逆転裁判エロパロ第12法廷

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1名無しさん@ピンキー
・・・ここは逆転裁判のエロパロスレッドだ。
SSの投下、大いに歓迎しよう。

<異議あり!>
弁護側は下記を要請します!
・投下前のカップリングの明記
・特殊設定などの注意事項
・需要の有無などのお伺いは不要

前スレ
逆転裁判エロパロ第11法廷
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1200751875/

初代スレ
http://www2.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1035018015/
2スレ
http://www2.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1049383172/
3スレ
http://www2.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1064908551/
4スレ
http://pie.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1079606189/
5スレ
http://idol.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1085756965/
6スレ
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1098197401/
7スレ
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1120838794/
8スレ
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1161958004/
9スレ
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1177068199/
10スレ
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1184655487/

エロ絵掲示板
http://aeneas.halfmoon.jp/gsero/
逆転裁判エロパロスレ@Wiki
ttp://www23.atwiki.jp/gspink/
2名無しさん@ピンキー:2008/11/21(金) 00:20:47 ID:a1Uv7eN3
>>1
3名無しさん@ピンキー:2008/11/21(金) 00:38:42 ID:5h1imJC/
           /ニYニヽ
     (ヽ   /( ゚ )( ゚ )ヽ   /)       こ、これは>>1乙じゃなくて
     (((i ) /::::⌒`´⌒::::\  ( i)))     でっていうの舌なんだから
    /∠_| ,-)    (-,|_ゝ \    勘違いしないでっていうwwwww
    ( __  l  ヽ__ノ   ,__ )
        \   |r-_,,..、;  /
          |  | | .二二二二二二二二二 ̄ ̄>
         |  | |`|   |          ̄>./
         |  `ー'    |        / /
                        /  <___/|
                        |______/
4名無しさん@ピンキー:2008/11/21(金) 03:58:09 ID:DAWOCmcC
童貞なるほどと処女マヨイの続きがやっと出来上がった…
クソ待たせてすまんかった…
実は完成は前投下した4日後にできたのに、PCぶっ壊れてデータ飛んだorz
必死に復元して今になってしまったんだ…言い訳臭いが。
とりあえず続き投下します。完結したが、文章力なくてスマソ
5名無しさん@ピンキー:2008/11/21(金) 03:59:41 ID:DAWOCmcC
「なるほどくん」
撫でながらなるほどくんは生返事をする。
「これっていつ終わ…ひゃあっ!」
行為の終点を訪ねようとしたとき、あたしの耳たぶが舐められて先ほど感じた甘い電流が

再びあたしを襲う。
なるほどくんからの返事は、ない。あたしの耳を舐めるために喋れないのだから当然なん

だけど…こ、これは…。

「や…やあ…くすぐったいぃぃ…」
耳の入口で粘着質な音が聞こえる。不思議なことに、そうされると勝手に体が捩れて竦ん

で、それでいて
「ひゃうう」
自分の声じゃないみたいにあたしの唇から猫なで声のようなものが勝手に飛び出てくる。
更に追い討ちをかけるように、髪をなでていない方の手の指先は、はだけた装束の中であ

たしの胸の頂点を弄んでいた。
「…あっあ…」
なるほどくんの舌が耳を完全に攻略した後は首筋、鎖骨…と滑るように降りてくる。
背中の後ろの方からじん、と切ないような寒気に似た空気が襲ってくる。
「や、やー…な、にっこれっ」
さっきみたいに唇を塞がれていたわけでもないのに、今あたしの呼吸は乱れている。
おまけに意図しない変な声が勝手に出てくるのだからもう何がなんだかわからない。
そして考える能力をだんだんなるほどくんの舌と手が奪っていく。
なるほどくんは無言だ。暗いせいで表情が読み取れない。
その時、あたしの髪をなでていたなるほどくんの手がふっと消えた。
けど、もう何をしているのか考える余裕がなくなったあたしは、この不思議な感覚に飲ま

れまいと
目を閉じ、首を振って必死に耐えた。

「う…うぅうう…!」

鎖骨にいたなるほどくんの舌が、指が戯むれていないほうの胸の頂を包み込んだ。

「やっ…あっあぅっ…だ、だめだ、よぉ…なるほどく…ん…ひゃうっ…」

正直、自分でも何がダメでなにがいいのか、もうどうにも分からない。
ただ、左胸はなるほどくんの口におおわれ、右胸はなるほどくんの指に覆われ、
そしてあたしは装束を申し訳程度にまとっただけの半裸状態。
こんな絵面を想像したら、とんでもなく恥ずかしい事をしていると実感がわいてしまう。
ぱさりと、暗闇で何かが落ちる音がした。
その音のほうを目を開けて確かめてみる。
暗闇でよく見えなかったけど、たぶんあれはスーツとシャツとネクタイだったんだ。
次の瞬間あたしの唇を奪ったとき、なるほどくんの胸板があたしの胸に触れた。
人の肌が直に体に触れることはこんなに暖かいことは知らなくて、
胸に触れたところがふんわりと熱を持つ。なるほどくんはキスをしながらあたしの背中に

手をまわした。
6名無しさん@ピンキー:2008/11/21(金) 04:01:54 ID:DAWOCmcC
「んん…」
さっきまで、あんなにお互いテレていたのに。
大人のキスは覚えたばかりだというのに、今この暗闇の中抱き合いながらのこの時間、
この深く官能的な口づけはスキンシップの一部に過ぎなかった。慣れって怖い。
なるほどくんが今は肩と背中しか覆っていない装束を取り払った。
「っ…」
これであたしの肌を隠すのは下着だけ、と思っていたら
既に腰のラインから指を引っ掛けて下着をも取り払おうとしていた。
「…!ん…ーっ!(心の準備が…あっ)」
下着のことに気を奪われていると、なるほどくんはその舌の居場所を唇から胸へと移動し、
再度なだめるような舌使いで胸の頂を転がす。
両側の胸の頂から甘いくすぐったさが下肢の方へと駆け巡り突き抜ける。

「ひ…ぁんッ!…や、や…待って!なるほどくん!」

思わずこの感覚に飲まれてしまいそうだった自分を気力で鞭打ち、下着の奪取に抵抗した。
トーンをあげたあたしの声になるほどくんは返事をした。

「ん?」
「…うう…どうしてもパンツ脱がないとダメ…?」
「そりゃ、履いたままじゃあ無理…かな」
んじゃ、ここから先は目を瞑って欲しいなんて無茶な願望が頭に浮かんで喉元まで出てきたけど
引っかけた指はぐいぐいと引っ張り、とうとうあたしの下着は膝のところまで下げられてしまった。
いよいよ、あたしは全裸だった。なるほどくんは、まだズボン履いてるのに…
「あ……!…やっやだ…見ないで…ッ」
見られたくない、恥ずかしくて死にそう。
視線に映らないように必死に手で隠そうとしたその両手を、なるほどくんに片手で纏められてしまった。
なるほどくんの左手につかまれた両手はあたしの頭の上で空を掴む。
「な、なるほどくん………っんん…!」
なるほどくんの指が、晒されたばかりのあたしの下肢の中心を慰めるように優しく撫でた。
「あっあ…」
淫らないやらしい声があたしの喉から飛び出してくる。
下肢の中心から競り上がってくるような快感が甘く体中に広がってゆく。
こんなに恥ずかしい格好で、恥ずかしい行為をしているのに、不思議と止めてほしいとは思えない。
なるほどくんのぎこちなくも優しい指づかいは一定の速度と強さを保ち、同じ動きであたしの中心を撫でまわす。
そのたびにゾクゾクと背筋や首筋にくすぐったいような感覚が襲う。思考能力も低下していく。
「うっん…あぁッ…な…るほど…くん…………!」
「…痛くない…?」
指の動きは止めずになるほどくんはあたしに問う。
だんだんあたしの呼吸も上がってきて、まともに喋ることが出来なくなっていた。
絞り出すように痛みはないことを訴える。
「う……んッ……でも……」
「ん…?」
なぜこんなところを触られてるのに、嫌じゃないのか…気持ちいいのか…声が出るのか。
正体不明なこの感触がとても怖くもあった。
「…こわい………ッ…ぁン…」
きゅ、とお尻に力が入る。息が苦しい。
「は…ぁあ…」
しばらくあたしは変な声を上げ、ただ吐息を吐き続けていた。どのくらい経ったかはわかんないけど…
「あ…ッん…んん…」
でも、その時にはもうあたしは目に力は入らなかったし、手にも力が入らなくて、
いつの間にか両手が自由になっていたのに抵抗できなく、いや、抵抗したくなくなっていた。
「あっ…あっ…あっ…」
7名無しさん@ピンキー:2008/11/21(金) 04:02:32 ID:DAWOCmcC
ぴちゃ、

あたしの下肢が湿り気の含んだ音をたてた。その音で気づいた。
妙になるほどくんの指づかいは滑らかで、それでいてぬるぬるとしているということ、
そのぬるぬるの正体があたしの秘所から流れ出ているということ、
なるほどくんの指はそれをすくってあたしの中心に塗りつけるように撫でていること。

「な…なに…ッこれ…ああ…はあッ」

粘着質な水音はどんどん激しくなっていく。指のスピードが上がり、頭の中が真っ白にな

る。
あ、あ、あ…
「だ…めッ…や…、や…」
このぬるぬるは何…?
あ…なんだろコレ…うう、だめ、何コレ…何も、考えられない…
き…気持ち…気持ちいい…あ、あ…
「あっあっあっ…」
なるほどくんの指があたしの胸の頂をも同時に攻め立てる。
快感が電流のように弾ける。
「ひゃあっ…ん!」
弓なりに体を反らして、飲み込まれそうな快感に抵抗をする。
でも、だめ、まだ続いてる。このままじゃ…あたし
「あ、あ、あ、だめ…だめ…なんか、な、なんか…」
波のように何かが押し寄せてくる。
本能でもっと、もっとと訴えている。さらなる快感を与えてくれることを期待している。
「あああ…や…だ…ああ!」
気持ちいい、あたし…どうして…
「ぁ…あ…やッ、だ…あ…あ、あ…あー…あああぁぁ…」
息が上がる。体が熱い。
首を振って正気でいようと必死にもがいたけども、もう遅かった。

「ひぅ…ああぁあー……ッ!」

宙に放り出されたような開放感と浮遊感。
強い快感に襲われたと思ったら、段々手放されていくみたいに、グラデーションみたいに


時間をかけてあたしから視覚が、聴覚が、意識が遠のいていく。

呼吸が落ち着いたころ、あたしの瞼はすごく重くって、
目を閉じずにはいられなかった。
8名無しさん@ピンキー:2008/11/21(金) 04:03:54 ID:DAWOCmcC
「真宵…ちゃん?」
「ふぇ…?」
「だ、大丈夫?」
「…んー…………なんか、ふあふあするよー…」
「…い、イったの?」
「行くって…どこにー…?」
ああ、だめ…強烈な眠気が…来てるよ、なるほどくん………
「ど、どこにって…」


……………


「…コラ!寝るな真宵ちゃん!」
「イ、イタイよー!」
ペチペチと軽くほっぺを叩かれた。
窓からわずかに月の光が差し込んで、あたしたちを照らしたのがわかる。
目を開けるとなるほどくんが裸のままあたしを見下ろしていた。
「こ、こんな状態で寝るなよ…」
「だって、なんか体がきゅーってなったと思ったら、眠くなってきたんだもん」
「…多分、イったから…じゃないかな」
「行ったってどこにー?
 なるほどくん、さっきから専門用語使いすぎだよー!」
「せ、せんもんようご…」
「初めてなんでしょ?なのになんでなるほどくんだけ、こんなに詳しいの?」
「え…そ、そりゃあ男は性に関する情報が詰まった媒体が豊富にあるからして…
 って何言わせるんだよ、真宵ちゃん…」
「これでセッ……エッチって終わり?」
同じ意味なのに、セックスって言うとすごい生々しいと思ってあたしは訂正した。
なるほどくんはビックリして声を上げた。
「ええええ」
「まだ続きがあるの?」
「…そ、そりゃ。こんな状態で終わったらボクとしては切ないな」
「こんな状態?」
「…うん」
なるほどくんはそう言って、あたしから退くとベルトを鳴らして外し始めた。
9名無しさん@ピンキー:2008/11/21(金) 04:04:52 ID:DAWOCmcC
綾里家…というより倉院の里には男の人がほとんどいない。
もちろんあたしの生活にも男の人の生活が存在しなくて、
男の人がズボンを脱ぐところなんて見たことがない。
つい珍しい光景だったから、なるほどくんが脱ぐところをまじまじと見てしまった。
だけど、さすがにトランクスを降ろすところは恥ずかしくて、
トランクスに手がかかったとき、慌ててあたしは布団に沈んだ。

ぱさり、と布が床に落ちる音が耳に入る。…脱いだんだ。トランクス。

あたしの心臓はまたドキドキと鼓動を早くさせていた。
なるほどくんが再びあたしに覆いかぶさるのを待ち望んでいるような、怖いような。
でも、意外となかなか帰ってこない。耳をすませてよく聞いてみると、
がさごそと漁るような音がする。洗濯物を漁ったり、クローゼットを漁ったり。
暗闇の中で小さく「あ、あった」と聞こえてくる。何を探してたんだろ…。
間もなくビニールを開封するような音が聞こえてきた。…なにしてるのかな。

「お、おまたせ」
なるほどくんが慌ててあたしに覆いかぶさったと思うと、スキンシップの一環のようなキスをくれた。
「なにしてたの?」
「えっ………いや、まあ、その…準備」
声が上ずっているのは聞き間違いじゃない。けど、あたしはお互い裸っていうこの状況が恥ずかしくて
それ以上は何も聞かないことにした。

「……マヨイ、ちゃん」
トーンを低くしたなるほどくんの声が上から降ってくる。
「つづき、してもいい?」
「………お願いします」

大人のキスは、官能的な行為の始まりの合図なのかもしれない。
長くて淫らで温かいキスを何度も、何度も繰り返しながらそう思った。
そのうち、なるほどくんの舌を求めたいと思うようになって、
侵入したなるほどくんの舌を迎え入れたあと、あたしも、と言わんばかりに絡ませてみた。
10名無しさん@ピンキー:2008/11/21(金) 04:06:06 ID:DAWOCmcC
「ん、ん」

唾液と舌のからみつく音は思った以上に大きくて、狭い部屋に水音が響く。
頭がぼーっとする。唇を離したときには、唾液の糸がだらりと尾を引いていやらしく落ち

た。
なるほどくんの顔が離れ、下肢へと動いたその時

「いっ…ゃあああ……あ、あ…ッ!」

あたしの中心を犬が水を飲むみたいに、
なるほどくんは舌を使ってあたしの中心を舐め続けた。
勝手にお尻にきゅーっと力が入って、
せかされるような快感が下からぐっと上がってきて、…

キモチイイ…!

「あ…ん…ぁん…ッ…ぁん…ッ!」

がくがくと膝が笑って、自然と足を開いてしまう。
暖かくてぬるぬるした舌が、不思議なことにとても気持ちいい。
でも、ぬるぬるしているのは舌じゃなく、
あたしの中心からどくどくと溢れ出しているということに気づいた。
お尻が勝手に浮いたとき、あたしの入り口あたりから糸を引く感触を感じた。

「あうぅ…っ…なるほどく…ん・・・!」

あたしの声でなるほどくんはあたしの下肢から顔を離して、
色っぽい吐息をつきながら、切羽詰まったような声で囁いた。

「…マヨイちゃん…入れていい?」

「あっ…あ…うん…」
「ゆ、ゆっくりするから…痛かったら言って。やめるから」
「………ん」

やっぱり、痛いんだ。
なるほどくんの言葉でおかしくなりそうだった思考が現実に引き戻される。
痛みを伴うと聞いて不安になってしまう。
あたしの入り口に生温かくて硬い感触が当てられる。
その生暖かさは、なるほどくんの体温だと、すぐに分かって、
あたし達はこれから一つになろうとしているんだ、と
緊張と不安に、瞳を閉じた。

闇と共に、今までで一番優しい口付けが交わされた。

その時、
11名無しさん@ピンキー:2008/11/21(金) 04:06:45 ID:DAWOCmcC
「いっ…!」

思わず目を閉じる力が強くなる。
あたしの下肢の奥に向かって強烈な違和感と圧迫感!
ぐいぐいと徐々にこじ開けられるような、
徐々に引き裂かれそうな、今まで味わったことのない痛みが突き抜ける。

「ったぁ…いよ…」
「ご、ごめん。や、やめようか…?」
「……………いい…どうせ痛いんだったら、今っ…終わらせる…!」
「…ごめんね」
「…ト、トノサマンスピアーに刺されるアクダイカーンの気持ちになってみる…」
「………(そんなに痛いのか)」

ぐぐっとあたしの内壁を競り進んでくる硬い感触。

「うう………ッ!!」
「っ…マヨイちゃん、ごめん、力抜いて・・・」
「えっあ…あっ…ど、どうやって抜くの……?」

自分では抜いているつもりのはず。
というより、力の加減がわからなくなるほど、痛みで思考回路が冒される。
簡単なはずの筋肉の収縮が、とても難しい。

「……他のこと考えていいから。その方が痛みも和らぐと思う…」
「ほ、ほかのこと………っあ!」
「ごっごめん、痛かった?……ゆっくり入れていくから…」
「…………」

目を堅く閉じて真黒な想像の中、みそラーメンやトノサマンのことを思い浮かべてみる。
眠くなるための、羊を数えるおまじないがあるように、
痛みを忘れるおまじないもあればいいのに。
……トノサマンの歌詞でも歌ったら、和らぐかなあ…?

「……(かーいぞーしゅーじゅつの、ふーるーきーずーがー…)」
ピリッとまたあたしの中心が引き裂かれた。
「………ヒソヒソ(うーずくー、ネーオエード)」
「っちょ、ちょっと、マヨイちゃん!」
「かーらー…あッ!!……っかぁぜー…ぇ………いたいぃ…」
「な、何歌ってるんだよ、こんな状況で!」
「……歌ったら…気が…まぎれるかなって」
「…その歌に気を取られずに集中できるほどボクは慣れてないんだぞ」
「……こんなに痛いなんて思わなかったんだもん……痛ッ!!!」

あたしの最奥がビクビクと痛みに恐れていた。
奥の方で火傷をしたみたいな、
刺し傷に水をかけられたみたいな、
ヒリヒリとした痛みが怒涛のように押し寄せてくる。
12名無しさん@ピンキー:2008/11/21(金) 04:09:37 ID:DAWOCmcC
「……入った……」
「え……」
そういえば、あたしの足の付け根になるほどくんの体温が伝わっているような…。
そっか。奥まで入れば自然とくっつくようになっているんだ…。

「じゃ、じゃあ…これでおしまい?」
「ちがうよ………っ…」
「……?ナルホド…くん…?」
「…うう…マヨイちゃんの中……気持ちイイ…」
「!」
その言葉であたしの心臓も、あたしの下肢の奥も、キュン、と縮まった。
こんなに色っぽい男の人の声を聞いたことがない。
しかも、あのナルホドくんが…。あたしの中にいて、気持ち良くなってる。
感触というよりも、その事実があたしの気分を昂ぶらせた。

「……ッ……マヨイちゃ、ん…!動くよ……っ」
「え………っあッ………ぅんッ…」

うん、と口から飛び出た瞬間、あたしの中に押し寄せていた違和感と圧迫感が
一気に引き抜かれる。内壁を擦る感触と、閊えていたモノが解放される感触が気持ちいい。
その刹那、再び奥へと圧迫感がやってきた。

「あっ!」

最奥まで突き刺されて、また引き抜かれて、また刺されて…
いったん引き抜かれたあと突かれる感触は、意図もしていない声を誘う。

「あっ…あっ…あっ…アッぁ…」

一番奥はまだヒリヒリしているけれど、その痛みを和らげるようなこのピストン運動。
自分が自分でなくなりそうなくらい、この痛みと快楽の波に飲まれてしまいそう…!
涙が勝手ににじみ出る。
13名無しさん@ピンキー:2008/11/21(金) 04:10:26 ID:DAWOCmcC
「ゃっ…はン…ッ…や、だッ…なる、ほ、どクンッ…!」
「…っ真宵…ちゃん」
「怖…いよ…ッこわい……っ…くッ…」

上下の腰の動きは止めずに、なるほどくんは、あたしの背中に腕をまわした。
あたしの胸と、なるほどくんの胸がぴったりとくっついて、
早まった鼓動がお互いの肌に伝わった。
息も絶え絶え、悲鳴のような呼吸をあげる私の口に啄ばむようなキス。
左手は背中にまわしたまま、右手であたしの頭を包み込む。

「真宵ちゃん……好き、だ…ッ」

なるほどくんの切羽詰まった、二度目の告白を聞いたら、
恐怖なんか吹っ飛んで、嬉しさが胸を駆け抜けて。

別の意味で、涙が止まらなかった。

大好き、愛しい、大好き、愛しい…
そんな気持ちがぐるぐる駆け巡って、時間の間隔を忘れた。

「なるほど…く…ん…………スキ……」

手をつなぐことすら照れくさくて。

ギザギザ頭も変わんないし、口調も変わんないし、

「真宵ちゃん」って呼び方も変わんないし、別にふつう。
カップルって言葉よりコンビって言葉のほうがしっくりきちゃうと思ってるのは、
たぶん一緒なんじゃないかなあ。

だって、今さら、だし。
そういうフンイキ、くすぐったいし。

そんなこと、思っていたあたしが、呼吸をするのと同じくらい、自然に
なるほどくんに好意を言葉で伝えた。

…官能的な行為の終わりの瞬間は、はっきりと覚えていない。
あたしも必死で。なるほどくんも必死で。

好きと言ってもらったこと、好きだと言えたことの安心感で、
あたしはなるほどくんの腕の中で、まどろみに、堕ちた。
14名無しさん@ピンキー:2008/11/21(金) 04:11:11 ID:DAWOCmcC
***

あたしの肩に蒲団がかかる感触で目を覚ました。

「あ、起しちゃった?ごめん…」
「……あ、あれ…。ごめん、あたし寝ちゃってた?」
「いや、そんな時間経ってないよ」
「そ、そうなんだ…」
なるほどくんの部屋、なるほどくんの一枚の布団、脱ぎ散らかされたスーツと装束、
そして、裸のあたしたち。
「……………」
「……………」
目が合った。
「……なによ」
「……なんだろうね」
「なによ(笑)」
「なんだろうね(笑)」
不思議な笑いがこみあげてくる。
恥ずかしさと愛しさが入り混じって、でもそれを悟られたくなくて、
目を細めて笑った。それから、抱きついた。
「スキって言うこと、恥ずかしいことじゃなかったね」
「……ん」
「なるほどくん、大好き」
「ありがとう」
「あれ、あたしには言ってくれないのー?」
「……大好きだよ」
「あはは、似合わないなー!」
「……悪かったな、ガラじゃなくて」
「拗ねない拗ねない!」
きゃっきゃと転がるように絡みつくと、なるほどくんの顔が赤くなったような気がした。
当然、あたしも実は気恥ずかしさが抜けていないんだけど、それはヒミツにしておく。
「…ね。最後どうなったの」
「最後…って」
「ほら、あたしの中に入って腰動かしたあと…」
「そ、そんな生々しいこと言うな」
「だって、途中で寝ちゃって」
「……イったよ」
「…どこにー?」
「…………まあ、それは追々…」
「オイオイ?」
「うん」
「……うん(笑)」

「あ!」
「どうしたの?真宵ちゃん」
「はみちゃんに電話しなくちゃ…!今何時?」
「ちょ、ちょっと!こんな時間だよ、もう寝てるって」
「こんな時間って、今何時?時計どこ?」
「ホラ」
なるほどくんが、無造作に転がっていた時計に手を伸ばす。
時計の針は午前1時を指していた。
15名無しさん@ピンキー:2008/11/21(金) 04:12:03 ID:DAWOCmcC
「うえええ!?こんな時間!終電ないじゃない!」
「泊まっていきなよ。始発で帰れば大丈夫だろ」
「…はみちゃん、心配してないかなあ…」
「…………むしろその逆だと思うけど」
「え」
「………春休みってさ、宿題あるの?」
「……………あ」
「まあ、あるところもあるみたいだけど、
 ボクは子供のころ春休みに宿題やった記憶はないな」
「あたしも、ない…」
「…春美ちゃんのさ、お膳立てだったんじゃないかな」
「……そんな気がしてきた。
 あれ?それじゃ、最初から勘付いてたの?」
「……まあね」
「……エッチ」
「なんでだよ!」
「…ま、いっかぁ。今日はいい思い出、いっぱい出来たし!」

なるほどくんの大きな掌に指をからませて、目をつむった。


明日、はみちゃんに何て言おうかなあ。

次になるほどくんと二人でデートするときは、どんなデートなのかなあ。

さっき言ってたオイオイってどんなのかなあ。

ずっと二人で、このまま居られたらいいなあ。





この数日後に、青いスーツの襟もとのバッジと、
幸せな日々が奪われた事を、この時のあたしには知る由もなかった。





fin
16名無しさん@ピンキー:2008/11/21(金) 04:16:53 ID:DAWOCmcC
遅れましたが  >>1 _| ̄|○))オツカレサマデス

後味悪くてすんません。花見が書きたくて入れたけど、よく考えたら
3のエンディングのすぐあとにあの事件があったんだと気付いてこんな終わり方に。
今書きかけで4のなるほどと成長後のマヨイの話もあるので近いうち投下します。
付き合ってくれてありがとう。スレ汚しスマソ
17名無しさん@ピンキー:2008/11/21(金) 08:50:21 ID:OAMMTv3I
新スレ早々にキタ━━━━(Д゚(○=(゚∀゚)=○)Д゚)━━━━━!!!
超GJ!
ずっと待ってたよ。
朝からニヤニヤニヤニヤ頬緩みっぱなしw
初々しい二人が凄く可愛かった。
「どこにー」だとか歌っちゃう真宵ちゃんに笑ったよ。

甘い雰囲気で来たから、最後がズンと胸に来て。
でもそれも良かったと思う。
きっと、この二人なら乗り越えて行ってくれるだろうと思えたからさ。
18名無しさん@ピンキー:2008/11/21(金) 09:34:56 ID:OAMMTv3I
あ、もう一言。

なるほど、脱童貞おめでとう。
19名無しさん@ピンキー:2008/11/21(金) 15:17:08 ID:go/ApWjw
>>1 乙!
>>16 GJ
20名無しさん@ピンキー:2008/11/22(土) 03:30:07 ID:vZZA3UhI
>>16
何というか、もう可愛すぎる二人ともw
続き期待させてもらいます。
表現が上手で羨ましい
GJ!
21名無しさん@ピンキー:2008/11/22(土) 08:58:48 ID:Fku35EZ0
GJ!
初々しい二人が可愛いなあ
その後とかも気になる
22名無しさん@ピンキー:2008/11/22(土) 11:01:19 ID:i6LHlimM
マヨイちゃん、初々しい。
かわいいなあ。
はみちゃんは、気の遣いすぎw!
GJ!
23名無しさん@ピンキー:2008/11/22(土) 16:51:35 ID:+UU2hUle
エロパロスレ読んでる時って、気が付くとニヤけてる自分がいる事に気付いた。
>>16、gj!
続き待ってるよー
24名無しさん@ピンキー:2008/11/23(日) 01:33:30 ID:x0c65BtX
>「…うう…どうしてもパンツ脱がないとダメ…?」
ぐはーここにやれらた。GJすぎる
25名無しさん@ピンキー:2008/11/23(日) 01:35:43 ID:dskqQTDd
GJ!
初Hの途中でトノサマンの歌を歌って許されるのは真宵ちゃんくらいだw
可愛かったよ!!
26名無しさん@ピンキー:2008/11/23(日) 02:29:39 ID:oUuIrmG3
GJ
27名無しさん@ピンキー:2008/11/23(日) 14:32:40 ID:Sx2tfJAf
真宵ちゃんの話って、わりと「無理矢理」系が少ないね。
冥ちゃんは拘束されてるのとかあるけど。
28名無しさん@ピンキー:2008/11/23(日) 15:17:43 ID:/4lyYVIB
ミツメイが見たい
29名無しさん@ピンキー:2008/11/23(日) 15:47:25 ID:aHnY1ugd
>>27
冥みたいな内柔外剛なキャラは屈服させて無理矢理犯すシチュが似合う。
反対に真宵はキャラ的に無理に犯してやろうという気が起きないし
何よりそんな状況になったら、必殺「助けてお姉ちゃん!」をされて終了だと思うw
30名無しさん@ピンキー:2008/11/23(日) 16:06:21 ID:deq0fjR9
なるほどw
「助けてお姉ちゃん!」ならまだ良いけど、男を霊媒された日にゃ…
31名無しさん@ピンキー:2008/11/23(日) 16:39:35 ID:CKHIPbAW
普段強気でSなタイプほど、屈服させた時の感動もひとしお。
強気なだけに合意の道はかなり遠いので、無理やりのほうがてっとり早いってところかな。
冥はそういう意味じゃお手本みたいなキャラだな。

>>男を霊媒
舞子がミツルギの父を冷媒したとき、
やっぱりミツルギの父の姿になったんだろうか。…あの髪で(((;゚д゚)))
真宵ちゃんのシルエットで顔と体が男とか想像したくねえwww
32名無しさん@ピンキー:2008/11/23(日) 16:44:48 ID:nIM3a7ZS
ナ「真宵ちゃん。」
マ「なに、なるほどくん。」
ナ「前から気になってたけど、真宵ちゃんってブラジャーつけてないよね。」
マ「え。う‥‥うん。窮屈だし、あんまり大きくないから要らないかなと思って。」
ナ「でもそれってさあ。誘ってると思われても仕方ないよね。」
マ「え?何言ってんの‥?」
ナ「正直、もう我慢出来ないよ。ってことで。真宵タン(*゚∀゚)=3ムッハー」
マ「ちょ、ヤダ!やめてよ‥っ!‥イヤ!! (助けて!)」
ナ「ぶっちゅう」

?「‥キサマ、とうとう気でも狂ったか」

ナ「あ、あなたは‥!」

カ「40年間無敗を誇った狩魔豪とはワガハイの事だが。」
ナ「わああああああああああ」

33名無しさん@ピンキー:2008/11/23(日) 18:08:18 ID:aHnY1ugd
あとは立場的な力関係の強弱もありそうかも。

真宵は成歩堂の師匠でゴドーの想い人である千尋の妹で、かつDL6号事件で
霊媒された御剣父が偽証した為に母を失ったという経緯もあるから
そんな真宵を無理矢理どうこうするのは、逆裁の男性陣には難しそう。

冥はDL6号事件で御剣父を殺し、真宵の母を破滅に追いやる原因を作り、
その罪を成歩堂に暴かれた狩魔豪の娘という、圧倒的に弱い立場にある。
だから真宵とは逆に、「この女には何をしてもいい」みたいな心理作用が
無意識の内に働くんじゃないかな。
34名無しさん@ピンキー:2008/11/23(日) 18:31:35 ID:kwsVLVKu
ちょっと怖いよ
35名無しさん@ピンキー:2008/11/23(日) 19:02:24 ID:iJYVDxF4
SS書くのにそこまで考えないよ…
36名無しさん@ピンキー:2008/11/23(日) 19:08:09 ID:bIivMBnD
しかし実際問題、実父が殺人犯になったら検事なんて続けられないだろうな
37名無しさん@ピンキー:2008/11/23(日) 20:33:20 ID:egStnQ5X
しかし一理ある>>33
もしも冥が御剣に(実は相思相愛ってオチはなしで)
レイプされたとしても仕方ないと諦めて受け入れてしまいそう

ゲームでは普通にしてるけどやっぱりあの二人の関係は複雑だよな
38名無しさん@ピンキー:2008/11/23(日) 20:40:08 ID:koh/1LM1
気丈に振るまってるけど、死刑囚の娘ってことで周りの人達から
色々酷い陰口言われてそうだし辛い思いしてそう。
39名無しさん@ピンキー:2008/11/23(日) 22:07:05 ID:kwsVLVKu
>>37
>>37
へえ。
豪とメイはべつものだけど
父親がしでかしたものを娘も背負わなきゃ
いけないの?

されて仕方ないレイプって、どこにあるの?
じゃあ、あなたが殺されたとして、そういう理由に基づいていたら
あなたは何の疑問もなく消えるんですか。
40名無しさん@ピンキー:2008/11/23(日) 22:15:18 ID:Z60JHjGh
別にそういうこと言いたいんじゃないと思うけど
41名無しさん@ピンキー:2008/11/23(日) 22:20:47 ID:kwsVLVKu
だったら
もう少し言い方に気を付けたほうがよくないですか
42名無しさん@ピンキー:2008/11/23(日) 22:29:33 ID:+gBvKfpK
いくら家族といえど、父と娘は別の人間だから
本来ならば背負う必要は一切ないけど、
人間の感情っていうのはそんなに単純じゃないよって事だと思うよ。

まあまあ、そんなに喧嘩腰にならずね、ID:kwsVLVKu…。
43名無しさん@ピンキー:2008/11/23(日) 22:39:02 ID:kwsVLVKu
ごめんなさい
熱くなりすぎた
44名無しさん@ピンキー:2008/11/23(日) 23:05:45 ID:x0c65BtX
ごたくはいらねぇ
俺は真宵たんをめちゃくちゃにしたい
これは本能に違いない
45名無しさん@ピンキー:2008/11/23(日) 23:13:10 ID:fcHEpO5Z
ID:kwsVLVKuきもい
46名無しさん@ピンキー:2008/11/23(日) 23:19:54 ID:atuELUH1
御剣から見ると冥は、父親の仇の娘と言うことをすっかり忘れてた。
ほんと複雑だな。
一応恩師の娘でもあるしな。
47名無しさん@ピンキー:2008/11/24(月) 00:20:06 ID:EgWNgzv1
>>44
さあ、早くその本能で書き上げるんだ
48名無しさん@ピンキー:2008/11/24(月) 01:07:02 ID:DiBZDmwl
>>37
前スレにもあったけどそういう鬱屈したミツメイが見たい
あの二人の鬱ネタは洒落にならんがその分面白そう
49名無しさん@ピンキー:2008/11/24(月) 08:36:27 ID:eoiw3IyQ
>>32
まさかの豪タンwwwwwwwww
50名無しさん@ピンキー:2008/11/24(月) 23:04:29 ID:mmStUGGt
>>32
かなりワロタww
51名無しさん@ピンキー:2008/11/24(月) 23:49:54 ID:iiNJJYR1
>>32
「カルマの父」と「カルマの乳」をかけているのかっ!?wwwwww
クソワロタ
52名無しさん@ピンキー:2008/11/25(火) 06:52:57 ID:cEoR13JS
>>32
御剣父でも良いんじゃん?

ナ「真宵ちゃん。」
マ「なに、なるほどくん。」
ナ「前から気になってたけど、真宵ちゃんってブラジャーつけてないよね。」
マ「え。う‥‥うん。窮屈だし、あんまり大きくないから要らないかなと思って。」
ナ「でもそれってさあ。誘ってると思われても仕方ないよね。」
マ「え?何言ってんの‥?」
ナ「正直、もう我慢出来ないよ。ってことで。真宵タン(*゚∀゚)=3ムッハー」
マ「ちょ、ヤダ!やめてよ‥っ!‥イヤ!! (助けて!)」
ナ「ぶっちゅう」

?「…おや、キミはどこかで…ああ、怜侍の友達の成歩堂くんだね。
  一度遊びに来た事があったね。
  怜侍がいつもキミと矢張くんの話を楽しそうにするものだからね、よく覚えているよ。
  それにその刺々しい頭は世界広しと言えども二人といないだろうからね、すぐに分かったよ。
  いやしかし大きくなったなあ。すっかり見違えてしまったよ。
  ムッ、襟元に輝くそれは弁護士バッジ…!
  そうか、キミも法曹界を選んだのか。
  なんだ、オジサンに憧れちゃったのかなハッハッハッオジサン照れてしまうなあ。




  ところで弁護士たる者がこんなところで人を押し倒して接吻など、一体何をしているんだい?」


ナ「あ、あなたは‥!」

カ「おや、忘れてしまったのかい?怜侍の父だとさっきも言ったじゃないか。」
ナ「いやああああああああああ」
53名無しさん@ピンキー:2008/11/25(火) 08:19:21 ID:lpFSiDMd
>>52
ミツパパ冷静すぎw
54名無しさん@ピンキー:2008/11/25(火) 12:38:40 ID:97LEC+1d
>>52
日曜日のパパっぽいwww
55名無しさん@ピンキー:2008/11/25(火) 13:30:12 ID:ogym158K
>>52
>カ「おや、忘れてしまったのかい?怜侍の父だとさっきも言ったじゃないか。」

なんでカなんだろう…
56名無しさん@ピンキー:2008/11/25(火) 14:40:09 ID:UiPMJUD6
ナ「真宵ちゃん。」
マ「なに、なるほどくん。」
ナ「前から気になってたけど、真宵ちゃんってブラジャーつけてないよね。」
マ「え。う‥‥うん。窮屈だし、あんまり大きくないから要らないかなと思って。」
ナ「でもそれってさあ。誘ってると思われても仕方ないよね。」
マ「え?何言ってんの‥?」
ナ「正直、もう我慢出来ないよ。ってことで。真宵タン(*゚∀゚)=3ムッハー」
マ「ちょ、ヤダ!やめてよ‥っ!‥イヤ!! (助けて!)」
ナ「ぶっちゅう」

?「…おや、キミはどこかで…ああ、怜侍の友達の成歩堂くんだね。
  一度遊びに来た事があったね。
  怜侍がいつもキミと矢張くんの話を楽しそうにするものだからね、よく覚えているよ。
  それにその刺々しい頭は世界広しと言えども二人といないだろうからね、すぐに分かったよ。
  いやしかし大きくなったなあ。すっかり見違えてしまったよ。
  ムッ、襟元に輝くそれは弁護士バッジ…!
  そうか、キミも法曹界を選んだのか。
  なんだ、オジサンに憧れちゃったのかなハッハッハッオジサン照れてしまうなあ。




  ところで弁護士たる者がこんなところで人を押し倒して接吻など、一体何をしているんだい?」


ナ「あ、あなたは‥!」

ミ「おや、忘れてしまったのかい?怜侍の父だとさっきも言ったじゃないか。」
ナ「いやああああああああああ」
57名無しさん@ピンキー:2008/11/25(火) 15:05:14 ID:SnSihQhf
ナ「真宵ちゃん。」
マ「なに、なるほどくん。」
ナ「前から気になってたけど、真宵ちゃんってブラジャーつけてないよね。」
マ「え。う‥‥うん。窮屈だし、あんまり大きくないから要らないかなと思って。」
ナ「でもそれってさあ。誘ってると思われても仕方ないよね。」
マ「え?何言ってんの‥?」
ナ「正直、もう我慢出来ないよ。ってことで。真宵タン(*゚∀゚)=3ムッハー」
マ「ちょ、ヤダ!やめてよ‥っ!‥イヤ!! (助けて!)」
ナ「ぶっちゅう」

?「ギャフン!な、なにをするんですか!」

ナ「あ、あなたは…!」

キ「私は霧埼哲郎です!それにしても聞きましたかアナタ!
  私のさっきの言葉!ギャフンですぞ!イマドキ、ギャフンですぞ!」
ナ「(夢なら覚めてくれえ・・)」
58名無しさん@ピンキー:2008/11/25(火) 15:14:02 ID:pzC3gigG
つまんね
59名無しさん@ピンキー:2008/11/25(火) 15:27:24 ID:h05Oelpi
本スレとかで聞く内容じゃないからこっちで聞いてみるんだけど、
成歩堂ってみぬきに初潮が来た時ってきちんと対応出来たのかな。
なんかふと思いついた疑問のわりに真剣に心配になってしまった。
60名無しさん@ピンキー:2008/11/25(火) 18:53:30 ID:1n4O7cVd
まよいちゃんがあれこれしてくれたんじゃね?
61名無しさん@ピンキー:2008/11/25(火) 18:55:50 ID:tb0w4E3X
いろんな人がでてきそうだな
舞子かーちゃんとか霊媒してなるほどが説教されるとかw
62名無しさん@ピンキー:2008/11/25(火) 18:58:19 ID:tb0w4E3X
>>60
なるほどはおろおろしてそうだもんな
真宵に電話して
「どうしよう真宵ちゃん…」
と深刻な声で言って真宵を心配させるw
63名無しさん@ピンキー:2008/11/25(火) 20:23:04 ID:w980yNh0
それ位の年になると女親が予め準備してる家が多いんだろうけど、
男親じゃそこまで気が回らないだろうしねぇ。
やっぱり「助けて真宵ちゃん!」かねw
64名無しさん@ピンキー:2008/11/26(水) 21:23:49 ID:ifJoafaD
みぬきちゃんのことだ。ケロッと自己解決したりして

問題はまことちゃんだな…
濁酒はそういうの下手そうだし
65名無しさん@ピンキー:2008/11/26(水) 21:36:46 ID:ifJoafaD
すまん
濁酒=土武六ね

女親不在といえば真宵ちゃんも「助けて、お姉ちゃん…」だったのかね
66名無しさん@ピンキー:2008/11/26(水) 22:20:16 ID:QI+SNstP
冥たんのときも気になるw

その時たまたま御剣しかいなくて、サニタリー用品を買いにいかされたり
67名無しさん@ピンキー:2008/11/26(水) 22:28:30 ID:MJHSkFWi
冥は母親がいるか不明だし、年の離れた姉は冥が初潮迎える頃には
既に嫁に行ってて居ないだろうしな

てか>>66のようなシチュの小説がWikiにあったなw
68名無しさん@ピンキー:2008/11/26(水) 23:41:44 ID:UDnxbxIb
冥の場合は何となく初潮と同時に処女喪失を迎えてるかもしれない
雰囲気があるからエロい印象が倍増する
69名無しさん@ピンキー:2008/11/27(木) 01:27:52 ID:A5dqOFq3
「レイジ…私ね、今日女になったの。……だけどね、もっと女に成りたいのよ…判る?」
70名無しさん@ピンキー:2008/11/27(木) 01:28:47 ID:UWwSzh1R
「なるほどくん…私ね、今日女になったの。……だけどね、もっと女に成りたいのよ…判る?」

やっぱりなんか違うw
71名無しさん@ピンキー:2008/11/27(木) 05:43:20 ID:wq91iTSS
ある日、真宵ちゃんは僕に言った。
ソファーに仰向けでくつろいでいる僕に、覆いかぶさり、
僕の顔の、数ミリの距離で、囁いた。

「なるほどくん…意義あり…って、言っていいよ…。」
「そしたら私、やめるから…」
72名無しさん@ピンキー:2008/11/27(木) 06:18:57 ID:wq91iTSS
突然すぎるし、右手に持った、ながし読みの小説を、
思わず落っことしながら
「え、あのね、真宵ちゃん」
言うことで、取り繕った。「意義あり…ってなんのことかな。あの」
声が上ずって、動揺してるのが自分でもよく、わかるけど、
真宵ちゃん、なんて顔してるのさ。
「んー…お姉ちゃんが、好きな人には、こうしてみろっ…て…」
「で、一緒に、ミツルギさんとか、メイさんとか、
ほらほら!イトノコサンもー!あとあと…」
「いやもういいよ、だから、…うーん、うん、もういい。」
「じゃあもう皆で」
73名無しさん@ピンキー:2008/11/27(木) 06:31:15 ID:wq91iTSS
今気付いてすみませんが、
カプ表記しなかったり、バカやって、すみませんでした。
自粛します。
74名無しさん@ピンキー:2008/11/27(木) 08:43:04 ID:KsRafdmh
意味分かんねえ
75名無しさん@ピンキー:2008/11/28(金) 01:28:04 ID:efDX0ZqB
>73
そんな事より逆裁ssなら「異議あり」は注意して欲しい。
76名無しさん@ピンキー:2008/11/28(金) 02:41:16 ID:h12ZFYKv
早く来年にならないかな
77名無しさん@ピンキー:2008/11/28(金) 07:41:10 ID:3EyPQCho
>>75
「異議あり」って、テンプレの?
それに気付いたから>>73は止めたんじゃないのか。
78名無しさん@ピンキー:2008/11/28(金) 08:28:02 ID:8bezxWGG
>>77
75が言いたいのは「異議あり」が正しいのに73のSSでは「意義あり」になってるよって事だろう。
よくある間違いだけど、逆裁ファンだからこそしっかり書いてくれって事だな。
79名無しさん@ピンキー:2008/11/28(金) 08:34:20 ID:3EyPQCho
あ、なるほどねw
そういうことか。
80名無しさん@ピンキー:2008/11/28(金) 20:10:15 ID:VJpn8Coi
マキきゅんも第二次性徴のときはどうしたのかな
それともまだかな
81名無しさん@ピンキー:2008/11/29(土) 22:35:12 ID:43otqkuJ
エヴァを見てたら、ミサトさんが「お父さんとしてるみたいで嫌になった」
って理由で加持さんと別れてたけど、御剣に抱かれてる時の冥タンも
そんな気分になることがあるんじゃないかなと思ってしまった。

冥タンも絶対、御剣を豪パパと重ねてる部分があるだろうし。
82名無しさん@ピンキー:2008/11/30(日) 00:51:23 ID:rgXB0xbt
心理描写に凝ってそれ書いたら凄い萌えそう。誰か…
83名無しさん@ピンキー:2008/12/01(月) 01:11:51 ID:PWRFk3bu

空気を読まずにはみみつSSを投下したいと思う。
注意書きをよく読んでからお読みください。

【注意】
・33歳御剣検事と16歳の女子高生はみちゃんの話
・ちょっぴりめい→なるまよ、ノコマコ。
・みつとめいは兄妹的な関係。
・「4」のだるほどうやおどろきくんの話を絡ませると非常に長くなりそうだったから
「4」はなかったことになっている。
・それでも話が長い。
・こっぱずかしくなるほどの純愛エロ。

【スルー推奨の方】
・みつめい以外読まねーよ
・長い話はかんべん
・ロリコンかんべん
・細かな勝手設定をスルーできない

以上の方はスルー推奨。
それでは、お好きな方だけお読みください。


84はみみつ:2008/12/01(月) 01:14:28 ID:PWRFk3bu
 ふわふわと漂ってくるみその香り。とんとんとんという軽快なリズムを刻む包丁の音。「ばあやは毎朝トーストを焼いてくれるのに……」と、寝起きのぼんやりとした頭で考える。
ゆっくりとベッドから身を起こすと、部屋の扉をとんとんと叩く音と、かわいらしい少女の声がかけられた。
「みつるぎ検事さん。朝ごはんができたので起きてくださいね」
 これは……だれの声だろうか……。
 ばあやはどこへ……?
 数十秒後、御剣怜侍は飛び起きた。

 そうだ。今は綾里 春美と同居しているのではないか!


*     *

ことの起こりは、2か月ほど前だ。親友の成歩堂が、電話をよこした。
『なぁ御剣。お前の家の近くにさ、女子高あっただろ?』
「うむ? まぁ……確かに、近くと言えなくもないが。確か私立の名門女子高があったな」『そこにさ、春美ちゃんが通うことになったんだ』
「春美くんが?」
『そう。今年の春には高校生なんだよ、春美ちゃん。時が経つのは早いよな』
「うむ……そうだったのか」
 初めて出会ったのは、まだまだ彼女が幼い頃。でも、歳のわりにはしっかりしていて、いつも明るい少女だった。成歩堂の事務所に行くたびに出会う彼女は、確かにここ数年で
すっかり身長も伸びて、大人への階段を上りつつあった。もう高校生になろうとしているとは……。
「それは、知らなかった。何かお祝いを贈ったほうがいいだろうか」
『そうしてくれると、春美ちゃんも喜ぶと思うよ。それでさ、ひとつ相談なんだけど』
「なんだ」
『さすがに、そっちまで倉院から通うのは大変だろう? 電車で2時間かかるんだし。だからさ、御剣の家に居候させてくれれば、楽かなって……真宵ちゃんがきかなくて』
 少しうなだれたように話す友人の背後に、無言ながらも背中にべったり張り付いて彼を脅している家元霊媒師の存在を感じた。彼は彼女に弱いようだが、
何か弱みでも握られているのだろうか。それとも惚れた弱みなのだろうか。
「しかし、何も私の家でなくてもいいだろう。きみの家に居候させればいいし、そうでなくても、彼女はきみよりもしっかりしている。一人暮らしさせても問題はなかろう?」
『だめですよ! みつるぎ検事!! なるほどくんの家、すっごく狭いんだから! それに、はみちゃんは女の子なんだから一人暮らしなんて! あたしだってそんなのしたことないし、
怖いよ! はみちゃんってば、最近きれいになったし、昔からかわいいし、イイ子だし、早寝早起きで働きものだし、かわいいし! “すとーかー”みたいなの、でるに決まってるよ! 
また事件に巻き込まれたら、なるほどくんに訴えてもらうんだから!!』
 一気に電話越しにまくしたてられた。……甲高い声で、耳が痛い。
『……とまぁ、保護者がそう言ってきかないんだよね』
「む……。事情はわかったが……」
『最近、お前の世話してたばあやさんが体調不良で実家に帰った、なんて話してただろ? 一部屋あまってるんなら、問題ないと思う……って真宵ちゃんが』
 ……彼は、どうもこの電話を「させられて」いるようだ。とは言え、確かに年端もいかない少女が一人暮らしをするのを心配する気持ちはわかる。どうも霊媒師という家柄は
トラブル体質のようだし、何か事件に巻き込まれないとも限らない。幼いころから見てきた少女が、そう度々事件に巻き込まれるような事態になるのは自分の本意でもないし、
彼女のことだ。居候とはいっても、しっかり自分のことは自分でできる。何も問題ないだろう。
「わかった。では、春美くんを、我が家に招こう」


85はみみつ:2008/12/01(月) 01:18:49 ID:PWRFk3bu
*    *

「おはようございます。みつるぎ検事さん」
「む……おはよう。春美くん」
 着替えを済ませて部屋から出ると、セーラー服に身を包み、その上からエプロンをつけた春美がキッチンから笑顔を見せて声をかけてくる。朝の挨拶をかわしてダイニングテーブルにつくと、
焼き魚と白米、小鉢が数種類並んでいた。御剣家にはこれまでなかった、和食。
「いつもすまない。春美くん」
「いいえ。お部屋を貸していただいているのですもの。これくらい、どうということはありません」
 彼女と同居し始めてから数か月が経とうとし、季節は初夏を迎えようとしているが、春美は毎日食事をつくる。そればかりか、掃除や洗濯など、あらゆる主婦業をこなしていた。
正直、ばあやがいなくなり、これまでやったこともない洗濯やら掃除やらをやらなければならないと途方に暮れていたので、彼女の存在はありがたかった。
 こんな年下の少女を頼りにしなければ生活できないとは、成歩堂たちのことをバカにできないな。
 寝起きの頭でぼんやりと考えていると、どうやら味噌汁が出来上がったようだった。春美が汁椀をテーブルの上へならべて、ようやくエプロンを外す。
白い布地から解放されたセーラー服は、地域では名門と名高い女子高の制服だ。それを目の当たりにするたびに、この子も大きくなったのだな、と少し父親めいた感傷を抱く。
 御剣は部屋の隅っこにひっそりとたたずんでいる小さなスツールに目をやった。彼女と同居すると決めた時、真っ先に買い求めたものだった。きっと彼女は背が低いから、
洋式の自分の家では何かと不自由するに違いないと思って購入したのだ。しかし、そんなものは必要なかった。よく考えてみればわかる。彼女はもう高校生だ。
幼く、小さかったあのころより、ずっと大人になっている。
 一緒に暮らし始めて、ようやく現実を目の当たりにした。すらっと伸びた手足、大人びた表情、子どものころよりさらにしっかりとした口調……。
きっと考え方だって、さまざまな経験を通してより大人に近づいているに違いない。
 なんだかそれが──妙にむずがゆい気持ちになるのは、なぜだろうか。
「どうかされましたか。みつるぎ検事さん」
 春美に顔を覗き込まれて、ようやく御剣は我に返った。春美の整った顔がほころぶ。
「みつるぎ検事さんでも、ぼうっとなさることがあるのですね」
「む……すまない。少し考え事をしていた」
 まさに目の前の少女について考えていたこともあり、御剣はかすかに頬を赤らめた。それに気がつかない春美は、何がそんなにおかしいのか、ほほえみながら御剣の前の席についた。
「さあ、いただきましょう!」
「ああ。いただきます」


86はみみつ:2008/12/01(月) 01:19:27 ID:PWRFk3bu

*   *

「……今日もベントウなのね」
 昼休憩中に、検事局内にある自室へ断りもなく堂々と侵入してきた妹分が、呆れたようにつぶやいた。
「……うむ。せっかく、作ってくれるのでな」
 共に暮らし始めた初日から、春美は弁当を作って御剣に持たせる。どうも、彼女の慕う従姉に毎朝そうしていたのと、同じことを御剣にもしているらしい。そう聞かされて、
むげに断ることもできない。必然的にここ数カ月は弁当持参を続けている御剣だった。
「まるでシンコンね? 女子高生と同棲だなんて、御剣 怜侍も地に落ちたわ!」
「人聞きの悪いことを言うな! 同居、だ。メイ、何しに来た」
「呆れたわね! 今日の帰りにブティックに寄るから付き合えといっておいたはずでしょう」
「む……? 今日だったか」
 確かに、しばらく前にそんな約束をした気もする。無論、御剣は荷物持ちだ。彼女の選択肢に口をはさむことは一切ない。学生時代より、この妹分でありお嬢様の伴をするのは御剣の
仕事なのだった。
「仕事は上がれるのでしょう? 今はそう大きな事件は抱えていないはずよ」
「うむ。それで、一体何を買いに行くのだ」
「いろいろ、よ。バッグやら服やら靴やら」
「……わかった」
 今日、自分の車にはブランド品の袋で埋め尽くされるに違いない。ひどく単純で疲れるロジックに、御剣は眉間のしわを増やした。
「だが、帰りは遅くなれないぞ。春美くんには、今日何も言わずに来てしまったから」
「あら、綾里 春美は三食つくっているの?」
「うむ。何なら今日は寄っていくか? 春美くんもきみが来ると言えば喜ぶだろう」
「そうね」
 言いながら、冥は御剣の弁当の里芋の煮付けを手づかみでぱくぱくと口へ運んだ。
「む! メイ、行儀が悪い」
「私は帰国子女だから、作法にはウトいのよ」
 わけのわからない論理に、御剣は渋い顔をする。そんな御剣を華麗に無視して、冥は煮付けに感銘を受けたのか、深く頷いた。
「ハルミは料理が上手なのね。日本食は好きだし、お邪魔することにするわ」
「そうか。では、連絡をしておこう」
「……レイジ」
 春美の携帯電話の番号をいそいそと押している御剣に向かって、なんだか複雑そうな表情をした冥が低く声をかけた。
「アナタ、何だかダラしないカオをしているわ」
「む!? なんだ、突然」
「まるで、新妻を自慢したいうっとおしい夫みたいなカオよ」
 御剣は目を丸くした。そ、そんなカオをしていたのか!? というか、それは一体どんなカオなのだ……?
「成歩堂 龍一や綾里 真宵が、ハルミをやれ『かわいい』だとか『賢い』だとか『素直』だとか自慢している時と同じカオよ」
「……事実ではないか」
 目の前のはねっかえりのお転婆よりも、確実に。
 そう思ったのがばれたのか、先ほどの御剣の発言をとがめるものなのか、鋭い視線が寄せられた。黙り込む御剣。
「あまりそんなカオをしていると、淫行罪でヒゲに捕まるわよ」
「人聞きの悪いことを言うな。そんな憎まれ口ばかりを叩くから、成歩堂に相手にされないんだ」
「!!」
 その御剣の言葉に、冥はあからさまに顔色を変えた。
「わ、私は別にあのギザギザ頭のことなどどうでもいい!! ヤツに勝てればそれでいいのよ!!」
「そうかそうか。わかった」
「レイジ!!」
「今日は何時に待ち合わせるんだ。春美くんに帰る時間を言わなければ」
「私のハナシを聞きなさい!」
87はみみつ:2008/12/01(月) 01:20:59 ID:PWRFk3bu
 

 すっかり昼間のやり取りでへそを曲げた冥は、就業時間を終えてもまだ機嫌が直らず、そのうっぷんを買い物で晴らそうと気に入った物を試着しては店員に包ませていた。
 あんなにたくさん服を買っても、着る機会などないのではないか?
 そんな疑問が脳裏をかすめたが、すぐに考えてはいけないことに思い至る。女性の買い物には、絶対に口を挟まない。
それが、御剣怜侍が33年間で学んだ最も重要なことの一つだった。
 店内の、シックながらも女性らしい服の数々をなんとなく眺めて、そういえば、春美の洋服姿を見たことがないことに思い至る。同居し始めてからも、
制服以外はあの霊媒師の格好か、もしくは和服を着ているし、寝巻きは真白い浴衣で、洋服姿を見たことがない。霊媒師の掟か何かなのだろうか。
しかし、真宵はたびたびこちらを訪れる際には、洋服を着ているのを見かけたことがある。最も、それは仕事で表舞台に立つときだけ着るスーツ姿で、
しかも彼女の陽気な雰囲気とはそぐわなくて成歩堂など見るたびに笑っているが。
 御剣はふと視線の先にある、黄色いワンピースを見た。
 そう、きっとこんなワンピースなら似合うだろうに。これから学校の友人と、街へ出かけたりするかもしれないし、そんな時に和服ではきっと妙に浮いてしまうだろう。
彼女はこれから、たくさんの人と出会って、たくさんの思い出をつくって、しあわせになるべきだと、御剣は思う。
 かつて起こった暗い過去など、忘れてしまえばいい。
 大人たちの陰謀に巻き込まれた悲しい記憶など、彼女から消えてしまうべきなのだ。それでも、彼女が一生忘れないことも、御剣はわかっている。
自分が、自分の身に起こった事件を、生涯忘れることがないのと同じように──。
 暗い意識に吸い込まれそうになるのをこらえ、御剣は黄色いワンピースの傍に立った。Aラインのワンピースは、縫製がしっかりとしていて、
そのブランドの質が高いことを思わせた。間近で見ると、黄色は柔らかな色合いで、陽だまりのような彼女の笑顔を思い起こさせる。
「そんな服、私は買わないわよ」
 突然の声に、心臓がぎゅっと縮まる御剣。背中越しには、試着中の青いシャツワンピースに身を包んだ冥が立っていた。
「お、脅かすな……」
「アナタが勝手に驚いただけよ。それより、そんな服が私に似合うと思っているの? かわいいけれど、私には似合わない」
 それはそうだろう。冥はスタイルだって良いし、美しい女性だが、このワンピースのイメージにはそぐわない。
「べ、別にキサマの服を選んでいたわけでは……」
 冥はじとっと湿った視線を御剣に送った。
「……ハルミはこれよりワンサイズ下だと思うわ」
「!! べ、別に春美くんへと思っていたわけではっ……」
「じゃあ他に誰がいるというの。アナタ、今コイビトいないでしょ? それとも、こんなかわいらしいワンピースを贈る間柄の女性でも他にいるというの?」
「ぐっ……」
「アナタの周りに、現在交際中の女性はいない。そして、そのワンピースは私へのものではない。なら、そのワンピースを贈る女性は、普段世話になっているハルミしかいないでしょう。
どう? 狩魔のロジックはカンペキよ」
 自慢げに腰に手を当てて不敵に笑う冥を見て、御剣は眉間にぎゅうっとしわが寄るのを自覚した。
「……別に、深い意味はない。こんな服の一枚でも持っていれば、後々便利だろうと思っただけだ」
「あら、そう。別に私は何も言っていないけれど」
 かわいくないな!
 御剣はちょっぴり憤慨するが、声に出すと後々面倒なので、黙り込んだ。
「……メイ」
「なにかしら」
「……サイズの件は、確かなのだろうか?」
88はみみつ:2008/12/01(月) 01:21:51 ID:PWRFk3bu


「おかえりなさませ、みつるぎ検事さん! いらっしゃいませ、かるま検事さん!」
 自宅へ戻ると、春美が笑顔で出迎えてくれた。今日も霊媒師ルックの上に、ひらひらのエプロンをつけている。
「久しぶりね、ハルミ」
「ええ。一年ぶり……くらいでしょうか? すっかりご無沙汰してしまって、もうしわけありません」
「構わないわ。今日はお邪魔させてもらうわよ」
「はい。お食事、お口に合えばいいのですけど……」
 照れながら微笑む春美がキッチンへ姿を消すのを見送って、冥は御剣を見た。
「完璧だわ」
「何がだ」
「私が持っていたニホンジンノツマのイメージにぴったりだわ。よくもここまで調教したものね、レイジ」
「だから人聞きの悪いことを言うな!! キサマの日本へのイメージもボキャブラリーも激しく間違っているぞ!」
「あ、あの……? お二人とも、どうかされたのですか」
 二人の大声を聞きつけて、春美が不安そうに玄関をのぞいた。
「む……いや、なんでもない」
「お食事、あとの方がよろしいですか」
「まさか。今日はハルミの手料理を食べに来たのよ。すぐに行くわ」

 春美は和食を中心に、アメリカ育ちの冥のために簡単なオードブルも用意していた。花を花瓶に生けたり、苦手な盛り付けも頑張ったり、精一杯飾り付けたテーブルは
春美が冥をもてなそうという気持ちにあふれていた。
すっかり気をよくした冥は、春美とよく話した。春美も、幼いころから自分を知る女性に心を許し、最近の学校生活などを語って聞かせた。冥は年下の少女とは縁がなかったから、
まるで姉のようにふるまって、心底楽しそうだ。御剣は基本的に耳を傾けるだけだったが、二人が仲良さそうに話しているのを見て、口元をわずかにほころばせ愉快な気持ちになる。
春美は気を利かせて酒まで用意していたが、御剣は遠慮なく飲む妹分をマンションまで送り届けるために飲まなかった。
「お泊りになればいいじゃありませんか」
 春美の提案に、御剣は眉間にしわを寄せて首を振った。
「だめだ。今日は荷物が山ほどあるから、それと一緒にコイツを運ばなければならん」
「レイジはケチね」
 玄関先で酔っぱらった冥が不服そうに唇を突き出す。それを無視して、御剣は春美から差し出された車のキーを受け取った。
「それでは、行ってくる。戸締りはしておくように」
「あ、あの……」
「む? どうしたのだ」
 春美がなにやら言いたそうに、もじもじとしている。心なしか、頬が赤い。確か、彼女はアルコールの類を口にしていないはずだが。
「こ、今夜はお戻りになられるのですか……?」
「? ああ。マンションはそう離れていないから、すぐに戻るが……どうかしたのだろうか」
 御剣が不思議そうに答えると、春美はますます顔を真っ赤にしてうつむいてしまった。
「いいいいいいいえ!!! す、すみません、わたくしったら……!! さ、差し出がましいことを申しました! ききき、気になさらないでくださいっ!」
「む……では、春美くん、行ってくる」
「行ってらっしゃいませ!!」
89はみみつ:2008/12/01(月) 01:24:06 ID:PWRFk3bu

「レイジはオンナゴコロがわかってないわね」
 走り出した車の助手席で冥がつぶやいたのを聞いて、御剣は眉間にしわを増やした。
「なんだ。唐突に」
「ハルミ、私たちのことをゴカイしているみたいよ」
「誤解……?」
「“今夜はお戻りになられるのですか”と聞いていたじゃない。私の部屋に泊まるのか、という意味でしょう」
「は?」
 いつ自分と冥がそんな間柄と誤解を受けていたのだろうか。そんなことを言った覚えも、疑わしいことをした覚えもない。
「なぜそんなことに……」
「さあ。でも、はたから見ると、私たちは血縁関係のないただの男女だから」
 そう誤解を受けても仕方がない、と。
 しかし、御剣はこの美しい妹分を、妹以上に思ったことがない。おそらく、それは彼女もそうだろう。一番親しい間柄なのは、当然だ。「家族」なのだから。
「ハルミ、今心細いんじゃないかしら。アナタあの時全然わかってない受け答えしていたもの」
「ぐっ……そ、そういうことは言ってくれればいいだろう!」
「アナタ私のこと無視したじゃない」
 それでふてくされたというのか! 
御剣はギアをチェンジし、ペダルを踏み込んだ。加速する車のGに、冥が抗議する。
「ちょっと、レイジ! 危ないでしょう」
「……春美くんを待たせるわけにはいかん。飛ばすぞ」
「もう飛ばしているわよ」



*     *

 何度も、何度も、夢に見る。幼い、幼い頃の記憶。今まで信じていたものが、目の前から消えてしまった、あの日。
 自分のせいで。
 自分のせいで。

 知らないことは、罪になる。
 その現実は、自分の罪を、決して忘れさせてはくれない──。


 春美は、目から何かがこぼれていることに気が付いて、身を起こした。ダイニングのソファでうたたねをしてしまったようだった。
まだ御剣たちが家を出て20分も経ってはいない。眠っていたのは数分のことだというのに、しばらく経っても、悪夢の余韻が頬を濡らし続ける。
春美は心を落ち着けようと、ソファに正座をした。この方が落ち着けると話したとき、同居させてもらっている家主は困った顔で「きみがそれでいいのなら」と、
特に追及しなかったことを思い出す。変わった娘だと思ったに違いない。春美は、そのことを思い出して少し顔を赤らめた。そして、少し涙がひっこんだので、頬の涙をごしごしとぬぐった。
 そう、楽しいことを考えよう。そうすれば、きっと彼が帰ってくるまでに涙は収まっているはずだ。

 彼と暮らせると従姉から聞いたとき、とてもびっくりして、うれしかった。この部屋へ引っ越してきた時も、あんまり立派なリビングとソファを見て、
ついついはしゃいで彼をあきれさせた。もう子供じゃないのに、と自分では思うけれど、やっぱり彼の前では子どもなのだと初日から反省したものだ。
 今日久しぶりに会った冥は、記憶にある姿よりも数段大人びていて、美しかった。きっと、彼女と比較すれば自分はまだまだ子どもで、だからこそ御剣も冥も自分を可愛がってくれる。
 でも、でもそれではだめなのだ。
 春美は、ある、とても寒い冬の夜を思い出した。彼を心の支えにしだした、あの、夜を──。


 あの、忘れられない事件。信じていた母が、自分の大好きな従姉を殺そうと企てた、あの冬の日。大好きな従姉の、母を、自分の母の計画が殺した、あの……。
 あの日、一番泣きたかったのは、従姉だったのに。それでも彼女は微笑んで、「幸せだ」と、そう言って。だから、自分が泣くわけにはいかないと思ったのだ。
彼女が、もっともっと幸せになるように。この世で一番幸せになれるように。自分も、笑わなくては。

90はみみつ:2008/12/01(月) 01:25:39 ID:PWRFk3bu
「……春美くん?」
 あの事件の審議が終わり、皆で食事をした後は、成歩堂法律事務所で朝までばか騒ぎした。そんな中を、春美はこっそり抜け出して近くの公園へ行ったのだ。
大人でも凍えそうな冬の夜、薄着のままでベンチに座る春美に近づいたのは、御剣だった。手には春美の上着を持っている。
「……検事さん……」
 春美の小さな唇から、白い息がこぼれる。目の前の男の口からも、やはり白い息が漏れて消える。
「……こんなに寒いのに、上着も着ずにどこへ行くのかと、思ったのだ」
「……皆さんとお話するのがとっても楽しくて、眠れそうもなくて、それで、ここへ来たのです」
「……春美くん……」
 笑う春美を見て、御剣は何も言えずに傍へ寄り、持ってきた上着を掛けてやった。その御剣の親切が、春美はとてもうれしくて、申しわけなく思った。
「ごめんなさい、検事さん……」
「む? 何がだろうか」
「……わたくしを心配して、追いかけてくださったんですよね……」
「……風邪をひくといけないからな」
 御剣の言葉に、春美はうなだれて首を振った。
「そうでは、ないのでしょう? ……すみません、でした……。……わたくしの、お母様が、あんな……あんな、恐ろしいことを……」
「……それは、きみのせいではない」
「いいえ! ……いいえ。わたくしが、わたくしなどが生まれてきたばっかりに……だ、大好きな真宵さまに……皆様に、とんでもないご迷惑を……」
「……そんな言い方は、よくない」
 御剣は、泣いている子どもをあやすように、春美の頭をなでた。しかし、春美は泣いていなかった。今にも泣きそうな表情をしていたが、泣いてはいなかった。
「……わかっています。今、そんなことを言っても、意味がないことを。わたくしは、お母様の罪を、一緒に償います。真宵さまが、世界で一番しあわせになれるように、
わたくし、一生懸命頑張ります。工作も苦手ですが、真宵さまのために、頑張ります」
「……うむ。だが……」
「みつるぎ検事さん! わたくし、いい子にしています! だから、真宵さまが困っていたら、検事さんも真宵さまの味方になってください! 真宵さまは、絶対に悪いことなどなさいませんもの!」
 春美の、すがるような訴えに、御剣はまるで身を裂かれた時のような苦痛の表情を浮かべた。そして春美と目線を合わせるため、膝を地につけてかがみこんだ。
「……わかった。でも、春美くん。それはきみも同じだ。きみは悪いことなどしないから、私は、いつでもきみの味方だ」
「……わたくしの?」
「そうだ。だから、困った時は、いつでも力になる。……泣きたい時があったら、傍にいよう。一人ぼっちだと思ったときは、私ができる限り力になる」
「……いいえ、検事さん。わたくしなど、別にいいのです。真宵さまが……」
「よくはない」
 静かで、冬の冷気に消えてしまいそうな小さな声だったのに、なぜか春美の耳には深く印象に残った。
「……よくは、ない。きみが、真宵くんの幸せを望むのは、よくわかった。……とても、大切な気持ちだと思う」
「……なら……」
「でも……なら、きみは、幸せにならなくてもいいのだろうか。私はそうは思わない。きみだって、幸せになるべきだ」
「検事……さん……」
「……これから、きみは真宵くんの幸せのために頑張るんだろう。それは、とても、素晴らしいことだと、思う。だが、そのためにきみが我慢することはない。
……泣きたいのに、笑うなど、とてもつらく不幸なことだ」
「……わたくし、別に泣きたいなんて……」
 そう言っているそばから、春美の大きな瞳には涙がにじんでいる。
「ちがいます。……検事さんが急にへんなことを言い出すから、びっくりしてなみだが出ただけです。……子どもだからといって、ばかにしないでください!」
「……子どもだから、泣くのではない、と私は思う。……悲しいことがあれば、大人だって、泣くものだ」
「……みつるぎ検事さんも?」
「ふっ……ああ。怖い夢を見て、何度も泣いたことがある」
「まあ……」
 春美はびっくりした。こんな大きな大人の殿方が、こわい夢を見て泣いてしまうなんて。
「それは、おそろしい夢だったのですね」
「……きみも、今、同じ悪夢のなかにいる」
 大切な人を、自分のせいで失ったかもしれない、あの日から。自分は彼に会うまで、悪夢をさまよい続けた。この小さな少女に、あんな不幸を背負ってほしくはない。
御剣は祈るような気持ちで、少女の手のひらを握った。
91はみみつ:2008/12/01(月) 01:27:19 ID:PWRFk3bu
「忘れないでほしい。きみの周りにいる人々は、きみの幸せを願っている。だから……我慢をしないでほしい」
 春美は、御剣の手の温もりを感じて、自分の手がとても冷たくなっていることに気が付いた。そして、とってもとっても心細く、さみしかったことにも。
本当は、とてもとても、悲しいことにも……。
「でも、わたくしが泣いては、真宵さまとなるほどくんが、心配してしまいます……」
「では、私の前で泣くといい」
「……みつるぎ検事さんは、わたくしのことを心配していないのですか……?」
「そういうわけではないが……。きみは、私よりずっと強いから……」
「……そうでしょうか……」
「……ああ」
 春美は腕をのばして、御剣のスーツを掴んだ。広い額を、ひらひらのタイにこすりつける。シルクでつくられたそれは、とても心地よかった。
今まで我慢していた涙が、ぽろぽろと瞳からこぼれるのがわかる。それでも、もう春美には止められなかった。
「わたくしが幸せになることは、真宵さまのためになりますか?」
「……彼女は、きみのことが大好きだから、きっときみが幸せになるのを望んでいる」
「なるほどくんも?」
「うむ」
「……みつるぎ検事さんも……?」
「もちろんだ」
 しゃっくりを上げて泣き始めた春美の背中をさする御剣。その大きな手のひらが温かくて、ますます涙がこぼれる。
「じゃあっ……わたくしが泣きたいときには、ぜったいに傍にいてください……っ。わ、わたくしが、おとなになっても、ずっとっ……。
でなければっ、わたくし、こんな風に泣いたりできませんっ……」
「……うむ。努力しよう」
 その夜、御剣は春美が泣き疲れて眠るまで、ずっと傍にいた。


 それでも、春美が泣いたときに傍にいてくれたのは、あれが最初で最後だった。約束をしたのに、御剣は仕事で諸外国を転々とし、帰国は年に数回だけで
しかも成歩堂と仕事の話をして帰っていってしまう。たまに春美と会っても、海外の珍しいぬいぐるみや人形などを渡して春美の近況を簡単に聞くくらい。
そして、今また、御剣は傍にいない。彼は、かの人と共にいる。自分の傍にはいない。

 それが、さみしくて、さみしくて。

 かるま検事さんのことも大好きだけれど、でも、彼女が彼の“特別”なのが、苦しくて……。3人で過ごした楽しい時も、ほんの少しさみしくて、
彼がいないと、もっとさみしく感じてしまう。なんて自分は嫌な女なのだろう。
 引っ込んだと思ったのに、再び瞳から涙がこぼれ落ちる。今度は、容易には引きそうもないほどの大洪水だ。春美は顔を手のひらで覆った。
それでも。それでも、傍にいてほしい。わたくしの傍にいてほしい。
「っ……み、みつるぎ、検事さんっ……」
 小さなしゃっくりの間から、小さく名前を呼ぶ。
 どうして、わたくしの傍にいないのですか。
「ひっ……く、れ、れいじ、さ……」
 約束したのに。泣いているときは、傍にいると。
 胸の内には、彼への恨み事でいっぱいだ。そんな醜い自分が嫌になる。
 きっと、彼はあの約束をもう忘れてしまっている。忙しい毎日のなかで、年端もいかない少女との約束など、まっ先に消えてしまったに違いない。
それでも、あの約束は自分の中でまだ生きている。……あの約束があるから。自分にも泣いていい場所があるから、日々を明るく過ごすことができた。
春美が泣きたいとき、怖い夢を見たとき、御剣は傍にいなかった……。
92はみみつ:2008/12/01(月) 01:28:16 ID:PWRFk3bu

 早く帰ってきて。早くわたくしの傍にきて。
さみしい夜に、何度彼を思い出しただろう。何度、あの約束にすがっただろう。
「……れいじさん……っ!」

 わたくしの傍に、いて……!!

 悲鳴のような呼びかけに、突然現れた大きなぬくもりが自分を包んで答えた。
「……春美、くん」
「みつるぎ検事、さん……」
 後ろから自分の身体を抱きこむ男の息は、荒かった。駐車場からマンションのエントランス……もしかしたら、階段で部屋まで上がってきたのかもしれない。
「か、かるま検事さんは……?」
「む……送ってきた。荷物も部屋へ放り込んできた」
 それにしても随分早い。いくらそれほど離れていないといっても、往復するなら40分はかかるはずなのに。
「ど、どうして……」
「……春美くんが、心細い思いをしていると思ったら、一刻も早く帰らねばならんと、思って……少し無茶をした」
「まあ……」
 これは、喜んでいいのだろうか。留守もあずかれない子どもだと思われているのだろうか。そんな考えは穿ちすぎなのだろうか……。
 でも、どうでもいい。
 彼が、今傍にいて、抱きしめてくれている。それだけで、他の事がどうでもよくなった。男の体温が近くにあることがうれしくて、抱きしめてくる腕に体重を預けた。
「ふふ、あまり危ないことをなさらないでくださいね」
「ふっ……そうだな」
 御剣は春美の身体を放して隣へ座り、春美の涙を拭ってやった。
「……すまない。さみしい思いをさせてしまったようだ」
「……いいえ。……少し、怖い夢を見てしまっただけです。だから……みつるぎ検事さんのせいではありません」
 そう答えると、御剣は眉間にしわを寄せた。額に深くヒビが入る。
「そういえば、昔、さみしい時は傍にいると、約束をしたな」
「え……?」
 顔を上げた春美に、御剣は少し困った表情を見せた。
「きみは覚えていないかもしれないが、そんな約束を、したことがあった。思えば、一度もその約束を守っていないな。ひどい約束をしたものだ」
 春美は、胸が震えて何も言えなかった。覚えていてくれた。忘れてなかった。いつもそ
の約束を胸に秘めていたのは、自分だけではなかった。
 春美は唇に手をあてた。嗚咽が漏れそうだ。涙があふれて止まらない。そんな春美の様子に、御剣は心底焦った声で語りかける。
「は、春美くん……? どうしたのだ。もしかして、約束を守らなかったことを怒っているのだろうか」
「いいえっ……! いいえ、違うのです……。約束を、覚えていて、くださったことがうれしくて……」
「……春美くん……」
「れいじさん。……では、これからは、わたくしの傍にいてくださいますか……? こうやって、泣いている時に……さみしい時に、わたくしの傍にいてくださいますか」
 涙をためた瞳で見つめられ、御剣はなぜか息が詰まった。胸が苦しくて、うまく息ができない。心から、この少女の力になりたいと思った。
「……ああ。無論だ」
 春美はうれしさのあまり、御剣に抱きついて、一晩その傍を離れなかった。しがみついてくる春美を抱きとめながら、御剣は複雑な表情をしていた。
せっかく買った服を渡す機会を逸してしまい、例のブランドの紙袋をどうしようかと悩んでいたことなど、春美には思いもよらないことだった。


93はみみつ:2008/12/01(月) 01:29:22 ID:PWRFk3bu

*    *
 朝起きたら、なぜか春美が隣で眠っていた。整った顔が無邪気に寝息を立てていて、無防備この上ない。白い浴衣はややはだけられ、その輝く柔肌は独身男性には目の毒だ。
 ま、またか……。
 あの夜以来、春美はことあるごとに「さみしい」と言っては御剣の布団にもぐりこんでくる。最初のうちは彼女に請われるままに傍にいたが、
すぐにそれは不適切な対応だということを思い知らされた。
 ありていに言って、彼女は発育が良かった。まだ少女の幼さを残してはいるものの、その身体は柔らかく、女性の匂いをまとっている。
そう度々床を共にして、変な気分にならないとは断言できなかった。自分だって30代を迎えて、男盛りの時期なのだ。女子高生と不適切な関係に陥ったら、
それこそ冥が言ったように淫行罪で逮捕。秋霜烈日章はく奪だ。それだけは避けなければならない。いや、本来なら春美がこうしてベッドにもぐりこむことさえ
誰かに知られてはやっかいだ。この可憐に成長した少女を見れば、誰でも変な勘ぐりをしてしまうに違いない。それほど春美は魅力的な女性へと成長する兆しを見せていた。
「……春美くん。春美くん」
 細い体を揺さぶると、長いまつげが震えて大きな瞳がゆっくりと開かれた。しばらくぼうっと視線をさまよわせ、御剣と目が合うと花がほころんだように笑顔を見せる。
「おはようございます。れいじさん」
「お、おはよう。……また、なぜここに?」
 春美はゆっくりと身を起し、ベッドの上にちょこんと正座をした。いつもは高い位置で結わえられている髪が下ろされていて、ひどく色っぽい。
「……また、ひとりでいるのが、さみしくなってしまったのです……。申し訳ありません。わたくしがいては、れいじさんはゆっくりお休みになれませんよね……」
 眉を下げて、すみません、と頭を下げる春美に、慌てて顔を上げさせる。
「いや、別に休めないことはない。ただ……その、このようなアレは、お互いによくないのではないかと……」
 言いながら、まったく説得力の無い発言である自覚があった。こんな言葉で、聡明な彼女が納得するとは思えない。いっそ、眠れないから部屋に帰れと強く言えればいいのだが、
彼女の潤んだ大きな瞳にじぃっと見つめられては、とてもそんなことは言えなかった。
「? れいじさん、やはりご迷惑なのでしょうか……?」
「い、いや、そうでは……」
 そう言ってしまって、御剣は後悔した。目の前の春美が、少し照れくさそうに満面の笑顔を浮かべたからだ。それはもう、幸せそうな笑顔だ。見ているこちらも幸せになれそうなほど。
「ふふ、よかった。わたくし、れいじさんの傍だととてもよく眠れるのです。ずうっとお傍にいたいくらい……」
「!!」
 御剣が目を見張る。すると、春美もさっと顔色を変えた。真っ赤になった頬に手を当てる。
「あ! あの、えっと、その……わ、わたくし朝食の準備をしますね! あ、あの、れいじさんは、もう少しだけお休みになってください!!」
「う、うむ……」
 慌てて御剣の寝室から飛び出していく春美の後姿を眺めながら、御剣は自分の顔まで赤く染まるのが自覚できた。
 何なのだ、この妙に甘酸っぱい感覚は。彼女の言葉が、うれしくて仕方ない。あの夜抱きしめた彼女の身体の感触が、まだ残っているような気さえする。まるで──。
 御剣は頭を振った。考えてはいけない。
 自分が彼女に、好意を寄せている、なんて可能性は──。
94はみみつ:2008/12/01(月) 01:30:19 ID:PWRFk3bu

*    *

「御剣検事、何か悩み事ッスか? 視線が宙をさ迷ってるッス」
 薄汚いコートを羽織った万年平刑事の糸鋸圭介が、上司である御剣に話しかけた。
事件現場を視察に来た御剣は、誰が見ても挙動不審だったが、尋常ならざる光景に誰も突っ込めずにいた。
「なんでもない。それより、事件の経過を説明しろ、刑事」
「了解ッス!」
 すっきりしない頭で、報告書と同じ説明をばかのように繰り返す刑事の言葉を右から左へ聞き流しながら、今朝の出来事を反芻する。
 目が覚めるまで彼女が自らの腕の中にいたと思うと、せつない気分になる。下ろされた長い髪が、さらさらと自分の腕や頬にかかる感触で目が覚めたことを思い出した。
目が覚めた瞬間に感じた穏やかな寝息や、自分の胸に息が吹きかかる感触、彼女の身体がわずかに身じろぎする瞬間に触れた、柔らかな肌……。
そのどれもが酷く愛おしく思えて、御剣は動揺した。
それに、最近彼女が自分を呼ぶ声──。
「れいじさん」
 幸せそうな笑顔で名前を呼ぶ声が、自分の心まで穏やかにしてくれる。あの夜から、彼女は自分をそう呼ぶようになった。
あるいは、彼女の中ではもう何年も前からそう呼んでいたのかもしれない。
 糸鋸刑事の説明を聞き終え現場を一通り視察した御剣は、いったん検察庁に戻って被疑者の尋問にそなえることにした。
自分の車に、ずうずうしくも遠慮なく乗り込んでくる刑事に、ひとつ質問を投げかける。
「……刑事。奥方は元気だろうか」
「マコくんッスか? 元気ッスよ! 子どもも大きくなって、今トノサマンシリーズに夢中ッス!!」
 元気いっぱいで、自分、毎日ヘトヘトッス! と幸せいっぱいな表情で言われてしまい、御剣は脂汗を流した。これから自分は、何を聞こうとしているのか……。
「そうか。……奥方は、確か警官学校の指導教官時代の教え子だそうだな」
「そうッス! マコくんは、自分を理想の刑事だと言ってくれた、唯一の後輩ッス!」
「……目は大丈夫なのだろうか。奥方は」
「視力は悪いみたいッスね。メガネかけていますから」
「……確か、随分歳が離れていた、はずだが……」
 その御剣の問いに、糸鋸刑事は頬を赤らめた。
「いやー。お恥ずかしいッス。9歳ほど離れているッス。幼妻ッス!」
 気持ち悪いぐらい照れ始めた刑事を無視して、御剣は今度は冷や汗を流した。
 ……9歳で幼妻……。では、仮に私と春美くんがどうにかなったとしたら、一体……。
 御剣は一生懸命首を振った。
 な、何をバカなことを! 33歳の検事が、16歳の女子高生と……!? ありえないスキャンダルだ!!
「職場仲間から、さんざんロリコン扱いされたッス! 世の中、歳の差には厳しいッス!」
「ぐっ……!」
「でも、自分たちには関係ないッス! 愛があれば歳の差なんて!」
「……刑事」
「なんッスか?」
「やかましい」
「ひ、ひどいッス! 検事が振ったネタじゃないッスか!!」
「次の給与査定、楽しみにしておくことだ」
「横暴ッス! 訴えるッス!」
95はみみつ:2008/12/01(月) 01:32:52 ID:PWRFk3bu
*    *
 リビングでくつろいでいると、ドアの鍵が開けられる音がした。彼が帰ってきたのだと、素早く立ち上がって小走りに玄関まで走っていく。
「おかえりなさいませ、れいじさん」
「う、うむ……。ただいま」
御剣はなぜか、わずかに頬を赤らめて春美から視線をそらした。それが少しだけさみしかったが、いつもと同じようにスーツの上着を渡してくるので、それを受け取った。
「先に眠っていてもよかったのだが……」
「まあ。居候の身で、家主様より先に眠るなんてできませんわ」
 話しながら、御剣の部屋へ一緒に入り、クローゼットに上着をしまう前に丁寧にブラシをかけた。そんな春美の行動を見て、御剣ははっとした表情をして慌てたような声をだした。
「は、春美くん。別に、そんなことはしなくても……」
「まあ。いつもしていることですよ。それにわたくし、これくらいのことしかできませんもの」
「そもそも、きみは成歩堂や真宵くんから預かっているのだから、家事などしなくてもいいんだ」
 春美は御剣の発言をいぶかしんだ。これまでずっとやってきたことを、今更とがめるなんておかしい。
「どうかなさったんですか? れいじさん」
「う……別に、何でもない。その、前々から言おうと思っていたことなんだ」
 いったん少女と距離をとり、冷静になりたい男の心境など春美には思いもつかない。大きな瞳をじっと御剣に向ける。
「れいじさん。わたくしに嘘をついても、だめですよ。見えてしまいますから」
 春美がそう言うと、御剣はうっと苦い声を漏らした。もっとも、サイコ・ロックなど使わなくても、目の前の男が何かを隠しているのは簡単にわかるのだが……。
しかし、そう言っても御剣に話す様子はなかったので、春美は追及するのをやめた。
「とにかく、わたくし、働けもせず、収入もない身でありながら、真宵さまやなるほどくんのおかげでこんな都会の学校にまで通わせていただいて、
れいじさんにもご迷惑をおかけしているのです。わたくしでお役にたつことでしたら、何でもしますとも!」
「う……そう、か」
「ええ! おまかせください!!」
 まくし立てると、御剣は引いた。押しに弱い人なのだ。
「今日は遅くなると伺っていましたから、お夕飯はないのですが……お夜食をご用意しましょうか?」
「いや、大丈夫だ。シャワーを浴びて眠るから、きみも休みたまえ」
「お風呂は入っていますから、きちんと温まってくださいね」
「あ……ああ」
「それでは、おやすみなさいませ」
「ああ。おやすみ」


 そうは言っても、春美はすぐに眠らない。明日の朝食の下ごしらえや弁当の用意をすると、春美が寝支度を整えるのは毎日日付が変わるころなのだ。いつも、御剣は休んでいる時刻。
春美は頬を少し赤くして、御剣の部屋へそっと忍びこんだ。暗い部屋が怖いと語っていた彼は、夜も橙色の明るい明かりを灯して眠っている。
広い部屋は整理されていて、本棚にはめいっぱい本が並べられていた。机の上には、きちんと書類がそろえて置かれてあり、主の几帳面さがにじみ出ている。
その様が何だか主のイメージにぴったりで、春美はいつもそれを見ては微笑んでしまう。
 春美はその机を横切り、セミダブルのベッドに横たわって眠っている御剣の顔をのぞき込む。白い肌に橙色の明かりが映って、いつもよりも血色が良さそうに見えた。
いつも眉間にヒビが入っているのに、寝顔ではそれも薄くなっていて、ちょっぴりだけ幼く思える。
深い寝息に伴って、厚い胸板やのどぼとけが上下に動くのを眺めて、ああ、やっぱりこの人は男の人なんだと思う。
 春美は、あの約束が再び結ばれた夜、御剣の傍がとても居心地がいいことを知ってしまった。どうしても毎晩、一緒にいたかった。彼の傍はとても温かく、安心できる。
彼と一緒にいれば、もう二度と恐ろしい夢など見ないのではと思えた。

 そんな安心感がありながら、一方で破裂するかと思うほど心臓が音を立てている。今でも、彼の寝顔を見るだけで、鼓動が速くなりすぎて死んでしまうかもしれないと思う。
 でも、一緒にいられるなら、このまま心臓が爆発しても構いません……。
 春美はそう思いながら、御剣の端正な顔に自らの顔を近づけた。
 いい夢が見られる、ないしょのおまじない。自分が安心できる、でも絶対にないしょのおまじない。
 お願いですから、今夜も起きませんように。

 そう願って、ここ最近の習慣を、今日も静かに繰り返した。


96はみみつ:2008/12/01(月) 01:35:20 ID:PWRFk3bu

*     *

深夜のはずなのに、部屋に人の気配を感じて目が覚めた。こんな時間にこの部屋へ侵入してくる人物は、一人しかいない。
今日こそ、部屋へ帰ってもらう!
心に決意を固めるも、起きるタイミングを逸してしまったため、彼女がベッドへ入り込んできたところを注意してやろうと待ち構える。
しかし、少女はいつまで経っても、ベッドへ入ろうとはしなかった。
何をしているのか、と瞼を開くと、見覚えのある美しい少女の顔が近付いてきた。そして──あろうことか、自分の唇に、何やらやわらかなものが……。
 驚きで目を見開くと、いつの間に離れたのか、少女と──春美と目が合った。
「あ……その、起こしてしまいましたか?」
「……い、いや……その……」
 頭がうまく回っていないので、口もうまく回らない。そもそも、まともな状態だってこんな時に何と言えばいいのかわからない。
つくづく、自分のボキャブラリーは法廷内に限られているのだと思い知らされる。 春美も御剣と同様のようで、徐々に状況を理解し、顔を真っ赤に染めていった。
「あ……あの……」
「……は、春美くん……?」
「ど……どうして起きてしまわれるんですかっ……」
 春美は半泣きの形相で逆切れした。
「ど、どうしてって……」
「い、いつもは、少しくらいなら起きないではないですかっ……」
 い、いつも、と言うのか、彼女は。
「いつも……こ、こんなことを?」
 春美は、これ以上ないというほど顔を真っ赤にして、その場に崩れ落ちて泣き出してしまった。身体を震わせ、声を震わせているその姿に、御剣は焦った。
 まずい。今のは完全に私が泣かせた……!!
「は、春美くん……」
「わ、わたくしのこと、軽蔑、されたでしょうっ……! 恥ずかしい女だとお思いなんでしょう!」
「そ、そんなことは……」
「いいえ! そうに決まっています!! ううっ……れいじさんのばかぁっ……」
 ぽろぽろと涙をこぼす彼女の姿に胸が痛む。
「わ、私が悪かった。その……起きてすまない」
 なんだか間の抜けたことを言っている自覚はあった。春美は大粒の涙をこぼしながら、御剣をにらみつけた。──かなり怖い。
「れいじさんは悪くありません!! わ、わたくしが悪いのですっ……! は、はれんちな、うぅ……」
「春美くん……な、泣かないでほしい……。その、私は気にしていないから……」
「気にしてくださいっ!!」
 ではどうすればいいのだ!!
 御剣はあっさりと袋小路に陥った。この手のことは、全くどうしたらいいのかわからない。
「き、気にしてくださいっ……! わたくし、別に興味本位でしたのでは、ありませんっ……! ちゃんと、考えてくださいっ……」
 しゃっくりの中に混じる声をつなげると、そう言っているように聞こえる。御剣はうなだれた。こんな状況なのに……。
 何だか色んなことを期待している自分がいることに、呆れてしまう。
「……わかった。考える、から。だから、春美くんに少し聞きたいことがある」
 冷静な御剣の言葉を聞いて、春美は顔を覆っていた両手を外して、ゆるゆると御剣を見上げた。泣きはらして真っ赤になった瞳から、まだまだ大粒の涙がこぼれていた。
御剣はそのしずくを指で拭ってやる。
「……な、なんでしょうか……?」

「……春美くんは、私のことが好きなのだろうか……?」

 春美の瞳から、ぴたりと涙が止まった。そして顔を真っ赤にして視線をあちこちにさまよわせ、最終的には御剣と視線をぴったりと合わせて、こくりとうなずいた。

「はい。……わたくし、れいじさんのことがとっても好きなんです」


97はみみつ:2008/12/01(月) 01:37:57 ID:PWRFk3bu
 
春美の瞳とその言葉に、御剣は想像以上に激しく動揺した。
 なんだか……考えていた以上に、うれしいのだが……。
 胸がじんわりと温かくなってくる。自分の感情と理性がかみ合わず、混乱してすべての動きが止まってしまう。
自分の立場上、彼女の気持ちを受け取ってはいけない。だから「そうなのか。私も春美くんは好きだ」と頭のひとつも撫でてやらなければ。
それで、いつものように大人と子供に、家主と居候に戻れることだろう。
 だが、もう。彼女以上に自分が、もう、そんな関係には戻れないことはわかっていた。
 御剣は、目の前で大きな瞳を震わせている春美を見た。未だに涙の余韻と羞恥で顔を真っ赤にしている。不安のためか、身体を震わせている様に鼓動が高まった。
「……春美くん」
「はい」
 可憐な声音が、強張っている。彼女の緊張が御剣まで届きそうだった。
 ああ。どうしてこんなに……愛おしいと思うのだろう。
「……やはり、その、先ほどのことは、気にしないでほしい……」
「え……」
 御剣の言葉に、春美は再び涙をにじませた。瞳に絶望の色が宿る。そんな少女の白磁の頬に手を添え、そっと唇を重ねた。
その瞬間に、春美の身体が大きく揺れる。触れただけで離れ、改めて春美の顔を見ると、真っ赤になって、頬に手を添えていた。照れたときにする、彼女の幼いころからのくせだ。
「あ……あの……」
「……これから、たくさんすることになるだろうから、気にしないでほしい」
「れ、れいじ、さん……?」
「あと、その……きみが、私にキスをするのも、その理由も、私には、とてもうれしいものだから……もっと、してもらってかまわない」
 何だか、こんな感じで大丈夫なのだろうか。いくらなんでも、これは一回り以上年上としてきちんとリードできていないのでは、などと考えてしまう。
恋愛は得意分野ではないにしろ、ここまで不器用でもなかったはずだ。しかし、なぜか彼女の前では、こちらもつられてスマートなやり方ができずにいる。
 もっとも、彼女からのアプローチがなければ一生気づかなかったはずの感情に戸惑っているせいかもしれない。だが、もう理性や常識などでは、この感情はごまかせない。
「あ、あの……。そ、れは……れいじさんも、わたくしと同じ気持ちだと、思ってもっ……?」
 浴衣の胸元をぎゅっとつかむしぐさが、やはりまだ少女の面影を残している。だが、彼女は自ら大人と子どもの──その一線を飛び越えたのだ。
なのに彼女ときたら、そんなことにはまるで気が付いていない。無自覚な春美の様子が、なんだか妙にかわいく思えて、御剣は頬に笑みを浮かべた。
「……私も、きみが愛しいと、思う」
「……っ……れいじさんっ!」
 春美は、やっぱり涙を浮かべて御剣に抱きついてきた。その小さな体を抱きしめて、春美の陽だまりのような温かな体温を独り占めにする。
細いのにふかふかとした身体は抱き心地がよくて離れがたい。

 キスしたい……。

 先ほどは自分で「これからたくさんすることになるから」などと言っていたのに、そんな欲求が生まれることに、まだわずかに戸惑った。
だが、一度高ぶった欲求は容易には静まってはくれないようで……。腕の中の春美を見ると、彼女もこちらをうかがっていたのか、目が合った。
春美は恥ずかしそうに頬を赤く染めたが、にこりと笑って視線をそらすことはなかった。それに気を良くして、御剣はさっと春美の唇を奪う。
小鳥が餌をついばむような接触だったが、春美は顔を真っ赤にして照れた。
「まあ! れいじさんったら……」
「ふ……これしきでそんな態度では、私が困ってしまうな」
御剣は春美を抱きあげて、ゆっくりとベッドに横たえた。春美が驚いて、何かを決意したように身体を固くしたが、気にしないことにする。
そして──再び、その紅い唇を自らの唇でふさいだ。今度は、触れるだけの唇から舌を挿しこみ、口内をかき回し、舌を絡める。
「ん、ふっ……ぅ、んぁ…」
 鼻息が交じる甘い声に、御剣は理性が溶けていくのを感じた。唾液を交換し、唇を舐め、何度も何度も口づけると、その激しさに春美の瞳から涙がこぼれる。
だが、嫌がるそぶりも見せず、むしろ御剣のがっしりとした広い背中に手をまわし、しがみついてきた。その身体の柔らかさと細さに、一層口づけに熱がこもった。
春美の舌はたどたどしく、どうしたらいいのかとさまよいながらも、時々御剣の動きに応えてくる。

98はみみつ:2008/12/01(月) 01:41:13 ID:PWRFk3bu

 こんな、キスも知らない少女に欲情するなんて、自分はどうにかしてしまったに違いない。そう思う反面、彼女と一緒ならどうなってもいい、と思う自分もいる。
 もう、あとには引けない。
 とろけるような熱いキスを終えると、御剣は春美を見た。
「……今ならまだ、やめることもできる……と、思う。きみが選んでくれ」
 だが、春美は精一杯首を横に振った。キスの余韻で、顔を真っ赤にしている。少女らしい初心な反応なのに、匂い立つような女の気配もまとっていて、
そのアンバランスさに御剣は目まいを起こしそうになった。
「やめ……ないでください……。れいじさん……すきです」
 今、自分はどんな表情をしているのだろう。きっと、いつも刻まれている眉間のしわは薄くなって、眼尻が垂れ下がっているに違いない。
もしかすると、頬はみっともなく紅潮して、微笑んでいるかもしれない。誰にも見せられない表情をしていることだけは確信できた。
目の前の彼女以外には、決して見せられない──。
「今夜一晩、ずっとそう言っていてくれないだろうか」
「え?」
「……どうやら私は、きみの口からその言葉を聞くのが酷くうれしいらしい。……ダメだろうか?」
 そう懇願すると、目の前の少女は頬を紅潮させ、瞳に涙をいっぱいに浮かべて抱きついてきた。この細い体のどこにそんな力があるのかと思うほどの強い力で、
御剣は一瞬息が詰まる。耳元で、春美の息遣いと鈴の音のような声が聞こえた。
「……あなたが望むなら、何回でも言います。……大好きな、れいじさん」
 御剣は愛しさにまかせて、再び春美に深く口づけた。


 何も纏わない春美の身体は白く、美しかった。男に裸体を見せるのに怯えているのか、わずかに身体を震わせている。落ちつけようと肩を何度か撫でてやると、
さらに緊張させてしまったようで瞳をぎゅっと瞑られてしまった。
「春美くん。そんなに怯えないでくれたまえ。……少し傷つく」
「え、あ! す、すみません。わたくしったら……どうしたらいいのかわからなくって、ついうろたえてしまって……」
 まさしくうろたえて、瞳をさまよわせている春美。そのかわいらしい仕草に、御剣はまたみっともない表情をしてしまいそうになる。慌てて手のひらで口元を隠した。
「う、うむ……無理もない。その……ゆっくりでいいから、慣れていけばいい」
「は、はい!」
 そうは言っても、初めてで緊張するなという方が酷だろう。御剣は自分の高ぶりをこらえ、しばらく抱きしめるだけに留まった。すると、徐々に春美の身体から力が抜け、
表情も柔らかなものへと変わっていった。
「やっぱり、れいじさんといると、とっても落ち着きます……」
「む……そうなのだろうか……」
「ええ。……れいじさんは、わたくしのことを大切にしてくださいますもの」
 無条件の信頼に、やっぱり頬がほころんでしまう。骨抜きとは、こういう状態なのかもしれないとぼんやりと思った。
「……私は、きみといると動悸が酷い……」
「まあ! 大丈夫ですか?」
 心底心配そうな瞳で見つめる春美。別に身体的な病というわけではないのだが……どうも彼女には意図が伝わっていないようだ。別にかまわないが。
 余計な力が抜けた春美の身体を、唇と舌でたどっていく。首筋に口づけ、鎖骨、肩、胸元、へそ、太もも……。
舌で舐めあげ、唇できつく吸いつくたびに、春美の細い身体が震えてしなる。
「んっ……は、あ……、れいじ、さんっ……」
 ちゅっ…つっ……ぴちゃ……
 春美の肌と御剣の唇や舌が接触するたびにかすかにリップノイズが響き、春美は頬を一層紅潮させる。本能的に快楽の予感を感じ取っているのか、
肢体をくねらせる動きが扇情的で、御剣の牡の意識を覚醒させるようだ。吐き出される声も、徐々に色を帯びてくる。
胸の頂は、桃色に染まってぴんと立ちあがっていた。白いまろみを手のひらで包むと、成長途中だというのに片手でわずかに余るほどの質量を備えていたことに驚く。

99はみみつ:2008/12/01(月) 01:43:33 ID:PWRFk3bu

 き、着痩せをするタイプなのだな、春美くんは……。
 一切の衣類を取り払った少女の身体は、いつもの装束からはわからなかったが見事に均整がとれていた。御剣は、その柔らかなまろみを優しく揉みしだく。
十分な弾力に、御剣の興奮はいやおうにも煽られる。片方のまろみの頂を口に含み、舌でねぶると春美の声がひと際高くなった。
「ぁあ! ふ、んっ……ぁ……や、ぬるぬるしますっ……」
 固いしこりをきつく吸い上げ、唇で甘噛みする。舌で執拗に刺激を与え、少女が最も声が高くなる部分を探した。執拗に胸をいじめると、びくりと大きく身体を震わせ、
高く悲鳴を上げる場所を見つける。
「は、ぁ……あ!? やんっ……!! だ、だめ、れいじさんっ……! そこ、何だか変ですっ……」
「んっ……ちゅぅ……ここ、か。春美くんは、素直だからやりやすいな」
「……ふぁあんっ! やぁんっ…な、なんなんですかっ……ぁんっ!」
「……きみが気持ちいいと感じる場所を探しているのだよ。でないと、あとあときみに辛い思いをさせてしまうからな」
 そう言いながら、御剣はその弱い部分を指でいじりながら、もう一方の手は春美の秘所へと向かった。
「ひゃんっ……! や、そんなとこ、触ってはだめぇ……」
 触れると、くちゅりと粘着質の音が響き、指に粘液が絡みついてきた。その粘液を指にからみつかせ、さらに別の赤く充血した個所へ指をやる。
立ちふるえている突起に指を這わせると、春美の身体が大きく震えた。
「っやああんっ!!」
「──ッ……どうも、春美くん、は、ひどく感じやすいタイプのようだな……」
 ぴったりと閉じられたふとももの間に指を入れ秘所をまさぐっているが、どこも春美の愛液でべたべたになっていた。御剣は春美の足を持ち上げ開かせる。
その行為に、慌てる春美。
「いやっ……! そ、そんなことをしては恥ずかしいですっ……! やめてください!!」
「む……しかし、こうしなければできないのだが……」
 もちろん別のやり方だってあるにはあるが、初めての春美にはどれも少し辛いに違いない。困ったような表情をすると、春美も困ったような瞳に涙を浮かべた。
「こ、こんな恥ずかしい格好をしなければ、できないものなのですか……?」
「う、うむ……。大丈夫だろうか」
 春美は困惑していたが、一度自分も「やる」と覚悟を決めた手前、嫌だと逃げ出したくはなかった。
最も、たとえ嫌だと言い出しても、もはや御剣は止められないところまで高ぶっているのだが。
「だ、だいじょうぶ、ですっ……!」
「ふ……そうか」
 春美の開かれた身体を眺め、御剣は生唾をごくりと飲み込んだ。はじめての刺激にひくひくと震える秘所が、淡く色づいて御剣を誘っていた。
すでに濡れそぼったその箇所に、御剣は舌を寄せる。
 ちゅっ……くっ……ぷちゅっ……ぴちゃっ
「は! ぁ、あんっ……れ、れいじ、さ……あぁ! そな、とこっ……舐めてっ」
 丹念に突起を舐めあげ、くぼみに舌を浅くいれ、春美の身体は快楽に震えた。
「あ! あぁんっ!! だ、だめぇ……れいじさんっ…れいじさんっ……!」
 ぴちゃりぴちゃりと蜜を舐めとる音が室内に響く。それと同時に、自分の舌技に啼く少女の艶のある声が耳に届き、御剣の下半身を奮い立たせた。
今すぐにでも──! 
 そう思うが、なんとかこらえて彼女のこれから迎える苦痛を和らげたいと、丹念に秘所をもみほぐす。
 興奮で立ちふるえる突起を口に含んで舌で刺激し、膣内に指を入れる。まず一本だけ入れるが、それだけでもぎゅうぎゅうとしめつけてきた。あまりの狭さに、御剣は不安になる。
「……春美くん、力を抜いてほしいのだが……」
「ふぇ……あっ……むり、ですっ……そ、な……」
 どうも感じすぎてしまっているようだ。身体が言うことをきかないのかもしれない。だが、このままアレを挿入するとなると、彼女がきっと辛い……。
 御剣は困ったが、とにかく彼女を落ち着かせようと口づける。
「んっ……ふ、ぁむ……んんっ」
「は……ちゅっ…む、はるみ、くんっ……」
 深い深い口づけに、春美も御剣も酔いしれる。いつの間にか、もう春美はキスのコツでも掴んだようで、的確に御剣の舌に応えてくる。まったく、末恐ろしい少女だ。
あまりの気持ちよさに、御剣の意識の方がどうにかなりそうだった。興奮した一物を春美の濡れそぼった秘所にこすりつけることで、高ぶりをやり過ごそうとする。
一物と秘所が擦れ合うたびに、卑猥な水音が寝室に響き渡った。
100はみみつ:2008/12/01(月) 01:45:25 ID:PWRFk3bu
 
 リップノイズと粘着質な水音と、シーツの衣ずれの音、二人の吐息、その合間に漏れる声……。
 全てが御剣の興奮を高めた。
 もう、待てない……っ……!
 やや強引に春美の蜜壺へずぶりと二本の指を入れると、何とか受け入れられる程度に力が抜けていた。その二本の指で、膣内をできる限り慎重にかき回す。
「は…っ…はるみくん……大丈夫、だろうか。痛くは、ないか?」
「んぁっ! は、あっ、はいっ……あっ! でも、何だか、はぁあんっ!! へんな、っ……っぁあ…!」
 御剣は秘所から濡れた指を引き抜き、代わりに高ぶりきってぬらぬらと光る自らのものをあてがった。
「はるみくん……痛かったら、言うんだ。……気持よくなれるよう、頑張るから……」
 春美は興奮の涙で滲んだ瞳を揺らして、それでも懸命にこくりと頷いた。その姿にますます愛おしさが募り、唇にくちづけ、自らの情熱を彼女の中へ押しいれた。
「ああああああ!」
「っあ……! く、きつっ……」
 ずぶずぶと胎内に剛直を沈めていくと、あまりの狭さに一瞬意識が遠のきかける。そこを何とか持ちこたえて、春美の膣内がモノになじむのを待った。
ゆっくりと腰を上下していると、徐々に粘液が助けてその締め付けを緩めてくれる。ゆっくりと奥へ進み、何とか全てを入れることができた。
「はるみくん……、痛い、だろうか……?」
 春美はぽろぽろと涙をこぼしながら、御剣の身体にしがみついている。その瞳を覗き込むと、痛みと快楽のはざまでたゆたっているような、曖昧な表情をしていた。
その表情が少女とは思えないような扇情的な女の表情で、御剣の背筋にはぞくりと快楽の予感が走った。
「う……すこ、し……。でも、大丈夫、です……。れいじさん、優しくしてくださっていますから……」
 健気な言葉に、愛しさがあふれそうになる。何度目かの口づけを贈ると、春美はうっとりとそれを受け入れた。
「ん……ふぅ……だいすき……っ。だいすき、れいじさん……」
「……うむ……。私も、その、春美くんが好きだ」
 口づけを交わすうちに膣内がだいぶん緩やかになってきたのを感じて、御剣はゆっくりと腰を動かした。
膣内を動くたび、春美の嬌声とも悲鳴ともつかない声が耳元で上がり、興奮を煽った。
「あ、ああんっ! はあぁっ…あ、っ……!! ふぁあぁっ! れいじさぁんっ!!」
「っ……はぁっ……春美、くんっ……」
 可能な限りゆっくりと動こうとしてはいるが、春美の中の気持ちよさに、早くも御剣の脳内は危険信号が灯っている。
 ま、まずい……。我慢、できないかもしれない……。
 耳元の春美の嬌声も、下半身をしびれさせる刺激も、彼女の温かさも……。全てが御剣を限界へと誘う。
101はみみつ:2008/12/01(月) 01:46:51 ID:PWRFk3bu
「は……、春美くん……。すまない……」
「あっ、はぁっ……! あ、れいじ、さんっ……!」
「少し、動くのを早くする、から……痛い、かもしれない……」
「……っ、だい、じょうぶ、ですっ……! わ、わたくし、れいじさんとなら、我慢、できますっ……!」
 健気な言葉と潤んだ瞳に、御剣は参ってしまう。どうしたら、こんな素直な言葉が出てくるのだろう。かわいくて仕方がない。
御剣は情熱のままに腰の動きを速めた。肉がぶつかり合う音が部屋中に響くが、二人は互いの声に酔っていて耳に入らない。
「ああっ! はあん、れいじさぁん! わたくし、なにか、へんっ……っ」
「っ……はるみくんっ……!」
 春美の膣内が急速に狭まっていく。もしかしたら、感じてくれているのかもしれないと思うと、御剣はいよいよ理性がなくなっていった。
「もしかして、気持ちいい、のだろうか……?」
「んっ……わかりま、せんっ……で、でもっ…あ! へん、なんですっ……からだ、しびれてぇ……」
 御剣は春美の細い身体をぎゅっと抱きしめて、最奥へと楔を打ちつけた。狭い蜜壺を高ぶった己で遠慮なく引っ掻きまわすと、
春美がしがみつく力がますます強くなる。互いの身体がつながった場所からは蜜が溢れて、ぐちゅぐちゅと卑猥な音を立てていた。
愛蜜に促され、春美の足を大きく開かせてより奥へと雄の熱をねじ込むと、少女は一層いやらしい悲鳴をあげて、身体を震わせる。
「あああぁ! はぁんっ、れいじさぁんっ!! からだがしびれて、っ……ぞくぞくって……やああぁんっ!!」
「ああ、はるみくん……。それで、いいんだ。……だいじょうぶ、だからっ……」
春美の身体を突き刺す度に、抱きついてくる腕に力が込められて、何だか甘えられているように感じる。彼女には今、自分しかいないのだと思うと、
独占欲が満たされて幸福な気持ちになれた。粘膜が擦れ、ぐちゅぐちゅと互いが混じり合う感覚に恍惚となる御剣。その激しすぎる快楽に、先に耐え切れなくなったのは春美の方だった。
「ふ、あぁっ……ん、ああああああっ!!」
「──ッ……!!」
 御剣が最も深い場所へ先端を擦りつけた瞬間、春美は高い声を上げての身体を震わせた。その時を逃さず、御剣も己の熱い欲望を解き放ったのだった。



*     *

 隣で安らかに眠る春美を見て、御剣は目の前に立ちふさがる難題に頭を抱えた。
どう他人に説明しても、三十路を越えた男が女子高生を手籠めにしたという状況は変わらない。 
それでも彼女が愛しくて自分のものにしたいと思ったのだから、ある意味この状況は想定内と言えなくもない。
さらに、この世間的にはとてつもなく後ろ暗い状況を打破する方法を、御剣はひとつしか思いつけないでいた。
 彼女はこんなことを言い出す自分を怒らないだろうか。しかし、聡明な彼女のことだから、なぜ自分がこんなことを言い出すのか、きっと理解してくれるはず。
そう思った瞬間、十代の少女にひどく甘えている自分に気が付いた。情けないような、でも彼女相手では仕方がないような、複雑な感情が浮かんで消えた。
「んっ……」
 寝返りを打ち、その拍子で目が覚めたのか春美は小さくうめいた。そのまま、大きな瞳をゆっくりと開く。
しばらく視線を宙にさまよわせていたが、御剣をとらえるとふわりと笑った。少しはにかんだ幸せそうな笑顔に、御剣はキスを贈る。
「おはようございます……」
「まだそんな時間ではない。……疲れただろうから、もう少し眠ったほうがいい」
 そう言いながら、起きて自分の名前を呼んでほしいとも思う。よほど自分は彼女が好きらしいと、改めて思い知らされた。
「れいじさんは、お疲れではないのですか? ……一緒に眠ってほしいです……」
 疲れなど吹き飛ぶかわいらしい声に、御剣はメイが言う「だらしないカオ」をした。
それと同時に、今までぐるぐると思い悩んでいたことなどさっくり捨て去って、それが一番いい方法だと決断する。
102はみみつ:2008/12/01(月) 01:47:29 ID:PWRFk3bu

「春美くん、申しわけないのだが、明日は学校を休めるだろうか」
「? ええ……でも、なぜですか」
「倉院へ真宵くんに会いに行こう」
「真宵さまのところへ?」
 春美はさっと顔色を変えた。もしかして、こんな関係になった自分をいつまでも家には置けないと、実家に帰されるのでは……!?
 その想像にうっかり涙目になってしまった春美だが、御剣が頬を優しくなでるので、そうではないのかと混乱した。
「れいじさん……?」
「……きみと結婚する許可を、もらいに行こう。その、きみが嫌でなければ、なのだが……」
 春美はまた瞳をうるませた。なんだか今日は泣いてばかりいる気がする。
「い、嫌だなんて……! そんな、そんなことありませんっ!!」
「ふ……そうか、よかった」
 ぎゅうっと春美を抱きしめた御剣は、成歩堂や矢張たちに何とからかわれてもいいように、腹を決めておかねばならないと思った。

おわる
103はみみつ【おまけ】:2008/12/01(月) 01:58:57 ID:PWRFk3bu
*    *

「なぁ、御剣。せめて高校卒業してからにしたらどうだ?」
「異議ありだ。現時点で春美くんは16歳。わたしは33歳だ。3年経てば36歳。」
「うお。リアルにかんがえるとおっさんだな。ぼくたち。……・で?」
「……3年の間に誰かに横取りされてはかなわん」
「……よゆーないな、オイ」
104名無しさん@ピンキー:2008/12/01(月) 02:02:19 ID:PWRFk3bu

書けてとても楽しかった。作品的に反省はあるが投下自体に後悔はない。

諸君、私ははみみつが好きだ。
ロリコンといわれてもいい。かわいいのだから仕方がない。
声を大にして言いたい。
私ははみみつが好きだーーーーー!!!!!
105名無しさん@ピンキー:2008/12/01(月) 02:19:32 ID:pm7HAMvb
GJ。

年下相手でもあまり余裕のない御剣がよかった。
106名無しさん@ピンキー:2008/12/01(月) 02:29:42 ID:q612FDDr
GJ!
眠かったんで、最初の方のばあやのトーストが
何故かみそトーストに見えたけど、パッチリ目が冴えたw
面白かったよ。
落とし主のテンションにワロタw

はみみつって、はちみつみたいでちょっと可愛いね。
107名無しさん@ピンキー:2008/12/01(月) 04:32:51 ID:IWhYUw+S
>>104
GJ!!!!まじGJ!!!!
最初「え!?はみみつ?!」と思ってたけど、読んでてめちゃ好きになったよ。
途中、ノコマコが出てきて余計うれしかった。
はるみちゃんの心理描写がよかった。
108名無しさん@ピンキー:2008/12/01(月) 08:46:42 ID:rqr9AxT5
はみちゃんが嫁とか美味しすぎる…
GJです
ゴドはみのときも思ったけど
大人になったはみちゃんは美人なんだろうなー
109名無しさん@ピンキー:2008/12/01(月) 08:50:24 ID:0Nz1nlde
こういうハッピーエンドで終わるの好きだーw
110名無しさん@ピンキー:2008/12/02(火) 17:38:09 ID:WdLqzy9q
ミツメイ投下します。
19歳の御剣と12歳の冥の話。
後半は26歳の御剣と19歳の冥の話です。

一応上のほうのレスでもあった初潮ネタのつもりで書き始めたのですが、
書いてるうちに殆ど関係ない展開になってしまいました。
111名無しさん@ピンキー:2008/12/02(火) 17:39:31 ID:jNW3sxH9
キタ━━━━(Д゚(○=(゚∀゚)=○)Д゚)━━━━━!!!
112名無しさん@ピンキー:2008/12/02(火) 17:40:17 ID:WdLqzy9q
夜も更け、日付が変わろうとしている時刻。
就寝前にベッドの上で読書をしていた御剣の部屋のドアを静かにノックする音
が聞こえる。
こんな時間に誰かと思っていると、部屋の外から小さな声がした。

「レイジ……起きてる?」
「メイ?」

ドアを開けるとパジャマ姿の冥が立っていた。

「どうしたのだ?このような時間に」
「あの……ね……」

冥は俯いたまま言いづらそうにもじもじするばかりで、なかなか用件を言おう
としない。
いつまでも薄着で廊下に立っていては冷えるだろうと思い、御剣は冥を部屋の
中へと引き入れた。

「それで、一体どうしたのだ?私も早く眠りたいので早く用件を言ってもらい
たいのだが」
「……あの……私……」

いつも生意気なくらい強気で物事をハッキリ言う冥だが、何故か今は言葉が詰
まって出てこない様子だった。
そんな冥の様子を見て、御剣はある事に思い当たる。

「もしや怖い夢でも見たのか?」
「えっ?」
「以前も一度、そう言って私の部屋訪ねてきただろう。怖い夢を見て一人で寝
るのが怖いから一緒に寝てほしいと」

少しからかうようにニヤリと笑う御剣に、冥は顔を赤くして反論した。

「ち、違うわ!私もう12歳よ?そんな歳じゃないわよ!」

確かに以前、冥は一人で眠るのが怖いと言って御剣の部屋に泊まった事があっ
た。
しかし、それは冥がもっと幼かった頃の話だ。

「ほう、しかし前回も君がなかなか素直に認めなかったために寝るのが遅くな
ってしまった。今回もそうなら早く素直に言ってもらいたいのだが」
「違うって言ってるでしょ!」
「照れる事などない。君はまだ子供なのだから。今夜はこの部屋に泊まっても
構わないぞ」
「子供……?」

ふと、冥の顔色が変わった。
俯いたまま、思いつめた表情で黙ってしまう。
113ミツメイ 2:2008/12/02(火) 17:42:39 ID:WdLqzy9q
「メイ?どうした?」
「……あなたから見て、全く躊躇わずに部屋に泊めてしまうくらい私は子供な
の……?」
「メイ?何を言っているのだ?」

19歳の御剣から見て12歳の冥は子供だ。
日頃から御剣はたびたび冥を子供扱いする事があったが、プライドが高く、背
伸びしたい年頃でもある冥は、そのたびに子供扱いするなと怒っていた。
そんな彼女の様子を可愛く思い、わざと子供扱いしてからかう事もあったが、
今日の冥は様子がおかしい。

「私ね……数日前に、その……初めてアレがきてしまったの……」
「アレ……?」

御剣はしばらく意味がわからず数秒間悩んでいたが、頬を赤らめ恥ずかしそう
にしている冥の様子を見て、何の事か思い当たり、顔を真っ赤にした。

「そ、そ、そうなのか」
「だから私、あなたが思ってるほど子供じゃないわ。……今夜ここへ来た理由
だって……私をもっと大人にしてほしくて来たの」
「ム?」

冥はしばらく言葉に詰まったあと、真っ赤な顔で意を決したように口を開いた


「私を……私を抱いてほしいの……!」

御剣は一瞬何を言われたのか理解できなかった。
辺りを静寂が包む。
しかし、それは我に返った御剣の大声によって掻き消された。

「な、な、何イィィィィィィィィィッ!!!??なななな何を言っているのだ
!?メイ!?」

妹のように思っていた少女からの爆弾発言に、普段は冷静な御剣もパニックに
なっていた。
からかわれているのかとも思ったが、彼女は冗談でこんな事を言うようなタイ
プではない。

――と、とりあえず冷静にならなくては……。

御剣は混乱する思考をなんとか落ち着かせ、優しく冥に語りかけた。

「メ、メイ。どうしてそんな事を?」
「…………」

冥は赤面して俯いたまま何も答えない。
114ミツメイ 3:2008/12/02(火) 17:44:54 ID:WdLqzy9q
「メイ。その事への関心が強くなる年齢だというのはわかる。しかし、そうい
う事を軽々しく言うのは良くないぞ?」
「か、軽々しくなんかじゃないわ!私はもうあなたに子供として見られるのは
嫌なの!」
「大人ぶりたい気持ちはわかるが、大人になるというのはそういう事ではない
だろう」

御剣はあくまでも冷静を装って冥を宥めようとするが、冥は目に涙を溜めなが
ら激しく首を横に振った。

「違う!違うの!……私、あなたが好きなの……!!だから私を子供じゃなく
一人の女性として見てほしいの!!」
「なっ……!?」

女に想いを打ち明けられたのは初めてではない。
しかし、数年間兄妹のように育ってきた7歳も年下の少女からの愛の告白に、
御剣は動揺を隠せなかった。
ましてや彼女は普段から御剣をライバル視し、生意気な態度ばかりで、そのよ
うな感情を見せる素振りなどなかったはず。

御剣が言葉を失っていると、冥は泣きながら彼に抱きついてきた。

「レイジ……好き……」

涙で潤んだ瞳で見上げられ、御剣は不覚にもドキリとしてしまった。
今まで妹のように思い、異性として見た事などなかったが、自分に想いを寄せ
ていると知ると何だか意識してしまう。

――い、いかん!これではロリコンではないか!

「メ、メイ。気持ちは嬉しいのだが、やはり君とは……」

その瞬間、冥が顔を上げたかと思うと、御剣の唇に何か柔らかいものが触れた


「――!!?」

それは冥の唇だった。
御剣は突然の出来事に再び混乱する。
固まったまま動けない御剣にしばらく口付けを続けたあと、冥は自らのパジャ
マのボタンをおもむろに外し始めた。

「!?メイ!!何をしている!?」

我に返った御剣は慌てて止めようとするが、冥は制止を振り払い、ボタンを外
す手を止めない。

――なんということだ……!
115ミツメイ 4:2008/12/02(火) 17:47:50 ID:WdLqzy9q
冥の大胆な行動に御剣は驚きを隠せない。
まさか初めてではないのかと思ったが、よく見ると彼女の全身は小刻みに震え
、ボタンを外す指も上手く動かせない様子だった。
12歳の少女にここまでさせてしまうほど自分は彼女を思いつめさせてしまった
のか。
御剣は冥の気持ちに気付いてやれず、子供扱いしてからかっていた事を深く後
悔した。

「!!」

ボタンを外し終えた冥が静かに上着を脱ぎ、下着を身に着けていない上半身が
露わになる。
そして、すぐにズボンにも手をかけ、下着ごと下ろした。
その光景に御剣は息を呑む。
発育途中の乳房はまだまだ小さいがふっくらとしており、その先端は桜色に色
付いていた。
そして、下半身に目をやると、淡い色をした毛が薄っすらと秘部を包み込んで
いる。
大人とはいえないが子供ともいえない裸体に御剣は目が離せなくなってしまっ
た。

「レイジ……」

呆然としている御剣に冥はゆっくりと近付き、再び抱きついた。
その姿は少女とは思えないほど妖艶に映り、御剣は自分の中に欲望が込み上げ
るのを感じた。

「レイジ……お願い……」

頬を赤く染め、涙を浮かべながら見上げてくる表情。
服越しに伝わる柔らかい感触。
19歳の青年の理性を崩すには充分な状況だった。

「メイ……本当にいいのか……?」

冥は無言で頷く。

「メイ……」

御剣はそっと冥の髪をかきあげると、ゆっくりとキスをした。
おそるおそる舌を挿し入れ、冥の舌に絡ませる。
そのまま深い口付けを繰り返したあと、静かにベッドへと座らせた。

こういう行為に慣れていない御剣は、本当ならば欲望に任せて強引に事を進め
たかったが僅かに残った理性で踏みとどまり、冥を怖がらせないように優しく
キスを続けた。

「……触れるぞ」
116ミツメイ 5:2008/12/02(火) 17:50:08 ID:WdLqzy9q
ベッドに寝かせ、首筋に口付けながら、柔らかな膨らみをいたわるように撫で
ると、くすぐったいのか冥の体がピクリと跳ねる。
そのまましばらく感触を楽しんでいると、先端が硬くなっていくのを手のひら
に感じた。
ふと、冥の顔を見ると、困惑しながらも頬を赤らめ、少し恍惚とした表情を浮
かべており、僅かに開かれた唇から漏れる吐息は徐々に乱れていく。
幼さの残る顔立ちとは不釣り合いなその表情に、御剣は更に欲望を高ぶらせ、
先程よりも激しく口付けた。

「んっ……」
「メイ……かわいいぞ」

首筋、鎖骨、胸元と、唇が徐々に下へと降りていく。

「あっ……!」

桜色の小さな乳首に唇が触れたとき、冥は声をあげビクッと震えた。
それに構わず御剣は舌で乳首を刺激しはじめる。

「んんっ……」

僅かに冥の声が漏れる。
舐めるだけでは足らなくなった御剣は、音を立て何度も吸い上げた。

「ゃんっ……レイジぃ……っ」

冥の声が少し大きくなり、御剣の興奮は一層高まる。
唇で片方の乳首を貪り、もう片方の乳首も指で刺激し続ける。
しばらくそうして楽しんだあと、すべすべした肌の感触を味わいながら手をゆ
っくりと下へずらしていった。
やがて薄い茂みに辿り着くと、そこは既に驚くほど濡れていた。

「メイ、そんなに気持ちいいのか」
「…………」

冥は赤くなった顔を背ける。
そんな彼女を微笑ましく思い、指を動かすとクチュリと水音がした。

「きゃっ……!」

クチュクチュと音を立てながら指を動かすたびに冥は体を震わせ、必死に快楽
に耐えている様子だった。
そんな彼女が無性に愛しくなり、更に指の動きを加速させる。
愛液でドロドロになった指を一本、膣内に進入させると、冥の体が跳ねた。

「痛いか?」

心配そうに御剣が聞くと、冥はプルプルと首を横に振った。
――相変わらず強がりな娘だ。
痛くないようにじっくりとその部分を指で慣らしていく。
117ミツメイ 6:2008/12/02(火) 17:52:34 ID:WdLqzy9q
「ぁあんっ、レイジ……!」

耳や首筋を舐めあげながら、ぷっくりとした花芯をいじったり指を出し入れす
るたびに冥の息が荒くなっていく。

「ひゃっ……!レイジ……っ、んぅっ……なんか……おかしくなっちゃ……!
もうダメぇっ……!」

涙を流し、首を振る冥。
花芯を強くすりあげた瞬間、冥の全身がビクンと跳ね、その後フッと力が抜け
た。

「もう絶頂を迎えたのか」

予想以上に敏感な体らしい。
冥は何が起こったのかわからない様子で、ぼうっと恍惚の表情を浮かべている


「私も限界が近いようだ。……挿れてもいいか?」
「え……?」

冥は御剣の大きく反り上がった肉棒を見て目を丸くした。

「そ、それを挿れるの……?」

明らかに怯えた様子の冥を見て、御剣は心配げに尋ねる。

「怖いか?」

しかし、冥は首を横に振る。

「無理しなくていいのだぞ。君が嫌ならこれ以上は何もしない」

本当はもう我慢できそうもなかったが、無理をさせるわけにはいかない。

「……平気よ。私、レイジになら何をされてもいい……」
「メイ……」

もう我慢の限界だった。
冥の上に覆い被さり、肉棒を入り口に当てた。

「いくぞ……!」
「……!」

膣内に挿し入れた途端、冥の顔に苦痛の表情が浮かぶ。
やはりかなり狭い。
御剣は無理矢理押し込めたい欲望を必死で抑え、ゆっくりと中へ埋めていく。

「……っ!レイジぃ……っ!」
118ミツメイ 7:2008/12/02(火) 17:55:00 ID:WdLqzy9q
顔を歪ませ、手でシーツを握り締めて耐える冥をいたわるように、御剣は彼女
の顔中に何度もキスを落とした。

ようやく全て入れ終えると、今度は腰を動かし始める。

「うぅ……」
「すまない……辛いだろうが耐えてくれ。すぐ終わらせる」

冥は苦痛に顔を歪めながらも、コクリと頷いた。

「はぁはぁ……っ、メイ……メイ……っ!」

グチュグチュと音を立てながら出し入れするうちに、御剣は快楽に支配され、
息を荒げていく。
一方、冥も苦痛とは違う別の表情が顔に浮かびはじめていた。
打ちつける腰の動きもどんどん激しさを増し、御剣は自分の限界が近い事を悟
った。

「メイ……!もう……!」
「ん……レイジぃ……!」

絶頂を迎える瞬間、御剣は己を引き抜き、冥の腹部の上に精を放った。



「はぁはぁ……」

薄暗い部屋の中で二人の男女の荒い息だけが響く。
しばらくして、御剣がポツリと呟いた。

「メイ……すまない」
「え……」
「私はとんでもない事をしてしまった」
「何言ってるの?これは私から望んだ事なのよ。レイジは何も悪くないわ」

しかし、御剣は思いつめた表情のまま何も言わない。

「レイジ……」

室内に重い沈黙が流れる。
重苦しい空気に耐えられなくなった冥は、ベッドから這い出ると床に散らばっ
た服を身につけた。
そして、部屋を出て行く際、小さな声で一言呟く。

「ごめんなさい……」


それからはお互い顔を合わせるのも気まずく、会話をする事も少なくなった。
冥のほうから話しかけても御剣からは素っ気ない一言しか返ってこない。
きっと自分は御剣に嫌われたのだと思い、冥は己の行いを後悔した。
そのうち一年が過ぎ、冥はアメリカ、御剣は日本で検事の職につく事になり、
御剣は日本に帰国した。
119ミツメイ 8:2008/12/02(火) 17:56:59 ID:WdLqzy9q
そして、数年後――

久々に再会した二人は時の流れのおかげか、何事もなかったかのように振るま
うことが出来るようになり、兄妹のような関係に戻っていた。
しかし、勿論あの日の出来事を忘れたわけではない。
そして、冥は今でも御剣が好きだった。
あんな事をして、彼に嫌われたのではないかと、ずっと悔やんでいたが、表面
上はお互いにあの出来事を忘れたかのように振るまっている。
今更謝っても再び気まずくなるだけではないかと思い、何も言えずにいた。


そんなある日、冥は御剣に誘われ、二人っきりで買い物に出掛ける事になった

二人で出掛けるのは数年ぶりで、冥は妙に緊張してしまう。
ドキドキしながら待ち合わせ場所に立っていると、待ち合わせ時間キッチリに
御剣がやって来た。

「すまない。待ったか?」
「いいえ。じゃあ行きましょうか」

御剣と冥は二人っきりの時間を楽しんだ。
お互いに、あれがいい、これがいい、と言い合いながら買い物をしたり、一緒
に映画を見たり食事もした。
こんなに穏やかな時間を二人で過ごすのは久しぶりだった。
まるでデートみたいだと、冥は嬉しくなる。

「そろそろ帰ろうか」

一通り楽しみ、辺りが薄暗くなってきた頃、二人は帰路につく事にした。
この楽しい一時が終わってしまうのだと思うと、冥は悲しくなった。

「そういえば、もうすぐアメリカに帰るのか?」
「ええ。三日後に日本を発つつもりよ」
「そうか……」

アメリカに行ったらまたしばらく会えなくなる。
このままずっと彼のそばに居れたらいいのに。
そう思ったが、それは叶わぬ願いだろう。

「ここまででいいわ。送ってくれてありがとう」

車で冥の家まで送り、いよいよ別れの時間かと思ったが、御剣の様子が少々お
かしい。
何か思いつめたように黙っている。

「レイジ?どうしたの?」
「……メイ。あの日の夜を覚えているか?」
「!!」
120ミツメイ 9:2008/12/02(火) 17:59:47 ID:WdLqzy9q
すぐに何の事かわかった。
忘れたくても忘れられない出来事。
何故その事を今になって言い出すのか。
冥には御剣の真意がわからなかった。

「覚えてるわ……」
「そうか……」
「ご、ごめんなさい。あの時の私は子供だったとはいえ、とんでもない事を…
…。本当にごめんなさい!」

冥はきっと御剣が怒っているのだと思った。
普段は人に頭を下げる事などない冥だが、この時ばかりは必死に謝った。
再び二人の関係が壊れてしまうのは嫌だから。

「……謝るのはこちらのほうだ」
「え……」
「君を中途半端な気持ちのまま抱いてしまい、ずっと君の気持ちにこたえられ
ずに避けてきた」
「レイジ……」

悪いのは彼を無理矢理誘った自分のほうだ。
なのに彼をずっと悩ませていたのだと知り、冥は再び己の行動を悔いた。

「だが、今なら言える。……君が好きだ。あの日からずっと……」
「……え……!?」

御剣からの思いもよらない言葉に、冥は自分の耳を疑った。

「ずっと後悔していた。欲望に任せ、妹のような君を抱いてしまった事を。忘
れようとも思ったが、日に日に君の存在が大きくなっていくばかりだった……
。そして気付いたのだ。君を愛してしまった事を」

――信じられない……。
何年も想い続けた男からの愛の告白に冥は言葉を発する事が出来ず、ただ呆然
と立ち尽くしていた。

「今更こんな事を言っても、君の気持ちはもう既に私から離れてしまっている
いるだろう。だが、どうしても伝えたかったのだ」
「……バカはバカゆえにバカげた発言をするものね」

冥は涙を浮かべ、そっと御剣の胸に寄り添う。

「……私も……あなたのことが好きよ。昔からずっと……」
「メイ……」

御剣は静かに微笑みを浮かべると、優しく冥を抱き締めた。



その日の夜、二人は数年ぶりに結ばれた。
今度は恋人同士として。
121名無しさん@ピンキー:2008/12/02(火) 18:04:33 ID:WdLqzy9q
終わりです。
素人丸出しの文章ですみません。エロシーンもラブシーンも難しすぎる…。
でもミツメイ好きなので小説書くの楽しかったです。
122名無しさん@ピンキー:2008/12/02(火) 18:23:43 ID:jNW3sxH9
>>121
良かったよ!GJ!
冥は色っぽい子だったんだろうねぇ。
123名無しさん@ピンキー:2008/12/02(火) 18:56:40 ID:NKWa/NKj
GJですよGJ!!
やっぱミツメイ良いなv
124名無しさん@ピンキー:2008/12/02(火) 19:21:25 ID:NFIiJANu
GJ!
全然おkおk!良かったよ!
良ければもっと投下してほしい
125名無しさん@ピンキー:2008/12/02(火) 22:10:37 ID:2RqGBi6Q
GJ!!
みっちゃん、それは犯罪だw
でもチビ冥たんにあんな健気に迫られたら無理もない
126名無しさん@ピンキー:2008/12/03(水) 00:35:04 ID:7e7XBs13
ミツメイきたーー!
GJです
127名無しさん@ピンキー:2008/12/03(水) 01:35:54 ID:PHDvYMTd
二作続けて御剣ロリコンw
でもイイ!
128名無しさん@ピンキー:2008/12/03(水) 03:51:57 ID:aLuWKa26
ロリコンレイジw
129名無しさん@ピンキー:2008/12/03(水) 07:44:19 ID:FgMaVKVk
変態怜侍wwwwwwwwwww
130名無しさん@ピンキー:2008/12/03(水) 20:49:10 ID:V3u90A2+
ミツメイGJです
なんか山口百恵の歌を思い出してしまったけどしおらしい冥に萌えたー!
131名無しさん@ピンキー:2008/12/03(水) 23:54:35 ID:HVs4TxmY
イイヨイイヨー
132名無しさん@ピンキー:2008/12/04(木) 01:33:42 ID:iGeg4UZL
誰かニットと真宵の濃厚な大人のセクロス書いてーーーーーー
133名無しさん@ピンキー:2008/12/04(木) 16:47:46 ID:lYuc4hPU
逆転検事発売後は冥や美雲を調教する
御剣のエロ同人誌とかでてきそうだな
134名無しさん@ピンキー:2008/12/04(木) 19:44:19 ID:5ufU4/LL
>>133
最初
冥を美雲が調教 と読んでしまったw
135名無しさん@ピンキー:2008/12/04(木) 20:03:05 ID:Dn6PF5dA
レズビァアアアン
136名無しさん@ピンキー:2008/12/04(木) 21:02:03 ID:vSp1Qwp6
たまには百合も読みたい
真宵×冥とか
137名無しさん@ピンキー:2008/12/06(土) 11:13:20 ID:JFcOTjkf
トレビアンなレズビアン
138名無しさん@ピンキー:2008/12/06(土) 11:26:50 ID:ANq63FIo
>>137
それ以上言うと有罪ですぞ!
139名無しさん@ピンキー:2008/12/06(土) 19:58:53 ID:Z8DznCn8
百合といえば霧緒さん
霧緒→ユリエと、霧緒→冥はほぼガチ
140名無しさん@ピンキー:2008/12/06(土) 22:23:19 ID:Gr5dkKeB
さあ早く投下するんだ
141響茜:2008/12/08(月) 03:10:09 ID:P3IZdwrQ
百合な流れをぶった切って申し訳ない。
需要ないかもしれませんが、響也×茜 投下します。
142響茜1:2008/12/08(月) 03:10:48 ID:P3IZdwrQ
「失礼します」
ノックの音と共に、心地よい声が入ってくる。
「報告書、お持ちしました」
「ありがとう、刑事クン」
笑顔を浮かべようともしない宝月茜に対して、牙琉響也はにこ、と微笑んでみせてから、彼女の持ってきた書類に目を落とす。
微妙な案件だ。
どうやら、予定していたようには進まないようだ。
やはりあの証人を手配しておいたほうがいいのか……と考え出したとき、茜がまだそこに立っていることに気付いた。
珍しいことだ。いつもならすぐに出ていくのに。
「どうしたの?」
「別に……」
そう答える茜は、明らかにいつもと違っている。
元気がないというか怒気がないというか。そしてどことなくそわそわしている。
何もないはずはなく、響也は慣れた微笑みを浮かべて訊いた。
「言ってごらんよ」
「……検事もそろそろ帰りますか?」
意外すぎる問いだった。
「驚いたな、一緒に帰るお誘いかい?」
茜には何度も断られている。もちろん帰路だけではなく、夕食や昼食、果ては休憩を共にすることすら断られているのだが。
「そういうわけじゃないですけど……」
茜は尖った口で口ごもる。
「……」
いつものようにそっぽを向きかけた途端、窓の外に稲妻が走り、部屋を一瞬だけ明るくした。
「きゃ!!!」
茜が頭を抱え、その場にしゃがみこんでしまう。
響也は窓に歩み寄り、外を眺めた。
「うわ、すごい雨だね……雷も。全然気付かなかったな」
おそらく先ほどから雷鳴も鳴り響いていたのであろうが、防音室なので全く聞こえなかったのだ。
「刑事クン、帰るのなら僕の車で送……」
そう言いながら振り返り、響也は茜の異常に気が付いた。
茜は先ほどしゃがみこんだ姿勢のまま、微動だにしていなかった。
「刑事クン、もしかして……」
響也は駆け寄り、茜の前に膝を付いて肩に手を置いた。
茜が一瞬体をこわばらせるのが判ったが、その緊張はすぐに解けていった。
143響茜2:2008/12/08(月) 03:12:09 ID:P3IZdwrQ
茜が昔巻き込まれた事件については、響也も聞き及んでいる。
茜と成歩堂龍一の出会いにもなった、10年近く前の事件。
その事件を知った時、自分には不機嫌な顔しか見せない茜が成歩堂龍一に懐いている理由が判ったのだった。
「刑事クン、大丈夫。この部屋は防音設備が完璧だから、雷の音は聞こえないよ」
ぽんぽん、と肩を叩いてそう言った。
茜はまだ頭を抱えたままだったが、小さく頷いたようだった。
「カーテンを閉めてこよう」
そう言って響也が立ち上がろうとした瞬間、部屋の照明がちらついた。
窓の外には閃光が走る。
同時にがしっ、と茜がしがみついてきて、響也はうろたえた。
手が背中に回される。
いつもの茜からは想像もできない姿だ。
過去の事件は、それだけのダメージを与えたのだろう。
響也は床に腰を下ろし、茜を膝の中へ抱えこんだ。
小さい子をあやすように茜の頭をなでると、ぎゅ、といっそう強くしがみついてきた。
どきっとして腕の中の茜を見ると、同時に見上げてきた茜と目が合った。
かすかにうるんでいるその瞳に射抜かれた瞬間、電気が大きく点滅して、ばちん、という低い音を最後に暗闇に墜ちた。
144響茜3:2008/12/08(月) 03:13:40 ID:P3IZdwrQ
*****

雷は嫌いだ。
ここに来る途中も、遠くで雷鳴のようなものが響いていた。
こっちに来るなと念じていたものの、その祈りは通じなかったようだ。
正直、この部屋に入って雷が始まってからのことはよく覚えていない。
音が聞こえないのはせめてもの救いだったが、それでも夜の雨と雷は、茜を混乱させるのに十分だった。
いま茜は検事局にいる。季節も同じ。
否が応でもあの日のことを思い出してしまう。
思わずぎゅ、と目を瞑ると、胸元に顔を押しつけられたまま抱き締め直される。
そうだ、私は無我夢中のままこの人に助けを求めたようで、それでこんな体勢になってしまっている。
ちゃらちゃらしてるだけでは飽き足らず、じゃらじゃらへらへらして、私にずっと構ってくるセクハラ検事に。
だけど今はすごく落ち着く匂いがして、いつものじゃらじゃらも聞こえなくて、
優しく、でもしっかりと回された腕が心地よい。
「だいぶ落ち着いた?」
耳のすぐ横で、そう訊かれて飛び上がりそうになる。
「はい、だいぶ……。あの、何か……すみません、こんなことになって」
「僕は大丈夫だよ。幸せすぎるぐらいだ」
響也の吐息が顔に触れる。
きっと光の下では考えられないほどの至近距離で話しているのだろう。
いつもへらへらしながら好きだ好きだと追いかけてきて、そのくせ仕事をしている時はやたら真剣な瞳をしているこの人と。
その瞳は、あの事件の時に私を助けてくれた、あの人たちと同じ輝きで……。
「逃げてしまうかと思った」
ぼんやり考えていると突然そう言われ、どきっとする。
日本中の大勢の女の子が憧れ、夢見ている、綺麗な声。
「いつもみたいに」
その声が続けて言ったその台詞は、苦笑混じりだった。
「逃げてるつもりはありませんけど」
「まともに話してくれないじゃないか」
表情は見えないものの、響也が不満気な顔をしたのが判って、茜は思わず微笑んだ。
そんな自分の顔も見えていないのだと思うと何故か安心する。
心臓の音はいつもよりも速い。
けれどもなんだか素直になれる気がして、思ったままを言った。
145響茜4:2008/12/08(月) 03:14:30 ID:P3IZdwrQ
「こんなふうに顔が見えないなら、話してもいいかもしれません」
自分が笑顔になっているのがわかる。こんな顔絶対に見られたくない。
響也が え、と驚いて腕の中の茜を見たようだった。
「ど、どうしてだい?」
「胡散臭い笑顔がついてくるからですかね」
「……ひどいなあ、ファンのみんなはその笑顔を飛び跳ねるほど喜んでくれるっていうのに」
「それが嫌なのかもしれません。私にだけ」
自然に口をついて出た言葉に自分でびっくりして途中で止めたが、遅かった。
全身の血が熱くかけめぐる。
どうしようもない恥ずかしさを感じる一方、あぁそうなんだ、そうだったんだと静かに納得する自分もいた。
今の発言を撤回したくて、思わず響也の背中に手を回して顔をうずめると、一瞬驚いたような間があってからぎゅ、と力を込められた。
全部伝わってしまった。
「刑事クン、」
愛おしそうな、優しい声。
その先にある言葉を勝手に想像して、心拍数が更に上がるのが判る。
「け、検事って……」
響也を遮るために、茜は必死で言葉を探した。
「……女慣れしてますよね」
結局可愛気のない言葉しか出てこなかった。
「慣れてないよ」
「嘘」
茜のあまりの即答に、響也がおかしそうに笑っているのが判る。
「百歩譲って慣れているとして……」
頬を探られ、手があてがわれた。響也のあたたかさと指輪の冷たさが同時に伝わる。
「君以外本気になった女はいない、って言ったら信じるかい?」
どきん、と大きな音が部屋に響いた。
世界は暗闇だが、響也の真っ直ぐな視線を感じる。気恥ずかしさで思わず目を伏せる。
「……どっちでもいいです」
茜がそう答えた途端、唇が重なるのを感じた。
舌が絡む音と心臓の音が真っ暗な部屋に響く。
長いキス。息をするのも忘れる。
「好きだ」
キスの途中、上唇をひっつけたままで、吐息と共に言われる。
もう何度も何度も言われている言葉なのに何故だか泣きそうになって、声には出さずに小さく頷いた。
その頷きを、激しいキスでかき消される。
「ん……はぁっ……」
146響茜5:2008/12/08(月) 03:15:15 ID:P3IZdwrQ
頭の奥がとろけるような感覚に陥っていると、そのまま優しく静かに押し倒され、啄ばむようなキスが降ってきた。
やがてそれがふと止んで、頭を撫でられる感覚と共に、真上からの甘い吐息を感じる。
「刑事クン、可愛い」
余裕たっぷりのあの顔が目に浮かんで、茜は思わず口を尖らせた。
その瞬間、唇と唇が軽く触れ合い、響也が肩を震わせて笑うのが判った。計算づくだったっていうの。むかつく。
「駄目だよそんな顔しちゃ」
そしてまた唇を吸われる。
それと同時に響也の指が首元を滑る。そしてスカーフが解かれ、シャツのボタンも一つ一つ外されていった。
「ひゃっ」
冷たいものが肌を刺して、思わず声を上げる。響也の手がびくっとして止まった。
「ごめん、大丈夫? 何か痛かった?」
見えないと判っているけれど、左右に首を振る。
「びっくりしただけ。指輪が」
「ごめん、外すよ」
少しの間があって、ごとごとと遠くの床に金属が置かれる音がした。
じゃら、という音もしたから、きっとあの首から下げている金属も外したのだろう。
なぜかその音を聞いた瞬間、これから自分たちの間に起こることが突然現実味を帯びて感じられて、一気に恥ずかしくなった。
そう思っていると、腕を取られて、確認するように指を絡ませられた。アクセサリーだけでなく、ジャケットも脱いだようだ。
「これでいい?」
その問いに茜が頷いたのを合図に、左手が離され、下着のホックが外された。
147響茜6:2008/12/08(月) 03:15:57 ID:P3IZdwrQ

*****

勿体無い、と思った。
今、あれほど焦がれた彼女が腕の中にいる。しかも、一糸まとわぬ姿で。
見たい。
心の底からそう思った。
暗闇に目が慣れてきたとは言え、手がかりとなる光が一つもない状態なのだ。何も見えない状況は変わらない。
電話や非常口の明かりが遠い位置にいることを心から恨んだ。
そんなことを考えながらも、響也は露になった柔らかい胸を手の中に収める。
親指で先端を弾くと、茜が身体をくねらせた。
左手で揉みしだきながら唇を落とし、舌と舌を絡ませる。
指先で先端を弄ぶとキスの合間に漏れる声が艶かしく変化して、刺激される。
響也は左手はそのままに、右側の突起を口に含んで甘噛んだ。
「ぁあっ……ゃ、ん」
茜がよがる。
舌先で転がすと、どんどん固さを増してくる。
左の胸を同じようにしながら、下半身に手を伸ばした。
「やっ……」
茜が咄嗟に足を閉じた。
「嫌なの?」
少し意地悪なことを言ってみる。
「い……やじゃない、けど……」
今の茜は見たこともない表情をしているだろう。
先ほどから、彼女の行動には驚かされてばかりだ。もちろんいい意味でだが。
暗闇で安心したのだろうか、いつもの彼女からは考えられないほど無防備な気がする。
思わず微笑んでいると、茜の手が響也の襟元に伸びてきた。
引っ張られて思わず顔を寄せると、シャツのボタンを外しながら小さい声で言われる。
「私だけが裸なのは、いや」
身体の真ん中を撃ち抜かれた気分だった。
茜がボタンを外し終わるのを待って、自分でベルトを外す。
脱いだものを遠くに蹴散らしてから、床に横たわる茜をもう一度抱き締めた。
愛しすぎて、どうしていいか判らなかった。
「かわいい……」
思わずそう言うと、茜が がり、と肩に歯を立ててきた。その痛みで、夢ではないのだと確認する。
148響茜7:2008/12/08(月) 03:16:39 ID:P3IZdwrQ
もう一度キスをして、胸の膨らみをなぞる。
内腿に手を伸ばすと、茜のそこは十分な潤いを持っていた。
響也がゆっくりと指を沈めると、背中に回された茜の手に力がこもった。
中を掻き回しながら、唇に唇を寄せる。
「ん……は……あぁっ」
指を動かすたび、茜が身を捩らせ、喘ぐ。
もうダメだ、と思った。
今更言い訳にしかならないが、本当はもっとゆっくり進めるつもりだった。
しかし、結局本能には勝てないのだと実感した。
「茜……いい……?」
「……うん」
そう答えると同時に、茜の手が彼自身に触れた。
予期せぬことに驚いて、また一度体温が上がったような感覚を感じた。
茜の手が優しく動き、前後に数往復する。
しばらくされるがままになっていたが、思わず声が出た時に、これは気持ちよすぎて危険だということに気付く。
茜の手を止め、先程の位置を頼りに行くと、締め付けられながらも奥に進むことができた。
「ぁ……ん……っ」
茜が大きく息を吐きながら喘ぐ。その声を聞きながら、深く腰を沈めた。
手を取り、指を絡めると、中でぎゅ、と締めつけられる。
キスを一つ落としてから、ゆっくりと腰を動かした。
淫らな音が響きわたる。
「ゃ、あぁっ……!」
一度引いて再び奥まで入れ込んだ時、茜が呻き、腰を浮かせた。
段々と速度を上げる。茜が背中にしがみついてくる。キスをする。水音と肌のぶつかる音が響く。
電気が点けばいいのに。
今ここで、電気が点けば。
そう思っていた意識はいつの間にか腕の中の柔らかなぬくもりに支配されていた。
やがてまとわりついていたそれに強く締め付けられ、響也はそのまま茜の中に熱を吐き出した。
149響茜8:2008/12/08(月) 03:17:30 ID:P3IZdwrQ

*****

「服……どうしよう。電気が点くまで着れないね」
もっと考えて脱がせればよかった、と響也は今更ながらに後悔していた。
見えないが、おそらく茜は口を尖らせていることだろう。
二人は今起き上がっていて、響也の膝の中に茜が座り込んでいるような形だった。
雷はいつの間にかおさまっていた。
「とりあえずそのへんにあるやつを着ていてよ。そのままだと風邪を引いてしまうし」
「じゃあ、これを……」
ごそごそと音がして、茜が何かを羽織ったようだった。
響也も何か身につけようと左手を大きく動かし、おそらくジャケットと思われる何かをつかみとった。
同時に右手で細い身体を抱き寄せようとしたとき、ちらちらと弱い光が帰ってきたかと思うと、突然明かりがついた。
目が眩む。
数秒経って苦労しながら目を開けると、そこには響也の黒いシャツだけを纏って座る、あられもない茜の姿があった。
そんな茜と目が合った瞬間、響也は頭の中のヒューズが飛ぶ音を聞いた。
「刑事クンごめん」
「え? きゃああああっ!!!」
茜がせっかく羽織ったシャツは一瞬で剥ぎ取られていた。


     continued on the next round...?
150響茜:2008/12/08(月) 03:19:10 ID:P3IZdwrQ
おわりです
エロ描写苦手すわ…orz
151名無しさん@ピンキー:2008/12/08(月) 08:39:28 ID:wB9YpA/W
GJ!
響也は優しくて
茜は戸惑いつづも可愛くて良かったです。
停電復旧後も是非!
152名無しさん@ピンキー:2008/12/08(月) 08:45:04 ID:6Btbg8St
そろそろナルマヨ読みたい・・・。
153名無しさん@ピンキー:2008/12/08(月) 08:57:51 ID:0ygHPsmF
>>152
思う存分読んでくれ

つ ナルマヨ
154名無しさん@ピンキー:2008/12/08(月) 13:42:52 ID:9u0vXsws
ちょw
155名無しさん@ピンキー:2008/12/08(月) 17:27:16 ID:y7RXU56J
>>149
響茜好きです
投下ありがと〜!
156名無しさん@ピンキー:2008/12/08(月) 20:56:02 ID:mgF0IsOb
>>149
GJ!
普段はあまり響茜読まないけど、久々に読むと新鮮。茜可愛いな。
ここでは色んなの読めるから、楽しい。
157名無しさん@ピンキー:2008/12/08(月) 22:25:31 ID:non6Yhw1
響茜好き!
 GJ!!
158名無しさん@ピンキー:2008/12/09(火) 03:08:13 ID:eIxErUni
おおお〜こんなスレあったとは!
スレチかもしれんけど、逆裁男性陣の中で誰が一番キス上手いんだろ。セクロスじゃなくて、キス。
159名無しさん@ピンキー:2008/12/09(火) 04:50:04 ID:/U567qmp
なんとなくゴドーとかガントのイメージ
160名無しさん@ピンキー:2008/12/09(火) 06:57:40 ID:V6SeWxpR
意外と亜内
161名無しさん@ピンキー:2008/12/09(火) 08:26:38 ID:q3WsofKa
アウチの奥さんは美人らしいからな
ありえない話ではない
162名無しさん@ピンキー:2008/12/09(火) 08:55:06 ID:D1ogDi6E
文句なしでゴドーに一票
163名無しさん@ピンキー:2008/12/09(火) 08:55:38 ID:D1ogDi6E
あ、でもニットもうまそう。
164名無しさん@ピンキー:2008/12/09(火) 21:25:55 ID:2EcMZzVU
マキ
165名無しさん@ピンキー:2008/12/10(水) 11:47:29 ID:WO25s70Q
>>164
相手が気になるな。
166名無しさん@ピンキー:2008/12/10(水) 16:11:46 ID:51T0uA32
ラミロアwwwww
167名無しさん@ピンキー:2008/12/11(木) 00:03:31 ID:ZYIwZwqJ
>149
GJGJ!!
4では響茜が一番好きだよ!ありがと!
168名無しさん@ピンキー:2008/12/11(木) 02:28:24 ID:lBTPSBi7
検事の公式HPみてノコ×冥と御剣×美雲を妄想してしまった
我ながら異端
169名無しさん@ピンキー:2008/12/11(木) 18:16:21 ID:N/5pSRrS
漫画の新刊買ったが、今回は冥が可愛いな。
……サドっぽいようで、相手がガチマゾだと押されるのな、冥。
170名無しさん@ピンキー:2008/12/11(木) 18:49:32 ID:+DZ+jRmY
冥たん実はMだからな
171名無しさん@ピンキー:2008/12/11(木) 22:48:17 ID:GbhLp9g4
冥はMというより自然に相手のS心を煽るタイプだと思う
本人にその気は無くてもいじめてオーラが全開
172名無しさん@ピンキー:2008/12/11(木) 23:58:27 ID:+DZ+jRmY
わかる
冥たんは普段強気な態度なだけに、攻められた時の怯えたような仕草とか
カワイイ泣き顔とか見ると妙に興奮してイジメたくなるw
173名無しさん@ピンキー:2008/12/12(金) 13:32:37 ID:gSvgTIzt
>>165
ボルジニアではキスは挨拶のようなものなのさ
174名無しさん@ピンキー:2008/12/13(土) 10:26:25 ID:z3x8ydC9
でもミツメイだとSなメイたんも多いよね
175名無しさん@ピンキー:2008/12/13(土) 21:39:04 ID:RMaveXlO
ミツメイは数が多いからその分バリエーションにも富んでるしな
まとめwikiで女攻めがあるのもミツメイ(メイミツ)だけでは?
と思ったけど茜弟もあったかw
176名無しさん@ピンキー:2008/12/18(木) 18:36:43 ID:rFVyME5Y
>>16
いつまでも待ってるから
177名無しさん@ピンキー:2008/12/21(日) 19:41:54 ID:/W/zFgtF
ミツ隠れ微S、メイ隠れ微M
178名無しさん@ピンキー:2008/12/22(月) 21:33:05 ID:we0ZDDfP
「SM関係において、サドはマゾの欲求を満たすための存在だから
実はマゾの方が立場は上」という理論は、正にミツメイに当てはまってると思う。
御剣は主導権を握ってるように見えて、実は冥のわがままを聞いてあげてるんだよw
179名無しさん@ピンキー:2008/12/23(火) 18:01:27 ID:atPb4vDV
ミツもメイもSにみえてMに見える
M同士のチキン、お互いびびりながらいたす
関係ないが本スレの冥たんの声がかっこいい
イメージ通り
180名無しさん@ピンキー:2008/12/23(火) 18:13:46 ID:XqeVw8Qa
逆転検事スレや冥スレで特別法廷の音声がうpされてるな
冥の声は個人的には少しイメージ違うけど、かなりエロかっこいい声だな
181名無しさん@ピンキー:2008/12/23(火) 18:37:28 ID:fKa0egEg
いい声だね
声優くわしくないからよく知らないけど有名な声優みたいだね
182名無しさん@ピンキー:2008/12/23(火) 18:40:30 ID:EJV/6u/o
声がエロい
すばらしいクリスマスプレゼントだ
183名無しさん@ピンキー:2008/12/23(火) 18:47:33 ID:1HvBoq4B
みゆきちなら可愛い声も出来るから次は是非デレの入った冥たんも見たい(聞きたい)
184名無しさん@ピンキー:2008/12/24(水) 04:54:24 ID:nmZEjZ85
え、冥みゆきちなの?
これまた有名どころ連れてきたな
185名無しさん@ピンキー:2008/12/24(水) 08:55:44 ID:iKP8kNlm
まだ確定してないけど、逆検スレで冥たんの声が沢城みゆきに似てるって話になって、
実際に沢城スレへ行ってファンに音声聴いてもらったら、確かに本人の声だろうと言われた
って報告が逆検スレにあった。

声そっくりなだけで別人の可能性もあるけどファンが認めたから本物っぽい。
186名無しさん@ピンキー:2008/12/24(水) 11:15:08 ID:0p0/7Gsq
ぼちぼち続きは冥スレでどうぞ。
187名無しさん@ピンキー:2008/12/25(木) 09:51:30 ID:QULIcxeQ
冥、声変わりか
諏訪部女史から沢城ね…
御剣は岩元氏のまま?
188名無しさん@ピンキー:2008/12/25(木) 14:59:09 ID:fW9hZFTC
逆検スレでやっておいでよ。
189小ネタ:2008/12/26(金) 02:27:27 ID:AfOEdUpO
「メリークリスマス!」
「・・・?」
「ほらほらなるほどくんも、メリークリスマス!」
「め、めりーくりすます。」
「というわけでプレゼントちょうだい」
「何だよいきなり、というかそもそも霊媒師はクリスマス関係無いんじゃ」
「つべこべいわずにさっさと渡す!というかさっきから後ろに隠してるでしょ?」
「・・・・ハイハイどうぞ。」



なんだかんだ言ってなるほどは最低でも二人分は(真宵・春美)プレゼント用意してそう。
お金が無さそうだから御剣やイトノコには無しかな?
190名無しさん@ピンキー:2008/12/26(金) 03:51:58 ID:/lmh9e0F
真宵ちゃんやはみちゃんにはあるだろうけど、他の二人には当然無いでしょう。
191名無しさん@ピンキー:2008/12/26(金) 08:18:26 ID:+mNpGIdV
冥にはあるのかどうか、そこが問題だ
192名無しさん@ピンキー:2008/12/26(金) 08:29:26 ID:B0tZ1ZKY
冥にも無いだろう。
家賃払うのでさえ四苦八苦なのに、身内以外には余裕ナッシング。
193名無しさん@ピンキー:2008/12/26(金) 13:34:58 ID:voR4Y3vJ
財政状況によっては真宵やはみちゃんに
あげられるかどうかも怪しいw
プレゼント出来てもチロルチョコとか
194名無しさん@ピンキー:2008/12/26(金) 19:39:12 ID:SUmdM+Gj
676 名前:枯れた名無しの水平思考[sage] 投稿日:2008/12/26(金) 19:15:11 ID:aRaEFjDG0
カプコンSound Sphereポッドキャスティングで「トノサマンの唄」配信
ttp://www.capcom.co.jp/sound/mp3_upload/podcast/sspc_018.mp3


これ歌いながら初体験した真宵ちゃんがいたよねw
こんなの歌われてよく萎えなかったなあ、なるほどwww
195名無しさん@ピンキー:2008/12/29(月) 09:16:38 ID:4sQgWqKO
ナルマヨキタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!
196名無しさん@ピンキー:2008/12/29(月) 10:41:44 ID:N00qJ6T5
え、どこに?
197名無しさん@ピンキー:2008/12/30(火) 15:54:02 ID:uIPkROJo
保守
198名無しさん@ピンキー:2008/12/31(水) 20:21:23 ID:Ep5ZI0BF
大晦日だな。
ナルとマヨとハミはコタツで紅白見ながらミカン食べて除夜の鐘を聴くという
ピンポイントなことをやっているのだろうか。

ミツとメイは…
いや、裁判所メンバーで隠し芸大会?
二人羽織で密着?w
199名無しさん@ピンキー:2008/12/31(水) 20:22:46 ID:WwqVQivC
年越しHとひめはじめまだですか?
200名無しさん@ピンキー:2008/12/31(水) 22:08:12 ID:zS/FOdC2
>>198
除夜の鐘叩きに行ってそう。>ナルマヨハミ
帰りはナルホドくんがハミちゃん負んぶしてw
201名無しさん@ピンキー:2009/01/01(木) 03:06:17 ID:eK5MBVeb
エロなしではあったが
正月早々、喫茶店の最新作読んで
涙腺が決壊した

202名無しさん@ピンキー:2009/01/01(木) 14:32:28 ID:F8cSxwrZ
>>201
教えてくれてありがとう。
ミツメイのあれで満足してたけど、続きあったんだな…
203名無しさん@ピンキー:2009/01/01(木) 17:44:44 ID:QCbq9ctS
>>195は喫茶店か。
管理人さんが出て来た件で泣いた。
204名無しさん@ピンキー:2009/01/01(木) 20:34:47 ID:dYRlIoxu
あげ
205名無しさん@ピンキー:2009/01/02(金) 19:22:39 ID:05bWI1C0
喫茶店?
206名無しさん@ピンキー:2009/01/02(金) 20:00:24 ID:+m8xHrqy
喫茶店の真宵ちゃんの処女喪失が切なすぎる。
最後の最後に他の女の名前呼んじゃうとか最悪だ。
しかも知らなかったとは言え、処女相手に気遣う様子もなく…。

なるほどめ、覚えとけよヽ(`Д´)ノウワァァン!!
207名無しさん@ピンキー:2009/01/03(土) 18:41:54 ID:ezbLG2A2
ごめん、喫茶店ってどこにあるの? wiki?
でも>>1のまとめwikiのシリーズは、もう完結してるよね?
208名無しさん@ピンキー:2009/01/03(土) 19:08:50 ID:HJisDK7w
ググレカス
209名無しさん@ピンキー:2009/01/03(土) 21:35:50 ID:6QZIIkCn
>>207
Wikiでは5話で終わってるけど、作者のサイトでは続きが何話か掲載されてる。
前スレに貼られてた。
210名無しさん@ピンキー:2009/01/04(日) 11:06:54 ID:ME2e+uCR
>>207
ヒントは「逆転裁判」「SS」。
ヤフーでなくてちゃんと「ググ」れ。
211名無しさん@ピンキー:2009/01/04(日) 13:08:24 ID:nJhngIf2
>>206
でもまあ円満解決に向かいそうな雰囲気になったから良いんじゃない?
一時期の展開は誰が誰に刺されてもおかしくない泥沼にはまりかけてたわけだしw
212名無しさん@ピンキー:2009/01/05(月) 01:11:22 ID:QJe6xc9q
クリスマスネタを投下しようとおもっていたらしばらくアク禁を受けた。
まさかの年明けにクリスマスで申し訳ないが、もったいないので投下します。

【注意書き】
・はみみつ
・ちょっとだけ成まよ+響みぬ+王茜
・エロがない
・小ネタ

以上を御承知の上、お読みください。
213名無しさん@ピンキー:2009/01/05(月) 01:13:01 ID:QJe6xc9q

 かわいくて、幼い奥さんをもらった御剣怜侍の、はじめてのクリスマス。もっとも、妻・春美とクリスマスを一緒に過ごすのは初めてではない。
彼女が幼いころ、成歩堂法律事務所で何度もパーティーをしたものだ。けれど美しく成長した彼女と、あらためて二人きりで過ごすと思うと思わず緊張した。
 その緊張は、クリスマスソングが街中に流れて久しい頃。12月に入ってからの彼女の言葉が発端となっていた。
 幼い妻は、街中にきらめくネオンの光を見てこう言ったのだ。
「れいじさん。わたくしのところへも、サンンタさまは来られるでしょうか?」
 わたくし、結婚して苗字が変わってしまいましたから、サンタさまも迷ってしまわれるのではないでしょうか。
 その発言を聞いて、御剣は眉間にしわを寄せた。
「……あー……。春美くん。倉院の里には、いつも……その、サンタがやってきていたのだろうか」
 夫の問いに、妻はきらきらとした笑顔で答えた。
「はい! わたくし、いつもいい子にしていたからと、大きなぬいぐるみやお菓子をいただいていたのです。里でも、真宵さまと二人でたくさんのプレゼントをもらいました」
 あの女系の里にサンタクロース役ができる人材がいるとは思えない。わざわざサンタ役を演じるために電車で出張した幼馴染の気苦労が知れた。
「れいじさん。サンタさまは、きちんとわたくしのところへ来てくださるでしょうか。何か、届け出などできれば良いのですけれど……」
 真剣に悩む美しい横顔を見つめて、御剣は途方に暮れた。まさか、妻と一緒にクリスマスを過ごすのに、サンタごっこをしなければならないのか……!!


「成歩堂。お前が憎い。心底憎い」
 恨めしげな幼馴染の視線に、成歩堂はわずかに腰を引いた。
暇をもてあまして事務所でお茶をすすっているところへ、すごい形相の御剣が訪ねてきた。
御剣家のクリスマスにまつわる話を聞かされて、正直、成歩堂はどうでもいいと思った。
けれど、他にこんなことを相談できる友達のいない幼馴染を放り出すのが不憫に思えて、適当に話を合わせることにする。友情は美しい。
「そ、そんなこと言われたって、過ぎたことだろう? あのころは真宵ちゃんたちが喜んでたし、いいことしたー、くらいに思ってたんだよ」
 だが、よく考えてみれば彼女たちは田舎出身とはいえ、生粋のお嬢様なのだ。
真宵は確信犯としても、まだ幼い春美が毎年「サンタ」なる人物にプレゼントをもらっていれば、その誤解を解く機会はない。あの大きく澄んだ瞳で
「サンタさまは今年も来られるのですよね?」と聞かれて、違うと言える人物があの里にいるだろうか。いや、いない。
春美は来年で17歳になるはずだが、そんな歳までサンタクロースの存在を信じ続けていてもおかしくはないのだった。
「まあ、いいんじゃないか? サンタ役やれば」
「それでは、私がいないことを春美くんが怪しむだろう」
「ま、まさかぼくにサンタ役をやれって!? 冗談だろう! こ、今年は、ほら。王泥喜くんやみぬきがいて、事務所のパーティーも賑やかになるだろうしさ。
ほらほら、真宵ちゃんだってこの時期は里から降りて、年末年始だらだらするしさ」
 必死にクリスマスの予定を埋めようとする成歩堂だったが、御剣のお茶を運んできた王泥喜に一蹴された。
「それなんですけど、この前牙琉検事に会った時に“かわいいひとと一緒にクリスマスを過ごすことができそうだ”とか言ってましたよ。あれって、多分みぬきちゃんなんじゃないですか」
「ぐっ……いつの間に……!」
「あと、オレもクリスマスは予定があるんで」
 御剣は王泥喜の発言を聞いて、肩をすくめた。
「……子どもがいつまでも、親孝行をしてくれるとは限らない、ということだな」
「くっ……! 待った!! それでも! ぼくにはまだ真宵ちゃんという、大きな子どもがいる!」
「ひどい言い草ですね。呪い殺されますよ」
「トノサマン・スピアーで刺殺されるぞ」
「とにかく! 新婚のクリスマスにサンタの格好して乗り込むなんて、絶対に嫌だからな!!」
 あらためて聞くと、誰でもやりたくない。
 御剣は成歩堂の強い拒否に途方に暮れた。その時、王泥喜が口を開いた。
「あのー。そもそも、“サンタがくる”って条件からして間違ってるんですから、そこから解決した方がいいんじゃないですか?」
「……と、いうと?」
「だから……」

214はみみつクリスマス:2009/01/05(月) 01:14:04 ID:QJe6xc9q

*     *

「“サンタクロースは、子どものところへ来るだろう? だから、もう子どもではない春美くんのところへは来ないんだ”」
 王泥喜のセリフをそのまま言って、目の前でソファの上に正座する妻をちらりと見た。すでに寝間着の白い浴衣に着替えていて、その妙になまめかしい姿を直視できない。
妻は大きな瞳をさらに大きく見開いて、こちらを見つめている。
「まあ……。そうなのですか……。わたくし、世間的にはまだまだ若輩者ですから、てっきり“子ども”の範疇に入っているものだと思っていました……」
 無論、世間的にはまだまだ子どもだ。しかし、法律的に言って完全に子どもとも言えない微妙な年齢でもある。だからこそこうして夫婦になることができたのだから。
しかし、そんなことを今は問題にしてはいけない。何か言われる前に、御剣は王泥喜からの解決案を続けた。
「う……その…、もう……“子ども”、では、ないだろう……? その、色々と、だな……」
 妙に口ごもる御剣に、春美は顔を赤らめた。夫が言わんとしているところを理解したのだ。
「あ! ……そ、そう、ですね。その……わたくし、もう“子ども”では……ありません」
 だからもう、サンタさまは卒業ですね。
 そう頬を赤らめながら微笑む妻の可憐さに、御剣はよろめいた。
「と、ところで、春美くんは、サンタから何が欲しかったのだろうか? 私からでよければ、何でも好きなものをプレゼントしよう」
「まあ! 本当ですか?」
 普段ものを欲しがらない妻が、一体何を欲しがっているのだろうか。それは、夫としても興味があった。
 春美は白磁の頬を赤く染めて、小さくつぶやく。
「子どもが……」
「うん?」
「わたくし、れいじさんとの子どもが欲しいです……」
 御剣の脳内は、一瞬停止した。空白の数秒を置いて、顔を赤く染める。
「そ、それは……その。うむ。……春美くんが、学校を卒業してから、追々、という風に考えていたのだが……」
 しどろもどろになりながら未来予想図を話す御剣。いや、待て。重大な何かを見過ごしている気がする。
「……春美くん。サンタに欲しいとねだるつもりだったのは、もしかして……?」
「はい。コウノトリさんが運んでくださるなら、きっとサンタさまも運んでくださるに違いないと思ったんです!」
 にこにこと話す春美に、一瞬嫌な想像が浮かんだ。
 いや、まさか。昨今の学校内での性教育は進んでいるというし。よもや、知らないわけは……。
「……は、春美くん……? めしべとおしべの話を知っているだろうか……」
 とりあえずジャブから、と思ったのだが、春美に遮られた。
「あ! あの、とりあえず、そういうのは、存じていますけれど……あの、でも」
 とりあえず、知っているらしいことに一安心した御剣。顔を赤くして、なお言いつのる妻を見つめた。
「あの、でも。その……れいじさんが……“毎日”、“頑張って”くださるのに、できないのはなぜなのでしょうって……。わたくし、不安になってしまって……」
 それはちゃんと避妊しているから……とは、気恥しくてなかなか言えない御剣だった。とりあえず、彼女の無用な不安は取り除くべきだろう。
「大丈夫だ。……時期が来れば、きちんと授かるものだから。それに、たとえ授からなくてもきみと結ばれて、私はとても幸せだから……。サンタに願わなくても、大丈夫だ」
 細い身体を抱きしめると、春美が微笑んだ気配がした。
「ふふ……嬉しい。……れいじさんの言葉が、わたくしのクリスマスプレゼントです!」
 ぎゅうっと身体を密着させられて、御剣は自分の顔がだらしなく緩んでいくのを感じた。細い妻の身体を抱きあげて、寝室へと移動する。
「あ、あの……?」
「……こういうのは、子どもをつくるためだけにするのではない」
 抱きあげられた腕の中でおとなしくしている妻の頬に唇を寄せた。
「……愛情確認?」
「ふ……そうだな。春美くんが、私のことをどれだけ愛してくれているか、確かめてみようか」
 御剣の言葉に、春美は満面の笑みを浮かべて首にしがみついてきた。
「ふふっ。それならわたくし、れいじさんに勝つ自信があります!」
「それは楽しみ、だな」
 愛しい妻をベッドに横たえて激しい口づけを交わし合いながら、御剣は甘い一夜への期待を高ぶらせた。

おわる

215はみみつクリスマス:2009/01/05(月) 01:14:44 ID:QJe6xc9q

おまけ

*    *

「はみちゃん、サンタの正体がなるほどくんだって、とっくの昔に知ってるよ」
「え」
 事務所のこたつに入って、ぬくぬくと暖をとっている元・副所長の発言に、成歩堂は目を丸くした。
「いつだったか、なるほどくんがサンタコスに着替えてるシーンを目撃しちゃったんだって。それでね、はみちゃんってば優しいから“何も知らないままにする”って。あ、このかりんとうちょうだいね」
「それ王泥喜くんの。……ってことは、ぼくが毎年こっそり着替えとプレゼント抱えて里まで行ってたの、無駄だったってこと?」
「そんなことないよ! わりとおもしろかったし」
「わりとって……」
「ねーねー。それよりさ、あたしへのクリスマスプレゼントはー?」
「……さっきミソラーメン食べただろ。五杯も」
「うそー! あれ、クリスマスプレゼントだったの! そうと知ってたら、あと10杯は食べてたのに!」
「……食べ過ぎだよ、真宵ちゃん……」
 いつものやりとりに、変わらない会話。今年は娘も従業員もいないけれど、まぁこんなクリスマスでもいいか、とみかんをかじりながら成歩堂は思った。

おわる
216名無しさん@ピンキー:2009/01/05(月) 03:24:46 ID:VyUAQiu+
ネタがない?
何を血迷ったことを言っているんだ、もうずっとニヤケっぱなしだったぞ!GJ

それと王茜が理解できん
「予定」と「かりんとう」?
217名無しさん@ピンキー:2009/01/05(月) 04:12:57 ID:2Vlw5uGS
>>212
あなたの書くはみみつに夢中です。全身全霊のGJ
また3、4日ニヤニヤが止まらないw
218名無しさん@ピンキー:2009/01/05(月) 08:07:37 ID:g42uh5FD
一生懸命頑張ってたのに、
本人には気付かれてるわ、みっちゃんには恨まれるわで散々な成歩堂にワロタw
GJ!
219名無しさん@ピンキー:2009/01/05(月) 13:55:52 ID:YMtYCm8R
>>209 >>210

>>207じゃないけど、ありがとう!!
存在を初めて知って読みふけった。
220名無しさん@ピンキー:2009/01/06(火) 14:39:00 ID:g4oCsl7s
 ハミミツGJ!
 意外にお似合いなのがいい。
221名無しさん@ピンキー:2009/01/06(火) 20:41:12 ID:/OSv67HH
七支刀が非常にいやらしいモノに見える

さきっぽエロくね?
222名無しさん@ピンキー:2009/01/07(水) 00:06:31 ID:JmugFJB3
尻もいいが乳もヤバくないか?あの衣装
脇から微妙にハミ乳してるように見える
223名無しさん@ピンキー:2009/01/07(水) 00:08:00 ID:JmugFJB3
ちょ、なんか誤爆になってない誤爆をしてしまったw
224名無しさん@ピンキー:2009/01/07(水) 00:08:17 ID:M9xvSfCp
誤爆?
225名無しさん@ピンキー:2009/01/07(水) 00:21:33 ID:UkozFWTK
どこの誤爆だよw
226名無しさん@ピンキー:2009/01/07(水) 00:32:26 ID:JmugFJB3
冥スレ
なるほど逆転裁判動物園の回の冥たんの格好の
是非について(性的な意味で)盛り上がってます
227名無しさん@ピンキー:2009/01/07(水) 01:32:12 ID:5hplfBbU
そんなシーンあったっけ
228名無しさん@ピンキー:2009/01/07(水) 01:42:58 ID:UkozFWTK
ゴールデンウィークに皆で動物園行く回だな
冥の露出度高めの私服姿や、真宵達の珍しい洋服姿が見れる回

あの御剣と冥はデート中のカップルに見える
229名無しさん@ピンキー:2009/01/07(水) 23:57:26 ID:fD5tmQH+
またも流れをぶっちぎってクリスマスネタを投下します。
これも本当はクリスマスだったけどアク禁が(以下略)。
これで持ちネタ最後だよ!

【注意書き】
・響也×みぬき
・ちょっとだけ成まよ+はみみつ
・響也が正真正銘のロリコン
・エロ本番はないが、響也の存在がエロ

以上がスルーできる方のみお読みください。
230響みぬクリスマス:2009/01/07(水) 23:59:19 ID:fD5tmQH+

「牙琉検事、今日は誘ってくれてありがとうございます!」
「いいえ。どういたしまして」
 クリスマスに、響也はみぬきを食事に誘った。彼女も自分も、昼間にはステージがあったからちょっぴり遅い時間に待ち合わせだ。
 すっかり暗くなった人情公園にやってきた彼女は、ふわふわのダウンコートとミニスカートを着ていた。唇には色つきのリップ。
この年頃の女の子が、精一杯おしゃれをしてくれたのがわかる。それが響也には何よりうれしかった。
「パパやおデコくんには、何て言って出てきたの?」
「ちゃーんと、牙琉さんとお出かけしてきますって、言ってきましたよ!」
「……ふーん。とっても正直なんだね」
 なんだかつまらない。やましい気持ちがあるなら、きっと身内には嘘をつくだろうに。彼女には全然そんな気がないのが腹立たしい。
「ま、いいや。おいで、今日は海の近くのレストランを予約してるんだ。ドライブがてら、景色を楽しもう。ちょっぴり寒いけどね」
「わあ! みぬき、海久しぶりですよ」
「ほんと? じゃあ、車はそこだから、行こう」

*    *

 最初に出会った時は、ちょっと変わった格好の女の子だとしか思わなかった。法廷で出会った時はさすがに少し驚いたけれど、
後々、あの成歩堂 龍一の義理の娘だと知った。彼女は自分が誰なのか知っているはずなのに、それでも屈託なく笑いかけては新曲の感想を聞かせてくれるので、
響也は不思議でならなかったものだ。
 ある時、検事局に彼女の姿を見つけて、声をかけたことがある。
「こんなところでどうしたの、おじょうちゃん」
「あ、牙琉検事!」
 みぬきは笑顔を見せて振り返った。
「パパのお使いで来たんですよ。御剣のおじさまのところへ……」
「ああ、そうか。御剣検事と成歩堂弁護士は知り合い、だったね」
 彼らの因縁は検事局内でも有名だ。彼女の義父が弁護士でなくなった以上、その交流は以前より強まっていてもおかしくはない。
「用事は無事、済んだのかな?」
「はい!」
「なら、送っていくよ。ちょうど終業時間だ。女の子をひとりで返すには、いささか物騒な世の中だからね」
「わあ! ガリューさんに送ってもらえるなんて、みぬき、ファンの人たちに祟り殺されちゃいますね」
「あっはっはっ。どうだろうね。ぼくはファンのみんなを愛することにしてるんだ。だから、きみでなくてもファンなら皆送っていくよ」
「ふーん。そうなんですかー。ざんねーん」
 残念、なんて言っておきながらにこにことしているあたり、彼女は相当な役者だ。
「きみは、ぼくのファンなんでしょ? だったら、気にすることはないさ」
「そうですね。ガリュー、好きですよ。この前のライブも楽しかったです」
 事件でうやむやになっちゃいましたけど。
「でも、牙琉検事も好きです。やっぱりかっこいいですよね。というより、弁護士がだらしないのかな?」
 弁護人席って、なんであんなにいじめられっぱなしなんですかね? パパも若い頃はよくおじさまにいじめられたって言ってたし。
 とりとめのないみぬきの話に耳を傾けながら、駐車場まで肩を並べて移動する。
231響みぬクリスマス:2009/01/08(木) 00:00:37 ID:xY946563

「じゃあ、検事はいじめっこってことかな?」
「うーん。でも、牙琉検事は別にいじめっこじゃないですよね。ホントは」
 みぬきは足を止めて、響也の顔をじっと見つめた。突然のことにたじろぐ響也。
「な、なにかな?」
「“ほんとのことが知りたいだけ”」
 響也の視線がぴくりと動いた。その常人では気づけないわずかな所作を見て、みぬきは笑顔になる。
「あはっ。別にいじめるつもり、ないんですよね。ほんとのことが知りたいだけで。ほら、以前法廷でそんなこと言ってたじゃないですか」
「……そう、だったかな」
 なんだか不思議な感じがした。特にこちらから何も言っていないのに、なんでも見透かされているような気がする。
「ホントのホントの牙琉さんは、ちょっぴり愚痴っぽくて、わがままで、けっこう短気。──でも、みぬきはそんな牙琉さんも、好きですよ」
「──え」
「ガリューや、牙琉検事とおんなじくらい、好きですよ」
 あれ。なんだろう、これ。なんで心臓がどくどくいっているんだろう。顔が赤くなるのは何でなんだろう。女の子に好きって言われるのなんて、慣れているのに。
 いや。違う。検事としての自分でもなく、人気スターの自分でもなく、「牙琉霧人の弟」でもない素の自分を、「好き」だと言ってくれたのは、彼女が初めてかもしれない。
 ああ、なんてことだろう。さんざん恋の歌を書いてきたのに。その中には、情熱的な恋の歌もたくさんあったのに。今まで歌ってきた曲と同じように自分が。
 ほんの一瞬で、恋に落ちてしまった。

*     *

 以来、響也は何かにつけてみぬきを構った。もっと自分のことを知ってほしかったし、彼女のことが知りたかった。法廷で会うことはあまりなかったけれど、
裁判所内や検事局で彼女のシルクハットとマントを見れば必ず声をかけた。たまに刑事くんたちから無言の視線が寄せられるけれど、それさえも構わない。
33歳で16歳の嫁をもらう上層部の人間がいるうちは、犯罪にさえならなければなんだってOKのはずだ。
 それでもみぬきはなかなか手ごわかった。一人の人間として接してくれているのはうれしいけれど、それ以上の感情は今のところなさそうだった。
いや、わずかに「ガリューウェーブ」のファンとして、ミーハー魂は働いているようだが。今だって、車の中で「ガリューウェーブ」の新曲をかけては、
ねぇねぇ歌ってくださいよーとせがんでくる。かわいいし、歌ってあげるのはかまわないけれど、ちょっとおもしろくない。今日はただの“響也”として彼女と過ごしたいから。
「だめだよ。ぼくの歌とギグは、それなりの舞台と、観客と、オカネが必要だからね。中途半端なものをきみには聴かせられないな」
「残念。みぬき、この曲とっても好きなんですよ。──男の人が、年下の女の子を好きになっちゃうんですよねー。でも、振り向いてくれなくてさみしいなーって曲」
「……あれ、気に入ったんだ」
 言うまでもない。響也がみぬきへ向けてつくった曲だった。気に入ってくれるのはうれしかったが、気づいてもらえないのもさみしい。──まさに新曲通りの物悲しい展開だ。
ちなみに、新曲ではとうとう思いを抑えきれなくなった男が告白するところで終わる。返事はまだ、想像もできなかったから。
「……歌ってあげるよ。そうだな、ぼくの部屋へ来ることがあったら、きみにしか聞こえないように耳元で歌ってあげよう」
「あはははは。それ面白いですね!」
 え、ここ笑うところなのかな? なんだかよくわからなかったけれど、それでもこの提案を拒否されなかっただけで、響也の心中は舞い上がった。
「あ、海! 見えてきましたよ!! うわー、明かりつけてサーフィンやってる人がいますよ。こんな寒いのに正気ですかね?」
「彼らはいつでも波に乗るからね。ぼくがいつでもリズムに乗っているのと同じさ」
「あはは。おもしろいですねー、ほんと、牙琉さんって」
 どのポイントがおもしろかったのか激しく気になったけれど、みぬきの笑顔がかわいかったのでどうでもよくなった。恋は盲目と相場が決まっている。
232響みぬクリスマス:2009/01/08(木) 00:01:48 ID:xY946563

 海沿いに車を走らせると、こぢんまりとした個人経営のレストランが見えてきた。そのレストランは大きくはないが、絶景を見渡せるロケーションと新鮮な海の幸が味わえるので
響也のお気に入りだった。
 予約席に通されたみぬきは、しぼられた照明の光を受けて鈍く輝く上品な調度類をきょろきょろと物珍しそうに眺めた。
「なんか、意外ですね」
「ん? 何が」
「牙琉さんって、豪華なホテルを貸し切っちゃうイメージがあったから。なんていうかこのレストランって、すっごく素敵ですけど、どっちかというと隠れ家っぽいというか……
うちの『ビビルバー』的雰囲気がありますよね」
「ああ。……「ガリューウェーブ」のガリューがいる、なんてわかったら、ファンが押しかけて店に迷惑がかかるだろう? だから、普段はあまり人目につかない場所を選んでるのさ」
「へー。人気者も大変なんですね」
「まあね。──でも、その人気者を独り占めにしている女の子がいるね」
 目の前のみぬきは目を丸くした。
「あれ。もしかして、それ、みぬきですか?」
 とぼけているのかどうなのかわからない、微妙な表情と言い回しだ。彼女はこの歳で、どこでこんな小技を覚えてくるんだろう。
「もしかしなくても、きみしかいないよね。ああ、違ったかな。──ぼくがきみを独り占めにしてる、のかな?」
 いっそ直球勝負するくらいが、彼女相手にはちょうどいい。今は保護者達もいないのだから、これくらい押したって邪魔は入らない──。そう思って、言ったのだが。
みぬきは何も言わずに黙り込んでしまった。黙り込んだというより、考え込んだ、という方が近いみたいだが……。
「どうかした?」
「いえ……なんだか、よくわかんなくなっちゃって。でも、気にしないでください」
「?」
 彼女の発言にはいちいち気になることが多すぎたが、ちょうど前菜が並べられて、彼女がぱっと笑顔になったのを見ると、追及する気にはなれなかった。

*    *

「すっっっっごくおいしかったです! みぬき、パパや王泥喜さんに力いっぱい自慢しちゃいますよ!」
「喜んでくれて、ぼくもうれしいよ」
 レストランの味は彼女の好みにクリティカルヒットしたようで、みぬきは何を食べても幸せそうな笑顔を浮かべていた。それがうれしくて楽しくて
、ついつい彼女を眺めるのに夢中になってしまい、何度も目が合うという恥ずかしい体験をしてしまったけれど。
「連れてきて、よかったよ」
 車は彼女の自宅へ向かっている。それがとても名残惜しくて、わざとゆっくり車を走らせてみる。
「牙琉さんも、楽しそうでよかった」
「ん?」
「だって、ご飯食べてるとき、ずっとにこにこしてましたから。法廷のときとは違うにこにこって感じ」
 それはきみを見てたからだよ、と言おうとして止めた。こんな移動する密室でうっかり変な気分になったら、ちょっと困ったことになる。まぁ、こっちがその気になっても、
まだまだ彼女にはそんな気持ちはないだろうけれど……。
「帰りたくないなぁ」
「……え?」
 響也は耳を疑った。あの、パパ大好き、事務所大好き、お仕事大好きのみぬきが、帰りたくない、と言ったのだろうか。
「今日、すっごく楽しかったから、何だか帰っちゃうのがもったいないです」
「じゃあ、少し、寄り道するかい? そうだな──ぼくの部屋、とか」
 ハンドルを握る手が、知らず汗ばむほど緊張する発言だったが、うまくいつものように話せたと思う。運転しているからみぬきの表情を見ることができず、
リアクションまでが随分長く感じた。本当は、どれくらい返答に間があったのだろう?
「……それって、新曲、みぬきのために歌ってくれるってことですか?」
「え……あ、ああ。そう、だね」
 響也は行きの車内での会話を思い出した。「ぼくの部屋に来ることがあったら、耳元で歌ってあげる」。
「みぬき、行きます! 約束通り、新曲歌ってくださいね?」
 こちらを覗き込んできたみぬきの顔は、小悪魔みたいに愛らしかった。
233響みぬクリスマス:2009/01/08(木) 00:02:43 ID:xY946563

*     *

「わあ! 牙琉さんのお部屋って広いですねー! 事務所の応接間が三つくらい入っちゃいそう!」
「そんなに広くはないと思うけど……」
 間取りは1DKだったが、とにかく広い。壁際にはギターや音響機器が並べられていたが、それでも大人数人が入ってもまだ余裕がありそうだった。
「なんだか高そうな機械ですねー。ココで「ガリューウェーブ」の曲をつくったりしてるんですか?」
「作曲とか、作詞とか、ひとりでできることならね。でも大概はスタジオでやってしまうから、ここはどっちかというと“牙琉検事”の部屋、かな」
 言われて本棚を見ると、事務所でホコリをかぶっているのを見たことがある法律関係の書物が並べられていた。……どれも横文字だったが。
「あっ! こっち、寝室ですか? 入ってもいいですか」
 答えはきかずに、勝手に入るみぬき。
「こらこら、おじょうちゃん。男の寝室に入るなんて、無防備にもほどがあるよ」
 響也は苦笑しながら飲み物を持って追いかけた。室内の明かりをつけると、みぬきがキングサイズのベッドの上に乗ってはしゃいでいる。
「なんでこんなにベッドが大きいんですか!? 一人暮らしですよね?」
「ここにはほとんど寝に帰るだけだからね。せめて、ゆっくり眠れるような贅沢くらい、してもいいだろ?」
「寝ぞうが悪いとか?」
「……相変わらず、人の話を聞かないんだね」
 みぬきは響也の存在を美しく無視し、ベッドやら枕やらで遊んだ。それが響也には面白くない。せっかく2人で部屋にいるのに、振り向いてもらえないのはさみしい。
「おじょうちゃん」
 ドアに背を預け、呼んでみたものの、みぬきは振り向かない。とうとうトランポリンのように、ベッドの上で飛び跳ねだした。
「おじょうちゃん」
 飛び跳ねるみぬきの姿を眺める響也。スカートは翻るものの、下着は見えそうで見えない。……別に、見えたらラッキー、くらいだけど。
「みぬき」
 呼んだあと、少し気恥ずかしくなった。思えば、あまり名前で呼んだことはなかったかもしれない。
「なんですか?」
 響也は突然のみぬきの返事に心底驚いて、ベッドの上に仁王立ちする少女を見た。
「なんですか。牙琉さん」
「え、えっと……そっち、行ってもいいかな?」
「はい」
 みぬきがベッドに座り、響也はみぬきの隣に腰をおろした。コーラを入れたグラスを差し出す。みぬきが突然大人しくなったのを見て、響也は不審に思いながらグラスを傾けた。
「どうかした?」
「……みぬき、今、ふと我に返ったんですよ。『あれ、夜中に男の人の部屋に上がり込んじゃったぞ』って」
 響也はぎくりとした。そうなのだ。どうしよう。まったくやましい気持ちがなければ笑って流してしまえばいいが、どうにもそうしてしまうにはやましい気持ちを持ちすぎていた。
 なにかしたい。
 でも、なにかってなんだ。
 冷や汗さえ浮かべる響也だったが、みぬきはそんな男の姿を見て、何事かを考え始めた。
「ねえ、牙琉さん。みぬき、一個だけ聞きたいことがあるんです」
「な、何かな」
 マジシャンというより、びっくり箱みたいな発言をする少女の言動に、響也は身構えた。みぬきは少しだけ、ためらうような間をおいてから疑問符を投げかける。
「“牙琉さんは、みぬきが好き”?」
「!!」
 あまりに唐突で、一瞬で顔が赤く染まったのが自覚できた。あまりに見事にうろたえてしまって、そのことにさらに動揺する。
 ば、馬鹿! こんなことで動揺するなんて、らしくない! こんなの、まるで子どもじゃないか──!
 慌てて、何と言って誤魔化すかを考えながらみぬきを見た。
 みぬきの顔も、赤く染まっていた。
 久しぶりに少女らしい表情を見て、響也の胸が高鳴る。
「み、みぬき……?」
「……歌って、くれるんですよね? 今から」
 何を、と聞く前にみぬきのまっすぐな瞳とぶつかった。神秘的なまなざしに、視線をそらせない。
「“大人の男が、年下の女の子に恋をする歌”」
 それは響也が、みぬきのためにつくった曲。思いを託したメロディーは、彼女の心に届くだろうかと、まるで思春期の少年のようなことを思ったものだ。
「そう、だね。歌うよ──きみの耳元で」
 きみのためだけに。
 そうささやいて、響也はみぬきの唇に自らの唇を重ねた。
234響みぬクリスマス:2009/01/08(木) 00:04:12 ID:xY946563

 何度も口づけ、舌を絡ませ合いながら二人はベッドへ倒れ込んだ。サイドテーブルに二人分のグラスを置いて、響也は少女の唇を貪る。
「ん、ふぅ……はあっ……が、牙琉、さんっ……」
「キョーヤって、呼んでごらん。みぬき」
 呼んで、と言いながら再び深く口づける。みぬきは必死に響也の背中にしがみついていたが、その腕も徐々に力が入らなくなっていく。
「そ、そんなに口ふさがれたらっ……名前なんて、呼べません……! きょうや、さん……」
「うん。よくできました」
 そして、また口づけ。さわやかに笑っているくせに、響也は何度も食らいつくすような激しいキスを求めてくる。みぬきは息も満足にできずに、苦しくて涙を流した。
「あれ、みぬき、大丈夫?」
 こぼれる涙を舐めとる響也。細い顎に指をかけ、いつでもキスに移れる態勢だ。
「く、苦しいんですっ……! 息、できなくてっ……」
「あっはっは。ごめんごめん。──あんまりみぬきが可愛いから、つい、ね」
 そう言っては、またついばむように数度唇を奪う。
 響也ははしゃいでいた。はじめて片思いをして、そのはじめての片思いが実った。世界がバラ色に見えた。みぬきの細い体を抱きしめて、髪にも額にも頬にも唇にもキスを降らせた。
もう放したくないとさえ、本気で思った。みぬきの指に自分の指をからませて、その繊細な感触に酔う。
首筋に口づけた。みぬきの身体がぴくりと反応する。たったそれだけの反応が愛しくて、鎖骨に、服の上から胸元に、腹部に唇を寄せる。
ニーハイソックスから見える素足の部分をなでると、意外なほどの柔らかさに何度もさわり心地を確かめた。
「ん……、ぁ……や、だ。響、也さんっ……」
 荒い息から漏れるみぬきの抗議は、響也の耳まで届かない。ただ、何かとても可愛い音が聞こえる、くらいにしか響也は感じ取れないでいた。
 服越しとは言え体中を触り始めた響也に、みぬきはぶるりと身体を震わせる。
「きょ、響也さん……、こわいっ……」
「……大丈夫だよ。何にも、しないから」
 これ以上は、ね。
 耳元でささやかれただけなのに、肌が粟立った。欲情した男の声を聞くのは、生まれて初めてだったから。
「きょ、響也さん……!」
「怖い? それじゃ、目をつむって。……歌を歌うよ。約束通りに、ね」
 みぬきはギュッと目を閉じる。みぬきの想像通り、まず響也の唇が降ってきた。その後、耳たぶを甘噛みされながら、曲が流れてくるのを聞いた。響也が歌っている。
みぬきを貪りながら、小さな鼻歌を歌っているのだ。鼻歌はそのままに、指先が身体のラインをなぞる。首筋から鎖骨、胸、脇から腰へとゆっくりと指を這わせた。
その這う指の太さや熱さに、みぬきの顔が赤く染まる。ただ触られているだけなのに、すごくいやらしいことをされている気がした。みぬきは目をつぶっているので
今の自分たちの状態がどうなっているのかはわからなかったが、おそらく、相当淫らな顔をしているはずだ──響也が。
 鼻歌には、徐々に荒い息が混じり始めていた。響也の唇がみぬきの手を這い、指を一本ずつ丁寧に舐めあげているのだ。その生暖かで卑猥な感覚に、
みぬきの背にぞくりとしたものが這い上がってくる。知らず、息が上がるのを感じた。両手の指を舐めあげた後、鼻歌はみぬきの足元から聞こえるようになる。
そして──唇は内のふとももを這いまわり、舌がみぬきの柔肌をちろちろと舐めあげていた。ちゅっと音を立ててふとももに口づけられて、みぬきはたまらず目を開ける。
「ちょっ……ちょっと、響也さん! みぬきのパンツみてるでしょ!」
「うーん。ぼくはもうちょっと色っぽい下着姿のみぬきが見たいかな。くまちゃんのプリントも、かわいいとは思うけど」
「もー! 何もしないって言ったくせに! へんたい! ろりこん!!」
「……ちょっとダメージくらうな、今のは」
 そうは言いながらも、響也はみぬきへの愛撫をやめようとはしなかった。ふとももに頬ずりし、指を這わせる。
235響みぬクリスマス:2009/01/08(木) 00:04:46 ID:fD5tmQH+

「ひゃ……!」
 すごい可愛い表情したな、今。
 高揚した頬と、真っ赤に濡れた唇。涙で潤んだ瞳に切れ切れの息、高い声音は、容易に“その瞬間”を連想させた。響也は思わず生唾を飲み込んで、気づく。
 やばい。勃った……。
 服の上から触るくらいなら、何とか最後まで理性をつなげると思ったのに、まさか表情一つでオトされるとは思わなかった。どうしよう、コレ。
本当に、触る以上のことは何もしないつもりだったのに。
 急に動きを止めた響也をいぶかしんで、みぬきが男の顔を覗き込む。
「どうかしたんですか? 響也さん」
「う……その……」
 みぬきの瞳はまだ興奮に潤んで、唇は唾液でぬれ光っていた。自分が彼女の体中をまさぐったせいで衣服が乱れていて、まるで情事の直後のような卑猥さだ。
ますます下半身に熱がこもるのを感じて、響也は唇を噛んだ。もう、ここまできたら──
「……みぬき。ぼくと、大人の愛を……交わそうか」
 ちゃーんちゃちゃーん ちゃっちゃっちゃー ちゃっちゃっちゃっちゃっちゃー
 キメゼリフの最中に、何とも微妙な音楽が流れた。この音には聞き覚えがある。
「あ、パパから電話!」
 以前「ガリューウェーブ」がカバーした、人気特撮ヒーロー番組の主題歌だ。みぬきは乱れた衣服のまま、携帯電話に飛びついた。
 響也は、色々ダメージを負った。色々。
 みぬきは少し養父と会話を交わし、すぐに電話を切る。響也と向かい合うと、もう乱れた少女の面影はなくなっていた。
「……あの人、何て?」
「早く帰って来なさい、って。でなきゃ迎えに行くって。パパってば過保護なんだから」
 つまり、今日はここまで、ということ。
 響也はこっそり溜息をついた。
 まぁ、まだ早いよな、と心中でつぶやいて自分の欲求不満を納得させる。
「オーケイ。じゃあ、家まで送るよ」
「響也さん」
 ベッドから立ち上がった響也を、まだ座ったままのみぬきが見上げた。
「“大人の愛”は、また今度?」
「!」
 なんだ。ちゃんと聞こえていたのか。
 その事実がちょっぴりうれしくて、響也は微笑んだ。
「うん、そうだね。もう少し、みぬきのキスがうまくなってからにしようか」
 そう言って、頬に唇を寄せた。みぬきは少し頬を膨らませる。
「もう! みぬき、今日が初めてだっただけで、すぐにうまくなりますよ」
「ははは。楽しみだなぁ……ほんとに」
 早く上手くなって。そうしたら、すぐにでも攫うから。
 ベッドから立ち上がるみぬきをエスコートしながら、響也は期待に胸を高まらせた。
「続きの『歌』は、車の中で歌おうか」
「……キスなしで、歌ってくださいね?」
236響みぬクリスマス:2009/01/08(木) 00:06:22 ID:fD5tmQH+

おまけ

*    *
「やっぱり、行かせるんじゃなかった!」
 成歩堂は憤慨していた。
みぬきの帰りが遅いので携帯に電話したら、明らかに個室の反響音がしたのだ。近くで衣ずれの音がしたし、よもや変なコトをされていないか、成歩堂は気が気ではなかった。
「なるほどくん、まるでお父さんみたいだねー」
「お父さんなの! あの変態検事、みぬきにナニかしてみろ。二度と検事席に立てないようにしてやる」
 かなり本気っぽい感じの発言に、真宵が引いた。
「それにしてもさー。御剣検事がはみちゃんと仲良くなって、その……ガリュウくん? がみぬきちゃんと仲良くなったらさ、“検事ロリコン疑惑!”みたいなのが週刊誌のアオリになりそうだよね」
「……御剣と春美ちゃんは……なんかそうだけど違うような……」
 精神年齢一緒だからかな。それよりあのいやらしい検事の方が、よほどロリコン臭い。
 思い出してまた腹が立った。ふてくされて、目の前の日本酒を一気にあおる。
「おーい、なるほどくーん。先に酔いつぶれちゃやだよー」
 こたつの向こう側からゆさゆさと身体をゆさぶられる。真宵の手が、自分が覚えているものより少し大人っぽくなったような気がした。みぬきもいつかこんな女性の手になるのだろうか。
「うう……男親なんて切ないなぁ……。娘なんて持つんじゃなかった」
「うわ。さっそく花嫁の父気分を味わってるね」
 呆れて笑う真宵。そして笑顔で、でもさ、と続けた。
「みぬきちゃんがお嫁さんに行っても、なるほどくんにはあたしが付いててあげるよ」
 成歩堂が真宵を見ると、真宵は照れくさそうに笑うばかりだ。大人の女性の手になっても、笑顔は昔のままだった。それに安心する成歩堂。
「……でも、みぬきはあのオトコにだけはやれないな」
 照れ隠しにニット帽を深くかぶって、成歩堂はつぶやく。真宵はこたつの中で成歩堂の足を蹴って、なるほどくん、子離れしなよ! と笑って言った。

おわる
237名無しさん@ピンキー:2009/01/08(木) 00:08:44 ID:xY946563

はみみつとはまた違って、とても楽しく書けました。
響也がエロ可愛い。みぬきがドS可愛い。

この二人が好きだあぁぁぁ!!!
238名無しさん@ピンキー:2009/01/08(木) 00:15:57 ID:rOg+0WlP
やべー、本編も良いけど最後のナルマヨ萌えだよw
GJ!
239名無しさん@ピンキー:2009/01/08(木) 08:38:34 ID:EY6uR0PD
gj!
はみみつも響みぬも良いなあ。
でもこの検事達、問題だろw

ところで作者的になるほどと真宵はどんな感じの関係なの?
昔から何の進展もないままこうなったのか、
大人の関係を通り越して熟年くさい関係なのか。
マッタリしてて良い雰囲気だよね。
240名無しさん@ピンキー:2009/01/08(木) 11:55:57 ID:tUkOiFYd
ニット帽萌え
241名無しさん@ピンキー:2009/01/08(木) 13:15:24 ID:sZ2qrTAN
誰か密命を頼む
242239に贈る即興小説:2009/01/09(金) 00:24:00 ID:weq5Jdtx
>239 成まよにおける質問事項。おれのこたえはこれだ。

*     *

「なるほどくん。あたしたちもさ、“仲良く”しよう?」
 何気なく真宵が言った。成歩堂は顔をしかめる。
「ダメ。みぬきが帰ってくるから」
「えー!  じゃあじゃあ、あたし今からガリュウくんに電話掛けて『もうちょっとみぬきちゃんと“仲良く”しててもいいよー』って言う!」
「やめてって! 何ぼくの携帯を奪おうとしてるんだ! そんな用事なら絶対貸さないからな!」
「だって、はみちゃんもみぬきちゃんも大好きなひとと仲良くしてるのに、あたしだけなしなんてヤだ!」
「ヤだって……」
 頬をふくらませて怒る真宵を、成歩堂は困った表情で見た。
「……とにかく、今日はダメ」
「すぐしちゃえばいいのに」
「真宵ちゃん。それは女の子の発言じゃないよ」
「……なるほどくんのけち」
「けちとかじゃなくて」
 成歩堂はニット帽を目深にかぶり、こたつの布団を深く引き寄せた。
「……そんな、すぐ済ますのとか、嫌なの。ぼくが。……久しぶりなんだからさ」
 真宵は黒い瞳をまん丸にして、ふにゃりと笑った。頬が赤いのは、こたつのせいだけではない。
「……うん。そうだね。あたしも、実はヤだな」
「すごい矛盾した発言だね」
 成歩堂は言いながら、笑って真宵を見た。
「明日、は?」
「うん。明日、ね」
 真宵は笑って頷いて、こたつの中へもぐりこんだ。そのまま、向かいの成歩堂のところまで這っていき、成歩堂の隣からひょこりと顔を出す。
「へんなとこから出ないの」
「ねーねー、なるほどくん!」
 大きくないこたつ机の一面に、大人二人はきつい。真宵は成歩堂に抱きついて、ニット帽の上からキスをした。
「みぬきちゃんが帰ってくるまで」
「……しょうがないなぁ」
 成歩堂は苦笑しながら真宵を膝の上に乗せて、みぬきが帰ってくるまで二人でみかんを食べた。

おわる
243名無しさん@ピンキー:2009/01/09(金) 00:51:34 ID:HtC3qRt3
GJ!
244名無しさん@ピンキー:2009/01/09(金) 00:53:20 ID:100+wKF+
ゲームやって神乃木×千尋がめっちゃ好きになった
245名無しさん@ピンキー:2009/01/09(金) 01:03:27 ID:tGLmYL67
>>242
>>239だよ。ありがとう!500万枚プリントアウトした!!!!
超GJ。顔がニヤけてたまらん。
やっぱりナルマヨは良いなぁ。
246名無しさん@ピンキー:2009/01/09(金) 08:47:35 ID:lJjOiEFn
247名無しさん@ピンキー:2009/01/09(金) 11:14:50 ID:5gu+WBeD
248名無しさん@ピンキー:2009/01/09(金) 11:52:57 ID:08k4Nsvb




249名無しさん@ピンキー:2009/01/09(金) 12:57:23 ID:4PwGvhLA
おいw
250名無しさん@ピンキー:2009/01/09(金) 15:38:24 ID:UicYYwB1
>真宵は笑って頷いて、こたつの中へもぐりこんだ。


ここで「ちょw真宵ちゃーーーんwww」と思ったのは、自分だけじゃないはず。
251名無しさん@ピンキー:2009/01/09(金) 20:45:10 ID:UOvXdJXz
252名無しさん@ピンキー:2009/01/09(金) 21:01:17 ID:08k4Nsvb
真宵ちゃんがコタツに潜って成歩堂にフェラチオする、そういう事ですね。
253名無しさん@ピンキー:2009/01/10(土) 14:28:36 ID:iZl34Qa/
>>252
ここはエロパロですから違いますっ
254名無しさん@ピンキー:2009/01/10(土) 14:57:33 ID:zCaIDR6j
真宵ちゃんって、物凄くウブで何も知らないか、
もしくは物凄く大胆で…の両極端な感じがする。
普通のエッチをしてる真宵ちゃんってちょっと想像出来ないかも。
255名無しさん@ピンキー:2009/01/10(土) 15:51:47 ID:HjV7pi3r
>>254
既出
256名無しさん@ピンキー:2009/01/10(土) 16:03:05 ID:zCaIDR6j
うん、知ってる。
知ってる上で書いてるけど?
257名無しさん@ピンキー:2009/01/10(土) 23:24:53 ID:IcXa1guq
自分も小説書いてみたいのだが、ここってエロなしのはダメ?
258名無しさん@ピンキー:2009/01/11(日) 03:04:57 ID:MKj4DmFN
いいんじゃね
259名無しさん@ピンキー:2009/01/11(日) 14:38:35 ID:vNCVBvg5
>>258
ありがと
260名無しさん@ピンキー:2009/01/14(水) 20:26:00 ID:yMLnb9zb
今更ながら喫茶店の続きを読んだが、これは意外すぎる展開。
一途な純愛カップリング物が多いこのスレにあって
あんなふうに人間関係が錯綜してる話は珍しいから面白かった。
冥も御剣も成歩堂も妙に生々しのがいい(褒めてる)
261名無しさん@ピンキー:2009/01/14(水) 22:08:47 ID:Z2MIdL3b
流れとかでヤっちゃう事とかあるもんなあ、ぶっちゃけ。
262名無しさん@ピンキー:2009/01/15(木) 21:24:06 ID:JkSbOcv5
親友同士が穴兄弟とか冥と霧緒が男を取り合うとかなにげにエグい設定だな
霧緒が何事もなかったように御剣の部屋へ戻ってきたシーンはゾクッとした
263名無しさん@ピンキー:2009/01/16(金) 14:29:20 ID:EMTEm7Ca
蘇るでサボテンを試薬で調べると、なんだかとても卑猥なモノに見える件
264名無しさん@ピンキー:2009/01/16(金) 16:44:22 ID:C+7nKJb7
いってきます
265名無しさん@ピンキー:2009/01/17(土) 03:00:19 ID:rrbFhUzz
ここでは一番乗りでシーナたん(*´Д`)ハァハァ
描き下ろしの冥といい岩元氏は性的な匂いのする女を描くのが本当に上手い
266名無しさん@ピンキー:2009/01/17(土) 12:30:44 ID:z2rshKXv
シーナお姉様に性的な意味でいじめられる冥たんの小説が読みたいです
267名無しさん@ピンキー:2009/01/18(日) 02:44:43 ID:G66hy0lL
狼の紹介分の
「カリスマ性があり大勢の部下を引き連れた人海戦術を得意とする」
という部分を見てなんか鬼畜なこと想像をしてしまった
冥たんも美雲たんも気をつけろ…
268名無しさん@ピンキー:2009/01/18(日) 03:02:12 ID:AgCtz29J
よし、誰かそのネタで書いてくれ
269名無しさん@ピンキー:2009/01/18(日) 12:21:07 ID:qATCgfQq
喫茶店読んだ、面白かった
すごいな作者
また新しい話書いてくれないかな
270名無しさん@ピンキー:2009/01/18(日) 17:15:47 ID:3V8DlMRA
喫茶店って何?
271名無しさん@ピンキー:2009/01/18(日) 19:17:47 ID:PcslmHem
>>270
少し上のレスくらい読め
272名無しさん@ピンキー:2009/01/18(日) 23:11:42 ID:quoX2+Td
喫茶店は、サイトでやられてるんだからここで感想書くの自重しろと思わなくもない。
273名無しさん@ピンキー:2009/01/19(月) 00:45:54 ID:E95ME6hK
だね。

他に投下しようと思ってる人の妨げにもなりかねない。
274名無しさん@ピンキー:2009/01/19(月) 10:23:20 ID:5kxlefQu
前スレ見てない人もいるし保管庫に誘導貼ったらどうだろう
保管庫でも感想書けるし。
275名無しさん@ピンキー:2009/01/19(月) 11:03:29 ID:c987sQ77
>>1のwikiじゃなく?
276名無しさん@ピンキー:2009/01/19(月) 11:29:53 ID:5kxlefQu
>>275
あーごめん、>>1のWikiのことな。
自分もスレでの話題で存在知ったんで
埋もれるのは惜しいと思ったんだ
277名無しさん@ピンキー:2009/01/19(月) 14:38:48 ID:c987sQ77
wikiに喫茶店への誘導を貼るってこと?

そりゃマズイでしょ。
何の為に作者が個人的にスペースを設けたのか考えれば。
少なくとも作者不在の状況でこちらで判断すべきことではない。
278名無しさん@ピンキー:2009/01/19(月) 16:36:57 ID:D3NAY6sN
>>277

やっぱまずいよな。良い話だし、気持ちは分かるが個人サイトだ。
向こうで感想をいう場もないから話題に出る位はしょうがない思うけど。
元々こっちでも前半は投下してくれてた話だしね。

やっぱり原作者の人も上のレスでちょっとあったように、

>一途な純愛カップリング物が多いこのスレにあって
あんなふうに人間関係が錯綜してる話は珍しいから

ってのもあってこっちに投下してないのかもしれないし。
個人個人で楽しむに留めるべきだと思うな。
279名無しさん@ピンキー:2009/01/19(月) 19:56:37 ID:/stzLJsS
>向こうで感想をいう場もないから話題に出る位はしょうがない思うけど。

メールフォームはあるけどコメント機能ないのね
話題になって知らない人が教えて欲しいって言えば教えればいい
他の職人さんもそれくらいで投下ためらったりしないでしょ
280名無しさん@ピンキー:2009/01/19(月) 21:06:44 ID:c987sQ77
タイトルそのままで一発で引っ掛かるんだから、
「ググれ」で良いと思うけどね。
281名無しさん@ピンキー:2009/01/21(水) 16:45:10 ID:tsabm3u+
見れなくなってる気がする
282名無しさん@ピンキー:2009/01/21(水) 20:38:59 ID:0ogM+eGX
見れるよ。
283名無しさん@ピンキー:2009/01/22(木) 03:11:06 ID:ziaosFTw
ところで逆転検事に向けて今「蘇る」からやり直してる所なんだけど茜(高校生)って影うすくね?
丁度話に出てる喫茶店みたいにこうこうにねんせいの茜をかりんとう茜やら真宵やらキャラが被ってる人と絡ませたらどうなるんだろ

さぞ姦しい様子になるだろうな、うん
成歩堂なんかは頭抱えそうだ
284名無しさん@ピンキー:2009/01/23(金) 21:50:54 ID:5xvKoxdu
>>267
冥:「・・・・・・こ、殺しなさいッ。  はぁ、はぁ・・・・・・
狼:「死に損ないの分際で命令するつもりか!
   よぉし、この女はおまえたちにくれてやる。好きにしろッ!
刑事:「さっすが〜、狼捜査官は話がわかるッ!
冥:「さわらないで・・・・・・・・・お願い、やめて・・・・・・

こうですか(ry
285名無しさん@ピンキー:2009/01/23(金) 21:53:07 ID:QASdEhrL
なんか嫌だな
286名無しさん@ピンキー:2009/01/23(金) 23:29:45 ID:Pmsje4yK
でも御剣の目の前で輪姦される冥ってシチュは正直萌える
287名無しさん@ピンキー:2009/01/23(金) 23:45:21 ID:sxGIhakZ
このスレでは純愛系が一番ウケるのかもしれないが、
俺は鬼畜系もいける

だから>>284>>286のシチュも見てみたい
288名無しさん@ピンキー:2009/01/24(土) 00:28:27 ID:JDg1NTlK
スワッピングとかどうだろ
狼×冥でシーナ×御剣
289名無しさん@ピンキー:2009/01/24(土) 08:53:09 ID:lKXWrPrm
>>286
それいいッス!
290名無しさん@ピンキー:2009/01/24(土) 21:04:03 ID:D6T8Faxd
>>286
鬼畜だとは思いますが、なるほどの前で犯される真宵というシチュに萌えます。
そんでもって、気持ちとは裏腹に真宵が感じちゃってたらモアベター。

ふひひw
291名無しさん@ピンキー:2009/01/25(日) 01:08:32 ID:f7tCqHG4
自分♀だが王道カップルの純愛系の方が好き

…ガキなだけ?
292名無しさん@ピンキー:2009/01/25(日) 01:36:57 ID:SfZunueH
俺もそうだよ

ソフトSMも好きだが
293名無しさん@ピンキー:2009/01/25(日) 02:29:41 ID:QnkAAnOf
単に襲われてやられるだけの凌辱物にはあんまり興味が湧かない
背景に愛情とか怨恨とか利害と色々な要素が絡んでるのは好き
294名無しさん@ピンキー:2009/01/25(日) 04:30:38 ID:H/KWK/fM
ハッキリ言ってそんなの人それぞれだから。
295名無しさん@ピンキー:2009/01/25(日) 05:42:22 ID:M/dfl+ML
まあ注意書きはあったほうがいいかなとは
296名無しさん@ピンキー:2009/01/25(日) 12:32:45 ID:totpP0Vq
そういえばずっと前にさ、豪が真宵を犯す話を作ってるって人がいたけど投下はされてないよね
もしかしたら時間がたちすぎて投下に気が引けるのかもしれない
けど俺はそんなこと気にしない。きっと皆も気にしない
だから気が向いたら、その、よろしくお願いします
297名無しさん@ピンキー:2009/01/25(日) 20:14:07 ID:OwR+pBOI
>>296
よし、こちらからもお願いしよう。

その、該当者の方、よろしくお願いするよ。
298名無しさん@ピンキー:2009/01/27(火) 08:00:48 ID:Sh4JUnLS
>>293
それわかる
299名無しさん@ピンキー:2009/01/27(火) 13:01:44 ID:RCh9rF/l
しのごの文句を言わずに、出されたモノはありがたく完食すれば良いんだよ
300名無しさん@ピンキー:2009/01/28(水) 00:25:28 ID:4HZVqidO
流れをぶったぎりで申し訳ない。
全然陵辱モノじゃないけどあえて投下。

傾向はこんな感じ。
・成歩堂×真宵
・微妙に成歩堂が黒い。

携帯からの投下なので改行の感覚がよくわからず読みづらいかも。そして多レスになると思う。

エロパロとか3人称とか慣れてなくて読みづらいだろうけど、それでも大丈夫な方はどぞ↓
301名無しさん@ピンキー:2009/01/28(水) 00:26:55 ID:4HZVqidO
「いったいコレはどうゆう事なのか…説明してもらおうか」
「………うぅ」
苛立たしげに問い詰める成歩堂と、ソファに正座してしょぼくれる真宵。
コレ、と成歩堂が指さすのはテーブルの上で無残に広がる、某高級和菓子屋の包み紙と空箱。
「コレは今日の夜に来るお客さんに出すやつだから食べちゃダメって言ったよね?」
「だ、だっていっぱいあったし…ちょっとくらいならバレないかなぁって……」
「ちょっと…?一個も残ってないじゃないか!」
お菓子くらいでそんな怒るなよ、と思うかもしれない。
しかし最近の真宵は目についた物を片っ端から食べてしまっていて、誘拐事件の事もあったし最初は「まぁしょうがないか」と諦めていた成歩堂もさすがに呆れていた。
食べちゃダメと言ったはずのものまで、ぼくが外出した隙にペロリと平らげてしまうなんて…。ここはいい加減ビシッと言っておこうとなったのだ。
「で、でもでも!なるほどくんだって悪いよ」
「ぼくが?なんで?」
「だって『食べちゃダメ』なんて言ったお菓子をあたしの見える所に置くてくなんて…。ひどいよナマゴロシだよ、ゴムタイな!」
「いやいや、そこはガマンしろよ!」
「ガマンなんて、やだもん!」
真宵はぷうっと頬を膨らませてそっぽを向き、反省する様子はあまり無い。
その様子に少しムカッとした成歩堂はあるイタズラを思いついた。少々アレな内容だが、真宵をこらしめる(?)ためにはこれくらいしないとダメかもしれない。
「…真宵ちゃん、立って」
「な、なによぅ」
「いいから、ほら。こっち来て」
「ひゃあっ、なななになに!?」
手を取って立たせると、肩を後ろからガッチリつかんでグイグイと一緒に歩かせた。向かう先は…
「や、なに?トイレがどうかしたの?」
「入って」
成歩堂の真剣な目に負けた真宵は何かわからないままおずおずとトイレに入ると後ろから成歩堂も一緒に入ってきて、後ろ手に鍵をカチンと閉める。
「な、なに…?」
狭いトイレでほとんど密着しながら立つ。
法廷で時折見る、成歩堂の攻めるような黒い視線が少し怖い。
内心ビクビクしているのを隠して強気な顔をしていても、成歩堂にはバレてしまっているだろう。
ぐいっと肩をつかまれて、蓋をしたままの便座に座らされた。
「真宵ちゃん。お菓子を食べた事、まだ反省しない?」
「……あたし、悪くないもん…」
「そうか…だったらしょうがない。お仕置きが必要だな」
「お、お仕置き…?」
302名無しさん@ピンキー:2009/01/28(水) 00:29:21 ID:4HZVqidO
お仕置きなんて不穏な言葉、久しぶりに聞いた。
真宵は昔何か悪さをして押し入れに閉じ込められた事を思い出した。
(トイレに閉じ込められるのかなぁ…)
と考えたが、今は昼すぎ。ここは窓もあるから電気を消しても明るいし、閉じ込められてもさほど怖くはなさそうだ。
「いいよ?お仕置きされたって負けないんだから!」
「そう?じゃあ…」
成歩堂がニヤリと笑って真宵の手を取る。
「まずは、ベルト外して」
「へっ!?」
「早く、ほら」
ベルト…!?もしかして、自分が考えていたお仕置きと違うのかも…いや絶対違うような。
なんだか嫌な予感がしつつも成歩堂が手をベルトの金具部分に持っていくので、仕方なく外す。
カチャカチャとぎこちなく外すと「ボタンとチャックも外して」と上から声がした。
従うのも釈だが負けないと言った手前引き返せない。
「は、外したよ?」
いやに盛り上がっている股間に気づかないふりをして、ズボンがずり落ちないように手で押さえる。
「トランクスも下ろして」
「えぇぇ…なにするの?」
「だから、お仕置きだよ」
にんまりと笑う成歩堂を見て、しまった…と思った。この顔をした成歩堂はタチが悪いことを真宵はよく知っている。
何を言っても逆らえないのを知っているから、もう早く終わらそうと諦めてトランクスをおろした。
案の定、成歩堂のペニスはビンビンと反り返っていた。グロテスクな形でピクピクと動くそれは何度見ても慣れない。
「うぅっ…」
「もうわかってるよね」
言いながら成歩堂が腰を突き出してペニスを真宵の頬に押し付ける。慌てて逃げようとしたが成歩堂が両手で真宵の頭をつかんで固定しているため逃げれない。
ぬるり、わずかな先走りの粘液が真宵の頬を汚す。
「や…ひどいよなるほどくん…」
真宵は口でするのがあまり好きではなかった。
形も異様だし味や匂いも苦手で、シャワーの後でないと口でしないというのがいつの間にか2人の約束になっていた。それなのに…
「だからお仕置きって言ってるだろう?ほら、いい子だから口を開けてごらん」
優しい声で囁く成歩堂。そっともう片方の頬を撫でて指でふっくらした桜色の唇をなぞる。その優しい仕草に真宵のガードが緩む。その隙を見逃さず、成歩堂は少し開いた唇にすかさず指を滑り込ませると自分のペニスをぐいぐいと押し込んだ。
303名無しさん@ピンキー:2009/01/28(水) 00:32:04 ID:4HZVqidO
「んぅっ…ん、んふっ…」
(やだぁ…おっきいよ…)
どんどん奥まで侵入し、真宵は独特の苦味としょっぱさに涙が出そうになった。
これ以上入ったら吐いてしまう。そう思い成歩堂の腰を叩くとなんとか止まってくれた。
成歩堂のいきり立ったモノは真宵の小さな口にはなかなかキツい。なんとか歯を立てないようにして、頬の内側や舌でペニスを舐めたり吸うようにキツく締めると成歩堂が熱い息を吐いた。
こんな嫌なことされてるのに、彼が気持ちよくなってくれてすごく嬉しい。その事に気づいて真宵は自分でびっくりした。
「…動かすよ……」
ふぅふぅと早くも荒く息を吐きながら成歩堂が腰を動かし始める。
「んっ、んくっ、んんっ…」
成歩堂に頭を押さえつけられなすがままにペニスを突っ込まれる。それほど奥まで突っ込まれないのは成歩堂本来の優しさだろう。しかしそれでも苦しいのに変わりはない。
「ああ…」
成歩堂が熱い吐息をつきながら夢中で腰を振り続ける。
口の中に更なる苦味が広がる。成歩堂の先端から先走りがたくさん出ているのだろう。
勢いよく出し入れされるたびに開けっ放しの口から唾液がこぼれ落ちる。
(く、くるしい…!…くるしい、けど…)
成歩堂の荒い息づかいや汗ばんだ腰、顔は見えないけどきっと光悦の表情をしているのだろう。
(もっと…気持ちよくしてあげたい…)
するりと手を持ち上げると、くわえきれない成歩堂の根元を握ってこしこしとこすり始めた。
「く、あぁっ……うっ」
頭をつかむ手に力がこもり、口の中の成歩堂がビクビクと大きく脈打った。と思ったら口の中に生暖かい精液が大量に吐き出された。
「んっ!?んん、んぐっ!げほっげほっ」
予告もなく突然出された精液にびっくりし、真宵は思わず咳き込んでしまった。
ぶるんと口から成歩堂のペニスが吐き出され、まだビュッビュッと勢いよく出る精液が真宵の顔に思い切りぶちまけられた。
成歩堂はそれに気づいてはいたが、腰が溶けるような射精の快感と征服欲に負けて、亀頭を顔に押しつけて更にかけ続けた。
「はぁ、はぁ…ご、ごめん…」
息を落ち着けて、げほげほとまだむせる精液まみれの真宵の顔を見ると、男としての達成感よりもまず罪悪感が先にわいた。
304名無しさん@ピンキー:2009/01/28(水) 00:37:09 ID:4HZVqidO
「あぁ…くるしかった……けほっ」
なんとか息を落ち着かせると、真宵はじろりと成歩堂を睨んだ。
「…ばか……こんなにしちゃって…」
「ごめん…」
顔や髪にかかった精液はよほど濃いのか、なかなかたれ落ちずにベタベタしている。成歩堂がトイレットペーパーで拭ってくれたが髪にかかったのは水で洗わないととれないだろう。匂いもすごいし。
「もう、くるしかったしニガかったし…大変だったんだよ!?」
「うぅ、本当にごめん…」
お仕置き、などと凄んで迫ったさっきの成歩堂とは別人のように申し訳なさそうに謝る。
いそいそと自分を拭いてトランクスを履く姿はなんかちょっと間抜けだ。
「髪にもこんなに出しちゃって。だいたい出すなら出すって言ってよね!」
「うっ…だって真宵ちゃんがこするから…」
「あれー反省してないんだ」
形勢逆転とばかりに真宵がニヤリと笑う。口の端についたぼくの名残をペロリと舐めながら微笑み、その表情が妙に艶っぽくてギクリとする。
「反省してない人にはぁ…こうだっ!」
「うぐっ!!」
真宵がトランクスの上から成歩堂のモノをグイッとつかんだ。
「ぐぅっ…ま、真宵、ちゃん…っ!?」
「ねぇ…気持ちよかった?」
「え?」
「さっき、気持ちよかった?」
「そ、そりゃあもう…」
ソコをにぎにぎと弄ばれながらだと声が揺れる。
「じゃあ…、あたしもお仕置きしようかな」
「え」
まさか。一瞬自分の息子の身を案じたが、真宵はうっとりと笑ってソコから手を離すとひょこっと立ち上がった。
「あたしも気持ちよくして?」
成歩堂の首に腕を回してグイッと近寄せた。
「…い、いいの?」
「お仕置き、だよ」
楽しそうに笑う真宵につられて成歩堂も苦笑し、腰に腕を回してキスを…しようとしたが自分の精液の匂いに顔をわずかにしかめた。
「あ!今イヤって思ったでしょ!」
「い、いやいやまさか」
「あたしにはあんな飲ませといてー」
「イヤじゃないって、ほら」
「ん」
思いきって唇を押しつける。舌を入れると微かに苦味がした。
「ん、ちゅ……ふふ、ニガかったでしょ」
「……うん、ごめん」
「うん。でも、なるほどくんが気持ちよかったならいいよ」
「真宵ちゃん…」
健気な事を言う真宵に再びキスをする。今度はもっと深く、長く。
305名無しさん@ピンキー:2009/01/28(水) 00:40:19 ID:4HZVqidO
「こ、このカッコ…ちょっと恥ずかしいよぅ…」
「でも、ここ狭いし」
真宵を蓋を閉めたままの便座に手をつかせて後ろから腰を引き寄せる。
装束を捲りあげて下着を下ろすと、そこはすでにたっぷり水を溢れさせていた。
膝をついて顔を近づけると甘酸っぱい女の匂いがする。
「濡れてる…」
「だ、…だってぇ」
「だって?」
「さっき……なるほどくんが、えっちな声出すから…」
「そうだったっけ」
「っ…ち、近づけすぎ…!あっあぁん…っ」
突き出たお尻の中心を指でパクリと開いて、ピンク色にうるうる光るソコをでろりと舐める。とろとろに溶けたように熱くて美味しい。
さっきから感じていたのは本当らしい。真宵はその甘い快感に敏感に反応し、知らず知らずお尻を成歩堂に押しつけてふるふると腰をくねらせた。
「ふあ、あぁぁ…なるほど、くぅん…やぁ…」
ピチャピチャと音を立てて舐めたり蕾を指でくにくにといじると、真宵は早くも膝の力が抜けてきた。腕で懸命に体を支えて堪えている。
「真宵ちゃん…いれていい?」
「はぁ、はぁ…いい、よ…」
立ち上がって後ろから細い腰をがっしり掴んで固定し、桃のようなお尻を突き出させて足を開かせる。
成歩堂は再びギンギンに勃起しているペニスを真宵の秘部に押しつけた。
「じゃあ、…いれるね」
「うん……あっ、あぁ…きてる…」
先っぽだけ入れて浅い所で何度か往復して蜜を馴染ませる。それだけでもすごく気持ちいい。
徐々に奥へと進み、行き止まりに当たると真宵の背中に覆い被さるように抱きしめた。
真宵が痛がると悪いのでまだ動かずに、踏ん張りながら胸を揉んだり長い髪をよけてうなじや耳のうらに吸い付いた。
「あん…ねぇ、好きに動いて…?」
「え?」
「…激しく、していいよ…なるほどくんのえっちな声、また聞きたい…」
熱い息を吐きながらとろんとした目で振り返ってそう言う真宵が健気で愛おしくて、ぎゅうっと抱きしめた。
「そんな…そんな事言ったら、止まらなくなっちゃうよ?」
言いながらゆっくり腰を動かし始める。
「あぁ、あんっい、いいの…なるほどくんに…気持ちよく、なってほしいのぉ…あぁっ…!」
「真宵ちゃん…!」
もう無理だ。そう思った瞬間、腰を勢いよく振り始めた。
「あぁんっ!あ、あぁっ、あっ」
「くぅっ…」
306名無しさん@ピンキー:2009/01/28(水) 00:50:04 ID:4HZVqidO
抜ける寸前まで引き抜いて一気に突っ込む。中をかき回すように激しく貪欲に突いた。
体のぶつかる音と、ぐちゅっぐちゅっと言う卑猥な水音が響きだす。
「あっあっあっはぁんっす、すご…いい…ッ!」
「はぁ、はぁ、ぼくも…ッ気持ちいいよ…すごくいい…!」
「あぁんっあぁっ」
お互いタガが外れたように激しく腰を振った。便座の蓋がギシ、ギシと軋み、汗だくの2人の熱気が狭いトイレにこもる。
密着していた体を少し離して更に深く突き上げ、胸を強く揉むと真宵は身をよじらせて悶えた。
「やぁあっ!あぁっ、だめ…ッい、いきそ…!はぁ、あっあぁっあぁぁー…っ!」
ピーンと背筋を伸ばして体を強ばらせ真宵が達した。成歩堂はくたりと力の抜けた真宵の腰を支え、少しだけ真宵が落ち着くのを待つと再び激しく突き上げた。
「ッ!あぁ、あッ!も、だめぇ…あっあっ」
「くっ、もう…ちょっと、だからッ…」
腕に力が入らない。真宵は腕をついて立つことを諦め、お尻は突き出したまま便座の蓋のカバーに頭を突っ伏すようにくたりと沈んだ。
「あぁ…真宵ちゃんのなか、ぞわぞわして…すごい」
「ふぁっ、んぅっ、あぁっ、はぁっ」
(色っぽい…)
成歩堂の切羽詰まったような、荒い息混じりの声が色っぽい。真宵は後ろから激しく突かれながら、成歩堂の呻き声にゾクゾクした。
いつも優しくて兄のような成歩堂が自分の前でだけはこんなに乱れて激しく自分を求める。それが真宵に大きな悦びをもたらしていた。
「なる、あっんっんぅ…なるほど…くん…っ!」
「う、くっ、真宵ちゃんッ…はぁ、はぁ真宵ちゃん…!」
成歩堂はテクニックなど関係なくひたすら猛烈に腰を降り続けた。
力の抜けた真宵の腰を片手で支え、もう片方の手でぐしょぐしょに濡れる蕾を撫でると、真宵は一際高い泣き声をあげてビクビクッと震えてカバーをぎゅっと握りしめた。
「あっ!やぁぁっ!あっあぁ、あっ…ひゃあぁん」
成歩堂の汗が真宵の背中やうなじにポタポタ落ちる。
さっき出したばかりとは言え、成歩堂はもう痛いほど限界が迫っていた。
「あっあぁっ…真宵ちゃんッ…ぼく、もう…!」
「あぁっあっあぁんっはぁっ」
真宵はもう答える余裕もなく腰をくねらせて悶えている。
成歩堂が蕾と同時に胸を強く揉みしだくと、再び真宵が達した。
「はぅっはぁぁぁっ…!!」
「あぁ、あぁっ……うっ!」
307名無しさん@ピンキー:2009/01/28(水) 00:53:16 ID:4HZVqidO
ガクガクと震えて達する真宵を抱きしめながら、奥に思いっきり突っこんで精液を注ぎ込んだ。
「は、あ…あぁ…っ!」
「はぁはぁ……なる、ほ…くん…だいすき……」
真宵は首を振り向かせ、背中に覆い被さって射精し続けている成歩堂にキスをする。柔らかな唇を感じて成歩堂はうっとりと目を閉じた。


「あーいいお湯でしたぁ」
ほかほかと湯気をまとって真宵が事務所のシャワーからあがった。
「髪、大丈夫だった?」
「うん。汗かいたし、ついでだから髪洗っちゃった」
「う。そっか…」
書類を整理しながら困ったように目をそらす。さっきのような黒さはすっかり無くなって、いつもの優しい彼に戻っていた。
「うぅごめんね…なんか、つい」
嫌がってる事を強要させてしまい反省してるようだ。少し赤くなってうつむいている。
真宵はそんな成歩堂の様子に、神妙な顔をして歩み寄った。
「…あのさ、なるほどくん」
「うん…」
「なんかすごい濃かったけど、たまってたの?」
「うぐっ!」
「あんなコトさせるくらいたまってたの?」
「うぅぅ…すみません…」
がっくり頭を下げる成歩堂。
「なるほどくん」
「…はい」
「顔あげなさい」
ビクビクしながら顔をあげると、ふわりと真宵の柔らかい唇が押し当てられた。
「え…え?」
「えへへー」
真宵が少し照れながらにっこり笑う。
「あたし、なるほどくん大好きだよ」
「……へっ!?」
てっきり怒られると思っていた成歩堂は拍子抜けして間抜け面をする。
「なるほどくんとえっちするのもだーいすき」
白い歯を見せて笑う真宵は、まるで美味しい食べ物の話をしてるかのように健康的だ。
308名無しさん@ピンキー:2009/01/28(水) 00:56:45 ID:4HZVqidO
「なるほどくんがあたしのこと、いつも大切にしてくれてるの知ってるし、だからたまにはいいよ。ああゆうのも。なんてゆうかシゲキ的だったし」
「え、いいの…?」
「たまには、だよ!」
「う、うん」
成歩堂は慌てて顔をそらして口元を手で覆った。顔が緩んでニヤけてしまうのだ。
「じゃ、じゃあさ……今日、ウチに泊「ああああああっ!」
「え」
「なにあれなにあれ!ねぇなるほどくんあれなぁに!?」
真宵が指さすのはテーブルの上のお菓子。さっき成歩堂がコンビニで買ってきたものだ。もちろん、お客さん用。
「だ、ダメだよ!あれはお客さん用の…」
「……だめなの…?」
「う…っ」
しょんぼりとして振り向く真宵。その表情に成歩堂がグッと言葉に詰まる。
「ま…真宵ちゃんには別のお菓子買ってきたから…」
なんとかそう言ってコンビニ袋を指さすと、真宵はパアッと笑って成歩堂に飛びついた。
「なるほどくん、だぁいすきー!」
ぎゅーっとツンツン頭を柔らかい胸に抱きしめると、真宵はパッとコンビニ袋に走っていった。
「ありゃ?なんで飴ばっかり?」
大きなコンビニ袋にはこれでもかとばかりに飴が入っていた。
「……アメとムチだから」
「へ??」
「いや、なんでもないです…」
真宵の柔らかい胸の感触の余韻に浸りながら、アメとムチを食らわされているのは自分なのではないかと成歩堂は大きくため息をついた。


おわる。
309名無しさん@ピンキー:2009/01/28(水) 01:14:40 ID:y0veEFsE
GJ!
良いナルマヨだった。
立ちバックってエロイよね。

純愛も陵辱もどーんと来い。
310名無しさん@ピンキー:2009/01/28(水) 11:27:06 ID:b3plgrZg
アメとムチw
攻めても弱気になったりするなるほどにニマニマしてしまった。
エロ描写も良かったよ、GJ!
311名無しさん@ピンキー:2009/01/28(水) 23:42:08 ID:tuvU3J8S
GJ!
射精してから一気にヘタレる成歩堂にワロタw
前半鬼畜っぽいのに後半は甘々で二度美味しいSSでした
312名無しさん@ピンキー:2009/01/29(木) 05:12:49 ID:paI3IBTd
ちょっとSっ気のあるナルホドーもいいな〜。GJです。

ちょっとナルメイ書きたくなってきた。
313名無しさん@ピンキー:2009/01/29(木) 08:08:17 ID:X8toTxqs
>>312
書いて書いて
314名無しさん@ピンキー:2009/01/29(木) 08:24:47 ID:bohtuOvB
>>312
見たい見たい
315保管庫収蔵なしで:2009/01/31(土) 02:01:54 ID:P4gvNnJE
前スレ>>408の続きで
成歩堂×真宵、ゴドー×春美
超長文・鬼畜
苦手な方、乞うスルー
316名無しさん@ピンキー:2009/01/31(土) 02:02:36 ID:P4gvNnJE




許せるはずも


許されるはずもなく




許されようとも






許しはしない




317名無しさん@ピンキー:2009/01/31(土) 02:03:12 ID:P4gvNnJE
『彼』が帰ってきてから四ヶ月がたった。
帰ってきたとはいっても、もちろんどこかから普通に帰ってきた訳ではなくて。
正確に言えば出所してから四ヶ月がたったという訳だ。
今日までの日々はなんていうか…優しい時間を思い出させるものだった。
この事務所が『綾里法律事務所』だった頃。
ここに千尋さんが居て、僕はたくさんのことを教えてもらって。
毎日毎日めまぐるしくて慌しくて、最高に充実していた頃。
誰かに強く引かれ背を押され、安心して前に進めた頃。
もう戻らないと思っていた日々は、『彼』の存在で蘇った。
ゴドー……神乃木荘龍。
星影法律事務所のエースで。
千尋さんの先輩で。
そして……多分、恋人だった。
そのゴドーさんの存在が懐かしい日々を蘇らせてくれた。
実際彼の指導は凄まじい。
もう、千尋さんのスパルタは絶対この人直伝だ。
そっくりだよ。二人とも。
あの頃の竹刀は今、コーヒーに形を変えてビシビシとしごいてくる。
法廷だけでも崖っぷちだというのに事務所もまた千尋の谷となるなんて。
あ、だから『千尋』って名前だったのか。はは。
……って、くだらないこといって笑ってる場合じゃないよな。
でも内でも外でもしごかれ続けた所為か、仕事の評価は上がっていると思う。
まあ僕の場合、評価が上がるイコール難しい案件が増える訳なんだけど。
どうしたらこんなに?ってくらい頭を抱えたくなる事件が舞い込んで来るんだ。
もう崖っぷちどころか木綿糸の綱渡りレベルだ。
だけど一つだけ言える。
僕は一人じゃない。
ゴドーさんがいて、真宵ちゃんがいて、春美ちゃんがいて
………そして千尋さんがいて。
みんなが僕を支えていてくれる。
そして僕の弁護を……いや、真実への逆転を待つ被告人達がいる。
あの幼い日の一人ぼっちで法廷に立つ僕のように。
だから僕は立ち上がる。
あの幼い日の誇り高き弁護士御剣のように。
偽証を暴き、発想を逆転し、真実を求めて叫ぶんだ。

『異議あり!』

と。
318名無しさん@ピンキー:2009/01/31(土) 02:03:44 ID:P4gvNnJE
「それじゃ、お先に失礼するぜ?所長サン」
本日の業務を完璧に終えたゴドーさんが挨拶をしに来る。
この人の仕事の速さは半端じゃない。
なんかこの人といると、自分がとんでもなく無能な人間に思えてくる。
「……そこまでじゃないぜ?所長サン?」
「…勝手に人の思考を読まないで下さい。
っていうか『そこまで』じゃないならどこまでなんですか」
デスクに積まれた己の仕事の量に溜息が出る。
昔に比べれば、処理速度も上がってるとは思うんだけど。
でもなぁ。落ち込むよなぁ。
…千尋さんが今の僕を見たら笑うのかな?それとも呆れるのかな?
「ゴドーブレンド107号……奢りだぜ」
いい香りのするカップがデスクに置かれる。
いつもの奢り方じゃないのは気を遣われているのだろう。
「ありがとうございます……そういや春美ちゃんは?」
「寝てるぜ」
高そうなトレンチコートを纏った腕が肩越しに背後を指す。
ゴドーさんの表情がどこか和らいだ。
「そうですか…もう子供には遅い時間ですしね」
「そうだな」
春美ちゃんは今、金曜の夜にこっちに来て日曜の夜に帰る生活をしている。
一時期の異常な来訪数が落ち着いて、このスタイルとなった。
それを提案したのは僕で、二人の了承を得て、真宵ちゃんに根回しを頼んだ。
倉院では葉桜院に修行に出ていることになっているそうだ。
真宵ちゃんが『名案でしょ!』って自慢げに言ってたっけ。
彼女からの情報では、里でも春美ちゃんの扱いには困っているようだ。
仕方のないことだとは思う。
あの霊力で、分家の子で、でも母親は長女で、でも犯罪者で。
もうどこから手をつけていいか分からない位ややこしい立場だ。
本人はものすごくいい子なだけに余計に困ってしまう。
家元の話が急速に現実化した頃は相当なものだったようだ。
真宵ちゃんも春美ちゃんも何も言わないから詳しくは分からない。
けれどゴドーさん情報によれば、かなり生々しい状態だったようだ。
周囲のそれぞれの思惑による駆け引きや、里の外での政治的な駆け引き。
二人とも随分嫌な思いもしただろう。
それでも快活に振舞う二人を僕は密かに尊敬している。
それに周りはどうあれ二人の仲がものすごく良いのが救いだ。
倉院は舞子さんの事件とか色々あった訳だし、今は慌しくても仕方がない。
後もう少しもすれば落ち着きを取り戻すだろう。
……春美ちゃんのように。
319名無しさん@ピンキー:2009/01/31(土) 02:04:17 ID:P4gvNnJE
僕は正直、倉院なんてどうでも良かった。
真宵ちゃんと春美ちゃんが穏やかに暮らしてくれれば良かったのだ。
それにいざとなれば僕が二人を養えばいい訳だし。
……かなりの貧乏暮らしにはなるだろうけれど。
まあ大丈夫だろう。最近は僕の収入だって安定してきている。
倉院が貧乏なのは今に始まったことじゃなさそうだしな。
あれ?でもDL6号事件までは結構裕福だったんだっけ?
……ま、いいや。
とにかく三人で明るく暮らしていけばいいんだ。
あ、ゴドーさんも入れて四人か。
そう思っていたのだけれど、現実はそう思ったようにはいかなかった。
なぜなら二人が『霊媒師』だから。
霊媒師というアイデンティティは二人の魂を支える柱だ。
そしてその柱はそのまま倉院に繋がっていく。
彼女達から倉院を切り離すなんて不可能なのだ。
どんな場所であれ、彼女達の魂そのものなのだから。
僕から『弁護士』という柱を抜き取れないように。
だから僕に出来ることなんてほとんどなかった。
真宵ちゃんも春美ちゃんも空元気ばかりだった頃なんて思い出したくないくらいだ。
無力な僕にはみそラーメンを奢って、トノサマンショーを見に行って、
馬鹿馬鹿しい口喧嘩をして、大声で笑いあう位のくだらないことしか出来なかった。
ゴドーさんも自分自身に腹を立てていたようだ。
僕達は何も出来ない自分にイライラして。
ようやく家元が決まった頃にはやっと一安心できて。
と思ったら綾里キミ子の死刑が執行されて。
もうすったもんだのてんやわんやで。
通常業務をこなしながらとなると、なかなかにきつい日々だった。
でも、それもこれもすべて真宵ちゃんと春美ちゃんの為だ。
僕はあの二人の為なら何でもしなくてはいけない。
あの二人を幸せにするのは、僕の一生の使命だとすら思っている。
それはゴドーさんも同じのようだ。
僕らは共に、罪を背負っている。
それはあの日の、僕達の人生が逆転してしまった日から。
僕達が進まねばならない道は決まってしまったんだ。
それぞれの手が血で汚れたあの日に。
でも僕は知っている。
僕と彼の罪は違う。
僕の罪は、彼の罪とはまったく違うのだ。
320名無しさん@ピンキー:2009/01/31(土) 02:04:50 ID:P4gvNnJE
春美ちゃんは、ある日を境にゴドーさんの呼び方を変えた。
『おじさま』から『荘さま』へ。
それと同時に不安定な印象がなくなった。
どこか悲しそうなのは相変わらずだけれど、瞳は落ち着いていた。
それがどういう理由を持つのかを知ったのは少し後だ。
僕は一度、二人の睦み合う姿を見てしまったことがある。
夕暮れの部屋で。
二人は心細そうに身を寄せ合っていた。
ゴドーさんの大きな身体が春美ちゃんを包んで。
春美ちゃんの小さな手がゴドーさんの背中にあって。
それが所謂年少者に対する抱擁でないのは表情で分かった。
春美ちゃんは完全に『女』の顔で、ゴドーさんは完全に『男』の顔だった。
『恋人同士』である男女がそこに居た。
春美ちゃんは僕が見たこともない大人びた眼をしていた。
仮面を外したゴドーさんは子供のような眼をしていた。
二人は今にも泣き出しそうだった。
けれど、春美ちゃんは美しく、ゴドーさんは尊かった。
僕はあんな表情をした人をはじめて見た。
言葉も交わさずただ抱き合うだけの二人。
行き場のなさを確認しあうような抱擁。
胸を締め付けられる悲しくも美しい光景。
いたたまれなくなり逃げ出した。
決して二人は幸せそうに見えなかった。
愛し合う者同士の甘い空気などどこにもなく、
身を切る孤独の冷たさと血の匂いがしていた。
でも、僕は羨ましかった。
年齢
互いの立場
障害の残る身体
あの事件


互いの間に存在する余りに多くの巨大な壁。
だがそれすらもあの二人を止められなかったのだ。
ゴドーさんだって分かっている筈だ。
いや、分かっていない筈がない。
自分のしていることが何なのかなんて。
それでもあの人は心を止められなかったのだろう。
目の前の壁全てを打ち壊してしまえる強い恋情。
お互いを求め合う激しい希求。
完璧な相思相愛。
それが羨ましかった。
そして何よりも羨ましかったこと。


ゴドーさんは、




許されたのだ。
321名無しさん@ピンキー:2009/01/31(土) 02:05:42 ID:P4gvNnJE
「成歩堂」
突然呼ばれてコーヒーを噴きそうになる。
驚いた。
彼が僕を本名で呼んだのなんて、過去一度しかなかったからだ。
呼びかけておきながら、ゴドーさんは人差し指を仮面に当てて黙っている。
何なんだよ、この人は。
「あの、なんでしょうか」
僕の問いかけも無視してアホみたいにカッコよく佇んでいる。
本当に何なんだよ、この人は。
「あの……僕、仕事しますんで……」
おずおずと宣言して仕事に戻る。
考えてみれば僕、所長だよな?
それなのに何でこんなに腰低く対応してるんだろう…。
まあ僕にとっては師匠の師匠みたいなものなんだけどさ。
「俺に言えた義理じゃないが…」
下向いて仕事していたら突然喋りだした。
聞いたこともない不安そうな声音。
今日は何でこんなに驚かされるんだ?
「な、なんでしょうか……」
ゴドーさんはどこから出したかも分からないコーヒーの香りを嗅ぐ。
ゴクリと飲み下してボソリと呟いた。
「…あんたが無事でよかった」
「………は?」
何の話だ?
「……」
ゴドーさんがちらりと窓の方に顔を向ける。
その仕草だけで全てを理解した。
あの事件。
千尋さんが命を奪われた日。
真宵ちゃんが最愛のお姉さんを亡くした日。
僕の最大の罪の日。
自分でも顔が青くなるのが分かる。
血が引いて手のひらは紙のようだった。
「…僕は……」
何か言わなくちゃと思って、でも何も出てこなくて。
宙ぶらりんの言葉を引き受けるようにゴドーさんは言った。


「あんたが無事でよかった」


322名無しさん@ピンキー:2009/01/31(土) 02:06:16 ID:P4gvNnJE
言葉にならない。
僕達はあの事件についてちゃんと話し合っていない。
お互い何かを言いかけてもいつも噤んでしまう。
……怖かったのだ、お互いに。
あの人は特別すぎて、どうしても特別すぎて。
いまだ口にすることも出来なかったのだ。
「もしもあの時、あんたも殺されていたとして……」
カップ片手に仮想の話をする。
何だか法廷にでもいる気分だ。
いや、きっとこれは法廷なのだろう。
僕を裁く為の。
その場所として、ここ以上に相応しい席はないのだから。
「真宵一人が無事だったとする。
あの子は約束通りにここへ来る。
そして発見する訳だ。自分の姉と、その弟子の遺体を」
もしかしたら、の過去で未来の話。
でも、もしかしたら……その方が………?
「あの子のことだ。耐え切れずぶっ倒れてそれまでだ。
そこで大声が聞こえる……事件とあの子の存在を通報する声。
馬鹿な女の馬鹿馬鹿しい呼び出しに
馬鹿面下げた馬鹿刑事が馬鹿でかい声で馬鹿な理論を展開する…」
……なんか……狩魔冥みたいだな…。
「拘束された真宵に味方なんかいねぇ。
星影のジイさんは間違いなく弁護を断る。
小中の罠に嵌められた哀れなコネコちゃんは
震える身体で一人寂しく証言台に立たされるって訳だ。
国選弁護人なんていう無力なお供を連れてな。
そうしたら後は簡単な話さ。
権力と偽証とでっち上げに背中押されて絞首台まで一直線…」
吊るされた女の姿が脳裏に浮かぶ。
真宵ちゃんと…もう一人。
もう口にしたくもない女の名前。
「それでThe End……すべてが丸くおさまる。
あんた達の尊い犠牲によってな。
……蝸牛枝に這ひ、神、そらに知ろしめす……
なべて世は事も無し……って訳だ」
323名無しさん@ピンキー:2009/01/31(土) 02:06:49 ID:P4gvNnJE
「……異議あり」
覇気のない声で唱える。
ゴドーさんは顎をしゃくって続きを促した。
「僕も千尋さんも殺されて……真宵ちゃんも殺されても丸くはおさまりません。
…………あなたがいる」
せめてポーズだけでも。
腰に手を当てて前を見据える。
「例え僕も一緒に殺されていたとしても…それで終わりじゃない。
………やがてあなたが目覚める。
あなたが目覚めて、きっと小中を証言台に引き摺りだしたでしょう。
そして千尋さんの代わりに小中に…有罪を奢ってやったでしょうね」
「…『華麗に引導を叩き付けて』やった…っていうのかい?」
「ええ、きっと」
蘇ったこの人が弁護士として華麗に異議を唱える。
『ゴドー』なんて名前ではない『神乃木荘龍弁護士』がきっと。
師匠を見殺しにした間抜けな僕なんかじゃなくて、きっと。
「……それはねぇな」
意外な言葉にまた驚かされる。
今日はどれだけ驚かされるんだ。
「あんたも死んでりゃ…この事務所は無くなっていた。
あいつが…千尋が集めた証拠は全て小中によって闇に葬られていただろうさ。
目覚めた俺が知るのは千尋とあんたの死と……真宵の死。
そして絶望したお寝坊な間抜け男の……死さ」
……そうか。
そうかもしれない。
いや、そうだったろう。
何一つ残されていないのならば、この人だって真実を知りようがない。
この人は完全に世界に置いていかれて、一人絶望するのだ。
「でも、僕は…っ」
「あの子もそうさ」
自分の台詞で僕の言葉を遮る。
ゴドーさんは顔をするりと後ろに向けた。
「あの子も……春美もそうだ。
春美を見ていて思ったのさ。あの子はあんたと同じだ。
ありもしない罪の意識に今も苛まれ続けている」
324名無しさん@ピンキー:2009/01/31(土) 02:07:30 ID:P4gvNnJE
「え…」
「あの子は自分の母親や姉のしたことを自分の所為だと…
俺のしでかしたことでさえ自分の所為だと思っている。
あの子には何の罪もないのにな」
仮面越しでも分かる辛い顔。
罪に苦しむ顔。
愛した人を失い、愛する者の身内を殺した。
けれどあなたにだって、何の罪もなかったのに。
「つまり…」
再び仮面に人差し指をやった後、こちらに向き直る。
真っ直ぐ僕を見据えて言い放った。
「あんたに罪はねぇ」
……驚くのも忘れてしまいそうだ。
この人にこんなにはっきり物を言われたのは初めてだ。
あれほど僕を恨み憎んでいた人なのに。
どうしてここまで言ってくれるのだろう。
この人の与えてくれた購いを、僕は受け取れないでいた。
「でも…僕は……」
「俺の言えた義理じゃねぇが」
カップで真っ直ぐに指される。
「俺は……もう誰にも…泣いて欲しくねぇのさ」
あなたが一番泣きそうなのに。
動けた筈なのに動かなかった僕と、動くこともできなかった彼と。
どちらの罪が重いのだろう。
どちらの傷が深いのだろう。
「でも…僕が……」


アノ時彼女ヲ救エタノハ、僕シカ居ナカッタノニ

僕ガ彼女ヲ見殺シニシタ


「でも…僕の……」
言いよどむ僕の目の前に何かが突き出される。
鮮烈な馨しいアロマ。
ゴドーさんから再びコーヒーが奢られた。
年長者らしい穏やかな笑顔と共に。
「クッ……まったく、ガラじゃねぇよな」
自嘲してきびすを返す。
扉に手をかけたゴドーさんは、振り返らずに言った。




「あんたが無事で……本当に良かった」

325名無しさん@ピンキー:2009/01/31(土) 02:08:03 ID:P4gvNnJE
身体が重い。
尻に根が生えたかの如くに椅子から立ち上がれないでいた。
ここから出なくてはいけないのに。
『あの時間』がくる。
その前に早くここから出なければ。
「……はやく…でなきゃ…」
遠くでドアが開いた音が聞こえる。
ゴドーさんが忘れ物でもしたのだろうか?
「…ゴドーさん?忘れ物ですか?」
若干声を張り気味にしてみるが返答がない。
歳だしな。
耳遠くなってるのかな。
「ゴドーさん?」
更に大きめに声を出すがやはり返事がない。
あれ?そこまで遠かったっけ?
どうしよう、明日耳鼻科に連れて行った方がいいのかな。
「あの……ゴドーさん?」
さすがに不安になってきた。
っていうか、これ本当にゴドーさん?
まさか……泥棒……とか?
いやいやまてまて。
こんな貧乏法律事務所に何取りに来るんだ。
金も金目のものも一つもないぞ?
ここで価値のあるものって言ったら……。
まさか…。
証拠品……!?
全身の血が引く。
代わりにあの日の血が視界を覆う。
『千尋さん……!』
足音がこちらに近付いてくる。
僕は震える手で引き出しを開けた。
手探りで目当ての物を掴み出す。
千尋さんから受け継いだ遺品の一つ。
銀色に輝く鋭利なペーパーナイフ。
それを逆手に持ち替えたとき、鈍い音を立ててドアが開いた。
326名無しさん@ピンキー:2009/01/31(土) 02:08:39 ID:P4gvNnJE
「やっほー!!なるほどくーん!!」
「………………え?」
頂点を極めた緊張感を奈落の底へ突き落とす能天気な声。
目の前にいたのは泥棒でも凶悪な真犯人でも何でもない、
ただの怪しい霊媒師だった。
「………単なる真宵ちゃんだったのか…」
「なになに?どしたの?」
今度こそ立ち上がれそうにない。
全身の力が抜けてしまった。
「僕の緊張感返せ…」
「何言ってるの?お腹すいたの?」
「うん……どうかな……」
「ならみそラーメン食べに行こうよ、みそラーメン。
もちろんなるほどくんの奢りだよ?
うわー久し振りだなー!やたぶき屋のみそラーメン!」
久し振りに会う少女は相変わらずの食欲のようだ。
ラーメンラーメンと勝手にはしゃいでいる。
「…事務所に来るなんて珍しいね。どうしたの?」
「えへへ。仕事でこっち来たからついでにね。
やっぱり影の所長としてはたまには顔出しておかないと不安でさ」
なるほどくんじゃ頼りないからなー、何て勝手なことを言う。
「そっか…仕事、忙しそうだね」
「まあねー」
葉桜院の事件の後。
倉院は再び、検察や警察からの依頼を受けている。
もちろん公式に依頼されている訳ではないが。
目撃者や証拠のほとんどない困難な事件が持ち込まれているようだ。
仕方がない。倉院流霊媒術は本物なのだから。
紆余曲折の後、家元になった真宵ちゃんがそういう仕事を引き請けている。
それに伴って彼女にも変化が表れていた。
装束が変わったこと。
彼女の携帯が私用と公用の二つになったこと。
連絡が取りにくくなったこと。
事務所に顔を見せなくなったこと。
そういうことで少しずつ、彼女との距離を知る。
ゴドーさん経由の春美ちゃん情報では、
最近の彼女の霊力は凄まじいのだという。
彼女は所謂、『血』が出るのが遅かったのだろう。
舞子さんや千尋さんをも凌駕する力を彼女は持ち始めているのだ。
327名無しさん@ピンキー:2009/01/31(土) 02:09:29 ID:P4gvNnJE

成歩堂法律事務所 午後8時25分

応接室のソファにどっかりと腰を下ろした真宵ちゃんは、
はじめて来たかの様にきょろきょろと辺りを見回している。
そして一つ一つの変化を口にした。
部屋が綺麗になっているとか(ゴドーさんのお陰だ)
チャーリーが生き生きしてるとか(ゴドーさんのお陰だ)
文具の趣味が良くなっているとか(ゴドーさんの趣味だ)
部屋の趣味が良くなっているとか(ゴドーさんの趣味だ)
「……………………」
「この事務所……やっぱり改名した方がいいのかも…」
「僕も今、ちょっとそう思ったよ……」
なんか情けないなぁ…。
千尋さんも趣味が良かったけど、ゴドーさんも凄いんだよなぁ…。
この前なんて『使えれば何でもいい』って口滑らせちゃって、コーヒー奢られたっけな…。
「まあ、しょうがないよ。なんたって相手は伝説の検事。
不死身の神乃木・ゴドー・荘龍なんだからさ」
「…伝説じゃないし検事じゃないし、変な煽り文句とミドルネームつけるなよ」
「別に嫌がってなかったよ?不死身の神乃木・ゴドー・荘龍さん」
ゴドーさん……気の毒に。
そういえば僕もずっとゴドーさんって呼んでしまっているな。
……呼びにくいんだ。『神乃木さん』だなんて。
僕にあの名前を呼ぶ資格があるのだろうか。
そう思うとつい『ゴドーさん』と呼んでしまう。
本当は本名で呼びたいのに。
「はみちゃんの書いてくれた看板、まだ取っといてあるよ?貼っとく?」
「……二度と剥がせなくなりそうだからやめとく」
「……そだね」
春美ちゃんの達筆な文字による『神乃木・ゴドー・荘龍法律事務所』の看板。
心が折れそうな時はもうあれでいいんじゃないかなと思ってしまう。
いや、もしかしたら、本当は。

本当ナラバ ココハ ソウイウ名前ノ 場所デ

美シイ 男女ガ 仲睦マジク 営ンデイテ

彼ラハ 末永ク 幸セニ 過ゴシテ……

「……くん……なるほどくん?」
「……えっ!?あ、な、なに?」
真宵ちゃんの呼びかけで我にかえる。
ぼんやりしていたようだ。
「大丈夫。そう落ち込むことないって。
そうだ!今度トノサマン・インターナショナルのポスターと
倉院の里秘宝展セカンド☆ギグのポスター持ってきてあげるね!
だから元気出した出した!」
「……秘宝展、またやるんだ」
「更なる驚きの秘蔵お宝満載だからね!これはもう見逃せないよ?
そうだそうだ、割引券も持ってきてあげるね。何と二百円引きだよ!」
ちゃんと皆の分持ってくるねー、何て言いつつバッグからペンを取り出す。
びっしりと書き込まれた分厚い手帳にメモする姿が遠く見えた。
328名無しさん@ピンキー:2009/01/31(土) 02:10:36 ID:P4gvNnJE
「あーもうこんな時間かー。お腹も空く訳だよ」
腕時計に眼をやった真宵ちゃんが軽くぼやく。
千尋さんの形見の華奢な腕時計。
今までしてた姿なんて見たことがないのに。
遠くなっていく彼女を象徴するようなそれ。
時間なんて、終電の時刻位しか気にしない子だったのに。
「…今、何時になるの?」
いまだ腕時計なんてしていない僕。
携帯があればいい、何て考えてたけれど。
考え直す時が来たのかもしれない。
「んーとね、8時34分…あ、35分になった」
もうすぐあの時間が来る。
僕は焦って腰を上げた。
「じゃ、今すぐやたぶき行こうか。閉まっちゃうといけないし」
「え?大丈夫だよ、そんな急がなくても。あの店10時までやってるし」
「……でも、親父さんの気分で閉まっちゃうかもしれないし」
せかせかと支度をする僕を真宵ちゃんは不思議そうに見ていた。
「どうしたの?随分急ぐね」
「そう?そんなことないよ?」
元栓や窓の鍵を確認し、財布と携帯を掴んで戻る。
中身は見てないけれど、ラーメン代くらい入っている筈だ。
僕だってこれでも売れっ子弁護士の卵なんだから。
「お待たせ。さ、行こうか。たまにはみそラーメン以外はどう?
最近親父さん味の開拓に励んでるんだ。
その所為か何か凄いことになっててさ。
この前ゴドーさんと春美ちゃんと行ったら…」
真宵ちゃんの背を押して扉へと急ぐ。
ついでにソファに置いたままの彼女の荷物も取る。
花が刺繍された可愛らしいバッグは仕事の資料でパンパンになっていた。
彼女の負う責任分の重さがある。
「どうしてそんな急ぐの?」
「……急いでなんていないよ。腹減ってるだけ」
戸惑う彼女の背をもう一度押す。
だが、真宵ちゃんは身体を強張らせると、僕を真っ直ぐ見上げてきた。


「…………もうすぐ9時だから?」

329名無しさん@ピンキー:2009/01/31(土) 02:11:08 ID:P4gvNnJE
「……!」
今度は僕が身体を強張らせる番だった。
午後9時。
千尋さんの亡くなった時間。
あの日から僕は、この時間に所長室に居られなくなっていた。
一人だろうとそうでなかろうと、この時間には所長室から出る。
どれだけ仕事が切羽詰っていようとだ。
この時間にあの部屋に居るなんて耐えられない。

僕の犯した罪の時間
二度と戻らない時間
僕が全てを失ってしまった時間

その時間の訪れを、僕は耐えることが出来なかった。
「……そんなんじゃ…」
「嘘」
やけにきっぱりと言い切られる。
女の持つ独特の重さを初めて彼女から感じて嫌な気分になった。
すぐにそんな自分に嫌悪したが。
「……嘘じゃないよ」
「…嘘」
彼女がこちらに向かって拳を突き出す。
開かれたそこには緑青に輝く勾玉が乗っていた。
「……」
きっと今、彼女の眼には張り巡らされた鎖が見えているのだろう。
張り巡らされた鎖と重たい紅い錠。
一体幾つ付いているのだろうか?
「………うそだ」
「……大人だからね」
疲れた。
子供ってのはどうしてこうも白黒つけたがるのだろう。
どうして平気で他人には白だけを望めるのだろう。
自分のことなんて棚に上げて。
自分がどんなに黒くても、世界は真っ白で居てくれるとでも思っているのか。
知らず吐いた溜息に彼女が怯える。
無性にイライラしてくる。
優しくなんて、できない。
「……で?」
「え?」
「行くの?行かないの?どっち?」
自分でも分かる刺々しい言い方に落ち込む。
一体何をしているんだ、僕は。
「行かないならもう帰りなよ。電車なくなるよ?」
いつもなら彼女を駅まで送るけど、今日はとても無理だ。
こんなのゴドーさんにばれたら只じゃ済まないだろうな。
330名無しさん@ピンキー:2009/01/31(土) 02:11:54 ID:P4gvNnJE
「あ、あの」
「何?ハッキリしてくれる?」
酷い言い方だ。
忙しい仕事の合間を縫って来てくれたのに。
久し振りに会えて嬉しかった筈なのに。
正反対のことをしてしまっている。
……それだけ触れて欲しくなかったのかな。
たとえ実の妹である彼女であっても。
勾玉を引っ込めた真宵ちゃんはうろたえて突っ立ったままだ。
はじめて会った時みたいに怯えていた。
「い、行くよ?行きたいよ?
やたぶきのみそラーメン久し振りだし、
なるほどくんと食べに行くのも久し振りだから。
でもでも、なるほどくんがいやなら……」
最後の言葉が消えていく。
僕は手にしたままだった彼女のバッグを捨てるようにソファに置いた。
「…僕は別にいやじゃないよ」
「あ、え、えと、あの、……怒ってる?」
まただ。
どうして女の子はこういう会話の仕方をするんだろう。
話があちこちへ飛んで纏まりがないくせに嫌ってほど核心を衝く。
彼女をそんな風に思いたくないのに。
「…怒ってないよ」
「う、嘘!怒ってる!」
「怒ってないってば」
ほら、こういう口のきき方。
否定を望むくせに否定したら反論する。
彼女もそこら辺の面倒くさい女と一緒なのか?
「…………」
沈黙の重さに辟易する。
きっとゴドーさんならこんな空気もさらりとフォローできるだろうな。
……ここにいるのが、僕じゃなければ。
僕じゃなかったなら。
きっと。
沈黙に我慢できなくなったのか、真宵ちゃんが突然口火を切った。
「怒ってる!怒ってるよなるほどくん!
分かるよそれくらい!なるほどくん怒ると無口になるんだもん!」
「……僕が怒ったから何だって言うんだ?
そんなのどうでもいいことだろう?」
「どうでもよくなんかない!」
何だよこれ。よくある男女の安い別れ話か?
心底うんざりしてくる。
こんな会話、この歳にもなって繰り返すの面倒なんだけど。
「…じゃあ、一体どうしたい訳?」
「ごめんなさい!!!」
突然の大声に僕は驚くしかなかった。
331名無しさん@ピンキー:2009/01/31(土) 02:12:27 ID:P4gvNnJE
「……なんで真宵ちゃんが謝るの?」
装束を握り締めた手が白い。
こちらを見上げる眼はこぼれそうに潤んでいた。
「だって、だって、………なるほどくんを傷付けちゃったから」
虚を衝かれて言葉に詰まる。
これが法廷ならアウトだったな。
……いや、法廷だったらいくらでも逆転できたという方が正しいか。
でもここは法廷ではないから。
現に僕は何一つ出来ないでいる。
彼女が泣いてしまいそうなのに。
「……今のことだけじゃない。
お姉ちゃんが死んじゃってから、ずっとずっとなるほどくん傷付いてる。
お姉ちゃんが死んじゃったのは自分の所為だって、ずっとずっと傷付いてる」
ここが法廷だったらいいのに。
そうだったら僕はもっと冷静でいられる。
でもここは法廷ではないから。
僕はどうしていいか分からない。
「真宵ちゃん…」
千尋さんの死に関して、真宵ちゃんと僕が本当に向き合ったことはない。
向き合えたことはない。
……怖かったのだ、とても。
いつ彼女の口から罵りの言葉が出るのか。
いつ彼女の口から恨み言が出るのか。
だけど彼女はいつまでたっても僕を責めなかった。
だから僕は自分を責めた。
見殺しにしたのはお前だと、自分で自分を責め続けた。
繰り返す自己憐憫という甘美な毒。
今なら分かる。
僕は責められることで許されたかったのだ。
けれどいつまでたっても責められないから。
僕は僕を責めることにした。
そうやって自分で自分を許したのだ。
誰にも許してもらえないから。
誰も許してくれないから。
でも幾らそんなことを繰り返したって。
所詮は自己満足の自慰行為。
どれほど繰り返そうとも。
僕が許されることなどないのだ。
332名無しさん@ピンキー:2009/01/31(土) 02:13:06 ID:P4gvNnJE
「なるほどくん……」
白い手が僕に伸びる。
可憐な指先が目元に当てられて、僕は初めて自分が泣いているのを知った。
「あ……」
泣きたくなんてないのに、涙が勝手に溢れてくる。
そんな止まらない涙を、真宵ちゃんは優しく拭ってくれた。
「ごめん……」
言葉はあっけなかった。
ずっと言わなければならなかった言葉。
本当は最初に言わなければならなかった言葉。
ごめん
ごめんなさい
守れなくてごめんなさい
死なせてしまってごめんなさい
怖い目にあわせてごめんなさい
悲しい思いをさせてごめんなさい
独りにさせてごめんなさい


僕だけ

生き延びてしまって

ごめんなさい


「ごめん……」
「なるほどくん…」
拭う彼女の手からいい香りが漂う。
郷愁を呼び起こす深い花の香り。
ああ これは 千尋さんの香りだ。
千尋さんが好んでいた香りだ。
千尋さん 千尋さん
真宵ちゃんはあなたの香りが似合う女性になりましたよ。
「ごめん……」
「なるほどくんの所為じゃない。なるほどくんの所為なんかじゃ絶対無い」
涙の滲む目元をごしごし擦りながら言葉を紡ぐ。
「悪いのは全部あいつだもん。あいつがお姉ちゃんを…!」
手の甲に血管が浮く。
力一杯握り締められた手は怒りと屈辱に震えていた。
『あいつ』……か。
ねえ、真宵ちゃん。『あいつ』って誰だろうね?
本当に悪い『あいつ』は、一体誰だろうね?
「ごめん……」
「違うよ?違うからね?悪いのは全部あいつなんだからね?」

そうだね。
悪いのは全部『あいつ』だね。
333名無しさん@ピンキー:2009/01/31(土) 02:13:38 ID:P4gvNnJE
だらだら流れる情けない涙。
それを拭い続けてくれる真宵ちゃん。
独りで泣くことも出来ないのか、僕は。
「ごめん……」
彼女の手がびっしょりと濡れていく。
我慢しろ。泣くな。
「大丈夫……もう、大丈夫だから…」
止まらない涙を拭う手を縋るように掴む。
けれど空いた方の手は動き続けた。
「いいよ、気にしなくて」
「……そうかな」
真宵ちゃんの目の焦点が変わる。
僕より少し手前を見るために動く瞳孔。
そうだった。そうだったね。
嘘はばれてしまうんだったね。
「……でも、大丈夫だから」
「でも、こっちも大丈夫だから」
振りまかれる花の香り。
どうしてもあの人を思い出してしまう。
「あ、あのねっ」
見ているのに辛くなったのか、持っていた勾玉を荷物の中に放る。
よかった。もう見ないでくれるんだ。
「本当になるほどくんが責任感じる必要なんてないんだよ?
だってあれはものすごくこっちの問題だもん。
倉院の、あたしたち綾里家の問題だから。
だからなるほどくんに責任なんてない」
「…関係ない。だから助けなくてもいい。なんて理屈はないだろう?」
空いていたもう片方の手も取る。
花の香りに、負けてしまいそうだったから。
「そ、そうだけど……。
でもでも、大体さ、お姉ちゃん何も言ってなかったでしょ?
それでどうにかしようなんて無理だよ無理無理。
だってなるほどくん何も知らなかったんだもん!」
「…結局僕が千尋さんにとって信用出来ない人間だったってことだよ。
僕は小中の存在なんて何一つ聞かされていなかった。
証拠品だって預けて貰えなかった。
……只の頼りない、何の役にも立たない人間だったから」
334名無しさん@ピンキー:2009/01/31(土) 02:14:18 ID:P4gvNnJE
彼女の手を放して額を抱える。
自分で自分の台詞に傷付いてしまった。
そうだ。そうなんだよ。
結局のところ僕が一番悲しかったのはそこなんだ。
千尋さんは僕を信用してくれなかった。
僕は千尋さんの信用に値する人間じゃなかった。
誰よりも、千尋さんを尊敬していたのに。
僕は千尋さんにとって『何でもなかった』んだ。
「僕だったから千尋さんはたった一人で動いたんだ。
ゴドーさんが……神乃木さんが居たなら。
きっと千尋さんは相談していた。
神乃木さんならきっと、千尋さんを死なせなかった。
神乃木さんならきっと……千尋さんも信じた。
信じて全てを打ち明けて……助けを求めた」
どうして僕は神乃木さんじゃないのだろう。
神乃木さんのような人間じゃないのだろう。
僕が僕でなければ、千尋さんは信じてくれたのに。
「僕じゃなければ……よかったのにね」
ここにいるのが。
僕じゃなければ。
「そうすれば、みんな幸せだったのにね……」
ばちん、と耳元で音が爆ぜる。
両頬を包む手のひらの感触。
甘い花の匂い。
目の前にある黒い瞳。
それで僕は、真宵ちゃんに左右同時にビンタをくらったのが分かった。
「あーっ!もう!暗い!!」
ぎゅうぅーっっと頬を引っ張られる。
いたい、いたい、いたい。
「なるほどくん、倉院なめたらいかんぜよ!」
ぐりぐりと頬肉を回される。
いたいいたい、いたいってば。
「まーったくなるほどくんは。
どーして法廷でしか発想を逆転出来ないかなー。
ほんっとにあたしがいないと駄目なんだから」
ほらほら笑った笑った、何て言って無理矢理口角を上げさせられる。
だからいたいんだってば。
「発想を逆転させるんだよ、なるほどくん。
お姉ちゃんがなるほどくんに何も言わなかったのは、信用できないからじゃない」
ぐに、と鼻を摘ままれてしまう。
いたくはないけどくるしいってば。
「お姉ちゃんは自分のしてることが分かってた。
だからなるほどくんには何も言わなかった。
危ないって分かってたから。巻き込みたくなかったから。
……何があっても守りたかったから。
お姉ちゃんにとってなるほどくんは、誰よりも大事な人だったんだよ」
335名無しさん@ピンキー:2009/01/31(土) 02:14:52 ID:P4gvNnJE
散々弄り倒された顔が痺れている。
そういえば千尋さんがこんなだったな。
僕がぐだぐだ悩んでいると、笑って頬をつねってきた。
「大体ね、お姉ちゃんは信用出来ない人間なんて絶対に傍に置かない!
倉院はいっぱい辛い目にあったり騙されてきたんだからね!
信用とか信頼とかそういうのにはものすごーく敏感なんだから!
なんたってこの商売、お互いの健全なる信頼関係こそが大事だからねー」
腰に手を当てて威張る姿は以前の印象そのままだ。
明るくて優しくて強くて。
勇ましくて誇り高くてちょっと抜けていて。
千尋さんそっくりだ。
「お姉ちゃんはちゃんと見抜いてた。
なるほどくんがどんな人なのか。
どれだけ被告人の力になりたいと思っているのか。
どれだけ孤独な人を助けたいと思っているのか。
なるほどくんは弁護士であるべきだって、お姉ちゃんは誰よりも分かってた」
今度は彼女が僕の腕をとる。
手のひらが細い指に握り締められる。
何年ぶりかに味わう他者の肌の感触。
「なるほどくんがお姉ちゃんを守りたかったって思ってくれるのと同じ位に、
お姉ちゃんもなるほどくんを守りたいって思ってた。
だからお姉ちゃんもきっと同じだよ。
きっときっと、あたしと同じこと思ってる」
手を引かれる。
彼女の鎖骨のすぐ下に手のひらが置かれる。
「同じこと…?」
布越しに感じる体温と鼓動。
緊張する手の甲に彼女の手が重ねられる。
優しくさする女の動き。
また泣いてしまいそうだ。
「そう、同じこと」
真宵ちゃんは大事そうに愛しそうに僕の手をさすってくれる。
そうか
これは
千尋さんの手だ
「なるほどくんが無事で良かった」
ぐっと手を押し込まれる。
彼女の鼓動が早くなる。
僕の鼓動も。
「きっとお姉ちゃんも同じこと思ってる」
片方の手が離れ頬に触れる。
また流れ落ちていた涙を手のひらで拭われる。
涙越しのぼやけた視界でもわかる笑顔。
眩しい光。


「なるほどくんが無事で……本当に良かった」





僕ははじめて、千尋さんの死に大声で泣いた。

午後九時ちょうどの出来事だった。


336名無しさん@ピンキー:2009/01/31(土) 02:15:25 ID:P4gvNnJE

成歩堂法律事務所 午後9時17分

「……大丈夫?」
喉がおかしい。
泣きすぎでしゃっくりが何度も出る。
でも気分はすっきりとしていた。
「ん、大丈夫…」
結局真宵ちゃんの腰にすがり付いて大泣きしてしまった。
僕の涙と鼻水で、装束の前が濡れてしまっている。
「ごめん…汚した」
「いいよ、大丈夫だから」
家元になった真宵ちゃんは見習いの装束を脱いだ。
あの掛け軸の舞子さんと同じ装束になっている。
裾の長くなった装束は彼女を大人びて見せていた。
「本当にごめん」
「いいから」
彼女の手が項から後頭部を撫でていく。
後ろ髪をかき上げられる感触が心地良い。
もう離れなければならないのだろうけれど。
それはもう少し。
もう少し、後で。
「まーったくもう!」
後ろのトンガリをぐしゃぐしゃ掻き混ぜられる。
「やーっぱりあれだね!なるほどくんは影の所長がいないと駄目だね!」
もう何百回と聞いた台詞。
けれど今ほどそれに同意したことはなかった。
「……そうだね」
そうだよ。
僕は君がいないと駄目なんだ。
君がいないとこんなに弱くなってしまうんだ。
君は僕の
君は僕の…………
「う」
ん?
「うそだー!!」
嘘って……。
人に向かってよくもそんな大声で言えるな。
「…うそじゃないよ」
「だ、だってだって」
「だって?」
真宵ちゃんがもじもじと僕の後ろ髪を弄る。
ちょっと痛い。
唇を尖らせていた彼女は小さな自信のない声で呟いた。
「……神乃木さんいるから、あたしは必要ないと思ってた」
337名無しさん@ピンキー:2009/01/31(土) 02:16:01 ID:P4gvNnJE
「なんだよそれ」
「だってだって、あたしがいる時より事務所綺麗だし、
センスいいし、箔がつくし、コーヒー美味しいし」
「コーヒーだけは誰が入れたって神乃木さんにはかなわないよ」
ますます唇が尖る。
ふてくされた子供みたいだ。
「あたしがいる時より仕事忙しそうだし、商売繁盛だし、儲かってそうだし」
「忙しくはなったけど、儲かるほどじゃないなぁ。
安定はしてきたけど相変わらずの暮しだよ。
神乃木さんの仕事振りに相当する給料すら出せてないよ」
頬まで膨れる。
欲張り放題のリスみたいだな。
「…一度ね、法廷に行ったの。なるほどくんの裁判見に」
「え?そうなの?声かけてくれればよかったのに」
全然気付かなかった。
毎度崖っぷちの弁護だもんな。
神乃木さんもよく煙やらコーヒーやら噴いてるし。
「なるほどくんが弁護で、神乃木さんがサポートで…。
二人ともすごく息があってて、悪人をばっしばっしと斬り捨てていて…」
「……あの、真宵ちゃん。見たの本当に法廷?」
トノサマンの前回の放送と勘違いしてないか?
神乃木さんは知らないけど、少なくとも僕は悪人斬ったことないから。
「あたしがいた時と違って……なるほどくん、すごくしっかりしてた。
きっと横にいるのが神乃木さんだったからだよね。
なんたってあの不死身の神乃木・ゴドー・荘龍だもん。
安定感が違うよね。フィットするっていうか、多い日も安心っていうか」
あの、それ、なんていいますか、女性の使用するアレのCMで聞くような…。
「だからね、あたしなんて本当は必要ないって……、
お姉ちゃんの代わりなんてなれないって分かったの。
あたしは只の霊媒師で、霊媒師の家元のタマゴで、弁護士じゃなくて、
でも今は弁護士で検事で被告人だった神乃木さんが居てくれるから、
だからだから……もうあたしは必要ないんだって思ったの」
最後の方は小さすぎてよく聞こえない。
俯く顔を見られたくないのか、逸らされてしまう。

なんて

可愛いのだろう

「真宵ちゃん」
自分でも驚く位優しい声が出た。

「発想を逆転させるんだよ」
338名無しさん@ピンキー:2009/01/31(土) 02:16:34 ID:P4gvNnJE
「真宵ちゃんは自分が弁護士じゃないから必要ない。そう言ったね」
「う、うん」
僕は立ち上がり、膝を払ってソファに腰を下ろす。
それから彼女の手を引いて自分の膝に乗せた。
「じゃあ立場を逆にしてみようか」
「逆?」
僕の膝で横座りになった真宵ちゃんは居心地が悪そうだ。
ちょっと傷付くな。
「そう。例えば、真宵ちゃんが仕事してるとしよう。
真宵ちゃんが霊媒する時には、同じ霊媒師の春美ちゃんがサポートにつく。
僕は只の弁護士で霊媒師じゃないから、当然春美ちゃんの代わりなんてなれない。
真宵ちゃんの理論でいくと、春美ちゃんが居るから僕なんて必要ない。
霊媒師じゃない弁護士の僕は、真宵ちゃんにとって必要ない人間な訳だ」
「ち、違うよ!」
「異議あり!それは先程の証言と明らかに矛盾しています!」
目の前に指先を突きつけて矛盾を暴く。
真宵ちゃんは僕の手をぎゅっと握って泣きそうに笑った。
「…法廷みたいだね」
「異議はある?」
「…ありません」
僕のほうに倒れてきた上体を受け止める。
生身の女の重み。
生きてここに居る確かな証。
「そういうことだよ。真宵ちゃんは春美ちゃんがいれば誰もいらない?
そんなことないよね?みんな大事だよね?それと同じだよ。
僕にとっては真宵ちゃんも、神乃木さんも、春美ちゃんも
みんなそれぞれに一番大切なんだ。
もう誰一人にだって、欠けて欲しくない」
もう誰かが泣くのはまっぴらだ。
もう誰かが傷付くのはまっぴらだ。
もう誰かが居なくなるのはまっぴらだ。
「だからね」
僕の胸に顔を埋める真宵ちゃんに唇を寄せる。
俯いた顔を隠す前髪に触れ、本当の気持ちを囁いた。
「…僕は真宵ちゃんが必要です」
腕の中の身体が震える。
「真宵ちゃんは?僕が必要?」
俯いた顔を更に俯かせて肯定してくれる。
「よかった」
真宵ちゃんがどうしても顔を上げてくれないから、僕は何度も前髪にキスをした。
339名無しさん@ピンキー:2009/01/31(土) 02:17:07 ID:P4gvNnJE
俯く真宵ちゃんを両手で抱え直す。
「もしかして、そのこと気にしてたから事務所来てくれなかったの?」
ぽんぽんと背中を叩いてあやす。
こうしていると、やはり彼女は年下なのだと痛感した。
「そうっていうか……それ……だけじゃないっていうか…」
「だけじゃない?他は何?」
顔を真っ赤にさせてもじもじと胸元を弄っている。
そこにあるのは真宵ちゃんのお母さんの形見。
大事な宝物の入っていた家元の証だった。
真宵ちゃんはお母さんといつも一緒なんだね。
「あ、あのね」
「うん」
「あのですね」
「うん」
「あ、あああああのね、最近ね、はみちゃんがね
なんといいますか、その、あの、
もんのすごぉぉぉぉぉぉぉおおおく、お美しくおなりあそばしたといいますか…。
とにかくすごく可愛いの!綺麗なの!キュートなの!」
「…うん」
何でここで春美ちゃんなんだ?
可愛いってことに異論はないけれど。
「そ、それでね、その、特に金曜日がすこぶる綺麗でね、月曜日に暗くなります」
神乃木さんの所為だな、これは。
春美ちゃんにとって月曜日はこの世でもっとも辛い日かもしれないな。
「ほら、今はみちゃん週末はこっちに来てるでしょう?」
「うん。ごめんね。色々無理言ったり根回しして貰ったりして」
倉院に近付くのはおろか、連絡すら出来る筈のない神乃木さんに代わって
僕が真宵ちゃんに連絡を取り春美ちゃんの処遇を相談した。
あの頃はまさか二人が付き合っているなんて考えてもみなかったから、
慕っている神乃木さんと共に過ごせば春美ちゃんも安定すると思っただけだ。
目論見通りみるみる落ち着いていく春美ちゃんに安堵したし、
落ち着かせてくれた神乃木さんには感謝していた。
「ううん、いいの。そんなのは全然。
あたしだってはみちゃんには
いっぱい元気でいっぱい健康でいっぱい幸せでいてもらいたいし。
その為には出来ることはなんだってしたいし、出来ないことでも出来る限りしてあげたい」
真宵ちゃんは二人の関係は知らない。
さすがの春美ちゃんもこればかりは真宵ちゃんに話してないようだ。
僕が二人の関係を知っているのは気付いていないようだけど。
「そうだね、僕もそう思っているよ。神乃木さんだって間違いなくそう思っている」
神乃木さんは多分、僕が二人の関係に気付いているのは分かっているのだろう。
でもそのことについて僕に口止めしようとも、弁解しようとも思ってはいないようだ。
だから僕も聞かない。
互いに何も言わないままに、でも互いに認識し合って接している。
僕はそれでいいのだと思っている。
それに彼が話してくるのならば、全力で聞く心構えは出来ている。
その日が永遠に来なくても、僕はいつまでもその時に備えていく。
「そ、それでね、その、その、ということはですね……、
こっちに来るとすごく元気で、帰って来ると元気がないということは……、

も、もしかして、その………なるほどくん、はみちゃんと付き合ってるの?」
340名無しさん@ピンキー:2009/01/31(土) 02:17:41 ID:P4gvNnJE
「……………………………は?」
何言ってんだ?この子。
どーしてそんな発想になるんだ。
しかも何でそんな泣きそうな顔してるんだ。
僕の腕の中にいながらどうしてこんな展開なんだ。
「…………なんでそうなるの?」
「だ、だって、はみちゃんに楽しかった?って聞くとすごく後ろめたそうな顔するし、
あんまり話してくれないし、話したとしてもなるほどくんの話ばかりするし」
それはあれだな。春美ちゃんのいつもの気遣いだな。
どう引っくり返しても舞子さんを刺したのは神乃木さんだ。
その神乃木さんの話題を出すのは気が引けるだろう。
ましてその相手と付き合っているなんて、優しい春美ちゃんには言えなかったんだろう。
それに賢い子だから、自分達が決して祝福される関係ではないのは分かっている。
だから口を噤み続けるのだろう。
もしかして二人の関係は墓場まで持って行くつもりか?
…………ありうるな、彼女なら。
もう駄目だ。待っているだけじゃ絶対駄目だ。
明日神乃木さんをとっ捕まえて尋問して自白させよう。
それで今後の対策を練るんだ。
二人がいつまでも幸せでいられるような綿密な人生設計を………
「あのー………なるほどくん?」
「あ、ご、ごめん。ちょっと思考の深遠に嵌ってた……」
どうしたものかな。真宵ちゃんに話してもいいかな。
………いや、話すしかない。
真宵ちゃんは家元だ。彼女の協力がなければ計画は成立しないだろう。
もうあの二人は充分苦しんだ。
だからこれからは幸せだけでいい。
「あのね、春美ちゃんの相手だけど……僕じゃないよ」
「え!?じゃ、じゃあ誰!?」
すみません、神乃木さん春美ちゃん。
「だ、誰って、その…………コーヒーの人」
「…………えええええええええっっ!!!!」
「耳元で叫ぶなっ!」
目をまん丸にして口を大きく開けて。
大丈夫かな、この子。
こんな真っ直ぐなのに重たい荷物背負わされて。
僕の心配をよそに、真宵ちゃんはいつまでも驚愕の雄たけびを上げていた。
341名無しさん@ピンキー:2009/01/31(土) 02:18:29 ID:P4gvNnJE
「はみちゃんやるなー!!魔性の女って感じだね!」
「……魔性とは対極にある存在だと思うけど…」
「うんうん!なるほどなるほど!
どーりで最近大人っぽい筈だ!相手があの神乃木さんとくればね!
なるほどくんの訳ないか!それもそうだそりゃそうだ!」
ものすごく失礼だな、おい。
まったく、僕だって色々凄いんだぞ?特に晩秋は。
「そ、そっかー!そっかそっか……そっか。
違ったんだぁ……そうかぁ…………えへへへへ」
何だかものすごく嬉しそうだ。
更に失礼だな。
「………はみちゃん、あたしに気を使って神乃木さんの所に
泊めてもらってるって言ってるんだと思ってた」
その辺は話していた訳か。
ま、確かに僕の狭い1DKに泊まるなんてのは現実的じゃないしな。
「……ごめんなさい」
さっきまでの大はしゃぎはどこにいったのか。
真宵ちゃんが今度は借りてきた猫のように大人しくなっていた。
「何で謝るの?」
「…嘘ついたから」
嘘?嘘というか、春美ちゃんのことは単なる勘違い……
「事務所が心配だなんて嘘だったの。
仕事のついでなんていうのも嘘。
本当はただ単に自分の為だったんだ」
「自分の為って?」
「…どうしても確かめなくちゃって思ったの」
真宵ちゃんの細い腕が首に巻きつく。
「なるほどくんがはみちゃんの恋人かもしれないって思ったら……
居ても立ってもいられなかったんだ………」
鎖骨に押し付けられる柔らかな膨らみ。
濃厚な花の香り。
息が詰まる。
「そんなのやだって……絶対やだって………思ったから」
真宵ちゃんの手が僕の髪に絡む。
かき上げられ引っ掻かれ鷲掴まれる。
「なるほどくん……」
耳朶に唇が触れる。
かすかに漏れる湿った吐息。

「好きだよ」

眩暈がした。
342名無しさん@ピンキー:2009/01/31(土) 02:19:03 ID:P4gvNnJE
「好き……」
「真宵ちゃん…」
「好き。大好き。なるほどくんが一番好き」
「真宵ちゃん」
「なるほどくんが大好きなの」
「真宵ちゃん!」
しがみ付く彼女の肩を掴んで引き剥がす。
「駄目だよ」
「どうして?」
不満そうに唇を尖らせる。
やめろって言うんだ。
触れたくなってしまうから。
「……また泣いてしまうから」
「いいじゃん、別に」
「よくないよ」
「何で?」
何でって……決まってるだろ。
「……好きな子の前で、これ以上みっともない格好させるなよ」
驚きに大きく広がった目が、三日月に姿を変えた。
「………えへへ」
「…なんだよ」
再びしがみ付かれる。
耳元に響く甘い声。
「もう一回言って」
「嫌だよ」
「もう一回」
「嫌だってば」
「じゃあいいよ。あたしが言うから」
柔らかい頬が擦り寄せられる。
乾いた肌が触れ合う音がする。
「くすぐったい」
「こっちの台詞だよ」
「違うよ。髭が当たるの。チクチクする」
僕はそんなには濃くないけれど、もう夜だしな。
「…男の人なんだねぇ」
「当たり前だろ」
空いている方の頬を白い指先が滑る。
感触を確かめているのだろうか。
「はみちゃんとは一味違うねぇ」
「…当たり前だろ」
同じでたまるか。

「………いいねぇ」

その口調が。
小さな小さな子供のようで。
父親に向けるように。
あんまりうっとりとした声だから。
僕はまた泣きそうになってしまって。
もうすでに泣いてしまって。
泣き顔のまま彼女にキスをした。
343名無しさん@ピンキー:2009/01/31(土) 02:19:37 ID:P4gvNnJE
「なるほ……」
「…黙って」
唇を合わせて。
吸い上げて。
何度もキスをする。
柔らかく心許ない感触。
最後にキスしたのはいつだった?
誰だった?
思い出せなくなる。
「なる……」
時間をかけてゆっくりと吸う。
鼻から懸命に息を抜く様子が可愛らしい。
もっと欲しい。
「……わっ!」
身体を入れ替えて真宵ちゃんをソファに押し付ける。
背もたれを支えにして彼女の唇を更に貪った。
「んっ……ん…ぅ」
頬を包んだ僕の手に真宵ちゃんの手が重なる。
行き場がないのか縋っているのか。
手首を握る力がどんどん強くなっていった。
「…どうしよう」
息継ぎの合間に言葉を紡ぐ。
滴る唾液を舌先で舐め取る。
装束の合わせの上から彼女の乳房に触れた。
「……今すぐ真宵ちゃんが欲しい」
片手で包めてしまうそれを軽く揉みしだく。
下着の感触はない。
唇は合わせたまま両手で触れた。
「……やだ」
掴む手がまた強くなる。
唇を噛んだ彼女が上目遣いで睨んできた。
「………ちゃんと好きって言ってくれなきゃやだ」
「…あれ?言ってないっけ?」
「言ってないよ」
そっか。言ってなかったか。
じゃあちゃんと言わなきゃな。
名残惜しいが手を放して彼女を抱き寄せる。
崩れてしまった髪を撫でて頬擦りをした。
「好きだよ。僕は真宵ちゃんが好きだ」
「………うん、よし」
お許しを頂けたのに安堵して身体を離す。
もう一度、目で確認してからキスをした。
344名無しさん@ピンキー:2009/01/31(土) 02:20:10 ID:P4gvNnJE

成歩堂法律事務所 午後9時52分

手が震えている。緊張だろうか。
彼女の気が変わってしまわないうちに急いで扉の鍵を閉めた。
自分が思うより焦っていたのだろう。
施錠の音が荒々しく響いた。
照明を落とすと部屋は向かいのホテルの明かりに照らされる。
ブラインドの隙間からもれる光が床に縞模様を描いた。
窓を背に彼女の前に立つ。
ジャケットを脱ぎ捨てネクタイを取り去る。
ボタンを外していると、真宵ちゃんの怯えた目に気付いた。
「……やめておく?」
怖いだろうな。
今までこんな所見せてなかったのだから。
真宵ちゃんは頷いてるんだか振ってるんだか
曖昧な首の振りをした後、元気よく右手を上げた。
「だ、大丈夫です!平気です!」
本当か?
「…無理しなくていいよ?」
シャツとアンダーを脱ぎ捨てて上体を晒す。
「わわわわわっっ!!」
「……何?」
突然の大声に何かと思えば、真宵ちゃんは顔を覆って俯いていた。
「どうしたの?」
跪き顔を覗こうとする。
手をどけようとしたが、身を捩って嫌がられた。
「何?何なの?」
「お、男の人の裸とかって………その…はじめてだから……」
………可愛いな。
きっと顔を真っ赤にさせているのだろう。
「あの……」
「ん?」
「あの、ね……」
恥ずかしがる彼女の腰に手を回して引き寄せる。
少しだけ空いた指の隙間から見える目は潤んでいる。
可愛いな。
僕の真宵ちゃんは本当に可愛いな。
「何?」
俯いたまま消え入りそうな声で尋ねられた。
「なるほどくんは…したことある?」
345名無しさん@ピンキー:2009/01/31(土) 02:20:43 ID:P4gvNnJE
訊いてしまったら余計恥ずかしくなったのか。
更に俯かれてしまった。
そっか。
それを気にしてたのか。
僕は女の子じゃないから嘘吐いても仕方がないしな。
「あるよ」
肩がぴくりと揺れる。
何だよ。
経験ないと思われてたのかよ。
傷付くな。
けれど真宵ちゃんが気にしているのはそういうことではなかった。
「…………あやめさん?」
そうか。そうだよな。
真宵ちゃんにとっては経験の有無以前の微妙な問題だよな。
従姉妹になるんだもんな。
……そう考えると、僕は随分と前から綾里家と繋がっていたんだな。
いや、もっと前か。いうならばDL6号事件からか。
それにどうやら、一生の付き合いになりそうだ。
「ちいちゃんとは何もなかったよ。一度だってね」
若かったというより幼かった。
『ちいちゃん』という完璧な恋人像を僕の中に作ってしまっていた。
身体どころか手にすら触れていない。
あの時も、今も。
「じゃ、じゃあ…?」
「その後」
ちいちゃんを失った後はもうどうでもよかった。
僕はそれなりにはもてたし、高望みしなければ相手には事欠かなかった。
「どんな人?」
「忘れちゃったよ」
彼女に聞かせるようなことじゃない。
よくある20代男子の性体験なんて。
「あたしの知らない人?」
「うん、そうだね」
「そっかー……」
何となく沈黙が降りる。
ふいに彼女が手を下ろした。
顔色はよく分からないけれど恥らう表情は見える。
本当に可愛いな。僕の恋人は。
やっと見せてくれた顔にキスをしていると目を閉じたまま問われた。
「…あたしのことも忘れちゃう?」
不意を衝く言葉。
馬鹿だな。この子は。
「忘れられる訳がないだろう?」
どうやって忘れろって言うんだ。
君と出会ってからのあんなにも騒がしかった日々を。
「言っとくけど、僕は相当しつこいからね。
ずっと忘れないし、どんなに逃げてもどこまでも追っかけていくよ?」
「………知ってるよ。そして燃えてる橋渡るんでしょ?」
「そう。それで川に落ちるんだ」
顔を見合わせて笑う。
僕たちは幸せだった。
346名無しさん@ピンキー:2009/01/31(土) 02:21:17 ID:P4gvNnJE
結い上げられた髪を落とす。
顔周りは以前のままだったけれど、後ろは舞子さんのように結い上げていた。
髪を下ろすと以前の見慣れた真宵ちゃんに戻る。
歳相応の可愛らしい印象になった。
「可愛い」
「…そう?」
見慣れた姿にほっとする。
「こっちのほうが見慣れてたし、僕は下ろしてる方が好きだな」
「髪はね、結い上げるのが正式なの。
…だからね、なるほどくんの所に来る時だけは下ろすね」
愛らしい約束に微笑む。
垂れた黒髪に内側からキスをした。
「髪の長い子好きなの?」
「うん、好きだよ」
髪からはシャンプーとお香の混ざった複雑な香りがする。
艶やかな流れを手探りで楽しみ、胸一杯に香りを吸い込んだ。
「……もし、切ったらどうする?」
「そしたら短い子が好きになるよ」
「うわ!キザ!神乃木さんみたい」
傷付くな。
僕だってこれくらいは言えるんだぞ。
「……『どっちだっていいさ。俺はあんた自身が好みなのさ、コネコちゃん』」
「似てない!似合わない!」
真宵ちゃんが足をばたつかせてはしゃぐ。
僕も何だか可笑しくなって笑ってしまった。
「あー、おもしろかった」
「はいはい、よかったよかった」
子供を脱がせるように上着を剥いで帯を解いてやる。
肌蹴た胸元から舞子さんの形見である家元の証が顔を覗かせた。
傷付けてしまわないようにハンカチを敷いてテーブルに置く。
すると真宵ちゃんが更にその上にハンカチを被せた。
「どうしたの?」
「………なんか恥ずかしくて」
これから致す行為への羞恥心はまだ存在しているらしい。
こういう微かな部分で彼女の育ちのよさみたいなのを感じる。
没落したとはいえ、やっぱりいい家の子なんだな。
「真宵ちゃんはお母さんといつも一緒なんだね」
「うん。どこに行くのにも一緒なんだ。
いままでは一緒にいられなかったから、これからはずっと一緒」
「よかったね」
「うん」
頭を撫でてやる。
大丈夫だ。
僕は君を一人にはしない。
347名無しさん@ピンキー:2009/01/31(土) 02:21:50 ID:P4gvNnJE
肌蹴た装束の前を開ける。
やはり下着はつけていなかった。
透けるような肌って、こういうのをいうんだろうな。
真っ白で綺麗でふわふわと柔らかそうで。
生で女の子の裸見るのは久し振りだから嬉しくなる。
小さめだけれど、形のいい乳房。
淡い花の色の突起がすでに立ち上がっている。
落ちてくる髪を肩の後ろに回してよく見えるようにした。
「な、るほどくん……」
「ん」
腰周りも取り払って下半身を晒す。
さすがに下ははいていた。
いかにも普段用といった横縞のショーツが可愛らしい。
なんかいいな。可愛いな。
「あ、あのね」
「ん?」
真宵ちゃんがもじもじしている。
どうしたのかと思ったら、突然堰を切ったようにまくし立てた。
「ご、ごめんね、ホントはもっともっと大人っぽいパンツ持ってるんだよ?
そりゃあもう、なるほどくんの目玉がぼーんって飛び出しちゃうようなせくしーなやつ!
ほ、本当だよ!?本当!もう心の準備も必要な位の!!
でもでも、今日は生憎これでして…でも本当だからね!?」
……絶対持ってないな、これは。
その『せくしーなやつ』とやらは。
別に何でもいいんだけどな、僕は。
中身が真宵ちゃんならゴザ巻いててもいい位だ。
いや、『せくしーなやつ』とやらが見たくない訳じゃないけど。
「これも充分可愛いよ」
「本当だからね!?」
「はいはい」
これは女の子の矜持というやつなのかな。
「腰上げて?」
「本当に本当だからね!?」
「はいはい」
必死の主張をする彼女の下着を取り去る。
尻も小さいな。何処も彼処も頼りなく細い。
「…本当だからね」
「じゃ、今度穿いて見せて」
「………うん」
交渉成立。弁護士でよかった。

弁護士関係ないけど。
348名無しさん@ピンキー:2009/01/31(土) 02:22:23 ID:P4gvNnJE
下着を脱がせてしまえば簡単なものだった。
装束を羽織っているだけの無防備な姿。
昔関係を持っていた女の子はあれこれ手間が掛かったものだが。
身軽さは服装にも表れるのかな。
震える身体を全身で抱き締めて首筋を強く吸った。
「んっ、んーっ!」
浮き出る筋や血管を舌先で撫で上げる。
垂れた耳たぶに齧り付くと、細腰が跳ねた。
耳が弱いのか。可愛いな。
「……ここ、いいんだ」
「…う、わーわーわー!内緒!内緒!」
誰にだよ。
すっかり嘗め尽くした首筋から下がって鎖骨を噛む。
薄い皮膚のすぐ下にある骨の感触。
噛み砕いてしまいたくなる。
舌でしゃぶり、甘噛みして跡を残す。
跡が残りやすいのか、白い肌は痛々しいほど紅くなった。
「可愛い……」
「なに言って……もう…!」
腰に回していた手を前に運ぶ。
膨らみを両手で包むと、もう先は硬くなっていた。
乳房を掴んだまま頬擦りをして口付ける。
柔らかさに唇が沈んでいってしまう。
親指と人差し指で突起を解してやるとくぐもった声が聞こえた。
「んっ……ぅ……ぁ」
必死に口元を押さえて、顔を真っ赤にさせて。
懸命に声を押し殺そうとしていた。
「…どうして我慢するの」
柔らかな膨らみを幾度も啄ばむ。
押さえる手の先が丸まって震えていた。
潤んだ眼がこちらを見ている。
「……へ、変な声だって………笑わない?」
「笑わない」
言うと突然がばりと抱きついてきた。
漆黒の糸に覆われて視界がきかなくなる。
耳元に浅く速い呼吸の音。
「どうしよう……」
背中に薄い爪が食い込む。
震えて湿った声が耳に注がれた。
「………すごく気持ちいい…」
349名無しさん@ピンキー:2009/01/31(土) 02:22:55 ID:P4gvNnJE
「なるほどくん…なるほどくん……なるほどくん…っ」
ソファの背に仰け反り、荒い息を吐き出して僕の名を呼ぶ。
抱えられた腕の中で頭を動かして愛撫する。
頬に触れる彼女の皮膚。汗。匂い。
口の中に収めた肉の粒を舌先で押し回して歯を立てる。
「ふぅっ!ん、んん……っ…なる…ほどくん……っ」
唾液が乳房の上を垂れ落ちていく。
腕と胸の隙間に指を入れて、もう片方も愛撫した。
先端だけを指先で擦り合わせて圧迫する。
真宵ちゃんは泣き出す寸前のような呼吸を繰り返して喘いだ。
「そ、そんな…っ…いっぱい……っ」
汗で髪が肌に張り付く。
体温の上昇に伴って、香水の香りが一段と強まった。
乳首をしゃぶったまま口の中に指先を入れ、舌と同時に犯す。
身体を限界まで仰け反らせて甲高い声で鳴いた。
「ひぅっ!う、う…っ…ひ、ぁ……あぁあっっ!」
歯も立て三方向から徹底的に攻める。
涎を垂らした口が天を仰いだままパクパクと動いた。
「やめ……も…っと……だめ……して…っ」
心音がどんどん早くなる。
全身を薄桃に染めて感じる姿は想像以上に淫らだ。
脚の間からいやらしい匂いが立ち上る。
僕の身体があるせいで閉じられなくなった股の間。
濡れて張りを失った陰毛が肌にへばり付いている。
汗だけではない濡れ方。
ソファに沈み込み見えなくなっている部分から流れたもの。
透明な粘り気のあるそれが肌と合皮の隙間から溢れだす。
彼女の中心からゆっくりと広がり周りを汚していく。
快楽に身を捩る度にぐちゃぐちゃと卑猥な音を立て粘ついた糸が伸びる。
その隙間から時折覗く肉芽は興奮の為か真っ赤に膨らんでいた。
「可愛いね……真宵ちゃん…」
乳首を弄っていた手を放して背中に回す。
濡れた髪ごと背中を撫でて、腰から尻に手を落とす。
ソファと尻の隙間に指を入れ前へと滑らせ。
尻の穴の感触を通り、濡れた肉の圧迫を掻き分けた所。
割れた口の奥にある空洞に指を飲み込ませた。
「…っっ!!」
突然の刺激に声にならない悲鳴が上がる。
それはどんな音よりも心地良いものだった。
350名無しさん@ピンキー:2009/01/31(土) 02:23:30 ID:P4gvNnJE
ソファと身体の間。
見えない部分からくぐもった音が聞こえる。
皮膚と合皮の擦れる音と、空気を含んだ粘着音。
押し込んだ指が熱い。
彼女の体液と熱に温められて溶け出してしまいそうだった。
「あぅっ!そ、そんな…動かしちゃ……っ」
指の先で敏感な襞を掻き分ける。
ざらりとした感触の部分を押し上げては指を潜らせる。
手のひらに当たる尻の部分が引きつっている。
立った一本しか入れていないのに痛い位に締め付けられた。
真っ赤になって震えている真宵ちゃんの耳元で囁く。
「………すごいね」
赤い顔を更に紅くさせて硬く眼を閉じる。
震える瞼を啄ばんで、指を更に奥へと押し込んだ。
「こ、んなの……だめ……ぇ」
第二関節まで沈んだ指。
緊張を解してやる為に中で指を曲げる。
硬いそこが歪にへこんで形を変える。
奥の方から熱いものが噴出してきた。
「真宵ちゃん…すごく濡れてるよ……分かる?」
いやいやと抵抗するように首を振る。
けれどどんなに否定しようとも僕の手の中には証拠がある。
今も流れ続ける証拠が。
「そんな嘘ついて………どうなるか知らないよ?」
涙の流れた跡を舌先で舐め上げて目尻にキスをする。
這わせた指をずらして、もう一本中に入れた。
「うぅっ!ん、ん…っ…ふぅっ…っ」
二本の指でゆっくりと掻き混ぜる。
音は更に大きくなり、混ぜられた蜜は白く重くなって固まった。
入り口の肉が引き攣れて僕の指を嘗め回す。
涎を垂らして吸い付いてくるそこはもっともっとと囁いているようだ。
僕は指二本を広げて作った隙間に三本目を押し込んだ。
「うぅぁあっ!あ、あぁあっ!あぁんっっ!!」
「ちょっと入れすぎかな…?」
潤んだ眼は焦点が合っていない。
半開きの口から透明な唾液が垂れ下がっている。
指を動かす度面白いほど身体が揺れた。
先を尖らせた乳房が不規則に弾む。
可愛らしい二つの塊。
空いた方の手でその一つを捕まえた。
「ふぅっ!うぁ…なる、ほど、く……ぅっ」
「……柔らかい」
指の間に乳首を挟んで全体を揉む。
少し力を入れてやると切なげに身を捩った。
「ここが好きなんだね」
顔を近付けて隙間から覗いた乳首の先を吸う。
同時に秘裂の中の指もより奥へと進ませる。
身体が反り捕らえていない方の乳房が跳ねて顔を打った。
「ひどいな……」
暴れるそれに吸い付いて動きを止める。
ついでに吸い上げてやると、手を更に汚されてしまった。
351名無しさん@ピンキー:2009/01/31(土) 02:24:04 ID:P4gvNnJE
「なるほど……くん……なるほど……く…っ」
真宵ちゃんが小さな声で鳴く。
乳房を揉まれ、吸われ、秘裂を掻き回される喜び。
その礼として鳴いているように僕には聞こえた。
「またいっぱい濡れちゃったね。すごいよ?見てみる?」
「やだぁ……っ」
蜜が溢れるのを止めようとしているのか両手で股間を覆っている。
そんなことをしても無駄なのに。
いやらしいものを垂れ流す恥ずかしい穴を揺さぶってやる。
素直なそこは惜しみなく歓喜の涙を流した。
「分かるかな…今三本入ってるでしょ?その隙間から垂れてきちゃうんだ。
僕の手、もう凄いよ?手首まで濡れちゃってる」
「やだ、やだぁ……ちがうよぉ…っ」
「違う?そうかな…」
入れた三本をわざと広げて空洞を作ってやる。
溜まっていた熱い粘りが落ちて陰毛から尻の穴まで濡らした。
「………違うかなぁ」
「や……っ!」
耳元で尋問すると、恥ずかしすぎたのか顔を覆ってしまった。
全身を血の色に染めて小刻みに震えている。
僕の可愛い真宵ちゃん。
もっと可愛くしてあげたくて、さっきまで覆われていたそこに手を伸ばした。
「っっ!きゃあっ!」
濡れた陰毛とソファの間から指を入れる。
ふっくらとした裂け目の間にある小さな器官。
快楽と興奮で勃起した肉の粒は容易く見つかった。
「…………っっ!!」
「…気持ちいいよね?」
返事は待たないで指を動かす。
指先で肉芽が踊る感触。
それに呼応するように膣口がざわめき感じていることを教えてくれた。
「気持ちいいんだね…すごく嬉しいよ」
押さえた手の間から押し殺した喘ぎが漏れる。
顔を真っ赤にして身体を震わせて。
この上なく可愛い姿で僕に感じてくれている。
こんなに嬉しいこと、今まであったかな?
「好きだよ、真宵ちゃん」
重ねられた手の上からキスをする。
そして同時に指を動かした。
352名無しさん@ピンキー:2009/01/31(土) 02:24:38 ID:P4gvNnJE
「んんんっ!!んっ、う、ぅ、……あぁあっっ!!」
つま先がピンと張る。
ソファに頭を押し付けて叫ぶ。
膣口と肉芽を同時に押し上げられた身体から汗が噴出した。
「……すごい」
汗で髪が白い肌に張り付き模様を描く。
凄く綺麗だ。
肌とソファが擦れる音。
濡れた部分を掻き回される音と重なる。
気持ちがいい。
「んっ、んんっ!ふぅうっ…あふぅ……なるほど…くん……っ!」
両手で彼女の性器を感じて。
口の中で乳房の弾力を味わって。
香りを吸って音を聞いて目に映して。
あらゆる器官を使って彼女一人を感じる。
同じ人間のものなのにそれぞれの違う感触。
硬い部分柔らかい部分。
熱い部分冷たい部分。
渇いた部分濡れた部分。
どこまでも飽きさせない。
どんどん夢中になっていく。
「なるほどく……なるほどくんっっ!」
後ろから襲う指を出来る限り奥まで押し込む。
前から襲う指は肉芽を摘まんで擦り合わせた。
「きゃあっっ!あぁああっっ!!」
敏感な部分を弄ばれた身体。
乳房を上下に激しく揺らして全身をビクビクと震わせる。
よほど気持ちがいいのか。
だらしなく開いた口の周りは垂れ流した唾液で汚れていた。
「だめだよ……だめ、だめ……イッちゃぅ……っ」
「…そうじゃないと、困るよ」
真宵ちゃんが眼を見張る。
僕は彼女を更に追い詰める為に指先に力を入れた。
邪魔な包皮を左右に開いて中の粒を表に出す。
空いたそこに指を当てて飲み込ませるように押しやった。
後ろの指と同じ強さで。
「あ………あぁあああっ!!」
一段と大きな声。
性器が激しく暴れる。
膣内から大量の蜜を漏らして真宵ちゃんは達した。
353名無しさん@ピンキー:2009/01/31(土) 02:25:15 ID:P4gvNnJE
「ぁ……あ、はぁ………」
弛緩した身体を覆う濃厚な空気。
とろけた身体から垂れ下がる体液が、其処彼処をべとべとに濡らしている。
「……大丈夫?」
訊けばこくんと頷いてくれる。
無防備な表情なのに、裸体がいやらしく裏切っていた。
開いたままの脚の間に顔を近づける。
絶頂を迎えた性器は充血して、肉芽は大きく勃起したままだ。
その表面には濡れた陰毛が張り付いていて。
肉と肉の狭間には白濁した蜜がこびり付いていた。
まだ回復できないのか、肉のあちこちが収縮している。
膣口は閉じ方を忘れてしまったのか、中のざらついた部分を丸見えにしていた。
処女らしい可愛い紅い色。
白い肌を割る肉の赤にしばし見惚れた。
「そんなにみないで………」
見上げると真宵ちゃんがものすごく恥ずかしそうにしていた。
濡れた性器を晒す恥辱に耐えられなくなったのだろう。
さっきよりも眼が潤んでいた。
「…じゃあこれならいい?」
内側から張り詰めて下げ難くなったジッパーを下ろす。
下着を押し下げて痛い位になっているものを晒した。
真宵ちゃんの目が丸くなる。
「……怖い?」
何となく恥ずかしい感じがして隠すような気持ちで掴む。
手の中のものは真宵ちゃんを求めて脈打っている。
早く入れたくて触れたくて。
僕だけのものにしたくて。
「好きだよ?真宵ちゃん」
濡れた先端で肉をなぞる。
眉を顰めて身体を震わせるのが堪らない。
幾度も滑らせて糸を引いて。
真宵ちゃんの濁ったものが先端に溜まって垂れ下がった。
「こんなにしちゃったね……ごめんね」
濡れた肉の粒に先端を押し付ける。
肉と肉の間に陰毛が挟まって擦れる。
「んんっ!!ぅうんっ!!」
「気持ちいいね………ごめんね」
握った肉の先端で濡れた裂け目を幾度も切る。
割られ擦られる感触に真宵ちゃんは奇声を上げた。
「あうぅっ!う、ふぅっ!あ、あぁあっ!!」
触れる熱さに腰が重たくなる。
陰唇が舌のように吸い付いてきて舐め回される。
陰核の突起から膣口の窪みまで素早く上下させて攻め続けた。
「だ、め…だめだよ……なるほどく…ん…っ!」
「そんな嘘ついても、すぐ分かるよ」
裂け目の中の更に割れた部分に先をあて中の粒を押し込む。
敏感な部分同士が強く擦れ溜まらない快楽を生み出した。
「あぁああっ!!だめ…っ…だめぇっ!!」
暴れる足を押さえてより奥の方へと押しやる。
肉が潰れ痙攣する感触が伝わった。
「うわ……すごい…」
興奮に舌舐め擦りをし篭った息を吐く。
限界寸前に張った粒が鈴口の中へと入り込む。
媚びるように触れてくるそれ。
いやらしいそこを先で咥えたまま勢いよく振り落とした。
「っっ!!あ、あ、あぁああっ!!」
白い身体が跳ねる。
また蜜を吐き出しながら真宵ちゃんは絶頂を迎えた。
354名無しさん@ピンキー:2009/01/31(土) 02:25:47 ID:P4gvNnJE
「……ぁ……は……」
短時間に二度も迎えた絶頂の所為か真宵ちゃんが動かない。
四肢とは別にまだ汚されきっていない性器が肉を震わせていた。
勃起し白や透明で汚れたそこを僕はしゃぶる。
「ずるいな真宵ちゃん…一人で楽しむなんて」
散々嬲られたそこは軽い接触ですら悲鳴を上げる。
肉芽をほんの少し舌先で転がしただけで膣口が体液を吐いた。
「いい匂い…それにすごく美味しい…」
溢れた蜜を飲み込んで、膣口から舌を入れる。
柔らかな挿入に真宵ちゃんは掠れた悲鳴を上げた。
鼻で軽く肉芽を押して裂け目を嘗め回す。
到底呑みきれない蜜が舌先から垂れ落ちた。
「…もういいかな」
吸い付いて入り口の柔らかさと濡れ具合を確かめる。
僕を受け入れるにはもう充分な状態になっていた。
「…もういいね」
我ながら気が狂うほど待ちわびたそこ。
僕を受け入れるべく存在している部位。
真宵ちゃんを僕のものにする為の行為。
焦る気持ちを抑えながらも手が乱暴になる。
柔らかい尻を指で押し、入れる穴を大きく広げた。
ぱくりと開いたそこに先端を押し付ける。
息を吐き押し込もうとした寸前でそれに気付いた。

「あ」

中途半端な体勢で間抜けな声が出る。
緊張で眼を閉じていた真宵ちゃんが恐る恐る眼を開いた。
「……どしたの?」
真宵ちゃんの声にも答えられずがっくりと肩を落とす。
こんな状況でも勃たせられる自分の若さを再発見できた。
「………なかった」
「へ?」
ぼそぼそ呟くが聞こえなかったようだ。
「ゴム、なかった…」
「ゴム?」
ああ、こんなことになるとは。
どうして用意しておかなかったんだ僕は。
後悔先に立たずっていうだろう?
そなえよ常にだ。僕の馬鹿。
これだから彼女なしの男は駄目なんだよなぁ…。
「ゴムならあるよ?あるある」
「…え!?あるの!?」
何で持ってるんだよ!どういうことだ!
驚く僕を尻目に真宵ちゃんはごそごそとバッグを漁った。
「ほらほら、これでしょ?」
そう言って僕の手に乗せられたのは。
ピンク色の輪に金色のお星様が光るもので…
「………これ、髪縛るゴムだろう」
「だからゴムでしょ?」
「異議ありー!!」

お馬鹿さんな発言には脱力したけれど。
心の底からほっとできた。
355名無しさん@ピンキー:2009/01/31(土) 02:26:19 ID:P4gvNnJE
「そっかーあれかー」
予想外の性教育で存在を理解してもらう。
何をやっているんだ僕たちは。
「という訳なんで…えー…買ってきます」
「え?い、今から?」
「しょうがないだろう?…さいわいコンビニは近いし」
まったくもってしょうがないが買うしかない。
とにかく一度抜いて、それから服を着て……
「……やだ」
「え?」
「やだ。行っちゃやだ」
真宵ちゃんがしがみ付いてくる。
子供みたいな無茶苦茶な力の込め方だ。
「い、痛いよ、真宵ちゃん」
「やだよ、行かないで……一人にしないで」
「でも、でもね」
「…離れたくない」
ぎゅうぎゅうと腰を締め付けてくる。
結構力あるな。
「でもあれがないと」
「いいよ、なくても」
「そういう訳にはいかないだろう?もし出来ちゃったりしたら…」
すると真宵ちゃんは強い眼でこちらを見た。
「もしそうなっちゃったら…産んでも良い?」
随分とすごい台詞を言ってくれる。
それは嬉しいけれど、でもそんなことさせられるものか。
「駄目だよ」
「なんで?」
「だって…真宵ちゃんが悪く言われる」
神乃木さんを庇って以来、只でさえ評判の悪くなっている君だ。
どこの馬の骨とも知れない男の子供を身篭ったりしたら。
それこそどれだけ言われるか分かったものじゃない。
「大丈夫だよ」
「僕が大丈夫じゃない」
「…もう誰の子でもいいから早く産め産めってうるさいんだ」
誰だ、そんな暴言を吐く奴は。
名誉毀損で訴えてやろうか?
「…もちろん、それだけじゃないけどね」
どういようもなく悲しい声。
僕はまた、彼女の孤独を思い知らされた。
356名無しさん@ピンキー:2009/01/31(土) 02:27:02 ID:P4gvNnJE
「あたしね、決めてることがあるんだ」
僕に抱き締められたまま、肩越しに天井を見て囁く。
「子供をね、大好きな人の子供をいっぱい産んで育てるの。
そりゃもう倉院が定員オーバーで溢れかえっちゃうくらい。
それでみんなで毎日楽しく歌って踊って過ごすんだ。
それにね、それに、沢山居ればもし……」
そこまで言って真宵ちゃんは口篭る。
言いたいことは分かる。
もし誰かが殺されてしまったとしても。
他の子が一人ぼっちになってしまうことはない。
沢山の姉妹が悲しみを埋めてくれるだろう。
「もしそうだとしても、その子の代わりなんて誰もなれないけどね……」
誰が真宵ちゃんの祈りを責められるだろう。
彼女の孤独を弱さといえるだろう。
そんなのは僕が許さない。
僕は彼女の髪に顔を埋めて囁いた。
「うん、すごくいい考えだと思うよ。
来るべき少子高齢化社会への切り札となるかもね」
「倉院が地球を救っちゃうね!」
くすくすと笑う吐息が耳に触れる。
こんな時なのに背筋を駆け上がるものがあった。
「だからね、りゅういちくん」
肩を押されて身体が離れる。
真宵ちゃんは真剣な眼差しではっきりと告げた。
「あたしのお婿さんになってください」
きっぱりとした物言いに懐かしさを覚える。
やはりあの美しい人と同じ血が流れているのだ。
「こんなとこまで逆転しなくていいんだけどな……」
男としては何とも情けない状態だ。
想う相手に逆に求められてしまうなんて。
「あ、じゃあじゃあ、今度なるほどくんからもしてよ」
「今度って」
何度もするもんじゃないだろう、プロポーズって。
「じゃあ今でもいいよ?」
「でもいいって」
前言撤回。
同じ血は流れてるけど、だいぶ変質しています。
だから好きになりました。
「……真宵ちゃん」
「はい」
「僕のお嫁さんになってください」
「…はい」
僕の真宵ちゃん。
触れ合う唇は今までで一番熱かった。
357名無しさん@ピンキー:2009/01/31(土) 02:27:36 ID:P4gvNnJE
「りゅういちくん…」
もう一度脚を開かせる。
今度こそ真宵ちゃんと一つになる為に体勢を整える。
細い脚を肩に掛けて上体を倒した。
眼下にある彼女の性器。
生でするのなんて初めてだ。
妙に緊張していたら、細い手が僕の胸の辺りを触ってきた。
筋肉の溝を指先で撫でて腹へと降りていく。
そのまま好きにさせていたら、幾度も幾度も撫でて溜息を吐いた。
「…男の人だねぇ……カッコいいねぇ…」
お父さんのことを考えているのかな。
それならいいよ。僕がお父さんにもなるから。
「愛してるよ、真宵ちゃん」
「りゅういちくん…」
彼女と重なる為に身体を倒す。
それと同時に張り詰めた部分を押し込んだ。
「んんっ!!ふぁっ……あぁっっ!!」
「真宵ちゃん…っ」
愛しい相手を自らの雄の形に開いていく。
抵抗なく飲み込まれていく肉棒はすぐに見えなくなった。
代わりに中から蜜が溢れ出していく。
ぬるい体液が背中を伝う感触に、真宵ちゃんの肌に震えが走った。
「りゅういちくん……りゅういちくん…っ」
伸ばされた手が僕の首に巻きつく。
ぬめる背中に手を回して強く引き寄せる。
真宵ちゃんが欲しくて、欲しくて、欲しくて。
「真宵ちゃんっ…欲しい……ほしいよ…真宵ちゃん」
欲しくて欲しくて顔中を嘗め回す。
柔らかい唇に齧り付いて中も嘗め回す。
可愛い真宵ちゃん。
僕の真宵ちゃん。
僕だけの真宵ちゃん。
「好きだよ…好きだ……真宵ちゃん…っ好きだ…っ!」
大好きだ。
大好きだ。
大好きだ。
僕は君が大好きだ。
「真宵ちゃん…っっ!」
求めるままに、欲するままに。
僕は真宵ちゃんを喰らった。
358名無しさん@ピンキー:2009/01/31(土) 02:28:08 ID:P4gvNnJE
肉棒を押し込む度にがくがくと身体が震える。
その度に嬉しくて、嬉しくて、嬉しくて。
望むままに、欲しいままに。
真宵ちゃんを犯した。
「真宵ちゃ…ん…まよい……あぁ…っ…まよいちゃ…っ!」
小さな尻に僕の腰骨がぶつかり音を立てる。
弾かれるように腰を引き、叩くように突き入れる。
入り込む穴の立てる音がたまらなくいやらしい。
奥からいくらでも蜜を吐き出して僕を滑らせてくれる。
肉とぬめりに包まれた摩擦。
中の中までびっしょりと濡れた肉筒が隙間なく締め付ける。
悶え、痙攣し、呆れるほど汁を垂れ流す。
口一杯に頬張った肉棒。
掻き混ぜられ泡となり白く濁らされた体液。
白い肌。黒い体毛。紅い陰唇。
本当はずっと、これを見たかったのかもしれない。
真宵ちゃんが僕のものになって、僕の形に開かれていくのを。
「あぅっ!い、い…いい…っ…まよいちゃん…いいよ…いい…っ!」
息を荒らし、背を仰け反らせて真宵ちゃんを責める。
最奥にぶつかる度に痺れが全身を襲った。
鈴口が潰れ、奥にある丸くつるりとした肉に押さえ付けられる。
亀頭部分を壊してしまいそうな動き。
このまま崩れ、押し潰されてしまえばいいのに。
そうすれば真宵ちゃんとひとつになれるのに。
「好きだよ…好きだ……好きだ……好きだ……っ」
気持ちがいい。
好きな人に好きと言えて。
好きな人の肌に触れられて。
一番大事なところで抱き合えて。
生きて、ここにいて。
ここにいて、傍にいて、好きと言って。
気持ちよくて、幸福で、時間が過ぎてしまうのがもったいなくて。
僕は幸せだ。
世界一の幸せ者だ。
「好きだ…好き……好きだ…っ!」
「あ、たしも……大好き…っ…あぁあっ!」
お互いをうんと強く抱き締めて。
もう離れないように離れてしまわないようにしがみ付いて。
好きだ好きだと叫び続けて。
僕達は同じ高みへと昇っていく。
「愛してる………りゅういちくん……っ!」
「真宵……っ!」
本能が叫ぶ。身体が求めている。
僕が彼女の中に入ろうと。彼女が僕を取り込もうと。
全ての立場を忘れて求めるままに動く。
もっともっと彼女を感じていたかったのに。
「りゅう、いち、くん……っ!!」
「まよい……っ!!」
今まで堪えてきた全てを彼女の中に吐き出す。
奥を更に濡らす感触に、真宵ちゃんは最後の叫び声を上げた。
359名無しさん@ピンキー:2009/01/31(土) 02:28:55 ID:P4gvNnJE

ぼんやりと天井を見上げる。
裸で抱き合って寝転んで。
彼女の装束が長くなったのに感謝する。
こうして僕らをすっぽりと包んでくれるのだから。
時々胸の上の真宵ちゃんが身じろぎする。
寒いのかな?大丈夫かな?
「………あったかい…」
よかった。大丈夫みたいだ。
胸に付けた片頬が摺り寄せられる。
さらさらの髪も一緒に動いてくすぐったかった。
「…トクトクいってる」
心臓の真上に唇を落とす。
ちゅ、と音を立てて離れた。
薄い手が胸を這う。
子供のような、大人のような。少女のような、女のような。
複雑ななにかを内に秘めて動いていた。
「…生きてる生きてる」
生きてるよ。
君と生きるために生きてるよ。
「大好きだよ」
僕のほうが大好きだよ。
「ずっと一緒だよ」
ずっとずっとだよ。
「愛してる」
もっともっと愛してる。
「お婿さんになってね」
お嫁さんになってね。
「幸せにするね」
幸せにするね。
「りゅういちくん…」
まよい。
「あたしのりゅういちくん…」
僕の真宵。
「あたしだけ…」
ぼくだけだ。
「愛してる…」
「愛してる」

愛してるよ、真宵ちゃん。
愛してる。
360名無しさん@ピンキー:2009/01/31(土) 02:30:01 ID:P4gvNnJE
「あのね、言い忘れてたんだけど」
真宵ちゃんが不思議そうな顔をする。
その可愛らしい顔を撫でて、僕は微笑んだ。


「真宵ちゃんが無事で……本当によかった」





真宵ちゃん、お願いだから
泣かないで
ごめんね
誰も言ってくれなかったね
どれだけ自分を責めただろう
もう少し早ければと
どうして助けられなかったのかと
最愛の姉を死なせてしまったと
自分より霊力の強い姉を死なせてしまったと
心無いことを言う人間もいただろう
お前じゃなく千尋さまが生きていればよかったと
どれほど繰り返しただろう
自分が犠牲になればよかったと
自分が死ぬべきだったと
どうして自分だけが生き残ったのだろうと
でもね
君が無事で本当に良かった
僕だけじゃない
春美ちゃんだって、ゴドーさんだって
あやめさんだって、矢張だって
御剣だって、狩魔冥だって
マコちゃんだって、イトノコさんだって
もちろん舞子さんだって、千尋さんだって
みんなみんな
君の無事を喜んでいる
君が生きていることを祝福している
君の未来を信じている




みんなみんな





君のことが大好きなんだよ


<終>
361おまけ:2009/01/31(土) 02:30:44 ID:P4gvNnJE

眠れない眼を開く。
向かいの明かりだけが差し込む部屋は冷えている。
けれど身体の下にいる人の熱が温めてくれていた。
「………」
響く心音。
伝わる熱。
それはずっと待ち望んでいたものだった。
微かな肌の匂いに酔いしれる。
ずっと欲しかったもの。
食べてしまいたいくらい愛おしい。
「……だーいすき」
胸部に齧り付くが起きる気配はない。
疲れていたのか満足したのか。
よく眠っていた。
暗がりの中寝顔を眺める。
安らかな表情を見ながらも、心に不安が芽生えていた。
「大丈夫かな…」
やっぱりあれかな?駄目なのかな?
でもお母さんは大丈夫だった訳だけど……どうかな?
お姉ちゃんはどうだったのかな?
「どうしよう…どうすればいいのかな」
あれこれ考えぐるぐるしてくる。
もうどうしようもない訳だけれど、でもどうにかならないかな。
どうにかしたいし、しなきゃならないし。
でもどうかな。どうなっちゃうのかな。
どうすればいいのかな。
そもそもどうなのかが分からない訳だから調べなきゃ。
でもでもどうすればそれが………って。
「あ!そうだそうだ!そうすればいいんだ!」
流石は家元にして影の所長の真宵ちゃんだぜ。
ナイスアイデアすぎる。
りゅういちくんじゃこうはいかないね。
「よーし、それじゃ早速…」
紙とペンを手に取り書き付けて。
あたしは両手を合わせた。
362名無しさん@ピンキー:2009/01/31(土) 02:31:27 ID:P4gvNnJE

「まったく……あの子ったら…」
溜息が出る。
全裸に装束を掛けただけの自分。
視線の先にいるのは同じく全裸の弟子。
もう一度の溜息。
「本当にまったく……」
一体何を考えているのか。
確かに処女であるか否かが霊力に関係する場合もある。
だからといって、どこの世界に恋人との褥に姉を霊媒する女がいるか。
「…ここにいるって訳なのよね」
三度の溜息。
手元には可愛らしい字で綴られた文がある。

『お姉ちゃんへ

あのね、ちょっと霊力があるかどうか不安になったので
お姉ちゃんを霊媒してみることにしました。
上手くいったなら、上手くいったよーって書いておいてね。
あとなるほどくんにも何か伝言あるなら書いておいて。
あたしがちゃんと伝えておくから。
じゃあ後はお願いね。

追伸
なるほどくんは、今でもお姉ちゃんのことが大好きです。

                               真宵』

「……まったく」
四度目の溜息。
紙の隅には大ファンであるトノサマンの絵が描かれている。
こんなものがそらで描ける子に育てた覚えはないのだけれど。
「育て方、間違えたのかしら…」
余白に返事を書く。
ちゃんと成功したことと、お説教を書き連ねてペンを置いた。
一仕事終えて、弟子の顔を見やる。
疲れを滲ませながらも穏やかな表情。
よほど深く眠っているのか、寝息は聞こえないほどだった。
363名無しさん@ピンキー:2009/01/31(土) 02:32:18 ID:P4gvNnJE
「こうなるなんて……思ってもみなかったわ」
自分であって自分でない裸の身体を撫でる。
瑞々しい女の身体。
存分に愛された女だけが持つ肌だ。
身体に残された感覚で分かる。
この子は充分に愛されている。
「…ちょっと、若いようだけどね」
不快ではない疲労感。
気だるさと充足感。
懐かしい感覚。
「………」
あの人は今、どうしているだろか。
どこかで幸せだろうか。
誰かと幸せだろうか。
また誰かを守っているのだろうか。
心はまだ痛んでいるのだろうか。
「もう一つ…仕事があったわね」
口を開けたバッグを引き寄せ、真宵の携帯電話を手に取る。
イメージに合わない黒い硬質な物体。
電話帳を開くと、見慣れない名前や企業名が並んでいた。
仕事とプライベートを分けているのだろう。
どんなに探してみても、成歩堂法律事務所の文字はなかった。
ようやくそれを見つけ出せたのは、鞄の底にあった古い桜色の携帯からだった。
「頑張っているのね、真宵」
妹の成長が嬉しくて寂しかった。
そして自分の愚かさに吐き気がした。
最愛の妹に、こんな重苦しい立場を背負わせてしまうなんて。
本当ならば私が背負う筈のものであったのに。
「ごめんなさい……」
妹だけではない。
弟子にも重い十字架を背負わせてしまった。
薄々危険に感付いてはいた。
だからこそ遠ざけておきたかった。
守りたかったのだ、彼を。
最愛の弟子を、危険な目になど合わせたくなかったのだ。
もう誰にも、傷付いて欲しくなかったのだ。
そして望み通り自分だけで食い止められた。
けれど。
守ることは出来たが、守りきれなかった後悔。
負わせてしまった深い傷。
あれ程肩肘張って生きてきたくせに、妹も母も守れなかった。
私は誰も守れなかった。
自分自身も守れなかった。
ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい。
醜い懺悔を繰り返して項垂れる。
手の中で光る携帯電話。
目当ての番号は見慣れない名前の下にあった。
迷わずにボタンを押す。
鳴り出したコールは、三回目で途切れた。
364名無しさん@ピンキー:2009/01/31(土) 02:32:55 ID:P4gvNnJE

「……こんな夜更けにどうしたんだい?コネコちゃん」
懐かしい声。
響く低音はあの頃と何一つ変わっていない。
なのに私たちはこんなにも変わってしまった。
こんなにも、こんなにも。
それでもこうして声を聞けることを。
何に感謝すればいいのだろう。
私は顔を上げて、精一杯の明るい声で答えた。
「…どうもしませんわ?コネコちゃん」
向こうでコーヒーを噴出す音が聞こえる。
あのクセ、まだ直っていなかったのね。
激しく咽ているらしい声も聞こえる。
この人、カッコつけているのにどこかおバカなのよね。
「…どういうことだい?」
ドスのきいた声。
それは照れ隠しなのだと分かっている。
懐かしさに時間が巻き戻り、私は落ち着くことが出来た。
「こういうことですね」
「……倉院流の霊媒術か。悪趣味なコネコたちだぜ」
「あら、心外ですね。…こうして話せるのを喜んでは下さらないのですか?」
沈黙が流れる。
見ることは出来ないけれど、どんな表情をしているのかは分かった。
闇よりなお深い罪に苦しむ顔をしているのだろう。
「……俺は…」
「神乃木荘龍様」
素早く言い放ち言葉を切る。
彼の口を悲しい呪詛で汚さない為に。
言い淀んだ隙に高らかに口上を述べた。
この言葉を全世界に響かせるように。
「神乃木荘龍様に申し上げます。
過日の事件では妹を……次女真宵をお救いくださいましたこと、
先代家元綾里舞子の名代として厚く御礼申し上げます」
息を呑む音。
きっと子供のようにうろたえ怯えているのだろう。
何かを言いたくて、言おうとして、でも言えなくて。
戸惑い震える小さな子供。
私はあなたにどれだけの痛みを与えてしまったのかしら。
決して癒えることのない、深い痛みを。
365名無しさん@ピンキー:2009/01/31(土) 02:33:37 ID:P4gvNnJE
彼を現実に引き戻したのは、生きている生身の女だった。
「……ぅ…ん」
遠くに春美ちゃんの寝言が聞こえる。
むずかって起きそうになる声。
甘えた声に慌てて応対するのがおかしかった。
よかった。
あの子たち二人とも、なかなか家族運には恵まれなかったけれど。
男を見る目は確かなようね。
再び恋人を寝かしつけようとする声。
懐かしい甘い口調。
落ち着きを取り戻したのか、返事は確かなものになっていた。
「俺は…」
「真にありがとうございました」
切り捨てるように言い放つ。
もういいのよ、先輩。
どうか幸せになって。
「それから、綾里法律事務所所長として。
弟子を…あなたの孫弟子に当たるなるほどくんをどうか守ってください」
「…それは命令かい?」
「遺言です」
再びの沈黙。
笑いなさい、綾里千尋。
笑うの。
今が勝負所なのだから。
「それと…綾里千尋として。
最後まで待っていられなくて……ごめんなさい、先輩」
「……お寝坊だった俺が悪いのさ」
冗談めかした言葉に最大の後悔と愛情を滲ませている。
もういい。これで充分だ。
私は私の一生に報いる程の恋をしたのだ。
「先輩」
「何だい?」
「私のこと……愛してました?」
「……愛してるさ、女神様」
……そうでしたね。
私はもう、この世の『人』ではありませんでしたね。

上を向く。
笑う。
そしてこの人への精一杯の気持ちを伝える。



「ありがとう

ごめんなさい

愛してます

………さようなら」



返事は待たず、静かに電話を切った。
366名無しさん@ピンキー:2009/01/31(土) 02:34:09 ID:P4gvNnJE
履歴から名前を消し、元の場所へと戻す。
悲しいだけでもなく苦しいだけでもない不思議な気配に包まれていた。
個人としてのものを越えた、高みへと通ずる道。
大きな何かに促されている感覚。
それを『祈り』というのだろう。

「どうか……幸福を」

見下ろす先には裸の弟子。
いまだ幸せそうに眠っている。
初めての出会いから考えれば、彼も随分大人になった。
「色々…あったものね…」
あの頃より随分締まった頬の線を撫でる。
あの泣き虫な被告人だったこの子が。
崖っぷちの新米弁護士になり。
今や伝説となりつつある立派な弁護士に育った。
死者でありながら願いが叶うのを見届けられるなんて。
私はなんて幸せ者なのかしら。
「ん……真宵ちゃん…?」
手が伸びて私の肩を優しくさする。
その仕草だけで、この子が真宵をどれ程愛しているのかが分かった。
「残念。はずれよ、なるほどくん」
「………え!?ち、千尋さん!?」
「おはよう」
「お、おはようございます…………って、わぁあああっ!!」
何を大騒ぎしているのかしら。
霊媒なんて初めてじゃないのに。
懸命に眼を逸らしている。
………あら、そうだったわ。
誰かさんが脱がしてくれたお陰で私、裸だったわね。
「ごめんなさいね?見苦しいもの見せて」
「み、見苦しいなんて!とんでもないッス!」
必死で眼を逸らして両手を振り回している。
初めて会った時のようね。
けれど慌てふためいていた表情が突然締まった。
「あの、千尋さん」
「なに?」
「言い訳ではありませんが……この場所でこんなことしたのは謝ります。
ですが、僕は適当な気持ちで真宵ちゃんを抱いた訳ではありません」
367名無しさん@ピンキー:2009/01/31(土) 02:35:17 ID:P4gvNnJE
あら、どうしたのかしら。
随分と男前になったようだけれど。
でもこれ位じゃないとね。
大事な妹は任せられないわ。
「倉院の闇は深いわよ?私たちが逃げられなかったように。
また誰かが傷付けられるかもしれない。…殺されるかもしれない。
そして真宵には常にその闇が付きまとうことになる。
……それにあなたは耐えられるかしら」
頬を撫でて挑発してみる。
けれど最初で最後の弟子は怯むことなく言い切った。
「ならば倉院ごと、彼女の人生を背負ってみせます」
あら。本当にどうしたのかしら。
こんなにいい男になってしまって。
頑張ったのね、なるほどくん。
やっぱりあなたは私の最高の弟子。
私の生きた証。
私の誇りだわ。
「なるほどくん。私、言い忘れていたのだけれど」
凛々しい頬を両手で包んで顔を近付ける。
最愛の妹と、最後に愛した人に。
祝福のキスを。


「あなたが無事で……本当に良かった」





どうしたの
駄目じゃないの
そんなことじゃ
あなたは立派な弁護士で
成歩堂法律事務所の所長で
未来の被告人達があなたを待っていて
皆があなたを必要としていて
真宵の未来の伴侶となるのよ?
それに言った筈
強くなりなさいって
だからしっかりしなさい


まったく


あの頃に比べて随分たくましくなったと思っていたのに







その泣き虫な所だけは、なおらなかったのね


<終>
368名無しさん@ピンキー:2009/01/31(土) 04:21:36 ID:Puq3wTn3
こりゃすごい読みごたえあるな
GJです!
369名無しさん@ピンキー:2009/01/31(土) 04:43:12 ID:QG7ZFRi/
>>359辺りから涙が止まらなかった。
特に千尋さんの件でもう…!
ナルチヒ要素もあり、なのかな?

何はともあれGJです!
370名無しさん@ピンキー:2009/01/31(土) 16:54:19 ID:oW23e0wq
素敵なものを読ませていただきました!

コレって鬼畜なの???
純愛に思えてしまった・・・
371名無しさん@ピンキー:2009/02/01(日) 09:08:13 ID:uOUSydgk
なんという大作‥‥なんという読み応え‥‥
GOD JOB!!!
372名無しさん@ピンキー:2009/02/01(日) 15:48:07 ID:e+fOgaLp
はっきり言ってスレの無駄遣いだろこれ
一行辺りの文字数を増やして無駄な行間詰めれば
もっとシンプルでコンパクトな話に仕上げられるだろうに
373名無しさん@ピンキー:2009/02/01(日) 15:49:32 ID:e+fOgaLp
ああ、ごめん誤爆した
374名無しさん@ピンキー:2009/02/01(日) 15:49:45 ID:rOuieAla
行間で読み取るべきものがあるだろう。
スレが埋まれば立てればいい。
375名無しさん@ピンキー:2009/02/01(日) 22:11:49 ID:LC7BU8hF
GJでした
素晴らしいの一言です
ちょっと過去ログ逝って来る
376sage:2009/02/02(月) 15:57:25 ID:r1CQpC2V
GJ!全然鬼畜じゃないですよ…!純愛です…!!
377名無しさん@ピンキー:2009/02/03(火) 04:52:58 ID:UWrohjxo
感動で目汁がちょちょぎれそうだ!
イイハナシダナー(AA略)

それにしても間の悪い誤爆だったな
378名無しさん@ピンキー:2009/02/05(木) 15:36:54 ID:QXWIB1ff
GJすぎる!!
普通に涙腺崩壊した!!

自分はやっぱり逆転裁判大好きなんだと思い知った
379名無しさん@ピンキー:2009/02/07(土) 02:29:24 ID:o9GiNyZi
最近神って言葉の価値が下がってるよね。
何が言いたいかっていうともう修羅だろっていう
GJ

要所要所の細かいネタがうますぎる
380名無しさん@ピンキー:2009/02/07(土) 09:20:44 ID:VGiBbze7
逆転検事が出るまでは誰もシーナ・ロウ・ミクモあたりでは書かないのかな。
情報ナシなところで自由に書けそうな気もする。
発売されたらなかったことにしてもらうしかないかw
381名無しさん@ピンキー:2009/02/07(土) 09:23:40 ID:xD3ziQCe
別にシーナとかに思い入れないしなあ。
読みたかったら自分で書けばいいんじゃね。
382名無しさん@ピンキー:2009/02/08(日) 06:55:21 ID:zGsyYyL6
>>380
是非頼む
383名無しさん@ピンキー:2009/02/08(日) 22:22:20 ID:QRZrVsfm
狼「俺は検事ってヤツが反吐が出るほど嫌いでな…でもあんたみたいなイイ女なら話は別だ」
冥「お断りするわ。私、あなたみたいに粗野で品性の欠片もない男は好みじゃないの」

現時点ではこれくらいのやり取りをを妄想するのが精一杯だ。
384名無しさん@ピンキー:2009/02/08(日) 22:34:10 ID:AK2xyHPB
っていうか、どんなキャラかも分からないのに無理じゃないの
単なる外見萌えの人しか書けないんじゃ…
385名無しさん@ピンキー:2009/02/08(日) 22:46:02 ID:QDc96u8/
>>383
萌えたw
386名無しさん@ピンキー:2009/02/08(日) 23:55:47 ID:RAIvKSXa
美雲「その真実わたしがいただいちゃうよ!」
御剣「私はキミの大切なものを頂きたいな」
美雲「ちょっちょっと…」

こうですか?わかりません><
387名無しさん@ピンキー:2009/02/09(月) 00:17:43 ID:KZuhxcUt
いいぞwwもっとやれw
388名無しさん@ピンキー:2009/02/09(月) 00:28:38 ID:KUSJ32VO
絶対マイナーだと思うが
御剣×いちるとかもありじゃまいだろうか
縛りプレイでSMとかみてみたい・・・
389名無しさん@ピンキー:2009/02/09(月) 00:39:16 ID:KZuhxcUt
シーナ関係が見たいなーあの腰つきエロすぎだろ…JK
狼でもいいが御剣でもおもしろいかも。冥たんとの百合もおk!
390名無しさん@ピンキー:2009/02/09(月) 01:42:23 ID:6gAPZxyP
狼×シーナはみたい
見た目だけでかなりきてるw
でも期待しすぎるとガッカリするか…?
391名無しさん@ピンキー:2009/02/09(月) 20:24:45 ID:tIkcc4hy
岩元さんデザインの女性キャラは性的な匂いが強烈だから
「岩元さんは女性キャラを萌えではなく煩悩で描いてる」
という本スレで出てた意見に納得してしまったw
392名無しさん@ピンキー:2009/02/10(火) 02:37:07 ID:UCa6nS/F
みんな先走りすぎだろw
気持ちはわかるけど今性格を予想しちゃうとプレイ時の楽しみが、
まあ発売日は後数カ月だ、気長に待とうや。
393名無しさん@ピンキー:2009/02/10(火) 02:56:15 ID:XVASEJoa
シーナは欲求の表れだよな
こんな女とやりてえって感じw

まだわからんが御剣+狼×シーナとかいい感じ
394名無しさん@ピンキー:2009/02/10(火) 03:03:09 ID:0OoiexZm
シーナに御剣を寝取らせたい
395名無しさん@ピンキー:2009/02/10(火) 03:18:40 ID:Tnk6RXK6
狼ってカリスマ性あるキャラって設定なんだよな
最初は狼に反発してたのにだんだんその魅力に惹かれてってしまう冥
って展開が見たい
396名無しさん@ピンキー:2009/02/10(火) 03:20:08 ID:XVASEJoa
シーナってちょっとセクシャロイドっぽいから
狼は女じゃなくて人形として扱ってて…みたいな鬼畜なの読みたい
発売前なのに早漏すぎるな
397名無しさん@ピンキー:2009/02/10(火) 03:36:13 ID:Rojjmu1D
>>395
狼みたいなワイルドなタイプって今まで冥の周りに居なかったぽいからな
冥みたいなお嬢様タイプは案外ああいう男に弱そう
「なんなの、あの野蛮な男は!」と言いつつ、ワイルドさに惹かれるとか良いな
398名無しさん@ピンキー:2009/02/10(火) 03:40:56 ID:D0ibnAaR
イノセンス思い出したw
シーナを最初見た時ぱっとみ綾波を彷彿とさせたが
399名無しさん@ピンキー:2009/02/10(火) 03:46:39 ID:XVASEJoa
シーナ「私は人形じゃない!」
>>397
いいな
狼はタラシっぽいから冥タンはもてあそばれるといいw
400名無しさん@ピンキー:2009/02/10(火) 03:54:40 ID:D0ibnAaR
>>399 御剣はシンジか
401名無しさん@ピンキー:2009/02/10(火) 03:57:26 ID:DbtTjqD1
百合系が読みたい
美雲と冥には仲良くなってほしい
402名無しさん@ピンキー:2009/02/10(火) 04:09:11 ID:XVASEJoa
>>400
あんなシンジはねーわw偉そうだろw

なんか御剣は女に大して淡白そうだから、どうしても自ら乗ってくれるような女が相手なの想像してしまう
シーナが御剣を誘惑してもシーナは命令だし、御剣も承知の上でやっちまう感じで恋愛要素ゼロなのが萌えるな
403名無しさん@ピンキー:2009/02/10(火) 04:09:46 ID:XVASEJoa
それにしても、夜中なのに人多いな、いいことだw
404名無しさん@ピンキー:2009/02/10(火) 04:34:52 ID:D0ibnAaR
>>402 眠いけどレスw
恋愛要素ゼロかー
御剣はやるからにはマジってイメージが強いからな
逆レイプなら不可抗力でありかと
405名無しさん@ピンキー:2009/02/10(火) 04:56:13 ID:XVASEJoa
>>404
御剣とシーナで恋愛要素はありなのかもしれないが
これはゲームやらんとなんとも言えない
もし、シーナがラスボスでガンガン攻め立てることができるんなら俺的にポイントは高い

んじゃ、そろそろ
406名無しさん@ピンキー:2009/02/10(火) 08:35:42 ID:8Ab/tKS4
>>392>>384同意。
なんで性格とか分からない現段階でそんなに萌えられるのか分からん。
あんまり突っ走てるとちょっと…うーんって感じ。
407名無しさん@ピンキー:2009/02/10(火) 13:43:01 ID:872hwJfT
妄想するだけなら自由なんじゃ?
蓋を開けたら妄想とは違ってて文句言うのはダメだろうけど
408名無しさん@ピンキー:2009/02/10(火) 14:16:28 ID:qvmg7nLH
そんな妄想を書き散らされるよりも作品読みたい。
409名無しさん@ピンキー:2009/02/10(火) 14:17:38 ID:FYQbadwV
書いてください!
410名無しさん@ピンキー:2009/02/10(火) 14:20:47 ID:qvmg7nLH
カミチヒ書いてるよ。
落とさないけど。
411名無しさん@ピンキー:2009/02/10(火) 14:32:02 ID:FYQbadwV
カミチヒ好きだ
気が向いたらお願いします
412名無しさん@ピンキー:2009/02/10(火) 14:32:12 ID:MdtbePor
ズコーッ
413名無しさん@ピンキー:2009/02/10(火) 16:37:56 ID:Rojjmu1D
落としてくれー
414名無しさん@ピンキー:2009/02/10(火) 21:21:00 ID:n88TMKHQ
か、カミチヒに餓えてる自分にお恵みを…
415名無しさん@ピンキー:2009/02/10(火) 23:18:13 ID:okin0Xe6
逆検フライング祭りに出遅れた!
シーナも美雲もいちるも、そして勿論冥もみんな期待してるし
狼も童貞臭いキャラが多い逆裁シリーズにおいて貴重なチンコwになれそうだ
416名無しさん@ピンキー:2009/02/10(火) 23:20:59 ID:UtWTKD8s
どうぞどうぞ語ってってくれ
417名無しさん@ピンキー:2009/02/10(火) 23:44:33 ID:okin0Xe6
じゃあお言葉に甘えて

狼の命令でシーナが御剣にハニートラップを仕掛け
カウンターインテリジェンスで冥が狼に近付いてほしい。
そして美雲はその四者を撹乱するトリックスター的存在。

本編では絶対にそんなこと有り得ないのは分かってるけどw
418名無しさん@ピンキー:2009/02/10(火) 23:52:57 ID:J7Aqh5L7
>>15の続きまだあああ???
419名無しさん@ピンキー:2009/02/10(火) 23:58:32 ID:0OoiexZm
シーナに嫉妬する冥タン…
420名無しさん@ピンキー:2009/02/11(水) 00:49:13 ID:wTFTgGmY
むしろシーナと冥たんが妖しい関係に…
421名無しさん@ピンキー:2009/02/11(水) 00:56:35 ID:ISRlHNzb
>>417
いいないいな
スワッピング萌え
422名無しさん@ピンキー:2009/02/13(金) 00:59:36 ID:xIZNMFVC
 http://www.sanspo.com/shakai/news/090211/sha0902110504010-n2.htm

この事故、はみちゃんとイトノコの話を思い出して鬱になった
423名無しさん@ピンキー:2009/02/14(土) 04:09:46 ID:w8l+Qsl/
ナルマヨが読みたい。
書きたいけどケータイだからな。
424名無しさん@ピンキー:2009/02/14(土) 08:44:06 ID:HFyRy4sO
うん、ナルマヨ読みたい。
多分携帯から投下してるんだろうなって人がたまにいるけど尊敬しちゃうよ。

なああああるうううまああああよおおおお!!!
425名無しさん@ピンキー:2009/02/14(土) 18:58:47 ID:bjUjlYNF
バレンタインネタこないなー
426名無しさん@ピンキー:2009/02/14(土) 19:27:05 ID:MO6uV5QH
>>424
牙琉先生、お疲れ様です
427名無しさん@ピンキー:2009/02/15(日) 02:06:10 ID:DxqDIoIa
先生って真宵の存在知ってるのか?
428名無しさん@ピンキー:2009/02/15(日) 04:12:51 ID:plYN1scv
真宵ちゃんというか綾里家は上流階級御用達の霊媒師だったみたいだから、上流階級に憧れてそうな牙琉は知ってそうな気がする。
それにナルホドに嫉妬してたんだから、ナルホド近辺の事は調べ尽くしてるんじゃないかな。
429名無しさん@ピンキー:2009/02/15(日) 06:55:39 ID:bmr4cFSR
真宵、よくキリヒトに狙われなかったよな。
成歩堂に痛手を負わすなら真宵に何かするのが一番手っ取り早い気がする。
430名無しさん@ピンキー:2009/02/15(日) 07:25:20 ID:+TcnXHKy
よし、その設定で誰か頼む
431名無しさん@ピンキー:2009/02/15(日) 09:40:57 ID:bmr4cFSR
っていうかそれで書きかけのがあるんだけど
エロ場面は書いたものの、オチが思い浮かばなくて長い間放置してるのがある。
432名無しさん@ピンキー:2009/02/15(日) 11:32:58 ID:+TcnXHKy
どうぞどうぞ
遠慮しないでさあ ↓
433名無しさん@ピンキー:2009/02/15(日) 12:45:49 ID:bmr4cFSR
煮詰まり過ぎてどうしようもないから、結末が考えついて推敲したら落とすよ。
期待しないで待っててくれたら嬉しい。
434名無しさん@ピンキー:2009/02/15(日) 12:49:21 ID:LidgJzKN
でもガリュウが真宵に何か仕掛けようとしても
逆に手痛いしっぺ返しを食らいそうな気がする。

例え成歩堂が絡んでようと、真宵はその辺ことはしっかりしてて
結果的に自分を含めたみんなを傷付けるだけと直感で察知して
絶対おかしな甘言に乗ったりしないと思う。
435名無しさん@ピンキー:2009/02/15(日) 12:55:22 ID:+TcnXHKy
>>433
待ってる!
>>434
まあそのへんはエロパロだからいろんな設定楽しもうということでw
436名無しさん@ピンキー:2009/02/15(日) 14:10:40 ID:cyUVLC+c
>>434
別にそんな事はどうでもいい

ここはエロパロなんだから
437名無しさん@ピンキー:2009/02/15(日) 14:56:42 ID:PTTDtsAC
4のなるほどはいくらなんでも落ちぶれ過ぎだろーと思ってたけど
弁護士資格と真宵を同時に失ってたとしたら
あの転落っぷりは有りな気がしてきた

※あくまでエロパロ的に
438名無しさん@ピンキー:2009/02/15(日) 15:08:53 ID:rDM4G7G7
エロパロ的じゃなくても
捏造やって弁護士資格取り上げられた男が
御家再興の宿願を背負った新家元様の周りをうろちょろされたら
倉院のお偉いさんの人たちには目障りだろうなーと考えたことはある
有力者との縁談が持ち上がってる可能性もありそうだし
大金積まれて「頼むからこれで家元様に近付かないでくれ」くらいのことはやられてるかも
439名無しさん@ピンキー:2009/02/15(日) 16:26:12 ID:IS7F6sWU
そうかな。
確かにそういう考えのも何人かいそうだけど、
それ以前にナルホドは次期家元のことを何回も助けてるからなぁ。
家元本人と霊力と自己主張の強い侍女のようなのがいるから
下手なことは出来ないと思うよ。
失ったっつっても、嫌がらせのような山積みトノサマンを見ると
良い雰囲気で続いてそうだと思ったけどな。
440名無しさん@ピンキー:2009/02/15(日) 16:39:06 ID:oqviegh+
エロパロなんだからみんな好きに妄想すりゃいいじゃないか
441名無しさん@ピンキー:2009/02/15(日) 17:59:44 ID:Y2RcH26K
そうそう、いろんなシチュでなるまよ楽しみたい
442名無しさん@ピンキー:2009/02/15(日) 18:08:55 ID:rDM4G7G7
>>439
真宵は死ねば即御家断絶という唯一の継承者なわけではなく
所詮春美と言うスペアのいる、極論してしまえば死んだら死んだで特に問題の無い存在
その真宵を助けたという行為は、建前はともかく倉院流上層部の本音では
実はそれほど重要視されていないのでは?
建前上の恩人であることと、スキャンダルの火種になるリスクを
天秤にかければ後者に傾くのは自明の理

まあ、社会派物でも政治物でも歴史物でもない作品に
「組織の非情な理論」を持ち出すのは我ながら無粋だとは自覚してるがw
443名無しさん@ピンキー:2009/02/15(日) 18:21:43 ID:Y2RcH26K
じゃあそろそろおまいらの情熱を形にしてくれ ↓
444名無しさん@ピンキー:2009/02/15(日) 18:33:40 ID:57nwgbXQ
たまにはオレのことも思い出してください(王泥喜法介)
445名無しさん@ピンキー:2009/02/15(日) 19:59:33 ID:bmr4cFSR
>>442
それを言うと1〜3全ての出来事が意味をなさなくなるので
無粋だとわかってるならちょっと自重しようか。
446名無しさん@ピンキー:2009/02/15(日) 22:04:32 ID:4B0ypAJJ
春美をスペアにってのは、どうだろうか。母ちゃん犯罪者だぞ。
447名無しさん@ピンキー:2009/02/15(日) 22:21:34 ID:KVmKCzco
悲しいことに姉も犯罪者だね。

てかその真宵ちゃん絡みのネタはちょっと美味しいかも。いただいていい?
448名無しさん@ピンキー:2009/02/15(日) 23:18:14 ID:3gqTGgSw
>>431みたいな人って結構いるの?
詰まったり、分からないことがあったらここで相談して皆で考えようぜ
449名無しさん@ピンキー:2009/02/16(月) 15:02:19 ID:aKKUTXZT
>>446
でも真宵の母親も一族没落の原因作ってドロンしたわけだしなぁ。
どっこいどっこいなんじゃない?

そういや前に、舞子が何で失踪なんて責任の取り方をしたのか?
って疑問に対して「側近達から自殺するよう迫られたから」って推察がされてたな。

命で責任を取れば世間もバッシングし難くなるだろうし、それどころか
幼くして家を継がなければならない娘(千尋)への同情が買えるかもしれない。
でも舞子はそれが出来なくて、その上自殺に見せ掛けて殺されるかもしれないから
身の危険を感じて行方をくらませたと。
450名無しさん@ピンキー:2009/02/16(月) 15:32:42 ID:H5wqe9Zv
犯罪よりはマシだろ。
しかも春美の場合、母親だけじゃなくて腹違いの二人の姉も犯罪者だし。
まあ片割れはその次期家元を守るための、だけどな。
451名無しさん@ピンキー:2009/02/16(月) 15:47:53 ID:H5wqe9Zv
あ、腹違いじゃなかった
異父だったなすまんこ
452名無しさん@ピンキー:2009/02/16(月) 16:36:22 ID:J0cwM21T
このスレはどんな設定でもアリだから議論するだけ無駄
議論したいなら他のスレでやってくれ
453名無しさん@ピンキー:2009/02/16(月) 17:49:29 ID:EgQcWv7n
真宵スレでやれカス
454名無しさん@ピンキー:2009/02/16(月) 18:55:56 ID:FpwkO//q
すみません。質問させて下さい。
>>315様のSSに触発されて書いているものがあるんですが、そういったものは投下しない方がいいんでしょうか?

455名無しさん@ピンキー:2009/02/16(月) 19:02:04 ID:3M6Elcih
>>454
かまわん
どんどんやれ
456名無しさん@ピンキー:2009/02/16(月) 19:02:46 ID:3M6Elcih
あ、でも一応注意書きは書いたほうがいいね
457名無しさん@ピンキー:2009/02/16(月) 19:06:50 ID:ZgVuRDP6
>>454
まず作者さんの許可を取るべきでは?
書き手の控え室スレなんかを見てると
勝手に二次を書かれるのを嫌がる書き手さんも多いし
458名無しさん@ピンキー:2009/02/16(月) 19:14:25 ID:3M6Elcih
内容そんな似てるのか?w
459名無しさん@ピンキー:2009/02/16(月) 19:20:47 ID:+8Fxmnz9
>>457
同意。
第三者がどうこう言える話ではないので、作者さんに了解をもらうべきだと思う。
自分ならちょっと嫌だ。
460名無しさん@ピンキー:2009/02/16(月) 19:43:08 ID:3M6Elcih
なに?>>454って>>315の二次もんなの?
触発されて、影響受けて、ちょっと設定が似たようなのは
あんま遠慮しなくていいと思うけど
461名無しさん@ピンキー:2009/02/16(月) 20:20:11 ID:FpwkO//q
皆様レス有難うございます。

>>315様とは逆方向な鬱展開です。

内容としては、千尋さんが殺されて真宵ちゃんが精神的に病んで、なるほどくんを襲ってしまう→なるほどくんも鬱堕ち、みたいな話です。
>>315様の作品を見て、2人とも千尋さんの事で自分を責めて続けたらどうなるだろう、真宵ちゃんがなるほどくんを憎んだら、と思って書こうと思いました。

確かに作者様に了承を頂くのが先ですよね。

こちらではスレチですから、控え室スレでお伺いを立てるべきでしょうか?
462名無しさん@ピンキー:2009/02/16(月) 22:58:29 ID:3emgDj6y
影響を受けただけで別作品ならいいだろう
迷惑するのは自分の作品の続きとかを勝手に書かれる場合でしょ
463名無しさん@ピンキー:2009/02/17(火) 12:18:15 ID:Z8fzDfLL
人それぞれなんじゃないの。
464名無しさん@ピンキー:2009/02/18(水) 02:32:34 ID:9GoiZgwl
「パクリだろ」って叩かれたくないんだったらシチュもらいましたとかは言うべき。
許可とりたい気持ちは分かるけど書き手さんに会えないこと多いよ
465名無しさん@ピンキー:2009/02/18(水) 15:24:06 ID:pnmBdWQS
もう誰も覚えてないかもしれないけど、
童貞なるまよのSS投下したヤツです。
一応書きかけだけど、その時の続きを。
忙しくて全然かけてなくてスマソorz
466名無しさん@ピンキー:2009/02/18(水) 15:24:51 ID:pnmBdWQS
08/10/09の続き。

「ん‥‥‥‥んん‥‥」
鳥の歌声が遠くで聞こえている。
目をあけると、和室じゃない天井。慣れない枕。
朝焼けの綺麗な色した光が眼を射す。
あたしの下半身の奥で、いつもは感じない治りかけの火傷のような痛みが続いている。
あたしたち、しちゃったんだ。

‥‥だって、あたしの横には好きな人。しかも、ハダカの。

寝息を立てて寝ている。
ギザギザの眉毛がたまにぴくっと動いたりして、
その寝顔は意外にもカワイイ。

「‥‥なるほどくん、スキ」

小さな声で呼んでみる。
起きる気配は、ない。
‥‥‥‥‥‥どうせ、寝てるし気付かないよね?

あたしは、いとしい人に密着して、唇を奪った。
触れるだけの軽いキスに好きだという気持ちをこめて。

「‥‥‥‥おはよ」

「ん、おはよ」
ぱちりと目を開くなるほどくん。

「きゃわあああ!?」
あわてて布団に沈むあたし。まさか、起きていたなんて。
「あ、あのあの、聞いてないよね!?さっきの」
「うん?なんのことかな」
「な、なんでもないよ!寝ぼけて変なコト言っちゃっただけ!」
「ボクも好きだよ、真宵ちゃん」
ニコ、と意地悪そうに笑いを浮かべるなるほどくん。
途端瞬間湯沸かし器みたいに首筋からつむじに向かって熱が湧き上がる。
起きてたなら、素直に起きてほしい!と訴えようとして
さっきまでなるほどくんとあたしが共有していた蕎麦殻の枕を掴んで
なるほどくんの顔目掛けて投げようとしたら、
その手を大きくて骨ばった手に捕まえられ、
役目を果たさなくなった枕はドサと跳ね落ちた。

「ぅ‥‥っ」

昨夜、何回したであろう大人のキスを、
さっきのお返しだよと言わんばかりになるほどくんが仕掛けてくる。
唇が、本能が、なるほどくんを求めてしまう。
昨夜あんなに繰り返すようにキスをしたのに、
明るい空間でするソレは、なんだか違って感じる。
うっすら目をあけると、なるほどくんの睫毛が、瞼がそこにあって‥‥
467名無しさん@ピンキー:2009/02/18(水) 15:25:20 ID:pnmBdWQS
「‥‥っは」

水中に潜って、水面の上に顔を出したように息継ぎをする。
唾液の糸が、あたしとなるほどくんを繋いで、落ちた。
ふいに、強い力で両手首をつかまれて、そのまま体重をかけられる。
目が覚めたばかりだというのに、再び布団に沈む。

「わ、なに‥‥」
「‥‥昨日のマヨイちゃん、すごく可愛かった」
「え。う。な‥‥なに言ってんの」
なるほどくんにカワイイなんて言われたのが初めてで。
というか、なるほどくんの口から可愛いなんて言葉が出てくることがビックリで。
心と口が完全一致でうろたえてしまう。
「‥‥かわいい」
「な、なるほどくん‥‥、キャラちがくない?」
「なんというか、スキンシップってスナオになれるよな」
「ス、スキンシ‥‥ってきゃわあ!」
強烈な視線を胸の頂に感じる。昨夜のままの恰好だったから、お互い全裸だったんだ。
見られている!って感じて、あたしは身を捩って隠そうとしたけど
両手がふさがれてて叶わなかった。
「好きだよ、真宵ちゃん」
「なにいっ‥‥‥‥‥‥ッン」
なるほどくんは体と唇を密着させてきた。触れた部分が暖かいというより熱いくらい。
「‥‥‥‥‥‥しても、いい?」

有無を言わせないような低いトーンと、甘えるような瞳のギャップと、
あたしの下肢に触れた、なるほどくんの熱い主張に迫られて断れるはずもなかった。
好きという気持ちがあったら、何でもできちゃうって、ホントなんだなあ‥‥

朝焼けの光の中、あたしたちは二度目の結合を楽しんだ。
468名無しさん@ピンキー:2009/02/18(水) 15:26:29 ID:pnmBdWQS
***

「‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥〜♪」
「ご機嫌だねなるほどくん‥‥。あたしはこんなにつらいのに」
今日の仕事は散々。
あれから2時間ほど抱き合って、二人とも疲れて寝ちゃって、目を覚ましたらお昼前。
遅刻もいいところな上に、・・・・・・・・・とてつもなく、痛い。
あそこの奥がズキズキジンジンひりついている。
独特の倦怠感が、あたしからやる気を奪う。
整理整頓の嫌いななるほどくんのデスクは、いくら片づけてもすぐ元に戻るから
毎日片づけないといけないのに、今日は体が動かせない。
「里に一回戻るつもりだったのに」
「ごめんね、真宵ちゃん。あんまり可愛かったもんだから」
「‥‥も、もーっ!人を褒めたら喜ぶと思ったら大間違いだよ!」
「あ、じゃあ顔が赤いのは熱でもあるのかな?大丈夫?」
「〜〜〜〜〜!!」
言葉で言い返せない分を拳に秘めてなるほどくんの腕を叩く。
「ははは。かわいいなあ」

なるほどくんは、普段淡泊だけど、一度本気になったらこれでもかってくらい
甘々になっちゃうことを今日知った。
昨日あんなことになるまで、
なるほどくんの口からあたしを可愛いと言ったことなんて無かったのに、
今日愛し合ってるときだって、事務所に来る途中だって、今だって、
こっちが恥ずかしくなるくらい、あたしにメロメロ(死語)だった。
‥‥でも、悪い気はしないというか、むしろ嬉しいんだけど、それは秘密にしておく。
バカップルみたいで、恥ずかしいんだもん。


「‥‥なるほどくん、はみちゃんの前では普通にしてよね!」
「わかってるよ。二人のときだけだよ」
「‥‥もー、なるほどくんがそんなキャラだったなんて思わなかったよー」
「真宵ちゃんが可愛いからだよ」
「‥‥‥‥‥‥‥‥サムいよ、いいかげん」
「失礼な」


『俄然ヒーローだ、トノサマーーン』

「あ、電話‥‥ったた‥‥なるほどくん、とって」
あたしの電話からトノサマンの着メロが大音量で自己主張する。
鈍痛と気だるさのせいで、ソファからデスクまでの距離が異様に長く感じる。
なるほどくんを中継にして、腕だけを伸ばす。
469名無しさん@ピンキー:2009/02/18(水) 15:27:35 ID:pnmBdWQS
「もしもしぃ‥‥‥‥‥‥あ!はみちゃん!」
「真宵さまっ!」
「ご、ごめんね!昨夜は連絡もしないで‥‥」
「い、いえ。それはよろしいのですけれど‥‥」
「?どうしたの?」
あたしの声にはみちゃんが息をのみこむ。
たっぷりと空けた間のあとに、
「大叔母さまが、真宵さまにすぐ戻るようにと‥‥」
と、電話の向こうでつぶやいた。

大叔母様?
普段は修験者の補助とかを任せっきりにしちゃっているけど、
何の用だろ‥‥。はみちゃんの声、なんだかただ事じゃないみたいだし‥‥

「わかった。今から事務所出るから。そっちには夕方までに戻るよ」
「はい。お気をつけて、真宵さま」

そう言って、電話を切ると
すぐさまなるほどくんは尋ねてくる。

「春美ちゃん、なんだって?」
「わかんない。けど、すぐ里に帰ってきてだって」
「‥‥そっか」
「‥‥‥‥ナニ?、その声」

「真宵ちゃんがいないと寂しいなって」
「あたしがいないと寂しいなって?」

驚きのシンクロ率できれいにハモった。
見透かされてきょとんとするナルホドくん。

「なるほどくんがあたしを好きなのは、十分わかったから!なんて。
 じゃ、あたし里に戻るね。
 大叔母様から何か用事みたい。
 もしかしたらしばらく長引くかもしれないから、向こうから電話かけるね!」

「うん。気をつけて」

「じゃあまたね!」

腰の痛みを我慢してソファから跳ね起きる。
笑顔で手を振って、事務所を後にした。


いつも、そうしてたみたいに。じゃあまたね、と。

このときは最高に幸せだった。

なるほどくんがいて、その隣にあたしがいる。

その構図はもう当たり前になっていたから、

余計さみしかった。
470名無しさん@ピンキー:2009/02/18(水) 15:27:59 ID:pnmBdWQS
***


「あたしが、家元‥‥」

里に帰るなり、いろんな人に囲まれて屋敷の修験場で正座をさせられたと思ったら
とうとう、現実を突きつけられた。

「真宵さま。舞子さまのこと、ほんにお気の毒でございました。
 里の者一同を代表してお悔やみ申し上げます。
 しかしながら、先代亡き今、この里を守っていくのは、
 真宵さま。あなたしかおられません。
 家元の血筋が家元を継ぐ、‥‥よくご存じですね?」

「うん‥‥」

「さすれば、真宵さま。
 厳しいことを申し上げるようですが、新しい家元としての自覚を持って頂きたいのです。
 今までは家元不在ということで、里の者で分担して参りましたが、
 今後正式な家元として真宵さまには、数々の業務をこなして頂かねばなりません。
 ‥‥真宵さま、わかっていただけますか?」

「‥‥」

大叔母様は普段から温和な人で、滅多なことでは表情を崩さない。
眉間にしわを寄せたことなどなかったけれど、
今、あたしを見つめる顔と声はとても厳しいものだった。
それはあたしが頼りないから、とかふらふらしているから、とかじゃなく
あたしに強くなってほしいという愛情から来ているものだということが
手に取るようにわかる。眼尻に浮かんだ涙が証明していた。
わずかに滲んだそれがとても重々しくて、どうしても直視できず
あたしは俯き、言葉を詰まらせた。

「先日の舞子さまの事件での裁判で、真宵さまは
 ご自身の運命を恐れていると見受けられる発言をしたこと、耳にしました。
 ‥‥成歩堂法律事務所の副所長と‥‥名乗ったそうですね」

あたしが、美柳ちなみから解放されたあと、
名前と職業を聞かれたときに、咄嗟に出た言葉。
そうであってほしい、と自分の希望を込めての発言だった。

「実は‥‥真宵さまが家元を襲名する際にと、
 千尋さまがこの里を出る時に預かっておいたものがございます」

「お姉ちゃんが‥‥?」

お姉ちゃんの名前が出て、顔をあげた。
すると大叔母様は懐から、時の流れを感じさせる封筒を取り出し
あたしの前にスッと手を添えながら差し出した。
黒々とした墨と細い筆で丁寧に書かれた、≪真宵へ≫の文字。
間違いなく、お姉ちゃんの字だ。

遠慮がちに、封を切る。

中にはB5サイズの白い紙が、3つ折りで入っていた。
開くと、綺麗な字がずらりと並んでいる。
471名無しさん@ピンキー:2009/02/18(水) 15:28:40 ID:pnmBdWQS
とりあえず、今日はここまで。
また続きはいずれ。筆が遅くて本当にスンマセン
472名無しさん@ピンキー:2009/02/18(水) 16:42:59 ID:2n/OGylC
素晴らしい作品の途中で失礼いたします。
>>454>>461です。
拙い質問に答えて下さり、御意見をお聞かせ下さった皆様、本当に有難うございます。

スレが荒れる危険性がありますし、
何よりも、作者様が嫌な思いをする可能性が少しでもある物を投下するのは良くない、という考えに至りましたので、投下はやめようと思います。

住人の皆様、そして>>315様には、御迷惑をお掛けしました。
申し訳ありません。
以後、気をつけるように致します。
473名無しさん@ピンキー:2009/02/18(水) 18:19:29 ID:NIiGxsrF
キタワァ*・゜゚・*:.。.:*・゜(n‘∀‘)η゚・*:.。.:*・゜゚・*

童貞待ってた!!
今から読む!!!!!!!
474名無しさん@ピンキー:2009/02/18(水) 18:35:53 ID:NIiGxsrF
運命の歯車が動き始めたというべきか…。
なるまよって切ないね。

続きを楽しみに待ってるよ。
475名無しさん@ピンキー:2009/02/18(水) 19:01:45 ID:8b7sTrNQ
乙!!
千尋がのこした手紙気になるなー
続きまってます
476名無しさん@ピンキー:2009/02/20(金) 10:49:19 ID:9HGfTw8Z
GJ!
続き楽しみにしてるね〜。

本スレで数日前に、「4の時間軸にいる真宵はどう考えても非処女」ってレスを見てから、
ニットと真宵で色々と妄想が頭を駆け巡って大変なことになっている。
ニットのヤル気のない雰囲気が逆にエロい雰囲気を醸し出してて、
そこに3の頃よりは多少肉感的になってはいるけど清楚な真宵が(;´Д`)ハァハァl \ァ l \ァ
477名無しさん@ピンキー:2009/02/21(土) 09:13:58 ID:O0b5rKD8
喫茶店読んできました

続きが管理人さんのサイトにあると聞いたのですが
ここでそのサイトを教えていただくというのは
マナー違反などになるのでしょうか?
478名無しさん@ピンキー:2009/02/21(土) 11:13:28 ID:2S87dtrC
まずは自分で調べましょう。
検索すれば出ます。
479名無しさん@ピンキー:2009/02/21(土) 15:56:49 ID:Iuz6Btq+
sageない奴には教えられんな!!!
480名無しさん@ピンキー:2009/02/21(土) 16:55:52 ID:O0b5rKD8
すみません、思い当たる検索ワードで検索してはみたんですけど
ひっかからなくて…

もし良かったらヒント教えてください
481名無しさん@ピンキー:2009/02/21(土) 18:22:37 ID:2S87dtrC
おことわりします
482名無しさん@ピンキー:2009/02/21(土) 18:56:49 ID:FAEPvk9U
上のほうに検索ワードのヒントがあったはず
483名無しさん@ピンキー:2009/02/21(土) 20:31:47 ID:O0b5rKD8
すみません、一応レスは全て読みましたが
見落としてたのかもしれないです。

上の方というのは
最初の方ということですよね?

探してみます。

ありがとうございます。
484名無しさん@ピンキー:2009/02/23(月) 16:19:58 ID:jf7d8KQG
ここの住人はツンデレが多いな
485名無しさん@ピンキー:2009/02/23(月) 20:18:12 ID:IHLTcYE+
てか 超ひねくれてる
486名無しさん@ピンキー:2009/02/23(月) 22:13:11 ID:STfT5o+/
宝塚記念にフェニックス×レオナが見てみたい
ヅカ観てきた人、誰か頼む
487名無しさん@ピンキー:2009/02/23(月) 22:33:55 ID:hRbymEv2
いやー…
宝塚はないだろ…
488名無しさん@ピンキー:2009/02/24(火) 00:44:42 ID:1SkNyT60
ないだろなんていうなって
489名無しさん@ピンキー:2009/02/24(火) 01:01:25 ID:xEpUePUH
宝塚は荒れる元になるからやめた方が良いと思う。
490名無しさん@ピンキー:2009/02/24(火) 01:39:34 ID:HOMDP98O
宝塚は知らんが英語版キャラは読んでみたい気もする
ニックとマヤ
491名無しさん@ピンキー:2009/02/24(火) 06:30:11 ID:5E/yAoKS
既存のキャラ(ゲーム内に出てくる)なら良いと思うけど
ヅカオリジナルは避けた方が良いと私も思う。
492名無しさん@ピンキー:2009/02/24(火) 11:19:21 ID:q3Jzue9X
>>490
洋物AVを想像してしまったw
493名無しさん@ピンキー:2009/02/24(火) 23:33:32 ID:ojcgzXGo
公式であれだけ大っぴらにフリーダムなことやってくれるなら
素人の二次でも多少羽目を外してもいいかなと思ってしまう。

原作キャラ×完全なオリキャラは流石にまずいだろうが
例えば、大分前に話題に出た「もしDL6号事件が起こらなかったら」みたいな
原作設定を元に翻案した話を読んでみたくなった。
494名無しさん@ピンキー:2009/02/24(火) 23:41:21 ID:GtdlU2xH
つか、ヅカを公式とか勘弁してくれ。
素人がやる分には>>493の後半みたいなif設定は面白いと思う。
495名無しさん@ピンキー:2009/02/25(水) 00:20:52 ID:gvPVDTwz
公式だろ?非公式なら著作権違反だろ
496名無しさん@ピンキー:2009/02/25(水) 00:53:22 ID:ynADCX1i
あれは公式とは言わないだろ、jk
よくて外伝扱い、個人的には全くの別物だと考えてる。
497名無しさん@ピンキー:2009/02/25(水) 00:58:30 ID:Kmgi5BhC
>>495はここでの『公式』の意味をはき違えているに2000点
498名無しさん@ピンキー:2009/02/25(水) 01:06:56 ID:8ZBZuIA9
このスレで受け入れられるもの→公式
このスレで受け入れられないもの→非公式
悲しいけど、これ現実なのよね

具体的にはナルマヨとミツメイの対抗カプを投下する人は
それなりの覚悟が必要ね。
499名無しさん@ピンキー:2009/02/25(水) 01:17:03 ID:gvPVDTwz
そうなんだ。ところで、なんで18禁のエロスレでカプ厨がのさばってんの?
500名無しさん@ピンキー:2009/02/25(水) 01:20:53 ID:idAbloOb
本スレの話題を引っ張って来て荒らしたい人?
だったら勘弁して。
501名無しさん@ピンキー:2009/02/25(水) 01:24:52 ID:LnxTBk3q
>>499
そんなのカプ厨が多いからに決まってるじゃない
逆裁ファンは女性が多いとカプコン公式でも発表されてるし
502名無しさん@ピンキー:2009/02/25(水) 01:31:08 ID:gvPVDTwz
>>501
サンクス
>>500
違う
自分の気に入らないモノを都合よく排除しようとする流れにしてほしくないんだよ
投稿者の意欲をそぐようなことになるから
前から言ってるんだけど
503名無しさん@ピンキー:2009/02/25(水) 01:42:37 ID:P+twbsc6
気に入らないって、この流れだとヅカ?
ヅカの話題はやめた方が良いっていうのは、ヅカが特殊な集団ってのもあると思うよ。
ハマる人はハマるけど、その分嫌いな人はとことん嫌い。
そんな集団な上に、オリジナルキャラが主役キャラとラブロマンスという
公式なんだか非公式なんだか微妙な設定。
要はレオナを逆裁キャラと認めるか否かの問題だろうけど、
やっぱ本編ゲームに出て来るわけじゃないからちょっと違うんじゃないと思う。
504名無しさん@ピンキー:2009/02/25(水) 17:30:52 ID:wUqCNaKu
喧嘩してないで投下してくり〜♪
505名無しさん@ピンキー:2009/02/25(水) 20:29:00 ID:dv8tOo1s
>>493が言ってるみたいな、DL6号事件が起きていない場合のミツメイ書いてみてる。
パラレルだから躊躇してるんだけど、出来上がったら投下して大丈夫かな?

まだちょっと時間かかるけど
506名無しさん@ピンキー:2009/02/25(水) 20:33:06 ID:EUsTO8tf
>>505
楽しみに待ってるよ!
507名無しさん@ピンキー:2009/02/25(水) 21:11:22 ID:ShhnWU29
>>505
待ってます!
508名無しさん@ピンキー:2009/02/25(水) 22:06:09 ID:AlEj6aQF
>>505

待ってる

509冥→成:2009/02/26(木) 02:46:13 ID:aS5gByFC
神待ち投下致します。


・冥→成歩堂(マイナーですみません)
・冥の片思い
・成歩堂と真宵が恋人関係
・成歩堂が駄目な大人
・エロがない
・遅すぎるバレンタインネタ

書き手が初心者で初投下。
しかもケータイからなので、読みづらいかとは思いますが、ご了承下さい。

大丈夫な方は、神が降臨するまでの暇つぶしにどうぞ。
510冥→成1:2009/02/26(木) 02:51:34 ID:aS5gByFC

「………………」

ここ、成歩堂法律事務所に異様な空気が流れている。
その中には僕と、狩魔冥がいた。
応接用のテーブルを挟んでソファーに座り、既に10分近い沈黙が流れている。
彼女は眉間に皺を寄せて、僕を睨みつけていた。
眼力で殺されるんじゃないかと思い、たまらず視線を逸らす。

何なんだ…?やって来るなり黙り込んで…。真っ先に用件を済ませるタイプだと思ってたんだけどな…。
さっきだって、何の用だと聞いたら「ちょっと待ちなさいよ!この成歩堂龍一がっ!」ってムチ振り回すし…

その時の彼女の形相を思い出し、身震いした。

…まさか!真宵ちゃんとの事、何か言いに来たのか?!「ロリコン」とか「女の敵」って思われているんだろうか?!
違うぞ!僕はロリコンじゃない!!
確かにマヨイちゃんとは歳が結構離れてる。法曹界に身を置く者にしてみれば、この関係は不適切かもしれない。
だがしかし!僕達には誰にも負けない愛がある!!
まぁ、いろいろ致してはいるけれども、愛し合う男女なら当然のこと!!歳の差なんて関係ないのです!!だから!僕達の恋愛は、罪にはならない!!!…………ならないといいけど、なる、かなぁ。

とにかく、マヨイちゃんとは軽い気持ちで付き合ってる訳じゃないことは、ちゃんと分かって貰おう。

僕は視線を泳がせるのをやめ、彼女を真っ直ぐ見た。
視線がぶつかると彼女は、ぱっと下を向く。
流石におかしく思って、声をかけた。
「…狩魔検事。本当にどうしたんだ?ずっと黙り込んでいるし…。君らしくない」
それが切欠になったのか、「…ああ、もう、私としたことが」と自分に苛立ったように言うと、彼女は自分の鞄をあさった。
そして、品の良い青の包み紙と白いリボンで丁寧にラッピングされた小さな箱を取り出し、テーブルの上に置いた。
「………………」
「………………」

「ちょっと!!何ぼさっとしてるのよ!?」
「えええええ!?」
「サッサと受け取りなさい!」
「僕!?」
「他に誰がいるのよ!」
「…一体誰から?」
「なっ!私に決まっているでしょう!?他に誰がいるのよ!」
「狩魔検事が!?僕に?!」
「そうよ!」
「………何かの証拠品…?」
「このっ…!な、る、ほ、ど、う、りゅういちがああああああああ!!!」
…華麗なムチ捌きに声も出ない。
511冥→成2:2009/02/26(木) 02:55:43 ID:aS5gByFC

叩かれた激痛で突っ伏しているからだけど。

彼女は息を整えて、ソファーに座り直し、包みを開けろと促す。
納得いかないと思いつつ、ヨロヨロと立ち上がり、テーブルの上に置かれた包みを丁寧に開いた。
「これは…?」
「見て分からないのら、眼科に行くことをお薦めするわ」
「いや、そうじゃなくて。…何で、僕にチョコレートなんか…」
包みの中には、ココアパウダーをまぶしたトリュフチョコが四つ入っていた。
訝しんでいると、彼女は呆れたように言う。
「バカはバカ故にバカさ加減がバカにできないわね。…昨日は何の日?」
「え…?昨日は………あ」
そう。昨日はバレンタインデー。
想いの籠もったチョコレートが花を添え、愛を告白する日。
…何か恥ずかしいな。

勿論、その日はマヨイちゃんと一緒に過ごした。
修行の為に今朝、倉院に帰ってしまったけど。

『……好きだよ…、なるほどくん』

頬を桜色に染めながら渡してくれた、手作りの、甘い、甘いチョコレートは、まだ食べきらずに大切に保管してある。
そして、チョコレートなんかよりも、甘くとろけるような一夜を共にしたことは、言うまでもない。
「顔」
「…へ?」
彼女の不機嫌な声で現実に引き戻される。

「顔が気持ち悪いわ。またムチを食らいたくなければ、にやけるのを止めるのね、今すぐ」
「…はい……」
手で口元を隠した。
いつの間にか表情が緩んでいたみたいだ。
そんな様子をジト目で睨むと、彼女はいつもより饒舌に語る。
「日本では、女が男に贈るのね。
こういう習慣は、私には全く理解できないけど。…まあ、チョコレート会社の経営戦略に乗ってみてもいいかしらと思ったのよ」
「はあ……。でも昨日だよ、バレンタイン」
「わ、私だって暇じゃないのよ!持ってきてやっただけ感謝しなさい」
銀髪をぱさりと揺らし、腕を組み、偉そうにふんぞり返る。やっと彼女らしくなったなと、少し安心した。
「………………」
「………………」

「だから、何でそこで終わるのよ!?」
「えええええええええ!?」
「サッサと食べなさい!」
「え」
「…なによ」
「……………毒とか入っ」
「こっ…!!なるほどうりゅういちがあああああああああ!!」
またムチで打たれる!と身構えるが、いつまでたっても鋭い一撃はやって来ない。
512冥→成3:2009/02/26(木) 03:00:35 ID:aS5gByFC

恐る恐る目を開けると、ムチを振り上げたまま、彼女は突っ立っていた。

「…狩魔検事?」と声をかけると、ゆっくりとムチを持った手を下に降ろした。
「バカはバカだから、バカだけど、…バカなのに…バカ……何で、貴方なんか…」
それだけ言うと、力無くソファーに腰を降ろし、それきり、彼女は下を向き、黙ってしまった。
予想外の展開に驚いて、彼女に近づく。
「ごっごめん!言い過ぎた!」
「バカ!!寄らないで!」
「はい!」
「いいから、サッサと食べなさい!」
「はいい!」
表情は伺い知れないが、物凄い剣幕に思わずその通りにしてしまう。
箱から一つ取って口に含んだ。
カカオの芳醇な香りと、口当たりの良いビターチョコレートのほろ苦さが、口いっぱいに広がって溶けていく。
「…美味しい」
「当然よ。…私が作ったんだから」
更に驚いた。
いつもの彼女からは、お菓子作りなんてイメージが無かったから。
「…何か失礼なこと考えてるでしょう?」
「そ、そんなことないよ!」
思考を読まれて慌てると、彼女は少し笑って顔を上げた。
「料理くらい、一通りできるわよ。『狩魔』は完璧なんだから。…もう食べないの?」
「い、いや、頂きます!」
チョコレートを次々咀嚼していく。

食べ終わるまで、彼女はそれを黙って見つめていた。
「えっと…、ごちそうさまでした。その……ありがとう」
頬を掻きながら礼を言うと、彼女は勢いよく立ち上がる。
「じゃあ、私はこれで失礼するわ」

やっぱり、聞いておいた方がいいのかな。分からないけど、…気になるしなぁ。

「狩魔検事」
「…な、なに」
「……僕の勘違いだったら悪いけど、その………君は、僕のこと、好き、なのかな」

彼女の顔が、みるみるうちに真っ赤になった。

余程予想外だったんだろう。何か言おうとしているようだけど、頭に口が追いつかないのか、「えっ、うあ、その」などと声を発している。
あの、天才検事狩魔冥が、なんて分かりやすいんだろう。

…ていうか、この反応は、その、僕の言った通りってことなんだよな………?

「何で貴方が赤くなるのよ!貴方には綾里真宵がいるでしょう!!」
「わっ分かってるけど!今日は君が変だから気になって、…それにっ、そんな反応されたら照れるんだよ!」
513冥→成4:2009/02/26(木) 03:05:43 ID:aS5gByFC

「この浮気者!綾里真宵が可哀想だわ!」
「浮気なんかしないよ!してないよ!!」
「とにかく、用件は済んだから私は帰るわ!」

勝手な言い分に、カチンときて、帰ろうとする彼女の腕を掴んで止める。
「君は何がしたいんだ、さっきから」
彼女は僕を睨みつけ、掴まれていない手で、僕のネクタイを力一杯引っ張り、顔を近づけてきた。
「貴方こそ何よ!?これ以上、何を聞きたいっていうの!何を言わせたいの!?
貴方には、…貴方には、もう、…綾里真宵がいるじゃないっ…」
彼女の瞳が悲しみに揺れていた。
その悲痛な叫びに、姿に、掴んでいた手を思わず緩めた。
その途端、彼女が胸に飛び込んできた。
「えっ!?わ…!」
その勢いに耐えきれず、後ろのソファーに倒れ込む。
彼女は胸に顔を埋めて、シャツをしっかりと掴んでいる。
艶のある銀髪から、シャンプーの良い香りがした。
香水を付けてると思ったのに意外だ、なんて場違いな事を考えていると、彼女は語り出した。
「今日はそれを渡して、食べるのを見たら、すぐ帰るつもりだったわ。それで私の気持ちは終わりにしようって決めて…!!
それなのに、何故、気持ちが揺らぐような事、聞くの…!伝えてしまったら、私は…私…!」
僕は手を少しさまよわせて、慟哭する彼女の髪を優しく撫でた。
びくりと、彼女の肩がはねる。

「…ごめん。僕が鈍すぎた。非道いこと言ってごめん。でも、僕は…」
「分かってるわ。…言わないでよ」
こんな時、どうしたらいいのか分からない。
今まで、こんなにも激しく気持ちをぶつけられた事がなくて、戸惑うばかりだ。
それでも分かることは、彼女の気持ちには応えられないこと。
彼女もそれは望まないこと。

でも、泣くこともせず、叶わぬ想いに苦しむ彼女を放ってはおけなくて、自分が出来ることを何かしてやりたいと思った。
「…僕に何かできることはない?」
彼女は顔を上げ、僕をキョトンと見つめる。
「…驚いたわ。貴方、天然なの?それともわざとなの?」
「…?」
質問の意味が分からず、ただ見つめ返していると、彼女がぎこちなく笑って頬を染め、重なった身体をもっと密着させてきた。
「…私に、思い出をくれる?」
その意味を理解して、一瞬だけ。
自分の下で、快感に身を捩り、切なく喘ぐ狩魔冥が頭をよぎってしまった。

514冥→成5:2009/02/26(木) 03:09:41 ID:aS5gByFC

「それは、えっ、いや、その、あの」

うう。顔が熱い。舌がうまく回らないぞ…。

彼女がふっと笑って胸から離れ、隣に座る。
そして、倒れた体勢のまま、呆然とする僕を見た。

「…何、その無様な格好は。座ったらどう?」
「いや、君が…うぎゃああ!」
ムチの鋭い一撃で、ソファーから転げ落ちた。
…さっきより威力が増してる気が…。

「さっきのは冗談よ。…それとも、する気があるの?」
「なっ!?そっ、そんなこと…ないよ!」
「当然ね。「ある」なんて言おうものなら、食べたチョコレートを、痛みで全て吐き出すまで、ムチで叩かせて貰うわ。
不誠実な男は大嫌いよ」

一瞬よぎったあの光景は黙っていよう。

「…でも、そうね。何かしてくれるのなら」

彼女は何かを思いついて、意地悪く微笑んだ。
「まず、隣に座りなさい」
「はあ…」
「目を閉じなさい」
「はあ…。え。」
「早くする!」
「はいっ」
思わず目を閉じてしまう。
…素直すぎるだろ、僕。と、自分に呆れる。
暗闇の向こうから、彼女の声が囁く。

「私がいいと言うまで開けないで…」

自分の顔に、何かが近づく気配がする。コレはもしや、と思い、緊張して息を止める。
彼女の息が、鼻にかかるのを感じて、
マヨイちゃん、ごめん!と心の中で叫んだ。

が、予想していた唇の感触はなかった。

代わりに、蝶が、左目の睫を掠めた気がした。

515冥→成6:2009/02/26(木) 03:13:34 ID:aS5gByFC

「もう、いいわよ」

目を開けると彼女は帰り支度を整えていた。
テーブルに置いてあったチョコレートの箱も包みも片付けられている。

まるで、最初から、何も無かったかのように。

「今度こそ、失礼するわね」

見送ろうとする僕を手で制して、扉まで歩いていく。
そして一度だけ振り返り、いつもの強気な微笑えみで、
「今日のことは他言無用よ。…忘れなさい」
と言って、静かに扉を閉めた。

彼女の瞳が、少し潤んでいたように見えた。


しんと静まり返った事務所で、白昼夢を見ているような、奇妙な感覚に陥る。

…僕が傷ついてるような気がするのは何でだろう。

「………僕って女々しいな」
そう呟くと、またソファーに仰向けに倒れる。

溜め息をつくと、ほろ苦いチョコレートの香りが広がった。

目を閉じて、蝶が掠めた睫を触る。
ほんの少しだけ、濡れていた。


言葉や態度ではなく、それこそが、彼女の恋の終わりを告げているような気がした。





516冥→成:2009/02/26(木) 03:19:52 ID:aS5gByFC

冥→成は以上です。
バタフライキスが書きたくてやってしまいました。
SSって難しいですね…。

今度は成歩堂と真宵のエロいの書けたらいいなと思います。
では、お目汚し失礼致しました。

517名無しさん@ピンキー:2009/02/26(木) 03:33:31 ID:gIFDoy8R
GJ!
切ないけど冥かわいい。
次の作品も楽しみにしてます。
518名無しさん@ピンキー:2009/02/26(木) 07:12:12 ID:YPbNqBUm
良かったよ〜!
冥ちゃん切ない。我慢して偉かったよー。
途中で出てきた桜色の真宵ちゃんにも萌えた。
逆裁の女の子キャラは可愛いなあ。
次のナルマヨも楽しみに待ってるね。
519名無しさん@ピンキー:2009/02/26(木) 11:02:21 ID:niMMkdkj
わざわざ冥を当て馬に使うなよ、胸糞悪い
ナルマヨ好きならナルマヨだけ書いてろ
520名無しさん@ピンキー:2009/02/26(木) 11:50:56 ID:YPbNqBUm
わざわざ注意書きがあるのに勝手に読んでおいてその言い草はないでしょ。
嫌なら読まなきゃ良い話。
それをわざわざ書き込む方がよっぽど胸糞悪いわ。
521名無しさん@ピンキー:2009/02/26(木) 12:35:48 ID:MOkh2VzG
女多いなぁ
522名無しさん@ピンキー:2009/02/26(木) 12:39:56 ID:COdCDPXL
>>520
注意だけ見てムカついたから本編は読んでない
523名無しさん@ピンキー:2009/02/26(木) 12:48:08 ID:jE2Q8MCD
まあまあ、もちつけ
 
つ旦
たまには、こういうのもいいんじゃないだろうか
524名無しさん@ピンキー:2009/02/26(木) 13:19:25 ID:aS5gByFC
冥→成書いた者です。
色々なカプやシチュが好きなだけなので、当て馬で書いた訳ではないです。

暇つぶし云々も、自分の拙い文章では、それくらいにしかならないだろうなと思ったからです。

気分を害してしまってすみませんでした。
525名無しさん@ピンキー:2009/02/26(木) 13:36:40 ID:niMMkdkj
>>524
C→A×BまたはA××←Cみたいなシチュエーションを当て馬っていうんだよ
それを当て馬じゃないと言い張るとか無知もいいところ
526名無しさん@ピンキー:2009/02/26(木) 13:55:35 ID:QANfVuiH
カリカリしなさんな。気に入らなかったらスルーでいいじゃない。
527名無しさん@ピンキー:2009/02/26(木) 14:06:30 ID:aS5gByFC
無知ですみません。
気をつけるようにします。
528名無しさん@ピンキー:2009/02/26(木) 14:07:19 ID:jE2Q8MCD
>>527
気になさるな
ナルマヨまってるよー
529名無しさん@ピンキー:2009/02/26(木) 14:22:55 ID:bVTZ7gjP
>>527
よかたよーGJ!

なるほどの頭の中に萌えたw
というわけでナルマヨ待ってます!
530名無しさん@ピンキー:2009/02/26(木) 14:24:54 ID:kgrwD13T
>>521
そりゃそうだろ。
世の中に男・女・中間以外に何があると思ってんだ?
気に入らないものをスルーすら出来ない奴なんて
男女関わらず屁ほどの価値もないっつーの。
作者、気にすんなよ。
531名無しさん@ピンキー:2009/02/26(木) 19:07:13 ID:CSoj2tgt
>>527
良かったよ!読んで切なくなった
ナルマヨも楽しみにしてる

世の男と女は、ババ抜きみたいに綺麗にペアが揃うことなんかない
ダブったり余ったり、それでも恋をするんだよ。それでいいじゃないか
532名無しさん@ピンキー:2009/02/26(木) 19:39:20 ID:iMbfe9yC
>>522
そういうガキみたいな宣言も自己申告もいらない。
533名無しさん@ピンキー:2009/02/26(木) 19:47:43 ID:COdCDPXL
とか何とか綺麗ごといいつつ真宵が成歩堂に
振られる話読んだらファビョろんだろ、お前らw
534名無しさん@ピンキー:2009/02/26(木) 20:15:16 ID:man7j0Iz
ファビョろん?
535名無しさん@ピンキー:2009/02/26(木) 20:35:54 ID:YPbNqBUm
ファwビョwwろwwwwんww
536名無しさん@ピンキー:2009/02/26(木) 20:48:33 ID:COdCDPXL
ああ、ただのタイプミス
で、それがどうかしたのか?
537名無しさん@ピンキー:2009/02/26(木) 21:05:09 ID:5mpyQHHI
ファビョ論キター
538名無しさん@ピンキー:2009/02/26(木) 22:00:01 ID:QANfVuiH
揚げ足も自己申告もいらん。
気に入ったらGJ、嫌ならスルー、それでいいじゃない。
539名無しさん@ピンキー:2009/02/26(木) 22:48:51 ID:iMbfe9yC
>>536
煽る時は誤字に気を付けようと肝に銘じたよ。ありがとう。
540名無しさん@ピンキー:2009/02/26(木) 22:51:22 ID:xNGRMqtB
>>539
しつこい
541名無しさん@ピンキー:2009/02/26(木) 23:01:20 ID:NY0jH/vb
やべえwww
ファビョろん素でツボったwwwww
ふひひwwwwwwさーせんwwwwwww
542名無しさん@ピンキー:2009/02/26(木) 23:05:21 ID:Zo+TVwRh
>>527
切なくて良かったよ。
たまにはこういうのも良い。
皆が気に入る設定なんて無理なんだから、
気に入らない人がスルーすれば良い。
その為の注意書きだから気にすんなー。
543名無しさん@ピンキー:2009/02/27(金) 07:23:12 ID:wK+aZK9T
喫茶店も最初は冥たん切なかったお(´・ω・`)
今はみったんとらぶらぶだおw
真宵たんもなるほどくんとらぶらぶだお(はぁと)
544名無しさん@ピンキー:2009/02/27(金) 12:45:29 ID:Tl9tkvBh
>>527

変な人の言うことなんか気にしなくていいよ
545名無しさん@ピンキー:2009/02/27(金) 13:20:44 ID:2SvrOtDW
煽りの言ってることだけど>>533の設定は面白そうだと思った
書いてみようと思ったけど、もし投下してもファビヨらんでなw
546名無しさん@ピンキー:2009/02/27(金) 14:06:07 ID:2Jm5rA9u
なるまよ好きで、好き過ぎてあえて片思いとか悲恋にしたりするよ。
そんで一緒になって泣いたりするしwきめえwwwww
当て馬って言われてたけど、本当に冥が好きじゃないと書けないよ、ああいうのは。
だから作者さん気にすんなよ。
547名無しさん@ピンキー:2009/02/27(金) 14:35:19 ID:Egb1vWF6
振られた真宵がナルホドを逆レイプでいいじゃないか
548名無しさん@ピンキー:2009/02/27(金) 22:24:05 ID:83oSq7gD
千尋←ナルホド←真宵
こんな感じかなw
549名無しさん@ピンキー:2009/02/27(金) 22:38:50 ID:7c2ysr/H
千尋→←真宵↑成歩堂
550名無しさん@ピンキー:2009/02/27(金) 22:45:57 ID:y5yLlS9H
有り得るとしたらスタンダードにあやめと復縁かな

もしくは3〜4間のゴタゴタで疎遠になって
以降はたまにやり取りするだけの関係になっちゃったとか
551名無しさん@ピンキー:2009/02/27(金) 23:17:15 ID:T1rKInX2
いきなり何がありえるとしたらって…?
ネタで遊んでたのかと思った
552名無しさん@ピンキー:2009/02/27(金) 23:27:28 ID:Ke6yDOjz
>>549
kwsk
てか、どういう設定だwww
553名無しさん@ピンキー:2009/02/27(金) 23:29:14 ID:dZtXuHqU
成歩堂をめぐり姉妹で骨肉の争い
しかし成歩堂はそんな二人に愛想をつかし、冥の元へ…
554名無しさん@ピンキー:2009/02/27(金) 23:30:42 ID:EopATqE+


    ポツーン 
千尋 成歩堂 真宵 <ナルホドクンハアッチイッテヨ!!
 ↓        ↓
 →→→←←←←
555名無しさん@ピンキー:2009/02/27(金) 23:45:55 ID:47dE9hOl
>>552
千尋と真宵があはーんうふーん

物陰から「ナルホドーは見た」ハァハァ
556名無しさん@ピンキー:2009/02/28(土) 02:28:36 ID:iyLfLQbS
>>553
しかし冥は既に御剣とデキており、こちらもこちらで修羅場に…
イメージソングはEXILEの「ti amo」で
557名無しさん@ピンキー:2009/02/28(土) 03:36:26 ID:kfF+8FLs
キスをす〜るたびに〜目を閉じ〜てるのは〜
あなた〜を見たく〜ないから〜
558名無しさん@ピンキー:2009/02/28(土) 15:44:08 ID:YzjA5EIG
姉妹に挟み撃ちされるナルホドいいわw
読みたいw
559名無しさん@ピンキー:2009/02/28(土) 16:02:58 ID:ePXFGlPq
なるほど視点で姉妹のハァハァを…(*゚∀゚)=3ハァハァ
560名無しさん@ピンキー:2009/02/28(土) 23:54:59 ID:qAumMkPr
>>556
冥視点なら平井堅の「哀歌」じゃない?
「Ti amo」は視点を男女逆転させるとミツメイナルの不倫にぴったりだけど
561名無しさん@ピンキー:2009/03/01(日) 00:14:43 ID:IE5j0SHO
ナルチヒがセクロスしてる場面を真宵が目撃して
ガ━━(゚Д゚;)━━━ン!!!!!な話はあったけど、逆ってある?

ナルマヨがセクロス→千尋in春美が目撃
「う、う、う、う、う、う、うちの真宵に何てことしてくれるの!!!!」みたいな。
562名無しさん@ピンキー:2009/03/01(日) 18:07:45 ID:y+b+JYAh
逆検体験版の御剣の ドSっぷりに萌えた
あのノリでミツメイSMが見たい
563名無しさん@ピンキー:2009/03/01(日) 23:29:01 ID:gadyXNN+
>>548
冥←成歩堂←真宵でもいい
でもこれだと喫茶店シリーズと被るか
それ以外ならあやめ→←成歩堂←真宵が一番現実味がありそう
564名無しさん@ピンキー:2009/03/01(日) 23:54:16 ID:IE5j0SHO
別に真宵が片思いじゃなくてもいいじゃん。
御剣←真宵←成歩堂←あやめ←矢張←冥←イトノコ←マコ←オカタカオ

切ないwwwwwwwwww
565名無しさん@ピンキー:2009/03/01(日) 23:57:07 ID:e+sfXdVI
オバチャン←御剣←真宵←成歩堂←あやめ←矢張←冥←イトノコ←マコ←オカタカオ
566名無しさん@ピンキー:2009/03/01(日) 23:58:12 ID:734TT8BS
もうどんな設定でもいいからどんどん小説化してくれ
567名無しさん@ピンキー:2009/03/02(月) 00:29:20 ID:31l0mkLO
御剣←真宵←成歩堂はみたいなあ
成歩堂が嫉妬するシチュで、なるまよ展開とか…
こういうのはダメかな
568名無しさん@ピンキー:2009/03/02(月) 00:37:58 ID:Tm36r5aO
話変わるし今更だけど
体験版出てたぁぁぁ!
私服マコかわええ
569名無しさん@ピンキー:2009/03/02(月) 02:12:03 ID:3BtNlo1G
>>564
いやでも元は「真宵が成歩堂に振られる」ってネタが発祥だし
どうでもいいけど
570名無しさん@ピンキー:2009/03/02(月) 02:18:59 ID:p3++6zOZ
どうでも良いならどうでもいいじゃん。

>>567
成歩堂が真宵に嫉妬するのってあんまり見ないな。
矢張←真宵←成歩堂でも面白いかも。
571名無しさん@ピンキー:2009/03/02(月) 05:17:58 ID:FUbChxVs
3でウェイトレスらったおに
数ヵ月後にあの職に就くとはスピード展開なマコクンだぬ
572名無しさん@ピンキー:2009/03/02(月) 16:14:14 ID:APleGFvs
ヤハリをモテモテにしてみる

       マ 霧
       コ 緒
       ↓ ↓
    冥→ヤハリ←真宵
       ↑ ↑
       千 春
       尋 美


            【ポツーンな人達】
          御剣          イトノコ
                 成歩堂
573名無しさん@ピンキー:2009/03/02(月) 16:14:56 ID:APleGFvs
あ、神乃木さん忘れた

【ポツーンな人達】
つ 神乃木
574御剣視点・真宵:2009/03/03(火) 01:46:24 ID:jOJvzks5
逆裁1−4をプレイし終わった後に、御剣と真宵ちゃんの関係ってけっこう複雑だな
とか考えたら止まらなくなってしまい、御剣視点の真宵ちゃん話など書いてしまいました。
出てくるのは成歩堂、真宵ちゃん、御剣なのですが、CPと言っていいのかどうか…。
エロもありません。
それでも良いという方がいらっしゃれば、暇つぶしにでも読んでいただければ幸いです。
575御剣視点・真宵1:2009/03/03(火) 01:48:15 ID:jOJvzks5
私に対する2つの殺人容疑が晴れた、その翌日。
留置場から出た私は、久しぶりの外の空気を思いきり吸い込んだ。

迎えに来た成歩堂が、私に明るい笑顔を向ける。
「とりあえず、うちの事務所でお茶でも飲んでいかないか。」
その隣には、巫女の装束の少女。
「お祝いなんだから、ケーキも買おうよ成歩堂君!」

―――お祝い、か…。

屈託のない少女の笑顔に、私は思わず視線をそらせた。
DL6号事件。
先日の裁判で、15年間閉ざされてきたパンドラの箱は解き放たれた。
しかし、その後に残ったのは、希望なのか、それとも絶望なのかー。

―――“悪夢”はしょせん“悪夢”だよ…現実じゃない。

あのときの成歩堂の言葉がよみがえる。
そのとおりに、私が15年間苦しめ続けられていた悪夢は、
単なる悪夢に過ぎないことが分かった。
しかし、新たに分かった事実もある。
私の父を殺したのは、神のように尊敬していた人だったということ。
その師は、私のことをずっと憎み、邪魔だと思っていたこと。
そして―――結局、師を殺人の狂気に追いやったのは、
私が投げたピストルの暴発がきっかけてであったということ―――。

―――“悪夢”はしょせん“悪夢”だよ…現実じゃない。

確かに、今までの悪夢は消え去った。
しかしこれからは、これらの新たな事実が悪夢となって私を苦しめるのだろう。
そして今度は、「これは単なる夢に過ぎない」という言い訳は残されていないのだ。


「―――御剣検事!聞いてますか!?」
思いに沈んでいた私は、大声にはっとした。

私達はいつのまにか洋菓子店のウィンドウの前におり、
私の目の前には、頬を膨らませた少女―綾里真宵が立っていた。
576御剣視点・真宵2:2009/03/03(火) 01:50:01 ID:jOJvzks5
「あ…すまない、なんだったかな。」
「もうっ!チョコレートケーキと、ベリーケーキと、
 どっちにしますかって聞いてるのに!」
少女の指さす先を見ると、ホールケーキが2つ並んでいる。

「マヨイちゃん、ホールじゃなくてバラで買えばいいじゃないか。
 3人なんだし。」
「だめ!お祝のケーキはホールじゃなきゃ!
 うーん、どっちも美味しそうで悩むなぁ…。」

少女はウィンドウに張り付いたまま、しばらく動きそうもない。
私はため息をついて財布を取り出した。
「―――だったら、2つとも買うがいい。」
そう言って彼女に財布を渡す。

「…えっ、ホントに!?」
少女は驚いたような顔をすると、ちらりと伺うように成歩堂を見た。
成歩堂はやれやれと言うように肩をすくめる。
「いいんじゃない、御剣がいいって言うなら。
 でも、責任持って全部食べてよね、マヨイちゃん。」
「大丈夫、それならまかせて!やったー!!」
少女は、満面の笑顔で私から財布を受け取ると、店に駆け込んで行った。

私達2人は外に取り残された。
ふと、成歩堂と目が合う。
成歩堂は苦笑して頭をかいた。
「ごめん、御剣。お前のお祝いなのに、金出させちゃって…。」
「いや…。」
私は言葉を濁すと、店の中に視線を移した。
少女が満面の笑顔で店員にケーキを注文している。

どうして、あの少女はあんなに朗らかにしていられるのだろう。

少女が、例の霊媒師の娘であることは成歩堂から聞いた。
少女の母親は、失踪したまま行方が分からないという。
そして、その原因を作ったのは―――私の父親だ。
577御剣視点・真宵3:2009/03/03(火) 01:51:24 ID:jOJvzks5
彼女に呼び寄せられた私の父の霊が、私を守るためについた嘘。
それによって、彼女は日本中からインチキ霊媒師と罵られた。
そして―――姿を消したのだ。

少女の姉、綾里千尋は、その事件の調査の中で殺された。

私の父さえ、あのような嘘をつかなければ。
私を守ろうとしなければ。
いや―――そもそも私が、あのときピストルを投げさえしなければ。
今頃、この少女は母親や姉に囲まれ、幸せな生活を送っていたに違いない。

「見て見てー、すごい大きいの!ナルホド君、1個持ってよ!」
少女が大きな2つの箱を抱え、はしゃぎながら戻ってきた。
ブツブツいう成歩堂に箱の1つを押し付けると、私に財布を渡す。
「はい、御剣検事。ありがとうございます、ごちそうさま!」
私をまっすぐ見つめる瞳には、かけらの曇りもない。

「あ、ああ…そちらの箱を引き受けよう。重いだろう。」
私は、自分の内心の動揺を悟られないよう、
彼女が抱えているもう一つの箱を取り上げた。
「わ、いいんですか、ありがとうございまーす!」
「こら!マヨイちゃん、今日は御剣のお祝いなのに、
 金出させて、荷物持たせて、そりゃないんじゃないか?」
成歩堂が呆れたような声を上げた。
少女は、胸を張って指を振った。
「大丈夫だよ、成歩堂君、食べる方は私が責任持つから!」
「論点が違うだろ、それ!!!」

じゃれあいながら先を歩く2人を、後ろから眺める。
少女は実に楽しそうだった。

この娘は、いったい私をどう思っているのだろう。
自分の母親を失踪させ、姉が死ぬ原因を作った男を。
いや、それ以上に彼女は、自分に降りかかった不幸と
どう折り合いをつけているのだろうか―――。
578御剣視点・真宵4:2009/03/03(火) 01:52:40 ID:jOJvzks5
「あー、もうお腹いっぱい、食べられない!」
「…そりゃ、そうだろうね。責任持つって言ったって、
 いっぺんに食べることないのに。」

ソファに背を預けて叫んだ少女に、成歩堂がやれやれとため息をついた。

成歩堂法律事務所の応接室。
目の前のガラステーブルには、ほとんど完食されたケーキの残骸が2つ。

私と成歩堂が一切れずつ(しかも、ごく薄く切ったものだ)
しか食べていないことを考えると、これは奇跡だろう。

「ううう…気持ち悪くなってきた…。」
少女はズズズ、とソファの背もたれからずり落ち、
ひじ掛けに頭を持たせかけるような状態で、ほぼ横になった。
「マヨイちゃん、お行儀悪いよ。」
成歩堂がたしなめたが、少女は動かない。
少し顔色が悪いようだ。

「ごめん…成歩堂君、本当に気分が悪くなってきた……お腹痛い……。」
「ええ!?言わんこっちゃない、食べすぎだよ、もう!」
成歩堂が慌てたように立ち上がると、応接室を出て行く。
バタバタと音がして、しばらくすると、コートを着て戻ってきた。

「買い置きの胃薬、切らしちゃったみたいだから買ってくるよ。」
「え…大丈夫だよ、成歩堂君、休んでれば治るって。」
「駄目だよ!この間もそんなこと言って、しばらく調子悪かったじゃないか。
 まったく、マヨイちゃんはいつも後先考えずに食べすぎ!」
そう言い残すと、成歩堂は足早に事務所を出て行った。
口では文句を言いながら、結局は少女が心配なのだろう。

私は、ソファに横になった少女と2人、応接室に残されて、
何となく気詰まりになって冷めた紅茶を口に運んだ。
579御剣視点・真宵5:2009/03/03(火) 01:55:08 ID:jOJvzks5
「……ごめんなさい…。」

前方から聞こえてきた小さな声に、そちらを向く。
少女があおむけになったまま、天井を見上げていた。
「せっかくの、御剣検事の無罪のお祝いだったのに…。
 嬉しくて、調子に乗っちゃった…。」

心の底から意気消沈しているようだ。
私は、彼女を元気づけようと、軽い口調で言った。
「気にすることはない。そもそも、私は自分を無罪などと思っていない。」
「―――え!?」

ハっと口を押さえたがもう遅い。
気が付いたら口走っていた。

少女は驚いたようにこちらを見ていた。
片手をソファについて、体を起こそうとする。
その拍子に胃が痛んだのだろうか、顔をしかめた。

私は、努めて平静な声で彼女を諌めた。

「腹の調子が悪いのだろう、寝ていたまえ。」
「いやいやいや!だって、今の言葉……どういう意味ですか!?」
「言葉の綾だ、気にしないでくれたまえ。」
「綾ってレベルじゃないでしょう!!
 御剣検事、まだ自分が悪いとか思ってたりするんですか?」
「……。」

私は、膝の間で手を組んで、床を見つめた。
彼女はとことん追求する気らしい。
ちょっとやそっとの言い訳では、いい抜けできないだろう。

腕時計にちらりと目を走らせる。
成歩堂はまだ当分帰ってこないだろう。
もしかしてこれはむしろ、いい機会なのかもしれない。
私は息を吸い込むと、顔をあげて少女を見た。
580御剣視点・真宵6:2009/03/03(火) 01:56:17 ID:jOJvzks5
「真宵君。」
「な、なんですか?」
急に呼びかけられて、少女は身を固くしたようだ。
「君は…私を怨んでいないのか?」

少女はポカンと口を開けた。
「え…えーと?御剣検事を怨む?私が?…何で?」
その様子は、演技には見えなかった。
彼女は指を顎に当てて、考える仕草をしている。
どうやら腹痛はどこかに行ってしまったらしい。

「御剣検事が私のこと、お姉ちゃんの殺人犯だって起訴したから?
 でも、結局、御剣検事も一緒になって私を無罪にしてくれたわけだし…。」
「いや………。そうじゃなくて、その。」
彼女はポンと両手を打ち鳴らした。
「じゃあ、あれだ!私が法廷侮辱罪で逮捕された件かな?
 あれは自分でやったことですから、御剣検事は関係ないですよ!」
「違う。」
「だったら、あれかな。ナルホド君が留置場で弁護するって言った時に、
 失礼なことを言って断ってきたことですか、確かにあれは…。」
「違う!!」

次から次へと出てくる見当違いの回答に、私は思わず声を荒げた。
「違うんだ!そうじゃない……君の、母親の、ことだ…!」
「…え……お母さんの、こと?」
彼女は、キョトンとした顔で私を見返した。

私は目を閉じた。
「そうだ…父がついた嘘のために、君の母親は世間から非難された。」
「あの…言ってることがよく分かんないよ、御剣検事。」
彼女の声は戸惑いに満ちていた。
「それは、確かに悲しいことだったけど…でも、そのことで、
 どうして私が、御剣検事を怨まなきゃいけないの?」

―――この娘は本当に分かっていないのだろうか。
結局のところ、あの事件に連なる全ての発端が私だと言うことを。
581御剣視点・真宵7:2009/03/03(火) 01:57:28 ID:jOJvzks5
「私は…あのとき、ピストルを投げた…その弾が…狩魔検事に当たり、
 そのことが、彼をあの狂気の犯行へと追いやった…その結果。」
私は両手を握りしめた。
自明のことでも、それを自分の口から説明するのは―――辛かった。
「―――父は死んだ。
 そして、君の母親が呼ばれ、嘘つき呼ばわれされることになった。
 君の姉だって、今回の事件を負わなければ命を落とすことも」
「御剣さん!!!」

私は顔を上げた。
彼女は今までに見たことがないような怒った顔で、私を睨みつけていた。
「どうしちゃったの、御剣さん。おかしいよ。
 いつもは頭いいのに、今の御剣さん、言ってることめちゃくちゃだよ。
 まるで、法廷でのナルホド君みたい!」

心配して薬を買いに行っているというのに、ひどい言われようだ。
私がそんなことをぼんやり考えていると、
彼女が、ずい、と上半身を乗り出してきた。
「いい?御剣さん。御剣さんのお父さんを殺したのは、カルマ検事なんだよ。
 悪いのは、すべて、カルマ検事じゃない。」

それは正論だ。
しかし、理屈は所詮、理屈だ。
…感情とは、そういうものではない。

私の顔を見て、私が納得していないのを見て取ったのだろう。
彼女は、大仰なため息をついた。
「御剣さんは、大好きなお父さんを守ろうと、ピストルを投げた。それだけだよ。
 それだけだったら、そこにカルマ検事がいなければ、何も起きなかったんだよ。」
「…しかし、私の投げたピストルの暴発が、彼の殺意を…。」
「異議あり!そんなことないってば!!」
彼女は指をビシッと立てると、私に突きつけた。
「ああもう、アタマいいのに何でこんな簡単なことが分からないかなあ。」

「ム…。」
職業柄、こうされるとつい戦闘意欲が湧いてしまう。
「だったら説明してもらおうか、その『簡単なこと』とやらを。」
582御剣視点・真宵8:2009/03/03(火) 01:58:31 ID:jOJvzks5
私の挑戦的な口調にも彼女はひるまなかった。
「だからさ……御剣さんは、流れ弾に当たったからって人を殺そうとか思う?」
「え…。」
「だって、人を殺すって、大変なことだよ?
 もともと、カルマ検事の中に、そういう悪い気持がなければ、
 いくら流れ弾に当たったからって、あんなことにはならないよ。」
「……。」

私が黙り込んでいると、彼女は立ち上がり、テーブルを回って私の隣に腰かけた。
「御剣さんは、お父さんを守ろうとしただけ。
 お父さんは、御剣さんを守ろうとしただけ。
 そこに責められることなんか、それこそ一つもないよ。」
彼女の声は優しく、私の心に染み渡って行くようだった。

―――しかし。
―――しかし、私は。

私は掠れた声で尋ねた。
「それでいいのか?君は、それで納得できるのか?
 ……こんな理不尽な事態に、どうして君は笑えるんだ!?」
私の声はだんだんと大きくなり、最後は怒鳴っていた。
彼女は気圧されたように、私から身を引いた。
そして、困ったような顔で私を見上げる。
「…だって……泣いたって、起きたことは元には戻らないもの。」

―――それは理屈だ。

「でもね。」
少女は強い瞳で私を見ると、きっぱりと言った。
「これからのことは、自分次第でどうにでも変えられるんだよ。」
「―――!」

―――未来は、自分次第。

手垢のついた、使い古された言葉だ。
なのに何故、今こうして彼女の口から語られると、
こんなにも違って聞こえるのだろうか。
583御剣視点・真宵9:2009/03/03(火) 02:00:02 ID:jOJvzks5
「それにね…。」
彼女は、少し泣き笑いのような顔をした。
「私が笑ってた方が、お姉ちゃんが喜ぶの。」
「お姉ちゃん……?……そうか……君はそう言えば、霊媒だったな…。」
「御剣さんだって同じだよ。」
「…?」
「御剣さんのお父さん…御剣さんの笑顔、見たがってる。」
「き、君は…見えるのか、私の父が!?」

彼女は悲しそうに首を振った。
「私まだ修業中だから、はっきりと姿は見えないけど…。
 でも、感じるよ……御剣さんの隣に、いつも、誰かがいる。
 御剣さんが辛そうな時、その人も辛そうだよ………今も……。」
彼女の視線は、私を通り越して私の右手後方を見ていた。
思わず後ろを振り向く。
何も見えなかった。
当然だ。私には、彼女のような霊感はない。

彼女は少し寂しそうな顔になると、私の手を取った。
「ねえ、御剣さん、過去を振り返ってばかりいないで、今の自分を大事にしようよ。
 ……そうしないと、お父さんが悲しむよ。」
 そして、少しはにかんだような笑顔をこちらに向ける。
「私も、成歩堂君も、イトノコ刑事も、みんなみんな、御剣さんが悲しいと、悲しいよ。
 いつも、御剣さんに笑ってほしいと思ってるよ。」
「…。」
「笑おうよ、御剣さん。
 いっぱいいっぱい笑って、これから、幸せになろうよ。
 今まで辛かった分も、欲張りになって、さ。」

そんな、単純なことではない。と言いたかった。
笑って幸せになれるくらいなら、全てを忘れることができるくらいなら。

しかし、何故か反論できなかった。こんな穴だらけの理論なのに。
反論を試みようとするそばから、私の考えを形にする言葉は消えて行った。

―――もしかして私は、この少女の言葉に反論したくないのだろうか…。

どれくらい黙り込んで考えていたのだろう。
不意に左肩に重みを感じて、横を向いた。
584御剣視点・真宵10:2009/03/03(火) 02:01:22 ID:jOJvzks5
「…すーう、すーう。」
少女は、あどけない寝顔で眠っていた。口元には、微笑みを浮かべて…。

その寝顔を見ているうちに、私の口元にも笑みが浮かんでくるのが分かった。
「君は…本当に強いのだな。」
自己憐憫に浸ることさえ自分に許さず、常に前を向いて歩く少女。
私にも、彼女の真似ができるだろうか。

「そうだな…まずは、笑うことから始めてみるか…。」
少女が目を覚まさないよう、そっと彼女の頭の下から
肩を外すと、ソファの背もたれに彼女の体を持たせかけた。
「ん…むむ…。」
彼女は少し身じろぎをしたが、再び眠りの世界に落ち込んだらしい。

午後の太陽が、応接室の窓から差し込んでいる。
外に薬を買いに行った成歩堂は寒いだろうが、事務所の空気は暖かかった。

―――成歩堂のやつ、どこまで薬を買いに行ったんだ…。

そんなことを思いながら、私もいつしか眠りに落ちていた。




ガチャン、バタン!
事務所の玄関が開く音に、私は目を覚ました。

「ただいまー!買ってきたよ、胃薬。
 近くの薬局が閉まってたから、ずいぶん遠くまで……って、ちょっと!!」
「…ん?」
私は成歩堂を見上げ、その視線を辿った。
そこには、少女が私の膝に頭を乗せ、健やかな寝息を立てていた。

「ななな、何やってんの、御剣!マヨイちゃんも!!
 食べすぎでお腹痛かったんじゃなかったの!!??」
585御剣視点・真宵11:2009/03/03(火) 02:02:44 ID:jOJvzks5
成歩堂の大声に、少女がムニャ、と目を覚ました。
「あれ、寝ちゃったのか〜。あ、ナルホド君、おかえり!ずいぶん遅かったねー。」
「遅かったねーって、いったい誰のために……というより!
 いったい何なのさ、この事態は!マヨイちゃん、お腹はどうなったの!?」

少女はキョトンとした顔で成歩堂を見ると、自分の腹に手を当てた。
「あ…あれ?寝たら痛いの治っちゃったみたい。」
「何だよそれ…だいたい!何で御剣の膝枕で寝てんだよ!!」
混乱してる様子の成歩堂に、私は皮肉な笑みを浮かべてやった。
「どうした成歩堂。ずいぶん動転しているようだが…やきもちか?」
「や、やきもち!?」
成歩堂が裏返った声を上げる。

ところが、それを聞いた少女が慌てた様子で立ちあがった。
「えっ、そうだったの成歩堂君!ごめん!すぐに席代わるから!」
「「…え?」」
私と成歩堂は、同時に少女を振り返った。
少女は、成歩堂に向かうと自分が座っていた場所をぽんぽんと叩いた。
「はいっ、どうぞ。
 それにしてもナルホド君てば、御剣検事のこと本当に好きだよねー。」

―――ちょっと待て、どうしてそうなる!

「真宵君、今の発言はアレではないか…」
「マヨイちゃん、それおかしいって…」
事務所に、私と成歩堂の二重唱が高らかに響き渡った。





「―――異議あり!!!」

586御剣視点・真宵:2009/03/03(火) 02:05:26 ID:jOJvzks5
以上です。
ナルマヨのようなミツマヨのような、でもノーカップリングのような。
真宵ちゃんの最後のセリフは、単に友人としての好意を意味しているのであって
決してそのようなアレではありません。
あと最初の方、真宵ちゃんの成歩堂君の呼び方、×成歩堂君→○ナルホド君ですorz
………スレ汚し失礼いたしましたっ!
587名無しさん@ピンキー:2009/03/03(火) 04:18:59 ID:8zr2cOb4
「法廷でのなるほどくんみたい」
ここで吹いて、最後にまた吹いたw
真宵ひでえw

乙でした。
確かに御剣はあの後も引きずってそうな感じだな、性格的に。
588名無しさん@ピンキー:2009/03/03(火) 09:22:17 ID:fs5e9Sfm
おおお!自分的にはすんごい GJ!!
徹夜明けで疲れてる身にマヨイちゃんの「未来は自分次第」にウルッとキてしまったよ
良かったですよ カプが無いほのぼのもたまには良いね 乙っス!!
589名無しさん@ピンキー:2009/03/03(火) 12:05:25 ID:2IpQs6Kd
真宵が終始真宵らしい感じで見ててなごみました。
エロなしでも気持ちがこもっててイイヨーイイヨー
590名無しさん@ピンキー:2009/03/03(火) 13:24:53 ID:F7Wtep/S
ベストプライスから入った新参者ですが
逆転裁判エロパロスレ@Wikiの中で
こればぜひ読んでおけというオススメがあったら
教えて下さい。
591名無しさん@ピンキー:2009/03/03(火) 13:33:39 ID:5o5Khmkm
>>590
カプやキャラの好き嫌いによるから一概にお勧めはできない
592名無しさん@ピンキー:2009/03/03(火) 19:20:18 ID:cqwepIyN
とりあえず好きなカプ一通り読めば良いと思うよ。
593名無しさん@ピンキー:2009/03/03(火) 22:37:51 ID:YVzJ+rxO
>>586
エロパロではないかもしれないけど自分はこういうシリアスほのぼの好きだ。
真宵ちゃんが好きになりましたGJ!
594名無しさん@ピンキー:2009/03/04(水) 03:09:32 ID:RDCdJy9C
今の投下みたいに裏設定的な話とかがいろんなカプに紛れてるから一概には言えない。
全部消化するのが一番だけどさすがに量があるからな・・・・・
595名無しさん@ピンキー:2009/03/04(水) 08:14:24 ID:kAIqNZ/b
メインのカプは嫌いではないのに、サブで出てくるカプが
核地雷だったりすることもあったりするからなぁ
自分もそれで読むの挫折した話があるし

我ながらこれだからカプ厨は辛い
596名無しさん@ピンキー:2009/03/04(水) 08:44:57 ID:M+zvtEpn
気持ちはわかる。
逆裁で初めてカプ萌えを経験したけど、
この2人はこの組み合わせじゃなきゃ嫌だと思うほどになるとは思わなかった。
他のカプはどうでも良いんだけど、一番推しだけは許せないんだ。
だからメインのカップルは良くても
裏設定で一番推しの片割れが別のキャラと…だと
「ああああああああ」ってなるw
まさか外には出さないけど、内心ではものすごく葛藤する。
これだから痛いんだよな、カプ厨は。
597名無しさん@ピンキー:2009/03/04(水) 11:56:59 ID:tZYnSTEU
自分はカプにはこだわらないほうだから
ゲームで描かれなかったところをSS作者さんのいろいろな妄想で
補填出来るのが楽しい。
ただ量がすごいし、せっかく読んでも未完だったりするから
これが良かった、という意見が聞けたらいいなあ。
個人的にナルマヨならこれ、ミツメイ、ナルメイなら・・・とかいう推薦も
だめなんだろうか。
598名無しさん@ピンキー:2009/03/04(水) 12:12:56 ID:UJK5zIRL
やめた方が無難。

一つは先に挙げられてる影に潜む地雷カプの存在。
そしてもう一つは、作者本人の自演を疑われてしまう危険。
599名無しさん@ピンキー:2009/03/04(水) 18:48:36 ID:m3V2mrqG
自分で探すのが一番だと思うよー。
600名無しさん@ピンキー:2009/03/05(木) 01:53:48 ID:yqy9TgGU
597には同意。
エロは無くてもそういう話が読めるだけでいい。
601名無しさん@ピンキー:2009/03/10(火) 13:36:34 ID:w7PRY06l
投下まだデスカー?
602名無しさん@ピンキー:2009/03/10(火) 15:39:21 ID:mbOPCObz
マダデスヨー
603名無しさん@ピンキー:2009/03/11(水) 10:56:03 ID:lydRCLDW
百合好き、居られたら書くけど‥今フト思い浮かんだのは、メイとキリオだけど、読みたい人おるんか‥
604名無しさん@ピンキー:2009/03/11(水) 11:10:43 ID:q8kOEGvw
早く投下の準備に戻るんだ
605名無しさん@ピンキー:2009/03/11(水) 11:33:48 ID:SHUjgaMd
>>603
>>1
お伺いは不要だと書いてあろうが。
606名無しさん@ピンキー:2009/03/11(水) 11:37:43 ID:bNyhDV8c
投下した瞬間に需要が生まれるってばっちゃが言ってた
607名無しさん@ピンキー:2009/03/11(水) 13:21:00 ID:/E0qbW88
空気とか別に読まんでええ
何かあったらとりあえず投下してくれ!
楽しみにしてる人が大勢いるんやで!
608名無しさん@ピンキー:2009/03/11(水) 15:09:16 ID:lydRCLDW
ワカタ ばっちゃが言ってるなら‥ 
とりあえず投下まで 他の人のSS楽しまれててください
609名無しさん@ピンキー:2009/03/11(水) 22:20:18 ID:2XAxZ9fZ
じゃあ、その間の暇つぶしにナルマヨを…。

・ナルマヨ (既に付き合ってる設定)
・前半2/3真宵視点、後半1/3ニット視点
・わりと純愛かと思う
・結構長文

よろしかったらどうぞ
610ナルマヨ1:2009/03/11(水) 22:21:53 ID:2XAxZ9fZ
あたしが初めて男の人に抱かれたのはハタチの誕生日だった。

その日、東京からなるほどくんがみぬきちゃんを連れて遊びに来てくれて、
はみちゃんと三人であたしの誕生日を祝ってくれたんだ。

なるほどくんが資格を失ったあの事件からもうすぐ2ヶ月。

事件直後から、みぬきちゃんの身辺調査をしていたなるほどくんが
彼女を引き取る決意をするまでの約2週間、うちでみぬきちゃんを預かっていたから、
学年が一つ違いのはみちゃんとみぬきちゃんは既に打ち解けていた。

遊びに来た時は、女同士仲良く3人でお風呂に入り、
そして一頻り話したあと、二人は二つ並んだお布団にこれまた仲良く潜り込む。
それが恒例になっていた。

2人が寝たあと、疲れきった顔をしていたなるほどくんをどうにか元気付けたくて、
あたしはこの日のために買い込んでキンキンに冷やしていたビールや缶チューハイで、初めての晩酌。

今まで全くお酒を飲んだことがないとは言わないけど、ほとんど舐める程度。
あたしの回りには検事さんや警察官ばかりだったから。
お祝いの席で多少は多めに見てもらっても、こうやって本格的に飲むのは初めてだった。

いつかなるほどくんやイトノコさんが美味しそうに飲み干していたビールを、あたしも一気に流し込んだ。

苦かった。
なんでこんなに苦いのが美味しいのかな?
口に含んで思いっきり眉を顰めたあたしを見て、なるほどくんが苦笑する。
目を白黒させながらなんとか飲み干して、残りの大部分をなるほどくんにあげた。
あたしにビールはまだ早かったみたい。
そばにあったカルピスハイで慌てて口直ししたあたしを、なるほどくんはクスクスと笑ってる。
611ナルマヨ2:2009/03/11(水) 22:22:43 ID:2XAxZ9fZ
彼がお酒を飲み干すピッチは速かった。
あたしは上下する喉仏をじっと見つめる。

「ね。なるほどくん。帽子取ったら?禿げるよ。」

なるほどくんがぶはっと吹いた。

「ちょっと、真宵ちゃん!」

「うそうそ。…ここでは隠すことないんだよ。」

なるほどくんが驚いたように目を見張る。

「なんで」

そう言い掛けて口をつぐんだ。

「分かるよ、なるほどくんが考えてることは。だからせめてここでは何もかも忘れてさ。」

座卓の向かいで胡坐を掻いているなるほどくんに手を伸ばし、そっと帽子を取りながら頬を撫でた。
あたしの指を、無精ヒゲがザラザラと突き刺す。
その指を持ち上げるように、なるほどくんの引き締まったというよりやつれた頬が微かに綻んだ。

「…ありがとう。」

「うん、この後ろ向きな頭こそが成歩堂龍一だよ。」

見慣れた頭が現れて、あたしの顔も思わず綻ぶ。
あたしは何気なく開け放した庭に目をやった。
視線の先には蛍が数匹。

屋敷の裏を流れる清流にはこの時期、無数の蛍が舞う。
どれ位いるんだろう?
ピークの時には恐らく数百、或いはもう少し…?

少し離れたところから見ると、蛍の光の点滅に合わせてうっすらと茂みや森の姿が浮かびあがるほど。
それは幻想的な光景だ。

数時間前にはみちゃんと一緒に二人を案内してあげたら、
都会っ子のなるほど親子は儚い群舞にいたく感激していたのだった。

あたしと彼はビールとチューハイを片手に縁側に腰掛けて、蛍の舞と満天の星空を飽くことなく眺めていた。

…この2ヶ月、色々あったな。
あたしは家元になり、それと入れ替わるようになるほどくんは弁護士を辞め…。

隣でボケーっと空を眺めているこの人が捏造なんてするわけがない。
だいたいなるほどくんのスタンスは、勝負よりも依頼人を信じた上での真実の追究なのだ。
捏造する理由がないのだ。

それはあたしだけじゃなく、御剣検事やイトノコ刑事、はみちゃんに冥さん。
皆が思っていることだろう。
だけど今の時点でそれを証明する証拠がなくて。
あたし達は仲間の、何回も助けてくれた人の失脚を為す術なく見ているだけだった。
612ナルマヨ3:2009/03/11(水) 22:23:38 ID:2XAxZ9fZ
「…2年前。」

不意になるほどくんが口を開いた。

「2年前のこの時期にも来たけど、蛍なんて気付かなかったな。」

2年前。
あたしが殺人事件の容疑者として逮捕された時だ。

考えてみれば、あの3年間で何回なるほどくんに助けられたろう?
まず出会いからして最悪だった。
お姉ちゃんの事件で容疑者にされたあたし。
それを弁護してくれたなるほどくん。

2年前の今頃、再びあたしは容疑者にされ。
そして誘拐だってされた。
4ヶ月前には命も狙われ…。

考えてみると凄い経歴の持ち主のあたし。
だけど、その度になるほどくんに助けられた。
守られていた。

そんなことを考えていたら苦しくなるほど胸がいっぱいになり、
気付けばなるほどくんの手に手を重ねた。

男の人特有の、血管が浮きだった骨ばった手。
この手に、何度守られたんだろう。

感極まって泣きそうになり俯くと、なるほどくんが怪訝そうな顔で覗き込んだ。

「どうしたの?」

「ううん。…あたし、何回守られたのかなあって思ってさ。」

真実を追究するために、何度もつきつけた人差し指。
異議を唱える凛とした声。
それら全てが蘇る。

「なるほどくんにはいっぱい助けて貰ったのに、そのなるほどくんが一番大変な時にあたしは何も出来なくて…。」

言っているうちに、自己嫌悪の海に沈んでいく。

「はは。そんなことないさ。キミが知らないだけでね。助けられてたのはぼくの方だよ。」

なるほどくんは優しいからそう言ってくれるけど…。
情けなくて涙が出そうだよ。
でも誰よりも傷つき疲れきっているなるほどくんの前では泣けない。

ここで我慢しなきゃ女じゃない…っ!

あたしはそう言い聞かせてグッと堪えた。
何か、今のあたしの気持ちを伝える方法…。
なるほどくんを励まして笑わせる方法…。

「あ。」

発見!
発見したよ!

あたしはタッと縁側から飛び降りて下駄を突っかけると、なるほどくんの手を引っ張って駆け出した。
613ナルマヨ4:2009/03/11(水) 22:25:03 ID:2XAxZ9fZ
「ちょ、真宵ちゃん!どこ行くの!」

突然あたしに引っ張られたなるほどくんは、慌ててサンダルを引っ掛けて転びそうになりながら追ってくる。

屋敷を飛び出し、裏手の小川に掛かる小さな橋へ。
橋の脇にはこれまた小さな階段があって、そこから河原へ降りられるようになっている。
川幅は狭いけれど、その水の綺麗さと冷たさと言ったらピカイチ。
この小川の少し上流にある滝で、あたし達霊媒師は滝行しているの。

なるほどくんとみぬきちゃんを連れて来た数時間前よりは数は減っていたけど、それでもふわふわと蛍は舞っている。
あたしはそこで茂みのある一点に狙いを定めると、忍び足で近づいてふわっと両手を合わせた。

「つかまえた…!」

あたしはなるほどくんの元に駆け寄って得意げに手を差し出す。

「ほらほら。蛍の光は一匹じゃこんなに儚いけど、それがいっぱい集まれば森だって浮かび上がるんだよ!」

そっと広げた手のひらには、身じろぎ一つせずに点滅する蛍の光。

突然つかまえてごめんね、と小さく呟き手を宙へ翳すと、蛍はふわりと飛び立って仲間のところへと帰って行った。

「一つ一つは小さなことでも、それが集まれば大きな何かを照らし出すんじゃないかな?」

そうだよ。
あたし、今すっごい良いこと言った!
何か、何か一つでも良いからなるほどくんの力になれ…!

星に祈りながら、会心の笑みであたしはなるほどくんを見つめる。
なるほどくんはそんなあたしを黒目がちの瞳でまじまじと見ている。
あまりにもじっと見つめられて、あたしの笑みは次第に引き攣ってしまう。

あ、あれ…?
変なこと言っちゃったかな…?

ちょっと自信を失いかけた時だった。

「真宵ちゃんにはかなわないな…。」

そう呟いたかと思ったら、突然ギュッと抱きしめられた。

「なるほどくん…?」

…2ヶ月間、どんなに辛かったろう?
なるほどくんはあれ以来、あまり人の目を見なくなった。
たった2ヶ月で、人はこうまで変わるんだ。
事情を知らない世間に反論する術もないまま叩かれ、優しいこの人はどんなに傷付いただろう。

そんな時に傍にいれなくてごめんなさい。
守ってあげられなくて、ごめんなさい。
力になれなくて、ごめんなさい──。
614ナルマヨ5:2009/03/11(水) 22:26:18 ID:2XAxZ9fZ
あたしは沢山の「ごめんなさい」を込めて、思いっきり抱き締め返した。

『いつも傍にいるよ。』

そう言ってあげられないもどかしさ。

『よく頑張ったね。もう、大丈夫だよ。』

7歳上の大きな弟に、この一言を言える日はいつ来るのだろうか?
早く、1日も早く彼に安穏の日が訪れるように、あたしは心から願う。
ふと顔をあげれば、あたしを見つめていたなるほどくんの優しい瞳と視線が交わって。
どちらからともなく唇を重ねていた。

長い長いキス。
ただ唇を重ねるだけの行為なのに、甘い甘いそれ。
その甘い行為はまだ数回しか経験がなくて、未だに息が苦しくなって「プハッ」と唇を離す。
そんなあたしを、なるほどくんは苦笑するんだ。

もう、バカにして!
そのうち。
きっとそのうち上手になるんだから…!

そんな気持ちを込めてキッと見上げたなるほどくんの顔は、苦笑なんてしてなかった。
苦笑の変わりに浮かんでいたのは、優しい微笑。
その微笑が浮かんだ唇は、再びあたしに降って来た。

「──っ!」

重ね合わせた唇に導かれて微かに開かされた隙間から、
温かくて軟らかいものが入って来て、あたしは驚いて目を見開いた。

これは、噂に聞く大人のキス…?

尖らせた舌であたしの唇と歯列をなぞり、そして舌を絡め取った。

「ん…ふっ…」

どうやって息継ぎしたら良いのか分からなくて、唇が離れたほんのわずかな間に酸素を求める。
意図しないのに漏れる甘い吐息。
酸欠なのか、だんだん頭がボーっとして来る。
離れた口からは透明の糸が二人を繋ぐ。

月明かりに照らされたなるほどくんは、
切なげで、どこか神秘的で、それでいて何か獲物を狙ってるような…、
今まで見た事のないような顔をしている。
まるで魔法にかかったように何も考えられない、あたし。

そうやって何回か口づけを交わしたあたしは、
行き場がなくて二人の間で折り畳むようにしていた腕を彼の後頭部に滑り込ませた。
それが合図だったかのように、キスは時々音を立てて激しさを増す。

「真宵ちゃん…」

「ん…」

名前を呼ばれて顔をあげれば、切なげな彼がまっすぐにあたしを見つめていて、
眉を下げて少し困ったように言った。

「やばい…抱きたい…。」
615ナルマヨ6:2009/03/11(水) 22:28:09 ID:2XAxZ9fZ
抱きたい?
変なの。
今こうやって抱き締めてるじゃない。

訝しげなあたしの視線で何を考えてるのか察したのか、なるほどくんは目を逸らしながら言った。

「その抱くじゃなくて、もうちょっと大人の…。」

その一言で、さすがのあたしも気が付いた。

「えと。えーっと…その、あの…せ、せ、せっくすしたいってこと、かな…?」

今にして思えば他に言葉があったはずだけど、
舞い上がっていたあたしはそのものズバリを指し示す単語を発していた。
自分で言った言葉に赤面したあたしの耳元で、同じく顔を赤くしたなるほどくんが低く掠れた声で囁いた。

「真宵ちゃんとセックスしたい…。」

その声に反応するように、あたしの身体の奥で、何かがキュッと、そしてじんわり熱を持った。
手を引かれて屋敷に戻るまで、二人は一言も言葉を交わさなかった。

******

「(なるほどくんが、せっくすってゆった…!)」

それはあたしにとってかなり衝撃的な一言だった。

なるほどくんとは3年も一緒にいたのに、下ネタの類の話をしたことがない。
それどころか、所謂性犯罪関係の話すらしたことがないような。

なるほどくんは刑事事件が専門だから、
婦女暴行や痴漢、強制わいせつなんて類の事件の弁護もあっただろう。
でもあたしはその公判に付き合った記憶がない。
ふと疑問に思ったそれを問うと、なるほどくんはいとも簡単にサラッと言った。

「やっぱり事件の内容が内容だから、
 まずは実際会って依頼人がどんな人物かこの目で確かめてからじゃないと、
 女の子の真宵ちゃんは連れていけないと思ってたし、公判自体も聞かせたくなかったしね。」

そっか。
あたし、そんなところでも守られてたのか…。

あたしの部屋の布団の上で正座してちょっと感動していたあたしを背後から抱き締めたなるほどくんは、
あたしの髪を右肩に掛けるように寄せて左の首筋に吸い付いた。
耳に掛かる吐息が熱い。
くすぐったくてぞわっと鳥肌が立つ。
思わず身を捩ると、ギュッと抱きすくめられ、あたしはどうして良いのか分からなくて硬直してしまう。

「…!」

舌でうなじをなぞりながら、肩からそろりと滑り降りて来たなるほどくんの大きな手が
あたしのそんなに大きくない胸をそっと包み、下から掬い上げるように揉みしだく。

脂肪の塊であるそれ自体は特に気持ち良くはないけど、なるほどくんの意思通りに形を変えるあたしの胸が凄くイヤらしく見えて、
それと同時になるほどくんにそんな事をされてる状況そのものに酔ってしまって、
なんだかボーっと何も考えられなくなりそうだった。
心細くなってふと後ろを向けば、心なしか目を潤ませたなるほどくんと目が合って、あたしの胸は高鳴る。
なるほどくんの右手が衿元から侵入して装束の合わせをグッと開き、二の腕の辺りまでが突然夜気に触れた。
616ナルマヨ7:2009/03/11(水) 22:29:01 ID:2XAxZ9fZ
6月と言っても、山里の夜の空気はひんやりと冷たい。
だけど火照った身体にはその冷たさが心地よかった。

なるほどくんは露になったあたしの肩に手を回すと、くるりとあたしを180度回転させた。
改めて向き合うあたし達。
ふと視線を落とせばささやかな膨らみを覆い隠す水色のチェックのブラが
なるほどくんの視線に晒されていて、照れ隠しにあたしは喚く。

「あ、あ、あたしだけこんな格好なんて、なるほどくんズルイよ!」

──そう言いたいのに、声が思うように出てこない。
そっとパーカーの裾を引っ張って、ポツリと一言「ズルイ」と呟くのが精一杯だった。

「ごめんごめん。」

それだけであたしの言いたいことを理解してくれたみたいで、ゴソゴソとなるほどくんはパーカーを脱いだ。
なのに、まだ下にTシャツを着ている彼にあたしは目を剥く。

「さ…さっきより薄着になっただけじゃん!」

怒ったように言うと、クスクスと笑いながら「まあ、そう焦るなよ。」って、彼は言った。

「焦ってなんか…!」

裸でいることや、それをなるほどくんが見てることや、
「焦ってる」なんて言われたことや、これからしようとしてることや…。

とにかく色々恥ずかしいことがあり過ぎて、あたしはそれを隠すように手を振り上げた。
──もちろん、左手で胸を隠して。

「何よぅ!」

だけど、なるほどくんには非力なあたしの抵抗なんて赤子の腕を捻る様なもの。
いとも簡単にあたしの腕の動きを封じた。
腕を取られたなら言葉でと、尚も抵抗を試みようとしたあたしの唇を、大人のキスで塞ぐ。

正座した下肢をそれぞれ外に崩してペタンと座るあたしの肩に手を置き、唇や舌を奪っていく。
そして、肩から腕をなぞるように前に手を回し、胸を庇っていたあたしの左腕の戒めをそっと解いた。

なるほどくんに応えて必死で舌を絡めていたあたしは、いつの間にか両胸が温かい体温に包まれている事に気が付いた。

(…………!!!!!)

頭の中で声にならない悲鳴を上げる。
もう頭の中は真っ白。
どうして良いのか分からずもがくあたしの耳元で、なるほどくんが囁いた。
617ナルマヨ8:2009/03/11(水) 22:30:06 ID:2XAxZ9fZ
「真宵ちゃん…」

「うん…?」

正面から見るには近すぎて恥ずかしくて、あたしは少し目を逸らして彼の顔を見る。
なるほどくんはまっすぐあたしを見つめていた。

まるで、まだ弁護士バッジを付けていた頃みたいに。

たった数ヶ月前のことなのに、酷く懐かしいこととして思い出していることに気がついて。
気付けばあたしの瞳からは、この数ヶ月ずっと我慢していたものが溢れていた。
声もなくただただ涙を流すあたしの名前を、なるほどくんはもう一度口にする。

「真宵ちゃん。」

「…。」

「心配掛けてごめんね。」

「…そんなこと…っ」

あたしは涙の理由を察して欲しくなくて、必死にかぶりを振る。
だけどなるほどくんにはきっとそんなのお見通しで。
骨ばった指であたしの頬を伝う涙を拭って、
そのままあたしの頬を両手で包んで、しっかり見つめて言った。

「…大事にするから。」

「……う…ん…。」

「大事にする。」

二度目の言葉は抱き締められながら。
耳元で囁かれたその言葉が、あたしの頭に甘く響く。

今までだってずっと大切にしてくれてたのに、そういう事を言ってくれるんだね。
あたし、世界一の幸せ者だよ。

何とかこの気持ちを伝えたくて、あたしは自分からなるほどくんの唇に唇を重ねた。
それに応えるかのように、なるほどくんの手がスッと胸を包んであたしは思わず身を竦める。

ブラの上から大きな男の人の手が胸をまさぐり、そしてカップを下にずり下げると、直に乳房に触れた。

「…!」

なるほどくんは、あたしの首筋に血脈を見つける度に、一つ一つ紅い痕跡を残しながら手のひらで乳房を揉みしだく。
そして円を描くように揉んでいたあたしの胸のその先端を、親指で下からすり上げるように擦られた時だった。

618ナルマヨ9:2009/03/11(水) 22:31:07 ID:2XAxZ9fZ
「ぁ…!」

小さいけれど、確実になるほどくんには聴こえたであろう音量で漏れたその声に自分で驚き、慌てて口元を手で覆う。

なに?
なに、今の…。
あたしの声…?

自分で自分が信じられなかった。
だって、それはドラマだとか映画のラブシーンで、女の人が出すのと同じような声で。
あたしは、あれは場面を盛り上げる為の演技なんだって。
台本の女優さんの台詞の欄にそう書いてあるんだと思っていて。
だから、台本もない、女優でもないあたしが、どうしてそんな声を出してしまったのか、意味が分からなくて。
あたしは半ば呆然としながら、なるほどくんの腕に抱かれていた。
なるほどくんは俯くあたしを見ながら、先端への刺激を続けている。
視線を感じるのに顔をあげられないでいた。

指が触れている場所から広がる不思議な疼き。
その疼きが甘く感じられるようになるまで時間は掛からなかった。
少しずつ呼吸が乱れていく。
吐息が、身体が熱い。

あたしは必死で歯を食い縛りながら、変な声が漏れないように耐えていた。
だけど呼吸が切迫していくのは我慢出来なくて、鼻から漏れる吐息が静かな室内に響く。

「ん…!」

その先端が生温かい何かに包まれて目を落とすと、つい今まで指で摩っていたそこに、なるほどくんが吸い付いていた。
じんじんと熱い突起は、普段とは明らかに形を変えている。

あくまでも微乳じゃなくて美乳と言い張るあたしの胸の先で
淡く色付いて自己主張しているそれを、
なるほどくんは舌で舐め上げ絡め取り、唇で甘噛みする。
そこから生まれた甘い疼きがおへその下の身体の奥に響いていた。
その疼きはどうにも狂おしくて、あたしはいつの間にかもじもじと、太ももを摺り合わせるようにくねらせていた。

── なんで…?
お風呂の時に身体を洗いながら自分で触るのとは全然違う感覚。
同じ“触る”という行為なのに、どうしてこんな…。
言い様のない切なさが溜息となって漏れる。

「ふ…ぁ…」

屈むようにしてあたしの胸に顔を埋めるなるほどくんは、
微かに眉を顰め、伏し目がちに頬を紅潮させて、
あたしが今まで見た事がない顔をしていた。

これがなるほどくんのオトコの顔なんだ。
あたし達の前では決して見せなかった顔。
それを今、あたしは見ている。

新たな一面を見ているという喜びで胸がいっぱいになって、
あたしはなるほどくんの頭を腕に抱き締めると
怪訝そうに顔を上げたなるほどくんと目が合って、どちらからともなく唇を重ねる。
619ナルマヨ10:2009/03/11(水) 22:31:50 ID:2XAxZ9fZ
数を重ねるごとに濃厚になって行くキス。
だんだん痺れるような陶酔感に呑まれていく。
あたしの左の乳房で遊んでいたなるほどくんの手が、
身体のラインに沿って滑り落ちて行った。

胸、脇腹、腰──。

触れられたところがくすぐったくて、身を捩る。
それでもさわさわと軽いタッチで何度も撫でられているうちに、
くすぐったさが、肌が粟立つようななんとも形容しがたい感覚に変わっていく。
そのままあたしを膝立ちにさせると、
腰骨に触れていた手を下腹部へと滑らせ、ブラとお揃いの下着の中心をスッと撫でた。

「…!」

息を呑む。
なるほどくんの長い人差し指と中指が、あたしの中心の溝を下着の上から何度もなぞる。
そして、ある一点を見つけると、爪で引っ掻くように小刻みに刺激し始めた。

「く…ぅ…!」

それは、今まで感じたことのない強烈な感覚で、あたしはなるほどくんの肩に凭れ掛かって刺激に耐える。
中心から湧き上がる鋭く甘い感覚は、快感と認識するには十分だった。

今まで必死に変な声を出さないようにと堪えて来たけど、もう、限界──。
声が出ちゃう…!
ギュッとなるほどくんに抱きついた時だった。

「あ…っ!」

堪えきれなくなった声が漏れたのと、下着の中に異物を感じたのはほぼ同時だった。
その異物が彼の指だと認識して、あたしは思わず顔を歪める。
なるほどくんの肩を握り締めた手が震える。

恥ずかしい!
今すぐ死んじゃいたい…!

なるほどくんの指が秘裂に沿って滑り、中心を掻き回す。
疼いていた芯を捕らえられ、そこをクリクリと捏ねられたあたしは、
なるほどくんに抱きついたまま彼の耳元で、それまで堪えていたはしたない声をあげていた。

「あ…っ、ん…ぁ、ああっや、ん…は…ぁ…!」

誰にも触られたことのないそこが、熱く熱くなっている。
あたしの右胸で遊んでいた手がいつの間にか下着に掛かり、薄い布をスルスルと下ろしていく。

見られちゃう…!
腰を引いて彼の視線から下半身を庇おうとしたあたしは見てしまった。
色が変わった下着の中心とあたしの間に、透明な糸が繋がっているのを。
620ナルマヨ11:2009/03/11(水) 22:32:41 ID:2XAxZ9fZ

「や…!」

何これ!
何よこれ…!
なんでこんな事になってるの?

なるほどくんは、狼狽しきっているあたしを見上げて
汗を掻いた頬に張り付いている髪の毛を取り除きながら「可愛いなあ…」と呟いた。

「真宵ちゃんは敏感なんだね。」

「…敏感?」

「うん。凄くエッチだよ。」

「何それ…意味…わかんないよ…!」

彼は法廷で証言の穴を見つけた時みたいにニヤッと意地悪く笑うと、
あたしの秘所でわざと音を立てるように指を動かした。
なるほどくんを掴む手にギュッと力を入れるあたしの耳に、ぐちゅぐちゅと水音が響く。

「ああ…んっ」

「ほら…これが証拠だ。」

「や、やあ…!なに…?なにこれ…!なんでえ…?」

必死にもがくあたしに、顔を上げたなるほどくんがキョトンとした顔で言った。

「…え。もしかして本当に知らないの…?」

「何が…?」

「何がって…え、あれ、だってさっき自分で言ったよね?その…セックスしたいのかって。」

「うん。」

「…セックスって知ってる?」

「あのね、なるほどくん…いくらあたしでも、それくらいは知ってるよ!
 ちゃんと保健体育とか、せ、せーきょういくの時間に習ったもんね。」

「…どんな風に習ったの?」

あたしは一通り説明する。
おしべとめしべの話から始まって、生命の誕生の、その製作過程の話を。


621ナルマヨ12:2009/03/11(水) 22:33:39 ID:2XAxZ9fZ
「…なるほどね。」

「うう。勝手に納得しないでよお…。」

「真宵ちゃんはあれだよ、教科書での知識しかないんだね。」

「どういうこと?」

「そういうことをする時には、その…色々と身体の準備も必要なんだよ。」

「そ、そうなの?」

「ま、教科書はそこまで教えてくれないけどね。」

「……。(うう。なるほどくんの癖に…。)」

赤面して俯いたあたしのオデコに苦笑しながらキスすると、
片足を下着から抜き取ってそっとあたしを押し倒した。


いつも見慣れた天井の代わりに、なるほどくんを見上げる。

「知らないなら、これから知ればいいよ。」

熱に浮かされたような瞳であたしを見つめるなるほどくん。
彼の目に、あたしはどんな風に映ってるのかな…?

はだけた装束と、ずらされたブラのせいで裸の上半身を晒していて。
家元仕様の長い装束の裾は乱れて、下肢は太ももまで露わになっているだろう。
その片方には脱がされた下着が引っ掛かっていて、そしてその奥は…。

ああ。
あたし、なるほどくんに全部見られてるんだ──。

なるほどくんの目に映っているであろう自分を想像し、
自覚した途端、発作のように羞恥心が燃え上がった。

「や…ダメダメダメダメ…!見ちゃダメだよ…っ」

「なんで?」

「なんでって…。」

そう改めて聞かれると言葉に詰まる。

「恥ずかしいし…それに…エッチな子なんて、嫌われるよ…」

今までそういうHなことなんて全く話さなかったなるほどくん。
男の人としての姿をあたしには見せなかったなるほどくんに、
生まれたまんまのありのままの、女としての自分を見せてるあたし。
それがたまらなく恥ずかしくて、あたしは腕で顔を覆った。
そんなあたしの背中に手を回し、なるほどくんは軽々と抱き締める。
622ナルマヨ13:2009/03/11(水) 22:34:31 ID:2XAxZ9fZ
「そんな事気にしてたの?」

「うう…。」

「真宵ちゃん。」

「ん?」

「真宵ちゃん、ぼくを見て。」

恐る恐る顔を覆った腕を除けると、そこには真剣な瞳があって、
あたしは吸い込まれるように見つめ返していた。

「どんな真宵ちゃんも嫌いにならないから。」

── ぼくに全部見せて。

ああ、これが。
この目が本当のなるほどくんだ。
いつだって真っ直ぐで、嘘を吐かないなるほどくん。
それはあたし自身がよく知っている。

あたしは耳元で低く囁かれたその言葉に、初めて本気で安堵して身を任せた。

******

なるほどくんはあたしの右側に添い寝するように横たわり、
右胸の突起に舌を這わせながら、同時に秘所の芯を摩る。

「あ…は…ぁ…っ…んんっ」

あんなに恥ずかしかった声を、あたしは堪えることなく自然に発していた。

「あのね、真宵ちゃん。」

「ぅん…っ」

「こことか…ここは…」

そう言って胸の突起を甘噛みし、
今度は下半身の敏感な一点をクイクイと揺らしてあたしに示した上で

「こうやって刺激されて気持ち良くなると大きくなるんだ。それを・・と言って…」

と、教科書に載っていたような言葉を使ってあたしに分かりやすく説明してくれる。
だけど、よく知っている声でそんな事を耳元で囁かれると、訳が分からなくなりそうになる。
顔が熱い。
なるほどくんの顔、恥ずかしくて見れないよ…!

623ナルマヨ14:2009/03/11(水) 22:35:16 ID:2XAxZ9fZ
「で、さっき真宵ちゃんがビックリしてたこれは…」

秘所に這わせていた指をあたしの中にほんの少しだけ挿し入れ、
後から後から湧き出るその粘液を掬い取って、先ほどと同じようにクチュっと音を立てた。

「ぼくが真宵ちゃんのここに入る時に乾いてたら大変だから、その潤滑液みたいなもので…」

なるほどくんが耳を覆いたくなるような台詞を言う。

「真宵ちゃんが凄く興奮してる証拠なんだよ。」

「やあ…!」

なるほどくんがこんなコトを言うなんて、信じられない…!

普段小生意気に弟だなんだの言ってからかっていたけど…。
…やっぱりなるほどくんは大人で、男の人なんだなあ…。

かろうじて残っていたあたしの思考能力は、そんな当然のことを考えていた。

「だから、いっぱい気持ち良くなって良いんだ。」

なるほどくんはそう言いながら、
彼の視線から守るように立ててくっ付けた膝を、グッと力を入れて割り開き、
両足の間に身体を滑り込ませた。
男の人の重みが正面からもろにあたしに圧し掛かる。

なるほどくんはそのままあたしの右胸の突起に吸い付き、左の胸の突起と秘所に指を這わせ始めた。
同時に刺激されるそれぞれの場所から快感が湧き上がり、あたしは仰け反る。

「ああっあ、あん…!」

なるほどくんが触れる全ての場所が、どうしようもなく気持ち良い。
下半身の感覚はどんどん鋭く高まっていく。

いつも検事に、証人につきつけていた長い人差し指が、今はあたしの大切な場所を弄んでいる。
芯を剥き出しにして、愛液を塗りこめるように擦られて、
あたしはいつしか腰を浮かせて揺らしながら、その刺激を求めていた。

「あ…や、いや…あ…あん…っああ、なるほどく…んっ…!」

胸の先端と秘所で生まれた快感が直結して下半身の奥に溜まって行き、
それが急速に全身を駆け抜けた瞬間…。

「なんか、ダメ…!やめ…ダメ、イヤ、やあ…!」

あたしは一際高い声を出しながら、お尻を伝って何かが垂れるのを感じていた。
息が出来ないほどの強烈な快感。
頭が真っ白になって身体が硬直し、ピクッピクッと痙攣する。

何がなんだか分からなくて、あたしはグッタリと布団に沈み込んだ。
気だるさの中ではあはあと息を整えていると、
なるほどくんがあたしのオデコに張り付いた前髪を払いながら、「大丈夫?」と覗きこんだ。
624ナルマヨ15:2009/03/11(水) 22:35:52 ID:2XAxZ9fZ

「ん…」

答える気力もない。

「イッたんだね、良かった。」

「…これ、イクっていうの?」

「うん。」

「ふーん…。」

どっちかというと、“行く”というより“持って行かれそう”な感じだったなと思い返す。

「あ…」

そういえば。
イった時にお尻に感じた違和感を思い出した。
身体を起こそうとするのに力が入らなくて、モゾモゾと身動きする。

「どうしたの?」

怪訝そうななるほどくんに「何か垂れたみたい」と小声で言うと、彼は「大丈夫だよ」と言った。

「イった瞬間に愛液が溢れたんだよ。」

なるほどくんに助け起こされて、お尻の下のシーツに目をやると、
そこにはあたしが作ってしまったらしい染みが出来ていた。
手ほどの大きさでシーツの色を半透明に変えていて、
この染みはあたしが気持ち良くなってしまった証拠なのだと思い至り、
かああっと顔に血が集まるのを感じていた。

「本当に敏感だね。」

なるほどくんはクスクスと笑いながらそう言うと、
絶頂に達したばかりで過敏になっているそこに、再び指を這わせた。

「痛かったら言って。」

あたしの中にゆっくりと指を入って来る。
ぬるりと異物を飲み込む感覚。
胎内に感じる、初めての異物だった。

「あ…」

「痛くない?」

「うん。平気。」

ゆっくりと引き抜き、また挿し入れる。
徐々にスピードが速まり、あたしの身体にも少しずつ変化が表れ始めていた。
痛くも悲しくもないのに視界が涙で滲む。
だけどそれは芯で感じたほどの快感ではなかった。
625ナルマヨ16:2009/03/11(水) 22:36:46 ID:2XAxZ9fZ
「どう?」

「う…ん…よく分かんない。」

今度はなるほどくんは中で指を曲げて、蜜を掻き出すように内壁を探り始めた。
あたしの中で指が蠢くのはなんとも言えずに切なくて、整えたばかりの息がまた荒くなっていく。

「ぁ…ん…」

いつしかあたしの中の指が2本に増え、その2本がある一点に触れた時だった。

「ア…ッ!!」

明らかに他の場所とは強さも質も違う快感が、あたしの中を駆け抜けた。
勝手に腰が跳ね上がり、挿し入れられた指をキュッと締め付ける。
あたしの反応が変わったのを見て、なるほどくんはそこを重点的に攻め始めた。

「あ、やぁ、なにそこ…っ!?や、あ、あ、」

2本の指が刺激するそこがじんわりと熱を持ち、次第に広がり始める。

「う…あ…あ…」

水音が激しくなる。

「は…ぁ……あ…ぁ…」

もうすぐ
もうすぐ…

「ダ…ダメ…あ、あ、ああっ…い、いきそ……く…イっちゃ…ッ…!」

もう、ダメ…!

「あああああっ」

頭の中で光が弾けた。
背中が弓なりに反る。
芯で得たさっきの快感とは深さが全然違う。
ゆらゆらと水を漂うような感覚。
絶頂の波が去ったあとも快感が全身を包む。

なるほどくんがあたしを呼んでいるのが分かるのに、答えることすら出来なかった。

「真宵ちゃん、良い…?」

「ん…」

微かに頷くのが精一杯だった。

下肢が思いっきり広げられるが、抵抗どころか羞恥心すら湧かない。
それどころかなるほどくんの触れる膝小僧すらも快感を感じる。
今でも絶頂の中を彷徨っている気分──。

秘所に硬くて熱いものが宛てがわれ、
溢れかえっている蜜を広げるように往復するそれが彼自身で、
今からあたしの中に入ろうとしていることをやっと察して、
気力に鞭打って目を開けてなるほどくんを見つめ返す。

626ナルマヨ17:2009/03/11(水) 22:37:30 ID:2XAxZ9fZ
ぬるぬると滑りの良いそれが、あたしの芯に触れて、
なるほどくんを待ち受けるそこがじゅんと潤い、
自分の意思とは無関係にヒクついてしまうのを感じる。


「ぁ…」

「真宵ちゃん、行くよ…?」

“良いよ”の返事の変わりに、あたしは口元に笑みを作ってゆっくり目を閉じた。

「出来るだけ優しくするから」

その言葉からほんの少し遅れて、身体の中心を引き裂くような痛みと、強烈な圧迫感が圧し掛かってくる。

「ぁ……ん…」

少しずつ分け入ってあたしを満たしてゆくそれ。

「い…た……ッ!」

なるほどくんが解してくれたし、
2度の絶頂とその余韻で十分過ぎるほど潤っているはずなのに、
それでも受け入れるそれは大きくて、
あたしはなるほどくんの広い背中に爪を立てていた。

やがてあたしを抉りながら進んで来たそれが
行き止まりに到達したのを感じて目を開けると、
うっすらと汗を浮かべたなるほどくんがあたしを見つめていた。

「全部入ったよ。」

「うそ…」

思わず足元の方に目をやったあたしは、大きく開かれた下肢の間の
あたしの中に埋め込まれているそれを初めて見て

「こ、こんなのが入ってるのっ!?」

と、この状況にそぐわない素っ頓狂な声を出していた。

あたしに突き立てられたそれは、こんなに圧迫感を齎しているにも関わらず
胎内に埋まっていない部分も少なからずあって──。

「うう…なるほどくんも、た、大変だね…。」

「何が?」

「こんなの…毎日、持ち歩いてるなんて、大変だなあって…!」

「い、いやいやいや、持ち歩いてないよ!っていうか持ち歩くっていうシロモノじゃないよ!」

奥を突かれる衝撃が齎す、声にならない声を混ぜながら
あたし達は普通の、いつも日常でしていたような会話をしていた。

やってる事はとてもエッチなことなのに。
繋がってるそこは痛いのに。
627ナルマヨ18:2009/03/11(水) 22:38:29 ID:2XAxZ9fZ
好きな人を受け入れ、微笑み合える幸せは、それを吹き飛ばすほどの満足感をあたしにくれる。

目の前にいるなるほどくんは、もう弁護士じゃない。
あたしは霊媒道の家元。

でもそんな事なんてどうだって良いって思えた。
なるほどくんがいてくれれば、何にもいらない。
なるほどくんのそばにいられることが、あたしにとって一番幸せなこと。

「…ん…ッ…なるほどくん…っ」

「うん?」

息を弾ませながらあたしを見つめ返した彼に、問う。

「── 気持ちいい?」

「うん。…すごく気持ち良いよ。」

「そっか…!」

好きな人があたしで気持ち良くなってくれている。
初めて男の人を受け入れたそこはまだ痛いけど、
なるほどくんが気持ち良いならそれで良いや。

女の子に生まれて良かった。

ゆっくりと目を開ければ、すぐそこになるほどくんの顔があって。
あたしは嬉しさや恥ずかしさがごちゃ混ぜになって、照れ笑いをする。
そんなあたしをなるほどくんは凄く優しい瞳で見つめてくれる。

「大好き…」と呟けば、「知ってる」と返す。

あたしはニッコリ微笑み、なるほどくんの背中を抱き締める。
彼はそんなあたしに深い口づけをしながら胸の突起に触れた。

触れられているのは胸なのに、繋がっている部分が熱く熱を持ち始めて
あたしの口からは甘い吐息と艶の混ざった喘ぎが漏れ始める。
繋がった場所からは、グチュグチュという卑猥な水音と、肌が触れ合う乾いた音が響く。

「ん、あ…あん…ああっ…あ…っ」

繋がる前にあたしを絶頂に導いた胎内の一点になるほどくんが擦れて、
消えかかっていた炎に再び火が灯り、
じんじんと痺れるような切ない疼きがあたしを支配していく。

つい今しがた笑いながら言葉を交わしたのが嘘のように
あたしは与えられる快感にのめり込んで行くのを止められない。

彼があたしに分け入る時の、襞を抉り広げる快感。
彼があたしから出て行く時の、内壁が擦れる快感。
そして、いつしか添えられていた彼の指が、
ぷっくりと膨れて剥き出しになった芯に与える快感。
628ナルマヨ19:2009/03/11(水) 22:39:11 ID:2XAxZ9fZ
一番深いところでなるほどくんはあたしを愛してくれる。
あたしは全身でそれを受け止める。

肉体の快感に輪を掛けて、精神的な充実度があたしを昂ぶらせていく。
自分でさえ知らなかったあたしが、それらを「もっと、もっと」と求めてる。
そしてそれがいつしか「もう少し、もう少し…!」となり…。

「あ、あ…ん、…な、なるほどく…ん…あたし…イ、イッちゃうかも…!」

「ぼくも…もう少し…ッ!」

「あ、あ、あ、イク、イク…イッちゃう…!」

一緒にいきたいって思ったけど、我慢出来なかった。

「んああああああっ」

息が出来ない…!頭に血が昇る…!

下腹部から生まれた光があたしを包むような錯覚と、
波打ち際で足元の砂が崩れ去るあの不安定な感覚があたしを襲う。
あたしは甲高い嬌声を上げながら一足先に達していた。

全身が性感帯になったような絶頂の余韻で身動きが出来ないあたしの中を
なるほどくんが抽送を速めていく。
一旦火が点いたあたしの身体はそれすらも敏感に受け止めて、
二度目の高みへと追いやられていく。

「あ、あ、やあ…ま、また…!ああっダメ、またイ…ちゃいそ…!」

「真宵ちゃん…!」

「ん…っ、あ、ああ、あああああっ」

「く…っ!」

ギュッとなるほどくんに抱き締められた刹那。
あたしの身体は大きく突っ張り、そして不随意に跳ねる。
真っ白にスパークした意識を身体ごと持って行かれそうになりながら
ヒクヒクと勝手に蠢いて止められない胎内が、
なるほどくんの吐き出した生温かいもので満たされていくのを感じていた。
629ナルマヨ20:2009/03/11(水) 22:40:10 ID:2XAxZ9fZ
******

あの頃よりも二回り大きくなった胸の双丘を揉みしだきながら
サラサラの髪が流れる背中に唇を這わす。

視線を少し下げれば、
浮き上がりそうなほど白い彼女の臀部に突き立つ己が、嫌でも目に入る。

「ああ…んっなるほどくん…!」

彼女は息も絶え絶えに、乱れた和服姿で淫らに腰をくねらせる。

男を知った時から敏感だった彼女は、数を重ねるごとに新たな悦びを見つけ出し、
清楚で可憐な笑顔からは想像出来ない別の「綾里真宵」の顔を持ち合わせるようになった。
その顔はぼくにしか見せないものであって、それがぼくに密かな優越感を齎してくれる。

彼女と初めての関係を持って、もう7年。

あの日は蛍が舞っていた。
今、ぼく達を見守るのは満天の星達。

こっそり屋敷を抜け出して、あの日の河原に来たのには理由がある。

── 全てが終わったから。

長かった。
ぼくはとうの昔に30を越え、真宵ちゃんは27歳になっていた。

家元装束が板につき、顔立ちからは幼さが影を潜め、
千尋さんには及ばないものの身体も女性らしい曲線を描く真宵ちゃんは
名実共にすっかり大人の女性へと成長していた。

あの日、蛍が照らす真実の道を示してくれた真宵ちゃん。
別の道を歩いて来たぼくたちだけど、お互い忘れたことなんてなかった。
物理的には離れていても、気持ちはいつも共にいたから。

そんなぼく達の終着点に相応しいのは、やはり倉院のこの河原だと思う。

10月も半ばに差し掛かろうというこの時期にはさすがに蛍はいないけど、
代わりにぼく達の頭上には山里特有の済んだ星空が広がっている。

ぼく達は死角になる木陰で声を押し殺すようにして求め合う。

木の幹に手をついて、それを支えにするようにして臀部を突き出し、
緩んでしまって役に立たない装束のせいで、背中まで露出した彼女は
月明かりの下で異様なほど艶かしい。

「なるほどくん…もう…!」

声を漏らさないように、身体を支える手に口を押し当てながら限界を伝える真宵ちゃん。
その言葉通り、彼女の中は規則的な収縮を始めている。
ぼく自身を包む真宵ちゃんの妖しい蠢きに射精感を感じていた。
630ナルマヨ21:2009/03/11(水) 22:41:15 ID:2XAxZ9fZ
「…ねえ…真宵ちゃん……中に出して良い…?」

真宵ちゃんは息を弾ませながらじとっと湿度の高い目で、
眉を顰めて怒ったような表情を作って振り向いた。

「……出来たら産むよ?」

その顔は紅潮していて、色っぽさと可愛らしさが同居した不思議な魅力を放っている。

興奮の余り避妊をする余裕がなかった初体験の翌月、
来るべきモノが来ないと冷や汗を掻いて以来、避妊主義に徹して来た真宵ちゃん。
その言葉にはぼくに対する脅しの意味が込められているのがよく分かる。

「…良いよ。」

「は?」

「言葉の通りだよ。出来たら産んでよ。」

「え、ちょ、ちょっと何言ってんの?」

「7年も待たせて、ごめん。」

「…!」

「真宵ちゃんも、もう27歳になるんだよね。」

631ナルマヨ21 終わり:2009/03/11(水) 22:41:38 ID:2XAxZ9fZ
出会ってからもう10年も経つ。
お姉さんの亡骸から逃げていく体温を逃すまいとでも言うかのように、
縋りついて泣いていた真宵ちゃん。
1人になってしまったというのに、そんなことは微塵も見せずに
ぼくのそばで笑っていてくれた真宵ちゃん。
ぼくの力になりたいと、修行に励んでくれた真宵ちゃん。
誘拐されて命の危機だというのに、ぼくを信じ、正義のために命を失う覚悟をした真宵ちゃん。
目の前でお母さんが殺され、彼女自身も命を狙われ。
何度も何度も危機に見舞われながら、
自身が傷付くのは厭わず、他の誰かが傷付くのを何よりも恐れ、
他の誰かの為に涙を流していた真宵ちゃん。
弁護士じゃなくなって、どこか斜めに構えるようになったぼくの分まで笑い、泣き、
そして怒ってくれる真宵ちゃん。

過酷な運命すら跳ね除けて明るく屈託なく笑うキミに
ぼくがどれだけ救われたか、キミは知りもしないだろう。
ぼくがキミから与えられたものを、きっとぼくは一生掛かったって返せやしない。
だからせめて、そばでキミを見守らせて欲しい。

美しい花嫁姿のキミを。
優しい母親になるキミを。
逞しいおばちゃんになるキミを。
可愛いおばあちゃんになるキミを。

そして、子供や孫や曾孫達、それに里の人達に囲まれて、惜しまれながら人生を卒業するキミを。
…もっとも、その頃には7つ上のぼくも卒業してるだろうけどね。

「……本当に良いの…?」

「構わないさ。」

「へへ…。嬉しいな…ありがとう…!」

涙を流すキミへの想いをぼくは最深部に注ぎ込む。

小刻みに身体を震わせるキミを抱き締めれば、
ぼく達を守るように覆う茂みからは、一斉にホタルが舞い上がり、夜空へと消えた。

── 星に願いを。
632名無しさん@ピンキー:2009/03/11(水) 22:44:04 ID:2XAxZ9fZ
終わりでした。
お付き合い下さいましてありがとうございました。
途中改行が変になっててごめんよ。
633名無しさん@ピンキー:2009/03/11(水) 23:18:29 ID:RsKUgeBq
GJ…ッ!!!

お勉強プレイがエロくて可愛かったw
最後も良かったよー感動した!

やっぱりナルマヨはええのぅ。
634名無しさん@ピンキー:2009/03/12(木) 00:33:13 ID:9etxgiEZ
GJといわざるおえない‥‥ッッ!!
過去SS読みすぎて、俺の百合SS投下が遅れる事この上ないッ‥‥!!
夜中まで‥ROMってて‥良かった‥‥ッ!! グッジョォォォブ!!!! また作品期待してまつ 乙!!


635名無しさん@ピンキー:2009/03/12(木) 03:01:56 ID:kkvqdHau
GJ!!

マジで星に願いをかけたくなるというキモい衝動で窓を開けたけど、星が出てない…。
しかし!今夜は月が綺麗だから、そっちにかけとくぜ!
ナルホドと真宵に幸あれ!!

とにかくGJでした!!
636名無しさん@ピンキー:2009/03/12(木) 10:59:46 ID:8X+3d9gE
GJ!!

やっぱりなるまよは最高だね!
持ち歩くってところで吹いたww
637名無しさん@ピンキー:2009/03/13(金) 21:38:28 ID:GmFgs58V
GJ!
最初のも良かったけど
最後の野外プレイに何故か異常に萌えたww

倉院の里は野外プレイのしやすそうだ
638ミツメイ:2009/03/15(日) 17:12:52 ID:FtIS/HL8
「たまには、どうだ、その、食事でも」

できるだけ偶然を装って、できるかぎりさりげなく。
御剣怜侍が検事局の資料室で、忙しく判例を探している狩魔冥にそう言った。
「いやなんだその、今日の裁判について、話もあるしな」
「今日は約束があるの」
資料から目も上げずに、冥が答える。
朝からこの一言を言うために、何度も何度もシュミレーションして口の中をカラカラにしていた御剣は、瞬殺されてその場に座り込みたいほどがっくりした。
かろうじて矜持で身体を支え、表情を取り繕いはしたものの、疑問が口を付いて出るのは押さえられなかった。

「誰とだ?」
目指すものを見つけたのか、資料をパタンと閉じて小脇に抱えた冥がふんと鼻で笑った。
「デートよ」
今度こそ、御剣は意識が遠のく気がした。


御剣が、建物の影に身を潜めていると、仕事を終えた冥が検事局を出てくる。
コートの襟を立てて、距離を置きながら、御剣はヒールの音を響かせて歩く冥を尾行した。
タクシーを拾うこともなく、冥はいくつかの通りの角を曲がると、小さなカフェのドアを押した。
見失わなかったことに安堵して、御剣はそのカフェの前を通り過ぎて立ち止まった。
ここで、デートの相手と待ち合わせなのだろうか。
小さなカフェは中に入れば冥に気づかれるに違いなく、御剣はわずかに冥の白いコートが見える窓を探してそこが見える場所に立った。

――――なにをしているのだ、私は。
しかし、冥のデートの相手を確かめずにはいられない。
アメリカにいた冥が帰国して、数ヶ月。
まさか自分が保護者気分でグズグズしている間に、誰かが横から彼女をかっさらっていくとは。
いまいましい気持ちで、窓の向こうに見える冥の背中を見張る。
仕事を大急ぎで片付けてまで会いたい相手というのは、誰なのだ。
私の誘いを蹴ってまで一緒にお茶を飲みたいというのは、どんな男なのだ。
お茶を飲んで、それから食事に行くのだろうか。
そのあとは、どこだ。
冥のマンションか、相手の家か、それともどこかの。
そう考えると、寒さを忘れるほど、頭に血が上って湯気が上がりそうになる。
御剣がいらいらしながら冥を見張っていても、なかなか待ち合わせの相手がカフェに入っていく様子はない。
もしかして、冥は待ちぼうけを食わされているのだろうか。
席に着いた冥は動かず、そわそわしたり携帯を取り出したりする様子はない。

三十分もしたころ、御剣は決心してカフェのドアを押した。
連絡もなしに女を半時間も待たせるような男に、冥を任せるわけにはいかん。
「冥!」
彼女が座っていた席に向かって呼んで……、御剣は呆然とした。
座席の背に、冥のコートだけが、かかっていた。

撒かれた。尾行は気づかれていたのだ。
639ミツメイ:2009/03/15(日) 17:13:14 ID:FtIS/HL8

次の日から、御剣は検事局の人間に目を光らせた。

冥はこの国に知り合いが多いわけではない。
デートをするような相手は、検事局内にいると思えた。
若い検事にはたくさんの仕事を押し付けて忙しくさせ、事務方の職員にも清掃係にも難癖をつけて仕事を増やす。
いや、もしかして親ほど齢の離れた相手でも、まったく可能性がないわけではない。
冥が裁判所へ移動したり検事局内を歩いたりするのを見つけると、誰かと親しげに口をきいたりしてはいないか、意味ありげな視線を絡ませてはいないかと観察した。
冥のデートの相手は、誰なのだ。
それがわからず、御剣はいらだった。

まもなく、検事局にはふたつの噂がささやかれる。
ひとつ、御剣検事は最近、尋問の厳しさに磨きがかかり、いっそう眼光が鋭くなった。
ひとつ、狩魔検事は最近、私服が華やかになり、表情も明るく、とてもきれいになった。


「お手上げだ、成歩堂」
親友の事務所で、御剣は肩を落とした。
「なんだよ、お前らしくない」
依頼客の来ない法律事務所で、成歩堂は魚肉ソーセージをかじっている。

「ウム……、それが」
先日、御剣がむりやり週末に企画した、検事を集めての研修会も冥は首を横に振った。
「デートなの」
研修会に来なかった者が、冥のデートの相手だと御剣は勇んで出席を確認したが、研修会に欠席したのは冥一人だった。
どういうことだ、冥の相手は検事ではないのか?
今日も、残業を頼むようなふりで帰りがけの冥に近づいたが、予定があるのと断られた。
御剣は、途方にくれていたのである。

「悪いけど、ぼくはこれから出かける用があるから」
「……ああ、そうか、すまん」
慌てて腰を上げかけて、御剣は成歩堂をにらみつけた。

これから、出かける、だと。

冥の人間関係は、検事局の中だと思っていた自分に、とんだ見落としがあったのかもしれない。
御剣は上着を羽織って出かける仕度をしている成歩堂を見ながら、御剣は両手を硬く握り締めた。
かわいらしいニットのワンピースに着替えて検事局を出て行く、冥の後姿を思い出した。

冥は、成歩堂とデートを重ねていたのか。
裁判で負けたとあれほど悔しがっていたのに、憎さ余って愛しさ百倍か。
成歩堂のどこに、冥は惹かれたのだろう。
私の、なにが足りなかったのだろう。
どうすれば、成歩堂から冥を奪い返せるのか。
いや、成歩堂も大切な親友だ。
どちらも、失うわけにはいかない。
ううむ……。

「お、おい!」
襟首をつかみあげられて目を白黒させた成歩堂に、御剣は裁判所で鍛え上げられた発声で叫んだ。

「幸せにすると、誓えーーーーーーーー!!!」
640ミツメイ:2009/03/15(日) 17:13:36 ID:FtIS/HL8
「誤解……だと」

出かける時間を引き延ばして、成歩堂は事務所のソファで冷や汗をぬぐった。
「狩魔検事なら、最近は真宵ちゃんと仲良くしてるよ」
「真宵くんと?」
ここしばらく、頭の中を一杯にしていた悩み事が成歩堂の言葉で崩れ落ちる。
「真宵ちゃんも、同年代の友達ができて嬉しそうで、休みの日は一緒に買い物に行って洋服とかバッグとか買ったり、新しく出来たランチの美味しいお店がどうだとか、流行のリップがどうだとか」
休日のデートの相手、というのは、真宵だったのか。

この国に来て、仕事相手ではない友人を得て、冥は年相応の女の子らしい遊びを覚えたのだ。
賑やかな街を歩き、ジャンクフードを立ち食いし、流行りの服を買い、季節の化粧品を試す。
毎朝、買った服の中から通勤にふさわしいものを選んで、鏡で自分を確認する冥。
新しいバッグを下ろした日は、手に持つか肩に掛けるかが定まらず、それが嬉しい冥。
新色のリップを検事局の化粧室でつけなおす冥……。

「今日も、新作映画のレイトショーに行ったんだよ。帰りが遅いから迎えに行くって約束してたんだ」
近頃の冥の様子と、成歩堂の言葉を照らし合わせて、御剣はため息をつく。
「なぜ、あんな思わせぶりな言い方をしたのだ。デートなどと」
成歩堂は、不器用な友人の丸い背中にぽんと手を置いた。
「それを、狩魔検事に聞こう。一緒に迎えに行かないか」


御剣が成歩堂と一緒に現れたのを見て、冥は驚いた顔をした。
「あっれー、御剣検事もなるほどくんとデートだったんですか」
真宵が明るい声で言う。
「そ、そのようなわけはなかろうっ」
御剣が言い訳し、見たことのない明るいふわふわした服を着た冥に思わず見とれた。
「なによ」
見つめられたことで、冥が御剣に言った。
「い、いや。その、成歩堂は予定があるようだから、キミは私が送っていこうと思ったのだ」
「え、なるほどくんこんな時間からなに?」
真宵がめをくるくるさせ、成歩堂が脇に引っ張っていってシーっと指を唇に当てた。
「それは後で。さ、行こう、真宵ちゃん」
「う、うん?わ、待ってよなるほどくん。冥さん、じゃあまたねーっ」

成歩堂に真宵が拉致され、御剣は冥と二人で映画館のロビーに取り残された。
急に恥ずかしくなったかのように、冥が柔らかいスカートをバッグで押さえた。
御剣が咳払いをする。
「その、なんだ。に、似合うではないか。そういう服…も」
「……そうかしら」
「ウム。真宵くんと、買いに行ったのか」
「……そうよ」
かわいい、と思った。
駐車場に向かって、御剣はすれ違う通行人から冥を守るように歩いた。

「最近のデートは、真宵くんとだったのか」
冥の胸元を飾る小さなネックレスも、赤い縁取りのあるベージュの小さなバッグも、フリルが三段になったスカートも、
白いレース模様のストッキングも、赤いパンプスも、白いニットも、花のピアスも。
ひとつひとつを、真宵と一緒に店をめぐって選び、試着しながら買い集めたのだろう。
「……あー、そ、その服はいい生地だな。私も、そのようなのが欲しいと思っていたのだが」
冥が不審そうな顔で御剣を見上げた。
「あなたが?」
「ああ、いや、そ、それと同じではなくて、その、男のもので、そういう素材のいいものがだな」
慌てて手を振ると、冥は自分の着ている服を見下ろして首をかしげた。
「紳士ものもあったかもしれないけれど……」
「ウム、そ、そのブランドを教えてくれれば、探して行ってみる」
駐車場で車のドアを開けた御剣を見上げて、冥がぷっと頬を膨らませた。
「ひとりで?」
641ミツメイ:2009/03/15(日) 17:14:00 ID:FtIS/HL8
それは、どういう意味だろう。
御剣がごくりと喉を鳴らした。
「いや、だがしかし」
「……せっかく、仕事以外のことで誘ってくれたのかと思ったのに」
運転席で御剣は眉間に皺を寄せた。
そうだっただろうか。
「し、しかし、食事に誘っても断ったではないか」
「だって、裁判の話があるなんて言うんだもの」
……そうだっただろうか。
見ると、冥がうっすらと頬を赤くしていた。

では、仕事抜きで食事に行かないか。

そう言うと、冥は膝に乗せていたバッグを抱きかかえた。
「……デートなの?」



白いブラウスにピンク色の短いカーディガン、赤いチェック柄のミニスカートにブーツの装いの冥に、御剣は片腕を貸して歩いた。
レストランに行く前に、冥が御剣に春物の薄いセーターを選び、同じ店で御剣は冥にストールを買った。
爪を赤くした冥と手をつないだ。
まるで、デートのようではないか。
冥の手の暖かさを楽しみながら、御剣は舞い上がっているのを悟られまいと表情を引き締めた。
「どうして?」
さっそく肩に巻いたストールの縁についた飾りをもてあそびながら、冥が御剣とつないだ手をぎゅっと握った。
「む?」
「どうして、私をデートに誘ってくれたの?」
御剣は手を握り返しながら聞いた。
「どうして、来てくれたのだ?」
冥が、うふふと笑った。
「尋問に答えなさい。どうして、誘ってくれたの」
「……ふむ」
御剣が足を止め、冥が見上げる。

幼い頃から見ている顔。
生意気で、気が強くて。
七つも年上の自分を『弟』と呼んで顎で使う。
検事局では上司に当たるのに、公私混同で命令を無視する。
やっと近くにいられると思ったら、ふらっとアメリカに行ってしまい、また戻ってきたり。
その柔らかな頬に、そっと手を当てた。
あの日、あの空港で見せたあの表情を、思い出す。
キミは確かに、私と並んで歩いている。

「証言の前に、証拠を提出した方がいいだろうか」
なあに?
そう言おうとする形に開いたかわいい唇を、ふさいだ。
唇を離すと、冥が目を丸くしていた。
今度、キスをするときは目を閉じるものだと教えておこう。
何も見なかったように歩いていく通行人を気にして、冥が顔を真っ赤にしてうつむく。
「こんな証拠、違法だわ」
御剣は冥の肩を抱いて歩き出した。
「キミはもう少し、いろいろなことを勉強した方がいいな」
ついさっき、御剣のキスを受けた唇が尖る。
「ナマイキよ。怜侍のくせに」
642ミツメイ:2009/03/15(日) 17:15:27 ID:FtIS/HL8
―――これも、勉強した方がいいの?
約束どおり、レストランで食事をした後で、冥は御剣の部屋にやってきた。
ソファで正しいキスの講習をくりかえし、ぼうっとしたような熱っぽい目で冥が御剣を見た。
「キミがイヤでなければ」
冥がこの日のために選び抜いた服を、そっと解く。
待って、と恥らうように逃げる身体を抱きしめた。
「イヤか」
「そうじゃない……けど、私まだ」
白い手が襟元を押さえる。
「……私まだ、証言を聞いてないのよ」
御剣はその吐息まじりの声で、ぎゅっと血液が身体の一ヶ所に集まるのを感じた。
「その証言は、ベッドでしよう」

視線を伏せがちにする冥の背中に手を回して、下着を外した。
形のいい乳房の先に、桜色の突起が震えていた。
手の平にすっぽりと包めるそれは、柔らかさと弾力の感触を伝えてくる。
滑らかな肌とすらりとした美しい身体。
「あのね、怜侍……」
「……うむ」
御剣は桜色の突起を口に含んで、舌の先で突つく。
ずっと、こうしたかった。
もうひとつの膨らみを手で柔らかく揉みしだき、冥はうっとりとした声で言う。
「こんなこと……いいのかしら」
そう言いながら、御剣の背に手を回してくる。
「いいのではないか?少なくとも、私はキミを好きだし、こうしたい」
唇を離し、指先で勃ってきた乳首をこねる。
「……なん、ですって?」
そういえば、まだちゃんと証言していなかった。
御剣は冥のウエストを手と唇でなぞりながら、薄い茂みまで下りていった。
そこを指先でかき分け、ぴったり閉じた割れ目に差し込む。
「きゃ……」
冥が驚いたように腰を上げ、御剣は引き締まった太ももを割った。
「なに……、なにするの」
開かれた脚を閉じようとしながら、冥が身体を起こす。

もしかして初めてだろうかとは思っていたが、まさか知らないのか。
幼い頃から検事一筋だった冥は、本当に偏った勉強しかしてこなかったらしい。
冥の脚の間に腰を入れたまま、御剣は起き上がった冥をそっと抱きしめた。
「証言しよう。私は、キミが好きなので、デートに誘った。キスもした」
「……」
「もっと、したいと思う。いけないだろうか」
御剣の胸に頬を押し当てて、冥が目を潤ませる。
「でも……怖いわ」
そんなことを言われたら、たまらない。
御剣はもう一度冥を押し倒した。
「異議はあるか」
冥が小さく首を横に振った。
先ほどの愛撫で感じたのか、未知への恐怖のせいか、触れると乳首が硬くなっている。
ゆっくりとさするように揉むと、手の平に伝わってくる心臓の早い鼓動がわずかに落ち着いてきた。
手を下げて、柔らかな茂みを指に絡める。
指で閉じた部分を開くと、かすかに湿っている。
中指で上下に擦る。

「あっ……」
くぼみを探り当てて指先を押し当てると、冥が御剣の肩を手で押し返した。
「痛いか?」
「ん……だいじょうぶ……」
ぎゅっと目を閉じて横を向く。
御剣は冥の秘所を開いてそこに舌を入れた。
新しい感触にぴくっと腰が跳ね、下から上に何度も舐め上げると、少しずつ湿り気が増えてくる。
643ミツメイ:2009/03/15(日) 17:15:49 ID:FtIS/HL8
「ん……、あ」
舌を差し入れようとすると、まだそこは硬く閉じていた。
ぽつんとした肉の芽を探し出して、掘り出すように周りを舐める。
「うんっ……、あんっ、あ」
冥が艶かしい声を上げる。
じゅぶじゅぶと音を立てるほどに濡れそぼってきたそこは、指を飲み込むようになってきた。
「……力を抜いて。怖くないから」
御剣がささやくと、冥は目を開けた。
「いたくない……?」
「……む」
まあ痛いだろうな、と思いながら御剣は冥の髪をなでた。

「ね、怜侍……、もう一回、言って」
御剣の手に自分の手を重ねて、冥が甘えるように言う。
そそりたった自分のものを押し当てる。
「キミが好きだから……したい。いいか」
今にも涙がこぼれるのではないかと思えるほど潤んだ目が、御剣を見上げる。
「異議は……ないわ」

何度かそこを滑らせてから、きつい入り口を押し開く。
痛いほど締め付けてくるそこをゆっくり進む。
「やっ、あ、だめ、いやっ」
予想したより痛いのか、冥が暴れた。
御剣は進むのを中断して、冥が痛みに慣れるまでじっと髪や頬をなでた。
「どうする?」
ぽろぽろと涙をこぼしながら、冥は覗き込む御剣の首に腕を回して抱き寄せた。
「もう、いや、こんなの、いや」
無理はできまい。
すると冥は御剣を強く引き寄せた。

「怜侍がしたいっていうから、私は、怖いのに、怜侍がっ」
「……ム」
仕方なかろうと腰を引きかけると、冥が驚いたように目を見開いた。
「いやっ、やめないで」
「しかし……、辛いのだろう」
「だめ、続けなさい、いくじなしっ」
目にいっぱい涙をためて強がりを言う冥に、思わず御剣はフっと笑った。
「いいのか」
「……だって、したいんでしょう。私のこと、す、好きだから」
「……うむ」
「だったら、ちゃんとして」

その言葉に甘えることにして、御剣は時間をかけて奥まで入れた。
冥が落ち着くのを待って、ゆっくり動く。
きつきつだったそこが、心地いい締めつけを残しながら潤いを増してスムーズな動きを助ける。
これが、冥の中か。
あまりの気持ちよさに御剣は眉間に深い皺を刻む。
突くたびに揺れる乳房、痛みに耐えるようにぎゅっと目を閉じ、少し開いた桃色の唇からはかすかに喘ぐような声。
「大丈夫か、冥」
「うん……少し……変な感じ」
感じてきたらしい。
「どこが変だ?こうする時と……こう」
「あ、んっ……それ……」
「ここか」
「そ、ん、あ、あ、……ああんっ」
644ミツメイ:2009/03/15(日) 17:16:18 ID:FtIS/HL8
言われた場所を擦るように動くと、冥が声を上げ始めた。
「あん、あっ、いや、変になる……っ」
ぐちゃぐちゃと水音が立つそこに手を入れて、ふっくらと飛び出した肉の芽をつまんで擦り合わせると、冥が悲鳴のような声を上げた。
「やあっ、だめ、助けて、いやっ、あんっ、怜侍……!!」
未経験の快感は、恐怖に近いものなのか。
容赦なく攻め立てられた冥の背中が反り返り、御剣をきつく締め上げた。
こみ上げてきた欲望を冥の中に吐き出して、御剣は肩で息をした。

冥を胸に抱きながら、御剣はだだっ子をあやすように髪や背中をなでた。
「だいじょうぶか」
顔を見られないようにうつむいた冥が、ぷっくりと頬を膨らませた。
「やめてって言ったのに……」
強がりを言う冥がかわいくて、抱き寄せた。
「好きなら、してもいいと言ったではないか」
「……そうだけど」
「キミの証言を聞いていないな」
好きだと伝えたのは、御剣だけだ。

冥はうつむいたまま、御剣の脚に自分の脚を絡めた。
「証言を、拒否するわ」
ナマイキなことを言う。
御剣は冥を抱いたまま転がって、組み伏せた。

「証言するまで、尋問しよう」
いや、と言った冥の唇が御剣を迎えた。

END。
645名無しさん@ピンキー:2009/03/15(日) 17:35:32 ID:1YNvw9Ah
GJ!!!!
ミツメイ最高でした!!
646名無しさん@ピンキー:2009/03/15(日) 18:03:14 ID:lSwors03
ミツメイでこういう純愛っぽい初体験ものって意外と珍しくない?
途中、真宵ちゃんと仲良しなのもツボだw
GJ!
647名無しさん@ピンキー:2009/03/15(日) 18:33:09 ID:+PiXoMUz
GJ!!
冥たんカワユス!
やっぱりミツメイは良いな
648名無しさん@ピンキー:2009/03/15(日) 19:32:39 ID:TRKyFmOT
 
649名無しさん@ピンキー:2009/03/15(日) 19:48:35 ID:gVbnMn1t
GJ!!!ミツメイスキなので待ってましたー!嬉しいです!!!
650名無しさん@ピンキー:2009/03/15(日) 19:49:02 ID:gVbnMn1t
連投スミマセン。
GJ!!!ミツメイスキなので待ってましたー!嬉しいです!!!
651名無しさん@ピンキー:2009/03/15(日) 21:17:18 ID:qQEh/1fA
GJ!
なんと素晴らしいミツメイ

真宵とキャッキャするメイを想像して萌えたww
652名無しさん@ピンキー:2009/03/16(月) 03:42:26 ID:XmGrDWAO
このミツメイすごくツボだ
GJ!
653名無しさん@ピンキー:2009/03/17(火) 23:19:16 ID:QssFz+Uv
早とちり御剣に爆笑w
真宵と仲良しのウブなメイたんに萌えました
ミツメイ大好きだGJ!
654名無しさん@ピンキー:2009/03/18(水) 20:25:14 ID:X34B2eY3
ナルマヨもミツメイも良いなぁ。
和んだよ、どちらもGJ!
655名無しさん@ピンキー:2009/03/19(木) 01:28:05 ID:EVpqF/aQ
前半の完全にストーカーな御剣に笑ったw
656名無しさん@ピンキー:2009/03/19(木) 05:32:04 ID:U13K48Yl
「幸せにすると、誓えーーーー!!」

腹筋崩壊w
657名無しさん@ピンキー:2009/03/19(木) 13:05:05 ID:7PGgVDSc
ナルホドに拉致されたマヨイの行方もちょっと気になったw
658名無しさん@ピンキー:2009/03/20(金) 23:07:14 ID:d8K9xd3F
>>657
気にするまでもなく、事務所で朝までいちゃこらさっさ
659名無しさん@ピンキー:2009/03/21(土) 20:45:24 ID:JlsXL7UO
事務所でかwwお盛んだな…w
660名無しさん@ピンキー:2009/03/21(土) 23:41:26 ID:VGr7+ex/
事務所というところが泣かせるねぇ
661名無しさん@ピンキー:2009/03/22(日) 17:14:36 ID:q8Z2XKf3
冥たん萌え
662名無しさん@ピンキー:2009/03/22(日) 20:03:31 ID:JF2zaZrb
事務所だとやっぱりソファで、なんだろうか
定期的に買い換えないといけないじゃないかと
余計な心配をしてしまうw
663名無しさん@ピンキー:2009/03/22(日) 20:17:36 ID:YDqoJchJ
>>662
ソファじゃなくたって、立位とか立ちバックとかあるじゃん。
身長差があるから大変だろうけどw
664名無しさん@ピンキー:2009/03/22(日) 20:35:13 ID:/qfAN6nM
身長差が萌えるよな
マヨイは小柄だし
ナルホドがマヨイ持ち上げてガンガンやりそうw
665名無しさん@ピンキー:2009/03/22(日) 21:18:25 ID:qMMOnUWQ
え…駅弁…(ゴクリ
666名無しさん@ピンキー:2009/03/22(日) 21:21:57 ID:/qfAN6nM
駅弁たべたい!
だ、誰か…
667名無しさん@ピンキー:2009/03/24(火) 03:03:59 ID:tuXwnow+
待て待てそれだと絨毯に不自然なシミが
668名無しさん@ピンキー:2009/03/24(火) 03:13:03 ID:y3nPVyjw
メイキリまだかのう?
669名無しさん@ピンキー:2009/03/24(火) 06:15:47 ID:9f+QwrOp
>>667
そ、それはいわゆる結合部から垂れた…(ゴクリ…
670名無しさん@ピンキー:2009/03/24(火) 20:20:08 ID:+xznRfBc
>>667
そのシミをはみちゃんが見付けて
「あっ本当だ汚れてるねー」とあっけらかんとしてる真宵と
二人の様子を汗ダラダラで見てるナルホドまで受信した
671名無しさん@ピンキー:2009/03/24(火) 20:54:34 ID:bChTCCJV
マヨイはわかっててあっけらかんとしてるのかw
672名無しさん@ピンキー:2009/03/24(火) 21:38:19 ID:ALMcq2kE
ミツメイのSSにほんの数行登場したナルマヨから
ここまで発展して妄想を繰り広げるおまいらが好きww
673名無しさん@ピンキー:2009/03/24(火) 22:06:44 ID:k/e3GyYd
ソファを汚さないために駅弁に挑んだはずが、
結果的に絨毯を買い換えるハメに
さらに事務所の下の階の人から
「昨日はなかなか激しかったですねぇww」と言われるオチに
674名無しさん@ピンキー:2009/03/24(火) 22:37:36 ID:UxlRVkHs
>>673
隣の部屋から、遠慮がちに
「あの…少し喘g、いや、物音が…」とか言われるんですよね。
675名無しさん@ピンキー:2009/03/24(火) 23:04:52 ID:wG0hZzuS
ちょwww下の階の人自重ww
676名無しさん@ピンキー:2009/03/24(火) 23:42:51 ID:woKsqyfg
東坂ホテルが見逃しちゃいまい
677名無しさん@ピンキー:2009/03/25(水) 00:04:36 ID:k/e3GyYd
実はまだ盗聴器が残っていて
音声やらガッツリ録音されてたりしてな
678名無しさん@ピンキー:2009/03/25(水) 00:07:35 ID:Q/7xzbdf
それがコナカに利用されるってわけかあああああ
679名無しさん@ピンキー:2009/03/25(水) 18:01:09 ID:YMP+zp+b
逆検の美雲が気になってる
御剣に憧れないキャラだっていわれると
逆に御剣×美雲が見たくなった
680名無しさん@ピンキー:2009/03/26(木) 22:13:34 ID:UfDeBUta
>>679
PVに二人っきりで閉じ込められる?シーンがあったけど
あそこで二人がどういう行動とるのか気になる

>>673
じゅうたん買う金は無さそうなのでトノサマンアップリケで応急処置します
681名無しさん@ピンキー:2009/03/26(木) 22:18:24 ID:JT8au21N
事務所に絨毯って敷いてあったっけ?
682名無しさん@ピンキー:2009/03/26(木) 22:33:25 ID:j/B8sILx
じゃあ今度は汚れてもいいような場所…
お風呂で駅弁食えばいいよ!
>>680
あれって閉じ込められたのかな?
2段ベットあるのが気になる
683名無しさん@ピンキー:2009/03/27(金) 01:10:12 ID:XVyNt0UO
事務所の机の上がいいよ!
ただでさえ散らかってるところに真宵たんがあえいで資料がばさばさ。
翌日はみちゃんが
「どうしてこんなに散らかっているのでしょう」
とおかたづけして
「は、春美ちゃん僕が片付けるよ!」
と汗だらだらのナルホドが片付けると。
684名無しさん@ピンキー:2009/03/27(金) 19:44:30 ID:qKKF6Qtj
>資料ばさばさ
そんな激しかったのかw
どんだけ散乱したのかな
685名無しさん@ピンキー:2009/03/27(金) 19:56:43 ID:iRCgR4nB
そういわれればそんな風になるなんて、一体二人はどんなセックスをしたんだ…?

で、あれだよね。
机の上に、拭き切れなかった謎の白い液体が垂れてるんだよね。
「あら、なるほどくん。ミルクを溢したら拭いて下さいね。」
とかはみちゃんに言われて二人で大汗、と。
686名無しさん@ピンキー:2009/03/27(金) 20:34:11 ID:8oH3j2cN
はみ「まあ!このミルクいたんでますね、なんか変なにおいが…」
なるほど「…………」
687名無しさん@ピンキー:2009/03/27(金) 23:40:29 ID:AK6x89xw
よしっ!!ウメヨが泊まった部屋に行って覗いてくるか。ボーイと
688名無しさん@ピンキー:2009/03/28(土) 15:53:44 ID:i2QWos5U
巨根男BEST3を挙げよ
689名無しさん@ピンキー:2009/03/28(土) 20:44:24 ID:dNvnFj4D
1、ガント
2、シバクゾー
3、イトノコ

かな?
690名無しさん@ピンキー:2009/03/31(火) 08:43:53 ID:q8L1bABT
691名無しさん@ピンキー:2009/04/03(金) 04:23:16 ID:dtDpTsY3
逆に細いのは?
692名無しさん@ピンキー:2009/04/03(金) 20:33:52 ID:8N6jyVlT
>>691
細いというか…先が小さく張りがなさそうなのは星威岳。

大きさがあっても硬さが満足じゃなさそうなのは…何となくドリル兄。テクで補ってそうだし。
693名無しさん@ピンキー:2009/04/04(土) 00:00:14 ID:QzaeERn0
アイガて興奮しだしたら、四字熟語連発しそうでうざそうだw
694名無しさん@ピンキー:2009/04/04(土) 08:26:04 ID:o8BoXeOS
セクース中の四字熟語って何だよwwwww
695名無しさん@ピンキー:2009/04/04(土) 16:41:01 ID:F6pg7vp/
訊きたいのだが、ハミイトノコ物語ってss。
まとめに掲載されている二十話で中途頓挫しちゃったの?
696名無しさん@ピンキー:2009/04/05(日) 18:45:17 ID:ZP+03hsd
だろうね。
697名無しさん@ピンキー:2009/04/05(日) 21:45:14 ID:vkhFUyfr
>>16さんの書かれた花見ナルマヨの続きはどうなったのかなぁ…
里に呼び戻されてからどうなったのかが気になって仕方ない。
あの話めっちゃ気に入って何度も読み返してるよ。
まさしく自分の中のナルマヨのイメージにぴったりで!
698名無しさん@ピンキー:2009/04/05(日) 22:52:19 ID:ZP+03hsd
あんた向こうでも指摘されてなかったっけ

さげろと。
699名無しさん@ピンキー:2009/04/08(水) 21:49:49 ID:7z5zVDd2
保守

逆検が出ればここも活気づくかな
700名無しさん@ピンキー:2009/04/11(土) 11:14:55 ID:LYSERsB2
ミクモちゃんの見た目は好み
性格がどうだかわからんけどここでいろいろ読んでみたいな
701名無しさん@ピンキー:2009/04/11(土) 12:50:07 ID:K9AC+i51
巨根NO1はカルマ父だろ
702名無しさん@ピンキー:2009/04/11(土) 21:32:18 ID:J/gZDiHX
>>701
いくら巨根でも奴の相手は絶対嫌。
703名無しさん@ピンキー:2009/04/12(日) 00:22:46 ID:tw+mwi/A
狩魔はまぐわいも完璧なのだ!
704名無しさん@ピンキー:2009/04/12(日) 21:23:34 ID:9TzV7li9
若かりし頃のGOはガクトとかそういう系の美男子だったと信じて疑わない
だってあの冥たんのパパなんだぜ?
705名無しさん@ピンキー:2009/04/12(日) 22:28:39 ID:zJaRkdAr
GOの若い頃はワシズっぽいイメージがあるな
ttp://image.blog.livedoor.jp/inoken_the_world/imgs/2/7/27305be8.jpg
706名無しさん@ピンキー:2009/04/13(月) 15:36:16 ID:gOanqm7H
て言うか瓜二つ
707名無しさん@ピンキー:2009/04/13(月) 17:39:28 ID:jEpB8mqS
ドラクエ8のマルチェロにも似てそう>若豪
708名無しさん@ピンキー:2009/04/18(土) 16:28:20 ID:M4+N7yqc
逆検の新PV、かっこいいけどちょっとエロゲーっぽいw
709名無しさん@ピンキー:2009/04/20(月) 00:55:04 ID:WuN8jKFY
サイバンチョとオバチャンのからみはあんまり見たくないw
710名無しさん@ピンキー:2009/04/20(月) 20:03:07 ID:3hlQik04
酸いも甘いもかみ分けた熟年カップルだなw
711名無しさん@ピンキー:2009/04/20(月) 23:06:46 ID:WuN8jKFY
オ「あたしゃミッちゃんにゾッコンなんだよッ!!」

サ「まぁ、そんなこと言わずに」


…やめとこ
712名無しさん@ピンキー:2009/04/24(金) 21:47:03 ID:c9s63RKd
真「あ…、ふぅん……あん、あっなるほどく…っ」

成「ま、真宵ちゃん…!!どうしたんだよ、机の角に腰こすりつけたりして…!」

真「あんっ、分かんないのぉ…っ、カラダが…あ、勝手に…」

成「真宵ちゃん…そのカッコ…凄いいやらしい顔だよ。」

真「ふぁああ、あっ、…あん……なるほどくんの太いの…太いのが欲しいよお」
713名無しさん@ピンキー:2009/04/24(金) 23:49:36 ID:2fNO9CIN
真宵どーしたw
714sage:2009/04/29(水) 22:56:31 ID:AF23fg9F
ほしゅ
715名無しさん@ピンキー:2009/04/29(水) 22:59:25 ID:AF23fg9F
↑ごめん間違えた…
716名無しさん@ピンキー:2009/05/03(日) 00:44:23 ID:/IleH2lu
真宵の膣に中出し…
717名無しさん@ピンキー:2009/05/03(日) 11:07:11 ID:KpYcmSzf
こら!
718名無しさん@ピンキー:2009/05/03(日) 21:18:39 ID:qi1zVeRZ
トノサマンジュウ盗み食いの罰で
御剣にエッチなお仕置きされちゃう冥たんマダー?
719名無しさん@ピンキー:2009/05/04(月) 00:16:48 ID:vr2FleHt
「冥、なんだこれは」
「なっ、なによ突然…」
「これは何かと聞いている」
午後の検事室、御剣が席を外したほんの数分の間に事件は起きた。
詰め寄る御剣の手に握られたそれは、先ほどくずかごから拾われたものだ。
楽しみにとっておいたトノサマンジュウの、最後のひとつの包み紙。
「君にしてはわざとらしさにも程があるが…」
「そうよ。何故私があなたのまんじゅうごときに手を出さなくてはならないの?」
そう言いながらも眼を泳がせる彼女を見ながら、御剣は呆れてため息をつく。
「なによそのため息は!私が食べたという証拠でもあるの?
まさか指紋鑑定をするだなどと言う気じゃないでしょうね?」
ハッ、と嘲るように吐き捨てる。いつにも増して高飛車な態度に、御剣はついに心を決めた。
「だいたい検事たるものまんじゅうのひとつやふたつでムキになるなんて、
貴方は本当に昔から細かい男よね、レイジ。そんなことだからあのトゲトゲ頭に負けるのよ。
まったく狩魔の名にこれ以上傷をつけないで欲しいわ。いい?これは貴方のため
なのよ?トノサマンだかなんだかいうモノにいつまでも気を取られていちゃ…レイジ…?」
がちゃり、と御剣は扉の鍵をかけた。そして振り返り、ゆっくりと冥に近づく。
異様な迫力と明らかな怒気を身にまとい、じりじりと彼女を壁ぎわへ追い詰めた。
「やはり、君が食べたのだな?」
「…だ、だから何!?言ったでしょ、貴方のため…」
言い掛けた冥の顎を掴み、御剣はぐっと引き上げて自らの顔を寄せる。
予想外の事態に怯えた表情の冥。だが御剣は冷酷なまでにこう言い放った。
「お仕置きだ、狩魔冥」
720名無しさん@ピンキー:2009/05/04(月) 00:27:31 ID:7rjmlXzk
た、たのむ続きを…
721名無しさん@ピンキー:2009/05/04(月) 00:56:34 ID:vr+EikKB
続き!!続きをくれええええええええええええ!!
722名無しさん@ピンキー:2009/05/04(月) 02:15:43 ID:2GBU3Rak
>>719
良い所で寸止めかよおおおおおおおお
続きプリーズ!!
723名無しさん@ピンキー:2009/05/04(月) 17:08:47 ID:vr2FleHt
>>719
今夜中に続き投下します
御剣だいぶ鬼畜だけど
724名無しさん@ピンキー:2009/05/04(月) 23:09:50 ID:1quf0SHp
>>723
全裸で待ってる
725名無しさん@ピンキー:2009/05/04(月) 23:23:56 ID:/gN+n15d
今夜中はまだですかー!?!?
鬼畜も大好きだ!!!待ってます!!!
726名無しさん@ピンキー:2009/05/05(火) 00:04:16 ID:cOZA9zWT
…ふぅ
727名無しさん@ピンキー:2009/05/05(火) 00:06:16 ID:TGyKN3Zv
やべえ
鬼畜みったん萌えるww

正座してまってる
728名無しさん@ピンキー:2009/05/05(火) 02:06:06 ID:xSzAn8qf
発端がトノサマンというのにワロタw
729名無しさん@ピンキー:2009/05/05(火) 02:11:14 ID:/0/w2Jkh
トノサマン関連だと御剣はマジ切れしそうだからなあ
730名無しさん@ピンキー:2009/05/05(火) 13:15:05 ID:VKuodGOQ
御剣とあやめもいいなぁ
731719:2009/05/05(火) 17:36:38 ID:bLHG7o07
予告してたのにすんません
文章の直しが残ってたのと個人的な都合で数日は投下ムリポ
忘れた頃に来ます
732名無しさん@ピンキー:2009/05/05(火) 20:02:12 ID:5jll4KHE
な・・なんだと・・・!
733名無しさん@ピンキー:2009/05/05(火) 20:28:41 ID:xSzAn8qf
残念だがしょうがない。
待ってますよー
734名無しさん@ピンキー:2009/05/05(火) 20:34:31 ID:aAjCIIoA
これはアメリカのゲームです。1度やってみてください。
これは、たった3分でできるゲームです。試してみてください。驚く結果をご覧いただけます。
このゲームを考えた本人は、メールを読んでからたった10分で願い事が
かなったそうです。このゲームは、おもしろく、かつ、あっと驚く結果を貴方にもたらすでしょう。
約束してください。絶対に先を読まず、1行ずつ進む事。たった3分ですから、ためす価値ありです。
まず、ペンと、紙をご用意下さい。先を読むと、願い事が叶わなくなります。
@まず、1番から、11番まで、縦に数字を書いてください。
A1番と2番の横に好きな3〜7の数字をそれぞれお書き下さい。
B3番と7番の横に知っている人の名前をお書き下さい。(必ず、興味の
ある性別名前を書く事。男なら女の人、女なら男の人、ゲイなら同姓の名
前をかく)
必ず、1行ずつ進んでください。先を読むと、なにもかもなくなります。
C4,5,6番の横それぞれに、自分の知っている人の名前をお書き下さ
い。これは、家族の人でも知り合いや、友人、誰でも結構です。まだ、先を見てはいけませんよ!!
D8、9、10、11番の横に、歌のタイトルをお書き下さい。
E最後にお願い事をして下さい。さて、ゲームの解説です。
1)このゲームの事を、2番に書いた数字の人に伝えて下さい。
2)3番に書いた人は貴方の愛する人です。
3)7番に書いた人は、好きだけれど叶わぬ恋の相手です。
4)4番に書いた人は、貴方がとても大切に思う人です。
5)5番に書いた人は、貴方の事をとても良く理解してくれる相手です。
6)6番に書いた人は、貴方に幸運をもたらしてくれる人です。
7)8番に書いた歌は、3番に書いた人を表す歌。
8)9番に書いた歌は、7番に書いた人を表す歌。
9)10番に書いた歌は、貴方の心の中を表す歌。
10)そして、11番に書いた歌は、貴方の人生を表す歌です。
この書き込みを読んでから、1時間以内に10個の掲示板にこの書き込みをコピーして貼って下さい。
そうすれば、あなたの願い事は叶うでしょう。もし、貼らなければ、願い事を逆のことが起こるでしょう。とても奇妙ですが当たってませんか?
735名無しさん@ピンキー:2009/05/05(火) 21:38:40 ID:kuKa8ZCM
>>731
そうか…
残念だが気長にまってるよ
736名無しさん@ピンキー:2009/05/06(水) 12:29:34 ID:KrpudzCJ
御剣×美雲いいよな
同士は少なさげだが
737名無しさん@ピンキー:2009/05/06(水) 16:38:08 ID:3XSSSbxw
「なにをっ…」
顎を押さえられ、鋭い目に突き通されたように動けないまま、冥は抵抗の言葉を口にした。
御剣の顔が近づき、冥の口元に唇が押し当てられる。
「…!」
生暖かい濡れたものが唇を舐める。
びくりと体を震わせた冥に、あざ笑うような御剣の声。
「甘いな」
冥が両手を突っ張って御剣を押し返そうとする。
「なんのつもり、レイジ!レイジのくせに…!」
たった今、冥の唇をなぞった舌で自分の唇を舐めながら、御剣は壁に両手を付いて冥を囲う。
「なぜ、君の唇に餡の味がするのだろう。トノサマンジュウも食べていないのに」
「そ、それは」
「これくらいのこと、指紋鑑定になど頼るまでもない」
再び寄せられた御剣の顔を避けようと、冥が首を振った。
「そして、これくらいのこと、法廷で罪を定めて罰するまでもない」
「レ、レイジ…」
御剣の指が、冥の胸元のリボンを解いた。
「狩魔の方法で、お仕置きをしよう」
その言葉に、冥はぞっとした。
幼い頃の、父の英才教育を思い出す。
期待に応えることができないとき、父は冥の手から鞭を取り上げ、それをふるった。
柔らかな白い肌に、幾筋も刻まれた赤い糸。
生まれたままの姿で獣のように這いつくばり、背に脚に父の振り下ろす鞭が与える苦痛を耐えているとき、
それを冷ややかに見ていた少年が、成長して目の前にいる。
「ち、違うわ、私は貴方の」
「食べたのだろう」
くっくっと笑う御剣。
恐怖に怯え、思うように体も動かせない冥の服をすっかり脱がせ、ブラジャーのホックをはずす。
ぷるんと胸がこぼれだした。
「…悪くはないな」
片手で形のいい乳房を包み込んで、御剣が満足そうに言った。
御剣の前で屈辱のお仕置きを受けていたころは、まだふくらんでもいなかった胸。
「下を脱げ」
言われて、冥は催眠術にかかったようにショーツを下ろした。
唇が震えて、許しを乞う言葉が出てこない。
かちゃりという小さな音に屈んだまま顔を上げると、そこに屹立した肉棒がある。
「…ひっ」
喉の奥で、吸い込んだ空気が高い音を立てた。
「咥えろ」
冥が涙ぐんだ目で御剣を見上げる。
「ねえ、こんなこと、やめましょう…」
言い終わらないうちに、頬が熱くなる。
思わず片手で押さえて、そのまま床に座り込む。
「言ったはずだよ、冥。これは、狩魔の方式に基づいたお仕置きだ。君は狩魔のおきてに抗うのか。
その名を汚すのか」
冥は打たれた頬を押さえたまま、のろのろと膝で立つ。
顔の高さにあるその脈打つモノに、恐る恐る唇を近づける。
震える唇を開いて先端を咥えようとしたとたん、後頭部に手を回した御剣がぐいっと冥の顔を引き寄せた。
738名無しさん@ピンキー:2009/05/06(水) 16:38:39 ID:3XSSSbxw
「…んっ!」
苦しさに咳き込みそうになったものの、御剣は抑えた頭を離してくれない。
口の中いっぱいになったモノの大きさと匂いに、冥はぼろぼろと涙をこぼす。
そのまま、目の頭を両側から挟むようにして、何度も前後に動かす。
涙と唾液でぐちゃぐちゃになった冥がようやく開放されたのは、どのくらい時間がたってからだったか。
喉の奥に吐き出された精液をすべて飲み込まされ、床に倒れこんで激しく咳き込む冥を御剣は黙って見下ろしていた。
止まらない涙をぬぐううちに、咳はしゃくりあげるような嗚咽に変わった。
打たれて赤くなった冥の頬を、そっと暖かいものが撫で上げ、冥は泣きじゃくりながら顔を上げた。
床に膝を付いた御剣が、冥の顔を覗き込んでいた。
「苦しかったか?」
優しい声でそう言うと、御剣は冥の裸の背中を抱いて引き寄せた。
「君がいけないのだ。君がいけないのだよ、狩魔冥」
広くて暖かい胸に抱きしめられ、何度も髪をなでられるうち、冥はようやくしゃくりあげるのを収めた。
お仕置きは終わったのだ。
その安堵感を、耳もとでささやく御剣の声が奈落の底に落とした。
「いけない子には、もっとお仕置きをしなくてはな」
御剣は、腕の中でもがく冥をぎゅうっと抱きしめて動きを封じる。
「君が、食べたのではないのだな」
反射的に、冥は首を横に振った。
「ちが」
「頑固な子だ」
冥の両肩をつかんで、御剣は勢い良く床に突き倒した。
軽々と仰向けに転がった冥の上に御剣がまたがり、ズボンを下ろす。
みっともなく広がった脚を閉じようとするより早く、御剣が押さえた。
太ももをつかんでぐいっと冥の体を二つ折りにする。
「や、やめて、おねが」
開かれて上向きになったその場所を見られている。
自分の格好と、その上に乗りかかってくる御剣に、冥は思わず目を閉じた。
指が、その部分に触れる。
ひだを開き、縦になぞり上げた。
「あっ…」
下から上にすくい上げるように動いた指が、止まった。
「や、あっ」
思わず声を上げて目を開けると、大きく広げた脚の間から自分を見る御剣と目が合った。
御剣の唇がゆっくりと動いて、にやりと笑う。
「ここは、相変わらず好きなようだな」
指先でつままれて、冥は声にならない悲鳴を上げた。
そのまましごき上げられる。
「いや、ああっ」
冥の意思に反して腰が上がり、肉芽をしごかれながら別の指が入ってくる。
「ひぃっ!」
膣内を激しくかき回される。
「…いけない子だ、冥。お仕置きなのに、濡れてきている」
「ひぁっ、あああっ!」
「どうしたんだ。叱られているのに気持ちよくなってよがっているのか」
「あ、あ、あ、ち、ちがっ」
御剣は膣から引き抜いた指を冥の顔の前にかざした。
「今回は、証拠があるようだな、狩魔冥」
ふるふると首を横に振る冥。
そして、御剣は次のお仕置きにとりかかった。
739名無しさん@ピンキー:2009/05/06(水) 16:39:22 ID:3XSSSbxw
「あああああっ」
ずぶりと肉棒をつきたてられて、冥は白い喉を反り返らせた。
「んああっ」
「どうした、こんなに恥ずかしい格好をさせられて、無理矢理突っ込まれてるのに、どんどんあふれてくるじゃないか」
ずぶずぶと抜き挿ししながら、御剣が言う。
「反省が足りないようだな。お仕置きされて喜ぶなんて」
「あひっ、あっ、や、ああっ、いやああっ」
上から覆いかぶさりながらどんどん激しく突かれ、御剣の動きが早くなる。
ぐちょぐちょという音がたち、いやらしい牝の匂いが広がる。
「いい光景だ、冥」
ひい、ひい、と泣き叫ぶ冥を乱暴に犯しながら、御剣はくっくっと笑った。
「う、あ、ああっ、やあ、もう、だ、だめ、あっ、あっ、ああっ!」
「どうした、イクのか、こんなふうにされて、それでもイクのか、冥!」
「あ、い、いっ…!いぃぃっ!!!!」

ぐっちょりと汚れた下半身を投げ出し、まだひくひくと痙攣するその場所から粘液を垂れ流したまま
ぐったりしている冥を、身支度をした御剣が優しく抱き起こした。
そのまま、ほっそりした体を抱きしめる。
「つらかったか、冥」
まだ朦朧としたようすで、冥がうっすらと目を開ける。
涙で濡れた頬を、御剣の指がなでる。
「お仕置きは、終わりだ」
冥がゆっくり頭を下げて、御剣の胸に預ける。
「…ごめんなさ…」
全部を言わせず、御剣は冥の唇を自分のそれでふさいだ。
涙の味がする唇だった。
「…食べたいときは、そう言えばいいのだ」
ささやかれながら、冥はそれでも、次もまたきっと盗み食いをしてしまうのだろうと思った。


740名無しさん@ピンキー:2009/05/06(水) 17:53:44 ID:zfzDRlWx
GJJJJJJJJJJJJJJJJJJJJJJJJJJJJJJJJ
741名無しさん@ピンキー:2009/05/06(水) 20:50:23 ID:QkNBSbun
GJ!
冥たんお仕置きされたくてわざと盗み食いしたのかw
そんなマゾな冥たんも萌える
742名無しさん@ピンキー:2009/05/06(水) 21:35:03 ID:zuW82z+j
GJすぎる!!
鬼畜御剣とドM冥たん良かったです!
743名無しさん@ピンキー:2009/05/06(水) 21:38:33 ID:zfzDRlWx
Sな御剣とMな冥っていいよね
萌えるw
744名無しさん@ピンキー:2009/05/06(水) 22:29:58 ID:ZpLTfLAn
GJ!
数日かかると思ってたから、読めて嬉しいw
Mな冥ちゃん可愛いすぎる
745名無しさん@ピンキー:2009/05/06(水) 23:40:44 ID:XvxGLhTd
GJ!!!
やっぱりツンデレはマゾに限るな
御剣も分かっててやってるだろ絶対w
746名無しさん@ピンキー:2009/05/07(木) 11:24:20 ID:wf1/n5M4
これに乗ってナルマヨのお仕置きプレイも…
747名無しさん@ピンキー:2009/05/07(木) 13:41:54 ID:6tgXkDq4
>>737-739
GJ!!!!!!!
748名無しさん@ピンキー:2009/05/07(木) 15:27:13 ID:LS3qlyqO
>>746
なるほどくんが真宵ちゃんにお仕置きされるんですね、わかります。
749名無しさん@ピンキー:2009/05/07(木) 15:33:03 ID:5HbtpPlV
まんじゅう食っただけで犯されるのか
だがGJ
750名無しさん@ピンキー:2009/05/07(木) 20:37:38 ID:JEt2Vtha
>>748
それってどんなプレイか想像出来ないw
綾里家秘伝の媚薬とか?
751名無しさん@ピンキー:2009/05/07(木) 20:58:33 ID:LS3qlyqO
>>750
さあ、それを書き起こす作業に取り掛かるんだ
752名無しさん@ピンキー:2009/05/07(木) 21:03:44 ID:Z6ASdru3
キミ子さんの激甘大福をこっそり食べて真宵に叱られる成歩堂
753名無しさん@ピンキー:2009/05/08(金) 01:34:44 ID:JcyC5Z5l
やっぱりイラマチオ
754名無しさん@ピンキー:2009/05/08(金) 06:56:21 ID:VsHRG4IM
冥と成歩堂がMで御剣と真宵がSですね。わかります。GJ.
755名無しさん@ピンキー:2009/05/08(金) 11:16:57 ID:QvFsIqoh
なるほどって弁護士時代もニット時代もSなイメージだけど、
あれでドMだったら笑うよな?
特にニット。
756名無しさん@ピンキー:2009/05/08(金) 20:19:37 ID:5/GispFa
自分もなるほどはパッと見はMだけど実はSなイメージ。
2最後のオートロに対してやニット見てたら思った。
検事相手や心の中じゃ結構言ってるしw
757名無しさん@ピンキー:2009/05/08(金) 21:02:39 ID:W9EBpDsx
なるほどが真宵に弄られてるのは、
可愛い小動物だから、自分が負ける事はないから、
好きなようにさせてるように見える。

けど真宵は小柄だからなるほどが鬼畜になったら、
なるほどが危ない人になりそうだ。
758名無しさん@ピンキー:2009/05/08(金) 21:08:54 ID:2M8ktNDU
わざわざレポート書くなんて
真宵からの性的なご奉仕があるからに違いない
759名無しさん@ピンキー:2009/05/08(金) 21:10:04 ID:fiTqrSGe
真宵にヘタなことしたら千尋さんとはみちゃんに惨殺されるだろw
というかキミ子さんからはみちゃんまで間違いなく綾里一族はドSの家系
あやめお手製のRYUちゃんセーターも天然でやってたわけじゃなくて
実は羞恥プレイの一環だったという噂もアルし
760名無しさん@ピンキー:2009/05/09(土) 01:02:45 ID:yCbiFRc7
>>758
レポート書いてるなるほどの前に膝まづき、
その股間に顔を埋める真宵という光景を受信した
761名無しさん@ピンキー:2009/05/10(日) 03:15:13 ID:2wjButix
なるほどは押され気味だけど、途中でSスイッチ入って形勢逆転って感じ
762名無しさん@ピンキー:2009/05/10(日) 11:46:40 ID:XonGleUd
セクロスでも逆転するわけですね。
763名無しさん@ピンキー:2009/05/11(月) 00:02:39 ID:uJ80xCHM
千尋←ゴドー←春美に禿萌える。
人一倍恋に夢見てたハミちゃんが、茨の道の恋をするってのにグッとくる。
ライバルは故人で真宵様の姉で皆にとって大切な人だったし。
もうハミちゃん、一人でおじ様を想いながら自慰しちゃうよな。
764名無しさん@ピンキー:2009/05/11(月) 23:23:06 ID:1XZB0GoO
>763
恋に恋していたはみちゃんが、イバラな恋をするのは萌えるシチュ!!
いつかはみ→みつめいとか読みたいな。
いやむしろ相手を限定せずに自慰プレイなSSか。

とりあえず、はみみつを投下します。

【注意書き】
・色々頑張ってみたけれど、みつがロリコン
・エロスの限界にチャレンジしても、この程度なげろ甘エロ小説

この条件が飲み込めない人はスルー推奨。

765はみみつ その3:2009/05/11(月) 23:25:07 ID:1XZB0GoO
 

最近の自分はどうかしてしまったに違いない。

*    *

「おはようございます。れいじさん」
「……うむ。おはよう、春美くん」
 耳元で朝を告げる可憐な声を聞いて、御剣は目を覚ました。想像通り愛らしい少女の顔がこちらを覗き込んでいる。
こちらが目覚めたと知ると、少女は花のつぼみがほころんだように笑った。その笑みに、御剣はつい見とれてしまう。毎朝のことだというのに。
「朝ごはんの支度ができましたよ。着替えていらしてくださいね」
「……うむ」
 覚醒しきっていない脳内は、目の前の愛らしい妻のことで占められてしまった。少女が自分の妻である幸せを噛みしめていると、
その妻がふいに口づけてきた。触れるだけの接触だったが、その甘い衝撃に、御剣は完全に覚醒した。
「!! ……春美くん……」
「ふふ、これでもう起きましたか?」
「……どうかな。もう一回くらい必要かもしれない」
「まあ! れいじさんったら」
 頬を桃色に染める妻をやや強引に引き寄せて、御剣は春美に深く口づける。とても朝の挨拶とは言えない接触に、春美の息がどんどん上がっていく。
「んんっ……むぅ……! っは! れ、れいじさんっ……」
「む……。どうやら目が覚めたようだ。春美くんのおかげだな」
「もうっ! れいじさんったら!!」
 眉をあげて叱られてしまったが、そんな仕草も可愛くて、御剣は朝からご満悦だ。だが、いつまでもそうやっているわけにもいかない。
何といっても、今日は平日なのだし。御剣は春美を部屋から出して、身なりを整える。いつものワインレッドのスーツを着込むと、
妻の待つリビングへ向かった。春美の用意してくれた和朝食を食べると、もう出勤時間だ。春美がカバンを持って玄関で見送ってくれる。
「いってらっしゃいませ、れいじさん!」
「ああ。春美くんも、戸締りをしっかりな」
 そう言って、妻の桜色の唇に吸いついた。あまり深く口づけると名残惜しくなると思いつつも、また春美の唇を貪ってしまう。
さらにうっかり抱きしめてしまい、セーラー服越しの細い体を腕に感じて、よからぬ感情まで湧き上がってしまった。
いや、だめだ。もう時間がないのだから。
「ん……。では、行ってくる」
「はぁ、っ……は、はい……。お、お気をつけて……」
 潤んだ瞳の妻に見送られて、御剣は後ろ髪を引かれる思いで出勤した。

*    *

 このところ、毎朝がこんな調子だ。もちろん、朝からこんな状態なのだから、夜はもっと大変なことになる。
春美と睦みあうのが楽しみで楽しみで、仕事もできる限り早く切り上げて帰るようになったほどだ。
今の今まで、自分はけっこうその手のことには淡白な方だと思っていたのに……。それがどうだろう。毎晩なんて。
いくら妻といえども、彼女はまだ学生だ。こんな生活環境、絶対に良くはない。そうは思う。思うのだが……。

766はみみつ その3:2009/05/11(月) 23:26:15 ID:1XZB0GoO

「どうにも、あの笑顔が可愛くていかん」
 あの笑顔に釣られて、ついうっかり抱きしめてしまう。すると、恥ずかしそうに視線を外すのだが、その仕草がまた色っぽい。
結果、もっともっとと彼女と触れ合っているうちに、コトに及んでしまっているのだ。
 自分の知られざる性癖に大きく溜息をつくと、隣でビールを飲んでいた矢張が、
「それってさー、ハマってんだろ? ただ単に」
 と、どうでもよさそうにそう言った。
「ハマる?」
「春美ちゃんとのセックスにハマってんだろ、って言ってんの」
 あけすけに言う古い友人のモラルのなさに眉をしかめる。
「まあ、いいんじゃないか? 仲がいいってことなんだし」
 ニット帽をかぶった成歩堂も、苦笑しながら酒をちびりと口にふくむ。
「そりゃ、ハマるよなー。あーんなかわいい、美少女女子高生が幼妻で、毎日『おかえりなさいませ』とか言ってくれるんだもんよー。
そりゃ毎晩あーんなことやこーんなこととか、具体的に言うと制服プレイとか裸エプロンとか、和服プレイもあり……」
 発言の途中だったが、有無を言わさず殴りつけた。本気で人を殴ったのは何年振りだろうか。
「ったいな!! なにすんだ!!」
「キサマが不埒な妄想を垂れ流すからだろう。いいや、妄想するな。想像するな。考えるな!」
「なんだよ!! お前は毎日拝んでるかもしんねーけどな! おれは!! 想像するくらいしか許されてねーんだよ!! いいだろ!」
「だめに決まっているだろう!」
「お客さん、喧嘩はよそ行ってやっとくれ」
 やたぶき屋の主人がチャーシュー用の肉切り包丁を片手にすごんだので、矢張も御剣も黙り込んだ。
「ま、そんなに悩むことないんじゃないか? ほら、ぼくたちはおっさんになりつつあるけど、男なんだし。そういうときだってあるよ」
「キサマはあるのか」
 すかさず問うと、成歩堂はうっと言葉を詰まらせた。
「そりゃーまー、ないわけじゃないけど……」
 何せ、一緒に住んでるわけでもないしなー、などと愚痴るニット帽。
「オレだってあるぜ。マナちゃんとはこの前一日中一緒にいたし。いやー、ほんと、ああゆうのはいいね! 部屋にずっと閉じこもっていちゃいちゃすんのな」
「お前……そのこ、この前フラれたとか言ってなかったか?」
「うおおおおおお!! そういうことを思い出させるなぁあああ!! オレは! 今! 美しい思い出に浸ってたいんだよ!!」
 まったく美しくない。しかも卑猥だ。ただの猥談だ。
「まあ、春美ちゃんが嫌がってないんなら、僕たちがどうこう言う問題じゃないね。いくら僕が父親代わりだって言っても、ほら、夫婦のことなんだし」
「ム……、まぁ、そうなのだが」
「そんなこと言って、ナルホド。みぬきちゃんをオレの嫁にくれって言ったら、マジギレしたくせに」
「春美ちゃんは“父親代わり”だけど、みぬきは僕のほんとの“娘”だからね。お前みたいな男は断固反対!!」
 矢張はもちろんだろうが、まず他の男にやる気がないんだろう、と御剣は思ったが、あえて口には出さなかった。
「ま、まだまだ新婚なんだし、今のうちに楽しんどけばいいよ。そのうち春美ちゃんが嫌がる可能性もあるんだし」
「ああ、倦怠期ってやつな」
「……恐ろしいことを言うな」
 幼馴染たちの呪いの言葉に一瞬背筋が凍りつき、御剣はそそくさと自宅へと足を向けた。

767はみみつ その3:2009/05/11(月) 23:27:56 ID:1XZB0GoO

*    *

「おかえりなさいませ、れいじさん」
「……ウム。ただいま」
 玄関先で妻の白磁の頬に口づけて、御剣は春美に荷物を預けた。クローゼットのある寝室まで、二人並んで向かう。
「今日はなるほどくんとマシス様とご一緒だったのでしょう? お二人ともお元気でしたか」
「ああ。相変わらずだったよ」
「ふふ。そうですか、よかった。また家にも遊びにいらして下さればいいのに……」
 春美の少しさみしそうな横顔に、一瞬どきりとする。自分が春美と二人きりになりたいばかりに、しばらく家に遊びに来るなときつく言ってあるのだ。
それでも成歩堂などは真宵が来たのを口実に、ちょくちょくこの家へやってくる。
 クローゼットの前でスーツを脱ぎ、春美に手渡しながら、御剣はしどろもどろと言い訳した。
「ああー……、まあ、ヤツらも暇ではないだろうから、そのうちにまた真宵くんと来るだろう」
「そうですね! 皆さまお忙しいのですから、わがままを言ってはいけませんね!」
 それに、と小さく春美がつぶやくので、御剣は春美を見た。何でもないと口をふさぐ春美だったが、視線だけで続きを促す。
「え、ええと……その。あの、わたくしには、れいじさんがいらっしゃるのですから、ちっとも寂しくありませんし……。二人きりも、大好きですから……」
 顔を赤くしてそう言う妻が、もうたまらなく可愛い。春美の細い体を抱き上げて、ベッドの上に倒れ込んだ。
「れ、れいじさん! ご、ご飯まだです!!」
「あとできちんといただくよ」
「お、お風呂もっ……!」
「あとで入る。……今は春美くんが欲しい」
 そう言って深く口づけて、春美の抗議を塞いだ。くちゅっ、くちゅっと舌が絡み合う音が部屋中に響いて、御剣は胸を高鳴らせた。
「ん、ぅふ……れ、れいじさ……! んんっ!!」
「本当に嫌なら止めるが……どうする?」
 耳元で囁くように言うと、春美は本心から困った顔をして、ぎゅっとこちらに抱きついてきた。
「……嫌ではないから、困るのです……」
 しばらく倦怠期なんて無縁だ、と胸のうちだけで呟いて、御剣は再び妻に深く口づけた。




「今日は、まだこの時間まで制服なのだな」
「え、ええ……。委員会に出席していたので、帰りが遅くなってしまって……」
 口づけで息を上げる妻は、白い夏用のセーラー服をやや乱していて非常に扇情的だ。
裾から見える白い太ももや胸元が、いかにも“青い果実”的な危険な色気を醸し出している。
 自分にはそのようなシュミはない。これは妻だからこその感情だと胸の内で何度もつぶやいて、御剣はやや強引に制服をはぎ取っていく。
「あっ……そんなに乱暴にしては、制服がしわになってしまいます……」
「今はそんなことを気にしなくていい」
 御剣は下着姿になった妻を見て、ようやくほっとした気持ちで口づけた。彼女の制服姿は苦手だ。
歳の差を思い知らされて、なんだが少し傷つく。
 ほっとしたためか、今まで抑えていたものがあふれだしたのか、御剣のキスはいよいよ深くなる。
少女の柔らかな口腔を舌でまさぐり、舌をからめ合い、歯茎をちろちろと舐めあげて、きつく唇を吸った。
息もできないほどの激しさに、春美は涙を流す。
「っふ、ん、ぅふっ……は、れいじ、さぁんっ……」
 唇を離すと、妻はとろりと潤んだ瞳で自分を見上げてくる。もの欲し気な視線に満足し、
御剣は春美の髪かざりを優しくはずしてやった。さらりとした長い髪は、御剣のお気に入りだ。
細くしなやかなそれに顔を埋めて、甘い香りを堪能する。ゆっくりと流れる至福の時間を満喫していた御剣だったが、
しかし、妻が背中を引っ掻く刺激で現実へと立ち返った。
「どうしたのだ、春美くん?」
「れ、れいじさんっ……! い、いじわる、しないでくださいっ……!」
「? 何のことだろうか」
 訳がわからないといった御剣の表情に、春美は顔を真っ赤にした。それでも、夫に身体を密着させ、消え入りそうな声で告げる。
「……わ、わたくし、もうっ……そ、そんなに我慢できませんっ……」
768はみみつ その3:2009/05/11(月) 23:29:45 ID:1XZB0GoO

 はっきりと言われて、思わず御剣は顔を赤らめる。そっと春美の足の間に手を滑り込ませ、下着を避けて秘密の花園へと指を差し込むと、
そこはすでにしとどに濡れていた。なるほど、これでお預けは、まだ性に幼い彼女には酷だろう。
 下着をするすると下ろし、足を左右に開かせて、濡れた茂みを確認する。肉真珠がつんと立ち、
蜜をたたえながらひくついている様子に、御剣はこくりと喉を鳴らした。
「キスだけで、こんなになるのか?」
「だ、だって……! れいじさん、とってもお上手でっ……わ、わたくし、その……」
「うん?」
 真っ赤だった顔を、また赤くして、春美はぎゅっと目をつむった。
「……もっともっと、れいじさんが好きになってしまうんです……」
 御剣の身体がよろめいたことに、春美は気づかない。そのまま一大決心して告白を続ける。
「で、ですからっ……キスだけですごく気持ち良くなってしまうんですっ……こ、こんなはしたない女、嫌いになりましたか……?」
 今にも泣きそうな妻の表情を見て、御剣は理性がぶちぶちと音を立てて切れていくのを聞いた。妻の身体を抱きよせて、唇をぺろりと舐める。
身体が熱くてたまらない。
「……すごく、うれしい」
「ほ、ほんとに、ですか……?」
 じゃあ、もっとキモチヨクしてください?
 耳元でそんな春美の誘惑を聞き、御剣はさっそくとばかりに蜜の流れる秘所へと指を這わせた。つんと立ち上がった豆粒を指先ではじくと、
それだけで春美の唇から切ない息が漏れた。非常に色っぽい。それに気を良くして、くりくりと指でしごき、妻の弱い部分を執拗に攻めた。
「はぁあんっ! そこ、っ……そこはぁっ……!」
「いいのだろう?」
「……あ、は……いっ……! 気持ち、いいですっ……」
 素直な妻の言葉に、御剣は笑みを浮かべる。刺激でぷっくりと膨れた豆粒を、舌先でもいじってみる。
「ああぁー! あんっ……そ、そんな、だめぇ……!」
 きつい快楽に舌足らずな声になっていく妻の媚態で、いよいよ御剣の興奮は高まった。
舌を蜜壺へとそっと差し入れ、入口の浅い場所をほじくり返す。濃い蜜がさらに溢れ、御剣の口元を汚した。
「凄く良さそうな表情をしている。本当にダメだったのだろうか」
「あ、ん……む、胸も、触って……?」
妻の淫らな懇願に、御剣は破顔した。すぐさま春美のブラをたくしあげ、白く柔らかなまろみを揉みしだく。
すでにぴんと張り詰めた頂きをこね、つまみ、爪ではじくと、それだけで春美はもだえるように反応した。
「ふぁっ……!! ああんっ、れいじさぁんっ! はぁぅ……!」
 上半身の刺激にさらに切なさを増したのか、春美は下半身を御剣の腰へと密着させる。
下半身に熱がこもるのを感じながらも胸を揉み、さらに口づけると、普段は可憐な少女が餓えた動物のごとく舌をねじこんできた。
互いに舌を絡ませ合い、唾液を交換する激しい口づけを交わす。その感覚にとろけ切った脳の片隅で、御剣は思う。

 どうも私も、彼女のキスですごく気持ちが良くなってしまうようだ。

 柔らかな口腔を探り合うと、一層愛しさが沸いてくる。彼女が言っていたように、もっともっと相手のことが好きになる。早く、早く一つになりたい……。
春美のキスや腰の動き、息使い……妻のすべての仕草に御剣は耐え切れなくなっていった。
ベルトを緩めて、すっかり膨張して固くなった己を取り出す。先端を潤んだ蜜壺の入り口で遊ばせると、それだけで春美はいやらしく腰をくねらせた。
769はみみつ その3:2009/05/11(月) 23:32:20 ID:1XZB0GoO

「ぁあんっ……、は、早くぅ……!」
「うん……。わかっている」
 御剣は妻の花園の入口に己をあてがい、ゆっくりと挿入していった。とろけた春美のそこは、容易に夫の雄を受け入れ、ぎゅっと締めつける。
「はあああっ……れいじさん、あついぃ……!」
「は、春美くん、もっ……とても、熱くて、きついっ……」
 全てを妻の膣内に収めると、腰を使って抜き差しを始める。互いに脳髄を痺れされる快感に、身体を震わせた。
奥まで差し込んでは、入口まで引き戻す。そんな単純な行為が、たまらない快楽を呼んだ。
二人の動きにふるふると揺れる妻の豊かな乳房をこねまわすと、妻の唇から切ない声が漏れるのを聞いた。
「あ、あ、あ! はあっ!! はああんっ!」
「はる、みっ……、気持ちいい、だろうか……?」
「んっ、は、はいっ……! れいじさんの、とっても気持ちいいですっ! あ、もっと、もっとくださいっ」
 淫らな妻はそんなことを懇願し、ふとももで夫の腰を固定する。恥ずかしさに耐えながらも、それでも自ら腰を動かして更なる快楽を手に入れようと
もがいている様に、愛おしさがこみ上げてくる。実際に妻から与えられる刺激にも促され、御剣はこれ以上我慢することができなくなっていった。
少女のほそ腰を固定し、獣のように腰を動かす。ぐちゅぐちゅになった秘所は、動きも滑らかに男の強烈な刺激を受け止めていく。
春美は、今にも快楽へと上り詰めそうな放蕩とした表情だ。扇情的で、一層動きに熱が加わる。
「あん、あん、あんっ! だ、だめ、れいじさんっ……も、もう、イってしまいますっ……!!」
「あ、ああ……私も、もうっ……」
「ん、じゃ、じゃあっ……いっしょ、にっ……!!」
 身体をぴたりと密着させてくる春美のいじらしい願いに、御剣は心まで昇天するかと思った。もう、彼女はなぜこんなにいつでも可愛いのか。
その愛しさのまま、御剣は妻の身体を一層激しく刺し貫く。
「っ……いっしょ、だ、はるみ……」
「あ、あ、ああーっ!!」
 ひと際奥へ剛直を突き入れると、春美はぴんと背筋をそらせて達してしまった。そのひくつく膣内へ、御剣もあふれんばかりの精を吐き出したのだった。


*     *

 疲れて眠りこんでしまった妻の寝顔を眺めながら、御剣はその細い身体を抱きしめた。できることなら、ずっとこうしていたいと思うほど、
御剣は春美を抱きしめることが好きだった。良い匂いのする髪に顔をうずめ、やわらかな身体を手のひらに感じながらやすらかな寝顔を見つめることが、
たまらなく幸せだと感じる。
 だからといって、彼女と毎日のように交わるのは、やっぱりいかがなものか。
 いつの間にか、彼女も、その……とてもいやらしいことを口にするようになっているし。
かといって、腕にあるこの幸せを手放すことなど、簡単にはできそうもない。なぜこのようなことになってしまうのか。
ぐるぐると思考を巡らせていると、いつの間にか目覚めた妻と目が合った。微笑む春美。
「れいじさん。ご飯、召し上がりますか?」
「ん、ああ……そうだな」
 そうは答えながらも、やっぱり少女を手放すことができずに、さらに抱きしめてしまう。
すると、腕の中で少し苦しそうな息を出しながらも笑う妻の気配を感じた。
「ふふ……。わたくし、れいじさんにこうやってぎゅってされるのも、すごく好きです」
 また、御剣の胸がぎゅっと締めつけられる。くらくらするような高揚感が身体を巡った。
「そ、その……私も、きみを抱きしめるのが、とても好きなのだが……」
「まあ! ではお揃いですね! うれしいです」
 いまいち的外れなことを口にしながら、春美は御剣の胸に頬を寄せる。
「わたくし、れいじさんが大好きなので、だからぎゅってされるのも、キスされるのも好きなんです。
れいじさんも、わたくしのことが好きだから、ぎゅってするのが好きなのだと、もっとうれしいです」
 幼い妻の言葉に、御剣は降参した。
そうか。彼女を手放せない理由なんて、ひとつしかない。自分が、どうしようもなく彼女を好きなせいだ。
この歳で「恋をしている」、なんて表現はそぐわないような気もするけれど、そんな表現が一番しっくりくるような感情。
御剣は笑った。妻を抱きよせて、頬に口づける。嬉しそうな悲鳴をあげて春美が笑う様子に、胸が締め付けられた。
笑顔が、たまらなく愛おしい。
「……春美くん」
「はい、れいじさん?」

「大好きだ」


終わる

770名無しさん@ピンキー:2009/05/11(月) 23:33:54 ID:1XZB0GoO

おちが思いつかないまま書きだした。
反省はしているが、後悔はしていない。

もっとエロいものが書けるようになります。

771名無しさん@ピンキー:2009/05/12(火) 05:25:26 ID:k8NbKyCD
朝、起きて。
一番にエロパロチェックしに来て良かった!!

意外な組み合わせのはみみつシリーズ、イイヨイイヨー。
GJ!
772名無しさん@ピンキー:2009/05/12(火) 08:14:55 ID:NHavg5sY
今更だがみつはみじゃなくはみみつなんだなww
はみちゃんが回を重ねる毎にエロくなるのがいいよ。
なんかロリコンものを読んでたからか、
2417のロリコンなるほどと真宵のエロが読みたくなったよ。
773名無しさん@ピンキー:2009/05/14(木) 00:31:56 ID:gIdPtFGn
>>770
GJ!
ハミちゃん可愛いよハミちゃん
774名無しさん@ピンキー:2009/05/17(日) 06:14:06 ID:iF/o4WoO
新種のウイルスが大流行してる模様。
昨日夜、とうとう逆裁の女性向けサイトでも感染が確認されたらしい。


勝手にソースを書き換えて拡散させるらしいので
まとめサイトや自サイトを持ってる奴は気を付けろ〜。
775名無しさん@ピンキー:2009/05/18(月) 00:58:32 ID:lpiBS3sD
>>770
GJ!!はみみつイイヨイイヨー(・∀・)
776名無しさん@ピンキー:2009/05/20(水) 23:58:51 ID:GNcpL/C9
綾里の呪いで七支刀が触手と化して真宵と春美を犯しまくりました
777名無しさん@ピンキー:2009/05/21(木) 00:09:31 ID:kuo6UewY
>>776
さあ、早くSSに仕立てあげる作業に戻るんだ
778名無しさん@ピンキー:2009/05/21(木) 21:22:42 ID:0PXfhITw
純愛続きだから陵辱ものも読みたいのでよろしく。
779名無しさん@ピンキー:2009/05/22(金) 00:53:35 ID:g368mOGu
真宵の凌辱カモーン
780名無しさん@ピンキー:2009/05/22(金) 10:25:08 ID:6jWb0MJZ
冥たんがいつも鞭で打たれてる仕返しでイトノコに犯される小説キボン
781名無しさん@ピンキー:2009/05/22(金) 16:51:33 ID:XGvTn91N
はみちゃんを泣かしたい
782名無しさん@ピンキー:2009/05/22(金) 22:30:23 ID:5T8XJM6Q
陵辱の流れで、ずっと昔にチラッと書いた(>>431)真宵強姦を落としてみようかと思う。

・牙琉兄による真宵強姦
・なるほどと真宵は、付き合ってはないけど、うっすら両想いな感じ
・2019年、成歩堂資格剥奪から1ヶ月後くらい
・真宵→家元・20歳になったあと
・強姦なので、もちろん救いはない
・ついでにオチもない


それでも良ければ暇潰しにどうぞ…。

783ナルマヨVSドリル兄 1:2009/05/22(金) 22:31:10 ID:5T8XJM6Q
「もしもし、冥さん?…あたし、真宵です。綾里真宵。…うん、ちょっと聞きたい事があって。」

初夏と言っても、日が落ちてしまうとまだ少し肌寒い、倉院の夜。
屋敷の片隅で、声を潜めるように真宵は電話をしていた。
『マヨイ?珍しいわね。どうしたの?』
声の主は多忙なのだろう。
電話の向こうでペラペラと書類を捲る音が微かに聴こえる。
執務中の電話に申し訳なさを感じながら、
真宵は出来るだけ手短に用件を伝えようと、
予めシミュレーションしておいた通りに切り出した。
「牙琉検事って、どんな人なのかなと思って。冥さん、知ってる?」
『ガリュウ…?』
真宵から発せられた言葉を繰り返しながら、冥の脳裏に二人の人物の顔が過ぎった。

ハリネズミのように尖った頭の男、弁護士・成歩堂龍一。

そして、もう一人。
ジャラジャラした軽そうな男、牙琉響也。

── あれは、そう。
2月に葉桜院の事件で訪日した時に、資料整理の為に立ち寄った検事局で耳にした名だ。
春に入職する予定の新人検事の中で「サラブレッド」だと騒がれていた男。
オリエンテーションに来ていたらしい男と廊下ですれ違った際に、
妙に馴れ馴れしい笑みを浮かべて冥に会釈した姿を思い出し、
それこそが真宵の尋ね人だと記憶が蘇り、同時に苦々しさが胸に込み上げて来た。

成歩堂龍一の弁護士バッジを奪った男、牙琉響也。
今にして思えば、証拠捏造を問われた成歩堂が、誰かに罠に嵌められたのは明白だった。
冥や、同じく葉桜院の事件後に渡欧した御剣にその情報が入った時には、
既に成歩堂の弁護士資格は査問委員会により剥奪されたあとで、冥達には力を貸す事すら出来なかった。
ライバルと言えども、幾つもの法廷で争った戦友の失脚を、手を拱いて見ているしかなかった悔しさ。
牙琉は正当な任務を果たしただけとは言え、やはり冥が抱く彼の印象は良いものではなかった。

『サラブレッドだか何だか知らないけど、軽薄そうな男だったわ。』
冥は吐き捨てるように言う。
「…サラブレッド…。」
『そう騒がれてたわ。…でも私も直接は知らないから、こちらで調べてみるわ。また電話する。』
「うん。ありがと。」
真宵の声にはどこか元気がなかった。
理由は考えるまでもないだろう。
冥には真宵がどんな用件で電話をして来たのか、分かる気がしていた。
ライバルであった自分ですら、成歩堂の資格剥奪が齎した衝撃は大きかったのだから、
数年間を共にした真宵達が受けたショックは、察するに余りあった。

 受話器を置いて書類に目を戻し走らせかけたペンをふと止めて、冥は顔を上げた。
「(…成歩堂龍一が動き出したのかしら。)」
捏造の濡れ衣を着せられたまま、成歩堂がこのまま黙っているとは思えなかった。
恐らく、あの男なら納得の行くまで真実を探すだろう。
そして、真宵も成歩堂のためなら助力を惜しまないであろう。
もちろん冥だってやぶさかではないし、御剣だってそうだろうが、
海外にあって協力出来る事は限られている。

 遠い日本で真実を求めて動き始めた仲間達に思いを馳せ、冥はNYの空を見上げた。
784ナルマヨVSドリル兄 2:2009/05/22(金) 22:31:52 ID:5T8XJM6Q
『── マヨイ?』
冥から連絡があったのは、それから3日後の昼前だった。
異国の地で忙しい合間を縫って調査してくれた事を感謝しつつ、真宵は受話器の声に耳を傾ける。
緑色の葉を生い茂らせている庭の桜が風に揺れて、木漏れ日をチラつかせて眩しい。
『牙琉響也…兄がいるのね、弁護士の。』
「え…。弁護士?」
『そう。しかもね、例の事件の前任弁護士よ。』
「…!」
『この事、成歩堂も知ってるんでしょう?』
「────。」
『…マヨイ?』
「あ、ごめんなさい。」
『牙琉が関わってるのは間違いないでしょうね。でも、何が目的なのか…。』
「うん…。」
『十分気を付けなさい。成歩堂龍一にもそう言っといて。』
「ん。冥さん、忙しいのにありがとう。」

携帯電話の終話ボタンを押すと、真宵は分厚い電話帳を自室に持ち込みペラペラと捲り始めた。
「(法律事務所…ガリュウ…。ガ…ガ…。あ…。)」
目的の項目を見つけると、電話番号と住所を手帳に書き写してそのままスケジュールのページを開く。

家元を襲名したばかりの真宵は、冥に負けず劣らず多忙だ。
たった数ヶ月の間に全く様変わりしてしまった、
自らを取り巻く環境を恨めしく思いながら、書き込まれたスケジュールを睨む。
覚悟の上での襲名とはいえ、以前とは格段に違う制約の多さ。
あの裁判の日だって、それまでと同様に自分がいれば、或いは最悪の事態は防げたかもしれない。
傲慢だろうが、それでも真宵はそう思えば思うほど自分を責める他なかった。
そして、その思いは成歩堂を嵌めた犯人への憤りとなり、真宵を突き動かす原動力となる。

「(── 許さない…!)」
テレビであの事件を知って、取る物もとりあえず事務所へ駆けつけた、あの日。
電気も点いていない薄暗がりの中で見た、成歩堂の疲れきった顔──。
それは彼と共に過ごした三年という月日の中で、初めて見るものだった。
傷ついている成歩堂の姿にまた傷ついた真宵は、
成歩堂にそんな顔をさせた犯人、そして自分が許せない。

笑顔の似合う童顔は、瞳に険しさを浮かべて遠くの何かを見つめていた。

                   ******
785ナルマヨVSドリル兄 3:2009/05/22(金) 22:32:27 ID:5T8XJM6Q
数日後。
真宵は都心のオフィスビル前の広場で、よく晴れた空を睨んでいた。
 
20階立てのビルの15階に居を構える牙琉法律事務所。
洗練されたインテリアに囲まれたオフィスは、その繁盛振りをよく表しているようだった。
通された応接室でソファに腰掛けて待っていると、
目的の人物は穏やかな笑みを浮かべて真宵の向かいに腰掛けた。
如何にもインテリ、といった雰囲気で眼鏡を光らせているその笑顔に、
真宵は底知れぬ不気味さと胡散臭さを本能的に感じ、思わず身構える。
「弁護士の牙琉です。」
「倉院流霊媒道宗家、綾里真宵と申します。」

家元襲名からこの数週間ですっかり板についた挨拶。
元気に膝小僧を出した見習い霊媒師の装束は卒業し、
丈の長い、かつて母親が着た家元用の衣装を纏う真宵。
その衣装にはちょんまげは似合わなくて、ここ最近は長い黒髪を綺麗に結い上げていた。

「今日はどういったご用件でしょう…?」
真宵は微かに俯いて躊躇うような仕草を見せたが、それでもしっかりと顔を上げて牙琉を見据えた。
「率直に言います。…あたし、成歩堂法律事務所で、なるほどくん…、いえ、成歩堂弁護士の助手をしていました。」
「成歩堂元弁護士の…?」
わざわざ「元」を付ける辺りに、微妙な不快感を感じ、真宵は眉を顰めた。
「牙琉さんは、或真敷事件でなるほどくんの前任だったと聞きました。」
しっかり目を捉えて離さない真宵の視線を、牙琉はほんの僅かに顎を挙げて受け止める。
「確かに、私が前任でした。それが何か…?」
「…お話を聞かせて下さい。」
「話、とは…?」
反射する蛍光灯が映り込む眼鏡が遮る向こうで、
牙琉の瞳がどんな表情を湛えているのか、真宵には窺い知れなかった。
だが、牙琉が自分を試しているような気がして、
負けてなるものかと、真宵は心の中で自身を鼓舞し、ふわりと笑った。
「あの公判の担当検事、牙琉さんの弟さんだったそうですね…?」
「…分かりました。それでは資料をお見せしましょう。」
そういうと、牙琉は自分のオフィスへと入っていった。

「(ふぅ…。緊張するなあ。)」
考えてみれば、元々関係の深かった成歩堂や星影以外の弁護士の所へ、単身で乗り込む事など初めての事で、
それに加えて倉院流の家元として、恥ずかしい振る舞いがないようにと意識することは、
 真宵にはちょっとした努力が必要だった。
詰めていた息をふうっと吐き出した所に、牙琉が戻ってきて、真宵は緩めかけた背筋を、再びピンと伸ばした。

「申し訳ありません。どうやら自宅へ置いてきたらしい。ここから10分くらいなのですが…。」
そういうと、牙琉はチラリと腕時計に目をやった。
「もう今日はアポイントもありません。
宜しければ一度マンションに寄らせて頂いて、その後どこかのカフェででもお話しましょうか。」
「………。」
(家に入らなければ、大丈夫…だよね。)
ここで怖気づいたら女じゃない。
「── 分かりました。」
真宵は静かに頷いた。

                     ******
786ナルマヨVSドリル兄 4:2009/05/22(金) 22:33:31 ID:5T8XJM6Q
都内でも一等地と名高い場所にある、高層マンション。
その一室が牙琉の自宅だという。
オートロックで厳重に管理されたその建物の前で、真宵は思わず立ち止まった。
「…凄いですね。なるほどくんなんて、アパート住まいなのに。」
牙琉はその言葉には答えず、にっこりと笑みを浮かべている。
やっぱり胡散臭い笑顔だな、と真宵は思う。
穏やかな笑みではあるものの、どこか冷酷な印象を受けるのはどうしてだろう?
その時の真宵にはその正体が分からないでいた。

29階にある牙琉宅の玄関の前で、真宵は待った。
5分、10分と時間が過ぎ、中の様子が気になり始めた頃、
おもむろに玄関の扉が開き、中からひょっこりと牙琉が顔を出した。
「──お待たせしてすみません。今、成歩堂くんと電話しているのですが、あなたに替わって欲しいそうですよ。」
「え、なるほどくんですか?」
牙琉が柔らかく微笑む。
「あ…すみません。」
「── 親機で話してるんです。どうぞ。」

牙琉に案内されるままに、真宵は室内へ足を踏み入れる。
成歩堂の名前を出されて、真宵は完全に油断していた。

あの日。
成歩堂が酷く傷ついていたあの日から、真宵は成歩堂と連絡を取っていなかった。
彼に余計な心配を掛けたくなくて、真宵は黙って一人で行動に移したのだった。
だから、成歩堂が現在どういう状況にあるのかを真宵は知らなかったし、
成歩堂もまた、真宵が何をしようとしているのか知る由もなかった。

「あの、電話は…?」
真宵が振り向こうとしたその時、肩に何かがぶつかり真宵のその身体がよろめいた。

「……!」

787ナルマヨVSドリル兄 5:2009/05/22(金) 22:33:55 ID:5T8XJM6Q
“何か”が牙琉の手であり、それは当たったのでなく押されたのだという事を理解するまでの僅かな間に、
真宵は牙琉に組み敷かれていた。
「キャ…ッ!」
悲鳴を上げようと開いた口に、間髪無くハンカチを詰め込まれる。
「ぐ…ぅ…ッ!!」
手足をバタつかせて必死に抵抗を試みる真宵だが、小柄な真宵の抵抗を牙琉は物ともせず、
難なく覆い被さって耳元に口をつけた。
「…何をしてるんですか。」
「……!」
「成歩堂の差し金でしょう?」
「……。(ち、ちが…!)」
真宵はぶんぶんと首を振る。
「…例の疑惑については存じ上げないが、協力してあげても良いですよ…?」
「……!」
「ただし…条件がありますが。」
そう言うと、牙琉の手が真宵の乳房を鷲掴みにした。

「!」

「場合によっては弁護士復帰だって…。」
(── う、嘘だ…。弁護士会の決定事項がそんなに簡単に覆るわけがない…!)
「私、こう見えてそっちの方に顔が利くんですよ…。」
「── ……。」
(“関係ない”なんて言ってるけど、絶対嘘だ…!)
(この人、何か知ってる…。だからそんな都合の良い事をチラつかせてるんだ…。)
「成歩堂の為になりたいんでしょう?」
(これが本当になるほどくんのためになる…?そんな訳ない…!)

(そうだ、お姉ちゃん…!)
咄嗟に千尋を霊媒しようとして、我に返った。
女性である千尋を霊媒した所で危険に変わりはないのだ。
(誰か、男の人…男の人…!)
焦りと恐怖に脅かされ、真宵は黄泉の国にいる男性を思い出せないでいた。
頭をフル回転してなんとか逃れようと考え焦る真宵に、牙琉は最終通告をつきつけた。

「…それとも成歩堂に危害を加えられても良いんですか…?」
「!!」
「…まあ、どちらにしても。こういう状況である以上、このまま帰すわけには行きませんが…。」
「……!」

真宵は恐怖に竦む身体を強張らせた。
冷たい光を湛えた牙琉の視線を避けるように固く瞳を閉じ、深く眉を顰めた。

                    ******
788ナルマヨVSドリル兄 6:2009/05/22(金) 22:34:59 ID:5T8XJM6Q
真宵の柔らかな耳から白い首筋、そして華奢な鎖骨と、牙琉は唇と舌を滑らせる。
牙琉の通った道筋から背中に悪寒が走り、嫌悪感から鳥肌が立った。

牙琉の手が、装束の上から乳房を包み込むように揉みしだき、爪でその先端を掻くように刺激する。
真宵の意思とは裏腹に、その先端はぷくりと屹立を始めていて、
装束の布越しにもその存在を可愛らしく主張していた。
牙琉は装束の胸元から遠慮なく手を差し入れると、グッと合わせを開き、二の腕を半ばまで露出させた。
小振りだが形の良い真宵の乳房を、牙琉の手が弄ぶ。
自在に形を変えるそれに、牙琉は舌を這わせ、敏感な先端を避けるように情交の証を付けていく。

ふと牙琉は顔をあげた。
真宵は無表情のまま、顔を背けている。
全ての感情を殺して屈辱を受け入れる真宵。
そんな真宵の健気さが、牙琉の嗜虐心に火を点けた。

 口に詰め込んでいたハンカチを抜き取ると、牙琉は真宵の唇を奪った。
「──ッ!」
真宵は眉を顰めて微かに抵抗する。
唇は硬く閉じられていて、牙琉の侵入を拒んでいる。
だが、牙琉はそんな事は意に介さなかった。

真宵の身体に電流が走った。
牙琉の骨ばった指が、真宵の両の乳房の敏感な先端を爪弾いたのだった。
その衝撃で思わず緩んだ一瞬を逃すまいと、牙琉の舌が真宵の口内へと忍び込む。
歯列や上顎をなぞられ、舌を絡めとられた真宵は、
生温かいその感触に吐き気が込みあがってくるのをひたすら耐えていた。
その内呼吸が苦しくなり、酸素を求めて喘ぐように口を離すが、それを追うように再び口内を貪られる。
(── 気持ち悪い。気持ち悪いよお…。)
真宵の瞳に涙が溜まる。

「── 成歩堂はどんなキスをするのですか?」
「!?」
真宵は驚き、悲愴な色を浮かべた瞳を大きく見開いた。
「──…おや、その様子ではまだ何もしていないらしいですね。」

牙琉はこれまで、何度か成歩堂の法廷を見てきた。
例の事件の発端となるポーカーゲーム以前の事だったので、
それは純粋に裁判の一例として参考にする為の見学だった。
そんな時に、この少女が成歩堂と共に弁護人席にいるところだったり、
時には裁判所帰りのじゃれ合う姿を見掛ける事もあった。

そこから受けた印象では、この少女は成歩堂が大切にしている女…。
つまり、恋人だと思っていたのだが。

職業柄、人間の心理を見抜くのを得意とする牙琉には、
成歩堂の、この少女を見つめる眼差しには特別なものを感じたし、
少女もまた、笑みの中に成歩堂を慕う気持ちがよく表れていた。
だがそれは思い違いだったらしい。
── いや。
決して予想は外れてはいないはずだ。
ただ、そこまで関係が進んでいなかった、というだけの話で。

野蛮な方法で無罪をもぎ取るあの男。
自他共に認める我が国No.1の弁護士であるこの私に、屈辱を味わわせたあの男。
成歩堂が最も大切にしているものを、先に汚してやる。
あの男にとって、これほど屈辱的なことがあるだろうか…?

そこまで考えが及ぶと、牙琉は楽しいオモチャを見つけたとでも言わんばかりにククッと笑った。

                      ******
789ナルマヨVSドリル兄 7:2009/05/22(金) 22:36:15 ID:5T8XJM6Q
真宵の左の乳房に鎮座する桃色の突起を捉えた牙琉の舌が、可愛らしい屹立を促すように転がし始めた。
より硬度を増したそれを、甘噛みしたり吸い上げたりと執拗に刺激を加え続ける。
もう片方の乳首にも、摘んだり、爪で掻いたり手のひらで転がしたりと、愛撫を続ける。

そっと視線を上げると、真宵は相変わらず顔を背け、眉を顰めて目を閉じていた。
舌での愛撫を右の乳房に移して突起に唾液を塗しながら、牙琉は右手で真宵の着物の裾を探った。
以前見かけた時は、膝丈の装束を着ていたと記憶しているが、
今、自分の下で上半身を露にしている真宵は、足首までしっかりと隠れる長さの装束を着ている。
乱れた裾から覗く白い肢体が艶めかしい。

荒々しく真宵の左の大腿を捉えると、抱え上げるように脚を割り開き、
腰骨に沿って手を滑らせて、露になった下着の中心部分を親指でスッと撫で上げた。
その瞬間、真宵の身体が強張った。
筋に沿って指を這わせ、可憐な真珠があるであろう場所に親指を押し付ける。
爽やかなサックスブルーの下着の中心が微かに湿り気を帯びていた。
牙琉は下着を摘み上げると、わざと食い込ませるように布を持ち上げ左右に揺らす。
秘所に食い込む下着に眉根を寄せる真宵の頬は僅かに上気し、薄っすらと桜色に染まっていた。
それでも強固な意志を崩すまいと言わんばかりに、大きな瞳は固く閉じられている。
そんな真宵の表情を楽しむように眺めながら、牙琉は真宵の下着の中に手を差し入れた。

── くちゅっ

小さな音だった。
だが確実にそこは潤んでいて、牙琉は嘲るような笑みを浮かべて真宵を見た。
敏感な真珠を揺さぶり、時には捏ねるように弄ぶ。
真宵はギュッと目を瞑り、唇を噛み締めて耐えているが、呼吸の度に肩と胸が大きく波打っている。

そんな真宵を見下ろしながら、牙琉はフッと鼻で笑った。
「随分強情ですね…。でも、いつまで我慢出来るかな…?」
硬く屹立し、ぷっくりと顔を出した真珠の皮を剥き、
中から溢れる蜜を指に掬い取りそれを塗りつけるように真珠を摩ると、
爪先はくるりと丸まり、開かれた下肢はガクガクと震えた。
真宵の瞳から涙が溢れ出し、目尻から耳へと伝ったそれは、乱れた黒髪に吸われていく。
(なるほどくん…なるほどくん…!)
秘所から湧き上がり、次第に全身を蝕んでいく感覚と戦いながら、
真宵は心の中で成歩堂の名前を叫んでいた。

牙琉は胸の頂きにキスすると、するすると顔を下ろしていき、
もう片方の大腿も抱え込んで秘所を大きく露出させ、そのままそこに顔を埋めた。
ピチャ…ピチャ…
真宵のソコを、淫らな音を立てながら蹂躙する。
尖りきった真珠を舌で転がし、誰も踏み入った事のないであろう内部へ指を差し込んだ。
キュウっと締め付けて来るそこは、予想以上に狭い。
蜜を掻き出す様に指を抽送して掻き回すと、中からトロリと更に蜜が溢れ出して来た。
真宵の白い大腿は細かく痙攣し、申し訳程度に纏っている装束を、手が白くなる程強く握り締めている。
本人の意思とは無関係なのだろう。
時々ピクッと腰が浮き上がる。
その度に真宵の中を犯す指は締め付けられ、入り口がひくつくのを感じる。
手首まで真宵の蜜を滴らせた牙琉は、内部の前壁を探るように二本の指を往復させた。

「──ッ!」

ザラザラしたソコを刺激した瞬間、真宵の腰が跳ね上がった。
やっと見つけた、とでも言いたげな笑みを浮かべると、牙琉はそこを攻め始めた。
なんとか逃げようと、身を捩って悶える真宵。
だが小柄な真宵には、牙琉を跳ね除けるほどの力は無いばかりか、
身体に力が入らず、今の状態では立ち上がる事も困難に思えた。
呼吸は荒く乱れ、瞳には涙が滲む。
牙琉の指と舌が執拗に刺激する場所。
そこから沸き起こる経験した事のない熱さと疼きが、真宵を支配していく。
790ナルマヨVSドリル兄 8:2009/05/22(金) 22:37:06 ID:5T8XJM6Q
「…る…ほどくん…なるほどくん…!」

初めて真宵が声を発した。
牙琉が目をやると、頬を紅潮させた真宵は閉じた瞳から涙を溢れさせ、呟くように成歩堂の名前を口にしていた。

そろそろ頃合かと、牙琉は指の抽送を一気に速めた。
真宵の腰はすっかり浮き上がり、フローリングの床にまで蜜を滴らせている。
「く…っ!」
自身の意思とは無関係に、牙琉の指を包むそこがヒクヒクと痙攣しているのを真宵も感じていた。
甘く、それでいて熱く鋭い感覚は、真宵をどんどん高みに追い詰める。
頭の先から爪先まで、真宵の全てがその感覚に支配されそうになった瞬間、牙琉が抽送を止めた。
「……!」
あと少しで絶頂を得るところだった真宵の秘所は、
腰を揺らめかせたまま、物欲しげにパクパクと口を開いている。

「どうです?疼いて仕方ないでしょう?」

そう言うと、牙琉はスラックスのベルトを外してそそり立った物を取り出して秘所に押し付けた。
今までと違う感覚に気付いた真宵は、ハッと目を開ける。
その瞳には、ありありと絶望の色が浮かんでいた。
「…目を閉じたまま、成歩堂が相手だと思っていれば良いですよ…。」
耳元でそう囁くと、一気に真宵を貫いた。

「うあ…っ!」

今までに経験した事のない、身体の中心を引き裂かれるような痛みと、
下から内臓を突き上げられる圧迫感に、真宵は思わず呻く。
だが牙琉はそんな事はお構い無しに、容赦なく真宵を突き上げた。
肉体と肉体がぶつかり合う“パンパン”という乾いた音が、広いリビングに響く。
激しく出入りする牙琉が、真宵の狭い処女穴を抉じ開ける。
痛みと不快感を必死に堪えながら、
真宵は目の前にある牙琉の冷笑を見るまいと、顔を背けていた。

牙琉は自らの抽送に合わせて揺れる真宵の乳房を鷲掴みにし、親指でしこった突起を摩った。
「…っ!」
真宵は顔を顰めて、口に手を当てる。
そんな真宵の大腿を抱え上げ、膝を牙琉自らの肩に掛けさせた。
そうした事で、抽送がより奥まで届くようになる。
「く…あっ…あ…!」
真宵は子宮を突かれる何とも言えない不快感に苦悶していた。
深い部分を突かれた時に堪えきれずに漏れてしまう声が恨めしい。
それは快感から発せられる喘ぎではなく、
内臓を圧迫される事で否応なしに漏れてしまう類のものなのだが、
男の牙琉にはこの感覚は分からないだろうと真宵は思う。

だが真宵のそんな心中を嘲り笑うかのように、牙琉は言った。
「そろそろ痛みが落ち着いて来たんでしょう?強姦されて感じるとは驚きましたよ。」
「そんなこと…!」
牙琉は目を見開いて必死に否定する真宵を鼻で笑った。
「…弁護士には証拠が全てなんですよ。…ほら。」
先ほどから真宵の中を行き来する牙琉自身に纏わりつくように、蜜が溢れて来ていた。
乾いた音の中に、グチュグチュと水音が混ざる。
牙琉はわざとその水音を立てるように、大きく腰をグラインドさせた。
「ああ…ッ!」
「聞きなさい、この音を。…私は誰かさんと違って証拠の捏造なんてしませんよ。」
791ナルマヨVSドリル兄 9:2009/05/22(金) 22:38:39 ID:5T8XJM6Q
(なるほどくん…!)
破瓜の痛みにも耐えたのに、牙琉に齎された屈辱によって真宵の白磁の頬に涙が一筋流れる。

しかし、真宵自身もその変化を感じていた。
牙琉に寸前で止められたあの感覚に、再び火が点いたような…。
その波に呑まれないように、我れを見失わないように真宵は唇を噛む。
牙琉はそんな真宵に更なる屈辱を与えようと、自身が抜けないように真宵をうつ伏せにし、
細腰を抱えて激しく抽送を始めた。

華奢な背中から腰のラインと、成熟しかけた白くて柔らかい少女の尻。
その中心に牙琉自身が突き立っている様は、酷く淫猥な光景だった。
体勢を変えられた事で、膣の中で牙琉を感じる場所も変わり、
ちょうど指で刺激された敏感な部分に当たっていた。
牙琉は勿論計算づくだった。
ザラザラしたあの部分が、真宵を深い絶頂に導く性感帯なのは一目瞭然である。

自分のプライドを傷付けた男、成歩堂から大切なものを奪う。
ただ抱くだけでは意味がないのだ。
成歩堂が大切にしている真宵を女として目覚めさせてこそ、
成歩堂のプライドをズタズタに傷付けられるのだから。

792ナルマヨVSドリル兄 10
牙琉は真宵の中の敏感な部分に、自身の先端を擦り付けるように抽送を続けながら、
真宵を部屋に連れ込む前に準備したモノを、
すぐそばのチェストの一番上の引き出しから取り出した。
四つんばいで抽送を受け入れている真宵の真珠にそれを押し当て、スイッチのダイヤルを回す。
すると、ブーンという羽音のような音と同時に、真宵の嬌声が響いた。
「やあああ…っ!」
背中を弓なりに撓らせる真宵。

「──…おやおや。素晴らしく感度が良いですね。」
「や…!何ソレ…!?いやあ…っ!」
「これはローターというものです。」
だが、そんな牙琉の言葉も今の真宵の耳には届いてはいなかった。

真宵の膣がキュウと、抜き差しする牙琉自身を締め付け、
まるで牙琉を引き止めては奥へと欲するように、ヒクヒクと入り口が痙攣する。
それは真宵の意思とは無関係の反応で、自分ではどうにもならないものだった。
止めたいのに、そこは言う事を聞いてくれない。
真宵はその反応が、牙琉の悦楽に繋がるものだとは知らずに、何度も止めようと力を入れた。
不随意な収縮と随意的な締め付けに、牙琉は思わず溜め息を漏らす。
「あなたのココ、凄く良いですよ…?」
「ああ…あ…あ、あっ…あ…!」
「初めてでこれだけよがるなんて、きっとあなたは生まれつき淫乱なんでしょうね。」
「やぁ…ッ!あっ…あんっあんッ!」
牙琉の言葉を切欠に、ずっと堪えていた声が堰を切ったように、真宵の赤く濡れた唇から漏れ出した。
可愛らしいよがり声を溢す真宵の口元は、既に力を失ってだらしなく開き、
声を堪えようとする努力も見られなくなっていた。
うっすらと桜色に染まった真宵の身体が淫らに揺れる。
「んっあっあ、あっ…あぅ…なる…ほ…どく…ああっ…!」

艶めいたその声が、冷たいフローリングの部屋に木霊する。
すすり泣くような声に混ざって、途切れ途切れに成歩堂を呼ぶ真宵を、牙琉は容赦なく攻め立てて行く。
繋がった部分から溢れる液体が、グチュグチュと卑猥な音を立てながら白く泡立ち、牙琉に絡み付いていた。
真宵は、機械的な振動を与えられている可憐な真珠と、
自身の中で蠢く牙琉が伝える刺激に完全に捕らえられ、急速に昇り詰めていった。

「あ、あ…ダメ、なるほ…ど…く…、なるほどくん…っ…あああ…ッ!」

甲高い悲鳴を上げて成歩堂を求めながら、真宵は陥落した。
そして、細かく痙攣するソコに搾り取られるように、牙琉は真宵の子宮口に白濁を叩き付けた。

                      ******