの派生だったんだよな……
エロパロはここにいれば職人さんが色んなカプを投下してくれるし
まだまだ十二国記は安泰だと自分に言い聞かせてる
確かにサイトは随分減っちゃったけどね
確かに、ここだけでもコンスタントに作品投下あるのだけありがたいよな。
むしろ最近増えてきてるような
前スレが立ったのは2008年の3月だし
尚陽が主流なのかな?
自分は景陽と浩陽が好き。多分少数派。
何にしても作品投下は有り難いです。
自分は景陽&桓祥派
浩陽は自分で想像できないだけで読むのは普通に好き
楽陽も純愛系がほほえましくて好き
サイト巡りでは慶国関連ばっかだから
景陽が少数派と聞いてもピンと来ないな
でももしかして一番多いのは尚陽?な気はしてる
スレでも前にそんな話があったような
ここでは一番人気は景陽みたいだけど
景麒はいじりがいがあるからだろうなw
自分は景陽スキーw読むのはとりあえずなんでも。
尚陽が一番イメージしやすいけど、×陽子ならとりあえず読むw
原作読んでる時は意識しなかったけど、浩陽も艶っぽい組み合わせだよな〜と、サイトの多さに納得した覚えが
尚陽、浩陽が好き
つまりはそういう男が好きなんだろうなと自分で納得してる
自分は無能景騏が大好物です
ということで女王様陽子タンの降臨お待ちしております
「琅燦殿・・・・泰麒になんて事を!」
冬官府正庁へ通されるやいなや凄い剣幕で大声を上げた李斎に
琅燦は眉をぴくりと顰めると、手を振り座るよう促した。
琅燦はあえてゆっくりした動作で茶を勧めると
肩を震わせ睨みつける李斎に話を聞こうかと言った。
「泰麒に・・・何故あのような・・ええと、行為をお教えしたのです」
「あのようなってどのような?」
琅燦のとぼけた様な表情に、李斎はまた眉間に皺を寄せ
怒鳴る勢いで大きく口を開けるが、何かを言い淀み
怒りとはまた別の朱に顔を染めると、小声でぼそりと言った。
「・・・自慰行為の事です」
先程までの覇気を失い、恥らう乙女のような顔付きの李斎を、
琅燦は面白いものでも見たといった顔で見た。
「ああ、手淫の事ね。教えたよ」
「・・・何故そのような」
「逆に聞くけど、泰麒がここんとこ落ち込んでたの知ってる?」
「ええ」
「理由は?」
「・・・・・自分は病気ではないかと・・そうおっしゃって」
「うん。朝、腰が抜けるような感覚と共に目を覚ますと、下半身・・・陰部の辺りが濡れていると。
どうやらおしっことは違うねばっこいのがね。しかもそれは何日か置きに起こるってさ」
「男・・・と言っても泰麒の場合雄なのですが、誰にでも起きる生理現象です」
「そう。夢精ってやつだね。だから今李斎が言ったように病気ではなく生理現象だってお教えしただけ。
それは溜めておくと勝手に出ちゃうから。自分で出せるようになっといた方がいいよってね」
「あんな小さな子になんて淫らな!その内大人になれば自然とわかる事・・・それを」
「小さい小さいって、そりゃ人型時の見た目は止まっちゃいるけど。あれは麒麟としては正獣。もう大人でしょ。」
「それはそうですが・・まだ早いような」
「早いも遅いもないんじゃない?本人が知りたいってんだったら、あのまま悩み苦しむより、事実をいち早く知る方がいいでしょ」
「そう・・・でしょうか」
確かに李斎や他の大人達のように「大きくなられたら自然と解ります」とその場を凌いだだけでは
泰麒の心内は晴れるわけも無く、またその「大きくなったら」とはいつの事を指しているのか。
「もやっとしたままよりは、それを発散させた方が頭も回るし手も動くってものよ。
それは私だって李斎だってやってる事。王もね。例外は無し!違う?」
「・・・はい」
正直、琅燦の行った事は正しかったのかどうか解るような解らないような。
それこそもやもやした気分になる李斎であったが
先程お会いした泰麒が晴れ晴れと、それでいて恥らいながら
「僕は病気ではなかったみたいなんです」
と言った表情を思い浮かべ、ふうと一息吐いた。
そうかも知れないと。
文章ぐちゃぐちゃでゴメン。
続きで「今度はお口で」編があったんだけど、てんどんだしもういいかと(笑)
この辺でやめときます。
GJ!
止めてはなりません。早々に続きをお書きになってください
また〜やめないでぇ〜w
やっぱり琅燦って腹黒いと言うか一癖あるキャラになるな
天然泰麒との組み合わせが一番しっくりくる感じだけど
琅燦でも男に弄ばれたり乱れたりする事もあるのかとか
つい考えてしまうw
それでもって、泰麒きゅんの大きくなったのを見て、
「見事な…、さすが黒麒でいらっしゃる」
みたいな流れになるんですね
黒光りする鋼のごとき硬度とテカリ。力強い脈動
う〜む スバラシイ「さすが黒麒でいらっしゃる」
>>323 自分も楽陽派だ。楽陽って少数派だよな…。
まぁ。職人様の作品を読ませて貰えるなら組み合わせにこだわりはない。
どんな組み合わせでも、職人様によって神になる。
楽陽って少数派なのか・・・?
アニメは「まさに」だし、小説にしても楽俊(人型)に対しては
一応異性として意識してるから、公式みたいなものかと思ってた
もちろん大好物です
アニメから入ったか、原作から入ったかで違うかもね
尚隆(王)と景麒(麒麟)と言う華々しい存在に比べ
楽俊は完全に庶民だし、原作でも黄昏では出てこなかったしで
かなりハンデはある感じ
でもアニメでは最後に、陽子が楽俊にプロポーズしちゃったんだぜ
このスレ自体が既に妄想過ぎてんだぜw
でもアニメはそういう偏りがあったところが好きじゃなかったな。
小説はカプが如何様にも想像できるからね。
自分の好きなカップリングで好きにSSを書く、それでいいじゃない。
俺も楽陽だがそれを無理に理解を求めるつもりはないしなぁ。
自分が書く時は楽陽で間違いないけど。
そんな自分としちゃ、やっぱ黄昏アニメは観たい。
せっかく主上からもアニメ版の構想にお墨付きでたんだし。
OVAとか無理かなぁ。どのみち時期が開きすぎか…
>主上からもアニメ版の構想にお墨付きでた
これは言い過ぎでは
そりゃ、アニメとしては公式だろうけど
原作設定に準ずる物(原作に書かれていない事項はアニメ設定が原作同等と見なせる)
と勘違いする人が出かねない
2ch検索復活してる…良かった、保守
ほしゅ
ホ
し
ュ
ほ
も
さ
ぴ
え
ん
す。
この間の桓陽の続き(?)を書いてみました。
また、少し長めで…あんまり上手く書けてませんが、読んでください。
近日、投下します。
wktk
―畏れながら、主上にお見せしたきものがございます。
つきましては、離宮までお運び頂けませんでしょうか。―
夕餉の後、陽子は慶東国冢宰から誘いを受けた。
湯浴みを済ませ、被衫に上着を重ねた格好で、彼の者の示した離宮の一室へ向かう。
扉の前で声を掛けようと口を開いた瞬間。違和感を覚えた。
微かに香が馨る…。
日頃、彼が身に纏う馨りではない。
甘く、気怠い馨り。
思案していると、内側から扉が開き、冢宰が顔を覗かせる。
開いた扉から、立ち昇る馨り。
「ご足労頂きましてありがとうございます。…おや、どうかなさいましたか?」
いつもと変わらない口調。柔和な顔。
ただ、ゆったりとした平服を纏い。
いつもは結い上げている髪を、首の位置で束ね、肩に垂らした。
見慣れない男の姿があった。
「いや、なんでもない。香が…違うのだな…と…。」
「お気に障る馨りでしたら、すぐに消しますが…。」
「いや、気にならない。私はあまり判らないのだけど、その…良い馨りだと思う。」
「それは良うございました。さぁ、どうぞ。」
部屋へ入る。椅子を勧められ、素直に席に着く。
「浩瀚、私に見せたいものっていうのは…?」
卓子に肘をつき、浩瀚を見る。
浩瀚は微笑を浮かべたまま答える。
「それは、後ほど。まもなく左将軍も参りますれば、そのときに。」
「桓魋も来ることになっているのか?」
「はい、桓魋がいなければお見せできないものですから。」
「へぇ…なんだろう。…楽しみだな。」
陽子の上目遣いに浩瀚は意味ありげに笑む。
「喜んでいただけるのなら良いのですが…。」
浩瀚は卓子の上の茶器に手を伸ばす。
「桓魋が来るまで、お茶でもいかがですか?」
「うん、ありがとう。…私が淹れようか?」
陽子が立ち上がろうとしたのをにこりと微笑んで制した。
「主上にそのようなこと…
そもそもこの部屋までお運び頂いた事でも畏れ多いことでございます。」
浩瀚は慣れた手つきでお茶を淹れる。
「浩瀚が淹れてくれるの?女官は呼ばないの?」
「ええ、今は完全に人払いをしていますから。」
湯気が上がり、部屋の中をお茶の香りが満たす。
先ほどまでの香の馨りは、どこかへ消えてしまった。
扉の向こうに人の気配を感じる。
「浩瀚さま?お召しとのことでしたが…。」
桓魋の声がする。
浩瀚は、扉の側まで歩きながら、返事を返した。
「あぁ、桓魋、入ってくれ。」
扉が開く。室内の空気が動く。香が再び馨る。
こちらも平服を纏った左将軍が入ってくる。
「…浩瀚さま…この香は…。」
眉を寄せる桓魋。
「まぁ…そういうことだ。」
浩瀚はそれ以上を桓魋に語らせないように目配せをする。
桓魋は渋々頷き、室内を見渡した。
陽子に気付き、瞳を見開く。
「主上…。」
即座に浩瀚を責める様な目で見た。
―どうやら、桓魋は自分が来ることは聞かされてなかったようだ。―
陽子はそう思ったが、あえて何も口にしなかった。
しかし陽子は、“そのこと”しか思わなかったのだ。
浩瀚に促され、桓魋も席に着く。
「主上は何故こちらに?」
桓魋が心なしか硬い笑顔で尋ねてくる。
「うん、浩瀚が私に見せたいものがあるって誘ってくれたんだ。」
「見せたいもの?」
桓魋は浩瀚に視線を向ける。
浩瀚はいつもの微笑を浮かべ頷いた。
桓魋はまだ問い質したい事があるようだったが、浩瀚の氷の微笑に押し黙った。
「茶を召し上がられましたらお見せいたしますから、どうぞ…。」
浩瀚は先ほど淹れた茶をそれぞれに配る。
その茶器を手に取り、口に近づける。
桓魋がこちらを見ている。
「どうか、したのか?」
桓魋は慌てて目をそらす。
「い、いえ。なんでも…。」
「でも…。」
「桓魋は主上がいらっしゃるとは思っていなかったので、驚いているんですよ。」
浩瀚が笑う。
桓魋は半分ふてくされた格好で、そんなんじゃないですよ。と、呟いた。
陽子はその子供のような姿に笑みを浮かべながら、お茶を口に含んだ。
あっ。という顔の桓魋に気付かずに…。
浩瀚もお茶を飲む。
その様子を注意深く見ていた桓魋は、
浩瀚が全て飲み干したのを見ると、恐る恐る口をつけた。
「なんだ?桓魋、毒でも入っているかのようだな。」
そう、陽子が揶揄すると、浩瀚は楽しそうに桓魋を眺め、とんでもない言葉を発した。
「そうですね。主上の茶器には毒が塗ってあります。」
「なんだと?…」
「浩瀚さま!?」
がたん!立ち上がった陽子は体勢を崩し、倒れ掛かる。
その体を桓魋よりも早く手を伸ばした浩瀚が支える。
抗議の声を上げる桓魋を視線だけで制し、陽子の体を抱き上げた。
そのはずみで、弛緩した腕がぶらりと宙に揺れる。衝撃に少しだけ意識が戻る。
―朦朧とする。体が熱い。桓魋の叫ぶ声が聞こえる…。
だめだ…何も…考えられない。
浩瀚は陽子を抱えたまま奥の牀榻まで歩いていき、そっと牀へ寝かせた。
陽子は視線の定まらない顔で呟く。―夢を見ているようだ…。
「そう、夢です。主上にお見せしたかったのは泡沫の夢でございますよ…。」
いつもの怜悧な声音で、陽子の耳元をくすぐる。
ぎゅっ。と陽子を愛おしげに抱き締め、解放する。
汗で首筋に張り付いた髪を梳き、微苦笑を浮かべる。
「桓魋…次にすることは判っていよう?」
振り返り、呆然と立ち尽くす桓魋に声を掛ける。低い声。
その声に我に返ると、怒りに満ちた目で浩瀚を見据える。
「浩瀚さま……なんてことを!」
「桓魋。主上をお抱き申し上げるように。」
禁軍左将軍の鋭い視線をものともしない風で浩瀚は命じる。
「はぁ?何をおっしゃっているんです?なんで俺のような者が主上を…。」
「桓魋。」
一段と大きな、はっきりとした声で浩瀚が促す。
「主上をお抱きせよ。それを主上が望んでおられる。」
「嘘だ…。」
桓魋は浩瀚を睨みつける。
「すとれす。とやらの解消の相手は桓魋と決まっておるのだろう?」
「そ、それとこれとは…。」
「主上は、すとれすと思っておられる。…おまえと再び肌触れ合えぬことをな…。」
驚愕の顔で浩瀚を見る。何かをいおうとして口を開いたが何も発せられないまま…閉じた。
「私が、知らぬとでも?」
笑い含みの声。
「しかし、あの日のことは…。」
桓魋は我知らず言葉を漏らした。あの日とは。先日の書庫での出来事…。
浩瀚は尚も笑う。
「書庫に媚薬を置いたのは私だ。主上がどうなさるかと思っていたが。
まさかお前だけが飲んだとは…。」
―お互いが抑えていた想いを開放した。それの何が悪い。
まったく悪びれた風もなく。さらり。と、のたまう。
「浩瀚さま!貴方という人は…。」
日頃、周囲の者に気を使い。めったに不満など零さない真面目な主。
しかしここ最近、気落ちした風情を覗かせる。
執務中、一番側にいる浩瀚が辛うじて気付く範囲でのことではあるが。
それでも、この敬愛する主の気鬱を晴らして差し上げたい。そう思った。
「この香を覚えているだろう。麦州で何度使ったかな…。」
―体の自由を奪う。意志を奪う。記憶を奪う。幻覚を見せる。
差し向けられる多くの刺客に幾度となくこの毒を盛られ、すっかり体が慣れてしまった。
それを逆手に取り、相手を陥れるため、盛られた毒でこの香を作った。
浩瀚以下麦州の官吏達には効かぬ毒。
「主上に…御身にもしものことがあったら…。」
浩瀚は嗤う。
「この香のことは誰よりも詳しい。私が調合したのだから…。主上を害することなどない。
なに、一時的に意志を奪うが、次に目覚めたときには何も覚えておられぬ。」
―それは主上のためでもある。
慶国の禁忌。女王の恋。
例えお互いに想いが通じあったとしても、それを公にすることなどできない。
指一本触れることもかなわない。
想いが通じ合った…それなのに、触れられない、触れ合えない。
知らなければよかった。
溢れる想いが、行き場のない想いが、王を。将軍を。追い詰める。
しかし真面目な二人は、周囲に何一つあの日のことを悟らせる真似はしなかった。
二人の想いを知って、あえて開放させるきっかけを作った。
しかし、それは更に二人を苦しめる結果になってしまった。
指を握り締めるが…力が入らない。
猛烈な倦怠感が襲う。
「…効いてきたか。おまえの茶器にも薬を塗っておいたからな。」
脱力し膝が折れる。床に手をつく。あの時の嫌な感じ…。
息があがる。体中を苛む熱。奪われる思考。
「浩瀚…さ…ま…。」
「できるな?」
尚も罪を薦める浩瀚。首を横に振る桓魋。
「手伝ってやろう。桓魋、こちらを向け。主上をお抱きするのだ。」
浩瀚はそう言うと、桓魋の目を見つめ、ゆっくり手を叩く。一回…二回…三回。
徐々に桓魋の意識が遠のき、目を閉じる。
もう一度、浩瀚が大きく手を叩いた。―パシン!
その音にはじかれたように開けた目は鮮やかな“艶”を纏っていた。
桓魋に暗示を掛けた。
ふらふらとした足取りで、陽子の横たわる牀榻へ向かう。
その後ろ姿を、目を細めて眺める。
「お互いがお互いを想うことに、罪悪感を持つ必要はない…。」
浩瀚は呟いた。
―ギシ
牀に肘を付き、左手で陽子の頬を、右手で陽子の髪を撫でる。
そうして、ゆっくりと顔を沈め、陽子の唇に口付けを落とす。
朦朧とした意識の中、桓魋の口付けに応える。
唇の温度も。湿度も。感触も。
「…これが…欲しかったの。」
呟く、陽子の唇。
それを更に深い口付けで塞ぐ。口腔をなぞる、舌。
喉の奥で啼く。―ん、ん、ん…。
乳飲み子が、その母親の乳房を吸うように。
舌に舌を絡め、吸う。
吐息が漏れる。
桓魋の舌が、陽子の頬、耳朶、首筋をなぞり
桓魋の唇が、それらに優しく吸い付き、離れていく。
浩瀚は、その様子を少し離れた場所で眺めていた。
椅子に座り、両膝の上に肘をつき、指を組む。
その上に顎を乗せ、眉一つ動かさず、それらを見ている。
冷静な瞳。真横に結んだ唇。
軽蔑とか、憐れみとか、羨望とか、嫉妬とか…そういったものが一切表れない。
感情のない視線。
「これでいい…。」
「あぁ…ん。ふ、あぁ。」
媚薬のせいでいつもより敏感になった肌。
桓魋の指が陽子の首筋を撫でる。喉の下、鎖骨の上をくすぐる。
「…陽子…見せて。」
耳元で囁くと、陽子の上着を剥ぎ取る。被衫の帯を解いた。
あの日以来、何度も反芻しては自己嫌悪に陥った。
あの肌が目の前にある。
わき腹に触れると、ヒク。身体が揺れる。
無意識ながら恥らうように両手を胸の上に乗せる陽子。
その腕を取って、牀に縫いとめる。
再び露わになった胸に口付けを落とす。頂を舌で弄び、吸った。
「や…ぁん。」
甘い声が漏れる。
時折、与えられる刺激に体がピクリと反応する。
桓魋は舌で嬲る。胸も腹も…。
「ふ、あぁ…あ…。」
陽子の腕を戒めていた手をそっと放す。
もう、抗うこともなかった。
指を陽子の背に這わせ、もう片方の手で腰に触れる。
「かん…たい。…もっと…。」
―触って。
声にならない言葉。唇が紡ぐ。
腕を伸ばし、桓魋の頭を抱きかかえる。
指を差し入れ、髪の毛に絡ませる。
眼は虚空を見上げる。
夢を…。
ちりっとした痛みが走る。
首筋を中心に身体のあらゆる場所に散らされた、紅い刻印。
夢を…夢で終わらせないために。
現実であったと証明する。印。
桓魋は自らの衣の帯を解かない。
着衣のまま、陽子を抱きしめる。
自分だけ、生まれたままの姿にされた状況。
羞恥が陽子を扇情的に魅せる。
素肌に触れる衣のがさがさとした感触に酔う。
桓魋の襟元を掴み、訴える。
―貴方を…こんなに感じているの。
と。
桓魋は陽子の腰に触れていた手を、そっとずらした。
滑らかな肌の感触。一番敏感な場所を探る。
盛られた媚薬のせいなのか、そこはしとどに濡れていた。
粘度の低い透明な蜜を溢れさせる泉。
指を入れると、内壁がひくひくと蠢き、蜜が更に奥へと誘う。
一本…二本と指の数を増やしていくにしたがって、陽子の声も甘いものに変わる。
指を曲げ、内壁をこする。
絡みつく蜜が熱い。
「…んぁっ…。」
小さく声を上げる。
くちゅくちゅとした水音が微かに聞こえる。
「や…。」
桓魋は笑う。
「嫌?」
「…いやじゃないの…恥ずかしいだけなの…。」
頬を赤らめ、視線を外す。
桓魋は陽子の耳に唇を寄せ囁く。
「じゃあ…気持ちいい?」
「ぅん…きもち…いい…。」
「ずっと、こうしていましょうか?」
陽子は桓魋を睨む。紅く恥らった顔で。
「欲しいの…桓魋が…欲しい。」
「俺はもう、貴女のものですよ。」
陽子が欲しているものが何かは判っていたが、あえて知らぬふりをする。
「桓魋…意地悪しないで……。お願い…ね?」
潤んだ翠玉に見上げられる。
陽子はおずおずと桓魋の下腹部を手で弄る。
「これを…ちょうだい?」
普段は絶対にしない、幼子のような口調。
“命令”ではなく、“おねがい”。
それはひどく魅力的で、それだけで達してしまいそうだ。
「陽子、入れますよ。」
陽子の秘所に桓魋のそれがあてがわれ、一気に貫いた。
「あぁんっ。」
夢中で桓魋を感じている陽子。
しかし、ふとした拍子に傍らに人の気配を感じた。
「…浩瀚?」
絡み合う二人を浩瀚は感情を伴わない瞳で眺めている。
浩瀚の視線に気づき、陽子は悲鳴をあげる。
「いや、浩瀚…見ないで…見ちゃいや…。」
桓魋は浩瀚が存在などしていないように行為を続ける。
「陽子…こちらを向いて?」
桓魋が陽子の視線を戻させようと声を掛ける。
「でも…浩瀚が見てる…。桓魋…浩瀚が見てるから!」
「だから…だからなんだというんです?陽子。俺を見て。」
「いやっ、浩瀚。見ないで…そんな眼で見ないでぇぇっ。」
涙を湛えた声で懇願する。
桓魋は、そんな陽子を見下ろしながら、更に烈しく腰を打ち付けた。
陽子は最初こそ浩瀚を意識して抵抗を見せていたが、
眼前の快楽に抗えず、徐々に交わりに没頭していった。
日頃の真面目な彼女からは想像できない、あられもない姿を晒す。
「陽子…俺を見て…俺を感じて…。俺の事だけを考えて…。…俺は…俺は陽子の事だけ…。」
顔を覆う両手。桓魋は陽子の手首を掴んで左右に開かせる。
激しく体を揺さぶり、陽子を高みまで誘う。嬌声だけを上げ始めた。
桓魋を見上げる瞳は赤く潤み、
与えられた刺激に思わずぎゅっと瞳を閉じると頬に涙がこぼれた。
首をのけ反らせ眉を寄せる。
乱れる陽子は桓魋によって更なる高みまで押し上げられた。上気した頬や潤んだ瞳。
か細く啼く声までも…この世のものとは思えない程、美しかった。
「桓魋…だめ…これ以上揺さぶられたら…わたし…わたし…。」
「陽子…達して…俺の腕の中で…。俺の体で…声で…。」
「ふっっあぁぁぁっぁ…。」
―ヒククっ。
小さく悲鳴をあげ、身体を震わせる。戦慄く唇から、吐息が漏れる。
脱力した腕を衾に投げ出す。口を開き、空気を吸い込む。
しゃくりを上げるような呼吸を繰り返す。
陽子の呼吸が徐々に整ってきたのを見計らい、
桓魋は己の欲望を吐き出す為に再び腰を打ち付けた。
一瞬、目を見開く陽子。すぐに顔を歪め、桓魋を見上げる。
責める様な視線が桓魋の加虐心を煽る。
指を絡め、握り締める。寄せられた眉が抗うことのできない悦楽を物語っていた。
体を揺するたび、桓魋の手の甲に陽子の指が食い込む。
それは、押し寄せる快楽にささやかな抵抗をする女王の矜持のように見えた。
桓魋の動きが激しくなり、陽子の嬌声も増す。
桓魋が達した瞬間、陽子もまた身体を震わせた。
わずかな時間で二度も達し、脱力する。
身体に浮かぶ汗。頬に伝う涙。震える呼吸。抗う腕から力が抜ける。
諦めたようにも、受け入れたようにも見える。
桓魋の指が陽子の頬に伝う涙を優しく拭い、汗で額に張り付いた緋色の髪を後ろに梳く。
陽子の唇にそっと口付けてから名残り惜しそうに身体を離した。
陽子は目を見開き、桓魋を見上げる。慈愛を湛えた瞳。
口の端を上げ、鮮やかに微笑む。
「…ありがとう。」
そう口にして彼女は意識を手放した。
桓魋は立ち尽くす。誰か近付いて来る気配を感じ、振り返る。
「浩瀚さま…。」
困惑した表情で浩瀚を見る桓魋。
「…すまぬ…桓魋。」
眼を見つめながらひとつ手を叩くと、桓魋もまた意識を手放した。
浩瀚は桓魋の身体を抱え、椅子に座らせた。
わずかに乱れた衣服を整えてやり、微苦笑を浮かべる。
更に寝台へ歩み寄り、陽子の衣服もきれいに着せつけて、
傍らに置かれた水差しの水を口に含むと、陽子に口移しでその水を飲ませた。
唇の端にこぼれた水を舌で舐め取る。深く口付け、離す。
首筋に付けられた無数の刻印は、桓魋の思惑を外れてほとんど消えかかっていた。
夢は…夢のまま終わったのだ。
―次にお目覚めになった時には何も覚えてはおられまい…。
複雑な想いで天を仰ぐ。視線を下ろし、陽子を見つめ呟いた。
―これが…貴女のすとれすとやらの発散になったのであればいいのですが…。
―了―
すいません。1(362)のタイトル間違えました。
正確には 桓×陽(←浩) 夢1 です。
久々の投下ありがとうございます!
待っててよかった。
おおっ! 乙であります。GJであります
感謝感激雨霰でございます
次回投下もお待ち申し上げまする
いつの間に投下が!
GJでした!
GJ!だせ〜
浩瀚ってどんな顔だっけ?
目は釣り上がり
鼻はひん曲がり
耳は尖がり
口は耳まで裂け
牙が4本
陵辱もの…というにはぬるい…なんと言うか…
甘さのない驍宗×陽子を投下します。
軽く、流血とかします。
不快になられたらすみません。
385 :
驍宗×陽子1:2010/06/22(火) 00:31:56 ID:8s402iaa
泰王驍宗が再び玉座に就いて三年。
ようやく戴極国の朝も落ち着きを取り戻し始めた。
その年の春、泰王驍宗は、慶東国王を戴国に招いた。
蓬莱に流された泰麒を救うべく、
他国への協力依頼など奔走してくれた景王陽子に、
復興の報告をするためだった。
数人の護衛と女官を伴って戴国を訪れた陽子。
戴国到着後、数日経ったある日、用意された掌客殿で寛いでいると、泰王より内殿の私室へ招きの連絡が届いた。
初日から連日続く宴に少々疲れていた陽子にとって、
その招きはありがたく、
他国の王の私室に護衛はいらぬと言い置いて
賓満の冗祐のみを憑かせ、足取りも軽く出ていった。
「お招き頂きましてありがとうございます。」
「いや、景女王にわざわざお運び頂き、こちらこそ感謝申し上げる。」
驍宗は笑む。
「ところで…お招き頂いた訳をお伺いしてもよろしいでしょうか?」
「…一度貴女と二人きりで話してみたいと思っていたので…。」
「私も泰王とゆっくりお話できればと思っておりました。」
「それは良かった。」
二人は国の復興の事などたくさんの意見を交わした。
和やかに進んだ首脳会談は急に一転した。
386 :
驍宗×陽子2:2010/06/22(火) 00:34:21 ID:8s402iaa
「景王は…お美しいですね…そして随分と無防備であられる。
王とはいえ、私は男ですよ。こんな時間に易々と…護衛も付けずに…。」
驍宗の紅い眼が陽子を見据える。
その覇気に陽子は圧倒される。
「何を…おっしゃっているのですか…。」
驍宗は立ち上がり、陽子に近付く。腕を伸ばし陽子の手に触れる。
陽子は驚いて触れられた手を引っ込める。
がたん。
椅子から立ち上がり後退る。
「何をなさるのです!?お止めください!
泰王…離して……離せっ!」
腕を掴み、強引に懐に引き寄せると、
驍宗は陽子の顎を掬い、無理やり口付けた。
「…いやだっ…やめ…。」
尚も乱暴に口付ける。驍宗の舌が陽子の口腔を犯す。
陽子が驍宗の胸を突き飛ばす。
「さすがは景王…なんとも頼もしい気の強さよ。」
悪びれもせず、薄く笑う。
「なぜ、このような無体な事をなさるのです…
貴方は高潔な方だと伺っていた。それなのに…。」
「人は…変わるものだ。…哀しいことに。
今の私は、昔の私とは違う。期待されぬがよろしかろう。」
驍宗から離れ、身構える。
無論、登極前から禁軍を率いていた武人に剣術においても、
体術においても、敵う訳がない事は判っていたが、
それでも一国の王として、易々と屈する訳にはいかない。
―…冗祐…。
―…お側に…。
―…逃げ切れるか?
―…難しいと思われますが…できる限りの事は致しましょう。
―…頼む…。
陽子はじりじりと後退り、扉近くまで辿り着く。
しかし驍宗はそれを薄笑いの表情で眺めていた。
―何かおかしい…。
陽子は驍宗の様子から、逃げ切れない予感がしていた。
―その余裕はどこから…?
隙を突いて扉に手を掛けた。
387 :
驍宗×陽子3:2010/06/22(火) 00:38:26 ID:8s402iaa
扉は固く閉ざされていた。勢いよくぶつかっていった陽子は、
跳ね返される。ふらついた身体を驍宗が抱き上げた。
「離せっ!」
驍宗は無言のまま歩き出す。奥の寝台へ…。
「離せと言っている!」
驍宗は暴れる陽子のみぞおちをドンと突く。
呻き声を漏らして陽子は意識を失った。
寝台へ寝かせ、頬を撫でる。眉根を寄せた険しい顔。
驍宗は苦笑する。
すると、陽子に憑いていた冗祐が現れる。
「泰王…お止めください…。主上に何をなさるおつもりですか。
それ以上の無体をされるとあらば私は貴方を倒さねばならない…。」
「賓満か…ここは戴国白圭宮。
景台舗の使令が泰王を倒さばたちまち覿面の罪となろう…。
それでも?」
難なくかわされ、更に覿面の罪までを説かれると、
冗祐は術なく引き下がるしかなかった。
「では、護衛を呼んで…。」
「無駄だ。この部屋には呪がかけてある。
お前はこの部屋から出る事はできん。景女王も然り…だ。」
驍宗の冷笑。
「…くっ…。」
「そこでゆっくり眺めているがいい…。」
388 :
驍宗×陽子4:2010/06/22(火) 00:42:49 ID:8s402iaa
陽子の襦裙を脱がせる。
帯を解き衫一枚まで脱がせた状態で陽子の両腕を頭の上で縛り上げ、寝台の端に繋いだ。
頬に触れ顎を捕える。褐色の肌。緋色の髪。
先程まで強い光を放っていた翡翠の瞳は瞼に隠れている。
「美しい…なんと理想的な…。しかし延王君のものとは…口惜しい。」
口角を片側だけ上げ、冷笑する。
ゆっくりと顔を傾け、陽子に口付ける。
唇の柔らかさを確かめる様に優しく…
しかし徐々に貪る様な深い口付けに変わっていった。
陽子が瞼を開ける。
すぐ目の前に銀に近い白髪が揺れる。
口腔を蹂躙される感覚に眼を見開き、
抗おうとして己の両腕が戒められていることに気づく。
声を出そうにも肝心の唇は塞がれ、悲鳴は驍宗に飲まれていった。
紅い眼が陽子を捕える。
「いやだっ…お止めください…。」
衫の袷に手を掛ける。
そっと左右に開くと、褐色の肌が露わになった。
小振りな胸を驍宗が下から持ち上げる様に掴み、やわやわと揉む。
人差し指が胸の頂を弾く。
「やんっ。」
思わず漏れた声。
驍宗は薄く笑う。
「景女王は…このような声で啼くのだな。
…もっと啼かせてさしあげよう。」
389 :
驍宗×陽子5:2010/06/22(火) 00:47:22 ID:8s402iaa
衫の帯を解く。羞恥を煽るように、
陽子の瞳を見つめながらゆっくりとした手つきで解いていった。
「お止めください。このような事、ただでは済みません。
他国の王を抱くおつもりか…
戴国を沈める事になるやも知れませんよ…。」
「元より承知の事…一度は手放した国。
貴女を手に入れられるなら…。」
驍宗の指が陽子の首筋を辿る。
耳朶の後ろに触れると顔を近付けて耳朶を食んだ。
ビクリと身体が揺れる。
「戴国など滅んでもよい…。」
抵抗しようにも戒められた両腕は動かす事すら叶わず。
冗祐は沈黙したまま。
陽子にはなす術がない。
驍宗の愛撫は続く。
陽子はその快感に耐えるしかなかった。
太股を這う舌。敏感な場所に驍宗の息がかかる。
興奮しているような激しい息遣い。徐々に近付いてくる。
「いや…いやぁ…。」
驍宗の舌が陽子の泉に触れる。身体を捩る。
その度に両手首に食い込む戒め。ギシギシと軋む寝台。
自分の意思とは反して湧き出る蜜を、掬い取るように動かされる舌。入口にそっと入り込む。内側を舌先で嬲られ、
あらゆる事に堪えていた声が漏れた。
「あぁっ…。」
驍宗は舌を激しく使い、唇で陽子の泉を塞ぐと蜜を吸い取った。
「これが景女王の味…なんたる甘露。」
口の中で味わった後、ごくりと飲み込んだ。
「私のも味わっていただこう。」
驍宗は己の衣を全て脱ぎさり、
勃ち上がった長く太い陰茎を陽子の口元まで近付けた。
陽子は唇を結び、首を横に振った。
驍宗は許さず、陽子の鼻を塞ぎ、息苦しさに開いた口に押し込んだ。
「ここは戴国。歯を立てて私を傷つければ、
覿面の罪で貴女の命が絶たれます。」
口腔を犯す驍宗の陰茎。歯を立てることができない。
逃げる舌がいつしかそれに這わされていた。
後頭部を押さえられ前後に動かされる。
先端から滲む苦い蜜。顔をしかめると驍宗は陽子の口から引き抜いた。
390 :
驍宗×陽子6:2010/06/22(火) 00:49:09 ID:8s402iaa
陽子に口付ける。舌を割り込ませ、陽子の舌を絡ませる。
指を泉に差し入れ、内壁をこする。溢れる蜜が湿った音を響かせる。
「だめ…だめぇ…。」
「指は嫌か…ならば…。」
指を引き抜き、先程まで陽子の口を犯していた陰茎が当てがわれる。
「いやだっ…。やめろっ…やめて…。」
「延王に合わせる顔がないか。」
「…延王?」
「貴女は延王と…。」
驍宗の思い違いに気付く。
「違います。延王とは、そういう関係ではありません。
…大切な兄とお慕いしている方です。」
「…ならば…貴女を誰が…?」
「私は…誰のものでもありません。」
「…誰のものでも?…と、なると…こうしたことも…?」
羞恥で目を伏せた陽子は首を縦に振る。
「…初めて…なのか…。」
「………。」
沈黙による肯定。
驍宗は嗤う。
「ならば、私が最初の男という訳だ。」
そう言って、陽子を一気に貫いた。
「いやぁぁぁぁ…。」
陽子は一瞬、何が起ったのか判らなかった。
しかし、身を裂く痛みに状況を理解する。
驍宗に純潔を奪われた。涙がこみ上げる。
「…これで貴女は私のものだ。」
「違う…。」
「違わない。私は貴女の最初の男だ。
貴女のここは私だけが知っている。」
「それでも私は…誰のものでもない…。」
陽子は痛みに顔を背ける。
驍宗が陽子の身体を貪る。何度も引き抜き、何度も貫いた。
白い衫に血が滴る。
陽子は激痛に再び意識を手放した。
391 :
驍宗×陽子7:2010/06/22(火) 00:53:47 ID:8s402iaa
次に目が覚めると、そこは驍宗の部屋ではなく、
陽子の為に用意された掌客殿だった。
「…私…。」
上体を起こす。
戒められていた手首は傷一つなく、襦裙を着た数刻前迄の姿。
「…夢…を見ていたのか…?」
身体の何処にも痛みがある場所はない。
「…夢…だったんだ…しかし…なんて夢を…。」
扉が開き、鈴が入ってくる。
「あら。陽子、目が覚めた?」
心配そうな鈴。
「私は…。」
「貴女は泰王さまの部屋で倒れたのよ。
過労ですって。連日の宴にお疲れになったのだろうと、
泰王さまが心配されていたわ。」
「泰王君が…?」
「えぇ、とても。…あら?すごい汗。湯浴みをして着替える?」
「…あぁ…ありがとう。」
なんだ…夢だったんだ…そうだよな…泰王があんなこと…。
「…陽子?顔が赤いわ、熱でもあるんじゃない?」
「いや、なんでもない…湯を浴びたい、用意してくれるか?」
鈴は微笑み頷くと部屋から出て行き、すぐにお湯を持って帰ってきた。
「手伝おうか?」
「いや、いいよ。ありがとう。」
「じゃ、ごゆっくり…」
そう言って出ていった。
恥ずかしい…あんな夢を見て…泰王に合わせる顔がないな…。
陽子は苦笑する。
汗にまみれた襦裙を脱ぐ。衫一枚まで脱いだところで、気付く。
この衫は自分の着ていたものではない…。
青ざめる陽子。かたかたと手が震える。
衫から薫る驍宗の香。
この衫は泰王のものだ…。やはりあれは夢ではなかった。
では自分の衫は…?
あの時、陽子の純潔の証が付いた衫は…。
「いやぁぁぁ…。」
陽子は哀しい悲鳴をあげ、気を失った。
―了―
GJ!
驍陽は初めて見ました。
陽子の衫をお持ち帰りの驍宗は紛れもない変態ですね。
いやぁ〜投下ですねぇ〜♪
GJ!ですねぇ〜♪
乙ですねぇ〜♪
投下乙でした
驍宗様ってば……黒いw
396 :
驍李@:2010/06/25(金) 23:14:37 ID:yBrOsVjz
唐突に湧いた人の気配に、眠りに落ちかかっていた李斎は、弾かれたように飛び起きた。
反射的に枕元の剣を手に取った時、押し迫る気配に殺気が一つも無い事に気が付く。
だがしかし、自分の世話をする女官ではないのも確かで、必死に闇に目をこらしながら、どこかびりびりと緊張する空気に耐え切れないように剣を抜いたら、部屋の隅にわだかまっていた濃い闇が、人の形となって動いた。
「……私だ」
聞き知った声と共に現れた姿に、李斎は目を瞠った。
「……主上?」
それは、李斎が仕える戴国の王、驍宗に間違いなかった。
月明かりすらない晩の、白圭宮に与えられた李斎の邸の臥室に、何故この人が居るのか。
疑問と驚きで固まった李斎に、驍宗は足音もなく近寄る。
紅い瞳に見下ろされて、李斎はハッとしたように剣を鞘に収めて、すぐ側の小卓へと置いた。
「……も、申し訳ありません。不逞の輩かと思ったものですから……」
己が護るべき人物に対して一時とは言え剣を向けてしまった事を恥じるように、李斎は俯いた。
「いや、女人一人の室に不躾な訪いをしたのは私の方なのだ、謝る必要は無い」
微かに首を振った驍宗の声音は、瞳の色とは対照的に優しいものだった。
思わず顔を上げた李斎は、己の姿が無防備な被衫である事に気が付く。
我知らず頬が染まって、己の躰を隠すように腕を回してから、紅い視線から逃れるように顔を背ける。
「……あ、あの、主上におかれましては、今日は何用で参られたのですか。何か、火急の用がおありなのでしょうか」
必死に瑞州師将軍の立場として問いを紡ぐ李斎に、驍宗はふっと口元をゆるめた。
「いや、違う。今日は、私の個人的な用で来たのだ。王ではなく、一人の男として」
驚いたように顔を上げた李斎の頬に、驍宗はそっとその逞しい手を添えた。
李斎はその温もりに身を強張らせたが、それよりも、血色の瞳が燃えるように自分を見据えていて、それに縛られたように、目を逸らすことも出来なかった。
「もし嫌ならば、全力で抵抗しろ。そうしなかった場合は、是ととる。いいな?」
その言葉の意味を李斎が理解する前に、もうその唇は塞がれていた。
「……っっ……!」
重なったと思ったら、下唇を熱い舌でなぞられて、微かに震えた李斎の腰へ驍宗は腕を回して抱き寄せた。
抵抗する手段を残す為なのか、彼女の腕には一切触れず、頬と腰だけを優しく固定して、何度も触れ合う接吻を繰り返して、やがて息苦しさで僅かに開かれた唇へとすかさず舌を差し入れる。
怯えたように縮こまっていた舌を、無理矢理絡め取って強く吸って、歯列をなぞって、しつこく舐め回したら、行き場が無いように持ち上がった李斎の手が、驍宗の衣を強く掴んだ。
交じり合った唾液をお互い飲み下して、尚も舌を絡めあったら、李斎の躰から力が抜け落ちて、驍宗はそこでようやく唇を離した。
「抵抗しないのか?」
頬を紅潮させながら必死に息を吸う李斎に、笑い含みに驍宗は問うた。
何かを迷うような表情の李斎は、それに答える事が出来ず、ただ俯いた。
驍宗は何拍か待ってから、そのまま彼女の躰を臥台へと押し倒した。
「……しゅ、主上……っ!」
そこで漸く李斎が切迫した声を出した。これから何が起きるのか一目瞭然で、下半身に固いモノが当たって、李斎は男の熱のこもった瞳を縋るように見上げた。
「驍宗、と呼べ。今は王ではない」
驍宗は微笑っていた。この人がこんなに柔らかい表情をするのは、初めて見たと李斎は思った。
また唇が重なり合って、すぐに舌が侵入って、李斎はただ目を瞑って、抵抗しようとしない己の躰を呪った。
驍宗は、李斎の被衫を手早く脱がせてから、なめらかな肌を手の平で撫でまわす。
程よく肉付きが良い、成熟しきった女の躰をじっくりと眺めて、豊かな胸の膨らみを荒々しく揉みしだいた。
「……あっ……っ」
声に応えるように頂きに唇を寄せて、口に含んで強く吸う。
びくんと組み敷いた躰が震えて、ひっきりなしに上がる喘ぎを耳で楽しみながら、もう片方の膨らみを手で弄んで、頂きを指でピンと弾く。
「……っぁ……は……んぁっ」
すぐに両の頂きとも硬く尖って、それを舌で転がして、たっぷり唾液を擦り付けてから、ようやく口を離して、目に入った鎖骨の線を舌でなぞって、首筋に赤い跡を付けた。
「李斎は、なかなか可愛い声を出すのだな」
耳元で囁かれて、李斎の顔が真っ赤に染まった。
言い返すことも出来ずに露骨に顔を背けたら、男が笑ったのを気配で感じる。
豊かな胸をしつこく弄んで、己の手の中で形を変えていくのを目で楽しんでから、白い肌を踏み荒らすようにいくつも朱い花を咲かせて、臍の穴を舌で嬲る。
397 :
驍李A:2010/06/25(金) 23:15:45 ID:yBrOsVjz
「……あっ……や……んっ」
反応が良い躰に、己の中心がますます固く膨らんでいくのを感じながら、ついに手を彼女の秘められた部分へ伸ばす。
くちゅり、と指に蜜がまとわりついて、溢れる嬉しさを隠しもせずに、大きく足を開かせた。
「あ……っ!」
あられもない部分に男の視線が痛いほどに注がれているのを感じて、李斎は足を閉じようとするも、強い力で押さえつけられて、次いで生温かいモノがそこをなぞって、その言葉にならない感覚に身を捩らせる。
「……ぃやっ……やめて、ください……っ……あぁっ……!」
初めて抵抗の言葉が李斎の口から漏れた。だが、男の舌の動きは激しくなるばかりで、花びらをなぞるように蜜を舐めとって、指を一本埋め込んで、動かしながら、小さな肉芽を唇に含んで優しく吸い上げる。
「……ぁああ……っ……やぁ……っ!」
李斎の足がピンと張って、目尻にうっすらと涙が浮かぶ。
思わず白髪の頭を手で押さえれば、指が二本に増えて、奥へと執拗にかき回されて、全身が甘い痺れに襲われて、また肉芽を舌でなぞられて、びりりと駆け上がる快感に、声すらも喉に張り付いた。
不意に、ぎゅうと指を内壁が締め付けて、動きを早めたら、李斎の腰が浮いて、身が強張ったと思ったら蜜が溢れ出て、何度も痙攣を繰り返す。
「あ、ぁぁああ……っっ!」
高い声と共に達した李斎の躰から指を抜いた驍宗は、自らの衣を乱暴に脱いでいく。
すぐに逞しい身体が露わになって、荒い息を繰り返す李斎の瞳をまっすぐに見つめた。
「もう、私も引き返せないのだが、本当に良いのだな?」
真剣な口調で言われて、李斎は思わず視線をそらした。
やがて、こくん、と小さく頷いたのを見て、驍宗は目元にいつになく柔らかいものを浮かべた。
はちきれんばかりに膨らんだものを秘所へあてがって、囁く。
「挿れるぞ」
同時に太いモノが押し込まれて、李斎は眉をひそめた。
絡み付いてくる粘膜を味わいながら、奥まで達して、その狭さに息を吐いてから、驍宗は腰を動かす。
「……あっ……んぁっ……ぁっ!」
引き抜かれたと思ったらまたすぐ貫かれて、カリの部分が蜜をかき出すように内壁を容赦なく責めていく。
男の性格を表すように、激しく、熱く、腰が打ち付けられた。
「あっ……や…ぁっ……は……ぁんっ!」
ぐちゅぐちゅといやらしい音が室内に響く。肉と肉が当たる音がする。
そこにいるのはただの男と女で、お互いの躰を貪ることしか、今は頭に無かった。
大きく開かせた足を肩に担いで、もっと深くまで肉棒を押し付ける。
「んぁっ……ああっ…!」
揺れる乳房を手で掴んで、揉み上げて、頂きを指先で擦る。
内壁が素直に反応して、蜜がまた溢れてくる。
思わず赤い実を口に含んで強く吸えば、ますます甘い声が上がって、李斎の手が、男の白髪へと絡み付いて、もっと、と言うかのように力が入る。
不意に、男が躰を起こしたと思ったら、肉棒を引き抜いた。
唐突に止んだ責めに李斎が目を開けたら、躰をひっくり返されて、また後ろから熱が埋め込まれて、さっきとは違う感覚に戸惑うように身を捩る。
「あっ……ゃあっ……んっ…!」
たわわに実った乳房を後ろから乱暴に弄んで、もっと奥まで猛りを叩きつけて、時折腰を回しながら、溶け合っていくような感覚に身を委ねる。
「……あっ……ぎょうそう、さま……っ!」
切羽詰った声で名を呼ばれて、内壁が絞り取るように蠢いて、驍宗は更に何度も奥まで貫いた。
「……李斎……っ」
想いをのせるようにその名を呼んで、ついに精を吐き出す。
「あ、ぁぁあああ……っっ!!」
激しい何かが躰を突き抜けて、頭の奥まで痺れて、男の精を受け止めながら、李斎も達する。
全部出してから、驍宗は大きく息をついた。
小さくなった欲望を抜いて、ぐったりと力が抜けてしまった李斎の躰をそっと仰向けにして、唇を重ねる。
先ほどまでの激しさとは対照的に、優しく、触れ合う接吻を何度も落として、舌を入れたら、李斎もそれに素直に応えて、深く貪りあう。
ようやく唇が離れて、お互いの瞳を探り合うように見つめた。
「……愛してる」
やがて、男がぽつりと言った。
李斎は呆然としながら、紅い瞳の熱に浮かされたように口を開く。
「何故……何故、私なのですか?」
驍宗はふっと、太い笑みを浮かべた。
「理由が必要なのか。ただ、愛してる、というだけでは駄目なのか。李斎は、私の事が嫌いか?」
李斎は目を見開いて、ぶんぶんと大きく首を振った。
398 :
驍李B:2010/06/25(金) 23:18:32 ID:yBrOsVjz
「いえ、そんな、そのような事はございません。決して、そんな事はございません。
私は、蓬山でお会いした時から驍宗様をお慕いしておりました。ですが……その、男と女の話になりますと、私は、よく分らないのです。私が驍宗様をお慕いする気持ちが、女が男を愛する気持ちかと聞かれますと、私には答えられないのです……」
李斎は言いながら、落ち込んだように目を臥せた。
驍宗はしばらくの間、李斎の少し哀しげな表情を見つめて、やがて躰を起こした。
「そうか。たしかに、女が男を振るのにも理由は要らないな。……すまなかったな」
そうして臥台から立ち上がって、衣を着けていく男の背を、李斎は呆然と眺めて、突然その男の太い腕を掴んだ。
「いえ、違います。驍宗様、それは違います。振ったのではありません。
私は、ただ、驍宗様に自分などが愛されていいのかと、貴方のような御方から愛されるなどという事が、まるで夢のようで、信じられなかったのです。本当は、私は、貴方に抱かれている間、とても嬉しかったのです。ですから、お謝りにならないで下さい。私は――」
そこで突然、掴んでいた手を掴み返されて、思い切り引っ張られた李斎は、男の胸へと倒れ込んだ。そのまま息もできないくらいに、抱き締められる。
「……また、こうして会ってはくれまいか。そして、その時は、また私の名を呼んでくれ。私は、それだけを李斎に望もう。」
耳元でまるで祈るように囁かれて、李斎は目を瞠った。
こんな、何かに縋りつくような彼の姿を見るのは初めてで、戸惑うと同時に、言葉にならない愛おしさが李斎の胸の内にわいて、気づけば彼の背中に腕を回していた。
「……はい。私でよろしければいつでも、何度でも、お呼びいたします。驍宗様」
最後の響きはとても甘く、蕩けるように男の耳に届いて、男は微笑ってから、また李斎の唇へと吸い付いた。
そのまま臥台へと押し倒して、また硬さを取り戻した欲望を、愛する女性の内へと沈めて、突くたびに漏れ出る高い声と、その恍惚とした表情に魅入られたように、いつまでもその躰を貪る。
この国の王と将軍である二人が、男と女になれる刻はとても短い。
それでも、その一瞬を永遠に心の内に響かせて、二人は今を生きていく。
たとえ、明日をも知れずとも、愛は色あせることなく、名は、お互いを繋ぐ最もなものとなるのだから――。
<終>
お目汚し失礼しましたm(_ _)m!
投下GJでした!
最近色んなカプが見れて嬉しいなあ
驍李ktkr!!!GJGJです!
李斎が可愛いです!
おおっ! WCを見るのに夢中でこのスレをのぞいていなかったけど投下が
乙であります。GJ!であります
>>402 ほうほう、トイレをのぞくのに夢中だったわけですね。
で、次回作は蓬莱の温水便座を作らせようと思った陽子に、景麒が「私が舐めて差し上げましょう」と
言ったばかりに、二人で雪隠詰めになってしまい、そこへ延主従が入ってきて…。
のぞくのではなくて見るのに夢中なのです
う〜む この温水トイレは美しい!
このトイレは艶が良い、このカーブがスバラシイ!
色が独特だ とタンノウしております
>>404 便器はTOTO派?INAX派?
王宮の厠は、やっぱり呪をかけて水洗にしてるのかなw
で、雲海に垂れ流しで、地上の民はその雨で作物を育ててw
それを慈雨といいますw
雑談の合間にちょっと相談。
少し時間が取れそうなので、この際1〜5スレも
収録不可の明記がないSSを収録しようかなと思ったんですが
何か問題ありますかね?
>>407 出来るならお願いしたいです。大変だろうけど。
書庫が一つだと読みやすいし。
私も同意ー
それでは取り合えず初代スレから作業開始しますね。
ただご存知のように特に初代はカオスな状態なので
まとめる際に色々ミスるかも知れません。
その場合は都度指摘して貰えれば直します。
あと初期の頃は無題が多く、今まで以上にSSの区別が付きにくいです。
もし1つでも仮題案とかある人がいたら、
適宜提案して貰えると泣いて喜びます。
>>410 編集有り難いっす。
それにしても人様の作品に題名つけるのは難しいね。
自分文才ないし。でも無題ばっかだと読みにくい。
一言内容添えるとかは?
「景麒、ストレス発散のお手伝い」みたいな(一応257さんのやつ)
サザエさん調?
>>411 >一言内容添えるとかは?
これも結局題を付けるのと変わらないので、自分には無理ですねー。
>「景麒、ストレス発散のお手伝い」みたいな(一応257さんのやつ)
そこまで辿り着いたら使わしてもらいますノシ
(一応目次で、職人さんが明記した題とは区別して表記するので、
閲覧する人にも便宜的な仮題だと判って貰えるかと)
なんか、395さんが続きを。っておっしゃってくださったので
調子に乗って書いちゃいました。
元々続編なんて考えないで書いてたから
つじつまが合わなくても許してください…。
と、言い訳してみる…。
桓陽からの…浩陽です。
414 :
謀 −浩×陽:2010/07/13(火) 22:32:51 ID:jpqRhPn/
夜は更け、月は真上より少し東に傾いている。
乾いた空。物音ひとつ聞こえない。
すべてが寝静まったような空気の中。
灯りの点る冢宰の執務室。かたり。
椅子をひき、立ち上がる音。
窓辺に寄り月を見上げ、溜め息をつく。
気を抜くと溢れる想い。
甦る声。乱れた息遣い。桓魋を求める指…。
あの日、お互いの想いに気づきながら、
それでも王として、臣下として、
その想いを封じ込めた二人を
少しでも救おうと謀っただけなのに…
気づかない様にしていた己の胸の内を
はっきりと自覚してしまった。
―主上。
口の中で呟く。
もう何日も同じ想いに悩まされる。
乱され、恍惚とした彼女は美しかった。
夢中で彼女を抱く桓魋が妬ましかった。
―主上…。
今度は声に出して呟く。
どのくらいの時間、月を見上げていただろう…。
ふと、視線を落とす。
窓の外、暗く広がる園林に白い影が見える。
眼を見開き、誰何する。
白い夜着を纏った赤い長い髪の…。
―主上!?
先ほどまで、瞼の上で淫らに抱かれていた
愛しい女王が自分と同じ様に月を見上げている。
静かに、足早に主の元へ駆ける。
「主上、そのようなお姿でいかがされました。
こんな時間に護衛も付けておられない様子。
不用心過ぎます。」
声を落として諫める。
「浩瀚か…。だめだよ、遅くまで仕事してちゃ…
早く寝ないと。」
「主上…。」
若き女王は口の端を上げ、少しだけ笑う。哀しげな表情。
―そんな顔を…。
「どうか…なさいましたか?」
浩瀚から視線をそらす。
「なんでもないよ。私も…もう寝るね。おやすみ…浩瀚。」
踵を返し歩き出す。
浩瀚は思わずその袖を掴んだ。
ぴたり。歩みを止めるが、振り返らない。
浩瀚に背を向けたまま沈黙した。
「主上…私にはお話くださいませんか?」
陽子は少し思案して、
自分の袖を掴んでいる浩瀚の指をそっとはずした。
「…ありがとう…でも大丈夫だから…。」
再び歩き出そうとした陽子を乱暴に引き寄せると、
自分の胸にかき抱いた。
「浩瀚…?」
「貴女の…憂いの訳を知りたいのです。
貴女に…哀しい顔は似合わない。」
両腕で陽子を包み込む。
さらりと緋色の髪を撫でた。
黙ったまま浩瀚に身を預ける陽子。
「教えてくださるまで離しません。」
翡翠の瞳を見つめ、問う。
その視線を避けるように陽子は浩瀚の肩口に額をつけ、呟いた。
「浩瀚は…私のこと好き?」
予想外の問いかけに内心驚いたが、すかさず返した。
「当然でございましょう?」
尚も問う。
「それは、私が王だからか?」
「は?」
陽子は溜め息を落とす。
「…なんでもない。」
「なんでもない訳ないでしょう?主上…?」
顔を上げ、浩瀚と眼を合わせ、逸らす。
「…。」
「誰かに…何か言われましたか?」
陽子は口を開き…何かを言おうとして…
小さく溜め息をついただけで閉じた。
「主上?」
「…この前のこと…覚えてるんだ…その…桓魋と…。」
―香の効きが甘かったか…。
浩瀚は心の中で舌打ちする。
「桓魋に…もう触れないで欲しいと言われた。」
=私が貴女に触れることは罪深きことです…。
禁軍将軍として、このまま罪を重ねる訳にはいきません。=
「後悔していると…私を…王を抱いたことを…。」
=私は臣下の分を侵してしまいました。
…この罪を後悔しています。
…貴女は、私が気安く触れてはならない方なのです。=
「…私は…ただの女であることは許されないのか?」
「…。」
「教えて…浩瀚…私は…王以外の者にはなってはならないのか?」
両目を瞑り、はらはらと涙をこぼす。
「主上…。」
「…ごめん。浩瀚も困るよね。忘れてくれ。
…桓魋のことは責めないで欲しい。」
そう言って身を翻す。
―桓魋にそれができないというのなら…。
とっさに陽子を封じ込める。
「…離せ。」
低く声を落とし、身体を捩る陽子。
浩瀚は逃がさない様に陽子の身体をきつく抱いた。
―私が貴女を…。
顎を捕らえ上を向かせると強引に口付けた。
「ふっ…ぅ…。」
舌を割り込ませ、歯列をなぞる。
陽子は身じろぎを止め、浩瀚の袖を掴んだ。
口腔を蹂躙し、唇を離す。
「ご無礼致しました。
しかし私は貴女に触れたかったのです…。」
「…。」
「…貴女を恋しい女性だと意識してしまいました。」
陽子を抱きしめ、耳元で囁く。
「…もう一つ。お許し頂けるなら…
貴女の御身を私にお授けください。
貴女を愛しているのです。」
「…浩瀚。」
陽子は突然の告白に戸惑っているようだったが、
しばらくして、そっと浩瀚の胸にしがみついた。
浩瀚はそれを肯定と判じて、陽子を抱き上げた。
そしてそのまま歩き出す。
陽子は黙って浩瀚の首に腕をまわし、身を預けた。
―桓魋の事など…考えられなくして差し上げます。
自分に与えられた房室の寝台に陽子を降ろす。
唇を重ねて、右手で陽子の額から頬を撫でる。
右手を更に降下させ、首筋から鎖骨、夜着の袷に手を掛けた。
押し開き、肩に口付けを落とす。
陽子の身体がビクッと跳ねる。快感ではなく…罪悪感に。
傷ついた彼女の心につけ込んだ。
彼女は流されて自分に身を任せているだけだ。
浩瀚にはその自覚があった。
心は後からでもいい…彼女の身を手に入れたかった。
「…貴女は…ただ私に身を委ねてくだされば良いのです。」
陽子の罪悪感を取り除くように声を掛ける。
こくり。と頷いて瞳を閉じると、涙がこぼれた。
帯を解き、夜着を開く。袖から腕を抜き、晒された素肌。
浩瀚は着ていた官服を脱ぎ、
自分の体と、その素肌とを直に合わせる。
熱を持った身体を両腕に閉じ込めた。
何度も口付けを落とし、
舌を、指を、陽子の褐色の肌に這わせる。
その度に跳ね上がる身体。
息が粗くなり、か細い嬌声があがる。
「…はっ…ん…あ…ゃ…はぁっ…。」
赤く染まる頬、潤んだ瞳、震える唇。
これだ。
浩瀚は確信する。
この表情を自分だけのものにしたかったのだ。
浩瀚の指先が陽子の下腹をつぅ…となぞる。
臍の廻りを撫でそのまま真っ直ぐ下に降りた。
緊張で固く閉ざされた秘所を唾液で濡らした指で割る。
「ぁ…ん…。」
尖りに指の腹を這わせる。ゆっくりと。何度も。
みるみる溢れてくる蜜に指を浸す。
ちゅぷ…。
ひくひく痙攣する粘膜。誘う。奥へと。2本の指が中を蠢く。
「や…ぁ…。」
顔を手で覆い、上気した表情を隠す。
その手首を掴み、その顔を露わにする。
「や…見ないで…。」
陽子は浩瀚からの視線を避けるように顔を背ける。
半分開いた唇が悩ましい…。
「私を…見てください。」
浩瀚は秘所にさし入れた指を引き抜き、己の口に含む。
「だめ…。」
尚も舐め尽くす。ぴちゃぴちゃと音をたて舌を執拗に使う。
「…浩瀚だめ…恥ずかしいよ…。」
陽子は浩瀚を見上げる。
もう一度、指を差し入れ、内を掻き回す
「あぁ!…やぁ。」
強い刺激に悲鳴を上げる。
浩瀚の指は陽子の体験したことのない感覚をもたらす。
「…待って浩瀚…おかしいの。
私…おかしくなっちゃいそう…だめ…だめぇ…。」
小さく悲鳴をあげて、達する。
「…こうか…ん…。」
それに応えるように浩瀚は陽子を抱きしめる。
「…達して、しまわれましたね?」
陽子は眼を見開き、顔を赤らめる。
そして恥ずかしそうに視線を落とし頷いた。
その仕草が愛しくて、浩瀚はまた陽子に口付けをする。
それに遠慮がちに応える陽子。
舌を絡ませる。吸う。歯をたてる。
舐める。唾液を混じらせる。
段々、積極的に、情熱的になる口付け。
浩瀚は陽子を寝台にうつ伏せに寝かせる。背骨をなぞる指。
後ろから両手を差し入れ、胸をわし掴む。
頂をゆっくりと人差し指の腹で嬲る。
柔らかだったそれは刺激を受け固く尖る。
「ん…。」
鼻にかかったような小さな吐息。
背中に舌を這わせると、身体はビクビクと反応する。
陽子を後ろから抱きしめ、耳元で呟く。
「…主上。私を…受け入れてくださいますか?」
ここにきて最終判断を陽子に委ねる。
浩瀚は拒絶の可能性も覚悟しながら、それでも陽子の心が
今は自分に向けられることを確信していた。
「…抱いて…ただの女として私を抱いて欲しい。」
顔を寝台に臥せたまま、呟く陽子。
浩瀚は陽子を抱く力を強めた。
「…ありがとうございます。」
すっかりと濡れそぼった陽子の秘所に
後ろから己の自身をあてがう。
ぬるぬると入口を先端で嬲ると、陽子は腰をくねらせる。
誘うように、くっ。と腰を持ち上げた。
そこをゆっくりと侵してゆく。
「あぁぁぁ…。」
―…なんという…。
浩瀚は、想像以上の感触に驚きながらも、
貫くことが止められない。
突けば突くほど、増幅する快感。
ふと視線を陽子に向ければ、
彼女もまた、快感に寝台の敷布を掴み、
四つ這いのまま浩瀚を受け入れ続けている。
「あっ…あっ…あっ…あっ…あっ…。」
貫く度にあげられる嬌声。
「主上…。」
冷静沈着。自分を評する言葉だと思っていたが、
こんなに冷静でいられないなど…。
この身体も。声も。表情も。
すべて自分が乱れさせているのだと思うと、誇らしかった。
浩瀚は自分の終わりを自覚する。
速度を上げ、陽子を揺さぶる。
「あ…あっ…あっ…こう…かん…もう…もう…。」
言って、陽子は身体を震わせ、達した。
内壁が蠢く。
浩瀚もその刺激に耐えきれず、
陽子の胎内に欲情の証を放出する。
「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ…。」
息があがる。心地よい倦怠感。
後ろから身体を抱きしめたまま、
浩瀚は陽子の表情を伺う。
陽子は浩瀚の視線に気付き、
浩瀚に顔を向けると、口付けをねだった。
それに応え触れるだけの口付けを落とす。
「…あのね、浩瀚…
はしたないって思わないで欲しいんだけど…
浩瀚に抱かれるのは…すごく気持ちいいって思った。」
「…。」
「…だから。浩瀚が嫌じゃなかったら、
また、抱いてくれないかな…。」
「…主上。」
浩瀚は陽子を抱きしめる。
「貴女を…抱いても良いと。
私を受け入れてくださるとおっしゃいますのか…。」
頷く陽子。
「…ならば。ならば今度はもっと、
気持ちよくして差し上げます。」
浩瀚は陽子に顔を見られないように
陽子の顔を己の胸に抱き込むと、
口の端をにぃと上げ嗤った。
しかし途端にいつもの怜悧な顔に戻る。
―もう…誰にも渡さない。
―了―
真っ黒な浩瀚大好きだ!
おおっ〜週の半ばに投下があるなんて
ぜいたくだぁ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
とっても乙であります
いつの間に投下が!
GJ!
GJ!
なんてエロい浩瀚殿…イイぞもっとやれ!
427 :
395:2010/07/19(月) 01:58:09 ID:83G2XT5z
>>413 作者様有難うございます。そして続きを…とわがまま言ってすみませんでした。
桓陽ラブラブを想像してたのですが、まさかの浩陽で黒いw
でもそこが良いですねGJ!
有難うございました。名無しに戻ります。
428 :
413:2010/07/20(火) 22:10:21 ID:8I384DrV
すみません。”桓陽の続き”だったんですね…。
桓陽ラブラブ…その手があったか…。orz
そっちの線もいけたら書いてみます…が、あまり期待しないでくださいね。
読んでくださってありがとうございました。
何か期待できそうなレスが
Waku
自分は浩陽好きなので有り難いっす。
第二SS書庫司書さんへ
着々と収録作品が増えてて嬉しいです。
お疲れ様です。ありがとう。
書庫増えてますね!嬉しいです!
第二SS書庫司書さんへ
お疲れ様です。丁寧に整理されてて、とても見やすいです。
ありがとうございますm(__)m
>>430-431 有り難うございます。
今回追加したPHP部分はともかく、基本的に手間はかけてないんですけど
見易いと言って貰えるのは嬉しいです。
ちなみに無題SSの仮題は常時募集なので、気が向いたら宜しくです。
433 :
428:2010/08/01(日) 13:35:38 ID:S7uR8vNH
428です。
桓陽のラブラブっぽいものを書いてみました。
あまりエロではないですが投下します。
−ダンっ。
床に勢いよく倒れ込む。
−ガランガラーン。
手にしていた鉄鑓が転がる。
夕暮れの演習場。
ひとしきり訓練で汗を流した桓魋は何も考えず、
床に両手両足を投げ出して目を閉じる。
肩で息をする。吸って、吐いて、吸ったとき、
彼女の香りがした。
目を開ける。
自分の顔を覗き込み笑う、愛しい彼女。
身体を起こそうとすると、彼女はそれを阻み、
桓魋の胸に頭を寄せ、抱きついてきた。
桓魋は困ったような声で呟く。
「…汗、かいてますから…。」
陽子の肩をとん、と叩き、離れるように促す。
「…うん。桓魋の匂いがするね…。」
それでも陽子は腕を廻し、尚もしがみつく。
桓魋は薄く笑って抱き返す。
「…なぜここに…?」
耳を当てた胸から直接響く桓魋の低い声。
「桓魋に…逢いたかったから…。」
桓魋は、腕を持ち上げて、陽子の緋色の髪を梳く。
「…あぁ。気持ちいいな。」
頭を撫でる桓堆の大きな手。
「誰かに…。浩瀚様に見られたら…大変だ。」
一向に大変そうではない言い方で桓魋は笑う。
「…桓魋でも浩瀚は恐いの?」
上体を起こし、横たわったままの桓魋を見下ろす。
桓魋は苦笑しながら言う。
「あの方を恐がらないのは太師くらいですよ…。」
「…確かに。」
二人で顔を見合わせて笑う。
桓魋の手が陽子の頬に触れる。
陽子はその手を包み込むように自分の手を重ねた。
「…怒らないの?」
遠慮がちに問う。
「…怒られることをなさっているのですか?」
桓魋が目を見開き、わざと驚いたふうを見せる。
「…大僕をつけずにここまで来た。」
「あぁ。」
桓魋は上体を起こし、くつりと笑う。
「…でも、そうでないとこんなこと出来ませんからね。」
頬に手を添えたまま、桓魋は首を傾げ、
陽子の唇に自分のそれを重ねた。
触れる。離れる。
「…ん。」
陽子の唇から漏れる吐息。
「…離したく…なくなりますね。」
桓魋の指が陽子の濡れた唇をなぞる。
陽子はその指を捕らえ、口に含む。汗の味。暖かい指。
「…主上。」
その言葉に、陽子は口から指を離し、拗ねた表情で抗議する。
「今は…陽子。」
二人でいるときは極力、王であることを忘れたいらしい。
この少女のささやかな抵抗。
「陽子…。」
「うん…。」
一転、優しげな笑顔で答える。
「貴女は…本当に可愛らしい方だ。」
もう一度、首を傾げ陽子に口付ける。唇を舌でなぞり、甘噛みする。
「あ…。」
快感に吐息が漏れる。その開いた唇の隙をついて舌を割り込ませた。
陽子の舌を絡め捕り、舌先をちろちろと嬲る。
「ぁ…ん。」
桓魋は陽子の腰を引き寄せ、背中に指を這わす。
「…くぅ…。」
陽子の両手は桓魋の胸に抱かれ、動かすことができない。
桓魋の皮甲に握り締めた拳を当てる。
それに気付いた桓魋が、身体を離す。
「…桓魋?」
急に束縛を解かれ、不安げに桓魋を見上げると、桓魋は苦笑する。
「…こんな場所で…。こんな格好で、
貴女にこれ以上触れることは出来ません。」
陽子の顔が強張る。
桓魋は、その頬を撫で、耳元に顔を近づけると
「…後で陽子の部屋を訪ねてもいいですか?」
と、囁いた。
陽子が眼を見開くと、更に続ける。
「…湯浴みを済ませて参りますので、
陽子は人払いをお願いしますね。」
陽子は頬を赤く染め、桓魋の言葉に頷く。
「…では、お部屋までお送りしましょう。」
そう言って陽子の腕を引き、立たせると少しだけ乱れた服を整える。
髪を梳き、身体を離したところで、
陽子を必死に探していた大僕が現れた。
「…危ないところでしたね。」
そう言って笑う桓魋に、陽子は拗ねた表情を見せる。
「…続きはまた後ほど。…虎嘯、お疲れさん。」
近づいて来た大僕に声を掛ける。
虎嘯は苦笑して言う。
「…陽子…お前逃げ足が早すぎるぞ。」
「…ああ。すまない。部屋に戻るよ。」
虎嘯は笑う。
「…では。」
桓魋が拱手する。
口元をにこりと上げ、瞳は陽子を真っすぐに見つめている。
陽子は顔を赤らめると、ぷいと背け、歩き出した。
虎嘯は不思議そうにそれを眺め、
桓魋に向かって腕を上げ、踵を返した。
―了―
おおっ! 投下乙であります
ただ、ウレシイけど続きをもっと読みたい
>>433 いつもGJ!
>>437 つ、続きを…と言う絶妙な所で切り上げて
読み手を悶えさせるのもワザですぞw
良い子にして正座で天啓を待ちなされ
近所に楽陽開発という会社があってそれ見るたびに十二国思い出してしまう
と、ほしゅがわりにつぶやく自分であった
こう暑いとエロ妄想もできん・・・
エロ妄想
麟タンの白き乳房を手のひらに納め、やさしく・・・・・
ほ〜しゅ〜
ほ
444 :
浩瀚×陽子:2010/08/29(日) 13:50:03 ID:+JPhTX2U
さみしくなってきたこのスレに、
甘め浩瀚×陽子を投下いたします。
よろしければ、お読みください〜。
445 :
浩瀚×陽子:2010/08/29(日) 13:51:56 ID:+JPhTX2U
真夏の深夜。
身を隠した太陽を名残惜しむような蝉の鳴き声が、まるで耳鳴りのように響き、
慶国冢宰、浩瀚は項に浮かんだ汗を手のひらでいささか乱暴に拭った。
心なしか湿気を含む紙面に指を滑らせ、緩慢な仕草で次項へと捲った。
むせ返るような暑さは周りの空気さえも奪うようで、
彼は少しでも籠る暑さを逃がすように襟元に手をやり、空気を送るように衣服を揺らした。
裁可を下す冢宰印を押し、次の書簡へと手を伸ばす。
緩やかに書状に目を通し、内容を把握すると、彼は微かに目を見開き、それから口元を微かに綻ばせた。
―――海客の官吏への登用の案件。
それは、彼の主、慶国国主、景王陽子が長年待ち望んだ書状であった。
勅命により海客への差別制度を失くしたとは言え、それは形だけのものであり、
実際には民や官吏の心に長年植えつけられた差別意識を撤廃するにはあまりにも弱いものだった。
『…何か、実際的な例がほしい。常世の者も、異郷からの来訪者も、同じ人間には変わらない事を示す、
何か確定的な事例が…』
そう呟いて、類稀なる美しさを誇る翡翠色の瞳を曇らせていた彼女を想う。
――――国を愛するあの少女の、笑顔が見たい。
脳裏に思い描くだけで蕩けそうな、その僥倖を。
書状を手に持ち、扉に向かおうとして、浩瀚ははっと我に返る。
――――このような夜遅くに、わたしは主上の私室に向かうつもりか……。
446 :
浩瀚×陽子:2010/08/29(日) 13:52:23 ID:+JPhTX2U
あの女王の事になると、常の怜悧な思考力を失ってしまう自身に軽い苦笑を漏らし、
また卓上に山脈を連ねる書状へ向かおうとした時であった。
扉の向こう側に気配を感じた。
浩瀚はすかさず引き出しの中の短剣に手を伸ばしつつ、険しい表情で、誰だ、と訊く。
「…すまない、私だ」
低く心地よく響く女声に、浩瀚は目を見開き、襖を纏いながら扉へと近づいた。
―――わたしが、この声を聞き違えるはずはない…。
扉を開けると、すまなそうに眉根を微かに寄せる、
その顔でさえも麗しい彼の主が立っていた。
「…主上…」
「ごめん、どうしても分からない案件があって…」
そう言って軽く肩を竦めながらひとつ書簡を持ちあげる陽子に、浩瀚は軽く吐息をつき、中へと促した。
「―――お伴は付けられていないのですか?」
若干厳しい声音に、陽子は微苦笑しつつ、中の長椅子へと腰をおろした。
「そうだよ。こんな夜遅くに起こしたりしたら、悪いだろう」
およそ王とは思えない発言に、浩瀚は軽くこめかみを揉む。
「何度も同じ換言を申し上げるようで非常に心苦しいのですが―――……」
「わかってる、分かってるんだけどな。王だって一人で出歩きたくなる時もあるし、ここは見逃して……」
そこまで言い、口を噤んだ主に、浩瀚は首を傾げる。
陽子の視線は浩瀚の執務机の上にある、ひとつの案件に目がいっていた。
「―――…これ…」
陽子の目先にあるのは、先ほどの、海客に関する書状だった。
吸い寄せられるように見つめる陽子に、知らず微笑が漏れた。
この真っ直ぐな瞳に、自分はとても弱い事を、浩瀚は知りぬいている。
「主上の努力の、賜物にございます」
どうぞ御手に、と言いつつ、卓上から持ちあげた書簡を、恭しく陽子に差し出した。
俯いた陽子の表情は知れなかったが、書簡を持つ細い指先が微かに震えているのを見てとり、
浩瀚はどうしようもなく、愛しさがこみ上げた。
―――このまま、抱きしめてしまいたい…。
突き上げるような衝動を唇を噛み締めて強引に押し殺すと、
浩瀚はできるだけ身動きしないよう陽子の言葉を待った。
447 :
浩瀚×陽子:2010/08/29(日) 13:53:12 ID:+JPhTX2U
陽子の指先が、ゆっくりと文字を辿る。
瀟洒な料紙に流麗な文字で書かれた文章を、
まるで聖域のように、ゆっくりと触れていった。
やがて、文言の最後まで指先が辿り着き、陽子は震えるような吐息を漏らした。
俯いたまま顔を上げない陽子に、若干不審に思った浩瀚が声をかける。
「―――…主上……?」
ぴくり、と肩を揺らし、それから陽子はゆるりと顔を上げた。
浩瀚は、この世のどの宝玉の輝きにも勝るふたつの翡翠が、美しい透明な膜に覆われているのを見た。
陽子は、吸い込まれそうなほど奥深い透明な光を弾く瞳をゆっくりと瞬かせる。
まろやかな頬を、一筋の雫が、ゆっくりとなぞっていった。
浩瀚は、思考の全てが奪われるのを知る。
――――はじめて見る、主の涙。
それを記憶に残す事ができた、その意味を―――………
陽子はゆるりと首を傾げ、そしてふっくらとした唇を、三日月形に象った。
「……ありがとう、浩瀚」
凍りついた浩瀚が、視線だけを微かに動かす。
「努力をしてくれた、誰もに言いたい………」
陽子はふわりと微笑んだ。
「だけど、お礼を、貴方に最初に言えて良かった、………浩瀚」
この世の何よりも魅力溢れる唇が自身の名を呼んだ瞬間、彼の理性は、吹き飛んだ。
448 :
浩瀚×陽子:2010/08/29(日) 13:54:45 ID:+JPhTX2U
陽子の指先が、ゆっくりと文字を辿る。
瀟洒な料紙に流麗な文字で書かれた文章を、
まるで聖域のように、ゆっくりと触れていった。
やがて、文言の最後まで指先が辿り着き、陽子は震えるような吐息を漏らした。
俯いたまま顔を上げない陽子に、若干不審に思った浩瀚が声をかける。
「―――…主上……?」
ぴくり、と肩を揺らし、それから陽子はゆるりと顔を上げた。
浩瀚は、この世のどの宝玉の輝きにも勝るふたつの翡翠が、美しい透明な膜に覆われているのを見た。
陽子は、吸い込まれそうなほど奥深い透明な光を弾く瞳をゆっくりと瞬かせる。
まろやかな頬を、一筋の雫が、ゆっくりとなぞっていった。
浩瀚は、思考の全てが奪われるのを知る。
――――はじめて見る、主の涙。
それを記憶に残す事ができた、その意味を―――………
陽子はゆるりと首を傾げ、そしてふっくらとした唇を、三日月形に象った。
「……ありがとう、浩瀚」
凍りついた浩瀚が、視線だけを微かに動かす。
「努力をしてくれた、誰もに言いたい………」
陽子はふわりと微笑んだ。
「だけど、お礼を、貴方に最初に言えて良かった、………浩瀚」
この世の何よりも魅力溢れる唇が自身の名を呼んだ瞬間、彼の理性は、吹き飛んだ。
449 :
浩瀚×陽子:2010/08/29(日) 14:14:20 ID:+JPhTX2U
あーすいません、同じのを投下してしまった!(大泣)
続きいきます。
450 :
浩瀚×陽子:2010/08/29(日) 14:37:31 ID:+JPhTX2U
強く、彼女の細い腕を引き寄せて、腕の中に閉じ込める。
一瞬何が起こったか分からなかった陽子は、然る後、頬を染めて浩瀚の胸を押した。
「こ…、浩瀚…!何を…」
顔を上げた瞬間、間近に迫ってきた怜悧な顔に、陽子は固まる。
そのまま、柔らかい唇が、押しつけられた。
浩瀚は柳眉を寄せ、長年渇望し続けていたその唇を貪った。
押しつけていた唇を僅かに離し、陽子が息をつく間も与えず、抱きしめる腕を組みかえた。
想像以上に華奢な腰と背中を強く引き寄せると、衣服越しでも分かる柔らかな胸が自分に当たるのが分り、
浩瀚はたまらなく興奮した。
燃える激情に身を任せ、陽子の唇に親指を這わせ、陽子が微かに唇を開いた隙を縫って、
素早く舌を熱い口内へと滑らせた。
外気の暑さと相まって、体の火照りは加速度を増す。
陽子が鼻から漏れるような意味をなさない声を漏らすのを聞いて、それが劣情を促した。
次から次へと口内に溜まる唾液を陽子の口へと流し込むと、陽子の体が怖い程に強張るのを感じた。
――――もう、どうでも良い。今、この瞬間、愛する少女を腕の中に閉じ込めておけるのならば、
たとえ不興を買おうとも、この命さえ惜しくはない……。
451 :
浩瀚×陽子:2010/08/29(日) 14:49:48 ID:+JPhTX2U
濡れた唇を離し、抱きしめた腕はそのままに、浩瀚は床に陽子を押し倒した。
「…浩瀚っ!やめ―――…」
抵抗をするために発せられたその言葉は、続きを為す事はなかった。
浩瀚は再び陽子の唇を奪い、柔らかな感触を充分に堪能しつつ、陽子の帯を、すばやく解いた。
袷から指を差しいれ、すっと鎖骨をなぞる。
その感触は、驚くほど滑らかで、浩瀚は唇を微かに離し、うっとりとした吐息を吐いた。
「浩瀚……。どうして………」
鼓膜を響かせた声音に、浩瀚は目線をずらし、陽子の潤んだ瞳を見返した。
拒絶を孕む、その眼差し。
胸が、どうしようもなくかき乱され、呼吸さえもままならなかった。
浩瀚は、何かを言おうと唇を開き、それから、嗚咽をこらえるように陽子の首筋に顔を埋めた。
―――どれ程までに嫌がられても、もう、止められない…。
浩瀚は首筋に這わせた右手を、陽子の衣服と共に一気におろした。
驚愕を含む、大きく息を吸い込む音が聞こえたが、構ってなどいられなかった。
目の前にあらわれた乳房に、その輪郭を、なぞっていく。
「…嫌だ、浩瀚っ!」
手首を掴む細い指先を逆に掴み返し、浩瀚は意を決して、その瞳を覗く。
「……お厭とお思いでしたら、わたしの机の方へ」
唐突な言葉に、陽子は硬直し、浩瀚を見返す。
「上から三段目の引き出しに、短剣が入っております。もちろん、冬器です」
掴んだ細い手首を持ちあげ、爪先を軽く噛む。
「それで、わたしを、―――…殺して下さい」
一対の翡翠が、緩慢に見開かれる。
「何を…、言っている………」
452 :
浩瀚×陽子:2010/08/29(日) 14:58:30 ID:+JPhTX2U
浩瀚はうっすらと微笑んだ。今にも壊れそうな、これ以上ない不器用な笑顔でそっと囁く。
「それ以外に、わたしを止める術はない。―――…貴女になら、命を捧げてもいい。…いや、捧げたい…」
浩瀚は陽子の耳元にそっと唇を寄せ、吐息を吹きかけながら囁く。
「流れるわたしの血潮が、わたしが貴女を愛した印となるのなら…、
そのようなもの、いくらでも………。――――――わたしの、陽子」
壮絶とも言える告白を受けた陽子は、凍りついた。
―――小言を言いつつも、いつでも優しく自分を教え導く、大事な兄弟子であり、
何者にも代えがたい、大切な臣下。
王朝を支え、国を共に開いていこうとする、かけがえのない仲間。
それが、その彼が、自分を――――………。
親子以上に歳の離れた、彼が。そんな馬鹿な。自分は単なる小娘。
王と言う肩書を持つ、まだ雛に過ぎない……
―――愛………?
分からない、わからない、わからない………。
言葉を返せなくなった陽子を、浩瀚は再び愛し始めた。
耳元から首筋へと唇をはわせ、鎖骨のくぼみで強く吸い上げる。
赤い証が、強烈に脳裏に焼きついた。
453 :
浩瀚×陽子:2010/08/29(日) 15:13:09 ID:+JPhTX2U
あらわになった胸の双丘に、ついばむような口づけを降らす。
左手で腰を強く抱き、右手で柔らかな乳房を揉みしだく。
乳房を底から掬いあげるように強く捏ねあげ、その頂を吸い上げると、陽子が高い声をあげた。
彼女の太ももから膝にかけて力がこもるのを見てとり、彼女が感じているのを知る。
それが男に猛烈な興奮を呼び、浩瀚は突起の周りを舌でぐるりと焦らすように舐めとった。
鼻から漏れるような陽子の声と、微かに上下に揺れる腰が、
陽子の意志とは別な所にある官能を呼んでいるように思えた。
もう一度くるりと乳首のまわりを舐めとってから、舌先で突起を強く押した。
「や!」
ぶるりと陽子の腰が強く震え、拒絶とも取れる高い声を発した。
―――それさえも甘美に聞こえるのだから、わたしも病みきっている…。
どこか他人事のように考えながら、胸への愛撫を続け、腰を抱いていた腕を放ち、
陽子の腰から下を隠す衣服を脱がし始める。
抵抗するような陽子の腕が自分の手首を掴み、それを無視しつつはぎ取っていく。
その絡みつくような手と手の攻防が妙に艶めかしく、浩瀚は陽子の細い指を自身の腕に感じ取っていた。
「い、やだぁ…!浩瀚!やめて……!」
「―――やめません」
浩瀚は陽子の腰を持ち上げ、官服を一気に抜き去る。
生まれたままの姿になった少女が、恥じらいと驚愕に、
細腕で必死に自身の体を隠すのが、たまらなく扇情的だった。
454 :
浩瀚×陽子:2010/08/29(日) 15:51:47 ID:+JPhTX2U
浩瀚は陽子の腰を持ち上げ、官服を一気に抜き去る。
生まれたままの姿になった少女が、恥じらいと驚愕に、
細腕で必死に自身の体を隠すのが、たまらなく扇情的だった。
浩瀚は片手で陽子の両腕の手首を掴み、陽子の頭上へと組敷いた。
わき腹や太股に何度も手を這わせ、触れるか触れないかの強さで撫でつけた。
必死に顔の向きをそらす陽子の首筋が妙に艶やかで、浩瀚は陽子の首筋を舐め上げる。
同時に足の付け根をくっとなぞると、陽子が腰を浮かし、両腿を擦り合わせた。
その反応を目ざとく見つけた浩瀚は、陽子の左足の腿を持ち上げ、その秘められた女の場所を目にする。
「やあ――!!」
陽子の絶叫が響きわたる。
―――嫌か、それほどまでに。
当然だろう、と冷静な自分が囁く。
そして惑う意志に関係なく、熱い自分の唇が、陽子の女の場所に吸い寄せられた。
ひどく官能的な湿った音が、男と女の鼓膜を震わす。
陽子は、もはや驚愕で思考回路が凍りついていた。
そして、何よりも、全身を貫く、得も言われぬ感触……。
意味を為さぬ言葉が、次から次へと唇から洩れていく。
形容し難い痺れるような官能に、自身の意志とは関係なく腰が揺れ、何度も男の顔に自身の恥部を押しつけてしまい、
それがたまらない程の羞恥を自分に覚えさせる。
455 :
浩瀚×陽子:2010/08/29(日) 16:01:05 ID:+JPhTX2U
やがて、遠慮を失くした男の指が自身の穴に入り、中をかき乱す。
不秩序に蠢くその指に、思考を、動きを、全てを封じられる。
女の嬌声。
男の吐息。
湿り気を含んだ音。
全てが、熱い空気に溶けていく。
浩瀚は着衣を乱し、やがて自身の中心で女を貫こうとする。
―――男は、不意に女の顔を見た事を後悔した。
涙に濡れた美しきかんばせはぐしゃぐしゃになり、常の凛とした空気を孕む柳眉は、
激しく歪んでいた。
男が世界一愛している女性の瞳は、失意と混乱にかき乱された色をともしていた。
――――罪悪感を植えつけるには、充分の………。
456 :
浩瀚×陽子:2010/08/29(日) 16:01:26 ID:+JPhTX2U
何を、と浩瀚は鼻先で笑う。
脳裏で分かりきっている事だった。
―――この方を傷つける。
―――嫌われるだろう。
―――憎まれるだろう。
―――この世で最も尊い女神を、わたしは汚すだろう………。
何を今更、と思う。
ここまで充分に傷つけた。
死んでも本望だったのだろう?
………嫌われても、想いを遂げたかったのだろう?
―――何を…、後悔している………。
―――何を、戸惑っている。
願うな、後悔するな。
そんな資格は、お前にはない。
欲する資格など、わたしには、ない。
――――嫌われたくないと、愛されたい、と………。この期に及んで……
未練がましく、それでも、想う。
――――この女神を、わたしに、くださいと。
457 :
浩瀚×陽子:2010/08/29(日) 16:19:26 ID:+JPhTX2U
手を止めた浩瀚に、陽子はうっすらと目を開けた。
そこには、怜悧と称される冢宰の、見た事もない表情があった。
今にも瓦解しそうな男が、そこにはいた。
陽子は瞠目した。
―――人が男女の情愛と呼ぶものを、今の自分がこの男に持てるとは到底思えないけれど。
傷つけられた。
ここまでめちゃくちゃにされた。
それでも………?
陽子は一瞬目を瞑り、それからひたりと浩瀚の瞳を捉えた。
そこには、凛呼なる少女の本性が、少しだけ戻っていた。
「…怖い、のか?」
びくりと浩瀚の肩が震えた。
「ここまで、わたしが嫌がるのも構わず…。
剣をもって殺せなどと、そんな事をわたしができる訳がないのに、この、卑怯者!」
浩瀚の表情からは、何かが崩れそうなのがありありと浮かんでいた。
構わず、陽子は叫び続ける。
「今更後悔か?懺悔か?謝れば許されるとでも?
私は怒っている。どうしようもなくお前に怒っている。
それだけじゃない。怖かったし、嫌だったし、翻弄された。惑わされた。それを今更覆せるとでも?
そんな傷ついたような顔をして、許されるとでも?―――ふざけるなよ!」
458 :
浩瀚×陽子:2010/08/29(日) 16:19:48 ID:+JPhTX2U
叫んだあとから、恐怖と羞恥と混乱に唇が震える。
それを飲み込むように、陽子は唇をかみしめた。
「………わたしはお前を愛さない」
小さく、だが決然とした口調に、男の瞳が揺れた。
「傷つけられた。怖かった。やめてほしかった。―――絶対にわたしはお前を愛したりはしない」
そして陽子は男の頬を、両手で包む。その翡翠の光を燈す双眸は、この世のものとは思えないほど、美しかった。
「―――だけど、嫌えない。私はお前を嫌えないんだよ、浩瀚」
陽子は浩瀚の頭をその細い両腕で抱え、小さく呟いた。
―――――おいで、馬鹿。
459 :
浩瀚×陽子:2010/08/29(日) 16:20:54 ID:+JPhTX2U
こんなに優しい声音は、今まで聞いたこともなかった。
もう、いいか、と男は想う。
身を貫く愛しさに身をまかせ、少女の体を貫いた。
「いたい………!」
悲鳴をあげつつも、まるで外界から身を守る胎児のように、自分の頭を抱えたままの陽子が、
この世の誰よりも、狂おしい程愛しかった。
まるで自分は海を漂う船のようだ、と思った。
人を乗せず、寂しく波に身を任せる、それでも包まれる陽光と波の音に孤独を持っていかれる、ただ一艘の船。
海に揺られるように、浩瀚は陽子の粘液に包まれて揺れながら、必死に嗚咽をこらえた。
愛しい、愛しい女神。
漏れ出る声音は、楽園の楽曲か。
謝罪は、もう届かない。
想いは、もう届かない。
それでも、このどうしようもない心地よさに、一縷の希望を見出してしまう自身の惨めさに、
男は、泣けてしまう程、―――溺れたのだった。
460 :
浩瀚×陽子:2010/08/29(日) 16:54:27 ID:+JPhTX2U
身を離したあと、身動きひとつしない陽子を、浩瀚はじっと見つめていた。
―――御衣を、掛けて差し上げねば……。
体全体に纏うけだるさを押し切るように、浩瀚は腰をあげた。
ちらばる陽子の衣服を、まとめていく。
壊れ物に触れるようにそっと陽子の体に襖をかけようとしていた浩瀚は、陽子の頭が緩慢に動いたのに、
動きを止める。
泣き濡れた陽子の瞳が、浩瀚をひたりと捉える。
たまらず、浩瀚はその場にひれ伏した。
「―――罰を。何か、罰をください!」
陽子は浩瀚の手元からゆっくりと自身の衣を引き抜き、身を起こして体に纏い始めた。
緩やかな溜息が、その唇から洩れた。
「―――わたしは、理由なくとも、お前を殺す事が出来る。
この国には、私を罰する法は、ないからだ」
陽子は衣を整えつつ、感情の起伏の掴めない声音で続けた。
「では、ここでお前を殺せば、天は私を罰するかな?
今まで幾人もの民の命をこの手から零していった、この私を、
臣下の一人を手にかけた程度で、罰するのかな?」
陽子は身をかがめ、自身の足元にひれ伏す男の耳元に、囁いた。
「―――私はお前を愛さないよ、浩瀚。…絶対に…」
――――それが、お前へ与える、唯一の罰則。
461 :
浩瀚×陽子:2010/08/29(日) 16:55:27 ID:+JPhTX2U
陽子は意識的に声音を変え、いつもの調子で言った。
「これはもらっていくよ、浩瀚」
思わず浩瀚が顔をあげると、件の書簡を陽子が手にしていた。
「どうあっても、この国を愛するお前を、私は嫌えそうにないからね」
扉に近づき、書簡を手にして陽子は浩瀚を一度振り返る。
唇が、口早に動いた。
――――音は届かずとも、その言葉は、男に届く。
―――愛さずとも、嫌わないよ、浩瀚。
女神の優しい声音に、男は一人、涙を流した。
462 :
浩瀚×陽子:2010/08/29(日) 16:56:18 ID:+JPhTX2U
<<終わり>>
すみません!構成がめちゃくちゃでー!
お目汚し、失礼しましたー!
(脱兎)
きゃあああ職人さんがいらっしゃったあああ
GJ!
ヘタレ浩瀚っていいですね。
この後も読んでみたいかも…
読み応えありました。GJです!
おおっ! 知らぬ間に投下が〜乙であります。GJであります
続きはありますか? Wakuteka
スんバラシイ
猛暑でもいい事があるようですね。感謝、多謝
陽子かっけー
ほ
しゅ
じょう
の
は
tes
て
ま
で
ま
ん
き
つ
に
し
ひ
が
し
き
た
み
な
む
あ
み
だ
ぶ
つ
(-人-)
チーン
ちょww
最近職人さんいらっしゃらないね。
自分で書くにも文才無いしな…
結構規制あったようだからね〜
投下したくてもできない→過疎って感じか
陽子の中の人がプリキュアやってんだよな…昔はセーラー戦士
六太が持ってきたコスプレ着てって思ったが、景麒は反応薄いだろうし
楽俊は慎みを…ってなるだろうし、延王さまぐらいか?まともに反応しそうなの
泰麒だったら普通に元ネタ理解してくれそうだが引くだろうな
>>501 最近プリキュアを初めて見たんだけど、プリキュアって面白いんだね。
子供アニメだと思ってたらビックリした。
今、書いてるんですが・・・なかなか・・・。
過疎ってて悲しい・・・。
もう少しで出来ますんで
見捨てないでこのスレを続けてください・・・。
>>503 マジっすか!
待ってます。かなり嬉しい。
>>503 Waku waku teka teka
506 :
503:2010/10/28(木) 01:24:56 ID:eQdX5ZK/
503です。
その前は433でした。
えと…なんとか書き上げました。
とりあえず、桓陽 逢瀬の続きです。
なんか…だらだらと続いちゃってすいません。
あ、かなりツタナイ文章ですが、大目に見てやってください。
桓x陽 理由
wktk!!!
湯浴みを済ませた。
香を焚きしめた夜着。
結い上げず下ろした半乾きの髪が、上気した頬にかかり、心地よい。
寝台に腰掛け、思案する。
後で行く。
そう告げた桓魋は未だ姿を見せない。
自室でありながら、そわそわと、落ち着かない心。
早く…逢いたい。
自分の髪に触れた桓魋の指を思い出す。
優しく笑って、口づけてくれた、感触。
背中に回った腕の力強さ。
桓魋…。
早く…抱きしめて欲しい。口づけて、私のすべてを奪って欲しい…。
身体が熱い。
知らず、陽子は自分を抱きしめる。
自分の手が、指が、二の腕を掴む。
…早く…早く来て。
こんな風に私に触れて…私を、桓魋で満たして…。
自分の指が身体を弄る。
右手が、夜着の袷に触れ、するりと中に滑り込んだ。
指先が、陽子の胸の頂に触れる。
「んっ…。」
漏れる声。
ふと、我に返り、羞恥に赤面する。
しかし、指先は頂に触れたまま…。
そっと、左右に揺らす指。快感が、陽子を包む。
「桓魋…。」
早く…。
人差し指で頂を弾く。
「ひぁ…。」
抑えきれない…。
左手が、躊躇うようにゆっくりと、夜着の帯を解く。
緩んだ夜着が、すとん。と左右に分かれた。
陽子は身体を倒す。
更に露わになる、褐色の肌。
右膝を立て、足の付け根に指を這わせる。
指先が感じる、ぬるりとした感触。
もう…こんなになってる…。
桓魋…。
触れる度、ぬるりとした感触は粘度をなくし、さらさらとした、液体が溢れ出る。
その泉の中心を…。
だめ…。
ここは…桓魋に…。
桓魋にしてもらうの…。
ひとつ首を振り、ふぅっと息を吐く。
疼く身体を夜着で包む。
帯を締めようと、手を伸ばした。
扉の向こうに人の気配を感じる。
「青将軍が参られました。」
女御の声。
「…うん。通して。」
急いで帯を締め、上着を羽織る。
王の表情で扉を見つめる。
扉が開く。
先導の女御に続き、桓魋が入ってくる。
手に、何か書類を抱えている。
「女御…。申し訳ないが、これより主上と内密の話がある故、人払いをお願いしたい。」
冷静な声。
先程まで桓魋を想い、
身体を熱くしていた自分との違いに羞恥する。
女御は一礼し、出て行った。
女御の足音が…気配が消えるまで、桓魋には話しかけづらい雰囲気が漂っていた。
本当に…なにかあったのかも知れない。
それで、来られなかったのかも…。
震える声で問う。
「…桓魋?なにか起きたのか…?」
扉を見つめていた桓魋が向き直る。
青ざめた陽子を見て、慌てて表情を崩し、
手にしていた書類を投げ出すと、歩み寄り、陽子を抱き締めた。
「主上…。申し訳ありません、お部屋に伺う理由を考えるのに時間がかかってしまいました。」
「え…?」
桓魋は顔を赤らめ、続ける。
「もっともらしい理由が浮かばず…。」
その辺にあった書類を抱え、緊急の用を装った。
「…貴女に逢いたい。と、そればかりで…。」
抱き締める腕の力が増す。心地よい、圧迫感。
「貴女を抱き締めたい…貴女と…。」
桓魋の気持ちが伝わるようで、陽子は胸が熱くなる。
ゆっくりと顔を傾け、唇を合わせる。
戦慄いた唇から漏れる吐息を、口づけでふさぎ、口中を舐る舌。
舌先が陽子の舌を捕らえ、なぞる。
軽く噛みつき、吸い、嬲る。
「あ…はぁ…。」
桓魋の執拗な攻めに、ため息が漏れる。
酸素が欠乏し、新しい空気を求めて唇を開くと、
尚も桓魋の舌が陽子を蹂躙する。
「かん…たい…。」
桓魋は唇を合わせたまま陽子を見る。
唇を離し、首筋に噛みつくような口づけを落とす。
「あ…。」
漏れた声を合図に、桓魋は陽子を抱きかかえ、寝台へ寝かせる。
視線を合わせる。上気する頬。
これからされるであろう行為に、陽子の胸がきゅんと高鳴る。
桓魋は陽子の夜着の帯を解き、唇を陽子の肩、胸、腹の順に這わせる。
左手で陽子の乳房を下から持ち上げるように揉みしだき、右手は陽子の足の付け根に触れた。
桓魋の動きが止まる。
「…こんなに溢れて…。」
人差し指が陽子の秘所を這う。簡単に割れ、溢れ出る。
「…や。」
ぬるぬると指が何度も往復する。
陽子がぎゅっと内股を閉じる。
桓魋はそれに構わず、指を進め、溢れ出る泉をかき分ける。
二本の指が泉のその奥に差し入れられた。
ぐちゅり。
淫らな水音。
陽子の胸を弄んでいた桓魋の手が、着ている官服を解く。
全てを脱ぎ去ると、素肌の胸に陽子の頭を抱く。
桓魋の体温に直に触れる。
湯浴みのあとのサラサラとした感触。
露わになった桓魋の胸の頂に、陽子は遠慮がちに舌を這わせる。
っ!
軽く歯を当て、甘噛みする。
「…っよう…こ。」
息を詰めた桓魋の声。諌めるような…否、甘えるような…。
桓魋は陽子の頭を解放すると、陽子の足元に身体をずらし、秘部に顔を当てた。
驚き抵抗する陽子。
しかし、その抵抗も桓魋の舌が一番敏感な場所に這わされると、力ないものとなった。
「あっ…。」
桓魋の舌は溢れる液体をすくい舐め、尖りに辿り着く。
びくびくと身体が跳ねる陽子。
尖りを唇で覆い、ちう。と吸う。
腰が浮き、脱力する。
とろけきった心地で桓魋を見下ろすと、桓魋は頷き、身体をずらす。
陽子の両脚を抱え、開かせると、先程まで己の舌で嬲り、
とろけさせていた場所へ、熱く、充分に膨張したそれを当てる。
「桓魋…。」
かすれた声。
「…きて。」
陽子が目を閉じる。
桓魋は静かに腰を沈める。
肉を掻き分ける感触。
ぞくぞくと背筋を駆け上がる。
「…ふ、あぁぁぁぁ…。」
上がる嬌声。
ゆっくりと上下する桓魋の身体。
徐々に速度が増し、深くなる。
内壁をこすり、その奥に当たる感覚。
痛いほど…激しく突き入れる。
「…くぅ…はあぁぁぁ…。」
悲鳴のようなか細い声。寄せられた眉。
桓魋の作る波に溺れないように、必死にしがみつく。
掴んだ桓魋の腕。爪をたて、にじむ血の赤。
桓魋はそれを横目で認めると、口の端を少し上げ、目を細めて微笑する。
腕にしがみつく陽子の指を手にとって口づけ、甘噛みする。
「…や。」
桓魋の吐息、歯の当たる刺激、唾液の温かさ。
甘美な感覚が指先に集中する。
その間も、桓魋の波は止まない。
緩急をつけ、突き入れられる。
その合間に、優しく愛撫される。
二つの違う快感が陽子の身体を攻め立てる。
腰を打つ音。それと重なり聞こえる、淫らな水音。
お互いの汗。
感覚のすべてを刺激する。
「桓魋…。あ…駄目…そんなに…あぁぁぁぁ…あ…ぁん…桓魋…かんたぃぃ…。」
陽子は、身体が浮かぶような感覚に襲われる。
必死に桓魋にしがみつき、制御の利かない自分の身体を抑えようとした。
桓魋は陽子の背に手を回す。
背骨に指を這わせて更に愛撫を重ねる。
「…かんたい。…もう…もぅ…。」
うわ言のような声を上げる陽子の、その唇を塞ぐ。
「…むぅぅ…。」
ふるふると、身体が震える。
きゅうと、内壁が桓魋に絡みつく。
一瞬の静止の後、弛緩する身体。
深い呼吸。
桓魋は、達してしまった陽子に微笑みかける。
しかし、すっと笑みを消し、再び陽子の身体を攻めたてた。
激しい波が押し寄せる。
陽子は桓魋の欲するままに、身を委ねた。
桓魋の動きが早くなる。
「ふ…うっ…。」
漏れる声。
桓魋が腰を深く沈め、身体を震わせる。
陽子の胎内に注ぎ込む白濁。
桓魋は陽子に口づけし、陽子の身体を抱き締める。
ゆっくりと身体を起こし、陽子の中から自身を引き抜く。
とろりとした感触がこぼれる。
呼吸を整え、夜着を羽織らせる。
夜着の上から陽子を抱き締める。
髪を撫でる大きな手。
陽子は、幸せな気持ちで桓魋の腕の中にいた。
「陽子…。」
呟く桓魋の声は、いつもより随分甘い声だった。
衣服を整え、投げ出した書類を集める。
「さて、あまり長居をすると女御が心配するので、私は失礼します。」
「…桓魋。」
名を呼ばれ、桓魋は陽子に視線を合わせる。
「やっぱり私は…桓魋が好きだ。」
「主…陽子…。」
「また、こうやって逢いにきて…そして抱いてほしい。」
桓魋は困った顔で呟く。
「さて今度はどんな口実を作りましょうか…。」
陽子は笑って答える。
「左将軍にたくさん逢えるように、揉め事でも起こすかな…。」
「主上!」
「嘘だよ。…でも、桓魋のことが好きなのは本当だから…。」
陽子が視線を外し、頬を赤らめる。
「はい。俺も陽子が好きですよ。」
しかし、桓魋は少し考えて、言葉を訂正した。
「いえ…貴女を愛しています。愛しているので…また逢いにきます。」
―了―
515 :
506:2010/10/28(木) 02:01:12 ID:eQdX5ZK/
お目汚しでございました。
読んでいただいてありがとうございます。
リアタイ投下久々〜GJです!
お〜おおおおおつ であります〜♪
感謝感激雨霰、焼煎餅であります
乙乙乙 GJ!
黄昏〜の陽子と尚隆の会話はドキドキするな。
尚隆に色々やってもらう代わりに、陽子は見返りを提供したにちがいない。
クンニのお返しにご奉仕フェラですね。わかります
延主従は陽子を気に入ってるんだろうなー。
六太は勝手に正寝まで来ちゃうし。
ほ
し
ひ
と
で
ま
阿選×女体化驍宋をきぼんぬ
女体化は801の範疇だろ
スレチ
530 :
景麒×陽子:2010/11/17(水) 23:45:16 ID:QTVIa8Ya
景麒×陽子 投下します。
陽子が微妙に擦れているので、苦手な方は注意願います
531 :
景麒×陽子:2010/11/17(水) 23:46:47 ID:QTVIa8Ya
「景麒」
女王は下僕の名を呼ぶ。彼女の細く長い指が微かな光を弾く絹糸のような髪を梳き、そして強く掴んだ。
掴まれた痛みに下僕の顔は歪む。それを微かな愉悦を湛えた表情で眺めた陽子は、緩慢な動きで景麒の額に手をやった。僅かにこみ上げる不快感とそれを上回る恍惚感に、景麒は月色の睫毛を震わせながらそっと目を閉じる。
触れるか触れぬかの、愛撫にも似た柔らかな戯れは、徐々に下に下がっていった。閉じた瞼をなぞり、鼻筋を撫で、端正な頬の輪郭線を描き、そしてゆっくりと、首筋に唇を近づけた。湿った吐息を拭きかけながら、陽子は景麒に問うた。
「…触りたい?」
景麒の唇が震えたのを陽子は見逃さない。普段は余計な音を漏らさぬその口が、自分に服従の印を告げるのを観察するのが、陽子は好きだ。
「…触れたい…、です…」
陽子は目を細め、唇を三日月形に象った。
「…いいよ」
景麒はゆっくりと瞼を開き、それから情欲に濡れた瞳で陽子を見た。傍近くには牀があり、恐る恐るといった様子で陽子の細腰を抱き、そして持ちあげた。
景麒の息遣いは、情事を前にした男のそれであった。しかしそうであっても、主人に対しては従順なさまを貫き通す。
「…麒麟とは、本当に厄介だ……」
微かな囁きと笑い声が聞こえているのか、聞こえていないのか。景麒は柔らかな褥に陽子をゆっくりと降ろし、それから若干戸惑いがちに、覆いかぶさる。
532 :
景麒×陽子:2010/11/17(水) 23:48:15 ID:QTVIa8Ya
陽子は悠然と嗤い、景麒の視線を強引に捕らえた。
薄い紗のように降りてくる星屑のような髪の毛をくいと引っ張り、そして下僕に告げた。
「触れてもいいよ。…でも、ちゃんと満足させて」
麒麟は微かに目を見開き、それから微かに、だがしっかりと頷いた。
軽い衣擦れの音がしたのを聞き、陽子は景麒が自身の服を脱がせはじめたのを知る。
開いた薄い絹の衣の合わせ目からあらわれた陽子の乳房が、少しの明かりに照らされ、妖艶な影を作っているのを見た。
景麒は腰が重くなるのを感じ、逸る心を必死に抑えながら、陽子の唇にむしゃぶりついた。
水音を立て、景麒は自身の唾液を送り込むように陽子に口付ける。
舌を動かし、陽子の口内を、隅々まで舐め上げるように舌を差し入れ、動かした。
ぬめりとした固まりと固まりがもつれ合う感触に、ふたりは震える。
淫靡な水音と漏れ出る鼻声が、堂室にだけ木霊する。
景麒の手は、彼自身の意識さえも凌駕し、陽子の肢体を貪るように触れた。
乳房の形を確かめるように手の力によって形を変えるそれをなぞり、揉み、そして端正な指でその先をいじる。陽子の足が開き、景麒の足に絡みつく。
一枚の絹を隔てた陳美な感触に、青年は荒い息を漏らした。
「もっとして…」
挑発するように声を漏らす陽子に、景麒は顔の位置をずらし、彼女の乳房を丹念に舐めた。
唾液をまぶし、てらつくように光るそのまろみを観察し、そして先を強く吸う。
唇はそのままに、舌だけを動かして先端を執拗に愛撫した。
533 :
景麒×陽子:2010/11/17(水) 23:49:21 ID:QTVIa8Ya
「はぁ…!」
溜息とも嬌声ともつかぬ高い声が上がり、景麒は微かに満足する。
その間にも陽子の脇腹や太股や足の付け根を何度も何度も撫で上げ、その度に陽子は腰を上下左右に揺さぶった。
くねる体にほとんど衣は脱げ去り、景麒は陽子の腰を上げさせて絹の夜着を陽子から取り去った。
自身の唇での愛撫により濡れて光る胸元を軽く撫で、そして彼女の下肢を見る。
僅かに開いた太股には透明な粘りのある雫の筋が流れ落ち、景麒は心中で笑い、陽子の両の太股を掴み、大きく股を開かせた。
「あ……!」
恥部を他人に晒す悦びに、陽子は腰をくねらせ、嬌声を上げた。
溢れ出た蜜は糸を引き、陽子の太股や恥部には大量の液体が付着していた。
534 :
景麒×陽子:2010/11/17(水) 23:50:11 ID:QTVIa8Ya
続きはまた後日です。
すいませんorz
景陽大好きだ!乙です。
続き待ってます。
おおーGJ!続きwktkです!
いやぁ〜きましたねぇ〜♪
Wakuですねぇ〜 まってます〜♥
続きお待ちしてまぁす
やりたい。
健康な十三歳男子{外見限定}である六太の脳内の三分の二はそれで占められていた
大体主からして年中無休二十四時間臨戦態勢の尚隆なのだ。
周りの臣も素知らぬ顔をしながらやるこたやっている。
女官達も「わかってる」者ばかりなので他国の目のない玄英宮は妓楼もかくやと言う
状態。
そんな素敵な空間で一人寂しい自分が六太は可哀想でならない。
聖獣な上見た目子供。
淫乱天国な癖にそこの所だけ女官達は倫理的で六太の相手はしてくれない。
妓楼に行くにしても十三歳では店に揚げて貰える事事態稀。
「おれ・・かわいそすぎる・・・」
持て余し気味の体を{主に下半身}抱えふらりと金波宮へとやって来た。
「ここの空気は真面目なんだ・・・延みたいに爛れてねえ・・」
540 :
名無しさん@ピンキー:2010/12/10(金) 21:54:04 ID:hYDgJq3J
age
>>539 で、いつまで放置プレイなのでしょうか?
結局金波宮に来たものの、真面目空間でできなかったってオチじゃね
つまり
>>539はレス一個で完結のエロなし小ネタって事でFA?
まだまだ続きはある。と信じよう
WakuしてますからID:zNpEHVsr
「やりたい」のならヤッテ下さい
第二書庫が403 Forbidden なんですが、どなたか何か知りませんか?
昨夜までは普通に見れたのですが・・・
>>545 今見てみたけど普通に見れた
>>276にも同じようなレスがあったけど
言語設定を変えたのが原因らしいから
ブラウザの設定が変わってないか確認してみたら?
海外の串を使ってるとかじゃないんだよね?
245ですが、海外在住です。
パソコンでもiPhoneでも見れなくなってしまいました。どちらも環境は日本語で、設定は変えていません。
帰国までもう少しなので、それまで我慢しますw
246さん、ありがとうございました
十二国記とエロがどうしても結びつかない
ここでSSを書いている人の発想力に脱帽したw
>>548 自分も十二国記でエロはないと思ってたが、
ハマると抜けられませんよ。
景麒と陽子でカプ話見たときは驚いた。
主従関係で恋愛とかマジで?と思ったが、慣れってスゴい。
>>548 リアル処女と無毛童貞には想像することは難しい世界ですが
5年後に今の自分を振り返ってみてくださいw
尚隆×陽子は容易に想像できたな。
俺は楽陽の方が
本編読むと、どう見ても楽陽だろって思うけど、そうじゃないカップリングのが多いんだよなあ
どのカップリングが自然かなんてのは
原作で恋愛描写が皆無である以上、妄想の域を出ないからな
あとはより妄想力をたくましくした者勝ち
新婚夫婦はいるがな
自分は楽陽見て驚いた。
楽俊はお兄ちゃん枠だと思ってたから。
というより、十二国記で恋愛って自体が信じられなかった。
原作読む時は恋愛なんか頭に浮かびもしないよ
ただ、二次創作のエロは別腹と言うか別妄想
緑の館も後宮もある。蘭玉は陽子に無能との関係を誤解して泊りをどうぞと
少女向け小説だからセックスについて直接的な表現はないが
セックスについてちゃんとそれなりの隠喩はちりばめられている
ある程度二次やってたら小説のちょっとした描写でカプ妄想は可能だよな
下僕がきた
だけで三杯はいける
奴婢がきた
だけで三杯はいける
斧さんの作品で、泣いている女の子の涙をぬぐうという乙女シーン他になかった気がする
なので楽陽一押しw
職人さん方、規制なのか
冬の祭典の準備で忙しいのか……
565 :
泰麒×驍宗:2010/12/29(水) 07:39:40 ID:TIF3Idyw
泰「ここは僕の本当の居場所じゃない気がするんです。帰ろうとしても帰り方が分からない。思い出せない・・・」
H氏「何でもいいから!」泰「・・・・・・・・」
H氏「思い浮かぶ物をかいてみろ!」
泰「・・・・あの写真集」
H氏「高里が気に入ってたボディービルダーのか!?」
泰「そう。あれを見てるとなんだかとても懐かしい気分になるんです。何か大事な物を無くしてしまった様な。」
H氏「それは何だ!!」
泰「僕はそこでとても気持ち良かった気が・・・」
続く
566 :
泰麒×驍宗:2010/12/29(水) 08:11:22 ID:TIF3Idyw
「フィリピンパブまでご無事で。」
泰麒はその言葉を言い残した後、独り考え混んでいた。
黒人の様に黒い肌。その肌をいっそう際立たせる長い白い髪。そして、あの射る様な激しい炎のような目。泰麒はあの目が怖かった。最初出会った時から驍宗の目を見る度、体の力が抜ける。
「目で犯される!!」
それでも会わずにはいられなかった。
「もっと、もっと犯してほしい!!」
気が付くと宮を飛び出し夜の岩場へと光を浴びながらしっとりと空へ待って行った。
続く
567 :
泰麒×驍宗:2010/12/29(水) 08:39:04 ID:TIF3Idyw
パカッパカッパカッ
頼りは月光だけ。そんな闇の中で驍宗は音とともに宙を舞う麒麟を見た。
急いで駆けて来たせいか獣の体は火照り汗の様な渋きを帯びていた。
驍「見事な麒麟だ。」
恐ろしく優美な獣の体はみるみる少女の体に変化してゆく。さっきまでの汗が月光に当り小さな女体の表面でいやらしく煌めいていた。
泰「驍宗様・・・。」
泰麒はその場に立って全身を向けた。
いけないっ!
泰「僕は・・・女の子なんです。」
今まで隠して来たのにっ!
驍宗の目が少女のまだ幼い体を射る。緊張からかその体の小さいながらも艶やかな乳房の先端はぷくんっと膨らんでいた。
驍「許す!」
続く
568 :
泰麟×驍宗:2010/12/29(水) 09:03:37 ID:TIF3Idyw
驍「礼を言う。泰麟!お前は小さいのに感度が良い!」
泰「驍宗様!?」
泰麟は頬を高揚させ思わず体を丸める。
泰「あのぅ、驍宗様はご存じだったんですか?」
目の前で背を丸めて膝を抱えた少女を上から射る様に見つめ、目を細めた男は造作もなく片腕で肩に少女を抱えた。
泰「驍宗様!!・・」
天変後に絹を纏っているはずも無く、泰麟の華奢な裸体が夜風とともにさらされた。
恥ずかしい!こんなっっ
男は華奢な足を片手で広げて見せる。
泰「!!!」
泰麟の思いとは裏腹に驍宗の包は肩の部分が湿っている。
続く
569 :
泰麟×驍宗:2010/12/29(水) 09:45:06 ID:TIF3Idyw
それを感じている驍宗を確認すると泰麟は体を震わせ、同時に包も湿りが増している。
驍「公は私が怖いか?」
口を開いた驍宗は華奢な足からそっと手を離す。
離さないで!!少女のすべやかな白い足が開き男の顔へと向けられた。
驍「私は幸せ者だ。またとない物を見せてもらった。」
驍宗の陽に焼けた腕が白い足を沿う様に這い、太ももの蜜に触れるとさらに大きく広げ正面にある顔をまだ若い茂みに入れる。
泰「・・・っや」
男の柔らかな舌先がクリトリスをまさぐる。
泰「い・・・・・・・っぃ」
暖かな舌先はどんどん固くなり、比例するように泰麟の蜜は溢れてゆく。
少女の目には涙が浮かび空の三日月が重なってぼやけて見える。
その時だった!三日月が急に視点を上へと飛躍し代わりに岩の転がった地面に飛んだ。
続く
570 :
泰麟×驍宗:2010/12/29(水) 10:38:39 ID:TIF3Idyw
気付けば低い地面の岩場の上に膝を立てうつ伏せになっていた。
泰麟の体は驍宗の手によって彼の足元へ追いやられていたのだった。
泰「驍宗様・・?」
驍「ご主人様と!」
泰「?」
と泰麟が思った瞬間、後ろからお尻を両手で捕まれ暑い物が押し付けられる。
少女の視界には岩ばかり。驍宗が見えない。これではあのいやらしい目で犯されない!!
岩を掴んだ小さな手にポロポロと涙が零れ落ちる。構わず驍宗の肉棒が花びらの内側へ押し入ってくる。
泰「らめぇっ・・・・っっ!!」
正面からじゃないと、驍宗様の目がっ!
泰麟の腰が激しく抵抗する。しかし、驍宗の肉棒を少し加えたマンコは引くつき強く吸いついて離さない。肉棒の思うまま、驍宗の力のまま進んでいった。
泰「あぁーーーーっ!!」
驍宗は昇山中に貯めに溜め込んだスペルマを細い少女の子宮にぶちまけた。
泰「ご主人様・・・・」
H氏「何!?」
終
泰 「フィリピンパブまでご無事で。」
驍「公も御受愛なされよ。」
景「・・・・・・・」
足下のハンキョ「くつくつくつ」
終
初エロ投稿緊張したWW
連打すみませんでした
逝ってきます
おおっ〜? スバライ〜♪
> ID:TIF3Idyw
とっても乙&#9829;
GJ!
ああ、ゴメ &#9829;
?
>>574-575 数値文字参照が全角になってるぞ
そもそもこの板、数値文字参照とか
文字実体参照とか表示できたっけ?
♥
♥
あ、できるんだな
上が数値文字参照、下を文字実体参照で書いてみたんだが
♥
>>580 ありがとう。
タイトルだけ見て、多分そうだろうとは思ったけど
読むかやめておくか迷ってたから、分かって良かった。
エロ好きと801好きは別物だからなぁ
でもこういうのも書庫に入っちゃうんだろうか
つか男×男な時点でこのスレの範囲外では
565です
パロだからなんでも有りかと思ってました。スレ違すいません。
過疎だね…
職人さんは冬眠中?
587 :
sage:2011/01/19(水) 00:25:39 ID:42ZxWyqX
書きたいんだけど…妄想が進まない…。
それ以前に原作者生きてるのか?
この前、インタあったじゃんw
で、新作は?
景麒×陽子なんだけど…なんか、ちょっとまだ景麒+陽子なんだが…。
うちの主上、漢らしくて…。どうエロにもつれていかそうかと悩み中。
誘い受けかなぁ…。今回は、序幕
ありゃ…。
「……失礼…」
「なによぉ…」
店の前で客引きしていた娼婦の腕を払い除け、赤い髪の青年は素早い動きで人込みに紛れた。
まいったな…
しっかりと互いを確認するだけ確認して、改めて目を見開いた顔を思い出し、思わず口の端が上がる。
「…なに笑ってんです」
「いや…なんでもない」
寝床を共にした娼婦の腰を軽く引き寄せ、また来ると睦語を交わし娼館を出た。
さて、あの青年はどこに消えたか…。探し人は、探す手間もなく、曲がった角で壁に凭れて待っていた。後を追って来ると見越していたのだろう。青年としては華奢な造りに、似合わぬ佩刀。軽々しくその肩に手をかけた。
「よお」
「…よお…じゃない…よおじゃ…」
顔を片手で隠すようにして、俯いているのは呆れているだけでは無く、バツも悪いからだと勝手に判断する。
「人の国でなにを…って言わなくていいです」
「…お前こそなにをしている」
こんなところで。雰囲気で護衛もつけていないと判断する。
「使令憑きか?」
「憑いてたら、こんな場所来る前にあの馬鹿がすっ飛んで来ます」
馬鹿に心当たりがありすぎて、尚隆は声を上げて笑った。
娼館が固まって建ってる場所から少し歩いただけで、今度は酔客の声が響くようになる。造りとしては、大体どの国も似たり寄ったりなので、尚隆はその様子を眺めながら歩いていた。
「…息抜きか?」
声は聞こえているはずだろうが、返事が無い。見下ろすと、見返されそっぽを向かれる。
「言いたい事でも?」
意地悪く聞かれ、陽子はややうんざりと返した。
「見つけてしまい、申し訳なかったなと。お邪魔したようで。」
しばらく口を噤んで。
「見つけてしまったものの、これから金波宮にお連れしたら、私がどこに出かけていたかばれそうで嫌だなぁって思ってるんです」
暗に、どっかに宿があるんだったらそっちに行けと言われているようで、さらに笑った。
「まあ、そういうな。とはいえ、俺もあと数刻したら発つ。それまで付き合え」
陽子は諦めたように肩を落とした。
「…それで…」
苦虫を潰したような顔で、景麒は六太を見下ろしていた。
「陽子は、按摩屋を探していたらしいぞ。肩凝りや背中が痛くて仕方が無いんだと。最近ようやく湯浴みを1人にしてもらえたぶん、誰かに肩を揉んでくれとも言い出せなかったそうだ」
こめかみ辺りが吊りそうな気がする。
「…そこに、延王が通りかかったと」
「んにゃ、逆。うちの馬鹿がよろしくしてた店の前を陽子が通り掛かって、鉢合わせ。間抜けな話だ」
肩を竦めた六太に間抜けと言われカチンとくるが…しかたがない。だが…と六太が笑った。
「あの馬鹿が発つとき、見送ったらしいんだけど、またどうぞって言ったらしい。なんだそれは、と聞いたら、うちの国でお金を落としてくれる分には構いませんってしれっと言ったらしいぜ」
逞しくなったよなと笑い出す六太に、頭を軽く下げて席を立った。その背中に六太が声を掛ける。
「あっちは、あちこちにマッサージっつう按摩屋がある。陽子が探したのも無理はない」
だからあんまり叱るなよ。そう言われた気がして、景麒はもう一度頭を下げた。
「肩が凝ってらっしゃいますか」
夕餉の後、風呂に向かおうとして呼び止められた。陽子が嫌そうな顔になる。
「知らん」
「ご自分のお体でしょうに」
「分からん」
着替えなどを一式置いて、鈴が出て行く。思わず、これも連れて行ってくれと目線を向けたが、しれっと舌を出された。
「…あのな、景麒。」
「なんでしょう」
「風呂にはいりたいのだが…」
しばし睨み合って。景麒がふいっと視線を逸らした。
「失礼致しました」
「ああ、失礼だ」
売り言葉に買い言葉…なにか言い返そうかとしていた様子だったが、景麒はそのまま身を翻した。
ようやく、静かになった湯殿に深く溜め息を吐く。王宮とは言え、湯は1度別の棟で沸かしてこの風呂場に流し込んでる。薪なども贅沢は言えないと分かっている故、この風呂タイムは陽子にとって貴重な時間なのだ。
「温泉があればいいけど…」
普段は盥の湯で済ます事が多い。こっちではあまり湯に浸かるという風習がないようで、この風呂場があると聞いた時は、嬉しかった。
だが、実際に湯浴みとなると…これがまた大仰で。薄衣はつけてはいらねばならない。身体は洗ってもらわないといけない。必ず誰かついていないといけない。
プライバシーって知ってるかっ?思わず横文字で景麒に食ってかかった事を思い出す。女官に囲まれて暮らすのが当たり前という景麒に1人になりたいときもあるんだと説得するのは時間がかかった。だから尚更…この時間は大切なものだった。
軽く掛け湯をして、足を湯につける。少し、温いか…。しかたがないと首を竦めて湯に入った。湯殿の造りが半分露天になってる。溢れた湯が崖から滝のように落ちる仕組みになっているため、外気温に左右されやすいのだ。そのかわり、眺めは抜群に良かった。
「あー…生き返る…」
お湯の浮力に身を任せ、目を閉じる。なんだかんだでやっぱり疲れてる…。やる事が多すぎて、うんざりする。あっちの世界もそれなりに忙しかったはずなのに、こっちは忙しいうえに責任があるから手が抜けない。
人事の移動も、政令も、果ては隣国の関係も。
「…1度にできるわけないじゃないか…」
焦るな。急がなくていい。だけど、間違えたら国民が何百人って死ぬ…。
ゾクッとした。はっと目を開け、天を見上げる。なんてものを…人に押しつけるんだ…くそったれ…。毒づきたくなる。自分もどうせ箱庭のなかの駒の一つかもしれない。それでも陽子の指の先には慶の国の民が繋がっている。天意なら…そいつらがちゃんとすればいいのに…。
言っても仕方が無い事を口にしそうで。それを口にしなかった分、涙が浮かんだ。
「泣いておられるのか」
いきなり声がかけられて、陽子は飛び上がった。その隣りに大きな水渋きが上がる。
「景麒っ?!」
「なぜ…泣いておられる…」
「ちょっ…っ?!来るなっ、馬鹿っ!」
真っ赤な顔で湯の中を移動する陽子に、景麒が呆気にとられる。
「なんで、薄衣を身に着けて無いのですか」
「そのままお前に返してやるっ!」
背中で叫ばれて、景麒は自分の姿を顧みた。ああ、そうか。
「…肩でも揉んで差し上げようかと思いましたが」
「いきなり現れるなっ!」
動揺している風の陽子が珍しかったが、景麒はその肩が真っ赤になっているのを見て、ちょっとバツの悪そうな顔をして湯に浸かった。
「…申し訳ない」
獣としての性が強いのか、あまり裸身に抵抗がない景麒はとりあえず陽子に背を向ける事で場を繕う。女官達が手取り足取りで世話をしていた期間が長かったから尚更、人の目には疎かった。
「…変化してきたな」
言い当てられ、首を竦める。失礼だと啖呵を切られ、カチンときた。でも、肩でも揉んで差し上げようかと思っていたのも確かで。変化して風呂場に回って見たら、陽子が泣いていたので驚いたのだ。
「女の風呂を覗くのか…うちの麒麟は」
陽子の言葉に再びカチンとくる。
「王の傍らにいたいのが性ですから。女だったら誰でも構わないように言わないで頂きたい」
景麒のもの言いに、陽子が頭を抱えた。
「…勘弁してくれ」
変化して、空に浮いていたのだろう。陽子が涙を流したのを見て、動転して変化を解いてしまい湯船に落ちたのだ。あの水渋きは。
「なにが落ちて来たのかと…」
笑いが込み上げて来る。動転した景麒の顔も見物だったが…自分の動転のしかたも半端ではなかった。
よく、溺れなかったものだ…。
そう思ったら、笑いが止まらなかった。いたたまれなくなったのか、景麒が立ち上がろうとする。その柔らかい金髪を指に掬い引き止めた。
「悪い。使令に薄衣をもってこさせてくれ。」
外に待機していたのであろう使令が、薄衣を陽子に渡す。それを身に纏い、ようやく陽子が景麒の方を向いた。
「…延王から、なんか聞いたな?」
「…延麒から、主上がいかがわしい場所にいたと」
あの御仁は…。
「ですが…最近仕事が立て込み、辛いのも確かだと思いましたし…マッサージとやらは…分りかねますが…」
ただ、肩を揉んでくれと言ってくだされば…揉んだのに…。
なんとなく、景麒に心配をかけたらしいということは、わかった。珍しく…素直だし。陽子は、湯の中を静かに移動した。
「振り向くなよ。障りがあるからな」
するっと景麒の首に後ろから腕を絡める。
「…主…上っ?」
「振り向いたら、怒るぞ」
濡れた薄衣の感触と、後ろから回された柔らかい腕…そして…背中に当たる…柔らかい膨らみ…
まるで景麒の背中を抱くようにして、陽子はその頭に顔を埋めた。
「たまに、お前、かわいい…」
「…たまに…でございますか…」
かわいいと言われて喜ぶような性格ではないが、陽子の口調がからかいを含んではいなかったので、つっかかるのを止める。
「…肩を揉んでくれっていうのは、我が儘じゃないのか?」
そう聞かれ、景麒が首を傾げる。
「なぜです?」
「…甘えないでくださいって言われるかと思ったんだ…」
誰に…とは聞かなかった。仕事を完全に把握しているわけではない。それより、回りに手をかけさす事の方が多い。冗談と半分本気で臣下に肩でも揉もうかと口にしたら、滅相もないと切り返される。
己の為に忙しいのに…己の肩を揉んで欲しいなんて…。せめて、なら金を払って揉んでもらえないかと下に降りたら、延王に見つかる。
「…主上…」
呼ばれ、ん?と顔を向ける。いつもは冷たい表情ばかりの景麒が珍しく、頬を赤くしている。
「…臣下に頼めば、やはり、主上に言われたなら、となると思います」
「…うん」
「それに、やはり恐れ多いと思うと思います」
王の身体に触れるなど…。
「…そうだよなぁ」
稽古している最中でも、一瞬手を抜かれる事がある。無意識なんだろうから文句も言えない。
「…それに…」
「なに」
しばらく景麒は言葉を選んでいたようだが…。諦めたように肩を落とした。
「なに、いったい」
「…泣くほどお辛かったのに、気がつかなかった私には、言う権利がないのではと思って」
これは…謝っているのか…拗ねているのか…。判断に迷い、景麒の耳を軽く引っ張る。
「…おやめください」
「…いや、なんか、お前のそういう態度珍しくて」
どうした?と聞いてみる。
「…私に言って下さればって思ったんです」
「だって、お前も疲れてるだろ」
「ですが、他の誰かが御身に触れる方が嫌です!」
言い切られ、しばし湯殿が無言になる。ザバッと景麒の後ろで立ち上がる音がした。そのまま、離れていく陽子に景麒が振り返る。
「…景王?」
「振り向くな。私がここから出るまで」
命令口調に思わず、顔を元に戻す。…言い方がまずかっただろうかと湯に映る顔がみるみる曇っていく。
「寝所に戻る。言質取ったぞ。身を整えたら飛んで来い。」
扉を閉められる寸前、そう言い捨てられ、景麒は思わず立ち上がった。
回廊を早足で歩きながら、陽子は苦笑いする。あの馬鹿は、本当に。
「私の事が好きで好きで堪らんのだな」
口にして、盛大に吹き出した。涙が目尻に浮かぶ。
いつも澄ました顔か仏頂面か怒っている顔しか見てないぶん、今日の顔は、結構、胸に響いた。可愛い顔をして、可愛い事を言う。まいったなという気持ちが大きい。
「…寝所に二人となれば、いらん噂がたつが…」
予王の件もある。そこらへん後宮の奴等は敏感だろう。だが…肩を竦めた。
「どうにかするさ」
可愛い麒麟の為に。
寝所に入り暫くすると、主上と声がする。来たもののどうしたものかとためらってる様子に口元が緩んだ。
「早く入れ」
恐る恐るといった様子で扉が開いた。
続く
とりあえず、初投下。
お目汚し失礼
おおっ! 投下でありますな
まだ、投下頂ける職人さんがいらっしゃるとは
感激であります。乙であります。GJであります
GJであります!
ありがとうございます。続きいきます。
戯れを…こんな夜がどれだけ続いたのだろう。
始まりは、肩を揉む事から始まって。腕を伸ばして引き寄せたのは陽子だった。軽々と寝台に引き倒され、深い碧の瞳で見つめられる。見つめ合っていると気がついたのは、その碧の瞳に自分の紫の瞳が映っている事に気がついたからだ。
「申し訳ありません」
よく分らないまま、目を逸らした。謝罪が口をついたのは、大体物事が揉めた時、視線を逸らした方が後ろめたいものがあると、身体が覚えているからだ。
「なんで、謝る」
「では、お戯れが過ぎます!」
睨み返して、陽子が笑った。
「戯れでもないんだがな…」
「ならっ、お放し下さいっ」
女だてらに剣を扱う指は柔らかいのに、たまに固い。その指が景麒の首筋をまさぐっていた。どこか一点を指が触れる度、ざわっと身体が震える。
「…気持ち良くないか?」
「くすぐったいだけですっ」
そうか?一瞬驚いた顔をして陽子が手を放した。
「今日はもういい」
なにも無かったように突き放され、寝台から身を引いた景麒が部屋から出て行こうとする。
「…ありがとう景麒」
ずるい…扉を開ける手が止まる。唇を軽く噛み、なにも聞こえない振りをして後ろ手に閉めた。
身構えている間はなにもないのに…。景麒が油断すると、寝台に引きずり込まれている。そんな事が何度か続き、景麒は呆れたように陽子を見た。
「…どこかの誰かに、訓示でも聞きなさったか」
「そういう、皮肉が出るぐらいは余裕が出て来たな」
「…毎度毎度…」
崩れた体勢を身を引くことで整えようとして…景麒の首にするっと腕が絡まった。
「え…」
くんっと力が軽くかけられ、引き寄せられる。
「……」
呼吸も言葉も出せない距離…。そんな距離で唇を寄せられ…景麒は途方にくれそうになった。戯れにしては…景麒には辛いものだったからだ。
「…いやか?」
「お戯れなら…」
その一言を待っていたかのように、陽子の唇が景麒のに重なる。寝台に縫い止められるように…。互いにぎこちない口付けは、一方的に陽子から始まり、陽子が終わらした。
「…下手くそ…」
「…そちらこそ」
景麒が口から銀の糸の様に引いた唾液を手で拭う。陽子を組み敷いた格好のままで在らぬ方向を向いて、顔をしかめている。
「戯れは嫌なんだろう」
景麒の下で陽子が勝ち誇ったように笑う。
「安心しろ。わたしも戯れでこういう事ができる質じゃない」
開き直りとも言える宣言に、なんと言ったものか…本気で惑う。
「嫌なら、離れろ。そして、ここに来るのを止めろ」
「お待ち下さいっ!」
景麒の悲鳴のような制止に陽子が口を噤む。
「…わたしの気持ちは…」
「お前の気持ちは、」
繰り返されるように呟かれ…。陽子の指が景麒の耳に触れる。ゆっくりと耳に触れる陽子の指先…景麒は深く息を吐いた。
「せめて…こういう事は、わたしからさせて頂きたい」
「許す」
あっさりと言われ、何かが違うと思うが…。とりあえず、ぎこちなく身を屈めた。
唇を軽く合わせ、上唇を啄むと、陽子が景麒の下唇を軽く噛む。しばらくそんな軽い口付けを交わして…。陽子が小さくでも、己の熱を吐き出すような溜め息を吐いた時、景麒の唇が深く重なった。
「…っ…ん」
陽子の身体が、景麒の下で捩られる。それを身体で押さえ込み、陽子の赤い髪をゆっくりと指先で弄ぶ。
口付けの仕方など知らない…。だけど、本能のように勝手に舌が陽子の口の中を蹂躙する。
「…ふっ…ぅん…」
陽子が小さく声を立てて…目線が合った。
「…まだまだですね」
「言ってくれる…」
景麒の身体の下から陽子が身体を起こす。少しバツが悪そうに邪魔になった髪を掻き揚げた。
「…今日は、ここまで…で、構わないか?」
そう言われ、景麒も寝台を下りる。
「…面目ない」
「いや、そうじゃない」
陽子が手を上げて、景麒を押し止どめる。
「…知らないんだ。この先を。」
景麒から精一杯顔を背ける。真っ赤な嘘だからだ。それぐらい、知っている。
「しかも、わたしは多分だが…その、致した事が無いので…お前が大変だと思う」
景麒が一瞬意味が分らないというように首を傾げた。
「…理解して、心の準備が整ってから来い」
それまでは、ここまでだと言われ、景麒は首を傾げながら寝室を後にした。
「どうだ?」
鈴が首を振る。未だに景麒は独りで考えているらしい。
「あの堅物じゃあ、どうしようもないわよ」
ばっさりと言い切り、祥瓊がお茶を啜った。鈴が苦笑いしながら、茶菓子を摘む。
「でも、こればっかりは頑張ってもらわないと」
「大体、陽子が後生大事に取っておくから…」
「好きな人にあげたいわよ、ねー」
身を乗り出した鈴に苦笑いをする。血のけがれが負担になるなら、なんとかしてやりたいとも思うが…なんとかしてしまったらしまったで、あの麒麟は悲しい顔をするのだろう。
陽子を責める事はないだろうが、泣きそうな顔は苦手だった。
「でも、ここをどうにかしないと…」
鈴が呻く。
「…なんて言うのよ。初めての女の子は、血が出て大変で、しかもあんたが麒麟だからその血で気分悪くなるのが確実だから、どうにかしてこいって?」
「げっひーんっ!」
「一言で言えば、そんなもんよ」
祥瓊はしれっと鈴の茶菓子を横取りしようとし、その手を陽子が軽くはたく。
「なによぉ」
「鈴が泣く」
「陽子、優しい」
盛り上がっていた時、失礼しますと言われ、扉が開いた。
「玉葉どうした」
「…宰輔がお出かけになりました」
「珍しい。わたしに黙ってか」
玉葉が頷く。冢宰に言付けていたのを聞いてしまったのだ。陽子の顔に緊張が走る。麒麟単独でなんの用があるとも聞いてはいない。さっと茶器を片付け出した鈴と陽子の衣を整える祥瓊。陽子が水禺刀を手に取りながら玉葉に聞く。
「で、どこにでかけるって」
「雁に向かうと…」
派手な音を立てたのは鈴だった。陽子は思わず水禺刀を落としかけ、慌てて掴み直す。
「ちょっと、鈴っ」
「ごめんなさいっ」
叱責に素早く鈴が謝って…。陽子を伺う。
「ま、手っ取り早かったわね」
いろんな意味で…そう言外に含ませて祥瓊が陽子を見た。玉葉が心配そうに陽子を見る。
「なにか…あったのでしょうか…」
「いや、気にしないでくれ…」
自分で言えば良かった…そう深く後悔しても、帰って来るわけでもなく…陽子は深々と溜め息をついた。
続く
Waku
次、素直に初夜いけるか…仕事の関係上、寝ます。
陽子視点がいいか、景麒視点がいいか…
寝ながら考えます。エロ成分少なくてすいません。
おやすみなさい
お昼休みは…エロ一色…なわけがなく。
景麒と陽子です。無事初夜向かえましたが…
誰の入れ知恵で陽子がひどい目にあったのかは、書いた自分でもよく分っていません。
景麒の本性か?だとしたら、さすが獣と言わざるをえない…
お楽しみ頂けたら、嬉しいです。
長いです。10落とします。
「お前、雁に行ってたんだって?」
一瞬、崩れかけた表情をどうにか持ち堪えさせた。朝議の最中だったことも、幸いした。
「私語は…」
「わかってる。」
手元に回って来た税収の試算に、深く息を吐きながら前傾姿勢を取る。冢宰が横から確認するように紙面を指す。それに頷きながら、陽子はなにか手元の紙に書き付けた。難しい言葉があったのだろう。一つ一つ言葉を飲み込むような姿勢に、隣りで立っていて心から嬉しくなる。
単純だと思うが、主上が国の為に政をしていて自分がその側にいれる。そんな事が心からの幸福感になるのだ。麒麟の性だから。言い切ってしまえば簡単だが…なかなか得られる感覚でもないとわかっているだけ…有り難いと思う気持ちが強い。
冢宰と話がついたのか、景麒の前に陽子が書いた紙が回って来て、今度は自分がその言葉の意味を説明する。陽子が指で唇を撫でるのは深く考えている時の仕草で…。
「…麒、景麒!」
短く呼ばれ、はっとした。陽子の唇に見とれていたのに気付かれたか…。顔を上げると冢宰が一瞬視線を合わして何事も無かったように机に新しい書面を並べた。
今日はこのくらいで…しばらくして、冢宰が場を畳む。分ったと頷いて陽子は書き留めた紙をもって席を立って朝議の間を後にした。
「なかなかしぶとい計算をしてくる…」
電卓があれば楽なのに…そう呟かれても、電卓が分らないため返事が出来ない。無言で陽子の赤い髪を見ながら後ろに追従していると陽子の足が止まった。
「延王と延麒はお元気だったか?」
「…はい」
そうか、それなら構わんと再び歩き出す。その背中に声をかけた。
「今夜…よろしいでしょうか」
片手に束ねられた紙を肩越しに振られる。
「これを片付けたらな」
景麒は一度深く頭を下げて、自室に戻った。
「それで…」
鈴がワクワクした顔をして陽子を覗き込んでる。苦笑いをしてその額を指でつついた。
「あんたの方が下品じゃない」
祥瓊がからかうと突っ突かれた額を押さえながら、だってと鈴が呟く。
「ま、とにもかくにも…陽子は今夜は湯殿行きね。…寝間着はこの絹にして…」
「どうせ、汚れる物だろう?良い物じゃなく…」
くわっと目を剥かれ祥瓊が怒鳴る。
「あんた!一国の主が!こういう時に手を抜くなんて事口にしないでっ!」
剣幕に慄く。ぶちぶちと本当は香油の風呂にでもぶち込みたいのにと言われ陽子は小さくなった。
「…でも、陽子がいうように、理解して心の準備をしてきたにしても…体質みたいなもんでしょ?血見た瞬間に昏倒とかしない?」
鈴の言葉に苦笑いするしかない。雁で何を聞かされてきたかは知らないが…そういう可能性も引っ括めて、今夜のお伺いになったのだろう。
「構わないよ。なんかあったらわたしが介抱するさ」
「あんた、元凶になるつもりあるの?ちゃんと」
釘を刺され、そうでしたと首を竦めた。
主上の部屋の回りに甘い香りが漂っていた。
「主上…」
小さく声をかけると、部屋の中から入れと返事があった。扉を開けようとして、一瞬ためらったが…ゆっくりと扉を押し開けた。
「…これは」
大きく香った空気に一瞬目眩がしそうになる。部屋の中央の机の下に隠すように置いてあった香炉を陽子が摘み上げた。
「風呂から上がったら、既にこんな状態だった。これ、外に出してくれ」
香炉を受け取り、外に出す。扉を閉めると、陽子は寝室の窓を開けようと背伸びをしている最中だった。手を伸ばし、陽子の背中越しに窓を開け放つ。
ようやく新鮮な空気を胸に吸い込み、陽子は大きく溜め息を吐いた。祥瓊め…香油の替わりにこう来たか…。
「ありがとう。背が高いといいな、こういう時」
振り返ろうとして、肩を抱きすくめられた。おっと…。身体のバランスを崩しかけ、景麒の胸に身体を預けた形になる。
「…どうした…景麒」
甘い雰囲気は一切なく、ただひたすらに抱きすくめられてる様子にさすがに困惑する。…今夜のお伺いが、実はただのお伺いだったら…笑えない事態を考えてしまい、頭を抱えそうになる。すると、なにか景麒が耳元で呟いた。
「なんと…小さい…」
呟きは、祈るようで…。陽子はゆっくりと振り返った。
「景麒?」
まさかと思ったが…ギョッとなる。静かに景麒が涙を流していた。
「…なぜ泣く…」
手っ取り早く、今夜の為に着せられた絹の袖で涙を拭う。片手で涙を拭いながら、ゆっくりと頭を撫でる。
「…なにか、あったのか?」
優しい陽子の言葉に首を横に振る。
「…なにもございません…」
「ならなんで泣いてる」
さすがに言わないと許されない口調で問い詰められ…。景麒は陽子の顎に指をかけ、静かに口付けた。
「……」
重なるだけの口付けに陽子が軽く睨み付ける。
「…おい」
「主上には、わからないかと…」
再び、重なる。
「…なにがだ…」
啄むような口付けを繰り返されながらも、陽子が聞く。
「…麒麟としての…最上の幸せの事です」
…主上のおそばにいられること…簡単だが難しい事…天意のなかの生き物として…唯一で絶対な存在で…天意を失うと命さえ奪える自分の主…。
「…お前は…」
ややこしい事を。
嫌そうな顔をした陽子の耳に囁いた。
「お許しください…」
「なにを…んっ…」
わたしは…その絶対な主に…わたしの印を刻む…。微かに陽子の唇が震えていた。薄目で見下ろすと、どうしたらいいのかわからないといった表情で口付けを受けている陽子がいる。
「力を…」
「…っ…」
抜いてくださいと唇で伝えると、1度強く胸を押された。
「…主上?」
「さっぱりだっ!」
噛み付く勢いで言われ、景麒が首を傾げる。
「急に泣き出したかと思えば、わたしには泣いた理由はわからないって!そして、許せって…いったいなんなんだっ!」
陽子の目尻に涙が溢れる。
「勝手に雁に行ってなにを吹き込まれて来た?なんでわからないことがあったら、わたしに聞かない?なんでわたしにはお前の考えている事が分らないって決め付けるっ?!」
「主上…」
「ちゃんと口にしろ。自分の中で完結するなっ!わたしはお前が…お前しかいないんだぞっ」
なにかが目の前で大きく弾けた。陽子の腕が景麒を掻き抱く。景麒も陽子の身体をきつく…きつく抱き締めた。2人で縺れ合うように口付けを交わしながら、寝台に倒れ込む。
「…景麒…景麒…」
うわ言のように名前を呼ばれ、口付けを繰り返す。
「許してください…わたしはあなたに…自分を刻もうとしてるのです…」
ようやく口にできた言葉に…陽子は笑った。
「わたしがそれを望んでいる…だから…許す」
わたしの身体にお前のものだという印を刻め…。
景麒は一度、立ち上がると部屋の四隅で灯っていた灯を消した。先程開け放した窓から差し込む月明りだけが部屋を青く包む。
寝台の前まで戻ると…景麒は、自分の着ていた服を足下に落とした。月明りの中…燐光の様に光る身体…美しいと思った。
その身体が、寝台に上がる。指が自分の方に伸ばされ思わず身を竦ませる。頓着しないように、指先が帯の結び目を解く。
「…あ…」
優れた品質の絹はまるで待っていたかの様に肩からさらりと落ち、寝台の一部に変わった。
景麒の指が陽子の肩に触れる。小さく震えた身体を押しとどめるように、柔らかく抱き締めた。
「主上…」
裸で抱き合うという事に完全に陽子が動揺する。なにか言葉を発しようとして…口を閉じる。そんな事が何回か続いた。そんな顔を見下ろしながら、景麒の指がゆっくりと陽子の背を撫でる。
「…緊張しておいでか…」
「…すまない…」
「…愛しい…」
額に唇を当てられ…陽子の項を指でくすぐるように…
「んっ…んっ…」
陽子の身体がみじろいだ。軽く眉を寄せ、指から逃げるように首を振る。
「…どうしました?」
「…いや…なんか、ざわってする…」
景麒が小さく笑った。
「わたしもそこを指で触られると…ざわっとしました…」
「…くすぐったいだけって言ったくせに…」
恨めしそうに見上げられて…申し訳ないと呟きながら、口づけた。甘い…。景麒の唇が陽子の舌を軽く啄む。舌先を絡められ、陽子はまるで自分じゃないような甘い声を上げた。
上げた事にも気がつかず…景麒の下唇に自分の指を当てていた。舌を絡ませながら、無意識に景麒の唇に指を走らせている…。
「っ…」
上がった呼吸を整えようとどちらからともなく唇が離れても…陽子は景麒の濡れた唇を無心に触れていた。
「…主上…」
その手を軽く握り締めて…指先に唇を当てる。指先を唇で挟み、舌先で触れる。
「…や…だ…」
「…だめです」
手首から、ゆっくりと柔らかい箇所に唇を落としては、軽く吸い上げる。そして…胸の膨らみに指を添えた。
「…んっ…ん…」
陽子の身体に力が入る。景麒は、胸に手を当てたまま、身を起こして陽子に顔を近付けた。
「主上…」
呼ばれ、陽子の腕が景麒の首に回される。
「…どうにか…なりそう…」
緊張と…柔らかい快感に…。
碧の瞳が困惑したように揺れて、閉じられた。
「…ゆだねていただけますか?」
「…頑張ってみる…」
陽子は一度大きく息を吐くと…腕を景麒の首に絡めたまま、寝台に身体を伸ばした。それを見て、景麒が静かに笑う。
愛しくて…堪らない。薄暗かった寝台の中にも目が馴れた。赤い髪が白い敷布に美しい。首に回されていた腕を外させ、景麒は改めて陽子を見下ろした。
景麒から軽く顔を逸らし、目を閉じていてもその頬は赤く…唇は薄く開いている。細い首から形のよい胸の膨らみ。その頂上で外気に触れているからかツンとたっている蕾。
女性というには柔らかさがかけているが…しなやかでひき締まった腰。そして…太股を交差することで視線から逃れようとしている…下腹部…。そこから伸びた美しい脚。
「…お美しい…」
「…馬鹿…」
思わず感嘆の声が上がった。あんまり…見るなと陽子が顔を腕で覆う。恥ずかしくて…なんか、もう動けない。完全に力が抜けた陽子の身体に景麒は身を屈めた。
陽子の脚の間に軽く手を添えその間に自分の脚を絡ませる。
「…ん…」
目を閉じたままでも、太股に当たった感覚に陽子は一瞬、眉根を深くした。
熱い…。
景麒の手が胸に添えられ、そこで存在を震わしてる蕾に唇を寄せる。
「…んっ…」
唇で柔らかく挟み、軽く歯を立て形を変える。思わず、景麒の頭を押さえ込もうとした陽子の手が力が抜けたように縋るものにかわる。
「…やっ…」
歯を立てた事を謝るように舌先で宥め…軽く吸う。初めての感覚に陽子の腰が浮いた。
「ゃ…あ…」
その腰を片手で抱き、もう片方に唇を移す。今度はなにをされるか分ったのか…陽子がゆっくりと目を開けた。
「…噛むのはいやだ…痛い…」
「御意…」
唇と舌先だけで…口中で翻弄する。陽子の顎がカクンとのけ反り甘い悲鳴を上げる。
景麒の脚に無意識に陽子は身体を擦り付けていた。
景麒の指が迷いなく陽子の下腹部に触れる。
「あっ…」
指先で軽く掻き分けられ…陽子は身を固くした。
「…これは…」
「…口にするなよ…」
指先に纏う愛液…。しっとりというより既になにか零したような状態に…陽子が真っ赤になる。
「…変…なのか?」
「わたしは嬉しくてしかたありませんが」
自分の拙い性技に感じてくれていた事が嬉しい。
「…お前にされてるから…どうしようもない」
諦めた様に笑い、陽子は先程から太股に当てられていたモノに手を触れた。景麒の身体が固まる。陽子の手の平が一瞬火に触れたように離れたが…改めて、指先で触れた。
「…なんか…熱い…」
「だめです…主上…」
景麒が苦しそうに顔をしかめる。
「…辛いのか?」
「…そうではなく…」
景麒の指が、陽子の秘裂の分け目を探った。「んっ…」
「…ここで…」
印を刻みたいから…。陽子の指がそっと離れた。
「…すまない…」
謝るのも変かと思ったが…景麒も苦笑いをして、陽子の喉元に唇を当てた。
「…大丈夫なのか…」
「…あまり、心配めさるな…」
気を使い…逆に気を使われ…陽子は、1度深く息を吐いた。
「景麒…もう一度…口付けを…」
言い終わる前に、唇を重ねられていた。初めて交わした時とは全く違うモノに変わってしまった口付け…。景麒の舌は絡めていたかと思うと、唇の裏をくすりあげる。呼吸が出来ない。甘い…溶ける…。
「…はうっ…」
景麒の指が、秘壺に差し込まれた。
力が入る身体を景麒が口付けで気を逸らそうとする。陽子が景麒の首にすがりついて、指の感覚から逃げようとする。
「…痛みは…」
「ない…」
指が浅いところで掻き回され…奥に向う。掻き回され…溢れる。陽子は大きく首を振った。
「痛いですか…」
「聞くなっ…馬鹿っ」
あぁぁん…怒鳴ったあと、甘い嬌声が上がった。景麒の背中に陽子の爪が立つ。
軽く震える陽子の身体に、景麒はゆっくりと指を2本添え押し開く。震えた後、力が抜けたのか抵抗なく咥え込まれるが…陽子が小さく呻く。
「…きつ…い」
「大丈夫です…柔らかい」
「…熱い…」
「わたしもです…」
口付けを繰り返しながら…指で馴らしていく。やはり、ある一定以上のところでこれ以上という固さがある…時間をかけるべきか…だが…さすがに景麒も辛かった。
「景麒…来い…」
陽子が呟いた。
「ですが…」
「…お前が、欲しくて…堪らないんだ」
おまえの印が欲しい…。
景麒は陽子の身体を押し拡げた。自分のに手を添え、ゆっくりと押し進める。熱く柔らかいのに…きつく噛み込まれるような感覚に、景麒は歯を食いしばった。
「…んっ…うっ…」
陽子が景麒の下でなにかを堪えるように強く目を閉じる。
「…主上…」
景麒が荒い息を吐きながら、気遣うと陽子が薄く笑う。
「熱くて…どうにかなりそう…」
「わたしもです」
頬に手をかけ、口付ける。さすがに…奥まではほぐしきれてなかったか…。急に狭くなった肉壁に陽子が小さく悲鳴を上げた。
「あっ…」
目を見開いて、気遣わしそうに景麒を見る。その表情を見て…わかった。
「…力を抜いてください…」
印を刻むところだと。陽子が小さく頷き、景麒の背中に腕を回す。しばらく考えて…景麒は陽子の耳に呟いた。
「…とても…辛いと聞きました…。わたしの為に…辛抱下さい」
耳に囁かれた言葉に驚き…陽子が小さく笑って…涙を零した。
そうか…普通は…わたしが気遣われるのか…。相手が麒麟だと、なんだかこちらが気遣わなくてはいけないような気持ちになっていたことが、なんとなくおかしい。そして、この目の前の麒麟は…1人の男として…陽子を気遣う。…なんて…愛しい…。
「お前のものに…」
陽子は目を閉じた。その目に唇を落とし…景麒は両腕を陽子の腰に絡めた。
引き裂かれる。
ただそう感じた。
「ーーっ…」
「っ…ふっ…」
上がった悲鳴は、声にはならず、荒い息を吐く景麒が1度身を引いて、景麒にしては容赦なく突き上げ…
「…しゅ…じょう」
きつく抱き締められた。景麒の腰が大きく震える。
「やっ…あぁ…」
身の内に吐き出された精の熱さに、陽子が戸惑う。や…これは…こんなのは…知らない…。知らないのに身体はかってに上り詰める。
「やっ…あっ…あうっんっ…」
景麒の身体にしがみついて…怖いと思った。この先は知らない…。
「景麒っ……おち…るっ」
景麒の腕が強く抱き締め…我慢できないように陽子の首筋に歯を立てた。
気がついた時、陽子の身体を清拭していたのは景麒の女怪だった。
「…なにが…あった…」
霞みがかかったような頭でなにも考えれずに尋ねる。
「景麒は…倒れたのか?」
女怪が首を横に振った。寝台の脇に置いてあった新しい絹の寝間着を陽子に着せる。
「台輔は、沐浴に行かれました。」
「…わたしは…」
女怪がしばらく陽子の顔を覗き込み…首を傾げた。
「意識をなくされました」
パタパタと走る音がする。すっと女怪が消えた。
「…陽子、大丈夫?」
扉を開けたのは祥瓊だった。部屋に忍び込んで部屋に漂う香りに顔をしかめる。
「…この香…どうして」
「祥瓊じゃないのか」
驚いた声を出そうとして、掠れた声しか出ず咳き込む。慌てて祥瓊が水差しから水を注ぎ寝台に持って来る。
「ありが…と」
「いいから…」
寝台の上に纏まって置かれていた寝間着を祥瓊が手に取る。染みた印に祥瓊がやや痛ましげに陽子を見た。
「…辛い?」
「いや…」
「女同士で嘘吐かなくていいわよ…」
「…ちょっと、痛い」
「…我慢するしかないの…」
「そうだな…」
ふう…と息を吐き、身体を動かそうとして眉をしかめる。
「…どうしたの」
「いや…腰が…」
痛いとごまかしたつもりでも、祥瓊には見透かされたようだった。
「もう一度、身体拭く?」
衝立を準備しようとして、部屋の扉が開いたのに気がついた。
入って来た人物に祥瓊が袖を合わせ頭を下げる。白の質の良い絹の寝間着を身に着けたまま、祥瓊に目もくれず景麒は寝台に寄った。
「目が覚められたと」
「近寄るな…障りがある」
構わぬよう景麒が陽子の身体に腕を回した。
「沐浴にお連れする」
祥瓊が心得ましたと頷き、部屋から出た。
「…お前は…大丈夫だったのか」
抱き上げられ、陽子が不審そうな顔をする。
「こちらの台詞ですが…」
ちらっと視線を落とされ、陽子は俯いた。
「…気をなくされるとは思わなかった」
「…すまん…」
「いえ…」
一瞬、景麒の視線が彷徨って。
「…性急だったかと」
申し訳ないと呟かれ、双方口を閉じる。気まずい…。沐浴場について陽子は息を吐いた。
「下ろせ…」
「お断りを」
そのまま、水の中を進み…景麒は膝を屈めて陽子の身体を水につけた。
「…なにをする」
「…足に力がはいりますまい…」
言われて自分の足に力をいれ立とうとして膝から力が抜けた。
「本当だ…」
少し驚いた顔をして景麒を見上げる。景麒が少しバツの悪そうな顔になった。
「失礼…」
「なにをするっ?!」
水に浮かぶ寝間着の間から指を入れられ陽子は悲鳴を上げた。
「…しばし、我慢を…」
「待てっ!待てっ…いやっ…」
引き剥がそうとしていた景麒の身体にすがりつく。景麒の指が秘裂を探り、まだ熱を持つ蜜壺に差し込まれる。
「やあっ…」
「しばし…」
目尻に浮かんだ涙を口付けで散らしながら、景麒は素早くそこにとどまっていた自分の残滓と陽子の破瓜の血を掻き出した。
「いやだぁっ…」
身体を清める冷たい水に陽子が小さい子供のようにしゃくり上げる。
何度か繰り返され…ようやく景麒は身体の力を抜いた。景麒の首にすがりついたまま泣きじゃくる陽子をあやすように抱き締める。
「終わりましたよ…」
「くそっ…馬鹿麒麟っ」
陽子の口から止まらなくなった罵詈雑言に、苦笑いしながら水場を出る。入口で控えていた祥瓊が陽子の身体に布をかけた。濡れた身体のまま、再び景麒が陽子の寝所に向う。
肩で扉を開き、なかに入る。寝台の前で陽子を纏っていた濡れた寝間着を剥ぎ、景麒は自分も脱いだ。
「…なにをしてるんだ」
裸のまま、景麒が陽子の手を取り寝台に上げ2人で布団に横になる。景麒が掛け布団を引っ張り上げ、ふうっと溜め息を吐いた。
「少し眠れるといいですが…」
「…なにがいったい、どうなっているんだ」
「…わたしが一緒に寝たかっただけです。主上は障りがあるのを気にされてましたし」
「だからって…」
あれはないだろう…思わず口ごもる。景麒が陽子を自分の方に引き寄せた。赤い髪に口づけて額に口付ける。
「お慕いしております」
陽子の手が恐る恐る景麒の背に回る。抱き締めて…身体の力を抜いた。
「許す」
景麒の胸に顔を埋め、陽子はようやく大きな溜め息を吐いた。景麒の腕が陽子の身体に回される。抱き締められる感覚が心地よい。
「…なんか…疲れた」
初めて弱音が漏れた。
「明日、起きれますか?」
「…自信がない…」
小さな声にわたしもですと返して。景麒が赤い髪に口付ける。
「冢宰に2人で叱られましょう」
叱られてすむことなら、一日ぐらいこうしていたい…。
「…不良の麒麟だ」
「主上の麒麟ですから」
返されて笑う。笑ったら欠伸が出た。
「…眠い…」
陽子が頭を景麒の胸に擦り付ける。
景麒が優しくその頭を撫でる。
「景麒…」
顔を上げて…口付けをねだられて…。与えたら、満ち足りた顔をして…陽子は意識を手放した。
「まあ、自国の麒麟と主上が仲が宜しい事は喜ばしい事で」
祥瓊に茶を淹れてもらいながら冢宰が笑った。渋い顔をしたのは祥瓊だ。
「だからってあれはひどいわ…」
さすがに自分の想像の範囲を越えた。傷に染みなかったと心配したのだ。驚いて泣いているのか痛くて泣いているのか…陽子もわかってはいなかったろう。
「まあ…わたしに使令を寄越したのは大したものだけど…」
「昏倒しかけたから、使令が行ったとも…」
からかい口調に、二人で笑う。
「朝議は?」
「昨日あらかた目処はつけました」
「なんでですか?」
「…昨日の朝議の間中、台輔の目が主上に釘付けでしたから」
「そんなに、分りやすく…」
「本当に、分りやすく…」
2人で笑う。そういえばと、祥瓊が香炉を冢宰に差し出した。
「これ…陽…主上の寝所にあったみたいなんですが…」
「これは…また…」
香りを確かめて、冢宰も驚いた顔をする。
「…あのお方達だと思う?」
「…いれ知恵はされたかと…」
慶の国では手に入らない香木。小指の先だけで金何枚の価値がある。こんなのは…慶国が持てる贅沢の範疇を越える。
以前宮廷暮らしをしたことがあるから、価値の分る香り。
「まいっちゃうな…」
陽子の初めての事…出来る限りの事をしてやりたかった…身体を磨き上げて…飾り立てて…香りの薫き込んだ着物と寝具…。
忘れられないようにしてあげたくて…素敵に演出してあげたくて…。力不足だった。しかたがないことだけど…。
「慰めて欲しいですか?」
冢宰に言われ、舌を出す。冢宰が苦笑いする。
「あなたが結局は一番…純情で乙女なんですよ」
乙女と言われ、目を丸くする。次第に赤くなる顔に慌てて後ろを向いた。
「では、失礼します」
何事もなかったように部屋から出て行く気配がする。祥瓊は、胸に抱いていた香炉を見下ろした。甘い香り…
「珍しい…冢宰、これに当てられたんだわ」
笑いが込み上げる。香りの成分に催淫作用がある。知っていたから、冢宰は早々と席を立ったのだろう。お茶はまだ半分残ったままだ。
香炉の蓋を開けると、なんかの拍子で欠けたのか、まだ燃えてない部分があった。
「太っ腹よね…」
金何枚か…丁寧に摘み上げ…懐紙にそっと挟んだ。
おわる
終わったぁっ!
ひでぇっ景麒っ、と叫びそうになります。一緒にお布団で寝たいがために、障りをあーゆー手段で消されたら…
泣きますから。
結局は、陽子は初めては痛い、血が出るという認識しかないので翻弄されました。
可哀相に。
おつきあいありがとうございました。
gj!
景麒が血の障り平気だったのは何故なんだぜ?愛?
意識を無くした陽子を介抱できるほどには、耐えられなかったんでしょう(笑)
どうにも出来ずに、自分は沐浴で気を取り直して。その間に女怪と祥瓊にどうにかしてもらう…つもりが、やっぱり、障りをどうにかしないと一緒にいれないと。
洗い流したらどうだろう…
お馬鹿な麒麟で、陽子がエラい目にあいました。
想像では、陽子より一日遅れで朝議に出席する予定。「大丈夫かと」気遣われて、いやな顔をする景麒が浮かびます。
浩かんの「かん」が変換できません。似た漢字で代用していいでしょうか。あと、桓たいの「たい」も。
浩瀚見つけました。
桓たいの「たい」は…探し切らんです。
また、なにか書いたら投下します。
>>623 乙でした
漢字は十二国記辞書を入れる他、
ヤフー辞書とかのネット辞書もお勧め
浩瀚とか夕暉なんかは既存の熟語なので
読みで検索すればちゃんと出てくるよ
>ID:TbFDrhjF
いやぁ〜きましたねぇ〜 乙であります。感謝であります
久々に来たら良作投下されてた!GJ!
お昼休みは…
景麒はなんで血の障りがなかったんだろうと自分ながらに考えて。
蓬山の主の玉葉に登場願いました。
六太君は、長く生きている分、いろんな思いがあるだろうなと。
景麒×陽子です。甘いので苦手な方は回避を。
エロ、ちょいあります。7落とします。
「延王、お待ちを」
回廊向こうから祥瓊を伴なって駆け寄ってくる赤い髪を尚隆は何事だというように眺めていた。
「…こ…れ」
陽子が胸元から折り畳まれた懐紙を取り出す。
「菓子か?」
「違います!」
大切なものを包み込んでいるような手つきに、尚隆が覗き込む。
「…大変、貴重なものだと聞きました」
懐紙の上の木の一片。尚隆はしばらくそれを見て…顔を上げた。
「…俺にくれても、しかたがないぞ?」
「いったいなんなんだっ?!」
陽子が声を荒げる。浩瀚と祥瓊が首を傾げた。
「あのような貴重なものを下さるのは、と思ったんですが…」
「だって、雁に行った後だったし」
「その雁の王が、うちのじゃない。だぞ?」
陽子が頭を抱える。いらん恥をかいた…。八つ当たり気味だと判断したので祥瓊がお茶を煎れ始める。
「ですが…やはり、楽観できないですね…」
「冢宰?」
浩瀚の言葉に祥瓊が首を傾げた。
「主上の寝室に出入出来るなど。そういませんからね」
消去法で消して行っても…やはり首を振る。
「主上じゃなければ、台輔しか…」
「あれが、そういう頭があるように見えん」
なら…こういうことをやりかねないのは…。
「陽子っ!俺にもお茶をくれ」
元気よく飛び込んで来た金髪に思わず鋭い一瞥をくれてしまい、六太はのけ反った。
「…なに…」
「よい所で」
浩瀚が椅子を薦める。祥瓊が懐紙を出して六太の前に置いた。
「ちっちゃくなったな…」
やっぱり…。
陽子は複雑な顔をして六太を見た。
「尚隆のじゃない。だから、雁の国庫には関係ない。」
「貴重なものだと」
「それは、確かに」
頷いて。祥瓊をみる。
「気がついたの孫昭だろ?」
祥瓊が頷く。
「これは、孫昭が知ってる香木より、格が上だ」
ぎょっと陽子がのけ反る。いったい幾らだ?
「麒麟御用達だからな」
そこにいた六太以外の全員が目を剥いた。
あまり人に聞かせたくないと言われ、陽子は六太と回廊を歩きだした。雲海を渡る風が、六太の金髪をなびかせる。景麒より濃い金髪は風を受けて美しかった。
「人間に、男と女がいる。好きあってそういう関係になる。一部例外は除くぞ?」
そういわれ、笑いながら頷く。例外は六太の主だろう。
「麒麟にも、男と女がいる。男が麒で女が麟だ。」
そこで…しばらく六太は考えた。
「俺達麒麟は、王気で王を探す。だから、実際探し当てるまで、王が女なのか男なのかも分らない」
陽子は黙って六太の言葉を聞いていた。
「麒麟は、…まあ、性と言ってしまったらしかたがないんだけど…結局は、王の側にいたくて堪らないんだ…悔しいけどな」
だけど…と六太は少し遠い目をした。
「…王と麒麟が…互いに惹かれあってしまうのも…しかたがないと、俺は思う」
…王になった時、不安定な気持ちを後ろ盾してくれる麒麟…。その麒麟はひたすら王を慕い、おそばにと願う。
「結構、多いと思う」
陽子は黙って俯いていた。自分は…どうだ…自問しようとして、六太が笑った。
「陽子は違う。麒麟がなんたるかも知らないで王になった。陽子は景麒がいなくても、王であろうとした。陽子は、…多分、自分で決めたんだ」
景麒を…受け入れる事を。
「…だが…景麒は。…景麒は予王に麒麟としても…へんな感じだが、1人の男としても…なにも感じなかったようだった。
薄情だろうかと聞かれた。優しくして差し上げたら…予王は天意を取り戻すかと。ボロボロなのに、王の事ばかり考えていた。でも…そこまでしても…」
一旦、六太は言葉を切った。
「景麒は予王に応えられなかった。嘘でもできなかったんだ」
なんで…と聞きかけて…納得する。
「景麒だからさ」
あの清廉潔白な麒麟は嘘を嫌う。甘えを嫌う。
「その景麒が迷った。…陽子と接しているうち…自分じゃどうしていいか分らない感情を抱いてしまった。これは、罪になるかと聞かれた。」
「罪…」
「罪じゃない。そう答えた。麒麟が王に恋心を抱いて何が悪い、そう言った。」
六太は、陽子を振り返った。
「だけど、俺はやめておけって言った」
まっすぐに見つめられ、視線が逸せない。先に逸したのは六太だった。
「…先に、予防線を張ったんだ。もし、陽子がお前以外の奴を好きになったらどうする。どっちにしても、陽子は王でお前麒麟だ。天意を失うまで共に歩むしかないなら…深入りするなって」
そんな…陽子が呟く。
「悪い。だが、その時は俺の本意だった。甘いと言われてもしかたがないが…俺は景麒がかわいくてしかたがないんだよ」
泣きそうな顔をして六太が笑った。
「…景麒は…」
「置いていかれた犬のようだった。俯いて…俯いて…立ち上がるまで時間がかかった。だから、その背中に声をかけた。」
「覚悟が決まったら玉葉に会いに行けと」
蓬山の主…玉葉…。思わぬ名前を聞いて驚く。
「なんで…蓬山に…」
「…やはり、心配なんだよ。天意には反しないか。天綱には触れないか…。確認しないと…俺達は動けない」
国があるから…。
「この間、覚悟を決めたらしい景麒が雁に来た。だから一緒に蓬山に向った。そして…これをもらった」
香木…。
「麒麟は血に弱い。でも…ひとつになりたいと言う気持ちは…人間と変わらないと思って欲しい。玉葉がくれるこの香木は、ほんの少しだけど…血に対する麒麟の弱さを助けてくれる」
ああ…だから…昏倒しなかったのか…。謎が解けて陽子は頷いた。
「玉葉はこれを渡すとき景麒に頼みごとをしていた」
…初めての女人は辛いばかり。どうか優しくしてたもれ…
…心配してくれだのだろうか…へんな気持ちになる。
「気にするな。玉葉は相手が王で麒麟が麟なら必ずそう言うんだ。…さすがにどの王も迷う事柄だからな。蓬山にお伺いを立てる」
雲海から視線を逸さない六太の小さな身体を抱き締めたくてしかたがなかった。
この…小さな身体は五百年の間にいろんな王と麒麟を見て来たのだろう。国が建ち、そして沈む。
その合間に…どれだけの涙を見たんだろうか…。手が伸びて六太の頭に触れる。
「…泣いてないぞ」
「わかってる」
横に並び…陽子は六太の頭を自分のほうに傾けさせた。
「…うちの馬鹿が、手間をかけたな」
「…そう思うなら…大事にしてやってくれ」
六太の手が陽子の服にすがりつく。
「…麒麟は…王のものだから」
「ああ…ありがとう」
寄り添ったまま…しばらく雲海を眺めていた。
昼間、延王と延麒の来訪に時間を割かれ、陽子は自室で書類に目を通していた。これに目を通しとかないと、明日の朝議で何を言われるかわからない…。
未だ女王だという侮りは深い。何かわからないことは、書き留めて浩瀚か景麒に聞くが、その姿を見てやはりとしたり顔をされるのは悔しかった。
まだ…自分1人を侮るなら勝手にすればいいと思う。…だが景麒と浩瀚までも自分のせいで侮られるのには…許せなかった。
だから、学ぶ。それしかない。
「失礼します」
「入れ」
衝立の向こうで扉が開き、景麒が入って来る。そういえば、今日一日会わなかったな。
「なんかあったか」
事務口調で聞いてしまい、景麒が小さく首を振った。
「灯が見えましたから」
「ああ…そうだな…油代も馬鹿にはできんし…」
貧乏国は無駄との戦いだと考えている陽子はなんのためらいもなく答えた。
「これが最後だ。悪かったな…下がれ」
景麒がなにも言わないまま、衝立の向こうに消え…
「……」
書類を読み終えて、顔を上げた。灯の加減で衝立の向こうに影が映る。…本当に…こいつは…。
「景麒」
呼ばれて影が大きく揺れた。
「片付けるのを手伝ってくれ」
仏頂面で衝立の陰から出て来た景麒に思わず笑った。
月明りで盥のお湯を使い、景麒が濡れた身体を拭ってくれる。
「…自分でできるんだぞ」
呆れたように呟くが、景麒は頓着しなかった。寝間着まで着せ、陽子を寝台に連れて行く。
「おぐしを…」
「分った」
諦めたように、景麒に櫛を渡す。景麒がゆっくりと髪を梳き出す。
「あとでおまえの髪も梳かせろよ」
「主上に梳かれると、痛いからお断りします。」
苦笑いをして髪を梳かれる感覚にゆっくりと、身を委ねた。
「…今日はどうしたんだ」
背中越しに聞いても景麒は答えなかった。拗ねてる?いや…淋しがってる?
「…今日は会えなかったな」
景麒の手が止まる。なるほど…こっちか。
「…政務がありましたから」
政務ねぇ…延王達が遊びに来たので、その対応に陽子が出た分、景麒に皺寄せがいったようなもんだ。
「…終わりました」
「ん、ありがとう。景麒はうまいな」
長い髪を櫛で梳かれるとたまに痛い思いをするが、景麒は腕は良かった。櫛を受け取り、後ろを振り返る。
「どうする。自分の寝室に戻るか?」
月明りでうまく表情が読めない。
「それとも、ここで寝るか?」
「…主上がよければ…」
小さな声で返されて。笑った。
「許す。おいで」
寝具に潜り込み、珍しく景麒が甘える素振りをした。陽子の胸元に顔を埋めたのだ。金髪に指を絡め、静かに頭を撫でる。
「…なんかあったか」
「いえ…」
景麒の腕が陽子の身体に回る。
「…延台輔と何を話していらっしゃったのかと」
見てたのか…。陽子はなにも言わず、景麒の頭を撫でていた。
「…主上…」
「ん…ごめん。考え事をしていた」
「延台輔の事…ですか?」
「…馬鹿…」
苦笑いが浮かぶ。顔を上げた景麒の額に自分の額を押しつけそうになり…少しずらして景麒の髪の生え際に口付ける。
「…お隠しになるか」
「ならないよ。馬鹿」
馬鹿馬鹿と繰り返され、景麒が渋い顔になる。
「…延台輔はおまえのことが大変好きだとおっしゃってた」
紫の瞳がキョトンとなる。その顔が可愛らしくて笑った。
「香木の事を聞いていたんだ。まさかお前だとは思わなかったから」
紫の瞳が逸される。
「加減がわからずに…薫きすぎました」
「ああ…すごかった」
笑って。陽子は枕元の小箱に手を伸ばし、懐紙を取り出した。
「…少し、欠けたらしい。貴重なものだ。…どうする」
陽子に聞かれ、景麒は俯いた。
「…玉葉に返しても構わないか?」
全て六太が話したのだろうと景麒は息を吐いた。
「…わたしには、もう必要ありませんから」
「…そうだな。」
懐紙を箱に直し…陽子は強く景麒の頭を掻き抱いた。
「…手間をかけさせた。ごめん。でも、嬉しかった。嘘じゃない。お前は優しかった。」
独りで悩んでいるとは知らなかった。やめとけと言われこの麒麟が傷つかないわけがない。なのに、躱すように戯れた。まっすぐな麒麟に…。どれだけ、辛い思いをさせただろうか…。
「主上…」
景麒の身体が伸び上がる。真上から見下ろされ…困ったような顔をした。
「…お泣きになるな…」
「ほっとけ」
「…かわいくない…」
景麒の手の平が寝間着の間から滑り込んで来る。暖かい…。
「…明日の朝議には、寝坊できんぞ…」
「…わかっております」
触れるだけですから…。そう言われ…陽子は目を閉じた。
景麒の柔らかい手の平が陽子の肌を滑るように動く。脇腹を撫でられ、ヒクンと陽子の身体が揺れた。
「…くすぐったい」
景麒の指が陽子の寝間着の紐を解く。寝具のなかではだけさせ…陽子の首筋に顔を埋めた。
「…お前…噛むなよ」
念を押され、景麒が答えるように唇で啄む。…陽子の首筋にまだうっすらと歯形が残っていた。陽子は責めなかったが、祥瓊に責められた。加減っていうものをご存じですかと。
自分でも、感情の高ぶりのままに歯を立ててしまったのは…香木のせいだと思いたい…悪いと思ったので気をつけると仏頂面で返したのだが。
「…痛かったですか?」
首筋で喋られ、陽子が笑う。
「それどころじゃなかったから、気にしてない」
噛み付かれている事に気がついたのも、ヒリヒリするなと祥瓊に見せた時だった。
口の悪い祥瓊はしばし唖然として、あの獣め…と呟いたのだ。
「怒られるのはお前だからな」
再び、脇腹を撫でられ小さく呻いて背中を浮かした。陽子の目が閉じられ、身体が景麒の手を追い始める。
「…見えない所だったら…」
馬鹿…と笑われる。乳房に手を当て先の蕾に唇を寄せる。
「…駄目だぞ…」
なにをしようとしてるのか、先を読まれたようで目を伏せた。
自分でもよくわからないが…たまに歯を立てたくてしかたがないのだ。
しかたがないので、唇で軽く挟み込む。陽子の腕が一瞬景麒の頭にかかったが…放された。唇を触れてない方の蕾を手の平で押しつぶすようにして、逆う感触を楽しむ。
「…景麒…だめだ…」
制止され、顔を上げる。表情を見せないよう腕を交差させて陽子は喘いでいた。顔をあげたまま、手の平を脚の間に滑り込ます。陽子が深い息を吐いた。
「…辛い…」
景麒の手を太股が一瞬強く挟み…解けた。
「…苦しいか?」
「違う…」
しばし言葉を選んで…陽子は顔から腕を退けた。
「…助けて…」
快すぎて、辛い。景麒は半ば力づくのように唇を奪った。
陽子の身体が大きく跳ねる。唇を重ねたまま、陽子の腕が景麒の肩に回されすがりつく。景麒の指が陽子を追い詰めて行く。
「…辛…いっ…」
「大丈夫…」
「…こわ…いっ」
景麒の指が激しく一点を擦りあげ…陽子が悲鳴をあげのけ反った。
陽子の身体が、寝具に沈む。荒く息を吐き、景麒にしがみついていた腕が力を無くしたように投げ出される。
「…主上…」
やはり息が上がった景麒が陽子の目尻に溜まった涙を唇で拭う。
「…落ちる気がするんだ…」
陽子が呟いた。前もそうだった。深い闇に落ちそうな気がする。
「…だから、怖い…」
景麒が心配そうに見下ろす。
「だけど…落ちたいと思っているような気もするんだ…」
飲み込まれる…そんな感覚にも似てる。景麒が動く度、身体が自分のものじゃなくなる。翻弄されて、悲鳴が上がる。…悲鳴ではない…なんだあの声は…。陽子が笑った。落ち着けばなんて事はない。あの瞬間だけ、怖いのだから。
「…お前…大丈夫か?」
景麒が顔をしかめる。
「触れるだけと申しました」
「…いいのか?」
「明日の朝議に遅刻したくないので」
「…悪い」
さらに顔がしかめられる。
「謝られるな。…どんな顔をしたらいいのか分からなくなる…」
顔を手で隠すようにそっぽを向いた景麒に笑う。
「すまん」
「また…」
陽子は、乱れた寝間着を整えた。腰の当たりが冷たいが…景麒の前で触れる事もためらわれた。
「景麒…」
はいと返事をされ、ちょっと困る。
「その…身を整えたいので…自室に戻ってくれたら…助かる」
「…沐浴におつれしましょうか?」
「いや、それは遠慮する」
思わず、固辞してしまい双方口を閉じる。景麒が寝台から降り、陽子の髪に口付けた。
「戻ります。」
「ありがとう…おやすみ」
陽子の指が景麒の顎を捉え口付ける。重なるだけの口付け。離れた後、陽子の指先が景麒の唇に触れる。その指に口付けて…。景麒は寝室を後にした。
おわる
あっまあっま。
お粗末でした。
今日も投下が!
一時期の過疎が嘘の様
GJでした
わぉ〜 つぎつぎ投下が、ぜいたくだぁ〜
>ID:L8+nkbGO 乙であります。GJ!
景麒と陽子はとりあえず、妄想が止まりました(笑)
祥瓊いきます。
但し書き:桓たいの「たい」を同じ読みの「碓」に変えます。変換探しきれなかったので。桓碓で構わない方だけよろしく。
祥瓊が、ちょっと、辛い目にあいます。
でも目指すはエロです。頑張れ桓碓!
3投下予定。
人より良い聴覚が、ささやかな吐息を捕らえた。忍ぶ笑いも聞こえる。
…やってくれる…。書庫だぜここは…。
桓碓はうんざりした。夜目が利くから、灯も持ってこなかった。この先には景王の宝物庫もある。見回りは欠かせないが…。
一瞬嬌声が聞こえ、再び忍び笑いが聞こえる。下官だろう。春だな…と訳の分らない言い訳をしそうになりながら、足音を忍ばせて通り過ぎようとした。
通り過ぎようとして…書庫の陰に隠れてしゃがみこんでいた祥瓊と目があった。
…あ…
もし、その瞳にあったものが、淫、恥、嬌…そんな類いのものならば…からかって、または、苦笑いでやりすごしたのかもしれない。
だが…祥瓊の顔に浮かんでいたのは…
恐怖
そう見抜いた瞬間、足を踏み鳴らしていた。
「誰かいるのかっ!」
一瞬の静寂。二つの駆ける足音。
再び包まれた静寂。ゆっくりと息を吐いた桓碓は踵を返しそこを離れようとした。
「…桓碓っ…」
小さく叫ばれ、足を止める。顔をしかめて未だ蹲ってる気配の祥瓊を振り返った。
「…なにやってんだ…お前は…」
「…ごっ……な…さいっ…」
細い肩が震えている。
「…立てないのか」
祥瓊は小さく頷いた。手のかかるお姫様だ。軽く舌打ちをしながら手を差し出す。
「ほらよ…」
「…ごめん…」
小さな手が桓碓の手の平に差し出される。あまりに華奢過ぎて…力の加減がわからなかった。握る事もできずにただ載せていると、祥瓊が桓碓の手首を握り震える足で立ち上がる。
「…部屋まで送るか」
首を横に振る祥瓊の顔は血の気がなく、冷たい汗まで浮いている。
「いい…帰れるわ…」
今度は桓碓が首を横に振った。
「…その前に、どっかで休め…」
じゃないと、倒れそうだ…。祥瓊は今度は小さく頷いた。
小さな部屋に灯が灯る。灯をつけて見れば、さらに祥瓊の血の気の引いた顔は明らかだった。
「…大丈夫か…」
「…大丈夫よ…だから、顔を見ないで…」
部屋の中央に置かれた円卓の椅子に座り祥瓊が額に手を当て桓碓の視線を遮る。
桓碓はそばに近寄る事も憚られ、壁に背を当てて腕組みをして天井を見上げた。
「何をしてたんだ…」
こんな時間に…。暫くして祥瓊が口を開く。
「…暦の上で春が来るの…祭事が増えるわ。…陽子…主上は着る物なんてって軽んじるけど…」
前の王に仕えていた官に陽子が軽んじられるのは許せない。陽子が気にしなくても、祥瓊は嫌だった。
「…祭事の衣裳を確かめていたの…」
昼間は、陽子の側を離れられない。女史としての仕事が多すぎる。そして、陽子が着物には構わないと言い切る分、今の時間しか自由に衣裳を見る事ができなかった。
「…その日に一式揃えてたんじゃ間に合わないのよ…」
着る物に頓着しないのは、桓碓も同じだから首傾げざるをえない。
だが、陽子が朝、祥瓊が揃えた物を当たり前のように袖を通すのを見て、祥瓊なりの拘りがあるのだろうと無理矢理納得した。
ようやく顔を上げた祥瓊が首を巡らす。
「喉が渇いたわ…水ある?」
「…温かい物の方が良くないか?」
「炭を熾す方が勿体ないから止めて」
だいぶ口調が祥瓊らしくなってきて、桓碓は幾分かほっとして水差しから湯飲みに水を注いだ。
「座ってもいいか?」
「なんで座らないの」
小さく笑われて。桓碓は祥瓊の前に腰を下ろした。
「…さっきはありがとう」
そう言われ、あぁと曖昧に頷いた。そして言い訳のように言葉を続けた。
「…春だからな…ああいう輩が増える」
「そう…気をつけなきゃね…」
しばらく流れた静寂。小さく祥瓊が吹き出した。
「…四十近く生きてるのに、なぜっていう顔してるわよ」
「…すまん」
いいわよ…と許されて…聞いてもいいかと桓碓は逆に尋ねた。
「…なぜ、あんなに怯えた?」
ふっと祥瓊の顔から表情が消える。
「だってお前…」
言いかけて…さすがにその先が言えず口ごもる。
「とっくに男と寝た事ぐらいあるだろう…って言いたい?」
そう言われ、さすがに驚いた。まさかだと思った。あんなに世慣れしている様子の祥瓊が…だが…。目の前の祥瓊は一度強く桓碓を睨み付けて、視線を伏せた。
「言ったでしょう…だてに三十年宮中で暮らしてないわ…。女同士の噂話を舐めないで」
桓碓はどうにか、頷ずいた。祥瓊は打ち明けて…答えになってないと気がついたのか…。手にした湯飲みを軽く握り締めた。
「…芳の国で…月渓に放り出された後、寒村に預けられたわ。ひどい所だった…」
絹の服を取り上げられ、触るだけで肌が擦れそうな布地がある事を知った。磨かれた石しか歩いた事がなかった足は泥で塗れた。
なによりも…人が冷たかった。そして…自分の中も冷たかった。
「祥瓊…」
無理に話すな…そう言われたようで…いっそなにもかもさらけだしたくなる。
「…素姓がばれて…殺されかけたわ…。手足を縄で括られて…」
荒縄を結ばれた感触が手首に甦る。だけど本当に怖かったのは…回りの男達の顔との怒号と野次だった。
「車裂きにかけられそうになったの…引き裂かれるって思ったわ。…こんな知らない男達の前で引き裂かれて殺されるって…」
ガタンと椅子が倒れる音がした。桓碓がなにも言わず部屋を出て行く。
自分が泣いていると気がついたのは…しばらくしてからだった。
「…本当に…」
舌を噛んで死ねたらいい…。そう思ったら嗚咽が上がった。
「祥瓊、これ」
陽子から朝議で渡された紙を見せられた。
「なに?」
「桓碓から。宮中の風紀が乱れてるんだと」
まあ…と、口を押さえて見せる。鈴が横から書面を覗いた。
「汚い格好をしてるのが多くなった、て事?」
陽子が苦笑いする。祥瓊が鈴を軽く睨んだ。
「馬鹿…宮中の風紀と言えば…」
「なによ」
「…わからない?」
しなを作って見せて。鈴がようやく納得したように頷き、顔を赤くした。
「へぇ…大胆」
「どこまで想像したのよ」
「祥瓊の馬鹿っ!」
怒鳴られて。陽子が笑う。
あの後、桓碓と一度だけ擦れ違った。顔を見ずに頭だけ下げて通り過ぎようとして…。
「宮中で…不埒な輩は許さんから」
そう言われた後、迷ったように手が動いて肩に置かれた。一瞬強く掴まれて。弾かれたように手を放したのは桓碓だった。
「…すまなかった」
謝る事をなにかしたのかと聞きたかったが…なにも言わず通り過ぎた。
その時の言葉がこの書面なのだろう。
「学校みたいだな」
陽子が笑った。
つづく
難しいっ。
なにが難しいのかわからないけど、祥瓊が難しいっ…。
40年生きてても…機会はなかったんじゃなかろうかと…そうふと思ったら、車裂きの拷問はいろんな意味でトラウマになったろうと。
浩瀚も混ぜて練って行きたいと思います。
仕事の関係上ねます。
おやすみなさい
GJです!
1日に2作も投下なんて凄すぎる…
続きも期待してます!
お昼休みは…過ぎておやつの時間です。
祥瓊できたっ!口付けです。
ちょい乱闘なシーンがあります。苦手な方は、避けてください。
祥瓊ちょい受難です。8落とします。
きたぁああああああああああああああああああ
王の物が市井に出回ってるらしい。そのような噂がまことしやかに宮中を流れ始めていた。
「このようなことをしでかすのは、王のそばでご用を勤める女史しかおりますまい」
陽子の机の上に幾つかの宝飾品が転がっている。市井で売られていたらしい。
陽子は表情を変えず軽く指を組み天官の話を聞いていた。
「この宝飾品…先の予王に献上されたもの…玉の一級品でございますよ。」
まさか、その価値すらおわかりでないのですか?嘲りと侮蔑と…
「どこの生まれとも知らぬ輩をおそばに…」
言いたい事だけ言って、失礼すると部屋を出て行った後…陽子が組んでいた指を解いた。
「冢宰…これは、本当か」
「…闇で王の私物が取り引きされるようになったと噂はあります」
ですが…浩瀚の指が玉に触れる。
「このような宝物が出始めているとは、聞いておりません」
そして…陽子のそばで宝飾品を扱う女史といえば…。
「主上」
思わず桓碓が声をあげる。
「なんだ青将軍」
役職で呼ばれ、口を噤む。この場は公だ私を挟むなと言われたようだった。
「主上はこのような玉があった事はご存じで?」
桓碓の声はなかったものと、浩瀚が話を続ける。
「把握しているはずがない」
あっさり答えられ、浩瀚が不思議でもないように頷いた。
「一度目録とてらしあわせます」
「そうだな。…この机の物は別の場所に保管を。戻されたと分れば、尻尾まいて逃げ出されてしまう…」
陽子の瞳がゆらりと歪んで見えた。思わず桓碓が唾を飲み込む。
「台輔を呼べ。嫌がるかもしれんが、番犬に使令を使う。」
影に遁甲できる使令を使う。現場を押さえて取り押さえる。
「この話はこの場の人間のみ。他言無用」
そう言い捨て、陽子は部屋を出た。
「さっき、何を言いかけた。」
後宮に向かう護衛をしながら陽子は前を向いたまま桓碓に声をかけた。
「…失礼いたしました」
忘れて下さい。と呟く。陽子が足を止め、桓碓を見上げる。碧の強い瞳が一度伏せられた。
「私情を挟んで済まない」
思わぬ言葉に桓碓が驚いた顔をした。
「宮中の警備も、お前の管轄なんだろう…。冢宰の前で将軍の面子を潰した。申し訳ない」
謝られて、居心地が悪くなる。自分は…なぜ陽子が祥瓊を庇う言葉を発しなかったのか責めそうになったのだ。自分の器の小ささに溜め息が出る。
「使令を使うのも、わたしの私情だ。祥瓊を侮辱されて許すほど、大人じゃない」
碧の瞳が怒りで揺れた。再び歩き出した陽子に桓碓は小さく頭を下げた。
おかしい…と気がついたのは二か月ほど前だった。始めは陽子の使っていた小物がなくなった。気付かなければ気付かれない物だと思う。
どこかに直しこんだかな…とぼんやり思っているうちに、玉で飾られた絹靴が消えた。歩いているうちに玉を踏みそうで嫌だと陽子が言い、溜め息をついてしまいなおした。その靴がない。
「…おかしいわ…」
呟く。これは記憶違いではない…。誰かの手が入った。いや、入っている。
以前、恭で供王の御物に手を出した事を苦々しく思い出す。愚かだった自分を思い出し、砂を噛むような気持ちになる。
その愚かな事をしようとしているのが、この宮中にいる。
最初はただの絹の飾り布だった。布が金糸が織り込まれた紐に変わった。そして、靴…段々大胆になってる。となると…まさかとも思うが…
「…宝飾に手を出す?」
祥瓊の顔から血の気が引いた。
暗闇に小さな灯が灯った。まさか…。毛布にくるまって隠れていた祥瓊は灯の輪から逃れるよう身体を縮める。忍び足で、でもためらう事なく宝飾品の保管されている棚に人影が映る。祥瓊は思わず口を押さえた。二人?
二人は手際が良かった。迷う事なくひとつの引き出しを開け、中から絹で包まれた物を取り出し小さな灯で確認する。
祥瓊はそれが前の予王に献上された耳飾りだと知っていた。赤の宝玉。ものは良いのだけど陽子の赤の髪にあわないと溜め息を吐いた事がある。
二人は短く打ち合わせた。二つ出回ると足がつくかもしれん。ひとつは預かる。そのひとつを市井に下ろせ。高値で売れる。景王の耳を飾ったといえば金持ちは金を出すさ。…いや、これは品が良過ぎる…雁までいったほうが良さそうだ。
一人の声に聞き覚えがあった。陽子の衣裳を揃えているとき土匪ごときががと吐き捨てられるように言われた事がある。
あの天官…。震える手を握り締めている間に灯が消えた。音を立てぬよう後を追う。二人は二手に別れた。1人は宮中に…もう1人は…露台に向った。
市井に降りられたら、見失ってしまう。迷う前に身体が走っていた。
夜中…陽子が自室で書類に目を通していた時だった。しばらく表が騒がしくなり小臣が一人の天官を取り押さえるようにして転がり込んで来た。
「…何事だ」
床に這いつくばされた天官の後ろから、桓碓と浩瀚、そしてやや顔色を悪くした景麒が入ってくる。
「…使令が…」
景麒の言葉に頷いて止める。
「何を盗んだ?」
天官の前に立ち、桓碓を見る。桓碓が紫の絹に包まれた物を差し出した。受け取り、開く。
「…こんなのがあったのか」
浩瀚が頷く。
「やはり、予王に献上されたものです。目録と一致しました」
「お前にはこの価値がわかるまいっ!」
いきなり天官が叫んだ。
「価値がわかる者が、それをもって何が悪いっ!」
「そのせいで、一人の女官が、要らぬ濡れ衣を着せられた。王の御物に手を出す事がいかに重い事か、天官なら知っているだろう?」
陽子は天官の前に膝を下ろした。手を伸ばしその顔を捩じるように上向かせる。天官の顔から血の気が引く。無理矢理合わせられた瞳の揺れから、景王の怒りが伺え知れる。
「その罪を女官に着せ、のうのうと生きてくつもりだったか…男の風上にもおけんな…。いや…男と比べるのもおこがましい。」
陽子の手が天官の顔を放した。
「下衆めが…」
緊張が切れたのか天官の首が落ちた。
陽子の身体から立ち上がる怒りに景麒が思わず後ずさる。
「明日、秋官に引き渡せ。厳罰に処すよう命じろ」
身を翻した陽子に思わず景麒が口を開く。
「主上っ」
「なんだ」
お前の話は聞かんぞと言外に言われ、慌てて景麒は被りを振った。
「これは二対でございましたっ!」
景麒を一瞥し、浩瀚を見る。目録を出した浩瀚が険しい顔をして頷く。
「確かに…耳飾りです」
「使令が、もう一人露台に向かったと」
陽子の目が見開かれ、烈火のごとく景麒を睨む。本能が視線に怯む、でも伝えねば…、景麒は叫んだ。
「祥瓊が追っております!」
「早く言えっ!」
怒鳴ったのは陽子と桓碓だった。桓碓が部屋を飛び出して行く。
「冢宰っ!青将軍に小臣をつけさせろ。絶対に捕らえろ。祥瓊を連れ戻せ!」
浩瀚が身を翻して部屋を出て行く。矢継ぎ早に指令をだした陽子は肩で息をしながら景麒を見た。
景麒は青くなったまま壁際に立ちすくんでいる。
「…なぜ、祥瓊の事を黙っていた」
景麒が首を振る。
「わたしは、祥瓊も…加わっていたのだと…」
さるさん回避
この無能!
陽子から使令を貸して欲しいと頼まれた日からしばらくして、祥瓊が毛布を持って宝飾品のある部屋に現れたと使令から聞いた。
祥瓊は人目を憚るよう積み重なった衣の陰に隠れ息を潜めた。使令はなにも不審に思わなかった。
祥瓊は主上の世話をする女官で、主上の信頼も厚い。だから、寝ずの番をするよう命じられたのだろう。ただそう考えた。
盗賊が二人と分った時、祥瓊が露台に走った。なら自分は宮中。そう判断し、景麒に知らせた。
陽子がきつく唇を噛んだ。祥瓊を外した事が裏目に出た。まさか、祥瓊が一人で動くとは考えなかった。
気がついていたのか…。言い出せなかったのは、自分が陽子の衣裳全般引き受けている分、責任があると思ったのだろう。そして祥瓊は確証を取ろうとしたのだ…寝ずの番までして。
「景麒下がれ」
陽子に背を向けられ景麒は思わず手を伸ばしかけてやめた。
陽子は不甲斐ない自分を責めている。今は景麒の言葉には耳を貸さない背中に頭を下げて廊下に出た。
町の外れの一軒家だった。露台から飛び立った騎獣を吉量で追った。町外れの家を確認して離れた所で吉量の背から飛び下りた瞬間、殴られた。吉量は怯え、飛び立った。逃げなさい…そう呟いて意識を無くし、気がつけば囚われていた。
「…王の御物に手をつけることが、どれほどの大罪か知っているの」
声が震える。自分の肝の小ささに悔しくて涙がでそうになる。震えるな。自分の仕えてる主を思い出せ。風に翻る赤い髪。とても強い碧の瞳。身体を纏う覇気。陽子…力を貸して…。
「王の玉体に手をだしたと解釈されても仕方がないのよっ!」
叫んだ瞬間、頬を張られた。勢いで縛り付けられた椅子ごと地面に叩き付けられる。
髪が解け、青い髪が汚れた土間を這う。胸元を掴まれて椅子ごと引っ張りあげられた。
「…っ…」
痛いと言いそうになり唇を噛む。言っては駄目。弱味を見せるな。
「その罪をわざわざ知らせに来てくれたおまえが居なくなれば問題ない」
「残念ね。もう一人は既に捕らえられたわ」
大丈夫。こいつらには確認できる時間はなかった。はったりを噛ませ。余裕の表情は得意でしょう…孫昭。
「…慶を出たら済む話さ。しばらくの資金もできる」
「馬鹿だと言っているのよ。雁と慶の間でそんなことできると思っているの?」
再び頬を張られる。口の中が切れた。鉄の味がする。
「どこまで聞いてやがった!」
怒鳴られて笑う。笑え孫昭…見下す笑みは得意だったでしょう。
「おい。売りもんに手を上げんな」
胸元にかかっていた男の手を家に入って来た男が乱雑に放す。
「あーあ。傷つけやがって…腫れが引くまで売れねぇじゃないか」
がさつな指で祥瓊の顎を掴み右左と傾けさせる。力を込めて首を振りその指を払った。
「気が強いな」
嬉しそうな顔におぞけが立つ。
「触るな…下郎が」
睨み付けられ、男が笑った。
「どこのお姫さんだよ。どの口きいてんだ!ただの女官がっ!」
祥瓊の胸元に手が差し込まれた。悲鳴を上げる間もなく、一気に両側に押し開く。
さらけだされた白い乳房に男共が唾を飲んだ。祥瓊は思い切り首を背け肩に顔をつけようとする。青い髪が肩から零れ白い肌にかかった。
場にそぐわぬ美しさ…。男の一人が思わず顎を拭った。
「こりゃ…上物だ…」
「どこかの姫でも通るな」
あまりの場違いな空気に渇いた笑いが上がり消えた。
…孫昭…怖くないわ…大丈夫、女官にいつも着替えを手伝ってもらったでしょう?
違う
裸を見られる事には、抵抗はないでしょう?
違う。
…車裂きより怖くないでしょう?
違うっ!
喉が震えた。嗚咽があがった。頬を涙が零れた。悲鳴を上げそうになり…
天井が落ちた。
物凄い土煙と、崩れた屋根と割れた板で視界が煙る。
「祥瓊っ!」
土煙の中叫ばれ、悲鳴を上げた。
「桓碓っ!」
口の中に砂利が舞い込む。構っていられない。自由にならない身体を目茶苦茶に暴れさせ、叫び続けた。
叫ぶ身体を抱き留められる。抱き留めた身体が桓碓だとも気がつかなかった。
土煙の中、怯えた表情で男が身を翻す。
「駄目よっ!桓碓っ!そいつを掴まえてっ!」
椅子にくくり付けられた手首に血が滲む。構わなかった。
「陽子の物を盗んだのよっ!駄目よっ!放してっ!桓碓っ!追って!」
嫌よっ!なぜ自由にならないの!なぜこの男はわたしの邪魔をするのっ!
「どきなさいっ!」
「祥瓊っ!」
「どいてっ!桓碓っ!」
名を呼んで…気がついた。自分を抱き留めている男…。暴れるのをやめた祥瓊にきつく回していた腕の力を抜く。耳に囁く。
「…俺が、わかるか?」
ゆっくりと、言い含めるように…。祥瓊は小さく頷いた。身体が震えだす。桓碓の腕が震えをおしとどめるよう、祥瓊の身体を支える。
「…俺がここにいる意味がわかるか?」
「…陽子は…知っていたのね?」
「ああ…全部終わった」
だから…泣けと。
一度上がった嗚咽は止まらなかった。震える身体を抱き締めながら、桓碓が小刀で祥瓊の手足を縛っていた縄を切る。
祥瓊の手首にできた血の滲む擦過傷を見て…痛ましげに目を逸らした。
ゆるゆると上がる腕が桓碓に触れて…すがりついて良いのかと…迷う素振りをする。
「馬鹿がっ!」
その両手首を一括りにし自分の胸に抱き込んだ。細い身体を抱き締めて、骨が軋もうが構うかと力を込めた。
桓碓の胸にすがりついて…祥瓊は声を上げ目が溶けるかと思うほど泣いた。
「立てるか」
どれだけ泣いたのか…泣きすぎて頭が痛くなり、祥瓊はぼんやりと桓碓を見上げた。
「立てるか?」
そう言われ立ち上がる。桓碓が腕の力を抜いたので、離れた。
「おいっ?!」
「なんじゃ…」
祥瓊の言葉に一瞬度肝を抜かれ、桓碓が慌てて祥瓊の襟を引っ張り上げる。
「あぁ…」
そうじゃった…。ぼんやりと襟元を正し、桓碓の前に立つ。
「…大丈夫か?」
恐る恐る聞かれて…一瞬自分がどこにいたか忘れていた事に気がついた。
「…ごめん…なんか、ぼんやりしてた…」
改めて顔を上げて…。桓碓が殴られたような顔をした。
「桓碓っ?!」
身を翻して飛び出して行った家の外で、悲鳴と制止の声があがる。
「おやめくださいっ!」
制止の声となにかがぶつかる音。思わず首を竦めるほど痛い音だった。
「どっちが祥瓊を殴った!」
その声と共にもう一度、鈍い音が上がる。
小臣の悲鳴が叫びに変わる。
「おやめくださいっ!将軍が本気出されたらこいつら死んでしまいますっ!」
「おやめくださいっ!将軍っ!」
もう一度、痛い音。祥瓊は慌てて外に飛び出した。
汚れた身なりのまま、陽子の前に平伏した。泥と砂にまみれた衣服。揃えられた手首に滲む血。解けたままの髪は、土煙で汚れひどい有様だった。誰も口を開かなかった。口を開いたのは祥瓊だった。
「勝手な振る舞いを致しました」
祥瓊の目の前に陽子の足がある。右手に浩瀚。左に景麒。そして後ろに膝をついた桓碓がいた。
「…勝手な振る舞いをし、青将軍にいらぬご面倒をおかけいたしました」
「…祥瓊」
「青将軍に、なんの咎もありません。だから…なにとぞ…」
「祥瓊っ!」
桓碓が怒鳴る。陽子が立てと呟いた。
しばし迷ったが、祥瓊がゆっくりと立ち上がる。袖を併せて頭を下げる仕草で顔を隠そうとして。顔を上げろと言われて諦めた。
陽子が一瞬、泣きそうな顔をして堪えた。そして、
「…っ…」
パンという音に景麒は顔を背け、桓碓は顔を上げた。
「主上!」
陽子の左手の甲で頬を軽く、殴られた頬と反対側を張られて…祥瓊は驚いたように陽子を見た。
痛みはないが…痛かった。陽子の瞳が大きく揺れて、一筋の涙が零れた。…心配をかけた。そう思ったら…祥瓊の瞳からも涙が零れた。
「ごめんなさい…心配をかけて」
陽子にぶたれた頬を押さえ、祥瓊がしゃくりあげる。陽子が祥瓊の手を取った。陽子の肩が震える。手首の傷に触れようとして…やめて祥瓊の小さな手をさすった。
「ごめん…言わなくてごめん…」
陽子の言葉に祥瓊が首を振る。宮中に戻る際、全部桓碓から聞いた。
陽子は祥瓊を思い、祥瓊は陽子を思った。
「青将軍は、盗賊一味と市井に潜んでいた人身売買の1人を捕らえました。」
浩瀚が静かに口を開く。
「小臣一軍で捕らえる事ができたのは、祥瓊の功績もあるかと」
だから、祥瓊も桓碓もなんの咎もなし。言外に言われ、祥瓊がしゃくりあげながら笑う。
「但し、取り押さえる際、乱闘で盗賊は顎の骨を砕かれ、もう一人は頬骨をくだかれてますので、取り調べには時間がかかります」
景麒が嫌そうな顔をした。桓碓と一瞬目が合った陽子が、よくやったと頷く。
「いろいろとございましたが…今日の処はこれまでと」
「祥瓊…ご苦労だった。あとで碧双珠を届けさせる」
「馬鹿。こんな事で宝重使うと、またなんか言われるわよ」
残った涙を拭いて、祥瓊は一礼した。
「桓碓、送れ」
「分かりました」
二人でもう一度礼をして。廊下で鈴の泣き声が上がった。
吉量の身体を藁で擦っていた所に、桓碓が通り掛かった。
「よう」
「あら。休憩?」
まあなと笑いながら、腰を下ろす。
「こいつが、あの家の上で浮いていた。だからわかった」
「だから、空から降って来たのね」
笑う祥瓊に一瞬嫌な顔をする。祥瓊は吉量の額に額を当てありがとうと呟いた。
今回の窃盗に絡んでいたのは天官二名、そして市井でなんでも売りさばく仲介屋だった。。宝石から若い娘まで芋づる式に出て来るだろう。
「顔の腫れ引いたな」
「ええ。これ見て」
祥瓊が水差しを差し出す。
「台輔がくれたの」
水差しを受け取ろうとして、桓碓は慌てて手を引っ込めた。
「なによ」
「いや、なんか…」
恐れ多い。祥瓊が笑う。
「次の日、部屋の前でこれを渡されて。主上の前にそのような顔で立たれると、主上が気にするっておっしゃって。」
景麒の口調を真似た祥瓊に桓碓が笑った。
「なんですか?って聞いたら仙水だ、とだけ。」
あとで遠甫に聞いてようやく傷に利くのだと知った。
「台輔なりの気遣いじゃないか?」
「そう?わたしは額面通り受け取ったわよ?」
また笑う。そしてしばし無言が続き…。
「さっき、主上の所に天官が来た。おまえを疑えって言ってきた奴だ。仙籍を抜かして頂きたいと言われ、主上は了解した。」
「そう…」
顔もよく覚えていない天官になんの感慨もわかない。
「捕まった奴の上官だったというおちだ。引責させられるより、個人の事情にしたかったんだろう」
くだらない面子…。
「主上はこうおっしゃられた。玉の価値を知るよりも、人の価値を知るべきだったな。ってな。」
陽子の口調を真似した桓碓に一瞬呆気に取られる。そして吹き出した。
「それはそれは…」
きっとその後にざまぁみろが付いたわね…。「顔色が赤から紫に変わってな、最後は土気色。あんなに顔色が変わるとは知らなかった」
明るい声で桓碓が笑い立ち上がった。多分、休憩は口実で…この事を伝えに来たのだろう。祥瓊に手を振り歩き出す。
「桓碓」
「なん…」
振り向き様に顎を捕らえた。身長が足らずちょっと引っ張るようにして、掠めるように唇を重ねた。
「ありがと」
逃げるように引いた手首を反射で掴んだ。
「逃げるな」
細い腰を引き寄せて口付ける。小さな悲鳴は聞かなかった振りをした。
口付けて…睨まれて。「馬鹿」
もう一度口付けた。
おわる
おーわーりーっ!
やっと、ここまできたよ〜。祥瓊〜。
頭が妄想モードに入ると時代に遅れる事に気がつきました。
韓国戦!見逃したっ。
やっと祥瓊に幸せになってもらいます。
あーよかった。
おう…改行しくじった…
集中力がなくなってきてる。読みにくくてすいません。
おおっ〜 またまた投下であります。少し遅れのお年玉でありますか
感謝であります。乙であります。GJ!であります
…祥瓊が…書いているうちに、迷いました。
もしかしたら…桓碓、辛いかもしれない。
桓碓とのエロはないかもしれません。
でも、祥瓊のエロはあります。
もう一回練り直して見ます。
…最近、投下する事が楽しくて、このスレを個人使用している気がします。
…もし、気をつけて欲しいことがあったら伝えてください。
読んでくださってるかた、いつもありがとうございます。
おやすみなさい
過疎ってると思ってたら連続投下!
乙です。
晩ご飯の時間です。
祥瓊いきます。
すいません。桓碓から浩瀚にかっさらわせます。
うちの桓碓は、ちょっと女心をわかってないので。書いてて迷いました。
浩瀚+祥瓊です。
序幕になります。
エロ成分は無しです。長いです。多分10ほど投下します。
下世話な噂ほど、早く回る物はない。
祥瓊の身体は…。
あの女官は…。
あの女史の身体は…。
影で囁かれて、月影で遊ばれる。
顔を上げているしかなかった。なにも疚しい事はしていない。囚われていた時の話だ。自分の落ち度ではない。自分がさらけ出したわけじゃない。
だが…極端に女性の少ない宮中で、男の興味本位だけの視線に晒されるのは辛かった。
庭に落ちた陽子の手拭いを拾おうと階段を下りていた時…曲がり角の向こうから声が聞こえた。小臣の部隊?足を止める。いや足が竦んだ。
「…でも、眼福もんだったって聞きました」
「着痩せしてるんだろうなぁ。結構、見応えあった」
ジリッと自分のなかのなにかが焼ける気がする。
なにが焼けるの?自尊心?見栄?それとも…。
「でも、将軍はしっかり見たんでしょう?」
将軍という言葉に息を飲む。なにを怖がるの…なにを怯えるの…。
そして桓碓の声が聞こえた。
「もとが、公主だ。裸なんか見せ慣れているだろうよ…」
足元が揺れた。声を上げないため自分の手の平で強く口を押さえた。強く閉じた瞼からは我慢しきれず涙が零れた。視界が揺れる。だめ…階段から落ちる…。
「……っ」
強く腕を引かれ倒れ込んだ。倒れ込んだ勢いで階段が脇腹に当たる衝撃を覚悟したが…。なにかが自分の下敷きになった。下敷きになった者の腕が祥瓊の身体を支える。荒い息を潜めて囁く。
「…そのまま」
思ってもいない声に祥瓊はぎょっとした。
「大丈夫だから、そのまま…」
反射で顔を上げようとして、慌てて胸元に顔を伏せた。…ふと懐かしい香りを嗅いだ気がした。なんだろう…。
桓碓達の気配が遠ざかる。息を殺していた祥瓊は知らぬ間に指でしがみついていた目の前の布地から指を外した。
「…ふう…」
祥瓊を抱き込んでいた腕が緩む。そろそろと身を起こし、祥瓊は自分が下敷きにした人物を青くなって見下ろした。
「…申し訳…ありません…」
「…いや…」
苦笑いして、階段に腰を下ろす格好で姿勢を正す。
「落ちなくてよかった」
「あ…も…申し訳ありませんっ!冢宰っ」
涙も一瞬で渇いた。
階段を踏み外した祥瓊を咄嗟に自分に引き寄せたのは良いが、勢いで自分の背中をしたたかに階段にうちつけてしまい、浩瀚はしばらく動けなかった。
「どうしましょう…誰か呼んで来ましょうか?」
「いや、やめておいてくれ…少しばつが悪い」
女の下敷きになって背中を打ち付けたとなると、まず心配してそのうち笑い出しそうな碧の瞳を脳裏に浮かべてしまう。
「特に主上を呼ばないように」
念を押され、ちょっと考え…そんな場合じゃないのに、祥瓊は吹き出して、慌てて笑顔を引っ込めた。
「なら、桓…青将軍を…」
目線が揺れる。浩瀚は静かに祥瓊を見つめた。
「今、ここに呼び戻すとあなたが辛いだろう?」
…やはり…桓碓の言葉を聞かれていた。…祥瓊は浮かんだ涙を隠すように顔を伏せたまま頷いた。祥瓊の肩に手を掛ける。
「あの言葉は本心じゃない。…噂のやりとりに疲れて投げやりになったというふうに、考えられない?」
一度頷こうとして…横に振った。浩瀚が、祥瓊の細い手を包む。
「もとは私の部下だった。非礼をお許し願いたい」
「…冢宰が悪いわけじゃないわ。…わたしが愚かだったの…」
心の傷を隠せないまま顔をあげて笑ってみせた祥瓊の目から、耐えきれず涙が零れた。
「…笑いながら…泣かなくていい」
浩瀚は祥瓊の手を軽く握り締めて立ち上がった。慌てて、祥瓊が腕を支える。
「…歩けますか?」
心配そうに見上げられて…。浩瀚は、背中を押さえ軽く祥瓊のほうに体重をかけた。
「すまないが…部屋まで連れて行ってもらえるか?ここから少し遠くて」
「分かりました」
必死に見上げる青い瞳…。…桓碓…おまえは、こんな脆い存在の娘を傷つけた。
だから…私はこの娘をお前には渡さない。
赤い髪をした海客の娘が女王となった。偽王軍と戦う事を選び、鎧をつけ剣を振るったと聞いた。延王の後ろで隠れているのを拒んだ。己で血を被り国を掴んだ女王。
そんな噂を耳にしながら、どのような苛烈な女王が登極されたかと期待した。そして、初めての王座に、幼さを残し、居心地が悪そうな表情を浮かべた女王に驚いた。この女王が剣を握った?
玉座に座り、目の前に平伏した官の群れを見てそのおどおどした瞳に浮かんだのは
畏怖
延王の後ろ盾がないとなにもできないのだろうか…と様子を見ているうちに、自分が罷免された。
傀儡だったか…。宮中から去る時に、暗い表情の景麒と擦れ違った。平伏してやりすごそうとした。これから…大変だろう…他人ごとのように考えていたら、自分の前で足が止まるのを見た。
…つつがなく…
聞こえるか聞えないかの声。一介の官を覚えているはずがないと思っていたので驚いた。
宮中から去って、まるで隠れるような生活を送った。訪ねて来る者はいるが、外に出られない。外に出ればなにかの理由で殺される。そんな生活をこれからするのかと、諦めた気持ちになった。
内乱が起こる。そう聞いた時、強く目眩がした。自分の臣下達が今生の別れを告げに来て、去る。
そのなかで、別に冬器を集めている集団がいると聞いた。どこの者で誰が後ろ盾だと調べているうちに、遠甫がさらわれたと聞いた。そして、蘭玉が死んだ。
自分の縁の者が…消えて行く喪失感。
血が流れる。
玉座に座った女王を思う…わかりますか…あなたの為の戦だと。
そして祈る、どうか届いて欲しい。下々の悲鳴と祈りを。
内乱は二か所でほぼ同じ時期に起こった。
そして、…以外な形で収束した。
女王が…
死ぬつもりで、戦に赴いた桓碓が、平伏したまま震えて涙を流した。
…こんな王ですまないと…。
気がついたら、涙が零れていた。
届いたというのか…祈りは…。
事を詳しく聞くにつれ、鳥肌がたった。そして、その最中に、王からの使者が来た。
宮中に…。
王の自室に呼ばれ、平伏した。立って欲しいと声がかかった。声を聞いて、震えが走った。己を見据える碧の瞳。
…冢宰を任命する。かまわないな?
度肝を抜かれた。私がですか?と聞き直しそうになり、やめた。
揺らがぬ瞳に、頭を下げた。
この女王はやはり烈火の女王だったのだと。
伏礼を廃す
放った声は、覇気を絡め身体のなかを心地よ風として通り抜けた。
それからが多忙を極めた。朝議は紛糾し、利権を放すまいとする官の恨みと嘲りを受ける。どのように取り入ったのだとあからさまに聞かれ、いわれの無い噂を流された。
だが、耐えた。女王が自分の前に立って前を見据えている。なら、その後ろを守る。ただ、それだけの事だ。迷う事ではなかった。
暫くすると、なんとなくだが、桓碓が型破りな女王でと苦笑いする意味も分った。
ある日朝議が揉めに揉め、主上と台輔が激しく口論になった。さすがに、人目を気にして主上の私室に引き上げるよう願った際、冢宰も来いっと怒鳴られた。
回廊を歩いている間は互いにそっぽを向いて口を聞かなかったが…部屋に入った瞬間、爆発したのは主上だった。
「このあんぽんたんっ!」
「しゅっ…主上っ!」
いきなり怒鳴られて、台輔が目を剥く。
「なんですかっ!あんぽんたんっとは」
「ははぁん知らないな?お前」
「…とても、人を馬鹿にしている言葉だというぐらいなら、わかります!」
「じゃあ、すかぽんたんっ!」
「なっ…!」
思わず言葉を無くした台輔に胸を反らしてふんっ、と鼻を鳴らして見せた。
「難しい言葉を使って、わたしが理解できない度に溜め息つくなっ!」
「しかしっ…」
「なにが仁だっ!お前には、わたしに対する優しさなんか全く持ってないじゃないかっ!」
笑ってはいけない…そう思い、部屋の中央で仁王立する二人から顔を背けた時…
青い芍薬の華が咲いたと思った。
「…しばらく、こちらでお茶でも…」
薄い桃色の花が零れる。
この宮中で初めて見た顔だった。だが…話には聞いた…芳国公主…孫昭…?。
「浩瀚っ!」
弾かれたように顔を上げたのは、見とれていたのに気がつかれたと思ったからだ。
「お前もだっ!」
「申し訳ありません」
思わず出た謝罪に、主上と台輔が一瞬驚いた顔をして…主上が破顔して、台輔が苦虫を噛み潰した顔をした。
「ほらみろっ!浩瀚の方が素直だっ!ちゃんと謝ったじゃないかっ!」
恨めしそうに見られ、台輔がそっぽを向く。
さて…私はなににいったい謝った?
ひとしきり勝ち誇ったように笑って、主上は表情を改めた。
「…学ぶ事が多いのは理解してる。だが、わたしは海客だということをそちらも理解してくれないと困る。…言葉と意味が分かるまで、どちらかが辞書になれ」
そう静かに言って赤い髪を掻き揚げた。
「今度、ステレオみたいに二人で喋り出したら…」
ニヤリと笑って指をさされた。
「景麒をあんぽんたん、浩瀚をすかぽんたんって呼んでやる」
「とりあえず、そこまで。陽子、お茶飲まないの?」
「飲むっ!」
あんぽんたん…すかぽんたん…台輔と視線を交わし溜め息をついた。主上は、言いたい事は言ったと赤い髪を揺らして孫昭に向き直った。席に着きながら、気軽に浩瀚に手招きする。
「浩瀚、お茶」
「いえ、わたしは…」
さすがに主上と同席するには立場が違いすぎると部屋を出ようとして睨まれる。
「…どちらが辞書になるのか決めたのか?あんぽん…」
「それは、わたしでした…」
嫌そうに台輔が返事をして浩瀚に頷く。言い出したら聞きませんから…暗に言われ、促されるように席についた。
立場的に、主上の補佐と言われている台輔が辞書になることになり、場が収まる。
「よかったな。すかぽんたんって呼ばれなくって」
陽子が笑う。
「で、すかぽんたんとはなんですか?」
向こうの言葉だろうと聞いてみて。陽子は首を竦めた。
「語呂だろ」
そんなっと台輔が声をあげる。それを見て、主上が笑った。
「言葉はわかる、でもその意味がわからないというのは気持ちが悪いだろ?わたしは朝議に出る度、そんな思いをした。」
「…いたりませんで」
主上が笑う。
「浩瀚はさっき謝った。だからもういい。」
ちらりと台輔を見て、台輔がそっぽを向いた。
「…早く学んでいただきたい一心で」
意地でも謝らないのかと主上がいきり立とうとする前に、孫昭が茶菓子を置く。
「お茶飲まないなら、お茶菓子なしよ?」
慌てて、お茶を手に取る主上が気がついたように孫昭を呼んだ。
「祥瓊」
祥瓊…。祥瓊が居ずまいを正す。優雅な動作で袖を揃えて頭を下げた。
「…えーと…話は桓碓から…」
小さく頷く。
「…芳国公主…孫昭だと」
うん…と頷いて、少し苦い顔をする。
「…女史としてここにいてもらいたいんだけど…」
言葉を濁す主上に変わり、祥瓊が答えた。
「近いうちに恭にまいります」
「恭?」
思わず聞き直してしまい、失礼と口を噤む。
「…とても恥ずかしいことなんですが…」
「泥棒したことを謝ってこないといけないんです」
ポカンと口が開いた。
「…泥棒…ですか…」
そぐわぬ言葉に、繰り返す事しかできない。
「…供王の御物に手を出した。…厳しい処罰があるだろう…」
主上の口が重い。台輔も知って居るのだろう顔を伏せたまま上げなかった。
「でも、そこをちゃんとしないとね」
祥瓊が肩を落とした主上に柔らかく手を置く。ひとつひとつの動作が美しい…。そう思い、首を振った。
「…なにか…ないだろうか…」
台輔が誰に言うともなく呟く。なにか…考えろ…。なにかできないか…考えろ…。
この華を手折っては、ならない。
ただそう思った。
「…青将軍を…芳に…」
口から零れた言葉に、祥瓊が驚き、主上が身を乗り出す。
「書状を…したためましょう…。青将軍をここに」
主上が飛び出して行きそうになり、慌てて台輔が止める。自分が行くからと、書状の準備をするように言われ、主上が一瞬物凄く嫌そうな顔をして、引き締めた。
「浩瀚、わたしはこちらの手紙の書き方を知らない。教えてくれ」
わからないことを、わからないと言えるのは、強さだ。
急に動きだした部屋で、きょとんとした表情の祥瓊の肩に手を置いた。
「大丈夫です。」
根拠はなかった。でも…なにか言いたかった。力になるのであれば。
祥瓊の青い瞳が一瞬大きく揺れて…小さく頷いた。
青将軍に主上と祥瓊の書簡を持たせる。体面は、今の偽政の見聞。祥瓊によれば、既に偽王として月渓が立っているはず。それなら、新しく即位した景王が親書を出してもおかしくない。
同じ理由で、恭にも書簡を。内容は…
「よろしくって、書いたあとひたすら祥瓊を許して欲しいって書いたような気がする…」
慣れない仕事に深く疲れた主上に台輔が心配そうに顔色を伺う。実際そうだった文面に浩瀚は苦笑いした。
「明日の朝議は、少しだけ短くしましょう」
浩瀚の言葉に主上が顔を上げて…沈めた。
「いいよ…浩瀚の事だ、明後日の朝議が倍になるんだろ…」
下がっていいよ…と手を振られ、部屋を出る。結局、明日出立という日までかかってしまった。やるだけのことは…出来たか?浩瀚…
「…冢宰!」
後ろから声をかけられ振り向いた。青い髪が闇に沈む。
「明日、早いと聞きましたが…」
祥瓊は頷いた。
「ちゃんと…お礼を言ってなくて」
そう言われ…胸が軋んだ。帰ってこれないかもしれないと…胸に刻んだのだのか。
「…ありがとうございました」
深く頭を下げられ…どうしていいかわからなかった。
「…お茶を…」
口から零れた言葉に、自分でも驚いたが、祥瓊も驚いたように顔を上げる。
「…戻ったら、またお茶を淹れて頂きたい…」
なにを言っているんだ…私は…。
「…あなたのお茶は、とても美味しかったので…」
それだけ言って…口を閉じた。身を返そうとして…祥瓊が華が綻ぶように笑う。見とれて…慌てて、身を返した。
「…行って参ります」
「…息災で…戻られよ…」
返事はなかった。
祥瓊が発って、約一か月…主上と台輔と共にやはり激務が続いた。台輔に辞書を任せたぶん、冢宰が全ての書面を読み上げなくてはならない。わからない言葉を主上が書き留め、それを台輔が説明する。その時間もかかり、朝議は二倍以上の時間がかかった。
その他にも、地方の政、禁軍の整備。人が足りない…幾度も思った。信頼出来る人間が足りない。
それでも…どうにか政を回し始めて…。桓碓と共に練った禁軍の人事を主上に伝えようと私室に向かった時…声が聞こえた。
まさかと、足が早まる。
「失礼します」
急いでいる様子を作って…晴れやかに笑う華に安堵した。
極端に男が多い宮中で、祥瓊の存在は目立った。たおやかで、優しげに見えて…やはり内に抱えているものは、烈火。
天官の窃盗騒動に巻き込まれ、半裸にされたと聞いて思わず強く目を閉じた。桓碓につけた小臣が、黙っておけず噂にした。だが、それを放置したのは桓碓の罪。
噂に尾鰭がつき、噂が噂を呼ぶ。好奇の目に晒されても、祥瓊は顔を伏せなかった。
だが、桓碓の言葉に悲鳴を上げかけ、崩れかけた。とっさに身体を引き寄せ、その軽さに加減を忘れた。
だが…もういいと思った。この華を自分の物にしてしまおう。腕の中で静かに震える身体を…自分のものに。
ゆっくりと、回廊を歩く。角から誰かが出て来る度、驚いた顔をして慌てて頭を下げる。そして、寄り添うように歩く姿をこっそり見送る。
それでいい。明日にはもう噂になっている。
祥瓊が困った顔をした。宮中の噂の流れの早さを知っている。
「…これじゃぁ…」
「…支えがないと、こちらが困る」
気がつかないふりをして、苦笑いする。実際、背中は打ち身だけではなく擦り傷も出来たらしい。背中の様子を覗き込んだ祥瓊が顔を曇らす。
「血が…あとで洗わなきゃ…」
「じゃあ、台輔に会わない事を祈るしかない」
ようやく、祥瓊の顔に笑みが浮かんだ。
「嫌な顔しますよ。麒麟ですから」
「麒麟だったら、まず心配してくれると思うが…」
祥瓊が首を振る。回りを伺い、小声になった。
「冢宰のお仕事中じゃないから言いますけど…。うちの麒麟は、まず嫌な顔です」
断言されて笑う。笑って、背中が引きつれた。祥瓊が慌てる。お仕事中じゃないか…。浩瀚はふと祥瓊を見下ろした。
「祥瓊…今、お仕事中ではないから、冢宰はやめてくれ」
「でも…なんておよびすれば…」
腕を取り歩く祥瓊が考え込む。
「多分、やっぱり冢宰って呼ぶと思いますが…」
「じゃあ、浩瀚でいい」
「滅相もないっ!」
「じゃあ…間をとって浩瀚様で。」
「抵抗があります…」
「仕事中は冢宰って呼んで構わない。だが…こういう時ぐらいは浩瀚と呼んでもらいたい。祥瓊も鈴も主上の事は、陽子って呼んでる。」
むっとした顔で睨まれて、そっぽを向かれる。
「わたし、冢宰が陽子の事を主上って以外に呼んでるところ見た事ないです」
「ちゃんと、別の名で呼んでる時もある」
「え…?存じませんでした…」
真顔でびっくりされて笑う。
「なんて呼んでらっしゃるんですか?」
「じゃあ、それ教える代わりに、浩瀚様と」
しばし考えて。興味に負けたのだろう。頷いた。
「約束」
「しますから!」
「じゃあ、一回呼ぶ。」
「…浩瀚様…」
なんかずるいと言っている目を笑って、人の悪い笑みを浮かべ答えた。
「景王。」
ポカンと口を開け、次第に顔が紅くなって来る。思わず、祥瓊の腕が浩瀚の腕を強く掴んだ。
「ずるいっ!ずるいわっ!そんなの…ずるいっ!」
「ちゃんと話したからずるくない」
「ひどいわっ」
「約束」
「…ひどいわ」
真っ赤になって、視線を逸らす。
「祥瓊?」
小さく口を尖らせて。
「…いつか、仕返ししますからね…浩瀚様」
「お手柔らかに」
そう笑って…背中が吊った。思わず呻いて、祥瓊が腕に入れていた力を抜いた。
つづく
お、10いかなかった。
失礼しました。
祥瓊には、父親に可愛がられたという思いが残っていそうで。
桓碓とは、あわせきりませんでした。
ねちっこくエロにしよ。
まさか、祥瓊で序幕を2個書くとは思ってませんでしたが…
伏線は、陽子の初夜です。
きますね、乙であります。なんか毎日投下って在りえないくらいなカンジ
現実感薄くなるほど感謝であります???
誠に誠に乙であります
連日の投下GJ&感謝感激雨霰
次も楽しみに待っております
お昼休みちょい過ぎ
ふっふっふ…祥瓊再び!
あっまーっいっ!
口付けです。
あー楽しい。7落とします
この萌えラッシュは夢に違いない
きっと枕元に置いた枝のせいだ
気をつけていたつもりだった。そして、重々に鈴にも言い聞かせていた。
…いい?わたしたちは、女性なの。なるべく一人にはならないように…
「祥瓊…あのね、わたしに限って心配ないと思うけど…」
そうして、鈴はしばらく考える。
「わたしたち、陽子の友達よ?そんな事になったら陽子が許すはずがないわ」
苦笑いしか浮かばなかった。もしものことがあり、それを陽子が知ったら許さないだろう。でもその前に…絶対に自分が傷つく。そう言おうとして、虎嘯がいるから大丈夫と大きく頷かれ…溜め息をついた。
回廊を歩いていた時だった。後ろから腕を捕まれ、壁に押しつけられる。祥瓊の前に立つ二人の官。顔は知らない。
「なにか、ご用かしら」
まさか、昼間にこういうことがあるとは思っていなかった。しまったな…と頭で計算する。この先に…多分、今の時間なら陽子と台輔がいる。逃げれるか…。
「あんたが、祥瓊だよな?」
「…知らないでこんな乱暴なことをしたの?」
一人が慌てて手を振った。
「乱暴はしてないだろう。話をしようとしているだけじゃないか」
「こういう事を乱暴というのよ」
息を整える。落ち着いて…大丈夫。昼間よ。さすがにこれ以上の事には及ばないはずよ。
「…用事がないなら、どいてくれる?わたし、急いでいるの」
男共が顔を見合わせた。一人が口を開く。
「…今夜、駄目かな」
言われた意味がわからなかった。不審げに眉を潜めると、もう片方が口を開く。
「一晩幾らなんだ?」
祥瓊の腕から陽子の着替えが落ちた。頭が真っ白になる。
なんと言った…この男達は…。
茫然と立ち尽くした祥瓊に男達はもう一度顔を見合わせる。
「だって、あんただろう?金を払えば身体見せてくれるって…」
「…いろんな奴が、あんたを見たって…」
…公主だ。裸は見せ慣れたもんだろ…
ああ…ここまでひどい噂になっていたのか…。祥瓊の口元に自虐の笑みが浮かぶ。
「あなたたち…それを鵜呑みにして来たの…」
静かに言われ、男達が口を噤む。そして、祥瓊から目を逸して言い訳のように呟いた。
「そりゃ…俺達は、冢宰や青将軍ほど金持ってないし…」
「…だから、二人で折半するしか…」
なんて愚かな…。
「…ひどいことを…」
「おいっ!何をしているっ!」
ビクッと男達の身体が竦んだ。男達の顔がそちらを向き、青ざめる。
祥瓊はゆっくり顔をそちらに向けた。桓碓が厳しい顔をして足早に歩いて来る。
…ひどい…男…。
祥瓊の前から去ろうとした男達の袖を掴んだ。
「逃げなくて…いいわ」
袖を掴まれ、男達が祥瓊を見、桓碓を見る。祥瓊は桓碓が近付いて来るまで待った。
「無事か、祥瓊」
…いやな男…本当に…。祥瓊は答えず、男達に向き直った。力なく笑う。
「あのね…それ、ただの噂だから。本気にしないで?」
優しい口調で言われ、男達が目を開き、でも…というように桓碓を見る。
「青将軍にも、聞くから。」
そう断って、桓碓に視線を向ける。
「…将軍…わたしはあなたの…娼婦なの?」
「はあっ?」
度肝を抜かれた顔をして、桓碓がものすごい表情で男達を見た。
「てめぇらっ…」
胸倉を掴もうとした手を祥瓊が止めた。
「やめて桓碓。」
「なっ…だっておまえっ…」
桓碓の剣幕に、荒事に慣れてない二人は腰を抜かさんばかりになっている。祥瓊は、二人を見た。
「ただの噂を信じちゃったのよね?」
ガクガクと頷く二人にもう一度…笑った。
「わたしは、将軍や…冢宰に囲われてる娼婦じゃないし、誰にでも裸を見せる女じゃないわ」
そう言って、足元に散らばった陽子の服を拾い上げた。
「…わたしに直接聞きに来てくれてありがとう。でも、もしあなた達が祥瓊はそんな女じゃないと…みんなにはっきり言ってくれたら…わたしは嬉しいわ」
祥瓊がゆったりと笑う。男達はそれに見とれ…軽く頭を下げるとその場を走り去った。
祥瓊が歩き出す。置いていかれた桓碓が、はっとしたように祥瓊を呼んだ。
「待てよっ!祥瓊っ」
足を止めない。止められない。泣いてしまう。泣いてしまうから…だけどあの男には、泣き顔は見られたくない!こんなに傷ついたと知られたくないっ!
「待てっ!祥瓊っ!」
走り出した祥瓊に舌打ちし、桓碓は後を追った。
「…主上…」
ふと顔を上げて景麒が陽子を見た。浩瀚と書状を確認していた陽子が顔を上げる。
「どうした」
そう言う間に、駆ける足音が聞こえる。
「なんだ…」
浩瀚が立ち上がった。景麒が陽子を庇うように立つ。
「来ないでっ」
悲鳴を聞いて浩瀚が飛び出した。自分の前に立った景麒を押しのけて陽子も部屋を飛び出す。
「祥瓊っ?!」
浩瀚の後から部屋から飛び出した陽子は足を止めた。
陽子の部屋の前で、祥瓊が浩瀚の胸に顔を埋めすがりつくようにして泣いていた。浩瀚の腕が、抱き留めた勢いのまま彷徨っていたが…安心させるように、背中を抱いた。
祥瓊の後ろから、桓碓が姿を見せる。陽子のまなじりが上がった。
「桓碓っ!なにをしたっ!」
嗚咽を上げながら、祥瓊が陽子を止める。
「…待って…待って…陽子…落ち着くから…少し…待って…」
浩瀚の服に声を取られ、籠って聞こえる。
「…大丈夫か」
小さな声で聞いた浩瀚に祥瓊は小さく頷いた。
「すい…ません…」
「謝らなくていい…」
祥瓊の身体を抱き込んだまま、陽子を向く。
「主上…お部屋に」
ここで、陽子、景麒、浩瀚、桓碓が揃うと何事かと思われる。景麒が陽子の腕を取った。
「主上…」
促され、頷く。
「桓碓入れ」
声を固くしたまま、陽子が桓碓を呼んだ。三人が部屋に入り、浩瀚が詰めていた息を吐き出す。
「…ご…めんなさい」
「…謝らなくていい…」
ゆっくりと胸に押し当てられた頭を撫でる。
「…ひどいことでも言われたか?」
その言葉を聞き、大きく肩が震え…祥瓊の嗚咽の声が我慢し切れないように大きくなった。
しばらく泣きじゃくり、ようやく落ち着いた祥瓊が、軽く浩瀚の胸を押す。浩瀚は、祥瓊に回していた腕を解いた。涙で汚れた顔を覗き込まれ、祥瓊がばつが悪そうに顔を逸す。
「…見ないでください」
ひどい顔だから。
「祥瓊だから、大丈夫」
後生大事に祥瓊が抱えていた陽子の着替えの中から手拭いを取り、浩瀚はそれで祥瓊の顔を拭った。
「駄目ですっ!それ陽子のっ…」
慌てて止めようとした祥瓊の手を軽く押さえる。
「主上は、きっと気になさらない。」
そう言われ、俯く。顎に指をかけられ顔を上向かせ、浩瀚の手が優しく顔を拭った。
「…中に入れますか?」
優しく聞かれたが、祥瓊の閉じた瞼が震える。でも…小さく息を吐いて、祥瓊が呟いた。
「冢宰も…いてくれますか…」
「浩瀚と…」
こんな時に…もう…。目を閉じたまま祥瓊の唇が震え笑う形になった。
「…浩瀚…様も、いてくださいますか」
「一人にはしません」
そう呟かれ…ふわりとなにかが重なった。優しい…唇…。うっすらと目を開けると、浩瀚が慈しむように笑っていた。
「…ひどいわ…」
「ひどくない」
ひどいわ…いつも…こんなに優しい…。名残の涙が零れたのを浩瀚の指が拭う。
その指の優しさにもう一度目を閉じたら…優しい唇が瞼に落ちた。
「…もう…」
目を閉じる度、この優しい男は口付けをするかもしれない。祥瓊はゆっくりと目を開け軽く浩瀚を睨んだ。
「言いつけますよ…」
「いいですよ」
優しく笑われて、肩を抱かれた。
「中に入れますね」
今度ははっきり頷けた。
「大丈夫です」
「良い子だ」
浩瀚に背中を支えられながら、扉を開けた。
「祥瓊っ」
扉から入って来た祥瓊に陽子が走り寄る。
「なにがあった?どうした?乱暴でもされたか?」
矢継ぎ早に聞かれ桓碓が憮然と声を上げる。
「俺は追っかけて来ただけですっ!」
「お前には聞いていないっ!」
怒鳴られて桓碓が顔をしかめる。
「主上…座らせた方が…」
景麒が陽子に声をかけ、陽子がそうだな…と祥瓊の腕を取って…祥瓊がその手を優しい仕草で押さえた。
「ありがとう…陽子…」
でも…と祥瓊が浩瀚を見る。背中に浩瀚が立っている。その存在が心強かった。
「…ひどいことを…言われたって聞いた…」
手を取って陽子が祥瓊の顔を覗き込む。陽子の瞳が心配そうに歪んだ。
「陽子の耳にいれるほどの事じゃないわ…」
そう諭されるように言われ、陽子の瞳が揺れる。
「…なんで、そう言う?わたしは…祥瓊の友達じゃないのか?」
陽子の目尻に涙が浮かぶ。喜怒哀楽が激しくて、それを隠す事を知らない碧の瞳。祥瓊の後ろで浩瀚が静かに口を開いた。
「…噂だったからです…主上。」
「噂?」
陽子が浩瀚を見上げる。
「人の口には戸は立てられません。…祥瓊は、わざわざ噂を主上のお耳にいれる必要はないと、言っているのです」
浩瀚の言葉に意味がわからないという顔をする。
「…噂は…実態がありませんから…」
景麒が呟き、陽子が振り向いた。
「…女王であると言うだけで、主上もひどく言われました…」
つむじ風のようにどこかで呟かれ、また違う場所で呟かれる。そして静かに蔓延して行く…それが噂だから…。
それぞれに思いあたることがあり、陽子は頭を振った。
「でも…わたしは泣かなかった」
そう言い切り、祥瓊を覗き込む。
「祥瓊や鈴がいたから。景麒がちゃんといたから、泣かなかった…。泣くほど辛い事を、面と言われた事はなかった」
だから…
言い募ろうとした陽子の手を祥瓊は軽く握った。
「…冢宰と青将軍の娼婦だろって聞かれたの」
桓碓以外の者が息を飲む。陽子の瞳に一瞬で怒りが灯る。
「桓碓っ?!」
「だから、俺は捕まえようとしました!」
「陽子、聞いて…」
視線を合わす。静かな青い瞳に怒りで揺れてた碧の瞳がおさまって行く。
「その人達も噂を信じたの。でも…ちゃんとわたしに聞きに来たの。だから、違うと言えたの。それは、ただ噂を流す人間よりわたしは偉いと思うわ」
愚かでも…。陽子がきつく唇を噛み締めた。
「でも…ひどい…」
「ええ…わたしもそう思ったわ…」
陽子を自分に引き寄せる。額と額をつけて…陽子に桓碓の表情を見せたら…駄目。
「…公主だから、誰にでも裸を見せることに慣れているって噂が流れたの…」
静かな言葉は、部屋で小さな渦を巻き…ガタンっという椅子が倒れる音に景麒が身体を飛び上がらせた。
「…しょ…将軍…?」
机の上で震える拳と、桓碓の身体に湧いた怒りに…景麒が怯えたように一歩下がった。
「…なんだいったい…」
景麒の声に陽子が祥瓊の手を放して顔を巡らす。
「…あいつら…そう言ったのか…」
低い声で聞かれ、祥瓊はゆっくりと桓碓を見つめた。祥瓊の顔には表情がない。
「…あの人たちは、わたしがお金を出したら誰にでも裸を見せてくれるんだろうと聞いたわ。」
でも…と、言葉を切る。
「…裸を見せ慣れているという話は、わたしの耳にも届いたの」
浩瀚の手が祥瓊の肩にかかった。もう、そこまで。肩に込められた力にそう言われた気がして、祥瓊は身体から力を抜いた。
「…祥瓊?」
心配そうに陽子が祥瓊を見る。祥瓊は力なく笑った。
「冢宰にもひどい話だわ…桓碓にはその場で否定してもらったけど…わたしが、冢宰の…なんて…」
言いどもったのは何故だろう…肩に置かれた浩瀚の手にもう一度力が入る。
「浩瀚…」
陽子が心配そうに祥瓊の後ろに立つ浩瀚を見る。浩瀚は苦笑いして陽子を見た。
「たいへん、勿体ない話です」
場にそぐわない言葉に陽子が目を丸くした。
「えっ……」
「祥瓊の相手が私などと噂されれば、祥瓊が迷惑でしょう」
祥瓊がぽかんと口を開け、浩瀚を見上げる。浩瀚は、その顔を見て肩をすくめて見せた。
「噂などすぐ消えます。祥瓊は私が相手など不快に思うかも知れませんが…」
そのおどけた口調に吹き出したのは陽子だった。
「なんなら…景麒もつけるか…」
「おやめくださいっ!」
悲鳴を上げたのは、景麒と祥瓊だった。悲鳴が重なり、景麒と祥瓊がばつが悪そうに視線を合わせ、逸す。だが…陽子は、席を立ったままの桓碓に首を向けた。
「春に、風紀の乱れを取り締まる書面を出したな。あれをもう一度、回せ」
「…御意…」
桓碓が頭を下げ、部屋を出て行こうとし…祥瓊と擦れ違おうとする前に…。
浩瀚の腕が祥瓊の肩に回され、その身体を自分の方に軽く、でも確かに引いた。
一瞬桓碓の視線が浩瀚の横顔に向けられる。だが、浩瀚は前を向いたまま桓碓を見なかった。
その瞬間だけの…凍るような空気。
桓碓がなにか言おうとして…なにも言えないまま部屋を出て行った。
祥瓊は一人で戻れると陽子には言ったが、陽子は納得しなかった。景麒か浩瀚か自分が送ると言い出して、浩瀚が笑って自分がと手を上げた。
「わたしが王に部屋まで送られたら、大変だわ」
「でも、きっとやりますよ」
浩瀚が笑う。祥瓊は嫌そうな顔をした。
「そして台輔も付いて来るんですよね」
「後ろから」
想像して吹き出した。涙が出るほど笑って、あぁ、最近こんなに笑った事が無かったと気がついた。
「なんか…すっきりしました」
夏の葉が繁げりはじめた樹々を見上げて祥瓊が笑う。暗い噂に振り回されて、鬱々とし笑う事さえ忘れていたのか。足を止め、浩瀚も眩しそうに樹々を見上げた。
「夏が来ますね…」
「干ばつなどなければいいけど…」
干上がった田畑を思い、枯れた草木を思う。
「今度…雨が降ったら…」
呟くような浩瀚の言葉に、首を向ける。
「雨が降ったら?」
浩瀚がゆっくりと祥瓊に顔を向けた。
…甘い…ふと空気が動かなくなる…。祥瓊が気がついて、目元を薄く染める。浩瀚としばらく視線を絡ませ…そっと逸らせた。…ずるい…本当に…ずるい。
浩瀚の指が、祥瓊の指に触れる。触れて…確かめるように握られて…。
祥瓊はその指のされるまま、指を浩瀚に与えた。指が絡み、手の平を合わせ…手首に触れられ…祥瓊が、ゆっくりと目を閉じた。
なんて…ずるい…。指だけで…わたしを動けなくしてしまう…。
肘まで上がった手に軽く力が込められ、祥瓊の身体は促されるまま浩瀚の前に立たされた。
「…雨が降ったら…」
優しい慈雨のような言葉が耳に囁かれる。祥瓊は目を閉じ小さく震えた。
「…あなたに愛しいと伝えてもよろしいか…」
あぁ…もう…なんてずるい…。
「…ずるいわ…」
祥瓊の呟きを聞かなかったように、浩瀚の唇が形のよい祥瓊の耳を啄む。祥瓊の腕が浩瀚の胸に当てられ、軽く力を入れずに押す。
「…今は…言っていただけない…?」
上目遣いで軽く睨まれて。その艶っぽさに浩瀚は溜め息をついた。本当に…華だ…。
「…雨が降ったら…」
浩瀚の目が祥瓊の唇から動けなくなる。祥瓊が浩瀚の胸に手を置いたまま…引き寄せられるよう口付けた。
薄いが形のよい浩瀚の唇に、祥瓊の桜のような唇が重なる。
…甘い…浩瀚はくらんだように目を閉じた。浩瀚の上唇を祥瓊の唇が軽く啄み放す。浩瀚の歯が祥瓊の下唇を軽く噛む。祥瓊の唇から甘い吐息が漏れた。
「…雨の降る…日」
祥瓊が浩瀚の腕の中から見上げて、笑った。
「忘れたら…いや…」
「…忘れません」
「約束…」
ねだる仕草に…浩瀚はゆっくりと唇を与えた。
つづく
あまーーーーーーーーーい
あっまーーいっ!
楽しいっ!
たかが外れた祥瓊は、べたべたに甘くなるかも。
以前、難しいって思ったのは、多分、ここなんだと気がつきました。
あのまま桓碓とくっつけてしまったら、祥瓊は桓碓に甘えられない。
でも、祥瓊の基本はファザコン。甘えたくて仕方がないはず…。
桓碓は、お仕置されちゃいましたが。ま、学んで強くなれ。
さあ、べたべたな初夜に向かいます。
GJでございます!
初夜も期待してます!
お昼休みは
毎度でございます。
先に謝ります。
長編になりました。
最長です。でも、後半は…
しっとりと、しっぽりと、です。
11か12落とします。
陽子の初夜とはだいぶ違うのになりました。
書き手は同じなのに、自分でもびっくりです。
お楽しみくださいませ
「変だと思うの」
鈴が四阿でお茶を陽子と景麒に差し出しながら口を開く。また、始まった…。景麒がちらりと陽子を見た。陽子は、ちらりと後ろで立ったままの虎嘯を見上げた。
二人の視線の意味は、鈴をどうにかしてくれ、だ。
「変だと、思うの」
返事が無かったのが不服だったのか、鈴が言葉を区切りながら陽子に話かける。
「祥瓊が、だろ」
「そう!」
鈴の淹れたお茶が薄過ぎて、陽子は景麒の前の湯飲みを取り上げると、もう一度急須の中に茶を戻した。
「鈴、お茶が薄い」
渋い顔で不満を言うと、困ったように鈴がそっぽを向く。
「祥瓊がいないんだから、文句言わないで!」
「お茶ぐらい、ちゃんと淹れてから話せよ…」
虎嘯が渋々鈴に言う。陽子のお茶の蒸らし時間だと今度は渋くなるので見計らって、景麒がお茶を注いだ。
「悪い」
全然悪びれてない口調で礼を言い、一口含んで眉を上げる。景麒もお茶を飲んで…溜め息をついた。
「ぬるい…」
諦めたように景麒が立って、改めてお茶を淹れにいった。
「で、今度は何をしてた」
景麒が淹れたお茶を口にしながら陽子が鈴に聞く。
「…最近、よく買い物に行くの」
「それで何を買ってくるの」
「刺繍糸よ!」
あー駄目だ。なにもわからん…陽子は軽く頭を振り、机に突っ伏した。
「陽子!だって刺繍糸よっ?」
「ごめん、本当にわからない。その刺繍糸がなにを指すのかもわからないし、刺繍糸を買ってなにが変なのかもわからない」
お手上げ。話を放り出した陽子を軽く睨み、景麒に顔を向けた。
「わたしに言われて、答えがあると思うな」
先に言われ、鈴の顔が赤くなる。もうっ!と机の下でもどかしげに地団駄を踏んだ。
「虎嘯、刺繍糸ってこちらじゃなんか珍しいのか」
聞かれても虎嘯も困る。虎嘯だってさっぱりだ。
「刺繍っていや…飾りだろ?…俺には縁はないな」
虎嘯の武骨な指が針を扱う様を想像して、陽子が腹を抱えて笑った。
「…賑やかですね」
陽子の声に釣られるように、浩瀚と遠甫が現れる。
「いいところに来たな。今日のお茶の係りは鈴なんだ。鈴、太師にまずいお茶を出すなよ」
念を押され、鈴は真っ赤になって陽子の足を踏んだ。
しばし、ゆっくりお茶を楽しみ、陽子が太師に尋ねる。
「刺繍糸かの…」
しばし考えて…。さてと浩瀚を見た。
「なにか里木の時期かの」
浩瀚がそうですねと呟く。里木と言われ陽子の顔がひき締まった。
「里木に帯を結ぶ。作物も、樹々も花も…王がしなければならない祭事は山のようじゃの」
「祥瓊は、その帯を作る為に?」
「さあて…それはわからん。あの娘は暇さえあれば気持ち良さそうになにかを繕っておるからの」
昼間のわずかな日の光を惜しんで針を動かす姿はやはり皆、目にしたことがあった。
これにて一件落着とばかりに陽子が立ち上がる。その袖を鈴が掴んだ。
「今年は干ばつは来ない?」
いきなりの言葉に返事ができず、陽子は景麒を見た。景麒が多分と頷く。
「主上が玉座にいるだけで、干ばつ大雨、蝗などはだいぶましかと…」
「どうして?鈴」
袖を掴んだ鈴の手を優しく包みながら聞く。
「…祥瓊が、雨が降るかしらって心配してる」
浩瀚が立ち上がる。
「…雲の上にいると、下界で雨が降ったかどうかわかりにくいですからね…」
太師が浩瀚を連れて歩き出す。
「…いい娘じゃな」
浩瀚は小さく頭を下げた。この伯には敵わない。
「とても、気立てのよい娘です」
そう答えたら、空気のように笑われた。
ゆっくりと針を動かす。昨日、陽子に赤の花の刺繍の入った襟を渡して喜ばれた。今は鈴の白い花を刺している。本当は、別の物も刺しているけど…それを知られるのは恥ずかしかった。でも、そちらも仕上げた。
駆ける足音がする。顔を上げると鈴が駆け込んで来た。
「祥瓊っ!夕暉が来るって!」
鈴の顔が嬉しそうに綻んぶ。あら…と祥瓊は立ち上がった。
「久し振りね…元気かしら」
「元気だと思うけど…」
軽く身の回りの荷物を包む。
「祥瓊?」
「お邪魔虫は退散します」
軽くおでこをつついて、片目を閉じた。鈴の顔が赤くなり…目を伏せる。
「ありがと…」
「…よろしく伝えてね」
そう言おうとした時…鈴の後ろから少し大人の顔になった夕暉が覗いた。その肩が濡れている…。
「鈴、兄さんの洗濯物いれてくれ…雨に濡れてしまう」
慌てて鈴が飛び出して行き、軽く頭を下げた夕暉が後を追った。
雨…
とくん…と大きな音が胸の奥でした。
陽子の夕餉の準備をしていたら、陽子がいいよと笑った。
「今日、夕暉来てるんだろ?みんなでご飯食べておいで」
「じゃあ…寝台の準備までしてから…」
陽子が屈託なく笑う。
「どうせ、寝るだけだから。今日は雨だ…今夜は静かだよ…」
窓から陽子が空を見上げながら呟く。景麒を伺うと、小さく頷いた。この二人にも…静かな雨なのだろう…。祥瓊は静かに頭を下げて部屋を出た。
「主上は、夕餉か?」
出たところで、浩瀚に会った。顔が上げれない。
「…まだ…」
呟きさえ…聞き取れただろうか…。祥瓊が擦れ違う瞬間…浩瀚が呟いた。
「…私の部屋に…」
息が止まりそう…。頷く事もできず祥瓊は足早にその場を去った。
浩瀚は冢宰という立場からひとつの建物を与えられていた。理由は書庫だ。あらゆる部屋が書籍で埋まっている。
この書籍全部読んだのかしら…。不安になった。きっと全部読んだと言われたら…わたしあの人とは喋れない…。
入口を見つめ、壁に凭れて小さく息を吐く。誰かに見られるのが嫌で、入口の近くに寄れない。部屋にも入れない…迷子になった気分だった。
石造りの床に座り込み、小さな足を包んだ靴を脱ぐ。裸足の裏に石の冷たさが染みた。
夏が近いのに…雨が降ると寒い…。雲の上だからかしら…違うわ…石は温まりにくいのよ…。よく磨かれた石の目を指でなぞる。小さな時にした遊びだ。石の波紋が美しくて…波を指で伝って遊んだ。芳の国の床は白い石だった…ここは黒なのね…。
「祥瓊…」
声をかけられるまで気がつかなかった。名前を呼ばれて顔を上げて。困ったように笑う浩瀚に見とれた。
雨の中濡れて来たのか…肩が湿っている。雫がポタンと祥瓊の顔に落ち、浩瀚の指がそれを拭った。
「風邪を引く…おいで」
手を引かれ立ち上がる。手の冷たさに驚いた顔をして、祥瓊が裸足だと気がついて…抱え上げた。
「なぜ、靴を…」
抱え上げられて、祥瓊の腕が浩瀚の首に回される。
「…雨だから…」
二回背中を軽くあやされて。浩瀚は部屋に向った。
浩瀚の部屋は、殺風景だった。中央に円卓と椅子と本棚と服をしまう棚…そして寝台だけだった。
「他の部屋は書籍でいっぱいだったわ…ここだけ…淋しい…」
呟いた祥瓊に浩瀚が笑う。部屋の外にいた理由はそれかと、もう一度笑った。
「椅子に?それとも…」
選べずに祥瓊が浩瀚の肩に顔を埋めようとして、濡れている事に気がついた。
「…下ろしてください…まず…着替えなきゃ」
風邪引いちゃうわ…。一度軽く抱き締められ、下ろされた。
部屋の暖炉に火をいれる。人が心地よい室温になるまでの時間に浩瀚は一度外に出て、水を浴びて来た。白の生地の寝間着に着替えて来た浩瀚を見て…目を伏せる。
どうしよう…なにも…わからない…。
暖炉の火を掻き回す振りをして、その前に座り込む。燃える火が美しかった。
「…さっきから、ぼんやりしてる」
静かな声に振り向く。浩瀚が椅子に座って祥瓊を眺めていた。手元に白い盃が置いてある。いつの間に出したのだろう。ぼんやりとそれを見つめ…口は違う事を言っていた。
「…書籍…全部読んだんですか?」
「まさか…」
笑って、浩瀚が口を押さえた。
「仙籍がないと難しい」
それを聞いて安心した。良かった…まだ人間だったと。
「全部読んだら、遠甫になれそう…」
そういうと、浩瀚は声を立てて笑った。
「そんなに火の近くにいると、焦げてしまう」
おいで、と言われ立ち上がる。
一歩一歩考えるように近付いて…。椅子に座っている浩瀚の膝の間に立った。浩瀚が軽く腕を回す。その肩に手を置いて…。祥瓊は深い溜め息を吐いた。
「…とても…話しにくい事なの…」
秘密を打ち明けるように話されて、浩瀚が顔を上げる。
「話にくい?」
祥瓊が頷く。
「でも…話さないと…いけないのかどうかも…わからないの…」
祥瓊の心から根から困った顔を見て。浩瀚は椅子を下げ、寝台に腰掛けた。
再び、祥瓊の身体を膝の間に立たせて…。どうぞと促す。祥瓊はゆっくり考えながら、浩瀚に語りかけた。
「絶対に、恥ずかしい事じゃないの。…でも…その事を話すのは、わたしにとっては、とても恥ずかしい事なの…」
しばらく考えて…考えて…浩瀚の肩が揺れた。祥瓊から腕を放し、寝台に上がって突っ伏す。肩が震えて…そのうち身体が震え出す。
「…もうっ、冢宰っ!」
必死に言葉を綴ったのに笑われて、祥瓊は身を乗り出して浩瀚を叩こうとした。その腕を絡み取られて…。
気がついたら寝台の上で浩瀚に抱き締められていた。
「冢宰と呼んだ…」
「だって笑うからっ…」
「約束したのに…」
ずるいわ…だって…
「…あなたも…約束したわ…」
雨の日に…
そう言った…あれから…本当に雨の日が待ち遠しかった…だけど…。わたしだけかと思った…あなたは…待ち遠しかったの…?
浩瀚の唇が祥瓊の唇を啄む。
「祥瓊…さっきみたいな事は絶対に私以外の前で口にしてはいけない」
そう言われ、また啄まれる。
「…また…約束?」
「いや…お願いだ」
浩瀚の指が祥瓊の唇に触れる。
「…絶対に恥ずかしい事を…この口で恥ずかしがる祥瓊に喋らせたくなる…」
祥瓊の目が思いっきり丸くなり、顔が染まった。浩瀚を見つめていた視線が見つめる先を探して彷徨う。彷徨い疲れて…溜め息を吐いて顔を伏せた。
「…約束するわ…」
溜め息のように答えられ、浩瀚の指が良い子だというように耳に触れた。
「…話して」
しばらくためらった後…祥瓊が口を開く。
「…わたし…殿方と朝を迎えた事がないの…」
「…知ってた」
そう言われ、顔を上げる。…なんで…いつ…一瞬、将軍の顔が浮かぶ。まさか…でも…。
震え出した祥瓊の身体を宥めるように抱き締めて、その額に口付ける。
「春の始め…いや…正月の後ぐらいか…。主上と台輔が朝議を休まれた」
覚えている?と額を合わされて頷く。あの朝…朝議が開けなかった浩瀚にお茶を淹れて…香木を見せた。
「純情で…乙女だと」
瞼に口付けされ…身体の力を抜いた。
「…恥ずかしい…わたし…なんでも知ってる振りして…」
唇がわななく。陽子や鈴にお姉さんのふりをして…子供なんだからと、額を指でつついた。
「…恥ずかしい…」
本当は、鈴が一番お姉さんで…陽子に越された。でも…お姉さんでいたかったの…。
「愛しかった…」
頬で約束の言葉を零され…祥瓊の閉じた瞼から涙が伝った。
浩瀚の指が、祥瓊の髪に触れる。どうやって下ろしたらいいのかと迷う素振りをしたので、留めてあった髪留めを外した。青い髪が、火の光を浴びて…まるで朝日の上る雲海の様を呈する。
「…甘い香りがする…」
浩瀚が、髪に顔を埋めて呟く。祥瓊の指が、小さな匂袋をつついて見せた。
「…陽子の香炉の灰を貝殻にいれたの…」
二枚貝に香木の灰を入れて、零れないように布で閉じる。
「…器用だ…」
感心したように、浩瀚が祥瓊の指に唇を当てる。器用だと褒められて…嬉しかった。
祥瓊は、身体を起こし浩瀚の腕を押しとどめる。寝台から下り、ゆっくりと身に着けていた着物の帯を解いた。
浩瀚が肘をついた姿勢で、暖炉の火を背中に着物を落として行く祥瓊を見る。
青い…芍薬…いや…牡丹?
白の襦袢に浮かんだ青い華が肩から胸に走る。祥瓊が嬉しそうに、胸元を抱いた。
「雨の降る前に…って。間に合って良かった…」
胸元を抱いた祥瓊の手首に手を伸ばし寝台に引き込む強さで掻き抱いた。
「…私は…華を散らす」
浩瀚の腕の強さと言葉の強さに、祥瓊は身体を震わした。抱きすくめられ…嗚咽が上がる。身体をひどく強張らせ、震え出した様子に浩瀚が腕の中を見ると…祥瓊が手を口に当てて泣いていた。
浩瀚を見上げて許しを請うように指を合わす…。お願い…と唇が震えた。
「…この華を…裂かないで…」
胸元を守るように…ただひたすらに…許しを請う。
浩瀚は…その胸元を覆った手に自分の手を重ね…すまない…と泣きじゃくる祥瓊の頬に唇を当てた。震えながら、胸元を抱き締める祥瓊になんと言えばよいのか迷う。
許しを請うように、身体をずらし、胸元の華に唇を当てる。
「…気に入らなかったの?」
「違う…」
「…じゃあ…なんで?」
震える声に困り果てて…。その指に口付ける。
「絶対に恥ずかしくなくて、私も恥ずかしくない事を話す…」
顔が赤くなるのが止められない。でも、勘違いさせたまま泣かせるよりましだった。
「…祥瓊の初めての殿方になることを…華を散らすと言う…」
祥瓊が、勘違いに気がついたように頬を染めた。
「…ごめんなさい…」
「…いや…」
言い方が…いけなかった…。浩瀚が、一度溜め息を吐き、祥瓊の襟に手をかけた。
「…脱がせていいか?…また…着せて見せてくれ…」
また…なにかおかしい…。調子が狂い過ぎて、浩瀚は口元を押さえた。
祥瓊がいつもと勝手が違う浩瀚を驚いたように見つめ…華が零れるように笑い、浩瀚の口元に添えられた指に口付けた。
「…今度…良く見てくださいね…」
そう言って、肩から襦袢を落とす。
なにが調子が狂うのか…その仕草でわかった。
祥瓊は、幼子と大人が混在している。大人として扱うと、幼さで泣き、幼子として扱うと…零れるような華の艶を出す。
手強い…。
天井を見て、自分を取り戻すつもりだったが、するりと自分の襟元に忍び込んで来た指に諦めた。
祥瓊の指が滑るように浩瀚の胸を走る。大人の男…戦で走り回る男達を見た。傷ついた男達の看病もした。その時は…なにも感じなかった。ただ…仲間?だったから?分からぬ疑問は、しばらく考えて諦めた。
目の前の男の肌は白い。…日に焼けてないんだわ…文官だからかしら…。そう思い、首を傾げる。違うわ…陽子の方が地肌は黒い…。
指先を掬われて、浩瀚の口元に持って行かれた。
「…今…誰を考えた?」
言われて、顔を赤らめた。なんで分かるの…この人は…。
「…言わないと…」
指先に軽く歯を当てられる。慌てて、浩瀚の口に自分の唇を当てた。
「指先を噛まないで…辛いの…」
祥瓊は、指先や足先など末端が弱かった。同じ痛みでも鈴の倍じゃないかと陽子に笑われるほど、弱かった。
「…陽子の方が肌が…」
素直に白状した祥瓊に、浩瀚が笑う。そしてそのまま…
「…ぃ…や…」
祥瓊の指先を口に含んだ。辛いって言ったのに…。咥えられた右手に左手を添えて、身体を震わせる。
人差し指を軽く噛まれ、舌先でつつかれる。
「…い…や…」
やめて…と願う祥瓊を見ないふりをして口のなかで遊ぶ指を変える。
「…もぅ…やぁ…」
指股を掠められ、さすがに泣きそうになった。
「祥瓊…」
名を呼ばれ、揺れる目線を合わす。
「…辛いじゃなくて…気持ちいいと…」
意味がわからず首を傾げる。
「辛いと思ったら、良いと言って…」
今度は左手を取られる。
「良いって言ったら…止めてくれるの?」
浩瀚が試すように、左手の人差し指を歯で摘んだ。痺れる…。
「…痛い…」
そう呟くと、舌先で撫でられた。それは…祥瓊が辛そうに呟く。
「…浩瀚…許して…良いの…」
浩瀚の唇が祥瓊の左手の甲に当てられた。ほっとしたように肩の力を抜く。
そこを舌先でくすぐられ…祥瓊は息を詰め、身体をのけ反らせた。
青い髪が寝台を舞う。肌理が細かい肌は、高価な陶器のようだった。白く輝く。肩を軽く押しつけると、幼子のように身を捩った。肩から指を滑らす。
一瞬、陶器の様に固いのではないかと思った肌は、浩瀚の指を吸い沈む。その柔らかさに戸惑う。なんだ…これは…。
浩瀚は確かめるように身を屈めた。肩に口付け、首筋に唇を当てる。ビクンと祥瓊が怯える素振りをした。
「噛まないで…」
「噛まない…」
口付けて、軽く舌を滑らす。
「噛まないでね…」
繰り返す祥瓊に笑った。
「…どうして?」
祥瓊が困ったような顔をする。
「噛むんでしょう?」
「なぜ?」
答えていいのかわからない素振りをする祥瓊の耳朶に歯を当てる。噛む素振りに、祥瓊が白状する。
「…陽子…噛まれて…歯形が…」
白状した褒美に、耳朶を口に含んだ。祥瓊が鼻にかかった甘い声を上げる。
「…辛い?」
うっとりと目を閉じて、小さく首を振る。
「いい…」
素直に答えた祥瓊の腰に手を当てる。身体をずらした。
「…ん…」
身体の中心をゆっくりと唇でなぞり、なぞったあと舌先で遊ぶ。面白いように祥瓊は身体を捩らせた。そしてそのまま…
「…あっ…」
下半身に息を感じ、祥瓊は上半身を起こそうとした。
「だめ…それは…だめ…」
手の平が浩瀚の額に当てられる。
「…やめて?」
「…なら…指を噛む」
祥瓊の手が揺れた。その指先を唇で捕らえようとして、祥瓊が身体を倒して逃げる。
「…ひどい…」
「ひどくない…」
「いや…ひどい…」
指を大事そうに包みこんで、祥瓊が小さく泣いた。
「…愛しい…」
「…ずるい…」
「ずるくない…」
言葉遊びのような睦言に祥瓊から力が抜ける。
「汗が…」
うっすらと浩瀚の汗ばんだ胸元を撫で…祥瓊が笑った。視線を絡ませ艶やかに笑う。
「…喉が渇いたの…」
華が咲いた。浩瀚は苦笑いして、身体を起こした。
「…酒だが」
祥瓊が頷く。浩瀚が机に手を伸ばし、盃を手にする。そのまま飲んだのを見て、声を上げた。
「…わたしの…なのに」
言う間に、口が塞がれる。甘い…祥瓊が呟いた。
「…続ける」
目で促され、トロンとした瞳が頷く。
「噛むのは…いや…」
それだけ呟き目を閉じ身体から力を抜いた。
青い茂みを指で掻き分ける。片手を滑り込ますと、なんなく開いた。身体を入れ、唇を寄せる。甘い…浩瀚が目眩がしたように目を閉じた。
身体の中心より少し下が熱い。なんでこんなに熱いのと、身体を捩ると足の間にいる男が太股の内側の柔らかい所に歯を立てる。
…いや…噛まないって言った…。
続けていいと言った。
続けていいから…噛まないで…。
動いたら…噛むかもしれない…。
いや…動かないから噛まないで…。
くすぐられ、弄ばれ…掻き回される。
気持ち良い…。呟いたあとは、同じ言葉しか出てこなかった。
あてがわれ、貫かれる。
辛いか?と聞かれ、首を振った。
痛いけど…辛くないの…だから、やめないで…お願い…
浩瀚の肩に腕を回す。
華を…散らして…
浩瀚の喉が鳴った。
気がついた時…まだ外は暗かった。ぼんやりと暖炉で燃える炎を見つめる。
顎に手がかけられ、唇が合わさった。甘い…水…。
唇が離れるのがいやでもう少しと呟いた。しばらくして、上半身を抱えられて、水を飲まされそうになる。
違うの…唇で…
ふっと意識が戻った。
「…浩瀚…様…」
「浩瀚と」
浩瀚が水を口に含み、祥瓊に飲ます。口の端から水が零れた。
「…わたし…」
どうしたんでしょう…と言いかけて、浩瀚の肩が青いのに気がついた。
「…それ…」
「とても…繊細な針運びだと感心していた」
髪を掬われて唇に当てられる。
「祥瓊の華だ」
そう言われ、嬉しくて微笑んだ。身体を起こそうとして…身体の奥の鈍痛に呻いた。
「…なんだか…あちこち…痛い…」
泣きそうになり、浩瀚が笑う。笑い事じゃないのに…。祥瓊に恨めしげに見上げられて…浩瀚は愛しげに見下ろした。その浩瀚の片手に…煙管…?ゆっくりと紫煙が揺れる。浩瀚が、口に咥えた。
「嗜まれるんですか?」
「…良い事があったら…たまに」
浩瀚の指が祥瓊の髪を弄ぶ。
「存じませんでした…」
「…多分、遠甫しか知らない」
しばらく考えて…
「忘れてるかもしれない」
と真面目に呟いた。本当にまれに吸うのだろう。でも…。
「…階段で…」
助けてもらった時、この香りがした。もう…薄かったけれど…。
「…たまに、心がざわめいて眠れない時がある…」
紫煙を絡ませて…唇を重ねられ…
「…父が…」
呟いた。浩瀚が静かに待つ。
「…わたしが…幼い頃…窓辺で煙管を…」
雲海を見下ろしながら、立ち竦んでいるように見えた。…なにが怖いのだろうと、幼心に思った。
…怖かったのかもしれない…
いろんな事が…。
浩瀚が、頬にかかった髪を掻き揚げて、耳にかける。
「…寝なさい…明日は皆、寝坊する…」
「…だめ…皆で寝坊したら大変…」
もう半分は夢の中だ。
「浩瀚…様…雨は…」
「降ってる…」
良かった…陽子が玉座にいて…田畑が潤えばいい…。そしたら…怖くない…。
「…浩…瀚…」
「ん…。」
「…華は…綺麗に…散った?」
「…とても…艶やかに…」
そう…よかった。
祥瓊は静かに…笑った。
朝、朝議が始まる時間になっても、控えの間には景麒しかいなかった。景麒が浩瀚を見て、目を逸す。
「…怪我でもされたか…」
…鋭い…。軽く頭を下げた。
「華を手折った際に…申し訳ない」
「…今の華なら…雨が似合う華だな…」
昨日から続く雨を見ながら、景麒が呟く。
「…主上は…」
「身支度に手間取っておられる。」
ふっ…と景麒の頬に紅が走る。それだけで察した。
「…女官が…祥瓊が来なくて…」
「昨日、虎嘯の弟どのが訪ねて来たと聞きました」
頷く。咎めるつもりはないのだろう。結局、景麒は陽子が喜んで笑ってくれる事が嬉しい。
「すまない。遅れた」
勢いよく飛び込んできた赤い髪が、揺れる。
「冢宰、悪い。待たせたか」
率直に謝る陽子に頭を下げる。
「今、参りました」
「うん。台輔、すまないが…ちょっと…ここ…うまくできる?」
景麒の前に立ち、背中の襟を引っ張りあげようとする。
「鏡だと…」
「動かずに…」
景麒がちらっと浩瀚に視線を送る。気がつかない振りをして、机に書状を並べる振りをした。景麒の指が陽子の項あたりに触れ、襟を立てるようにして大丈夫でしょうと呟く。
「ん、ありがと」
髪を下ろし、景麒の肩を叩いて、何事もなかったように浩瀚に歩み寄る。
「雨は続くのか?」
「時期の長雨の走りではないかと…」
梅雨みたいな物かと考え込む。
「…だが、もし長雨なら、橋の整備と川の護岸が必要か…」
しばし考えて。
「冢宰、そういう工事に詳しい者を、一度雁に行かせろ」
「分かりました」
「…視察させて、基礎を作れば、全土で同じ道具で同じやり方で統一できる…」
「ですが…州によってはそういうのを嫌う州師も…」
土木には利権が絡む。景麒が伺うように口を挟む。
「そこを今から戦うんだろ…」
軽く爪を噛んで、陽子は目を閉じ、開いた。碧の瞳が力を増す。
「冢宰、援護頼むぞ」
低くなった声に頭を下げた。
朝議はやはり荒れた。だが、先を考えるとやはり陽子の意見が正しい。
基本は、国が行い、人夫は州が出す。どうにか体裁が整い、陽子はすぐに雁に視察に向かわせると朝議を閉めた。
「お茶を出す暇もなかったな」
視察に向かう人間を選出するために、浩瀚はそのまま部屋を出て行った。…陽子に祥瓊に渡すよう封書を託して。
「なんだと思う?」
「行儀が悪いですよ」
机の上で封書をひっくり返しては、指先でつつく。
「封はされてない…」
「主上!駄目ですよ」
そんな問答が続いて…我慢仕切れずに、陽子がそぉっとなかの紙を取り出した。甘い香りが漂う。
「…知りませんよ…」
頭を抱えながら、景麒が陽子の前にお茶を出し…その甘い香りに、目を見開いた。
「…香…?」
流れるような筆さばきで字が書き留められてる。陽子が呻いた。
「…読めない…」
だから陽子に託したのか…。悔しそうに顔をしかめる陽子から、景麒がその紙を摘み上げた。景麒がそんな行儀の悪い事に荷担するとは思わなかったので、目が丸くなる。
景麒がそれを読んで…軽く微笑んだ。
「なに?なにが書いてあるんだ?」
しばらく言い淀んで…景麒が紙を封書に戻す。
「…手折った華は美しかったと書いてあるんです」
意味がわからず、陽子が首を傾げる。景麒が小さく笑いその封書を盆に乗せ茶器の横に置いた。ここなら、祥瓊がすぐに気がつく。
「…なに、いったい」
珍しく、楽しそうな景麒に陽子が戸惑う。景麒は気に止めず、椅子に座った陽子の後ろに立った。
「景麒?」
首の後ろで髪を掻き分けられて、陽子が顔をしかめる。そこにあるのは昨夜つけられた歯の後。
「やめろ…馬鹿」
その首筋を…甘く噛まれ…。陽子の首が赤くなる。
「…怒るぞ…」
「後朝の短歌ですよ」
聞き慣れない言葉に首を傾げる。
「なんだ、それは」
歯形を指でなぞられて、陽子が手を払う。
「景麒…」
「…わたしは、歯形でしたね…」
苦笑いして。だが…やはりと感心もする。
祥瓊が宮中で暮らしていた事を踏まえたのだろう…やることが雅だ。
そして、ふと…気がついた…ということは…まさか…いや…。
祥瓊は、知らなかったのか?知らぬ間に、何故か顔が赤くなる。…なにもかも知ってるつもりで陽子を任せたこともあった…。
「…景麒…お前…外で顔洗って来いっ!」
怒鳴られた。
おわる
あーはっは…。
さて、後朝の文とは、宮中で初めて一夜を過ごした姫に男性側が、送る恋文みたいなもんです。
でも!うちの浩瀚は意地悪です。多分、祥瓊は大変でしょう。
で、多分…うちの陽子も責めだなと…。
唯一、あっさりとしちゃってるのが、鈴と夕暉か…。
一段落すみました。
この…何日間だろう…夢とうつつを漂っていた気がします。
おつきあいありがとうございました。
> ID:tdjp3J5q
すごいすごい、なんかここ何日かサイコーです〜♪
晩ご飯の時間です。
一日一作って、なにやってんだか。と苦笑いです。
陽子の時に、延麒を登場させましたので、祥瓊のときは範のお二人に登場願いました。
えーと、ちと、エロ成分筆者にしては多めです。あと長いです。なんで長くなるかな…?
成人の方だけお通りください。約11落とします。
お楽しみ下されば幸いです。
「李斎がおった処じゃな」
「お待ちください!呼びに行かせますから!」
「駄目よ。陽子はあたしとお話するのよ」
「景麒がおりますから」
「陽子…景麒とお喋りなんて、あんまり無理を言うと可哀相よ?」
背中に陽子の悲鳴と氾麟の声が心地よい。長雨を過ぎるのを待って遊びに来たのだ。
体面は、河川敷に使う工具の取り引き。その件については、すでに雁からも書状が来ていた。くれぐれも、雁経由で頼むと。知った事でない。腕利きの工具職人と乗り込んで来たのだ。これで文句はあるまい。
範国王呉藍滌は以前一時を過ごした園林を歩く。季節の長雨が過ぎ、樹々の影から出ると日差しが強い。夏が来る。
柳の枝を手折り、指先で遊ぶ。あの青い髪の娘は何をしているだろうか。範に帰っても、しばし氾麟との話題に上った。噂され、くしゃみでも出やしなかったと口元に笑みが浮かぶ。
三百年生きていると、こういう気持ちの動きがとても心地よいと知っている。国の傾かぬ範囲で首を突っ込みたくなる性分は、延王と通じる所があるかもしれない。
嫌そうな顔を思い出し、また笑った。
目の前にただ着てるだけという布が洗濯され風に舞っていた。その横の建物。
いきなり訪ねたら…どんな顔を見せてくれるか…。思わず指で遊んでいた柳を口に当て小さく笑った。
人気のない建物は静かだった。扉は風通しのためか大きく開いており…氾王は探していた女人を容易く見つけることができた。
薄暗い家の中で、窓から差し込む光に手元を翳している。優しげに微笑む唇は薄い紅を引いたようで形よく整っていた。その手に…白の襦袢がかけられ、その前見ごろに咲く青い華…。
祥瓊は、愛しげにそれを見つめていた。白い指が華を愛でる。
心に湧いた物はなんだろうか…。扉の柱に凭れかけ、しばし祥瓊に見入った。薄暗闇の中、まるで芝居の中の天仙のようで…。
美しかった。
だが…なにか…胸を刺した。なんだろうか…。
長い間に無くした感覚…。氾王は、それを探すように口に当てていた柳の枝を軽く振った。視界を柳が掠めたのだろう、ふっと表情を無くした祥瓊がなんだろうという顔で、氾王の方を向く。
あぁ…勿体ない…。そう思った。美しい物が消える瞬間。
「……っ?!」
悲鳴を上げなかったのは、大したものだった。手にしていた襦袢を固く胸に抱き込み奥に消えようとして迷う。
言葉を無くし、叩頭することもできずに。氾王を見つめる瞳は…
この表情を見たかったわけではない。
氾王は唐突にそう思った。
園林を駈けて来る気配がする。視線をやると心配そうな表情で陽子が氾麟を腕に絡ませながら走って来るのが見えた。陽子の腕に楽しそうにじゃれる氾麟は、きっと祥瓊の手にしている物を逃がさない。
「…はよ、片付け」
氾王の言葉に弾かれたように身体を震わせ、一度大きく頭を下げて奥の部屋に飛び込んで行った。
「主上!見て見て!陽子すごい!」
「氾麟…ぶらさがらないで…」
赤い髪と金髪が、緑の園林に栄える。氾王は指にしていた柳を捨て二人に向かって歩き出した。
「…延王が一括してしてくださるとの事だったので…」
改めて、お茶の時間がやりなおされた。陽子がなんとも言えない顔で氾王を見る。
「なんで、間にあの猿を入れなきゃなんないの?」
あの猿…景麒が渋い顔をした。
「…はあ…以前、延台輔が大きな物を造るのは雁が得意だと…」
陽子が氾麟に答える。
「それでも…」
氾王がぱちんと扇子を鳴らした。
「道具や工具は範が得意だと、聞いたであろうに」
はあ…と頷くしかできない。その前に、お茶が差し出され、ほっとしたように湯飲みに手を伸ばした。
「…ですが…なにも、氾王自ら…」
そう言いかけて止める。自らやってくるもう一人の王と比べられたら、柳眉が立ちそうだ。
「なんじゃ…」
流し目で見られ、陽子は小さく肩を竦めた。なにか、機嫌が悪い。来た時との機嫌が、対極している。
なんかあったのか?考えても、理由がわからない。祥瓊は部屋にいたらしく陽子が建物に着いた時、奥から飛び出して来た。
「祥瓊、またお世話お願いね」
屈託なく氾麟に微笑まれ、祥瓊はぎこちなく笑った。すまん…祥瓊…。陽子は心の中で深く頭を下げた。
薄衣の上着に手を通す。淡い新緑の色が夏らしい。
刺繍の施された帯を締め、一瞬手が止まる。
腰飾りを手にし、玉か組み紐か悩む素振りをした。
玉に決め、身体を起こす。
「お座りください」
心地よい声をかけられ、椅子に腰掛ける。白い手が、髪を梳く。
「祥瓊ってば、本当に綺麗に動くわよねぇ…」
感心したように氾麟が呟いた時、櫛が髪を引っ掛けた。
「すいませんっ」
「邪魔をするでない」
氾麟に注意し、構わぬと頷いた。氾麟が首を竦めて、氾王の足に纏わりつく。
「祥瓊、今度はあたしの髪よ」
「お待ちくださいね」
「…髪飾りしてみようかしら…」
たまに、柔らかい金髪を飾りたがる氾麟が、氾王が使う予定の簪を手にする。
「ここは慶国じゃ…国に帰ってからに」
膝に乗せられた金髪を指で遊ぶ。つまんないと唇を尖らした氾麟が顔を上げた。
「あら、耳飾り赤にしたのね」
陽子の髪みたいと笑う。
「腰飾りを玉にしたので、こちらも玉にと思って…」
氾王が頷く。細かい細工の腰飾りの玉は翡翠。耳は赤。悪くない。
「主上の悪くない、はとても良いという事よ」
氾麟が声を立てて笑った。
工具の貸出の取り引きはつつがなく進められ、この夏には範に慶の視察が執り行われる事も決まった。慶は貧しい。なにか、取っ掛かりを掴むためには陽子は貪欲だった。
明日には、帰らないといけないとなった日、ささやかな酒宴が設けられた。景麒と戯れるように、食事を摂り、珍しくお酒を口にした氾麟は、酒宴の終わりには景麒の膝の上で船を漕いでいた。
とても迷惑そうな顔を隠す事も諦めて、景麒が部屋に戻る氾王に膝から抱えて渡す。祥瓊が氾王に付き添い、氾麟を着替えさせ寝台に横たえさせた。
「失礼します」
氾王の寝室に入り、寝間着の準備をする。絹の寝間着に袖を通させ、帯を締める。足元に跪き、靴を脱がせる。
「…範に来ぬか…」
そう呟かれ、祥瓊はゆっくりと顔を上げた。
「…私がその為に来たとしたら…そなた、どうする」
青い瞳が驚いたように揺れた。
氾麟はなにかのたび、範に来いとねだった。冗談だと思いあしらい続けた。冗談のようにねだられ、冗談をと笑った。
氾王の手が、祥瓊の手を包み立たせた。その指先に触れ、眉を潜める。
「…この指は…絹の指じゃぞ?」
氾王の指先に祥瓊の指の荒れが当たり、ゆっくりと手の平を向ける。
「…守らねばならぬ指じゃ…」
指で指をなぞられ、祥瓊の手が震えた。
「物が言えなくなったかぇ?」
祥瓊の唇が震える。言葉を発して無礼にならないのか、慶にとってどう答えたら良いのか、陽子の為にどうしたらいいのか…。
動けなかった。
氾王の指が動けない祥瓊の指を撫で、手相に沿って走る。その度に祥瓊の腕が小さく跳ねた。
「指先…辛いじゃろ?」
この指は、昔柔らかい物しか触れる事を許されなかった指だと。宮中の奥で守られて来た指だと…。
「…お許し…を…」
祥瓊の震える唇が紡いだ。指を止める。もう一度、祥瓊が呟いた。
「お許し…ください」
「…呉藍滌には、心は…割けぬか?」
その言葉に、祥瓊の身体が大きく震える。一介の女史ではないと…伝えられ…氾王に捕らわれた指を絡まされる。再び唇を震わせるだけになった祥瓊の指を…氾王は自分の唇に当てた。
「…や…」
初めて祥瓊の身体が氾王から逃れようとする。だが…氾王の指は祥瓊の指を絡めただけで、祥瓊の甲に口付ける。
そして…。指先に口付けをしようとし…祥瓊は、思わずきつく目を閉じ、天井を振り仰いだ。浩瀚が脳裏に浮かぶ…浩瀚…。
強く閉じられた瞼から、涙が零れ寝台に腰掛けていた氾王の膝に水滴として落ちた。
上向いた顎に指を伸ばし、下を向けさせようと軽く指を当て…
「主上、いけないわ」
静かな声だった。いつの間に…氾王が祥瓊の後ろに立つ氾麟を見る。
「祥瓊を泣かしてはだめよ。」
氾麟の指が祥瓊の腕に絡む。氾王は、表情を無くし氾麟を見ていた。祥瓊の顎から指を引き、改めて寝台に戻る。
「…祥瓊…ごめんなさいね…」
氾麟に謝られて…ようやく祥瓊は顔を手の平に伏せ大きく被りを振った。震える肩を、氾麟が優しく慈しむ。
「なぜ…邪魔を?」
氾王が平坦な声で聞く。氾麟がゆっくりと顔を上げ…小さく笑った。
「…昔、主上はある女性に恋心を抱いたわ…でも、その女性には他に好きな方がいて…主上はとても、ご機嫌が悪くなったの」
…その事は覚えていなかったが…その時の心の痛みを感じたのかと…ようやく気がついた。あの…祥瓊が青の華を愛でるのを見て…。
「…私は間が悪いのかねぇ…」
ふうと溜め息を吐いた。
「…すまぬ、祥瓊…酒が過ぎた」
小さく首を横に振る。
「…祥瓊、明日は見送りはいらぬ。…下がれ」
頷いて、氾麟が手をとり寝室から出て行く。
寝台の上で軽く溜め息を付き、祥瓊が零した涙の染みを指でなぞった。
あの青の華を指先で愛でる先に…その男がいるのだろう。
あの美しさは…相手の事を想っての美しさなのだと…心のどこかで分かっていたのだろう。
自分には向けられる事のない…美しさ。思わず小さく笑った。恋心に気付く前に…波にさらわれた気分だった。
氾麟の手が優しく祥瓊の手を撫でる。
「…許してね?あたし達は本当に祥瓊が好きなのよ」
そう言われても返事ができない。指先を取られた時…怖かった…。
「主上も、きっと反省してるわ。だから…許して?」
「…勿体ない…お言葉で…」
他人行儀に言われ、氾麟が手を止め顔を覗き込んだ。
「…祥瓊…もう、あたしの事嫌いになる?」
そう聞かれて、首を横に振った。嫌いにはなれない…だって…。二人の支度をするのは物凄く張り合いがあったのだ。二人の間で翻弄されて、楽しかった。
「主上には、きつーいお灸を据えとくから。」
真面目に言われ、吹き出した。本当に…この可愛らしい麒麟は。ようやく笑った祥瓊にほっしたように氾麟の肩から力が抜ける。
「祥瓊の笑った顔がとても好き…」
でも…と呟く。
「…祥瓊の事が好きでたまらない人が、いるのよ」
氾麟の言葉の意味がわからず、手を引かれるまま、空いた窓からそっと外を見た。
園林の奥で佇む影。ゆっくりとその身体を紫煙が包む。
祥瓊は言葉が出なかった。驚いたように氾麟を見る。しーっと唇に可愛らしい指を当てた。
「祥瓊が夜、ここを出るのを確かめて…しばらくして、祥瓊の後を歩いて行くの。気がついてた?」
知らなかった。浩瀚は公務が激務だと聞いていたし、祥瓊自体も、氾王たちのお世話で忙殺された。擦れ違う事すら無かった。
「…あなたが心配でたまらないのね」
氾麟の言葉に…新しい涙が溢れる。
心がざわめいて、眠れない夜に…煙管をくゆらすことがある…
祥瓊は、そっと氾麟の手を取った。
「…つつがなく…。氾王にも…そうお伝えください…」
「ありがとう…祥瓊。大好きよ」
氾麟に首に抱き付かれ、そして、行ってと微笑えまれた。
宮の扉が開く。祥瓊が一礼して、下がる。静かに扉を閉め…。
ゆっくりと、浩瀚の方に顔を向けた。気がつかれたか…?紫煙の香りは薄く、漂ってもすぐに樹々の香りに隠れてしまうはずなのに。
…浩…瀚…
祥瓊の唇が名を呼んだ。その瞳から、一筋の涙が零れる。煙管の火を落とし、固く土に踏み込んだ。そのまま腰帯に差し込んで。おいでと手を差し延べる。
祥瓊がゆっくりと歩いて来て…なにかに足を取られたように身体を揺らした。その肩を抱き留めて…すがりつかれ…。祥瓊が堪え切れぬよう…囁いた。
…あなたが…好き…あなたが…好きなの…
声なならない密やかな音に…浩瀚は目を閉じた。
寝台に腰掛け、指を絡めながら唇を啄むだけの口付けを交わす。煙管の香りがする。祥瓊が軽く喘ぐように身を捩り、また浩瀚の唇を啄む。
浩瀚はされるまま口付けを許し、絡ませてた指を開かせた。祥瓊がゆっくりと手の平を浩瀚の膝に差し出すようにして置く。
啄みを止めないまま、祥瓊が既に熱がこもった息を吐いた。浩瀚の指が祥瓊の人差し指に触れる。指先で触れるか触れないかの感覚に祥瓊が小さく呻いて、唇を放した。
浩瀚が啄み始める。祥瓊の上唇を啄み、重ね、下唇を甘く噛む。
「…指を…」
祥瓊が色付いた唇で囁いた。浩瀚が啄むのをやめ、顔を上げる。
「…指を…食べて…」
震えながら差し出された指に浩瀚は口付けた。
祥瓊の身体が寝台に伸べられた。浩瀚の指が器用に袷を解いて行く。次第に締め付けがなくなる感覚に、祥瓊は顔を腕で覆い、息を吐き出した。あらわになった白い乳房が息に併せて大きく上下した。
そのまま、浩瀚が身体を伸ばし、首に顔を埋めようとして、祥瓊の手が止める。
「…いや…」
祥瓊の指が浩瀚の襟に忍び込む。
「…脱いで…」
苦笑いして、浩瀚は一度身を起こし寝台から下りた。
落とされて行く服と、次第にあらわになっていく男の裸…。
「…あまり、見るな」
祥瓊の顔に指がかけられ、視線を合わされた。浩瀚が苦笑いしている。その…唇が好き…。
祥瓊の指が唇に触れる。唇を走り、うっすらと開いた浩瀚の口に指先を少し入れて見る。浩瀚は、軽く唇で挟み、前歯で甘く噛み、舌先でつついて返した。
「…辛くないのか?」
返事をせず、今度は浩瀚の顔を引き寄せる。目を開いたまま、舌先を小さく出し、さっきの指と同じ事をした。やはり、唇で軽く挟まれ、噛まれ、舌先が触れる。
変だわ…なんか…変…。そう思った。
「…ね…なんか…変なの…」
「…変だな」
浩瀚が笑う。
「恥ずかしい事を…言う?」
小さく頷いて、祥瓊は浩瀚の耳に囁いた
…身体が…指みたいなの…
浩瀚の耳を啄む。
…わたし…変になっちゃったかも…
浩瀚の足に、自分の足を絡ませる。
…ね…指を…食べて…
浩瀚の背に腕を回して、強く抱き締めて…
祥瓊は一度小さく身体をのけ反らせた。
浩瀚の指が、確かめるように祥瓊の茂みを掻き分ける。零れるように濡れた秘部に一瞬驚いた顔をして…苦笑いした。
「…食べて…」
うわ言のように呟いた祥瓊の足が大きく開かされた。ぼんやりとそちらを見ると…、浩瀚が身体を屈めて来る。なにかが…あたる…。瞬間、見悶えた。
「…や…ひど…い」
身体にのめり込む杭に再び身体がのけ反る。…ひどい…まだ…なにもしてないのに…
ぐっ、と上から押さえ込むようにして…喘ぐ祥瓊を浩瀚は抱き締めた。
「…ひどい…わ…」
祥瓊のまなじりに涙が浮かぶ。
「…こうしてないと…飛んでいってしまいそうだ…」
「…いや…よ…動けない…」
「動かなくていい…」
熱い…と祥瓊が呟いた。無理矢理拡げられた所が熱い…。そして…固い…。
「いや…熱い…」
自然に腰が動く。浩瀚が笑う。
「…動けないんじゃないのか?」
「…動いてないわ…」
「動いてる」
嘘よ…と目を閉じ、浩瀚の背中に腕を回す。温かい…滑らかな背中に指を走らせて…脇腹に触れた。
「……っ」
耳元で浩瀚の息の詰まった声を聞いた。くすぐったそうに、祥瓊の指を払う。
再び、背中に戻して…今度は、背骨を伝ってみる。
「…祥…瓊」
浩瀚が一度身体を震わせた。震わせた感覚が祥瓊に伝わって心地よい。祥瓊が鼻から甘い息を吐いた。
「…いやよ…食べるの…」
浩瀚の耳を啄み、軽く歯を立て、口に含む。すると、仕置だと言わんばかりに、浩瀚の身体がぐっと祥瓊を突き上げる。
甘い声を上げた。
喉元に口付かれ、軽く噛まれる。そして舌先でくすぐられる。
「噛んで…」
望んだ感覚は与えられずに、祥瓊がいやいやするように身体を捩らした。すると、捩らしたことを許さないように、また、突き上げられる。
なにをしても…杭を打ち込まれるなら…
「…もっと…」
祥瓊の足が浩瀚の腰に絡まされた。祥瓊の腕が浩瀚の首に回される。
「…指を食べて欲しいんじゃないのか?」
「食べて…」
浩瀚が軽く呼吸を乱しながら囁く。うっとりと祥瓊が答えた。
「これじゃあ、食べれない」
「いやよ…食べて…」
祥瓊が再び身体をのけ反らせた。
「…落ちるわ…」
すがりついているのに…落ちる感覚が不思議で、そう呟いた。
浩瀚が祥瓊の額にかかった髪を払う仕草で、祥瓊は自分の身体が汗でうっすらと覆われている事を知った。
「…落ちない…」
「…なにか…来るのよ…」
ゆったりと、さざ波のようなものが、次第に大きくなる。堪え切れなくなりそうで、足先に力が入り、逃げようとするのに…逃げられない。逃げたくない。
「…なんか…いけないことみたい…」
呟いた祥瓊に、浩瀚が笑う。浩瀚の指が祥瓊の唇に触れた。
「…落ちそうなときは、いくと…」
眉を潜める。
「また、言葉が違うの?」
前は、辛いと言ったら、良いと言うようにと言われた。今度は…いく?…
「…どこに?」
聞かれて、困ったように浩瀚が笑う。
「…落ちそうなとき、どこに落ちそう?」
今度は、祥瓊が考え込んだ。どこに落ちそうなのかしら…。はっきりしない…でも…
「…深いところ…だと思うわ…」
浩瀚が身体を揺すった。あぁ…また…波が起こる。
「…深い所に…いくと…思えばいいの?」
「…高い所に…」
そう囁かれて、あぁと頷く。確かに…なにか上り詰める気がする。たゆたゆような波が、次第荒れる。浩瀚の顎から汗が祥瓊の胸に落ちる。浩瀚の表情は、なにかを堪えているように、険しく…息が荒い。
「…ねぇ…」
祥瓊が突き上げられ、甘い声をあげる合間に、浩瀚の顎を捕らえて聞いた。
「…あなたも…高い所に…いくの?」
浩瀚の身体が叩き付けるように祥瓊の身体を突き上げ、甘い悲鳴を上げた祥瓊の唇を乱暴な仕草で奪った。
…紫煙の香りがする…甘い…。祥瓊は身体を起こした。床におちてる襦袢を肩にかけただけで部屋を出て行く。紫煙の香りが濃い所…
建物の一画に、沐浴の為の水場があった。小さな庭石が置いてあり、そこにやはり寝間着を羽織っただけの浩瀚がいる。
そっと後ろから近付いて、咥えていた煙管を取り上げた。ゆっくり振り向く浩瀚の顎を捉え口付ける。重ねるだけ。浩瀚が、祥瓊の肩から襦袢を落とした。
「身体を洗いなさい」
言われるまま、水に足をつけ奥に向かう。その背中に浩瀚の視線が注がれる。淡い月明りの下で、祥瓊の青い髪は沈み、白い肌が燐光を伴って輝いている。
水が腰に届いたところで、祥瓊はゆっくりと身体を沈めた。
「…呉藍滌に…なにか言われたね?」
背中越しの言葉に頷く。この人には隠し事は出来ないと知っている。
「…範に来いと言われた?」
再び頷く。浩瀚はしばらくなにかを考えて…息を吐いた。
「…今夜…あの宮のそばで…祥瓊が私を呼ぶのを聞いた」
目を見開く。まさか…でも…。震える指で口を押さえる。まさか…わたし…声に出したの?
「…思わず…あの宮の扉を開けようとしてしまって…」
驚いた祥瓊が、水音を立てて振り返る。
「…氾麟が、立っておられた」
宮に飛び込もうとしてしまった浩瀚に、指を唇に当て微笑んだ。
…若いの…
そう呟かれ、下がれと言われた。いつもの所で待っておれ…と。
「…何だったのかと…」
煙管を口に咥えるのも忘れた様子で考え込む。
祥瓊は、公の場では浩瀚を冢宰と呼ぶ。それが分かっているだけにあの宮でいきなり自分の名前を呼ばれ驚いた。
だが…声は聞こえたのか響いたのか…。
「…呼んだわ…」
ゆっくりと一度息を吸って、祥瓊はとぷん…と水に潜った。
暗い水が揺れる。小さな泡が口から水面に上がって行く。青い髪が水草の様に漂い…祥瓊は身体を小さく丸めた。
音がしない世界…違う…コポコポと泡が上がる音だけ…。
水が揺れた。腕を掴まれ、身体を起こされる。導かれるまま、水面から顔を出した。
「…深い所…みたい」
呟き…なにか違うと考え込む。水の中は…目を閉じると確かに深く…でも。浩瀚に抱き上げられながら目を閉じた。
「…あなたが…好き」
額に口付けられ、言葉は届いたのだと嬉しかった。
朝議の後…陽子と景麒が氾王達の見送りをする為席を外した。控えの間で書簡を巻きながら、浩瀚は夕べの事を考える。
扉の前に立っていた氾麟…。いつもは幼さしか見せない麒麟が…怪しい女怪に見えた。怪しい…いや違う…妖艶な…だ。だから、足が動かなかった。あやかしかと思った…。
「あなた、浩瀚なのね」
急に名前を呼ばれ振り返った。扉を後ろ手に閉め氾麟が笑う。あどけなさが消え、妙に色香があった。
「…ご出立では…」
叩頭し、伺う。氾麟が笑った。
「主上のお仕度がすまないの」
祥瓊がいないから…そう言外に言われた気がするが、気にしなかった。
「夕べ、あなたが来て嬉しかったわ。」
ゆっくり、近付いてくる。浩瀚は無礼にならないよう視線をその裳裾に合わせた。
「ご無礼をいたしました…」
他国の王と麒麟がいる堂に断りもなく立ち入った事は、後から考えてみてもしてはならぬ事だった。
「好きな娘に名を呼ばれた…当たり前じゃ…」
くくっと笑い声が上がった。…やはり…祥瓊が名を呼んだのか?
「頭に響いたであろ…」
…妖術か…。浩瀚は顔を上げた。氾麟の顔つきがくるりと変わる。小さく肩を竦めてみせた。
「ちゃんと祥瓊には謝ったわ。つつがなくって言ってもらったから、もういいの」
そう鈴の音が鳴るようにわらって見せた。
「…祥瓊…女史に、なにを」
「祥瓊に、じゃないわ。主上によ」
そう言って、またくるりと表情が変わる。
「…人のものばかり好きになる。昔も今も…。」
そう呟いて、金髪を指でいじった。
「憐れでみてられぬ…だから呪いをかけた。好きになる女に想い人がいるかいないか…わらわにしか、分からぬよう」
また笑う。
「夕べは、ちと酒を飲み過ぎた。…祥瓊の悲鳴に飛び起きる始末じゃ。あの声がそなたにも聞えた。…それだけの事じゃ」
…氾麟が浩瀚を見上げる。
「…そなたで良かったと思ったのは、本当じゃ…。」
毎夜立っていた事に気付かれていたか。
「…煙管はよしたほうがよい。闇には香りは紛れぬぞ…」
再び、小さく笑い。浩瀚の手を取った。一瞬、弾こうとした腕を必死に押さえる。相手は他国の麒麟だ…。
「…若いの…」
呟かれ…気がついた時には扉が揺れていた。額に冷や汗が浮かぶ。…あれが…氾麟…。大きく息を吐き、手の甲で額を拭った。敵わぬ…。素直にそう思った。
「おまえんとこ、氾の御仁になにやったんだよ!」
氾王達が出立した二日後、物凄い面白いものを見たと言わんばかりに六太が飛び込んで来た。
「…なにも…別に」
「…てゆうか…先日帰られたばかりで…」
陽子と景麒が顔を見合わせ首をかしげる。
「その足でうちんとこ来たんだよ!」
六太が机に突っ伏して笑い出した。
「真っ直ぐ、尚隆の部屋に飛び込んで来てさ!そのまま、寝室に立てこもりやがった!」
息も絶え絶えに笑う六太に陽子が、困ったように景麒をみる。
「も、物凄い荒れ模様でさ!尚隆の寝室、破壊されつくしたぜ!」
ひぃひぃと息を切らせて笑い転げる六太が、顔を上げた。
「…なに、やった?どうやったら、あんな八つ当たりするような事あの御仁にした?氾麟に聞いても教えてくんなくてさ」
再び、突っ伏す。
「もともと汚い部屋だから問題ないわよね?だぜ?」
「…今も…雁に…?」
なにか気付かぬうちに失礼があったかと、陽子が青くなる。
「いや、部屋を破壊するだけ破壊して、暴れるだけ暴れて、しれっと邪魔したのって言い捨てて帰った」
なんだそれは…。
「なんかの八つ当たりなんだよ!だから来たんじゃないか。なにしたんだよ。教えてくれよ」
ねだる六太の声が響いた。
おわる
たゆたゆな祥瓊が書きたくて書きました。
水のなかの祥瓊や、陽子は美しかろう…と。
氾麟…すいません。ちと、酸いも甘いも知ってて使い分ける女性になってもらいました。
八つ当たりされた尚隆には悪かったと思いますが、範で、自分の自室を荒らすのは、氾王には美意識でできなかったのだろうと。高そうなものが多そうで。
100スレ以上個人で使っちゃいましたが…
ちと、エロ。
エロ。
ばっちしエロ。
どこらへんまで、ここで書いて良いのか悩んでます。
今のとこ、祥瓊の「声」がエロ段階です。
ばっちしエロも書きたいような…許されるのかというような…。
また、なにか書いたら投下します。
おやすみなさい
おやつの時間です
過去のSS読んで来ました。なんだ、まだまだエロぬるいじゃん〜と安心して、投下。
大概、現実に戻れと思ってますが、日々の仕事の合間だもんと、現実から逃げてます。
8落とします。
景麒×陽子です。やや、SMよりです。
ラブはたんまりです。
お楽しみ下されば幸いです
仏頂面の尚隆が行儀悪く机に腰をかけ、陽子を睨み付けていた。陽子は、相手にせず各地方から送られて来る作物の収穫予想を確認している。
雨は適度で、夏の日差しも農作物には良かった。このままいけば、秋にはこの冬を越すぐらいの収穫ができる。
だが…そうなれば、州師が裏で税収の絡繰りを始めるかもしれない…。指を噛んで自分の思考を巡らせていた陽子は、バンッと机を叩かれて煩そうに尚隆を見上げた。
「…叩かないでいただきたい。天板が割れたらどうするんですか」
「俺の部屋の机は、ただの木片に変わったぞ?!」
深く溜め息を吐く。書状を机に置き、指を組んで尚隆を見上げる。
「…範には、こちらからも書状を送りました。ご無礼が無かったかと。」
「そしたら?」
「なんの事か、存じぬが、とても良くして頂いたので、機会があればまた伺いたい。特に、世話をかけた女史には労いを頼む、と。」
しばし無言で睨み合う。
「…うちには、落ち度はないとおっしゃってますが…」
「じゃあ、なんだっ!俺の部屋の惨状はっ!」
「知りませんよ…」
溜め息を吐き、椅子から立ち上がる。
ようは氾王に八つ当たりされた尚隆が、腹を立てたものの氾王に直接文句を言えず、陽子に八つ当たりしているのだろう。
ようするに、とばっちり…っていうのか…。
「…範に直接…」
睨まれて、諦めたように陽子が溜め息を吐く。天敵だと言ってたな…確か。
「…だけど、本当に分からないんですよ…」
なにをそこまで八つ当たりするだけの事があったか…。尚隆がふんっと鼻を鳴らした。
「あれの気持ちが分かる者など、おるか」
複雑でややこしい。すぐ拗ねて、すぐ怒る。
尚隆は、ようやく諦めたように溜め息を吐いた。ここに来たのも八つ当たりだと知っているからだ。
「…陽子…」
お茶を淹れようとして、尚隆に背中を見せた陽子が振り向きもせずなんですかと答え…。
身体を絡め取られた。
自分より一回り大きな身体が、背中に被さり腕が陽子の身体に回る。
「…なにしてんですか…」
呆れた口調に尚隆が陽子の耳に息を吹き掛けながら囁く。
「…慰めてくれんか?」
…そう来たか…。うんざりして、手にしていた茶壺で尚隆の手を叩く。
「…わたしが本気で怒る前に離れて下さいね」
「…本気で怒ってもいい…」
あー本当に、女のあしらいがうまいな…。わけのわからない感心をしてしまい、身体の力を抜いた所を掬われた。
身体が反転し、そのまま、床に転がされる。身体を床に打ち付けずに済んだのは、尚隆の腕が優しく抱き込んだからだった。
「…本気で怒りますよ…」
碧の瞳がゆらりと揺れる。
「構わんと言った」
尚隆の口元が上がる。
「…この間のお姉さんの所行ったらどうですか」
赤い髪が床に舞う。
「国に帰ったそうだ」
陽子の肩にかかった髪を払う。顔を近付ける。
「…こういうふざけは、嫌いなんですが…」
「…でも、こういう事は、嫌いじゃないな?」
尚隆の指が陽子の首筋に触れた。そこにある…跡…。陽子の顔から表情が消えた。
「祥瓊!延王がお帰りだっ!」
隣りの部屋にいた女史が慌てたように扉を開け、…立ちすくんだ。
「…そう来るか…」
感心したように尚隆が呟く。まさか人を呼ぶとは思わなかった。
静かな怒りを孕んだ碧の瞳に苦笑いをした尚隆が映る。
「主上…どうされ…」
扉の前で固まった祥瓊を不審に思ったのか、ちょうど入って来た景麒が祥瓊の横に立ち…口を閉じた。
その声を聞いた瞬間、尚隆を睨み付けていた陽子の瞳が揺れ…一番見られたくない者に見られたという羞恥と怒りと泣きそうな表情を浮かべたのを尚隆は見逃さなかった。
景麒が一歩部屋に入ろうとして…身を翻して出て行く。そこまで確認して…尚隆は身を起こした。
「…案ずるな。陽子が茶を淹れようとして、俺に躓いただけだ」
手を差し出し、陽子を起こそうとして、陽子が握り締めていた茶壺で払われた。
祥瓊が慌てて陽子に駆け寄る。床から立ち上がろうとする陽子を見ながら、尚隆は腹癒せが収まった気分になった。
いい表情を見た。
「またな」
そう言って、陽子に向けた背中に茶壺が飛んで来て、祥瓊の悲鳴が上がった。
「冢宰っ…景麒知らないかっ?」
部屋に飛び込んで来た陽子に浩瀚が首を傾げる。
「先程…湯殿のほうに駈けて行かれたようですが…」
「ありがとっ」
既に走り出した陽子に、ですが…と言いかけた言葉を飲み込む。夏はあの湯殿を使うようにはなっていないのだが…。
今度は、陽子を追って祥瓊が走り込んで来る。
「…なにかあったのか?」
さすがに不審に思って浩瀚が尋ねる。息を切らした祥瓊が首を横に振った。
「…台輔…が、勘違いなさ…れて」
走る事があまり得意でない祥瓊は肩で息をしている。あまり見る事のない祥瓊の姿に思わず笑いながら、近くに寄れと手招いた。
事情を聞き、しばらく考えて手にしていた書簡を見直す。
「…どうしたら…いいかしら…」
心配そうに伺う祥瓊に軽く微笑む。
「台輔のご機嫌が治れば済む事。お二人の問題だから、気にしなくていい」
書簡の幾つかを、脇に置く。これは、陽子が目を通す必要があるもの。
「明日の朝議は、開けぬかもしれぬな…」
そう笑って、浩瀚は祥瓊の頭を軽く撫でた。
「景麒っ!」
まさか金波宮で追いかけっこをするはめになるとは思わず、陽子は湯殿の扉を勢いよく開けた。湯の変わりに水がはられてる浴場のちょうど真ん中あたりで濡れそぼった景麒が立っていた。
「…探したぞ…」
さすがに息が上がる。景麒は一度肩越しに陽子を見たが、すぐ視線を逸らし、水面を見た。
「…景麒、こっちに来い」
陽子が息を整えながら、浴場に足を踏み入れる。水が服に纏わりつくが構った事ではなかった。
「来い…景麒」
陽子の手が景麒の服を掴む。…景麒の身体が陽炎の様に揺らいだ。その揺らぎに見覚えがあり、陽子は思わず手にした服をきつく自分の方に引き、叫んだ。
「転変したら泣くぞっ!」
泣くぞと言う前に、既に涙が浮かんでいる。驚いたように陽子を見ていた景麒は…すとんというように、転変をやめた。
「…泣くぞ…本当に…」
ずるいと景麒が呟き、陽子の目から既に零れた涙を掬う。
「…延王にからかわれただけなんだ」
景麒の指が震える。
「言い訳じゃないぞ。お前がつけた跡をからかわれて、ああなった。…祥瓊を呼んだのに…お前が来るなんて…思わなかった!」
見られたくない者に見られた…その気持ちが一番強かった。だが…
「なんで、お前が助けに来ないっ!」
景麒の腕がきつく陽子の身体を抱き締めた。陽子の腕が景麒の背中にすがる。
「…申し訳…ない…」
震える頭を自分に押しつけるようにして謝る。
あの瞬間…身体が二つに割れるかと思った。飛び込んで行きたいと思った身体と、他国の王だと引き止めた心と。使令を使いそうになった心と、それを止めた身体と。
気がついたら、ここに居た。頭を冷やすように…。
「…殺してしまったら…どうなるかと…」
ぎょっと陽子が顔を上げる。
他国の王を殺したら…この国も…滅ぶだろう…だが…
「景麒…」
陽子の手が添えられ、視線が合わされる。泣いたからだろう、目の縁が赤い。赤い縁取りに碧の瞳が涙に濡れ、美しかった。
「…わたしが、油断してたのもある。…辛い思い…させたか?」
頬に添えられた手に顔を擦り付ける。陽子がその仕草に小さく笑った。
「…悪かった…お前の好きにしていいよ」
お前の物だからと…。陽子がゆっくりと唇を寄せた。
陽子の寝室に戻り、景麒がゆっくりと陽子の着ていた服を脱がす。水を含み張り付くように足に絡んでいた服を跪いて落とし…現れた膝に口付けた。
「…座ってもいいか?」
返事がないのを了承と得て、陽子が寝台に腰掛ける。湯殿からここまで濡れた靴を脱がされたまま抱き抱えられて来た。さすがに人目を気にしたが…誰とも会わなかったのは、祥瓊のおかげか?
「…っ…」
ふくらはぎを噛まれ、視線を向けた。景麒が睨んでいる。
「悪い…」
余所見をするなということか…。陽子の手が膝の所にある景麒の頭に触れた。
景麒が再び唇を滑らす。形よいふくらはぎを滑り、細く締まった足首を手に取り…。
「…ちょっ…まて…」
制止の声に目線だけ向ける。陽子が寝台の上で、片足を持ち上げられる姿勢にさすがに戸惑ったような表情を見せた。
「…景…麒…」
困惑した表情を確かめて、視線を逸す。好きにしていいと言ったのは陽子だ。足首を持ち上げ、唇を当てる。踝を軽く噛まれ、陽子の足が震えた。
寝台の前に跪いた景麒の手に陽子の片足が乗せられる。踝を舌でくすぐり、土踏まずの柔らかい所を甘く噛む。
陽子の指が寝台の布に皺を寄せた。こ…れは…辛い…。
「…景麒…止めろ」
景麒の息を思わぬところで感じ、思わず身を捩って手を払おうとした。
「それはっ…だめだっ」
景麒の手が陽子の足首を捕らえたまま、逃がさなかった。景麒が陽子の小さな足指先に口付ける。陽子の身体が大きく捩れた。
「やめろっ…やめっ…やめ…てっ…」
懇願が悲鳴に変わる。景麒は聞こえない振りをして、逃げようとする足首に力を入れる。人差し指に唇を寄せ、小さな爪を愛しげに舌で撫でる。指裏に歯を立て甘く噛む。指の間を舌でくすぐる。
陽子の自由になる足がもがき、景麒の肩を蹴り上げた。
「…っ…」
「…あ…」
痛みに顔をしかめた景麒を見て、陽子の方が驚いた声をあげる。
「…大人しく…してられないんですか?」
「無理っ…無理だ…景麒っ…」
「…我が儘な…」
景麒の手が床に落とされた腰紐に触れた。…好きにしていいと言ったのに…。
「…なんでそんなに嫌がる…」
「…無理…無理だよ…景麒…無理…」
泣きじゃくるようにしながらも、景麒を見つめる目を見ながら…景麒はゆっくりと身体を起こした。
「…無理は致しませぬ…」
「本当…か?」
「…好きにしていいとおっしゃったのは、主上ですよ…」
身体に被さった景麒の身体と重さと、優しい声に安心したように陽子は目を閉じた。景麒の手が陽子の片手の手首を捉える。
そこに回されるなにか冷たい物…そして、寝台に引き上げられた足首…。陽子は、目を見開いた。
「…大人しく、なさってください」
震える唇に唇を重ね…景麒はゆっくりと身体を起こした。
片膝を立たせるように寝台に上げ、その足首と伸ばされた手首に回された紐。
「…動かないでくださいね…」
「…景…麒ぃ…」
陽子の見開かれた目から涙が零れた。
「…良い子にしてたら、解いて差し上げますから…」
陽子の身体が寝台の上で捩られる。閉じられた瞼から伝う涙が寝台の布団に染みた。
幾度悲鳴を上げただろう。悲鳴を上げる度、身体のどこかに甘い痛みが走る。
噛まないでくれと何度頼んだのだろう…。頼む度、優しく唇を寄せられた。
合間に、唇から水が含まされる。…渇いた喉に甘く染みる。優しさと…甘い痛みと…繰り返される波にすでに喉は悲鳴を上げる事を止めた。
景麒が簡単に開かせた脚の付け根に身体を伏せ、唇で遊んでいる。
「…もう…いいだろ…?」
うわ言のように繰り返される言葉に、気を悪くしたよう景麒が突起に歯を立てる。陽子の身体が跳ねる。溢れた愛液はすでに布団に大きな染みを作り、その感覚も辛かった。景麒が笑う。
「…布団を換えないといけませんね…」
言うなと、陽子が顔を背ける。背けた事を許さぬように、花びらを噛んだ。陽子の身体がわななく。
面白い…そう景麒は感じていた。噛む所によって、陽子の身体は跳ねたり捩ったりする。あまり跳ねさすのも辛そうなので、優しく舌を這わせたら、甘い声を上げる。
景麒の動きに合わせて陽子が身体を捩らすのは、とても楽しかった。
己の絶対の存在が、己の思うままになる。
「…不思議なことだ…」
景麒の舌が秘壺をくすぐる。
陽子は身を捩るだけだが、そこから新たな蜜が溢れる。こんなに溢れたら…身体の水が無くなってしまう。
景麒は身体を起こすと、そばに置いておいた水差しからそのまま水を含み、陽子に口移しで含ませた。
陽子は力無く頭を落としている。のけ反った喉がゆっくりと水を嚥下した。
「…大丈夫…ですか?」
力無い様子に、景麒が心配そうに聞く。陽子がうっすらと瞼を開き、呟いた。
「…もう…いいか?」
そう聞かれ、首を傾げる。自分のなかで満足したかと言われると…まだしてないと思う部分がある。
「主上の身体は…不思議でなりません…」
そう呟き、陽子の身体を寝台に下ろした。陽子が諦めたように目を閉じ…景麒の手を取った。
「もう…動けないから…紐を解いてくれ…」
そう言えば、先程から抵抗が無かった事に気がつき、景麒が笑った。陽子の唇に了解の口付けを落とし、紐を外す。
やっと自由になった手首と足をそろそろと伸ばし、陽子は深い溜め息を吐いた。
…やってくれる…。
好きにしろとは言ったが…ここまでするとは…。
「…景麒…」
呼ばれ、景麒が身を起こし陽子を見下ろした。
「…限度を…考えろよ…」
そう呟いて、紐の跡の付いた手で、景麒のものに触れる。
景麒が触れられて、一瞬顔をしかめた。
「…動けないと…」
「…これ以上…動けない…」
指先で、景麒のを愛撫する。実際、指はようやく巡り出した血流で痺れたようになっている。
「…このまま…わたしを気絶でもさせるつもりか?」
何刻たった…?湯殿では、まだ昼過ぎだった。もう部屋を覆うのは夜の闇だ。
軽く咳き込む。喉がひりつく。悲鳴を上げすぎた。顔に髪が涙と汗で張り付き気持ちが悪かった。
「顔を拭いてくれ…気持ちが悪い」
景麒が水差しから水を自分が着ていた着物に含ませて、陽子の顔を拭った。冷たい感覚が陽子の身体に力を与える。大きく深呼吸をして、身体の強張りを解いた。
「…主上…」
ようやく、やり過ぎたかと気がついた様子で景麒が陽子を見た。
「…お前は、限度を知らんのか…」
呆れた口調に目を逸す。しかし…好きにしろと言ったのは…。
「…ちゃんと…してくれ…」
一人で落ちるのはもういいと陽子の腕がゆっくりと景麒の首に回される。
「…お前も…落ちろ」
陽子の脚が景麒の身体に絡み付いた。
陽子に触れられた事で、いきなり景麒は自分のそこに血が集まるのを感じた。
なぜ、そうすることを忘れていたのかと自分でも驚く。陽子の指が先を撫で、裏をなぞる。
「…なんで…これをくれなかった…」
陽子に睨まれて、景麒はしばらく考えて…白状した。
「…主上の身体に夢中になりすぎて…忘れてました…っ…」
言った瞬間、先端に爪を立てられ呻いた。
「…お前は…子供か…」
陽子の瞳に妖しい火が灯る。
「…このまま…終わるつもりだったのか?」
再び、指が先を柔らかく愛撫する。グッ…と太くなった肉茎に小さく陽子が笑った。
「…可哀相に…」
と、自分の指先が濡れた感覚に眉を上げる。不思議そうに、自分の指先を確かめて、再び触れた。
「…主上…」
景麒が辛そうに呻く。自分と景麒の腰の間に目をやり…陽子が顔を赤くした。
「…お前のも…濡れるのか…」
先走りが滲み、雫となり陽子の腹に落ちた。
「…このまま…してみるか…」
陽子が不思議そうに呟いたのを耳に捉え、景麒が頭を垂れた。
「…お許しください」
しばらく、陽子の指が景麒の先の滲みを拡げるようにしながら遊んでいたが…くすっと笑った。
「…来い…」
指を放して景麒の背中を抱く。ほっと身体の強張りを解き、景麒は身体を屈めた。
散々、景麒に弄ばれた陽子の花芯は喜んだように景麒のを迎える。支えもいらず、スムーズに押し込んだ時、中が一度大きくうねった。
「…しゅ…主上っ…」
思わず呻いた景麒の下で、陽子が身体を紅潮させ力を入れ捩った。きつく閉じた瞼に新しい涙が浮かぶ。身体を強張らせ、唇を噛み…しばらくして震えるように息を吐いた。
「…き…つい…」
陽子が苦しそうに呻く。
「…わたしも…辛いです」
景麒も喘いだ。柔らかく弛緩した肉襞が、思い出したかのように景麒のを絞り上げる。その度に陽子が呻いた。
「…お前…動くなっ…」
そう言われ、苦笑いした。
「…わたしは動いてはおりませんよ…」
「嘘をつく…な…あっ…また…」
景麒の腕がきつく陽子の身体を抱き締める。陽子の腰だけが捩り、景麒が笑った。
「…主上が動いてる…」
「…も…っ…お前も動けっ…」
真っ赤に染まった耳を軽く噛み、景麒は突き上げた。
奥に当たり、陽子が甘い悲鳴を上げながらのけ反る。
「…深いっ…景麒っ…深いっ…」
まるで…底が無い…。熱くて柔らかくて…景麒が喉を鳴らした。
どこまで深い…ここは…。景麒の腕が陽子の身体を掬い上げる。陽子の身体を膝に抱え上げ、落とす。
陽子が再び悲鳴を上げ、景麒の背中に爪を立てた。
「やめてっ…やめてっ…もうっいやっ…」
また落ちてしまう。落ちてしまう…。
景麒が陽子の肩に顔を伏せた。きつく吸い上げ…固く抱き締め…
「…きゃ…ああああっ…」
陽子の髪が大きく跳ねた。再び、中が景麒を締め上げる。
堪えきれず、陽子の中に精を吐き出し…景麒は陽子の肩に歯を立てた。
「…怖かった…」
青ざめた表情で祥瓊が震えていた。さすがに夕餉の時間を過ぎても現れない陽子を心配して様子を伺いに行ったのだが…。
浩瀚が苦笑いしながら、祥瓊の震える身体を膝の上であやす。祥瓊には刺激が強過ぎたかとその額に唇を寄せた。
「…なにをしてたか、覗いた?」
祥瓊が首を大きく横に振る。扉も開けれなかった。陽子の悲鳴と、なにかが寝台を打つ音と、景麒の聞いた事がない呻きと。
「…怖い…」
祥瓊は、昔車裂の拷問にかけられそうになって以来、男女の交合に急に恐怖を感じる事があった。なにかがきっかけで思い出すのだ。
浩瀚の手が宥めるように、祥瓊の手を握った。安心させる様に、力を入れる。
「きっと仲直りしてる」
「…本当?」
頷いて、祥瓊の頬に自分の頬をよせる。
「いろんな仲直りの仕方がある」
ゆっくりと祥瓊の身体から力が抜けた。すると今度は、陽子の濃厚な交合を覗いてしまった…というか、聞いてしまった事に顔が赤くなり、頭を強く振った。
「明日…どんな顔したらいいの?」
今度は、泣きそうな顔になって。浩瀚が笑った。
「なにも無かったように。祥瓊ならできる。」
目尻に浮かんだ涙を唇で拭いながら、浩瀚は大丈夫と頷いた。
「祥瓊はお姉さんだから、できる」
浩瀚の言葉に、ようやく祥瓊は小さく笑った。
おわり
えっちらおっちら。
さすがに、頭が煮えそうです。
外は雪だというのに…。
寒いですので風邪とか引かぬよう、御慈愛ください
GJ!いつもありがとうございます
ありがとうございます。
励みになるというか…楽しんでいただけたら嬉しいと素直に思います。
本当にGJをくれる方ありがとうございます。
また、なにか書いたら投下しますので、楽しみにしていただけたら、嬉しいです。
おやすみなさい
桓碓です。
浩瀚×祥瓊の際に、お仕置をしたから…そろそろ許すべきだよな…
そう思いました。
桓碓は軍育ちの故、思った事は考えずに思わず口にしてしまうだろうなと思って。
でも、何気ない一言が人を傷つける事もあるんだと。
反省してくれたらいいな。と思います。
エロはないですが、続いてる話のなかの一話なので、投下します。
3です。
725 :
桓碓 許し:2011/01/31(月) 23:01:17 ID:uY5VNqTw
夏の始め…見回りの途中に気がついたら、横に虎嘯が立っていた。しばらく何も言わず、二人で歩く。なにも言わない桓碓と、なにも言わない虎嘯…。
園林が見えて来た時、ようやく虎嘯が口を開いた。
「…なんか、あったか…」
「なぜ聞く。」
「…最近…なにかおかしいと鈴が気にしていた」
小さく笑う。でもその笑いも…自虐的だった。荒んだ雰囲気に虎嘯が苦い顔をする。
「…最近、ここらでお前を見掛けなくなったしな…」
今年の春までは、たまに遊びに来ていた。桂桂と遊び、鈴をからかい、祥瓊と笑っていた。
…繋がりが強い分…離れる事に違和感がある。それに気がついたのが鈴なのだろう。
「…忙しいだけだ」
そう言われたら虎嘯は黙るしかない。確かに将軍の立場の桓碓と、ただの一介の用心棒じゃ仕事の内容が違い過ぎる。だが…以前は、そのようなことを口にする男じゃないと知っている分…なにかがあったとわかった。そしてその事で…傷ついてる。
「…悪い…ひどいこと言ったな…」
桓碓は小さく謝罪した。構わんと虎嘯が呟く。桓碓は、なにかをやらかして…それでとても悔いてて…自己嫌悪に陥っている。
だが…それを悔いを改める方法が見つからず、闇を彷徨っているような顔をしていた。
「…なんかあったら…聞くぞ?」
桓碓は何も言わないまま…園林から身を返した。
…公主だから、裸を見せる事に慣れているという噂…
あそこにいた人間は…それを噂だと信じた。そういう風な話の流れだった。噂だから…と何度も繰り返され…
桓碓は、回廊の隅の階段で腰を下ろし、ゆっくりと頭を膝に伏せた。
もとが公主だ。裸なんか見せ慣れているだろうよ…そう言ったのは…自分だ。
そして、その噂に尾鰭が付いた。
冢宰と青将軍の囲われた娼婦
誰にでも、肌を見せる女
その噂をただ一人が、たった一人で…身に受けて…
「…っ…」
俺は、あそこまで言われないと…あの娘が傷ついた事すら気がつかなかったのか…。
ふがいなさで、落ち込む。そして、それ以来、自分が祥瓊と対峙する事も避けている。…祥瓊の自分に向けられた表情…なにもかも…知っているの…という表情で…だけど、責めなかった。それが、噂だから、だ。
そして、桓碓は黙って部屋の外に出た。自分を見なかった冢宰…。…噂の出を知っているのかもしれない。
726 :
桓碓 許し:2011/01/31(月) 23:03:08 ID:uY5VNqTw
…だけど…やはりなにも言わなかった。なにもかも…自分が居心地がよかった場所を壊してしまった気分だった。
「…桓碓?」
パタパタと走って来る音がする。軽い子供の足音。ゆっくりと顔を上げると、桂桂が珍しそうに桓碓の前に立っていた。
「…どしたの?気分悪いの?」
純粋に心配された事に、小さく笑った。あの場所に戻る事ができたら…また、なにかあったら、心からの言葉が聞けるだろうか…だが、その言葉をうけとる資格がない。そう思うと…悲しくなった。
「少し、疲れたんだ。」
「なんで?」
率直に聞かれ、言葉に詰まる。
「お仕事で?」
違うと首を振る。桂桂の小さな手が桓碓の手に伸ばされた。
「…僕は、悪い事をしたあと、鈴にみつかるまでビクビクするのに疲れちゃうことがあるんだよ」
口を尖らして桓碓に愚痴を零すその言葉に…なにかが、胸に刺さった。
「…それでどうする?」
「…一生懸命隠すから…鈴、なかなか気がつかないんだよ。でも、僕疲れちゃって…ごめんなさいっていうんだ」
「謝るのか…」
「うん。まず悪い事をしたら謝りなさいってすごく怒る。そこに虎嘯までいたら、拳骨も付くんだ。」
最近の事なのだろう。桂桂が頭をさすった。
「でも、鈴は許してくれたよ。もうしたらだめよって。」
でも…と小さくいっちょ前に肩を竦める。
「しばらく、怒ってたけどね…」
桓碓は、やはり、自分の不甲斐なさに溜め息をついた。だが…目の前の子供に聞いてみる。
「俺は、とてもひどいことをある人に言ってしまったんだ。どうしたらいいと思う?」
きょとんとして、桂桂はあっさりと答えた。
「謝らなきゃ」
桓碓は一瞬目を見張り…桂桂に深く頭を下げた。
吉量の小屋の前で祥瓊が立っていた。餌が済んだ所なのだろう。吉量が甘える仕草で、祥瓊の袖を咥えて、それを笑いながら、引き離す。
耳の鋭い吉量が桓碓に首を向けた。それに釣られるように、祥瓊が振り向き…表情が消えた。
…もう…笑ってはくれないのか…。
苦い物が上がって来るが、仕方がない。桓碓はゆっくりと小屋に近付いた。祥瓊が桶を手にして、後退る。ある程度近付いて…桓碓は息を吐いた。
「…すまなかった」
祥瓊の顔は変わらない。自分に向けられて笑った顔をなくしたのは…自分だろ?桓碓は言葉を続ける。
727 :
桓碓 許し:2011/01/31(月) 23:05:05 ID:uY5VNqTw
「…俺が、小臣達が噂するのを止めなかった」
吉量が、不思議そうに二人を交互に見る。
「…それから…お前が、公主だから…裸をみせ慣れてるって言ったのは…すまない。俺だ」
そう言って頭を下げた。
しばらく立ち尽くしていたらしい祥瓊が立ち去って行く足音がする。吉量が、祥瓊の後ろ姿を見送った。
歩く足が重い…桓碓は、吉量の小屋に近付くと腰を下ろした。吉量が軽く桓碓の肩を押す。立てた膝に頭を伏せて…。気がついたら、不思議そうに鈴が下から覗き込んでいた。
「桓碓?なにしてんの?」
「んー…鈴、俺、祥瓊に嫌われたかもしれん」
ポロリと零した桓碓の言葉に、鈴が呆れたような顔をする。
「なにしたのよ」
「…すっげぇ、ひどい事…」
呆れたように腰に手を当てて溜め息をつく。
「すぐに謝った?」
「…二か月ほどかかった」
「馬鹿ねぇ!なんですぐ謝んないの!」
叱られて首を竦める。
「悪い事をしたら、すぐ謝る!桂桂でも知ってるわよ」
…桂桂に言われて来たとなったら、さらに呆れられそうで口を噤む。
「…ちゃんと謝ったのね?」
小さく頷く。鈴はふうっと溜め息をついた。顔を差し出す吉量の額を撫でる。
「あのね、桓碓…。祥瓊はあんたを嫌う事はないわよ」
そう呟いた。
「でも、俺口きいてもらえない。」
なにより…笑ってもらえない。鈴が呆れたように桓碓を見る。
「悪い事をして、さらに二か月、ほっといて、どの口がそういうの!あんただったら、許せるっ?そういうの!」
畳み込まれるように言われて、小さくなる。言い過ぎたかと、鈴はちょっと考えて。
「…祥瓊はただ怒っているだけだと思うわよ」
そう呟いた。
「祥瓊だもん…謝った人は許すわよ…。あんたがしたひどいことは、わからないけど…謝ったのなら…ちゃんと許してくれるわ」
…まあ…しばらく時間はかかると思うけど…。それを聞いて少しだけ、なにかが肩から下りた。再び、膝に伏せた頭を、ポンポンと軽くはたかれる。
「…なんだよ」
「あ…ごめん…桂桂が謝った時、よく言えたねってこうするから…」
悪びれてない口調で言われ、桓碓の鼻の奥がツンとした。
「…桂桂並か、俺は。」
「すぐ謝れないのは桂桂以下ね」
そう言い返され、桓碓は顔を伏せたまま、肩を震わせて笑った。
おわる
728 :
桓碓 許し:
…なんとなく、ほっとしました。
桓碓のこの話を書くか書かないかで迷ってました。
書いて、ああこれで、もうしばらくしたら、あの賑やかな慶の国の人の笑い声が聞こえるかもと、嬉しくなります。
さて、今度は、祥瓊のエロ予定です。
…ん〜ハードになるかもしれません。
相手が浩瀚ですから。ねちっこく、エロします。
では、おやすみなさい。