逆転裁判エロパロ第4法廷

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1951
燃えキャラ・萌えキャラには事欠かない
「逆転裁判」のエロパロスレ。
我々はSSの提出を要求しますッ!

前スレ
【dat落ち】逆転裁判エロパロスレ【待った!】@エロパロ
http://www2.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1064908551/l50

初代スレ
http://www2.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1035018015/
2スレ
http://www2.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1049383172/

姉妹スレ
逆転裁判のイトノコ刑事萌えスレ2
http://www2.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1046084318/l50

保管庫
ttp://box.elsia.net/~gyakuten/
2951:04/03/18 19:39 ID:iM1PtPO3
スレ立ての報酬は成歩堂×あやめのエロSSをキボン
3名無しさん@ピンキー:04/03/18 20:05 ID:Svw/O9Ia
>>1
即死回避パピコ
4名無しさん@ピンキー:04/03/18 20:11 ID:ay6QUrmW
1おつ。
5名無しさん@ピンキー:04/03/18 20:26 ID:jJDkyueH
>>1
グッジョブ!
6名無しさん@ピンキー:04/03/18 20:39 ID:XWwzhwFc
ばあさんや…ミ、ミツメイはまだかいのう…
7名無しさん@ピンキー:04/03/18 21:18 ID:iM1PtPO3
 即死回避カキコ・・・ト

   〃二ヽ     __   
  .| |‘ー‘l|    ./´__ `ヽ ヒッシダネェ
  ノ__>∽<,ゝ  |(´ヮ(` ) |
  (つ≡/ ̄ ̄ ̄/∽´<__ヽ
 ̄ ̄\/___/  ̄ ̄∪ ̄ ̄
8名無しさん@ピンキー:04/03/18 21:23 ID:d08AFXYS
>>1
9名無しさん@ピンキー:04/03/18 21:48 ID:88L/nzx2
                , -─‐- 、,
              /       \
             /          ヽ
             ,'            ',
              {            }
                 ',           /
             ヽ          /
              `ヽ、_    _ -ヘ__ ___
               _,,ゝ-二ニ-‐''´ i .|´ヽ `''‐- 、,_  
              /T´ i |   _,,、-┴┤ !      ゙'‐- 、,
            / __ヽ r┴ ' '"   .iコ |          \
            /'´ `ヽ ! / ̄`ヽ  iコ i r'´ ̄ ̄ ̄`ヽ   \
 乙乙乙乙乙乙 ,イi (◎) } ! {  ◯ }    ! |        \   \
          / ヽ 二.ノ! ! `ー--‐'---、_ !_|         ヽ、   \
          / -‐r┴┴rァ |       ◯ i |          \   ヽ
          i   | _二)ヽ ! ロ ロ __,、 -─''"~!             ヽ _,,.」
          !  ヽ___,ノ ヽ`‐ '"´      !                Y´ ヽ
          `ー─┘    i          !  
10名無しさん@ピンキー:04/03/18 23:11 ID:mheelfgx
>>1
乙です。
11名無しさん@ピンキー:04/03/18 23:13 ID:bd+cbdGL
即死防止あげ
12名無しさん@ピンキー:04/03/18 23:34 ID:g4yj274J
乙ー。
13名無しさん@ピンキー:04/03/19 01:04 ID:+Cv/cG1R
乙華麗に引導
14名無しさん@ピンキー:04/03/19 02:12 ID:gtos4YMx
即死回避のついでに公式サイトのリンクでも。
オバチャン×御剣、勝手に期待しててもいいですか…○|_| ̄

公式

ttp://www.capcom.co.jp/newproducts/consumer/gbasaiban/index.html

ttp://www.capcom.co.jp/saiban2/

http://www.capcom.co.jp/saiban3/
15名無しさん@ピンキー:04/03/19 02:44 ID:QA4e2UKu
オバちゃん×ミツルギの場合、
当然オバちゃんは宇宙人の格好なんだよな?
16名無しさん@ピンキー:04/03/19 04:29 ID:5d+5HY8V
あげとくよ
17名無しさん@ピンキー:04/03/19 10:58 ID:Lmp9DKd5
スレ立て乙&即死回避
18名無しさん@ピンキー:04/03/19 13:06 ID:XS8LJ+0c
ハミノコの続きが読みたいといってみる。
19名無しさん@ピンキー:04/03/19 13:45 ID:zmGQ7WwV
みんな割りと好き勝手言ってるので
ナルマヨキボンと自分も言ってみる
20名無しさん@ピンキー:04/03/19 14:33 ID:yHMl2MGr
↑に同意
21名無しさん@ピンキー:04/03/19 19:26 ID:QA4e2UKu
>18
ハミノコの続きは姉妹スレの方でやってんじゃないのか?

逆転裁判のイトノコ刑事萌えスレ2
http://www2.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1046084318/l50

俺は覗いたことないスレなんで、違ったらごめん
22名無しさん@ピンキー:04/03/19 21:31 ID:leuPkNEN
>21
そこは内容がもう801スレ・・・。


ハミノコщ(゚Д゚щ)カモォォォン
「3」のことは忘れていい。エロがなくても全くかまわん。
作者さんが書きたい様に書いてくれ。
最後がどうなるのか、気になって気になって仕方がないよ。
23名無しさん@ピンキー:04/03/19 22:10 ID:QA4e2UKu
保守上げ
24名無しさん@ピンキー:04/03/19 23:20 ID:CajqASS2
保守保守。
スレ立てお疲れ様でした。
25名無しさん@ピンキー:04/03/19 23:21 ID:0MO6kXIy
ほしゅう
26名無しさん@ピンキー:04/03/20 00:14 ID:1OpEUUGJ
エリス×ゴドー
27名無しさん@ピンキー:04/03/20 04:08 ID:+nI/nlv/
寝る前に保守
28オバ×ミツ:04/03/20 14:47 ID:xWBqjNS7
「証人! 証言台に戻りたまえ!」
御剣の切羽詰まった声が法廷に響いた。
だがオバちゃんは気にもかけず御剣に詰め寄る。
「やだねこの子ったら照れちゃって。
なんだい人前じゃ嫌なのかい?」
「そ、そういう問題ではない!
証人が本法廷に召喚されたのは事件の目撃証言を語るためであり、
このようなハレンチな真似をするためではない!」
「んもう、固いんだからミッちゃんってば」
うふん、と両手を口元に当ててぶりっこポーズ。
それを見て気分が悪くなる傍聴人続出。
「口で言ってもよくわからないだろうから
行動で証言しようってんじゃないのさ。
いいかい、犯人はこんな風に被害者の胸倉をつかんでだねえ」
言いながら御剣の喉元のフリルに手をかける。
「い、異議あり! フリルをほどく必要性はどこにもない!」
「気分だよ気分」
オバちゃんは手早くシャツのボタンを外していく。
29オバ×ミツ:04/03/20 14:47 ID:xWBqjNS7
顔を引きつらせた御剣は指を突きつけて叫んだ。
「べ、弁護人! 黙って見てないで君も何か言いたまえ」
「え……」
呆然となりゆきを見ていた成歩堂が冷や汗を流す。
「そ、そうは言っても。
どこからゆさぶったもんだか見当もつかないよ……」
「このドシロートが!」
成歩堂はあてにならないと見た御剣は、次に裁判長を振り返った。
「裁判長! 証人の制止を!」
「あ、ああそうですね」
裁判長は木槌を振り下ろそうとした。が。
カタカタカタカタ…
「しょ、証人は光線銃を人に向けて撃たないように!」
「うるさいね。外野は黙って見てな。
あたしの証言をね!」
ふん、と鼻を鳴らすと再び御剣に向き直る。
「さて続きだ。それから犯人は被害者に馬乗りになって…」
御剣を押し倒し、腹の上にまたがり、
「顔面パンチでぼこぼこにしたんだよ」
宇宙服の胸元を押し広げると、中からスルメを2枚取りだした。
違った。しなびたオバちゃんの生乳だった。
「こんな風にね」
しなびた乳で御剣の顔面をパシパシと張り続ける。
ぐぎぃ、と声にならない悲鳴が御剣の喉から漏れる。

陵辱はまだ終わらない。
30オバ×ミツ:04/03/20 14:50 ID:xWBqjNS7
と言いつつ終わる。
ぜんぜんエロくなくてスマン。
31名無しさん@ピンキー:04/03/20 14:54 ID:Sg1dlHFx
オバミツキタ━━━(゚∀゚)━( ゚∀)━(  ゚)━(  )━(  )━(゚  )━(∀゚ )━(゚∀゚)━━━!!!!!!
昼間からいいものありがとうw
32名無しさん@ピンキー:04/03/20 21:52 ID:WFzPsVoE
オバミツキテター!!!!GJ!

なにげにオバミツ一番推奨なんだよなぁ・・・
笑いながらハァハァできるから一石二鳥だと思うんだが、やっぱり変かw
33名無しさん@ピンキー:04/03/21 00:29 ID:1Y4PR/FP
え゛・・・どこら辺がハァハァするんだ?オバチャンのスルメにか?
・・それは重症だな・・
34名無しさん@ピンキー:04/03/21 00:48 ID:dIzU5FN1
>>33
いや、スルメは笑いどころだろw

ちなみになんか奥手そうっていうかそっち系に疎そうな奴が押し倒されるのに萌えるんだよ。
んでもって最近女→男にハマってるンだよ。
自らの性欲に耐えられなくなって強硬手段に出る女ってエロくていいじゃねーか。
それでオレの貧困な思考回路によって思いつくのがオバミツしかないんだよ。

というわけで、もしいいネタが思いついてお暇でしたら職人さんよろしくお願いします。リロードレンシャデマッテマス
35名無しさん@ピンキー:04/03/21 01:08 ID:nfoB61RI
それなら千尋→成歩堂でも
松竹梅子→成歩堂でも
冥→御剣でも
ビキニ→御剣でも良さそうなもんだが
なぜオバミツ。
36名無しさん@ピンキー:04/03/21 01:32 ID:dIzU5FN1
>>35
ナルホドは別に疎そうじゃないような気が・・・ちなみ(アヤメ)の事があったしなぁ。
冥御は激しくイイけど、公認カプっぽいし探したら結構あるだろうからわざわざ言うまでもないかなと。
オバチャンはマイナーだったけど、言えそうな流れだったから勇気を出して言ってみたんだよ。
ビキニは思いつかなかったっつーか何か違うっつーかそれ以前に何故ビキニっつーか(ry

・・・必死だなオレ。笑い飛ばしていただきたいっ
37名無しさん@ピンキー:04/03/21 01:39 ID:nfoB61RI
>それ以前に何故ビキニっつーか
ビキニって聞いてえらく御剣が興味持ってたみたいだから
実物見て愕然とする御剣と、
あらあらこの子はそんな事に興味持っちゃってやだねえ
実はおばちゃん実際この下にビキニ着てるんだけど見てみるかい?
てな流れで押し切ると笑えるかと思ったんで。
38名無しさん@ピンキー:04/03/21 01:51 ID:fdt7fBYZ
ワロタ
39名無しさん@ピンキー:04/03/21 05:10 ID:rwJZAOXM
>34
まさにそういうミツマヨ書こうとしてるんだが・・・いるかい?
40名無しさん@ピンキー:04/03/21 12:20 ID:dIzU5FN1
>>37
なるほど。ワロタw

>>39
職人様は神様です。お待ちしております。
41名無しさん@ピンキー:04/03/21 16:27 ID:u3fjqwY3
>37
中途半端にありそうな組み合わせより、ぜってー無いだろって方が
笑って読めるってのすごくわかる。

>>39
漏れもお待ちしてます。
42名無しさん@ピンキー:04/03/21 18:53 ID:PpCB8DhO
ミツマヨーー!

前から思っていたけど、おいしそうな名前だよね。
43名無しさん@ピンキー:04/03/21 19:21 ID:pKGm25Ou
コロシマヨ
44名無しさん@ピンキー:04/03/21 19:39 ID:TC/TqIxn
ミッツマヨマヨミツマヨー
ミッツマヨマヨミツマヨー
ミッツマヨマヨー
45名無しさん@ピンキー:04/03/21 23:46 ID:yP1D0Tht
前スレ埋め立てようぜ
46名無しさん@ピンキー:04/03/22 00:10 ID:e02S9p+m
>45
ほっとけば勝手に落ちるだろ
47名無しさん@ピンキー:04/03/22 01:10 ID:M78b/CAv
ナルマヨって思ったほどないってことでナルマヨ( ゚д゚)ホスィ…
48名無しさん@ピンキー:04/03/22 01:50 ID:FXWi3mPr
エビマヨがホスィ
49名無しさん@ピンキー:04/03/22 02:14 ID:e02S9p+m
>47
ナルアヤなんて見たことすらないぞナルアヤ( ゚д゚)ホスィ・・・
50名無しさん@ピンキー:04/03/22 02:26 ID:gpRiyhKQ
前スレの
ナルホドをお兄ちゃん呼ばわりするマヨイがツボに入りまくりですよ
51名無しさん@ピンキー:04/03/22 07:08 ID:kSCP8huv
ヤハメイのムチムチ大作戦…(゚д゚)
52名無しさん@ピンキー:04/03/22 08:20 ID:0E9A0S15
ここはネタばれ解禁なのかな?
カミチヒの小説上げたかったりするのだが。
53名無しさん@ピンキー:04/03/22 08:31 ID:vp9xNCuF
>>52
ネタバレ上等!щ(゚Д゚щ)カムォォォォン
54名無しさん@ピンキー:04/03/22 09:17 ID:QLpZnmxs
>>49
漏れもナルアヤ見たい
55名無しさん@ピンキー:04/03/22 22:59 ID:FXWi3mPr
萌え小説までの繋ぎとして、亜チヒです。
会話ほぼありません。
エロありません。
自己満足な妄想ネタですのでスルー推奨です。
56亜チヒ:04/03/22 23:00 ID:FXWi3mPr
 亜内武文は一流のベテラン検事である。
 
 今日はいつになく署内は忙しそうだ。
 みんな脅迫観念に駆られるかのように机に齧り付いて書類とにらめっこしていた。
 思わず脅迫罪を適用したくなるほどのにらめっこだ。
 亜内は来客用の椅子に腰掛け、刑法222条をなぞりながら被害者兼被告人達を眺めていた。
 と、気づけばすまし顔の婦警がお盆を携えて亜内の前に影を落とす。
「亜内検事、コーヒーどうぞ」
「あぁ、ありが…」
「仕事ですから。では」

 言葉尻は思い切り噛み砕かれた。

「…ありがとう」
 婦警はもう明後日にいたが、一応噛み砕かれた言葉尻を反芻した。
(いつぞやに検事モノのドラマが流行った時は、少しは人受けも良かったんですけどねぇ。)
 相撲番付入りの湯飲みに淹れられたインスタントコーヒーを啜りながら色んな苦味に口をすぼめる。
 きっと御剣検事になら、豆から挽いて小洒落た磁器に淹れて出すのだろうと考えれば、
 ご自慢だったあの髪を取り戻せばワタシだってと育毛剤をまぶす作業にも気合がみなぎるというものだ。
 
「まだ出てないんですか!人の一生がかかっているんですよ!」
 急に、張り詰めた空気を壊すかのような一際高い声が響く。
 何か揉め事だろうか。
 厄介な事には関わりたくないので気にせず番付表を目でなぞりながらもう一啜りした。
 そこで随分と年代の入った湯のみである事が発覚したが余り気にしない。
 そんな事なかれ主義を批判するかのように強く打ち鳴らすヒールの音が近づいてきてしまう。
 「まったくもう…」
 声の主は少し頬を上気させ憤懣やるせぬといった表情のまま、亜内の前に腰を下ろした。
57亜チヒ:04/03/22 23:01 ID:FXWi3mPr
 綾里千尋だった。
 コーヒーに新たな苦味が加わる。
 それでもそこは年長者かつゼントルメン。
 法曹界の大先輩として、目の前で熱くなっている後輩に声を掛ける。
「どうしたのですかな、綾里千尋クン」
「え、あ、はい」
 掛けられてようやく気づきましたと言わんばかりに彼女はこちらを見てきた。 
 一瞬、彼女の眉間に山脈が隆起する。
「えっと、亜内検事……ですよね」
「え、えぇそうですよ」
 ちょっと胃が痛むのはコーヒーの飲み過ぎなのかもしれない。
 うん、今度からはお茶に切り替えて貰おう。
 そう無理やり解釈をする亜内に視線を合わせる事無く、千尋は周囲にわざと聞こえるよう理由を述べた。
「昨晩の密室パラパラ殺人事件の解剖記録が、まだ出てないんです」
 朝からお茶の間を濁らす世にも恐ろしき怪奇事件だ。
 被害者の死に様は壮絶の一言に尽きたらしい。
 どうやら、彼女は容疑者の弁護を受けて必死に事件をあらっている最中なのであろう。
「それならもうすぐ糸鋸君が持ってくる筈ですよ。暫くお待ちなさい」
「ええ、そうします」
 怒気の溜まった息を吐き出しながら千尋は頷く。
 深い椅子の為か背もたれに身を任せず、しゃなりとした姿勢で平静を取り戻そうとしながらも
 軽く弾ませる息遣いが亜内の耳を撫でる。
(……綾里千尋、か。)
 自称家事手伝いのパラサイト娘と大差無い年齢であるにも関わらず、亜内の目にさえ彼女は魅力的に写る。
 どこか初々しさの残る面立ちでありながらも、法廷で見せるあの力強さは本物だと認めざるを得ない。
 もう塩を送らずとも、亜内にしょっぱい味付けを突き出してくるので少し塩加減を調整して貰いたいくらいだ。
 何故、初対峙した時彼女に目を向けられなかったのだろうか。
58亜チヒ:04/03/22 23:02 ID:FXWi3mPr
「ちょっと机お借りします」
 そんな亜内の考えをよそに千尋は前置きした上で机に書類を広げ、ペンを走らせる。
 手に持った湯飲みが置けなくなったが、そんな憂慮は一気に吹き飛んだ。
 軽く前屈みになった千尋のスーツからこぼれんばかりな胸の谷間が亜内の目を奪う。
 「……」
 どうして、今まで気付かなかったのか。
 法廷の広さは人間同士の距離に溝を開けてしまう悪築だ。 
 暫く眠り込んでいた海綿体がむっくりと起き上がりそうになりつつも平静を装い、
 湯飲みを口に運ぶ偽装工作をしながら、目に蜘蛛の巣を張らせ双丘を凝視する。
 目の前に広がるのはちょっとしたアルプス大自然の恵みだ。
 これに比べれば亜内の娘は豪族の古墳位にしか思えない。
 妻のは贔屓目に見ても公園の崩れかけた砂山程度だ。
 しかし、目の前の大渓谷は谷間どころではないが……、ノーブラなのだろうか。
 一昔前に流行ったヌウブラという奴かもしれない。
 マンネリ生活に刺激を加えようと妻が以前付けた時は有り難味に欠けたが、今は眼球を突き刺すような刺激だ。
 正直、触れてみたいと思うのはゼントルメンであろうと致し方無い。
 あの突付けば弾き返されそうな膨らみに見とれ、湯飲みで跳ね返る鼻息が少し眼鏡を曇らせる。
 触れてしまったら最後、一気に三面記事と被告席にのってしまうだろう。
 亜内は今すぐにでも彼女と満員電車に乗り込んで車体が揺れるたびに体のラインを感じたり、
 サラサラとした髪の匂いを過呼吸になる寸前まで吸い込みたくなる衝動に駆られる。
 勿論、触ったりなんかはしない。満員だからしょうがない事ってあるのだ。

 暫く凝視しながら妄想に耽っていた亜内だが、ハッと気付いて慌てて視線を逸らす。
 いくらなんでも見続けるのは怪しまれる。
(ベテラン弁護士たるワタシとした事が……日ごろの疲れが溜まっている証拠ですかね。)
 やれやれ、と意味も無くニヒルな笑みを浮かべ、少し落ち着こうじゃないかと視線を下のほうに落とす。
59亜チヒ:04/03/22 23:05 ID:FXWi3mPr
「……」
 どうして、今まで気付かなかったのか。
 足が見えないよう弁護席の前に机を置くのは人間観察こそが重要な法廷において悪築でしかない。
 千尋の白くスラッと伸びた足が目に眩しいが、それだけじゃない。
 彼女は前スリットの入ったスカートだったのだ。
 亜内は踝ふくらはぎ膝裏太腿を滑るように何度も見返す。
 カモシカの足というのはこういう時に使うのだろう。
 これがカモシカなら亜内の娘は食欲旺盛なロバだ。
 妻のは自慢じゃないがカピパラのような足だ。
 細いのだけには無い胸を張っているが、加えて短いのでカモシカには及ばない。
 もしこのカモシカが書類を落としたら、下心の塊で拾い上げる男が群がるだろう。
 急に野球の練習がしたくなってスライディングに精を出すかもしれない。
 亜内も例外無く、魅惑の三角地帯を拝みたい衝動に駆られる。
 椅子により深く沈むが、眼鏡が少しずれて思うようにいかない。
 いくら現場の死体写真でしか若い女性のパンツを見ていない亜内と言えども、それ以上の行為は踏みとどまった。
(…でもちょっとだけなら。)
 姿勢を直すフリをしながら見てて哀れなくらいジリジリと懸命に沈む。
60亜チヒ:04/03/22 23:06 ID:FXWi3mPr
「お待たせしたッス!お待ちかねの解剖記録ッスよ!」
 急に背後から体育会系の声が響き、ビクッと亜内は椅子から落ちる。
「イトノコ刑事!それっ、早く下さいっ」
 思わぬ衝撃に脂汗が浮いて薄ら寒い頭皮の毛穴が開ききる。
「それじゃ、失礼します!」
 起き上がろうともがく亜内を尻目に、千尋は受け取るや否や颯爽と立ち去る。
 
「あれ、亜内検事どうかしたッスか?」
「……」
(糸鋸刑事、今度の給与査定を覚えておきなさい…)
 勿論亜内にそんな権限は無い。
「そういえば明日の裁判、亜内検事の相手は綾里千尋ッスよね。その、大丈夫ッスか?」
 少し窺うようにして糸鋸が気を使うが、亜内は千尋の歩く姿を見やりながら軽く笑みを浮かべる。
 スラリと伸びた足が小気味良い音を立てながら遠ざかっていく。
「ふふふ、楽しみですよ」
 法廷には、検事として有罪判決をもぎ取るよりも大事な事がある。
 齢五十を前に、心新たにした亜内であった。
61名無しさん@ピンキー:04/03/22 23:40 ID:e02S9p+m
乙!面白かったッス。
事ある毎に娘や妻をひきあいに出すところが笑えました。
62名無しさん@ピンキー:04/03/23 20:08 ID:NJ8u9r08
亜内きもいよーw
「ベテラン弁護士」に突っ込んでもいいかい
63名無しさん@ピンキー:04/03/23 22:11 ID:5oNyLtzq
誰かナルマヨ書いてくれないかなあ。最近見てないような気が……
亜チヒ小説の人乙。何となくセクハラ気味な亜内に笑いました。
64名無しさん@ピンキー:04/03/24 01:03 ID:HB0u/Ppp
亜チヒの作者GJ!イイネ!

それとナルマヨって意外に需要が高いと思うよ
65名無しさん@ピンキー:04/03/24 01:03 ID:t0VuW8aB
アウチヒ、大笑いしました。文章巧いですねぇ。
まるでコミックを読むが如くサクサク動く展開が素敵です。
66名無しさん@ピンキー:04/03/24 01:34 ID:Gc2BPDFE
見直したら果てしなく独り善がりな内容でした。
感想くれた人ありがd!・゚・(ノД`)・゚・
マレユーとか亜チヒとか…、まともな直球書けなくて申し訳ないです。

というかパラパラという言葉を使いたかっただk(ry
67名無しさん@ピンキー:04/03/24 06:12 ID:9gxYRmij
変化球という意味ではサイバンチョ×冥キボソ
68名無しさん@ピンキー:04/03/24 07:43 ID:wceKSMHR
>>67
変化球というより大暴投いう気がするのは気のせいだろうか…
69名無しさん@ピンキー:04/03/24 10:27 ID:8SK/Kpgc
>>68
むしろ危険球。

ナルマヨ、自分もキボン。
70名無しさん@ピンキー:04/03/24 13:11 ID:pfJCYh/4
ナルマヨだとどんなシチュが見たいの?
みそラーメンプレイとか?
71名無しさん@ピンキー:04/03/24 15:34 ID:Gc2BPDFE
>70
唇を重ねる二人。
「なるほどくんの唇、ミソラーメンの味がする…。えへへ、ちょっと得しちゃった」
はにかんだ笑みを浮かべながら真宵はキスの余韻を味わう。
成歩堂は釣られて笑いながら彼女の髪に手櫛を入れ、慈しむように顔を寄せた。
「真宵ちゃんの髪、ミソラーメンの匂いがする…。汁が跳ねたね」

とかですか?
それとも鶴ちゃんばりにアツアツのミソラーメン体にぶっかけて女体盛りですか?
72名無しさん@ピンキー:04/03/24 17:20 ID:9drJfL6L
おいおまえ!>71


上3行だけで萌えちゃったじゃないですか(´Д`;)ハーハー
73名無しさん@ピンキー:04/03/24 22:35 ID:w4R2sp5R
ミソザーメン
74名無しさん@ピンキー:04/03/25 10:32 ID:iwofGNCP
ナルマヨはやっぱり純愛だよな。恥辱はちょっと想像できんかもしれん。
75名無しさん@ピンキー:04/03/25 22:38 ID:PnnJObp/
皆さんの所ではもう花見始まってますか?
お花見ネタ小説を投稿しようかなと思ってたりするんですが。
まだ寒いし……出来れば時期に合わせようかと思ってるので。
よければお返事お願いします〜。
76名無しさん@ピンキー:04/03/25 23:46 ID:9CgzUaIU
うちは寒冷地なので開花は4月中旬ですね

まあ合わせるなら、無難に関東の人たちに合わせてはいかがでしょうか
77名無しさん@ピンキー:04/03/26 17:05 ID:UpTJZEKs
都心じゃもう花見始まってるぞ。
小説どんどんキボンヌ。
78名無しさん@ピンキー:04/03/27 12:12 ID:vggHgpmq
ウラナル読みたい

ゼニトラの共犯者として裁判にかけられることになったうらみちゃんを、
鹿羽組へのオトシマエとして弁護し、無罪か最低でも執行猶予にしなくては
ならなくなったなるほどくん。

留置場で、トラさまに裏切られたと、ほろほろと涙を流したうらみちゃんを慰め、
ハンカチを貸してあげたのが運の尽き。頬を染めるうらみちゃん。
さらに無罪とはいかないまでも執行猶予を勝ち取ったことで本格的に惚れられる。

お礼がしたいと呼ばれた彼女の部屋で、お茶にしびれ薬を入れられ……
79名無しさん@ピンキー:04/03/28 19:46 ID:xhY0tUPX
言葉巧みな哀牙に、いいように脱がされ犯され調教されるキリオタンキボンヌ
80名無しさん@ピンキー:04/03/30 00:34 ID:UxAvMo7I
>78
いいなその展開
ただ3のラストの段階で、すでにうらみちゃんは成歩堂に惚れてるっぽいが
81名無しさん@ピンキー:04/03/30 21:03 ID:Q5cvFCa2
第三法廷のスレは何処ですか?
82名無しさん@ピンキー:04/03/30 22:07 ID:sYHli6S1
83名無しさん@ピンキー:04/03/30 23:21 ID:Q5cvFCa2
>>82
 ありがとう。
84名無しさん@ピンキー:04/03/31 07:39 ID:+vrkwTPK
第三法廷にマヨチヒキタ━━━━━(゚∀゚)━━━━━!!!!

意味ない気もするけど一応報告
85名無しさん@ピンキー:04/03/31 09:18 ID:IlX02FVV
朝っぱらからエロ小説を投稿する者も居ると言う事で。
まあ、生暖かい目で見てやって下さい。
お花見陽気だったので、お花見小説もう載せようと思います。
書式から分かるように前スレでWちいちゃん書いていた者です。
86名無しさん@ピンキー:04/03/31 09:23 ID:IlX02FVV

春が、冬の寒さを溶かして行く。
柔らかな風が、それを感じさせる。

春の夜の やみはあやなし 梅の花
      色こそ見えね 香やはかくるる  (古今和歌集・凡河内躬恒)

−桜酒−

春、と言えば想像するのは花見であろう。
四月の暖かくなった日に、花見をしようと言う話題が星影法律事務所で出たのも、
そうした考えからであった。
その話題を片耳で聞きながら、千尋はぼんやりとしていた。
(花見、かぁ……)
そう言えば、ここ最近は季節の行事になんて参加していなかった。
ある裁判の重要参考人の事を調べ続けていた千尋にとって、たまの息抜きには丁度良いかもしれない。
そう思いながら、千尋は神乃木の方をちらりと見た。
神乃木はいつもと同じようにコーヒーを飲んでいた。
見る限りでは、9杯くらいは飲んでいると思う。
千尋は席を立つと、神乃木の方まで歩み寄った。
「そんなに飲んで、胃に穴が空いても知りませんよ」
「俺の胃袋の許容量は俺が決める。それが俺のルールだぜ」
「訳の分からない事を言わないで下さい」
そう言ってから、千尋は神乃木の耳元に口を寄せる。
「それで……神乃木さんはどうするんですか?」
「あん? 何がだ?」
「ほら、お花見ですよ」
千尋の言葉に、神乃木は「ああ、その事か」と言ってコーヒーをごきゅ、と一口飲む。
87名無しさん@ピンキー:04/03/31 09:24 ID:IlX02FVV
「俺は、遠慮しとくぜ」
「はあ」
きっぱり言われ、むしろすがすがしさを感じる千尋。
「楽しそうじゃないですか、お花見」
「俺は全く正反対の考えだな」
千尋の言葉に、神乃木は肩をすくめて答える。
「何が悲しくて酔っ払いの奴らを相手にしなけりゃならねえんだ」
「そうですか」
それもまあ最もだ、と千尋は思った。
コーヒー飲み仲間ならいざ知らず、相手が酒でべろんべろんに酔っているのなら話は違うのだろう。
「コーヒーでべろんべろん(?)になってるくせに……」
「ん? 何か言ったかい、コネコちゃん」
「いえ、別に」
神乃木が来ない、と言う事だけ分かれば良い。
「それじゃあ、花見に行く者は手を挙げるんぢゃ」
星影の声に、一同が手を挙げて行く。そんな中、やはり神乃木は興味無さそうにコーヒーカップを見詰めていた。
千尋はそんな神乃木をちらりと見てから、手を挙げた。
「わたしも行きます」
「ぶっふおおおおおっ!」
隣で神乃木がコーヒーを吐いているが、気にしない気にしない。
88名無しさん@ピンキー:04/03/31 09:25 ID:IlX02FVV
毎年神乃木は参加していないのであろう。星影は神乃木の方をちらりと見たが、そのままスルーした。やがて「ウオッホォン!」と咳払いをして場を静めさせた。
「では、これで人数は良いか……」
「待てよ、ジイさん」
神乃木が異議を唱えた。その異議に、星影は神乃木の方を見る。
机の上に見るも無残に飛び散ったコーヒーしぶきの跡と、唇の端からコーヒーが一筋流れた跡を持った神乃木が、コーヒーカップ片手に手を挙げていた。
(き、汚い……)
声にこそ出さなかったが、千尋は心の中で神乃木に突っ込んだ。
その神乃木は不敵に笑うと(でもまだコーヒーの跡は残ってる)、ちらり、と千尋の方を見てから、星影の方へと視線をやった。
「俺も行くぜ」
「おお、珍しいのう。チミが花見に来るとは」
「ああ。酔っ払いが一匹のコネコちゃんに寄ってたかってチョッカイを出しやしねえかって、心配になってな」
神乃木の言葉に「保護者気取りかよー」「神乃木が居なけりゃチャンスなのに」などと言う輩が大勢ブーイングを始めた。この反応から見ても、神乃木の言葉の意図が読める奴は多数であろう。
勿論、千尋には神乃木の意図が読め、思わず赤面する。
(こんな大勢の前で言うなんて……神乃木さんの、馬鹿!)
「そ、そうか……では今回の花見、珍しく全員参加、と言う訳ぢゃ!」
まるで裁判長のように話を締めくくると、星影は「日時は○日の夜ぢゃ」と報告した。
実は星影は前々から計画していたらしい。すぐに予定を言える辺り、これは確実だろう。
そして、それぞれ当日の仕事を分担された。
千尋は弁当の当番の一人となり、神乃木は場所取りの当番の一人となった。
何処か、神乃木も心の底で楽しみにしているらしい。
神乃木の持ったコーヒーカップが、ご機嫌に左右に揺れていた。
89桜酒カミチヒの者:04/03/31 09:27 ID:IIXlg6JY
あああああっ! 名前書くの忘れてた……
すみません、上記3つ同じ者です。桜酒カミチヒです。
こんな初期の間違いをするなんて……ウツダシノウ…
90桜酒カミチヒ:04/03/31 09:28 ID:IIXlg6JY

さて、その当日。
千尋は大量の弁当箱を持って(とても重い)、花見の場所へと事務所の弁護士達と共にやって来た。
やはり考える事は誰も一緒のようで、人がゴミのようにひしめき合っていた。
(何処が、わたし達の場所かしら?)
きょろきょろと見渡しても、神乃木達の姿が見付からない。
まあ、この雑踏だから仕方が無いだろうが、このままでは弁当の中身をぶちまけてしまいそうだ。
それが証拠に、千尋は襲い来る人ごみに揉まれ、弁当を守るのが精一杯だった。
「ううう……綾里 千尋、本日死亡ってならなければ良いんだけど」
死にそうだわ、と呟いてから、千尋は弁当を腕で守ったまま、辺りを再び見渡した。
「ん……」
と、そこに、嗅ぎなれた香りが漂って来た。千尋は導かれるようにそちらへと進む。
後ろから、千尋の名を呼びながら事務所の人間も付いて来る。
(この香り……)
千尋はその芳しい香りを漂わせた張本人の前まで行った。
そこには、コーヒーを飲んで一息ついている神乃木が居た。
「やっぱり神乃木さんでしたか……」
今まで漂っていた香りは、神乃木の飲んでいたコーヒーの香りだったのだ。
「よお、千尋。俺に対する愛で、ここまで来れたのか?」
「ば、馬鹿な事言わないで下さい。コーヒーの香りですよ、コーヒーの」
千尋が言うと、「クッ……」と神乃木が笑った。
91桜酒カミチヒ:04/03/31 09:28 ID:IIXlg6JY
「冗談だ。俺がそんな愛を語るようなクサい奴だと思うか?」
「割とそう思います。クサいと言うよりキザですが」
「……」
「……先輩?」
神乃木が黙った途端、何故か嫌な予感がした千尋は神乃木に声を掛ける。
しかし、神乃木は黙ったままだった。
千尋は弁当を地面に一旦置き、(何処から取り出したのか)茶色い模様の折りたたみ傘を一瞬にして開いた。
「コーヒー、おごっちゃうぜ!」
ばっしゃあああああっ!
間一髪。千尋は折りたたみ傘で投げられたコーヒーカップ(とコーヒー)を弾いた。神乃木は空になって飛ばされたコーヒーカップを見事に掴む。
「クッ……流石だ、千尋。俺の攻撃を見破るとは」
「勿体無い事しないで下さい! 大体、これのせいでわたしの折りたたみ傘、茶色くなっちゃったんですよ!」
そう言って、千尋はむすっとしながら茶色く染まった折りたたみ傘の部分を指差す。
コーヒーの香りが、つんとした。
「痛い所を突いて来た奴にはコーヒーをおごる。それが俺のルールだ!」
「訳が分かりません!」
空のコーヒーカップをゆらゆら揺らす神乃木に、千尋は思わず突っ込んだ。
「こんな所でいちゃつくな」と後ろから付いて来ていた弁護士軍団がブーイングを飛ばした。千尋はその言葉に赤面をし、一方の神乃木は「些細な事にひがむ姿、カッコつかねえぜ」と言った。
「それで、場所は取れたんですか、神乃木さん」
千尋が神乃木に尋ねると、神乃木はうなずき、背後を見せた。
そこには、事務所の人間分よりかなり広い敷地が確保されていた。
「流石は神乃木だ」「こう言う時、行動の早い奴は役に立つな」などと言う声が上がった時、神乃木は(何時煎れたのだろうか)コーヒーをごきゅ、と一口飲んでから、真剣な顔をして神乃木の身近な場所を指差した。
「ここは、俺と千尋の場所だからな」
勿論、その場に居た人物のツッコミが、神乃木に集中した事は、言うまでも無いだろう。
92桜酒カミチヒ:04/03/31 09:29 ID:IIXlg6JY

どんちゃん騒ぎは、人数が多ければ多いほど、長引く物である。
酒を飲んだ先輩達に囲まれ、千尋は多少なりともたじろいだ。
神乃木の「何が悲しくて酔っ払いの奴らを相手にしなけりゃならねえんだ」と言う言葉を思い出し、確かにその通りであると、強く同意した。
「す、すみません。ちょっと席を外します」
千尋の言葉に、「えー」と言った声が、男女から上がったが、「すみません」とだけ言うと、千尋は何とか酒臭い集団から抜け出した。
よろよろと敷地を離れ、なるべく雑踏を避けるべく、茂みへと入った。
がやがやとした慌ただしさを背後に、千尋は茂みの中で大きく深呼吸をする。
月は、夜空に綺麗に映っていた。
今まで慌ただしかっただけに、こうした自然の中での休息と言うのも悪くない。
(そう言えば、神乃木さんは何処に行ったのかしら?)
彼もまた、ある裁判の後から、千尋と協力して調べ物をしているのである。当然、今回は良い息抜きとなっただろう。だが、途中から神乃木の姿が見えないのだ。
(御不浄に行っているのかしら?)
※御不浄=厠=御手洗=トイレ
それにしては長すぎるような気がする。大体、神乃木は花見が始まった時点ですでに席を外していたのだ。
千尋と自分のスペースが持てなかった事が、相当悔しかったらしい。
(それくらいですねなくても良いのに……)
千尋はそう思うと、自然と苦笑してしまう。恐らく、周りから見たら異様だろう。
苦笑しながら、千尋は月を見上げた。
93桜酒カミチヒ:04/03/31 09:30 ID:IIXlg6JY
望月だ。
雲一つ無い空に、輝く星の中でひときわ輝いて月が存在していた。
もう、春なのだ。
(心機一転、頑張らなくちゃ)
一人だけで、「えい、えい、おー!」とリキを入れてから、千尋は月から目を逸らした。
(……あら?)
見慣れた後ろ姿を見付け、千尋は足音を潜めてその後ろ姿に近付いた。
神乃木だ。
(普段あんなにおちょくられているんだもの……少しくらい、悪戯しても良いわよね)
そう思い、千尋はなるべく気配を消して、神乃木の後ろまで近寄った。そして、目隠しをしようと腕を持ち上げた。
「何やってんだ、コネコちゃん」
「きゃああああ! ごめんなさいごめんなさい!」
思いがけない神乃木の言葉に千尋は思わず叫び、ぺこぺこしながら慌てて神乃木から一歩離れた。
「そんなに驚く事無いだろ」と神乃木が苦笑した。
「き、気付いていたんですか!」
「割と最初の方からな」
「〜〜〜……く、悔しい」
一矢報いる事が出来るかと思ったのに。
千尋は内心そんな事を思った。
「で、酔っ払いの相手はどうしたんだ?」
「……して良かったんですか?」
意地悪な神乃木の問いに、千尋が質問の形で返すと、「絶対駄目だ」と、まるで子供のように神乃木が言った。
94桜酒カミチヒ:04/03/31 09:31 ID:IIXlg6JY
「ちょっと抜け出してきました。散歩もしたかったですし」
「そうか」
神乃木はそう言ってから、「一緒に散歩でもするか?」と、千尋の事を誘った。
元から千尋もそのつもりであったし、一人で歩くよりは神乃木と一緒に歩いた方が楽しそうだと思った。
千尋は「そうですね、一緒に歩きましょう」と、承諾した。
95桜酒カミチヒ:04/03/31 09:33 ID:IIXlg6JY

二人は桜並木を歩く。
雑踏からはかなり離れてしまったようだが、まっすぐ雑踏とは正反対の方向へ歩いているので、迷うと言う事もあるまい。もしも迷子になったなら、それは運が悪かったと言う事だ。
「満天の空を背景にした桜、結構良いモンだな」
そう言って、神乃木はコーヒーカップを傾けた。そのままごきゅ、と飲む。
「神乃木さんは、何時もコーヒーなんですね。たまにはお酒も飲まないんですか?」
「酒は甘い夢を見せる物だからな。苦い現実を見せてくれるコーヒーが、俺には似合ってるのさ」
(自分で似合うと言いますか……)
千尋は内心突っ込んだ。
「だが、たまには酒も悪くねえ」
「まあ、そうですね。でも、飲んでないじゃないですか」
そう言った千尋に、神乃木はコーヒーカップの中身を飲ませる。
じん、と苦く甘い味がした。
いきなりの事に驚いたが、千尋は口内に入って来た液体を舌先で味わう。
ある程度味わってから、千尋はそれを飲み下した。
それから、神乃木の方を見る。
「こ…れ………お酒ですか!?」
「ああ。驚いたか?」
そりゃあ、驚きますよ。と千尋が答えた。
誰も考えないだろう。
コーヒーカップに酒を入れて飲んでいるなどと言う事は。
「俺だって、人並みには風流を楽しむさ。その場に合わせてな」
神乃木はコーヒーカップに入った酒を、ごきゅ、と何時もコーヒーを飲んでいるペースと変わらずに飲んだ。
96桜酒カミチヒ:04/03/31 09:34 ID:IIXlg6JY
「風流を楽しむ事一回につき、酒は17杯まで。それが俺のルールだぜ」
「急性アルコール中毒になっても知りませんよ」
苦笑して千尋が突っ込んだ時、神乃木のコーヒーカップに、桜の花びらが舞い降りた。
表面に、ふわりと降りた花びらは、微かに揺れた。
「クッ……桜の奴も粋な事をしてくれるぜ」
「え?」
「見ろよ。桜酒だ」
そう言って、神乃木は千尋にカップの中身を見せる。千尋は覗き込み、「うわ、凄いですねえ」と感動してその桜酒を千尋は見詰めていた。
しばらく神乃木は黙っていたが、やがて脳内に豆電球が現れ、それが光った。
つまり、神乃木は何かを『ひらめいた』のである。
「……千尋」
神乃木は千尋の名を呼んだ。千尋はその言葉に、顔を上げる。
千尋は神乃木の顔に浮かぶ、何か掴み取れない笑みに、嫌な予感を感じた。
笑ったまま、神乃木は千尋の肩を抱く。
「千尋は、風流を楽しみたいか?」
「………………………………………………へ?」
間の抜けた声を上げてしまう千尋。
風流を楽しみたい?
現にこうして楽しんでいるではないか。
「楽しみたいですけど……でも、もう楽しんでいるじゃないですか」
「いや、今よりもっと楽しめる事さ」
そう言ってから、神乃木はコーヒーカップを掲げた。
「桜酒にあやかるぜ」
「?」
掴み取れない神乃木の言葉に、千尋は首を傾げた。
97桜酒カミチヒ:04/03/31 09:37 ID:IIXlg6JY

神乃木は、千尋の事を急に桜の幹に押し付けた。
押し付けられてしまった千尋は、何が起こったのか、また何が起きるのか分からずに、目を白黒させた。
そのまま神乃木は千尋の服のジッパーを摘まむと、ゆっくりと下げた。
服で抑えられていた胸が、露わになる。
素早く神乃木は、千尋の胸を守っていた下着を持ち上げた。
「きゃっ!」
いきなり服を脱がされて、千尋は叫んだ。そして「何するんですか! いきなり!」と訴える。
そんな千尋をよそに、神乃木は千尋の両腕を取ると、そのまま胸の下で交差させ、持ち上げさせる。
千尋の胸は、寄せて上げられるような形になった。
形良く作られた胸の谷間が、神乃木の欲を刺激する。
だが、神乃木はそこをぐっとこらえ、谷間を作らせたまま、「そのままだぞ」と訳の分からない事を言った。
何が何やら良く分からないものの、神乃木にそう言われた千尋は「はい……」と素直に答えて、胸の谷間を作ったまま、じっと立ち尽くしていた。
その千尋の胸の谷間に向けて、神乃木がカップを傾けた。
作られた谷間に、カップの中身……酒がとろとろと流されて来る。
「んっ!」
いきなり冷たい液体を掛けられ、千尋は思わず甘い吐息を吐く。
だが、そうなっても谷間を作るのを止めないのは、愛の成せる技だろうか。
ある程度酒がそこに溜まると、神乃木はカップを傾けるのを止めた。
そこに丁度タイミング良く桜の花びらが舞い降り、まるで桜酒を添えている器のような役割になった。
(まさか……)
千尋は想像した。
容易に想像出来た。
と、言うか自然と想像出来た。
そして、それはすぐ起こった。
神乃木が、千尋の谷間にある酒を飲み始めたのだ。
何故か、舌まで使って。
98桜酒カミチヒ:04/03/31 09:40 ID:IIXlg6JY
「あっ……んんっ」
千尋の胸に触れられる神乃木の舌の感覚と、少しくすぐったい髭に刺激され、千尋は甘い声を上げる。
「ん、あふっ……神乃木、さん……………っ!」
じゅる、と音を立てて酒を飲み(舐め?)続ける神乃木に、千尋は甘い声で名を呼ぶ。
神乃木は顔を上げると、千尋の方を見た。
「荘龍、だ。こう言う時くらいは、名前で呼んでくれても、良いんじゃねえか? 千尋」
意地悪く笑う神乃木に、千尋の頬が紅潮した。
「……荘龍さん」
「よし、良い子だ」
千尋の言葉に納得すると、神乃木は再び酒を飲み始めた。とは言っても、もはや酒は飲み干され、肌に残った酒を、神乃木の舌で拭い取るだけなのだが。
「あ、ああんっ!」
その舌の暖かさに、千尋はあえぎ、身をよじらせる。
千尋のそんな反応を見て、神乃木は満足する。
「こう言う桜酒も、悪くねえ」
「ん、ふ……こ、これっ、桜酒なんて、言いませ……」
最後まで言う前に、神乃木は千尋の胸の先端に吸い付いた。
そのままぺろり、と舐めてやる。
「あ、ああっ……荘龍さんっ! う、くっ………」
舌ではあるものの、恋人からの甘い愛撫に、千尋はとろんとした目で神乃木の事を見詰めた。
そしてそれと相対するように激しくあえぎながら神乃木の名を呼び、身体を震わせる。
一方の神乃木も、千尋の溶けたような甘い声に、欲求が増大して行く。
99桜酒カミチヒ:04/03/31 09:42 ID:IIXlg6JY
神乃木は先程よりも強く胸の吸い付き、その先端に軽く歯を立てた。
びくり、と千尋の身体はまるで電流が流れたように震えた。
「んふああああっ!」
人の気配が無い、と言う事で何処かで安心しているのであろうか、千尋のあえぎ声は徐々に大きくなって行き、それが二人の事を高めて行く。
神乃木は片方の乳房を口に含みながら左手で(右手はカップを持っているので使えないのが残念だ)、千尋の服の白く細いベルトを外し、下ろしかけた服のジッパーに指を掛けた。
「あ……っ! 荘龍さ……」
千尋が何か抗議をしようとする声で、神乃木の名を呼び掛けたが神乃木はその手を止めようとは思わなかった。
そして、そのまま一気に下ろす。
千尋の身体を覆っていた服は、前部が開かれ、その隙間から千尋の白い肌が覗いた。
月の光に照らされ、千尋の素肌は神秘的ではあるけれど何処か妖艶な雰囲気をかもし出した。
千尋の胸元が、酒と神乃木の唾液の跡でてらてらと淡く輝いている。
神乃木は横目でそれを楽しみながら、左手をさらされた千尋の下着に指先を触れさせた。
ひくり、と千尋の身体が反応する。
「ふ、あ……荘龍さんっ……ふ、風流を、楽しむんじゃ、なかった……んですかっ……!?」
千尋は慌てて神乃木の行動を止めるべく、抗議の声を上げた。
「んむむむんむんむむ、んんんんむんむむんんむんむう、むんんうううむむんんむむんうう?」
「ひあっ……わ、分かりませんっ!」
口に千尋の乳房を含んだまま神乃木が喋ろうとして、千尋の胸に刺激を与える。千尋はそれに伴う快楽に思わず大きな声であえいでから、異議を唱えた。
神乃木はゆっくりと千尋の胸から口を離す。
つ、と千尋の胸の先端と神乃木の唇の端を、唾液が繋ぎ、そっと切れた。
「んな事言われても、千尋のそんな姿を見たら、最後まで楽しむしかないだろ?」
「なっ……………!」
その言葉があまりにも気楽な調子だったので、思わず千尋はなじろうとした言葉を忘れてしまう。
「これも一種の風流、だ」
そう言って、神乃木はカップの酒を又一口含む。
100桜酒カミチヒの者:04/03/31 09:45 ID:IIXlg6JY
著者諸事情のため、ココで一旦打ち切り。また後日投稿します。
お目汚しな物をこんな中途半端な形で置くのは心もとないのですが……
と言うか、エロな行為までまだ行き着いてない上に全然エロくない。むしろギャグだ…
101名無しさん@ピンキー:04/03/31 09:50 ID:BYseAQbB
カミチヒキターーーーーーーーーーーーー!!!
続き楽しみにしてます!
102名無しさん@ピンキー:04/03/31 11:07 ID:Oav5p/g9
キターーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!祭りだ!!!!!!!!
103名無しさん@ピンキー:04/03/31 11:49 ID:lbeiwwwH
キタ━━━ヽ(∀゚ )人(゚∀゚)人( ゚∀)人(∀゚ )人(゚∀゚)人( ゚∀)ノ━━━ !!!
104名無しさん@ピンキー:04/03/31 21:58 ID:ocCpXAuD
テンプレに入れといた方が良かったんじゃないのか?
お絵かき掲示板
http://www114.sakura.ne.jp/~k24/gs_h/
105名無しさん@ピンキー:04/04/01 01:58 ID:OwMt6Le6
保管庫に繋がらんのだが
106名無しさん@ピンキー:04/04/01 06:38 ID:KYsOTBdf
なんだかよくわかりませんが
とりあえず鳥インフルエンザ置いておきますね
      , - 、, - 、
   , - 、i'・e・ ヽ,,・ァ, - 、
  4 ・   ゝ - 、i'e・ ヽ、・ァ
  ゝ   i e・  ヽ、 ,,.-''´|
 |`"''-,,_i   ,,.-''´    |
 |    "'''i"    ,,.-'"
 `"''-,,_.  |  ,,.-''"
     "'''--
107桜酒カミチヒ:04/04/01 15:26 ID:3HwINh1y
(そんなバカな!)
反論しようとした口は、神乃木の唇によって塞がれた。
神乃木の口から、千尋の口内に、神乃木の唾液混じりの酒が入って来る。
千尋は目を閉じてその『特別な酒』を飲み下した。
「〜〜〜っ!」
受け入れてしまった後、千尋は慌てて唇を(半ば強引に)引き離し、そのまま神乃木の事を引き離そうとする。
だが、そうはさせないと言わんばかりに、神乃木は千尋の下着に触れている左手の指先を、千尋の太股の間に滑り込ませた。
肌が擦れる感覚が、下半身に広がった。
「あっ!」
千尋が足を閉じるよりも早く、神乃木の指先は千尋の下着の内、くぼんだ部分へと到達した。
下着越しに、神乃木は指を立ててその部分を刺激した。
「あっああんっ!」
その行為に到達するまでがあまりにも早く、千尋は声を抑えると言う心の準備も出来なかった。そのために、千尋の口からは淫猥な響きを持った声が出た。
神乃木の指先は、千尋の敏感な部分をショーツ越しに弄んだ。
強く、弱く、激しく、優しく……
その一定でない快楽の波に、その部分は徐々に湿り気を帯びて行く。
「んくっはあ…………荘龍さんっ! こ、こんな所……誰かに、見られたらっ……」
野外でするなど初めての事で、千尋は快楽と困惑の中で神乃木に訴える。神乃木はにやり、と笑ってから、千尋の耳元に口を近付けた。
「何の為に、わざわざ雑踏と正反対の方面に行ったと思ってるんだ?」
「え……」
下腹部の刺激と、そこから発生する快楽にあえぎながら、かろうじて千尋は神乃木の言葉に首を傾げる。
108桜酒カミチヒ:04/04/01 15:27 ID:3HwINh1y
「それ、は……道に、迷わないため…………はうぅっ!」
千尋が答えかけた時、神乃木は左手を寄り激しく動かし、ショーツ越しにその入り口に指を突き立てた。巨大な快楽の波に、千尋は鳴く。
「ファイナルアンサー?」
「……んくっ、ふ………う?」
「ファイナルアンサーかどうか聞いてるんだよ」
「ちょっ……あふうっ! んんっ………それ、何時のネタですかっ………あひっ!」
訳の分からない事を神乃木は言いながらも、しっかり左手の指先は動かし続けている。その動きに翻弄され、千尋は快楽の躍りを躍らされる。
あえぎ声、と言う歌を歌いながら。
「ファ、ファイナルアンサーかどうか、って言っても……それしか、理由は無いじゃ………ああぅっ!」
神乃木は黙って指を動かし続ける。
快楽にあえぎ続ける千尋の脳裏には、何故かティンパニのトレモロが響いていた。
何故だ。
自分は混乱しているのだ、と千尋は勝手に結論付けた。
そこに、再び神乃木の指先の運動で、意識が引き戻される。
「ん、ひぃっ………あ、っくぅ………」
黙り続けている間に行われている指先の運動は、千尋の『女の部分』にかなりの刺激を与え続ける。
千尋の下着は湿り気を帯びているどころではなかった。神乃木が指を動かすたびに、もはや千尋のその部分はショーツ越しではあるものの、くちゅり、と歌っている。
「…………………」
黙り続ける神乃木の姿に、何処か雄々しい物を感じ、その雄々しい人物が自分の秘部を激しくいじっていると考えると、千尋はそのギャップの差に、淫奔な気分になる。
109桜酒カミチヒ:04/04/01 15:28 ID:3HwINh1y
「ひうっ……そ、荘龍さぁんっ…こ、たえ……何なんで、すかっ! うくっんっ……」
身をよじらせ、半ば悲鳴の混じった千尋のあえぎ(訴え?)声に、神乃木はにんまりと笑った。
「……………残ッ念!」
「い、何時までそのネタ、続けてるんですかぁっ! は、ふう……っ!」
渾身の力を込めて、千尋は突っ込んだがそれを神乃木は、指先をより激しく動かす事で制する。
「クッ……俺が、ここまで来たのは……………こうした行為に及ぶに当たって、千尋が心おきなく鳴けるように場所を考えていたからだ」
「鳴くって言うより、泣く、なんですけどっ!」
「良いじゃねえか、どっちも同じだ」
「ち・が・い・ま・す!」
何とか千尋は自身のペースを取り戻し、神乃木に突っ込む。
「クッ……ご主人様に爪を立てるコネコちゃんには、しつけが必要だな」
いきなり逆切れ。
けれどそれを突っ込まず、千尋は神乃木の言葉に、思わずぎょっとした。
何故なら神乃木は千尋の事をいじめようと思うと、必ず千尋の事を「コネコちゃん」と、昔の口調で呼ぶからだ。
110桜酒カミチヒ:04/04/01 15:29 ID:3HwINh1y

不敵に笑うと、神乃木は千尋の秘部から指を離すと、ショーツに指を引っ掻け、そのまま勢い良くショーツを膝下までずり下ろした。
後はショーツが勝手に地面までふわりと落ちる。
多量の水を含ませた跡を残して。
「んくぅっ!」
いきなり下腹部に外気が当たり、千尋は微かに声を漏らす。
そんな千尋の太股上部には、千尋が流した膣液が、べったりと付いていた。
勿論それは、神乃木の指先にも言える事。
「下着越しにいじっただけなのに、俺の指先にコネコちゃんの蜜が付いちまったぜ」
「!」
指先を千尋に見せながら言う神乃木の言葉に、千尋は赤面する。
千尋は神乃木の事を恨めしそうに見た。
正直、千尋は焦って何とかしようと思っていた。神乃木の『いじめ』は大した物であるのだから。
身をよじり、何とか神乃木の指から逃れようとする千尋の事を、神乃木は一旦コーヒーカップをしまい(何処にしまったのだろうか、千尋には良く見えなかった)、右手で千尋の両腕を木に押し付け、神乃木の身体自体が千尋の身体を木に押し付ける形になった。
そして、何にも守られていない千尋の『素』の部分に、神乃木は予告も無しに指を挿れた。
「んくっ、あああぁっ!」
その速さに、千尋は甘く、悲鳴の混じった声を上げた。
111桜酒カミチヒ:04/04/01 15:30 ID:3HwINh1y
神乃木の骨ばった指が、千尋の内部を犯していく。
指が動くたびに、秘部は先程よりも大きな音で、神乃木の指のリズムに合わせてぐじゅ、くちゃっ、と鳴く。
その音が、千尋の耳に届き、千尋は赤面して首を横に振る。
「やっ……荘龍さんっ! 音、立てないで………あふっ、あぁ……」
「嫌だ」
千尋のあえぎ混じりの懇願に、神乃木はきっぱりと言い放った。
「言っただろ。しつけが必要だと。しつけは礼儀や作法などを教えて、再び起こる事が無いようにする事、だぜ」
そう言いながら、神乃木は先程よりもっと激しく指を出し入れし、わざとその時に発生する音をかなり響くようにした。千尋は耳を塞ごうと思ったが、あいにく千尋の両腕は神乃木の右腕に固定されていた。
「荘龍さんっ! あ、ふ……止め………」
「異議は認めねえ」
にやり、と神乃木は言葉を割り込むと、それ以上千尋に何かを言わせないために、自身の唇で千尋の唇を塞いだ。
そのまま、神乃木は千尋の歯をそっと舌で開かせ、温かな千尋の口内へと侵入して行く。
ねっとりとした互いの唾液が、神乃木の舌にまとわりつく。
「んっく、ふううぅ……」
一方の千尋は口内の侵入者に眉をしかめ、しにくい呼吸を何とかあえぎ混じりにしている。
神乃木の舌はそのまま千尋の舌を求め、執拗に千尋の口内を荒らしまくる。
恐らく、千尋の舌を絡み取る事くらい、容易に出来るだろう。
だがそれをあえてしないのは、やはり『しつけ』だからか。
耐え切れなくなった千尋は、自らの舌を動かし、神乃木の舌と触れた。
その瞬間、神乃木はもっと唇を押し付け、激しく千尋の舌を絡め取り、千尋の唾液を舐め上げた。
千尋の舌が、神乃木の舌に遊ばれ、自身に唾液をまとわせる。
「んむっ……ん、うううっ!」
頭の中が快楽に対する期待で満たされて行く。千尋は目を閉じると、自分からもより激しく舌を動かした。
それが分かると、神乃木は右腕から千尋の両腕を解放する。
空いた千尋の両腕は、そのまままっすぐ神乃木の首に交差された。
112桜酒カミチヒ:04/04/01 15:31 ID:3HwINh1y
千尋の口内を神乃木は舌で犯しながら、再び神乃木は左手の指先に意識を向ける。
神乃木の指先は、溢れた愛液で濡れ、その濡れた指先は更に滑りが良くなり、千尋の内部へと、千尋の深くへと侵入出来るようになる。
何の予告も無く、神乃木はより深くを人差し指で貫いた。
びくり、と千尋の身体が震える。
「あっあああぁ………っ!」
その勢いによって、神乃木の唇から離れた千尋の唇から、千尋の鳴き声が上げられた。
千尋の『部分』が、神乃木の指を締め付ける。
がくがくと千尋の足は小刻みに震え、口から漏れる熱い溜息が、神乃木の首筋に掛かる。
「イっちまったか?」
「っ!」
神乃木の容赦ない言葉に、千尋はこれ以上に無いくらい赤面した。
千尋の身体中がほてり、神乃木の指を引き止めるべく、吸い付いたように千尋のその部分は締まり、快楽に酔いしれて流れたその部分の『涙』が、神乃木の指を伝う。
神乃木は黙ったまま、そこから自身の指を引き抜いた。
月明かりに照らされ、妖艶に輝いた指先の液体が、不意に色を無くす。
空は曇り、月の光は雲に少し隠されてしまった。神乃木の指先があまり見えなくなったように、千尋には神乃木の表情があまり見えなかった。
神乃木はそのまま、指を千尋の口にねじ込んだ。
「!!」
いきなり指を押し入れられ、千尋は声にならない叫びを上げる。
唾液まみれであった千尋の舌に、神乃木の指先が触れる。勿論、千尋自身の蜜も。
「これが、お前の味だ。コネコちゃん」
指を嫌らしく動かしながら、神乃木が言った。
千尋は始め、その指先の動きに翻弄されないようにじっと耐えていた。だが、やがてその嫌らしい神乃木の指先の動きは、千尋の舌を挑発し始める。
ぐりぐりと押し付けたと思ったら、つつ、と舌を撫でるようにしたり、かと思えば抜き挿しをし始めたり。
神乃木のそんな指先の動きに、千尋は自然と舌を自分で動かした。
先程無理に押し付けられた味とは、又違った味がしたような気がした。
113桜酒カミチヒ:04/04/01 15:32 ID:3HwINh1y
ある程度舐めさせると、神乃木は指を千尋の口から引き抜いた。
「よし……合格だ」
「あ、ふうっ………」
何が合格なのか分からないのだが、異議を申し立てるような冷静な理性も残っておらず、千尋はただ激しい息遣いでそれに答えていた。
その時、神乃木はひざまずいた。
何をしたいのか、千尋には理解しかねた。
神乃木はそのまま、千尋の両足に手を掛け、顎を突き出した。
「あっ……」
そこで、何をされるのかやっと分かった千尋は、制止の声を上げようとした。
だが、その前に神乃木は千尋の秘部を舐め始めていた。
ざらり、とした舌の感触が、敏感に反応するその部分の周辺に広がる。
「んく、ぁっ…………荘龍さんっ、駄目っ……そこ、は…………汚い、からっ……」
千尋の訴えに答えず、神乃木はそこを舐め続ける。
始めは音を立てず、しかしだんだんと神乃木はそこの部分に舌を押し付け、激しく舌を動かした。すると、そこは大袈裟な音が立ち始める。
千尋は神乃木の事を見ていられなかった。雲に隠れ、月の光がくぐもったとは言え、相手のシルエットは見えているのだ。
そして、その相手は今、自分の両足の間に顔を押し付け、音を立てて舐めている。
顔を背け、目をきつく閉じる千尋。
桜吹雪が、二人の周りに舞い降りる。
神乃木はしばらく舐め続けたが、やがて顔を離し、カップを手に持つと立ち上がった。
先程の桜吹雪のために、カップにはまた花びらが浮かんでいた。
「………千尋」
顔を背けている千尋に、呼びかける。千尋はおずおずと神乃木の方を見詰めた。
「もう一回、俺は桜酒を飲むぜ」
「え、ええ」
何故そんな事を言うのだろうか、と千尋は思った。その時、神乃木は千尋の口に酒の入ったカップを押し付ける。
千尋は驚いたが、すんなりと口内に酒を受け入れる。
と、神乃木はそこでカップを千尋の唇から離すと、代わりに自分の唇を押し付けた。
唇を開かせ、神乃木は酒を吸い寄せる。
千尋の口から吸われた酒は、神乃木の喉を通った。そこで、神乃木は千尋の唇から自分の唇を離す。
呆然としていた千尋だが、やがて、「お、お酒を飲みたいなら、自分で飲んで下さい!」と言った。
そんな少し怒っている千尋の髪を、どきりとするほど優しく神乃木が撫でる。
114桜酒カミチヒ:04/04/01 15:34 ID:3HwINh1y
「春の夜の、やみはあやなし梅の花…色こそ見えね、香やはかくるる」
神乃木が突然和歌を歌い出し、千尋は驚く。
「凡河内躬恒(おおしこうちのみつね)の歌だ」
「は、あ………」
あえぎも落ち着き、甘い吐息混じりに千尋が言う。
「春の夜の闇は分別が無い、だがその中の梅や、桜の花は色こそ見えなくなるが、香りは隠れはしない。そんな歌だ」
「それ、で………何が……」
ぐったりとなって木に自分の体重を預け、無防備な体勢で居る千尋の頬を、神乃木はそっと撫でた。
「どんなに月が隠れようと、どんなに千尋が見えなくなろうと、千尋の声は、千尋の香りは隠れはしないって訳だ」
神乃木の言葉に、(恐らく見えていないであろうが)千尋は気絶しそうになるくらい赤面した。
「俺は、少なくともそうさ。だから……千尋もそうなってくれねえか?」
ぽつりと言った神乃木の言葉に、千尋は目を丸くする。
千尋が何か言うよりも先に、神乃木は自分のズボンのベルトを外し、チャックを下ろした。
そしてしばらくごそごそとして、勃起した自身のモノを取り出した。
「!」
それを暗がりではあるものの直視してしまい、千尋は慌てて目を逸らす。
だが、神乃木はそんな千尋の頭を掴むと、ゆっくりと膝立ちさせるまでの高さに持って行く。
「気持ち良くなるのは二人平等。それが俺のルールだ」
そう言って、神乃木は千尋の方を見る。
「胸」
「へ?」
「胸、使ってくれ」
その言葉に、意図を理解しようと一瞬千尋は黙り、そして「なっ……」と言ってから神乃木の方を見た。
「じょ、冗談も程々にして下さい!」
「千尋。こう言う行為に冗談もくそもあるかよ」
苦笑して、神乃木は千尋の事を引き寄せる。
千尋は勢いで胸の合間に神乃木のモノを配置させる形になる。
そのまま神乃木は引き寄せるのを止めた。千尋に後は任せる、と言った感じにも見えなくない。
115桜酒カミチヒ:04/04/01 15:37 ID:3HwINh1y
(このまま、逃げてやろうかしら……)
そんな事を思いながらも、自分の目の前にある神乃木のモノを見ると、千尋の羞恥心と、淫佚感が刺激される。
千尋は黙って自分の乳房を寄せ、それを挟んだ。
「グッ……う」
神乃木は挟まれ、唸り声にも似た声を漏らす。
自分の行為が、神乃木を刺激している。そう考えると千尋の方も興奮して来た。
千尋は神乃木の勃起したそれを挟んだまま、それをこするように胸を押し当て、身体を動かす。
(わたし……お酒に酔ってるのかしら……?)
こんなにもすんなり、神乃木の言う事を聞いて恥ずかしい事をする自分の醜態を、ぼんやりと思い返した。
こすり続ける内、神乃木のモノが徐々にその大きさを拡大して来ているのが分かった。
千尋は恥ずかしさを覚え、神乃木の方を見上げる。
「荘龍さ……」
『さ』と唇を一番大きく開いた所で、神乃木は肥大化してきたそれを千尋にくわえさせた。
「んむっ……」
口を『さ』と開いた時の大きさよりもかなり大きな神乃木のモノをくわえ、千尋は苦しそうにあえぐ。
いつもより(いつもも実はそうなのだが)、神乃木が押し気味になっているのは、酒のせいだろうか。
「ん、んんうぅぅっ」
その苦しさに少し涙を浮かべたけれども、千尋は何とかそれをこらえ、口の中の物を舌で舐め始めた。
(泣くのは……全て終わってから、なんだから!)
※使う場面違います。
116桜酒カミチヒの者:04/04/01 15:38 ID:3HwINh1y
は、母親が入って来たので一旦中断します! ごめんなさい!!
117オバミツ(オバチャンブリス化):04/04/01 20:19 ID:ZeIz+LBu
吐麗美庵でみんなと楽しいひとときを過ごし、再び外国へ行くために空港へ行く道、空港に一人の女性が現れた。
「ミッチュァァァァァァァァァァァン」
この呼び方はまさか・・・とはおもったが、外見はとても若い女性だったので人違いでよんだのだろうと判断した。
「ひ、人違いではなかろうか。」
「何を言っているんだい。オバチャンだよ。愛するミッチャンのために若返ってきたんだよ。」
御剣は突然のことでまったくわからなかった。そんな御剣をよそにオバチャンはぺらぺらとしゃべっていった。
「そんなことよりだよ、ミッチャン、オバチャンを抱いておくれよ。乙女の一生のおねがいだよ。」
いつもだと「茶色い猫なで声はやめてくれ」といえたが、若返ったオバチャンの猫なで声はとても色気を感じた。
「そ、そのようなアレは困る。」
と、御剣なりに抵抗しても無駄だった。
「なに照れているんだい。ラブホへ行くよ。オバチャン久しぶりだからやさしくしておくれよ。」
と御剣の腕を引っ張り、ラブホ街へと二人は消えていった。






エロなしスマン
オバチャンをブリス化してもオバチャンはオバチャンだ・・・・
さすがにこの後は書く気になれない
この続きを書いてくれる人お願いします。
118117:04/04/02 01:14 ID:BBV2381F
やっぱ同社の作品でもごっちゃ混ぜはマズかったと今反省しております。
回線を切って(ry
119名無しさん@ピンキー:04/04/02 01:24 ID:cRInzbkN
いや、ごちゃ混ぜは別に構わん。少なくとも俺はな。
ただ、若返ったオバチャンのビジュアルが想像できなかっただけだ…
120桜酒カミチヒ:04/04/02 13:13 ID:6v/Dx7Q0
とにかく、千尋は神乃木の事を満足させるべく、必死に神乃木のモノを舐め上げる。
こうした行為はやはり慣れなく、どうしてもたどたどしくしか出来ないが、それでも千尋は自分から顔をもっとそれに寄せ、なるべく口の奥まで導いた。
つ、と先端から液体が出て来たのが分かる。
多少どころではない苦しさに、千尋の顔が歪む。
「クッ…………ち、千尋っ!」
「んんぃ?(はい?)」
切羽詰まったような神乃木の声に、千尋は顔を歪めながらも目を神乃木の方へと向ける。
「出、す……ぞ」
かろうじて千尋の耳に届いた言葉に、千尋はぎょっとする。
まだ心の準備も出来ていない。(いや、実はもうある程度出来ていたのだが)
千尋が何か異議を唱えたり、行動を起こす前に、神乃木はぐっと身体に力を入れたかと思うと、そのまま欲を千尋の口内へとぶちまけた。
「んん、んんんんんんんんんっ!」
口内に放出される熱い液体に、千尋は思わず喉の奥で悲鳴を上げる。
そのくぐもった悲鳴に、神乃木は慌てて千尋の頭を引き離した。
千尋の顔に、それがべっとりと付けられる。
「んくぅっ……」
口内と顔面に放出された液体を感じ、千尋はかろうじてそれだけあえぐ。
甘美な快楽だけが、残っている。
121桜酒カミチヒ:04/04/02 13:14 ID:6v/Dx7Q0

くたり、として立ち上がる事も出来ない千尋。
「大丈夫か、千尋」
神乃木の問いに、千尋はふてぶてしく笑う。
「いきなりピンチか」
千尋の笑みを見て神乃木がそう言った。
何時の間にか、お互いの顔が見えるくらいにまで、月の光が照らしていた。
千尋は口内に残った液体を何とか飲み下そうとしたが、その量の多さと喉につっかかるねとねとした感覚に、なかなか飲み下す事が出来ずに居た。
「コーヒーは、その濃度に応じて飲む量も加減するものだ」
(言っている事が、訳分からないんですけど……)
口の中に物を残したままなので、言葉で突っ込む事も出来ず、千尋は目で訴えた。
そんな千尋の表情に、神乃木は「クッ……」と笑った。
「つまり……………無理して飲もうとしなくて良い、って事さ」
(じゃあ、始めからそう言えば良いのに……)
そんな事を思いながら、千尋は唇に入れていた力を緩めた。
唇の端から、神乃木がそこに居た証が一筋、頬を伝い、落ちる。
千尋は力もあまり込められない手で、顔に付いた粘液を何とかぐしぐしといじり、拭い去ろうとする。
だが、逆効果で、広がるばかりだ。
困惑して千尋はただ溜息だけ吐いた。
「立てるか、千尋?」
珍しく気遣って来る神乃木。千尋は立ち上がろうとして見たが、それが無理だと分かると、素直に首を横に振った。
途端。
神乃木がにやり、と笑う。
「じゃあ、俺が立たせてやるからな」
先程の笑みは一体何だったのだろうか、と千尋は思いながらも、神乃木に自分の身体を任せた。
122桜酒カミチヒ:04/04/02 13:16 ID:6v/Dx7Q0
神乃木は、千尋の脇を持つと、立たせた。
そしてそのまま、自分の方へと傾かせる。
千尋の背中には、たくましい神乃木の胸板の感触がした。
「え、あの……荘龍さん?」
千尋が神乃木の方を見た。
神乃木はあのニヤニヤ笑いのまま、いきなり千尋の片足を持ち上げた。
そして、そのまま自分のモノを、千尋の秘部に向けて挿入する。
愛液にまみれた千尋のそこと、先程放出した神乃木のモノから出た粘液と千尋の唾液とが付いたそれが、ぐちゅり、と音を立てて結合して行く。
「あっ、ふぁ……あああんっ!」
まさかそこまで及ぶとは思っても居なかった千尋は緊張のほぐれた口であえぐ。
「普段は可愛いコネコちゃんだが……」
神乃木は千尋の耳元に口を寄せた。
「俺の腕の中では、甘い娼婦だな」
「んくっ、ひぐぅっ……」
耳元で囁かれる神乃木の声。ただそれだけに千尋は感じてしまう。
それが例え、どんなに陵辱しがちな内容であっても、千尋にとっては(こうした時の)神乃木の言葉は絶対で、それは甘美な言葉として受け取られていた。
「千尋……お前、事務所で俺にいやがらせをしただろ?」
「え? ………う、ふぁ…っ」
下半身を動かし続け、奥へ、奥へと入って来ながら、神乃木は千尋に言った。千尋は快楽と現実との間に挟まれ、頭が真っ白になりかけながら、必死に考える。
何を、いやがらせしたのだろうか、と。
123桜酒カミチヒ:04/04/02 13:19 ID:6v/Dx7Q0
「花見に行くか行かないかで、俺が行かないって言ったのを聞いてから、お前は花見に行くと言った」
「んふああっ!」
「俺は思った。『これはもう、千尋にいやがらせをされているに違いない』と」
「そ、んな……わたし、ただ…………ああっ」
何か千尋が口応えをしようとすればするほど、神乃木は下半身を激しく動かし、千尋の内部を突き上げていた。
「大体…俺の居ない所で何か起こるかも知れない、って思わなかったのか?」
神乃木の言葉に、千尋はぼんやりとしながらも、「でも、心配ありませんよ」と言った。
「だって……星影センセイ、もっ…生倉センパイもっ………皆、皆良い人、ですか、ら……あふうっ!」
千尋の言葉に、神乃木は首を横に振った。
「俺が心配なんだ」
そう言って、神乃木は千尋の耳たぶを舐める。
「ふ、あああぁ……」
ちろ、と神乃木の舌の感触がして、千尋は思わず甘い吐息を吐く。
「お前が俺の居ない所で、俺じゃない誰かと居るなんざ、俺が許さねえのさ」
そう言って、神乃木は背中越しに手を千尋の胸まで持って行き、胸を揉んだ。
「ひうっ………あ、んっ!」
その切なくも強い愛撫に、千尋は目を閉じて身を委ねる。
下半身から訪れる快楽、胸部から訪れる快楽。
二つの快楽に千尋は神乃木と躍り、神乃木へとあえぎ声の歌を歌う。
お互いを止める物は何も無い。
124桜酒カミチヒ:04/04/02 13:20 ID:6v/Dx7Q0
「あ、ああんっ、そ、荘龍さぁぁんっ!」
「クッ、ち、千尋ぉぉぉぉっ!」
二人は思う様身体を動かしあい、互いの名前を呼んだ。
快楽から刺激される欲求は、相手の性。
「ふ、ああああんっ! 駄目、イっちゃう、またイっちゃうぅぅぅぅっ!」
千尋はそう叫び、千尋の身体が熱くなる。
神乃木の事を深くに掴んだまま、千尋のそこが震え、神乃木の事を締め付ける。
それに刺激され、神乃木もまた絶頂を向かえようとしている。
神乃木はぐ、と腰を前に突き出し、千尋の一番奥まで貫いた。
「千尋、出す、出すぞっ!」
神乃木の言葉に、千尋は顔を神乃木の方へと向ける。
「荘龍さんっ! き、来てっ! 一杯にしてぇぇぇぇっ!」
千尋のねだりと、神乃木の意思とで、二人は絶頂を向かえた。
「く、おおおおおおおっ!」
「あ、あああああっ!」
胎内の一番奥に神乃木の熱い液体が入れられている。千尋はそう思った。
熱くて、そして優しい物で千尋の中が満たされて行った。
125桜酒カミチヒ:04/04/02 13:21 ID:6v/Dx7Q0

二人は、激しい息遣いのまま、その場に居た。
乱れた服をお互い直し、そして互いを見る。
月の光は雲によって隠されていた。
「春の夜の、やみはあやなし梅の花…色こそ見えね、香やはかくるる」
千尋はゆっくりと、先程神乃木が歌った和歌を歌う。
「さっきの、凡河内躬恒の歌だな」
「ええ………」
多少落ち着き、千尋はそれでも頬を紅潮させながら、神乃木の言葉に答える。
神乃木は千尋にこう説明した。『春の夜の闇は分別が無い、だがその中の梅や、桜の花は色こそ見えなくなるが、香りは隠れはしない』と。
「どんなに月が隠れようと、どんなに荘龍さんが見えなくなろうと、荘龍さんの声は、荘龍さんの香りは隠れはしません」
千尋がそう言うと、神乃木は顔を背け、「クッ……覚えてやがったか」と言った。
千尋も、そうなってくれねえか、と神乃木は言った。
暗闇の中でも、それが自分だと分かるようになってくれないか、と。
まるでバツの悪そうな風に顔を背けているが、恐らく神乃木は照れた顔をしているだろう。
声と、香りは隠れないのだから。
千尋は、ゆっくりではあるが神乃木の隣に位置すると、そのまま神乃木の方を向いた。
「荘龍さん、帰りましょう。きっと……皆さん、心配してます」
千尋が酒盛り場から離れてから、もう随分と経っただろう。事務所の人間の、自分達を探す必死の形相を想像しながら、神乃木に千尋はそう言った。
「……クッ………俺は結構、独占欲が激しいヤツ、だぜ」
そう言って、神乃木は千尋の身体を抱き寄せた。
ほてった身体が触れ合い、二人は思わず見詰め合った。
「もう少しくらい……せめて、俺が十七杯目の酒を飲み終えるまで、ここに居ねえか?」
神乃木の言葉に、千尋は頬を染め、目を伏せた。
もう少し、ここに。
二人きり、で。
「ええ……そうですね……」
たどたどしく、千尋が答えた。
126桜酒カミチヒ:04/04/02 13:23 ID:6v/Dx7Q0
いつもの千尋なら、「駄目です! 心配掛けさせた分だけ、申し訳無く思わなくっちゃ、ただのコーヒー好きの迷惑な人ですよ」と言うので、予想外の千尋の返答に、神乃木は微かに目を丸くする。
「千尋……良いのか?」
「? どうしてですか?」
小首を傾げ、千尋が尋ねて来た。
「その、アレだろうが。春って言ってもだな、まだ肌寒いだろうし」
口ごもりながらそれでも千尋の事を気遣う神乃木に、千尋は腕をそっと神乃木の首に回す。
「わたしも、風流をまだ少し楽しみたくなりましたから」
千尋はそう言ってから、愛しさに微笑んだ。
この人はわたしを愛してくれているのだ。
わたしがこの人を愛しているように。
そう思い、千尋はゆっくりと神乃木と口付けをした。
見事な望月は雲によって隠れていたが。
闇夜は決して二人を分けない。
それは二人が、目で見えるだけの世界で生きてはいないから。
もっと、その奥の、その深くの。
『深層心理』なる『真相真理』の中で生きているのだから。


春の夜の、やみはあやなし梅の花…色こそ見えね、香やはかくるる

何処かで、男性と女性の、微かに歌う声がした。




(終わり)

127桜酒カミチヒ(おまけ):04/04/02 13:24 ID:6v/Dx7Q0

〜おまけ〜

「もうっ! 荘龍さんが帰るのをずるずる引き伸ばすから!」
「おいおい、俺のせいかよ」
膨れっ面で文句を言う千尋に、神乃木は苦笑した。
「そんなに怒るなって」
そう言って、神乃木は千尋の膨れた頬に口付けをする。
結局、二人が帰ろうと思ったのが随分後で。
どうにか迷わずに花見をしていた所まで辿り付く事は出来たけれど、その頃には星影事務所の人間は皆酔いつぶれ、結局後片付けをしたのは神乃木と千尋なのであった。

「めでたしめでたしってヤツだ」
「めでたくないですぅっ!!!」


(終われ)

128桜酒カミチヒの者:04/04/02 13:28 ID:6v/Dx7Q0
今回は少しエロエロ度を増やしてみようと言う心意気の元、執筆しました。
でも、全然エロくない。誰かエロの書き方教えて! 単語も分からないし……
神乃木氏相変わらずキス魔だし。(前回Wちいちゃんでもそうだった……千尋とキスして終わったし)
身体重ねるよりキスの方が好きなのでは?(爆)
それにしても、神乃木氏、一人称『俺』ではなく『オレ』でしたね。後から気が付いてショボーン。
これ見て幻滅している神乃木ファンも居るのでは……スマソ。
最後の『深層心理』と『真相真理』はシャレであり、私が今手がけてるナルマヨ小説の題名でした。
機会があったら、ナルマヨ小説も載せたいなあ……
129名無しさん@ピンキー:04/04/02 18:21 ID:cRInzbkN
乙。(;´Д`)ハァハァしました
ナルマヨ小説もぜひ。
130名無しさん@ピンキー:04/04/03 00:29 ID:LdNYMnlf
>桜酒カミチヒ
乙! ごちそうさまですた(・∀・)!! 美味しくいただきました。
ママン入室にうろたえる桜酒カミチヒの者たん萌え。
131名無しさん@ピンキー:04/04/03 14:24 ID:YnKxwjIZ
桜酒カミチヒさん乙です!
(*´д`*)ハァハァさせていただきました
132名無しさん@ピンキー:04/04/03 20:32 ID:2LZYins0
133名無しさん@ピンキー:04/04/03 22:26 ID:kkzLvgZN
桜酒神チヒ乙!!
また投下おながいします!!!
134名無しさん@ピンキー:04/04/05 17:56 ID:hx3ohhNf
ああ・・・誰かナルメイ書いてくだされ・・・
135名無しさん@ピンキー:04/04/07 07:26 ID:7jYKGi6A
>>128
乙です!
ナルマヨ小説も是非是非!
136名無しさん@ピンキー:04/04/07 23:28 ID:yPR9fTrg
あなたのナルマヨ読んでみたいです!是非是非!!!!
137修行ナルマヨの者:04/04/09 18:41 ID:mtNFkdMg
父母が居ない今こそ投稿のチャンス!(謎)
例によってエロまでまた長いのだが……ナルマヨ小説。
と言うか、エロってどうやって書くのか分からないで居ます。
まあ、まだ『深層〜』も手元のコレも書き終わってないんですが、とりあえず部分部分で置いていきます。(置き逃げ)
私のナルマヨはかなりヘターレ。(ショボーン)
メシ前に何て物置くんだ、って感じで。
138修行ナルマヨ:04/04/09 18:42 ID:mtNFkdMg
冷たい霊洞の中で、刹那に導かれた想いが、やがて二人を向き合わせる。
誰も楽をして生きられないように、誰も無理をして生きられない。

ただ、そこに在る真実と共に。

−太虚− (こくう)

肌に触れる寒さが、思わず身を震わせた。
ごくり、と唾を飲みこんでから、隣を成歩堂 龍一は見た。
そこには同じく身を震わせている綾里 真宵が居た。
(・・・・はあ・・・・ はあ・・・・
・・・・くそっ! なんでぼくがこんな目に・・・・)
成歩堂は唇を噛んだ。
(・・・・あのとき・・・・ぼくはどうして、あんなコトを!)
脳裏に、数日前の会話が思い出された。
139修行ナルマヨ:04/04/09 18:44 ID:mtNFkdMg
ぱたぱたと、駆け寄って来る足音に、成歩堂は目を向けた。
そこには、何か紙を持った真宵が居た。
「なるほどくんなるほどくん! ちょっと良いかな!」
「え? あ、ちょっと待ってて。今、トイレ掃除が……」
「何時までトイレ掃除してるの! もう一時間もトイレ掃除してるでしょ!」
そう言って、真宵が成歩堂の腕を引っ張る。
「うわわ、ちょ、ちょっと真宵ちゃん! み、水がっ、水があぁぁっ!」
「あーもう、そんなのクリーニングに出せば良いでしょ! それより聞いてよ! ビキニさんが、あたしを招待してくれたんだよ! あの時の、スペシャル・コース!」
真宵は騒ぐ成歩堂に、持っていた紙を突き付けた。
突き付けられた成歩堂はしばらくそれに目を通し、「ふうん。良いんじゃないかな」と言った。今の成歩堂には、紙よりもトイレの水に少し濡れてしまったスーツの方がショックである。
「じゃ、なるほどくん。例によってよろしく」
両手を前に持って来て、真宵がにこにこ笑いながら言った。
「え?」
「ホラ、前もそうだったでしょ? 二十歳以上の人と同伴じゃないと行けないの」
「な! ま、またかよ! 大体それ、ぼくじゃなくても、御剣と行けば良いじゃないか!」
「御剣さんは冥さんと仲良くしてるから、駄目だと思うな」
あっさりと言われたし、容易に想像出来て、成歩堂はそれ以上勧められない。
「くっ……じゃ、じゃあイトノコ刑事と……」
「マコちゃんと一緒に、留守番するんだって。吐麗美庵で」
幸せそうな顔をするイトノコが想像出来る。
(客の入りも悪いのに、良くやるよ、イトノコ刑事)
それも愛の成せる技なのだろうか。
「うっく……じゃ、じゃあ……じゃあ……」
「ヤッパリさんと?」
「それは絶対駄目ーっ!」
真宵のこれからが心配になり、成歩堂は間髪を入れず異議を申し立てる。
「じゃあ、誰も居ないじゃん」
「さ、裁判長が居るだろ!」
「あの寒さは、裁判長さんには無理だよ」
確かに言えている。
言えているが、心の何処かで、あの裁判長なら平気な気がすると思っている成歩堂。
140修行ナルマヨ:04/04/09 18:45 ID:mtNFkdMg
しかし確信も無いのに裁判長を勧め、裁判長がそれで死んでしまったら、夢見が悪い。仕事で忙しいだろうし。
「うう……じゃ、じゃあ春美ちゃんに、千尋さんを霊媒して貰えば良いだろ」
「駄目だよ。はみちゃんに負担掛けちゃうし、心配掛けちゃうから」
(ぼくなら良いのかよ……)と突っ込みたくなる成歩堂。
「……! そうだ! 真宵ちゃんが千尋さんを霊媒すれば……」
「この紙、あたし宛てだから無理だよ」
そう言って、真宵は紙の上部を指差した。
確かに、そこには『綾里 真宵  様』と書かれている。
「ね、ね。良いよね! なるほどくん!」
正直「うへえ……」とも思ったが、ここまで来たら仕方ない。
しぶしぶではあるが、成歩堂は「分かったよ……」と言った。真宵はそれを聞いて、「やったあ!」と喜ぶ。
「じゃあ、なるほどくんも参加してね!」
「………………え?」
魔の抜けた声で、真宵の言葉に反応する成歩堂。
「折角ビキニさんが招待してくれたんだもん! ほら、今なら春の大セールで二人以上申し込みの場合、二人で一人分の料金で良いって、書いてあるんだよ!」
「あーあー、それは良かったね。春美ちゃんと一緒にすれば良いだろ?」
「はみちゃんは、しばらく里に帰るって」
(何で帰っちゃうんだよ、春美ちゃーん!!)
「だ・か・ら! 決定だね」
「ま、まままままま、待った! 大体ぼくが参加しなくても料金は変わらないし………」
「それに……」
そう言って、真宵が目を伏せる。
141修行ナルマヨ:04/04/09 18:46 ID:mtNFkdMg
「本当は、一人では入りたくないんだ。あそこ」
(あ……)
「ね、なるほどくん。一緒に修行しようよ」
真宵の物言いに、成歩堂は黙った。
そう。真宵はある事件に巻き込まれ、あの場所に一人でずっと居たのだ。
生と死の境目で。
その時の恐怖は、恐らくどんなに言葉に表せる事が出来ても、表せしきる事は出来ないだろう。
「……お願い、なるほどくん」
真宵がもう一度、成歩堂に懇願した。
そうだ。
護ってやらなくてはならない。
かつて、護り切れなくて危ない目に遭わせた事は沢山在る。
だからこそ、今度こそ成歩堂が護ってやらなければならないのだ。
「…………分かったよ、真宵ちゃん」
「やたっ!」
そう言って飛び跳ねる真宵の姿に、成歩堂は苦笑した。
142名無しさん@ピンキー:04/04/09 19:10 ID:w4o8dYLC
お待ちしておりました。
143修行ナルマヨ:04/04/09 19:27 ID:Gm3EI8vs
そして、その結果がこれである。
ここは、おぼろ橋を渡った対岸。
修験者が霊力を上げるための、霊境である。
そこでは、修行用の服をまとった真宵は震え、何とかしてスーツ姿のまま修行が出来る許可をもらった(修験者の服は寒そうであったし、殺人級に似合わないだろうと思ったからだ)成歩堂は、過去の事を思い出している。
「ま、ま、真宵ちゃん。ほ、本当に入るの? あそこ」
成歩堂は奥に在る奥の院を指差して言った。真宵は震えながらこくこくとうなずく。
(か、勘弁してくれ……)
正直、ここまで身体的に追い詰められたのは初めて(精神的にはそうではないのだが)で、成歩堂はスーツの上から腕をさすりながら心の中でそう思った。
「そ、それじゃあ、入ろっか。じゃ、なるほどくん、お先にどうぞ」
「え! こ、こう言う時はやっぱり、専門家であり本家本元、家元さまの真宵ちゃんからどうぞ」
「あたしは家元だから、まあ、じゅ、重役出勤?」
「訳分からない事言うなよ!」
「ぜ、ぜんとるめんふぁーすと、ってヤツだよ」
「何だよそれ! 大体それはレディーファーストだろ!」
「男女差別良くない!」
「真宵ちゃんが先に言って来たんじゃないか」
などなどと口喧嘩をしている内に、身を切るような冷たい風が吹く。
「……」
「……」
「喧嘩している場合じゃないよな」
「そだね」
二人の意見は合致した。
確かに、この気温の中、争い続ける事さえ不毛だし、百害在って一理無し、である。
「それじゃあ、早速行くか」
「ちょっと待って、なるほどくん」
成歩堂が歩き出そうとした時、真宵がそれを止める。成歩堂は呼び止められて、振り返った。
そこには、中庭に目を向ける真宵が居た。
そう。中庭。
(あ……)
成歩堂はつい最近弁護した裁判を思い出していた。
144修行ナルマヨ:04/04/09 19:28 ID:Gm3EI8vs
その時の現場は中庭で。
そこで、真宵は……その事件に巻き込まれた。
この中庭は、沢山の思いが詰まった場所だ。
妬み、恨み、迷い、苦しみ……思慕。
全ての結果、迷いが今こうして成歩堂の隣に居る。
「少し……お参りさせて」
真宵の言葉に、成歩堂はうなずいた。
そして、一緒に中庭に入る。
灯ろうの周りは、雪がどけられたままだった。
真宵は目を細め、その雪の在る場所と、無い場所に交互に触れる。
「……あたし、色んな人に助けられたから、ここに居るんだよね」
「そう、言ってたね」
「……」
黙って真宵は目を閉じ、手を合わせた。
本当に長い間、その格好のまま、真宵は立ち尽くした。
きっと、真宵の中にも色々な思いが在るだろう。
「……だから、あたし……強くならなきゃいけないの」
「うん。それも、言ってた」
真宵の背中が、小さく見えた。
145修行ナルマヨ:04/04/09 19:29 ID:Gm3EI8vs
「あたし……時々思うんだ。あたしだけ、取り残されちゃった、って」
「……」
「あたしのお父さんも、お母さんも、おねえちゃんも……皆、居なくなっちゃった。あたしだけになっちゃった、って」
「でも…君には春美ちゃんも居るじゃないか」
「うん……そうだけど………」
沈んだようにそう呟いてから、真宵は顔を上げた。
「……そう、だよね。あたしにはまだ、はみちゃんも、なるほどくんも居るもんね!」
あはは、と真宵はそう言って笑った。
その笑顔を見た瞬間、成歩堂は後悔した。
真宵のその笑みが、あまりにも虚しかったからだ。
「………よしっ! じゃあじゃあ、早速修験堂に行こっか」
虚しい笑みであるけれど、満面の笑みを浮かべながら、真宵が成歩堂の方を振り返り、そう言った。
「え、あ…そ、そうだね」
言われた成歩堂は、多少何処か取り残された感を拭えないまま、うなずいた。
そして、二人は中庭を後にし、奥の院の修験堂へと向かった。
146修行ナルマヨ:04/04/09 19:30 ID:Gm3EI8vs
「アンタたち、やっと来たね。わは、わはは、わははははは」
「お久し振りです、ビキニさん!」
けらけらと笑うビキニに、真宵が声を掛ける。
「もお、オバさん、準備は出来てるし。何時でも修行が出来るわよ」
「うわあ。ありがとうございます」
「そこのアンタも、しっかり修行して、霊力をぐっぐーんと伸ばしなさいね」
「ええ!? ぼ、ぼくもですか!?」
「なるほどくん! 光栄な事なんだよ? あたし達倉院の里の人間も、なかなかスペシャル・コースには拝めないんだからね」
(光栄、なのか……? 一般人にとって)
あえて口で言わなかったけれども、成歩堂はそう突っ込んだ。
そう。
こんなにギザギザな頭と眉毛をしているが、成歩堂はれっきとした一般人なのだ。
周りにとって見ればそうは思えないのが、哀しい事なのだが。
「それにしても、残念だねえ。しゃんとした修験者の格好をした方が、一層身も引き締まって、霊力が上がる要因にもなるのにねえ。今時それをスーツなんて……」
「ま、まあ殺人的に似合いませんからね、ぼくがそれを着ると」
「ま、それも言えてるけど」
ビキニはさらりとそう切り返す。
「しっかりご飯は食べたんだろうね」
「はい! そりゃあもう、お腹が悲鳴を上げるまで食べましたよ!」
(それってスゲェ!)
以前、真宵は甘い物とステーキは別腹、などと言うすさまじい『別腹』宣言をした。
そこから考えると、真宵の腹部が悲鳴を上げるほどの食糧と言うのは、かなりの量、と言う事になる。少なくとも、常人には食べ切る事の出来ない量であろう。あくまでも、常人の話だが。
147修行ナルマヨ:04/04/09 19:31 ID:Gm3EI8vs
「少しは暖かくなって来たし、もう修行を初日から始めても構わないね?」
(何処が暖かいんだ!!)
成歩堂は異議を唱えようとしたが、どうにもこの寒さではなかなかツッコミを入れる事が出来ない。
一方のビキニはこんな寒さなど慣れているのだろうか、相変わらずけらけらと笑っている。
成歩堂は真宵の方をちらりと見たが、一方の真宵も寒さに震え、表情も凍り付いていた。
やはり初日から始めるとは思っても居なかったらしい。
「それじゃあ、早速始めましょうか。未来の家元さん」
「は、はひぃ……」
もはや寒さに反対する気力すら凍り付き、真宵は鼻声でビキニの言葉に答えた。
「死なない程度に頑張るんだよ。わは、わはは、わははははは」
笑いながら、ビキニは奥の院の扉を開けて、成歩堂達を中へ促した。
もはやこれまでと言った感じで、成歩堂と真宵は顔を見合わせた後、諦めたように密かに溜息を吐き、案内された奥まで入って行った。
148修行ナルマヨ:04/04/09 19:32 ID:Gm3EI8vs
ひやり、とした風が肌を撫でるたび、成歩堂は、真宵は、身震いをした。
ビキニは途中まで案内すると、成歩堂に申し訳程度の明かりを手渡し、「ここから先は修験者さんが自分で行く事になっているんだよ」と言って、やはりわはわは言いながら帰って行ってしまったのだ。
「ま、真宵ちゃんは、一度ここに入ったんだよね?」
「うん……そ、そうだね」
二人とも奥の院の修験堂の寒さに震えながら、言葉さえも凍り付いているのではないかと思ってしまうくらい覇気の無い声で語り合った。
「じゃあ、迷う事も、無いよね?」
「う、うん。迷わない、けど……や、やっぱり寒いなあ」
「あの時と、今と、ど、どっちが寒い?」
「うーん、ど、どっちも寒いよ。た、多少暖かくなったと言っても、や、やっぱり奥まで、暖かさは、来ないし」
そう言いながら、真宵は腕をさすり続ける。
真宵の言葉を聞きながら、成歩堂は寒さを覚悟した。
「それにしても、物寂しい所だな」
「うん……やっぱり、修行って、寂しい所でやった方が、何となく雰囲気出るでしょ?」
そう言う問題なのか、と成歩堂は真宵に突っ込みたくなったが、突っ込めば突っ込むほど体力が消耗されそうな気がしたので、体力温存も兼ねて黙っていた。
やがて、一番奥まで辿り着く。
お互いの顔が、見えるとは言えないが見えないとも言えない、本当に微妙な薄暗さである。明かりが無ければ、恐らくは全く見えなかっただろう。
「こ、ここ?」
「うん。一番奥が、ここだよ」
寒さに慣れたと言う訳ではないが、始めに感じた寒さよりは寒くは無くなっていた。
とは言っても、霊氷の上に正座して呪詞を三万回唱える修行をすると言うのだから、生半可な寒さではないだろう。
「あ、あの時は修行どころじゃなかっただろう? い、いや、修行すら出来なかったか」
肌を刺す寒さに成歩堂は震えながら、数ヶ月前の事件を思い出していた。
真宵が、殺されそうになった時の事を。
「ううう、それにしても、本当に寒いなあ」
氷が在るからだろう。尽きる事無く、冷たい空気は成歩堂達に訪れた。
「まま、真宵ちゃん。本当に、するつもり?」
笑みが凍っているのは、成歩堂自身でも分かった。
149修行ナルマヨ:04/04/09 19:33 ID:Gm3EI8vs
もはや普通に立っていても、身体中の皮膚と言う皮膚が、まるで痙攣しているかのように寒さを訴えている。先程から鳥肌は立ちっぱなしだし、歯もがちがちと鳴っていた。
「…………」
成歩堂の言葉に、真宵は何も答えなかった。
「ま、真宵ちゃん?」
遂に寒さに、立ったまま気絶してしまったのだろうか、と成歩堂は心配した。
真宵の傍まで行き、顔を覗き込む。
「!」
薄暗くて、お互いの表情はあまり良く見えなかったけれども。
「ま、真宵ちゃん……」
それでも、たった一つ分かった事は。
「……泣い、てるの?」
真宵が、声を立てずに泣いている事だった。
「え、ええと。ぼく、何かいけない事、言ったかな?」
全く心当たりが無い。もしかすると無意識の内に真宵の事を傷付けてしまったのかも知れない。とにかく成歩堂は何とかしてこの泣いている少女の支えになりたいと思い、尋ねた。
だが、真宵はふるふると首を横に振った。
「ううん。なるほどくんは、何も悪くないの……」
そう言われるものの、やはり突発的な真宵の涙に動揺し、成歩堂は真宵に呼び掛けたり、肩を軽くさすってあげたり、とにかく真宵の事をなだめようとした。
「真宵ちゃん……そんな、どうして…ぼくが、やっぱり何か……?」
「……違うの。なるほどくんが何か言ったとか、そんなのじゃ、ないの」
鳴咽混じりに言いながら、真宵は微かに首を横に振り、涙をその指で拭った。
150修行ナルマヨ:04/04/09 19:34 ID:Gm3EI8vs
「ただ、何もかもが遅かったんだ、って……」
「遅かった?」
どう言う意味なのだろうか。
真宵が何かに付いて、何もかもが遅いと感じたと言う。
それは一体、何を指し示していると言うのだろうか。
「そんな。ぼくだって行動を起こすのが遅い時だって、在るよ」
「違うの。そうじゃないの。そう言う事じゃ…ないの」
泣きながら、真宵はそれでも成歩堂の言葉を否定する。何が何をどう言われているのか、さっぱり分からずに、成歩堂はただただ焦燥感に駆られていた。
「じゃあ、どうしたって言うんだよ」
焦燥感に駆られるあまり、ついつい成歩堂は強い口調で真宵に問いただしてしまう。そして、強い口調で問いただしてから、(しまった……)と成歩堂は思った。
「…………」
強い口調に押され、真宵は黙ってしまう。
しかし焦燥感に駆られ続けている成歩堂は、どうしても素直に真宵に謝る事も出来ずに、黙っていた。
「…………」
「…………」
冷たい修験堂は、成歩堂達の心を表しているようであった。
冷たくて、そして空っぽな。
「…………」
どちらも黙ったままで、時が流れるだけ。
徐々に冷えて行く身体は、まるで今の二人をあざ笑うかのよう。
どうしても、どちらからも言い出せない。
その一言を。
二人は黙ったまま、やがて目を逸らした。
何も言う事が出来ないまま、二人は修行を始めるに至ってしまったのだった。
151修行ナルマヨ:04/04/09 19:36 ID:Gm3EI8vs
身も心も凍り付いて、そのまま凍死してしまうのではないかと成歩堂は思ったくらいだ。
それくらい、修行は過酷な物であった。
がちがちと歯を微かに鳴らしながら、それでもなるべく何も言わないようにして(どう言う呪詞を言えば良いのか分からなかった事も在る)、成歩堂は霊氷の上に真宵を隣にして正座をしていた。はっきり言って死ぬ。本気で。
ちらり、と成歩堂は真宵の方を見た。
「…………………」
黙ったまま、目を閉じて正座をし続ける真宵の姿が、そこに居る。
先程の口喧嘩を、涙を、修行をする事で忘れようとしているのだろうか。
そんな無理をし続ける彼女を見て、成歩堂は先程の自分の言葉を、後悔した。
今までから見ても、真宵は無理をし過ぎである。
初めて成歩堂と真宵が逢った時…真宵が容疑者となった時も、面会に来た成歩堂に嫌な思いをさせないために、明るさを何とか保とうとしていた。
ある事件の最中で真宵が霊媒を上手く出来なくなって、役に立てなくなりかけた時も(そうは成歩堂は思わなかったのだが)、身体を張って証拠品を、真相を引き出してくれた。
再び容疑者となった時だって、不安で何も分からない状態であっても笑おうとしていた。
誘拐された時だって、伝言で成歩堂の事を真っ先に励ました。
つい最近の事件も、自分が殺されかけた時に、真宵の事を助けてくれた犯人を護ろうとしていた。
そして、その事件の真相を知って傷付いた春美の事を励ました。
何時だって、そうだった。
何時だって、真宵は何よりも他人の為に自分を犠牲にしていた。
自分を犠牲にして、何時だって無理をして生きている。
多少、おどける時もあるかもしれない。
けれど、そんな物はちっぽけと感じてしまうくらい、それくらい目に見えず、気付きにくい真宵の犠牲は大きかった。
「…………」
二人は黙ったままだ。
(ううう……あんな風に言わなければ良かった)
もっと、違う言い方が在っただろう。
なのに、自分が疎外されているような気になって、勝手に焦燥感を感じて。
そして真宵の事を抑え付けてしまった。
(謝りたい……でも…)
そうできないのが、成歩堂の不器用さ。
何処かで、意地を張っている自分が居た。
それでどうなる訳ではないのに。
152修行ナルマヨ:04/04/09 19:36 ID:Gm3EI8vs
ぶるっ、と成歩堂は身体を震わせた。
寒さは、成歩堂の集中力を下げて行く。
そしてその集中力が下がれば下がるほど、成歩堂の体感温度はどんどん低いものになって行った。
「………」
ぶるぶると震えながら、成歩堂はじっと真宵の事を横目で見ていた。
自分はこんなに寒いのだ。
とうぜん、素肌が成歩堂よりも見えている真宵は、もっと寒いに違いない。例え普段真宵が着ている修行中の霊媒師が着る装束よりも裾や袖が長いとしても、所詮はその程度なのだ。
「……ま、真宵ちゃん」
たどたどしく、成歩堂が声を掛けた。
薄明かりの中、はっきりとは見えない視界の中で、微かに真宵がこちらを向いた気がした。
「…その……さっきは、ごめん」
あんなに言うのをためらっていた言葉を、一言を。
成歩堂はこんなにもすんなりと言える自分に驚いた。
永遠に言う事が出来ないのではないかと心配さえしたと言うのに。
「……あ、ええと…うん」
真宵がうなずいたのが分かった。その顔に、もう傷付いた色は無い。
隠しているだけなのかもしれない。
「……その、嫌じゃなかったらどうして泣いていたか、教えてくれないかな」
ぽつり、と成歩堂が尋ねた。真宵は困惑した表情で黙り、うつむいた。
「い、嫌なら良いんだ! その、誰にだって聞かれて困る事は在るし」
うんうんとうなずいて、成歩堂は明るく笑った。
その様子を見て、真宵は柔らかく微笑んだ。
「……あのね」
真宵が自分の手元に視線を落とし、静かに口を開いた。
153修行ナルマヨ:04/04/09 19:38 ID:Gm3EI8vs
「さっきも、言ったよね。何もかもが遅かったんだ、って」
「…うん」
「……あたし、初めてここに来た時の事、思い出してたの」
「初めて、って……2月7日の?」
成歩堂の言葉に、真宵はうなずいた。
心無しか、酷く疲れ、そして辛そうな、寂しそうな表情をしているように見える。
「あたし……心の何処かで、分かってたの」
「え……?」
成歩堂が聞き返すと、真宵が成歩堂の方へ顔を向けた。
「あたし、あたしのお母さんっ! あの時、何処かで分かってたのに!」
「ま、真宵ちゃん?」
「お母さん……あの時、あたしの事、呼んでくれたの。『真宵』さんって……」
真宵の言葉に成歩堂ははっとした。
脳裏に、2月7日の事が蘇る。
−春美ちゃんも手伝ってくれるかしら?−
−わあ! わたくし、なんでもやりますとも!−
−あ。じゃ、あたしも……−
−…いいえ。気にしないでいいのよ。真宵さんたちは、ゆっくり遊んでらっしゃいな−
あの時、確かに彼女は呼んだ。
『真宵』さん、と。
初めて逢ったばかりで、名乗ってもいなかったと言うのに。
なのに……彼女は呼んだ。真宵の事を。
「でも、あたし……何の確証も無くて…お母さんだったのに、何処かで分かってたのに……」
真宵の目から、大粒の涙がこぼれ落ちる。
154修行ナルマヨ:04/04/09 19:39 ID:Gm3EI8vs
成歩堂が何か行動を起こすよりも前に、真宵は成歩堂にすがりついた。
「呼びたかった!」
「!」
「お母さん、って……逢いたかったよ、って!!」
胸元に顔を擦り付ける真宵の目から流れる涙が、成歩堂の衣服に染み込まれて行く。
「他にもいっぱい言いたかった。ずっと待ってたよとか、大好きだよ、って」
「……」
「なのに……あたしが、勇気が足りなくて、一歩踏み出せなくて……確信が持てた時にはもう、遅かった……」
泣きじゃくり、すがりついて真宵が成歩堂に身を寄せる。
そんな真宵に、一体自分は何が出来るのだろうと思った。
ただ、彼女の泣く姿を見て。
それに対して、どう言う事も出来なくて。
ただただ、彼女の後悔を、真宵自身に対する責めを見詰める事しか出来ないのか。
「お母さんが失敗を全部背負って、居なくなって……でも、それはお母さんのせいじゃないよ、って言いたかった。これからはずっと一緒だよって、一緒に生きようねって…そう、言いたかった……」
慟哭は続いた。成歩堂の目の前で。
懺悔は続いた。成歩堂の腕の中で。
ただひたすら、後悔の念だけが真宵の事を縛り付けて。
何もかもが手遅れだった事が、真宵の事を責めていた。
成歩堂はそんな真宵の事を、じっと見詰めていた。
やがて、成歩堂は唇を噛み締める。
(ぼくが彼女の一番傍に居るから……)
寒さに今までなかなか動かなかった腕が、ぴくりと動いた。
(彼女の事をぼくが護らなければならないんだ!)
腕は、真宵の身体を抱きすくめた。
155修行ナルマヨ:04/04/09 19:40 ID:Gm3EI8vs
「っ!」
抱きすくめられた真宵は、目を見開いた。
やはり、真宵の身体は冷え切っていて、震えていた。
「真宵ちゃん……きみの証言には、ムジュンがある」
「え……」
腕の中で、抱きすくめられながら、真宵は成歩堂の目を見詰めた。
「きみは言った。『何もかもが手遅れだった』と」
「う、うん」
「でもね、真宵ちゃん。きみは何処かで予感していた。きみのお母さんの事を」
「そうだけど……でもっ! あたしはお母さんに何も伝えられなかった。結局気付かなかったし……」
「異議あり!」
裁判所で言う成歩堂の声とはいささか違い、声は震えていたけれど。
成歩堂はそれでもまっすぐに真宵の事を見詰め返していた。
「きみが予感した事は、真実だ。そして真宵ちゃんのお母さんも、真宵ちゃんの事を分かった。お互い、顔も分からなかったであろう状況で、予感は当たったんだ。それが言葉にならなかったとしても、真宵ちゃんの想いは、真宵ちゃんのお母さんに、絶対届いていたはずだ」
「なるほどくん……」
「真宵ちゃんには、真宵ちゃんのお母さんの、あの優しさが伝わらなかったの?」
「……ううん…」
涙を再び激しく流し、真宵は首を横に振る。
「とっても……温かくて、優しくて……お母さんは、思ってた通りだった」
顔を成歩堂の胸にすりつけ、ほう、と真宵は溜息を吐いた。
「ね……伝わっただろう? きみのお母さんの優しさが。それと同じくらい、真宵ちゃんのお母さんだって、きみの温かさと優しさが、伝わっているはずさ」
そう言って、成歩堂はきつく真宵の事を抱きしめた。
「だから……もう、自分に無理をさせないで。自分だけを責めないで」
「!」
「きみはいつだってそうだ。無理をして、その無理を感じさせないようにしてる」
そう言って、成歩堂は額を真宵の額と合わせた。
「ぼくにも、きみの負担を背負わせてよ」
「……っ」
真宵の目が見開かれた。
目の前には、成歩堂の顔が在る。
その成歩堂の目は、真剣な色で。
156修行ナルマヨ:04/04/09 19:41 ID:Gm3EI8vs
「真宵ちゃん……ぼくは、真宵ちゃんの事が、好きだよ」
「え……っ」
「何処かで、ぼくは言い訳してた。きみはぼくの助手だから、千尋さんの妹だから、傍に居て、護らなきゃいけない。でも……そんなの、ちっぽけな事だったんだ」
抱きしめる腕が、感情の高ぶりによって震えた。
「真宵ちゃんが……真宵ちゃんの事が好きだから…だから、ぼくは……」
「……なるほど、くん」
目を細め、微かに真宵が成歩堂の名を呼んだ。
「あたし…も、なるほどくんの事は好きだよ。でも、あたしは幸せには……」
「異議は認めない。認めなくない」
成歩堂は首を横に振って、真宵の事を見詰めた。
「沢山の人の想いの上に生きているからこそ、きみは幸せになるべきだ」
そう言って、成歩堂はそっと、真宵に口付けた。真宵は困惑したような表情をしていたが、やがて目を静かに閉じ、身体中の力を抜いて成歩堂に預けた。
ふるふると震える真宵のまぶたは、いまだに涙をこぼしていたけれど。
薄暗がりで、相手の表情は見えなかったけれども、確かに二人は気持ちが一つの表情をしていた。
成歩堂はそっと顔を離した。
「好き、だよ。真宵ちゃん」
もう一度、真宵に言ってやる。
真宵はしばらく黙っていたが、やがて静かにうなずいた。
「あたしも、なるほどくんが好き。ずっと前から」
微かな返答に、それでも成歩堂は嬉しく、愛しく思った。
だが、心が温かくなっても、身体的には二人ともかなり冷え切っていた。
ぶるっ、と真宵が身体を震わせる。
「……寒い、ね」
真宵の言葉に、成歩堂はうなずく。
「真宵ちゃん……」
そっと、成歩堂は真宵の名を呼んだ。
ずっと、気付かないふりをしていた二人。
ふりを続けて月日が経ち。
二人はようやく向き合えた。
それが、冷たい霊洞の中で、刹那に導かれた想いが、やがて二人を向き合わせたかのようだった。
157修行ナルマヨの者:04/04/09 19:47 ID:Gm3EI8vs
この次からエロなのですが、まだ途中なので後日エロシーンを公開します。
と言うか、エロまで長い……
ヘタレななるほどくんとうじうじ真宵ちゃんにショボショボーンですが…目をつぶっていただけたら…
春美も一緒に修行をした筈だとか矛盾してますとか言うツッコミからは逃げます。

以前載せられていたミツキリやミツメイも読みたいですね。
私としてはお待ちしてます。
158名無しさん@ピンキー:04/04/09 19:57 ID:HhftsISP
キターーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
159名無しさん@ピンキー:04/04/09 19:59 ID:HhftsISP
                , -─‐- 、,
              /       \
             /          ヽ
             ,'            ',
              {     乙      }
                 ',           /
             ヽ          /
              `ヽ、_    _ -ヘ__ ___
               _,,ゝ-二ニ-‐''´ i .|´ヽ `''‐- 、,_  
              /T´ i |   _,,、-┴┤ !      ゙'‐- 、,
            / __ヽ r┴ ' '"   .iコ |          \
            /'´ `ヽ ! / ̄`ヽ  iコ i r'´ ̄ ̄ ̄`ヽ   \
 乙乙乙乙乙乙 ,イi (◎) } ! {  ◯ }    ! |        \   \
          / ヽ 二.ノ! ! `ー--‐'---、_ !_|         ヽ、   \
          / -‐r┴┴rァ |       ◯ i |          \   ヽ
          i   | _二)ヽ ! ロ ロ __,、 -─''"~!             ヽ _,,.」
          !  ヽ___,ノ ヽ`‐ '"´      !                Y´ ヽ
          `ー─┘    i          !  
160名無しさん@ピンキー:04/04/10 01:57 ID:JWlfGIVt
GJ!って寸止めですか…_ト ̄|○
続き期待してうよ!
161名無しさん@ピンキー:04/04/10 22:17 ID:DgbG/d24
なあなあ、GJって何なのだろうか?

157さん、続きキボンヌ。
162名無しさん@ピンキー:04/04/10 23:26 ID:Do0agPM9
つづき待ってますー!!
早く帰ってきてねー。
163名無しさん@ピンキー:04/04/11 02:03 ID:pmc0m7pT
グッジョブ!の略なんじゃないか。
164名無しさん@ピンキー:04/04/11 05:11 ID:Jw1p5RDN
Good Job
いい仕事してますねー

だよ。
165名無しさん@ピンキー:04/04/11 22:53 ID:ngiQP9F3
いいなぁ。一番公式続きシチュっぽいや。続き期待〜
166名無しさん@ピンキー:04/04/12 19:46 ID:IhbE5/C6
ナルマヨキタ――――(゚∀゚)―――― !!

修行ナルマヨの者様、いつも親御様の
目を気にしつつもありがd

続き楽しみに待ってまーす
167名無しさん@ピンキー:04/04/12 22:13 ID:TAXFQ2qP
すげえ上手いよナルマヨ作者さん(゚∀゚)!!!
本当に公式のノリとか雰囲気が出てる。続き楽しみにしてます。
168名無しさん@ピンキー:04/04/13 22:47 ID:vjcpC6GC
ここに神乃木×千尋の小説があるぞー。

http://game4.2ch.net/test/read.cgi/poke/1075883301/l50
169名無しさん@ピンキー:04/04/14 02:15 ID:wXCA/GNw
ナルマヨ乙
170名無しさん@ピンキー:04/04/14 17:48 ID:y8BGR7qs
ずっと待ちわびておりました、ナルマヨ!GJ!
続きも楽しみにしております!!!
171修行ナルマヨ:04/04/15 23:17 ID:koJmvm8L

成歩堂は霊氷から降りると、真宵の事も降ろした。
「まだ修行中なのに、良いのかな」
不安そうな表情をする真宵に、成歩堂は「大丈夫だよ」と言って、真宵の頭をそっと撫でた。
コトを行うのに、やはり氷の上でやる勇気は、成歩堂には無かった。
「ホラ、要するに寝ずに頑張れば良い訳だろ?」
「霊氷の上でだよ。しかもお経を三万回唱えなきゃならないし」
「早口言葉なら任せておいてよ。って言うか、お経じゃなくて、呪詞だろ」
「……早口なんかじゃ、霊力は上がらないよ」
「心を込めれば上がるってモンじゃないだろ?」
「そ、そうだけど」
何時の間にやら漫才になってしまうのは、普段のノリからだろうか。
その漫才を引き止めたのが、霊洞の冷ややかな空気だった。
「……漫才してる場合じゃ、無いな」
「……そだね」
二人は顔を見合い、うなずいた。
きっと明かりが無ければ、相手が何処に居るのかも分からなかっただろう。
成歩堂はそんな事を思いながら、真宵の身体を引き寄せた。
そして、再びキスをする。
ただ、先程と違うのは、より長く、より深い所。
成歩堂の舌が真宵の舌を求め、口内へと侵入しようとする。
「んんっ……」
そうしたキスをした事も無い真宵は、少し眉をしかめながら、成歩堂の舌に困惑した。
成歩堂の舌は、真宵の唇に割り込み、歯を押し上げさせ、そして、真宵の舌まで辿り着く。
そのまま成歩堂は、真宵の事を貪った。
始めは困惑した表情の真宵だったが、やがて成歩堂の舌を受け容れ、真宵の舌もまた成歩堂の舌に合わせ、ぎこちなくではあるが答えて行った。
二人は、互いの温もりを貪った。
ここが神聖な霊穴である事をすっかり忘れてしまったかのように、二人は互いの温もりに高まって行く。
だが、寒さを忘れるため、辛さを忘れるために、二人は今こうして行為に及んでいるのである。
やがて、二人は唇を離した。つ、と互いが受け容れていた名残が糸を引いて静かに落ちる。
それが、淡い明かりに妖艶に反射し、二人の目に映った。
真宵は思わず頬を赤らめ、目を逸らす。
172修行ナルマヨ:04/04/15 23:19 ID:koJmvm8L
そんな真宵を見ながら、成歩堂は真宵の修行服の上から、胸の膨らみに手を置く。
ぴくり、と真宵が微かに身体を震わせて反応した。
「あ…っ、なるほどくん……」
とても恥ずかしそうな顔で、おずおずと真宵が成歩堂の名を呼んだ。
「どうしたの、真宵ちゃん?」
「…その、あたし……」
もぞもぞとくすぐったそうに、恥ずかしそうに身体を動かしながら、成歩堂の手を何とか離そうとしている。
「あたし、こうした事、初めてで……だから、その………」
「大丈夫。怖くないよ」
ぼくに任せて、と成歩堂が言って、真宵の身体をより引き寄せた。
そして、指先で真宵の膨らみをそっと掴む。
真宵の胸は、覚悟していた(思っていた?)よりも大きかった。恐らく、千尋の胸を見たりしていたから、無意識に比較していたのだろう。
全く無いのだろうか、と思っていた成歩堂にとって、その膨らみは大きくないにしても、思わず目を丸くするくらいの大きさはあった。
「そ、そんな顔、シツレイだと思うなっ!」
真宵が頬を膨らませて、成歩堂の方を見る。成歩堂は「ごめんごめん」と言って、真宵の頭を空いている手で撫でてやった。
真宵はしばらく黙っていたが、やがて頬を元の大きさに戻した。
どうやら機嫌を直してくれたようである。
成歩堂は安心して、再び指先を動かした。
「ふ、ぁ……」
とろん、とした目で真宵は成歩堂の方を見る。そして、冷たい指先で成歩堂の腕を掴む。
その必死さに、成歩堂は愛しさを覚えた。
「真宵ちゃん……可愛い」
成歩堂が小さくそう言ってやり、指の動きをやや激しくする。
それに対して、真宵は敏感に反応し、成歩堂の腕にすがり付いた。
「んんぅっ…!」
切なげな声を上げ、真宵が頬を染めながら、あえぎ声を上げる。
173修行ナルマヨ:04/04/15 23:21 ID:koJmvm8L
その反応を楽しみながら、成歩堂はするりと真宵の装束の隙間に指を入れ、素肌に触れた。
「あっ……」
びくりと身体を震わせる真宵。
冷たい指先に、身体が震えたのも在るだろうし、不意の肌の感覚に困惑したのかもしれない。
「ご、ごめん。冷たかったかな?」
「う、うん……でも、大丈夫」
頬を先程よりも赤く染めながら、おずおずと真宵が言った。
未知の感覚に対する不安と、それを越える成歩堂に対する愛しさ。
それが、真宵の中でぐるぐると回る。
成歩堂が触れ続けると、だんだんと真宵の鼓動が速くなって来た。
「あっ……ぅ…」
恥ずかしさと、冷たさの中に在る温もりと快楽に真宵の声は切なげに上げられる。
指先を動かしながら、成歩堂は空いている手で真宵の冷えた身体を抱きしめる。
けれど、二人の身体は先程から始まった行為に、熱くなって行った。
「真宵ちゃん……」
成歩堂は真宵の名を呼び、その胸の先端を、しきりに撫で、時に押し付ける。
徐々に、その先端が堅く、立って行くのが分かる。成歩堂が高まるのと同じように、真宵もまた高まって行く。
如実に真宵の身体が素直にそれを表している。
「ほら、すぐに立っちゃった」
先端をいじり続けながら、成歩堂は真宵に言った。
「や…だぁ……っ」
成歩堂の言葉に、真宵は首を横に振ってその言葉を振り払う。
「真宵ちゃん、感じてる?」
「う……くぅっ」
慌てて真宵は胸をまさぐる成歩堂の腕を止めようとしたが、それを成歩堂は強く抱きしめる事で阻む。
だんだん、真宵の身体が熱くなって来るのが分かる。
174修行ナルマヨ:04/04/15 23:22 ID:koJmvm8L
「……ね、真宵ちゃん」
成歩堂が真宵の耳元で言葉を発する。
「ぼく、真宵ちゃんの可愛い反応にもう…」
「やっ……!」
それ以上成歩堂に言わせないように、真宵は首を激しく横に振り、紅潮しながら、成歩堂の方を見詰めた。
その瞬間、すかさず成歩堂は真宵の唇を塞ぐ。
成歩堂はその間にも、真宵の胸の先端を摘まんだ。
ひくり、と真宵の身体が震えた。
「んっ、ふ……」
口を塞がれたままの状態で、真宵はかすかにあえぐ。
胸の先端はしこりとなっており、摘まんでも優しく撫でても指先にはっきりとその形を伝えていた。
成歩堂は唇を離すと、そのまま真宵の事を見詰めながら、胸の先端を攻め続けていたが、しばらくしてから一旦止めて、帯にゆっくりと手を掛けた。
「ぅ……なるほど、くんっ…恥ずかしいっ……」
目をきつく閉じて訴える真宵に、成歩堂は微笑んで頬ずりをしてやった。そして、帯を緩めて行った。
しゅるしゅる、と静かな霊洞に帯が解けて行く音が静かに響いた。
やがて、真宵の装束を固定していた帯が完全に解け、自然と真宵の装束も微かにはだけた。
真宵の白い肌が、ビキニから手渡された淡い光にぼんやりと照らされた。
止める事の出来ない衝動に駆られながら、成歩堂は思わず真宵の見え隠れしていたうなじに口付ける。
「あふっ…!」
成歩堂の行為に、真宵は身体を震わせる。
その様子をちらりと見ながら、成歩堂はそのうなじに舌を這わせた。
生温かい感触に、成歩堂の胸板にすり寄り、くすぐったさと微弱な快楽にすがった。
175修行ナルマヨ:04/04/15 23:23 ID:koJmvm8L
成歩堂はそのまま開きかけている装束に掛かっていた指を動かし、装束の前部を更に開き始めた。
「うぅ……」
目を少し潤ませ、真宵は訴えるように成歩堂を見詰めた。
成歩堂は真宵のうなじから舌を離すと、真宵の事を見詰め返した。真宵の目には未知の行為に対する不安の色が映っていた。
「大丈夫」
それだけ言って、成歩堂は真宵の装束の前部を完全にはだけさせた。
薄暗くてその光景がはっきりとは見えないものの、先程からいじっていた胸の先端が、ぴんと立った姿が成歩堂の目にうっすらと見える。
成歩堂は真宵と向き合うような形になった。そのまま成歩堂は、真宵の胸の先端にそっと唇を付ける。
「ひあっ…」
真宵は小さく悲鳴を上げ、ぴくりと身体を震わせた。
成歩堂の柔らかな、そして少し弾力の在る唇は、真宵のその先端を挟んだ。そして、舌先でちろりと舐めてやる。
ぴん、と立った乳首は成歩堂の舌にその形を伝える。
「はぁっ……ぅ、くふっ…」
首を横に振りながら紅潮させた頬で真宵はあえぐ。成歩堂の舌の動きに合わせ、真宵の身体がひくつく。
(可愛い……)
初めて体験する快楽に翻弄され、まるで訴えるように甘いあえぎ声を上げる真宵の事をちらりと見て、成歩堂はそんな事を思った。
「ん、ふあぁっ! な、なるほどくんっ…」
真宵の手が、成歩堂の頭を何とか抑え付けようとするのに対し、成歩堂の片手が素早く真宵の両手首を掴み、動けないように固定してしまう。
もはや成歩堂の行動を阻む物は無い。
成歩堂は舐めていた乳首に、今度は軽く歯を立てた。
「あ、あああっ……くぅっ!」
びくり、と真宵の身体が震えた。切なくそして少し恐れを帯びた悲鳴にも似たあえぎ声を真宵は上げ、成歩堂の首に腕を回し、すがるように成歩堂の事を抱きしめる。
成歩堂は時にその先端に歯を立て、時に優しく、けれど羞恥心を撫でるような舌遣いを行った。
そのたび、成歩堂から提供される快楽に、おぼつかなくではあるがすがり、徐々に溺れて行く真宵。
「は、あぅっ…ン………ぃっ」
首を激しく横に振りながら、成歩堂の与えて来る快楽を少しずつ受け容れ、真宵はあえぐ。
176修行ナルマヨ:04/04/15 23:24 ID:koJmvm8L
成歩堂は胸の先端から唇を離し、真宵の顔を見詰めた。
真宵の顔はもはや触れれば火傷をしそうな印象を与えるくらい赤くなっていた。その微笑ましくも愛しい表情に、成歩堂も思わず微笑む。
「そ、そんな、笑わなくたって…」
潤んだ目で訴えて来る真宵の唇に、そっとキスをする成歩堂。
「いや、真宵ちゃんって、本当に思った事を素直に顔に出すなあ、って思って」
成歩堂の言葉に、真宵は「そんな事無いよ!」と少し膨れながら反論する。
「だって…今、もしかしなくても死にそうなくらい恥ずかしくない?」
「! な、何で…」
何でもと言われても、今までの行為が初めての事であるのなら、その行為を受け容れている真宵自身に対する羞恥心は隠せないはずだし、そうでなくとも真宵の真っ赤な顔に潤んだ瞳は成歩堂の推測と繋がる物が在る。
「ね。状況も在るけど表情で分かるよ。真宵ちゃんがどう考えているのか」
「もうっ、そんな、事っ……言っちゃやだぁっ!」
ばたばたと手を動かし、成歩堂の頭をぽかぽかと軽く叩く真宵。「あはははは」と成歩堂は笑いながら、真宵に叩かれながらもその真宵の頭を撫でてやった。
しばらく真宵は成歩堂の頭を叩き続けていたが、やがて叩くのを止め、ほう…と溜息を吐く。
「真宵ちゃん……」
成歩堂は真宵の事を更に引き寄せた。
「足の力、抜いてくれる?」
その言葉に、ぴくりと真宵の身体が震えた。
未知の行為に対する恐怖心と言うのは、真宵の中から完全に抜け切った訳ではない。その上、これ以上の行為をすると言う事に対して、真宵はためらいを覚えた。
「………………」
「………………」
真宵は成歩堂の方へと不安な色を帯びた目を向けるが、成歩堂は黙ったまま、それでも目を逸らす事は無かった。大きな決断が、真宵に迫られた。
相手の事を好きだとお互いが思うものの、少なからず真宵には戸惑いは在る訳で、その戸惑いはそれ以上の行為に付いてはやや否定的なものが在った。
けれど、一方で凄く成歩堂が真宵の事を気遣い、支えたいと思ってくれている事が伝わって来ている。
「………いじわる、しないでね?」
小さく真宵が言って、足の力を抜き、おずおずと自分の身体を成歩堂に預けた。
177修行ナルマヨ:04/04/15 23:25 ID:koJmvm8L
成歩堂はそれ以上茶化すことなく、真宵に頬ずりをした。そして、指先を下着へと向けた。
真宵はブラジャーを付けては居ない。と言う事は、向けられたのは、下腹部。
そこには、無地の可愛らしいショーツが在った。
大人びたショーツではないのが真宵らしいと言えば、真宵らしい。当然成歩堂はその下着についてコメントしようと思ったが、先程真宵に茶化さないように言われたばかりだったので、止めておいた。
何より彼女は全身全霊を込めて成歩堂の行為に応えようとしているのだ。こちらも真剣に真宵の事を思わなければならないのは当然である。
成歩堂はゆっくりと真宵の下着に指を引っ掛けた。
今度こそ、びくりと身体を震わせ、真宵が成歩堂に目を向ける。その目には、先程よりも強い『拒絶』が映っていた。未知の行為を行おうとする成歩堂に対し、少なからず恐怖を抱いているのであろう。
「大丈夫。真宵ちゃん」
一旦指を動かすのを止め、成歩堂が真宵に微笑みかけた。
「ぼくはきみを…愛したいんだ」
率直に言うと、真宵の目が見開かれ、顔がこれ以上赤くはならないだろうと思っていたのに更に赤くなった。
「……」
彼女はうつむいたまま、黙った。
しばらく真宵は黙ったまま、何か考え込んでいたようだが、やがておずおずとうなずいた。そして、今度こそ成歩堂にその身を預けた。
成歩堂も真宵のその決意に答えるべく、優しく真宵に頬ずりをした。
そして、成歩堂の指が、下ろされた。
『真宵』の事を覆っていたその布地は、引力によって地面へとはらり、と落ちた。
もはや真宵は小刻みに身体を震わせるくらい、羞恥心に駆られている。
成歩堂は指先をそっと秘部へと当てた。
「っ………ぅ…」
真宵が思わず喉の奥で悲鳴を上げる。
触れたその場所は、今までの行為から来ているのか、わずかに濡れていた。
(温かい……)
成歩堂はぼんやりと思った。まだそっと触れた程度だと言うのに、真宵の熱が感じられる。
これが、もっと深くを触れたら……この温もりは、どれだけの熱を帯びるであろうか。
178修行ナルマヨ:04/04/15 23:26 ID:koJmvm8L
「真宵ちゃん……温かい」
「う…なるほどくん……いじわる…しないって…」
訴えるように言う真宵の唇に軽くキスをして、成歩堂は軽くソコに触れていた指をより押し付けた。
柔らかな感触と、先程よりも高い熱が感じられた。
「ひあっ!」
真宵は身体を少しのけぞらせ、成歩堂のやや冷たい指先の感触にあえぐ。
成歩堂の指先には柔らかな感触が広がっている。
「凄い……熱くなってるよ、真宵ちゃん」
「んっ…や、ぁ……」
報告して来る成歩堂に、真宵は首を横に振る。
そんな真宵の反応を横目で見ながら、成歩堂はその『部分』にあてがった指でぐりぐりと秘部をいじり始めた。
「んくぅっ……あ、あっ…」
その動きから訪れる刺激と微かな快楽に、真宵は身をよじらせ、成歩堂の腕の中で声を上げる。
成歩堂の指先が、だんだんと濡れて来る。
それは、『真宵』から分泌される蜜であった。
「な、なるほどくぅんっ……」
すがり付き、上気した顔で真宵は成歩堂の事を呼ぶ。
「どうしたの、真宵ちゃん?」
その呼び声が真宵の羞恥心から来ている事を知りながら、成歩堂はわざとそんな事を聞く。
「は、あぁっ……ぅっ…」
目をきつく閉じ、真宵は成歩堂の腕を掴んだまま、唇から漏れるあえぎ声と下腹部から来る快楽に小刻みに震えた。
先程から動かしている成歩堂の指先に、ねっとりとした液は絡み続けた。
その指で、成歩堂は雛尖(ひなさき)に刺激を与えた。
「あ、うくっ……んぅっ…!」
少し立っていた雛尖に指からの刺激が与えられ、真宵の身体中を電気が走ったような、しびれるような、そして泣きそうになるくらいの快楽が走った。
179修行ナルマヨ:04/04/15 23:27 ID:koJmvm8L
真宵は成歩堂の指先の動きを止めるべく、成歩堂の腕を掴んだ。だが、その力は弱々しく、とても成歩堂の事を止める事は出来そうに無かった。
成歩堂は真宵の事を見て、優しく微笑む。それは、真宵の中に在る不安を取り除くためであった。
「大丈夫だから、真宵ちゃん」
「で、もっ……ひあっ…」
何か訴えようとする真宵野声は上図っている。成歩堂の指先が送る快楽に、困惑しているのだろう。
ぐりぐりと成歩堂はその『突起物』に刺激を与え続けた。
「ン、ひ、ぁっ……」
首を横に振り、自分のあえぎ声を振り払おうとする真宵。その切ない表情と行為に、成歩堂はだんだんと高められて行くのが分かる。
もはや一心不乱と言えるくらいに、成歩堂は真宵の『突起物』を指先でいじり、そして真宵の反応を楽しんだ。
また真宵はそうした成歩堂の行動に翻弄され、快楽の境地へと誘われて行く。
「真宵ちゃん、その…ちょっと、痛いかも知れないけど…」
成歩堂の言葉に、真宵はきつく閉じていた目をうっすらと開いた。
真宵のうっすら開かれた目と、成歩堂の目が合った。成歩堂の瞳に映った、その優しくも愛しさを感じさせる瞳に、真宵は何処かで安堵を覚えた。
真宵の中から不安の色が薄れたのを見て、成歩堂は真宵の『中』へと指を進めた。
「ひ、ああっ……」
いきなりの挿入感にびくり、と真宵の身体が震えた。
指を挿入されていると言う事がかろうじて分かった真宵は、目じりに涙を浮かべながら、その指の動きを阻もうと足で成歩堂の腕を制止させる。
行為を阻まれた成歩堂は、その足による軽い圧迫に少し眉をしかめたが、真宵の事をじっと見詰め、耳まで顔を持って行った。
「真宵ちゃん……愛してる」
その一言が、真宵の堅い拒否を簡単に打ち砕いた。
真宵の足から、力が抜け、成歩堂の腕に与えていた圧迫が無くなる。
180修行ナルマヨ:04/04/15 23:28 ID:koJmvm8L
成歩堂はうっすら浮かんで真宵の身体の震えに従いふるふると震えている涙をそっと舌で拭う。ひく、と真宵の肩が震えたが、生温かい濡れた物の正体が成歩堂の舌だと言う事に気付くと、身体の緊張を解いた。
「あっ……うァ…」
真宵は切なく、そしてくぐもった声で微かに鳴き続ける。その鳴き声に、成歩堂はもっと真宵の鳴き声を聞きたいと思った。それが自然と、彼の指の運動を激しくする。
「っ、ああぁっ…」
喉の奥の悲鳴とあえぎ声が混ざり、真宵は成歩堂の指に従い、鳴く。
最初は真宵の身体も緊張し、何よりその部分は濡れそぼりはしなかったのだが、今成歩堂の行為の継続により、真宵の秘部から出た膣液により、真宵の秘部は濡れそぼっていた。
成歩堂は指を更に運動させ、更に奥へと向かい始めた。
「いっ…ふあぁっ!」
今までまだ『入り口』に在った成歩堂の指が、奥へ奥へと進み始め、その指が動くたびに与える快楽に真宵が酔いしれて行く。
「くう……真宵ちゃんの中、キツイ…」
「っ………そんな、事……言っちゃやぁ…だっ……はぁっ!」
成歩堂の動きが、真宵の訴えを阻む。
微弱な痛みと微かな快楽にすがり、真宵の身体が熱くなる。
成歩堂は更に奥へと指を貫きたかった。だが、そうする余裕が真宵にも自分にも無い事に気付いていた。なので成歩堂は真宵に負担が掛からないように、指をゆっくりと引き抜いた。
指先に残った締め付けの感覚と、真宵の蜜が成歩堂の事を更に望ませるように誘う。
成歩堂は真宵の熱を思い出しながら、慈しむように指先に残った真宵の蜜を舌で拭った。
「な、なるほどくんっ、だめぇっ!」
暗がりでよく見えなかっただろうが、成歩堂の行動を、何となく把握したのだろう。真宵は慌てて成歩堂の腕を掴んで引き止めようとする。
だが、真宵よりも成歩堂の方が力が強いのは見た目からしても明らかであるし、何より先程までの行為が真宵に力を込めさせなくしていた。
181修行ナルマヨ:04/04/15 23:29 ID:koJmvm8L
成歩堂は丁寧に指先に残った蜜を舐め取り味わった後、今度は赤面して焦っている真宵の耳たぶを舐めた。
ぞくり、と真宵が身震いをさせたのは寒さのためではなかっただろう。
じわじわと、真宵の羞恥心を更に刺激するような成歩堂の舌遣いは、真宵の心の理性を少しずつ溶かして行く。まるで二人の中から寒さが解け消えてしまったように。
「ひぅっ……ぁ…」
成歩堂の舌の動きに、耳たぶからのくすぐったさに真宵は身を震わせ、成歩堂にすがる。
その行為に応えるように、成歩堂は今度は真宵の耳たぶを甘噛みした。
「あ、あああっ、ひ、ぅくっ…!」
ざらりとした舌の感触から少し堅めの歯の感触に変わり、真宵は思わず大きな声であえいでしまう。
その真宵の姿に、成歩堂はその一線を越えようか越えまいか悩んでいた気持ちを取り払った。
成歩堂は真宵の耳たぶから唇を離す。
薄明かりの中、切ない表情で見ている真宵が正面から見えた。
「真宵ちゃん…その、少し冷たいと思うけど……」
それだけ言うと、真宵の方も、頬を赤らめてうなずいた。
成歩堂は自分の上着を脱ぎ(すこぶる寒いのであまり長時間脱いでいたくは無いのだが)、地面に敷くと、真宵の背中が主に来るように、真宵の身体をスーツの上に横たわらせた。
成歩堂は心の何処かで、春美が今は居なくて良かったな、と思った。
それは別に春美の事を邪険にしている訳ではなく、春美が居ないからこそ押し付けではない自分の真宵に対する気持ちを真宵に伝えられ、こうした行為にまで及べていると言う意味である。
普段は春美のあの圧倒的な恋愛パワーに押され、自分の気持ちと春美の気持ちがごっちゃになり、気付く事も出来なかったから。
静かな霊洞には、真宵のあえぎ声が微かに響く。
上気したその頬をそっと撫でてやると、とても霊洞に居たとは思えないくらい熱かった。
182修行ナルマヨ:04/04/15 23:33 ID:koJmvm8L
とろん、とした目が薄明かりの中見えた。
「……」
成歩堂は思わず生唾を飲む。
こんなにも大人びた真宵をかつて見た事が在っただろうか。(いや、無い)
痛みを感じるほど、成歩堂のモノがうずき、欲を吐こうとしている。
成歩堂はズボンのベルトを外し、チャックを下げた。
革の擦れる音と、金属が擦れて解ける音が霊窟に響いた。
「っ………」
その音に、少なからず怯えの色を見せる真宵。
そんな真宵の目の前で、成歩堂のモノが遂に露わとなった。
成歩堂はすぐにでもその欲と想いを真宵に伝えたかったが、初めての真宵に酷い事は出来ない。
何とか本能を理性で抑えながら、成歩堂は真宵の身体に手を掛ける。
「な、なるほどくんっ…」
びくん、と真宵の身体が震えた。再び目の前で未知の行為を行おうとしているこの男に、恐怖感を抱いてしまったらしい。真宵は激しく首を横に振り、拒絶の意を見せる。
「真宵ちゃん……」
「やっ…怖い…」
涙さえ浮かべる真宵に、成歩堂はどうするべきか困惑した。
すがって欲しかった。
けれど、それは強制する物ではない。
「怖い、よ……」
かすれ声で、真宵が成歩堂に言う。
「怖く、ないよ。大丈夫。そりゃあ……かなり痛いと思うけど」
「怖いもん」
「だから、怖くないって」
「怖いもん」
押し問答になりそうだったので、成歩堂はそれ以上何か言おうとするのを止め、真宵の身体に掛けていた手をそっと離し、そして真宵の頭を撫でた。
183修行ナルマヨ:04/04/15 23:34 ID:koJmvm8L
勿論、そうしている間にもこんな真宵の姿を見せられていて何とも無いような事は無い訳で、成歩堂は精神的にも徐々に追い詰められていた。
だが、それを真宵に伝える事は無い。
こうした行為だって、自分と真宵が望んだからであり、決して強制的ではないのだ。
今ここで我を張ってしまえば、それだけで神聖な物であった(と成歩堂自身は思う)自分達の行為が全て矛盾する。
「じゃあ……」
成歩堂の手に撫でられ、落ち着いたのだろうか。少し柔らかな口調で言って真宵が少しうつむく。
「証明、して?」
「え……」
真宵の事を見る成歩堂。そこには先程の恐怖が和らいだ真宵が居た。
「怖くないって…怖くない証明を、して?」
「真宵、ちゃん」
凄く、怖いのは見ていれば分かる。
だがそれを押してこうした事を言うのは、成歩堂の想いが伝わったからであろうか。
「…分かった」
成歩堂はうなずくと、再び真宵の身体に手を掛けた。また真宵の身体が少し震えたが、真宵はもう何も言わず、自分から身体の力を抜き、成歩堂の事を受け容れようとしていた。
そんな真宵に負担が掛けないように、成歩堂はすぐには挿れず、少しでも滑りが良くなるように真宵の秘部と自分の性器をこすり合わせ始めた。
成歩堂のモノに、真宵の蜜が絡み付く。
「きゃっ…うぅ……」
敏感な部分が擦れる度、真宵は声を上げた。
ぬるり、と成歩堂自身にも真宵にも大量の蜜がまとわりつく。。
(これくらいで良いか……)
成歩堂は考え、こするのを止め、体勢を整えた。
「真宵ちゃん…行くよ?」
「…う、ん………」
おずおずとうなずき、真宵は目をぎゅっと閉じた。
184修行ナルマヨ:04/04/15 23:35 ID:koJmvm8L
焦る気を落ち着けさせ、成歩堂は真宵の中へと通じる個所にモノをあてがった。そして、まだ男性を知らない内部へとその先端を埋め始めた。
「ひぐっ……あぁ、あっ!」
先程の指先とは比べ物にならない程の太さのモノの挿入に、真宵は悲鳴を上げる。痛みに涙さえ浮かべる真宵。
でも成歩堂に拒絶の言葉を掛けないのは、成歩堂を信じているからだろう。
「もっと力抜いてくれるかな?」
成歩堂の呼びかけに、微かに真宵はうなずき、がちがちに固まっていた肩から足のつま先まで、力をふ、と抜いた。
それを待って、成歩堂は更に身を少しずつ進める。
メリ…、と真宵の部分が広がりながら音を立てて行く。
「う、くあぁ、ふっ…」
痛みに耐え、真宵は成歩堂にすがりつく。成歩堂も早く真宵の最深部へと辿り着きたかった。
はっきり言って本能に押されそうな自分を理性で抑えながら、欲を吐き出したいのに出来ないこの状態は、どんな状況よりも過酷だ。
けれど、そうも出来ないのはやはり真宵の事を気遣っているから。
「苦しい? 真宵ちゃん」
「ううん…へ、いき………あ、あたし…大丈夫、だから…」
成歩堂の質問に、真宵はすがり付きたくなるような返事を返して来る。
それに素直に従いたい自分が居たが、成歩堂はそこをぐっと抑え、先程の通りゆっくりと身を進め続ける事にした。
だんだんと成歩堂が真宵の体内へと侵入して行く時に、成歩堂はある不安にぶつかった。
(……危険日じゃ、ないよな?)
もしも危険日だったら、とても無責任な事をしてしまう事になる。
「ま、真宵ちゃん。あの、さ…」
こんな事を成歩堂の方から聞くのはいささか恥ずかしい上に何となくセクハラで訴えられてしまうのではなかろうかと不安であった。だが、聞かずに続けるのはそれこそ真宵を裏切る事になる。
「危険日、だったりしない?」
「…え?」
真宵がうっすらと目を開いた。
「……えっと…多分、大丈夫」
(多分かよ!)
「最近…終わったばっかりだから」
それなら大丈夫だ、と成歩堂は思った。
「ごめんね、こんな事聞いて」
「ううん。大丈夫…想ってくれてるんだ、って…思えるから」
真宵の優しい言葉に、成歩堂は心がじん、とした。
再び成歩堂は真宵の中へと身を進める。
185修行ナルマヨ:04/04/15 23:36 ID:koJmvm8L
先程の潤滑油が功を成しているのだろうか、初めてにしては割とすんなりと身を進める事が出来る。それでもまあ真宵は酷く苦しそうな表情をしているが。
やがて、成歩堂は真宵の中へとすっかり侵入した。
「う、あ…真宵ちゃん、熱くて狭い……」
「う、うぅぅっ…」
羞恥心に、真宵は思わずうめいた。
互いは息が詰まりそうになりながらも、お互いが与え合う快楽にすがり寄った。
静かな霊洞には、成歩堂と真宵の呼吸の音、そして繋がっている、愛し合う音だけが響くだけ。
「ひ、くぁ……んっ…なる、ほどくん…あたし、な、何か……おかしい、よぉっ」
目をきつく閉じながら、真宵は成歩堂の身体にすがりより、首を横に振って訴える。
真宵を襲っているのは、始めてを乗り越える痛みだけではなくなっていた。むしろ、その痛みは引き、代わりに頭の中が真っ白になりそうなほどの快楽が占めている。
「真宵、ちゃん…」
成歩堂も真宵が初めてであると言う事を頭では分かっていながら、徐々に激しくなる身体の動きを抑える事が出来なくなって来ていた。
卑猥な音が響き、それが二人の耳に届いて来る。それがまた二人を高めて行く。
「やっ…何か、何か来るよぉっ! な、なるほどくんっ……ぁっ…」
不意に、真宵が焦燥して悲鳴混じりの訴えを上げる。
恐らく、限界が近付いているのであろう。それは、成歩堂も同じだった。
肉欲が、成歩堂に更に真宵の奥へ突き上げるように促す。そして、その欲に成歩堂は忠実に従った。
激しく成歩堂は身体を前に突き出した。
186修行ナルマヨ:04/04/15 23:37 ID:koJmvm8L
「あ、くはぁっ…ひっ、だ、だめぇっ!」
びくり、と真宵の身体と『部分』が震える。更なる締め付けが成歩堂に襲いかかる。
絶頂の寸前とも言える真宵の震えに、成歩堂の感覚が全てその『部分』に集まった。
「真宵ちゃんっ、そろそろ……っ」
「なるほどくぅんっ…き、来て! お願いっ!」
二人はお互いの名を呼び合い、より近付き躍った。
その刺激から来る快楽は、二人の最後の堰を崩した。
成歩堂は最も激しく真宵を突き上げ、それと同時に自分の欲と想いを真宵の中にぶちまけた。
「ひっ、ひう、あっ…ああああっ」
真宵も中に受け容れたまま、成歩堂を締め付け、二人は同時に絶頂を迎えた。
二人を包むのは霊窟の寒さではない。
それをも跳ね付けるほどの互いへの信頼と愛。ただ、それだけだ。
187修行ナルマヨ:04/04/15 23:37 ID:koJmvm8L

息もまだ荒々しいまま、成歩堂は真宵の身体を起こすと、なるべく手早く服を着せた。
真宵の身体が冷えてしまうのを恐れたためであるし、自分が上着を着たいのも在った。
「なるほどくん……」
くたり、としながら真宵は成歩堂の事を呼んだ。
「あたし、なるほどくんに逢えて良かった…」
「真宵ちゃん…」
真宵の言葉に成歩堂は真宵に頬ずりをする。
「……えへへ。元気、出て来た」
朗らかに真宵は笑うと、成歩堂の頬ずりに合わせ、頬を動かす。
「もっとあたしもしっかりしなきゃね。はみちゃんの為にも」
「……」
真宵の言葉に、突然成歩堂は頬ずりを止め、そして顔を離した。
目をぱちくりさせ、真宵は成歩堂の事を見る。「どうしたの?」と尋ねて来る真宵。
「真宵ちゃん……」
成歩堂は真剣な声で真宵の名を呼んだ。
「きみは強くなるべきだ……自分の為に」
「!」
真宵は目を見開いた。
ずっと、ずっと言いたかった。
「真宵ちゃんは…春美ちゃんの為に強くなれる。それはぼくだって見ていれば分かる。でもね……」
成歩堂は軽く首を横に振った。
「そこに、真宵ちゃんが見えないんだ。何だか無理だけしか見えないんだ」
「え……で、でも…多少、無理をしないと……」
唇だけが、生きては行けないと言っていた。
「確かに…真宵ちゃんの言っている事は正しいよ。けど、違うんだ」
真宵の髪を指で掬って、成歩堂は話し続ける。
188修行ナルマヨ:04/04/15 23:39 ID:koJmvm8L
「誰も楽をして生きられないように、誰も無理をして生きられない。無理だけでは生きられない。そう思うんだ」
「!」
真宵は顔を上げ、成歩堂の事を見詰めた。
「誰かのために強くなれる事も、自分の為に強くなれる事も、人間だと思う」
成歩堂は真宵の事を抱きしめた。
「精一杯強くなってよ、真宵ちゃん。きみ自身の為にも」
そのためなら、ぼくが傍で支えるから、と成歩堂が言った。
「だから……真宵ちゃんも、ぼくの事を支えて欲しい。支え合って欲しいんだ」
その言葉に、真宵の目から大粒の涙がこぼれた。
声を上げて泣いた。
成歩堂の腕の中で。
ずっと、ずっと一人になった真宵は、それでも春美の為に笑った。
ずっと、ずっと一人である真宵は、遺志の上に立つ者として強くなろうとしていた。
ずっと、ずっと一人だった真宵が、欲しかった物。
それは……頼れる何か?
すがり付ける何か?
慰めてくれる何か?
違う。
そんな、薄っぺらい物ではない。
「……うん。あり、がとう…なるほどくん」
それは…
支え合える、大切な人。


(おわり)


189修行ナルマヨ(おまけ):04/04/15 23:39 ID:koJmvm8L


〜例によっておまけ〜

「隣の竹垣に竹立てかけたのは竹立てかけたかったから竹立てかけたのだ」
「呪詞じゃないよ、それ」
「東京特許許可局東京特許許可局東京特許許可局」
「だから呪詞は代々ここに通じる……」
「かえるぴょこぴょこ3ぴょこぴょこあわせてぴょこぴょこ6ぴょこぴょこ」
「全然違うってば! 大体それ、早口言葉じゃん!」
「し、仕方ないだろ? ぼく呪詞何て知らないし。ソレっぽい物言えば霊力上がった気分になれるって。要するに気分の問題なんだよ。最終的には」
「ううううう…寒いよぉ」
「ぼくの言葉無視しないでくれるかな真宵ちゃん!」
「早く味噌ラーメン食べたい…」
「爽やかに無視かよ!」
「うるさいよなるほどくん。ちゃんと修行はしなくちゃ」
「……何で」
「?」
「何でぼくは一般人なのに修行をしなくちゃならないんだ!」
「なるほどくんは既に存在自体が一般人じゃないよ」
「いいいいい異議あり!」
霊洞に成歩堂の言葉がこだましていた。


(終わろう)

190修行ナルマヨの者:04/04/15 23:43 ID:koJmvm8L
今回はナルマヨで来ました。随分とヘタレな上、事に及ぶのもスローペースな二方。
私のナルマヨって、こんな感じじゃないんですが…もっとこう…そのようなアレなのですが。
こんな新参者なのに続きを待って下さった方々もいらっしゃって、本当に嬉しかったです。
勿体無い言葉に、ここまで延ばし延ばしにしてしまった事に後悔してます。
やはり全て終えてから投稿するべきだった……(涙)
また、こんな小説書いている私ですが、彼らが恋人同士になったのは個人的には遅くとも2の4話だと思ってるんですね。超個人的ですが。
そう言えば3以外のネタでエロ小説って書いてないような気がする……

もうネタバレ解禁だと私は思ってるので、前スレでネタバレミツメイを投稿しようかと思っていた方の小説も降臨なさってもOKだと思います。待ってます。
自分が思い切りネタバレし放題の小説書いていてアレで困るんですがね。
と言うか、私のエロ小説はヘタレなので(表現もワンパターン化して来たし…)もっと他の方々のエロ小説を参考に頑張りたいです。
と言うかエロくないし。
191名無しさん@ピンキー:04/04/15 23:43 ID:0aZdMWSs
リアルタイムでハァハァさせていただきました!
グッジョブです!
192名無しさん@ピンキー:04/04/15 23:49 ID:Vd2FC68d
オーソドックスに乙
193名無しさん@ピンキー:04/04/16 00:05 ID:EVz4ihjJ
ナルマヨ神グッジョブ!
萌えて、泣いて、笑って大変でした。
素晴らしい作品を有り難う!!
もエーなナルマヨに乙です。
ありがとでした。また書いてねー。
195名無しさん@ピンキー:04/04/16 20:05 ID:SHorEK/E
ナルマヨキタ――――(Д゚(○=(゚∀゚)=○)Д゚)――――!!!
いいですねぇ・・・漫才含みで。彼ららしいですよ。
オマケ最高ヽ(゚∀゚)ノ

196名無しさん@ピンキー:04/04/17 21:19 ID:AdFTIcWN
修行ナルマヨの者たん乙でした。
正直、濡 れ ま す た 。
197名無しさん@ピンキー:04/04/18 01:27 ID:5OiE2AzK
GJ!!!
マヨイたん可愛かったし、ナルホドキュンの男前にもハァハァしました。
私も個人的には2−4から恋人関係になっていて欲しいとの願望が
ありますが、それはそれ。今回のお話スゲー好きでした!!

またいつか、ナルマヨ読ませてください。
198名無しさん@ピンキー:04/04/19 15:57 ID:Nd+3dvR1
ハァハァさせて頂きました。乙!
199名無しさん@ピンキー:04/04/21 07:00 ID:g3uTRQQ9
だんだん来ないな、人。
200名無しさん@ピンキー:04/04/21 20:40 ID:IfjjNFRy
200
201名無しさん@ピンキー:04/04/21 21:56 ID:njsbfsGU
長編とか投稿したら、ブーイング来ますか?
202名無しさん@ピンキー:04/04/21 23:27 ID:EWYYjOGu
何事もやってみないことには始まらない
203名無しさん@ピンキー:04/04/22 07:10 ID:bLNn3Beq
ミツマヨに萌えて初SSに挑戦したいのだが
ネタはあるのに、て、照れて書けない(;´Д⊂)
エロパロ板のみんなオラに勇気をくれ…………
204名無しさん@ピンキー:04/04/22 15:33 ID:A9d5cq/j
>>203
ガンガレ
とにかく書いてみれ。
205名無しさん@ピンキー:04/04/22 23:50 ID:6Do9B3GF
THX
がんがってます

とりあえず酒の力を借りています
>201,205
待ってるよ−。
ガンガレ
207名無しさん@ピンキー:04/04/23 00:32 ID:O7MeMTPR
わかる、わかるよ
俺もナルアヤで書きたいネタがあるんだが
恥ずかしいしエロを書いた事がないので上手く書けない
208名無しさん@ピンキー:04/04/23 03:01 ID:fBkjjv9y
トノサマンのスタッフの女の子が、カードつながりで友人になったガキに
色気のない眼鏡とか言われて馬鹿にされ、ムッとしたので服とか脱いで迫ってみる、
そういうお姉さんと少年ものが読みたい
209名無しさん@ピンキー:04/04/23 06:23 ID:SecBPNkm
203です何度もスマン。
>>207
戦友よ、共にがんばろう。
まずはガンガンのもうぜ
210名無しさん@ピンキー:04/04/24 20:14 ID:DFAu5dZO
んで酔いつぶれて寝ちまった、と?
211名無しさん@ピンキー:04/04/24 22:47 ID:IFqQFEmV
>>208
そ れ す ご く い い
212名無しさん@ピンキー:04/04/25 01:20 ID:wJAEN5Y/
ナルホド×ナツミってのはどうですか?
髪型は2の公式にのってたショートヘアーで。
213名無しさん@ピンキー:04/04/25 17:36 ID:UcYhhwMH
なるほどくんSは出て来るんだけどオリジナルのキャラが証人として出て来る小説でもオケーでつか?
214名無しさん@ピンキー:04/04/26 01:01 ID:EXUhyLwb
>>213
話の流れに違和感なければいいとオモ
なるほど×オリキャラエロはちと勘弁
215名無しさん@ピンキー:04/04/26 02:49 ID:9LeklQmn
>>213
本編と同じくらい濃いキャラを出さなきゃならんのだぞ?
それが出来るなら是非書いてくれ。すごく読んでみたい。
でもオリキャラをエロに絡めるとヒンシュク買うと思うから
エロ展開に持っていくダシ程度にするといいかもね。
216名無しさん@ピンキー:04/04/26 09:32 ID:3HUWpBWZ
小説を書いてみたいんだけどなるほどの口調が今ひとつ分からん。
とりあえず他の人に対する喋り方と呼び方って…

年下の女、男→〜ちゃん、〜君 タメ語
年上の女、男→〜さん、敬語
依頼人&証人などの仕事関係の人(子供除外)→〜さん、敬語

って感じ?メイには呼び方がカルマ検事・喋りはタメ語で良いんだよね…?
217名無しさん@ピンキー:04/04/27 02:46 ID:7/YD+89A
あと二人称に気をつけてくれ。
218203@ミツマヨ者:04/04/27 05:30 ID:iSBonXCP
がんがれレスくれた人達ありがとう。
書いてたら長くなっちゃったから、自分の持ってる垢にうpしたんだけど
長くてもここに投下したほうがいいのかな?

http://sapporo.cool.ne.jp/surumegatame/mm.html

初めてのエロパロSSなんであんまりエロくなかったり
空気嫁てなかったらスマソ。
嗚呼もっとミツマヨが読みたいよ。。
219名無しさん@ピンキー:04/04/27 21:44 ID:qghYopI3
>218
乙ですた! オモチロカッタ(・∀・)!!
>ロマンチックではなくなるくらいに力を込めて。
ここ、大好きです。

とっても楽しく拝読させていただきました。補給専用AAワラタ。
220名無しさん@ピンキー:04/04/29 02:51 ID:Ld5eD1Ms
ミツマヨ読みたいです!UPおながいしますー
>218
GJ!!
萌えさせていただきますた。
エロ以外の部分もオモシロカタ
すげー良かったです。
出来れば次も読みたい。
222名無しさん@ピンキー:04/04/29 13:17 ID:K0if5aVn
>>218
あなたは数字板の・・・!(*゚д゚)

とってもおもしろかったです(*´∀`*)
223名無しさん@ピンキー:04/04/30 21:43 ID:OdXEwNOu
ナルアヤ、首を自重に耐えられなくなるほど長くして待ってます。
探してもどこにもねえよママン(ノ∀`)タハー
224名無しさん@ピンキー:04/04/30 22:05 ID:IH7QeNrA
ナルアヤ人気ないんかな…
一番好きなカップルだ
225夏侯恩:04/05/01 00:57 ID:Mkc+XY1w
史上初!マコ&成歩堂小説

某月某日午後10時31分
天才弁護士こと成歩堂龍一はホテルの一室に入っていった。
コンコン
中からは、女の子の声が聞こえた。
「開いてるッス!」
この独特のしゃべり方をする女の子こそ成歩堂に二回も助けられた須々木マコだった。
今日この一室で待っていてくれとマコからの電話があった。
「ホテルバンドーの103号室で今月の○日に来て欲しいッス!」

「それで、なんのようなの?」
「単刀直入に言うッス!二回も成歩堂さんに助けて貰った恩を返すため自分の処女を成歩堂さんにあげるッス!自分を抱いて欲しいッス!」
「な、なんだって!!本気なのかい?、マコちゃん。」
予想もしない一言に動揺を隠せない成歩堂にマコは続けて
「本気ッス!須々木初めてッス。ちょっと怖い気もするッス。だけど、成歩堂さんだったら喜んでやるッス!」
「・・・・・・分かった。」
「それでは脱ぐッス!さすがに恥ずかしいッス!だからあっちを向いて欲しいッス。」
成歩堂は言われるがままにマコに背を向けた。成歩堂が背を向けていることを確認すると今着ている服を脱ぎ始めた。
白い飾り気のない下着を脱ぎ生まれたままの姿になった。
「こっちを向いてもいいッスよ。」

続く
226夏侯恩:04/05/01 01:00 ID:Mkc+XY1w
成歩堂が後ろを振り返ると恥ずかしそうに局部を隠したマコの姿があった。制服の上からでは分からない胸や、ウエストなどが露わになっている。
「ベッドの方で待ってるッス!成歩堂さん、早く来てッス!」
「分かった分かった。」
成歩堂はベルトを外して、トランクスだけになり、マコのいるベッドに向かった。
マコの後ろに回り込んで胸を揉み始めた。
「ひゃ・・ん、あっ、あっ、あっ・・あん」
「どう?」
「気持ちよかったッス。もっとやって欲しいッス!」
成歩堂はマコの乳首に指を触れた。指を動かすたびにマコの体が震える。
「あっ、ああっ、はぁはぁ、うっ、あ・・く・・」
さらにスピードを上げていく
「はぁあっあっあっああ・・・も、もうだめッス・・・ハードッス・・・きついッス・・・・」
「これからが本番なのにもう限界かい?」
「でも須々木頑張るッス!」
「それじゃあ、いくよ・・・」
成歩堂はマコとの接合部分に自らの性器を入れようとした。

続く
227夏侯恩:04/05/01 01:02 ID:Mkc+XY1w
蜜で濡れたマコの中に入れるのは容易だったが、そこから先がなかなか入らない。
「マコちゃん、少し痛いかも知れないけど、我慢してね。」
進むに連れてマコの喘ぎ声が大きくなっていく
「やっ、あっ、はぁはぁはぁ・・・はぁはぁ」
そのとき、マコの中で何かが破れる音がした。
「痛ッ!」
「マコちゃん大丈夫?」
「平気ッス!早く続けて欲しいッス。」
「マコちゃんてやっぱり処女だったんだ・・・」
「そうッス。」
「一年前に亡くなった町尾守さんや研修時代の先輩のイトノコ刑事とはやったことないの?」
「無いッスもっと好きな人が出来たらその人にあげようと思っていたッス!」
「そうなんだ。」
そういって、成歩堂はもっと奥へと侵入させた。ついに、成歩堂は彼女を貫いた。
「なんだか、気持ちよすぎて変になっちゃいそうッス・・・」
成歩堂は最初はゆっくりと腰を振っていたが、そのうち早くなってきた。
「あ、あ、あ、あ、あ、あ・・・・」
「そろそろ、限界だ。中に出しちゃってもいいかい?」
「あ、あ、あ、い・・いッス。」
成歩堂とマコの行為はどんどん激しくなった。ついにはマコの膣腔内に熱い物が出された。
「はぁはぁはぁ・・・・」
マコはかろうじて意識はあり呼びかけには答えるものの、腕に力が入らずうまく立てなかった。
「腕に力が入らないッス・・・自分を見失うくらい飛んだッス・・・・」
「ええと・・・言いにくいんだけど・・・ここで寝てもいいかな?眠くなったし・・・」
「是非ともお願いするッス!」
その後、夜を徹して行為は数回に及んだ。

終わり
余談だが、次の朝成歩堂は疲れと不眠により階段を踏み外して足を骨折したとのことです。
やはり、マコの不幸が移ったともいえるでしょう。
逆載エロパロ史上初のナルマコ小説はいかがでしたでしょうか?
イトノコ&マコよりもいいかもしれません。
228夏侯恩:04/05/01 01:07 ID:Mkc+XY1w
マコ&成歩堂小説U

某月某日午前9時00分
「いってきまーす。」
「それではいってまいります。」
真宵と春美は東京の中心街へ買い物をしに行った。
一人取り残された成歩堂は誰もいない事務所内でため息を付いていた。
「コーヒーでも飲むかな・・・・」
と言って、インスタントコーヒーを取りに行ったが、生憎切らしていたため
散歩ついでに買い物でもしようと思いドアの開けた瞬間「ゴン!」と何かがぶつかった様な音がした。
「イタタタ・・・」
この声は須々木マコだった。
「マコちゃんどうしたの?」
「成歩堂さんに会いに来たッス。もしよければ家に来て欲しいッス。」
「いいけど。真宵ちゃんや春美ちゃんがいないけどうする?」
「別に構わないッス。成歩堂さんさえ来てくれたらそれでいいッス。」
「分かった。じゃあ鍵を閉めて行くからちょっと待ってね。」

続く
229夏侯恩:04/05/01 01:10 ID:Mkc+XY1w
「ここが須々木の家ッス。」
そこは、小綺麗なマンションだった。
マコに連れられて建物内に入り、マコが303号室の鍵を開けた。
「けっこう、広いんだね。」
成歩堂はその広さに驚いていた。
「成歩堂さんは朝ご飯食べたッスか?」
「まだだけど。」
「だったらこの須々木が朝ご飯を作ってあげるッス!」
「あ、ありがとう。」

続く
230夏侯恩:04/05/01 01:12 ID:Mkc+XY1w
マコはキッチンへ向かい手慣れた手つきで料理を作り始めた。
「成歩堂さんは赤味噌か白味噌どっちが好きッスか?」
「僕は、赤味噌。」
「はーい。」
数十分後、おいしそうなにおいが漂ってきた。
「お待ちどーッス!」
マコが作った朝ご飯のメニューはご飯、味噌汁、アジのひらきなどの和風なメニューだった。
「実は須々木まだ食べていなかったのでご一緒させていただくッス。」
成歩堂は久しぶりに食べる手作り料理の味を堪能していた。
「まるで、新婚の夫婦見たいッスね。」
「ウッ!ゴホッゴホッ!」
「大丈夫ッスか?」
「ああ、大丈夫少しむせちゃっただけだよ。」
2人は朝ご飯を食べ終えた。 マコが洗い物をするために、キッチンへ行こうとしたとき
「マコちゃん、僕も手伝うよ。」
「ありがとッス。」
2人で洗ったので作業は順調に進んだ。最後の皿を取ろうとしたとき、2人の手が重なった。
「あっ・・・」
「あっ・・成歩堂さんの手・・・とても暖かいッス・・・」
マコは突然成歩堂に抱きついてきた。
「ま、マコちゃん。」
突然の行動に寝る歩堂の心拍数は上がり、これでもかと言うくらいにどきどきしている。
「須々木・・成歩堂さんのことが好きッス。」
「えっ・・・」
「お願いッス。今からこの須々木を抱いてください・・・」
「ほ、本気なの?」
「本気ッス。」
「分かった・・・僕も君のことが好きだ。」
といって、成歩堂はマコをベッドまで運んでいった。

続く
231夏侯恩:04/05/01 01:14 ID:Mkc+XY1w
ベッドに乗せられたマコと成歩堂は深いキスをした。
目を閉じて互いの舌を絡ませ合い、長い間キスをしていた。
「んっ、ふぅ、あふ・・・」
キスが終わった後、成歩堂がマコの服を脱がせ始めた。
「優しくして欲しいッス・・・」
「分かってる。」
その日は薄手の服を着ていたので、脱がすのは簡単だった。さらに、彼女の白い下着に手を付けた。
「あっ・・・」
次第に露わになっていくマコのボディラインに成歩堂の興奮は一気に高まった。そして、脱がす終わりマコは生まれたままの姿になった。
「マコちゃん、いくよ。」
「どうぞ・・・」
成歩堂の物がマコの中へ徐々に入っていく。
「あっ、あん、やっ、あぁ・・」
「ちょっと痛いけど我慢してね。」
といって成歩堂は一気に突き上げた。
「あ、あぁぁぁぁー!!」
髪を振り乱して快感に浸るマコはとても扇情的だった。
さらに、腰を振るスピードを早くした。
「んんっ!いぃぃぃ・・」
「マコちゃんそろそろ、イクよ。中に出してもいいかい?」
「はぁはぁ・・いいッスよ・・・」
続く
232夏侯恩:04/05/01 01:16 ID:Mkc+XY1w
そして、マコの中に出された。
「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!・・・」
「はぁはぁ・・・・・」
2人の間には暫しの沈黙が流れた。
「じゃあ、マコちゃん後かたづけは僕がやるから・・・」
「すみません・・・力が入らないから手を貸して欲しいッス・・・」
成歩堂はマコの手を引っ張り上体を起こさせた。
「何があったかなんて分からないほど飛んでたッス・・・」
「今度もやる?」
「是非ともやるッス。」
「それじゃあ、そろそろ帰るね。」
「成歩堂さんの事務所に行ってもいいですか?」
「別にいいけど。」
これが間違いであった。

同日午後4時
「たっだいまー!」
「ただいま戻り・・なるほど君?」
そこには、ソファの上で寝ている成歩堂の姿と、成歩堂の上体に覆い被さるようにして寝ているマコがいた。
「あっ・・・」
「な、なるほど君!」
「はみちゃん、ここは静かにしておいてあげよう。見て、2人の幸せそうな笑顔。」
「真宵様がそこまで言うのなら仕方ありませんが、真宵様という女性がいながら・・」
「ここでは、静かにしておこう。あとで叱ればいいからさ。」

その後、成歩堂はマコが帰った後、春美にきついお仕置きを受けたそうだ。
マコとの関係は非常に発展したのでよいとしよう。
233名無しさん@ピンキー:04/05/01 20:31 ID:J5IaUuHn
ついにナルマコキター!
ありがとう・・・
234夏侯恩:04/05/01 21:31 ID:Mkc+XY1w
史上初(この組み合わせを考えたこと自体史上初)
須々木マコと岡高夫のカップリング小説
その名も、マコオカ!!

12月3日 2時 吐麗美庵
「・・・外れた!くそっ!!」
「んで、どうすんねや。今ならそのクリーニング・ボンバーで、チャラにしてやってもええんやで。」
「・・・・しょうがない。ほらよ。」
岡は芝九蔵にクリーニング・ボンバーを渡した。
「まいどありー。感情はこっちが払っとくでな。」(けっ、毒用意しただけ損したな。まあいい)
「・・・・」
「ありがとうございましたー!」
「ん・・・」
岡が女の子の声がした方を向くと、そこにはウエイトレス姿のマコがいた。
「・・・・・・」(ふんふん・・・・・胸は平均以上あり。ウエストは細めだな。ヒップは・・・うん胸とのバランスとも良いな。)
「あの、どうかしたッスか?」
「い、いやなんでもないです。」

「うーん、さっきの女の子結構良かったな・・・・」(そうだ。店を出てきたときにナンパしよう。)

同日 7時
「さようならッス!」
(おっ、来た来た。)
「こんちは。昼にいた客だけど覚えてる?」
「・・・ああ!左目に眼鏡をかけてる人ッスか?」
「そうそう。これから、暇だったら一緒に晩飯でも食べないか?金は俺が払うから。」
「いいッスよ。」
「それじゃあ、行こうか。」(やったー!うまくいったぞ。)
235夏侯恩:04/05/01 21:42 ID:Mkc+XY1w
同日7時30分

「ここだ。」
「すごいッス!」
岡とマコが行ったところは、異国情緒あふれる中華料理屋だった。
「俺は台湾ラーメン。」
「あたしは、チャーハン。」
「それから、若鶏の唐揚げとビール二人前。そういえば、君は須々木マコって言ったね。お酒飲める?」
「一応飲めるッス。けど、どうしてあたしの名前を知ってるスか?」
「去年、冤罪で捕まっていただろ。」
「なるほど、納得したッス。」
料理が来て、食事を始めた。繁盛しているだけあってとても美味しかった。
ビールを2人は飲んだが、実はマコのビールには岡が睡眠薬を入れておいたのだった。
(よし、成功したぞ!)
2人とも食べ終わり、店を出たところでマコが急に眠くなったといった。
「だったら、俺の家で泊まっていくといい。」
「あ、ありがとッス。」

続く
236夏侯恩:04/05/01 21:57 ID:Mkc+XY1w
マコは岡の家に着く頃には、もう四分の三は寝ているような状態だった。
「着いたよ。」
「うーっ・・・・・眠いッス。」
「俺がおんぶしてやるよ。乗りな。」
「あ、ありがとッス・・・・・ふああああ・・・・・」
「・・・・・」(坤睡眠薬の効果は約2時間で切れる10時には起きるだろう。)

岡の家 同日 10時
「ふあああ・・よくね・・た・・」
マコが起きたときには、隣に岡がいた。
「あ、岡さんッスね。どうもありがとッス。」
「何か、体に異常はないか?」
「とくにないッス・・」
「少し体温が高いんじゃないのか?」
「そう言われると・・・なんか体が熱いし・・・あそこがむずむずするッス・・・」
(そろそろだな・・・)
いきなり岡が、マコを押し倒し、服の上から胸を揉み始めた。
「キャ!なに・・するッス・・・かあっ・・・・」
「こうされることを、体は望んでるようだな!!」
「・・・・んっ・・違・・う・・っす・・・」
「じゃあ何でこんなに濡れているんだ?」
「え・・・・あたし・・・・・濡れてる?・・・」
「そうだよ。これが証拠だ!」
秘部をいじくっていた岡の指には大量の愛液がついていた。
「いやぁぁぁ!!」
「まだまだ、お楽しみはこれからだ。」

続く
237夏侯恩:04/05/01 22:14 ID:Mkc+XY1w
「ああああー!!」
「叫んでも無駄だ。この壁は防音加工になっていて、どんなに声を出しても聞こえない。」
岡は指で弄ぶ時の反応に飽きたのか、自分のバッグからローターと呼ばれる物を取り出した。
「なんすか、それ。」
「静かにしてな。」
岡はマコの服を脱がした。制服の上からでは分からなかったボディラインがさらけ出された。
「んん・・・」
マコは羞恥心で顔を真っ赤にしている。それに構わず岡は、マコのブラジャーとショーツを脱がした。
下着までも脱がされて、生まれたままの姿になったマコの顔は顔だけでなく耳まで真っ赤に染めている。
岡は両乳首に唇をつけて、舌で刺激したり、吸ったりしていた。その度に、経験のないマコの体が仰け反る。
「こんだけで、あんなに仰け反るとはな。これでやるとどうなるかな。」
「いや・・・止めてッス!」
マコの抵抗むなしく、両乳首とクリトリスにローターをつけられた。さらに、ヴァギナへバイブを入れられた。
「これリモコン式だから、反応が楽しみだな・・・スイッチオン!」
ビビビビビビビビビビビビビビビ!!!
「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!うぅぅぅぅぅぅぅ!イク、イクッス!!」
ベッド上で、愛液を溢れさせてのたうち回るマコを見て岡は笑っていた。
「そうだ!その声だもっと出せ!!」
岡がリモコンのスイッチで最強にしたら、大きく後ろへ仰け反り、糸の切れた操り人形のようにベッドへ倒れた。
「なんだよ。きぜつしやがったのか!まあいい、明日は休日だ。一日中遊んでやるぜ。」

続く
238夏侯恩:04/05/01 22:30 ID:Mkc+XY1w
「うう・・・」
「ようやくお目覚めか?」
「あ、あなたは・・・」
「そうだ。昨日君の、痴態をバッチリ見させていただいたよ。」
「そんな・・・・酷い・・・」
マコが泣き始めても岡は悪びれた様子もなく続けていった。
「言っておくが俺はお前とヤッてはいない。」
「岡さん酷いッスよ!あんな風にネチネチ攻められるくらいだったら、いっそのこと入れられていた方がましだったッス!」
「まあ、怒るな。今日は、君の希望通りにしてやるよ。」
といって、岡はベルトを外して、ズボンを脱いだ。
そして、マコの両足を無理矢理開かせて自分の肩に乗せた。
足を開いた形で男性に見られている訳なので、マコは余計恥ずかしくなった。
「恥ずかしいッス・・・」
「すぐにイかしてやるよ!」
岡はいきなり、クリトリスを指で刺激し始めた。
「!!」
すぐに愛液が溢れて大洪水になった。
「おーおー、こんなに溢れてるぜ。」
「・・・・・」
そのとき、岡が有無言わず挿入してきた。
「ああ!!」
「ん、お前処女だな?」
「・・・そッス・・・」
「俺が貰うぜ。」
岡がマコを持ち上げると激しく衝いてきた。
「あっ、やっ、あっ、あっあああ・・・」
「なかなかの名器だな。ぎゅうぎゅう締め付けてきやがる。」
239夏侯恩:04/05/01 22:42 ID:Mkc+XY1w
その時だった。プチッという何かが破けた音がした。
「痛いッス!」
「このまま奥までいくぜ。」
マコの破瓜も気にせずに衝いてくる。
「そろそろ、俺も限界だな。中に出してもいいか?」
「いいッス・・・・最近終わったばかりッス。」
「よっしゃ!」
岡はラストスパートとばかりに、激しいピストン運動を繰り返した。
「うお・・・・出た・・・」
「んんー!!」
マコの中に出された。
「ハァハァ・・・・もうだめッス。」
「俺もちょっと無理かもな・・・・・」
「・・・・・」
「・・・・・どうよ、初めてのセックスは?」
「気持ち良かったッス・・・・・」
「そうか、そりゃよかった。」
「あの、岡さん・・・」
「どうした?」
「また・・・時間があるときに来てもいいですか?」
「そりゃ、願ってもないことだな。いいぞ。今日や昨日よりずっとハードなのを考えとくからな、覚悟しとけよ。」

2人の関係はここから始まった。

終わり

つまらん長い話を最後まで我慢して読んでくださった皆さんありがとうございました。
誤字・文法間違いなどがありましたら、ご指摘ください。
岡高夫・・・3の3話で死ぬんですけど、もし生きていたら間違いなく
マコの帰り際で襲うと思いました。
240名無しさん@ピンキー:04/05/02 00:15 ID:qmZTQR2b
>>夏侯恩の人
gjです!

なんか凄くリアルなナルアヤの夢を見てしまった・・・
書いちゃってもいいのだろうか?
まあ夢なんで萌れないかもしれないし、他の投下神が出てくるの黙って待った方がいいですね。
241名無しさん@ピンキー:04/05/02 00:21 ID:9xX7bfxd
ちゃんと作品に消化されていれば元が夢でもいいと思うが。
242名無しさん@ピンキー:04/05/02 01:57 ID:qLlocvDI
>240
ぜひとも書いてナルアヤ分を補給してください
243夏侯恩:04/05/02 12:49 ID:SUg4xfWB
>>240 私がナルアヤの投下神となりましょう。
244夏侯恩:04/05/02 13:37 ID:SUg4xfWB
ナルアヤ小説

葉桜院
(やはり、あの子はちいちゃんなのだろうか・・・・それにしても・・・・・)
「寒いな・・・・カイロか何か持ってきた方がよかったのかな・・・・」
コンコン
「ど・・うぞ・・・」
「失礼いたします。」
「あ、あやめさん。どうしたんですか?」
「リュウちゃんがお風邪を引かれないように、襟巻きを編んできました。」
「ありがとう。」(やっぱり!!)
「それでは、失礼しました・・・」
「ま、待って!」
「どうしましたか?」
「前何処かでお会いしたことはないですか?」
「もうしわけありませんが、人違いではないでしょうか・・」
「これならどうです!」
成歩堂はいきなりあやめの腕を掴んだ。
「キャ!なにをなさるのですか。」
微力ながらも抵抗するあやめに、成歩堂はキスをした。
「ん・・んん・・・・・」
唇を付けるだけではなく、舌をあやめの口の中に侵入させ、歯列に沿って舌を動かした。
しばらくすると、あやめも抵抗しなくなった。
「・・・・・」(やっぱり、キスをしたときの反応はちいちゃんと同じだ。あとは、どうやって言わせるかだな。)
成歩堂の舌があやめの舌に絡みつき、水音がした。
成歩堂は、あやめに負担をかけないために、唇を離した。

続く
245夏侯恩:04/05/02 13:57 ID:SUg4xfWB
成歩堂は唇を離した後、あやめを押し倒した。
「どうだった?」
「・・・すこし気持ちよかったです・・・・・・・」
「そうでしたか・・・」
あやめに、抵抗する気が失せたと思った成歩堂は、背中に回り込みあやめの胸を揉み始めた。
「!」
(やっぱり、感じているんだ。ここへ、わざわざ来たと言うことは、こういうことを期待していたのだろうか?)
さらに、成歩堂はあやめの頭巾を取り、耳を甘噛みした。
「あっ・・・」
胸を揉まれ、耳を攻められているあやめは、背徳的だと思いながらも快感に浸っていた。
体中に力が入り堅くなっているあやめに、成歩堂は耳元に息を吹きこんだ。
「ひゃ・・・・あ・・」
「感度いいですね。」
「もう・・好きな風にしてください・・・」
その言葉を、待っていたとばかりに成歩堂はあやめの装束を脱がした。
「あ・・・・・」
あやめの裸が成歩堂の前に晒された。
「好きな風にしてもいいと言いましたね。覚悟は出来ていますか?」
「はい・・・・優しくしてくださいね・・・」
246夏侯恩:04/05/02 14:29 ID:SUg4xfWB
手始めに成歩堂は、あやめの両乳首を摘み擦り潰すようにして刺激し始めた。
「あっ・・・あん・・ああん・・・・」
成歩堂が、あやめの秘部を見ると案の定愛液が溢れんばかりに流れていた。
「清楚な顔をしていても、体はいやらしいですね。」
「んん!そんなことい・・わないで・・ください」
さらに、あやめの両足を大きく開けて秘部をのぞき込んだ。
「そんなに見ないでください・・・」
「綺麗だ・・・」
成歩堂がクリトリスにふれた瞬間、感度が上がっていたあやめの体に電流が流れた様に仰け反った。
「あああ!!!」
「もっと、やりましょうか。」
成歩堂は、クリトリスも強く擦り潰すように刺激した。
「ああ!ああああん!!!」
髪を振り乱して仰け反り、感じる姿は非常に扇情的だった。
前にも増して、愛液は多く流れ、畳にシミを作った。
(そろそろだな・・・)
成歩堂は、ベルトを外しズボンを下げ、トランクスを脱いだ。
そして、愛液の威ふれるあやめの膣に挿入した。

続く、
247夏侯恩:04/05/02 14:45 ID:SUg4xfWB
「あぁぁぁっ!!」
バックから挿入され、激しく衝かれているあやめは、もはや我を忘れて快感に浸っていた。
「しばらく、やっていないから濃いと思うよ。」
「大丈夫です。な、中に出してください・・・」
成歩堂は、ただ衝いているのは単調で面白くないのかと思い、あやめの乳房を搾るかのように揉み始めた。
「ああ!」
ただ単に揉むもではなく、強弱を付けたり、揉む速さに緩急を付けたりして反応を楽しんだ。
さらに、片手でクリトリスを刺激し始めた。
「あん、あっあっ!」
先にも増して甘い喘ぎ声を出すあやめに、成歩堂の欲情は一気に高まった。
成歩堂は我を忘れてあやめを突き続けている。
あやめもまた、成歩堂の激しい衝きの快感を味わっている。
しばらくして、あやめに限界が来たようだ。
「もう・・・だめです・・・・」
成歩堂にも限界が来た。
「もうダメだ・・・・・」
2人は、共に絶頂を迎えた・・・・
「はぁはぁ・・・・」
「あやめさん、どうでした?」
「はぁはぁ・・・・とても気持ちよかったです・・・・」
「ところで、さっきいったこと思い出せましたか?」
「はい・・・・立派になられましたね。リュウちゃん。」
「じゃあ、僕が勇命大学でちいちゃんと呼んでいたのは・・・あやめさんだったのですか?」
「そうです。」

続く
248夏侯恩:04/05/02 14:52 ID:SUg4xfWB
「僕は、今でも君のことが好きだ。」
「私もです・・・リュウちゃん・・・」
2人は、再びキスをしようとしたところへ、最凶最悪のタイミングで春美がやってきた。
「なるほどくん!ごは・・・な、な、な、なにをしてるんですか!!!!」
「げげげ!!!」
「真宵様というお方がいながら!!もうわたくし許しません!!」
「ぎゃああああああ!!!!!」
「もう、リュウちゃんたら・・・」

その後、成歩堂は鼻骨の骨折&全身打撲&歯が二本折れるという大けがを負った。
「成歩堂、一体どうしたらこんな怪我をするのだ?」
「自業自得です・・・・」

終わり

わずか1時間半という短い製作期間でしたが、いい物が出来たと思います。
これもまた、エリスが死ななかったりする全くのIF小説です。
>>240さん、どうでしたか?
249夏侯恩:04/05/02 18:19 ID:SUg4xfWB
250名無しさん@ピンキー:04/05/02 21:47 ID:GJLtrHTj
アクセス規制が解けたようなのでやっと投稿出来ると喜んでます。
ナルマヨの超長編なんですが、良いでしょうか?
251名無しさん@ピンキー:04/05/02 21:48 ID:GJLtrHTj
↑ちなみに私は釣りだの煽りだの、嵐だの…そんな感じのは何もしてません。
誤解の無いように、念のため……
252名無しさん@ピンキー:04/05/02 21:48 ID:sFIFOui/
>>250
自分はオケーですよ
楽しみにしてます
253名無しさん@ピンキー:04/05/02 21:49 ID:GJLtrHTj
夏侯恩さん、乙です。
254夏侯惇:04/05/02 21:54 ID:SUg4xfWB
これって、http://box.elsia.net/~gyakuten/top.htmlに載るんですよね
それから、夏侯恩は趙子龍に長坂にて討たれたので、夏侯惇に変えます。
255名無しさん@ピンキー:04/05/02 23:50 ID:ZihnzrN7
激しく厨の香りが…
256夏侯恩:04/05/03 00:18 ID:ght2w4BM
>>250さん
頑張ってください、楽しみにしています。
257夏侯恩:04/05/03 00:22 ID:ght2w4BM
今回はエロパロの「パロ」にチャレンジします!

うーん、いい天気だねえ。
こういう日はソファーに寝っ転がって、ごろごろとテレビを見るのが一番だよね。
あたしは、今日のこの時間をどう過ごすかを考えていた。
すると、少女の声が耳に届いた。
「真宵さまっ!!」
はみちゃんだ。
「ん?なーに、はみちゃん。」
「ちょっとお話が‥‥こちらへ付いてきて下さい。」
なんだろう?とにかく、あたしははみちゃんに誘われるまま給湯室に付いていった。


「真宵さま、コレをご覧ください‥。」
はみちゃんは勾玉を差し出した。ピカピカとオレンジ色に光っている。
「キレイに光ってるねえ。それで、コレがどうかしたの?」
あたしの問いかけに、はみちゃんの顔がキリッとなる。

「聞いておどろかないでください‥‥
             この勾玉は相手の心の中を見ることができるんです!」
258夏侯恩:04/05/03 00:24 ID:ght2w4BM
「ええぇっ!!」
ちょっと大げさに驚いてしまった。でもね、はみちゃん。そんな勾玉で人の心が見れるわけが‥
「真宵さま‥信じておられないのですか?」
そりゃそうだよ。なるほどくんに貸したあたしの勾玉だって、『サイコ・ロック』が見えるだけなんだもん。
相手の心そのものを見ることなんてねえ‥‥
「いいですか。これを額にあてれば相手の心の中を見ることができるんです。そうですね‥‥‥」
はみちゃんが額に勾玉をあてた。
「真宵さまは‥今‥‥‥  みそラーメンが食べたいと思っていらっしゃいますね!!」
「‥っ!!!」
あたしの考えてることがはみちゃんにズヴァリ!と当てられてしまった。(この場合確実に当たるが)
もしかしてこの勾玉、ほんとに相手の心が‥‥
「当たっていらっしゃったようでよかったです。それでですね、この勾玉を使って意中の方の心を‥」
はみちゃんが一人で燃え上がり始めている。
「‥?どういうこと?」
「つまり、なるほどくんが真宵さまをどう思ってるか、心の中を覗くのですっ!!」
大声を出されてびっくりした。はみちゃん、なるほどくんに聞かれてたらどうするの。
「な、なんでなるほどくんなのかな‥?」
「えっ!なんでと申しますと‥‥?」
「だって、なるほどくんとあたしは」
「そ、そんな!そんなことないハズです!だって、なるほどくんは真宵さまを助けるために橋から川へ落ちて‥」
はみちゃんは顔を少し赤くしながらしきりに怒鳴っている。
「わ、わかったよ。それを使えばいいんだよね?」
「は、はい!使ってください!さあ、早く!」
実を言うとあたしは、なるほどくんがあたしのことをどう思ってるかが気にならないワケでもなかったんだ。
でも、直接聞くのも恥ずかしかったから‥‥この機会に少しぐらい心を覗いてみてもいいよね。
「では、後ほど‥。」
ニコニコしながら、はみちゃんは行ってしまった。
259夏侯恩:04/05/03 00:25 ID:ght2w4BM
これからなるほどくんの心を覗くとなると、少しドキドキするね。
あたしは、なるほどくんがいる所長室へ向かった。
所長室に入ると、なるほどくんは新聞を読んでたみたいだけど、すぐにこっちに気がついた。
「あっ。あのさ、真宵ちゃん。」
なるほどくんが、ちょっとニヤニヤしながら寄ってきた。
「コレ‥見てみなよ。」
と、何かのポスターをあたしに見せてきた。なんだろ?
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これは薬屋さんの前によく置いてあるやつかな。
「カエル‥‥?コレがどうかしたの?」
あたしの問いになるほどくんは「うん。」と頷き、ポスターに何か描き足した
260夏侯恩:04/05/03 00:26 ID:ght2w4BM
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「‥‥‥‥‥‥。」
「どう?コレ、真宵ちゃんに似てな‥ウゴッ!」
「なるほどくんがこんなに無神経だとは思わなかったよ!バカ!」
あたしはなるほどくんのおなかの辺りを殴って、部屋から飛び出した。
勾玉を使うひまもなかったけど‥‥なるほどくんなんて知らないよ!
「み、みぞおちにぃ‥‥死ぬぅ。」
所長室では情けない男が一人、転がり回っていた。
261夏侯恩:04/05/03 00:27 ID:ght2w4BM
勢いで事務所を飛び出しちゃったけど、どこかに向かうわけでもない。これからどうしようかな‥‥
街をブラブラ歩いていたら、聞いたことがある声が聞こえてきた。
「いやぁー、カルマ検事がいると大変ッス‥。一年ぶりに日本へ戻ってきたのはいいッスけど‥。」
あの声はイトノコ刑事だね。一応パトロールをしているみたいだけど、あんまり身が入っていないみたい。
「おっ!アンタはっ!」
「どうもこんにちは、イトノコ刑事。」
あたしの返事に、イトノコ刑事は首をかしげる。
「なんかいつもより元気がないッスね‥。そういえばあのトンガリ頭はどうしったッスか?」
トンガリ頭‥‥なるほどくんのことか。
「なるほどくんは、今日はちょっと用があるんで‥」
「そっスか‥‥そういえばそろそろメシの時間ッス!よかったら一緒にうどんを食べに行くッスか?」
「えっ、ホントですか?」
「ホントッス。全然気にすることないッス。」
イトノコ刑事の財布の中身を気にしないことなんてできないと思うけど‥。
「じゃあお言葉に甘えて。」
「あっ!でもおかわりはなるべくしないで欲しいッス!財布の中身のおかわりはできないッスから。」
ハ、ハ、ハと苦笑いをするイトノコ刑事。笑えることでもないんじゃないかな、といつも思う。
そうだ、イトノコ刑事の心を覗いてみようかな。
はみちゃんの勾玉の力を初めて試してみる。
うー、ちょっとキンチョーするね。‥では‥‥。
勾玉を額にあてた。
   『カエルッス』
「‥‥‥‥‥‥?」
今‥なんて‥?もう一回額に勾玉をあてた。
   『あれはカエルッス』
やっぱり『カエル』と聞こえた。
イトノコ刑事まであたしがカエルみたいだって思ってるの‥‥?
「あの、イトノコ刑事。あたしちょっと用事を思い出したんで‥‥さよなら!」
居辛さを感じて、あたしはイトノコ刑事を置いて走りだした。
262夏侯恩:04/05/03 00:28 ID:ght2w4BM
「あっ!ちょっと、どこいくっスか!‥‥‥行っちまったッス。」
「まったく‥自分が断腸の思いでうどんをごちそうするっていうッスのに‥‥
 まあいいッス。そこの『カエル』の薬局で胃薬を買ってから行くッス。
 カルマ検事に仕事を頼まれるとストレスで胃が痛くなるッス。」
イトノコ刑事のとこから走って来て、ひょうたん湖公園に着いてしまった。すごい疲れちゃったよ。
ぐ〜〜っとおなかがなる。おなかすいたなぁ。
あっ、そうだ。あのまんじゅう屋さんまだやってるかな。
まんじゅう屋さんが商売していていることを願って、入り口から湖の方へ歩いていった。
まんじゅう屋さんはもういなかった。
「さすがにもう二年前だしね‥‥。あの事件は御剣刑事が大変だった‥‥アレ?」
まんじゅう屋さんはいなかったけど、そばのベンチにカルマ検事が座ってる。なにか本を読んでるみたい。
「こんにちは、カルマ検事。」
「‥‥‥あら。あなたはたしか‥。」
カルマ検事はニヤッと笑う。
「綾里真宵‥。どうしたのかしら?今日は成歩堂龍一と一緒ではないようね。」
なるほどくんがいたらどうするつもりだったんだろう。やっぱりムチでビシバシ叩くのかな。
「カルマ検事こそ、ここで何してるんですか?」
あたしは尋ねた。
「フッ‥‥あなたには関係ないことよ。邪魔はしないでちょうだい。」
と、また本を読み出した。なによ。女の子同士でいろいろしゃべることってあるでしょ?ふつーは。
そういえば、カルマ検事って普段なにを考えてるんだろう。すごく気になるな。
この勾玉‥使っちゃおうか。
はみちゃんの勾玉を取り出す。
よし、心を覗いちゃうよ!カルマ検事!
263夏侯恩:04/05/03 00:29 ID:ght2w4BM
「‥‥‥カエル‥」
えっ?勾玉を額にあてようとする手を止める。
「‥‥‥カエル‥」
また『カエル』。そんなにあたしはカエル顔なの?
あたしは勾玉を握り締めて、さよならも言わずにすぐさま走り去っていった。
心の中で思っているのならともかく、口に出して言わなくたって‥‥
「‥‥。カエルピョコピョコミピョコピョ‥‥‥ああもう!
 アメリカと日本を行き来していると、どちらの言語も分からなくなってくる‥。
 とりあえず、日本の『早口言葉』の練習をしようと思ったのに‥。
 イライラするわね。早口言葉。」
また、猛ダッシュをしてしまった。何回も走るのはさすがにキツイ‥。
荒い呼吸を整えつつよろよろと歩いていくと、小さな喫茶店があった。
ちょっとここで休んでいこうかな。まだお昼ごはんも食べてないしね。もうおやつの時間だけど。
あたしはためらわずにそのお店に入った。
「いらっしゃいませ。」
あたしは席に案内され、メニューを渡された。
スパッゲティやサンドイッチ、ケーキやパフェなど色々のっている。
「うーんと、デラックスショートケーキとウルトラフルーツパフェをお願いします!」
「え、えーと、こちら両方ともお二人から三人さまがお食べになる量ですが‥」
「いいです。それでお願いします。」
「か、かしこまりました。」
半ばやけになっていたかもしれない。それとも、すごくおなかがすいていたのか‥とにかく一人で食べきるつもりだった。
「あたしの顔ってカエルなのかな‥そうなのかな‥‥」
いろいろ考えていると、お店にお客さんが入ってきた。
264夏侯恩:04/05/03 00:31 ID:ght2w4BM
御剣検事だ。
「む。真宵くんではないか。今日は成歩堂は‥?」
みんな、あたしとなるほどくんが一緒じゃないと不自然らしい。
「なるほどくんはちょっと仕事が忙しくてですね‥」
「む。そうか。」
御剣検事は法廷ではしっかりとしているけど、プライベートではどこかぎこちないね。
「御剣検事はどうしてここへ来たんですか?」
「いや、久しぶりに日本に戻ってきたから少し散歩でもしようかと思ってだね‥
 ‥途中でこの店を見つけたから寄ってみたのだよ。
 まさか、真宵くんがここにいるとは思わなかった。」
御剣検事と話していると、注文したケーキとパフェが運ばれてきた。
「こちら、デラックスショートケーキとウルトラフルーツパフェになります。」
すごく大きいのがきた。やっぱケーキやパフェはこうじゃないとね!
「す、すごい大きさだな‥‥」
御剣検事がびっくりしている。
「こちらさま、ご注文は‥?」
「む‥。え、えーと、コーヒーを一つ頼もう。」
「かしこまりました。」
うーん。ケーキとパフェ、どっちから食べようかな。いざ食べるとなるとけっこう迷うもんだね。
‥‥‥ん?御剣検事がパフェを見つめている。‥‥‥ははーん。
「もしかして、御剣検事って甘いもの好きなんじゃないですか?」
「えっ!いや、そのようなワケでは‥」
「もしよかったら、食べませんか?パフェ。」
御剣検事をパフェで誘惑してみる。
「む、む。‥‥ま、真宵くん、本当にいいのか?」
「全然かまいませんよ!どんどん食べちゃってください。」
「で、では‥‥。い、いただきます‥。」
御剣検事の誘惑に成功!けっこうちょろいね。
御剣検事はパフェを照れつつも食べている。 御剣検事‥普段どんなことを考えているのかな。
やっぱり仕事のことばっか考えているのかな‥。
すごく気になる‥‥!不思議な力を持つと使いたくなるもんだよね。 でも‥‥さっきのことも頭に残っている‥。
265夏侯恩:04/05/03 00:32 ID:ght2w4BM
みんな、あたしのことを『カエル』みたいな顔だと思っている。
そんなことないよ。御剣検事はそんな風に思っていない。自分に言い聞かせる。
その答えを知るべく、 その不安をなくすべく、 あたしは勾玉をゆっくりと額にあてた。
『あと幾日もたったら、また戻らなければいけないな。』
そうか‥。御剣検事、また日本からいなくなるんだ‥。
『‥‥それにしても、真宵くんは‥‥』
‥‥‥‥‥‥‥‥
『どうして、こうもカエルのようだろうか‥‥』
‥‥‥‥‥‥‥‥まただ。
やっぱり、御剣検事もあたしのことを‥‥‥
「‥‥‥っ!ま、真宵くん。スマンが‥ちょっと席を外させてもらう。」
と、言うと御剣検事はトイレの方へ向かっていった。
なんか‥いやになっちゃったな‥‥
あたしは、お金も払わずに店から出ていった。
「ふー‥‥。急に冷たいものを食べるとおなかに悪い‥‥。
 それにしても‥‥真宵くんはあんな事件があってもケロッとしているな。‥いや‥耐えているのだな。
 私など、父親が殺されて‥‥夢だった弁護士への道もあきらめたというのに‥。
 いつも、彼女の精神力にはおどろかされる。学ぶべきところもあるな‥」
用を済ましトイレから戻ってくる御剣怜侍。
「む?真宵くんの姿が見当たらないが‥‥?」
「あ、お客様。こちら伝票でございます。お連れ様の分とご一緒になってますので。」
「‥‥‥‥うぐっ!こ、この値段は‥‥‥!!」
266夏侯恩:04/05/03 00:34 ID:ght2w4BM
あたりは、だいぶ暗くなっていた。
いつもこんな時間に一人で出歩くことはまずない。
‥‥御剣検事にまで『カエル』と思われていた‥
もう、まわりの人があたしをカエルと見ているようにしか思えない‥
「いや!あたしはカエルじゃない!‥‥カエルじゃ‥‥ないよ‥‥。」
自分に言い聞かせるようにつぶやく。
その声は自分の心の中だけに響いた。
もう倉院の里に戻って、山にでもこもるしかないね‥
だって、カエルみたいな顔を誰にも見せたくないもん‥‥
決めた‥‥あたし、倉院の里に戻る‥荷造りしなくちゃね‥‥
フラフラとしながら成歩堂法律事務所に向かう。
「真宵さま‥‥遅いですね‥。」
「う、うん‥そうだね。」
「それにしてもなるほどくん!真宵さまに何てことを‥‥!」
「う、うう‥。だってあんなに怒るとは思っていなかっ」
「殿方が言い訳をしてはいけません!確かに真宵様の顔はカエルの様ですが!真宵様は人間です!!」
「‥‥はい。」
267夏侯恩:04/05/03 00:36 ID:ght2w4BM
成歩堂法律事務所に着いた。 できれば誰にも会いたくないな‥‥
そんな風に考えながら事務所に入った。
「お、おかえり‥。真宵ちゃん。」
なるほどくんが待っていた。 目を合わせたくなかった。
「朝は、その、ごめんね‥。何も考えずにあんなことを‥。」
ウソだよ。みんなあたしのことをカエルだと思ってる。
「いいよ‥‥。なるほどくんもあたしがカエルに見えるんでしょ‥?」
「えっ?」
「今日一日で、みんながあたしのことをどう思ってるのかわかった‥。
 みんな‥‥みんな『カエル』、『カエル』って‥‥!
 なるほどくんだって、あたしと最初に会ったときからあたしがカエルに見えてたんでしょ‥!」
「そ、そんな」
「だ、だから、それ、それに気づかせるために、あ、あんな絵を‥‥‥」
気づけば、あたしは泣いていた。
今日の朝から今までの出来事。それをガマンしていた分が今、流れているんだと思う。
あたしは本当にカエルみたいなのかもしれない。それでも、なるほどくんだけには‥‥‥
なるほどくんだけには、そう見てほしくなかった‥‥
「‥‥‥‥真宵ちゃん。」
なるほどくんがやさしい声で話し出す。
「‥今日、君に何があったのかはボクはわからない。
 でも、コレだけは言えるよ‥。
 だれも、君の顔が人間の顔だなんて思っていない。
 ‥‥弁護士は人を信じる職業だけど、逆に人にも信じてもらわなければいけないんだ。
 真宵ちゃんに、ボクのことを信じてもらえないかな‥‥?」
268夏侯恩:04/05/03 00:38 ID:ght2w4BM
なるほどくんのことが信じられないわけじゃない。
でも、心の中ではどう思っているかが不安で不安でたまらなかった。
‥‥‥人の心を読むのはこれで最後。
あたしは、人の心を見透かす卑怯で悲しい勾玉を震える手で額にあてた‥
『真宵ちゃんは‥‥いつも、明るくて、活発で、やさしくて‥‥そばにいるとすごく安らぐ‥‥
真宵ちゃんにいなくなってほしくない‥‥ いつまでもボクのそばにいて、可愛らしく笑っていてほしいんだ。』
‥‥これが‥‥‥なるほどくんのココロ‥‥
その言葉の一つ一つがあたしをあったかく包んだ。
「‥?真宵ちゃん‥?」
「‥‥‥ほんとに?」
「えっ?」
「ほんとに‥あたしがいると安らぐの‥?」
「‥!‥‥‥本当だよ‥。‥それが、ボクの本心だ。」
「なるほどくん‥」
あたしは、なるほどくんに倒れるように抱きついた。
なるほどくんも、あたしを支えるように軽く抱き返した。 不思議と、流れていた涙も引いていった。
なるほどくんの体‥‥あったかいなぁ‥‥‥
‥‥ガタッ!
ドアの陰から音がして、あたしとなるほどくんは一瞬にして飛び離れてしまった。
「‥‥‥あ、あの‥‥。せっかくのいいムードのところを邪魔してしまって、ほんとにすみませんっ!!」
はみちゃんだ。こっそり見ていたらしい。
「い、いやぁ‥なんのことかな?‥そ、それよりさ。どこか食べに行かない?」
なるほどくんは必死にごまかそうとしている。
でも、あたしを抱き返してくれたことが、なるほどくんのほんとのココロなんだよね‥
なんだかすごくうれしいな‥‥
「真宵ちゃんも行くよね?ラーメン屋さんに。」
「もちろんだよっ!よーし、今日は食べるぞぉ!」
「‥‥‥いつも何杯もおかわりしているじゃないか‥‥。冬眠用にエネルギーを蓄えているのか?」
269夏侯恩:04/05/03 00:40 ID:ght2w4BM
なるほどくんは出かける仕度をしている。
「あの、真宵さま。」
「ん?なーに、はみちゃん。」
「朝にお渡しした勾玉なんですけど‥‥。」
「あ、勾玉だね。今返すよ‥‥アレ?」
「どうしたのですか?」
「さっきまで光ってたのが‥‥光らなくなっちゃったよ。」
「‥‥そうですか。きっと今日一日で勾玉の力を使い果たしてしまったのですね。
 コレは大おばさまにお借りしたものなので、今度倉院の里に帰ったときにお返しします。
 ‥‥ところで真宵さま、その‥‥なるほどくんの心の中は見れたのですか‥‥?」
「んー。その話はまた今度聞かせてあげるよ。ね?」
「そ、そうですか。では、楽しみに待っていますね!」
‥‥こうして、あたしの悲しみと喜びを生んだ長い一日は、ゆっくりと終わりへ向かっていった‥‥
(‥‥でもさ、真宵ちゃんは ちょっとカエルみたいな顔のところがいいと思ってるんだよね。そんなこと今更言えないけどさ‥‥)

おしまい


ごめんなさい!ごめんなさい、ママ!
言うこと聞くからぶたないで!ごめんなさい!

   パーン _, ,_  パーン
パーン_, ,_  ( ・д・)    _, ,_パーン
  ( ・д・) U☆ミ   (・д・ )
   ⊂彡☆))Д´夏侯恩(☆ミ⊃  パーン
    , ,∩彡☆ ☆ミ∩, ,
  (   )  パーン (   )
 パーン      パーン  


270夏侯恩:04/05/03 00:45 ID:ght2w4BM
申し訳ありません!
つい二ヶ月前まで厨房だったもので調子に乗っていました!!!
271夏侯恩:04/05/03 00:52 ID:ght2w4BM
>>270
訂正

厨房ではなくて、18歳でした。
272名無しさん@ピンキー:04/05/03 01:13 ID:7canrUxv
こういう時どうすればよいのでしょうか
273名無しさん@ピンキー:04/05/03 01:41 ID:mPSGvwSb
このようなアレは、困る。
274名無しさん@ピンキー:04/05/03 02:13 ID:VVm/2U8S
ウラナルかウラミツが読みたい
275名無しさん@ピンキー:04/05/03 02:19 ID:D3H1A6qI
21才以下はカエレ
276名無しさん@ピンキー:04/05/03 02:22 ID:5G06xrnu
釣られてみる

ここは21歳未満は立ち入り禁止区域だよ
あと、絵掲の夏侯恩って同一人物?
277名無しさん@ピンキー:04/05/03 04:11 ID:ESh46SfJ
黄金厨のお出ましですね。かなり進んでる時は期待しちゃダメだな
278名無しさん@ピンキー:04/05/03 05:35 ID:6B8NI0eZ
あらららららら。
279名無しさん@ピンキー:04/05/03 07:59 ID:ght2w4BM
絵掲示板の夏侯恩とは違うと思う。
この掲示板の夏侯恩よりずっと壊れている。

280名無しさん@ピンキー:04/05/03 08:05 ID:ght2w4BM
この掲示板の夏侯恩は、年齢的には21歳でも、精神年齢が未成年じゃないの?
絵掲示板の夏侯恩は、才能溢れる芸術家か精神年齢が1歳か2歳の身障かどちらかでしょう。
281名無しさん@ピンキー:04/05/03 08:18 ID:ght2w4BM
                 火
             火   ;;;    アーヒャヒャヒャヒャ
      ∧_∧     火      ∩_∩
      ( ,゜∀゜ ∩    (  火   (,゜∀゜∩)
      (つ   ノ  ((  火 ))  ⊂    ;;;)
  ∩_∩  ( ノ  ウワァァァン!! 火   ヽ∩_∩
  (;;;;  ´∩ (_) 火ヽ(`Д´)ノ  火  (;;;    )∩
  ノ;;;;   ノ     ((((夏侯恩);;)))) ⊂;;;;;     ノ
 ○   ノ       ▲▲▲▲▲   ヽ  ○ )
  )\ ヽ  ∧_∧     ∧_∧  ノ  ノ(⌒)
  (____(____) (;;;;;;;;;;  )    (   ;;;;;;;)(_____)  ̄
       ⊂ ;;;;   )     ノ   ;;;;;;つ
        (  ○ )     (○  (
        (  (  (    (⌒)ヽ  )
        (____)___)     ̄  (____)
282250:04/05/03 08:22 ID:pVbVWnjN
何だか異様な雰囲気なのですが……
小説投稿してもいいんでしょうか。
このようなアレな雰囲気は、少し来にくいかも……

後、上の小説って、他の方が他の板で投稿していたような気がするんですが。
283名無しさん@ピンキー:04/05/03 08:30 ID:ght2w4BM
>>282
それなら、シテールぞ。
確か、http://game6.2ch.net/test/read.cgi/poke/1082118764/
ここダター!
284名無しさん@ピンキー:04/05/03 08:45 ID:rXTmOTUE
>>282
気になるなら黄金週間あけでどうかな?
楽しみにしてるから遠慮するなよ。
285名無しさん@ピンキー:04/05/03 09:55 ID:QGnKg67G
250さん
自分も期待してます!
投下してもいいかな、と思う雰囲気になったら是非。
286名無しさん@ピンキー:04/05/03 11:50 ID:B9trpXAP
>>283
ってことはパクリってか?
ほかの作品ももしかして…
287名無しさん@ピンキー:04/05/03 16:32 ID:aQl1kIJJ
>>286
パクリっていうか同じ奴だろ……
288名無しさん@ピンキー:04/05/03 17:59 ID:WnKglPqm
>>257-269
ttp://game6.2ch.net/test/read.cgi/poke/1082118764/121-
からのコピペだな。
読む気にもならんから一字一句同じかはしらんがな。
289名無しさん@ピンキー:04/05/03 18:53 ID:huhQDqHh
>>287
後半はパクリ
290名無しさん@ピンキー:04/05/03 20:22 ID:6LcnllYE
ID:ght2w4BM

久々にこんなにわかりやすいジエンを見た
さすが黄金週間・・・
291名無しさん@ピンキー:04/05/03 20:25 ID:6B8NI0eZ
ID:ght2w4BM は分裂病?w
痛すぎてワロタ
292夏侯恩:04/05/03 22:26 ID:ght2w4BM
>>291
僕を怒らせると恐ろしいことが起こるぞ!
真宵タソでハアハアPart4をぶっ潰したからな!
293名無しさん@ピンキー:04/05/03 22:39 ID:JYgifTkZ
ID:ght2w4BM
>BBSPINKは21歳未満立ち入り禁止
294名無しさん@ピンキー:04/05/04 07:50 ID:KMfSjcmH
ほっとけばいいと思うが・・・
反応すると削除依頼とか出しても対処されにくいでしょ

>>282
自分も期待して待っております
295名無しさん@ピンキー:04/05/04 14:07 ID:JR1+dOjU
激しく通報しておきまつた。
296名無しさん@ピンキー:04/05/04 23:41 ID:MOft15El
このあいだのミツマヨ者です。
感想書いて下さった方ありがとうございました。
度胸がついたので今度はこちらにも投下します。
http://sapporo.cool.ne.jp/surumegatame/mm.htmlにも
一応うp済み)

ミツマヨっていうかマヨミツ風味?
愛のないセックルを目指したけど結局ラブラブです。
「肉食女子高生(ミツマヨ)」で投稿します。
297肉食女子高生(ミツマヨ):04/05/04 23:42 ID:MOft15El
 事務所のドアを開けたとき、彼はクーラーによる冷気を当然のように期待していた。しかし。
「暑い」
 信じられない。こんなに気温が高い日に、どうしてもっと設定温度を下げないのだろう。
 理由は、奥から出てきた真宵を見てすぐにわかった。
 ふだん装束の下に着ているのであろう白くて薄い襦袢を一枚きり。
「真宵くん」御剣はなるべく彼女の太ももを見ないようにつとめねばならなかった。「確かに涼しそうではあるが、エアコンをもっと下げたほうが、いいのではなかろうか」
「いやー、所長命令で」真宵は照れ臭そうに笑った。「少しでも電気代を節約しようと頑張ってるんです」
「私は暑くてかなわんな」
「夏でもそんな厚着してるからですよ」
 御剣はしぶしぶシャツ一枚になってソファに座った。「その所長は?」
「外出中。もしかしたら直帰かもだって」
 不吉かもしれない、と御剣は思った。
 もともと今日は彼女に家庭教師を頼まれてやってきたのだから、成歩堂がいてもいなくても関係はないが、どこか、この状況に作為的なものを感じた。それだけではすまないような予感がして、彼は気が重かった。
 家庭教師を自分に頼むということにも、そもそも真宵がちゃんと高校に通っているということにも驚いた。
 当然なぜ成歩堂に頼まないのかをきくと、真宵は、だって、なるほどくんに数IIを教えてほしいって言ったら泣き出されちゃって、と答えたので、彼が面倒を見てやらなくてはいけなくなったのだ。
 勉強を人に教えることなど経験になく、自信はあまりなかった。そして心配は現実になった。
 なにも、隣に座った真宵のむき出しの太ももや、うっすら透けた胸の頂上にときどき意識が及んでいたばかりのせいではない。
 御剣にしてみれば、学校の勉強などというものは、人が一段ずつ階段を登っている横を五段抜かしくらいで駆け抜けてきたようなものだ。
 真宵がどこでたわいもなくつまづいているのか自分でうまく説明できないし、御剣にも察することができない。
 授業は遅々として進まなかった。
 彼は道筋を示そうとして問題をいくつかパタパタと解いてみせるが、真宵はただただ魔法を見るような顔をしてあいまいにうなづくだけだし、親切にも公式から証明してやっても、左の耳を突き抜けてそのまま右の耳から言葉が出ていっているのが丸わかりだ。
298肉食女子高生(ミツマヨ):04/05/04 23:49 ID:MOft15El
 焦れた御剣が大きく嘆息して天を仰ぐと、彼女は慌てて謝った。
「いや。君が悪いのではない。きっと、教え方が悪いんだ」
 御剣は、ことごとくツボを外しまくるくせに料金だけは一人前に取るマッサージ屋を、犯罪者に対してと同じくらいに深く深く憎んでいたが、突然自分がその立場に立たされたようで、彼らしくもなく身が縮こまる思いだった。
「しょうがないですよ。御剣検事は天才なんですから。ふつう、一を聞いて十を知るっていうの、御剣検事ならきっと五十くらいまで知るって感じですよねー」
「うーム……」
 天才という言葉など言われすぎてとっくに飽き飽きするほどだった。そう言うとき誰もが媚びた尊敬のまなざしや嫉妬のそれを向けてきたものだった。
 彼女がなんの感情も込めないでその言葉を放ったので、御剣はいっそう、変な子だ、と思う。
「あの。あたしも、どこがわからないか考えるの、一生懸命やりますから、もうちょっと付き合ってほしいんです」
「ああ、そうしよう」
「一緒にがんばりましょう」
 握手を求められ、御剣は反射的に握り返してから、ドキッとした。初めて手に触ったのだ。
「あっ! ひどい。今、握手したほうの手、ズボンで拭いたでしょ。しっつれいだなぁ」
「こ、これは、汗をかいていただけだ」
 相変わらず授業は噛み合わなかったが、握手の成果があったのか、少しはましになってきた。
 真宵が納得したようにポンと手を打ったとき、彼は心底から胸を撫で下ろした。
 彼女はだんだん、途中で御剣のほうを見て助け舟を求めなくても問題が解けるようになり、数をこなしていくうちに正確さと速さも確実に身につけていた。
 ついに参考書に載っていた応用問題まで、うんうん唸った末に無事解けたとき、真宵は万歳三唱をしたが、自分だってそうしたかった。
「やればできるじゃないか」ねぎらおうと思ったわけではなく、ホッとした拍子に、自然に口に出ていた。
「そうなんです、あたしはやればできるんですよ! 最初からそれだけはわかってたんですよ、ホント」
「……そ、そうか。うム。では、無事一件落着したようだし、私はこれで失礼しようと思う」
「えーっ」真宵は口を尖らせた。「まだ一科目めじゃないですか、せんせい」
「なんだ。まだあるのか」
 真宵の目が異常にランランと輝いているのを見て、背筋がぞわりとした。
299肉食女子高生(ミツマヨ):04/05/04 23:51 ID:MOft15El
 第六感など信じたこともなかったが、自分の内なる声が盛んに、逃げたほうがよいと告げていた。
 真宵がソファに乗りあがって、こちらに体を預けてきたため、大きく軋む音が上がった。
「このあいだの続き……」
「よく意味がわからんな」御剣はとぼけて、どうやったらこの場から逃げられるかばかり必死に考えた。
「だーかーらー。つまり、保健体育の授業ってこと」

 やっぱり……。
「……私はその必要性を感じないな」
「ひどい」真宵は眉を寄せた。「あんなふうに中途半端にキズモノにしておいて、そんなのって……」
「あ、あ、あ、あれは」御剣は体が震えるあまり激しくどもった。「その、過ちだった。あれは、事故みたいなもので……」
「事故で片づけるつもりなんですか!」
「だって、二人とも、かなり酔っ払っていたし」
「あたしはかなり意識ははっきりしてました!」
 真宵は、じれったいとばかりに彼の首に飛びついた。「おねがい。教えてほしいんです。えっち」
「じ、自分の体を大切にしなさい! 君はまだ高校生だろう!」
「その高校生にあんなことしたのは、御剣検事じゃないですか」
「う……。そ、それはそうだが、しかし、あんなことといっても、たかが」
 たかがキスだけじゃないか!
 そう言いかけて彼はやめた。火に油をそそぐ結果となるのは明らかだった。
「今、たかがキスだけじゃないかって言おうとしたでしょ」
 遅かったらしい。
「すまん。ちょっと自分でもその。少し、失言だった」
「別にあたし、自分の体を粗末にしてるわけじゃないです」彼女は御剣の胸に頬を寄せ、彼を見上げた。
「しかしだな。君が今そう思っていなくても、結果的にそういうことになるかもしれん」
「なってもいいです」
「……たとえ君がよくても、私はよくないんだ。
 そういうことはだな、たとえば食事に行ったりデートしたりするなどして、順序を踏んだあとか、または、結婚したあとにするべきで、相手を大切に思っていればいるほど、尚更だ」
 言いながら、いま自分は何か重大なことを告白してしまったような気がするが、背に腹は代えられない。
「御剣検事は、あたしとえっちするの、やなんですか」
「そういうことを言っているのではない」
「あたしが言ってます。どうなんですか!」
300肉食女子高生(ミツマヨ):04/05/04 23:52 ID:MOft15El
……自制が必要なときにそれをするのは男の義務だ」
「でも、あたしもう我慢できない」真宵は御剣の耳のあたりに口を寄せて言った。「あの。実はね。こないだの大掃除で、見つけちゃったものがあるの」
 くすぐったくて声を上げそうになり、彼は慌てて真宵を引き離した。「な、何をだね」
「んーとね。本。たぶん、おかあさんの……」
「何の本だ」
「えっと。……初夜の心得」
「すまない。今なんと」
「何度も言わせないでよ、だから、初夜の心得っ! すっごい古そうで、たぶんうちの家に昔からずっとあるんだと思う」
「……で。読んだのだな」
「ん……」真宵は顔を赤くしている。「いまいち、よくわかんなかったんだけど、なんか、それからずっと、すっごいムラムラしちゃって……」
「なるほど……。それで、練習台になってほしいわけか」
「はい!」
 これ以上ないほどキラキラ輝く真宵の瞳を、御剣は以前にも一度見たことがあった。注文したラーメンが運ばれてくるのを見ていたときの目だ。
 その目の輝きが何かに似ているなと思って記憶をたぐり寄せて、思い当たってから、後悔した。
 捕食者。
 テレビの動物番組で見た、獲物を狙っているときの肉食獣の目のそれだ。
 食い殺されるかもしれない……、と御剣は改めてぞっとした。
「真宵くん。悪いが私の意見はずっと変わらないな」
「どうしても、ゼッタイ、だめなんですか」
「…………」どうしてもゼッタイだめだ、と言おうとしたとき、彼は気がついた。
 そう言って最後まで拒絶したとして、そのあと彼女はいったいどうするのか、ということに。
 真宵は実のところそれほど自分に執着があるのだろうか。御剣の常識では、相手を真剣に愛している女性が、真っ昼間からあけすけにセックスをねだることができるものなのだとは、とても思えなかった。
 彼女は自分に恋しているように見えるが、御剣はあえてそれに気がつかないふりをし続けた。
 恋に恋する年頃の少女のことだから、本人がいくら恋だと思い込んだところで、身近なところにたまたまいた背が高くてカッコイイお兄さんを使って恋愛ごっこをしているだけなんだろう、と思ったからだ。
301肉食女子高生(ミツマヨ):04/05/04 23:54 ID:MOft15El
 そう、結局のところ、誰でもよかったに違いあるまい。
 見知らぬ男の下に敷かれてせつなく喘ぐ真宵の姿を想像する。冷や汗が浮いた。
 成歩堂に下から突き上げられているところも想像する。もっと嫌な汗が噴き出した。
「何考えてるの?」
「あ。そのぅ……」
「やっぱり、だめ?」
「…………」
 御剣は真宵のことを大切に思っている。というか、正直言って、時々自分でも驚くほど愛しく思う時もある。
 しかし、彼の愛し方は、真宵の御剣に対するそれとは違う。そのすれちがいは、今までの押し問答で明白だ。
 彼の理性は、一線を越えるぐらいなら二度と会わないほうがましだと告げている。
 でも。
 自分の腕を振りほどいてひらりと踵を返し、じゃあ、他の人に頼みます、と笑顔で去っていく真宵の幻を見た気がした。
 いやだ! 絶対にいやだ。わかっている、こんなものは単なるエゴだ。しかし、到底受け入れられない。
「御剣検事……なんかすっごい死にかけてるんだけど、そんなにヤなの?」
「い、嫌というか、なんというか。ほ、他にこういうことを頼める男はいないのか? 君は、モテないことはないんだろう」
 何言ってるんですか、あたしが抱いてほしいのは、御剣検事さんだけですよ!
 そんな答えが返ってくるはずだった。
 真宵はニッと笑った。「あ、わかります? あたし、モテモテですよ。お見合いで、向こうから断られたことないの」
「……おっ……おみあいーっ?!」
「あたしは嫌なんだけど、親戚の人たちが勝手にセッティングしちゃうの。しかも、あたしに気を遣って、綾里家だとわからないように、なんか適当に身元ぼかして。
 一度会うだけ会うんだけど、でもでも、いつも、向こうはぜひまたお逢いしたいって。もちろん全部断ってるけどね」
「……お見合い……真宵くんが……おみ、お見合い」
「たぶん、黙ってるから勘違いされるんだろうな。ねえ、あたしのお見合い写真、こんど見せてあげましょうか? お着物きて、すごいキレイにお化粧してもらって、あれ見たらきっと、惚れ直すこと間違いなしですよ!」
302肉食女子高生(ミツマヨ):04/05/04 23:55 ID:MOft15El
 彼はどうにかしてこわばった表情筋を元に戻そうと努力した。金縛りにでも遭ったかと感じた。
 藪をつついて蛇が出たどころじゃなかった。
 真宵が少し不審そうに顔を覗き込んできた。動揺を知られたくない。
 反射的に唇を重ねていた。
「んん……」顔を離したとき、真宵は熱く潤んだ瞳で御剣を見つめてきた。「ん。御剣検事……」
 彼はそれまで、法廷で戦う時以上に脳をフル回転させて、いかにしてこの場を切り抜けるかばかり考えていた。
 しかし、それはとどのつまり彼女を繋ぎとめたまま都合よく拒絶したいということだ。そのことに気がついたとき、御剣は自分が恥ずかしくなった。
 ひどくみっともない男に成り下がった気がした。
「わかった」
「ホント?!」
「ああ。君を抱こう」
「やったー!! うれしい!!」
「うム。ただし、そのかわり……って、ちょっ、ちょっと待て、待たんか!」

 せっかく腹も据わったところだし、できるだけ自分の思いを伝えておいたり、もう少しお説教を並べておこうかと思ったが、その前に、真宵が御剣のズボンのベルトを外しにかかっていた。
「ま、真宵くん、物事には、順序というものがだな……!」
「えーっ。だって、早く見たいもん」
「あのなぁ……」
 とは言っても、どうにも本気で抵抗しようとする力は入らなかった。そうするには、真宵が彼のトランクスに手を入れてごそごそやっている光景は、男としてあまりにも甘美に過ぎた。
303肉食女子高生(ミツマヨ):04/05/04 23:57 ID:MOft15El
 不覚にも既に怒張していたものを引っぱり出され、真宵が、わあ、と感嘆の声をあげたときは、
〈もう、なるようになってくれ……〉と諦めきった心地にすら到達した。
「初めて見た。おっきぃ。すごーい」彼女が目の前のものを色々な角度から眺めたり、いじったりしているのを見ると、まるで年端もいかない子どもにいたずらをしているような気分になってくる。
 いま無邪気に喜ぶ真宵は、中学生か、ひょっとしたら小学生くらいにも見える。
 そう思うと背徳的な快感で首の後ろがぞくりとした。
「あっ。もっと硬くなった。すごい。カチカチだ」真宵は心底から嬉しそうだ。
 なんでそれで興奮してしまうんだ……自分は別にロリコンではないのに。
「ここが気持ちいいの?」
 彼女は指の腹を使って首の根元あたりをごく優しくさすってきた。
「本に書いてあったのか」
「うん……」
「もう少し、強くしても大丈夫だ」
「痛くないの?」
「ああ」
 彼女はしばらく、たわむれるように首や裏筋を両手で触り続けた。御剣のためというより、自分の好奇心を満たしているのだろう。御剣もまた、陰茎の感覚そのものがよりも、この状況がもたらす快感に腰が砕けそうになっていた。
 真宵は先端部の切れ目に興味を移し、指先でもてあそびだしている。なんて景色だろう。信じられない。
 そりゃ、淡い思いを寄せていた相手のことだから、仲が進展すればいつかはこういう関係にもなるかもしれないとは思っていたが、まさかこんな早くに……。しかも、こんなに積極的に……。
 とにかく、さっきまで、成歩堂や自分たちのかわいい妹のような存在であるだけだった真宵が、いま自分の尿道口をいじっているという落差が強烈すぎた。
「あ。なんか出てきた」
「う」
 彼女は指で透明な液体をすくいとって、じっと眺めた。「へえ……これが、ガマン汁ってやつ?」
「そんなことまで本に書いてあったのか」
「ううん。なるほどくんちにあったエッチな本に載ってた」
「……ヤツは、そんなものを君に読ませてるのか?」
「うーん、おるすばん頼まれたときに、こっそりと」
304肉食女子高生(ミツマヨ):04/05/04 23:57 ID:MOft15El
 真宵は汁のついた指を口に含んだ。御剣は慌てた。「おい! そんな、汚いもの……」
「にがいや」
「だろう。だから、そんな」
「んー、でも、汚いのかな……全然気にならない」彼女がぐっと先っぽに顔を近づける。「もっと舐めたい……」
「うっ……」息が吹きかかり、気持ちよさと興奮で背筋が伸びてしまう。
「あ、また出てきた! すごい。いっぱい出るんだね」
「いや、いつもはこんな……」
「スケベな人ほどいっぱい出るんだって。ってことは、御剣検事ってスケベなんだね」
 おそらく、最近何かと忙しくて禁欲が続いていたせいだろう。
 こんなことになるとわかっていれば、たまったままで来たりせず、自分で処理してこれたのだが。
「君はやけに物知りなのだな」
「なるほどくんの本とビデオで、色々勉強しちゃったんだもん」
「……あいつは有罪確定だな……」
「ねえ、男の人って、あんなにすごい速さでゴシゴシってされても、痛くはないの?」彼女はキュッと茎を握ってきた。
「う、うム……ああ、痛くは、ないな」
「やってみたい。どういうふうにすればいいの」
 期待に輝く目で見つめられると、嫌だだなんてとても言えない。
 うまく指がカリ首に当たるように握り方を調整してあげたとき、再び、自分が犯罪の加害者になったような感覚に襲われた。
 なったような、というか、犯罪者そのものなのかもしれない。しかし、彼女は18才の誕生日を迎えているし……いや、だからといって高校生に手を出すのは倫理上問題が。
 情けないことに、なすがままにされているほうが精神的に楽であるのは確かなようだった。
「こう?」照れ臭そうに真宵は握ったものをしごきだした。
「あ……」
「気持ちいい?」普段でさえそんなにじっと見つめられるのは照れるのに、こんなことをされている時ではいっそうだ。
 押し寄せる快感の波が御剣の顔を歪ませる。それを見た真宵が、手ごたえを感じたらしくますます嬉しそうな顔になる。
305肉食女子高生(ミツマヨ):04/05/04 23:59 ID:MOft15El
「こんな感じでいいの?」
「ん……ああ」表情を隠そうとつとめるのにも疲れてきた。耐えきれず大きく息を吐き出すと、真宵がまた、気持ちいい? と尋ねてきた。御剣は黙ってうなずいた。
 彼女は不慣れながらも一生懸命で、健気に手を動かす姿がなんとも言えずかわいらしく、いやらしかった。
 息が上がってくる。たまっているせいだろう、情けないが早々に達してしまいそうだった。
「真宵くん。もう少し速くできるか」
「あ。うん」
 彼女は言われた通りにした。御剣はのけぞって下半身の快楽に身をゆだねた。つま先が自然に反り返る。
 と、その時、真宵は急に手を放し、彼は現実に引き戻された。
「痛い、いったぁーい……!!」彼女は自分の右腕をさかんにさすっている。「腕つりそうになったぁ」
「だ、大丈夫か」御剣も彼女の細い腕をとって撫でてあげた。真宵は、平気平気、と笑ってみせる。
「いっちゃいそうだった?」
「いや、まだこんなものでは」と御剣はとっさに見栄をはった。
「ふうん」
 ちょっと理性が飛ぶのが早すぎるのではないだろうか、と彼は改めて恐ろしくなった。
 夢見心地の中、もう少し速くできるか、だなんて頼んだ記憶がおぼろげにある。意識の手綱をしっかり握りしめていたはずなのに、もはやこれだ。
「そろそろ気は済んだかね」答えは分かりきっているが、一応尋ねる。
「全然済まないに決まってるじゃない。次は口でやったげる」
「……そうだな。決まっていたな……」
「じゃ、ズボン下ろして。パンツも一緒に」
 その間に真宵も襦袢を脱いで、白い綿の下着一枚になった。
 よく眺めさせてもらわないうちに、彼女は御剣の裸の腿に飛び込んできた。
 もっとちゃんと見たかったが、すべすべで柔らかい双丘の感触も捨てがたい。背中に手をすべらせる。
「さすがに若いな。肌のきめが細かい」
「そう?」
「うん。それに、すごく柔らかい」
306肉食女子高生(ミツマヨ):04/05/04 23:59 ID:MOft15El
「御剣検事のは硬いね」真宵も彼の片方の腿を両手でさすった。真宵に体を触られているというだけで気持ちいい。「ここも」
 彼女は屹立しっぱなしのものを再び手にして、顔を近づける。
「あ……ちょっと待った」
「え、なあに?」
「シャワーを……」
「あ、大丈夫。御剣検事来る前に全身しっかり洗ってきた」
「ばかもの、だから、私のほうだ」
「なんで? あたしは全然平気だけど」
「私は平気じゃないんだ。その……汚いままだと、お、落ち着かん」
「やだよぅ。今さらそんなの、ムードぶった切りじゃない」
「初めからムードなんて皆無だろうが!」
 真宵はじたばたする御剣をおさえつけてその男根にキスをした。
 彼が観念しておとなしくなると、まだ照れているのか焦らしているのか、舌を使わずに唇だけで亀頭を撫でた。
「あっ」ふきかかる息の快感も加わって思わず声が洩れる。
「あたし、なんか、好きになれそう……」
「私をか」
「ううん。御剣検事のおちんちん」
「……むう」
 彼女は舌を出して頂上の切れ込みを舐めた。くるくると円を描いて頭全体を愛撫していく。
 そして遠慮がちにディープキスに移ったとき、彼はもう声を我慢することができなくなった。
 あの真宵くんが食べ物に対峙するとき以外にこんなに生き生きするとは、と彼はぼんやり思った。
 というより、いとしそうに御剣のものをしゃぶる顔は、アイスバーか何かをおいしくほおばっているときのそれと寸分違わない。
 ……噛み千切られなければいいのだが……。
「感じてる?」いちど口を離して、うっとりした目で訊いてくる。
「さっきから、そればかりだな。見ていてわからんのか」
「そりゃそうだけど、感じてるなら感じてるって言ってほしいもん」
「そんな恥ずかしいこと、そうそう……」
「恥ずかしいこと言ってほしいんだもーん」
 真宵は不意に握った右手を上下に動かして彼のものをこすりはじめた。
「あっ」
「感じてるって言ってくれたら、動かしながら舐めてあげる」まっすぐ自分を見つめてくる真宵の目は純真そのものだ。
307肉食女子高生(ミツマヨ):04/05/05 00:00 ID:2X1jKAvQ
 腰の力が抜けすぎてソファからずり落ちそうになり、慌てて肘掛けを掴んだ。
 下半身全体が熱くたぎっている。快感と情熱が体を刺し貫くかのように迫ってくる。
 もう、絶頂の予感を抑え込むことができない。
「うぁっ……」ついうっかり一際大きな声を上げてしまい、彼はいたたまれなくなって顔を背けた。
「なんで我慢してるの? ぺろぺろしてほしくないの?」
「うう」
「言ってほしいのに……」
「……く。か……感じてる。すごく……気持ちいい」
「うれしい」真宵は彼の先端に口づけた。
「ま、真宵くん、そろそろ……」
「う?」
「も、もう……あああぁっ」官能に突き上げられ、こらえる暇もなく限界に達していた。
 彼のものはビュクビュクと大きく脈打ってどろりとした白濁液を発射しつづけている。急いで手を使って受け止めたが、それでも真宵の顔に少しかけてしまう。
「す、すまない……」
「わー。すごい量」真宵は御剣の精液まみれの右手をとって、指をしゃぶった。
「ちょ、真宵くんっ……」
「う……苦すぎて喉ひりひりする」
「当たり前だ。ティッシュを取ってきてから、うがいしなさい」
 真宵はティッシュで自分の顔を拭き、御剣の手もそうしてあげた。
 やれやれ、これで満足しただろうか、とホッとしていると、不意に彼女は柔らかくなった男根を口に含んだ。
「くぅ……っ!」射精の快感が尾を引き、体じゅうの感覚が鋭敏になっている今、再びそのような甘美な刺激を与えられて、声を上げるなというほうが無理だ。
「ここは口できれいにしてあげるね」
「ま、まよっ、あぅっ」
 意識せずに腰が痙攣し、何度も跳ね上がってしまうのが恥ずかしくてたまらない。
 ほとんど悪寒に近いものが背筋を駆け上がる。まるで射精がずっと続くかのような強烈な感覚。
 悶えれば悶えるほど真宵は喜んで尽くすのだろうが、そんなことを考えている余裕もない。
「……真宵く……、ま、待ってくれ、少し……痛い」
「あ。ごめん」
 彼女は口を放して、体を擦り寄らせてきた。そんなことさえもぞくぞくするほど気持ちいい。
308肉食女子高生(ミツマヨ):04/05/05 00:02 ID:2X1jKAvQ
 いまなら体のどこを愛撫されても情けないほど反応してしまうだろう。
 彼女はそれに勘づいたのか、また、例の肉食獣の目で舌なめずりをした。
「ごめんね。でも、男の人って、イッちゃったあと敏感になるって本当なんだね。色んなとこいじめてもいい?」
 彼女がシャツのボタンを下から外していくのを見ても、もう抵抗する気力もなかった。
 それに、この無垢で残酷な悪魔にいいようにされるのが次第に嫌ではなくなってきた。そんな自分を省みる思考能力ももはやない。
「あ。御剣検事の筋肉、きれい」彼女は胸に指をすべらせた。「やっぱり、鍛えてるの?」
「ん……最近はそうでも……く」
 真宵は鎖骨に吸いついていた。明らかに反応を楽しみながら、首筋や脇腹などを舐めたり吸ったりして、その度に御剣は、
「くぁっ」
 とか、
「はぁうっ」
 などと、素直に身悶えるしかなかった。
 乳首を舌でこね回されたとき、それが初めての体験であるということから、羞恥心をやや取り戻し、必死で声を押し殺した。
 だがそうすると、腰のあたりにたまらないむずがゆさがこみ上げてきて、小刻みに震えてしまうのだ。
「まよ、真宵くん」
「なに?」
 やや我に帰った御剣は、息も絶え絶えに言った。
「せ、せっかく頑張ってくれているのに残念だが、一度、しゃ、射精したら、しばらくは回復しないものだ」
「そうなの? こんなに気持ちよさそうにしてるのに」
「ああ。そういうものなのだ。だから二回目はそのぅ、諦めてほしい」
「ふーん。それじゃあ、この辺で、いよいよひみつ道具の出番かな」
「…………」
「なんで、そんな顔するの?」
「いや、どん底まで落ちたと思ったのに、まだ落ちるのかと思って……」
「なるほどくんからこっそり借りたものなんだけどね。ちょっとだけ待ってて」
 小走りで戻ってきた真宵が手にしている透明のボトルを見て、御剣は、心の中で一心不乱に五寸釘を打ち続けた。
「覚えておけ……必ず……成歩堂……必ず死刑台に送ってやる……」
309肉食女子高生(ミツマヨ):04/05/05 00:03 ID:2X1jKAvQ
「え、何? なんかまずいことあった?」
「なんにもあるものか。もう、何でも君の好きにするがいいさ。
 私の尊厳も君への幻想も何もかも、ぜひともギッタギタのズッタズタに粉砕してくれたまえっ!
 心ゆくまで私をおもちゃにして蹂躙して、むさぼるように遊んで遊んで遊び抜いて、飽きたらそこらへんにポイ捨てしてもらっても、全然構うものかっ!!」
「御剣検事って、やっぱ照れ屋さんだねー」真宵は微笑んだ。「こういう時は『優しくしてください』って素直に言えばいいんだよ」
 自分の局部にローションが垂らされる。彼は何も言う気になれず、ぐったりと目を閉じて体を性感に預けることにした。
 最初はその冷たさに背中がひんやりとしたが、真宵が両手でぬるぬると愛撫しだすと人肌ぐらいの温度になじんでいく。
「ぬるぬるだぁ。これってけっこう楽しいね」
 風俗店にも行ったことがない御剣にはまるで未知の感覚だった。が、予想以上に刺激的だ。
 まるで挿入したあとに膣壁が自由自在に身をくねらせて迫ってくるかのようだった。
 早くも御剣のそれがムズムズと存在感を主張しはじめるのがわかる。
「気持ちいい? 御剣検事」
 彼が答えないでいると、真宵はパッと手を離して、もう一度、
「きもちいいの? よくないの? ねえ」
 と訊いたので、彼は仕方なしに「う、うム……気持ちいい」と白状するほかなかった。
 彼女はゆっくりとしごき始めた。真宵の手の中でそれが首をもたげ、大きく硬くなっていく速度といったら、自分でも感心してしまった。
「すごーい。もうこんなになってる」
「……自分でも、異常だと思う」
「今度はどうやって出してほしい?」
「そ、それは……そんなこと、普通はその。ま……真宵くんの、中に……いや、そんなことしてしまったら今度こそ言い逃れが」
「もー、なんでもきいてあげるから、ちゃんとお願いしなよ。別にあたしは手でイっちゃってもいいんだよ」
「うっ」
 真宵はピストン運動のピッチを上げて、笑顔のまま脅した。御剣に迷っている暇はもうなかった。
「い、入れたい。真宵くんの中に……」
 彼女が立ち上がると御剣はその下着の両側の紐をほどき床に落とした。
310肉食女子高生(ミツマヨ):04/05/05 00:04 ID:2X1jKAvQ
 わずかな薄い恥毛につつまれた丘を見て、彼はそこに指を添わせてゆっくり愛撫したいと思ったが、彼女はすぐに御剣の腰にまたがった。
 御剣は屹立したものを真宵の汚れを知らない所にあてがった。大きく足を開いているのに、その扉は未だ閉ざされており、彼はふと、挿入が無理なのではないかと不安を抱く。
 その時はこの子の言うことに従おう、と彼は思う。自分はお姫様がやめろと言うまでただひたすら腰を振り続けるだけだ。
「腰を落とすんだ……少しずつ」
「こう? ……あっ、ぃ……ぃやぁ」真宵はすぐにきつくしがみついてくる。「こ、これっ……入る場所、あ、あってるの?」
 御剣はいったん彼女を後ろにのけぞらせて、接合部を覗き見た。
「まだ、ほとんど入ってもいない」
「えっ……そうなんだ……」
「怖じ気づいた?」
「まっ、まさか。まだまだ、これからだもん」
 御剣はできるだけ控えめに腰を打った。真宵の顔が歪み、再び体を預けてくる。
「はぁ……ぁっ」
「真宵くん。腰が逃げている」
「ご、ごめん」
「もう少し深く入るか?」
「あ……ぅん……」真宵は言われた通りに、ゆっくり足を開いて自分の股に男根を埋めていくが、その顔は今にも泣き出しそうだ。
「……真宵くん」
「ん。やぁ。だいじょぶだもん……」
「少しずつ進めよう。いいね」
「うん……」
 彼が腰を突き出すとき、真宵は相変わらず反射的に腰を浮かせたが、彼がその動作をごく慎重に行っているのがわかったのか、だんだんと、意識して踏みとどまるようになった。
 それにしても、やはり狭い。まだ首くらいまでしか入っていないのに、ぎゅうぎゅうと締めつけられている。
 ローションの滑りがなかったら、まるで侵入を受けつけなかったろう。
「あぁぁっ!」彼女が一際大きな声を絞り出して首に回した腕に痛いほど力を込めた。
 御剣が心配して動きを止めると、真宵はなおもせつなそうに首を振った。
「だめ……やめないで……」
311名無しさん@ピンキー:04/05/05 00:05 ID:Q+OBOVGi
いいぞ!いいぞ!ヤンヤヤンヤヤンヤヤンヤ!!
312肉食女子高生(ミツマヨ):04/05/05 00:05 ID:2X1jKAvQ
「いいのか?」
「痛いのに、なんか……夢の中にいるみたいな気持ち」彼女は自分からおずおずと腰を上下させた。
「あっ……」
「こうでいいの?」
「ああ。上手だ」
「……ぅん……御剣検事の感じてる顔、かわいい」
「ばっ、ばかな事を」
「はぁっ、はぁ……誰にも見せたくないなぁ……その顔、あたしだけのものにしちゃいたいよ」
 私だって同じだ、と御剣は言おうとしたが、言えなかった。そのかわり、後頭部を掴んで引き寄せ、半ば無理矢理その可憐な唇の中に割り入った。
 彼は舌で真宵の口を犯しながら激しく腰を打ちつけた。真宵は口を塞がれながら喘ぎ、呼吸が大きく乱れるが、舌を絡めるのをやめない。
 二つの箇所で想い人と繋がりながら、御剣は腰から下がどろどろにとろけ落ちるような快感の渦に飲まれていた。
 真宵を痛いほど抱きしめていても、もっと近くに寄りたくてたまらない。肉体がひどく邪魔なものにすら感じる。
 このまま二人の体が溶けてしまって、一つになれたらと強く願った。
 そうすれば、二人を隔てる何ものも、自分の本心を知られる恐怖も、つまらない見栄やプライドも、傷つけることも傷つけられることも、
手に入れた宝物に何重も錠前をかけてしまい込みたくなる衝動に自己嫌悪することも、全て消えてなくなるような気がしてしょうがないのだ。
「あぁっ、はぁ、はぁ……御剣検事ぃ……」
「んっ……くっ……」
「好き……大好き……やぁ……」真宵は濡れた瞳で御剣の目をまっすぐ見た。「あの……嫌いに、ならないで」
 彼女の顔はもはやあの貪欲な肉食獣のそれではなく、まるで子犬のようだった。
「何を……」
「ん。こ……これから、ちゃんと、エッチできるようになるから……が、頑張るから……」
313肉食女子高生(ミツマヨ):04/05/05 00:06 ID:2X1jKAvQ
 急に真宵のことが小さく思えてきて、そのいとしさに急に昂ぶるのを感じた。
 だが、このまま終わってしまう前に、言い忘れていることがたくさんあるような気がする。
「ま、よいくん……」
「あぅ、あ、あ、いやぁ……あたし、……もう……」
「真宵くん、聞いてくれ……わ、私は、ほどなくアメリカに帰るが……できるだけこちらに帰ってくるつもりだ」
「ん……」
「だから……その……こ。これから……これからも、ずっと……」
「あっ、あぁっ、んっ」
「ず、ずっと……しよう。こういうことを」
「はぁ、はぁ、あぅ……うん……うれしい」
 今はこれで充分だ。きっと何を言っても足らないのだろう。
 御剣は真宵の腰を押さえつけて自分の望むように動いた。真宵の途切れのない悲鳴がかすれる頃、彼は中で達し、精を注いだ。

 どれくらい放心していたのか、気がつくと傍らにいたはずの真宵がいない。
 しかし、気だるさから、ソファから体を起こす気にもなれない。
 もう夕暮れ時なのだろう。部屋が薄暗くなってきている。
 背後でパチンと音がして、明かりがついた。
「御剣検事……寝てる?」
「いちおう、起きている」
 髪を下ろし、体にタオルを巻いて戻ってきた真宵は、まだ痛むのか、足を妙にひょこひょこさせている。少し心配だった。
「御剣検事もシャワー浴びてきなよ」
「うム……」
314名無しさん@ピンキー:04/05/05 00:07 ID:Q+OBOVGi
          
315肉食女子高生(ミツマヨ):04/05/05 00:07 ID:2X1jKAvQ
 真宵はソファの前に座って、寝ている御剣の手をとった。
「ねえねえ、そしたらそのあと、二人でごはん食べにいこうよ。運動したらお腹へっちゃったし」
「君は本当に健啖家だな。これほど、人を骨までしゃぶりつくしておいて、そのうえ腹が減ったとはな」
「えーっ。ごはんに行きたいって言ったのは御剣検事のほうなのに」
「そんなこと言ったかな」
「覚えてないの? 御剣検事は、付き合う人とは食事に行ったりデートしたりしたいんだって、さっき言ってたじゃない」
 御剣は目をぱちくりさせた。「う……うム……だいぶ意味は違うような気もするが……確かに、そういうようなことを」
「でしょ」
「よく覚えていたな」
「だって決めてたんだもん」真宵はニヤッと笑った。
「あたしのお願いきいてもらったあとは、今度は御剣検事がやりたいことをしてあげるって」

 彼はなんとかして何か言葉を並べようとしたが、何もいらないと気がついて、やめにした。
 なにしろそれまで、言葉以外にも思いを伝える方法は色々あるものだなんて、すっかり忘れていたのだ。

 一緒に歩くとき、すり寄ってきて腕を組みたがる真宵を見て、つくづく、足元にまとわりついてくる無邪気な犬のようだと思う。
 しかしその後、焼き網に次から次へと味噌ホルモンを並べる彼女の目に、例のハンターの本能が宿っているのを見て、
〈そういえば、犬も肉食獣のうちだったか……〉
 と思い、昼間の出来事をぼんやり反芻した。
 人を骨までしゃぶりつくしておいて、と彼は皮肉を言ったが、今ではそれは妥当なたとえと思わない。
 きっと彼女はまだ、手に入れた獲物をじわじわと時間をかけていたぶっている最中に過ぎぬに違いあるまい。
 恐ろしくもあるが、同時にこのうえなく甘美だ。永遠にそれが続けばいいのに、と願うくらいに。
 御剣は、しかし、そう思ったことが隣の席のかわいい捕食者に知られては大変と、あわてて表情を引きしめた。
 

(終わり)
316肉食女子高生(ミツマヨ):04/05/05 00:08 ID:2X1jKAvQ
以上です。失礼しましたー。
ああっ……それにしてもミツマヨ分を浴びるように摂取したいっ……!!
317名無しさん@ピンキー:04/05/05 00:09 ID:Q+OBOVGi
いいぞいいぞ!!一億分の1秒有るか無いかの傑作だ!!
318名無しさん@ピンキー:04/05/05 02:40 ID:8n7IM2p1
ミツマヨ最高!!神だ!
319名無しさん@ピンキー:04/05/05 09:29 ID:AGCfjwZz
ミツマヨの神が降臨されていたのか。
素晴らしいぃぃ!!  
320名無しさん@ピンキー:04/05/05 22:48 ID:Q+OBOVGi
すみません!!
一億分の一秒に有るか無いどころじゃなくて
10年に一回の傑作だ
321名無しさん@ピンキー:04/05/05 23:35 ID:oQIK18OB
ミツマヨ神GJ!!
こんなエロもイイ!!
すいませんありがとうございます。
今まで書いたものはずっとみっちゃんがヘタレというか女々しいので
次があれば男らしい御剣も書きたいです。

では次の方ドゾー
323これから乗っける人。:04/05/06 20:34 ID:eAy2ga6t
それではお言葉に甘えて載せたいと思います。
拙いですが……
324名無しさん@ピンキー:04/05/06 20:36 ID:DHCuzzw2
キタ━━━━━ヽ(゚Д゚)ノ━━━━━!!
325追悼恋慕:04/05/06 20:38 ID:eAy2ga6t
例え身体で理解しても、頭で理解出来ない時が在るように。
頭で理解出来たとしても、身体が理解出来ない者が、確かに在る。

ただ、残された記憶だけが、鮮やかに息付いている。

−追悼恋慕−

木槌が法廷内に響いた。その音を聞き、ゴドーは一人、「クッ……」と、誰にも気付かれないような小さな声で笑った。
「被告人に、判決を言い渡します」
お馴染みサイバンチョこと裁判長が、甘杉 優作に無罪を言い渡した。
それを聞き届けてから、ゴドーはちらりと今回の相手弁護士、成歩堂 龍一の方を見た。その成歩堂は先程ゴドーからコーヒーをおごられたため、頭に、スーツにコーヒーが滴り落ちていた。
隣から伸びた手が持っているハンカチが成歩堂の顔を拭いているのが分かる。
「では、本日はこれにて閉廷!」
裁判長がそう締めくくり、木槌を鳴らした。
それを合図に、傍聴人などもどやどやと法廷を出て行く。
「……」
しばらくゴドーは立ち尽くしていた。
−よろしいですね、検事さん−
あの時…綾里 真宵の姿ではない真宵が放った言葉が、今でもゴドーの何処かに残っていた。
まぎれもない、服装は真宵の物では在るが……やはり、あれは。
数年前まで、敏腕弁護士ともうたわれた、綾里 千尋その人だった。
彼女は死んでいるはずだ、とゴドーは思った。千尋が死んだ後に、あの成歩堂が後を引き継いだ、と。
だが、成歩堂の隣には、千尋が居る。
「…………」
若手にして敏腕。
女性にして常勝。
それが綾里 千尋。
法曹界でもその名を知らぬ者は居ない。
例にも漏れず、ゴドーも千尋の事を知っていた。
死んだ、と報じられた世に反し、千尋は格好を違えて存在している。
しばらくゴドーは黙っていたが、やがてくるりと後ろを向き、法廷を後にした。
326追悼恋慕:04/05/06 20:39 ID:eAy2ga6t

成歩堂達も、法廷を後にし、控え室に居た。
真宵の中にまだ居る千尋はしきりに成歩堂の頬にハンカチを当てる。
滴り落ちる液体が熱い。
「まあ、随分な格好になったわね、なるほどくん」
「ううう……まさかいきなりコーヒーカップを投げ付けられるとは思いませんでしたよ、しかも中身入りで」
「そうね。わたしも思わなかったわ。あの人がコーヒーカップを投げるなんて」
その言い方が、あまりに含みを感じられたので、成歩堂は怪訝な顔をした。
「……」
「千尋さん?」
「……え。あ、ああ。どうしたの、なるほどくん」
弾かれたように千尋は目を見開き、慌てて目を伏せた。
「いえ……何でも無いです」
その表情があまりにも全てを拒絶していたので、成歩堂はそれ以上何も言えず、口を閉ざした。
「なるほどくん………真宵は今、悩んでいるわ」
「え……」
千尋の言葉に、成歩堂は顔を上げた。
千尋は伝える。
真宵が今、霊媒師としての自分を見詰め、悩んでいると。
迷っていると。
そして、傍に居てやって欲しいと言った。
成歩堂はそれに対し、肯定した。
それを見届けると、千尋は去って行った。
そして、真宵が帰って来る。
倉院流霊媒術とは、そうしたものなのだ。
真宵はその事について悩んでいると千尋は言った。
それについて、成歩堂は何とも言えずに、自分の依頼人と大切な仲間と会話をした。
327追悼恋慕:04/05/06 20:40 ID:eAy2ga6t
成歩堂は視線を感じ、その視線の持ち主へと目をやった。
そこには、真宵が居た。
「うわ。なるほどくん……随分と酷い格好になったね」
「ううう…ゴドー検事のコーヒー……苦い上に熱いし…散々な目に遭ったよ」
スーツの染みに指先を遊ばせる真宵に、苦笑しながら成歩堂は言った。
「クリーニング代、幾らくらいかなあ……」
「コーヒーの染みだもんね、結構掛かると思うよ」
そう言って他人事のように笑う真宵に、成歩堂は「笑い事じゃないよ、全く」と口をこぼした。
(今度から、ああ言う感じになるのか? 法廷…)
そう考えると、これから先の裁判ではクリーニング代が例年に比べて掛かるであろう。
「あ」
真宵が声を上げる。成歩堂は何事かと思った。
「ゴドー検事にコーヒーカップ、返してないね」
成歩堂の頭に在った白いカップを指差しながら、真宵が言った。
そう……あれからゴドーに返すタイミングを逸していて、成歩堂の手元にまだゴドーの愛用しているコーヒーカップが残っていたのだ。
「あちゃあ……返さないとなー」
成歩堂は頭を掻きながら言う。
返さなければとは思っていたものの、何故か成歩堂はゴドーに憎まれていた。その理由が分からずに居たし、そんな状況で成歩堂がゴドーに話し掛けても、はたして相手にしてくれるかどうか……
「今度の審理の時に返す…じゃあ、駄目かな?」
「駄目だよ。だってゴドー検事、大切そうに飲んでたじゃない!」
力みながら言う真宵に、(大切なら何でカップを投げ付けるんだよ…)と成歩堂は思った。
「きっと、今頃ゴドー検事の指先が寂しくて、震えてるかもしれないし!」
「微妙にワケの分からない例え方だね真宵ちゃん」
苦笑しながら、成歩堂はコーヒーカップを見た。
「でもまあ、このままなし崩しって訳にも行かないか」
「そうだよ! このままだと窃盗犯だよ!」
「いや、好きで持ってるわけじゃないんだけど…」
成歩堂は苦笑しながらカップをまじまじと見詰めた。
何の変哲も無い、少し大きめの無地のカップ。ただ。そこにはコーヒーの液体の跡だけが残っていた。
328追悼恋慕:04/05/06 20:41 ID:eAy2ga6t
「なるほどくん、あたしに貸して」
「え…別に、ぼくが行っても良いんだけど」
「だって、なるほどくんって何だか嫌われてるみたいだし。返しに行って話がこじれちゃったら、大変でしょ?」
「……何が条件?」
成歩堂の言葉に、真宵は「そんな!」と言う。
「あたしそんなに腹黒くないよ! ただみそらーめんおごってくれないかな、なんて思ってるだけで」
「メチャクチャ下心在るじゃないか! そう言うのを腹黒いって言うんだよ!」
その腹黒さに成歩堂が異議を申し立てるが、真宵は「じゃあ、なるほどくんが行ってこじれず話は着く?」と行って来る。その言葉に、成歩堂は言葉に詰まった。
心当たりは無いが、何故か成歩堂はゴドーに憎まれている。それで話がこじれないとは言えない。
「……分かったよ。お願い出来るかな」
「みそらーめん大盛り、お代わり自由でね!」
(なな、何て事を言うんだこの子は!)
思わず成歩堂は真宵の事を引き止めようとしたが、真宵は既に成歩堂の手からカップを奪取、そのまま控え室を出て行ってしまっていた。残された成歩堂は、はあ…と溜息を吐く。
「なるほどくん…真宵さまは大丈夫でしょうか?」
春美が心配して尋ねて来る。成歩堂は「多分大丈夫だよ」と言ってやった。
329追悼恋慕:04/05/06 20:43 ID:eAy2ga6t
真宵は半ば強引にカップを奪った後、鼻歌を歌いながら控え室から出て、検察側がいつもどやどやしている所へと足を向けていた。
(コーヒーカップ一つでみそらーめんお代わり自由なんて約束して貰っちゃった)
真宵が上機嫌なのもうなずける。
こちらは『行動』と言う労力一つで『食料』と言う報酬が貰えるのだから。
「すみませーん、ゴドー検事は居ますかー?」
「ゴドー検事なら向こうの部屋で休んでいますよ」
警官に声を掛けて聞いた所、そう返事が帰って来て、真宵はその警官に「ありがとうございます」と言ってから、指し示された部屋の方へと向かった。
真宵は扉の前まで来ると、二回ほどノックをする。
「ゴドー検事、お届け物でーす」
しばらく待ってみたが、返事は無い。
「ゴドー検事ぃー?」
「………………」
名を呼んでみても、やはり反応が無かった。
真宵は首を傾げながら、重い扉を押し開けた。
そこには、くたびれた革のソファに身体を預け、じっとしているゴドーが居た。
「あ、ゴドー検事! 居るんだったら返事して下さいよ!」
そう言って真宵はゴドーの元に近付いた。
「………………」
「………ゴドー検事?」
「・・……………」
真宵の言葉に、ゴドーは答えなかった。
黙ってゴドーの返事を待っていた真宵は、うんともすんとも言わないゴドーの姿に膨れ面になった。
「ゴドー検事!」
「………………」
「……」
「………………」
「…うぇーん…そんな、無視しなくても良いじゃないですかぁー」
泣き顔になって、真宵はゴドーの事を見詰めた。
ソファに身を預けているゴドーの表情は法廷の時に付けていた仮面に、疲れた雰囲気を漂わせている口元であった。
(……)
口元だけしか表情が分からないのは、何処かエロティックに感じられる。
330追悼恋慕:04/05/06 20:44 ID:eAy2ga6t
どきりとしながら、真宵はゴドーの事を見続けていた。
相変わらず返事も無く、ゴドーは黙ったままであった。
「……」
真宵はゴドーの口元に、そっと手を持って行った。
もしかしたら、死んでいるかもしれない。
そんな有り得ない事を思っていたからだ。
「………」
しばらく手を近付けていた真宵は、正確なリズムの呼吸に、ゴドーは死んではいないと言う事が分かった。まあ、それは考えれば分かる事なのだが。
大体、外には警察が居たし、こんな部屋に刃物が在るはずも無い。
殺害、と言う事は無いだろう。
自殺するとしても、せいぜい毒薬を服用する事くらいしか手は無い。
だが、この部屋に水道も無い上に、ゴドー愛用のカップは真宵の手に在る。
「…ゴドー検事、眠ってるんですか?」
真宵が尋ねるが、ゴドーはそれに一定のリズムの息で答えた。
そっと、真宵は指先でゴドーの頬骨にそって頬を撫でた。
途中、ヒゲに指先が当たり、背筋がぞくりとするような、何処か異形の快楽を感じた。
そうされても、なおその呼吸を乱さないゴドーの姿に、真宵は彼が眠っている事を確信した。
「こんな所で寝てると、風邪引きますよー?」
そっとゴドーの耳元まで唇を持って行き、忠告する真宵。
「………………」
相変わらず、ゴドーは眠ったままなので、いささか真宵は不満を感じた。
(こんな所で無防備に眠ってるなんて…)
真宵はそっと指先をゴドーのメガネに触れた。
無機物である金属の冷たさが、真宵の指先に広がる。
そのメガネの輪郭を、真宵の指がそっと撫でる。
「…………ヘンなメガネ…」
呟いてから、真宵はそっとゴドーのメガネに手を掛けた。
(眠ってるし、少しくらい外しても良いよね。それ以前に、眠る時くらいメガネは外すもんね。そうだよね、あたし、悪い事何一つしようとしてないんだよ、うん!)
自分の行動に言い訳をしながら、真宵はそのメガネを持ち上げるべく、力を入れた。
指の腹全体に、その金属の冷たさが伝わる。
331追悼恋慕:04/05/06 20:44 ID:eAy2ga6t
「…何をしてる?」
「きゃわああああっ!」
いきなり声を掛けられ、真宵は弾かれたようにゴドーから離れた。
一方のゴドーは「クッ…」と喉の奥で笑ってから、真宵の方を見た。
「よく来たな、迷えるコネコちゃんよぉ」
「……」
正直、寒いシャレに思えて仕方が無かったが、真宵は突っ込むのを止めておいた。
成歩堂が幾度と無くゴドーに突っ込んで、成果が在った試しがない。
「え、ええと……」
真宵は持っていたカップをゴドーに差し出した。
「これ…ゴドー検事のですよね?」
「クッ……わざわざ届けに来てくれたのかい。健気だねぇ」
笑ってから、差し出されたコーヒーカップを受け取るゴドー。
「……悪魔のように黒く、地獄のように熱く、接吻のように甘い」
「…へ?」
急にゴドーが訳の分からない言葉を言い始め、真宵は目を白黒させた。
「タレーランの言葉、だ」
「たれ…? 焼肉のですか?」
真宵の言葉に、ゴドーは「クッ……」と笑った。
「いや、タレーランは人の名前だ。フランスの元首相で1814年頃フランスで政党主義を唱えたヤツだ」
「はあ」
「…オレとタレーランとは気が合いそうだな」
「へ? 『たれらんと』さんと、ですか?」
「ああ」
真宵のボケに、もはやツッコミさえも入れずに、ゴドーは真宵から手渡されたカップを一口あおった。
何故かコーヒーを呑み下す音が聞こえる。
(な、何で!? あの中、すっかり空っぽだったのに!!)
まさに、謎はミステリー、である。
332追悼恋慕:04/05/06 20:45 ID:eAy2ga6t
「ところで……さっきの、法廷での姿は何だ?」
ゴドーが急に真宵へ尋ねる。
「え…さっきの、って?」
「審理中に、急に姿が変わっただろう。アレはどんな魔法だい?」
その言葉に、「ああ、アレですか」と真宵が答える。
「あれは、霊媒なんです」
「…霊媒?」
「はい。死んだ人の霊を降ろして、身に宿らせるんです」
その言葉に、ゴドーの身体中に戦慄が走った。
「死んだ者の…霊、か」
心無しか、ゴドーの指先が震えているように真宵には思えた。それだけではない。何処と無くぎこちなく、そしてせわしなく辺りを見回し、晴れない気を紛らわせようとしているようにさえ見える。
「じゃあ、当然さっきのネエちゃんも……死者、って訳か」
「……」
真宵は胸にちくりと来る物を感じた。
成歩堂や真宵にとっては、千尋は『居る』ような者に思えていて、死者と考えた事すら最近は無くなっていたからだ。
そう。綾里 千尋は死んでいるのだ。
「そう……ですね」
心の動揺を隠せずに、真宵はゴドーの言葉に答えた。
その様子を見て、ゴドーは軽く首を横に振った。
「クッ……オレとした事が、コネコちゃんに余計なねこじゃらしを与えちまったみたいだな」
カップをゆらゆらと揺らし、ゴドーは乾いた己の唇をそっと舌で拭った。
「……オレの目がイカれてなければ…あのネエちゃんは……この法曹界の、女弁護士、だな」
「! す、凄い! どうして分かったんですか!?」
目を丸くして尋ねる真宵に、ゴドーは「クッ……」と笑い、カップを真宵に向けた。
「結構有名になっていたからな。この世界であの女弁護士を知らないヤツは…コーヒーを飲んだ事の無いタレーランのように愚かなヤツ、さ」
「それって凄いレベルなんですか?」
「ああ。そうだな。コネコちゃんにとって見ればこれは……この世にみそラーメンが無くなるのと同じくらい、愚かで絶望的な事、だな」
ゴドーの言葉に「ひゃああああっ!」と叫び、真宵は愕然とした表情になる。
「み、み、み、みそラーメンの無い世の中……お終いだぁ」
「おいおい。これはちょっとした言葉の文であってだな」
その真宵の落胆ぶりに、思わずゴドーはたじろいだ。そしてぽんぽんとゴドーは真宵の背中を叩いてやる。
とても小さな背中だった。
333追悼恋慕:04/05/06 20:46 ID:eAy2ga6t
「……」
ゴドーはしげしげと真宵の後ろ姿を眺めた。
カラスの濡れ羽色をした、漆黒の髪。
つややかな髪は、その毛先付近で結わえられている。
七分丈の上着から出た白い腕は細く、上品で美しい指先を持つ。
服の裾から伸びるしなやかな足は、むしろ心地よさを感じさせる脚線美だ。
ついつい、爪先まで自然と目が向いてしまうほど、真宵の四肢はくどくない魅惑を持っていた。
だが恐らく、その魅力は普段は何気ない物として見落とされがちだろう。現に、ゴドー自身もこうして近くによって見詰めるまで、真宵の魅力をここまで意識はしなかった。
「クッ…そんなに落ち込んじまうと、コーヒーが渋くなっちゃうぜ」
「渋く……それはお茶ですよ」
はふう、と溜息を吐いてから、急にぱっと持ち前の明るい表情に戻る真宵。
「とにかくっ、カップ返しましたから。それじゃ……」
「っ! ちょっと、待て…」
言いながら、ゴドーは真宵の腕を掴み、引き寄せていた。
「え……?」
真宵はすっとんきょうな声を上げながら、そのたくましい胸板に背中を付けていた。
(う、うわ…うわわわーっ)
一気に血液が頭部に噴き上がるのが分かる。
その、あまりにも力強い指先の動きと、心地よさを何処かで感じられる胸板に居て、真宵は目を白黒させている。
一方のゴドーは、何かとんでもない事をしてしまったかのように(実際しているのだが)、表情を凍り付かせていた。
334追悼恋慕:04/05/06 20:48 ID:eAy2ga6t
「………あー。その、何だ…」
気まずい雰囲気の中、重々しくではあるがゴドーが言葉を発する。
「…コネコちゃんの、その、魔法みたいなアレを……」
「え?」
「いや…その、何だ……」
ぽりぽりとゴドーは高頭部を困ったように掻いて、もごもごと言う。
「霊媒を…見せてくれねえか?」
「!」
真宵はゴドーの腕の中でもぞもぞと動き、顔をゴドーの方に向けた。
「霊媒…ですか?」
「ああ……ダメかい?」
「……」
真宵は困惑した表情になった。
正直、迷っているのだ。
霊媒と言う物を、そもそも最近は恐ろしいと思う事件も在った。まあ、それは一年前の事なのだが。
それは肉親に裏切られた、しかも自分が逃れる事の出来ない、運命(さだめ)にも似た、代々受け継がれて来た『霊媒術』を利用した事件。
そうでなくとも、霊媒によって真宵は二人の人物と逢えなくなった。
霊媒に失敗したとされ、失脚した母。
そしてそれを追いながらも、母を追いやった者を突き止めようとした姉。
真宵の中では、霊媒とはどうしようもなくなった時の切り札でしかなかった。
逆に言えば、それ以外には触れたくなかったのだ。
「………」
「コネコちゃん?」
「…あ、の……あたし…」
おどおどと真宵は言葉を発する。
その様子を見て、ゴドーはそっぽを向き、「クッ……」と笑って真宵を解放した。
335追悼恋慕:04/05/06 20:49 ID:eAy2ga6t
「…冗談だ。こんな得体の知れねえ検事に、ほいほいと秘術を見せる訳にもいかねえよな」
そう言って、ゴドーは真宵の身体から離れた。
…どうしようもない、高揚するような感情を残しながら。
「……ゴドー検事」
真宵が、ゴドーの事を呼ぶ。
「…どうして、あたしが……みそラーメン好きだって、分かったんです?」
「どう言う事だ?」
ゴドーが真宵の目を見る。
「あたし、ゴドー検事の目の前で、みそラーメンが好きだなんて、言った事無いですよ?」
「!」
「それに……霊媒を素直に信じるし……秘術だって、分かってるみたいだし」
ちらり、と真宵はゴドーの方を見る。
(ゴドー検事、悪い人じゃないみたい。何だかあたしの事知ってるみたいだし。それに……優しい感じがする)
真宵は目を細めた。
「……誰を、霊媒して欲しいんですか?」
その言葉に、ゴドーは驚いた。
この少女は、たったその二つを根拠に、この見なれない検事に霊媒を見せてくれると言う。
ゴドーは微かに唾を飲み下した。
「……そう、だな」
肩をすくめ、ゴドーはカップを見詰めた。なるべく真宵の事を見たくなかった。
自分はどうしようもなく卑怯で臆病だ、と心の何処かでゴドーは思った。
ふっ切れない想いが、彼を駆り立てる。
「千尋……」
「え!?」
「…綾里弁護士を、霊媒でもして貰おうか」
ゴドーの言葉に、真宵は思わずゴドーにすがった。
336追悼恋慕:04/05/06 20:50 ID:eAy2ga6t
「お、おねえちゃんの事、知ってるんですか!?」
「クッ……言ったはずだぜ、コネコちゃん?」
空のはずのカップをあおり、ゴドーは真宵の方を見る。
「この世界であの女弁護士を知らねえヤツは、コーヒー豆を買いあさって満足している愚かなヤツと同じ、とな」
「さっきとセリフが違いますけど」
「クッ……さっきも末期もねえぜ。アンタは捨てたゴミをまたあさるクセでも在るのかい?」
「在りません!」
「それと同じ、さ。セリフ? そんな物、捨てるために在るのさ」
「それって捨てゼリフじゃあ…」
「早すぎるツッコミ…カッコつかねえぜ」
「突っ込まないとゴドー検事、止まりそうに無いですから」
「クッ……違えねえ」
そう言って、ゴドーはカップをあおった。
「……分かりました」
「ぶっふおおおおおおッ!」
「きゃわああああっ! き、汚いッ!」
真宵が顔をしかめてコーヒーしぶきから避ける。幸いな事に、彼女に掛かる事は無かった。
「本気で、良いのか?」
「良くないですよっ! コーヒーのシミって、落ちないんですよ!!」
「そうじゃなくてだな…本当にアンタ、千……綾里弁護士を霊媒してくれるってのか?」
ゴドーの言葉に、「ああ、それですか」と真宵が言う。
337追悼恋慕:04/05/06 20:51 ID:eAy2ga6t
「はい! 良いですよ」
「……良いのかい?」
「む、ゴドー検事。ここまで来て怖じ気付いちゃったんですかー?」
「いや、そう言う訳じゃねえが」
そう言って、ゴドーはカップの中を見る。カップの中は虚空だった。
「けど……アンタはオレを良く知らない」
「まあ、そうですね」
「オレとアンタには、何の関わりも無い」
「なるほどくんとなら在りそうですけどね」
「更に、オレとアンタとは価値観が合いそうにもねえ」
「合う人が居たら見てみたいです」
「そんなヤツの言う事を聞くのかい、コネコちゃん」
「……一つ、聞いて良いですか?」
ゴドーの言葉に答える前に、真宵は尋ねた。
「…言ってみな。聞いてやるぜ」
「どうして、おねえちゃんに逢いたいって、思ったんですか?」
その言葉に、ゴドーは言葉に詰まった。
彼女のその言葉に答える事は、難しくは無い。
逢って、話をしたい。ただそれだけである。
たったそれだけを言う事は、容易な事だ。
以前の、『彼』であったら。
「……クッ」
唇の端を持ち上げ、ゴドーは真宵から目を逸らす。
「オレは新人だからな。法曹界でも有名だった女弁護士サンから色々聞きたいんだよ」
嘘混じりの証言をするゴドー。
338追悼恋慕:04/05/06 20:51 ID:eAy2ga6t
その姿をじっと見てから、真宵はうなずいた。
「分かりました。じゃあ、ちょっと待ってて下さいね!」
真宵はそう言ってから、ソファの影に隠れた。一応、秘術と言う事で隠れているらしい。その姿の滑稽さに吹き出しそうになりながら、ゴドーは黙って目を逸らしていた。
元々、直視する事さえ禁忌のような気がしてならないのだ。
いや、もしかすると、逢う事さえ禁忌なのかも知れない。
339追悼恋慕:04/05/06 20:52 ID:eAy2ga6t
「……」
何だか、懐かしい感覚がした。ゴドーは思わずソファの影に目を向ける。
そこには呆然と立ち尽くす女性の姿が在った。
先程の法廷と同じだ。
服装、髪型こそ綾里 真宵の物であるのに。
けれど、そこに居るのは真宵ではなく。
真宵よりもっと大人びた顔つき、妖艶さを感じさせるような肢体がそこにある。
常勝の女弁護士。
成歩堂の師匠。
そして……
「…千尋」
「!」
そして、彼がまだ『彼』だった頃の……後輩。
綾里 千尋がそこに居た。
「……数分ぶりですね、検事さん」
「……」
始めは驚いた表情をしていたが、やがて自分の置かれた状況を理解したのか、にこやかに、でも何処か寂しそうな笑顔で、千尋がゴドーに声を掛けた。
その言葉に対し、何も言う事が出来ないゴドー。
話したい事は沢山在った。
けれど、彼女を目の前にした時、ゴドーは言いたかった事全てを頭の中から消し去ってしまった。
「何か、わたしに用事ですか?」
「……! あ、ああ…」
やっとここまで来て、ゴドーは我に返った。
こんな所で呆然としていては意味が無い。
340追悼恋慕:04/05/06 20:53 ID:eAy2ga6t
「……アンタ、綾里弁護士だな?」
「ええ」
「その、何だ……お悔やみ申し上げます、とでも言えば良いか?」
「おかしな人ですね」
そう言って、千尋はゴドーの顔を見詰めた。
「わざわざそれを言いに?」
「いや。そんなつもりじゃ…なかったんだが」
そう言ってから、ゴドーはカップに目を向けた。それはカップに何ら思い入れが在る訳ではなく(いや、愛用しているカップなので思い入れは在るのだが)、ただ単純に、千尋と目を合わせるのがキツかった、それだけである。
「……」
「……」
二人は押し黙った。
ゴドーの指先は、ずっと小刻みに震えている。
「……どうですか、検事生活初めての敗北は?」
「そうだな……中々、と言った所か」
何がどう中々なのか良く分からなかったが、ゴドーはぽつりと千尋の問いに答えた。
「少なくとも……随分前に味わった敗北感よりかは、甘いな」
「! ……そう、ですか」
千尋は目を伏せる。
その様子を見て、ゴドーは一歩、千尋に近付いた。
「……立ち直った、んだな?」
「…まあ、何とか」
「記録によると……アンタは傷付き、法廷に立たなくなった。そうだったな」
「何年前の記録ですか、それは」
「それから……立ち直った。約一年の時を経て。間違い無えな?」
ゴドーの尋問(?)に、千尋はうなずく。
「ちょっとその時の雄姿を聞かせて欲しくてな」
「……雄姿と言うには、少し頼りない雄姿ですよ」
「新人のオレには丁度良い武勇伝、だ」
「そうですね」
そう言って、千尋はソファに座った。ゴドーも釣られるようにソファに近付き、千尋の隣に座る。
千尋の横顔が、ゴドーのすぐ隣に在る。手を延ばせば、いや、指を少しでも動かせば、すぐに触れられる距離に、千尋が居る。それを、ゴドーは実感していた。
341追悼恋慕:04/05/06 20:57 ID:eAy2ga6t

……千尋の話は進んだ。
その言葉を聞きながら、ゴドーは隣に座るもう『居ない』千尋の事を見詰め続けていた。
「……それで、わたしになるほどくんって言う弟子が出来て…」
千尋の唇から成歩堂関連の話題が出た時。
ゴドーの胸にちくりと来る物が在った。
「まるほどうの話題を出すな」
「……?」
千尋は驚いたような表情でゴドーの方を見た。
「アンタの口から男の話題が出る事なんざ、オレが許さねえ。特に、まるほどう関連はな」
「どうしても、ですか?」
「オレはまるほどうを憎んでる」
「……」
「それに、オレはヤローについての話なんざ、聞きたくねえのさ」
「じゃあ……わたしが尊敬していた先輩の話も、ですか?」
「っ……!」
「男の人の話題、出して欲しくないんでしょう?」
「……ああ、そうだな」
唇の端を持ち上げ、落ち着いた口調でゴドーが言った。
「……それに、尊敬するだけ無駄、ってモンだぜ」
「どうしてですか?」
「ヤツは女一人置いて勝手に寝ちまった、不甲斐なくてだらしない男だ」
「…………」
「手遅れだと知っちまえば、ヤツは居なくなるのを選択した。そんなヤツさ」
「止めて、下さい」
「オレは、ヤツの代わりになって、まるほどうを憎んでる」
「止めて下さい。わたしの先輩と弟子を…そんな風に言わないで下さい」
342追悼恋慕:04/05/06 20:58 ID:eAy2ga6t
千尋のその言葉に、ゴドーはカチンと来た。
「そんな風に言わないで、だと?」
ゴドーはソファを立ちあがり、千尋の肩を掴んだ。
「アンタはそのせいで死んだ! あのへらへらしたウニ頭と、訳の分からねえ事を口走るキザったらしい男のせいで!」
「検事さん……」
「それを、アンタは憎んでさえ居ない! さっきの法廷だってそうだ! 真宵に霊媒しなけりゃここに『居ない』のに、みすみすアンタを死なせた、あの男を助けている!」
言いようの無い怒りに、ゴドーは千尋をソファに押し倒した。
「ちょ……検事さんっ!」
「勝手に眠っちまった、あの男の事だって憎みやしない! バカな男を、女一人護れやしなかった男を!」
ゴドーは強張った千尋の頬に指を掛け、その唇を塞いだ。
「んむぅっ!」
突然の事に、千尋は講義の声を声としてあげる事さえ出来ず、半ば押し付けて動けなくさせるようなゴドーの口付けに困惑した。
その指先が、ゴドーの身体を何とか押しやろうとする。
だが、所詮は女の非力な抵抗。がっしりとした体型を持つゴドーには少しの抵抗にもならなかった。それどころか、千尋のその抵抗はゴドーの心の怒りを更に逆撫でしてしまったようだ。
(オレなら…今の『オレ』なら……千尋に触れられる。それなのに…何で、抵抗する!)
ゴドーはそんな事を思い、千尋の口内に無理矢理自分の舌を割り入れた。
そして頬に掛けていた指を、そのまま千尋の首の後ろにやり、掻き抱くように千尋の顔を引き寄せた。
逃げようとする舌を絡め取り、ゴドーはそのまま千尋の舌を引きずり出す。
静かな控え室には、ソファの生地が指によって擦れる音、そして互いを貪るために発せられる音、そして苦しげな千尋のあえぎ声だけが響いている。
ゴドーの顔が、そこでやっと離れる。
「検事さん…や、めて下さい……」
懇願する千尋の言葉を振り払い、ゴドーは千尋の豊かな胸を掴んだ。
「あっ、んくっ……!」
びくり、と千尋が震える。
「千尋……千尋っ」
耐え切れなくなり、ゴドーは千尋の名を呼び、その乳房を揉みしだく。
形良い胸が、ゴドーの暴力にも近いその指先の運動にその姿を歪ませる。
「検事、さんっ! や、止めて…」
あえぐ女の声は、ゴドーの感情を高ぶらせる。
343追悼恋慕:04/05/06 20:58 ID:eAy2ga6t
ぐりぐり、とゴドーの指先が千尋の胸の先端を刺激する。すると、その刺激に先端が堅くなり、しこりとなった。
「クッ……身体は反応してるみたいだぜ、千尋」
「あんっ、くふぅっ……」
激しく首を横に振りながら、千尋は何とかしてゴドーの戒めから逃れようとする。
それを阻止すべく、ゴドーは千尋の身体に馬乗りになる。
「千尋……」
ゴドーの手が、衣服の上からやがて衣服の隙間に滑り込んだ。
「ひぅっ……! ん、う…ぁっ!」
突然の、乾いた指先の感触に、千尋はびくりと身体を震わせ、あえぐ。
直に千尋の温もりが……正確には、真宵の身体に居る千尋の温もりが……ゴドーの指先に広がる。
(千尋は今……生きている)
ぼんやりと、理性と本能の間に居ながらゴドーは思った。
この生きている彼女を愛したい。
それが、彼をここまで掻き立てていた。
片手で千尋の胸に刺激をやりながら、もう一方の手は千尋の下半身に向けられていた。
「あっ、検事さん……駄目ッ…」
「何が駄目なんだ、千尋? こんなに、感じておいて」
ゴドーは千尋の耳元で囁いてから、先端をいじる指の動きを激しくした。
「あぁっ!」と悲鳴にも近い声を上げ、千尋の身体がのけぞる。
上気した千尋の表情を見ながら、ゴドーは遂に下腹部の局部を、布地越しに触れた。
ひく、とそこが反応する。
もう既にそこは熱く、そして湿り気を帯びていた。
指の腹で、ゴドーはその指を埋めた。
「あ、あ…あぁっ!」
熱い吐息を交えたあえぎ声を上げ、千尋はその指の動きに翻弄された。
344追悼恋慕:04/05/06 21:02 ID:eAy2ga6t
胸の先端はもはや痛い位に勃っていて、ゴドーの指先が擦れるたびにその存在を伝えた。
そして今現在、新たに指を迎えた局部は、布地越しではあるもののしっかりとその刺激を受け取り、素直にそれに対する反応をしていた。
じわり、じわりと下着が濡れて行く。
布地ごと、ゴドーの指を呑み込もうとさえしているその個所の反応に、ゴドーは千尋に対する愛しさをより募らせた。
その反応に押され、ゴドーは指をずぶり、と布ごと突き進めた。
「ひ、いっ……あああっ」
千尋は身体を震わせ、激しい快楽の波に揉まれた。
ゴドーの行為はより激しくなって行く。
内部に突き入れたまま、ゴドーはその指をぐりぐりと暴れさせる。そのたびに千尋の蜜を含んだ下着が卑猥に鳴り響き、一層濡れて行く。
布地越しに、『彼』の指の形が伝わって来る。その実感が、どうしても千尋の抵抗を本気にさせなかった。
どんなに外見が変わっていても、変わっていないのだから。
『彼』は居ない。
それはゴドーを見て分かった。
けれど、頭で理解しても身体に染み付いた愛しさは消す事が出来ない。
「や……」
首をふるふると振るい、千尋は潤んだ瞳でゴドーの事を見る。
『彼』の名を呼びたかった。
自分が自分でないと言う事を忘れて、『彼』と触れ合いたかった。
けれど、それは禁忌。
345追悼恋慕:04/05/06 21:02 ID:eAy2ga6t
苦悶の表情を浮かべ、千尋はゴドーの腕に指を這わせた。
あまり力の入らない指で、何とかしてゴドーの指を千尋の秘部から抜きたかった。
そんな抵抗が感じられたのだろうか。
ゴドーは千尋の事をちらり、と見てから……
ぐちゅっ、ずぶぶっ!
「あ、ああっ! いっ……」
千尋の秘部をより深くゴドーが貫き、千尋は涙を浮かべ、悲鳴を上げる。
それは、千尋の感覚と言う感覚を麻痺させ、熱くほてった身体中を電流が走ったような快楽が占める。
ひく、ひくり…とその部分はゴドーの指を呑み込んだまま震えた。
絶頂を迎えた千尋からは、瞬時にして身体中の力が抜けた。
身体をひくつかせ、熱さに激しいあえぎをしながら、千尋はゴドーの事を見る。
今、千尋の目の前に居る、この男をどうにかして止めなければ。千尋は恐怖に震えながらそう思った。
それが、今『彼』を救える唯一の方法だ。
千尋は唇を噛み締める。
震える指先に、力を無理矢理込める苦痛に耐え、千尋はぎこちなく指先を動かしていた。
346追悼恋慕:04/05/06 21:03 ID:eAy2ga6t

乾いた音が響いた。
ゴドーは呆然として、千尋の事を見る。
……頬にじんわりと残る、痛みを残して。
「離れて…下さい」
しっかりと千尋が言うと、ゴドーははっとしたようになり、急いで千尋から離れた。
一方の千尋はぐったりとしてソファにもたれながら、それでも先程の語気と同じくしっかりした瞳でゴドーの事を見た。
「……………」
千尋も、ゴドーも…どちらとも、何も言わない。
何も言えずに居るのだ。
ゴドーは指先に残った、千尋の蜜に目を向けた。
途端、どうしようもない罪悪感と自分に対する嫌悪感が彼を襲う。
(最悪だ……最悪で、最低なヤツだ…オレは……)
自分に毒吐きながら、ゴドーはうつむいた。
千尋の事を直視出来ない。
千尋に謝罪すら出来ない。
見てしまえば、千尋にもう二度と見て貰えなさそうで。
謝ってしまえば、それがただの逃げになりそうで。
「……オレは…」
重々しく、ゴドーが口を開く。
「オレは……アンタにとって、誰だ?」
返事など期待していなかった。
自分でも馬鹿馬鹿しく思えた。
何を期待しているのだ。
こんなにも自分は、彼女の事を傷付けてしまったと言うのに。
347追悼恋慕:04/05/06 21:03 ID:eAy2ga6t
「…それを言えば、検事さんは辛いはずです」
「クッ……そう、だな。だが……」
千尋の言葉に、ゴドーは肩をすくめる。
「美しい形のコーヒー豆を挽くだけの度胸が無ければ、コーヒーなんざ飲めねえのさ」
「?」
「自分が辛い思いをしないような綺麗事で満足しているヤツには、現実は生きれない、って事だ」
「なら……初めからそう言えば良いのに」
ゴドーの言葉に、千尋はぽつり、ぽつりと答えていく。
「……あなたが、わたしにとっての誰か?」
「ああ……」
「…本当に、分からないと思ってましたか?」
「いや……」
ゴドーは首を横に振り、(何処から出したのか)カップを取り出し、その中身をあおった。
「アンタは、気付いていたはずだ。法廷に降りた、あの瞬間から」
そう。ゴドーが『彼女』に気付いたのと同様に。
「      、ですよね」
「…………………」
微かに震えた千尋の言葉に、ゴドーはぼんやりとした。
上手く、声が出て来ない。
目の前の女性は、『自分』を見てくれていると言うのに。
辛い。
彼女が、自分の事をどう見ているのか。
それが、この返答であったのだから。
そして、千尋は『彼』を見ている。
348追悼恋慕:04/05/06 21:04 ID:eAy2ga6t
「………………千尋には…」
内心、自分にかなりの嫌悪感を抱きながら、ゴドーが口を動かす。
「……憎んで欲しかった」
「……」
「そうする事で、『オレ』は本当に自分を捨て切れたのに……」
「……出来ません」
「どうしてだ!」
語気を荒くし、ゴドーは千尋の事を睨み付ける。
「今だってそうだ! 千尋、お前はオレに罵声一つ浴びせない! どうしてそこまで……」
言葉に詰まる。
どう言えば良いのか分からない。
こんな事を言っても、千尋が救われる訳でも、癒される訳でもないのに。
「…………ごめんなさい」
「何でお前が謝る!? 今の場面を誰かに見られていれば、100%オレが悪い! なのに、お前はオレを責めないで謝る! そのたびにオレは惨めになる!!」
「……」
「憎め……憎めよ」
首を激しく横に振って、がっくりとゴドーはうなだれる。
「…出来ません」
もう一度、千尋はしっかりと返事をする。
「……理由を聞かせて貰おうか」
「…わたしは、あなたを尊敬しているからです」
「残念だったな。幻滅しただろ」
どうしてこうも、人の想いを弾こうと弾こうとするのだろうか。
不器用な彼の心を、誰もどうする事も出来ない。
「分かって欲しかった。これは『わたし』ではないのだと。『真宵』なのだと……そして、どんなに『わたし』を求めても、もう二度と『わたし』に触れる事は出来ないのだと言う事を」
そう言ってから、千尋はしばらく押し黙り、うつむいて唇を噛み締めた。
身体が震えている。
そして、床に水滴が落ちる音が、本当に微かに響いた。
349追悼恋慕:04/05/06 21:05 ID:eAy2ga6t
千尋は首を横に振って、目許をごしごしと拭ってから、顔を上げた。
「けど……そんな理由より何より、わたしは、あなたを憎めません」
千尋は目を伏せた。もっとも、その姿はゴドーの視界には入っていなかったが。
「わたしは…あなたを、愛していたから」
「! ……」
控え室は耳が痛くなるほど静寂で。
泣きそうになるほど、後悔で満たされていた。
「もう二度と……わたしにこんな事をしないで…検事さん」
千尋はソファに手を付き、よろよろと立ち上がった。上気した頬が、彼女の疲労の色と混ざり合い、どきりとさせる物を見せていた。
思わずゴドーは身を乗り出す。
千尋はそんなゴドーと裏腹に、立ち上がって扉の方へと身体を向けていた。
「千尋!」
焦燥感にも似た想いに駆られ、ゴドーが千尋の名を呼ぶ。呼ばれた千尋は、ゆっくりとゴドーの姿を見詰めた。そして、目を見開く。
「もう一度、呼んでくれ」
「…………」
千尋は、ゴドーの手の中に持たれた物を見て、それからゴドーの顔を見た。
手には、ゴドーがつけていたゴーグルにも似たメガネが在った。
「もう一度…オレを……『オレ』の事を呼んでくれ」
「      」
彼の言葉に、千尋がもう一度、『彼』の事を呼んだ。
そのたびに、ちくり、ちくりと彼の胸を刺す何かが在った。
「……オレも、アンタを愛してたぜ…千尋」
目の前に居る女性に、『彼』はそう伝える。
彼女は目の前にいると言うのに、『過去の言葉』しか届かない。
彼女が『過去の言葉』で想いを伝えたように。
「……さようなら、検事さん」
「ああ。弁護士さん」
二人は言葉を交した。
その『さよなら』は決して上辺だけの、そして短期の物ではない事くらい、お互いに分かっていた。
二人の道は、交わってなど居ないのだから。
350追悼恋慕:04/05/06 21:06 ID:eAy2ga6t

意識を取り戻した真宵は、何故か残る胸の痛みと熱に、思わず目の前がくらくらした。
身体が、ふらつく。
「あ……」
何とか足をふんばって、倒れるのを免れる真宵は、ぼんやりと自分の状況を把握しようとした。
真宵はそこで、明後日の方を向いて立ち尽くすゴドーの姿を見る。
となると、ここはまだ、検事側の控え室か。
「えっと、ゴドー検事?」
「! どうした? コネコちゃん」
そこで初めて真宵の事に気付いたように、ゴドーは真宵の言葉に反応する。
彼の付けるメガネが、微かに明かりに反射した。
「え…いやあの、あたし…ちゃんとおねえちゃんの事、呼び出せたかなって」
「クッ……」
ゴドーは笑い、真宵の方を向く。
「心配するな。アンタはちゃーんと綾里弁護士を呼び出せたさ」
「でも…あの、ゴドー検事が……」
「オレが、どうした?」
その言葉に、真宵は言葉を詰まらせた。
ゴドーは何処か後悔しているように見えて、そして、傷付いているようにも見えた。
そしてそうさせてしまったのは、他でもない真宵の霊媒なのだと、真宵にはうすうす感じられていた。
自分の至らない点が在ったのかもしれない。
もしかしたら、全然違う人を呼んでしまったのかもしれない。
そんな事が、真宵の頭の中に浮かんでいたからだ。
351追悼恋慕:04/05/06 21:07 ID:eAy2ga6t
「……そんな顔するなよ、コネコちゃん」
「でも…でもでも……」
「ちょっくら、綾里弁護士に説教食らっちまっただけさ」
そう言って、ゴドーはカップの中身をあおった。
先程と違い、コーヒーの香りと湯気が漂っている。
「説教、ですか?」
少し困惑したような表情になって、真宵はゴドーの姿を見た。
どんな説教を受けたのかは分からない。
また、聞こうとも思わない。
千尋の言う事はまっすぐで、何時も他人の事を思う物が在った。
またゴドー自身も千尋の説教を甘んじたと言う事は、決してそれがお互いにとってマイナスではない何かになったのだろうと言う事である。
ならば、真宵がその説教に付いて引きずり出す必要は無い。
「彼女は最高の女だった。弁護士としても……人間としても」
そう言って、ゴドーは真宵にカップを向ける。
「口に含んでみな」
「え?」
「中々無いぜ? オレがこのカップで他人にコーヒーを飲ませるなんざ」
「…そのカップ、思い出深いんですか?」
内心、(なるほどくんにはおごってあげたじゃないですか)などと思いながらもそれを突っ込む事も無く、真宵はカップを見ながら問う。その質問にゴドーは「そうだな」と言った。
「ある裁判の後、ある女性から貰った物なのさ」
「恋人ですか?」
屈託の無い真宵の問いに、ゴドーは思わず苦笑する。
白いカップをじっと見てから、ゴドーはふう、と溜息を吐く。
「そう……だな。恋人か。そうなるかも知れねえな」
「ひゃー、大人ですねー」
うっとりしながら呟く真宵の姿に、ゴドーは何故か真宵の従姉妹の春美を思い浮かべた。(恐らくは、恋愛に反応する乙女チックな目のせいだろう)
「でもでも…恋人さんから貰ったカップであたしが飲んじゃって、良いんですか?」
「クッ……構わねえさ。それに、アンタなら彼女も喜ぶ」
「?」
「何でも無い。気にするな」
ひらひらと手を振り、「忘れろ」とゴドーは付け足した。
352追悼恋慕:04/05/06 21:10 ID:eAy2ga6t
「そ、それじゃあ、頂きます」
恐る恐る、真宵はそのコーヒーを口に含み……
「!」
かちゃり、と真宵は控え室の机にゴドーの白いカップを置いた。目に涙を浮かべる真宵の事を、ゴドーは見詰める。
「クッ……コネコちゃんには早すぎたか」
「〜〜〜っ!!」
「っと、洗面台なら表、だぜ」
ゴドーが扉の方を指差す。ゴドーの差す指の方向を、真宵はちらりと見た。
「じゃあな。カップをわざわざ届けた挙句、霊媒までしてくれたコネコちゃん」
その言葉に、ペこりと一回お辞儀をしてから、真宵は口を抑えながら慌てて表へと出て行った。
(……)
コレで大丈夫だ、とゴドーは思った。
自分が汚してしまった、あの口内を……真宵の口に残る『彼の後悔』を、あの苦いコーヒーで流し捨てられるのなら。
それに、『彼』が愛したのは千尋であり、それを、真宵に押し付けるのは間違いであるのだから。
わざと非常に濃いコーヒーを煎れたのも、それを真宵に飲ませたのも、真宵に対する謝罪を込めてゴドーが仕組んだ事であった。
『彼の後悔』は、あの現実のように苦いコーヒーと共に渦巻き、流されれば良い。
「……………」
彼に残された物。千尋に拒絶されて、それでもなお、彼に残された物。
真宵が千尋になれないように、千尋は真宵になれない。
真宵の事を護りたくても、『居ない』千尋には護れない。
それが、『死』と言う物なのだ。
「千尋……護ってやる」
あの小さくも元気で、そして辛い運命を辿ろうとしている少女の事を。
(真宵の事を、オレが護ってやる)
自分の辛さを押しやって、ゴドーの事を叩いた千尋のように。
例え、この身体が汚れても……例え、この手が血に染んでも。


もう、戻れない。


(終わり)
353追悼恋慕(またまたなおまけ):04/05/06 21:11 ID:eAy2ga6t


〜またまたなおまけ〜

「クッ……さてと、このコーヒーをどうするか、だな」
ゴドーは冷や汗をかきながら、机の上で存在を誇示させる己のカップを見下ろしながら呟いた。
このコーヒーは真宵が飛び跳ねて吐きに行くほどの苦味だ。
いや、恐らくゴドー自身もそうならざるを得ないだろう。
ゴドーが指をカップの熱いコーヒーに入れると、指はずぶずぶと微かな感触を残しながら身を埋めて行く。
そう、液体ではないのだ。もはや。
「……」
静かにゴドーは指を引き抜き、その指先を舐めてみる。
その途端、ゴドーは顔をしかめる。
思わず吐こうとするのを、何とか自身で抑える。
(クッ……こりゃあもうコーヒーソースだぜ)
油汗を流し、ゴドーはそう思った。
正直、真宵の目の前でこのコーヒーをあおった瞬間、胃がひっくり返った。
そんなコーヒーを、どうやって処理する?
コーヒー愛好家の彼にとって、洗面台や便所に捨てるなんて言う事は、大量の金とダイヤをドブに捨てるような物と同じ感覚であった。
だがだからと言ってこの『超激特農コーヒーソース』を飲み下せる自信は無かった。
「……」
散々迷った挙句、彼は控え室を出る。
外の空気が、すがすがしい。
そこでゴドーはそこらで忙しそうに動いていたイトノコと目が合った。
「おい、刑事。アンタ……コーヒーは飲めるほうかい?」

かくして、コーヒーは無事、飲み干された。
彼がニセ・成歩堂事件に始めから関わらなかったのは、尊い犠牲となった刑事と顔を合わせようとしたくなかったため、かも知れない。


(終わし)
354追悼恋慕書いた人:04/05/06 21:14 ID:eAy2ga6t
どうも、お久し振りです。とは言っても、修行ナルマヨから一ヶ月も経っていないんですが。
このフェイントたっぷりの『ゴドマヨに見せかけて実はゴドチヒ』小説、いかがでしたでしょうか。(いかがって、アンタ)
と言うか、エロ無しです。エロ直前でお終いです。根性無しです。
でも、ゴドー氏はきっと千尋さん以外を本気では追い求めたりしないんだろうなあ、何て思って…
だから、当初濃厚なゴドマヨを予定していたんですけれど無理でした。
個人的にナルマヨ、ミツメイ、カミチヒ(ゴドチヒ)なんですよ。
個人をパロカップリングに持って来るな! って感じですが。
根性付いたら本当にゴドマヨにも手を出したいです。

と言うか、これはカップリング、何に入るんだろう。
神乃木×千尋? ゴドー×真宵? ゴドー×千尋?(汗)
355名無しさん@ピンキー:04/05/06 21:20 ID:DHCuzzw2
超グッジョブ!
難しい題材なのにいつもながらお見事です。
読んでてせつなくなってしまいますた。
ゴドチヒ+ゴドマヨと一粒で二度おいしいのもウマイ

次回作も待ってます。
356名無しさん@ピンキー:04/05/06 23:23 ID:/qz3IGVy
(`・ω・´)ゴドー!! (・∀・)カコイイ!!
GJですよ! でも読んでる途中にナルホドくんを思い出して泣いたよ…
357名無しさん@ピンキー:04/05/07 08:44 ID:kP9VC8TF
GJ!
あなたのナルマヨも好きだが、ゴドマヨにも期待!!
次回もお待ちしてます。
358名無しさん@ピンキー:04/05/07 15:17 ID:LfB0Akj3
ミツメイきぼん…
359名無しさん@ピンキー:04/05/07 17:53 ID:8a4UHvtD
キターーーーーーーーーーーー!!
相変わらず神!!!
ゴドマヨ・ゴド(カミ)チヒ好きとしてはハァハァしっぱなしでした
次回も超期待!
360等価交換:04/05/07 20:33 ID:TQUftCci
成歩堂と霧緒のエロを作ったのですが、見ていただけませんでしょうか。
361代償:04/05/07 20:50 ID:TQUftCci
何か損を与えた場合ために、それ同等のものを払わなければならないということ。
世界の常識でもあり、これによって世界が成り立っていると言っても過言ではない。

-代償-

「ほ、ホントにすみません!私・・・なんでもしますから・・・・」
華宮霧緒は、倉院の里秘宝展の展示物で綾里供子の魂が入っていると言われている
壺を盗まれてしまった。
「なんでもしますから・・・・」
彼女は、高菱屋の地下で成歩堂と真宵に謝っていた。
「まあ・・・後で事務所に来てください。」
成歩堂は、そう言い残してその場を去った。
「(壺のことなのでしょうか・・・)」
頭に疑問符を浮かべながらも、いずれは弁償しなければならない相手なので、霧緒は少ししてから成歩堂の事務所に向かった。
362代償:04/05/07 21:00 ID:TQUftCci
霧緒はタクシーを使って、成歩堂の事務所に行った。
「こんにちは。」
「ああ、入って入って。」
成歩堂は、優しそうに迎えてくれた。
「あの・・・壺の方なんですけど・・・・今日はそのことで来たのですが・・・・私・・なんでもやりますから!」
「本当に何でもしてくれるのですよね・・・・」
「は、はい!もちろんです!掃除洗濯料理だって何でもします!!」
「だったら・・・これでもですか?」
いきなり成歩堂は、霧緒の後ろに回り込み彼女をソファの上に押さえつけた。
「キャッ!な、なにをするんですか!」
「あなたは、さきほどこういったはずです!『なんでもします!』と。」
「そう・・・です・・・・・」
「ならば、まずは一回抜いていただきます。」
いきなり、成歩堂はズボンを脱ぎそれを霧緒の前に出した。
「さあ、早くやってください。」
「はい・・・・・」
霧緒は成歩堂のそれを丁寧に舐め始めた。
「そうそう、そんな感じです。次は、口の中に入れてやってください。」
「う・・・・」
「どうしたんです。何でもすると言ったのではないのですか?」
「分かりました・・・・」

続く

363代償:04/05/07 21:30 ID:TQUftCci
霧緒は成歩堂のそれを今度は、口の中に入れた。
「んんん!・・・」
「息をするには、鼻で息をしてください。」
霧緒の口にあったそれは舐めていくたびに、大きくなるような感じがした。
「そろそろ出しますよ。口の中に出しますけど、苦かったら吐いても構いませんよ。」
「んんんん・・・・・」
それが、脈を打つ速さが早くなってきた。突然、霧緒の口の中に放出した。
その後、成歩堂は自分のそれを霧緒の口から出した。
「ゴホッゴホッ!・・・にが・・・・・」
「大丈夫ですか?・・・それにしても上手ですね。前に誰かと?」
「いいえ・・・ゴホッゴホッ・・・・・誰とも・・・・」
「(サイコロックが出ないと言うことは、彼女は初めてなんだ・・・・)」
自分とほぼ同年代とはいえ、まだ男を知らない彼女の体をむさぼるのは少々気が引けた成歩堂だったが、体は逆に興奮していた。
さっき、放出したばかりなのに、成歩堂は動き出し霧緒のノースリーブを脱がした。
「あ・・・・・」
霧緒が抵抗をする前に、脱がしてしまった。初めて男の前に、晒すであろう霧緒の体は、いっぺんの汚れもなくまさに芸術だった。
豊かなバストは、誘わんばかりに乳首が立っていた。くびれたウエストも霧緒の魅力の一つだった。
「綺麗だ・・・・」
その言葉に、霧緒は耳まで真っ赤に染めた。
「そんなに恥ずかしがらなくても・・・・すぐに気持ちよくしてあげます。」
成歩堂は、霧緒の乳首を口の中に入れて、舌で弄び始めた。
「ん!!やっ、あっ・・・」
刺激を受けて霧緒の乳首はさらに堅さを増した。
「ずいぶんと固くなりましたよ。」
舌で弄んである反対の方の乳首は、成歩堂の指によって擦る潰すように刺激されている。
「どうです?気持ちいいでしょう。」
「は・・・い・・」
霧緒の乳首を刺激することをやめると、霧緒は息を切らしていた。
「ハア・・・ハアハア・・・・」
「だったら、次は・・・・・・」

続く
364名無しさん@ピンキー:04/05/07 22:32 ID:k8nNTaJA
次は全部書き上げてから投下してください
365代償:04/05/07 23:00 ID:TQUftCci
成歩堂は、霧緒のズボンを下着ごと脱がした。
「きゃぁぁぁぁぁ!」
「無駄ですよ。最近、防音壁を強化したんです。どれだけ、叫ぼうとも無駄ですよ。」
「そんな・・・・」
「何でもしますと言ったのは貴方の方でしょう。それに、こんなに濡れていますよ。まだ触ってもいないのに・・・・」
その言葉に、霧緒はさらに赤面した。
「顔が真っ赤ですよ。大丈夫ですか?」
成歩堂はそう言いつつも、自分のそれを霧緒のヴァギナに入れた。
「あぁ!!!」
「ぎゅうぎゅう締め付けていますね。すごいな・・・」
「痛ッ!!」
「やはり・・・この年で処女なんてめずらしいですね。」
「そう・・なんですか・・・・」
「でも、僕は処女だろうと非処女だろうと関係有りません。」
と言って、成歩堂は霧緒にもっと深く差した。
「あああぁぁぁぁぁぁっ!!!」
「さあどうです!初めて男を入れた気分は!」
さらに、成歩堂は霧緒を持ち上げ突き上げてきた。
「ああっ!ああっ!ああっ!」

続く
366代償:04/05/07 23:01 ID:TQUftCci
突き上げられるたびに、嬌声をあげている。
「色っぽい声を出してくれるじゃないですか。どうです。気持ちいいでしょう。」
成歩堂は、衝くスピードを遅くしたり早くしたりして反応を楽しんだ。
「限界が来たようです・・・・」
「わ、私もです・・・・・」
ラストスパートとばかりに、成歩堂は腰を降り始めた。
「そろそろ、出そうです。」
その瞬間、成歩堂の精液が出た。
「ふぅー。」
接合部分を離すと、中からは白い液体と赤い血が混ざったような色の液体が流れ出ていた。
「霧緒さん大丈夫ですか?」
「だ、大丈夫です・・・それより、壺のことですが・・・ごめんなさい。」
「いいよ、いいよ。もういいって。」
「そうですか!ありがとうございます!!それから・・・・またやってくださいね・・・・」
「もちろん。」

終わり

後書き
このような駄文を最後までごらん頂き誠にありがとうございました。
367名無しさん@ピンキー:04/05/07 23:02 ID:xcGZicmC
そうですね…出来れば次回は全部書き上げてからの方が読者としても気が楽ですよ。
焦らしプレイな所なら納得ですが、ここはそれが主体な訳ではないので…
368名無しさん@ピンキー:04/05/07 23:43 ID:PKJJOcSl
まぁ、まとめてあげてくれないとレスしづらいってのはあるけど…

ともかくGJ!!
キリオ好きなんで嬉しかったり…
369代償の作者:04/05/08 00:01 ID:0VvPD31T
最初の「等価交換」よりもよいタイトルが思いついたので途中から変えさせていただきました。
今度の作品は、準強姦ではなく純愛にしようと思っております。
ちょうど、逆裁2の4話の霧緒と成歩堂にします。
370名無しさん@ピンキー:04/05/08 09:09 ID:yubU81AJ
小説に題名付けてる…最近ブームなのか?
371名無しさん@ピンキー:04/05/08 17:52 ID:W2lXypCu
>>370 自分がやったのがきっかけなのだろうか。
他スレでは結構つけてる人も多い。
NGワード指定して一括あぼんぬしやすくていいんじゃないかな。

とはいえ無理につけるようなものでもないので悩まずに〜>これから投下する職人神様方
372名無しさん@ピンキー:04/05/08 18:14 ID:5nx7ixPd
>>371
NGしたい人はスルーできるし、まとめて読みたい人はキーワード設定すればまとめ読みできる

専用ブラウザなら両方にメリットがあるッスよ〜
373名無しさん@ピンキー:04/05/08 20:06 ID:jWRlDltS
別ジャンルのまとめサイトの中の人としては
タイトル付けて貰った方が処理しやすい。

タイトルよりもカップリング表記をしてもらった方がありがたいかも。
374名無しさん@ピンキー:04/05/08 22:41 ID:Btjg3pVN
夏侯恩
375名無しさん@ピンキー:04/05/09 20:10 ID:ag6XbSyN
どことなく、作者が奴の作風に似ているのは気のせいだろうか・・・・・
376名無しさん@ピンキー:04/05/09 21:38 ID:kNkVQGlB
例の名古屋県民のことですか?
377名無しさん@ピンキー:04/05/10 08:38 ID:2IKTznHK
>>375
つーか本人だろ。書式見れば。
378名無しさん@ピンキー:04/05/10 12:54 ID:dWr5rk4v
処女なのにすぐに感じて逝ったりするのって、
フィクションとしてありなのか?
なんかあまりにもリアリティが無いのだが…。
(その点ミツマヨの小部屋の作者さんは凄いと思うけど)
379名無しさん@ピンキー:04/05/10 16:39 ID:invAHAGa
リアリティが有りさえすれば無問題なんだけどねぇ
380名無しさん@ピンキー:04/05/10 21:20 ID:qz6omAYf
痛くて泣き叫んだり、そもそも入らなかったりするSSばかりでも困りますが…
まぁ作者の自由としか言えませんや。
381名無しさん@ピンキー:04/05/11 00:26 ID:N7Db2ram
どなたか、御剣×真宵×成歩堂の3P長編を書いてください。
382名無しさん@ピンキー:04/05/11 00:28 ID:N7Db2ram
書いてくださった方には、必ずやお礼をします。
383名無しさん@ピンキー:04/05/12 09:35 ID:yILY2VSX
スレに厨が居付くと、まともな職人さんが逃げちゃわないか心配だ…。
384名無しさん@ピンキー:04/05/12 10:12 ID:fUSlOgcl
痛くて泣き叫ぶSSばかり書いてるような、まともでない困った職人ですけど逃げずに長編にチャレンジ中です
385名無しさん@ピンキー:04/05/12 10:33 ID:4miOt6cI
>>384
心待ちにしてますよ。
でも、たまにはすぐに感じて逝ってしまうSSも書いてくださいねw
386名無しさん@ピンキー:04/05/12 10:59 ID:fUSlOgcl
どうもTHXです。どりょくします……アハハ
387名無しさん@ピンキー:04/05/13 01:09 ID:WqXE5FeU
最初が痛くても、回数を重ねる度に変な気持ちになっていって
私どうしちゃったの?っていうのも捨てがたい。
388名無しさん@ピンキー:04/05/13 01:33 ID:CF1oXvOL
既に何度かニャンニャンしているという前提が必要だな。
ナルホドに開発されるマヨイ…とてもいい!
389名無しさん@ピンキー:04/05/13 06:44 ID:2dkJBOmn
久しぶりに聞いたぞw>ニャンニャン
390名無しさん@ピンキー:04/05/13 16:30 ID:6dEKqESu
書こうと思ってたりするんだがマイナーカプ投稿したらキレる人手ぇ上げて。
391名無しさん@ピンキー:04/05/13 17:00 ID:uRSDXNR3
>>390
男同士以外なら何でもOK
392名無しさん@ピンキー:04/05/13 20:06 ID:WqXE5FeU
>>390
むしろ歓迎。
393390:04/05/13 21:39 ID:sMBfw+3S
>>392
ありがd。(嬉涙)
俄然やる気が出ました。頑張ります。
394名無しさん@ピンキー:04/05/13 23:38 ID:qw8LXJ1d
>>390
ガンバレ! ちなみにカプは何?(*´∀`)

あと自分は>>381ではないんだけど
澁澤龍彦の当時妻だった矢川澄子が、夫(澁澤)が寝てるその横で
夫の親友とセックルしたことがあると最近聞いて
ちょっとひいたけどこの3人に置き換えたらハァハァしてきた。
当方ミツマヨ者の>>384なもんだから手がまわらないんだけど、
なんかむしょーに書きたい読みたいになってしまった。

オチは「実はナルマヨラブラブで、SMプレイの一環でナルホドが御剣をそれとなくけしかけるためにお膳立てしてた。
(当然狸寝入り) 後日、雨降って地固まるでナルマヨ更に愛が深まる。ミツだけ( ゚д゚)ポカーンでいい面の皮」とか。
ああー誰か書く人いないかなぁ……!!
395名無しさん@ピンキー:04/05/13 23:46 ID:ENTfFRmG
>394
うわ、それむちゃくちゃ萌え。
396名無しさん@ピンキー:04/05/15 00:21 ID:71W5OrbH
>>394
自分の希望としては、2人でヴァギナとアヌスに挿入などの、2人がかりの激しいプレイを希望!
397名無しさん@ピンキー:04/05/15 00:25 ID:71W5OrbH
>>390
自分はマイナーカプ賛成派の人間なんですよ。
夏侯恩氏がお書きになられた、成歩堂×マコや岡×マコには大賛成なんです。
あーあ・・・どなたか投下してくださらないかな・・・
398名無しさん@ピンキー:04/05/15 10:08 ID:pDxDPtxh
夏候恩氏って有名な人なの?
(あの調子で書きまくってたら有名にもなるだろうけど)
もっと文章に肉付けせえよ、って感じのは
どこかで見たことがあるような気がするなぁ。
399名無しさん@ピンキー:04/05/15 16:11 ID:A/JmMz2W
>>398
結構有名だと思います。
>>225-248は非常によかったですが・・・>>257-269で厨房であることが発覚しました。
400名無しさん@ピンキー:04/05/15 16:16 ID:h5VxzDNn
>>398
夏候恩についてまとめてみると、
消防を自称するコテハンで主に真宵スレ、霧緒スレに生息する。
携ゲ板をバレバレの自演(本人はばれていないと思っていた)とセンスの欠片も見受けられない巨大AAで荒らしまわり、
二度“透明”あぼーん食らってもしつこく荒らし続け、ついには削除人もさじを投げる。
その後何を血迷ったかマヨイスレの自分以外のすべてのレスに削除依頼を出す。
しかし削除整理板が強制節穴だと知らずに書き込んだためホストから住所を公開されて現在は名無しで書き込んでいる(これもバレバレだが)。
401名無しさん@ピンキー:04/05/15 23:24 ID:fBVdBTZl
タッチパネル付き二画面携帯ハードで逆転裁判キター(゜∀゜)ー!

タッチパネルであんなところやこんなところをぷにぷにしたり、
上の画面でシリアスに下の画面でエロパロに(裸で裁判とか)進行できたらイイネ!

スレ違いスマソ
402名無しさん@ピンキー:04/05/16 21:36 ID:M8mjgN4k
マイナーカプ投稿しようと思ったけどその前から手掛けていた物も在るので、
それからまず処理して行こうと思います。(何それ)
403ミツメイ依存:04/05/16 21:41 ID:M8mjgN4k

時を同じく生きていても、隔てられた『場』は時として苦しめる。
寂しくとも、辛くとも…触れられずとも生きなければならない。

『彼女』は色あせず、『彼』は立ち止まらず。

−依存−

だるい……
目覚めて一番始めに思った事が、それだった。
外界はけたたましい車のクランクションで溢れ返り、下品な笑い声まで聞こえて来る。
眉をしかめながら、狩魔 冥は上体を起こした。
ここ最近、ずっとだるい。
体調的に言えば、何ら問題は無いのだが、何と言うか覇気が出て来ないのだ。
日本を去り、アメリカに戻った時から。
(今日の予定……)
ぼんやりとした頭で、冥は枕元に置いてあったスケジュール手帳に指を延ばした。
普段は長袖によって隠されてしまって見られない、白くしなやかな腕、これまた普段は
お世辞にも清楚さを感じさせるような物は無い黒の革手袋によって隠されていた細い指を、
シーツに這わせながら、冥は目的の手帳を手に取り、ぼんやりとその内容に目を通した。
タンクトップ姿の彼女はその無防備でしなやかな肢体を見せていた。
(……)
予定に目を通しながら、冥はうんざりしたように溜息を吐く。
毎日毎日、同じような事ばかり。
彼女がまだ日本に居た頃は、こんな事は無かったのに。
それは、あの騒がしい弁護士が居たから?
違う、絶対に違う。
冥は首を振りながらスケジュール帳を閉じ、洋服ダンスへと歩いた。
そして、今日着る服を手に取り、手早く着る。
彼女にとっては無駄に時間を浪費する事はそれこそ愚かであり、
一分一秒でも仕事に専念させていた。いや、仕事に専念する事で、
この正体不明のだるさをかき消そうと思っていたのかもしれない。
404ミツメイ依存:04/05/16 21:42 ID:M8mjgN4k
「………」
冥はちらり、と彼女のプライベートデスクの方に目をやる。
そこには一枚のカードが在った。
(・……成歩堂…龍一)
彼に勝った事は遂に無かった。
彼は裁判の結果でも、人間としても彼女の上を行っていた事を、痛感したのだから。
「…やっぱり、だるいわ」
そう呟きながら、冥はそのカードを手に取り、じっと見る。
サザエの絵に描かれた水性マジック(としておこう。どちらにせよ油性か水性かはさほど問題ではないのだから)の線。
そして、女性の書体でそこには『なるほどくん』と書かれている。
こんな絵を描く事が出来た人物は、ただ一人。
「綾里 真宵…」
ぽつり、と冥は呟いた。
彼女はどうやら自分と同じ歳らしいと言う事が分かった。そして、彼女はまた誘拐されたとも聞く。
それが本当だと言うのなら、彼女の芯の強さに敬服してしまうだろう、と冥は思った。
自分がもしも誘拐されて、殺されそうになっていたら?
恐らく彼女ほど冷静に居られなかっただろうし、絵を描くなんてもっての他だろう。
冥は、自身が弱い事をやっと理解した。いや、直面出来たと言っても良い。
今まで彼女は偉大な、脅威にも近い『狩魔 豪』言う、偶像を頼りに生きていたのだから。
それは、『依存』と言う形で彼女を支えていた。
だが、今の彼女は違う。
彼女はその『依存』から抜けたのだ。
『彼』のお陰で。
「レイジ…」
目を細め、少し心細そうに彼女はその名を呟いた。
405ミツメイ依存:04/05/16 21:43 ID:M8mjgN4k
彼は、アメリカへは付いて来なかった。当然だ。アメリカに進む事を選んだのは他でもない冥であって、
それに対して彼、御剣 伶侍は何の関わりも無いのだ。
(少しは……手紙や電話くらいくれたって良いじゃない)
すねたような表情で冥はプライベートデスクから目を逸らした。
普通ならこちらから電話を入れられるなら入れるのだろう、と彼女は思った。
だが、彼女がそうしないのには訳が在った。
御剣は、あの空港で、自分が今どんな立場に居るのかをあの後教えてくれた。
あの、思わず冥が泣いてしまったあの後。
彼はこれから諸外国を渡り、勉学に励む、と。
となると、住所は分からなくなってしまうのだ。
今彼が居る国さえ分かれば検事局に連絡でも入れるのだろうが、流石に公私を混合させる訳には行かない。
そして、彼の住所が分からないから電話も入れられない。
いや、携帯を彼は持っているはずだ。
が、プライドの高い冥は、どうしても自分から手紙を書いたり、電話を掛けたりする事を許さなかった。
冥はうんざりと首を横に振って雑念を払ってから、朝食の食パンに手を延ばした。
406ミツメイ依存:04/05/16 21:45 ID:M8mjgN4k

一体、自分はどうしてこんなに弱くなってしまったのであろうか。
『父』と言う依存できる物を失ってしまったからであろうか。
それとも……空港で御剣に出逢ってしまったから、であろうか。
どちらにせよ、以前は一人で過ごせていたアメリカ生活も心苦しく、そして耐える事にも
苦痛を感じてしまうほどの物となってしまっていた。
それが、誰かが傍に居れば何か気を紛らわせる事も出来ただろうが、あいにく彼女は家からも独立し、
一人暮らしをすると言う道を選んだのだ。
それを、今更「寂しいから話を聞いて」何て言うのは気が引けた。
だから、彼女は仕事を選んだ。
仕事量で、公務員は給料が増える訳ではない。
だが、彼女は何とかして気を紛らわせたかった。だから、以前は時間の浪費と言って、
しなければならなかった場合以外はしなかった残業もするし、進んで審理も受け持った。
それが逃げだと言う事は、冥自身にも分かっていた。
けれど、すがり付く事が出来ない今、何か他の物に逃げなければ、きっと自分は何も出来なくなってしまう。
冥はそれを恐れ、ひたすらに仕事に集中した。
「Mei, What's the matter with you recently? You seem to work very hard.」(最近どうしたの、メイ? あなた少し仕事しすぎじゃない?)
「……Not at all. I only want to do my business work.」(別に。ただ仕事がしたいだけよ)
「mmm…It might be a lady to live solely for working?」(んー、仕事に生きる女、って事?)
「Yes」(そうね)
同僚の言葉にさらりと答え、冥はデスクに顔を向けた。
407ミツメイ依存:04/05/16 21:46 ID:M8mjgN4k
そこには大量の書類、そして冥の所持品が在った。
この大量の書類も、気を紛らわせるために処理をする冥にとっては数日も掛からないような仕事ばかりであった。
「バカね、本当に」
ぽつり、と冥は呟き、デスクの上に置いてあった自分の所持品の内、鏡を手に取って、そこに映る顔を見た。
疲れたような表情。
毎日をほぼ無駄に生きてますといわんばかりに、その瞳は疲れの色を隠さずに居た。
「どうして私は…こんなにも情けない顔をしなければならないの?」
冥にしては珍しく弱気な発言であった。だが、それを聞けた人物は恐らく冥以外には居ないだろう。
本当に独り言のようにぽつりと言っただけなのであるから。
それから彼女は机の上に乗った書類に手を延ばした。
「Hey. A fiend for work,Miss.Karuma.」(やあ、必殺仕事人)
「I don't like that name. Stop your calling.」(その呼び方止めなさい)
同僚に茶化され、冥はムッとしながら答える。それを見て同僚は苦笑する。
「Sorry, sorry. Please not to anger so.」(いやあ、ごめんごめん。そう怒るなよ)
肩をすくめながら同僚が冥の表情を伺う。
アメリカ人は日本人と違って率直な意見を言い合うのだ。だからこそこう言う冗談混じりの会話も出来る訳で。
「It might increase a wrinkle if you devoted all your energy to.」(あんまり根を詰めると、シワが増えるぞ)
「Leave me alone. 」(うるさいわね、自分の仕事でもしたら?)
同僚に半ば皮肉混じりに笑ってやると、同僚は声を立てて笑った。
「Miss. Karuma. You have changed a lot. Had you worked so greedy?」(随分と変わったな、狩魔検事。そんなにがっつくほど仕事をしてたか?)
曖昧に肩をすくめると、同僚も流石に心配そうな表情になる。
その表情を見て、冥は手をヒラヒラと振る。
「Don't mind. I feel not to be bad occasionally.」(気にしないで。たまにはこう言うのも悪くない)
そう言った時、冥は検事局長に呼ばれた。思わず顔を上げ、同僚と顔を見合わせる。
「Our Attorney General seems to be anxious too.」(検事総長も心配の様子だな)
「Nonsense.」(バカね)
フッと軽く笑ってから、冥はデスクを立ち、総長室へと向かった。
408ミツメイ依存:04/05/16 21:48 ID:M8mjgN4k
…部屋に入って来た冥の姿を見てから、検事総長は深い溜息を吐いた。
「When have you became thin,Miss Karuma?」(狩魔検事。何時からそんなにやつれたのかな?)
「No problem,sir. And what is my task?」(ご心配無く、総長。それより話とは?)
「I take you the plan that you should go to Japan.」(実はとある理由から君に日本に行くように向かって欲しい)
「To Japan?」(日本へ?)
いぶかしげな顔を擦ると、総長は手続きの書類を冥に見せた。
「Perhaps there is less the people why you are called.」(君が日本に呼ばれるとは…大した人材不足なのだろう)
総長はそう言ってから、「And finish.」(以上だ)と言って冥を部屋から出した。
冥は書類に目を通しながら、難しい顔をする
「? 弁護士欄が空白じゃない」
空白になった弁護士の欄を見ながら、冥はそんな事を呟いた。
弁護士欄の埋まっていない書類を見るのは初めてだった。だが、国選弁護人も居るはずだし、別に気にしなくても
良いと冥は思った。大体、あの何でも在りのあの国の事だ。こうした書類もアリかも知れない。
だがしかし、もう少し何とかならないだろうか。幾らいい加減な国とは言え、国選弁護人の受け手も無いのに
検事だけを、しかも外国から呼ぶなどとは。非常識にも程が在ると言える。
冥は自分のデスクに戻り、はー、と溜息を吐いていた。
日本に渡る手続きをしなければならない。面倒臭いが、仕方の無い事である。
「……日本に今更行っても…」
冥はうつぶせになる。
(今更、行っても…レイジは居ない……)
彼は、諸外国を渡り歩く男なのだから。
冥はうんざりしながらしばらくの間デスクにその身を預けていた。
やはり、だるかった……
409ミツメイ依存:04/05/16 21:50 ID:M8mjgN4k

日本に着いた冥は、何処か一種の思慕を抱きながら約一年ぶりの日本の光景を楽しんだ。
楽しむ暇が無い事くらいは分かっているものの、自分が自分として立つ事が出来たこの国を、
いとおしく思わずには居られなかった。
(そう言えば、この時期にレイジも日本に帰っていたのよね…)
一年前の、自分が受け損ねたあの事件。あの事件も、そう言えばこれくらいの気候であった。
ただ違う所と言えば、その事件は3月で、今は2月だと言う事だ。
「……」
立ち直って、新たに歩き始めた自分の姿を、見て欲しかった。
特に、見知った顔が居るこの国では。他の誰よりも、御剣に冥は自分の姿を見て欲しかった。
心配しなくても、もう一人でやって行ける、と。
プルルルル……プルルルル……
突然、電話が鳴った。冥は顔を上げ、携帯を取り出す。
そして、画面を見て目を見開いた。
急いで冥は通話ボタンを押す。
「……」
声が出て来ない。
『ム……もしもし…?』
電話の向こうから、男性の声がした。それは、画面に移った物と同じ名を持つ男の声。
「…レイ、ジ?」
『もしもし、メイか?』
一瞬、めまいがした。
この電話の向こう側に、あの男が居る。
「何よ、何か用でも在ると言うの?」
こっちには何も無いわ、とそう冷たく言って、冥は電話を切ろうとした。
『待て。用事が在る人間に対して、一方的過ぎではないだろうか、メイ?』
「私は色々と周らなくちゃならないの。暇人のあなたと違って。そうでしょう、ミツルギ レイジ?」
皮肉を交えて電話の向こう側の人物……御剣 伶侍にそう言うと、
『暇人か、そうだったら良かったな』と向こうで苦笑する御剣の声が聞こえた。
410ミツメイ依存:04/05/16 21:53 ID:M8mjgN4k
「それで? 用事は何よ?」
『ム? 色々と周らなければならないのではないか?』
「ついでだから聞いてやるって言ってるのよ」
精一杯虚勢を張って言ってやると、電話の向こう側で御剣が「フッ……」と笑うのが聞こえた。
かなり癪に触ったが、こんな所で小さないざこざを初めても、互いにメリットが無い事くらい分かっていた冥は、
言おうと思っていた文句を喉の奥に押し留めた。
『今、キミは日本に来ている、そうだな?』
「そうよ。人材不足の日本が検事要請の書類を送って来たの」
『そうか、人材不足、か』
心無しか笑いを堪えているような声である。冥は眉をしかめた。
『泊まる場所は確保してあるのか?』
「まだよ。ビジネスホテルでも取ろうかと思っているけど」
『その事だがな、メイ……』
御剣が少しそこで言葉に詰まる。だが、それもたった一瞬の事であった。
『メイがもし良ければだが……私の家に寝泊まりしても良いと思っているのだが』
「……」
一瞬、携帯を投げ捨てようかと思った。
誰が、誰の家に、何をすると?
『いや、メイが嫌ならば、別に良いのだが』
その沈黙を拒否と取ったのだろう、焦った御剣が慌ててフォローを入れる。
「別に、嫌とは言ってないでしょう!」
そのフォローについ反射的に冥が叫ぶ。
少し言ってから冥は焦ったが、ここで平常芯を取り戻さなければ、どんどん自分のペースを失ってしまう。
411ミツメイ依存:04/05/16 21:54 ID:M8mjgN4k
「どうせ、空家同然なんでしょ? レイジも居ない訳だし。丁度良いわ」
『ム……』
「嫌だと言うと思った?」
『思った。少々』
「バカね、本当に」
あなたも、私も。
口に出さず、冥は唇を動かした。
「所で、私がもしも嫌だと言ったらどうしてたの?」
『別に……キミが嫌ならば仕方ない。いや、だが……』
「何よ」
『嫌よ嫌よも好きの内、とは良く言うからな』
何よそれ! と言ってから、冥は一方的に電話を切った。
『好き』。
ただその一言を、単語だけでは何でも無い言葉を、御剣が言った。
茶化しながらでは在るけれど、間違い無く冥に対して。
それが例え、冥に直接降り掛かる言葉でなくても。
後から頬が紅潮する。
「バ、バカはバカな考えにバカのバカらしさを知った方が良いみたいね!」
御剣のわりと呑気な口調を思い出し、冥は頭を激しく振った。
それからまた、黙ってしまう。
(……レイジが今何処に居るのか、聞くの忘れたわ…)
まあ、良いか。冥はそう思った。
どうせ外国から通話をしたに違いない。
そう冥は決め付けて、御剣が住んでいた家へと向かった。
412ミツメイ依存:04/05/16 21:55 ID:M8mjgN4k
……検事局の手続きだの何だのが在ったで、御剣の家に冥が着いたのは、もう日が暮れた時刻であった。
冥は荷物の中から御剣の家の鍵を取り出す。
実はあの空港で、御剣は冥に自宅の鍵を手渡していたのだ。
−私は諸外国をこれからも渡り歩く−
−その時に……私が鍵を万が一落としてしまったら、自宅に二度と戻れない−
−だがメイ、キミはアメリカに滞在している−
−だから、この鍵はキミに持っていて欲しい−
−万一キミが日本に行く事になった時に、無駄な金を使いたくないだろう−
−それに……−
そう言って、彼が少し照れて目を逸らした、あの表情を忘れない。
−私が日本に帰る事になった時に……少しでもキミに逢えるように…持っていて欲しい−
(バカ、バカなんだから、本当にっ!)
思い出すだけで、冥は顔が熱くなるのが分かった。
実を言うと御剣から電話を貰うまでは、今まですっかり御剣から鍵を預かっている事など忘れてしまっていたのだ。
鍵と、ドアノブ部分の金属の擦れる音が響く。
乾いた音を立てて、掛けられていた鍵はあっさりと解かれた。
その手で、開ける事は恐らく無かったであろうと思っていた、御剣の家の扉を開いた。
冥はスーツケースを抱え、家に上がった。
さて、これから夕食の買い物に行かなければならない。
急ぎの用であったので、スーツケースを持ったまま検事局には行ったが、
流石にコンビニやスーパーにまでスーツケースを転がしながら歩く勇気は持てない。
(……何、この匂い?)
冥は眉をしかめ、鼻孔をくすぐる香りをしばし探求した。
どうやら食物の香りらしい。しかも、それが腐敗しているような香りではない。
スーツケースを置いたまま、冥は内部へと侵入する。
413ミツメイ依存:04/05/16 21:56 ID:M8mjgN4k
ある扉で、冥は立ち止まった。
(この部屋から、ね)
意を決して冥はその扉を開いた。
途端、ふわっと調理された物の良い香りが広がった。
だが、それに酔いしれる前に、冥は愕然としていた。
男性の後ろ姿が、その部屋に在った。
背は170センチ台。
がっしりとした肩幅。
「レイジッ!?」
冥が思わずその後ろ姿にすがり寄った。
「メイか?」
だが。
振り返ったその男性の、あまりにも似つかわしくない姿に、思わず冥はうろたえてしまったのだ。
エプロン。
切れ長の、伶利そうな瞳を持ち、顔も整った、そして極め付けは、数年前までは鬼検事と呼ばれていた男が。
調理の為によれよれになって汚れてしまった、元・純白の(しかし真中にクマのアップリケが付いている)
エプロンを着ているのだ。
「随分と早く着いたものだな」
しれっと言う御剣の足元に、牽制の鞭が叩き付けられていた。
……
414ミツメイ依存:04/05/16 21:57 ID:M8mjgN4k
「大体どうしてあなたがここに居るのよ!」
諸外国を渡り歩いているはずじゃなかったの!? と半ばヒステリックに叫ぶ冥に、御剣は「フッ…」と笑った。
「いや、誰もたった一つの鍵を預ける訳が無いだろう。合鍵だ、合鍵」
「そ、そう言う事を言ってる訳じゃないのよ! どうしてあなたがここに……」
「自分でも中々の出来だと思うのだが。このちらし寿司」
「そうね、あなたにしては中々…って、違う!」
「錦糸卵には一苦労したが」
「薄く焼かなくちゃならないからそれはそうで…話を聞きなさいって!」
「まずは食べた方が良いのではないか? 箸が泳いでる」
「〜〜〜っ!」
冥の空腹を察知したのか、御剣はそんな事を言いながら目の前に広がるちらし寿司に箸を入れる。
「……で、何でちらし寿司なのよ。一人身のクセに」
「ム……?」
御剣はきょとんとした顔になった。
「それは勿論、メイが日本に来るからに決まっているだろう」
「私がレイジの家に泊まる気が無かったらどうするつもりだったのよ」
「だがキミは来た」
「結果的にでしょう! それに、まだ質問に答えて貰ってないわ。どうしてあなたが日本に居るのよ!」
苛立ちながら言う冥の姿を見て、御剣は思わず吹き出す。
「やれやれ……キミはちっとも変わっていない」
「なっ…!」
「そうした口うるささだけは相変わらずだな、メイ」
「う、うるさい! 私が変わったか変わらないかは……」
「日本に居た理由、聞きたくないのか?」
御剣の言葉に冥は思わず箸を折ろうかと思った。
(全然人の話を聞かないんだから!)
唇を噛みしめながら、冥は御剣の事を睨んだ。
415ミツメイ依存:04/05/16 21:57 ID:M8mjgN4k
「実はとんでもない厄介な男に呼ばれてな。急遽この日本に来る事になった。私も今日着いて色々していた次第だ」
「へえ。私と同じね。人材不足の検事局まで行って、明日の裁判の手続きまでしたのよ」
「ほう」
随分と面白そうに御剣は感嘆の声を上げる。
「信じられる? 明日の裁判よ? まあ、時差が在ったし、ジェット機をチャーターして来たから
まだ余裕を持って来たけど」
そう言って、冥は肩をすくめる。
「本当に驚いたわよ。向こうで書類を受け取った時、受け取った日付の翌日に日本で裁判って在るんだもの。
時差の事をすっかり忘れて大慌てしたわよ」
「そうだな。出したのは昨日の夜だからな」
「……何の話よ?」
「いや、こちらの話だ」
そう言って、彼はちらし寿司を頬張った。
416ミツメイ依存:04/05/16 21:59 ID:M8mjgN4k

何だかんだと言っておきながら、結局冥は御剣の家に滞在する事にしたのは変わらなかった。
大位置、彼と冥は好敵手として、姉弟同然にそだったのだから。今更、とやかく言うような意識は無い。
表向きは、ではあるが。
ただ、ちょっとした気の回しは彼もするもので、家事などは気にしなくても良いとか、風呂は出来ているとか
(要するに、先に入浴するように、と言う事なのだ)、そうした気の使われ方をされるたび、
彼の優しさに従いながらも何処かで不満を感じていた。
(どうして気を使うのかしら?)
脱衣所で服を脱ぎながら、冥はそんな事を思う。
こんなバカ丁寧な関係なのであろうか。自分達の関係とは。もっと……
(『もっと』何よ! 私のバカ!!)
思わず冥は頭から雑念を払うべく、首を横に振った。
そして、そのまま冥の身体の秘めた部分を隠していたその下着を脱ぎ捨てた。
それから、まじまじと自分の身体を見詰めた。
白い肌に、二つの胸の膨らみ。恐らく、体型を考えれば並、いや人並み以上には在るのではないだろうか。
きゅっと引き締まったウエストが、ふくよかなその胸を支え、なおかつヒップとのバランスも保っている。
すらりと伸びた、必要な筋肉を残しながらも、贅肉などの無駄の無い足。
その足で、冥は浴室へと入る。
身を包む濃い湯気が、冥の肌をじっとりと濡らして行く。
冥は切な気にその湯気をまとわせながら、湯舟から湯を掬い、自身に振り掛けた。
熱い湯が、この寒い季節には心地好い。
心身の冷たさが一気にほぐれて行くのを、冥は感じていた。
417ミツメイ依存:04/05/16 21:59 ID:M8mjgN4k
何時の間にか、ここ最近感じていただるさも無くなっている。
だが代わりに、どうしようもない苛立ちを感じていた。
冥は黙って洗う作業に入る。
そのつややかな髪を、身体を。
そして、洗われた物は全て、後に掛けられた湯によって流されて行った。
「……」
冥はそっともう一度、自身の身体を見詰める。
湯を被り、その柔らかな肌は、てらてらと輝いていた。
思わず自分でもぞくりとするのは、自身を自分の目で犯しているからであろうか。
その輝きを消すため、冥は浴槽の中に入った。
(…この姿を見ても、レイジは何もしないのかしら)
ぼんやりとそんな事を思ってから、はっとする。
「バカみたい…何でそこでレイジが何かするかを考えなくちゃならないのよ」
馬鹿馬鹿しい、と思いながら、冥は上気したまま湯に顔を付け、湯から顔を出すとふるふると振った。
そして、何気なく自分の鎖骨から下部を見詰めた。
白い肌に、起伏が見える。その上半身の膨らみの先端には浮き上がっているような薄桃色。
その色の中心部を、冥はそっと指で撫ぜる。
すると、そこはにわかに膨らみ、堅いしこりとなって指に形を伝える。
「ふ……ぁ、うっ…」
先端を指先でいじりながら、冥はあえぎ、ふう、と熱い吐息を吐いた。
どうしようもなく身体が熱い。
「ぁ…ん……はァッ………」
これはきっと、湯のせいだと冥は何とかそう思いながら、それでも自身の身体に指を這わせた。
指先は、胸元から腹部へと移動する。
「……ン…ぅっ」
そのぎこちない動きに、思わず冥は微かにあえぎ続ける。
何故、突然こんな事をしてしまっているのか。冥はぼんやりとそんな事を思いながら指を動かし続けた。
その腹部に在った指先が、下腹部へと移動した時。
418ミツメイ依存:04/05/16 22:00 ID:M8mjgN4k
「メイ、ここにタオルを置いておくぞ」
「っ!!」
脱衣所から御剣の声が響いた。思わず冥は息を呑み、びくりと身体を震わせた。
「……メイ?」
「あ、その……良いわよ、何処だって!」
再度御剣に呼ばれ、冥は思わず声を張り上げた。
何たる痴態だ。人様の家で、その……自身の慰みを行おうとするなど。
一方声を張り上げられた御剣はしばし驚き黙っていたが、やがて「ム……そうか」と言って出て行った。
冥がそろそろと脱衣所を覗き込むと、そこにはバスタオルとバスローブが残されていた。
彼なりの気の使い方だったのだろうが、逆に冥は顔を青くする。
(もしかして、今の……聞かれた!?)
自分としては声を抑えていた。いやそもそも他人の家でそうした行為を行う事がまず常識に
のっとって考えればおかしいのでは在るが。
だがそれを抜きにしても、今の行為を冥は御剣にだけは聞かれたくなかったのだ。
何故かは自分にも分からない。
ただ、御剣に聞かれてしまったのかと思うと、嫌な冷や汗が流れるのと、それに相対して
身体中が熱くなる感覚がするのだ。
(バカッ、バカバカッ! こ、こんな所で…っ)
今でも思い出すだけで恥ずかしい。何故、あんな痴態を晒してしまったのか。
もし聞かれていて、軽蔑でもされていたら?
(そんなの、絶対イヤッ!)
ぶんぶんと冥は顔を左右に振る。水気を含んだ髪が遠心力で振り払われては肌にべっとりと付き、
振られた拍子に水滴がぱたたっ、と浴室の床に音を立てて落ちる。
「………最悪」
冥は呟き、浴槽内につっ伏した。
恥ずかしくて死にそうであった。
419ミツメイ依存:04/05/16 22:01 ID:M8mjgN4k

風呂から出た後、少々風に当たってから、冥は御剣の家のベッドの一つに寝転がる。
どうも調子が出ない。
アメリカに居た頃はだるかったが、それでも自分なりの調子は出していた。
それなのに、日本に来てから何かがおかしい。全ておかしいと言っても良い。
「……」
極め付けは、やはり浴槽での出来事だろう。あれを聞かれたにしろ、聞かれなかったにしろ、
今の冥にとっては致命的な出来事であった。
全てが嫌になり、冥は顔を枕に埋め、溜息を吐いた。
「嫌いよ……本当に」
うんざりしながら、冥はそんな事を一人呟く。
今の冥にとっては自分が嫌いだった。
有り得ない醜態をことごとく晒け出し、自分なりのペースすら出せずに居る。
「レイジ……」
こんなにかき乱されるのも、きっと彼のせいだと、冥は思った。
事実、御剣に逢ってから調子が狂いっぱなしなのだから。
こつ、こつ。
「メイ、起きてるか?」
「きゃあっ!」
いきなり扉をノックする音と御剣の声が聞こえ、冥は叫んだ。その悲鳴にたじろいだらしい。
回り掛けていたドアノブが、かちゃり、と元に戻された。
「あ、開けるのをためらわなくたって良いわよ、別に!」
冥が焦ってそう言うと、ドアが開かれた。
そこには、相変わらずの仏頂面が在った。
「何よ。レイジ」
「いや……その、何だ…キミがもしも良ければ…」
「嫌よ」
きっぱり言ってやると、御剣は絶句してしまった。
心無しか、その瞳には寂しさをたたえているような気がする。
420ミツメイ依存:04/05/16 22:03 ID:M8mjgN4k
その反応を楽しんでから、冥は肩をすくめる。
「冗談よ。むげに断る訳無いでしょう。弟弟子の言う事を」
「ム……」
少し不満気な、それでも少し嬉しそうな声を上げる。
「で、何の用?」
「その……ええと、そうだな…」
御剣は少し微妙な表情をする。その表情は、「非常に言いにくいのだが」と言う言葉の現れである。
「言わないでうじうじされるのは迷惑だわ」
「そうか…」
冥の言葉に、御剣はうなずいた。
「その、今日はキミと一緒に寝ても良いだ…うおっ!」
御剣の言葉が終わる前に、冥の鞭が唸っていた。間一髪の所で御剣は避ける。
421ミツメイ依存:04/05/16 22:04 ID:M8mjgN4k
「危ないではないか」
「狙ったんだから当然でしょう!」
「故意にしたと言うのか?」
「それ以外にどう言えると?」
「ジョークかと」
「良いわよ、ジョークでも」
「いや、でもまあこちらが危害を加えられた訳だから、ジョークでは済まないな」
「危害を加えて何が悪いと言うの?」
「何が悪いも何も、暴力は良くない事だぞ」
「フン、偽善的な事を言う内は、まだまだ甘いわ」
「いや、これは法で定められた事であってだな」
「知らないわよ、そんな事」
「ほう、検事のキミがそんな事を言うとは」
「違うわ、あなたの言い分なんか知った事は無い、と言ってるの」
「鞭を振るったのは事実だろう」
「あなたが変な事を言うからよ!」
「私は別に、変な事を言った覚えは無い」
「とんだお気落者ね。だから私の鞭がうなるのよ!」
「暴行罪で訴えるぞ」
「公然猥褻罪で起訴するわよ」
「何故だ」
「分からない!?」
「うム。何とも」
「………呆れた。それは気の悪いジョーク? それとも本気?」
「私は何時でも本気だが」
「タチが悪いっ!」
また再び冥の鞭がしなやかに動いたが、やはりそれを御剣は避ける。
「訴えるならそれなりの理由を聞かせて貰おうか。検事たる物、根拠無しには起訴出来ないからな」
「それは……ッ」
422ミツメイ依存:04/05/16 22:04 ID:M8mjgN4k
冥はその理由を言うのをはばかれた。
彼の言った言葉は、冥にとっては、暗に『一夜を共に過ごそう』と言われていると認識された物である。
厳密に言えば、公然猥褻罪は猥褻な行為を行った事により成立する罪刑であり、
御剣はそうした行為を行った訳ではない。また、言動だけを取って『猥褻物頒布等罪』と見なそうとしても、
それは悪戯に性欲を興奮・刺激させ、一般人の正常な性的羞恥芯を害し、善良な性的道義観念に反する物にしか
適応出来ない。
御剣の言葉は、その条件に達してなどいないのだ。
「……」
黙っているのを降参と取ったのだろう。御剣はふふんと鼻を鳴らした。
「言いがかりで起訴をされては堪らないな」
「……っ!」
悔しさに、思わず冥は唇を噛み締める。
「それで、どうしてメイは私の発言に鞭など振るったのだろうか?」
「それは、レイジがっ!」
そこまで言って、冥はぐったりとなる。
駄目だ。この男には常識(?)は通じない。
「今度から、女性に対しての言葉をもう少し勉強する事ね」
「? 何故だ?」
「良いからっ!」
ぺっと言ってやると、流石の御剣も「ムぅ…」と唸り、しょんぼりとなった。
「で、どうして私と一緒に…その……寝るなんて言うのよ」
「その……恥ずかしい事なのだが」
そう言って、彼は苦い表情をしながら頬を軽く掻く。
「電球が切れてしまっていてな。電球の替えが無い」
「だったら部屋の明かりを全部消せば良いじゃない」
冥が言ってやると、「そうできたらどれだけ良いか…」と、ぽつりと御剣が言った。
「どう言う事よ?」
少し気になって、冥はベッドに腰かけるように御剣に言った。
言われるままに、御剣はベッドの淵に腰かける。
423ミツメイ依存:04/05/16 22:06 ID:M8mjgN4k
「……その」
重々しく、御剣が口を開いた。
「………怖い、と言った方が良いのだろうか」
「え?」
およそ似つかわしくない言葉に、冥は目を丸くする。
「暗闇が怖い、って言う事?」
「そう、だな」
御剣はうなずき、ふぅ、と溜息を吐いた。
「十数年前の、あの事件を知っているな?」
「……当然でしょ」
御剣はその事件の被害者であるのだから。そして、冥にとって、関わりが無いとは
言い切れない事件であったから。
「あの事件で……私は、明かり一つ無い暗闇が怖いのだ」
「!」
「いや、勿論地震の時のような、ガクガク震えて身動き出来ないと言うほどではなく、
微かに身震いする程度の、そんな恐怖心だ」
そうだな、お化け屋敷に入った者の気分か、と自嘲気味に御剣が言った。
「だから、出来る事なら私は豆電球を点けたまま寝たいのだが…私が寝る部屋は
切れてしまっていたのだ」
寝室は他に無いのだ。そう言って、しょんぼりとしている御剣の姿を見て、冥は微かに微笑んだ。
そんな気がした。
「そう言う事は先に言いなさい。全く」
溜息混じりにそう言ってから、冥は布団の中に潜り込んだ。
424ミツメイ依存:04/05/16 22:06 ID:M8mjgN4k
御剣は何故かきょろきょろとしている。
「どうしたのよ、レイジ」
「いや、何と言うか……今から考えてみると、とんでもない事を頼んでしまったような気がしてならないのだが」
「実際そうでしょう」
「ムぅ……」
「まさかソファで寝るつもりじゃないでしょうね」
「そうでなければ、キミも嫌だろう?」
「誰が嫌って言ったのよ」
「ム……良いのか、メイ?」
「良くなかったら引っぱたいてるわ」
布団の中で冥が答えた。それを聞いて、御剣もためらいがちに入って来る。
端で向こう側を向いて眠ろうとする御剣に、「こっちくらい向きなさいよ」と冥は言った。
言ってから、しまった、とも思ったが、別に気にする事も無いか、と冥は思った。
一方の御剣は、そう言う風に言われて断ることも出来ず、言う通りに冥の方を向いた。
二人は見詰め合う形になる。
「……」
「……」
言葉を発する事すら忘れ、ただお互いの息遣いだけが聞こえる中、二人は身を寄せ合っていた。
それもその筈で、今は肌に触れる大気は二月の物なのだから。
425ミツメイ依存:04/05/16 22:08 ID:M8mjgN4k
不意に、御剣が冥の髪に指を絡める。
「……メイは…随分と綺麗になった」
言われた冥は驚き、途端に赤くなった。何しろ言った本人でさえ真っ赤になって
目を逸らしてしまっているのだから。
「な、そんないきなり、何を言い出すのよ!」
「いや……去年からずっと思っていた。言うタイミングを逸していてな」
「だからって、何も今言わなくたって良いじゃない」
「今でなければ、恐らく言えないだろうと思った」
照れながら、それでもきっぱりと言う御剣の姿に、言葉に、冥は思わずくらくらするような
めまいを感じた。
「去年は…私達を隔てていた五年と言う歳月が大きかった事を実感した。キミはアメリカで、
私は日本でそれぞれ検事として立って以来の五年、だ」
「……」
「正直、逢った時は……メイは随分と女性らしくなっていた。見違えたぞ」
「微妙にシツレイな感じがするわね」
「誉めているんだ」
フッ……と笑って、御剣はより冥に身を寄せる。
いや、冥の身体を引き寄せたのだ。
冥はその行動に驚いたけれども、別段焦る様子も、拒絶する様子も無い。
「あれから……キミと私は進む道は同じであれ、住まう場所を違えた」
優しく、御剣は冥の髪を撫でる。
その大きく温かな手の感触に、冥も思わず目を細める。
「…辛かった」
「レイジ?」
「時を同じく生きていても、隔てられた『場』は時として私を苦しめた。メイに逢えない。その事実が」
撫でていた手が、そのまま冥の首の後ろに回され、そのまま引き寄せられる。
「あ……」
抱き締められる形になり、冥は思わず切ない声を上げる。
「寂しくとも、辛くとも…触れられずとも生きなければならない。生き続け、進まなければならない」
強く、強く御剣は冥を抱き締めた。
一方の冥は、抱き締められながら御剣の事を抱き締め返した。
426ミツメイ依存:04/05/16 22:10 ID:M8mjgN4k
「キミの事だ。きっと前に進めるだろう。だが……私にはいささか苦痛でならなかった」
「レイジ……」
「きっと私は……メイに依存をしてしまったのだ。情けない物だな。依存云々で偉そうな事を言っていた、この私が」
自身の事を軽く鼻で笑うと、冥は微かに首を横に振った。
「……それは、きっと」
冥はそのたくましい胸元に頬をすりつけ、愛しそうに呟く。
「その依存は、きっと間違った物ではないわ」
「だが……」
「私だって……いまだに依存しているもの」
やっと分かった。
今までだるかった、その訳が。
それは、逢えなかった事に対する空虚感。
御剣に、逢えなかった事に。
「どうやら、私はあなたが望むようにはなれなかったようね」
冥が御剣の事を見詰めながら言った。
「私はまだ…依存している……………あなたに」
「!」
冥のその言葉に、御剣は思わず息を呑んだ。
目の前に居る女性が、自分に依存していると言う。自分が依存してしまった女性が。
「メイ……」
御剣は冥の柔らかな頬にそっと指を添えた。
「……好きだ」
「っ…」
その一言に、お互いは頬を染め合う。
こうした恋愛を覚える前に、二人は検事になってしまったから。
御剣がまだ『罪』に依存していて、冥がまだ『父』に依存していた頃。
二人は、全てを切り捨て、己が有罪の為にその法廷に立っていた。
「……私も、好きよ…レイジ」
ぽつり、と微かに冥が御剣の言葉に答えた。
二人が、こうして向き合えた時。
御剣は、冥は自分の想いを抑える事は出来なかった。
427ミツメイ依存の者:04/05/16 22:12 ID:M8mjgN4k
ごめんなさい、エロはまた後日UPです。
毎回毎回書き終えてからUPしろよと言う言葉が聞こえて来そうです。
本当にごめんなさい。でも中々エロは難しい…

後、英語は文法間違っていると思いますが、何分頭が悪いので何卒ご容赦を。(汗)
428名無しさん@ピンキー:04/05/16 22:17 ID:LWjrjr6z
ミツメイ依存さんGood job!
429名無しさん@ピンキー:04/05/16 23:25 ID:h7fpINey
本格派ミツメイキタ━━━━━ヽ(゚Д゚)ノ━━━━━!!
430名無しさん@ピンキー:04/05/17 00:42 ID:aMG4KLlq
ミツメイ神がキテタ━━━━━(゚∀゚)━━━━━!!!!
二人の遣り取りがイイ!かなりイイ!
続きも激しくお待ちしてます
431名無しさん@ピンキー:04/05/17 01:15 ID:2YoQCnrm
ミツメイキター!
意地っ張りな冥たん萌えー(*´д`)
432名無しさん@ピンキー:04/05/17 02:06 ID:Rv8IeGgF
ミツメイキタ━━━━━ヽ(゚Д゚)ノ━━━━━!!
433名無しさん@ピンキー:04/05/19 21:18 ID:Utu8rkOX
よいですぞ!
434名無しさん@ピンキー:04/05/19 23:44 ID:1/1O04Z3
>>433
IDが鬱
435名無しさん@ピンキー:04/05/20 00:27 ID:rt5UFqXG
ミツメイ!ミツメイ!
結構探してもこの二人のエロ話(文章)ってないんだよなあ。
絵は神が結構いるのだが。
436名無しさん@ピンキー:04/05/21 20:04 ID:4MVUDj/G
ナル×マヨ×ミツの3Pで、真宵が2人にレイプされてしまうというお話をキボンヌ。
437名無しさん@ピンキー:04/05/21 21:29 ID:gt8t90vr
レイプというよりは口車に乗せられるような、
なんていうか明るい展開になりそうではある。
438名無しさん@ピンキー:04/05/21 23:18 ID:JeNVZC+B
マヨイ「もうっ!(怒)二人して無理矢理か弱い女の子襲って、
    情けないと思わないの!?ナルホドくん!ミツルギ検事も!!」
ナルホドー&ミツルギ「Σ(゚Д゚)ガーン」

てな感じで真宵たんのお説教が始まりそうな予感
439名無しさん@ピンキー:04/05/21 23:20 ID:4MVUDj/G
>>437
痛いッ!やめて・・・
最初は抵抗していた、真宵も抵抗を止めてしまう感じの奴がいいです。
あと、媚薬やら拘束具やらを使ってくれるのをキボンヌ。
440沈む聖域(ミツマヨ):04/05/24 19:37 ID:R80R2c/p
こんにちはミツマヨバカです。
全部書き上げてから長編を投入する予定でしたが、苦手な挿入シーンにさしかかったあたりで
テンション落ちてしまったので、モチベーション上げるために投下することにします。

長編を読む際に作品の傾向や終り方(ハッピーエンドかどうか等)が気になる人は
簡単な説明を書いておいたので読んで下さい。(ネタバレ反転してます
http://sapporo.cool.ne.jp/surumegatame/3-setumei.html

NGワード&絞込み用語句は 沈む聖域 でドゾー

他の職人さんの迷惑にならないよう、
一章ずつ、一日おきに投下する予定です。

【↓前フリ段階・エロなし注意↓】
441沈む聖域(ミツマヨ):04/05/24 19:39 ID:R80R2c/p
 ────三年。

 今や、普段はいつも着物で、昔のようにあの装束を着ることはなくなっていたが、あえて今日はそれを選んで出かけた。
 昔の髪留めも、化粧箱の奥深くにあったのを見つけることができた。
 何せ、三年も経っている。そのうえに、いつものように普通の着物を着て、しかも髪をきれいに結い上げていたら、きっと彼は自分が誰だかわからないだろう。
 すみれの香水を耳たぶの裏に。
 御剣検事は自分を見てまず何と言うだろうか?
 真宵が、彼がいつも泊まっていたホテルのラウンジで、ソファに沈む御剣を見たとき、思わず顔が緩んだ。
 何も変わっていない。かつて、よくここで待ち合わせたときと、まったく同じだ。
 どんなに早く行くようにしても、必ず御剣はそこで先に座って、頬づえをついてうたたねしていた。
 ためしに真宵が座ってみたときには、そのソファは深く沈みすぎて、まったく足が床につかなかった。
 だが、御剣だと、長い足をもてあますように足を組んで、それが、長さが邪魔だとでも言わんばかりで、真宵にはいつもとてもイヤミに見えたものだ。
 彼らしく寝顔にすら隙がなかったが、それでも、真宵はいつまでもこの顔を眺めていたかった。
 だのに、彼女が近づいていって、彼を真上から見下ろすと、きまってすぐにゆっくりまぶたを開けてしまうのだ。
 どうしてわかってしまうのだろう、気配だろうか、香水の匂いだろうか。
 何ひとつ、本当に何ひとつとっても昔のままだ。まるで、リセットボタンを押して、セーブしたところからゲームをやり直したときみたいだ。
 真宵がこぼれる笑みを隠さずにいると、御剣も、やがて同じように笑みを浮かべた。
「驚いた。ずいぶん変わったな」

「……えーっ!」
「わからないのか? 自分で」
「そ、そんなことないけど、でも今、御剣検事ってば全然変わってないってしみじみしてたとこなのにー!」
「大人っぽくなったなと少しは感心していたんだが」御剣は眉を寄せて苦笑した。「口を開けば相変わらずだな。安心した」
「見かけ、ちょっとは女らしくなった?」
「どうかな。しかし、かなり痩せたようだな」
「そう?」
「ああ。家元は大変かね? 苦労しているんじゃないか」
442沈む聖域(ミツマヨ):04/05/24 19:40 ID:R80R2c/p
 真宵は、なんだかそのことに触れてほしくなくて、軽く「まあね」とだけ返事して、その話を流した。
「ん。一個見つけたよ。御剣検事が変わったとこ」
「ほう」
「あのねあのね、これいい意味だからね。さっき笑ったときに気がついたんだけどね」
「うム」
「眉間のしわはそうでもない代わりに、笑いじわが深くなってる」
 御剣は平常から白い顔をますます青くさせ、背中を丸めて頭を抱え込んでしまった。
「わっ、わっ、だからいい意味だってば。しかめっつらしてる時間より、笑ってる時間が多いってことでしょ!」
「……知らなかった。うう……気づかなかった……」
「そっか、自分の笑った顔なんて鏡でふつう見ないしね。じゃ、いま見てみなよ」真宵は巾着からコンパクトミラーを出して、彼に渡してあげた。
「しかし、いきなり笑うことなんて出来んぞ」
「面白いこと考えれば?」
「そんな急に考えつかない。君が何か面白いことを言ってくれ」
「あたしだって急に考えつかないよっ! あ、待って、でも面白い顔ならできるよ。ちょっと待って」
 真宵はくるりと彼に背を向けた。
 とっておきの顔を用意してから、サッと振り向く。
 御剣が思いきり噴き出した唾で鏡が汚れてしまったので、真宵はあわてて奪い取って、装束のすそで拭いてやってから、
「ほらほらほら今のうち、早く見て!」と差し出した。
「ちょ、ちょっと……ぶっ、い、い、今の顔はあまりに反則すぎっ……」
 彼が笑い顔のまま動きを止めたのは、鏡の中の自分と目があったからだろう。
 ゆっくり、笑みをひっこめてから、彼は腑に落ちたように呟いた。「なるほど」
「わかった?」
「うム。表情が崩れた時に年齢が出るということと、年をとるたび親の顔に似てくるというのは本当らしいということがわかった」
「御剣検事のお父さん?」
「ああ、そうだ。……怖いもんだ」
 彼は背広の内ポケットを探った。真宵の記憶では、当然そこから煙草が出てくるはずだったが、戻した右手には何も握られていない。
「やめたんだった」
「うそ。初耳」
「メイがあんまりにもしつこく言うからだよ。長生きなんかしたくもないがね」
「カルマ検事かぁ。あの人も、だんだん顔がお父さんに似ていくのかな」
443沈む聖域(ミツマヨ):04/05/24 19:40 ID:R80R2c/p
「君は本当に人を恐ろしい気持ちにさせる天才だな」
「はは。お母さんのほうに似るといいねえ」
「まったくだ。きれいな方だったから」
「おっとっと。それを言うんだったら、知ってるだろうけどあたしのお母さんだって超美人だったもーん」
「なんでそこで張り合うのかわからないが、まあ、それなら君もぜひ御母堂に似るといいな」
 言ってから御剣がハッとした顔になるのを見て、真宵は最初なぜだかわからなかった。
 彼女は顔についてだけ話をしているつもりだったからだ。
 御剣が自分の言った言葉に自分で別の意味を受け止めてしまったのだ、と真宵も勘づいたとき、〈ああ、そういうことか〉と思った。
 母は家元としての人生をまっとうすることができなかった。
 そして今、真宵は母のあとを継いで家元となっている。
〈やだなあ、ほんと〉と彼女は思った。
〈もー……だから何だっていうのよー。なんでたかがそれくらいで、今にも自殺しそうな顔するのかな。
 今さらお母さんのことを言われたって、全然平気なのに。かえってそんな顔されたほうが、疲れちゃうよ。
 ああ、思い出した。御剣検事って、いつもこうだったな。いつも、なんだか、いちいち重くて〉
「きっと」と彼は真剣そのものの顔で口を開いた。「きっと君も、子ども思いの優しいお母さんになる」
「ありがと。まあ、結婚できるかどうかもわかんないけどね」
「まさか」
「あのね。……お母さん、帰ってこれたの。倉院のお墓に入ったんだ」
「そうだったのか。ずいぶん悶着していたようだったから、それは良かった」
「うん。里の人はみんな反対したけど、でもでも、あたしがいっぱい戦ったからね!」
「ちゃんと御挨拶したいと思いながら随分経ってしまった。今度、墓前まで案内してくれないか」
「ほんと? うれしい。もちろんですよ」
 御剣がほっとしたように薄く笑むのを見て、真宵のほうも肩の荷が下りたような気になった。
〈世話が焼けるんだから〉と彼女は心の中でつぶやいた。〈そんなとこも変わらないや〉
 そう、御剣は御剣のまま、変わっていなかった。
 しかし真宵はふと思う。では、自分は?
444沈む聖域(ミツマヨ):04/05/24 19:41 ID:R80R2c/p
 二十歳を前にして真宵は正式に倉院流霊媒術の家元となった。それが成歩堂とも、御剣とも疎遠になるきっかけだった。
 もう、めっきり里から下りてくることもない。霊媒の仕事、修行、修行者たちへの指導、祭事とその準備。まさに忙殺される毎日だった。
 あのおいしいみそラーメンを出す店がとっくにつぶれてなくなっていたことさえ、御剣に教えてもらって驚いたくらいだ。
 彼が日本に帰ってくる機会のほうがよっぽど少ないと思っていたが、そんなこともないのかもしれない。
 その証拠に、最後に街に出てきたのはいつだったっけ、と記憶をたぐり寄せても、全然思い出せない。
〈あ……そういえば、最後にって言えば、最後に御剣検事と会ったのもいつだっけ〉
 中華料理店で注文するときに、彼が次々とメニューを言い並べるのも昔通りだったが、しかし真宵は抗議した。
「えーっ、あたしそんなに食べられないよ」
 御剣は、構わぬようにといった感じでそのままウェイターを下がらせると、
「前はこれくらい平気でたいらげてただろう」と反論した。
「いやいや、あたしももうトシだし、もうそんなわけにいかないよ」
「君は見たところ痩せ過ぎだ。少し太りなさい」
「御剣検事のほうは中年太りに気をつけなきゃねー」
「では私のぶんも君に食べてもらうことにしよう」
 彼の言葉自体は冷静だったが、中年、という言葉を耳にしたときに眉間のしわが大きく動くのを真宵はしっかり見ていた。
 料理は幸いにも味が落ちていることはなく、ただひとつ、食後に真宵が御剣に胃薬を分けてもらったことだけが三年前と違っていた。
「はー、鉄壁の胃袋で鳴らしたあたしがこんなものに頼るようになるとはねえ」
「これから、どうしようか。どこか行きたいところはあるかな」
「うーん、別に考えてこなかったな。映画でも観る?」
「かまわないが、飛行機の中であまり寝れなかったので、時差が少しつらいんだ」
 御剣は食後の中国茶をひと啜りした。「眠ってしまってもいいなら付き合うが」
「えっ、いい訳ないよ、つまんないよ。困ったなぁ。どうしよう」
「天気がいいから公園でも散歩しようか」
「いいけど、このあたりで公園っていっても」
「ひょうたん湖公園があるじゃないか」
 真宵はなんと言っていいのかわからず絶句した。「え、え、え。でもでも」
445沈む聖域(ミツマヨ):04/05/24 19:42 ID:R80R2c/p
 どうして平気な顔をしているのだろう。あそこは、あんなことがあった場所じゃないか。
 真宵がそう言いたいのがわかったのか、御剣はさらに付け足した。
「前にも一度、いっしょに歩いたじゃないか」
「……へ? そ、そうだっけ」
「忘れたのか」
「うーん……そう言われれば、そんなこともあったような気がするけど……ヘンだなぁ」
 彼女はぬぐいようのない違和感に襲われた。よくわからないが、絶対にヘンだ。
 いつも楽しくてしょうがなかった御剣検事とのデート(向こうは子どものお守りとしか考えていないだろうが)を、完全に忘れているなんて。
「異論がなければそこに向かおうと思うのだが、どうだろう」
 何か不吉な気がして、真宵は正直言ってあまり気がすすまなかったが、
「ハイ……」と浮かない顔のままうなづくことしかできなかった。

 ひょうたん湖公園を包む春らしいうららかな陽気が、この上なく気持ちがよかった。
 だが、爽快であればあるほど、自分の心にいまだこびりつく嫌な予感を嘲笑われているかのようでもある。
「確かに……御剣検事と来たことある。思い出してきた。あの時は、夜だったと思うけど」
 並木道をならんで歩きながら、真宵はうわごとのように呟いた。
「今日は風も強くなくて歩きやすいな」御剣は興味のなさそうに話題を変えた。
「うん……そうだね。もう少し早かったら、桜が見れたのに」
「人が多いのは嫌いだ。こっちのほうが余程いい」
「……ああ……思い出した」
 彼女が立ち止まると、御剣もつられて足を止めた。
「前に来たときも同じような季節で、御剣検事、同じこと言ってた。なんで……なんで忘れてたんだろ」
「まあ、ど忘れなんて誰にでもある」
「そうかなぁ。なんか、それにしてはおかしいような気がするんだけど……。これが健忘症ってやつなのかなぁ……」
「なあ、真宵くん。私には、君は少々疲れているように見える。それが原因なのではないかな」
「……そんなこと、ないよ」
 御剣が自分を気遣ってくれること自体は嬉しくないわけがなかったけど、その思いやりから逃げたくて仕方がなかった。
 やや足早に再び歩きだすと、彼も遅れて続くのがわかる。
446沈む聖域(ミツマヨ):04/05/24 19:43 ID:R80R2c/p
〈あたしの周りの人はみんないい人ばかりだ。自分はきっと世界でいちばん友達に恵まれてる。
 ……もったいないな。あたしはこんなに自分勝手なのに。
 そんなふうに気にかけてもらっても、まだあたしは、今日だけは普段を忘れて昔みたいに遊びたかったのにと苛だつだけなのに〉
「真宵くん」
 後ろから呼びかけられても、なんとなく返事をする気がしない。
「君が心配をかけたくないのはわかるがな……」
「それは、誰に頼まれて言ってるんですか?」
「なんだと」
「なるほどくんあたりが、聞き出すように相談したんじゃないんですか」
「む……」振りむいて表情をうかがうと、御剣は少し戸惑ったような顔をしている。
「確かに、私は出発前に、成歩堂夫妻から、君のことについて話を聞いていたが」
「やっぱりだ。変だと思ったんだ。三年もたって今さら御剣検事が会いたがるなんて。どうせ、そんなとこだろうと思った」
 言ってしまってから、真宵は自己嫌悪で胸が痛くなった。
 必要もなく刺々しい言葉を吐いたところで、相手まで嫌な気持ちに巻き込むだけなのに。
 言うんじゃなかった。どうしよう。御剣検事は、怒って、もう口をきいてくれないかもしれない。
 だが、真宵のそんな不安はすぐに覆された。
「……『どうせ』とは何だ、『どうせ』とは!!」
 彼からそんなふうに怒声を浴びせられたのは初めてだ。少なくとも法廷の外では。
「成歩堂はもう君の保護者ではないが、君たちが気のおけない友人同士なのは少しも変わらないはずだろう。
 そんな彼に、君とは疎遠になっている私にまで相談するほどに心配をかけておいて、君はいったい平気なのかね?
 心配させるなと言っているのではない。恥ずかしくはないのかと聞いているんだ。
 こんなふうな言い方はまったくもって大っ嫌いなのだが、あえて言っておくとだな、私は君のことを考えると、睡眠導入剤をいつもの量の倍飲んでもまったく機上で眠れなかったんだぞ。
 君はもういい大人のはずだろう、うつけ者が! それでもまだそんな口をきくつもりなら、少しは恥を知りたまえ!」
 真宵は御剣の顔をまともに見ることができず、地面に目を落とした。
447沈む聖域(ミツマヨ):04/05/24 19:43 ID:R80R2c/p
 返事を言いあぐねていると、彼が先に再び口を開いた。
「こんなふうに昂ぶるのはあまり私らしくはなかったと思うが、しかし言っておくが申し訳ないとはちっとも思わんね」
「いいんです。あたしも、あたしらしくなかったから」
「わかってくれればいいんだ」
 彼女はなんとか涙がこみ上げているのを悟られまいと顔をそらしたが、かえってその仕草でばれてしまったようだった。
「気にすることはない」と御剣はちょっと慌てたふうに付け足した。
「すみませんでした。でも、ありがとう。ちょっと、目、さめた気がする」
「あそこに座っていなさい。飲み物を買ってくる」
 ベンチまで歩いていくと、目の前に湖がひろがった。涙の膜のせいで、表面のきらきらした光の反射がますます目に痛い。
 こんな気分でなければ、このまったくのお散歩日和を、足取りもかろやかに感謝していたろうに。 
 自動販売機でお茶の缶を買って戻ってきた御剣の手には、煙草の箱も握られている。
「チクっちゃおうかな。カルマ検事に」と真宵が表情を変えずに冗談を言うと、
「勘弁してくれ」彼もまた、笑いもせずに火をつけた。「こんなものでも無ければやっていられんよ」
「御剣検事ってさぁ」
「うム」
「イイ男だよね」
「何だ、今さら。君は今までどこに目をつけていたんだ」
「ううん。昔からずっとそう思ってた。御剣検事だけじゃなくて、なるほどくんもイトノコ刑事も、そう。
 ヤッパリさんだって、ちょっと軽いけどあたしにはすごく優しくて、いい人だしね。
 ね、あたしの周りの男の人って、みんないい人ばっかりだったでしょ。だから、男の人ってみんなそんなかんじなのかと思ってた。
 みんな、なるほどくんとかイトノコ刑事とか御剣検事とかヤッパリさんとかみたいな人ばっかみたいに思ってたんだよねえ」
「結婚の話かね」
「あ、わかった? 家元になってから、何がきついかって、お見合いをこなすことばっかり忙しくて……。
 もう、昔ほどには綾里ブランドにもハクがないんだけどね、まあ腐っても鯛っていうの? 
 本当に色んな人が来るんだよね。あたしのお父さんか、おじいちゃんくらいなんじゃないのって年の人までだよ!
 こんなに、たあああっくさんの男の人がね、みんな、ただ、あたしの家の名前と霊媒術のためだけに、結婚したいんだなって……」
448沈む聖域(ミツマヨ):04/05/24 19:44 ID:R80R2c/p
「ふむ」
「びっくりした。ホントに。そんなことできる人がこんなにいっぱいいるなんて。
 それで、あたしは、ほら、たとえば、キミ子おばさまが、旦那さまのことで、すごくつらい思いをされたことも知ってるし。
 でもみんな、そんなこと知ったことじゃないよね。早く結婚しなきゃ、子どもが産めなくなっちゃうもん、そりゃ焦るよね。
 もう、結婚しなくてもいいから適当に、た、タネもらってきて子どもを作りなさいって、そこまで言う人もいるんだよ。
 そりゃ、あたしだって、子どもは欲しいけど、そんなことできるくらい器用なら、最初から結婚してるって!
 ……結婚なんて、しなきゃいけないものだってずっとわかってたのに、……そのはずだったのに」
「なるほど。軽度の男性不信に陥っているというわけか」
「やだやだ、そんなたいそうなもんじゃないよ。もともと、ずっとそういう話題は苦手だったんだから。
 結婚がいやで、じゃあ、だったら、レンアイがしたいのかと言えば、そうじゃないんだ。
 それに、恋愛結婚は、もっとやだ」
「ほう。それは、どうしてかな」
「なんていうか……」
 お茶をいくら飲んでも、喉の渇きが癒されないような気がした。
「うまく言えないかもだけど。……巻き込むのがイヤなんだよね」
「何に?」
「うーん……倉院の里に」
「まあ、確かに君の故郷は少々特殊な場所だが」御剣は言った。
「しかし、君は魅力のある女性だ。多少の事情にくらい、腹をくくることができる男なんて、いくらでも」
「違う違う」真宵は首を振った。
「そうじゃなくてあたしがイヤなの。好きになった人ならなおさら、こっち側に引きずり込むなんて、考えられないんだよ」
「…………」
「勘違いしないでね。倉院の里のこと、嫌いなわけじゃないの。
 ただ……里から下りてなるほどくんの事務所で働いてて、あそこがどんな場所なのか、わかったんだ」
 真宵はそこで話を変えた。
「あたしどうすればいいのかわかんなくて、何度も何度も、お母さんみたいにしようかなって思ったよ。
 里を出て……もとから、はみちゃんの方が霊力はあるんだし、家元を任せて……、でもさ。
 誰も文句のある人はいないだろうけど、でも、はみちゃんだけは、あたしのこと、絶対許さないだろうなって思うと」
449沈む聖域(ミツマヨ):04/05/24 19:45 ID:R80R2c/p
 不覚だ。まったくもって不覚だ。
 涙だけは見せたくなかったのに、気がつくと、もう隠しようもないほどこぼれ落ちてしまっている。
「あたしの霊媒師としての、家元としてのプライド、そんなものだったのかって、すごくがっかりすると思うと……、
 別にあたしは、今さら、人に許してもらえないことぐらい、慣れっこだけど……、
 そんなことより、ずっとずっと、人を許せないことのほうが、つらいもん」
「真宵くん、そんなに思い詰めないほうがいい。色々考えてしまうのはわかるが」
「知ってるでしょ、あたし、もう二十二になったんだよ」
 彼女は御剣を睨んだ。もう、涙でよく見えもしないのに。
「ちょっとやそっと思い詰めちゃうくらい、しょうがないよ。
 あそこでは、適齢期だのクリスマスケーキだのって言葉が、まだ残ってるんだよ、信じられる?
 いまどきそんな時代遅れな言葉、ギャグだよね」
 真宵は笑おうとして顔を歪めたが、自分でもいびつな表情にしかならないのがわかった。「……でも、ギャグじゃないんだよ」
「まあ、だいたい、想像はしていた」御剣は煙草をベンチの脇の吸殻入れに落とした。
「君が、水準からいって不自然なほど男っ気がないのは昔からだったしな。
 てっきり成歩堂が責任を取るかと思っていたのに、さっさと別の女性と入籍しやがった時から、ずっと気がかりでいた。
 もっとも、私が気にかけたところで何も変わりはせんがね」
「そうだね」
「なんでそこで肯定するのだ。傷つくな」
「えっ。あ」真宵はとりあえず謝った。「ゴメンなさい。だって……でも……こんなこと御剣検事に言ったって、どうにも」
「だから、そういうのが傷つくと言ってるのがわからんのか」
「す、すいません」
「つまりだ」御剣はかったるそうに二本目の煙草を咥えた。
450沈む聖域(ミツマヨ):04/05/24 19:45 ID:R80R2c/p
「私にも君の気持ちがよくわかる。というのも、君が思っている以上に米国はカップル単位、夫婦単位で物を考える社会なものでな。
 独身者差別はむしろ日本よりもひどいと言っていい。いい年をして恋人も配偶者もいないとそれだけで社会的信用は落ちる。
 そんなもの、私なら仕事上の実力で充分取り返しているとは言っても、人格上問題があるように決めてかかられるのもいい加減疲れた。
 それに、その、なんだ……周りの同性愛者に、報われないアタックをやめさせることができないのも、なんというか、彼らにしのびない」
「へえ……御剣検事も大変なんですねぇ」
「まぁ、そこでなんだが、どうかね」
「どうかねって何が?」
「つまり、みなまで言うと、二人の利害が完全に一致していると私は思うのだがどうかね、ということだ」
 真宵はまったく言っている意味がわからず、おうむ返しに訊ねる。「リガイって?」
「私はしかるべき指に指輪を填めていさえすれば、出身国に妻を置いてきてまで仕事に人生をかける男になれる。
 そして君は、出稼ぎで忙しい夫の帰りを待ち続ける妻になれる。いい取り引きだ」
「あのあの」真宵は言った。「なんとなく話が見えてきたんだけど、勘違いしてたら困るから、はっきり言ってもらえますか」
「くそっ」彼はほとんど吸ってもいない煙草をぐしゃぐしゃに潰して消してから、真宵に向き直った。
 かわいそうなくらいに顔を真っ青にして、握った拳を震えさせている。……悪いことをしてしまったかも。
「だから、つまりだな。その、私と。……け、結婚してくれないか、と言いたいんだ」

「あ、やっぱりそっか。ん。……どうもありがとう」真宵は薄く笑いかけた。
「む。真宵くん、それじゃその。君は……」
「なるほどくんにもね、同じこと言われたよ。ずっと前にだけどね」
 御剣の顔が固まるが、真宵はそのまま続ける。
「ぼくと偽装結婚しないか、だって。さすが、親友同士、考えることが一緒なんだね。
 冗談っぽく言ったけど、でもあれは半分本気だったね。ことわっちゃったけど」
「どうして断ったんだ」
「だってさあ、あれじゃない。結婚できたとしても、その次は子どもでしょ。
 偽装結婚なんだから他の男の人に頼んだっていいんだけど、さっきも言ったけど、そんなことができてれば最初から苦労しないよ、みたいなね」
451沈む聖域(ミツマヨ):04/05/24 19:46 ID:R80R2c/p
「真宵くん。私のほうは……私のほうはだね」
 御剣は大きく咳払いをした。「そのぅ、ふ、ふっ、夫婦生活の実体があっても、まったく、かまわないわけだが」
「やだあ。冗談言わないでよ」
「……そんなに、私では駄目なのかね。お話にもならないほどに」
「そんなことないないない! あたしにはもったいないくらい御剣検事は素敵な人だと思うよ。
 ほんとにイイ男だと思うし、連絡とってなかった間だって、それでも、ずっと友達だと思ってたもん。
 ……でもさあ、恋愛とか結婚とか、体の関係とか、そういうことを考えると、なんか、胃のあたりがウッてなるんだよ。
 御剣検事だけじゃなくて、他のだれでもそう」
「ふーむ」
「変な言い方だけどね。今日は絶対ごはんだっていう気分のときに、むりやりパンを食べさせられるみたいに気持ち悪くなる」
「君らしい、いい喩えだ」
「ありがと」
「しかし、困ったもんだ」彼はため息をついた。
「君の男性恐怖症は思ったよりも根が深そうだ。前々からそう思っていたがね。昔から、こんなふうに」
 御剣がごく肩に手を回してきたとき、真宵は思わずベンチから飛びのいてしまった。
 彼は気にしたふうもなく平然と続けた。「とまあ、こんなふうに、少し体に触れただけでも、このありさまだからな」
「え……、……あ、あ……あ……あああ!」
 真宵が、座り直すこともできずに立ち尽くしたままなのは、触られた驚きからでも、彼の手を拒絶した申し訳なさからでもない。
〈思い出した……!〉
 愕然とする。〈お、思い出した……思い出した……ああ! 最後に御剣検事と会ったとき、あたし達が来ていたのはここだった〉
 あのときは夜だった。あのときも、ひょうたん湖公園を歩こうと言い出したのは、彼のほうからだった。
 真宵は驚いてずいぶん遠慮したものだ。むろん、彼を気遣ってのことだ。
 しかし、御剣は笑って、「肝試しもたまにはいいだろう」と言った。だから、行ったのだ。
 なぜそんなところに彼が行きたかったのかなんとなく分かるような気がする。
 もう過去を気にしない、強いところを見せつけたかったのだろう。真宵にも。自分自身にも。
 だから、本当に彼にとっては肝試しだったに違いない。
〈でも……それなのに、あたしは! あたしったら、なんてことしたんだろう!!〉
452沈む聖域(ミツマヨ):04/05/24 19:47 ID:R80R2c/p
 街灯に照らされた並木道を二人は歩いた。真宵はなるべく話をふったけど、会話ははずまなかった。
 そのときだ。不意に、指と指が触れた。引っ込めようとする前に、ぎゅっと握られていた。
 びっくりして彼女が御剣をうかがい見ると、目があった。
 心細そうな顔をしていた。
 頭ではわかっていた、彼に今必要なものは、黙って握り返してあげることだけなのだ、と。
 わかっていたのに! わかっていたのに!
「すまんな」御剣は苦笑いした。「もう何もしないから、はやく座りたまえ」
 あのときは、彼はそうは言わなかった。
 真宵が御剣の手を振り払ってから、二人ともそれきり口を閉ざしてしまったし、彼の顔を見れば、傷つけてしまったことがはっきりとわかった。
 駅まで送っていってもらったはずだから、それから何かしゃべったはずだが、思い出せないし、興味もない。
 それが、長い間、最後だったのだ。
 しばらく経って家元に昇任したとき、彼からは、立派な花束と、知らない海外メーカーのアイスクリームの詰め合わせが届いた。
 アイスはとてもこの世のものとは思えないくらいおいしかったが、どうしたものか、お礼状も出しそびれっぱなしでいた。
「あ……ああ、あ、あた、あたし……ああ」
「そう気にすることでもあるまい」御剣は真宵の動揺を勘違いしたようだった。「少なくとも私は気にしてはいないしな」
〈うそだ、気にしてないなんて。だったらなんで、あれからずっと、連絡してくれなかったの!〉
 真宵はふらふらとベンチに手をつき、倒れ込むように座った。
〈ううん、違う、本当はあたしの方から連絡すべきだったんだ。当たり前だよ。でもできなかったんだ。
 しなきゃいけないと思いながら、時間がどんどん過ぎてって、気がついたら、もう遅すぎた。
 あたしはつらくてつらくて、……どうしても忘れてしまいたくて〉
 たとえ彼がそれを今でも気にしていようがいまいが、覚えていないわけがない。
 しかし今になって、なんと言えばいい? 三年も前の出来事を今になってどうやって謝ればいい?
 一笑に付されるだろうか、それとも、傷口のかさぶたを剥がしてしまうだろうか。
「力になれなくて申し訳ない」御剣は言った。「何か知恵を搾っておくことにする」
「…………」
「真宵くん?」
453沈む聖域(ミツマヨ):04/05/24 19:47 ID:R80R2c/p
「あ……すいません。ちょっと」真宵はなんとか返事をした。「……考えることが多すぎて、頭が……」
「君を困らせるつもりではなかったんだ。すまない。そんな顔をしないでくれ」
「ううん……そうじゃないの……そうじゃなくて」 
 顔がくしゃくしゃになるのも構わず、彼女は言葉を探したが、たいした成果はなかった。「ゴメンなさい……」
「うム……森のほうまで歩こうか。ちょっと、気分を換えよう」

 深緑の中を黙って歩いていると、少しずつ気持ちが落ち着いてきた。
 御剣のほうをうかがって目があうと、彼は唇の端を歪めて笑い、何かな、と言うように小首をかしげた。
〈考えてみれば、あれから三年も経ってるんだ〉
 あの時の彼は見たこともないような顔を……まるで撲たれた子犬のような目をしていたけど、これだけ時間が経った今、過去のことは過去のこととして、彼の中で片付いている可能性のほうが高いことに思い当たって、取り乱したのが恥ずかしくなってきた。
 自分はとんでもなくひどいことをした。けれど、なんといっても、御剣は大人なのだ。
〈御剣検事……聞きたいな。もう、あたしのこと、許してくれてるのか〉
 だが、そんなことを訊ねること自体が失礼な気がして、とても口に出せそうにない。
「さっきはすまなかったな。突然、あんな話をしてしまって」
「え。あ。そんなこと」真宵はぶんぶんと首を振った。「そんなにあたしのこと考えてくれてるのかって、感動しちゃったもん」
「そう言ってくれると助かる。……真宵くん、今はまだ、あれは急な話なのかもしれないが」
 御剣は目を細めて真宵を見つめた。彼女はこの顔に弱い。いつも、心臓がキュッとなる。
「その……真剣に考えておいてほしいのだ。いつまでもとは言えないが、少しくらいなら返事を待っていられる」
「え」
「それに、あー……もっとロマンチックなプロポーズのほうがよかったというなら、日を改めてもう一度申し込む準備もあるし……」
「ちょ、ちょ、ちょっと待って!」
「頼む。そう頭ごなしに思考停止しないでくれたまえ」彼はつらそうに眉を寄せる。
「少しでいいから真面目に考えてほしい。私の人生の問題でもあるのだ」
「あの、ああ、ごめんなさい、ほんっとごめんなさい!」真宵は何度もぺこぺこと頭を下げた。
454沈む聖域(ミツマヨ):04/05/24 19:48 ID:R80R2c/p
「ありがとうございます。すごく嬉しいです。ほんとです。でも、でも、ホントに悪いとは思うんですけど、どんなに考えても同じだと思うんです」
「…………」
「だって、結婚しても、子どもが出来なきゃしょうがないでしょう? でもあたし、さっきの通り、体に触られるだけで……」
「真宵くん。思うのだが、見切り発車を決意するのも一つの手ではないだろうか」
「み、みきりはっしゃ」
「それとも私は、君の男性恐怖症を解いてあげられる可能性が、万にひとつもないと言い切れるくらい、魅力のない男だろうか」
「そそそそそそんな」真宵はすごい勢いで首を横に振りすぎたせいで、目の焦点が合わなくなり、めまいがした。
 足元がふらついたとき、御剣が反射的に手を差し出すのがわかったが、なんとか自力で踏みとどまった。
 いま、彼の手を借りてしまうことだけは避けなくてはいけない。
 繋いでしまった手を離す自信がまったくないのに、きっと、最後にはもう一度振り払わなくてはいけなくなるに決まっているから。
「そうじゃないんです、そうじゃないんですっ! だから、あたし、さっきも言ったように……引きずり込みたくないんです!」
「ああ、その話か。さっきも君は何か言いにくそうにしていたが」
「あのっ、あの」彼女はいったん呼吸を整えてから、神妙に続けた。
「……勘違いしてほしくないの。あたしの故郷は倉院の里だけで、あたしは自分の帰る場所はあそこ以外にないと思ってるのは本当なの」
「うん」
「でもね」口ごもってしまうが、しかし、話しておかなければいけないことだ。
「あたしは……あの場所は、今よりもっと、外と断絶したほうがいいと思うようになってきたの。
 里の中と外とをどんどん閉ざしていって……人目に触れないようにして……少しずつ、消えていくのが、一番いいって」
 御剣の切れ長の目が見開かれる。「……それは、霊媒術の存在のためか?」
455沈む聖域(ミツマヨ):04/05/24 19:48 ID:R80R2c/p
「うん……。あたしは今、なんとか霊媒で人を幸せにする方法を色々探しながら、仕事を請けてるんだ。
 それが、霊媒があったせいで不幸になった人たちへのたむけになるかなって思って……。
 だって、本来は、霊媒なんて、あってはいけないもので……。
 存在しちゃいけないものが存在してるから、あたしは頑張って、それを使いこなそうとしてる。
 術を人間が使うんじゃなく、術に人間が使われることが、いちばん怖いことだから」
 真宵は震えを止めようとして、自分で自分の肩を抱きしめた。
「倉院の里が今みたいになるまで、長い長い時間がかかったと思う。
 だから、それと同じくらい長い長い時間が必要なのかもしれない。
 けれど、あたしの代から……あたしから……ゆっくり、滅ぼしていきたいの」
 ひどい顔を見られたくなくて、できるだけ自然に背を向けた。「お願い。信じて。あたしは倉院の里が大好き。離れることなんか考えられないくらい」
「信じるさ」
「ほんと?」
「私も似たようなことを考えるときがある」
「うそっ!」思わず振り返ってしまう。
「私は犯罪者の罪を立証することを通して、この世から犯罪が少しでも減ればいいと願っているが、ところがしかし、考えてもみたまえ。
 犯罪者がいなくなれば検事なんて仕事はおまんまの食い上げだろう」
「あっ! そ、そうか」
「わかったろう。君は別におかしなことを考えているわけじゃないさ」
「そうかなぁ……うーん……御剣検事が言うんだったら、そうなのかも」
 はーっと大きく息をついて、安心すると、自然と笑みがこみ上げてきた。
「なるほどな。やっと、だいたい話が見えてきたよ」
 入れ替わりのように御剣が、疲労の色を浮かべて大げさに肩を落とした。
「さて、このあたりでいったん整理してもいいかね。
 君は里に外部の人間をこれ以上関わらせたくない。沈みかけているタイタニック号に人をひっぱってくるようなものだからな。
 そして、ひいては綾里家と心中する腹づもりでいる。だから外の人間との結婚は嫌だが、自分の死後に遺志を継ぐ子どもは欲しい。
 しかし種を仕込んできたくても君は男性恐怖症ときてる。こんなもので合っていただろうか」
「わ。さすが御剣検事だ」
「やれやれ、もう、さいころ錠は残っておらんだろうな」
456沈む聖域(ミツマヨ):04/05/24 19:49 ID:R80R2c/p
「え、何?」
「なかなかの無理難題ときたもんだ、と言ったのさ」
「うう。ですよね……あたしもそう思う」
「……やっぱり、素直に腹をくくるのが一番賢明な判断に思えるんだがなぁ……」
「腹をくくって何するの?」
「指輪を受け取る」
「ぶっ。う、受け取らないよ! これだけあたしが、無理だって言ってるのに、まだ言うの?!」
「成歩堂が君を助けようとして川に落っこちて、あやうく溺れ死ぬところだったのを覚えているか」
「そりゃ覚えてるけど」
「私にもそれくらいのことをさせろ。川に落ちるも沈没船に乗るも同じようなものだ。どうして、成歩堂はよくて、私はだめなんだ」
 まるで、子どもが拗ねたときのような顔をしているのを見て、真宵は呆れた。
「そ……そんなの屁理屈でしょうが! 御剣検事ともあろう人が、何言ってるのよ!
 あのときなるほどくんはあたしの保護者で、それがあれほどまでのことしてくれた理由でしょ。
 御剣検事のほうは今日アメリカから帰ってきて、三年ぶりにあたしと会ったばかりじゃない!
 そ、そうだよ……三年も、三年もほったらかしにしてたくせに、なんでケッコンとか、すぐに言えるのよ! そういう神経って、信じらんないよ」
「長いこと連絡を取らなかったのは悪かった。が、私は真剣だ。軽々しく言っているわけじゃないのは君にもわかるだろう」
「ええ、ええ、わかるよ、わかります。重々しく言ってるんでしょ。わかるよ、御剣検事っていつもそうだもん。
 いつもマジメで……あたしの話なんかを、マジメに考えたりするんだから。
 だから、そんなヘンな話になるんだよ。なんで、あたしが結婚できないからって、じゃあ自分が貰ってやるとまで思っちゃうのよ!」
「別に私は」
「御剣検事って、重いよ、いつも」真宵は、悪いと思いながらも、彼の言葉をさえぎらずにいられなかった。
「なにもかもマジメに受け取りすぎだよ。昔から思ってた、うざったくて疲れるときあるって。
 友達思いなのはわかるし、嬉しいけど。でも今回は、さすがにちょっとひいたよ」
「ほう。長らくそう思われていたとはついぞ知らなんだ」
 すぐに自分が口をすべらせすぎたことに気がつく。「……すみません。あ、あの」
「そんなに、私は重かったか」
「…………」
457沈む聖域(ミツマヨ):04/05/24 19:50 ID:R80R2c/p
「『私にとって人生は重いのに、あなたにとっては軽い。その軽さに耐えられない。私は強くないから』」
「え……」
「確かに私は君にとって迷惑なくらい重かったのかもしれない。
 だが、誰にたいしてもそれほどまで親身になれるような人間ではないことを知っていてほしい」
「はい……わかってます」彼女は改まって頭を下げた。「ホントにごめんなさい」
「安心しなさい。もう二度とあんなことは言わんよ」
「…………」
 真宵は後悔した。しばらく考えさせてください、とたったひとこと言うことができなかったことを。
 望みを持たせるような言い方をしたくなかったのなら、せめてもっと、ほかの言い方があったのに。
 ムキになってしまって、止まらなかった。
 バカだ。大バカだ。三年間、ほったらかしにしてしまってたのは、あたしのほうなのに……!
 ふだん里にいると感情の起伏が自分でも驚くほど乏しいのに、今日は、泣いたり怒ったり落ち込んだり忙しくて、すっかり疲れてしまった。
「御剣検事……」
 先を歩く彼が、立ち止まらずに振りむく。
 口は微笑んでいるのに、目だけ悲しそうにしてるのは、反則だ、と真宵は思った。

 それから二人で夕食まで食べたが、会話は終始ぎくしゃくして気まずいことこのうえなかった。
〈あーあ……これじゃ同じだよ。あの、最後に会ったときと同じになっちゃう〉
 もったいないことに、料理の味もろくにわからなかった。
「鬼門だな」と彼は言った。
「何が?」
「私にとって。ひょうたん湖が」
 もちろん、真宵はなんといっていいものやらまるでわからない。
 御剣は駅まで送ってくれた。
 電車の時間が迫っている。別れは近い。
〈はぁ。終わったな……〉
 とてつもなく名残り惜しいが、しかし、帰らずにいたとしても、状況の何がよくなるというのだろう。
〈やっぱ、あんなにきっぱり拒絶するんじゃなかったかもな〉と真宵はぼんやり思う。
458沈む聖域(ミツマヨ):04/05/24 19:51 ID:R80R2c/p
〈もうちょっと気を持たせるような言い方をしてれば、あたしも晴れて魔性の女の仲間入りだったのかなぁ……。
 そういえば、御剣検事、私が頼みさえすれば、ロマンチックにプロポーズしてくれるって言ってたな。
 ……どんな方法、考えてたのかな。今となっては、真相は永遠に闇の中って感じだけど。
 御剣検事のことだから、笑いころげちゃうくらいくさーい演出とか考えてたかもな。
 はは、ありうるありうる。でもでも、そういうのってちょっと憧れてたりするんだよねー。
 そうだなぁ、ホテルのスイートルームで夜景を見ながらワインで乾杯とか?
 たはーっ! ありえないー! 絶対ありえないけど、充分ありうる! 御剣検事ならやりかねないよー〉
 と、むなしい想像をあれこれ膨らませているあいだに、
「真宵くん」と声をかけられた。
「あ。はい」
「帰る前に夜景でも見ていかないか」
「え、夜景、ですか」
「うム……上のほうの階の部屋しか取れなかったんだが、値が張るだけあって眺めがいい」
 御剣はまるで後ろめたいことでも言うかのように、言葉をしぶった。「そのぅ。部屋にはいいワインも揃っているし」
「え、えあ、あ、あう」
 真宵は金魚のように口をぱくぱくさせた。
 いつもならきっと、思わず笑ってしまっているのだろう。
 しかし、まるで、真宵の考えを読んだ御剣が自分に気を遣ってそんなことを言い出しているような錯覚に陥って、彼女はむしょうに申し訳なかった。
 そんなことは思い込みだとわかってはいる。
 だが御剣の思いつめたような顔を見ていると、想像の中とはいえ、笑い飛ばしてしまったことが真宵の良心をぎゅうぎゅう締めつけた。
 でも……それでも、どうしても首を縦に振ることができなかった。
「あ、あうあ」
「どうした、おかしな顔をして」御剣は不意にニヤリと笑った。「まるで、ごはんの気分だというのにパンを食べてしまったような顔をしてるじゃないか」
「……えうあ。わ、わかる?」
「だいたいな。……あまり気にやまぬように」
「はい。あの……、すいません」
 御剣はきびすを返した。「それでは私は失礼する。道中、気をつけてな」
 ためらいもせず去っていく御剣の背中が遠ざかっていく。
 心臓が内側から激しく叩きつけてくる。
459沈む聖域(ミツマヨ):04/05/24 19:52 ID:R80R2c/p
 これでよかったのだろうか。これで終わってしまうのだろうか。……嫌だ!
 真宵は駆け出して、御剣の腕を掴んで引きとめた。
「あ……あのっ! ちょっと……!」
 御剣はぎょっとして振り向き、次に、掴まれた自分の腕に目を落とした。
「……ほう。自分から触るのは平気なのか」気づいた真宵が慌てて手を引っ込めると、「すまん。何だったろうか」と彼が促した。
「えっと……そのぉ」
 言いたいことなら、山ほどある。しかし、端から並べていくことなんてできないし、だいいち時間が足りない。
 何を言おう? いま、いちばん、言うべきこととは何だろう……!!
「あの。あのあの」
「うん」
「すいませんでした。……三年前」
「三年前?」
「公園で……ええと。手を」
 御剣の顔色がさっと変わる。「……あたし。引っ込めちゃって。ホントにごめんなさい。繋げれなくて」
 彼の表情は少しも動かず、何も言葉を発さない。
 怒っているようにも見えるし、悲しんでいるようにも見える。何も感じていないようにも見える。
「あの! すいません。こんなのもう、今さら、だよね。でも……思い出しちゃって。
 そしたら、頭から離れなくて。ごめんなさい。もう……遅すぎるかな」
 御剣はふと、うっすらと笑みを浮かべた。
 許してくれたのか、と思った瞬間だった。
「ああ、その通りだ」御剣は言った。「もう遅すぎるよ」
 それから彼は再び真宵に背中を向けざま、サディスティックなほど凄絶な流し目を見せ、微笑んだまま彼女に言ったのだ。
「さようなら」

 窓を見ていた。
 電車の窓に映る自分を。
 昔のように髪を結って、装束を着ている自分がいる。10代だったころと、なにも変わらないように見える。
 御剣検事は変わっていなかった。
 あたしが好きだった人の好きだった部分は全てそのままだった。あたしも変わっていない。今日、何もかもわかった。
 年だけとって体は痩せこけたけど、その中身は、無知で無神経で無分別で、愚かだった10代のころのまま、すっかり成長を止めていたのだと。
〈御剣検事〉真宵は予感のようなものを覚えた。これからは、昔に戻りたいと願うことは二度とないだろう、と。
〈教えてください。あたしはどうやったら大人になれるんですか〉
460沈む聖域(ミツマヨ):04/05/24 19:55 ID:R80R2c/p
【↑前フリ段階・エロなし注意↑】

すいません。少女マンガみたいな導入なんですけどちゃんとセックルします。
また明後日来ます。失礼しました。

461ミツメイ依存の者:04/05/24 21:38 ID:1xQHdFM/
ミツマヨ神様、GJです!!
あなたの小説とあなたがとても大好きだ!
わ、私も負けないように(張ってどうする…)ミツメイ行きます。
462ミツメイ依存:04/05/24 21:41 ID:1xQHdFM/

身を覆っている衣服をそっと御剣が脱がして行く。
豆電球で照らされているために、それで目が慣れてしまった二人には互いの表情が手に取るように分かる。
相変わらずの仏頂面で、でも必死(?)になって冥の事を愛そうとする御剣。
そんな御剣の表情をまともに見れず、その厳しさを感じさせる目を細め、視線を逸らしている冥。
「メイ……」
御剣は冥のまぶたにそっとキスをしながら、冥の名を呼ぶ。
その声に、冥はぞくりとしながら愛しさに御剣の腕にすがる。
衣服を脱がしていた御剣の腕が、冥のその行動に阻まれ、しばし止まる。
「やっぱり…その、レイジ……」
「何だ?」
御剣は耳元で囁きながら、すがりつかれた腕に視線を落とす。
「これは……私には、ちょっと…」
「恥ずかしいのか?」
「当たり前でしょう!! レイジは恥ずかしくないの!?」
「死ぬほど恥ずかしい」
「顔がそう見えないわよ!」
「それは悪かったな。顔までは変えられない」
御剣の言葉に、冥が「バカ!」と言う。
その言葉に、御剣は少し肩をすくめ、そしてそれでも冥に笑いかける。
まるで冥の羞恥心を少しでも和らげるために。
「……」
冥は再び視線を逸らし、腕の動きを阻んでいた自身の腕を解いた。
「……キスが、先でしょう?」
ためらいがちにそう言うと、御剣は目を丸くして黙っていた。
が、やがて「フッ……」とおかしそうに笑うと、冥の衣服に掛けていた手を離し、冥の頬に添えた。
「それは気が付かなかった。そうだな、順序が在るな」
「〜〜〜っ!」
茶化されていると感じ、冥は声にならない抗議の声を上げる。
だが、冥が何かする前に、御剣は既に真剣な眼差しで冥の事を見詰めていた。
こんな風に見詰められてしまっては、言いたい文句も言えなくなってしまう。
観念して、冥は言いたかった文句を溜息に変えて吐いた。
463ミツメイ依存:04/05/24 21:44 ID:1xQHdFM/
「……」
御剣が冥の顔へとあの仏頂面で顔を近付けた。が、そこでしばし止まる。
「……?」
「ム…その」
ごにょごにょと御剣が言葉を発する。
「目を、閉じてくれないか? 流石に、見られたままはキスを仕掛けるのに恥ずかしい」
「……っ、バカ」
そう言って、冥はそっと目を閉じた。
視覚が塞がれ、冥の感覚は全て聴覚と触覚に委ねられた。
薄ぼんやりとした黒の中で、自分の吐息、御剣の吐息、そして徐々に近付いて来る
御剣の温もりが感じられる。そして、それに対して冥はある種の不安と期待に駆られていた。
「…………」
静かに、そっと。
二人は口付けをし合った。
軽く、優しく、柔らかく・……
長く、二人は口付けをしあっていた。そして……
「ぶはっ!」
「ふ、ふぁっ!」
窒息寸前の所でやっと二人の顔が離れた。
「何考えてるのよ、バカッ!」
「ム…だが、どうしたタイミングで離れれば良いのか分からなかった……」
「…もう……本当に、バカよ」
赤面しながら、冥は文句をぶちぶち言った。言われている御剣は、
まるで主人に怒られた犬のようにしょんぼりとした表情で、冥の文句を甘んじていた。
464ミツメイ依存:04/05/24 21:45 ID:1xQHdFM/
「あなたって本当に、そうした事に関しては興味が無かったのね。
根っからの裁判っ子って事かしら」
そう言ってから、冥が突然御剣の唇に自分の唇を重ねた。
そして、ゆっくり離す。
「深刻に考えないで、普通に離れれば良いのよ」
冥の言葉を聞いてから、御剣はやっと自分の身に起こった事を認識し、唇に指先を持って行く。
そして、冥の事をじっと見詰めた。
「……キスをしたのか?」
「何で確認するのよ! それ以外に何だって言うのよ」
「いや…別に。ただ、何となく信じられなくてな」
「何がよ」
「メイからこんな事をしてくれるとは、と思って」
御剣の言葉は、冥の顔を赤く染めるのに時間を要させなかった。
「な、バ……」
「バカな事、だろうか?」
御剣の率直な意見に、思わず冥は黙りこくってしまう。
彼のまっすぐな言葉は、冥の文句をことごとく打ち砕いてしまう。
「……知らないわ」
ヤケになって冥がそう言う。その姿を見て、御剣は「やれやれ……」と溜息を吐いた。
「そんなにすねるな、メイ」
「知らないって言ってるでしょう、もう、レイジなんか……」
そこまで言った時、御剣の唇が冥の言葉を阻止していた。
「んっ、ふ……」
冥も突然の行為に思わず目を丸くし、あえいだ。だが、目を閉じると、御剣の行為を受け容れる。
465ミツメイ依存:04/05/24 21:47 ID:1xQHdFM/
御剣は、冥の口内に舌を割り入れて来た。
その舌の、帯びている熱。
御剣の舌が、冥の舌を求めて口内を少々遠慮がちにあさる。
その行為は、愛したいという事よりも、冥に対してなるべく負担が掛からないように
との気の回しのようであった。
メイは思わず御剣の事を引き離す。
「ム……?」
御剣は少々驚いたような表情をして冥の事を見た。
「…どうして気を使うのよ!」
「?」
「こんな……傷付けるのを恐れるような、そんな接し方、嫌よ!」
「メイ……」
「好きなら……もっと踏み込めば良いじゃない」
冥の言葉に、御剣は何も答えられなかった。
正直、冥の事を傷付けまいと、行動して来て、接して来た。
好きだからこそ、その好きな相手を自分が傷付けてしまったら……
そんな不安が、御剣の中に在ったのだ。
「…好きなら……傷付けられたって…あなたが……レイジが居れば平気なんだから」
「………」
決して、冥はこうした事をぱっと言えるような性格ではない。恐らく言うには
大変な勇気が必要であっただろう。
同時に、その勇気が自分に向けられている事を実感し、御剣は今までの自分を
情けなく思った。
「そう、だな……」
うなずき、御剣は冥に頬ずりをする。
466ミツメイ依存:04/05/24 21:49 ID:1xQHdFM/
「すまなかった」
「……良いのよ、もう」
冥はそう言って、愛しそうに御剣の頬に指を触れさせる。
「あなたがここに居る。それが分かるから」
目を細め、冥が言う。その言葉を、御剣も目を細めて聞いた。
二人は、再会してから今にかけての一年間。
ひたすら孤独と思慕に潰されそうになりながら、生き続けていた。
冥は仕事に打ち込んだ。
御剣は諸国を渡る忙しさを選んだ。
お互いが逃げていたからこそ、今この瞬間がいとおしい。
御剣は再度冥の唇を塞いだ。そして、冥の舌を絡め取る。
先程よりかなり強引なのは、恐らく自分の気持ちに正直になり、踏み込んだから。
それを感じたのか、冥も目を閉じて己の舌を御剣の舌に合わせて躍った。
「う…んぅ、ふっ……」
冥のくぐもったあえぎ声が、二人の耳に付く。
そんな冥の事を気遣いながらも、自分の想いに正直になって冥の事を貪る御剣。
やがて、ゆっくりと御剣は唇を離した。そして、冥の事を見詰める。
「メイ……その。脱がせても良いだろうか」
「嫌よ」
「ム……」
冥の拒否に、御剣は一瞬たじろいだ。
それ以上コトを行おうとすると、叩かれてしまうだろうか?
御剣はそんな事を思いながら、冥の目をじっと見続けた。
「………」
「………」
「………冗談に決まってるじゃないの」
少しむくれたような声で冥が言うと、御剣もすぐに笑う。
467ミツメイ依存:04/05/24 21:50 ID:1xQHdFM/
「こう言うのを、本当に『嫌よ嫌よも好きの内』と言うのだな」
「……電話の時から思ったんだけど、何なの、それ?」
「日本古来継承されて来た、日本人にとって有り難い言葉だ」
御剣がそう言ってやると、冥は「ふうん……」と言ってその言葉を反芻した。
実際この言葉が日本古来から在ったかどうかは謎であるし、有り難いかどうかは
個々の問題であると思われるのだが、あえてそれを御剣は言わなかった。
一方の冥は、新たに植え付けられた知識に、「使える場面は在るかしら……」と、
既に使おうとしている意を表していた。その姿は少々微笑ましい。
そんな姿を見ながら、御剣は脱げ掛かっていた冥の衣服を再び脱がせ始める。
当然、冥は焦ったが、それを御剣の頬ずりでなだめる。焦っていた冥は、頬から伝わる温もりに、
思わず目を細めて御剣の行為を受け容れた。
静かに、冥の衣服が脱がされ、ベッドの上に落ちた。
冥の事を覆うのは、下着のみとなる。
冥は御剣と目を合わせないように、そっぽを向いた。それを、御剣が冥の頬に手を当てて、
ぐいと自分の方へと向かせる。
「見ていてくれないか?」
「!」
「キミの視界から、私が居なくなるからな」
「何よ、辛いの?」
「辛い」
御剣の素直な言葉に、思わず冥は目を見開いた。
「やはり…キミの目から私が居なくなるのは、苦しい」
「……」
その真剣さに、冥は思わず返す言葉を無くしてしまう。
「…バカな事だろうか?」
「…………だとしたら…私もバカね」
自嘲気味にそう言ってやると、御剣は愛しそうに冥の頬を撫で、髪を撫で、
そして額にキスをする。
468ミツメイ依存:04/05/24 21:51 ID:1xQHdFM/
その片方で、御剣は冥の下着を外してやる。
冥の下着ははらり、とベッドの上に落ちた。
頬を赤く染めた冥の姿が見える。今や冥は下半身を護る布地以外は生まれたままの姿となっていた。
「レイジ……」
「心配無い」
冥にそう言って、御剣はその豊かな乳房に手を置いた。
びっくりするほど、その白さに相対して肌は熱かった。
御剣は冥の熱を感じながら、その置いていた場所に、優しく刺激を与える。
「ン……」
眉をしかめ、訪れた快楽に冥は思わずうめいた。それを見て、御剣がたじろぐ。
「い、痛かったか?」
「そうじゃないわ…ただ、少し驚いただけよ」
冥はそう言って目を閉じ、力を抜く。
御剣はそれを見て、指先で冥の事を弄び始めた。
すぐに冥の身体はそれに反応し、胸の先端がぷくり、と形を現した。
「ム……」
しばしきょとんとしたような表情になったが、やがて御剣はおかしそうに笑った。
「先程と、どちらの方が立つのが早かったのだろうな、メイ」
「え……?」
「その…アレだ。浴室での…うムッ!」
御剣の頬に冥の平手が来ていたので、慌てて御剣は冥から一旦離れる。
冥の口から「チッ…」とか言う舌打ちが聞こえたような気がしなくも無い。
「き、聞いてたの!?」
「ム…まあ、そうだな。と言うか今舌打ちをしなかったか?」
「そんな事はどうでもよろしい」と言って、冥は御剣の方を見る。
「ど、どの辺りから……」
「実はその、メイが私の名前を出した時から、だ」
冥が御剣の名前を出した時……
−バカみたい…何でそこでレイジが何かするかを考えなくちゃならないのよ−
469ミツメイ依存:04/05/24 21:51 ID:1xQHdFM/
(あの時かっ!)
馬鹿馬鹿しい、と思いながら、冥が湯に顔を付けて、湯から顔を出すとふるふると振った、あの時だ。
よりによって自慰を行う直前ではないか。
「最悪ッ!」
そう言って、冥は掛け布団に包まってしまった。
「メ、メイ?」
「うるさいッ! バカッ!!」
御剣の事を振り払おうと、冥はじたばたと暴れた。
そんな冥の行動に手を焼きながら、
(何処が悪かったのだろうか?)
などと思ってしまう御剣。
だが、その疑問を今解くよりも大切なのは、この目の前に居る、すねてしまった愛しい人の視界に、
もう一度自分が入る事である。
軽く溜息を吐いてから、御剣は掛け布団ごと冥の事を抱き締めた。
「!!」
抱き締められた冥は暴れるのを止める。
「済まなかった。その、キミにとって私のした行為は傷付く事だったのだろう」
申し訳無さそうに言いながら、御剣は掛け布団を優しく剥がした。
そこには寝床にへたりと座って御剣の事を見詰める冥が居た。
「その……だが、キミの口から私の名前が出た時……正直、嬉しかった」
「な、何でよ」
「何となくだ」
そう言って、彼は冥の髪を撫で、微笑み掛けた。
「許してくれないだろうか? 聞き耳を立ててしまった事を」
「〜〜〜っ」
正直、許し難かったが、御剣のこんな優しい笑みを見てしまうと、無下に断れない。
470ミツメイ依存:04/05/24 21:52 ID:1xQHdFM/
「……」
「そのだんまりは、肯定と取って良いのだな?」
御剣の言葉に、冥は答えなかったが、その代わりに御剣の事を抱き締める事で答えた。
御剣は目を細め、先程中断した行為を再開した。
先程の行為のために、先端はすっかり姿を現している。だが、それ以上にこの季節の寒い空気も在るだろう。
その先端を御剣は少し爪を使い、ぐりぐりと押してやる。
「ン、はぁッ…!」
ひく、と冥の身体が震え、軽くのけぞる。
冥の目許には羞恥から来る涙が浮かび、熱い吐息が御剣に掛かる。
そんな姿を見て、御剣は思わず生唾を呑み込む。
そして、目の前であえぎ、御剣へ熱いと息と視線を送る女性の、いじっているそこに御剣は口を付けた。
「やっ……」
冥の身体が震え、御剣の唇に触れた先端が軽くこすれる。その反動で、冥は「ひゃ、ぅ…」と見悶えた。
目だけ冥の事をちらりと見てから、御剣はその先端に吸い付くようにする。
かり、と御剣が歯を立ててそれを味わう。
「レ、レイッ……ん、はぁあっ!」
びくびくっと冥は御剣からの快楽に甘い声で鳴く。
普段気丈で意地を張っている冥が、こんなにも大人の顔をして甘い歌を歌う姿を見て、
ずっと無意識下で抑え込んでいた御剣の『過度の本能』に火が付いた。
乳首を甘噛みしながら、御剣は冥の無防備になっていた下半身に指を差し向けた。
「っ!!」
冥がそれに気付き、足を閉じようとしたが、既に御剣の指は冥の両足の間に居た。
そのままショーツ越しにぐりっ、と指をねじ込める。
「あ、ああぁっ、んっ!」
身体中がまるでしびれたみたいに、冥の身体が震え、張りつめる。
緊張し切った身体は、御剣の指を拒めない。
471ミツメイ依存:04/05/24 21:54 ID:1xQHdFM/
御剣の指の腹が擦り付けられ、摩擦と元から帯びている熱とで、そこは徐々に熱くなって行く。
それと同時に、御剣の舌が冥の乳首を舐め上げる。
「やっ、あ……レイジ…ッ!」
首を振り、赤面しながら冥が懇願する。
その表情は切なげで、御剣の本能が、彼自身により深くを求めるように促す。
御剣は冥の乳首から唇を離すと、冥の首筋をちろり、と舐める。
そして、指はだんだんと湿り気を帯びて行くショーツを、窪みにそって運動させる。
「ひゃ、うぅっ…あ、ア…」
冥がいやいやと首を横に振るが、御剣はその拒否に答えず、指先をしばらく窪みに這わせ、こすった。
目をきつく閉じて、冥は御剣の指の運動に耐える。だが、羞恥心まではそれに耐え切れず、
冥の顔が真っ赤に染まって行った。
「可愛いな、メイ」
「やっ、バカッ! そんな……」
耳元で囁かれた御剣の言葉に、思わず冥は首を横に振って御剣に毒吐こうとする。だが、
御剣が耳たぶに舌を這わせると、そうした意地を張ろうとしていた冥はぞくりとし、それ以上何も言えなくなる。
(そろそろ、頃合か?)
御剣は冥の表情を見ながらそう思い、指の運動を一旦止める。
冥が「?」と御剣に視線を投げ掛ける。急に終わった快楽を生じる運動の余韻に浸っているようだ。
そんな冥の姿を見て、御剣は愛しさに彼女の身体を抱き締めた。
「ン………」
抱き締められながら、微かに冥が声を上げる。そして、冥の方から頬ずりをした。
その反応は、拒絶でない事が分かった。御剣は止まっていた指を、今度は冥のショーツに引っ掛ける。
腰に指が当たったためか、冥はくすぐったそうに身体をよじらせる。
472ミツメイ依存:04/05/24 21:56 ID:1xQHdFM/
「メイ…腰を、上げてくれ」
御剣の要求に、冥はおずおずと腰を浮かす。
(ム……う……)
その意地らしい反応にいちいちソコも反応してしまう自分が少し哀しい。
少し苦しくなって、御剣は思わず屈んだ。
「…どうしたの、レイジ?」
「い、いやその……シツレイ。少し、その…男と言うのはなかなか難しい」
「……何それ。性転換でもするつもり?」
冥の発言に、御剣は「バ、バカな事を言わないでくれないか!」と焦る。
大体、どうしてこうした行為に直面していると言うのに、ムードのカケラも無いのであろうか、
と御剣は少々泣きそうになった。
(まあ、メイにムードを求めても、無理か)
さりげなく酷い事を思いながら、御剣は指に引っ掛けていたショーツをするりと引く。
冥が腰を浮かせていた事も在り、すんなりとその布地は冥の太股の間から足首まで降りた。
酷く赤面して冥が黙っているのが、明かりに照らされて分かる。
御剣は冥の両足に手を掛け、その足を左右に開かせた。
薄くではあるが明かりが点いているので、『そこ』は陰りまで御剣の目の前に見せた。
「ちょっ、レイジ! そ、そんなに見ないで……」
焦りながら、冥が訴えた。
「ふム……なかなか綺麗な…うおっ!」
御剣が何か感想を言う前に、冥の足がじたばたと震え、慌てて御剣は口をつぐんだ。
どうも彼女にはジョークが通じない。
(こんな状況で、ジョークをかます私も私か…)
反省して、御剣は冥の両足をそのまま左右に固定させ、自分のモノをさらけ出した。
その姿に、思わず冥はぎょっとする。
473ミツメイ依存:04/05/24 21:56 ID:1xQHdFM/
「レ、レイジ」
「何だろうか?」
「それ……入るの?」
「ム……」
冥に言われ、少し御剣は困惑した表情をする。
「まあ、そうだ。その……そうだ」
うにゃうにゃと返事をする御剣。やはり、こうした事に及んだに際して、御剣自身
経験不足と言うのが仇となったと自分自身で思った。
「信じてくれないか? メイ」
「…………」
冥はふい、と横を向いた。
「信じなければ、私はここで待ってないわ」
唇をすぼませながら、小声で言う冥の告白に、御剣は愛しさから思わず自身が堅くなるのを感じた。
御剣は焦燥感に駆られながら、自身をそこにあてがった。
びくり、と冥が震えたのが分かる。
「こ、怖い……」
身体を微かに動かしながら、冥が言う。
だが、その言葉に反して、冥の『女』は既に快楽に『涙』を流し、その場所を濡らしていた。
「平気だ。信じてくれれば……私はキミを、精一杯愛する」
「! …分かった、わ」
目を伏せ、冥はそっとうなずいた。そして、精一杯腕を延ばし、御剣の首に巻き付ける。
「好きよ、レイジ」
「メイ……」
御剣は目を細め、冥の唇に優しくキスをした。
474ミツメイ依存:04/05/24 21:57 ID:1xQHdFM/
唇に互いの熱を感じた後、御剣はその身を進めた。
「あ、つぅ…っ!」
挿入から来る痛みに、冥は眉をしかめた。だが、「平気か?」と御剣が尋ねると、
冥は目を潤ませているものの、「平気よ、大丈夫」と答え、御剣の頬に自分の頬をこすり付けた。
冥の事を考えると、すぐに止めるべきだと思ったが、その無理を押して自分と繋がる事を望んでいる。
その事実が、御剣を更に先へと進めさせた。
「ぐ……ぅ…」
思いの外冥の中が狭く、堅くなってしまった彼にとっても苦痛が伴ったが、ここで引き下がっては、
今までの想いが全て無駄になってしまう。
せめて、その想いを何らかの目に見える形にして伝えたい。
「あ、くふっ……ああっ!」
一方の冥も、そう思っているのだろうか。御剣のモノを入れられて、恐らくは叫びたいほどの苦痛を
伴っているだろう。だが、その苦しい表情を消せないまでも、決して彼女は拒絶の悲鳴を上げなかった。
狭さに悲鳴を上げない彼女の代わりに、繋がりを保っているそこが、その許容を越えるモノを受け容れ、
音にならない悲鳴を立てている。
「ひっ、んんっ…うぁあっ!」
御剣が徐々に身を進めれば進めるほど、伴う痛みに冥は悲鳴を上げる。
やがて、御剣の進行が妨げられる。
まさか、と御剣は思った。思ったが、 意を決して身を更に進めた。
「あっ、い、痛いっ、い……く、ふぁぁっ!」
冥が涙をこぼし、叫んだ。鈍い感覚と、繋がっている部分にメリッ、と音が響いた。
それが何を指し示すのか、初めの内は御剣も分からなかったが、やがてはっとして冥の事を見詰める。
475ミツメイ依存:04/05/24 21:58 ID:1xQHdFM/
「も……もしかして、初めて、だったのか?」
「当たり、前…でしょっ! そ、んな……」
痛みに声を震わせながら、冥が御剣に言い放つ。それを聞いて、御剣はぎょっとしてしまった。
「ム、す、すまない! その…初めてを、私が……」
何か言おうとする御剣の口を冥は手で塞いだ。
「何で謝るのよ」
涙を浮かべながらでは在るが、冥はムッとしながら、御剣に尋ねる。
「私は……レイジが初めて、って…決めてたんだから」
「ム………」
目の前で赤面する女性に、御剣は思わず目を丸くする。
「で、ではもしかしてキスも……」
「身内以外では初めてだわ」
何と言う意地らしい決意であろうか。
何時伝わり合うとも知れない気持ちを胸に、ずっとそうした交わりをして来なかった冥。
初めては自分が、と言われて、御剣は思わず顔を赤らめる。
「その…キミは、同僚とこうした交わりをしていたのかと思った」
「な、何でよ!」
「実は何度もそちらの検事局に電話を掛けたのだがな、その度に出たのがキミの同僚だった。
『There isn't Mei because she tries a case.(冥は審理中で居ない)』と、何時も言われたぞ」
英語混じりに御剣がそう言ってやると、「仕事に、集中してたから」と冥が理由を話す。
「キミに連絡は取れない。キミに連絡をすると何時も男が取る。正直、メイはもう、
他の男の物になってしまったのかと思った」
「な……バカッ」
彼とは何も無いわよ、と言って、御剣の事を抱き締める冥。
「信じて良いのか?」
「嘘だったら成歩堂 龍一の目の前で泣いてやっても良いわ」
そこでどうして成歩堂が出て来るのだ……と呟いてから、御剣はゆっくりと再び身を進め始めた。
476ミツメイ依存:04/05/24 22:00 ID:1xQHdFM/
動かせば、繋がっている所の隙間から、赤い物がじわり、と流れ出て来るのが分かった。
かなり痛々しかったが、だからこそこの行為を早く彼女に伝えたい。
「ンッ……く……」
先程の激しい痛みとまでは行かなくとも、やはり冥に痛みが訪れるのであろう。冥は痛みに眉をしかめっぱなしだ。
一方の御剣も、一山狭さを越えた(?)事に関する安堵感から、モノが先程よりも誇張するのが分かった。
「ひぐっ……は、ぁっ!」
胎内でまたそうした反応をされ、冥は未知の感覚に襲われる。
「レッ、レイジ…! 何か、変よっ……! お、おかし、い……私、おかしいのっ!」
それが絶頂を迎える寸前と言う事は分からず、冥は半ばパニックに陥りながら御剣の身体にすがる。
その動きが、彼にもしびれるような快楽を与えていた。
思わず御剣は最奥まで突き上げた。
「あっ…ィ……やぅっ……んっ!」
冥が目をきつく閉じ、切なく、苦しく悲鳴を上げた。
秘部が、快楽に思わず彼の事を締め付ける。
「メイ……ッ! 愛している…」
「レイッ……ジ…わ、たし……もっ」
二人は想いを確かめ合った。と、同時に、御剣はもう自分の欲を堰止められなかった。
御剣の動きが最も大きくなり、それと同時に奥に固定させたまま、彼は自分の想いと欲を彼女の中へと放出した。
「ああ、あああぁーっ…!」
冥が体を仰け反らせ、快楽に染まった悲鳴を上げる。
二人は同時に絶頂を迎え、形在る想いを伝え合った。
477ミツメイ依存:04/05/24 22:00 ID:1xQHdFM/

朝日が差し込んで来る。
冥は布団の中でもそもそと動いた。そんな彼女の身体を優しく御剣は抱き締めてから、起き上がる。
「私達……あの後眠っちゃったのかしら…?」
「うム…そうだろう。私も、あの後は覚えていない」
そう、彼らは想いを伝え合い、共に朝への眠りに就いたのだ。
御剣は寝床から出て衣服を整え、冥の方を向いた。
しばらく冥は呆然としていたが、やがて自分の衣服を直し、御剣の傍らへと立った。
「レイジ・…」
「何だろうか?」
「成歩堂 龍一は…逢えるのかしら?」
冥の疑問に「どうしてだ?」と御剣が尋ねた。冥は自分の荷物から、一枚のカードを出そうと思ったが、それを思いとどまった。
何も、彼に見せる事は無いではないか、と思ったのだ。
それに、これをダシに日本に来る事も出来る。
「何でも無いわ」
肩をすくめ、冥がそう言うと、「そうか?」と御剣も言った。
「…それにしても、妙ね」
「何がだ?」
「あなたが居るのに、どうして検事局は私を要請したのかしら?」
天才検事、御剣 伶侍が居れば、百人力じゃないの、と冥が言うと、御剣はおかしそうにクック、と笑った。
「ソコには色々と事情が在るのだよ」
「何よ、事情って」
「私は私で既に、仕事が在る、と言う訳だ」
御剣の言い方に、冥は思わず眉をしかめる。
「訳が分からないわ」
「今日キミが仕事をすれば、自ずと分かるさ。頭の良いキミになら、な」
そう言って、御剣は冥の頬にそっとキスをした。


終わり。

478ミツメイ依存:04/05/24 22:01 ID:1xQHdFM/


〜愛あるおまけ〜

「それにしても、どうしてくれるのよ」
「ム? 何がだろうか」
「その…そうした行為に際して、普通…その、避妊具くらい、付けるでしょう?」
冥の言葉に、思わず御剣は言葉に詰まった。
そう。
昨日うっかりして彼は避妊具を付け忘れ、冥とそうした行為に及んだ後も、
そのまま適切な処理を行わずに眠りに就いてしまったため、かなり無責任な結果となってしまったのだ。
「も、もしも妊娠していたら…どうするのよっ」
咎めるように冥が言う。
御剣はしばらく唸っていたが、やがて頬を染めた。
「何よ」
まだ怒った感じで冥が尋ねると、御剣は冥の事を抱き寄せた。
「出来ていても、そうでなくても……今回の仕事が終わったら……」
そこで一旦、御剣は言葉を切る。
正直、こうした事を言う性分でない事は、自分でも重々承知だ。
少しためらってから、それでも御剣は冥の耳元に口を近付ける。
「一緒に暮らせないだろうか?」
「……!」
彼の申し出に、彼女は面食らった表情をしていたが、やがて頬を染め、困惑した表情になった。


愛ある終わり

479ミツメイ依存の者:04/05/24 22:02 ID:1xQHdFM/
ごめんなさいごめんなさいっ!
こんなドリー夢入っててごめんなさい!
何より御剣ヘタレ過ぎだよとか、冥がこんな性格じゃないとか、そもそも起承転結しっかりしてないとか
そうした矛盾が生じるようなエロ小説で、本当にごめんなさい!
御剣は動かしづらい。エロにするにはちょっと動かしづらくてコトに及ぶペースが遅い……
お目汚しを…呼んで下さってありがとうございました。
ミツマヨ神様の後ろを取るのはかなり度胸が要りました。正直スマンかった……
480ミツメイ依存の者:04/05/24 22:03 ID:1xQHdFM/
追伸。
×呼んで下さって →○読んで下さって
481名無しさん@ピンキー:04/05/24 22:07 ID:R80R2c/p
GJ!! 乙華麗でした。
ミツメイ依存様の完結を待ってから投下するべきでしたね。
こちらこそ早漏すまんでした。ちんこ鍛えてきます。
482名無しさん@ピンキー:04/05/24 23:42 ID:CK56MQ0v
おお、神がお二人も…! 
ミツメイ依存の者様、お疲れさまでした。
ミツマヨ神様、続きお待ちしてます〜!!
483名無しさん@ピンキー:04/05/25 00:26 ID:v1kUPwX7
神2人もキテタァァァ(゚∀゚)ァァ( ゚∀)ァァ( ゚)ァァ( )ァァ(` )ハァ(Д`)ハァ(;´Д`)ハァ……
>>440
最高。自分ミツマヨ贔屓なのでもうタマラン。
続きが早く読みたくて仕方ないです。明後日の投下お待ちしております。
>>461
ミツメイ続きキター!GJ!
上でミツマヨ贔屓と言っておいて節操ないですが、すねる冥に萌えました。
484名無しさん@ピンキー:04/05/25 00:26 ID:0Lk3bmQF
ぎゃあああ!
神が降臨なされた・・・。
ミツマヨもミツメイも素晴らしすぎて死ぬ(*´Д`*)
485名無しさん@ピンキー:04/05/26 00:03 ID:8B8QoD8U
マイナーカプも書いたんですが、流石に連続投稿はまずいですかね?
一応ミツメイ依存書いた者なんですけど。
486名無しさん@ピンキー:04/05/26 00:04 ID:gQFD+Lyh
お願いシマッス
487名無しさん@ピンキー:04/05/26 00:06 ID:oe3uqmj8
なんと!
私が、バイトに行っている間に、2人も神様が光臨していたとは!!!
488陵辱的なゴドアヤ:04/05/26 00:09 ID:8B8QoD8U
妥協し、傷を舐め合う事が在るとするならば。
それはきっと、傷付きすぎて疲れ果てた者達のみ。

流され、壊れて行った者達の嘆きが響く。

−叙情曲− (マドリガル)

ぼんやりと、顔を上げた。
恍惚にあえぐ女性が目の前に居る。
(……?)
思わずいぶかしげな表情になる。
何故自分は、こんな所に居るのだろうか、と。
そして、この目の前の女性と、どうしてこうした情事を行っているのか、と。
「アっ……んくっ」
目の前の女性が、自分の与える刺激にあえぎ、身体のうずきにもだえている。
その黒い髪が、女性の動きに合わせて微かに揺れる。
「あっ、ひぃっ……」
女性は、男の頬に手を添える。
その指が、男の頬骨に触れ、妖艶に撫でる。
「あ……あああ…」
男の腕にすがりながら、女があえぎながら目の前の男を見詰めた。
その瞳の色は、後悔。
「……     …」
男が女性の名前を呼ぶと、女性は目を細め、涙を浮かべたままなすがままに受け容れている。
男はぼんやりとした頭で何がここに繋がっているのかを考えた。
489陵辱的なゴドアヤ:04/05/26 00:10 ID:8B8QoD8U

それは、『彼』が忌まわしい計画を記した手紙の場所を知ってからの事。
その手紙の内容を阻止すべく、彼は葉桜院へと向かっていた。
それは、身を切るような一月。
寒さに思わず身震いしながら、『彼』は懐からコーヒーカップを取り出した。
そしてそのまま、ごきゅ、と一口呑む。
ゴドー。
検事として法廷に立って連戦連敗というかなり異例(?)の記録を持つ男。
だがその敗訴した事件のどちらも、ゴドーはある男に負けていた。
成歩堂 龍一。
ゴドーはある理由から成歩堂の受け持つ裁判ばかりを受け持った。
そんな彼が、この身を切るような寒さの一月に、葉桜院へと向かっている。
「クッ……流石に山奥だけあって、寒いな」
思わず凍えちゃうぜ、何て言いながら、ゴドーは院へと続く道を歩いた。
雪が積もっていて、ゴドーの足取りに合わせ、さくり、さくりと雪が音を鳴らす。
490陵辱的なゴドアヤ:04/05/26 00:10 ID:8B8QoD8U
通うような人も今の時間は居ないらしく、ゴドーの足跡だけが雪の上に残されている。
「足場が悪いぜ、こりゃあ」
苦笑しながら、ゴドーはひたすら歩いた。
こうまでしてこの計画を阻みたい理由はただ一つ。
その犠牲者となりうる者を護るためである。
やがて、雪の積もる、寂しげな院にゴドーは辿り着いた。
「ここか……」
ゴドーは人知れず呟き、その院の中に入って行った。
491陵辱的なゴドアヤ:04/05/26 00:11 ID:8B8QoD8U

建物の中だと言うのに寒さには全く対処していないらしく、いまだに肌寒かった。
ゴドーは寒さの為に肌全体が緊張して行くのが分かった。
髪の色も、視覚も失った彼が、こんなにも寒さに敏感になれるほど、
底冷えのする廊下を渡り、やがて広間のような場所に出た。
眼前に広がる呪詞を記したふすま、巨大な勾玉に、ゴドーは思わず感嘆のための口笛を吹いた。
「無宗教のオレも、思わず拝んじゃいそうだぜ」
そんな事を言いながら、ゴドーはその巨大な勾玉を見上げながらそれに近付いた。
と、その時、ふすまが開かれた。
「どちら様でしょうか?」
「!!」
思わずゴドーは身構えた。
何故ならそこには、自分が破滅を辿るハメになった女性と瓜二つの女性が居たからだ。
「……葉桜院 あやめ、だな?」
「雑誌を読まれたのですか? 予約はされましたか?」
「いや、修行じゃねえ」
ゴドーは首を横に振り、その女性…あやめの方へと近付いた。
「アンタにちょっと用事が在って来たんだ」
「わたくしに、ですか?」
小首を傾げて、あやめはゴドーの事を見詰めた。
「アンタは多分知らないとは思うが……神乃木 荘龍と言う名を聞いた事が在るか?」
「! か、神乃木さま……?」
あやめはそう言って、目を閉じた。
492陵辱的なゴドアヤ:04/05/26 00:11 ID:8B8QoD8U
「存じております。おねえさまが、毒を盛った弁護士様の名前です」
「クッ……」
まさかそんな返事が返って来るとは思わなかったので、思わずゴドーは苦笑する。
「オレが、その『神乃木 荘龍』だったら、どうする?」
「あなたが?」
目を丸くして、あやめはゴドーの事を見る。
見詰められ、思わずゴドーはたじろいだ。それは決して照れから来る物ではなかった。
(あのオンナの顔が……オレの事を見ている)
その感覚のおぞましさ。
何もかもを失った彼に、残っていなかったと思われていた恐怖心が沸き上がって来る。
「……わたくしに用とは、何ですか?」
「…疑わないのか? 本人かどうかも分からないぜ?」
「好き好んで五年前に起こった事件での被害者の名前を使う人は居ません」
「クッ…違いない」
肩をすくめ、ゴドーは答えた。
「こんな、誰でも入って来れるような場所では、ちょっと言いにくい事だぜ」
そう言うと、あやめは「では、付いて来て下さい」と言って歩き始めた。ゴドーはあやめの案内に従い、
後ろを付いて行った。広間をで、廊下を歩き、一つの部屋に来た。
「わたくしが使用している部屋です。少し寒いのですが……」
「ここまで寒けりゃ、何処も一緒、だぜ」
少々皮肉を交えて言うと、あやめはぺこりとお辞儀をして部屋の中へと招いた。
中は女性が過ごすには少々殺風景だった。
ただ、一つを除いて。
493陵辱的なゴドアヤ:04/05/26 00:12 ID:8B8QoD8U
「アンタ……これは?」
「あ!」
ゴドーが『それ』を手に取った時、あやめは慌ててゴドーの方へと駆け寄った。
そして、ゴドーの手から引ったくるように『それ』を奪い取ると、大切そうに『それ』を見詰める。
その正体は、写真立てであった。
写真立ては少し大きめで、上下に二つの写真が並んでいたような気がする。
「……美柳 ちなみ、だな?」
「…………」
きゅっ、と唇を噛み締め、あやめは目を逸らす。
別に、あやめからの返事を期待している訳では無かったゴドーは、それ以上深く聞く事はせずに、
目を逸らした。
「こんな寒い場所でよく一日を過ごせるぜ」
「……慣れれば、どうと言う事はありません、神乃木さま」
あやめが柔らかく微笑み、ゴドーの言葉に答えた。
「今、温かいお茶を煎れます」
悪いな、と言おうとしてから、ゴドーはふと傍らに在る自分の愛カップに目が行き、
自分がコーヒー好きな事を思い出した。
「いや、別に気を使わなくても良いぜ。オレはコーヒー派だし、オレの恋人は常にオレの傍に居る」
「?」
「いや、それよりも本題に入りたい」
ゴドーが真剣な眼差し(だろう、多分。大きなメガネで見えないが)であやめの事を見詰めると、
あやめも真剣な眼差しになり、うなずいた。
「まずは、この手紙を見て貰いたい。口で説明するよりもこっちの方が手っ取り早そうだからな」
ゴドーはそう良いながら、ベストのポケットから一通の封筒を取り出した。そして、
それをあやめに手渡す。あやめはそれを受け取ると、その手紙の内容に目を通した。
少し、辛そうな表情をする。
494陵辱的なゴドアヤ:04/05/26 00:13 ID:8B8QoD8U
「この筆跡に、見覚えは?」
「……在ります。わたくしの、お母様、ですわ」
手紙の文字を指でなぞりながら、苦しそうに溜息を吐く。
「……」
「辛いと思うが、それがアンタの母親の『計画』だ」
「………分かり、ました」
こくり、とうなずいてから、あやめはゴドーの方を見る。
「神乃木さま…コレを持って来て、あなたがわたくしに言いたい事とは、何なのでしょうか」
「そうだな」
投げ掛けられた質問に、ゴドーはカップをあおってからふう、と溜息を吐く。
「オレは、ある理由からこの計画を絶対に阻止したい」
「………」
「そのためには、アンタに協力を願いたい」
しばし、沈黙が流れた。
断られるだろうか、とゴドーは思った。突拍子も無い手紙を渡され、彼女の立場を認識させた後に、
協力を願いたいなどと言って、果たしてどれだけの信憑性が持てるだろうか。
「わたくしは、裏切るかもしれませんよ?」
静かに、あやめが答えた。
「この手紙によりますと……わたくしはおねえさまと協力をして、この方を殺すように書かれています。
身内からの指示ですよ? 例えそれがどんなに間違った事であっても、わたくしは身内の方を
選んでしまうかもしれませんわ」
「それは無いさ」
ゴドーはそう言ってから、コーヒーカップを向ける。
「アンタは絶対に阻止する事に協力をするはずだ」
「根拠は何ですか?」
「…悪いが、さっきの写真が根拠だ」
その言葉に、あやめがびくりと身体を震わす。手に持たれていた写真立てが、虚しく反射した。
495陵辱的なゴドアヤ:04/05/26 00:14 ID:8B8QoD8U
「その写真に映っている人物は……美柳 ちなみ、だな?」
「!」
屈託無い笑顔を映した写真。
それは、ゴドーにとっては偽りの笑顔としか見えようが無いけれども。
赤毛の、少し瞳が大きめの少女が、写真に映っていた、と思う。
勿論コレはただのハッタリだ。根拠と言えるほど見えた訳ではない。
だが、あやめの反応を見れば、その写真の人物が、ちなみであった事が分かった。
「アンタは……あのオンナの事を何らかの形で心配し、阻止しようとしていたはずだ」
「………」
じっとゴドーの事を見詰めてから、あやめはやがてうなずいた。
「その通りですわ、神乃木さま」
伏目がちになってそう言い、あやめは写真立てに目を落とした。それはゴドーから見たら、
裏になっている形であったが。
「おねえさまは……罪を犯し続けられました」
「……」
「それで、死刑となって……」
死刑が何時行われたかなんて言うのは、普通公開されないのだが、今はそれに突っ込むのは
よそう。第一、双子特有の、虫の知らせも在るだろうし。
「アンタにとっては、辛い事だっただろうな」
「でも……どんなにわたくしが辛く思っても、おねえさまに対してわたくしが行った『裏切り』は消せません」
「裏切り?」
少しだけ身体を乗り出して、ゴドーがあやめに尋ねる。あやめは目を伏せ、苦しそうにただ一つ、
溜息を吐く。
「……まあ、良いさ」
ゴドーは肩をすくめると、辺りを見回した。
496陵辱的なゴドアヤ:04/05/26 00:14 ID:8B8QoD8U
「ここには、アンタ以外に居ないのかい?」
「いえ……ビキニさまが居ますわ」
「……ビキニ?」
よりによって、こんな寒い時期にビキニか。
しかもビキニに対して『さま』付けしている。あやめはビキニ愛好家か?
とゴドーは思わず眉をひそめ、心の中で突っ込んだ。
その心境が読めたのだろうか、あやめは「ビキニさまは、わたくしの事を
引き取って下さった方ですわ」と言って微笑んだ。まるで心を見透かして、
そうしたフォローを入れているかのようだ。
「クッ……」
半ば呆れたように自分に笑ってから、ゴドーはカップの中のコーヒーをあおる。
それからあやめの方をじっと見た。
「そのビキニのネエちゃんだか何だかには、なるべく聞かれない方が良い」
「いえ、ビキニさまは今、ここの離れ…奥の院に行っておりますわ」
奥の院、と言う単語に、ゴドーはしばし押し黙った。
計画書の指し示す実行場所は、その『奥の院』なのであった。
そしてそこは、彼にとっても因縁の場所であった。正確に言うと、奥の院に因縁が在る訳ではないが。
「それじゃあ、打ち合わせをするか」
ゴドーの言葉に、あやめはうなずいた。
497陵辱的なゴドアヤ:04/05/26 00:15 ID:8B8QoD8U

あらかた打ち合わせも終わり、ゴドーはあやめの部屋でしばし呆然としていた。
受け持つであろう裁判……岡高夫殺人事件の再審理まで、恐らく時間はまだ在る。
「…神乃木さま」
あやめがコーヒーを煎れてやって来た。
「冬場はご覧の通り寒くなります。コーヒー派とお聞きしましたので、お煎れしましたわ」
朗らかに笑い、あやめはコーヒーの入ったポットを持って、ゴドーの隣に座る。
その姿に、思わずゴドーは緊張した。
「……悪いな。オレは…自分の煎れたコーヒーしか呑まない」
「おねえさまが、神乃木さまに毒を盛ってから、ですか?」
その言葉に、思わずゴドーは立ち上がる。あやめの事を睨み付けたつもりだったが、
恐らくはこの大きなメガネのせいで眼光の鋭さは伝わっていないだろう。
「…神乃木さまは、何故この計画を止めようと思ったのですか?」
「………」
「わたくしは、おねえさまを止めるために、あなたに協力する事を誓いました。ですから、
神乃木さまも理由を教えて頂けなければ……信憑性が在りません」
「……」
あやめの言葉を聞いて、全くもってその通りだぜ、とゴドーは自嘲した。
相手の理由は把握しているのに、こちらの手の内(胸の内?)は明かさない。
それは、取引をするにあたって最も信憑性も信頼性も無い行為であった。
「この白髪は、美柳 ちなみからプレゼントされた、食えねえ副毒コーヒーの副作用によって生じた物だ」
ゴドーがおもむろに口を開いた。
「……」
「しかも、その毒はオレの事を五年もの間、しがらみのように絡め取り、眠りに就かせちまったのさ」
目許に在るメガネに、ゴドーは指を持って行く。
「眠りから覚めたオレには、何も残っては居なかった。このメガネも、もうすっかり見えなくなっちまった
この目を補強するための器具だ。こんなにも、ごつくて重く、冷たいメガネが、な」
右人差し指に付けていた指輪が、鈍く輝いた。
498陵辱的なゴドアヤ:04/05/26 00:16 ID:8B8QoD8U
「けど……オレにとってそんな事は、どうでも良かった。視力なんて、な」
「?」
「……オレには、愛したオンナが居た」
首を傾げるあやめに、ゴドーが行ってから、自分の愛用しているカップに目を落とす。
「そいつは、オレが眠ってる間に、死んじまったのさ」
「!!」
「もう、アイツは戻って来ない、『アイツ』は、もう…死んじまった」
声が震えた。
涙は出て来ないものの、喉だけが感情の赴くままに振動し、ゴドーの声はまるで
引きつり笑いでもしているかのように震え、かすれていた。
「…千尋さま、ですね?」
「…………知ってたか」
「おねえさまに深く関わった神乃木さまと同じく、深く関わった女性……
綾里 千尋さましかおりません」
そう言ってから、あやめは目を伏せる。
「千尋さまはおねえさまの罪を、お暴きになられました」
「クッ…流石は千尋だ。そう思ったぜ」
きっと、依頼人の事を信じ切り、そして自分を取り戻すために命がけでヤツに
挑んだんだろうな、とゴドーは呟いた。
「アンタにとっては、憎むべき相手かもしれないな。千尋も、オレも」
「いいえ」
驚いた事に、あやめは首を横に振った。
「おねえさまの事を止めて下さいました。それがどんな形であれ……そうした点で、わたくしは
お二人に感謝をしております。それが、嬉しいと言う訳では、勿論在りませんが」
あやめの言葉に、ゴドーは虚しさを感じた。
千尋は自分を取り戻すために、依頼人を信じ、ちなみを追い詰めた。
だが、それは同時に、肉親を一人失う人物を生み出した。
どれが、果たして正しい事なのか。
499陵辱的なゴドアヤ:04/05/26 00:16 ID:8B8QoD8U
「……それで、千尋さまがお亡くなりになられて…神乃木さまはこの手紙を
見付けになりました」
「そうだ、まだ途中だったな」
ゴドーはそう言って、ふう、と溜息を吐いた。
「寝坊をしちまったオレは、あるルールを“オレ流”に決めた」
「はあ、おれりゅう、ですか」
「オレは千尋を見殺しにしちまったも同然だ。だからこそ。その傍らに居た、
今彼女の後継者を名乗るまるほどうと言う男を試す。それがオレの第一のルールだ」
「まる……何ですか?」
「まるほどう。まるほどう りゅういち、だ」
ゴドーの発言に、あやめはゴドーにすがり付いた。
「そ、それは…リュウ……成歩堂 龍一さんの事ですか!?」
「ん? まあ、そうだな……」
女性特有の剣幕に、思わずゴドーはたじろいだ。
あやめの目は必死に染まっていて、何か後悔と愛しさを感じる物が在った。
「…千尋さまを助けられなかったから、成歩堂さんの事を試すのですか?」
「そうだな」
短くそう言って、ゴドーは虚空を見た。
「それで、第二は何ですか?」
「?」
「神乃木さまは先程、『第一の』ルールとおっしゃいました。ならば当然、
『第二の』ルールが在るはずですわ」
些細な所まで覚えている彼女に、ゴドーは好感を持った。
記憶力の良いヤツは、嫌いじゃない。
500陵辱的なゴドアヤ:04/05/26 00:17 ID:8B8QoD8U
「第二のルールは……その千尋の妹さ」
「妹…真宵さまの事、ですね」
「そう。千尋を護れなかったオレにとって、彼女に出来る手向けだ」
うつろに笑い、ゴドーは手紙の内容に目を向ける。
彼の言葉を聞いて、あやめはしばし押し黙っていたが、やがてゴドーの方を向いた。
「それは、嘘ですわ」
「……何だと?」
突然のあやめの反論に、ゴドーは思わず身を乗り出して彼女の事を見た。
「神乃木さまは、真宵さまを護るフリをして、彼女に千尋さまを重ねているだけですわ」
「!」
「あなたが護れなかった千尋さまを、誰かに擦り付ける事で自分が救おうとなさっているだけです」
「……………」
何も言えなかった。
あやめの言っている事は、あまりにも的確に突いて来たから。
「何故、ご自分に目をお向けにならないのですか?」
「……オレは、昔のオレじゃねえ」
「いいえ。あなたはまだ、何処かで昔のしがらみに囚われています」
それは、わたくしも同じです。
あやめはそう付け足した。
その姿に、何故彼女が自分と同じくしがらみに囚われているのか、とゴドーは思った。
「……わたくしも、あなたを通して、違う方を見ていますわ」
「?」
ゴドーはそのあやめの言葉に、思わず首を傾げた。
501陵辱的なゴドアヤ:04/05/26 00:18 ID:8B8QoD8U
「先程の写真立ての写真、覚えていますか?」
「あ、ああ。美柳 ちなみが写っていた、あの写真か」
ゴドーの言葉に、あやめはうなずいて、写真立てを見せた。
「一緒に写っている方、分かりますか?」
一枚の写真を指差して、あやめがゴドーに尋ねる。ゴドーは指を差された写真に目を向けた。
「!!」
そこには、微笑むちなみと圧倒的に緊張感に欠ける、ピンクのセーターを着た男が立っていた。
イタイタしい。
「……クッ」
かろうじて、ゴドーは乾いた笑いを発した。
「まるほどうの、ガキんちょの頃じゃねえか」
「がきんちょ、ではありません。大学生ですわ」
あやめのフォローに、「この頃はどっちも変わらないさ。圧倒的に知性に欠けている」とゴドーが答えた。
「この、成歩堂さんの隣に立っているのは、おねえさまではありませんわ」
「何?」
いぶかしげにゴドーがあやめの事を見ると、あやめは少し照れた表情をした。
「これは、わたくしです」
「ぶ」
思わず彼は吹いた。
タチの悪い冗談だな、とゴドーは思ったが、あやめの表情を見る限り、冗談を言っている様子は無い。
「わたくしは…おねえさまに頼まれ、この方の傍に半年間おりました」
「おいおいおい」
「そして……わたくしは、おねえさまを裏切ったのですわ」
目を伏せ、あやめは哀しそうに溜息を吐く。
502陵辱的なゴドアヤ:04/05/26 00:18 ID:8B8QoD8U
「成歩堂さんを、わたくしは心よりお慕いしました。おねえさまの目的であった、
決定的証拠品を取り戻す事さえ出来ませんでした」
「決定的、証拠品?」
「神乃木さまを…毒殺しようとした時に使われた物ですわ」
あやめの言葉に、ゴドーは吐き気を催した。
よりによって、自分に関する証拠品。それを、彼女が取り返そうとしていた。
「……」
言いようの無い怒りに、思わずゴドーはあやめの事を睨み付ける。
「お恨みの事でしょうね、神乃木さまは」
あやめは顔をそむける。
「ですが、結局証拠品も奪えず、おねえさまの事も止められず……おねえさまはもう、居ない」
はらり、と音も無くあやめの目から、涙がこぼれた。思わずゴドーはぎょっとする。
女性の涙には慣れていない。
「泣くな。男が泣いていいのは、全て終わった時、だぜ」
「……済みません。ですが…止められないんです」
首を横に振り、あやめは涙をこぼし続けた。
どうすれば良いのか分からず、ゴドーは目の前で泣く女性を引き寄せた。
「あ……っ」
一瞬、何が起こったのか分からずにあやめは目を丸くした。
「女が泣いていいのは、男の腕の中だ」
オススメは、愛する男の腕、だがな。そう言って、ゴドーはあやめの事を抱きすくめた。
てっきり、嫌がるかとゴドーは思っていた。彼女は先程、成歩堂の事を慕っていると言ったばかりだ。
それを、慰めようとしているとは言え、こうした形になったのを、あやめが受け容れるはずも無い。
そんな風に思っていたのだ。
だが、現実は違った。彼女は自分の腕の中で抱かれている。
503陵辱的なゴドアヤ:04/05/26 00:19 ID:8B8QoD8U
「わたくしは、あなたを通して、成歩堂さんを見ていました」
「!」
よりによって、一番一緒にして欲しくないヤツの名前を言われ、思わずゴドーは苦笑する。
だが、彼女の今崩れ落ちそうなこの心を、支えられるのならばそれでも良い。
彼は素直にそう思った。
「神乃木さま。神乃木さまはわたくしを見て、おねえさまを思い出しているはずですわ」
「……」
「そして、わたくしはあなたを通して成歩堂さんを見ています。あなたのその疑惑と微かな憎しみを、
成歩堂さんに対して行った裏切りに対する報いとして受け取っています」
あやめはゴドーの胸元に顔をこすり付ける。
「二人の利害は、一致しました」
「利害?」
「神乃木さまはおねえさまの事を憎んでおられます。わたくしは、成歩堂さんに負い目を
感じていますわ。ならば……わたくしが考えるのは……」
そう言って、彼女はゴドーのネクタイを解いた。少し苦しかった首元が、解放感に包まれる。
目を白黒させるゴドーを尻目に、彼女はゴドーの腕の中で衣服を脱ぎ始めた。
「あなたに、わたくしの事を抱いて貰う事、です」
「!」
「……わたくしに、罰を与えて下さい。神乃木さま」
すがりつき、あやめはゴドーが何か言う前に、その唇を塞いだ。
そこで、彼の理性はスッパリと切られる。
「わたくしは、おねえさまを裏切り、成歩堂さまを欺きました。『美柳 ちなみ』として」
ふつり、とゴドーの心に憎しみが生まれた。
この目の前のオンナをメチャクチャにしたい。
自分がメチャクチャにされた人生を、目の前に居る『美柳 ちなみ』にぶちまけたい。
「……良いぜ」
ゴドーは静かに答えた。冷たい、怒りを伴う声で。
「ただし…オレは検事のゴドーだ。神乃木 荘龍でアンタを抱く事は出来ない」
504陵辱的なゴドアヤ:04/05/26 00:20 ID:8B8QoD8U

乱雑に脱ぎ捨てられた衣服が部屋の隅に在る。
彼は腕の中に居た裸体の女性を、そのまま組み敷いた。女性は、成すすべなく床に倒れ伏す。
彼…ゴドーは彼女…あやめの両足の隙間に指を割り入れ、敏感な部分に突き立てた。
「んっ、は、あああっ…」
いきなりの恥辱に、あやめは思わず身体をこわばらせ、激しく呼吸をする。
彼女の反応を横目に、ゴドーは空いていた手で無防備な上半身の膨らみを揉みしだく。
痩せ方のあやめは、それほど胸は大きくなかった。むしろ痛々しさを感じるほどである。
「あ、っ…検事、さまっ」
ゴドーの言い付けどおり、あやめは『神乃木』には語り掛けず、『ゴドー検事』に声を掛ける。
その陵辱に濡れた声に、ゴドーは無表情にあやめの顎から首筋を、ねっとりとねぶる。
「ひゃ、あぁっ」
目に涙を浮かべ、愛玩とされている自分に侮蔑の目を遣りながら、あやめはただゴドーの与える
快楽と言う名の『罰』を甘んじていた。
「や……はぁっ」
首を横に振り、愛玩するようにゴドーの事を見詰めるあやめ。
だが、ゴドーの心はあまりにも復讐に対するこだわりに占められていた。
そのままゴドーはあやめの胸の先端に吸い付き、軽く歯を立てた。
びくんっ、とあやめの身体が震える。
「く、あぁんっ! ふぁ…あぁあーっ」
急に訪れた快楽と微弱な痛みに、思わずあやめは悲痛なあえぎ声を上げる。
「い、いや…止め……」
懇願するあやめの目を見据え、ゴドーは乳首から唇を離した。
「アンタがいやって言えるのか? どうなんだ?」
そう言って、彼は秘部をいじくる手を一層激しくした。
ぶちゅ、ぐちゅりっ、と指が蜜に擦れ、音を伴う。
「あ、あああっ、ん…っ、くひっ」
涙を浮かべ、あやめはゴドーの指の動きを受け容れ、快楽に躍る。
505陵辱的なゴドアヤ:04/05/26 00:22 ID:8B8QoD8U
何の準備もせずに突き入れたあやめの秘部は、初めの内は乾いたゴドーの指に
ことごとく引っ掛かり、ざらざらした感触しか指先に与えなかったが、先程のように
その奥から生まれ始めた蜜がゴドーの指先に絡み付き、動きをより激しくする事を許した。
「クッ……どうせだから、懺悔くらいしたらどうだ?」
冷徹なゴドーの言葉に、思わずあやめは声にならない叫びを上げる。
「検事さま……あっ…わた、くし…狂言、誘拐に…加担しようとさえ、しました…っ、はぁんっ」
「そいつは初耳だ。それから? アンタの罪はそれだけじゃないはずだぜ?」
恥辱の行為を続けながら、ゴドーはあやめに先を促す。
「わたくし、は…神乃木さま…を、殺そう…っ、と…した、おねえさまを、
止められ…ません、でしたっ…ひぐぅっ!」
「それから?」
「あ、ああっ…おねえ、さまに…頼まれて、わっ…たくし……証拠、の、獲得を…
…しようとしま、した!」
「それで、アンタは他にも罪を犯した。言ってみな。聞いてやるぜ」
「ん、あ、あ゛あっ…成歩堂、さんを…半年、もっ…欺いて、しまいましたっ!」
あやめは半ば犯狂乱になりかけてそう叫び、身体をのけぞらせる。
ゴドーはそんなあやめの姿を見て、口の中で笑った。
目の前に居る女性を…『美柳 ちなみ』を、この手で罰する時が来た。
決して、現実では起こりえない事。
分かってはいる。これは決して正しい事ではないのだと。
ただ、それを止めるには、彼も、彼女も…両方とも傷付き果てていた。
「アンタは有罪だ。誰がどう見てもな」
そう言って、彼はあやめの唇を塞ぎ、貪った。
「ん、んぅぅーっ…」
506陵辱的なゴドアヤ:04/05/26 00:22 ID:8B8QoD8U
口内に、ねっとりとした唾液をまとったゴドーの舌が、無理矢理に入って来る。そして、
およそ無防備であったあやめの舌に絡み付くと、そのまま引っ張り上げ、あやめの
舌の裏をグロテスクに舐め上げる。
「ふ、…っんっうう・・…」
その激しさに呼吸を邪魔され、あやめは目をきつく閉じる。
そして、ゴドーの舌が与える暴力的な愛撫に合わせ、あやめもゴドーの舌に絡み付いた。
互いの舌は、狂おしいほど熱かった。
そうした行為の最中にも、ゴドーは『あやめ自身』にその指を埋める行為を忘れてはいなかった。
いや、もう既に彼の指は根元まで侵入し、今や強烈な快楽を伴う指の出し入れで、
彼女の事を陵辱していた。
彼女のあえぎ声を響かせたい。
ゴドーはそう考え、あやめの舌を貪っていた自分の舌を引き抜いた。
「や、かはっ……ひゃうぅっんんっ…!」
口が自由になったあやめは呼吸とあえぎとを交え、その音を部屋に、ゴドーの耳に届けていた。
「『美柳 ちなみ』に、罰を与えてやるぜ」
そう言ってゴドーは指を引き抜き、自分のズボンのベルトを外し、チャックを引き下ろした。
今までの行為で彼自身は誇張され、そのはけ口を求めていた。
あやめは荒い息でゴドーの事を見、ゴドーがしようとしている事に、思わず身体を震わせた。
「アンタは、罰を受けなけりゃならねえ」
冷たく言い張り、ゴドーはあやめの両足をぐいと強引に広げた。
ぬちゃ、と蜜があやめの太股を伝い、床に流れた。
思わずあやめは頬を染め、困惑した表情になる。
気の毒なほど、あやめの足は震えていた。
だが言葉で拒絶をしないのは、最後の最後まで甘んじたいと思っているのだろう。
『美柳 ちなみ』としての自分を殺すため。
507陵辱的なゴドアヤ:04/05/26 00:23 ID:8B8QoD8U
「……」
ゴドーは黙ってその足の間に自らの下半身を突き入れた。
ぐりゅっ、と『そこ』が擦れて卑猥な音を立てた。
「っ…あ、ああぁーっ!」
眉をしかめ、あやめは挿入物に対して苦しげなあえぎ声を上げる。
彼女の反応に、ゴドーは激しい動きを与える。
「んっく、やぁあっ…!」
涙を浮かべ、唇の端から唾液を細く流しながら、あやめが切なく叫ぶ。
「オマエは、『死刑』だ。『美柳 ちなみ』」
冷たく言い、ゴドーは下半身への刺激を続けながら、急にあやめの胸を強く揉んだ。
「っ……」
複数の快楽に、あやめは目を見開いた。
「あ、あああ、あーっ!」
彼女は快楽に翻弄され、絶頂を迎えた。ゴドーの事を中に受け容れたまま、その場所がきゅうう、
と締め付けて来るのをゴドーは感じた。
(っ……ぐ、う…)
思わず中に出してしまおうとするのを、ゴドーは気力で抑え込んだ。
(オマエなんかに、オレは欲さえも与えようとも思わねえ…)
相変わらず締め付け、ひく、ひくと痙攣するそこは、耐えがたいほどの快楽をゴドー自身にも
与えている。それを気力で抑え込むのは、死ぬほどの苦痛を与えた。
やがて、あやめの身体の震えが、僅かな物へと変わって行く。
508陵辱的なゴドアヤ:04/05/26 00:23 ID:8B8QoD8U
ぼんやりと、ゴドーは顔を上げた。
恍惚にあえぐあやめが目の前に居る。
何故自分は、こんな所に居るのだろうか、と言う理由。
そして、この目の前の女性と、どうしてこうした情事を行っているのか、と言う理由。
それは、あまりにも互いが傷付いたから。
ゴドーは再びゆっくりと中で動いた。
「アっ……んくっ」
あやめが、ゴドーの与える刺激にあえぎ、身体のうずきにもだえている。
その黒い髪が、彼女の動きに合わせて微かに揺れる。
「あっ、ひぃっ……」
涙を浮かべながらあやめは、ゴドーの少し痩せた頬に手を添える。
その指が、彼の頬骨に触れ、妖艶に撫でる。
「あ……あああ…」
ゴドーのたくましく力強い腕にすがりながら、あやめがあえぎながら目の前で快楽を
送り続けているゴドーの姿を、うつろな瞳で見詰めた。
その瞳の色は、後悔。
「……あやめ…」
ゴドーが『あやめ』の名前を呼ぶと、あやめは目を細め、涙を浮かべたままなすがままに
受け容れている。
509陵辱的なゴドアヤ:04/05/26 00:24 ID:8B8QoD8U
やっと分かった。
怒りに流されながら、それでも彼女の事を壊そうと思わなかった理由を。
同じだからだ。
母親が失脚した事に対する無念を抱いた、あの女性と。
この、自分の姉を止め切れなかった事に対する無念を抱いた、目の前の女性とが。
そして、彼はそれこそ救いたかったのだ。
『美柳 ちなみ』を残した『葉桜院 あやめ』を。
そして、彼女の中の『美柳 ちなみ』は、確かに死んだ。
この、目の前に居るのは、『葉桜院 あやめ』。
ゴドーの協力者。
ゴドーが、千尋を『彼女』の向こうに重ねていた女性。
「アンタを愛するぜ……最初で、最後だ」
もう誰も、何者にも愛を示さないと思っていた。
だが、最後にこの女性を救えば。愛せば。
それはあやめを救う事で、自分を救えるから。
自分の事を愛せるから。
「わたくし…も……検事さまの事を…愛しますわ」
最初で、最後の。
彼女が言葉も無くそう言った。
510陵辱的なゴドアヤ:04/05/26 00:24 ID:8B8QoD8U
ぐりりっ、とゴドーは彼女の中で激しく動いた。
「は、あぅん……く、ぃ…」
あやめの切ない吐息に、彼ははっきり言うとすぐにでも出してしまいたかったが、
それをしなかったのは、何処かで彼女の事を愛そうとしていたからだろうか。
『神乃木 荘龍』ではなく、『ゴドー検事』が。
それは、ゴドーの昔だった…神乃木が千尋の事を本当に愛していたから。だからこそ、
その『神乃木 荘龍』を汚さないために。
あやめも、恐らくは『あやめ』としてゴドーの事を受け容れているに違いない。
成歩堂と付き合っていた頃の、『美柳 ちなみ』だった自分を汚さないために。
二人の想いは、決して交わらないまでも、同じであった。
この、矛盾した想いが、彼らを向かい合わせ、近付けさせる。
「く、んぅっ……ひっ!」
快楽がやがて激しい運動を伴った物となって来る。二人は高められ、お互いにすがり付いた。
「あ、あああ…検事さまっ」
「あやめ……っ」
お互いを呼ぶ声は、部屋に響き。
び、くんっ!
「ひ……ふ、あぁぁぁっ!!」
ゴドーが己の欲と想いを放出し始め、それを受け容れるあやめの身体が跳ねた。
ゴドーはあやめの中から自身を引き抜いた。
彼女の身体に、彼の想いがべっとり、と付く。
だが、それに対してあやめは嫌悪の色さえ見せず、愛しい目を向けていた。
きっと、恐らく自分も同じ目をしているのだろう。
ゴドーはぼんやりとそう思った。
511陵辱的なゴドアヤ:04/05/26 00:25 ID:8B8QoD8U

彼らは衣服を着、黙っていた。
置かれた手紙が、虚しくも邪悪な計画を綴った文字を封じている。
「……」
「……」
二人は、同時に見詰め合った。
「アンタともう一人に…協力を求めるぜ」
「…よろこんで。検事さま」
二人の決意は、血に染まる結果を伴ってもいとわない。
愛しさを忘れるために、愛しさを覚えたのだから。
恐らく、もう一人の協力者も、形は違えど、血に染まる結果を伴ってもいとわないだろう。
それが、人の抱く事の出来る最大の武器。
自分に対する、他人に対する……そして、大切な人へ対する愛だ。
そして…
最後の最後にゴドーが愛する事が出来た『自分自身』を失うのは……わずか、一ヵ月後。
その日は、音も無く忍び寄る。


終了
512陵辱的なゴドアヤの者:04/05/26 00:27 ID:8B8QoD8U
連続投稿ごめんなさい。でも見て下さってありがとうございます。
ゴドーさんはどうしても陵辱的な性格になってしまいます。(汗)

マイナーカプ投稿と言う事で色々と言われそうですが、どうかお許しを。(苦笑)
私自身、マイナーカプが好きなので。
それでは、他の神様、お願いしますね。
513名無しさん@ピンキー:04/05/26 00:34 ID:tW4nAQLc
GJ!!ゴドアヤ良かったっす!
514サウロンの口:04/05/26 01:41 ID:oe3uqmj8
515サウロンの口:04/05/26 01:42 ID:oe3uqmj8
516サウロンの口:04/05/26 01:42 ID:oe3uqmj8
517サウロンの口:04/05/26 01:43 ID:oe3uqmj8
518名無しさん@ピンキー:04/05/26 05:02 ID:DvsaKYmk
>>512
グッジョブ!
ゴドー兄貴はすげぇや…
519沈む聖域(ミツマヨ):04/05/26 19:31 ID:5bG0qq5m
萌え分補給のために1-4をやり直して、やっぱこのカプおいしすぎだわと再確認しました。

NGワード&絞込み用語句は 沈む聖域 でドゾー

【↓前フリ段階・エロなし注意↓】
520沈む聖域(ミツマヨ):04/05/26 19:32 ID:5bG0qq5m
 流れる水のなかで、二人の人物を俯瞰していた。
 ひとりは、まるで世界でたった一人だけ生き残ってしまったかのような顔をしている小さな少女。
 もうひとりは……だれもが目を背けたくなるくらいに醜い男。
〈終わった。今度こそ。全部……何もかも〉
 御剣は顔を覆ったが、見たくないものは消えてはくれなかった。
 少女に背を向けて歩き出すその男は、薄汚い、いやらしい笑いを浮かべている。
 自分の思い通りにならなかったからと、最低の方法で少女を傷つけ、ざまあ見ろ、一矢報いてやったぞと悦に入っている、ちっぽけな男がいた。
〈何を言えば正解になるのかはわかっていた〉
 彼は自分を痛めつけるかのように、青いコックを思いきり回した。シャワーは徐々に温水から水に変わり、声を上げるほど冷たくなる。
〈私は来年三十歳になる。恐ろしいことに。なんてこった。あとほんの少しで親父の年齢を追い越してしまうじゃないか〉
 それを考えるだけで御剣は芯から震えた。
 父は偉大だった。
 年齢を重ねて父の享年に一歩一歩近づくたびに、御剣は少しだけ恐怖を覚えていた。
 あの父の息子であることが誇りであり、だから、いつだって唯一の目標だった。
 自分が三十五歳の誕生日を迎えたとき、果たして父と同じくらい立派な男となっていることができるだろうか。
 普段だったら、それを思うとき、自然と背筋が伸び、襟を正す心持ちになれた。今はまったく逆だ。
〈いいさ。彼女との縁も終わったが、それはつまり長年の気がかりだって晴れたということだ。
 あの子との間のことは、もう完全に真っさらだ。ペンペン草一本生えやしない。すっきりしたってもんだ〉 
 そんなふうに考えようとして、考えられるはずもない。
 体を拭きながらバスルームを出たあと、ふと思い出して、デスクの引き出しを開け、開封していないコンドームの箱を手にとった。
 馬鹿馬鹿しい。何を期待していたというのだろう。
 御剣は窓を開けて、忌々しいほど煌びやかに星がまたたく地上に向かってそれを投げ捨てた。

 無意識のうちに携帯電話の着信履歴を確かめてしまい、自分にあきれ返った。
 その勢いであやうく電話まで窓から投げ捨てるところだったが、すんでのところで思いとどまる。
521沈む聖域(ミツマヨ):04/05/26 19:33 ID:5bG0qq5m
 ハルシオンをがぶ飲みしてなんとか眠り、翌朝ホテルをチェックアウトした。
 もう少し長く滞在する予定だったが、もはや、とてもそんな気分ではない。
 帰りのチケットを取るのは大変だったが、人には言えない裏技を使ったのち、なんとか座席につくことができた。
 アメリカに帰りさえすれば、変わらない日常が待っているはずだとばかり思っていて、じっさい生活自体はそれまでとまったく同じだった。
〈違うな〉
 御剣は彼らしく暇があるごとに自分の感情を分析した。水が漏れ広がるように、日常の隙間に入り込んでくる感情を。
〈これは、ふられ男の湿っぽい感傷や憐憫とは違う。
 かといって、あの子の処女を奪えずに終わってマチズモをへし折られた屈辱とも、やはり違う〉
 御剣は目に疲れを感じて、眼窩を軽く揉んでから、再びノートパソコンの液晶を覗き込んで、担当事件の資料を読み返した。
 最近やけに視界のピントを合わせるのに疲れる。父のように眼鏡がいるようになるのかもしれない。
〈まだなのだろうか〉
 ウイスキーの瓶は、いつのまにか空になっていた。
〈まだ、終わりではないのだろうか? ……たしかに、私の恋は終わった。それも、最悪の形で。
 しかし私と綾里真宵という少女は、もとから不思議な縁があった。二人が実際に出会う、もっと前からだ。
 それは、こんなにつまらない結末を迎えるために、用意されたものだったのだろうか〉
 御剣は若い頃の一時期、運命論にいたく魅入られた時期があった。
 自分の不遇の人生が、唯一神によってあらかじめ筋書きを用意されたものだと思うと、何か気が楽になるようだったからだ。
 その反動で、縁などという運命論めいたというか、オカルティズムめいた考え方には抵抗があるはずだったが、彼はごく自然にそう思考していた。
〈おそらく、あの子の存在自体がオカルティズムの塊といっても過言ではないから、だろうな。
 ……恋は終わったとしても、まだ他の何かが終わらないのかもしれない。
 なにしろ、彼女は、明らかに……助けを必要としていた。
 救援信号を受け取っておきながら、愚にもつかぬ惚れたはれたの騒ぎで、私は彼女を無視しようとしている。
 ……それはきっと、夜の公園で手を振り払われるよりも、ずっと残酷なことに違いない〉
522沈む聖域(ミツマヨ):04/05/26 19:33 ID:5bG0qq5m
 御剣は自分の内なる声に耳をすませた。もう少しで、どうすべきか分かるような気がした。
〈いや、本当は、最初から分かっていたんだ。だが、恐ろしくて、分からないふりをしていた〉
「だって、いったい、どんな顔をして再び会えばいいというんだ?」
 つぶやいてから、彼は笑いを浮かべた。自分を奮い立たせねばならなかったから。

 滝打たれの修行に入ると、まず、すぐに轟音で耳が遠くなり、しだいに何も聞こえなくなる。
 水を打ったように静まり返るという言葉がある。世界じゅうから音が消えたかのような静寂。
 視界は闇。皮膚はとっくに麻痺して感覚はない。静けさすら存在しないほどの静けさ。
 真宵の肉体はばらばらになって消失する。かけらひとつすら残らない。すると、真宵と同じように肉体を持たない様々な者たちが語りかけてくる。
 彼らはみな口々に話しかけてくるが、そのどれひとつにでも耳を傾けてはならない。
 真宵はめったにその誘惑に負けることなどなかった。
 しかし、彼らの中のひとりが、彼女の耳に口をおしあてて、そっとささやいたのだ。
「真宵くん」と彼は言った。
「私は、君のためだと言われたら、沈没船にだって乗り込むことができるのだよ」
 真宵ははじかれたように現実に引き戻され、自意識を取り戻した。
〈いけない。……あぶないとこだった〉
 迷いがある心で修行に臨んだって、いい結果が得られないことはわかっている。
 それでも彼女はそれに打ち込まずにいられない。
 そうしているときが一番、自分を見つめることができるから。
〈バカだな、あたしは。もし、万が一にでも、御剣検事もあたしのことを好きだったとしても、もう関係ないのに。
 終わったことは忘れるべきだ。後ろを向いてる暇なんか、ない〉

 困ったことにいくら電話をかけてもまったく通じない。
 最初は、無視されているのかと思ったが、これほどしょっちゅう鳴らされていれば、普通はとっくに電源を切っているだろう。
「……修行かな」
 とうとう、連絡が取れないまま、車は倉院の里に着いてしまった。
その少し前から、ここまで来れば、いきなり押しかけて驚かせるか着信履歴の山で驚かせるかのどちらかしかないとは思っていたから、諦めた。
523沈む聖域(ミツマヨ):04/05/26 19:34 ID:5bG0qq5m
 ちょっと考えて、結局運転手は帰らせることにした。長い話になりそうだったからだ。
 邸宅の前の門で呼び鈴を鳴らす。
 待っている時間がやたら長く感じられた。当然だ。時間感覚は意識の持ちように左右される。
 門が開いた。しかし、顔を出したのは真宵ではなく、小学生くらいのかわいらしい女の子だった。
「まあ!」
 少女は御剣を見るなり、目をまんまるにして、「早く! 早く中へ!」と乱暴に門の中へ引きずり込んだ。
「むうっ……」
「ああ、失礼しました。申し訳ありません!
 その、真宵さまのお屋敷に、花束をかかえた男性がいらっしゃっているところを、だれかに見られでもしたら、と思うと」
「あ」
 確かにそう取られても仕方がなかったかもしれない。本当は、墓前に供えてもらおうと思って持ってきたのだが。
「君は、春美くんだね」
「はい。みつるぎ検事さま」
 春美は馬鹿丁寧におじぎをした。「おひさしぶりです」
 なるほど、あの、おしゃまで天真爛漫の子どもが、ひとまわり大きくなると、こうなるのか、と御剣は感慨深かった。
 いまのところ、至極まっすぐに育っているようだ。
「見違えたな。数年見ないだけで、すっかり大人の女性になってしまった」
 御剣はこう言えば機嫌をよくしてくれるだろうというのがなんとなくわかった。
 真宵もまた、たまに大人の女性扱いしてやると、首を掻いてもらった猫のように喜んだものだからだ。
「ええ、もちろんです。わたくしも、もう十二歳ですもの!」
「何か君にも手土産を持ってくるべきだったね。気のきかない男ですまない」
「そんな。とんでもないことです。あの、じゃあやっぱり、その花束は、真宵さまに?」
〈……まあ、いいか〉
「ああ。そうだ」
「まあ! 真宵さまはきっとすごくお喜びになります。でも、その。今日の修行はまだ、もうしばらく終わりそうにないのです」
「待たせてもらってもいいだろうか」
「もちろんです。申し訳ありません」
「いや。突然押しかけたこちらが悪いんだ。朝から電話が通じなくてな」
「そうだったのですか。真宵さまは、夜明けから修行に出ていらっしゃってましたから。
 ……お花がいたんでしまわれないでしょうか。さしでがましくなければ、わたくし、いい花瓶を探してきましょうか」
524沈む聖域(ミツマヨ):04/05/26 19:35 ID:5bG0qq5m
「春美くんはよく気が回る。お願いしていいだろうか」
「はい! では、中へまいりましょう」
 通された客間はやや小ぢんまりとしていた。御剣は淹れてもらったお茶をすすりながら、春美が花瓶にきれいに花を生けていくのを眺めた。
「ああ、うれしい。真宵さまは、お花と、みつるぎ検事さまを見て、きっと元気をお出しになられます」
「普段はそんなに元気がないのかね」
「え。あ……いえ、そんなことはけして。たとえば、一ヶ月まえ、みつるぎ検事さまとおデートに出かけられたときなどは、そりゃもう」
「ほう。帰ってきたあとに、真宵くんは何か感想など言っていたかね」
「まあ、どうしましょう、わたくしが告げ口してしまっていいものか。でもとても幸せそうにしていらしてましたよ」
「頼む。どうか教えてくれないか」御剣は冗談めかして春美に迫った。「男というのはデートの感想が一番気になるものなんだ」
「だめですわ、みつるぎ検事さまったら」
「二人だけの秘密にするから……」
「真宵さまにも、二人だけの秘密だと言われてますの」
「そこをなんとか!」御剣は膝を崩して春美に寄って、彼女の口もとに耳を近づけた。
「ほんとにもう……」春美は含み笑いをして、御剣の耳を両手で覆って、そっとささやいた。「みつるぎ検事さまは、とてもカッコよかった、と」
「ふむ。あとは?」
「ま。これ以上はご勘弁下さいね」
「なんだ。つれないな」
「もうおよしになって下さいませ。わたくし、何でもしゃべってしまいそうです」
 春美は年のわりに驚くほど艶っぽい笑みを浮かべて、席を立った。「まだ夕方ですからお夕飯には早いですね。冷や奴でもお持ちします」
 昔から、ませた子どもだと思っていたが、もうあんなにも女の表情をするなんて。
 やれやれ。彼女が男を泣かせるのもそう遠くないに違いない。その天然の媚態が真宵にも備わっていればよかったのだが。
「すみませんが、わたくし、真宵さまをお迎えにいかなければいけません」
 冷や奴を運んできた春美は、座りもせずに再び客間を出ようとする。
「修行が終わるのかね」
「まだ終わらないと思いますが、いつも早めに行って待っているのです。みつるぎ検事さまはここでお待ちになっていてください」
「私も一緒に行ってはいけないのだろうか」
525沈む聖域(ミツマヨ):04/05/26 19:35 ID:5bG0qq5m
「だめというわけではありませんが、退屈をすると思いますよ」
「君ともう少し話していたいんだよ」
「まあ、みつるぎ検事さまったら、お上手ですのね」
 御剣は、意外なことに自分にも結構女たらしの素質があるのかもしれないな、と思った。

「……驚いたな。真宵くんのやっている修行が、あの、滝に打たれるっていうやつだとは」
「お客様はみんな驚かれますね。本当にやるのかと」
 里から少し山道を歩いた先に渓谷があり、真宵がそこで滝に打たれているとのことだった。
 そこへ向かう道中で、着替えなどを入れた籐の衣装箱は御剣が持ってあげた。
「明け方から修行に出ていると聞いたが、その間じゅう、ずっと滝に?」
「ええ」
「ぬぅ……とんでもないな。そんなことをいつもやっているのか」
「はい。ここのところは毎日です」
「な、なにっ」御剣は驚いて箱を落としそうになった。「ま、まいにち。いくらなんでも、それは体に障りはないのか」
「あります」
 春美は憂鬱そのものといった顔でうつむいた。
「最近の真宵さまは修行に打ち込みすぎていて……あ。あの、わたくしがこんなことを言ったことは」
「わかっている。彼女には喋らないよ」
「ありがとうございます。……わたくしが見ていても、痛々しいほどなんです。
 時々、とてもつらそうな顔をなさるのを見るのですが、でも、自分では、助けになれなくて……。
 このままでは、体を壊してしまわれるのではないかと、心配で」
 真宵のがむしゃらな修行の原因を作ったのが、自分の心ない言葉であるのかもしれないと思うだけで、ゾッとした。
〈くそ。何がもう遅すぎるだ。二度とはすまい〉御剣は今の苦しさを心に刻んだ。
〈あんな、洟たれのティーンエイジャーみたいな意地の張り方など〉
 彼はある強い信念のために意を決してはるばるここまでやってきたのだが、いきなり威勢を削がれる気分だった。
「みつるぎ検事さま。率直にお聞きします。……あなたは、真宵さまの『大切なかた』なのでしょうか」
 御剣が怖気づいたのも知る由もなく、春美は至極真剣に尋ねてきた。彼は少し考えて答えた。
「悪いが、私と真宵くんは、君が考えているような関係ではない。おそらく今後も、そうなることはありえないと思う」
526沈む聖域(ミツマヨ):04/05/26 19:36 ID:5bG0qq5m
 彼女の顔が失望に沈む。
「しかし、私は全力で彼女の支えになりたいと思っている。できることならなんでもする心構えはある」
「ああ……よかった! みつるぎ検事さまがそう言ってくださるのなら、これでもう百人力です。
 でも、あの。わたくしの見たところ、きっと、真宵さまは、みつるぎ検事さまのことをお慕いになって……」
「そんなことまで言う必要はないよ」
「あ! わ、わたくし」春美がすっかり青ざめてしまうのを待たず、御剣は付け加えた。
「私が勝手に思っていることだ。だから、真宵くんが私を好いていようが、嫌いでいようが、なんら関係はないというわけだよ」
 道は坂にさしかかり、見下ろした先には、確かに大きな滝があった。
 思っていたよりもけっこう流れが速く、激しい勢いだ。そして、確かに滝のその中央には人が立っているのが見える。
「……一日じゅう、ああやっているとはなぁ」
「みつるぎ検事さま」春美はおずおずと口を開いた。「先ほどはすみません。過ぎた口をきいてしまって」
「ん? ああ。大丈夫さ、何も聞かなかったことにするよ」
「わたくし、怖いんです。また、同じ轍を踏んでしまうのかもしれないと思うと」
「何だって?」
「なるほどくんのこと……」
 御剣は押し黙った。
「わたくし……真宵さまが非常におくてで、それでこの先、真宵さまが苦労なさるのではないかと……、
 そう思って……いてもたってもいられず、お二人にさしでがましいことをしてしまっていました。
 わたくし、馬鹿でした。なるほどくんは結局、他の女性と将来を誓い合って……、
 それだけならいいのです。わ、わたくしのしたことで……お二人の仲がぎくしゃくしてしまったり、
 真宵さまが気おくれなさったのではないか、と思うと、とても、悔やんでも悔やみきれなくて……!」
「春美くん」彼は春美の肩を抱いてやった。
「君はかしこい子だね。そうであるだけではなく、人の痛みがわかる、心の優しい子だ。
 そして、それは私よりも真宵くんのほうがよく知っているはずだ。
 君のせいではない。だいいち彼女は君を恨むどころか、その心づかいをうれしく思うはずだ」
「……みつるぎ検事さま……お願いします。真宵さまの力になってください……」
「できる限りのことはする」
527沈む聖域(ミツマヨ):04/05/26 19:36 ID:5bG0qq5m
 御剣は心から二人を不憫に思った。
〈お互いに大切に思いあっているからこそ、相手の思いまで背負い込まねばいけなくなるときもある。
 かわいそうに。春美くんも真宵くんも、一人で二人分の気持ちを背負って、押しつぶされそうになっている〉
 そのとき、滝の中の人影が、ふとゆっくり動くのを見た。
「あ……おしまいのようです。わたくし、行ってきますね。ここにいてください」
 春美は衣装箱を受け取って、坂道を下りていった。
 どうやら、いよいよ再会がせまっているらしい。緊張で胃が収縮をはじめる。
 ……さて、なんと挨拶したらいいものやら。

 さまざまなまやかしを見ることくらい、いつものことだ。
 真宵の肉体を欲しがる悪霊たちが仕掛けてくるのか……あるいは自分の心が生み出すのかは、今でもよくわからないけれど。
 それにしても今日は恐ろしい体験をした。足をすべらせて急流に呑まれるまぼろしだ。
 鼻と耳と口にいっせいに水が入り込んで、わけがわからないままもがいて、必死になにか掴むものを探す。
 その手が強く握られる。彼は笑っていた。笑うときの、眉を寄せて皮肉っぽく片方の口角を上げる癖を真宵は見た。
 でも川はいつのまにか沼に変わっている。底なし沼だ。真宵は引きずり込まれていく。手を離さなければ。
 離さないと、御剣まで引きずり込んでしまう。しかし、どういうわけだか離すことができない。
 離して、と真宵は叫んだはずだったが、沼の水を飲んでしまってむせ返り、どんどん肺が泥水に満たされていくだけだった。
 やっと手を振り払うことができたとき、真宵はすっかり頭の上まで沈みきっていた。
 彼もまた同じように完全に水中にいた。目が合った。御剣は微笑んだまま何かしゃべったが、もちろん、水の中だから聞こえるはずもない。
 そこで我に帰った。
〈……まやかしでよかった〉真宵は滝の中で重たいまぶたを少し開けた。
〈御剣検事か……ひさびさに出てきたな。もう、迷いはなくなったと思ってたんだけど〉
 一ヶ月まえ、真宵は手ひどい失恋を味わった。彼女は努力して今ではその出来事から立ち直りつつある。
 いま真宵を襲ったまやかしが、あのデートの直後にやってきたらと思うと、身が震え上がる思いだ。
 きっと、やすやすと肉体を乗っ取られていただろう。
528沈む聖域(ミツマヨ):04/05/26 19:37 ID:5bG0qq5m
〈そう思うと、修行の成果は確かにあったのかもしれない〉
 真宵は本当に足をすべらせないよう慎重に滝から上がった。脇にある小さな洞窟の中で、春美が待っているはずだ。
 修行を終えてもしばらく神妙な心持ちが消えないし、滝の轟音で耳が遠くなっているということもあって、たいてい二人はしゃべらない。
 だから、春美は今日も黙って、体と髪を拭くのを手伝い、着物の着付をしてくれた。
 しかし彼女はなぜか、真宵の袖をひいて、衣装箱から取り出した化粧道具入れを見せて、
「真宵さま。きょうは紅をさしましょう」と話しかけたのだ。
 不思議に思うが、真宵はかなりぼんやりしていて、口を開けることすら面倒だった。
 むろん、先ほどのあの鮮明なまぼろしの余韻のためである。
〈子どものころ、底なし沼の底はどこにあるのかって、考え出したら止まらなかったな〉
 春美はアプリコットピンクの口紅をひいたあと、まだ乾ききっていない髪の毛をアップにまとめてくれた。
〈でも底なし沼には、そもそも底があるのかな。ないわけないよね。でもだとすればなんで底なし沼っていうんだろう〉 
 そんなことばかり考えて、夢うつつのまま洞窟を出たものだから、当然だ。
 坂の前で、背を向けて、落ち着かなげに体を揺らしていた男が自分に気づき、彼の顔を見たときに、
〈ああ。またか〉としか思わなかったとしても。
〈まだまやかしを見てるんだな。何か、こっちの心を揺さぶるようなことを言ってくるに違いない〉
「……すまない」と御剣は言った。「休みを取れるかどうか直前までわからなかったんだ。一応、連絡は入れたのだが」
「はあ……」と真宵は返事した。
 既に日が落ちて、相手がどんな顔をしているのかよく見えない。
「真宵さま。みつるぎ検事さまは真宵さまのために、とても素敵な花束を持ってきてくださったのですよ」
 いやだな、今回ははみちゃんまで出演か。
 でも、ちょっとおかしいな。まやかしだって見破ったら、普通は、ほどなく意識が戻るのに。
「こんなところまで突然押しかけて、申し訳ないと思っている」
 御剣は更に続けた。「どうしても会って話したかったんだ。来てもかまわなかったろうか。迷惑だったかな」
〈やれやれ、しらじらしいなぁ。しっぽは掴んでるっていうのに。これは、現実なんかじゃない〉
529沈む聖域(ミツマヨ):04/05/26 19:37 ID:5bG0qq5m
 真宵はなおも猿芝居を続けようとする悪霊を少しからかってやりたくなってきた。だから、
「ううん」と、とびきりの上目遣いで薄く笑いかけてあげた。「会いたかった。すごく」
 しかし、帰り道を歩けば歩くほど、これがまやかしではないという確信が強まり、比例して、真宵の顔から血の気がどんどんひいていった。

 夕食の準備で春美と一緒に台所に立つようになるまでには、やっと、現実を受け入れる姿勢にもなってきた。
 しかし、自分の理性はいまだ、夢ではないのかとさかんに唱えている。
「……ニセ御剣検事じゃないのかなぁ」
「何を言ってらっしゃるんですか、真宵さま。素直にお喜びになればよいのに」
「お、およろこびになれないよ……ありえないよ……ここに御剣検事がいるなんて……」
 真宵はハッと気づいて春美に尋ねた。「は、はみちゃん。あたしのこと、なんか言ってた? 二人でどんな話、してたの?」
「ど、どんな……と言われましても」春美は明らかにうろたえている。
「そ……そうですね。みつるぎ検事さまは、とても紳士的で、おやさしくて、世間話に花が咲きました」
 微妙に話をそらす春美に、かくしごとの匂いを嗅いだ真宵は、それ以上きかなかった。
〈まあ、なんの用事で来たのかくらいは、すぐにわかると思うけど……〉
 なにぶん予定外の来客なので、たいしたご馳走は作れなかったが、春美がありものをなるべく活用するこんだてを一生懸命考えてくれた。
 真宵はというと、まだ現実感を取り戻すことができず、始終ぼんやりとしていて、包丁を持つのを春美が許してくれなかったほどだ。
 二人で、客間で待っていた御剣のところに皿を運び終えると、春美はにんまり笑って、
「では私は居間で晩御飯をいただいていますので、これで失礼します」と言って、行ってしまった。
 膝くらい崩していればいいのに、御剣は正座のままでいて、馬鹿丁寧に手を合わせて
「いただきます」と言って頭を下げた。
 真宵もつられて、一応いただきますをしたが、当然、箸が進むはずもない。
「あ。この花」
「うム」御剣はみそ汁を啜りながら返事した。「春美くんが飾ってくれたんだ。真宵くんに持ってきたものだと勘違いしたらしい」
「え。てことは……」
530沈む聖域(ミツマヨ):04/05/26 19:37 ID:5bG0qq5m
「墓前に案内してくれると言っていたじゃないか」
「え。……あ! う、うん、言った……じゃあ、お母さんに?」
「春美くんにもそう言おうと思ったのだがね」彼はふと真宵の顔をうかがった。
「あの子の前で、君のご母堂の話題を出していいものやらと思ったもので、言い出せなかった。
 ……また今度買って持ってくることにするよ」
 御剣にしてみればなにげない会話でしかなかったろうが、真宵は、浮いていた足が急に地につくような気分だった。
 彼らしい気の遣い方を目のあたりにして、ほっとしたのだろう。
「よかった。ニセモノじゃ、ないみたい」
「なんだ、それは」
「だって、急にこんなところまで来たりするなんて……」
「……まあ、それはそうだな。悪いことをした。それに……前回、あんな別れ方をしてきたしな」
 彼女はビクッとなって、お箸を取り落としそうになった。
「心ないことを言った」彼があっさり謝るので、真宵は拍子抜けしてしまった。
 あんなに自分を苦しめることを言っておいて、それほど簡単に前言をくつがえすつもりなのかと思うと、唖然とすらした。
 手のひらの上で踊らされている心地だった。
「もう、私のことは嫌いか」と言って、御剣は挑戦的に笑んだ。
〈……ズルい〉やっぱり、手玉にとられている。はい、そうです、嫌いですとでも言ってやりたい。
 しかし、そんなふうに憎たらしげに聞いておきながら、そう答えれば、きっと、あの悲しげな目つきで自分を見るに違いないのだ。
 ああ、やはりあれは大失態だった。会いたかった、だなんて漏らしてしまった!
 あんなことを聞いたから、今さら、嫌いだなどと言うはずもないと、たかをくくられているのだ。ズルい、絶対ズルい!
「まあ、そんなことは別にどうでもいい」真宵の逡巡を彼はその一言で一蹴した。
「そ、そんなことって……」
「まさかそれを問いただすためにこんな山奥までやってきたとは、君も思っていまい」
「そうだけど、じゃあ、じゃあ、何しに来たっていうのよ!」
「どこから話そうかな」
 御剣は別にもったいぶったようもなく、至極まじめそうに眉を寄せた。
「まずは、前置きからだ」
「うん」
「これを君に尋ねるのは本当にこれで最後にする」その言葉をきいただけで、なんのことを言われているのかすぐにわかった。
531沈む聖域(ミツマヨ):04/05/26 19:38 ID:5bG0qq5m
 真宵はただでさえゆっくりだった箸の手をぴたりと止めた。胃がしくしく言い出したからだ。
「じっくり考えてくれたかね。……将来の話は」
「か、考えてなんかないです……。てっきり、嫌われたのかと思ってたから」
「では、嫌われてないとわかったら、考えることができるか」
「…………」
「その顔を見て答えがわかった。くだらん話をしてすまない。最後に確認しておこうと思っただけだ」
「最後って?」
「本題に入る前の最後の準備ということだ」
「……本題って、なんですか」
「まあ、箸を進めたらどうだ。おいしい御飯が冷めてしまう」
「ちょっと、早く話してくださいよ。本題ってなんなんですか!」
「ごちそうがたちまちまずくなるような話だよ」
 今でも充分喉を通らないのだが、それを、夕食が片づくまでは口を割らないと受け取った真宵は、抵抗するのを諦めた。
 なんとか全部たいらげて、二人で後片付けをしていると、居間の春美が声をかけてきた。
「お風呂を沸かしておきましたが、どちらが先にお入りになりますか」
「いや、晩御飯をごちそうになったうえ、風呂まで借りていくわけにはいかないよ」と御剣がことわると、春美は当然のように、
「え。でも、今夜はお泊まりになっていかれるのでは?」と聞き返した。
「はみちゃんっ! なんで、そうなるのよ!」
「え。え。え。だって、もう終バスは行ってしまいましたし」
「だって、御剣検事なんだからクルマとかで来てるんじゃないの?」
「そういえば、ハイヤーは帰らせてしまったな」御剣が考え込んでいるあいだじゅう、真宵は絶句していた。
「野暮を承知でたずねるが、近辺に宿泊施設かなにかは」
「あ……あるわけないよっ」
「母屋のすぐ近くに使っていない離れがありますよ」
「それはよかった。いくら私でも、嫁入り前のお嬢さんと一つ屋根の下で寝るのには抵抗がある」
「……ちゃんと自分のことわかってるんだね。『いくら私でも』っていうあたり」
 彼女がうらみがましく睨むのを、御剣はまぶしそうに目を細めて見返した。

 今夜がちょうどよい涼しさでよかった。縁側の存在をありがたく思うのはこういうときだ。
 部屋の明かりで向こうから大きな人影が近づいてくるのが見える。
532沈む聖域(ミツマヨ):04/05/26 19:39 ID:5bG0qq5m
 御剣は浴衣が着慣れないのか、妙な歩き方をしているが、思ったとおり、ちゃんと似合っている。
 真宵が頬を緩めているのを勘違いしたのか、彼は、
「やっぱり、変じゃないのか」と訊いてきた。
「よく似合ってるけど、少し丈が短いね」
「春美くんから聞いたのだが……このような大切な物を借りてよかったのかね」
 彼が着ているのは真宵の父の遺した浴衣だったのだ。「いいよ。どうせもう、このさき誰も着ないもん」
 御剣は真宵のとなりに座った。「ずるいな。先に一杯ひっかけてるなんて」
 白い顔が赤く火照っているのがいかにも風呂上がりで、妙に色っぽい。
「これ、お客さんが来たときに出してる日本酒。ふだんは、呑まないんだけどね」
「そういえば、君と酒を飲むのは初めてだ」
 彼は猪口についでもらった日本酒をあおった。
 真宵は嚥下にあわせて上下する喉仏を眺めていた。彼はいつもアスコットタイを締めているものだから、見たことがなかったのだ。
 そういったたわいのないことまでが真宵の心をくすぐるのは、飲みなれないアルコールのせいでもあるのだろう。
「最初から、泊まってくつもりだった?」彼女は無表情のまま訊いた。
「心外だ。そこまで下衆な男だと思ってるのか」
「そうじゃないけど……」
「けど何だ。それとも、そのつもりだったほうがよかったかね?」
「もしかして、そうかも」
 御剣は目を丸くした。「なんだ。急に素直になって。もう酔っているのか」
「うん。酔ってるかも」
 御剣は最初は目が合ってもすぐに自然にそらしていたが、真宵がじっと見つめてくるのをやめないことに気がついたらしく、まっすぐ視線を返してきた。
「調子が狂うな。いつものことだが」
「そうかな」
「ああ。君といると、どんどん、自分がイヤになっていくほどだ」
「…………」
「考えてみたんだ。どうしてそれほどまで、君は私を掻き乱すのか。答えは、何てことのないことだった」
 彼はそこで酒を飲み干し、猪口をさしだして無言でおかわりを催促した。
「……私にとって、君が非常に重要な人物だからだ。大切だと言っても、まあ、いい」
「じゅうよう?」
533沈む聖域(ミツマヨ):04/05/26 19:39 ID:5bG0qq5m
「そうだ。おそらく、真宵くんが思っている以上にだ。
 君はもしかしたら、今まで、有事の際には幾度も私に救われたと思っているかもしれない。しかしそれは違う。 
 私のほうこそ、何かあるたびにずっと君の強さに救われてきたんだ。だが実際は何ひとつ恩を返せないままでいる。
 ご母堂の件もあるし、私の君への負い目はいまだ拭いきれないままだ。しかし」
「そんな」
「まあ、黙って聞くのだ。問題は私が、それほど重要な人物をどう扱ったものか、はかりかねているというところだ。
 いまだ失われていない人物の重要性を、そんなにまで実感したことはかつてなかったものでな。
 君が一番よく知っているだろう、君の前に出ると、私がどれほどみっともない男になるかは。
 真宵くん。そんなものだから、正直言って、私は君を嫌いなのかもしれない。時々、驚くほど憎く思うときもある」
「あ……」
 彼の言いたいことはまったくわからないでもなかったが、嫌い、という語感の強烈さに、真宵は酔いが覚めるような心地だった。
 御剣の歯に衣着せぬ物言いを好ましく思っていたのは確かだ。しかし、
〈そ、そりゃないよ……いくらなんでも……〉と、容赦なく胸がぺしゃんこに潰れていく。
「そんな顔をしないで最後まで聞きたまえ。
 要は、そういうつまらん感情すら問題にならないほど、絶対的に重要で、大切な存在なのだと言いたいのだ。
 私はずっとずっと、君の力になりたい、力にならなければと思っていた。離れていた三年の間にもだ。
 そして先日、君と再会して、今こそその時なのだとわかったのだ。今こそ君の恩に報いる時なのだと。
 さあ……、そこで、『本題』に入るわけだが……」
 御剣は改まって、真宵の方に向き直った。恐い顔で真宵を見ているというより、ほとんど睨みつけている。
 だが彼女はふしぎと目をそらすことができなかった。なんとなく、聞くのが恐いな、と真宵は思った。
 何を言われるのかはわからないが、聞いてしまったら最後、後には引けないような予感だけが、激しく彼女を襲った。
「これは真面目な話だ。この期に及んで、言いしぶるようなことでもないから、はっきりと言う。
 ……真宵くん。落ち着いて聞くように。私は、君に、私の精子を提供したい」
534沈む聖域(ミツマヨ):04/05/26 19:40 ID:5bG0qq5m
「セーシ?」真宵は御剣がひるんで唇を噛むほど素っ頓狂に大きな声で聞き返した。
 突拍子のない話だからでも、日本語にはその同音異義語が多すぎるからでもある。
「……そうだ。言い換えるなら子種だな」
「はあ。こだね……」
「つまり、私が君のために種馬になるということだが、どうだ、ここまで言ってもまだわからないか」
 いくら真宵でも、だんだん事態が呑みこめてくる。
 すべてわかったとき、完全に酔いが覚めてしまった。
「み、みみ御剣検事。あのその。自分が何を言っているのか、わかってるんですか?」
「わかっていないとでも思ってるのか」
「だってだって、し、知ってるんですか、こっ、子どもの作り方」
「知っているが何か問題でも? 男女がまぐわうんだろう」
「きゃわっ」
 真宵は御剣の隣から飛びのこうとして縁側から転げ落ちて、どしんと尻餅をついてしまった。
「おい。大丈夫か」
「こ、腰が。腰が」真宵はなんとか立ち上がろうとするも、膝と腰にまったく力が入らない。
 情けなく手足をバタバタさせてのたうち回るしかなかった。
「少しは落ち着いたらどうだね」
「お、お、お……おちつけるわけ……!」
「今どき吉本新喜劇でもそんなリアクションはありえんぞ。そんなに馬鹿げた話をしているつもりはないんだがな」
「だだだだって、だって……!!」真宵は反論した。「こ、こないだ言ったでしょ。あたしは、男の人が……」
「男性恐怖症か。格好の言い訳だな」
「言い訳なんかじゃ……」
「じゃあ聞くが、君はいつまでそれを自称しつづけるつもりなんだ。いつまで男性恐怖症のままでいるつもりだ?
 まさか、ある日突然君の家にヒーローみたいな完全無欠の男がやってきて、君の問題を何もかも解決してくれるとは思ってはいまい。
 あるいは、一休さんがやってきてとんちをひねり出してくれて、一件落着するとでも?」
 真宵は押し黙った。さすがに御剣は、真宵にとって何が耳の痛いことかをわかっている。
「かつて君は私をつかのま癒し、安らぎを与えてくれた。いつでも前を向いている、君の強さがそうさせたことだ。
 私は今でも真宵くんの最大の美点が変わっていないことを信じている。失望させるな」
「そ、そりゃあ、御剣検事のい、いってることは……もっともだけど……」
535沈む聖域(ミツマヨ):04/05/26 19:40 ID:5bG0qq5m
 御剣は真宵のまえに片膝をついてしゃがみ込んだ。
「手を貸すかね」
「い、い、いいです」
「絶対そう言うと思ったよ」彼は何も感じたふうでなしに、ただ真宵の考えを読もうとするかのように目をのぞき込んだ。
「み、み。御剣検事の言ってることは、正しいと思うけど、でも、やっぱりおかしいと思うよ……」
「なぜだろうか」
「だって。たったいま、言ったばっかりじゃない、御剣検事はあたしのこと……キライだって。
 わかんないよ、キライな人と、そんなことするなんて……信じらんないよ、そんなことして平気だなんて」
 突然、御剣は真宵に覆いかぶさるように身を乗り出した。
 押し倒されるか、キスでもされるかと思って、ぎゅっと目を閉じて顔をそらすが、いつまでたっても何もない。
 おそるおそる至近距離に迫った御剣の顔を見ると、見たこともないくらい眉間にしわを寄せて、三白眼に拍車がかかっている。
 たぶん今までで一番、本気で怒らせてしまったのだと思い当たるのに、時間はかからなかった。
「言うに事欠いて、『そんなことして平気だなんて』、かね……」
 膝の震えが止まらない。
「……だったら、なんだというのだ、ばかものッ!!」
 真宵は飛び上がった。「あ、あ、あたし……」
「いったい人が何のためにあれほど回りくどく、順序だてて話をしたんだと思ってるんだ。
 何のために、わざわざ貴様のためだけに日本に帰ってきたと思ってる。
 くそ。何のために、この私が、この私が……貴様のためにどれだけ……
 貴様のことを、私がどんな思いで……いかに貴様のことを……どれほど……ああ。くそっ。やっぱりだ。
 やっぱりこうなるんだ。やっぱり、私は、君の前だと、こうだ」
 御剣は真宵からよろよろと離れたが、彼女と同じ目線で話したいのか、真宵と同じように隣に腰を下ろした。
「私が恐いか」
 真宵はまだ体を震わせながら、「……うん。恐かった」と、かすれるような声を出した。
「私も君が恐いよ」
「…………」
「それでも、私はせねばならないんだ。君を助けなければいけないんだよ。わかるね」
「なんとなく……わかると思います」
536沈む聖域(ミツマヨ):04/05/26 19:41 ID:5bG0qq5m
「やれやれ。君相手だと法廷のようにはいかないな。よく順序を組み立てて話を用意してきたんだがね。
 どこまで話したかな。そうそう……君が私を種馬役に選ぶときのメリットを考えておいた。
 第一に、現時点で、真宵くんの一番身近にいる独身者の男が、私であるということ。
 第二に、私には霊感というものがからきしない。あんがい、一代で倉院流霊媒術も途絶えるかもな。
 それから最後だが、……私には覚悟がある。君のためならなんでもする。どんな努力もいとわない」
 普通なら、それはどんなにか甘く魅惑的な殺し文句だったろう。
「私の気持ちは、重いかね」
「重いよ」真宵は吐き出すように言った。
「重たすぎるよ。こんなの……最初の村を出たばっかりのレベル1の勇者の前にいきなり大魔王が出てくるようなもんだよ!」
「真宵くん……君は頭がいい。今は混乱していても、よく考えれば、自分にとってどうすれば一番いいかきっとわかるはずだ」
「御剣検事は、ひどすぎるよ」
 真宵は膝の中に顔をうずめた。「ひどいよ……そんなこと言うなんて。今になって……」
「どういうことだ」
「昔、あたし、御剣検事のこと、好きだったんだよ」
「ほう……」彼はさして驚かない。「では、私は結局うぬぼれていたのではなかったわけだ」
「ほら、やっぱり、知ってたんじゃない……。知ってて、ほっといたんだ。三年も。
 確かにあたしは公園で手を離して、御剣検事のことを傷つけちゃったのかもしれないけど、でも……
 だって……あたしだって、どうしていいか……あたしだって、わかんなかった」
 言葉に嗚咽が混じり始め、その頻度が多くなっていく。
「三年かけて必死で忘れたのに……どうして今になって、あたしを抱くとか、なんでもするとか、言い出すのよ。
 なんでそれを、三年前に言ってくれなかったのよ!」
 真宵は堰を切ったように泣いた。子どものように声を上げてわんわん泣いた。
 もう、何が悲しいとかやりきれないとかもわからなくなって、ただ感情だけに押し流されていた。
 肩でも抱いてくるかと身を硬くしていたが、何を考えているのか、いつまでも指一本触れてこない。
「バカ……御剣検事のバカ。死んじゃえ、死んじゃえばいいんだ」
537沈む聖域(ミツマヨ):04/05/26 19:42 ID:5bG0qq5m
 驚かせようともどうしようともしたわけではない。ただ、心からそうしたいと思ったから、御剣の胸に頭を預けた。
 少したってから背中に回されたその手つきがひどくぎこちない。
「すまない」とだけ彼は言ったが、真宵はなんだか余計悲しくて、いっそう激しく泣きじゃくった。
 御剣はそれきり口を閉ざした。しかし、真宵の気が済むまで胸を貸していてくれた。
 彼女がしぜんに泣きやんだとき、何もかも涙と一緒に流してしまったかのように、放心状態の中にいた。
 御剣の顔を見上げても、どんな感情も生まれない。何も考えることができない。
「……御剣検事」
「うむ」
「……そろそろ……案内、しますね。離れまで」
 立ち上がった真宵を御剣はしばらくそのまま見やっていたが、やがて、けだるそうに立ち上がった。
 あの、悲しげに揺れる瞳を見ても、真宵はもう、ずるいなとも思わない。

 真宵はその小さな離れを物置に使っていたが、布団一枚ぶんの空間くらいは残っていた。
 二人で押入れから布団を下ろして、敷き終わったとき、それまでの沈黙を御剣が破った。
「すまなかったな。……きつい言葉を色々使ってしまって」
 用事が済んだら、さっさと母屋に帰ろうとしていた真宵が、動きを止める。
〈……そういえば、あたし、言われたんだっけ。『キライ』って〉
「わざと、だったんだ。突き放すようなことを言ったのは、な」
「……なんで?」
 真宵は興味がなく、相槌をうつかのように、儀礼的に尋ねた。べつに故意だろうが何だろうが、本当のことに変わりはない。
「嫌われたくなかったんだ」
 真宵はとっくに御剣に背を向けていて、彼の顔を見ることができない。
「もっともらしい理窟をこねくり回してでも、どうしても君の体が欲しくてしょうがない男だと思われるのが、嫌だった」
「……よく……わかんない。なんで、そう思われると、思うの……?」
 彼女の疑問は心底からのものだった。
「御剣検事があたしを抱きたがるなんて……そんなこと、思うわけないじゃない。
 だって、御剣検事って、女の人には不自由しなさそうだし……」
「そう思っているなら、そうでいいんだ」
538沈む聖域(ミツマヨ):04/05/26 19:42 ID:5bG0qq5m
「わかんない。男の人ってそういうものなの? キライな相手でも、抱きたいって思うものなの?」
 彼が即答できずにいたから、真宵は返事を待たず、部屋を出ていった。その背中に、
「君だからだ」
 という言葉が投げつけられたが、振り向きもしなかった。

 春美に叩き起こされて、ろくに身支度もしないで居間に行ったとき、御剣はすでに朝ごはんを食べはじめていた。
 彼は悪びれもせずに、おはよう、と声をかけた。何事もなかったかのように。
 真宵もそれにならって、つとめて何も考えないようにした。コツはわかってきた。修行だと思えばいいのだ。
 加えて、寝不足で頭がぼんやりしていて、思考能力が落ちていることも幸いだった。
 昨夜は物音や木材のきしむ音がするたびに、御剣が真宵の寝室までやってきたのかもしれないといちいち目が覚めていたのだ。
 寝込みを襲われるのかと恐れて、結局杞憂に過ぎないことがわかるたび、彼女はそれを期待してしまっている自分を見せつけられた。
 久々に、小学生のころ意味もわからずに耽っていた悪癖を、我慢することができなかった。
〈御剣検事がとんでもないこと言うからだ。あたし、御剣検事に犯されるとこ想像して、あんな……〉
 向かい合って朝食をとりながら、つい考えて、罪悪感と下腹部の疼きが再び襲ってくる。
 真宵はあわてて、無我の境地を思い出した。〈修行だ。修行だ、これは〉
 バス停まで送っていって、一緒に座ってバスを待っているあいだ、いつものことだが他にだれも道を通っていない。
 世界で二人きりになってしまったような錯覚。
「今週いっぱいまでは、こちらにいる」御剣は不意に口を開いた。「もしそれまでに腹が決まったなら、電話してくれ」
 真宵は、いちおう、「はい」とだけ返事した。
「そうそう。そのときは印鑑を忘れぬように」
「印鑑?」
「契約書を作るんだよ」
「ああ。なるほど……」
 御剣は近づいてくるバスを目で追いながら、つぶやくように言った。「焦ることはない。いつまででも待てる」
 彼がバスに乗り込んで、行ってしまってからも、なんとなく真宵は立ち上がることができなかった。
 しばらくして、とぼとぼと家に帰ったあと、帰りを待っていた春美に、
「今日は、修行はお休みする」と声をかけて、布団の中にもぐりこみ、眠ろうとした。
539沈む聖域(ミツマヨ):04/05/26 19:43 ID:5bG0qq5m

 小さいころ見たテレビの映像で、しばらく眠れないほど恐かったものがある。
 その形をとどめたまま滅び、水に沈んだ都市。
 独りで寝ることができるようになった矢先に、真宵はそれを見て、すぐに再び姉に添い寝をねだるように戻った。
 千尋は不思議がった。真宵にもわからなかった。なぜ、自分がこんなにも恐怖しているのか。
 あの、どこのものともわからない、哀しいながらも凄絶な美しさをたたえた水中都市。
 今では、もう理由はわかっている。
 あのとき見た水中都市は、この倉院の里の未来に他ならなかった。
 真宵はすでに霊媒の依頼を引き受ける数を減らしはじめている。いずれ、本当に困った者にしか手を差し出さなくなるだろう。
 生活を切りつめなければいけなくなる。子どもを養うことを考えると、苦しい人生になるのは間違いない。
 自分は死ぬまで里の人間になじられつづけるだろう。霊媒のしない霊媒師なんて、たんなる穀潰しだと。
 春美もいつまでも味方でいてくれるとは限らない。
〈それが……あたしの選んだ道なんだ。これが、たったひとつのあたしの道〉
 その道程の中に、御剣の姿はないはずだった。
〈わかってる。御剣検事は、迷っていたあたしの手をひいて、前に連れていってくれようとしている。
 うれしい。うれしいよ。ずっと……心細かったもん〉
 でも。
〈お願い……こっちに来ないで。あたしにかかわっちゃいけない。
 ここは消えていく場所。でも、御剣検事はきっと、これからも世界屈指の検事として名前を轟かせていくだろう。
 世界じゅうどこに行っても、同じ世界なら空は繋がってる。でも、ここだけは違う。繋がってはいない〉
 しかし真宵は思う。
 その腕に抱きあげたわが子に、父親の面影を見ることができるなら。
 みじめな晩年を迎えたとき、若き日つかのま夢叶った思い出が、自分を支えてくれるなら。
〈……たった、それだけのことで、あたしは……、あたしはきっと……とても……〉
540沈む聖域(ミツマヨ):04/05/26 19:45 ID:5bG0qq5m
【↑前フリ段階・エロなし注意↑】

この回は中盤のミツハミっぽい所が書いてて楽しかったです。
相手が子どもだと妙に強気な御剣が。

次回で堤防大決壊。ミッちゃん瞳孔開きっぱなし。
また明後日に来ます。
541名無しさん@ピンキー:04/05/26 21:37 ID:R59WGT+V
乙!おもちろい…!早く続きを…!
542名無しさん@ピンキー:04/05/26 22:31 ID:65/s48Yo
期待してます!
543名無しさん@ピンキー:04/05/27 00:08 ID:pEddf/xY
しかしこのスレはレベル高いな。
ちょっとナルマヨでお邪魔しますよ…
544ナルマヨ:04/05/27 00:09 ID:pEddf/xY
……っ、ふぁっ……へっくしっ!

 ……!…フェーックション!!」

「だだだ、だいじょぶですか真宵さまっ!?」
「ご、ゴメンねはみちゃん…大丈夫、大丈夫…だ…よ…
 ふぇ……クシュン!…」
「ま、マヨイさまあっ!」

 今日の修行はダメだな、こりゃ…。
 うう…全部なるほどくんのせいだ。
 ゼッタイ、そうだ。
 
§ § § § § § § § § § §


 ───5月26日 午前11時30分
    倉院の里・修行の滝

「うーん、なんか久しぶりにここに来た気がするよ、あたし」
 綾里の屋敷から歩いて20分、霊媒師たちが修行に使う滝のそばにある小屋に真宵はいた。
 ”修行”というのは、モチロン、滝に打たれて精神を集中することだ。
 お世辞にも豪華とはいえないが、倉院流霊媒術の始祖であるキョウコ様が建てたという由緒ある小

屋、だそうだ。
 オール木造の10畳くらいの部屋には替えの装束が何枚かと清潔な手拭いがそろっている。
 脱衣所兼、控え室といったところか。
545ナルマヨ:04/05/27 00:10 ID:pEddf/xY
「真宵さま!お支度はもうおすみですか?」
 小屋の外ではすでに着替えを済ませた彼女の従姉妹、まだ幼い春美がスタンバイしている。
「あ、はみちゃん!ご、ゴメン、すぐ行くねー!」
 春美を待たせていたのに気付き、慌てて着替えをする。
 ここ最近、彼女がいまも助手を務める成歩堂法律事務所での仕事が立て込んでいたため、
 倉院の里に帰ってきたのは一週間ぶりだった。
 『サボっていた分を埋めましょう』と、生真面目な春美が真宵を修行に誘ったのだった。

 するすると手早く着慣れた装束を脱ぎ、小さな胸を隠すブラジャーも形の良いおしりを覆う布も全

部、なんのためらいも無く脱ぎ捨てた。
 ぱりっと糊のきいた真っ白な装束に袖を通したとき、ふと、真宵は自分の太腿の内側に見慣れない

アザが赤く残っているのに気づいた。
(あ…。これって昨日の…、だよね。やっぱり)

 昨日の事。思い出しただけで赤面してしまう。

(あたし、なるほどくんと…
  ……し、しちゃった…んだ……
 なるほどくんの顔があたしの足の間を割って、
 …きゅうっとフトモモに唇が強く吸い付いて……)

 そのとき、春美が勢い良く小屋の扉を開いた。
「真宵さまっ、どうかなさったのですか!?」
「きゃわわわわわぁっ!!! も、もう!はみちゃんったら!」
 呼んでも返事をしない真宵を春美はいぶかしがったのだ。
546ナルマヨ:04/05/27 00:11 ID:pEddf/xY
「…! 真宵さま!熱があるんでしたらワタクシにおっしゃってくれれば良かったのに…
 おカオが真っ赤です」
「い、いいいやいやいや、へ、へーきだよ、これは違うの、はみちゃん、
 あの、その。あ、そうだ、ちょっと久しぶりすぎてキンチョーしちゃってるんだ、あたし。
 滝に打たれてアタマを冷やせばすぐ治っちゃうんだから!」

 春美はちょっと怪訝そうな顔をしていたが、すぐに「さすがは真宵さま!」と笑顔を見せた。
「でも、ゼッタイに無理はなさらないで下さいね。
 だって…風邪でもお召しになったら”愛しの”なるほどくんが心配しますもの…」
 真宵の心臓が跳ね上がった。
『だから、なんでそこでなるほどくんがでてくるのよう!』
 と思ったが、口には出さなかった。

(うう… でも、確かにアタマ冷やさなきゃなぁ……)
547ナルマヨ:04/05/27 00:12 ID:pEddf/xY

 § § § § § § § § § § §

 五月も終わりとはいえ、うっそうと木の茂った山奥は肌寒い。
 目の前には轟音を上げ続ける滝がある。
 真夏でもきりりと身を切るような冷たさの滝だが、霊媒師にとって滝に打たれることは欠かすこと

の出来ない修行のひとつである。

 真宵にとっては幼い頃からずっとやってきた修行のはずだが、今日に限って、やけに水が冷たく感

じる。
「さ、真宵さま。参りましょう」
 と、春美がちいさな足を滝つぼに踏み入れた。
(はみちゃん、こんなにちいさいのに本当にエライよねぇ… 
 って、はみちゃんくらいのトシのとき、あたしもやってたよね)
 しょうがない。やるしかない。
 真宵も息を止めて、一気に水の中に足を進めた。
「……………!!!」
(つ、つ、冷たい!こんなに冷たかったっけ!?)
548ナルマヨ:04/05/27 00:13 ID:pEddf/xY
 横にいる春美も辛いのだろう、目をつぶり、経文を必死に唱えている。
 清らかで豊富な水が頭を、肩を、身体全体を暴力的に叩いている。
 ぐっしょりと水を含んだ装束に白い肌が透け、重くまとわりつく。

 装束以外には下着すらつけていないため、真宵の胸の先端が尖っているのがあらわになっている。

 すらりと小柄な体型も、へその形も、その下に見えるあわい茂みまで、くっきりと。

 一心不乱に経文を唱えているうち、激しい寒気はおさまってきた。
 かわりに、真宵の身体に残る『昨日の事』の『証拠』が火照りでくっきりと浮かび上がってきた。

(そう、あれは昨日の事だった…)
549ナルマヨ:04/05/27 00:14 ID:pEddf/xY
§ § § § § § § § § § §

 ───5月25日 午後7時20分
    成歩堂法律事務所

真宵ちゃんがここに帰ってきたとき、ぼくは事務所のソファーですっかり眠りこけていた。
連日の法廷疲れに、ぼくは祝賀会を早々に抜け出してきたのだ。
もうすっかり日も落ち、となりのホテルの明かりがうっすらとブラインドの隙間から差し込んでいた



ぴしっ!
唐突にぼくの頬を何かが打ち、目を覚ました。
「もー。いいかげん起きなよ!なるほどくん!!」
ふくれっつらの真宵ちゃんがぼくの前に立ちはだかっていた。
「……ベツにいいだろ、今回は勝ったんだし」
「ベツによくないよ!風邪ひいちゃうんだから!」
「ふあぁ…。大丈夫だと思うよ、なんとかと弁護士はカゼひかないから」
「勝手にヘンなことわざ作らない!」

でも、言われてみれば、確かに少し寝冷えしたみたいだ。
「…さむい」
「ほら、はやく起きた起きた!帰るよ、もう!」
まだ寝起きの頭はぼんやりしている。
きゃあきゃあ言っている真宵ちゃんをよそに、「手、あったかいなぁ」などと考えたりしていた。
550ナルマヨ:04/05/27 00:16 ID:pEddf/xY
またぼくが眠りの中に落ちようとしていたので、真宵ちゃんもあきれたのか帰るそぶりを見せたが、

とっさになぜかぼくは彼女の手をつかみ返していた。
小柄な身体にびくんと緊張が走った。

さっき叩かれた頬がひりひりと熱を持ってきたので、寝起きのぼくはなんとなく意地悪な気分になっ

ていた。
「真宵ちゃん」
「う、うん…何?」
「男の起こし方ってさ、叩くよりずっといい方法があるんだよ」
腕をつかんだ手に力をこめ、真宵ちゃんをぼくの寝ているソファーに引き倒す。
一応弁解させてもらうと、寝ぼけた勢いでやった軽いイタズラのつもりだった。

向かいのビルの明かりが部屋を薄暗く照らす中、ぼくは強引に真宵ちゃんにキスをした。
当然真宵ちゃんは抵抗したが、こんな細い腕でぼくの手を振り払えるはずがない。
事務所に気まずい静けさが訪れる。
寝ぼけた勢い…果たしてそうだったんだろうか?
ぼくは本当は前からずっとこうしたかったんだ。

真宵ちゃんの唇から熱い吐息がこぼれる。
もうすっかりぼくの目は冴えていた。
551ID:pEddf/xY:04/05/27 00:17 ID:pEddf/xY
改行変になんてすいません。こんな感じで、よろしければまた明日…
552名無しさん@ピンキー:04/05/27 12:00 ID:zR23p+1N
>ナルマヨの方
                  ∩
                  ( ⌒)      ∩_ _ グッジョブ!!
                 /,. ノ      i .,,E)
             / /"      / /"
  _n  グッジョブ!!   / / _、_   ,/ ノ'
 ( l     _、 _   / / ,_ノ` )/ / _、_    グッジョブ!!
  \ \ ( <_,` )(       / ( ,_ノ` )     n
   ヽ___ ̄ ̄ ノ ヽ      |  ̄     \    ( E)
     /    /   \    ヽ フ    / ヽ ヽ_//

つ、つづきを〜(;;゚∀゚)=3 ハアハア
553名無しさん@ピンキー:04/05/28 00:58 ID:wDatJV/E
554ナルマヨ続き:04/05/28 02:06 ID:lDSlreCo
事態はかなり切迫していた。
いままで押さえ込んできた感情がむくむくと(それこそ目に見える形で…)ぼくを占めていく。
真宵ちゃん…ゴメン。

ぼくは知っている。きみがぼくに何となく好意のようなものを抱いていることを。
それが恋愛感情かどうかは微妙だが、おそらく真宵ちゃんはぼくを拒まないだろう。…と思う。

罪悪感を感じずにはいられないが、かといって欲望を押しとどめることなど、もう不可能だった。
まだ誰にも触れられたことのないだろう柔らかい唇をついばみ、舐め、その感触を堪能する。
唇の端から唾液がこぼれるのも構わず、ただ求め続けた。
気付けば、ぼくに覆いかぶさった格好になっている真宵ちゃんの身体から、すっかり力が抜けていた。

「ん……ふぁっ…な、なるほどくんっ……」
真宵ちゃんがこんなに甘い声をあげたのを初めて聞いた。
「きょ、今日のなるほどくん…、ヘンだよ、いつものなるほどくんなら…しないよ…こんな事」
「『こんな事』って…どんな?  
  …たとえば、こういう事とか?」
と、真宵ちゃんが下になるように身体を反転させ、目の前にあった耳たぶをやんわりと噛んだ。
「きゃぁっ!」
左手をやや小ぶりのおっぱいに伸ばすと、心臓が壊れそうなほどの激しい鼓動が伝わってくる。
そのまま軽く胸の頂点を爪で引っかくと、布地越しにも乳首が勃起しているのが分かった。
555(マヨイ萌えの人):04/05/28 02:20 ID:lDSlreCo
---------------------
次回書き込むときは書き上げてからにするッス。
小出しで申し訳ねッス…
きちんと完成させてから上げれば良かったのだが、
酔った勢いで半端に書き込んでしまったんス。

昨日の俺のコメント、改行のおかしさ以前に日本語としておかしいな。
 × 改行変になんてすいません。
 ○ 改行変になってすいません。

あー綾里家萌え(心の叫び)。
556名無しさん@ピンキー:04/05/28 13:38 ID:NCAHDM4H
乙!!GJ。
真宵のセリフ回しの上手さに愛情を感じますた。
いつまでも続きを待ってます(;´Д`)ハァハァ
557沈む聖域(ミツマヨ):04/05/28 19:37 ID:UfpZ+0C7
 最近賑わってますね。しかし達者な人のすぐ後に投下するのはやはりチョト恥ずかしい。

・一応、前回までの粗筋
 逆裁3エンディングから三年後。
 倉院の里を〈沈没〉させる決意を持つ真宵は、御剣からの偽装結婚の申し出を断る。
 好きあいながらも心が通じ合わぬまま、御剣は真宵の跡継ぎのために精子を提供すると言い出す。
 真宵は激しく狼狽し一度は拒絶したが、心は揺れ動いていた。

 こんなところでしょうか。
 ちなみにこの時点でろくにお触りもありません。接吻もしてません

 NGワード&絞込み用語句は 沈む聖域 でドゾー
558沈む聖域(ミツマヨ):04/05/28 19:38 ID:NCAHDM4H
 深夜のロビーは照明が最小限に落とされ、人もいない。
 静寂のなかで真宵にはその待ち時間が無限のように思えていた。
「……なんで、もっと早くに連絡しないのだ」
 振り返ると、御剣は、エレベーターホールから声を張り上げている。近寄ろうともしてこない。
「だって」真宵は立ち上がって、同じく、大声で会話した。「なんて言ったらいいのか、わかんなかったし」
「そうか。やっと私の苦労も思い知ったみたいだな」
 沈黙が下りる。
「こんな遅くじゃめぼしい店は閉まってしまったな。牛丼でも食べにいくかね」
「いい。ごはんなら、電車の中で食べてきた」
 離れたまま話し、見えない壁があるかのように、お互い相手に歩んでいこうともしないのが滑稽だった。
「じゃあ……そうだな、どこかで、一杯やるか」
「あたし、ワイン飲みたい。部屋のなかで」
 御剣は少しあごを反らせて真宵を見下ろした。「……君がそうしたいなら、かまわんが」
「うん」
「…………」
「…………」
「……こっちに来なさい。部屋まで案内するから」
 真宵はできるだけ自然な動作を心がけて、御剣のほうまで歩いていった。
「そんな顔をするんじゃない」彼の言葉で、顔の筋肉にまでは気が回っていなかったことに気づく。
「笑ってろ。そのほうが君らしくていい」
「う。うん」彼女はせいいっぱいそうした……つもりだった。
「やっぱり、普通でいい。顔がひきつってる」
「……ゴメン……」

 ルームサービスで頼んだフルーツの盛り合わせをかじりながら、興味もないのにテレビのチャンネルを次々変える。
 御剣は寝室のとなりのバスルームでシャワーを浴びている。
 いつまでたっても、ひどく現実感が希薄だ。
〈あ……〉真宵は思わずリモコンをいじる手を止めてしまう。〈えっちなチャンネルだ〉
 いつもだったら、汚いものを見るかのように、あわててチャンネルを戻して、何も見なかったふりをするのだろう。
 しかし、いま、真宵は魅入られたように画面を見つめてしまう。
〈あたしと御剣検事、これから……〉テレビの中では、若い男女が野獣の咆哮を上げながら荒々しく腰を振っている。
 真宵は頬が紅潮するのがわかった。〈これから、するんだ。こういうこと〉
559沈む聖域(ミツマヨ):04/05/28 19:39 ID:NCAHDM4H
 我に帰り、こんなものを見ているところを御剣に見つからないうちに、歌番組に戻しておく。
「……次、入っていいぞ」
 そのときちょうど寝室のドアから御剣が顔を出したので、真宵は激しくどぎまぎすると同時に、ほっとした。
「は。はい」バスローブ姿の御剣のほうをなるべく見ないようにして、彼の横を通り過ぎ、シャワーを浴びにいった。
 着ているものを全部脱いだあと、ふと、鏡の中の自分と目があう。
 千尋の妹だけあって、胸は前よりも育ってはいるものの、贅肉が足りなすぎて、腕も腰も、簡単に折れそうなほど細い。
〈こうなることがわかってれば、ちゃんとしっかり食べてたのになぁ……。あーあ〉
 姉のように肉感的な色気があれば、少しは裸体を晒すことも恥ずかしくなかったろうに。
 体を洗い終え、バスローブを着てから寝室に戻ると、御剣は窓際のソファに座って、テーブルに向かって何か書いていた。
「何やってるの?」
「契約書の文面を作ってるところだ。いっしょに考えてくれたまえ」
 真宵もソファに座ると、御剣は真宵にいくつか確認と質問をしはじめ、結果、契約書の文章が出来上がった。
 生まれた子どもは私生児として役所に届け出ること。御剣はその親権を主張しないこと。
 養育費ほか諸経費を御剣はいっさい負担しないこと。そして、双方ともに、子どもの存在を根拠に婚姻を強要しないこと。
 彼は流麗な達筆であっという間に二枚の紙にその旨の文を書き、最後に、御剣怜侍、と署名を加え書き、印を押した。
「君も」と言って、彼は紙を真宵のほうに向けたあと、席を立った。
 彼女も御剣の名前の下に自署し、持参した印鑑をついた。戻ってきた御剣の手には、赤ワインと、グラスが二個握られている。
 彼がもういちど二枚の契約書をよく確かめてから、「契約成立だ」と言って、それぞれ折りたたんで封筒に入れた。
「ほら、こっちが君の分だ。しっかり保管しておくんだぞ」
「はい……」
 夢見心地のまま真宵は封筒を受け取った。
 サインも押印も事務的で、まだ真宵には実感も感慨もわかない。全てが霧がかっているようにぼんやりとしていた。
 気がつくと目の前のグラスには既にワインが注がれている。
〈酔ったら……ちょっとはいい気持ちになるかな〉
 彼女は半ばヤケになって、ワインを飲み干した。
560沈む聖域(ミツマヨ):04/05/28 19:39 ID:NCAHDM4H
「ま、真宵くん」
「え?」
「いい飲みっぷりなのは結構なのだが、普通、こういうときは、乾杯をしてから……」
「あ……あっ!」真宵は口をぱくぱくさせた。
「すすすすすみません……あの……やっぱ、き、緊張してるみたいで、よく頭がまわらなくて」
 御剣はふっと鼻で笑って、もういちど真宵のグラスにワインを注いであげた。
「言っておくが、なにも、今夜でなくてもいいんだぞ。別に私は君をいじめたいわけじゃない」
「で、でもでも」
「遠慮することはない。私は契約は契約だと割り切れる。少なくともその努力はしようとする。
 あとは君の都合に合わせてつとめを果たすだけだ。待てと言われたら待つし、よしと言われたらお相手願う」
「……いえ。やっぱり今夜でお願いします。……け、決心にぶりそうで」
 御剣はグラスを持った。「了解した。では、何に乾杯しようか」
「え。あ、あう。その」
「今からそんなにいっぱいいっぱいで、本当に大丈夫なのかね」御剣は笑った。
「うう……自分でもそう思う」
「ふうむ……まあ、今期家元と次期家元の未来に乾杯、といったところでどうだ」
「は、はい」真宵もグラスを持って、自分の目の前に掲げた。「……今期家元と次期家元の未来に、乾杯」
 軽く音を立ててグラスを合わせ、改めて真宵はワインに口をつけた。
 御剣の顔を見る気にもなれなくて、どうしても目が泳ぎつづけてしまう。
 窓の外の夜景に目がとまった。真宵は大きな嘆息をつかずにはいられなかった。
〈ああ。いま、あたしは、御剣検事と、夜景を見ながらワインを飲んでる……ありえないことが起こってる〉
「現実じゃないみたい。夢の中にいるみたいっていうか……自分の想像の中にでも入り込んだみたいな感じ」
 真宵はぽつりと言った。「昔、いっぱい想像したもん。御剣検事と……こんなふうにいい雰囲気になるところ」
「それで、さっきからずっと、樹海をさまよってる自殺志願者みたいな顔をしてるのか」
「……そんな顔してたんだ」
「別に支障はないと思うがな。このまま朝になるまで夢の中にいればいいじゃないか」
 御剣はセミダブルのベッドの上にごろりと横になって、サイドテーブルにあった英字新聞を広げた。
561沈む聖域(ミツマヨ):04/05/28 19:40 ID:NCAHDM4H
「女性にとってロストヴァージンなんてたいていは苦い思い出にしかならない。
 痛い思いをするのが大半だし、想像していたものとかなり違いはあるだろうしな。
 私はこう見えてそれほど経験だって数をこなしてないし、だいいち、自分でもハッキリ自覚してるほど手先が不器用だ。
 夢の中にいるうちに何もかも済ませてしまったほうが、君には幸せだと思うよ」
「そ、そんな」
「不安にさせてしまったかな。すまない」
「いえ。そんなことは……」真宵は勇気を振り絞ってちらりと御剣のほうを見た。
 彼は立てた枕によりかかって平然と新聞に目を落としている。
「そんなことないです。あのあの。ほら、よく、テクニックの無さは愛でカバー、とか言うじゃないですか」
 真宵は自分自身のために強がって冗談を飛ばした。御剣は皮肉っぽく笑い返して、
「ほう、それで、誰が誰に愛があるって?」と答えた。
「……やっぱりなんでもない」
「すまんすまん、そんな顔をするな。ちゃんとできるだけ努力するから。優しくするよ」
「ほんと?」
「もちろん。せっかくなんだからお互い楽しんだほうがいいし、かえってそうしたほうが効率がいいからな」
「効率? なんで?」
「こっちまで来たら教えてあげるよ」
 真宵は息が詰まるのを感じた。一気に全身から汗が噴き出す。
〈修行だ。これは修行。無我の境地だ〉
 そう自分に言い聞かせて、御剣に背中を向けたまま、後ろ歩きでベッドまで近づき、その隅っこに腰かけた。
 ベッドのスプリングの揺れで、後ろから彼が近づいてくるのがわかる。御剣の前髪が耳を撫で、顎が肩の上に置かれたとき、
〈きっ、来たぁーっ〉と、一撃で無我の境地は跡形もなく消え去った。
「簡単なことだ」御剣は耳元で甘くささやいてくる。背中がぞくぞくして、やめてほしいと言おうとしたが、声が出ない。
「君が感じれば感じただけ、君自身は熱く濡れて、挿入がスムーズになる。
 それだけじゃない、興奮すればするほど精液というのは射精の際に量はたくさん出るし、精子の含有量も多くなる。
 これで、効率がいいということはわかったかな」
〈そ、そ、そ、そうにゅう……せいえき……〉
 情けないが膝が震えてしまう。わかっている。御剣はわざと露骨な言葉をささやいて、反応を見ているのだ。
562沈む聖域(ミツマヨ):04/05/28 19:40 ID:NCAHDM4H
 わかっているのに、緊張で胃が口から飛び出しそうなのに、真宵のお腹の下では、電流のような快感が波打っていた。
 体験したこともないくらい、熱くなっている。
「さて、君はどうして欲しい」御剣は後ろから真宵の肩に両手を置いた。「なにかご要望は?」
 ……言わせる気だ……今度は、あたしに……。
 肩をつかんでいる手は真宵のそれとは比べ物にならないほど大きい。それを思うだけで、どうしてだかたまらなく切ない。
「みっ、御剣……検事」
 吐き出す息が熱い。
「なんだろうか」
「あ。あの。あたしね。あたしは、ギュッて、されたい……」
 御剣は彼女を正面に向き直らせて自分の中に引き寄せ、望みどおり、包み込むように抱きとめた。
 はじめて真宵は御剣の体温と匂いを意識した。心臓が早鐘を打っているのに、不思議とそれは彼女を落ち着かせ、心地よく思わせた。
 御剣の首に顔をうずめて、襟足の匂いを吸い込んだ。いつまででもそうしていたいと心から思った。
「大丈夫かな。『ごはんの気分の時にパン』は」
「あ……」真宵は我に帰った。
「う、うん。気分が悪くないわけじゃないけど……なんていうか、色んな気持ちが混ざってて……よくわかんない」
「そうか」
 御剣は少しずつ腕に力を込めてきた。応えて、真宵も同じようにした。
 ふだんから大きな体だと思ってはいたけれど、今ほど彼が大きく感じられたことはない。
 耳に唇が触れた。
「きょうは……よく来てくれた」彼はごく小声で言った。「よく、決心してくれた。……がんばったね」 
 既に御剣の腕は息苦しいほどに彼女を抱きすくめていたが、それ以上にその言葉で胸が強く絞めつけられた。
〈あ……〉真宵は心臓がどうにかなってしまったのかと思った。しかし、涙が出るのは、苦しさばかりのせいではない。
 緊張でカチカチになっていた体が、ゆるやかに弛緩していく。
〈……よかった。この人でよかった〉我知らず、小さく嗚咽をあげた。〈御剣検事で、ほんとによかった〉
 顔を上げ、しぐさだけでキスをせがむ。彼はしばらくためらったように見つめ、やがて首を傾け、唇をやわらかく食んだ。
 最初は、〈キスするのって、こういう感じなんだ……〉という感慨や、恥じらいばかりで、ゆっくり味わうような余裕はなかった。
563沈む聖域(ミツマヨ):04/05/28 19:41 ID:NCAHDM4H
 だが、彼にじっくり唇だけを使って唇を愛撫されていくうち、頭の中が、そのくすぐったいような気持ちよさだけに塗りつぶされていく。
「ん……ぅっ」
 全身の力が抜けきり、弄ばれるだけの唇も半開きになってしまう。あ、と思ったときには、御剣の舌に侵入されていた。
 驚いて咄嗟に舌を丸めて引っ込めると、彼の舌はそれを求めて、歯列の内側でゆっくりとうごめき続ける。
 意を決して舌先を伸ばし、自分から軽く触れる。たちまち、舌全体が彼のそれに捕らわれて、翻弄されるがままになってしまう。
 ふと、いま、御剣の唾液が自分の口内に流れ込んでいることに思い当たって、言いようのない快感が体を貫いた。
「んぅん……んぁ……むぅ」
 それだけではない。真宵の唾液も同じように、こうやって彼女の舌を舌と情熱的に絡みあわせている男の中に入っていっているのだ。
「やぁ……んぅっ」そう思うと急に恥ずかしくなって、真宵は御剣の口を離れた。
 あらためて御剣と目があう。彼はすでに息を上がらせ、心苦しそうだが恍惚とした、真宵の知らない表情をしていた。
 しかし、御剣は御剣だ。
 たった今までこれほどいやらしいキスを交わし、舌の感触を味わい合い、唾液を交換していた相手は他のだれでもなく、御剣なのだ。
〈知らなかった。キスって、こんなにえっちなんだ……〉
 離された口のあいだに糸がひいていることさえ、真宵には気に止めることができなかった。
「真宵くん……」
「ん……」
「約束してほしいことがあるんだ」
「あ……はい」
「私が下手でも、演技だけはしないでほしい」
「は……ぁっ」真宵の返事の後半は声にならなかった。首筋に吸いつかれたのだ。
 そのまま唇と舌は後ろへ回りこんで、髪の毛の生え際を襲われる。
 口での愛撫と彼の髪の毛があたるくすぐったさをこらえて、体が軽く幾度か跳ねてしまい、しがみついて耐える。
〈やだ……これで、下手だなんて……何考えてるのよ……〉
「君は知らないかもしれないが」唇を押しあてたまま御剣は呻くようにしゃべった。「君のうなじはすごくきれいだ」
「そ、そうなの……?」
「私もずっと知らなかったのだが、先日、君が髪を結い上げたところを見て、初めて気がついた」
「あっ……くっ、ふぁっ、くっ、くすぐったっ……」
564沈む聖域(ミツマヨ):04/05/28 19:41 ID:NCAHDM4H
「大変だった。気づいたときからずっと……こうやって、むしゃぶりつきたくてしょうがなくて、いつ辛抱の限界が来るかと」
 御剣はそのまま大きく口を開いた。熱く湿った吐息が真宵を震わせた。
「だめ、だめ、だめっ……やだよ、くすぐったすぎるぅっ……」
「食いしばって耐えてろ。そのうち、ぞくぞくが気持ちよくなってくる」
 真宵は彼の言葉を信じるほかなかったというより、彼に従うほかなかった。
 御剣によって髪の毛がかき上げられたうなじに、ちゅっ、と音が立つ、唇と舌でのキスが繰り返される。
 耳の後ろの卑猥な水音の連続。背筋から腰にかけての寒気に肌が粟立つ。
「あ……あぁ……やぁ、や」
 びく、びく、という体の痙攣を抑えることも、とっくに諦めていた。
 やっと御剣が許してくれたとき、彼の腕に真宵はぐったりとよりかかることしかできなくなっていた。
 彼が腕を離すと、当然、体のどこにも僅かな力すら入らず、ベッドの上に倒れ込んでしまう。
 猶予もなく彼は覆いかぶさってくる。鼻先に突きつけられた御剣の頭のシャンプーと汗の匂いがひどく愛しい。
 鎖骨と鎖骨のあいだにキス。そして、舌で鎖骨をなぞり、バスローブの前をはだけながら、だんだんと外側へ。
「あ……っ」
 そんなに前を開けたら、胸が見えてしまう、と真宵は焦った。
 とても恥ずかしいのに、しかし、たいして抵抗する気になれない。
 期待してしまっているどころか、はっきりと、早く、もっと下まで来てくれればいいのにと焦れている自分がいる。
 御剣はふと顔をあげ、まるで深刻な話でもしているときのような顔でじっと真宵の表情を見守った。
 ゆるんだ襟から右手がさし入れられて、乳房の上に置かれる。
「……や」
「嫌か」
「ちがっ……」彼は不意に両手で大きく前を割り開いた。真宵の胸が一瞬にしてあらわになる。
 大きな手が両胸を軽く握ってきた。「だ、だめ」
「本当に?」
「え」言っている最中にも、やわやわと胸を揉みしだいてくる。
「本当にダメなら、すぐにやめるが」
「そんなこと……」
「どっちだね」
 マッサージの振り幅はどんどん大きくなっていき、蹂躙されるかのように乳房の形が御剣の手の中で自由自在に変形しつづける。
「あ……わ、わりと……だめでもないです」
565沈む聖域(ミツマヨ):04/05/28 19:42 ID:NCAHDM4H
 桜色の頂上を指先でつまみ上げられると、彼女は思わず息を引いた。
 指の腹を使ってこねくり回されて、ほとんど未知ともいえるその快楽に、呼吸の間隔はどんどん短くなっていく。
「はぁ……ぁっ。やぁ……んぁっ」
 谷間に顔を埋めた御剣の吐息がかかり、彼もまた、息を荒くしているのがわかる。
〈……御剣検事も、興奮してるんだ……〉
「あぅ……やだぁ」
「真宵くん。私はこれでも腫れ物に触るような気分で接しているんだ。なにしろ君は今まで私に触られることすらできずにいたし」
「えっ」
「だからその……すまない。おそらく君の真意が他にあるのだとわかってはいても、そのぅ。ちょっと、心臓に悪いんだ。ダメ、とか、嫌だ、とかいう言葉は」
 言いづらそうにあさっての方向をむいてぼそぼそ喋る御剣の姿を見て真宵は焦った。「ご、ごめん」
「わかってると思うけど、あの……やめてほしいってわけじゃ、ないから……、
 ごめんね。お願い、気にしないで……これからあたしが何言っても、お願いだから気にしないで、つ、続けて」
「……真宵くん」彼はふっと笑いを浮かべたが、どこかつらそうだ。
「君は今、自分で何を言ったか、わかっているのか」
 御剣の上半身が起き上がる。落とした視線の先には、彼女の白いTバックがあった。
「私のために、こんな扇情的な下着を着けてきたのか」
「ち……ちがう」それは本当だった。線がひびかないような下着しか持っていないのだ。
 彼は否定を信じなかったかもしれない。浮き上がった左の腰骨に唇を落とされた。
 御剣の顔がついに下半身にまで接している。直接的な刺激でよりそれを見て昂ぶってしまう。
「あ。あっ」太ももの内側を吸われて彼女は身をかたくした。「ちょ、ちょっと待って、だめ……まだ」
 言ってすぐ、その願いは聞き届けられないだろうことに気づく。他でもない自分が、ついさっきそう頼んだばかりではないか。
 御剣は眼前に迫った真宵のその地帯をまじまじと観察している。
「やめて……あ」お腹の下の布を掴んで引っ張られ、一番見られなくないところが見えてしまっている。
「ほう……」
「や。あっ。だめ」御剣はさらに下着をずらし、その中をのぞき見た。
「流石にきれいだな。形もととのってるし、色もピンクだ」と、彼は値踏みするかのように言った。 
566沈む聖域(ミツマヨ):04/05/28 19:42 ID:NCAHDM4H
 そのまま下着を引きおろされると、いよいよ恐さのほうが増してくる。
 彼女の気も知らず、御剣は両手で真宵の腰をつかんでいきなり大きく上げた。「きゃあっ。なっ」
「ほら、太ももを私の肩に乗せろ」
「うそ……そんなの、で、できなっ……」
 だが暴れて抵抗しようとしても、いっこうに力がうまく入らない。
 それに彼にひと睨みされると、すくみ上がってしまって、結局真宵は観念して、彼の望む体勢になった。
「み、見ないで。見ないでぇ」彼女はかかとで御剣の背中を蹴って、せいいっぱい抗議した。
〈近すぎる……!〉
 御剣の三白眼がとらえている真宵の秘所は、もはやそこからわずかな距離しか離れていない。
 指が割れ筋に添えられたかと思うと、二本の指を使って、ぐっと開かれた。
「……っ!!」
「ふむ。小陰唇にもほとんど色素沈着がない」
「あ……あ……」
「もったいない。こんなにきれいなのに、今までひとりの男にも見せたことがないなんて」
 御剣はよく目をこらして広げられた秘唇を覗き、今度は、ごく慎重に指先で陰核の皮をむいた。
「あぁ……っ……やっ、だめぇっ」
 むきだしになったものを御剣に見つめられ、そこに鼻息がふきかかるだけで真宵は悶えた。
 気がつくと、どうしたのかと思うほどに体の芯がたぎっている。
〈熱い……。だめだよ……こんなに、はしたなく感じてばっかりだと……御剣検事が、興ざめしちゃう。
 ちょ、ちょっとは我慢しなきゃ……〉
 真宵の決意はすぐに脆くも吹き飛ぶことになる。
 彼がいとおしげに真宵の目を見つめたまま、伸ばした舌の先をそっと芽に触れさせたからだ。
〈あ、あああぁぁっ……! し、死ぬ。恥ずかしくて死ぬ。死ねる〉
「……はぁっ! くぅ、あぅっ」
 ちろちろとクリトリスを舐められて、真宵は洩れてしまう甘い声をなんとかごまかそうとなりふり構わず暴れた。
「だめっ、絶対だめ、だめだったら! きっ、汚いっ、そんなとこ」
 彼は今度は唇を押し当てながら喋った。「汚い? さっきここは洗ってこなかったのか?」
「えっ、あ」
「駄目じゃないか、私のためにちゃんとすみずみまでよくきれいにしておかなくては。
 次からはきちんと奥まで指を入れて、しっかり洗っておくように」
567沈む聖域(ミツマヨ):04/05/28 19:43 ID:NCAHDM4H
 けして、念入りに洗ってこなかったわけではない。
 汚くなんかないよ、というような言葉を言われるかと思っていたのに不意をつかれて、反論できなかっただけだ。
 それに、痛いくらいのすさまじい局所的快感の連続で、あれこれ口答えする思考能力はもう九割がた吹き飛んでいる。
「あ、いやぁっ、み、御剣検事っ、お願いぃ……」御剣は動作をやめない。
「ふぁぁ……っ、おねがいだから……どっちかにして。ひぁっ、み、見てるか、ぺろぺろするか……」
 せいいっぱいの懇願に御剣の目袋がごくかすかに持ち上がったのを見て、真宵は失敗に気づいた。
 煽ってしまった。そう言われれば尚更、彼はますますどちらも続けたがるだろう。
 相手が嗜虐の快感にすっかり酔いしれていることくらい、真宵にも察しがついてきている。
〈あたしのこと、いじめて興奮してるんだ……知らなかった。御剣検事がこんなにヘンタイだったなんて〉
 舌が芽をねぶりながらも、同時に親指が粘膜のひだの内側を探りはじめる。
「ひゃ……っ!」
 真宵はさすがに全身を緊張させた。本能が激しく御剣の指を拒否している。
「ま、待って……御剣検事、あ、あたし、足が……疲れてきちゃって。おろして……」
 彼はつまらなそうな顔をしたが、意外にも、すぐに言うことをきいてくれた。
 真宵は安心して大きく大きく嘆息した。気がゆるんで、余韻で腰の後ろが軽くぴくぴく跳ねる。
「失礼だが、真宵くん」御剣が真宵のとなりに体を横たわらせて、彼女の顔にかかった髪をかきあげた。
「……ぅ……」
「君は本当に演技していないだろうね」
 真宵は首を横に振った。〈演技どころか、必死で抑えつけてるってば……〉
「なるほどな。経験が少ないと、たとえ充分感じていても、なかなか愛液が分泌しないと聞いてはいたが……」
 御剣は真宵を引き寄せて抱き、頭を撫でた。彼女が気にやまないよう、気を配ったのだろう。
「どうもかなり狭そうだし、いま入れても怪我をさせてしまうだろうな。さて、次はどうしようか」
「すいません……あ」真宵はお腹をひっこめた。そのあたりに、硬くて熱いものの存在を感じたからだ。
 彼女はそっと目を落とした。
 バスローブの前が割れてブルーグレーのボクサーブリーフが見えていて、その奥にあるものの膨張がはっきりわかる。
568沈む聖域(ミツマヨ):04/05/28 19:43 ID:NCAHDM4H
「触ってみるか?」と彼は真宵の考えを読んだかのように言った。
「あ……、ん……」
 彼女が恥ずかしげに小さくうなづくと、御剣は体を起こし、着ているものを脱いで下着だけになった。
 一片すら無駄な贅肉のない、よく鍛えられて引き締まった身体が真宵の前に晒される。
「わ……御剣検事の体、カッコいい。なんか……俳優さんみたい」
 仰向けになった御剣に肩を抱かれて引き寄せられた真宵は、陶然と分厚い胸板の上に手を滑らせる。
 彼はその手を掴んで下に運び、下着の上から自分のものを握らせた。
〈あっ、あ……すごい〉
 人体の一部とは思えないほどの硬さと熱さが手の中にある。
 御剣は、手に手を重ねて押し当てさせるどころか、遅く上下して擦らせすらしている。
〈これが、御剣検事のなんだ……。すごいな、こんなになるんだ……。
 あ、あたしの中に入れたくて、こんなに硬くなるんだよね……。……せつなくないのかな〉
 顔をうかがい見ると、彼は真宵を見つめながら唇を少しだけ噛んでいる。
〈気持ちいいんだ〉と思うと、急に愛しさが生まれてくるのがわかる。
「御剣検事」
「なんだ」
「あたしも、同じことしたい。御剣検事と。……ここ、もっとさわったり……口でしたり……」
「無理しなくてもいいんだぞ」
「ちがうよ……」真宵は口をとがらせて首を振った。「……したいなって、思ったから。いいかな」
「……うむ」
 彼の足と足のあいだに身を滑り込ませる。自分で下着を脱ぐのかと思っていたが、御剣は動かない。
 少し気恥ずかしかったが、仕方なく真宵はボクサーブリーフに手をかけて、おずおずと下ろした。
 真宵は息を呑んで、目の前にあらわれた、御剣の怒張しきったそれを見下ろす。
〈ちょっと待って〉彼女はうろたえた。
〈……エッチするのって、これを、女の人のあそこに……入れるんだよね?
 でも、こんなに大きいなんて……こんな太いのが……ホントに全部入るの?! うそでしょ……〉
「どうした」
「え。い、いや。えーと。すごく、ご、ご立派だなと思って」
「何を言ってるんだか……おおかた実物を見て不安にでもなったんだろう。
 別に、初日から何もかもうまくいくとは思っていない。今日は度胸試しくらいの気持ちでいなさい」
「ど、どきょ……、ハイ」
569沈む聖域(ミツマヨ):04/05/28 19:43 ID:NCAHDM4H
 御剣が察してくれてよかった。実のところ、その言葉でかなり安心できた。
〈よかった。さっきはキチクだと思ったけど、やっぱり御剣検事って、優しいな……。うれしい〉
 真宵は彼への感謝を噛みしめる。ただ心からそうしたくて、ごく自然に、御剣の陰茎の先端に口づけた。
 御剣がわずかに鼻を鳴らした。割れ目からは既にたっぷりの先走りが漏れ出していて、真宵はそれをきれいにしてあげたいと思った。
 苦い。けれど、これくらいなら大丈夫だ。
〈そうだ。さっきの仕返し〉真宵は舐め回しながら彼の顔を仰ぎ見た。早くも息を荒くしていた御剣と見つめ合う。
 先走りをすっかり舐め取ってあげたと思っても、すぐに茎がぴく、ぴくと震えて、新しい苦味が口の中に広がる。
 御剣が恥じたように顔を背けたのを見て、真宵は仕返しが功を成したことに満足した。
 少しずつ深くまで口内に挿しいれていく最中、「歯を立てるんじゃない」と注意されて、あわてて顔を引いた。
「でもこれ以上口開けたら、あごが疲れて死んじゃうよ」
「無理に深く咥える必要はない。一番気持ちいいところは頭だ」
「あ。そうなんだ」真宵はほっとして再び鈴口を含んだ。
 どういうふうに舌や唇を使えばいいのかは知らなかったが、御剣の反応を見ながら、手探り状態でコツを掴もうとした。
 息遣いや小さな呻き声にも耳をすませる。しかし、感じたときには腹筋に力が入って、上下したりぴくぴくしたりするという反応が最も素直で参考になった。
 気持ちよくなってくれているのが嬉しくて、すっかり夢中になってしまう。
 それを続けたまま、思いつきで手を添え、先ほど教えてもらったように、握りしめてさすってみた。
「あっ」期待どおり、御剣はすぐにのけぞって、いっそう息が乱れる。
「くっ……ぅ。真宵くん……ちょっと、そろそろ……まずい。待ってくれ……」
 彼の声が聞こえていなかったわけではなかった。が、彼から口を離してしまうのが惜しかった。
 手のひらの中でそれが蠕動するたびにますます硬さを増していく。
「だっ、駄目だ……離れなさい……もう、ぼ。暴発してしまっ……あ、ああぁっ」
 勢いよく突き飛ばされて、真宵はごろごろとベッドの上を転がってしまった。
 見ると、弓なりに体を反らせた御剣が、白目をむいて茎の根元をぎゅっと握って堪えている。
570沈む聖域(ミツマヨ):04/05/28 19:44 ID:NCAHDM4H
 しばらくしてから、不意に顔をこちらに向け、ほとんど蛇のような目で激しく睨みつけてきた。
「……こ、この……ききき貴様はっ……なんということを……っ!」御剣は息も絶え絶えに、手をついて体を起こした。
「なぜ、やめろといわれて、すぐにやめなかったんだッ! あと一刹那遅かったら、私は、世界一情けない男に成り下がるところだっただろうがぁっ!」
「えっ! す、すいません」真宵は彼がこれほど憤慨するとは思っていなかったので、申し訳なく思う前にまず驚いた。
「まったく、君は……いったい人がなんのために時間をかけてここまで性感を高めてきたと思っとるんだっ!」
「ごめんなさい、あたし、つい熱中しちゃって……でも、でも、御剣検事きもちよさそうだったし……」
 真宵はごにょごにょと言い訳した。「それに、コーフンしたほうが、せっ、せいえきが濃くなるって言ってたから」
「だからこそ君の膣に中出ししないと全てが水泡に帰すと言っとるのがわからんのかーっ!! この大たわけがーッ」
「ごごごごめごめごめんなさぁぁいっ」
 顔をつきつけあわせて頭ごなしに怒鳴られて、恐怖に体がすくんで涙目になる。
 御剣は息を切らせ、相変わらず凄まじい目つきだ。激昂で肩を震わせすらしている。
「人の苦労も知らないで……」と、彼は先ほどよりは落ち着きを取り戻したように、小さく言った。
「そ……そうだよね。御剣検事、あたしと、がんばってエッチしてくれてるんだもんね。
 ごめん。ホントにごめんなさい、それなのにあたし、楽しくなっちゃって」
「……むぅ……」
「なんか……御剣検事がすごくうまいから、気持ちよくなっちゃって、嬉しくて。
 あの。なんていうか……昔の夢が叶って、ほんとの恋人同士になってエッチしてる気分になっちゃってたの」
 御剣はそれを聞いてすっかり激情を引っ込めて、眉をしかめて低く唸りはじめた。
「ゴメンね……御剣検事が、頑張ってくれてる間に、ひとりでいい気分になってて」
「いや……別に」一転、彼はぼそぼそと、よく聞き取れない声でつぶやく。「別に頑張っては……というか、まあ、張り切ってはいるが……」
「なに?」
「いやその、なんだ。私らしくもなく怒鳴ったりしたのはすまなかった。というか、君にはいつも怒鳴ってばかりで、それは悪いと思ってる」
571沈む聖域(ミツマヨ):04/05/28 19:45 ID:NCAHDM4H
「あ……うん」真宵はうつむいたまま御剣を見やった。「じゃあ……許してくれる?」
 彼は唇を噛みしめたかと思うと、いきなり真宵を強く抱きしめた。
 御剣の体温が熱い。少し汗ばんだ肌と肌とが密着するのが、不思議なくらい心地よく感じた。
「御剣検事……」改まって裸どうしで抱き合うだけで、嬉しさでくすぐったくなる。真宵は抱き返した。彼の腕の力の込めかたで、てっきり彼女は、もう仲直りできるのだと思っていた。 
「駄目だ」御剣は彼女のあごを掴んで、自分のほうを向かせた。「許さない。お仕置きが必要だ」
「ぅ……」彼の目の光を見て、いやな予感がした。〈さっきもこんな目してたな……確か、あれは〉
 思い出して真宵は身をかたくした。それは先ほど、彼女をいたぶっていたときの目だった。
 突然、体が浮き上がる。「あっ……わぁぁーっ!」
「暴れるんじゃない」
 真宵は膝の後ろに腕を回されて持ち上げられ、とっさに彼の首にしがみついた。「やだっ、お、下ろして」
 抵抗すれば彼のサドっ気にますます火をつけるだけだと学習してはいたものの、やはりせずにはいられない。
 どこへ運ばれていくのかと思ったとき、ふと、机に面した壁の大きな鏡の中の自分たちに気がつく。
 まさか、と思ったときには、机の上で手を離され、どしんと尻が落ちる。
「……あ……や、やだぁ! やだぁっ!」御剣は後ろからむりやり真宵の立てた両膝をぐいと開かせた。
 鏡に見たくないものが映った瞬間、彼女はいそいで顔をそむけた。
 しかしすぐに口の中に親指が入ってきて、声にならない声を上げてしまう。そのまま、顎を掴まれて、乱暴に正面へ顔を向けさせられた。
「自分の体の一部だろう。ちゃんと見なさい」
 鏡に映った後ろの御剣の顔は別人のように劣情にまみれ、その目が支配欲でぎらぎら輝いていた。
 ぴったり腰に押しつけられた彼の男根は、血液が流れ込むたびどくどく動き、硬度を取り戻していっている。
 恐さのあまりに反抗の手を止めると、御剣の手が、大きく開かれたままの真宵の股の付け根に伸びてきた。
「う……いや……ぁ」
「ちゃんと見ろと言っただろうが。同じことを何度も言わせるな。ほら、この私の指が、君の恥ずかしい場所をいじっているところを見るんだ」
「ひ、ひどいよ、こんなのって……ないよぉっ……!」
572沈む聖域(ミツマヨ):04/05/28 19:45 ID:NCAHDM4H
 自分の非難が説得力のないことくらい、自分で一番わかっている。
 御剣の大きくて節ばった指が、自分の秘所に埋められて動き回っているのを、うっかりチラリと見てしまっただけで、衝撃と言っていいくらいの快感が体を貫き、意識せず膣穴がビュクビュクと収縮するのが止まらないのだ。
「ひどいことをしないとお仕置きにならんじゃないか」
「あぁぁっ……ひゃ、うくぅっ……」
「いま、君が誰にも侵入を許したところがない所を指で犯している男がだれだか、わかってるのかね」
「や……いや」その場所は急に湿り気を増していくどころか、ちょく、ちょくと音まで響かせるようになっている。
「私は御剣怜侍だぞ。君がその昔に片思いしていた男だ。君はいま、もう想い人ではなくなった御剣怜侍に種馬になるよう頼み、愛情抜きのセックスをして……」
 彼は真宵の目のまえに、見せつけるように真宵の出したもので濡れた指を突きつけた。
「こんなに、私を欲しがって、いやらしいよだれを垂らしてるんだ」
「いや……いや、やっ、やぁぁぁっ!!」御剣の中指が、ついに蜜の源泉に割り入っていき、しかも、それは鏡によって真宵にもよく見えた。
 たっぷり愛液が漏れているわりに痛みは感じたが、それを吹き飛ばすほどの甘美な悦楽が、激しく渦巻いていた。
「……あ、あぁ……あぁぁんっ……!」
「君には呆れたな。こんなに恥ずかしいところを見せつけられたり、残酷なことを言われたりしても、ますますぐちょぐちょになっている」
 指が出し入れを繰り返しながら、奥へ奥へと入っていっている。
「それだけじゃない。さっきからだ。さっきからずっと君は、恥ずかしいことをされたときが一番反応がいい」
「そっ、そんな……ことっ……な……」
「君は、恥ずかしいことをされればされるほど、相手が誰だろうが淫らによがる女だ」
「……っ!!」真宵は呼吸困難で胸が苦しくなるほど息を早くしていたが、御剣も同じように肩で息をしだしていた。
「股を開いた相手はもう好きでもない男なのに」
「痛いっ……」彼の指が突然ひときわ深く挿し込まれ、思わず声を上げた。だが彼はまるで聞いていないかのように言葉を続ける。
「なのに、こんなに濡れるだなんて普通じゃない。君が変態だとでもしないと、説明がつかんのだよ」
「お、お願いっ、あああぁっ……も……やめぇっ……」
573沈む聖域(ミツマヨ):04/05/28 19:46 ID:NCAHDM4H
「それともなんだ、まだ私に未練があるとでも言うのか。違うんだろう?」
 御剣は一気に指を引き抜いた。安心で、目の前が白くなるほど力が抜けていく。
「破瓜か」彼は自分がじっと見つめていた中指を真宵にも見せた。確かに先がわずかに赤く染まっている。
「思ったより量が出ないんだな。もっと太いものを入れればまだ出るだろうか。どう思うね」
「そ……んなっ……」
 放り投げられるようにベッドの上に置かれても抵抗を示さず、覆いかぶさってこられても宙を見つめることしかできない。
 気付をするように御剣は痛いくらい真宵の唇を吸った。
「少しひどかったかな」彼は言った。「すまん。でもとてもよく濡れるし、すごくかわいい顔をするから」
 真宵はなんとかして視界の焦点を合わせようとした。「……かわいい?」
「ああ。本当に……君はかわいい」
 太ももを広げさせられたと思うと、体の中で一番熱くなっている場所に、何かがそっと浅く突き立てられるのがわかった。
「ちょ……」霧がぱっと晴れたように意識が引きもどされる。「や。待っ……」
「限界だ。もう、待てない」
 ぐっと御剣の腰が進められた。真宵ははじかれたようにのけぞった。
「括約筋を緩めるんだ。ろくに入ってもいないうちから締めるな」
「そっ、そんなの、どうすればいいのかわかんないよ」
「息を吐いて、おしっこをするときみたいに力を入れて踏ん張っておけ。少しはましになる」
「ふぇえええ……」
 痛いとは聞いていたものの予想以上だったため、真宵の勇気は早くも既に大部分しぼんでいる。
「無理か?」御剣は少しだけ顔をしかめた。
「……う。ううん、ここまで来たら、が、がんばるしかないよ……。……最後までやる」
「それはありがたい」彼は真宵の汗ばんだ手の上に手を重ねた。「私も頑張ることにしよう」
 真宵は彼を受け入れることだけを考え、つとめて全身の緊張を解こうとした。
「はぁぁ……ぁ……っ」
 御剣の男根が彼女の中で進退を繰り返している。最初はゆるやかで慎重だったその動作が、彼の息が速くなるのに合わせて、徐々に大胆なものに変わっていく。
 彼女のほうはというと、もう、息を荒らげるとか声が洩れるどころか、意識しないと呼吸を失念するほど、御剣の律動に我を忘れていた。
574沈む聖域(ミツマヨ):04/05/28 19:46 ID:NCAHDM4H
 御剣の顔が苦しそうなほどに悦楽に歪んでいることだけを糧になんとかしてギブアップを戒めているが、いつまで持ちこたえられていられるだろうか。
「凄いな……」彼は声を絞り出すように言った。
「み、御剣検事……お願い。なんだか……すごい寒くて……抱きしめててほしい」
 御剣はすぐに彼女の頼みどおり、真宵の体に乗りかかり、首の後ろに片腕を回して頬を寄せた。
 それまで、自分が汗だくになりながらもいつからかずっと震えっぱなしだったことにすら気づいていなかった。
「真宵くんっ……」不規則な吐息に上ずった呼び声が混ざっている。 
「あぁぅっ……ああ」
「…………」
「く……ふぁっ、ぁっ、あぅ……」
「……真宵くん……つらいか」
「ぁ……」
「もし、長引くのがつらいのだったら……」
 彼の額にはもう汗が浮いていた。「い、今から……一気に全部挿しいれて、奥を突かせてくれるのなら……すぐに終えることもできると思う」
「……え……っ」
 驚いた。痛いと白状するのだけは抑えていたはずだったのに、知られてしまっていた。
 相当ひどい顔つきをしていたのだろう。
「もっ、もちろん私には、プライドがある。が、そんなものは……君が……、君さえ少しでも早く楽になれるなら、私は、そ、そっ、早漏に甘んじることだってできるさ」
「で……でもっ……」
「君のここはかなりよく締まるし、このまま、緩やかに動かしているだけでも、当たり前だが射精はできる……遅いか早いかの違いだけだ。……君は、どうして欲しい」
「あ、あ……あたし……あたし……」
 慣らされたせいか脳内麻薬のせいか、入れられたばかりの裂けるような激痛は既にない。
 しかしそれでも知らない種類の痛みが途切れなく続いて、限界まではとっくに紙一重の状態だ。
 御剣は腰の運動をいったん止めて、真宵の答えを待っている。拷問を受けているかのような顔で真宵を見つめている。
〈……御剣検事は……あたしの一番奥を欲しがってる……〉
 たとえ動きが止まっていても、彼の怒張した男根を受け入れているだけで、こんなにも苦しい。
〈それでも、あたしも欲しい……欲しいよ。全部〉
 真宵は御剣の首に手を回し、思いを全てぶつけるように激しく舌を絡めた。
「……いいよ。おねがい、入れて、奥まで……」
575沈む聖域(ミツマヨ):04/05/28 19:47 ID:NCAHDM4H
 口を離して彼女はそう言った。御剣は、それを聞いて歯を食いしばり、もう一度唇を押しつけると、
「すまん。許してほしい」と、痛々しげに洩らした。
 彼は真宵の両肩を掴み、腰が引けて逃げることができないよう押さえる。
「……あっ……はあああぁぁっ……!!」
 御剣は容赦も遠慮もなく、ひと思いに根元まで刺し貫いてきた。その悲鳴はなんとか最小限まで押し殺すことができたが、すぐに彼が躊躇なしに激しく腰を打ちつけてきたのには、もうわけがわからなくなるほど、無分別に泣き声をあげつづけた。
「あぁっ、あぁっ、ま、真宵くん……!」
「やあああぁっ……やぁっ、だめ、きっ、きもち……わるいぃぃっ……」
 真宵は首を振った。「こわいよ……やだぁ、あ、あ、やめて、もっ、やめてええぇ……っ!!」
 まるで子宮をわしづかみにされて揺り動かされているような圧倒的な違和感と苦痛が彼女を支配していた。
 どんなつらい修行だって今より絶望を感じたことはない。許しを請う言葉だって、本当は言うまいとしていたのに。
「いやあぁぁっ……っ、うっ」真宵の口を御剣が同じものを使って塞いだ。
 顔を背けても離してくれない。むりやり引き離そうとして肩を押しても、びくともしない。
〈ひどい……ひどい……こんなのってないよ……!〉
 涙で前もろくに見えないまま、彼女は両手で御剣の顔をめちゃくちゃに打った。すぐに両手首も彼に掴まれ、ねじ伏せられる。
〈なんで、こんなに……なんで……こんなにまでするの〉
「真宵くん」彼はまた名前を呼んだ。口を押しつけたまま喋るものだから、唇を噛まれてしまう。
「ふくっ……むう」
「頼む……」御剣は声を吐き出した。「き。嫌いにならないでほしい……」
 真宵が一瞬言われた言葉の意味がわからなかった。「あ……」  
〈……やだ。こんなに好きなように犯してるのに……どうして、そんなにせつなそうなの……?〉
 彼女はゆっくり目を開けた。〈嫌いになんか……〉
「……な。ならないよ……そんなことっ……」
「本当に……?」真宵が小さくうなずくと、御剣は彼女の腰に腕を回して、骨も砕かんとばかりに抱きしめた。
「わ、私も……君のことを……、君を……君を、……き、嫌いでは、ない……」
 最後に一度だけいっそう大きく突き上げ、彼はその長く激しい律動を終えた。
576沈む聖域(ミツマヨ):04/05/28 19:47 ID:NCAHDM4H
 中で、断続的に彼のもの自身が震えているのを感じた。
 安心から、とめどなく涙が溢れてくる。このまま気を失ってしまいたかった。

 頭がぼんやりとしているのに、五感は妙に鋭敏になっているというのは不思議な感覚だ。
 少し、修行のときの神妙な心持ちと似ているかもしれない。
 夜更かしをしているのに目はさえているし、しーんという空気の音までハッキリ聞こえる気がする。
 汗をかいたままだと体を冷やすから、シャワーを浴びてきなさい、と彼は言ったが、真宵は首を振った。とても、動くような気分ではなかったからだ。
 御剣はバスタオルを持ってきて、彼女の全身を軽く拭いてくれた。
 それどころか、喉が渇いたといえば水を持ってきてくれたし、足がだるいと言えば、ずっとさすってくれた。
 その甲斐甲斐しさが、罪悪感からのものだろうと真宵にもわかった。
 御剣の顔は一見いつものようにつんとすましているが、彼が心の中で動揺しているのは、落ち着きのない瞳の動きでよくわかる。
〈堂々としてればいいのにな。……別に、意地悪しようとしてしたわけじゃないのに〉
 とはいっても、罪悪感で彼を精神的に一時支配し、お姫さまのようにいたわってもらえるのはたしかに気分がいい。
「度胸試し、かぁ」真宵はわざと、呟くように皮肉を言った。
「……色々と要因が重なったせいだ」御剣は先回りして言い訳をした。
「よういんって?」
「女を抱くのは久しぶりだったし、君はぎゅうぎゅう締めつけてくるし、それに……君は意外なくらいセックスに向いているのがわかった。だから、歯止めがきかなかった。どのみち、度胸試しになったことには違いないだろう」
「向いてるなんてことないよ」真宵の静かで穏やかな気持ちに僅かにかげりが生まれた。「い。痛いばっかりで、全然うまくできなかったし……」
「そういうことじゃない。なんと言ったらいいのか……じゃあ聞くが、君は、また、してもいいと思ってくれているか」
 御剣はふと彼女の足をさするのをやめて、真宵の横に体を倒した。
「あぅ……」
 彼の屹立したものをねじ込まれている最中は、痛さで頭がいっぱいで、ひたすら耐えるしかなかった。
 しかし、今それを思い起こすと、例のせつないくらいの快感が下半身を捕らえて離さなくなる。
577沈む聖域(ミツマヨ):04/05/28 19:49 ID:NCAHDM4H
 ストイックであることを自分に厳しく課している人なのだと、ずっと思っていた。
〈それなのに、あんなふうに〉
「思い出してるのか? またそんなに色っぽい顔をして誘って」
「……さそってないよ……」
「だったら、もう嫌か」 
 真宵は軽く微笑んだ。「うん。もう絶対、二度とやだ」
 みるみるうちに絶望の淵に沈みゆく御剣の表情を見て、やや反省して、「うそだよ」と言った。
「からかうな」まるで、憎しみを込めているかのように強く強く抱きしめられる。
「だったらきっとそのうちわかる。君にはいい筋がある」彼は真宵の髪の毛を撫ではじめた。「安心した。楽しまないよりは、楽しくやったほうがいいからな」
「ん……」海に浮かんで優しく波に揺られるような、そんな幸福感と倦怠感に包まれていた。
 この上なく、心地がよい。〈こんな気分になれるんだったら、いいかもな……またやっても〉
 キスされたいな、と思って頬を寄せたら、何も言わないのにその通りにしてくれたことも、震え上がるほど嬉しかった。 
「御剣検事……」
「ん」
「あのね。嫌いに、なってないからね。御剣検事のこと」
 彼はしばし考えてから答えた。「……いや。そんなうわごとを口走っていた覚えもあるのは認めるが……」
「なに?」
「君の気持ちは嬉しいが、あれは」彼は顎の下に真宵の頭を押し込めて抱いた。
「そんな意味などではない。私のことではなく、つまりあれは、セックスを嫌いになってくれるなと言いたかったんだ」
「あれ、そうなの? でも、それもたぶん嫌いにならなかったよ」
「うむ……そうか。そうなら……まあ、別にいいのだ」
「なんでこっち向かないの」
「うるさい。ちょっと、泣きそうなんだ」
「えーっ! あはははは、ホントに? 泣いてるの? なんで? ははははは。なんでなんで?」
 笑われたので拗ねたのか、彼はさっさと背を向けてしまう。「やだ、こっち向いてよ。見たい見たい」
「嫌だ。向かない。見せない」
「みーせーてーっ」  
「死んだほうが百倍ましだな」
「ケチー」真宵はしばらく目の前の大きな背中をぽかぽか殴打してから、ふと、急にそこにしがみついた。
「ねえねえ。御剣検事は?」
「何がだ」
「御剣検事は、嫌いにならなかった?」
578沈む聖域(ミツマヨ):04/05/28 19:49 ID:NCAHDM4H
「……君のこともセックスも特に嫌いにはならなかったが、なんでそんなことを聞くんだ」
「そうなの? だって、このあいだは、嫌いって言ったじゃない」
「言ってもいないことを言ったと言うな。私は、嫌いなのかもしれない、と言っただけだ」
「あ、やっぱり、そういうオチだったんだ」
「ほら、分かってたんじゃないか」
「いやいや。そうじゃないよ。さっきからそんな気がしはじめてたの」
 真宵は御剣の胸に腕を回した。「……嫌いな人をこんなふうに抱けるとは、思えないからね」
「なぜ分かる。たとえ嫌いな相手でも、義理のためなら抱ける人間かもしれないじゃないか」
「それはないねー。御剣検事ってさぁ、前から思ってたんだけどさ、自分で思ってるほど器用でもクールでもないんだよねー」
「……君なんかに私の何がわかるというんだ。ひとの気も知らんでわかったような口をきかんでくれ」
「ごめん。怒った?」
「いや……まあ、怒っては……」
 御剣は不意に体を起こし、なんだかばつの悪そうな顔で振り返った。「……そろそろ一緒にシャワーを浴びようか。背中を流してやる」
「いいけど、まだ足ガクガクだから、バスルームまで運んでってね」
「また君は横着して……」と文句を言いながらも、ちゃんと真宵を持ち上げて運んでいき、シャワーカーテンをひいてバスタブのへりに下ろした。
 照明の明るいところで、改めて裸を見せあうのは妙に気恥ずかしい。
 裸体を晒しあうことよりももっと恥ずかしいことをしたはずなのに。
〈やっぱり御剣検事の体ってかっこいいなぁ……それに比べてあたしは、中学生みたいな体で〉
 お湯の温度を調節していた彼が視線に気づいたときに、一瞬まんざらでもなさそうな顔をしたのが、さらに小にくらしい。
〈う、超ムカつく……。次に会うときまでは、ちゃんとごはん食べて太ろう……〉 
「そうだ。怪我をしてないか、ちょっと見せてみなさい」
「え。怪我って、あそこ?」
「そこ以外にどこにもないな。結局、出血の量が少なかったから、処女膜の血じゃなかったかと心配なんだ」
「でもでも、こんな明るいとこで」
「明るくなければ見えんだろう。へりに手をついて、立ったままお尻をこっちに向けてくれ」
「ちょ、ちょっと!」真宵はもじもじした。「そんなカッコできるわけないでしょ!」
579沈む聖域(ミツマヨ):04/05/28 19:50 ID:NCAHDM4H
「何をカマトトぶってるんだか。いつまでも処女のままじゃあるまいし」
「……ひっ……ひどい! ひどいひどいひどいよ今のっ!」
「ほら、早く」御剣は真宵の腰を抱いて立たせようとした。「ただ確認するだけだろう。そういやらしく考えるから照れるんだ」
「だったらなんでそんなになってるのよっ!」
「これは単なる不可抗性の生理的反応だ」 
 彼の太い腕に抵抗しきれず、結局へっぴり腰のままでお尻を彼の目の前に突きつけることになった。
 両手が乗り、親指でひだをぐっと広げられるのを感じる。「や、やだ……」
「すぐ終わらせたいんだったら、もっと腰を高く上げてよく見せてくれ」
 ためらったのちに、その通りに従った。「傷は見えないが、さすがに粘膜は腫れてるな」
「ちょっと……やだ、早く……」
「しかし、あんなにさんざん拡張したのに、もう元通りに閉まってるとはなあ……」
「もう! やだよっ!」
 真宵は彼の手を振り払って姿勢を元に戻そうとしたが、その勢いでよろめいて、バスタブの底に尻をついてしまった。
「あ」覆いかぶさった御剣が抱き起こしてくれるのかとてっきり思っていたが、いつまでたっても動かない。
「み、御剣検事……」
「ほら、またそんな目で見る」彼は笑った。「明るいところでじっくり恥ずかしい所を見られたのがそんなに嬉しいのか」
「なっ! そんなことないよ、だいたい御剣検事が見せろって言うから」
「自分で分からなかったのか。君はたった今濡れてたんだぞ。穴をひくひく動かしながらな」
「あ、あのねっ! なんか誤解があるみたいだから、ちゃんと言っておくけどさ、あたしは、へ、ヘンタイじゃないんだからね!」
 真宵は耳に口を寄せた御剣の顔をなんとか引き剥がした。
「御剣検事が、あたしに意地悪するとき、すっごいイキイキして嬉しそうに、気持ちよさげになるから、釣られるだけなのっ!」
「私がサディストだとでも言うつもりか?」
「まったくそのものでしょーが!」
「それは違う。私はこれまで女を抱くときに、あんなふうに相手を辱めて悦んだことはなかった。
 つまり話が逆なんだよ。私のほうが、君に開発されてるんだとしか考えられない」
 反論せずに黙りこむと、御剣はまた満足げに笑んだ。
580沈む聖域(ミツマヨ):04/05/28 19:51 ID:NCAHDM4H
「君にはやっぱりセックスの才能があるようだ。自分でも意識しないまま男を誘う顔をする。
 まったく、何が恋愛不全の男性恐怖症だか。こんなのは詐欺だ。
 カナヅチをプールに叩き落して荒療治で克服させたら、水泳選手になってしまっただなんてな」
 真宵は褒められているのか罵られているのかいまいちわからず、返事ができない。
「もう、どこへ出しても恥ずかしくはないな」
「えっ……」
「あんなにかわいい顔で喘ぐ女の子とだったら誰でもやりたがる。優秀な遺伝子も選びほうだいだ」
 何を言っているのかすぐにぴんと来て、あわてて抱きついた。
「まさか! 何言ってるのよ、あたしは御剣検事じゃないとやだからねっ!」
 言ってしまってから、真宵はすぐに、罠にかかっていたことに気づいた。「……あ」
 顔の横で彼がにやりと笑ったのが気配でわかる。
「……次にするときは、鏡の前のまま入れようか」
「ちょっと、調子に乗らないでよ……」
「効率を考えたら調子に乗るべきだと思うがな。私たちの共通の目的に対しての最大の敵はマンネリズムだ。
 毎回趣向を変えたり、少しくらいインフレに陥ったとしても過激にしていったほうがかえっていいんだ。恐いかね」
「そりゃあ、恐いよ」
「無理強いはしない。できないと思ったらちゃんと言いなさい。その代わり、君もやってみたいことを色々考えてくるように」
 真宵は期待に背筋がぞくぞくするのをなんとか悟られまいとこらえた。
 考えてくるようになどと言われたら、今すぐにあれこれ思い浮かべてしまうに決まっているじゃないか。

 二人でお互いの体を洗いっこしたあと、手を繋いだままとろとろと眠るだなんて、まさしく過去によくふけった空想をそのままなぞったものに違いなかった。
 ただひとつ、二人が恋人同士でも何でもないことだけが違っていたが、真宵はこれ以上何も望まない。
 そんな発想すらないほど、ただただ幸福だった。 
 部屋に運ばれてきた朝食を一緒に食べながら、御剣は彼女自身の生理の周期をたずねた。
 次の生理が始まって三、四日後付近にまた日本に帰ってくるために、予定を立てようとしたのだ。
581沈む聖域(ミツマヨ):04/05/28 19:51 ID:NCAHDM4H
 最近かなり周期が不規則だったことはともかく、関心がなくカレンダーに印をつけることもしなくて前回の生理が始まった日を答えられなかったのは、御剣を呆れさせた。
 逆算がおおまかにしかできず、予定を立てづらい。
「婦人体温計がなければ買ってきて、明日から忘れず基礎体温をつけなさい」と彼は言った。
「うぇー。めんどくさそう……」
「念のため、生理が始まったら連絡してくれ。仕事の具合もあるが、早めに始まっても、まあ、排卵日までに来れないことはないだろう」
「ゴメンね。仕事、だいじょうぶなの?」
「まあ、サマーバケーションは丸つぶれになるな」
 ホテルをチェックアウトしたあと、二人は駅でお別れをした。
 空港までついていこうとはしなかった。見送りなどというウェットな行為が、どうにも今の空気と合わなかったからだ。
「くれぐれもホルモンのバランスを崩さぬように」と彼は別れ際になって言った。
「栄養のある食事をしっかり摂って、決まった時間に充分な睡眠をとり、ストレスを溜めず適度に発散すること」
「ありがと。御剣検事もね」
「そうだな。せっせと生産することにするよ」
 電車の時間が迫るころ、御剣は真宵を抱き寄せて、ためらいもせず顔を近づけた。
「わっ、ちょっと待った! 人前でしょっ!」
「君の口から人目を気にする台詞が出るなんて、感慨深いものがあるな」
「それ、どういう意味よっ。そ、それに……いま、そんなことしたって。『効率』は、カンケーないでしょ?!」
「そんなことはないさ」彼は真宵の顔を上に向け、唇を触れさせた。
 悪戯っぽく笑った目が光っている。
「これは、次のセックスの前戯のうちだ」
582沈む聖域(ミツマヨ):04/05/28 19:52 ID:NCAHDM4H
 長くてすみませんでした。

 最終回じゃないぞよ、もうちっとだけ続くんじゃ。
 というわけで、あと一回で終われるかな?
 まだ書いてる途中なので明後日までには来れないと思いますが、完結はさせます
 次回は御剣大決壊です

 スレの容量は大丈夫でしょうか。そろそろ新スレの準備?
583ナルマヨ(微エロ&チヒロ):04/05/28 20:16 ID:wDatJV/E
ゴドー検事との対決が終わってから一年が経った。
真宵ちゃんは成人し、僕も矢張も御剣も三十路へ向かってまっしぐらと言ったところだった。
一年経って変わったことと言えば、僕がパソコンを使えるようになったことだろう。
バビアというパソコン教室に半年通って勉強したかいが有ったというものだ。パソコンが使えるようになったので早速矢張に電子メールを送った。
「やっほー。矢張り元気か?パソコンが使えるようになったから記念に送ります。お返事待っています。」
うーん・・・・初めてにしては上々の出来だ。数時間後、矢張から返信が来た。
「うお!パソコンを使えるようになったか成歩堂!これでやっと近代化したな」
余計なお世話だ!!
「そうそう、画像を処理していたら面白い物を見つけたから送るぜ。真宵ちゃんによろしくな!!」
どれどれ・・・・
矢張りが送ってきた画像はhttp://sakashita.strangeworld.org/source/up0768.jpgだった
試しに開いてみると・・・・・
「うわあああああああああああああああああ!!!!!」
「ど、どうしたのなるほどくん!!・・・・・・・・なるほどくん。」
「な、なに?」
「ばかぁ!!!!」
何故真宵ちゃんが怒ったのかというと、それは僕の師匠千尋さんの更衣中の画像だった。
「そんなになるほどくんが変態だったなんて知らなかったよ!!!!」
「ご、ごめん真宵ちゃん・・・・・」
「どうせあたしなんか・・・・・」
泣いている真宵ちゃんを抱きしめて僕は言った。
「僕は真宵ちゃんが好きだよ。」
「うそばっかり!!お姉ちゃんの方が好きなんでしょ!!」
「そんなことはないよ。」
僕は、真宵ちゃんにキスをした。いきなりの行動に驚いた真宵ちゃんは、抵抗することすら出来なかった。
「どう?これでも僕が真宵ちゃんが好きだって分かった?」
真宵ちゃんは無言でうなずいた。

終わり
584名無しさん@ピンキー:04/05/28 20:17 ID:wDatJV/E
ゴドー検事との対決が終わってから一年が経った。
真宵ちゃんは成人し、僕も矢張も御剣も三十路へ向かってまっしぐらと言ったところだった。
一年経って変わったことと言えば、僕がパソコンを使えるようになったことだろう。
バビアというパソコン教室に半年通って勉強したかいが有ったというものだ。パソコンが使えるようになったので早速矢張に電子メールを送った。
「やっほー。矢張り元気か?パソコンが使えるようになったから記念に送ります。お返事待っています。」
うーん・・・・初めてにしては上々の出来だ。数時間後、矢張から返信が来た。
「うお!パソコンを使えるようになったか成歩堂!これでやっと近代化したな」
余計なお世話だ!!
「そうそう、画像を処理していたら面白い物を見つけたから送るぜ。真宵ちゃんによろしくな!!」
どれどれ・・・・
矢張りが送ってきた画像はhttp://sakashita.strangeworld.org/source/up0768.jpgだった
試しに開いてみると・・・・・
「うわあああああああああああああああああ!!!!!」
「ど、どうしたのなるほどくん!!・・・・・・・・なるほどくん。」
「な、なに?」
「ばかぁ!!!!」
何故真宵ちゃんが怒ったのかというと、それは僕の師匠千尋さんの更衣中の画像だった。
「そんなになるほどくんが変態だったなんて知らなかったよ!!!!」
「ご、ごめん真宵ちゃん・・・・・」
「どうせあたしなんか・・・・・」
泣いている真宵ちゃんを抱きしめて僕は言った。
「僕は真宵ちゃんが好きだよ。」
「うそばっかり!!お姉ちゃんの方が好きなんでしょ!!」
「そんなことはないよ。」
僕は、真宵ちゃんにキスをした。いきなりの行動に驚いた真宵ちゃんは、抵抗することすら出来なかった。
「どう?これでも僕が真宵ちゃんが好きだって分かった?」
真宵ちゃんは無言でうなずいた。

終わり
585唐墨雲語流:04/05/28 20:17 ID:wDatJV/E
ゴドー検事との対決が終わってから一年が経った。
真宵ちゃんは成人し、僕も矢張も御剣も三十路へ向かってまっしぐらと言ったところだった。
一年経って変わったことと言えば、僕がパソコンを使えるようになったことだろう。
バビアというパソコン教室に半年通って勉強したかいが有ったというものだ。パソコンが使えるようになったので早速矢張に電子メールを送った。
「やっほー。矢張り元気か?パソコンが使えるようになったから記念に送ります。お返事待っています。」
うーん・・・・初めてにしては上々の出来だ。数時間後、矢張から返信が来た。
「うお!パソコンを使えるようになったか成歩堂!これでやっと近代化したな」
余計なお世話だ!!
「そうそう、画像を処理していたら面白い物を見つけたから送るぜ。真宵ちゃんによろしくな!!」
どれどれ・・・・
矢張りが送ってきた画像はhttp://sakashita.strangeworld.org/source/up0768.jpgだった
試しに開いてみると・・・・・
「うわあああああああああああああああああ!!!!!」
「ど、どうしたのなるほどくん!!・・・・・・・・なるほどくん。」
「な、なに?」
「ばかぁ!!!!」
何故真宵ちゃんが怒ったのかというと、それは僕の師匠千尋さんの更衣中の画像だった。
「そんなになるほどくんが変態だったなんて知らなかったよ!!!!」
「ご、ごめん真宵ちゃん・・・・・」
「どうせあたしなんか・・・・・」
泣いている真宵ちゃんを抱きしめて僕は言った。
「僕は真宵ちゃんが好きだよ。」
「うそばっかり!!お姉ちゃんの方が好きなんでしょ!!」
「そんなことはないよ。」
僕は、真宵ちゃんにキスをした。いきなりの行動に驚いた真宵ちゃんは、抵抗することすら出来なかった。
「どう?これでも僕が真宵ちゃんが好きだって分かった?」
真宵ちゃんは無言でうなずいた。

終わり
586名無しさん@ピンキー:04/05/28 21:36 ID:M3d6Gh4l
ミツマヨ神様GJ!!
続きお待ちしてますハァハァ。
587名無しさん@ピンキー:04/05/28 21:39 ID:M3d6Gh4l
ミツマヨ神様GJです!!
続きお待ちしておりますハァハァ。
588名無しさん@ピンキー:04/05/28 21:43 ID:M3d6Gh4l
↑スマン、誤爆
589名無しさん@ピンキー:04/05/28 23:00 ID:pMRJf5zH
ミツマヨ神きたーーーー!
お堅くて神経質そうな御剣にハァハァ・・・
590名無しさん@ピンキー:04/05/28 23:05 ID:6G+7atap
次スレ立てたほうがいい?
591名無しさん@ピンキー:04/05/28 23:33 ID:SxL7ps0y
>>590おながい。テンプレいじった。


燃えキャラ・萌えキャラには事欠かない「逆転裁判シリーズ」のエロパロスレ。
我々はSSの提出を要求しますッ!
降臨したカミサマには惜しみない賞賛を
いたずらなコネコちゃんには世間の厳しさを。
そいつが、ココのルールだぜ。

前スレ
逆転裁判エロパロ第4法廷
http://pie.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1079606189/

初代スレ
http://www2.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1035018015/
2スレ
http://www2.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1049383172/
3スレ
http://www2.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1064908551/

姉妹スレ
逆転裁判のイトノコ刑事萌えスレ2
http://www2.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1046084318/l50
592名無しさん@ピンキー:04/05/28 23:57 ID:UClD3qj8
保管庫も天婦羅に入れておくンなまし。
皆様文章上手いですね・・・チンコタッテキチャッタ
真宵はこんなに萌えるのに据え膳喰わないナルホドはインヨ!
593590:04/05/29 00:10 ID:3FsQTRbv
>>591
テンプレありがとう。ちょっと補足しました。

次スレ
http://pie.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1085756965/
594名無しさん@ピンキー:04/05/30 01:22 ID:NMcwduaL
        ∩
       /~ ハゝ
       ld*゚д゚)  トノサマンキーック
     ⊂|゚。V。|つ
      ノ~∪ つ
   彡
595名無しさん@ピンキー:04/05/30 01:26 ID:NMcwduaL
        ∩
       /~ ハゝ
       ld*゚д゚)  トノサマンキーック
     ⊂|゚。V。|つ
      ノ~∪ つ
   彡
596名無しさん@ピンキー:04/05/30 01:30 ID:NMcwduaL
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       /~ ハゝ
       ld*゚д゚)  トノサマンキーック
     ⊂|゚。V。|つ
      ノ~∪ つ
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597名無しさん@ピンキー:04/05/30 01:32 ID:NMcwduaL
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       /~ ハゝ
       ld*゚д゚)  トノサマンキーック
     ⊂|゚。V。|つ
      ノ~∪ つ
   彡
598名無しさん@ピンキー
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       /~ ハゝ
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     ⊂|゚。V。|つ
      ノ~∪ つ
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