「主席捜査官。貴方を満足させるのは難しそうですね」
「そうかな」
「そう──そう思えます」
くつくつと。
くすくすと。
笑声と、声にならない笑いが、絡まった。
容疑者宅の家宅捜査が始まったのは、午後八時。
「や。や。主任さん、ゴクローさん。待ってたよー」
「どうもどうも。それじゃ、始めますか」
青いビニールシートで隔離した一軒家へ踏み込む。
玄関先で厳徒らを出迎えたのは、微かな刺激臭だった。
「ああ。コレね」
たたきに、トイレ等で見かける緑のプラスチックボトルが転がっている。二本。
ここから液剤がこぼれたらしい。
「新しいものですね」
「みたいだね。中、見ようか」
厳徒は巴に返事しつつ、家内へ入る。玄関から真直ぐ伸びた廊下、向かって右側
に洗面所と浴室に続くドアがあり、左はリビングと台所になっているようだ。廊下
の奥には階段が見えた。
「主席捜査官、まずは何処から」
「んー。おフロかな。証言によると、腕切ったのそこで、らしいし」
その前に、と、後ろの鑑識主任へ振り返り。
「そこの血痕。反応見といて」
「あいよー」
「……血痕?」
気づいていないのは巴だけだったらしい。指差されて観察してみれば、廊下と壁に
確かに黒っぽい痕が残っていた。
「引きずったのかねえ」
「だろうね」
「相変わらず目が良いな。ガンさん、鑑識来ればよかったのに」
「ヤダなー。おだててもゴハンくらいしか出ないよ? ……ホラ、ボク、悪いヤツ
追いかけてる方が好きだから。
――トモエちゃん。おフロ行くよ」
「分かりました」
浴室は塵ひとつなく、しん、と乾いていた。
「何も、ありませんね」
巴が予想していたのとは違う。もっとこう、血の痕とか──遺体損壊の痕跡がある
かと思っていた。
ぴっと厳徒が指を挙げる。
「トモエちゃん。写真、撮っておいてよ」
示す先は──「ここにも? 玄関にもあったから──」「計四本。多いねー」
緑のボトルには、まだ中身が残っていて、一本は未開封だった。
「ちゃんと記録、取っておいてよ。ソレ、犯行現場を必死になって掃除した。証拠
インメツの動かぬ証拠、ってヤツだから」
──ぴかぴかに磨き上げられた、清潔な──偏執的にまで清潔な、浴室。
あまりにもキレイ過ぎる、空間。
その隅、に。隠すようにして。
「腕切った理由、もう教えたっけ」
「……いいえ、まだ、です」
「ここでさ。犯人、被害者を解体して捨てようとしたんだけど。まあゲンジツと
ドラマは違うからねー。草刈り用のナタを使ったけど、これがナカナカ」
「切れなかった、んですか」
巴の視界に、鈍く光るものがある。
刃物。鉈、だ。
磨いたように──掃除用の液剤でもかけたかのようにぴかぴか輝いている。
「いや。逆。よく切れたって。皮膚も肉も骨も血管も、キレーに」
キレイに、切れて。
色んなものが、飛び散って。
「もうダメだって思ったんだって。さ。これ以上出来ないって」
厳徒は笑声を洩らす。完全に、カンペキに蔑む調子だった。
「で。とにかく死体と一緒にいるのが怖くなって遠くに捨ててきて、アトは知って
の通りの隠蔽工作。と」
イヤ、ホント。
「バカバカしい」
ゆっくりと。そこに、嘲笑以外のものが混じる。
「ホントに被害者と接点がなかったのかな。あれば。“過失”じゃなくて“故意”
なら、死体損壊と遺棄と証拠隠滅と合わせて」冷え冷えとした、なにか。「死刑台
に送れるのに」
巴がひとつ、息を呑む。
「過失だと……取り調べでは、そう仰っていたと」
「飴だよ、アメ。“ツミにキビしく、ヒトにキビしく”がモットーだから。ボク」
手袋を打ち合わす乾いた音が、水気のないタイルに反響する。
「さて。トモエちゃん、次、行こうか」
巴が返答する。
そこには。確かに、なにかを決めた色があった。
──XX月XX日、二十二時八分、容疑者宅捜査、終了。
──同月翌々日、序審法廷開廷。
お疲れ様です。と。証言台から降りた男に、彼女は言った。
ご苦労サマ。と。共に仕事をした女に、彼は言った。
――判決、有罪。
意外だった。と。男が呟いて。
そうですか。と。女が返した。
「こーいうコトしない、マジメなコに見えたから。ね」
“こういう事”が何を指しているのかは明白だ。夜。ホテルの一室。肉親ではない
男女が、まだ服は身につけているものの、ベッドに並んで腰掛け、二人きり。彼らは
恋人でも夫婦でもないが、そこはそれ、よくある話。
「おめでとうございます。厳徒主席捜査官」
脈絡のない祝辞に、厳徒は手を止める。厳徒と巴、彼我の距離はほど近い。手を
伸ばさずとも彼女の襟元を玩べるくらいに。
「ああ。今日の法廷。ま、あんなモンじゃないかな」
くだんの人身事故及び死体遺棄事件の犯人は、あっさりと有罪になった。厳徒も
証言台に立ちはしたが、特に苦労をした覚えもない。
被告の自宅から発見された被害者の血液、死体損壊に使用した凶器という“証拠”。
被告本人の犯行に関する“証言”。
それら全てが彼の犯行を立証した。
何処ぞの検事ではないが、カンペキな裁判だった。
最初から結末の見えたレース。担当の弁護士は、黙ってカカシになるか、無駄と
分かって反論し検察のサンドバックになるかの二択を迫られ、殆ど泣きそうになって
いた。運が悪い、としか言いようがない。
「それもありますが」
しかし。巴は、自分の胸元で遊ぶ黒手袋を眺めつつ。
「地方警察局副局長、就任決定、おめでとうございます」
「――。耳が早いねー。正式な発表は明日なんだけど」
手袋に包まれた指が、女物のジャケットのボタンに掛かる。まだ外さない。
「ああ。だから、ボクの誘いに乗ったワケ」
返答は。
「そうです」
思わず──笑う。
「あのさー。スナオが過ぎるのもどうかと思うよ」
普通に考えれば駄目な回答だ。これから同衾する相手に、お前本人になんか興味
ない、お前の地位と権力だけが目当てだ、と宣言したに近しいのだから。
普通なら。
普通の、恋人同士なら。
「トモエちゃん、検事を目指してるんだっけ」
「はい」
「そんなに検事になりたいんだねえ」
好きでもない相手に身を任せてまで。
ボタンは、まだ、外さない。
「検事局への口利きが欲しいのではありません」
巴が、厳徒を見据える。座ってだと、二人の身長差が少しだけ緩和される。
「貴方の元で、捜査官として学ばせてください」
主席捜査官。
薄くルージュを引いた唇が。警察局上級捜査官、その中でも最も優れた捜査官に
のみ許される呼称を、紡ぐ。
「例え今検事になれたとしても、それでは私は“唯の”検事です。私はそれ以上の
検事になりたい。現場を誰よりも知り、より正しい判断の可能な検事に」
だから。
「厳徒主席捜査官。貴方の元で、最高の、捜査官としての全てを学ばせてください」
――つまりは。
厳徒の技術を、知識を、経験を、人脈を、厳徒の培ってきたモノを自分のモノに
したいと。こういうわけだ。
(ああ。いいな)
その貪欲さはキライではない。有能な人間に限るが。
「で。見返りがコレってワケ?」
「優秀な捜査官は、局に大勢います。……貴方を、慕う女性も、多いのでしょう。
けれど、優秀な捜査官且つ貴方とこういうことの出来る女性というのは、私だけだと
思います」
特に。自分に従いたがっている人間は、その目的がどうであろうと、使える限り
キライ、ではない。
厳徒は愉快さを示すように口角を上げ、巴のジャケットのボタンを外す。
ジャケットの内側で、強張る身体が微かに震えるのを感じた。彼女が慣れない台詞
で緊張していたのは明白だ。この為に何度練習したのかは──まあ別に訊かなくても
構わないだろう。
こういう努力も。ケナゲさも。
自分でやろうとはカケラも思わないが、されて気分の悪いものでもなかった。
ジャケットに続き、ブラウスのボタンをひとつふたつ外したところで、腕を細い
腰に回し拘束する。
「え、まだ……んっ」
セオリー通り、まずはキスから。唇を浅くはみ、おとがいへと移る。乱れた呼吸が
すぐ耳元で聞こえる。顔を上向かせ、顎の裏側、薄い皮膚と肉へとくちづける。日に
晒すことのない肌は、白い。顎と首の境界線に沿って、耳へ。髪から洗髪料のにおい
がした。
「あの、ちょっとっ」
腕の中、巴がちいさく身をよじる。
羞恥というより、座ったまま腰をひねるという体勢を取らせたことへの抗議が多分
にある。
「どうしたのかな。もう横になる?」
「そうじゃなくて、いえ、そうではなくて! 服、を、まだ」
服。着けたままだ。
巴は申し訳程度に上着を綻ばせただけだし、厳徒に至ってはタイを緩めただけ。
一切脱いでいない。
「トモエちゃんはせっかちだなー」
「そういう問題では……!」
これはこれで楽しいんだけど、などと言いつつ、巴のブラウスを軽くはだける。
ボタンの外された箇所から下着らしきレースが覗く。落ち着いた色合いだった。
指をひっかけるようにして押し込むと、手袋越しにまだやわらかい突起に触れる。
巴の肩がひくんっと跳ねる。
押し潰すように指を乳首の下に移動させ、指先で、持ち上げる。感触が、手袋越し
でも分かるくらいに変化する。
告げるまでもなく。巴も、自身の変化に気づいている。俯いた頬が朱い。上半身
を支えるためベッドに突いた手が、強くシーツを握りしめていた。
「服、を」
囁きは上擦っていた。緊張と興奮が半々──いや、七三か。
「まさか、着けたまま、とかでは」
「あ。そっちのが好き?」
思いっきり否定される。「シワになりますし」
「そっか。ボクはキライじゃないけどね。ま、最終的には脱ぐけど。脱がなきゃ
デキないし」
手を離す。と、巴は素早く襟をかき合せた。そして上目遣いに探ってくる。
何が原因かは分かる。
見た目からして予想はしていたし、怜悧な彼女のイメージにも合ってはいるが、
ふくらみは少々控えめだった。ない、と正面切って言えば文句が出るが、ある、と
言うと完全にウソになる。そんな半端な具合だった。
厳徒にとっても残念なことではあったが、そこらへんは腹にしまっておく。
まだ時期尚早だ。
厳徒はわざとらしく咳払いをし。
「トモエちゃん。自分で脱ぐ? ボクが脱がす?」
「っ、そんな、自分で」
そこで巴はひた、と口を噤み、
「――どちらが宜しいでしょうか」
生真面目な口調で問いかけてきた。間があったのは、やはり恥ずかしいからだろう。
目が泳いでいる。
巴はこの行為を“見返り”と呼んだ。
厳徒からそれ相応の対価を得るための布石だと。
だから、厳徒の嗜好になるべく合わせて動こうとの心積もり、なのだろう。
思惑に厳徒が気づかぬはずもなく。
「あ。リクエストしてもいいの? じゃあさ」「申し訳ありません自分で脱ぎます」
くっくっ、と、噛み殺したはずの笑いが洩れる。
「やだなー。ナニ想像したの」
巴は答えず、厳徒のやたらめったら朗らかなツラを流し見、
「なにも」
礼儀正しく背中を向ける。ジャケットから腕が抜かれ、ブラウス生地が晒される。
汗で僅かに湿り気を帯び、その下の肩甲骨と背骨のラインを浮き立たせていた。
「貴方は脱がないのですか」
背中越しの問い。
「脱ぐよ」
少しずつ露わになる肌。
やわらかな室内灯に照らされたそれは、ほの赤く色づいている。
そんなものが、無防備にも、手の届く範囲にあったものだから。つい。
「――っ」
背が仰け反り、長い髪が揺れる。
慌てて振り向いた顔は今度こそ咎めだてするもので、逆立てた柳眉がなかなかに
色っぽい。
「あ。いーよ。続けて」
背筋をなぞって邪魔した当人は悪びれた風もなく手袋付きの手をひらひらさせる。
その笑顔が余計に警戒心を煽ったらしく、「おやおや」巴はベッドの端にまで移動
してしまった。
ここまでされると流石にちょっかいはかけられない。
厳徒はあっさり諦め、手袋のホックを外した。
確認して判った。
宝月巴は経験が薄い。
例えば。先程の悪戯に対する反応とか。
「ん…ふっ、……っ」キスの際、相手の舌の動きを必死でトレースしようとして息を
詰まらせるところとか。
「……っは! 、っ」溜まった唾液を零してしまい「あ、ごめんなさ……けほっ」
うろたえる様子だとか。
「……」ひとつシーツを共有する厳徒の身体──特に下の方から意識して目を逸らす
仕草、だとか。
仰向けになった巴へ、厳徒が覆いかぶさってきたとき、覚悟を決めるように強く
目を瞑るさまだとか──喉元のくぼみにキスされて、驚き目を開けるところとか。
「あれ。イキナリ挿れると思ったの」
酷いな、信用してよと厳徒は笑う。
「だってさ。ホラ」
白い肢体がいちど跳ね、当人の意志の力で抑え込まれる。
足の付け根、翳りの奥へと無遠慮に差し込まれた指から逃げるまい、と、躍起に
なっている。
「――濡れてないし。ね」
微かな湿り気しか感じられないソコを、中指一本でなぞる。刺激に応え熱い体液
がじわりと染み出してきたが、まだだ。愉しむにはまだ足りない。
再び鎖骨の中間へと口づけて、今度は触れるだけでなく、舐める。汗の味。厳徒
の下で、女の身体が震えた。
ゆっくりと、身体の中心線に沿って舌を這わす。女の息遣いに時折くすぐったい
感じが混じるのは、触れる顎鬚のせいだろう。構わず唾液をすりつける。肋の感触。
胸と、ささやかな谷間。引き締まった、けれど線が浮くほどではない腹筋。臍。舌先
をねじりこむと、微かな悲鳴と共に腹がのたうった。
皮膚の特に薄い場所をまさぐられるのは、快感には程遠い感覚だろう。
だが。
指が。潤いの足りない場所をかきわける。さっきとは打って変わって、丁寧に浅い
部分を刺激し、僅かな体液を絡め取り、擦りつける。
その指を、熱と量を増した蜜が濡らす。
不快感と、確かな快さ。巴の身体はどちらの感覚を優先するかの選択を迫られ、
後者を選んだらしい。
押し殺した甘ったるい呼吸。
指を進ませる。ぐずるような抵抗。御当人は息を詰めて受け入れようとしている
のだが、経験の薄い身体はそう簡単にいかないようだ。
それでもナカで指を折り曲げひっかくと腰がびくんと跳ねた。上から押さえて、
今度は指の腹でその場所を擦る。微かな、堪えた喘ぎ。ようやっと解れたやわらかい
肉と、節くれだちカタい指の隙間を、ねっとりした熱い粘液が埋めてゆく。
声は殺したままだ。
厳徒がくちづけ舌でかきまわした時も、巴は堪え切った。
汗に濡れた腹。身体の中心線上にある、かたちの良いへそ。脚を押さえて動けなく
したところで思うさま舐る。
「……っ!」
信じられない、と、声ならぬ声がした。
信じられないのはどちらだろう。こんなワケの分からない場所へ愛撫を加えている
厳徒か。薄すぎる皮膚を越してダイレクトに内臓をかきまわされている不快感を、
怖気立つような快感に捉えてしまう巴自身か。
指で今度は間違いなく内側から刺激すると、押さえた脚が引きつるのが伝わる。
ついでに色づき始めた肉芽にとろとろの襞からすくいあげた蜜を塗りつけてやる。
と、大きく背が反って、ぱたんとベッドに落ちる。息が荒い。
素直な反応だった。
余程のことがない限り、厳徒のやることを全て受け入れる心積もりなのだろう。
ここまで目立った抵抗はない。従順な態度だ。ちょっと面白くないくらいに。
――まあ、いいか。というのが結論だった。
突っ込んで楽しめる程度には持っていけたのだから、まあまあと評価すべきだ。
膝を割り、太腿の裏に手を当て大きく開かせる。濡れた場所が晒される格好にする。
巴が眉根を寄せるのが見えた。
震えている。
それが羞恥心から来たものだとは知っていたが、
「あ。ダイジョーブだよ。ゴム、着けたから」
わざと無視する。
これからやるコトを告げる。
巴は少しだけ口許を震わせて、シーツに長い髪を散らすように首肯した。
それでも、恐いものみたさか、きちんと避妊具を付けているのか確認するためか、
巴は肘をついて上体を起こし。
視線が、じろじろ見ない程度に胸板を、腹を、辿り。「ふえ?!」
――。
――なんだ。今の音。というか声。ドコから出た。むしろダレが出した。考える
までもない。現在此処には二人の人物しかおらず、片方はひっくり返ってもそんな
声は出せないのだから。つまり。犯人は。
男の下半身に目をやった瞬間頓狂な悲鳴を上げて慌てて口を手で塞いで真っ赤に
なって視線を泳がせている、この。
「いえ! 今のはちょっとした、そんな、おかしい、とかじゃなく!」
しかも何やら言い訳を始めた。
「体格を考れば当然だし、いえですし、だから、ですからちょっと驚いただけで」
厳徒は。
自分の下にある、知り合って一週間足らずでこんなことになった女を、非常に奇妙
な心地で眺めていた。
不退転の表情。証拠品を真直ぐに見る、蒼褪めた横顔。“トリヒキ”を持ちかける
一種ふてぶてしい態度。
それらと、今の彼女とが乖離しなかったのは、あの姿を見ていたからだ。
不安そうに爪を噛む、おギョウギの悪い、幼い仕草。
「わ、笑わないでくださいっ」
馬鹿にされていると思ったのか、巴が抗議してくる。目尻にうっすら涙が滲む。
「してない。してない」
「だって、──っ」
避妊具をつけた先端で入り口をなぞると、口は喘ぎを抑えるために閉じられる。
茂みの奥は、上の口とは逆に、押しつけられたモノの大きさを左程恐がってはいない
様子だった。とろとろ涎を零してねだるようにひくついている。
そこに。
一気に、いれた。細い腰が逃げないように、掴んで。苦しげな悲鳴が上がるより、
早く。
白い喉から息が洩れる。吐いたはいいがうまく吸えずにがくがくと震えている。
「ヘーキでしょ? ゼンブ、入ったし」
囁くと、ケーキ屋のマスコットみたいに首を上下に振る。
これ以上醜態は晒せない、と、全身でつっぱっていた。
引いて、再度押し込む。狭い場所は何処でどう動いても絡んで締めつけてきて、
快感を与えてくる。興奮のまま叩きつければそう遠くない内に射精に持っていける、
のだが。
予想通り、というか思惑通りに動き過ぎるのは、却って退屈なものだ。
男根を奥まで進め、更に細い裸身へと覆い被さる。元から大したものではなかった
互いの距離は、ゼロへ近づく。体重を掛けられ──完全に潰さないよう調整はして
いる。念の為──巴の顔が苦しげに歪み。
「トモエちゃん」
そこに。
囁く。
「かわいい」
「――──?!」
囁いた側が驚くほど、反応は大きかった。
「な」
目を見開き、必死で囁かれた形容詞の意味を咀嚼し。
「や──止めてください!」
思いっきり、嫌がっていた。首を捻じ曲げ、しかめた眉だとか、食いしばる歯だ
とかを隠そうと躍起になっている。
見える範囲は。
見えない箇所、繋がった部位も、反応を返してきていた。表情よりも、尚激しく。
びくっと震え、今までに増して締めつける。ナカのモノにたっぷり体液を垂らし、
奥へと誘うように蠕動する。
「何? ――嬉しい? 『可愛い』って誉められるの、スキ?」
「嬉しくない、ですっ。馬鹿に──」
「そっかなあ」
快い場所から一旦引き抜く。裏筋を名残り惜しげになぜる感触に、ぞくぞくする。
亀頭が抜けきる前に止めて、前に、進める。
白い喉が反る。滑らかなそこから汗が伝い落ちた。涎かもしれなかったが、判別は
出来なかった。
「こっちは」
悦んでるみたいだけど、と続けようとして。
観察。
止める。
これ以上は、まずい。
――どうやら此処まで。
言葉で甚振られることに慣れていないのだろう。言葉で快感が得られることもまだ
知らない。震えて、怯えて、ごっちゃになった嫌悪と悦楽のどっちを優先すればいい
のかすら分かっていない。
まあ、いい。
“今”はそれでいい。
晒す喉にキスする。細い身体の内と外がひくつく。まだこういう浅い刺激の方が
反応し易いらしい。
もしくは。もっと直接的で、激しいヤツとか。
甘ったるく掠れた悲鳴が上がる。まだ、嬌声と呼ぶには物足りない。
引いて、叩きつける。硬いものを抜かれてさざめくソコへ、強くねじこむ。きつく
拡げられ、それでもぎゅうぎゅうと絡んでくる襞は、離すまいと包んでくる肉は、
ゴム越しだろうと充分心地好い。
限界を感じ、最後、深いところに亀頭を思い切り擦りつける。
「――、――」
声になる寸前の吐息は、鋭く、細かった。
下になった女の身体がぎゅうっと硬直し、同時にナカも男根に沿って絞られる。
絶妙の刺激による吐精は、ひどく、満足のいくものとなった。
宿泊はせず帰宅する、と言う巴を送り出し、厳徒はひとりほくそ笑む。
最後で趣味に走ってしまった感はあるが、印象付け自体はまあまあの出来だった。
初回はあんなものだろう。下手に痛がらせるのは得策ではない。これからも関係を
続けるのであれば、徐々に慣らしていくべきだ。身体も、心も。
もう少し馴らして──“信頼関係”を築いていって。遊びを入れるのはそれから
でも遅くない。
何事も徹底的に。
叩く時は、完膚なきまでに。
そして。
餌を与える時は、たっぷりと。
馴らす。
飼い馴らす。
彼女は面白いことを言っていた。
『検事になりたい』
捜査官としての経験と実績と、警察局との繋がりを持った検事になりたい、と。
(それは思いつかなかった)
警察局の人間が、検事に転向するなどと。
ひどく、愉快な考えが浮かんだ。
厳徒海慈。次期警察局副局長である自分は今でも検事局に太い人脈を作っている。
しかし、もしも“頼みごとの出来る相手”ではなく“自分の手足となって働く人間”
を検事局のトップに置けたなら?
それは、厳徒が警察局と検事局を牛耳る──ということにならないだろうか。
「ああ。楽しいな、それ」
警察局長がゴールなのだと思っていた。
けれど、その先が。
まだ上が。
──それは、今は単なる妄想に過ぎない。
まだ局長にもなっていない男が、唯の捜査官の女を手に入れて見る夢に過ぎない。
今は、まだ。
彼は自分の年齢を考える。
六十歳。還暦だ。
本来ならばもう捜査官として現場に出る年齢ではない。後進にアトを任せて退職
するか、後進をまとめる役職についているべき齢だった。
「や。や。チョーさんじゃない! どうよ。最近、泳いでる?」
「お。これは厳徒副局長、警察局副局長就任、おめでとうございます。いや、最近
ヒマがなくて……」
「ダメだよー。ヒマは見つけるモノじゃなくて、作るモノだよ。今度、いつものアレ、
どうかな」
「ほ。ほ。アレですな」
顔見知りの裁判官と挨拶を交わす。
他人が彼を呼ぶ際の肩書きは“地方警察局副局長”だ。
その呼称に付随する意味をひとことで述べるのは難しいが、とりあえずこれだけ
言っておけばいいだろう。
この国の司法のトップに、とてもとても近い席、と。
彼──厳徒海慈は心の底から嬉しげな笑みを洩らす。
彼は、間に合ったのだ。
裁判官との会話を終え、別れの挨拶を交わす。
今日は地方警察局の新局長及び新副局長の就任式だ。警察局のみならず検事局、
裁判所の人間も数多く出席している。挨拶をしなければならない人間は山ほど居る。
厳徒海慈。
彼のように、副局長の更に先──警察局長を狙う者には、特に。
ひととおりの挨拶──新局長も含めて──を終えた厳徒に、控え目に声を掛けて
きた人間がいる。
「副局長ご就任、おめでとうございます」
丁寧に頭を下げるのは宝月巴だ。
「や。わざわざアリガト。……局長さんへは、もうアイサツした?」
「いいえ。先に厳徒主席捜査官に、と思ったので」
世辞であっても、これは中々に宜しかった。
しかし。「“主席捜査官”って。ホラ、せっかく副局長になったんだから、そっち
で呼んで欲しいな」
冗談めかした台詞に、巴は静かに微笑んだ。
「これからも捜査に関わられるのですよね」
「まあね」
「ならば貴方は、貴方が現場に立ち続ける限り、“主席”捜査官です」
――本心からなら面映ゆく、世辞とすればこれほど出来たものもない、カンペキ
な殺し文句。
「それに」
巴は。
彼女は。
白く端正な口許を薄く微笑ませて。
「“副”の肩書きを、そう長くはつけておかない心算だろうと、そう考えています」
澄ましたツラで、直ぐに変わるなら、呼び方を替えるのはそれからでも遅くない
でしょう──ときた。
この、コムスメ。
今のは最高のタイミングだった。貴方の元で学びたい云々といい、ベッドの外なら
こんなにも上手く男を転がせるのか。
「トモエちゃん。キミ、いっそのこと検事局長目指す? ボクが警察局長で、キミが
検事局長。二人で法曹界、牛耳ろうか」
巴は厳徒の台詞を冗談と受け取ったらしく、返答を避けちいさく笑う。
そして二人は同時に視線を移す。就任式会場、そこに集まる人の群れ、共闘し、
利用し、時に利用され、或いは蹴落とさねばならない面々を。
二人は肩を並べ、見ていた。
この時は。
この瞬間だけは、同じものを見ていると。そう思ったのだ。
646 :
厳徒×巴:2009/10/01(木) 19:42:50 ID:kHvP9/58
終わり。長々とスマンかった。
ストック尽きたんで茜モノを正座で待つ作業に戻る
乙乙
ゆっくり読ませてもらいまっさー
リアルタイム遭遇
刑事ドラマ好きにはツボすぎる物語だった
おもしろかったよー。GJ!
649 :
名無しさん@ピンキー:2009/10/02(金) 00:22:15 ID:Moji7sUy
うぉぉ、超好みです・・・・今日はよき日になった・・・
局長腹黒過ぎだろw 大作乙
おもしろかったー。乙でした。
さーちの新着サイトの中の人かな?応援してます
そういや上にあった巴と茜とガントで3Pを考えてみたんだが。
ガントがすっげえイイ笑顔して、
「妹ちゃんの初めてだけど。ボクがやるのを見てるのと、ジブンでやるのと
どっちがいい?」
とか言って巴にえげつねえ道具渡す。
↓
泣く泣く自分で茜を犯すことを決めた巴なんだが、
「あ。トモエちゃん、使い方、分かんないでしょ」
「妹ちゃんに使う前に自分で試しておきなよ。ここで。今すぐ」
「大事な妹ちゃんにイタい思い、させたくないでしょ?」
そんなこんなで巴さん強制自慰(道具使用)
という電波を受信したんだが、3Pにならなかった。
男1女2でプレイって難しいな
651のせいで二度と書いてもらえないかもしれないんだぞ
それぐらい悪質な書き込みだよ
別に謝らなくていいから今後はちゃんと考えて書き込みなよ
ここに投下してくれてる職人の中には
他にもサイト持ってる人達が何人かいる。
多分それは住人達も知ってるはず。
それでも皆が触れずにいる理由を考えて欲しい。
応援したいなら、ここに
>>651みたいに書き込まずに
直接サイトから応援メッセージを送れば良い。
せっかく逆裁の職人達はレベル高い人達が集まってるんだから
それを潰すような真似は勘弁して欲しい。
>>653 自分も便乗して考えてみたけど
姉妹を絡ませてニヤニヤそれを視姦する局長しか浮かばなかった。
そして653の展開の後に、強制自慰で体に火が付いた巴に
局長がちょっかい出してクタクタにさせて
「そんなフラフラしてたら無理そうだね、しょうがないからボクが代わりに略」
ってなるのが想像できたけどちょっと鬼畜すぎだな
>>656 更に便乗して。
突っ込まれて痛がって泣いてる茜の負担を少しでも減らそうと、疲れた身体に
鞭打って優しくちゅーしたり色んなとこ舐めたりする巴。
姉の愛撫に必死になってすがりつく茜。
そんな姉妹を見てニヤニヤしてるガント。というのを想像した。コレなら3Pになりそうだ
スレ容量を気にしつつガントモ投下しますよ。
注意
・巌徒×巴
・巌徒と巴は愛人関係という妄想前提
・フェラのみ。本番なし
・女攻め描写あり
・
>>555のネタを引っ張っているが、単体でも読める
・キャラが壊れているのは仕様
・おっさんが喘ぐのも仕様
セックスが好きか、と訊かれれば、否、と答える。
けれど嫌いか、と訊かれても、まあそれほどでも──と答えるしかない。
そもそも宝月巴にとって、性行為は。もっと言えば巌徒海慈とのそうした行為は、
好き嫌いでくくれるものではなかった。食事と一緒だ。メニューによって好き嫌い
はあれど、基本は“やらなきゃならないコト”だ。何しろ食べないと死ぬ。
ああ、世の中には食事が楽しくてたまらない人間もいる、という点でも一緒かも
しれない。巴には理解し難いが、セックス自体が好きでやると幸せになる人間もいる
のだろう。
それとも。巴は考える。
恋人とか、夫とか。そういう“愛する相手”とするなら別なのだろうか。
よく分からない。
過去には好きな相手とも経験があったはずなのだが、よく覚えていない。
巌徒海慈を愛しているか、と訊かれれば、間違いなく、否、と答える。
けれど嫌いか、と訊かれても──さてどう答えよう。自分の意志で身体を預けて
いるのだから生理的に嫌だとか触るとじんましんが出るとかレベルで嫌ってはいない
はずなのだが。
宝月巴は考える。
こうして言い訳めいた独り言を繰り返している時点で、自分と彼との関係も知れた
ものだ、と。
考え過ぎがよくないのかもしれない。鉢植えのサボテンにだって、毎日世話をして
やれば情も湧く。名前だってつける。
つまり。
宝月巴が巌徒海慈との性行為に対してちょっとは気を遣ってあげようとか思っても、
それは彼を愛しているからではなく、セックスが好きだからでもなく、単にそういう
付き合いのある相手にサボテンと同程度の情がわいたから──ということなのだろう。
オーケー。言い訳完了。
巴はプラスチックの容器を手にひとり頷いた。極細二百本入り、抗菌加工。『手を
清潔にしてからご使用ください』。
「よし」
頑張ろう。
巴は覚悟を決め、容器のフィルムパッケージを破った。
『今度くちでする際にはもっと上手くやります』
そう発言したのは巴だった。但し“今度”の時期を決めたのは彼女ではなかった。
今夜を“今度”と定めたのは巌徒の方だった。
「や。や。まさかトモエちゃんがこんなコトしてくれるとはねー。変われば変わる
モンだ。イヤホント」
腹立たしいくらいに朗らかな様子で椅子に腰掛ける巌徒と、その足の間に屈みこむ
巴。なんだか何時かに見た光景だった。はだけたバスローブから男根が覗いている
ところも、微妙に下向き加減のそいつを何とも言い難い具合でつつき回している女
の両手も、なにかの繰り返しのようだ。
以前とちょっとばかり違うのは、巴が身につけたバスローブの帯をしっかり結んで
いるところだろうか。お蔭で巌徒としては視覚的に残念なことになっている──かと
思いきや。かっちり合わせた衿と、裾を割り覗く太腿の対比が、これはこれで宜しい。
よくよく考えれば巴の胸元は普段の格好でも見れる。
通常隠されるべき場所が露わになる、それだけでも興奮はする。
しかし同時に通常どうってことなく晒されている場所が隠されると、前者のみの
場合より興奮する──誰の言葉だったか。
まあ、いい。
見たくなったら剥げばいいだけの話だ。
その程度の要求が通るくらいには手懐けてある。
ここしばらくの成果にご満悦な巌徒。彼の心中なぞ知る由もなく、忠実な、少なく
とも余人の評価ではそうなっている女は、相も変わらずの真摯な態度で行為を開始
した。
巴は右手で陰茎の部分を握り、左手は下から支えるようにてのひらを合わせている。
緊張しているせいか、手は微かに湿り、冷たい。ほんのり朱らむ目尻とは対照的だ。
指先は、更に温度が低い。その強張った部分が竿と陰嚢の間をかりかり撫ぜる──
爪を立てないので、ひっかく、とまではいかない──のは、なかなかに刺激的だ。
動きは、猫の喉を掻いてやる仕草に似ている。小刻みに指を動かし、心地好さげに
反りかえる部分を掌を使って優しく撫ぜる。対象が犬猫みたいに可愛らしいもので
ないのを除けば、そのものだ。
「失礼、しますね」
ん。と。
巴が口をあけて、舌を突き出し。亀頭を舐める。
鈴口に沿ってつうっと裏側から舌先でなぞる。刺激にじくりと滲み出た体液を舐め
とるかたちになる。男根が反応し、こころもち持ち上がる。
やわらかい唇とやわらかさの中に弾力と熱を持った舌が、勃起し始めた男根を愛撫
する。
乾いた陰茎に唾液を垂らし、舌でなすりつけ、唇ではむ。巴の頭が徐々に下がり、
側面を圧迫しつつ根元へと向かう。追従するようにして、微かな鼻息が濡れた箇所
にかかる。一瞬だけ冷やされる皮膚は、すぐに内側からの熱で元に戻る。偶に当たる
硬い感触は、歯か。
未だ遠慮というか弱弱しさが残る口淫では、却っていいアクセントになる。
そくそくとした、しかし吐精までには至らない快感が、腰の辺りに溜まってゆく。
「──っは」
舌の動きが止まる。
巴が顔を離し、ぐずるように小さく鼻を鳴らし。
「――」
蚊の泣くような声で、再度、失礼します、と呟いて。
立て膝の姿勢から、顔が伏せられる。
覆い被さる。何に。屹立する男性器に。
まずは亀頭が舌の上に載り、ざらざらした味蕾で擦られ。たっぷりと唾液を溜めた
口腔に迎え入れられる。
舌先は亀頭を越え、張り出した雁の下をつつく。その生温かな舌と、硬い上顎で、
咥えた部分を圧迫される。全体の三分の一ほどだが、巴にはここが限界なのだろう。
それ以上には進まない。
巌徒からは、巴の表情は見えない。
微かに上下する頭と、緊張からか息苦しさからか、強張る背だけが視界に入る。
唯、口のなかのモノを咥えてねぶって吸う、ぢゅうぢゅうという下品な音と、膣内
とはまた違う絡み方をしてくる口の様子から、想像はついた。
それはもう、みっともなく歪んでいるのだろう。
下腹部からくる刺激とは別の、頭の内側からくる愉悦。
彼女を支配するのは己れ。
この女は自分のモノだ。その証拠に。
「──っ?! ん、く――っ」
上顎の、奥。柔らかい肉の辺りをめがけて突き上げる。温かく張りのある感触が
押し返してくる。
苦しかろうに、巴は直ぐには口を離さなかった。身体の震えを殺し、歯を立てぬ
よう唇を開き、耐えている。ひくひく痙攣する咥内はどろりと熱い。
は。と、短い呼気が洩れて。
男根が温かな場所から放り出されて外気へと晒される。熱持つ場所に、ぽたりと
垂れてくる唾液。量が多いのと粘つくのは、巴のものではない体液が混じるせいか。
咳込む音。呼吸を阻害するまでは耐えたらしい。
見上げてくる瞳が、潤んでいる。
「ダイジョーブ?」
口先だけの心配に、こくりと頷くさまが、何とも。
バスローブの袖で口許を拭う仕草と相俟って。
ひどく、煽る。
さて。このまま続けさせて口の中にブチまけるか、それともきちんとした場所に
突っ込んで終わるか。どちらも魅力的な選択肢だが──
と。
まあ。
そんな楽しい悩み事を抱えていたものだから。
「ええと、こう……よね?」
屹立の先端にぞわりとした異様な感覚が生まれるまで、巴がナニをしているのか
気づかなかった。
ぐい、っと。
「おふぅ?!」
ぞわぞわが、押し込まれる。途端、精管を逆流する快感──快感?!
野太い男の喘ぎ声なんて気色悪いものが自分の口から発せられたというのも充分
ショックだったが、それよりも鈴口を起点とするワケの分からん感覚を“きもちいい
もの”と受け取ったことの方が信じられない。自分のことなのに。
歯を食いしばり、脂汗を流しながら、足の間を見る。
屈みこんだ巴がいる。これはいい。左手で屹立を握っている。これもいい。巴の
右手は男根の先端近くで──何か、細いものをつまんで──天井を仰ぐ。平常心。
そう、まずは落ち着いて。現状把握はそれから。
ぐりっとまた掻き回される。今度は堪える。刹那腰が浮きかけたが、堪える。
視線を戻す。巴がいる。巴の鼻先には雄々しくそそりたつブツがある。そしてブツ
の先端に──
「……トモエ、ちゃん?」
「はい」
「ナニ、してるの、かな?」
巴はそこで頬を赤く染め。「こうすると気持ち好くなる、と伺ったので」右手に
持った綿棒を、動かした。
綿棒の頭を呑みこんだ鈴口から、ぐちゅりと粘った音がした。
男性器から、白く細い綿棒が生えている。
ちょっと。いやかなり間抜けな光景だ。突っ込まれてるのが自分じゃなけりゃ指
さして笑いたいくらいだ。
巌徒の様子から何事か悟ったのか、巴の表情が曇る。
「申し訳ありません……慣れていないもので」
慣れているとか慣れていないとかの問題ではない。
そう文句をつける前に、抜かれた。そうっと尿道を滑る一センチメートルの距離
が無限の拷問に思えたとして、誰が責められようか。
とにかく。新しい世界への扉がおいでおいでしているのを幻視しつつも、巌徒は
どうにか耐え切っ「濡らさないと駄目なのかしら」
今。
恐ろしい、台詞が。
見下ろす巴は、
持っていた綿棒をひっくり返しはくんと口で咥えねぶり湿らせ構え直す彼女は、
明らかにナニが問題なのか理解していなかった。
逃げられなかった。
巌徒は椅子に腰掛け、巴に屹立を握られ、不肖のムスコときたら持ち主の意志を
無視してだらしなく口を開け涎を垂らしていた。
引っこ抜いたばかりで拡がったままの尿道へ、再度押し込まれる固い感触。出口
にしか使ったことがない、というか入り口になるとか普通有り得ない場所を逆流する
容赦のない痛みと快楽。ずるずると身体の内側を抉られて、あまつさえ──陰嚢を、
腹の底を震わせる鋭い──抜き差し、いわゆるピストン運動。ぐっちょんぐっちょん
いってるのは先走りだろうか。コレ、凄いことになってるんじゃなかろうか。奥歯
が砕ける勢いで歯を食いしばる巌徒に確認する術はないが。
――攻め手に回っている相手が、巌徒を屈服させてやろうとか。醜態を嘲笑って
やろうとか。そう考えているのであれば、反骨心とか抵抗とかそういうのが持てた
のだが。
「主席捜査官」
優しく。心配の色さえ込めた、問い。
「如何ですか」
私の遣り方で、間違いはありませんか。貴方の希望に沿うものですか。貴方を満足
させられていますか。
下の者から上の者への問い。奉仕する側から奉仕させる側への問い。
繊手が、綿棒を、不慣れな娘に挿入する如く気遣いながら──尿道へ押し入れる。
限界だった。
巌徒にとって幸いだったのは、巴が握ったものの変化を察知したおかげで彼自身は
情けない声を出す危険を冒さずに済んだことであり。
巌徒にとって不幸だったのは、巴が握ったものの変化を察知して、次なる行動に
移ってしまったことだった。
巴の思考の流れを読むのは至極簡単だ。でそう。出すにはフタしてちゃまずい。
フタを外さないといけない。
で。
結果。
慌てて、一気に綿棒を尿道から引っこ抜き。
射精とは似て非なるカタいものが中を駆けあがる感覚が。止めとなった。
「え──きゃっ! や、ちょっと、待っ」
巴の額へ、整った鼻梁へ、唇の上へ、半透明の粘液が振りかかる。
空気に触れて白く濁ってゆく己が体液と、涙目でそれを拭う巴を眺めながら、ああ
強姦される女性ってこんな気持ちなんだろうなァ──と、ふと思った。
「――は」
「……主席捜査官?」
「はっはっは」
そこで。今度から優しくしようとか。せめてプレイ前には合意を取りつけようとか
考えられるなら。巌徒の人生も随分変わっていただろう。
「トモエちゃん。さっき、“イカガですか”って訊いたよね」
巌徒が床からプラスチックの円い容器を拾い上げる。極細綿棒、二百本入り、抗菌
加工。『手を清潔にしてからご使用ください』。
「え、え」
屈辱だ。
例え巴の思惑が善意からであったとしても、とても我慢できるものではない。
「口で説明するのはムズカしいから──直にやろうか」
「ちょっと! 主席捜査官?!」
逃げ腰になる女の裾を踏みつけて、縫い止める。
「さ──最低です! 貴方、そんな──」
「へえ。自分はやっておいて、ヒトにはそんなコト言うの。トモエちゃんってさあ、
そーゆートコあるよねー」
「そんなつもりじゃ──!」
「ま。どっちにしろ」
ケースから綿棒を一本引き抜き、蒼褪める巴に示してやる。
「キミがきちんと“理解”するまで帰さないからね。――じゃ。始めようか?」
屈辱は、受けた分と同等かそれ以上の屈辱でしか雪げない。
巌徒海慈の、男の矜持を取り戻す戦い。或いは巴の不幸は始まったばかりだ。
664 :
巌徒×巴:2009/10/06(火) 18:11:51 ID:9Zg4V9I7
投下終了。
巴「よく来たなガント、実は私は一回ピストン運動しただけで死ぬのよ!性的な意味で。」
というネタを入れたかったけれど上手くいかなかった。
局長は鬼畜からアホエロまでこなせるナイスミドルだと思います。
乙ですイイヨイイヨー
最近のガントモ攻勢に蘇る再プレイ始めてしまいましたw
そろそろ連投ウザイ
サイトがあるのに何でわざわざここに投下するの?宣伝?
667 :
名無しさん@ピンキー:2009/10/06(火) 21:12:04 ID:xxwWiHQo
変なのは無視して・・
いいです〜・・・自分もまた蘇る・・をやりたくなった。パイプオルガンが聞きたいw
GJ
綿棒wwwwww
前のおキョウさんの髪の毛アドバイスの影響なんでしょうか
巴の迷走っぷりがおもしろすぎます。いいぞもっとやれ
サイトあっても別に良いじゃん。
でもちょっと空気読んだ方が良いとは思う。
GJ!
そして、気にしなくていいよ。
ただ、連投すると辛いこと言われやすくなるから、
大丈夫かな・・・と心配はしてた。
スレが文章で活気づいてる方が楽しいはずだから
ネタと気持ちがあれば、また投下してください。
ただでさえナルマヨミツメイが他スレに移って
過疎ってるんだから、投下がある分だけ楽しんだらいいじゃんかw
ミツメイやナルマヨはどれだけ長文が連投されてもGJの嵐なのになw670に同意
ただここに投下したのをサイト再掲はまだしも、サイト掲載したのを
ここに投下はあまり褒められたことではないとは思う
そしてしつこいかもしれんが、
>>651は猛省するように
お前がルール違反するから
>>666みたいなのが沸くんだよ
2chで個人を特定されると叩かれるからな。
ナルマヨミツメイが移ったんじゃなく、
キャラ単体だったり特殊っぽいのがあっちに移ったんだよね?
サイト餅の人と
>>658は別人じゃ?
ともあれ、巴さん大好きな俺は両方美味しく戴きましたごちそうさまですGJ
サイトと2chとどっちが初出だろうが連投だろうが
小説が書けない人間としては、ありがとうとごちそうさまとしか言えないし言いたくない。
パクリ転載だったら問題あるけど、本人の意志ならそれは喜んで然るべき。
>>674 ナルマヨはわからないけれど、ミツメイはそれで合ってるはず。
スレ容量が480kb越えたけど次スレどうする?
テンプレ等に変更がないならスレ立て挑戦してくるけど
>>676 成歩堂はわからないけど、真宵もそれでおk。
>>677 このスレで気になったのは誘い受けかな。
テンプレの「需要の有無」のあとに「誘い受け」を加えても良いかも。
早漏過ぎるだろwと思ったがもう485 KBだったのか
逆検での盛り上がりはまだ続いているな
新スレでもまったり
>>680スレたて乙です!
700レスいかずに次スレとは、豊作だった証拠だな
スレ前半は検事で加速、後半は旧作ネタフィーバータイムって印象だ
キャラの童貞処女予想表ってどこかにない?
昔見た記憶はあったんで探してはみたが、見つけられなかったんだ