_人人人人人人人人人人人人人人人_
> ごらんの有様だよ!!! <
 ̄^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^
_______ _____ _______ ___ _____ _______
ヽ、 _,, '-´ ̄ ̄`-ゝ 、 ノ | _,, '-´ ̄ ̄`-ゝ 、 |
ヽ r ´ ヽ、ノ 'r ´ ヽ、ノ
´/==─- -─==ヽ /==─- -─==ヽ
/ / /! i、 iヽ、 ヽ ヽ / / /,人| iヽヽ、 ヽ, 、i
ノ / / /__,.!/ ヽ|、!__ヽ ヽヽ i ( ! / i ゝ、ヽ、! /_ルヽ、 、 ヽ
/ / /| /(ヒ_] ヒ_ン i、 Vヽ! ヽ\i (ヒ_] ヒ_ン ) イヽ、ヽ、_` 、
 ̄/ /iヽ,! '" ,___, "' i ヽ| /ii"" ,___, "" レ\ ヽ ヽ、
'´i | | ! ヽ _ン ,' | / 人. ヽ _ン | |´/ヽ! ̄
|/| | ||ヽ、 ,イ|| | // レヽ、 ,イ| |'V` '
'" '' `ー--一 ´'" '' ´ ル` ー--─ ´ レ" |
いちおつ。
おぉもう14法廷か。
ナルマヨ、ミツミクに期待。
書いてみたいけど小説なんて書いたことない・・・
ミツメイ読みたい
ミツメイで陵辱もの希望
wiki行って来いw
9 :
名無しさん@ピンキー:2009/07/16(木) 09:33:30 ID:FGJMOILk
前スレ埋まったからあげるよ
ちなみに前スレ最後のタメカプだけど、なるほどとちなみ(あやめ)が同級生。
今まで一年違いとしてた某サイトがこの前訂正してた。
>>9 tks
タメだったか
「リュウ……ちゃん」の破壊力は異常だよな
うーん、別にそこまでの破壊力は感じなかった。
破壊力でいえば冥の泣き顔に勝るもんはない。
ふむ
冥の泣き顔の破壊力は同意するにやぶさかではないが
それは残念だ
なんかここ3日全くあがってないと思ったら前スレがまだ生きてたのかw
俺はミツメイよりミツミク派だな。4話のミクモの泣き顔はやばかった。一瞬写メ撮って待ち受けにしようかと考えた。
子ミクモはめちゃくちゃ可愛い。なでなでしてどら焼きあげたくなる。
自分はミツルギのヒラヒラで鼻かむシーンに萌えた。
一枚絵のせいかな…あそこで一気にミツミクに目覚めたわ…。
同士だ!
ミツミクは萌える!
今でもお父さんを思い出してほろりと涙を零すミクモに
ひらひらで鼻かまれればいいww
ミクモはイトノコとのやり取りが可愛かったなあ。
でもノコマコ派の自分にとってはジレンマという罠。
基本的にイトノコは性的な意味でない幼女との絡みが似合うと思う。
はみちゃんと一緒のとことか想像すると可愛い。
そんならミクモはノコマコの養子になればおk
パパ冥をもっとくれ
ファザコン冥たん可愛い
あのツンデレ冥たんがパパパパ言って素直にデレるんだもんなあ
豪たん勝ち組
そんな二人を見てやきもきする御剣
というシチュも良い
御剣の場合、いったい何にやきもきしてるのか自分でもわからないw
父娘のイチャイチャを見ながら妄想を膨らませて
ついオカズにしてしまう御剣
「貴様も一緒にどうだ御剣?」
なんて誘われ…るわけないかw
>>18 いつも面倒に巻き込まれてミツルギに世話になりそうな一家だなあ
>>14 あれは激しく萌えたw
子ミクモかわいすぎるww
3をやり直してたら矢張×冥に萌えた
何だかんだで押される冥と御剣と成歩堂に比べて女性に対してスマートになれる矢張が頭をよぎった
じゃあ、なるほど逆転裁判ネタで、冥たんが矢張に英語教えるために
矢張と二人っきりになる展開で小説を
あるいはムチムチ大冒険のモデルになるために…
パパ冥、書きかけがあるんだけど前置き長いし、
シリアスなんだよなあ。
なんかもっと軽くてカワイイのが読みたくなるw
パパをやっさしいパパにするか、鬼畜気味にふるかでだいぶ違うよな。
ここは一つ、思いっきり甘いパパで
某所で「お父さんは心配症」並みに心配性な狩魔豪を見たけど激しくワロタ。
冥が御剣にホの字なのが気になって気になって仕方なくて、
御剣との仲を壊そうと躍起になってたわ。
ミツメイ投下します
逆転検事4話の後の話のつもりです
ちょっと冥が積極的すぎるかもしれません
35 :
ミツメイ1:2009/07/18(土) 07:52:28 ID:wJ0s1tvz
今日は色々なことがあった。
殺人事件、実現しなかった法廷デビュー、ヤタガラス、失踪した葛……。
さすがの御剣にとっても刺激の強い日だった。
夕食後、御剣は風呂に入ってようやく一息つこうとしていた。
頭を洗い終わったあと、ふと脱衣所から物音がする事に気付く。
振り返ると、扉の向こうにうっすら人影が見える。
誰だろうと思っていると、いきなり扉が開き、そこに立つ人物を見て御剣は目を疑った。
なんと、そこには冥が全裸で立っていたのだ。
一応タオルで前を隠してはいるが、発育途中の美しい裸体が殆ど見えてしまっている。
突然の出来事に絶句する御剣に、冥は恥ずかしげにポツリと呟いた。
「……一緒に入ってもいい?」
「な、な、何を言っているのだ!」
我に返った御剣は赤面しながら目を逸らし、自らの下半身を隠して叫んだ。
「ダメなの?」
「当たり前だろう!」
「どうして?子供の頃はよく一緒に入ったじゃない」
「あれは君が幼かった頃だろう!」
確かに冥がまだ幼い頃に何度か一緒に風呂に入ったことがある。
だが、あの頃の冥は完全に子供だった。
今の冥は子供とはいえ、もう13歳だ。
体つきも大人の女へと近付き、もはや男と一緒に風呂に入る年齢ではない。
「今日は一緒に入るって決めたの。弟は姉の言う事を聞くものよ」
そう言って、御剣の制止も聞かず、冥は浴室内に入ってきた。
(なんなのだ、この子は……)
冥が突飛な行動をとるのはいつもの事だが、これはさすがに真意がわからない。
しかし、冥は一度決めた事は絶対に曲げない子だ。
諦めた御剣は目を瞑り、見ないようにしてやり過ごそうと思った。
背中を向けている御剣を見て、冥はポツリと呟く。
「……見ないの?」
「!?」
「やっぱり子供の体には興味ない?」
悲しげに呟く冥の声に、御剣はますます困惑した。
(何を言っているのだ!?ま、まさか、見て欲しいのか……!?)
13歳といえば性に興味がある年頃。
(まさかそういうつもりで……?)
御剣が混乱していると、冥は隣で髪を洗い始めた。
その隙に、御剣はつい目を開けて冥の体に目をやってしまう。
そして改めて見る冥の裸体に息を飲んだ。
36 :
ミツメイ2:2009/07/18(土) 07:54:21 ID:wJ0s1tvz
白く美しい肌、年齢の割に大きく育った乳房、プリンとした形の良い尻、細くしなやかな線を
描く腰、薄い毛に覆われた秘所、スラリと伸びた手足……
まだ完全に大人の女とは言えないが、男を欲情させるには充分な体だった。
御剣は下半身が一気に熱くなるのを感じる。
(しばらく見ない間に随分と女らしい体つきに……な、何を考えているのだ私は……!)
13歳の少女に欲情してしまった事に罪悪感を感じ、目をそらそうとするが、どうしてもチラチ
ラと目が行ってしまう。
冥が少し動くたびに小刻みにプルプル揺れる乳房が、ますます男の本能を激しく刺激してやま
ない。
そうしているうちに、髪を洗っていた冥がパッと顔を上げ、目が合ってしまった。
「……見てたの?」
「み、見ていない!断じて見ていない!」
御剣は慌てて後ろを向き、体を洗う為にスポンジを泡立て始める。
冥の体に見惚れていたのがバレてしまい、御剣は恥ずかしさのあまり穴にでも隠れたい気分だ
った。
そんな御剣を見て、冥は笑顔で言った。
「ねえ、私が洗ってあげる」
「ム?」
「貸して」
冥は御剣の手からスポンジを奪うと、彼の背中をこすり始めた。
「必要ない、自分で洗う」
御剣は慌てて既に大きくなっている下半身のモノをタオルで隠し、断ろうとしたが、彼女はや
めない。
「遠慮することないわ。昔はよくこうやって背中流してあげたじゃない」
「ム……」
とりあえず股間の部分さえ見られなければいいかと思い直し、冥の好きにさせることにした。
しかし冥の裸体がすぐ近くにあると思うと妙に意識して体が強ばってしまう。
理性が徐々に薄れていくのを感じ、御剣は早くこの時が終わって欲しいと願った。
しかし、そんな御剣の気持ちとは裏腹に、冥は思いもよらない行動をとる。
「!?」
なんと、冥が自らの体を御剣の背中にこすりつけ始めたのだ。
「な、何をしているんだ冥!」
「だって怜侍の背中って広いし、こんな小さなスポンジじゃ洗うの大変だもの。こうやって全
身を使って泡を広げたほうが楽だわ」
「し、しかし!」
冥の柔らかでスベスベした肌の感触が直に伝わってくる。
柔らかい二つの膨らみ、その先端、下半身の薄い茂みに覆われた部分の感触も……。
この状況で冷静でいられる男など居るはずがない。
御剣の理性はもはや崩壊寸前だった。
必死で理性と戦う御剣の隙をつき、冥が彼の股間を隠すタオルを奪い取る。
「!!!!」
「怜侍のそこ……大きくなってる」
完全に固くそそり立った御剣の肉棒が晒される。御剣は慌てて隠すが、もう遅い。
37 :
ミツメイ3:2009/07/18(土) 07:57:11 ID:wJ0s1tvz
「怜侍……私の体で興奮してるの?」
「…………」
御剣は真っ赤な顔でうつむく。
冥に嫌われた。
そう思ったが、彼女の口から出てきた言葉は意外なものだった。
「嬉しい……」
「!?」
予想外の台詞に驚き、御剣は冥の顔を見る。
冥は顔を赤らめながら、小さな声で言った。
「だって貴方はいつも私を子供扱いするんだもの。貴方に女として意識された事が嬉しいの」
「冥?……嫌じゃないのか?」
「嫌なら一緒にお風呂に入るわけないでしょ。……そのつもりで来たのよ。貴方にそういう対
象として見てもらいたいから。その……貴方と……そういう事がしたいの」
「な……何!?」
まさか……
確かに彼女の行動は不自然だったが、まだ13歳の少女が肉体関係を求め誘ってくるとは……。
御剣は妹のように思っていた少女の大胆な言動に、これは夢なのかと疑った。
そして、冥はしばらく黙ったあと、覚悟を決めたように口を開いた。
「貴方のことがずっと好きだったのよ!でも私のこと子供扱いばかりするから、無理矢理にで
も女として見てもらいたかったの!」
そう叫ぶと、御剣に抱きつき、上目遣いで彼を見上げた。
「して……エッチなこと……」
その顔はゾクリとするほど妖艶に映った。
この子は本当に13歳なのだろうか。
大胆な言動も、その表情も、少女のものとは信じられない。
御剣の理性が音を立てて崩れていく。
「冥……」
御剣はもはや耐えきれず、冥の体をぎゅっと抱きしめ、唇を奪った。
冥は一瞬驚いたようにビクッとしたが、すぐにウットリと目を閉じ、彼に身を任せた。
舌を口内に差し入れると、冥も恐る恐る舌を絡めてくる。
最初はお互いぎこちなかったが、徐々に激しさを増し、夢中で濃厚な口づけを繰り返す。
上手とは言えないが、初めて味わう官能的なキスに興奮は高まる一方だった。
しばらくそうして抱き合った後、御剣は冥の体を床に倒し、上に覆い被さる。
背中に固くひんやりとした床の感触が伝わるが、今の冥にはそれすら気持ち良かった。
再び激しい口づけを交わし、御剣は唇を徐々に下へとずらしていく。
首筋、鎖骨と、口づけるたびに、冥はピクンと反応する。
38 :
ミツメイ4:2009/07/18(土) 07:59:35 ID:wJ0s1tvz
そして、薄い桃色の先端に触れた時、より強く体を震わせた。
「きゃっ」
思わず声をあげる冥。
その反応に嬉しくなった御剣は、その部分をじっくりと責め続ける。
舌で何度もつついたり、舐めたり、音を立てて吸ったり……
そこはどんどん固くなり、冥の息は乱れていく。
口でその部分を念入りに責めながら、手は体中を優しく撫で回した。
「あ……ん……ゃん……っ」
僅かにもれる甘い声が浴室に響き、御剣の欲望をますます刺激する。
唇を移動させ、全身に口づけを続けた後、まだ誰も触れた事がないであろう割れ目に指を這わ
した。
「やっ……そこは……!」
薄い毛に覆われたそこは既にぬるぬるした液体で濡れており、触れるとクチュッと音がする。
毛をかきわけ指で開くと、ピンク色の秘部が濡れて光っていた。
御剣は興奮を隠せず、思わずそこに口を付け、舌で舐めあげた。
「ひゃっ……!いやあっ」
今までより大きな反応に、御剣の興奮が高まる。
どんどん溢れ出てくる愛液を音を立てて貪ると、そのたびに冥の声が激しくなる。
「ああっ、はぁん……っ、れい……じ……もう……おかしくなるぅ……!」
冥は耐えきれない様子で、御剣の頭を手で押しのけようとするが、御剣は構わずそこを責め続
けた。
「ぅん……っ、あぁん!あんっ、あ……あああっ!」
一際大きな声を出し、ビクンッと冥の体が跳ね上がる。
その後、フッと力が抜けたようにグッタリとした。
「もう達したのか」
「…………」
生まれて初めて味わった快楽と絶頂に、冥は虚ろな目で放心状態になっていた。
その表情がどうしようもなく色っぽく見え、御剣は冥の耳元で囁く。
「冥、私ももっと気持ち良くなりたいのだ」
「……え……?」
「入れてもいいか……?」
「!…………うん」
意識がハッキリしてきた冥は、御剣の言葉の意味を理解し、戸惑いながらも頷く。
それを見た御剣は体を起こし、そそり立った肉棒を、冥の濡れそぼった部分に触れさせた。
一瞬だけ怯えた目をした冥だが、覚悟を決めたように目を瞑る。
「いくぞ……!」
そう言うと、御剣は中に押し込め始めた。
「……!いっ……!」
痛みに顔を歪める冥。
39 :
ミツメイ5:2009/07/18(土) 08:01:29 ID:wJ0s1tvz
御剣は冥が痛がらないようゆっくりと押し進める。
初めて異物を受け入れるそこは、かなり狭く、締めつけるようだった。
御剣は心地よさに思わず激しく突き上げたい衝動に駆られたが、初めての冥相手にそうするわ
けにはいかない。
「痛いか」
「い、たくない……っ!」
こんな時にまで強がろうとする負けず嫌いな彼女に、御剣は思わず笑みを浮かべる。
冥の痛みが少しでも紛れるように何度も口づけをしながら、肉棒を奥に押し進めた。
奥まで入れると、冥が落ち着くまで待ってから、腰を動かし始めた。
「あっ……くぅ……っ」
まだ痛むようだが必死に耐える冥を見て申し訳なく思いつつも、気持ちよさから動きが徐々に
激しくなっていく。
「う……んっ……」
御剣の息が荒くなってきた頃、冥の反応にも変化が現れた。
「んん……はぁっ……ぁん……」
その声には苦痛ではなく、明らかに甘さが含まれている。
痛みから快楽に変化してきた様子の冥に、御剣はもう耐えきれなくなり、夢中で腰を振った。
「冥……!」
「ああっ!やぁんっ!怜侍ぃい!」
激しさを増していく動きに、お互い限界が近かった。
「怜侍……好き……!」
「冥、冥、め、い……!」
達する瞬間、肉棒を引き抜いた御剣は、冥の腹の上に欲望をぶちまけた。
――全て終わったあと、寄り添いながら湯船に浸かる二人の間に沈黙が流れる。
先程までの盛り上がりが嘘のように、静かに時間が過ぎていく。
(少女に手を出してしまうとは……取り返しのつかない事をしてしまった)
今更ながら罪悪感に悩む御剣の表情を見て、ようやく冥が口を開いた。
「後悔してる?」
「ム……」
「私は後悔なんかしてないわ。怜侍は私と恋人になるのは嫌なの?」
「そ、そんな事はない」
「本当?」
冥は嬉しそうな笑みを浮かべ、御剣に抱きつく。
(こういう表情はまだ子供なんだが……)
先程までの艶めかしい表情とのギャップに、御剣は苦笑した。
突然出来てしまった13歳の恋人。
罪悪感は感じるが、こういう関係も悪くない、と御剣は思った。
以上です
なんか勢いに任せて書いてしまったので、
突っ込みどころの多い内容になってしまってすみません
ミツメイきたあああああああああああ
GJ!GJ!!
GJ
積極的な冥たんイイ!
GJGJ!!!
13歳にソープ嬢させるとは…
ミツメイたまらん!
グッジョブ!!
ロリの泡踊りとか本当に幼冥は夢の固まりだな〜
ミツメイ良い!!
ロリソープ嬢(*´Д`)ハァハァ
やっぱり豪は御剣と冥を結婚させるつもりだったのかも
そして御剣を社会的にどん底に突き落とし、それでも寄り添う冥に裏切らせて
精神的にも突き落とすという二段構えか
やるなGO
豪が結婚許したりしたら、それは壮大な罠だなww
みっちゃん超逃げてw
だって憎い男の子供を娘に近づけるってわけわかめ
豪の行動は意味不明だけど
ナマクラ殺害計画が万が一失敗したとき、自分はいずれいなくなるわけだから
メイを嫁に出してカルマ家継いでもらおうと思ったんじゃないか
>>47 >>48 >>51 実は昨日似たようなことを思いついたんで
連休中に投下しようとおもってたんだぜ。すげえシンクロ。
エロ書いたことないので連休過ぎるかもしれんが
同士がいるからがんばってくる
そうして自分の死後の先まで罠を張っておく豪…恐ろしい…
マジレスすると、冥に近付くくらいどうってことないと思うよ。
二人の性格よく知ってそうだし。
冥だって御剣に情が移っちゃうんじゃ
豪って御剣に対して少しくらい、
弟子としての情とかあるのかなあと
思っていた時もありました。
>>52 いいわすれたけど待ってるよ!
>>55 どうなんだろうねえ
なるほどが1-4で豪に質問したけどはぐらかされたし
甘さのぬけないロマンチストだ、一流にはなれん
とかなんとか言ってたけどアレも意味深
>>56 逆転検事で御剣育てた理由が大体ハッキリしたので、
俺の中でその可能性は消えた。
そして、そんな豪が好きだな。
そうかな
ぶっちゃけ豪の計画って無理がないか?
失敗する可能性も十分あっただろう
ハイネが言うこと聞かないとか
失敗する可能性があったとして、
それはまったく御剣への情とは関係ないじゃん?
賭けに負けた。それだけだと思う。
冥に対する愛情もそうだけど、それよりも己の復讐心が優先してしまう。
それが狩魔豪の逃れられない業の深さなんだと思うが?
御剣のキャラサロンのほうに誤爆したw
>>59 どっちかっていうと御剣自身を殺すほうが手っ取り早いんじゃ?とおもっちゃうんだよな…
でもあえてそうしなかったのは…と考えてしまう
>>61 その方が面白いからw
刑務所にぶち込んだあと、コッソリと
自分がお前の親父を殺した犯人だって言ってやってもいいしw
>>62 それは酷いなw
でもあんまり確実な方法だと思えないから
豪らしくないなと感じてしまうのはなんでだ
御剣スレでやれよ
>>62 お前は俺か?
今書いてる話にそっくりの内面描写があるw
じゃあミツメイじゃないのか
豪が鬼畜すぎるw
>>64 そこもスレチ
やるなら豪スレあたりで頼む
御剣と冥の結婚も罠なのか
というか自分の怨念のために娘使うって最低じゃないか?w
結婚する以上することはするんだし…冥タンカワイソスw
復讐と関係なく、豪は御剣と冥を結婚させる気はあまりなかったと思う。
いくら本人が有能でも所詮御剣は何の後ろ盾もない孤児だし
明らかに身内同士の結婚で政略的なメリットが薄い。
もし適齢期まで豪が生きてたら、御剣と冥は本人たちの意思と関係なく
それぞれ別の有力者の子女と政略結婚させられてただろう。
エロパロなんで色んな設定があっていいんじゃ…
それよりも、だ
メイは豪が死刑になった(有罪になった)時どう思ったんだろう?
美雲みたいに自分も父がいなくなった時の事なんて考えられないって…
過去の話し見たらその後真宵を有罪にしようとしたなんて考えられないなぁ御剣…
あのままイトノコを有罪にしたほうが自然。
冥に約束ノート突きつけると
もし私のパパが死んだら辛くて耐えられないって
話題になるんだよな
豪のことを知った時は相当ショックだっただろうな
強がりだから表面には出さないだろうけど
そのへんの部分の小説も読んでみたい
ここで神がパパ冥を投下してくれると信じてる
おい誰か教えてくれ!茶人々ってあのナルマヨで完結か?
>>76 茶人々って…「喫茶店の人々」シリーズのこと?
調べたら9話まで出てるみたい。
まだ続くんじゃないか?
ここの神々達のお家を訪問すると、
投下された作品が修正されたりしてて二度三度と美味しいことに最近気付いた。
神々(笑)
お家(笑)
あるキャラのファンが怖い
キャラオタと言うよりガチでどっかの新興宗教の信者と言った方がいいノリで
前に見た創価のビデオの池田大作を褒め称えてた学会員と雰囲気がそっくり
原作でもある種の宗教の教祖様みたいな位置づけのキャラだからかなw
ごめん、誤爆した
真宵のことか
新参者ですが流れをぶった切ってミツメイ投下します。
アクセス規制に巻き込まれている間に自分のテンションが落ちた。
でもせっかく書いたので投下は断行。
・逆転検事5話後
・ネタバレ
・長い割にエロ少ない
84 :
ミツメイ1:2009/07/22(水) 22:04:23 ID:EC+YMo37
気づけば、窓の外に見える狭い空は、うっすらと白み始めていた。
つまりは、カーネイジ・オンレッドの罪を暴くのに、まるまる一晩かかってしまったということだ。
相手は一国の全権大使たる男だ。その後の処理にもかなりの時間を要したのは言うまでもない。
ロウ捜査官の優秀な部下たちの迅速な対応をもってしても,こればかりはどうしようもないことだろう。
しかしそれも、やっと終わった。
「ホテルに戻るわ」
そう言う狩魔冥の声は、いくぶんか疲れているように聞こえた。
表情には見せずにいる疲労が声に出るのも、無理からぬことだ。
彼女は恐らく、ここ数日はろくに睡眠もとらず調査に当たってきたのだろうから。
しかし、処理を最後まで見届けるといった10分後にはソファで寝息を立て始めていた一条美雲と、たいして年が離れていない女性とは思えないタフさだ。
その体力と気力の並外れた彼女のために、御剣玲司はすでにハイヤーの手配を済ませていた。
「ああ、車を用意してある。今日はゆっくり休むといい」
恩着せがましさなど一つもない様子で言う彼に、冥は笑う。
「あら、あなたやそこのヒマそうな刑事ならともかく、この事件の担当検事である私がそう簡単に休めると思って?」
言われてみればその通りだ。
御剣はあくまで自身の意思のみでこの事件に関ったのであり、そのために彼女の部下にまでなったのだから。
彼自身がこの事件の担当となるかどうか、それもまだ明確ではない。
すんなりと事実を受け入れた御剣の横では、糸鋸刑事がションボリと肩を落としている。
せっかく声をかけたのに報われない御剣をおもんぱかってのことだが、ここで冥に反論しようものならムチの餌食になるのは目に見えている。
その様子に満足げに薄く笑みを浮かべて、冥はクルリときびすを返した。
「でもまぁ、部下としては当然のあいさつね。一応は受け取っておいてあげるわ。
あと……この件はあなたが担当するんでしょうから、そのときには見に行ってあげてもいいわ。
あなたが狩魔の名を汚すようなみっともないことをしないように、上司としてチェックしてあげないとね」
あの男の愕然とした様子も見てやらないと、と付け加えながら、ひらりと黒い皮手袋を振って、彼女は大使館を後にした。
「はぁ……狩魔検事も相変わらずッスね。せっかく御剣検事が声をかけたのに、あの言い方はあんまりッス」
十分に離れた後でそういう男に、御剣は口元を緩めて答える。
「いや……彼女も疲れているのだ。休めないというのも言葉どおりだろう。それに……」
「あぁあぁーっ!」
言いかけた御剣の声をさえぎって響き渡ったのは、一条美雲の声だった。
「狩魔検事さん、ひょっとして帰っちゃったの!?」
布団代わりにかけられていた糸鋸のコートをつかんで起き上がった彼女は、あたりを見回して肩を落とす。
トボトボと御剣の傍に寄ってきた彼女に、御剣は首をかしげる。
「ああ、ついさっきホテルに戻ったが……どうかしたのか?」
「どうかしたのか、じゃないですよ!ありがとうございましたも、さようならも言ってないじゃないですか!」
寝起きとは思えない剣幕の美雲のもっともな意見に、つい眉間に皺が寄る。
「ム……そう言えばそうだな」
「それにそれに、あたし、お姉さんに渡すものがあったんです!」
「渡すもの?」
85 :
ミツメイ2:2009/07/22(水) 22:06:00 ID:EC+YMo37
狩魔冥がホテルに着いたのは、もう早朝といっていい時間だった。
後ろ手にドアを閉めた瞬間、力が抜ける。深く息をつき、頭を振った。
許されざる犯罪者を法廷に引きずり出すことはできた。それは同僚であった男の敵を討てたことにもなる。
では彼女の端正な顔立ちを緩めたのはその安堵の表情かと思うと、そうでもない。
「また、やられたわね」
吐き出した声は憎々しげと言うよりも、どこか懐かしむような温かみがあった。
そうして、薄い唇の端を引き上げる。
『やられた』という表現がさすのは、もちろん今回の御剣の活躍のことだ。
担当検事として、国際警察と協働で捜査を進めてきた彼女でも気づかないような証拠品を見つけ出し、ロジックを組み立てた。
もちろん、彼女の協力なくしては成功しなかった部分も多々あったのだが、それはしょせん助力に過ぎない。
彼の検事としての能力の高さを、見せ付けられたに過ぎない。
しかし、彼女には不思議だった。
彼女にとって御剣は、負けることの出来ない相手であり、越えなければならない相手であった。
彼女は常に完璧でなければならず、それを打ち崩されることは何よりも屈辱的なことだった。
その思いはもう、10年以上も持ち続けていたというのに、自分は。
「何故、笑っているのかしら」
扉によりかかったままだった彼女はしばし思案し、頭を振る。
疲れているのだ。まともな思考などできるはずがない。
薄暗い室内でわずかな荷物を片付け、バスルームに向かう。
足が重くとも、肩や腰が痛みを覚えようとも、仕事着のままベッドに倒れこむなど、彼女には考えられないことだった。
国際警察で用意した部屋は、最上級とはいかないまでも小奇麗で快適に整えられている。
浴室も、十分に足が伸ばせる浴槽がついているのだが、湯を張るような余裕はこの部屋に来てから一度もない。
いつもどおり、心地のよい水流に打たれながら、今一度つぶやく。
「何故、わたしは笑ったの」
御剣に負けたという自覚は、イコール苛立たしく、許せるものではないはずだ。
実際、2日前にはその苛立たしさを露わにもした。
にもかかわらず、彼女の頬は緩んだ。
彼の上司、という立場を得て、少々上機嫌になっていたのは事実だ。部下の活躍であれば、確かに上司としては喜ばしいかもしれない。
けれど、そんな単純な問題だろうか?上司の”フリ”にそこまで執着するほど、彼女は子どもではない。
彼の活躍を、己の敗北感を、心地よく感じる理由など一つもないはずだ。
ほどよく温まった体をバスローブに包んで髪を乾かしながら考え込んでいると、控えめにドアをノックする音が聞こえた。
このような早朝に自分を訪れてくる者などいただろうか。仕事であれば直接ここに来る前に携帯電話に連絡が入るはずだ。
かといって、プライベートでこの場所を知る者などごく限られている。
頭に浮かんだのは、彼女を悩ませるあの男の顔。
ノックは数回、控えめにされはしたものの、その後は物音一つしない。
帰ってしまったのではないかと、あわててドアの前まで行って、息をつく。
まずは、このような時間に訪問した失礼を叱らなければならないだろう。
自分がどのような状況か理解できなかったのかも、問い質す必要がある。
それでも来た理由は何なのか?はぐらかすようであれば容赦はしない。
そこまで考えて、ドアを開けると、目の前の男は意外そうに目を見開いていた。
86 :
ミツメイ3:2009/07/22(水) 22:06:39 ID:EC+YMo37
「……起きていたのか」
「バカらしい問いね。寝ているとわかっていて訪問してくるバカもいないでしょう?大体……」
言いかけて、ふと御剣の手元に目をやる。あまりにも彼には不似合いな、唐草模様の風呂敷をかかえている。
その様子から、どうもこれが自分への、しかもあの少女からの、届け物だとわかる。
「……廊下で立ち話も迷惑ね。入りなさい」
「うむ。だが、その……」
わざわざ彼女が身を翻し迎え入れようとしたのに、御剣は眉間に皺を寄せ、一歩も動かず口ごもる。
冥は言葉が続かない男をにらみつけ、鞭を手にしていなかったことを思い出す。
しかし、鞭などなくとも彼女の鋭さは変わらない。
「もったいぶらずにハッキリ言ったらどうなの?」
「いや……そのような格好で、男を部屋に迎え入れるのはいかがなものかと」
言われてようやく、冥はバスローブを纏っただけの格好で彼を迎え入れようとしていることに気づいた。
彼を追及することばかりに気を取られて、そこまで気が回らなかったのだ。
そのことに気づき、一瞬悔しそうな、羞恥を押し隠すような表情を浮かべはしたが。
「この格好だからよ。いつまでもドアを開けておくわけにはいかないでしょう?」
すぐにまた、相手をやりこるめるような薄笑いを浮かべる。
その様子に御剣もうなずき、室内に歩を進めた。
「それもそうだな。では、失礼する」
御剣に椅子に座るよう促して、冥は追及を再開した。
「それで、こんな時間にやってきたのはどういうこと?私が十分に休息をとれる身ではないことは、さっきも伝えたつもりだったけど?」
「あぁ、申し訳ない。だが……これを渡すよう、美雲くんに頼まれてな」
御剣が差し出したのは、ピンクの(!)唐草模様の風呂敷包み。
「やっぱりあの子からなのね。その風呂敷、あなたに全然似合っていないもの。
……で、それを今、私に届けなければならなかった理由はなんなのかしら?」
「あぁ、また会うことがあれば渡してほしいと言われたのだが、君の様子では明日にでも国外に出てしまうのではないかと思ってな。
それに、君が部屋に戻ってそのまま寝てしまうようなだらしないことをしないということもわかっていた。
ならば、君が確実に日本いる今日、眠る前にと思ったのだ」
御剣の説明は整然としていた。本人の表情もいつもどおり、とはいかないが、少々のバツの悪さはあるものの、平静を装っている。
だが、いつものように腕組みしてそれを聞いていた冥は、質問を続けた。
「……じゃあ、私が眠っているはずがない、という確信を持ってきたわけね?」
「うむ。そういうことになるな」
「ではなぜ、私がドアを開けた瞬間、あなたは驚いたのかしら?何かあなたにとって計算外のことがあったのではなくて?」
してやったり、とばかりに微笑む冥の追求に、御剣は口をつぐむ。
そう、彼は確かに、彼女が起きていると考えてここまでやってきたのだ。
だが、ドアの前までやってきたとき、彼女が寝ていてほしい、と思ったのも事実だ。
美雲からの預かり物は、渡そうと思えば、実際のところ、明日でも渡せた。
たとえ彼女が明日日本を発つとしても、その見送りに行く時間がないわけではない。
それでもすぐに彼女のもとへ行きたいと、失礼を承知でここまできてしまった。
落ち着いて考えればそうなのだ。今日彼がここに来る理由など、ない。
だからこそ、ドアをノックするのがためらわれた。
自分自身にも不可解で、失礼極まりない行動だ。
それを、彼女に知られずに帰れるものなら帰りたかった。
だから心のどこかで、自分自身の推理を打ち消し、彼女が寝ているかもしれない、そうであってほしいと、そんな逡巡を胸にドアをノックしたのだった。
87 :
ミツメイ4:2009/07/22(水) 22:07:16 ID:EC+YMo37
このような理解に苦しむ行動を、また自身の胸のうちを、彼女に打ち明けることはできない。
それに、驚いた理由は他にもある。
ふ、と口元を無理につりあげて、まるでその理由が全てであるかのようにみせる。
「それは、そうだ。君のように完璧を求める女性が、あのような格好で男を出迎えたのだから」
かっと冥の頬が赤らみ、青い瞳ににらみつけられる。
御剣は肩をそびやかして首を振る、お得意のポーズで彼女を煙に巻く。
「私も突然訪問した失礼は承知している。要件は早めに済ませた方が君のためでもあるだろう」
言って、ピンクの風呂敷包みを冥に差し出す。
いまだ怒り覚めやらぬ様子の彼女は、ひったくるようにそれを手にしたが、あくまで丁寧に風呂敷を紐解く。
白いバスローブの上で動く冥の手を、御剣も興味深そうに見ている。
「あなたは、中身を知っているの?」
「いや、私もこの状態で渡された。中身までは確認していない」
「そう……あら?」
風呂敷の中から出てきたのは、ヤタガラスのカードと、”とのさまんじゅう”だった。
カードには、若い娘独特の文字で、びっちりとメッセージがつづられていた。
『狩魔検事さん、こんにちは。今日はありがとうございました。それと、7年前のときも。
ミツルギさんとノコちゃんには御礼を言えたけど、狩魔検事さんには言えなかったので、手紙を書きました。
それと、狩魔検事さんの大事な”真実”を盗んだので、それをお届けしちゃいます!
きっとビックリしますよ!あ、でも喜んでくれるかな?よーっく考えて、見つけてくださいね!』
「……なんのことかしら?」
カードのほかには、とのさまんじゅうの箱しかない。
冥はカードを御剣に渡し、とのさまんじゅうの箱を開ける。が、そこにも美雲の言う”真実”は見当たらない。
「うむ……いまいち、要領を得ないな。そのとのさまんじゅうの出自も……いや、おそらくヤハリあたりからもらったのだろうな。」
カードに目を通した御剣も、むぅ、と考え込む。
「あなた、本当に中を見ていないの?」
「失礼な。私が預かり物を勝手にあけ、しかも抜き取ったとでも?」
「……考えてみれば、あなたにこんな包装ができるはずがないわね」
ぐ、と言葉に詰まった御剣に冷ややかな笑みを向けて、冥は眠気を払うように頭を振る。
「いいわ。機会があれば、彼女に直接聞いてみましょう」
いい加減、体力は限界に近づいていた。切れ長の目も眠たげに細められ、一度腰を下ろしてしまっては、立ち上がる気力もわかない。
冥よりは体力があるとはいえ、疲れているのは御剣も一緒だった。
腰をあげ、息をつく。
「うむ。カーネイジの公判には来ると言っていた。おそらくはそのタイミングで会う機会もあるだろう」
「ええ、そうね……」
言いながら、二人は同じことに思い至る。
そうだ、美雲には、冥と会えるチャンスがまだある。
それなのになぜ、この荷物を御剣に預けたのだろうか?
冥の頭を覆っていた眠気と、彼女には肯定しがたい胸の内を隠していた無意識の霧が、消えてゆく。
「真実……私の、真実」
ドアに向かいかけた御剣の背後で、冥が呟く。
その声に、御剣も足を止める。
88 :
ミツメイ5:2009/07/22(水) 22:07:52 ID:EC+YMo37
「メイ?」
冥は椅子に腰かけたまま、考え込んでいる。御剣の問いかけにも反応しない。
いぶかしみ、彼女のもとに歩み寄った御剣に、彼女の視線が刺さる。
それは、いつもの丁々発止のやり取りをする時のような目つきではなく、どこか憂いと、不安に揺れているように見えた。
そして、言葉こそいつもどおりだったが、その声も揺れていた。
「レイジ、答えなさい。あなたはなぜ、今、ここにいるの?」
再度の問いかけに、一瞬御剣はぎくりと身をこわばらせた。
この問いは、自分でも不可解で失礼な行動の原因を追究されているのと同じだ。
「……それはさきほど答えたはずだが?」
「意義あり。あなたの発言にはムジュンがあるわ。それに気付かないとは愚かなことね」
矛盾。そう言われてしまうと、なかなか説明が難しい。
難しいが、ここで彼女に追及されるまま、矛盾した心中を吐露することも、彼にはできない。
それが年長者としての威厳なのか、もっと別の何かなのか、それもまた、あまり考えたくはなかった。
だが、気になった。
彼女の様子がおかしい。その彼女の胸の内を、のぞいてみたい。
「矛盾を指摘するなら、正確に、完璧にお願いする」
いつもの彼女ならば、ここで笑みを浮かべて、嬉々として彼を追い詰めるはずだ。
だが今は違う。
疲れや眠気のせいではない、もっと彼女の奥底で波打つ感情が、誰よりも鋭いはずの視線を、か弱く歪ませている。
薄い唇は震えるように、小さく動いたが、声は必死に、平静を装っているようだった。
「……レイジ。あなたは、私に会うチャンスがあったはずだわ。あなたの裁判で。
いくらあの子にお願いされたからって、すぐに――こんな、気の利かない訪問をする理由にはならないわ。
答えなさい。今こうして、私に会いに来ているのは何故?」
御剣は、どくりと、心臓が跳ねる音を聞いた。
その自問は、さきほどドアの前で、ほんの一瞬彼自身の頭をかすめた。
そして、もう少しで答えに手が届きそうだったのに、それを手にすることをやめてしまった。
それはきっと、その答えが。
「メイ、私は――」
「レイジ」
さえぎるように言って、冥はうつむいた。
「私、さっきあなたのことを思い出して、笑っていたのよ」
自分の言葉をさえぎってまで彼女が発した言葉が何を示しているのか分からず、御剣は首をかしげた。
かまわず、冥は言葉を続ける。
表情は、彼からは見えない。
「あなたの推理にすべてもっていかれたわ。今日も、2日前も。許せないわ」
冥が何を言わんとしているのか、皆目見当がつかない。
たしかに彼女からすれば、御剣に負けたということになるだろう。
そしてそれは、彼女には許せないことなのだろう。
しかしそれと、彼女の言う笑いと、何がつながるというのか。
困惑する御剣の前で、彼女はうつむいたまま言葉を続ける。
「許せないのに、おかしいのよ。私、あなたのことを思い出して笑っていたの。
自分でも不思議だったわ。でも、わかった……あの子の言う”真実”も。私が、笑った理由も」
89 :
ミツメイ6:2009/07/22(水) 22:08:33 ID:EC+YMo37
顔を上げた冥は、驚くほど美しかった。
整った顔立ちがそう思わせたのではない。
不安や、憂いを残したままの目もとと、思いを伝えようとして薄く開かれた口元は、あまりにも儚げで。
その表情は、ただ美しいだけではなかった。
どんなに勢いのある追及や、鞭の痛みよりも強烈に、御剣の胸に、つかみそこねた”答え”をつきつけた。
「メイ」
「!」
気づくと、冥の体は御剣の腕の中におさまっていた。
どくどくと心臓の音が聞こえる。
これは、自分の鼓動だろうか、それとも。
「私がここに来た理由は、ひとつ」
「……何、かしら」
お互い、声がかすれていたが、そんなことに気付く余裕はなかった。
御剣は唾を飲み下した。
未だ、自分の中でも整理のつかないこの感情を、どう言葉にすべきなのか。
逡巡をしないでもないが、もう自分はこうして、自分の感情のままに動いてしまっている。
彼女は彼を拒絶しない。それだけで十分だった。
「君に、会いたかった」
冥の腕が、御剣の背に回された。
「……バカね。そんな答えで私が喜ぶと思ったの?私の発言の邪魔までして」
くすりと、冥が笑った気配を感じ、御剣はようやく息をつく。
「君も、私の発言を邪魔した気がするのだが……君の発言を中断させてしまったことは謝ろう。
では、君の発言も最後まで聞かせてもらおうか」
「も、もういいわよ。あなたがようやく素直になったのだから、許してあげるわ」
慌てふためく様子は、顔をのぞきこまなくてもわかる。
それに、こうして彼女の体を抱いていれば、その体温も、香りも、全てが彼のものだった。
そう思うと、改めて温かな感情が胸を満たす。
この腕の中にいる、生意気で、勝ち気で、扱いにくい彼女が、たまらなく愛おしい。
「よくはない。意味もなく笑われたままでは、わたしも納得できない」
「も、もういいと言ってるでしょう!いい加減離しなさい!」
さきほどまでしっかりと腕を回して抱きついていたくせに、今は細い腕で彼の体を押し返そうとしている。
普段鞭を振るっている腕は女性にしては強く鍛え上げられているのだが、この態勢では流石に男の力にはかなわない。
一歩間違えば訴えられそうではあるが、御剣は自身が優位に立っていることに愉悦を感じていた。
つい、彼女をやりこめようという悪戯心がわいてくる。
「それはできない相談だな。君が言おうとしたこと……聞かせてもらえるまで、この腕は離さない」
「!……わ、わかったわよ。言えば、いいんでしょう」
観念したのか、力を抜いてうつむいた彼女の表情を見てやろうと、彼は腕の力を緩める。
そして、かがみこんで彼女の顔を覗き込もうとして、顔面を手の平で押し返される。
「悪趣味よ」
「む……すまない」
ばつが悪そうな彼の胸元に顔をうずめて、冥はちいさく、けれどはっきりと言葉を紡いだ。
「……あなたのことを考えている時が、わたしには一番……幸せ、なのよ」
「!」
90 :
ミツメイ7:2009/07/22(水) 22:09:02 ID:EC+YMo37
冥を抱く腕に力が入る。
耳まで赤く染めながら、それ以上彼に何も言わせないように、彼女はつらつらと言葉を連ねる。
「だ、だって他に考えられないじゃない。この私が、負けたことを自覚して平気でいられるなんて。
それどころか……ふ、不本意にも頬を緩めてしまうなんて、他に理由が……」
「メイ」
あまりにも彼女らしくない言い訳が、かわいらしくて仕方がない。
いや、こんなときでも自分のかわいらしさを隠そうとするのが、彼女らしくて、結局のところ、かわいい。
たまらなくなって、放っておけばいつまでも言い訳を続けそうな口をふさぐ。
冥は一瞬驚きに目を見開いて、後ろにに逃げようとするが、残念ながらそこには彼女の腰掛けている椅子の背もたれがあった。
それに気づいた御剣は気を良くし、さらに彼女の咥内へと舌を伸ばす。
彼もあまり慣れてはいないが、少なくとも7つ年下の彼女よりは経験がある。
戸惑い、きつく眼をとじた彼女の顔を大きな手で包み、並びの良い歯列を舌でつつく。
薄くあいた隙間に舌を差し入れ、歯茎の裏を、上あごを、舌を、味わいつくす。
息苦しそうにしている彼女に気づいて口を離すと、嘘のように柔らかく、熱く、潤んだ瞳がこちらを見上げていた。
「い、イキナリは、ないんじゃない?アナタらしくない、わ……」
「そうだろうか。だが、今の君も十分、君らしくない」
とても、扇情的だ。
耳元でそう言いながら、彼の手がバスローブの端を掴んだ途端、彼女の顔色が変わった。
「ま、待ちなさい!アナタまさか、ここでこのまま、その、するつもり、なの!?」
本気で胸を押し返し睨みつける彼女に、今更ながら御剣は真面目腐った顔で押し通す。
「うむ。まぁ、そうだ……あぁ、もちろん、ベッドには連れてゆくつもりだが」
「そういう問題ではないわ!だいたい、物事には、順序と……それに見合った、経過があってしかるべきだわ!
それに今はもう朝よ?いくら私だって体力の限界だわ。それに――」
確かに朝だ。それも、お互い徹夜をしたうえでの。
その疲労しきった頭に、彼女の声は少々響く。
御剣は自分のこめかみを押さえつつ、どうやって彼女を説得しようかと脳をフル回転させる。
「そうは言っても、メイ。次に私たちが、2人で会えるのはいつになる?
それこそ、今しか機会はないではないか」
「で、でも……私は……」
うろたえる彼女の肌はほんのりと色付いて、いつになく美しく、なまめかしい。
彼女がいまいち乗り気でないのは十分理解できるが、健常な成人男性として、この場で自分を抑え込むのは少々不健康にさえ思える。
「メイ。私も男なのだ。君が欲しい」
であれば、御剣がすべきことは決まっている。
無防備なうなじに吸いつき、硬直した冥の体を抱え込み、ベッドに下ろす。
冥は抗議しようと口を開くが、御剣の舌が首筋をなぞると、そのまま息をのみこむしかない。
細く白い手はかわいそうなほどきつく彼の胸元を握りしめている。
それに気づいて、彼は彼女の手を取り口づけて、上着を脱ぎ捨てる。
「……無作法ね」
観念したのか、彼女はそれ以上彼を咎めず、ぼんやりと彼が服を脱ぐ様子を眺める。
「作法か。ベッドの上でもそれを君にたしなめられる日が来るとは思っていなかった。」
皮肉な笑顔を浮かべながらシャツを脱ぎ捨て、再び彼女に覆いかぶさると、胸元に手を滑り込ませる。
91 :
ミツメイ8:2009/07/22(水) 22:10:02 ID:EC+YMo37
「ん」
短く漏らした声に体温を上げながら、なめらかな肌をなでる。
緊張しているのか、彼女はすっかり無言になってしまった。
やわらかなふくらみを手におさめ、そっともみほぐしてやると、小さく息を吐く。
しばらくその感触を味わってから、唐突に先端をつまんでやる。
「やっ」
ぴくり、と反応した彼女はずっと目を閉じている。
さらに先端をいじり続けると、いやらしく硬さを増してゆく。
それに同調するように、彼女の息も乱れる。
「ふ、あ、あっ……」
聞いたことがないような高い声に、思わず御剣はバスローブの前を開き、先ほどまで指を這わせていた場所を口に含む。
片手はもう一方を弄びながら、吸いつき、舌先で転がし、唇でねぶると、鼻にかかった高い声が漏れる。
「んんっ!」
その声は彼女自身も知らなかったもので、思わず自分の指をかみ、声を呑みこむ。
それでも乱れた息は隠すことができず、彼の頭のすぐ上から、熱い息が吐き出される。
「や、やめ……レイジ、やっ、こんな、恥ずかしいっ……」
あの気の強い彼女に、震える声でこんなことを言われては、おさまるものも収まらない。
「恥ずかしがることはない。もっとメイの声を聞かせてくれ」
言って、彼は胸への愛撫を再開し、その間に彼女の足の間に膝を割り込ませ、片手でバスローブの結び目を解く。
「は、あっ……ふぅっ……」
彼女はもう、胸への愛撫にすっかり意識を持っていかれていて、バスローブが肌から離れるまでそれに気付かなかった。
風呂上りのままの彼女はその下には何もつけておらず、簡単に裸体をさらすことになる。
足を閉じようとしてももう遅く、真っ白な肌も、細く締まった腰も、淡い茂みも、すらりとした太ももも、彼の眼前に露わになる。
それを見るためだけに体を離した彼は、その美しさに思わずため息をつく。
その間に彼女は、身をよじって体を隠そうとする。
「あ、明るすぎるわ。明かりを消してちょうだい」
横を向いて言う彼女に従ったものかどうか、彼は一瞬迷ったが、あまり機嫌を損ねても後が怖いので、おとなしく明かりを落とす。
それでも締め切ったカーテンからは朝日が透けていて、彼女の肢体を鑑賞するには十分だった。
横を向いてしまった彼女に口づけて力を抜かせると、腰を抱き、その曲線を指先でなぞる。
くすぐったそうに身をかがめる彼女の頬に、耳に、首筋に口づけて、手を臀部へと伸ばす。
「くすぐったいわ。遊んでいるの?」
「そういうつもりはないが……」
あまりに無邪気な反応に、彼は気勢をそがれてしまう。
と同時に、彼女にこういった経験がないのだということに気付いてしまった。
自分が初めての相手であることがうれしい。
と同時に、いよいよ慎重を要する事態になってきたのだが、彼にそこまでの自制心が残っているのか、本人にも疑わしかった。
その証拠に、前触れもなくその手は淡い茂みをまさぐり、指先がその奥へと進んでいく。
ここにきて彼女も再び緊張に身をこわばらせ、ぎゅっと目をつぶる。
彼の指先に触れたのは、熱を帯びた花弁。そのやわらかな感触を確かめると、彼女が震える。
さらにその奥へと進むべく花弁を割り、中心に指を滑らせると、ぬるりとした感触が出迎える。
指に絡みつく快感の証をまんべんなく周囲に塗りたくり、花弁をこすり合わせ、肉芽をつまむ。
92 :
ミツメイ9:2009/07/22(水) 22:10:32 ID:EC+YMo37
「ひっ! や、あっ……あぁっ!」
びくりと彼女の体が跳ね、堪えようのない声が漏れる。
勢いを得た彼はさらに敏感な箇所を擦り、彼女を責め立てる。
「ひや、や、やぁあっ……いや、やぁっ!」
切羽詰まった声は彼女らしくなく、たまらなくそそる。
首を振り、シーツを掴んで身もだえる様を眺めながら、彼は自分の口元がゆがむのを感じた。
「どうした?メイ。」
問いかけるその間も指の動きを止めることはなく、あふれる蜜のおかげで隠微な音さえさせている。
一瞬彼を睨みつけようとした彼女は、けれど、はしたない声を飲み込むこともできず、身体も自由にはできず。
ひくひくと快感に震える自分の身体をどうすることもできずに、きつく眼を閉じて首を振ることしかできない。
「いや、やっ、やめ、レイ、ジっ……あ、あぁっ、や、いや、やめてっ……!」
息も絶え絶えに叫ぶ彼女の眦に涙が光るのを見つけて、御剣はようやっと手を止める。
荒い息を鎮めようとする彼女はぐったりと四肢を投げ出し、彼のほうを見ようともしない。
無防備な肌に光る汗の玉をいくつか舐めあげると、それだけで震えて、甘い息を吐く。
そんな様子を眺めてしまうと、笑みが抑えきれない。
「だいぶ感じていたようだな」
「さ……最低よ、あんなっ……」
うるんだ瞳に見つめられても、それは益々男を喜ばせるだけだ。
「だが、君の体は喜んでいる。証拠を提出してもよい」
彼女自身のぬめりをまとった指を目の前に突きつけると、目を見開いて硬直する。
御剣の口元はいよいよ緩み、熱が高まる。
「……準備はできた、と思うのだが」
言って、再び足の間に手を滑り込ませると、ぐっしょりと濡れそぼった花弁を割り、狭い入口を探し当てる。
指先を押し当てゆっくりと沈めると、苦しげな声が漏れる。
「っく……ふ、う……」
ゆるゆると、太い指が埋め込まれてゆくと、ますます彼女の表情は険しくなる。
十分な潤いのおかげで抵抗は感じないが、その狭さは確かに、本人には苦痛に感じるものかもしれない。
「その……痛い、か?」
「痛いと言ったら、やめるの?」
「ム……それは、その」
恐る恐る問いかけた彼を黙らせて、彼女は彼の背に腕を回す。
「出来ないことをわかっていて聞くなんて、バカにも程があるわ。それに」
抱きついてきた彼女の体が僅かに震えていることに気づいて、御剣は声を出せなくなった。
「……私だって、アナタが欲しいの。レイジ。」
93 :
ミツメイ10:2009/07/22(水) 22:11:30 ID:EC+YMo37
欲情とは違った衝動が一瞬にして体中に廻っていくのを感じ、彼は三度彼女に口づける。
と同時に、抑え込んでいた理性のタガが外れた。
彼女の口をふさいだまま、指を押し込み、引き抜き、水音をたてて彼女の内側をこすってゆく。
「ひっ、あ、ん、あっ」
漏れる声は先ほどまでとは違い、苦しげにも聞こえる。
だがそれを耳にしても、彼の動きは止まらない。
じゅぷじゅぷと隠微な音を立てるうちに、彼女の声からもわずかばかり苦しみが抜けてくる。
ひとしきり彼女を喘がせて指を引き抜くと、ふるりと震えたようだった。
ここまでくれば、することは一つ。
彼は下着を取り払い、いきり立った自分自身を彼女の中心にあてがった。
「メイ」
緊張に身をこわばらせた彼女に声をかけると、少し力が抜けたのを感じて、そのまま腰を押し付ける。
「ひっ、くぅっ……」
明らかに苦痛を感じている彼女の様子に胸が痛んだが、彼もそれどころではなかった。
ゆるゆると押し進む彼女の中は熱く狭く、まとわりつく愛液のせいもあって、気が狂いそうになるほど気持ちいい。
少々きつすぎると彼が感じるのだから、彼女からすればもう、身を裂かれるのと同じことだ。
「う、ふぅうっ……」
目一杯に涙をためて、息をつき、なんとか痛みを逃そうとしている彼女の耳や首に唇を落としながら、それでもなお押し進む。
浅くひき、ゆっくりと差し入れる動きを繰り返したのち、わずかに感じる障害まで進むと、彼女の腰を掴んだ。
彼女もこれから起きることを予期したのか、シーツを引きよせ、口に含む。
明らかに苦痛を与えるとわかっていても、もう自分自身を押しとどめることはできなかった。
しっかりと彼女の腰を固定して、その奥へと、自身をつきたてた。
「――――っ!」
シーツを噛んでなお、声にならない声を抑えることはできなかった。
ぱくぱくと魚のように動く口からシーツがこぼれ、眦からは涙がこぼれる。
けれどこれで、間違いなく、二人は一つになった。
「は、はぁ、は、はっ……」
肩を上下させて息をする彼女に、彼は幾度となく唇を落とす。
最奥まで達した彼自身は、それ自体が意思を持っているように脈打っている。
常に冷静で紳士的な御剣怜侍の意思も、いつ消えるともしれなかった。
「メイ」
不安げに見上げる澄んだ瞳は、苦しげな彼の表情をとらえていた。
「スマナイ」
ずる、と根元近くまで引き抜き、最奥まで一気に突き立てる。
「ひ、あぁあっ!」
それが彼にはどうしようもなく甘美で、体中を溶かすようで、熱が理性を消してしまう。
けれど彼女には、傷をえぐられる痛みでしかなく、苦痛にあげる声は悲鳴そのもので。
「く、あ、あぁっ!レイジ、レイジっ……!」
94 :
ミツメイ11:2009/07/22(水) 22:12:39 ID:EC+YMo37
ただただ、すがるように彼に抱きつき、助けを求めるように名前を呼ぶことしかできない。
その声に応じるように彼は腰を打ちつけ、淫らな水音をたてる。
背につきたてられる爪の痛みも、熱を上げるための刺激にしかならない。
さらに、薄く朝日の差し込む室内で響く音と声は、あまりにもいやらしく、官能的で。
「あ、あぁ、れ、れい、じっ……」
「メイ……メイっ……!」
獣のように突き上げ、自らの体温を、快感を高めてゆく。
そしてその頂に登るのは、容易なことだった。
単調な動きの間に彼の熱は高まり、快感は渦を巻いて解き放たれるのを待っていた。
「っく……メイ……っ!」
ギリギリで引き抜いたそれは白い粘液を彼女の白い腹にまき散らし、びくびくと脈打っていた。
それを視界の隅に認めた彼女は、安堵と幸福感に、ようやく表情を緩ませた。
「いつまで寝ているつもり?御剣怜侍。いち社会人としての基礎がなっていないのではなくて?」
世間一般には高飛車というのだろう,耳慣れた声を聞いて,彼は体を起こした。
目の前には,一部の隙もなく身支度を整えた狩魔冥が立っていた。
「うむ……おはよう」
まだ血の回らない頭を抱えて,しばし彼は思案する。視界に入るものから考えるに,ここはホテルの一室だ。
記憶をさかのぼると,昨夜,というか今朝,自分はこれといった理由もなく失礼にもうら若き女性の滞在するこの部屋に突然訪問し、お互い疲労困憊し判断能力のないまま腹の探りあいともとれる会話をし。
互いに好意を抱いているということを認識し、その幸福感のまま半ば強制的に彼女を抱き、彼女の身を清めたところで体力が尽き、気づけば今に至っている。
その今というのは、ベッドの中央を占拠し、一応は下着だけを身につけ、布団をのけて身を起こした、無防備極まりない状態だ。
そこでようやく我に返り、表情だけは冷静に、彼は思い出した。
彼女は、初めてだった。
その事実が、一般的には非常に重要であるということはもちろん認識しているのだが、それを素直に優しさだけでカバーしようとしてうまくいくほど、自分の相手は素直ではない。
どうしたものかとしばしぐるぐると思考をめぐらし、口を開く。
「そ、その、メイ。体のほうは、大丈夫だろうか」
黙り込むよりは声をかけたほうがいいだろうと、月並みな言葉をかけてはみるものの、彼女の反応は冷たい。
「フッ、バカはバカなりにバカな気を使うものね。
そんなことよりあなた自身の心配をしたらどう?
あなたの昨夜の行為……強姦致傷で起訴することもできるのよ?私に勝てる自信はあるのかしら?」
腕を組み、薄く笑みを浮かべて言う彼女の様子は、普段通り自信にあふれ、御剣への対抗心に満ちているように見える。
だがまさか、彼女がそこまで昨夜のことを割り切れているはずはない。
彼女は完璧な検事である前に、19のうら若き女性なのだから。
となれば、彼女のこの態度は虚勢と取るべきだが、その理由がわからず、御剣は眉間にしわを寄せる。
それを反論できない状況ととったのか、彼女は余裕すら感じさせる表情を浮かべる。
「ふふ、自分の置かれた状況がようやく理解できたようね。さあ、どうするつもりかしら?」
彼女は何を思って、このような挑発的な言葉を投げかけるのだろうか。
御剣はしばし思案し、手っ取り早く昨夜覚えた方法で彼女の態度を崩すことにした。
「メイ」
声をかけ、御剣は彼女の腰を抱き寄せる。ベッドに膝をついた彼女が一瞬顔をゆがめたのを、彼は見逃さなかった。
95 :
ミツメイ12:2009/07/22(水) 22:13:14 ID:EC+YMo37
「な、何をするの!あなた、私の言ったことが理解できていないようね。」
どこまでも強情に、距離をとろうとする彼女の頭を無理やり腕の中に収め、彼は駄々っ子に言い聞かせるように言葉を選び、語りかける。
「メイ。君を傷付けてしまったことは謝ろう。
君の意思を無視して、その……コトを、進めてしまって、すまなかった。
だが私は、これ以上君を傷つけることはしないし、ほかの者にも傷つけさせないよう、君のそばにいたいのだ。
だからその……私から、離れようとしないでくれ。」
彼女は無言だ。法廷以外では口下手で、恋愛沙汰にも不慣れな彼にしては、かなり努力して搾り出した言葉なのだが、反応がない。
あからさまに本心とは違う意思表示をされるのも困るが、意思表示を全くされないのも困る。
「……メイ?」
「……いやよ。」
ようやく返ってきた言葉が否定的で、御剣は一瞬肩を落としそうになる。
しかし次に出てきた言葉があまりにも少女めいていて、かえって彼女を抱く手に力が入った。
「だって、あなたがこんなに近くにいると、私、恥ずかしい思いをしてばかりだわ。
それに、苦しいし、冷静に物事を考えられないし、自分の思い通りにならないことばかりで……!」
御剣は堰を切ったように語りだした冥の表情をうかがいたかったが、昨日それをしようとして叱られたのを思い出して、やめておく。
代わりに背中をゆっくりなでてやると、一息ついて、彼女の方から顔を寄せてきた。
口付けを期待した彼の耳元に口を寄せて、薄い唇がため息のような一言を吐く。
「なのに、嬉しくなってしまうのよ」
悔しい、と言いかけた彼女の唇をふさいで、すぐに離れて、正面から間近で彼女の顔を見つめる。
笑顔、ではない。かといって、泣き顔でもない。完璧に主導権を握られてしまったことへの不満の表情だ。
それが子どものようで、可愛らしい。
「メイ。その……強がることはない。私は君を……」
と、至近距離で見詰め合ったまま言えるほど、彼はこういった状況に慣れてはいなかった。
こほん、とわざとらしく咳払いをすると、冥の非難の視線が突き刺さる。
「そこまで言っておいて、何を渋る必要があるのかしら。あなた、本当にこういう場面に弱いのね。
男として、情けないと思わないの?こんな男を法廷に立たせておいたら狩魔の権威が地に堕ちるというものだわ。
なんなら、あなたの考えていることを代弁してあげても良いのだけれど?」
一瞬の隙も逃さず畳み掛けてくる、いつもの彼女の調子が戻ったようだ。
ここが法廷であればあらゆる推理と証拠を持ってそれを崩すことも出来るのだが、いかんせんここはホテルの一室の、二人で夜を明かしたベッドの上、なのだ。ロジックや証拠では彼女は納得しない。
煙に巻くような答えをしようものなら、もうしばらくは口を利いてくれないかもしれない。御剣は沈痛な面持ちで、口を開く。
「ム……いや、その……い、言う。私の口から言わせてくれ。」
「ええ。あなたが出来るのなら、そうしてちょうだい。」
体を離した彼女はベッドに腰掛けたまま腕組みし、女王のように彼の進言を待つ。
その威厳と期待に満ちた視線を受けながら切り出すのは、なかなか勇気がいる。
再び咳払いをして、努めて冷静な、彼らしい落ち着いたトーンで思いを口にする。
「メイ。わたしは君を愛している。わたしから離れないでくれ。」
しかし、威厳に満ちた女王は動じない。これでもかと思うくらい、表情を変えない。
やっと口を開いても、そこに愛らしさやけなげさは全く感じられない。
「……まぁまぁ、ね。でも、後半には頷けないわ。子どもじゃないんだから、私は私の道を歩くわ。あなたもそうでしょう?レイジ。」
「うむ。だが、無理に距離を置く必要もあるまい。」
「勝手に姿を消した男がよく言うわ。」
96 :
ミツメイ13:2009/07/22(水) 22:13:40 ID:EC+YMo37
瞬時に切り返され、御剣は思わず白目を向く。
根に持っていたのか、思いついただけなのか、どちらにせよ己の愚かな過去を抉り出されては、彼には返す言葉がない。場
を取り繕うように三度咳払いをして、彼女に指を突きつける。
「では……改めて聞くが、その、体調は大丈夫、なのだろうか?」
「ダメね。正直、歩くだけでも痛いわ。着替えるのも大変だったのよ。なのにアナタときたら、人の気も知らないでのんきに寝ていて。」
先ほど彼女が顔をゆがめたのは、彼の気のせいではなかったようだ。労わるように腰をさすると、ようやく柔らかな笑みを浮かべる。
「それはすまなかった。そういえば、メイ、仕事は大丈夫なのか?
「ロウ捜査官から連絡があったわ。今日は夕方まで私の出番はないそうよ。
私はもともと捜査協力をしているだけで、国際警察の人間ではないわけだから、裁判が決まるまでは御役御免、といったところかしら。
そう言うあなたは……あれだけ寝ていたのだから、今日の予定に問題はない、ということでいいはずよね?」
冥の問いかけに、御剣は頭の中でスケジュール帖をめくる。帰国後は少し身辺整理が必要だろうと、これといった用事はいれていない。
少々のデスクワークはいつでも処理できるだろう。
「あぁ、それは問題ない。だが……そもそも、今は何時なのだ?」
「呆れた。もう正午よ。いい加減にシャワーでも浴びてきたら?
ルームサービスをとってあげるから、食事をとったら自宅に戻ることね。
あなたも帰国間もなくあれこれと巻き込まれて、落ち着くヒマもないのでしょう?」
珍しく気遣いをしてくれる目の前の女性に、御剣はつい見入ってしまう。
視線に気づき、照れたように顔を背ける彼女は、やはり19のうら若き女性、だ。
「うム。ところで、君の予定はどうなのだ?先ほどの話では仕事も一区切りつきそうだったが……」
「まだなんとも言えないわね。
今回の一件が片付くまではアメリカに呼び戻されることもないでしょうけど、ババルとアバレストは早くケリを着けて統合を進めたいみたいだし……
裁判の日程が決まったら連絡するわ。」
気恥ずかしさを紛らわせるようにすらすらと言い放って、彼女は立ち上がる。
背を向けた彼女の細い腰が目の前にあると、どうしても昨夜のことを思い出してしまうのは男の性だ。
細い足、引き締まった腰、やわらかな二の腕、感度の良いうなじ、熟れ頃の乳房、まろやかなでん部……
と、思い出せばそれをもう一度味わいたくなるのも男の性だろう。
だが、御剣は良くも悪くも生真面目な男だ。
あまりにも失礼な振る舞いをした直後にこのようなことを言うのは不謹慎ではないか、いやそうすることこそ、今の自分たちには相応しいはずだ、などと煩悶の末に自分を納得させて、御剣は口を開く。
「そうか。だがその……アレだ、今後会う機会があったとして、その、こういったことは、嫌、だろうか?」
「こういったことって……」
冥は一瞬言葉を途切らせて、次の瞬間には頬を染めて鞭を振るう。
「し、知らないわよ!あなた、自分が何を言っているかわかっているの!?」
「ま、待てメイ!わかっているが、わたしも健常な男子としてだな」
「そのフラチな口を閉じなさい!御剣怜侍!すぐに閉じないと……鞭が飛ぶわよ!」
――既に飛んでいる!
鞭を交わしながら御剣は、それも仕方がないか、と思う。
彼女の機嫌を良くするには、適度に彼女を優位に立たせておかなければならない。
ならば昼は彼女に勝たせておくのが得策だろう。夜になれば、簡単に彼女の泣き顔をおがめるのだから。
そう考えて口元が緩んだのを、彼女は見逃さなかった。
「何を笑っている!」
ピシリと、布団越しに受けた鞭はさすがに堪えたが、どうしても彼の口元からは笑みが消えないのだった。
かわゆい!
キタキターーーーー!!
GJ!!
なにこの名作
GJ!
検事設定のミツメイ待ち望んでた
ありがとうございます
GJGJ!!
冥ちゃんが可愛すぎる(´Д`*)
うおおおお良い!!
GJ!!!!
ミツメイ最高だ
イイ!!萌えた
105 :
ミツメイ:2009/07/25(土) 15:53:33 ID:1i5D2F+E
*逆転検事4の後。
*御剣20歳、冥13歳。
初法廷にはいずれ新しい舞台を用意する、と狩魔豪に言われて、御剣は改めて狩魔邸の自室で六法を開いた。
検事局では上階にある上級検事の執務室とは違い、新人の御剣は下の階の奥まったところに並ぶ狭い執務室のひとつを割り当てられていた。
歴代の新人検事たちの血と汗と涙が染みこんだデスクや本棚には感慨深いものもあるが、まだ検事になって日も浅く、なじんでいるのはやはりこの部屋だった。
デスクの前で、まだまだ多くある学ぶべきことに取り組むために、御剣は背筋を伸ばした。
幻に終わったデビュー戦には苦い思い出が残るものの、そんなことにいつまでもこだわっていてはいけない、狩魔の教えを受けたものとして今度こそ恥ずかしくない戦いをしなくては。
意気込んで眉間に皺を刻んだその時、ノックもなしにドアが開いた。
「あら、熱心ね」
顔を上げるまでもない。
招かれざる来訪者は、短いムチをヒュンヒュンとしならせながら振り回す。
「そうよね、二度も続けてブザマな失敗はできないものね」
御剣は短くため息をつき、分厚い六法全書を音を立てて閉じた。
「冥。言っておくが私は失敗したわけでもブザマな」
ヒュン。
目の前を、ムチが空を切った。
「そういうことにしておいてあげてもいいわ。……パパも」
「先生?」
あの日、検事と被告人が死亡し、あの女が逃げ出して裁判が続行できなくなったあと、狩魔は御剣に多くを語らなかった。
師が不機嫌なのがわかったので、御剣もただ頭を下げ、次の機会を待つことにしたのだ。
その師が、なにか言っていたのだろうか。
狩魔冥はムチを玩具のように振り回しながら、御剣のデスクに小さなお尻を乗せた。
御剣が、触れそうになった腕をそっと引っ込める。
「先生が、なにかおっしゃっていたのか」
冥は狭くて質素な執務室の中をぐるりと見回してから、御剣を見下ろす。
「別に。私の捜査がとてもしっかりしていた、と誉めてくれたわ。私……と、あなたの」
そうか。
先生は、誉めてくださったのか。
頭の上が、痛んだ。
見ると、冥がムチの先で御剣の頭をこづいていた。
「誉められたのは、私よ。あなたは、まあ、いい引き立て役を務めたということね」
相変わらず、すがすがしい負けず嫌い。
もう一度六法を開いた御剣に、冥は不機嫌そうにちょっかいを出してくる。
そういえば、先生は日曜だというのに今朝も早くからお出かけのようだ。
せっかくの休みに帰国しても、つまらないのかもしれない。
「そうだ」
思い出して、御剣はデスクの引き出しを開けた。
「……なによ」
差し出されたどらやきを見て、冥が言う。
「裁判所で買っておいたのだ。食べたいだろうと思って」
「バカバカしい。私が、そんなもの」
言いながら、目はどらやきに釘付けだった。
大好物だと聞いたことはないが、女の子らしく甘いもの全般が好きなのだろう。
「ウム。いや、私が食べたかったのだ。賞味期限が短いし、キミが手伝ってくれると助かるのだが」
ぽん、とデスクから飛び降りた冥が手を伸ばす。
「仕方ないわ。弟が助けを求めているのに、冷たくするわけにはいかないもの」
どらやきをひとつ手渡しながら、御剣は苦笑をかみ殺した。
「ム。感謝する」
106 :
ミツメイ:2009/07/25(土) 15:54:07 ID:1i5D2F+E
備え付けのポットで入れたお茶でどらやきにかぶりついた冥が、御剣のデスクに広げられた専門書を覗き込む。
口の端にあんこを付けながら、目だけは真剣になるのはさすがというところだろう。
「いいのか、冥。試験はすぐなのだろう」
本当ならバカンスを楽しんでいる場合ではない。
「はら、わたひがひけんにおひるとれも、んぐ、おもって、いるのかしら、御剣怜侍」
ぴしっと指先が突きつけられる。
「あなたが受かったのだもの、私なら余裕で受かって検事になるわ」
本人はとびきりカッコつけたつもりかもしれないが、手には半分のどらやき、口の両端にはあんこではサマにならない。
「もちろん、余裕でトップ合格は間違いないと思っている」
御剣がそう言うと、冥は満足げに残りのどらやきに取り掛かる。
最後をお茶で締めてから、冥は未練ありげに御剣が手を付けずに置きっぱなしのどらやきに目をやっている。
「……で、次の法廷は決まったの?」
「いや、まだだ。先生が決めてくださる」」
そう答えると、冥は少しうつむいた。
「……そう。パパが」
自分は離れて暮らしているのに、いつも父の傍で学んでいる御剣に対して、冥がどう思っているのか、察しはつく。
御剣はポケットからハンカチを出し、急に黙った冥のほっぺたについたあんこをぬぐってやった。
当たり前のようにされるままに拭かせて、冥はしなやかな腕を伸ばした。
ひょいと御剣の目の前から、どらやきが取り上げられる。
「あなたが、どうしてもいらないというのなら」
御剣はできるだけ真顔を作って冥に向けた。
「……キミがもらってくれると、助かるのだが」
「しょうがないわね」
さすがに一度には食べきれないのか、冥は小さなポケットに大切にどらやきをしまった。
本当ならどこかに連れて行ってやったり遊ばせてやったりすれば喜ぶのかもしれないが、あいにく御剣も忙しい。
先生が捜査に裁判に飛び回っているというのに、子守とはいえ新人の身で遊園地やショッピングにうつつを抜かすというのも気が引ける。
良い考えが浮かばないまま本に目を落とすと、冥は軽く飛び跳ねるように部屋の中を歩き回り、本棚の本を眺めたり、取り出して少し読んでみたり、勝手に引き出しを開けてみたりしている。
「ねえ、レイジ」
ちっとも集中できない。
「なんだろうか」
冥は御剣のカバンの底から見つけ出したらしいピンク色の塊を目の前にかざしていた。
「これ、なあに」
「ム」
仕方なく立ち上がり、近づいて冥の差し出すものを受け取る。
手の平に乗るほどの大きさでそれなりに重さもある。
「ああ、執務室の引き出しに入っていた。前の人の忘れ物ではないだろうか」
「アロマキャンドルよ」
「それくらい私にもわかる」
冥が肩をすくめた。
「大事に持って帰ってくるなんて、あなたにこんなものを使う趣味があったのかしらと思って」
「いや。……気に入ったのなら、持って行くといい」
額に、痛みがあった。
「なぜ、ぶつけられねばならないのだ」
床に転がったピンクのアロマキャンドルを拾いながら、御剣が不満を述べた。
「そういう時は、気に入ったのならもっとかわいくていい香りのするものを一緒に買いに行こう、くらい言うべきではなくて?」
やはり、休みをもてあましているようだ。
「ウム。なんとかして、少し時間を作るか」
今までと比べ物にならない痛み。二度、三度。
「や、やめ、やめないか、冥!」
ヒュンヒュンヒュンとムチが振り回される。
「なんとかして?」
ビシ。
「少し?」
ビシ。
「時間を作るか、ですって?」
ビシ。
107 :
ミツメイ:2009/07/25(土) 15:54:35 ID:1i5D2F+E
「あなたに哀れまれてさげすまれて同情されてどこかに連れて行ってもらうくらいなら、友だちのいない国でひとりで家に閉じこもって退屈な休みを過ごした方が、よっぽど、マシよっ」
なるほど。
友達のいない国で、ひとりで家に閉じこもって退屈な休みを過ごしているのか。
御剣は器用にムチをかわしながら、柔らかく冥の手首を握ってその運動を止めた。
「いや、ぜひつきあってもらいたい。部屋に閉じこもって六法と専門書を睨みつけているのに疲れたのだ」
うっすらと目に涙まで浮かべていた冥が、つんと顎を上げた。
「しかたないわね。弟の面倒はみなくては」
やれやれ。
御剣はやっと肩の力を抜いた。
天気のいい休日の昼間、御剣は冥と出かけ、不似合いな店の並ぶ通りを歩いてアロマキャンドルをいくつか買い、公園の移動販売車でフルーツジュースとクレープを食べて帰ってきた。
当たり前のように御剣の部屋までついてきた冥が、さっそくお菓子の形になったキャンドルをいくつもベッドに並べた。
「そんなところで、火を使わないでもらいたいのだが」
布団が燃えたら大変なことになる。
「わかってるわよ」
ひとつひとつの香りを確かめながら、冥が不満げに唇を尖らせた。
「ねえ、これ、イチゴの形なのに香りはお花みたい」
言われて御剣が近づくと、鼻先にイチゴの形のキャンドルが差し出される。
確かに、フローラルな香りがする。
「火を持っている?」
御剣が、ため息をついた。
冥の好奇心は止められないらしい。
「すぐに消すのだぞ」
ティーカップのソーサーにキャンドルを乗せ、御剣がマッチで火をつけた。
キャンドルが溶け始め、花の香りが広がる。
「……」
冥はイチゴから花の香りがするのが気に入らないのか、ソーサーに乗ったキャンドルを鼻先で動かしている。
もういいだろう、と御剣が言い掛けたとき、冥がベッドの上を振り返った。
「そっちのケーキ型の……」
「冥っ!」
勢い良く頭を降ったせいで、冥の肩にかかるほどの髪がキャンドルの上にかかる。
とっさに御剣がソーサーごとキャンドルを取り上げ、片手で火の付いた毛先を握り締めた。
「きゃっ!」
焦げた匂いが広がり、御剣の手の中で髪の毛が黒く砕ける。
御剣はそれを床に投げ捨てて、驚いている冥の頭を抱きかかえるようにして確かめた。
「大丈夫か!ヤケドは?!」
「だ、大丈夫よ……」
冥が乾いた声で言う。
びっくりはしたものの、火は髪の先をかすっただけのようだった。
「だから危ないと言ったのに。驚かせないでくれ」
わがまままな姉弟子に振り回されて、御剣はデスクに置いたキャンドルの火を吹き消してから、ベッドの上に散らばったキャンドルをかき集めた。
「没収だ」
「ええ?そんなの、ひどい!」
「今だって、一歩間違えたら大変なことになったのだぞ!ケガでもしたらどうするのだ」
御剣の厳しい声に、冥がびくっとする。
冥が黙ったことで御剣は冷静さを取り戻し、没収したキャンドルをショップの袋に戻してデスクに置き、冥の隣に腰を下ろした。
すくめた細い肩に触れるほどの近さで、片側だけ少し短くなった髪を撫でる。
「先生が見たら心配なさるだろうな」
「……叱られるかしら」
白い頬がぷっくり膨れた。
触れたら、柔らかいのだろうと思う。
「…ウム。だがお叱りを受けるとしたら私だ」
冥がぱっと顔を上げる。
近距離で見つめられて、御剣はとっさに体を離した。
「そんなのおかしいわ。だって、火をつけるといったのは私だもの」
「しかし、私がついていながらそうさせたのだからな。保護責任が」
「私、子どもじゃないわ!もうすぐ検事にもなるし、それに」
なにを言おうとしたのか、白い頬が今度はうっすらと紅に染まる。
108 :
ミツメイ:2009/07/25(土) 15:55:01 ID:1i5D2F+E
「それに……、もう」
言いかけて御剣の顔を覗き込む。
「明日は、美容院へ行くわ。髪を切るの」
鈍感な男は素直に頷いた。
「……ウム」
首の後ろで手で髪をまとめて、冥が御剣を見上げた。
「うんと短くしてしまおうかしら。この髪型の方が大人っぽく見える?」
ふっと御剣は笑った。
どんなに強気なことを言っても、気にはしているのだ。
「ウム。とても大人っぽい。いや、もともと冥は大人びているし、もう」
そこで御剣は黙った。
もう、検事になるのだろう、と言うつもりだった。
検事になるなら、もう大人だと。
さっき、冥もそう言いかけたのではないのか。
それとも。
もう、冥は、大人なのだろうか。
その、そういう意味で。
「もう?」
冥が御剣を見上げ、体が触れる。
「……いや」
なんでもない、と言う為に息を吸い込むと、同時に冥の香りが飛び込んでくる。
しばらく見ないうちに、柔らかく丸みを帯びた体をぴったりと寄せられて、御剣はぎゅっと眉根を寄せた。
「その、冥、そんなにくっつくな」
「あら、どうして?」
「いや、もう君は子どもではないのだし、そんなに無防備に男に触れるものではない」
過保護な保護者の口調を取り繕ったつもりだったが、冥はいっそう体を寄せてきた。
「ねえ」
「……なんだ」
「私のこと、まだ子どもだと思ってるのでしょう?」
見つめられて、頭の奥がしびれた。
まずい。
相手は師の娘で、まだ13歳で、姉弟子だ。
「……ウム。キャンドルで髪を焦がしてしまうくらいにはな」
「ひどい」
しまった、怒らせたかもしれない。
娘に甘い先生は、冥に言いつけられたら自分を叱るだろう。
新人検事としては先生の怒りを買うのは得策ではない。
つまりここは、冥を怒らせないに限る。
怒らせないためには、わがままなお嬢さまの希望に沿うしかない。
それで、その冥の希望は。
「……なにをブツブツ言っているの、御剣怜侍?」
御剣は、ため息をひとつついた。
「自分の中で言い訳するのに、疲れたのだ」
冥がかわいらしく首をかしげたことで、御剣の中で何かが切れた。
「いや。冥がオトナになったので、ムズムズしているのだ」
「なあに?」
「ムズムズというか、……ムラムラというか」
言ってしまった。
ぽっと頬を赤くした冥が、逃げるどころか御剣の腕に自分の腕を絡めてきた。
「それって、あなたが私を女として見てくれているってこと」
答えの代わりに、小さな赤い唇をふさいだ。
驚いたように、冥がぱっと離れる。
「きゃっ」
もう、ダメだ。
御剣は冥を抱きしめ、耳もとに荒い息を吹きかけた。
「その、私も一人の、オトナの男として、だな」
冥がぎゅっと抱きしめ返してきた。
「いいわ。それ以上は、ヤボよ」
そんな言葉をどこで覚えたのか。
109 :
ミツメイ:2009/07/25(土) 15:55:33 ID:1i5D2F+E
御剣は冥をそっとベッドに横たえた。
まだ細い手足、膨らみかけた胸、丸くなりつつあるお尻。
恥じらいと緊張で顔を赤くしながら、一糸まとわぬ姿にされても隠そうとしない気の強さ。
「なにをするか、わかってるか?」
華奢ながら、立派に女を感じさせる体に見惚れてから、御剣が聞くと、冥はツンと顎をそらした。
「あ、あたりまえじゃない。これから、私とあなたで、せ、セックスをするのよ」
甲は乙に対し、とでも言い出しそうな口調だった。
「ウム。で、具体的には」
「ぐっ、ぐた、ぐたいっ」
御剣の胸板から下に視線を下ろして、冥は耳から首筋まで朱に染めた。
「あ、あなたの、そ、それ、を、わ、私にっ」
これ以上はかわいそうだろう。
御剣は冥の折れそうな肩を抱き寄せた。
「わかっているようで、安心した」
誰に教わったのだ、と聞くと、冥は小刻みに震える腕で御剣の広い背中を抱いた。
「……保健体育よ」
ついに、御剣は小さく噴出し、冥に赤く跡になるほどつねられた。
お返しに、冥の白い柔肌を吸い上げて赤い花を散らす。
胸や腕を丹念に愛撫し、指先まで舐め、背中にもお尻にも手の平を滑らせていくと、冥が目を閉じた。
「いやだったら、そう言え」
「……ううん。きもちいい。小さいとき、怖い夢を見て一緒に寝てもらったときみたい」
その時は、こんなことはしなかったぞと言いたいのをこらえて、御剣は冥の体を探る。
まだ、肌と肌の触れ合いを心地いいと感じている段階のようだ。
しばらくすると、冥がぴくっと震えた。
「だいじょうぶか」
「……うん。なんかちょっと、ぞくってしたわ」
反応に素直だ。
「いいことだ。ぞくっとするところがあったら、教えてくれ」
「いいわ。……あ、今のとこ」
言われるままに、胸の膨らみの周囲に口付ける。
指先で先端の薄桃色の突起をつまむと、冥が開けた口から甘いため息が漏れる。
「レイジ……」
「きもちいいか」
「……ええ。こんなのなの?」
快感を、こんなの、と表現する冥をかわいいと思った。
「ウム。そうだな」
脇腹を撫で下ろし、脚の間に手を差し入れる。
閉じた割れ目を何度も何度もなぞってから、指先を入れる。
丹念な愛撫でそこはすでに潤んでいた。
小さな蕾に指先を当て、ゆっくりとほぐしていく。
「レイジは……、あ、ん…、レイジも、こんなの、なの?きもちいい?」
潤んだ目が、御剣を見上げた。
すでに、御剣のモノはパンパンに張り詰めて屹立している。
「そうだ。とても気持ちいい。…もっと、気持ち良くなりたい」
「……それって、その、それを」
上半身を起こした冥が、目を見張った。
「さっきと、違うわ」
「……ム。気持ちいいと、こうなる。知らなかったか」
「しっ、知ってるにきまってるじゃない。いいわよ、ほら」
こんな時まで負けず嫌いを発揮した冥が、膝をくっつけたまま足首を開く。
御剣がその膝に手を乗せた。
「ここを開いてくれねば、できない」
「ひ、開くわよっ」
言いながら、固く太腿を閉じている。
やはり、大きくなったモノを見れば、それが自分に突き立てられるのが怖いのだろう。
御剣は冥の細い腰を両側からつかんで持ち上げ、自分の上にまたがらせた。
110 :
ミツメイ:2009/07/25(土) 15:56:01 ID:1i5D2F+E
「な、なに?」
「この方がいいだろう。自分で入れるんだ」
御剣の腰を挟んでベッドの上に膝立ちになった冥が、不安そうに自分の脚の間で天に向かっているモノを見下ろした。
「そうなの?」
「知らなかったのか」
「し、知ってるに決まってるじゃない。バカにしないで」
冥がそっと腰を下ろし、御剣が下から指先で冥の花びらを押し開いて手助けする。
「ん、ここ?」
ぎゅっと顔をしかめて、冥が腰を前後に滑らせる。
「ム……」
先端を擦られて、御剣が眉間にシワを刻んだ。
「そうだ……、そのまま腰を落として」
「ええ……」
言われた通りにして、冥が何度も腰を動かす。
なかなか入らない。
「冥。痛かったらやめても」
「やめたりなんかっ、あっ」
自分でぐいっと体重をかけ、恐らく予想外の痛みがあったのだろう、そのまま倒れこんだ。
「冥、だいじょうぶか」
先端を飲み込まれたままの体勢になり、御剣は冥の肩に手をかけて起こした。
冥が見尻に涙をためて、しゃくりあげる。
「い、いたぁい……」
負けず嫌いも、限界のようだ。
腰を引こうとすると、冥が御剣に抱きついた。
「いやっ、やめないっ」
「だが……」
「やめないの、するの!」
「冥、無理をしなくていい。やはりまだムリなのだ。入らないではないか」
「いやっ、いやいや!」
痛さに耐えながら、冥はガンとして言うことを聞かなかった。
「あなたがしてくれればいいわ。こういうの、やっぱり男がリードするべきよ」
溜まった涙が一筋、頬を伝っているのに、気の強いことを言う。
それがまたかわいく思えて、御剣は冥を抱きかかえてベッドに仰向けにした。
「いいか」
脚を大きく開き、ゆっくりと腰を進める。
「んっ」
冥が顔を横向きにして枕に頬を押し付ける。
きゅうきゅうと締め付けてくる幼い処女の膣内に、御剣は暴発しそうになるのを必死でこらえる。
「う、……め、冥、うぁ……」
「レイジ……、レイ……、ねえ、きもちいい?私、いい?」
「ム……、そう、だ、とても、良い……」
「よかった……私、ちゃんとあなたを気持ちよくしてるわね?オトナ、でしょ?」
自分は痛いくせに。
111 :
ミツメイ:2009/07/25(土) 15:56:46 ID:1i5D2F+E
御剣は冥の頬に残った涙の跡をぬぐい、覆いかぶさるようにしてキスをする。
「……ん、ああ、きもちいい。せ、セックスは、痛いけど、キスはきもちいいわ」
「ウム……、そのうち、きもちよくなる……」
「そうなの、あっ」
御剣が身じろぎすると、冥が小さく叫んだ。
「痛むか」
「ん……、いたい……」
動くのはあきらめた方がいいだろうか。
御剣がそう思ったとき、冥が太腿で御剣の腰を挟んだ。
「いたいけど、……ちょっとへんなかんじ。ね、もう一回、して」
わずかに腰を引いてみる。
「どうだ?」
「ん、だいじょうぶ」
それならと浅く抜き挿ししてみる。
中から湧き出る潤滑液が増えてきて、動きもスムーズになってきた。
「冥……ちょっと、もうムリだ」
「え?……あ、ああっ」
御剣が一気に冥を突き上げ、冥は体を反らせた。
「あ、きゃ、バ、バカ、レイジっ、そんな急に、あん、あっ、な、なんか変っ、や、あんっ」
御剣の腕を強くつかんで揺さぶられまいとしながら、冥のか細い体は御剣の激しい動きに翻弄された。
だんだん、自分の中に未知の感覚が湧き上がってきたのか、悲鳴のような短い叫びを上げる。
「や、なに、レイジ、これ、これなにっ、あ、あああっ、あう、んーーっ」
「……それは、イクんだ。冥は、初めてなのに、イキそうなのだ。知らないのか」
「しっ、知ってるわっ、ああっ、それ、それ変になるっ」
「変ではない、イクんだ……っ」
「それって、それって、あんっ、あ、わ、私がちゃんと、オトナだか、らよね、ああっ」
御剣もそろそろ限界だ。
だが、冥より先にイクわけにはいかない。
御剣は冥の反応のいい場所を狙うように突き上げた。
「そうだ、冥はオトナだ。ちゃんとセックスでイケるんだからな……」
「そ、そうなの、あ、あっ、あっ、あんっ、あ……!!」
高い声を長く引いて、冥は御剣に腰を押し付けるようにしてイッた。
同時に、痙攣するように体をひくつかせた冥の中に、御剣も熱を吐いた。
手足を投げ出した冥は、まだ意識が朦朧としているようだ。
脚の間を拭いてやり、新しいシーツで包んでやるとミノムシのように御剣にくっついてきた。
「……出した?」
ぐ、と御剣が返事に詰まる。
「ウム……すまない」
「バカ。私もうちゃんと生理があるのよ。検事になる前にママになったらどうするのよ」
冥の言い方は穏やかだったが、御剣は背中に冷たいものが流れた気がした。
「そ、それは……」
「思ったよりは痛かったけど、思ってたより気持ちよかったわ。セックスって」
「……冥、その」
御剣の胸の中にすっぽりとおさまって、冥はフンと笑った。
「バカね。狩魔はカンペキなのよ。オトナの女性たるもの、常に危険日と安全日は把握しているわ。今日は安全」
「そ、そうか……」
「だいたい、あなたが頼りないから私がしっかりしないといけないの。ちゃんとコンドームを準備して頂戴」
さっきまで処女で、痛い痛いと泣いていた女の子に注意されて、御剣は苦笑する。
「ウム。心がけよう」
「あ、でも、だめ」
オトナの体が、御剣に抱きついてきた。
「あなたが持ってたら、他のひとと……セックスしちゃうでしょ。私が用意するわ」
やきもちも、オトナだった。
112 :
ミツメイ:2009/07/25(土) 15:57:43 ID:1i5D2F+E
御剣が、髪を短くした冥を空港で見送ってから間もなく、検事の試験に合格したという知らせが届いた。
狩魔豪は満足そうで、御剣も嬉しいと同時に気を引き締めた。
御剣の初法廷は、明日。
冥に胸を張って報告できるかどうか、正念場だ。
失敗すれば、やっぱりなにをしても頼りない弟弟子ねと言われ、今度こそ生涯にわたる上下関係が決定してしまう。
手の平を見つめると、そこに残った冥の肌の感触が蘇る。
次に冥に会う日は、いつになるだろう。
その時には、自分も彼女も、立派な検事になれているだろうか。
御剣はわくわくするような、面映いような気持ちを手の中に握り締め、狩魔豪から手渡された調書を開いた。
――――被告の名は、オナミダミチル。
以上。
おおおおおGJ!!
少女だけど色っぽいよなロリ冥タンww
GJ!!
最高ッス!!
GJ!
冥たんの無邪気な感じが犯罪臭いけど可愛くて萌えた
GJです
すごく萌えました
やっぱりミツメイいいな
GJ!GJ!
冥ちゃんカワユス!
真宵にも言えるが、冥はこのスレで何度処女喪失したんだw
ミクモエロはまだか
>>118 つーか何人に破られてるかって話だよな。
真宵は記憶にあるだけで成歩堂、御剣、あと新しいところでドリル兄がいたな。
冥は御剣と成歩堂以外はどうだっけ?
wiki見ると、メイは沢山の男とやってるなw
御剣、成歩堂、イトノコ、豪、ゴドー、響也、霧人、矢張、等々
その全部が処女設定かどうかはわからないが
>>118 wikiの御剣×冥SS、全40作のみ調査。
『初めて』等と明確に表現され、事に至っているもの
明確に表現されてないものの、おそらく『初めて』と推量できるもの
合わせると、20。
しかも、その半数はここ2年内の作品。
本当に調べてくれる人が居たとは思わなかったw
てーか作中で処女っぽいキャラのエロSSだと喪失描写は必須だな
何度でも破りたい
処女膜って実際破れるもんじゃないよねw
なんだこのミツメイフィーバーはww
しかしそろそろミツミクも読んでみたいのが本音。
127 :
名無しさん@ピンキー:2009/07/27(月) 12:20:56 ID:oMmXqXHS
素晴らしい作品!
ミツメイサイコー!!
ありがとう!
もっと読みたい!!
>>126 you書いちゃいなよ
季節柄縁日とか花火大会とかで
ミツメイが盛り上がってる中流れ豚切りですまん。
勢いで書いた狼×冥落としていく。
何だか最後はがっくりくるような甘さになっているので苦手な人はあぼんしてくれ。
逆転検事5話後。少々ネタバレ。
それではどうぞ。
130 :
狼×冥 1:2009/07/27(月) 17:03:49 ID:MtVh/pX7
「終わったな。」
共に追い続けていた事件に終止符に終止符が打たれた。その晩、狼が冥のホテルへ訪ねてきてそう言った。
「ええ、終わったわ。」
頷いて冥はソファに足を組んで座り、狼を見上げる。
「それで。あなたがここに来た用向きは?」
冥が問いかけると狼が肩にかけていた鞄を床に置いた。その中1本の瓶を取り出してテーブルの上に置き、続いて部屋に備えられたグラスを三脚並べる。
何のことかわからず冥が首をかしげていると、続いて写真立てをその横に並べた。
「あいつ、好きだったんだよな。これ。」
ようやく意味を理解した冥は少し切なそうに写真に視線を投げた。
「志半ばにして倒れたのは、本当に無念だったでしょうね。」
「そうだな…だがヤツの死をムダにしたわけじゃねえ。あいつも納得してくれるはずさ。」
狼がワイングラスにジュースを注ぎ、冥にグラスを手渡した。
「だから今日は、3人で乾杯しようと思って来たんだ。」
アクビーの写真の前にもうひとつのグラスを置き、最後のひとつを持ってアクビーの写真の前に置いたグラスに軽く重ねた後、冥の横に座った。
「そうね…」
冥も同じようにアクビーのグラスに触れた後、狼にグラスを差し出す。お互いのグラスを重ね、一口飲んでグラスを置き、冥は狼をまじまじと見た。
この男は検事を憎み、まったく信用しないでいた。だがそんな彼が冥には協力的だった理由を冥はずっと疑問に思っていた。それを聞くなら今このタイミングしかない、そう思い、問いかけた。
「前から聞きたいと思っていたのだけど、検事を毛嫌いしていたあなたが、なぜ私にだけは協力的だったの?」
「最初からあんたを信用していたわけじゃないさ。だが追う事件が一緒だと顔を合わせる機会も増える。そのうち思うようになったんだ。あんたの目は真っ直ぐに真実だけを追っているってな。オレ好みの強い目だ。だから協力してみようと思ったんだ。」
「当然ね。狩魔は完璧をもってよしとする。完璧な真実のみを求めるのよ。」
冥が言い切ると、狼がククッと笑った。
「そうだな。やはりオレの目は間違ってなかったってことだ。完璧な狩魔のロジック、見事だったぜ。あんたも、あの男もな。」
「当然の結果だわ―――と言いたいところだけど、あなたと御剣怜侍のお手柄ね、今回は。結果に免じて私を犯人扱いしたことは許してあげる。」
「そりゃどうも。でも、あんたがいなけりゃオレの一か八かの賭けは成立しなかったぜ。」
狼がソファに背中を預けて腕を組んだ。
「御剣怜侍、か。面白い男だな。―っと、アネさん、オレも聞きたいことあるんだが。」
「何よ。」
「あの男とは恋人同士なのかい?」
唐突にして思いがけない問いかけに、冥は一瞬驚いて固まった。ぱちぱちと数回目を瞬かせた後、フッといつもの表情に戻る。
「そう見えるかしら。」
「ちょっとだけな。違うのか?」
「違うわ。ただの兄弟弟子よ。そして私にとっては最大のライバル。それ以上でもそれ以下でもないわ。」
「そうか、じゃあ遠慮しなくていいな。」
ぼそりと呟いた狼の言葉が聞き取れず聞き返したが、狼はそれに答えずに右手を伸ばして冥の頬に触れた。思わず冥が身体を引く。
「何するのよ、突然!」
そう言って素早くムチを握り、その手を振ろうとして、だが冥は手を止めた。真っ直ぐに見つめてくるどこか熱っぽい狼の瞳に怯んだのだ。
131 :
狼×冥 2:2009/07/27(月) 17:04:41 ID:MtVh/pX7
「アネさん…」
熱を帯びた狼の視線。冥は金縛りにかかったかのように動けないでいる。頬を触れていた手が顎を捉えゆっくりと持ち上げる。狼が切なげに目を細めた。
「アネさん、好きだ。好きすぎてやばいぐらいに抑えられねぇ。」
「は?あなた正気なの?」
「もちろん正気だ。」
「何を…」
怯む冥の隙を突いて狼は冥を両腕で抱き寄せた。華奢な冥の身体はあっさりと狼の腕の中に納まる。腕の中の冥の感触に、狼はさらに愛しさを募らせ、ぎゅっと強く抱きしめた。
「何考えてるの、やめなさい!やめないとただですまないわよ!」
冥が威勢を張って全力で抵抗するが、男の力で束縛されては適うはずがない。
「好きだ、アネさん。」
肩口に顔を埋め耳元に囁くと、冥の身体がびくりと揺れた。
「オレのこと嫌いか?」
「そういうわけじゃ…」
「じゃあ、キスしてもいいか?」
「はぁ?何でそうなるのよ!」
冥にとっては突拍子もない申し出に、思わず身体を押し返す。恥かしさに顔を歪める彼女を、狼が縋るような目で見つめる。
「なあ、頼む。1回だけでいいんだ。」
そんな目で見られては、どうにも断れなかった。
「仕方ないわね。でも、一度だけよ。」
諦めて溜息と共に吐き出すと、間髪入れず狼が冥の唇に自らの唇を押し当てた。突然過ぎて呆気に取られる冥の隙を突き、狼の舌が歯列を割り入って冥の口内に侵入する。
舌を絡めとり、冥の漏らす呼吸を少しも逃さないような勢いで狼は彼女を熱烈に味わいつくした。
「はぁっ…」
冥は唇を開放されると同時に思い切り酸素を吸い込み、少々咽てしまう。呼吸を整え少し落ち着くと狼をキッと睨んだ。
「ちょっ…あんなのとは聞いてない…んっ!」
声を荒げる冥の言葉を遮り、今度は軽くついばむように口づけた。
「こういう方が好みだったか?」
「なっ…」
一瞬にして冥の顔が真っ赤に染まる。そんな冥がかわいくてどうしようもなく、狼は再び冥を抱きしめた。
「アネさん、すげえカワイイ。オレ、今最高に幸せだ。」
「ちょ…やめなさい!」
「嫌だね、離したくない。ほら、伝わらねえか?オレ今柄にもなくすげえドキドキしてんだぜ。」
言われて冥は身体を通して伝わってくる狼の鼓動に初めて気がついた。
こんな調子だからわからなかったが、もしかして彼も緊張しているのではないか、そう思えてくる。
それに軽い印象はあるが、常に本音で生きている男だ。その言葉も嘘ではないだろう。それに好きだと言われて悪い気がするわけではない。
そう考えていると冥はどうしても彼を意識してしまう。急に彼の腕の中にいることに気恥ずかしくなり、無意識に鼓動が早くなる。
流されてはいけないと思いながらも彼の体温が無性に心地よく感じられた。そんな冥の胸中を見透かしたように狼がさらに強く冥を抱きしめる。
「なぁアネさん。今だけオレのために普通の女の子になってくれねえかな。」
「なっ、なぜ私が…それにあなたなんかの言うことを聞かなきゃいけないのよ。」
身体を捩って逃げようとする冥。彼女の身体を少しだけ離して、狼は真っ直ぐに冥を見つめた。その熱い視線は冥怯ませる。
冥が反論できず沈黙していると、狼が続けた。
132 :
狼×冥 3:2009/07/27(月) 17:05:34 ID:MtVh/pX7
「オレがあんたを犯人扱いしたとき、あの男はあんたのことを無実と信じていた。それにあんたもあの男のことを…そんな、絶対的な絆を見せ付けられて、実はちょっとショックだったんだぜ。」
「別に私は…」
「わかってる。付き合いの長いあんたたちの間に割り入る隙なんてあると思っちゃいない。だが、今あんたはこうしてオレの腕の中にいる。だから…今だけでいいんだ。オレに夢を見せてくれねえかな。」
切なそうな視線をぶつけてくる狼を冥は拒むことができなかった。信じていた部下に裏切られたこの男が以前の自分とだぶって見えてしまう。
信じていた父、身内同然の御剣、ふたりを同時に失った時の喪失感と、そこから這い上がらなければ、狩魔を背負っていかなければという義務感。
この男もまた、一人で背負うべき重圧を抱えてきたのだ。それを支えてきた彼の右腕とも言える部下の裏切り。
それでも心が折れない彼は強いと冥は思った。だが、それは表面だけで本当のところは彼もまた心に傷を負っていたのだ。
そう感じた瞬間、冥は狼を拒めなくなっていた。傷の舐めあいのようなことは、冥は望んではいない。これが一時の突発的な感情だけならば、簡単に拒否しただろう。
だが、彼の瞳は冥が思っていた以上に純粋で。常に自分の心を偽ることなく生きてきた男の真っ直ぐな想いを拒むことは冥にはできなかった。
「わかったわ。でもひとつだけ約束して。今日のことはすべて忘れること、今後一切口にしないこと。誓えるならあなたにつきあってやらないでもないわ。」
「それは厳しい条件だな。思い出にもしちゃいけないのか…嫌だといったら?」
「今すぐ荷物をまとめて帰ってもらうわ。」
「そりゃないぜ。わかった、その条件でいい。」
言うと同時に冥の身体をひょいと持ち上げてベッドに寝かせて組み敷いた。
「…気が早いわね。さすがは狼男といったとことかしら。」
少し余裕を見せながら、冥が狼の鼻先をちょんとつつくと狼が苦々しく笑った。
「いきなり押し倒されて怖くないのかよ。」
「そうね、怖くはないわ。覚悟ならさっきしたし。それにあなたがただ私の身体だけを求めてるわけじゃないってわかったから。」
「アネさん…すまねえ。」
「これは私自身が決めたこと。あなたが謝る必要はないわ。」
冥の思いがけない妖艶な微笑みに狼はくらりと眩暈のような感覚を感じた。堪えきれず冥の唇に吸い付き、舌を絡めると今度は冥の方からも応えてきた。
口中を貪りながら胸元のリボンを解いて肌蹴させると白磁の肌が露わになる。そこから手を差し入れて下着の下へ滑り込ませて突起を指で挟むと冥の吐息が荒くなった。
胸への愛撫と口付けを続けながら、下着を剥ぎ取ると形のいい乳房が現れる。唇を開放して今度は胸へ舌を這わせてゆく。ざらり、と突起を舐め上げると冥の身体がぴくりと跳ねた。
「あっ…」
思わず漏らす冥の声がかわいくて、一方の乳首を口で愛撫しながら、もう一方を指で摘んだり転がしたりして刺激する。冥が声を殺して耐えていると、今度は手を下半身へと這わせた。
スカートの中へ手を滑り込ませ、ストッキングの上から腿を擦る。そのままスカートを捲り上げて片足を大きく曲げさせ、その中央をゆっくりと指でなぞった。
「やっ…」
反射的に閉じようとする冥の足をがっちりと固定して、両足の間に身体を滑り込ませる。覆いかぶさり両手で両足を抱え込み、冥を上から真っ直ぐに見下ろした。
「なあ、アネさん。あんたが魅力的すぎるからかな。オレ、何にもされてないのにもうこんなになってんだ。」
ズボンの上からでもはっきりとわかるほど膨れ上がったそれを冥の秘所に押し付け、擦り付ける。服越しでもその感触は冥の神経を刺激し、冥の腰がぴくりと揺れた。
下着を手早く剥ぎ取り、足を開かせると冥の秘所は少し湿り気を帯びていた。愛液を指で絡めとり、中央の突起を滑らせる。
「あっ…んっ!」
思わず身体を引く狼にしっかりと掴まれて逃げることはかなわない。与えられる刺激に身を捩っていると狼の指がズブズブと埋め込まれた。
中をかき回しながら、狼の舌は冥の突起をぴちゃぴちゃと音を立てて舐め上げる。その音に羞恥心を刺激されながらも、与えられる快感には逆らえず、冥がシーツを強く握った。
「どうだい、アネさん。気持ちいいか?」
「いやっ…」
首を振る冥の中に、狼は指を増やして突き立てる。
「どうせ終わったら全部忘れなきゃいけないんだ。素直になってくれよ。」
「だめ…」
散々かき回しても「イヤ」と「ダメ」しか言わない冥。狼は諦めて一旦その手を引いた。
133 :
狼×冥 4:2009/07/27(月) 17:06:11 ID:MtVh/pX7
冥を抱き起こして中途半端に乱れた服をすべて剥ぎ取り、頬を撫でながら愛しそうにまっすぐに見つめる。
「アネさん、綺麗だぜ。さすがは狩魔の完璧主義だ。非の打ち所のねえ身体だな。」
満足そうに冥を見下ろしながら、狼は自分の服も脱ぎ去ってゆく。
露わになった彼の逞しい上半身に冥は思いがけず目を奪われた。
無駄のない筋肉を適度につけた腕。筋肉質すぎず、だが厚みのある胸板。
この身体に抱かれるのか、とそう考えると冥の神経がざわりと鳥肌を立てた。
そして狼の身体を覆う服が全て取り払われるとすでに立ち上がった剛直が勢いよくそそり立っている。
思わず冥の視線はそれに釘付けになってしまった。今まで日本人としか経験がない冥にとってその大きさは今までに目にしたことがなかったんのだ。
「どうした、まじまじと。そんなに立派か、オレのは。」
「し、知らないわよ、そんなこと。」
狼がにやりと笑うと冥はふいと顔を背けた。面白がった狼が膝立ちになり、冥の目の前に剛直を突きつける。
「ちょ…何のマネ?」
「なあ、アネさん。ちょっと可愛がってくれよ。」
「はぁ?調子に乗るのもいい加減に…」
威勢良く吐き捨てようとするが、その言葉は狼によって飲み込まれた。唇を離し、狼が親指でつ、と冥の唇をなぞる。
「包まれたいんだ。このカワイイお口に。なぁ頼むよ、アネさん…」
言われて冥の顔が火を噴いたように真っ赤に染まる。
「なっ…そんなはずかしいことをよく言えたものね!」
「あんたのためならどんなセリフだって言えるさ。」
狼が反論する冥の手を掴み、膨れ上がった自身へ添える。冥の頭に手を添えて鼻先に自身を突きつけると、冥が恐る恐る口付けた。
亀頭をチロチロと舐めあげられ、ゆっくりと口に含まれると狼の腰がビクリと震えた。
「うぁ…アネさん、最高。」
思わず声を漏らすと上目遣いで見上げる冥と視線が合った。与えられる刺激だけでも気持ちいいのに、自分のものを咥えている冥の表情がなんとも言えず妖艶で狼の欲望はさらに掻き立てられる。
舐められ、吸い上げられ、手で刺激されるうち、絶頂近くなってきて狼は冥をゆっくりと離した。
「どうしたの、もういいの?」
「ああ。口の中もいいが、やっぱりあんたの中に入りたい。」
冥の身体を押し倒して両足を開かせる。すでに愛に濡れた秘所に剛直を押し当てると冥が息を呑んだ。
狼が己を埋め込むと冥の中はスムーズに彼を招き入れた。彼女の中が狼を包み込む刺激が強くて思わず眉を顰めると、その表情を見て冥がふふ、と笑を漏らした。
「あなたでもそんな余裕のない顔するのね。」
「あんたの身体があんまりよすぎるんだ。最高だぜ、アネさんよぉ…」
冥の顔にかかった髪を払いのけて頬を撫でて口付ける。舌を絡めながらゆっくりと腰を動かすと冥は喘ぎ声と共に熱い吐息を漏らした。
その吐息を飲み込みながら、少しずつスピードをあげて冥を突き上げる。奥まで貫かれて思わず冥が嬌声を上げた。
「ああん…んっ…!」
眉根を寄せて堪えようとする冥の耳元に口を寄せて狼が低く囁いた。
「我慢することはねえ。どうせ終わったら忘れなきゃなんねえんだからな。思いっきり乱れて見せてくれよ。」
耳元に熱い吐息を感じて冥はぞくりと身体を奮わせた。今まで経験したことのない大きさで最奥を何度も突かれては乱れるなという方が無理だ。
「あんたの中は最高だ。アネさん、愛してるぜ。」
耳朶を甘噛みされ、そう囁かれるとギリギリのところで保っていた冥の理性が音を立てて崩れた。
134 :
狼×冥 5:2009/07/27(月) 17:06:42 ID:MtVh/pX7
「本当は欲しいんだろ。」
再び狼が問いかけると冥が顔を背けて小さく頷いた。狼の口角がつり上がる。
「だったらちゃんとお願いしてみてくれねえか。」
「なんで…」
「嫌ならやめるか?」
狼が身体を離しかけると冥の腕が彼の背中を強く抱いた。
「イヤ…」
「じゃあ、ちゃんと聞かせてくれよ。そのカワイイ口から。」
狼が冥の唇を指でなぞると、すでに理性を失ってしまった冥は不本意ながら、だが満たされたい欲望に勝てず、小さく口を開いた。
「やめないで…あなたが欲しいの。」
潤んだ瞳で見上げられ、狼の理性も一気に吹き飛んだ。冥の身体を抱きしめて口付け、熱烈に冥の中を貪りつくす。
「アネさん、好きだ。好きすぎておかしくなりそうだ。」
耳元に囁いて、一旦身体を離して胡坐をかいて座る。冥を抱き寄せ、腰を掴んでその中に自身を埋め込んだ。
冥が狼の胸に自らの胸を押し当てるように掻き抱くと、狼の低い声が吐息と共に漏れる。
「ああ…」
狼がゆっくり突き上げる。冥のふくよかな胸が狼の胸を擦る感触が狼には何とも心地よく感じる。
冥の身体を支えて激しく突き上げると冥の身体が狼の動きに合わせて揺れる。
狼を深く咥え込んで冥も自らの腰を押し付けて絡ませた。狼がさらに冥を突き上げると冥の口から嬌声が漏れる。
「ああん、いい、いきそう…」
狼を凄い勢いで締め付けたと思うと、冥が狼にしがみついてきた。狼をくわえ込んだまま冥の中がびくびくと痙攣している。少し落ち着くのを待って狼が自身を引き抜いた。
「アネさん、気持ちよかったか?」
顔を覗きこんで視線をぶつけると冥が恥かしそうに無言で顔を背ける。
「じゃあ次はオレの番だな。」
仰向けに冥を寝かせて足首を掴んで高く持ち上げると、冥がハッと我に返った。
「ちょっと、まだやる気なの?」
「そりゃ、オレはまだいってないんだぜ。ここでやめるなんて生殺しだ。」
冥の足を肩に担ぎ上げ、真上に組み敷いて剛直を宛がった。最早冥の様子を伺っている程の余裕もなく、体重を乗せて冥の最奥まで思いきり突き立てた。
135 :
狼×冥 6:2009/07/27(月) 17:07:15 ID:MtVh/pX7
「やぁっ…」
一度達したにも関わらず、その刺激は冥の官能を再び生み出すのに十分すぎた。
奥で一旦止め、ぐりぐりと腰を押し付けながら中をかき回すと冥が苦しそうに喘ぐ。
「早く、して。焦らさないで…」
理性が完全に吹き飛んでしまった冥は最早何が何だか自分でもわかっていない様子で、狼を求めてくる。そんな冥の姿に触発され、狼の欲望はますます高まってゆく。
「アネさん、カワイイぜ。やっぱあんたが最高だ。」
何度かゆっくりと奥を突いていると、冥がシーツをぎゅっと握り眉を顰めた。
「お願い、早く…もう我慢できない…」
そんな冥が可愛くて狼は胸を鷲掴みにされる。普段威勢を張っている彼女の乱れる顔がどうにも愛しくて仕方がない。
もう少し苛めたいとも思うが、これ以上焦らすと後が恐ろしいので狼は彼女の言葉に従うことにした。
彼女を突き上げるスピードを速め、真上から何度も何度も腰を打ち付ける。
ぐちゅぐちゅと淫猥な音を立てる結合部からは愛液が白い泡となって溢れ出している。
「ああっ…気持ち、いいっ…おかしくなりそう!」
嬌声を上げる冥をさらに追い詰めるべく何度も貫く。よがり狂って息も絶え絶えになった冥の足を離してその身体に覆いかぶさった。
ついばむように口付け、その身体を強く抱きしめながら最奥を貫くと冥の手が狼の背中を強く掴んだ。
背に痛みが走り、血が滲むがそんなことなどお構いなしに狼が冥を激しく突き上げた。
「アネさん、どうだい?気持ちいいか?」
「ん…はぁっ、すごい…お願い、もっと…」
「頼まれなくてもイヤというほどやってやるさ。」
言って狼はさらに激しく冥を貫いた。己にしがみつき、涙交じりの嬌声を上げる冥を容赦なく何度も何度も貫く。
やがて、冥が絶頂へと押し上げられ、狼の肩に噛み付いた。
「クッ…!」
肩に鈍い痛みが走ったが、それを堪えて突き立てると凄い締め付けに襲われた。
「ああっ…もうダメっ!」
噛み付くような刺激が狼自身を包む。限界を感じて狼は自身を引き抜くと冥の腹の上に欲望の全てををぶちまけた。
そのまま冥の上に倒れこみ、乱れた息を整えながら冥の頬を撫でた。
「アネさん…大好きだ。最高によかったぜ…」
「バカが何を…」
愛しそうに、しかし切なげな瞳で見つめられ、冥は口にしかかった言葉を止めた。
「私も、こんなの初めてかもしれないわ。」
「それは光栄だ。ありがとうよ、最高の夢、見せてもらったぜ。」
そう言って寂しげに微笑む狼の頭を冥がギュッと引き寄せた。
「バカはバカなりの結論を出したがるのね。バカみたいな真っ直ぐな想いが伝わることもあるかもしれないわよ。」
狼がハッ顔を上げて冥を見ると、冥は真っ赤な顔をふいと逸らした。
「狼子曰く、『夢と現実は紙一重』そう思っていいのか?」
「そんなことは自分で考えなさい、バカ。」
「わかった。」
狼が冥に口づけて強く抱きしめ、耳元に囁いた。
「愛してるぜ―――冥。」
冥の目が一瞬見開かれる。やがて狼に見られないように唇をふっと弛めた。
「バカ…」
冥は言葉で威勢を張りながら、だが狼の背中に優しく手を回し、彼の身体を引き寄せた。
以上です。
冥は誰と絡ませても楽しいから好きだ。
マイナーカプだが、王道カプの職人さんが降臨されるまでのつなぎにでも楽しんでもらえれば幸い。
以下、まったりどうぞ。
GJGJGJ!
リアルタイムで読んだの初めてで、さらに感動
狼×冥っていいな!仕事仲間だし、恋仲に発展の可能性は充分だし、
色々過去のことがある御剣が相手のときとは一味違って、安心して読める
オレのココロも鷲掴みされたぜ
個人的に冥の相手も狼の相手も本命は別なんだが読んでてニヤニヤしたw
ごちそうさま
ロウ×メイ待ってました!GJ!
ロウメイきたーー!
GJです!
ミツメイ、小道具の使い方よかった
髪を切った理由とか
大本命のロウメイきてた!(゚∀゚)
GJです!最初から最後までドキドキしながら読ませていただきました!
まさかのロウメイGJです!!!!
冒頭から最中への持って行き方が大好きでした!!
144 :
129:2009/07/29(水) 11:23:33 ID:N9BKXKtk
うわ、今見返したら間が数行抜けて意味のわからん流れになってたorz...
すまんが、5の最初に↓を追加して読んでくれ。
「ああっ…いい、もっと!」
豹変したように乱れだす冥を狼がさらに突き上げた。結合部から漏れる淫猥な音が官能をいっそう煽り、冥の欲望を掻き立てる。
徐々に締め付けがきつくなってきたところで狼は一旦動きを止めて、自身をずるりと引き抜いた。
「え…」
絶頂寸前まで高められていたのに、突然出て行かれて冥はどうしようもなく疼く体を奮わせる。潤んだ瞳で狼を睨みつけた。
やめるつもりで抜いたわけではないが、そんな目で見られては―――狼の悪戯心に火がついてしまった。
「アネさん、気持ちよかったか?」
「…バカはバカなことを聞きたがるものね。バカバカしい―――あっ…」
非難めいたことを言う冥の中に指をぐっと突き刺すと冥の言葉が遮られた。狼の指を冥の中がきゅうきゅうと締め付けてくる。
「強がるのはやめようぜ。あんたのここはオレを欲しがってるんじゃないか。」
「そんなバカな、こと…!!」
狼が指を抜くと冥の秘所が名残惜しそうに震える。狼が剛直を押し当てて擦り付けるように動かすと冥の体の奥がぞくりと疼いた。
GJ
「狼は素人童貞」という電波を突然受信した件について
>129
ロウメイgj!!
>146
くわしい報告書を提出しなさい。
さて、これからはみみつを投下します。いつものことですが、用法容量を読んで正しくお使いください。
【用法容量】
・「お前正気か」と思うほど長い
・はみみつですが、いつものはみみつとは設定が全く違います。
・だが、はみが女子高生なのは鉄板。
・御剣がロリコンなのも鉄板。
・2人とも片思い
・2人とも幸せにならない
・悲恋系
以上がOKな方はご覧ください。
ダメな方はスルーですよ。
148 :
はみ→←みつ:2009/08/02(日) 23:49:14 ID:QghNw35o
* *
足もとがふらつく。
仕事が終わったので、元弁護士の友人に、個人的に依頼していた裁判記録のファイルを取りに行こうとして、御剣は身体がひどくだるいことに気が付いた。
どうやら季節はずれに風邪でも引いたらしい。今日は余計なことをしゃべらず、早く帰るとしよう。そう思って「成歩堂なんでも事務所」とある事務所のインターフォンを鳴らすと、
常とは違う少女がひょこりと顔を出した。
「まあ! みつるぎ検事さん」
「春美くんか……?」
出迎えたのは、マジシャン志望の少女ではなく、古い知人である綾里春美だった。久しく見ない間に、随分大人びた。今日はセーラー服を着ているので、
ことさら彼女の成長ぶりが目に見えた。
「そうか。きみは今、こちらの高校に通っているのだったか」
「はい。それで、今日は真宵さまのお遣いに来たのですけれど、なるほどくん、みぬきちゃんとお出かけしてしまって……どうぞ、中で待っていてください。きっとすぐに戻ってきますよ」
春美に促されて、御剣はものがやたらと多い事務所の中へと歩みを進めた。ソファに座り、息をつく。
「……みつるぎ検事さん? ずいぶんお疲れの様子ですね。大丈夫ですか」
「いや、少し身体がだるいだけだよ。成歩堂にもらうものをもらったら、すぐに帰る」
目をつむってそう答える御剣。目を閉じているだけでも、身体の疲労が取れる気がした。すると、ふいにやわらかであたたかな感触が頬に触れた。
驚いて目を見開くと、もっと驚いた。春美の顔が至近距離にあった。頬には彼女の手のひらがあてられている。
「は、春美くん……?」
「やっぱり! お熱があります!! いけませんよ、検事さん! ご無理をなさっては、治る病も治りません!」
まるで子どもを叱る様に、めっという顔をされてしまった。そんなことをされたことがないので、ひどく恥ずかしい気持ちになる。
「……時には、無理をしなくてはいけないときもある」
「それは、今がそうなのですか?」
「……」
いつもかもしれない。
御剣は返す言葉がなくて、黙り込んでしまった。春美は大きく溜息をついて、別室へと消えてしまう。
呆れさせてしまったのだろうか。まだ高校生になったばかりの少女に。それにしても、彼女は随分大きくなった。はじめて出会ったころは本当に泣き虫で、
よく笑う子どもだったのに。さっき頬に触れた指は、しなやかで美しく、温かかった。繊細そうな指先で、まるで女性だ。目の前で見た大きな瞳も、
長いまつげも、白い肌も、知人の欲目などなくても美人と評することができた。友人の娘と、たしか一つしか違わないはずなのに、なぜこんなにも“女”を感じるのだろうか。
そこまで考えて、御剣は頭を振った。どうも、相当熱が高いようだ。とりとめもないことが頭をよぎり、収集がつかない。
そして、どれくらいの時が経ったのかはわからないが、春美が大きな毛布を抱えて部屋へ戻ってきた。頬に笑みをたたえながら、手に持った毛布を肩にかけてくれる。
その様は慈愛に満ちていて、ひどく心が休まった。
このままなら、きっとすぐに眠ってしまう。
他人の仕事場だということも忘れて、疲れた体を睡魔に明け渡してしまいそうだ。だが、うつらうつらとする中で、突然温かなものが額に触れる。
揺れる視界には、さっきよりもずっと近くに春美の美貌があった。目を見開く御剣。春美の額が、自分の額に触れていた。その意図は理解できたが、御剣はなぜか息をつめた。
自分の姿を映す澄んだ瞳、白磁の頬、やわらかそうな唇、触れる額の心地よさ……。全てに心を奪われそうだったから。
いや。
あるいは、奪われてしまったのか。
御剣は、春美から視線を背けた。
149 :
はみ→←みつ:2009/08/02(日) 23:50:14 ID:QghNw35o
毛布を持ってくると、御剣はすっかりうつらうつらとしていた。そんな御剣を見て、春美はまるでおおきな犬みたい、などと考える。
そして、ふふっと笑った。ずっと大人だと思っていたひとが、眠る姿のあどけないのを知って、何だかいつもより自分が優位に立てた気がしたのだ。
「はい、温かくしてくださいね」
そう言って、正面から御剣の肩に毛布をかけてやる。至近距離で男の顔を見て、やはりいくつになってもこの人はきれいな男の人だと思った。
普段は白すぎるくらいの肌が、熱で赤くなっていて、瞳が潤んでいる。ずいぶん庇護欲をそそるひとだな、と感じながら、春美は御剣の額に、自分の額をくっつけた。
熱を測ろうと思っての行動だった。そんな春美の行動に、御剣は目を見開いて驚いた表情をした。顔を赤くして、視線を背ける。その御剣の様子に、春美もまた驚く。
こんな大きな殿方でも、照れることなんてあるのだ、と。
触れる額の熱が、何だか急に愛おしく感じた。胸の奥が、きゅうっと締め付けられる。しんと静まり返った室内で、御剣はふいに視線を上げた。
至近距離で互いに見つめあう。小さく、かすれた男の声が春美の耳を打った。
「ダメだ……」
そう。だめだ。
でも、そう思った時には、もう遅かった。春美は、静かに御剣の瞼へと口づける。暖かな瞼と唇が接触した、誰も動かないその時──。
確かに二人は、触れてもならない恋に落ちた音を聞いた気が、した。
150 :
はみ→←みつ:2009/08/02(日) 23:52:01 ID:QghNw35o
* *
それから数ヶ月後、梅雨入りし始めた雨の中、偶然にも御剣は学校帰りの春美に出会った。成歩堂の事務所に行く途中だったので、おそらく彼女の行き先も同じだろうと思われた。
しかし、風邪で世話になって以来彼女とは会っておらず、何と声を掛けていいか分からなくて思わず足まで止めてしまった。すると、自分の存在に気づいた彼女の方から近寄ってくる。
「こんにちは、みつるぎ検事さん。また、なるほどくんのところですか?」
空はどんよりと曇っているのに、彼女の笑顔で陽光が差し込んだような気がした。傘で跳ねた雫が、きらきらと光る。急に胸が苦しくなって、御剣は動揺した。
「あ、ああ……。きみも、だろうか」
「ええ。また真宵様に伝言を頼まれてしまいまして。ふふ、とっても仲良しなんですよ、お二人は」
「そ、そうか……」
「ええ」
御剣は生返事しかできない自分を呪った。何もやましい気持ちを持っていないのであれば、普通に接すればいいに。何を緊張しているのだか。
それは、以前に瞼に触れた彼女の唇の温かさを未だに覚えているせいなのだろうか。
「もう、風邪は大丈夫ですか」
「む……。ああ、きみの看病のおかげだよ」
あの後、成歩堂と娘のみぬきが帰ってきて「きゃあ! 御剣のおじさま、すごい熱!! パパ、泊まってってもらおうよ」という一言で友人宅で厄介になり、
薬を飲んだら一晩で治った。朝起きると、すでに春美は学校へ行った後だったので、礼も言えずじまいだったことを思い出した。
「あの時はありがとう。助かったよ」
「いいえ。わたくし、大したことはしていませんもの」
そうは言うが、生活能力の欠如した親子に代わり、親子の食事や御剣の病人食をつくったのは春美だったはずだ。
それに、意識がもうろうとする中で額に触れた手のひらは、彼女だった。繊細で優しい温かさは、男や子どもにはないものだったから。
「きみのおかげで治ったようなものだよ。何かお礼をしなくてはな」
「まあ! 別に、気を使わないでください」
「そうはいかない。命の恩人だからな」
そう言って微笑むと、春美は苦笑して「なんでもいいんですか」と問うてきた。笑って頷くと、春美はそれでは、と小さくつぶやく。
「待っていてください」
え、と聞き返そうとして春美を見ると、まっすぐにこちらを見つめていた。その真剣さに、御剣は再び足を止める。
足元で水溜りの水がはねてスラックスの裾を汚したが、気にもならなかった。。
「わたくしが大人になるまで、待っていて、くださいませんか」
何を、とは御剣は聞き返せなかった。
待たずとも、今すぐにでも連れ去りたいと、一瞬だけ欲望が脳裏をかすめた。それだけに。
御剣は、何も答えられなかった。
そんな御剣を見て、春美は困ったように笑う。そして、おもむろに傘を閉じた。セーラー服の襟が、しとしとと降る雨のせいで深い色に変わっていく。
「手を」
「?」
「手をつないでください。それだけで、構いませんから」
今のことは忘れてくださいと言わんばかりに、はっきりとした声で言った。その声に救われたような気持ちになりながら、御剣は手を差し出す。
そっと手を重ねてきた少女を傘に入れて、その指先の細さを感じた。重ねられた手は、やはり繊細で温かくて。
泣きそうなほど、愛おしかった。
互いに互いの手のひらを握り返すこともできずに、ただ触れ合わせただけで、事務所までの道のりを歩いた。
それでも、互いの体温が胸を締め付けるので、とうとう目的地に着くまで、一言も声が出なかった。
151 :
はみ→←みつ:2009/08/02(日) 23:53:11 ID:QghNw35o
御剣はその夜、自室で自身の欲望を扱った。男なのだから、そんな夜もある。珍しいことではなかった。それでも、なぜか思い起こす体温に、背徳感の中で作業を行う。
あの細い身体を抱きしめたら。瞼に触れたあの唇に吸いつくことができたら。あの繊細な指先に、自身を愛してもらえたら。
彼女を自分の欲望のまま扱えたなら、どれほど気持ちがいいだろうか。
妄想は止めどなくて、身体は飢えに飢えていた。男根を荒々しくさすりあげ、快感が背筋を虚しく走る。声が出そうになるが、唇を噛みしめてこらえた。
それでも漏れ出る擦れた声は、まるで泣いているようだ。
手に触れるだけで胸が締め付けられるのに、抱きしめることもできない。そのくせ、こんな妄想では満足できないのだ。この感情をどこへやればいいのか、御剣にはわからない。
「……っ!」
あっという間に手の中で欲望を吐き出して、御剣はベッドに倒れ込んで息を整えた。瞼を閉じれば、今日の帰り際に見た少女のせつなそうな表情が浮かぶ。
馬鹿げている。
自分は、どうかしてしまったのだろうか。まだ高校生の少女に、たかが看病されたくらいで、こんな感情を抱くだろうか。
彼女は確かに美しく成長したけれど、何も美しいだけの女なら、他に大勢いるではないか。今まで付き合ってきた女性たちだって、皆美しい人ばかりだった。
だが、同時に心の中で反証の声が上がる。彼女の声を聞くと、心が休まる。その体温が、ひどく心地いい。傍に居て安心して眠れる女性には、今まで出会ってこなかった。
『待っていてください』
待っていれば、彼女を手に入れられるのだろうか。
きっと、そんなことは、ありえない。
検事という職に就く自分が、いくら待っても彼女を受け入れることはしてはいけなかった。まして、自分の欲に従って彼女を攫うこともできるはずがない。
逃げ出したい。
逃げ出したいのは、現実なのか、彼女への思いなのか、それすらもよく分からなかった。
152 :
はみ→←みつ:2009/08/02(日) 23:54:33 ID:QghNw35o
彼と触れた指先が、まだ熱を持っているような気がした。
『待っていてください』
そう告げた時、男はひどく動揺していた。とても真面目なひとだから、応えることができなかったのだ。だから、彼に告げたあの言葉は、なかったことにしようと思った。
それでも、触れた手からはどうしようもなく彼の温もりが伝わってきて、胸が詰まる。今でも、息がつまりそうだ。
「はーみちゃん。今日はおつかいありがとね」
「真宵さま……」
背後から声をかけてきたのは、最も敬愛する従姉だった。仕事を終え、帰ってきたばかりなのだろう。屋敷に入る時に焚く退魔の香のにおいがした。
「どうかした? 元気ないね」
「そ、そんなことはありません! わたくし、とっても元気です!!」
「そ? ならいーんだけど。なるほどくんとみぬきちゃん、元気だった?」
「はい! あ、今日はみつるぎ検事さんもいらしていて……」
声に出して名前を呼んで、急に気恥しくなってうつむいてしまう。
「みつるぎ検事がどうかしたの?」
「い、いえ……。何でもないのです」
胸が苦しい。名前を呼ぶだけでこんな風になるのなら、次に会った時、自分はどうなってしまうのだろう。
「あの、真宵さま……? なるほどくんと一緒にいると、どんな気分になるのですか」
「んー? 別に、どんな気分ってわけでもないけど」
「あ、あの、その……普段ではなくて、お二人で、デートしたり、とか……そんなときです」
春美に改めて言われて、真宵はぽっと赤くなった。そして、慌てたようにあーあー。そーゆーことねー。と落ち着きなく言った。
「そりゃまあ……どきどきはするかなー。長い付き合いだけど、今はあんまり会えないから、たまに会うと、やっぱり、ね」
そう言う従姉は、照れていたけれども、幸せそうに目をキラキラさせていた。従姉のその様子は本当に幸せそうで、自分まで嬉しくなってしまう。
そう、本当の恋は、きっとこんな風なものなのだ。愛する人のことを考えて、笑顔になって、結ばれて、幸せになる。
ならきっと、この気持ちは『恋』ではないのだ。
会えない時は「少しでもいいから、近くにいたい」「自分の名前を呼んでほしい」「また、あのぬくもりに触れたい」と思うのに、
会えばそんな思いはどこかへいってしまって、ただただせつない気持ちになる。自分の望みがかなうことなどないと知っているから。
ただ、その現実がひどくさみしくて、悲しい。
そんなの、きっと恋ではない。
「真宵さま、お茶を入れてきますね」
「うん。ありがと」
なぜか湧き上がる涙がこらえきれずに、逃げるように従姉の傍を離れた。
153 :
はみ→←みつ:2009/08/02(日) 23:56:19 ID:QghNw35o
* *
夏が過ぎても、春美は御剣と会わなかった。
彼もしばらく「成歩堂なんでも事務所」には行っていないようだった。彼との接点などその場所しかない春美は、自然と御剣と出会うことはなくなっていった。
このまま、この気持ちがなくなってしまえばいいのに。
そう思うのに、つい街に出ると似た体格の男を目で追ってしまう。ショウウインドウに並べられているスーツを見て、思い起こすのは法廷に立つ男のシルエットだ。
赤い車には、彼が乗っているかもしれない。
そんな風に街を見るのが楽しい。そして、我に帰って自己嫌悪に陥る。
忘れたい、なんて言っていながら、忘れるどころか毎日考えている。最低だ。うつむきながら歩く春美の横を、一組のカップルが通り過ぎた。
「最近、涼しくなったね。もう夏も終わりかな」
「海、楽しかったね。次は紅葉狩りに行こうよ」
何気なく交わされる会話に、思わず耳を澄ませる。あんな風に、あの人と話ができればどんなに幸せだろう。二人でこれからを考える。
一緒にいることを2人で話し合う。毎日彼のことを考えることが、自分の権利になる。
悲しい絵空事に、春美は空を見上げた。空は遠くなって、薄い青色で街を覆っていた。
ふと見かけた髪紐は、彼女の淡い髪の色に映えるのではないかと思った。
虹色に輝く飾り玉は、ムーンストーンだろうか。朱に染められた紐は、和服を好んで着るあの少女には似合いの品だろう。
しばらく店の前で足を止めた御剣は、はっと我に返った。気がつくと、あの少女に手渡すものを考えている。深い意味はない。
以前の看病の礼を、まさかあのままにしておくわけにはいかないと思っているだけだ。しかし、あまり大袈裟な品を渡して、恐縮されるのも気が引けた。
誕生日なら、どこへでも好きな場所につれていくだとか、花を渡すだとか、昔好きだったクマのぬいぐるみを選んであげるとか、色々思いつくのに。
だからここのところ、ずっと彼女のことを考えている。それ以外に理由なんてない。街でセーラー服の少女を目で追ったりはしないし、和服姿の女性を気にとめたりもしない。
そんなのただの犯罪者だ。
そこまで自分の行動を振り返って、御剣は頭を振った。
だめだ。早く買ってしまおう。このままでは確実に不審者で職質されてしまう。先ほどの髪紐は、確かに彼女に似合いそうではないか。
淡くて長い髪に、朱の髪紐が踊る。彼女が笑うたびに、虹色の玉が柔らかく光って、きっと美しいに違いない。
その想像上の少女の笑顔に、御剣はふと笑みをこぼす。
これを持って、会いに行こう。
御剣はその儀式さえ終われば、きっと自分たちはかつての歳の離れた友人同士に戻れるに違いないと信じた。信じたかった。
だが、すぐにどんな風に渡そうかと悩みはじめ、これが「ただの看病の礼」でないという自分の感情だけが突きつけられた。
途方に暮れた御剣は、結局、その儀式を行動に移すまでに数カ月を必要とした。
154 :
はみ→←みつ:2009/08/02(日) 23:57:51 ID:QghNw35o
* *
ひんやりとした空気が、春美の感覚を研ぎ澄ます。今日は雪が降るかもしれないと天気予報が告げていた。
従姉に傘を忘れないように告げたのは自分なので、間違いはないはずだった。
その従姉のお遣いで、春美は「成歩堂なんでも事務所」までやってきていた。そして、白い息を吐き出して事務所の前に立ちつくしている。
冷たい空気は、霊感を研ぎ澄ませるのだ。こんな時の春美の予感は、絶対に外れない。
出会う気がするのだ。彼に。
事務所の主なのか、その娘なのか。扉越しの気配はひとつだけだ。常識的に考えて、室内の気配は事務所の主のはずなのに、それでも春美の霊感は「彼だ」と告げていた。
梅雨から一向に会わないままなのに、抱えた感情は消え去ることはなかった。
毎日男のことを思い出しては、彼と思いを通わせる妄想に思いをはせ、現実に返って自己嫌悪に陥る日々を繰り返す。
そんな日々を過ごしていると、もうただ会いたいだけなのではないかという気がしてくる。ただ会って、あの怜悧な瞳で自分を見つめてくれたら──ああ、また彼のことを考えた。
今、あの端正な顔を見たら、自分はどうなってしまうのだろう。この、紛いものの恋情を抱えたまま、彼とまともな会話ができる気がしなかった。
それでも、従姉の頼まれごとを達せずに帰るという選択肢は端から春美にはない。意を決して、事務所の扉を開いた。
曇天から粉雪でも舞い降りそうな、きんと空気の冷えた日。こんな日は、絶対に春美の予感は外れない。
扉から見えた姿は、ワインレッドのスーツだった。
155 :
はみ→←みつ:2009/08/03(月) 00:02:00 ID:QghNw35o
不用心にも鍵のかかっていない事務所の扉を開けたのは、事務所の主ではなく、セーラー服姿の少女だった。
久しぶりにその頼りなげで可憐な姿を見て、御剣は胸を刃物で突かれた気になった。少女は、今にも泣き出しそうな表情をしていたから。
「みつるぎ、検事さん……」
「春美くん……」
揺れる瞳を見たくなくて、今すぐにでも抱きしめたい衝動が沸き上がり、御剣はそれを必死に抑え込んだ。
だから、だめなのだ。こんな気持ちを抱き続けるから、これを渡しに行けずにいたのだ。反省の念を心の中で何度も唱え、努めて平常を装って、手のひらのものを少女に差し出した。
「……ちょうど良かった。今日は、きみへのプレゼントをここに置いていこうと思っていたんだ。……私たちは、いつ会うかわからないから、な」
「……ええ……そうですね」
少女の小さな声は、自分と同じように平静を装うとしたものだった。だが、それは完全に失敗していて、苦しみや悲しみ──歓喜の色が漂っていた。
ならば、自分も同じような声をだしているのだろう。とても、今の感情を上手く制御できているとは思えなかった。
久しく見ない間に、少女はまた大人びたような気がする。美しい顔に、苦悩と期待がないまぜになった表情を浮かべ、大人の色気を醸し出していた。
男を狂わせるその怪しい美貌にこくりと生唾を飲み込みながら、御剣は強引に欲望を脳内から切り離す。そして、春美の手を取って、ささやかな贈り物を手のひらにのせた。
淡い色に光る透明色の玉がきらきらと光る、赤い髪紐。
「この前の看病のお礼というわけではないのだが……街を歩いていて、偶然見つけたのだ。きみに、似合うのではないかと思って」
春美は、髪紐をぎゅっとにぎりしめて、無言でうつむいてしまった。御剣は焦った。女子高生に、この髪紐は少し渋いシュミだったろうか?
「気に入らなければ、捨ててしまって構わない。ただの私の気まぐれだから」
「……どうして……」
静かな事務所内では、春美のどんな小さな声もこちらに届いてしまう。彼女の悲痛な声音を聞くくらいなら、今すぐ事務所を飛び出したいと思った。
「どうして、そんなに、優しくしてくださるんですか……?」
「どうして、と言われても……」
彼女は幼いころから知る、友人の一人だ。古い友人が可愛がっていることもあって、自分も随分長い間彼女を見守ってきた。そこに、理由なんてない。
違う。
彼女がそんな答えを求めているのではないことはわかっている。だからと言って、何を告げればいいのか。告げるべきことは何もなかった。
彼女が今にも泣きそうな顔をしていても、自分の胸が張り裂けそうでも、そんな理由を探究してはいけなかった。
「……私が、きみに優しくしてはいけないかな」
ずるい言い方だ。聡明な彼女には、男の苦し紛れがわかっているに違いない。それでも、それ以上を自分の口から言うことはできなかった。
だが、顔を上げた春美が涙を流しているのを見て、自分は今すぐ死ねばいいと思った。
こんな少女を泣かせるくらいなら、全てぶちまけてしまえばいいのだ。「今すぐにきみを抱きしめたい」と。
「……質問の仕方を、変えますね。……街で何気なく歩いている時にまで、わたくしのことを考えてくださっていたのですか」
御剣の身体は硬直した。まさに、その通りだからだ。春美の瞳は、まだ大粒の雫がこぼれているのに、覚悟の色を宿していた。覚悟? いや──狂気かもしれない。
「みつるぎ検事さん。毎日、わたくしのことを考えているのでしょう? だから、こんな贈り物をしてくださるんです。違いますか?」
目の前の可憐な少女は、大粒の涙をこぼしながら禁忌を力づくで乗り越えようとしていた。その瞳は、自分の言葉で自身を傷つけているように見える。
「みつるぎ検事さんは、ずるいです。大人だから、わたくしのことを女性として見られない、なんてふりをしていて、検事さんはわたくしのことを女性として見ているじゃないですか」
「……春美くん……」
156 :
はみ→←みつ:2009/08/03(月) 00:03:54 ID:o12r5pe/
御剣は言い返せない。全くその通りだったからだ。自分の保身と感情の平定のために、目の前の少女を犠牲にしている。そんなつもりがなくても、彼女を傷つけている。
本当に、そんなつもりではないのに。
「わたくしは、どうすればいいんですか? わたくしは……っ、わたくしだって、期待してしまいますっ……! わたくしだって、女なんですから」
その言葉に、御剣は何かの堰が切れたと思った。
彼女の傍にいると、どうしようもなく安らかな気持ちになれるだけだった。
彼女の笑顔を、もっと見たいと願っただけだった。
それ以上が欲しいと、願ったのはいつからだったんだろう。
御剣は、春美の身体を力任せに抱き寄せて口づけた。
* *
何もかもが苦しかった。はじめての口づけは、酸欠になるまで続けられて、それからも貪る様に御剣の舌は口腔をまさぐっていく。力の限りに抱きしめられて、背骨が折れるかと思った。
それでも、何もかもがどうでも良くなるくらいに、満たされた。
それがこのひと時だけだったとしても、もうどうでも良い。
首筋に熱い舌を這わされて、身体が震える。太ももを撫で上げる節くれだった男の指に、背筋がぞくりとした感覚が走り抜けた。
ソファの上に押し倒されて制服を乱され、気がついたら下着まで脱がされていた。胸を揉みしだかれて、その力強さに切なくなる。
小さく声を漏らすと、御剣は春美の声ごとむさぼろうと深く口づけてきた。吐息ごと春美を味わいながら、御剣もいつの間にかスーツを脱ぎ棄て、シャツを乱す。
汗ばんだ肌に指を這わせて、春美は愛おしさがこみ上げてきて、涙が溢れた。
「みつるぎ、検事、さん……」
「春美、くん……」
互いに名前を呼ぶだけで、それ以上は何も言わなかった。言えなかった。この感情を、言葉にするよりも繋がった方が早いと思った。
こんな切ない気持ちを、どう表現すれば良いというのだろう。結局互いに何も言えず、また深く口づけ合った。情熱が込められた口づけは、息ができないほどだ。
春美は息ができなくても構わないと思った。息よりも、目の前の男の唇と舌が欲しかった。この甘い感覚さえあれば、呼吸ができずに死んでも構わない。
早く一緒になってしまいたかった。身体中に太い指が這う感覚はたまらなく甘美だったけれども、それよりももっと男の熱を感じたいと思った。
御剣の股間へと手をやると、そこはすでに凶暴なほどの熱と固さを持って存在を主張している。春美はぼんやりとその熱を手のひらで弄んだ。
スーツから取り出し、下から上へと指を這わせ、頂きに指をそっと擦りつける。すると先端から粘液があふれるので、指に良く絡ませてから、また熱い塊をそっと握りしめた。
そうやって遊んでいると、男に手のひらを掴まれて制止されてしまった。不思議に思って男の顔を見ると、男は額に汗をかきながら、なにかをこらえるように眉を顰めているではないか。
「みつるぎ、検事さん……?」
「……どこで、そんな悪戯を覚えてきたんだ?」
私が教えるつもりだったのに、と耳元でささやかれて、ようやく春美は自分が何をしたのか把握した。顔を耳まで真っ赤に染める。
「……これ以上は、ダメだ。……すぐに、限界になるから」
男の低くかすれた声を耳元で聞いて、それだけでもう春美は限界だと思った。腰がしびれて仕方ない。身体が熱くほてって、まるで熱に浮かされたようだった。
息ができないくらい苦しい。早くキスして。あなたの呼吸を分けてください。
涙をにじませた瞳で、そんな意志をこめながら男を見つめると、春美の霊感で繋がったのかまた深く唇を重ねられた。
口づけながら、男の指は春美の頑ななつぼみにそっと触れてくる。かすかに濡れるそこを、男の指が丹念に揉み解していった。
他者に秘所を探られるという経験のない感覚に、春美は身体を震わせた。
男はその震えに気が付きながら、行為を止めることはなかった。そのことに、春美はひどく安堵する。
「やはり処女を相手にすることはできない」と、こんな中途半端で止めてほしくなかったから。
これほど情熱的に口づけを交わし、抱きしめあって、互いの身体に触れているのに、なぜか切なさは増すばかりなのだ。この心に空いた“寂しさ”という穴を、早く男の温もりで埋めて欲しかった。
「は……はや、く……」
157 :
はみ→←みつ:2009/08/03(月) 00:05:05 ID:QghNw35o
擦れた声で呟いて、身体にまたがる男の頬を撫でると、男は眉根を寄せて一瞬考え込んだ。
「……まだ……きっと痛い」
そう言って、春美の足を大きく広げさせた。春美が羞恥に顔を染めた一瞬後、御剣は性急に秘所を舌で舐めあげた。
「あ、あ……!」
指でほぐされた蜜壺は、舌の刺激を受けて愛液をとろとろと流し始めた。やがて、御剣の舌技に合わせてぴちゃぴちゃと水音を奏でるようになる。
男から与えられる刺激に、春美は背筋をぴんと張って耐えた。
「ん、あ……! はぁんっ!」
ソファにしたたるほどの蜜がこぼれたのを確認して、御剣はすっかり硬直した自らを春美の蜜壺へ押しあてた。
「……痛いと思う……すまない」
謝罪の言葉とキスに、春美は涙を流して首を横に振った。男の首に抱きついて、耳元に唇を寄せる。
「……わたくしが欲しいのです……あなたを」
そう小さく告げた瞬間、男が荒々しく自らの剛直を少女のとけた場所へと埋めていった。熱く、固い異物が自らの中に入り込んでくる痛みは、春美の予想を超えていた。
それでも、待ち望んでいた瞬間に歓喜の感情に包まれる。
「あ、あ、あ……っ!」
自然と涙がこぼれる瞳で男を見上げると、意外と冷静な表情をしていた。しかし、それが表情だけであることに、春美はすぐに気が付く。瞳は獣のように猛っていたから。
唇は獲物をとらえて血をすする肉食獣のように、春美の唇や首筋、胸を味わおうとする。
やがて、自分の中が男でいっぱいになったと感じた。男の熱も、高ぶりも、感情さえも伝わりそうなほど、自分たちの距離はゼロになっていた。そこのことに、春美は笑みを浮かべる。
「ひとつ、ですね。検事さん……」
「……ああ」
もう何もいらない、と春美は本気で思った。男もそうだったに違いない。春美にとって、肉体のゼロ距離は、心のゼロ距離に等しかった。
男の心が透けて見えて、自分と一つにまじってしまったように感じる。非日常な体験に、霊力が暴走しているのだろうか。
御剣が感じる快楽まで体感できるほど、男との境目があいまいになっていた。狭い膣内で絞られた雄が、震えるほどの官能を感じている。
その感覚をダイレクトに受け取って、春美は初めてだというのに恍惚の表情を浮かべた。
「ああ……検事さんっ、気持ちいいのですね……」
「……そう、だ。すごく、すごく気持ちが、いい……」
擦れた男の声は、快楽と恋情と、罪悪感が入り混じっている。それでも、求めてやまない思いが伝わってきて、春美は心が震えた。
「わたしくも、です。……もっと、気持ちよく、してください……」
うわ言のように告げると、男がゆっくりと自分の中で動き出した。自分の身体は確かに痛いと感じているはずなのに、男が脳もとろけるほどの悦びを感じていて、それを共有してしまう。
鳥肌が立つほどの快感が、春美に容赦なく降り注いだ。
「あ! あんっ!! 検事さんっ、もっと、気持ちよくなって……! 我慢、しないでっ……!!」
春美のその言葉に、身体の心地よさに、御剣の理性は完全に崩壊した。荒々しい愛撫と腰の動きに、春美は飲み込まれる。
「あ、あ、ああっ! はぁん、けんじさんっ……! すごいっ……んあぁ!!」
古いソファがぎしぎしと悲鳴をあげるほどの激しさは、二人をあっという間に快楽の頂点へと導いた。強い快感に、春美は意識がもうろうとする。目の前が白い光に包まれた。
「ふ、あ! けんじ、さん……あつい……おくまで、して、きもちいいっ……! も、もう、わたくし、は……」
「……っ……は、はる、み……、うっ……くああ!」
男は少女の狭い膣内からもたらされる深い悦びで、とうとう熱い欲望を吐き出した。御剣の絶頂をそのまま感じた春美は、身体を震わせて意識を手放した。
158 :
はみ→←みつ:2009/08/03(月) 00:06:14 ID:QghNw35o
* *
「見てください、みつるぎ検事さん! 今日は満月ですよ。お昼は曇っていたのに、夜になると晴れましたね」
柔らかな声で話す少女の横顔をちらりとのぞきこむと、とても可愛らしく笑っていたので、御剣は目を細めた。
今、御剣の運転する車は、春美を乗せて駅へと向かっている。本当は家まで送っていくつもりだったのだが、春美は「真宵さまがびっくりしますから」と断った。
後ろめたさのある御剣は、無理にとは言えなかった。
「きみの、その髪紐についている石は、ムーンストーンというらしい。たしかに、虹色に光って月みたいだと思ったよ」
御剣は片手だけハンドルを放して、春美の髪に触れた。髪には、虹色に光る石が付いた朱色の髪紐が踊っている。春美はくすぐったそうに男の指を受け止めて微笑んだ。
「昔のひとたちは、この石に月の魔力が宿っていると考えていたんですよ。今でも月は人の心に影響すると考えられていますし、超心理にも欠かせないものです」
「そんなものなのか」
深く考えてのものではなかったが、春美の生業に通ずる石であるならば、やはりこの髪紐を選んで間違いはなかったのだろう。
それに、薄暗い中でも目立つその髪紐は、春美の美貌を強調している。とても、美しかった。
他愛のない話を続けているうちに、車は駅に着いてしまった。ターミナルの端に車を寄せて、停車する。扉のロックを外す指が、震えた。
このまま、彼女を攫ってしまおうか。
自宅に囲って慈しみ、ひたすら愛情をかけて、この美しく、愛しい少女と二人で暮らしていければ……。
ただの妄想だ。そんなことは不可能だ。実行するつもりにもなれない。
「月は」
小さく、春美が話し始めた。誰に告げるつもりもない、独り言のような声。
「月は、昔から“人を狂わす”と言います。特に、欠けていない、丸い月は」
それは、今、夜空で光る月のことか。それとも、彼女の髪で光る石のことか。──それを身に付ける彼女自身のことなのか。
「だから、今のみつるぎ検事さんも、きっと月に心を惑わされているんです」
惑わされているとしたら、それは少女の存在そのものだろう。だが、御剣は反論する気にもなれず、ただ春美の透明な声を聞いていた。
彼女は、暗に「忘れてください」と言っているのだろう。今日は、月が2人を狂わせたのだと。
忘れるものか。魂が叫んでいた。そして、本当にそう叫べない己の不自由さを呪った。
「帰ります、ね」
春美は自分でドアのロックを解除して、扉を開けた。ホームまで見送ろうと御剣も外に出ると、春美に「ここでいい」と制された。
159 :
はみ→←みつ:2009/08/03(月) 00:07:36 ID:o12r5pe/
「春美くん……」
「……みつるぎ検事さん。すてきな髪紐、ありがとうございました。……最後に、もうひとつだけ、お願いを聞いてくれませんか?」
「……もちろん。何だろうか」
「目を、瞑ってください」
少女は、能面のように無表情だった。その大きな瞳から、表情を読み取ることができない。先ほどまであれほど近くに感じた少女が、途方もなく遠い場所にいる。
御剣は目を閉じた。冷えた空気が、身体の体温を奪っていく。吐く息が白いことが想像できた。少女の唇からも白い息がこぼれているだろう。
その様は、きっとひどく神秘的で美しいに違いない。……さみしさを紛らわせるために、そんな空想に浸る。
そして、唇にふと温かなものが触れた。たった一瞬の接触は、数カ月前に触れた瞼に残る感触を思い出させる。
「さようなら、検事さん」
空気に溶けて消えそうなほど小さな声を聞いて目を開けると、春美はセーラー服をひるがえして改札を通り抜けていた。
── 一度も、こちらを振り返ることもなく。
そして御剣は、この恋の終わりを知ったのだ。
2番線のホームに降り立った少女は、やってきた電車に飛び乗り、そのままうずくまった。
あれほどの快楽のあとなのに、身体は悲鳴しか上げなかった。所詮男の感情を共有していただけだったのだ。もう、春美の中には何も残っていない。何も……。
春美はうずくまったまま、涙を流した。男の前から去る時、決して泣かない、振り向かないと決めていたのだ。そうしなければ、優しい彼はきっとまた自分を思い出してしまうから。
ゼロ距離で感情を共有して、春美ははっきりと感じたのだ。
彼は、自分を愛していると。
その狂気のような感情に、自分も彼も流されてしまえばどれだけ楽だったろう。それでも、彼は誇るべき仕事を失うことはできないはずだった。
また、春美自身もそんなことを望んではいない。所詮、落ちてはならない恋だったのだ。
そう頭では納得しているのに、感情がついていかない。あまりの空虚感に、涙が止まらなかった。自分で告げた「さようなら」が耳に残る。
これほど辛い言葉だったとは、今まで思いもしなかった。こうなることは、はじめからわかっていたのに……。
春美はするりと髪紐をほどいた。長い髪が、はらりと背中に落ちる。
虹色に光る玉を見て、行為が終わった後、春美の乱れた髪を整えて髪紐をつけようと四苦八苦していた男の姿を思い出し、涙で頬を濡らしながら微笑んだ。
結局、不器用な男は自力ではできなくて、春美が自分で結んだのだ。その時、「きみは器用だな」と言われたことを思い出す。
全然、器用なんかじゃないです。
そして、不器用なだけに、とうとう最後まで言わなかった言葉を、髪紐に向かって告げた。
「あなたが大好きです」
おわる
*おまけ*
「と、いう夢を見たんです!!! なんてことでしょう!! わたくし、あまりのことに朝から泣いてしまいました!!」
寝起きに泣きながら抱きつかれて、御剣は犯人である妻に何事かと問うた。すると、随分長い物語が待っていたのだ。
……なんてありえそうな夢だ……。
妻の春美の見たリアリティーたっぷりの夢に、別次元の自分たちじゃないのかと思わず冷や汗をかく。
自分たちも、何か間違えればそんな結末を迎えていた可能性は十分にあった。あったが、しかし……。
「春美くん、それは夢だ。安心していい。私たちは、その、夫婦だよ。間違いなく」
まだ夫婦という響きが恥ずかしいらしい。そんな年上の夫の恥じらいにまったく気付かない春美は、まだぐずぐずと鼻を鳴らして泣いていた。
「そ、そうですが……。ひどいです! 好きなのに結ばれないなんて、おかしいです!!」
「いや、まあ、ひどい話なのだが……」
現実には、結構この手の“ひどい話”はよく転がっている。「好きだったけれど別れた」なんて恋愛は、歳を重ねれば誰でも一度くらいは経験があるはずだ。
だが、幼い妻にはそれがわからない。また、わかる機会はこの先一生ないだろう。……自分がいるから。
「どの道、きみが泣く必要はない。ほら、涙をふきたまえ」
指先で妻の涙をぬぐうと、春美は甘えるように身体を寄せてきた。同じアメニティーを使っているはずなのに、なぜ彼女はいつもいい匂いがするのだろう。
思わずそっと抱きしめると、春美がギュッとしがみついてきた。
「れいじさん、大好きです」
「む……わ、私もだ」
春美は涙をひっこめて、にこりと笑った。御剣はそのまま口づけようと顔を近づけたのだが、春美は大きな瞳をきらきらと輝かせて、宣言した。
「わたくし、夢の中のわたくしの分まで、たくさんれいじさんに“好きです”と言います!
そうすれば、夢の中のわたくしとれいじさんはうらやましくなって『やっぱり一緒がいい』と思うはずです!!」
どんな論理の飛躍だろう。御剣は正直ついていけない。この少女時代特有の感性は、御剣には未知のものだ。
さらに言うなら、妹分である冥はこのようなタイプではなかったので、免疫すらない。
「わたくし、れいじさんのこと、大好きです! 今日はお休みですから、一緒にいてくれると嬉しいです……」
まあ、いいか。
最後のあたりの妻の可愛いおねだりに、とりあえず夢は夢、と結論付けて、二人は意外にいつもと変わらない一日を過ごした。
本当は、はみみつカップリングを考えた時に真っ先に浮かんだネタ。
だれも幸せにならないので没にしてたのを蘇らせてみた。
お盆も近いしな!!
本当ははみみつではエロなしで、ミツメイのエロありだったのに、
なぜかこんなことになった。しかもミツメイ部分カット。
燦然なネタにしたのは、やっぱりエンターテインメントはハッピーエンドが基本だと思うんだよ、うん。
そんなわけで、カットしたミツメイを補うべくミツメイの投下を正座で待つ。
切ない…さらにエロい…
そしてそういうオチですかw
楽しめました、GJです!
はみみつは年齢差があるせいか、お互い片思いしてるのが似合うな
シリアスと甘いのと両方楽しめて得した気分です
GJ!
GJ!
泣いてしまったじゃないか、このやろうw
ナルメイ書きたいけど3設定と4設定どっちがいいですかねぇ?
迷ってて…(´・ω・`)
ではこのレスの秒数が奇数なら3で偶数なら4で頼む。
>>165 個人的には3のほうがいいけど4もいい
てか両方じゃダメ?
>>165 3設定でミツマヨを絡めて書くのも美味しいですし
4設定で傷心(開き直り?)な黒成歩堂を書くのもいいと思います。
ソレダ!
いちいちウゼーウゼー言うほうがウゼー
>>1が読めるか、ゆとりめ
需要の有無 な ど お伺い不要なんだよ
途中まで出来ててっつーならまだ分かるが
どの時期を舞台にするかすら決めてないなら誘い受けもいいとこなんだよ
設定から決めてもらわなきゃ書けないようなら最初から書くな、このゆとりめ。
あ、最後の「ゆとり」は「夏厨」にしといて
なんでもいいからナルメイ書いて
いかにも私が正論ですとタメ口でそれまでの空気潰す長文の方が余程ゆとり及び夏厨かと思われますが^^
良識ある皆様は私を含め上記の荒らしに相当する行為及び輩を無視する事をここを純粋に楽しみたいという私の希望からお願い申しあげます。
>>177 とりあえずお前はお前で日本語でおk。
それと改行な。
良作だったら勘弁したげたら?
いちいち目くじら立ててたら、ストレスたまるし。
つまり、なんでもええやん。
面白ければ。
それにルール守るとかは各個人のモラルに頼るほかないし。
ダメな子の方が多いのが現状だし、そんなのに付き合わずに肩の力抜きなよ。
このスレは優しさに満ち溢れていますが
だからといっておつむの弱い人を許容する場でもありません、ってな
それはさすがに穿ちすぎでしょ
(´・ω・`)←こんなの付けられたらイラッとくるわ
なーかーよーくー
エロパロ板で誘い受けが好まれないのは常識
まあこれを機に覚えておけばいいこと
…ちびっ子たち。あおり合うなってw
しかしまー、過疎り過ぎスレにいるせいで
あおり合いでもスレ動くだけましに見えることがあって困る。
まあ、各自モラルを持つ努力を。
…俺もか。
しかしあまりミツミク増えないなぁ…。
個人サイトでも見かけないし人気ないんですかね?
つー事でミツミク+ナルメイ(ナルマヨ)希望します。
と言うと「自分で書け」と言われるのですがやはり読みたい側なんで誰かお願いします…。
みっくーもエロは自分もみたいであります
とりあえずナルメイ書くなら投下してくれ
個別のキャラスレが出来て書き手がそっちに行ったんだなぁ。
>>190 そんなんあるの知らなんだ!→という訳でグーグル検索
→真宵スレ発見キタ--(°▽°)--!!!!→でもやっぱり美雲スレはないのねorz||
美雲はまだ新人だからね
固定ファンがつくまでもっと色んな積み重ねが必要だと思う
冥、真宵、御剣、成歩堂、ゴドーのスレがあるな
成歩堂とゴドーのスレはあまり伸びてないが
>>186 ミツミク以前にミクモが人気ない
二次幸でも殆ど登録ないし
真宵のところは落ちてるけど他はどうなんだろ。
成歩堂のところは流れが腐臭が酷くてキモすぎてダメだった。
御剣も似た感じだろうと読んでないけど…冥は勢いがありすぎてついていけねw
冥スレもSS落ちてる?
え?落ちてないぞ?
いや、落ちてるってdat落ちじゃなくてSSが…
ああ、スレ内に小説があるかどうかってことか?
冥スレにも何個かある
>>194 やっぱ出番が少なかったよな
あと1話ほしかった
強烈な個性がなく平均的に優等生なのも問題なのかも
>>199 それはロウとシーナもだな
見た目は派手なんだけど印象薄い気がする
>>199 それはロウとシーナもだな
見た目は派手なんだけど印象薄い気がする
大事なことなので
確かに2、3に比べて難易度が低かったから1つの事件に対する
印象が若干弱くなったのも原因の1つじゃないかな。
もしくは狼と美雲が互いに食っちゃってるとか?ww(登場時期的に)
ロウミクかと思ったw新しい!!
あ、そう捕らえてしまった方は是非とも書いて下さい^^(華麗なる無茶ぶり
なんか昨日から微妙なのが…。
ああほら、夏だから
あと、ミクモはミツメイに食われた気がする。
ナルアヤとナルマヨみたいに派閥になっても困るが、カップリングとしてもう少し強烈に何かしらないと、
ミクモのエロ小説は無理かもなぁ…。
美雲は行動原理に男が入ってないところがエロに繋がらないんじゃないだろうか
利用するとかどこかもろいところがあったりすると繋がるんだけど
美雲を含め逆裁シリーズのヒロイン達は
みんな似たり寄ったりなタイプなのがネックだな。
抜きん出た人気が欲しければ
4の茜みたいに思い切ったイメチェンが必要。
シーナは正体がアレなのに尻込みしちゃう人が多いみたい。
ルックスは人を選ぶ、中身は更に人を選ぶ。
い、いろいろあるんだなキャラ付けや行動理論にも…。
確かに「どんな罪も許さない」御剣と「怪盗ヤタガラス」の美雲の相反し方じゃ弱いというのは納得かな。
しかも結局ED後の美雲の存在意義も曖昧になっちゃったし、美雲は今回限りの出演かもな(ヒロインキャラとして)
ズラさんも「妹の死」までが嘘になったから感傷材料として弱くなったのが現状かな?
結局シーナがその後どうなるのかは完全にプレイヤー任せになってしまったしね。
検事2が出るのか裁判5が出るのかもはや打ち切りか知らないけど次回作に期待。
検事2は出るんじゃないかなー
ミクモは検事では一番好きな女キャラだったな
自分もミクモが好きだからエロも見たいんだよね
はいはいクレクレ
まぁ実際欲しいですしねw
逆検はなんか保持に入った感じがした。
真宵ははちゃめちゃな性格だからアンチけっこういるけど
そのぶん熱烈なファンも多い。メイもしかり。
美雲はいい子だけど突起でたものがない気がする
だからアンチ少ないけど熱烈なファンも少ない気がする。
>>217 激しく同意!唯一の武器はろり〜んな10歳時モーション(+泣き顔)位かな(しかし俺に言わせれば破壊力十分
でも早くに親を亡くしたという共通設定もあるし真宵との百合もいけると思うけどなぁ。
書き手の意欲をそそらないというのが現状ならば黙って受け入れるしかないか……。
冥のことなのかミクモのことなのかハッキリしてくれ。
流れ的にどう考えても美雲www
なんで突然真宵との百合なんだよ、意味わからん。
百合の相手は冥じゃなくて真宵なんか??
10歳時モーションは美雲にしかないから美雲のことだろう
冥のロリモーションは13歳
>>221 1行目に美雲の事書いたらそういや真宵との共通の設定があるな。
→(熱烈なファンがいなくても)この百合ならある程度のファンでも執筆意欲をそそるんじゃないか。
という意で書き込んでみたのだが若干脈絡が掴みづらくて申し訳ない。
>>222 そこは各々に任せますw
ID:6tiBWIHf
お前の文は句読点が無い上に、
己の言いたいことを他人が皆理解してるという前提の下に書いた
自己完結型の文章だから分かりにくいんだよ。
句点はあるだろ、読点はないが。
スレ住人はお前個人の空気読めない思考を理解できるエスパーじゃねえってのは同意。
一人だけハシャいで浮いてるの気付いてねえみてえだし。
いつの間にか酷い言われようだなww
長文書いたら書いたで空気読めないって言われるから短く書いたのにw
んで中傷するのは構いませんが匿名社会なだけに
言われる方は痛くも痒くもありませんって事だけ伝えてときます。
まぁ俺がくっちゃっべてる事は要するに美雲好きの戯言なんでうざかったら無視して頂いて
同調してくれる方のみ反応して頂ければ結構ですという事なんですが。
貶すだけの書き込みしか出来ないのならあまり大袈裟に食いつかないで頂けますかね?
(こう宥めても煽るだけというのはわかっているが…。)
呆れた
そうやって脊髄反射するから馬鹿にされるのに
申し訳ないのですが1度目は忠告しないと気が済まないんです。
次煽られたら無視しますので俺の返しに一々反応しないで頂けますか?
つかどなたか新しい話題書き込んでこの不毛な会話を止めて下さいませんか(切実な懇願)
じゃあレスすんなよ。
ゆとり世代は「同意が得られない=全人格否定」と考えるって本当なんだな。
しかも他力本願だ。
うわ……
自分は反応するけどお前等は反応するなってどれだけ
わかったわかった。もう反応しませんから次のレスから逆裁の話をしましょう。
どうでもいいけど、ミツルギんちって広そうだ。
何この上から目線wwww
反応しないとか言いつつ脊髄反射で、しかもクレクレかよ。
久しぶりに見るだろうけど今だからこそ敢えて言おう。
100万年ロムってろ
>>233 出来ればそういうどうでもいい事で話題を広げていって下さい^^
案の定逆切れして荒らし化したようだな。
ユリはいいと思う
ミクモと冥でもいいしミクモとマヨイでもいい
いっそ3Pでもよさげw
マヨイちゃんはあれだなトノサマンの映画見に行ったら
ミクモと会ったって設定で
美雲は忍者ナンジャ派。
マイナーもいいところだが、2-4を見て藤見野とキリオの関係について真剣に考えてしまった
・王都楼のマネージャーに手を出してプライドを傷つけてやる
・ユリエの遺書を取り戻す
とお互い利害一致で殺伐とした関係っぽいこと言いながら、
「忍者ナンジャが受賞できなくて暴れて寝ているのかと思った」と
寝起きにトマトジュースを準備する、甲斐甲斐しいキリオに萌えた
保管庫見てたらこの二人はないみたいだね。
藤見野を出すのは難しいだろうけど読んでみたい
>>233 かなりの高級マンションに住んでそうだな
ミツメイだと同棲してる話も多いから
お嬢様育ちの冥が文句言わないくらいの
快適さを備えてるイメージ
まさかの藤見野×霧緒w
藤見野は人物像が明らかになる前に亡くなったからSSで扱うのは
難しいかもしれないけど面白い話になりそうだな。
間違いなく泥沼化しそうだけどww
>240
しかもコンシェルジュとかあって3LDKとかでムダなぐらいの
くつろぎスペースが…
そしてジェットバスでパウダールームが大理石とかに…
住んでたらどうしようw
なるほどくんとまよいちゃんがずっとミツルギんちにたまってそうw
で、メイが二人っきりになりたいと怒る、と。
検事キャラは金持ちが多いな
ゴドーも浮世離れした道楽者のお坊ちゃんっぽいし響也は正真正銘のセレブ
検事じゃないけど狼も名誉は失っても金はまだ余ってそう
星影も弁護士のくせにやたら金持ちだがww
それに比べて、ナルホドと来たら…
ゴドーって、お坊ちゃんっぽいか?
むしろ苦労してそうに見えるが。
ナルホドくんよりヤハリのが金持ってたらどうしよう…
矢張はプーの癖にやたら貢げる財力があるからなぁ。
神乃木さんは弁護士時代に稼いだ金が入院費で一気に飛んだ希ガス。
成歩堂がジリ貧なのは主人公としての
勧善懲悪、無償の正義故なのであんまり追及しないであげて下さいw
(依頼料きちんと払ってるの荷星とマックスと優作くらいしか思いつかない。)
犯罪被害に遭った人は確か治療費とか援助があった気がする
それでも5年も払ってくれるのかなぁ。
それに昏睡から覚めて新たな生活を送るのに多大な額も
いるだろうし検事になってからの生活は苦しそうな気がする。
すぐにお国が支給してくれるようになっんだから無問題じゃね
飯は臭いが
今検事終わった
ダミアンさんずっと疑ってごめんwwww
そういや囚人の男性はみんな丸刈りにされるんだってな
ゴドーさんは丸刈りでもかっこいいと思う
面会に行った時にびっくりされればいい
やっぱ生えてくる髪も白髪なのかな
ダイアンカワイソス
もう芝九蔵氏にフェイクされる事もないな。
新条まゆが書くようなミツメイが読みたいです
お前のその綺麗な顔をぶっ飛ばしてやるぜ!!
おもしろいがタメが足りない
エろはストーリーを盛り上げるのが上手だったな
ストーリーの内容事態はこっちのほうがレベルが高いのかもと
感じる部分はあったんだが…
262 :
名無しさん@ピンキー:2009/08/13(木) 16:11:28 ID:NGuKxj8S
誤爆したw
エろって言っても全て作品ごとで違うし、批判も絶賛も適当すぎないかw
ま、この手の書き込みして悦に入るタイプの人はどのみち手に負えないし
スレ違いか
265 :
名無しさん@ピンキー:2009/08/13(木) 19:52:00 ID:XXomhbND
少なくとも亞内より稼いでるだろうな
書き手、マジで個人スレに行ってしまったのかな…
コミケに行ってしまったんだろ
なるほどコミケかw
ミツメイで冥が妊娠する話が読みたい
どういうシチュでも萌える
いいね。
書き手さんの参考に、ここまでのリクエスト
ナルマヨ
ミツミク(需要多?)
ミクモエロ
ミツメイ(供給多?)
(陵辱もの・妊娠もの・新條まゆみたいな)
パパ冥
ヤハメイ
ナルメイ
百合(ミツミク+ナルメイ(ナルマヨ))(ミクメイ)(ミクマヨ)
なんだかなぁ…
書き手は自分が書きたいと思うものを書けば良いと思うよ…
272に同意
別にまとめんでも…
暗に要求しているみたいだ
供給多、とかねもうさ…
>・需要の有無などのお伺いは不要
じゃないの?
いいじゃないか書きたい物書けば
その書き手が個人スレ行ってしまったんだから
需要がギャーギャー言ってももう仕方ねぇんじゃねぇの?
真宵スレと冥スレは良いなあ。
冥スレの遺伝子ネタがすごく萌えるw
カプネタだからこっちに書くけど
冥とやれる口実が欲しくて参加してるけど
御剣は冥を独占したいと思ってるといい
真宵スレ見てきたけど信者の集まりだろ……。
マヨイスレでもヒラヒラスレでも変態扱いのナルホドに吹いた
>>277 あれだけ苛めといて、実は「私をリクエストしろ」と思ってるわけかw
>>278 真宵スレに限ったことじゃないだろ、そんなの。
冥はわりとレイプとか調教とかあったけど、真宵のはあんまり無かったし
こっちでは読めない感じのばっかりで真宵スレ良かった。
むしろ信者でない人間が何の御用で来たのやら
むしろそれを知りたいよなw
どのキャラスレにいるのも信者くらいなもんなのにw
それにしても書き手が減ったなあ
真宵スレの人は特に今まで書きにくいジャンルが書けるようになったから
思う存分書いたら帰ってくるんじゃないかな??
>>277 御剣は仕事のことだと冷酷になるから、
本心では独占したいという可能性は大いにありうる。というかあってほしい。
これだけでは何なので、触発されて書いたミツメイを投下。
ダークなネタなので、苦手な人はスルーしてね。
【設定】時期は逆転検事5話以降で、何故か冥が日本中心に活動してる
【注意】途中、限りなく「凌辱」や「精神攻撃」に近い表現あります!
ただし、最後はハッピーエンドで終わらせたつもり。
その晩、冥のマンションを訪れた御剣は、特に変わった様子はなかった。
時に協力して仕事をすることがあるため、夜や休日に書類を抱えた御剣を迎え
二人で議論を交わすことは珍しくない。
だが、その晩、御剣が出してきたのは仕事の書類ではなかった。
「・・・これは、診断書?」
「例の飛行機事件の後、悪夢が復活したので病院に行った。」
“心的外傷と、それを20年近く放置したことによって、日常生活・社会生活に多大な支障をきたしている”
簡単にまとめてしまうと、診断書にはそうしたことが書かれていた。
「・・・どうして、これを私に?」
法廷にいるかのように表情を映さない御剣の目から、答えは見えているような気はした。
そして、やはり法廷で冒頭弁論を行うかの如き口調で、御剣が問いに答える。
「死亡した加害者の代わりに、その相続人に損害賠償を請求しようと思っている。」
その言葉は、予想の範疇の中にあった。
それでも、言葉の事務的さの裏に潜んだものに思いをはせると、戦慄を覚えずにはいられない。
「つまり・・・私と姉を相手に、民事で訴訟を起こすと言うわけね」
思ったほど、声に動揺が出ていないことに、冥は若干安堵した。
「そういうことだ」
御剣が、ニヤリと笑う。その日初めて見た彼の感情だった。
「はっきりとは言われなかったが、完治せぬまま私はコレを一生抱えていかねばならないらしい。
一生心の闇に脅え、人並みの精神的幸福も望めぬまま・・・私は死んでいくのだよ」
鋭い笑顔を浮かべた御剣の体が、震えている。
それは、絶望か、怒りなのか・・・それともその両方か。
「先生には、育ててもらった恩がある。だから今まで、この感情に蓋をし続けた。
だが、一生苛まれることがわかった以上・・・償いを求めずにはいられぬのだ」
とうとう、こんな日がきてしまった。
二人が、「きょうだい」でも「同職の仲間」でもなく、「仇」として対峙する日が。
どこかで覚悟してきたからだろうか。
初めてぶつけられる怒りの感情を前にしても、冥は案外落ち着いていられた。
「代理人なしで法廷に立てば、キミの望んでいた私との決着もつけられるな」
皮肉めいた笑顔を浮かべて、御剣が冗談を言った。
「その必要はないわ。」
冥がそう答えると、御剣が興味深そうな視線を送ってくる。
「姉さまを巻き込まないと約束してくれるのであれば・・・私が、あなたの望むままに応えるわ。
だから、訴訟を起こす必要はないわね。」
「フム・・・」
御剣は、しばらく考え込んで再び口を開いた。
「全面的に、私の要求に応じる、と?」
「そういうことね」
「それは、いくつでも、どんなことでも構わないと?」
「予め際限を設定しておくことは必要だわ。
ただ、契約の際、こちらから異論は唱えない。」
そう答えると、御剣が再び皮肉げに笑った。
「つまり、予めわかっていれば、死ねと言われても従う、と?」
「そういうことよ」
実際にそうなる可能性があることをわかっていて、冥はそう答えた。
数秒の沈黙の後、御剣が嘆息しながら笑顔を緩めた。
「さすがに、そこまでは望んでいない」
男はソファから立ち上がり、冥の目の前まで歩を進めた。
「私が望んでいることは、3つ。」
「ひとつは、謝罪の言葉。口頭と公文書、どちらもあるといい」
「・・・わかったわ。」
「ひとつは、慰謝料。これは判例から、判決文に記載された額を基準に相場をいただこう。
こちらも公文書を作成する」
「・・・了解したわ」
「そして、最後は・・・」
座った冥を見下ろす御剣の顔から、表情が消えていた。
「加害者の愛娘であるキミに、継続的に苦痛を与えること」
「・・・どうぞ、望むままに。」
その瞬間、男の手が伸び、冥の着ていたブラウスを音を立てて引き裂いた。
その音と力に、冥の体が本能的に竦んだ。
「さすがに、キミの生活や人生まで滅茶苦茶にする勇気はない。」
はだけた服の隙間から手を差し込まれ、ブラウスの下にあった下着の留め具が外された。
「だが、殺された父の苦しみ、父を喪い、過去から未来にわたって苦しみ続ける私の苦痛の一端だけでも・・・
キミには味わってもらわねば・・・。溜飲が下がらんのだ」
解放された下着と肌の間に手を差し込まれ、握りつぶすように胸を掴まれた。
「い・・・痛・・・!」
思わず顔を歪めて声をあげると、胸を乱暴に揉み潰すことを続ける男が、少しだけ目を細めた。
「もっと声を聞かせてくれ。泣き叫んでもいい。
・・・その分、私の心が慰められるのだからな」
しばらく胸の感触を楽しみ、苦痛に歪む冥の顔を見ているうちに
御剣の中で怒りとは違う何かが渦巻く。
このまま、彼女を滅茶苦茶に壊してしまいたい。
それは衝動に限りなく近い欲望だった。
片手で自分のベルトを緩めてファスナーを下ろす。
欲望を感じた時から主張を始めたその中身を取り出しながら、
もう片方の手で乱れた髪ごと、冥の頭を掴んだ。
露出された分身の前にその頭を近づける。
冥は、見慣れないであろうそれに怯えた表情を見せるが、
それでも何も言われていないのに口を開き、それに唇をつけようとしていた。
髪を引っ張ってその行動を否定してから、御剣は命令した。
「口を大きく開けろ。歯を立てないように。」
冥が従順に口を開いた瞬間、その中に一気に自分のものを入れ込んだ。
「んぐ・・・っ」
驚きと窒息の表情さえ、御剣を快楽に駆り立てる。
時に前後に突き、時に喉を抉るように責め立てると、くぐもった嗚咽が鼻から漏れ
目からは涙が溢れて零れ落ちた。
「・・・ふっぐ・・・む・・・・ん・・・むぐ・・・・」
口内の柔らかい粘膜と唾液が、自身に絡みつき、包み込む。
そろそろ限界を感じて、御剣は冥の口からそれを引き抜いた。
「はぁっ、はぁ・・・・っ」
鼻からの空気だけでは足りなかったのだろう。
ラグの上に倒れこんだ冥は、酸素を求めるように力なく喘いでいた。
御剣は冥の足元に膝をつくと、随分肌が露出した状態の冥から、残った布地を取り去っていく。
冥は時に腕を曲げ、体を浮かせてその行為に協力する。
何の抵抗もなく従う姿に、何故か苛立ちを覚えた。
ショーツを投げ捨て、冥を仰向けに転がして・・・膝に手を当ててその体を開く。
無造作に隠されていた部分に手をやると、そこは若干濡れているようだった。
それでも、それでも男を受け入れるには充分な湿りではなかった。
だが、苦痛を与えることが目的の御剣にとって、そんなことはどうでもいいことだった。
震える「妹」に自分の手で足を開いたまま固定するよう命じると、
御剣はその中心を開くように手を添え、まだ唾液の乾かぬ分身を突き入れた。
「い・・・・・・!!」
やはり中はきつく、一息では先端を入れ込むのがやっとだった。
叫ぶかもしれないと思ったが、冥は目を見開き、歯を食いしばって耐えている。
いかにも冥らしい反応だが、相当のダメージを与えていることは簡単に想像できた。
御剣は、自分の首元のタイを外して、冥に口を開けるように告げた。
震えながらも開かれた口に、外したタイを入るだけ詰め込んでいく。
「舌を噛むかもしれない。これを噛んでおくといい」
死なれてしまっては楽しめなくなるからな、と耳元で囁くと冥の目元に涙が滲んだ。
そのままの体勢で冥を抱きしめ、もう一度一気に腰を進める。
分身が、何かが弾けるような感触を感じた。
同時に、言葉を奪われた冥がくぐもった叫び声をあげる。
その声のほとんどは布に吸収されていったが、相当な痛みを感じているらしい。
そうした反応から一つの可能性を思いつくが、構わずに腰を進める。
中はきつく締められていたが、じわじわと滲み出した体液が御剣の動きを助けた。
奥に到達した御剣は、一度腰を引き、力を込めてそこを突きあげる。
快楽など微塵も感じられない叫び声が、耳元で響いた。
そのまま、自分の快感を高めるためだけに御剣は体を動かした。
まるで人格のない人形を相手にするかのように、乱暴に女の体を揺さぶり、
時にその胸を掴み、貪った。
次第に冥の叫ぶ声が小さくなり、体から力が抜けていった。
顔を蒼白にした彼女が気を失ったことに思い至っても、
途中で床に所々血が落ちていることに気がついても、御剣は動きを止めない。
御剣が冥の中に精を吐き出すまで、その行為は繰り返された。
292 :
ミツメイ5:2009/08/23(日) 19:29:27 ID:ystmXlHG
【すみません、名前欄にカップリングと番号を入れるのを忘れていました】
それから毎夜のように、御剣は冥を抱いた。
次第に冥が快楽を覚え、「初夜」のような凄惨な「復讐」ではなくなっていたが、
それでも、望まぬ相手に望まぬ形で抱かれることは苦痛に違いない・・・そう御剣は考えている。
すでに冥は言われるままに借りていたマンションを引き払い、御剣の部屋で毎晩を過ごしていた。
それは、対外的には同棲以外の何物でもなかったが、その言葉に隠れる甘いものは、その部屋にはなかった。
ただ望まれるままに抱かれ、辱められ、言葉に傷つけられるだけ。
そこには、反発しながらも無邪気に慕っていた「兄」の面影はない。
行為よりも、言葉よりも、冥にとってはそのことが一番つらかった。
そんな日々が1ヶ月も続いただろうか。
勤務中の冥は、御剣に呼ばれて彼の執務室に寄った。
互いに淡々と仕事の話をして、書類を受け取り、冥は部屋を出ようとした。
その背中に、御剣が声をかける。
「最近、仕事中は私を避けているようだな」
図星だった。
変わってしまった御剣と顔を合わせることに、冥は苦痛を感じている。
せめて仕事中は解放されたいと、できるだけ御剣を避けていた。
「私が感じてきた苦しみは、時を選ぶことなどできなかった」
見透かしたように、御剣が言葉を発した。
「勤務中だからといって、逃げられるなどと思わないことだな。」
御剣が冥の手を掴む。
そのまま引っ張られるように、冥の体がデスクの方へ移動した。
御剣が椅子に座り、その目がその前の床をさす。
冥はそこに跪き、御剣の下腹部に手を伸ばした。
ベルトとファスナーを開けると、そこに顔を埋める。
衝動ではなく、冥を苦しめる意図から始まった行為なのだと、示しているかのように
まだそこは落ち着いていた。
球の部分の片方を口に含み、もう片方を手で包み、柔らかな刺激を与えていく。
呼応するように、御剣の手が冥の頭を優しく撫でた。
少し膨張した竿に手を添えてゆっくりと撫でていくと、さらにそこが膨らむ。
根元に口を移動させそのまま舐めあげると、男の体が少しだけ震えた。
先端の張った部分を丹念に舐めてから口に含み、舌を絡めながら吸い上げていく。
「フム、やるようになったものだな」
自分がそう仕込んだ癖に、男はさも他人事のように感心する。
「ならばそろそろ他にも・・・私を喜ばせる方法を覚えてもらおうか」
髪を掴まれ軽く後ろに引かれたのを合図に、冥は御剣から口を離した。
目が合うと、御剣が膨張したままのそこを指して冥に告げる。
「私は動かない。自分で入れて、自分で腰を動かしてみたまえ」
293 :
ミツメイ6:2009/08/23(日) 19:31:29 ID:ystmXlHG
冥に、拒否権はない。
のろのろと立ち上がり、ブーツを脱ぎ、スカートの中からストッキングとショーツを外すと、
冥は大きな椅子に膝を立てて登った。
冥自身の前戯は特になされていなかったが、毎夜積み重ねた習い性のようなものか、
まるで条件反射のように、体の準備はできていた。
濡れた秘所に男の分身をあてがうと、冥は膝の力を抜いてそれを呑み込んだ。
「う・・・んっ」
最奥に固いものが当たって、冥は思わず声を漏らす。
それでもやはり、前戯なしで男を受け入れるのは、まだ経験の浅い彼女にはきつかった。
しかも、「自分で動け」と言われたが・・・どうすればいいのかわからない。
こういう体位をしたことがないわけではないのだが、
御剣の動きに合わせて動くのが、今の彼女の精一杯だった。
困り果てて男の顔を見ると、察したのか男が顔を緩めた。
「今は上手に動けなくてもいい」
御剣が、優しい声で冥を抱きしめる。
その声は、少しだけ「兄」のものと似ていた。
しかし、次の瞬間にはまたいつもの彼に戻っている。
「これから、こういう機会はいくらでもある。
跨ったまま私を満足させることができるよう、じっくりと仕込んでやろう」
私が興味をなくすまで、キミは私の人形だ。
御剣がそう囁き、冥は奈落に叩き落とされる。
そう。自ら飛び込んだ契約に基づいて、冥はこの男の慰みとなる立場にあった。
その先に絶望が待っていたとしても・・・
何も知らずこの男の背中を追い続けた自分の罪への罰だというのならば
甘んじてそれを受けるのが、彼女に唯一出来ることだった。
微動だにしない男に快楽を与えるべく、少女はひたすら腰を振る。
男の若干の表情の違いを必死にとらえながら、男の快楽だけを優先して男に縋りついた。
気持ちが高ぶったのか、男が冥の胸元に口を寄せる。
乱暴だが決して痛くはない、絶妙な愛撫に、冥は快楽の声を上げた。
「んんっ・・・」
ここが職場であることも忘れ、そのまま本能に身を任せようとした時・・・
「御剣、邪魔するぞ」
ガチャリと、ドアの開く音がした。
294 :
ミツメイ7:2009/08/23(日) 19:33:22 ID:ystmXlHG
親友が、ドアを開け放って部屋に入ってくる。
その声を聞いた途端、自分に跨る冥の身体が固まったのがわかった。
そして数秒遅れてから、入口の男は悟ったようだった。
今ここで、何が行われているのかを。
御剣は、冥の体越しに親友に顔を見せた。
「すまないが、今は取込み中だ。1時間後に来てもらえるだろうか」
「わ、わかった、ゴメン!」
素早くドアが閉められ、部屋に静寂が訪れる。
途端に、冥の体から力が抜け、御剣の肩に支えられた。
「今のは・・・あなたが呼んだの?」
いや、単なる偶然だった。
だが、それは敢えて言わない。
「・・・キミの想像にまかせる。」
そう答えると、冥は体を震わせて動かなくなった。
御剣が見てきた限り、冥は今の男に深い興味を持っているようだった。
恐らく、恋心を抱いているのだろうと思う。
そんな相手に、違う男との濡れ場を見られたのだ。
どれほどの心痛を覚えているのか、想像できるはずがなかった。
「・・・憐れだな」
口からそんな言葉が零れ落ちる。
何故かやり場のないものを感じて、その代わりに御剣は腰を突き上げた。
たぶん、思い知らされたのだ。
彼女の心に、やはり自分はいなかったのだ、と。
だとしたら、いちばん“憐れ”なのは・・・・
浮かび上がる想念を消し潰すかのごとく、御剣は自身を冥の中に何度も叩きつける。
冥も何かしらの思いに苛まれているのだろう。
「あ・・・っ、いい・・・きもち・・・い・・・っ」
気付けば、彼女の方も激しく腰を振って、御剣に体を擦りつけている。
快楽に溺れて、全てを忘れてしまおうとしているかのような狂い様だった。
徐々に締め付けがきつくなり、冥が限界にきていることが感じられる。
「いやっ・・・もぉ・・・ダメ・・・っ!」
華奢な体を抱えて打ちつけるように何度も貫くと、冥が声をあげて達した。
強く収縮する、中の刺激に耐えられず、御剣も冥の中でその激情を爆ぜさせた。
295 :
ミツメイ8:2009/08/23(日) 19:35:54 ID:ystmXlHG
気を遣った彼女を介抱しながら、御剣は消し潰したはずの想念に思いを馳せる。
トラウマを一生引きずる可能性は、医師に暗示される以前から感じていた。
そして、「妹」にとって自分が兄弟以外の何者でもないことも、わかっていたはずだった。
だが、あの日、あまりの悪夢の辛さに医師を訪れ、その場で明るくない予後を聞かされ・・・
その帰りに、検事局で冥を見かけた。
彼女は、御剣の親友の前で嬉しそうにはにかんでいた。
そんな彼女の横顔を見た時に、彼は唐突に決意をしたのだった。
――彼女への、“復讐”を。
それからも、2人の関係は特に変わることはなかった。
ただ御剣は、自分の気持ちに気付いてしまったことで、途方に暮れていた。
自分が、彼女に思慕の念を抱いているということ。
復讐を大義名分に、結局は彼女を自分のものにしてしまいたかったのだということ。
だが実際は、そうすることによって失ったものの方が大きいのだということも、実感し始めていた。
冥は、御剣の前でほとんど感情を映さなくなった。
彼女の心を暴く唯一の手段として、御剣は冥を激しく抱く。
冥はその時だけ行為に溺れるが、その後は余計に心を閉ざしていく。
それはまぎれもなく、悪循環だった。
ある晩、御剣は日付が変わってから帰宅した。
冥は、御剣のベッドの中で安らかに寝息を立てている。
久々に見る無防備な顔を眺めているうちに、御剣はほっとしたような気分になった。
そして同時に、やるせなさを感じる。
――自分は何をやっているのだろう。
初めの夜に、怒りは治まっていた。
むしろ、あそこまでできた自分を怖いとさえ思った。
あそこで「もう気が済んだ」と彼女を解放すればよかったのに・・・。
そう考えて、唐突に気がつく。
今からでも、解放してやればいいのだと。
「もう気が済んだ」と告げて、けじめとして、「謝罪」と少額の「慰謝料」を受け取って関係を断つ。
今さらだとしても、不毛な関係を続けて互いに堕ちていくよりは、ましなように思えた。
296 :
ミツメイ9:2009/08/23(日) 19:37:52 ID:ystmXlHG
冥の髪を撫でると、うっすらとその目が開いた。
「レイジ・・・」
どうやら、起こしてしまったらしい。
「ただいま」
何気なく、そう応える。
冥は子供のように微笑むが・・・次第に自分が置かれている立場を思い出したのか
ゆっくりと笑顔が消えていった。
「・・・レイジ?」
「どうした?」
何を問われているのかわからなかったが、聴こえていることを表すために、返事をする。
すると、冥が起き上がった。
その目には、あふれそうなくらいに涙が溜まっている。
冥はそのまま御剣にしがみついて、声をあげて泣き出した。
御剣は突然の事態にうろたえて、とにかく彼女を抱きしめることしかできなかった。
“ただいま”
そう言った彼は、穏やかに微笑んでいた。
まるで、以前の彼が帰ってきたようだった。
気安く名前を呼んでも、優しい目がそれに応える。
都合のいい、夢なのかもしれない。
でも、それでもいいから、今はこの体温に甘えたかった。
「大丈夫だ。もう大丈夫だ・・・」
冥を包み込む腕に、力が篭もる。
「誓って、もう手荒な真似はしない。」
腕の感触とその言葉が、ここが現実であることを示していた。
冥が落ち着くと、御剣の腕が次第に解けていった。
顔を上げると、ばつが悪そうな表情で自分を見下ろす男と目が合う。
彼に何があったのかはわからないが、取り憑かれていた何かから解放されたようだった。
「おかえりなさい」
冥が改めてそう言うと、御剣は「ただいま」と小声で応えた。
297 :
ミツメイ10:2009/08/23(日) 19:39:16 ID:ystmXlHG
関係の解消を申し出ると、冥がしばらく黙って考え込んだ。
「私とあなたはもう、対等な関係になったと見なしていいのかしら」
「それは、もちろんだ」
すると、冥が目を細めて微笑んだ。
「だったら、私は解消を拒否するわ」
「そ、それではまた同じ過ちを・・・」
予想外の答えに御剣がうろたえると、冥がはっきりと言い切った。
「過ちだとわかっているなら、正せばいいのよ。」
「・・・いや・・・それは・・・だが・・・・・・・・・っ?!」
言い淀む御剣の口を、冥がその唇で塞ぐ。
優しく唇を舐められて、体の奥底が震えた。
それからゆっくりと顔を離して、冥が言った。
「こんな関係になっても、あなたはキスだけはしなかった。」
確かに、彼女の唇を奪うことだけは、しなかった。
「愛情がないという意味だと思っていたわ。」
――違う。できなかっただけだ。
そこに触れてしまうと、何かが壊れてしまうような気がしたから。
御剣は、心の中で独語した。
「でも、今の反応から考えると、むしろ逆のようね。」
あっさりと、見抜かれる。
「レイジ・・・、あなたが少しでも私を求めているというのなら、
私はあなたの人生を・・・幸せにする手助けがしたいのよ」
そう言って寂しそうに笑った冥の顔が、もう一度御剣に近付く。
298 :
ミツメイ11:2009/08/23(日) 19:41:24 ID:ystmXlHG
今度は、深く互いに求めあうように唇を貪った。
冥の腕が伸びて、御剣の首筋に絡みつく。
そのまま指先で首から背中を撫でられて、背筋がぞくりと震えた。
唇を離して、御剣は冥の耳朶を甘く噛んだ。
冥の体が、跳ねるように反応する。
今までにない強烈な衝動に理性を奪われそうになりながら、御剣はやっとの思いで囁いた。
「メイ、すまない・・・さっきの誓い、守れそうにない。」
すると、冥が縋るように御剣の体に抱きついた。
「いいわ・・・その代わり、優しく、して・・・」
言われた通り、御剣は優しく冥を味わった。
何度も唇を重ね、じっくりと愛撫を続けていくと、冥が甘い声で鳴く。
その中に腰を進めて探るように責め立てると、気持ち良さそうに表情が綻んだ。
冥が、幸せそうに自分を受けて入れている。
それは、これまでどれだけ肌を重ねても、手に入れられなかったものだった。
その晩、満たされる思いと共に、御剣は冥の中で果てた。
「しかし・・・本当に、このままでいいのか?君には好きな男がいると思うのだが」
朝になってから御剣が問うと、冥は「何を言っているの?」と怪訝そうな顔をした。
「前にあいつに“現場”を見られたではないか、あの後のキミは乱れ方は・・・うわっ!!」
久々に、冥の鞭が飛んできた。何とか避けて、間合いをとる。
冥が御剣をにらみつけ、言葉で怒りを露わにした。
「知り合いにあんなところを見られたら、自棄にもなるわよ!
それに、肝心のあなたが・・・あそこで偶然だと言わないから、
そこまでするぐらい嫌われてるんだ・・・って」
今にも泣きだしかねない冥の様子に、御剣は危険を承知で冥に歩み寄った。
「すまなかった」
後ろから抱きしめると、冥の手が御剣の腕をぎゅっと握った。
「私が追いかけているのは、・・・昔からあなたのことだけよ」
<了>
GJ!!!GJ!!!
300 :
名無しさん@ピンキー:2009/08/23(日) 20:17:09 ID:8Nw+Uf1Q
すばらしい!!!!ミツメイ!!!
ラストはハッピーエンドでよかった!!!
GJ!!
うっはー、萌えた!
GJ!
302 :
名無しさん@ピンキー:2009/08/23(日) 21:03:05 ID:8Nw+Uf1Q
あ、ひょっとして冥スレの人SS書いたですか?
すげえいいわwあの設定w
もっとみたいです
黒ミツメイの人ありがとう!ありがとう!
エロかったし、胸にグッときました!
黒ミツメイ…これはもっと見たいな
ミツメイGJ!
鬼畜エロもラブラブエロもどっちも萌えた
306 :
名無しさん@ピンキー:2009/08/24(月) 04:47:56 ID:NxfGf3mR
GJといわざるをえないな
すごくイイ!!
最高でした
GJ!!
いやあ、こんなにも素晴らしい作品読んだのは久しぶりです。心理描写が見事でした。
しかし、今考えると何故御剣は冥とあんな普通に接する事が出来るのだろうか?
親の仇の娘となんて絶対に関わりたくないよなぁ。むしろ殺してやりたい位だろうに。
そもそも豪のこと自身もそんなに恨んでいる様子がない。
逆裁2の失踪中に恨んでも仕方がないという境地に達した、
‥‥って訳でもなさそうなんだよな。逆検だと。
まだ迷っている感じが端々にあるような。
兄妹のようであり、被害者の息子と加害者の娘でもあるという複雑な関係が
ミツメイの最大の萌えポイント
しかも無邪気に父親を慕ってる姿を見て一緒に育ってきてるからな
昼ドラも真っ青の複雑な関係と、お互い自分の感情に不器用そうなところがまた萌える
黒ミツメイGJ!
逆裁3で御剣が言った「人を憎むのは簡単だ」という言葉に対して、
冥が「あなたには難しいでしょう」と返したやりとりを思い出した。
リアルプレイ中にあの冥の言葉は深いなと思ったと同時に萌えた。
黒ミツメイもっともっと
兄弟も同然だった男にj処女を奪われ
あげく孕まされる冥がみたいです
クレクレ厨うぜえ
てめぇみたいにわざわざ書き込む方がもっとうぜぇ。
318 :
名無しさん@ピンキー:2009/08/25(火) 22:01:21 ID:+kDu8EEc
いや、クレクレしてすまんかった
自分では小説かけないんだ…
>>318 書き手としては「もっともっと」は
楽しんでくれたんだな・・・って嬉しい気持ちになるが
エロが入った黒ミツメイのネタストックはもうないので心苦しく思う。
黒ミツメイはキャラサロンのスレが今そういう流れになってるし
そこでアイデア出していくと触発される人もいるかもしれないよ。
くれくれは他の書き手のことも考えないとさ…。
名指しで悪いが、
>>308みたいな賛辞の仕方は他の職人のやる気(つーか、自信)を削ぐぞ。
悪気がないのはわかるんだけどね、比較するような誉め方は良くない。
321 :
308:2009/08/26(水) 07:45:08 ID:o+GZrxUY
注意されるかもしれない、とは思っていたがやっぱりされた……。スマン。
本当に悪気は無かったんだ。他の作者さん達を否定しようとした訳じゃないというのは信じて欲しい。以後気を付ける。
ウゼェ一々出てくるなよ
久々の投下で嬉しかったんだろう。
>>320とかもはや言葉狩りだろ・・・
もう下手に発言できないな
この程度で言葉狩りだと思うほどゆとりっ子なら書き込まない方が良いだろうな。
ふうん
職人以外の人には平気でそのような言葉を発する人なんだね。もういいよ
お前らやめてくれよ!険悪なムードは職人さんも読者も引いていくぞ!
>>326 庇ってくれて感謝してる。だが言葉狩りでは無いんじゃないかな?
ちょっと俺の配慮が足りなかっただけの話だよ。本当にすまなかった。
>>325 そうやってちょっとした事ですぐにゆとり扱いするのはイクナイ。
職人さん、読者の皆、互いに気遣かっていきましょうよ。な?
御剣と冥の新婚生活の想像がとまらん
文章にできたらいいんだけどな
お前らゆとりだのくれくれ厨だのうるせぇんだよww
ガキじゃねぇんだから多少気に入らない事があっても黙ってろwww
>>329 その通りだ。スルーが一番。
だからお前も黙ろうな。
とりあえず楽しく読んで楽しく書くんだ。
おまえらこれでも食って落ち着け
つ『とのさまんじう』
/ノMハ
lノ*-_-レ お茶も用意した。足りると良いのだが。
( つ旦O
と_)_) 旦旦旦旦旦旦旦旦旦旦旦旦旦旦旦旦旦旦旦旦旦旦旦旦旦旦旦旦旦旦
お茶多すぎワロタww
私はもっぱら紅茶ですから
>>333 おい、御剣
みそラーメンが無いじゃねーか
買 っ て 来 い 、 今 す ぐ に
果たしてみっちゃんは味噌ラーメンにも紅茶なのだろうか。
黒ミツメイの人、ありがとう。
エロかったし切なくて泣いた。
黒ミツがメイに風呂に入るから背中流せと命令して
ソープ嬢みたいなことやらせて後湯船の中で犯される冥
事後精液掻き出してシャワーで流して綺麗にしてもらった後
またベットに連れてかれてレイプ
>黒ミツ
なんか美味そうだな
>>341 ∬ ∬ ∬ ∬ ∬ ∬
旦_ 旦_ 旦_ /ノMハ _旦 _旦 ヽ\\> _旦
\\(‘へ‘;) \\(・∀・b≧\\lノ*-_-レ// (>〜・;)// ヽ( ( ≡) //
\ 桃⊂) \ 青⊂) \ 赤 / (⊃黄 / (⊃緑 /
| | | | | | | | | |
// ̄)) //ω)) // ̄\\ (( ̄\\ (( ̄\\
 ̄  ̄  ̄  ̄  ̄  ̄  ̄  ̄
そういえば、前スレのノコミクの続きが投下されないな
楽しみにしてるんだけど。忙しいのかな
ミツメイがみたい〜
愛憎劇でもいいしラブラブ蜜月ものでもいいし
そろそろ真宵スレの人帰ってきてくれないだろうか…。
>>346 そういえばマヨイスレにいったっきり戻ってきてないな
このままでは過疎ってしまう
真宵のどの人?
いいから宿題をさっさと終わらせるんだ
どこで書こうが自由にやらせてあげなよ
>>349 宿題を終わらせるような年齢層はここにいないだろwww
え、結構混ざってそうじゃないか?
真宵とかお子様に大人気だし
印象としては精神的なお子様人気はミツメイって気がするけどな。
決めつけとクレクレが多くて。
>>353 クレクレは他のCPでもあったじゃん
何を今更
「多くて」
ミツメイ好きはクレクレが多くて
感想でのリアクションも過剰に高い印象があるな
いや、テンションの高さはナルマヨの人たちには負けますw
多少のクレクレは活気があっていいじゃないか
>>356 わかる
まあ雰囲気悪くなるからこの辺にしとけよ。
たまには4のことも思い出してやってほしい
忘れてようぜ…。
思い出しくないです
別に忘れてるわけじゃないけど如何せんネタがない
この先どうなるか予測もつかないし
ネタはあるだろ。
オドミヌは実は兄妹
なるミヌは血の繋がらない親子
創作ネタとしてはかなり美味しい気がする。
しかし肝心なのは書きたいと思うかどうか。
萌えが足りないんだよ。4キャラは。
それは主観だろう…萌えてる人がいてもそんなん言ったら書きづらくなるし。
ここはナルマヨミツメイのカプ厨と呼ばれる人達が次第に増えてきて
カップリングに邪魔な4世界やミクモなんかにろこつな敵対心がある
>>365 あんたのその一行目、丸々自分に当てはまるとは思わんかね?
ここに来るのは大なり小なりカプ厨要素ありの人間が大半だぞ。
書き手も読み手もな。
あんたのその一言で、ナルマヨ職人もミツメイ職人も書きにくくなっただろうな。
あーあ、馬鹿が。
>ここはナルマヨミツメイのカプ厨と呼ばれる人達が次第に増えてきて
おとなしく携キャラ板のナルマヨミツメイスレにこもって隔離されてればいいのにね
この流れに悲しくなってきた。
みんなお茶飲んで落ち着こうぜ。
| ∧∧
|(´・ω・`)
|o ヾ
|―u' 旦 <コトッ
>>366 別にお気に入りのカップリングがあろうがいいけど
他を堂々とけなすようになったら終わり
なんでこんな殺伐としてるんだ…?
>>369 そう思うならお前がまず実行しろっつの。
特定のカプ名出すから荒れるんだよ。
早速変なのがわいてんじゃねーか。
カプ厨ってこうやってすぐにどす黒い本性さらけだすから面白い
カプ厨だらけのスレでそんなことしちゃだめだろ
カプ厨カプ厨って偉そうな奴はなんなの?
所詮同じ穴の狢だろwwwwwwwww
笑わせんなwww
前々から同じ事ばっかり言ってるようでアレだが……
お ま え ら 黙 っ て ろ
カプカプうるさいんだよ、職人様が来るまで口を噤んで待ってろ。
むしろ紅茶を飲んで頭を冷やしたまえ。
>>372-373 そのカプ厨職人が書いたSS読むのってどんな気分?
恥ずかしくないのかな?
>>376 別に恥ずかしくないよ
作者は嫌いだけど作品は好きってよくあることだからね
>>377 そっかそっか
書いてくれた人を当然のようにカプ厨呼ばわり出来るなんて、人間的に恥ずかしいことがよく分かったよ!
喧嘩やめようぜ
俺が先着1名の好きなカプで投下するぜ!
ミツミクお願いします!!!
>>378 職人がカプ厨とは限らないだろ
一緒にすんな、失礼
ねぇ、御剣さん
大切なものが無くなっちゃったの
でもそれが何なのか、よく分からないんだ。
盗まれたのは。。。。。。。。何?
==窃盗罪==
みくも「ふぅ。。。」
御剣「どうしたのだ、ミクモくん」
みくも「うん、なんか元気でなくて」
ふわっ
御剣さんのおっきな手が、わたしのおでこに触った。
御剣「ム、熱はないようだが?」
みくも「ひゃあっ///」
御剣「ど、どうしたのかね」
わたしだって分からないよ。
御剣さんが触っただけで、胸がどきどきしていて。。。。
もしかしてこれって
愛ってことなのかな?
そうと分かれば、確かめてみるしかないよね。
御剣「みくも君?」
わたしは御剣さんのフリルを思いっきり引っ張って、
濃厚なちゅうをした。
べろを中に差しこんで、熱い長いキッス。
御剣「ムウ!?」
みくも「ぷはあ」
御剣「み、みくも君。こういうことはその、恋人同士がやるものだと思うのだが」
みくも「わたし、すごく今どきどきしてる。御剣さん。。。。抱いて、ほしい」
自分で服を脱いで、しなだれかかると御剣さんは驚いていたけれど、
優しくわたしを抱きしめ、ベッドへ連れていってくれた。
御剣「悪いが手加減では出来ないぞ」
みくも「激しく抱いて」
そう言うと、御剣さんはわたしの服をつるりと剥いてしまった。
生まれたままの姿を見られているだけで、胸がどきどきする。
御剣「美しい体をしている」
みくも「。。。ばかっ////;」
ぽかっとぐーで殴ると、御剣さんはくすくすと笑った。
そして、わたしのおっぱいに顔をうずめ、なんとちゅうちゅうと吸い出したのだった。
みくも「ああああああん!」
御剣「もうこんな硬くなってきているではないか。。。」
その通り、わたしの乳首はびんびんにしこっていた。
更なる刺激を求めて、いやらしく勃起した乳首。。。
恥ずかしいよ、こんなの。。。
御剣「ム?」
ふと、御剣さんがわたしの股間に手を伸ばした。
指で茂みをまさぐられ、人差し指で割れ目をなぞられる。
すると、ぬちゃりと水の音がした。
みくも「う、そ。。!?」
御剣「もうこんなにしていたとは。。。」
信じられない。
わたし、ちょっと触られただけで、こんなに。。。
なんで!?恥ずかしいよお。。。////;
でも、これでハッキリしたのかな。。?
わたしは御剣さんを求めているんだ、って。。。。。。。。
みくも「きて、御剣さん。。」
恥ずかしくってたまらなかったけれど、わたしは足をおずおずと開いた。
御剣さんは「承知した」と不適に微笑み、ズボンを少しだけ下げて、ちん○をむき出しとしていた。
御剣さんのち○ぽは大きくて、たくましくって。。。既に戦闘体制に入っていた。
今からこれが入ってくるなんて、考えただけで胸がどきどきしてくる。
御剣「さあ、力を抜いて。。。」
みくも「んっ。。」
ぬぷうっ。。。と御剣さんの○んぽがわたしの中へ入りこみ、どんどん奥へ進んでいった。
みくも「ああん、痛いっ、裂けちゃうよお」
初めて男の人のを迎え入れて、わたしは泣いていた。
どきどきして大好きだって思うのに、すっごく痛い。
御剣さんはなんとか宥めようと、ちゅっちゅと私の首筋にキスをしている。
だからかな?
すぐ、痛いのから、気持ちいいのに変わったんだ。
みくも「ひああん、あああん、あああん!」
御剣「ククっ、すっかりヨくなってきたようだな。。」
御剣さんが腰を打ち付けるたびに、わたしは体ごとずり上がる。
激しい挿入の繰り返しに、じゅぷじゅぷと内部をえぐられて気持ちよくてたまらなかった。
あえなくして、わたしは快感の頂点に上り詰めてしまった。。。
みくも「あーっ、いい、イっちゃうよぉ!」
御剣「うム、いきたまえ!」
みくも「ひゃああああああああん!」
わたしはぶしゃああああっと激しい潮をふいて、イってしまった。
あまりの気持ちよさに、徐々に意識が薄れていく。。。
そんな中で、御剣さんがわたしの中に注ぎ込んだのが分かった。
翌朝、わたしはふっかふかのベッドで目が覚めた。
この寝心地の良さは、御剣さんちの高級ベッドに違いない。
嬉しい。
夢じゃ、なかったんだ。
ずきん、と痛む腰も、今のわたしにはどうでもいいことだった。
御剣「おはよう、みくも君」
湯気が立つカップを持って、御剣さんがやってくる。
わたしにカップを渡して、ベッドに腰掛けた。
おいしい紅茶を飲みながら、わたしは気恥ずかしくて、視線を逸らしてしまった。
御剣「みくも君。。。私も君といると、幸せだ。胸がぽかぽかと温かくなる。。。
これは、恋というものだと思う」
優しくわたしを抱き寄せ、真摯な瞳での告白。
その時、理解したんだ。
わたしのなくし物は“こころ”だって。
盗んだのは御剣さん。
ねぇ、責任とってね?検事さんなのに窃盗罪なんて、いけないんだ。
そう笑うと、御剣さんもくすくすと笑っていた。
そして二人は笑顔になった。
おしまい
GJ!
ミクモが可愛いかった!
ミツミク、リクした者ですが超GJです!!
つか速すぎる投稿マジでありがとうございます!!
いや幸せミツミク最高ですねvv
そのまま甘々カップルになってナルマヨ(ロウメイ)と
ダブルデートすればいいんじゃないでしょうかww
ごめん、誤爆した
バレバレだって・・・
いや、ごめん
本当にニュー速の選挙関係のスレと間違えたんだ。
そこまで穿った見方されても困るんだけどな。
全く、変なのが住み着いたんだなぁ…。
↓紅茶 ↓緑茶 ↓紅茶 ↓紅茶 ↓? ↓コーヒー
∬ ∬ ∬ ∬ ∬ ∬
旦_ 旦_ 旦_ /ノMハ _旦 _旦ヽ\\> _旦
\\(‘へ‘;) \\(・∀・b≧\\lノ*-_-レ// (>〜・;)//ヽ( ( ≡) //
\ 桃⊂) \ 青⊂) \ 赤 / (⊃黄 / (⊃緑 /
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// ̄)) //ω)) //ω\\ ((ω\\ ((ω\\
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好きな物を飲んでくれたまえ
何をどう解釈すればそうなるのやら
これじゃ疑われても仕方ないわな
え、違うの?
変な粘着具合からてっきり本人だと思ったわ。
まあマジで単なる誤爆でそこまでする筋合いもないし
申し訳ないがこの辺でやめさせてもらうよ。
何言ったって言い訳としか取らないだろうし、あらぬ濡れ衣着せられても嫌なんでね。
やっとネットブックゲット!
ガンガン投稿していきます!
wktk
ミツメイいきますよ。
・84-96の続き
・リアルさもとめてエロさ低い
たぶん15レスくらい。よろしくー
400 :
ミツメイ1:2009/08/31(月) 20:33:58 ID:Sn92a1tI
アレバスト王国で、カーネイジ・オンレッドの裁判が行なわれた。
密輸、偽札作り、殺人、その他の余罪もあったが、その一切に狩魔冥が関与したのは、当然のことだった。
彼女は国際警察に協力し、その捜査状況の全てを把握している。
日本ではすでに、マニィ・コーチン殺害の罪で裁かれているが、その事実は彼女の姿勢に一つのぶれも与えなかった。
彼女が求めるのは、完璧な勝利。
捜査の途中、志半ばにして殺害された同僚のアクビー・ヒックスの仇を裁く立場にある彼女にとって、それは必然だった。
彼女の法廷は、異常なまでの緊張感が生まれる。
それは彼女の鞭のしなる音のため、だけではない。
彼女は一分の隙もない論証を、鈴の音にも似た凛とした声で構築する。
言いよどむことも、不安を見せることもない。傍聴人ですら疑問も、反証も思いつかないその論証は、被告席に立つ人物にはどれだけ強固な檻に思えることだろう。
日本にいる、たった一人の弁護士と、検事を除いて、彼女のその論証を崩せた者はいないのだ。
カーネイジ・オンレッドの裁判でも、それは変わらなかった。
彼女は大使館での事件の後も捜査を続け、彼の余罪をいくつか見つけていた。
ただの勝利では意味がない、と言い放った力強さは、これ以上ないほどの自信に裏打ちされていたのだ。
カーネイジに判決が言い渡されるのを待って、御剣は傍聴席を立った。
結果は見えていたが、ひとつの区切りは必要だ。
自分の存在に気づいているはずの彼女はこちらに視線を向けることもなく、被告席の男に涼やかに勝者の笑みを向けると、銀の髪をゆらして颯爽と検事席を去っていった。
「早かったな」
裁判所の待合室で、ひときわ目立つ彼女の姿を見つけ、御剣怜侍は席を立ち、声をかけた。
周囲にいるのはほとんどが外国人で、日本語を理解する者はいない。
だが、先ほどまで世界中の注目を集めていた裁判の担当検事の姿に、自然と視線が集まる。
「当然よ。今日は全てが予定どおりだったわ。事後処理に時間をかける理由など一つもないのよ」
そう言う彼女は、周囲の視線など気にも留めず彼の前に立って歩き始める。
外に車を待たせてあることも、彼女にとっては「当然」のことなのだろう。
その背中を追いながら、御剣は口元を吊り上げる。
「ふっ……相変わらずだな、メイ」
くるりと振り返った彼女は、意味ありげな笑みを浮かべている。
「それで?今日の裁判、あなたの勉強になったのかしら?」
御剣がここにいるのは、彼女の言うとおり「勉強」のためだ。
自分が関った事件であり、全世界的にも注目される裁判であること、多国間での犯罪に対する、重要な判例となることなどを理由に、アレバストへの視察を許可してもらったのだった。
「あぁ、君の論証はもちろん、他にも勉強になることは多かった。実に意義のある視察になった。それに……」
車に乗り込みながら、彼は不敵な笑みを浮かべ、そっと彼女の耳元で囁く。
「勤務時間どおりに終わってくれて、実に有難い」
隣に乗り込む男の表情をうかがうこともせず、正面を見据えたままの彼女の口元が緩む。
「その感謝の気持ち、十分に示してもらうとするわ」
いまだざわめきの残る裁判所を後にして、二人を乗せたハイヤーはアレバストの街中へと進んでいった。
401 :
ミツメイ2:2009/08/31(月) 20:37:52 ID:Sn92a1tI
二人の目的地は、アレバストの中心市街地に位置する高層ホテルのレストランだった。
アレバストの料理に舌鼓を打ちながら、二人はそれぞれが担当した裁判について、意見を述べ合う。
証拠品をつきつけるタイミング、証人との事前の打ち合わせ、予想していた反証と、それに対して用意していた答え。
彼らの裁判は常にあらゆる可能性に対するべく、完璧に用意されている。
その完璧さを競うように、こうして語り合うのは長年の習慣だった。
他人には仕事の延長としかみえない、しかし二人にとっては戯れ話にも近い会話が一通り終わり、メインディッシュを食べ終わる頃には、共通の知人の話題になっていた。
「そういえば、あの子は元気にやっているのかしら?」
彼女が示す人物にすぐに思い当たり、彼はふっと笑みをこぼす。
「ああ、ミクモくんか。おそらくは、な。ヤタガラスによる犯行が行なわれていない以上、仲間は見つかっていないようだが。」
彼の言いようにくるりとワイングラスを揺らして、彼女は微笑む。
「ふふっ、楽しみね。"ギゾク"になったあの子と、あなたが対決する日が来るかと思うと愉快だわ。」
「ム。そのときは、二度と同じようなことを起こさないようキツク叱ってやらねばなるまい。」
眉間にしわを寄せた彼とは対照的に、彼女は上機嫌だ。
「冗談よ。レイジは昔から冗談が通じないのね。」
酒が回っているのだろうか。
ほんのりと上気した白い肌が、暖かな照明の中でぼんやりと輝いて見える。
ここまで来た真の目的を思い出すと、御剣の頭は急速に熱を帯びてくるようだった。
「メイ」
デザートに嬉々として手を付けている彼女に呼びかけると、小首をかしげてこちらをみやる。
さらさらと揺れる髪に見とれながら、彼は彼女の計算高さを思い出す。
だが、この仕草まで計算しているのではと疑ってみたところで、彼女に対する感情に変化があるわけではない。
「部屋をとってあるのだ。……君さえかまわなければ、もう少し付き合ってもらえないだろうか。」
そう彼が問いかけることがわかっていたかのように、彼女はグラスに口を付けて、彼にしか聞こえない声で囁く。
「いいわ。ここよりも、おいしいワインが飲めるなら。」
部屋に着くまでの道のりは、これまでの空気と何も変わらないように見えた。
だがそれはあくまでも見た目の話であって、二人の内心は大きく揺れていた。
何しろ、二人が結ばれてから1ヶ月、こうして二人きりで会う機会など一度もなかったのだ。
だからこそ彼は無理に理由を付けてでも彼女に会いに来たのであり、それは彼女にとっても嬉しい事実だった。
靴が沈み込むような絨毯の敷かれた廊下を進み、静かにドアを開ける。
彼女を先に部屋に通すと、彼は後ろ手にドアを閉めた。
目の前で揺れる小さな頭、細い首、パフスリーブに包まれた薄い肩、細身のスーツに隠されている滑らかな肌。
一つ一つの記憶がよみがえり、彼の手は彼女を捕らえる。
唐突に体の自由を奪われた彼女の心臓は跳ね上がり、体は急速に熱を帯びる。
けれどまだ、彼女のヴェールははがれない。
こともなげに、涼やかに言い放つ。
「レイジ。日本では「急いては事を仕損じる」というのではなかったかしら?」
「メイ。「鉄は熱いうちに打て」とも言うだろう?この機会を、私がどれだけ待ったと思っている。」
耳元で囁く彼の吐息は、確かに熱を帯びているようだ。
その熱に包まれたいと、彼女の熱も上がってゆく。
けれど、その温度に流されるほど彼女は感情的ではなかった。
それに、前回全ての主導権を握られて、自分の思うように振舞えなかったことへの不満も
402 :
ミツメイ3:2009/08/31(月) 20:39:07 ID:Sn92a1tI
ないわけではない。
甘い空気を受け入れるのは、まだ、早すぎる。
「1ヶ月、よ。それは私も同じだわ。時間の長さが滞在する国で変わるわけではないでしょう?1ヶ月という時間の長さに比べたら、この部屋で過ごす数時間なんてどうということはないわ。もう少し落ち着きなさい。」
だが、と言いかけた彼の腕から抜け出すと、彼女は彼に向き直り、手にした鞭で床を打ち、怒りの視線を向ける。
「御剣怜侍、少しも反省していないようね。自分の失態を記憶しているなら、私の意向を尊重しなさい。」
そう言われれば、彼も黙らざるを得ない。
彼は確かに、失態と言われても仕方がないような状態で、彼女を抱いたのだ。
「う、うム……スマナイ。」
うつむく彼に勝ち誇った笑みを向けて、彼女はひらひらと人差し指をゆらす。
「わかればいいわ。それじゃまず一つ、私の言うとおりになさい。」
「な、なんだろうか。」
彼女の"命令"を待つ彼の背筋を冷や汗が流れる。
一度彼が手に入れたとはいえ、彼女の気性の荒さは何一つ変わってはいない。
彼女は腕組みをし、拒否権を与えない鋭さで彼に指示を出す。
「そこのソファに腰掛けて、目を閉じなさい。」
「……それだけか?」
「つべこべ言わずすぐ動きなさい!」
鈍い音を立てて絨毯を叩く鞭の音に急かされるように、彼はソファに腰掛け、目を閉じる。
まさかムチで打たれはしまい、などと考えていると、彼女が近づいてくる気配がする。
彼が座るソファに手をつく気配、そして次の瞬間、唇に柔らかな感触が訪れる。
同時に頬をくすぐるのは、間違いなく彼女の細い髪。
驚き目を開けると、彼女はムっとして彼を睨み付けている。
「順番を間違ってるのよ、アナタは。」
確かに彼女の言うとおりかもしれない。
唇を重ねることで得られる合意形成は、特に女性には必要不可欠だ。
しかしそのためにわざわざ鞭を振るって、こうして拗ねたような表情をして見せるのは、どうにもスマートとは言いがたい。
思わず頬に手を伸ばして、笑いたくなるのを堪えながら年長者らしく尋ねる。
「ならこんな面倒なことをせず、素直に私に強請れば良いではないか」
「……そんなこと、私に出来るはずがないでしょう。大体、あなたの身長が高すぎるのよ。」
ふい、と横を向くそぶりはまるで子どもで、共に過ごした幼い日々を思い出す。
そのころとは、似て非なる感情が彼の胸を満たす。
「それは、スマナイ。ではもう一度、やり直すとしよう。」
彼女の腰を抱き、彼の脇に膝をつかせて、唇を重ねる。
薄い唇は柔らかく、幾度もついばむうちに口紅も落ち、本来の色を見せる。
舌を差し出すとおずおずとそれに応えるように舌が伸びてきて、彼はそれを吸い取り、しばらく自由を奪い、離すとまた丁寧に咥内をなぞる。
勤勉な彼の舌に時折彼女の舌が絡められる。
その拙いながらもいじらしい所作をもうしばらく楽しみたくなって、少々しつこいくらいに口づけを続ける。
ようやく口が離されると、彼女はすっかり惚けたような表情をしていた。
とろりと鋭さを失った目が合うと、そのまま崩れるように彼の肩に頭を預ける。
「最初も、これくらい丁寧にすべきだったわね」
「ああ……」
403 :
ミツメイ4:2009/08/31(月) 20:42:45 ID:Sn92a1tI
シャワーを浴びながら、彼女はうっとりと目を閉じた。
長く深い口付けは十分に彼女の心と体をほぐし、ふつふつと沸いてきた熱はいくらシャワーを浴びても流せそうになかった。
心地よさに身を任せてしまいたいと思わなかったわけではないが、彼女は全てに完璧を求める性分だ。
勢い、流れ、そんなものに身を任せて、彼に良いように抱かれるのは一度で十分だった。
あくまでも対等に、それでいて、彼女を十分に満足させる一夜にしなければならない。
こんな考えを彼が知ったら鼻で笑うかもしれないが、それでも彼女はそれを求めずにはいられなかった。
そのためには、彼女自身の状態を"完璧"に整えるため、こうして彼を置き去りにしなかればならなかったのだ。
入れ違いにバスルームに向かった彼の背中を追いながら、彼女は冷えたミネラルウォーターに口をつけた。
冷たい液体を飲み下すと、わずかに彼女の背中を押していたアルコールが消えていくように感じた。
下着とバスローブに身を包み、改めて部屋を見渡すと、それなりに気品のあるしつらえになっている。
(この場合の"それなり"は、あくまで彼女の基準だが)
彼の心遣いを感じると、いつになく自然と口元がほころぶ。
窓を見やれば、眼下に広がる町並みが美しく輝いている。
この町のどこにも、彼らを邪魔する者はない。
もし彼らの行いを良く思わないものがいるとしたら、と考えて、彼女はつぶやく。
「……パパ」
今はいない、彼らの師は、このような事態を喜んだだろうか。
ただひたすらに、まっすぐに、わき目も振らず検事としての頂を目指すことだけを望んでいた男だった。
彼らはその姿に、一種の神々しさを感じ、畏怖しながらもついてゆくしかなかった。
そしてそれが、幸せだったのだ。
たった一人の完璧な師に認められるべく、互いを高めあい、時に弱音をはき、相手を叱咤激励し、ひっそりとたわいない会話を楽しむ。
兄妹のようでいて、そうではない。
好敵手と呼ぶには親密すぎる。
その関係が、心地よかったはずなのに。
彼らの師が、つまるところ、彼女の父親が、彼の父親を殺した。
それを知ったときの彼らの衝撃は、まるで世界が反転したようだった。
これで全てが終わってしまうのではないかと危惧したのは、無理からぬことだった。
己の選んできた道を全否定された彼は失踪し、彼女は目標を彼にすり替え、その彼を破った弁護士を倒すことだけを目的として日々を過ごした。
自覚をしていたかどうかはわからないが、それはむなしく、苦しい日々だった。
しかし結果として、彼らはここに、自らの足で立っている。
自分たちの歩く道を、自分自身の力で見つけ出したのだ。
――でも、どうかしら
ほんの少しぬるくなった水を再びのどに押し込んで、彼女はうつむく。
――私がレイジを求める気持ちは、ただパパに振り向いてほしくて努力していたあの頃の気持ちを、都合よく彼へとねじまげただけではなかったかしら?
いかにも自分が大人になったように思わせたくて、それを恋愛と思いたかっただけではないの?
そしてゆっくりと、1ヶ月前のことを思い出す。
彼との再会、以前と変わりない会話、事件の終結、彼への心境の変化、突然の来訪、美雲のカード、自覚、彼の告白、彼女自身の心境の吐露、彼に抱かれたこと――
そのどこかに、彼女の父の影があっただろうか?
思い出す限り、見つけ出せないことに安心して息をつく。
自分の気持ちに整理をつけた彼女が再び窓に目をやると、そこに映りこんだ彼の姿があった。
心配そうに彼女を見守る彼こそ、よく気持ちの整理をつけたものだ。
彼こそ、自身の想いを貫かねば、彼女を抱くことは出来なかっただろう。
何せ彼女は、親の仇の娘、なのだから。
「メイ。どうかしたのか?」
歩み寄ってきた彼は、彼女に体が触れない距離で立ち止まる。
もう一歩近づいても噛み付きはしないのに、などと思いながら、彼女は彼を振り返る。
「いいえ。なんでもないわ。夜景を見ていただけよ。」
「そうか」
404 :
ミツメイ5:2009/08/31(月) 20:45:06 ID:Sn92a1tI
数秒の沈黙の後、彼の腕が彼女の体を包んだ。
「……なら、そんなカオをするな」
一瞬、彼女は凍りつく。
「……私は、どんなカオをしていたのかしら?」
彼女自身、思いつかない。
いや、そもそも彼はいつから彼女の様子を見ていたのだろうか?
「ひどく……その、悲しそうに見えたのだ」
苦しげに漏らす彼の背に腕を回して、彼女は彼の言葉を反芻する。
自分は何が悲しかったのか、それを突き止めるのに、そう時間はかからなかった。
ただ、それを彼に言うのにはほんの少し、ためらいがあった。
彼の胸に額を押付けて、言葉を搾り出す。
「……わたしたち、結ばれるべきではなかった……と思うことはない?」
今度は彼が、息を呑む。
「私は何度か考えたわ。だって私たち、家族のように育って……それに、私の父は」
「言わなくていい。」
彼女を抱く手に力がこもる。
「いいのだ、メイ……私も考えた。考えたが、自分の想いに嘘をつくことほど、卑怯で姑息なことはない。君はそう思わないか?」
彼の言葉は、ほんの少し弱くなってしまった彼女の心を強くした。
疑念は去り、彼女の瞳に迷いはない。
「そうね。私も自分の想いに余計な雑念を挟まないようにするわ。だからレイジ……」
す、と薄い唇が近づいて、彼の耳元で囁く。
――私を、乱して頂戴
再び、長く丁寧な口付けを終えると、彼はベッドの上で体を起こした。
うっとりとした表情で横になっている彼女は黒のレースに縁取られた優雅な下着に身を包み、彼の首に細い腕を回している。
「ねえ。明るいのは、嫌よ。恥ずかしい。」
彼が最初に彼女の肌を目にしたのが朝方だったせいか、こうして暗がりの中、暖かな明かりに照らされた肌はさらに艶めいて見える。
白く、日に当たらずにいた肌は薄く、血の流れもうっすら青く透けて見えるようだ。
男にはないまろやかな曲線、触れば沈み込んでゆきそうな柔らかさ、それでいて、しっかりとその身を支える無駄のない筋肉。
美しい。
そして、どうしようもなく男の欲情を掻き立てる。
それをむざむざ暗闇に沈めてしまうのは、あまりにももったいない。
「何も恥ずかしがることはないだろう。こんなに美しい体を。」
「でも――」
言いかけた彼女のうなじに吸い付くと、ひくりと震える。
舌で首筋をなぞると苦しげに息を呑み、続けるうちに悲鳴が漏れる。
「ひ、ん、んんんっ」
405 :
ミツメイ6:2009/08/31(月) 20:48:06 ID:Sn92a1tI
それでもくぐもって聞こえるのは、声を上げるのを我慢しているせいか。
「――ガマンするな。辛い、だろう」
あやすように頭をなでるが、表情は苦しげなまま、首を横に振る。
「や、いやよ。こんな声――!」
拒否するその声も、息継ぎが少し乱れている分だけ、いつもより色気を増していて。
「ム……イイ声だと、思うのだが」
バカ!と叫んで思い切り耳をつねられる。
が、この程度でめげていては始まらない。
小さな抵抗は無視して、うなじを舐めあげて動きを封じ、肩、二の腕、手の甲へと舌を進める。
そこから与えられる甘美な痺れにうっとりと身をゆだねて、彼女は、深く息をつくことしかできない。
すべてが愛おしいのだと、言葉にするかわりに口付ける。
こんな、意味がないようにも思える、そのくせ妙に胸を高ぶらせる愛撫のことなど、彼女は知らなかった。
ああ、慣れているのね。
そう彼女は言いかけたが、開いた口は悲鳴を上げた。
不意にわき腹を舐められて、瞬間、びくりと体をこわばらせる。
あばら骨が浮き出る体側を飽きずにくすぐると、彼女からは余裕がなくなる。
「や、いやっ、だめっ……やめ、やめて、れいじっ……!」
ひくひくと、ばねのように跳ねる彼女の体をしっかりと押さえ込んで、彼は彼女のわき腹をなめあげ、腕を取り、腋を舐める。
ひときわ高い悲鳴と同時に、必死で彼から逃れようと彼女はみじろぐ。
あまりにも恥ずかしく、そのうえ、体の自由も奪ってしまうような刺激は、まだ快感とまでは認識できない。
ひたすらに、どうしていいかわからずに、逃れたくて、彼女は腕を下ろそうとするのだが、彼はそれをゆるさない。
高い悲鳴が続いて、息が乱れて、逆らう力が弱まってしまうまで、その柔らかな皮膚を舐め、吸い付き、彼女を押さえ込む。
「あ、あっ、いや、やめ……っ、やめ、てぇっ……れいじっ」
苦しげな声が震えているように聞こえて、ようやく彼は口を離し、彼女の体を開放する。
とたんに強張っていた体から力が抜け、乱した息を整えようと酸素を吸う。
非難めいた瞳が潤んでいて、ぞくりと肌があわ立つ。
もっと、もっと乱したい。彼女もそれを望んでいる、はずだ。
ならばクールダウンの時間など必要ない。
彼女の熱が冷めないうちに、冷ややかな批判を浴びないうちに、その口をふさぎ、下着をとりはずしにかかる。
つややかな黒の布地は豪奢なレースに飾られていて、乱暴に取り扱うことができない。
無論、その中身に対しても同じことだが。
不器用な彼は片手で止め具をはずせるか、自分自身の手際に危うさを覚えないではなかったが、さほどの時間をかけずにそれは達成できた。
零れ落ちた二つのふくらみは際立って白く、柔らかく、手を滑らせ、揉みしだくだけで愉悦を感じる。
力をこめすぎないよう加減して、恐る恐るといった風に指先でなで、ゆっくりと手のひらで頂を押しつぶしながら揉んでいく。
口を離してやると、自由になった薄い唇はうっすらと開いたまま、息を乱し、確実に上がってゆく体温を逃がそうとしている。
「んっ……は、あ……」
ゆったりとしたペースに余裕を取り戻したのか、彼女の様子はずいぶんと落ち着いている。
が、それは快感を与える波が、一度引いただけのことだ。
彼の手は不意にその頂をつまみ、もてあそぶ。
「やっ、あっ、んんっ!」
406 :
ミツメイ7:2009/08/31(月) 20:50:37 ID:Sn92a1tI
高い声を漏らす彼女はぎゅっと目をつぶり、彼の背に回っていた腕は、抱き寄せることも拒むことも出来ず、こっけいにも背中でこぶしを作っている。
それは、手を開いていることが不安で、身を強張らせる中でした動作に過ぎないのだが、その初心さがまた、かわいらしい。
彼女の余裕のなさが、少々悪趣味とも思える彼の思考を後押しする。
「メイ。だいぶ硬くなってきたようだが、感じているのだろうか?」
言って、くりくりとそこをいじってやれば、反論も悲鳴に変わる。
にらみつけようとした目は力なくゆがみ、愉快そうな彼の顔を見たくないのか、ふたたび目を閉じてしまう。
背に回していた腕を下ろして、声を抑えるように口元に持っていく。
荒い息はおさまらないにしても、声を飲み込むには効果的なようだ。
それをおもしろがるように、彼は再度、口を使うことにした。
一度胸の間に唇を落としてから、頂に舌を伸ばし、吸い付く。
「っ!」
息を呑み、背が反らせたのがわかる。
かまわず唇と舌とで硬くしこったそこを舐り、時には歯をたてる。
首を振ってもだえる気配を感じ、視線をあげると、よほど声を出したくないのか、自分の指を噛んでいた。
慌てて口を離して、その手の甲に唇を落とし、口から離させる。
息を乱した彼女は今度こそ、非難の目を向けた。
「あなた、私に何を言わせたいの?」
が、怒りではなく甘美な興奮に頬を染めて、そのうえあられもない格好で、肌に汗を浮かべて、息を乱しながら言われても、恐縮する気は起きない。
平然と手を取り、彼女の歯形がついた指に口付ける
「傷が付く。噛むなら私の指にしたまえ」
「なっ……」
自分の意見に取り合わない男に彼女が何か言おうとしたが、それも彼は無視し続ける。
言葉通り自分の指を彼女の口元に差し出し、胸への愛撫を再開する。
先ほどとは反対の胸に口付け、舐り、その間も空いた手はもう一方をもみしだく。
得体の知れない生き物のように、熱く蠢く舌の感覚に、彼女は差し出された指を噛んだ。
のどまで出掛かった嬌声を、ただのくぐもったうめき声に変えるだけとわかっていても、差し出されたその骨ばった指に、歯形を付けたくて。
「ふ、ん、んうっ……」
鼻にかかった声は、それでも十分にいやらしく、女を喜ばせているという事実が彼を満足させる。
加えてそれが、あの勝気で、人の言うことなど聞きもしない、まるで女王然とした彼女なのだという事実が、妙に彼をくすぐる。
きしむベッドの上では、彼女は彼に弄ばれるほかない。
そう思うと、冷静な彼らしくないイタズラ心が度々顔を出す。
どの程度自分の行動を受けいれてくれるものかと、彼はためしに彼女の口の中で指を動かしてみた。
彼女の舌は驚き、一瞬ひっこんだが、ややあって彼の指を確かめるように動いた。
そろりと、ざらつく舌で指を舐めあげられるのは、なかなかに官能的だ。
猫でもあやしているような気分になる。
その間も胸への愛撫を止めないので、彼女の歯が何度か彼の皮膚に痕を残した。
落ち着くと傷跡を癒すように舌を這わせるのが、いじらしい。
ひとしきり戯れを繰り返し、彼女の舌が彼の指を舐めるのに疲れると、ようやく指を引き抜き顔を上げ、唾液にぬれたその指でくるりと敏感な頂をなぞる。
なまめかしいため息をつく彼女はもう、非難の視線を向けるのも忘れていた。
人の体の一部を舐めるという初めての行為に、簡単に酔ってしまったようだ。
薄く開いたままの唇に口付けながら、彼の手は腰をくすぐり、足の付け根をそっとなでる。
滑らかな肌のその先に、たまらなく熱くなっている場所があるのを、彼女は理解しているのだろうか。
「メイ」
呼びかける彼の声に、彼女が視線を上げた瞬間、その場所を指が滑った。
下着の上からでもわかる湿った空気と熱は、彼女が情欲に溺れつつあることを示している。
407 :
ミツメイ8:2009/08/31(月) 20:53:08 ID:Sn92a1tI
いや、と身をよじる彼女が逃げ出す前に、彼は下着の中に指を入れる。
ゆるりと、彼女自身のぬめりをまとわりつかせて表面をなでると、それだけで声をあげる。
「や、れ、れいじ」
すがりつき、それでも快感を与えられれば喜び震えてしまう体を制御する術を彼女は知らない。
知らないから、怖い。
彼にすがりつき、自分のものではないような弱弱しい声をあげ、そのくせ、体中の神経が彼の触れる場所に集まってしまったような錯覚に酔う。
彼の指は閉じられた花びらを割り、蜜を溢れさせる。
彼女が今日のために選んだだろう下着はいやらしい蜜を吸い、使い物にならなくなってしまった。
それでも彼は下着の隙間から指を差し入れたまま、花弁の間をなで続ける。
「は、うぅ、んっ……れい、じ」
下着を着けたまま乱されるのはたまらなく恥ずかしくて、いっそのこと脱がせてくれればいいのに、と頭の隅で思うのに、それを彼女が口にするのはそれ以上に恥ずかしいことのようで、困惑と快感でぬれた瞳を向けることしか出来ない。
彼はそれに気づいているのかいないのか、彼女の敏感な芽をさぐりだし、指の腹でこする。
「っ!」
びくりと背をのけぞらせ、突然の衝撃から逃げ出そうと身をよじる。
が、逃れられない。
下着はしっかりと彼の手と彼女の体を固定しているのだ。
まさかそのためにわざわざ指を差し入れたわけではないだろうが、彼は彼女が逃げられないのを知ると、満足そうに笑みを浮かべて指を動かした。
敏感な箇所をつまんでやれば甲高い悲鳴をあげ、その周囲を愛撫すれば甘いため息をつく。
その合間合間に自分を呼ぶ声がいとしくて、彼の熱もあがってゆく。
もう、彼の中心は痛いほどいきり立って、目の前の甘い肉の中に飛び込みたがっていた。
だが、もう少し。
彼女と今後"このようなアレ"をするためには、もう一段階だけ我慢しなければならない。
「れい、れい、じぃっ……いやぁっ、だめ、だめ、なのっ……」
乱れきった彼女が頭を振って、彼に視線を向ける。
それを合図に彼は指を抜き、彼女の下着に手をかけた。
ようやく一つの羞恥から開放されると知った彼女は、思うように動かない体を動かし、腰を浮かしてそれを手伝う。
けれど、秘所を明かりに照らされるのも十分に恥ずかしい。
少しでもそこを隠そうと、彼女が足を閉じようとする間にひざを割りいれられ、それは適わなかった。
彼に軽々と片足を抱えあげられ、熱くぬれた其処が外気にさらされ、ひやりとする。
「やっ……れ、れいじ、いや、恥ずかしい……」
表情を隠すように顔を布団に押付け、口元を手で押さえて、蚊のなく様な声で訴える様は、嗜虐心をそそる。
「だが、こうしないと君の中をほぐせない。」
わかるだろう?と問いかける彼に、彼女は惚けたような表情を向ける。
「なか……」
「そう、中、だ。私が入るこの場所で君が感じてくれなければ、それは完璧なセックスとは言えない。そのための準備が必要なのだ……こういった」
言いながら、深爪といってもいいくらい短く切られた爪を乗せた指先が、彼女の中に埋め込まれてゆく。
一瞬彼女が眉をしかめたように見えて、その指を止める。
「痛い、だろうか」
「いいえ……大丈夫だから……続けてちょうだい」
得意の強がりなのだろうと、彼には容易に想像できた。
だが、今引いてしまってはまた同じことを繰り返すだけだ。
彼女には苦痛であったとしても、今後それを快感に変えてゆくためには耐えてもらわなければならない。
彼女の言葉通り、続けるしかない。
408 :
ミツメイ9:2009/08/31(月) 20:56:15 ID:Sn92a1tI
まだまだ男を受け入れるには未熟なそこを傷つけないように、指の腹でなぞるようにして押し進む。
絡みつく体液と柔らかな内壁を指の根本にまで感じたときには、我慢の2文字を思い浮かべるよりほかなかった。
いずれ彼自身の求める方向に行き着くのだと自分自身を納得させながら、少しでもそのときを彼女が心安らかに受け入れられるようにと、ゆるゆると内部を探り、ほぐす作業に没頭する。
「は……んんっ……なんだか……ヘンな感じ、ね」
呟く彼女の眉間のしわが薄くなったことに、安堵の息をつく。
すぐに快感を得られるようになるとは思っていない。
職務上、性犯罪の判例もあらかた頭には入っている。
残念ながら、快感ではなく苦痛を与えられた原告の証言ばかりだが。
ともあれ、性交渉の経験に乏しい女性にとって、そこがあまり気持ちのいい場所ではない、ということだけは承知している。
もっとも、自分のこの行為がどれほど役に立つのかは定かではないが。
「その……メイ、大丈夫、だろうか」
「え……ええ。痛くはないわ、今のところ」
彼女らしくないはっきりしない物言いも、ひっかかるにはひっかかる。
けれどもう、彼自身が収まりの付かない有様になっている。
自制心という堰に阻まれた情動が、もはや体の一部などでは収まらないほどに膨れ上がっている。
その熱を暴発させず、まだ少しコントロールできるうちに、彼女と一つになっておく方が得策だろう。
愛液に濡れた指を引き抜くと、彼女の肩がふるりと震える。
こんな反応では済まないことをしようとしているのだ。
彼女に二度も「失態」と呼ばれないように準備をして、彼女の頬に唇を押付け、かすれた声を聞かせる。
「すまないが……もう、限界だ」
え、と聞き返す彼女の腰をつかみ、いきり立った彼自身の先端を押し当てる。
ぬるりとすべる感触を楽しんで、入口にあてがうと、彼女の身体が強張るのを感じた。
「メイ。力をぬいてくれないか」
「……努力、するわ」
ふう、と息をつく彼女の中に、ゆっくりと彼自身を押し込んでゆく。
一瞬苦痛に歪んだ彼女の表情が見えなかったわけではないが、それよりもあまりに気持ちのいい感触に、猿のように腰を動かしたくなるのを抑えるので精一杯だった。
まとわりつく肉の壁、握られているような強さのしめつけ、あるいは狭さ。
そして、別の生き物のように蠢き、跳ねるお互いの熱い感触。
腰の奥でふくれあがる快感をさらに強いものにしたい。
それに身をゆだねて、理性のたがを外して、本能のままに動き出したい。
うずまく欲情を抱えたまま、みっちりと彼女の中を満たした状態で息をつき、一言、声をかける。
「メイ。いくぞ」
見上げている彼女の表情はどこか不安げだったが、もう、彼は動き出していた。
一旦ギリギリまで引き抜き、浅いところでの抜き差しを繰り返す。
一番狭い入口で一番気持ちの良い所を刺激できるこの状態は、効率よく彼を高ぶらせる。
「っく、あ、あぁっ!」
眉間に深いしわを刻んで悶える彼女の様は、やはり快感とは違う感覚なのだろう。
だがその様子も、今の彼には欲情におぼれている様にしか見えない。
際奥に突き立てれば弓のように背がしなり、激しく腰を動かせばそれにあわせて声を上げる。
首を横に振って嫌がる様も、先ほど咎めたのに自分の指を噛む様も、男を感じているようにしか、見えない。
いななくように声を上げ、目じりに涙を浮かべる姿にも胸が痛むことはなく、ひたすらに、自身の快感だけを追及して腰を動かす。
それでも相手を感じさせてやろうという欲求がないわけではないらしく、器用とは言えない手が彼女の敏感な肉芽をつまむ。
「あぁあっ!イヤ、ダメ、だめぇっ!」
409 :
ミツメイ10:2009/08/31(月) 20:59:32 ID:Sn92a1tI
激しく首を振る彼女には、まだそこは刺激が強すぎて、しかも先ほどまでとは違って遠慮のない触れ方をするので、それこそどうすることもできない。
ただ苦しくて、涙が浮かぶ。
身をよじることもできず、息の続く限り声を上げる。
それでも彼を突き放すことは出来なくて、薄い爪を皮膚につきたてて、すがりつくのだ、
きしむベッドの上で叫び続けていた彼女の声はかすれ、彼の体温は上がる。
薄く目を開いた彼女が見た彼の瞳は見たことがないほど妖しく光っていて、それでも自分だけを見つめていることに安堵する。
「レイっ、レイジっ……!」
「メイっ……っく、いく、ぞっ……」
彼女がそれを理解するより早く、彼の突き上げはいっそう早くなっていった。
身体をゆすぶられ、体内をえぐられ、突かれ、意識が遠のきそうになったとき、"それ"は来たらしかった。
「っく……は、はぁ……はぁ……っ」
ひとたび動きを止めた彼が緩慢な動きで幾度か深く彼女を貫いて、肩で息をつき、役目を終えた自身を引き抜くと、ぐったりと身体を投げ出す。
自分の中で達したらしいとわかると、彼女には不思議な満足感が沸いてきた。
苦痛に耐えた時間は果てしなく長く感じられたが、それも彼を満足させられたという結果を考えれば許せた。
「レイジ……」
甘くかすれた声で横に倒れこんでいる男を呼ぶと、息を乱したまま彼女に顔を向けた。
「メイ……」
たくましい腕が彼女の体を抱き寄せる。
それに身をゆだねて、しばし互いの息が整うのを待つ。
一気に上がった体温を、やっと冷静に味わうことが出来る。
ややあって彼女が身じろぐと、彼はそれを押さえつけるように抱きしめる手に力をこめた。
逃げるのを諦めた彼女は既に息が整い始めているのだが、彼は予想以上に体力を使ったらしく、目をあけもしない。
「……意外と体力を使うものなのね」
呟いた彼女にようやく視線を向けて、彼が答える。
「うむ……まぁ、そうだな。女性が積極的に動かない限りは、往々にして男性が非常に体力を消耗することになる」
そう、と答えた彼女は、それ以上口を開かない彼に問いかけても無駄と諦め、目を閉じる。
しばし呼吸だけが部屋に響き、二人は意識を混ぜ合わせたような混沌としたまどろみに足を突っ込む。
心地の良い時間がどれほど過ぎただろうか。
息の整った彼が彼女の頭をなでる頃には、彼女は寝息を立てていた。
その寝顔は安らかで、ほっとする。
当初の目的であった「彼女を満足させる」ことができたかどうか、まだ確かめようもないが、とりあえずはこうして、自分の腕の中で眠っていることに安堵するとしよう。
いや、それにしても、と彼は思わず緩む口元を押さえる。
――とても、良かった
こんな直接的な台詞を口にしようものなら、力の限り殴られるかもしれないが、事実は曲げるわけにはいかない。
彼女の体はどこも触り心地が良かったし、情事に慣れていないわりに敏感だった。
あげる声はたまらなく可愛らしくみだらで、余裕のあるときこそ普段の強気な素振りをみせていたが、最後のころにはそれもすっかり影を潜めていた。
普段は涼しげな瞳を熱くうるませて、イヤ、なんて首を振るしぐさは反則だとすら思った。
あげく、こうして無防備に裸体をゆだねて、子どものように寝息を立てられては、もう単純に幸福と感じてしまうのも無理はないだろう。
まだ幼かった彼女に昔してやったように頭をなでると、細い髪が流れる。
そういえば明かりをつけたままだった。
明かりを落とそうと腕を伸ばすと、彼女がみじろぐ。
「……起きたか」
問いかけると、眠たげにうっすらと目を明ける。
410 :
ミツメイ11:2009/08/31(月) 21:00:37 ID:Sn92a1tI
「寝ていた?」
「ああ。疲れただろう。まだ休むといい」
「ええ。でも寒いわ。服を着させて」
バスローブを手繰り寄せる彼女がけだるげに身を起こすと、密着していた肌が離れ、汗が体温を奪う。
まだ、離れたくはない。つい、彼は彼女を引き倒して抱きしめる。
「どうしたの?」
眠気も覚めた、といった表情で彼を見る彼女に、どう説明したものか。
「布団をかぶればいい。私も寒い」
平静を装って布団を手繰り寄せ、彼は言葉通り二人の体を覆うようにする。
しばし不思議そうにしていた彼女も、自分の熱で布団が温まると納得したのか、再び彼に寄り添って目を閉じる。
ようやく彼も明かりを落として、彼女の肩を抱いて目を閉じる。
「ねえ、レイジ」
問いかける声の優しさに、彼はすっかり油断していた。
「"女性が積極的に動く場合"の方法、勉強するわ。あなたばかり疲れては不公平だもの」
白目をむいた彼が、慌てて彼女に真意を問い質そうとみじろぐと、彼女は目を閉じたまま笑う。
「何を慌てているの?誰も今とは言っていないわ。いいから寝かせて頂戴」
「う……うむ。そうだな……」
本当に、油断ならない。
ため息をつく男の横では、不敵な女が満足そうに寝息を立て始めていた。
-----おわり-----
あれ、前回より短かった……。
ともあれ読んでくれた方、ありがとうございましたー。
GJ!!
GJ!
リアルタイムで読みました甘くラブラブな二人に萌えた。
豪のことで複雑だけど乗り越えていって欲しい…
GJ!
二人とも素直で萌えるし、話のテンポも自然に入ってきて素敵でした。
冥タンが積極的に動くのも見てみたい
乙。萌えた
この二人には、こういう純な恋をして欲しいものだ
GJです
とても萌えました
GJ!
冥たんの可愛さとみっちゃんの優しさに萌え
検事スレとか他のスレに出て行って
カプ厨思想を垂れ流す人、自重。
GJGJ!
描写の一つ一つが丁寧で良かったです
特に腋舐めシーンがなんか異常にエロく感じたw
十分エロいわ
カズラ→一条、バドウ→カズラ下敷きのバドウ×カズラを妄想してみた
大人な三角関係になりそうでドキドキした
カズラって誰だっけ…
>>423 4章に出てきた笑い上戸のおデコちゃん
進化するとシーナさんになる
ああ、わかった!
あの人ね、なるほど。
426 :
名無しさん@ピンキー:2009/09/09(水) 01:13:17 ID:sVAKfAYU
はみまよとか需要ありますか?
どんと来い!
>>429 一々誘い受けくらいで口出しするなよ。
別にしたって誰かが不利益になるわけじゃねぇだろ。
誰かeraで逆転裁判の奴作って
・若ミツ×ロリ冥
・短い
434 :
ミツメイ1:2009/09/09(水) 23:04:08 ID:7HJh11T0
夜、
自室で法律書を読んでいた冥は、ほんの数秒だが、確かに揺れを感じた。
おそらく震度3、マグニチュードは4程度。
物が倒れたり落ちてきたりすることはなく、この程度なら例え余震があっても危険ではないだろう。
一瞬でそう判断すると、冥は隣室の弟弟子の元に走った。
「レイジ!」
同じく机で読書でもしていたのだろう。
床には本が放り出され、椅子はひっくり返っていた。
もちろん揺れのせいではなく、この部屋の主人がパニックでおこしたものだった。
しかし、当の本人の姿は見えない。
「レイジ?」
優しい声で呼ぶと、机の下からガタリと音がした。
どうやら意識はあるらしい。
身体を屈めて覗き込むと、大きな身体を丸めて、小さくなって震える御剣を見つけた。
端正な顔は、涙でぐしゃぐしゃに濡れていた。
435 :
ミツメイ2:2009/09/09(水) 23:05:22 ID:7HJh11T0
「あ、あ、」
御剣は、冥を認めると無我夢中でしがみついた。
腰にまとわりつく御剣を、冥は抱きしめ返し、優しく頭を撫でる。
地震の際、必ず冥が御剣にしてあげることだった。
―――レイジの秘密を知るのは私だけ。
冥は、そう自負していた。
地震が起こると、御剣は冷静な己を失い、平常からは想像がつかない程、幼稚になり、酷い時は意識まで手放す。
何でも完璧な父は、もしかしたら知っているのかもしれないが。
20歳と13歳。
7歳年上の御剣より優位になれる唯一の瞬間。
そして、それは普段生意気な冥が素直に本来の優しさを示せる瞬間でもあった。
声を殺して泣く御剣の呼吸が落ち着いてきた頃。
冥は抱きしめていた腕を緩め、御剣の顔を両手で包んで持ち上げると、涙をパジャマの袖でそっと拭ってやる。
御剣のまぶたに軽く口づけを落とすと、冥は一段と優しい甘い声で囁く。
「さあ、もう休みましょう?私も一緒に行くから。」
436 :
ミツメイ3:2009/09/09(水) 23:06:59 ID:7HJh11T0
放心の御剣は、ふらつきながらゆっくり立ち上がると、幼子のように冥に付き添われてベッドに向かう。
布団に入ると、御剣は冥を見つめ、何かを求めるように唇を小さくパクパク動かしたり、すぼめたりした。
幼稚になったときの御剣の癖。
幼くして両親を失った御剣の、愛情を求める行動の表れと知っている冥は、フフッと女神のような微笑みをたたえると、「ちょっと待ちなさいね」と言いながら、自らのパジャマをほどき、シルクの素肌を露にする。
すっかり胸元をはだけてしまうと、冥は年齢の割に豊かな白い胸を御剣の口元に寄せる。
唇に桃色の突起が触れると、御剣は躊躇いなくそれを口に含んだ。
チュパチュパとまるで赤ん坊のように吸い付く御剣の頭を胸に抱えながら、冥は頬を紅く染め、何ともいえない刺激に耐える。
―――ずっと私が一緒にいてあげるから。
そうして、いつもはおくびにもださない御剣への愛を注ぎ込んでゆくのだった。
end
GJ
母性的な冥たんイイ!
GJ!!
*成歩堂×真宵
*只のやるだけ話。短編。
前の小説の投下の直後で申し訳ない。
書くと毎度糞長くなるので、短くしつつどれだけエロく書けるかに挑戦。
440 :
ナルマヨ1:2009/09/10(木) 02:02:50 ID:1BplxIG9
真宵ちゃんの世界は狭い。
それは彼女の特殊な家庭環境が影響している。
真宵ちゃんから言わせると、春美ちゃんこそ世間知らずで箱入り娘なのだと言うが、ぼくからしてみれば彼女だってそう見える。
閉鎖的な環境でいつも同じ装束で霊媒の修行をし、家元として生きる事を定められた少女。
味噌ラーメンとトノサマンにこだわりを持つ姿。
恋愛の話を聞いて顔を真っ赤に染める姿。
小さくて華奢で童顔な姿。
そんな無垢な真宵ちゃんから想像する事が出来るだろうか。
ぼくの下で淫らに男を求める姿を…。
***
「あ…ふあ…ん…」
「真宵ちゃん…好きだよ…」
「あたしも…ふあ…」
睦み事を行うようになってから、ぼく達は毎晩、事務所の仮眠室のベッドにお世話になっていた。
彼女の華奢な身体に、ぼくの身体はなかなか慣れなかったが、1度繋がった事で成人男性の性欲に変なスイッチが入ってしまったらしく、ぼくはすっかり真宵ちゃんにのめりこんでしまったのだった…。
「あ…ふあ…ぁあ…」
触れるだけの口付けすらした事がなかった真宵ちゃんは、この睦み事にまだ慣れて居ないらしく、行動のひとつひとつに戸惑いが見える。
舌を絡ませながら吸い上げた唇、上気した頬は赤くなり、瞳は熱を持ちトロンとなる。
熱の共有を終える頃には、体の力は抜けてしまい、完全にぼくの手に落ちる。
装束を脱がしながら、首筋や項を吸い上げて抜けるような白い肌にしるしを付けて行く…。
耳に舌を這わせると艶やかな髪からシャンプーの香りがする。真宵ちゃんの身体の匂いと合わさってとても甘い匂いがした。
目を瞑りながら、手で真宵ちゃんの華奢な身体のラインを撫上げる。
手の動きに合わせて真宵ちゃんが、小さな悲鳴の様な深い息を吐く。
細くて肉付きも決していいとはいえないけれど、日頃修行で冷水を浴びているからか、彼女の肌はきめ細かくて引き締まっている。
「はああ…なるほどく…ああ…」
「真宵ちゃん…可愛いよ…」
耳元で囁くと真宵ちゃんは更に顔を赤くする。
体の中心から湧き上がる熱に戸惑っているらしく、太股をもじもじと動かしている。
彼女の幼い体を開かせるこの瞬間が、ぼくに興奮を起させる。堪らなく楽しい。
つんと立ち上がる双丘の突起に手を持っていき、指先で捏ねながら緩急つけて揉みしだく。
指先の刺激で真宵ちゃんは鳴き声をあげ、体を大きく揺らす。
自分の手ほどきに従順な反応を示す真宵ちゃん。
ぼくはその姿が嬉しくて、真宵ちゃんの桃色に火照った体にそっとキスの雨を降り注ぐ。
胸からゆっくりと下へ進んで行く。
真宵ちゃんはあ…あ…と小さい悲鳴を上げるが、熱の沸き起こる中心に近づくと次第に声が高くなって行った。
「や…やだ…見ないで…」
「気持ちよかったかな…?…濡れてるよ…」
「あ…ふあ…」
嫌だというのは彼女のいつもの癖。本当はもっと刺激が欲しいのはこの滴る蜜を見れば一目瞭然だ。
ぼくは蜜を含んだ花びらを舐めてから、すでに勃起した真珠を口に含んで舌で舐る。
口の中で転がる突起物が刺激によってさらに大きくなって行く…それに合わせて彼女の声も一際色味のあるものに変わって行った。
441 :
ナルマヨ2:2009/09/10(木) 02:07:27 ID:1BplxIG9
扱い慣れない刺激で彼女の太股に力が入り腰が浮き上がる。
刺激に合わせて真珠の下の聖域は、モノ欲しそうに蜜を垂らして口をパクパクとさせている。
ぼくは真珠から舌を離し、彼女の蜜で濡れた茂みに頬を寄せる。
そして、上体を起こし真宵ちゃんの太股を抱え込み、彼女とひとつになる為に、聖域に滑り込んだ。
「あああ――っ!」
入り込んだぼくをきゅうきゅうに締め付け、真宵ちゃんは仰け反った。
全身に駆け巡る刺激に耐えながら、喉をひくひくとさせ、ベッドのシーツをぎゅっと握る。
ぼくは真宵ちゃんの顔が見たくて、乱れた前髪を撫でて、むき出しになったおでこにキスをした。
「真宵ちゃん…可愛いよ…」
「はあ…な…なるほどくん…」
貫かれた刺激が通り抜け、真宵ちゃんとぼくの視線が至近距離で合った。
互いに呼吸が荒く、熱っぽい視線で見つめ合う。
しばらくじっとしていると、ぼくを咥えこむ真宵ちゃんが次第に世話しなく動き出した。
繋がるそこは、奥へ奥へと欲しているかの様に収縮運動をした。
「あ…はあ…なるほ…なるほどくっ…」
「ま…まよい…ちゃ…?」
すると真宵ちゃんは恥ずかしそうに顔を赤らめ、ぼくを求める様に腰を動かし、しきりにぼくの名前を呼んだ。
ぼくはその行動に驚いてしまう。今まで真宵ちゃんからぼくを求める事は無かったからだ。
彼女の身体にどんな変化があったのか…ぼくを求め淫らに腰をふる姿に、ぼくは感激さえ覚えた。
真宵ちゃんがゆっくりとぼくとの睦み事で大人になって行く…。
その喜びが快感に繋がり、ぼくも無我夢中で真宵ちゃんを貪った。
互いに獣じみた声を出しながら、高みに上っていく。
すると真宵ちゃんがぼくの首に腕を巻きつけ、舌を絡めて来た。
ぼくもそれに答えながら、熱を共有しあう。
真宵ちゃんの身体はまだまだ経験不足で、ぼくが上り詰めるまでに幾度か高みに上っていく。
一度昇り切った身体が、再び高みにたどり着く時の快感は如何程のものなのか…。
仰け反る首筋に舌を這わせながら、ぼくも一心不乱に律動運動を繰り返した。
***
真宵ちゃんはぼくの胸ですやすやと眠っている。
事後、眠る真宵ちゃんの乱れた髪を手櫛で梳くのが、ぼくは好きだった。
髪を整えながら、闇夜に浮き立つ白い肌に残る自分の付けたしるしを見る…。
このしるしが増えて行く度に、真宵ちゃんは少しずつ大人になって行く。
しなやかな曲線を確かめ、身体が開いて行く姿…。
何も知らなかった彼女が、ぼくを求めて腰を振るう姿…。
ぎこちなくてもいい…ゆっくりとぼくに追いついてくれれば。
真宵ちゃんもいつか彼女の姉の様な美しい大人の女性に成長する…。
―――ならばぼくの腕の中で、これからも愛しんで行きたい…。
おわり
メイミツもナルマヨもどっちもかわいい!
どっちもGJ!
ミツメイもナルマヨも可愛かった〜!
ナルマヨミツメイGJすぎる!!!!
もっと読みたいよ
二行目いらない
このスレいつから希望を書くのが禁止になったんだろ
最近、言葉尻を捕らえていい気になってる輩が湧いてるからな。
くれくれと誘い受けが増えるからじゃないの。
夏休みだったから特に。
でも、無益な叩きは荒れる元でもあり。
スルーしなさいという所でもある。
ある程度注意が入るのは仕方ない。
今回のはよくわからんけど、
称賛する余り他を貶した形になってるレスとかクレクレとかあるし。
一番スルーが必要なのは、むしろすぐに言葉狩りだなんだと噛み付くやつだとは思うが。
どっちもどっち
いるんだよねぇ
人にスルーしろしろ言ってる自分が一番スルーできてないってゆう
うん、スルーする趣味ないから
お前もそうだろ
ID:wW4oYzObが我が侭過ぎてワロタ
お前がスルーする趣味ないなら相手もそうなんだろw
ところで話はかわるんじゃが、マヨイふんどし説って何。
公式なわけがないとは思うが…
>>458 誰かの妄想だから気にすんな。
公式かどうかは知らないけど、CDの特典ではトノサマンパンツ穿いてたけどね。
とっ、とのさまんw
女性キャラ全員にはかせるんだ!
…何てエロくない光景…。
しかも、カオルちゃんで想像してしまた。orz
>>461 カオルちゃんは公式。
そういや、先日の2時間ドラマに「おおばかおる」って役がいたそうだね。
しかも殺され役。
リヤルに想像してしまったww
途中までしか書けなかったしイントロ箇条書きで申し訳ない
響也×茜を投下させて下さい
・何者かに催淫剤を投与され、他者の面前で性的刺激を求める茜
・茜を連れ出す響也
・適当な部屋に二人きりになり、茜の興奮を鎮めるため、響也はイかせてあげようとする
(話はここから)
・響也のキャラはクソ真面目設定です
響也は茜の体を背後から支えながら、茜の襟元のスカーフを解き、ベストとブラウスのボタンを外していった。
後ろに回ったのは、茜の体を見ないようにするためだ。
「刑事クン、ゴメンね。キミの体に触るけど、キミの裸は見ないよ。
それから、ボクは手で触るだけだ。それ以外のことはしない。約束する。」
しかし、そう言っているそばから、興奮している茜が上半身を反転させ、腕を響也の首に巻きつけてきた。
「刑事クン、落ち着い・・・・!」
唇に唇が押しつけられる。
(・・・・落ち着いて、と言っても、ムリ、か)
からめられる舌を受け入れながら、響也は自分からは舌をからめなかった。
茜のズボンのベルトをゆるめ、ファスナーを下ろし、下着の上から触ってみた。
下着はすでに、ぐっしょりと濡れていた。
ショーツの脚の付け根のほうから指を差し込んで、直接茜の肌を触ると、ぬるぬるとした感触だった。
その感触から、おしっこを漏らしてしまったのとは違う、と判った。
女性の体の仕組みはよく解らないけれど、こんなに濡れているということは、
いわゆる臨戦態勢が整っているということなのだろう。これ以上ない程に。
だからといって、本当に男性器を挿入するわけにはいかない。
こんなになって可哀相に、と思い、せめて出来る限り彼女の体の欲求に応えてあげようと奮闘し、
最終的には響也は茜に挿入する指を三本に増やした。
入り口のところで指の束を入れたり出したりしてあげていると、茜が後ろ手に響也の股間をまさぐってきた。
「検事、お願いします、検事のコレ・・・・」
「いや、コ、コレは駄目だよ!」
「だって、もう、こんなになってるのに・・・・!
お願いします、早く、あたしの中に・・・・!」
茜は、ズボンの上からでもはっきり判る程にすっかり硬くなっている響也の男性自身を求めた。
女性からこんなにもせがまれると、さすがに気持ちが揺らぐが、自分から約束したことは守らなければ。
「刑事クン、それだけは・・・・」
「指じゃ、足りないの・・・・届かないの・・・・・・!
早く・・・・!」
その言葉を聞いて、やっと茜を満足させられそうなものが解った。
茜の欲求を満たすには指では長さが足りず、ある程度の長さが必要なのだ。
それは、今この場には、響也の肉体しかなかった。
非常に迷ったが、響也は自分で宣言した約束より、茜の体の欲求を満たすほうを選んだ。
「・・・・刑事クン。約束を破ることになるけど・・・・ゴメンね。」
茜はうなずき、いいから一刻も早く入れてほしい、と言いたげだった。
挿入時はほとんど抵抗が感じられず、恐ろしく滑らかに入った。
これ程までに潤っている秘所は初めてで、我慢していた時間が長かったこともあって、
響也はすぐにでも果てそうになった。
しかし、それでは茜を満足させることができず、元の木阿弥になってしまう。
ここからが我慢のしどころだ、と響也は腹をくくった。
「刑事クン。動くよ。」
響也はゆっくりと動いた。
すると、すぐに茜が、もっと速く動いてほしいと要求した。
残念ながら、それは無理な相談だ。速く動いたら、響也のほうがあっという間に果ててしまうだろう。
いっそのこと、いちばん奥まで行って、そこでしばらく静止してみたらどうなのだろうか、
と響也は考え、試してみた。
「んっ、んん・・・・あ・・いい・・」
茜から悦びの声が漏れた。
これでなんとか、時間が稼げそうだ。
とはいえ、のんびりとはしていられない。茜の熱い肉のひだが、響也をゆるやかに締めつけてくる。
気持ちがいいので、うっかり達してしまいそうになる。急いで次の手を考えなければ。
ごめんなさい、ここまでです
誰か続きを書ける方いたら任せます
ええええっ!
頑張れよ、凄く良いじゃん!
諦めんな!w
続き読みたいよ
最近、ナルマヨ投下される本数が極端に減ったみたいだけど…
こんなときに、エロなしナルマヨを投下したら怒られるかな…
>>470 毎度誘い受け云々で揉めてるのに何を聞く。
投下したいならしたらいいじゃないか。
>>469 ミツメイの小説はそっちに行くのか?
カップリング話もここでって事だったが、ミツメイが向こうに行くなら、
スレがさらに過疎りそうだな。
>>471 エロパロスレにエロなし投下してもいいものかと…けど、過去を見たら何本か有るから、いいのかなと思って。
なら、投下してみます。
設定としては、3-2前あたり。
8月22日 午前10時53分
成歩堂法律事務所
暦では秋を迎えたとはいえ、昼間はまだまだ過ごしにくい。
「暑いなぁ…」
デスクに座る成歩堂は、手元のクリアファイルを団扇がわりにぱたぱたとあおいだ。
開け放たれた窓から風が入るとはいえ、アスファルトで熱されたものだ。心地よいとはとても言えない。
事務所は今月も赤字ギリギリだ。以前よりも依頼数が増えたとはいえ、満足のいく経営とはなっていない。
だから、お客の居ない日はこうやって外の風を入れている。クールビズと言えば聞こえはいいが、ただの経費節約である。クールなのは財布の中だけだ。
(ホテルの中は涼しいんだろうなぁ…)
成歩堂は、恨めしそうに窓の向こうを見やった。
通りを挟んだ向こうには、板東ホテルがある。何度か中に入ったが、庶民の自分達にはまず用のないところだ。誰だったか、ボーイに紅茶を届けさせてた人もいたようだが。
(僕も冷たいアイスティーを届けてもらいたいよ…)
生温い風にふぅ、とため息をついた。真宵が帰ってくるまでとはいえ、この暑さは辛抱しきれない。
「涼しいところへ行きたいなぁ…」
海には行ったけど涼みに行った訳じゃないしな、と出掛けた事を思い返した。
先月、矢張の提案で皆で海水浴へ行った。久し振りの海にはしゃぎすぎたせいか、今でも日に焼けたところに汗をかくと痒みが出る。
汗にまけた襟足をぽりぼりと掻きながら、再び資料に目を通した。
と、
「ただいまぁ〜!…おっ、なるほどくん、辛抱しきれたみたいだね」
威勢よく扉を開け、真宵が外から帰ってきた。
「おつかい行ってきたよ〜」
「あぁ、ありがとう」
真宵の帰りを待ちわびてた成歩堂は、急々と部屋の窓を閉めにいった。これでエアコンを入れられる。
真宵は、買い物袋と通帳を入れたクリアポーチをテーブルに置き、中身の確認をした。
「スタンプの補充インクとB4封筒、A4印刷用紙に収入印紙…で、切ってもらった領収書ね。あと、通帳記入したのと…」
あ、そうそう。と、真宵は一枚の葉書を成歩堂に差し出した。
「これ、先生から残暑お見舞いが来てたよ」
「先生?」
取引先に出すなら普通は暑中見舞だろ、と腹の中で思いながら見ると、それは星影先生からのものだった。しかも、個人に宛てたもののようで、文面には旅行先の写真と簡単な手書きの文が添えられていた。
「これ、自分で作ったものっぽいな。どこかへ出掛けたときの写真かな?」
先生が撮ったのだろうその写真には、青い海と海岸線沿いの豪華なホテルが写っていた
「どこだろう?よくわからないけど、熱海とか?もしかして海外かな…」
「えぇー。いいなぁ、お金持ちはどこでも行けてー」
「そうひがむなよ。海だったら、僕たちもこの間行っただろ?」
成歩堂は葉書をデスクに置くと、冷たい風に当たろうとクーラーの真下に立った。
「そうだけどー、涼しいとこにも行きたいよぉー。例えば…山とか!」
「倉院の里があるだろ」
「倉院は山じゃないよぉ!」
駄々をこねる真宵に気付かぬふりをして、成歩堂はぱたぱたと手で扇ぎながらクーラーの風を浴びる。
「ぶーっ!なるほどくんのケチー!ケチケチだぁー!」
真宵はブーイングをあげながら、郵便受けに入ってたフリーペーパーを開いた。と、あっ、と小さく声をあげた。
「ねぇねぇなるほどくん。ここの近所でも夏祭りがあるの?」
「え?」
真宵の問いに、成歩堂は扇ぐ手を止めた。
「ほら、これ」
真宵は、フリーペーパーに折り込まれた一枚のチラシを見せた。一色刷りのそれには、幼稚園児が描いた絵と、祭りの日程が書いてあった。
「あぁ。それ、町内の祭りだよ。毎年、そこの商店街であってるんだ。ひょうたん湖でも花火が上がるし、結構大きな祭りだよ」
「へぇ〜」
成歩堂の話に、真宵は目丸くさせ、再びチラシに目を通した。
「8月23日…あ、明日だ!ねぇ、なるほどくん。明日、一緒に行こうよ。はみちゃんも誘って」
「夏祭りかぁ…」
思えば、社会人になってからそういうものに行ってない。
明日と言えば土曜日だ。特に急用が入らなければ、事務所も早めに閉められる。
「久し振りに行ってもいいね」
成歩堂の応えに、真宵はやったぁ!と手を合わせて喜んだ。
「じゃあ明日、6時に駅で待ち合わせね」
嬉しそうにニコニコしながら席を立ち、
「あたしの浴衣姿、楽しみにしててよね!」
鼻唄を歌いながら給湯室へ行った。
(浴衣、か…)
向こうから聞こえてくる真宵の歌を聞きながら、成歩堂は何かを考えているようだった。
8月23日 午後5時50分
駅 南入り口前
駅前の小さな噴水のオブジェの前が、いつもの待ち合わせ場所だ。
人通りの多い中、成歩堂は足指で下駄の鼻緒をいじりながら、真宵が来るのを待っていた。
柿渋色の絣の浴衣はずいぶん前に購入したもので、秋祭りの時に一度着ただけでそのまましまいっぱなしにしていた。
せっかくだからと久し振りに袖を通してみたものの、どうも落ち着かない。
慣れない足元を撫で付けながら、成歩堂はあの頃を思い出した。
(そういえば、あの時もこんな風に待ってたっけ…確か二度目のデートで。待ち合わせに早く着いてしまって。早く来ないかと人混みの中から彼女の姿を探してたな…)
懐かしいな、とフッと笑う。
と、向こうからおーい、と言う声がした。
顔をあげると、人混みの中を小さな姿が小走りでやって来る。
傍まで来たその姿を見て、成歩堂は驚いた。
いつもの黒髪は結い上げられ、紺に秋桜の浴衣を着ている。少し赤らめた頬は薄化粧を施してるのだろうか。唇には色の薄いグロスも引いている。
「なーんだ、なるほどくんも浴衣着てきたんだね。わからなくて探しちゃったよ」
少し息をあげながら笑う真宵に、成歩堂は少し見とれた。
(化粧ひとつでずいぶん変わるんだな)
いつもより大人びて見える。
「?どうしたの?」
「なんか…いつもと違うなぁと思って」
「へへっ、どう?似合う?お姉ちゃんがね、たまには髪を結ってみたら?って言って。ほら、かんざしも貸してくれたの」
刺したかんざしには赤い花が揺れていた。
「うーん、馬子にも衣装とはよく言ったものだね」
「えーっ、それ失礼じゃない?」
「ははっ」
頬を膨らます真宵に、成歩堂は笑った。そんなところはまだまだ子供っぽい。
「あれ?そういえば春美ちゃんは?」
いつもならば真宵の隣にいるはずの姿がない。
「それが、行けないって言って…」
真宵は残念そうに言った。
「どうして?」
「夏休みの宿題、まだ終わってないんだって」
「あの春美ちゃんが?」
真面目なあの子にしては珍しい。
「どうも図工で悩んでるみたい」
「図工?」
「リサイクルの作品で、ひとりひとつ作って持ってかなきゃならないんだって。牛乳パック片手に悩んでたよ」
「…そう言えば苦手なんだっけ、工作」
頭を悩ます春美を想像して、成歩堂はくすっと笑った。
「明日、事務所に連れてきなよ。僕も作るの手伝うから」
「うん。はみちゃんに伝えとく」
そんな話をしていたら、始まりの花火がパンパンと鳴った。
8月23日 午後6時12分
商店街 祭り会場
商店街の入り口に警察が立ち、車両進入禁止になっている。立て看の間を抜け、二人は商店街へ向かった。
通りの両脇にはたくさんの屋台が並び、香ばしいタレの焼ける匂いがただよってくる。いつもと違う人の流れ、子供たちの声、スピーカーから流れる音頭、広場に設けられたステージでは、近所の人たちの舞が披露されている。
「すごく人が多いねー!」
「そりゃあ祭りだからね。倉院の方ではどうなの?」
「うーん、下の村まで下りれば祭りはあるけど、さすがにここまで混んだことないよ」
嬉しそうにきょろきょろと辺りを見回す。その姿を眺めながら、成歩堂は後ろから付いて行く。化粧をしていても、やはりいつもの真宵、中身は相変わらずだ。そのギャップがおかしく思えた。
と、その時、
「おーい、成歩堂!」
どこからか聞き覚えのある声がした。辺りを探すと、屋台の中から手を降る姿があった。明るい髪にジャケット姿…矢張だ。
「なんだ、またバイト変えたのか?」
屋台をのぞくと、いか焼きと焼きとうきびが売られていた。
「またとは失礼だな。今日はダチの手伝いで居ンだヨ」
矢張は、手にしたはけで隣の男を指す。男がとうきびを焼きながら、らっしゃいと言ったので、成歩堂もどうも、と挨拶をした。
「ヤッパリさん、こんにちはー」
「あれ?もしかして真宵ちゃん?誰だかわかんなかったヨー。今日は一段とかわいいねー!」
真宵の姿を見て、矢張は嬉しそうににこにこ笑う。
と、ふたりを格好を見比べ、
「あ、もしかしてデートか?」
「え?」
「な、何でそうなるんだよ!」
驚く二人に、矢張はヘラヘラ笑いながらジョーダンだ、と言った。
「けどよぉ。お前がスーツと普段着以外を着るなんて、今までなかったじゃんか」
「そ、そうだけど…」
そういえば、学生の頃に矢張と祭りへ行ったときも普段着だった。自分が珍しい格好をしたら、そう受け取られるのだろうか?言われてなんだか恥ずかしくなった。
「二人で浴衣着てお祭りかぁ…いいねぇ…」
そう矢張はしみじみと言ったが、
「オレなんか、野郎と二人でイカを焼きながら祭りを過ごすんだぜ…」
突然、屋台の梁に寄りかかり、おいおいと泣き出した。
「何でそこで泣き出すんだよ…」
「あー、そいつの彼女、今出張中でさ。月末まで帰ってこないんだと」
隣の男が客をさばきながら教えてくれた。
「それでか…」
女好きの彼には相当堪えるだろう…
「オイ矢張!イカ焼かねぇなら帰れよ!!」
商売にならねぇだろ!と、男は嘆く矢張の尻を足蹴にした。矢張の涙は当分止まりそうにない。
「そう落ち込むなよ、矢張。イカ買ってやるから…」
そんな親友の姿が哀れに見え、仕方なく成歩堂はいか焼きを二本注文することにした。
矢張のいか焼きを二人で食べながら、通りを歩いてゆく。買い食いなんていつもの事なのだが、祭りとなればまた違う。そして、隣でうまそうに頬張りながら歩く真宵が、今夜はいつもと違って見える。
その横を、近所の幼稚園の出し物である手作り御輿が通る。園児たちが楽しそうに掛け声をあげながら過ぎていく。
「あ、おみこしだ!かわいいー」
御輿を楽しそうに見る真宵。その横顔に一瞬どきっとした。
(矢張が変なことを言うからだ…)
あの一言で変に意識してしまう。
赤くなった顔を片手で押さえ、腹の中で彼を責めた。
と、誰かに肩を叩かれた。
びっくりして振り返ると、そこには赤いスーツの男がいた。
「やはり君だったか」
「あ、御剣検事にイトノコ刑事」
真宵の言葉に、御剣の後ろにいた大男が、ちわっス、と手を挙げた。
「珍しいな、お前がこんなところに来るなんて」
スーツのままということは、仕事帰りなのだろうか。
「なに、使いを頼まれてな」
そう言うと、御剣は手にしたピンク色の袋を見せた。
「あ!トノサマンの綿飴!」
「冥が食べたいと言うのでな」
「えっ、冥さん来てないんですか?」
「あの娘は人混みを嫌うからな。仕方あるまい」
「そうなんだ…」
残念、と真宵はしょげた。
「君たちこそ珍しいな、そんな格好で」
矢張と同じように、御剣も交互に二人を見た。
「そうか?さっき、矢張にも言われたよ」
「矢張も来てるのか?」
「あそこの屋台で、いじけながらいかを焼いてる」
そう言いながら成歩堂は、赤い張りの店を指差した。
「意味がよくわからないが…後で見に行ってみよう」
「にしてもいいっスねー。二人して浴衣なんて、まるでデートみたいっスね」
にこにことそういう糸鋸には全く悪気はないだろう。
「…」
「…」
だから、二人は何も言えず、変な間ができた。
「…どうかしたっスか?」
「いえ…別に…」
キョトンとした糸鋸に、成歩堂はそう返すのがやっとだった。
「まさか、本当にデートだったりしてな」
糸鋸の隣で、御剣がふっと笑う。
「そ、そうなんっスか!?」
「違いますよ!」
「なら、そうだと否定すれば良いだろう?」
うろたえる成歩堂に御剣が言う。
「矢張にも全く同じことを言われたからだよ。やっぱりそんな風に見えるのか?」
「まぁ、若い男女が祭りに浴衣姿で歩くとなると、端から見たらそう思うっスねー」
腕を組みうんうんと頷きながら、糸鋸は答えた。
「そうか…」
別にそんな意味で着てきた訳じゃないんだけど、と思っていると、隣にいる少女がやけに大人しいことに気付いた。
「どうしたの、真宵ちゃん?」
「えっ?な、何でもないよ!?」
驚く真宵の様子に、成歩堂は首をかしげた。
「それでは、私たちは矢張のところへ行ってくる」
「あぁ、いか焼き買って慰めてやってくれよ」
成歩堂の言葉に、御剣は手を振って去っていく。糸鋸もそれに付いた。
「それじゃあ、僕たちも行こうか」
真宵に言い、御剣たちと反対の方に進んだ。この先にはひょうたん湖公園がある。
カランカランと下駄を鳴らしながら歩いていると、
「…そう見えるんだ…」
小さく、呟く声が聞こえた。
「え?何か言った?」
「ううん、何でもない」
成歩堂の問いに、真宵は首を振り駆け出した。
8月23日 午後7時47分
ひょうたん湖公園
屋台をいろいろ見ながら商店街を抜け、二人はひょうたん湖公園へ来た。
8時から湖で花火が上げられる。ここは一番良い眺めの場所なのだ。
良く見えるところを探そうとしたが、辺りはすでにカップルばかりだ。どうやら、今夜のデートスポットになってるらしい。
「なんか、場違いって感じだね、あたしたち…」
辺りをきょろきょろしながら真宵が言う。
「うん…でも、真宵ちゃんは花火見たいんだろ?」
「そうだけどー…」
さすがの真宵もこの雰囲気に耐えられないのか、赤面してうつむいた。
せっかく来たのに見ないのもあんまりだ。
成歩堂は辺りを見回し、
「…あそこの芝生のとこなら、空いてるみたいだよ」
少しでもカップルたちの少ないところへと、真宵を連れていった。
「ちょっと見えづらいかな…」
「ううん、あたしは平気」
楠が側にあるが、花火を見るには大して支障はないようだ。
二人で芝生に腰を下ろす。いつもならここからでも湖が見えるが、今夜は人の波しか見えない。
通りでもらった団扇をあおぐ成歩堂。巾着の紐で遊ぶ真宵。
花火を待つには、何故か静かだった。
と、
「ねぇ、なるほどくん…」
先に口を開いたのは真宵だった。
「うん?」
「なるほどくんは…好きな人と、お祭りに行ったこと、ある?」
「え…?」
意外な質問に成歩堂はあおぐ手を止めた。真宵を見ると、彼女は恥ずかしさをごまかすように巾着の紐をいじっていた。
訊いてきた理由は、きっと彼らのせいだろう。年頃の彼女だ、あれだけ言われて意識しないはずがない。
自分の昔話をしても面白くないだろうと思いながらも、
「…一度だけね」
そう、成歩堂は短く答えた。
ずいぶん昔の話だ。初めての彼女と行った、あの秋祭り。
「楽しかった?」
「…楽しいと言うより、緊張したな」
一緒に歩くこともままならず、手すら繋げなかったことを思い出して、成歩堂は苦笑いした。
「そうなんだ…」
そんな成歩堂の表情に、真宵はぽつりとそう言った。
彼女には、まだそんな経験はないのだろうか。里ではそんな恋は難しいのだろうか。
そういう自分も、決して経験が多かったわけではないが…
あの頃は、一途に彼女が好きだった。幸せだった。けれど、思い返してみれば、恥ずかしいものや苦い思い出も多い気がする。
そんなちぃちゃんと過ごした時間を、楽しい思い出と言うのは少し違う気がする…
暗い空を見上げ思い返してみたが、
「…そう言えば、花火は一緒に見なかったな…」
「え…?」
成歩堂の言葉に、真宵は振り向いた。
ヒューゥ…ッ
花火の上がる音がする。
ドーン!
始まりの大輪に、辺りは急に明るくなった。
「花火は、真宵ちゃんと見るのが初めてだね」
成歩堂は真宵を見て微笑んだ。
ヒューゥ…ッ ドーン!
また花火が上がる。
花火のきらめきに照らされる成歩堂の顔を見て、真宵も微笑んだ。
「あたしも…なるほどくんと見るのが初めてだよ」
8月23日 午後9時07分
駅 南入口前
「あー、楽しかった!また行こうね。今度ははみちゃんも一緒に!」
満足そうににこにこする真宵の手には、いくつものビニール袋が下げられていた。中身は、たこ焼き、フライドポテト、焼きとうきび…その他色々である。
「あぁ。…にしても、荷物多すぎない?」
土産というにはあまりにも数がある気がする。
「だーいじょーぶ!はみちゃんが食べきらなかったら、あたしが加勢するから!」
「というか、自分が食べたいだけじゃないか」
「もう、細かいことは気にしないの!」
にっこり笑う彼女には、やはり勝てない気がする。
「それじゃあ、また明日ね」
改札口の前で、真宵は手を振る。
「あぁ、春美ちゃんにもよろしく」
「うん、工作のこと話しとくね」
改札口を通り小走りで駆けて行ったが、
「なるほどくん!」
急に真宵はくるりと振り返って、こう言った。
「…今日は、ありがとう!」
その言葉に、成歩堂も答えた。
「こっちこそ、ありがとう」
真宵は大きく手を振ると、駅の奥へ駆けていった。
そんな彼女の姿を見送りながら、成歩堂は思った。
きっと、僕らの間にあるものは、恋とか愛などとはまた違うもの…どちらかと言うと、家族とかそういう愛しい気持ちに近いのだと思う。そんな彼女とだから、楽しい時が過ごせるんじゃないか、と。
いつの日か思い返したとき…真宵と過ごした時を、楽しい思い出と言えるだろうか?
あどけない少女を思いながら、成歩堂は一言呟いた。
「また明日ね、真宵ちゃん」
ホントはこの後に、と考えてたんだけど…浴衣を脱がす勇気は、俺にはなかった…
すみません…
いいじゃない。浴衣を脱がしたって。
いやしかし、浴衣でお祭りいくナルマヨは可愛かった。
え、俺って男が書いてたの?
いや誰でも良いんだけど、てっきり女の人が書いてるんだと思った。
甘酸っぱいナルマヨに悶えました、GJ!
>>487 いえ…自分、女です。
浴衣なら脱がしてみようかと思ったけど、この流れで真宵ちゃんには可哀想かと思って…
俺女はスレのお約束wwww
あ、そうなんだ。
ごめんなさいね、気にしないで欲しい。
>>490 いえいえ、気になさらないでください。
感想ありがとうございます。
自分はまだ、エロパロというか、その手のものを書いたことがないのだけど…女性の方はどうやって書いてるのだろう…頭の切り替えとか。
それこそ『俺』的な主観のやつとか?…自分には無理だったけど。
そういや、真宵視点の作品があったよな…女だとあんな感じで書いたらいいのかな?
書き方教えて欲しい…
自分語りうざい
一言一句同意
いや、そういう意味じゃなくてな……。
まぁいいか、お疲れさん。半年ROMりな。
お前ら…あえて雰囲気悪くする必要がどこにあるんだよ…。
>>468 >>464-467だけど励ましてくれてありがとう
でもごめんなさい、平日は仕事で疲れてて全然書けないため
続きを書くとしてもかなり待たせてしまいます
もし、この平日の間に続きを書ける人がいたら、その人に託します
あまりにも特殊な状況設定で、書きにくいかな?本当すいません
>>498 悪いことは言わないから本当に半年ROMって匿名掲示板の空気を読むことをおすすめします
499に助言されても意味がわからずに
丁寧にレス返ししちゃう498の姿が見える!
次のエロパロが投下されるまで全員黙ってろって事だな。
>>499はもう少し考えてからレスしたほうがいい
丁寧口調だから俺も最初勘違いしたけど
はいはいはいはい
夏休みは終わりましたよ
大切なことなのでもう一度言います
夏 休 み は 終 わ り ま し た よ
残念ながら大学生は9月末まで夏休みなんだぜ…
落ち着けよー。カオルちゃんのナマ下着あげるからさー。
では真宵ちゃんのフンドシは自分が頂いて行きますね
1やったら色々たぎったので投下。
・厳徒×巴。和姦
・SL−9号事件の前後。1−5話の二年前
・エロは最初と最後だけ
・巴の性格が黒っぽかったり厳徒が猫被ってたり
ホテルの天井を見上げ、宝月巴は不意に蛍光灯の替えが必要なのを思い出した。
「――」妹の部屋のの照明がそろそろ寿命だ、「おーい」帰りにディスカウント
ショップに寄らないと──「トモエちゃん? 起きてる?」
鼻先で手を振られて、巴は我に返った。
暑苦しい顔がすぐ近くにあって一瞬混乱する。立て直す。小さく顎を引くと、
厳徒は何時も通りの笑顔を浮かべて、そう、と言った。
「や。困るな、トモエちゃん。こういう時に関係ないコトを考えるのはシツレイ
だと思わない?」
こういう時──汗とその他体液で湿った内腿を撫ぜられて、巴の身体はびくりと
震えた。咄嗟に結んだ唇から細い吐息が洩れる。厳徒の太い指が内腿を、その先に
ある敏感な場所を這う。
巴の手が、ベッドに掛けたシーツを掴む。糊の利いたシーツに皴が寄るが、その
前にも大分乱れていたせいで対して目立たなかった。
「……主席、捜査官……っ」
男の役職名を呼ぶが、厳徒は返事はすれども手を止めようとはしない。巴は眉を
しかめ、達したばかりで熱く潤う場所への責めに耐える。今度は意識を飛ばさない
よう気をつけなければ。
厳徒は、同じ“命令”を繰り返すのを嫌う。
巴の様子に比べ、厳徒ときたら余裕綽々、むしろ鼻歌を歌わないのが不思議な位
の朗らかさで、玩んでいるのが同衾する女の身体ではなくパイプオルガンの鍵盤
としても違和感が無い。
もう片方の手が乳房に伸びるのを見ながら、巴は長く細く息を吐いた。厳徒の動き
は的確で、容赦がない。
――カレの捜査のようだと思った。
的確で、容赦がなく。
そしてとにかくしつこい。
考えが顔に出ていたのか、厳徒が巴の顔を覗きこみ、じっと見つめてくる。
「……」
「……」
普段は口数の多い厳徒だけに、沈黙は妙に恐ろしい。仮にも同衾相手に使う表現
ではなかろうが、居心地が悪いのは事実だ。
「……」
「……」
そして巴の場合、緊張以外のもっと差し迫った事情があった。
「……」
沈黙と共に動くのを止めた指、二本のそれは巴のなかに入ったままだ。こうして
じっとしていると、動かされている時とは別の圧迫感を覚える。
けれど。それでは足りない。
「……っ」
腰が動きそうになるのを巴は必死で抑える。
押さえつけられた内側は一度いったというのに──だからかもしれないが──
ひくひくと震え、新しい蜜を零して厳徒の指に絡みついた。その程度では足りない
と知っているのに。指だけでは届かないことを。
いきなり、厳徒が吹き出した。
被疑者への取り調べめいた態度から一気に何時もの表情に戻されて、巴は一瞬
混乱する。
狙ったかのように指が抜かれ、腰が大きく跳ねた。
「主席捜さ」
頬を真っ赤にしつつ開いた口が、厳徒のそれで塞がれる。ねっとりと入り込んで
くる舌に、しかし巴は応えてしまう。押しつけ、絡ませる。離れる際、朱色の唇の
端から唾液が垂れた。
「いや。ゴメン。ホンットゴメン」
全く悪びれた様子もなく、厳徒は巴のほっそりした腹をなぞる。指に残る粘液が
跡を作り、肋に到達した。
「トモエちゃんが可愛いからさ。ホラ。色々としたくなるのよ」
ひとりでにこにこ笑う厳徒を前に、巴は反応に迷った。
「……だからと言って、ここまでする必要が認められません」
ようやっと出たのはそんな台詞で、
「そこはホラ。男と女の違いだね。や。ボクも楽しみたいのは山々なんだけど、
齢がね。若いトキみたいに二回も三回もってワケにはいかないんだよ」
なら一回で終わらせればいいのでは──「だから。ね」提案は音声に変換される
以前で消える。とろとろに開いた場所に感じる、薄いゴム越しの熱く猛々しいモノ。
「イチバン楽しいトコロは、他の楽しいコト全部済ませてからがいいよね──!」
「ひ──っあう!」
充血した襞を押し分け這入ってくる硬度と質量に、巴の細い背がしなる。指とは
比べものにならない太さ、深さ。無意識に腰が浮き、なかのものを締めつけた。
反応に気を好くしたのか、厳徒がずず、と腰を引き、当然男性器も膣内を移動し、
刺激に巴は泣き声に似た音を洩らし。
「──う、あああ!」
引き留めるかのようにすぼまったソコを勢いよく突かれて目を見開いた。中から
粘液が押し出され気泡を作り、激しい動きで壊される度にじゅぶじゅぶと卑猥な音
を立てる。
茫と霞む視界で、僅かながら、のしかかる厳徒の目を捉えた。
欲情した雄の。女を征服する男の。
そのふたつの熱の、どちらとも異なる、冷たい。見下すような、色が。
冷やりとした感覚は僅かながら思考能力を引き戻し。弱い箇所を何度も擦られて
呆気なく消え去る。
「しゅ…そう、さ、かんっ」
何かな、と問う声に、先程までの余裕はない。
「だめです、私、もう」
相手に輪を掛け、巴の限界は近かった。
薄く笑う気配があって。
痛みすら覚えるほど激しく突かれ、奥までこじいれられた巴の痛覚は、しかし
強すぎる刺激を強すぎる快楽としてしか判断できなかった。
押し殺して尚洩れる高い嬌声が、ひゅうっと息を呑み込む音で一瞬途絶えて。
がくがくと揺れていた白い裸身が、弓なりに硬直する。同時に巴のナカも貫く
ものを呑みこむように窄まり──巴は果てた。
弛緩した胎内に、追い打ちのように薄皮越しの射精が行われ、白い喉がちいさく
動いた。
「泊まっていく?」
事の後、シャワーを浴びて身支度をする巴へ、厳徒はぞんざいな口調で訊いた。
「いえ、家に妹を残しているので」
首にマフラーを巻き、巴はそう答えた。蛍光灯を替えなければならないことは
言わなかった。
「ふーん。そう」
厳徒は用件はそれきりとばかりに笑い、
「じゃ。また明日」
「はい。失礼します」
部屋を出る寸前。巴が振り向いた時には、厳徒はバスローブ姿のまま捜査資料
らしき書類に目を通し始めていた。
帰宅途中で深夜営業をしているディスカウントショップに寄り、替えの蛍光灯を
買う。
自宅に着くと既に十二時を回っていた。妹は──当然寝ている。
キッチンに向かい冷蔵庫からミネラルウォーターのボトルを取り出し、
「……」
不意に。コップを用意し注ぎ飲み干す──そんなどうってことない作業が億劫に
なってしまう。
椅子に腰掛け、テーブルの上のボトルと蛍光灯を眺める。無音の世界で、冷蔵庫
が静かに唸っていた。
そこに。
「――あかね?」
「ひゃわっ?!」
きしりと床が軋むのを聞き振り向くことなく声を掛けると、背後から素っ頓狂な
返答があった。
「びっくりしたー。お姉ちゃんったら、急に声かけるんだもん」
「そう……ごめんね、起こしてしまったかしら」
「う、ううん! その……トイレ行くところだったから!」
歳の離れた妹はそう言って笑い、テーブルの上を見る。「あ」
「どうかした?」
「蛍光灯、買ってきたんだ」
茜は困ったように首をひねり、
「あたしも買っちゃった」
「蛍光灯を?」
「うん。ちゃんと替えたよ」
「自分で?」
「で、出来るよそのくらい! もう中学生だよ、あたし!」
その言い方がいかにも『子ども扱いされて拗ねる子ども』だったので、巴はふと
微笑んだ。茜はしばしむくれていたが、巴に早く寝るよう促され、しぶしぶといった
様子で下がり、
「おやすみ、お姉ちゃん。……お仕事、おつかれさま」
「ありがとう、あかね」
茜はてくてく自室に戻る。手洗いはどうしたのかと聞いても良かったのだが。
巴は怜悧な容貌にやわらかい笑みを浮かべ、お休みなさいと囁いた。
少しばかり胸が痛んだのは、きっと、帰宅時間の理由が妹の考えているであろう
ものとは異なっているからだった。
地方警察副局長にして主席捜査官・厳徒海慈と、副主席捜査官でありパートナー
でもある宝月巴の関係を邪推する者は少なくない。他愛ない噂と悪意ある中傷が、
常に二人の周囲にはあった。
噂に真実が含まれているのはこの際関係ない。
とにかく。噂が二人のキャリアにキズをつけなかったのは、ひとえに彼女らが優秀
であったからだ。下世話な男と女のゴシップなぞ、検挙率という厳然たる数値の前
では霞よりも軽い。
特に厳徒の優秀さは際立っている。幾度となく捜査上の不正行為を疑われながらも、
誰もその疑惑を口に出せない程に。
厳徒のギワクに関して疑い始めればキリがない。巴自身、彼の強引な捜査方法や、
やや秘密主義な面に不信感が全くないと言えば嘘になる。
しかし、最後の一線は越えていない。
少なくとも、巴と組んでの仕事では無かったと言いきれる。
それ以外がどうであるかは、巴には判断不可能だ。
“証拠”がない。
そして巴にとって『“証拠”がない』ことは『“真実”ではない』ことと同一に
なる。
裁きの場では証拠が全てだ。
証拠は嘘をつかず、真実のみを語る。
捜査官は証拠を探し出し、その語りかけを正しく把握するのみ。私情を挟むなど
もっての外だ。
警察局主席捜査官・厳徒海慈。
彼への評価に、私情は挟んでいない。はずだ。
何故なら、巴と厳徒の関係は、そんな感情が似合うものではなかった。
『警察局での部屋。共有にしようよ。ホラ、そっちのがベンリでしょ?』
そう提案した、というか既に本決まりだと告知したのは厳徒で、了承したのは
巴だ。しかし知らされてから二日で用意されるとは予想外の更に外だった。そして
内装に頭痛を覚えることになるのも想定の範囲外だった。
「……パイプオルガン」
「そ。いいでしょ。トモエちゃんも弾いてみる?」
「い、いえ、結構です」
警察局十五階の広々としたオフィスに入ると、まず視界に入るのは正面の巨大な
パイプオルガンである。
……巴は目をしばたかせ、テレビや外国の教会の写真でしか見たことのない楽器
を眺め、次いで隣の厳徒へと視線を移す。
やたらとゴキゲンな男は「弾いてみるか」なぞと訊ねてきた。ということはアレ
は馬鹿みたいな置き物ではなく、本物のパイプオルガンなのだろう。警察局に置く
意味が全く分からない。
自分用のデスクがごく普通のスチール製なのを確認し、巴は内心ほっとした。
他人の趣味をどうこう言いたくはないが、捜査官の個人デスクが高級樫材である
必要性が全く見いだせない。
そんな下らない我侭を通せる程度に、厳徒は権力を持っているということだ。
「や。窓もね。最初はステンドグラスにしようかなと思ったんだけど」
巴は部屋側面の窓を見る。
大きな窓には、ごくごく普通の強化ガラスが嵌まっていた。どうやら寸前で考え
直してくれたらしい。
「止めたんですね。……どうして、ですか」
「お。トモエちゃん。気になる?」
いえ特には──答える前に厳徒が窓へと歩き出したので、巴は返答を呑みこんで
広い背を追う。
「ホラ。ステンドグラスだとさ」
厳徒は窓の前で立ち止まる。色付き眼鏡の向こう側で、瞳が眇められた。
「見えなくなるでしょ。外」
外。つられて巴も窓越しの風景を見る。
警察局最上階の窓からは、空と他のビルの頭が見える。
「ボク、高いトコロ好きだからさ。気分いいからね。他、見下ろすの」
返しに困って厳徒を見上げると、彼の口元には屈託のない微笑が浮かんでいた。
「それに。ホラ。ナントカと煙は高いトコロが好きって言うしね」
更に困った。
眉間にしわを寄せる巴に対し、厳徒は手を打ち合わせて一笑する。
「ダメだよトモエちゃん。ジョークには、ジョークで返さないと。愛想が悪いと
苦労するでしょ?」
「はい……努力します」
「そうそう。ガンバッてね」
厳徒は表情もそのままに、
「タテマエや正義感だけで生きていけるほど、此処はアマくないからね」
嘲るように、言った。
正義を遂行すべき世界で、正義感だけでは生きていけない。ひどいムジュンだ。
けれど宝月巴は、そのムジュンを受け入れた。
正義を滞りなく達成するためには“チカラ”が必要だ。他の捜査員を思い通りに
動かすチカラ、下らない外圧に抗するためのチカラ。
“チカラ”の必要性は、厳徒と共に居れば分かる。
彼の無茶も、我侭も、黒い疑惑をいなすのも、彼が今まで培ってきた“チカラ”
あればこそ。巴は厳徒の遣り方を、彼の傍で吸収することにしたのだ──と。
「! 主席捜査官?!」
「うん。どうしたかな」
腰を抱き引き寄せておいてどうしたもこうしたもあるものか。
巴が抗議するのも何のその。手袋に包まれた厚いてのひらがスーツ越しに肢体を
まさぐる。
「こんな場所で……第一仕事中ですよ!」
「大丈夫、大丈夫。ここ、他の建物より高いから。安心していいよ」
「そういう問題ではありませんっ」
まさかとは思うが、こんなことをする為にオフィスの共有を持ちかけたのか。否、
さすがにそこまでは無いと思う、というか思わせて欲しい。仮にも主席捜査官、
曲がりなりにもパートナーがそこまで度外れた色ボケなのは嫌過ぎる。唯でさえ
困ったところの多い人物なのに。
そこら辺を込めて睨みつけると「恐い恐い」と笑われた。
本当はカケラも恐れていないのがよく分かる。
「じゃ。今夜七時ね」
「え──?」
「ホテル。住所はコレ」
此処“は”嫌みたいだから。言葉と共にホテルの名前と住所が書かれたメモ用紙
を手に押し込まれ、巴は、
「主席捜査官、冗談が過ぎます」
自分の字で、ホテル名と住所と日時、『検事局幹部との食事会。主席捜査官、
副主席捜査官の両名で出席』と書かれたメモ用紙を開く。
厳徒が手を打ち、誠意の感じられない謝罪と共に破顔した。
「や。トモエちゃんがあんまり真面目なモンだから。つい。ね」
「いえ、もう良いのですが……手を、そろそろ離していただけませんか」
だが。
くびれた腰に回る腕は、拘束を緩めない。
どころか強く引き寄せられて、巴はあやうく体勢を崩しかけ、たたらを踏んだ。
「部屋。取ってあるから」
耳元で囁かれる。
暑苦しい男の体温を帯びた息は、どこかひやりと冷たい。
「検事局のおエラガタについて、キミの感想を聞きたいんだけど。
勿論ボクも“色々”、話してあげてもいいし」
損にはならないだろう──? 言われるまでもなく巴には分かっていた。
頷くのを、男が予測しているのも、分かっていた。
『――もしもし、お姉ちゃん?』
「ええ。夕食は済ませた?」
『うん。お姉ちゃんは、帰りは何時くらいになりそう?』
「……ごめんなさい、早くて十一時を過ぎると思うから、先に休んでいて」
『分かった。あ、冷蔵庫にプリンがあるから。ひとつはお姉ちゃんの分ね』
「え、ええ、ありがとう……あかね?」
『なに?』
「……いいえ、何でもありません。戸締りはしっかりね」
『分かってるよー』
じゃあね、と通話は切れる。携帯電話を手に、巴は壁に背を預けた。
ホテルのロビーには、人影がちらほらとある。終わったばかりの警察局と検事局
との会食に出席していた面々だ。今日会ったばかりの顔もあれば、以前から見知って
いた姿もある。
巴は人の集まりから少し離れた場所にいて、今なら誰にも咎められることなく帰宅
できる。
できた。
過去形。
手の中の携帯に視線を落とす。自分の意志で電源ボタンを押し、通話を終了した。
家でひとりの妹に、「帰る」と言わずに話を終えた。
それが答えで、結論だ。
巴は顔を上げ、ロビー内を見渡す。
目当てのオレンジ色のスーツは直ぐに見つかった。やたらとヒラヒラした服装の
年配の検事、そして巴よりも若い、こちらも検事の青年と何やら談笑している。
もっとも、笑っているのは厳徒と年配の方だけで(但し彼は冷笑、と呼ぶ方が
相応しいな笑い方だった)、青年はしかめっつらをしている。
両名ともウデのいい検事だと聞いている。特に年配の方は、その年最も優秀な検事
に贈られる《検事・オブ・ザ・イヤー》受賞の常連だとも。
厳徒の言葉を借りるなら『顔を売っておいてソンはない人間』だ。
巴は背を伸ばし、彼らへと歩を進める。
巴が此処に残った目的、その達成のため。
ヒトを知ること、権力の趨勢を知ること、人脈をつくるコト。
巴の“これから”に必要なものを、得る。
「ご歓談中に失礼します。警察局副主席捜査官の、宝月巴、と申します」
傍で、厳徒が、出来のいい弟子を見るかのように。笑った。
それは“レンアイ”ではなく“トリヒキ”だ。
宝月巴が欲しいのは捜査官としての技術、知識、人脈。チカラ。
厳徒海慈が欲しがったのは優秀な手駒。女。
互いに欲しいものがあり、相手の欲しいものをそれぞれで持っていた。だから
近づき、提供し合った。信頼関係に似たものはあるかもしれないが、恋愛感情は
カケラも無い。性行為は合意の上ではあるが、愛情表現などではなく単なる対価
でしかない。
倫理的に見れば誉められたものではないのを、誰よりも巴自身が理解している。
けれど法には触れていない。
それだけが、巴に許された言い訳だった。
「それで。どうだった?」
情事の後、不意に問われた。
大きなものを受け入れた後、未だ熱を持つ部位が、微かな痛みと疼きを訴える。
微細な身体の挙動を無視し、巴は厳徒の問いをセイカクに把握した。出来れば
受け取り側の手間を省くため、目的語を略さずにいて欲しいものだ。
「狩魔検事と御剣検事……どちらも噂通り優秀な方のようです」
「狩魔のカンペキ主義は相変わらずだったね。いやいや」
「カンペキな証拠とカンペキな証人を用いての、カンペキな立証。彼が四十年近く
無敗を誇る理由が解りました」
ついでに、師に比べ弟子はやや潔癖なキライがあるようだった、と付け加える。
「ナルホドね」
厳徒はうんうんと頷きワイシャツに袖を通す。泊まらないのだろうか。珍しい。
「や。他人の意見は参考になるね」
巴は頷き自らも身支度をし。
(ああ、そういえば)
「似ているかもしれません」
ふっと考えを洩らした。
「似ている?」
「主席捜査官と、狩魔検事が」
「……ふうん」
かち、と、厳徒の鼻先で眼鏡のフレームが音を立てる。色付きレンズ越しの瞳は
表情が読み難い。
「キミはそう見たワケだ」
「……?」
戸惑う巴を前に、厳徒は口の端を緩め、
「ボクからすれば、トモエちゃんと御剣ちゃんの方が似ていたケド。ね」
「私、ですか?」
「そう。どっちかというと昔のトモエちゃんかな。希望いっぱいユメいっぱいだった」
皮肉にしては悪意が過ぎる、辛辣な口調。
「御剣ちゃんも。トモエちゃんと同じくらいアタマが良い子だといいんだケド。ねえ?」
早く“法”と“正義”だけでは“悪”を裁けないと悟ればいい──厳徒の言葉に
巴は沈黙を守る。
御剣は確かに甘いのかもしれない。それでも、正義を貫こうとする彼の姿勢は
認められるべきだ──その一言がどうしても口にできなかった。
厳徒と巴がオフィスを共有してしばらくが経った。
その間、打ち合わせ以外でオフィスに一緒にいたことは、数えるほどしかない。
考えてみれば当然の話だ。捜査官としての仕事があるときは現場と資料室と会議室
を往復するのが常、オフィスの机には報告書作成と僅かな休憩以外で座る機会がない。
加えて厳徒は地方警察副局長としての仕事も抱えている。席を暖める余裕は、巴
に輪を掛けて少ないはずだ。
更に言えば、緊急の用件に備え主席捜査官と副主席捜査官の休日はずらしてある。
担当の事件がない日はどちらか片方しか出勤していない、というのもざらだった。
「あ、お姉ちゃん! 待ってたよー」
お蔭で妹との待ち合わせに気兼ねなく使える。
巴がオフィスに入ると、スチール椅子に腰掛け足をぷらぷら揺らしていた茜が
ゴキゲンな様子で手を振った。
機嫌の好い理由は直ぐに分かった。
「どうやらお迎えが来たようだな。さて、流れ者は去るとしよう」
「あ、はい。罪門さん、また今度!」
親指でテンガロンハットを押し上げる男、出てくる場所と時代を間違えた格好の
彼が腕利きの捜査官とは、初見の人間には解るまい。
「妹の相手をしてくれたのね。有難う」
「いや、バンビーナと話すのはナカナカ新鮮なもんだ。ウチは弟だけだからな」
「ばんびーな……?」
後ろで首を傾げる茜へ向けて、罪門恭介はテンガロンハットのつばを軽くはじいて
みせて、別れの挨拶にする。
「それじゃあ、あとは姉妹水入らずで楽しむんだな」
「恭介、何か用事があったのでは?」
彼は気のいい男だが、同時に多忙な捜査官でもある。中学生の女の子の相手だけ
するわけにもいかぬ立場なのだ。
罪門が自然な動作で肩をすくめる。
「なに、今日じゃなくても構わない用事さ。……明日の朝、カオを出してくれ。
今日は妹とゆっくりするんだな」
「――分かったわ。ありがとう」
仕事の話だ、と悟る。
おそらくは難事件、任務に就けば帰宅も家族との会話すらままならなくなる、
大口の捜査。
せめて今夜くらいは妹と一緒にいるといい──罪門の気遣いに、巴は感謝する。
茜はそんな大人二人の無言の遣り取りなぞ露知らぬ様子で、パイプオルガンを
物珍しそうに眺めている。
茜の横顔は幼い。まだたったの十四歳なのだ。
──だから自分が守り、育てなければ。
これからしばらくは寂しい思いをさせてしまうだろう。今夜がその埋め合わせに
なればいい。
「では、行きましょう、あかね」
「うん!」
(私が、この子を)
守らなくては──。
翌日。
連続殺人事件特別捜査本部が発足した。分類番号は“SL−9号”。
捜査の陣頭指揮を取るのは、地方警察副局長兼主席捜査官・厳徒海慈と副主席
捜査官・宝月巴の両名。警察局内で断トツの検挙率を誇る名コンビであった。
「連続殺人、ってコトは被害者が既に複数いるってコト。……グズグズしてる暇は
無い。会議、始めようか」
捜査会議室での厳徒の言葉に、居並ぶ捜査員らは真剣な面持ちで頷く。巴もその
一人だ。
「捜査資料には目を通してあるだろうから。多田敷捜査官。事件の概要だけ説明」
捜査責任者の多田敷道夫が起立し、スライドを操作する。
最初は──不謹慎な言い方だが──単なる殺人事件だった。平凡な、恨みをかう
機会もなさそうな主婦が殺された。その事件の初動捜査を担当していたのが多田敷
捜査官だ。
前述通り、殺害の動機が全く見つからない被害者に困惑しているところに、この
近辺で次の殺人事件が起こった。
場所も日時も近いふたつの事件、その関連性を現場は疑い始め──三件目、やはり
殺人事件が発生する段に至り、ようやっと『連続殺人事件』と定義されたのだ。
「……被害者同士の接点は、全くないのでしょうか?」
「三人は知り合いでも何でもありませんでした。共通の知人、のセンも今のところ
ありませんわ」
巴の問いに、捜査員の市ノ谷響華が答える。
「共通点……と言えば、一番目と三番目の被害者の家が同じ町にあるコトくらい。
道ですれ違ったコトはあるかもしれませんが、それだけでは知り合いとも言えない
でしょうねえ」
「……無差別の通り魔だとしたら、ヤッカイなことになるな」
発生現場の地図を睨みつけ、罪門恭介が呻いた。部屋に緊張が走る。
「カンゼンな無差別は有り得ない」
びしり。と。声が響く。
「被害者同士に何もなくても。犯人には必ず“動機”が存在する。犯行を誘発する
ナニかが。ね。被害者本人じゃなくて犯人自身にあるのかもしれない。犯行の場所。
時間。犯人自身の生活。ナニかがある。必ず、さ」
厳徒の口元は、笑みの形を刻んでいる。
しかし目は。
「そこが犯人に繋がる“道”だ。――じゃ。ガンバろうか」
鋭い視線が人好きのする笑顔の奥へ隠される。
雰囲気に呑まれていた捜査官らが、我に返ったように、ハイ、と唱和した。
「三人目だし、マスコミさんもウルサくなってるし。早期解決といこうか。
あ。ナオトちゃん? 検察局の対応ってどうなってる?」
「はい、立件への要件が揃い次第、起訴に移れるよう手配してあります」
きびきびとした返答。罪門“捜査官”の顔がふっと自慢げに綻ぶのが、巴からも
見えた。
罪門直斗“検察官”。将来を嘱望される若者で、罪門恭介の自慢の弟。
「お! いいねいいね。そーいうヤル気!」
これが殺人事件の捜査本部だろうか、と思うような陽気さで厳徒は笑う。
「さっきも言ったけど、大きな事件だ。会議はこれくらいにして、動こうか」
厳徒が時計に視線を走らせて。
「じゃ。ボクと多田敷ちゃんはこれから記者会見だから。アトは、トモエちゃん。
ヨロシク」
「はい」
厳徒と多田敷が退出するのをきっかけに、他面々も三々五々動き始める。巴も
現場に向かうべく準備する。
「現場に行くならオレも付き合おう、セニョリータ」
「ええ、お願いするわ」
罪門と連れ立ち地下駐車場へ向かう。
道すがら見る男は、随分と。
「興奮しているみたいね、恭介」
「そう見えるかい? 弟との初めてのシゴトだからな。ちょいとばかりキンチョウ
してるんだろうさ」
「キンチョウ……いえ、貴方、とても楽しそうに見えるわ」
苦笑に似た沈黙──「楽しい、か。そうかもな」
「アンタやガント副局長、“ゲロまみれのおキョウ”に多田敷、俺たち兄弟。最高
のシェリフたちで最高に凶悪なオオカミを狩る──ナカナカ経験できるコトじゃ
ないだろ?」
テンガロンハットの下、罪門の目は輝いていた。
巴自身も似たようなものだ。
彼らとなら事件を解決できる、否、解決してみせる。昂揚と自負とがふつふつと
湧き上がる。
「頑張りましょうね」
「ああ」
ぼつ。と。
決意に正に水を差すように。
警察局エントランスから出たばかりの巴の肩に、水滴が落ちた。
見上げる間に、曇天の空から次々と雨粒が落ちてきて、次第に激しくなる。
「雨か」
罪門が舌打ちする。
「現場の証拠が流れないといいけど」
「急ぐぞ」
「ええ」
雨の中、二人の捜査官は駆けだした。
当初の楽観的予測とは異なり、捜査は難航した。
捜査が困難、なだけならば予想の範囲内ではある。しかし、他にも問題が持ち
上がった。
バッシングである。
しかも内と外、両方から。
マスコミは連日事件の猟奇性と警察の無能ぶりを報道し、犯罪コメンテーターと
いう人種が鼻高々と『ぼくのかんがえたはんにんぞう』を披露し。
世論に慌てた上層部はまだかまだかと捜査に支障が出るほど捜査官をせっつき。
「……そんなに言うなら、この人達が犯人を捕まえるべきだね」
「タレコミなら毎日入ってきてるだろう? 証拠もクソもない“告発”が、な」
テレビを前にしての多田敷と罪門恭介の会話を聞くともなしに聞きながら、巴は
事件の資料を読み返していた。
何度も読みこんで、暗唱できるほどになった情報。
ただ、見えてこない。
“真実”はまだ見えない。
コーヒーのいい匂いがした。
「――根を詰め過ぎるとロクなコトになりませんわよ」
鼻先のマグカップと、取っ手を握る白い手を交互に眺め、
「どうぞお上がりなさいな、宝月捜査官」
「あ、え、ええ、ありがとう」
苦笑と共に再度差し出され、慌てて巴はマグカップを受け取る。響華も同じく
コーヒーを手に、巴の隣席に腰を落ち着けた。
「休める時に休むのは、悪いコトじゃあございませんよ」
「そうね……でも、落ち着かなくて」
資料を閉じ、マグカップを傾ける。少しぬるめのコーヒーは飲みやすかった。
時計を見る。
午後三時十一分。
捜査会議の開始時間をとっくに過ぎている。
厳徒と罪門直斗の姿は無い。
警察局長から呼び出しを受けたまま、まだ帰ってこない。
「そう落ち込むもんじゃあないよ」
ざっけない口ぶりに驚く巴へ、響華が微笑んだ。
「この“ゲロまみれのおキョウ”……色好い情報を用意しましてよ」
「――青影丈、という人物についてかしら」
響華は頷く。
青影丈は事件の容疑者のひとりで、響華が聞き込みに当たった。ナニか見つけた
のか。
何時の間にやら男二人もテレビを消音モードに切り替え、響華の話を聞いている。
「残念ながら証拠はまだ──けどこのおキョウの──」
「や! 皆、お待たせー」
響華の台詞がクソ大きいドアの開閉音と、クソ暑苦しい挨拶に遮られる。
何とも言い難い雰囲気のなかへ、厳徒は気にする様子もなく入ってきた。普段
通りの態度──しかし一緒にやってきた罪門直斗が疲労を全身から滲ませているの
を見ると、笑い声がいっそ空疎に聞こえる。
「もう参ったよ。局長ちゃんたらマスコミさんに突き上げられてアセっちゃって。
ま。退職金が出るかどうかの瀬戸際だから仕方ないけど。未解決連続殺人事件で
引責退職と任期満了円満タイショクじゃ、ゼンゼン違うからね」
にこにこ笑ってはいるが、発言内容は辛辣だ。
「それで? 皆で何のハナシ?」
「――厳徒副局長。事件の容疑者についてお話が」
空気が急に引き締まる。
「――聞こうじゃないか。おキョウちゃん、始めて」
青影丈が怪しい。響華は断言した。
「聞き込みの最中……“ピン”ときましたの。このオトコだ、と」
艶やかな栗色の髪が揺れ、その下から鋭い眼光が覗く。
「うまく隠したようですが……このおキョウの目は誤魔化せないのさ!」
「けど、証拠はない」
冷静に水を差したのは罪門直斗。コーヒーが効いたのか、幾分か顔色がマシに
なっている。
「青影丈との話以外で、何か気になることはなかった? おキョウさん」
「……」
しばしの沈黙。「……車」
「青影の車ですけど、車体にキズがありましたわ。そう……事故、のような」
事故。「そういえば」多田敷が、ふと思い出したように声を上げた。
「事件発生の前に、ひき逃げ事件がありました。まさかその犯人が──」
「……だとすると、殺人事件とはカンケイない、ってコトになる。オレたちが追う
のはひき逃げ犯じゃあない、殺人犯だ」
「あっ!」
罪門の指摘に、響華が悔しげな声を上げる。
(関係ない──)
しかし、本当にそうなのだろうか。何か、何かが引っかかる。
被害者の資料をもう一度探る。
戸鉢里恵。
名栗武文。
草葉影丸。
最初の被害者『戸鉢里恵』の資料を手に取る。平凡な主婦。外出よりも家を好む
性格だったのだろう、買い物と町内会でのなんやかや、偶の友人との外食、そして
犬の散歩以外では、出歩く機会さえ殆どなかったという。
そんな彼女の、何処に殺される理由があったのか。
犯人の、彼女を殺さなければならない理由とは何だったのか。
(一体、何が)
巴を引き留めているのか。
ひとつの文章を見つける。
「――!」
日付は、殺害の二日前。
「関係は、あるかもしれない」
巴の言葉に全員が注目した。厳徒が面白げに先を促す。
「第一の被害者である戸鉢里恵、彼女は殺害の前に警察で事情聴取を受けている」
そこで一旦間を置く。
資料には聴取の内容までは書いていない。ここからは巴の想像になってしまう。
組み立てたロジックの正否を問うのは後でいい。
「これが、彼女の近辺で起こったひき逃げ事件に関するものなら、SL−9号との
関係もあり得るのでは?」
今、必要なのは、次に繋がるステップだ。
「多田敷ちゃん。ひき逃げ事件の資料、持ってきて」
厳徒の命令に多田敷が急いでパソコンを操作する。警察局内の共有データベース
にアクセス。ひき逃げ事件の情報を検索する。
横で罪門が渋い顔をし、弟が苦笑いして囁いた。
「兄さんもパソコン覚えなよ」
「うるさい」
「……ありました。スライドに出します」
多田敷がパソコンを操作する。壁掛けスクリーンにひき逃げ事件の概要が提示
された。発生した日時、場所、そして目撃証言。
「トモエちゃん。ビンゴ」
厳徒の呟きが、静まり返った会議室にやけに響いた。
目撃者の名前は『戸鉢里恵』。
連続殺人事件の最初の被害者。
「ひき逃げの発生場所は?」
「此処──なんてこった、被害者のイヌの散歩コースだ。おキョウ、トンデモナイ
当たりを引いたな」
「……でもないようだよ」
否定の言葉は響華自身から。
「目撃証言の、ココ。ひき逃げしたクルマの型についての証言……『路地を、白い
ワゴンが走っていって、ヒトをはねた』……残念ながら青影丈のクルマはクーペさ」
話していた面々に失望の色が広がる。
「あの」
そんな中、巴は戸惑いながら、
「ワゴン車と、クーペ、という車種とで見間違えた可能性はないの?」
「さすがに無いでしょう」
多田敷が首を横に振る。
「ワゴンとクーペでは型も大きさも違いますからね。聴取の際の車種の確認には
車のカタログを使っていますし、見間違いということは無いかと」
「そう……」
ならばひき逃げとは無関係なのだろうか──
「多田敷ちゃん。キミ、ポニーとマスタングの違いって分かる?」
「は?」
いきなりの質問は厳徒からだ。多田敷は目を白黒させている。
「馬だよ。馬の品種。じゃあ罪門ちゃんは分かるかな」
罪門、で、兄弟が一緒に顔を上げる。同じ名字がいると不便だねえ、と厳徒は
笑った。
「……西部のオトコが、馬を見分けられないワケがない。副局長もご存じのハズ」
「そうだね」
恭介の返答に厳徒はうんうん頷き、「でも、多田敷ちゃんには分からなかった」
「人間なんてさ、自分の興味ないことは覚えようとしないモンだよ。被害者の彼女、
免許も持ってなかったでしょ。クルマに興味があったとは思えないな」
「しかし、カタログで確認し、その上での証言です」
「昔。ボクが担当した証人で、軽トラとジープを見間違えたおじいちゃんがいたよ。
間違いの理由がケッサクでさ。おじいちゃん田舎のヒトで、車なんてトラックか
トラクター、後はパトカーくらいしか見たことなかったの。
で。カレ。言ったんだよね。『大きなクルマはみんなトラックだろう!』って。
いやもう居並ぶ捜査員大爆笑。
ホントはカレの証言で事件が混乱して、笑い事じゃなかったんだけど」
そんなもんだよ。
笑顔を崩さぬまま厳徒は言った。
「人間の記憶なんてどうとでも変わる。どこでだって間違える。
――もしも。青影丈と戸鉢里恵の関係が『赤の他人』ではなく『ひき逃げ犯と
目撃者』であれば、動機が生まれる」
「殺人犯と、殺したいほどジャマな相手。という関係が。ね」
ぱん、と厳徒が手を叩いた。
「おキョウちゃん。青影丈は?」
「ワタクシの判断で、刑事をつけています」
「了解。引き続き青影の身辺を洗って。多田敷ちゃんとナオトちゃんもおキョウ
ちゃんの手伝いに。残りは引き続き所定の捜査を」
はい、と応える声は、今までになく晴れやかだった。
ようやっと光明が見えた。
事件解決への“道”が。
――見えたと。思ったのだ。
重たい足を引きずりつつ、巴は自宅のドアを開ける。雨で濡れた髪から水滴が
落ちた。嫌になる。
ただいま、を言うのも億劫で、無言のまま靴を脱いだ。
そもそも現在時刻は午前二時。茜はとっくに寝ている。
捜査は相変わらず難航していた。
進展はあった。容疑者を確定したのだ。
青影丈。
平凡な会社員で、凶悪な連続殺人犯──しかし証拠がない。状況証拠ならある。
曖昧なアリバイ。彼が事件現場付近に住んでいて、土地勘があること。
けれど、それらは『彼が犯行を“行えた”』ことの証明にはなっても、『彼が
犯行を“行った”』ことの証拠にはならない。
決定的な証拠はない。
証拠がないということは──犯行を行っていない、ということだ。
苛立つ。
彼が犯人だ、という確信がある。けれど裏付ける証拠はない。証拠がなければ
彼の犯罪を立証できない。
ひどく惨めな気分だった。
一向に犯人を逮捕できない警察への──巴たち特別捜査本部の捜査官に対しての
バッシングは日に日に酷くなっている。心が折れかけたのも一度や二度ではない。
それでも。
タオルで髪を拭きながら、巴はぼんやり考える。
批判の矢面に立たない分、厳徒よりはマシなのだ。
地方警察局副局長にして主席捜査官。いちばん地位の高い人間がいちばん目立ち
泥をかぶる。その対価として、事件解決のあかつきには厳徒海慈の地位は今までに
増して盤石のものとなるはずだ。
解決さえできれば。
できなければ?
出来なければ、厳徒は失脚。厳徒のパートナーである巴のキャリアも、検事になる
との目標を果たせぬままそこで終了となるだろう。
文句は言えない。
巴は厳徒の傍で、彼から学び、彼に利用され、彼を利用してきたのだ。今更他人
のフリをする気はない。
唯。
少し。
ほんの少し、疲れてしまっただけで。
そうして自分の考えに沈んでいたせいで、キッチンテーブルの上の“それ”に
気づくのが些か遅れてしまった。
「……?」
皿にティッシュペーパーが掛けてある。つまんで持ち上げると、裏にごはんつぶ
がくっついていた。
見る。
皿の上に、不格好なおむすびが、ふたつ。
皿の下に、可愛らしいキャラクターもののメモ用紙が一枚。妹の字でこう書いて
ある──『お姉ちゃんへ。お仕事おつかれさま! 夜食だよ。おなかがすいたら
食べてね!』――ぱた、とメモ用紙の色が変わり。それが水分のせいであることに、
正確をきせば巴自身の目から零れた涙であることに気づき。巴は慌てて指で目尻を
拭った。
嬉しい。
けれど嬉しいだけでは言い表せない、複雑な感情。
巴は天井を見上げ涙が引くのを待つ。
明日も早い。茜とは顔を合わせられない。夜食の礼のメッセージを書かなくては。
……泣きやんだら、そうしよう。
ほんのりと明かりの灯る天井を見上げ、巴はしばらくそうしていた。
キッチンには、冷蔵庫の唸り声と、雨音だけが響いていた。
雨が降っている。
この季節らしい、土砂降りの雨。
巴は久々に自分のオフィスへと足を運ぶ。腕に捜査資料のコピーを抱え、直通
エレベーターで十五階へ向かった。
時刻は七時十一分。
今日は定時で帰る、というか帰された。連日働き詰めだと、却って作業効率が
落ちるから、というのが理由だった。
巴も資料の整理が終わり次第おとなしく帰宅する予定だったのだが、予想外に
時間がかかって今の時刻、というわけだ。それでもここしばらくの間では驚異の
帰宅時間だった。
IDカードを使いオフィスへ入室する。
資料を置いたらすぐ帰る予定だった。上司の命令に反するのは、誉められたこと
ではない。長居は無用だ。
――誰も居ないものと思っていたから。
帰宅命令を出した当人の姿を見つけ、巴は驚いた。
「あれ? トモエちゃん。帰ってなかったの」
命令違反はいけないなあ、と笑う厳徒へ、巴は謝罪を返す。
資料を自分のデスクへ片付け。そのまま帰っても、よかったのだろうが。
「……」
「……」
引き寄せられるかのように。窓の側に佇む厳徒へ、歩み寄り。
「……」
「……」
会話のネタは幾らでもあった。捜査のコト。天候のコト。自分が残った理由を
話してもいいだろう。厳徒が残っている理由を聞いてもいいだろう。
「……」
「……」
けれど。
無言。
巴は厳徒の視線を辿り、窓の外を見遣る。
曇天から雨粒が間断なく落ちてゆく。遠くで雷が鳴った。
「この下で」
「……?」
厳徒の視線を再度なぞる。
巴が空を見ていたのに対し、厳徒は下を──雨に煙る街を見ていた。
「連続殺人犯がのうのうと暮らしてる。“証拠”が見つからない。その程度の理由
で、一般人でございってカオして生きてて。そしてボクらは“証拠”がない、それ
だけの理由で苦労してると思うと、ホント」
続く囁きは雷にかき消され聞こえなかった。
唯、一瞬垣間見えた憎悪に、巴は息を呑む。深い深い憎しみの影。
それが何処からきたものなのか──捜査が思うように進まないことへの苛立ち
からか、自らのキャリアが危機に瀕することへの焦りか。それとも、この男の嫌う
“正義感”からか? ――候補は数あれど、巴には判別不可能だった。
もし当人に聞けば、笑って──もしくはあの疑問も否定も許さぬ口調で、最後
だけはないと答えるのだろう。巴に予測可能なのはその程度だ。
不意に。引き寄せられ。
唇が厳徒のそれで塞がれる。口腔に、ぬるりと這入ってくる生温かいモノの感触。
上顎を撫ぜ、歯列を犯すそれは、心地好さよりも苦しさの比重が高い。しかも、
ものすごく偏っている。
腰を抱かれ動くこともままならず、結局、巴は硬直したように蹂躙を受け入れた。
手前勝手なキスは始まった時と同様に唐突に終わった。
視界に入る男の顔に、何だか自分でもよく分かっていないらしい苛立ちと困惑が
浮かんでいるのを見。
先程まで自分のそれを塞いでいた唇が、笑みのかたちを取り、何事かを発生する
段になったところで。
ようやっと巴は動いた。
「――っ?!」
おそらくは「じゃ。また明日」とでも言いかけたのであろう厳徒の目が、驚愕に
見開かれる。
珍しい厳徒の表情だが、観察する余裕はない。
つま先立ちになり、派手なオレンジのスーツを掴んでキスをする巴にそんな余裕
はない。
厳徒からのキスに比べ、巴のは稚拙そのものだった。唇を合わせる、それだけの
行為。
それだけの行動にも関わらず、巴は緊張し、スーツを握る手が白くなる。
離れる。
視線が合う。
どちらかが普段の理性の十分の一でも通り戻して自分たちは何をしているのかと
考えればその馬鹿々々しさ、理不尽さに立ち止まることが出来た。
出来“た”。
過去形。
或いは仮定。
その時巴の頭の中は真っ白だった。
対する厳徒は見た目からは何の感情も読み取らせず。
結果。
キスはみたび繰り返された。
ひどく近いところに色付きレンズがあるのを眺め、(おむすびがふたつ。/メモ。
/『お姉ちゃん』)レンズに反射する自分を眺め、(私の妹。/ならば、厳徒海慈。
/貴方の、)脳裏に泡沫のような疑問が浮かび、(貴方は、何処に。誰に。)明確な
文章になる以前に消える。
熱が全てを曖昧にする。
もつれ合うように樫材のデスクへもたれかかったことも、厳徒の腕がデスク上の
資料やら何やらを払いのけ、それらが甲高い悲鳴を上げ床に跳ねたことも、広く
なった其処にほぼ押しつけられる格好で尻を載せたことも。硬さも。痛みも。遠い。
巴の膝を割り、厳徒が逞しい身体をねじこんでくる。必然、脚が開かれる。
恥ずかしい格好だよりも、背の高い男を見下ろす体勢になっていることの方が
気になった。
立ったままの厳徒の右手、黒い手袋に隔てられた体温が、巴のこめかみを、頬を
かたちの良い顎を通り。マフラーの結び目で止まる。
「――」
結び目を解いたのは巴本人。
誰に言われるわけでもなく、震える手で、しかし自分の意志でマフラーを解く。
赤い生地が落ち、対照的に白い喉がむきだしになった。
やわらかな其処に刺激が与えられる。
「っ、あ」
強く、鬱血するまでに吸われて、巴は喘ぎ声を洩らす。敏感な肌を乾いた唇と
濡れた舌と硬い歯と、整えられた顎鬚が這う。
手がジャケット越しに乳房をわしづかみ、乱暴に弄ぶ。
痛みに巴は眉をしかめ、
縋るように両の腕を厳徒の背に回した。
或いは。左腕を机につけ支えとする厳徒の負担を減らしたかったのかもしれない。
身体が密着する。互いの動きを阻害し合う。恋人同士ならば互いの体温を感じ
幸福を甘受するのだろうが、生憎とふたりは恋人ではなく、抱擁も熱も服越しの
ものだが。
「主席捜査官、あの、あまり、アトが残る、のは」
「マフラーで隠れるよね?」
隠せるか隠せないか、ギリギリのところに歯を立てられる。アトが残る。白い肌
に朱色の糸が浮き、内側からの熱にまぎれて見えなくなる。
胸から手が移動する。
ジャケットをなぞり、スカートへ。スカートの裾へ。そして、その中へ。
黒手袋と、ストッキングを隔て、肌が重なる。そしてその先。
「破ってイイ?」
「脱ぎますっ!」
トンモデナイことを言いだす男へ顔を真っ赤にして答え、慌ててスカートの中に
手を、
手を──。
自分で下着を脱ごうとすればスカートに手を突っ込んで裾をまくり上げなければ
ならない、しかも他人の見ている前で。
脚を開くどころじゃないトンデモナイ格好に固まっていると、
「意外と面白い子だったんだねー。や。発見発見」
「――っ?!」
笑われた。
口を虚しく閉口させ、イイワケのひとつもしようと必死になる。
「――悪いけど」
そこに。
汗ばむ額に唇が落とされる。
優しい仕草。口調。身構える。
この男が優しくする時には必ずウラがある。
「ボク。そんなに気の長い方じゃないから」
分かっていたから、下着ごとストッキングを掴まれ引きずり下ろされた時も不満
よりも諦めが先にきて、あまつさえ脱がしやすいようにと腰さえ浮かせた。
ずるずると、汗でまとわりつく化繊が太腿を滑ってゆく。
布のカタマリが膝上に出来て、厳徒の手はそこで止まる。これ以上脱がせるなら
ひざまずかねばならず、面倒になったのだろう。
巴は細く、息を吐き。
片脚を折り曲げた。
「──へえ」
厳徒が洩らした感嘆は、何に対してのものか。
考えると手が止まってしまうので、考えない。下着とストッキングから片脚を
抜くことだけに専念する。
かん、と高い音が響く。
床に靴が転がっている。
巴のクツ。右だけ。片方だけ。
むきだしの右足と、布地をまとわりつかせた左足。巴は自身のだらしない姿に
目を覆いたく「イヤラシイ格好だ」
羞恥を煽る言い草に、素肌をなぞる手袋の感触に、巴はうろたえる。
「ホント驚いたな。そんな誘い方、どこで覚えたんだか」
誘い。
(誘っている? 私が?)
最初からおかしかった。雨。厳徒。自分。高い天井。此処での性的接触を忌避
してきたのは他ならぬ巴だった。
「『どこで』──?」
おかしい。
何もかもが何処かでずれてしまっている。
だからこの発言もきっとその“ズレ”のせいだ。
「貴方と、以外に。ない」
──もっと甘くてもいい台詞だった。不貞を疑われたとなじるのも相応しい。
なじるではなく、悲しむのも結構だだろう。
どれでもない。
巴の声は、どれとも違う。淡々として、切実な、絞り出すような。
言葉が相手に何をもたらしたのか。何も与えなかったのか。確認は不可能だ。
無言で避妊具を取りだし、パッケージを破る。一連の動作の間に、厳徒の表情は
すっかり元に戻っていた。
「事件」
「え?」
雑談めいた口調で、今とは全く関係のない話題を振られて、巴は混乱する。圧し
掛かる体温が、冷たい。
「もしもさ、このままナニも見つからなかったら。何も見つからないまま、事件
が終わったら。トモエちゃん、どうする?」
その時は──失職はなかれども、上級捜査官としてのキャリアは終わりだろう。
巴の検事になるユメも終わるか、困難なものとなる。
厳徒は。
彼は。
警察局副局長。主席捜査官。最も次期地方警察局長に近い男。
政敵の多い男。
「――見つけます」
服越しの体温を見つけようと、震える手で探る。
「必ず、“証拠”を。私たちの手で、この事件を解決します」
だから、どうか信じて欲しい。――そこまでは言えた。『私を』とは、余りにも
おこがましくて口にできなかった。
返答は。
「――宝月捜査官」
ひどく。嘲るような。
「キミは──いいさ。つまりキミは“正義の味方”だ」
意味を、意図を問う暇もなく、性器をねじこまれる。
悲鳴を噛み殺す。僅かに湿り気を帯びただけの場所には、乾いたゴムの感触が、
辛い。
乱暴に引かれ、また叩きこまれる。身体が軋む。
声を堪えているから制止も出来ず、代わりに厳徒のスーツ、胸襟を掴んだ。真っ白
になるまで握りしめた拳の中で、光沢のある生地がしわくちゃになる。
奥をこすられて、身体が跳ねた。
痛みを緩和しようと、とろとろと体液が滲みだしている。ようやっとの快感と
継続する痛みとで、頭がどうにかなりそうだ。
涙で滲む目で、厳徒を見遣る。
――容赦のない。けれど、快楽をもたらすには的確ではない行為。
そこに、彼自身の快楽が見つかれば、多少なりとも納得がいったのだが。
「――イタくされる方が好きとは知らなかったな」
「ちが──っ!」
突き上げられて否定の後半は鼻にかかった喘ぎに変わる。
雨とは違う水の音が、巴の内側で響いている。かきまわすモノの存在が、男が
性的な興奮を覚えている証拠だ。熱。服に染み込む汗。ピッチが速くなる。深く
ねじり込まれ、硬く張ったカサで狭い場所をこじあけられて、呼吸が止まった。
瞬間。
ぬるりと剛直を包み、貫かれて悦んでいた場所が、きゅうっと窄まり奥へと呑み
こんで繋ぎとめる。ゴムの被膜の向こう、逞しいモノを愛撫し、裏筋を舐め上げ、
くびれを埋めるべく襞が絡みつき、亀頭を強くなぶる──射精を促す。
細い背が仰け反る。抱きかかえられる。
下腹部から脊椎をさかしまに伝い、脳へと至るしろいナニか。
巴のナカ、避妊具の中に、厳徒の体液が注がれるのを、そんなこと有り得ない
だろうが感じた。
被膜越しのそれが何かの“証拠”になるのか。巴には分からなかった。
電子音で互いに我に返る。身を離し、手早く身づくろいをする。
電子音はまだ続いている──厳徒のポケットからだ。携帯の呼出。厳徒が電話に
出る。「もしもし。厳徒だけど」巴はマフラーを手に取り──「トモエちゃん」
冷やかな呼びかけに、弾かれたように厳徒へと目を遣った。
通話は終了したらしく、厳徒の手の中の携帯電話は沈黙している。
「“SL−9号”の、四人目──ひき逃げも入れるなら五人目かな?
被害者、出たって」
「――?! まさか──!」
「現場の勇み足だといいね。服。着替えたら、現場に行こうか」
血の気が引くのを感じながら、巴はどうにか首肯する。
「ホラ」
独白が、誰に対してだったのか。
「言わんこっちゃない」
考える余裕は、巴には無く。
唯、そこに重い澱を感じ──何か。取り返しのつかないモノが噛み合ってしまう
音を、聞いた。
534 :
509:2009/09/16(水) 15:28:46 ID:1CxDuOG7
「伝説のコンビ〜」とか剤門弟を挟んでの一枚絵で、巴があまりにもイイ顔
してるので、厳徒を本気で慕ってた時期もあったのかなーと妄想してたら
辛抱堪らなくなった。反省はするが後悔はしていない。
長い
途中で送信してしまった
長いがGJ!
ガントモいいね萌える
大作キタコレ
>>509 GJ
確かに長かったけどストーリーがおもしろかったので一気に読めた
キャラの再現度高いけど特にガントがエロくて怖くてよかった
これだけ登場人物の多い作品も珍しいんじゃないかな
宝月姉妹に罪門兄弟、ガントにおキョウさんに多田敷、
出番ちょっとだけど御剣と豪も入れたら計9人か。多いなー
そういや多田敷とか直斗って本編中でしゃべるシーンあったっけ?
読み応えがあった。GJ
509です。前回レスくれた人サンクス。勢いのまま投下したら長くなってすまなんだ
今回は大丈夫だと思う。たぶん
・厳徒×巴。和姦
・SL−9号事件より前
・厳徒と巴は愛人関係っていう妄想前提
・ガントモがバカップル。というか馬鹿
・書いてる本人も驚いた
「えー、本日はお日柄も好くー、上級捜査官のおふたかた、刑事課、鑑識、そして
聞きこみ捕り物お茶汲みとダイカツヤクだったイトノコ……あ、ごめん、本名……
イトノコギリ? そうそう、糸鋸巡査クン。あー、ここにいます皆々様方のー努力
実りーこのたびの事件も無事解決ー……」
「カチョーちゃん。長い」
「す、すいません!」
だらだら続く刑事課長の長口上をさくっとヒトコトで遮り、にこにこ笑顔の厳徒が
ビールジョッキを掲げた。
「それはともかく。本日付けで事件解決。捜査本部解散。や、良かった良かった。
ってコトで、みんなお疲れさま! カンパイ!」
『カンパーイ!』
音頭に合わせての乾杯コールがテーブルのあちこちで上がり、ジョッキやらグラス
やらが打ち合わされる音が響く。気の早いところなどもう追加注文にとメニューを
広げており、居酒屋の一室はなかなか賑やかな眺めになっていた。
巴は刑事課長と談笑する厳徒の隣できちんと正座しつつ、それを見ていた。手には
小さなグラスがあり、中ほどまでビールが残っている。
彼ら──警察局の人間が浮かれるのも無理はない。
ここにいる人間は、とある事件の捜査担当者だった。巴も厳徒もそうだ。
今日の法廷でその事件に決着がついたのだ。結果は有罪。捜査員のここ一ヶ月の
苦労が報われたかたちになる。
「明日っから通常勤務だ!」
「定時帰宅だ!」
「掃除する! 今日で腐海とはおさらばだチクショウ!」
「これで子どもに『遊園地つれてってくれるっていったのにパパのウソつき!』って
言われなくて済む!」
等々。涙交じりの歓喜が聞こえてくる。
家族持ちは特に大変なのよね──自身も齢の離れた妹を扶養する巴は、彼らの叫び
に内心しみじみと同意した。
「あ! 宝月捜査官!」
「きゃっ」
突然横合いから声を掛けられて、巴は驚く。ついでにグラスを落としそうになり、
慌てて握りしめた。
幸いビールは零れなかったが、揺らした拍子で表面についた水滴が滑り落ち、巴
の指を伝って、テーブルにちいさな水溜まりを作る。
「す、すまねッス……あの、大丈夫でしたッスか?」
「え、ええ」
大きな身体を縮こまらせてしょんぼりする男へ、巴は微笑んでみせる。
誰だっただろう。確か先程名前を呼ばれていたような──「心配は要りません、
糸鋸巡査」
「そ、そッスか」
安心したのか、糸鋸の緊張が目に見えて緩む。
「あの、宝月捜査官」
「何でしょうか」
糸鋸は巴の隣に正座し、真直ぐに巴を見つめ、
「アンタ、最高に格好よかったッス!」
「え? え、あの」
「証言台でビシビシ証拠を出してくアンタの姿、もー痺れたッス!」
「えと、その、あ、ありがとう」
ああ多分酔っているんだな、とは理解した。
ここまでストレートな賛辞を受けるのは巴としてもついぞ無い経験で、上手い返し
が思いつかない。
「ジブン、刑事を目指してるッス! アンタは憧れッス!」
糸鋸はおそらく巴と同世代だろう。しかし、酔いが手伝っているとはいえ、彼の
瞳はきらきら輝いて見えた。
巴には眩しすぎるくらいだ。
「イトノコー、こんなトコで口説いてんなよー」
「ノコさん、もっとムードを考えましょうよ」
「はっ?! いや、ジブンはそんな」
「──何? ボクがいない間に楽しいコトになってるねー」
糸鋸が硬直し動きを止める。
巴も動けなくなる。主に、背後から肩に回された腕の重みのせいで。
「困るなあ。キミ、イトノコギリ巡査? ボクに許可もなくトモエちゃんを口説く
なんて。さ」
何時の間にやら厳徒が来て、巴の肩越しに糸鋸へと笑顔を向けている。糸鋸は硬直
したままだらだら脂汗を流している。『居るだけで室温が三度上がる』と評判の厳徒
だが、今の糸鋸にとってはむしろ冷気のカタマリを押しつけられたようなものだろう。
しかし。
「許可、とは、どういう風に出すつもりですか。主席捜査官」
「そうだねー。トモエちゃんのトコに来る前に、ボクに口説き文句を披露してもらう
とか? で。採点して、合格点が出たらトモエちゃんのトコに行ける。なんてのは
どうかな?」
――それなんて羞恥プレイ。
厳徒の台詞に声無きツッコミが複数入った。気がした。
巴は内心溜息をつく。
上司の悪い冗談を収めるのも部下の役目だ。
「糸鋸巡査」
「へあっ?!」
妙に裏返った返答をする男へ、巴は微笑む。
「また、一緒に仕事が出来るのを楽しみにしています。今度は、刑事として」
「あ──」
タイミングを計り、ゆっくりと頷いて。
男泣きを始めた糸鋸が同僚に引っ張られたのを機に、場の雰囲気は元に戻った。
巴の肩からも重みが外れる。
「――お上手」
巴にしか聞こえない囁きと、
「――あまりイジめないでください」
厳徒にしか届かない呟きと、
呟きへの返答である押し殺した笑いを、残して。
些か間の悪い瞬間を生みつつも一次会はつつがなく終了し、九時前には解散、後は
各自帰宅するなり有志で二次会に突入するなりの流れになった。
巴は二次会への誘いを断り。
しかし、帰路につくでもなく。
「……」
タクシーの後部座席で揺られている。
隣には厳徒。
目的地はホテル。
「酔い覚ましに。下でコーヒー、飲んでこうか。あそこのコーヒーは結構イケるよ」
全く酔ってなどいない様子で厳徒が誘う。
分かりました、と答える巴も、しかし酔ってはいない。二人ともアルコール類に
殆ど口をつけなかった。巴はあまり強い性質ではないからだが、厳徒は違う。ザル
とまではいかないがいけるクチだと聞いている。
唯、嫌いなのだ。
酒が──というより、酒に起因する醜態が。
「人前で。酔うほど呑むモンじゃないよ」
冷やかな評価は、糸鋸に限らず今日の席で酔っていた全員へのものだろう。
巴は窓の外へ目を遣る。
対向車のライトが流れてゆくのが、綺麗だった。
(終電前には帰らないと)
家で待つ妹の顔が、浮かんだ。
コーヒーは確かに美味しかった。
カフェインと熱いシャワーで最後のアルコールを抜き、巴は浴室から出る。洗面台
の鏡の前でバスローブを羽織り、手櫛で髪を撫でつけた。
そして洗面台に手をつき、鏡を見る。
女の姿が、そこにはある。
ひとつ。ふたつ。髪の毛から拭いきれなかった水滴が落ちる。
あの男。
浴室の外、寝室でくつろいでいるであろう男に付き従うようになってから、自分
は変わっただろうか?
幾度も繰り返す自問と、幾度も与える自答。答えはイエスとノー。変わったもの
もあり、変わらなかったモノもある。
そう。巴が厳徒との関係を続ける理由は、今も昔も同じだ。
欲しいものを手に入れる。そのための対価。そのためならば巴はいちばん大切な
もの以外なら何だって差し出す覚悟だった。
身体が冷え切る前に巴は鏡から離れる。
巴には、欲しいものがある。
立ち止まってなどいられなかった。
備え付けのイージーチェアに深く背を預け、厳徒は手元のファイルに目を通して
いた。トレードマークの手袋は外して鏡台に置いてあり、身につけているのは眼鏡
とバスローブだけだ。紙をめくる微かな音が室内に流れ。
「……おかえりー。トモエちゃん」
浴室の扉の開閉音、もしくは巴の気配に気づきファイルを閉じて鏡台へ放る。
ラベリングのされていないファイルだが、巴には中身の見当がついた。捜査資料、
但し今日解決したとは別の、巴に見せる必要のない──巴に見せたくないたぐいの
資料だ。
鼻先で隠し事をされるのには慣れている。厳徒のパートナーとして当たっている
捜査ですら往々にして起こるのは困ったものだが。
しかし。
今日は、そんなことはどうでもいい。
緊張を悟られぬよう殊更背筋を伸ばして歩み寄る。
椅子に腰掛ける厳徒の正面に立ち。
「――ふうん?」
身を屈め、厳徒の肩へと両腕を回す。
厳徒の視線が巴の顔からゆっくり下方へ向かい。
「トモエちゃん。今日はズイブンとサービスいいねえ」
「……っ」
バスローブの帯が解かれる。
巴の肌が露わになる。震える喉元、鎖骨、重力に引かれているせいで普段より
大きく見える乳房。その先の突起は肌寒さからか尖り始めている。
厳徒の手が片方の乳房をすくいあげるように掴む。
巴の背がびくりと震え、秀麗な眉根が寄せられた。唇も同じく固く結ばれ、拒否
の言葉は出ない。
無駄な肉のない腹、臍下の翳りさえ晒されているのに、巴は黙ったまま厳徒の好き
にさせていた。
俯き加減の頬や耳が赤いのは、湯上りだけが原因ではなかろうが。
色付きレンズの向こうで、厳徒の目が眇められる。
「せっかくサービスしてくれてるコトだし。トモエちゃん」
呼びかけは、ひどく朗らかだった。
「じゃあ。リクエストしようかな」
「……リクエスト、ですか」
「そうそう」
巴の乳房から手を離し、厳徒はにこにこ笑いつつ、
「口でしてよ」
沈黙。
「――――――は?」
ぽかんとする巴へ、厳徒は言葉を継ぐ。
「フェラチオ。そのトシで知らないってコトはないよね?」
とりあえず真っ赤になった様子から知識があるのは知れた。
「で、でも、私、経験が」
「やるの? やらないの?」
厳徒は姿勢も表情も一切変えず声にのみ凄みを混ぜ、
「……」
沈黙。
厳徒の肩から細い腕が離れる。
ひざまずく女の姿に、厳徒は声もなく口の端を歪めた。
厳徒自身は全く動こうとしなかったので、巴は仕方なく彼のバスローブをはだけ
前を露出させた。
年齢を感じさせない腹、その下、赤黒い男性器は首を下に向けている。
どうしたものか、途方に暮れた巴が視線を上げると、それはそれは楽しそうな具合
の厳徒の視線とかちあった。
「あ。口でって言ったけど、別に手も使ってイイよ?」
誰も聞いてない。
「歯は立てないようにね」
だから聞いてない。
とりあえず。乏しい知識やあれやそれを総動員し、まずは刺激を与えて勃起状態
に持っていくことが先決と結論づけ、覚悟を決めて手を伸ばす。
うなだれたソレは、ずっしりと重かった。
これが自分のナカに入ってくるのだと考えると、今更ながら身震いする。
だが、その、挿入時の凶器になるんじゃないかとまで思えるような硬度は今のソレ
には見られず奇妙な柔らかさについ握る手のまま指で押してみる。芯とかは何処に
あるのだろうか。裏側を擦ると皮膚の下に管のようなものが通っているのが分かる。
これだろうか。芯。
さて。
厳徒からすれば正直稚拙すぎてそんなに気持ち良くないのだが。
普段は怜悧な雰囲気を漂わせ副主席捜査官として他の男どもを従える才女が頬を
赤く染めつつ自分の股間の一物をいじっている──慣れない様子で眉根を寄せて、
かつ証拠品取り扱いさながらの厳粛さでつんつんしたりぐにぐにしたり包んだり。
肉体的刺激としては全く足りていないわけだが、この眺め自体はいい。
屈辱か羞恥か、微かに震える肩。手。白い額から整った鼻梁へと落ちる影、高い
頻度で繰り返されるまばたき。見下ろす胸の谷間は──まあ、ここについては多く
は語るまい。
今は。何事も一遍にやるのは良くない。
「トモエちゃん」
巴が慌てて顔を上げる。僅かに狼狽の色がある。何か不作法をしてしまったのでは
ないかとの不安を滲ませている。
こんな時巴が見せる幼い表情を、どれだけの人間が知っているだろう。
「楽しい?」
「え」
苛めるポイントは絞った方がいい。的確に、セイカクに。
「や。一人で楽しまれても困るなあ。それに。トモエちゃん、下手だし」
「へ……下手……」
本来は動揺する必要なぞ何処にもないのだ。未経験の相手に熟達の技を望む方が
間違っている。
巴の頭がそこまで回らないのは、やはりこの状況下だからだ。
男根を包むてのひらに、微かに力が加わる。
だが行為の目的は、男への意趣返しでも、ましてや握りつぶすなんて物騒なこと
でもなく。
おそるおそる伸ばす舌を、ソレに、上手くつきつけるためだった。
ざらりとした感触が亀頭を這う。何処がきもちいいのか皆目見当がつかないよう
で、ひたすら闇雲に唾液を塗りつける。
雁の部分を、丁寧になぞるように舐める。頭の位置を固定しては不可能な動作
だったから、当然姿勢も変わる。右手が陰茎から外され、厳徒の大腿部に置かれる。
それについて制止も拒否もされなかったので、巴はなるべく負担にならない範囲で
体重を預けた。
「ん」
顔を傾け、くびれに舌先を差し込むようにして一周させる。柔らかかったソレが、
急に硬度を増した気がした。
横合いから、啄むように順繰りに唇を落とす。男根は、はっきりと興奮を示して
いる。唇ではさみ、舌でつつく。根元まで行く。止まる。少し悩んだ末に、裏側、
精管に沿ってぺったりと舌をつけ舐め上げる。上に、だ。
巴の瞼は固く閉じられている。己の姿を省みたり、ましてや男の反応を確認する
余裕はとても無い。
最初に「歯を立てるな」と注意されたからだろうか。刺激は必要以上に遠慮深い。
だから、彼女の口淫は、稚拙で、微妙に外していて。
その物慣れなさと必死さとが、これが恋人なら即抱きしめてベッドに場を移す、
いじらしさを醸し出していた。
ま。
奉仕させているのは恋人じゃないので。
「トモエちゃん」
「……は、はい……」
口と頬を汗と唾液と先走りでべったべたに汚している彼女に向かい、
「はい。コレ」
「……何ですか」
「着けて」
巴の眉がひくりと動いた。
「これを?」
「そ。キミが、ボクに」
「そのくらいご自分で──」
「聞こえなかったかな?」
巴の顔が強張る。
椅子に腰掛ける男と、跪く女。上下関係は、あまりにも明確だ。
「ボクは『着けろ』って言ったんだよ」
厳徒は冷笑とも取れる表情を浮かべ巴を見下ろす──コンドーム片手に。
巴は唇を噛んで小さなパッケージを受け取る。
「あ。ウラとオモテ。間違えないようにね」
巴が怒りより恥ずかしさの方が多い視線で厳徒を刺す──コンドーム握って。
小さな溜息。
何時までも睨んでたって事態は解決しない、と悟ったのか、巴が動いた。目の前
のモノにゴムを被せてゆく。各種体液が潤滑油になり、巴が考えるよりずっと楽に
作業は終わった。
再度の溜息。
言われずとも、何を求められているのか、巴は理解する。
明らかに嫌そうな面持ちで、ゴムに包まれ逆にグロテスクさを増した箇所へ、舌
を這わせた。
違和感はすぐにきた。
ゴムの味。感触。しかしそればかりではない。唾液が塗りつけた端から乾いて舌を
ざらつかせる。不快感。これならさっきの方がマシだとさえ思う。
「ん……はっ、……」
口を離し、唾液を垂らす。手で塗りつける。下品だな、と他人事のように思った。
羞恥と倦怠と嫌悪がごっちゃになって、殆ど厭世の域に達していた。
ふと。バスローブがかろうじて引っかかっている肩が、軽く叩かれる。
巴が顔を上げる。その唇から涎がひとすじ垂れて、男性器との間に糸を引く。
糸はすぐに途切れた。
だから、その。怜悧な印象の女が見せた一瞬の無防備さを知るのは、たった一人
だけだ。
立ち上がるよう、厳徒に手で促され、巴はおとなしく従う。恥ずかしかったので
バスローブの前は合わせた。
「今度は──きゃっ」
そのささやかな羞じらいも、腰を抱かれバランスを崩し椅子に──腰掛ける男へ
身体を預けたことで、そいつに衿元ひっぺがされて胸を視姦されてダイナシになる。
抗議しようとして。
洩れたのは息を呑む高い音。
乳房に、その中心、色の違う場所にねっとりとした刺激が与えられる。つい先程
までの、与える側と与えられる側が逆転したかたちになる。ぞくりとする快感に、
巴は唇を噛み、
「トモエちゃん」
「は……はい……」
「下手糞」
心無い一言に目を見開いた。
「や。あれじゃ出るモノも出ないって」
厳徒はにこにこ笑っている。巴は──文句どころではなかった。
「……」
自身の身体とバスローブに遮られて見えないが、脚の間に、当たるモノが──
「ちょっと待ってください! せめてベッドに行こうという気は」
「ない。メンドウだし」
色々と言いたいことはあった。
只、そこらへん抗議しても流されるのだろうな。と。諦観があったのも事実だ。
つけ加えると、腰を掴んで引き寄せる厳徒の腕は抵抗不可能なほど強く。
結果として。巴は侵入してくるものに耐えるしかなかった。
「どうせ最後までやるんだから、力。抜いた方がいいと思うけど」
言われて出来るなら苦労はしない。巴は厳徒の胸にすがりつき、声を殺す。
痛みを堪える。
こうなるのを実は待ち望んでいたとかは無い。絶対無い。無理矢理にひらかれた
はずの場所からぬるりと体液が零れたのは、身体の負担を減らすためだ。内側の
痺れるような刺激に身体が跳ねたのは、単なる反射反応だ。そうに決まってる。
こん。と。
一種マヌケなくらい呆気ない音が、内側から、聞こえて。
「――っ!」
声を殺す。
表情を殺す。
痛みを探す。
身体の奥、深いところに端を発する快楽を否定しようと躍起になる。
ぞくり、と細い身体が震える。ソトから最奥までを貫く器官。脈打つその存在を、
目で見たときより、舌で味わったときより感じていた。
不安定な姿勢で、必定動きもひどくゆっくりしたもので。
だからか、先端が当たる感触や、襞で包む感触が、よく分かった。
「ん……」
悩ましい吐息が赤く色づく唇からこぼれ。
震える。
巴の胎のなかでそれは起こり、波及するような感覚に巴自身も静かに腹を波打たせ
──
「……あちゃー」
巴の耳のすぐ横で、何だか苦々しいというか「やっちゃったぜ」的な嘆息が発せ
られる。
え、と思う間もなく抱きしめられた。腰ではなく、背中に逞しい腕が回される。
肩口に厳徒の頭が乗っかっている。表情は見えない。おそらく、それが目的でこの
体勢を選んだのだろう。
「……ひとつ。発言を訂正するから」
「は、はい」
「……初めてにしちゃ上出来。モチロン、合格点は上げられないケド。ね」
しかしコレはなあ、やりたい盛りのガキじゃあるまいし──などと悔しがる厳徒
と、胎内の感触に、ナニを指しての台詞か理解する。
どうしようもなく手前勝手な男だ。しかもイイワケがましい。
――何処かで見たことのある評価。
怒ればいいのか呆れればいいのか分からなかったので、巴は厳徒の肩に腕を載せ
回りきらないそれで出来得る限り抱きしめた。
離れろ、と命令されるまで。もしくは巴自身が普段の自分を取り戻すまで。そう
しているつもりだった。
「で」
本日二回目のシャワーで身体の内も外も流してようやく人心地つく巴に、厳徒が
問いかける。
「トモエちゃん。何が欲しいの?」
――見抜かれていた。
当然だろう。巴の態度はあからさま過ぎるくらいだった。
「あ。イキナリ検事になりたいってのは無理だよ。さすがのボクでも、さ。トモエ
ちゃんには捜査官としてもうちょっと働いてもらうつもりだから」
それだ。
「それです」
巴はきっと顔を上げ、
「主席捜査官」
仕事上のパートナーを見据える。
「今度の週末に、休みを下さい」
「……平日じゃダメだって?」
「土日に、下さい」
「何かあるの?」
「私用です」
「ああ。妹ちゃん」
「プライベートです」
忌引等、きちんと届けの出せる理由ならば、何もわざわざ厳徒に頼まない。
そこらへんは、厳徒も分かっているのだろう。にやりと笑い、
「じゃ。交換条件といこうか」
巴は厳徒の言葉を待つ。いい、想定の範囲内だ。この男が無償で他人のために何か
するわけがないのだから。
「やだなー。警戒しないでよ。ここまでガンバッてくれたトモエちゃんに、そんな
無茶な条件つきつけないって」
「……それで、条件は」
「ちょっとおねだりしてみてよ。
可愛く」
……。
……ああ、思考が飛んでいた。
おねだり。ねだる。漢字で書くと強請る。なんだか途端に愛らしさが薄れる。いや
それはいい。つまり強く要請すればいい。読んで字の如くだ。問題はその後──自分
に最も遠い形容詞がついていたような──
「かわいく?」
「可愛く」
「な」
「なななな何で」
「トモエちゃんのイヤラシイ姿、ジューブン見たから。どうせなら別のが見たいし」
「それでも! 『可愛い』って」
「休み。要らないの?」
ぐ、と言葉に詰まる。
欲しい。ここしばらくほったらかしの妹に、少しでも埋め合わせをしたい。
巴の思考を読み取ったのか、厳徒が笑う。
「じゃ。どうぞ」
巴は息を整える。考える。可愛いおねだり──自分だけでは思いつかない。
可愛いもの。ナニか参考になりそうなもの。
(――「今、いいかな?」)
咄嗟に浮かんだのは、おねだりしてくる妹の記憶だった。
(上目遣いで、/「お姉ちゃん」/語尾を、疑問形にならない程度に上げて)
「しゅ、主席捜査官?」
(舌っ足らずに、/「あのね、アタシ、ほしいものがあるんだけど」/読点位置に半拍
ずつ間を入れて)
「あ、ああああの、私、欲しいものがあるのです、です? あ、いえ、ありゅっ、
あるんだけど──」
噛んだ。
否、振り返らない。
捜査官は過去を教訓としても後悔はしないのだ。
(間。/「今度のテストでいい点取ったら買ってくれる?」/一気に畳みかける!)
「今度の」
畳みかける──
たたみ──
(あ)
──さて。
(あ、ああっ?!)
ナニをトリヒキ材料にすればいいのか──そこのところを宝月巴はすっかり失念
していた。
これは敗北。
そも最初のロジックが間違っていた。トリヒキを行うなら、コトの前に条件を提示
すべきであったのだ。一発やった後のハイパー賢者タイムにどんなエサで釣れと?
テンパる。そういえば『テンパる』の語源はテンパリングだと聞いたことがあるような
無いようなそもそもお菓子作りと人間の精神状態との間にどのような相関関係がある
のかそれはともかく。この走馬灯状態、ナニか自体解決の糸口にならないものかそも
『走馬灯』とは危機的状況に瀕した際脳が解決手段をものっそい勢いで記憶野から
検索表示取捨選択する状態を指しちょっと待てこれでは先程の繰り返しではないか。
落ちつけ、クールになれ宝月巴。
と。
ここまでが約一秒。
単語にするとたった一秒、
しかし会話の空白としてはされどの一秒。
目の前では厳徒がにやにや笑っている。嫌がらせか。
これは決定的な敗北。
(敗北?)
否、断じて否。
敗北とは敵に敗れることではない。
勝利を諦めることだ。
道はまだある。諦めるにはまだ早い。
不意に走馬灯が止まる。ちかちか瞬くのは友人の口癖だった。
『発想を逆転させるの』
逆転。
起死回生の一手。
そう。今の厳徒はエサを必要としない。一発やってすっきりしたところだろう。
だが。そう、彼には不満があるはずだ。唯一点、彼に起因“しない”不満が。
(「発想を逆転させる」)
エサを投げつける隙を探すのではなく、相手が食らいつく隙を──作る!
す。と息を吸い込み。
「今度くちでする際にはもっと上手くやりますから休み頂けませんか!」
“今”の需要がないなら“次”に需要を作る。
そして……一気に畳みかける! (――あれ?)
巴は、ゆっくりと、自分の発言を反芻した。その意味を、相手に伝わるであろう
意図を咀嚼した。
(今のはつまり)
もう一回口淫やらせろ──と、そういうコトではなかろうか。
自分が口走った内容に、巴はざざーっと血の気が引くのを感じ、
「――っく」
それ以前からぷるぷるかたかたしていた厳徒もとうとう堪え切れなくなったのか、
「アーハッハッハ! トモエちゃん。キミ、サイコーに面白いよ!」
「〜〜っっ!」
手を叩いて爆笑する。途切れることのない笑声、素晴らしきかな肺活量。息の根
止まればいいのに。
巴はもう耳まで真っ赤だ。主に怒りと恥ずかしさで。
そして無言のまま服を身につけ、
「あれ。帰るの?」
「お邪魔しました!」
「イエイエ──次“も”楽しみにしてるよ。――くくく」
巴は答えず出来得る限りの早足でホテルの一室を後にする。
(ああもう──!)
今夜のことはしっかり覚えておくとしよう。曰く──「口は災いの元」
捜査官は、過去を教訓としても後悔はしないのだ。
翌日。
出勤した巴は、今度の土日が連続休日になったことを、上司のおしつけがましい
笑顔と共に知るのだった。
「――お姉ちゃん?」
妹の声に、巴は我に返った。
「どうしたの? あ、疲れちゃったとか」
「ううん、そんなことはないわ」
「そう……?」
首を傾げる茜へ、巴は急いで、何でもない、と繰り返す。
土曜日のショッピングモールは人通りが多い。道で立ち止まる姉妹に視線を向ける
通行人もいたが、大半は自分の用事に夢中で、ざわざわと流れてゆく。
「ごめんなさいね。さ、行きましょうか」
「うん……」
まだ納得がいかないのか、ピンクのビニールパッケージを抱えたまま、茜は巴を
見上げる。中には、姉との交渉の末「定期考査で平均八十点以上」と引き換えに
彼女が手に入れたブラウスが入っている。
下から上目遣いにのぞきこんでくる妹──可愛い。身内の欲目? 知ったことか。
そして再確認する。このテの仕草はローティーンの可愛い女のコがやるから好い
のであって、ハタチをとっくに過ぎた女がするもんじゃない。
「何でもない……うん、何でもありませんよ、あかね……」
「でも、顔色がワルいよ」
心配そうに訊ねる妹へ、力なく微笑む。
まさか、休み欲しさに貴女の真似しておねだりして上司に大爆笑されました、とは
言えない。絶対言えない。姉の沽券にかけて、死んだって言うものか。
「そんなコトより、あかねの好きなものを食べてこうか。お姉ちゃん、奮発しちゃう
から」
「ホント?! なんでもいいの?」
「もちろん」
「やった! ええっと、じゃあね──」
途端はしゃぎだす妹の姿に、巴は先程よりも明るい笑みをこぼす。
もうちょっと、自分は頑張れそうだ。色んな意味で。
妹と手を繋ぎながら、巴はそう確信した。
――後日。
警察局、給湯室での会話。
「殿方を悦ばせる方法……ねェ」
「……市ノ谷捜査官、何故私は貴女にこんな話をしているのかしら」
「思い出せないなら大したコトじゃあありませんよ」
そうですねえ、と響華は腕を組み小首を傾げてみせる。その仕草に何とも言えない
色香が漂う。
「……宝月捜査官の髪はキレイですわね」
「え?」
「真直ぐで羨ましい。ワタクシ、クセがあるものですからどうしても髪型が限られて
しまって」
「え、ええ、有難う……?」
しかし髪質と猥談との間にどんな因果関係があるのか。
戸惑う巴に響華はさらりと爆弾を投げつける。
「硬めですし──先っぽを突っ込んで差し上げれば宜しいかと」
「――――――は?」
何を。
「髪の毛を」
何に?
「ナニに」
巴が吹いた。
「ちょ、ちょっとそれは! 第一つ、突っ込むって、入れる場所がないわよ?!」
「ありますわよ」
「何処に?!」
「汁が出る場所があるでしょう? 平気ですわ、入りますとも。髪の毛ですし」
「──!」
もう巴は言葉も出ない。酸欠の金魚もかくやの有様で、虚しく口を開け閉めして
いる。
「――なんだ、おキョウにセニョリータか。ワルいがコーヒーを──うおっ!」
折良くというか悪しくというか、給湯室へ顔を出した罪門が仰け反る。彼の横を
真っ赤になった巴が出て行った。
「……珍しいモノを見たが、おキョウ、何やった?」
罪門の問いに響華は蓮っ葉な笑みを返し、
「ウブなネンネエをからかうのは楽しいねえ」
「……やれやれ」
「コーヒーかい?」
「ああ、頼む」
よく晴れた。雨の時期に入る前の、午後のこと。
※異物挿入は尿道炎を引き起こす恐れがあります。専門家の指導の元、正しく楽しくプレイしましょう。
おかしい。最初はとんがってる新人捜査官・巴(23歳)と野心でギラギラ
してる厳徒(59歳)のハートフル殺伐はじめて物語のはずだったんだが。
何がどうしてこうなった。ハハハもう死ね自分。
ガントモはSL9号以前と以後で二度おいしいと思います
ああ、これはいい。GJすぎる。もうバカップル認定してやる。
つかハイパー賢者タイムわらたw
GJ!
トモエちゃんかわいすぎる。これは開発のしがいがあるだろうなw
GJ!!いいバカップルをありがとう!
最近活気があって嬉しいので便乗して神チヒ初挑戦してみた。
宜しければ最後までお付き合いをば。
560 :
神乃木×千尋:2009/09/22(火) 17:39:10 ID:0NeCXOfG
仕事ぶりは尊敬している。
今の自分では足元にも及ばない実力者だというのも知っている。
弁護士の中での評価も飛びぬけて高いし、顔とスタイルが良い事も知っているし、
ついでに言うとその顔は――割と結構好みでもある事も自分で判っている。
だが、これだけの条件が揃っているのにも関わらず、綾里千尋が向かいの男に下す評価は
―――ああ、苦手だわ。この人。
である。
理由はなんとなく分かっている。
例えばそれは今。
飲み屋で酒を飲まずに、ひたすら持ち込みのポットでコーヒーを飲むところ。
非常識だ。
法廷でも好き放題な事を言っては(千尋を多分に含む)周囲を困らせるところ。
その発言は訳が分からない癖に、やけに的を得ていて人の心を抉るところ。
時にそれはとても怖い。真実から目を逸らしてはいけないという意識を、
千尋は改めて突きつけられる気になる。この男はおそらく真実しか言わないのだ。
だから心が深く抉られる。そう千尋は思う。
「どうした子猫ちゃん。もう酔っ払っちまったのかい?」
やっぱりミルクにしておくんだったかな、と酒場に着いてから3杯目となる
コーヒーを飲み干した向かいの男―――神乃木荘龍は、からかう様に言った。
「よ、酔ってなんか居ません。」
「そうかい?俺のことを大分熱っぽい目で見つめていたように思えたんだがな。」
「な!」
見つめていたのは事実だが何という厚かましい物言いだろうか。そんな軽口を
振り払うように、千尋は飲みかけていた三杯目の焼酎――実際はその前にビールを
五杯飲んでいるので八杯目だ――をぐっと飲み干してから言う。
「そんな事ありません。先輩は自意識過剰です!」
「クッ…確かにな。店の人間までこっちを見てる気がしてるぜ。」
「それは先輩がお酒を頼まないで自前のコーヒーを飲んでるから睨んでるんです。」
本当なら締め出されてもおかしくないのだが、千尋が通常より早いペースで多く飲んで
フォローしているので不問としてくれているのだろう。神乃木本人はどこ吹く風なのが
余計に千尋を逆撫でる。
「本当に見られてたって訳だ…。じゃあ、子猫ちゃんも本当は俺を見ていたんだろうぜ。」
「三岳ロックで。」
酔っていない戯言は酔って言うより始末に悪い。千尋はあからさまに無視して
店員に焼酎のお代わりを所望した。
561 :
神乃木×千尋:2009/09/22(火) 17:41:48 ID:0NeCXOfG
「クッ…随分と釣れないもんだ。」
ダメージを受ける様子も無く、四杯目のコーヒーを注ぐ。
その気障な仕草は古い喫茶店や洒落たバーなら似合うだろうが、大衆酒場に
そぐわない。千尋はそんな事務所の先輩を半眼で睨みながら、残っていた
焼きイカを頬張った。ちなみに食事も殆ど千尋が平らげている。これは神乃木が
気取って食べないからではなく、千尋の食欲が彼のそれより多分に勝って
いるからなのだが。
イカを新たに届いた焼酎で喉の奥に流し込み、ごくり、と喉を鳴らす。
「そんなに飲んじゃあ、帰り道が危ないぜ。」
「大丈夫です。」
「そうかい?まあ…どうせ俺の奢りだ。好きに飲むといいさ。だけど
帰りたくない…っていうならそんなに飲んで口実を作らずとも…
すぐに俺の家に招待するぜ。」
「帰ります!」
間髪入れずに千尋はきっぱりと言い、机をばんと叩いて立ち上がった。
おそらく法廷でもここまで強く机を叩いたことはないだろう。しかし、
勢い良く立ち上がった為に、酒気が一気に千尋の中を駆け巡った。だが構わずに
財布から千円札を数枚取り出す。否、取り出そうとするが上手く取り出せなかった。
何しろ野口英世の顔がやたらとぶれているのだ。
「おいおい、子猫ちゃん…そう急ぐなよ。ちょっと酔いを醒まさないとマズイぜ。」
「大丈夫です!」
野口だか樋口だかわからない人物をばんと机に叩きつけ、千尋は去ろうとした。
諭吉でなければこの際くれてやる、という勢いだ。傍から見るとすさまじい
怒りっぷりのように見えるが、実際それほど気を悪くした訳ではない。
ただなんとなく、この男のペースに乗せられているのが気に入らないし、
気を悪くしてない自分自身も千尋は気に入らなかっただけだった。
戸を開ける前の段差でぐらり、と体が大きく傾いだ事に、千尋は自分で
気づかなかった。倒れなかったのは神乃木が千尋の背中を抱きとめたからである。
「おいおい、大丈夫か?」
逞しい男の腕が千尋の背中を抱え、ニヒルな口元は千尋が顔を上げると
すぐ近くにあった。
ドクン、と大きく心臓が跳ねる。
「だ、だいじょうぶです!構わないでコーヒーでも飲んでてくらさい!」
呂律が上手く回らないまま慌てて離れる。そして、離れた拍子に―――
がつんという音と共に衝撃が走り、千尋の意識はそこで途絶えた。
562 :
神乃木×千尋:2009/09/22(火) 17:43:58 ID:0NeCXOfG
白い天井が見える。
部屋が暗いのに天井が白いと思うのは何故だろう。
ああ、そうか、木目がないからだと千尋はぼんやりと思った。自分のアパートならば
天井に木目と黒いシミが右上のほうにあるはずだ。どうして今日はないのだろう。
そこで千尋はやんわりと覚醒していく。頭がちょっと痛い。気持ち悪さはないが、
なんだかぼんやりとしている。
のども渇いていた。
「水…」
冷蔵庫にミネラルウォーターはあっただろうか。ビール缶と野菜ジュースくらい
だったろうか。水道水でもいいかと千尋は起き上がる…と、それは
いつものベッドでもない。千尋のそれよりも、ひとまわりほど大きいサイズだ。
ようやく千尋ははっきりと覚醒する。
ここは、自分の部屋ではない。
そして―――自分の服もなかった。
「な…なんで…?」
ベッドから体を起こした千尋の身を守るのは、上下の下着一枚ずつのみであった。
青いレースのブラジャーと、それとは色が少々違う紺色のレースのパンティ。
ストッキングも穿いていない。
千尋の顔色が下着と同じく青くなる。
確か、駅前の居酒屋で飲んで…飲んで…それで…。
「よう、お目覚めかい?子猫ちゃん。」
その聞きなれた声に思考が凍りついた。
千尋はゆっくりと声の方向に視線を這わす。
そこには、水を手にした神乃木が、笑ってしまうほどベタな、しかも彼に
ぴったり似合ったガウン姿で立っていた。
563 :
神乃木×千尋:2009/09/22(火) 17:45:57 ID:0NeCXOfG
「アンタ、相当凄かったぜ…。」
ニヤリと口端を持ち上げて、男は歩み寄る…が、脚はそこでとまった。
千尋が返事の代わりに枕を思いっきり投げつけたからだった。コップの中の
水が零れ、高級そうな絨毯の上に降りかかる。
「出てってください!出てって!」
「おいおい、ここは俺の家だぜ。」
「うるさい!」
クッション、目覚まし時計など手当たりしだいにベッドの周りにあるものを
部屋の主めがけて投げつける。ガシャン、とコーヒーカップが投げ割られ、
さすがに神乃木が腕を掴んだ。
「落ち着け千尋。」
「離してください!あたし先輩のこと尊敬してたのに!いくら酔っ払ってたからって
あんまりです!先輩は酔ってなかったくせに!」
「何もしてねえさ。」
「嘘よ!」
「何もしてねえ。」
さきほどのからかう様な笑みは消え、掴まれた腕が痛いほど、神乃木の表情は真剣だった。
千尋は次の攻撃の言葉が出ず、そのまま黙る。
床に打ち捨てられた時計は、電池が外れて夜中の3時10分前で止まってしまっている。
まるでその時計に呼応したかのように、神乃木と千尋も動きを止めた。
夜の空気が二人の間にぴん、と張り詰める。
張り詰めた空気を解くように、ゆっくりと口を開いたのは神乃木だった。
564 :
神乃木×千尋:2009/09/22(火) 17:48:40 ID:0NeCXOfG
「信じろ。アンタには何もしてねえ。」
法廷と同じ、低い落ち着き払った声。こんな声で信じろと言われれば、
依頼人でなくてもハイと答えてしまい、全てを任せてしまいたくなる。
憎らしいほどの大人の声だ。
だが、千尋のプライドはその声に委ねる事を許さなかった。弱々しい抵抗をする。
「じゃあ…なんであたし…下着なんですか…。」
「まあ、そいつは俺が脱がしたからだ。」
カッと千尋が目を見開くが、神乃木はそれには取り合わず、さっき言ったろ、
と付け加えた。千尋は殺意を押し殺しつつ(…といっても滲み出ているが)問う。
「さっき…?」
「言ったろ…凄かったって…吐きっぷりが。」
「は…。」
「ああ。アンタのスーツはもちろん、足にも靴にも飲み屋のメニューを片っ端から
ぶちまけてくれたぜ。…ついでに俺のスーツと玄関にもな。」
真剣な表情のまま、神乃木は続ける。こういうときは意地悪い表情で
いてくれたほうがまだマシというものだ。千尋の顔は赤くなったり
青くなったりと大忙しだった。
「仕方ないからアンタの服を脱がして、全部出し切った後に口をゆすいで
寝かせた。その後に床を掃除して、服を洗濯して干して、体を洗って
風呂上りの一杯を楽しんでいたら、アンタが起きたってワケさ。酒屋で
飲み始めたのが午後11時すぎ、アンタが酒場でもんどり打って倒れたのが
12時半、家は知らないから、俺の家までタクシーで運んだ。そいつが1時過ぎ。
アンタの汚れた服を脱がして吐いたもんを片付けるのにおよそ30分強、
掃除、洗濯に30分。風呂に入って30分てところだ。空白のやましい時間が
ありそうなら、立証してくれねえか?子猫ちゃんよ。」
「う…。」
確かに、頭は多少痛いものの、妙にすっきりしていた。己が中身を吐き出した
何よりの証拠だ。しかしすぐには認められない千尋は、返事の代わりに下着姿の
まま布団を飛び出し、どこだかわからない玄関とお風呂場を探した。
そうして見つけた風呂場は確かに濡れており、千尋のシャツと、神乃木のシャツが
洗われて干されていた。二人分のスーツは丁寧に汚れが拭われており、
クリーニングに出される為にまとめてある。
玄関も掃除の形跡があり、千尋の靴も洗われて干されていた。
千尋の完全な敗北である。
しおしおと部屋に戻ると、神乃木は割れたコーヒーカップを片付け終え、
新しいコーヒーを淹れていた。
565 :
神乃木×千尋:2009/09/22(火) 17:50:16 ID:0NeCXOfG
「あの…先輩…すみませんでした…。」
蚊の鳴くような声で千尋は頭を素直に下げる。今までに有り得ない失態だ。
酒で記憶を無くすことは多少あったが、酔いつぶれるのは自分の家だけと
決めていた。しかも、誰よりもこの人には見られたくなかったというのに。
「コーヒー、飲まねぇかい?」
神乃木に促され、千尋は素直に頷く。
「それから…その格好のままじゃ、幾ら俺でも目のやり場に困っちゃうぜ。」
「!!」
千尋はあわててベッドの上の掛け布団を引き寄せて引っかぶる。
下着姿で居たことを失念していたのだ。
(しかも、下着の上下ばらばらなのに…!もう最低だわ…!)
子供のように布団に隠れた千尋に向かって、神乃木はコーヒーの香りを
楽しみながら言った。
「生憎とガウンは一枚切りでな、シャツでよかったら貸すぜ。」
「…おねがいします。あと…あの…シャワーも…借りていいですか。」
「……ああ。」
下世話なネタでからかわれるかと一瞬身構えたが、神乃木はあっさりと
シャワールームに案内してくれた。神乃木のベッドから奪った清涼掛けを
ずるずると引きずりながら、千尋は後に続いた。
「好きに使いな。後でシャツを置いておく。」
不思議なくらいそっけない遣り取りに、千尋は少し不安になった。
だらしない上に図々しい女だと、軽蔑されたのかもしれない。
呆れているかもしれない。
そう思うと胸の奥がきゅ、と締め付けられる。この人には先日、
法廷で取りみだすところも見られたばかりだ。弱い所やみっともない
ところばかり…千尋が見せたい自分と、いつも違う方向ばかり晒している
気がする。
コンビニに替えの下着を買いに行きたかったが、着ていく物すら無いので諦めた。
566 :
神乃木×千尋:2009/09/22(火) 17:52:14 ID:0NeCXOfG
長い髪から吐瀉物の酸えた匂いが気がした。もしかしたら髪も拭ってもらって
いたのかもしれない。千尋は慌てて湯を出し、頭からざぶりと引っ被った。
出だしのお湯は冷たく、水といっていい代物だ。思わず叫びかけたが、堪える。
頭を冷やせ。今の自分にはいい薬だ。
風呂場は男の一人暮らしとは思えない清潔さで、広さも十分だった。
自分の家のユニットバスとは大違いだ。
他の女の人も、ここを使ったのだろうか。
きっとそうだろう。しかも自分などとは違う理由で。
…というか、自分のような状況で夜中に風呂場を借りるような女とは、
神乃木は付き合わないだろう。
後輩だから…優しくしてくれているのだろうか。
シャワーの前に取り付けてある鏡を見つめると、驚くほど情けない顔をした
女が映っていた。千尋は、そんな自分を振り切るようにシャワーのコックを捻った。
(何を…落ち込んでるのよ、千尋!)
熱い雨が千尋に降り注ぐ。鏡にシャワーを当てて己の姿を打ち消した。
渡されたシャツは白のオーソドックスなものだった。千尋は女性の中では
背の高いほうだが、長身の神乃木のシャツに袖を通すとかなり袖が余る。
普通の女の子の事後のようで、えらく気恥ずかしい。裾も長く、お尻も
すっぽりと隠れているのだが…ひとつ問題がある。
下着がないのだ。
買いに行くのを諦めたものの、やはり一度脱いだものに足を通すのは
躊躇われた。
結果、千尋は素肌にシャツ一枚という悩ましい姿のまま、更衣室で懊悩している。
ズボンも置いてあり、気持ち的には借りたいところだが、サイズが合わなさ過ぎた。
第一、脚の長さが段違いだ。裾を搾りあげられる、リラックスできるタイプのものなど、
神乃木の衣装のなかにはないだろう。
それに、迷惑を掛けてこれ以上物を借りるのにも気が引けた。
ばれないでと祈りつつ、シャツ一枚という格好のままで部屋に戻る。
567 :
神乃木×千尋:2009/09/22(火) 17:55:00 ID:0NeCXOfG
「お風呂、ありがとうございました。」
「…ああ。」
神乃木の寝室は、オレンジ色のスタンド明かりだけが灯っており部屋全体は薄暗かった。
千尋は幾分か安心してソファに腰掛る。神乃木が熱く、香り高い湯気の立つ
カップを差し出す。また新たに淹れ直したばかりのものだ。
「…ありがとうございます。」
ほっとする温かさに少し心が落ち着いた。千尋が投げ飛ばしたものは
全て定位置に戻っており、時計も元通りに規則的な音を刻んでいた。
「あの…すみません。時計とか…その、大丈夫でした…?」
神乃木は短くああ、とだけ答えてから、いつものようにクッ…と
笑い声を漏らした。
「…それにしても、アンタがあんなに取り乱すとはな…まだまだ
子猫ちゃんは返上できねぇな。」
「……。」
返す言葉もなく、千尋は沈黙で返事をする。
「まぁ、何もしてないのも事実だが、からかったのも事実だ。悪かったな。」
「いえ。」
「何だ…まだ拗ねてるのかい?子猫ちゃん。」
「拗ねてなんていません。」
そう言ってぷいと顔を背けてから、子供が拗ねる仕草と何等変わらないことに
気づき、千尋はバツがわるそうにコーヒーを啜った。先ほどの温かみよりも
今度は苦味が増した気がした。
ちらりと神乃木を見ると、同じようにコーヒーカップを傾けている。
琥珀色の液体を喉に流し込む、その喉の動きが妙に男を感じさせる。スーツに
隠れて普段は見えない鎖骨もやけに千尋の目についた。
(いけない。まだ、酔ってるのかもしれないわ…。)
早く飲み干して帰りたいところだが、電車もない時間の上、考えてみれば
着て帰れる服すらないのだった。
(っていうか…これって…かなりマズイ状態なんじゃないかしら…。)
千尋の頭が回転を始める。今は夜中の3時半。このまま夜明けまでコーヒーを
飲み続けるには無理があるし、かといって眠ってしまうのもどうかと思う。
横でコーヒーを啜るこの男が、自分に対して何を考えているのか全く読めない上、
自分の恰好は襲ってくれと言っているようなものだ。
もし、あの顔で、あの声で近づかれたら…拒める自信はない。
(どうしよう…!そりゃ、先輩の事は嫌いじゃないけど…でも…!)
千尋の鼓動が早くなる。コーヒーを流し込み、ふ、と息をつく神乃木の仕草が
余計に彼女を落ち着かなくさせた。
(いけないわ…落ち着くのよ千尋。ピンチの時こそふてぶてしく…!
余裕を見せ付けてやらないと…!)
「心配するな。何もしねえよ。」
千尋の心を読んでいるかのように神乃木が短く、そっけなくそう言った。
568 :
神乃木×千尋:2009/09/22(火) 17:57:00 ID:0NeCXOfG
途端に千尋の心はすっと萎んだようになる。落ち着いた、というものとは
また違う奇妙な感情が冷たく降りて行ったような感覚だった。舞い上がった自分が
なんだか偉く見っとも無く感じられたのだ。
(…そうよね…ゲロ吐く女なんて…フツーお断りよね…。)
そこで千尋は気づいた。
自分は…落ち込んでいる…のかも知れない。
可愛がられていた。先輩として様々な活躍を見せ付けてもらった。
法廷でチヒロ、と呼んでくれたあの時から、ずっとこの人の事が気になっていた。
いつも軽口でからかわれるのが我慢ならなかった。一人前になって、
早く隣に並びたい。そう思っていた。
でも…それだけでは、なかったのかもしれない。
一人の女として、ちゃんと自分を見て欲しかった。
そう思っていたんじゃないだろうか。
それなのに。最も情けない、最も子供っぽいところを見せてしまったのでは
ないだろうか。
千尋はなんだか泣きそうになったので、残ったコーヒーをぐっと飲み干した。
琥珀色の液体は酷く苦く感じられた。
「俺は向こうの部屋で寝るよ。ベッドは好きに使って構わねえぜ。」
神乃木が立ち上がり、空になったコーヒーカップを手に取る。
「あ、あたしが!」
向こうで寝ます、と下げます、のどちらともつかぬまま、千尋は慌てて立ち上がり、
神乃木に駆け寄る。神乃木は千尋から目を逸らし、いい、とだけ短く答えた。
やっぱり、怒っているんだ。
こんなに世話を焼かせたのに、まだ自分が何かされると思っているような
自意識過剰な女だ。締め出されたって文句は言えないくらいだ。
部屋を出る神乃木の背中を見ると、千尋は酷く居た堪れなくなった。
この人はもう今夜、この部屋には帰ってこない。そう思うと悲しくて、
寂しくてたまらない気持ちになる。
「先輩…」
「そんな顔するな、子猫ちゃん。」
神乃木は千尋の顔を見もしないで言う。
「子猫じゃありません…。」
子猫と同じだ。捨てられた猫がすがり付いているようなものだ。
「アンタにそんな顔されると俺が困る。」
千尋はその意味を図れない。
「どういう…意味ですか?」
だからそのまま聞いた。神乃木はこちらを振り返ってはくれないまま、
そのままの意味だとだけ答えて部屋を出てしまった。
569 :
神乃木×千尋:2009/09/22(火) 17:58:47 ID:0NeCXOfG
ああ―――。
扉が、閉じてしまった。
千尋は閉じられた扉にのろのろと近づき、そっと手を触れた。
再び開かれるのはきっと朝だ。
その時にはもう、何事もなかったようにコーヒーと新しい服を持ってこられるのだ。
家に帰り、いつも通りの休日を過ごして、月曜日に会うときはいつも通りの
先輩と後輩でいる。今までと何も変わらない。
変わってしまったのは千尋の気持ちだけだ。
否、気づいてしまったのは――というべきなのか。
閉められた扉に両手を添えて、千尋はこつん、と額を寄せ、瞳を閉じる。
彼の背中にそうしたかったように。
そうしたかった。
千尋は、神乃木の背中にこうしたかったのだ、と今更気づいたのだった。
「せんぱい…」
扉に向かってぽつり、と呟く。唇から溢れた想いが、糸のように絡まって
胸をきゅっと締め付けた。扉を開けて、彼を追いかけたい。そんな衝動に
駆られた瞬間に――目の前の扉が開いた。
開いた扉の目の前に立っていたのは、神乃木その人だった。
「せ…先ぱ…!」
「よォ。」
「どうして…。」
「クッ…アンタにそんな声で呼ばれちゃあ…、扉を開けねえ訳にはいかねえさ…。」
そんな声、が果たしてどんな声だったのか自分でも分からないが、
それを聞いて千尋の顔は赤くなっていく。神乃木は低い声で入っていいか?とだけ聞いた。
「…先輩の部屋ですよ。」
千尋は赤面したまま答え、ベッドルームに部屋の主を通した。
570 :
神乃木×千尋:2009/09/22(火) 18:01:06 ID:0NeCXOfG
扉が閉まった途端、千尋の身体は力強い腕に包まれ、唇は声を上げる間もなく奪われる。
「―――んぅ…っ」
強引に。それでいて優しく、包むようにしっとりと千尋の唇を神乃木のそれがなぶる。
神乃木の舌は千尋の唇を十分に堪能した後、ゆっくりとその内側に忍び込み、
丁寧に彼女の口を支配していった。
唇も、歯も、舌も。千尋のそこに神乃木の舌が触れていないところが無くなる
かのように、神乃木は千尋に侵食していく。
「…は…ぁ…っ」
漸く深く息をつく。頭の天辺がぼおっと霞む。蕩ける、というのは正に
こういう事かと千尋は知った。キスだけでこんなに気持ちいい事があるなんて
思わなかった。甘い蜜を貪るように、今度は千尋から神乃木のそれを求める。
神乃木はそれに応えながら、手を白いシャツの上に置いて豊かな曲線をなぞる。
千尋の身体を守る白い男物のシャツは二人の手で次々とボタンを外されて、
開かれていった。ボタンが全て取り払われ、シャツ以外何一つ身に纏っていなかった
千尋の身体は、男の目の前に露わとなった。
神乃木は千尋の腕を引き、大きなベッドの上へと傾れ込ませる。熱で
浮かされたような後輩は開かれたシャツを半端に腕に通したまま、
為すがままに先輩の上へと引き倒された。
露出した大きな乳房が目の前にぶるん、と音をたてたかのように
揺れ落ちて男を誘う。神乃木は誘いに応じて遠慮なくそこに唇を付けた。
「んっ…」
神乃木の唇が、舌が先程のキスと同じように乳房を愛撫する。男の口の中で
桃色の先端が舌に嬲られる度に、千尋は甘い声を押し殺す。だが神乃木の熱い舌が、
千尋の両房の中心につう、と濡れた線を描いた瞬間に、千尋の限界が訪れた。
「あぁんっ…っ!」
普段の自分からは考えられないような甘く、高い声が見知らぬ家の天井に響く。
葡萄のように実った乳房の間に顔を埋めていた神乃木が顔を上げて笑った。
571 :
神乃木×千尋:2009/09/22(火) 18:03:17 ID:0NeCXOfG
「クッ…イイ声だぜ…千尋…。」
「やっ!ああっ!ああぁん!」
反論の代わりに高い嬌声で返してしまう。神乃木が再び葡萄の先端を唇で
食んだのだった。男の左右の手は腰を掻き抱き、背中と腰を微弱に守っていた
シャツを捲って千尋のぱつんと肉付きの良いお尻を鷲掴んでいる。
「せんぱ…い…っ!そこ…だめ…っ!」
千尋が逃げて身を捩るので神乃木は追う形となり、いつの間にか上下にあった関係は
均等に正面に向き合い座る形となっていた。但し、千尋のお尻は神乃木の太股の
上に置かれている。
「中味のたっぷり詰まった、イイ尻してるぜ…アンタ。」
「せ、セクハラです!」
千尋が睨みつける。だが、その瞳は既に潤み、目の端が濡れていた。
(俺好みだ、と言おうとしたんだがな…。)
神乃木は薄く笑って悪かった、とだけ言い、千尋の背中を引きよせて
目の前のたわわな果実に再びむしゃぶりつく。
「あっ…んん!…っあ!」
舌が大きな実を濡らすたびに千尋はびくりと声を上げる。乳首に限らず胸の
脇も、胸元も、下乳の付け根も、唇が触れる部分全てが、千尋に強い快感を
促してくる。普段の気の強さからは想像もつかないような切ない声が
千尋の形良い唇から漏れ、神乃木の中心を逞しくさせていく。
神乃木は自分のガウンを開く。胸毛が覆う下、男らしく引き締まった腹筋の
更に下に、そそり立ったものが千尋の目に晒された。
(…せんぱい…の…)
神乃木の上に馬乗りになった千尋の腰の前に屹立しており、幹の力強さは
触れずとも見て取れた。
(すごい…こんなに…)
千尋は思わずこくん、と息を呑む。
「見てるだけ…ってのは残酷だぜ…。」
572 :
神乃木×千尋:2009/09/22(火) 18:05:33 ID:0NeCXOfG
誘う神乃木の声のままに、千尋は素直に手を伸ばす。
「先輩…硬い…。」
「ああ…アンタを想ってたら…こんな風になっちまった。聞き分けのねぇ
ヤツでな…クッ。」
千尋は両手で包むようにそれを持ち、指先に力を入れる。神乃木が軽く
息を止めたのが判った。
指先から手のひらまで、手の全てを使って千尋は肉棒を包み、そして
扱きはじめた。手の平が厚い。大きくエラが張った先の方に千尋の
人差し指と親指が作る輪が当たる度に、神乃木が浅く吐息を漏らす。
その声が堪らない。もっと、もっと聞きたいと千尋は手の動きを速めていく。
「いいぜ…千尋…。」
神乃木の肌が汗ばんでいる。
普段香水に消されて嗅げることのない神乃木の汗の匂い、肌の香りが
千尋を益々高揚させた。まだ殆ど触れられていないのに、膝の上に乗った
千尋の股間は、既にぬるついている。
「クッ…アンタにも…返さねえとな。」
神乃木はそう言って千尋の乳首に咬み付く。
「ふぁあ!」
千尋の身体がびくん、と跳ねるのを背中を抱いて押さえ、そのまま両尻へ、
否、その中心部へと手を伸ばしていく。唇は強く乳頭を吸い、舐めては
桃色のそれを転がし躍らせる。
「うぁっ!だめっ…!そっ…そこ…ああっ!あんっ!」
千尋がたまらず声を上げる。
「手が留守になったぜ、子猫ちゃん…。確りと捕まえてないと、コイツは
何をするか…わからねえぜ…。」
神乃木は千尋の手をとり、己のそれを再び掴ませる。言われるままに熱い幹を
掴むものの、神乃木の逞しい手が後ろから千尋の肉花を広げ、指を侵食させてくる今、
手元のそれをどうにかできる状態ではない。ただ、ただ、はしたない声を上げる
ばかりであった。
神乃木の指が千尋の中に入り、内側の蜜が掻きだされる。
「んあっ!あっ!やぁっ!ああん!駄目…っ!止め…っせんぱ…っ!」
身体を反らし、倒れないように懸命に、ぬるついた肉棒を掴む。握る手に力が
込められる。神乃木がその刺激に低い声を上げた。
「クッ…悪いがそれはブレーキじゃねえぜ…。」
アクセルさ、と呟いて、神乃木は指の動きを速めていく。充分に濡れている
そこはじゅぷ、じゅっぷと液状の音を立てて千尋の興奮を更に煽った。
「や…へんな音…立てないで…っ!」
「アンタが出してる音…だぜ。」
「い、言わな…あっ!…で…あっ!あん!馬鹿…っ!んぁあ!」
先輩の馬鹿、と千尋は喘ぎながらなじる。
馬鹿と呼ばれた男は腰の上の女を散々叫ばせたその指で、愛液の溢れる蜜壺を広げる。
とろり、としたものが千尋の中から滴る。
「…いいか?」
「…きて…ください…っ」
その願いに神乃木は、ゆっくり、優しく応じていった。
573 :
神乃木×千尋:2009/09/22(火) 18:08:00 ID:0NeCXOfG
千尋の開かれた肉花に、屹立がじゅぷりと埋まっていく。
「んっ…っ!」
千尋が唇を噛みしめてそれを受け入れる。熱い肉棒を突き立てられ、千尋の内側が
ぞくぞくと歓喜の身震いをした。
「…アンタの中…すごく…いいぜ。」
「先…輩…」
「ずっと…こうしたかった…って言ったら、信じるかい…?」
「…嘘…っ…あっ…!」
「俺は、嘘は吐かねえさ。」
「だって…あっ!さっ…き…っ!軽蔑…した…っ」
「何の…話だ?」
千尋は息を整えることもせずに、神乃木のそれを貪りながら続ける。
「だって…さっき…んっ…呆れてたじゃ…ないですか…!んっ…酔いつぶれて
吐くなんて、駄目な女…って…先輩の…スーツまで…汚しちゃって…!」
こんなことを、こんな時に言うなんてどうかしていると自分でも思っていた。
だが、快楽の喘ぎと共に口にしてしまった自分が居る。どうしようもない馬鹿だ。
今日、何度過ちを犯せば気が済むのだろう。
神乃木の動きが止まった。
止めないで欲しい。勝手なことだが千尋はそう思った。
千尋は離れたくないとばかりに、神乃木との繋がりに力を入れる。快楽以上に、
この男を手放したくないのだ。
神乃木の手が、千尋の頬に触れた。
温かい手だった。
「クッ…確かに呆れたぜ…。男の前にシャツ一枚なんて無防備な姿で現れる
アンタに…な。惚れた女のそんな姿見せられて…我慢できるわけねえ
…だろう?」
「えっ…?…あっ…あんっ!」
神乃木が腰の動きを再開した。千尋は下から突き上げられる形で、熱い
その槌を身体の芯に感じ続ける。
「あんた…馬鹿だな。」
574 :
神乃木×千尋:2009/09/22(火) 18:10:09 ID:0NeCXOfG
「な…!何で…ですか!」
「そんな事を俺が気にすると思うかい?あんたの惚れた男ってのは、スーツと
玄関を汚されたくらいで、女を軽蔑する…そんなに度量の狭い男だと思うのかい…?
クッ…随分と安く見られたもんだぜ…。」
「ほ、惚れた男って…!」
口の片端を上げて笑う、いつもの貌。
憎たらしいほど格好いい、と思った。
弁護士は口が上手い。こんな言葉一つで千尋の胸は高鳴り、天にも昇るような
気持ちにさせてしまうのだから。
こんなにも千尋を幸せにさせて、そして欲情させる男なんていない。
この男の言うとおりだ。惚れてしまっているのだ。どうしようもなく。
「まだ…嘘だと思うかい…?俺の真実を…。」
「嘘じゃ…ないです…せんぱい…あたしも…好き…!」
神乃木の首に腕を巻き付け、唇を貪る。そのまま腰を沈め、神乃木を深く、
深く味わった。
「あぁ…んっ!」
千尋は腰を揺する。神乃木が千尋の腰に手を添え、上下の動きを促す。千尋に
突き刺さった太い幹が擦れ、抜かれ掛けては再び刺さる感覚が千尋の脳に
霞をかけていく。激しく上下する腰の動きに遅れて、千尋の豊かな胸が神乃木の
目の前で上に下にとぶるん、ぶるんとはしたなく暴れている。神乃木はその先端に
再びむしゃぶりついた。
「あっ!ああぁあっ!だめっ…乳首…っ!吸っちゃ…っ!駄目ぇ!!せんぱ…いっ!」
出るわけでもない母乳を貪っているかのように、神乃木は激しく吸い、
千尋の先っぽを責め立てる。千尋は胸がかなり敏感なようで、イヤイヤを
するように身体を捩じらせる。だが、二人の繋がりは、先ほどよりもずっと
水気が増してしまっていた。神乃木が唇をはがして呟く。
「クッ…グチョグチョだぜ、はしたないお嬢さん…。」
「だ、だって…っ」
「そんなにコイツが好きだったかい?」
「あはぁあん!!」
神乃木がもう一方の乳首に咬み付いた。先ほどと同じように、伸びるほどに
吸いつき、しゃぶり、桃色の敏感な部分を激しく犯し続ける。
「んあっ!あっ!あっ、あぁあっ!」
千尋に早くも限界が訪れた。あぁぁ!という一際高く大きな声に合わせて、
腰ががくがくと引き攣る。水から上げられた魚のように唇をぱくぱくと
開いたその姿は、絶頂が身体を支配している事を示していた。
575 :
神乃木×千尋:2009/09/22(火) 18:11:30 ID:0NeCXOfG
「クッ…千尋…アンタ…最高だぜ。」
往ったばかりの処に追い打ちをかけるように、神乃木は千尋を押し倒し、
ベッドに倒れ込む。女の重みが無くなった分、腰の動きが自由になり、動きが
スピードを増していく。千尋の中と入口を交互に責め立てるその動きに、
千尋は大きく股を開き、足を宙に浮かせたまま、無意識に腰を振って応え続ける。
「あぅっ!あんっ!…すごいっ…!あっ!あ…っああん!先ぱい…っ!
気持ちいっ…!いいっ!!」
俺もさ、と神乃木は短く応じ、自分の下にいる千尋の全てに、口付けの雨を
降らせた。
ベッドに横になっても、千尋の腰と乳房は動き、揺れ続ける。
前後にゆさぶられた千尋の身体は滲んだ汗で身体が光り、濡れた瞳と唇からは、
一筋ずつ透明なものが毀れている。ゆさゆさと前後に波打つ乳房は神乃木の
舌によって照り光り、大きく育って固くしこった乳首は、色づいてその身を
主張している。神乃木との繋がりは濡れ光っているどころではない。雨にでも
降られたかのように、しとどに濡れていた。
挿出を繰り返され、千尋の二度目の限界が近づく。
「あぅっ!あん!あっ…だめっ!また…っ!いっ…!!」
「いいぜ…千尋…っ!好きなだけ…イッちまいな…っ!」
千尋の中で神乃木のそれが熱く脈打つ。
「うあっ!あ――――っ!あぁあん!」
千尋の内側がびくびくと痙攣を起こした瞬間に、神乃木も
熱いものを思い切り吐き出した。
576 :
神乃木×千尋:2009/09/22(火) 18:12:55 ID:0NeCXOfG
神乃木の逞しい腕枕は、今までのどんなものよりも心地よかった。
この人の腕の中に居られる自分が信じられない。そう、思ったままを千尋はつぶやいた。
「なんか…信じられない…。先輩と…なんて…」
「そうか…?俺はずっと予感してたぜ…。子猫ちゃんとこうなる事は…な。」
自信たっぷりな物言いに千尋は反論してやりたかったが、上手い言葉は何も思いつかない。
仕方が無いので
「子猫ちゃんはやめてください。」
とだけ返す。神乃木はそうだったな、と笑って言った。
「じゃあ、アンタも先輩はよしてくれるかい?二人っきりの時はな…荘龍…って呼んでくれ。」
「そ…」
「荘龍、だ。」
千尋ははにかみつつも、神乃木の瞳を見ながらその名を呼ぶ。
「そう…りゅう…さん」
神乃木がいつもの自信満々の、それでいて優しい微笑みを千尋に向ける。
この笑顔が見られるなら、何度でも呼ぼう。そう千尋は思った。
「ああ、そうだ。二回戦からは、そう呼んでくれよな。」
「に…二回戦て…きゃあ!」
問いただす前に千尋の上に神乃木が覆いかぶさり、そのまま唇を奪う。
勿論、千尋に抗えるはずなどなかった。
「クッ…夜明けのコーヒーを旨く飲むには、まだまだメインディッシュの
味わいが足りないぜ…。惚れた女は朝まで楽しませる…
そいつが、俺のルール…だぜ。」
「もう…先輩…。」
「先輩じゃねえ…荘龍だ。」
二人はそのまま、シーツを乱していく。
夜明けまで、そのシーツは乱れたままだった。
終
終了です。
最後までお付き合いくださった方ども。
カミチヒ楽しいけど難しいな。恥ずかしくなく、それでいてそれっぽい
カミノギのセリフ考えるのがw
また何か浮かんだら落としにきますわ。
おお〜いいもん読んだ
ありがとう、堪能しました
>ブレーキじゃない、アクセルだ
ふいたw カミノギなら言いそうだww
GJ!
初々しい千尋がかわいかったwww
つーかカミチヒ書けるってすげー。
神乃木難しすぎるだろ。
GJです、いいものを堪能させていただきました
千尋さんかわいーw
アクセル、は自分も吹いた
ググググGJ!
初々しい千尋さん可愛ええ
この二人を違和感なくかけるの尊敬する
このカミノギさんになら掘られてもいい
休みの間に大作が二つもktkr
巴も千尋も、気の強い女性がテンパってるのは可愛い
どちらもGJ
おぉーすげー満腹した!
どっちもエロいし面白いしGJ!!
心理描写うまいなぁ。
流れぶった切って質問なんだが、巴と茜の親の死亡原因ってゲーム中で語られてる?
1で茜が「事故で死んだ」って言ってたのは覚えてるので、それ以外で。
SS中で勝手に設定してもいいものだろうか。
>>587 それ以外では一切両親についての描写はない。
だから(勝手に設定しちゃって)いいと思う。
そして下半身丸出しで待ってます。
御剣と巴の絡みを作中でもっと見たかったな。次回作で巴が出てきて御剣と会って
くれないだろうか。
巴って検事の時間軸じゃ三十路のババアじゃん
色気があっていいだろw
羊水腐りかけに色気もクソもあるかw
じゃあおまいはミツメイに萌えてろw
あー、冥は老け顔すぎるからパス
あの顔で10代はないわ
御剣はあらゆる意味で不器用そうだから、年上の女に優しくリードされるのが
よさそうだw
作中キャラでは巴が一番適任だと思うw
それならコノミチさんでも不器用同士で可愛いと思うんだ。
筆下ろししてもらう相手にはいいかもな
でも責任取らされるのは御剣が可哀相w
お前は文句しか言えないなら来るな
すごいな、ずっと一人が反対意見言いまくってたのか。
ちょっとびっくりした。いやそれだけなんだけども
キャラへの悪口はなるべくやめてほしいな。
亀だけど、ガントモ、カミチヒともにGJ!!
真宵ちゃんや冥もいいけど、こうゆう大人の女性が悶えるのはいいな。
そしてガントの怖さとエロさは異常!w
是非とも巴さんだけじゃなく、茜ちゃんも混ぜた3Pが見たい。
蘇るでナルホドとイトノコが追い出されて、
ガントと茜ちゃんが2人っきりになるとき、
犯されてるところを想像してしまうw
こうゆう
揚げ足取り、うぜえ
茜だけ残された時と、2-4で真宵が誘拐された時は正直レイプを想像した。
やっと解放された茜が服ビリビリにされてフラフラ戻って来たり、
真宵に至ってはトランシーバーから
泣きながらも喘ぐ声が聞こえて来たら良いのにとすら思った。
いやいや突っ込みすまなかったw
PINK板なのに小学一年生レベルの間違いをする奴がいるんだなと思ったら
以前からいる特徴的なレス書く奴とつい印象がだぶってしまってね
それをスルー出来ないお前は小学二年生レベルだな。
もーカヲルちゃんのパンツはかせちゃうよ?
ウダウダやってたらぁ
それなんて拷問?
>>602 さすがにそこまでの鬼畜さには共感できないけど(批判じゃなく個人的な思考で)
そこから救い出した成歩堂と真宵が徐々に…という話が読みたいね。
…ってエロパロじゃ既にベタ設定か…。
ここで空気読まずガントモ投下。
しかし未完+前振りがクソ長くてエロまで辿り着かなかったという体たらく
わざわざ質問に答えてくれたのに、
>>588ごめん
エロSS職人さんが来るまでパンツは穿いといてくれ。風邪ひくなよ!
注意
・厳徒(59歳)×巴(24歳)
・途中まで
・エロ無い
・警察局の設定とか超適当
・ロートルとぺーぺーのはじめて物語。ノット性的な意味で
・この話はフィクションです。リアリティという単語は忘れてください。
彼は自分の年齢を考える。
五九歳。今年の誕生日を迎えれば六十歳、還暦だ。
本来ならばもう捜査官として現場に出る年齢ではない。後輩の育成に力を入れる
なり、隅の机で茶を引いているなり。もしくは。仰々しい肩書き付きの名刺を配る
だけの役職についているべき齢だった。
「や。や。チョーさんじゃないですか! どうです。最近、泳いでます?」
「お。これは厳徒主席捜査官、いや、最近ヒマがなくて……」
「ダメですよー。ヒマは見つけるモノじゃなくて、作るモノですよ。今度、いつもの
アレ、どうですか」
「ほ。ほ。アレですな」
顔見知りの裁判官と挨拶を交わす。
他人が彼を呼ぶ際の肩書きは“主席捜査官”だ。
その呼称は名誉である、と言われている。
警察局上級捜査官、その中でも最も優れた捜査官にのみ許される呼称だから。
その“名誉”とやらがどれ程役に立つのか。彼は内心の苦々しさを噛み潰す。
――彼は今年で六十になる。
捜査官の定年は六十歳、このまま何事もなければ次の誕生日には警察局の面々から
花束のひとつも受け取り、四十年の捜査官としての働きを誉め称えられつつ退職、
あとは適当な関連会社の役員に収まるなり、退職金と貯蓄で悠々自適の余生を送る
なりして幸せに、のんびり暮らすことが可能となる。
(冗談じゃない)
──そんな未来、反吐が出る。
裁判官との会話を終え、別れの挨拶を交わす。
今日は警察局の上級捜査官の就任式だ。警察局のみならず検事局、裁判所の人間
も数多く出席している。挨拶をしなければならない人間は山ほど居る。
厳徒海慈。
彼のように、上級捜査官の更に先──警察局副局長を狙う者には、特に。
返す返すも、若い頃の行いがまずかったと思うのだ。
現警察局長と現副局長──ついでに言うと次期局長でもある男──と談笑しつつ、
厳徒は思う。
ちなみに場の雰囲気は最悪だ。立食形式のパーティ会場のはずが、ここだけ極寒
の地と化している。
原因は簡単。厳徒と副局長の仲が最悪だから。
ついでに、二ヶ月後の退官が決定している警察局長が、二人の仲を修復する責務
を放棄したから。以上。
副局長の会話と目線と言動の端々から発せられる敵愾心と、隠しきれない劣等感
と、その相手より上の役職にあるという優越感とを何時もの調子で受け流しつつ、
厳徒はつくづく後悔した。
若い頃、同期であった彼に色々やらかしたのは厳徒だ。
アレが間違いだった。
年を経てのあからさまな追従で積年の恨みを忘れてくれるような性格でなかった
のも悪く働いた。
(ホント、失敗した)
この男の方が先に出世し、自分の障害となるのが分かっていたなら、
もっと徹底して上下関係を叩きこんでやったものを。
何事も半端は良くない、ということだろう。
「――まあ、ガント君も次の副局長になるわけだし、これから顔を合わせる機会も
増えるだろうよ」
何処か投げ遣りな局長の言葉に、厳徒よりも先に副局長が反応する。
「局長、まだ決定事項ではありませんよ。同期としては、非常にザンネンですが」
「いやだな。その言い方では、私が副局長になれないコトが決定みたいじゃない
ですか」
「それは失敬……厳徒主席“捜査官”? ゲンバとカンリショクでは勝手が違います
ので、“たとえ”就任してもごクロウも多いでしょうし?」
「はっはっはっ」
(……このXXX野郎)
笑顔の外面とは裏腹に、腹の中で警察局仕込み四十年熟成の罵倒を並べ立てる。
音声化や文章化はしない。したら最後、その時点で手が後ろに回りかねない。
彼の指摘とは異なり、厳徒の次期警察局副局長就任はほぼ決定しているが、油断
は禁物だ。
下手な失敗をすれば、この男は必ず喰いついてくる。
隙は見せられない。
厳徒にとってもこれがラストチャンスだ。
この機を逃せば、あとは定年退職までの今までと変わらない職務だけだ。自分では
何も選択、決定出来ず、ただ上に言われたことをこなすだけの生活。
冗談ではない。
厳徒は、自分が権力志向の人間だと把握している。
そして現場を仕切るだけでは満足できなくなったことも自覚している。
ここで終わりたくない。
唯の“捜査官”として終えたくない。
焦りがあるのは認めなければ。
もう。生きてきた年数より、余命の方が短い年齢なのだ。
「──ああ、君たち! こっちへ! ――局長、……厳徒主席捜査官? 今年の
上級捜査官を紹介しますよ」
副局長が手を上げる。
ぞろぞろやってくるスーツの群れ──今日付けで上級捜査官に任命された面々だ。
本来このパーティは彼らが主役のはずだが、どうにも居心地悪そうにしている。
無理もない。
警察局と検事局と裁判所、これらに属するパワーゲームの恩恵にあずかるには、
彼らは日が浅すぎる。
「局長、紹介します。君たちも挨拶を。まず彼が──」
副局長が会話からさりげなく自分を外したのには気づいたが、厳徒は特に指摘は
せず、腹の中で罵るに留めておく。この程度の腹芸ができなくて何が捜査官か。
次、次と紹介され、新人上級捜査官はあるいは叩頭し、あるいは会釈し、
「──彼らが新しく警察局を背負っていく人材です」
場の空気が変わる。
厳徒と副局長の会話時とは異なる、いたたまれない、という表現がしっくりくる
雰囲気だ。
発端である副局長はにやにやしている。局長は「あ、そう。ガンバリタマエ」と
適当極まりない薫陶を垂れている。紹介された新人らは気まずそうに目配せし合い、
厳徒は。
厳徒は、たったひとり紹介から外されて硬直する人物を眺めていた。
「あの」
「何だ、宝月くん」
副局長が“ホウヅキ”なる人物の言葉を遮る。
「君、検事局にアイサツに行かなくていいのか? 警察局は“コシカケ”なんだろ」
硬い表情がますます強張る。
――厳徒の、この男に対する評価が低い一因はコレだ。
嫌味も罵倒も好きに使えばいい。しかし、こんな衆人観衆の多い場所では如何な
ものか。
「あ。キミ、“ホウヅキトモエ”でしょ?」
厳徒は声を心持ち大きめにして、“彼女”に語りかける。
「ウワサは聞いてるよ。優秀だって?」
“彼女”が厳徒を見る。
きっと“彼女”には、この場で声を掛けた男が救世主と映っているだろう。
言葉は武器になる。
それは悪意からであろうと善意からであろうと等しく影響力を持つ。
例えば。
あからさまなイヤガラセをする馬鹿のフォローに回って、相対的に自分の株を
上げる、とか。
果たして“彼女”は。
「お初にお目にかかります、厳徒海慈主席捜査官」
アルコールが入っているせいか足元をややふらつかせ、それでもしっかり厳徒を
見て、
「上級捜査官の、宝月巴と申します」
深々と一礼する。
長い髪と、黒のスーツの間の、うなじが酷く艶やかだった。
――ダウト。
笑顔を崩さぬまま、厳徒は彼女へと評価を下す。
自身の許容量を知らぬのか、知らないのは杯の断り方なのか。どちらでも同じ。
酔っぱらいはキライだ。
「あ。そんなキンチョウしなくていいって。今日はキミたちのお祝いだし。ね」
内心をおくびにも出さず愛想を振りまく。
これで本気で無礼講を仕掛けてくる新人が居れば、いい選別になる。
幸い、今回そんな馬鹿はいないようだ。皆行儀良くしている。
「失礼」
不意に副局長が携帯を取り出す。何事か話していたその目が、厳徒へ向けられ。
嫌な予感がした。
「ああ、分かった。今から捜査官を向かわせる──厳徒主席捜査官?」
「……何か?」
副局長は、それはそれは嬉しそうに口の端を歪め、
「事件が発生したようです。非常に心苦しいのですが、今から向かってもらえます
でしょうか?」
彼が何をしたがっているのかは予想がついたが、一応は抵抗してみる。
「私、ですか? 他の捜査官も此処にはおりますが」
「イチバン“現場で”有能な者を、と。そうでしょう? 主席“捜査官”?」
「――ナルホド」
冷笑に、冷笑で応える。
やれやれだ。まだ挨拶回りも終わっていないのに。
「イイですよ。管轄は初動課が?」
「ええ」
とにかく厳徒にいやがらせが出来ればそれで良し、なのだろう。全くもって器の
小さい男だ。
「ああそれと──宝月君」
「……は、はい!」
それまで無視されていた相手から急に名を呼ばれ、彼女は慌てて返事をする。
「君も主席捜査官と一緒に行きたまえ。いいベンキョウになるぞ?」
――この男、ついでに嫌いな人間も視界から排除する気らしい。
厳徒は男の粘着気質ぶりに呆れるが、新人捜査官は言葉を額面通りに受け取った
らしく、殊勝な返答をしている。どころか、厳徒に向かい「よろしくお願いします」
とまで言ってきた。
それに手だけでついてくるよう指示して、厳徒は会場出口へと歩を進める。後方
からやや遅れて、ヒールのかつかつ言う音がついてくる。
(ああ。ダメだな)
後ろの足音が覚束ないのを聞き、判断する。
厳徒は足を止める。
後ろの足音も、つられて止まる。
「主席捜査官……?」
「キミ。帰っていいよ」
え。と、間抜けな声が聞こえた。
「アルコール入ってるでしょ。連れてってもムダだし」
「……!」
振り返ると、彼女の顔にはありありと不満の色が浮かんでいた。
やれやれ、だ。
「アルコールが入ってる場合の、責任能力の判断ってムズカしいでしょ」
彼女が言葉を失ったのは、急な話題の転換についていけなかったからか、それとも
厳徒の口調がそれまでとは異なり過ぎていたからか。
「で。それを踏まえて。
宝月巴上級捜査官。もし酩酊状態のキミが現場に行って、そのせいで初動捜査が
失敗した場合。どこに責任があると判断すればイイと思う? 酒のせいか。酒は関係
なく、単にキミが無能なだけなのか。ジブンの体調も把握できないキミが無能なだけ
なのか」
どう考えたらイイと思う──?
語調だけは朗らかな、しかし逃げを許さぬ厳徒の言葉に、彼女は凍りつき、
「十分、頂けませんか」
否。
意外なことに、彼女は厳徒を睨み返してきた。
「十分あれば何かできるってワケ?」
「酔いを抜いてきます」
「……ふうん?」
それまでよりも些か興味を持って、彼女を観察する。
小奇麗な顔をしている。きつく結んだ唇のせいか可愛らしさには欠けるが、まあ
オフィスの何処かに飾っておけば来訪者の目の保養にはなるだろう。
その手の扱いを嫌う女と見えた。
「……」
「……」
厳徒はわざとらしく時計を見る。
「……」
「……」
彼女の目に悔しさが滲み出てくる──悔恨と、自責の色。
「……」
「……ナニしてるのかな」
「え」
「十分しか待たないよ」
彼女の目線が横に流れる。扉の外、化粧室を示す案内板へ。
黒いスカートが翻る。
洗面台で顔でも洗ってくるのだろう、と、予想していたから。彼女が就任式会場
に戻ったのは意外だった。
彼女が空のグラスを引っ掴んで踵を返し、厳徒の横をすり抜ける際。
「――」
整った横顔と。そこに浮かぶ不退転の決意とが、視界に焼きついた。
グラスを片手に化粧室へ消える女の背を見送り、厳徒はジャケットの内ポケット
から携帯電話を取り出す。事件の詳細を知るべく、警察局へコール。
呼出音を聞きながら思った。
もしも、あの新人が、洗面台の前で厳徒が今想像する方法で酔いを覚まそうとして
いるのであれば。その心意気だけは誉めてやってもいい。
チャンスに喰らいついてくる貪欲さは、誰のものであっても、キライではない。
蒼褪めた面で、しかし足取りはしっかりとして、彼女──宝月巴は戻ってきた。
「おかえりー。じゃ、行こうか」
「……はい」
湿った髪とスーツの胸元を気にしながら、巴が答える。その手に厳徒はハンカチ
を押しつけた。
「ああ。それ、返さなくていいから」
返答を聞く前にエレベーターへ向かう。
でも、と言い募る彼女に、
「トモエちゃん。キミ、靴のサイズいくつ?」
「――クツ?」
間の抜けた疑問符は、呼称に対してのものか、唐突な質問の意図を問うてか。
エレベーターが来る。二人して乗り込む。一階のボタンを押す。
「下の売店で買おうか。ヒールじゃ、現場。行けないでしょ」
巴が慌てて足元を見る。明らかに指摘されて気がついた、という風だ。
「こういうのって場数踏まないと気づかないモノなんだよね」
「は、はい……主席捜査官は?」
「あ。ボク。クルマに置いてあるから」
「──まさか、運転されるんですか」
咎め立てる、にしても、些か強すぎる口調だった。
厳徒はあっさり答える。「呑んでないから」
「さすがにケーサツが飲酒運転はね。事故起こしたらシャレにならないし」
別にこうなると予測していたわけではない。単に、胸糞悪い奴と同じ場で酔う危険
を犯したくなかっただけだ。
小さく。
すみません。と。聞こえた。
疑ったことへか。きつい口調になってしまったことへか。
訊ねる気が厳徒に起こる前に、エレベーターは一階へ到着した。
現場である河川敷に到着すると、そこは皓々としたライトで照らされていた。
草むらのそこかしこで捜査員が動いている。白色光に浮かぶ人影は妙に薄っぺらい。
制服警官に案内され、厳徒と巴は鑑識主任の元へ向かう。
二人とも礼装スーツに運動靴、という格好だ。ミスマッチもいいところだが、そも
事件現場に礼装、というのが間違っているのだ。今更気にしてはいけない。
ライトの脇、土手の上で作業を眺める制服姿の男へ、厳徒が手を上げ、
「や! 主任さん、どうよ最近。泳いでる?」
「こりゃあガンさん。泳いでる泳いでる、証拠の海で溺れ死にそうだよ。で、そっち
のお嬢さんは」
硬い表情で周囲を見回していた巴が、我に返ったかのように急いで一礼した。
「ああ。ウチの新人」
「へえ、今日就任式だろ? 大変だねえ」
「ホントだよ。おかげでゴハン、食べ損ねたし」
「そりゃあ良かった。──いや本当」
言葉の理由は明白だ。
水と都会特有の排ガスのにおいに混じる。腐臭。死臭。死体の臭い。
「遺留品は?」
「あっちのテント」
「そ。――トモエちゃん」
はい、と巴が答える。顔色は、当然、悪い。
「キョーミあるなら、好きに動いていいから」
「――はい」
しかし彼女は顔をきっと上げ、ぽつんと設置されたテントへ歩き始める。
「いいのかい、ガンさん」
「いいの。いいの。好きにさせてあげてよ」
「……女も強くなったねえ」
厳徒より幾らか年下の鑑識主任は嘆息した。
「うちの若いのは戻しちまってさ。まあ仕方ないっちゃ仕方ないけどよ」
「ま。そこは大丈夫だよ。――カノジョ、もう吐くモノ残ってないだろうし」
なるほど、と鑑識主任は納得する。
「だから連れてきたわけだ」
「自発的にやられちゃね。ホラ。ボク、誉めて伸ばすタイプだから」
相手の顔に“異議あり”と書いてあるのを無視し、
「で。どうなの。その別嬪さん」
「大体三日から五日ってとこだな。美人も美人」
ふうん、と厳徒は相槌を打って。「腕、見つかってないって?」
「そうそう、何でか右肘から先、すとーんと落とされてて。今日中には見つけるさ。
……ここにあれば」
「そうして欲しいな」
眼下の河原では、何人もの制服警官と鑑識課の人間が“探しもの”をしている。
ご苦労なことだ。
厳徒自身も含めて。
「ガンさんが捜査やるの? 上級捜査官が?」
「ま。ね」
一拍置き。
「次期局長ご推薦なもんで」
「――お疲れ」
事情を知る彼はそれ以上は何も言わなかった。
というより、河原からの「腕部発見しました!」の声の方が雑談より重要だ。
「今行く! ――ガンさんは」
「見たいな」
ライトで白と黒に塗り分けられた夜は。人いきれと、腐臭で淀んでいた。
現場の処理が全て終わったのは、十一時近くになってから。
申し送りと、明日以降のとりあえずの指示を出して、厳徒の仕事も終わる。
――厳徒海慈の、捜査官としての仕事は、今日はそれでおしまい。
だから、真っ白い顔した新米上級捜査官を家まで送っていったのは、彼にしては
非常に珍しい“サービス”だった。
言葉少なな巴の指示に従い、車を住宅街に滑り込ませる。
厳徒がハンドルを握る間、助手席の彼女は俯いたまま、膝に載せたローヒールの
パンプスを見つめていた。彼女が履いているのは四時間前に買ったばかりの運動靴。
白かったそれは既に土で汚れている。
やがて車はひとつのマンションの前に止まり。
「主席捜査官」
巴が、口を開く。
「何」
厳徒は答えながら助手席扉のロックを外す。かこん、と鍵の上がる音が響いた。
「捜査に参加させてください」
真直ぐな声だった。
返答は、「あ。そ」対照的に不誠実なものだった。
「主席捜査官! 私は──!」
「あのさ。遺体見たばっかりで興奮してるのは分かるけど──少し、落ち着いて
くれる?」
ハンドルに半身を預けつつ横目で見た彼女は、黒いスーツと。硬すぎる面差しの。
かり、と。
彼女が、無意識の行動なのだろう。
自分の、爪を、噛む。
ひどく子どもじみた仕草だった。
――ああ、若いな。と思った。
まだ、理想だの信念だの正義感だので動ける──(……?)──違和感、が。彼女
の目、これは、正義感、とか、被害者への同情、とか、否勿論それらも含まれては
いるのだろうが。果たして“それ”だけで構成されたものだろうか──?
「被害女性の、状況ですが」
巴が口火を切る。
「死後三日から五日が経過。年齢は二十代から五十代。身元確認の出来る所持品は
なし。……右腕、が、損壊。生活反応は確認できず、死後に切断されたものです。
他、外傷が、腰部と大腿部の骨折及び右側頭部の陥没。こちらは生前のものです」
突然並べたてられる言葉を、厳徒はしかし止めない。促すことはしないが、無視
もしなかった。
「骨折が、乗用車による接触事故の典型的パターンを示しています。死因は、車との
接触によるものと推定されます。おそらくは犯人が被害者を撥ねた後、何らかの理由
で遺体を損壊、遺棄したものと思われます」
「──ナルホド。や、ナカナカの意見だね。トモエちゃん」
見るべきトコロは見ている、というアピールか。
「それで。今の、何処までが確認の取れた“証拠”で、何処からがキミの単なる
想像?」
「……っ。遺体の、損壊状況は、鑑識捜査官の所見によるものです。これは“証拠”
として提出できます。あとは」
私の想像です、と呟く彼女の顔は、何というか、とても。
「トモエちゃん」
「――はい」
「捜査したいのって、セーギカンとか、被害者がカワイソウだとか。そういうの?」
「いいえ」
真直ぐ上げた視線は。
笑ってしまうほど──ひたすら“まっすぐ”としか形容のしようがない代物で。
「私がいれば、捜査がはかどるからです」
――私は、優秀、ですから。
続く傲慢な台詞をいっそ清々しく見せていた。
そういうのは。
キライじゃ、ない。
「明日。午後一時」
だから厳徒は僅かに笑みを含み。
「警察局の、ボクのオフィス。遅れないように」
巴は頷き。ようやっと車から降りて。
「そうそう。スーツ。すぐにクリーニング、出すといいよ」
車の外、巴がうろたえた様子で胸元を隠す。乾いて、吐瀉物の跡が目立つ箇所を。
厳徒が言うのは“そちら”ではないが。
「今は嗅覚がマヒしてるから気づいてないだろうけど──死体のニオイって、残る
モノだから。ね」
握りしめた手の関節が、白くなるのが見えた。
「じゃ」
──折れない芯のある人間だ。野心か信念かはたまた理想かは知らないが、心の
何処かに絶対的な物差しを抱えている人間の目をしていた。
強情で、従えるのに苦労する。
代わりに。
一度手懐けてしまえば扱いやすい類の、人間。
「ま。いいか」
ハンドルを握り、厳徒はひとりごちる。
一度試してみて、使えなければ切ればいい。
あの目。
少なくとも試す価値はありそうだ。
ひどく。楽しい気分だった。
翌日。警察局、厳徒のオフィスに、巴は時間通りにやってきた。
失礼します、とかっちり挨拶をする彼女はどこからどう見ても才気溢れる新人
捜査官で。
「何かあった?」
「……何故でしょうか」
「眉間にシワ。ビジンが台無しじゃない」
巴はしばし黙りこみ、やがて振り切るように「大したことではありません」と言い
きった。
「こちらに伺う前に、副局長とお会いしただけです」
「それだけ?」
「少々、お話を」
話だけでこの仏頂面とは、さてあの男は彼女にナニを言ったのやら。
「セクハラでもされた? やだねー。モテない男は……アレ?」
掛け値なしの冗談だったのだが、巴は一瞬ものすごく嫌なことを思い出したという
顔をする。
「根拠の……ええ、根拠のない中傷です。下らないことです」
何故か巴は“コンキョ”という単語を二度繰り返した。
ふうん、と厳徒はしばしそんな彼女を観察し、
「じゃ。気分転換にドライブ行こうか」
「――え?」
ぽかんとする巴の鼻先で、車のキーをくるくる回してみせる。
「天気もいいし。ついでにゆっくりお茶でもしてく?」
「あ……貴方! いえ、主席捜査官! 何を考えているんですか!」
怒られた。
「今は事件の捜査中で、……これじゃ副局長の言う通りの……」
(ああ。そういうコト)
ほとんど独り言の後半部分を聞き、ようやっと彼女の態度の根拠を理解する。
「何? “女好きで片っ端から手を出すから気をつけろ”とでも言われた?
それとも。“もうカンケイがあるのか”とか」
顔色からすると後者が当たりのようだ。
厳徒は笑声を上げる。
「やだなー。ボクはそんながっつかないって。ホラ、ボク、見た目通りモテるから」
しかし巴の警戒心は解けない。
内心舌打ちをする。少しばかりやり過ぎたようだ。以降は気をつけるとしよう。
「あらら。……からかい過ぎたな」
ゴメンゴメン、とわざと大袈裟に謝り。
表情はそのままに口調を改める。
「被害者の身元、判明したから。所轄まで一緒に。どうかな」
被害者の身元確認が迅速に行われたのは、彼女の捜索願いが所轄署に出されていた
からだ。
三十代の女性。家族と同居していて、夜に「コンビニまで行ってくる」と言って
出掛け、それきり帰らなかった。
「最初はよくある家出人かと思ったんですよ。最近色々あるでしょう? 仕事も今
の生活もうっちゃって、ふらーっとどっか行きたくなるってコトもあるだろうし。
でもまあ、そこは親ですから。ウチに届出て、こっちも捜査して」
「で。昨日のアレ、と」
「事故のセンなんですよね? 現場を発見して保存してあります。すぐにも案内
できますよ」
「や。急に押し掛けたのに、協力アリガトウございます。いやホント」
ショチョーさん、と呼びかける厳徒の声は愛想が好い。
下手な態度に気を良くしたのか、テーブルを挟んで座る所轄署署長の顔が、目に
見えて緩む。
「しかしわざわざ本局からいらしゃるとは、大変ですなあ」
「そうでしょう。そうでしょう。今の局長も、今年で退官ですし」
署長と厳徒がのんびり会話する、その横。厳徒の隣では、巴が目の前の湯呑みと
羊羹を前に微妙な顔をしていた。この場を早々に切り上げて現場に直行したい、と
いう風情だ。
連れの要望をさくっと無視し、厳徒は会話を続ける。
いくつかの世間話の後、
「厳徒主席捜査官、遺族の方に顔を出されますか?」
「いや。今日はエンリョしときますよ」
この格好ですし、とオレンジの派手なスーツを指差す。
「また後日。改めて。――事件解決の報と一緒に、ね」
「ああ、分かりました。じゃあ、ウチからひとり案内をつけますんで──」
ようやっと腰を上げる署長、にこにこ笑って礼を述べる厳徒、そして、
「主席捜査官。もし宜しければ、私だけでもご遺族の方に挨拶をしてきます」
控え目に提案する巴への返答は、
「あー。いいよ。要らない要らない」
如何にも“ムダなことはするな”といった風だった。
「今、ムスメさん“返って”きたばっかりだし。マトモな証言は無理でしょ。面倒
は所轄に任せて、ボクらは現場。見に行くよ」
署長は先に立って歩いている。
だから今の言葉は、巴ひとりに向けてのものだ。
「そんな言い方──」
「あのさ」
厳徒が足を止める。
巴の歩みも止まる。
「ボクらの仕事って、ナニ?」
厳徒が浮かべている表情は、分類としては笑顔に入る。裏から滲み出る感情が何
であっても、少なくとも、造形は。
「泣いてる人間にぐだぐだ構うコト? 『今からハンニン探しますから!』って宣言
するコト? ――違うね。
犯罪者を、しかるべき場に引きずり出して、ツミを償わせるコトだ。
安っぽい同情は正義の味方に任せておきなよ。ボクらは法の番人なんだから」
ボクの言うこと理解できるかな、とまでは、言わなかった。
言わずとも理解して貰わねば。その程度の理解力もない人間では、困るのだ。
投下ここまで。ガントモばっかりだな、自分。
>>600 >茜ちゃんも混ぜた3P
さあ早く文章化する作業に戻るんだ。待ってる
やっとここに来れたそしてGJ
>>607です。スレストさせてすまんかった。
続き書けたけど、やっぱり長い+非エロ部分多くなった
それで質問なんだが、SSの続き、ここに投下してもいいものだろうか?
駄目ならエロくないスレ辺りに投下してくる
>>622 >>1 誘い受けはノーセンキュー
ここではじめたんだからここで続けるorエロくないから別の場所で、等の判断は
御自分でどぞ
別スレに投下するなら誘導は頼む
>>623 おk、誘い受けすまなかった
話を長引かせるのもアレなんで、こっちに一気に投稿させてもらう
【注意】
・
>>608-619の続き
・厳徒×巴
・長い
・性的な意味でのはじめて物語は通し番号14あたりから
事件現場は住宅街の端、林に面したうら寂しい一方通行道路。ガードレールもなく
掠れた白線が引いてある。一軒家があるが、空き家になって久しいとのことで目撃
証言は望めない。街灯こそ立っているものの、正直な話、夜に女性がひとり歩きする
環境ではなかった。
きっと。慣れた道だったのだろう。
災禍が我が身に降りかかることも考えられないくらい、何度も何度も通った場所。
――との感傷は、厳徒とは無縁だった。
勿論、被害者の気持ちを思いやったり、世の理不尽に憤ったり出来る刑事もいる
ことにはいる。厳徒がそのタイプではない、というだけだ。
「現場って、アレ?」
車から降りて開口一番、パトカーで先導してくれた制服警官に訊ねたのは、派手
に崩れたブロック塀についてだ。
しかし警官は首を横に振る。
「あちらは別の事故ですよ。飲酒。処理も終わってます」
「飲酒運転ですか」
バックからカメラを取り出していた巴が、警官の台詞に反応する。
「凄かったですよー。今週の月曜……いや、日付変わったから火曜か」
「被害女性が家を出たのは──月曜、二十一時でしたね」
「みたいですねえ。ワタシ、その日は当直だったんですけど、朝の四時に事故った
本人から通報が入って。四時ですよ、四時。で、行ってみたら塀はこのとおりだわ
車は大破だわ、なのに運転者はぴんぴんしてるわ。もう呆れましたわ」
「そんな時間に? 運転者はどんな人物だったのですか」
「フツーの会社員でしたね。なんかイヤなことでもあったんですかねえ。後部座席
にビール缶やらウィスキーボトルやらが散乱してて。もう酒とゲロで車ん中はすごい
臭いに……あ、すみません。女性にこんな話」
「いえ、お気遣いなく。
私は捜査官ですから」
「ははあ」
言葉だけなら感嘆だが、態度には微妙に呆れが混じっている。
それを努めて見過ごし、巴が事件現場に案内するよう促す。
こちらです、と示されたのは、林側の道だった。
白線を跨ぐようにして残る黒ずんだブレーキ痕と、
「……血痕、でしょうか」
「血液鑑定は──そう。終わってるの。なら確実だね」
微かに、しかし確かに引かれた赤黒い線。ブレーキの跡から始まり、林の中へと
消えている。
「はねられたアト、道路に転がって骨折、死亡。だな」
巴がカメラを構える。その手が震えていた。
素人じゃあるまいし、と思い、彼女の顔をかすめ見て、
(――ああ。そうだな。シロウトじゃあない)
そこに、個人的な怒りよりも職業的な熱意の分が多いことを確認する。
彼女は若く、アマいのだろうが。捜査官だ。
「……ブレーキの、アト」
不意に、巴が呟いた。
「何か見つけた?」
「見つかりません」
見つからない?
得心がいかない、という口ぶりで、彼女はもう一度繰り返す。
「ブレーキ痕がひとつだけです。事故は二度起きたのに、人身事故のコンセキしか
ありません」
ふうん、と厳徒も路面を観察する。急ブレーキを掛けた際、タイヤと路面が急激に
摩擦することで残るアト、それがブレーキ痕だ。それが無いということは、
「ブレーキをかけずに突っ込んだ、ってコトかな」
ぐしゃぐしゃに崩れたブロック塀、スピードをどれだけ出していたかは知らないが、
これで運転者が無事だったというのは、「ズイブン、運のいい話だ」
腕時計で時刻を確認。午後三時半。
まだ色々とやれる時間だ。
「あ。ちょっと、キミ」
厳徒が、手持無沙汰な警官へ話しかける。
「こっちの事故の資料も見たいな。署に戻るからさ、キミ、用意してくれる?」
「はあ」
警官は首を傾げ、
「調べますけど……カンケイ、あるんですか?」
「だってさー。どうよ、トモエちゃん」
巴は一瞬沈黙し、
「……同じ場所で、一日を置かずして、二つの“事故”が起こる。不自然、です。
それに、もし関係がなくとも何らかを目撃しているかもしれません」
「ははあ」
警官は制帽を取り、頭をかりかり掻いて、
「関係……関係ねえ。まあ、署に連絡して、資料を用意させますよ」
捜査官ってのは何考えてるんだろうなあ──とでも言いたげにパトカーへ身体を
突っ込み、無線で連絡し始めた。
「――同一犯を疑ってるワケ?」
その背を横目に、巴に訊ねる。
巴は唇を結び、
「……同じ人間が、同じ場所で、二度事故を起こす。しかし片方は隠蔽し、もう片方
は自ら通報する。……“不自然”、だとは思います」
けれど、と彼女は続けた。
「ごく普通の会社員が、平日に朝まで飲酒し、車を運転するというのも“不自然”
ではないでしょうか」
それは、決して“有り得ない”ことではない。
けれど、どうにも“不自然”だ。
「納得がいかないトキ、捜査官ならどうするべきか。知ってるよね」
巴が顔を上げる。厳徒を見る。視線が合う。
厳徒はにやりと口の端を上げる。
「証拠品。事件の証明は、全て“証拠”で行われる。──お手並み拝見といこうじゃ
ないか。宝月上級捜査官」
まずは情報の整理から、ということで。
用意させた資料と、署長が気を利かせて出してくれた熱い茶と練り切りとを前に、
厳徒と巴は署の小部屋を一室借り切って顔つき合わせることになった。
「まず、今回の事件の被害者が家を出たのが、月曜、二十一時ごろ」
巴が真っ白なメモ帳に線を引き、タイムテーブルを作成する。
「ご家族の証言で、視ていたテレビドラマが終了した直後、外出したことが判明して
います。被害者の自宅から現場までは徒歩で約一〇分。事件は二十一時一〇分から
三〇分の間に起こったものと推定されます」
巴がポールペンを走らせ、直線の上に二本の短い横線を引き、それぞれの隣に
“21ジ”“21ジ30プン”と書いた。
「ふーん。行きしか考えてないみたいだけど、帰宅時に事故に遭った可能性は?」
「所轄署からの報告書です。近辺のコンビニエンスストアの防犯カメラのデータを
チェックした結果、彼女らしい人物は確認できなかった、とあります」
「ナルホド。何処かに寄り道したんじゃなければそれでスジは通る」
厳徒の言葉に巴は頷き、タイムテーブルの長い直線の隣に、同じ長さの直線を書き
加える。二本、だ。
「――次に、事故を起こした人物の行動です」
ペンを持っていない方の手が、供述書のファイルを開く。
「月曜日。仕事を終えて退社したのが十八時四〇分。それから居酒屋に行き、食事。
この時点でアルコールを摂取。店を出たのが本人の証言では二〇時三〇分ごろ。
彼は車を運転し──適当な場所をドライブしていたそうです。その途中コンビニに
寄ってアルコール飲料を買って、車内で呑んで、明け方近くになってから自宅に
戻り、事故を起こし、自ら通報した」
かりかりと情報が書き込まれてゆく。
厳徒はメモ帳を覗きこみ、
「で」
「はい」
「こっちの線は何に使うの?」
「──今書いたのは、事故者の“証言”に基づいたものです。
ドライブしていた──というのは、彼の証言にしかありません」
そこで巴は一息つき。
「“もしも”彼が“犯人”ならば」
最後の直線に、横線を引いてゆく、
退社時刻の“18ジ40プン”。
居酒屋から出た“20ジ30プン”。
――被害者が事件に遭った推定時刻、“21ジ”“21ジ30プン”。
事故の通報時刻の“4ジ28プン”。
最後に。パトカーが現場に到着した“4ジ43プン”。
「居酒屋から、彼の自宅まで約四〇分──そして、通り道に現場があります」
帰宅途中に、夜道を歩く女性を引っ掛ける可能性は、ある。
「現場及び彼の自宅から、遺体の発見現場までは、車で約一時間──事故後、遺体を
回収し──傷つけ、遺棄する。それだけの時間はあります」
「トモエちゃんの想像では。ね」
ぬるくなった茶に口をつけつつ、さくりと釘を刺す。
「……やはり、私の思い過ごしでしょうか」
「そうでもないんじゃないかなー」
薄らと気弱を覗かせた巴の前に、一枚の資料を突きつける。
「……あの、主席捜査官、これは?」
「事故者の、血中アルコール濃度」
巴が手に取り、調べる──その顔に戸惑いが生まれる。
何かあるのかと思ったが、ごく普通の、規定以上のアルコールが検出されたという
飲酒運転の“証拠”だ。「低いでしょ、それ」
厳徒の言葉に巴は目をしばたかせた。
「低い……? 危険運転と認定するには充分高いですけれど」
「あれー。そう? 低くない? ──晩酌して、更に座席に散乱するほどビールと
ウィスキーを空けた人間にしちゃ、さ」
ぱちん、と巴が目を丸くする。
幼い、と思った。
可愛らしい、でも、情けない、でもなく。
「それはどういう意味でしょうか」
「さあね。今の時点じゃわかんないでしょ、意味なんて」
今、は。
不意に厳徒のジャケットから電子音が響いた。
「あ。デンワだ。ちょっとゴメンねー」
内ポケットから携帯電話を取り出し、通話ボタンを押す。「厳徒だけど」
巴は少々困ったように目を伏せ──電話の内容を聞いていてもいいものだろうか
と悩んでいるらしい──結果的に、彼女の取り越し苦労となったわけだが──トモエ
ちゃん、と呼びかけられて急いで返事をする。
「鑑識から連絡。遺体を調べたけど、タイヤのアトは見つからなかったって。残念
だけど、さっき撮ってくれたブレーキ痕との照合はムリっぽいね」
「え、あ、はい」
「ザンネンだよ、ホント。これで一致したら事件解決だったのに」
「……あの、主席捜査官」
ん、と携帯をしまう厳徒に、巴は、今までとは少し異なる視線を向けて。
「信じて、くださったのですか」
私の仮説を、と続けられてようやっと腑に落ちる。
――さあね。
――調べるだけなら、苦労するのはボクじゃないし。
本心は胸の中に置いておいて。
「やだなー。トモエちゃん、キミ、捜査官でしょ。もっと自信を持ちなって」
おだてておく。腹芸ならお手の物だ。
「──さて」
厳徒は席から立つ。
「資料はここまで。なら、次にやることは決まったね」
「次、ですか」
「“証言”してもらおうじゃない。我らが暫定容疑者ドノに、さ」
机の上を片付ける巴へ、そうそう、と、
「ワルいけど、この辺の地図もらってきてくれる? 迷うのイヤだし」
「署の方に案内を頼みましょうか」
「今日はさんざんコキ使っちゃったしね。少しはエンリョしようよ、トモエちゃん」
「そ、そうですね。分かりました」
巴の端正な顔に『貴方がそんなこと言うとは思わなかった』と、ありありと描いて
ある。さくっと無視する。
巴が地図を借りに行く間、現場まで案内してくれた警官を見つけた。厳徒は何事か
思いついたように手を打ち、警官を呼びつける。
「あー。キミ、キミ。ちょっとこっちへ」
何用でしょうか、と来る警官へ、
「例の事故なんだけど。アレのクルマって、どうしたか分かる?」
「あれ、ですか。確かもう事故車として業者に引き渡してるはずですよ。隣町の、
スクラップ工場です」
「そうなんだ。――ちょっと、キミ。頼まれてくれないかな」
暫定容疑者の家は、住宅街にありがちな建て売り一戸建て。ガレージとちょっと
した庭がついている。しかしガレージにはシャッターがきっちりと下ろされ、庭は
雑草で覆い隠されている。
なんとなく──先入観だろうが──人目を避けているようだ、と、巴は思った。
隣の厳徒はといえば、全く様子が変わらない。聞きこみの気負いもなければ緊張
もない、気楽なものだ。
玄関先まで行き、チャイムを鳴らす。
一度目。出ない。
待つ。体感時間で一分ほどだろうか。
二度目。鳴らす。今度は二回続けて。
扉の向こうで気配がして、ようやく細くドアが開いた。ドアチェーンに傾きかけた
太陽が反射し、鈍く光る。
「――なにか?」
瞬間。巴が感じたのは、相手の声の陰気さでもなく。ぎろぎろと怯えたように
せわしなく動く彼の眼球でもなく。微かに鼻をつく、刺激臭だった。
「あ。ドモドモ。ケーサツの者です」
墓石のセールスマンばりの朗らかさで、厳徒が警察手帳を見せる。巴も追従し、
上級捜査官としての身分を証明するべく手帳を出した。
扉の向こうの気配が、明らかに動揺した。
「な……なんですか。この前の事故なら、もう終わったでしょう? 捜査官の方が、
何か御用ですか」
ぽん、と大きな音がする。巴も扉の向こうの相手もびっくりした。落ち着いている
のは音の根源、手を打った厳徒だけだ。
「へえ。嬉しいなあ」
は? 疑問符が扉越しに洩れる。
「いやいや。“刑事”と“捜査官”の区別がつくなんて。ナカナカねー。分かって
くれるヒト、少なくて。刑事ドラマとか好きだったりします?」
にこにこ。朗らか。明朗快活。
──なのに何故だろう。
この、威圧感は。
「チョット、ね。この近所で亡くなった女性について、お話を伺いたいと思いまして。
家、上げてくれます? ご近所のメイワクになりますし」
沈黙。
沈黙──「こ、困ります」
「困る? そりゃまたどうして」
「きゅ、急に来られても、その、汚れてますし。お話でしたらここでも」
「――ああ。掃除中だったのですか。道理で」
ふと呟いた巴に、二対の視線が集中する。
「ナニが“道理で”?」
「これ──サンポールですよね」
厳徒の質問に、何故だが少々気押されつつ答える。なんだか覚えのあるにおいだと
思ったら、トイレや浴室の掃除に使う液剤だった。
「……ふーん」
「……」
沈黙が、痛い。
「……ニオイ、気になります?」
その痛みも、口を開いた厳徒の恐さ──巴には、そうとしか表現しようがなかった
のだ。恐らく、扉越しに相対する人物も──に比べれば微々たるものだった。
「なに、が」
扉が、かたかたと震えている。
閉じたくて仕方がない。恐いものから逃げたい。
でも、閉じられない。
恐いものから目を逸らした瞬間、どうなるか分からないから。──そんな風に。
「ドラマや本じゃあ伝わりませんもんねー。ニオイ。キツかったでしょ? クルマ
の中とか。染みついて取れなかったでしょ」
震えている。
震えている。
「だから酒のニオイでゴマカした? 頭いいねー、キミ。結局吐いたけど。アレ
でしょ。取れないからね。ニオイ。血とかじゃなくて、生臭さがね」
巴ははっと気づく。
これは、おかしい。
確かに扉の向こうの人物は、怪しい。容疑者として上げたいくらいに。
けれど、彼は疑わしい“だけ”だ。何も証拠はない。確証はない。それをこんな
追いつめるような尋問をして──。
「主席捜さ」
「失礼」
ぽん。と、厳徒がジャケットの内ポケットに手をやった。引きだした手には、
携帯電話が握られている。黒い手袋とメタリックシルバーの対比が、不吉なほどに
鮮やかだった。
携帯を耳に当てた厳徒が。笑う。
哀れむように。
蔑むように。
己れの絶対の勝利を、告げるように。
「クルマ、すぐにスクラップに回したでしょ。それって“証拠隠滅”になるんだよ。
バレないと思った? “わざわざ自分で事故の通報をしてきた人間が、別の事故を
起こしてるはずがない”って? それとも、“クルマ本体がなければ、事故は証明
できない”とか?
――それ、“クルマが即スクラップにされていたら”大丈夫だったのにねえ」
ザンネンだったね。厳徒は最後の仕上げとばかりに、ぽんぽん、と携帯を叩く
扉の向こうから、悲鳴が上がる。
くずおれる気配。
厳徒が笑う。
「来るよね。ケーサツ」
今や間違いなく事件の容疑者となった人物は泣きじゃくり。
巴は。自分のなかにある違和感の元を、必死で探していた。
取り調べ自体はひどく呆気なく進んだ。
事故を起こした経緯は、ほぼ巴の推測通り。呑んでの帰り、被害女性を撥ねた。
真っ青になった。それはそうだろう、飲酒運転の上、人を殺したのだから。
「違います!」
――轢き殺した、のところで、彼は悲鳴を上げた。
取り調べに同席していた巴が驚き、調書を取っていた警官がペンを取り落とす大声
だった。
唯一落ちついている厳徒が「違うって、何が」とどうでもよさげに先を促す。
「やっちゃって、河川敷に捨てるため死体をクルマに乗せた。それが?」
「ちがう、ちがっ、う、乗せ、のせたのは、病院、行こうとっ」
「病院? 死んでるのに?」
厳徒は嘲るように問う。
彼は果たして、がくがくと首肯した。
――バカじゃなかろうか。
それが厳徒の感想だ。シロウトが付け焼刃の知識で隠蔽工作して、今度は同情を
ひくために“ホントは助けようとしたんです!”なんてホザいてる。
「でもさー。結局連れてかなかったワケでしょ? 病院。連れてったのジブンの家
で、彼女のウデ、切っちゃったワケでしょ?」
「でも、でも」
「見殺しにしたんですか」
低い、声が、した。
それまで尋問に一切口を挟まなかった巴だった。
みごろし、と、容疑者──もう犯人か──が呟く。
「そんなつもりじゃ──本当に──」
「貴方が!」
怒鳴り声。ばん、と強くスチールの机を叩く音。がしゃん。これは折り畳みの椅子
が倒れる音。
ひぃ。
これは、身を乗り出した巴の前で、男が泣きながら呻く声。
「ちゃんと連れて行けば──いいえ! 事故の時点で通報していれば! そもそも
車さえ運転しなければ! 彼女は死なずに済んだのよ?!」
「あー。トモエちゃん」
「助けようとした? 貴方のやったことは──殺人よ!」
「宝月捜査官!」
胴間声。
鼓膜が、びりびりと震える。
「尋問のジャマ。
出ていけ」
拒否は許さない。疑問もだ。
巴はゆっくり深呼吸し、急に自分のやったことに気づいたように、恥じ入った顔
をする。
「申し訳──」
「謝れ、って何時言った? ボクは“出ていけ”と言ったんだよ」
もう、何が言えるはずもなかった。
巴は叩頭だけし、取り調べ室を出る。握りしめた拳が、白くなっていた。
「いやー。ゴメンね。ホント」
気まずい雰囲気をブチ壊し、厳徒が愛想よく笑う。
「ホラ、あのコまだ若いから。ユルしてあげてよ」
ひくっ、としゃくり上げる声。
「さ、最初は、ほんとうに助けようと……! でも、死、死んでて、恐くなってっ」
「あのね。彼女がそのとき生きてたか死んでたかはカンケーないの。彼女、もう、
死んでるんだから」
だからね、と厳徒は続ける。
「もうゼンブ話してラクになりなよ。大丈夫、ボクはキミが殺そうと思ってたなんて
考えてないから」
「ほ、ほんとうに?」
「ホント。ホント。だから、ホラ──最初から、話してくれる?」
巴は、所轄署のロビーに居た。据え付けのベンチに腰掛けたまま、身じろぎひとつ
しない。長い髪から透かし見る横顔は、有り体に言ってものすごく落ち込んでいた。
「尋問。終わったよ」
厳徒に声を掛けられて初めて気づいたらしく、肩をびくっとすくめて、それから
慌てて立ち上がる。
「あの、主席捜査官、先程は」
「あ。もういいよ。カレ、ゼンブ喋ったし」
あのあと。上っ面だけは優しい言葉を二三投げてやると、彼はあっさり“落ちた”。
結果的に、丁度好い飴と鞭になったわけだ。
「ま。今度から人目につかないトコでやることだね。調書係がドン引きしてたよ」
「……主席捜査官のように、ですか」
再びベンチに腰を下ろし、巴がかすかに笑う。
「あれ。ボク、何かしたっけ」
厳徒も巴の隣に座る。
「電話を」
「……。どの?」
「容疑者の自宅です。電話なんてかかっていなかったでしょう。着信音がありません
でした」
いい子だ。
見るべきところは見ている。
「ま。ちょっとした演出ってヤツ」
「それだけですか? ──ご冗談を」
巴の目には、非難が、無い、と言えば嘘になる。逆に称賛も、あるといえば在る。
しかしそれらを圧して余りあるのは、探るような──いわば値踏みの色。
生意気だった。
新人のくせに主席捜査官たる厳徒を評価しようなどと──全くもって出来た子だ。
「署の方に聞きました。容疑者のクルマは、とうに廃車にされているそうですね。
破損の酷かった本体は既にプレスされて鉄クズに。タイヤも取り外し、山と積まれた
他のタイヤに紛れて行方知れず。
そして、主席捜査官もそのことはご存じのはずだと。
あの時点では、容疑者を確定する“証拠”は何ひとつ無かった。
主席捜査官。貴方が引き出した“証言”以外には、何も」
「ボクは一度も“クルマが見つかった”とか“事故との関連が証明された”なんて
言ってないよ。カレが勝手にカン違いしただけだし」
「白か黒かで言えば、黒に近いグレーでしょう」
だから。巴はひとつ、息継ぎをし。
「私だけを連れていった。不正を目撃する人間は、少なければ少ない程いいから」
「不正とか、人聞きがワルいな。嘘でもなければ、脅迫でもない。──違うかな」
空気が、ぴん、と張り詰める。
確かに巴が厳徒を値踏みしていたのに、今度は厳徒が巴を試している。
「……弁護士次第では、メンドウになりますね」
「ま。そこはホラ、序審での検事の頑張りに期待するさ」
それに。「家宅捜査で証拠を揃えれば、問題ないワケだし」
くつくつと笑う。
「犯人自身の“証言”に、動かぬ“証拠”。このふたつをキッチリ揃えれば、多少の
無理もユルされる──そうだろ。宝月捜査官」
巴は。ちいさく、息を吐き。
微笑む。
なにか、納得したような。或いは自分を納得させるような笑い方。
「家宅捜査の令状ですが」
「あー、ソレソレ。どうなった?」
「本局の鑑識課が、一緒に持ってくるそうです。あと一時間ほど掛かる、と連絡が
ありました」
「一時間、ね。分かった」
どちらからともなく、ロビー脇の壁時計を見る。午後七時、結構な時刻だった。
「日付が変わる前に帰れるかどうか。ってトコかな。トモエちゃん、デートの約束
とか大丈夫?」
このご時世セクハラギリギリの質問に、巴はあっさりと。
「遅くなると、連絡しました」
「おやおや」
「……違います。家に、です」
「え。ボク、何も言ってないけど」
「……なら、良いのですが」
引き下がる巴を、厳徒はにこやかに眺めていた。
「トモエちゃん。ゴハン、食べに行こうか。署長さんが用意してくれるって」
「あのさ。聞きたいんだけど」
会議室で夕飯(といっても仕出し弁当だが)をつつきつつ、厳徒が巴に訊ねた。
「キミ、副局長にキラわれてるけど。何したのさ」
弁当の塩じゃけから骨を取っていた巴が「どこまで直球なんですか」とでも言い
たげに眉をしかめ。
「私が、将来的には検事局へ異動したい、と言ったからだと思います」
「検事局?」
「はい。検事を、目指しておりますので」
これは厳徒にとっても意外な返答だった。何しろ、今の彼女は捜査官だ。
「検事になる前に、現場の状況を把握するべきだと考えました」
就任式の晩、副局長が言った“コシカケ”――“腰掛け”の意味を理解した。
自分が四十年勤めてきた場所を、長年の努力実りようやっと頂点に立てる場所を
“通過点”扱いされれば腹も立つ。
「副局長は随分とご立腹でした」
巴は箸を置き、自分と厳徒の湯呑みに新しい茶を注ぐ。
「ですので、現在の警察局と検事局との関係──連絡網、協調の薄さ、それによる
意志疎通上の弊害を指摘して、現行制度を生かすならもっと互いに協力し合うべき
だと」
「言っちゃったの?」
「…………言うべきでは無かった、と思います」
「全くだね。今の副局長、検事局に知り合いいないし。出来ないコト言われるのは
イヤでしょ」
ダメだよ、と。
諭す、というには軽い口調だった。
「オトコのプライドは脆いんだから。優しく扱ってくれないと」
巴はしばし急須を持ったまま黙り込み。
「どうしたのかな」
「……そのような諭され方をされるとは、思わなかったので、つい」
「何。ボクも“捜査官ナメてるのか”って怒った方が良かったかな」
「……ふふ。ご遠慮します」
軽口には、軽口で。
些か不穏当ではあるが和やかな空気が漂う。
「そーいうセリフは、検事局に繋がりのある人間に言っておきなよ。うまくすれば
異動、出来るかもね」
「主席捜査官のような方にでしょうか」
「――さあ?」
会話の見た目は穏やかなものだ。
見えない底で、どのようなモノが渦巻いているのか、部外者は知らない方がいい
のだろう。
「ボク。見返りもなしに他人のために労力使うとか、キライだから」
「見返りがあれば?」
「モノによるね。法に触れるようなヤツはカンベンして欲しいな――そんな下らない
コトで。職、失いたくないし」
「主席捜査官。貴方を満足させるのは難しそうですね」
「そうかな」
「そう──そう思えます」
くつくつと。
くすくすと。
笑声と、声にならない笑いが、絡まった。
容疑者宅の家宅捜査が始まったのは、午後八時。
「や。や。主任さん、ゴクローさん。待ってたよー」
「どうもどうも。それじゃ、始めますか」
青いビニールシートで隔離した一軒家へ踏み込む。
玄関先で厳徒らを出迎えたのは、微かな刺激臭だった。
「ああ。コレね」
たたきに、トイレ等で見かける緑のプラスチックボトルが転がっている。二本。
ここから液剤がこぼれたらしい。
「新しいものですね」
「みたいだね。中、見ようか」
厳徒は巴に返事しつつ、家内へ入る。玄関から真直ぐ伸びた廊下、向かって右側
に洗面所と浴室に続くドアがあり、左はリビングと台所になっているようだ。廊下
の奥には階段が見えた。
「主席捜査官、まずは何処から」
「んー。おフロかな。証言によると、腕切ったのそこで、らしいし」
その前に、と、後ろの鑑識主任へ振り返り。
「そこの血痕。反応見といて」
「あいよー」
「……血痕?」
気づいていないのは巴だけだったらしい。指差されて観察してみれば、廊下と壁に
確かに黒っぽい痕が残っていた。
「引きずったのかねえ」
「だろうね」
「相変わらず目が良いな。ガンさん、鑑識来ればよかったのに」
「ヤダなー。おだててもゴハンくらいしか出ないよ? ……ホラ、ボク、悪いヤツ
追いかけてる方が好きだから。
――トモエちゃん。おフロ行くよ」
「分かりました」
浴室は塵ひとつなく、しん、と乾いていた。
「何も、ありませんね」
巴が予想していたのとは違う。もっとこう、血の痕とか──遺体損壊の痕跡がある
かと思っていた。
ぴっと厳徒が指を挙げる。
「トモエちゃん。写真、撮っておいてよ」
示す先は──「ここにも? 玄関にもあったから──」「計四本。多いねー」
緑のボトルには、まだ中身が残っていて、一本は未開封だった。
「ちゃんと記録、取っておいてよ。ソレ、犯行現場を必死になって掃除した。証拠
インメツの動かぬ証拠、ってヤツだから」
──ぴかぴかに磨き上げられた、清潔な──偏執的にまで清潔な、浴室。
あまりにもキレイ過ぎる、空間。
その隅、に。隠すようにして。
「腕切った理由、もう教えたっけ」
「……いいえ、まだ、です」
「ここでさ。犯人、被害者を解体して捨てようとしたんだけど。まあゲンジツと
ドラマは違うからねー。草刈り用のナタを使ったけど、これがナカナカ」
「切れなかった、んですか」
巴の視界に、鈍く光るものがある。
刃物。鉈、だ。
磨いたように──掃除用の液剤でもかけたかのようにぴかぴか輝いている。
「いや。逆。よく切れたって。皮膚も肉も骨も血管も、キレーに」
キレイに、切れて。
色んなものが、飛び散って。
「もうダメだって思ったんだって。さ。これ以上出来ないって」
厳徒は笑声を洩らす。完全に、カンペキに蔑む調子だった。
「で。とにかく死体と一緒にいるのが怖くなって遠くに捨ててきて、アトは知って
の通りの隠蔽工作。と」
イヤ、ホント。
「バカバカしい」
ゆっくりと。そこに、嘲笑以外のものが混じる。
「ホントに被害者と接点がなかったのかな。あれば。“過失”じゃなくて“故意”
なら、死体損壊と遺棄と証拠隠滅と合わせて」冷え冷えとした、なにか。「死刑台
に送れるのに」
巴がひとつ、息を呑む。
「過失だと……取り調べでは、そう仰っていたと」
「飴だよ、アメ。“ツミにキビしく、ヒトにキビしく”がモットーだから。ボク」
手袋を打ち合わす乾いた音が、水気のないタイルに反響する。
「さて。トモエちゃん、次、行こうか」
巴が返答する。
そこには。確かに、なにかを決めた色があった。
──XX月XX日、二十二時八分、容疑者宅捜査、終了。
──同月翌々日、序審法廷開廷。
お疲れ様です。と。証言台から降りた男に、彼女は言った。
ご苦労サマ。と。共に仕事をした女に、彼は言った。
――判決、有罪。
意外だった。と。男が呟いて。
そうですか。と。女が返した。
「こーいうコトしない、マジメなコに見えたから。ね」
“こういう事”が何を指しているのかは明白だ。夜。ホテルの一室。肉親ではない
男女が、まだ服は身につけているものの、ベッドに並んで腰掛け、二人きり。彼らは
恋人でも夫婦でもないが、そこはそれ、よくある話。
「おめでとうございます。厳徒主席捜査官」
脈絡のない祝辞に、厳徒は手を止める。厳徒と巴、彼我の距離はほど近い。手を
伸ばさずとも彼女の襟元を玩べるくらいに。
「ああ。今日の法廷。ま、あんなモンじゃないかな」
くだんの人身事故及び死体遺棄事件の犯人は、あっさりと有罪になった。厳徒も
証言台に立ちはしたが、特に苦労をした覚えもない。
被告の自宅から発見された被害者の血液、死体損壊に使用した凶器という“証拠”。
被告本人の犯行に関する“証言”。
それら全てが彼の犯行を立証した。
何処ぞの検事ではないが、カンペキな裁判だった。
最初から結末の見えたレース。担当の弁護士は、黙ってカカシになるか、無駄と
分かって反論し検察のサンドバックになるかの二択を迫られ、殆ど泣きそうになって
いた。運が悪い、としか言いようがない。
「それもありますが」
しかし。巴は、自分の胸元で遊ぶ黒手袋を眺めつつ。
「地方警察局副局長、就任決定、おめでとうございます」
「――。耳が早いねー。正式な発表は明日なんだけど」
手袋に包まれた指が、女物のジャケットのボタンに掛かる。まだ外さない。
「ああ。だから、ボクの誘いに乗ったワケ」
返答は。
「そうです」
思わず──笑う。
「あのさー。スナオが過ぎるのもどうかと思うよ」
普通に考えれば駄目な回答だ。これから同衾する相手に、お前本人になんか興味
ない、お前の地位と権力だけが目当てだ、と宣言したに近しいのだから。
普通なら。
普通の、恋人同士なら。
「トモエちゃん、検事を目指してるんだっけ」
「はい」
「そんなに検事になりたいんだねえ」
好きでもない相手に身を任せてまで。
ボタンは、まだ、外さない。
「検事局への口利きが欲しいのではありません」
巴が、厳徒を見据える。座ってだと、二人の身長差が少しだけ緩和される。
「貴方の元で、捜査官として学ばせてください」
主席捜査官。
薄くルージュを引いた唇が。警察局上級捜査官、その中でも最も優れた捜査官に
のみ許される呼称を、紡ぐ。
「例え今検事になれたとしても、それでは私は“唯の”検事です。私はそれ以上の
検事になりたい。現場を誰よりも知り、より正しい判断の可能な検事に」
だから。
「厳徒主席捜査官。貴方の元で、最高の、捜査官としての全てを学ばせてください」
――つまりは。
厳徒の技術を、知識を、経験を、人脈を、厳徒の培ってきたモノを自分のモノに
したいと。こういうわけだ。
(ああ。いいな)
その貪欲さはキライではない。有能な人間に限るが。
「で。見返りがコレってワケ?」
「優秀な捜査官は、局に大勢います。……貴方を、慕う女性も、多いのでしょう。
けれど、優秀な捜査官且つ貴方とこういうことの出来る女性というのは、私だけだと
思います」
特に。自分に従いたがっている人間は、その目的がどうであろうと、使える限り
キライ、ではない。
厳徒は愉快さを示すように口角を上げ、巴のジャケットのボタンを外す。
ジャケットの内側で、強張る身体が微かに震えるのを感じた。彼女が慣れない台詞
で緊張していたのは明白だ。この為に何度練習したのかは──まあ別に訊かなくても
構わないだろう。
こういう努力も。ケナゲさも。
自分でやろうとはカケラも思わないが、されて気分の悪いものでもなかった。
ジャケットに続き、ブラウスのボタンをひとつふたつ外したところで、腕を細い
腰に回し拘束する。
「え、まだ……んっ」
セオリー通り、まずはキスから。唇を浅くはみ、おとがいへと移る。乱れた呼吸が
すぐ耳元で聞こえる。顔を上向かせ、顎の裏側、薄い皮膚と肉へとくちづける。日に
晒すことのない肌は、白い。顎と首の境界線に沿って、耳へ。髪から洗髪料のにおい
がした。
「あの、ちょっとっ」
腕の中、巴がちいさく身をよじる。
羞恥というより、座ったまま腰をひねるという体勢を取らせたことへの抗議が多分
にある。
「どうしたのかな。もう横になる?」
「そうじゃなくて、いえ、そうではなくて! 服、を、まだ」
服。着けたままだ。
巴は申し訳程度に上着を綻ばせただけだし、厳徒に至ってはタイを緩めただけ。
一切脱いでいない。
「トモエちゃんはせっかちだなー」
「そういう問題では……!」
これはこれで楽しいんだけど、などと言いつつ、巴のブラウスを軽くはだける。
ボタンの外された箇所から下着らしきレースが覗く。落ち着いた色合いだった。
指をひっかけるようにして押し込むと、手袋越しにまだやわらかい突起に触れる。
巴の肩がひくんっと跳ねる。
押し潰すように指を乳首の下に移動させ、指先で、持ち上げる。感触が、手袋越し
でも分かるくらいに変化する。
告げるまでもなく。巴も、自身の変化に気づいている。俯いた頬が朱い。上半身
を支えるためベッドに突いた手が、強くシーツを握りしめていた。
「服、を」
囁きは上擦っていた。緊張と興奮が半々──いや、七三か。
「まさか、着けたまま、とかでは」
「あ。そっちのが好き?」
思いっきり否定される。「シワになりますし」
「そっか。ボクはキライじゃないけどね。ま、最終的には脱ぐけど。脱がなきゃ
デキないし」
手を離す。と、巴は素早く襟をかき合せた。そして上目遣いに探ってくる。
何が原因かは分かる。
見た目からして予想はしていたし、怜悧な彼女のイメージにも合ってはいるが、
ふくらみは少々控えめだった。ない、と正面切って言えば文句が出るが、ある、と
言うと完全にウソになる。そんな半端な具合だった。
厳徒にとっても残念なことではあったが、そこらへんは腹にしまっておく。
まだ時期尚早だ。
厳徒はわざとらしく咳払いをし。
「トモエちゃん。自分で脱ぐ? ボクが脱がす?」
「っ、そんな、自分で」
そこで巴はひた、と口を噤み、
「――どちらが宜しいでしょうか」
生真面目な口調で問いかけてきた。間があったのは、やはり恥ずかしいからだろう。
目が泳いでいる。
巴はこの行為を“見返り”と呼んだ。
厳徒からそれ相応の対価を得るための布石だと。
だから、厳徒の嗜好になるべく合わせて動こうとの心積もり、なのだろう。
思惑に厳徒が気づかぬはずもなく。
「あ。リクエストしてもいいの? じゃあさ」「申し訳ありません自分で脱ぎます」
くっくっ、と、噛み殺したはずの笑いが洩れる。
「やだなー。ナニ想像したの」
巴は答えず、厳徒のやたらめったら朗らかなツラを流し見、
「なにも」
礼儀正しく背中を向ける。ジャケットから腕が抜かれ、ブラウス生地が晒される。
汗で僅かに湿り気を帯び、その下の肩甲骨と背骨のラインを浮き立たせていた。
「貴方は脱がないのですか」
背中越しの問い。
「脱ぐよ」
少しずつ露わになる肌。
やわらかな室内灯に照らされたそれは、ほの赤く色づいている。
そんなものが、無防備にも、手の届く範囲にあったものだから。つい。
「――っ」
背が仰け反り、長い髪が揺れる。
慌てて振り向いた顔は今度こそ咎めだてするもので、逆立てた柳眉がなかなかに
色っぽい。
「あ。いーよ。続けて」
背筋をなぞって邪魔した当人は悪びれた風もなく手袋付きの手をひらひらさせる。
その笑顔が余計に警戒心を煽ったらしく、「おやおや」巴はベッドの端にまで移動
してしまった。
ここまでされると流石にちょっかいはかけられない。
厳徒はあっさり諦め、手袋のホックを外した。
確認して判った。
宝月巴は経験が薄い。
例えば。先程の悪戯に対する反応とか。
「ん…ふっ、……っ」キスの際、相手の舌の動きを必死でトレースしようとして息を
詰まらせるところとか。
「……っは! 、っ」溜まった唾液を零してしまい「あ、ごめんなさ……けほっ」
うろたえる様子だとか。
「……」ひとつシーツを共有する厳徒の身体──特に下の方から意識して目を逸らす
仕草、だとか。
仰向けになった巴へ、厳徒が覆いかぶさってきたとき、覚悟を決めるように強く
目を瞑るさまだとか──喉元のくぼみにキスされて、驚き目を開けるところとか。
「あれ。イキナリ挿れると思ったの」
酷いな、信用してよと厳徒は笑う。
「だってさ。ホラ」
白い肢体がいちど跳ね、当人の意志の力で抑え込まれる。
足の付け根、翳りの奥へと無遠慮に差し込まれた指から逃げるまい、と、躍起に
なっている。
「――濡れてないし。ね」
微かな湿り気しか感じられないソコを、中指一本でなぞる。刺激に応え熱い体液
がじわりと染み出してきたが、まだだ。愉しむにはまだ足りない。
再び鎖骨の中間へと口づけて、今度は触れるだけでなく、舐める。汗の味。厳徒
の下で、女の身体が震えた。
ゆっくりと、身体の中心線に沿って舌を這わす。女の息遣いに時折くすぐったい
感じが混じるのは、触れる顎鬚のせいだろう。構わず唾液をすりつける。肋の感触。
胸と、ささやかな谷間。引き締まった、けれど線が浮くほどではない腹筋。臍。舌先
をねじりこむと、微かな悲鳴と共に腹がのたうった。
皮膚の特に薄い場所をまさぐられるのは、快感には程遠い感覚だろう。
だが。
指が。潤いの足りない場所をかきわける。さっきとは打って変わって、丁寧に浅い
部分を刺激し、僅かな体液を絡め取り、擦りつける。
その指を、熱と量を増した蜜が濡らす。
不快感と、確かな快さ。巴の身体はどちらの感覚を優先するかの選択を迫られ、
後者を選んだらしい。
押し殺した甘ったるい呼吸。
指を進ませる。ぐずるような抵抗。御当人は息を詰めて受け入れようとしている
のだが、経験の薄い身体はそう簡単にいかないようだ。
それでもナカで指を折り曲げひっかくと腰がびくんと跳ねた。上から押さえて、
今度は指の腹でその場所を擦る。微かな、堪えた喘ぎ。ようやっと解れたやわらかい
肉と、節くれだちカタい指の隙間を、ねっとりした熱い粘液が埋めてゆく。
声は殺したままだ。
厳徒がくちづけ舌でかきまわした時も、巴は堪え切った。
汗に濡れた腹。身体の中心線上にある、かたちの良いへそ。脚を押さえて動けなく
したところで思うさま舐る。
「……っ!」
信じられない、と、声ならぬ声がした。
信じられないのはどちらだろう。こんなワケの分からない場所へ愛撫を加えている
厳徒か。薄すぎる皮膚を越してダイレクトに内臓をかきまわされている不快感を、
怖気立つような快感に捉えてしまう巴自身か。
指で今度は間違いなく内側から刺激すると、押さえた脚が引きつるのが伝わる。
ついでに色づき始めた肉芽にとろとろの襞からすくいあげた蜜を塗りつけてやる。
と、大きく背が反って、ぱたんとベッドに落ちる。息が荒い。
素直な反応だった。
余程のことがない限り、厳徒のやることを全て受け入れる心積もりなのだろう。
ここまで目立った抵抗はない。従順な態度だ。ちょっと面白くないくらいに。
――まあ、いいか。というのが結論だった。
突っ込んで楽しめる程度には持っていけたのだから、まあまあと評価すべきだ。
膝を割り、太腿の裏に手を当て大きく開かせる。濡れた場所が晒される格好にする。
巴が眉根を寄せるのが見えた。
震えている。
それが羞恥心から来たものだとは知っていたが、
「あ。ダイジョーブだよ。ゴム、着けたから」
わざと無視する。
これからやるコトを告げる。
巴は少しだけ口許を震わせて、シーツに長い髪を散らすように首肯した。
それでも、恐いものみたさか、きちんと避妊具を付けているのか確認するためか、
巴は肘をついて上体を起こし。
視線が、じろじろ見ない程度に胸板を、腹を、辿り。「ふえ?!」
――。
――なんだ。今の音。というか声。ドコから出た。むしろダレが出した。考える
までもない。現在此処には二人の人物しかおらず、片方はひっくり返ってもそんな
声は出せないのだから。つまり。犯人は。
男の下半身に目をやった瞬間頓狂な悲鳴を上げて慌てて口を手で塞いで真っ赤に
なって視線を泳がせている、この。
「いえ! 今のはちょっとした、そんな、おかしい、とかじゃなく!」
しかも何やら言い訳を始めた。
「体格を考れば当然だし、いえですし、だから、ですからちょっと驚いただけで」
厳徒は。
自分の下にある、知り合って一週間足らずでこんなことになった女を、非常に奇妙
な心地で眺めていた。
不退転の表情。証拠品を真直ぐに見る、蒼褪めた横顔。“トリヒキ”を持ちかける
一種ふてぶてしい態度。
それらと、今の彼女とが乖離しなかったのは、あの姿を見ていたからだ。
不安そうに爪を噛む、おギョウギの悪い、幼い仕草。
「わ、笑わないでくださいっ」
馬鹿にされていると思ったのか、巴が抗議してくる。目尻にうっすら涙が滲む。
「してない。してない」
「だって、──っ」
避妊具をつけた先端で入り口をなぞると、口は喘ぎを抑えるために閉じられる。
茂みの奥は、上の口とは逆に、押しつけられたモノの大きさを左程恐がってはいない
様子だった。とろとろ涎を零してねだるようにひくついている。
そこに。
一気に、いれた。細い腰が逃げないように、掴んで。苦しげな悲鳴が上がるより、
早く。
白い喉から息が洩れる。吐いたはいいがうまく吸えずにがくがくと震えている。
「ヘーキでしょ? ゼンブ、入ったし」
囁くと、ケーキ屋のマスコットみたいに首を上下に振る。
これ以上醜態は晒せない、と、全身でつっぱっていた。
引いて、再度押し込む。狭い場所は何処でどう動いても絡んで締めつけてきて、
快感を与えてくる。興奮のまま叩きつければそう遠くない内に射精に持っていける、
のだが。
予想通り、というか思惑通りに動き過ぎるのは、却って退屈なものだ。
男根を奥まで進め、更に細い裸身へと覆い被さる。元から大したものではなかった
互いの距離は、ゼロへ近づく。体重を掛けられ──完全に潰さないよう調整はして
いる。念の為──巴の顔が苦しげに歪み。
「トモエちゃん」
そこに。
囁く。
「かわいい」
「――──?!」
囁いた側が驚くほど、反応は大きかった。
「な」
目を見開き、必死で囁かれた形容詞の意味を咀嚼し。
「や──止めてください!」
思いっきり、嫌がっていた。首を捻じ曲げ、しかめた眉だとか、食いしばる歯だ
とかを隠そうと躍起になっている。
見える範囲は。
見えない箇所、繋がった部位も、反応を返してきていた。表情よりも、尚激しく。
びくっと震え、今までに増して締めつける。ナカのモノにたっぷり体液を垂らし、
奥へと誘うように蠕動する。
「何? ――嬉しい? 『可愛い』って誉められるの、スキ?」
「嬉しくない、ですっ。馬鹿に──」
「そっかなあ」
快い場所から一旦引き抜く。裏筋を名残り惜しげになぜる感触に、ぞくぞくする。
亀頭が抜けきる前に止めて、前に、進める。
白い喉が反る。滑らかなそこから汗が伝い落ちた。涎かもしれなかったが、判別は
出来なかった。
「こっちは」
悦んでるみたいだけど、と続けようとして。
観察。
止める。
これ以上は、まずい。
――どうやら此処まで。
言葉で甚振られることに慣れていないのだろう。言葉で快感が得られることもまだ
知らない。震えて、怯えて、ごっちゃになった嫌悪と悦楽のどっちを優先すればいい
のかすら分かっていない。
まあ、いい。
“今”はそれでいい。
晒す喉にキスする。細い身体の内と外がひくつく。まだこういう浅い刺激の方が
反応し易いらしい。
もしくは。もっと直接的で、激しいヤツとか。
甘ったるく掠れた悲鳴が上がる。まだ、嬌声と呼ぶには物足りない。
引いて、叩きつける。硬いものを抜かれてさざめくソコへ、強くねじこむ。きつく
拡げられ、それでもぎゅうぎゅうと絡んでくる襞は、離すまいと包んでくる肉は、
ゴム越しだろうと充分心地好い。
限界を感じ、最後、深いところに亀頭を思い切り擦りつける。
「――、――」
声になる寸前の吐息は、鋭く、細かった。
下になった女の身体がぎゅうっと硬直し、同時にナカも男根に沿って絞られる。
絶妙の刺激による吐精は、ひどく、満足のいくものとなった。
宿泊はせず帰宅する、と言う巴を送り出し、厳徒はひとりほくそ笑む。
最後で趣味に走ってしまった感はあるが、印象付け自体はまあまあの出来だった。
初回はあんなものだろう。下手に痛がらせるのは得策ではない。これからも関係を
続けるのであれば、徐々に慣らしていくべきだ。身体も、心も。
もう少し馴らして──“信頼関係”を築いていって。遊びを入れるのはそれから
でも遅くない。
何事も徹底的に。
叩く時は、完膚なきまでに。
そして。
餌を与える時は、たっぷりと。
馴らす。
飼い馴らす。
彼女は面白いことを言っていた。
『検事になりたい』
捜査官としての経験と実績と、警察局との繋がりを持った検事になりたい、と。
(それは思いつかなかった)
警察局の人間が、検事に転向するなどと。
ひどく、愉快な考えが浮かんだ。
厳徒海慈。次期警察局副局長である自分は今でも検事局に太い人脈を作っている。
しかし、もしも“頼みごとの出来る相手”ではなく“自分の手足となって働く人間”
を検事局のトップに置けたなら?
それは、厳徒が警察局と検事局を牛耳る──ということにならないだろうか。
「ああ。楽しいな、それ」
警察局長がゴールなのだと思っていた。
けれど、その先が。
まだ上が。
──それは、今は単なる妄想に過ぎない。
まだ局長にもなっていない男が、唯の捜査官の女を手に入れて見る夢に過ぎない。
今は、まだ。
彼は自分の年齢を考える。
六十歳。還暦だ。
本来ならばもう捜査官として現場に出る年齢ではない。後進にアトを任せて退職
するか、後進をまとめる役職についているべき齢だった。
「や。や。チョーさんじゃない! どうよ。最近、泳いでる?」
「お。これは厳徒副局長、警察局副局長就任、おめでとうございます。いや、最近
ヒマがなくて……」
「ダメだよー。ヒマは見つけるモノじゃなくて、作るモノだよ。今度、いつものアレ、
どうかな」
「ほ。ほ。アレですな」
顔見知りの裁判官と挨拶を交わす。
他人が彼を呼ぶ際の肩書きは“地方警察局副局長”だ。
その呼称に付随する意味をひとことで述べるのは難しいが、とりあえずこれだけ
言っておけばいいだろう。
この国の司法のトップに、とてもとても近い席、と。
彼──厳徒海慈は心の底から嬉しげな笑みを洩らす。
彼は、間に合ったのだ。
裁判官との会話を終え、別れの挨拶を交わす。
今日は地方警察局の新局長及び新副局長の就任式だ。警察局のみならず検事局、
裁判所の人間も数多く出席している。挨拶をしなければならない人間は山ほど居る。
厳徒海慈。
彼のように、副局長の更に先──警察局長を狙う者には、特に。
ひととおりの挨拶──新局長も含めて──を終えた厳徒に、控え目に声を掛けて
きた人間がいる。
「副局長ご就任、おめでとうございます」
丁寧に頭を下げるのは宝月巴だ。
「や。わざわざアリガト。……局長さんへは、もうアイサツした?」
「いいえ。先に厳徒主席捜査官に、と思ったので」
世辞であっても、これは中々に宜しかった。
しかし。「“主席捜査官”って。ホラ、せっかく副局長になったんだから、そっち
で呼んで欲しいな」
冗談めかした台詞に、巴は静かに微笑んだ。
「これからも捜査に関わられるのですよね」
「まあね」
「ならば貴方は、貴方が現場に立ち続ける限り、“主席”捜査官です」
――本心からなら面映ゆく、世辞とすればこれほど出来たものもない、カンペキ
な殺し文句。
「それに」
巴は。
彼女は。
白く端正な口許を薄く微笑ませて。
「“副”の肩書きを、そう長くはつけておかない心算だろうと、そう考えています」
澄ましたツラで、直ぐに変わるなら、呼び方を替えるのはそれからでも遅くない
でしょう──ときた。
この、コムスメ。
今のは最高のタイミングだった。貴方の元で学びたい云々といい、ベッドの外なら
こんなにも上手く男を転がせるのか。
「トモエちゃん。キミ、いっそのこと検事局長目指す? ボクが警察局長で、キミが
検事局長。二人で法曹界、牛耳ろうか」
巴は厳徒の台詞を冗談と受け取ったらしく、返答を避けちいさく笑う。
そして二人は同時に視線を移す。就任式会場、そこに集まる人の群れ、共闘し、
利用し、時に利用され、或いは蹴落とさねばならない面々を。
二人は肩を並べ、見ていた。
この時は。
この瞬間だけは、同じものを見ていると。そう思ったのだ。
646 :
厳徒×巴:2009/10/01(木) 19:42:50 ID:kHvP9/58
終わり。長々とスマンかった。
ストック尽きたんで茜モノを正座で待つ作業に戻る
乙乙
ゆっくり読ませてもらいまっさー
リアルタイム遭遇
刑事ドラマ好きにはツボすぎる物語だった
おもしろかったよー。GJ!
649 :
名無しさん@ピンキー:2009/10/02(金) 00:22:15 ID:Moji7sUy
うぉぉ、超好みです・・・・今日はよき日になった・・・
局長腹黒過ぎだろw 大作乙
おもしろかったー。乙でした。
さーちの新着サイトの中の人かな?応援してます
そういや上にあった巴と茜とガントで3Pを考えてみたんだが。
ガントがすっげえイイ笑顔して、
「妹ちゃんの初めてだけど。ボクがやるのを見てるのと、ジブンでやるのと
どっちがいい?」
とか言って巴にえげつねえ道具渡す。
↓
泣く泣く自分で茜を犯すことを決めた巴なんだが、
「あ。トモエちゃん、使い方、分かんないでしょ」
「妹ちゃんに使う前に自分で試しておきなよ。ここで。今すぐ」
「大事な妹ちゃんにイタい思い、させたくないでしょ?」
そんなこんなで巴さん強制自慰(道具使用)
という電波を受信したんだが、3Pにならなかった。
男1女2でプレイって難しいな
651のせいで二度と書いてもらえないかもしれないんだぞ
それぐらい悪質な書き込みだよ
別に謝らなくていいから今後はちゃんと考えて書き込みなよ
ここに投下してくれてる職人の中には
他にもサイト持ってる人達が何人かいる。
多分それは住人達も知ってるはず。
それでも皆が触れずにいる理由を考えて欲しい。
応援したいなら、ここに
>>651みたいに書き込まずに
直接サイトから応援メッセージを送れば良い。
せっかく逆裁の職人達はレベル高い人達が集まってるんだから
それを潰すような真似は勘弁して欲しい。
>>653 自分も便乗して考えてみたけど
姉妹を絡ませてニヤニヤそれを視姦する局長しか浮かばなかった。
そして653の展開の後に、強制自慰で体に火が付いた巴に
局長がちょっかい出してクタクタにさせて
「そんなフラフラしてたら無理そうだね、しょうがないからボクが代わりに略」
ってなるのが想像できたけどちょっと鬼畜すぎだな
>>656 更に便乗して。
突っ込まれて痛がって泣いてる茜の負担を少しでも減らそうと、疲れた身体に
鞭打って優しくちゅーしたり色んなとこ舐めたりする巴。
姉の愛撫に必死になってすがりつく茜。
そんな姉妹を見てニヤニヤしてるガント。というのを想像した。コレなら3Pになりそうだ
スレ容量を気にしつつガントモ投下しますよ。
注意
・巌徒×巴
・巌徒と巴は愛人関係という妄想前提
・フェラのみ。本番なし
・女攻め描写あり
・
>>555のネタを引っ張っているが、単体でも読める
・キャラが壊れているのは仕様
・おっさんが喘ぐのも仕様
セックスが好きか、と訊かれれば、否、と答える。
けれど嫌いか、と訊かれても、まあそれほどでも──と答えるしかない。
そもそも宝月巴にとって、性行為は。もっと言えば巌徒海慈とのそうした行為は、
好き嫌いでくくれるものではなかった。食事と一緒だ。メニューによって好き嫌い
はあれど、基本は“やらなきゃならないコト”だ。何しろ食べないと死ぬ。
ああ、世の中には食事が楽しくてたまらない人間もいる、という点でも一緒かも
しれない。巴には理解し難いが、セックス自体が好きでやると幸せになる人間もいる
のだろう。
それとも。巴は考える。
恋人とか、夫とか。そういう“愛する相手”とするなら別なのだろうか。
よく分からない。
過去には好きな相手とも経験があったはずなのだが、よく覚えていない。
巌徒海慈を愛しているか、と訊かれれば、間違いなく、否、と答える。
けれど嫌いか、と訊かれても──さてどう答えよう。自分の意志で身体を預けて
いるのだから生理的に嫌だとか触るとじんましんが出るとかレベルで嫌ってはいない
はずなのだが。
宝月巴は考える。
こうして言い訳めいた独り言を繰り返している時点で、自分と彼との関係も知れた
ものだ、と。
考え過ぎがよくないのかもしれない。鉢植えのサボテンにだって、毎日世話をして
やれば情も湧く。名前だってつける。
つまり。
宝月巴が巌徒海慈との性行為に対してちょっとは気を遣ってあげようとか思っても、
それは彼を愛しているからではなく、セックスが好きだからでもなく、単にそういう
付き合いのある相手にサボテンと同程度の情がわいたから──ということなのだろう。
オーケー。言い訳完了。
巴はプラスチックの容器を手にひとり頷いた。極細二百本入り、抗菌加工。『手を
清潔にしてからご使用ください』。
「よし」
頑張ろう。
巴は覚悟を決め、容器のフィルムパッケージを破った。
『今度くちでする際にはもっと上手くやります』
そう発言したのは巴だった。但し“今度”の時期を決めたのは彼女ではなかった。
今夜を“今度”と定めたのは巌徒の方だった。
「や。や。まさかトモエちゃんがこんなコトしてくれるとはねー。変われば変わる
モンだ。イヤホント」
腹立たしいくらいに朗らかな様子で椅子に腰掛ける巌徒と、その足の間に屈みこむ
巴。なんだか何時かに見た光景だった。はだけたバスローブから男根が覗いている
ところも、微妙に下向き加減のそいつを何とも言い難い具合でつつき回している女
の両手も、なにかの繰り返しのようだ。
以前とちょっとばかり違うのは、巴が身につけたバスローブの帯をしっかり結んで
いるところだろうか。お蔭で巌徒としては視覚的に残念なことになっている──かと
思いきや。かっちり合わせた衿と、裾を割り覗く太腿の対比が、これはこれで宜しい。
よくよく考えれば巴の胸元は普段の格好でも見れる。
通常隠されるべき場所が露わになる、それだけでも興奮はする。
しかし同時に通常どうってことなく晒されている場所が隠されると、前者のみの
場合より興奮する──誰の言葉だったか。
まあ、いい。
見たくなったら剥げばいいだけの話だ。
その程度の要求が通るくらいには手懐けてある。
ここしばらくの成果にご満悦な巌徒。彼の心中なぞ知る由もなく、忠実な、少なく
とも余人の評価ではそうなっている女は、相も変わらずの真摯な態度で行為を開始
した。
巴は右手で陰茎の部分を握り、左手は下から支えるようにてのひらを合わせている。
緊張しているせいか、手は微かに湿り、冷たい。ほんのり朱らむ目尻とは対照的だ。
指先は、更に温度が低い。その強張った部分が竿と陰嚢の間をかりかり撫ぜる──
爪を立てないので、ひっかく、とまではいかない──のは、なかなかに刺激的だ。
動きは、猫の喉を掻いてやる仕草に似ている。小刻みに指を動かし、心地好さげに
反りかえる部分を掌を使って優しく撫ぜる。対象が犬猫みたいに可愛らしいもので
ないのを除けば、そのものだ。
「失礼、しますね」
ん。と。
巴が口をあけて、舌を突き出し。亀頭を舐める。
鈴口に沿ってつうっと裏側から舌先でなぞる。刺激にじくりと滲み出た体液を舐め
とるかたちになる。男根が反応し、こころもち持ち上がる。
やわらかい唇とやわらかさの中に弾力と熱を持った舌が、勃起し始めた男根を愛撫
する。
乾いた陰茎に唾液を垂らし、舌でなすりつけ、唇ではむ。巴の頭が徐々に下がり、
側面を圧迫しつつ根元へと向かう。追従するようにして、微かな鼻息が濡れた箇所
にかかる。一瞬だけ冷やされる皮膚は、すぐに内側からの熱で元に戻る。偶に当たる
硬い感触は、歯か。
未だ遠慮というか弱弱しさが残る口淫では、却っていいアクセントになる。
そくそくとした、しかし吐精までには至らない快感が、腰の辺りに溜まってゆく。
「──っは」
舌の動きが止まる。
巴が顔を離し、ぐずるように小さく鼻を鳴らし。
「――」
蚊の泣くような声で、再度、失礼します、と呟いて。
立て膝の姿勢から、顔が伏せられる。
覆い被さる。何に。屹立する男性器に。
まずは亀頭が舌の上に載り、ざらざらした味蕾で擦られ。たっぷりと唾液を溜めた
口腔に迎え入れられる。
舌先は亀頭を越え、張り出した雁の下をつつく。その生温かな舌と、硬い上顎で、
咥えた部分を圧迫される。全体の三分の一ほどだが、巴にはここが限界なのだろう。
それ以上には進まない。
巌徒からは、巴の表情は見えない。
微かに上下する頭と、緊張からか息苦しさからか、強張る背だけが視界に入る。
唯、口のなかのモノを咥えてねぶって吸う、ぢゅうぢゅうという下品な音と、膣内
とはまた違う絡み方をしてくる口の様子から、想像はついた。
それはもう、みっともなく歪んでいるのだろう。
下腹部からくる刺激とは別の、頭の内側からくる愉悦。
彼女を支配するのは己れ。
この女は自分のモノだ。その証拠に。
「──っ?! ん、く――っ」
上顎の、奥。柔らかい肉の辺りをめがけて突き上げる。温かく張りのある感触が
押し返してくる。
苦しかろうに、巴は直ぐには口を離さなかった。身体の震えを殺し、歯を立てぬ
よう唇を開き、耐えている。ひくひく痙攣する咥内はどろりと熱い。
は。と、短い呼気が洩れて。
男根が温かな場所から放り出されて外気へと晒される。熱持つ場所に、ぽたりと
垂れてくる唾液。量が多いのと粘つくのは、巴のものではない体液が混じるせいか。
咳込む音。呼吸を阻害するまでは耐えたらしい。
見上げてくる瞳が、潤んでいる。
「ダイジョーブ?」
口先だけの心配に、こくりと頷くさまが、何とも。
バスローブの袖で口許を拭う仕草と相俟って。
ひどく、煽る。
さて。このまま続けさせて口の中にブチまけるか、それともきちんとした場所に
突っ込んで終わるか。どちらも魅力的な選択肢だが──
と。
まあ。
そんな楽しい悩み事を抱えていたものだから。
「ええと、こう……よね?」
屹立の先端にぞわりとした異様な感覚が生まれるまで、巴がナニをしているのか
気づかなかった。
ぐい、っと。
「おふぅ?!」
ぞわぞわが、押し込まれる。途端、精管を逆流する快感──快感?!
野太い男の喘ぎ声なんて気色悪いものが自分の口から発せられたというのも充分
ショックだったが、それよりも鈴口を起点とするワケの分からん感覚を“きもちいい
もの”と受け取ったことの方が信じられない。自分のことなのに。
歯を食いしばり、脂汗を流しながら、足の間を見る。
屈みこんだ巴がいる。これはいい。左手で屹立を握っている。これもいい。巴の
右手は男根の先端近くで──何か、細いものをつまんで──天井を仰ぐ。平常心。
そう、まずは落ち着いて。現状把握はそれから。
ぐりっとまた掻き回される。今度は堪える。刹那腰が浮きかけたが、堪える。
視線を戻す。巴がいる。巴の鼻先には雄々しくそそりたつブツがある。そしてブツ
の先端に──
「……トモエ、ちゃん?」
「はい」
「ナニ、してるの、かな?」
巴はそこで頬を赤く染め。「こうすると気持ち好くなる、と伺ったので」右手に
持った綿棒を、動かした。
綿棒の頭を呑みこんだ鈴口から、ぐちゅりと粘った音がした。
男性器から、白く細い綿棒が生えている。
ちょっと。いやかなり間抜けな光景だ。突っ込まれてるのが自分じゃなけりゃ指
さして笑いたいくらいだ。
巌徒の様子から何事か悟ったのか、巴の表情が曇る。
「申し訳ありません……慣れていないもので」
慣れているとか慣れていないとかの問題ではない。
そう文句をつける前に、抜かれた。そうっと尿道を滑る一センチメートルの距離
が無限の拷問に思えたとして、誰が責められようか。
とにかく。新しい世界への扉がおいでおいでしているのを幻視しつつも、巌徒は
どうにか耐え切っ「濡らさないと駄目なのかしら」
今。
恐ろしい、台詞が。
見下ろす巴は、
持っていた綿棒をひっくり返しはくんと口で咥えねぶり湿らせ構え直す彼女は、
明らかにナニが問題なのか理解していなかった。
逃げられなかった。
巌徒は椅子に腰掛け、巴に屹立を握られ、不肖のムスコときたら持ち主の意志を
無視してだらしなく口を開け涎を垂らしていた。
引っこ抜いたばかりで拡がったままの尿道へ、再度押し込まれる固い感触。出口
にしか使ったことがない、というか入り口になるとか普通有り得ない場所を逆流する
容赦のない痛みと快楽。ずるずると身体の内側を抉られて、あまつさえ──陰嚢を、
腹の底を震わせる鋭い──抜き差し、いわゆるピストン運動。ぐっちょんぐっちょん
いってるのは先走りだろうか。コレ、凄いことになってるんじゃなかろうか。奥歯
が砕ける勢いで歯を食いしばる巌徒に確認する術はないが。
――攻め手に回っている相手が、巌徒を屈服させてやろうとか。醜態を嘲笑って
やろうとか。そう考えているのであれば、反骨心とか抵抗とかそういうのが持てた
のだが。
「主席捜査官」
優しく。心配の色さえ込めた、問い。
「如何ですか」
私の遣り方で、間違いはありませんか。貴方の希望に沿うものですか。貴方を満足
させられていますか。
下の者から上の者への問い。奉仕する側から奉仕させる側への問い。
繊手が、綿棒を、不慣れな娘に挿入する如く気遣いながら──尿道へ押し入れる。
限界だった。
巌徒にとって幸いだったのは、巴が握ったものの変化を察知したおかげで彼自身は
情けない声を出す危険を冒さずに済んだことであり。
巌徒にとって不幸だったのは、巴が握ったものの変化を察知して、次なる行動に
移ってしまったことだった。
巴の思考の流れを読むのは至極簡単だ。でそう。出すにはフタしてちゃまずい。
フタを外さないといけない。
で。
結果。
慌てて、一気に綿棒を尿道から引っこ抜き。
射精とは似て非なるカタいものが中を駆けあがる感覚が。止めとなった。
「え──きゃっ! や、ちょっと、待っ」
巴の額へ、整った鼻梁へ、唇の上へ、半透明の粘液が振りかかる。
空気に触れて白く濁ってゆく己が体液と、涙目でそれを拭う巴を眺めながら、ああ
強姦される女性ってこんな気持ちなんだろうなァ──と、ふと思った。
「――は」
「……主席捜査官?」
「はっはっは」
そこで。今度から優しくしようとか。せめてプレイ前には合意を取りつけようとか
考えられるなら。巌徒の人生も随分変わっていただろう。
「トモエちゃん。さっき、“イカガですか”って訊いたよね」
巌徒が床からプラスチックの円い容器を拾い上げる。極細綿棒、二百本入り、抗菌
加工。『手を清潔にしてからご使用ください』。
「え、え」
屈辱だ。
例え巴の思惑が善意からであったとしても、とても我慢できるものではない。
「口で説明するのはムズカしいから──直にやろうか」
「ちょっと! 主席捜査官?!」
逃げ腰になる女の裾を踏みつけて、縫い止める。
「さ──最低です! 貴方、そんな──」
「へえ。自分はやっておいて、ヒトにはそんなコト言うの。トモエちゃんってさあ、
そーゆートコあるよねー」
「そんなつもりじゃ──!」
「ま。どっちにしろ」
ケースから綿棒を一本引き抜き、蒼褪める巴に示してやる。
「キミがきちんと“理解”するまで帰さないからね。――じゃ。始めようか?」
屈辱は、受けた分と同等かそれ以上の屈辱でしか雪げない。
巌徒海慈の、男の矜持を取り戻す戦い。或いは巴の不幸は始まったばかりだ。
664 :
巌徒×巴:2009/10/06(火) 18:11:51 ID:9Zg4V9I7
投下終了。
巴「よく来たなガント、実は私は一回ピストン運動しただけで死ぬのよ!性的な意味で。」
というネタを入れたかったけれど上手くいかなかった。
局長は鬼畜からアホエロまでこなせるナイスミドルだと思います。
乙ですイイヨイイヨー
最近のガントモ攻勢に蘇る再プレイ始めてしまいましたw
そろそろ連投ウザイ
サイトがあるのに何でわざわざここに投下するの?宣伝?
667 :
名無しさん@ピンキー:2009/10/06(火) 21:12:04 ID:xxwWiHQo
変なのは無視して・・
いいです〜・・・自分もまた蘇る・・をやりたくなった。パイプオルガンが聞きたいw
GJ
綿棒wwwwww
前のおキョウさんの髪の毛アドバイスの影響なんでしょうか
巴の迷走っぷりがおもしろすぎます。いいぞもっとやれ
サイトあっても別に良いじゃん。
でもちょっと空気読んだ方が良いとは思う。
GJ!
そして、気にしなくていいよ。
ただ、連投すると辛いこと言われやすくなるから、
大丈夫かな・・・と心配はしてた。
スレが文章で活気づいてる方が楽しいはずだから
ネタと気持ちがあれば、また投下してください。
ただでさえナルマヨミツメイが他スレに移って
過疎ってるんだから、投下がある分だけ楽しんだらいいじゃんかw
ミツメイやナルマヨはどれだけ長文が連投されてもGJの嵐なのになw670に同意
ただここに投下したのをサイト再掲はまだしも、サイト掲載したのを
ここに投下はあまり褒められたことではないとは思う
そしてしつこいかもしれんが、
>>651は猛省するように
お前がルール違反するから
>>666みたいなのが沸くんだよ
2chで個人を特定されると叩かれるからな。
ナルマヨミツメイが移ったんじゃなく、
キャラ単体だったり特殊っぽいのがあっちに移ったんだよね?
サイト餅の人と
>>658は別人じゃ?
ともあれ、巴さん大好きな俺は両方美味しく戴きましたごちそうさまですGJ
サイトと2chとどっちが初出だろうが連投だろうが
小説が書けない人間としては、ありがとうとごちそうさまとしか言えないし言いたくない。
パクリ転載だったら問題あるけど、本人の意志ならそれは喜んで然るべき。
>>674 ナルマヨはわからないけれど、ミツメイはそれで合ってるはず。
スレ容量が480kb越えたけど次スレどうする?
テンプレ等に変更がないならスレ立て挑戦してくるけど
>>676 成歩堂はわからないけど、真宵もそれでおk。
>>677 このスレで気になったのは誘い受けかな。
テンプレの「需要の有無」のあとに「誘い受け」を加えても良いかも。
早漏過ぎるだろwと思ったがもう485 KBだったのか
逆検での盛り上がりはまだ続いているな
新スレでもまったり
>>680スレたて乙です!
700レスいかずに次スレとは、豊作だった証拠だな
スレ前半は検事で加速、後半は旧作ネタフィーバータイムって印象だ
キャラの童貞処女予想表ってどこかにない?
昔見た記憶はあったんで探してはみたが、見つけられなかったんだ