懐かしYAWARAのエロパロ 7

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1名無しさん@ピンキー
懐かしYAWARAのエロパロ 第7弾です 。復活しました。
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懐かしYAWARAのエロパロ
http://www2.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1020005505/l50
懐かしYAWARAのエロパロ 2
http://www2.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1038791719/l50
懐かしYAWARAのエロパロ 2 .1
http://pie.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1038974096/l50
懐かしYAWARAのエロパロ 3
http://idol.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1087581794/l50
縮刷版
http://www2.gol.com/users/kyr01354/yawara/index.html
→縮刷版のCashに4、5のログ有り
2名無しさん@ピンキー:2009/03/19(木) 03:13:39 ID:EEn3K5dO
はじめまして、エロい人たち!同じくエロエロの伊太郎です。
1つ作品書き終わったけど、スレないから自らはりきって立てた。たくさんの職人さんが来るといいな。
人生初のスレ立てがエロパロなんて泣けてくるけど、なんか不手際あったら優しく教えてねん。

以下、この作品を読む際の注意点。
1. すんげ〜長い。番号ふってる通り、88+エピローグ2本で90レスも消費しちゃうけど、日を分けて投下するから、
「ここはお前の専用スレじゃねーんだよ!」って苛めないでね。
2. 大した事ないエロもあるにはあるが、そこにたどり着くまでとにかく長い。
 このスレ、エロパロだったよな?って途中でスレタイ見直しちゃうくらい長い。
「エロは一体どこにあんだよ!?」って苛めないでね。
3. 舞台がニューヨークのため、柔と松田だけで話を動かすことができず、オリキャラが登場している。
4. 創作なんか書いたことないのに勢いでやってしまった。いろいろおかしいとこいっぱいあると思う。正直、すまんかった。
じゃ、以上の点がうぜ〜と思う人は、華麗にスルーでヨロシク!
31992年の秋のこと:2009/03/19(木) 03:15:23 ID:EEn3K5dO
<1/88>
長年の想いをようやく実らせた、空港での別れから3ヶ月が経とうとしている。
柔は今日も朝からお弁当作りに励んでいた。
「ん〜、やっぱ色どりが寂しいからプチトマトも入れようかな〜」
軽く腕組みをして思案していると、玄関の方から電話がなっているのが聞こえた。
「もう、誰かしら?こんな朝早くから!」
朝の7時半という、電話するには少々非常識な時間帯であったため、柔はちょっといらつきながらも電話の方へ向かった。
(あ、もしかして・・!?)ふと何かに思い当たると、一瞬にして目が輝き口元が緩む。
(こんな時間帯ってことは・・!?)一気に期待に胸が高鳴り、思わず足が早まる。
わくわくしながら電話に駆け寄った瞬間、どこからともなくぬっと手が伸びてきて、先に受話器を取ってしまった。
「あっ・・、おじいちゃ・・・!!」
「誰じゃ!こんな朝っぱらから!わしは猪熊滋悟郎八段じゃ!間違い電話じゃったら許さんぞ!!」
そう一気にまくしたてると、受話器の向こうでは数秒の沈黙が流れ、
『あ・・、あの〜・・じ、滋悟郎さん!?す、すみません!そちらは早朝でしたか・・
ちょっと最近徹夜続きで時間の感覚が・・えっと松田ですけど〜・・』
電話の相手が気になる柔は必死で聞き耳をたてる。
「ちょ、ちょっと、誰からなの?」
しかし、滋悟郎は受話器を奪い取ろうとする柔を軽くかわしながら、鼻をほじりながら大ボラをかます。
「なんじゃ〜!?日刊エブリ〜?柔ならおらんぞ〜」
「ちょ、おじいちゃん!!嘘ばっかり言わないでよ!!」思わず大声で抗議すると、
『あ、柔さん?』受話器から微かに松田の声が漏れ聞こえた。
41992年の秋のこと:2009/03/19(木) 03:16:06 ID:EEn3K5dO
<2/88>
「ああーーっ!やっぱり松田さんからじゃない!おじいちゃん!電話代わってよ!」
「ほーほっほ!ダメじゃ!取材ならわしが受け付ける」
「取材じゃないわよ!」
「ほ〜お、新聞記者が取材でもないのに電話とは、一体何の用じゃ?」
「な・・、なんだっていいでしょ!?いいから貸して!」
『あ、あの〜・・なんていうか・・また掛け直しますんで〜・・』
柔と滋悟郎のやり取りを受話器越しに聞いてしまった松田は何だかいたたまれなくなり、そう申し出た。
「ちょ、や、やだ!おじいちゃん!!早く受話器貸してよ!」
柔の必死の攻撃を滋悟郎はひらりひらりとかわす。
「ほーほっほ!そうか、日刊エブリー!今度もわしが電話に出てやるから、好きなだけ取材するがよい!
わしの武勇伝 ”死闘!月の輪熊編” をた〜っぷり聞かせてやるぞい」
『え”・・い、いや〜それは・・ははっ!じゃあ、柔さんによろしくお伝え下さい』
「うむうむ、わかった。じゃあな」
ガチャ!
「ああああーーーっ!!おじいちゃん!!本当に電話切ったーーーっ!!」
柔は本当に信じられないといった風に目を見開き、滋悟郎に詰め寄った。
「なんじゃ?あやつからの電話がそんなに重要か?どうせ取材の申し込みじゃろう?
わしが代わりに受けてやるんじゃ。お前も時間を取られず柔道に専念できてよいではないか?」
「ひっどーい!」
「なにがひどいんじゃ?それともなにか?わしの知らぬところで取材以外の何かがあるのかのう〜?」
「ドキ・・!な、何にもないわよ・・」
「そうかの〜」
そういって滋悟郎は下から柔を見上げて、粘っこい視線を投げかけてくる。
「や、やあね、何言ってるの!あ、大変〜!急がないと会社遅刻しちゃう!」
柔は滋悟郎の執拗な視線攻撃に耐えられず、目を斜め上方にそらしながら台所へと駆け出した。
「ふん!柔め!あの日刊エブリーと何かあるのはわかっておるのじゃ。
わしに隠れてこそこそしおって。こうなったら意地でも口を割らしてやるぞい」
滋悟郎はあっかんべーをして、柔の後姿を見送った。
51992年の秋のこと:2009/03/19(木) 03:17:37 ID:EEn3K5dO
<3/88>
柔と松田が付き合っているのを知っているのは、玉緒、花園夫妻、邦子、鴨田とごく少数であった。
あの国民栄誉賞授与式の日、松田が柔を連れ出したことで大騒動になったのだが、
日刊エブリーの出過ぎたスタンドプレーということで決着がついてしまった。
日刊エブリーは紙面にお詫びの記事を出し、局長が謝罪会見を開くなど、誰もが松田の首を確信したのだが、
予想に反して部数が飛躍的に伸び、また、柔が必死にフォローしたことで、何とか首はつながった。
編集長はカンカンに怒り、連日アメリカまで松田を罵る電話を掛けてきていたのだが、
部数の急上昇とともに「いや〜さすが松田くぅん!!こうなることがわかってたんだよね?」と、
いやはや毎度のことながら、手のひらを返したように甘〜くなった。
柔は滋悟郎にも松田とのことを言おうと思ったのだが、振り返ってみると大学受験から就職まで、
人生の大切な節目に散々邪魔されてきたことを思うとイマイチ決心がつかないでいた。
とにかく松田とは絶対にうまくいきたかったので、邪魔されるのがとても怖かったのだ。
61992年の秋のこと:2009/03/19(木) 03:18:40 ID:EEn3K5dO
<4/88>
お弁当をカバンに詰めると、柔は元気よく玄関を飛び出した。
「いってきま〜す!」
今日はすこぶる機嫌がいい。久々に松田の声を聞いたのだ。
(ほんのちょっとだったけど・・。こんなに元気になれるなんて・・)
柔はほころぶ顔を両手で押さえつつ会社へと急ぐ。
実はここ半月ほど松田から連絡がなかった。
柔から掛けてみたこともあったがいつも不在で、忙しいからとわかっていてもつい、
いろいろな妄想をしてしまい、不安に耐えている日々だったのだ。
(でも、何の用だったのかな?大切なことかな?)
用がなくても掛けてきてかまわないのだが、早朝に掛けてきたことはなかったので、
何か大事な用なのかとちょっとドキドキしてしまう。
(もう!おじいちゃんが邪魔なんかするから!)
柔はそう怒りつつも滋悟郎には松田とのことをちゃんと言っていない後ろめたさがあるので、
今いち本気で責め立てることはできなかった。
そうこうしているうちに、会社へと着いた。
7伊太郎:2009/03/19(木) 03:22:09 ID:EEn3K5dO
じゃ、今日はこの辺でやめとこっと。
たくさんの職人さんが出てきてくれるといいな。
8名無しさん@ピンキー:2009/03/19(木) 06:35:55 ID:49vMpoCj
乙。
うちも制作中なので待っててね。
9名無しさん@ピンキー:2009/03/19(木) 07:54:47 ID:K+xqwxb8
面白いよ〜。続き待ってます
10名無しさん@ピンキー:2009/03/19(木) 19:39:52 ID:+8lD+4t2
復活おめでとうございます。続き楽しみです。
のんびりまってるんでむりしないようにがんばってください。
11伊太郎:2009/03/19(木) 20:17:04 ID:EEn3K5dO
わーい!孤独からの脱出だー!
みんな、レスありがとう!&職人さん、お待ちしてます!
では、続きをどうぞ↓
121992年の秋のこと:2009/03/19(木) 20:18:18 ID:EEn3K5dO
<5/88>
「おはようございます」
周囲に挨拶しつつ自分のデスクに着こうとすると、同僚の一人が話掛けてきた。
「ちょっと、猪熊さん!海外のツアコンはまだ未経験だったわよね?」
「え?ええ。国内は何カ所か周りましたけど、海外へのお客様は空港までしか・・」
「でしょ。あなたも入社してけっこう経つから、そろそろ海外にも行く時期じゃないかしら。
実は今、海外旅行のツアーが立て込んでて人手不足なのよ〜。猪熊さん、やってみない?」
「ええ〜っ?」
「もう研修は全部済んでるんでしょ?」
「は、はい。」
「だったら問題ないわよ〜!さっき課長にも確認したけど、OKもらったから」
「わかりました。で、ツアー先はどちらに?」
「メジャーリーグ観戦ツアーinニューヨーク5日間の旅よ」
「ニュ、ニューヨーク!!!!??」
思わずフロア中に響き渡る声を出してしまい、あわてて口を手でふさぐ。
「ど、どうしたのよ、猪熊さん!?大声なんか出して!?」
「い、いいえ!ちょっとびっくりしちゃって・・」
「もう、こっちがびっくりしちゃったわよ〜!じゃ、早速午後から打ち合わせに入りましょ。
出発まで1週間もあるんだから、全然余裕よ〜」
「い、一週間〜!!!???」
再び大声を出してしまい、真っ赤に頬を染めあわててみんなにペコペコ頭を下げる柔であった。
そしてふらふらと自分のデスクに着くとぼんやりと考え始めた。
(ニューヨーク・・ニューヨーク・・松田さん・・)
しばらくニューヨークと松田さんの単語を交互に思い浮かべていたが、
(や、やだ!今回は仕事で行くんだから会えるわけないじゃない!)
あわてて自分の雑念を振り払うかのように頭を振る。
(で、でも・・ひょっとしたら・・一目だけでも・・)
突然のニューヨーク行きという好機に、淡〜い期待をどうしても思い描いてしまう。
(会えなくたって、松田さんと近くにいるってだけで幸せだもん・・)
先ほどから一人で百面相をしている柔を、周囲は怪訝そうな顔で見守っていた。
131992年の秋のこと:2009/03/19(木) 20:19:10 ID:EEn3K5dO
<6/88>
そして午後ーーー。
「・・・と、いうわけで、今回のツアーは私立西海高校野球部一行のメジャーリーグ観戦が目的です。
監督1名、部員20名の計21名様のご案内となります。滞在日数は4日間。
初日は夜に着くのでそのままホテルへ直行。2日目は午前中に地元高校との交流会、
午後は球場周辺の博物館やロッカールーム見学ツアーを行い、夜はメジャーの試合を見ます。
3日目は地元高校との交流試合を行い、その後、夜のメジャーリーグ観戦へと向かいます。
最終日は市内観光で、次の日の早朝にニューヨークを発ちます。ここまでいいですか、猪熊さん?」
「はい」柔は資料に目を通しつつ、大事なところはメモに取っていく。
「猪熊さんの仕事は、主に空港からホテルまでの案内、食事の手配、球場までの案内やチケットの配布などです。
最終日は自由行動なので、猪熊さんも観光したりできるわよ?」
「え?」
一瞬、メモを取っていた柔の手が止まる。
「もちろん、お客様へのケアが第一だから常に連絡が取れる状態にしておかないとダメだけど。
お客様は勝手に市内をうろうろするから、疲れてたらホテルに待機しててもいいし」
ドクン!と自分でも心臓が大きく波打つのが聞こえる。先ほどの淡い期待がまた心を支配し始めた。
(だ、だめよ柔!何考えてるの!仕事に集中しなきゃ!)
「はい、ここまでで何かわからないことや質問はありますか?」
「い、いいえ!」
「では、1週間後、頑張ってね」
「はい!」
141992年の秋のこと:2009/03/19(木) 20:20:35 ID:EEn3K5dO
<7/88>
退社時刻もせまり、柔は心ここにあらずといった面持ちでいつになくそわそわしていた。
「ねえ、猪熊さん!今日の帰り、みんなで飲みに行くんだけど、どう?」
そんな柔の様子を知ってか知らずか、突然隣の席の同僚が話しかけてきた。
「あ、ごめんなさい。今日は早く帰らなくちゃいけないんです」
「やだ〜!また、おじいちゃんの門限〜!?」柔の門限の厳しさはここ鶴亀トラベルでも有名な話となっていた。
「い、いえ、そうじゃないんですけど・・」
「あ、わかった〜!デート!?デートね〜?猪熊さん、最近なんか変わったもん!今日もなんだか一日嬉しそうにそわそわしてるしぃ〜」
「え!ち、ちがいますよ!」そわそわしてるのが周囲にバレていることに気付き、焦ってかあーっと顔が火照る。
「何なに?デート?」デートの言葉に反応した他の同僚たちも興味津々に話に加わってくる。
「やっぱりね〜。なんか猪熊さん、幸せオーラが出てるもんね〜」
「そうそう!それ、なんかわかるぅ〜!」
同僚たちの勝手な盛り上がりに柔は必死に抵抗する。
「や、やだ!ちがいますってば!」
「いいの、いいの!隠さなくたって!いつか私たちにも紹介してよね〜!
猪熊さんの彼氏なんだから、きっとすっごくハンサムで、お金持ちで・・」
「きゃ〜!きっとそうよ!私たちに彼氏のお友達紹介してよ!今度、合コンしましょ!合コン!!」
(松田さんのお友達・・鴨田さんかしら・・?)
周囲の大いなる期待をよそに、柔はぼんやりと鴨田のことを思い出していた。
「と、とにかく、今日はごめんなさい。どうしても早く家に帰らないといけないんで・・」
「そう、残念ね。じゃ、またの機会にね。彼氏にもよろしく〜」
「・・はい」
松田とのことを話したくなる衝動を抑えながら、柔はあいまいに微笑んだ。
柔だってみんなみたいにのろけ話をしたいときもあるのだが、自身の立場を考えるとやはりできなかった。
(松田さんにだって迷惑が掛かるし・・)
なにせ国民栄誉賞でのあの騒動の裏に、そんな話が隠れていたとしたらマスコミの格好の餌食となってしまう。
「はぁ〜」ため息をついてみるも、今日のため息はなんだか軽い。
(早く家に帰って・・)
ふふっとまたこみ上げて来る笑いを、柔は必死に押さえた。
151992年の秋のこと:2009/03/19(木) 20:21:51 ID:EEn3K5dO
<8/88>
「ただいまーっ!!」
軽く息を切らしながら、玄関の扉を開ける。
「あら、柔!おかえり。今日はやけに早かったわね?」台所にいた玉緒が顔を出して出迎える。
「うん!駅から走ってきちゃった」
「まあまあ、どうしたの?何かいいことあった?」
「え?わかる〜?」
「わかるわよ!だって顔に・・」
思いっきり幸せです!と書かれた柔の顔を見れば、誰だってわかるものだ。
「へへ〜っ、実はね・・」
「おい、柔ぁ!!」そこへ遠くからドスドスと近づいて来る小柄な人物が一人。
「あ、おじいちゃん!ただいま〜・・」
「なんじゃ、今日はやけに早いな!さては稽古がしたくてうずうずしておるのじゃろ?」
「誰もうずうずなんかしてません!」
「ふん!まあよいわい!さっさと着替えて道場に来るがよい!」
「う、うん。わかったわよ。すぐ行くから、おじいちゃんは道場で待ってて」
「うむ。早くせい!」
さりげなく滋悟郎を道場に追いやることに成功し、ホッと安堵する。
滋悟郎が道場に消えるのをこっそり確認すると早速電話へと向かう。
その様子を見て、柔の上機嫌の原因が松田にあるとピンときた玉緒は、
ふふっと微笑み「頑張って、柔」とつぶやいてそっと台所へと引っ込んだ。
16伊太郎:2009/03/19(木) 20:23:31 ID:EEn3K5dO
では、今日はここまで!
17名無しさん@ピンキー:2009/03/19(木) 20:38:03 ID:W4Y41I6H
乙じゃのう
18名無しさん@ピンキー:2009/03/19(木) 21:44:51 ID:K+xqwxb8
乙です〜 わくわくしてきたw
19名無しさん@ピンキー:2009/03/19(木) 23:16:44 ID:8WPZkRri
乙です。
楽しみにしてますので頑張ってください。

長編はモチベーションの維持が難しいんですよね。
20伊太郎:2009/03/20(金) 19:00:14 ID:WnE9U9yW
みんな、レスありがとう〜!
この話は長いけど最後まで書き終えてて、途中で放っぽったりしないから、安心して読んでね。
*おもしろいかどうかはどうかは別として
では、続きをどうぞ↓
211992年の秋のこと:2009/03/20(金) 19:01:11 ID:WnE9U9yW
<9/88>
高ぶる気持ちを押さえながら、期待を込めて松田のアパートへ電話をかける。
トゥルルルルートゥルルルルー・・トゥルルルー・・・
8回ほど発信音を聞きながす。
(やっぱり、こんなに何もかも上手くいきすぎることないか・・)
今日1日続いた嬉しい出来事を思い出しながらも、ちょぴりがっかりしてしまう。
そろそろ切ろうかと12回目のコールにさしかかったその時、
『・・ハロー?』寝ぼけたような松田の声が聞こえた。
「あっ!!」(出た!!!)
一気に心臓が跳ね上がる。
「あ、あのっ!」
『柔さん?柔さんなのか!?』
「・・は、はい。私です・・」
かあーっと瞬時に耳まで真っ赤に染め上がり、少し震える声で答えた。
『いや〜、今朝はごめんな?なんか最近時間の感覚がわからなくなるくらい忙しくて・・
今朝は4連続徹夜のあとでやっと家に帰してもらえて・・』と、ここまで話しておいて松田はハッと気づいた。
以前、自分の忙しい話をしたとき非常に体調を心配させてしまったことを。
『あ、でも俺、全然平気なんだけどね!仕事楽しいし、何よりまだまだ若いから!ははっ!
そんなことよりずっと連絡できなくてごめんな・・』
「・・・」
『・・柔さん?』
「・・・松田さん、あんまり無理しないで下さいね・・」
松田の体調が心配なのはもちろんだが、そんな徹夜続きで疲れてる中、
一番に自分に電話を掛けてきてくれたことが嬉しくて胸が詰まってしまった。
『あ、ああ!大丈夫だって!そんな俺のことより、柔さんはどう?元気だった?仕事は順調?』
松田の明るい声にどんどん元気が満ち溢れてくる。
「はい!今日は会社ですっごく嬉しいことがあったんです!」
柔は本当に嬉しそうな声で話し始めた。
『へぇ〜、何なに?』
つられて松田も嬉しそうに先をうながす。
221992年の秋のこと:2009/03/20(金) 19:01:58 ID:WnE9U9yW
<10/88>
「実は・・1週間後に仕事でニューヨークに行くことに決まりました!」
『ええええええーーーーーーっ!!??本当かよ!!??本当なのか、柔さん!??』
大興奮に満ちた松田の声が、割れんばかりに受話器から響いた。
「はい!4日間の滞在で、その内2日はメジャーリーグ観戦予定で・・」
『メ、メジャーリーグゥ〜!??1週間後だよな?俺、ちょうど取材で行く日があるよ!』
「ええっ!?本当ですか??」
もう、今日一日で一生分の運を使いきってしまうんじゃないかしらと柔は思った。
『ああ!会えるといいな!いや、きっと会えるさ!!あ、でも柔さんは仕事だから会うヒマなんかないかな・・?』
松田も取材の仕事のはずなんだが・・。
「えっと、わからないけど、私も会えたらいいな・・と思います。しかも最終日は自由行動だから、もしかしたら・・」
『そうか〜!そうか、そうか!!うん、なんだか元気がみなぎってきたぞ〜!!
とにかく、俺、何とか柔さんと会えるように頑張るから!っか〜!!楽しみだあ〜!!』
松田の嬉しそうにみはしゃぐ様子に、柔は連絡がなかったここ半月に感じていた不安も一気に吹き飛び、
どうしようもなく緩みっぱなしの頬をもてあましてしまう。
「そういえば、松田さん。今朝は本当にごめんなさい。全く!おじいちゃんが・・」
『え?あ、い〜って、い〜って!俺が朝っぱらから電話したのが悪いんだし・・』
「何か大事な用だったんじゃないんすか?」
『え”!や、だ、大事な用はもう済んだんだ』
「?」
連日にわたる出張、取材、徹夜での校正と猛烈な忙しさの中でもずっと柔のことは頭にあった。
(大事な用はキミの声を聞くことだったから、もう果たしたんだよ・・)
なんて口が裂けても言えない松田であった。
231992年の秋のこと:2009/03/20(金) 19:02:31 ID:WnE9U9yW
<11/88>
と、その時。
「くおらーーっ!!柔!!何をしとるんじゃ!!」
滋悟郎が道着姿で腕組みをして、廊下に仁王立ちしている。
「おじいちゃ・・!」
『じ、滋悟郎さん!?』
「道場にも来んで、だーーーれとこそこそ電話しとるんじゃ?」
「だ、誰もこそこそなんか・・」
「じゃあ、誰と話してるのか言うてみ〜!」
「もう!おじいちゃんには関係ないでしょ!ごめんなさい、松田さん・・また・・」
『あ、ああ!1週間後、楽しみにしてるよ!じゃあ』
「はい・・。私も楽しみにしてます。では・・」
ガチャ。
受話器を置くと、柔はきっと滋悟郎を睨みつける。
「もう!なんでおじいちゃんは、いつもいつも邪魔ばかりするの!?」
「わしゃ〜別に邪魔なんかしとらん!ただかわいい孫娘に変な三流虫がつかんよう、しっかり監視してやってるだけじゃ〜」
「だ〜れが変な三流虫よ!」
「お前の相手には、お前にふさわしい柔道家を探してきてやるから、な〜んも心配せんでよい!
こうして柔道家の熱い血筋が脈々と受け継がれて〜・・・」
「おばあちゃんだってお母さんだって柔道してないじゃない!」
「うっ・・それはじゃな・・」思わぬ反撃に一瞬、滋悟郎がたじろぐ。
「もう、知らない!!」そう言ってぷいっと横を向くと、着替えるために2階へと上っていく。
顔では精一杯怒った表情を作ってみるものの、やはりすぐににやけてきてしまう。
(やった〜!やった〜!松田さんと話せた〜!!そして1週間後には・・)
滋悟郎の邪魔なんて、もはや今の柔の前には微々たるダメージをも与えなかった。
そして、いつもよりはりきって稽古をする柔を、滋悟郎は複雑な思いで見つめるのであった。
241992年の秋のこと:2009/03/20(金) 19:03:06 ID:WnE9U9yW
<12/88>
ついに1週間が経ったーーー。
「じゃあ、いってきま〜す!」
はちきれんばかりの笑顔で柔が玄関の扉を開ける。
「いってらっしゃい、柔。松田さんにもよろしくね」
玉緒がいたずらっぽくウィンクをし、玄関まで見送ってくれた。
「うん・・!」
柔は少しはにかんだようにうなずくと、振り向いてもう一度微笑んだ。
(本当にこの子は・・幸せそうな顔をして・・)
玉緒は我が娘のとろけそうな幸せな顔を見て、本当に嬉しくなった。
「柔!!」
玄関を出ると、滋悟郎が庭に立っている。
「おじいちゃん!」
「おぬし、本当に仕事でアメリカに行くんじゃろうな?まさかあの三流記者に会いに行くのではなかろうな?」
「な、なにバカなこと言ってるのよ!仕事に決まってるじゃない!」
「ふん!どうじゃかな!とにかく土産のリストをカバンに入れておいたから後で確認せいよ!」
「ちょ、ちょっと〜!また勝手なことして〜。と、とにかく、行ってくるから!」
「柔〜、気をつけてね〜!」
玉緒が玄関から出てきて、笑顔で手を振って見送ってくれた。
25伊太郎:2009/03/20(金) 19:05:22 ID:WnE9U9yW
切りがいいのでここで区切ります。
読んでくれたエロい人方々、ありがとう〜!
また明日〜!
26名無しさん@ピンキー:2009/03/20(金) 19:57:39 ID:5Cn0qrO/
乙ぢゃ!!
27名無しさん@ピンキー:2009/03/20(金) 20:36:18 ID:KpGZcit4
乙です!ニヤニヤしっぱなし
続き楽しみにしてます!
28名無しさん@ピンキー:2009/03/20(金) 20:57:07 ID:5Vn2V7yD
乙!
いよいよ…ハァハァ
29名無しさん@ピンキー:2009/03/20(金) 20:57:31 ID:VW9gVnD4
乙です!
会話や心理描写のテンポが良いしとても読みやすいです。
松田が電話に出ただけで心臓バクバクの柔は、いかにも
両想いだと分かったとたん遠恋になっちゃったカップル
っていう感じw
30名無しさん@ピンキー:2009/03/21(土) 00:04:37 ID:NFW3bDPI
乙…だけど、松田がアメリカ行ったのってワールドシリーズの直前なんだよな?
それの3ヵ月後だとすると冬になるから、その季節はメジャーの試合ってやってないんじゃ…。
ちょっと気になった。
31伊太郎:2009/03/21(土) 22:18:08 ID:DhVzskOe
みんな、嬉しいレス&的確な指摘ありがとう!
松田がアメリカに行った時期については、原作が手元にないこともあって夏かと思ってた・・。
気になってしまった人はすまんかった!pgrしつつ生暖かく見守って下さい。
では、続きをどうぞ↓
321992年の秋のこと:2009/03/21(土) 22:19:20 ID:DhVzskOe
<13/88>
成田空港に着くと、さっそく指定された集合場所へと向かう。
(さすがにまだ誰も来てないわね・・)
集合時間の1時間前に着いた柔は、辺りをキョロキョロ見回すと資料を出して段取りの確認を始めた。
(えっとまずは人数を確認して、パスポートを預かって・・)
「あああーーーーーっ!!柔ちゃんだーーーー!!」
突然自分の名前を大声で呼ばれ、柔はびっくりして顔を上げる。
声の聞こえた方向にはいがぐり頭の団体が、柔の方に指をさして固まっている。
「うわあああっ!!ホントだ!!柔ちゃんだーーー!!」
「何なに!?俺たちの添乗員さんってもしかして柔ちゃんなの???」
「ええええっ!!マジかよっ!!」
たくさんのいがぐり頭たちが、押し合いへし合いぎゃあぎゃあと騒いでいる。
「あ、あの〜。西海高校の野球部の皆様でしょうか?」柔はおそるおそる尋ねてみた。
「そーーでーーーーーすっ!!」異口同音に答える面々。
「あ、私、鶴亀トラベルの猪熊と申します。本日より5日間、皆様のお世話をさせて頂きます。どうぞ、よろしくお願いいたします」
柔が恭しく頭をさげてこう挨拶すると、一気にいがぐり坊主たちのテンションがあがった。
「うひょおおおおお!!マジで!!おい、すげーな、俺たち!!」
「や、柔ちゃんと5日間一緒かよ!!」
「ラッキーじゃん!俺たち、すっげーーーラッキーじゃん!!」
大声で騒ぐ集団に周囲の痛い視線が突き刺さっているのを察知した柔は、何とか落ち着かせようと試みる。
「あ、あの〜、周りのお客様が驚いていらしゃいますし・・皆さん、もう少し・・」
しかし、興奮した彼らの耳には全く届かない。
その時突然、騒ぐ彼らの背後に中年のこわもての男が現れた。
331992年の秋のこと:2009/03/21(土) 22:20:03 ID:DhVzskOe
<14/88>
「くおっらああああ!!お前ら!静かにせんかああああ!!」
他の誰よりも大きな怒声が辺りフロア一面に響きわたり、一瞬にして半径20mが静まりかえった。
「公共の場でえーーっ!!どれだけ周囲に迷惑かけてるのがあーーーっ!!わからんのかあああああ!!」
しーんとした沈黙を、一人の勇気あるいがぐり坊主が破った。
「で、でも監督・・監督の声が一番大きくて・・」
「なんだと〜!!・・・!?」
監督と呼ばれた男はその勇気ある少年に詰め寄ろうとしたが、彼の背後に柔の姿を認めると瞬時に固まった。
「あ、あなた、ま、まさか、猪熊 柔さん・・?」
先ほどとは、うって変わって声がしどろもどろになる。
「はい、本日からお世話になります。鶴亀トラベルの猪熊です。西海高校野球部の監督様でいらっしゃいますね。
どうぞ、よろしくお願いいたします!」柔はぺこりと頭を下げて挨拶する。
「え?え?なに?わしたちの添乗員さんは猪熊さんなの?」
きょろきょろと周囲の部員たちに確認する。
「そうですよ、監督!すごいでしょ!」
「俺たち、ちょーラッキーっすよ!」
「お、お前たちいいいいい!!わ、わしは、感激じゃあああ!!」
監督はまた大声で吠えながら、感激の涙でむせびかえった。
「監督は柔ちゃんの大ファンだからな〜!あ、もちろん俺たちもだけど!」
「そうそう、柔ちゃんは俺たち運動部員のスーパーアイドルだもんな!」
「そ、そんな・・」
みんなの盛り上がりにイマイチついていけない柔は、何と言っていいかわからず、
ただ居心地悪そうな笑顔を浮かべて立ちつくすしかなかった。
341992年の秋のこと:2009/03/21(土) 22:20:40 ID:DhVzskOe
<15/88>
一方、ニューヨークではーーー。
怒号が飛び交う地獄絵図のような編集部で、松田は一人ぼんやりとデスクに肘を付き、物思いに耽っていた。
(いよいよ明日、柔さんが来る日か・・)
相変わらず忙しい毎日であれから連絡を取れなかったが、柔たちの飛行機の便とホテルの名前は聞いていた。
(空港まで行って一目でもみられたらな〜・・)
目の前に積み上げられている仕事の山を見ると、とてもじゃないがそんな余裕はない。
(せめて、せめて最終日だけでも・・!)
松田は試しに隣の席の先輩に声をかけてみる。
「あの〜、田中先輩。もし俺が5日後に休みが欲しいって言ったらどうします?」
田中と呼ばれた男はしばらく松田を凝視する。
「・・・寝呆けてるのか、松田?お前、1週間前も1日休んだだろ?」
「やっぱそうっすよね〜・・」わかってはいても、がっくしと肩を落とす。
日刊エブリーにとって休みとは月平均2日がデフォであり、
ニューヨーク支社においてはまだまだ新人扱いの松田は、それすら許されない状況であった。
「そんなことより松田、明日のニュージャージーでの取材の段取りは全部済んでるのか?
お前、まだカメラマン手配してなかっただろ?お前の相棒の村井は、明日は俺と市内で取材だって前に言ったよな?」
「あ・・・しまった。そうだった!!くそ〜!!早く誰か空いてるカメラマンに頼まないと・・」
「バカだな〜、お前。明日なんて急な日程で空いてる奴、いねえよ!ま、今回は外注に頼るしかねえな。ちゃんと支部長に報告しろよ」
「う、うす・・。また査定に響くな、こりゃ・・」
余計な仕事が増えてしまい、ますますがっくしとうなだれる松田であった。
鬱々とする気持ちのまま、フリーカメラマン派遣代理店に電話をかける。
「ハ、ハロー!アイ アム フロム ニッカンエブリー。アイ ニード ア カメラマン フォー トゥモロー」
松田のつたない英語でも、向こうは慣れたもので『OK、OK』とあっさり話が通った。
「これで、カメラマンの件はよし、と」
(このままどんどん仕事を片付けたら、もしかして明日もちょっと時間作れるかも・・)
はかなすぎる希望を胸に、松田は気合いを入れ直して仕事に取りかかった。
351992年の秋のこと:2009/03/21(土) 22:21:10 ID:DhVzskOe
<16/88>
さて、こちらは成田ーーー。
なんだかんだの騒動を起こしつつも無事、飛行機に搭乗した柔たちはそれぞれの席に着席する。
柔の隣は誰が座るのか散々もめた後、監督が強引に監督特権を発行し居座ることになった。
「ったく、監督もずるいよな〜!俺たちだって柔ちゃんの隣がよかったのに」
「全くだよ!ずりぃーよ、大人って」
柔の後ろの席では、それでもジャンケンで柔の近くをゲットした部員たちが愚痴っていた。
監督は聞こえない振りをしていたが、あいつら日本に帰ったらみっちり絞ってやる〜!と密かに心に誓っていた。
柔はといえば、初めての海外ツアコンでなにか不手際はないかとしきりに周囲を見回したり、
資料を見直したりと気を休めることなくあくせくと働いてる。
離陸してからの数時間、監督はしきりに柔と話したがり、柔も一生懸命に笑顔で受け答えをしていたが、
監督は緊張をほぐそうと食事中にワインを飲み過ぎて、早々にダウンしてしまった。
(ふぅ〜、やっと少し休めるかな・・)
監督のマシンガントークから解放された柔はほっと一息をついた。
しかし、柔の後ろでは、虎視眈々とこのチャンスを伺っている者たちがいた。
361992年の秋のこと:2009/03/21(土) 22:21:40 ID:DhVzskOe
<17/88>
「おい、監督が寝に入ったぞ!酔って寝てるからこのままアメリカ着くまで起きないはずだ!」
「やった!柔ちゃんと話すチャンス到来じゃん!」
「この好機を生かしてぐっと仲良くなるぞ!・・ん、ちょっと待て、柔ちゃん何見てるのかな?」
いがぐり坊主の一人がこっそりと座席の隙間から、柔が見ている写真らしきものを凝視する。
(松田さん・・・)
柔は自分の手帳に松田と空港で撮った写真を忍ばせていて、事あるごとによく眺めていた。
この写真はお互いの想いを確かめ合った大事な日に、離ればなれになる前にせめて写真だけでもと、
近くにいた人に急いで撮ってもらった初めてのツーショット写真。
お互いぎこちないながらも、松田が柔の肩を抱いて恥ずかしそうに微笑んでいる。
遠距離恋愛を頑張れる柔の強力なアイテムだ。
柔は写真を愛おしそうに眺めながら、何度もあの空港での甘い思い出を噛み締めていた。
「お、おい!男の写真だぞ!」
「しーーっ!声がでかいぞ、山田!なに?男の写真!?」
「あ、ああ!柔ちゃんの肩を抱いてて・・」
「肩を抱いてーーーっ!??」
「しーーっ、しーーっ!!柔ちゃんに聞こえるだろ!」
「う”ーー、ショックだ・・柔ちゃん彼氏がいるのか・・?」
「そ、そりゃ、彼氏くらいいるだろ?しかしあの写真の男・・どこかで・・」
「くそ〜、ショックだけど、俺は気にしないぞ!この5日間で絶対仲良くなって・・」
ぐふふ・・と不気味に笑う友人の石川を横目に、山田は必死に男の正体を思い出そうとしていた。
「うーーん、だめだ、思い出せねえ、でも確かにどっかで見たんだけどな〜」
それぞれの思いをのせて、飛行機はぐんぐん日本を離れていくのであった。
37伊太郎:2009/03/21(土) 22:24:27 ID:DhVzskOe
じゃあ、ここで切ります。
読んでくれた人たち、ありがとう〜!
他の作品の投下も気長に待ってますよ〜・・・!
38名無しさん@ピンキー:2009/03/21(土) 22:25:47 ID:Fv5CRSWa
懐かし漫画からきました。
楽しみにしてます!
39名無しさん@ピンキー:2009/03/21(土) 23:23:31 ID:PJucvQ55
乙です!段々近づいてきてますね〜
続き楽しみにしてます!
40伊太郎:2009/03/22(日) 09:35:19 ID:qUjXRe64
レスくれる人、本当にありがとう!
このスレ需要あんのかな・・?ってくじけそうになる心が安らぎます。
だらだらと投下してるが故、他の職人さんが投下しづらい状況だったら、遠慮なくぶった切って下さい。
では続きを↓
411992年の秋のこと:2009/03/22(日) 09:36:31 ID:qUjXRe64
<18/88>
ついにニューヨークへーーー。
飛行機は無事、ニューヨーク国際空港へと降り立った。
「うんんーーっ!あれ?何なに?ここどこ?」着陸の衝撃で監督が永い眠りから目を覚ます。
「ニューヨーク国際空港ですよ、監督さん!」監督の隣で柔がにっこりと微笑んで答えた。
「い、い、猪熊さん!!そ、そうだった、わしたちはニューヨークに・・」
(くそ〜、せっかく猪熊さんと隣の席になれたのに寝てしまったのか・・バカバカ!!わしのバカ・・!!)
貴重なチャンスをふいにした監督はがっくりと肩を落とした。
空港から出ると、ホテルのシャトルバスが迎えに来ていた。
「みなさん、今夜はこのままホテルへと直行となります。夕食は機内で済ましていますので、
小腹がすいた方などは、ホテルのレストランか周辺のコンビニを利用して下さい」
柔はみんなを引率しながら説明を続けた。
ホテルに着くと、各々の部屋の鍵を渡し明日のスケジュールの確認をする。
「なにか質問はありますか?」
柔の問いにみんなが一斉に手を挙げる。
「はーい!はいはい!今夜柔ちゃんは何をしますか〜?」
「え?何をって・・自分の部屋に戻って、明日の段取りを・・」
「えええーーー!いいじゃん、そんなの!俺たちと一緒に遊びに行こうよ〜!」
「そーだ!そーだ!せっかくニューヨークにいるんだ!夜の街で・・」
元気だけは限界をしらない若造たちが、ぎゃいのぎゃいのと騒ぎ立てる。
「ばっかもーーーーん!!お前たちは何を考えとるんだ、何を!!今夜はホテルから一歩も出ることは許さんぞー!!」
再び監督の怒声が響き渡り、柔たちは恥ずかしさで身を小さくして縮こまった。
「ん?うおっふぉん、子供たちは早く部屋に戻って寝んかい!ここからは、お・と・なの時間じゃ」
監督の意味ありげな発言に危機感を抱いた部員たちは、お互い目を合わせる。
421992年の秋のこと:2009/03/22(日) 09:37:01 ID:qUjXRe64
<19/88>
「はいはい、わかりましたよ〜!じゃあ、柔ちゃん、行こう!部屋まで荷物運んであげるからね」
「え?」
とまどう柔をよそに、さっさと柔の分の荷物も抱えて部員たちはエスカレーターへと向かう。
「あ、ちょっと待て!猪熊さんをどこに連れて行く気だ?」
「どこって、監督。これからは大人の時間なんでしょ?どうぞごゆっくり〜。
僕たちも柔ちゃんも疲れてるんでさっさと部屋に行って寝ることにしま〜す」
「お、おのれ〜」
下心を見透かされた上に打ち砕かれた監督は、日本に帰ってからの地獄のしごきを改めて固く誓う。
「あ、あの〜・・」
ことの展開に付いていけない柔は、おそるおそる荷物を運ぶ部員に話しかける。
「柔ちゃん、疲れてるだろ?あのままあそこにいたら監督に連れ回されちゃうからさ、逃げるが勝ちってことよ!」
「え・・?そ、そんな気を使ってもらって・・あ!に、荷物も・・」
「荷物?ああ、いいって、いいって!俺たち、体力だけは有り余ってるから!」
「おい山田!な〜にお前だけポイント稼いでんだよ〜!この!」
「い、石川!」
石川と呼ばれた少年が山田の首に腕を回し、絞めにかかる。
「そうだぞ〜、山田!柔ちゃんはみんなのものだぞ〜!お前だけ抜け駆けは許さんぞ〜!」
周囲からもヤジが飛ぶ。
「何だよ、そんなんじゃねーよ!あのまま黙って監督の餌食になるのを見とけって言うのかよ!」
「そりゃあ〜・・」
みんな監督の性格はよくわかっているので渋々納得する。
(しかし、”みんな”の柔ちゃんね〜・・)
山田はふと、今日機内で見た写真の男を思い出す。
(柔ちゃんを独り占めできる男か・・どんな奴だろ・・)
密かに芽生える嫉妬心を感じつつも、柔を部屋まで送ると皆おとなしく自分の部屋へと戻って行った。
431992年の秋のこと:2009/03/22(日) 09:37:33 ID:qUjXRe64
<20/88>
部屋に着いた柔は、さっそく電話の前に座った。
(で、電話してみようかな・・・)
夜の10時ではあったが、恐らくまだ松田は働いているだろうと思った柔は、日刊エブリーの支社に電話しようかと悩んでいた。
松田も是非、ニューヨークに着いたら電話して欲しいと言っていた。
「よし!」
頑張って気合を入れると、期待に震える指で支社の番号を押した。
トゥルルルルルー、
『ハロー?』
「あ、あの・・」
『はい?日本人の方?』
「は、はい。あの〜、松田さん、いや、松田記者はいますか?」
『え?松田?うーん、まだ帰ってきてないみたいだな〜!
今日はニュージャージーまで取材に行ってるから遅くなると思うよ。で、キミ誰?』
「あ、あの私、猪熊と申します。松田さんが帰ってきたら、無事に着いたと伝えて頂けますか?」
『え?伝言?無事に着いた?何それ?・・OK、OK、わかった!じゃ、悪いけど忙しいんで!』
「あ、すみません、では、よろしくお願いします」
ガチャ。
「ったく、この忙しいときにいたずら電話か〜?」
田中は受話器を置きながらつぶやくと、さっさと仕事へと戻った。
441992年の秋のこと:2009/03/22(日) 09:38:02 ID:qUjXRe64
<21/88>
柔は受話器を置くと、ホッとひと呼吸ついた。
受話器越しに聞こえた職場の喧噪は、とても夜の10時とは思えないものだった。
(松田さん、あんな忙しそうなところで働いてるんだ・・)
社会人になって自分も残業を経験したりしたけど、松田の職場のような忙しさは無縁だった。
(やっぱり松田さんってすごいな・・)
松田と話すことはできなかったけど、松田が実際働いている職場の雰囲気をかいま知ることで
ちょっぴり彼に近づけた気がして、何だか思わず嬉しくなってしまう柔であった。
(あ〜あ、それにしても松田さんの声が聞きたかったな〜・・。
う、ううん、贅沢よ柔!明日はもしかしたら球場で会えるかもしれないじゃない!)
いいこと続きだったので、過剰に期待してしまう自分を戒めながら、柔はシャワーへと向かった。
シャワーを浴びながら、過去の松田との思い出に浸る。
(初めて会ったときはこんな風になるなんて・・全然想像つかなかった・・)
松田のことを考えると、いつもドキドキしてしまう。
想いが通じ合う前はけっこう普通に接してこれたのに、通じ合った途端、なんだか緊張してしまう。
恋愛に関しては中学生並みの柔は、松田に対する一途すぎる愛に少々てこづっているのであった。
シャワーが終わると、パジャマに着替え、明日のスケジュールをもう一度確認する。
何度も何度も見たので、もう暗記するほど覚えているのだが、やはり初めての海外ツアコンなので不安になってしまう。
(ふ〜ぅ、明日のためにも早く寝た方がいいのかな・・)
何気なく窓の外に目をやる。輝くネオンの光が街を幻想的に彩り、映画のワンシーンのようだ。
(この街で松田さんは・・)
窓の下を見下ろすと、まだまだ人や車の行き交いが絶えない。
(松田さん・・)
騒々しい街の様子を眺めていると、今にも松田がバイクでここまで乗り付けてきてくれそうで、しばらく外から目を離せないでいた。
「くしゅん!寒い・・」
パジャマ姿で窓を開けていたので、すっかり体が冷えてしまった柔はベッドに入ることにした。
目を閉じても松田の顔ばかりが浮かんでくる。
(私、本当に重症ね・・)
柔は一人照れ笑いを浮かべて、静かな眠りへと入っていった。
451992年の秋のこと:2009/03/22(日) 09:38:31 ID:qUjXRe64
<22/88>
やっとのことで取材を終えた松田は、ニュージャージーからハイウェイをバイクで飛ばしニューヨーク支社へとむかっていた。
(くっそ〜!思ったより時間かかっちまったな!)
予定していた記者会見の時間がずれ込み、無駄な待ちぼうけをくらわされたのだ。
(早く編集部に帰ってこの原稿あげないと!か〜っ、また今夜も徹夜か!?)
いらつく心にまかせて、先方を走る車の間を次々とすり抜けていく。
(今日は柔さんが着いた日だってのに〜!)
上手くいけば柔に会えるかもと思っていた松田は、甘くない現実を前に歯ぎしりした。
ニューヨークが近づくにつれて、柔への想いがどんどん膨らみだす。
(もう寝てるだろうけど・・)
どうしても諦めきれず、支社に帰る前に寄り道をし、つい柔たちの滞在するホテル前まで来てしまった。
(今の時刻は・・2時か・・。寝てるよな、こりゃ)
切なさともどかしさが入り交じった表情でホテルを見上げる。
(柔さんはどの部屋にいるのかな・・)
ほとんどの部屋の電気は消えていたが、ここの窓の向こうのどこかに柔がいると考えただけで、
疲れた体がじわじわと癒されていくのを感じる。
(そうだ!メモを置いていこう!)
松田はカバンからメモ帳を取り出すとさらさらと走り書き、ホテルのフロントへと入って行った。
フロントの人物は、ヘルメットを小脇に抱えたうさんくさい東洋人が夜中にズカズカと近づいてくるのを
怪訝そうな顔で迎えたが、松田がきちんと名刺を見せて説明すると快く了解してくれた。
(さてと!編集部に帰ってさっさと仕事終わらせっか〜!!)
松田は晴れ晴れとした表情でバイクにまたがると、颯爽と夜のマンハッタンを駆け抜けて行った。
46伊太郎:2009/03/22(日) 09:40:59 ID:qUjXRe64
では、ここで切ります。
読んでくれた人、ありがとう〜!
47名無しさん@ピンキー:2009/03/22(日) 10:55:38 ID:l6cpEWT3
乙です!
一途な柔がホントに可愛い(*´▽`*)
48名無しさん@ピンキー:2009/03/22(日) 13:03:58 ID:T5qhWonc
松田と柔、やっと近づきましたね!

自分も今書き直したりまだ投下できる段階ではないので、
しばらくROM専で…
49名無しさん@ピンキー:2009/03/22(日) 18:40:12 ID:bTavoUKy
乙でした。アクセス規制に巻き込まれがちなので乙すら言えない
事もありますが、がんばって下さいね〜
50伊太郎:2009/03/23(月) 08:34:14 ID:lyijucdB
みんな、優しいレスありがとう!
他作品の投下は気長に待ってますよ〜!ゆっくり書いて下さい!
柔と松田、実は遭遇するのはまだまだ先なので、期待してる方には申し訳ないです・・。
では、続きをどうぞ↓
511992年の秋のこと:2009/03/23(月) 08:35:12 ID:lyijucdB
<23/88>
ニューヨーク1日目の朝ーーー。
柔たちはホテルのレストランで朝食を済ませると、今日の予定の再確認をした。
「今日の午前中は地元の高校との交流会があります。彼らと一緒に昼食をとった後、球場に向かいロッカールーム
見学ツアーや、周辺の博物館を見学をします。その後、試合が19時より始まります。みなさん、よろしいですか?」
「はーーーい!」
「では、さっそくバスに乗ってニューヨーク高校に移動しましょう!」
「うーーーーっす!」
どやどやといがぐり頭の団体が、フロントを通り過ぎてバスの止まっている正面玄関へと向かって行く。
柔もみんなの一番最後にくっついてフロントを通り過ぎようとした。
「Excuse me, Miss.Inokuma!」
とその時、フロントの男に呼び止められた。
「え?私?」ちょっとびっくりして立ち止まり、フロントへと向かう。
柔の前を歩いていた山田と石川もつられて立ち止まった。
柔はフロントから何かメモのようなものを受け取ると、振り向きざまに開いて読み出した。
一瞬動きが固まった後、柔の顔がとろけそうにほころぶ。極上の笑顔だ。
一部始終を見ていた山田と石川は、お互いの顔を見合わせる。
「お、おい山田・・!なんだ、あの柔ちゃんのかわいすぎる笑顔は・・?」
「・・あ、ああ。あのメモが関係しているようだな・・」
「な、なんて書いてあったのかな・・?」
「・・さあな・・」
山田の頭には、なぜかすぐに写真の男の顔が思い浮かんだ。
二人の視線に気づくと、柔はあわててにメモをしまい照れ笑いを浮かべながら小走りにかけよって来た。
「さ、早く行きましょう!!」
柔にうながされ、三人で最後にバスに乗り込んだ。
521992年の秋のこと:2009/03/23(月) 08:35:50 ID:lyijucdB
<24/88>
バスの中で相変わらず柔の後ろの席を陣取った山田と石川がひそひそと話を続けていた。
「なぁ・・あのメモ・・」
「あ、ああ・・」
「なにが書いてあったのか気になるな・・?」
「ああ・・」
柔の隣にはやはり監督が座っていたが、柔は先ほどのメモをもう一度読みたくて、
手帳の間に挟んで監督にバレないようにこっそり読み直し始めた。

『柔さん! ようこそニューヨークへ!!
 仕事お疲れさま!今日は大迫力のメジャーの試合をめいっぱい楽しんでくれ!
 球場で会えるといいな。    松田』

「球場で会えるといいな。』は他の字より小さく遠慮がちに走り書きしてある。
柔はこの短い文面を何度も何度も読み返す。
(松田さん・・ホテルまで来てくれたんだ・・!)
思いがけないサプライズ!幸福の余韻にしばし心地よく浸る。
531992年の秋のこと:2009/03/23(月) 08:36:17 ID:lyijucdB
<25/88>
「お、おい!柔ちゃんが何か読んでるぞ・・!」
相変わらず柔の動向を探っていた石川が、山田を肘でつつく。
「いてて・・何だよ!え!?なんだって!?」
座席の隙間から必死に覗き込むと手帳の間に挟まれたメモが見える。
「あっ!さっきのメモじゃないか?」
「ちょ、ちょっとどけ、石川!」
山田は石川を無理矢理押しやると、自称”鷹の左目を持つ男”の視力を生かして盗み読みを開始した。
(・・・ま・つだ・・松田って誰だ・・?)
柔の反応からして恐らく写真の男なんだろうが、球場で会えるとはどういうことだろう。
まさか、メジャーリーグの選手?いや、松田なんて選手はいないはずだ。
山田は腕を組み、思案する。
「おい!山田!何て書いてあったんだよ!!」
石川がたまらず山田をせっつく。
「あ、ああ、すまん。よく読みとれなかった」
なぜだか今は他の者に言わない方がいいような気がして、思わずそう口をついた。
「なーんだよ、使えねーな〜」
石川は悪態をついてふてくされてしまった。
「すまん、すまん」
山田はごまかすように笑うと視線を窓の外に移し、さっきのメモの内容を反芻した。
(松田・・・か・・)
541992年の秋のこと:2009/03/23(月) 08:36:47 ID:lyijucdB
<26/88>
ニューヨーク高校に着くと、一行は大歓迎で迎えられた。
西海高校とニューヨーク高校は姉妹校で、交流会と交流試合は毎年の恒例行事であった。
どちらも野球の強豪高校として有名で、練習相手にはうってつけなのである。
こちらの高校にも柔のことを知っている者が何人かおり、握手やサインを求められ、
こういうのが苦手な柔はたじたじになりながらも何とか笑顔で応えていた。
交流会も滞りなく運び、みんなで学食にて昼食を取っている最中、一人の大柄な男が入ってきた。
男は坊主頭の少年たちに混じって談笑する柔の姿を見つけると、カチンカチンに固まった。
柔もその視線に気づいたが、見覚えのない男であった。
「A・・Are you Yawara Inokuma・・・?」男はやっと言葉を発した。
「?イ、イエス・・」柔は少しとまどいながら答える。
「OHHHHHHHHHHHHHHHHHHhhhhhhh!!!!」
男の絶叫が食堂内全域にこだまする。
手で頭を抱えたままスーパーオーバーリアクションで吠えるこの男を、日本チームは唖然と、
アメリカチームはやれやれまた始まったよといった感じで平然と見守っていた。
男はここニューヨーク高校の柔道部コーチであった。ちなみにニューヨーク高校における野球部と柔道部は犬猿の仲である。
いつも暑苦しく武道だの礼儀だのうんちくを垂れる柔道部を、生粋のアメリカンベースボールプレイヤーたちは煙たがっていた。
このコーチは柔のことはもちろん知っており、彼にとっても柔はスーパーアイドルであった。
彼は柔に会えた感激と、柔道に対する熱い思いを暑苦しく延々と語り、最後に柔に切り出した。
この近くにある彼の出身大学の柔道部に、今度のアトランタオリンピック候補のすごい選手たちが
明後日練習試合に来るので、是非柔にも試合をして欲しいと・・・。
551992年の秋のこと:2009/03/23(月) 08:37:46 ID:lyijucdB
<27/88>
「ええっ!?そ、そんなこと急に言われても・・」柔のとまどいに反して、
「えええーーーっ!!すっげーーーっ!!柔ちゃんの試合、生で見られるの??」
「すげーーーー!!すげーーーー!!絶対見てーーーーっ!!」
日本の野球少年たちは思わぬ提案に大興奮となった。
「ちょ、ちょっと、みんな!明後日はみんなが楽しみにしてた市内観光もあるし・・!」
まさかこんな展開になるとは思わず、焦って説得を試みる。
「いーーーよ、市内観光なんていつでもできるもんな〜!それに比べて柔ちゃんの
試合を生で間近で見られる機会なんてマジでないよな〜!!」
「そーだ!そーだ!」
「柔ちゃんの試合が見たいぞーーー!!」
さすがはスポーツバカの集まりだけあって、ニューヨークの市内観光もこのビッグな提案の前には霞んでしまった。
「ね、監督も見たいですよね?」
「う、うむ。わしも見たい」
監督は頭の中で柔とのラブラブ市内観光と柔の生試合を天秤にかけていたが、みんなの勢いに押されてそう答えてしまった。
「そ、そんな・・」
最終日に試合なんかしてたら、市内で松田と会えるどころではない。
(仕事で来たのに、松田さんに会えるかもなんて思った罰なのかな・・)
柔はしゅん・・と少し泣きそうな顔でうつむいた。
その様子を見ていた山田がふいに盛り上がる集団に割って入った。
「おいおい、みんな、何勝手に盛り上がってるんだよ!柔ちゃんの意思ってもんがあるだろ!本人は嫌がってるんだから勝手に決めるなよ!」
「なーーんだよ、山田!お前、なに昨日からかっこつけてんだよ!」
「そうだ、そうだ!邪魔すんなよ!柔ちゃんだって嫌がってなんかねーよ!ねー、柔ちゃ・・」
そう言って向かったみんなの視線の先には、誰の目にも明らかな泣き出しそうになるのを必死で耐えている痛々しい柔の姿があった。
「・・・・」
「柔ちゃん・・・」
「い、嫌なら無理に出なくていいよな〜?」
「あ、ああ!そうだよ!だ、誰だよ!出ろなんて言った奴!」
「か、監督じゃねえ?」
「え?わし!?」
「監督〜!!マジ、ひどいっすね!!」
「そうっすよ!ひどいっすよ!!」
「お、お前ら〜っ・・・!!」
こいつらに地獄の仕置きをするため、もはや日本に帰るのが楽しみになってきた監督であった。
561992年の秋のこと:2009/03/23(月) 08:38:31 ID:lyijucdB
<28/88>
「わ、私・・・」
ふいに柔が口を開いた。みんなが次の言葉を待って固唾を飲んで見守る。
「もう少し考えさせて頂いてもいいでしょうか・・?突然のことなのでなんだか気持ちの整理がつかなくて・・」
努めて明るく言う様子が、みなの胸を締め付ける。
「う、うんうん!もちろんだよ!ゆっくり考えなよ!」
「そうそう、柔ちゃんが出たければ応援するし、出ないならみんなで市内観光しようぜ!」
「し、市内観光もいいよな〜!俺、ちょー楽しみにしてたもん!」
「ささ、この話は終わり終わり!!さっさと飯食い終わって球場見学行こうぜ〜!」
「おおーーーっ!」
少年たちの精一杯の気遣いに思わず涙がこぼれそうになった柔は、
「みんな・・ありがとう・・」と震える声で礼を述べた。
本来の柔の仕事を考えると柔道の試合などしなくてよいのだが、あんなにみんなが期待しているのを目の当たりにすると
断るのも気が引ける。まして彼らは大事なお客様だ。できれば要望に応えるのがプロというものだろう。
それに、断りたい最大の理由が松田に会える機会がなくなるから・・ということなだけに、よけいに後ろめたさを感じるのだ。
(どうしよう・・)
思いがけず立ちこめてきた暗雲に、柔は自分の心にも少し陰が差し込んできたのを感じるのであった。
57伊太郎:2009/03/23(月) 08:39:47 ID:lyijucdB
ここで切ります。
なんかうだうだしてるけど、読んでくれた我慢強い人たち、ありがとう〜!
58名無しさん@ピンキー:2009/03/23(月) 09:33:24 ID:4U5Aw507
乙です!柔が柔らしくて可愛い〜!
高校球児たちもどう絡んでくるか楽しみです
59名無しさん@ピンキー:2009/03/23(月) 13:09:21 ID:wV3XFAXq
乙です!
本当に原作っぽい柔ですね!
60伊太郎:2009/03/24(火) 08:15:15 ID:qX98Jlv6
嬉しいレス、ありがとう〜!
なんかこれから先は・・それ、なんて三流ドラマ?ってな展開になってるけど、続きをどうぞ↓
611992年の秋のこと:2009/03/24(火) 08:16:08 ID:qX98Jlv6
<29/88>
一行はニューヨーク高校をあとにすると、球場近くの野球歴史博物館やロッカールーム見学ツアーなどを楽しんだ。
みんながわいわい見学している中、山田は一人ぼんやりと思案していた。
「おい、山田!さっきから変だぞ!な〜にボケッとしてんだよ〜」
「ん・・?あ、ああ・・」
山田はずっと柔のことを考えていた。
(写真の男・・・メモ・・松田・・ようこそニューヨークへ・・球場で・・・明後日・・柔道の試合)
柔を取り巻くキーワードを繰り返し連想する。
「あ・・」
なんとなくつながってきた。
あのメモの内容からして”松田”はニューヨークに住んでいる。ということは、柔ちゃんとは遠距離恋愛なのだろう。
球場で会えるってことは・・わかんねえけど、彼も観に来てるってことか?
そして、明後日の自由行動の日に柔道の試合を柔ちゃんが嫌がったってことは・・・
会う約束をしてたってことか!?
(うーーん、わかんねえ・・・)髪の毛のない、いがぐり頭を掻きむしる。
(でも・・もしそうなら・・会わせてやりてーな・・)
松田からのメモ一枚で極上の笑顔を見せる柔、今日のニューヨーク高校での泣きそうな柔の顔・・
交互に思い浮かべながら山田は思った。
(俺も相当重症かもしんね・・)
621992年の秋のこと:2009/03/24(火) 08:16:32 ID:qX98Jlv6
<30/88>
そろそろ試合時間も近づいてきたということで、柔たち一行はスタンドへと向かった。
柔はみんなを引率しつつも、あたりをしきりにきょろきょろしている。
(”松田”を探しているんだな・・)
山田はめざとくその様子を観察していた。
(松田さん・・もう記者席に行っちゃったのかな・・)
柔は試合が始まる前に、万が一の嬉しい遭遇の可能性を考えて必死にあたりを見回した。
記者席はホーム裏と右翼・左翼に別れているので松田がどこにいるかはわからない。
柔たちの席から見える記者席には松田は見当たらなかった。
(ここにはいないのかな・・)
試合が始まっても見つけることができなかったので、柔はがっかりしてしまった。
それでもどこか死角になってる所にいるのかもと、必死で自分の席から見える範囲の記者席を凝視していた。
さすがに、みんなを置いて他の記者席まで探しに行くことはできない。もう終盤だというのに、柔はちっとも試合を見ていなかった。
(柔ちゃん・・試合始まってからも全然観てないよな・・なんか記者席の方ばっかり・・)
相変わらず柔を観察していた山田。
(記者席ねぇ・・ん・・?記者席・・記者・・・)
「あああああああああーーーーーーっ!!」
突然大声を上げると、両手で拳を握りしめて思いっきりベンチから立ち上がった。
周囲の部員たちは一斉にのけぞって、山田を中心に円ができる。
「な、なんだよ山田!!ビビらすなよ!!」
「今のファールをホームランと勘違いしたのかよ!?」
「え?へへっ・・」
山田はごまかし笑いを浮かべると、一気に駆け出した。
「おい、どこ行くんだよ!」
「便所!」
「あいつ、漏らしたんじゃね?」
みんなの冷やかす声を背に、山田は走った。
631992年の秋のこと:2009/03/24(火) 08:17:05 ID:qX98Jlv6
<31/88>
(わかった!!わかったぞ!!あの”松田”って男は記者だ!!日刊エブリーの記者だ!!!)
3ヶ月前の国民栄誉賞授与式の騒動の時、一瞬だけど、テレビに映っていた男!
後で日刊エブリーがお詫び記事を出したときに載っていた記者の名前!!
そしてその記者はニューヨーク支社に転属になったと書いてあったはずだ!!!
(そうか!そうか、そうか!!あの騒動は日刊エブリーのスタンドプレーなんかじゃねえ!
詳しい事情はわからんが、二人の恋騒動!?みたいなもんだったんだ!!・・・たぶんな!)
そうとなれば話は早い。さっそく松田を探し出して、柔ちゃんに居場所を教えてあげなければ・・
(記者だからこの球場に来てたんだな・・)
あのメモに書かれた『球場で会えたらいいな』の意味が今わかる。
会えたら・・と書かれていたから彼は仕事中なのだろう。きっと記者席のどこかにいるはずだ。
(うーーー、早くしないと試合が終わっちまう!!)
山田はスタンド内を駆け回り、必死に松田の姿を探した。
(ここにもいねえってことは、あっちか!)
その時、試合が終了した。
(やばい!記者たちが移動しちまう!!)
山田は記者席に近いフェンスにへばりつくと、他称”サンコンの目を持つ男”の視力をフル活動させた。
「あ!見つけたぞ!!あれだ!!!」
確かにテレビと写真で見た男が、バインダーに挟んだ原稿用紙に向かって懸命に何かを書き込んでいる。
その腕をカメラマンらしき男が引っぱり、どこかへ連れて行こうとしている。
試合の後に予定されている記者会見場へ行こうとしているのだろう。
「ちょ、ちょっと待ったーーーーっ!!」
遠くから聞こえた日本語に思わず松田が反応して声の方向を見る。
「え?誰?」
そこにはいがぐり頭の少年が必死の形相で手招きしている。
「なんじゃ、ありゃ〜?」
俺のことかと指差して確認すると、ぶんぶんと首を縦に振って肯定している。
なんなんだ?と近づこうとするとカメラマンの村井が引き止める。
「ちょっと!松田さん!!早く行かないと記者会見始まってしまいますよ!!」
「え?あ、ああ!でも・・」
「でもじゃないですよ!あんなわけわかんない坊主の少年ほっといて、さあ早く〜」
ぐいぐいと松田の背中を押して移動させようとしている。
641992年の秋のこと:2009/03/24(火) 08:17:37 ID:qX98Jlv6
<32/88>
「柔ちゃんが待ってるんだーーーーっ!!!」
山田は渾身の力を振り絞って声を張り上げた。
松田は”柔”の言葉に思いっきり反応する。
「え!?柔さんが何だって!??」
引き止める村井の腕を振り払い、山田の元へと駆け寄る。
松田のいる位置より2mくらい高いスタンド席にいる山田。二人の間に高低差はあるものの、フェンス越しに向き合った。
「柔ちゃんが・・あなたを待ってるんですよ!」
「え・・?柔さんが?」
「彼女、あなたに会えると思って、試合もそっちのけでずっとあなたの姿を探してたんです!」
「お、俺だって会いたいさ!・・ってキミ誰?何で俺たちのこと知って・・」
「俺は、柔ちゃんとツアーが一緒で・・ってそんなことはどうでもいいんだ!明後日は!柔ちゃんに会いに来て頂けますよね!?」
「明後日!?・・それが・・無理そうなんだ・・仕事が詰まってて・・」
「な、なんだって!??柔ちゃん、あんなに楽しみにしてるのに!!」
松田はぐっと言葉に詰まり、つらそうに顔を歪めると、
「キミ、柔さんと一緒にいるんだろ?だったら伝えてくれないか?明後日はたぶん無理だから・・ごめんって・・
俺この調子だといつ柔さんに連絡取れるかわからないんだ・・」
「な・・や、やだよ!!そんなこと・・言えるわけないだろ!!」
「もう、松田さん!早く行かないと!!」
山田の拒絶の言葉が届く前に、村井が強引に松田を引っ張って行く。
「じゃあ、頼んだぞーーっ!!」松田が去り際に振り返って念を押した。
「頼んだぞって・・ふざけんなよ!言えるわけ・・ないだろ・・」
山田はフェンスにしがみつくと悔しそうに呟いた。
柔の悲しそうな顔が目の前にちらついてズキズキと心がうずいた。
65伊太郎:2009/03/24(火) 08:18:26 ID:qX98Jlv6
では、ここまで!
66名無しさん@ピンキー:2009/03/24(火) 09:20:07 ID:5uh5gBdR
乙ですぢゃ!
山田くんいいやつだなあ。
67名無しさん@ピンキー:2009/03/24(火) 12:29:35 ID:kSKHuD3Y
乙です!あ〜柔の超がっかりな顔が浮かぶ…
68名無しさん@ピンキー:2009/03/24(火) 13:07:19 ID:swy23VY4
うわぁぁ!!松田さん!
乙です!
69名無しさん@ピンキー:2009/03/24(火) 17:32:23 ID:ssjutYtC
山田くん本当にいいやつだ。
他称”サンコンの目を持つ男”に笑った。
サンコン懐かしい!
70名無しさん@ピンキー:2009/03/24(火) 18:49:56 ID:knmkpTo7
山田いいやつだ〜


柔に強引に襲い掛かる野球部員達…

なんて展開を予想した不純な自分を殴りたい
71名無しさん@ピンキー:2009/03/25(水) 07:24:25 ID:Ho+tvyAL
>>70
俺もそうだ…
野球部員が柔に勝てるだろうか?
でも複数で一斉にかかれば…?
とか考えてしまってた

最終的に柔には幸せになってもらえればいいね
72伊太郎:2009/03/25(水) 08:20:34 ID:R0a4hF1i
みんな、たくさんのレスありがとう〜!
原作命なのでオリキャラは出したくなかったけど、柔と松田だけでニューヨークでの話を作る力量がなかったのです・・。
後半はもう少し柔・松田中心になるので生暖かく見守ってください。
てゆーか、いいかげんエロまだ!?って思っているエロいみなさん!今から謝っておきます。正直、すまんかった・・。
現在、罪滅ぼしのためにエロ6割増しの次回作を制作中なので、今作は大目にみて頂ければ幸いです。
では言い訳はこれくらいにして、続きをどうぞ↓
731992年の秋のこと:2009/03/25(水) 08:21:29 ID:R0a4hF1i
<33/88>
どんどん観客たちが帰って行く中、山田は重い足取りでみんなのいる席へと戻る。
すると、石川と柔以外誰もおらず、二人は山田を探しているようだった。
「あ、山田くん!」
山田の姿を見つけると、ほっとしたような顔をして柔が駆け寄ってきた。
「どこに行ったの!心配したんだから!」
「す、すみません・・」
柔の顔がまともに見れない。
「おーーい、山田!みんな、お前が便所できばって倒れてるんじゃないかって心配してたぞ〜!」
ケケケと石川がからかう。
「・・・・」
「あれ、どうしたの?なんか深刻な顔しちゃって?」
からかいにのってこない山田に石川が訝しげな表情で尋ねる。
「べ、別に・・。何でもねえよ・・」
「山田くん、どこに行っていたの?」
柔が愛らしい顔でのぞき込んで聞いてきた。
「え”!?あー、いやーその〜・・ちょっと自分の席がどこだかわかんなくなっちゃって・・」
「そう、あんまり心配させないでね」柔はちょっと呆れたような口調だったが、優しい笑みを浮かべた。
「はい、本当にすみません!」
(言えねえ・・言えねえよ・・!だけど、言わないと柔ちゃんはずっと期待したまま・・)
何も知らない柔の方をちらちら見ながら、山田は一人葛藤するのであった。
741992年の秋のこと:2009/03/25(水) 08:21:57 ID:R0a4hF1i
<34/88>
結局、ホテルに戻り夕食を済ましても山田は柔に松田からの伝言を伝えることはできなかった。
(なーんだよ、あの松田って記者!あんなかわいい柔ちゃんが彼女なのにほったらかしにして・・!
柔ちゃんもあの人のどこがいいんだか・・・柔ちゃんの彼氏ってんだから、どんなにすごい奴かと思ったけど・・
全然ふつーの男じゃん!!)
部屋に戻っても悶々と二人のことを考えていた。
(今日は伝えられなかったけど・・明日こそはちゃんと言わないとやっぱまずいよな・・)
ベッドに仰向けに寝転がったまま、怒った表情や苦悩の表情をころころと繰り返す。
「やっぱ、お前変だよ!」
同室の石川は、ニューヨークに来てからの友の異変を心配した。
「あ〜、そうさ!俺は変になったさ!いーよな、お前は能天気でよ!」
そう言って、隣のベッドに寝転がっている石川に関節技をかけにいく。
「ぐえ〜っ!なんだよ!俺が何したってんだよ!!」
山田はこみ上げて来るやりきれないいらだちを、友にぶつけることで紛らわそうとするのであった。
751992年の秋のこと:2009/03/25(水) 08:22:26 ID:R0a4hF1i
<35/88>
一方、部屋に戻ってからの柔は、一人ベッドに腰掛けしょんぼりとうつむいていた。
(松田さん・・一目だけでも会いたかったな・・)
今日はちょっとは会えるかも・・と、かなり期待していただけに落胆も大きかった。
明日のメジャーの試合には松田は取材に来ないと前もってわかっていたので、会えるチャンスは今日か最終日しかななかったのだ。
(最終日は・・会えますよね・・?松田さん・・・)
また日刊エブリーに電話してみようかと思ったが、勇気がでなかった。
もしいなかったら・・また悲しくなるから・・
それに、もしいたとしたらホテルまで掛けてきてくれるかもしれないし、掛かってこないならそれだけ忙しいはず・・
寂しさに押しつぶされそうになる心を、いろいろな仮定を思い浮かべながらごまかそうとするのであった。
761992年の秋のこと:2009/03/25(水) 08:23:44 ID:R0a4hF1i
<36/88>
そして、二人の苦悩の原因である松田は、相変わらず目も回らんばかりの忙しさに追われていた。
試合後の記者会見のあとすぐに、別の取材先へとヘルプで飛ばされ、そこがまたぐだぐだと進行したために
編集部にたどり着いたのはやはり2時過ぎであった。
「ひ〜っ、づ、疲れた・・。今から原稿あげかよ〜!勘弁してくれよ〜!」
そんな松田の弱音にも誰も同情などしない。松田の周りの同僚、みんな徹夜なのだ。
「ぐだぐだ言ってるヒマがあったら、こっち手伝え〜!」
「そうだ〜!お前、今日の朝、1時間もデスクで居眠りしただろ〜!俺は見てたぞ〜!」
殺伐とした雰囲気の中、鬱憤晴らしのヤジが飛び交う。
「う”・・周りは敵だらけだな・・」
松田はおとなしく自分の仕事に取りかかる。
(ああ・・柔さんに一目でも会いたかった・・)
柔が記者席近くにいるかもと、試合中も必死にチャンスを伺ってはスタンドを見回していたが、見つけることはできなかった。
(会えると思ったけど・・現実はそんなに甘くなかったな・・)
しかし、松田は気づいていなかった。自分はこうやって自己内で処理できるが、柔にどれだけダメージを与えているのかを。
柔に対して一途ではあるが、あまりに鈍すぎる男、松田。それ故、最終日に会えないことを伝言で頼む行為にも出た。
(あのいがぐり坊主・・ちゃんと伝言してくれただろうか・・)
ぼんやりとあの少年のことを思い浮かべながら、やはり諦めきれない気持ちもあり、もう一度隣の席の先輩に聞いてみる。
「あの〜、田中先輩?もし俺が、明後日少しだけ仕事抜け出したいって言ったらどうします?」
田中はデスクにへばりつくようにして必死に記事のレイアウトを模索している最中だったが、一瞬動きが止まったかと思うと、
顔さえ上げずに無言で目だけをギロリと向けてきた。
(う”っ・・・殺される・・・)
さすがに鈍い松田も殺気を感じ、あわてて目を逸らすと、自分のデスクに向き直す。
(・・と、とにかく、今は、仕事に集中!集中!)
何だか周りに立ちこめる重い空気を追い払うかのように頭を振ると、バリバリと原稿用紙に向かった。
77伊太郎:2009/03/25(水) 08:25:41 ID:R0a4hF1i
全然話進んでないけど、切りがいいのでここで切ります。
読んでくれたみなさん、ありがとう〜!
78名無しさん@ピンキー:2009/03/25(水) 10:02:39 ID:UMo38MWg
乙です。
エロパロというよりも番外編か?と思うぐらいちゃんと作られていますね。出来るならもっと多く読みたいですね、続きが気になるので
79名無しさん@ピンキー:2009/03/25(水) 13:07:51 ID:ZEz4iP7Q
乙!
柔ちゃんは精神的に弱いからな〜
80名無しさん@ピンキー:2009/03/25(水) 14:12:16 ID:LmzvxGTl
乙です!今作の続きも楽しみですが
次回作もwktkですw
応援してます!
81名無しさん@ピンキー:2009/03/25(水) 21:36:41 ID:2PxKpqcb
これぜひHappy!でやって下さい!お願いします!
82伊太郎:2009/03/26(木) 07:49:43 ID:6mdfS6ff
みんな、レス本当にありがとう!
他の職人さんの制作を待つ間の過疎化を防ぐための時間つぶし、という意味あいもあるので細々投下してます。続きが気になる方はごめんなさい!
Happy! は実は読んだことないので、申し訳ないけど書けません・・。では、続きをどうぞ↓
831992年の秋のこと:2009/03/26(木) 07:50:46 ID:6mdfS6ff
<37/88>
ニューヨーク2日目の朝ーーー。
今日は朝から皆、野球のユニフォーム姿である。
「今日の試合はぁ〜!練習試合といえどもぉ〜!!相手にはここ5年間負けっぱなしなんだぁ〜!!絶対に勝つぞぉお〜!!!」
朝っぱらからホテルのレストランで吠える監督を、部員たちは半ば諦めたような生暖かい目で見守っていた。
朝食を済ませ、移動のためのバスに乗り込むまでの間、山田はずっと柔と二人きりになれる機会を伺っていたが、
常に誰かが柔の周りにいたため、あの伝言を切り出すことができなかった。
そしてバスはニューヨーク高校に到着し、部員たちはそれぞれロッカールームにて試合の準備を始める。
柔は一人先にグラウンド行ってみんなの到着を待っている。
(い、今がチャンスだ・・!)
山田は急いで準備すると、一番にロッカールームを飛び出した。
グラウンドに着くと、柔は一人ベンチに座って待っていた。
「あ、あのっ!」山田はつかつかと寄って行くと、勇気を振り絞って話しかける。
「はい?」柔が無垢な双眸を山田に向けた。
(う”っ・・・が、頑張れ山田!柔ちゃんのためなんだ・・!)
「あ、あの・・ま、松田記者が・・」
「え!?」
柔の瞳が大きく見開いた。
841992年の秋のこと:2009/03/26(木) 07:51:18 ID:6mdfS6ff
<38/88>
「松田さん!?」
「そ、そうです!松田記者が・・あ、明後日は・・仕事が詰まってて・・・その・・会えないって・・」
最後の言葉はどんどんすぼんで小さな声になっていった。
柔の顔がかわいそうなほど悲しさに満ちていくので、言葉に詰まって最後まで言えなくなってしまったのだ。
「そ・・そうですか・・・。松田さんに会ったんですか・・?」
柔は消え入りそうな声でそう尋ねた。
「え・・いやあ・・そのぉ・・はい。昨日、偶然!・・球場で・・」
ここまでの経緯をなんと説明していいのかわからず、かなりしどろもどろな受け応えとなってしまった。
「昨日?球場で・・?」
「そ、そうです!松田記者、柔ちゃんの席からは遠すぎて見えない位置にいたから!彼も柔ちゃんに会いたがっていましたよ!」
冷や汗をかきながら慌ててこうまくしたてると、他に質問される前にこの場を去ろうと思った。
「ま、待って!何で私と松田さんのこと・・」
「え”・・・」
しまった・・。とてもじゃないが盗み見して得た情報からなんていえない・・。誰か助けて・・!
そう山田が願っていると、準備を終えた部員たちがどやどやとグラウンドに乗り込んで来た。
「あーーーー!山田!!お前また抜け駆けして!!柔ちゃんと何話してんだよ〜!!」
二人の姿をめざとく見つけた部員たちがが駆け寄ってくる。
「な、なんでもね〜よ!今日の試合について話してたんだよ!」
「嘘つけ〜!!こら〜、白状しろ〜!!」
「何でもねえってば!!早くウォーミングアップしないとまた監督にどやされるぞ!」
山田はまとわりつく野次馬たちを押しのけるとスタスタと歩いていく。
ちらりとベンチにいる柔を見ると、やはり泣き出しそうな顔のまま佇んでいた。
(ちっ・・どうにもならねえのかよ・・!)
どうしようもない苛立ちを抱えたままその場を立ち去った。
851992年の秋のこと:2009/03/26(木) 07:51:47 ID:6mdfS6ff
<39/88>
試合が始まったーーー。
山田は遊撃手として先発出場したが、柔のことが気になってエラーを頻発した。
「くおおおおらああ!!山田ぁあああ!!貴様、何やっとるんじゃあああ!!」
監督は怒りまくり、2回を終えたところで山田は早々にベンチへと引っ込められた。
「はぁ〜あ・・だってよ〜・・」
ベンチにどかっと腰下し、ふと柔の姿を探すと相変わらず不安そうな顔で試合を眺めている。
「はぁ〜あ・・」
「なんだよ山田〜!さっきからため息ばっかりついて〜。しょうがね〜だろ、誰だって調子の悪い時くらいあるだろ〜!」
万年調子の悪い石川は、万年ベンチでもある。
「・・・。いいよな、お前は万年幸せそうで・・」
「な、なんだよ〜その言い方は!失礼な奴だな〜!あ、ところで明日、柔ちゃんは柔道の試合するのかな?」
「はあ?そうだな・・するんじゃねえ?」
「え?なんだよお前、柔ちゃんの意思を尊重しろとか言って反対してたくせによ〜」
「あ、ああ。でも今となっては断る理由もないしな・・」
「はあ?何のことだよ、それ?」
「い、いや〜、こっちのこと、こっちのこと!気にすんな!」
(そうだ・・柔ちゃんにとって明日は松田記者と会えるかもってことで柔道の試合をしたくなかったんだ・・
でも、会えなくなった今となっては・・)
「なあ〜、柔ちゃんの相手ってオリンピック候補だろ〜?そしたら、ある意味すんごい試合だよなぁ?マスコミとか来るのかな〜?」
「え!?ちょ、い、石川!今、何て!?」
「え?いや、だからすんごい試合で・・」
「そ、それだ!!!」
山田は突然立ち上がって叫ぶと、一気に走り出した。
「こ、こらあああ!山田ああああ!!試合中にどこに行くんだああああ!??」
監督の怒声が後ろから聞こえる。
「便所!!!」
山田は振り返りもせずにベンチを後にした。
861992年の秋のこと:2009/03/26(木) 07:52:13 ID:6mdfS6ff
<40/88>
高校の門を出るとすぐにタクシーを捕まえた。
「二、ニッカンエブリーマデ」
山田の英語?に見せかけた日本語はもちろん通じなかったが、身振り手振りで何とか新聞社だとわかってもらえ、
タクシーの運転手は無線で同僚に確認し、所在が判明した。
そして、タクシーは日刊エブリーのニューヨーク支社が入っているビル前に着いた。
「ここか・・・」ビルの外にあるオフィス案内リストの看板には確かに”Nikkan Every"と書いてある。
「よし!」と気合いを入れると建物の中へ入っていった。
編集部のドアを開けると、みんな慌ただしく動き回っている。
「あ、あの〜・・」誰も山田のことなど目にもとめない。
「あ、あのっ!!」大きな声を張り上げると、一瞬みんなの視線が集まった。
「なんだ?あの野球少年は?」
「さあ・・」
山田はユニフォームのままここに来てしまったことに気付き、ちょっと赤面しつつも続ける。
「松田記者はいますか?」
「え?松田?あいつ、今日はどこ行ってんの?」
「ああ、確か市内のホテルであるラグビー選手の引退会見に行ってるはずだぜ。午前中には終わるはずだから、昼には帰ってくるんじゃない?」
「だって。松田に何か用なの?」
「はい。すっごく大事な用なので、俺、ここで待ってます!」
「お、おいおい!困るよ、ここで待たれちゃ〜。見ての通り、ここは戦場なんだ」
「・・・。じゃあ、ビルの外で待ってますから」
「松田に伝言なら受けつけるのに・・」
「いや、直接話さないといけないんで!では、失礼します!」
そう言ってぺこりと頭を下げると編集部を後にした。
オフィスビルを出ると、玄関前の階段にドンと腰を下ろして座る。
野球のユニフォームを来たいがぐり頭の東洋人に、通りを行き交う人々の視線が若干突き刺さる。
(ふ、ふん!松田記者が帰って来るまで、俺は諦めないぞ!)
山田は腕組みをし、そっぽを向いて視線に耐えた。
(今は・・と。11時か・・。午前中の試合が終わってのお昼休みが確か13時だから・・それまでに戻らねーとやべえな・・)
山田の苛立ちとは裏腹に、12時を過ぎても、13時を過ぎても松田は現れなかった。
(ったくう〜!!何やってんだよ!!早くしねえと向こうで騒動になっちまう!!)
そして予想通り、山田がいなくなったとのことで試合を中断し、みんな手分けして探し始めていた。
87伊太郎:2009/03/26(木) 07:53:18 ID:6mdfS6ff
では、ここで切ります。
88名無しさん@ピンキー:2009/03/26(木) 08:44:55 ID:jRUfQEmC
乙でした。
野球部員が主人公みたいになってきましたねw
続きをのんびり待ってます。
89名無しさん@ピンキー:2009/03/26(木) 09:09:51 ID:8cbVbRyO
乙です。
時間通りに戻ってこられないところが新聞記者らしい。
90名無しさん@ピンキー:2009/03/26(木) 10:00:05 ID:DbvtUgD1
乙です!
ヤバい山田くん惚れるw
91名無しさん@ピンキー:2009/03/26(木) 16:36:54 ID:gj6MJWCL
乙です
毎日読むのが楽しみ
オリキャラが良すぎるw
92伊太郎:2009/03/27(金) 07:10:35 ID:VNbtBRRJ
みんな、レス本当にありがとう!では、続きです↓
931992年の秋のこと:2009/03/27(金) 07:11:19 ID:VNbtBRRJ
<41/88>
ついにもうすぐ14時になろうかという時ーー。
1台のバイクが爆音を上げながら近づいてきた。キキーーーッと山田の目の前で止まる。
呆気にとられて見ていると、ヘルメットを取って現れた顔は待ちわびていた松田その人であった。
「キミは・・・」松田が驚いた表情で見つめる。
「松田記者・・!!」山田はちょっと泣きそうな顔になりながら、松田に駆け寄った。
「ど、どうしたんだ一体・・?こんなところで・・」
「話があるんです!!柔ちゃんのことで!!」
「柔さんのことで!?」
「はい!」
「どんな・・・」
「試合です!!」
「へ?」
「柔ちゃんが試合するんです!!オリンピック候補の柔道選手と!!」
「え?えええええっ!???ほ、本当か!??」
「はい!!本当です!!」
「い、いつするんだ!?どこで??」
「明日!!ニューヨーク大学で!!!」
「あ、明日ぅうううう!???」
「そうです!明日です!すんごい試合になりますよ!!取材に来ますよね!?」
「ちょ、ちょっと待て!詳しく話を聞かせてくれ!」
山田は柔が試合をするまでに至った経緯を詳しく説明した。
「ふんふん、こ、これはすごいぞ!すごい特ダネだ!!」
「でしょ?だから、松田記者、取材に来ますよね!?」
「も、もちろん!!と言いたいところだけど・・。う”ーーーっ、待ってろ!今、支部長に掛け合ってくるから!!」
そう言って松田はオフィスビルへと駆け込んで行った。
そして支部長の席に向かうと、ものすごい剣幕でことの経緯をまくしたて、彼が明日抱えている取材を他の記者に回すよう半ば脅すように迫った。
支部長も特ダネには違いないので、しぶしぶその提案を飲んだ。
もちろん、松田の仕事を押し付けられた同僚はじとーっと恨みを込めた目で松田を睨む。
しかし、今の松田にはもはや何も目に入らなかった。
「柔さんが!!試合を!!!」一人ガッツポーズをしてはしゃぐ松田を、同僚たちはやれやれといった表情で眺めるのだった。
941992年の秋のこと:2009/03/27(金) 07:11:46 ID:VNbtBRRJ
<42/88>
松田は勢いよく階段を駆け下りてビルの外へ出ると、上手くいったことを山田に伝える。
「そうですか!!来てくれますか!!」
山田の顔がぱあーーーっと明るく輝く。
「ああ!!なんたって柔さんの試合だもんな!!」
「よかった〜・・!これで柔ちゃんも一安心だ・・」
「え?そういえばキミ・・なんで・・」
「え”・・?や、やっべーーっ!俺、試合途中だった!早く戻らないとみんな心配するから!じゃ!」
「ちょ、ちょっと、キミ〜ッ!!」
山田は急いでタクシーを捕まえると、さっと乗り込んで走り去ってしまった。
「まだお礼も言ってないのに・・」
松田は風のように去って行った少年を見送りながらつぶやいた。
「ありがとな・・」
951992年の秋のこと:2009/03/27(金) 07:12:21 ID:VNbtBRRJ
<43/88>
ニューヨーク高校に着いた山田はみんなから鬼のように責められ、どつきまわされた。
そして、罰として今日のメジャーリーグ観戦は無し、一人ホテルで待機が言い渡された。
(へっ、ホテル待機なんてなんでもねーや)
明日のことを考えると、全然苦にならなかった。
(おっと。しかし、明日柔ちゃんが試合に出ないと・・!)
大事なことを思い出す。柔はまだ試合に出ると言ってないのだ。
(でも松田記者が来るって言えばきっと・・)
柔に確認しようと近づくと、石川が割り込んで来た。
「おい、山田!明日、柔ちゃん試合するってよ!」
「え!?マジかよ!?」
「ああ、マジマジ!お前が長〜い便所に言ってる間、決まったんだ!」
「そうか!!やったぞ!!!」山田はガッツポーズする。
「なんだ、お前もやっぱり柔ちゃんに試合してもらいたかったんじゃん!」
「おうよ!!」
(きっと柔ちゃん、松田記者に会えないってわかったから試合するって決めたんだろうな・・)
でも今はもう、素直に喜ぶしかなかった。
山田の姿に気づいた柔はちょっと困った顔で近づいてきた。
「もう!あなたって人は・・」
「す、すみません!!もうしませんから!!」山田は必死で謝る。
「で、でも!明日はまつ・・」松田記者が来る・・と言いかけてやめた。
(柔ちゃんはもう試合に出るって決めたんだし、お楽しみはとっとかなきゃな!)
ぐふふふふ・・・と含み笑いをこらえていると、柔の不審げな視線に気づいた。
「え?あ、いやあ〜!はははっ!明日が楽しみだな〜、ね、柔ちゃん?」
「明日?え、ええ・・」
早く柔を喜ばせたい衝動に駆られたが、万が一、松田が来られなくなったりすると、
柔に大ダメージを与える危険性もあるのでここは黙っておこうと思った。
961992年の秋のこと:2009/03/27(金) 07:12:39 ID:VNbtBRRJ
<44/88>
山田が戻ってきたことで試合は再開し、結局6年連続敗北を更新してしまったものの、監督以外の面々は晴れ晴れとした顔をしていた。
「おい、明日が楽しみだな〜!」
「ああ!アメリカの強豪選手が大勢来るらしいからな!」
「やっぱ目玉はサラ・シンプソンだな!」
「誰だよ、それ?」
「何だよ、お前知らねーのかよ!61kg以下級アメリカ柔道界の重鎮だよ!」
「知らねーなー」
「お前、そんな柔道の知識で柔ちゃんのファンなんかするなよ!やめちまえ!」
「な、やだよ!なんでそんなことでファンやめねーといけねーんだ!!」
部員たちは自分たちの試合に負けたのも何のその、明日の柔道の試合のことで大盛り上がりであった。
「みなさん、今からメジャーリーグ試合観戦のため球場に向かいますので、バスに乗って下さい」
柔がそう声をかけると、みんな素直にがやがやと乗り込んで行った。
柔も最後にバスに乗り込み、バスは球場へと発車した。
(松田さん・・・)
ニューヨークに来る前は期待に満ちて幸せ一杯だったのに、今はこんなにつらい。
会えるかも・・という期待はもう叶わない夢としか思えなかった。
(こんなに近くにいるのに・・)
柔はまたこみ上げて来る涙をぐっとこらえた。
(ダメよ、柔!ここには仕事で来てるんだから、期待するのがおかしいの!仕事に集中!!)
くじけそうになる心をそうやって奮い立たせると、なるべく松田のことを考えないように努めることにした。
97伊太郎:2009/03/27(金) 07:16:55 ID:VNbtBRRJ
では、ここまで。
98名無しさん@ピンキー:2009/03/27(金) 08:04:07 ID:4OyR2t95
乙。後半分!がんばって!
99名無しさん@ピンキー:2009/03/27(金) 11:49:31 ID:xWDo08lF
乙でした、もう半分か。結構早いもんだね
100名無しさん@ピンキー:2009/03/27(金) 13:22:59 ID:TOeVwI6x
乙です!
松田が取材に来るのを、万が一の事を考えて黙ってる辺り
山田くんはホントに優しいなと思う…
自分ならすぐ言ってしまいそうw
後半も楽しみにしてます!
101名無しさん@ピンキー:2009/03/27(金) 13:41:28 ID:TOeVwI6x
↑上のレス、まだ読んでない人にはネタばれに…
目に入っちゃったら本当にごめん
次は気をつけます
102つや姫:2009/03/27(金) 21:36:55 ID:nPBitSZq
突然すみません。
まだ完成してませんが、少し投下させていただきます。
だいぶはしょってるので展開が速いです。さわりだけですが…

樹氷浪漫〜山形編〜プロローグ

 カタン、カタン…カタン、カタン…
「山形駅まであとどのくらいなんですか?」
そわそわした様子で柔が隣の松田に問う。
「んー、もう30分もすれば着くよ」
「もうすぐなんですね…」
深呼吸したりキョロキョロしたりとなにやら落ち着かない柔。

「柔さん、もしかして緊張してる?」
「す、少し…。試合より緊張しちゃう…」
「そんな、大丈夫だよ。わりと気さくな親だし、
 もっとリラックスして平気だよ」

 手をきゅっと握りながら、ニコニコと笑う優しい松田の気遣いに
柔は少し安心した。

(そうよ、大丈夫!松田さんが一緒だもん。初めて松田さんのご両親に
挨拶に伺うんだもの、ちゃんとしなきゃ!)
103つや姫:2009/03/27(金) 21:54:52 ID:nPBitSZq
樹氷浪漫〜山形編〜1

 空港での別れから約2年半、柔と松田は離ればなれになりながらも
電話や手紙のやりとりと、松田に会うために柔がアメリカを訪問したり、
ゆっくりとお互いの関係を育んできた。

今回は長期に渡った取材が一段落し、松田が会社から10日間の遅めの
正月休暇がもらえることになり一時帰国してきたのだった。
柔も松田に合わせて有給を取り、松田の両親に挨拶をするため、
一緒に山形に向かうことになった。


“やまがたー やまがたー”

「着いたよ柔さん。ここからはバスで移動するんだ」

新幹線を降りて松田に荷物を持ってもらい、駅の外に出ると
一面に積もった真っ白な雪景色に太陽の光が反射してキラキラとまぶしい位輝いていた。

「わあ、さむーい!道路もすごい雪!」
東京では滅多にお目にかかれない雪の量に柔は驚いた。
その隣で松田は伸びをする。
「う〜ん、久しぶりだこの感じ!!やっと帰ってきた!
 あ、あれだよバス。行こう!」
「はいっ」

久しぶりに地元に帰ってきてハイテンションになっている松田を見て
緊張気味の柔も少しわくわくしてきた。

(ここが松田さんの故郷…。松田さんのお父さんとお母さん、どんなひとだろう?)
104つや姫:2009/03/27(金) 22:05:34 ID:nPBitSZq
あ、漫画板で松田の故郷が蔵王っぽいってことで、
わたしもなんとなくそうだと思ってたので蔵王付近の設定です。

私も山形県民なんですが、地方によってまったく方言がことなるので
言葉は大体で書きます。違うだろ!!って思っても流してね。


105名無しさん@ピンキー:2009/03/27(金) 22:50:00 ID:9krh4012
待望の山形編キター!
しかも山形県民の人に書いてもらえるとは…
世田谷は知ってても蔵王には行ったことない都民なんで
とっても楽しみです!
伊太郎さんも応援してますよー
106名無しさん@ピンキー:2009/03/28(土) 00:16:17 ID:dAAtgP1C
新たな職人さんの誕生ですね。
つや姫様、山形篇期待しております。

伊太郎さんの続きも楽しみですね。
107伊太郎:2009/03/28(土) 07:34:00 ID:RaDoEyfA
つ、ついに待望の職人さんが・・!しかも山形編って!!めちゃ楽しみにしてますよ〜!
もう細々投下して待つ必要もなくなったので、バンバン投下してさっさとこの話を終わらせたいと思います。
では、続きをどうぞ↓
1081992年の秋のこと:2009/03/28(土) 07:35:07 ID:RaDoEyfA
<45/88>
(今頃みんな、試合観戦中か・・・)
一人ホテルに残された山田は、ベッドに寝ころがってぼんやりと考えていた。
(柔ちゃんと松田記者ってどうやって付き合うようになったんだろう・・)
頭に浮かんでくるのは、二人のことばかり。
そして、松田からの伝言を伝えたときの柔の悲痛に満ちた顔を思い出す。
(ったく・・柔ちゃんにあんな顔させんなよ・・)
おもしろくねぇとばかりにごろりと寝返りをうつとまた考え込む。
(俺が・・柔ちゃんのファンになったのは確か・・)
確か、柔ちゃんがソウルオリンピックで大活躍したときからだ。
親父が俄ファンになり、毎日柔ちゃん!柔ちゃん!と騒いでいつもテレビで見てたっけ・・
そして、柔ちゃんが出てるスポーツ紙はかかさず買ってきてた。
つられて俺も読んでたけど、結局どれも似たような記事ばかりで・・
最終的におもしろいからっていつも読んでしまってたのは・・
(日刊エブリー・・だったな・・)
あの頃は、記者の名前なんて見てなかったけど・・。
(あれは全部、松田記者の記事だったのかな・・)
もし、そうだとしたら・・
(へへっ・・な〜んだかな!俺の出る幕なんてね〜よ!)
ちょっと哀しそうな笑いを浮かべると、上半身をベッドから起こす。
だって俺、読んでていつも思ってたよ・・なんつーかさ、ラブレターみたいな記事だってな!
「・・・・。うし!腹減った!飯でも食いに行こうっと!」
誰もいない部屋で一人、わざと明るい声でそう呟くと元気よく部屋を飛び出した。
1091992年の秋のこと:2009/03/28(土) 07:35:28 ID:RaDoEyfA
<46/88>
柔たちが試合観戦と夕食を終えてホテルに帰ってきたのは22時も過ぎる頃であった。
「山田ぁ〜!大人しくしてたかぁ〜?」
帰ってきた石川が勢いよく部屋のドアを開けると、山田の姿がない。
「・・・や、山田?」
やばい!!あいつまたいなくなった!
「おい、山田の様子はどうだ?」
その時、後ろから監督が声をかけてきた。
「えっ!?え、ええ!な、なんか、ふてくされて寝てます!」
あわててドアを閉めると石川は焦ってそう答えた。
「はっはっはー!そうか、今回ばかりはあいつも相当堪えたようだな!」
監督は満足げにうなずくと、その場を去っていった。
(なんだよ、山田〜!どこ行っちまったんだよ〜・・・)
石川はただおろおろと一人ホテルの廊下に立ち尽くすのであった。
1101992年の秋のこと:2009/03/28(土) 07:36:02 ID:RaDoEyfA
<47/88>
一方山田は、外で夕食を済ますと一人マンハッタンの街をさまよっていた。
そして、気づいたら地下鉄に乗り、日刊エブリーの入っているオフィスビル近くまで来てしまっていた。
(なんでここに来ちまったんだろ・・)煌々と灯りがともる編集部のある窓を見上げる。
(松田記者・・いるかな・・?)
時刻はすでに23時を過ぎていた。
結局、なぜ来てしまったのかわからないまま、オフィスビルの玄関付近をうろうろと行ったり来たりする。
1時間以上もそうしていると、遠くからバイクのエンジン音が近づいてくるが聞こえた。
(も、もしかして・・!)
昼間に聞いたエンジン音に似ている!はっとして顔を上げる。
(松田記者!)
山田の目に入ってきたのは、間違いなくバイクに乗った松田であった。後ろにはカメラマンらしき人物も乗っている。
バイクは、山田の存在に気づいたらしく一直線に山田の方へと向かってきた。
「キ、キミ〜!!」ヘルメットを取りながら、松田が驚きと嬉しさが入り交じった声で話かけてくる。
「おい、村井!ちょっと先に編集部に戻っててくれ!」松田は後ろに乗っている男にそう伝えた。
「え〜松田さん!早く今日の原稿あげないと、支部長に絞め殺されますよ〜!」村井と呼ばれた男が口を尖らせて抗議する。
「いいから!俺も後からすぐ行くって!」
「早くして下さいよ〜」村井はしぶしぶバイクから降りると一人、ビルの中へと消えて行った。
松田はバイクから下りると、両手を広げ親しげに山田に近づいてくる。
「お礼が言いたかったんだ!!」
「お礼?」
「ああ!!柔さんの試合のことだよ!」
「お、俺は別に何も・・」
「キミが知らせてくれなかったら、こんなすんごい機会あやうく逃すところだったよ!!」
「すんごい機会?」
「ああ、柔さんの試合が見れるだろ!?」
「・・・」
(試合より、柔ちゃんに会える機会だろ・・ったく・・)
山田は目の前にいる、この期に及んでなお鈍すぎる男に心の中で悪態をついた。
1111992年の秋のこと:2009/03/28(土) 07:36:58 ID:RaDoEyfA
<48/88>
「いやあ、本当にありがとう!キミ、名前は?」
「・・山田です」
「山田くん、か。・・ところでキミ、柔さんのツアーにいるって・・」
「え、ええ」
「や、柔さんから何か聞いたの?そ、その〜・・俺たちのこと何か・・」
松田の顔がほんのり赤い。それをごまかすかのように視線がせわしなく泳いでいた。
「い!?いいえ!何も!!」
「え?じゃあ、何で・・」
何で俺があなたたちの関係を知ってるかって?
ふぅ〜・・・。山田は大きくため息をつくと、意を決したように全てを話しはじめた。柔には内緒にしてくれと念を押して。
何だか、この人には全部話した方がいい。そんな気がしたのだ。
ツアー初日からの柔の様子を事細かに説明すると、松田の顔がみるみる真っ赤に染まっていく。
(ったく、見ているこっちまで何か恥ずかしくなるよ・・!)
目の前で大の大人が真っ赤な顔で必死に照れを隠そうとしているのを見ると、つられて自分も赤くなってしまった。
「で、でもキミ!本当にすごい洞察力だな!写真とメモでここまでたどり着くなんて・・」
松田は山田の話の中での柔の様子に気を取られながらも、山田の洞察力には脱帽した。
「そ、そうすか?」へへへっと山田は笑う。しかし、写真とメモの件は『偶然』見えたってことにしといたのは秘密だ。
「ああ!行動力も大したもんだ!キミ、記者に向いてるぞ!」
「記者に?」
記者か・・。考えてもみなかった・・。そういや俺、将来の進路まだ決めてなかったな・・。来年はもう卒業だってのに。
「俺も松田記者みたいになれるかな?」
「え?ええ〜っ!?俺みたいに〜!?」
「そ、松田記者みたいに見つけるんだ!最高の取材対象をね!」
山田がいたずらっぽく笑うと、松田の顔がまた耳の先まで赤くなった。
そんな様子を見て、ちょっぴり嫉妬心のようなものがもたげてきて胸がチクリと痛む。
「あ、でも俺は三流新聞じゃなくて、一流新聞社を狙いますけどね〜」
柔の想い人に対する、精一杯の抵抗を示すとあははっと笑った。
「なにを〜っ!」松田は山田の肩に腕を回すと、ぐいぐいと絞めにかかった。
「あははっ!う”〜っ・・く”、苦しい!じょ、冗談ですよ〜!!」
1121992年の秋のこと:2009/03/28(土) 07:37:22 ID:RaDoEyfA
<49/88>
二人はしばらくじゃれあっていたが、松田はハッと思い当たって呟く。
「キミ・・もしかして柔さんのこと・・」
「え”!?」
一瞬、山田が固まる。
「・・・な、なあにバカなこと言ってるんすか!!んなわけないでしょ!だ、第一、俺、年下専門!!
筋金入りのスーパーロリコンなんっすよ!ぐへへへへっ!!
た、ただ、目の前で不器用な大人たちがうだうだしてるのが見てらんなかったの!野次馬根性ってやつっすよ!」
松田が複雑な表情で見つめてくる。
「本当に・・」
話を続けようとする松田を思いっきり遮る。
「や、やべ〜!!俺、もうホテルに戻らなきゃ!」
(そうだよ!今度抜け出したのが見つかったら、確実に殺される・・)
「・・・・・。送ってくよ!」
松田が明るく申し出る。
「え?で、でも・・早く仕事に戻らないといけないんじゃ・・」
「なあに言ってんだよ!今からどうやってホテル帰るんだ?この時間にここでタクシー捕まえるのは至難の技だぜ?
それに、ニューヨークの夜の地下鉄なんて危なくて乗せらんないよ!」
そういってカポッと山田の頭にヘルメットをかぶせる。
「さあ、乗って乗って!」
二人はバイクにまたがると、眠らない夜のマンハッタンをホテルに向けて滑り出した。
1131992年の秋のこと:2009/03/28(土) 07:37:43 ID:RaDoEyfA
<50/88>
時刻は1時を回ろうとしていた。
柔はベッドに入ってはいるものの、眠れないでいた。
頑張って目をつぶっても松田の顔が浮かんでは消え、目尻にじわじわと涙がしみ出してしまう。
(なんで・・?なんで松田さんのこととなると私、こんなに泣き虫になるんだろう・・)
こぼれそうな涙をそっと指で拭うと、ころりと寝返りを打つ。
日本にいたときは、いつも当たり前のように自分の近くにいた松田。
当たり前すぎて、かけがえないのない存在だと気づいたときには、傍らには邦子がいて・・
頑張って意地張って、松田さんなんて関係ないって思い込もうとして・・
でも、やっぱり心の中にはいつも・・
(いつも・・松田さんが・・)
きゅっとシーツを握りしめる。
せっかく想いが通じ合ったのに、なんでこんなにつらいんだろう。
彼の笑顔が、声が、怒ったときの顔でさえ、全てが柔を暖かく包んできた。
あの心地いい、優しさに満ちた安らぎが何だか遠くに行ってしまうようで・・
不安に押しつぶされそうになる。
ベッドに入ってからずっと、気を紛らわせようと窓の外の喧噪を聞いていた。
バイクの音が聞こえる度、あれは松田さんかしら?と思いを馳せていた。
(ふふっ・・そんなわけないのに・・)
寂しそうに笑うとまた、何とか眠ろうと寝返りを打つのであった。
1141992年の秋のこと:2009/03/28(土) 07:38:04 ID:RaDoEyfA
<51/88>
松田のバイクがホテルの前に着くと、山田はバイクから下りた。
松田はヘルメットを脱ぐと、ぐっと手を差し出す。
「明日、試合会場で会おうな!!」
「はい!必ず!」
二人は固く誓いの握手をすると、各々の戻るべき場所へと引き上げて行く。
ホテルに戻った山田は、そろりそろりと自分の部屋まで向かう。
部屋のドアを開けると電気はついておらず、石川の耳をつんざくようないびきが部屋一杯に響いていた。
そっと部屋に入りごそごそと着替えていると、隣で寝ていた石川がガバッと起き上がった。
「山田あ〜っ!!!どこ行ってたんだよおおお!!俺、もう心配で心配で全然寝れなくて・・」
そう言って抱きついてくる。
「・・・・」
(今までいびきかいてたのはどこの誰だよ・・!)
「でもよかった〜、ちゃんと帰ってきてくれて!俺、監督にはちゃんとお前が部屋にいるって言っといたからな!」
石川は褒めて褒めて!という表情でにこにこしている。
「お!でかしたぞ、石川!それでこそ心の友だ!!」
「へへ〜ん!」
誇らしげに鼻を広げふんっと一回鳴らすと、石川は再びベッドに倒れ込み、深い眠りへと戻っていった。
そんな友に対し、呆れたような愛しいような複雑な笑みを浮かべると自分もベッドへと入っていくのであった。
1151992年の秋のこと:2009/03/28(土) 07:38:38 ID:RaDoEyfA
<52/88>
松田が編集部に戻ると、案の定、支部長にしっかりと絞られた。
「き・さ・まはあああ〜っ!!1時間以上もどこほっつき歩いてたんだああああ!!」
「はあ・・すみませーん!!」
全然反省の色が見えない顔をして直立不動で謝ってる姿を見て、聞き耳を立てている同僚たちがくすくすと笑う。
「お前!!今日は原稿あげた後、徹夜で校正手伝え!!居眠りは許さんぞ!!」
「はいはい!」
「返事は一回!!」
「はあーーーーい!!」
松田は編集部中に響き渡る声で返事をすると、ズカズカと自分のデスクに戻りどかっと腰掛けた。
すかさず近くの同僚が冷やかしにかかる。
「松田ちゃ〜ん!キミ、勇気あるねぇ〜」
「お前、もう4日連続徹夜じゃねえの?」
「ある意味、マゾだよな、こいつの場合!自分で仕事増やしてんだもんな!」
周囲の雑音を打ち破るかのように松田が答える。
「俺、ぜ〜んぜん平気っす!!なんたって明日は・・・!」
ぐふふっ・・と不気味に笑う松田を前に同僚たちは顔を見合わせてひそひそする。
「あいつ、徹夜続きでとうとういかれちまったか?」
「い〜や、真性のマゾだ・・!」
「と、とにかく関わらない方がいいな・・!」
そう結論づけると、各々ささーっと自分のデスクへと戻って行った。
「へっ、徹夜がなんだ!」
松田はそう呟くとモーレツな勢いで仕事に取りかかりはじめた。
116伊太郎:2009/03/28(土) 07:39:48 ID:RaDoEyfA
ここで切ります。読んでくれたみなさん、ありがとう〜!
117つや姫:2009/03/28(土) 10:59:40 ID:e9lG0RAK
樹氷浪漫〜山形編〜2

 バスが進むに連れ、ますます雪が深くなっていった。
「柔さん、大丈夫?」
「はい?」
「いや、やっぱ緊張してるかなって…」
「少しは…。でもさっきより落ち着きました。だって
 松田さんがずっと手握っててくれるもん」

 周囲の人は誰も柔に気づかない。こんなところに
猪熊柔がいるなんて誰も思わないのだろう。

「…東京でこんな風に手つないでバスに乗ってたら、俺たち大騒ぎだよな」
「本当は普段からもっとこうしていたいんですけど…でも、今はいいよね?」

 柔は全国民のスーパースター的な存在だった。謙虚な姿勢と
アイドルのようなルックスに加え、無敵の強さを誇る柔道の天才。
今バスの中で微笑みあう2人はどこからどう見ても普通の恋人同士だ。

プシューー

バスが温泉街に着いて、手を繋いで歩いて松田の実家《民宿まつだ》に向かった。

118名無しさん@ピンキー:2009/03/28(土) 15:14:08 ID:NUeA9YDA
スーパーロリコンワロタw
松田さんに手を握られたいです
119つや姫:2009/03/28(土) 16:37:00 ID:e9lG0RAK
樹氷浪漫〜山形編〜3

「歩きにくいから気をつけて。もうすぐそこだから、ゆっくり行こう」
「はいっ」
少し歩くと《民宿まつだ》の看板が見えてきた。
(いよいよ松田さんの実家ね…。どうしよう!なんて挨拶すればいいんだっけ?)
ドキドキと柔の緊張はピークに達した。

ガラガラ…
「ただいまー」

ドタドタドタドタ!!
奥から割烹着姿のおばちゃんが勢いよく小走りで出てきた。
「やっと帰ったが耕作!!」
「か、母ちゃん!ただいま」
松田の母親のようだ。
緊張のピークの柔は勢いにまかせて頭を下げる。
「あのっ、はじめまして!!わたし、まつ…耕作さんと
お付き合いさせていただいてます、猪熊柔です!!」
「あやー、柔ちゃん!!待ってだよー、こんだ遠いどさよぐ来たなー!ささっ、疲れだろ!
まんず中さ入って暖ったまれ!ほれ、耕作!おめえはさっさど荷物座敷さ運べっ」
「へーへー」
「お、お邪魔します」
120つや姫:2009/03/28(土) 16:57:30 ID:e9lG0RAK
樹氷浪漫〜山形編〜4

「父ちゃん、父ちゃん!!柔ちゃん来たよ!!」
そのまま茶の間に通されるとこたつに、入っていた松田の父が
慌てて正座をして柔に向き直った。
「この度はどうも、遠いところをわざわざ来ていただいて…」
慌てて柔も膝をついて頭を下げた。
「いえ、挨拶が遅れて申し訳ありません!耕作さんとお付き合い
させていただいてます、猪熊柔です。」

「やんだよー、父ちゃん!堅苦しいでねが!早ぐ柔ちゃんこたつさ入れてやれっ」
松田の母がうきうきしながらお茶と茶菓子を運んできた。

「あの、1週間お世話になります。ご迷惑おかけしますが…、よろしく願いします」
柔が深々と頭を下げた。
「いやいや、何にも無いとこだけんど、ゆっくりしてけらっしゃい!」

(松田さんのお父さんもお母さんも優しそう…よかった!)
歓迎ムードに柔はほっと胸をなでおろした。
121名無しさん@ピンキー:2009/03/29(日) 01:23:11 ID:nw3wjypH
乙です!
読んでるとニヤニヤがw
お二人とも続き楽しみにしてます
122名無しさん@ピンキー:2009/03/29(日) 08:17:01 ID:Q2Su5o+I
職人さん二人とも乙です。
123名無しさん@ピンキー:2009/03/29(日) 10:32:05 ID:Mhy9NcY5
wktk
124名無しさん@ピンキー:2009/03/29(日) 12:18:03 ID:HnZv3pd2
本当にニヤニヤしてしまいますな
125つや姫:2009/03/29(日) 20:54:10 ID:3BThil7h
樹氷浪漫〜山形編〜5

 外はすっかり暗くなり、夕食の時間が近づいてきた頃。

ガラガラガラ…
「おーい、上がっていいがい?」
言いながら玄関を開けて知らない人たちが勝手に上がりこんできた。

「おう、耕作!!おめアメリカがら帰ってきたってなあ!!
 みんなで酒持って来たぞ」
「こんばんは〜、あれー、柔ちゃん!!本当にいた!!本物だ本物!!」
「柔ちゃん!!うおおおおおお!!マジで柔ちゃんが??」
「本当に柔ちゃんがいる!!耕作の彼女って嘘じゃねがったんだ!!」
「なんで耕作なんかど付き合ってんなだ?!」

「ええっと、あの、えっと…」
いきなり訪れた人達に聞き慣れない言葉でまくし立てられ、
柔はタジタジになってしまった。
松田もよく状況を把握できない。

「な、なんだなんだいきなり!!」
「何って、柔ちゃんが来たって近所で大騒ぎなってだんぞ!」


 来客は町内の人達や近所の親戚、松田の同級生を合わせて20人近くになっていて、
あっという間に大宴会になってしまっていた。

126つや姫:2009/03/29(日) 21:10:55 ID:3BThil7h
樹氷浪漫〜山形編〜6

「いやー、柔ちゃん!テレビで見るよりめんごいなあ!!」
「本当にめんごいのう!」
「耕作どはいづから付き合ってだな?」
「まあま、飲め飲め!!」
「あ、はい、すみません、どうも…」

 知らない人達に囲まれ、柔は内心心細くなりながら笑顔で対応する。
 (ま、松田さ〜ん!)
目で松田の姿を探し当てると、同級生グループに捕まり
盛り上がってしまっていた。


「柔ちゃん柔ちゃん、こっちおいで」
柔が囲まれて困っていると松田の母が手招きで助け舟を出してくれた。

「ごめんねえ、急に宴会みだいになってしまって。まんず、あのぬけ作は!!
 柔ちゃん放ってしょうがねえバガ息子だ!!」
「そんな、久しぶりの地元ですもの。耕作さん、凄く楽しそう…」
「本当にありがでなあ…。こんな娘があんなバガ息子を好いてくれで。
 柔ちゃん、どうか耕作のこと、よろしくお願いします」
「いえ!こちらこそ」

127つや姫:2009/03/29(日) 21:32:29 ID:3BThil7h
樹氷浪漫〜山形編〜7

 大宴会は結局夜遅くまで続けられ、ほとんどの人は酔いつぶれた
状態だったが千鳥足になりながらなんと帰っていった。
たくさん酒を飲まされていた松田も案の定酔いつぶれ、テーブルに突っ伏していた。

「まぁーったぐ、しょうがねえな!耕作!!寝るなら布団で寝れ!!」
「う〜…」
 松田母がバシバシと額を叩いて起こすと松田がふらふらと立ち上がった。

「大丈夫ですか?」
「うん…ごめん平気〜」
柔は千鳥足の酔っ払いの松田をなんとか布団が敷いてある座敷まで連れて行き、
布団の上に降ろした。

「松田さん…」
返事が無い。既に松田はいびきをかいている。
(松田さん、久しぶりに懐かしい人たちに会ったんだもんね。
 疲れてたのにハメはずしちゃって…)
そっと頭を撫でると
「…柔さん…」
寝言で名前を呼ばれ、くすぐったい気持ちになる。
ふっと笑って、そっとキスした。 
「おやすみなさい」
128名無しさん@ピンキー:2009/03/29(日) 22:29:20 ID:HnZv3pd2
山形篇いい雰囲気ですね。ニヤニヤしてしまいます。

松田さん寝ちゃいましたが、この夜何かあるのかな…??
129名無しさん@ピンキー:2009/03/29(日) 23:00:10 ID:Qae06QsL
つや姫さん乙です

最近の楽しみがここの職人さんの作品だけなんで
続きwktkして待ってます

伊太郎さんも待ってます!!
今日は投下ナシかな??
焦らすつもりはないので、頑張ってください
130つや姫:2009/03/29(日) 23:34:48 ID:TKfVqDxg
レスありがとうございます。
ぐだぐだしてしまってますが、エロまでもう少しぐだぐだします。
気長に待ってくださいね。
131伊太郎:2009/03/30(月) 06:56:30 ID:2D4LN92K
みんな、レスありがとう!では、続きをどうぞ↓
1321992年の秋のこと:2009/03/30(月) 06:57:20 ID:2D4LN92K
<53/88>
やがて編集部にも朝日が差し込んできた。
何人かの戦士たちが机に突っ伏してる中、松田は相変わらずガリガリと仕事を続けていた。
「よぉおしっ!!あがりっ!!」
できあがった原稿を机に置くと、う〜んと背伸びをして立ち上がる。
窓際に向かうと太陽の光がビルの隙間から差し込んでくる。
「いやあ、朝日が眩しいなあ〜!!」
晴れ晴れとした顔でそう声をあげると、
「松田〜!!朝っぱらからうるせーぞ〜!!」
「そうだ〜!朝からはしゃいでんじゃね〜!!寝れね〜だろ〜」
机に突っ伏していた同僚たちがもっそりと顔を上げ、死にそうな声で抗議する。
「おおっと!すみませんね!」
あくまで明るい松田に、それ以上抗議する気力を削がれ、皆どっと机に突っ伏した。
「村井〜!村井〜!!起きろ〜!!」
村井は編集部の隅の方で、床に寝転がって寝ていた。
「う、う〜ん・・松田さん!?うう、もうちょっと寝かせて下さいよ〜・・」
「な〜に言ってんだよ!今日は大事な取材があるんだぞ!!」
「だって・・松田さんのせいで僕まで校正手伝わされて・・ほとんど寝てないんすよ〜・・」
「だーーーっ!!情けねえぞ、あれくらいのことで!!起きろ!!」
そう言って首ねっこを掴むと無理矢理起き上がらせる。
「あたたた・・もう!乱暴なんすから〜!」
「いいから、機材準備して来い!朝飯おごってやっから!」
朝飯の言葉につられた村井は、少し目に生気を取り戻して松田の後に続いた。
1331992年の秋のこと:2009/03/30(月) 06:57:53 ID:2D4LN92K
<54/88>
柔たちのいるホテルでは、皆レストランで朝食をとっていた。
「ついに今日だな!」
「ああ!俺、昨日は興奮してあまり寝れなかったぜ!」
「俺たち、ホントついてるよな!柔ちゃんが添乗員の上に、試合まで見られるなんてよ!」
「全くだ!一生分の運を使い切ったって感じだな!」
部員たちはわいわいと各々の興奮を述べ合っている。
柔はと言えば、少し浮かない顔でそんなみんなの様子を見守っていた。
それに気づいた一人がおずおずと尋ねる。
「あの〜、や、柔ちゃん・・、ホントは試合なんか出たくなかった?」
「え!?」
柔は急に話しかけられたことで一瞬びくっと固まった。
「そ、そんなこと・・!」
「本当に・・?」
不安げに尋ねる少年に向かって、
「本当に!私、みんながこんなに喜んでくれるなら・・」
柔はそう答えると、にっこりと微笑んだ。
その笑顔に監督を含め、皆ポーっと見とれてしまうのであった。
(そう、今日だけは松田さんのことは忘れて・・いい試合しないと!みんなのためにも・・)
柔はそう心で呟くと、試合に集中できることを祈るのであった。
1341992年の秋のこと:2009/03/30(月) 06:58:16 ID:2D4LN92K
<55/88>
朝食が済むと、柔たち一行はバスに乗り込み、柔道の試合が行われるニューヨーク大学へと向かった。
バスの中でも皆のテンションは上がりっぱなしで、ずっと柔道の話で盛り上がっていた。
そんな中監督は、わしら野球部だよな?と昨日の練習試合のふがいなさもふまえ、一人涙するのであった。
バスが大学に着いたのは9時少し前であった。
試合が始まるのは10時からで、その前に体を慣らすための乱取り稽古がある。
柔は、柔道着を持ってきていなかったので大学から借りることになった。
柔が道場に入ると、一斉に注目が集まった。
あちこちでYawara...!と囁きが聞こえる。
すぐさま先日会ったニューヨーク高校柔道部のコーチが飛んで来て、相変わらずのオーバーリアクションで感謝の意を述べた。
そして次々とアメリカの選手たちを紹介する。
感激の目で迎える者、警戒の目で見る者、様々であったが、柔は一人一人に丁寧に挨拶をしていく。
どの選手も皆、もんのすごい体格で小柄な柔とは比べ物にならないくらい強そうだった。
「ひーーーっ、柔ちゃん、殺されちゃうよ〜!」
強面のアメリカ人選手を目の当たりにした日本の野球少年たちは震えあがった。
「バカだな〜、お前、柔ちゃんのジョディ・ロックウェルとの試合、見なかったのかよ?」
「み、見たけどさ〜、実際の選手たちを間近で見るとまた・・」
「そうそう、こんなに体格差があるなんて、テレビじゃあんま実感できないよな」
皆ががやがやと騒いでる中、山田は一人渋い顔で腕組みをしていた。
(・・・遅い!!)
松田がまだ到着してないことに苛立ちを覚えていたのだ。
(まさか・・来ないなんてことはねーよな!?)
若き野球少年の苦悩は続く。
1351992年の秋のこと:2009/03/30(月) 06:58:43 ID:2D4LN92K
<56/88>
一通り選手たちの紹介が済むと、軽いウォーミングアップの後、乱取り稽古に入った。
みんな柔とやりたがったが、時間をずらしてなるべく全員とできるようとのことで合意した。
「おい!乱取り稽古が始まるぞ!」
みな一斉に柔の方に注目する。
「えいっ!!」「やあっ!!」
柔は自分より一回りくらい大きな選手と組み合っている。
「すげーーな、やっぱり柔ちゃんは!」
「ああ、すげーすげー!やっぱそこらの選手とは全然違うな!!」
日本の野球少年たちは、初めて間近で見る柔の柔道に大興奮する。
「そ、そうかな・・?なんかテレビで見たときよりもキレがないような・・」
石川が何となく思ったことを呟く。
「なんだよ〜!お前、柔道ど素人のくせに通ぶってんじゃねえよ〜!!」
「そうだ、そうだ〜!野球ですら万年ベンチのど素人くせに〜!」
と、同じく柔道ど素人たちからのヤジが入る。
しかし、実際アメリカの選手たちの間でもひそひそと囁きあっていた。
「・・・あれがヤワラ イノクマか?」
「ああ、なんか期待してたほどではないな」
「技に全然キレがないし、スピードも思ってたより遅い」
「しかし今まで彼女が勝ってきたのは何だったのだ?」
柔はそんな外野の雑音を振り払うかのように、一生懸命乱取りに打ち込むのだが、
ぽっかりと空いた心にしみ込んで来る不安感はどうしても払拭できなかった。
1361992年の秋のこと:2009/03/30(月) 06:59:20 ID:2D4LN92K
<57/88>
一方、編集部を後にした松田と村井はバイクでニューヨーク大学へと向かっていた。
「ったく、9時には着く予定だったってのに〜!なんでこんなに道が混んでんだよ!!」
なぜかさっきから全然車がすすまない。
「おい村井!ちょっと降りて先で何が起きてるのか見てきてくれ!」
「え、ええ〜?僕がですか〜?」
「そうだよ!お前が行かなくて誰が行くんだ!?」
「はいはい、もう〜、人使いが荒いな〜」
村井はそう言ってバイクから降りると、えっちらおっちらと渋滞の先の方へ駆け出した。
やがて息を切らして戻ってくる。
「ま、松田さ〜ん!動かないはずですよ〜!この先でなんかストの行進やってます〜!!」
「な、なにぃいいい!!?なんだってこんな日に〜!!」
「はぁはぁ、けっこう長そうな列だったからまだまだ時間がかかると思いますよ〜」
「だーーーーっ!!そんなの待ってたら試合に間に合わねえ!!よし、ちょっと時間かかるけど回り道するぞ!!」
「こっから回り道してて間に合いますかね〜?」
「間に合わせるに決まってんだろ〜!!さあ、乗れ!!」
「うす!」
松田は村井が後ろに乗ったのを確認すると、素早くUターンをし、アクセルを目一杯ふかすと飛び出して行った。
1371992年の秋のこと:2009/03/30(月) 07:00:16 ID:2D4LN92K
<58/88>
乱取り稽古が終わり試合前のわずかな休憩時間、柔は気分を入れ替えるために一人道場の外に出て風にあたっていた。
(私・・もっと強くならなきゃ・・。でも、松田さんがいないと・・なんで・・)
小さな左手を、とくとくと不安げに鼓動を打つ心臓の上で握りしめ、きゅっと目をつぶってうつむく。
(なんでこんなに怖いの・・?)
そのとき、遠くからバイクのエンジン音が近づいてくるのが聞こえた。
どんどん近づいてきて、その音は道場の裏手で止まったようだ。
柔は何となく気になって裏手へと足を進めた。
「村井!早く行っていい場所に機材確保するんだ!」
「うす!!」
村井はバイクから飛び降りると撮影機材を抱え、裏口から道場に入って行く。
松田はバイクを止めるとヘルメットを脱いだ。
「!!????」
ふと目に入った視線の先には、目を大きく見開いて呆気にとられている柔の姿があった。
「や、や、や・・!」
「松田・・さん・・?」
時が一瞬止まったかのような二人の間に、秋の優しい風が吹き抜ける。
138伊太郎:2009/03/30(月) 07:02:44 ID:2D4LN92K
ここで切ります。いや〜、二人が出会うまでなんでこんなに長くなったんだろう・・
ここまで我慢強く読んでくれた心広いみなさん、ありがとう〜!
139名無しさん@ピンキー:2009/03/30(月) 08:12:36 ID:9tLIMZZm
よかったあ〜!
やっと会えたね!
140名無しさん@ピンキー:2009/03/30(月) 13:20:24 ID:nmWKkNw0
乙です!
141名無しさん@ピンキー:2009/03/30(月) 18:12:53 ID:7dx6m9nj
乙でした。いよいよ後半ですね
142伊太郎:2009/03/31(火) 07:28:30 ID:M+aTR07y
みんな、レス本当にありがとう!
これから先はもう・・なんか、いろいろとごめんなさい・・。
とりあえず、続きです↓
1431992年の秋のこと:2009/03/31(火) 07:30:02 ID:M+aTR07y
<59/88>
ずっとずっと待ちこがれていた人が目の前にいるはずなのに、柔の頭は真っ白になって足が動かない。
かわりに瞳がうるうると潤み出し、堪えようと試みてもどんどん涙が頬を伝う。
口を開けば嗚咽が漏れそうで、ぎゅっと震える唇を結んでいる。
松田はといえば、少し照れながら再会の喜びを述べようと遠くにいる柔の元へ近づいていったが、
距離が縮まるにつれ目の当たりになる、そんな様子を見て言葉を失ってしまった。
「柔さん・・・」
目の前で小さく肩を震わせている柔に、どうしようもない感情がこみ上げてくる。
山田から聞いた柔の様子は、照れもあって少々大げさに言ってるんじゃないか?と思っていた。
しかし、今わかったのだ。彼女がどれだけ自分を必要としていたのかを。
そっと柔の手を取り自分の胸元に引き寄せると、優しく抱きしめた。
「寂しい思いさせて・・ごめんな・・」耳元で、待ちわび続けた人の声がささやく。
柔は嗚咽が漏れないよう、松田の胸へ顔を押し付けふるふると頭を振る。
それでもひっく、ひっくとわずかに口元から声が漏れた。
松田は胸が締め付けられる思いで、そんな柔が落ち着くまでずっと頭を優しく撫で続けた。
やがて震えていた嗚咽もおさまり、そっと顔を上げて松田を見つめる。真っ赤に腫れた目が痛々しい。
しかしその表情は、悲しさを微塵も感じさせないものであった。
間近で見るそんな表情に、思わずドキッとして頬が染まる。
「松田さん・・」柔の口が開く。
「今日は一日、私のことを見てて頂けますよね?」そう言うと、まだ涙の痕が残る顔でにっこりと微笑んだ。
思わずぎゅっと抱きしめ、力強く答える。
「ああ!もちろんさ!!」
そしてそっと体を離すと柔の両肩に手を置き、思いっきり明るい笑顔で言った。
「さあ、行こうか!!」
「はい!!」
1441992年の秋のこと:2009/03/31(火) 07:30:17 ID:M+aTR07y
<60/88>
「松田さ〜ん!!こっちこっち!!」
二人連れ立って道場へ入ると、村井が手招きをして松田を呼ぶ。
「ま、松田記者!!」
山田は松田という言葉に反応して、その姿をついに見つけた。
(ううーーーーっつ!!心配かけやがって〜!!)
山田は少し涙目にながらも、嬉しさのあまり隣にいた石川の首を絞めていた。
「ぐ、ぐ、苦しい〜!!な、なにすんだよ〜!!」
石川はじたばたとあがいて抵抗する。その時、松田が山田の姿に気づいた。
二人の視線が合うと、山田は思いっきり力強いピースサインを送った。
松田もそれに応え、ピースサインを送り返す。
「何なに?お前あの人と知り合い?」
石川が不思議そうに尋ねる。
「・・・うんにゃ、目標だ」
「はあ?なんだよ、それ?」
「いいから、いいから、ボケッとしてたら試合見逃しちまうぜ!」
そういって軽く鼻をすすると、ポンと石川の頭を軽くたたいて二カッと笑った。
1451992年の秋のこと:2009/03/31(火) 07:30:31 ID:M+aTR07y
<61/88>
「も〜う、何やってたんすか松田さ〜ん!試合始まりますよ〜!」
村井が呆れたように口を尖らす。
「あ、ああ、すまん、ちょっとな!そんなことより村井!お前、柔さんの試合撮るの初めてだろ?
彼女のスピードについてけなくて撮り損なったりしたら承知しねーぞ!!」
「任せて下さいよ〜!」村井は胸を張って答える。
試合はトーナメント形式で行われることとなった。
ただの練習試合とは思えないような豪華な顔ぶれに松田は大興奮する。
「こ、これは、本当にすごいぞ!アメリカの強豪選手が5人もいるじゃねえか!!
しかもそのうち3人は、アトランタ確実って言われてる超有力候補だ!!」
ついに試合が始まった。
わあああああああっ!!と歓声があがる。村井のシャッター音が絶え間なく空を切る。
松田は興奮しながらも情熱に満ちあふれた目で、食い入るように試合に見入っていた。
1461992年の秋のこと:2009/03/31(火) 07:30:48 ID:M+aTR07y
<62/88>
第2試合が終わったところで、ついに柔の出番がきた。
相手はアメリカ71kg以下級の代表候補のエレナ・ジョンソンである。
(ふん、さっき乱取りをしたけど全然手応えがなかった。あれくらいのスピードなら、余裕で力で押し切れる!)
エレナは先ほどの乱取りでの柔の様子を思い起こし、勝利を確信した。
二人が畳上で向き合った。
「柔ちゃーーーーん!!頑張れーーー!!」日本の少年たちの応援が道場にこだまする。
「エレナ!!ファイト!!」アメリカ側も負けじと応援に熱が入る。
柔の視線の先には、両拳をぐっと前につきだして握りしめ、じっと自分を見守る松田の姿があった。
(松田さん・・。私・・・、やります!!)柔の目にスッと力強い光が宿った。
「はじめ!!」
「どりゃああああ!!」
力で押していこうと、エレナが猛烈に柔に突進してきた。その瞬間、
(え!??)
捕らえたと思った柔の姿が一瞬目の前から消えたと思ったら、エレナは自分の体が宙をまっていることに気づいた。
(は・・・)
バーーーーーーン!!!
次の瞬間、彼女の視界に入ったのは道場の天井の照明であった。
(は・・・・!早い!!!!)
エレナは呆然としたまま、自分の体がすでに畳の上にあることに気づいた。
「一本!!それまで!!」
わぁあああああああああああああ!!!
大歓声が道場の外まで響きわたる。
1471992年の秋のこと:2009/03/31(火) 07:31:15 ID:M+aTR07y
<63/88>
「す、す、すげー・・・すげーーーーーよーーーー!!!」
「お、おい、見たか・・?」
「み、見た・・・」
「やっぱ、すげーーーーよ、柔ちゃんって!!」
目の前で起きた光景に興奮覚めやらぬ少年たちは、お互いの肩を抱き合ってはしゃぎまくった。
「む、村井・・」松田が少しうわずった声で隣の村井に切り出す。
「は、はい・・」
「と、撮ったか・・?」
「と、撮りました・・!!」
「よっしゃーーーっ!!でかしたぞーーーっ!!見たか!?あれが猪熊柔なんだーーっ!!!」
松田はガバーッと村井に抱きつき、じゃれつきながらも視線はずっと柔の方に釘付けであった。
畳から起き上がった柔の視線もまた、松田の方を向いている。
(あの二人って本当に・・・)
そんな様子を見ていた山田は、ふうっとため息をついて笑った。
一方、アメリカの選手たちは皆、乱取り稽古の時とはうって変わった柔の強さに驚愕した。
「あれがヤワラ イノクマの実力・・!!」
「先ほどの稽古は我々を油断させるための作戦か!?」
しかし、十分警戒してかかっても柔の前に10秒と立っていられる選手は出てこなかった。
昼休みを挟んで、午後からはついに準決勝へと入る。
1481992年の秋のこと:2009/03/31(火) 07:31:33 ID:M+aTR07y
<64/88>
昼休みが終わる前に柔は松田の元にいた。
「柔さん、俺・・、まさかこんなに早くキミの試合をここアメリカで見られるなんて思ってもいなかった。
本当にありがとう・・!!しかしキミは、ますますスーパースターになっていくなぁ・・!」
松田は嬉しくてたまらないといった感じである。
「そんな・・あたし・・」
「いや、見ろよ、あの少年たちの熱気を!アメリカの選手たちの情熱に満ちた目を!!みんなキミの柔道に夢中なんだ!!」
「・・・・」
「俺、本当に記者やっててよかった!!記者やってたから今日もこの場に来れたんだしな!!」
「・・・・」
柔が少し複雑そうな表情をしているのに気づいた松田は、あわてて言い直した。
「え、いやあ・・そのお・・・なんていうか・・・ははっ!取材のおかげでキミに会えたし・・・」
「!!」
二人は真っ赤になってうつむき合う。その時、昼休み終了のベルが鳴った。
「さ、さあ!試合再開だ!!また、バーーーーンと一発決めてきてくれ!!」
松田はまだ少し赤くなったままの顔で力強く言った。
「はい!!」
柔は最高の笑顔でそれに応えた。
1491992年の秋のこと:2009/03/31(火) 07:31:53 ID:M+aTR07y
<65/88>
準決勝の相手は、61kg以下級における世界選手権での3回連続の覇者、サラ・シンプソンである。
柔とあまりかわらない身長ながら、道着の上からでもわかるほど筋肉を備えていた。
そして、柔と同じくスピードを生かした柔道を得意とする。
両者が向き合って礼をする。
「はじめ!!」
サラは組む前にしばらく様子をみようと警戒しながら、腕を前にかまえ柔を近寄らせよう気を張る。
(いいとこを掴ませなければ、勝機はある!)
自身のスピードと筋肉をフルに活用したバネに自信があるサラは、チャンスを伺った。
一方、なかなか隙をみせない相手に柔も気づいていた。
(この人、強い!)
しばらく、襟の掴みあいの攻防が続いていたが、柔に一瞬の隙ができた。
(もらったーーーーっ!!)
サラはすかさず大内刈りで柔を倒しにかかった。「ああっ!!!!!」日本の応援団から悲鳴が漏れる。
しかしその瞬間、しっかりとかけたはずの足はするりとはずされ、二人して畳に倒れると思ったら、
柔のともえ投げによって、サラの体は宙を舞っていた。
バーーーーーーーーン!!!
思いっきり背中を畳の上にたたきつけられる。
一瞬の静寂のあと、割れんばかりの歓声が沸き上がった。
(この・・ヤワラ イノクマは・・わざと隙をつくって・・・)
柔はどう隙をつくるとサラが何を狙ってくるのか、わずかな時間の攻防でのサラの動きから嗅ぎ取った。
それゆえ技をかけれても焦ることなく対処し、逆に反撃に利用することができたのだ。
(本当に恐るべし・・・)
柔はまだ立ち上がれないでいるサラに、手を差し出してきた。
「アー ユー OK?」心配そうに顔を覗き込んでくる。
サラはその手を取って立ち上がると、感動に震える声で伝えた。
「You are really strong!! I hope we'll fight soon・・・!!」
柔はちょっとびっくりしたが、すぐに照れながら笑って答えた。
「シュ、シュアー!」
そんな二人のやり取りに、会場内はわぁああああああっ!!と歓声をもって称えた。
1501992年の秋のこと:2009/03/31(火) 07:32:19 ID:M+aTR07y
<66/88>
そして、次の準決勝を勝ち上がってきたのは、無差別級代表候補のエリザベス・ケネディだ。
「おーーーっ、やっぱりケネディが来たか!!」松田はうんうん、と納得したように頷く。
「え〜?そんなに強いんですか、彼女?」村井ののんきな問いかけに、松田が熱く詰め寄る。
「だーーーーっ!お前、それでもスポーツカメラマンか!?ケネディって言ったら、昨年まで無名だったのに
コーチを変えてからの試合は国内無敗、急成長したアメリカ柔道界のホープだぞ!?」
「でもアメリカ国内だけでしょ〜?」
「ああ、なんせ彼女はまだ国際試合に出てないからな」
「だったらなんでそんなに強いってわかるんですか〜?」
「テレシコワに勝ったんだ・・・」
「え!?」
「そう、非公式な試合だったから記事にはできなかったけど、実はソ連の柔道チームのコーチが彼女について・・
それで、自分の元教え子たちと戦わせたんだ。ソ連のコーチは金でアメリカに移ったんだよ」
「そ、そんなことがあったんですか!?」
「ああ。でも柔さんならきっと・・!」
松田は畳から降りてきた柔の元へ駆け寄った。
「柔さん!!その調子だ!!」柔は嬉しそうに頷く。
「でも、次の決勝の相手のエリザベス・ケネディには気をつけろ!なんせあのテレシコワのコーチがついて、さらにテレシコワに勝ったんだ!」
「え!?テレシコワさんに!?」
「ああ、だから・・・」
「松田さん・・。心配して頂いてありがとうございます・・でも、私、今日はなんだか負ける気がしなくて・・」
「え・・?」
「なんだか・・すごく楽しいんです、柔道が」そう言って柔がはにかんだ笑みを浮かべた。
「・・・そ、そうか・・!!ははっ!そうか、柔さん!!」
松田の顔がみるみる喜びに満ちあふれていき、そうかそうかと何度も嬉しそうに頷いた。
151伊太郎:2009/03/31(火) 07:34:49 ID:M+aTR07y
ではここまで。読んでくれたみなさん、ありがとう〜!
152名無しさん@ピンキー:2009/03/31(火) 09:18:15 ID:8K30w3u8
「寂しい思いさせて・・ごめんな・・」

松田さん・・・(*´Д`*)ハアハア
153名無しさん@ピンキー:2009/03/31(火) 21:21:44 ID:zKWfvk45
こんなスレあったのか
長編みたいだし後で読ませてもらうよ
154名無しさん@ピンキー:2009/04/01(水) 14:55:14 ID:gvawvgjQ
あり?伊太郎さんいつも朝投函されてるんで、見に来たのに…(´Д`)
つや姫さんのお話も(気長に)待ってます!!
155名無しさん@ピンキー:2009/04/01(水) 15:03:00 ID:QTZVVo+M
乙です。続きのんびり待ってます
156名無しさん@ピンキー:2009/04/01(水) 18:57:17 ID:+p63yH+6
なんとなくたどり着いたスレだったが、職人さんがいいねー。
山田君が原作の松田さんみたく、真っ直ぐで不器用でニヤニヤしてしまった。原作の特別編読んでる気持ちになったよ。
もうひとつも地元民らしく描写が雪国にいるようなほっこりとした気分になれた。
ヤワラ大好きだったから、続き楽しみです。ありがとう!
157名無しさん@ピンキー:2009/04/01(水) 22:14:48 ID:bp0zyvBH
wktk
158つや姫:2009/04/01(水) 23:20:37 ID:AR33SXyu
読んでくれてありがとうございます。話がななか進まず
今書いてるんですが、苦戦してます。もう少しまってくださいねー。
159伊太郎:2009/04/02(木) 05:20:22 ID:kYC67o+z
みんな、レス本当にありがとう!
もはや投下するのが(今更)恥ずかしすぎる、それなんてエセ柔道?みたいな展開ですが、pgrして下さい・・。
では、続きを↓
1601992年の秋のこと:2009/04/02(木) 05:21:16 ID:kYC67o+z
<67/88>
「いよいよ決勝だな〜!」
「俺、日本に帰ったら柔道部の奴らに自慢してやるんだ〜!!」
「お、いいね!そのアイデア!あいつら絶対悔しがるぜ〜!!」
相変わらずのハイテンションを保った少年応援団は、皆この場にいられる喜びを確認し合っていた。
「なんか次の決勝の相手、でかいしムキムキだし、大丈夫かな?柔ちゃん」
「大丈夫さ!柔ちゃんならきっと次も勝つさ!ねえ、監督?」
「監督〜?」
監督は一人、皆の輪から外れて感動の涙にむせびかえっていた。
「ったく、すぐ泣くんだから。泣き虫だな〜」
「はははっ!だよな〜!大人なのにな〜!」
「・・・・。お、おまえら〜」
監督は涙でぐしゃぐしゃに濡れた顔で、キッと睨みつけた。
「まあまあ、監督!日本に帰ったら今度は俺たちが感動する試合してやっからさ!」
「あ、何それ!なんかかっこいいセリフじゃん!!」
「お前らのへっぽこ試合でわしを感動させようなんて、100年早いわぁあああっ!!!」
監督の雄叫びが響きわたった瞬間、ついに決勝が始まった。
1611992年の秋のこと:2009/04/02(木) 05:21:38 ID:kYC67o+z
<68/88>
「はじめっ!!!」
両者、初っ端から激しい組み合いとなった。
「あの選手、あんながたいなのにスピードもある!!」
松田は目の前で繰り広げられるすさまじい攻防戦を手に汗握りながら、必死で目で追った。
柔は何度か背負うような素振りを見せていたが、直前で体勢を変え中断していた。
「なんで柔ちゃんは背負いにいかないんですかね?」村井が松田に尋ねる。
「警戒してるのさ、裏投げを」
そう、テレシコワの元コーチがついたならば、きっと裏投げを取得しているはず。
しかし、そのテレシコワに勝ったとなれば・・。何の技で・・?
あ・・待てよ、もしかして・・!?
柔さんがテレシコワに勝った技は・・・!1本背負い!!
松田は思わず柔の近くへと駆けつける。と、その時、
背負うタイミングをはかっていた柔の一瞬の隙をついて、エリザベスが柔の右腕を掴み強引に背負いへと入った。
「ああああっ!!危ないっ!!!!」
畳に着く寸前に柔は体をひねり、背中からの着地は免れた。
「技あり!!」
わーーーーーっ!!とアメリカ側が盛り上がった。
「ひいいいいい!!柔ちゃん、技あり取られちゃったよ!!」
「やっぱ、あんなに体格差があったら無理だよ〜・・・!!」
「監督ぅ〜!!」
少年応援団は情けない顔で監督にからみつく。
「ばっかもおおおおん!!情けない顔をするなあああ!!お前ら、最後まで猪熊さんを信じてやらんか!!
わしは最後まで彼女の勝利を諦めんぞ!!」
「あれえ?なんか、監督ぅ・・・かっこいいっす!」
みんな目を合わせてうんうんと同意し合った。
1621992年の秋のこと:2009/04/02(木) 05:22:47 ID:kYC67o+z
<69/88>
「柔さん!!柔さん!!!大丈夫か!?どこも痛くないか!??」
松田が畳の上に倒れている柔に必死に声をかける。
柔はゆっくりと起き上がると道着のずれを直しながら、松田の方を見る。
「柔さん・・その目は・・」
その目は、心から柔道を楽しんでいる目。俺は知っている・・。この目をしている時の彼女は・・無敵だ!!
柔は松田に向かってにっこりと頷くと、力強い足取りで再びエリザベスへと向かっていった。
(次は確実に決めてやる!!)エリザベスは先ほどの1本背負いが通用したことで自信をつけた。
柔は相変わらず背負う素振りを見せながらタイミングをはかっている。
(さっきと同じようにくらいたいのか!!)エリザベスはまた同じタイミングで柔の隙をついて強引に背負いに入った。
その瞬間、両者の体が入れ替わったかと思うと、エリザベスの巨体が宙に弧を描いていた。
「ああっ・・!!」会場中の呼吸が一瞬止まる。
バーーーーーーーン!!!
畳みに打ち付けられる大きな音がこだました。
「い、一本!!それまで!!」
うわぁあああああああああああああっ!!!場内は割れんばかりの歓声で溢れかえった。
「柔ちゃーーーーーーん!!!」両者の礼が終わると、日本の少年たちが一斉に柔の元へと駆けつける。
エリザベスは柔に握手を求めて手を差し出した。
(ヤワラ、本当に強い・・。私の1本背負いは、彼女のものに比べると足下にも及ばなかった・・)
柔もおずおず小さな手を差し出て微笑むと、二人は固く手を握り合った。
「柔ちゃん、俺、俺、本当に感動して・・」
「う、うう・・・」
監督のことを泣き虫とからかっていた少年たちは皆、感動の涙で頬を濡らしていた。
「みんな・・」
アメリカの選手たちも柔の周りに集まってくる。そして、口々に柔への賞賛と今日試合をしてくれたことへの感謝を述べた。
柔は皆にもみくちゃにされながらも、視線は松田を探していた。
1631992年の秋のこと:2009/04/02(木) 05:23:13 ID:kYC67o+z
<70/88>
「さあ!今夜は柔ちゃんの祝勝会しようぜ!!」誰からともなく声があがる。
「そうだ!!パーーーーっとニューヨークの街に繰り出して!!」
「ね!!監督??」突然話を振られた監督も、瞬時に頭の中で柔とのラブラブ祝勝会を思い描く。
「お、おお!そ、それはいい考えだな!!」
「よーーーし、決まり〜っ!!」
そんな盛り上がりに水を差すかのように山田が声をあげた。
「ちょっと待ったーーーーっ!!」
みんな一斉に山田の方を見る。
「何だよ山田?そんな大声出して。盛り下げんなよ〜!!」
「そうだよ!お前さ、なんか空気読めないこと多いぞ?」
「お前みたいな奴、21世紀にはKYって呼ばれるようになるらしいぞ!よ〜く覚えとけ!」
そんな外野を押しのけて山田はズカズカとみんなの前に出る。
「俺たちさ、今日は柔ちゃんにこんなすんごい試合見せてもらったんだ。何かお礼がしたくないか?」
「え?」
「あ、ああ!そりゃあ、俺たちでなんかできることがあれば・・」
「だから、祝勝会だろ・・?」
山田は両手を上げつつ、ぶんぶんと頭を振ってその案をさえぎる。
1641992年の秋のこと:2009/04/02(木) 05:23:37 ID:kYC67o+z
<71/88>
「実はな、ここニューヨークに柔ちゃんのお父さんがいるんだ。二人はわけあって長年会ってねえんだ・・。
日本とアメリカで遠距離だしな・・。だから!!この機会に会わせてやりたくねーーか??」
山田は真剣な眼差しでみんなの前で演説を続けた。
「え!?なんだよ!そんな話、初耳だよ!!」
「そーだそーだ!大体、なんでお前がそんなこと知ってるんだよ!!」
「なんでって・・俺には記者やってる兄貴がいるんだ」思わずそう口にする。
「はあ?そんな話聞いたことねえぞ!」
「そうだ!だいたいお前、弟しかいねーはずだろ!?」
「ふっ・・・親父の隠し子でな・・・」
「え!?マジかよ!?あの親父さんが!?」
みんな、信じられないといった風に顔を見合わせる。
(親父・・すまん・・!)
「と、とにかく、せっかくの機会なんだ!柔ちゃんを親子水入らずでお父さんに会わせてやりたいだろ!?
日本に帰っちまったら今度いつ会えるか・・かわいそうだと思わねえか!?」
ここで山田はうっうっと泣く振りを始めた。
「う・・・あ、ああ、そうだな」
「俺たちは日本にいたらまた会えるしな・・」
「なんたって柔ちゃんが喜ぶなら・・」
「よーーーし、決まりだな!!さっそく柔ちゃんに報告だあ〜っ!」
そう言ってニカッと笑うと、松田と談笑している柔の元へと元気いっぱいに駆け出した。
1651992年の秋のこと:2009/04/02(木) 05:24:03 ID:kYC67o+z
<72/88>
「柔ちゃん!!」
「あ、山田くん!」柔が振り返って微笑む。
「あのさ、今日の試合のお礼に俺たちで何かできないかって考えたんだけど、今夜いっぱいの柔ちゃんフリータイムってことでいいかな?」
「え!?」
「いやあ、俺たち、いっつも柔ちゃんにまとわりついててさ、柔ちゃんにも息抜きが必要だろうって。・・恋人と過ごしたりとかさ!」
「え、ええっ!??こ、こいび・・!?」一緒にいた松田とともに盛大に顔が赤くなる。
「お〜い、山田〜!!今夜は監督が俺たちを街に連れ出してくれるって〜!!パーーーッと騒ごうだって〜!!」
石川が山田たちの元へ駆け寄ってきて、にこにこしながら報告する。
「あ、柔ちゃん!お父さんに会ったらよろしくね!」石川は柔の姿を見つけると無邪気に言った。
「え?お父さん・・?」
「だーーーーっ!石川!お前がいると話がややこしくなるから、ちょっとあっち行ってろ!!」
山田はあわてて石川の背中をぐいぐいと押し出して遠くへやろうとする。
「な、なんだよ〜!俺だけのけもんにするなよ〜」
「い・い・か・ら!後で思いっきり遊んでやっから!!」
「絶対だぞ〜」石川は渋々その場を離れて行った。
「あの、お父さんって・・」柔が不思議そうに尋ねてくる。
「へ!?あ、いやあ〜、実は・・今夜、柔ちゃんがニューヨークで、長年会ってないお父さんに会うって言っちゃったんだ・・」
「!!・・キミって奴は本当に・・」松田が嬉しさを交えたあきれたような笑顔で呟く。
「でもさ、あながち嘘でもないでしょ?」
山田がいたずらっぽい笑顔を浮かべて続ける。
「え?」
「だってさ、松田記者ってなんだか柔ちゃんの保護者みたいだもん!」
柔と松田はお互いに真っ赤になった顔を見合わせると、目をぱちくりさせた。
「じゃ、そういうことだからさ!今夜はごゆっくり〜!!」
こうして最大の功労者は手をひらひらさせながら、みんなの元へと戻っていった。
1661992年の秋のこと:2009/04/02(木) 05:24:21 ID:kYC67o+z
<73/88>
「ま、松田さん・・」
残された松田と柔は、急な展開にしばし呆気に取られていた。
「は、ははっ!あの子には、本当にまいったな・・!」
そう言うと、まだほんのりと赤さが残る顔を柔に向けて、同意を求めるかのように微笑んだ。
「・・・ど、どうしますか・・?」
柔もまだ赤く染まった頬のまま、ちらちらと上目遣いに松田を見る。
「え?どうするって・・」
「だって、松田さん、きっとこの後もお仕事が・・・」
「・・・。いや、今夜はキミと一緒にいるよ!」松田は意を決したように力強く答えた。
「でも・・・」
「だーいじょうぶだって!!何とかなるさ!」
「松田さん・・・」
「さあ!そうと決まったらさっそく出かけようぜ!!」
松田は柔の背を軽く押しながら促す。
(あ・・!村井、どうしよ・・!)
相棒のことをすっかり忘れていた松田は、ちょっと焦りながら村井の姿を目で探す。
ちょうど村井は山田に手を引かれて、外へ連れ出されそうになっていた。
「松田さ〜ん!!助けて下さいよ〜!!なんか彼らが今夜は一緒に来いって〜!!」
遠くから悲痛な声を上げて助けを求めている。
(村井、すまん!!)
松田は心で詫びながらも笑顔で手を振りながら、村井を見送った。
167伊太郎:2009/04/02(木) 05:28:51 ID:kYC67o+z
ここで切ります。あと2回で終わる予定です。
エロパロスレなのに、エロ無しでここまで読んで頂いて多謝です。
つや姫さんの続きや、他の職人さんの投下を気長にwktkしています。
168名無しさん@ピンキー:2009/04/02(木) 10:58:10 ID:A4GoXmZx
超乙です
寸止めキターーw
169名無しさん@ピンキー:2009/04/02(木) 12:48:32 ID:YjNoI2hC
隠し子ってw山田くん…君ってやつはww
170伊太郎:2009/04/03(金) 06:25:02 ID:Kk1VlYti
みんな、レス本当にありがとう!では続きです↓
1711992年の秋のこと:2009/04/03(金) 06:25:44 ID:Kk1VlYti
<74/88>
着替えを終えた柔は、外で待っている松田の元へと戻ってきた。
私服になった柔を見て、松田は改めて目を奪われてしまった。
空港で別れたときよりも髪が伸びて、肩に少しかかっている。
ベージュ色の薄手のセーターの上にピンクがかったハーフコート。
膝くらいのレンガ色のスカートの下からは白くて細い足が少し見え、その下は黒いブーツを履いていた。
急いでシャワーを浴びて走ってきたのだろうか、まだ少し髪が濡れていて、
はぁはぁと小さく肩を震わせながら呼吸を整えている表情は、なんだか妙に色っぽい。
松田がじっと凝視しているのに気づいた柔は、不思議そうに少し首をかしげて見つめ返してくる。
(う”・・・。か・・・かわいい・・)
あわてて目を逸らすと、本当にこの子は自分の彼女なんだろうか?と少し自問自答してみる。
一方の松田はといえば、相変わらずのラフな格好であった。
アメリカに来て変わったことといえば、バイク用に皮ジャンを買ったくらいだろうか・・
(もう少しおしゃれしてくればよかった・・・)心の中でがっくしとうなだれる。
「あ、でも柔さん、バイク・・大丈夫?」
柔がスカートを履いていることに気づいた松田はちょっと心配になり尋ねた。
「私、全然平気です!」
この地で再び松田のバイクに乗れる喜びを思うと、柔には何の障害にもならなかった。
「そうか、だめだったら近くで服、買おうな」
そう言って松田は微笑みながら柔にヘルメットをわたす。
「はい。ありがとうございます」
「じゃあ、どこか行きたいところ、ある?」
「松田さんが行くところなら、どこでも・・お任せします!」
「そっか、じゃあ、乗って乗って!」
二人はバイクにまたがると、日が沈みかけるマンハッタンへと向かっていった。
1721992年の秋のこと:2009/04/03(金) 06:28:33 ID:Kk1VlYti
<75/88>
松田はニューヨークの観光名所を、一通り説明しながらざっと周った。
柔はどこに行っても常に嬉しそうに、にこにことしながら説明を聞いている。
実際のところ柔は無意識ではあるが、観光名所よりも一生懸命に説明する松田の顔ばかり見ていた。
そんな柔の様子に気づいた松田は、あれ?あんま興味ないところに連れて来ちゃったのかな・・?
と若干不安になってしまい、説明を中断して申し訳なさそうに柔の顔を覗き込む。
「ごめん!ここ、おもしろくなかった・・?」
松田が連れて来たのはベタな名所、自由の女神の像が見える広場だったが、
ついつい女神に背を向けて松田の顔を観察していた柔は思いっきり焦って否定した。
「い、いいえ!!そんなことないです!!すっごく素敵です!!」
「本当に?でも自由の女神はあっちだよ?」
そう言って柔の背後を指差す。
「!!?」
もう柔はパニックになってきょろきょろと松田と女神像を見比べた後、顔を真っ赤にしてうつむいてしまった。
「え・・!?柔さん?どうした?」
(やばい・・俺、なんか悪いこと言っちゃったのかな・・)
松田は頭の中で自らの言動をはじめから思い出しながら、原因と思われることを懸命に探した。
う〜ん、わからねえ・・どうすればいいんだ!!と混乱しているところで柔が口を開いた。
「・・・て・・・・・した」
「へ?」
何か言ったが声が小さすぎて聞き取れない。
もっとよく聞こえるようにと顔を柔の口元まで近づけると、明らかに動揺した柔は思わず飛びのいてしまった。
「ご、ごめんなさい!私、あの、その・・と、とにかくありがとうございました!」
「・・へ?」
言っていることが全く支離滅裂であったが、何だかその様子がおかしくて可愛くておもわずプッと吹き出してしまう。
「あ、ま、松田さん!」
笑われたことで少し緊張が解けた柔は、まだ赤く染まった頬のまま照れを隠すように口を尖らせた。
「ご、ごめん!なんか、すごく可愛くて!」
しまった・・!うっかり口をすべらせて言い慣れないセリフを言ってしまった・・
時すでに遅し、柔の顔も松田の顔も夜目にでもわかるほど盛大に赤くなっている。
しばらく気恥ずかしい空気の中で、なにか言葉を探していた二人であったが、先に沈黙を破ったのは松田であった。
「あ、あの・・柔さん、そろそろ腹減った?」
「そ、そうですね、空いてきました」
「じゃあ、俺、いいとこ知ってるから飯にしようか?」
「はい!」
二人はにっこりと微笑み合うと、先ほどの気恥ずかしさもどこへやら、仲良くバイクに乗って夕食へと向かった。
1731992年の秋のこと:2009/04/03(金) 06:29:11 ID:Kk1VlYti
<76/88>
「やっぱ、アメリカに来たからには、アメリカの料理食ってもらわないとな!!」
そういって松田が連れてきたのは、ドアを開けると盛大な音楽で出迎えるハードロックカフェのようなステーキハウスであった。
あくまでロマンティックなムード作りからはほど遠い男、松田。
しかし、そんな松田に少しの不満も感じず、柔は嬉しそうに後に続いた。
料理が運ばれてくると、松田はうまい!うまい!とガツガツおいしそうにほうばった。
柔はそんな松田の様子をにこにこしながら見守っている。相変わらず松田観察の方が好きなようだ。
「あれ?食わないの?もしかして、おいしくなかった?」
松田の動きが止まって心配そうに顔を覗き込んで来る。
「い、いいえ!!とってもおいしいです!」柔はあわてて料理を口にし出した。
「本当に?あ、でも、やっぱ柔さんの作るカレーには全然かなわないもんな!!」
「え?カレー・・?」
松田さんにカレーなんかつくったことあったかしら?と思いを巡らす。
「・・へ?」
松田はまたなにかまずいことを言ったのかと、再び動きが止まる。
「あ!もしかして、ビーフストロガノフ・・?」
柔がふと思い当たって言ってみる。
「そ、そうそう!!その、ビーフストロンガーってやつ!!」
「・・・」
「・・あれ・・・!?」
今度は柔がぷうっと吹き出す。
「もう、松田さん!!全然お料理の名前覚えないんだから!!」
「え、へへへ・・・。・・すみません」
二人はしばらく顔を合わせて笑い合った。
「また・・あんなのでよければ・・いつでも作ってあげますから・・」
柔がほんのり頬を染め、伏し目がちに切り出す。
「あ、ああ!約束だぞ〜!」
松田は明るく笑って答えたが、『また』がいつかになるかは触れられなかった。
(柔さん・・・)
たくさん寂しい思いをさせてしまった柔を目の前にして、松田は胸がチクリと痛くなった。
1741992年の秋のこと:2009/04/03(金) 06:29:37 ID:Kk1VlYti
<77/88>
「松田さん!」
突然なにか思いついたかのように柔が切り出した。
「へ!?な、なに?」
相変わらず料理をかきこんでいた松田は、ちょっとびっくりして柔を見つめる。
「あの〜、お願いがあるんです。この後、食事のあとで、松田さんの職場に連れて行っていただけませんか?」
「え、えええええええっ!????俺の職場ああああ!???」
予想外の柔の提案に、素っ頓狂な裏返った声で思わず大声を出してしまった。
「はい。私、松田さんがどんなところで働いているのか、見てみたいんです」
「で、でも、あんな所見たってなにもいいことなんか・・なんせ戦場なんだ」
「・・・」
「や、柔さんが見たいってなら、いいけど・・でも・・」
「でも?」
「編集部に帰っちまったら、もう俺は戻れないぜ?ただでさえ、今頃、俺の帰りを包丁研いで待ってるだろうから・・」
「はい、いいんです。だって、松田さんも、もうそろそろ帰って原稿仕上げないと明日までに間に合わないでしょう?」
「う”・・・いや、だから、それは・・・」
「それに、今日遅くなったのだって、私に独占インタビューしてたんだって言えば・・そしたらきっと・・」
「・・・柔さん・・・」
「私、協力しますから、何でも記事にして下さい!」
(俺は・・何てダメな男なんだ・・!柔さんにしろ、山田くんにしろ、周りに助けてもらってばっかりで・・)
松田は自分が情けなくなり、テーブルの下でぐっと拳を握ると、悔しそうに顔を歪めてうつむいた。
「それに私・・。私、松田さんに何か恩返しがしたいし・・」
「恩返し?」
「・・はい。今日の試合、松田さんがいてくれなかったら、私・・負けてました」
「んなわけ!!・・・そんなわけないよ・・」
しかし柔の目は真剣そのものだった。
「だから、私のわがまま聞いていただけますか?」
「わがままだなんて・・。柔さん、本当にありがとう・・」
柔はゆっくりと頭を振ると、にっこりと優しい笑みを浮かべた。
やがて二人は今日の試合の話へと入り、柔は相手と戦った感想を一生懸命述べ、松田はふんふんとしきりにメモを取った。
そして長い食事を終えると、日刊エブリーニューヨーク支部へとバイクで向かうのであった。
1751992年の秋のこと:2009/04/03(金) 06:30:07 ID:Kk1VlYti
<78/88>
一方、編集部では未だ帰らぬ松田・村井コンビに支部長の怒りも頂点に達していった。
「あ、あいつらああああ!!何考えてんだああああ!!帰ってきたら首だあああああ!!」
先ほどから編集部内を行ったり来たりしながら、5分置きに噴火を繰り返していた。
同僚たちがデスク越しにこそこそと囁きあう。
「あ〜あ、松田ちゃんもついに首か〜」
「あいつ、確信犯じゃねえ?昨夜もなんか徹夜なのに不気味に笑ってたし」
「そうそう、今朝も吹っ切れたように明るかったよな〜」
「ま、いつも騒々しいあいつがいなくなったら、ここも少しは静かになるんじゃないかね〜」
しかし、怒りにまかせて吠えまくっている支部長を横目にちらりと見ると、
「そうでもねえか・・」
各々つぶやくいてまた仕事へと戻っていった。
1761992年の秋のこと:2009/04/03(金) 06:30:32 ID:Kk1VlYti
<79/88>
時刻も23時をまわろうかというとき、突然、編集部のドアが勢いよく開いた。
何ごとかと一瞬、みんなの注目が集まる。
「ま、ま、ま・・・」そこには指名手配犯=松田の姿があった。
「まつだああああああああああ!!!」
支部長の雄叫びが部屋の端から入り口のドアまで突き抜けたかと思うと、ズカズカと松田の元へ近づいていった。
「き・さ・まというやつはああああああ!!」
そう言って胸ぐらを掴もうとした瞬間、松田の背後からひょこっと柔が飛び出してきた。
「あの〜・・」
「!!!????キ、キ、キミは・・・!!!」
他の面々も一斉に視線を柔の方へと集めた。
「も、もしかして・・猪熊柔!?」支部長の動きが一瞬にして固まり、体はかすかに震えている。
「は、はい・・!」柔が少しもじもじとしながらもはっきりと答える。
「な、なんで・・ここに・・」
「わ、私、松田さんに独占インタビュー頼まれまして、それで、あの〜・・」
今度は一斉に松田へと注目がいく。
「そういうわけです、支部長!明日の一面は、今日の柔さんの試合の記事!!
プラス、アメリカの強豪選手と戦った感想を述べる柔さんの独占インタビューの記事!!でいいですね!?」
支部長の目は点になっている。
「は、はい・・。特に問題はないと思います・・!」
ずれ落ちる眼鏡を直しながら、汗を拭きつつ震える声で答えた。
「ま、ま、松田くぅん、キミって男は・・もう、なんていうか・・」
ヒシッとしがみついてきた支部長を引きはがすと、松田は柔を編集部内へと案内した。
「ここが、俺の職場だよ」
目の前に広がる戦場を、柔は興味津々に見渡す。
1771992年の秋のこと:2009/04/03(金) 06:30:53 ID:Kk1VlYti
<80/88>
みんなの視線が全て自分に集まっていることに気づいた柔は、あわててぺこりと頭を下げた。
「あ、す、すみません、突然!皆様、遅くまでお仕事お疲れさまです。
実は私、いつも私たちの試合の記事を書いて下さるみなさんが普段どのような職場で働いてるのか、
知りたいなって思いまして、その〜・・松田さんに無理を言って・・お邪魔してしまってごめんなさい!」
柔が一気にこう伝えると、わらわらと戦いに疲れた戦士たちが集まってきた。
「柔ちゃん!!キミって子は・・俺りゃあ、感動した!!」
「こんな三流新聞社にわざわざ・・ううっ・・」
「俺たちの仕事に興味を持ってくれたスポーツ選手なんてキミが初めてだぜ!!」
みんな口々に感動の意を述べる。
「さ、ささ!むさくるしいところだけどさ、ゆっくりしてってよ!」
記者たちは柔を迎え入れると、いろいろと説明しながら社内を案内した。
柔は微笑みを絶やさず、時折うなずきながら熱心に聞き入っていた。
1781992年の秋のこと:2009/04/03(金) 06:31:17 ID:Kk1VlYti
<81/88>
その様子を暖かい眼差しで見守っていた松田の元に、先輩の田中が近づいてきた。
「あ、そういえばさ〜、松田!俺、数日前に変な電話受けてな、ただ『無事に着いた』ってお前に伝えてくれって・・。
あん時はいたずら電話かと思ったんで、お前に伝えるの忘れてたけど・・。
よく思い出すと、そん時の電話の相手が『猪熊』って名乗ってたんだ。あれってもしかして・・・柔ちゃんだったのか!?」
「え”え”っ!?え、いや〜、その〜・・」
「しかし、だったら何だってお前なんかにわざわざ電話してきたんだ?」
田中は首をかしげて考え込んでいる。
「き、聞き間違いじゃないっすか?先輩の!ほら〜、先輩も最近徹夜続きで幻聴とかよく聞こえるでしょ!?」
「い〜や、幻聴なんか聞こえたことねーよ」
「そ〜すか〜?俺はよく聞こえるんすけどね〜!!いや〜、ははっ!はははっ!」
松田はごまかすように笑いながら、その場を離れるべくあとずさりした。
「も、もうそろそろ、柔さん送っていかないと!じゃ!」
「あ、こら、松田!まだ話は済んでねーぞ〜!」
逃げるように松田は柔の元へ出向くと、そろそろ帰ろうかとうながした。
他の同僚たちはもっと引き止めようとしたが、柔が松田に従ったため渋々諦めるしかなかった。
「じゃあ、みなさん、ありがとうございました」
柔が帰り際にぺこりと頭を下げる。
「柔ちゃ〜ん!また来てね〜!!」
「いつでも待ってるよ〜!!」
「松田〜っ!!柔ちゃん送ったら速攻戻ってこいよ〜!!」
「そーだ〜!お前の尻拭いはもうこりごりなんだ〜!!」
松田は苦笑いを浮かべながら柔に早くここから出るようにうながす。
名残惜しそうに手を振るみんなを残して、松田と柔は編集部をあとにした。
179伊太郎:2009/04/03(金) 06:32:01 ID:Kk1VlYti
ここで切ります。読んでくれたみなさん、ありがとう〜!
180名無しさん@ピンキー:2009/04/03(金) 09:11:03 ID:q6qq3AWZ
あ〜柔が可愛いし いじらしくて良いです…
次回ラストですか、wktk!
181つや姫:2009/04/03(金) 15:01:29 ID:Sp8gGl/r
樹氷浪漫〜山形編〜8

ズオーーーーーーー

どこからか激しい耳障りな音が聞こえてきて顔をしかめる。

(うるさいなあ〜、誰だよ朝っぱらから掃除機かけてんのは…)
「いづまで寝てんだ耕作!」
(なんだ母ちゃんか…)
「う〜、もう少し寝かせてくれよ〜」
「バガタレ!柔ちゃん、とっくに起きて出かけてったぞ」

「んー、柔さん………?ああっ!!そうだ!!俺、柔さんと山形に帰ってきたんだった!!」

 松田はようやく目を覚まし、ぼやけていた頭が一気に現実に引き戻された。
昨夜の大宴会で地元の友人達に捕まって半ば無理やり酒を飲まされ、結局最後まで
開放してもらえずに…、そこから先の記憶がない。必死におもいだそうとするが
すっかり記憶が抜けてしまっていた。

「母ちゃん!柔さんは?!」
「朝は早ぐから走りに出るって言ってだけ、近くの公園の場所教えだがら」
「俺も行ってくる!」

松田は慌てて顔を洗い、朝食も食べずに防寒着を羽織り公園に向かった。
182つや姫:2009/04/03(金) 15:22:22 ID:Sp8gGl/r
樹氷浪漫〜山形編〜9

 外はかなり雪が積もっていて除雪車が通った後もデコボコして歩きにくい。
おまけに天気がいいので、道路もかなりつるつるだ。松田は滑らないように慎重に進む。


公園に着くと、柔をみつけた。ズボズボと足首あたりまで足が埋まって走りにくそうだ。
「柔さん!」
声をかけると松田に気づいた柔がハアハアと息を切らしながら駆け寄ってきた。
「松田さん!おはようございます」
「お、おはよう!あのさ、昨日はごめん!全然かまってやれなくて。囲まれてたのにフォローできなくて、ほんとゴメン!!」
突然謝られて少し困った様子で柔が言った。
「いえ、気にしないでください。久しぶりに地元のみんなに会ったんだし、ね?それに松田さんの
お母さんとお父さんともたくさんお話できたし」
「…本当にごめんな。お詫びに今日は、柔さんの言うこと何でも聞くよ!してほしいこととか、行きたいとことか、なんか希望ない?」
「希望、ですか?…じゃあ、天気がいいのでどこかに連れてってください」
「じゃ、じゃあ市内観光にドライブにいこうか!!山形を案内するよ!!」
「やった!おじいちゃんや富士子さん達のお土産も買いたいし、あ会社にも。あとは松田さんにおまかせします」
「了解!まずお土産買いに行こう」
「はい!!」

2人は準備を整えるために一旦家に戻り、普段父親が乗っている車を借りて
松田の運転で出かけることになった。
183つや姫:2009/04/03(金) 15:27:06 ID:Sp8gGl/r
待ってくださる皆さん、ありがとうございます。

亀ですみません
なのに展開が早すぎてごめんなさい…orz

伊太郎さん乙です!
184名無しさん@ピンキー:2009/04/03(金) 15:51:24 ID:0J1/itIQ
185つや姫:2009/04/04(土) 11:19:20 ID:jfLTbK0d
樹氷浪漫〜山形編〜10

「それじゃ、行ってくるよ」
「気いつけで行ってこいよ」
 松田の父と母に軽く手を振って車は出発し、雪道をゆっくり走らせ、まずはお土産を買いに
市内の物産館へと向かった。

「松田さんて、車も運転できるんですね」
柔が意外そうな顔で言った。
「ああ、こっちでだけな。田舎には電車なんて少ないから移動手段がこれしかないんだ。
車は必需品だぜ」
「松田さんにはバイクのイメージしか無かったからちょっと意外です」
「確かに車運転するのすげー久しぶりだなあ。いや!心配すんなって!大丈夫だよペーパーじゃないから!!
会社の車だってたまに運転してたしな」

 そうこうしてるうちにようやく物産館に着いて、2人はお土産売り場に直行した。
ラ・フランスやさくらんぼ、おしんをモチーフにした可愛らしいお菓子がたくさん並んでいる。
「う〜ん、やっぱりラ・フランスかさくらんぼのお菓子かなあ?悩んじゃうなぁ」
「柔さん、お菓子の試食もたくさんあるからいろいろ回ってみようぜ」

 松田に手を引かれ、試食をしながらお菓子コーナーを回る。
すると樹氷の写真がパッケージになっている《樹氷ロマン》というお菓子をみつけた。
「樹氷ロマン?あ、そっか!蔵王といえば樹氷よね」
小箱に入っていた試食をひとつまみし、口に入れる。ホワイトチョコに砕かれたナッツがコーティングされていた。
「おいし〜い!あたし、これに決めます!」
 
 そのほかに米沢牛や地元オリジナルキーホルダーなどを購入し、満足に買い物を終えた。
186つや姫:2009/04/04(土) 11:30:46 ID:jfLTbK0d
樹氷浪漫〜山形編〜11

 お昼になり、場所は松田におまかせということで、松田が高校生の時にたまり場だったという
市内の喫茶店に入った。ボリュームが自慢の店で、ランチもでざーともかなり
ボリュームがあるので、最後は赤面しながらも2人がかりでパフェを食べた。
しばらく談笑した後、山形市内の観光名所のひとつ、霧城公園に向かった。

 
サクサクと雪を踏みながら広い公園内を散歩する。
「春になると凄いんだぜ、ここ。ここら一体桜が咲いてさ」
「へぇ…見てみたいなあたし。大きくて綺麗な公園だから、桜が咲いたらもっと、
ものすごく綺麗なんでしょうね」
「じゃあ今度は桜が咲くとき、一緒に来ような!弁当持ってさ」
「いいですね!その時はとびっきりおいし〜いお弁当作りますね!!」
「絶対だぞ!」
 
 しばらく散策し、公園をぐるりと一周する頃には陽も傾き、辺りも薄暗くなってきていた。
187つや姫:2009/04/04(土) 11:36:12 ID:jfLTbK0d
あ、やっちまいましたw
でざーと=デザート

エロまでもうちょっと…かな。
188名無しさん@ピンキー:2009/04/04(土) 14:53:20 ID:obvBa8jd
乙です乙です!
今日の東京はポカポカ陽気で、桜もきれいに咲いてますよ〜
松田さんと柔ちゃんが手をつないで花見してる画が浮かびました。

ところで、二人は松田さんの実家でやるんでしょうか…??
189名無しさん@ピンキー:2009/04/04(土) 17:14:19 ID:dZQkRVoT
伊太郎さん、つや姫さん乙です。
190名無しさん@ピンキー:2009/04/04(土) 21:44:37 ID:tsmLUyAh
乙でした。柔と松田のエロエロに期待w
191伊太郎:2009/04/05(日) 07:44:14 ID:X89vcN9q
なんか、いろいろ言い訳したくなるのをぐっとこらえてラスト投下します↓
1921992年の秋のこと:2009/04/05(日) 07:45:03 ID:X89vcN9q
<82/88>
編集部を出たところで、松田はふと思いついたように言った。
「そうだ!いいもん見せてやるよ!!」
柔の手をつかむと、オフィスビルからは出ずにそのまま階段を上りだす。
「ま、松田さん・・!どこに・・」
「いいから、いいから!」
ぐんぐんと階段を上っていき、最上階まで来ると屋上へと続く扉を開けた。
「わあっ・・・・」柔が思わず声を上げる。
そこには、ネオンに満ちあふれた宝石箱のような街並が視界一面に広がっていた。
思わず、フェンスの近くまで掛け寄って街を見渡す。
少し冷たい夜風が吹き抜け、柔の髪をさらさらと流した。
「きれい・・・」
フェンスに指をからませじっと眺めていると、傍らに松田が並んだ。
「な、けっこういい景色だろ?」ニカッと笑って柔の顔を覗きこむ。
「はいっ!」
柔は松田の方を向いて嬉しそうに返事をすると、愛らしい笑みを浮かべた。
「・・・・」
その顔に思わず見とれてしまった松田は、気を取り直すため、うおっふぉんと一度咳払いをして言葉を続けた。
1931992年の秋のこと:2009/04/05(日) 07:45:35 ID:X89vcN9q
<83/88>
「お、俺さ、仕事でなんか行き詰まったり、壁にぶち当たったときはよくここに来るんだ!
ここでこうやって街並とか行き交う人や車とか見てたらさ、なーんか俺の悩みなんか取るに足らない
ちっぽけなことのように思えてきてさ、ははっ!単純だな、俺!でも、そしたらけっこう上手くいくんだぜ?」
柔は静かにうなづいて相づちを打つ。
「で、でも・・」
松田が続ける。
「でも、一つだけ、ここに来てもどうしても解けない悩みがあるんだ・・」
柔が少し不思議そうに首を傾けて、先をうながすような目で見つめる。
そんな柔を松田は真剣な目で見つめ返す。
「キミのことだよ、柔さん・・」
柔の目が大きく見開かれ、とまどいの色が瞳に宿る。
「俺、いつもキミの傍にいて・・本当に・・大事にしたいのに・・」
一瞬柔の動きが固まったかと思うと、うっすらと涙で滲んだ瞳を向けて懸命に否定した。
「私、今のままで十分幸せです!ずっと、片思いだったから・・。あの頃のつらさに比べたら全然・・!」
「柔さん・・・」
目の前で健気に自分への想いを訴える恋人を、松田の中に抑えきれない愛しさがこみ上げてくる。
気が付いたら、柔の体を引き寄せていた。
「あ・・・」
もう止まらない衝動が自然に柔への口づけとなっていた。
1941992年の秋のこと:2009/04/05(日) 07:45:58 ID:X89vcN9q
<84/88>
「ん・・・」
初めての松田からの口づけに、時が止まったのかのように、柔の全ての動きが止まった。
松田がそっと唇を離すと柔は放心したかのように、目を見開いたまま固まっている。
「や、柔さん・・?」
松田は少しとまどった口調で問いかける。
柔は一度目をぱちくりと瞬きすると、ハッと魔法がとけたように、崩れるように寄りかかってきた。
何が起きたのかやっと理解した柔は、寄りかかったまま松田の胸に赤く染まった顔をうずめた。
そんな柔の様子を見て松田も思わず赤くなって、照れを隠すかのようにゆっくりと柔の髪を撫ではじめた。
やがて恥ずかしさに耐えながらも、柔は少し潤んだ瞳で松田を見上げる。
もう、あとは自然の流れのように口づけが再開された。
「んっ・・・んっ・・・」
はじめは軽い啄むようなキスだったのに、気付いたら少しづつ唇が開き、そこから松田の舌が侵入してきた。
(あ・・・)
初めて迎え入れる舌は、生暖かくて、何だか生き物のようで・・慣れない感覚に一瞬びくっと身を固まらせる。
しかし、だんだんと体の奥がじんと熱くなり、未知の快感の存在を知る。
やがて口腔内を彷徨いながら柔を求める松田の舌に、おずおずと自分の舌を差し出した。
「はぁん・・んっ・・はっ・・・んんっ・・」
チュッチュッっとお互いの舌と唾液との絡まり合う音が、より効果的に二人の熱をあげる。
柔の小さな口から漏れる控えめながらも扇情的な声は、松田の中で抑えがたい愛情と欲情をかきたてる。
もっと・・深く・・奥まで・・・
激しさを増していくキスで、気づいたら柔をフェンスまで追いつめて、押し付けるような姿勢になっていた。
「はぁ・・・はぁ・・・」
やがてどちらからともなく名残惜しげに唇が離れ、熱を帯びた目で見つめ合う。
松田はもう一度チュッと軽くキスをすると、柔を強く抱きしめた。
「俺、次は絶対柔さんに会いに行くから・・」
柔は目を閉じたまま、きゅっと胸元の松田の服を握りしめる。
「その時にまた・・・」
松田は最後まで言わなかったが、柔には何が言いたかったのかわかった。
”その時にまた・・・この続きをしような・・”
松田の胸に顔をうずめたまま、こくりと頷いた。
1951992年の秋のこと:2009/04/05(日) 07:46:20 ID:X89vcN9q
<85/88>
しばらく松田の胸の鼓動を聞いていた柔は、やがてそっと体を離すと少し泣きそうな笑顔で切り出す。
「松田さん。私、そろそろ帰らないと・・!」
「ああ・・そうだな・・」
松田は頑張って笑顔をつくると柔の手を引いた。
「行こうか!」
「はい!」
二人はオフィスビルから出ると、バイクに乗って柔のホテルへと向かった。
ホテルに着くと、二人は入り口の前に並んで佇む。お互い何か言葉を探すのだが思いつかず、沈黙が流れた。
先に沈黙を破ったのは松田であった。
「あ、あのさ、柔さん!俺、今日はすっげー楽しかった!ずーっと仕事ばっかでライフレベルゼロに近かったんだけど、
柔さんのおかげでMAXになったし!ははっ!と、とにかくさ、今度柔さんに会えるまで、俺、頑張っから・・だから・・」
松田は精一杯のハイテンションで、このもの悲しい空気を払拭しようとした。
「松田さん・・。私も松田さんにたくさん元気を頂きました。だから、私、待ってます」
柔は、少しうつむき加減だった顔を上げると、穏やかな顔で微笑んだ。
「・・・うん。ありがとう・・」
松田はそっと柔のおでこにキスを落とすとヘルメットをかぶり、バイクにまたがった。
柔はホテルの入り口から松田を見つめている。
バイクのエンジンをかけると、松田はもう一度柔の方を見て何かを言った。
「え?」
ヘルメットをかぶっているから声が聞こえなかった。
そして松田は手を上げて柔に挨拶すると、ネオンの光の中へと吸い込まれて行ってしまった。
(松田さん・・)
声は聞こえなかったけど、あの口の動きは・・
(”あいしてるよ” で、いいんですか?松田さん・・)
柔は松田が去って行った方向を、いつまでもいつまでも見つめ続けるのであった。
1961992年の秋のこと:2009/04/05(日) 07:47:06 ID:X89vcN9q
<86/88>
ついに日本へ帰る日の朝がきたーーー。
「監督ーーーーっ!!監督ーーーーーっ!!!」
朝食の時間になっても起きてこない監督に、部員たちがドアをガンガンと叩いて起こそうとする。
「う”う”っ・・・」
監督はベッドに大の字に転がりピクリともせず、二日酔いでダウンしていた。
昨夜は試合のあと、部員たちを引率して夜の街へと繰り出したのだが、
嫌がる監督を強引に引っ張って部員たちが入っていったのはディスコであった。
突然現れた20人のいがぐり頭の軍団に、地元の若者たちも皆ぎょっと注目したが、
変なダンスを恥ずかしげもなく披露する彼らの底抜けの明るさを目の当たりにし、すぐに親しく打ち解けあった。
ただ、日本の中年親父代表である監督は一人ぽつんと浮いてしまい、いじけて酒を進めていくうち思いっきり酔っぱらってしまった。
酔うと怖いものもなくなり、みんなが踊っている輪の中へ突進していくと、中年太りの腹を揺らしながら激しい70年代ダンスを披露した。
部員たちは一瞬呆気にとられたが、すぐに大喜びして監督の周りを取り囲み、同じように踊り明かすしたのであった。
「柔ちゃ〜ん、柔ちゃ〜ん!監督が起きないんだよ〜!!」
部員の一人が柔に助けを求めに来た。
「え?すぐに行きます!」
柔はあわててその部員について監督の部屋へと向かった。
1971992年の秋のこと:2009/04/05(日) 07:47:28 ID:X89vcN9q
<87/88>
トントン、と部屋をノックしながら呼びかける。
「監督さん?監督さん?起きてますか?大丈夫ですか?」
「へっ!?」監督は柔の声を確認すると、はじかれたように体が起き上がった。
「は、はいぃっ!!お、起きてまひゅっ!!す、すぐに行きましゅんでっ!!」
舌を噛みながらもあわててベッドから出ようとして転がり落ちた。
ドーーーン!と部屋の外まで音が響く。
「あ・・」柔が心配そうに周囲にいる部員たちの顔を見る。
「あ!ありゃあ、もう大丈夫だ。さ、朝飯食いに行こうぜ〜」
「おう、行こ行こ〜」
「ったくよ〜、いっつも世話かけやがって〜」部員たちはどやどやとレストランの方に向かって歩き出した。
「あの〜・・」柔がとまどいながら、そんな彼らの後ろから声をかける。
「さあ、柔ちゃんも朝飯行こう!もう大丈夫だから、監督は!」
「そうそう、起こしてくれてありがとう!」
その中から、山田が出て来て柔の手を引っ張る。
「さ!早く行こう!」片目でウィンクをすると、先へ進むよう促す。
「あ・・。山田くん!昨日は本当にありがとう、私・・」
話を続けようとする柔を、しーーーーっと自分の指に口をあてて遮る。
「その話はもう終わり!!俺、今日の柔ちゃんの笑顔だけでもうお腹いっぱいだから!」
柔の頬がさっと朱色に色づく。
そう、今日の朝からの柔のこぼれそうな笑顔といったら・・・
(あんな顔見せられたら、誰だって・・)
「よっしゃ〜!!ニューヨーク最後の飯だあ〜!食うぞ〜っ!!!」
山田は拳を突き上げ、近くにいた石川の肩をガッと組むと強引に駆け出した。
「なんだよ〜朝からがっついてんじゃね〜よ〜!食いしん坊だな〜」
石川は呆れたように言いながらも、嬉しそうに一緒に駆け出した。
(山田くん・・・)
そんな山田の後ろ姿と見送りながら、柔はふと思った。
なんか・・松田さんに似てる・・
ふふっと笑うと柔も後を追うように歩き出した。
1981992年の秋のこと:2009/04/05(日) 07:47:48 ID:X89vcN9q
<88/88>
松田は5日目の徹夜明けを迎えていた。
「よーーっしゃ、間に合ったな!!」
出来上がった原稿を日本に外電で送ると、隣の机でうつ伏せになって死にかけてる村井に声をかけた。
「村井!よく頑張ったな!お疲れさん!!」
村井は顔を伏せたままわずかにぴくっと動くと、弱々しく片手を上げて応えた。
出勤時刻になり、徹夜ではなかった社員たちがぞくぞくと出社してきた。
「お、松田!また徹夜だったのか〜?」
「お前〜、ホント自分を追い込むのが好きだな〜!」
「そんなんだから、いつまでたっても春が来ないのよん、松田ちゃん」
同僚たちは次々とからかいながらポン、と松田の肩とたたきつつ後ろを横切って行く。
松田はそんな連中を横目で追いやると、編集部を出て屋上へと上がって行った。
扉を開けると、朝の冷たい空気が心地よく五感に染みこんでくる。
う〜んと背伸びをすると、目を細めて眩しそうに朝日が広がる空を見上げる。
その顔は、最高に晴れ晴れとしていた。
1991992年の秋のこと:2009/04/05(日) 07:48:12 ID:X89vcN9q
<エピローグ_1>
日本に向かう飛行機の中で、石川は隣にいる山田をまじまじと見ていた。
「な、なんだよ、石川!さっきから気持ち悪りいぁ!・・」
「や、何かさ、お前、この旅行でなんか変わったな〜って思ってさ」
「変わった〜?どういう風にだよ?」
「ん〜・・、なんて言うか、・・かっこよくなった!」
「え!?マジ!?マジマジ!??」
「ああ、マジマジ!なんか俺も、まかり間違って惚れそうなくらい!」
「ゲーーーーッ、それだけは勘弁〜!」
山田は舌をうへ〜っと出して悶え苦しむ振りをする。
「冗談に決まってんだろ!」
ははははっと二人は顔を見合わせて笑う。
そして、笑いがとぎれたところで、ふと思いついたように山田が切り出す。
「なあ、石川、お前さ、スポーツカメラマンの仕事とか興味ねえ?」
「はあ?なんだよ、いきなり!?唐突な話だなぁ〜」
「え!?へ、へへへ・・実は俺さ、将来の目標が決まったんだ」
「ええええっ!??マジかよ!?なにすんだよ!??」
「ああ、スポーツ記者になるんだ!」
「ええっーーーーっ!!?記者ぁあああ??お前の頭でなれんの???」
「ああ!なんたって、日本一のスポーツ記者からのお墨付きだぜ?」
「はあ?なんだよ、それ?」
「へっへ〜!だからな、お前、カメラマンやれよ!一緒に世界一のコンビ目指そうぜ!」
「ちょっと待てよ!なに勝手に人の将来決めてんだよ!」
「いいじゃん!いいじゃん!」
じゃれ合う二人が5年後、日刊エブリーの新入社員として現れるかどうかは・・
まだ誰にもわからない。
2001992年の秋のこと:2009/04/05(日) 07:48:36 ID:X89vcN9q
<エピローグ_2>
数日後、柔の記事を載せた日刊エブリーの売上げ部数が明らかになり、その驚異的な数値に日米両方の編集長は狂喜に沸いた。
「松田くぅううううん!!もう、キミ最高!!!臨時ボーナス出してあげちゃう!!」
小躍りしながらそう告げる支部長に松田は冷静に返した。
「いいえ、ボーナスはいらないんで休暇を下さい!年末に!!」
「え?ボーナスいらないの?休みがいいの?」
「はい!」
「うーーーん、年末か〜・・・」
松田が抜ける穴を思うと、腕を組んで少し渋る支部長であった。
バーーーーーン!!と机に手をつくと、松田は繰り返した。
「下さいっ!!!」
「は・・・、はひ」
その迫力に押され、思わず了承してしまった。
松田はスッと踵を返すと、ズンズンと自分のデスクに戻って腰掛けた。
ほっと一息をつく。
(待っててくれ・・柔さん・・!)
心の中で力強く呟くと、真剣な眼差しでバリバリと原稿用紙に向かった。
次の再会までの期待を胸に。
201伊太郎:2009/04/05(日) 07:52:32 ID:X89vcN9q
というわけで、最後まで読んでくれたみなさん、レスしてくれたみなさん、本当にありがとうございました。
そして、このくそ長い話のせいで投下しづらかった職人さんや、うぜ〜早く終わらせろ!とかエロ無いなら来るな!
と思ってても口には出さなかった心優しいROM専さん、ごめんなさい。
現在エロ増量させたのを書いていますが、また半端なく長くなってしまったので、ここが過疎化したときに保守用に投下したいと思います。

>つや姫さん
山形の情景が目に浮かぶようで、本当にリアルでおもしろいです。続き、楽しみにしてます!
202名無しさん@ピンキー:2009/04/05(日) 10:26:55 ID:unVbkuAv
>>現在エロ増量させたのを書いています

ぜひ読みたい!
元々このスレ、オチてたんですから、気にせず投稿してください。
ぜひぜひ。待ってます。
あげていいんじゃない?
203名無しさん@ピンキー:2009/04/05(日) 16:03:00 ID:R0B1sxZv
伊太郎さん
お疲れ様でした!楽しめる作品であれば、エロなくてもいいです(ぇ
次回作も期待してます!!

つや姫さんのも楽しみにしてますよ〜っ
204名無しさん@ピンキー:2009/04/05(日) 17:02:05 ID:V6bAcYj1
伊太郎さん、乙でした!
キスシーンだけで、十分萌えました!
松田さんは、きっかけさえ掴めれば積極的に行っちゃいそうですね。
205名無しさん@ピンキー:2009/04/05(日) 23:36:28 ID:GX7di7Kn
今更だが・・・>>1のテンプレ微妙に訂正。

懐かしYAWARAのエロパロ
http://www2.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1020005505/l50
懐かしYAWARAのエロパロ 2
http://www2.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1038791719/l50
懐かしYAWARAのエロパロ 2 .1
http://pie.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1038974096/l50
懐かしYAWARAのエロパロ 3
http://idol.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1087581794/l50
懐かしYAWARAのエロパロ 4
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1101731964/
懐かしYAWARAのエロパロ 5
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1129389486/
懐かしYAWARAのエロパロ 6
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1178251763/
縮刷版
http://www2.gol.com/users/kyr01354/yawara/index.html
206名無しさん@ピンキー:2009/04/06(月) 20:50:22 ID:P7q57336
伊太郎さんお疲れ様でした
キャラが原作の雰囲気出してて、ホントよかったです!
山田君大好きだ!!
次回作も楽しみにしてます

つや姫さん
柔と松田母のやりとりにほっこりしました
続き楽しみにしてます!
207つや姫:2009/04/06(月) 23:37:15 ID:TgELJLnZ
伊太郎さん乙でした!

亀ですがちびちびやっていきますので
他の職人さんの作品もお待ちしています。
208名無しさん@ピンキー:2009/04/08(水) 07:16:48 ID:PFDDd68T
伊太郎さん乙です!

ここが最近の楽しみでした。
次回作も期待しています。

つや姫さんも期待しています。
209NYにて byマリリン:2009/04/08(水) 09:41:40 ID:+BsY4iWq
短い話ですが書いてみました。とはいっても職人じゃないので
次回作は期待しないでくださいませ…とりあえず穴埋めって感じで。
とりあえず、ここではマリリンと名乗っておきます。

耕作が住んでいるNYのアパートに、鴨田からの宅急便が届いた。
醤油もふりかけもカップラーメンも切らしていたところだったので、
ちょうど良かった、と耕作は思った。

さっそく中を開けてみると、食料品の他に、柔の特集記事が載っている雑誌が
10冊入っていた。さすがに全誌を送ってもらうわけにはいかなかったので、
柔が可愛らしく写っている写真が多いものを、鴨田が厳選してくれていた。
特に、ファッション誌では巻頭グラビア10ページという扱いだった。
柔自身は常に恥ずかしそうな表情をしていたが、綺麗な服をたくさん着られて
どこか嬉しそうだった。

「これに決めていいかなァ」
一瞬、6年前の思い出が耕作の脳裏によみがえった。
柔道着のまま連れ出して、その途中で服を買ってあげたんだっけ。
あの時はまだ子供だと思っていた。それなのに、心を奪われてしまった。
今、雑誌で見る柔の顔には、当時の面影が残っていた。
「おっと、見とれてる場合じゃねえ」
翌朝も仕事で早く出かけなければならない、さっさと片付けて寝てしまわないと。
本棚は、スポーツ関連の本でいっぱいだったが、
柔に関する記事のスクラップブックだけは別の棚に入れてあった。
耕作は、雑誌をまとめてそこに押し込んだ。
210NYにて byマリリン:2009/04/08(水) 09:42:57 ID:+BsY4iWq
再びダンボールを覗き込むと、エロ本とアダルトビデオが沢山入っていた。
「おいおい…すんごいビデオとかはちょっとでいい、って言ったのに…
 こんなに入れてきて、柔さんに見られたらどうするんだよ。
 それにしても、同じ女の子のビデオばかりだな。鴨田、こういうの好きなのか?」
ビデオのパッケージには、『タワワ見えーたー2』『マリリンの乳かえる』
『マリリンの大相撲夏場所』『ゴジラVSマリリン』などと印刷されている。

「あれ…?このコどっかで見たことが…もしかして三葉女子短大の…
 …ははっ!まさかな!柔さんの友達がこんなことするわけ…」
嫌な予感がしたので、耕作はそれ以上ビデオを凝視するのをやめ、
さらにダンボールの中を漁った。一番奥に、小さな箱が入っている。
「な…何でこんなものが入ってるんだよ…」
その箱が何なのか、知らないわけがなかった。自分だって使ったことがある。
手にとるのは、6〜7年ぶりだろうか。
「コンドームだとお!?」

耕作はすぐに、日刊エヴリー本社に電話した。
「おい鴨田、松田から電話だぞ」
鴨田は現像室にいた。グラビアアイドルや風俗嬢の写真に囲まれて、
相変わらず嬉しそうに仕事をしていた。
「はいはい、今出ますよ〜」
211NYにて byマリリン:2009/04/08(水) 09:43:37 ID:+BsY4iWq
「鴨田ァ!」
「あ、松田さん、荷物届きましたぁ?」
「お前、余計なモノ入れてんじゃねえよ!」
「だって、アレ、日本製の方がいいんじゃないですかあ?」
「バ、バカなことを言ってんじゃねえ!」
「えー?絶対役に立つと思いますけどねえ。
 柔ちゃん、今度そっちに行くって聞いてますよ?」
「な…」
「邦ちゃんの話だと、柔ちゃん、すっごくウキウキしてるらしいですよ〜。
 でも、オリンピックに出る大事な身体ですからねえ。ちゃんとしないとねぇ?」
「そ、そんなこと俺がするわけ…」
「も少し素直になった方がいいと思いますけど!?
 そんな風にモタモタして、風祭とかに食われちゃったらどうするんですか?
 遠距離なんだから、しっかりつかまえとかないと!」
「う…。…そうだな、あ、ありがとう。使わせてもらう…たぶん」

耕作は電話を切ると、小さな箱をベッドの脇の引き出しにしまった。
212名無しさん@ピンキー:2009/04/08(水) 11:00:20 ID:2Q30fcTT
え・・・ここで終わり!?
文の感じ、キャラ感がものすごく好みなので、続き超期待してます!
213名無しさん@ピンキー:2009/04/08(水) 16:43:38 ID:Cn70V2ir
わ!新しい書き手さんだ!!
続き待ってますv
214名無しさん@ピンキー:2009/04/08(水) 19:56:14 ID:PFDDd68T
マリリンさん続き期待してますよ〜
215マリリン:2009/04/08(水) 21:09:41 ID:+BsY4iWq
うは、期待されてしまいましたか…

実は、ここまでの展開しか考えていないのですよ。
長いストーリーというより、キャラ同士の会話文が先に浮かんでしまって、
そこから小話を考えたって感じなので…エロ描写も書けないし。
(下ネタに動揺する松田さんを想像する方が、楽しいんですよねー)

うーん、この後どうしようかなあ?
適当に場面転換して、違うシチュエーションの話を書くかもしれません…
216名無しさん@ピンキー:2009/04/08(水) 23:56:31 ID:bnN9wPmo
乙です!文章テンポ良くて読みやすいです
すごくウキウキしながら邦子に話す柔とかどうですかw
217名無しさん@ピンキー:2009/04/10(金) 05:42:38 ID:1ynJIuSc
>マリリンさん
短いシーンだけでも十分おもしろいです。その話のセンスも大好きです!
是非、どんどん投下して下さい!

>レスをくれたみなさん
ありがとうございました。とても励みになります。
次回作はもうすぐ完成ですが、これまた無駄に長過ぎるので、スレの流れを読みつつ投下していきたいと思います。
伊太郎
218つや姫:2009/04/10(金) 08:04:19 ID:8p2+E/rl
樹氷浪漫〜山形編〜12

「じゃあ、そろそろ暗くなってきたことだし、行こうか」
 もう帰る時間なんだ…。久しぶりのデートで2人だけの楽しい時間が終わり、柔はちょっぴり寂しいような気がした。
「柔さん、もう少し寄り道していかないか?もし疲れてなかったらだけど…」
「えっ!は、はい!まだ元気です!」
「ちょうど今がシーズンなんだよ」
わくわくしている松田を見て柔のテンションも一気に上がった。もう松田と一緒にいられるのならなんでも嬉しかった。
 
どんどん山を登っていくと、広い駐車場に到着した。車がたくさん停まっていてほぼ満車状態だった。
なんとかスペースを見つけて駐車し、車を降りた。夜にもかかわらず家族連れやカップルなどたくさん人がいて、
皆同じ方向に向かって歩いている。
駐車場を抜けると近くにナイターの明りで照らされたリフトと大きなゲレンデが見えた。
「松田さん、あれってスキー場ですよね?」
「そう、蔵王スキー場。でも目的地はこっちじゃないんだよな」

 少し歩くとゴンドラ乗り場に到着し、行列に並んで順番にゴンドラに乗り込んだ。柔はゴンドラからゲレンデのスキーヤーを眺めている。
「もしかして、これから樹氷を見に行くんですか?」
「ああ!今からすごいの見せてやるからな!」
「わあっ…でも、夜なのに見えるんですか?」
「まあ、着いてからのお楽しみ!」
2人を乗せたゴンドラはゆっくりと山を登っていった。
219名無しさん@ピンキー:2009/04/10(金) 21:40:22 ID:2Nxd5YYO
樹氷キター
220日本でのエピソード byマリリン:2009/04/12(日) 00:37:48 ID:OqQFlc6P
つや姫さん、乙です。樹氷の写真見ながら待ってます。
ウキウキな柔ちゃん、いいですね。
こっちも亀ながら投下していきますが、邦子とうち解けるまでは、
いくつか段階を踏む必要があるので、徐々に書いていきますね。
以下の話は、ちょっと既出な部分もありますが「これですんなりアメリカ行ける」
という方向に持っていきたかったので。


柔の母・玉緒がパリから帰国した。
居間でくつろいでいる玉緒のために、柔はお茶を入れている。
「お母さん、お帰りなさい。パリ旅行は満喫できた?
 一緒に行けなくてごめんね。お父さんに悪いことしちゃったかな」
「お父さんなら大丈夫よ。アメリカに行くためのお金をためてるって
 言ったら納得してたわ。『松田くんのところに行くんだな』って」
「ええっ!?お父さん、松田さんのこと知ってるの?」
「知ってるも何も、お父さん、松田さんに会ったことあるのよ」
柔は驚きのあまり、絶句した。
松田さんとお父さんが?そうだとしたら、それはいつ…?
「ソウルオリンピックの時よ」
柔の心を見透かしたように、玉緒が続ける。
「そんな、松田さん、ずっと黙っていたっていうの?どうして…」
松田さん、私がお父さんのことでずっと悩んでいたのを知っていたのに…。
「とにかく、落ち着いて話を聞きなさい。その前に柔に渡しておきたいものがあるの。」
玉緒は鞄を開けた。取り出したのは、柔名義の通帳だった。
221日本でのエピソード byマリリン:2009/04/12(日) 00:38:28 ID:OqQFlc6P
「これね…お父さんが用意してくれたのよ。アメリカに行くときに使いなさい。
 余ったら、いつか結婚するときのために残しておけばいいからって。」
玉緒に促され、通帳の数字を見る。残高は数百万円分が記載されていた。
本阿弥のコーチ代として受け取った6億円を、虎滋郎がどうしているのかは不明だが
柔に渡すのに適当と思われる額を残しておいたことは、間違いないようだ。
「お父さん、柔のことをずっと見ていたのよ。だから柔のことは何でも知っているわ。
 松田さんがいたから柔が柔道を続けてこられたことも。
 富士子さんがとても強くて、柔の大切なお友達であることも。」
お父さんが、私をずっと見ていた…?
はやる気持ちを抑えつつ、柔は黙って玉緒の話に耳を傾けた。
「お父さん、日刊エヴリーの松田さんの記事、ずっと読んでいるんだって。
 すごく良い記事を書くって、彼のこと褒めていたわ。
 でも、それだけじゃないわね。あの記事からは、柔への愛情が感じられるのよ。
 お母さんも読んでみて分かったわ」
柔は、耕作の記事から歓声が聞こえて涙を流した日のことを思い出していた。
222日本でのエピソード byマリリン:2009/04/12(日) 00:39:15 ID:OqQFlc6P
「お父さん、ソウルオリンピックで松田さんに見つかるとは思わなかったって。
 声をかけられて必死で逃げたんだけど、振り切れなかったみたいなの。
 驚いていたわよ。一本背負いで投げたにもかかわらず、しがみついてきた、って。
 『あの根性には負けた』って」
「松田さん、お父さんに投げられちゃったの!?」
「追いつかれちゃったから、仕方がなかったのよ。
 でも、結局は松田さんと話をすることになって…。
 お父さん、松田さんに責められたそうよ。『どうして会ってあげないんだ』って」
(松田さん、お父さんのこと探してくれていたんだ…)
自分の知らないところで耕作が奔走していたのかと思うと、胸が苦しくなった。
「『今は会えない』って、はっきり松田さんに言ったそうよ。
 松田さん、ずっと黙っているのつらかったでしょうね。
 でも、お父さんは松田さんを信用していたのよ。あなたが柔道をやめようとしたときも
 きっと彼が復帰させてくれると思っていた。だから姿を見せなかったのよ。
 一度だけ『柔のことをよろしく』って伝えに行ったらしいけれど。
 …お父さんと松田さんの気持ち、今のあなたなら分かるわね?」
「…うん」
バルセロナで金メダル取ったことを、松田さんはあんなに喜んでくれた。
「強くなったな」お父さんはそう褒めてくれた。
ジョディをはじめ、強い選手と戦うことができて、柔道が楽しいと心から思えた。
辛かった日々のことと、最高の幸せが訪れた日のことが交錯し、
柔の心は、まだ整理がつきそうになかった。
確実なのは、一刻も早く耕作に会って、語り合いたい気持ちが高まったことだった。


今日はここまで!
邦子・柔の会話はもうちょっと(だいぶ?)先になります。
223名無しさん@ピンキー:2009/04/12(日) 02:15:45 ID:VYdQqTRB
職人の方々、乙です!
どちらの作品も本当に続き楽しみです
幸せだ〜w
224つや姫:2009/04/14(火) 22:34:28 ID:ksiFcY6D
最近家族にパソコンを取られてしまっているので
ケータイからちまちま投下致します。改行とかかなりおかしいですが気にしないで流してやってください。


樹氷浪漫〜山形編〜13
やがてゴンドラは山頂の地蔵駅に到着した。
一歩外に出ると漆黒の闇の中に淡く、色彩豊かに浮かび上がる
樹氷の姿は日中に見える白銀のそれとは違い、松田も柔もまるで
幻想的な別世界にいるようだった。他の見物客達も次々に感嘆の声を上げている。

「………すごい」
「ああ、本当に………」
松田と柔は言葉を失って樹氷に見とれた。しばらく別世界の景色に
浸っていると不意に松田がコホンと咳払いして切り出した。
225つや姫:2009/04/14(火) 22:39:32 ID:ksiFcY6D
樹氷浪漫〜山形編〜14
「柔さん、手出して」
「はい?」
言われるままに柔が手を差し出すと、松田はポケットから細い
シルバーのリングを取り出し柔の左手薬指にはめた。
「松田さん、これ…」
突然のサプライズに驚く柔の様子を見て、なんだか松田は照れ臭くる。
「安物なんだけど、いや、その…単なる男よけっていうか!」
「でも嬉しい、あたし…」柔は涙ぐんでいる。

「…俺さ、アメリカの駐在任期が終わったら帰ってくるから、そしたら俺と、………けっ…けっ…けっ…け、結婚してくれませんか!!」
柔は驚いて涙がピタリと止まった。言ってしまった勢いで松田が続ける。
「急に言われても困るよなっ!でも…一生のことだから返事はいつでもいいから真剣に考えておいてくれないかな」

涙を溜めて真っ直ぐに松田を見つめる柔は、淡いライトに照らされ松田には余計に綺麗に見えた。
「あたしでいいんですか?…待ってますあたし…松田さんが帰ってくるまでずっと」
「ありがとう柔さん…」
再び泣き出した柔の涙をそっとぬぐい、松田は柔を抱きしめる。
柔も松田に身体を預けるようにしてしばらく互いのぬくもりを確認し合った。
226名無しさん@ピンキー:2009/04/15(水) 07:30:16 ID:Zgx0oqVB
乙です
いいなあ…
227名無しさん@ピンキー:2009/04/15(水) 19:24:08 ID:asCnOJQW
2828してしまうじゃないかい!
228名無しさん@ピンキー:2009/04/16(木) 04:38:40 ID:Pu8SdWWv
乙です。続き楽しみです。
229伊太郎:2009/04/16(木) 05:33:32 ID:xhvG0bkG
この作品を読む際の注意点です。
(1)長い。ひたすら長い。100レス分ある‥。
(2)エロがあるのは32以降。ただし、他スレの猛者たちの足下にも及ばない内容‥。
以上の点に殺意を覚える方は、タイトルをNGワード指定でスルーしてね。
では、ぼちぼち投下していきたいと思います。
2301992年の冬のこと:2009/04/16(木) 05:34:20 ID:xhvG0bkG
<1/100>
12月に入り、東京も本格的に寒さが厳しくなってきた。
今日も猪熊家の道場では、朝から寒稽古に励む音が外の通りまで聞こえてくる。
「どりゃあああああっ!!」
滋悟郎に勢いよく投げ飛ばされた柔は、あいたたた‥‥と上半身を起こして腰をさする。
「こりゃああ!!柔ぁ、おぬし最近たるんどるぞ!!なんじゃ、そのふぬけた様はぁあ!」
「べ、別にふぬけてなんかいないわよ!」
なにか心当たりがあるのか、柔がとまどいを見せながらも軽く滋悟郎を睨む。
「ま〜た、つまらん色恋沙汰でうだうだしとるのじゃろう!?お前の考えなんぞ、ぜ〜んぶお見通しじゃ!」
「ドキ‥‥!や、やあねぇ、おじいちゃん、何のこと?」
「そういえば最近、日刊エブリーから連絡がきてないようじゃがの〜ぉ?」
滋悟郎は目をいやらしく細めると、ずいっと柔の前に顔を突き出す。
「な!だ、だから何?関係ないじゃない、そんなこと!」
「そうかの〜ぉ?お前の調子は、いつも日刊エブリーからの電話の有る無しで変わってるようじゃがの〜ぉ?」
そう言って柔の周囲を行ったり来たりしながら、舐め回すように見る。
「や、やだ!!そんなの考えすぎよ!全く、おじいちゃんったら、突然何言い出すの!?
あ!大変、もうこんな時間!早くしないと会社に遅刻しちゃう!」
柔はあわてて立ち上がると、その場から逃げるように離れる。
「こらあ、柔ぁ!まだ話は済んどらんぞーーー!!」
背後で呼び止める滋悟郎の声に、聞こえない振りをして道場を後にした。
2311992年の冬のこと:2009/04/16(木) 05:34:44 ID:xhvG0bkG
<2/100>
(もう、やだ!おじいちゃんったら、なんで突然あんなこと‥‥)
道場を出て廊下を歩きながら考える。
(松田さん‥‥)
滋悟郎の言う通り、確かにここ最近、松田からの連絡がなかった。
(最後に話したのは‥‥2週間前‥‥)
柔は努めて考えないようにしていたことを思い出してしまい、しょんぼりとうつむく。
(ただ、忙しいだけだもん‥‥)
前回の渡米で松田の職場を見た柔は、彼の殺人的な忙しさを理解したつもりだった。
(頑張って待つって決めたもん‥‥)
寂しさでくじけそうになる心を、必死に奮い立たせようと拳をきゅっと握りしめた。
台所に近づくと、玉緒が誰かと軽く笑い声をあげて話しているのが聞こえる。電話のようだ。
こんな朝早くから誰と話してるのかしら?と不思議に思い見ていると、笑顔で柔を手招きしている。
「え?私?」
電話の近くまで来ると、玉緒がウィンクしながら受話器を手渡してきた。
「はい柔、松田さん!」
「えええええっ!??」
柔はびっくりして受話器を落としそうになった。あわてて持ち直すと、おそるおそる耳にあてる。
『柔さん?』
ずっと待ちわびていた、あの暖かい声が聞こえた。
「‥‥はい」
柔はとくん、と波打つ心臓の前に手をあて、息を整えて答える。
『元気にしてた?ごめんな、仕事忙しくて‥‥ずっと連絡できなくて‥‥』
「そんな‥‥」
柔はこみ上げてくる感情の高ぶりを必死に抑えるが、言葉がうまくでてこない。
『俺、いつも言い訳ばかりでかっこ悪いな‥‥本当にごめん!!』
「そんな‥‥謝らないで下さい。松田さんは何も悪くないんですから‥‥」
しばしの沈黙が流れた後、松田がちょっと明るい口調で切り出した。
2321992年の冬のこと:2009/04/16(木) 05:35:20 ID:xhvG0bkG
<3/100>
『俺さ、今、年内の仕事詰めて片付けてて、それで、そのお〜‥年末に休暇もらえることになったんだ』
「え?」
柔は一瞬、状況が飲み込めず聞き返した。
『いや、それでその、年末に日本に帰れることになったんだ』
呆然として再び受話器を落としそうになり、はっと我に返る。
「ほ‥‥本当ですか‥‥?」
『ああ、キミのおかげでもあるんだ!キミがここで試合をした時の記事がすごい売上げで‥‥
それでご褒美ってことで休暇の約束を取り付けたんだよ!』
松田は前回のニューヨーク大学での柔の試合を思い出しているのか、少し興奮しながら嬉しそうに語った。
「‥‥‥‥」
『柔さん?』
柔からの反応がないことに心配になった松田が問いかける。
「松田さん‥‥私‥‥待ってますから‥‥」
柔の声が震えていることに気づいた松田は、状況を飲み込みさらに優しい口調になった。
「ああ、絶対に行くから‥‥」
柔は目尻に溜まった涙をそっと指で拭うと、黙ってうなづく。
すると、受話器の向こうから『こらぁああああ!松田ぁああ!早くせんかぁああああ!!』と支部長らしき怒声が微かに聞こえた。
『げ!!もう行かなくちゃ!俺、これからまた取材で・・!ごめんな!また連絡する!』
「はい!」
まだ微かに目は潤んでいるものの、柔は精一杯明るく答えた。
『じゃ、またな、柔さん!』
松田の弾んだ声を最後に電話が切れた。受話器を置いた柔はまだ実感が湧かず、その場を動けずにいた。
(松田さんが‥‥日本に‥‥)
ニューヨークでの甘い思い出が甦ってくる。
なんだかじわじわと体に帯びてくる熱にとまどいながら、柔は会社に行くための準備を始めた。
2331992年の冬のこと:2009/04/16(木) 05:35:43 ID:xhvG0bkG
<4/100>
会社に着いてもまだ、柔の心はふわふわと浮ついたままだった。
昼休みになり同僚たちとお弁当を食べていると、その中の一人が目ざとく指摘する。
「な〜んか、今日の猪熊さん、変じゃな〜い?」
すかさず他の同僚も同意する。
「あ〜、私も思った!なんかぁ、心ここにあらずっていうかぁ〜」
「うんうん、猪熊さんの周りにハートのお花畑があるっていうかぁ!」
「きゃ〜っ!そんな感じ!そんな感じぃ!!」
「え!?ちょ、みんな何言って‥‥」
柔は腰を浮かしかけながら、あわてて手を振って、みんなの話を止めようとする。
「やあねぇ、隠すことないじゃない!上手くいってるんでしょ、彼氏と!」
「え!?彼氏!??わ、私、彼氏なんて‥‥」
触れて欲しくない話題になって柔はさらに焦る。みんなに松田とのことは言えないのだ。
「まぁたぁ〜!絶対、嘘!!猪熊さんに彼氏いないなんてありえないしぃ!」
「そうよ〜!こんなにかわいいのに、男たちがほっとくわけないじゃない!」
「そ、そんな‥‥私、」
否定の言葉を続けようとする柔を遮って、同僚たちはさらに盛り上がる。
「いいわよね〜、猪熊さんはラブラブで!私なんか、先週、彼氏と別れたばっかりで‥‥」
突然の告白に他の同僚たちが、一気に注目する。
「うそ〜!直子、あいつと別れちゃったの〜!?」
「ちょっと、初耳よ〜っ!?」
「うん‥‥。なんかね‥‥相性が合わなかったのよ‥‥」
直子と呼ばれた同僚の一人が、うつむき加減につぶやく。
「相性って、あんなに仲良かったじゃない!」
「そうよ〜!いっつも一緒にいてラブラブって感じだったわよ!」
同僚たちはお互いの顔を見合わせながら、矢継ぎ早に驚きを口にする。
「うん‥‥そうだったんだけどぉ〜‥‥」
直子は少し口を尖らしながら続けた。
「夜の相性がねぇ〜‥‥」
「夜ぅ〜!?」
それまで心配そうな顔をしていた同僚たちの目に、一斉に好奇の光が宿る。
「そぉなの〜、要はさぁ、体の相性が合わなかったのよぉ〜」
机に頬杖をついてぼんやりと天井を見ながら、直子は少し気だるい口調で爆弾発言をした。
2341992年の冬のこと:2009/04/16(木) 05:36:03 ID:xhvG0bkG
<5/100>
「や、やだ〜!そうなの〜!?」
「じゃあ、仕方ないわよ、直子ぉ〜!」
「運が悪かったと思ってあきらめるのよ〜!」
皆きゃあきゃあと、慰めるのか楽しんでるのかわからない言葉を口にする。
その中で、柔は一人きょとんとしていた。
「もう!猪熊さ〜ん、何ボーッとしてるの〜!人ごとだと思って〜!」
直子は、隣に座っている一人リアクションの薄い柔を肘で軽くつつく。
「あ、ご、ごめんなさい!わ、私‥‥」
柔はあわてて謝り、自分が話についていけてないことを悟られてないかと焦った。
「も〜う、猪熊さんだって今はラブラブだからいいけど〜、安心してたら男はす〜ぐフラフラどっか行っちゃうんだから〜!
特にアレに満足してないときはぁ〜!」
「‥‥アレ?」
やっぱり話が読めない柔は、少し首をかしげて不思議そうに聞き返す。
「やだ〜、猪熊さん!ホントにわからないの〜!?セックスよ、セックス!!」
ついにはっきりと告げられた言葉に、柔の顔は一気にりんごのように赤くなった。
「やだあ、猪熊さんたら、そんなに赤くなってかわいい〜!」
「ホントだぁ!もしかして、彼氏いないのって本当なの〜!?」
柔は話が再び自分中心になってきたことに焦りを感じながらも、”彼氏がいない”と言うと、
松田の存在を否定するようで何となく気が引けて言葉を濁す。
「‥‥え、い、いや、だから‥‥」
2351992年の冬のこと:2009/04/16(木) 05:36:24 ID:xhvG0bkG
<6/100>
「あ〜!わかった〜!!まだその彼とセックスしてないんだ〜!!」
直子の再びの爆弾発言に、柔の目が大きく見開いて、誰の目にも明らかなくらい硬直した。
「ちょ、ちょっと〜、直子ったら、真っ昼間から何言ってるのよ!」
「そうよ〜!猪熊さん、固まっちゃったじゃない!」
本当に固まってしまった柔のために、他の同僚があわててフォローする。
「あ、ご、ごめんね〜、猪熊さん!私、最近別れたばっかだから、ちょっと欲求不満気味なのよ〜!
あ!そうだ!猪熊さんに、いいものあげる!」
そう言って直子が自分のデスクから取り出してきたものは、雑誌”NYAN NYAN”であった。
一応、若い女性向けのファッション雑誌であるが、たまに過激な性特集を組む事でも知られていた。
「あたしさ〜、彼氏と別れてから何が悪かったのか勉強しようと思って、いろいろ雑誌買い漁ったの。
これ、もう読んだから猪熊さんにあげる!勉強になるわよ〜」
直子が意味深な笑みを浮かべながら、柔へと突き出す。
「え、い、いいです、そんな‥‥」
とまどう柔をよそに、勝手に柔のカバンへと突っ込んだ。
「いいから、いいから!猪熊さんには私と同じ失敗をして欲しくないのよ〜」
そう言って直子は再びデスクに肘をついて顎をのせると、ふ〜っと深いため息をついた。
236伊太郎:2009/04/16(木) 05:37:35 ID:xhvG0bkG
キリがいいのでここで切ります。
237マリリン:2009/04/16(木) 09:14:27 ID:od0yxZC+
伊太郎さん、乙です!
こっちも考えてるんですが、文章にする暇がなく(汗)
しかも週末旅行なので、来週の投下になりそうです。
なので、どんどん行っちゃってください!
238名無しさん@ピンキー:2009/04/16(木) 09:24:03 ID:M5sE25jD
乙です。伊太郎さん、100レス分!凄いですね〜
ニヤニヤしながら読みましたw
マリリンさんも気長に待ってます!
職人さん万歳っ!
239名無しさん@ピンキー:2009/04/16(木) 11:13:29 ID:CN3BajF5
つや姫さんとマリリンさんをまったり待ってたら伊太郎さん降臨でびっくりw
240名無しさん@ピンキー:2009/04/17(金) 07:18:31 ID:X6+QYEx4
出勤前の貴重な時間。

でもニヤニヤしてる俺…w
241伊太郎:2009/04/17(金) 07:27:10 ID:09mb+SBn
なんか圧縮の日が迫っているようなので、焦って投下してしまいました‥。
意図的に読んでくれた人、事故的に読んでしまった人、ありがとう‥‥。

>マリリンさん
邦子がどう絡んでくるのか、本気で楽しみなのでゆっくり待ってます!
2421992年の冬のこと:2009/04/17(金) 07:28:06 ID:09mb+SBn
<7/100>
「ただいま〜!!」
玄関のドアを開けると、ちょうど廊下を掃除中の玉緒が出迎えた。
「あら、柔!おかえり」
ほうきを持ったまま柔に声をかけた玉緒は、なぜか妙ににこにこしている。
「やだ、お母さん、どうしたの?そんなににやけちゃって」
「どうしてって、柔。今日、電話で聞いたでしょ?松田さんから、年末のこと!」
「え!?う、うん‥‥。そうだけど‥‥」
突然の『松田』という言葉に思いっきり反応しながら照れていると、玉緒が続けた。
「だから、お母さん、今からはりきって掃除してるのよ!」
「え?なんで松田さんと、掃除することが関係あるの?」
柔はその関連性がわからず、首をかしげる。
「なんでって‥‥。うちに泊まってもらうからよ?」
「え‥‥?えええええええっっ!?」
思わず玉緒がびっくりしてほうきを落としてしまうくらい、素っ頓狂な声を上げてしまった。
「き、聞いてないわよ、そんなこと!」
確かに今朝の電話では、そんな話はなかった。
「あら、松田さん、言わなかったの?変ねぇ」
「あ。そういえば松田さん、電話の途中で仕事に戻らなくちゃいけなくなったから‥」
「そうだったの。じゃあ、お母さんが話しちゃうけど、柔と電話替わる前に少し松田さんと話したの。
年末に日本に来るって言ったから、じゃあ、うちに泊まって下さいって言ったのよ」
「な、なんで‥‥?」
「だって柔、外でなんか堂々と松田さんとデートするつもり?」
「あ‥‥」
「それだったら始めからうちに来て頂いた方が、何かといいかと思って」
「松田さんはなんて‥‥?」
「はじめはすごく遠慮してらしたけど、お母さんがどうしてもって言ったら、じゃあお言葉に甘えさせて頂きますって!」
「お、お母さん‥‥!!」
柔は母のその優しい心遣いに感動して、思わず玉緒に抱きついた。
「あらあら!この子ったら!」
「あ‥‥!でも、おじいちゃんが‥‥!!」
柔は、猪熊家に潜む強力な伏兵の存在に気づいて、はっと顔をあげる。
「お母さんも協力するから、頑張ってお父さんを攻略しましょ!」
玉緒はそう言って微笑むと、柔の頬を両手で優しく包みこんだ。
2431992年の冬のこと:2009/04/17(金) 07:28:28 ID:09mb+SBn
<8/98>
玉緒との話が済むと、着替えるためにうきうきとした軽い足取りで2階へと上がる。
ポンッとベッドの上に投げ出したカバンからは、今日会社で渡された雑誌がはみ出した。
「あ‥‥」
柔は会社での会話を思い出し、一気に頬が染まる。
(もう!みんなエッチなんだから!)
プイっと一旦は雑誌から目を逸らし、着替えようとクローゼットに向ったが、ふと足を止める。
(直子さんは、アレ‥‥に満足してないと男の人はふらふらどっか行っちゃうって‥‥)
会話の内容を思い出すと急に不安になる。
(松田さんにかぎってそんな‥‥‥)
必死にそんな考えを打ち消そうとするが、やはり気になる。
おそるおそる雑誌を手に取ると、表紙には”冬のモテコート!これでみんなに差をつけよう!”だの
”街で見かけたイケメン特集☆”というタイトルに混じって、”絶対彼氏を満足させる!快感テクニック!!”だの
”イカせる10の法則”だの、いかがわしげなタイトルが並んでいた。
(彼氏を満足させる‥‥)
柔は松田のためなら‥‥とページをめくった。
「きゃあぁっ!!」
いきなり飛び込んできたイラストに、思わず悲鳴をあげてしまった。
それは、フェ○のテクをイラスト付きで詳しく説明している記事だった。
2441992年の冬のこと:2009/04/17(金) 07:28:48 ID:09mb+SBn
<9/100>
(な、なに、これ!?)
柔は初めて見る世界に驚愕した。
(う、うそ!みんな、こんなことするの‥‥!?)
とまどいながらも、記事に目が釘付けになる。
(ま、ま、松田さんの‥‥)
思わず松田とそういうことをしている場面を想像してしまい、顔から発火しそうなくらい熱が出る。
(や、やだっ!!)
咄嗟に雑誌を床に放り出すと、あわてて床に正座して座り直した。
しかし、やはり気になってそろりそろりと手を伸ばしかけた瞬間、バーーーーン!と部屋のドアが開いた。
「きゃあっ!!」
ドアの入り口には滋悟郎が立っている。
「こりゃあ、柔!いつまでぐずぐずしとるんじゃ!さっさと道場に来んかいっ!!」
「もうっ!!勝手にドア開けないでって、いつも言ってるでしょ!?」
「孫の部屋に入って何が悪いんじゃ?ん?なんじゃ、その雑誌は?」
床に落ちている雑誌を、滋悟郎が目ざとく見つけて拾おうとする。
「あ!!や!な、何でもないっっ!!」
柔はあわてて奪い取ると、さっとベッドの下に隠した。
「ん〜?おぬし、また何かわしに隠し事かのぅ〜?」
「な、なんでもないってば!もう、早く出てってよ!着替えるんだから!」
ぐいぐいと強引に滋悟郎の背中を押し出す。
「こ、こりゃ、柔!何をするんじゃ〜!」
抵抗する滋悟郎を部屋から追い出すと、ドアを背にふ〜ぅと息をついた。
(もう!こんな調子で松田さんを家に呼ぶなんて、できるのかしら‥‥)
松田が来る喜びと、滋悟郎への説得の難しさの狭間で柔は複雑な気持ちになった。
2451992年の冬のこと:2009/04/17(金) 07:29:16 ID:09mb+SBn
<10/100>
結局、滋悟郎に打ち明けられないまま数日が過ぎた。
「柔!お母さん、いい考えがあるのよ!」
夕食の後片付けを一緒にしていると、玉緒が突然切り出した。
「なあに?お母さん」
「明日、柔のお誕生日でしょ?お父さんにあのことを切り出すいいチャンスじゃないかしら?」
「え?どうして‥‥?」
「たくさんごちそう作るし、柔へのプレゼントとしてお父さんにおねだりできないかしら?松田さんのこと」
「う、う〜ん‥‥いい案だとは思うけど‥‥」
ごちそうには気をよくしたとしても、あの頑固な滋悟郎がそう簡単に許してくれるかどうか‥‥
「大丈夫よ、柔!お母さんも一緒に応援するから!ね?だって早くしないと、年末になっちゃうわよ?」
「そ、そうよね!早く言わないと‥‥」
「よし、決まりね!お母さん、明日ははりきってごちそう作るわよ〜!!」
玉緒は軽く腕まくりすると、柔を見ながらにっこり微笑んだ。
「うん!」
柔もそんな玉緒の明るさにつられて、何だか上手くいきそうな気がして明るく答えるのであった。
2461992年の冬のこと:2009/04/17(金) 07:29:51 ID:09mb+SBn
<11/100>
そして、誕生日の朝を迎えるーーーー。
(今日は、いよいよおじいちゃんに松田さんとのことを告げる日‥‥)
朝の稽古中も柔はずっとそのことを考えていた。
滋悟郎はそんな柔の心境を知ってか知らずか、稽古が終わると柔に告げる。
「そうじゃ、柔!今日はおぬしの誕生日じゃったな!なにか欲しいものでもあるか?」
なんだかいつもより口調が優しい気がして、少し期待してしまう。
「う、うん。でも、物じゃないんだけど‥‥」
「んんっ?」
滋悟郎の表情が何かを察知したかのように少し険しくなった。
その微妙な変化を感じ取った柔は、思わず弱気になる。
「い、いや、夜になったら言うから、ね?と、とにかく何もおじいちゃんは何も用意しなくていいから!」
「‥‥‥‥」
滋悟郎の不審そうな目は変わらない。
「じゃ、じゃあ、また夜ね!」
柔はあわてて道場を出ると、シャワーを浴びに浴場へと駆け出した。
その後姿を、どこか意味深な目つきで滋悟郎はじっと見送った。
2471992年の冬のこと:2009/04/17(金) 07:30:16 ID:09mb+SBn
<12/100>
会社が終わると、柔は少し寄り道をしてデパ地下のお菓子売り場に来ていた。
「これと、あれと‥‥あ、それも下さい!」
柔は自分の誕生日のため、というより滋悟郎懐柔作戦のためにたくさんの菓子を購入していた。
両手いっぱいの強力アイテムを手にした柔は、決戦の場である自宅へと向かう。
「ただいま〜!」
玄関の扉を開けると、おいしそうな料理の匂いが廊下いっぱいに漂っている。
「わぁ、いいにお〜い!お母さ〜ん?」
ぱたぱたと台所に向かうと、玉緒が料理をしている最中であった。
玉緒は振り返ると「おかえり、柔!お誕生日おめでとう」と鍋を片手に微笑む。
「うん、ありがとう。今日はたくさんケーキとか買ってきたんだ〜」
そう言いながら先ほど購入したお菓子の山をテーブルに置く。
「あら、お母さんも買ってきたのよ?」
「ええっ!?本当?ごめんね、ダブっちゃったね‥‥」
「やあねえ、いいのよ!お父さんはいくらあったって全部食べちゃうんだから!」
「そうよね!たくさんあった方が、機嫌がいいかも!」
「そうよ〜、お父さんをごちそう攻めにしましょ!」
ふふふっと二人が作戦会議を練っているところに滋悟郎が入ってきた。
「なんじゃ〜?二人して楽しそうに。ん?た、玉緒しゃん、この酒は‥‥!」
「あ、ご覧になりました?お父さんの好きな”熊ころし”!今日はおめでたい席だから‥‥」
「ふむ!しっかし、なんじゃ、わしの誕生日ではないんじゃがのう‥‥」
そう言いながらも、まんざらでもなさそうである。
滋悟郎のそんな様子を見た柔と玉緒は、こっそり目を合わせ、今夜の成功を期待し合った。
248伊太郎:2009/04/17(金) 07:31:12 ID:09mb+SBn
ここで切ります。
249つや姫:2009/04/17(金) 13:29:59 ID:WTdcCfav
伊太郎さん乙でした!
純情な柔にハァハァしてしまいます
250名無しさん@ピンキー:2009/04/17(金) 15:22:53 ID:vh0FLjQM
乙です!2828〜
251名無しさん@ピンキー:2009/04/17(金) 20:28:05 ID:U3Zr8Jba
乙です
続きが楽しみです!
252名無しさん@ピンキー:2009/04/18(土) 09:45:45 ID:Tuu7E410
乙です。
253伊太郎:2009/04/19(日) 05:37:29 ID:9DXDNRzY
レスありがとう〜!続きです↓
2541992年の冬のこと:2009/04/19(日) 05:38:12 ID:9DXDNRzY
<13/100>
そして、ついに猪熊家において柔の誕生会という名目の滋悟郎攻略作戦が始まった。
食卓の上には色とりどりのごちそうが、ところ狭しと並んでいる。
「それでは、かんぱーーい!柔、お誕生日おめでとう!!」
「ありがとう!」
柔も玉緒もにこにこしている。
「さあ、お父さん、たくさん食べて下さいな!」
「ほお〜っ、こりゃまた豪勢な料理じゃわい!盆と正月がいっぺんに来たようじゃ!」
滋悟郎はたくさんの料理を前に、目をきらきらと輝かせた。
「でしょ〜!おじいちゃん、食後のデザートもた〜くさんあるからね!」
柔が追い打ちをかけるかのように続ける。
「そうか、そうか!そりゃ、楽しみじゃわい!しかしなんじゃ、今日はお前の誕生日のはずじゃが‥‥」
一瞬、滋悟郎が我に返りかけるのを見て、玉緒があわてて話を逸らす。
「あ!お父さん!お酒も用意できてますよ!すぐお持ちしますね!」
「うむ。すまんな、玉緒さん」
滋悟郎は再び料理の方に気を向け、次々と口にし出した。
「んまい!!いや〜、実にんまい!!」
滋悟郎が上機嫌で料理を頬張るのを、柔と玉緒は自分たちはろくに食べずにじっと観察している。
「ん?なんじゃ?二人して」
二人の視線に気付き、手にした皿から顔を上げた。
「え!?いいえぇ!!何でもありませんよ、お父さん!さ、お酒もどうぞ!」
玉緒があわててお酒をすすめながらお酌をする。
「む?うむ、なんじゃか今夜は杯が進むのぉ〜」
滋悟郎の顔がしだいに赤くなっていき、いい具合に酔ってきたようだ。
料理も一通り平らげたところで、食卓を片付け、今度はデザートを山積みにする。
滋悟郎はあれほど食べたのに、この宝の山を目の前に「ほお〜!」と感嘆し次々とほおばり出した。
2551992年の冬のこと:2009/04/19(日) 05:38:34 ID:9DXDNRzY
<14/100>
と、ここでついに柔が切り出した。
「お、おじいちゃん!あのね、お願いがあるの」
「ん〜?なんじゃ〜?そういえば今朝、なんか言うとったのぉ〜。言うてみ〜?」
「う、うん。あのね、年末のことなんだけど・・」
ぐっと息を飲み込み、呼吸を整えて勇気を振り絞る。
(頑張って、柔‥‥!)
玉緒が暖かくも力強い視線で見つめている。
「ま、‥‥松田さんを家に泊めていい?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・」
一瞬にして空気が凍り付いたのが誰の目にもわかった。
滋悟郎は、大きな口をあけてシュークリームを頬張る瞬間だったのだが、そのままピクリとも動かない。
「お、おじいちゃん‥‥?」「‥‥お父さん?」柔と玉緒が同時におそるおそる声をかける。
口に入れかけていたシュークリームを食卓の上に乗せると、滋悟郎は正座し直した。
「柔、ちょっとそこに座りなさい」
「もう、座ってます!」
決していい返事が聞けないであろうと予感した柔は、少しやけ気味に答えた。
「家に泊めるってことは、なんじゃ?お前とあの三流記者はチチクリ合う仲ってことか?」
「チ、チチクリ合うって‥‥な、なに言ってるの!?おじいちゃん!!」
柔が顔を真っ赤にして抗議する。
「そうですよ、お父さん!そんな言い方‥‥」
玉緒にたしなめられて、滋悟郎は自分の言い方のまずさに気付き、若干頬を染めながらも続ける。
「うおっふぉん!と、とにかくじゃ!わしゃあ、認めんぞ!お前の相手があんな三流記者なんぞと!
大体あやつはアメリカにおるんじゃ、今頃は金髪のボインボインねーちゃんと‥‥」
2561992年の冬のこと:2009/04/19(日) 05:39:00 ID:9DXDNRzY
<15/100>
「松田さんはそんな人じゃないもん!!!!!」
突然の柔の剣幕に、滋悟郎は一瞬たじろぐ。
「そうですよ、お父さん。松田さんみたいに良い方、なかなかいませんよ!」
玉緒の援護射撃もすかさず入る。
「な、なんじゃ!二人して!と、とにかくわしゃ〜、認めん!」
「ひっどーーい!わかったわよ!私もう、柔道しないから!!」
ついに柔の最後の切り札が切られた。
「な、なんじゃと!?」
「私、松田さんといられないなら、柔道する意味ないから!!」
この爆弾発言にはさすがの玉緒もびっくりして柔を見つめる。
「こりゃ、柔!そんな脅し‥‥」
「脅しなんかじゃありません!!」
相変わらずの剣幕で柔が滋悟郎の言葉を遮って詰め寄った。
「‥‥‥‥。よかろう。そこまで言うなら、1つ条件を出そう」
「条件?」
思わぬ提案に柔も少し落ち着いて、浮きかけた腰を戻して座り直す。
「そうじゃ。おぬしがアトランタオリンピックまで勝ち続けるために必要不可欠なことがあるんじゃ。
それがわかったら、あの三流記者との交際を認めてやろう」
「え!?本当!??」
柔の目が一気に輝き、歓喜の色に満ち溢れる。
「うむ。柔道家に二言はないぞ」
「ありがと〜!!おじいちゃん!!」
柔は思いっきり滋悟郎に抱きついた。
「ただし!答えがわかった場合だけじゃ!」
「うん!」
玉緒はそんな二人のやりとりを、ホッとしたように暖かい目で見守っていた。
2571992年の冬のこと:2009/04/19(日) 05:39:25 ID:9DXDNRzY
<16/100>
その頃ニューヨークではーーーー。
相変わらず忙しい日々の中、松田と相棒の村井はバスケットボールの試合の取材にきていた。
「はぁ、ったくうちは何でこう、いつもいつも忙しいんだ‥‥」
試合が始まる前の準備中、寝不足で大きなクマをつくった顔の松田が思わずぼやく。
「仕方ないですよ〜。少ない人件費で大きな利益をあげようとする会社なんですから〜」
隣にいた村井は、わかりきっていることを口にしてみる。
「んなこたぁ〜、わかりきってんだよ!」
案の定、松田がからんできた。
「も〜う!八つ当たりしないで下さいよ〜、松田さん」
村井はうっとうしそうに、まとわりついてくる松田を引きはがそうとする。
「こ、こいつ〜!かわいくねえな〜っ!!このっ!このっ!!」
「や、やめて下さいよ〜!こどもみたいだな〜もう!」
ますますからんでくる松田に村井は必死に抵抗する。
そんな二人の近くにいた他の新聞社からは次々と野次が飛ぶ。
「うるせ〜ぞ!日刊エブリーっ!もうすぐ試合始まるから静かにしてろ〜!」
「そうだ〜!そんなことだから、いつまでたっても三流のままなんだ〜!」
ある意味正論の野次に松田はあっかんべ〜をすると、さっと襟を正して背筋を伸ばした。
「村井くん、もっと真剣にやってもらわないと、困るよ?」
「松田さん、それ本気で言ってます?」
村井はジロリと松田を睨む。
「‥‥すまん」
「ったく、そんなんだから、いつまでも彼女できないんすよ〜」
年下の村井にそこまで言われて、一瞬青筋ができかかったが、”彼女”の言葉に柔を思い出して顔が緩む。
(そうだ!試合が始まる前にちょっと電話してみよっと!)
「村井!俺、ちょっと電話してくる!」
松田が突然その場を離れて駆け出した。
「ちょ、ちょっと〜松田さん!電話ってどこに〜!?もう!早く戻ってきて下さいよ〜!!」
つっかかってくるかと思った松田が取った奇妙な行動に、村井は怪訝そうな顔でその後姿を見送った。
2581992年の冬のこと:2009/04/19(日) 05:39:49 ID:9DXDNRzY
<17/100>
柔と玉緒は、誕生会の後片付けをするため、台所に並んでいた。
二人は、今日の作戦のまずまずの成果についておしゃべりしながら、てきぱきと片付けていく。
「ねえ、お母さん。おじいちゃんの言ってた問題の答え、何だと思う?」
「そうねえ‥‥。お父さんのことだから、何かひねくれた答えかもしれないけど‥‥」
「そうでしょ〜?あのおじいちゃんが、簡単な答えなんか用意しそうにないし‥‥。
もしかして私、おじいちゃんに上手くハメられたのかなあ〜‥‥?」
「やあねぇ、柔。お父さんもそこまで意地悪なこと‥‥」
「でも、おじいちゃん、短大受験の時も、就職のときも散々‥‥!」
過去の滋悟郎の悪行をだんだん思い出してきた柔は、徐々に暗い顔になってくる。
そんな娘の様子を見た玉緒は、優しく語りかける。
「柔。松田さんにも相談してみればいいじゃない?一緒に答えを考えてくれるわよ」
玉緒の提案にハッと顔を上げて一瞬顔が明るくなったが、すぐにまたしょんぼりとする。
「ダメよ‥そんな‥‥。松田さん、お仕事で忙しいのにそんなことで邪魔したくない‥」
「何言ってるの、柔。松田さんは、そんな邪魔だと思うような人じゃないわよ。柔が一番よくわかってるでしょ?」
「う、うん‥‥」
確かに松田がそんな風に考えるとは思えない。でも‥‥
その時、廊下の方から電話の音が聞こえた。
「あ、私、出るね!」
柔は持っていた拭きかけの皿をテーブルに置くと、電話のある廊下へと向った。
2591992年の冬のこと:2009/04/19(日) 05:40:13 ID:9DXDNRzY
<18/100>
「はい、猪熊です」
『あ!柔さん?』
「ま、松田さん!?」
予期せぬ電話の相手に、柔の声が思いっきり裏返った。
『元気?何も変わりはない?』
「は、はい‥‥」
緊張が和らいでくると、今度はじわじわと嬉しさがこみ上げてくる。
「松田さんは‥お元気ですか?お仕事、相変わらず大変ですか?」
『ん?あ、ああ、全然、大丈夫だよ!今、取材で外にいるけど時間あるから電話してみたんだ。柔さんは今、何してるの?』
「私は今、台所でお母さんと片付けをしてて‥‥。今日は私の誕生会をしたので」
『‥‥え?誕生会‥‥?柔さんの‥‥?』
「はい」
そういえば、松田さんには誕生日まだ言ってなかったなと柔は思い出す。
『だぁああああああ!!そうだったのかーーー!!ごめんな、気がつかなくて!!俺、最低だな‥‥!!』
「い、いいえ!そんな!松田さんには何も言ってなかったし‥‥」
『う”う”ーーっ、本当にごめん!いや、誕生日おめでとう!』
「ありがとうございます!」
全く気にしていなかった柔は明るく答える。
『何か、欲しいものある?』
松田が本当に申し訳なさそな声で申し出た。
「いいえ、何も。あ‥‥そういえば‥‥。一緒に考えて頂きたいことが‥‥」
『ん?』
柔は今日の滋悟郎とのやり取りで決まったことを松田に伝えた。
『うーーーーーん、あのじいさん、なかなかやるな‥‥』
「すみません、松田さん。なんかややこしいことになっちゃって‥‥」
『なあに言ってんだよ!何とかなるって!一緒に考えて行こうぜ?』
柔は”一緒に”という言葉に、滋悟郎の難問もなんだか霞んで行くような気がして、思わず頬がほころぶ。
『あ、やべー!そろそろ試合始まるから、またな、柔さん!今日は、本当におめでとう!』
「はい!」
こうして電話が切れた。先ほどまでの少し鬱々とした気持ちは、もはや微塵も感じなかった。
260伊太郎:2009/04/19(日) 05:40:43 ID:9DXDNRzY
ここで切ります。
261名無しさん@ピンキー:2009/04/19(日) 06:34:57 ID:QsOUTZ3d
伊太郎さん、乙です。
いつも楽しく拝見させていただいてます。
ただ一つだけ言わせていただくと柔は『私』ではなく『あたし』だと思います。
細かいことですみませんが
262名無しさん@ピンキー:2009/04/19(日) 10:38:02 ID:pLyS42s7
伊太郎さん、乙です。
毎度ニヤニヤさせてもらってます。

今後の展開も楽しみにしてます。
263名無しさん@ピンキー:2009/04/20(月) 08:38:05 ID:G+/0Cito
萌え>エロ な自分には、大変大好物な作者様ですね〜
264伊太郎:2009/04/21(火) 05:51:35 ID:TqJhkH/e
柔の一人称が『あたし』なのは十分承知してますが、文章にするとちょっと馬鹿っぽい印象になるので、
あえて『私』にしています。これは勝手な超個人的見解なので、渋々嫌々目を瞑って頂ければ幸いです。
しかし、こういう意見や指摘は非常にありがたいです。
あと、今は、ここエロパロ!?って調子で進んでますが、32以降はけっこうエロあるんで‥。フェ○とかも‥。
一応、今のうちに言っておきますね。
2651992年の冬のこと:2009/04/21(火) 05:52:50 ID:TqJhkH/e
<19/100>
部屋に戻った柔は、ベッドの上に腰掛けるとクッションを抱きしめ、ほうっと息をついた。
(松田さんと話しちゃった‥‥!)
緩んでくる顔をクッションに押し付ける。
(でも‥‥オリンピックまで勝ち続ける必要条件ってなにかしら?‥‥日々の練習‥‥?)
ふいに顔を上げるとクッションを抱えたまま考え出す。
(どうしよう‥‥間違ってたら‥‥)
滋悟郎の出した問題に答えられなければ、松田とのラブラブお正月はフイになってしまう。
(う〜ん‥‥)
悩む柔の目に入ってきたのは、ベッドの下から少しはみ出した、あの雑誌であった。
(‥‥‥‥)
ただその存在に気づいただけで、頬が染まってしまう。
「ま、松田さんのためだもん‥‥!」
自分を納得させるために、思わずそう声に出しながらそっと拾い上げた。
そろりそろりとページを開く。
はじめはファッション関係の記事が続いていたが、しだいに怪しげな記事のゾーンにたどり着いた。
(え?本当にこんなこと‥‥)
真っ赤な顔でとまどいながらも、記事を読み進めていく。
どうしても松田の顔がちらついてきて、何度も息を飲み込む。
(私、こんなこと‥‥)
いくら松田を喜ばせるためとはいえ、とてもではないが柔には無理な注文だった。
他にも、読者投稿による彼とのすんごい体験談など、柔が知らない世界がぎっしりと溢れていた。
(私‥‥)
今更にして、自分が世間一般よりいかに遅れているのかを実感した柔は次第にしょんぼりとなる。
(松田さんも誰かとこんなことしたのかな‥‥)
触れてはいけない領域を想像してしまい、なんだか胸が痛くなる。
(だとしたら‥‥私なんかつまらないと思うかも‥‥)
すっかりしょげ返った柔は、そっと雑誌をベッドの下に戻した。
2661992年の冬のこと:2009/04/21(火) 05:53:13 ID:TqJhkH/e
<20/100>
そして滋悟郎に対する答えが見つからないまま、クリスマスイブの日を迎える。
会社で帰る準備をしていると、同僚の一人が声をかけてきた。
「ねえ、猪熊さん!今日は何かこれから予定あるの?」
「いいえ。家で家族とゆっくりしようかと‥‥」
「やあだあ!なに年寄りくさいこと言ってるのぉ!?イブの日に家族と過ごすなんておかしいわよ〜!」
「え、そ、そんなこと‥‥」
「実は今夜さぁ、ちょっとしたパーティーがあるんだけど、猪熊さんも来ない?」
「ええっ!?でも‥‥」
「いいじゃない!家にいるよりずっと楽しいわよ!行きましょうよ!」
「そうよ!たくさんいた方が楽しいし〜」
一緒に行くらしい他の同僚も話に加わって誘ってきた。
「う〜ん‥‥」
あまり気乗りしない柔だったが、いつも誘いを断り続けるのもどうかと思い、渋々承諾した。
「じゃあ、さっそく行きましょう!」
同僚二人に小脇を抱えられ、半ば強引にパーティーがあるという会場へと向った。
途中で家に電話をして、玉緒に今日は少し遅くなることを告げる。
玉緒も、おじちゃんのことはまかせて、たまにはゆっくりしてきなさいと快く承諾した。
2671992年の冬のこと:2009/04/21(火) 05:54:58 ID:TqJhkH/e
<21/100>
こうして連れていかれたところはディスコであった。
「ディ、ディスコ‥‥?」
思わず入り口で足がすくむ柔を、同僚たちは笑いながら先をうながす。
「大丈夫よ〜、猪熊さん!今日はイブだから特別企画があるのよ!」
そう言ってぐいぐいと柔の背中を押して中へと入っていく。
中に入ると、女性はチケット無料!飲み放題!と書かれた看板が立っている。
すでにたくさんの人で溢れかえり、熱気が立ちこめていた。
「あ、あの‥‥」
柔はその迫力に押されて相変わらず足が動かない。
「さあ!今夜は思いっきり楽しみましょ!」
そう言って同僚たちは、ドリンクをカウンターで受け取ると人の波に飲まれていった。
「‥‥‥‥」
しばらく呆然と立つ尽くしていた柔であったが、すぐに男が声をかけてきた。
「ねえ、キミ一人〜?かわいいね〜」
ふと顔を見上げると、背が高くてにやけた顔の男が柔の顔を覗きこんでくる。
柔は思わず顔を逸らし、軽く唇を噛み締めた。
「ねえ、一緒に踊ろうよ〜!」
そう言いながらも柔の手を取り、中央の踊り場へ連れて行こうとする。
「わ、私‥‥」
ハッと顔を上げて、取られた手を振りほどこうとするが、意外にも力強く握られていて離れない。
「いいじゃん、キミ、彼氏いないんでしょ?イブなのにここにいるってことはさ。だから俺とさ‥、」
柔は最後まで聞く前に、その手を無理矢理振りほどき、出口へ向って駆け出した。
(‥‥松田さん!松田さん!)
なぜか突然、無性に松田が恋しくなり、心の中で松田の名前を連呼しながら、大音量の音楽と七色に瞬く光の中を走り抜けた。
階段を駆け上がって建物の外へ出ると、肩で息をしながら乱れた呼吸を整える。
(松田さん‥‥早く会いたい‥‥)
目尻にじんわりと溜まりかけた涙をそっと手で拭うと、家へと向って足を早めた。
2681992年の冬のこと:2009/04/21(火) 05:56:55 ID:TqJhkH/e
<22/100>
家に帰り着いて台所へ向うと、玉緒が少し驚いて振り返った。
「あら、柔!随分と早かったのね!」
「‥‥うん」
「どうしたの?何かあったの?」
玉緒は柔が暗い表情をしているのに気付き、心配そうに柔に近づいてきた。
柔は思わず玉緒に抱きついて言った。
「お母さん、私ね、私‥‥早く松田さんに会いたい‥‥!」
素直に自分の気持ちを吐き出した娘を、玉緒は優しく抱きとめる。
「そうなの‥‥。でも、もう少しで会えるじゃない。会ったときに、うんと甘えさせてもらいなさい」
玉緒はそっと体を離すと、暖かい笑みを柔に向けた。柔はこくんと頷いて、また玉緒の肩に顔を埋めた。
ときどき柔が見せる、幼子のような行動に玉緒も薄々気がついていた。
(この子は‥‥松田さんに父性まで求めてしまっているようね‥‥)
父親不在の家庭環境のせいで、柔が松田に多大な役割を求めてしまう現状に玉緒は申し訳なく思った。
「そうだわ、柔!二階に行ってみてごらん!」
突然、なにかを思い出したかのように玉緒が切り出した。
「え?どうして?」
「ふふふ、いいから、早く行ってご覧なさい」
玉緒はにこにこしながら、柔に早く行くように促す。
二階に上がり部屋のドアを開けると、机の上に荷物が置いてある。近づいてみると、海外からの航空便のようだった。
(まさか‥‥)
あわてて宛名を確認すると、はたしてそれは松田からのものだった。
(うそ‥‥)
震える指で、荷物を解いていく。
「わぁ‥‥!」
中から出て来たものは、マフラーとニット帽だった。どことなく、以前貰った手袋とデザインが似ている。
思わず箱から取り出して抱きしめる。
忙しい中、自分のために買いに行って荷物を送ってくれた松田を思うと胸がいっぱいになる。
しばらくそうやって感動の余韻に浸っていたが、ふと自分は何も送っていないことに気づく。
松田が年末にくるので、もし郵便が遅れて入れ違いになるよりは、その時に渡した方がいいと思ったのだ。
(と、とにかくお礼の電話をしなきゃ‥‥)
あわてて1階に降りると、松田のアパートへ電話をかけた。
しかし、何コールしてもつながらない。もしかして、まだ会社にいるのかな‥‥
迷惑だと思いつつ、今日は特別だから‥と自分に言い訳しながら日刊エブリーのニューヨーク支社にかけてみる。
2691992年の冬のこと:2009/04/21(火) 05:58:33 ID:TqJhkH/e
<23/100>
トゥルルルル‥‥トゥルルルル‥‥
『はい、日刊エブリー‥‥じゃなくて、ハロー?』
「あ!‥‥ま、松田さん‥‥ですか?」
『え!?や、柔さん!?柔さんなのか!?』
「は、はい!」
思いがけず松田が電話に出たことで、嬉しくて声が弾む。
『どうした!?こんな時間に‥‥何か問題でも‥‥』
そういえば、ニューヨークでは夜中の2時だったと気付き、柔はあわてて謝った。
「ご、ごめんなさい!あの、荷物が届いて、それで嬉しくてつい‥‥お礼を言いたくて‥‥」
『荷物?』
「はい、クリスマスの‥‥」
『ああー!そういえば今日は‥‥イブだった‥‥。そうか、荷物が届いたのか。安物でごめんな。
てゆーか俺、またイベントを忘れてたな‥‥。本当にごめん!メリークリスマス、柔さん!』
電話の向こうで松田が、必死に謝ったり焦ったりしている光景が目に浮かんでくる。
「松田さん、そんなに謝らないで下さい!私、お礼のための電話をしたんですから」
『あ、ごめん!‥‥じゃなくて、‥‥また謝っちまった‥‥』
「ふふふ、こんなに遅くまでお仕事お疲れさまです」
『いや〜、あと少しで日本だと思うと全然苦にならないよ!そんなことより柔さん、滋悟郎さんのこと‥‥』
「そうですね‥‥。私もいろいろ考えてみたんですけど・・」
こうして二人はしばらくの間、お互いの意見を出し合って考えあった。しかし、これといった結論は出ない。
『と、とにかく俺さ、もし間違ってても滋悟郎さんのことは何とかするから、柔さんはあんまり気にしないでくれ!』
「え‥‥でも‥‥」
『いいから!いいから!俺に任せて、な?』
(そうさ、いざとなったら殴られてでも‥‥)
何とかなる、というよりは意地でも何とかする決意であった。
「松田さんがそう言うなら‥‥」
『そうそう!とにかく、あと1週間もすりゃあ会えるんだ!あ〜楽しみだな〜って、ゲッ!支部長が睨んでる‥‥
も、もうそろそろ切らないと‥‥!じゃ、じゃあな柔さん!また!』
「は、はい!また‥‥」
ガチャ。
受話器を置くと、心の芯から何だかポカポカしてきて、それは降り始めた雪さえも溶かしそうな暖かさだった。
2701992年の冬のこと:2009/04/21(火) 05:59:39 ID:TqJhkH/e
<24/100>
そして、ついに松田がニューヨークから帰ってくる日になったーーー。
慌ただしい大晦日の街を、花園の運転する車が走り抜ける。
助手席には柔、後部座席には富士子とフクちゃんの姿。
「ごめんね、富士子さん、花園くん、無理言って空港まで送ってもらっちゃって‥‥」
柔は何度も口にした謝罪を、改めて口にした。
「やあだぁ!何言ってるの、猪熊さんったら!水臭いわね!こんなことくらい、喜んで協力するわよ〜!」
富士子が明るくケラケラと笑う。
「そうだぞ〜、猪熊!松田さんとお前が空港で二人きりでいたら、どんな噂になるか‥‥」
花園もバックミラー越しに柔を見ながら、うんうんと頷いた。
「で、でも‥‥」
「もう!いいんだってば!私たち、本当に喜んでるのよ?猪熊さんがやっと松田さんと‥‥」
ずっと松田との経緯を知られている富士子に、改めてそう言われると、急に恥ずかしくなってうつむいてしまう。
「ふふふっ、本当によかったわね、猪熊さん!」
「‥‥うん」
柔はやっと聞こえるくらいの声で返事をした。
そして車は成田空港へ到着した。空港の中に入ると、まだ少し時間は早かったが到着ゲートに並ぶ。
緊張と興奮と喜びが最大限に入り交じった柔の表情は、端から見てると本当に初々しくて微笑ましいものだった。
ついにニューヨークからの便が到着したことを知らせる案内ランプが点滅した。
「いよいよね、猪熊さん!」
富士子が少し興奮気味に話かける。
「え、ええ」
柔は一生懸命に平静を保とうと、手のひらを胸に押し当てていた。
271伊太郎:2009/04/21(火) 06:00:38 ID:TqJhkH/e
切ります。
272名無しさん@ピンキー:2009/04/21(火) 11:00:15 ID:y+5kUON4
うわー。続きが気になるよ。
因みにアニメの声でいつも脳内で変換して読んでます。世界観がまんまYAWARA!ぽくて。

最近1番の楽しみです。気長に待ってます。職人さんたちありがとう!
273マリリン:2009/04/21(火) 11:08:26 ID:K6wrUIhm
伊太郎さん、乙です!
まとめて読んで28282828…
こっちも投下しますが、まだ先を書いていないので、
気にしないでどんどん行っちゃってください。

で、すいません。ちょっと話が前後します。
虎滋郎エピソードは、後にすればよかったか・・・
274日本でのエピソード byマリリン:2009/04/21(火) 11:08:50 ID:K6wrUIhm
国民栄誉賞授与式の日の夕方。
パーティそっちのけで、鴨田の車で戻ってくる柔の帰りを
待ちわびているのは、富士子・花園・邦子だった。
授与式のゴタゴタは滋悟郎の強引な記者会見のおかげで
大事にならずに済みそうだったので、三人ともパーティ会場の外に出ていたのだ。
もちろん、「さっきの記者と猪熊選手の関係は?」と、後から質問攻めにしてくる
報道陣もいるだろうが、その時は、いくらでもフォローするつもりでいた。
「あら?日刊エヴリーの加賀さん?」
富士子が、邦子に気づいて声をかける。
「やっぱり…猪熊さんと松田さんが気になりますよね?」
「あー、富士子さんたち!
 そりゃそうよお、耕作のバカったら、最後まではっきり言わないんだから〜
 柔ちゃんにちゃんと聞かなきゃ、あたしの気がすまないわよ!」
「きっと、きっとうまくいってるはずですよ!加賀さんのアシストで!
 だってあの時の二人、もう心はひとつって感じだったじゃないですか!」
「松田さんは、男を見せてくれているはずであります!
 自分を励ましてくれた松田さんです、今こそ、今こそ幸せに…」
花園はすでに大粒の涙を流している。
275日本でのエピソード byマリリン:2009/04/21(火) 11:09:13 ID:K6wrUIhm
「あ!あれ、鴨ちゃんの車!」
邦子が真っ先に見つけ、こっちよー!と叫ぶ。
車から降りた柔が「本当にありがとうございました」と深々と頭を下げる。
「柔ちゃん、がんばってね。応援してるよ!」と笑顔で応える鴨田。
帰りの車の中で耕作についての会話が盛り上がり、すっかり打ち解けたようだった。
「猪熊さんたらもうー!心配したんだから!」
駆け寄ってきた三人に囲まれ、ごめんなさい…としどろもどろになる柔。
「柔ちゃん!これからじっくり話を聞かせてもらうからね!」
邦子の剣幕に圧倒される柔だった。

パーティ会場はすでに盛り上がっていたが、今入っていくと参加者たちに囲まれるため、
成田空港での話がゆっくり聞けなくなってしまうかもしれないと思った三人は、
会場に併設されている喫茶店に柔を連れていった。
富士子・花園はともかく、邦子に対してどんな顔をすればいいのか
考えあぐねている様子の柔は、戸惑い気味だった。
バルセロナでの夜のことを思いだす。さっきは「耕作アメリカ行っちゃうのよ!」
と教えてくれたけど、邦子さんは今でも松田さんのこと…
ありのままを話していいのかしら、きっと辛いんじゃ…?
でも、こんなに気にかけてくれているのだから、ちゃんと話さないと…
黙ってうつむいている柔に対し、富士子が不安げな表情を見せる。
「猪熊さん大丈夫?ま、まさか松田さん、黙って行ったんじゃ…」
かつて邦子が、耕作をめぐって柔に火花を散らしていたことなど、
富士子も花園も知る由もない。
「えー!?あれだけ式をメチャクチャにしておいて、それはないわよ〜!
 柔ちゃん!耕作の住所教えるから、今すぐ追っかけなさいよ、今すぐ!」
誤解したままヒートアップしていきそうな邦子の姿を見て、
あわてて柔は否定した。
「だ!大丈夫です!松田さん、ちゃんと言ってくれましたから!」
276日本でのエピソード byマリリン:2009/04/21(火) 11:10:09 ID:K6wrUIhm
「え…?そうなの…?」
三人はきょとんとして柔の顔を凝視した。
「は、はい、その…ちゃんと…その…『好きだ』って…」
一瞬、沈黙が流れたが、事態を把握した三人は一斉に叫んだ。
「や……やったぁぁぁぁぁああああああああ!!!!」
その声があまりにも大きくて驚いたが、
邦子も花園夫妻も本気で喜んでくれていることを実感し、柔は安心した表情をみせた。
「猪熊さーん!おめでとう!」「良かったなあ、猪熊!」「柔ちゃーん!幸せになってねぇ〜!!」
泣いて喜んでいた富士子が、はっとして先を促す。
「それでそれで?松田さんの所へ行く約束は取り付けたのね?」
「うん…はっきり約束したわけじゃないんだけど…」
「ちょっと柔ちゃん!耕作、具体的になんて言ってたの?
 ちゃんとセリフを再現してよ!」
「えっと…。あ、あたしも『ずっと好きだった』と言ったんですけど…
 飛行機の離陸時間が迫っていたので、『俺、もう行かなきゃ』って…
 でも、『着いたらすぐに連絡するから』って…それで…
 『近いうちに、また会おうな』って…」
柔の話を聞くたびに、にやにやする三人だったが、邦子が思いついたように言った。
「ちょっと待って!柔ちゃんの話、大事なことが抜けてるわ!」
「そうですね、足りないものがありますよね」勘のいい富士子も同調する。
花園だけは、よく分かっていないようだった。
277日本でのエピソード byマリリン:2009/04/21(火) 11:11:46 ID:K6wrUIhm
「猪熊さん?告白した後にすることがあるでしょう?愛情表現というか」
「柔ちゃん、チューした?チュー?」
単刀直入な邦子の問いかけに、柔はあわてふためいた。
「そ、そんなことはまだっ…!」
なあんだ、告白しただけ…でも、そこまで行っただけ上出来なのかしら…
花園はともかく、少しガッカリした様子の富士子と邦子だった。
それを見て、期待に応えなきゃ申し訳ない、と思った柔が口を開く。
「あ…でも…松田さん…抱きしめてくれました…」
「!」うつむきかげんだった富士子と邦子が、同時に顔を上げた。
「ほ…本当に…?」「はい…」「あの松田さんが…」
耕作が必死で柔を力いっぱい抱きしめる映像を、三人は想像力を駆使して思い描いた。
熱血漢のイメージが刷り込まれているせいか、その映像は三人とも同じものだった。
耕作の抱擁は、きつくて痛いくらいのものだったに違いない。
「キャー!それ見てみたかったぁ!」
「だから新聞もテレビも見てる前でやれば良かったのよぉ!」
「松田さん!その場に立ち会えず、残念です!」
耕作が抱きしめてくれたことに加え、目の前で喜んでくれる人たちの姿に対し、
柔は感極まって再び涙が出た。特に、邦子に対する感謝の思いが大きかった。
「あ〜安心したらお腹空いちゃったぁ。ね、パーティ行きましょ!」
「そうよ、猪熊さんのためのパーティなんだから、
 すっきり晴れ晴れとした顔で、みんなに挨拶するのよ!」
「猪熊ぁ、泣くんじゃないぞ!その涙は松田さんと再会する時のためにとっておくんだ!」
ぞろぞろと席を立つ一行だったが、邦子が何か思いついて立ち止まる。
「あ、柔ちゃん!今度あげたいものがあるのよ。
 忙しいだろうけど、あたしと会う時間なんとか作ってよね?」
勢いに押され、思わず「はい」と言ったが、あげたいものって何かしら…?と
不思議そうな顔をする柔だった。
邦子に対する後ろめたさは、すっかり消え失せていた。
278日本でのエピソード byマリリン:2009/04/21(火) 11:50:56 ID:K6wrUIhm
ここで切ります。
279名無しさん@ピンキー:2009/04/21(火) 13:29:17 ID:TsY+oYUU
>>264
エロはエロで大歓迎ですよ〜w
280名無しさん@ピンキー:2009/04/21(火) 16:58:45 ID:+sNWcvRM
職人様方、乙です!
マリリンさんの日本でのエピソード、こういうシーンが
読みたかったので嬉しいです! 
281つや姫:2009/04/21(火) 22:09:29 ID:FHdCT2N9
忘れられてるでしょうが久しぶりに投下します。


樹氷浪漫〜山形編〜15
幸せな気分で樹氷の世界を堪能した柔と松田は、家路に着いた。
《民宿まつだ》に帰宅すると玄関の電気がついているだけで、松田の父と母は既に寝て
しまっているようだった。
2人はできるだけ音を立てないように静かに居間に入り明かりをつけ、暖房とこたつの電源を入れたつけた。
「う〜寒い!すっかり遅くなっちまったな。」
松田はブルブルと震えながらこたつに入る。続いて柔もこたつに入る。
「松田さん、今日はありがとうございました。とっても楽しかった!…でもこんなに遅くなっちゃって、松田さんのお父さんとお母さんに心配かけちゃったかな」
「さっき樹氷見にいく前に連絡入れておいたから大丈夫だよ。」
「そうなんですか?よかった…」
「だいたい、田舎の年寄りは寝るのすげー早いんだぜ!」


談笑している間にも部屋の中が少しずつ暖まってきた。松田に促され、柔と松田は交代で風呂に入ることにした。

柔は風呂から上がり、一人で松田を待っている間に今日一日のことを思い返していた。

(デートらしいデートって本当に久しぶり…それにあたし、プロポーズまでされて…夢じゃないんだ…)
樹氷の時のことを思い出し、なんだか柔は照れ臭くなった。
282つや姫:2009/04/21(火) 22:11:34 ID:FHdCT2N9
樹氷浪漫〜山形編〜16
「ふ〜!いい湯だった!」
ほかほかと湯気を立ち上らせた松田が居間の戸を開けて入ってきた。
柔の隣に座ると急に松田は"あっ"、と思い出したように手をポンと叩いた。
「柔さん、ちょっと飲まない?昨日の夜近所のおっさん達が持ってきた酒がまだ残ってるんだ」

言いながらどっこいしょ、と立ち上がり台所から地酒『竹の露』を持ってきてグラスに注ぐ。
「カンパーイ」
2人で同時に一口流してほうっと息をつく。
「これ、飲みやすいですねー。あたし日本酒ってなんとなく苦手だったんですけど、これは美味しいです!」
「だろ?甘口だし、ちょっと後味も薄いからかな?丁度いいかもな」

松田も酒をくいっと流し、柔の方に視線を向ける。一口ごとに美味しい美味しいと日本酒を味わう柔を見て、不思議な感覚を覚えていた。

283つや姫:2009/04/21(火) 22:14:33 ID:FHdCT2N9
樹氷浪漫〜山形編〜17
柔は自分に注がれる視線に気づいた。松田にじっと真剣な目で見つめられ、恥ずかしくて顔が赤くなっていくのが分かる。

「ど、どうしたんですか松田さん?あたしの顔、なんかついてます?」
「いや…、なんか、不思議だなーって思って」
松田は言いながらまじまじと柔を見つめてく。
「不思議って?」

「俺んちに柔さんがいて、こうして一緒にこたつでくつろいでるのが。
初めて会った時はまさか柔さんとこんな風になるなんて思わなかったのにな」
「……あたしも。だって最初はすごくしつこくて、追いまわされて、嫌な人!って思ってたから」
「そ、そういえばそうだったな。俺、嫌われてたんだよな、あはは…」
グラスの中の残りをくいっと口に流し込む。
「でも、今は…」
「今は?」

「すごく…好きです」
ずっと素直になれず、何年も伝えられなかった気持ちを今はこんなにも自然に口にすることができる。

「俺も…好きだよ」

284つや姫:2009/04/21(火) 22:17:42 ID:FHdCT2N9
樹氷浪漫〜山形編〜18
松田は柔の肩を引き寄せ、自分に持たれさせるように抱くと、お互いゆっくりと自然に唇を合わせる。松田は柔のしっとりとした髪を撫でながら上唇と下唇とを何度もついばむように優しく口づけをする。

松田からフワフワと優しく控え目な口づけを贈られ、甘い感覚に酔いしれながら柔はそれでも何かが足りないような気がしていた。

普段から松田は優しく、いつも柔の気持ちを優先に考えてくれていた。デートの時はいつも手を繋いでくれる。キスはたまにするけど、優しすぎるほど優しいキス。肌を合わせたこともある、でも遠距離の為か今まで片手で数える程しか経験していない。

(松田さんと一緒にいるだけで嬉しいけど……でも…)
285つや姫:2009/04/21(火) 22:22:04 ID:FHdCT2N9
ケータイから投下ですので変に短く切れてすみませんorz

次は頑張って徐々にエロに突入していきたいと思います!
286名無しさん@ピンキー:2009/04/21(火) 22:37:06 ID:43owbwPY
つや姫さん、携帯から御苦労さまです。

地酒の名前なども土地勘のある(?)方だからこそですね。
皆さん次々投稿されますので嬉しい限りです。
287名無しさん@ピンキー:2009/04/21(火) 22:37:50 ID:axJ8vgsg
つや姫さん乙です。
いいっす。最高っす。
288つや姫:2009/04/21(火) 22:52:31 ID:FHdCT2N9
どもです。
竹の露は私の住んでる地域の吟醸なんですけど、
松田さんの地元で飲まれてるかは不明ですw
同じ県内だから見逃してくださいw
289名無しさん@ピンキー:2009/04/22(水) 08:42:11 ID:EySZF7zw
うぎゃああ…エロktkr。
楽しみすぐる。
ケータイからお疲れ様でした。
マリリンさんの続きも気になる。
290伊太郎:2009/04/23(木) 06:57:19 ID:DeqFrWNh
マリリンさん、つや姫さん、乙です。何度も読み返して2828している自分が怖い‥。
自分で書いたのじゃ2828できないから、毎回すごく楽しみです!
2911992年の冬のこと:2009/04/23(木) 06:58:05 ID:DeqFrWNh
<25/100>
しばらくして、到着した人たちがどやどやとゲートをくぐってきた。
トクン‥‥トクン‥‥トクン‥‥
頑張って抑えようとしても、鼓動の高鳴りは止まらない。
(‥‥あ!!)
ついに、押し寄せる人の波の中に、待ちわびた人の姿を発見した。
松田も柔の姿に気がついた。二人の視線が交差する。
松田は嬉しさ全開の笑顔を浮かべると、手を挙げて小走りに駆け寄ってきた。
柔も駆け寄りたいが、足がすくんで動かない。
すべての動きがスローモーションのように感じる‥‥なんて思っているうちに松田が目前にせまっていた。
「ただいま!柔さん!」
子どものような無邪気な明るい笑顔で話しかけられて、はっと我に返る。
「お‥‥おかえりなさい、松田さん!」
その懐かしい笑顔に動揺しながらも、精一杯の笑顔で返す。
「おかえりなさ〜い!松田さん!長旅、おつかれさま〜!」
富士子と花園も続いて松田をねぎらう。
「おおっ!富士子さん、花園くん!わざわざ出迎えありがとう!」
「いえいえ、どういたしまして!こんなところで二人きりでいたら、いつ週刊誌にスッパ抜かれるか‥‥」
松田は日刊エブリーの十八番がまさか自分に降り掛かってくるとは‥‥と思わず苦笑した。
2921992年の冬のこと:2009/04/23(木) 06:58:28 ID:DeqFrWNh
<26/100>
さっそく車に乗り込んだ一行は、柔の家へと向かう。
富士子は助手席に移動し、後部座席にはフクちゃん、柔、松田が乗った。
「フクちゃん大きくなったな〜!」
松田はすやすやと寝ているフクちゃんを覗き込んで感嘆する。
「そうですか?なんせ、ものすごい食欲ですから〜!」
富士子はケラケラと楽しそうに答える。
松田は柔の隣にいるフクちゃんを柔越しに覗き込んでいたため、柔とはぐっと顔が近づいていた。
柔はその状態に先ほどから硬直していたのだが、松田は全く気がつかず、にこにことフクちゃんを観察している。
「ね、キミもそう思うだろ、柔さん!」
松田はフクちゃんが大きくなったことについて柔にも同意を求めようと、柔の方に振り向いてその状況に気づいた。
二人の視線が思いっきり至近距離でかち合う。
「あ‥‥」
瞬間、二人とも湯気が出るかというほど一気に真っ赤になり、慌てて前を向いて座り直した。
そしてなぜかもう一度言い直す。
「フ、フクちゃん、大きくなったよな?」
「え、ええ‥‥」
不自然に前を向いたまま、カチンカチンに固まって会話する二人の様を、バックミラー越しに見た富士子はクスリと笑った。
「もう、二人とも!フクちゃんのことはいいから!自分たちのことでしょう!?」
思わず突っ込まれ、二人とも真っ赤な顔のままうつむいた。
「そういえば猪熊さん、滋悟郎先生がまた何か難題を言ってきたって‥‥」
富士子が以前、ちらりと柔が触れた話を思い出し心配そうに尋ねる。
「うん‥‥」
そう、実はまだ滋悟郎の問題に対する答えが出ていないのだ。
「滋悟郎先生、どんなこと言ってきたの?よかったら話してみて?」
富士子は少しでも自分が手助けになれば、と申し出た。
「実はね‥‥」
柔は今までの経緯を富士子に全て話した。
2931992年の冬のこと:2009/04/23(木) 06:58:47 ID:DeqFrWNh
<27/100>
富士子はしばらく首をかしげて考えていたが、ふふふっと含み笑いをすると、突然明るい声で言った。
「なぁんだ!!答えは簡単じゃない!!」
思いがえぬ富士子の言葉に、柔も松田も驚いて富士子に詰め寄る。
「えええっ!?本当なの!?富士子さん!!」「えええっ!??本当かよ!?富士子さん!?」
「ええ!でも、本当にわからないの?猪熊さんも、松田さんも」
二人とも驚いて座席から腰を浮かしたまま、ぶんぶんと頭を振った。
「松田さんよ!」
富士子は自信満々に言った。
「え?」
目が点になった二人は思わず聞き返す。
「松田さん?」「俺?」柔と松田の声が重なる。
「そうよ〜!猪熊さんが試合に勝つための必要不可欠条件でしょ?松田さんに決まってるじゃない!」
「よ、よく話が‥‥」
松田は混乱する頭をなんとか整理しようとするが、やはりわからない。
「も〜う!本当にわからないんですか??試合中、松田さんがいるのといないとじゃ、猪熊さんの調子、全っ然違うんですから!!」
初めて知らされる事実に、松田の顔がポカーンとなる。
一方、柔はそんなことをはっきりと松田の前で言われて、恥ずかしさのあまり固まっていた。
「え‥‥?ど、どういう‥‥!?」
やはり話が読めない松田がさらなる説明を求める。
「ほらぁ、ユーゴの時とか!松田さん、すっごく遅れて来たでしょ?もう、大変だったんだから〜、猪熊さんったら‥‥」
「ふ、富士子さんっ‥‥!」
柔は消え入りそうな声で富士子を牽制する。
「いいじゃない!もう話したって!でね、猪熊さんったら、松田さんがいない間、すっご〜く不安がっちゃって、試合も絶不調になっちゃって‥‥」
松田がへ?という顔のまま、柔の方を見る。柔は泣き出しそうなくらい真っ赤な顔でうつむいてる。
「そう‥‥なの‥‥?」
柔は顔を上げられずに、唇をぎゅっと噛んで必死に恥ずかしさに耐えていた。
「もう!そうなんです!それに、バルセロナのときだって‥‥」
「ふ‥‥富士子さんったら‥‥!」
絞り出すように声を出して何とか抵抗するが、かまわず富士子は続ける。
「松田さんがいない間、猪熊さんは松田さんの写真が付いてるプレスカードを、ずっとお守り代わりにしてたんですから!」
だんだん状況が飲み込めてきた松田の顔がみるみる赤くなっていく。
「ね!わかったでしょう?猪熊さんにとって、試合に勝つための条件は松田さんの存在、精神的安定が不可欠なんですよ!」
2941992年の冬のこと:2009/04/23(木) 06:59:07 ID:DeqFrWNh
<28/100>
しーんとしてしまった車内の沈黙を、花園が破る。
「はああ〜っはっは!!いじらしいぞ、猪熊ぁ!そんなに松田さんに惚れてたんだなぁ!」
さらなる追い打ちをかける花園の言葉で、柔は恥ずかしさのあまり失神しそうになった。
松田はそんな柔を見て抱きしめたい衝動にかられたが、花園夫妻の手前ぐっとこらえた。
「でも‥‥松田さんが仕事でアメリカにいることを滋悟郎先生は知っているんだから‥‥
まさか日本に戻って来いってこと!?う〜ん‥‥そこまで要求するかしら?」
富士子は自分の導き出した答えに自信を持っていたが、具体的にどうすればいいかまではわからなかった。
「あ‥‥もしかして‥‥」
柔がふと思いつく。
「おじいちゃんに松田さんとのこと言う前から、ずっと私と松田さんのこと疑ってて‥‥
で、稽古の時も、私の調子が悪いのは松田さんからの連絡が来ないときだって見抜いてて‥‥」
ここまで言って柔は思わず、しまった!とあわてて口を手でふさぐ。
「え?」
松田はまたポカーンとした表情で柔を見つめる。
柔は自ら墓穴を掘ってしまったことでパニックになり、思わず松田の肩に顔をうずめた。
「それよ!猪熊さん!!きっと松田さんからの連絡が答えなんだわ!」
富士子が興奮して結論を導き出す。
「松田さんとのマメな連絡が、猪熊さんにとっての精神安定条件なんだから、松田さん、ちゃんとしなきゃ!」
松田は自分の肩に顔を埋めたまま恥ずかしさに震えている柔と、富士子さんを交互に見ながら、すべての状況をやっと理解した。
「柔さん‥‥」
この愛しすぎる恋人に、松田は何ともいえない感情で胸がいっぱいになった。
「いつも仕事のせいにして‥‥連絡しなくて‥‥ごめんな‥‥」
もたれかかっている柔の頭にそっと自分の顔を寄せてそうささやくと、柔は松田の腕に両腕を回して子どものようにしがみつき、
やはり顔を上げられないままでいた。
そんな柔を松田はいつまでも愛しそうに見つめていた。
2951992年の冬のこと:2009/04/23(木) 06:59:30 ID:DeqFrWNh
<29/100>
こうして、一行は猪熊家に到着した。車から降りると柔が玄関のドアを開ける。
「きゃあっ!!」
予期せぬものが目に飛び込んできたので、柔は思わず悲鳴をあげてしまった。
玄関には滋悟郎がすでに正座して待機していた。
「お、おじいちゃん!!何してるのよ、こんなところで!!」
「なにをしとるじゃと?そんなもん、決まっとるわい!この猪熊家の敷居をまたぐには、わしの問題に答えてもらわにゃならんからな!」
「な、なにもこんなところで待つことないでしょ!」
「どこで待とうがわしの勝手じゃ!さあ、松っちゃんよ、答えてもらおうか?」
滋悟郎は、柔のすぐ後ろにいた松田に鋭い声で問いかけた。
松田はぐいと柔の前に出ると、ひと呼吸おいて話し始めた。
「滋悟郎さん、俺、6年間も柔さんのこと追いかけてきてたのに、全然柔さんのことがわかっていませんでした。
仕事の忙しさにかまけて、柔さんへのケアを怠っていました。でも、柔さんのことを想う気持ちは他の誰にも絶対負けません!
これからは、柔さんのことを一生懸命見ていきますので、どうか交際を許して下さい!」
そう一気に言うと、ビシッと頭を下げた。
しーーんとする静寂の中、滋悟郎が口を開いた。
「ふん!松っちゃんよ、おぬし、ちーーーとも柔のことがわかってないと思うとったが、やっと気づいたようじゃの?
正直、おぬしたちに答えがわかるとは思わんかったわい!」
滋悟郎はそう言うと、嬉しいんだか悔しいんだか複雑な表情で腕組みしたままプイッとそっぽを向いた。
「いや、実は富士子さんが‥‥」
と松田が言いかけるのを富士子はあわてて遮る。
「よかったわね〜、猪熊さん!!これで晴れて二人は公認の仲よぉ〜!!!
うん、さすが松田さんね!猪熊さんのことを一番わかってるのは、やっぱり松田さんしかいないわよ〜!!」
こんなときに富士子さんに教えてもらったなどと言うと、せっかくの許可を取り消されるかもしれないのに、全くなんて鈍い人なの!
と富士子が引きつった笑顔で松田を肘でつつく。
「松田さん‥‥」
松田が堂々と滋悟郎の前で想いを述べてくれたことで、柔は感動のあまり硬直していた。
一連のやり取りを廊下の陰から見守っていた玉緒は、ほっと胸を撫で下ろすと、明るい笑顔でみんなの前に姿を現した。
「さあさあ、みんないつまでそんなところにいるの?あがって!あがって!たくさんごちそう作りましたから、みんなで食べましょう!」
一気に明るい雰囲気になり、みんなお邪魔しま〜すとあがっていく。
柔と松田は、居間に入る前にこっそりと赤く染まった顔を見合わせ、幸せそうに微笑み合った。
2961992年の冬のこと:2009/04/23(木) 06:59:53 ID:DeqFrWNh
<30/100>
「さあ、今日はとことん飲むぞい!!」
滋悟郎のかけ声とともに宴会が始まり、猪熊家では深夜遅くまで笑い声が響いた。
数時間がたち、酔ってつぶれてしまった滋悟郎を横目に、そろそろ花園夫妻も帰ることにした。
「じゃあ、今夜はたくさんごちそうになりました」
夫妻揃って玉緒に頭を下げる。
「いいえ、こちらこそ、柔が大変お世話になりまして‥‥この子は本当にいいお友達を持って‥‥」
玉緒も柔をちらりと見ながら、別れの挨拶をする。
「富士子さん、花園くん、今日は本当にありがとう‥‥。今度、お礼させてね」
「本当にキミたちには感謝してもしきれないよ‥‥」
柔と松田は心から感謝の気持ちを述べた。
「もう!その話はおしまい!では、また近いうちに!」
富士子と花園は笑顔で手を振りながら帰って行った。二人が帰ったのを確認すると、扉を閉めて家に入る。
「さあ、松田さん!今夜は長旅の後だったのに疲れたでしょう?お風呂沸いてますから入って下さいな」
玉緒が松田の方を振り返って微笑む。
「あ、はい!ありがとうございます」
松田は一瞬かしこまって頭を下げる。
「もう、そんなにかしこまらないで下さいな。柔、お風呂の場所とか説明してさしあげて!」
「う、うん!」
玉緒はそのまま後片付けのために居間へと戻って行った。
残された二人はしばらく玉緒の後姿を見送っていたが、やがてどちらともなく顔を合わせる。
「あ‥‥あの‥‥」二人同時に口を開く。
「な、なに?柔さん?」
「え!い、いいえ!お風呂、案内しますね!」
柔はあわてて風呂場へと松田を導く。
297伊太郎:2009/04/23(木) 07:01:12 ID:DeqFrWNh
切ります。
298名無しさん@ピンキー:2009/04/23(木) 07:28:02 ID:FC+EQo48
伊太郎さん乙です。
毎度楽しく読ませていただいてます。
出勤前に読ませて頂いて、朝からニヤニヤしてますよ。

思ったよりもあっさりでしたが、ジゴロウじいさんの問題解けてよかったですね。
何だかんだで柔の事が可愛い孫なんでしょうな。
299名無しさん@ピンキー:2009/04/23(木) 18:53:54 ID:WJbSMbHG
乙です!ラブラブな2人にニヤニヤが止まりません!
300名無しさん@ピンキー:2009/04/24(金) 11:16:33 ID:Ckv+/7GD
乙です!良いなあ
301日本でのエピソード byマリリン:2009/04/26(日) 08:37:05 ID:PgrHdrq8
邦子と会う時間を作る、と約束したものの、
それはまだ当分実現しそうもなかった。
柔は日刊エヴリーに電話した。もちろん名乗らず
「加賀邦子さんいらっしゃいますか?」と言うだけだ。
何度目かのすれ違いの後、やっと邦子と電話がつながった。
「柔ちゃん!例の件、いつにする?どこかお店予約しようか?」
「邦子さん…それが…すみません。まだ時間ができそうもないんです」
「えー?なんでよ〜!そんなんじゃ、いつまでたっても私はおろか、
 耕作にだって会えないわよ!夜くらい空いてないの?」
「夜はダメなんです。夕飯の支度して、その後稽古もあるし…
まだ土日のスケジュールも空かないんです…本当にすみません」
「一日くらい、稽古は休ませてもらいなさいよ!それにお母さんはいないの?
 おじいちゃんには出前でも取ってもらえばいいじゃない!」
「そうすると、一人で五人前くらい頼んじゃうんです…母はパリにいて…
 それに倹約しなきゃいけないので、外食はちょっと…あ!」
柔は、あることを思いついたが、口にするまでの間、少し躊躇った。
「あ!って何?言ってみて!」
「…邦子さん、もしよろしければ、ご夕食、うちでいかがですか?」
「え!柔ちゃんちで、あのおじいちゃんと一緒にご飯食べるの?」
「…それが一番いいような気がするんです。帰りが遅くなると
『チャラチャラ遊び呆けるな!』っておじいちゃんに怒られちゃうし、
 でも、邦子さんと大事な話があると言えば、稽古も休めると思うんです」
「柔ちゃんの部屋で…?あ、その方がいいかも!お店だと人目につくし、
 ゆっくりできそうもないもんねえ。アレも誰にも見られずに渡せるし!」
「アレって…?」
「いいからいいから!今日は入稿があるからダメなのよね、明日はどう?」
「はい、大丈夫です。おじいちゃんは説得しておきます」
302日本でのエピソード byマリリン:2009/04/26(日) 08:37:29 ID:PgrHdrq8
「おじいちゃん、明日の夜なんだけど、稽古お休みしてもいい?」
「なんじゃと!そんなことではアトランタなぞ夢のまた夢…」
「朝はちゃんと稽古するから!明日、邦子さんが家に来るのよ。
 夕食はうちで一緒にすることになってるし、いいでしょう?」
「邦ちゃん?日刊エヴリーのボインの姉ちゃんか?」
「そうよ、大事な話があるから、夕飯の後は私の部屋に来てもらうの」
「そりゃまた珍しいのう、ノッポの姉ちゃんなら分かるが」
「いろいろあるの。だから邪魔しないでね!」

翌日、邦子が猪熊家に来た。
「こんばんは〜お邪魔しまーす!滋悟郎おじいちゃん、これどうぞ」
邦子は、日本酒と菓子を滋悟郎に手渡した。
「ほっほっほ、邦ちゃん、気が利いとるのう」
「邦子さん、どうもすみません。ありがとうございます」
柔は邦子を居間に案内した。夕飯の支度はすでにできていた。
「なんだ〜!もう終わっちゃったの?手伝おうと思ってたのに」
「邦ちゃんも料理できるのか?」
「あたし、キンピラゴボウ作れるんですぅ」
「結構結構!柔の料理は洋風すぎていかん」
「最近は和食も作っているじゃない」と柔が文句を言う。
「和食!そうよ和食も作れないとね、何しろアメリカ行ったら…」
そこまで言いかけて、あわてて邦子が口を閉じる。
滋悟郎はなんじゃ?という顔をしたが、邦子は「柔ちゃん料理も上手いのねえ」
と話を逸らした。柔自身は、内心ひやひやしていた。

夕食が終わり、邦子を部屋に案内した。
「なんだか不思議〜!私が柔ちゃんの部屋に入るなんて」
柔はなんと答えて良いのか分からない。
「そうそう、まずはコレを渡さなきゃ」
邦子は、カバンの中からフォトアルバムのようなものを取り出した。
ドサドサ、と床に置く。10冊以上はあるだろうか。
「邦子さん、これ…?」「中を見てみてよ!」
柔は、おそるおそるフォトアルバムを開いた。
それらはすべて、耕作を撮った写真だった。
303マリリン:2009/04/26(日) 08:45:49 ID:PgrHdrq8
2レス分ですが、投下しました。

>つや姫さん
「柔のしっとりとした髪を撫でながら
上唇と下唇とを何度もついばむように優しく口づけをする」
のあたり、めっちゃ萌えました。
松田さんの優しさが伝わってきてイイ!

>伊太郎さん
松田さんの話し方とか、優しい感じが何とも言えません!
「こんな声で、こんな風に言うんだろうな」と想像しては萌えています。
個人的には、松田さんは愛撫もめっちゃ優しそう(上手そう)だと
思ってます。しかも時間かけそうなイメージ。

私の場合は、松田さんと柔ちゃんよりも
他のキャラが「この人なら、こう言うかな」というのを書いていきたいです。
304名無しさん@ピンキー:2009/04/26(日) 11:44:26 ID:NTW4T8LH
マリリンさん、乙です!

う〜ん、いいところで切りますね!
続きが気になるw
305名無しさん@ピンキー:2009/04/26(日) 19:26:10 ID:Q2rUc4Ra
乙です。続き楽しみです。
306伊太郎:2009/04/27(月) 05:14:45 ID:+eoxk1VT
みなさん、貴重な時間を割いてのレスありがとうございます。
励みや参考になります。

マリリンさん>邦ちゃん盗撮コレクション!?そんなおもしろすぎる展開‥‥wktkです!!

3071992年の冬のこと:2009/04/27(月) 05:15:54 ID:+eoxk1VT
<31/100>
「えっと、これがタオルと石けんとシャンプーで、お湯はこうやって出るので‥‥」
指さしながら一つ一つ丁寧に説明していく。松田はそんな柔の姿を目で追っていく。
「わかりましたか、松田さん?」
柔が突然振り向いて聞いてきた。
「え”!?い、いやぁ〜、はい!完璧にわかりました!」
なぜか動揺している松田に柔はくすっと吹き出すと、「じゃあ、あがったら教えて下さいね」と言って浴場を出て行った。
風呂につかりながら松田は考える。
先ほどは思わず柔さんに見とれてしまった。説明をよく聞いてなかったので、正直、お湯を出すのに手間取ったくらいだ。
滋悟郎さんにも認めてもらえたし、やっと公認の仲になれた。万々歳ってとこだ。
しかし‥‥
恋人になれたのだから、正直なところ柔さんともっと深く‥‥
今日の車内での柔の様子を思い出し、顔が赤く染まる。あんな愛しい彼女を前に何もしないなんて拷問のようだ。
(う”う”〜!でもまさかここで何かするってわけにもいかないし‥‥)
松田は自分のよこしまな考えを打ち消そうと、頭のてっぺんまで浴槽につかった。
風呂から上がって廊下に出ると、ちょうど柔が階段から下りてきたところであった。
「あ、松田さん!お布団の用意ができましたから、2階へどうぞ!」
「ああ、ありがとう、柔さん」
柔は2階にある客室に案内する。
「ここです。何かいるものとかあったら言って下さいね。私はお風呂に入りますので、あがったらまた挨拶にきます」
「わかったよ、本当にありがとう」
柔はにっこりと微笑むと部屋を出て行った。
松田は急に疲れを感じてごろんと横になり、今日一日の出来事をまた順を追って思い出していた。
(ふ〜、さすがにずっと仕事詰めてきてたからちょっと疲れたな‥‥柔さんといると全然感じないのに‥‥)
しばらくうつらうつらとしていると、コンコン、とドアがノックされた。
垂れかかったよだれを慌てて手で拭って、「どうぞ〜」と応えるとパジャマ姿の柔が入ってきた。
3081992年の冬のこと:2009/04/27(月) 05:17:04 ID:+eoxk1VT
<32/100>
初めて見る柔のパジャマ姿に目が釘付けになる。
お風呂上がりのためかほんのり頬が染まっていて、艶っぽい色気を醸し出している。
松田の思考回路は完全に遮断された。
「何か必要なものとかありませんか?お布団は寒くないですか?」
柔はそんな松田の視線に気づかず、部屋を見回しながら不備がないかチェックしていた。
やがて、松田の視線が先ほどから動いていないことに気付き、柔の動きも止まる。
「あ、あの‥‥」
そう言いかけた瞬間、いきなり体を引き寄せられ、そのまま口を塞がれた。
いきなり舌が侵入してきて、柔の呼吸を乱す。そのまま流れるように布団へと押し倒された。
「あっ‥‥、やっ‥‥!」
突然豹変した松田にとまどいを覚えながらも、与えられる刺激に頭がよく回らない。
松田はそのまま噛み付くようなキスをしていたが、柔の口から漏れた「まつださんっ‥‥!」という言葉にハッと我に返った。
「ご、ごめん、柔さん!俺‥‥なにやってるんだ!?」
松田が飛び跳ねるように体を起こした。自分の中に潜む柔に対する欲情に愕然とする。
柔も続いて体を起こす。まだ残る興奮は体に熱を帯びさせている。
「本当にごめん!なんか、柔さん見てたらもう、俺、自分が抑えられなくて‥‥」
松田は慌てて正座をすると、握りしめた両拳を布団につけて頭を下げた。
「松田さん‥‥」
「だから、ごめんな。あまり俺の近くにいない方が‥‥」
「‥‥‥‥」
「柔さん、本当に‥‥」
そう言いかける松田の声を遮る。
「私、松田さんとできるだけ一緒にいたい‥‥だから‥‥だから‥‥」
そう言うと、かーーっと赤くなってうつむいた。
柔の意思を聞いた松田は、意を決したかのように柔へと向き直した。
うつむいた顔をそっとあげさせると、頬が赤く染まり、緊張しているのか、目を閉じた睫毛が微かに震えている。
もはや引き寄せられるかのように顔を近づけて、優しく唇を重ねた。
「んっ‥‥んんっ‥‥」
柔は口を少し開いて、入ってくる舌を素直に受け入れた。
さっきは余裕がなくて夢中でしてしまったけど、今度は柔の反応を見ながら優しくゆっくりと口づける。
柔の口の中で舌を絡ませると、その小さな口は二人の唾液で溢れかえって口角からこぼれそうになる。
柔は唾を飲み込むタイミングや、息継ぎのタイミングが今いちわからず、ただされるがままである。
松田は柔の後頭部を手で引き寄せてより深く口づけ、こぼれないように全て飲み込んだ。
キスが深まるにつれ、柔の口から漏れる声に色が増していく。
気づいたら松田の背中に手を回し、しがみつくような体勢になっていた。
そのまま二人は再び布団へと倒れ込む。
(やばい‥‥このままだと本当に止まらなくなっちまう‥‥)
松田はキスするだけのつもりが、布団に横になったことで更なる欲望が沸き上がってくるのを感じた。
3091992年の冬のこと:2009/04/27(月) 05:18:09 ID:+eoxk1VT
<33/100>
口づけを繰り返しながら、手は次第に柔のパジャマの上着へと伸び、ゆっくりとボタンを外す。
「あっ‥‥!や、やっ‥‥‥!」
キスに夢中になっていた柔は、いつの間にかはだけていくパジャマに気づくと、焦って閉じようとする。
しかし、その手を松田に遮られ、ついに2つの真っ白な乳房が露になった。
初めて見る柔の服の下。柔らかいマシュマロのような乳房の先には、桜色の突起が少し固くなってツンと上を向いて並んでいる。
松田は思わず息を飲んでまじまじと観察すると、その一つを手に掴みゆっくりと口に含んだ。
「やあぁっ‥‥‥!」
今まで感じたことのない刺激が柔の体を突き抜け、身悶えながら喉をそらしてのけぞる。
松田は手に掴んだ乳房をゆっくり揉みしだきながら、舌を使って巧みに突起を弄ぶ。
すでに十分固くなった乳房の先を、舌の先端でころころと転がすように味わい、舌全体を使って舐め上げる。
柔らかいのにピンと張った乳房を掴んで口に含むと、ゆっくりと吸い上げ、軽く突起を甘噛みする。
「あっ‥‥‥あぁっ‥‥‥んんっ‥‥‥やあっ‥‥‥!!」
柔のあえぎ声が次第に大きくなってきたことに危険を感じて乳房から口を離すと、柔の口を塞ぎにかかった。
「んふぅっ‥‥‥んっ‥‥‥はぁん‥‥‥」
強すぎる乳房への刺激から、再び始まった口づけに柔は少し安心して、松田の首に手を回して精一杯応える。
(うう‥‥どうしよう‥‥口を離すと柔さんの声が漏れちまう‥‥)
松田は他にも愛撫したいのに、柔の出す声を考えると手を出せない。
とりあえず、キスをしながら口を塞ぎ、手で乳房に刺激を与えることにした。
左手で優しくゆっくりと円を描くように乳房を愛撫し、時折、親指と人差し指で先端の突起をつまんだりこね回したりする。
右手ではその刺激に耐えられずに、のけぞってあえぎ声を出そうとする柔の顔を抑えて、キスをしながら口を塞ぐ。
柔は必死に松田の腕につかまり、この初めての快感の波にあらがおうとしたが、結局はされるがままの状態であった。
少し顔をずらして、軽く耳たぶを甘噛みすると「はぁああん!」と声が漏れる。あわててまた口を塞ぎにいく。
何度かそんなことを繰り返しているうち、はじめは与えられる刺激を受けるだけで精一杯だった柔も、だんだん気づいてきた。
(あ‥‥声‥‥!)
声が漏れると寝ている家族に聞かれる‥‥!あわてて自分の口を手で塞ぐ。
それを見た松田が柔の耳元で囁く。
「ごめんな‥‥ちょっとだけ我慢してな‥‥」
そう言うと、再び口による乳房への愛撫を始めた。
はじめは舌でちろちろと舐めるだけだったのが、少し口に含んだかと思うとゆっくりと、次第に強く吸いはじめる。
生暖かい舌の感触が突起の上を行き交う度に、突起だけでなく下半身もなんだかじわじわと熱くなっていくのを感じる。
「んーーーっ‥‥‥んんっ!んーーーーっ!」
柔は必死に手を噛んで声を出さないように耐える。下半身に感じる未知のうずきもだんだん激しくなっていく。
松田は口と手を使って刺激を与え続けながらも、時々柔の様子を目で追って確認する。
そして柔が本当につらそうにすると、乳房への愛撫を中断し、髪を撫でながら優しくキスをした。
3101992年の冬のこと:2009/04/27(月) 05:18:48 ID:+eoxk1VT
<34/100>
そして、まずいとわかっていても、ついに手は次第に下へと伸びていく。
「!!」
松田の手が自分のパジャマのズボンの中に入ってくのを感じて、柔は身を固くする。
「や‥‥!松田さんっ‥‥!」
柔の反応を見た松田は手を止め、かわりにそっと抱き起こして優しく抱きしめた。
「ごめんな‥‥やりすぎた」
松田の素直な謝罪の言葉に柔はうろたえる。
「ち、ちがうんです‥‥!初めてだから‥‥その‥‥ちょっと‥‥怖くて‥‥」
松田が少し首をかしげながら柔の顔を覗き込む。柔は恥ずかしさに耐えながら言葉を続ける。
「だ、だから‥‥その‥‥えと‥‥な、なにをしようと‥‥?」
やけにストレートな質問に、松田は驚いて思わず顔が真っ赤になってしまったが、一応説明を試みる。
「い、いやぁ‥‥そ、その‥‥さ、触ろうかなと‥‥」
「触る‥‥?どこを‥‥?」
「え”?‥‥どこって‥‥え、えーと、こ、この辺かな‥‥!?」
そういって松田は柔の秘部あたりを指さした。
「‥‥ここを‥‥?」
柔はなぜここを松田が触りたいのか本気でわからなかった。ここを触ると何が起きるのだろう‥‥
さっき胸を触られたみたいな感覚かな‥‥?ちょっと怖いけど‥‥松田さんが触りたいなら‥‥
「‥‥どうぞ‥‥」
柔は小さな声で申し出た。
「え?い、いいの?」
松田がちょっと驚いたように聞き返すと、こくんと頷く。
「じゃあ、ゆっくりするからね‥‥」
そう言うと、柔を斜め後ろから抱きかかえるように自分の足の間に座らせる。
左手で柔の背中を支え、右手を下着の中に滑り込ませていった。
柔は目をきゅっとつむり、これから起きる未知の恐怖に耐えているようだった。
3111992年の冬のこと:2009/04/27(月) 05:19:10 ID:+eoxk1VT
<35/100>
やがてその手が柔の秘部へと到達し、そっと花びらに触れる。
すると、明らかに動揺した動きが体全体を通して伝わってくる。花びらはすでに湿り気を帯びていた。
そっとなぞってみると、柔の体がぴくんとはねて、口からは柔自身聞いた事のない甘い声が漏れる。
(や、やだ!なに?なにがおきたの‥‥!?)
柔は経験したことのない快感に身を震わせる。
松田はそっと柔の唇を塞ぐと、再び指をはわせ、今度は花びらを割って中の花芯をつまんだ。
「んんんんーーーーーっ!!」
口を塞がれているので声をあげられず、身をよじりながら松田にしがみつく。
松田はかまわずそのまま指を動かしながら、ゆるゆるとこすったり、つまんだりしながら花芯をいじる。
触れる度に柔の足がぴくりぴくりと反応し、松田のパジャマを握る手に力が入る。
塞いでいる口の隙間からは、甘い吐息とともに色を含んだ声が微かに漏れる。
十分濡れたのを確認するとゆっくりと中に指を侵入させる。
柔の頭はすでに思考不能であったが、体は無意識的な緊張でこわばった。
思いっきりこわばっていたので、指1本ですらきつい状況であったが、侵入させた指をゆっくりと奥まで突き刺す。
「やああっ、んんーーーーっ!!」
漏れかけた柔の嬌声をあわてて口で塞ぐと、じっくりとかき回すように指を上下させて中の蜜を掻き出す。
やがて最も敏感な部分を探り当てると、執拗にそこを責め立てる。
溶けそうなくらい熱い膣内からどんどん蜜が溢れてくる状況に、松田は夢中になって刺激を与え続けた。
柔はもう頭が真っ白だった。今なにをされているのかわからない。なぜこんな快感に陥っているのかわからない。
松田とキスしているのかもわからない。ただただされるがままの状態。
次第に指の動きが速くなり、ぴちゃぴちゃと粘り気を含んだ音が室内を支配するようになる。
はじめは固く閉じるようにしたいた柔の両股も、気づいたら少し緩く開いている。
1本だった指は2本に増え、柔の中をかき乱すように蹂躙する。そして、残る指では花芯への刺激を怠らない。
(‥‥ゃ、‥‥‥た、‥‥‥たすけて‥‥‥!まつ‥ださん‥‥‥!!)
おかしくなりそうな自分に、ことの原因であるはずの松田に無意識的に助けを求めようとした瞬間、
秘部を中心にして体中に鈍い電流が走ったかと思うと、全身が痙攣するかのような感覚に陥った。
松田のパジャマを握りしめていた手が力なく落ちて、緩く開いた足が細かく痙攣してシーツにしわをつくっていく。
そのまま快感の余韻に痺れていたが、やだてぐったりと松田にもたれかかって放心状態になった。
3121992年の冬のこと:2009/04/27(月) 05:19:40 ID:+eoxk1VT
<36/100>
中で動いていた指がゆっくりと止まり、唇を塞いでいた松田の顔が離れて柔の顔を覗き込む。
「柔さん、大丈夫‥‥?」
突然の問いかけに我に返った柔は、先ほどの自分の乱れようを思い出して軽くパニックになり、思わず松田にしがみついて言った。
「ま、松田さんの‥‥エッチ‥‥!」
「え”っ!?ご、ごめんな?」
松田は予想外の柔の言葉に焦って、思わず謝罪する。
「‥‥‥ます」
「え?」
柔がなにかを言ったが、声が小さくて聞き取れなかった松田は聞き返した。
「‥‥今度は‥‥私がします‥‥」
これ以上ないくらい真っ赤になった顔の柔がうつむいたままそう告げた。
「へ?するってなにを‥‥?」
「‥‥‥ま、松田さんの‥‥‥」
「俺の?」
「こ、‥‥これ‥‥」
そう言って微かに震える指でさしたものは、まさに松田の一物であった。
「‥‥え?」
‥‥ほ、本気なのか‥‥?まさか柔さんの口からそんなことが‥‥なにを言っているのかわかってるのか‥‥??
思いっきりパニックになっていると、柔はやはり真っ赤な顔のまま、今度ははっきりと言った。
「私!‥‥やります‥‥!」
「ええっ!?ちょ、ちょっと!ま、‥‥」
焦って止めようとする松田に、柔はかまわず松田のズボンに手をかけて入れると、中を探り出した。
「や、柔さん!一体ど、どうしたんだ!?」
柔の勢いに松田は思いっきり及び腰になり、柔の手の侵入を許してしまった。
実は同僚から渡されたあの雑誌を見て以来、フェ○をすれば男の人が喜ぶという図式が柔の中にインプットされていた。
雑誌を読んだときは絶対自分にはできないと思っていたが、今、実際に愛撫を受けてみて、自分も何かしなければと思った。
どうしても松田に喜んでもらいたい。そんな一心で今回の暴挙に出たのであった。
そしてついに一物を探り当て、ズボンから引き出した。
ここまでは勢いでやってしまったが、実際初めて見る男性器に思わず目を大きく見開いてたじろぐ。
(え‥‥?こ、こんなに大きいの‥‥?)
柔は勃起した男性器を見るのは初めてであった。
(こ、これを‥‥く、口に‥‥?)
松田は相変わらず唖然としている。
おそるおそる目の前の一物を両手に取ると、そっと唇を寄せた。
はむっ。勇気を出してちょっとくわえてみる。
3131992年の冬のこと:2009/04/27(月) 05:20:10 ID:+eoxk1VT
<37/100>
松田は目の前で起きている光景が未だ信じられないでいたが、突然起きた刺激に思わず息を飲む。
一方、柔は口に入れたはいいものの、それからどうすればいいかわからなくなり、一生懸命に雑誌の内容を思い出す。
(た、たしか‥‥舌を使って‥‥)
小さな舌を使ってちろちろ舐め出す。
はじめは遠慮がちに先端を舐めるだけだったが、次第に竿全体を舌でなぞるように舐めはじめた。
ずっと舌を出していると疲れるのか、時々舌を引っ込めて、こくんと喉を鳴らして唾を飲み込み呼吸を整える。
最大限に膨張した肉棒に唇を寄せ、チュッと音を立ててキスをしたり、少し吸い付いてみたり、ぺろぺろとアイスキャンデーのように舐めてみたり‥‥
時々、これでいいかと確認するように、自信なさげに上目使いで見てくる。
(ちょ、ちょっと!ま、マジでやばい!)
なんなんだ!!この扇情的な図はーーーっ!?
松田は心の中で絶叫する。
赤く染まって蒸気した顔、ちゅぱちゅぱというつたない舌の動き、口を開けて舌を出す瞬間にかかる熱い吐息、
時折見上げてくる熱を帯びた視線、、柔が動くたびに揺れる二つの真っ白い乳房、落ちてくる髪をかきあげる動作‥‥
全ての要素が松田の興奮を最大限に高める。
「や、柔さん‥‥!だ、だめだ‥‥!もういいって‥‥!」
そういって引きはがそうとするが、柔はいやいやと体をよじって引き下がらない。
(だって‥‥最後は白いのが出るって書いてあったもん‥‥!)
そして記事の内容をまた思い出そうとする。
(えっと‥‥、白いのを出すには‥‥)
こうやって手で持って‥‥上下に動かして‥‥そして口でも‥‥
柔は唾液が溜まった口の中に、熱くなった肉棒をくわえる。
「ぅくっ‥‥」
口の中に圧迫感を感じ、息が詰まりそうになって一旦出しかけるが、頑張ってくわえなおす。瞬間、口の隙間から唾液がだらりと垂れ落ちた。
その唾液を肉棒に手でなすりつけると、そのまま上下に動かし出した。上手く連動できないが、口でも一生懸命奉仕する。
突然の柔の加速モードに、松田は真の危険を感じた。
「や、柔さん‥‥!それ以上は‥‥‥‥!‥‥ううっ!」
やっとの思いで柔を引きはがした瞬間、思いっきり射精してしまった。
顔にかけるのは免れたが、柔の白い胸から腹にかけて白濁液が垂れ流れていた。
柔は呆然としている。いや、松田だって呆然としている。
3141992年の冬のこと:2009/04/27(月) 05:20:32 ID:+eoxk1VT
<38/100>
数秒の沈黙の後、松田が我に返った。
「わああああっ!!ティッシュ!!ティッシュ!!」
慌ててティッシュを手に取ると、未だ呆然としたままの柔の体を拭いてきれいにしていく。
拭き終わると、そっと額にキスを落として優しく抱きしめた。
「ありがとう‥‥柔さん‥‥」
松田の言葉にやっと我に返った柔は、思わずぎゅっと松田に抱きついた。
「ご‥‥ごめんなさい、松田さん!!わ、私、雑誌で‥‥だから‥‥私‥‥」
今にも泣き出しそうな声で必死に説明する内容は支離滅裂だったが、とにかく雑誌で学んだらい。
「そうか‥‥。雑誌で読んだのか‥‥。そんな無理することなかったのに‥‥」
「ご、ごめんなさい‥‥!私、松田さんにひどいこと‥‥」
「へ?」
どうやら柔は、松田が最後に出すときに、苦しんだと勘違いしているようだった。
「い、いやあ、柔さん?俺、すごく嬉しかったよ‥‥?」
「ほ、本当ですか‥‥!?」
まだ少し泣きそうな顔を上げて聞く。
「ああ、本当にありがとう、柔さん」
そういってまた優しく抱きしめると、安心したように松田の胸に顔をうずめた。
しばらくトクトクと規則正しく波打つ松田の鼓動を聞いていると、柔は急激に眠たくなってきた。
だんだんととろんとした目つきになっていく柔を愛しげに見ていた松田は、そのままゆっくりと横になって一緒に布団に入る。
柔を抱きしめたまま、ぴったりと体を密着させて優しく背中をさすっていると、やがてスースーと愛らしい寝息が聞こえてきた。
その様子をしばらく見届けたあと、松田も安心したような顔で深い眠りへと落ちていった。
315伊太郎:2009/04/27(月) 05:22:49 ID:+eoxk1VT
切ります。エロの投下には恥を捨てる勇気がいることを学びました‥
316名無しさん@ピンキー:2009/04/27(月) 07:29:05 ID:c5odKaS+
gjですよ!
317名無しさん@ピンキー:2009/04/27(月) 08:01:14 ID:Ek092GWV
伊太郎さんの勇気に敬礼です。
まだ話の半分にも達していないということはまだ一山も二山もあるんでしょうね。
いずれにしても楽しみです。
318マリリン:2009/04/27(月) 10:16:32 ID:KcC3tpqx
伊太郎さん、すごい良かったです。。。
声を上げないようにがんばる柔ちゃんとか、うろたえる松田さんとか、
二人がとにかく可愛すぎる!ペッティングだけの展開もアリですね〜

でも柔ちゃん、松田さんの部屋で一緒に寝ちゃったんですね。。。
これは、あとで滋悟郎さんにバレてしまわないか…ドキドキですな。
朝食の時とか、かなり気まずいだろうし。。。うわー!続きが気になる!

一方、邦ちゃん盗撮コレクションは
「カメラマンだし、これくらいはやってるだろう」と思ってネタにしてみました。
続きは気長にお待ちを。。。
319名無しさん@ピンキー:2009/04/27(月) 11:50:45 ID:yOhkSFUG
伊太郎さん超GJでした!
続きも凄く楽しみです

マリリンさん
邦ちゃんは敵に回すとやっかいだけど
味方になると心強いって感じですねw
以前の恋敵でも後押ししてくれる、良い人だなぁ
320名無しさん@ピンキー:2009/04/27(月) 20:03:31 ID:mboskXVg
>>315
乙です。強く生きてくださいw
321名無しさん@ピンキー:2009/04/28(火) 01:58:56 ID:xHokUCJ4
わあああああああ。メッチャ興奮した!
乙!GJ!
いいよいいよいいよ!
楽しみで仕方ない!
322名無しさん@ピンキー:2009/04/29(水) 18:06:07 ID:JH4cvdYV
wktk
323名無しさん@ピンキー:2009/04/30(木) 20:01:16 ID:pqD5mhI6
じらしちゃイヤw
324伊太郎:2009/05/01(金) 01:25:21 ID:KmhzipEv
レスありがとうございます。エロを書いてる自分を受け入れたくなかったけど、若干心が安らぎました‥。
気になる所をちょくちょく書き直したり、仕事が忙しくなってきたりで投下が遅くなることもあります。
続きを待ってる方はごめんなさい‥。エロはけっこう後半にあと2山くらいあります。
3251992年の冬のこと:2009/05/01(金) 01:26:06 ID:KmhzipEv
<39/100>
そして1993年の新年の朝を迎えるーーー。
まだ薄暗い部屋の中で、柔はうっすらと瞼を開いた。
暗がりに目が慣れてくると、目の前に寝ている松田の顔があるのを見て、思わず声を出しそうになる。
(ま、松田さん!?な、なんで‥‥。あ!き、昨日、私‥‥!)
昨夜の出来事を徐々に思い出してきた柔は、一気に顔が赤く染まった。
恥ずかしさのあまり、一旦は寝ている松田の胸に顔を埋めたが、やがておそるおそる顔を上げて松田の寝顔を観察し始める。
無邪気な少年のような、それでいて精悍な大人の男のような‥‥2つの相反する面を併せ持っているかのように感じた。
昨夜の松田は、柔の知らない顔を見せた。いつも通り優しかったが、自分よりずっと大人のような‥‥
(過去にはどんな人と‥‥)
ついには松田の過去まで気になりだして、一生懸命その考えを追い出そうとする。
(私じゃ物足りないなんて思ってないかな‥‥)
目の前に大好きな恋人がいるのに、そんな考えが浮かぶ自分にとまどってしまう。
どうしよう‥‥どんどん好きになっていって‥‥本当におかしくなりそう‥‥
柔は松田の頬に口づけをしようと、そっと顔を寄せた。普段なら絶対できない行動だ。
とその時、松田が目を覚ました。
思いっきり至近距離で目があってしまい、両者ともに硬直する。
「あ、あ、あの‥‥」
ひどく動揺した柔は、何か言い訳をしようと必死に言葉を探した。
松田は寝ぼけた目をぱちぱちと瞬きすると、ちょっと首をかしげて思案する様子を見せる。
しかし、すぐに柔の後頭部に手を回してぐいと自分の顔に引き寄せてキスをした。
「あっ‥‥んんっ‥‥‥ん‥‥」
予期せぬ松田の行動にとまどいつつも、柔は素直に受け入れる。
今まで柔の気持ちがわからずに散々遠回りしていた松田だが、二人の密着度の上昇とともに、
少しずつではあるが、着実に気持ちを読み取る能力が成長してきた。
しばらく柔の口内を味わった松田はやっと口を離した。
「おはよう、柔さん。あ、じゃなくて明けましておめでとう、だな!」
松田の笑顔につられて、柔もはにかみながら嬉しそうに返す。
「あ、明けましておめでとうございます!」
二人で見つめ合って微笑んでいると、階下の方で滋悟郎らしき声が聞こえた。
3261992年の冬のこと:2009/05/01(金) 01:26:33 ID:KmhzipEv
<40/100>
「柔ぁ〜!!柔ぁ〜!!新年の初稽古するぞ〜!早くせんか〜っ!!」
その声がだんだん近づいてくる。
まずい!!柔はここ松田の部屋にいる!しかも抱き合ったままだ!!
二人は一瞬にして跳ね起きると、柔はすぐに松田の部屋を飛び出した。
しかし運悪く、部屋を出たところで滋悟郎にはち会わせてしまった。
「や、や、柔‥‥?お、おぬし、ここで何をしておったんじゃ‥‥?」
滋悟郎は上擦った声で、柔と松田の部屋を交互に指さしながら震えている。
「な、なにって‥‥し、新年のあいさつをしてたの!!」
柔はかなり焦りながらも、咄嗟に言い訳を思いついた。
「パ、パジャマ姿でか‥‥?」
「そ、そうよ!なにか問題でもあるの!?」
「ま、ま、まさか‥‥!?」
「な、なに考えてるのよ、おじいちゃん!!もう!いやらしい!!」
柔はある意味逆ギレをしながら、強引に自分の部屋へと向かう。
「こりゃ!柔っ!!またんかい!!」
滋悟郎の引き止める声に柔は一旦振り返ると、真っ赤な顔であっかんべ〜をして自分の部屋に入ってしまった。
「‥‥‥」
その姿を見届けた滋悟郎は、バーーーーン!と松田の部屋を開けた。
布団を畳んでいた松田はびっくりして、あわてて部屋の隅まで後ずさりする。
「こりゃあああああっ!!松田ぁああ!今日はおぬしも朝稽古じゃああ!!柔道着を来て道場まで来い!!」
そしてまた、バーーーーン!とドアを閉めると出て行った。
(こ、殺される‥‥‥)
新年早々、自分の死を覚悟した松田であった。
3271992年の冬のこと:2009/05/01(金) 01:26:54 ID:KmhzipEv
<41/100>
おそるおそる階段を下りて行くと、ちょうど玉緒が上がって来ようとするところだった。
「あら、松田さん!明けましておめでとうございます」
そう言って玉緒は微笑みながら恭しく頭を下げる。
「あ、いえ、こちらこそ、明けましておめでとうございます」
松田もあわてて頭を下げた。
「なんだかねぇ、お父さんが松田さんも朝稽古を一緒にしたがってるって言ってるんですけど‥‥。
で、主人の道着があるから持って行けって‥‥。松田さん、本当にいいんですか?」
玉緒が少しとまどいながら、道着を見せつつ尋ねる。
「え”っ!??え、ええ、まあ、ははっ‥‥!なんというか‥‥はい‥‥」
「そうですか?では、道着をどうぞ。多分、主人と同じくらいのサイズで大丈夫ですよね?」
「は、ははっ!そ、そうですね!いやあ、また偶然にもいいサイズの道着が‥‥いや〜、運がいいなぁ〜‥‥」
そういって、松田は道着を受け取ると、がっくりと肩を落としながら着替えるためにまた2階へと上がって行った。
そんな松田を玉緒は少し不思議そうに見つめていた。
道着を着て部屋から出ると、ちょうど柔も道着に着替えて部屋から出てくるところだった。
松田の姿を見た柔は思いっきり目を見開いて呆然と突っ立ている。
「ま、ま、ま‥‥」
声が出ない柔を見て、松田は照れくさそうに「ははっ‥‥」と苦笑いを浮かべて頭を掻いた。
「松田さん!い、一体どうして‥‥!?」
やっと我に返った柔は、小走りに松田の元へ駆け寄ってきた。
「‥‥い、いや〜!俺も朝稽古がしたいな〜‥‥なんて思ってさ‥‥!」
明らかに挙動不審な松田の様子を見て、柔はピンときた。
「おじいちゃんね!!」
少し怒った顔で拳を握りしめる。
「ち、ちがうよ!本当に‥‥」
あわてて否定するが、柔は全く耳を貸さない。
「私、松田さんには絶対手を出させませんから!!」
力強い恋人の言葉に思わず惚れ直しそうになりながら、いやいやそうじゃないと頭を振って冷静になる。
柔もふと冷静になって松田を見ると、意外と道着姿が似合っていてなんだか顔が赤くなってくる。
「松田さん‥‥、その道着‥‥」
「あ、ああ、キミのお父さんの‥‥」
「お父さんの‥‥!」
ファザーコンプレックスの柔に火をつけるには十分すぎるアイテム。
柔は思わず松田に抱きつくと胸に顔を埋め、しばし、その懐かしいぬくもりを味わう。
松田はそんな柔にちょっととまどいながらも、包み込むように柔らかく抱きしめた。
しばらくして名残惜しそうに顔を上げた柔がなんだか可愛くて、思わずそっとおでこにキスを落とす。
柔が嬉しそうに照れ笑いをすると、松田はそろそろ行こうかと促して、二人で道場に向かった。
3281992年の冬のこと:2009/05/01(金) 01:27:35 ID:KmhzipEv
<42/100>
道場に入ると、ど真ん中で滋悟郎が正座をして待っていた。
「うおふぉん、おお!松っちゃんよ!おぬしも稽古がしたいとのぉ〜?」
滋悟郎が柔の手前、わざとらしい演技をする。
「え、ええ‥‥なぜか‥‥」
松田は半ば諦めたように力なく答える。
「ちょっと!おじいちゃん!!何企んでるのか知らないけど、松田さんには指1本触れさせませんからね!!」
柔が見たことのない剣幕で滋悟郎に詰め寄る。
「なんのことじゃ〜?わしゃあ、稽古がしたいというあやつの心意気に乗ったまでじゃ〜」
あくまでしらじらしい滋悟郎に柔はますますヒートアップする。
「松田さんと稽古したいなら、私を倒してからにして!!」
なぜだか逆お姫様状態におかれている状況に焦った松田は、慌てて柔を引き止める。
「いや、いいんだ、柔さん!!俺、本当に滋悟郎先生に稽古をつけてもらいたくて‥‥」
「うそよ‥‥!」
「う、うそじゃないよ!」
滋悟郎はしてやったりという顔で、その様子を眺めている。
「ほ〜ら、見てみい!松田もそう言うとるじゃろ。柔はちょっとそこの隅で見とれい!」
そう言うと、おもむろに構えの状態に入った。
(う”‥‥これはマジで殺されるかも‥‥でも‥‥)
柔に自分を守ってもらうなんて、とてもじゃないができない。
松田は覚悟を決めて滋悟郎に向かい合った。
そんな二人を柔は本当に困ったようにおろおろしながら見ている。
止めに入りたいけど、松田さんはああ言っている‥‥一体どうすれば‥‥
そうこうするうちに、滋悟郎がでええええい!!と松田に掴みかかりにいった。
「ひいいいいいいっ!!」
松田は思わず後ずさって逃げる。
「こりゃああ!逃げるなんぞ、おぬし、卑怯だぞ!!」
卑怯と言う言葉に思わず反応して立ち止まると、その瞬間、宙を舞った。
3291992年の冬のこと:2009/05/01(金) 01:27:57 ID:KmhzipEv
<43/100>
バーーーーーーン!!
ものすごい音が道場中に響きわたったかと思うと、松田の体は畳の上に大の字になって伸びていた。
「ま、松田さんっ!!!」
柔は大慌てで松田に駆け寄り、頭を抱き上げる。
「松田さん!!松田さん!!大丈夫ですか!??」
必死の問いかけに、松田はうう〜ん‥‥とうめき声をあげて目を少しずつ開いた。
「‥‥ぜ、全然‥‥だ、大丈夫‥‥」
全然大丈夫そうではない声で、絞り出すように答える。
「おじいちゃん‥‥!」
きっと滋悟郎を睨みつける。
「なんじゃ〜、その目は!稽古したいといったやつにしてやったまでじゃ〜!まだ終わっとらんぞ〜!」
そう言って松田の体に手をかけようとする滋悟郎を、柔が寝技で絞めにかかる。
「こ、こりゃ、柔!」
畳の上で伸びている松田の道着を掴んで絞めようとする滋悟郎、その滋悟郎を絞める柔。
元旦の早朝から、猪熊家ではかくも異様な三つどもえの争いが起きていた。
ぎゃあぎゃあと騒いでいるところに、玉緒がひょっこりと顔を出した。
「あらあら、楽しそうね!みんな元旦から仲の良ろしいことで!」
玉緒の目には、3人でじゃれあっているかのように映ったのだ。
「そろそろお節の準備ができましたから、みなさん、用意してきて下さいな」
そう言ってにっこり微笑むと立ち去っていった。
思わぬ玉緒の登場で何だか冷静になった3人は、無言のままちょっと気恥ずかしそうにうつむき合った。
「さあ〜、お節じゃ!お節じゃ!」
滋悟郎はもう気が済んだのか、お節に釣られたのか、軽くスキップをしながら道場を出て行った。
3301992年の冬のこと:2009/05/01(金) 01:28:25 ID:KmhzipEv
<44/100>
その後姿を見届けた柔は、まだ伸びてる松田を心配そうに覗き込む。
「大丈夫ですか?松田さん‥‥?」
「あ、ああ‥‥ほ、本当に大丈夫‥‥」
そう言って起き上がろうとするが、おぼつかない足取りなので柔が支えようと肩を貸す。
「きゃあぁっ!!」
松田が大きくふらついた瞬間、二人して畳に倒れてしまった。
「ご、ごめん!!」
柔の上に乗っかるような状態になってしまった松田は思いっきり焦って謝ったが、
自分の下で赤くなって縮こまっている柔を見ると体が動かなくなる。
(俺、柔さん見てると本当におかしくなる‥‥)
そう心で言い訳しつつもも、試しにちゅっと頬にキスしてみる。
柔は一瞬恥ずかしそうに身じろいだが、真っ赤な顔のまま目をきゅっとつむり、全く抵抗しない。
調子に乗って反対の頬に、おでこに、瞼の上に、耳たぶに‥‥次々と口づけを落としていく。
柔の手は松田の道着をぎゅっと握りしめ、与えられる刺激に耐えているのがわかる。
あえて口にキスしないでいると、閉じられた目が少し開き、切なげな声で「まつださん‥‥」と何か言いたそうにする。
(う”う”‥‥かわいすぎる‥‥)
軽く口にちゅっとすると、すぐに次の段階を期待して少し半開きになった柔の口から甘い吐息が漏れる。
しかし、まだ深くは口づけない。
再び顔や首筋にキスを落としはじめると、身をよじりながらもどかしさを訴えてきた。
「んんっ‥‥もうっ‥‥まつだ‥さんっ‥‥」
はやく‥‥して‥‥!
そんなこと言えるわけもない柔は、ただひたすら待つしかない。
ぞくぞくとした快感が体中を支配しているのに、こもった熱を発散できずに吐息だけが漏れる。
松田自身、そんなにじらしてる余裕もないのだが、柔の反応がかわいくてついつい意地悪してしまう。
ついに柔の手が松田の首の後ろに周り、頭があまり動かないよう固定されてしまった。
「まつださん‥‥」
潤んだ目で見つめられた上に、そんな甘い声で催促をされると、さすがにもう我慢の限界だ。
ゆっくりと顔を近づけると、柔の目が閉じていくと同時に、口が小さく開いて赤い舌が見えた。
誘っているかのような鮮やかな赤い色に、吸い込まれるかのように顔を引き寄せられていく。
顎に手を添えて、親指を使ってさらに大きく口を開けさせると、自分の舌をねじ込む。
「ふぁっ‥‥!ぁあっ‥‥!んっ‥‥はぁっ‥‥!」
散々じらした後のキスは、いやがおうにも二人を燃え上がらせる。
柔の手は松田の頭を抱くようにして、髪をかきむしるかのようにせわしなく動いた。
二人の唾液が舌の出し入れとともに行き交い、混じり合い、糸を引く。
広い道場には、柔の甘い濡れた声と激しいキスの息づかいだけが響いていた。
「そろそろ行かないと‥‥」
キスの切れ目に松田が名残惜しそうに呟く。
柔は夢から覚めたように瞬きすると、頬を染めてこくりと頷いた。
331伊太郎:2009/05/01(金) 01:29:02 ID:KmhzipEv
切ります。
332名無しさん@ピンキー:2009/05/01(金) 04:01:46 ID:CINyOAkB
あざしたーーーーーっ!
ハァハァ、まつださん…!
333名無しさん@ピンキー:2009/05/01(金) 04:26:41 ID:FR7jV9no
伊太郎さん乙です。
夜中にあらわれるとは意外でした、
正月の話って事は振袖柔、松田との初詣って展開も期待していいですかね?
こちらは気長に待ってますので自分のペースでのんびりとやって下さい、他の職人さん達も。
334名無しさん@ピンキー:2009/05/01(金) 08:34:13 ID:gTwvAzid
伊太郎さん乙でした!
毎度楽しく読ませて頂いてます!

柔と松田の愛が感じられてイイですね。
これからの展開も楽しみにしてます。
お仕事大変でしょうが頑張ってください。
335名無しさん@ピンキー:2009/05/02(土) 08:19:42 ID:VpNiGjQt
そろそろウザくなって来たな
どうして自サイト作らないの?
作れないのならまとめてどこかのうpロダにでも上げれば
ここアンタの専用スレじゃないんだから
336マリリン:2009/05/02(土) 09:24:25 ID:nBaW0tYZ
伊太郎さん乙です!
発情してる二人が可愛いな〜。やはり、滋悟郎さんにはバレたんですね…
そのうち、いちゃいちゃの現場も見られてしまうんじゃないかと
ちょっと心配になってきたりもしますw
風祭にだったら、いくらでも見せてやってもいいと思いますが…

それと、筆が進まずですいません。
連休とはいえ、出かける用事もあって、あまり投下できないかも。
337日本でのエピソード byマリリン:2009/05/02(土) 09:24:53 ID:nBaW0tYZ
耕作を撮った写真といっても、彼がカメラ目線で写っているものは一枚もない。
もちろん、邦子とのツーショットなど、そんなものも一枚もない。
本人の同意を得ずに勝手に撮ったのか、と思われるようなショットがほとんどだった。
会社のデスクで原稿を書いていたり、編集長と言い争いをしていたり、
同僚にからかわれてムキになっていたり、鴨田とじゃれあっていたり、
取材先で選手にインタビューしながら必死にメモをとったり、
編集部に電話をかけていたり、ヘルメットをかぶってバイクにまたがったり、
飲み会の席で同僚と話をしたり、麻雀の席で一喜一憂していたり、
徹夜で原稿を書いたのか、デスクの上に突っ伏して寝ていたり…
今まで、柔がほとんど見たことがない姿ばかりだった。
つまり、耕作がどんな風に仕事しているかが一目でわかる「写真集」だった。
338日本でのエピソード byマリリン:2009/05/02(土) 09:25:14 ID:nBaW0tYZ
「かっこいいでしょぉ、耕作ゥ」
「く、邦子さん、これどうしたんですか!?」
柔は驚きと嬉しさのあまり、手が震えていた。
写真の中の耕作はどれも魅力的で、柔はすっかり釘付けになっていた。
「あらあ、あたしカメラウーマンよ。これくらいは当然よ〜」
邦子はケラケラ笑う。
「松田さん、こんなに撮られているのに、気にしていなかったんですか?」
「そりゃ最初は怒っていたわよ、『こら!勝手に撮るなよ!』って。
 編集長にも『公私混同するな』って、怒られてたけどね〜。
 あたしがしつこいんで、諦めたんじゃな〜い?」
最初は「耕作ゥっての、やめてくれない?」と言っていたにもかかわらず、
結局は邦子の言いなりになっていた男である。写真についても同様だった。
「だいたい、耕作ってば優しすぎるのよ。はっきり拒否しなかったんだから。
 まあでも、あたしが見てきた耕作の、この5年間の集大成よね、コレって」
柔は、邦子がどれだけ耕作を見てきたかを思い知り、申し訳ない気持ちになった。
「邦子さん…こんな大事なもの…あたし…」
「柔ちゃん、耕作のこと、ほとんど知らないんでしょう?」
邦子は、柔の言葉を遮るように言った。
339日本でのエピソード byマリリン:2009/05/02(土) 09:26:24 ID:nBaW0tYZ
「え…?」
「耕作の誕生日とか、実家はどこなのかとか、どうやって記者になったのかとか、
 仕事していない時は何してるのかとか…そういうこと何も知らないでしょう?」
図星だった。
きっと、邦子さんの方が松田さんと長く過ごしている時間が多い分、
彼のことをよく知っているはず。なのに私は、松田さんの誕生日さえ知らない…。
「耕作のこと、もっともっと知りたいと思わない?」
「…知りたいです…すごく、知りたいです…」
「だったら、これは柔ちゃんが持っていなきゃ!お詫びだってしたいし…」
「そんな、お詫びだなんて…」
「柔ちゃん、今までごめんね。嘘ついて、邪魔ばっかりしていて。」
「……。」
「バルセロナで私と鉢合わせした時、『どうしているの?』って思わなかった?」
「あ、そういえば誘拐されたって松田さんから聞いて…大丈夫でしたか?」
「……。さすがに、あたしを振ったことまでは話してないのかしら?耕作ゥ。
 あたし、耕作を追いかけてバルセロナまで行ったのよ。
 カメラは鴨ちゃんの担当にされちゃうし…今度こそ決着つけなきゃと思って」
邦子の長い話がはじまった。
340名無しさん@ピンキー:2009/05/02(土) 09:36:14 ID:Qd7sIWiL
下手くそな書き手同士が馴れ合い慰め合ってる姿って惨めだな
この板じゃよく見かける光景ではあるがw
341名無しさん@ピンキー:2009/05/02(土) 11:48:59 ID:YjEh+b/f
マリリンさん、伊太郎さん乙でした。
無理しない程度のペースでがんばって下さい。
342名無しさん@ピンキー:2009/05/02(土) 11:57:12 ID:Iw8Jo5Kt
あ、大型連休の風物詩だねw

職人様方、超GJです
まじ萌える
サイトっつーと、以前のまとめサイトが機能していないので改めて欲しい所ですねー
343名無しさん@ピンキー:2009/05/02(土) 13:11:01 ID:AisZYwVR
60行くらい一気に貼り付けろ
つまんない駄SSをちまちま進めてないでさっさと終わらそうや
気の小さい他の書き手さんが投下しにくくなるだろ
344名無しさん@ピンキー:2009/05/02(土) 14:58:16 ID:ciNyOM39
↑スルーしましょう!
345名無しさん@ピンキー:2009/05/02(土) 15:00:37 ID:moDeigHr
でも、ほとんど一人の書き手がスレを占有してるって指摘は事実だね
346名無しさん@ピンキー:2009/05/02(土) 15:31:43 ID:lbq+bCiP
みんなの日頃の不満が一気に噴出したって感じだな
347名無しさん@ピンキー:2009/05/02(土) 16:30:51 ID:YjEh+b/f
みんな釣られすぎw
348名無しさん@ピンキー:2009/05/02(土) 16:48:16 ID:7E1PiPkf
必死で擁護してるのは作者本人か
自分でもそろそろヤバいって気付いてたんだろw
349名無しさん@ピンキー:2009/05/02(土) 23:02:06 ID:Sjt12WL2
自分はファン
エロパロ復活させてくれて本当にd

みんなはどうして欲しいわけ
伊太郎さんがこのレスの数々を見て、SSを一気に投下してくれたとして
その後に他の書き手さんがどんどん投下しやすくなるとでも?
ねーよ、創作ってそんな簡単に出来るものじゃないw
ちまちま投下してくれるのは、過疎らせない為でもあるだろう

10数年前に終わった漫画のエロパロ書き手がいるってだけで
自分は感動してるっつーのにww
気の小さい他の書き手さん、もしいたらどんどん投下してね
お待ちしております 怖い人ばっかじゃないからw
伊太郎さんつや姫さんマリリンさんの続きも気長に待ってます!

>>347
ごめんね出来心で
350名無しさん@ピンキー:2009/05/02(土) 23:27:45 ID:Yc38FwnT
この手のスレでは、ある程度レスが進むと>>335みたいなのが出てくる。

スルーが一番ですよ。
351名無しさん@ピンキー:2009/05/02(土) 23:33:47 ID:2ZlMritV
ま、連休だしね。

続きが楽しみで仕方ないよ、自分は!
御三人さん、ありがたいです。
352名無しさん@ピンキー:2009/05/03(日) 02:04:56 ID:g2etH1Iy
なんだか知らんが、乙!
ワクワクドキドキニヤニヤバタバタ。
書き手さんたちいつもありがとう。
YAWARA!久々に読み直すぞ!
353名無しさん@ピンキー:2009/05/03(日) 16:29:46 ID:02D2Ow+W
>>352
私もその一人。ついついYAWARA,読み直しちゃうよね〜

読み手もいろんな人がいるってことで。
楽しみにしている人もいるから、気にしないデー。
354つや姫:2009/05/04(月) 08:08:38 ID:xtMIL2jO
樹氷浪漫〜山形編〜19
唇が離れ、真っ赤になりながら2人して見つめ合う。柔は少しぽーっとしている。
「そ…、そろそろ寝ようか」
「え、あ、はい。そうですねっ」
(やだ、あたしったら…!何考えてるんだろう…)

柔は一瞬、ここが松田の実家だということを忘れてまいそうになり、頭の中に
恥ずかしさと罪悪感が巡った。と、同時に少しの寂しさも感じた。


2人はそれぞれの寝床に向かった。昔松田が使っていた部屋は、松田自身があまり
山形に帰らない為に現在はバットやボール、ラケットや鉄アレイなど松田が大量に
残したガラクタ置場となってしまっていて、とても寝られる状態ではなかったので
松田も柔と同じ襖一枚隔てた座敷に別々に布団を敷かれていた。


布団に入ったものの、松田なかなか寝付けなかった。襖のすぐ向こうに柔がいる、
それだけで落ち着かない。本当はもっと触れたいし、抱きたくてたまらない。しかし
いくら恋人同士といえ、自分と柔はトップアスリートと新聞記者という関係は変わらない。
下手に自分の身勝手な態度で柔を傷つけてしまえば精神状態に影響しかねない。
悶々としながら頭の中で欲と理性の葛藤が続いていた。
355つや姫:2009/05/04(月) 08:55:12 ID:xtMIL2jO
樹氷浪漫〜山形編〜20

―寒い…
柔はぶるっと一瞬身震いをして、自分の肩を抱いた。
外は風が強いらしく、時々カタカタと障子が揺れている。
カチコチと規則正しい時計の針の音に敏感になる。
真っ暗で広い座敷にぽつんと一人でいるのが段々怖くなってきた柔は、
思い切って松田に声をかけることにした。
「松田さん…松田さん、もう寝ちゃいましたか?」
もし寝ていたら悪いので、できるだけ小声で話しかける。

「柔さん?どうした?寒くて眠れない?」

すぐに返事が返ってきたことに柔はほっとする。どうやら松田もまだ起きていたらしい。
「少し寒いんです…あと…なんだか怖くて…」

「怖い?」

「はい…。…あの〜松田さん、そっち行っても駄目でしょうか?」
「えっ!だ、駄目じゃないけど!!」

心細くてたまらなくなった柔は早く松田に会いたくて、スーッと襖を開けた。
外の街灯が部屋に差し込み、微かに松田の姿が見えた。
356名無しさん@ピンキー:2009/05/04(月) 09:12:55 ID:JClTXvtu
つや姫さん乙です
357名無しさん@ピンキー:2009/05/04(月) 21:46:45 ID:5lQVhveb
乙でした。続き楽しみです。
358名無しさん@ピンキー:2009/05/04(月) 23:17:42 ID:xkHCP4NZ
乙です!wktk
359名無しさん@ピンキー:2009/05/06(水) 22:25:37 ID:1lHPhAM6
職人さんたちどうしちゃったんだ?
360名無しさん@ピンキー:2009/05/06(水) 23:11:54 ID:i/ySxIgk
GWで帰省しててパソコンが使えないとかでは?
361名無しさん@ピンキー:2009/05/06(水) 23:41:45 ID:1lHPhAM6
なるほど。
じゃあ明日から再開するかもしれないわけか。いつもここ見るの楽しみにしてるから安心したわ
362名無しさん@ピンキー:2009/05/07(木) 08:15:51 ID:j7isu1Vq
のんびり待とうよ
363名無しさん@ピンキー:2009/05/08(金) 07:06:55 ID:HXd+rUzj
職人さんこないね
364名無しさん@ピンキー:2009/05/08(金) 10:56:28 ID:8Pd/NTmi
職人さんたちへ文句を言ってた人達、職人さんが戻ってきてくれるまで、作品投下してスレ埋めてよ。
365名無しさん@ピンキー:2009/05/08(金) 17:48:59 ID:QLQDleW6
>>364
あんなのはどうせ黄金厨なんだから、そんなレス付けないでくれ。

萌え話でも織り混ぜつつ、ひたすら保守して待つが吉。
366伊太郎:2009/05/08(金) 22:03:17 ID:JVNWTQc8
休暇から帰ってきたら、自分のせいでorz‥な展開になってた‥‥。
暖かいレスくれたみなさん、本当にありがとうございます。とりあえずこのまま投下していくと、
過去のこの板の歴史上、荒れるのは必至なのでここでの投下は終了としたいと思います。
続きを待っている方には申し訳なさすぎるので、とあるところに続きを落としておきます。
urlをここに書くことはできませんが、おヒマがあれば‥。
では、このスレの平和的繁栄を願いつつ、今まで読んでくれたみなさんに改めて感謝です!
これだけ書いて去るのもなんなので、切りのいい半分の50/100まで投下しておきます。
3671992年の冬のこと:2009/05/08(金) 22:03:55 ID:JVNWTQc8
<45/100>
着替えを済ました二人が居間へと行くと、玉緒の腕によりをかけた豪華なお節が、食卓一杯に並んでいた。
「うわ‥‥すっげーーっ!!!」
松田は目をきらきらと輝かせながら、歓喜の声を上げる。
「ほらほら、二人とも早く席に着いて!」
玉緒はにこにこしながら二人を促す。滋悟郎はすでに渋い顔をして腕を組んで座っていた。
「ふん!待たせおってからに!一体わしが出て行ったあと、道場で何しておったんじゃ〜?
まさかチチクリ合っとんじゃなかろ〜の〜?」
ドキ‥‥!!
軽く牽制しただけのつもりが、予想外の二人の硬直ぶりを目の当たりにし、滋悟郎も思わず焦った。
「ま、ま、まさか‥‥!おぬしたち‥‥!ど、道場で‥‥!?」
二人を指さしながらぶるぶる震える滋悟郎に、玉緒が冷静に割って入った。
「はいはい、お父さん。もう、なに新年の朝から馬鹿な事おしゃってるんですか!早くお料理食べましょう!」
「そ、そうよ!おじいちゃん!もう、朝っぱらからやあね〜、ね、松田さん?」
「い”!?あ、ああ、そ、そうですよ!なに言ってるんですか、滋悟郎さんってば‥‥ははっ!はははっ!」
松田のはははははっ!と乾いた笑いに包まれたまま、猪熊家のお正月が始まった。
まだ少し疑っている滋悟郎は、松田が料理を取ろうとすると巧妙に邪魔してくる。
それに気づいた柔は、自ら料理を取って「はい、松田さん!」と手渡しして、滋悟郎にあっかんべ〜をする。
松田はそんな二人の間でおろおろしていたが、次第に柔に守ってもらうのは情ないと思い、滋悟郎の挑発を受けて立つことにした。
かくして新年早々、猪熊家の食卓では醜い料理争奪戦が繰り広げられることになったのである。
火花散る箸と箸の攻防、宙を飛び交う料理、取った料理にかけられる唾攻撃‥‥まさに意地と意地のぶつかり合い。
「はぁ‥‥はぁ‥‥おぬし、なかなかやるのう‥‥」
「はぁ‥‥はぁ‥‥滋悟郎さんこそ‥‥」
お互い肩で息をしながら、食卓を挟んで睨みあう。
「はいはい、二人とも!それくらいにして、ちゃんと座ってゆっくり食べましょう?」
しばらくことの成り行きを見守っていた玉緒から冷静にこう切り出されて、我に返った松田と滋悟郎はバツが悪そうに腰を落ち着けた。
「ふん!まだ勝負はついとらんからな!」
「いつでも受けてたちますよ!」
二人の決着は次回に持ち越されることとなった。
3681992年の冬のこと:2009/05/08(金) 22:04:20 ID:JVNWTQc8
<46/100>
それから比較的平和な食事が終えると、柔が松田に話し出した。
「今日は、お昼から富士子さんと花園くんが来ますので、一緒に初詣に行きましょう!」
「お、いいね!初詣か〜!富士子さんたちが一緒なら問題ないな!」
「でしょう?富士子さんが、ずっと家にいたらつまらないでしょうからって誘ってくれたんです」
「そうか、本当に優しいな、富士子さんは」
二人が楽しそうに談笑しているところに滋悟郎が割って入ってきた。
「うむ、初詣か。わしも行くぞ〜!」
「えええええっ!!?ちょ、ちょっとおじいちゃん!!」
「なんじゃ?わしだけのけもんにする気か〜?」
「そ、そうじゃないけど‥‥いやよ!おじいちゃん、絶対邪魔するもん!」
「なんの邪魔じゃ〜?そこの三流記者とのでいとか〜?よかろう、そう言ってわしを邪魔者扱いするなら、
今から新聞各社及び週刊誌に電話して、おぬしたちのことみーんなバラしてやるわい!」
「な‥‥なに言ってるの、おじいちゃん!!」
「滋悟郎さん!大体、マスコミになんかバラしたら、柔さんが柔道に集中できくなってしまいますよ!?」
「ふぉ〜っ、ふぉっふぉっ!!それも一時のことじゃ!おぬしたちはマスコミどもに追い回されて、疲れ果て、
あとは破局への道を突き進むのみじゃ〜!!さすれば色恋沙汰なんぞから解放されて、柔道だけに集中すればよい!」
「ひっどーーーーい!!おじいちゃん、サイテー!!」
「滋悟郎さん!そんな卑怯な‥‥」
「ふぉ〜っ、ふぉっふぉっ!!」
「お父さん!!そんな子どもみたいな駄々をこねないで下さい!!」
玉緒の冷静な一喝が入り、滋悟郎の笑いがぴたりと止まった。みんなの非難がましい視線が痛いほど注がれる。
自らの形勢の不利を悟った滋悟郎は、作戦を変えることにした。
「うっうっ‥‥わしゃあ、老い先短いんじゃ‥‥もうひ孫の顔も見れんかもしれん‥‥いや、孫娘の結婚式でさえも危ういのう‥‥
せめて‥せめて、未来の孫夫婦と一緒に初詣をしたいというわしの夢を!夢をかなえてはくれんじゃろ〜か‥‥?」
「み、未来の孫夫婦ぅ〜??」
思いがけない滋悟郎の発言に、柔と松田は真っ赤になった顔を見合わせた。
「そうじゃ‥‥のう、柔?」
「そ、そこまで言うんだったら‥‥」
柔は”未来の孫夫婦”という言葉に大きく釣られて照れまくりながら、思わず承知してしまった。
もちろん、袖の下に隠した滋悟郎の口からは大きくあっかんべ〜が出ている。
松田は嫌な予感がしたが、柔が承知したのでとりあえず従うことにした。
3691992年の冬のこと:2009/05/08(金) 22:04:40 ID:JVNWTQc8
<47/100>
富士子たちが来る前に柔は準備があるからと、玉緒と一緒に奥の和室へと行ってしまった。
残された松田は仕方なく滋悟郎の相手をする羽目になる。滋悟郎は将棋を持ち出して来て、勝負じゃ!と誘ってきた。
穏やかな展開は望めないことが目に見えているので松田は渋ったが、結局強引に付き合わせられることになった。
しかし、意外にも松田は強かった。滋悟郎は自信があったので、予想外の展開に焦り出す。
「へへっ、実は俺、よく親父とさしてたんすよ」
ちょっと得意げな物言いがますます滋悟郎に火をつける。
(おのれ‥‥このまま負けるわけにはいかん‥‥)
勝負に勝って先ほどの雪辱を晴らそうと思っていたのに、負けてはプライドが許さない。
いっそのこと事故に見せかけて将棋盤ごと倒そうかと思案しているところに、柔と玉緒が入ってきた。
「柔さん‥!!」
松田は振り袖姿の柔に目が釘付けになる。
「似合いますか?」
はにかんだ顔で袖や裾をいじりながら尋ねてくる柔は、桜色を基調としたその振り袖が本当によく似合っている。
「す、すごく‥‥」
だんだんと自分の顔が赤くなっていくのを感じつつも、その美しさに目が離せないでいた。
滋悟郎はチャンス!とばかりに「おお〜!柔!よく似合っとるの〜!!」と駆け寄る際に将棋盤を蹴飛ばした。
散らばった駒を見て一瞬松田は苦笑したが、柔の振り袖姿の前にどうでもよくなった。
「さあ、次は松田さんの番ですよ!」玉緒が手招きする。
「ええっ!?俺の番って??」
「主人ので申し訳ないんですけど、せっかくだから松田さんも着物をお召しになった方がいいかと思って‥」
「えっ!で、でも‥‥」
ためらっているところで、自分に向けられた柔の期待に満ちあふれた視線にふと気づいた。
そうか、これは柔さんの強い希望でもあるんだ‥‥そう察した松田は承諾した。
背格好が同じくらいのせいか、虎滋郎の着物はぴったりだった。
「よく似合ってますよ、松田さん」
松田に着せ終わった玉緒が感心したようにそう言って微笑む。
「そ、そうですか?」
へへへっ‥と照れ笑いを浮かべると柔の元へと向かった。
「あ!松田さん!」柔が小走りに駆け寄ってくる。
どうかな?と聞かなくても柔の表情を見れば、気に入ってくれたのが簡単にわかった。
3701992年の冬のこと:2009/05/08(金) 22:05:15 ID:JVNWTQc8
<48/100>
もうすぐお昼になろうかという頃、「こんにちは〜!」と玄関の方から声が聞こえた。
「あ!富士子さんだ!」
松田とこたつに入って談笑していた柔は嬉しそうに立ち上がって、二人で一緒に玄関まで出向く。
「猪熊さ〜ん、松田さん!あけましておめでとう〜!」
富士子と花園もやはり着物姿で来ており、二人揃って相変わらずの笑顔で新年の挨拶を述べた。
「おめでとう、富士子さん、花園くん!」
「あらぁ!猪熊さんも、松田さんも、着物がすっごくよく似合って!なんだか新婚さんのお宅にお邪魔したみたい!」
富士子の言葉に二人はすぐに顔を赤くしたが、柔は照れを隠すかのように慌てて切り返した。
「富士子さんと花園くんもすっごくよく似合ってるわよ!‥‥あら?フクちゃんは?」
「初詣はすごく混んでるだろうから、花園さんの実家に預けて来たの」
「そうなの‥。あ、そうだ!ごめんね、今日、おじいちゃんも一緒に初詣に行きたいって‥‥」
「滋悟郎先生が?全然かまわないわよ〜!先生も一緒の方が賑やかでいいじゃない〜!」
「賑やかね‥‥」
やはり一抹の不安を拭いきれない松田が、どこか浮かない顔で呟く。
と、そこへドスドスと足音を立てて、紋付袴姿の滋悟郎が合流してきた。
「ふぉ〜っふぉっふぉっ!さて、行くとするかの!」
富士子たちは滋悟郎にも挨拶をすると、みんなで花園の車に乗り込む。
後部座席に柔が乗り込んで、続いて松田が乗ろうとすると、すかさず滋悟郎が割り込んで来た。
(さっそくそうきたか‥‥)
柔と松田の間にしっかりとふんずりかえって座った滋悟郎を見て、松田はため息をついた。
柔はもちろん怒ったが、みんなの手前、無理にどかすわけにいかず、頬を膨らませて滋悟郎を睨むことくらいしかできなかった。
「さ、さあ!出発〜っ!!」
後部座席に流れる微妙な空気を察知した富士子は、精一杯明るい雰囲気に持って行こうと頑張るのであった。
3711992年の冬のこと:2009/05/08(金) 22:05:44 ID:JVNWTQc8
<49/100>
一行が向かったのは、初詣のメッカ、明治神宮である。
到着すると予想通りの大混雑であったが、それがかえって人目につきにくいのではと思われた。
「すごい人だな!」
「本当に!じゃあ、私は猪熊さんと一緒に‥‥あら?滋悟郎先生は?」
柔と腕を組みかけた富士子は、先ほどから滋悟郎の姿が見当たらないことに気づいた。
「きっと、さっさと出店で何か食べてるに違いないわ!」
柔の予想通り、滋悟郎はあちこちの店に寄って大量に食べ物を購入しては、一人で食べ歩きを開始していた。
4人はそんな滋悟郎を放って、境内へとゆっくり歩を進めて行く。
松田と花園が人混みをかき分ける盾となり、その後ろに柔と富士子が続いた。
油断するとすぐに人波に押し流れそうになる大混雑の中、前二人は時折後ろの女性陣の様子を見ながら、必死に突き進んだ。
少し人混みがさばけたところで、富士子が少し苦しそうに切り出した。
「ちょ、ちょっと、休みません?」
慣れない着物でこの人混み、少々疲れたようだった。
「あ!あそこにベンチがあります!」
花園が見つけたベンチに向かうと、柔と富士子を座らせる。
「ふ〜う、やっぱ着物って苦しいわね〜!」
富士子はだらりとベンチにもたれかかると、少し恥ずかしそうに笑った。
「本当!私も歩くだけで大変!」
柔も同意して富士子の方を見て微笑む。
「二人とも、何か欲しいものある?俺、買ってくるよ!」
そんな二人の様子を少し離れたところから見ていた松田が声をかけた。
「う〜ん、そうですね‥‥では、何か飲み物をお願いします」
「わかった!何かおいしそうなものも買ってくるから!」
「僕も行きます!」花園も松田の後を追って、人混みへと消えていった。
残された柔と富士子は、久しぶりに二人でゆっくり話す時間を持った。
「ところで猪熊さん、どうなの?松田さんとは‥‥」
「ど、どうって!別に‥‥ふ、普通よ!」
「ふふふ!普通だなんて、もう!すっごく仲良さそうなんだから〜!
松田さんって本当、猪熊さんのこと大事にしてるって感じ!いいな〜!ねっ?」
「や、やだ!そんなこと‥‥そんなこと‥‥」
「ないの?」はっきり言わない柔に、富士子がちょっとからかってみる。
「‥‥なくは‥ないけど‥‥」小声で告げると耳の先まで赤くなってしまった。
「あ〜もう!二人がなかなかくっつかないから私、本当にもどかしかったんだから!
長い間両思いでやっと一緒になったんだから、あとはもうすぐ結婚かしら!?」
「け、結婚って‥‥!!」
「やあね〜、そんなに驚くことないじゃない。したくないの?松田さんと」
「そ、それは‥‥」
動揺している柔の耳に、聞き覚えのある声が聞こえてきた。
3721992年の冬のこと:2009/05/08(金) 22:06:08 ID:JVNWTQc8
<50/100>
「あら!?あれは‥‥!猪熊柔じゃありませんこと?」
ふと声の方を見てみると、かなり人目をひく豪華絢爛な着物を身にまとった、さやかお嬢様の姿があった。
その後ろには、控えるように風祭と徳永の姿も見える。
「さやかさん‥‥!」
柔は思わず立ち上がって、さやかに近づいて行く。富士子も後に続いた。
「まあまあ、新年早々こんなところでお会いするなんて全く奇遇ですわ!
わたくし、普段こんな人混みの多い汚らしいところは来ませんのよ?
今回はわたくしが結婚して初めての新年ですから、記念に来てみましたの。ね〜、進ちゃん?」
さやかの後ろに隠れるようにいた風祭はびくっと体を震わせる。
「え、ええ、そうですね、さ、さ〜や‥‥。や、柔さん!お久しぶりです」
「風祭さん‥‥お久しぶりです」
少しとまどいの表情をみせながら、柔は頭を下げた。
(柔さん‥‥いつ見ても美しい‥‥!!)
風祭は久しぶりに見る柔の色香にすっかり鼻の下を伸ばす。
不本意ながらさやかさんと結婚してしまったけど‥‥僕の心はまだあなたにあるのですよ、柔さん!
あの国民栄誉賞授与式の際はどうなることかと思ったけど、松田さんはもうアメリカに行ったし、邪魔者はいなくなった!
まだ!まだチャンスはある‥‥!
なんてことを妄想しているところに、その邪魔者の声がリアルに聞こえてきた。
「あーーっ!!本阿見さやか〜!と、風祭!?何してんだ、こんなところでーっ!?」
(え”っ‥‥?)
真っ青になって声の方を見ると、両手いっぱいに食べ物を抱えて目を見開いている松田の姿があった。
「ま、ま、‥‥」声が出ない風祭の代わりに、さやかがずいっと前に出た。
「あ〜ら、三流記者さんじゃありませんこと?あなた、アメリカに飛ばされたはずじゃ?
ああ、わかりましたわ!猪熊柔のお守りに戻って来ていらしたのね!庶民同士、と〜ってもお似合いな二人ですこと!」
ほーーーっほっほっほ!と高らかな笑いが周辺にこだまする。
「お守りだなんて‥‥」
その言われ方にショックを受けながらも、あながち嘘ではない事実に柔は頬を赤らめる。
「な、何を言ってるんだ!俺はただ、休暇で日本に戻って来てるだけだ!柔さんは関係ない!!」
松田はとりあえず、今二人の関係がばれたらまずいと、必死に弁明する。
「そうよ、松田さんは私が誘ったのよ!」
富士子も松田に協力するため、すかさず援護した。
「そんなことはどうでもいいですわ。猪熊柔の相手が誰かなんて、みんな興味なくってよ?ね〜進ちゃん?」
ことの成り行きをうわの空で見つめていた風祭は、はっと我に返った。
「え、ええ!そうですね!とりあえず、松田さんってことはないと思いますよ!いや、絶対に!!」
(そ、そうだ‥‥そんなことあってたまるものか‥‥!)
威嚇するかのように、キッと松田を睨みつける。
「へっ‥‥」
松田は特に否定もせずに、風祭にべ〜と舌を出した。
「今日は午後から、本阿見家の新年会がありますの。是非あなた方もいらして?
わたくしと進ちゃんが夫婦で取り仕切る、初めての新年会ですのよ!ほーーほっほっほっ!」
「え、私‥‥」
柔が断ろうと言葉をつなぎかけた瞬間、近くの茂みから滋悟郎が飛び出してきた。
「うむ!その話、しかと承知したぞ!」
「おじいちゃん!!今までどこに行ってたのよ!しかも、勝手に承知しないで!」
「ふぉーっふぉっふぉっ!よいではないか!うまいものがぎょーさんあるんじゃろ?」
「え、ええ、ありますわよ」
さやかも思わぬ滋悟郎の登場に一瞬怯んだが、すぐに持ち直した。
「よーーし!決まりじゃ!柔、嫌とは言わせんぞぉ〜?のお、松っちゃんよ?」
(う”‥‥また、脅迫か‥‥)
滋悟郎のマスコミにバラすという脅しはいつまで続くのだろうか‥‥松田は絶望的になった。
「猪熊さん、いいの?私たちは全然かまわないけど‥‥」
富士子が心配そうに柔の顔を覗き込んだ。
「‥‥仕方ないわ。おじいちゃん、言い出したら聞かないもの‥‥」
さやかと滋悟郎の高笑いが渦巻く中、それぞれがそれぞれの思いを胸に立ち尽くすのであった。
373伊太郎:2009/05/08(金) 22:07:00 ID:JVNWTQc8
以上です!
374名無しさん@ピンキー:2009/05/08(金) 22:32:43 ID:xWF9CQC+
自分語りがウザイおっさん、まだいたのかよ
さもどこかへ出かけていたような口振りして、ホントはビビって様子見してたことくらいお見通しだけど
アンタがしょうもないSSモドキを投下すると他の真面目な書き手さんが遠慮して書けなくなるんだよ
原作とはまるで別人のキャラが喋る台詞だけで進行する文章って見た目も内容もスカスカで
むしろ台本形式の方がスッキリしてて潔いぞ
あと二点リーダーの使い過ぎも、キャラが知恵遅れに見えて果てしなく萎える
少しは他の書き手や読み手のことも考えて行動してくれや
頼むから
375名無しさん@ピンキー:2009/05/08(金) 22:50:19 ID:vLxP9klm
伊太郎さん乙です。
376名無しさん@ピンキー:2009/05/08(金) 22:59:32 ID:aa4Za6oR
伊太郎さん、本当に乙でした。
続き探して見せます!
知恵遅れの荒らしが去ったらいつでも戻ってきてくださいね
377名無しさん@ピンキー:2009/05/09(土) 00:03:12 ID:LZ/vBHrs
>>373
ごめん、中々探せない…。
せめてヒント下さい。
378つや姫:2009/05/09(土) 08:41:29 ID:2rewnXty
>>374
だったら来んなカス
なら伊太郎さんより高度なSS投下しやがれ腐れクレクレ厨

あんたがこのスレ保ってちょうだいよ私も抜けるから。
379名無しさん@ピンキー:2009/05/09(土) 09:26:41 ID:3HxdH2Ao
374の童貞!禿げ!引きこもり!!
頼むから消えてくれ。
つや姫さん、伊太郎さんから萌えを貰えなくなったじゃん!
最悪・・・。
380マリリン:2009/05/09(土) 10:32:06 ID:6fkGr8f0
伊太郎さんのSSがここで読めないのは残念です。
松田さんが将棋強かったり着物着たり、
風祭さやかも登場して面白くなってきたのになあ…
頑張って投下場所さがして見つかるかどうか…

で、私の方は、これでやっと>>220-222までつながる、
というところまで書いたのですが
PCがアク禁くらって、しばらく投下できませんorz
381名無しさん@ピンキー:2009/05/09(土) 11:04:45 ID:AWZuUTi9
マリリンさん乙です。
続き楽しみなので、待ってますね。
規制が早く解けますように!

伊太郎さん、つや姫さん乙でした。
本当はこちらでお二人の続き読みたかったです…
>>374はスレ潰しの荒らしか、ただの粘着KYなのでスルーしてくださると思ってたのですが
こんなのにスレが監視されてると思ったら投下したくなくなりますよね。

でも本当に寂しくなります
382名無しさん@ピンキー:2009/05/09(土) 12:54:26 ID:JhGl214D
マリリンさん楽しみにしてますよ!
383つや姫:2009/05/09(土) 15:54:02 ID:2rewnXty
どうしようかなあ…って感じです。

私も半端はイヤなので、しばらくしたらSSの続きやりたいと思います。
それまで完成させておきます。


伊太郎さん、気が向いたらでいいのでいつか帰ってきてね。
384名無しさん@ピンキー:2009/05/09(土) 17:14:51 ID:AWZuUTi9
つや姫さん
すっごく気になる所で止まっているので、
投下してくださるの本当に嬉しいです!
気長にお待ちしております
385名無しさん@ピンキー:2009/05/09(土) 18:55:32 ID:uFehopLx
釣られてはイカンとは思うが…
374や、誰も君みたいな連休の暇潰し野郎の頼みなんかキカンし、ビビりもせんよw

伊太郎さんのせいで投下しづらいとか全然ないし。
スレの流れも読めないようなヤツだから作品もまともに読めんのだねww
386名無しさん@ピンキー:2009/05/09(土) 20:21:09 ID:JhGl214D
だからみんな釣られすぎだって。華麗にスルーしとけば良いのさ。
387名無しさん@ピンキー:2009/05/10(日) 02:50:00 ID:M7uWkezY
悲しくてしかたない。馬鹿一人のせいで雰囲気良かったこのスレが…
楽しみを返せ!責任とれ!
目の前にいたらひっぱたいてやりたい。
頼むから続きお願いします。泣きたい。
388名無しさん@ピンキー:2009/05/10(日) 16:28:49 ID:YSck0oth
ID変えて必死で助命嘆願してるのも本人だよ
そこまで言うのなら……って復活する気だろうがw
389名無しさん@ピンキー:2009/05/10(日) 16:49:06 ID:nDkVMrOO
俺はマリリンさんのファンだからあなたのSSが読めればそれで満足ですよ
荒らしなんかに負けないで頑張って下さい
390名無しさん@ピンキー:2009/05/10(日) 16:51:43 ID:00BGv62T
よくある流れだけどくやしいなあ
続き読みたかったです…
391名無しさん@ピンキー:2009/05/10(日) 16:54:50 ID:WZh0Gi3T
>>388
必死なのはお前独りだろうがwww
KYはさっさと去れカスが
392名無しさん@ピンキー:2009/05/10(日) 17:15:10 ID:hof3wjqM
一人の荒らしですっかり雰囲気悪くなったね。

YAWARAのSS読みたい住人さんの年代って結構高い人が多いイメージだけど、
少々の荒らしをスルー出来ないのかな?
伊太郎さんだってこのスレ立ち上げた時に>2でスルーしてって書いてるじゃん。

正直な所YAWARAのSSって需要はそんなに無いと思うし、今までだって少人数が細々と続けて来た訳だから
少々なことは気にせずに書きたい物を書いていけばいいじゃない?
皆がイエスマンじゃない。荒らしなんか関係なしに、批判めいたレスは付き物ですよ。

…と1からずっとROMっていた者の戯言でした。

>伊太郎さん、貴方のSS面白かったです。
続きが読みたいけど中々投下場所が見つかりません…。
393名無しさん@ピンキー:2009/05/10(日) 19:24:34 ID:H5D43inU
マリリンさん、よかったじゃないか
これで事実上アンタの専用スレになった訳だし
作戦通りに事が進んでよかったな
394名無しさん@ピンキー:2009/05/10(日) 19:49:18 ID:oIf0RHFl
「作戦通り」…何処の少年探偵団!?
こんなアホそうな子供にアラされてたのか…脱力…。
395名無しさん@ピンキー:2009/05/10(日) 20:08:34 ID:njSxPt+q
釣られても良いことはないので以降食いついちゃダメだよー
可哀想な子を見る目でスルーしましょうね

つや姫さん、マリリンさん続き楽しみにしてますね
伊太郎さんも気が向いたら戻ってきてくださいね
396名無しさん@ピンキー:2009/05/10(日) 20:13:01 ID:7nCDA3GR
アイタタタ
マリリンさん痛すぎw
397名無しさん@ピンキー:2009/05/10(日) 20:15:26 ID:rkgYsjsj
>>394
まあ、こんな見え透いた手を見破られないとでも思っていたのなら
マリリン氏は確かにアフォなお子様だな
398名無しさん@ピンキー:2009/05/10(日) 20:27:03 ID:uwPkHNT6
>>伊太郎さんだってこのスレ立ち上げた時に>2でスルーしてって書いてるじゃん。

書き手がスレ立てしちゃダメっていう典型的な見本なわけで
399名無しさん@ピンキー:2009/05/10(日) 20:33:02 ID:RL9IipQM
気色の悪い、俺流『それからのYAWARA』を読まずとも、コミックス読み返せばいいや
俺も去るわ。今までありがとなノシ
400名無しさん@ピンキー:2009/05/10(日) 21:31:52 ID:UFBvzx05
何はともあれつや姫さん、マリリンさん、楽しみにしてますよ!
401名無しさん@ピンキー:2009/05/10(日) 21:44:01 ID:jkbCIync
俺もマリリンさんの今後を楽しみしてますよ
楽しみにねw
402名無しさん@ピンキー:2009/05/10(日) 22:28:49 ID:WZh0Gi3T
さて、職人さん方が投下してくれるまでマターリ保守しますか

伊太郎さんの続き探してるけど見つからないorz
見つかった人います?
403名無しさん@ピンキー:2009/05/10(日) 22:44:18 ID:hof3wjqM
>>402
結構あちこち探したつもりだけど見つからない…(T_T)
せめてヒントプリーズ…
404名無しさん@ピンキー:2009/05/10(日) 22:59:43 ID:odeeVfbl
ブラッフだよ
ハッタリかまして君たちをヤキモキさせて「やっぱり帰ってきて」って言わせたいのさ
読み手をコケにするような書き手に帰る場所なんぞはもうないけどw
405名無しさん@ピンキー:2009/05/10(日) 23:07:23 ID:J2ex41HI
なんか変なのいるなあ。無念だわ。
406名無しさん@ピンキー:2009/05/10(日) 23:08:39 ID:ws5ANSFZ
>>404
能書きはいいから、早く投下しろや。
407名無しさん@ピンキー:2009/05/12(火) 12:22:48 ID:kIAkzCJ2
のんびり待ってますよ〜
保守
408名無しさん@ピンキー:2009/05/12(火) 21:40:35 ID:L+SoBhxB
伊太郎さぁぁぁん
投下先見つからねぇぇぇぇぇっ
409名無しさん@ピンキー:2009/05/13(水) 13:17:38 ID:OrkmLjXA
私も探してるけど見つからない…
あ〜あ、バカのせいで(怒)
410名無しさん@ピンキー:2009/05/13(水) 18:29:52 ID:HCwBV9Q8
叩きが言ってるようにブラッフなんだろうよ
俺たちゃいいように騙されてるんだよ
他人の心を弄ぶ奴は絶対に許しておけない
411名無しさん@ピンキー:2009/05/13(水) 19:13:43 ID:DkLOCx1Y
>>408-409
気持ちはわかるけど、荒らしを釣らないでw
412名無しさん@ピンキー:2009/05/13(水) 22:12:54 ID:FYigJvL8
職人さんたちの投下をまったり気長に待ってます
413名無しさん@ピンキー:2009/05/14(木) 06:37:30 ID:m4PiZiVp
ブラフをブラッフっていう人を初めて見た。
そしたら3日後に二人目を見つけた。
これが自演だったら恥ずかしすぎるので違う人だと信じたい。
414名無しさん@ピンキー:2009/05/14(木) 07:37:26 ID:CTqoJGoq
たぶん二人目の人は知ったかで先の人の真似をしただけなんじゃないかな
悪意を持たずに考えれば、普通に導き出される回答だと思うけど
どうやら卑しい心の中をさらけ出してしまったようですね
>>413が誤認することまで計算して“ブラッフ”と書き込んだのなら
まさに荒らし恐るべし
415名無しさん@ピンキー:2009/05/14(木) 08:05:28 ID:Jlohnh8d
本当に恥ずかしいやつだなお前はwww
416名無しさん@ピンキー:2009/05/14(木) 08:14:02 ID:nVJpqIe0
>>414は穿ちすぎだ
つか、普通にブラッフとも言うだろう
それを初めて見たなんてどういう引き籠もりなのw
詐欺師がカジノを成敗する往年のイタリア映画の邦題にもなってるのとか知らないのかな
勝手に決め付ける態度もそうだけど、古い洋画とか知らない人って余り教養ないように感じるなあ
417名無しさん@ピンキー:2009/05/14(木) 10:04:31 ID:Jlohnh8d
以上、知識の量と頭の良し悪しは関係ないという事がよくわかるレスでした

いつまでも荒らしの言葉に反応してんじゃねえよ
418名無しさん@ピンキー:2009/05/14(木) 10:30:50 ID:X4t1g0KR
そうなんだよな
>>413みたいに知識の量も少なく、頭の悪い人間は最悪だよ
たぶんだけど、>>413って痛郎さん本人なんじゃないかな
きっとそうだよ
おかえりなさい
419名無しさん@ピンキー:2009/05/14(木) 15:22:32 ID:xED+hyHK
お前が痛い
420名無しさん@ピンキー:2009/05/14(木) 18:11:43 ID:UPViC+WV
一々ageるなよ、このバカが
421名無しさん@ピンキー:2009/05/14(木) 18:15:52 ID:xED+hyHK
自演
422名無しさん@ピンキー:2009/05/14(木) 18:29:35 ID:xED+hyHK
もとい、「自演」ばかり。
バカはお前。
>>420
423名無しさん@ピンキー:2009/05/14(木) 19:34:40 ID:UPViC+WV
なんだこの野郎は
他の荒らしを引き込むことになるからageるなって言っただけだろうが
424名無しさん@ピンキー:2009/05/14(木) 20:18:06 ID:EXZLUp5E
馬鹿のせいでしばらく投稿はないですか?
※書き手御三方さん達へ(伊太郎さんも含む)
時間経ってもいいので、簡潔まで必ずお願いします。
ものすごく楽しみだったので、最後まで読みたいのです。
YAWARA好き同士としてお願い。
本当に腹立つ!馬鹿のせいで、馬鹿のせいで。
425名無しさん@ピンキー:2009/05/14(木) 20:21:37 ID:QLp2Lx3B
>>424
激しく同意
是非とも簡潔にお願いします
いきなり最終回とかシュールでいいですよ
426日本でのエピソード マリリン:2009/05/14(木) 21:07:30 ID:zFExVmW0
「バルセロナに着いたのはいいけど、ホテルが全然なくってね〜。
 当然よね、耕作と鴨ちゃんの部屋だって、一部屋しかとれなかったの
に。
 それでね、現地のお兄さんが部屋を紹介してくれたんだけど、
 その人、人さらいのギャングだったのよ。バカよね〜あたし。
 見事にひっかかっちゃって。それから何日も監禁されていたんだけ
ど…」
邦子が一方的にしゃべり続けるのを、柔は黙って聞いていた。
「助けに来てくれたのよ、耕作!
 柔ちゃんの試合を見たかったはずなのに、あたしのこと心配してくれ
て…」
「松田さん…そんなことがあったんですね」
柔は、48キロ以下級の試合に耕作がいなかった理由を、このとき
はじめて理解した。
「王子様みたいだったわよぉ、耕作ゥ。本当にかっこよかった。
 一時はどうなるかと思ったけど、助かって良かったわよ」
「ええっ!?そ、そんなに危なかったんですか!?」
ギャングからどう逃げたのか、かつて耕作から聞かされた柔だったが、
あの時はほとんど耳に入っていなかった。
改めて邦子からパメラやタクシーおじさんの話を聞かされ、
耕作たちの逃走劇がどんなに危険なものだったかを知った。
「耕作って、本当にバカよぉ。命がけで逃げているときも『柔さん柔さ
ん』言ってて。
 でもあの時は、耕作が好きなのはあたしだと思ってた。全然気づかな
かったな〜…
 …柔ちゃんが泣いて帰ったあの時よ、耕作の本心を知ったのは」
バスタオル一枚の邦子とホテルで鉢合わせしたとき、
耕作と邦子はそういう仲なのだと思い込み、絶望した柔だった。
邦子さんの言っていたことはすべて嘘…。じゃあ、松田さんはあの時…?
「柔ちゃんが帰った直後なの、耕作が帰ってきたの。買い物に行ってた
のよ。
 逃げたときにスーツケースなくなって、着替えもなかったし、食事も
してなかったし」
「じゃあ、『たった今出て行った』というのは…?」
「ごめんね、あれも嘘だったの。耕作とは本当に何もなかったんだから
安心してね!
 …とは言っても、信じてもらえないかもしれないけど…」
柔の表情が沈んでいるように見えたのか、邦子は困ったような顔をして
言った。
427日本でのエピソード マリリン:2009/05/14(木) 21:09:39 ID:zFExVmW0
松田さん…本当に邦子さんとは何もなかったんだ…。
あたし、何年も誤解してた…。松田さんのアパートに行ったとき、
「邦子さんと付き合ってるくせに、なんていやらしい人!」なんて思って
怒って帰って、それからもずっと冷たくしちゃってた…。
他にも、たくさん怒って、酷い態度をとってきて、
あたし、松田さんの話を聞こうともしなかった。
あんなに長い間、ずっと見守っていてくれたのに…。

柔は心の中でずっと反省しきりだったのだが、
邦子はそれを「耕作を信じるかどうか迷っている」と勘違いしたよう
だった。
「柔ちゃんを追い返した後、耕作を誘惑したんだけど、ダメだったの。
『君は大事な相棒だ、だから助けたんだ』って、背中向けて言われ
ちゃった。
『それに俺には好きな人がいる』って」
柔は何も言えず、ただ邦子の話を黙って聞いていた。
「『相手はスーパースター。無理だと分かっている。だけどあきらめら
れない』って。
 耕作、本当に昔から柔ちゃんに惚れてたのよ、あんな一途な男は今時
珍しいわよ」
邦子は、柔に信じてもらおうと思い、必死で説明した。
「まあアイツは、金メダルの柔ちゃんと自分は釣り合わない、と思って
たから
 いつまでもはっきりしなかったんだけどね…そんなの関係ないじゃな
いよ、ね?」
「はい…鴨田さんにもそう言われました」
何年も前から好きだったのに、耕作が柔に告白できなかった理由を、
柔は鴨田から聞かされていた。
彼が自分を三流記者だと思い込んでいることが、柔には理解できなかっ
た。
「あたし、松田さんのお仕事はすごいと思っています」
「柔ちゃん…?」意外な言葉に、邦子は首をかしげる。
「松田さんの記事が好きです。歓声が聞こえるんです。
 今は柔道の記事はないですけど…それでも毎日読んでいます」
柔ちゃん、今まで取材をあんなに嫌がっていたのに、ずいぶん変わった
のね…
邦子はそんなことを思った。
「柔ちゃん。それ直接、耕作に言ってあげて。アイツ泣いて喜ぶわよ」
彼にはもっと自信をもってもらいたい。だってあんなに一生懸命に
すばらしい仕事をしているんだから…柔も邦子もそう思っていた。
428日本でのエピソード マリリン:2009/05/14(木) 21:10:54 ID:zFExVmW0
「そうそう!鴨ちゃんといえば…面白いものを預かってきたのよ〜!
 絶対に渡さなきゃいけないものよ!忘れるところだったわ」
邦子は「ジャーン!」と言って、一枚の写真を出した。
こ…これは…あのときの…。柔は目を大きく見開いた。
「鴨田さん…!あのとき、撮ってたんですか?」
成田空港で二人が抱擁している写真だった。
「キャハハ!柔ちゃん、すごいビックリしてる〜!しかも真っ赤
よ〜!!」
柔自身も、顔が火照っていることを自覚していた。
「だ、だって…鴨田さん、何も言ってなかったのに…」
「実は、柔ちゃんと耕作のことが気になってて、駐車場に車停めた後
 見に行ったんだって。しっかりカメラ持参なところは流石よね〜!
 あたしもカメラウーマンだから、その気持ちわかるけどぉ〜」
鴨田は、今は芸能部のカメラマンだ。
しかもスキャンダルが得意な日刊エヴリー所属である。
「大スクープ写真が撮れるかも」という勘が働いたのだろう。
そして撮ったはいいが、鴨田自身も現場を見て感動していたため、
現像するまでは柔には言わず、心の中にしまっておいたのだ。
「大丈夫よぉ、社内の人には見せてないし、新聞にも載せないから。
 はい、これネガ。焼き増ししたい時はいつでも言ってね!
 耕作の部屋みたいにポスターにして貼っちゃう、なんてどぉ?」
ケラケラと邦子が笑いながら言う。
「そんな…おじいちゃんに見られたら大変です!これは大事にしまって
おきます。
 …邦子さん、ありがとうございます。鴨田さんにもよろしくお伝えく
ださい」
「柔ちゃん、耕作がいなくて寂しくても、これだけ写真があれば平気よ
ね?
 でも、アメリカにはいつ行くの?できればすぐにでも行きたいんで
しょう?」
「行きたいです…すぐにでも行きたいです。…今、頑張って倹約してい
ます」
写真を眺めていた柔が、しみじみと言った。
429日本でのエピソード マリリン:2009/05/14(木) 21:12:41 ID:zFExVmW0
「え?倹約?お金ためなきゃ行けないの?」
邦子が顔をしかめた。
「金メダリストが何いってんのよ、テレビ出演のギャラとか、貰ってる
んでしょ?」
「そういうのは、おじいちゃんが管理してるんです。スケジュールも…
 それに、自分で働いたお金で行きたい気持ちもあって…」
そうは言ったものの、こんな調子では数ヶ月先になってしまうなあ、
と柔は心の中でため息をついていた。
鴨田や邦子から話を聞くたびに今までの誤解がどんどん解けて、
そして、耕作の気持ちを理解していくたびに、彼への想いが募っていく。
どうしよう…どんどん好きになっていく…。
早く会ってたくさんお話したいの、また抱きしめてもらいたいの。
柔の心の中は、耕作のことで埋め尽くされていた。
そんな柔に対し、邦子が言い放った。
「まったく、いやなおじいちゃんね。
 …まさか、あたしたちの話、盗み聞きしてないわよね?
 おとなしくしていて貰おうと思って、お酒もってきたのよ」

滋悟郎はというと、「あの二人は松田の話をしているに違いない」
と勘づいていたのだが、菓子と酒をもらっている上に
今更邪魔をしても仕方ないと思い、おとなしく一人で呑んでいた。
金メダルと国民栄誉賞という目標が達成されてしまったので、
恋愛に関して口を挟むことはできない。
「ふん、柔と邦ちゃんの共通点といえば、あやつしかおらんわ日刊エブ
リーめ」

「邦子さん、あたし、いつになるか分からないけれど、
 早く松田さんに会えるように頑張ります。
 そして、松田さんの記事が素晴らしいってこと、ちゃんと伝えます」
「柔ちゃん、行くときは真っ先に報告してよね。
 あと…ちゃんと耕作の家に泊まるんだからね!
 自分だけホテルを予約するとか、野暮なことはしないでよ!」
「ま…松田さんの家に…?」
そこまで考えてなかった、と柔は思った。泊まる…松田さんの家に…?
でも恋人同士ってそういうことだし…でも…でも…どうしよう!
「何一人でパニックになってんのよ、当然でしょ?
 耕作、あたしのことは拒否したけど、柔ちゃんなら喜んで受け入れる
わよ。
 もう!さっさと行って、抱かれちゃいなさいよ!」
でなきゃ、あたしが身を引いた意味がないんだから…と邦子は心の中で
思っていた。
「さーて、そろそろ帰ろうかな、長居しちゃったわね」
「いえ…邦子さん、いろいろありがとうございました。またいらしてく
ださいね」
「また来るわよ、今度はアメリカ旅行の話を聞きに、ね。
 ちゃーんと赤裸々にしゃべってもらうからね、覚悟しといてね〜!」
「は、はあ…」
困ったな…と思いながらも、心は弾んでいる柔だった。
430マリリン:2009/05/14(木) 21:13:25 ID:zFExVmW0
sage
431マリリン:2009/05/14(木) 21:17:47 ID:zFExVmW0
まちがえたorz

どうもです。自分は荒らしは気にしないんで、いつ投下しても良かったんですが
相変わらず規制が解けないんで、携帯に転送してコピペしました。

とりあえず、邦ちゃん柔ちゃん編は一段落ということで。
他お二方の作品の行方も気になるところですが…
432名無しさん@ピンキー:2009/05/14(木) 21:35:26 ID:SOZ4jbM+
やったー
俺はマリリンさんさえいてくれたらそれでいいですから
ハッキリ言って他の書き手より頭一つ図抜けていますよ
これからも応援しますから見捨てないでください
433名無しさん@ピンキー:2009/05/14(木) 22:22:16 ID:asSsYGyB
マリリンさん乙です。待ってました!
自分もずっとPCの方が規制に巻き込まれていますorz
規制解除はまだか・・・
434名無しさん@ピンキー:2009/05/14(木) 22:42:28 ID:F5mPyD0M
>>432
失礼だぞ
頭一つどころか数馬身の差を広げてブッチギリだよ
腰抜けの書き手はここには要らないな
435名無しさん@ピンキー:2009/05/15(金) 00:15:08 ID:YMoRyCwC
いつもよりGJ少ないなぁ
携帯からだと日が変わるまで自演GJできないからか
となると携帯云々は余計な一言だったな
436名無しさん@ピンキー:2009/05/15(金) 01:01:43 ID:8IkHDclZ
伊太郎さんを追い出す切っ掛け作っといて、よくまあやるよ
呆れて物も言えないな
念願が叶ったんだからスレを独占すればいいじゃない
437名無しさん@ピンキー:2009/05/15(金) 08:30:15 ID:I2wOzxu7
GJ!マリリンさん乙です!

つや姫さんも気長に待ってますね
438名無しさん@ピンキー:2009/05/15(金) 14:50:10 ID:n9TsTZZb
失礼な奴が居るな。
誰が一番とかお前のチラシの裏にでも書いておけ。

439名無しさん@ピンキー:2009/05/15(金) 14:56:21 ID:T/tq1x75
片面印刷のチラシを探すのはめんどくさいだろう
440名無しさん@ピンキー:2009/05/16(土) 19:09:53 ID:R/MJsMM2
よぉ〜し
マリリンさんがやる気になってくれたようだ
他のヘボが投下しやがったら総掛かりで滅茶苦茶に叩いてやろうぜ
この際だから本当にここをマリリンさんの専用スレにしてしまおう
441名無しさん@ピンキー:2009/05/16(土) 20:16:34 ID:hwkmh850
>>440
総掛かりも何も、全部一人の粘着荒らしの自作自演だってことくらいみんなわかってるっての
お前の低能な書き込みの特徴は消せないんだよ
ここはお前の専用スレじゃないんだから、お前が出て行け
ここの住人がちょっとかまってやったら、見苦しいほど舞い上がって調子に乗りやがって
バッカじゃねーの?
失せろ
442名無しさん@ピンキー:2009/05/16(土) 20:30:05 ID:8f67dxgh
紳士的な伊太郎さんと違い、乱暴な言葉遣いをするマリリンさんとつや姫さんにはガッカリしました
いくら相手が荒らしと言ってもヤクザみたいな態度をとるなんてショックです
煽りに乗って口汚く罵った時点であなた達も荒らし同然になり下がりました
書き手の人格がこれでは、作品の方も素直に楽しめそうにありませんね
443名無しさん@ピンキー:2009/05/16(土) 20:54:13 ID:GizVVauT
もうこのスレは終わったな
444名無しさん@ピンキー:2009/05/16(土) 21:07:41 ID:zl+K6djk
>>441
荒らしのレスってすっごいわかりやすいよね
わざとらしいっつーかw

職人様方、自分はマターリ待ってます
445名無しさん@ピンキー:2009/05/16(土) 21:22:18 ID:1tuQq1DL
つや姫さんの続きも楽しみにしてますよ
446名無しさん@ピンキー:2009/05/16(土) 22:28:11 ID:CWFE3+Sw
伊太郎さんマリリンさんつや姫さん
皆に感謝です
447名無しさん@ピンキー:2009/05/16(土) 22:46:56 ID:8f67dxgh
378 :つや姫:2009/05/09(土) 08:41:29 ID:2rewnXty
>>374
だったら来んなカス
なら伊太郎さんより高度なSS投下しやがれ腐れクレクレ厨

あんたがこのスレ保ってちょうだいよ私も抜けるから。



こんな蓮っ葉でヤクザじみた口をきいちゃったからにはもうお終いだろ
こんな奴がいくら真っ当な作品書いたってちゃんちゃらおかしくって読めないよ

つか自分でも離脱宣言してたかw
覚悟の上の暴言だったんだな
448名無しさん@ピンキー:2009/05/16(土) 23:23:05 ID:zl+K6djk
>>442
>>447
もういい加減去れば?
職人さんには待ってるファンがいますから

独りネガキャンしてほんと必死杉w
449名無しさん@ピンキー:2009/05/17(日) 00:00:10 ID:lHGPd+sv
そりゃ売ってきたケンカを迂闊にも書き手が買っちゃったんだから
もう何を言っても遅いだろ
最初の時にスルーしてりゃよかったのに変に正義派ぶるからだよ
こりゃしばらく粘着されそうだな
450名無しさん@ピンキー:2009/05/17(日) 02:03:51 ID:qIlgQvO6
痛郎、不覚にもワロタw
451名無しさん@ピンキー:2009/05/17(日) 03:04:26 ID:QBPLYY/D
452名無しさん@ピンキー:2009/05/17(日) 05:18:44 ID:VYygtYDX
>>451
とんでもないの貼りやがって!これならまだブラクラや死体画像の方がまだましだ。
453名無しさん@ピンキー:2009/05/17(日) 08:00:47 ID:3738ioZE
伊太郎さんの最初の作品保存して読み返してみた
一気に読むとまた面白くて萌える

つや姫さんもマリリンさんも本当に続き楽しみです

お願いだからみんな荒らしスルーしてよもうww
454名無しさん@ピンキー:2009/05/17(日) 14:14:10 ID:VYygtYDX
本当に心から元のような平和なスレになる事を願っているなら、ROMっているのが一番有効。
スレ落ちしそうな時アゲる位で。
455名無しさん@ピンキー:2009/05/17(日) 14:31:15 ID:C0I7VrhR
寝取られ小説希望
456名無しさん@ピンキー:2009/05/18(月) 00:12:15 ID:KFLMUmga
まあ、少なくともマリリンさんが投下続ける限り、荒らしは居なくならないだろうな
あからさまにケンカ売ってしまったんだから
457名無しさん@ピンキー:2009/05/18(月) 07:24:15 ID:GTEb5nDy
荒らしが出なかったらいい場所だったのになぁ…
458名無しさん@ピンキー:2009/05/20(水) 06:35:00 ID:4Jn364m8
マリリンさん乙です!
原作を思い出しながら、ニヤニヤ読んじゃいました。
北国デートや、柔のお家での続きも早く読みたいです!
柔と松田の甘酸っぱい感じが大好き〜!
459名無しさん@ピンキー:2009/05/20(水) 11:02:04 ID:QtI84+hZ
>>458
同じ人が一人で何度も無理するなよ
スレの監視なら俺が24時間体勢で頑張るから
460名無しさん@ピンキー:2009/05/20(水) 11:57:59 ID:Bx9IPvMP
ん?上のレスの事を言ってるなら別人なんだけど…わからないのかな?
461名無しさん@ピンキー:2009/05/20(水) 12:56:47 ID:QtI84+hZ
分身の術、乙っす
ID変えるくらい朝飯前だろ
462名無しさん@ピンキー:2009/05/20(水) 17:34:30 ID:Bx9IPvMP
あーいつもの人ですか、監視お疲れ様。
暇だったら職人様方がくるまで保守よろしくねー
463名無しさん@ピンキー:2009/05/20(水) 18:00:34 ID:O7mhPvrO
彼も割りかし忙しいんだけどな
なるたけ意に添うよう頼んどくよ
464ゴシラ対マリリン ◆lC7ezpwoqM :2009/05/20(水) 21:33:17 ID:1bmXaHBM
 小田真理は都心にある公園の駐車場でカーセックスに耽っていた。
 瀟洒な外車のシートは運転席、助手席とも目一杯倒され、中央に寝そべった男の上に真理はのしかかっている。
 相手はお洒落なバーでナンパしてきた遊び人風のイケメンである。
 そう言えば名前も聞いていなかった。
 もちろん何をして生計を立てているのかも知らず、限りなく存在感の希薄な男である。
 だが、男の持ち物は凄まじいまでの存在感をもって真理の腹の中を跳ね回っていた。

「ひやぁん。これ、凄すぎるぅ」
 グッと挿入されるたび真理の膣道は破れんばかりに押し広げられ、引くたびに張り出したカリが膣壁を掻きむしる。
 何百本ものペニスをくわえてきた真理のその部分だが、これほどの逸品はお目に掛かったことはない。
「こ、これ……もう……もう手放せないぃ〜ん」

 男の上になった真理は更なる快感を貪ろうと、自ら腰を嫌らしくくねらせる。
 そのはずみで手前に倒されていたシフトノブが真理のアヌスに押し当たった。
 ヒクヒクと開閉を繰り返していたアヌスは、ツルツルに磨かれたナルディの木製ノブを易々とくわえ込んでしまう。
「ひゃん? なにこれ……で、でも気持ちいいっ……やだァ、癖になっちゃう〜ん」
 前と後ろを同時に犯され、真理はいよいよクライマックスへ向かって登り詰めていく。
 その時であった。

 都心の夜空を引き裂くように、けたたましいサイレンが響き渡った。
「な、なんだ?」
 我に返ったイケメンが外の様子を窺おうと半身を起こす。
 その拍子に真理の体が沈み、シフトノブが深々と飲み込まれる。
「ひやぁぁぁ〜ぁぁ、ダメェェェ〜ん」
 S字結腸が貫かれ、真理は白目を剥いて失神した。

 イケメンはそんな真理を払いのけ、車の外へと転がり出る。
 木々の向こうに上半分を覗かせている高層ビル群が見えた。
 そのビル群が木っ端微塵に吹き飛ばされる。
「ひぃっ。ゴ、ゴシラだぁっ」
 瓦礫と化したビルを押し退けて、超巨大な爬虫類が姿を現せる。
 東京を何度も廃墟に変えた悪魔の怪獣、ゴシラであった。
 地響きを立ててゴシラの進撃が始まった。
 イケメンは失神した真理を置き去りにして、さっさとその場から逃げ出す。
465ゴシラ対マリリン ◆lC7ezpwoqM :2009/05/20(水) 21:34:14 ID:1bmXaHBM
 この時を予想して待機していたのだろうか、航空自衛隊の戦闘機があり得ない早さで到着した。
 そしてミサイル攻撃でゴシラに決死の戦いを挑む。
 ゴシラに命中したミサイルが閃光と爆炎を上げるが、超硬度の皮膚には傷一つ付けられない。
 逆にゴシラの発した青白い怪光線に、戦闘機隊は次々に撃墜されてしまった。
 墜落した戦闘機が無傷のビル群に激突し、紅蓮の炎と無数の破片を撒き散らす。

 轟音と振動がようやく真理を目覚めさせた。
「う、うぅ〜ん……はっ?」
 真理は左右を見回すが、男の姿は見つけられない。
 代わりに間近に迫った巨大な影を認めた。
「ゴシラじゃん、こんな時にぃ。空気くらい読んでよねェ」
 真理は脱ぎ捨てていた真紅のボディコンスーツを手に取ると、ドアを開けて車外へと出る。

 開きっぱなしの股間からゴポゴポと白い粘液が吹き返してくる。
 それをタオルで拭き取り、シルクのスキャンティに足を通す。
 もちろんTバックだ。
 続いてボディコンスーツを身に付けると、バッグの中から大ぶりのチェーンベルトを取り出す。
 それをくびれた腰に回し、片手で器用にバックルを留める。
 次の瞬間、真理の体を光の洪水が包み込んだ。
 音も熱もない爆発が奔流となり、その眩い光の中で真理の体がグングンと大きく膨張する。

「あっ、スーパーマリリンだっ」
「マリリンが来てくれたぞぉっ」
 群衆が指差す先に、身長50メートルの巨人と化したマリリンが屹立していた。
 彼女こそお洒落な都心だけを限定的に悪の手から守る、正義の守護女神なのだ。
「頼むぞぉ〜っ、マリリ〜ン」
 熱烈な歓声に気をよくしたマリリンは投げキッスで群衆に応えると、ゴシラへと突進していった。
 ゴシラ対マリリンの壮絶な戦いが始まった。
466名無しさん@ピンキー[sage]:2009/05/20(水) 22:08:52 ID:KowXh5en
携帯から失礼
山形編の続き、待ってますよ
467名無しさん@ピンキー:2009/05/20(水) 23:05:57 ID:Bx9IPvMP
>>465
上手いな、面白いw
乙です
468名無しさん@ピンキー:2009/05/21(木) 00:15:07 ID:Fm3BlfIK
幻のマリリン主演AV『ゴシラ対マリリン』がこんなところでノベライズ化されるなんて
感激です
469名無しさん@ピンキー:2009/05/21(木) 02:06:16 ID:Qy8uJ6uC
ゴジラ対マリリン面白いなw
続きに期待
470名無しさん@ピンキー:2009/05/21(木) 09:26:35 ID:CU54GbB/
>>469
ゴジラじゃねぇ、ゴシラだ
お前、実はYAWARA読んでねぇだろ?
471名無しさん@ピンキー:2009/05/21(木) 11:32:38 ID:awuaPhIj
また荒らす気か・・・
472名無しさん@ピンキー:2009/05/21(木) 13:25:19 ID:w1bnyS4j
自分も普通にゴジラだと思ってたw
マリリンのAVタイトルを正確に覚えてる方がすげえわww

面白かったです、乙
473名無しさん@ピンキー:2009/05/22(金) 22:50:55 ID:qvt715jh
なんでもかんでも面白い年頃なんだな、お前らは
どこがどう面白かったかなんて具体的に何も言えない癖に
これまでもそうやってスレをダメにしてきたんだろうが
474名無しさん@ピンキー:2009/05/23(土) 02:48:22 ID:YAZK04pL
意外にもマリリンのAV面白いw
475名無しさん@ピンキー:2009/05/23(土) 03:00:39 ID:h3veJE5r
アホみたいなSSありがたがってる奴って、単にスレが盛り返すまでの繋ぎとしか思ってないだろ
今は一人でも書いてくれる人が必要な時だからな
上手く行くと逃げていった人達もまた書いてくれるかも知れないし
476名無しさん@ピンキー:2009/05/23(土) 08:33:13 ID:bqrl+xHI
>>473
>>475
具体的にどう面白かったなんて感想書いたら、これから読もうとする人の目に入ったら
ネタばれになっちゃうから自分は書かないよ

あとマリリンAVの人は本当に上手い
内容はお前の言う通り「アホみたい」だが
職人さん間違いなくそれ狙って書いてるだろうしw
なんか上手い人が書いたらどんな材料も美味しく料理出来るんだな…そんな感じだw
477 ◆lC7ezpwoqM :2009/05/23(土) 12:06:39 ID:YDN/WtcQ
バァ〜カが、簡単に引っ掛かりおって
いつもの俺だよ、俺
作家に来て欲しいからって、荒らしの書いたトラップSSを安直に褒めるなんて、お前らどれだけ浅ましいの
結局のところ、お前ら投げ与えて貰った物なら何だっていいんじゃないか
こんな連中に褒められても、痛郎さんだって嬉しくも何ともないだろ

おっと、今さら言い訳は聞かないよ
これだけ面白い面白いって繰り返しちゃった後だから

けど、嘘でも上手いとか言ってくれてありがとなw
じゃあ、また監視に戻るわノシ
478名無しさん@ピンキー:2009/05/23(土) 19:02:31 ID:YAZK04pL
>>477
おまいさんがあのSSを本当に書いたかどうか知らんが
面白いと思えば素直に面白いと誉めるぜ?
実際馬鹿馬鹿しくて良かったしな。
荒らし行為は糞だがそれとSS自体の面白さは別だからな。
479名無しさん@ピンキー:2009/05/23(土) 19:58:03 ID:g0gxPYwu
ナイス負け惜しみw
面白くもなんともなかったくせに

もっとも馬鹿馬鹿しさじゃ痛郎さんには遠く及ばないがね
480名無しさん@ピンキー:2009/05/23(土) 20:32:57 ID:YAZK04pL
>>479
・・・?まあ俺が例のSSを面白くないと思っていると思いたいならそれでいいが・・・。
481名無しさん@ピンキー:2009/05/23(土) 20:55:06 ID:LpljOZaa
何でもかんでも喜んでくれるスレだってことが明らかになっただけで充分なんだろうな
482名無しさん@ピンキー:2009/05/23(土) 22:06:40 ID:WqATUDt3
何書いても面白いって言ってくれるんだからいいじゃないか
頑張って真面目に書いてた人がどう思うかは知らないけど
483名無しさん@ピンキー:2009/05/23(土) 22:28:18 ID:lylAu94I
叩かれようと敢えて下手くそに書かれたSSと、痛郎が頑張って必死で書いた下手くそSSは
このスレの住民にとっては等価値というわけで
484名無しさん@ピンキー:2009/05/24(日) 00:49:12 ID:695Um7Xp
マジで?!自分>>476なんだけど
いつもの人が書いてたなんてすごいびっくりだwww
荒らし行為は誉められたもんじゃないけど
文章はほんとに上手いと思ったよ
そこまで書けるのに何故荒らしてるの?

でもこのスレはSSの完成度より萌えを求めてる人の方が多分多いからさ
(そりゃ上手いに越したことはないけど)
根本的にSSを読む視点が違ってるからこんなに相反するんだろうと思う

で、結局こんなドッキリ仕掛けて何がしたいんだ?w
面白かったけど
485名無しさん@ピンキー:2009/05/24(日) 01:07:09 ID:ZJmmYmll
言い訳もここまで来ると興ざめだな
イタ公を裏切って荒らしを応援してしまったことへの贖罪のつもりか
なんにせよ、言い訳すればするほど惨めになっていくな
今更ながらに貶せばいいだけなのに
素直になりなよ
486名無しさん@ピンキー:2009/05/24(日) 01:30:17 ID:695Um7Xp
文章を書く力はあるのに
素直に読み取る力はないようでw
あのssが出る前と後じゃ、あんたのレスの説得力は全然違ってくるんだけどな

そもそも伊太郎さんとあんたのSSじゃ方向性が全く違うんだから
裏切って応援したも何もないw

荒らしのSS=面白かった
伊太郎さんSS=激萌え

が感想なんでw
487名無しさん@ピンキー:2009/05/24(日) 10:30:00 ID:VnuBGLtq
荒らしを懐柔してスレの雰囲気を修正しようと躍起になってるな
488名無しさん@ピンキー:2009/05/24(日) 10:56:06 ID:Aij8103M
柔スレだけに
489名無しさん@ピンキー:2009/05/24(日) 11:06:11 ID:7Zj+4648
なにこの香しいスレ
490名無しさん@ピンキー:2009/05/24(日) 12:06:37 ID:IZgacb1B
もうダメだろ、このスレ
荒らしのSSを讃えたり
リカバリーとして従来からいる書き手さんを貶めるようじゃ
491名無しさん@ピンキー:2009/05/24(日) 12:34:36 ID:Qnb4IIpP
荒らしをスルーできずにレスしてる時点で終わってる
492名無しさん@ピンキー:2009/05/24(日) 21:58:58 ID:Cm2TgZbR
伊太郎さんの続き見つかった人いる?
493名無しさん@ピンキー:2009/05/24(日) 22:03:09 ID:xfUHNRUy
最初からねぇんだよ、そんなもん
構ってちゃんの戯言だろうが
494名無しさん@ピンキー:2009/05/24(日) 22:54:09 ID:Cm2TgZbR
本当に楽しみだったから、見つけられなくて残念。
つや姫さん&マリリンさんの続きマターリ待ってます
495名無しさん@ピンキー:2009/05/25(月) 00:03:11 ID:oUtzitIb
マリリンさんが投下を続ける限り、荒らしも粘着し続けるんだろうなぁ
迷惑な話だなぁ
496名無しさん@ピンキー:2009/05/25(月) 12:42:08 ID:ijPGEyLc
柔タソ萌え
497名無しさん@ピンキー:2009/05/27(水) 20:24:45 ID:BLEg6NB2
同じく
498名無しさん@ピンキー:2009/05/28(木) 22:32:36 ID:B+mRuok6
俺はマリリンさん萌え
早く来ないかなぁ〜、ウヒヒヒヒヒィw
499名無しさん@ピンキー:2009/05/29(金) 03:09:14 ID:gYs9ITvu
伊太郎さんつや姫さんマリリンさん
待ってるからねー!
それまでは今までのお話をおさらい、おさらい。
500名無しさん@ピンキー:2009/05/29(金) 10:19:32 ID:D5U0eiSt
500(σ・∀・)σゲッツ!!
松田萌えー マターリ待ってますー
501名無しさん@ピンキー:2009/05/29(金) 14:02:13 ID:CoTKe0EH
一番待ってるのが俺だからねぇ〜
ホントに監視しながら待ってまぁ〜すw
502名無しさん@ピンキー:2009/05/31(日) 22:58:03 ID:pvDlGVJl
503名無しさん@ピンキー:2009/06/01(月) 20:27:09 ID:moKOwRtW
504名無しさん@ピンキー:2009/06/02(火) 22:51:33 ID:Xp3IC8by
i ^ _ ^)
505名無しさん@ピンキー:2009/06/03(水) 18:42:19 ID:I/RKNNrs
マリリンさん、マダァ〜w
ずっと監視してるのに無視しないでぇ〜w
506名無しさん@ピンキー:2009/06/04(木) 07:43:44 ID:NnJsVQFp
507名無しさん@ピンキー:2009/06/04(木) 10:23:56 ID:L5UAZxsd
508名無しさん@ピンキー:2009/06/08(月) 19:49:43 ID:iuL1rkkO
マリリンさぁ〜んw
509名無しさん@ピンキー:2009/06/08(月) 20:24:34 ID:xVPU+9/M
みんなとっくにあっちに行ったよw
510名無しさん@ピンキー:2009/06/09(火) 02:24:22 ID:nGSvukfD
あっちとは?
511名無しさん@ピンキー:2009/06/09(火) 11:27:38 ID:cfeNnqJM
残念だ
一人の書き手が自サイトみたいにスレを独占して、おもしろくないSSを延々貼り付けてさえいなかったら
カスに粘着されて、他の優れたSS書く人までがゴタゴタに巻き込まれることはなかったろうに
本当に残念だ
512名無しさん@ピンキー:2009/06/09(火) 13:11:32 ID:hoMhkfAV
それよりも、有りもしないユートピアをさもあるように見せかけて
多くの人に無駄な時間を費やさせた悪意ある行為の方がなお許せないな

探して欲しくて「探さないでください」とか書き置きする家出女子高生と同じじゃん
こんなことを平気でできる人だとは思わなかったよ
513名無しさん@ピンキー:2009/06/10(水) 02:43:55 ID:L1x0vagn
こりゃもう鎮静化しても帰って来れないな、伊太郎さん
514名無しさん@ピンキー:2009/06/10(水) 21:23:04 ID:8XUO9fDg
続きまだー?
515名無しさん@ピンキー:2009/06/11(木) 19:40:14 ID:CHKBRvtD
>>20を信じて安心してここまで読んだのに・・・これは酷い仕打ち
完結してくれえ
516名無しさん@ピンキー:2009/06/12(金) 00:11:41 ID:6M3xm3Mx
心配しなくとも続きなら例のところでやってるじゃん
あそこだよ、あそこw
517名無しさん@ピンキー:2009/06/17(水) 01:51:16 ID:ZqFFn+Hv
マリリンさん、規制解除マダァ〜w
518名無しさん@ピンキー:2009/06/22(月) 22:27:36 ID:iXdKlq1Y
もう解除されたんでしょお?
ねぇ〜んw
519名無しさん@ピンキー:2009/06/23(火) 22:04:07 ID:5hBSwsNo
でっていうw
520名無しさん@ピンキー:2009/06/29(月) 00:38:01 ID:Ll9Si+Dz
分かってるだろうけど、まだいるよw
521名無しさん@ピンキー:2009/07/05(日) 00:40:45 ID:00T1aGBe
保守
522名無しさん@ピンキー:2009/07/05(日) 00:44:23 ID:6V1r7U+A
監視体制維持
523名無しさん@ピンキー:2009/07/13(月) 00:18:07 ID:lF+yaeIc
おっと保守保守w
524名無しさん@ピンキー:2009/07/19(日) 08:46:15 ID:m+TPp0gb
マターリ待ち、保守。
525名無しさん@ピンキー:2009/07/21(火) 23:17:27 ID:HiRzFENd
す〜っと監視、維持。
526名無しさん@ピンキー:2009/07/24(金) 23:14:53 ID:okPuFBd4
┐('〜`;)┌
527名無しさん@ピンキー:2009/07/25(土) 19:41:07 ID:+lyE/5tg
\(^o^)/
528名無しさん@ピンキー:2009/07/26(日) 01:04:57 ID:Y9uqavDB
伊太郎さぁ〜ん
今週の更新分もよかったよ
本当のYAWARAの続きを読んでるようでしたw
529名無しさん@ピンキー:2009/07/26(日) 10:57:48 ID:YG1zavvH
( 〃 ⌒ ー ⌒ 〃 )
530名無しさん@ピンキー:2009/07/27(月) 19:42:12 ID:Wl2PBlw3
( 〃 ⌒ ー ⌒ 〃 )
531名無しさん@ピンキー:2009/07/28(火) 11:28:39 ID:pEmi7JJ2
( 〃 ⌒ ー ⌒ 〃 )
532名無しさん@ピンキー:2009/07/28(火) 21:20:30 ID:kwdVHjmu
>>528
散々探しても見つからないのでヒントをお願い出来ませんか?
533名無しさん@ピンキー:2009/07/28(火) 23:44:00 ID:GEJ9YKF/
>>532
真相は分からないが、多分荒らしの書き込みと思われ。

本当にそんなサイトあるのか?って思いたくもなるね。
534名無しさん@ピンキー:2009/07/29(水) 00:04:16 ID:2GOUoCYv
ヒント:kuro-obi
535名無しさん@ピンキー:2009/07/29(水) 08:15:40 ID:7RxdlfsZ
>>534
>>532じゃないけどd!
536名無しさん@ピンキー:2009/07/29(水) 11:36:31 ID:m5DmOWWP
( 〃 ⌒ ー ⌒ 〃 )
537名無しさん@ピンキー:2009/07/30(木) 10:40:55 ID:MXq1STZH
( 〃 ⌒ ー ⌒ 〃 )
538名無しさん@ピンキー:2009/07/30(木) 10:42:47 ID:MXq1STZH
( 〃 ⌒ ー ⌒ 〃 )
539名無しさん@ピンキー:2009/07/30(木) 11:32:39 ID:MXq1STZH
( 〃 ⌒ ー ⌒ 〃 )
540名無しさん@ピンキー:2009/07/30(木) 15:19:59 ID:aCnsmFJo
YAWARA!のSSを探しながら、
『今更需要無いよね』って思っていたけど、
こんな質の良いものを書いてる職人が居ることと
私と同じように楽しんでいる人たちが居て驚きました。
まじで続き希望です!
伊太郎さんカムバック
541名無しさん@ピンキー:2009/07/31(金) 11:46:06 ID:4JyNnG/W
( 〃 ⌒ ー ⌒ 〃 )
542名無しさん@ピンキー:2009/07/31(金) 19:55:46 ID:4JyNnG/W
( 〃 ⌒ ー ⌒ 〃 )
543名無しさん@ピンキー:2009/07/31(金) 21:32:07 ID:tsJCVmh0
別にobi行きゃ普通に読めるんだから
わざわざ叩かれて糞味噌にされるここに帰ってこなくてもいいじゃん
あっちは平和だし、他にもYAWARAのSSが読めるから楽しいよ
544名無しさん@ピンキー:2009/08/01(土) 00:29:58 ID:mQEvWrXS
んだな
あっちで平和に読めるんだし、敢えてフルボッコされるためだけにマルチするのもバカらしい
545名無しさん@ピンキー:2009/08/01(土) 03:27:06 ID:zTkM2Q2S
そのobiってのがどうしても見つからない
SS掲示板、ファンサイト、避難所、いろいろあたってみたけど
546名無しさん@ピンキー:2009/08/01(土) 11:04:57 ID:9T5zFX2E
( 〃 ⌒ ー ⌒ 〃 )
547名無しさん@ピンキー:2009/08/02(日) 11:33:06 ID:4wlhlKSz
( 〃 ⌒ ー ⌒ 〃 )
548名無しさん@ピンキー:2009/08/03(月) 01:26:03 ID:8uFBVrZ6
最終ヒント:黒帯=BlackBelt

伊太郎さん、今週も萌えましたよ
ありがとうございました
549名無しさん@ピンキー:2009/08/03(月) 08:59:45 ID:0wMo/ifI
もうひとつ聞いて良いですか?
他にもYAWARAのSSが置いてある所らしいけど、
それって松田がプロポーズする話が置いてあるのと同じ所?
550名無しさん@ピンキー:2009/08/03(月) 12:00:42 ID:v3/mz+Pi
( 〃 ⌒ ー ⌒ 〃 )
551名無しさん@ピンキー:2009/08/03(月) 12:34:22 ID:4fWl13ff
松田がプロポーズする話は全体の3分の2くらいに達しているから
合っているかどうかちょっと判別できないな
552名無しさん@ピンキー:2009/08/04(火) 11:23:46 ID:rhzdNqHd
( 〃 ⌒ ー ⌒ 〃 )
553名無しさん@ピンキー:2009/08/05(水) 08:26:36 ID:/9bsCwd5
そもそもYAWARAのSS自体、見つけるのが非常に困難なわけで。
リンク切れしてるのも多いし。
伊太郎さんのSSなんか、見つけられない人の方が多いんじゃない?
554名無しさん@ピンキー:2009/08/05(水) 10:46:46 ID:PF8mGoFT
( 〃 ⌒ ー ⌒ 〃 )
555名無しさん@ピンキー:2009/08/06(木) 11:50:19 ID:/2k9UOCf
( 〃 ⌒ ー ⌒ 〃 )
556名無しさん@ピンキー:2009/08/06(木) 14:05:27 ID:gKXXO+cU
荒らしに見つけられたらまた逃避行だから
せっかくの安住の地なのに
見つけた人も、まだ辿り着けてない人も、もうこれ以上騒がないで
557名無しさん@ピンキー:2009/08/07(金) 11:23:49 ID:9zxLupK4
( 〃 ⌒ ー ⌒ 〃 )
558名無しさん@ピンキー:2009/08/07(金) 21:02:25 ID:WvcdbWcd
^^;

























^^;
559名無しさん@ピンキー:2009/08/12(水) 22:46:53 ID:CBsaEmeU
( 〃 ⌒ ー ⌒ 〃 )
560名無しさん@ピンキー:2009/08/13(木) 11:21:29 ID:XYuLNPtc
( 〃 ⌒ ー ⌒ 〃 )
561名無しさん@ピンキー:2009/08/14(金) 12:25:42 ID:atnun7rd
( 〃 ⌒ ー ⌒ 〃 )
562名無しさん@ピンキー:2009/08/15(土) 14:34:42 ID:fXaMFxQw
( 〃 ⌒ ー ⌒ 〃 )
563名無しさん@ピンキー:2009/08/15(土) 15:49:30 ID:bI7Oynhe
今週は伊太郎さん、お盆休みなのかな?
564名無しさん@ピンキー:2009/08/15(土) 17:07:07 ID:fXaMFxQw
( 〃 ⌒ ー ⌒ 〃 )
565名無しさん@ピンキー:2009/08/16(日) 12:40:02 ID:V0t8EBJq
( 〃 ⌒ ー ⌒ 〃 )
566名無しさん@ピンキー:2009/08/16(日) 16:36:40 ID:fSuHIgKT
荒らしの奴、伊太郎さんの潜伏先を探せなくって苛ついてるようだなwww
顔文字で荒らすしかなくなったみたいだしwwwww
567名無しさん@ピンキー:2009/08/16(日) 20:03:42 ID:K0c1Iwem
(ヽ^ゝ^)
568名無しさん@ピンキー:2009/08/16(日) 22:29:10 ID:9z4T0YgV
まあ荒らしに限らず、見つけられない人はここにもいますけどね。
連載おわったら、どっかにテキストファイルうpしてくれるとうれしいです
>伊太郎さん
569100:2009/08/17(月) 11:09:44 ID:FekLAlOd
わたしは柔。猪熊柔。
松田さんの・・・あの衝撃的な告白からもう三ヶ月。
わたしは相変わらず鶴亀トラベルと柔道(おじいちゃんの相手)と大忙しです。
松田さんに一週間に一回手紙を出すのですが、あまり返事がきません。
でも返事がないときは、電話をしてくれます。
ただ時差のおかげで、この前は夜中に電話がかかってきて、それをおじいちゃんがとったから大騒ぎ。

「この色ボケ男が〜っっ、夜中に婦女子に電話してくるとは何事じゃっっ!!」
近所にも聞こえるくらいの大声を出して警察まできてしまいました。
その後、おじいちゃんを納得させるのに少々時間がかかりました。
570名無しさん@ピンキー:2009/08/17(月) 11:56:34 ID:7zu+8oeh
( 〃 ⌒ ー ⌒ 〃 )
571名無しさん@ピンキー:2009/08/18(火) 11:08:06 ID:mJMES2Kp
( 〃 ⌒ ー ⌒ 〃 )
572名無しさん@ピンキー:2009/08/19(水) 11:52:28 ID:/Sh1oBmh
( 〃 ⌒ ー ⌒ 〃 )
573名無しさん@ピンキー:2009/08/20(木) 11:40:49 ID:hljnO/uJ
( 〃 ⌒ ー ⌒ 〃 )
574名無しさん@ピンキー:2009/08/21(金) 11:13:52 ID:O1J8bfWC
( 〃 ⌒ ー ⌒ 〃 )
575名無しさん@ピンキー:2009/08/22(土) 11:58:19 ID:4zptwkYO
( 〃 ⌒ ー ⌒ 〃 )
576名無しさん@ピンキー:2009/08/23(日) 11:08:53 ID:tfEkZZJs
( 〃 ⌒ ー ⌒ 〃 )
577名無しさん@ピンキー:2009/08/24(月) 11:37:44 ID:Eu/gnj2l
( 〃 ⌒ ー ⌒ 〃 )
578名無しさん@ピンキー:2009/08/25(火) 11:35:38 ID:zvqlbSI+
( 〃 ⌒ ー ⌒ 〃 )
579名無しさん@ピンキー:2009/08/26(水) 11:23:30 ID:o78wsWiI
( 〃 ⌒ ー ⌒ 〃 )
580名無しさん@ピンキー:2009/08/27(木) 11:11:28 ID:n3NMTJdA
( 〃 ⌒ ー ⌒ 〃 )
581名無しさん@ピンキー:2009/08/27(木) 12:36:34 ID:uom90dld
定期荒らし、乙
582名無しさん@ピンキー:2009/08/27(木) 13:17:09 ID:n3NMTJdA
( 〃 ⌒ ー ⌒ 〃 )
583名無しさん@ピンキー:2009/08/27(木) 13:53:56 ID:1W2lenAD
常時監視、乙
584名無しさん@ピンキー:2009/08/27(木) 16:11:57 ID:n3NMTJdA
( 〃 ⌒ ー ⌒ 〃 )
585名無しさん@ピンキー:2009/08/28(金) 11:42:36 ID:dZKFMwVN
( 〃 ⌒ ー ⌒ 〃 )
586名無しさん@ピンキー:2009/08/29(土) 11:20:58 ID:3OqHi3iP
( 〃 ⌒ ー ⌒ 〃 )
587名無しさん@そうだ選挙に行こう:2009/08/30(日) 11:48:13 ID:QH7KMohU
( 〃 ⌒ ー ⌒ 〃 )
588名無しさん@ピンキー:2009/08/31(月) 13:14:13 ID:a1yCpZnQ
( 〃 ⌒ ー ⌒ 〃 )
589名無しさん@ピンキー:2009/08/31(月) 14:11:01 ID:foqGDr0h
なんなの?
590名無しさん@ピンキー:2009/08/31(月) 16:05:59 ID:a1yCpZnQ
( 〃 ⌒ ー ⌒ 〃 )
591名無しさん@ピンキー:2009/09/01(火) 11:40:39 ID:Xv3ntG+9
( 〃 ⌒ ー ⌒ 〃 )
592名無しさん@ピンキー:2009/09/02(水) 11:03:29 ID:qRRLNRG+
怖いんだけど
593名無しさん@ピンキー:2009/09/02(水) 11:28:25 ID:BV0kwvqH
( 〃 ⌒ ー ⌒ 〃 )
594名無しさん@ピンキー:2009/09/03(木) 11:34:45 ID:8sfdfjx+
( 〃 ⌒ ー ⌒ 〃 )
595名無しさん@ピンキー:2009/09/04(金) 11:18:43 ID:OZ/cjtCU
( 〃 ⌒ ー ⌒ 〃 )
596名無しさん@ピンキー:2009/09/05(土) 11:38:14 ID:s7abBW3i
( 〃 ⌒ ー ⌒ 〃 )
597名無しさん@ピンキー:2009/09/06(日) 19:35:21 ID:+Ri6J0bR
( 〃 ⌒ ー ⌒ 〃 )
598名無しさん@ピンキー:2009/09/07(月) 19:41:48 ID:TDjhkvZS
( 〃 ⌒ ー ⌒ 〃 )
599名無しさん@ピンキー:2009/09/07(月) 19:48:41 ID:oZs/s4OU
今週の続きにはハラハラさせられたな
やっぱ伊太郎さんは上手いわ
600名無しさん@ピンキー:2009/09/07(月) 20:13:46 ID:TDjhkvZS
>>599 ( 〃 ⌒ ー ⌒ 〃 )
601100:2009/09/07(月) 21:27:47 ID:hC0vdt55
ここまでしつこい荒らしは初めて。
早くやめれ
602名無しさん@ピンキー:2009/09/08(火) 20:44:25 ID:9jtbJymM
>>601 ( 〃 ⌒ ー ⌒ 〃 )
603名無しさん@ピンキー:2009/09/09(水) 11:13:09 ID:lyg0iXXh
( 〃 ⌒ ー ⌒ 〃 )
604名無しさん@ピンキー:2009/09/10(木) 20:02:16 ID:KSrjlGvZ
( 〃 ⌒ ー ⌒ 〃 )
605名無しさん@ピンキー:2009/09/11(金) 19:38:29 ID:2P37SSRr
( 〃 ⌒ ー ⌒ 〃 )
606名無しさん@ピンキー:2009/09/12(土) 11:05:15 ID:1iSouw+k
( 〃 ⌒ ー ⌒ 〃 )
607名無しさん@ピンキー:2009/09/13(日) 17:25:14 ID:WALwjpCR
( 〃 ⌒ ー ⌒ 〃 )
608名無しさん@ピンキー:2009/09/13(日) 20:30:31 ID:WALwjpCR
( 〃 ⌒ ー ⌒ 〃 )
609名無しさん@ピンキー:2009/09/13(日) 20:30:52 ID:WALwjpCR
( 〃 ⌒ ー ⌒ 〃 )
610名無しさん@ピンキー:2009/09/13(日) 20:31:14 ID:WALwjpCR
( 〃 ⌒ ー ⌒ 〃 )
611名無しさん@ピンキー:2009/09/13(日) 20:31:45 ID:WALwjpCR
( 〃 ⌒ ー ⌒ 〃 )
612名無しさん@ピンキー:2009/09/13(日) 20:32:06 ID:WALwjpCR
( 〃 ⌒ ー ⌒ 〃 )
613名無しさん@ピンキー:2009/09/13(日) 20:32:27 ID:WALwjpCR
( 〃 ⌒ ー ⌒ 〃 )
614名無しさん@ピンキー:2009/09/13(日) 20:33:19 ID:WALwjpCR
( 〃 ⌒ ー ⌒ 〃 )
615名無しさん@ピンキー:2009/09/13(日) 20:33:41 ID:WALwjpCR
( 〃 ⌒ ー ⌒ 〃 )
616名無しさん@ピンキー:2009/09/13(日) 20:34:02 ID:WALwjpCR
( 〃 ⌒ ー ⌒ 〃 )
617名無しさん@ピンキー:2009/09/14(月) 11:48:34 ID:ruOnGRQV
( 〃 ⌒ ー ⌒ 〃 )
618名無しさん@ピンキー:2009/09/14(月) 11:56:15 ID:ruOnGRQV
( 〃 ⌒ ー ⌒ 〃 )
619名無しさん@ピンキー:2009/09/14(月) 11:56:37 ID:ruOnGRQV
( 〃 ⌒ ー ⌒ 〃 )
620名無しさん@ピンキー:2009/09/14(月) 12:04:25 ID:ruOnGRQV
( 〃 ⌒ ー ⌒ 〃 )
621名無しさん@ピンキー:2009/09/14(月) 12:04:46 ID:ruOnGRQV
( 〃 ⌒ ー ⌒ 〃 )
622名無しさん@ピンキー:2009/09/15(火) 11:43:43 ID:iMhhSGP2
( 〃 ⌒ ー ⌒ 〃 )
623名無しさん@ピンキー:2009/09/15(火) 11:44:35 ID:iMhhSGP2
( 〃 ⌒ ー ⌒ 〃 )
624名無しさん@ピンキー:2009/09/15(火) 11:45:41 ID:iMhhSGP2
( 〃 ⌒ ー ⌒ 〃 )
625名無しさん@ピンキー:2009/09/15(火) 11:46:26 ID:iMhhSGP2
( 〃 ⌒ ー ⌒ 〃 )
626名無しさん@ピンキー:2009/09/15(火) 11:47:25 ID:iMhhSGP2
( 〃 ⌒ ー ⌒ 〃 )
627名無しさん@ピンキー:2009/09/16(水) 11:17:06 ID:OwnE8/Zp
( 〃 ⌒ ー ⌒ 〃 )
628名無しさん@ピンキー:2009/09/16(水) 11:25:36 ID:OwnE8/Zp
( 〃 ⌒ ー ⌒ 〃 )
629名無しさん@ピンキー:2009/09/16(水) 11:25:57 ID:OwnE8/Zp
( 〃 ⌒ ー ⌒ 〃 )
630名無しさん@ピンキー:2009/09/16(水) 11:28:11 ID:OwnE8/Zp
( 〃 ⌒ ー ⌒ 〃 )
631名無しさん@ピンキー:2009/09/16(水) 11:28:37 ID:OwnE8/Zp
( 〃 ⌒ ー ⌒ 〃 )
632名無しさん@ピンキー:2009/09/17(木) 11:35:48 ID:dR6OUTnb
( 〃 ⌒ ー ⌒ 〃 )
633名無しさん@ピンキー:2009/09/17(木) 11:41:50 ID:dR6OUTnb
( 〃 ⌒ ー ⌒ 〃 )
634名無しさん@ピンキー:2009/09/17(木) 11:42:12 ID:dR6OUTnb
( 〃 ⌒ ー ⌒ 〃 )
635名無しさん@ピンキー:2009/09/17(木) 11:42:55 ID:dR6OUTnb
( 〃 ⌒ ー ⌒ 〃 )
636名無しさん@ピンキー:2009/09/17(木) 11:43:16 ID:dR6OUTnb
( 〃 ⌒ ー ⌒ 〃 )
637名無しさん@ピンキー:2009/09/18(金) 11:38:29 ID:vIVdsL9/
( 〃 ⌒ ー ⌒ 〃 )
638名無しさん@ピンキー:2009/09/19(土) 11:45:49 ID:9AesTFKv
( 〃 ⌒ ー ⌒ 〃 )
639名無しさん@ピンキー:2009/09/20(日) 11:19:28 ID:lu556/LU
( 〃 ⌒ ー ⌒ 〃 )
640名無しさん@ピンキー:2009/09/21(月) 11:35:09 ID:yohzyMsD
( 〃 ⌒ ー ⌒ 〃 )
641名無しさん@ピンキー:2009/09/22(火) 11:47:16 ID:2/xmi3T5
( 〃 ⌒ ー ⌒ 〃 )
642名無しさん@ピンキー:2009/09/23(水) 11:31:46 ID:Ohut2k0V
( 〃 ⌒ ー ⌒ 〃 )
643名無しさん@ピンキー:2009/09/24(木) 11:40:52 ID:BwtJjveg
( 〃 ⌒ ー ⌒ 〃 )
644名無しさん@ピンキー:2009/09/25(金) 11:46:29 ID:H5e2qarz
( 〃 ⌒ ー ⌒ 〃 )
645名無しさん@ピンキー:2009/09/26(土) 11:37:43 ID:BLzVRjat
( 〃 ⌒ ー ⌒ 〃 )
646名無しさん@ピンキー:2009/09/27(日) 11:56:36 ID:rSEoGLqf
( 〃 ⌒ ー ⌒ 〃 )
647名無しさん@ピンキー:2009/09/28(月) 05:04:52 ID:Gt8YCIyC
しつこいなぁ
648名無しさん@ピンキー:2009/09/28(月) 09:04:02 ID:NDAA8dK0
>>647 ( 〃 ⌒ ー ⌒ 〃 )
649100:2009/09/28(月) 22:11:32 ID:tf6U0wuo
はぁ・・・
650名無しさん@ピンキー:2009/09/28(月) 23:10:50 ID:NDAA8dK0
>>649 ( 〃 ⌒ ー ⌒ 〃 )
651100:2009/09/29(火) 00:00:02 ID:ULhHkKUj
ちょ、おま・・
IDが一日変わってない。
652名無しさん@ピンキー:2009/09/29(火) 09:20:40 ID:Ev9YJ8ky
>>651 ( 〃 ⌒ ー ⌒ 〃 )
653名無しさん@ピンキー:2009/09/29(火) 09:21:44 ID:Ev9YJ8ky
( 〃 ⌒ ー ⌒ 〃 )
654名無しさん@ピンキー:2009/09/29(火) 09:22:46 ID:Ev9YJ8ky
( 〃 ⌒ ー ⌒ 〃 )
655名無しさん@ピンキー:2009/09/29(火) 09:30:34 ID:Ev9YJ8ky
( 〃 ⌒ ー ⌒ 〃 )
656名無しさん@ピンキー:2009/09/29(火) 09:30:55 ID:Ev9YJ8ky
( 〃 ⌒ ー ⌒ 〃 )
657名無しさん@ピンキー:2009/09/30(水) 03:34:30 ID:wprBanOh
どうして荒らすの?
658名無しさん@ピンキー:2009/09/30(水) 11:18:41 ID:CVa6wRsO
>>657 ( 〃 ⌒ ー ⌒ 〃 )
659100:2009/09/30(水) 23:11:52 ID:awC8+UyI
馬鹿なんだから仕方ないよ
いったいどんな生活してるのやら
660名無しさん@ピンキー:2009/10/01(木) 14:23:12 ID:g/Ql7j5q
( 〃 ⌒ ー ⌒ 〃 )
661名無しさん@ピンキー:2009/10/01(木) 21:10:02 ID:zevDgZrw
( 〃 ・ ー ・ 〃 )
662名無しさん@ピンキー:2009/10/01(木) 22:50:56 ID:g/Ql7j5q
>>661 ヾ(●´ε `● )ゞ
663名無しさん@ピンキー:2009/10/02(金) 11:25:24 ID:lo16h+uo
( 〃 ⌒ ー ⌒ 〃 )
664名無しさん@ピンキー:2009/10/02(金) 20:06:27 ID:lhoQYvan
うほうほ
665名無しさん@ピンキー:2009/10/02(金) 21:14:23 ID:lo16h+uo
>>664 ( 〃 ⌒ ー ⌒ 〃 )
666名無しさん@ピンキー:2009/10/03(土) 21:29:37 ID:l9OXxi2o
( 〃 ⌒ ー ⌒ 〃 )
667名無しさん@ピンキー:2009/10/04(日) 20:04:11 ID:at9HAJjv
( 〃 ⌒ ー ⌒ 〃 )
668名無しさん@ピンキー:2009/10/05(月) 11:40:04 ID:5n0illfv
( 〃 ⌒ ー ⌒ 〃 )
669名無しさん@ピンキー:2009/10/06(火) 20:02:01 ID:+/vjKz28
( 〃 ⌒ ー ⌒ 〃 )
670名無しさん@ピンキー:2009/10/07(水) 14:22:48 ID:HLKqRq4O
( 〃 ⌒ ー ⌒ 〃 )
671名無しさん@ピンキー:2009/10/07(水) 20:41:11 ID:o7TUuYaf
一日一回だし、このペースだと後一年ぐらいだね。
一年頑張ってw
672名無しさん@ピンキー:2009/10/07(水) 21:09:42 ID:HLKqRq4O
>>671 ( 〃 ⌒ ー ⌒ 〃 )
673名無しさん@ピンキー:2009/10/08(木) 11:30:47 ID:7J6sbXOA
( 〃 ⌒ ー ⌒ 〃 )
674名無しさん@ピンキー:2009/10/08(木) 22:30:55 ID:5rXczSF0
age
675名無しさん@ピンキー:2009/10/08(木) 23:01:08 ID:7J6sbXOA
>>674 ( 〃 ⌒ ー ⌒ 〃 )
676名無しさん@ピンキー:2009/10/09(金) 12:05:02 ID:m4DNjB6b
( 〃 ⌒ ー ⌒ 〃 )
677名無しさん@ピンキー:2009/10/09(金) 12:21:28 ID:D37sPSWi
このスレどうしたの?
678名無しさん@ピンキー:2009/10/09(金) 12:27:58 ID:A9Hah/iH
マジで気持ち悪い荒らしによって完全崩壊。
まあ、最初から冷たい連中いたみたいだけど。
自分は昔投下したことあったから懐かしい気持出来てみたらこれだもん。
YAWARA!に興味ない人は出て行けばいいのに。
679名無しさん@ピンキー:2009/10/09(金) 13:11:45 ID:m4DNjB6b
>>677 ( 〃 ⌒ ー ⌒ 〃 )
680名無しさん@ピンキー:2009/10/09(金) 13:12:06 ID:m4DNjB6b
>>678 ( 〃 ⌒ ー ⌒ 〃 )
681名無しさん@ピンキー:2009/10/10(土) 19:34:28 ID:NktHQD0V
( 〃 ⌒ ー ⌒ 〃 )
682名無しさん@ピンキー:2009/10/11(日) 19:49:30 ID:tnDnWq0V
( 〃 ⌒ ー ⌒ 〃 )
683名無しさん@ピンキー:2009/10/12(月) 11:39:08 ID:t7UeKbrU
( 〃 ⌒ ー ⌒ 〃 )
684名無しさん@ピンキー:2009/10/13(火) 13:26:58 ID:RDIQmDpM
( 〃 ⌒ ー ⌒ 〃 )
685名無しさん@ピンキー:2009/10/14(水) 11:15:33 ID:fOlZDpPU
( 〃 ⌒ ー ⌒ 〃 )
686名無しさん@ピンキー:2009/10/14(水) 12:31:25 ID:utZ96uQz
えーw
687名無しさん@ピンキー:2009/10/14(水) 13:12:39 ID:fOlZDpPU
>>686 ( 〃 ⌒ ー ⌒ 〃 )
688名無しさん@ピンキー:2009/10/15(木) 11:27:35 ID:cevfLAN1
( 〃 ⌒ ー ⌒ 〃 )
689名無しさん@ピンキー:2009/10/15(木) 20:06:54 ID:cevfLAN1
( 〃 ⌒ ー ⌒ 〃 )
690名無しさん@ピンキー:2009/10/16(金) 00:37:47 ID:VCDfmOvt
久々に来てみたら何これ・・うんざりだわ
691名無しさん@ピンキー:2009/10/16(金) 14:28:16 ID:mJXeVCMJ
>>690 ( 〃 ⌒ ー ⌒ 〃 )
692名無しさん@ピンキー:2009/10/17(土) 11:46:30 ID:ZgUNA1AY
( 〃 ⌒ ー ⌒ 〃 )
693名無しさん@ピンキー:2009/10/18(日) 08:05:11 ID:g/EdcjSg
本文なし
… 無題 名無し 09/10/16(金)12:26:07 No.62563 del
いいね
… 無題 名無し 09/10/16(金)12:45:28 No.62565 del
無修正はオマンコを医学的にしっかり見るツールなのに
馬鹿監督はモザイクありと同じ状態で事を進める
絵師はノーモザイクをうまく使ってる
… 無題 名無し 09/10/16(金)18:55:39 No.62569 del
舐めたい
… 無題 名無し 09/10/16(金)19:30:40 No.62570 del
しかし、肛門の位置は後ろ過ぎやしないかブラザー
尾てい骨を考えようぜ。
… 無題 名無し 09/10/16(金)19:40:30 No.62571 del
何てグロい


骨格なんだ
そこは修正するところだろう
… 無題 名無し 09/10/16(金)23:16:06 No.62579 del
2次元人は骨格を恐れない!
… 無題 名無し 09/10/17(土)04:22:15 No.62586 del
汁の表現が素晴らしいな・・・
694名無しさん@ピンキー:2009/10/18(日) 08:06:00 ID:g/EdcjSg
本文なし
… 無題 名無し 09/10/16(金)12:26:07 No.62563 del
いいね
… 無題 名無し 09/10/16(金)12:45:28 No.62565 del
無修正はオマンコを医学的にしっかり見るツールなのに
馬鹿監督はモザイクありと同じ状態で事を進める
絵師はノーモザイクをうまく使ってる
… 無題 名無し 09/10/16(金)18:55:39 No.62569 del
舐めたい
… 無題 名無し 09/10/16(金)19:30:40 No.62570 del
しかし、肛門の位置は後ろ過ぎやしないかブラザー
尾てい骨を考えようぜ。
… 無題 名無し 09/10/16(金)19:40:30 No.62571 del
何てグロい


骨格なんだ
そこは修正するところだろう
… 無題 名無し 09/10/16(金)23:16:06 No.62579 del
2次元人は骨格を恐れない!
… 無題 名無し 09/10/17(土)04:22:15 No.62586 del
汁の表現が素晴らしいな・・・
695名無しさん@ピンキー:2009/10/18(日) 08:06:34 ID:g/EdcjSg
Θヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴ
Θヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴ
Θヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴ
Θヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴ
Θヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴ
Θヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴ
Θヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴ
Θヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴ
Θヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴ
Θヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴ
Θヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴ
Θヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴ
Θヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴ
Θヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴ
Θヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴ
Θヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴ
Θヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴ
Θヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴ
696名無しさん@ピンキー:2009/10/18(日) 09:11:01 ID:A3QXBzCd
>>693 ( 〃 ⌒ ー ⌒ 〃 )
697名無しさん@ピンキー:2009/10/18(日) 09:11:23 ID:A3QXBzCd
>>694 ( 〃 ⌒ ー ⌒ 〃 )
698名無しさん@ピンキー:2009/10/18(日) 09:11:44 ID:A3QXBzCd
>>695 ( 〃 ⌒ ー ⌒ 〃 )
699名無しさん@ピンキー:2009/10/18(日) 14:39:01 ID:A3QXBzCd
( 〃 ⌒ ー ⌒ 〃 )
700名無しさん@ピンキー:2009/10/19(月) 14:09:28 ID:U5qGYf2f
( 〃 ⌒ ー ⌒ 〃 )
701名無しさん@ピンキー:2009/10/19(月) 19:02:18 ID:MowHVqcs
やふおくで全巻買ったわ・・
ゆとりだけど。
こんな漫画があったなんて・・
702名無しさん@ピンキー:2009/10/19(月) 19:14:57 ID:MTh8Vi9U
( 〃 ⌒ ー ⌒ 〃 )
703名無しさん@ピンキー:2009/10/19(月) 19:47:32 ID:U5qGYf2f
>>701 ( 〃 ⌒ ー ⌒ 〃 )
704名無しさん@ピンキー:2009/10/19(月) 19:54:21 ID:MTh8Vi9U
( 〃 ⌒ ー ⌒ 〃 )
705名無しさん@ピンキー:2009/10/19(月) 20:24:04 ID:rJOMhDyg
>>701
流れを変えようとして作り話をするとは
必死すぎて滑稽だな
一抹の哀れささえ漂ってるよ
706名無しさん@ピンキー:2009/10/19(月) 20:27:34 ID:U5qGYf2f
>>705 ( 〃 ⌒ ー ⌒ 〃 )
707名無しさん@ピンキー:2009/10/20(火) 11:15:16 ID:oz/lbvMX
( 〃 ⌒ ー ⌒ 〃 )
708名無しさん@ピンキー:2009/10/20(火) 21:33:42 ID:oz/lbvMX
( 〃 ⌒ ー ⌒ 〃 )
709名無しさん@ピンキー:2009/10/20(火) 21:34:03 ID:oz/lbvMX
( 〃 ⌒ ー ⌒ 〃 )
710名無しさん@ピンキー:2009/10/20(火) 21:34:24 ID:oz/lbvMX
( 〃 ⌒ ー ⌒ 〃 )
711名無しさん@ピンキー:2009/10/20(火) 21:34:44 ID:oz/lbvMX
( 〃 ⌒ ー ⌒ 〃 )
712名無しさん@ピンキー:2009/10/20(火) 23:07:50 ID:ie0qAdEd
      _━━━━━━_                           _━━━━━━_
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                             ̄━━━ ̄
713名無しさん@ピンキー:2009/10/21(水) 09:13:58 ID:IodO54lB
>>712 ( 〃 ⌒ ー ⌒ 〃 )
714名無しさん@ピンキー:2009/10/23(金) 22:54:43 ID:V1vrLn3k
( 〃 ⌒ ー ⌒ 〃 )
715名無しさん@ピンキー:2009/10/24(土) 11:29:54 ID:nWgI+YYd
( 〃 ⌒ ー ⌒ 〃 )
716名無しさん@ピンキー:2009/10/24(土) 11:36:20 ID:nWgI+YYd
( 〃 ⌒ ー ⌒ 〃 )
717名無しさん@ピンキー:2009/10/24(土) 11:36:42 ID:nWgI+YYd
( 〃 ⌒ ー ⌒ 〃 )
718名無しさん@ピンキー:2009/10/24(土) 15:51:10 ID:nWgI+YYd
( 〃 ⌒ ー ⌒ 〃 )
719名無しさん@ピンキー:2009/10/24(土) 19:30:30 ID:nWgI+YYd
( 〃 ⌒ ー ⌒ 〃 )
720名無しさん@ピンキー:2009/10/25(日) 11:24:22 ID:s8An4psB
( 〃 ⌒ ー ⌒ 〃 )
721名無しさん@ピンキー:2009/10/25(日) 11:54:11 ID:s8An4psB
( 〃 ⌒ ー ⌒ 〃 )
722名無しさん@ピンキー:2009/10/25(日) 11:54:48 ID:s8An4psB
( 〃 ⌒ ー ⌒ 〃
723名無しさん@ピンキー:2009/10/26(月) 11:30:19 ID:pmtJ2vds
( 〃 ⌒ ー ⌒ 〃 )
724名無しさん@ピンキー:2009/10/27(火) 11:11:28 ID:Nu6Hqcfs
( 〃 ⌒ ー ⌒ 〃 )
725名無しさん@ピンキー:2009/10/28(水) 14:07:49 ID:upygco98
( 〃 ⌒ ー ⌒ 〃 )
726名無しさん@ピンキー:2009/10/29(木) 20:00:37 ID:3qZxMMic
微妙な顔文字……
727名無しさん@ピンキー:2009/10/30(金) 22:44:15 ID:d3w56Bds
( 〃 ⌒ ー ⌒ 〃 )
728名無しさん@ピンキー:2009/10/31(土) 11:43:58 ID:kPXznka+
( 〃 ⌒ ー ⌒ 〃 )
729名無しさん@ピンキー:2009/10/31(土) 19:51:31 ID:kPXznka+
( 〃 ⌒ ー ⌒ 〃 )
730名無しさん@ピンキー:2009/10/31(土) 19:51:51 ID:kPXznka+
( 〃 ⌒ ー ⌒ 〃 )
731名無しさん@ピンキー:2009/10/31(土) 19:52:12 ID:kPXznka+
( 〃 ⌒ ー ⌒ 〃 )
732名無しさん@ピンキー:2009/10/31(土) 19:52:33 ID:kPXznka+
( 〃 ⌒ ー ⌒ 〃 )
733名無しさん@ピンキー:2009/11/01(日) 13:15:30 ID:rHhyYKVb
( 〃 ⌒ ー ⌒ 〃 )
734名無しさん@ピンキー:2009/11/01(日) 13:32:18 ID:rHhyYKVb
( 〃 ⌒ ー ⌒ 〃 )
735名無しさん@ピンキー:2009/11/01(日) 13:32:39 ID:rHhyYKVb
( 〃 ⌒ ー ⌒ 〃 )
736名無しさん@ピンキー:2009/11/01(日) 15:26:47 ID:rHhyYKVb
( 〃 ⌒ ー ⌒ 〃 )
737名無しさん@ピンキー:2009/11/01(日) 15:27:07 ID:rHhyYKVb
( 〃 ⌒ ー ⌒ 〃 )
738名無しさん@ピンキー:2009/11/02(月) 11:07:30 ID:Zz7o+Wor
( 〃 ⌒ ー ⌒ 〃 )
739名無しさん@ピンキー:2009/11/03(火) 11:17:55 ID:M2xQpLQS
( 〃 ⌒ ー ⌒ 〃 )
740名無しさん@ピンキー:2009/11/04(水) 11:10:49 ID:PUoX3s59
( 〃 ⌒ ー ⌒ 〃 )
741名無しさん@ピンキー:2009/11/05(木) 11:45:26 ID:dQdKHYxt
( 〃 ⌒ ー ⌒ 〃 )
742名無しさん@ピンキー:2009/11/06(金) 11:49:02 ID:hNKdncqL
( 〃 ⌒ ー ⌒ 〃 )
743名無しさん@ピンキー:2009/11/07(土) 11:38:56 ID:UVjghYYQ

( 〃 ⌒ ー ⌒ 〃 )
744名無しさん@ピンキー:2009/11/08(日) 22:38:25 ID:CqWiyAtB
( 〃 ⌒ ー ⌒ 〃 )
745名無しさん@ピンキー:2009/11/09(月) 11:25:18 ID:doCYE7C4
( 〃 ⌒ ー ⌒ 〃 )
746名無しさん@ピンキー:2009/11/10(火) 18:05:16 ID:rxsznTek
( 〃 ⌒ ー ⌒ 〃 )
747名無しさん@ピンキー:2009/11/11(水) 22:21:06 ID:+oXcUUrz
( 〃 ⌒ ー ⌒ 〃 )
748名無しさん@ピンキー:2009/11/12(木) 11:35:26 ID:kwclxnW2
( 〃 ⌒ ー ⌒ 〃 )
749名無しさん@ピンキー:2009/11/13(金) 00:04:41 ID:fUJSc/WJ
どうしてこんな事を?
750名無しさん@ピンキー:2009/11/13(金) 00:54:20 ID:IbiiSH0Z
自業自得( 〃 ⌒ ー ⌒ 〃 )
751名無しさん@ピンキー:2009/11/13(金) 09:42:38 ID:0QKLkeCA
>>749 ( 〃 ⌒ ー ⌒ 〃 )
752名無しさん@ピンキー:2009/11/13(金) 09:43:00 ID:0QKLkeCA
>>750 ( 〃 ⌒ ー ⌒ 〃 )
753名無しさん@ピンキー:2009/11/13(金) 11:33:30 ID:0QKLkeCA
( 〃 ⌒ ー ⌒ 〃 )
754名無しさん@ピンキー:2009/11/13(金) 20:15:46 ID:0QKLkeCA
( 〃 ⌒ ー ⌒ 〃 )
755名無しさん@ピンキー:2009/11/14(土) 11:33:37 ID:qSY316XJ
( 〃 ⌒ ー ⌒ 〃 )
756名無しさん@ピンキー:2009/11/14(土) 22:12:07 ID:P4WgUTqM
もうあきれるを通り越して怖い。
大の大人が毎日昼前と深夜に書き込み。嵐の。
そして最近の2ちゃんねるの規制騒ぎのとき、荒らしのこいつだけ何故か規制されなかったしw
757名無しさん@ピンキー:2009/11/14(土) 22:57:40 ID:pjb96WiL
( 〃 ⌒ ー ⌒ 〃 ) は、スレの総意だからな。全く問題ない
758名無しさん@ピンキー:2009/11/16(月) 17:51:37 ID:2+LPiIBD
759名無しさん@ピンキー:2009/11/17(火) 22:08:37 ID:5DsykRCv

規制終わり

( 〃 ⌒ ー ⌒ 〃 )
760名無しさん@ピンキー:2009/11/17(火) 22:09:00 ID:5DsykRCv
>>756 ( 〃 ⌒ ー ⌒ 〃 )
761名無しさん@ピンキー:2009/11/17(火) 22:09:21 ID:5DsykRCv
>>757 ( 〃 ⌒ ー ⌒ 〃 )
762名無しさん@ピンキー:2009/11/17(火) 22:09:42 ID:5DsykRCv
>>758 ( 〃 ⌒ ー ⌒ 〃 )
763名無しさん@ピンキー:2009/11/17(火) 22:10:02 ID:5DsykRCv
( 〃 ⌒ ー ⌒ 〃 )
764名無しさん@ピンキー:2009/11/17(火) 22:36:07 ID:Lw4DSSfv
>>758
765名無しさん@ピンキー:2009/11/17(火) 22:40:02 ID:5DsykRCv
>>764 ( 〃 ⌒ ー ⌒ 〃 )
766名無しさん@ピンキー:2009/11/18(水) 01:18:07 ID:VEXr1glG
>>764
767名無しさん@ピンキー:2009/11/18(水) 03:07:28 ID:jHi2ev9d
おかえり〜
768名無しさん@ピンキー:2009/11/18(水) 09:25:56 ID:gwh22+ZL
>>766 ( 〃 ⌒ ー ⌒ 〃 )
769名無しさん@ピンキー:2009/11/18(水) 09:26:17 ID:gwh22+ZL
>>767 ( 〃 ⌒ ー ⌒ 〃 )
770名無しさん@ピンキー:2009/11/18(水) 13:28:05 ID:gwh22+ZL
( 〃 ⌒ ー ⌒ 〃 )
771名無しさん@ピンキー:2009/11/19(木) 08:00:52 ID:aCrmJQ3R
772名無しさん@ピンキー:2009/11/19(木) 09:23:06 ID:VvBLcGFz
>>771 ( 〃 ⌒ ー ⌒ 〃 )
773名無しさん@ピンキー:2009/11/19(木) 12:17:40 ID:VvBLcGFz
( 〃 ⌒ ー ⌒ 〃 )
774名無しさん@ピンキー:2009/11/19(木) 15:54:56 ID:aCrmJQ3R
>>771
775名無しさん@ピンキー:2009/11/19(木) 17:29:21 ID:VvBLcGFz
>>774 ( 〃 ⌒ ー ⌒ 〃 )
776名無しさん@ピンキー:2009/11/19(木) 17:29:42 ID:VvBLcGFz
( 〃 ⌒ ー ⌒ 〃 )
777名無しさん@ピンキー:2009/11/19(木) 17:43:46 ID:VvBLcGFz
( 〃 ⌒ ー ⌒ 〃 )
778名無しさん@ピンキー:2009/11/20(金) 11:28:49 ID:tLhBzcyw
( 〃 ⌒ ー ⌒ 〃 )
779名無しさん@ピンキー:2009/11/21(土) 11:41:42 ID:r/G/YDIz
( 〃 ⌒ ー ⌒ 〃 )
780名無しさん@ピンキー:2009/11/21(土) 12:55:10 ID:/521GJ8C
>>774
781名無しさん@ピンキー:2009/11/21(土) 14:45:09 ID:r/G/YDIz
>>780 ( 〃 ⌒ ー ⌒ 〃 )
782名無しさん@ピンキー:2009/11/21(土) 14:45:33 ID:r/G/YDIz
( 〃 ⌒ ー ⌒ 〃 )
783名無しさん@ピンキー:2009/11/22(日) 11:16:04 ID:9uzAziPM
( 〃 ⌒ ー ⌒ 〃 )
784名無しさん@ピンキー:2009/11/22(日) 16:01:25 ID:khjbBoEY
>>780
785名無しさん@ピンキー:2009/11/22(日) 16:15:01 ID:9uzAziPM
>>784 ( 〃 ⌒ ー ⌒ 〃 )
786名無しさん@ピンキー:2009/11/22(日) 16:15:22 ID:9uzAziPM
( 〃 ⌒ ー ⌒ 〃 )
787名無しさん@ピンキー:2009/11/22(日) 16:17:39 ID:R55zdlva
なんなんだよw
788名無しさん@ピンキー:2009/11/22(日) 17:32:52 ID:9uzAziPM
>>787 ( 〃 ⌒ ー ⌒ 〃 )
789名無しさん@ピンキー:2009/11/22(日) 17:33:19 ID:9uzAziPM
( 〃 ⌒ ー ⌒ 〃 )
790名無しさん@ピンキー:2009/11/22(日) 17:33:42 ID:9uzAziPM
( 〃 ⌒ ー ⌒ 〃 )
791名無しさん@ピンキー:2009/11/22(日) 17:34:20 ID:9uzAziPM
( 〃 ⌒ ー ⌒ 〃 )
792名無しさん@ピンキー:2009/11/22(日) 17:35:09 ID:9uzAziPM
( 〃 ⌒ ー ⌒ 〃 )
793名無しさん@ピンキー:2009/11/22(日) 17:36:42 ID:9uzAziPM
( 〃 ⌒ ー ⌒ 〃 )
794名無しさん@ピンキー:2009/11/22(日) 20:14:03 ID:9uzAziPM
( 〃 ⌒ ー ⌒ 〃 )
795名無しさん@ピンキー:2009/11/23(月) 11:44:44 ID:L6LYAs9E
( 〃 ⌒ ー ⌒ 〃 )
796名無しさん@ピンキー:2009/11/24(火) 11:24:38 ID:y5Tw1Z76
( 〃 ⌒ ー ⌒ 〃 )
797名無しさん@ピンキー:2009/11/25(水) 12:37:44 ID:Vn/ruR6m
( 〃 ⌒ ー ⌒ 〃 )
798名無しさん@ピンキー:2009/11/26(木) 11:31:34 ID:T17tLnrP
( 〃 ⌒ ー ⌒ 〃 )
799名無しさん@ピンキー:2009/11/27(金) 11:21:03 ID:xR8WM6sh
( 〃 ⌒ ー ⌒ 〃 )
800名無しさん@ピンキー:2009/11/27(金) 21:45:28 ID:8cke8HsN
何の意味が……
801名無しさん@ピンキー:2009/11/27(金) 22:16:01 ID:xR8WM6sh
>>800 ( 〃 ⌒ ー ⌒ 〃 )
802名無しさん@ピンキー:2009/11/27(金) 22:16:22 ID:xR8WM6sh
( 〃 ⌒ ー ⌒ 〃 )
803名無しさん@ピンキー:2009/11/28(土) 11:33:50 ID:R4acjO5G
( 〃 ⌒ ー ⌒ 〃 )
804名無しさん@ピンキー:2009/11/29(日) 12:50:36 ID:Gq5g2onO
( 〃 ⌒ ー ⌒ 〃 )
805名無しさん@ピンキー:2009/11/30(月) 11:26:28 ID:hRYqBk+6
( 〃 ⌒ ー ⌒ 〃 )
806名無しさん@ピンキー:2009/11/30(月) 23:14:11 ID:4bHMJUZG
(〃`□´〃)イミワカラン
807名無しさん@ピンキー:2009/12/01(火) 09:18:58 ID:quB7tSCF
>>806 ( 〃 ⌒ ー ⌒ 〃 )
808名無しさん@ピンキー:2009/12/01(火) 09:19:18 ID:quB7tSCF
( 〃 ⌒ ー ⌒ 〃 )
809名無しさん@ピンキー:2009/12/01(火) 11:29:41 ID:quB7tSCF
( 〃 ⌒ ー ⌒ 〃 )
810名無しさん@ピンキー:2009/12/02(水) 12:39:13 ID:Zy8eJUL2
( 〃 ⌒ ー ⌒ 〃 )
811名無しさん@ピンキー:2009/12/02(水) 15:31:41 ID:Wb3NC24V
何してんの
812名無しさん@ピンキー:2009/12/02(水) 16:19:56 ID:Zy8eJUL2
>>811 ( 〃 ⌒ ー ⌒ 〃 )
813名無しさん@ピンキー:2009/12/02(水) 16:20:23 ID:Zy8eJUL2
( 〃 ⌒ ー ⌒ 〃 )
814名無しさん@ピンキー:2009/12/02(水) 19:31:29 ID:JTHkdXGM
個人情報が晒されたからやってるだけ。
815名無しさん@ピンキー:2009/12/02(水) 19:53:55 ID:Zy8eJUL2
>>814 ( 〃 ⌒ ー ⌒ 〃 )
816名無しさん@ピンキー:2009/12/02(水) 19:54:16 ID:Zy8eJUL2
( 〃 ⌒ ー ⌒ 〃 )
817名無しさん@ピンキー:2009/12/03(木) 11:15:50 ID:1sa49juR
( 〃 ⌒ ー ⌒ 〃 )
818名無しさん@ピンキー:2009/12/04(金) 19:54:05 ID:Oz0+EhXT
( 〃 ⌒ ー ⌒ 〃 )
819名無しさん@ピンキー:2009/12/05(土) 11:25:53 ID:RHyKbZy5
( 〃 ⌒ ー ⌒ 〃 )
820名無しさん@ピンキー:2009/12/06(日) 00:12:52 ID:HRJr22Ei
>>819
( 〃 ⌒ ー ⌒ 〃 )
821名無しさん@ピンキー:2009/12/06(日) 08:56:44 ID:4MW4txdz
>>820 ( 〃 ⌒ ー ⌒ 〃 )
822名無しさん@ピンキー:2009/12/06(日) 08:57:23 ID:4MW4txdz
( 〃 ⌒ ー ⌒ 〃 )
823名無しさん@ピンキー:2009/12/06(日) 08:57:49 ID:eRsuaEd2
葉と
824名無しさん@ピンキー:2009/12/06(日) 08:58:58 ID:4MW4txdz
>>823 ( 〃 ⌒ ー ⌒ 〃 )
825名無しさん@ピンキー:2009/12/06(日) 08:59:20 ID:4MW4txdz
( 〃 ⌒ ー ⌒ 〃 )
826名無しさん@ピンキー:2009/12/06(日) 13:15:03 ID:eRsuaEd2
リアル
827名無しさん@ピンキー:2009/12/06(日) 15:25:45 ID:4MW4txdz
>>826 ( 〃 ⌒ ー ⌒ 〃 )
828名無しさん@ピンキー:2009/12/06(日) 15:26:08 ID:4MW4txdz
( 〃 ⌒ ー ⌒ 〃 )
829名無しさん@ピンキー:2009/12/06(日) 20:21:54 ID:q6+IX7x1
その顔文字なんなんだ……
830名無しさん@ピンキー:2009/12/06(日) 21:00:08 ID:4MW4txdz
>>829 ( 〃 ⌒ ー ⌒ 〃 )
831名無しさん@ピンキー:2009/12/06(日) 21:00:41 ID:4MW4txdz
( 〃 ⌒ ー ⌒ 〃 )
832名無しさん@ピンキー:2009/12/06(日) 22:37:51 ID:eRsuaEd2
執行猶予
833名無しさん@ピンキー:2009/12/07(月) 03:19:08 ID:oBkNlVna
何がしたいんだろうな
834名無しさん@ピンキー:2009/12/07(月) 09:22:07 ID:lDMGJqpu
835名無しさん@ピンキー:2009/12/07(月) 09:22:44 ID:lDMGJqpu
>>832 ( 〃 ⌒ ー ⌒ 〃 )
836名無しさん@ピンキー:2009/12/07(月) 09:23:06 ID:lDMGJqpu
>>833 ( 〃 ⌒ ー ⌒ 〃 )
837名無しさん@ピンキー:2009/12/07(月) 09:23:27 ID:lDMGJqpu
( 〃 ⌒ ー ⌒ 〃 )
838名無しさん@ピンキー:2009/12/07(月) 09:51:19 ID:/sDDTD1t
(=●^0^●=)
839名無しさん@ピンキー:2009/12/07(月) 10:12:04 ID:lDMGJqpu
>>838 ( 〃 ⌒ ー ⌒ 〃 )
840名無しさん@ピンキー:2009/12/07(月) 19:24:30 ID:c/TONT+t
遁げろ家康
841名無しさん@ピンキー:2009/12/07(月) 19:45:51 ID:lDMGJqpu
>>840 ( 〃 ⌒ ー ⌒ 〃 )
842名無しさん@ピンキー:2009/12/07(月) 19:46:25 ID:lDMGJqpu
( 〃 ⌒ ー ⌒ 〃 )
843名無しさん@ピンキー:2009/12/08(火) 11:19:00 ID:O+gvvIpf
( 〃 ⌒ ー ⌒ 〃 )
844名無しさん@ピンキー:2009/12/09(水) 12:20:37 ID:52jy/1An
( 〃 ⌒ ー ⌒ 〃 )
845名無しさん@ピンキー:2009/12/10(木) 10:54:24 ID:BMTZ9XRq
( 〃 ⌒ ー ⌒ 〃 )
846名無しさん@ピンキー:2009/12/11(金) 11:17:29 ID:6YEges2j
( 〃 ⌒ ー ⌒ 〃 )
847名無しさん@ピンキー:2009/12/12(土) 11:12:11 ID:vSqEM5eP
( 〃 ⌒ ー ⌒ 〃 )
848名無しさん@ピンキー:2009/12/12(土) 11:34:58 ID:RdOyGRxs
( 〃 ⌒ ー ⌒ 〃 )
849名無しさん@ピンキー:2009/12/12(土) 12:09:27 ID:A07zj+0H
谷亮子「らめぇ〜」
850名無しさん@ピンキー:2009/12/12(土) 13:23:16 ID:vSqEM5eP
>>849 ( 〃 ⌒ ー ⌒ 〃 )
851名無しさん@ピンキー:2009/12/12(土) 13:23:38 ID:vSqEM5eP
( 〃 ⌒ ー ⌒ 〃 )
852名無しさん@ピンキー:2009/12/13(日) 11:09:51 ID:9/giWzAV
( 〃 ⌒ ー ⌒ 〃 )
853名無しさん@ピンキー:2009/12/14(月) 11:08:05 ID:9c4umhSA
( 〃 ⌒ ー ⌒ 〃 )
854名無しさん@ピンキー:2009/12/15(火) 01:16:18 ID:Mbxe2i1Q
( 〃 ⌒ ー ⌒ 〃 )
855名無しさん@ピンキー:2009/12/15(火) 07:42:54 ID:J1bMPGvs
ご苦労様
856名無しさん@ピンキー:2009/12/15(火) 09:57:46 ID:WyOUI3ax
>>855 ( 〃 ⌒ ー ⌒ 〃 )
857名無しさん@ピンキー:2009/12/15(火) 09:58:07 ID:WyOUI3ax
( 〃 ⌒ ー ⌒ 〃 )
858名無しさん@ピンキー:2009/12/16(水) 01:11:28 ID:EsDPX/uO
いまさらながらこのスレを知った
伊太郎さん、いずれ続きを読ませてください!1992秋冬と一気に読んで、
続きが気になって気になって・・・
他の職人の方も再臨してほしいな
またスレが賑わいますように
859名無しさん@ピンキー:2009/12/16(水) 09:33:19 ID:YtnzlUqr
>>858 ( 〃 ⌒ ー ⌒ 〃 )
860名無しさん@ピンキー:2009/12/16(水) 09:33:44 ID:YtnzlUqr
( 〃 ⌒ ー ⌒ 〃 )
861名無しさん@ピンキー:2009/12/17(木) 11:09:33 ID:Gb3GnTmm
( 〃 ⌒ ー ⌒ 〃 )
862名無しさん@ピンキー:2009/12/17(木) 18:02:25 ID:A0TdvWWh
伊太郎さんって、誰?
そんな人、前にいたの?
863名無しさん@ピンキー:2009/12/17(木) 18:29:33 ID:EkQWDx4y
夢さ
864名無しさん@ピンキー:2009/12/17(木) 19:36:48 ID:Gb3GnTmm
>>862 ( 〃 ⌒ ー ⌒ 〃 )
865名無しさん@ピンキー:2009/12/17(木) 19:37:09 ID:Gb3GnTmm
>>863 ( 〃 ⌒ ー ⌒ 〃 )
866名無しさん@ピンキー:2009/12/17(木) 19:37:32 ID:Gb3GnTmm
( 〃 ⌒ ー ⌒ 〃 )
867名無しさん@ピンキー:2009/12/17(木) 21:39:50 ID:zxgAh56j
いま>>585が明らかなウソをついたw
868名無しさん@ピンキー:2009/12/17(木) 22:51:13 ID:Gb3GnTmm
>>867 ( 〃 ⌒ ー ⌒ 〃 )
869名無しさん@ピンキー:2009/12/17(木) 22:51:42 ID:Gb3GnTmm
( 〃 ⌒ ー ⌒ 〃 )
870名無しさん@ピンキー:2009/12/18(金) 00:00:25 ID:EkQWDx4y
大忙しですねww
871名無しさん@ピンキー:2009/12/18(金) 00:01:10 ID:EkQWDx4y
みんな次スレはいらないよね。
さようなら、僕の柔ちゃん・・・
872名無しさん@ピンキー:2009/12/18(金) 09:31:27 ID:MOYsGGrQ
>>870 ( 〃 ⌒ ー ⌒ 〃 )
873名無しさん@ピンキー:2009/12/18(金) 09:31:49 ID:MOYsGGrQ
>>871 次スレお願い ( 〃 ⌒ ー ⌒ 〃 )
874名無しさん@ピンキー:2009/12/18(金) 09:32:10 ID:MOYsGGrQ
( 〃 ⌒ ー ⌒ 〃 )
875名無しさん@ピンキー:2009/12/18(金) 10:48:43 ID:FG2AS8UT
YAWARAスレ一人でいくつも荒らすのいい加減止めろよ
本スレでたまに出てくるやけに高圧的で頭悪そうなレスするバカもどうせお前だろw
無理矢理荒らそうとしてんのバレバレ
876名無しさん@ピンキー:2009/12/18(金) 11:14:04 ID:MOYsGGrQ
( 〃 ⌒ ー ⌒ 〃 )
877名無しさん@ピンキー:2009/12/19(土) 12:17:28 ID:UVjghYYQ
( 〃 ⌒ ー ⌒ 〃 )
878名無しさん@ピンキー:2009/12/20(日) 12:02:50 ID:+UYGhyP1
( 〃 ⌒ ー ⌒ 〃 )
879名無しさん@ピンキー:2009/12/21(月) 11:33:50 ID:A7xAo+Im
( 〃 ⌒ ー ⌒ 〃 )
880名無しさん@ピンキー:2009/12/22(火) 11:10:45 ID:mbTCVxdt
( 〃 ⌒ ー ⌒ 〃 )
881名無しさん@ピンキー:2009/12/23(水) 13:42:58 ID:N2ggWPHi
( 〃 ⌒ ー ⌒ 〃 )
882名無しさん@ピンキー:2009/12/24(木) 12:09:46 ID:AxDpLbk6
( 〃 ⌒ ー ⌒ 〃 )
883名無しさん@ピンキー:2009/12/25(金) 11:41:43 ID:e3IN7/i3
( 〃 ⌒ ー ⌒ 〃 )
884名無しさん@ピンキー:2009/12/25(金) 23:17:09 ID:ux4F1kJC
プ
885名無しさん@ピンキー:2009/12/26(土) 14:16:47 ID:bYHmFb8n
>>884 ( 〃 ⌒ ー ⌒ 〃 )
886名無しさん@ピンキー:2009/12/26(土) 14:17:13 ID:bYHmFb8n
( 〃 ⌒ ー ⌒ 〃 )
887名無しさん@ピンキー:2009/12/26(土) 15:03:16 ID:jmaL892w
>>885
プ
888名無しさん@ピンキー:2009/12/26(土) 22:10:41 ID:sKkq/Cln
……まだやってんの?
889名無しさん@ピンキー:2009/12/26(土) 22:20:20 ID:EiDtJRyT
伊太郎が謝罪するまでとことん続くだろうよ
890名無しさん@ピンキー:2009/12/26(土) 22:23:52 ID:bYHmFb8n
( 〃 ⌒ ー ⌒ 〃 )
891名無しさん@ピンキー:2009/12/26(土) 22:28:54 ID:bYHmFb8n
( 〃 ⌒ ー ⌒ 〃 )
892名無しさん@ピンキー:2009/12/27(日) 11:44:29 ID:ktMmN87B
( 〃 ⌒ ー ⌒ 〃 )
893名無しさん@ピンキー:2009/12/27(日) 12:31:58 ID:xijIETav
プ
894名無しさん@ピンキー:2009/12/27(日) 14:35:32 ID:ktMmN87B
>>893 ( 〃 ⌒ ー ⌒ 〃 )
895名無しさん@ピンキー:2009/12/27(日) 14:35:58 ID:ktMmN87B
( 〃 ⌒ ー ⌒ 〃 )
896名無しさん@ピンキー:2009/12/27(日) 18:25:42 ID:QAw3ak1W
>>894
プ
897名無しさん@ピンキー:2009/12/27(日) 19:53:49 ID:ktMmN87B
>>896 ( 〃 ⌒ ー ⌒ 〃 )
898名無しさん@ピンキー:2009/12/27(日) 19:54:24 ID:ktMmN87B
( 〃 ⌒ ー ⌒ 〃 )
899名無しさん@ピンキー:2009/12/28(月) 08:17:01 ID:fGCmXczo
( 〃 ⌒ ー ⌒ 〃 )
900名無しさん@ピンキー:2009/12/28(月) 11:22:44 ID:FGZtcUbd
( 〃 ⌒ ー ⌒ 〃 )
901名無しさん@ピンキー:2009/12/28(月) 19:05:30 ID:fpPL0Hcx
(  〃  ⌒ ー ⌒  〃  )
902名無しさん@ピンキー:2009/12/29(火) 07:06:39 ID:nBh1eNQe
太った?
903名無しさん@ピンキー:2009/12/30(水) 08:04:48 ID:Ep3nVfEU
( ⌒ ー ⌒ )
904名無しさん@ピンキー:2010/01/05(火) 17:48:15 ID:A3cwSG6G
規制解除!!長かった。

( 〃 ⌒ ー ⌒ 〃 )
905名無しさん@ピンキー:2010/01/06(水) 11:40:53 ID:9WlEwMgR
( 〃 ⌒ ー ⌒ 〃 )
906名無しさん@ピンキー:2010/01/07(木) 11:25:37 ID:9whfOwA3
( 〃 ⌒ ー ⌒ 〃 )
907名無しさん@ピンキー:2010/01/07(木) 16:35:39 ID:Da+oWwY0
おかえり〜
908名無しさん@ピンキー:2010/01/07(木) 17:01:47 ID:9whfOwA3
>>907 ( 〃 ⌒ ー ⌒ 〃 )
909名無しさん@ピンキー:2010/01/07(木) 17:02:13 ID:9whfOwA3
( 〃 ⌒ ー ⌒ 〃 )
910名無しさん@ピンキー:2010/01/07(木) 19:21:37 ID:zcrrBQc8
このスレでは遊んで良いけど、次のスレにはこないでね
911名無しさん@ピンキー:2010/01/08(金) 13:54:50 ID:EyTvVuda
( 〃 ⌒ ー ⌒ 〃 )
912名無しさん@ピンキー:2010/01/08(金) 15:22:06 ID:VYNbxBjG
YAWARAスレが続く限り、( 〃 ⌒ ー ⌒ 〃 )も永遠に続くから
913名無しさん@ピンキー:2010/01/09(土) 00:40:44 ID:iZ9KaCmc
プ
914名無しさん@ピンキー:2010/01/09(土) 09:12:22 ID:NauHE3Zk
>>912 ( 〃 ⌒ ー ⌒ 〃 )
915名無しさん@ピンキー:2010/01/09(土) 09:12:44 ID:NauHE3Zk
>>913 ( 〃 ⌒ ー ⌒ 〃 )
916名無しさん@ピンキー:2010/01/09(土) 09:13:14 ID:NauHE3Zk
( 〃 ⌒ ー ⌒ 〃 )
917名無しさん@ピンキー:2010/01/10(日) 15:50:26 ID:ilVBnKf0
( 〃 ⌒ ー ⌒ 〃 )
918名無しさん@ピンキー:2010/01/11(月) 11:14:01 ID:MqzhgKyD
( 〃 ⌒ ー ⌒ 〃 )
919名無しさん@ピンキー:2010/01/12(火) 11:27:19 ID:8gHXMqoN
( 〃 ⌒ ー ⌒ 〃 )
920名無しさん@ピンキー:2010/01/13(水) 11:15:47 ID:QrLirMAA
( 〃 ⌒ ー ⌒ 〃 )
921名無しさん@ピンキー:2010/01/16(土) 16:19:16 ID:0OonfMk4
規制終わった

( 〃 ⌒ ー ⌒ 〃 )
922名無しさん@ピンキー:2010/01/17(日) 11:41:01 ID:C+Z18tqc
( 〃 ⌒ ー ⌒ 〃 )
923名無しさん@ピンキー:2010/01/18(月) 11:26:29 ID:7LHlxOSu
( 〃 ⌒ ー ⌒ 〃 )
924名無しさん@ピンキー:2010/01/19(火) 11:43:19 ID:dqpIEI1H
( 〃 ⌒ ー ⌒ 〃 )
925名無しさん@ピンキー:2010/01/22(金) 15:07:07 ID:haM1YDVS
規制終了

( 〃 ⌒ ー ⌒ 〃 )
926名無しさん@ピンキー:2010/01/23(土) 11:08:41 ID:aMgtm97P
( 〃 ⌒ ー ⌒ 〃 )
927名無しさん@ピンキー:2010/01/24(日) 12:26:27 ID:aj8kSV0m
( 〃 ⌒ ー ⌒ 〃 )
928名無しさん@ピンキー:2010/01/24(日) 23:39:57 ID:YF2pr27T
うわ、まだやってたの?
すげー暇人だな。
929名無しさん@ピンキー:2010/01/25(月) 13:55:07 ID:w78cAfB6
>>928 ( 〃 ⌒ ー ⌒ 〃 )
930名無しさん@ピンキー:2010/01/25(月) 13:55:55 ID:w78cAfB6
( 〃 ⌒ ー ⌒ 〃 )
931名無しさん@ピンキー:2010/01/26(火) 11:35:08 ID:uEe4/xSR
( 〃 ⌒ ー ⌒ 〃 )
932名無しさん@ピンキー:2010/01/27(水) 11:33:40 ID:UzixwPx6
( 〃 ⌒ ー ⌒ 〃 )
933名無しさん@ピンキー:2010/01/28(木) 22:11:26 ID:Jys6L2gY
980くらいになったら次スレたててやるから
職人様が降臨されるまで保守しとけよ (笑)
934名無しさん@ピンキー:2010/01/28(木) 22:17:23 ID:Px0ljSCO
( 〃 ⌒ ー ⌒ 〃 )新板でも手を抜かず頑張りますので、よろしくお願いします
935名無しさん@ピンキー:2010/01/31(日) 15:59:06 ID:rY5GEdHo
規制終わり

( 〃 ⌒ ー ⌒ 〃 )
936名無しさん@ピンキー:2010/02/01(月) 12:00:15 ID:IXZvOIXY
( 〃 ⌒ ー ⌒ 〃 )
937名無しさん@ピンキー:2010/02/02(火) 04:48:44 ID:rijV60jz
.
938名無しさん@ピンキー:2010/02/02(火) 04:48:54 ID:rijV60jz
..
939名無しさん@ピンキー:2010/02/02(火) 04:49:03 ID:rijV60jz
...
940名無しさん@ピンキー:2010/02/02(火) 04:49:11 ID:rijV60jz
....
941名無しさん@ピンキー:2010/02/02(火) 04:49:19 ID:rijV60jz
.....
942名無しさん@ピンキー:2010/02/02(火) 21:06:02 ID:lUFrroLz
......
943名無しさん@ピンキー:2010/02/02(火) 21:06:12 ID:lUFrroLz
.......
944名無しさん@ピンキー:2010/02/02(火) 21:06:20 ID:lUFrroLz
........
945名無しさん@ピンキー:2010/02/02(火) 21:06:29 ID:lUFrroLz
.........
946名無しさん@ピンキー:2010/02/05(金) 00:17:28 ID:6bSB4vvn
( 〃 ⌒ ー ⌒ 〃 )
947名無しさん@ピンキー:2010/02/05(金) 02:28:08 ID:k71rnCuz
...
948名無しさん@ピンキー:2010/02/05(金) 02:28:15 ID:k71rnCuz
....
949名無しさん@ピンキー:2010/02/05(金) 02:28:24 ID:k71rnCuz
....
950名無しさん@ピンキー:2010/02/05(金) 02:28:33 ID:k71rnCuz
.....
951名無しさん@ピンキー:2010/02/05(金) 13:13:40 ID:s4QpZ6Rp
蟻の行列
952名無しさん@ピンキー:2010/02/06(土) 06:11:42 ID:Cu9R9sh/
....
953名無しさん@ピンキー:2010/02/06(土) 06:11:54 ID:Cu9R9sh/
...
954名無しさん@ピンキー:2010/02/06(土) 06:12:00 ID:Cu9R9sh/
..
955名無しさん@ピンキー:2010/02/06(土) 06:12:07 ID:Cu9R9sh/
.
956名無しさん@ピンキー:2010/02/06(土) 19:28:05 ID:7XCehyof
( 〃 ⌒ ー ⌒ 〃 )
957名無しさん@ピンキー:2010/02/07(日) 22:39:43 ID:r6PrPl0L
..
958名無しさん@ピンキー:2010/02/07(日) 22:39:53 ID:r6PrPl0L
.
959名無しさん@ピンキー:2010/02/07(日) 22:40:01 ID:r6PrPl0L
..
960名無しさん@ピンキー:2010/02/07(日) 22:40:10 ID:r6PrPl0L
....
961名無しさん@ピンキー:2010/02/07(日) 22:40:16 ID:r6PrPl0L
.
962名無しさん@ピンキー:2010/02/09(火) 19:56:45 ID:Lw+uVH7K
...
963名無しさん@ピンキー:2010/02/09(火) 19:56:54 ID:Lw+uVH7K
....
964名無しさん@ピンキー:2010/02/09(火) 19:57:00 ID:Lw+uVH7K
..
965名無しさん@ピンキー:2010/02/09(火) 19:57:06 ID:Lw+uVH7K
.
966名無しさん@ピンキー:2010/02/09(火) 19:57:15 ID:Lw+uVH7K
....
967名無しさん@ピンキー:2010/02/09(火) 19:57:23 ID:Lw+uVH7K
..
968名無しさん@ピンキー:2010/02/09(火) 19:57:34 ID:Lw+uVH7K
.......
969名無しさん@ピンキー:2010/02/09(火) 19:57:46 ID:Lw+uVH7K
...
970名無しさん@ピンキー:2010/02/09(火) 19:57:52 ID:Lw+uVH7K
.
971名無しさん@ピンキー:2010/02/10(水) 03:26:01 ID:cIKiBuDb
いずれにしてもこのスレに未来はないよ
俺を怒らせてしまったのだから
972名無しさん@ピンキー:2010/02/10(水) 18:01:29 ID:+zZrhAq1
.
973名無しさん@ピンキー:2010/02/10(水) 18:01:39 ID:+zZrhAq1
..
974名無しさん@ピンキー:2010/02/10(水) 18:01:46 ID:+zZrhAq1
...
975名無しさん@ピンキー:2010/02/10(水) 18:01:54 ID:+zZrhAq1
....
976名無しさん@ピンキー:2010/02/10(水) 18:02:01 ID:+zZrhAq1
.....
977名無しさん@ピンキー:2010/02/10(水) 18:02:09 ID:+zZrhAq1
......
978名無しさん@ピンキー:2010/02/10(水) 18:02:16 ID:+zZrhAq1
.......
979名無しさん@ピンキー:2010/02/10(水) 18:02:25 ID:+zZrhAq1
........
980名無しさん@ピンキー:2010/02/10(水) 22:40:47 ID:rGaBlr50
このスレに未来がないのは事実だな。
残り20レスだしw
981名無しさん@ピンキー:2010/02/10(水) 23:56:16 ID:d1vN6pss
( ´,_ゝ`)プッ このスレと言ったらYAWARAスレのことに決まってるだろ
982名無しさん@ピンキー:2010/02/11(木) 01:16:48 ID:xaiYTsG2
ここが噂の……。
983名無しさん@ピンキー:2010/02/11(木) 17:16:14 ID:W4oxX62Q
次も見んとワシの大外刈りをお見舞いするぞ!
984名無しさん@ピンキー:2010/02/11(木) 22:07:54 ID:+sMqfcCm
..
985名無しさん@ピンキー:2010/02/11(木) 22:08:00 ID:+sMqfcCm
..
986名無しさん@ピンキー:2010/02/11(木) 22:08:08 ID:+sMqfcCm
...
987名無しさん@ピンキー:2010/02/11(木) 22:08:14 ID:+sMqfcCm
...
988名無しさん@ピンキー:2010/02/11(木) 22:08:20 ID:+sMqfcCm
...
989名無しさん@ピンキー:2010/02/11(木) 22:08:26 ID:+sMqfcCm
..
990名無しさん@ピンキー:2010/02/11(木) 22:08:32 ID:+sMqfcCm
..
991名無しさん@ピンキー:2010/02/11(木) 22:08:40 ID:+sMqfcCm
..
992名無しさん@ピンキー:2010/02/12(金) 22:52:36 ID:mU2iuINq

長かった・・・・・11日間も規制された!!

( 〃 ⌒ ー ⌒ 〃 )
993名無しさん@ピンキー:2010/02/13(土) 05:18:58 ID:dqgRt8Hf
.
994名無しさん@ピンキー:2010/02/13(土) 05:19:04 ID:dqgRt8Hf
..
995名無しさん@ピンキー:2010/02/13(土) 05:19:10 ID:dqgRt8Hf
...
996名無しさん@ピンキー:2010/02/13(土) 05:19:17 ID:dqgRt8Hf
....
997名無しさん@ピンキー:2010/02/13(土) 05:29:40 ID:x4e46au+
.
998名無しさん@ピンキー:2010/02/13(土) 05:29:47 ID:x4e46au+
..
999名無しさん@ピンキー:2010/02/13(土) 05:29:55 ID:x4e46au+
...
1000名無しさん@ピンキー:2010/02/13(土) 05:30:03 ID:x4e46au+
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