【絶望先生】久米田康治エロパロ総合 Part18【改蔵】

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1名無しさん@ピンキー
久米田康治作品のSSスレです。
週刊少年マガジンに大好評絶賛連載中の「さよなら絶望先生」ほか「かってに改蔵」「行け!南国アイスホッケー部」「育ってダーリン」など以前の作品も歓迎。

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【絶望先生】久米田康治エロパロ総合 Part12【改蔵】
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【絶望先生】久米田康治エロパロ総合 Partご【改蔵】
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【改蔵】久米田康司エロパロ総合 Part3【南国】
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1105319280
かってに改蔵 Part2 【久米田康治総合】
http://idol.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1083582503/
【かってに改蔵〜天才エロ小説〜】
http://pie.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1035829622/


これまでに投下されたSSの保管場所
2chエロパロ板SS保管庫
ttp://sslibrary.gozaru.jp/

あぷろだ(SS保管庫付属)
http://www.degitalscope.com/~mbspro/userfiles_res/sslibrary/index.html
2 ◆n6w50rPfKw :2008/08/15(金) 01:28:24 ID:fofP3c1s BE:469906439-2BP(333)
投下途中にスレの容量をオーバーさせてしまい、大変失礼しました。

最初にスレ立てできないと書きましたが、ブラウザを変えたらあっさり建てることができました。

とりあえず、途中からですが投下を続けさせて下さい。
3踊る赤ちゃんポスト 22:2008/08/15(金) 01:32:36 ID:fofP3c1s BE:469905293-2BP(333)
いよいよ解禁日の夜になった。
いきなり最初から激しいえっちはまずいだろうと、順を追って試すことにした。
まず、望が仰向けに横たわる。
既に絶棒は今後の期待にうち震えて最大限に屹立している。
まず、霧もまといも入れるだけで動かないでいた。

「くうっ、もうそれだけで泣きたくなるほど温かくて、おまけにきゅっきゅっと締め付けられてもう出そうです」
「入ってるだけで目の前が真っ白になるよ」
「腰が溶けちゃいそうです」

三人とも、たちどころに身体が燃え上がってしまうようだった。

次に、女性陣が少しずつ腰を振ることにした。
だが、霧が再び望に跨り、ずっ、ずっと腰を上下させ始めた途端:

「ひあっ! 小森さん、そんなにぐいぐい締められては、もう! うあああああっ」
「ああん! 先生、奥の気持ちいいところばっかり突いてずるいよ。もうだめえぇっ」

なんと、数分も経たないうちに、両者とも激しく達してしまった。

まといと望とのえっちでもまったく同じだった。
まといが望のものを胎内に収め、ゆるゆると動き始めて数分後:

「ひぐっ! 中がそんなににちゅにちゅ動くなんて反則です! あう、あうううぅっ」
「はうん! 先生、擦れたところから溶けちゃいそうです! いやあ、溶けちゃうぅ」

やはり数分で、両者ともめくるめく絶頂を極めた。
数週間に及ぶ禁欲のせいで、疑似的な「早漏」になってしまった三人が、
以前のような性生活を営めるようになるにはしばらくかかりそうである。

     ☆

だが話はここで終わらない。
望がともかくも無事に教え子二人とえっちし、二人の中にたっぷり注ぎ込んだ後のことである。
仰向けでうとうとしていたところを当の二人に襲われた。
霧が腹に、まといが太腿に跨ってきて望は動けなくなった。
抵抗できないでいるうちに、せっかく生えかけていた陰毛をまた剃られ、再びつんつるてんにされてしまった。

「ど、どうしてこんなことを」
「うふふ」
「なんだか可愛いし」
「浮気防止よ」
――くっ、この最後のが本音ですね。

とまあ、この日はいろいろあったが、念のため、望は鎮痛剤を飲んで寝ることにした。
4踊る赤ちゃんポスト 23/E:2008/08/15(金) 01:34:52 ID:fofP3c1s BE:696156858-2BP(333)
翌朝も、二人に一本抜いてもらってから教室へ向かった。
その日の夜のことを考えるといつになく機嫌が良く、鼻歌などが飛び出しては2のへの皆を不審がらせた。

だが、その晩、霧とまといがネットで見つけ注文した「珍太くん」で絶棒の型を取られる羽目になるとは、
哀れな望は知る由もなかった。

     ☆     ☆

――エピローグ――

まといの「望コレクション」に新たな獲物が加わった。
使用済のガーゼと包帯(望の精が付いたものは貴重なので冷凍パック保存してある)、
薬を入れていた袋はもちろんのことだが、中でも白眉は六角柱の水晶を模した透明なペーパーウエイトである。
その中に望の「余り物」が薄く広げられ、防腐処理を施された上で固められて入っているのだ。
まるで極小のコウモリが透明な柱の中で翼を拡げているようであって、
光にかざすと毛細血管の精緻な模様が浮かび上がり、見る者を飽きさせない。
まといに言わせれば、こんなに素晴らしいアイテムはめったにないとのことだ。
もちろんこの世に一つしかない代物である。
命の知り合いに赤ちゃんの臍の緒を加工して親へ売るための記念品にする業者がいたので、その伝手で出来たものだった。
まといと命の間にどんな取引条件があったのか、いずれ明らかにされる筈である。


―――[完]―――
5 ◆n6w50rPfKw :2008/08/15(金) 01:37:52 ID:fofP3c1s BE:835387586-2BP(333)
以上です。

このたびは、投稿のダブリ・スレをまたいでの投稿など、数々の不手際でみなさんにご迷惑をおかけしてしまい、まことに申し訳ありませんでした。
次はこんなことがないように肝に銘じます。
6名無しさん@ピンキー:2008/08/15(金) 02:11:09 ID:ZjkPLO3x
7名無しさん@ピンキー:2008/08/15(金) 02:13:56 ID:gpwAQaTt
……素晴らしい。GJ。

まとい・霧×絶望好きな俺には、正直堪りません。
もう一回読み直してくるわ。
8糸色 望 ◆fXSAv8HHEc :2008/08/15(金) 03:07:54 ID:MEA8dVnC
糸色 望/初期量産型は時速70キロあたりで直結につなげる方が最高の特性を活かしきっている状態。
そのため、山岳路線での運用ではいくら500馬力のエンジンを積んでいてもまったく役に立ちません。

実際、JR日光線での運用では、勾配がきつく、なかなか直結には入らず、何度もマスコンを
入れたり切ったりと大忙しでさすがの糸色 望も宝の持ち腐れでした。恒常的に変速段での運転を
強いる結果になり、燃費も悪いし、彼の精神状態にも大変よろしくありません。
終点の日光駅に着いた後は当然和服が汗ばむほどであせびっしょりで疲れ切ってしまいました。
9糸色 望 ◆fXSAv8HHEc :2008/08/15(金) 03:10:39 ID:MEA8dVnC
だが、日光〜宇都宮間は下り勾配が連続するため、
時速95キロほどまで加速でき、今度は特性を逆転させることが出来ました。
10名無しさん@ピンキー:2008/08/15(金) 12:09:35 ID:dvhG9B7g
すばらしい……すばらしい
しかし劇中交君はどうしていたのだろうw
11名無しさん@ピンキー:2008/08/15(金) 22:26:39 ID:aegdBAnD
GJ!
まといの健気さと変態さが良い
12名無しさん@ピンキー:2008/08/16(土) 22:01:51 ID:+/7bBnca
GJす!

新人ナースがよかったです!

次回作も期待してます!
13名無しさん@ピンキー:2008/08/16(土) 22:16:10 ID:ZU99O1sz
命×あびるの診察プレイはまだですか?
14保守:2008/08/16(土) 23:53:58 ID:kPCn5ROq
交君が小森霧を訪ねると望先生が霧を犯していた!?
霧が「あ、開けないでよ!!」と真っ赤になって懇願するも、
交君は固まったまま霧の痴態から眼を離せない。
「おや、小森さん、交に見られて興奮しましたか?」 などと鬼畜な声をかけ、
霧を羞恥に震えさせて楽しむ糸色望。嬌声を上げる霧の頭を掴み、
「ほら、交も一緒にどうです?」 という3Pな展開に・・・

「あれ? 晴美ちゃん、こんなところで何してるんですか?」
び、びくうぅっ!!!
「あ、貴方!いきなり声かけないでよ!!(もう・・・
 せっかく筆が乗ってきたところだったのに・・・)」
怒鳴られるのもなんのその、夕闇の図書館で、可符香はくるくると回り始め、
特定の電波を受信し始める・・・そして。

「晴美ちゃん!欲望を秘めたままにするのはよくないと思います!」
「はぁ!?」
「夢は実現させてこそ!! さあ、そのシナリオを現実にしましょう!!」
可符香はいつのまにか晴美の持っていた原稿用紙をひったくり、
図書館を出て走り出している。
「ちょっと貴方!? それ返しなさい!! まさか誰かに見せ・・・
 お願いだから返して〜〜〜」
晴美は顔面蒼白になりつつ追いかけるも、可符香の健康的な脚力に
オタクの脚力がかなうはずもない。
15保守:2008/08/17(日) 00:11:23 ID:zWLuyNEd
「はあ。そうすると、何か劇でもやるんですか」
職員室で残業をしていたところ、とっくに帰ったはずの風浦可符香がやってきて、
糸色望は混乱していた。まあ、この生徒を相手にしていて混乱しないことのほうが
珍しいといえば珍しい。

「そうです。主演はたぶん、先生と交君と霧ちゃんになると思います。
 シナリオもここにあるんですよ!!」

「でも劇なら、練習しないといけませんよ。それに木津さんに知られたら、きっちり練習
するまでお披露目できないことにされそうですし、いきなり本番という話はいくらなんでも
乱暴じゃないでしょうか」

「でも、夢がかかってますから!!」

うまいこと話題を逸らして断るつもり満々な望だったが、カフカの迫力が全ての
消極的な努力を無効化していた。なぜこんなに風浦さんはポジティブなのか。
あまりのポジティブさに、自分のネガティブさが相殺されて、生き方に変化が
生まれてしまいそうで怖い。生徒を怖がる先生というのは、あまり良いとはいえないですが。
と、現実逃避気味に風裏さんについて考えてみる。

「じゃあ、そのシナリオを見せてください」「はい」

「ちょっと待ったあああああああ!!!!」 そこに藤吉晴美が全力で割り込む。
さすがにアレを本人に見られたら生きてはいけない。阻止!!断固阻止!!

「これ、もしかして藤吉さんが書いたんですか。状況的に」「そうかもしれないです」
待てと言われて待つような常識人なら良かった。だが、相手は糸色望とカフカ。
この組み合わせは絶望的である。ナチュラルに読み進む糸色望。wktkしつつ見守るカフカ。
頭を抱えて座り込む晴美。もうだめだ。しのう。とか呟く。

「・・・藤吉さん。できれば交と霧さんの関係はそっとしておいてください。
 あの二人が一緒にいると、教育的に良さそうですので」
望は、寂しそうに言う。ぽかんとする晴美。良く見ると、自分の腕の中に自分の原稿用紙がある。
じゃあ・・・あの原稿用紙は??? まさか・・・

「でも、なかなかいいシナリオですよね?」 「ええ、そうですね。最後の告白のシーン、
先生ちょっとじんときちゃいました」
そう言う先生の横に立っている風浦さんは、少し赤くなっているように見えた。(おわれ
16保守(おまけ):2008/08/17(日) 00:20:14 ID:zWLuyNEd
「はぁ・・・なんか今日はどっと疲れた・・・」

とぼとぼと帰途につく藤吉晴美。あまりにカフカに振り回されすぎて、
フラフラになってしまっている。そのせいで、カフカを追いかけているときに、
原稿用紙を1枚、廊下に落してしまったことを気付いていない。

「ん、なんだこれ?」
ちょうど日が落ちてきたころ、(望が残業中でつまらないので)霧のところに
遊びにいく途中の交が、一枚の紙を拾い上げた。
「暗くてよく見えないな・・・霧のところで電気を点けて読むか・・・」

その後、交がプスプスと煙を上げるほど真っ赤になって発見されるのは、
また別の話。
17名無しさん@ピンキー:2008/08/17(日) 14:14:48 ID:pqBoV84o
>オタクの脚力
藤吉さんは運動神経いいよ
18名無しさん@ピンキー:2008/08/17(日) 15:35:11 ID:NVhxqdHX
100m12秒台だっけか
女子では、ってか男子と混ぜてもかなり速いな
19名無しさん@ピンキー:2008/08/18(月) 11:08:10 ID:5LP7Q+iM
可符香の身体能力ってどんなもんなんだろうな
逃げ足は速いけど
20名無しさん@ピンキー:2008/08/19(火) 17:31:58 ID:J6kKd5Ev
>>19
確か、1巻・メルの話や奈美の話で不自然な距離の詰め方してたな
21糸色 望 ◆lg6soG51dE :2008/08/19(火) 21:58:24 ID:E096OWO1
私の運転では、きちんと車間距離は取りますけれど・・・。
22糸色 望 ◆lg6soG51dE :2008/08/21(木) 19:57:15 ID:tFjVDd0S
>>18
絶望先生が100mを走りきるのには、約48秒もかかる。
起動時の特性では非常に不利で、「ヨーイ、ドン!!」という
合図が来て、マスコンをフルノッチに入れても、走り出すまでには
推理エンジンをめいっぱい吹かしても、内蔵された液体変速機が
低速域ではすべりが大きい特性で長々と空回りするため、
数拍おいてゆっくりと動き出すという加速性能の悪さが災いするためである。

しかし、ゼロヨンでの競争の場合は、100m走りきった後に、中高速域重視の
特性が活き始めるため、この点ではデスノートのLや勝 改蔵を大きく引き離すほど
性能が逆転していく。
23糸色 望 ◆lg6soG51dE :2008/08/21(木) 20:04:12 ID:tFjVDd0S
しかし、中高速域重視の特性を活かしきる前に例えば45km/h程度で
直結ギアへ切り替えられてしまうと、変速段では、約4,000kg近くもあった
動輪周引張力が直結段では、1,800kg程度にドカ落ちしてしまうなど、
実際にデスノートの世界での推理始業時には糸色 望の中高速域重視の
性能を活かしきれない場面も多く見られた。

本来の性能を活かしきるのには、変速段を使用して、時速85キロ付近まで7ノッチで
引っ張るという本人にとっては苦しい推理運転を強いることが求められたものの、
ワイミーっ子の推理運転に馴染んだ現場にはこのような運転方法はそんなに浸透しなかった。
24 ◆n6w50rPfKw :2008/08/22(金) 05:57:56 ID:NDt7nJiV BE:939811469-2BP(333)
おはようございます。
保守代わりに、短めのものを半分だけ上げさせてください。
エロほとんどなし、望×奈美(登場人物には千里もいます)。

※おしっこ注意。
25影の舌のほにょ 1:2008/08/22(金) 06:03:57 ID:NDt7nJiV BE:417693683-2BP(333)
魚目の木津千里が怯えきっている日塔奈美のスカートをいきなり引き摺り下ろした。

「きゃあ!」

奈美は可愛らしいブラウスを纏った上半身を縄でぐるぐる巻きにされていて、
下半身を隠すことができないで恥ずかしそうに膝を擦り合わせている。
小さな赤いリボンのついたピンクのぱんつが露わになっている。
全身が小刻みにプルプル震えている。
よく見ると、元々超高校級の乳が縄でさらにくびりだされ、いっそう煽情的に盛り上がっている。

     ☆

事の次第はこうである。

夏休みも半ばを過ぎていた。
容赦ない陽射しが照りつける中、日塔奈美はコントレックスのペットボトルを手に繁華街へ出ていた。
お気に入りの純白のスニーカー、短めのスカートに、
やや胸を強調している明るい色合いのブラウスがよく似合っている。

街を歩いていると、目の前の洋服屋の店頭に並んでいるTシャツが目に付いた。

――あ、色違いが出てるんだ。買おうっと。

自分が持っているゲバラのTシャツの色違いのものが売られていたのだ。
すっと手にとってレジに向かおうとしたとき、ふと思い出した。
前に買った時は、木津千里にひどい目に合わされたのだった。

――強制的に学校へ連れ戻されて退屈な映画を見せられたっけ――。

思わず左右を見た。幸い、商店街の人通りの中には千里らしい人影はない。

何となく気が軽くなって店の奥で支払いを済ませ、一歩店の外へ足を踏み出したとたんに後ろから肩をがしっと掴まれた。

「ちょっと、そこのあなた。」
「ひいっ!」

振り返るまでもない。いきなり暴走しかけている千里の声だった。

「わ、私がなにか?」
「前にも言ったでしょう。
 Tシャツが欲しかったら、チェ・ゲバラの人となりを、一から学ばないとダメって。」
そのまま恐ろしいほどの強い力で腕を引かれた。
有無を言わさず学校へ連行するつもりなのだろう。

「もう一度あの映画をみましょう。じっくりたっぷりと、ね。」
「ごめん、堪忍して」
「ああ? 何ですって。聞こえないわ。」

     ☆
26影の舌のほにょ 2:2008/08/22(金) 06:10:42 ID:NDt7nJiV BE:522117656-2BP(333)
珍しく職員室で用事をしていたばかりに望までもが千里に捕まってしまい、奈美とともに視聴覚室へ連れて行かれた。
そして二人ともスクリーンの前のイスに縄でぐるぐる巻きに縛られ、――またあの映画が始まった。

古臭いオーケストラのBGMの流れる中、思い出したくもないナレーションが耳を通り抜けていく。

「アメリカ寄りのバティスタ政権に対する不満が蔓延し」

ここまでなら前回と同じで、我慢さえしていればいずれは解放される。
残り時間もある程度覚えがある。
ところが、前とは違う事情があった。
しかもかなり差し迫っていて、どうにかしないと身の破滅に繋がりかねない。

実は、先に手にしていたペットボトルは三本目だったのだ。
元々ダイエットを始めたときに、どこか牛乳に似た味のするコントレックスにハマってしまい、以来愛飲していたのだった。
今日も五百ミリリットルのボトルを朝に一本空け、昼過ぎに二本目を空け、
商店街をぶらついている最中に三本目を半分空けたところで千里に捕まったのである。
不幸なことに、昼前からお手洗いには行っていない。

冷房が効いた視聴覚室内で興味のもてない映画を観ているうち、――催してきた。
しかも、我慢の限界に近づいている。
千里に今話し掛けるのは危険だが、好意を持っている担任の前で粗相をしてしまうよりはマシだ。
背に腹は変えられない。

「あ、あのぉ、千里ちゃ」
「何よっ。今、いいところなのに。」

果たして、千里が魚目でぎょろっと睨みつけてきた。
眉を思いっきり顰めていて、自分の好きな時間を邪魔されて不機嫌になっているのが丸分かりである。

「あのぉ、お、お手洗い、に……」

担任の前ではっきり言うのがはばかられ、途中から小声になってしまった。
文末もつい濁してしまう。それが千里は気に入らないらしい。

「ああん? 聞こえないわねぇ。
 言いたい事があったら、はっきり言いなさい。はっきり。」

千里の怒声が耳を通り抜けて直に膀胱に響いてくるようだ。
限界がすぐそこまで迫ってきているのは間違いない。
仕方ない、今恥をかく方が、後で大きな恥をかくよりましだ。

「あ、お手洗いに、行きたいんだけど」
「我慢しなさい。」にべもなかった。
「これからが、ゲバラがメキシコでカストロと出会う、重要なシーンよ。」

仕方なく奈美は無言で俯いて、ただひたすら時の過ぎるのを待った。
爪先を丸めたりして我慢するうち、脂汗が額や背筋を伝った。

どれほど経ったことだろう。
スピーカーからは相変わらず一本調子のナレーションが流れている。

「M26を率いてメキシコに潜伏中、ついにカストロはアルゼンチン人の医師チェ・ゲバラと歴史的な邂逅を果たすのでありました。
 この時の様子について」

画面などまったく目に入らない。下腹がきゅーっと痛くなる。
太腿の付け根がぴくぴくっとひくつく。ぞくぞくっとする震えが下半身から全身へと伝わる。
どうにか堪えてみるものの、ぴくぴくとぞくぞくの間隔がだんだん短くなってくる――もう駄目だ。奈美は大声を上げた。

「おね、お願いです。お手洗いに行かせて! 漏れる! 漏れちゃいそうなのぉ。うぅっ」
27影の舌のほにょ 3:2008/08/22(金) 06:17:58 ID:NDt7nJiV BE:365482073-2BP(333)
ついに泣き出してしまった。
腕組みをしてうっとりとスクリーンを眺めていた千里は、再度自分の好きな時間を邪魔されてますます不機嫌になった。
だが奈美の隣にうなだれたままの望を一瞥すると、仕方ない、といった風に口を開いた。

「漏らせばいいじゃない。あとで隣にいる先生が始末してくれるわよ。
それとも、今先生にお手洗いに連れて行ってもらう? どっちか選びなさい。」
「そ、そんなぁ!」

冷たく言い捨て、絶望的な二択を迫る千里に奈美は絶望した。

――漏らすのは絶対イヤだし、先生に連れて行ってもらうのも恥ずかしいからイヤだしぃ……
「ほらほら、早く決めなさい、」

迫り来る破滅の瞬間を前に必死に考えている奈美を見下ろしながら、千里はじれったそうに、
時折震えている奈美の下腹に手を当て、ぐいっと押した。

「よっ!」
「ひぐぅ!」

奈美は思わず叫んだ。
奇跡的にお漏らしは避けられたが、もう本当に限界だった。あと一ミリ緩んだら破滅だ。

「わ、分かりました! 先生に連れて行ってもらいますぅ!」
「そう、じゃあ……」

こうして椅子に縛られていた二人は解かれたものの、奈美だけまた上半身を縄でぐるぐる巻きにされ、
――そしてスカートをいきなり引き摺り下ろされたのである。

「きゃあ!」

望が傍にいるのに、小さな赤いリボンのついたピンクのぱんつを隠すことができない。
膝を擦り合わせていたり全身が小刻みにプルプル震えているのは、何も恥ずかしいからだけではなく、
実は尿意を堪えていたのだった。
本当は座り込みたかったが、座ると漏らしかねなかった。

「スカートのまま行かせたらそのまま逃げちゃうから、戻ってくるまで預かっておくわね。
ぱんつは武士の情けよ。」
「そ、そんなぁ」
「ぐだぐだ言ったらぱんつもここで脱がせちゃうわよ。
で、先生、ちょっと。」
ここで魚目のままの千里が愛用の刃こぼれした刃物をちらつかせながら望に何事かを指示し始めた。
耳元でコソコソ囁いているので内容は奈美には聞き取れない。
だが、望が首を振って抵抗するのを、刃物を目の前でちらちら振ってみせて、無理やり屈服させたようだ。

望が袴をすとんと下ろし、続けて着物を脱ぎ始めた。ついには下帯一丁になってしまった。
よりによって赤褌である。
以前自分からネタにした際に気になってしまい、つい買ってしまったもののようだ。

「これで先生も逃げられないわね。さ、先生は早く連れて行ってあげてください。
 途中で縄を解いたり、きちんと後始末を済ませなかったり、
 万が一逃がしたりしたら、ひどい目に遭わせるわよ。」
「うはっ、はいぃ!」

すさまじい表情の千里を背に、望の手が奈美を縛っている縄の縄尻を掴んだ。
こうして、上半身が縄でぐるぐる巻きに拘束され下半身がぱんつだけの奈美は、
赤褌一丁の望をお供に従えて、
そろそろと視聴覚教室の前の扉から外にあるトイレに向かった。

     ☆
28影の舌のほにょ 4:2008/08/22(金) 06:28:33 ID:NDt7nJiV BE:783175695-2BP(333)
幸い、視聴覚教室の向かいの左側に職員用のお手洗いがある。
めったに人が来ないので安心といえば安心である。
奈美はゆっくりと――急ぐと漏れそうなので――女性用に入っていった。
縄尻を掴んでいた望の動きが一瞬淀んだが、奈美にはもう余裕がなかった。
電気さえつけず奥へ向かう。
望としても、職員用とはいえ女性用のお手洗いの前に男性教員がたたずんでいては
身の破滅に繋がりかねないのだろう、結局ついてきた。

奥の窓から日の光がうっすらと差し込んでいるが、
明かりをつけないでいるお手洗いは昼間でも薄暗い。
薄暗い中に個室が左右に5つずつ並んでいる。
一番手前は清掃用具入れ、一番奥が洋式の個室である。
職員用なので、やや広めの空間になっている。
二人はこれから悪い事をするかのように個室に滑り込んだ。
だが、奈美は立ったままもじもじし続けている。

――早く分かってくれないと、このままここで漏らしてしまう――。
「先生、あの、あの……」

潤んだ目つきでじっと顔を見つめると、ようやく分かったようだ。
望は奈美のぱんつに手を掛け、足元まで下ろしてくれた。
望の前で裸の下半身を晒す恥ずかしさはあったが、脱力したように便器に腰掛けた。

――これで床を汚さずにすむわ……

ふと自分の前にいる望を見た。
生白い太腿に目の醒めるような赤褌、生白い腹にスリムな胸板、そして――
便器に腰をかけている自分を見ている望と視線が合った。
今にも放尿しそうな自分を異性の担任が見つめているのだ。
先の恥ずかしさがぶり返していた。

今、望からは自分の股間が丸見えだ。
そして、今からおしっこをするところを全部見られてしまう。しかもたっぷりと――。
思わず声が出た。

「いやあ、見ないでぇ」
「すみません、見てないと後で木津さんに刺されるので……」

奈美はいやいやをするように首を振った。
せめて音消しの水を流してほしかったが、それを言い出す前に下腹の緊張が緩んでしまった。
慌てて引き締めようとしたが、もう駄目だった。
二度奈美自身がぴくぴくっと震えると、ついに中から透明な液体があふれ出始めた。

――ぴちゅ。ぴっ。しゃあああああああああぁぁぁぁぁぁ…………
「ああああ、見ないで、見ないでぇ。は、恥ずかしいよぉ」

堪えに堪えていたので、もはや自力で止めることはできなかった。
好意を寄せている担任の視線を痛いほど感じながら、
奈美は真っ赤になって俯いたまま放尿を続けるしかなかった。
綺麗な放物線を描いた水流が快い音を薄暗い個室に響かせながら、長い間ほとばしった。
その華麗な響きは最初から最後まで個室内の二人の耳をくすぐり、
互いに違った意味で赤面させた。

     ☆
29影の舌のほにょ 5:2008/08/22(金) 06:36:21 ID:NDt7nJiV BE:417693683-2BP(333)
奈美はついに担任の前で放尿をしてしまった恥ずかしさですすり泣いていた。

「すんすん。えぐっ、えぐっ。すんすん。えぐっ、えぐっ」
――ううう、しちゃったぁ。先生の前でおしっこしちゃったぁ。

とうとう恥を晒してしまったという思いが頭を渦巻いているうち、
カラカラとペーパーを巻き取る音がした。
そして望の手が今放尿を終えたばかりの股間に伸びてきた。
奈美は思わず望の顔を見上げた。
いくら自力で拭くのは不可能だとは言え、やはり男の手で拭かれるのには抵抗がある。

「あ、あのぉ」
「気にしないで下さい。昔、倫のおしめを替えたことがありますから」

恥ずかしいのだろうか、伏目がちに小声で言い訳じみた台詞を吐くと、
ついにペーパーが奈美の秘部に当てがわれた。
そして、遠慮がちに下から上へ拭き始めた。

―ごそごそ。ごそごそ。

奈美は他人の手、しかも好意を寄せている担任の手で拭かれることに
顔から火が出るほど恥ずかしかった。
それでも、しばらくしてから蚊の鳴くような声で望に言った。

「あ、あの……もういいです」

だが、なぜか望は止めなかった。
もうすっかり拭われているのに、紙越しとはいえ指を秘所にいやにぐりぐりと押し付けてくる。

学校の安手のトイレットペーパーのややごわごわした感触をあそこで感じる。そ
して紙越しとはいえ男の指で秘所を触れられていると、
じわりと別の感覚が湧いてきてしまった。

奈美は慌てた。

「先生、もう、あのぉ。もういいですぅ」

両腕をぐるぐる巻きにされていて使えない奈美は、たまらず股を閉じようとした。
だが望は別の手で奈美の膝を押さえて足を開かせたままにすると、
熱心に、というよりは執拗に拭き続ける。
拭く、と言うよりはペーパー越しに奈美の秘部にうりうりと淫靡なリズムで刺激を与えてくる。

「あ、んっ」
――あん、だめぇ!

奈美は顔に血の気が差した。
声が漏れてしまうのを目をつぶって必死に堪えた。
だが、元々望のお手つきとなり、折に触れ開発されてしまっているので、
どうしても開発者の与えてくれる刺激には弱い。
太腿がぴくんと震え、思わずのけぞってしまう。
押さえられていない方の足が揺れる。
ついに自分の奥から恥ずかしい蜜が湧いてくるのを自覚したとき、
――不意に一切の動きが止まった。

「?」

次の淫らな刺激を期待した一瞬後に激しく自己嫌悪に陥っていると、
急に自分の股の下で水音がした。望が水洗のコックをひねったのだった。

30 ◆n6w50rPfKw :2008/08/22(金) 06:41:01 ID:NDt7nJiV BE:835387968-2BP(333)
とりあえず、ここまでで休憩させてください。
続きは今日アップできたらいいなと思います。
ますが、正直自分でもどうなるか分かりません。
なので、他に投下予定の方がいらっしゃいましたら、
遠慮なさらずにどうぞ〜。
31名無しさん@ピンキー:2008/08/22(金) 16:34:00 ID:yM7ZR2aj
これはえろいGJ
ほにょワロタw
32糸色 望 ◆lg6soG51dE :2008/08/23(土) 02:28:47 ID:GJGX/RsX
糸色 望が発進する際に「ガラガラガラ〜」というエンジンの激しい爆音とともに、
「グワァアアア〜」というすごい音が聞こえるのは、液体変速機にて、羽根車で
ミッションオイルを懸命にかくはんしているときの音である。
33糸色 望 ◆lg6soG51dE :2008/08/23(土) 02:36:55 ID:GJGX/RsX
初期量産型の変直切り替えは80km/h程度までトルクコンバータを介する変速段で加速を行う。
そして、80km/hを超えるあたりで回転数を自動検知して、トルコンを介さない直結段へ自動変速する。
つまり、60km/hしか出せない区間などではいつまでもトルコン運転を強いられるため、伝達効率は
良いはずもなく、低速域(45km/h)しか出せない区間となると、低速域では効率の悪い変速段で
占められるため、機関に過大な負荷をかけ続ける結果にもつながってしまった。

本来、絶望先生の特性から見ると、80km/hを超えるような中高速域の推理力を
十分に活かせる運転に適しているとされる。
34名無しさん@ピンキー:2008/08/25(月) 09:51:36 ID:vnaukkP6
久しぶりにきたけどやっぱり過疎ってるな。さびしいものだ
35糸色 望 ◆lg6soG51dE :2008/08/26(火) 18:02:52 ID:z0Ld/wOA
またディーゼルカー関連のネタを記述してしまいました。
キハ40系、キハ58系とかは好きです。
36名無しさん@ピンキー:2008/08/27(水) 01:06:34 ID:Awqw61wj
なんで倫ちゃんは全裸だったんだろうね
37名無しさん@ピンキー:2008/08/27(水) 01:10:43 ID:pDGe9cjh
臼井君を除けば、男らしくない兄貴と五歳児と同年代の同性ばっかだから、はっちゃけてもいっかなと思ったのかも。
38糸色 望 ◆lg6soG51dE :2008/08/27(水) 11:32:32 ID:DKl2S29m
「絶望した!本日は猛暑になることに絶望した!」
その後、剃刀を左手首に当てた望は・・・。

すでに、何度もリストカットを繰り返していますので、
左手は手首の内側から肘の内側にかけて白い筋となっている
剃刀の自傷跡だらけです。そこに剃刀を当てて3本ほど
軽く傷つけ、血が滴ってくるのを見ると、すーっと落ち着く。
39名無しさん@ピンキー:2008/08/28(木) 01:36:46 ID:N+La/Rzc
芽留が文字も読めないくらい幼い迷子に翻弄され困っているところに
先生が都合よく登場してハートフルなエピソードに・・・っていうのを妄想してたのだが
妄想内ですら話をまとめられない自分に絶望した。誰か代わりに作ってくれないかな。
40名無しさん@ピンキー:2008/08/28(木) 04:37:47 ID:iUBm7doy
お断りします。
41糸色 望 ◆lg6soG51dE :2008/08/28(木) 08:53:31 ID:Xcut4Imj
糸色 望
「ううう、なんか二日酔いで頭が痛い・・・、気持ち悪い・・・。
ゆうべ、絶望してやけ酒をしたのが災いしてしまったな・・・。」

デスノートのL
「調子に乗ってゆうべあんなに日本酒を飲むからですよ。」
42名無しさん@ピンキー:2008/08/28(木) 11:39:38 ID:1WoJE2z+
書き手なんて便利な奴としか思ってないのがよくわかります
43名無しさん@ピンキー:2008/08/28(木) 14:50:08 ID:/P4+80LL
>>39
頑張れ。自分の妄想は、他人が形にする事はできない。
44名無しさん@ピンキー:2008/08/28(木) 15:59:14 ID:fmeGXHU8
>>43がいいこと言った
頑張れ、>>39、そこまで妄想できればあともう少しだ
45名無しさん@ピンキー:2008/08/31(日) 21:37:57 ID:GC1e8nIK
アク禁で書き込めなくなった

倫は向こうでテニスをしています(万が一投稿された場合は無難な文章になります)
46糸色 望 ◆lg6soG51dE :2008/09/01(月) 07:08:24 ID:w+bfC+XV
糸色 望
「こう言うときには、電車で移動した方が早いですね。」
ズルッ!!ドガシャーン!!

「ただいま、バナナの皮ですべって脱線!
蟲師本線は全線不通となりました!」

糸色 望
「絶望した!鉄道が使えないことに絶望した!
仕方がありません。私の愛車で行きましょう。」

案の定、道路は渋滞。
なかなか車は進まない・・・。
47名無しさん@ピンキー:2008/09/01(月) 22:45:30 ID:C/LTzS3+
なんかこうネタ切れって感じですかね?
結構いろんなパターンがでて、創作意欲も途切れたというか。
48 ◆n6w50rPfKw :2008/09/02(火) 06:00:10 ID:cjw1pkI0 BE:139231542-2BP(333)
まことに遅くなりましたが、続きをアップします。間が大変あいてしまい、すみませんでした。

望×奈美中心。
註:本番はありません。
49影の舌のほにょ 6:2008/09/02(火) 06:09:32 ID:cjw1pkI0 BE:104424023-2BP(333)
自分の下を流れている水音が止みかける頃、望が奈美の円やかなヒップに手を添え、立つよう促してきた。
上半身を縛られたままなのでうまく立ち上がれず、バランスを崩して担任に寄りかかってしまった。
だがそんな奈美の背中を軽く抱きかかえたりしながら望が上手くサポートしてくれ、
ふらつきながらもどうにか立ちあがった。

すると、望が奈美をするするっと個室の壁に添って立たせた。
すぐにぱんつを穿かせてくれると思っていただけに、奈美は戸惑った。
だが困惑を声に出せるほど平常心が戻っていない。
担任の前で放尿し、始末をしてもらう際に感じてしまうなどという痴態を晒してしまった以上、
望に会わせる顔のない奈美はうつむいたままであった。
個室が薄暗く、覗きこまれない限り自分の表情を見られないですむのが救いと言えば救いだった。

不意に前にいた望がしゃがみ込むと、右足首を掴み、ぱんつから抜いてしまった。
そのまま足を肩幅に広げさせられた。ぱんつは左足首に引っかかったままである。

――え、えぇ〜〜?

望の行動が読めないでいるうちに、奈美の前に片膝を突いて座ったのがシルエットで分かった。
個室の中はかなり暗く、奈美からは望の表情を窺うことは難しかった。
また、その余裕もなかった。
なにせ、汚れを拭われたとはいえ、
本来なら絶対に隠しておくべき自分の秘所が望の目の前にあるのだ。

個室の中は静かだ。
二人とも無言である。望の息が恥毛をそよがせているのが分かる。
視線を痛いほど感じる。
自分の愛する望の視線が自分を意のままに犯しているような気さえする。
ひょっとして、あそこを指で開かれて検査され、
さっきちょっと気持ちよかったのがばれるのではないかと気が気ではない。
それも拭いたくれた本人に検査されるのだ……

思わず身体をよじらせ逃げようとした。
だが望が腰をがしっと両手で掴むと、いきなり全体的にぞろっと舐め上げてきた。
奈美は思わず悲鳴を上げそうになった。

「きゃ! ……うぅ」

だが、ここは職員用とはいえ、誰が来るかは分からない場所である。
望といるのがばれたら身の破滅だ。奈美は望に小声で嘆願した。

「だめだめ、先生ダメです。汚いから」

望はかまわず繰り返し大きく舌を遣ってぐにっ、ぐにっと舐め上げてくる。
これまでの経験で望の愛撫に体が慣れてしまっている奈美としては、
それだけで中が潤ってしまう。柔らかな快感が腰の奥を蕩けさせてしまう。
早くも立っていられなくなりそうになる。

奈美自身が充分ほぐれた頃、きゅっと指先で開かれる>>48
と尖らせた舌先が中に進入してきた。奈美は小声で必死に担任を制止しようとした。

「いや、だめ、汚いですから。お願い」

先ほどとは違い、自分の弱点を直に触れたり、襞の間に細かく舌先を這わせてくる。
奈美はともすれば快感で開きそうになる足を、必死に閉じようとした。
だがその度に、望の舌が憎いポイントを舌先で探ってきて、
湧き出てしまった恥ずかしい蜜を舐め採る。
そして足を閉じる力を奪われてしまう。
50影の舌のほにょ 7:2008/09/02(火) 06:18:40 ID:cjw1pkI0 BE:417693683-2BP(333)
上の文の途中に変なアンカーが入り込んでいるのは無視してください。どうもすみません。
====================
気がつくと、望の両手がヒップに移動して、やわやわと豊かな尻たぶを揉んでいる。
飽きるとその手を後ろから太腿の内側にすっと滑り込ませてくる。
そのまま内腿あたりを指先でさわさわと往復させ、軽く軽くなでる。
なでられた先からごく軽いピリピリとした電流が生まれ、
やがてほのかな快感となって伝わってくる。
舌先は相変わらず中の襞を丁寧にたどっている。
たまに中をまたぞろりと舐め回すかと思うと、外の割れ目を何度も往復させる。
またちろちろっとした舌先の動きに戻るが、
今度は奈美の一番敏感な小突起を舌先がかすめるようになる。
溢れた蜜がこぼれそうになると、その度に小さな音を立てて吸い取ってくれる。

「ん……ぐぅ」

その度に、奈美は爪先を曲げて、歯を食いしばって声を出すのを我慢した。
大きな声は出せない、出してはいけない。
それは望も分かっているはずなのに、どうしても愛撫を止めてくれない。

それどころか、舌先でいやらしい所にちろちろと攻撃しながら、
内腿を撫でていた指に力がこもってきた。
奈美の足を徐々に開かせようというのだ。
いいかげんに快感で腰がしびれ、足から力が抜けてしまっている。
もう閉じようとする力が入らない。
思わず背を個室の壁につけてしまうと、奈美は切れ切れに言った。

「先生、さ、触り方、うう、いやらしくなった」
「そんなことないですよぉー」

望は囁き返すと指先で蟻の戸渡りあたりをつんつんと押した。

「前に比べてねちっこくなったし、そ、そんなとこぉ、触って、ひぐぅ」
「あなたが敏感になったんじゃないですか」

そう嘯きつつ、指をアヌス周辺にまで這わせてくる。
そうしてまた舌先をとがらせて奈美の中に差し込み、ぐりんぐりんと回転させる。

「ひ、ひぐぅん、そんなあぁ……開発したのは先生じゃないですか。
 枯れかけているって話だったのに」
「そんなことをいう生徒さんにはおしおきです」

望はぱんつが足首に絡んでいる左足を抱え上げると、
唇で奈美の小さな赤い豆を軽く挟み、はむはむと甘噛みしてきた。

――ひぁうぅ!

鋭い刺激が脳天へ突き抜ける。
目の前に確かに花火が散った。
腰が大きくひくつくが、望は許してくれない。はむはむを続行したままである。
担がれた足から足首がだらしなく垂れ下がっている。
その足首に引っかかったぱんつがふわふわと揺れる。

「いやあああん、ごめ、ごめんなさ」
「いいえ、許しません」
――ちううううっ!

いきなり激しく音を立ててそれを吸ってきた。
奈美は思わず大きく背をのけぞらせ、頭を壁にぶつけてしまった。
51影の舌のほにょ 8:2008/09/02(火) 06:22:43 ID:cjw1pkI0 BE:174039825-2BP(333)
「ひぐううん! せ、先生ばっかり責めてズルいぃ」

だが奈美の手は縄で縛られたままだ。
しきりに足を閉じようとし、身を切なげによじるしかなかった。
だがそんな奈美に、望はさらなる愛撫で応えた。

「もっと責めてあげます。これなんかどうでしたっけ」

そう問いかけながら、可愛らしく勃起した小豆を舌先ですくい上げるようにはじいてきた。

――てろん!

奈美の身体が大きくぴくんと動いた。目の前が一瞬だけ白くなった。

「はあん、それだめぇ」
「じゃあ、これはどうです」

左右に連続してれろれろと弾かれた。
奈美はもう言葉も出ず、恥ずかしい蜜を大量に溢れさせるばかりであった。
もう腰の奥の風船がかなり膨らんでいる自覚があった。
このままだとあと少しでイかされてしまう……

ふと望が二本指をジンジン疼いている豆の付近にそっと添えると、きゅっと剥いてしまった。
憎いことに、そのまましばらく何もしないでいて奈美をじらせてくる。
赤く大きくなっているはずのそれが外気に触れ、自然にひくひくぅと動いてしまっている。
女の恥ずかしい所の芯を望に見つめられている……

――ふーーーーっ!
「あう!」

息を吹きかけられるだけで、泣きたくなるほど気持ち良い感覚が下半身にじーんと渦巻き、
今は縄でくびり出されている乳房で増幅され、
鋭い矢となって勃起しているはずの乳首に刺さる。
縄でくびり出されるだけではイヤだ。望に揉んでもらいたい。
だが望は、そんな奈美の気持ちを知ってか知らずか、残酷なことを口にした。

「もうあまり時間がありません。一気にいきますよ」
「いや。よして。許してぇ」

奈美が小声で――まだ自分たちが女子洗面所の中にいるという自覚が辛うじてあった――
嘆願したが、望は剥いたままの豆の回りを舌先でぐりぐりと舐め回し始めた。

「はぐぅ! ん、あん」

奈美はもう息もできないほどだった。
特大の快感の束が腰の右から左から渦を巻いて背筋を伝わり、
縛られている胸や脳に達した。

望は続いて固くとがらせた舌先で、存在を主張している小突起を押しつぶしてきた。

――ぐりぐり。ぐりぐり。ぐりぐり。

奈美の視界が、目の前にプラズマ球が爆発したように白くなった。
暗い個室にいるはずなのに、目の前がこんなに明るいなんてと途切れがちな意識で思った。
もう胎内の風船が弾ける寸前だった。
自分ひとりの指遊びで達する頭キュンの切ない快感とは比べ物にならない絶頂が目前に迫っていた。
遠くで望がこんなことを言った気がした。

52影の舌のほにょ 9:2008/09/02(火) 06:27:32 ID:cjw1pkI0 BE:974618887-2BP(333)
「さあ、最後ですよ」

しっかり剥き直された。と、さらにきつく吸い上げてきた。
そして息の続く限り吸い続けては、また舌先で押しつぶされ、ぐりぐりと押さえつけられた。
そして、押しつぶされたまま、さらに吸い上げられけた。

――ちううううううっ! ちううううううううううううううううっ!
奈美にはこの連続吸い上げ攻めはたまらなかった。
このまま文字通り天国まで連れて行かれる気がした。
奈美自身の奥の風船が限界まで膨らんだ。
そしてかあああっと熱を帯び、ねっとりした蜜を吐き出すのを自覚した。
こうして奈美は陰部を望に吸われ続けたまま、
腰をがくがく震わせながら久しぶりにキツい絶頂に達してしまった。

――ちうううううううううううううううううううううううう!
「ひゃああ、い、い、いいいっちゃううううううううううう!」

     ☆

後始末を望にしてもらい、ぱんつまで望に穿かせてもらった奈美は腰が立たなかった。
まだ体中が火照っていて、一歩足を踏み出すとその刺激が身体の奥に伝わり、
女の芯を刺激し、歩けなくなるのだった。
その場にうずくまってしまった奈美は、とうとう望に負ぶわれて視聴覚教室に戻ることとなった。


意外なことに、そんな奈美を千里は当たり前のように迎えた。
スカートもすんなり返してくれた。
再度椅子に括り付けられ映画の残りを観るよう強いられたが、
その時間は砕けた腰を立て直し、何とか立ち上がれるような力を蓄えるのに使った。

だが、奈美の後ろにいてやはり椅子に縛られているはずの望が、
ときどき千里に囁いているのが切れ切れに伝わってきた。

「ちょ、ちょっと! 駄目で……」
「日塔さ……所を見られ……」
「ああぅ! ……ろを触ら……い」

何かをしきりに止めようと懇願しているようだ。
だが後ろを振り返る勇気のなかった奈美は、体力回復に神経を集中させることにした。

ようやく映画が終わった。
特に映画の感想を求めてくるでもなく、千里は奈美を縛り付けていた縄を解いた。
そろそろと立ち上がりかけたところに、後ろで千里と望がこんな問答をしているのが耳に入った。
その様子を見て、奈美は自分を手洗いに連れて行ってくれた望が赤褌一丁という
恥ずかしい姿だったことをようやく思い出した。

「じゃあ、私はこれで」
「ちょっとそこのあなた!」
「ひいっ! わ、私が何か」
「誰が帰っていいって言いました!
 ……先生、映画の後片付け、手伝って下さい。
 それから、私もお手洗いに連れてって下さいませんか。それに……」

千里の視線の先をたどると、なんと赤褌の下で勢力を誇示している絶棒が目に入った。

――先生、やっぱり我慢してたんだ……
「そちらも堪えてらっしゃるようで。」

千里がためらうことなく布越しにそれを手で握り、ぐいっとひねった。
53影の舌のほにょ 10/E:2008/09/02(火) 06:30:31 ID:cjw1pkI0 BE:626540494-2BP(333)
「あ、あぅ!」
「では、ちょっとこちらへ。」

千里は赤褌越しに固くなったままの絶棒を握り、
なぜか手洗いではなく視聴覚準備室へ担任教師を導いた。
二人が中へ入った後、カチリと内側から鍵が掛かる音がした。

しばらくして後、

「あひいーーーーーーーーーーーーーーーん」
「うなあああああああああああああああああ」

という媚態を含んだ悲鳴が微かに漏れてきた気がする。
が、映画を上映していた視聴覚教室の中は暗幕が張ったままで暗く、
準備室の様子もまるで見えない。
すべての出来事が闇に溶け込んでいるようだった。

その場にいるとまた影の中に取り込まれ、
今度は「ほにょ」だけでは済まなくなる恐れを充分に感じた。
奈美は火照った身体を無理に宥めながら家路に着いた。

     ☆

その夜、就寝前に火照りが再発した奈美が、
憧れである担任を脳裏に思い浮かべながら指を遣い、
甘美な一人遊びに耽ったことは言うまでもあるまい。


     ――[完]――

54 ◆n6w50rPfKw :2008/09/02(火) 06:33:53 ID:cjw1pkI0 BE:783176459-2BP(333)
以上です。
書き込みに不手際があったこと、1度に投下すべき分量を2つに分けてしまい、
しかも間隔が空いてしまったことなど、重ねてお詫びします。
続きを書かないまま放置している文もいつか続きを書き上げてアップしたいと思っています。
55名無しさん@ピンキー:2008/09/02(火) 07:39:25 ID:l1W7WYnh
GJ!
>続きを書かないまま放置している文もいつか続きを
チョコレートネタの続きを待ってる!!
56名無しさん@ピンキー:2008/09/02(火) 17:48:19 ID:XImsOWWa
GJGJ
57名無しさん@ピンキー:2008/09/02(火) 21:23:20 ID:pTvdXn3a
GJです。
自分も景気付けに投下します。
 本誌で加賀さんプッシュなため、加賀受けでいきます。
無理やりなので、注意してください。

 
58あんな華麗になるな:2008/09/02(火) 21:24:36 ID:pTvdXn3a

 『あんな華麗になるな』


長い夏休みが終わった。生徒たちは寂寥としていた教室を、
再び賑やかな場に戻した。
それは、問題児が集結したことを意味していた。

 「はあー。一日中、漫画描くことができるのも・・・昨日までか」
 「もう! 学校は始まったのよ。きっちり区別つけなさい!」

 「宿題がたまっちゃって、結局、昨日慌てて終わらせたよ」
 「普通ね」
 「普通って言うなー」


 がやがやと、生徒たちが久しぶりの再会を楽しんでいたところ、
教室のドアが開いた。

 「お久しぶりです。みなさん元気そうですね」
 「先生!」

 そこへ足を踏み入れたのは、この教室の生徒。
何人かの生徒は愛情を込めて彼を迎えた。
 「元気そうでなによりです」


 
59あんな華麗になるな:2008/09/02(火) 21:25:34 ID:pTvdXn3a


 全校集会が終わり、再び教室に戻った一同。
夏休みの出来事を話題に雑談し、宿題の提出を終えたあと、
望は口を開いた。

 「さて・・・みなさん。もうひとつの宿題、やってますか?」
 「もちろんです。課題研究ですね」
 「あまいですね」
 望は鼻で笑った。生徒たちは首を傾げた。
 「課題研究? あなたたち今までの夏休みを思い出してください。
  始まる前は、すばらしいものを作ってやると、やる気いっぱい。
  そして、創作意欲満々で取り掛かるのですが・・・
  夏休みの誘惑! 睡眠、ゲーム、旅行、これらに邪魔されて、後回しになる。
  そして、なれないことです。思ったように進まず、やる気を削ぎ
  妥協妥協の連続。ある程度は形作られてますが、始めに思い描いていた作品とは
  比べ物にならない。目標が大きすぎた。つまり、過大研究なのです!」


 また、始まった。この馬鹿演説。
 
 「・・・過大研究?」
 「そう。自分の力量を超えた、過大な作品を作ろうとし・・・恥をかく。
  日本の建築物の歴史と構造についてのレポートが2枚で終わってしまったり、
  一枚の絵しか描かなかったり」
 「そんな小説書いている人の実体験はどうでもいいですから、
  きっちり、発表させてください!」

 「わかりました。では発表会と参りましょう。ではまず・・・私から」
 「何でだよ!」

 「先生も研究してきたんですよ。題名は『世界の自殺者』」
 「しょっぱなから、鬱になるのをもってくな!」

 「世界の偉人で、自殺した人の理由、死因を調べて表にしました」
 「駄目だ! 聞いてないこの人!」
 望は、一枚の紙を出した。そこには簡単な表が書いてあった。

 「興味深いのは芥川龍之介ですね。そして太宰治。
  『世界の』と言いながら、日本人二人で終わりました」
 「いくらなんでも、妥協しすぎだよ」

 このようなスタートで、出席番号1番から、発表がされていった。
60あんな華麗になるな:2008/09/02(火) 21:28:37 ID:pTvdXn3a
「僕は、絶望の仕方が足りてないようなので、人間心理について研究して・・・」
 「まだ引きずっているのですか、青山くん」

 「僕は、髪質と育毛剤の相性について」
 「じゃあ、次は出席番号4番の・・・」
 「せんせー?」

 「俺は、最新のファッションについて」
 「僕は、世界文学の作者の生い立ちと、作風の関連性について・・・」
 「俺は、おっぱいについて」
 「マリア、食べれる草と、食べれない草の・・・」
 「私は、節約生活の仕方について」
 メルメル『顔文字10000個作成』
 「テロ活動についてのレポート、きっちり100枚です」
 「世界中の珍しい訴訟について」
 「しっぽ一覧。・・・アフリカ編」
 「先生の一日の生活をすべて、表にしました」
 「ポロロッカ星の気候と地形について」
 「好きなJ−POPの人たちについて」
 「古代ギリシャ制度と同性愛について」
 「・・・・・・」(世界の武器)


 望の予想は違った。皆が皆、大学教授宛らに、詳しいレポートを書いていた。
そう、この連中ときたら、ある種においては、マニアの中のマニア。
変人の集まりだった。
 結局、適当に作っていたのは望だけとなり、後ろめたい気持ちになった。

 「すみません! すみません」
その中、教室に可愛らしい女性徒がいきなり飛び込んで来た。
 「新学期早々、遅刻してすいません」
 入ってきたのは、加賀愛だった。
 「ま、まあいいでしょう。以後、気をつけてくださいね」
 望は愛に甘いところがあり、ただそう言っただけだった。
 「それはそうと、あとは貴方だけですね。加賀さん」
 「何がですか?」
 「過大研究です」
 「・・・・・・」
61あんな華麗になるな:2008/09/02(火) 21:29:46 ID:pTvdXn3a
 放課後

 「課題研究をやってないなんて」
 「すいません。すいません」
 愛の話を伺うと、こういうことらしい。
課題を決めるたびに、こう考えてしまった。
『私なんかに調べられたら、この人たちに失礼だ』
『歴史を調べたら、偉人さんに失礼だ』
『博物館の人に迷惑が掛かる』
『図書館にいる人に迷惑が掛かる』
 こんなことを思って夏休みを終えてしまった。

 「まあ、貴方らしいと言えば、貴方らしいですが」
 「すみません」
 愛は、涙目で謝罪するものだから、望を少し顔を赤らめる。
やっぱり可愛らしいな、加賀さんは。
思わず、望は抱きしめようとするが、ある男によってそれは遮られた。
 「かーがーさーん」
 「ムッ! この頭の悪そうな声は」
 「木野さん!」
 望と加賀に近づいてきたのは、加賀に想いを寄せる木野だった。
なにやら、ハイカラのものを持って。

 「なんでしょうか?」
 「これ! 絶対似合うから!」
 案の上、人間には似合わない服だった。
赤と紫の縞々に、黄色の斑。しかも露出度が高い。
というより、どこから袖を通すのだろうか。
 「無理です。私にはレベルが高すぎます」
 当然の反応だ。
 「せっかく、この夏、研究して来年の流行の傾向を読んだんだ」
 その前に空気読めよ。
 いつもなら、望も反対するのだが、露出度の多い服に負けてしまった。
 「では、加賀さん。ほかの人たちの課題研究の協力してはどうですか?
 そうすれば今回は加賀さんも課題をしたということに」
 「うっ。先生がそういうなら・・・」


 木野の持ってきた服を着た加賀は、滑稽でしかなかったが、
服以外の部分、つまり白い肌や、少しだけ見える谷間などはとても魅力がある。

 「最高だ。加賀さん」
 「うう。可愛らしい」
 「は・・・恥ずかしいです」
 おどおどして、胸元を隠す彼女に、二人はすっかりと虜になってしまった。
62あんな華麗になるな:2008/09/02(火) 21:30:42 ID:pTvdXn3a

 厄介というものは、新たな厄介を呼ぶものである。
木野の姿を見つけた青山と芳賀がのこのことやってきた。
 二人は愛の姿を見て、驚き半分、嬉さ半分といったところか。 
 「加賀さん! なんていうか・・・」
 「まあ」
 姿は可愛らしい。誰がどう見てもそうなのだが、服が似合うと言うことはできない。
それは賛美ではなく愚弄を意味している。

 「ところで、お前らどうしたんだ?」
 「ちょっと、課題研究で遣り残したことがあって。
  まあ、発表が終わったとはいえ、完成させたいんだ。見せるためじゃなくて、
  自分のためにやるのがこの研究だから」
 尤もらしいことを言う芳賀だったが、お前の研究はおっぱいだろうが。

 「俺も気になるところがあって・・・」
青山もそう言っている。

 「それは・・・いいことなのですが、主に何について?」
 
 「Bカップのさわり心地について」と芳賀。
 「ツンデレの心理について」と青山。

 訊いて損した。

 「わ・・・私・・・そうですよね。協力しなければなりませんよね」
愛は言った。
好意を寄せている望の言葉である。愛は実行に移した。

 「じゃあ、協力させてもらいます」

 次の瞬間、愛は意外な行動に出た。
芳賀の手を握ると、その手を誘導し、服越しに自分の胸に押し付けた。
63あんな華麗になるな:2008/09/02(火) 21:31:36 ID:pTvdXn3a
「なっ!」
 「加賀さん!!」
 「うわっ! ちょっと!」

 「研究の・・・材料になりましたか?」
 顔を紅く染めて、愛は囁く。
 「芳賀! 何してんだよ!」
 木野が鬼の形相で、その手を振り払った。そして、ぎゅうと加賀に抱きついた。
後日、このことについて、本人はさりげなくやってみたと、ほざいていた。

 「俺・・・何もやってないし・・・」
 「こら、加賀さんから、離れろよ! 大丈夫だったか?」
 自分は何もしていないのに、いつの間にか芳賀は悪者扱いだ。
 
 「青山くん。・・・し、心配しなくてもいいわよ! これぐらい大丈夫だから」
 ぷいっ。小さなポニーテールをピコピコさせて、そっぽを向く。

この行為に、木野はもちろんのこと、青山、芳賀そして望までもが愛に
惚れてしまっていた。もう最後の理性すら、壊れてしまった。
 
 「愛してる。加賀さん」
 木野は、強引に彼女の頬を両手で押さえてキスをした。
 「んーんー」
 
 愛はじたばたと抵抗するが、青山によって、それは封じ込まれた。
 「動かないで」
 青山は、彼女の両手首をつかんで彼女の両足に、自分の両足を絡み付けた。
そして、彼女の後ろ髪に頬ずりしだした。

 「加賀さん。もっと・・・資料が欲しいな」
調子に乗った芳賀が今度は自分の意思で胸を触った。
触るだけではなく、揉みだした。
 「ああっ」
 木野の舌によって口内を犯されながら、愛は喘ぐ。
三人の野獣の愛撫はエスカレートしてきた。

愛は、最後の救助船に願いを託した。
恋の相手である望に、助けて欲しいと訴えかける。

 しかし、この救助船。碌でもない欠陥品である。
上目遣いで訴えたのがまずかった。
望も、ここまでされたら野獣になってしまう。
もともと、駄目人間である。野獣になるのも簡単だ。


 「加賀さん。そんなアホみたいな服。とってくださいよ」
 望はさりげなく木野がグサリとくる台詞を吐いたが、
木野は気にもかけてなかった。
望の手が愛の服にかかる。あっという間に服を脱がした。
64あんな華麗になるな:2008/09/02(火) 21:32:16 ID:pTvdXn3a
露になった乳首に、いち早く芳賀が吸い付いた。
 「あっ! ずるい」
 木野も乳首をベロベロ舐めだした。
 「や、めて、ください」
 
 「いやらしい顔してますね」
 三人の男子は、愛の胸の取り合いをしていた。
望は少し離れて、その様子を眺めていた。

 「もう、オレ限界だ」
 「オレも! 加賀さんが誘うからいけないんだ」
 「加賀さんが、責任取らないとね」
 「やっぱり、私が悪いんですね」

 木野は勝負パンツごと、ズボンを下ろした。
 「きゃー! やめてください! いいかげんに・・・」
 愛は必死で首を振った。運が悪いことに、彼女の鋼鉄の頭が
木野の鼻にクリティカルヒットした。
 「してください!」
 木野は、鼻血を出して床にぶっ倒れた。
心なしか、満更でもないように笑っていた。
 「大丈夫か! 木野!」
 青山が木野の体をゆすった。反応がない。気絶している。
 「あ! すみません! すみません!」
 愛の神速の最敬礼によって、今度は青山が犠牲となった。
青山は後頭部を打たれ、木野の上に重なって倒れた。
 「ああ、また!」
 愛は青山の頬を軽くたたく。
 「しっかりしてください」
 その様子を、芳賀は、上から様子を伺っていた。
 「救急車呼ばないと!」
 愛は立ち上がった。いきなりだったもので、芳賀の顎に石頭がぶつかった。
 これで三人の犠牲者が出た。



 「やれやれ、盛りが付いていると損をしますね」
望は、たんたんと語る。
 「まあ、あなたがそんな綺麗な姿ですから、わからないでもないですが」
 
 望は、愛に軽く口付けをした。
 「初めてなのに、乱暴されるのは嫌でしょう? 続きは私と場所を変えてしましょう」
 愛はうれしそうに、そして恥ずかしそうにうなづいた。
 「加賀さん。うれしいです」
 「勘違いしないでよ! 別に、先生が相手だからやるんだからね」
 「たぶん・・・使い方間違っています」
 望は、愛にもう一度口付けをした。今度は長かった。

                         END?
65あんな華麗になるな:2008/09/02(火) 21:33:38 ID:pTvdXn3a
 その後


 「こうして、古代ギリシャ七賢人の一人、キロンが教育に同性愛を取り入れ・・・
  それはこうして遠く、今の日本まで引き継がれているの」
 藤吉晴美。問題児の一人は、淡々と語った。
彼女の目線の先には、パンツを下ろし、仰向けになって倒れている木野と、
その上に覆いかぶさっている青山の姿があった。
 「彼は、このような名言を残しています。『汝、自身を知れ』と」

 「それ、意味が違うと思うけど・・・」

 「何、言っているんですかあ」
問題児のトップが現れた。
 「これはメッセージです。今年のポロロッカ星は豊作になるでしょう」
 「なんにせよ! こんな卑猥なモノ見せて・・・訴えてやる!」
 メルメル『おめえが言うな! ヘンテコパーマ >(”)』

 「僕、いい童話を思いつきました」
 「この醜態を見て!!?」

 そのあとのことは、どうなったか・・・知りたくもない。

                      END
66あんな華麗になるな あとがき:2008/09/02(火) 21:40:49 ID:pTvdXn3a
以上です。
 4人に攻められる割には、エロくないですね。
最後までやってませんし。まあ自分が性交よりも前戯のほうが、
好きなのも理由の一つでしょう。
 夏休みのある学生さんたちに、恨みを込めて書きました。
この馬鹿話、受け取ってください。
 ちなみに、自分は前回『望×晴美』書いた人です。
それと、こもりさんの課題研究がないのは、本誌で夏休みを忘れていたことを
反映させてます。
67名無しさん@ピンキー:2008/09/02(火) 23:13:19 ID:p9QnTvCb
>>66
GJ!
加賀可愛い
68名無しさん@ピンキー:2008/09/03(水) 01:49:46 ID:/tXlgJsS
自分もSS書いて見ようと思うんだがこのスレの住人って
百合スレみたいな軽いほのぼのとシリアスなのとどっちがいいの?
69名無しさん@ピンキー:2008/09/03(水) 02:29:03 ID:tTX+TKHV
ほのぼの路線。
70名無しさん@ピンキー:2008/09/03(水) 02:58:15 ID:eTGXoFVA
>>68
書いてくれた物を見るだけです。
ほのぼのでもシリアスでも、書く人が書きたい物を書いてくれれば良いのですよ。
71糸色 望 ◆lg6soG51dE :2008/09/03(水) 05:20:09 ID:6KmFFoBg
>>69
デスノートの矢神線、蟲師の蟲師本線とかは、
れっきとしたローカル線ですが・・・。
72糸色 望 ◆lg6soG51dE :2008/09/03(水) 05:23:04 ID:6KmFFoBg
蟲師本線とは、蟲師の世界を支える鉄道路線です。
かなり山の中を走る路線として知られており、
弦間駅から蟲師駅まで約40‰勾配が続く山岳路線です。
このため、電化以前は、キハ58系、キハ65系などの
強力なエンジンを積んだ気動車が走っており、
電化後は107系電車での運用です。
73名無しさん@ピンキー:2008/09/04(木) 10:36:38 ID:cgWXvb4T
死にネタも好きだよ
74名無しさん@ピンキー:2008/09/04(木) 14:26:23 ID:PA6FqwSH
絶望先生で死にネタw
75名無しさん@ピンキー:2008/09/04(木) 18:34:19 ID:TntAp/IN
実際保管庫に絶望先生の死にネタあるのに、wですか
76糸色 望 ◆lg6soG51dE :2008/09/04(木) 19:17:07 ID:xqfgxkHy
やけ酒をし過ぎて、翌日はきつい二日酔いの絶望先生。

糸色 望
「ううう、頭が痛くて、気持ち悪い〜。
このままではアルコール依存症になってしまいます・・・。」
77糸色 望 ◆lg6soG51dE :2008/09/04(木) 19:21:11 ID:xqfgxkHy
私がよく飲む酒は日本酒と焼酎です。
たまに、ウォッカやジン、スピリタスも飲みます。
78名無しさん@ピンキー:2008/09/06(土) 22:44:06 ID:wn9M0Nh0
人がおらんのぉ
79名無しさん@ピンキー:2008/09/06(土) 23:03:58 ID:tfhVXF6o
ずっと
80名無しさん@ピンキー:2008/09/07(日) 00:11:10 ID:yzSVbf6O
やだなぁ過疎ってるなんてあるわけないじゃないですか
皆さん執筆活動中の空白期間に決まってますよぉ



誰か可符香を
可符香分が足りねぇええええ
81名無しさん@ピンキー:2008/09/07(日) 10:34:46 ID:z8mRs4Cx
カフカはもうネタ切れです
82名無しさん@ピンキー:2008/09/07(日) 11:45:10 ID:Qn/4H0fJ
やだなぁネタ切れなんて(ry
83糸色 望 ◆dv0gz7VGn. :2008/09/07(日) 17:22:13 ID:Wza9ZQFJ
過負荷過負荷言っていると、
自分のエンジンがマジでブローしますぞ。

過負荷はその名の通り、
エンジンを過回転させるときに発生する大きな負荷なのです。
タコメーターがレッドゾーン付近まで回すのを長時間続けるとか。
84糸色 望 ◆dv0gz7VGn. :2008/09/08(月) 03:26:58 ID:iMZsZaDY
船舶の推進器で、スクリューは現代の技術でも手作りなのです。
何故なら、プロペラの形状の構造上、量産は容易ではないためです。
そのため、熟練した技術者がコンピュータで計算し、試作機を作り、
推進力などのテストを行った後に、そのデータを元に、本物を
作り上げていくのです。もちろん、心を込めて丁寧に作り上げないと、
きちんとした推進力は活かすことは出来ません。
85名無しさん@ピンキー:2008/09/09(火) 03:39:55 ID:4dfJN3E3
確かにネタ切れっぽいね。
残念ながら。
86名無しさん@ピンキー:2008/09/09(火) 15:27:29 ID:eTOSlPm2
ネタ切れもあるかもしれないけど最近は読み手の反応も薄くなってきたから
職人さん達も投下しがいがないんじゃないかな。
何でもマンセーしろとはいわないけどもう少し反応した方がスレも活気が出るんじゃないか?
87名無しさん@ピンキー:2008/09/09(火) 17:43:42 ID:/5oF3p5w
自分の好きなキャラ以外は割りとどうでもいいと思ってる人、多そうだもんな
88名無しさん@ピンキー:2008/09/09(火) 18:07:13 ID:m97+8Qlw
保管庫みているだけでお腹いっぱい。
もともとキャラに感情移入しずらい漫画だから、表面的な特徴を使って作る話の
パターンにも限界あるしね。
とネガティブ発言のターン
89名無しさん@ピンキー:2008/09/09(火) 22:11:39 ID:i2VEQmMY
アニメ放送以前のペースに戻っただけだと何度言えば
90名無しさん@ピンキー:2008/09/09(火) 23:08:41 ID:CTviYH/3
グダグダ愚痴こぼすより、短くてもなんか書いて流れ作ってみたら?
クレクレ言われてやる気出るって人より、萎えちゃう人のが多いよ
91名無しさん@ピンキー:2008/09/09(火) 23:34:18 ID:XvzIsAyn
書けるくらいならクレクレ言わない
そのかわり書いてくれれば心を込めて感想するよ!!
92名無しさん@ピンキー:2008/09/09(火) 23:54:32 ID:ZIKj4Oxj
それって逆に言うと自分は書けないからクレクレしますって事か…
93名無しさん@ピンキー:2008/09/10(水) 00:23:01 ID:1BXzR+VB
そりゃそうだろ。
94糸色 望 ◆dv0gz7VGn. :2008/09/10(水) 05:59:34 ID:4getK8cj
勝 改蔵のエンジン載せ換え

DMH17系エンジンの老朽化に伴い、
しかも、アルカディア号火災という事例のため、
勝 改蔵の原型エンジンをすべてDMF15HSAに換装し、
同時に変速機もDW12に交換された。

本来はDML30系エンジンに載せ換える予定であったが、
改蔵のひ弱な身体では、DML30系などの重たいエンジンを積むと、
すぐにぎっくり腰となってしまうという問題が考えられたため、
あえてDMF15HSAに換装することにとどまった。
出力は220馬力と原型エンジンの180馬力と比較して
若干出力が増加し、勝 改蔵の軽量身体と相まって
結果として走行性能は若干向上している。
95名無しさん@ピンキー:2008/09/10(水) 06:21:24 ID:NsH2TLNb
エロは書けないから投下する気にはなれないな
需要なさそうで
96名無しさん@ピンキー:2008/09/10(水) 06:51:00 ID:67FYDYHL
いつからか、そんな感じはあるな
ノーマルのエロ以外は自重しろみたいな
結構な割合でエロなしもあったスレなのに…そりゃ減るよ
97名無しさん@ピンキー:2008/09/10(水) 13:00:46 ID:OzL7G6kR
他の人はどうか知らんが自分はエロなし全然バッチコーイ
98名無しさん@ピンキー:2008/09/10(水) 17:58:30 ID:rN1zhmKj
>>95みたいに思われちゃってる時点でキツいな
エロパロだからエロ入ってないと駄目とかそういう事言うと普通のエロパロも減るもんだから
99名無しさん@ピンキー:2008/09/10(水) 18:54:00 ID:D03huCqv
「エロ入ってないと駄目」なんて言った奴、いたかなあ
俺が忘れてるだけなのかも知れんが
100名無しさん@ピンキー:2008/09/10(水) 19:03:08 ID:Ph0ZIypH
一時エロ無しがたくさん出てきた時に「エロ有りももう少し欲しいね」というようなことを言う人はいた気がする
101名無しさん@ピンキー:2008/09/10(水) 19:51:05 ID:hKG/tc36
エロ無しを投下した直後に、「ここはエロパロスレだぜ」とか言われると、
良くない事をしたかなあと思っちゃう。

加害妄想なのは解ってるんですけどね・・・。
102名無しさん@ピンキー:2008/09/10(水) 19:52:29 ID:rN1zhmKj
後半のは他のスレでの経験の話
でも、このスレはやりにくいと思われてるのは事実だろ
103名無しさん@ピンキー:2008/09/10(水) 20:02:07 ID:OzL7G6kR
こんなに人がいたとはwww
104名無しさん@ピンキー:2008/09/11(木) 07:06:25 ID:CAfoHWCi
>>101が誰かわかる…やる気なくしてるっぽい?
105名無しさん@ピンキー:2008/09/11(木) 13:52:48 ID:vJa0Xsgn
オレオレ、オレだよ
106糸色 望 ◆dv0gz7VGn. :2008/09/11(木) 17:11:33 ID:v6pdceIS
次は鹿沼、鹿沼でございます。
107糸色 望 ◆dv0gz7VGn. :2008/09/13(土) 02:23:24 ID:8ByAhsqC
JR日光線の107系・保守します。
108名無しさん@ピンキー:2008/09/13(土) 21:32:25 ID:yVjDf/Fz
保守
109糸色 望 ◆dv0gz7VGn. :2008/09/14(日) 07:24:46 ID:Ci0IK4+T
109日本語キーボード
110糸色 望 ◆dv0gz7VGn. :2008/09/14(日) 12:34:47 ID:Ci0IK4+T
キハ110系
111名無しさん@ピンキー:2008/09/14(日) 19:00:02 ID:tDj+rdNr
さすがに嵐だろこれ
112名無しさん@ピンキー:2008/09/14(日) 19:57:10 ID:SDhvzOw6
今更気付いたのかよ馬鹿
113名無しさん@ピンキー:2008/09/15(月) 01:24:06 ID:hU4n+w5u
まるで荒らしてるという自覚がないタイプ。
こういう手合いは、ひとつのスレに年単位で粘着したりするから始末に悪い。
114名無しさん@ピンキー:2008/09/15(月) 06:01:07 ID:RxQsUIvC
他スレで自分のことを荒らしだと言ってたよ
恥ずかしい分析だな
115糸色 望 ◆dv0gz7VGn. :2008/09/15(月) 07:21:56 ID:G333DaAl
両毛線は現在も115系電車は活躍中です。
両毛線は営業運転速度が95km/hで、80km/hほど飛ばせればいい方です。
宇都宮線への乗り入れ時には、最高で100km/hは出しますが・・・。
116名無しさん@ピンキー:2008/09/15(月) 18:12:35 ID:bMlZpL5h
毎日意味不明なことばかり書き込んでるから
と自分で述懐してたりもしてたから普通の荒らしだよ
117名無しさん@ピンキー:2008/09/15(月) 18:21:27 ID:i4aHwq9T
スルーもNGもできない餓鬼ばかり
118名無しさん@ピンキー:2008/09/16(火) 00:04:20 ID:x7bjFZhD
スルーなんて無駄無駄
119名無しさん@ピンキー:2008/09/16(火) 13:43:37 ID:O5yNDwaa
>>117

餓鬼はオマエだろ
スレの流れも見えないのか?
スルーしても去らないタイプだから相談してんじゃねえか
120名無しさん@ピンキー:2008/09/16(火) 14:05:28 ID:CPrb6JIN
まあ、皆でまったり雑談でもしようじゃないか
好きなCPの言いっこしようぜ!
121名無しさん@ピンキー:2008/09/16(火) 15:22:23 ID:NwPlUhLZ
やっぱ定番(?)の望×霧、まとい
で、最近某同人誌の影響で望×倫も追加した。
122名無しさん@ピンキー:2008/09/16(火) 15:59:38 ID:YJVKBkAL
先生に限れば望×大草さんが一番好きかな
123名無しさん@ピンキー:2008/09/16(火) 16:19:36 ID:7MGTJZ4G
>>119
そいつは別にこのスレの荒らしってわけじゃなく絶望関係の多くのスレに居て
反応する奴が居るスレの方が頻度が多くなる傾向にある
だからスルー
124名無しさん@ピンキー:2008/09/16(火) 17:58:08 ID:CPrb6JIN
だーかーら、雑談雑談ってばよー
ちなみに俺は望×智恵先生の大人な関係が好きな少数派
125名無しさん@ピンキー:2008/09/16(火) 18:49:57 ID:2gbPbRau
絶命×ナースだけはガチ
126名無しさん@ピンキー:2008/09/16(火) 19:40:27 ID:VyPYhorb
いろんなサイトを覗いてみると
なぜか命×倫ってのが多い気がする
127名無しさん@ピンキー:2008/09/16(火) 22:06:03 ID:JNQs27tb
原作でなんといわれようとも
望×千里は断然アリ
128名無しさん@ピンキー:2008/09/16(火) 22:17:14 ID:/CFWdkGt
>>126
腐女子はカップリングに対する考え方が俺たちとは違うみたいだ
いや、考えてみると似たようなもんな気もするが・・・まぁ、あんまり考えない方がいいな

>>127
むしろ、原作あっての望×千里だろ
久米田は、千里×望には好意的のようだし
129名無しさん@ピンキー:2008/09/16(火) 22:47:38 ID:x7bjFZhD
逆に久米田が否定的なカップリングてどんなんだ
130名無しさん@ピンキー:2008/09/16(火) 23:02:19 ID:JNQs27tb
>>128
見ている側としては望×千里の雰囲気でも
肝心の先生がスルーに走るからって意味なんだ

>>129
臼井×あびる…?
いや、あれはあれで狙っているのか?
131名無しさん@ピンキー:2008/09/16(火) 23:46:26 ID:yl8ChVMk
どう考えても千里×望であって望×千里にはなりそうもない
132名無しさん@ピンキー:2008/09/17(水) 00:11:23 ID:n6R5lXUX
>>522
先生にデレデレしまくりな千里ちゃんが、先生を攻められるわけ無いと何度言えばry
133名無しさん@ピンキー:2008/09/17(水) 00:18:34 ID:86sKrLg2
エロパロスレで千里スレの定番トークがなされている・・・
134名無しさん@ピンキー:2008/09/17(水) 01:03:00 ID:FNjhfBKe
エロ女気質は霧にあり
135名無しさん@ピンキー:2008/09/17(水) 07:08:27 ID:zRfAboOE
>>126
それは覗くサイトが偏りすぎだw
136名無しさん@ピンキー:2008/09/17(水) 07:48:10 ID:FNjhfBKe
命倫が好きって明言してるサイトは、もう閉鎖したのも含めて、7個くらい見たことがある。
絶望先生のCPやらを扱うサイトでは、藤吉的なサイトの方がそうでないサイトより数が多い気がするな。
137名無しさん@ピンキー:2008/09/17(水) 11:30:24 ID:XREJGST0
北欧×北欧の美少女マダ―?
138名無しさん@ピンキー:2008/09/17(水) 11:49:10 ID:gTM+zt99
まあ藤吉的なサイトの方が多いって言うのは二次創作全般に言えることだよね
絶望先生はギャグだけど美形が多いから腐ネタにしやすいのかな
139名無しさん@ピンキー:2008/09/17(水) 12:18:21 ID:zM9pe5h2
改蔵時代からの固定客じゃねーのと
140名無しさん@ピンキー:2008/09/17(水) 21:37:45 ID:7y5sOFXJ
藤吉さんに受けたのはアニメ効果で望のイケメソ度が上がったせいもあるかと。
後は美形がもう一人でも居れば望むと望まざると人気急上昇。

大穴で一旧×倫とか言ってみる。
レイーポ物ならここで一度見たが、普通に純愛は見た事ないなぁ。
まぁ倫が嫌がってたから仕方ないけども。
141名無しさん@ピンキー:2008/09/18(木) 00:07:54 ID:YOK4Bghs
「木津さん、どうしました?」

 不意に、先生の手が私の額に触れる。

「それほど熱は無い……いや、少し額が熱くなっているようですね。」
「……先生?」

 薄ぼんやりとした視界に一杯、先生の顔が映る。
男の癖に少し冷たい掌がそうっと、私の額に触れている。
わからない、だけど私の顔は確かに紅潮していただろう。

「誰か、保健委員……いえ、私が連れて行きましょう。」
「ソッチノホウガ、危ないト思うケドナ。」

 マリア、……先生に触れたから、熱くなったのと思うの。

「皆さん、先生が居ない間は自習していてください。」

 ただ言われるままに、先生の背中に寄りかかる。
 ……先生の華奢な体躯は、私の体重を支えられないと思ったけど。

「先生……思ったよりも肩幅が広いのですね。」
「木津さん、少し揺れますよ。」

 先生は私に振動を与えない様に、そろりそろりと歩く。
先生、私の、心臓の音が聞こえますか?
142名無しさん@ピンキー:2008/09/18(木) 00:08:45 ID:YOK4Bghs
 私は先生の首に手を回し、きっちりと体が揺れない様、安定して歩ける様に気を遣う。
時々、先生の首筋に触れる程度に唇で触れ、その度に溜息を漏らすのを聴いた。

「木津さん、まさか、起きていませんね?」
「……。」
「考えすぎでしたか。 では、静かに……。」

 先生は、私の先生は、私を気遣って、私を起こさない様に……。
体の奥から沸き上がってくる感情で身が焦がれる。

「木津さん、今回は保健室で休んでいて下さい。 いずれ、今日の埋め合わせ分の授業はします……。」

 私の躯を保健室へ横たえ様子を伺った後に、優しい言葉をかけてくれる先生、優しい先生。
呼吸が荒くなる、私の精神が乱され今までの事なんか、どうでも良いほどに思える。
143名無しさん@ピンキー:2008/09/18(木) 05:58:49 ID:RwjykW9X
まさか、それで終わりじゃなかろうな
144糸色 望 ◆dv0gz7VGn. :2008/09/18(木) 09:10:34 ID:56kCaP1P
「お車で命をお迎えをする?」の巻き

今日は雨の日。望の携帯電話に命から電話がかかってきた。
「命です。望、傘を持ってきていないのです。タクシーも並んでいることですし、
車で筑豊若松駅まで迎えに行ってきてくれませんか?せっかく免許を取ったのですから、
こういうことに役立ててもいいだろ?では、携帯のバッテリーが無くなったから切りますよ。」

望は命の車(免許を取ったばかりで、自分の車は持っていなかった)の
E40スプリンターを運転する。助手席には交が乗っている。

望「やっとこすらずに門から出ることが出来ました。」
交「望よ、傘を忘れてるよ。」望「あ、そうだ、傘でしたっけ?
バックして戻りましょう。」交「でも、車だから傘は要らないよね。」
望「そう言えばそうですね。んもう、絶望した!余計なことを言わないでくださいよね!
せっかく無事に門から出られたのに・・・。よし、やり直し!もう少しで出られそうです。
ガリガリガリ!!ありゃ!?絶望した!車をこすってしまったことに絶望した!」
交「やれやれ。」望「私は免許取りたてだもの、運転がへたくそなのは当然ですよ。」

交「望、もう少しスピードを出せないの?」
望「私は安全運転重視です。しかも、雨が降っていますから、50キロ程度が正しいです。
うーん、どうも、ワイパーが気になりますね。」交「どれどれ・・・。」交はワイパーを最速にしちゃった。
ボッゴン!!(げんこつ)望「私で遊ばないでくださいよ。事故を起こしたらどうするのですか?」
その後、交はシャボン玉で遊んだため、望は「何これ!?何やってるんだよ!!ただでさえ視界が
悪いというのに!?うわっ!?筑豊若松駅の駅舎です!非常ブレーキ!!」命は車がはねた水たまりの
水をかぶってしまい、白衣は泥だらけになってしまった。

命「望、もう迎えに来なくてもよろしいですよ。」交「まったくもう」望「誰のせいですか?誰の!?」
145名無しさん@ピンキー:2008/09/18(木) 15:23:17 ID:hLHpHCcA
>>140
どっかで一旧と倫様のマンガ見たよ
カップリングという感じではなかったけどこの組み合わせもなかなか良いものだと思った
146名無しさん@ピンキー:2008/09/18(木) 18:12:14 ID:UYCLI+KU
俺は普通に絶望×倫様でいいや。妹萌えだし。

絶命は倫様を応援するが実は……だが、二人の弟妹が大切だから最後まで思いをバラさない。
ってポジションなら許す。
147名無しさん@ピンキー:2008/09/19(金) 00:25:00 ID:VRQoa/hG
倫様×望……いや倫様→望であってほしいな
倫様はお兄様超LOVEだけど先生はこれっぽっちもそんな気は無いっていう
まあスタンダードですけどね
148糸色 望 ◆dv0gz7VGn. :2008/09/19(金) 05:00:26 ID:jkuqP8Ay
お待たせいたしました。この列車は会津五井行きです。
次は絶望渓谷、絶望渓谷に止まります。
絶望渓谷、会津大久保の順に停車です。
149名無しさん@ピンキー:2008/09/19(金) 09:46:02 ID:2x3NaXgB
>>146
なんだその萌え設定
150名無しさん@ピンキー:2008/09/19(金) 20:33:26 ID:ugTuPAxD
先生のおちんちん舐めたい
151名無しさん@ピンキー:2008/09/19(金) 22:26:35 ID:Jts9Rxww
>>146
二人のことが大切なら止めてやれw
152名無しさん@ピンキー:2008/09/19(金) 22:35:48 ID:DaZi3VBC
そこに時田→倫を加えます
153名無しさん@ピンキー:2008/09/19(金) 23:47:16 ID:wPpstF3r
>>151
ヒント:義理
154名無しさん@ピンキー:2008/09/20(土) 02:19:40 ID:gBRrLEzb
保管庫改めて見てみると准×可符香や木野×愛の意外な多さに絶望もとい脱帽。

個人的に望×奈美キボンヌ
155名無しさん@ピンキー:2008/09/20(土) 10:11:05 ID:I7rU4G+O
表現規制反対派議員情報スレ
http://society6.2ch.net/test/read.cgi/giin/1198749883/
156名無しさん@ピンキー:2008/09/20(土) 12:07:55 ID:pggKeGWU
望×奈美は良作多いよね
と思うのは俺が奈美好きだからだろうか
157名無しさん@ピンキー:2008/09/20(土) 13:22:46 ID:Hb5QcVE1
前に誰かが書いていた気がするけど、並は内面が想像しやすい、感情移入がある程度可能なキャラ。
その対局にいるのがカフカ。
158名無しさん@ピンキー:2008/09/20(土) 13:31:09 ID:vpf1Dfho
カフカは内面が無いからね
159名無しさん@ピンキー:2008/09/21(日) 01:54:11 ID:/ZQHKg0R
感情移入がしづらい粂キャラにも没頭してしまうから絶望ファンはレベルが高い。
160名無しさん@ピンキー:2008/09/21(日) 02:17:05 ID:680CBlyA
俺はいつだって万世橋に感情移入してるが
161糸色 望 ◆dv0gz7VGn. :2008/09/21(日) 12:32:40 ID:zSQmHKNV
万世橋とは全長220メートルのプレートガーダー橋です。
橋脚は8本あります。天気が良ければ、通過時に万世川で
静かに流れている様子が確認できます。通過後、S字カーブに
入りますので、列車の速度は速度計読みで、約40キロ程度に
落とされます。カーブを抜けて、短い陸橋を抜けますと、
再び力行して、万世川駅まで向けて爆走します。
もちろん、万世川の増水に弱く、大雨の増水時には、絶望線が
運休することがあるのは、この橋の警戒水位を超えてしまうためです。
162糸色 望 ◆dv0gz7VGn. :2008/09/21(日) 12:41:20 ID:zSQmHKNV
4両編成です。お手洗いは車両の一番前寄りにございます。
車内は禁煙です。おタバコはご遠慮ください。また、携帯電話を
お持ちのお客様にお願いいたします。優先席付近では電源を
お切りください。それ以外の場所では、マナーモードに設定の上、
通話はお控えください。お客様のご協力をお願いいたします。
お降りの際には、お忘れ物なさいませんようにご注意ください。
次の停車駅は、万世川、万世川です。降り口は右側です。

ガタン、ガタン、ガタン、ガタン、ガタン、ガタタン、
ガタン、ガタン、ガタン、ガタン、ガタン、ガタン、ガタン、スタタタン、
ガタン、ガタン、ガタン、ガダ、ガァー!ガダン!ガァー!ガダン!ガァー!ガダン!
ガァー!ガダン!ガァー!ガダン!ガァー!ガダン!ガァー!ガダン!ガァー・・・・
ガタン、ガタン、スタタタン、ガタン、ガタン、ガタン、ガタン、ガタン、ガタン・・・・

ガァーという部分は万世川鉄橋を通過するときの轟音とジョイント音です。
163糸色 望 ◆dv0gz7VGn. :2008/09/22(月) 07:04:12 ID:3BBDc6EE
開き直ります。
万世橋って実在する橋です。

つまり、駅名の頭に「筑豊」を冠して、
「筑豊万世橋駅」と名付けます。
164名無しさん@ピンキー:2008/09/22(月) 23:47:49 ID:cVX8bmpG
原作の91話の冒頭といい、奈美の普通じゃない胸は公式設定なのか? あれBやCじゃないだろw
ちなみに日本人の約55%はBかCだそうで。普通を貫くなら久米田的にはアレがCなのか?
165名無しさん@ピンキー:2008/09/22(月) 23:56:22 ID:jVgtcnu2
普通の大きさって言ったらまといや倫くらいになるんだろうか。
166名無しさん@ピンキー:2008/09/23(火) 00:17:43 ID:w9+AEYkg
公式絵の胸サイズが安定してないのに、公式設定も何も
167糸色 望 ◆dv0gz7VGn. :2008/09/23(火) 06:37:39 ID:azpE5X1X
モード燃費というものがあるでしょう。
私のエンジンは1960年代の技術で設計された
予燃焼室式で、連続定格時の燃料消費率は
約192g/PS/hとなり、1時間あたりの燃費では、
およそ120リットルのガソリンを使うことになります。
168糸色 望 ◆dv0gz7VGn. :2008/09/23(火) 06:42:49 ID:azpE5X1X
1馬力あたりの燃費で、約192gなら、440馬力で
約120リットルのガソリンを使うことになります。

総排気量30,000ccで、水平対向型12気筒のエンジンですから、
それくらいのガソリンを食ってしまっても仕方がありません。
※厳密にはコネクティングロッドの関係で、180度のV型12気筒エンジン。
※もともと燃費の良いエンジンではなかったこともあり、燃料ドカ食いで不経済。
169名無しさん@ピンキー:2008/09/23(火) 09:28:15 ID:ZxmpAz1M
>>164
単に久米田の描く胸が大きめになるだけ
現実に当てはめると藤吉さんとかでかすぎるし
170名無しさん@ピンキー:2008/09/23(火) 09:39:36 ID:B/NuE5L2
久米田は奈美を巨乳として描こうとしてるだろ
171名無しさん@ピンキー:2008/09/23(火) 19:25:00 ID:0iNQYaYg
ニーチェ先生、カエレは作中で「巨乳」って言われてたか。
他の女子とそこまで変わら…いや、気のせいか。

千里、メルメルは貧乳と。しかし服着れば皆同じ…いや、いやいやいや…。
172名無しさん@ピンキー:2008/09/23(火) 23:36:22 ID:xlvs17wV
千里ちゃんも、巨乳に見えるときがある
貧乳なのは確定なのに
173名無しさん@ピンキー:2008/09/24(水) 00:06:58 ID:KwPj8DaX
偽乳に決まってるじゃないか
174教室にて(1/5):2008/09/24(水) 00:55:17 ID:LOi92xvt
「先生ー! 先生はどうしてクラスの女子に手を出さないんですかー?」

 教室によく通る声が響くと、クラスは一気に騒然としてしまう。
私の授業が珍しく軌道に乗ってくると、いつもこれだ。

「はぁ……また風浦さんですか。今かなり珍しいことに普通に授業が
 進行中ですから、そういう奇天烈な発言は少し控えていてください」

 とりあえず正論で押し切ります。実はあまり授業をサボりすぎたせいで
最近は保険の先生にまで白い目で見られてしまい、愚痴をこぼす相手が
いなくなってしまったんです。ですから、いま授業妨害されるのはとっても
迷惑です。というか死活問題です。そんな内容を悲痛な声で訴えてみます。

「じゃあ、先生は保険の先生が目当てなんですか!?」

授業中であることも忘れて千里さんが食いついてきてしまいました。
あまり迂闊に喋り過ぎてしまったようです。

「今言った台詞はそういう意味じゃありません。単に愚痴の相手というだけです」
「つまり、愚痴の相手をしたら、先生の好感度がアップするんですね!」
「違います!! そこ、変な風に解釈しない!! だいたい先生はいまのところ
 見合いとか恋愛とかに興味はありませんから!!」
175教室にて(2/5):2008/09/24(水) 00:58:30 ID:LOi92xvt
「言いましたね」「言ったね」「言っちゃった」めるめる(言いやがった)
「な、なんなんですかみなさん急に! 先生はいつも言っていることを
 言い直しただけですよ!」
「シャラップ!! もしかしたら『ネ○ま!』みたいなラヴコメ展開があるかも
 ……と考えて単行本を手に取ってくれた読者のことも少しは考えなさい!」

 木村さんがさりげなくマガジン編集長の意見を代弁しているようです。
木津千里さんのオカルト大暴走の陰で忘れられがちですが、そういえば人格系は
木村カエレさんの担当でしたね……。

「だ、だからどうしたというんですっ。恋愛するしないは個人の自由じゃ
 ないですか! 先生は確かに常月さんのためにプライバシー皆無な状態に陥っている
 かもしれませんが、今でもいちおう内心の自由はあるんです!! いわばこれは
 ATフ●ールド!! 人類誰しもが持っている心の壁とかそういうものなんですよ!!」
「ソレハアニメダロ」関内マリアさんが鋭いボケをかましていますが先生つっこんではあげません。

「うーん、ということは……先生! 私たちが先生をドキドキさせたら先生の発言は
 嘘ということになるわけですね!」「あら、そういえばそうよね」

 風浦さんがまたどうでもいいところから私の発言の根底を揺さぶってきました。
「いいですよ。先生、生徒にドキドキなんてしませんから」ここで反論するとさらに
グダグダになるので、目を合わせないようにしてさらりと流します。見なければ
ドキドキなどしないのです。
176教室にて(3/5):2008/09/24(水) 01:00:44 ID:LOi92xvt
「マリア、よくわからんが、わかった!」どうやら関内さんが先走っていきなり
全裸になったようです。しかし私は見ていません。

「あ、脱げばいいんですよね。空気読めなくてすみません。すみません。すみません…」
ま、まあ加賀さんが流されるのはしかたありません。ここまでは想定内です。
でも私は見てません!見てませんから!

「ちょっと!そんなんじゃ萌えないわよ!その制服貸しなさい!あとこれも付けて!
 ポーズはこう!もうちょっと上目遣いに!」
どうやら藤吉さんに火が付いてしまったようです。被害者第一号は加賀さんでしょうか。

「ああ、イライラする! 本人が見てないんじゃ脱いでも誘惑してもぜんぜん意味が無いじゃない!
 もっと見てもらうためのアクションを起こしなさいよ!!」
「わーい千里ちゃん本格的ーー」
木津さんまで協力を始めてしまうのですか。みなさんを止める役を期待していたんですが……。
ま、まあ私は何をされても絶対に見ませんから問題ありません。

「そうそう。やればできるじゃなーい♪」
めるめる(♥♥♥♥)

 どうやら藤吉さんの被害者第二号は加賀さんではなく音無さんだったようです。
おそらく喋らないのをいいことに幼児体型にパーツを取り付けられ、藤吉さんに
思う存分まさぐられているに違いありません。
私のケータイにその音無さんから助けを求める(?)メールが着信したようですが、
先生、見なかったことにします。
177教室にて(4/5):2008/09/24(水) 01:04:07 ID:LOi92xvt
「せんせ……」耳に接するように息を吹きかけられます。
「つ、常月さん、いたんですか」「ええ、ずっと。……ドキドキしましたか?」
「し、してません。先生、教室でドキドキするほど不埒な輩じゃあありませんから!」
(先生……素敵……)背後から熱い視線を感じますが、無視します。

「ふえぇん無理です……私人前でオナニーとかしたことないですからぁ……」
「こ、こうかしら?」「そうそうそんな感じ。木津さん飲み込み速いわね♪」

今度は日塔さんが木津さんと藤吉さんに弄られているようです。ぴちゃぴちゃと
卑猥な水音が聞こえてくるような気がしますが、神聖な教室であんなことやそんなことが
行われているなんてはずはありませんから、これはきっと罠に違いありません。
そう! 罠です! 人生は罠だらけなんです! 絶望した! 目を見開いて
そう叫びたいところですが、しかし今の私にはできない相談です。

「見ないと訴えます!」
木村さんは強気すぎます。万年パンチラ娘がどんな卑猥な誘惑を仕掛けているのか
には興味がありますが、先生、見ていないのでぜんぜんわかりません。

「先生なら、触ってもいいよ……」
小森さんが教卓の下からか細い声で誘ってきますが、見ないといったら見ないんです。
とりあえず、小森さん、出席、と。見えてませんが出席簿はつけられます。

「やぁ……らめぇ……」「ほら、先生が振り向くまでキッチリ我慢しなさい!」
「もう無理ぃ……私普通の子だから……これ以上されたらおかしk……ッッ!!」
「音無さん、ここ弱いんだぁ♪」
めるめる(♥♥♥♥ッッ!)
178教室にて(5/5):2008/09/24(水) 01:07:33 ID:LOi92xvt
どうやら二人ともイッてしまったようです。ですが、先生見ていませんから
ドキドキなんかしていません。
「うーん。 先生、ドキドキしてないみたいですねー?」 いきなり風浦さんが抱きついてきて、
私の胸に耳を当ててドキドキしているか確認してきましたが、すぐに常月さんが
引き離してくれたので問題ありません。

さて、他にも生徒はいますが、まあだいたいの誘惑は乗り切ったという自信があります。
先生、持論を守り切りました。というわけで忘れないうちにもう一度主張しておきます。

「先生はいまのところ見合いとか恋愛とかに興味はありませんから!」

「そうですか。それで糸色先生、これはどういう授業なんですか?」

「マリア、保険の先生連れてきた! これでセンセイもドキドキする!」

糸色 望、心停止。
179名無しさん@ピンキー:2008/09/24(水) 02:28:00 ID:csgCF92q
×保険→○保健
ちなみに智恵先生は保健の先生ではなくスクールカウンセラー

しかしこの状況下で投下してくれたことには感謝
乙!!
ところでマリアは全裸のまま智恵先生を呼びにいったのか?
180糸色 望 ◆dv0gz7VGn. :2008/09/24(水) 06:53:56 ID:Onri6hYi
マリアさん、服くらい着てくださいよ。
裸で廊下に出たら変質者ですよ。
181糸色 望 ◆dv0gz7VGn. :2008/09/24(水) 06:55:55 ID:Onri6hYi
キハ181系・あげ
182名無しさん@ピンキー:2008/09/24(水) 15:57:49 ID:c1Y3kwQu
「先生!友達との戦いに決着をつけるべく、是非とも
先生に協力してほしいことがあります!」
「戦いとは穏やかではありませんね、藤吉さん。
先生はできることならなんでも協力しますよ。
で、その戦いの原因は何なんですか?」
「やおい穴はあるか否かです!先生、確かめさせて下さい!」

という電波を受信したがなんだこれ
183名無しさん@ピンキー:2008/09/24(水) 17:23:58 ID:cO8uDwGV
>>178
GJ!!
この状況で投下してくれてありがとう。
おっきした!!
184名無しさん@ピンキー:2008/09/24(水) 23:34:48 ID:kagHBmKp
原作をまともに読んでねー奴がしゃしゃんな
185名無しさん@ピンキー:2008/09/24(水) 23:43:23 ID:CaoScoav
>>184
言い過ぎ
未来の職人候補を潰すきか?、設定を教えて改善すればいい

それと 
ID:LOi92xvt
 G J !
めげずにまた投稿して下さいね
186名無しさん@ピンキー:2008/09/24(水) 23:58:06 ID:067MmRMq
>>184
文句ばっかり多いんですね。
187糸色 望 ◆dv0gz7VGn. :2008/09/25(木) 07:32:49 ID:w8dG4Yek
糸色 交
「じゃ、こんなのはどう?」

糸色 望
「おい、面白半分で「予定メモ帳」を使っちゃだめですよ。
「望が倫と、ちゃぶ台の上で、ゴーゴーを踊る!?」なんですか?
それ!?私はこんな変なことは絶対にしないからなーっ!?」

糸色 交
「だって、ノートに書いちゃったんだもの。」
188糸色 望 ◆dv0gz7VGn. :2008/09/25(木) 07:40:26 ID:w8dG4Yek
望「交!あぶないじゃないですか?」
交「だって、UFOを外に出したかったんだもの。」
望「出すなら、もう少しおだやかに出してくださいよ。
もしも、UFOが壊れたりしたら、この操縦装置も
一緒に大爆発する仕様なのです!」

望「交、UFOで道路をかっ飛ばすのもいいが、
速度を出しすぎてぶつけるなよ。」

交「あそこにも洞穴があるぞ、入ってみよう・・・。」
ドッガーン!!

交「で、どうなっちゃったの!?」
望「きっと、何か事故があってUFOが壊れたらしいです・・・。
絶望した!ロケット操縦訓練機にこんな欠陥があることに絶望した!」

デスノートの夜神 月
「俺の部屋になにやら変なものが入ってきて、ハエ叩きで
叩いたら一発で破裂しやがったけど、なんだ?それ?」
189名無しさん@ピンキー:2008/09/26(金) 00:44:22 ID:q+bPm5RM
投下は有りですか?
190名無しさん@ピンキー:2008/09/26(金) 05:36:57 ID:AcmE0+u8
>>189
アリ、アリ!
191名無しさん@ピンキー:2008/09/26(金) 05:46:23 ID:wtIG+sjL
誘い受けですか
192名無しさん@ピンキー:2008/09/26(金) 08:40:22 ID:q+bPm5RM
「木津さん、どうしました? ボンヤリとしている様ですが。」
「……はい、大丈夫です。」

 本当は嘘。 ここ数日ずっと、先生のことばかり見ているもの。

「そうですか、顔が熱っぽい様ですが。」
「……先生?」

 薄ぼんやりとした視界に一杯、先生の顔が映り、その白い掌が視界を塞いだ。
男の癖に少し冷たい……それとも私が熱くなったのか分からない。
厭ね、きっちりしないのって。 でも、触れられていると気持ちが良い。

「誰か、保健委員は居ませんか? 」
「……先生、私は大丈夫です。出席数を落とす位なら座ってます。」
「大丈夫だと思ウナ、マリアの国の大人、病気でスグ死なない事有るヨ。 カゼになり易くなるけどナ。」
「それはそれで非常に危険に思われますが……。」
「もうすぐ授業が終わりますから、先生がすぐ連れて行けば良いと思います。」
「可符香さん、ですから保健委員……いましたっけ? では委員長……今回の病人は千里さんですね。」
「先生! 委員長の僕が居るじゃないですか! 酷い!」
「分かりました、先生が連れて行きましょう。 連絡事項は特にありませんのでホームルームは無しです。」
「いつも通りじゃないですか。」
193名無しさん@ピンキー:2008/09/26(金) 08:43:09 ID:q+bPm5RM
言い忘れてすみません、少し鬱展開かも知れませんので、ご注意を。
194名無しさん@ピンキー:2008/09/26(金) 08:47:32 ID:q+bPm5RM
 チャイムのあと、先生の言うままに背中に寄りかかり、首に手を回す。 少し白檀の香りがした。

「先生……思ったよりも肩幅が広いのですね。」
「木津さん、少し揺れますよ。」

 先生がスっと立ち上がる。 頼りないと思ったのに、躯の軸すらぶれない。
寄りかかっていると心臓の音が聞こえてしまう様な気がして、少し怖い。
……今は私だけの先生でいて欲しい、そっと肩に顎を載せると先生は少しビクりとした。

 何時までも負ぶさって居たいのに、あっという間に保健室へと着いてしまった。

「ちょっと横になってください、具合はどうですか?」
「さっきよりずっと……熱っぽいです。」
「それはいけませんね、今日は保健の先生が休みなので救急車を。」

 去ろうとする背中を抱き留めて引き寄せる。 胸が苦しい。

「先生、苦しいんです……ブラのホックを外してもらえませんか?」
「お安い……教師として出来ません! いずれ大切な生徒に手を出す鬼畜教師として報道され……」
「先生、大切な生徒として、人として……助けてください。」
「仕方有りません……後ろを向いてください!」
「苦しい……、振り向けない。」
「ええい! こうなったら!」
「あふっ……」
「すみません、すみません!」

 正面から回した手に背骨辺りをなぞられ、思わず身を捩ってしまう。
先生の胸に顔を埋める形になり、とても心地よい。
目を瞑ったまま手探りで、一生懸命に助けようとしてくれている。 凄く嬉しい。
震える手でブラの結合部分に触れ、しっかりと摘んだみたい。
195名無しさん@ピンキー:2008/09/26(金) 08:50:47 ID:q+bPm5RM
 チャイムのあと、先生の言うままに背中に寄りかかり、首に手を回す。 少し白檀の香りがした。

「先生……思ったよりも肩幅が広いのですね。」
「木津さん、少し揺れますよ。」

 先生がスっと立ち上がる。 頼りないと思ったのに、躯の軸すらぶれない。
寄りかかっていると心臓の音が聞こえてしまう様な気がして、少し怖い。
……今は私だけの先生でいて欲しい、そっと肩に顎を載せると先生は少しビクりとした。

 何時までも負ぶさって居たいのに、あっという間に保健室へと着いてしまった。

「ちょっと横になってください、具合はどうですか?」
「さっきよりずっと……熱っぽいです。」
「それはいけませんね、今日は保健の先生が休みなので救急車を。」

 去ろうとする背中を抱き留めて引き寄せる。 胸が苦しい。

「先生、苦しいんです……ブラのホックを外してもらえませんか?」
「お安い……教師として出来ません! いずれ大切な生徒に手を出す鬼畜教師として報道され……」
「先生、大切な生徒として、人として……助けてください。」
「仕方有りません……後ろを向いてください!」
「苦しい……、振り向けない。」
「ええい! こうなったら!」
「あふっ……」
「すみません、すみません!」

 正面から回した手に背骨辺りをなぞられ、思わず身を捩ってしまう。
先生の胸に顔を埋める形になり、とても心地よい。
目を瞑ったまま手探りで、一生懸命に助けようとしてくれている。 凄く嬉しい。
震える手でブラの結合部分に触れ、しっかりと摘んだみたい。
196名無しさん@ピンキー:2008/09/26(金) 08:58:16 ID:q+bPm5RM
「直ぐ分かるよ。 ほら……。」

 無遠慮な手が太腿を伝い、スカートの中、下着の中へと進入してくる。
陰部に指が触れ、にちゃり、と水音がした。

「凄く濡れてる。」
「だって、先生が!」

 指が私の膣に進入してくる……痛い、やめてよ!

「きついよ、先生のが入ったとは思えない……ほら、息を吐いて力を抜いて。」
「やめてよ、そこに触れて良いのは先生……だけっ!」
「常月さん!止めてください! 私がいけないのです、だから彼女を責めないでください!」
「……わかりました。 先生が言うから止めてあげます。」

 彼奴の居なくなった保健室、先生は私の乱れた服を直す。 私は天井を見つめたまま泣いていた。
嘘。 先生、私の気持ちは何なのですか? ……もうわからない。
私は先生と関係を持っていなかった。 好きになる理由なんて無かった。
頭がおかしくなる……。 何よ、この気持ち。
197名無しさん@ピンキー:2008/09/26(金) 09:05:52 ID:q+bPm5RM
「木津さん、先生が送ります。」
「……優しくしないで。 一人で帰ります。」

 帰り道はどう帰ったか分からない。 只、空一面の灰色の雲が広がっていた事は覚えている。
……あの日からずっと先生のことを思い続けてきた。 でも、私は何を思い続けてきたの?
私は、先生が好き。 ぐうたらでいい加減でも好き。 喜んでいる顔が好き。
好きになった理由なんて無い……理由は無くなった。 

 頭を掻き毟ると、大事に伸ばしてきた髪がプチプチと音を立てて十数本抜け、切れた。
あんなに強く引っ張ったのに、対して切れないものね……。
そう、きっと大事にしてきた気持ちも簡単に切れないはず。 きっとそう。

 そうよ、私は先生が好き。 理由なんて後から作ればいいもの。
空はますます曇って行くけど、私の心は晴れやか……いえ、雷光の様に輝いている。
やがて降ってきた雨の中、私はひたすら先生の家に向かい歩いた。
先生……あなたの所へ行きます。

 カラララ…… カラララ……

 私はスコップを牽くときの音が好きだ。 途中、工事現場から拝借してきた物だ。
摩耗したアスファルトに削られ、先端は鋭く研ぎ澄まされていく。
お気に入りの制服は躯に張り付き少し不快。 でも良いの。

 カラララ…… カラララ……

 長い髪が顔にまとわりつき、鬱陶しい。 ……鬱陶しかったら、改善すればいい。
鬱陶しい状況も昔の様に、このスコップで取り除ける。……ザクッと突き刺せばいい。
198糸色 望 ◆dv0gz7VGn. :2008/09/26(金) 09:11:38 ID:wQDKfVm0
ジャジャーン!絶望先生とのお約束条項!!

第一条!
絶望先生の口真似をしてはいけない!

第二条!
知らない女性などに声を掛けてはいけない!

第三条!
テレビゲームをやり過ぎてはいけない!

第四条!
お野菜やお魚は残さずに食べること!

第五条!
17時までには家に帰ること!

第六条!
私を起こすときには普通に起こすこと!

朝日が差し込んで 今日も
子どもは起き出すよ ルンルンルン
いけないことと 知っていても
おバカなことをしてしまうのだ

やりたいこと やれば
だって 毎日がお稽古

あんなことをして!こんなことをして!
おバカ 直りそうにもないよ♪
199名無しさん@ピンキー:2008/09/26(金) 09:16:01 ID:q+bPm5RM
 先生の家に着き、玄関を叩く。

「……はい、どちら様でしょう。」
「先生、私です。」
「……木津さん?」

 カラカラと音が鳴り、先生の家の戸が少し開く。 ……先生は一言もしゃべらない。
いやだ、私は服を汚してしまったものね。

「木津さん、制服についた赤いシミ……」
「ごめんなさい、先生。」

 素早く戸を開けて中へと滑り込み、スコップの背で逃げようとした先生の頭を叩いた。
その様子を見た交君が泣き出したので、ついでに縛り上げて口をガムテープで塞いだ。
倒れている姿に見とれるけど、今のうちに縛ってしまわないと。

「……あ……木……津さん……?」
「先生、先程はごめんなさいね。」
「……木津さん、いけ……ません。」
「いいえ、私気付いたんです、愛って明瞭な物じゃないって……だから。」
「木津……さん。」

 濡れたセーラー服のホックを外すのは大変だけど、愛の儀式には必要な課程よね。
先生はネガティブな事を言うから、スカーフを猿ぐつわにして黙って貰った。
下着が白いせいで胸が透けてしまっている、自信がないのに。
200名無しさん@ピンキー:2008/09/26(金) 09:18:25 ID:q+bPm5RM
投下数を決めて無くて申し訳無い、終盤へ続く。
201糸色 望 ◆dv0gz7VGn. :2008/09/26(金) 09:20:24 ID:wQDKfVm0
第七条!
私の車で遊んではいけない!

第八条!
ちゃぶ台の上でアクション仮面ごっこをしてはいけない!

第九条!
家事で失敗してしまったときにはすぐに報告をすること!

第十条!
私の袴で遊んではいけない!

第十三条!
ずっと私物を出しっぱなしにしたら捨ててしまう!

第二十六条!
はばかりにあるお尻ふきのちり紙の巻き取り競争は禁止!

第三十二条!
私が運転しているときに、無駄話をしたり、日本舞踊をしたり、
とにかく気が散るようなことはしてはいけない!

第四十三条!
私のふんどしがすけすけであることを他の人に言ってはいけない!

第五十三条!
地震のときに、マッチ売り少年ごっこをしてはいけない!

第六十五条!
運転中にカーニバルごっこなど、車内で危険な遊びをしてはいけない!
202糸色 望 ◆dv0gz7VGn. :2008/09/26(金) 09:35:26 ID:wQDKfVm0
望は交に起こすことを伝えているのであるが、
変な起こし方をされて困るのです。

・顔に掃除機を押しつける。
・腹部をたわしでこする。
・昨日の足袋を鼻に押しつけてにおいを嗅がせる。
・足袋や靴下を口の中に入れる。
・鼻にわさびを塗りつける。
・頭の上に交が座る(望は漬け物石を頭の上に乗せられた夢を見た)。
・剃刀でひげ(望はうぶ毛程度のひげであるが・・・)を剃ってあげようとするものの、
 望が寝返りを打ったため、眉毛まで剃ってしまった。そして、マジックペンで
 眉を描こうとしたものの、再び寝返りを打ったため、変なおじさん風になってしまった。
・ちり紙を望の口の中に詰め込む(望は「殺す気ですかーっ!!この馬鹿たれ!」と言っている)

未遂に終わったものの、頭の上に熱湯を掛けようとしたり、金づちで殴ろうとした例もある。
203名無しさん@ピンキー:2008/09/26(金) 09:50:55 ID:q+bPm5RM
>199
「ちょっと恥ずかしいから、下着は後でね、先生。」

 先生の袴の紐を解き下着を下ろすと、元気な物が飛び出した。
強く叩きすぎて生存本能を刺激してしまったかしら?

「先生、恥ずかしく無いですよ、私のも後で見せてあげますから。」

 少し赤みを帯びた先生の陰茎を口に含むと、先生は嬌声を上げて身もだえる。
やり方はよく分からないけど、聞きながらやれば良いわよね。
……舌先で先端の穴の付近をつついてみたり、傘になっている部分の根本を舐めると
躯全体を震わせ跳ねる、これで良いのかな?

「へんへえ、ひもひひれすか?」
「んっぐ、ううっ……う……」

 そっか、猿ぐつわしてたんだっけ、でも喉を鳴らしたり呻いたりしているから大丈夫ね。
喜んでくれて嬉しいけど、邪魔が入る前に契りを交わしてしまわないと。
……でも、こんなに大きくなった物が入るのかしら?
204名無しさん@ピンキー:2008/09/26(金) 09:52:10 ID:q+bPm5RM
>203
 ブラとショーツを脱ぎ捨てると、ぺしゃりと音を立てて畳の上に落ちた。
先生の袴を下ろして着物をはだけさせるが、手足を縄で縛っているせいで半脱ぎの状態になり、
少しあばらの浮いた華奢な躯と相まって、とてもいやらしい。

 先生の上に乗り、肌と肌で触れあう。 冷え切ってしまった躯には丁度いい体温。
猿ぐつわを解いて口づけすると、髪が先生の顔にかかった。

「木津さん、なぜこんな……。」
「先生、愛しているって言って下さい。 私はあなた以外要らない、好きです。」
「……こんなの間違ってますよ。」
「過ちは……いずれ許されます。」

 唾液と先走りの液でぬらぬらしている陰茎を、私の大事な部分へと押し当てる。
ようやく入り口を捕らえて、一気に先生を受け入れた。

「ああっ!」
「木津さん!」

 下腹部を貫かれたような痛み、血を伴った……本当の契りなんですね。
私は先生に寄りかかり、肩甲骨辺りに口付けをした。

おわる
205名無しさん@ピンキー:2008/09/26(金) 12:37:36 ID:855/XJ1f
>>204
GJ!!ヤンデレの千里ちゃんが切ない。泣けてきた。
誰かを好きになるには理由があるが、その理由がなくなった時、人は混乱に陥る。
でも、それでも、その人が好きだという気持ちが残っていれば、理由なんてどうでもいいんじゃないかと思います。
残念なのは>>195>>196の間が繋がらないこと。多分貼り忘れだと思うので後から補足を希望します。
あなたのss、先生がすごく優しいので好きです。次回作に期待。
206名無しさん@ピンキー:2008/09/26(金) 23:57:18 ID:f8ObQvgO
>ID:q+bPm5RM
ただ一言 G J !
207名無しさん@ピンキー:2008/09/27(土) 00:02:31 ID:QbwHJAQe
千里×先生GJ 地の文の千里の独白が乙女でかわいい
消えた>>195が見たいな、重要な転換がありそうなのにもったいない

あと、おせっかいですが投下する前に投下の手順とか確認しておいたらいいかな、と
208名無しさん@ピンキー:2008/09/27(土) 00:31:22 ID:iItLtqzt
 エロパロは数年ぶりで、手順を忘れておりました。
しかも頭が回らない状態でした、本当の >195 を投下します。
一レスです。
209名無しさん@ピンキー:2008/09/27(土) 00:32:33 ID:iItLtqzt
>194、196
「すみません、外しますね。」

 プツっと音がして拘束が解かれ、勢いで肩から紐が滑り落ち、脇の辺りで止まる。
私は慌てて体を離そうとする先生の襟を掴み、耳元に口を寄せる。

「木津さん!」
「先生……あの日以来ずっと、待っていたんです。 ずっと、熱っぽいんです。」
「いけません! ああっ!」

 ベッドの上に、先生が覆い被さる形で二人横たわる。 先生、私は……。

「先生、わたしのこと、忘れてませんか?」
「常月さん!? いつからそこにいたのですか!?」
「ずっと。」
「邪魔しないで! 私たちはまた結ばれるの。 今度はちゃんと記憶に残すのよ!」

 ストーカー女の癖に私を薄ら笑いで見ている、忌々しい!

「記憶に無いって、本当はそんなこと無かったんじゃない?」
「適当なことを言わないで! 私と先生は同じベッドで!」
「じゃあ、あなたが最初に寝ていたベッドは何処なの?」
「壁側から二つ目のベッド……ここよ!」
「では、先生と寝ていたベッドは?」
「壁から一つ目のベッド……。」
「あなたが、寝返りを打って先生の懐に転がり込んだとしたら……?」
「それは無いわ! だって、だって……。 ずっと見ていた訳じゃないでしょ!?」
「見てたから……ずっと。」

 薄ら笑いを浮かべて躙り寄ってくる常月を撥ね除けることが出来ない。
心の中に在った疑問、先生と私は……。
210名無しさん@ピンキー:2008/09/27(土) 00:53:55 ID:QbwHJAQe
乙です
あのシーンって本編でもベッドの下にほんとにまといが居るんですよねw
211名無しさん@ピンキー:2008/09/27(土) 00:57:24 ID:iItLtqzt
>210
今見て気付きましたw
212糸色 望 ◆dv0gz7VGn. :2008/09/27(土) 04:47:55 ID:gych1QLf
望「お、これは懐かしい体重計ですね。しかも尺貫法表記とは・・・。
私の体重は何貫何匁あるのでしょうかな?グチャッ!うわっ!?
なんですか?これ!?んもう〜、プラスチック・モデルは家に帰ってから
製作してくださいよ。まったく。ん?あれ?しまった!絶望した!
足が接着剤でハカリにくっついてしまって抜けません!」

地震が起きて、床が傾きだし、望を乗せた体重計はそのままシャーッと滑り落ちていく。
望「うわっ!?ハカリが動き出した!皆様!あぶない!離れてください!」ガッシャーン!!
望「どうしましょう!?このまま道路に出てしまいました!それにスピードもどんどん出る!?
ひええっ!?絶望した!この体重計は私のニュータイプカーであることに絶望した!」

体重計は惰性で下り坂を下っているので、速度は時速60キロを超える。
全裸の望はどうすることも出来ず、後ろ向きのまま道路を走っている。

この体重計こそ、台車が60キロくらいのスピードに耐えたのもさすが昔の尺貫法の体重計。
実に頑丈で、今のきゃしゃな体重計よりも丈夫に出来ていることが分かる。
213名無しさん@ピンキー:2008/09/28(日) 12:21:15 ID:vJDJ3iM8
投下します。欝で鬼畜で陵辱で、そのくせ半端な作品だけど。
214名無しさん@ピンキー:2008/09/28(日) 12:23:10 ID:vJDJ3iM8
たぶん、2のへというクラスは悪くないクラスだったんじゃないかと思う。
まあ私が望むようなきっちりしたクラスには程遠いけれど、結構みんな優しくて、結構みんな仲良くやっていて、私が、そしてみんなが感じる以上に私たちはこのクラスが好きだったのだと思う。
あの日、銃火器を手にした男たちが教室に踊りこんで来た時、それが致命的なほどの災いへと転じた今になっても、私のその評価は変わらない。
「全員動くな…」
授業中の教室に響いた重苦しい声音に、私を含めたクラスの全員の視線が教室の入り口に向けられた。
目だし帽をかぶった男達がなだれ込んで来て、男達の手にしたマシンガンやら猟銃やらどこで作られたか知れないとかレフなんかが私たちに向けられた。
視界の端で、青ざめた顔で椅子から転がり落ちたマリアちゃんは、誰よりも早くその意味を理解していたのだと思う。
「…きゃあああああああああっ!!!」
絹を裂くような悲鳴を上げて立ち上がったのは、画像修正しまくりの写真でネットアイドルをやってるあの娘。だけどその悲鳴は、タタタタンと、軽い音が響いたのと同時に断ち切られる。
彼女と、その周囲の幾人かの生徒が崩れ落ちる。少し遅れて床に広がった、赤い水たまり。
それでようやく自体を把握した何人かの生徒がとった行動は、あまりに愚かだったけれど、私はそれを笑う気にはなれない。
「うあああああああああっ!!!!」
弾かれたように飛び出した木野君、だけど彼の怒りが侵入者達に届く事などあり得なかった。無造作に向けられた銃口が、また乾いた音を響かせる。
止めようと立ち上がった久藤君の行動は、あまりにも遅すぎた。倒れ伏す木野君から照準が移され、引き金が引かれた。
迫り来る銃弾を避ける術を持たない久藤君の体を、誰かが横から飛び掛り床に押し倒す。臼井君だった。銃弾は彼のわき腹をえぐり、床に着弾する。
しかし、暴漢達は彼の捨て身をあざ笑うように、床に倒れた久藤君へと再び銃口を向ける。タン、と軽い音。久藤君の太ももから赤いしぶきが弾けた。
一連の凶行を終えた暴漢達は、床の上でのたうち苦悶の声を上げるクラスメイトをゴミでも見るような目で一瞥して、私たちに告げた。
「この教室は、我々が占拠する」
私たちに、抗う術はなかった。

「…っく…あぁ…や…嫌ぁああっ!!」
「…やめてヨ…も…やめ…」
教室に二人の女性との苦悶の声が響く。暴漢達に組み伏せられ、なす術もなく陵辱を受けているのは藤吉さんとマリアちゃんだ。
藤吉さんがほとんど絶叫とも言える悲鳴を上げ続ける一方で、幼すぎる体に思うさまに男達の欲望を叩きつけられているマリアちゃんの声は力ない。
小さな割れ目を抉るようなピストン運動がめちゃくちゃにかき混ぜる。何度も腰を叩きつけられて、マリアちゃんの華奢な体が軋む。
藤吉さんの体の上を、男達の汚らしい指が、舌が這いずる度に悲鳴が上がる。暴漢はさらに藤吉さんの唇を己の唇で塞ぎ、悲鳴すら蹂躙するように口腔内を犯す。
私たちはその様子を床に這いつくばって見ている事しかできない。
銃弾に倒れ息も絶え絶えの久藤君達と、手足をロープで縛られた残りの私たちには何をする事もできない。
ただ、次の生贄に選ばれるのは自分かもしれないという恐怖に怯えながら、目の前で展開される惨劇から逃げることもできず、震え続けることしかできない。
「…うあぁ…痛ぁ…も…やだぁああああっ!!!」
「…ア…あア…あああアアアアアっ!!」
男達の腰の動きがスピードを増す。その激しさに翻弄され、マリアちゃんと藤吉さんはさらに大きな悲鳴を上げて泣きじゃくる。
215名無しさん@ピンキー:2008/09/28(日) 12:23:53 ID:vJDJ3iM8
「うおぅ、出すぞぉ!!」
男達の腰の動きは臨界に達し、ついには二人の体の中に暴漢たちの穢れた欲望が吐き出される。己を満たしていくその熱量に絶望しながら、マリアちゃんと藤吉さんは自らの意識を手放した。
「全ては、我々の偉大なる夜明けのためなのだ。世界人類の統一のためには…」
暴漢たちのリーダーと思しき男の、抑揚の無い声と意味不明の主張が誰もが息を殺している教室の中でやけに大きく響く。
暴漢達の人数は合わせて6人。一様に複数の重火器を持ち、陵辱に加わっている者以外は教室の前後から私たちを見張っている。
リーダーの言葉から察するに何らかの要求のためにこのクラスを占拠したようなのだが、理解不能な主張はそもそも彼らが交渉の可能な相手ではない事を示しているように思えた。
すでに木村さんと三珠さん、小節さんと加賀さんは彼らの陵辱を受け、教室の隅にまるで死体のようにグッタリとその体を横たえていた。
暴漢達は気を失った藤吉さんとマリアちゃんもそこに投げ捨てる。そして、振り返った彼らの視線に私たちは一様に縮み上がった。次の生贄は一体、誰になるのか…。
「もう、これ以上こんな事はやめてくださ……がはっ!?」
たまりかねて叫んだ先生を、鳩尾への蹴りの一撃で黙らせる。そして、再び犠牲者選びに戻った暴漢達の目と、先生のうめき声に思わずそちらを向いた私の目が合った。
カツ、カツ、と近づく靴音。その向こうで先生が、ロープを何とか外そうと、私を助けようともがき続けている。
「………次は、お前か」
私の髪の毛を男の大きな手が鷲掴みにする。強引に引っ張られて、髪の毛が何本かぶちぶちと音を立てて抜けた。
男は先ほどまでマリアちゃんと藤吉さんへの陵辱が行われていた教室の真ん中に、私の体を投げ捨てた。私の手足を縛りつけていたロープが断ち切られて、代わりに屈強な男の腕が私の体を押さえつける。
「…いや……せん…せ…」
思わず漏らした小さな声も、男達は意に介さない。ただ、自分の欲望を忠実に果たそうと、私の衣服を剥ぎ取るべく、まずはスカートに手をかけた。その時だった。
「待ってください」
聞き慣れた声に、私は押さえつけられたままの姿勢で強引に声の聞こえた方向に顔を向ける。
やっぱり、風浦さんだ。両手両足を縛られたまま、危ういバランスでひざ立ちをして、何時も通りの曇りの無い瞳で私の方を、私の周りにいる暴漢たちを見つめている。
「みなさんは、世界中の人たちを統一させるんですよね」
いつも通りの調子で話し始める風浦さん、この暴漢たちと交渉するつもりらしい。だけど、それはあまりにも無謀な賭けだ。
彼女の足がかすかに震えているのが見えた。彼女自身、自分のやろうとしている事が無茶なんだと、たぶんわかっている。
それでも、彼女はそうせずにはいられなかったのだ。木野君や久藤君や臼井君、それにさっきの先生と同じように……。
「だったら、良い考えがあります。私たちみんなで……きゃっ!?」
だけど、暴漢達の答えは最初から決まりきっている。足払いで床に倒された風浦さんの腹を、さらに追い討ちの蹴りが襲った。
「ぐっ…かはっ……きっと…うまくいきますから…」
それでも言葉を止めない風浦さんを、私と同じように髪を掴んで教室の真ん中に引きずり出す。
「風浦さんっ!!風浦さんっ!!!!」
必死にもがき、叫んで、ロープから逃れようとする先生。だけどそれも、また暴漢の蹴りの一撃で黙らされる。
「…うまく…いきますから……こんなひどいこと…やめ…」
切れ切れの呼吸の合間にも、休まずに言葉をつむぐ風浦さんの衣服を、暴漢達は乱暴に毟り取る。セーラー服を引き裂かれ、下着を剥ぎ取られて、ついに風浦さんの言葉が止まった。
「…っ…やぁ…いや…いやぁ…」
苦痛と嫌悪に声を上げる風浦さんの意思を無視して、男達は乱暴に彼女の体をまさぐる。ささやかな茂みに守られた割れ目にも遠慮なく指をねじ込み、何度もその中をかき混ぜる。
「おっと、こっちも忘れちゃいけねえな」
私の上にのしかかった男が、風浦さんの方に向けていた視線をこちらに戻して下卑た笑いを浮かべる。
「…ひっ!!」
スカートをめくりあげられて、いきなり秘所に侵入してきた男の指の感触に私は小さく声を上げた。その反応に気を良くして、男はさらに深くショーツの中に手を入り込ませる。
さらには、セーラー服の中に無遠慮に手を突っ込んで、私の胸を痛いぐらい乱暴に揉みしだく。痛みと嫌悪に漏れ出た悲鳴が、風浦さんの声と重なり悲痛なデュエットが教室に響く。
「…ひぃ…あくぅっ!…や…やめぇ…」
「…痛っ…そんな…むりやりぃっ!!!」
見ず知らずの、それもこんな最低の男達の手で、私の体が汚されていく。
216名無しさん@ピンキー:2008/09/28(日) 12:24:44 ID:vJDJ3iM8
(先生が…見てるのにぃ…)
視界の端に先生の姿が見える。私たちの方を見ながら、縄から抜け出そうとまだもがいている。その悲痛な表情に、私の目から一筋の涙が零れ落ちる。
それをきっかけに、ぼろぼろ、ぼろぼろと零れ出て止まらなくなる私の涙。まるで涙腺が壊れたみたいに私の顔をぐしゃぐしゃに汚していく。
やがて暴漢達は私たちの体をまさぐるだけでは足りなくなったのか、いきり立った自分のモノを取り出して、私の、風浦さんの秘所にあてがった。
「…あ…ああ…嫌…嫌ぁああああっ!!!」
ズブリ。一気に半分ほどがねじ込まれた。心も体も拒否しているのに、そんなものは全く意に介さず暴力的な質量が私の中を埋め尽くしていく。
絶望に心が真っ黒に塗りつぶされたその時、教室中に響き渡った悲鳴が私の心を現実に引き戻した。
「…いやっ!!…いやっ!!…やだやだやだぁっ!!!こんな…こんなのいやあああああああああああああああっ!!!!」
堰を切ったように泣き叫ぶ風浦さん。ぶんぶんと首を振り、全身で拒否するが、男達に二人がかりで押さえつけられて、なす術も無く男のモノをねじ込まれていく。
「…あ…うあ…奥まで…入れられた…入れられちゃった……」
やがて男のモノが根元まで挿入されると、彼女の体から一気に力が抜けた。
「…やだ…いやだよ……せんせい…こんなのいやだよぉ…」
先ほどまでの絶叫がすすり泣きに変わった。息も絶え絶えのその力ない声で風浦さんが呼ぶのは…
「…せんせ…せんせいぃ…せんせい…せんせい……」
乱暴な突き上げに呼吸を乱されながらも、一心に先生を呼ぶ。痛みから、苦しみから逃れようとするかのように、ただひたすらにその言葉を繰り返す。
「風浦さんっ!!!木津さんっっ!!!!」
先生はその呼び声に応えようとして応えられず、芋虫のようにロープから逃れようともがき、叫び続ける。
「…っあ…ひぐぅ…うあああああああっ!!!!」
「…ああ…せんせ…せんせい……っ!!!」
地獄のような光景の中で、暴漢達は一心不乱に腰を振りたくり、ただ己が快楽のみをむさぼり続ける。突き上げられ、攪拌され、激しく腰を叩きつけられる。
その度に私たちの心はヤスリで削られたように、ボロボロと崩れ落ちていく。もうこれが悪夢なのか現実なのかすら判別できない。
ただ、わけもわからぬまま犯され続けるだけ。そして、ついに暴漢達は私たちの中に欲望を吐き出した。
「……っ…いや…でてる…だされてる……」
「………や……せんせ……」
波打つ熱を膣奥に叩きつけられて、絶望が私たちの心を覆い尽くしていった。このまま意識を手放して、ほかのクラスメイトたちも同じように犠牲になって、それでオシマイ。たぶん、きっとそうだろう。
だけど、その時だった。あり得ないはずのことが起こったのは。

「うあああああああああああああああああああっ!!!!!!!!!」
絶叫を上げて、暴漢達に突っ込んでいく人影が見えた。見慣れた書生風のいでたちの、華奢な体で必死の体当たりをしかけたあの人の姿が見えた。
風浦さんを犯していた男が吹っ飛んだ。先生もその勢いのまま、私の近くに倒れこむ。見れば、後ろ手に縛られた両手の縄はそのままだったけれど、足を縛る縄が解けていた。
結び方が甘かったのか、それとも必死で先生がもがき続けたためなのか、それは万に一つの僥倖だった。両手を使えないまま先生がひざ立ちになり、今度は私を犯していた男に、その歯で噛み付いた。
「先生っ!!!」
男が怯んだ隙に私は体を起こした。無我夢中で先生に加勢しようとした。
だけど、そこで思考は断ち切られた。今日、何度と無く聞かされた、あの乾いた音によって。
タタン。
先生の体が不自然にのけぞり、糸の切れた人形のようにその場に崩れ落ちた。床の上にまた一つ、赤い水たまりができた。
振り返ると、ゆっくりと私の方に照準されようとしている銃口。無意味で無慈悲な死神が、私の首に鎌をかけようとしている。停止した思考は、それに抗う術はなく……
217名無しさん@ピンキー:2008/09/28(日) 12:25:36 ID:vJDJ3iM8
「木津さんっ!!!」
叫ぶ声が、私の意識をゆり戻した。大草さんの声。それと同時に細長い何かが床を転がってくる。私はそれを掴み、何も考えずにそれを目の前の男の首に突き立てた。
「……が…は…」
深々とのど笛に突き刺さった鉛筆を、男が引き抜いた。たちまち噴水のような血流が私の全身をぬらす。振り返ると、私に銃口を向ける3人の男達。私との間にはざっと3メートルほどの距離がある。
「木津さんっ!!」
「受け取ってっ!!!」
背後から、久藤君と臼井君の声、それに続いて何かが風を切って飛んでくる音。振り返りもせず、それを掴む。私のお気に入り、土まみれの汚れたスコップ。
3メートルの距離が、一気に詰まる。引き金を引かれるより早く、一歩前に踏み出し、後端の持ち手を持った上体で横一文字に一薙ぎする。
仲良く並んだ3人ののど笛から鮮血のシャワーが溢れる。そして全身を赤く濡らしながら、先生の体当たりをくらったまま尻餅をついている男に、大上段からの一撃を食らわせる。
「…わ、我々は……」
一気に逆転した形勢に、リーダー格の男は拳銃をこちらにむけながら教室の出入り口へと後退していく。
引き戸に手をかけ、今将に教室の外に逃れようとした瞬間、私は男の顔めがけてスコップを投擲した。
脳漿まみれのスコップの先端が男の顔をまっぷたつにかち割り、男はその場にへたりこんだ。

全てを終わらせ、肩で息をしていた私。その耳に飛び込む、風浦さんの声。
「…せんせい?…ねえ…せんせい…うそですよね……」
振り返る。覚悟など出来ていなくても、受け入れるしかないから。
「…なんとかいってください…せんせい…おねがい…おねがいですから……」
既に呼吸は無い。腹部から溢れた尋常ではない出血量は、私たちにまざまざと現実を突きつける。
それなのに、先生の死に顔は、痛かっただろうに、苦しかっただろうに、悔しかっただろうに、驚くぐらい安らかで、まるで今にもいつもの調子で喋りだしそうで……
「…せんせい…わたしです…かふかです…へんじをしてください…せんせい……」
気がつけば、涙が頬を伝っていた。一人、二人、三人と、すすり泣く声が重なっていく。その真ん中で、風浦さんが先生に呼びかける声だけが、いつまでも空しく響き続けた。

218名無しさん@ピンキー:2008/09/28(日) 12:26:38 ID:vJDJ3iM8
結局、あの後、傷口から大量の血液を失った久藤君と臼井君までが死に、あの日あの事件で命を落とした人間は8人にのぼった。
そして、生き残ったクラスメイトたちもみな一様に何らかの精神的な問題を抱えることになってしまった。この私、木津千里も含めて。
『それでも、木津さんはあの時、あのクラスにいて良かった、そう思っているんですね?』
「はい、先生」
明るい日差しの差し込む病院のラウンジで、私と先生はあの時の事を話していた。
「先生も死んで、久藤君達も死んで、その後も何度も悪い夢を見て苦しんで、でもあの時私がいるべき場所は2のへのみんなのところ以外にあり得ないって、そう思うんです」
先生はもう死んでいるから、先生の向こうの景色が透けて見える。先生を素通りしてきた太陽の光を浴びるのは、なんだか先生に抱きしめられているみたいでくすぐったい。
「楽しかったです、とっても。みんなと一緒にいられて良かった。先生と会えて良かった。あの事は、ただ運が悪かっただけ」
『強いんですね、木津さんは…』
「本当に強かったら、先生の幻覚なんて見ないと思いますけどね…」
そう言って、私は苦笑する。
「あ、先生、千里ちゃん〜」
と、そこに待ち人がやって来た。風浦さん。彼女はここの病院の患者だ。今では入院当初の事が信じられないぐらい元気になって、開放病棟に移されている。
「何話してたんですか、二人とも」
『あの頃の、2のへの事を少し……』
「ああ、楽しかったですよねぇ。マリアちゃんとか久藤君とか、みんな元気にしてるかな」
それから3人で他愛も無い昔話に興じた後、私は病院から帰ることにした。
『それじゃあ、お気をつけて、木津さん』
「千里ちゃん、またね」
「はい、先生も風浦さんもお元気で」
去り際に私は、先生にだけそっと小声で木になっていた事を尋ねてみた。
「実際、どうなんですか?一応、幻覚って事に私はしてるんですけど、やっぱりどこかでそう思えなくて。先生は本物の先生の幽霊なんですか?それともやっぱり、私が考えた通りの…」
『さあ、私自身にもよくわからないというのが本当のところです。ま、どちらにしろ幻のようなものですから、あまり大差はありませんよ』
「そうですか……」
『幻ですから、見る人がいなくなればそれでオシマイです。木津さんや風浦さんが私を必要としているから、たぶん私はここにいられるんです』
それから先生は、晴れ渡った空のずっと彼方の方を見て、つぶやく。
『だから、私の生徒はみんな私なんていなくてもやっていける、ちゃんとした人たちですから、きっともうそろそろです。私の役目が終わるのは…』
「先生……」
やがて道の向こうからゆっくりと姿を現したバスに、私は乗り込んだ。発車するバスの最後尾の席に座り、いつまでも私に向けて手を振り続ける風浦さんと先生に、手を振り返していた。
たぶん、きっとこれが最後になる。先生の姿を脳裏に刻みつけようと、いつまでも、いつまでも、手を振り続けた。
219名無しさん@ピンキー:2008/09/28(日) 12:27:16 ID:vJDJ3iM8
これでお終いです。
220名無しさん@ピンキー:2008/09/28(日) 16:54:41 ID:pwyZkDI2
>ID:vJDJ3iM8
泣けてくる、有難う
暗くて切ない話だ… G J !
221名無しさん@ピンキー:2008/09/28(日) 17:04:01 ID:Dw6GVBhv
コントみたいで笑ってしまった
GJ
222名無しさん@ピンキー:2008/09/28(日) 18:20:41 ID:ehMpZV+C
ここまですごい展開だと鬱にならないな
不思議だ
そしてしっかり抜かせてもらった
GJ!
223名無しさん@ピンキー:2008/09/28(日) 19:13:41 ID:/jLqTvrj
>>219
GJ!!
先生はもちろん、臼井君がかっこいいのが嬉しい。
切ないけど・・・・・・
224名無しさん@ピンキー:2008/09/29(月) 00:26:33 ID:43ggtfte
投下します、4レスです。
225名無しさん@ピンキー:2008/09/29(月) 00:27:03 ID:43ggtfte
「先生、先生……。」
「霧さん……。」

 何度も好きと言いたい、愛してるって言いたい。 
でも、その言葉を口にすると、先生がどこかに行ってしまう様な気がして言えない。
……先生に一言、好きって言って欲しいけど、わがままだよね。
だって、いつも先生はやさしいから。 先生と触りあえるだけでもいい。

 汗で湿った胸に、先生の乾いたスタンドカラーシャツが擦れて気持ちが良い。
少しでもつながってたくて先生の腰を追いかけるけど、先生は動きを逆手に取り、
わたしの中に激しく出し入れする。 

 ずちゅずちゅ、となっちゃう位濡れて、おしりと太腿に垂れて、先生とぶつかり、
今度は、ぱちゅぱちゅ、という音に変わる。 こういうときって先生はやさしくない。
だって頭の中がまっしろになってくるけど、これは、あまり、好きじゃないから。
やだよ、先生をわからなくなって、そのまま……せんせいが、いなくなったら……。

「霧さん……そろそろです。」
「せ、せんせっ、きょうは、なかでっ……いいよぉ」
「ええっ、もう……持ちまっせん!」
「せんせい、せん、せい!」
2262/4:2008/09/29(月) 00:28:00 ID:43ggtfte
「先生……綺麗にしていかないと。」

 すっかりと萎んでしまった先生の陰茎を口に含み、わたしの露と混じった白濁液を舐め取る。

「……霧さん、また大きくなってしまいそうです。」
「……だめだよ、先生。 今日は大事なお仕事でしょう。」
「それもそうですね……いつもありがとう。」
「いいよ、頑張ってね。」

 先生は手早く着物を纏い、袴を締める。 いつ見ても決まっているね。

「では、行ってきます。 霧さん、交をお願いしますよ。」
「行ってらっしゃい。」

 先生は帆布のスーツケースを携えて立ち上がる。 でもちょっと変。
ガーゼの毛布を体に掛け、咄嗟に駆け寄って先生の着物を直した。

「先生、襟が乱れてるよ。今日は大切な日なんでしょ?」
「ありがとう。 ……でも、その格好で玄関に来ると、照れます。」

 ハッとして自分の姿を鏡で見ると、ガーゼの毛布にうっすらと自分のボディラインが映り、
隠しきれていない陰部から太腿に、先生とわたしの行為の跡がぬらぬらと光っている。

「……恥ずかしいね。」
「いえ、綺麗ですよ。 では。」

 毛布で体をくるみ、部屋の布団の上に寝転がると、さっきの行為が頭の中に思い出された。
……布団に残った温もりに甘える。 やさしい先生も、意地悪な先生も好き。
あと、締め切った襖の奥に気配が有り、覗いていたのは知っている。
2273/4:2008/09/29(月) 00:29:11 ID:43ggtfte
「……ねえ、そういうのはいけないよ。」
「……霧姉ちゃん。 分かってたの?」
「うん。」

 縁側、襖の外には交君が立っている。 先生と抱き合っていたときから分かっていた。
襖をさっと開けて素早く中に滑り込む。 今のわたしの姿を他人に見せたくないのかな。」

「霧姉ちゃん……僕……。」
「どうしたの?」
「子供だから良くわかんないけど、こういうの駄目だと思う。」
「ふふ、えっちね。」
「ち、違うよ! そうじゃなくて!」

 耳まで真っ赤になった交君を見ていると凄く微笑ましい。 昔の先生もこうだったのかな?

「望兄ちゃん、隣の女子大生の人と、その……。」
「……知ってるよ。」
「だったら、何で!? 僕なら、姉ちゃんを大切にする! 絶対に浮気なんかしないよ!」
「……まだ、キミには分からないよね。」
「分かるよ! 霧姉ちゃんのこと、好きだから!」
「分かってない。 先生、わたしがいないと駄目な人なの。」
「そんなの、変だよ。 兄ちゃんがお姉ちゃんを棄てたら……。」
「いいよ、今はわたしの所に帰ってきてくれるもの。」
「オカシイよ! そんなの!」
「まだ、分からないよね。」
「分かるよ!」

 私は後ろ向きになった交君を、背中から拘束する。
2284/4:2008/09/29(月) 00:29:44 ID:43ggtfte
「ね、姉ちゃん!?」
「ふふ、おちんちん大きくなってるよ?」
「だって、お姉ちゃんが、可愛くて……。 その……。」
「交は、おっぱい好き?」
「お、お姉ちゃんのは好き!」
「……そっか。」

 寝間着の隙間から手を差し入れ、大きくなったものを掴むと、交君は腰が砕けた様にへたり込む。
そのまま布団に横たえ、少し扱くとあっけなく果ててしまった。

「……だ、駄目だよぅ! ……ああっ!」
「……ここまでしか駄目だよ、わたしは先生のものだから。」

 交君は声を殺して泣いている様だった。 ……肩が震えているからわかる。

「……ほら、ご飯作ってあげるから、水を浴びてきてね。」
「お姉ちゃん、僕、僕……。」

 泣いている交君を自分に重ねる。 いずれ私の前から先生が居なくなったら、私はどうするんだろう?

おわり
229名無しさん@ピンキー:2008/09/29(月) 00:43:50 ID:Usc+I0Zp
せつね。
230名無しさん@ピンキー:2008/09/29(月) 01:09:55 ID:NS7f9nqS
せつねGJ
231ルルーシュ ◆w2qGrvoIiw :2008/09/29(月) 08:14:11 ID:BFKozeSX
E231系・GJR
232名無しさん@ピンキー:2008/09/29(月) 17:34:23 ID:l/YI3d2o
GJ!!
交が望兄ちゃんと呼ぶのが新鮮。
最近、投下がたて続けにあって、活気が戻ってきて
嬉しい。
233名無しさん@ピンキー:2008/09/30(火) 00:19:09 ID:cpAFVEiC
交は絶望のことをおじさんと呼んでたが呼び捨ての時もあったな
234名無しさん@ピンキー:2008/09/30(火) 02:59:27 ID:mZHrI4G/
投下します。
235名無しさん@ピンキー:2008/09/30(火) 03:00:31 ID:mZHrI4G/
うたたね

それは窓から差し込む日差しも暖かい、ある秋の日の事。可符香は先生を訪ねて宿直室にやって来た。
「先生、いますか?」
可符香の声に返事を返すものは無かった。少し迷って扉に手をかけた。鍵はかかっていない様子で、可符香は扉を開けて宿直室の中へと入った。
「先生?」
探していた人物を、可符香はすぐに見つけた。壁に寄りかかり、片手に読みかけの書類を持ったまま、先生はすぅすぅと安らかな寝息を立てていた。卓袱台の下では、そこに隠れていたらしいまといも眠りこけていた。
可符香は扉を静かに閉めると、音を立てないように気をつけて先生に近寄った。真正面から顔を覗き込む。幸せそうな寝顔に、可符香の頬が緩む。
少しだけ、イタズラ心が湧いた。
カバンを置いて、先生の隣に。先生の肩にもたれかかるようにして座る。間近から見ても、本当に平和で幸せそうな寝顔。
(先生、起きて、私に気付いたらどんな反応するかな?)
くすくすと一人笑いながら、可符香は先生と腕を絡め、さらに密着する。そして目を閉じた。
狸寝入りをして、先生の反応をこっそり楽しもうという魂胆だ。
ひとしきり先生が騒いだところで、さも今目を覚ましたような顔をして、目なんかごしごし擦りながら「おはようございます、せんせい」と言うのだ。
(でも、先生の体あったかいな……)
着物越しに伝わるぬくもりに、いたずらの事も忘れて、ついついさらに先生に密着しようとしてしまう。
(あったかい。気持ちいい…)
体から力が抜けて、先生の顔に胸を埋める形になってしまう。
(せんせい……)
やがてその心地よさに流されるように、可符香の意識は眠りの底に落ちていった。
236名無しさん@ピンキー:2008/09/30(火) 03:01:30 ID:mZHrI4G/

(暖かいですね…)
最初に意識したのはそれだった。心地よい暖かさにすがりつくように何度か姿勢を変え、それからようやく薄っすらと先生は目を明けた。
「……ん…眠ってしまっていたようですね……って、えっ?」
そして、自分に寄りかかるようにして、すやすやと寝息を立てる少女の存在に気付く。自分の胸に顔を埋めて、眠りこける少女の姿に。
「……どうして」
疑問は色々と湧いたが、ともかくこの状況はマズイ。別の場所にでも寝かせてやろうと、可符香の肩を持ち体を起こしてやる。
思った以上に軽い少女の体は、貧弱な先生の腕でも軽がると動かせた。とりあえず壁にもたれ掛けさせたところで、先生は息を飲んだ。
「………あ」
可符香の寝顔に目を奪われた。教師とはいえ先生も一人の男、だというのに安心しきって眠る少女の幸せそうな顔から、先生は目が離せなくなった。
もう一度、壁を背中に座る。可符香とぴったりくっつくようにして。そして、可符香の寝顔に魅入られたままの先生は………
237名無しさん@ピンキー:2008/09/30(火) 03:02:19 ID:mZHrI4G/
(あったかい…先生……)
眠りの中からゆっくりと意識が浮上してきて、可符香の頭に最初に浮かび上がったのは夢見心地のその思考。
しばらくその暖かさ、心地よさに身を任せている内にだんだんと正常な思考が戻ってきた。当初の目的を思い出す。
「そうだ、先生は……」
眠りに落ちる前と変わらずに聞こえる安らかな寝息。どうやらまだ先生は眠っているらしい。
ほっと安心したところで、眠りに落ちる前との違和感に可符香は気付いた。
先生の顔が近い。それに、この肩をやさしく包み込むあたたかさは……?
「………ふあ!?」
先生に肩を抱かれている自分に気がついた。
ドキドキ、ドキドキと一気に高鳴る心臓。
太陽はすっかり沈んで、秋の冷えた空気が部屋の中にまで入り込んできている。それだというのに、自分がいるこの場所はあんまりにもあたたかくて……。
「先生…ずるいです……」
いたずらは大失敗。先生に一本取られてしまった可符香は身動きもできず、ただぽーっとした表情で間近に見える先生の幸せそうな寝顔を見つめ続けるのだった。
238名無しさん@ピンキー:2008/09/30(火) 03:02:51 ID:mZHrI4G/
これでお終いです。
239名無しさん@ピンキー:2008/09/30(火) 03:17:00 ID:Ps+riKRA
GJでした。可符香かわいいよ可符香。
でも、前書きにキャラと傾向くらいは書いといたほうがいいですよ。
先生×可符香 エロなし とか
240名無しさん@ピンキー:2008/09/30(火) 03:25:46 ID:mZHrI4G/
>>239
ですね。ご忠告ありがとうございます。以後、気をつけます。
241名無しさん@ピンキー:2008/09/30(火) 03:38:09 ID:Nsa5bX5B
平和で癒された! また書いてくださると嬉しい
242名無しさん@ピンキー:2008/09/30(火) 14:50:51 ID:fSLRtSzQ
GJ。ほのぼのしていて心地よい

百合スレみたいに短編が次々投下されて
いい雰囲気になってきましたね。

243名無しさん@ピンキー:2008/10/02(木) 00:45:41 ID:qp2kGCAO
先生が、人として、教師として倫理的に最悪だけど、みんな先生が好きみたいな話が好き
244名無しさん@ピンキー:2008/10/02(木) 01:19:55 ID:98FOm01w
女生徒は皆先生の性奴隷
どんな命令でも大好きな先生の言うことなら従います
男子生徒は先生の子分、一人じゃ追いつかない調教を手伝ってくれます つまみ食いOK
優秀な子は先生にお願いして好きな女子を一晩の相手にあてがってもらう事も可能です
さらに先生の気まぐれでときどき乱交パーティあり ありがとう先生
的な?
245名無しさん@ピンキー:2008/10/02(木) 14:20:34 ID:XVfnegx4
このスレって何人くらいで回してるんだろう
246名無しさん@ピンキー:2008/10/02(木) 18:45:05 ID:aWBBVz4x
過疎ったとかしか言わない奴ってマイナスにしかならない気がする
247名無しさん@ピンキー:2008/10/03(金) 01:01:48 ID:8BPBFb4E
陽だまりの中で

コリコリ・・体操服の上から親指の腹で先を擦ったり、軽く摘み上げたり、
両手同時に左右の乳首を刺激するの好き。
ああん おっぱい 気持ちいぃよぉ。。。
顔を上げると柔らかな秋の陽射しが眩しい。
乳首って気持ちいいんだけどちょっと切ない気持ちになるな。。。

ふと筋張った大きな手が自慰をしている霧の両手に覆いかぶさった。
「霧さん一人でえっちなことしてますね?」
望は背後から霧を抱きかかえた。
「僕では霧さんの毛布の代わりになれませんか?」
望は霧の毛布を優しく剥がして、首筋に強めのキスをし、
両手は霧のおっぱいに少し力を入れてギュッとした。
乳首の刺激なくても先生の手に包まれてると安心するな。。。
「せんせい、このままギュとしてて。。。」
「それはムリですよ霧さん」
「こんなに尖ったおっぱいを放っておくなんてマネ、私にはできませんよ」
望は霧の両手を優しく体操服の上から外して、被せた両手で霧の乳首を刺激する。
先生に触られると、もうダメ、クリまで感じちゃうよ。。。
「気持ちいいよぉ。。。」
霧の体が自然にウネりだす。
「霧さん、可愛いいよ。  私も感じてきましたよ」
先生のアソコ、固くなってお尻に当たってるのよく分かるよ。
お願い先生、早くクリ触って、先生のおちんちん入れて欲しいよ。。。
だって、ぁぁん、乳首はせつな過ぎるの。
望は霧の左手をクリの上に置いた。
「霧さんのしたいことしていいですよ」
乳首の刺激をしながら耳元で囁いた。
先生が触ってくれないの寂しいけど、もうクリ我慢できないよ。。。
一気に開放された霧はブルマの上からクリを思いっきり刺激した。
ぁぁんん。もうダメ。     いっちゃう。。。。。
「イッちゃいましたか?」
「うん。。。」
「ゴメんねせんせい」
「せんせいのこんなにオッきくなってるのに、私だけ、いっちゃって」
「いいんですよ。霧さんさえ気持ちよくなってくれたら」
「優しいんだね望。 気持ちいいのと望の優しさで、涙出ちゃった」
望は霧の頬に伝った涙にキスをした。
「愛してますよ。霧さん」
248名無しさん@ピンキー:2008/10/03(金) 02:02:57 ID:8BPBFb4E
↑ 初投稿です。
  つたない文章ですいません。
  読んでくださった方ありがとうございます。
249名無しさん@ピンキー:2008/10/03(金) 05:11:13 ID:vBU5y1Tf
GJです。小森さん可愛いです。でも、私は小森さんジャージ派なのだけれど。


続けて投下します。先生×可符香です。
250名無しさん@ピンキー:2008/10/03(金) 05:12:36 ID:vBU5y1Tf
「まあ、それは大変でしたね」
「ええ、うちのクラスの生徒たちときたらまったく…」
夕闇の押し迫る住宅街の道を、先生と二人で歩く。他愛も無い話題に盛り上がり、互いに屈託の無い笑顔を浮かべて過ごす時間。
だけど、先生は知らない。私が誰であるかを知らない。今、自分が話しかけている相手が、隣の女子大生なんかじゃなくて、自分の担当するクラスの生徒の一人、風浦可符香である事を知らない。
最初はほんのイタズラのつもり。我ながら回りくどいやり方だと思った。だけど、それは時を重ねるうちに、私にとって欠かす事の出来ない大事なものになった。
「…って、私の愚痴ばかりになってますね。すいません」
なんて、バツが悪そうに先生はそう言うけれど、クラスで起こった出来事や、みんなの事を話している時の先生の顔は、本当に楽しそうだったことを私は知っている。
先生がどれだけ自分の生徒達のことを、2のへのみんなの事を大好きなのか、私だけが知っている。
「そんな事ないですよ。とても、楽しいお話でした」
「そ、そうですか」
微笑んだ私にドギマギと照れ笑いを返す先生。私だけが知っている先生の顔。 それを独り占めにできる幸せ。
先生が笑って、私も笑う。ただ、それだけの事が嬉しい。
私は千里ちゃんやまといちゃん、それに他のクラスのみんなのようには出来なかったから。
まっすぐ先生に好意を伝える勇気も持てず、毎日の大騒ぎの中のからかいやイタズラに、そっと気持ちを忍び込ませる事しか出来なかったから。
だから、先生の前で素直に笑える今の瞬間がたまらなく愛しかった。
「…あ、あの…」
先生が顔を赤くしながら手を差し出してきた。私はその意味がわからなくて、一瞬きょとんとする。
「手を…握ってもかまいませんか?」
今度は私が赤くなる。どう答えていいかわからないまま、おずおずと手の平を先生に重ねる。きゅっと手を握った。
「………ありがとうございます」
先生が私の手の平を握り返す。細い指が私の手の平をしっかりと掴んで、そこだけやたらと熱くなった私の体温と、先生の手の平のぬくもりが交じり合う。
「……照れますね」
「そう……ですね」
それから二人、一言も発することが出来ないまま、ただ相手の手の平の感触にドキドキと胸を高鳴らせながら、先生の暮らす学校の宿直室までの道程を歩いた。
ふわふわとどこかに飛んでいきそうな心と体、この時間がもう少しで終わってしまう事に一抹の寂しさを覚えながらも、私の心は幸せで満たされていた。

だからだと思う。私は、これから私をどんな出来事が襲うのか、欠片も思い描く事が出来なかった。

「それじゃあ、ここでお別れですね…」
学校の手前までやって来て、名残惜しそうに先生は手を離した。私も、手の平から消えていく先生の温度を惜しむかのように、きゅっと手の握り締める。
「お仕事、頑張ってくださいね……」
「ええ、あなたも気をつけて帰ってくださいね」
ひらひらと手を振る先生の子供っぽい仕草にくすりと笑いながら、私は先生と別れて歩き始めた。
その時だった。
「…………えっ!?」
曲がり角の向こうから突然現れたトラック。つい先ほどまでの夢見心地を引きずっていた私は、それが何であるか理解することさえ出来なかった。
「危ないっ!!!」
先生の叫ぶ声が聞こえて、天地がひっくり返った。宙に舞った先生と私の体は、トラックにぶつかるより早く道路の端に叩きつけられていた。
けたたましいクラクションを鳴らして通り過ぎていくトラックを、私は先生の腕の中から呆然と見ていた。
「危なかった……」
危機が去って、先生は体を起こしてトラックが去っていった道の先を見つめた。そして、私の方を振り返り、
「大丈夫ですか?怪我してませんか?」
そう私に問いかけたところで、先生の表情が固まった。
「あなたは……」
信じられないものでも見たかのような先生の顔。その顔に私の心もざわめいた。何か致命的な間違いが起こった。そんな感触が湧き上がる。
「なんで、どうして、あなたが……!?」
それは私の中でゆっくりと形を成し、そして明確な回答として浮かび上がってきた。
頭に手をやる。自分にはお馴染みのショートの髪は、先生が知っている『隣の女子大生さん』の物とは違う。
周囲を見れば、ほんの2,3メートル先に私が別の私になるために使っていた重要な変装道具、『隣の女子大生さん』のカツラが転がっている。
「風浦さん……?」
未だ半信半疑の思いが拭いきれない様子で尋ねた先生の言葉に、私はただ、うなずく事しか出来なかった。
251名無しさん@ピンキー:2008/10/03(金) 05:13:27 ID:vBU5y1Tf
私を助けた先生は、足首に捻挫を負っていた。肩を貸そうとして私に「大丈夫ですから」とだけ言って、先生はよたよたと宿直室に歩いていく。
さっき、二人で手をつないでいた時とは全く種類の違う、重苦しい沈黙が私たちを支配していた。いつもなら、すぐに出てくる先生への言葉、お得意のポジティブシンキングも今は私を助けてくれない。
たどり着いた宿直室は真っ暗だった。先生は扉を開け、天井の明かりをつけて私を中に招き入れた。
「交は今、実家の方にいるんです」
つまりは、私や先生に代わってこの沈黙を破ってくれる人は、今はここにいないという事だ。
「あそこの棚に救急箱があるはずです。お願いできますか」
「はい」
言われるがまま、棚の上の救急箱を手に取り、先生の横に座る。
「後は自分で出来ますから、風浦さんは……」
「いいです、やらせてください」
私の言葉に、先生はそれ以上反論はしなかった。
先生の捻挫した足首に湿布を貼って、包帯を巻いていく。お互い何も言わず、言い出せず、ただ包帯の立てるしゅるしゅるという音だけが部屋の中に聞こえていた。
先生の手当てを終えてしまうと、今度こそ本当にどうしようもなくなった。
私には何も言えない。何も出来ない。先生の顔を見ることも、ここから立ち去ってしまう勇気も今の私にはない。
なぜなら、私は知っているからだ。『隣の女子大生さん』としての私に先生が見せてくれた言葉は、笑顔は、何一つ偽りの無いものだった。
全てを偽りで包み隠して先生と接していた私には、いまさら何も出来ることなんてあるはずが無い。
「驚きました……」
ようやく、ポツリと漏らした先生の言葉に、私の体がビクンと強張る。うつむき、体を震わせる私に、先生は言葉を続ける。
「あなただったんですか、最初っから全部…?」
問いかける先生の言葉に、私は言葉を返せない。喉がカラカラに渇いて、出そうとしても声一つ出せない。
「『隣の女子大生さん』なんていなかった。全てはあなたのお芝居だった……」
淡々と喋る先生の口調が恐くて、思わず目をつぶった。逃げ出してしまいたかったけれど、ガクガクと震える足は私にそれを許してはくれない。
これでもう、全部オシマイだ。そう思った。………だけど
「今日、あなたが見せてくれた笑顔も、全部、嘘だったんですか?」
先生のその言葉が、少し寂しそうな響きを帯びている事に気がついた。
恐る恐る顔を上げた。目に入ったのは、こちらも恐る恐るの表情で私の様子を伺う、先生の顔だった。
「あなたと話していると、とても楽しかった。時間を忘れました。あなたの笑顔を見るのがとても嬉しかった。本当に、嬉しかったんです。あなたは、どうだったんですか?」
それは責め問う言葉ではない事に気付いた。それが先生の、臆病な心を奮い立たせてようやく紡ぎ出した言葉である事を、私はやっと理解した。
心臓が鼓動を早め、血液が逆流する。早く答えようと心ばかりが焦り、いつもならすらすらと言葉を紡ぎ出すはずの私の舌は無様にもつれた。やっとの思いで、私はその言葉を口にした。
「嘘じゃ……ない…」
そして、胸を締め付けるような感覚に背中を押され、一気に言葉を吐き出す。
「楽しかったです。嬉しかったです。先生といられて、話せて……とっても。全部、嘘じゃないですっ!!」
私の言葉を聴いて、先生の顔がほっと安堵の表情を浮かべた。
「……ありがとう…ございます……」
しみじみと、嬉しそうに先生はつぶやいた。
「不思議ですね。何となく、わかっていたような気もします。ずっと、見ていてくれたんですね、風浦さん………」
それから先生は優しい笑顔を浮かべ、私の方を見ながら言った。
「教室でのあなた、『隣の女子大生さん』として私に微笑んでくれたあなた……全てが繋がった今、ようやく私にもはっきりと言う事ができそうです」
先生は一度目を閉じ、深く深呼吸してから、おそらくはありったけの想いと共にその言葉を私に投げかけた。
「あなたが好きです」
零れ落ちた一つの雫が波紋を広げるように、先生の言葉が私の世界の色彩を変えていく。
「私も…好き…先生のことが大好きです……」
意識するまでもなく、その言葉はごく自然に私の口から紡ぎ出された。
先生の右手が私の右手を取って、私もごく自然に先生と指を絡めた。残った先生の左腕に抱き寄せられて、私の左腕も先生の背中をきゅっと抱きしめた。
どちらからともなく、唇を重ねる。
252名無しさん@ピンキー:2008/10/03(金) 05:14:05 ID:vBU5y1Tf
「……ん…んぅ…あ…せんせ……」
「…風浦さん……」
夢中で互いの唇を味わってから、名残を惜しみつつキスを終え、額をくっつけたまま互いの瞳を見つめあう。
「恐かったんですよ、正直な話。あなたが私に見せてくれた顔が、全部意味の無いものだったんじゃないかって……。かなりビビりました」
少し恨めしげな調子で言う先生に
「いやだなぁ、終わり良ければですよ、先生……」
「毎度の事ですが、反省がありませんね、あなたは…」
いつもの調子で私がやり返す。ただそれだけの事が嬉しい。先生といられる時間が、自分にとってどれだけ大事なものなのかを実感する。
「ねえ、先生……」
なけなしの勇気を振り絞ってくれた先生に、今度は私が応える番だ。ドキドキと苦しいぐらいに脈打つ心臓は、きっとさっきの先生が味わったのと同じ感覚だ。
ただ、自分の想いを言葉に託し、先生へと伝える。
「先生と…ひとつになりたい……」
先生は私の言葉に少し驚いて、だけど私から眼を逸らすことなく答えてくれた。
「わかりました。私も…風浦さんが欲しい……」
先生の腕で優しく畳の上に押し倒される。もう一度唇を重ねて、今度はより激しく、より強く相手の唇を、舌を、口腔内を味わう。
「…ん……んくぅ…ん……ひうぅ!」
上着の上から先生の指になぞられる。ただそれだけで、私の背中をゾクゾクという感触が駆け抜けていく。やがて先生の指先は上着の裾から、服の中へと入ってきた。
「…あ…せんせ…の手……あつい…っ!」
先生の細く繊細な指先が私のお腹をなぞり、胸元へと這い上がる。先生に触れられた部分はたとえようも無い熱をもって、ジンジンと私を熱くしていく。
そして、私の乳首を先生の指先が撫でるように刺激した。鮮烈な感覚に、思わず漏れ出る声。
「…ひゃ…ああっ…むねがぁっ!!」
何度も何度も、焦らすかのように、先生は私の胸に微かな刺激を与え続けた。ひと撫でされるごとに私の理性が剥げ落ちて、だんだんと声が高くなっていく。
「…すごいです…せんせ…わたし…きもちよくて……」
乱れていく私に呼応するかのように、先生の呼吸も荒くなっていく。
「…風浦さん…もっと…風浦さんの体に触れたい…」
「…いいです…先生…先生の…好きなようにして……」
私の言葉を受けて、先生が私の上着を胸の上まで捲り上げる。ブラジャーもずらされて、ピンと立った私の乳首や上気した肌が露になった。
「…きれいです…風浦さん……」
先生に裸を見られていること以上に、あまりに素直に発せられたその言葉が恥ずかしくて、嬉しすぎて、ただでさえ赤くなっていた私の顔にさらにカーッと血が上っていく。
先生の手の平は露になった私の左の方の乳房を優しく揉みながら、人差し指で先端の突起を刺激し始めた。さらに、もう片方、右の方の乳房に先生はそっと口づけて……
「…っひゃうぅうううううっ!!!!…ひあ…あ…せんせぇっっっ!!!!」
先生の唇が、舌が私の乳首を思うままに弄ぶ。転がされ、突かれ、吸われて、そして満遍なく嘗め回される。
怒涛のごとく押し寄せる快感の波に、私はただ翻弄され、声を上げる。
「…ひっ…ああっ!!…わたしの…おっぱい…へんにぃ……っ!!」
やがて先生の指先はショーツの中まで入ってきた。私の一番敏感な、一番大事な場所に先生の指が触れる。その瞬間、私の体がばね仕掛けのように、ビクンと震えた。
浅い部分を優しく指先で刺激してから、さらに奥に入ってきてくちゅくちゅとかき混ぜられる。絶え間ない刺激に私のアソコからとめどなく恥ずかしい液体が溢れてしまう。
「…あ…くぅうんっ…ふああっ…せんせい…わたしぃ…っ!!」
「…ああっ…風浦さんっっ!!!」
先生の指先で、体の奥の奥までとろとろに溶かされて、無我夢中のまま何度もキスをした。限界知らずに高まっていく熱が、私の最も原始的な衝動を突き動かす。
「…せんせい…わたし…せんせいのが……ほしい……」
荒い呼吸の合間に紡ぎ出した私の言葉に対して
「…私もです…風浦さん……」
先生は私のおでこにそっとキスをして、
「…一緒になりましょう……」
そう、答えてくれた。
253名無しさん@ピンキー:2008/10/03(金) 05:15:01 ID:vBU5y1Tf
しゅるり、しゅるりと衣擦れの音と共に、私と先生は生まれたままの姿に近づいていく。華奢な体に、抜けるような白い肌、初めて見る先生の裸身に、声も無く見惚れていた。
やがて、全ての服を脱ぎ終えて、先生と私は正面から向き合った。
「…本当に、いいんですね…風浦さん……」
「…先生はすぐそれだから……いまさらそんな事言いっこなしですよ…」
「…はは、そうですね…」
苦笑する先生。もう一度軽くキスを交わした後、先生は私の上に覆いかぶさり、私の大事な場所に自分のモノをあてがった。
「……愛しています…風浦さん…」
「…私も…大好きです……」
わずかな言葉と、微笑でお互いの意思を確認する。
そしてゆっくりと、先生は私の中へと挿入を開始した。
「…っく…うあ…せんせぇ……」
恐ろしいほどの熱を帯びた質量が、私の体を押し割って進入してくる。熱と、痛みと、そして大好きな人を受け入れる愛しさが私の中で渦を巻く。
「…辛くないですか…?」
「…思ったよりは…へーきです……だけど、先生のすごく熱くて……」
ゆっくりと、私を気遣うかのように先生は腰を動かし始めた。その度に、私の体の奥を先生の熱がかき混ぜて、私は小さく悲鳴を上げる。
「…あっ…ひうぅ…せんせ…せんせいぃいいいっ!!!!」
「…くっ…風浦…さんっっ!!!」
体の奥で熱が暴れるたびに、私はどんどん正気をうしなっていく。熱も痛みも愛しさも、先生の全てが欲しくなって、体が敏感に反応してしまう。
激しさを増す動き。混ざり合う汗と唾液と体温。ただひたすらにお互いの事だけを求め続けて、いつしか先生と私の間の境界線すら溶けていくようだった。
「…ああっ…せんせいっ…好きですっ…好きぃいいいいっ!!!!」
「…風浦さんっ!!…風浦さんっっっ!!!!」
泣いて、叫んで、一心不乱に体を交わらせ続ける。時間も、世界も意味をなくして、先生の事しか見えなくなっていく。
火傷しそうに熱くなった互いの体を愛撫して、数え切れないほどのキスの雨を降らせて、受け止めて、体の奥を駆け抜ける稲妻に声を上げる。
「…せんせいっ…わたし、もう……っ!!」
「…風浦さん…私も…いきますっ!!」
今までで一番強く突き上げられて、私の意識も一瞬宙に解き放たれる。そして押し寄せた登りつめていく感覚に、私は大きく声を上げた。
「…あああああああっ!!!!!せんせいぃいいいっっっっっ!!!!!!!!!」
先生の腕が、私を強く強く抱きしめた。私も必死で先生の背中にしがみつく。体の奥で先生の熱がはじけて、波打ち、私の中を満たしていくのを感じた。
そして、全てを終えた先生と私は、ただ言葉も無く長い長いキスをしたのだった。

一組の布団の中、思いっきり先生とくっつく。手をつなぎ指を絡めて、互いの存在を確かめ合う。横を見れば、先生も私と同じようにまだ寝付けない様子だ。
「思えば、満開の桜の下で出会うなんて、きっとあれは運命だったんですね」
「…まあ、あの時私は首を吊ってましたけど…」
私の言葉に、先生は苦笑する。
「そして、私がそれを助けた。ますますもって運命的じゃないですか」
「いや、あれは助けられたというか……」
そう、きっと、あれは運命。
あの日から私は、先生から目が離せなくなって、騒いで、笑って、そして随分な遠回りをしてここにたどり着いた。
ずいぶんと不器用なやり方しかできなかったけれど、そしてこれからも不器用に苦労するのだろうけれど……。
湧き上がる気持ちを、確かめるために、伝えるために、私はもう一度先生に向けてその言葉を口にする。
「大好きですよ、先生…」
254名無しさん@ピンキー:2008/10/03(金) 05:16:09 ID:vBU5y1Tf
これでお終いです。

可符香乙女すぎたかな?難しい……。
255名無しさん@ピンキー:2008/10/03(金) 10:15:23 ID:HDH9iDmt
GJ
カフカのかわいさに死んだ
256ルルーシュ ◆w2qGrvoIiw :2008/10/03(金) 10:49:33 ID:2ItB8lK/
生きろ。
257名無しさん@ピンキー:2008/10/03(金) 16:35:04 ID:jHd/bIMO
GJ
これは良い白カフカだな
258名無しさん@ピンキー:2008/10/03(金) 19:57:51 ID:c0p4NnLm
カフカ G J !
驚きの白さにドキドキ
259名無しさん@ピンキー:2008/10/03(金) 21:16:13 ID:l8ShT6CR
白すぎる故に汚れやすい心というものもある。
260名無しさん@ピンキー:2008/10/03(金) 22:06:05 ID:cYR/s5Bb
可符香!可符香!やっぱり可符香は最高だな
261名無しさん@ピンキー:2008/10/04(土) 02:35:49 ID:cRTVv1Ov
これはヤバい
262名無しさん@ピンキー:2008/10/04(土) 12:52:22 ID:a7LxNGyU
あえぎ声が
ひうぅ とか ひゃう とか ひあっ とか ひぐっ とか
ひぐぅん とか ひぁうぅ とか ひゃああ とかはもう秋田ので
工夫希望。
263名無しさん@ピンキー:2008/10/04(土) 13:03:14 ID:OVL94CIN
ひぎぃ
らめぇ
うなぁ
264名無しさん@ピンキー:2008/10/04(土) 13:18:51 ID:UnzZxpAW
ぷんすかっ
に、にょんたかぁっ
絶望したあぁァァッッ
265名無しさん@ピンキー:2008/10/04(土) 14:17:32 ID:d3qyzaUg
短いのを投下します。先生と可符香。
266名無しさん@ピンキー:2008/10/04(土) 14:18:02 ID:d3qyzaUg
ギラついた目、荒い呼吸、いつもの先生が見せる若干臆病そうな、それでいて優しげな雰囲気は消し飛んでいた。先生の腕に組み伏せられ、押し倒された私はその変貌を呆然とした気持ちで見つめていた。
乱暴にセーラー服を毟り取られ、先生の指先が思うさまに私の体をまさぐる。苦痛のために私が上げた悲鳴も先生は一切意に介さない。
執拗に私の肌の上にその指先を這いずり回らせ、その舌で私の体のあらゆる場所をねぶり、しゃぶり、唾液でどろどろに汚していく。
激しい陵辱を受けながら、私は泣き叫び、何度も先生の事を呼んだ。『先生、やめてください』『いつもの先生に戻ってください』『お願いです、お願いだから……』
先生はそんな私の叫び声に耳を傾けるどころか、むしろ下卑た笑いを口元に浮かべ、より一層行為の激しさを増していく。
先生の体の下、先生の狂気が信じられなくて、先生の事を信じたくて、ただ泣き叫ぶ事しか出来ない私は………


「……って、なんですかこのモノローグはっ!!今、私たち合意の上でエッチしてるはずですよね!?これじゃ私が完全にレイプ犯じゃないですか!!やめてください風浦さんっ!!!」
「いやだなぁ、先生とのエッチを盛り上げるための演出じゃないですか」
「盛り上がりませんよっ!!完全な欝展開じゃないですかっ!!それとも何か、私あなたに悪い事しましたかっ!?」
「そんな事ないですよ。でも、燃えるじゃないですか」
「燃えませんよ」
「先生の趣味に合うと思ったのに」
「勝手に人の趣味を決めないでくださいっ!!」

ぜいぜいと息を荒げる先生。どうやら一歩も譲るつもりは無いようだ。少し考えて、私はひとつアイデアを思いつく。
「じゃあ先生、先生の言うとおりモノローグやめますから、私の事ぎゅって抱きしめながら、『好き』って10回言ってください」
「えっ!?」
一瞬ポカンとして、それから先生の顔が真っ赤になる。
「ラブラブっぽいでしょ」
「ま、まあそうですが……わかりました」
先生がおずおずと腕を伸ばし、私の体を抱きしめた。そして…
「好きですっ!!好きですっ!!…好きです好きですっ!!!好きです好きです好きです好きです好きですっっっっ!!!……………好きですっっっ!!!!!!!」
一気に先生は言い切った。それに対して私は
「うわー、一方的に歪んだ好意をぶつけてくるストーカーなレイプ犯さんって、きっとそんな感じなんでしょうね!!」
なんて言われて、先生はもう涙目だ。
「ひどいですっ!!あんまりですっ!!絶望しましたっ!!!かなり本気で、熱を入れて言ったのにぃ!!!!」
「その本気さがまたソレっぽかったですよ」
「うわ〜〜〜〜んっ!!!」
なんて先生と言い合いながら、頭の仲でさっきの先生の『好きです』を反芻する。先生曰くかなり本気のソレ、私の胸にはかなりキュンときましたよ。
先生の肩に顔を埋めて、見られないように、私はこっそりと微笑んだのだった。
267名無しさん@ピンキー:2008/10/04(土) 14:18:36 ID:d3qyzaUg
これでお終いです。
268名無しさん@ピンキー:2008/10/04(土) 16:13:24 ID:cRTVv1Ov
実に素晴らしい
269名無しさん@ピンキー:2008/10/04(土) 16:21:41 ID:cRTVv1Ov
ごめん、sage忘れ…
270名無しさん@ピンキー:2008/10/04(土) 17:52:03 ID:xphyb2eu
GJ、カフカかわええー
>>262
文句言うならお前が書けよ
271名無しさん@ピンキー:2008/10/04(土) 18:33:22 ID:1EswQgKm
>>266
…ぶはっっ!?
白カフカの次は小悪魔タイプとは…!
直撃弾で死んだ(笑
272名無しさん@ピンキー:2008/10/04(土) 22:46:00 ID:U8pdBaFh
俗 陽だまりの中で(前編)

望に一人えっち手伝ってもらっちゃったな。
しゃがみ込んだ霧を望は背後から抱きしめ続ける。
背中から望の暖かさが伝わってくる。
望、暖かいよ。
ずっとこうやって望に守られていられたらいいのにな。。。
霧は望の細い腕に手を置き、愛おしい望の肌に触れた。暖かい望の肌、柔らかいな。
望が好き。。。この気持ち、もう抑えられないよ。望にもっと触れたいよ。
霧はクルっと向きを変え、膝立ちになって望の頭を抱きかかえた。
「愛してる。。。。」小さな声でつぶやく。
「霧さんの胸が私の顔に当ってますよ」
霧は望の小さな茶々入れも聞かず望の頭に頬をすり寄せた。
愛おしい気持ちでいっぱいだよ、望。。。。
「好きなの。望」震える声で言う。
イカされてからずっとせつない気持ちで涙が止まらない。 大好きなの、望。。。。

「きゃ。。。!?」
望がふいに立ち上がりキスで霧の口を塞ぐ。
堰を切ったように望の舌が入ってくる。
望の舌は霧の口腔を這い舐め2人の舌がお互いを求め合うように絡み合う。
口の中、気持ちいいよ。。。トロけちゃいそうだよ、望。。。。
目を閉じて望の舌にされるがまま。 気が遠くなるよぉ。。。。

俺は霧の髪を掻き揚げシャツのボタンを外し着物を脱いだ。
ごめんね霧、もうこれ以上、抑えられないよ。
「俺だけのものにしたい。霧」
俺は震える霧を抱きしめ上着を脱がし下着を外した。

小さな胸があらわになる。
「ぁぁっ。。。」恥ずかしさで身がすくんで思わず声が出ちゃう。
 恥ずかしぃよぉ。。。でも望にもっと見てもらいたいよ。。。もっと触れてもらいたいよ。。。
その気持ちの方が強くて望に体をすり寄せた。

小さな霧の体が俺にしがみつく。
「このまま霧のこと壊しちゃいそう」心の中で呟いく。
霧の体を抱きかかえ毛布の上に寝かせてやる。まだ幼い霧の体は天使を見ているようだね。
俺は霧に覆いかぶさり抱きしめる。霧は背中に細い腕を回す。

望の好きなこと、何だってしていいよ。
霧は望のこと何だって受け入れるよ。
273名無しさん@ピンキー:2008/10/04(土) 22:47:54 ID:U8pdBaFh
俗 陽だまりの中で(後編)

そして震える霧の唇に口づけする。何度も唇を重ねあう。霧の唇を甘噛みする。
霧の体から唇が離れてしまうのが辛くて何度も何度も口づけする。
怖がらないで霧。大丈夫だから力を抜いて。
唇から舌を這わせ首筋から鎖骨、そして小さな膨らみに口づけする。
尖った小さな突起を捕らえた。
霧の敏感な可愛いらしい突起を舌で転がし螺旋に丹念に舐めてやる。

「ぁぁ。。。。気持ちいいよぉ。。。」霧の口から吐息紛れの声が漏れる。
快楽の刺激を耐えるように苦し紛れに霧は体をのけぞらして身悶える。
我慢しないでもっと素直に感じていいんですよ。
感じてる姿が愛おしいい。霧が気持ちよくなるなら何だってしてあげるよ。
俺は霧の気持ちいい場所なら全部わかるから。
霧のためにフィンガーテク講習にも行きましたからね。。。。。。
唇と指で霧の意地悪くおっぱいを攻める。
霧のおっぱいは敏感だよね。ここ攻められると霧すぐに泣き出すね。
霧のして欲しいことなら何でもわかるよ。特にここ、この尖ったとこ、弱いよね。
「ぁん ☆」
俺の唾液で濡れた乳首を軽く摘まむと霧は可愛いらしい声を上げる。

望の舐めてる音が聞こえる。。。。ぁぁんんん。。。チュパチュパって。。恥ずかしいよ。。。。。
望、乳首、もうこれ以上、攻めないで。。。。。気持ちよすぎて、もぉダメ。。。
望の指と舌のせいで涙が止まらないよ。腰が抜けそう。。。
こんなにせつない気持ちのなに、望と私は別々の体、境界がもどかしいよ。
どんなに抱きしめられても望、遠いところにいるのね。。。。
一人ぼっちはいや。。。。望の体と溶けちゃいたいよぉ。。。。
望の指が近づいてくる。

「じらせちゃいましたね」
涙の伝った霧の頬にキスをする。
中指ですっかり腫れ上がったクリ押してやりそのまま何度か擦る。
「ぁぁっ。。。。。」霧の口から息が漏れる。
そのままクリを剥いて少し強めに擦ると、霧は俺の体に足を絡ませてきた。
おっぱいの攻撃もヤメてやらない。舌を尖らせて早い動きで霧の乳首を転がす。
「のぞむぅ。。。。。好きぃ。。。。。ぁぁんんん」すり泣きしながら小さな声で俺の名前を呼ぶ。
大きく体をクネらせて身悶えする霧。可愛いよ。俺の霧。俺だけの霧。
「やぁんんん。。。。のぞむぅ。。。。気持ちいいよぅ。。。」抑えられなくなって霧が叫ぶ。
「ぁぁんんん。  ダメだよぉ。。。。。。」
ダメだよ霧。そんなに叫んじゃますますイジメたくなるよ。
左右の乳首を快楽から逃れる隙もないほど攻める。
割れ目への刺激も小刻みにいやらしく指を当てて霧の体に俺の気持ちを刻んでいく。
「ぁ。。。。。」
霧は一瞬身ののけぞらせビクっとなった。

堕ちていく霧を抱きしめる。

「のぞむ。。。」いじわるだよぉ。また霧だけ。。。。
でも幸せだよ望。
そのまま抱き合った。

いつか霧の中に望のおちんちん入れて。。。。。。。。
274名無しさん@ピンキー:2008/10/04(土) 22:54:40 ID:U8pdBaFh
ただのエロになってすいません。
難しいです。 メソっ・・・
275名無しさん@ピンキー:2008/10/05(日) 00:23:03 ID:aNyKpMV8
独特だな、ラストでなんか吹いた 
霧好きだから応援するよ
とりあえず、投下する前に傾向とキャラとか書いといた方がいいとか
276名無しさん@ピンキー:2008/10/05(日) 00:31:24 ID:sNi7Citz
何かケータイ小説っぽいな
gj
277名無しさん@ピンキー:2008/10/05(日) 01:17:02 ID:1PT5buPG
なんかすごい違和感
もともとあったSSのキャラ名を変えただけとか…じゃないよね?
278名無しさん@ピンキー:2008/10/05(日) 02:29:55 ID:fdLkx+wA
族 陽だまりの中で

霧と向かい合って抱き合う。俺の胸に顔を埋めてすすりなく霧。
愛おしいよ霧。 俺だけの霧。 俺の小さな天使。
俺が守ってあげるから、だから、もう、泣かないで。
乱れた長い髪をなでてやる。

愛してるよ望。このまま離さないでギュとしてて。。。。
「好き。。。。望。。。。」
望の胸にキスする。
「私も同じ気持ちですよ」
望は少し強く抱きしめてくれた。 ねぇ望。。。。 お願いがあるの。。。。
「お願い。  入れて。。。。。」
言っちゃた。。。。。 望は返事をしてくれない。 ただギュっとしてくれた。
霧のアソコ熱くて、ジンジンして、もどかしくて。。。。。  ねぇ望は今どんな気持ちなの?
見つめ合い、視線がぶっつかり合う。 ほんとに綺麗な顔してるよね望。 ステキ ☆
瞳を閉じた望の顔が近づく。唇が、望の唇が、柔らかいよ。
望は世界で一番ステキなキスをしてくれた。 キスするたびにどんどん望が好きになる。。。
望ぅ。。。好き。おちんちん入れて。。   望と一つになりたいよぉ。。。。

しっかりと望に抱きしめられ、仰向けになった。
望に包まれたまま、両膝を立てた。 望、来て。。。 腰がうずいて勝手に動いちゃうよ。。。
口づけされたままジンジンするところに望の体が当る。 少しつづ望が入って来る。
「ぃっ・・・」 ぁんん。 痛いよぉ。。。。
「痛い?」
アソコが火事みたいに熱くて、望のおちんちん、もぉ、痛くてこれ以上。。 ダメっ。。。。。
ごめんなさい、少ししか入ってないのに、望、もっと霧の奥まで来て欲しいよ。。。。
「大丈夫?」
霧が悪いのに。。。。望はまだ少ししか入ってないに、優しいよぉ。。。。
暫く浅くつながったまま望と抱き合う。 せつない気持ち。。。 ごめんね望。

俺は霧を抱きしめ、もどかしい気分に耐え切れず、腰が自然に動き始めた。
少しづつ霧の奥に入っていく。  霧、ゴメン。   霧の中に入れたい。
抑えきれず、ついに、一気に突き上げた。
「ぁっ」霧は小さな悲鳴を上げた。 
「ぁんん。。。。  ぁんんっ。。。。。。」腰を回すと霧から甘い吐息が漏れる。
こみ上げてくる衝動を容赦なく霧の体にぶっつける。 容赦なく何度も霧を突き上げる。
霧を壊すのは俺だ。 霧は俺のものだから。。。
腕の中の天使は泣きながら俺の名前を叫んでいた。
可愛いよ霧。 俺の霧。。。。。

何度も何度も霧の体に俺の欲望を突きつける。
「のぞむぅ。。。。。 もぉ。。。ダメーーーーーー。。。。。」
霧が絶頂を向かえ始める。俺も爆発寸前。それでも突き上げる。
「ああっつ。。。。。。イっちゃうよーーーーー」
霧は身のけぞらせ、腕の中で堕ちた。
俺も霧の中で果てた。

泣き虫の霧が俺の胸に身をすり寄せてくる。
霧の体を抱きしめる。
「愛してるよ。だから泣かないで。。。。」もう離さないからね。霧。
279名無しさん@ピンキー:2008/10/05(日) 02:31:39 ID:fdLkx+wA
陽だまりの中で(おまけ編)

望と抱き合って、幸せな気持ちに包まれてる。
「霧さん。これからは一人えっちは禁止です」
望がポツりとつぶやく。
「そんなのムリぃ。。。」
「・・・霧さん、えっちなこと大好きですもんね ww」
望はクスっと笑う。
「えっちな霧さんに・・・」
「絶望したぁ?」
「いいえ。えっちな霧さんが大好きですよ」望はまだ濡れてる乳首をツンと弾く。
「ゃぁん。。。。」
「今さらなに恥ずかしがってるんですか? おかしな子www」
「えっちな気分になったら必ず私を呼んで下さいね」
「ん?」
「霧さんを気持よくしてあげるのが私の務めですから」
「私が仕事で留守の時も禁止ですよ。私が帰るまでえっちは我慢してくださいね」
「もちろんイケナイ玩具で遊ぶのもダメですよ」
「・・・意地悪だよぉ?」
「ダメです。我慢ですっ」
「ぇぇん。。。せいんせい。怖いよぉ」
望は前髪を掻き揚げてひたいにキスをしてくれた。
「仕事から戻ったら毎日たっぷり愛してあげますから」
「だから私のいないところで、一人で気持よくなってはいけません」
そう言って望は頬に何度もキスをした。
「。。。嬉しいな。せんせい。」
「・・・望でいいですよ」
「望。。。好き。。。」

霧が私を想う気持以上に私は霧を愛しています。
「愛してるよ。霧」

おしまい。
280名無しさん@ピンキー:2008/10/05(日) 02:40:01 ID:fdLkx+wA
以上で終わりです。

文章力ない下手くそですいません。全部わたしの妄想でオリジナルです。 
趣旨も外れちゃってるみたいでごめんなさい。
荒らしではないです いちおう www
281名無しさん@ピンキー:2008/10/05(日) 09:26:54 ID:sWRwIbob
真性の痛い人ですね、わかりました。
282名無しさん@ピンキー:2008/10/05(日) 11:12:25 ID:l3LZBna+
GJ。
ああ、もう素晴らしい・・・
283名無しさん@ピンキー:2008/10/05(日) 14:07:07 ID:Z0l4tfe5
あえぎ声が
ひうぅ とか ひゃう とか ひあっ とか ひぐっ とか
ひぐぅん とか ひぁうぅ とか ひゃああ とか。


ねーよ。そのあえぎ声はねーよ。
…アリじゃね? むしろアリじゃね?
……アリ、かもな。アリアリアリアリアリ!

気付かないうちに、「ひ」で始まるあえぎ声ウイルスに感染している。
実体験なくエロ創作だけ読んでいるうちに、
どんどん「ひ」声ばかりになって、客観視出来なくなっている。

本気であえぎ声を書いたら猥褻すぎて生々しいので、
デチューンしている。
284名無しさん@ピンキー:2008/10/05(日) 16:26:51 ID:fdLkx+wA
望×霧 完結します。
実体験なしの稚拙な妄想ですがよろしくお願いします。
285名無しさん@ピンキー:2008/10/05(日) 16:28:22 ID:fdLkx+wA
朝日の中で

小鳥の鳴く声。 んんん。。。眩しいな。  ぁ朝かぁ。。
あのまま寝ちゃったんだな。 望の寝姿。無防で可愛いいよ。
霧は望の髪を撫でる。  世界で一番いとおしいよ。望。。。。。
望が寝返りを打ち、うっすら瞳を開ける。
望は目を開けて微笑む。ステキな笑顔。  おはよう望 ☆
「おはよう霧」
望は両手で目を擦りメガネをはめた。
「霧の乳首まだ尖ってるね。。。。  気持いい?」
「望のせいだよ」
責めても望は微笑むだけ。親指と人差指と中指を舐めて霧の乳首に近づく。
綺麗な長い指が霧の乳首を弾いたり、摘まんだりしてる。。。
もぉ、ダメだよぉ。。。  望のすること全部、気持いいから。。。
ぁんん ぁん。。。 気持いいよ。。。。
アソコもまだ望が入っている感覚があって、熱いよ。うずうずしてるよ。。。
変な気持になってる。 お願い、望、して。。。。。。   して欲しいよ。。。。

俺は起き上がって霧の肩を抱いて押し倒した。
「ぁん」霧の抵抗は声だけ。 呆気なく俺のされるがまま。して欲しいの?
両膝を立たせて、霧のいやらしい場所を覗き込む。
プックリ腫れて昨日までの霧とはまったく違う、いやらしく、可愛らしい霧。
「・・・してあげる」
俺は霧の秘密の場所に舌を這わす。クリを捕らえて集中的に攻める。
昨日あれからずっと腫れたままなのかな? えっちな子にはお仕置きだよ。
「ぁぁんん。。。。。  のぞむぅ。。。。」
「気持いい。。 いいよぉ。。。」
ダメだよ霧。 泣いても、身悶えても、許してあげないからね。
舌を尖らせて転がすように攻めたり、吸い付いたり、可愛いいクリを苛める。
霧の腰が動く。 可愛いいよ霧。 離れたくないよ霧。
霧の体に覆いかぶさり抱きしめる。 離さないからね 霧。
少しでも多く霧に体を密着させていたい。
勃起したものを霧の秘密の場所にあてて腰を動かす。
腕の中の霧は閉じた瞳からまた涙を流して、小さな声で俺の名前を呼んでした。
「霧。。。   霧、愛してる。。。」
俺も霧と同じとこを叫びながら腰を動かし続けた。
激しく擦っても霧の体は俺に吸い付くようにくっついてくる。
いいよ霧の体。とても気持いいよ。。霧。 

俺は霧の白いお腹に吐き出した。
286名無しさん@ピンキー:2008/10/05(日) 16:29:48 ID:fdLkx+wA
俗 朝日の中で

霧の体を蒸したタオルで拭いてやる。
霧はほんとにえっちな体だね。
可愛いアソコは拭いてあげてもまたすぐ湿ってくる。
乳首もこんなに尖らせて。。  可愛いよ霧。 
こんなに体中が欲情してては私が仕事に行っている間は大変でしょうね。
えっちな霧のことだから乳首もクリも弄りたくてたまらないでしょうね。
乾いた体に毛布を掛けてやる。
「?」
・・・毛布に血がついてますね。 霧の生々しい鮮血。 よく頑張りましたね霧。。。
愛おしい気持がこみ上げてきて、毛布に包まれた霧を抱きしめる。
「霧」
早く帰って来ますから、いい子にして、留守番しててくださいね。

身支度を整え仕事に出かける。

「行ってくるね」
「うん。お仕事、がんばってね」

あの子は私が留守のあいだ一人えっちを我慢できるのでしょうか?
・・・ムリでしょうね www
私は昨日の情事が頭から離れず霧のとこばかり考えて仕事場に向かいました。


望、行っちゃたよぉ。。。。。。
早く帰って来て。

体中に望の感触が残ってる。 まだ望に触れられてるみたい。。。。
せっかく望が拭いてくれたのに。 霧もぉ濡れてるよ。。。。

ぁぁんん。
早く、望、して。。。  して欲しいよぉ。。。


霧の体にいっぱいえっちしてよぉ。。。
287名無しさん@ピンキー:2008/10/05(日) 19:10:27 ID:l3LZBna+
GJでした。
次回作も期待。
288名無しさん@ピンキー:2008/10/05(日) 19:18:45 ID:dYVzQHit
一時期に比べるとレベルの低下が著しいな。
289名無しさん@ピンキー:2008/10/05(日) 19:46:17 ID:Zdq310rR
こういう文章読むといつも思うんだが・・・と。。。の違いがよく分からない
何はともあれGJでした
290名無しさん@ピンキー:2008/10/05(日) 22:15:38 ID:TVqg0189
地の文が一人称と三人称混じってるから統一した方がいい
あと>>285で望が俺というのはおかしいと思うが
291名無しさん@ピンキー:2008/10/05(日) 22:22:56 ID:aNyKpMV8
乙gj
個人的に☆も気になるけど、wはやめて欲しいかなw
SSって記号とかに頼らずそこは頑張って文章で・・

ちょっと投下がふえると>>288みたいなヤツでて来るね
そういうコメのせいで雰囲気悪くして他が投下しにくくなる事考えろよ
292名無しさん@ピンキー:2008/10/05(日) 22:38:11 ID:sNi7Citz
レベル低い作品をもてはやしていると「あ、こんなんでもいいんだ」とレベルの低い書き手が次々と投稿を初め、やがてスレがレベルの低い作品ばっかになるおそれがある。
レベルの低い作品が大量に貼られていて、しかもそれがもてはやされているような所に、リテラシーの高い書き手が新規参入してくる可能性は低い。
だが、過度に叩き過ぎると心の狭いスレだと思われて人が寄り付かなくなる。やはりレベルの高い人は来ない。
よって、さしあたりは叩く人がいれば、別の人がフォローするという現状の態勢を継続してみよう。
293199:2008/10/05(日) 22:57:50 ID:PjBTKi7N
お久しぶりです。
素晴らしいエロ作品がたくさん投下された後にこっそり置き逃げしてみます。

望×隣の女子大生 今回もエロなしですごめんなさい。
後、152話からネタを引っ張っているのですが該当回のマガジンを処分してしまったので
一部原作と違うところがあるかも知れません。その辺はスルーライフでお願いします。
294『この心、親もあなたもまだ知らず』:2008/10/05(日) 23:00:07 ID:PjBTKi7N
自分の知らないところで思わぬ事態が進行している、というのは、決して珍しいことではなかった。
『望はまだ分からなくていいんだよ』
幼い頃から何度そう言われて蚊帳の外にされてきたことか。両親だけではなく上の兄3人も何かと世話を焼いてくれ
それは年の離れた妹が出来てからも決して変わらなかった。妹――倫の方がしっかりしているというのが
情けないかな自他共に認める事実である以上仕方ないことかも知れない。
それにしたって、それにしたっていくらなんでも。
(――何なんですか、糸色家公認の嫁って!)
苛々と頭を掻き毟りながら足元の小石を蹴飛ばす。
さすがに兄達が世話をしているわけではないだろうから、旧家ならではのしがらみかしきたりか
はたまた面白いことに目がない父親の戯れか。いずれにしても教え子たちが持っていた『公認の嫁』の証明書を見たときは
かなり本気で死にたくなった。
(どんな嫌がらせなんですか!何で広告まで出してよりによって2のへの皆さんに渡すんですか、あんなもの!
 絶望した!また新たに捏造される不特定多数との男女関係に絶望した!!)
リアルで繰り広げられる「先生は私の婿」「いやいや私の婿」「いやいや私のry」を想像してしまい
いつもより早足で歩きながら声には出さずにひたすら嘆き続ける。
これが知れ渡ったら解雇処分だろうか。あるいは多重結婚の疑いで逮捕だろうか。
ぞっとしない未来予想図に頭を抱えたくなりながら、ため息1つ。
逮捕される前に重婚が認められている国へ引っ越した方がいいんだろうか、具体的にどの辺りだろうか、等と
ネガティブ思考が現実逃避を始めた辺りでふと立ち止まる。

(――と言いますか、何で嫁ぐらい私に選ばせてくれないんですか)

兄達の後ろについてまわっていた子供の頃ならいざ知らず、今の自分は成人して職に就き、経済的にも自立している人間である。
少なくとも人並みに恋愛する権利くらい、ある――と思う。
それは確かに自分の実家は旧家。もし嫁入りする女性がいるとすれば家柄や教養なども求められるかも知れないが
四男坊である自分の嫁にそこまで求めなくても、というのも偽らざる本音。
今回の件といい、毎年繰り広げられる見合いの儀の件といい、そこまでして自分の相手を
お膳立てしなくてもいいと思うし、そもそも自分よりも先に兄達を結婚させなくていいのかとも思う。
百歩譲って他人に嫁を用意されるとしても、せめて普通のお見合いなりなんなりして自分にも相手を確認し
この人ならばという決定を下す権利くらい与えられてもいいのではないか。否、むしろそれが普通のやり方ではないか。
今のやり方には、全く己の意思の介入する余地がないではないか。


『望はまだ分からなくていいんだよ』
そんな風に言われるのを鵜呑みにしていた子供の頃とは違う――そう考えているのは自分だけということか。

295『この心、親もあなたもまだ知らず』:2008/10/05(日) 23:02:07 ID:PjBTKi7N
(……………)
何だか虚しくなって、近くの公園にふらふらと入り込むと小さなベンチに腰を下ろす。
確かに親にとっては子供は何歳になっても子供、兄にとっては弟は何歳になっても弟だろうが
子供は、弟は、1人で歩くことすらできないと思われているのではないかと疑ってしまう。
それはまぁ、日々絶望ばかりしている手間のかかる人間であることは認めざるをえないけれど。
(……私だって、嫁とまではいかなくても、好きな女性ぐらい――)
「……糸色さん?」
「ほぁいっ!?」
ぼんやりしていたところにいきなり声をかけられて、裏返った声で返事をしながらんばっと顔を上げれば、そこには
困惑したように口元に手を当てる元・隣の女子大生がいた。片手に近くのスーパーのビニール袋を持っているところからして
買い物帰りらしい。
「あ、あの……ごめんなさい、そんなに驚かれるとは思わなくて」
「あ、い、いえ、すいません……ちょっと考え事をしていたものですから」
ぺこりと頭を下げる女子大生に慌ててこちらも謝罪する。
「お買い物だったんですか?」
「ええ、今日は卵が安かったんですよ」
ふふ、と微笑んで答える女子大生だったが、不意に眉を下げて心配そうにこちらの顔をじっと見つめてきた。
「糸色さんは……お散歩じゃ、ありません……よね?
 何だか落ち込んでいらっしゃるみたいでしたけど……大丈夫ですか?」
「え?」
――そんなに情けない顔をしていたのだろうか、と思わず両手を頬に当てながら考えてしまう。
「お、落ち込んでいるように見えました?」
「ええ、あの、何となくですけど」
控えめに頷くのを見て、望の気持ちがずーんと二段底へ落下していく。
つい先程、脳裏に思い浮かべたばかりの女性――嫁とまではいかなくとも、少なからず好意を寄せている女性に
公園のベンチで1人落ち込んでいるところを見られただなんて、みっともなさ過ぎて穴があったら入りたい。
気付けばいつもスコップを手にしている教え子を思い出し、いやいや埋まりたいわけではなくてと
心の中で自分に突っ込みを入れながら自嘲気味の苦笑を浮かべて見せた。
「……まあ、いろいろとありまして」
「そうなんですか?」
首を僅かに傾げつつ、先生っていろいろと大変そうですものねと納得したように呟く女子大生。
はは、と乾いた笑いで応えると、控えめにこちらの顔を覗きこんでくる。
「あの、私なんかでお力になれることがあったら言って下さいね。
 何も出来ないかもしれませんけど、それでも1人で抱え込むよりは楽になると思いますから」
心からこちらを案じる穏やかな声に、頬が僅かに熱くなるのを感じた。
ありがとうございます、と心の底からのお礼を口にすると、彼女も一安心したのかにこりと微笑んでくれ
その柔らかい笑顔に胸の奥がじんわりと暖かくなる。
296『この心、親もあなたもまだ知らず』:2008/10/05(日) 23:04:17 ID:PjBTKi7N
「今度、また何かお料理を持ってお伺いしてもいいですか?」
「え?」
きょとんと目を丸くして、いえ全く構いませんがともごもごと呟きながら頭を掻いていると
女子大生が口元に手を寄せながら続ける。
「あ、いえ、もちろん糸色さんがご迷惑でなければですけど。
 何だか最近こうやってお話することもほとんどなくなっちゃいましたし、それに……」
私に出来ることなんてお料理くらいですから、と言う女子大生の笑顔が――どこか寂しげで。
――私は無力だと語るその目がさっきまでの自分とどこか重なって、慌てて立ち上がった。
「そんなことありませんっ!」
驚いたように目を見開く彼女の顔を真っ直ぐに見つめながら、早口でまくしたてる。
「私は貴女の、貴女が持ってきて下さる料理が本当に大好きでしたし、それに
 こうやってたまに外でゆっくりとお話ができるたびにどれだけ元気付けられたか知れません!
 今日だってこうして貴女に会えてお話できて良かったと思っていますから、ですから、
 私は貴女がまたいらしてくださるならそれは本当に嬉しいですし、またお会いしてお話したいと――」
普段下らないことを生徒たちに語っている時に勝るとも劣らない力説が、ふと止まる。

呆気にとられたようにこちらを見ている女子大生の、ほんのりと赤い頬を見て。

「あ、お、おおお話したいとその、交もっ!交も思っていると思いますよっ、はいっ」
我に返った途端かっと顔に熱が上ってきて、あわあわと手を振りながら咄嗟に無理矢理なフォローを入れる。
「あ、ま、交君も……そ、そうですね、交君にももう随分お会いしてませんもんね」
赤くなった顔のままやや裏返り気味の声で頷く女子大生に、本気で今更ながら自分は何を力説しているんだと
頭を抱えたくなるものの、そんなことをやってしまえばさっき入れたフォローが完璧に無意味になってしまう。
仕方なくあさっての方向を向きながらはは、と誤魔化すように笑い声を上げると、女子大生が俯いてぽつりと呟いた。
「……レー……」
「はい?」
「……カレー、交君お好きでしたよね?」
「は、はい」
こくこくと頷くと、未だほんのりと赤くなったままの顔で更に続ける。
「……糸色さんも、お好きでしたよね?」
「は、はい。好きです」
再びこくこく頷いてから、いや好きって違いますから!あくまでカレーのことですから!と心の中で自分に言い聞かせて
固まっていると、ぱっと女子大生が顔を上げた。嬉しそうに、どこか恥ずかしそうに微笑んで。
「それじゃ、今度作ってお持ちします、カレー」
「あ、はい、ええ、ありが――」
頷きかけてはたと気付く。
297『この心、親もあなたもまだ知らず』:2008/10/05(日) 23:06:48 ID:PjBTKi7N
自分が現在住んでいるのは学校の宿直室。そこに女子大生が登場すれば当然多くの教え子たちの目に触れるわけで。
時折自分を包み込む女生徒たちの只ならぬ雰囲気の中にこの女子大生がぽつんと佇むのを思い浮かべて
いやいやさすがにそれはまずい、とぶんばぶんばと首を振る望の顔を不思議そうに彼女が見上げてくる。
「どうしたんですか?」
「い、いえ……」
眼鏡を直しながら僅かに虚空を見上げて考え――首を傾げる女子大生に視線を戻してこほんと咳払い1つ。
「ええと……今私、学校の宿直室に住んでいるんですよ」
「あら、そうだったんですか?」
住み込みでお仕事なんて大変ですね、と微妙にずれた労わりを返してくるのにええまあ、などと答えながら
「ですから、あの……今度は、交を連れてそちらにお伺いしてもいいですか?」
とおずおずと尋ねると、一瞬驚いたように目を見開いて、すぐにぱあっと微笑んで頷いた。
「ええ、もちろん。是非いらして下さい」
「ほ、本当ですか?」
「はい、狭くて何もない家ですけど、それでも宜しければ」
「そんな、お邪魔させていただけるだけで十分です」
「それじゃ、今週の土曜日なんてどうですか?」
「は、はい。大丈夫……だと思います」
あまりにとんとん拍子に進んでいく会話に、思わず後ろ手で自分の手をつねってみたが確かに痛い。
それでは今目の前で心底嬉しそうに「楽しみにしてます」と笑いかける女子大生が幻なのだろうかと
眼鏡を外して目を手で擦ってみるが、再び眼鏡をかけても彼女の姿は消えていない。固まったままの望の前で
女子大生があら、と慌てたように手首の腕時計に視線を落とす。
「もうこんな時間なんですね、急いで晩御飯にしなくちゃ」
「あ、申し訳ありません、長々とお付き合いさせてしまいまして」
ぺこりと頭を下げると、女子大生もいえいえこちらこそ、と笑いながら頭を下げる。
「それじゃ、失礼します」
「お、お気をつけて」
そう言ってしまってから慌てて
「あ、いえあの、送りましょうか」
と言い直すが、女子大生はくすくす笑うとスーパーの袋を持ち直した。
「大丈夫ですよ、すぐそこですから。糸色さんも気をつけて帰って下さいね」
「は、はい。ありがとうございます」
自分の情けなさにこっそりため息をつきながら「それでは」と改めて頭を下げる。公園の出口に向かって歩き始める
女子大生の後姿を何となく見送っていると、くるりと彼女が振り向いた。
「土曜日、本当に楽しみにしてますからね。約束ですよっ」
それだけ言うとぱっと身を翻して走り去ってしまうのを、何も言えないまま見つめて。
完全に彼女の姿が見えなくなってしまってから、やっと大きく息をつく。
(――土曜日、本当に楽しみにしてますからね――)
298『この心、親もあなたもまだ知らず』:2008/10/05(日) 23:09:20 ID:PjBTKi7N
頭の中で彼女の言葉を繰り返して、真っ赤になった頬を隠すように俯いた。この数分間の出来事がどうしようもなく
自分に都合が良すぎて素直に現実だと信じられない。
それは確かに彼女に嫌われていることはないと思っていたけれど、でも彼女にとって自分は『お隣さん』でしかないと思っていた。
ちょっと料理を作りすぎた時に、たまたま隣にいたとっつきやすい独身男に親切にしてくれただけだと思っていた。
思っていたが。

――『お隣さん』ではなくなってもまだ私の為に料理してくれるなんて、
      しかもわざわざ自分の家でご馳走してくれるなんて、それはまるで――

「いやいやいやっ、持ち上げて落とすというパターンが流行している昨今ですからっ!」
ぶんばぶんばと首を振って浮かび上がりかけた妄想を打ち消そうとする。勝手に有頂天になって後で
二段底、どころか無限底に叩き落される可能性だってアリじゃないか、と言い聞かせながらため息1つ。
――いやいやいやいや、でもこれはさすがに、ちょっと、ほんのちょっとは、期待してもいいのだろうか。
自分にだって、人並みに恋愛する権利くらい、ある――だろうから。
いずれは兄達に、糸色という家に胸を張って彼女を紹介できたらいい、それぐらいは夢見てもいいのだろうか。
(私だって、いつまでも子供じゃないんですから)
とりあえず交に土曜日は何も予定を入れないように伝えておかなければと考えながら、自然と微笑んでいる自分に気がついた。




「……ちょっと意外だったなぁ」
足を止め荒くなった呼吸を何とか整えながら、ぽつりと呟く。走ったせいで汗ばんだ額に前髪が張り付いて気持ち悪い。
手でうっとおしげに髪を払い、ついでに熱くなった頬に手を当ててため息1つ。
人の目を見ないことにかけては定評のある人だと思っていたのに、あんなに真っ直ぐに目を見て力説されるとは。
それは確かに自分は彼に好かれるように計算して振舞ってきたけれど、でも彼は『お隣さん』の立場を貫くかと思っていた。
男として末期だのチキンだのとさんざんからかわれてきたのを見てきたからではないけど、何となく勝手にそう思っていた。
思っていたが。
「うーん、これはちょっと先生の認識を改めないと駄目かも知れないですね」
言いながらくすくすと笑う。自分が想像していた以上に楽しいことになる可能性だってアリじゃないか、と笑いながら頷き1つ。
あんなに必死で熱く語ってくれたし。その割には慌てて変なフォロー入れちゃって台無しにしちゃったけど。
まあ、あそこで勢いのまま突っ走って告白できないところがどうしようもなく先生らしいと言えば先生らしいかな。
(本当に、いつまでも子供みたいな落ち着きのない人なんだから)
とりあえず土曜日までに自宅を『女子大生の家』っぽくしておかなければと考えながら、自然と微笑んでいる自分に気がついた。
299199:2008/10/05(日) 23:14:09 ID:PjBTKi7N
お粗末さまでした。
バツ15といい、載らないから告白といい、公認嫁といい、最近久米田先生による
燃料投下が激しくていいですね。もっとやれ。
300名無しさん@ピンキー:2008/10/05(日) 23:16:17 ID:hHofgTmM
GJです。またも素晴らしい作品ありがとうございましたですよ。
301名無しさん@ピンキー:2008/10/05(日) 23:22:02 ID:2qnY0ior
>>292
その上から目線やってたらレベルとやら関係なしに敬遠されるけどね
絶望SSはここでやらなきゃならないなんて理由はないんだぞ?
足りない部分があると思うんなら、そんな嫌味ったらしくけなさないで具体的に言え
>>280
とりあえず原作読んでキャラの口調をらしくして。。。は、・・・とかのが読みやすいかと
>>299
GJ!先生がかわいいw
302名無しさん@ピンキー:2008/10/06(月) 00:15:50 ID:FtwIq2ee
とりあえずは小説の端くれなんだから、「。。。」なんて変な表記は使わないで、「…」を使おうぜ。
303280:2008/10/06(月) 00:51:41 ID:Wix4lo4/
苦言も勉強になります。ありがとうございます。
チキンな先生でもキレると身内に対してかなり暴言も吐くので
親密な人や支配できる者に対しては内弁慶で良い子ぶってる先生でも
心の中や理性がないときの一人称は俺では? と私の妄想です。
コミックは読んでますが、変体さんなので、妄想ばかり暴走して
いいもの書けず。。。。。 クスンです。すいません。
エロ満載ですが挿入一回でなるべく甘いのを目差しましたが、
297を書きたくて初トライしました。
霧、先生ファンの方、へたくそですいません。。。。
304名無しさん@ピンキー:2008/10/06(月) 00:52:19 ID:nnZYrUOj
p
305280:2008/10/06(月) 00:56:20 ID:Wix4lo4/
すいません。
× 297
○ 297
297さんごめんなさい。
306名無しさん@ピンキー:2008/10/06(月) 00:59:26 ID:Al23arxm
つまらないSS書きは叩いて追い出すのみ
いつでもそうして来たじゃないか
307名無しさん@ピンキー:2008/10/06(月) 01:07:55 ID:FtwIq2ee
追い出すとかそういうのじゃなくて、こうすればより良くなんじゃないか、とか文章ここが変なんじゃない、
と指摘することでレベルが上がっていけばいいんじゃないのか?
その程度の批判さえ嫌だという奴は、こういう場での発表は向いていないと思う。
308名無しさん@ピンキー:2008/10/06(月) 01:14:42 ID:PKsDe30Q
>>306
ここが過疎った原因わかる?叩かれてない人も書かなくなった原因わかる?
お前みたいな馬鹿のせいだよ、追い出されるべきなのもお前
309名無しさん@ピンキー:2008/10/06(月) 02:48:50 ID:fmj817oL
>>299
お久しぶりですGJです
望×可符香の醍醐味は先生が不意打ちかます瞬間です

>>303
じゃあちょっと、以前文書くのが苦手なりにやってた自分が少しアドバイス
私が俺になったりとか、そういう心情の変化ってキャラものでラブラブ書くときって大事だと思うんですよ
だからそういう瞬間は逃さず、見てるほうにわかるように書いておいたら良いかな
凝った表現しなきゃ状況の描写よりは文章力要りませんし
というか、最初はうまいと思う人の書き方をかける範囲でパクるのが良い
あと、強制じゃないけどメール欄にはsageと入れておくのが無難
310名無しさん@ピンキー:2008/10/06(月) 08:04:18 ID:ziiKBDFp
やっぱり199さんの望×可符は素晴らしい
超GJでした。また待ってます
311303:2008/10/06(月) 16:12:00 ID:K2QnWgP4
>>309アドバイスありがとうございます。
夏休みにマンガを読んで先生のファンになり検索でここを見つけました。
SSってどんな意味ですか? SageとはE-mailの欄に入力すればいいですか?
「・・・」は息をのんでるか止めてる感じで
「。。。」は無言でも吐息を吐いている感じで入力分けしてます。
あと、文章はメールでしか打たないから絵文字の代わりに☆とか使ってしまって、
不快な方、すいません。他にも気になることがあればまた教えてください。
次回もし書くことがあれば気をつけますのでよろしくお願いします。
312名無しさん@ピンキー:2008/10/06(月) 16:42:53 ID:14z5ghp6
うひゃひゃ、1か月前までの過疎が嘘のような最近の賑わい
楽しいのう楽しいのう
313名無しさん@ピンキー:2008/10/06(月) 17:21:52 ID:NvQb4lS2
ttp://gorq.pya.jp/gallary%20text/manga.html
これ見て繰り返しニヤマリしてる。
314名無しさん@ピンキー:2008/10/06(月) 18:15:30 ID:4bK7su/C
>>311
夏休み…念のために言っておくがここは18歳未満立ち入り禁止だからな。
SSは「ショートストーリー」あるいは「サイドストーリー」の略。一般的に
二次創作文章のことだが完全オリジナル作品のこともSSと呼ぶ。
この板では基本的に小説のことだと思ってくれればいい。

あと「…」「。。。」
自分では入力分けてるつもりでも、読んでる立場からしたら読みづらいことこの上ない。
「。。。」が入ってるだけで拒否反応でる人間もいるくらい
一般的な入力ではないってことぐらい覚えておいた方がいい。
315名無しさん@ピンキー:2008/10/06(月) 18:33:58 ID:ziiKBDFp
ヒント:大学生
316名無しさん@ピンキー:2008/10/06(月) 20:36:11 ID:43xiOVe/
大学生で「メソッ」「変体さん」「クスン」だったら
それはそれでw

とりあえず他の人が言ってる通り、キャラの口調とかをもっと原作風味に
してほしいかな。二次で口調違いとかキャラ違いは致命的だし。

そして「変体」の不自然さに今やっと気付いた自分の脳細胞に
絶望した。SS書き見習いとして終わっとる。
317名無しさん@ピンキー:2008/10/06(月) 20:49:54 ID:NvQb4lS2
>>316
いや、慣れないで書いてるんなら、ある程度仕方ないと思う。
練習が必要な事は確かだけれど。
318名無しさん@ピンキー:2008/10/06(月) 21:34:10 ID:fmj817oL
>>311
Email欄に半角小文字でsageと入力
一般的に・・・は沈黙を表すけど 。は文の終わりを示すものだから。。。を無言と取ってもらうのは厳しい
誰かに読ませるんだから、伝わらないと意味が無いですから

あと、匿名掲示板ってのはそう優しい場所でもないんですよ、基本言い逃げですから
教えて、って言ってもウザがられるのが常なんで
ちょっと冷たい言い方ですが、しばらくの間は見る側に徹してどういうところなのか理解するのが必要じゃないかと
319真昼:2008/10/06(月) 22:03:24 ID:Qd26rOs/
短いのを書き逃げさせていただきますー。箸安めにでもなれば。
望×可符香、というか隣の女子大生。エロス無しですー。
320花 01:2008/10/06(月) 22:04:24 ID:Qd26rOs/

嫉妬とか、不幸なすれ違いによる誤解とか。
ヤンデレだとかドロドロの愛憎劇とか。
「マジもう勘弁して下さい、ホントに」
「責任の一端は、確実にお前にもあると思うが?」
「私は被害者です!」
望はグッタリと横たわらせていた身体を、跳ねる様に起こしながら叫んだ。
ここは病室。望は全治1ヶ月程の怪我を負い、入院中であった。
あつらえたように彼が運ばれた先は、兄の運営する糸色医院。
普通はあれだけの大怪我を負えばもっと大きな病院にまわされるだろうに、
何故にこうも毎度毎度、この自分ソックリの兄の世話になっているのだろう。
きっと両親が手を回しているに違いない。そうした方がこの兄も含め、きっと子供達や嫌がるだろうからと。
子供の不幸を娯楽にするとは、何たる親かと毎度思う。
半眼でこちらを見返す兄を、眦を吊り上げて睨み返しつつ、
「スコップで頭部を一発、刃物で腹部、胸部を深々とぶっ刺されたんですよ?何度も!
どこからどう見ても被害者でしょう!ホラ、こんなに包帯まみれ!」
「というか、医者から言わせてもらえば何でお前は生きてるんだ、毎度の事ながら」
ギャグ漫画のお約束全否定な台詞で返しつつ、
ホラホラと自らの二の腕に巻かれた、真っ白な布を強調するように腕をブン回す弟を無視し、命はゆっくりと椅子から立ち上がった。
見下ろすように弟に一瞥をくれると、白衣を翻すように背を向ける。
「私は仕事に戻る。まぁ死なんとはいえ怪我人なんだから、大人しくしてなさい」
「どうせ私意外に患者なんて居ないクセに」
「……注射してやろうか。血管に空気でも」
ユラリと幽鬼のように肩越しに振り返る命の手には、小ぶりの注射器が握られていた。
中身は空である。
「ひ、人殺しぃ!!」
やおら顔色を青くしてシーツに潜り込む望に、人の悪い笑みを返す命。
「死にたいんだろう?」
「殺されたいわけじゃないんです!」
「なんだそれは」
わりと本気で怯えている弟に苦笑で返し、使う気などさらさら無かった注射器をしまう。
「お大事に」
事務的な一言を残し、兄はアッサリと部屋を後にした。

「……」
ドアが閉まる音を確認すると、望は恐る恐るシーツから顔を出した。
部屋が無人の静寂に包まれている安心感に、深々と息を吐く。
「はぁ〜…、久しぶりに一人になれた気がします」
枕に深く後頭部を埋めながら、真っ白な天井に語りかけるように呟いた。
――問題児ばかりが集まったクラスで、毎日毎日何かしら騒動が起こる日々。
ぶっちゃけその騒動の半分くらいは、望自身の手で引き起こしているのだが、
彼は自分を、一方的に生徒達に巻き込まれている被害者なのだと信じて疑わない。
確かにもう半分くらいは、生徒達の方に責任があるのも事実なのだが。
「まったく……、何が間違ってこうなってしまったのやら……」
まだ少し痛む腹の傷を擦りつつぼやく。
ちなみに、今回の怪我の発端は毎度の事、痴情のもつれというやつである。
何がどうなってそうなったのか知らないが、いつの間にやらバトっていた千里とまといの巻き添えを食らってしまったのだ。
乙女の愛らしい恋心も、行き過ぎれば狂気となる。
「嫉妬とか、ホント……。理解し難いですよ」
彼女らの凶行は、若さ故のやんちゃだとしても少々やり過ぎだと思う。
その責任が自分にある事など歯牙にもかけず、うんうんと一人で頷く望。

「絶望した! ヤンデレが蔓延る世の中に絶望した!」 
ぐわばっ!と決め顔で叫んでみるものの。

「……」
返ってくるのは痛いほどの静寂のみ。
これが普通の病院なら、廊下から人の気配くらいしそうなものだが、
生憎とココは糸色医院。さっき自分が言ったように、患者など居るわけがない。
321花 02:2008/10/06(月) 22:05:08 ID:Qd26rOs/

看護師さんも必要最低限の数だけ導入されているようで、「やかましい」と注意しにくる人すらおらず。
「……あぁいや、別に。寂しいとかそんなんじゃないですから」
ゴニョゴニョと口の中で呟くその言葉は、どう聞いても負け惜しみだった。
しばらく窓から外の景色を眺めていたが、すぐにそれにも飽きてくる。
見えるものと言えば、病院前に生えている木の、秋色に染まり始めた葉達くらいだ。
気だるげに寝返りをうち、外の景色から背を向ける。いっそ眠ろうと目を閉じるものの、
ずっと休息していた身体はこれ以上の眠りを必要としていない。
……内心で見舞いを期待しながらも、退屈がっている自分を認めたくない一心で、平常心を装う。
そもそも一人なのに、誰に対して装っているというのかと。
「……こぉおっぱず〜か〜しぃ〜…、こぉとばぁ〜か〜りぃ〜…♪」
とうとう小さく鼻歌まで歌いだした頃、そのノックはやってきた。
コンコン。
ささやかなその音は、静寂に満ちた部屋の中に波紋を広げるように響いた。
眠れないまま閉じていた瞳をパッと開いて、反射的に身を起こす望。
「は、はいッ。どうぞ」
相手が誰かもわからないまま、待ちわびた来訪者を迎え入れる。
裏返った返事に、苦笑するような声が聞こえた。
その声音が心地良く耳朶を擽るもので、自覚なく望の頬は紅潮した。

「失礼します」
落ち着いた声でそう言って、彼女はゆっくりとドアを開いた。

まず目に入ったのは、鮮血のような赤だった。

それが彼女の手に持った花束に咲く、いくつもの薔薇だとすぐに気付く。
ブーケの端から顔を出すようにこちらを覗くその顔は、
夢にも思えないほどに、焦がれすぎた女性の顔だった。
「お久しぶりです、糸色さん」
「……ジョ、ジョシダイセイサン……」
日本語覚えたての外人でも、もうちょっと流暢に喋るだろう程のぎこちなさで答えつつ、ガバリと勢いよく半身を起こす。
ベッド脇に備え付けてある棚に花束を置くと、彼女はさっきまで兄の座っていた椅子に腰掛けて、ニコリと笑った。
「あら糸色さん、改造でもされちゃったんですか?」
「あ、え、はい?」
小さく小首を傾げて、笑顔のまま不可解な事を言う彼女にしどろもどろになる。
「糸色さんのお兄さんって凄いんですね。改造手術まで出来るんですか」
「し、失礼ですが……、何のお話を?」
首を傾げる望に、少し驚いたように目を丸くする彼女。
「あ、普通に喋れるんですね。
何だかカタコトでお話されるから、ロボットにでもされちゃったのかと」
「……あー」
どうやら望の第一声が、彼女にはロボか何かの棒読みな日本語に聞こえたようだ。
「あぁでも、どりゃえモんとかは流暢にお喋りできますものね」
「ロボから離れて下さい。私はちゃんと人間ですから」
「そうなんですか……」
答えた彼女の声音が、どこか残念そうなのは気のせいだろうか。
「と、ともかく。わざわざ来て下さってありがとうございます。こんな花まで」
鮮やかな薔薇を目に留めて言うと、彼女は嬉しそうに微笑んだ。
「元、とはいえ。仲良しのお隣さんが入院されたんですもの、お見舞いなんて当然です」
望の視線を辿るように、黒目がちな瞳に真紅を映しながら、彼女はポツリと呟いた。

「……実は少し、不安だったんです」

「え?」
そんなに心配させたかと、薔薇から隣の女子大生に視線を移す望。
望の方を見ないようにするように、彼女はただ薔薇を見つめながら、
「糸色さんのお家が燃えてしまって、それ以来……あまり、お会いする機会も無くなって。
忘れられているんじゃないかと、今日も実は、来るのが怖かったくらいで」
笑みを浮かべたまま、寂しそうに呟くその姿は儚げだった。
322花 03:2008/10/06(月) 22:06:44 ID:Qd26rOs/

「そ、そそそそんなわけないじゃないですかッ!」
思ってもいなかった彼女の告白に言葉を詰まらせながらも、反射的に叫ぶように言った。
「むしろ私の方がそう思ってたくらいで、というかもう口実探しに必死だったといいますか!
でもたかが私なんかが馴れ馴れしくして、もしも『この勘違い男、ちょー気持ち悪ーいッ!』
……何て思われたらホントに首吊っちゃいそうだったんで、その――アウチッ!」
勢いにまかせて捲くしたてようとするも、叫んだ拍子に疼いた傷が、言い訳の時に限り不必要によくまわる口を閉ざす。
「せ、先生大丈夫ですかッ?『アウチッ!』だなんて、まさか外人さんに改造をッ?」
「か、改造から離れて下さい……、私なら、大丈夫です……ッ」
そもそも外人に改造って何だろう、などと内心でツッコミつつ、反射的に前のめりになった身体をゆっくりと元に戻す。
「もし身体に障るなら、私はこれで……」
「ほ、本当に平気ですからッ」
帰られてなるものかと、必死に笑顔を作りながら彼女の服の袖を掴んだ。我ながら必死だと思う。
「――それじゃあ、せめてちゃんと横になって下さい」
腰を浮かせていた彼女は、そのまま立ち上がって、半身を起こした望の肩に手をかけた。
僅かに力を込めて、ゆっくりと望の身体をベッドに横たえた。
それに逆らわず身を横たえながらも、まるで彼女に押し倒されているかのようなシチュエーションに、思わず後ろめたい事を考えてしまう。
「糸色さん、お顔が赤いですよ?」
そんな内心の煩悩を知ってか知らずか、彼女は望の両肩に手をかけたまま、わずかに顔を寄せてくる。
一つに纏めた髪が肩から流れ、ほんのりとシャンプーの匂いが香る。まさに女の子の香り、といった感じだ。
「いいいいやその、ほら、薔薇が赤いからですよ!」
「そうですか……。薔薇が赤いなら仕方ないですね」
我ながらあんまりな言い訳に、何故だか彼女は同意して、ゆっくりと望から身体を放した。
遠ざかる人肌に安堵と寂しさを覚える。が、あれ以上近づかれたら色々と危険である。主に下半身的な意味で。
そうだ。あながち、あの言い訳は間違っていないかもしれない。
闘牛の気分だ。あんなに鮮やかな赤を見せられては、気分も高揚しやすくなる。
椅子に腰掛けなおす彼女をとても直視できず、外の景色を見ながらそんな事を思う。
そもそも薔薇は見舞いには縁起の面で良くない花なのだが、若いという事もあって彼女は知らなかったのだろう。
(……えーっと……)
唐突に途切れた会話に居心地の悪さを覚えて、必死に話題を探していると、
「薔薇、お好きですか?」
望が困っているのを察したのか、彼女の方から話題をふってくれた。
「は、はいッ。とても!」
ようやく外の景色から彼女に視線を戻して、全力で頷く。
別に好きでも嫌いでも―――むしろもう少し落ち着いた色の花が好きなのだが、気のある女性に贈られた花が美しく見えないわけがない。
今この瞬間から、糸色望の好きな花は薔薇である。それも、真っ赤な。

「良かった」
彼女はただ一言、仄かに笑いながらそう言った。

――彼女には、輪郭のない、存在がぼやけたような儚さを感じる事が、ままある。

「……でも」
「はい?」
「貴女に薔薇は似合いませんね」
気付けば、意識しないままにそんな事をのたまっていた。
キョトンとする彼女。望も自分で、何故こんな事を言ってしまったのかと一瞬硬直してしまった。
「あ、あああ、いやあの!違うんです、悪い意味じゃないんです!ただその、
貴女にはもうちょっと淡い色の花の方が似合うんじゃないかなぁーとか!思いまして!」
大慌てで訂正しようと再度口を開くも、言い訳にすらなっていない。
「例えば?」
「え」
323花 04:2008/10/06(月) 22:10:44 ID:Qd26rOs/

ワタワタと冷や汗をかいている望とは裏腹に、彼女は興味深そうにこちらをのぞき込んできた。
「例えば――私には、どんな花が似合います?」
「……えーっと」
笑みでも無く、無表情でもない、不思議な表情をした彼女は、じっと望の答えを待った。
自分の中の彼女のイメージを確かにする為に、望はじっと彼女を凝視する。
長く黒い、作り物のように美しい髪。女性の面差しの中に、やや少女の影を残す顔立ち。
――最も惹き付けられたのは、黒目がちな、吸い込まれそうな瞳だった。


『桃色係長、でも全然身長低くないじゃないですか』
いつか。
いつかどこかで、この瞳に魅せられたことがある気がした。


「―――桜」

「え?」
「……えぇっと……、うん。――貴女には、桜が似合うと思います」
ポツリと唇から零れた花の名は、淡い桃色の花弁をつける、春の訪れの名だった。
頷いた彼女は、ただ唇の動きだけで。
――――良かった。
そう呟いた。

「じゃあ、私が入院した時は、桜を持って来て下さいね」
一瞬浮かべた、すぐにも壊れそうなほど脆い表情を覆い隠すように笑って、
取り繕うように言う彼女に、自然と望は合わせるように笑った。
「まず貴女が、入院なんてしないように祈りますよ」
「そうですね。先生も、早く良くなって下さいね。寂しいですから」
口元に手を当ててコロコロと笑うと、彼女は軽い動作で立ち上がった。
「それでは、私はそろそろおいとましますね?」
「そうですか……。今日は、ありがとうございました」
引き止める言葉を吐きそうな口を必死に律して、礼だけ言った。
今日はこうして別れるのが、一番良い気がしたのだ。
「ええ。私も、ありがとうございました。嬉しかったです」
ペコリと頭を下げると、彼女は後ろ髪も引かずに背を向けて、アッサリと部屋を後にした。
324花 05:2008/10/06(月) 22:11:47 ID:Qd26rOs/

「………」
彼女の仄かな香りだけが残る部屋に、静寂が舞い戻る。
だが、胸に燻ぶる得体の知れないモノを静める為に、その静寂は好都合だった。
深く息を吐きながら、赤い薔薇から目を逸らすように、窓の外を見た。
くすんだ秋色の葉。それよりも下に、しばらくすると彼女の帰る姿が現れた。
その姿を追う様に、ほとんど無意識にベッドから降りる。傷の痛みなど少しも感じなかった。
窓辺に立って、揺れる彼女の後ろ髪を眺める。と、
「……ん?」
彼女の歩が止まる。振り返った彼女は、だがこちらを見るのではなく。
「―――兄さん?」
呼び止めたのは望の兄、命だったようだ。
二人は何事か会話している。双方の顔には、笑顔が浮かんでいた。
「――――………」

サクリと。
まるで刺すように、得体の知れないモノが胸の奥で生まれた。

二人は少しだけ立ち話をして、すぐに離れた。
特に何も無い。兄が弟の知り合いに挨拶しただけの事。ただ会話しただけ。ただそれだけだ。
―――それなのに、何故だか二人が何を話したのか、無性に気になった。
「……何を」
自分の中で生まれた感情が何なのか認めたくなくて、強く意識して笑みを浮かべた。
たどたどしい足取りでベッドに戻る。自然と、彼女のくれた薔薇が目に映った。

ヤンデレとか嫉妬とか、不幸なすれ違いによる誤解とか。
そんな不毛なこと、愚かしいと思う。わかりたくなんてない。
憎しみに変るような愛は、そもそも愛だと思わない。
独占欲を押し付けるだけの関係を、恋人だなんて認めない。
だから。

この胸に生まれた感情が、赤く熟れすぎるその前に。

「……もっと、話をしましょう。
今度は、目を逸らしませんから……たぶん」


きっと気付いた今日の事。
いつか見た、桜の下での貴女の事を。

325真昼:2008/10/06(月) 22:12:41 ID:Qd26rOs/
以上で投下終了です。
それではー。
326名無しさん@ピンキー:2008/10/06(月) 22:17:15 ID:ziiKBDFp
真昼さんきたーーーーーー


今日は女子大生(可符香)祭りで嬉しい限り
199さんと真昼さんは中でも別格の可符香書きさんだと思う
真昼氏超GJでした。またお願いします
327名無しさん@ピンキー:2008/10/06(月) 23:19:14 ID:NvQb4lS2
あ、あ、あ、ありがとぉーっ!!!GJでした。
328名無しさん@ピンキー:2008/10/07(火) 03:28:42 ID:O7ymBf+5
Gj!!!いいよー素敵だよー
329名無しさん@ピンキー:2008/10/07(火) 06:44:03 ID:gjSQm8K+
女子大生すばらしすぎる! GJ!!
330名無しさん@ピンキー:2008/10/07(火) 09:40:54 ID:AuhBztLT
まさかまた真昼さんに会えると思わなかった
うれし涙でPCの画面が見えないぜ
331266:2008/10/07(火) 12:16:27 ID:JUyJOdhZ
投下します。
可符香で陵辱です。描写力皆無なのに長ったらしい、いかんともしがたい作品ですが。
332266:2008/10/07(火) 12:19:04 ID:JUyJOdhZ
今日も今日とて2のへは相も変わらずの大騒ぎ。なんとか一日の仕事を終えたクラス担任、糸色望はぐったりと教卓に上半身を預けて、深いため息をひとつ。
「今日もやっと終わりました。なんでこう私にばっかり被害がきちゃうんでしょうか」
確かに、2のへの生徒たちが巻き起こす騒動でたいてい一番大きな被害を被るのは先生なのだが、そもそもが彼の思いつきの発言に端を発している事ばかりなので、あまり悲惨という感じもしない。
まあ、ほとんどの生徒が教室から出て行ってしまい、つっこむ人間も不在であるため、先生はこれでもかというほど自分をかわいそがる。
「絶望したっ!!絶望しましたっ!!!過酷な労働環境、荒れ果てた教育の現場に身一つで立ち向かうこの状況、まさに絶望以外のなんでもありませんっ!!!!」
大仰にポーズをとって一人ぼっちの教室で叫ぶ姿は教師というよりはむしろ、駄々っ子か何かのようであったけれど、生徒たちの目線がないのを良いことに先生のテンションはどんどん上がっていく。
ところが……
「そもそもこのクラス、やっぱり特殊な生徒が多すぎるんですよっ!!しかもいつの間にか私を中心に女生徒たちの間の人間関係が複雑化してるしっ……」
「ふんふん、やっぱり先生は大変なんですねぇ……」
耳元で突然聞こえた声に、先生は心臓がひっくりかえらんばかりに驚いた。
「ほ、ほぉわぁああああっ!!!?」
振り返った先に見たのは、毎度毎度事態を致命的な方向に持っていく超ポジティブ少女・風浦可符香の笑顔だった。
「あ、あなた、どうしてここに…っ!?」
「忘れ物を取りに来ただけですよ。そんなに驚かなくてもいいじゃないですか?」
なんて彼女は言っているが、こちらが気付くまでこっそりと話を聞いていたあたり、やっぱりどうにも彼女は人が悪い。
「そ、そうですか。なら、早く見つけて帰りなさい。最近はすっかり日が落ちるのも早くなりましたから……」
冷静になってみれば単なる愚痴を叫んでいただけの先生は、それだけ早口で言ってしまうと、顔を赤くしてそっぽを向いた。
しかし、一方の彼女はさきほどまでの話題から話を変える気はないようだ。
「やっぱり先生は素晴らしい教師ですね。苦境にもめげず身を粉にして生徒のために働いて……。まさに教師の鑑ですよ!!」
「あの、ちゃんと私の話聞いてますか?」
瞳をキラキラと輝かせて語る可符香だったが、そこで少し声の調子を落とした。そして、先生にこう尋ねた。
「それだけ大変だと、やっぱり時々くらいは先生を辞めたくなったりしますか?」
その言葉がなぜだか妙に真剣な感じに聞こえて、先生は少し考える。しばしの間を置いて出てきた答えは彼自身にとっても意外なもの
「……ないですね、それは」
あっさりと言い切られたのが彼女にとっても意外だったのか、可符香もきょとんとした表情をしている。
まあ、何事かある度に先生が事態の中心から逃げ出そうとするのはいつもの事だったし、いつぞやは『絶望先生』の座を生徒に襲名させてまで逃げ出したりもした。
それでもなんだかんだで戻ってきては、結局このクラスの担任を続けている。改めて考えてみると不思議なような気がするが、その理由は何となく先生自身にもわかるような気がした。
「……大変な事は認めますけど、楽しいんですよ。あなた達と一緒にいられるのが」
それから自分の言った事が急に恥ずかしくなったのか、先生は可符香の方に話を振った。
「そ、そういうあなたこそどうなんですか?毎日、学校楽しいですか?」
「え、えっとそれは…」
先生の言葉に気を取られていたせいか、可符香は珍しく言葉に詰まった。
「…私も、楽しいです」
333266:2008/10/07(火) 12:19:59 ID:JUyJOdhZ
いつもの饒舌な調子とは違う、ごく素直な感想が言葉になって出てきた。それから、誤魔化すように笑顔を浮かべた可符香に、先生がもう一言
「それに、あなたの笑顔を見るのも嫌いじゃないですしね」
思えば、彼のこの学校での生活は、あの日あの桜の下で出会った彼女の笑顔から始まった。
なにかと陰謀めいた事をめぐらせては、平然と笑顔でいる彼女。どうやら複雑な家庭の事情を持っているらしい事も、先生は知っていた。
だけど、普段教室で目にする彼女の笑顔が、それらを裏に隠した偽りの仮面であるとも、先生には思えなかった。
少なくとも、みんなといられる時間が楽しいから、それが彼女の笑顔の理由であると先生は何となく思っていた。
ただまあ、それを口にしてしまったのは、普段の先生自身からすれば全くらしくない事だったけれど。
「そ、そうですか……先生がそう思ってくれてたのは……良かったです」
「い、いえ、どういたしまして……」
お互い、普段にらしくない事を言ってしまって、先生と可符香は顔を赤くしてドギマギする。
可符香はいそいそと忘れ物のノートをカバンの中に収め、教室から立ち去ろうとする。先生はその背中に向けて一言声をかける。
「帰り道には気を付けてくださいね。もう大分暗くなりましたから」
「はい」
そして、立ち止まり先生に答えた可符香に
「それじゃあ、また明日も元気で来てください」
「はい、先生も、また明日」
笑顔でそう言って、可符香は教室を出て行った。
『また明日』、思えば当たり前の事なのに、明日もまた彼女とそして彼の生徒たちとの一日が始まるであろう事が妙に嬉しくて、いつもより少しだけ足取り軽く先生は教室を後にした。

夕日がアスファルトの路面に落とした、自分自身の長い影を追いかけながら家路を急ぐ。はずむ息とすこし熱くなっている頬は、たぶんさっき先生に言われた言葉のせいだ。
『あなたの笑顔を見るのも嫌いじゃないですしね』
その言葉を頭の中に繰り返す。『笑顔』は彼女、可符香にとっては鎧のようなものだった。身の回りに降りかかる理不尽と不幸を遮り、生き抜いていくための鎧。
ずっとその筈だった。だけど、数多くの友人たちと出会い、その中で笑い続けている内に、仮面でしかないはずの笑顔は少しずつ変化をしていった。
そして、あの春の日、あの桜の下で出会ったこれ以上ないくらい人騒がせなあの先生との日々、それが決定的な変化をもたらした。そんな風に思える。
「そっか、今の私は、笑えてるんだ……」
泣いたり、怒ったり、マイナスの感情を表現するのはまだ無理かもしれない。だけど少なくとも、みんなと、先生といる時浮かべているのはきっと嘘の笑顔じゃないはずだから。
不思議と浮き立つ心に、足取りはさらに軽くなる。『また明日』、次の一日が始まるのが待ち遠しくて、その事ばかりを考えながら家路へと急ぐ。
だから、彼女は気付いていなかった。彼女の行く道の先、静かにエンジン音を響かせながら停車している一台の大型乗用車の存在に。
それに気がついたのは、彼女が車の手前までやって来て、突然そのドアが開いた時だった。
「やあ、久しぶりじゃないか…」
車から降りてきた一人の男。白いジャケットに赤いシャツ、そしてテラテラと脂ぎったオールバックの組み合わせがどうしようもなく下品なその男に、可符香の忘れていた記憶が揺さぶられた。
「元気にしてたかい?杏ちゃん……」

その翌日、風浦可符香が学校に姿を現すことはなかった。

淡々と続けられる授業、途中相変わらずの馬鹿騒ぎを差し挟みながらも、なんだかんだで時間は過ぎていく。だが、そこに残る致命的な違和感。
『はい、先生も、また明日』
笑顔で答えた少女の顔が脳裏から離れない。今日、学校を休む事に対して彼女からは何の連絡もなかった。その事が昨日の彼女の態度とどう考えてもそぐわない。
もしかしたら、連絡が取れないほどに体調を崩しているのかもしれない。そうも考えたが、何かそれ以上に大変な事が起こっているのではないかという胸騒ぎがする。
「先生、ずっと難しい顔してますね」
教卓の下からまといが話しかけてきた。
334266:2008/10/07(火) 12:21:19 ID:JUyJOdhZ
「み、見てたんですか?」
「ずっと、ていうか昨日の時点から見てました」
まといもいないと思って愚痴をわめき散らしていたのに、まさか見られていたとは……
「先生はひどいです。私というものがありながら、気ままに女性をたぶらかすなんて……」
「たぶらかしてなんかいませんよ……」
「いいんです。私はどんな事があっても、先生に付き従って尽くしていくだけですから……でも」
と、そこでまといの表情が硬くなる。
「私もおかしいと思います。風浦さんのこと。一人暮らしだって聞いてますし、もし何かあって、助けも呼べずにいるんだったら……」
「そうですね……」
まといの言葉に先生もうなずく。折りしも4限の終了を告げるチャイムが鳴ったばかりだ。昼休憩の間に可符香の家まで行ってみるべきだろう。
「それじゃあ、戻れなくなった時には他の先生方への説明をお願いできますか、常月さん」
「……う、わかりました、先生の頼みですから…」
「ありがとうございます。それじゃあ…」
教室を後に、先生は走り出す。途中、宿直室に授業道具を置いて、後はそのまま一直線にいつぞやの過程訪問の地図の記憶をたよりに、可符香の家へと急ぐ。
元々体力のない先生の息はあっという間に上がってしまったが、それも気にせずひたすらに走る。胸の奥に滞るどうしようもなく嫌な感じが、先生に足を休ませなかった。
やがて、道の先に彼女の家と思しき建物を見つけたとき、まず気がついたのはその前に停められた大型の乗用車だった。外国製の、それもかなり値が張る代物だ。
ごく普通の住宅街であるこの場にはあまりにもそぐわない物、明らかな異物、額から吹き出る嫌な汗を拭いながら、走る先生の目の前で彼女の家の扉が開いた。
そこから出てきたのは
「さあ、行こうか杏ちゃん」
赤シャツ白ジャケットの、オーツバックの男を中心とした、あきらかにカタギの人間とは思えない集団。そして彼らに囲まれ、俯いて歩く風浦可符香の姿だった。
「風浦さんっ!!!」
思わず叫んでいた。オールバック男が振り返り、怪訝な表情を浮かべる。
「何だァ?」
「せ、先生っ!!」
顔を上げて叫んだ可符香の顔には、いつもの明朗さは欠片もなかった。いつも騒ぎの中心で超然としている彼女が、今はまるで怯える小動物のようだ。
「ああ、先生ですか?学校の?いや、これは良い所でお会いしましたね」
何が可笑しいのか、ニヤニヤと笑いながらオールバック男が言った。相手の尋常ではない雰囲気に気圧されながらも、先生は彼をにらみ返しながら問いかける。
「あなたは、どこのどなたですか?ウチの生徒に何か御用でも?」
「いやいや、そう恐い顔をなさらないでください。まあ、何も説明がなければ、何事かとお思いにはなるでしょうが……」
男はニヤニヤ笑いを崩さぬまま、馬鹿丁寧に先生に頭を下げる。
「私達は、彼女の、赤木杏さんのご親族に縁のある者でして、私名前を如月判人と言います」
そして、如月は可符香の肩をぐいと抱き寄せ
「今日は彼女を迎えにきたんですよ」
「なっ!?」
言葉を失う先生に、如月と名乗った男は懐から一枚の紙を取り出し、見せ付けた。
「いつの時代も、世の中は世知辛いもんです。彼女の父親がたった一度ついたハンコが、めぐりめぐって莫大な借金を彼女に負わせることになるなんて、これはもうホント噴飯物ですよ」
先生は彼女の家庭事情を思い出す。莫大な借金のために自殺してしまった父母、両親以外の親族も次々に不幸に襲われ、彼女は一人きりになった。
「だから、私達は彼女にとって僅かにでも助けになればと、働き口を斡旋しにきたんですよ。普通に働いてどうにかなる額じゃありませんからね。特別なのを用意してあげました」
それだけ聞けば、もうマトモな事態でない事は明らかだった。
「そ、そんな事が許されると……っ!!」
「ああ、言っておきますけど、彼女は既に同意していますから…」
335266:2008/10/07(火) 12:21:58 ID:JUyJOdhZ
「えっ!?」
その言葉の意味が一瞬理解できず、先生は可符香の方を呆然と見つめた。
「嫌だなぁ、先生、そんな顔しないでください」
その笑顔は、今にもボロボロと崩れてしまいそうで、昨日自分の前で浮かべたものと同じ表情とはどうしても思えなくて……
「大丈夫です。ぜんぜん平気ですから、心配しないでください。みんなと一緒に卒業できなかったのは、少し残念だけど……」
彼女の言葉を継いで、如月が続ける。
「そうだなぁ、一度しかない高校生活を全うさせてあげられなかったのは、杏ちゃんには可哀想だったかなァ。まあ、でも本音を言うと、そこまで待ってると商品価値が大暴落しちゃうしねェ……」
その言葉が引き金になった。
「うああああああああああああああああっ!!!!!」
弾かれるように走り出した先生を見て、如月はうんざりとした表情で首を振る。
「それは良くない。実に良くないよ、先生」
走る先生の進路上に、如月の部下らしき男の一人が立ちふさがる。殴りかかろうとした先生の腕を受け止め、そのまま力ずくに投げ飛ばした。
「がはっ!!?」
わざと受身を取らせぬよう地面に叩きつけられ、先生の呼吸が一瞬止まる。そして地面を無様にのたうちまわる先生の鳩尾に、男のこぶしが強烈な一撃を叩き込んだ。
もはや声も出せない先生を一瞥し、可符香の肩を抱いた如月は乗用車に乗り込む。
「それじゃあ、ご面倒だとは思いますが、杏ちゃんの退学の手続きの方だけよろしくお願いします、先生」
車のドアが閉まる前の一瞬、可符香は先生の方を向いてもう一度微笑んだ。やがて車が走り去っても、地面に這い蹲る先生のまぶたの裏から、その笑顔が消えてくれる事はなかった。

薄汚れた天井をぼんやりと見つめている。照明は薄暗く、カーテンに隠された窓の向こうは隣の建物の壁があるばかりで、部屋はまるで夕闇の中にあるようだ。
調度品といえる物はほとんど存在せず、くすんだ色の壁に囲まれた部屋の真ん中には、これもまた薄汚れたベッドが一つあるばかりだった。
そのベッドの縁に腰掛けて、風浦可符香はただ天井ばかりを見つめ続けている。
ここは如月たちの所有する事務所の一室だった。外には二人ばかりの見張りがいて、女一人での脱出が可能であるとは思えなかった。
「………先生」
ぽつり、呟いた。
これから自分に待ち受けている運命は、如月の説明でイヤというほど理解していたが、今はあまり気にならなかった。
ただ、地面に這いつくばっても、自分の方を見つめ続けていた先生の、その悲しげな瞳ばかりが思い出されて、他に何を考える気にもならない。
それにきっと、暫くすれば、そんな事を思い浮かべる余裕すら自分から奪われるだろう。今だけは、この気だるい思考に心を任せていたかった。
「やあ、杏ちゃん、入るよっ!!」
それからいくらも経たない内に、数人の男達を引き連れて如月がやって来た。声ばかりは陽気だが、その裏に忍ばせた威圧的な空気は、可符香を不安にさせた。
「さて、もう話したと思うけど、今回は依頼人の要望でね。少しばかり練習をしていく事になってる。初任者研修みたいなものだと思ってくれればいい」
それから如月は、ベッドのすぐ脇にビデオカメラをセットした。
「これも依頼人のリクエストでね。恥ずかしいと思うけど、ごめんね。まあ、何につけ仕事ってのは一にも二にも忍耐だからね。我慢してほしい」
「……はい」
「うん、いい返事だよ、杏ちゃん」
如月の連れて来た男達が衣服を脱ぎ始める。そして、下着一つになった男二人が可符香の両側から近づいてきた。男達が手を伸ばし、とっさに引っ込めそうになった可符香の腕をつかむ。
そのまま、可符香の両サイドに座った男達が乱暴に体をまさぐり始めた。
「…っく……あぁ…痛っ…」
336266:2008/10/07(火) 12:22:41 ID:JUyJOdhZ
服の上から乳房を、乳首を、千切れそうなほどの力でいじり回される。痛みに悲鳴を上げた口を、今度は男の汚らしい唇に塞がれる。
「…んっ…んうぅっ!!…んんっ…ん―――っっっ!!!」
左右の男達から、呼吸をする暇さえ与えられず唇を犯される。酸素不足で朦朧とする頭を、到底愛撫とは言えない男達の乱暴な行為で揺さぶられる。
苦痛のために思考力を奪われ、抵抗する力をなくす体。その一番大事な部分に、今度は3人目の男の指先が伸びる。
「んんーっ!!?…んっ…ぷあ…あぁ…いやあああああああっ!!!」
男の指先は何の遠慮もなく、可符香の秘所の奥深くまで侵入してきた。強引なキスから開放された瞬間に、可符香は大きな悲鳴を上げ、抵抗するように手足をジタバタとさせた。
だが、拘束はまったく緩むことなく、可符香の秘所は男の指によって思うさまに蹂躙される。さらに男は可符香のショーツをゆっくりとずらし
「…あぁ…いや……」
その舌で、彼女の秘所にしゃぶりついた。見知らぬ男の舌が割れ目に差し込まれ、荒い鼻息が恥ずかしい部分に直接当たる。
(……こんな…汚い…)
手足をガッチリと拘束されたままの可符香は、目に涙を滲ませ、嫌悪感に身を捩じらせながら堪えることしか出来ない。
「…うあっ…あああっ…や…やだぁあああああああっ!!!!!」
悲痛な悲鳴に男達はニヤリと笑い、さらに激しく彼女を陵辱する。
「う〜ん、杏ちゃん、いい声出すなぁ……」
恐怖と嫌悪に顔を顔を歪ませ、泣きじゃくる可符香の姿を横目に見ながら、如月はウンウンと満足げに頷く。
出だしは上々、彼女は思った以上の商品に仕上がりそうだ。あの時首を吊った夫婦の忘れ形見が、これだけの上玉に育っていたとは、これ以上ない最高の拾い物だ。
「よし、それじゃあウォーミングアップはこの辺までにしておこうか」
如月がそう言って、パンパンと手を叩くと、男達は手を止めて可符香を開放した。激しい陵辱に放心状態の彼女は、そのまま力なくベッドに横たわる。
「さあ、これからが、まさしく”本番”だ」
如月がそう言うと、男達はクックッと笑いを漏らした。如月はそんな男達を順番に眺めてから
「そうだな…安藤君、一番手は君に任せるよ」
「いいんスか?」
「君ぐらい激しい方がね、ほら、最初はまあ辛いだろうけど後の方が彼女も楽じゃない」
如月の言葉を受けて、安藤と呼ばれた男が可符香の元に近づく。
「んじゃあ、初物、いただいちゃいますよ」
「ああ、存分に頼む」
放心状態だった可符香は、自分の上に覆い被さる大きな影を見て、ようやく事態を把握する。絶望感に満たされていく頭の中に思い描いたのは、2のへのクラスメイト達の姿だった。
(千里ちゃん、晴美ちゃん、奈美ちゃん、あびるちゃん、久藤くん……)
次々と浮かぶ、平和な日々の思い出と、共に過ごした仲間たちの笑顔、そして最後に浮かんだのは、いつも喚いて騒いで落ち着きのない担任教師の顔だった。
(…先生……っ!!!)
その思考を激烈な痛みが引き裂いた。入り口にあてがわれた男の長大なモノが可符香の体を一気に刺し貫いたのだ。
「っああああああああああああああああああああああああっ!!!!!!!」
可符香の悲鳴が部屋いっぱいに響き渡った。強引な挿入に溢れ出たおびただしい量の鮮血すら潤滑油がわりにして、男は激しいピストン運動を続ける。
「…あっ!!…うあああっ!!!…いやああああああああっ!!!!!」
ただひたすらに、突き上げられ、突き入れられ、繊細な少女の内部を徹底的に破壊される。悲鳴を上げれば上げるほど喜悦を浮かべる男の表情が、可符香の心に深く絶望を刻み付ける。
なす術もなく陵辱を受けるしかない現実が、かつての不幸を乗り越えて、幸せに暮らしていたはずの少女『風浦可符香』を破壊していく。
「杏ちゃん、ホントいい反応するよねぇ…はは、これなら”就職先”でも心配はいらないかな」
満足げな如月の声が聞こえた。
杏ちゃん、赤木杏、学校の名簿にこそ登録されているものの今はほとんど使うことのなくなった、かつて不幸のどん底で震えている事しか出来なかった少女の名前。
そこから逃れるために生み出した『風浦可符香』は、いつしか本物の自分になっていた。そう信じていた。だけど……。
「…ひぐぅっ…あっ…くぅっ…ひううううっ!!!!!!」
引き裂かれる痛みが、汚されていく心が、『風浦可符香』を壊していく。ほんの少し前まであったはずの幸せな日々が、手の平からすり抜けるように消えていく。思い出せなくなる。
全てを奪われて、少女は男の欲望をぶつけられるだけの人形へと堕ちていく。
「そろそろ、出すぞぉっ!!!!」
337266:2008/10/07(火) 12:23:17 ID:JUyJOdhZ
男の動きが激しさを増す。可符香の思考はさらにズタズタに引き裂かれ、もはや苦痛に悲鳴を上げることしか出来なくなる。
「うおおおおおおおっ!!!!」
「…ひ…ぎぃ…や…ああああああああ――――――――っっっっ!!!!!!!!」
注ぎ込まれる男の汚れた欲望の証。自らの胎内に広がっていくその熱が、可符香を繋ぎとめていた最後の一線を断ち切った。
「…あ……ああ…」
既に彼女の瞳から、かつての輝きは消え去っていた。『風浦可符香』は、こうして跡形もなく破壊された。

痛む体を引きずるようにして学校に戻った先生は、保健室で手当てを受けるのもそこそこに警察に向かった。
智恵先生と甚六先生に伴われ、やっとの思いでたどり着いたそこでの対応は、しかし冷ややかなものだった。
「残念だけどねえ、今の段階でできる事はないですねぇ」
「それは…どういう……」
「君の不確かな証言だけで、警察が動けると思う?」
「そんな……っ!!」
応対した警官は今にも噛み付かんばかりの形相の先生をめんどくさそうに横目で見ながら続ける。
「だいたい、君の話じゃあその娘は自分でついていったんだろ。それで、すぐにどうこうこちらが動くってのは難しいって、君もわかるでしょう?」
何かあったら連絡してくれと、白々しくも電話番号だけ渡されて、暗澹たる表情のまま、3人は学校へと帰っていった。
警察にどうこうできない物を学校で対応することなど出来るはずもなく、形ばかり開かれた職員会議は何の結論も出さないままに終わった。
その後、甚六先生、智恵先生と共に考えられる限りの対応策を話し合ったが、急を要する現状に対して役立ちそうなものはなかった。
「私達には…何もできないんでしょうか……」
呟いた智恵先生の瞳には涙が滲んでいた。甚六先生も沈痛な面持ちで俯くばかりだ。
先生は路面に叩きつけられた痛みもまだ癒えぬ頭を上げて、窓の外でだんだんと深まっていく夜空を睨んだ。
一分一秒を争う事態の中で、何も出来ないでいる自分。怒りとも悲しみとも判別の出来ない激しい感情が渦巻き、ギリリと歯軋りをする。
「とにかく、糸色先生は休んでいてください」
甚六先生の気遣いの言葉を受けて、先生は職員室を後にし、宿直室に向かう。
「お兄様……」
宿直室の入り口で、倫が待っていた。先生のクラスを含めた生徒全員には、今回の一件はまだ伏せられていたが、ただ一人だけ妹である彼女には事情を説明してあった。
「やはり、本家のツテを使ってもできる事は少なそうですわ……ごめんなさい、お兄様…」
「…あなたが謝る必要なんてありませんよ」
そう言って微笑んだ兄の表情が痛々しくて、倫は目をきゅっとつぶり俯いた。その頭を先生が優しく撫でる。
「……絶望しました。絶望しましたよ、本当に」
呟いて、宿直室の扉を先生が開く。すでに交は床に就いており、部屋の中に明かりはない。目の前の闇を睨みつけながら、先生はもう一度呟く。
「…………絶望しました、これ以上ないほどの絶望ですよ。だけど、しかし……っ」
その言葉の響きの中に、兄の胸の内で滾る何かを、倫は聞いたような気がした。

その翌朝、宿直室から先生の姿は消えていた。

日にちの感覚など、既に無くなっている。
苦痛も快楽も渾然として識別ができながったが、体の奥を男達の剛直に貫かれるたびに走る痺れを性的快楽と言うのなら、自分は快楽に溺れているという状態なのかもしれない。
いずれにせよ、如月に薬を使われてからは、時間の感覚すら曖昧で、彼女はただ男達の望むままにその肉体を捧げ、淫らに声を上げ続けていた。
「あはぁっ!!…またイクぅっ!!!イっちゃうのおおおおおっ!!!!!」
ビリビリと痙攣する体の奥に、もう何度目かわからない男の欲望を受け止める。絶頂に息を荒げる彼女を、男達は休ませない。今度は目の前に差し出された肉棒に、彼女は奉仕を始める。
「…ん…くちゅ…ぴちゃぴちゃ……」
「はは、随分上手になったもんだなぁ、杏」
彼女の『名前』を呼ぶ声が、頭上から聞こえた。
(そうだ。私は『赤木杏』で、今はこの人たちの商品で……)
ぼんやりとした頭でそんな事を考える。当たり前のはずの事を確認している自分を一瞬不思議に感じるが、すぐに男達の行為に意識を引き戻される。
四つん這いになって口での奉仕を続ける彼女、その背後に別の男が回りこみ、先ほど出されたばかりのアソコの入り口にモノをあてがう。
「…や…だめぇ…さっきイったばかりなのにぃっ!!!!」
338266:2008/10/07(火) 12:24:33 ID:JUyJOdhZ
彼女の言葉には耳を貸さず、男は自分のモノを一気に挿入した。絶頂を迎えた直後の敏感すぎる粘膜を刺激され、彼女はあられもない声を上げて泣き叫んだ。
「…あっ…ああんっ!!…ひぅ…ああああっ…すごすぎるぅっっっ!!!!!」
これも薬の効果なのだろうか、自分の内側を抉り攪拌する激しい行為に彼女は痛みを感じない。いや、感じることができないのか。
ただ、間断なく襲い掛かってくる電流のような鮮烈な感覚に、彼女は声を上げ、その体を淫らにくねらせた。
「おい、杏、口の方がお留守だぞ」
「あ、…ああんっ…は、はい……んんっ…くちゅくちゅ…」
名前を呼ばれ、思い出す。後ろから犯される感覚に我を忘れて、口での奉仕がいつの間にか止まってしまっていた。
「ほうら、杏、出すぞっ!!」
「こっちもだ、杏、受け取れっ!!!」
ついこの間までほとんど呼ばれる事のなかったその名前『杏』にも、彼女は違和感を感じていなかった。
なぜなら、かつて不幸に涙を流すことしか出来なかった少女『杏』の記憶は、男達に無残に犯される今の自分『杏』の現状とほとんど変わりがないように思えたからだった。
二人の男の欲望が、膣奥に、顔に、同時に吐き出される。体の内と外を白濁に汚されたその姿は、不幸に抗う術を知らない少女『杏』にふさわしいように彼女には思えた。
「あ、あは…すごい…いっぱい……」
「まだまだ楽しませてやるからな、遠慮せずに味わえよ」
今度は仰向けに押し倒されて、再度の挿入を受ける。絶頂の連続で痺れきった秘所から伝わる感覚は、快感とすら言えない得体の知れない熱のように感じられたが、それでも彼女の体は反応した。
「ほらほら、どうだ、いいだろう?たまらないだろう?」
「は、はいぃっ!!もっと、もっとはげしくしてくださいぃいいいっ!!!!」
男達の求めるままに体を開き、男達の求めるような声を上げ、男達の求めるような反応をする。
そうやって溺れていく感覚は、まるで底なしの沼に沈んでいくようだった。自分が壊されていく様子にすら嬌声を上げて、一体自分はどこまで堕ちて、何になってしまうのだろう?
背筋の凍るようなその危機感も、突き上げられるたびに走る電流の中に、弾けて消えてしまう。
「あっ!!ふあああっ!!!…すご…はげしいのぉおおおおっ!!!!」
だが、いずれ考えても仕方のない問題だ。なぜなら、今の自分にこの流れに逆らう力など残されていないのだから。
僅かに残った理性さえ振り切るように、彼女は声を上げ、駆け抜ける痺れに陶酔し、そしてまた高みへと登りつめる。
「ひ…あああああああっ!!!!…イクイクイクぅ…イっちゃううううううううっ!!!!!!!」
そして糸の切れた人形のようにぐったりと力の抜けた彼女の体の奥に、男がまた精を放つ。
「ほう、やはりなかなかいい仕上がりになったじゃないか」
と、そこに聞き覚えのある声が響いた。ぼんやりとした頭で声のした方を向くと、ドアを開けて、満足そうな笑顔の如月が部屋に入ってくるのが見えた。
「さあ、そろそろ出発の時間だよ、杏ちゃん」
339266:2008/10/07(火) 12:25:19 ID:JUyJOdhZ
ほとんど足腰の立たなくなった体を男達に支えられて、彼女は部屋を出た。シャワー室に連れて行かれ、体をすみずみまで洗われて、いつの間にかクリーニングされていた自分のセーラー服に袖を通した。
久しぶりに着た制服は如月たちに連れ去られたときと当然ながら全く変わっておらず、いまや堕ち果てた自分がさらに際立つようで居心地が悪かった。
促されるまま階段を上る。一階上がったところで廊下の奥のドアの前へ案内される。さっきまで自分がいた部屋が2階のだったから、ここは3階だろうか。
「さあ、杏ちゃん、遠慮せずに入ってくれ」
如月に促され部屋の中に入る。どうやらこの部屋は、この事務所の代表である如月のものであるらしい。窓際のデスクにどっかりと座り、如月はにこやかな笑顔と共に話し始める。
「いやあ、実によく頑張ってくれたね、依頼人もきっと満足してくれるだろうし、我々としても実に鼻が高いよ」
それから人差し指を立てて、彼女にウインク。
「もちろん君にとっても、最良の結果になると思うよ。借金なんてあっという間に消えてなくなるさ。個人の依頼だから、一日に何人も相手をさせられて体を壊すなんて事もないし、
………まあ、その辺は依頼人の意向次第という所もあるけれど、いやあ、杏ちゃん、君は最高に幸運だた。私はそう確信しているよ」
如月の言葉をぼんやりと聞き流す。もうこの体の中に残っているのは、不幸に弄ばれるだけの空っぽの少女なのだから、この先がどうなろうと関係ない。
「じきに迎えが来るはずだ。名残惜しいけれど、杏ちゃんともこれでお別れだ」
そうか、それじゃあ、この街ともこれでお別れなんだ。そう思ってみても何の感慨も湧かない自分に苦笑して、彼女は全ての思考を放棄してしまおうとした。その時だった。
「……えっ?」
信じられない物を見つけて、彼女の目が見開かれる。彼女の変化に気付いて、振り返った如月は、背後の窓の向こう、今は人通りの少ない真昼の繁華街にその男の姿を認めた。
「せん…せい?」
鋭い目つきでこちらを見上げる彼の、糸色望の姿に、止まってしまったはずの心が、トクン、微かに疼くのを彼女は感じた。

やっとの思いで見つけた。たどり着いた。窓の向こうに彼女の顔を確認して、震えだしそうな体を何とか押さえつける。
片手には木刀。懐にも用意した武器がいくらか入っているが、いずれにせよ今回の相手に勝つには心許ない装備だ。しかし、それでも……
「風浦さん……」
呟いて、決意を固める。考え抜いた末の行動だった。愚かな事かもしれないけれど、それでも自分が採るべきなのはこの選択肢しかないと、強く確信していた。
如月達のビルの正面玄関、両開きのガラス扉が開いて、4人の男が姿を現す。全員が先生をはるかに上回る体格を持っていた。
「しつこいな、先生……」
先頭の男がそう言って、先生を睨みつける。だが、先生は微塵の恐れも見せない。
睨み返し、言い切った。
「ウチの生徒を、返してもらいます……」
明確な意思表示に男達はコブシを固め、先生は木刀を両手で構えた。
戦いが幕を開けようとしていた。

「参ったなぁ、粘着質っていうのかな?あんな男だとは思わなかったよ。これからやっと彼女の出荷だってのにさ……」
ウンザリとした様子で呟く如月の横で、囚われの少女は息を飲んで、眼下の戦いを見守っていた。それはあまりに無様で、絶望的な戦いだった。
「どうして……っ!?」
そもそも一対一で簡単にのされた男が、木刀を一本持ったところで大した違いにはならない。
剣術の心得も持たない先生は、木刀をむやみやたらに振り回しながら男達に突っ込んでいく。男達はそれを散らばりながらかわし、それが出来ないときには腕で受け止める。
以前のように瞬殺こそされていないが、滅茶苦茶に振り回される木刀を避けて、どうやったら無傷で先生を黙らせることができるのか、それを見極めるために様子見をされているだけだろう。
やがて、男の一人が突撃する先生の斜め後ろから強烈なキックを食らわせる。そこに別の男が殴りかかるが、先生はそれを咄嗟に木刀で受け止める。
ミシリ。全力で放たれたパンチの衝撃がそのまま跳ね返り、男のコブシにヒビが入る。しかし、それは男の怒りの炎に油を注ぐ結果になった。
「この野郎がぁっ!!!」
怒声と共に放たれたパンチが先生の右肩を強かに打った。
340266:2008/10/07(火) 12:26:26 ID:JUyJOdhZ
「ぐあぁっ!?」
先生が叫び声を上げる。それを切欠に次々と繰り出される男達の攻撃を、先生は腕や木刀でガードし、時に受け止めきれずによろめいて、それでも木刀を振り回して立ち向かう。
先生と男達の間に再び距離が開く。しかし、四方から襲ってくる攻撃をしのぎきれず、先生は既にふらついていた。次に一斉攻撃を受ければ、ひとたまりもないだろう。
「…やめて……やめて…お願い……」
見ていられなかった。既に勝負は明らかだ。先生がどれだけ奮起しようと、暴力を生業とする彼らに敵う道理などないのだ。
男達の一人が先生へと殴りかかる。先生の繰り出した木刀の一撃がかわされる。彼女は耐え切れず、目をつぶった。
「ぐあああああっ!!!」
だが、次に聞こえたのは先生の悲鳴ではなかった。目を開ける。いつの間にか右の片手持ちに木刀を持ち替えた先生が、左手に握った何かで男を何度も殴っている。
「こぉのおおおおおおっ!!!!!」
それは中に砂を詰めた靴下だった。推理小説を思い出して先生が用意した隠し武器。威力を増すために鉛も仕込んである。
遠心力を得た砂の塊に何度も殴打され、前かがみになった男の首筋に先生は渾身の力を込めて木刀を振るう。その一撃をとどめに、男の体から力が抜け地面に倒れ伏す。
そして、思わぬ反逆に浮き足立った男達の一人の顔面めがけて、今度は先ほどの砂袋を投げつけた。
ひるんだ男の鳩尾に、先生は体重を乗せた突きをぶつける。さらに、ぐらりと揺らいだ男の鳩尾めがけて、追い討ちの突きを何度も食らわせる。
死に物狂いの攻撃に、二人目の男も路上に倒れる。残りの二人が背後から襲いかかろうとするが、先生は路面に落ちた砂袋を拾い、噛み破ってその中身をぶちまけた。
めくらましにひるんだ二人の男と先生の間に、再び距離が開く。
「…先生……」
ようやく彼女も心の底から理解する。死に物狂いの戦いぶりを見ていれば嫌でもわかる。先生は一歩も引き下がるつもりはないのだ。だけど……
「まったく、素人相手に何をやってるんだか」
苛立たしげに言って、如月が部下を呼びつける。
「もういいよ。面倒くさい。10人、10人だ。それでさっさと終わらせよう。この間みたいな手加減もなしだ。叩き潰せっ!!」
指示を受けて、部下が部屋の外に出て行く。それからすぐ、一階の入り口から8人の男が現れた。
(…逃げて……先生っ!!)
彼女の祈りも空しく、先生はまたたくまに10人の男達にぐるりと包囲されてしまう。もはや、多少の小細工や気合でどうにかなる人数ではない。
それなのに、先生には一向に逃げ出そうという様子はなくて、ボロボロの体で木刀一本を構え、男達を睨みつけている。
もう我慢できなかった。
「先生っっっ!!!!!!」
窓を開け放ち、彼女は叫んだ。
「逃げてくださいっ!!!お願いですっ!!!逃げてっ!!!」
悲痛な声を聞いて、先生が視線を上げる。
「何故ですか?私はあなたを連れ戻さなければならない。それをやらずに変えるわけには…いかない」
先生の声は無様に震えていた。それでも瞳だけは、まっすぐに彼女を見つめている。その視線が今の彼女には痛かった。
「そんなの……無理に決まってるじゃないですか!!これだけの恐い人たちを相手にして、先生なんかに何が出来るっていうんですかっ!!!!」
堪えていたものが一気にあふれ出す。
「先生なんて、貧弱で、死にたがりで、こんな人たちに敵うわけないのにっ!!!!自己満足で死なれたって、迷惑なんですっ!!!やめてくださいっ!!もう、やめてっ!!!」
涙と鼻水が拭っても拭っても顔を濡らして、呼吸が乱れて喋る事さえ苦しい。それでも、ただ一つ、その言葉だけを伝えたくて彼女は叫んだ。
「お願い、先生、死なないで………っっっ!!!!」
叫び終えて、先生の方を見た。先生が震えながら、それでも微笑んでくれているのが見えた。涙で滲んだ視界でも、それがわかった。
「あなたの、言うとおりです……」
先生が言った。
「私なんかがこんな強面のヤクザ者を、それもこんな大人数を敵に回して勝てる見込みなんてほとんどない。それこそ絶望ですよっ!!…でも、だけど……っ!!!」
先生の言葉が言い終わるのを待たずに、男達が一斉に襲い掛かる。先生はそれをかわして、防御して、反撃して、それでも抗いきれず男達の一人に捕まる。
「煩いんだよ、先生……」
341266:2008/10/07(火) 12:27:07 ID:JUyJOdhZ
男は両手で先生の首を掴み締め上げ、そのまま先生の体を持ち上げ宙吊りにした。男が満面の笑みを浮かべ、その指にさらに力を込めようとしたその時だった。
「………えっ?」
自分を見下ろし、睨みつける先生の視線に気付いた。大上段に構えられた木刀が、自分の脳天めがけて振り下ろされるのを見た。
渾身の一撃を、完全な不意打ちで喰らい、男は地面に倒れ伏す。
「首だけは……鍛えてるんですよ」
開放された先生はぜいぜいと息を切らしながら、さきほどの言葉の続きを叫ぶ。
「何があろうと知った事じゃないっ!!!絶望だろうと何だろうと、あなたがそこにいるのなら………っ!!!!!!!」
それが悩みぬいた末の先生の結論だった。おそらくは無駄に終わる行い。彼女を悲しませるだけになるかもしれない愚行である。
だけど、どうにもならない理不尽の荒波に巻き込まれ、助けを求める彼女のために何もしないでいる理由を、彼は思いつく事が出来なかった。
たとえ何があろうとも、苦境にある彼女に手を差し伸べる。無理も道理も関係ない。それ以外の選択肢を持たない自分に、彼は気がついた。だからこそ………
「私のいる場所もここにしかあり得ないっ!!!!!!」
そして、先生は高らかに宣言した。
「一緒に帰りますよ、『風浦』さん……っ!!!」
「先生っ!!!」
先生の言葉に、彼女は思わず応えていた。陵辱の最中で破壊され、消え去った筈のその『名前』で呼びかけた先生の声に、彼女は声を振り絞って応えていた。
しかし……
「だから、面倒くさいからさ……」
如月が手をかざした。それを合図に残りの男達が一斉に襲い掛かる。先ほどの一撃で力を使い果たした先生は、もはや腕を上げることすらできない。
「死ねぇえええええええっ!!!!!」
だが、しかし、彼らの攻撃はただの一撃たりとも、先生に届くことはなかった。

「うらあああああああああっ!!!!」
横なぎに振るわれた角材が男のわき腹にめり込んだ。
「先生は、やらせないっ!!!!」
数人がかりのがむしゃらな体当たりが、幾人かの男を吹き飛ばした。
路面すれすれに渡された包帯に躓いた別の幾人かが、追い討ちの石つぶてをくらって悶絶した。
いずれも地面に倒れ、膝をついた男達を、制服に身を包んだ30人あまりの少年少女達が包囲していた。
「みなさん…どうして?」
呆然とする先生の下にまといが駆け寄った。
「いたん…ですか?」
「ずっとじゃないですけどね」
「どうして、ここが?」
先生の問いにまといはイタズラっぽく微笑み、先生の懐に手を突っ込む。
「ちょ…何するんですか、常月さん!?」
「これですよ、これ」
まといが取り出したのは、指先でつまめる程度の小さな電子部品だった。
「ま、まさか……」
「発信機兼盗聴器です。一緒にいられないのなら、せめてと思ってあの時に……」
どうやら、可符香の様子を見に彼女の家に向かった時点で仕掛けられていたらしい。
「常月さん、それはないじゃないですかっ!!!」
「それはこっちの台詞ですよっ!!!」
思わず叫んだ先生に、まといはキッと睨みつけるような表情で言い返す。
「先生が消えてから、何か無茶をするんじゃないかと思ってたら、いくらなんでもこんな事、無茶を越えて無謀ですよっ!!!
慌ててみんなを集めて駆けつけましたけど、もし間に合わなかったら先生、ほんとに死んでたかもしれないんですよっ!!!」
それだけ叫んで、先生の胸に縋りついたまといに、それ以上反論する気にはなれなかった。
「すみません。心配をかけました……」
342266:2008/10/07(火) 12:27:50 ID:JUyJOdhZ
「まったくです、お兄様」
後ろからの声に振り返る。刀を携えた倫がそこに立っていた。
「お兄様のくせにこんな事をしでかして、私ならばこんな無様は晒しませんでしたわ」
憎まれ口を叩く妹の目元に、うっすら残る涙の跡に気がついて、先生の胸は今更ながらに申し訳なさでいっぱいになっていた。
「先生っ!!!」
「日塔さん、音無さんっ!!!」
さらに二人の女生徒が駆けつける。
「まったく、普通以下の貧弱な体で、どうしてこんな無茶を思いつくんですかっ!!」
「い、いつもの仕返しですか、日塔さん」
【身の程をわきまえろ ハゲ】
奈美と芽留はテキパキと先生の手当てをしていく。見渡せば、外に現れた男達と2のへの生徒たちの戦いは、若干2のへ側有利の拮抗状態となっていた。
今ならば、事務所の中に突入できる。痛みをこらえ、先生は立ち上がろうと体を起こす。
「せ、先生…何考えてるんですか!!」
「まだ、風浦さんが中にいるんです。いかなければ……」
「それなら大丈夫ですよ、先生」
奈美の言葉に、先生は怪訝な表情を浮かべて振り返る。
「別働隊が動いてるんですよ」

3階の自室の窓から眼下を見下ろして、如月はいつになく苛立っていた。暴力のプロがたかだか学生風情との喧嘩に遅れを取っている。それだけでも苛立たしい事だったのだが……
「どうした、下の奴らは何をしている」
それでも、まだこの事務所のなかにいる30人ばかりの部下たちが相手をすれば、すぐにケリがつく。そう考えて、部下に応援したはずが、応援部隊は一向に姿を現さない。
うろうろとみっともなく部屋の中を右往左往する如月。その耳が、部屋の外の微かな異変を捉える。
「悲鳴?」
聞き間違いかと耳を澄ませた所にもう一度。学生たちのものではない。明らかに自分の部下のものと思しき、男の悲鳴が聞こえた。
「何だ?一体、何が起こっているんだ?」

「う、うああああああああっ!!!!!」
悲鳴の音源は如月のいる調度真下、2階からのものだった。
金属バットがなぎ払う。
「ぎゃあああああっ!!!」
2冊のコミケカタログが顔面を叩き潰す。
「ぎゃ…ぐあうっ!!!」
そして、廊下の真ん中に陣取って、2本のスコップを自由自在に操る少女の姿があった。刺して、叩いて、刻んで、既に少女の足元には死屍累々、彼女に敗れた男達が積み重なっていた。
「こ、この野郎ぉおおおおおおっ!!!!!!」
蛮勇を奮い、短刀を片手に男が飛び出すが、少女は眉一つ動かさない。ただ、振り上げた二本のスコップを、渾身の力を込めて男の両肩に叩き込む。
激痛にもんどりうって倒れた男の手から短刀を奪い、少女は男の目の前スレスレにそれを突き立てた。
「ひ、ひぃいいいいっ!!!!!」
「後できっちり落とし前はつけてあげるから、それまでそこで待っていなさい」
その様子を後ろから見ていた二人の少女の片方、藤吉晴美は呆れ顔で呟く。
「千里、かなり頭にきてるみたいね……」
もう一人の少女、三珠真夜は彼女の言葉にコクコクとうなずく。
「まあ、それを言ったら私もね。今回ばっかりは腹に据えかねてるんだけど……」
そう言って、晴美は再びコミケカタログを構える。真夜も血まみれの金属バットを振りかぶった。
もう、この二階にほとんど敵は残っていない。次は三階、いよいよ彼女を助け出す時が来た。
それぞれの得物を携えて、少女たちは疾風怒涛の勢いで目的の場所へと向かう。
343266:2008/10/07(火) 12:28:36 ID:JUyJOdhZ
一方の一階は、二階や建物の外の喧騒とは対照的に、静寂を保っていた。いや、静か過ぎるといってもいい。
「な、なんなんだよ、お前……いったい…なんなんだよ?」
蚊の鳴くような声で、そう問いかけたのは、如月の部下の一人だった。床に這い蹲る彼の周囲には、気を失った幾人もの彼の仲間たちが横たわっている。
震える彼の視線の先には、温厚そうな中年男性が一人。彼こそがこの惨状の原因だった。
「ただの、教師ですよ。まあ、過去には色々とありましたが……」
その中年男性、甚六先生は笑顔を絶やさぬまま続ける。
「この戦いはもう、あなた達の負けです。これは動かしようのない事実です」
子供に諭して聞かせるような調子が、男にはたまらなく恐ろしかった。暴力を振るいながら、その事を歯牙にもかけない甚六先生の穏やかさに、彼は言葉に表せない恐怖を感じていた。
これだけの人数を倒しておいて、まるでそれが当たり前のことであるかのように振舞う目の前の男が、同じ人間であるとはどうしても思えなかった。
「むしろ、あなた達はうちの生徒たちに感謝するべきです」
甚六先生はにっこりと笑いながら、こう言葉を結んだ。
「おかげで、殺さずに終わらせる事ができました……」
その言葉を最後に、男は意識を投げ出した、大きすぎる恐怖に精神が耐えかねたのだ。
「ちょ、ちょっとおどかしすぎましたかね……。う〜ん、反省です」

3階、如月の部屋の窓際で、囚われの彼女は、彼女を取り戻さんと戦うクラスメイト達の声にただ聞き入っていた。
いつもの中間達が繰り広げる喧騒、それに包まれている内に心が穏やかになっていく。一度は彼女を粉々に破壊した絶望でさえ、ほんのちっぽけな、取るに足らないものに思えてくる。
(…みんなっ!!…先生っ!!!)
犯され、汚され、全てを奪われた。もうあの楽しかった日々は失われて、二度と戻ってこない。そう思い込んでいた。
だけど、違った。彼女が失ったと決めこんでいたもの達が、堕ちていく彼女をギリギリのところでつなぎとめた。
『あなたがそこにいるのなら、私のいる場所もここしかあり得ないんですっ!!!!!!!』
先生は叫んでくれた。
みんなが助けてくれた。
断ち切っても、奪われても、壊されても、それでも消える事のない無数のつながり、それが今の自分を支えていることにようやく気付いた。
「くそっ!くそっ!どうしてこうなっちまうっ!!!一体全体、どうしてこんな事に……」
日本刀を抱えて無様に震える如月からは、かつての余裕は跡形もなく剥がれ落ちていた。所詮はメッキ、見せかけの強さだったのだ。
部屋の入り口のドア、そのノブがガチャリと音を立てる。その音に反応して、小動物のように飛び上がる如月。来るべき時が来たのだ。
ゆっくりと開いたドアの向こう、現れた3人の少女の姿。
「助けに来たわよ、可符香ちゃんっ!!!!」
先頭に立つ千里が叫んだ。
部屋の外にいたはずの部下は、彼女たちの足元に転がっている。恐慌状態の如月は日本刀を鞘から抜き放つが、刀は震える腕の中でかちゃかちゃと無様な音を立てるばかりだ。
(何なんだよ、これは?滅多にないうまい仕事を見つけて、それをいつものようにこなしてただけだろう?どうしてこうなっちまう?)
(それに、なんだあの女どもは、どうして恐れない。刀を突き付けられてるんだぞ。斬られれば死ぬんだぞ。それがわからないのか?頭がイカレてやがるのか!?)
元来、彼らのような生業が売り物にしているのは、暴力ではない。暴力を背景にもった恐怖である。彼らを恐れぬ者が現れば、たちまちに力を失ってしまう、そういうものなのだ。
そして、悲しいことに、彼は自分の生業のそういった性質について、あまりにも無知だった。無知であるが故に、この事態に対処する事ができない。
カラカラと空回りする頭脳は、何の解決策も導き出してくれない。だがしかし、彼の頭脳はこの土壇場でとんでもない結論を弾き出す。それは……
「あ、あなた何をっ!?」
千里が叫んだ。如月は、千里たちの方に向けていた切っ先をゆっくりと自分の隣に向けた。自分の隣に立つ、自分が虜とした少女の首筋に刃を突き付けた。
「殺すぞ、コイツを……」
如月はとっさに思いついたアイデアに、こらえきれないといった様子で笑いを噛み殺している。
(こいつを予定通り出荷して、まとまった金を受け取って最初から全部やり直そう。いくらでもやり様はあるさ、何しろ俺は機転が利くんだ。こういう風に、こういう風になあ……)
一気に形成は逆転する。こうしている限り、目の前の少女たちも、下の連中も、自分に手出しすることは出来ない。彼を阻むことは出来ない、その筈だった。
344266:2008/10/07(火) 12:29:26 ID:JUyJOdhZ
だが、しかし………
「さあ、杏ちゃんからもお友達に頼んでくれ。道を開けてくれってな……」
勝利を確信して如月が放った言葉に、彼女は答えなかった。
「おい、何を黙ってるんだっ!!言ってやれ、杏……」
苛立ち、振り返った如月は言葉を失った。
「いやだなぁ」
そこに超然としてたたずむ、少女の笑顔が如月から言葉を奪い去った。
それは、2のへに巻き起こる騒動の中、どんな状況であろうとも揺らぐことのない、あの笑顔と同じものだった。
「私の名前は『風浦可符香』ですよ。忘れちゃったんですか?」
それはもはや、かつての不幸な少女が己を守るために作り出した鎧の名ではない。
それは、彼女を支え、守り、彼女を彼女たらしめる、無数の絆を束ねた名前。過去の不幸さえいつか笑顔に変えていく、彼女の生きる日々の名前。
超ポジティブ思考で周囲に騒動を巻き起こす、2のへ随一の要注意人物。人の心の隙につけ入り、混乱をもたらす生粋のトリックスター。
風浦可符香は、ここに復活した。
「な、何だよ、杏、どうしちまったんだよ……」
混乱する如月をよそに、可符香はいつものように考え、いつものように行動する。
部屋の入り口のドアは、たしかに目の前に突き付けられた刀に邪魔されて通ることは出来ない。だけど、この部屋から出る方法なら、ほら、すぐそばにある。
可符香は2歩、3歩と後ろに下がり、窓の縁に腰掛ける。その意図を、如月も、千里たちも測りかねている間に、彼女は行動に移った。
体重を背中の方に傾ける。そして重力の導くままに、彼女の体は窓の外に消えていった。

3階の攻防を下で見ていた人間の中で、誰よりも早く行動したのは先生だった。落ちてくる彼女の、落下点に向かって一目散に走る。
「せんせ〜〜〜〜〜いっ!!!!!!!」
彼女の声が聞こえる。元気いっぱいに自分を呼ぶ、彼女の声が。
それが、いつもながらのポジティブ思考で考え出した、彼女なりの解決方法なのだろう。
(”いやだなぁ、先生ならきっと、私を受け止めてくれるに決まってるじゃないですか”って、そういう事なんでしょうっ!!)
勝手に考えた理屈で、勝手に事態を引っ掻き回して、彼女だけが無風地帯に立ったまま、こっちは彼女の思うままに踊らされるばかり。まったくいつもと同じじゃないか。
それならば今回も、見事彼女の思い描くとおりに踊ってみようじゃないか。彼女の期待に応えてみせようじゃないか。
「まったく、あなたはどうしていつも……っ!!!」
落ちてくる彼女に向かって、大きく腕を広げた。一瞬遅れて襲い掛かる、すさまじい衝撃。先生はそれを全身の間接のバネで受け止めて、それでも受け止めきれずに後ずさる。
その二人の体を、今度は多くの腕が、2のへのみんなの力が支える。そこでようやく落下のエネルギーは相殺され、先生と可符香はぺたりと尻餅をついた。
「ただいま、先生……」
言いながら、可符香は先生の体をぎゅっと抱きしめる。
「頼むから勘弁してください。体中の間接がズタボロです。殺すつもりですか……」
文句を言いながらも、自分の体にしがみついて離れない少女の頭を、何度も、何度も、慈しむように撫でてやる。
彼女は帰ってきたのだ。自分のあるべき場所に。自分が笑顔でいられる場所に。みんなが、先生がいる2のへに、彼女は、風浦可符香は帰還したのだ。

345266:2008/10/07(火) 12:29:58 ID:JUyJOdhZ
「嘘…だろ?」
あり得ないはずの脱出劇を見せ付けられて、既に如月の思考はほとんど停止していた。
ゆっくりと振り返れば、ドアの前に立ちふさがる三人の少女たち。可符香と同じように窓から飛び出すという手もあるかも知れないが、受け止めてくれる者はいないだろう。
「ち…くしょう……ちくしょおおおおおおおおっ!!!!!」
自暴自棄になった如月は日本刀を振りかぶり、なりふり構わず突進する。
それに真っ向相対した千里は、如月が振り下ろすよりも早く横なぎに一閃。神速のスコップは日本刀を真っ二つにブチ折った。
「観念しなさい……」
もう一本のスコップを、如月の首に突き付ける。柄だけになった日本刀を取り落とし、膝をついた如月にはもはや抵抗の意思は欠片も残っていなかった。

結局、蓋を開けてみれば拍子抜けの話だった。如月の持つ債権で可符香に返済を要求するのは、本来不可能なはずだったのだ。
そもそも存在しないはずの借金で、彼は可符香を縛りつけようとしたのだ。そのために、巧みな書類の偽造と口先三寸で、如月はその嘘を真にしてしまった。
油断ならない可符香も、両親の過去にまつわる話題に動揺してしまったのかもしれない。
(しかし、その結果彼女に起こった事は実態を持たない、虚像の代償としてはあまりに大きすぎます……)
ひとりぼっちの教室で、先生は深くため息をついた。
確かに可符香は間一髪で開放されたが、彼女を襲った陵辱は、心に刻み付けられた傷跡は、決して消し去ることは出来ない。
日常に戻り、以前と変わらぬ笑顔を浮かべる可符香だったが、先生にはどうしても心配でならなかった。
深いため息を、もう一度。と、その時である。
「先生、そんなまた暗い顔して、何悩んでるんですか?」
まったくの不意打ちで、耳元で聞こえた彼女の声に、先生は慌てて振り返る。
「な、な、なんですか!?あなたはいきなりっ!!もう帰ったんじゃなかったんですか!?」
「そんなに驚かなくてもいいじゃないですか、忘れ物を取りに来ただけですよ」
いつかと同じシチュエーション。嫌でもあの事件の事を思い出してしまう。何も言えずにいる先生に、可符香は少しだけ声のトーンを落として続けた。
「……まあ、それは少しだけ嘘なんですけど」
「風浦さん……」
「忘れられないんです、あの時の事が……」
やはり、と先生は心の中で呟いた。あんな事件の記憶を拭い去る事の出来る人間なんて、きっとどこにもいない。
「だから、先生、私……」
彼女に何か言葉を掛けてやりたくて、だけどどんな言葉で取り繕っても空しくなるばかりのような気がして、先生は結局黙りこくってしまう。
それでも、彼女を慰めたくて、せめて彼女に触れてやろうと、肩に手を置こうと、先生は手を伸ばしたのだが
「えいっ!!」
彼女に勢いよく抱きつかれて、先生の手は空を切った。
「あの、風浦さん?」
「あの時の事が忘れられないんです。先生に思い切り抱きしめられた時のことが……」
どうやら彼女が言っているのは、事件の最後3階から飛び降りた彼女を抱きとめた時の事らしい。
思わずじたばたともがく先生だったが、可符香の腕にがっちりと捕まって、全く脱出する事ができない。
「いや、あれは抱擁と言うよりは激突に近いもので……」
「先生の腕の感触が、頭を撫でてくれた手の平の事が忘れられない……」
「風浦さん、どうやら少し話し合いが必要みたいですね。そんな一方的に言われても私は…」
「あの人たちにされた事も全部吹き飛ぶぐらいに、嬉しかったんです…」
その言葉で、先生の抵抗が止まった。
「先生がいるから、みんながいるから、私は大丈夫です。だけど……」
先生の左腕が可符香の背中を優しく抱きしめる。そして、右の手の平を彼女の頭へ……
「だけど時々、こうしてほしいんです。ただ私の背中を抱きしめて、頭を撫でて……」
「わかりました……」
窓の外を見れば、群青色の空の隅に既に月が昇っていた。窓の外に見えるその光を見つめながら、先生は何も言わず、ただ可符香の背中を抱きしめ続けた。
346266:2008/10/07(火) 12:30:47 ID:JUyJOdhZ
これでお終いです。本当にすみませんでした。
347名無しさん@ピンキー:2008/10/07(火) 13:57:46 ID:JgOG1a/i
ああああああああああああああああああああ
超GJです。
素晴らしい、素晴らしい・・・・・・・
348名無しさん@ピンキー:2008/10/07(火) 16:03:20 ID:JG1BzQ6s
ここ数日可符香祭りで嬉しい限り
>>266さんGJです。鬱展開だけどみんなの絆がすごくよかった
藤吉さんのコミケカタログ攻撃で吹いた
349名無しさん@ピンキー:2008/10/07(火) 16:48:13 ID:Xzz/p61j
甚六先生かっけえw
350名無しさん@ピンキー:2008/10/07(火) 18:37:27 ID:YHGXrtH+
266さん 
 G J !
先生かっこいいな(笑 
351名無しさん@ピンキー:2008/10/08(水) 02:51:15 ID:hm6S/FVr
>>346
こういう場所に投下するときは卑屈なコメントや過度の謙遜はしない方がいいですよ
色々めんどくさい事になりますから

GJでした、がっつりエロいれながらラブ要素も盛り込んでいて素晴らしい
というか、こんだけ書けるんならタイトルも付けて欲しいところです
まぁ、タイトル付けるのが書くときに一番難しい作業なんじゃないかとも思いますがw
3521/3:2008/10/08(水) 03:15:28 ID:OGBoPkbQ
 ざらざらと雨が降る音が耳に残り、永遠に反響している。
せめて外に紫陽花でも咲いていれば、楽になれたのでしょうか?
ボンヤリと外を見つめても、ただ冷たく雨が降っているだけだった。

 私は、もう学校に行くことは出来ません……生徒達に犯されてしまったのですから。
家への入り口は全て板と釘で塞ぎ、誰も入れないでしょう。
交も無事に親元に帰りました、後はこの鬼畜教師がこの部屋で消えていくだけです。

 横たわり畳の目を数えながら、そのときを待つ。お腹が空きました、もう動く気はしません。
少し黴の臭いがする畳をなぜると、指にざらざらとした感触が伝わる。
夢中で畳を引っ掻くと、やがて私の爪が剥がれて、解れた畳の上に赤い筋となる。
もうどうでも良い、私はそっと目を閉じた。

……
「先生」
「先生、きっちり私と……。」
「据え膳食わぬは男の恥、傷つけたら訴えるわよ!」
「先生、先生……。」

 頭を抱えて縮こまり膝を抱く。 罪が私を許してくれない。
跳ねる様に飛び起きて、練炭に火をつける……目張りも忘れてはいけませんね。
七輪の側面、小さな扉の隙間からは赤い光が見える。
3532/3:2008/10/08(水) 03:16:44 ID:OGBoPkbQ
「ああ、暖かい。」

 脳裏に、あびるさんの顔が通り過ぎる。

「先生、このしっぽが似合うと思いますよ。」

 彼女の手にはシマリスの尻尾の付いた……おぞましい樹脂が先に付いた器具
――アナルプラグが。 嫌です、止めて下さい!
呼吸を落ち着けると、練炭の暖かさでまどろんできた。 このまま、私は……。

「……生、先生!」

 ギリリ、ギリリと何かが軋む様な音が聞こえた気がした。
3543/3:2008/10/08(水) 03:29:17 ID:OGBoPkbQ
……生暖かい感触が下半身に、ぬめぬめ、ざりざりと陰部を責め立てる。
止めて下さい、夢の中でも虐めないで下さい。 ゆっくりと死なせて下さい。

「先生、起きましたね。」

 うっすらと目を開けると、可符香さんや生徒達の笑顔がぼやけて映る。

「先生、逃がしませんよ。」
「甘やかさずに、きっちりと躾ける必要が有るみたいね。」

 スコップが私の顔スレスレに、ザクリと畳に突き刺さった。

「皆さん、私はいけないことをしましたか? もう、許して下さい。」
「駄目ですよ先生、世界はこんなにも輝いているのに!」

 再び気絶するする瞬間、可符香さんの笑顔に暗い影が見えた様な気がした。 
355名無しさん@ピンキー:2008/10/08(水) 06:35:47 ID:nuyOICuI
何でも絶賛、みたいな雰囲気が嫌いな奴がいるのは理解できる。
こういうところではそれが正しい、みたいなマイルールの押し付けとか。
356名無しさん@ピンキー:2008/10/08(水) 07:06:21 ID:fzJMqcyx
>>352
意味が分からなかったよ
GJ
357名無しさん@ピンキー:2008/10/08(水) 14:23:09 ID:cugMeJZ/
>>355
濁しすぎで誰に何言いたいのかわかんないよ
358266:2008/10/08(水) 18:30:53 ID:7Fme1Myw
コメントをくださった方々、ありがとうございます。

>>351さま
>こういう場所に投下するときは卑屈なコメントや過度の謙遜はしない方がいいですよ

ご忠告、ありがとうございます。
勢いだけで書き上げたSSだったので、どうも自信が持てず不安になってしまい過剰に謙遜してしまいましたが、読む方にとって楽しいものではありませんね。

それから、いまさらですがタイトルをでっちあげてみます。

>>332-345のタイトル
   ”『私』の帰る場所”

こんなんです。オサレなタイトルは思いつきませんが、どうでしょう?
359名無しさん@ピンキー:2008/10/08(水) 20:24:20 ID:OGBoPkbQ
>356
それはもうGJじゃないでしょうw
360430:2008/10/08(水) 23:50:22 ID:wMMcTdht
お久しぶりです。

可符香祭りの中、ヘタレで暗い命先生のお話を投下させていただきます。
命→まとい→望で、ぬるいですが、無理やりのシーンがありますので、
苦手な方はスルー推奨でお願いいたします。

だいぶ前のお話ですが、ドジっ子の回の望先生入院中の出来事です。
36145 degrees Celsius 1/11:2008/10/08(水) 23:51:22 ID:wMMcTdht
「望、入るぞ…、っと、寝てるのか。」
命は、手に持ったカルテで口を覆った。
そのまま静かに弟の枕元に歩み寄り、そっとその顔を覗きこむ。
爽やかな風が吹き渡る病室のベッドで、望は健やかな寝息を立てていた。

命は安堵の表情で一人うなずいた。
火煙にまかれ、背中を刺され、最後には何を隠そうこの自分の医療ミスにより
一時は絶命しかけたほどの容態だったのだ。
よくぞここまで回復してくれたと、心から神に感謝する。

そして、いつものように望の枕元に座る袴姿の少女に目をやった。
いつ家に帰っているのだろう、と思うくらい、彼女は常に弟の枕元にいた。
面会謝絶だと何度言っても、しまいには病室に鍵をかけても、
彼女は、どうやってか、いつの間にか弟の枕元に座っているのだ。

今もまといは、面会時間ではないという事実を気にする様子もなく、
ただ食い入るように望の寝顔を見つめていた。

命はため息をついたが、
今日は、まといをとがめだてすることはしなかった。
どうせ、望も明日には退院である。
病室に居座るまといの姿を見るのも、今日で最後だ。

―――今日で、最後…。
命の中で、コトリ、と何かが動いた。
自分で気がつく前に、命は、まといに呼びかけていた。
「常月さん。」

命の呼びかけに、まといはぼんやりと顔を上げた。
まといは、望以外のものに目を向けるときは、
焦点の合わない、興味のない表情をしていることが多い。
そのことに何となく苛立ちを感じながら、命はまといに話しかけた。

「コーヒーでも淹れるから、少し休みなさい。」
「でも…。」
まといは、逡巡するように寝入る望の顔を見やった。
「望なら、もう大丈夫だから。それに、この様子じゃ当分目覚めないよ。」
その言葉に、まといが案外素直に腰を上げたことに、命はほっと息を吐いた。
36245 degrees Celsius 2/11:2008/10/08(水) 23:52:31 ID:wMMcTdht
コーヒーメーカーがコポコポと音を立て、診療室にいい香りが広がった。
やや落ち着かなげに座っているまといを見ながら、命はぼんやりと思った。
―――この娘と望は、どういう関係なんだろうか…。

まといの振る舞いを見れば、まといが望を想っていることは明らかだ。
しかし弟の方は、突き放さないまでも、まといを歓迎しているようには見えなかった。
―――つまりは、一方通行ってことか…。

命はコーヒーをマグに注ぎながら眉をしかめた。

望も悪いのだ。
あの馬鹿は、結局のところ人を拒絶する、ということを知らない。
それは、望の優しさなのかもしれないが、
中途半端な優しさは、却って相手を傷つけることもある。

しかし、と命はまといを見た。
それにしても、この娘はギアをトップに入れすぎではないか。
―――望のような男に、それは、逃げる口実を与えるだけなのに…。
命には、余りに真っ直ぐなまといが、痛々しく思えた。

「はい、どうぞ。」
命は、コーヒーの入ったマグの上の縁を持って、まといに手渡した。
まといは、マグを抱え込むように持とうとして、
「熱っ。」と小さい声で叫ぶと、慌てて取っ手に持ち替えた。

命は、そんなまといを見て、ふと思いつき、声をかけた。
「常月さん。」
「はい。」
まといが顔を上げる。
「今、熱いマグカップを持ったとき、痛い、と思わなかった?」
まといは、首を傾げた。

「…ええ…、熱くて、痛かった、ですけど…。」
「他にも、例えば風呂のお湯が熱すぎた場合なんか
 熱いというよりは、痛かったり、あるいは、逆に冷たいような感覚を
 覚えることはないかい?」

まといはマグを持ったまま、しばらく考えるような顔をし、やがて頷いた。
「確かに、そういうことは、あります。」
そして、それが何か、というように命を見上げた。
36345 degrees Celsius 3/11:2008/10/08(水) 23:53:44 ID:wMMcTdht
先ほどと違い、まといの大きな目が、しっかりと命を見据えている。
命は、瞬間、身の内に走った快い戦慄には気がつかない振りをした。

「人間の温度感覚というのはね、温度が高くなりすぎると
 正しく反応しなくなるんだ。
 一般的には、45℃を超えると温覚の反応が鈍り、反対に、
 冷覚や痛覚が反応し始める、と言われている。」
「…?」

まといは、いきなり始まった命の講義に、戸惑った顔になった。
命はそ知らぬ顔で続ける。

「だからね……余り、熱くなっては、だめなんだよ。
 過剰な熱は、かえって、冷たさや痛さを感じさせることになってしまう。」
「…!」

命は、口をつぐんでまといを見た。
まといは、先ほどとは違う、真剣な顔をしていた。

「今のは…私の、先生に対する行動のことを言ってるんですか。」
「…。」
「私が熱くなりすぎるから…先生が痛がって逃げる、って言いたいんですか。」
「…望だけじゃない、君だって、痛いだろう。」

命には、過剰な熱を内に抱えたこの娘が、常に
痛みと冷たさに打ち震えているように思えてならなかった。

まといは、しばらく黙ってうつむいていたが、
やがて、顔を上げて命を見た。
「でも、ダメなんです。」
「え…。」
「私…好きになると、自分を止められないんです。」
「でも、それでは、君が…。」
まといは首を振った。
「いいんです、私は。自分が好きでやってるんですから。」

命は、それをきいて、先ほど、望の病室で感じたのと同じ、
何故だか分からない苛立ちを感じた。
36445 degrees Celsius 4/11:2008/10/08(水) 23:54:58 ID:wMMcTdht
と、急にまといが、ふふ、と笑った。
「でも、不思議ですね…命先生と先生は、声も顔もそっくりなのに、
 話し方が違うだけで、こんなにも雰囲気が違うんですね。
 先生のしゃべり方は、もっと―――」
話しながら、まといの表情が、急に華やかなものになる。

望の話をするだけで、彼女は、こんな表情になれるのか―――。
命は、自分の中の苛立ちが、急速に膨らんでくるのを感じた。

冷たさも、痛みさえも、それが愛故ならば喜んで受け入れる。
なんて深く、激しい想いなのか。

しかし、その熱の、想いの対象は自分ではない。
いくら顔や声が望と似ていても、
命は、まといにとって、その他大勢に過ぎないのだ。

命は、無言でまといに歩み寄った。
「命先生…?」
まといが命を見上げる。
命の表情を見たまといの顔に、僅かな怯えがよぎった。

―――望には、自分からつきまとうくせに、私には怯えるのか。

まといの怯えた表情を見た瞬間、命の中で、何かが切れた。

「分からない娘だね…君も。
 過剰な熱が、どれ程に痛くて冷たいものか…試してみるかい?」
そういうと、命はまといの細い両手首をつかみ、ぐい、と引き寄せた。
「命先生、何を…!」



まといの手からマグが床に落ち、鈍い音を立てて砕け散った。





36545 degrees Celsius 5/11:2008/10/08(水) 23:56:06 ID:wMMcTdht
―――自分は、一体、何をしているんだろう…。

命は、熱に浮かされたように動きながら、自問自答していた。

煮えたぎった頭の、一部だけがひどく冷めていた。
その冷めた部分にいるもう一人の自分が、
今の自分を、嫌悪の表情で眺めていた。

診察用のベッドの上で、自分の体の下に組み敷かれた細い体。
その口からは、声にならない悲鳴が漏れている。
しかし、まといの恐怖の表情も、体中で示される抵抗も、
今の命を止める手立てとはならなかった。

体が熱い―――熱くて、痛い。
そう、彼女に、熱が痛くて冷たいものだと、知らしめてやる。

意味の通らない言い訳を、自分に何度も言い聞かせながら、
命は、まといの着物を剥ぎ取っていった。
全てを剥ぎ取った後の、まといの肌の白さに一瞬目を奪われる。

命は、両手で、一糸纏わぬまといを掻き抱くと、
彼女の全てを奪うように、その紅い唇に深く口付けた。
「やっ…むぐ、んー!」
まるで、むさぼるように舌で歯列を割る。
どうやら、幸いに割り込んでくる舌を噛もうとする気配はないようだ。

命は、夢中になってまといの口内を味わいつくした。
だんだんと、まといが、苦しそうな表情になる。
ようやく命が唇を離すと、まといは咳き込んで胸を大きく上下させた。

小ぶりだが形の良い乳房の、淡いピンクの頂は、
執拗な口付けに反応したのか、既に、固く立ち上がっていた。

命は、すかさず、その頂を唇に含んだ。
「…っ!」
まといが、小さく悲鳴を上げた。
構わず、舌の先で転がすように固い蕾をつつく。
「や、はぁ、ぁあっ!」
執拗に弄っていると、まといの悲鳴に甘さが加わってきた。
36645 degrees Celsius 6/11:2008/10/08(水) 23:58:16 ID:wMMcTdht
「いい声だ…。」
命はまといの胸に唇を寄せたまま、呟いた。
まといの頬に一気に血が上り、まといは命を睨みあげた。
その瞳に燃える炎に、命は、思わず動きを止めて見入ってしまった。

―――全てのはじまりは、この瞳だったのかもしれない。

病室で、望を、望だけを一心にひたすら見つめる瞳。
その光景を見たとき、その瞳に込められた強い意志と想いに、圧倒された。
誰かを、ここまで想うことができるエネルギーに、感動した。

その強い視線を、独占したいと思い始めたのはいつからだろうか。
今思えば、まといに病室から出るよう、いつもうるさく言っていたのも、
まといの注意を自分に向けさせたかったからかもしれない。

しかし、あの瞳が決して自分には向けられることがないと分かったとき
命の中の果てしない憧れが、暗い情念に変わっていったのだ。

そうやって自分の行動を分析する自分を、もう1人の自分が自嘲気味に笑う。
だから、何だというのだ?
どんな理由をつけたとしても、今、お前のやっていることは―――。

―――うるさい。
命は、皮肉な笑みを浮かべた自分の分身を振り払うように、
まといを強く抱きしめると、再びまといの体に手を伸ばした。

「や…っ、な、んで、こんなこと、するんですか…っ。」
まといが息を切らしながら、混乱したような声を上げる。
「言っただろう…物分りの悪い子には、体に覚えさせるのが一番だ。」
そういうと、命は、長い指をまといの中に埋め込んだ。
「あ…っ、い、痛いっ。」

そこは、まだ、潤いが足りないようだった。
命の中に、ふいに、相手が望であったらまといはどう反応しただろう、
という自虐めいた考えが浮かんだ。
36745 degrees Celsius 7/11:2008/10/08(水) 23:59:47 ID:wMMcTdht
命は、まといの耳に口を近づけると、わざと望の口調を真似た。
「常月さん…いいですよ…。」
果たして、まといの体はそれにびくんと反応した。

口調を真似た、それだけで激しく反応するまといに、
命の中で燃えている暗い情念がいっそう掻き立てられる。

「常月さん、可愛いです…先生は、あなたが大好きですよ…。」
弟の口真似を続けながら、自分は狂っている、と命は思った。

45℃―――45 degrees Celsius。
適合刺激が温覚から痛覚に変わる分岐点。
自分の中の熱は、とうにその温度を超えていた。
どこもかしこも熱く、痛い。

きっと、自分の脳は、この熱でとっくに壊れてしまっているのだ。
頭も心も狂ってしまったこの体を、熱だけが支配する。
もう、この熱を、止めることはできない―――。

まといの口からは、抑えようとして抑えきれない喘ぎ声が漏れ、
命は、指の先がじわりと潤んできたのを感じた。

「常月さん…。」
その瞬間、自分の分身が、自分を大声で引き止めているのを感じた。
しかし、命はそれに目をつぶり、まといを強引に貫いた。

「やぁぁぁああ!」
まといが悲鳴を上げた。
命は、それを塞ぐように唇を合わせると激しく腰を動かした。
「んっ…んんっ!」
まといの頬に再び血が上り、目元が妖しげに潤んでくる。
まといは、首を振って命の唇から逃れると、大きく喘いだ。

―――今、彼女の脳裏にいるのは、誰なのだろう…。

感じているのが快感なのか痛みなのか、それさえも朧気で、
ただただ、頭が真っ白になりそうな感覚に包まれながら、命は果てた。



36845 degrees Celsius 8/11:2008/10/09(木) 00:00:51 ID:wMMcTdht
汗が引き、体のほてりが収まってくると同時に、命の中に、
徐々に冷静な考えが戻ってきた。

―――何を、やった、んだ、私は…。

背中を、冷たい汗が流れた。
さっきまであんなにも燃え盛っていた熱は、どこかに行ってしまったようだ。

おそるおそる、命は、横にいるまといに目を向けた。
まといは、ぼんやりとその場に横たわっていた。
命は、口ごもりながらまといに声をかけた。
「あの…。」

とたんに、まといががばりと起き上がると、命を見た。
しかし、その目には、何も映っていなかった。

まといに伸ばしかけた命の手が、途中で止まった。
まといは、命から顔を背けると、固まってしまった命の前で
ものすごい勢いで着物を体に纏い、診療室を飛び出した。

命の手が、ぱたりとおちた。
呆然と宙を見つめる。

―――私は…一体、何をしてしまったんだろうか…。

いたいけな少女の体を、獣のように犯しつくした。
激しい後悔と自分に対する嫌悪が、止め処もなく湧き上がってきて、
命は震える両手で顔を覆った。

そのまま暗くなるまで、命はその場に蹲っていた。


36945 degrees Celsius 9/11:2008/10/09(木) 00:02:42 ID:wMMcTdht
「じゃ、兄さん、お世話になりました。」
「ああ、もう戻ってくるなよ。」
翌朝、何も知らない望は、嬉しそうな笑顔で医院を後にした。

まといは、この近くにいるのだろうか。
しかし、命はあえて周辺を見回す勇気がなかった。

望は、既に大分先を歩いている。
しばらく行けば、その後ろにはまといの影が寄り添うだろう。
命は、心に痛みを感じながら、望の後姿を目で追っていた。

しかし、いつまで経ってもまといは現れなかった。

―――まさか、昨日のことが…?
命がふと、心配になったとき、望が歩みを止めた。
そして、落ち着かなげに後ろを振り返る。

望は、しばらく、その場に呆けたように突っ立っていた。
その姿は、母親に置いてきぼりにされた子供のようにも見えた。

―――何やってるんだ、あいつ…忘れ物でもしたか?
命は、いぶかしげに、弟の姿を見ていた。

と、望が命の視線に気がついたように、こちらを見た。
そして、心なしか赤くなると、慌てたように再び歩き始めた。
しかし時折、肩越しに後ろをチラチラと振り返っている。

―――変な奴だな…。

命は、首をかしげながら踵を返し、医院の扉を開けた。
とたん、危うく大声を上げるところだった。

医院の玄関ホールに、まといが立っていた。
37045 degrees Celsius 10/11:2008/10/09(木) 00:04:10 ID:wMMcTdht
「つ、つ、常月さん…。」
命の口から、自分の声とは思えない声が漏れた。
まといは、命に向かってにっこりと微笑んだ。

「命先生、私、分かりました。」
「な、な、何を…。」
「確かに、命先生の熱は、痛かったですし、体の芯から凍える気がしました。」
淡々と繰り出されるまといの言葉は、命の胸に突き刺さった。
命は、答える言葉もなく、ただ、その場に立ち尽くした。

「でも、命先生。」
まといは首を傾げて見せた。
「痛みと、冷たさだけじゃなかったです。」
「え…?」
「命先生の熱、私、確かに感じました。」
「―――!」
「命先生は、私のことを、強く、すごく強く、想ってくれてた。」

命は、驚いた顔で、まといを見た。
まといは、あの力強い瞳で、命を見つめていた。

「熱も、伝わるんですよ、命先生。」
「…。」
「だから。」
まといは、ぐっと握りこぶしを作った。
「わたし、あきらめません。先生に、私の熱が伝わるまで頑張ります!」
「な…。」

命は絶句した。

まといは、そう言うと、呆然としている命の横をすり抜け、扉に手をかけた。
そして、命を振り返ると、再び大きく微笑んだ。
「それだけが、言いたかったんです…それじゃあ、また。」
37145 degrees Celsius 11/11:2008/10/09(木) 00:05:01 ID:UHPyVFRQ
扉が閉まると同時に、
命は、そのまま崩れるように医院の床に腰を下ろした。

―――なんという…。

真っ直ぐさ加減にも、程がある。
例の、髪留めの少女も真っ青のポジティブ思考ではないか。

―――しかしね、常月さん…。
命は心の中で呟いた。
熱が伝わったからと言って、それが受け止めてもらえるかはまた別問題だ。
現に、自分の想いは、彼女に受け止ってもらえてないではないか。

と、そのとき、命の脳裏に先ほどの望の姿が浮かんだ。
途方に暮れたように立ち尽くし、繰り返し肩越しに後ろを振り返る…。
まるで―――何かを探しているように。

命は、思わず拳を口に当てた。

―――………望の奴……あいつ…。

「は…。」
乾いた笑いが、拳の隙間から漏れた。

―――なんだ…何も分かっていなかったのは、自分の方じゃないか…。

今はまだ、望も、はっきりと意識はしていないのかもしれない。
でも、彼女なら。
あの真っ直ぐな瞳は、いつかはきっと、望を自覚させる。
彼女なら、熱だけでなく、想いをも受け止めさせることができるだろう。

「はは、あははは、何だ、は、ははははは…。」
命は、腹を抱えると、1人笑い始めた。

笑いは胆汁のように苦かったが、止まることを知らずに溢れてきた。

「まったく…本当に、馬鹿みたいだ…。」
笑いすぎて涙が出てきたが、命は気にしなかった。

誰もいない医院の玄関で、頬を流れ落ちる涙を拭いもせず、
命はいつまでもいつまでも笑い続けていた。
372430:2008/10/09(木) 00:05:54 ID:UHPyVFRQ
以上です、どうも長々と失礼いたしましたー。
…望入院中、という場面設定が、
微妙に真昼さんのお話とかぶっているような気がしないでもないorz
373名無しさん@ピンキー:2008/10/09(木) 00:15:14 ID:Nw0wczwX
いいよいいよ〜。

せつね。
374名無しさん@ピンキー:2008/10/09(木) 00:35:11 ID:tauLSfwM
哀れ命……だが、これは良いものだ
ありがとう!
375名無しさん@ピンキー:2008/10/09(木) 01:37:20 ID:g4KqGb86
そろそろ他のキャラが来ないかと思ってたんだGJ
376ルルーシュ ◆w2qGrvoIiw :2008/10/09(木) 06:44:17 ID:xN0E0Esk
ギアスを直結3段(最高段)に入れると読みました。
377ルルーシュ ◆w2qGrvoIiw :2008/10/09(木) 06:52:37 ID:xN0E0Esk
ルルーシュ 2000番台などでは、液体変速機は1個(変速1段)で、後ろに直結用の
湿式多板クラッチ機構と遊星歯車機構が備えられている(直結2段)。逆転機は
変速機内蔵型であり、変速機と推進軸の間の機構は複雑な構造。

クラッチは湿式多板クラッチ機構であり、直結が約6枚、逆転機が約12枚という構成。
378名無しさん@ピンキー:2008/10/09(木) 10:03:58 ID:WAmfUN6s
>>372
まとい待ってた!GJ
379名無しさん@ピンキー:2008/10/09(木) 10:29:17 ID:K3OUwmkx
俺より上手いと言うことは認めてやろう
380名無しさん@ピンキー:2008/10/09(木) 17:50:56 ID:nAERMb11
>>
お久しぶりです。
そろそろあなたが戻ってくるんじゃないかと思ってました。
超GJでした。
やはりあなたの糸色兄弟は素敵です。

381266:2008/10/09(木) 19:59:10 ID:Ic5yPIEh
投下します。先生×倫エロなし
382266:2008/10/09(木) 19:59:57 ID:Ic5yPIEh
その日の放課後の宿直室はいつもより賑やかだった。
「そうしたら、お兄様ったら大慌てで逃げ出して、それも出口とは逆の方向に」
「あはは、先生らしいわね」
「でも、そういえばつい最近もそんな事あったわよね。ほら、地下の遺跡に入ったときに…」
2のへの生徒たちの何人か、可符香に千里に晴美に奈美、それに倫が集まって、好き勝手におしゃべりをしていた。
笑い声の絶えない明るい空気のおかげで、どうにも少し寂れた感じのするいつもの宿直室も今日は華やいで感じられる。
だが、そんな中で一人、ふてくされた顔をした男が一人。
「みなさん、随分と楽しそうですね……」
「あら、お兄様、さっきから黙り込んで、生徒とのコミュニケーションはよろしいのかしら?」
「コミュニケーションなんて出来るわけないじゃないですか」
まあ、無理もない話しだった。
宿直室に集まった生徒の中で、現在話の中心となっているのは彼の妹の倫だった。倫の話す先生の過去の話、それも恥ずかしいやつを中心に、生徒たちは盛り上がっていたのだ。
「一体、この空気の中で私にどう発言しろと言うんですかっ!!」
「無理のある言い訳をして、さらに恥を上塗りしてみるとかどうかしら?」
「恥って、お前が恥ずかしいエピソードばかり選んで話しているんじゃないですかっ!!」
「あら、お兄様の人生で、それ以外のエピソードがあるとおっしゃるんですか?でしたら、是非聞かせていただきたいですわ」
喧々諤々の兄妹ゲンカ。しかし、どう言い返しても全く揺らがない倫のペースに、先生の旗色は悪い。
「まあまあ、倫さま、ぼっちゃまをそのように苛めないでくださいまし」
そこに割って入ったのは、糸色家執事の時田だった。
「そもそも、昔はあんなに仲の良い兄妹だったではありませんか。まだ幼い頃の倫さまが、いつもぼっちゃまの側で、ぼっちゃまと一緒に遊んでいたのを、私はよく覚えておりますぞ」
「こ、こら!!時田っ!!」
時田の言葉に、倫の顔が一気に赤くなった。
「へえ、倫ちゃんってお兄ちゃん子だったんですね」
クスクスと可笑しそうに、可符香が笑う。
「意外ね。今の二人を見ていると想像もつかないわ」
千里は少し驚いた表情だ。
「まあ、人は変われば変わるものよね」
晴美はウンウンと勝手に納得している。
「でも、そのころの倫ちゃん見たかったなぁ。きっと、すっごく可愛かったと思うよ」
最後にそう言った奈美に、ニコニコ顔で見つめられて倫の顔はさらに赤くなる。
「しょ、所詮は昔の話ですわ。今の私には何の関係もない事、そうでしょう?」
彼女に出来た反論は、いかにも言い訳がましいそんな一言だけだった。

それからしばらくして、生徒たちはそれぞれの自宅に帰っていった。
随分、遅くまで話し込んでしまったため時田に彼女たちを家まで送るように頼み、今の宿直室に残っているのは先生と倫、そして卓袱台にもたれかかって眠る交だけだ。
「随分と好きにアピールしてくれたものですね、倫」
交の体を抱え上げ、布団に寝かせてやりながら先生が言った。
「何の話ですか、お兄様?」
怪訝な顔をして、倫は問い返す。
「さっきの、お前がお兄ちゃん子だったとかいうアレですよ」
「あの話は時田が勝手に始めたんじゃありませんか」
「偶然を的確に活用するのもテクニックの内です。あれだと、さも大好きな兄についてまわる可愛らしい妹だったみたいじゃないですか」
むくれた表情の先生はうつ伏せに寝転がり、読みかけの文庫をパラパラとめくりながら話を続ける。
383266:2008/10/09(木) 20:00:38 ID:Ic5yPIEh
「確かに、小さい頃のお前が私とばかり遊んでいたのは事実ですが、あの頃のお前は私の後ろをついて回るのではなくて、私を振り回すやんちゃで腕白な娘だったじゃないですか」
「あら、そうだったかしら」
「しらばっくれても無駄です。お前の馬になって定規で叩かれたお尻の痛みは今も忘れません。お前は事実を話すべきだったんです。
それをあんな風にはぐらかして、みなさんの誤解を招いて、あれは立派な印象操作です。インチキもいいところですよ」
それから、先生は不機嫌そうな様子でさらに付け加える。
「そもそも、お前が一番懐いていたのは私じゃないではないですか」
あの頃、確かに先生と倫は年の離れた兄妹としてはずいぶんと長い時間を一緒に過ごし、二人で遊んだ。
しかし、倫には先生とは別に、お気に入りの相手がいた。先生のひとつ上の兄、糸色命である。
当時すでに医師となる事を目標として勉強していた命と倫が遊べる機会はあまり無かった。
しかし、たまに勉強の息抜きなどで命が休んでいると、倫はたちまちそこに駆け付けて、本などを読んでもらい、心ゆくまで命と話をした。
「お前にとって、命兄さんは憧れの対象で、私はせいぜいオモチャだったんですよ。可愛いお兄ちゃん子だなんて、お兄ちゃんが違っています」
先生は拗ねたような表情でそう言った。それを聞いていた倫は…
「あら、寂しがってくださっていたんですね」
「な、な、何を言うんですか!?私は、ただ……」
図星を突かれたのか、先生は慌てふためく。
「そうですね、私、命お兄様の事は大好きでしたわ」
「ほら、やっぱりそうじゃないですか」
クスクスと笑いながら答えた倫に、先生は恨めしそうにそう言った。それから二、三ほど文句を言おうとした先生だったが、倫の笑顔があまりに楽しそうだったので、毒気を抜かれてしまう。
仕方なく手元の文庫に再び視線を落とし、パラ、パラとページをめくり始めた。

それからさらにもう少し時間が経って、うつ伏せで文庫を開いたまま、先生は眠りについていた。
その寝顔を見つめながら、倫は苦笑してつぶやく。
「まったく、お兄様という人は……」
確かにいつも相手をしてもらえない命に遊んでもらえるのは嬉しかった。命の事が大好きだった。これらは全て事実だ。
「だけど、お兄様、あなたは覚えていらっしゃらないんですか?」
やんちゃで腕白、幼い頃の倫に対する先生の評価は的を射たものであると、倫は思う。
そして彼女は、やんちゃで腕白だったが故に、向こう見ずに行動しては怪我をしたり、とんでもない失敗をしでかしたり………。
「その度に泣きじゃくる私の涙を拭って、慰めてくれたのは誰ですか?」
気弱な兄は、無鉄砲な妹の後をどこまでもついて来てくれた。
地元では絶大な影響力を持つ旧家の娘は、周囲の人間にとっては近寄り難い存在だったのだと思う。小学校に通っていても、倫は少し浮いた存在だった。
「私が一人ぼっちにならずに済んだのは、一体誰のおかげなんですか?」
倫はそっと先生の右手をとり、両手で包み込むようにしてその温もりを味わった。
『倫、もう大丈夫だから、泣かなくてもいいんだよ、倫』
そのまま先生の右手の平を、そっと自分の頬にあてる。あの頃と変わらない感触。何度も、何度も撫でてくれた手の平。
「気付いてくださらないのね。お兄様は本当に愚か者ですわ……」
ふっと、倫の顔が安らかに眠る先生の顔に引き寄せられていく。
「どうして、私がお兄様のクラスの生徒になったのか、少しぐらい察してくださってもいいのに……」
倫の視線は規則正しい呼吸を続ける唇へ……。軽く重ねるだけのようなもので構わない。自分の唇に、兄の唇の熱を感じてみたい……。
「お兄様……」
やがて、二人の唇の距離が零になろうとしたその時……
「倫さま、なりませ―――――んっ!!!!!」
突然響いた時田の声に、倫は正気に返った。
(み、見られてしまった……っ!?)
384266:2008/10/09(木) 20:01:15 ID:Ic5yPIEh
動転した倫がバネ仕掛けのように上半身を起こす。その瞬間――
ゴキィッ!!!!!!!!
嫌な音が、倫の体の真下から聞こえてきた。そこにあるのは兄の右肩。そこから突き出ている腕の角度が明らかにおかしい。
「ど、ど、どうなさったのですか!?どうしてぼっちゃまにこの様な仕打ちをっ!!?」
考えてみれば、うつ伏せに寝ている人間の手の平を、座っている自分の顔の辺りまで持ってきた時点でかなり無理のある状態だったのだ。
右腕を背中の側に無理にねじり上げられたような状態。遠目に見ていた時田には、倫が先生に関節技を極めているように見えたことだろう。
そして、時田が思わず叫んだのが運のツキ。反応して跳ね起きた倫の体の動きで、先生の右肩は見事に粉砕された。
「倫さまっ、倫さまっ、一体何があったのですっ!!倫さまーっ!!!」
時田の叫ぶ声が、倫にはやけに遠くに聞こえた。

で、翌朝。
「お、お兄様、口を開いて…」
「は、はい…ぱく…もぐもぐ…」
右腕が使い物にならなくなった先生に、倫は朝食を食べさせていた。食卓の空気は重い。
先生にしてみれば全く事態がつかめない。どうして妹が自分の右肩を破壊なんてしたのか。もしかして、昨夜のやりとりがよほど腹に据えかねたのか……。
「あ、あの、倫、何か不満とか言いたい事があったらハッキリ言ってください。話し合いましょう」
ビビられてる。完全に。
「い、いいえ、お兄様に不満なんて、そんな……」
弁解したいのは山々だが、そうすると色々触れなければならない事が出てくるわけで……そもそも右肩粉砕の事実は動かしようがないわけで……
「………はぁ」
思わずこぼれた倫のため息に対しても
「な、な、何ですかどうしましたか、怒る気持ちもわかりますが、まずは話し合いをっ、話し合いをーっ!!!!」
この反応である。
まさに八方塞がり、倫の前途はどうしようもないほど多難であった。
385266:2008/10/09(木) 20:01:54 ID:Ic5yPIEh
これでお終いです。
386名無しさん@ピンキー:2008/10/09(木) 20:27:48 ID:FK7LrmSR
お美事!
387名無しさん@ピンキー:2008/10/09(木) 21:11:26 ID:H+ZPy7ut
>>385
GJ!
倫可愛い
388名無しさん@ピンキー:2008/10/09(木) 21:50:47 ID:DVVMz/Wg
新しい書き手が現れないかなあ・・・
389名無しさん@ピンキー:2008/10/09(木) 22:00:08 ID:abC3qI+K
>>385 GJ!!なんだか、かわいい倫がみれてよかったです。
390名無しさん@ピンキー:2008/10/09(木) 23:24:18 ID:HB8VM3Ys
>>385
可愛い倫をありがとうございました
単体で褒めるのも変だけど、前回のに付けられたタイトルも良かったですw
391名無しさん@ピンキー:2008/10/09(木) 23:46:06 ID:JBBGML4C
266さん、G J !
ニヤニヤがとまりませんぞ

>>388
貴殿が何か書いてみては?
一読者として、待ってます
何時までも
392名無しさん@ピンキー:2008/10/09(木) 23:58:00 ID:UHPyVFRQ
>>385
G J で す!!
萌えまくったその後に、大爆笑しました…!
393266:2008/10/11(土) 02:01:14 ID:u4CYJXMo
昨日に続いて、以前書きかけだったものを仕上げたので投下します。
あびるの話で、またもエロなし。一応、脱ぎはするけれど。
394266:2008/10/11(土) 02:03:38 ID:u4CYJXMo
学校帰りに立ち寄ったスーパー、夕食のための食材をカゴに入れてから、次にあびるが向かったのは入浴剤の置かれた棚だった。
「あ……」
「あら…」
そこであびるは見知った顔に出会う。
同じクラスの大草麻菜実、この年で既に結婚しており、学生と主婦業の両立に加えて、借金をこさえるは浮気をするはと問題の多い旦那さんに頭を悩ませる2のへ随一の苦労人である。
「夕飯のお買い物?小節さん」
「うん、大草さんも?」
「ええ、今日は肉じゃがにしようかなって。……だけど、小節さんも大変だね」
大草さんの声のトーンが少し落ちる。あびるの両親はつい最近離婚しており、今は彼女と父親で二人暮らしをしている事を思い出したのだ。
「ううん、平気。もともと母さん、家にはあんまりいなかったし、家事は昔から私とお父さんでやってたから……」
自分の家庭の方がよっぽど大変だろうに、心の底から心配してくれている様子の大草さんに、あびるはつとめて明るい調子で答える。
「でも、珍しいね。ここのスーパーで小節さんと会ったのって初めてじゃないかしら?」
「ああ、今日はね」
あびるは棚に山積みされた入浴剤の箱を二つ、カゴに放り込んだ。今日の特売品、全国の有名温泉地の湯が楽しめるという、入浴剤セットだ。
「これが欲しかったから」
「ああ、なるほど」
大草さんは納得した様子でうなずく。それから、今度は自分の目的の品、こちらも特売品の食器用洗剤をとなりの棚からカゴに入れ、笑顔でこう続けた。
「小節さん、お風呂好きなんだね」
「う、うん……」
その言葉に、あびるの顔が少しだけ赤くなる。返事をした声も上ずっている。
基本的にマイペースを崩さない、どちらかと言うとクールな印象のあるあびるの思ってもみなかった動揺に、大草さんは少し驚く。
「そ、それじゃあ、そろそろ帰らないと、夕飯急がないと、お父さん帰ってくるまでに間に合わないから…」
「あ、うん……」
まくし立てるように言って、あびるはレジの方に走っていく。ぽつんと取り残された大草さんは、呆然としてただ首をかしげるばかりだった。

「はあ、はあ……」
スーパーからだいぶ離れた所まで走って、ようやくあびるは足を止めた。もともと運動は得意な方ではないので、やたらと息が切れて心臓がドキドキする。
まあ、それは急に走った事だけが原因ではないのだろうけど……。
「……お父さんと入るお風呂が楽しみだなんて、言えないよ……」

家に帰ったあびるは制服を着替えると、早速夕飯の準備に取り掛かった。今日の献立は料理番組で見た野菜の煮物だ。
大草さんの手前ああ言ってしまったが、実は今日は仕事で帰りが遅くなるとあらかじめ父から言われている。その分、たっぷり時間をかけて調理して、材料に味を染み込ませる事ができるだろう。
「…そうだ、テレビ」
それから思い出したようにあびるはテレビのスイッチを入れる。チャンネルは民放のとあるテレビ局、ちょうど夕方のニュースをやっているが、あびるの目当ては別の番組だ。
7時から始まる特番。世界の動物を特集する2時間スペシャル、あびるが随分前から楽しみにしていた番組である。
ニュースを聞き流しながら、少しご機嫌な様子で鼻歌を歌いつつ、あびるはてきぱきと料理をする。
いつもと同じ光景。ずっと前から変わらない、あびるの日常。
父と母が離婚する以前とほとんど何の変化もない、そもそも母が家にいる事自体が少なかったので、用意する夕飯の量にすら変化がない。同じ繰り返しの毎日。
「母さん…どうしてるかな?」
自分の娘に対する親権すら主張せず、家やその他の財産に対する権利も捨てて、いつの間にか母は自分の家族ではなくなっていた。
そのあまりの未練のなさは、まるで母がそもそもこの家の人間ではなかったみたいで、母がいなくなっても違和感なく続く自分の生活はその証明であるかのように感じられた。
「…………あれ、こ、焦げてる!?」
ついボンヤリとしてしまっていたようだ。コンロの火の勢いを落としてから、あびるはため息をつく。
父が1ヶ月ほど離婚の事を言い出せずにいた気持ちも、少しだけわかるような気がする。あれほどあっさりと全てを捨てた母の事について、娘に説明する言葉を持てなかったのだろう。
まあ、だからといって、夕食時の話題でサラッと済ませようとしたのはいただけないが。あの時もつい、父の頭をポカリとやってしまった。
「…………あ」
そこで、あびるは気がつく。ちゃんと自分に事情を話してくれなかった父には怒りを感じたが、肝心の家を出て行った母に自分は何の感情も持てずにいる事に……。
395266:2008/10/11(土) 02:04:59 ID:u4CYJXMo
「……寒い」
急に背筋がゾクリとして、あびるは体を震わせた。秋の空気の冷え込みに、知らず知らずに体温を奪われていたのかもしれない。たぶん、それだけ。それだけの事のはず………。
「まだかな、お父さん……」
心細げにあびるが呟くいた。その声も、大きめにしたテレビの音声も、くつくつと煮える鍋の音も、全てを呑み込んでしまう一人ぼっちの家の静寂の中で、ブルル、あびるはもう一度体を震わせた。

それからしばらく後、特番も終わって、食事も終えて、後片付けまで終わらせても、まだ父は帰ってこなかった。また、あの静寂が忍び寄ってくる。
あびるはダイニングのテーブルの上で宿題を始めるが、こんな日に限って宿題の量は少ない。すぐにやる事がなくなって、あびるは途方にくれる。
「……そうだ」
思い出して、あびるは立ち上がる。
掃除機を持って、父の部屋へと向かう。
そういえば当分、父の部屋の掃除が出来ていない。男性にしては整理整頓、片付け上手な父だが、読書好き漫画好きですぐ本が増えるので、ときどきあびるが掃除してやらないと部屋が荒れるのだ。
ガチャリ、父の部屋のドアを開ける。まず視界に入るのは、大きな本棚とそこに収まりきらずに床に積まれたたくさんの本たち。
歴史小説を中心に、ノンフィクション、推理物、新書に専門書とぎっしりと本の詰まった本棚を見上げてから、あびるはその中で漫画ばかりが置かれた棚に視線を移す。
「また増えてる……」
いぢご100%全巻。それから新しく集め始めたらしい、宇宙からやって来たお姫様やらその他にもたくさんの女の子たちと、主人公の少年とのやたらHな”とらぶる”を描いた少年誌連載のお色気漫画。
父の部屋を掃除していて、いわゆるアダルトな本やDVDを見つけた事は一切ないが、正直こっちの方がよほど心配だ。
藤沢周平、司馬遼太郎と一緒にそれらの漫画が並ぶ光景は、中年男性の本棚としてはほとんど致命的な物に感じられる。
頭を抱えるあびるだが、不自然な事に気がついた。ぎっしりと本の詰まった本棚の中、例の”とらぶる”な漫画の隣に不自然なスペースがある。
「何だろ?」
そこには本ではなく、別の物が置かれていた。体にぴっちりとフィットした恥ずかしい服を着てこちらに微笑む女の子のミニチュア、例の漫画の表紙に描かれたヒロインのフィギュアだった。
『時間のない社会人には、完成品を買えるのはありがたいもんだな……』
あびるは、かつて父がぽつりと呟いた言葉を思い出す。
「これの事かーっ!!!」
思わず叫んだ。しかも良く見ると、フィギュアの隣にもまだ不自然なスペースが残されている。ちょうど、あと2,3体ほど同じようなフィギュアを置けそうなスペースが……。
(……まだ、他にも買う気なんだ)
肩の力が抜けた。まあ、自分のしっぽコレクションだって他の人から見たらアレな感じだろうし、個人の趣味をどうこう言っても仕方がない。
「掃除しよ……」
気を取り直して、まずは床の上の本を一度、部屋の机の上にどけてしまう。それから丹念に部屋の隅々まで掃除機をかける。
それから、本棚に入らない本たちを、せめて種類ごとに整理してから床に戻し、机の上、そして窓に雑巾をかける。
「うん、綺麗になったかな」
掃除を終えた部屋は幾分かスッキリしたように見えた。満足げにうなずいて、あびるは部屋を出て行こうとする。しかし、その時、気が付いてしまった。
「………あっ」
母のベッド。見慣れた光景であるために意識していなかった。部屋に並んだベッドは二つ。片方は父親の、そしてもう片方は母親のベッド。
母が出て行った後も、大きすぎるその家具はまだ処分されていなかった。たぶん、ベッドの下の収納スペースを開ければ、母の服がいくらか残されているはずだ。
(そうだ、ここは…お父さんとお母さんの部屋だったんだ………)
また、背中がゾクリとした。飛び出すように、父の部屋から出て行く。
再びダイニングに戻る。時計を見れば、もう11時になろうとしていた。もうそろそろ帰ってきてもおかしくないのに、父はまだ戻らない。
テレビのスイッチを入れる。なるべく明るい番組を。くだらない笑いを。近所迷惑にならないギリギリの範囲で音量を上げる。
何とかしなければ、あの寒気にまた捕まってしまう。
「早く帰ってきてよ……お父さん…」
しかし、呟いたあびるの言葉さえ吸い込んだ静寂は、一人ぼっちの家の中を隅々まで満たして、決して追い払う事は出来なかった。

「あびる、起きなさい。風邪をひくぞ、あびる」
肩を優しく揺さぶられて、あびるは目を覚ました。
「あ……、お父さん」
「どうしたんだ?こんな所で寝てるなんて…」
396266:2008/10/11(土) 02:05:45 ID:u4CYJXMo
どうやらあの後すぐ、ダイニングのテーブルでテレビを見ながら眠ってしまったらしい。
少し体が冷えているような気もするが、普段と変わらない父の声を聞いているだけで、安心感がじわりと広がって体が楽になっていくようだった。
時計を見れば深夜の零時を越えている。一時間以上も眠っていたわけだ。
「ずいぶん遅かったじゃない、お父さん。仕事、忙しかったの?」
「ん、いや、まあそれもあるんだが……」
あびるの問いに父は口ごもった。よく見ると、仕事帰りの父はカバンの他に、何か袋を持っている。それはあびるも知っている有名書店の紙袋だった。
「この時間までやってる本屋はさすがに少ないからな……」
そういえば、あの某少年誌のコミックスが発売されるのは、ちょうど月のこの辺りの時期だったはず……
「お父さん……」
「いや、その、新刊がな……」
あびるが静かに睨むと、父は明らかに狼狽して、つい口を滑らせてしまった。
ポカリッ!!!
(こっちの気も知らないで……っ!!!)
思わず拳が出ていた。冷静に考えれば、父にはそこまで責められるような謂れは無いのだが、どうにも我慢が出来なかった。
「あ、あびる…何も殴ることはないじゃないか」
言いながら、父は落としてしまった書店の袋から、飛び出した本を拾い集める。
予想通り例の”とらぶる”な漫画と、お堅い経済誌に、中近東の歴史と宗教に関するハードカバー、相変わらずカオスな取り合わせだ。
「お父さんの…馬鹿っ!」
「あびる……お前…」
そして、再び顔を上げた父は、少しだけいつもと違う娘の様子に気がついた。いつもは落ち着いた娘であるあびるの、この乱れの意味が何となくわかった。
「寂しかったのか……?」
「……………」
あびるは何も言わず、ただ父の胸に手を置いて、スーツの布地をぎゅっと握り締めた。父は娘の肩にそっと手を置いてやる。
そのまま、二人はしばし無言でその場に立っていた。
「…………お風呂、まだお湯入れてなかった」
やがて、あびるはぐしぐしと目をこすり、父の側から離れる。
「ごめんなさい……ありがと…」
小さくそう言った言葉だけを残して、あびるはダイニングから出て行った。

それからさらに40分ほど後、父が夕食を食べ終えた頃、あびるはダイニングに戻って来た。父の向かいの席に腰を下ろす。
「………お風呂、もう入れるから」
そう言ってから、あびるはそのまま俯いてしまう。父は自分の使った食器を流しへ運び、スポンジに洗剤を落として洗い始める。
流れる水の音、食器同士がぶつかって立てるカチャカチャという音、そんな音達を聞きながら、あびるは時折、ちらりちらりと食器を洗う父の背中を上目遣いに伺う。
やがて、食器を洗い終わった父は振り返り
「じゃあ、そろそろ風呂にしようか」
そう言った。
「お父さん、私も……」
それに対して、あびるがおずおずとそう言うと
「ああ、一緒に入ろう……」
父はあびるの言葉を継いで、そう言ってくれた。
「うん……」
あびるが嬉しそうにうなずく。父が帰宅して以来ようやく、あびるは微笑む事ができた。
397266:2008/10/11(土) 02:06:34 ID:u4CYJXMo
父の指がシャンプーで泡だらけになったあびるの髪を優しく洗う。丹念に、丁寧に、あびるの髪に触れる父の指先の感触は、彼女の胸を安心感で満たしてくれた。
「昔は体も洗ってくれたのに……」
「年頃の娘の体に、親と言えど触る訳にはいかんだろう」
暖かい湯気の中、互いに裸の父と娘の間には、穏やかで親密な空気が流れていた。
お互いの体を洗いっこするのが、幼い頃からの父とあびるの習慣だったが、さすがにこの年になると父も娘の体に触れる事に抵抗があるようだ。
「別に私は構わないんだけどな」
「アメリカだったら逮捕されるぞ」
仕方ないのであびるはスポンジにボディシャンプーを含ませ、自分で体を洗う。髪と体の泡をいっぺんにお湯で流して、リンスもしてもらって、今度はあびるが父の背中を流す番になった。
あびるは立ち上がり父と場所を交代しようとして
「あ、あんまり見ないでよ、お父さん…」
父の視線に気が付いて顔を赤くする。いつもの事とはいえ、あまり見られると少し恥ずかしい。
「さっきはあんな事言ってたのに、お父さんのエッチ」
「ばか、今更、娘の裸ぐらい気にもならん」
それはそれで、何だか腹が立つ。ぶすっとした表情を浮かべるあびるに、父はこう続けた。
「いや、生傷の絶えない娘だな、と思ってな。お前が好きでやってることだし、仕方が無いとはわかっているんだが……」
動物(及びそのしっぽ)好きのあびるは動物園でアルバイトをしている。その際、動物にじゃれつかれてケガをしてしまう事が多く、彼女の体は傷だらけだった。
「ごめん、心配だよね……」
「いや、親の心配なんて勝手なものさ……お前の気にする事じゃない」
「ありがと……」
「まあ、やたらとしっぽを引っ張る癖だけは、どうかと思うがな」
憎まれ口を叩く父の頭を、ポカリッ!!
「痛い…」
「お父さんが悪い」
「理不尽だ…」
「誰だって好きで好きでしょうがないものってあるでしょ。お父さんだって今日も買ってきたあの漫画、やめられる?」
「むぅ………」
「だから、あんまりそういう事言わないのっ!」
なんて言い合いながらも、あびるは笑顔だ。父の気遣いが、心配してくれる気持ちが嬉しかった。自然と、父の背中を洗う手にも力がこもる。
しかし、父の背中を夢中で洗っている内に、言いようの無い不安がこみ上げてきた。一人ぼっちの時に感じていた、あの寒気が再び襲ってくる。
(お父さんはこんなに私の事を大事にしてくれている。だけど、お母さんは……)
あびるに対して何ら執着を見せる事無く、それどころか憎しみさえぶつけてくる事も無く、母は何も残さず消えてしまった。
まるでそれでは、あびると母はそもそも何の関わりも無い他人だったみたいで……
少しだけ、父の背中をこするスポンジから、力が抜ける。
「あびる……」
そんなあびるの心情を察したかのように、父は優しく彼女の名前を呼んだ。
「母さんは、離婚の理由について、最後まで私にもあまり話してくれなかった。とにかく離婚してくれの一点張りで、家にも帰ってこなくなって、それで私は挫けてしまったんだ……」
ぽつり、ぽつりと、父はその時の事を思い出しているかのような調子で、ゆっくりと話し始めた。
「だけど、今になって少し母さんの気持ちがわかるんだ。たぶん、恐かったんだろうって……」
「恐かった?」
「この年になるとな、色々先が見えてくるんだ。自分の限界のようなものが……」
そこで父は深いため息を一つつく。
「母さんはずっと仕事一筋だったからな。だけど、それもいつまでも続けられるものじゃない。そう考えて不安になっていた母さんに、私はその代わりになる物を与えてやれなかった。
それどころか、母さんにとって仕事に代わるような希望になるものは、全て奪い去られていたんだよ。他ならぬ、夫である私の手によって、何もかも………」
「な、何を言ってるの?お父さんが奪ったって……」
「例えば、お前だよ。あびる……」
「私……!?」
398266:2008/10/11(土) 02:07:26 ID:u4CYJXMo
父の意外な言葉に、あびるは思わず息を呑んだ。
「出産の後、お母さんが職場に戻ってからはずっと、お前の世話はほとんど全て私が引き受けた。お母さんが仕事に専念出来るよう、お母さんほど忙しくはない私が頑張ろう、そう思っていた」
「それの何がいけないの…」
「そのせいで、お母さんはお前との時間を、思い出を、ほとんど持つ事が出来なかった。それだけじゃない。他の家事にしたって、洗濯も、料理も、掃除も、何もかも私がやってしまった。」
あびるは思い出す。自分の記憶の中の母の姿は、仕事に出かける時の後姿と、疲れきって帰ってきた時の姿ばかりだった。
思えば、この父娘二人での入浴の習慣も、父が幼いあびるを風呂に入れてやっていた頃の名残だ。母は、あびるの養育に関わる事ができなかったのだ。
「夫婦の、家族の生活は、お互いが歩み寄って作り上げるものだ。それなのに、私は母さんの事を手伝っているつもりで、この家の中から母さんの居場所を奪ってしまった……」
「そんな…お父さんが悪いわけじゃないよっ!」
「帰る場所のなくなった母さんは、自分でそれを作るしかなくなった……。今度、独立して新しく会社を作るそうだ……。母さんは今も一人でもがいている。私のせいだ……」
あびるの瞳から涙が零れた。父が自分自身を責める言葉が、あまりに重くて、切なくて、どうして良いのかわからず、あびるはただ泣く事しか出来なかった。
そんなあびるに、父の言葉はただ優しい。
「母さんは、お前の事を愛しているよ。間違いない。ただ、どう関わって良いかがわからなくて、それで離れる事しかできなかったんだ」
「……うん…うん」
涙で顔をくしゃくしゃにしながら、あびるは父を抱きしめた。父を慰める言葉を、元気付ける言葉を思いつくことが出来なくて、それでもその思いだけは伝えたくて、あびるは父の背中をぎゅっと抱いた。
触れ合う肌の暖かさと、抱きしめてくる腕に込められた力の中に、娘の切なる思いを感じて、父の心は少しだけ和らぐ。
「母さんはこの世から消えたわけじゃない。だから、いつでも会いに行ったらいい。ちょっと話すだけでも、顔を見るだけでも、なんなら不満をぶつけて喧嘩してみるのもいい。
間違いなく、母さんはお前の母さんなんだから。何も不安になる事なんてない。そうやって少しずつ、思い出を、絆を、積み上げていけばいい。母さんもきっと、お前の事を待っているよ」
そう言って、あびるの頭を撫でてやる。それから、父は苦笑を浮かべて呟く。
「まったく、結婚生活のツケを子供に押し付けるなんて、とんでもない父親もいたもんだな……」
そんな父の言葉に、あびるは顔を上げて
「そんな事ない…ぜんぜん、そんな事ない…」
あびるは精一杯の笑顔で言った。
「ありがとう、あびる……」
振り返り、そう言葉を返してくれた父の笑顔が嬉しくて、あびるはまた父の背中に顔を埋めて、涙を流したのだった。

温泉の素を入れて、白く濁ったお湯に肩までつかる。どれほどの薬効があるのかは知らないが、温かなお湯に全身を浸していると、疲れが体から染み出していくようだ。
「いいお湯だね……」
「そうだな……」
小節家の風呂桶は大きく、父とあびるの二人が十分にお湯につかれる物だったが、さすがに足を伸ばしきる事が出来るほど余裕がある物でもなかった。
向かい合って入っていると、足や腕が当たる。でも、そのくすぐったさの中に、父の存在をより親密に感じる事が出来るような気がする。
(お母さん……)
母に対して自分が出来ること、あびるはそれを考える。もう元通りの家族に戻る事は無理なのかもしれない。でも、現状を少しだけ変える力なら、自分にもあるかもしれない。
父も、きっと応援してくれるだろう。そうやって、どんな小さなものでもいい、新しい何かを自分と母と、そして父の間に築く事が出来たなら……。
だけど、不安は大きい。父の言葉が信じられない訳ではないけれど、あの寒気はあびるの胸の奥底で未だにわだかまっている。
「ねえ、私の名前もお父さんがつけたんだよね……」
399266:2008/10/11(土) 02:08:17 ID:u4CYJXMo
この『あびる』という名前でさえ、父の手によるものなのだ。
「ああ、そうだ。だけどな……」
『あびる』は『浴びる』。
太陽の光を、そよ吹く風を、海のにおいを、山のさわやかな空気を、人々の愛を、この世に生まれてきて生きていく喜びを、その身に『浴びる』。
人生を生きる素晴らしさを全身で享受する。そんな願いの込められた名前だった。
「だけど、母さんはとても良い名前だって、きっとこの子は幸せになれるって、すごく喜んでいた。生まれたばかりのお前を抱きしめて、すごくすごく喜んでいたよ」
父の言葉に、あびるの表情が輝く。不安はそれでも消えないけれど、きっと何かを掴むことが出来る。そんな希望があびるの胸の中に芽生え始めていた。

風呂から上がり、体を拭いて髪を乾かし、パジャマに着替える。トイレも済ませて後は寝るだけだったのだけれど、あびるは通りかかった父の部屋の前で足を止める。
少しだけ、ドアを開けて中を覗いた。
「………やっぱり」
ドアの隙間から見えたのは、今日買った例の”とらぶる”な漫画をうつ伏せになって読みながら、足をパタパタさせている父の姿だった。
全く、子供じゃあるまいし、風呂で話し込んだせいで時間もだいぶ遅くなったのに、どうして我慢ができないのだろう。ため息をつきながら、あびるはドアを開き
「お父さんっ!!!」
「ん、あびるか?」
「明日も早いんでしょ。漫画はそのくらいにして……」
「ああ、この話を読み終わったらすぐに…」
あびるの怒りにも全く動じない父の態度に、彼女は実力行使に出た。つかつかと父の枕元まで歩み寄り、父の手からひょいと漫画を取り上げた。
「ああっ!!」
「明日まで没収します」
「ひ、ひどすぎるぞ、あびる。せめて、せめて今読んでいた話だけでも……」
父の抗議の声も完全に無視して、あびるは部屋の外に出て行く。
「それじゃあ、おやすみなさい、お父さん」
それだけ言って、バタンとドアを閉じてしまう。
「まったく……」
そして、自室に向かいながら、深くため息をつく。
言いたい事が、伝えたい言葉があって父の部屋を訪ねたのに、予想通りの行動だったとはいえ、どうしてこんな事になってしまうのか。
「大好きなのになぁ…お父さん…」
400266:2008/10/11(土) 02:15:12 ID:u4CYJXMo
これでお終いです。
一緒にお風呂入ってるとか、つい父親を殴ってしまうのも愛情の裏返しなんじゃ、とか考えてたら、あびるはお父さん大好きっ子という神の啓示を受けてしまったのです。
でも、近親相姦はなんか違うと思ったので、こんな話になりました。
好き勝手やってしまって、今はただ背中を丸めて縮こまっております。
401名無しさん@ピンキー:2008/10/11(土) 11:13:27 ID:Lwng75sx
超GJです。
次から次へと、貴方はどれだけ速筆なんだ。
本当にスゴイです。
402名無しさん@ピンキー:2008/10/11(土) 22:14:09 ID:1992TvFg
はじめのころはみんな勢いがあるんだよ・・・
403名無しさん@ピンキー:2008/10/11(土) 23:05:15 ID:ajjmRn5g
>>400
良いと思いますよ。

>>401
で?あなたはその勢いを持続させようという気はないんですね・
404名無しさん@ピンキー:2008/10/11(土) 23:05:56 ID:ajjmRn5g
>>401じゃなくて>>402だった・・・。
405名無しさん@ピンキー:2008/10/11(土) 23:10:06 ID:1s47jKAW
周りがおだてりゃ持続するってもんでもあるまいに
406305:2008/10/11(土) 23:54:30 ID:Fijyvf6c
お疲れ様です。

千里ちゃんで短編を作りましたので投下させて下さい。
エロなしです。

では、よろしくお願いします。
407選ばれなかった二人へと:2008/10/11(土) 23:55:41 ID:Fijyvf6c
     
客の入っていない喫茶店の窓を覗き込むようにして、そこにぼんやりと映し出された自分の姿を見つめている。
ブラウスの襟が曲がっていないか入念にチェックし、スカートの裾から覗くブーツの紐も、
左右のバランスがとれているかを何度も確かめる。

ふと、気がつくと、自分の後ろにいる晴美が腕時計を覗き込んでいる姿がガラスに映り、
もう一度身だしなみを一通り確かめると回れ右をして晴美と向き合う形になった。
「…やっぱり、パリッとスーツ姿できめたほうが良かったかな?」
「へ? …って、もう着替える時間ないし。それに、こんな時はあんまり気合の入ってない格好の方がいいと思うよ。」
一瞬、驚いたように顔を上げ、すぐに少し苦笑交じりの表情になった晴美が答えた。
「千里、ひょっとして緊張してる?」
「──ん。少しね。」
伺うように小首をかしげた晴美に、千里はややそっけない口調で短く答えた。

友達同士でさえ卒業と同時に疎遠になる事が多いというのに、相手が教師とあってはほとんど音信不通になるのも無理はない。
千里は無意識に深呼吸を繰り返しながら、最後に見た先生の姿を思い出してみる。
もう何年も前の記憶だが、幾度となく思い出していた映像だからだろう。
姿や声までもが、まだ鮮明に記憶の中から呼び出す事ができた。
自分達を見送る先生の笑顔は、クラス全員に向けられたものだと分かってはいるのだが、
都合のいい自分の脳が改ざんでもしたかのように、自分に向けて微笑んでくれているように思えてしまう。

記憶の中の先生の姿にいつの間にか微笑み返していたのだろう。
笑顔を浮かべていた千里に、晴美は少し困った笑みを浮かべて口を開く。
「千里、大丈夫? ちゃんと言える?」
「──は? 大丈夫よ、子供じゃないんだから。きっちりと、伝える事は伝えるわ。」
おさまらない心臓の鼓動を誤魔化そうとするかのように、千里は、整った顔にちょっと強気な笑みを浮かべて晴美に返した。
「……先生、変わってないといいね。」
暮れかけてきた空と千里の顔を交互に眺め、微笑む晴美に、
千里は羽織ったジャケットの袖を整えながら自分も空を眺めてみる。
「変わってないわよ。きっと。」
オレンジ色に染まって行く空に、商店街の方から夕方を知らせるメロディが漂いはじめる。
少し音の割れたスピーカーから流れる曲に懐かしそうに耳を傾けながら、二人は並んで歩き始めた。


「いたいた、先生ー!! お久しぶりですー!!」
軽快に手を振って知らせながら、晴美の声が人通りもまばらな路上に響いた。
交差点のそばにある街路灯の支柱に背を預けながら、
先生は一人、手に持った案内状の紙切れを所存なげにひらひらとさせていた。
「ああ、藤吉さん。お久しぶりですね。お元気そうで何よりです。」
晴美に気がついた先生は、案内状を懐にしまいながら体ごと向き直り、軽く会釈をしながら晴美の方へと歩み寄ってゆく。
「うわー…… 先生、ぜんっぜん変わってないですねー……」
しげしげと自分の全身を眺めながらそんな事を呟く晴美に、先生は戸惑った表情を浮かべながらも
特に何も言わず、一つ咳払いをしてみせる。
「藤吉さんも、お変わりなく…… それで。えー……」
語尾を引きながら軽く周囲を見回し、不思議そうな顔になった先生を見て、晴美は満足げな笑みを浮かべた。
「…皆さんはどちらに? 先に、お店の方へ集まってみえるのでしょうか?」
「へっへっへ ──じつは! 今日は先生を驚かそうと思って──」
わざとなのか、変な笑い声を上げながら、晴美は両手を横に広げて一度言葉を切った。
訝しむ先生にニヤリと笑ってみせると、その先を言葉に出す。
「みんなは呼んでいませんでしたー!!」
408選ばれなかった二人へと:2008/10/11(土) 23:56:50 ID:Fijyvf6c
「えええええ!?」
唖然と口を開いて声を上げる先生に、晴美は広げていた両手を後ろ手に組んで、
やはりニヤニヤした笑みを浮かべたまましれっとした口調で告げる。
「驚きました? サプライズ同窓会。」
「いやそれ、サプライズになってないでしょう!? 同窓会を開いていないんじゃ!」
予想もしていなかったのだろう。泡を食ったような表情の先生に、晴美はクスッと短く笑ってみせた。
「そうですよねー。でもまあ、プチ同窓会って言うか…… 
実は、どうしても先生に会って話したいって人がいるって事なんですけど──」
意味ありげな視線を横に向ける晴美につられるように、先生も顔を横に向ける。

十歩ほど離れたところにある街路樹の下。
こちらに背を向けて佇んでいたロングヘアーの女性がそっと振り向いた。
「……!? 木津……さん……ですか?」
驚いた顔で尋ねる先生に、千里は軽く会釈をしてみせると、少しうつむき加減のままヒールの音を鳴らして先生の前へと歩いてくる。
「……お久しぶりです。先生。」
立ち止まり、再び会釈してみせる千里に、先生は戸惑ったように袖口をいじりながら、慌てて会釈を返した。
「あ、はい、お久しぶりですね。……本当に。」
目をそらし、そわそわと落ち着きない様子で次の言葉に詰まっている様子に、
千里は少し肩をすくめる仕草をみせて両方の手の平を差し出して見せた。
「大丈夫ですよ。今日は、スコップも包丁も持っていませんから。」
「そ、そうですか。……あ、いえ! そうではなくて。」
何も持っていない白い手の平を差し出され、先生は困り顔で頬を掻きながら苦笑を浮かべた。
千里はゆっくりと手を下ろし、相変わらず視線をそらしたままの先生の顔を見つめ、意を決したように口を開きかける。
「あ、あの、私……」
だが、少し裏返った自分の声に焦ったのか、口を開いたまま頬を赤くしてそこで言い淀んでしまったようだった。

落ち着きなく目をそらしたままの先生と、その先生を正面に見据えたまま言葉を続けられない千里の姿に、
晴美は小さく苦笑を浮べて溜め息をつくと、そっと千里の背中に手を伸ばして声をかけようとする。
「ほら、千……」
「木津さん!!」
晴美の手が届くかどうかという所で、突如、何かスイッチでも入ったかのように
先生が千里の顔を正面からひたりと見据えて真剣な表情を浮かべた。
急に目の前に近づいた先生の顔に、千里は目を見開いて硬直してしまい、その後ろで晴美も完全に動きが止まってしまっている。
千里の顔をその眼鏡の奥の瞳に映し、一度唇を噛みしめるように強く結ぶと、そっと口を開いた。
「申し訳なかったと思っていました。あなたが私の生徒だった頃、ずっと、あなたから逃げ回っていただけでしたから。
あなたが自分を見失って暴走してしまった時も止めもせず…… 思えば、ひどい言葉も何度も浴びせた事もありました……」
「な…… 何言っているんですか先生!」
頬に血を上らせ、千里は慌てて首を左右に振って見せた。
「それは、私の方が……! 原因が自分にあるって事くらい…… まあ、当時は分かっていませんでしたけど。
でも、今はそれが分からない程子供じゃなくなりましたから!」
勢い良く首を振って先生の言葉を否定し、千里は紅潮させた顔のまま、少しむくれたように唇を曲げる。
頭を振った勢いで乱れた前髪を、無意識に元通りに撫で付けている千里の姿に、先生は安心したように微笑んだ。

「…そんなに変わったように見えないのは、きっと私が、学生だった頃の木津さんを今のあなたの中に見つけようとしているからでしょうね。
それ以外のあなたを私は知らない訳ですから。」
柔らかく微笑んで、先生は肩の力を抜いてみせる。
「確かに大人に…… 綺麗に、なりましたね。」
「う、な!?」
冗談を言っている様子もなく、真顔で告げて微笑む先生に、千里は完全に真っ赤になって変なうめき声を口から漏らしてしまった。

二人の側、すっかりと蚊帳の外に取り残された感じになった晴美は、視線のやり場に困ったように目を泳がせながら一歩後ずさった。
そんな晴美の様子も目に入らないらしく、先生は千里を見据えたまま言葉を続けてゆく。
409選ばれなかった二人へと:2008/10/11(土) 23:58:39 ID:Fijyvf6c
      
「あなたが卒業してから、正直、ほっとした気持ちがあったのですよ。
授業中に後ろを振り返ると、座っているクラス全員の中、木津さんはいかなる時にも正面を向いて授業を受けていましたでしょう?
…私が黒板を向いている時でも、きっとあなたは視線をそらす事はないんだな、と。常に私自身、妙な緊張感をもってしまっていたんですよ。」
「それは…… 授業は余所見なんかしないで、きっちりと受けるのが当たり前でしょう?」
まだ赤い顔のまま、千里はやや戸惑いながらもしっかりと返事を返した。
先生は笑ってうなずき、言葉を選んでいるかのように一瞬沈黙し、再び口を開いた。

「私の性格が性格ですから、正面からはとても向き合えなかったのです。いつも目をそらして、あなたをちゃんと見た事は無かった。
…それを、後悔していました。……卒業して、もういないはずのあなたを、今のクラスの中に探してしまっているんです。
いない事はわかりきっているはずでも、出席簿を持って名前を呼べばあなたが返事をする気がして。」
段々と気が高ぶってしまっているのだろう。先生の口調は少しずつ速まり続け、いつの間にか垂れ下った両の拳は強く握りしめられている。
「今はもう、悔やんでばかりです。なぜ、あなたとしっかり向き合わなかったのだろう。なぜ、ちゃんと見なかったのだろうと! 
そうすれば…… そうすれば、もっと早く気がついたはずなのにと! ──几帳面で、しつこくて、私の言う事言う事にいちいち口を挟んで、
口うるさい厄介な子としか思っていなかったというのに。……あなたが居なくなってからは、何をしても全部空回りしているようにしか思えなくて。
……私がいつも、バカな事を言った時、真面目に聞いてくれて、時には賛同してくれて。間違っている事を流さずに正してくれて、
傷付けてしまう事も、行き過ぎてしまう事も── 全部、私に正面から向き合ってくれていたあなたが居ない事に…… 気がついて……」
苦しそうに、臓腑の中から絞り出すように一気に告げた先生の顔からはいつしか笑みが消え落ちてしまっていた。
そして鋭く息を吸い込むと、今度はゆっくりと、口を動かす。
「あなたに、傍にいてほしいと… そればかりを考えるようになっていました。
……一緒にいてほしい。あなたと一緒に生きて行きたい、と。私は──」
凍えているように口と拳を震わせ、何かに脅えているかのような表情で、それでも目をそらさず、先生は千里を見つめていた。

ただ呆然と、その言葉を聞いていた千里の表情が緩んだ。
半開きだった口と見開いていた目は、ゆっくりと笑みの形に移って行き、頬が桜色に火照り出し──
そのまま、切れ長の瞳から涙が溢れ出し、あっという間に頬を伝って落ちてゆく。

千里の顔から笑顔が崩れた。
目を閉じ、唇を激しく歪めてうつむく。
こぼれた涙が次々と滴を作り、足元に落ちてアスファルトに弾かれ、散っていった。
鳴らない笛を無理に吹いた時のような、嗚咽とも悲鳴ともつかない声が千里の喉から漏れ──
次の瞬間、千里は踵を返し、先生に背中を向けて駈け出していた。
「木津さん!?」
一瞬遅れて差し出した先生の手はもちろん届かず、ヒールの硬い音を鳴らして走り、
その姿はあっという間に路地を曲がって見えなくなってしまった。

ほとんど人通りのなくなってきた路上で、いままで千里がいた場所に手を伸ばした姿勢のまま、先生は硬直してしまっていた。
差し伸べた腕を下ろす事も忘れ、千里の走り去った方向を呆然と見つめている。
「……せ ……先生……!」
かけられた声の方向に顔を向けると、声の主、二人のやりとりをじっと見守っていた晴美が、顔色を真っ青にして佇んでいた。
「藤吉さ……」
「ごめん! 先生! ごめんなさい!! こんな…… こんな……!」
血の気の引いた顔で唇をわなわなと震わせながら、晴美は今にも泣きそうな声を張り上げた。
その様子に動揺を隠しきれず、先生は焦った顔で晴美の側へと歩みよる。
「藤吉さん、木津さんは……」
「ごめん…… 先生…… 実は、千里… 結婚を決めたの。今日、それを先生に、報告したいって……」
           
410選ばれなかった二人へと:2008/10/12(日) 00:00:28 ID:lup0OyTG
       
一瞬、晴美の言う事が理解できないという様な顔を見せ──
次の瞬間、先生は全身から血の気が引いてゆくのを、自分自身で感じとっていた。
膝の力が抜け、地面に崩れ落ちそうになりながら、刹那、脳裏に先ほどの千里の顔がかすめ、ふらつきながらなんとか留まったようだった。
蒼白になった顔色の先生を見て、晴美は泣きそうになるのを必死でこらえているように、しゃくりあげる声で言葉を続ける。
「さいごに、先生に会って…… それでもう、ふっ切りたい、って…… さいごに、いい思い出に、なればと、おも……って… 私……」
どんどんと語尾が縮んでゆく晴美の言葉を最後まで待たず、先生は地面を蹴り、走り出していた。


どこをどう走ったのか。
千里の姿を求めて、そう広くは無い商店街の路地を駆け回り──
程なくして見つけた千里の後ろ姿に、先生は足を止めた。

交差する路地の中心にある小さな噴水。
申し訳程度の勢いで吹き出している水は、壊れているのか全体の半分ほどからしか吹き出しておらず、
錆びかけた剥き出しのノズルが本来の役目を果たせずに休んでいるようにもみえた。
小さな水音を立てる噴水を横にし、千里は閉店の準備をしていく幾つもの商店を眺めているようだった。

その背中へとゆっくりと歩み寄る先生に気がついたのだろう。
千里は自分の肩越しにチラリと振り返ると小さく微笑んでみせ、再び視線を前に戻した。
先生の足が止まると、千里は背中を向けたまま口を開く。
「変わっていませんね。この商店街は。…学生の頃はよく足を運んだのに、今は、足を運ぶ機会も用事も無くなってしまいました。」
懐かしそうに話しながら振り返り、赤くなった目を笑みの形にして、笑顔を作ってみせる。
「安心できますね。変わっていませんでしたから ──先生も、この町も。」
明るい声で喋る千里に、先生はうなだれて力無く首を左右に振った。

「晴美から聞きました? 私の事。」
ぽつりとした千里の問いかけに、先生は小さくうなずく。
「……どうしようもないチキンで、間の悪いまま、でしたね、私は。また、木津さんをこんな事に──」
「やめてよ!」
鋭い声を上げて先生の言葉を制し、千里は怒ったような顔をし、でも泣きそうに声を震わせながら先生の顔を見つめる。
「だって、そんな先生だから、私は…… 私は……っ!」
興奮して、再び赤くした目に涙を溜め、そこまで言いかけた所で口を閉じ、千里は唇をきつく結んで黙ってしまった。

離れた場所から、店のシャッターを閉じる音が聞えてくる。
少しずつ静かになってゆく町は、今日一日を終えて体を休めようとしている様子にも思える。
「……私、今、幸せですよ。もうすぐ、素敵な教会で式をあげて、ブーケを投げて…… いま、新居を探してまわっているんです。
──彼がちょっと、のほほーんとしている人だから、その分私がきっちり段取りをとって、動き回って……」
明るい声で先生に話しながら、一瞬、喉を詰まらせたようになり、千里はぐっと喉を鳴らすと、柔らかい声で先を続ける。

「彼、ちょっとトロくて、頼りなげで、気が弱くて、優柔不断で…… でも、とても……とても優しい人です。
この人には、私がついていないとって、いつも……思って…… 私がしっかり見ていてあげないと、って……! 
そして、私が、この人を、きっちり幸せにしてあげないと! そう思って…… 仕事から帰ったら、私が毎日玄関で迎えてあげて、
手作りの夕食を用意して、朝はしっかり糊のきいたシャツを用意して起こしてあげて、いってらっしゃい……って手を振って…… 
そんな毎日を、一緒に、ずっと一緒に…… 居たいと…… 思って………… い…… るんです。」
いつのまにか千里の声は嗚咽に変わり、止まっていた涙がぽろぽろと珠の滴となって頬を落ちてゆく。

先生は、自分の目に映る千里の姿が次第に滲み、ぼやけてしまっている事に気がつき、そこで初めて頬から伝い落ちる冷たい物に気がついて袖で拭い取る。
戻った視界に、しゃくりあげ続ける千里の姿が映った。
先生は足を踏み出し、両手を大きく広げて千里を抱きしめようとしたが、それに気がついた千里が驚き、おびえるように身を竦ませる。
もう少しで、千里の肩に手が触れる。
そんな場所で、先生の腕は凍りついたように止まった。
         
411選ばれなかった二人へと:2008/10/12(日) 00:01:49 ID:AtdAs+cW
            
二人、その姿勢のまま、たっぷり10は数えただろうか。千里はうつむき、一歩、後ろに踏み出して先生の腕の中から出てしまった。
伸ばされていた腕をゆっくりと戻し、先生は自分をあざ笑うかのように、皮肉っぽい笑みを浮かべる。
「馬鹿ですね、私は…… どうしようもなく……」
シニカルな笑みを顔に浮かべたままだが、それはなぜか、泣くのを我慢している子供がいるようにしか見えなかった。
「そんな馬鹿な私の側にあなたが居てくれた事…… あなたが居てくれた時間は、本当にかけがえのない物だったのだと……
 どうして私はいつも後になってから気がつくのでしょう…… どうして今、こんなに、胸が、焼け付くように痛むのでしょう……」

先生の言葉を聞きながら、千里は自身の胸に手をあてた。
その中で熱く焼けるように痛む物を押さえつけるように、強く、手の平を押し付ける。
「……先生。私、幸せになります。絶対に! ……私の、運命の人は先生じゃなかった ……だから!」
千里は唇を噛み締める先生を、いつもの強気な視線で見上げた。
「だから、先生も、ちゃんと誰かを好きになって……! そして、きっちりと幸せと言えるようになってください!
 くよくよ生きていたりしたら、私がスコップ持って埋めにきますからね……!」
その言葉に、ようやく先生も表情をほぐし、少し無理をした笑顔を見せようとしていた。
そんな先生に、千里は小首をかしげて微笑んでみせる。

「……私、先生の生徒でよかったです。先生のクラスで、楽しかったです。」
「私も、あなたが私のクラスに居てくれて、良かったですよ……」
間を置かずに答えた先生に千里は嬉しそうに笑い、そして、ふっ、と真面目な表情を浮かべた。
「先生…… 変わらないで下さいね ……ずっと ……ずっと ……私が好きだった先生のまま…… あの頃のままの先生でいて下さい。」
無言のまま、しかし、しっかりと千里の瞳を見つめて、先生は頷いた。
安堵したように優しい笑みを浮かべ、千里の瞳から滴が零れ落ちる。
何かに耐えるように顔をくしゃりと歪ませ、千里は大きく息を吸い込んで空を仰いで口を開ける。

「先生のばかあぁーーーっっ!!」
千里の声が夜空へと響き渡り、それは暗い空へと吸い込まれるように消えていった。

いつも間にか商店街の明かりは消え、街路灯の灯りだけとなっていた。
水音を立て続けていた噴水の勢いが落ちて行き、やがて今日の仕事は終えたとでも言いたそうに止まる。

急に静かになった噴水のそばで、二人は立ち尽くしたまま、泣きそうな微笑みを浮かべて、いつまでも見つめ合っていた。






412305:2008/10/12(日) 00:02:44 ID:AtdAs+cW

お粗末でした。

ではまた。失礼します。

413名無しさん@ピンキー:2008/10/12(日) 00:15:58 ID:JTquyzKU
>>412
切ないな
GJ!
414名無しさん@ピンキー:2008/10/12(日) 01:04:31 ID:6hnlN8pl
恋いしくて〜♪
君の名を呼んだ〜呼んだ〜♪
心のままに〜愛せばよかった〜♪


・・・GJ
415名無しさん@ピンキー:2008/10/12(日) 03:07:03 ID:NXH4lf+y
コミック派なんだが最近公式で色々カプされてるとかマジ?
15・16の刊行ペースはキツイ……
416280:2008/10/12(日) 03:51:05 ID:9G1vzr3r
望×霧×交
「。。。」なし。エロもなし。文章って難しい。
昭和を目差しました。
417280:2008/10/12(日) 03:52:11 ID:9G1vzr3r
夕餉の我が家

小森ねーちゃんがお肉の入った鍋の中にタマネギとセロリを入れる。
オタマで鍋の中のドロってした物をすくって取り出す。
「小森のねーちゃん もぉ昼飯作ってんだ?」
「違うよ。これは晩ご飯だよ? 交クン」
「晩飯って?なに言ってんだよ。まだお昼前だぜ」
「じっくり煮込んどいて、寝かせてから食べると美味しいんだヨ」
「ふーん。 寝かせる? って? 何をだ?」
「ビーフシチューだよ」
「今から作っておくと先生が帰る頃には、美味しくなってるんだぁ」
ちぇっ。オレじゃなくってノゾムのヤツのため?
ねーちゃん、朝からノゾムの晩ごはん作ってやってんのか?

「寒っ」校門を出るなり頬に北風が冷たく吹きつけます。
木枯らしの季節を過ぎると外套だけでは寒さがしのげません。
仕方ないですね、もう初冬ですから。
なにか暖かい防寒洋品でも買って帰りましょうか。
と、思って商店街を歩いてみたところで挿しあたっては頃合の品物が見当たりません。
「おや?」
ふと前方にすごい人だかりですね。 なんなんです?この行列は?
「知らないの兄ぃちゃん?大人気のロールケーキ屋だよ。今日の分はあと僅かなんだって」
「そおなんですか?」これはいいタイミングで通りがかりました。
どれ私も行列に参加しましょうか。
美味しい物でも買って帰れば交と霧さんも喜ぶでしょうね。
私の番まで残っているといいのですが・・・。

クンクン。なにやらいい匂いがしてきます。 宿直室からですね。
「ただいまぁ」
引戸を引くと交が走って出てきました。
「遅いぞ。ノゾム!」
「また帰りにパチンコ寄ってたんだろっ。このボケ」
「こらっ交!! なんて言葉使いですか!」
「っるせぇよ」  フテっ腐れた不満顔で交が私を睨みます。
反抗期が始まるにしてはまだ早いですが、
最近の交は私に対してかなり反抗的で困ったものです。
「はい交。お土産だよ」
「わぁ。これ両口屋のロールケーキじゃん? 気がきくなノゾム。
・・・ってオレにはそんな子供だまし通じないぜ!!」
418280:2008/10/12(日) 03:53:51 ID:9G1vzr3r
交っ!! 言うことにこと欠いてなんて外道な言いぐさですか!!
しかしここのところ随分と交に嫌われてるようですね。

「へぇ〜お土産あるんだぁ。嬉しいなぁ」
奥から霧さんが出てきて少し空気が丸くなりました。
そこに、交の怒りが一気に爆発します。
「オマエが帰るまで、ご飯待っててやったんだぞ」
「それは、それは・・・」 
そうだったんですか交。それでは私が疎まれても仕方ありませんね。
「ねーちゃんはなんてなぁ、今日は朝からオマエのためにご飯作って待ってんだぜ」
えっ? そうなんですか? 
このいい匂いの食事は霧さんが朝から作ってくれてたんですか?
「いいのよぉ。交クン。ビーフシチューは朝から作らないと美味しくないもん」
「それにあたしには先生のご飯作るくらいしかしてあげられることないから」
「それより先生。はい着替え。早く着替えてきて」
「あっ。どうも。すみませんね」
霧さんは綺麗にたたまれた着物を渡してくれました。
隣室で着替えをしていると食器の音や霧さんと交の楽しそうな会話が聞こえます。
「じゃあ交クン。お皿はそこの使おっか。並べてね」
「はぃよ」
「冷蔵庫のお漬物出して」
「うん」

「おまたせ〜」
コタツに座るとすっかり食事の用意が整っています。
「いただきまぁ〜す」

「うっめ〜な!!」
「確かに。美味しいですね・・・」
「あったりめ〜だろ。朝から作って、ノゾムが帰るまで寝かせてあんだぜ」
「そんな凝った調理をされたんですか? 
いやぁ 幸せですね。 お陰でこんな美味しいものが戴けます」
今まで考えたこともありませんでしたが、霧さんは毎日、交と私のために
食事を作ってくれたり、着物に糊付けまでしてくれたり、してくれてたんですね・・・
ありがたいです。霧さん。 ああ、もう、胸がジンときますよ。
それに何ですか? この途方もないホノボノとした雰囲気は!?
まるで、サザエさんじゃないですか? 
とすれば、霧さんが私の細君?   いや、いや・・・ 
糸色家の格式ある家訓にのっとれば霧さんを細君に娶ることは不可能です。
とすれば、なんてことだ? 霧さんは我が愛人ではないか? 
419280:2008/10/12(日) 03:54:54 ID:9G1vzr3r
なんてことだ!!  絶望した!!
細君を娶る前に既に愛人を囲っている自分に絶望した!!

「ノゾム何 ボヤってしてるんだよ?」
「なんかあったのぉ?」
「いいえ。なんでもありませんよ・・・」
「ふ〜んん? ねーちゃん。お代わりくれ」
「まだいっぱいあるからたくさん食べてね」
「あっ。私もお代わり。 戴けないでしょうか?」
「はぁ〜い」
霧さんがシチューをよそおうまで箸休めの奈良漬を戴きます。
ポリポリ。
霧さんさえ愛人で納得してくださればこのまま妻を娶らず。
このまま三人で暮らしていくのも悪くないですね。

「今日な、ねーちゃんと、これ、やったんだぜ」
交が床に置いてある子供向けの学習本を持ち上げたとき、
バランスを崩た交の肩がシチューのお皿に当たりました。
はずみで皿に残っていたシチューがこぼれて霧さんの毛布にかかります。
「きゃっ」
「わっ。ねーちゃん ゴメン」
霧さんは台所に毛布を洗い流しに行きました。
「取れないね」 クスン。
ジャージ姿でコタツに戻ってきましたが、
霧さんは羽織る物がないと落ち着かない様子でソワソワしていました。

「毛布の代わりに私の外套を羽織ってくだい」
私は掛けてある外套を霧さんの肩に掛けてやりました。
外套の襟元を頭にまでもっていき、いつものように体全体を覆おうとしている霧さんを制します。
「先ほどジャージ姿まで晒してしまったんですから、なにも頭から被らなくても
いいでしょうに」
「ん?」
「外套なんですから、せめて肩から被って下さい」
「頑張ってみよかな」

食事が終わって交と私はテレビを観ます。
番組は旅番組か何かで画面には映像はSLが山間を走っています。
「なんだあれ?変わった電車だな」
「あれはSLと言う乗り物ですよ」
420280:2008/10/12(日) 03:55:51 ID:9G1vzr3r
「エスエル?」
「機関車のことだよ〜」
霧さんがロールケーキを切り分けて言いました。
「機関車は電気で動く電車と違って石炭を燃やして走るんですよ」
「カッコいいな〜 オレ乗りたい!! 機関車乗りに連れてけよ〜」
「いやですよ。機関車は静岡まで行かないと乗れないんですよ!」
画面から目を反らして評判が良いらしきロールケーキを口に放り込みます。
「遠すぎます!! 休みはの日は部屋でダラっとしてたいのです!」
「つまんね〜な・・・」
交はフォークを口に咥えながらテレビの画面に釘付けでした。

霧さんが洗い物を始めにコタツから離れます。
「そろそろお風呂にしますか・・・」
「あっ。沸かしてあるから」
「そうですか。では交、行きますよ」
「え〜っ。 もっと機関車見せろよ〜」
「ダメです!! 朝起きれなくなるから!!」
「ちぇっ!! わかったよっ!」
交は駄々をこねても結局最後には納得する聞き分けのいい子供です。
実の親でない私に気を遣っているのでしょうか。 可哀相な気もします。
2人で一緒に風呂桶につかります。
「ぷぎゃ〜」
ゾウさんジョウロで交の頭にお湯を掛けたり、小さい体を洗ってやったり・・・。
私にとって交との入浴は楽しい時間なのです。

交を寝かせつけて部屋に戻ると霧さんがコタツで何かやってます。
コタツの上には黄色い毛糸が積んであります。 編み物ですか?
「何を作ってるんです?」
「マフラだよ」
「マフラーですか。嬉しいですね〜。でも黄色って少し派手すぎませんかね?
できれば黒とかグレーとかの方が有難いんですよね〜」
コタツの上に置いてある番茶を戴きながら霧さんに難癖をつけました。
「これ先生のじゃないよ。 交クンのマフラなんだ」
「えっ? 私のマフラーじゃないんですか? 私にはマフラーないんですか?!」
霧さんは何かひらめいた顔をして少し意地悪そうに微笑んでいます。
「交クン。機関車に乗りたいって言ってたょね」
霧さんは編み物の手を休めず喋ります。
「今月たしか連休があったね」
「・・・分かりましたよ。連れて行きますよSL」
霧さんが微笑みます。
421280:2008/10/12(日) 03:56:50 ID:9G1vzr3r
「先生のマフラ。色は何色にしよっか?」
私にも編んでくれるんですね。ありがとうございます。
交の機嫌取りと交換とは少し面白くありませんが。
私も霧さんにマフラーを編んで戴けるなら安いもんですよ。交のご機嫌取りくらい。
「色ですか? じゃあ、無難に黒で・・・」
私の言葉など聞こえないフリで霧さんは被っている外套に色んな色の毛糸を
当てながら言いました。
「先生のコートが黒だからぁ、合わせるマフラは白なんてどぉ?」
「白ですか・・・? 似合いますかね??」
「うん」
「じゃあ白でお願いします」

またまた手のひらで転がされてしましました。
そかしその感覚がまた気楽で、またなんとも心地いいんです。
ただの甘えですかね・・・。 申し訳なくも思ってますが。
この先もずっと、私は霧さんが居ないと生きていけないでしょう。
贅沢でワガママなのは承知です。霧さん。ずっとこのまま私のそばに居てください。
私の帰る場所も、落ち着く場所も、貴女がいるこの部屋なのです。

気がつくと私は編み物をしている霧さんの外套を強く握っていました。
霧さんは私の様子がおかしいのに気がつかないフリをしているようです。
「お茶入れよっか?」
「いえ・・・。動かないで座ってて下さい」
本心を晒したことはありませんが、私は不謹慎にも、
貴女を自分一人だけで独占して、貴方に自分だけを見ていて欲しくて、
そうやって、このままずっと生きていけたらと願っています。
貴女が消えて居なくなってしまうのが何より怖いんです。
私はいい年して自分の想いすら口に出せない臆病な男。
貴女を覆う布を握っているのがやっとなんですか・・・・
わかってください。
これが不器用な男の精一杯な愛情表現なのです。

霧さんに触れ、抱きしめ、胸に抱き寄せたい。
私は思い切って霧さんの肩に腕を伸ばしました。

けれど肩に触れる寸前で手のひらを握り締め、自分を抑えました。

――― 理想的な恋愛とは、相手から愛し返されることなく愛することである ――― 
「アンリ・ミヨン・ド・モンテルラン」
私は無理やり自分を納得させました。
422280:2008/10/12(日) 03:57:34 ID:9G1vzr3r
仮にも私は聖職にある身。
受け持ちの生徒に愛を打ち明けるなんてできません。
自分の葛藤を押し殺して何食わぬ顔をしてみせました。
「そろそろお風呂入らないとお湯冷めちゃいますよ」
「んん・・・。もう少し編んでから。
連休までに先生のマフラも編んじゃいたいんだ」

霧さんの言葉で、私の耐えていた物が一気に崩れました。
耐えられず私は霧さんを抱きしめた。

――― もっとも素晴らしい恋は自分でも気づかない恋愛である ――― 
「レオ・ニコライェヴィチ・トルストイ」


「恋に落ちていた自分に気がつきませんでした」

編み物をコタツに置いて霧さんが私の腕に手を重ねます。
初めて至近距離で見つめ合いました。

「キス。していいですか?」

霧さの頬に口づけをしました。
そのまま抱きしめたままずっとストーブの燃える音を聞いていました。

暖かい気持に包まれながら・・・。


おしまい。
423名無しさん@ピンキー:2008/10/12(日) 04:24:55 ID:SX+i/CYM
GJだけど、
たまには、ここがPINKのエロパロだという事も思い出して下さい…。
424名無しさん@ピンキー:2008/10/12(日) 05:50:56 ID:tXRsXJsx
スレを過疎らせようと思って言ってるなら見事な手だけど
本当にエロが読みたいって理由で言ってるなら、かなり短絡的で駄目な発言だな
エロありで書く人もこうやっていろんな人が投下してるのはやる気が出るもんだ
つまり、そういうこと言うと、エロなしもエロありも減りますよ?そっちがいいの?
というか、たった3日エロなしが続いただけじゃねーか…前なんか2週間以上投下自体なかったりもしたのに
425名無しさん@ピンキー:2008/10/12(日) 07:26:18 ID:vFh4i8Sf
最新号を読んでて
「拷問の耐え方を教える前に先生を使って練習する千里ちゃん」
もしくは
「拷問の耐え方を先生に教わる千里ちゃん」という電波を受信した

受信しただけで、そんなの書けねぇけどorz
426名無しさん@ピンキー:2008/10/12(日) 10:15:28 ID:3pEBUSHS
エロパロスレで堂々とエロ無し宣言とな、って麿が怒ってた。
427名無しさん@ピンキー:2008/10/12(日) 10:57:50 ID:vR53inTS
ここは「エロパロ&『文章創作』板」なので、
絶望先生関連のSSなら全部受け入れていいと思うます。
百合やヤオイはせめて冗談程度にとどめてほしいってのはあるけど。
428名無しさん@ピンキー:2008/10/12(日) 16:42:01 ID:bz9t/Agr
エロ無し大歓迎ですが何か?
429名無しさん@ピンキー:2008/10/12(日) 17:08:51 ID:ctp51zTc
>>425
私は何時の間に
晴美が、先生狙いっぽい感じになってんだ?って思った
今までそんな素振りも無く、オンエアできない先生争奪戦をやってたのかと(笑
430名無しさん@ピンキー:2008/10/12(日) 18:40:44 ID:HRHVtmwY
今更ながらテンプレ漏れしてたから貼っとく。
一応これで過去に統一されてたと思うし、こんなエロが無いとか言うくだらない事で
衰退するのもなんだかなあと思うしな。


===スレに投稿される職人さんに対するお願い===
・SSの最後には、投下が終わったことが分かるようにEND等をつけるか
 または後書き的なレスを入れてください。
・書きながら投下はルール違反です。書き終えてからの投下をお願いします。
・本スレはノーマルのエロパロスレです。
・行き過ぎた801ネタ、百合ネタは論争の元になるのでお控え下さい。
 軽めのものであれば、SSの冒頭にその旨の注意書きをお願いします。
・鬱ネタ(死にネタなど)、エロなし、鬼畜系、キャラ崩壊なども
 注意書きをお願いします


書き手にもルールがあるからといって必要以上に
気負い込まずにみんなと楽しくやっていきましょう。
431名無しさん@ピンキー:2008/10/12(日) 18:47:41 ID:BLbftS21
>429
まぁ、今回の先生の背後の奪い合いはいろいろ邪推は出来ますなぁ。
単なる順番待ちの割り込み合戦なのか、それにかこつけて先生の近くにいたいのか。

後者だとしたら、これまで態度が曖昧だった奈美も参戦表明したのかとか、
晴美も、二次元以外に興味を持つようになったのかとか。

まぁ、晴美はこれまでも先生が眼鏡無しにしたら暴走したり、
アゴトンガリになったら「素敵」とか言ったりしてたから、それなりに好意は持ってたんだろうけど。
432名無しさん@ピンキー:2008/10/12(日) 20:16:48 ID:hvFhtcwL
>>430
このテンプレ、「このスレはノーマルのエロパロスレです」というのが意味不明だよな。
ノーマルって何、エロパロスレがノーマルだとどうなるの、逆にアブノーマルなエロパロスレってどんなの、っていう。
433名無しさん@ピンキー:2008/10/12(日) 20:50:47 ID:+aS+1OIk
>>432
やおいや百合じゃないの?
434名無しさん@ピンキー:2008/10/12(日) 20:51:56 ID:2KkB4ZyX
>>432
ノーマル=BLや百合ではない男女カプ
ノーマルのエロパロスレ=男女カプのエロパロスレ
ではないの?

>>430
このテンプレからすると鬱ネタ・エロなし・鬼畜・キャラ崩壊は
注意書きをすればOKということか
435名無しさん@ピンキー:2008/10/12(日) 20:52:05 ID:HjHBydDT
次にやおい百合は〜って書いてあるから、ノーマルカップルって意味じゃ?
ノンケ?
436名無しさん@ピンキー:2008/10/12(日) 21:05:34 ID:hvFhtcwL
>>435
・やおいや白百合についての但し書きがある時点で「ノーマルカップリング」という説明いらねぇじゃん。
・「ノーマルのエロパロスレ」という表記の問題。「ノーマルのエロパロ」を扱うスレなのか「エロパロスレとしてノーマル」なのか。
437名無しさん@ピンキー:2008/10/12(日) 21:14:25 ID:HRHVtmwY
>>434
part14でこのネタが出たときの結論は、そういうことだったと思うけど。

後俺が良いと思ったのは
名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/03/14(金) 02:45:29 ID:ReOxdKqh
神々が大挙して降臨、質量ともに申し分のない数々のSSが投下されたとする。
なのに望みのカプやシチュが一つもなかった。さあどうする?

自作して投下するのが唯一の正解。

神々だって自分の好きなSSだから書けるんであって、
人が理想とするシチュで良作が書けるとは限らない。
ならばいっそ自給自足で。

これですかね。

まああれですよ。
自分の気にいらないのがあればスルーして、どうしても欲しければ自分で書いてうぷするのが近道ですよ。
エロが無いだの自分に合わないだのと言って、そういうくだらない事ばっかり言ってると人が減って自分の好きな
物すら見えなくなっちゃうと寂しいでしょってこってすよ。
438名無しさん@ピンキー:2008/10/12(日) 21:25:46 ID:tXRsXJsx
論争の元になるのでお控えくださいってのは違うだろう
百合と801は専用のスレがあるのでそちらで、じゃね?
439名無しさん@ピンキー:2008/10/12(日) 21:38:10 ID:tXRsXJsx
違うってのは説明不足すぎるって意味で、理由も言わずに駄目、じゃなあ
ノーマルのエロパロスレって一文は俺もいらないと思う
ここ以外にスレがあるわけでもないし、むしろノーマルのエロとやらじゃないと駄目なのかと無駄に考えさせて邪魔だろう
440名無しさん@ピンキー:2008/10/12(日) 22:08:56 ID:2KkB4ZyX
何だかあげ足取りみたいになってきたなぁ
細かい言い回しはともかく、ルールとしては
・男女カプオンリー
・男女カプであればエロなしでもOK、ただし注意書きは必要
てことでいいよね?
441名無しさん@ピンキー:2008/10/12(日) 22:14:03 ID:hvFhtcwL
ふたなりとか女体化とかはどうなの?
442名無しさん@ピンキー:2008/10/13(月) 00:24:27 ID:2lKSUa3C
投下前の注意書きでおkじゃね
そういうのが好きじゃない人はレッツスルーライフで
443名無しさん@ピンキー:2008/10/13(月) 00:34:14 ID:uGoQfsQB
ふたなりなら女×女も有り得るよな。
かと言って白百合スレに送り込むわけにもという。
444名無しさん@ピンキー:2008/10/13(月) 00:52:57 ID:8IBFdeEq
百合スレあるからそっちのが相応しいって理屈なんだから
そんな百合かどうかわからんシロモノはここになるんじゃないか?
445名無しさん@ピンキー:2008/10/13(月) 00:56:52 ID:uGoQfsQB
んじゃルールとしては
・本格的なやおいや白百合以外は何でもアリ
・ノマカプ以外には注意書き付けて
って方が良いかもね
446名無しさん@ピンキー:2008/10/13(月) 07:37:05 ID:19bbFu8R
 
447名無しさん@ピンキー:2008/10/13(月) 07:58:05 ID:19bbFu8R
数スレお借りします。
繋ぎ程度の微エロ。
本編に無い設定と架空人物が追加されています。

それでは、しばしのスレ汚しを・・・。
448変わる物。変わらない者。(1):2008/10/13(月) 07:59:03 ID:19bbFu8R
春・弥生。
卯月は好きだけど、弥生は嫌い。
卯月は始まり。弥生は終わり。卯月が生なら弥生は死。
産まれると必ず訪れる死。人間も季節も同じだなあ。

ずっとずっとこの日が続くと思っていた。
何らかの刺激のあった毎日。怪我人や命に関わる出来事も何度も起きた。
2年生の間のたった1年は、まるで何年間もの間同じ季節を何度も何度も繰り返した様な思いだった。
まるでこの楽しい時間を神様が何度も与えてくれたように…。
でもそれも今日で終わり・・・私達は今日この学校を卒業した。
今こうして楽しく飲んだり食べたりしている皆とももうすぐお別れ。
誰かが声をかければすぐに集まるだろう。でもそれは日常ではない特別な出来事になってしまう…。

ずっとずっとこの日が続く気になっていました。
この仕事を続けていく以上、必ず訪れる別れ。
ですが…今回送り出す皆さんへの気持ちは…もう二度とないものだという気がします…
もはや私の一部となっている…そんな気がします。 

「で?風浦さん。あなたは何故こんな所で、そんな姿を晒してるんですか?」
「いやらなあ。わらひはわらひですよ〜。なにもちがうとこなんかないれしゅよ〜」
「それは登り棒です。誰がどう見てもまさに絵に書いたような酔っ払いじゃないですか。ちゃんと私の顔を見て話をしてください。」
「ああ。しぇんせいとおなじくらいほそいきゃりゃ、みまちがえちゃいまひた〜」
「だいたい卒業したとはいえ、あなたまだ未成年でしょう。飲酒なんかしても良いと思って。」
「まあ。あんなにたよりなかったせんせーが…まるできょういくしゃみたいれすね。」
「ふう。なんでこんな事に…」
二年へ組のみんなを送り出し、仲の良い先生方とささやかな慰労会を行った帰り道の公園。
『そういえば…この公園でしたね…』
世の中に絶望しこの世との別れを決意した場所。ころころと笑う一人の少女と出会った場所。それからの毎日を思うとまるでアリスを異世界に誘った
白兎の様な少女。
『咲くのはまだまだ先ですかね…ん?』
まだ綻ぶ様子もない桜のつぼみの下で、くるくると踊る一人の少女。
「あなたこんな所でなにをやって…」
「ありゃ。せんしぇい」
「酒くさ…。このまま帰す訳にはいけません。」
放っておけばいつまでもくるくると回り続けていそうなので、無理にベンチに座らせ自動販売機で買ったホットコーヒーを渡たす。
「まだまだ肌寒いですから、これで温まりなさい。でも飲んではいけませんよ。飲酒後に缶コーヒーを飲むと気分が悪くなる人も居ますから」
「やさしいんれしゅねえ。」
「私の手を離れたとはいえ、教え子ですから。放っておく訳にはいかないでしょ。」
そう言いながら望は缶コーヒーに口を付ける。春は近づいているとはいえ、まだまだ肌寒い。ホットコーヒーが体に染み渡る。
しばしの間酔っ払い相手で随分会話に苦労をしながらこの2年間の思い出を語り合う。ふとおとずれる沈黙。
望はずっと聞きたかったし知りたかった事を可符香に聞いてみる。、
「ところで…私はあなた方の担任としてどうだったんでしょう?」
顎に手を当て、しばし考え込む可符香を望はじっと見つめる。
「うーん。ちょっとたよりなかったれしゅね。なにかといえばぜつぼーした、ぜつぼーしたっていってましたしねえ。」
「仕方ないじゃないですか。あのメンバーだと絶望したくもなりますよ」
「あと〜、いろいろなことにながされすぎですよねえ〜」
「面目ないです。」
「…ボソボソ…」
「え?何か言いましたか?」
「いえ〜なんにも〜。そろそろ帰りましょうか。コーヒーごちそうさまです。…あらら。」
「ほらほら。まだ危ないですよ。送っていきますから…。」
449変わる物。変わらない者。(2):2008/10/13(月) 07:59:36 ID:19bbFu8R
『…で…何故こんな所に私は居るんでしょう…。』
若干ふらつく彼女を連れて帰っていました。
こっちです。あっちです。と連れまわされ、最後には気持ち悪いと言い出したので、目の前にあるホテルへ入った。
『完全に流されてるじゃないですか…。さてどうしたものか。』
カララ
「えへへ。先生すいません。もう大丈夫だと思ってたんですけどねえ。」
「本当にあなたは…いや、あのその格好はどうかと思いますが。」
バスルームの中でガタガタしてるし、シャワーを浴びる音はしていましたが…。
「いやー。洋服汚れちゃいましたし…。前にも言いましたけど、先生なら平気ですし。」
なるべく視界に入れまいとする望に近寄る気配。望の座るベッドの沈み込みが増す。
『この子は本当に何を考えているんでしょうか…。私は馬鹿にされてるんでしょうか。試されているんでしょうか。』
『それとも…まさか…いやあ…それはないでしょう。』
「先生…どうしたんですか?頭を抱えたり唸ったり。」
望は自分の外套を手渡しながら、
「とにかく!!これでも羽織ってください。見られても平気と言っても、あの時は他の人も一緒だったでしょ。今とは状況が違います!!」
「…先生…平気って意味…本当に解ってます?」
望の前へ移動しながら可符香はつぶやく。
「はい?」
望の前に立ち可符香は体に巻いたバスタオルをさっと外した。
「いや…あの…先生見てません!!絶望した!!教えてもない事をさらっと行う教え子に絶望した!!」
慌てて目を逸らす望に、ころころと可符香は笑いながら
「せ・ん・せ・い?落ち着いて前を見てください。ちゃんと着てますよ。下着ですけど。」
ちらっと望が顔を上げる。確かに下着姿の可符香がニコニコと笑いながら望を見ている。
『絶望した!!教え子に馬鹿にされきっている自分に絶望した!!』
絶望する望。しかし心の隅に沸き起こる黒い気持ち。
『ここまで馬鹿にされて…本当に良いものでしょうか。一度怖い思いをさせる必要があるのかもしれませんね。』
『なに…最後までいかなければ良いのでしょう?馬鹿にしている相手に思わぬ反撃を受け少しでも反省してくれれば…』
「先生?どうかしm」
話しかける可符香の手首を掴み望はベッドに引き倒し可符香を組み伏す形になった。
「頼りなくチキンと思っているかもしれませんが…男に気を許しすぎるものではありませんよ?」
望の目をじっと見ながら可符香は口を開く。
「…先生…本当に気が利かない人ですねえ。」
「…はい?」
「そのうえ…鈍い。気がつかない。他人に自分の気持ちは知って欲しいくせに、他人の気持ちには気がつかない。」
「…は?」
「私言いましたよね。先生だったら平気だって。」
攻守交替。望の頭の中は可符香の言葉がぐるぐると回り続ける。
『は…?へ…?この子は何を言ってるんですか?私なら平気ってどういう意味ですか?どういう意味もそういう意味でしょ。』
『いやいや。この子に心を許してはいけないんですよ。私の気持ちはどうであれ…』
思考回路に全ての能力を注ぎ込む望を見つめながら、可符香は望の頭にそっと手を回し胸に抱きかかえる。
「ずっと…こうしたかったんですよ…」
「怖かったんですよ。もしみんなと同じように思いをぶつけて…それを拒否されたらと思うと…」
「それで回りからぐるぐる見てると…どんどん先生の間に隙間ができたような気がして…ますます言えなくなっちゃって…」
可符香の目から幾筋の涙が零れ出る。望は静かに可符香を見ながら、ずっと思っていた事をついに口に出す。
「風浦さん」
「ひゃい。」
「私も…ずっとあなたの事が気になっていたんですよ。」
「…?」
「随分手を焼かされたこともありましたし、ひどい目に合わされた事もありましたがね。」
「…えへへ。すいませんでした。…でも…それならもっと早く思いを伝えればよかったです。」
「…ええ。お互いに。」
自然と…流れるように二人は顔を近づけ…唇を合わす。
450変わる物。変わらない者。(3):2008/10/13(月) 08:00:22 ID:19bbFu8R
伝えられなかった2年間の思いをぶつけるように、二人は体を重ね続ける。
「はあ・・・先生…先生。」
可符香は望に語りかける。
「先生…でも…本当に私で良かったんですか?」
「私じゃなくても…クラスのみんなだって…」
「なにを…言ってるんですか…?」
「それに…話に聞いたんですが…先生・・・隣の女子大生さんが気になってるみたいだって…」
「…ああ…それは…無いです。…だって…あれ…あなたでしょ?」
「…!!」
「くっ…そんなに驚くと…伝わりますよ…」
「…気づいてないのかと思いましたよ。それならそれで…どうせ私なのに…」
理解できないと言いたげな可符香をじっと見つめながら
「…隣の女子大生の中の人は…あなたかもしれませんが…風浦可符香じゃありませんからね…」
「好きな人本人に…好きと言えなくて…くっ…男じゃないですよ」
限界が近づいている。息を切らせながら望は可符香に言葉を伝える。
「それに…私は…あの満開の桜の下で…あなたと出会った時から…。」
「せんせい…私も…」
唇を重ね・・・胸に手を当て・・・繋がった場所を激しく動かし続ける。室内に水音が響き渡る。
「風浦さん…」
「…せん・・・せい・・・名前を…名前を呼んでください。」
「・・・?」
「…可符香じゃなくって…」
耳元に口を寄せ望は可符香を本名で呼ぶ。
「せんせい…うれしいです…」
「すいません。もう私・・・限界です。」
そう言いながら自分の分身を抜こうとする望の腰に、可符香は脚を絡める。
「!!駄目です!!間に合いませんよ!!」
「いいんです。せんせい…やっと名前で呼んでくれた。ずっと本当の名前で呼んで欲しかったんです・・・」
涙を流しながら可符香は望に思いを伝える。可符香の思いに答える様に可符香自身が望の全てを受け入れようとするように複雑に蠢く。
「だ…だめです…もう…」
そう言いながら望は限界に達する。可符香の中で弾け可符香を満たしていく。
「…先生…ありがとうございます…大好きですよ…」
451変わる物。変わらない者。(4):2008/10/13(月) 08:01:41 ID:19bbFu8R
「…」
「先生?どうしましたか?」
「絶望した!!お互い望んだ事とはいえ教え子にあんな事やこんな事をしたうえに…その…中に…あああ。絶望した!!」
「大丈夫ですよ。こういう話ではいくら中で出しちゃっても何の問題もありませんから!!」
「…風浦さん?あなたは何を言ってるんですか?」
「まあ良いじゃないですか。」
「それに…あなた服全然汚れてないじゃないですか。」
「へへへ…まあ細かい事は気にしないでください。」
「…まあ…たまにはこういうのも良いですかね。」
「ええ。そうですよ。…先生?今日の夜は時間は空いていますか?」
「ええ。特に今日は予定はありませんけど。」
「それでは…私のお家にご飯を食べに来てくださいな。もしかすると留守にしているかもしれませんが…勝手に上がって待っててください。」
そう言いながら望と可符香はチェックアウトし外へ出る。
「うわー。まぶしいですねえ。ちょっと疲れましたねえ。」
可符香は嬉しそうに笑いながら望に話しかける。
「あなた…そんな事を大きな声で言わないでくださいな。」
「…嫌だなあ。大きな声って言うのはもっとこう…」
声を張り上げるそぶりを見せる可符香を望は必死に止める。
「…まあ。それはそれで…私も…その…嬉しかったですよ。」
見つめながら可符香に望が声をかける。
「私は一度家へ帰って学校へ行きますが…一緒に家に帰りますか?」
「私はちょっと行く場所がありますので…それにまた夜に。」
「わかりました。それではまた今夜。」
「…ええ。先生。それでは…さようなら。」
別方向に歩き始める二人。数歩歩いて立ち止まり振り返る可符香。望の背中を見ながら…
「さよなら…先生…」
452変わる物。変わらない者。(5):2008/10/13(月) 08:02:24 ID:19bbFu8R

4月から担当するクラスやへ組生徒に関する残務処理などを終え、望は可符香の待つ家へと向かう。
交は倫が蔵井沢の実家へと連れ帰っている。
卒業する生徒や新入生の手続きもあり、交の世話が疎かになるのを考えての事だったが…
『予定とは随分違ってしまいましたが…結果的に交は倫と実家に帰ってもらって正解でした。』
可符香の家に着いたが、家の電気は消えている。
『まだ帰ってないようですね…。もう少し待ってましょうか。』
『風浦さん…。』
可符香と出会ってからの事を望は回想していた。
物事全てをネガティブに考え何かあれば死も考えていた。
可符香と出会い、へ組の担任となってからの望は周囲が驚くほど変わっていった。
『まあ…あのクラスではそういうことを考える暇も無かったんでしょうけどね。』
へ組の個性的なメンバーを思い出しながら苦笑いをする。
『あの子達は個性的ですがしっかりしている人ばかりです。これからもしっかりと生きていけるでしょうね。』
『…でも…私はどうでしょう。あの子達が居なくなっても、今までのように楽しく生活できるのでしょうか。』
『いけませんね。…あの子達に随分頼りきるようになってしまったみたいですね。どちらが生徒なのか。』
ネガティブな思いを打ち消そうと望は頭を振った。
『それにしても遅いですね。家の前でずっと居るのもなんですし、中で待たせてもらいましょうか。』
望は可符香から聞いていた場所から鍵を取り出し家の中へと入った。
『許しを得ているとはいえ…他人の家に留守中に入るのは変な気がしますね。』
『電気のスイッチはっと…ああ。これですね。』
壁のスイッチを入れる。暗かった部屋がぱっと明るくなる。
生活感の無い部屋。何も無い部屋。部屋の中央にちゃぶ台と食事…1封の封筒。
嫌な予感がする。望は震える手で封を空け中身を取り出す。
望への謝罪で始まるその手紙には、望の知らない可符香の事も書いてあった。
へ組の思い出…望への思い。そういう事が手紙には書かれていた。
望への感謝と愛の言葉を伝える文章と、本名での署名で手紙は締め括られていた。
手紙と一緒に入っていたのは、可符香がいつも付けていた髪留めだった。
何度も何度も手紙を読み返し自問自答を繰り返し、望は髪留めを袂に入れ可符香の家を出た。
俯き夜道を歩きながら望は思う。
『昔の私なら…間違い無く自ら命を…。しかしそれでは…あの子達が…。』
望はふと立ち止まり、夜空を見上げる。空は満天の星。
『…そうですよね。風浦さん。そんなわけ無いですよね。』
望は自らの人生を一変させた女性の事を思う。
「明日も…忙しくなりそうです。」
自らに言い聞かす様に呟き、望は家へと向かった。
453変わる物。変わらない者。(END):2008/10/13(月) 08:05:08 ID:19bbFu8R
「これでよし。」
バスケットにお弁当を入れながら可符香はそう呟いた。季節は春になり公園の桜も満開になっている。
「さあ。桜を見に行きましょうか。」
春の香りを受けながら、可符香は近くの公園へと向かった。
「ほら…そんなに急ぐと危ないですよ。」
公園には一本の桜。桃色ガブリエルと名付けた桜と遜色ない。
『癒されるなあ…そうだ!!』
「この桜は桃色ラファエルね。」
「桃色…ラファエル?」
小さな女の子が可符香に不思議そうに問いかける。
「そう。ラファエル。良い名前でしょ?」
「…えへへ。」
二人でじっと桜を眺めていると”ぐー”
「あらら…お弁当にしましょうか。」
桜の下にランチマットを引き、可符香はお弁当を広げる。
「…先生…元気かな…」
何年も口に出した事が無い言葉を、可符香は思わず呟く。
「…先生?」
娘に聞かれ一瞬たじろいだが…可符香は微笑みながら話しかける。
「そう。先生。お母さんが高校生だった時の先生だったんだけど…。頼りなくって…でも優しくって…」
「…好きだったの?」
「…そうね。」
「お父さんとどっちが好きだったの?」
「同じくらいよ。どっちも大好きだったわ。」
「…へー、お母さんもやるね。」
そう言いながら楽しそうに笑う娘。どこでそんな言葉を覚えてくるのか…。
青空の下でお昼ご飯を食べ、お茶を飲み話をする二人。
…サリッ…
可符香の後ろでする物音。顔を上げる娘。音の方へ走り出す…。
「こら。希…危ないわよ。」
振り返る可符香。そして…

「はー。疲れたあ。残業ばっかりで大変だあ。」
そう呟きながら、ポストの中身を一つ一つ確認する。
「ダイレクトメールばっかりだねえ…本当に内容のある手紙がな…あらら?」
「へー…あの二人とうとう…良かったね。可符香ちゃん…」
机の上にそっと手紙を置きシャワールームへと向かいながら、ふっと呟く。
「私にも良い人いないかなあ…。」
手紙の裏には笑顔の二人の写真が印刷されていた。
可符香もその隣の人も…見るだけで幸せになるような満面の笑みを浮かべていた。

春−四月…
私の心は希望に満ち溢れていました…。
454名無しさん@ピンキー:2008/10/13(月) 08:10:42 ID:19bbFu8R
以上です。お目汚し失礼しました。
可符香祭りで食傷気味かとは思いましたが、妄想が止らずついついと・・・。
元来鬱方向の人間なので、どうにもこうにも文章がまとまらず勢いのみでうpしてしまいました。
ご容赦を。

しかし可符香は難しいですね。性格や行動がほぼテンプレ化されているだけに
その路線から外れる事はほぼできず・・・。
さらにもう他の人で使われているネタがたくさんあり、結局どこかで見た話になってしまいます。
そういう意味では久米田先生はやっぱりさすがだなと。創造主は最強ですな。

皆さんのご意見・クレーム・避難・中傷・罵倒は甘んじて受けます。
あんまり厳しいとへこみますがw

それではまたROMに戻ります。職人さんの素晴らしいパロ心待ちにしております。
455名無しさん@ピンキー:2008/10/13(月) 09:38:40 ID:8vWDq1JW
可符香祭り再開きたーーーー
朝からありがとう超GJでした
456名無しさん@ピンキー:2008/10/13(月) 15:25:57 ID:wTk4Puex
GJ!

ちょっと改行多くするともっと良い。
457名無しさん@ピンキー:2008/10/13(月) 15:45:35 ID:RQ/9s++G
遅レスですいません。
>>412 やはり、あなたのSSは切なさが素晴らしい持ち味です。
相変わらず素晴らしかったです。厚かましいお願いではありますが、次は奈美を書いて欲しいです。
あなたのSSで奈美が大好きになりました。貴方の望奈美をもう1度見たいです。
もちろん、貴方が書きたいものを書いていただけるだけで充分ですが。

>>422 霧ちゃんも交も可愛い。雰囲気が素晴らしいです。

>>448 素直な可符香は見ていて気持ちいいですね。GJ!!
458280:2008/10/13(月) 23:17:43 ID:Cm6llJU3
>>457 稚拙な文章に暖かい感想で嬉しいです。
文章力ナシなんで雰囲気だけでもってくことに徹してみましたが
また独特なものになって落ち込んでました。(苦言は歓迎です)
暫くROMって文書の勉強させていただきます☆
今回のタイトルは矢野顕子から戴きました・・・・。
>>423 エロ解禁でまた何か書いてみたいです。よろしくお願いします。
459266:2008/10/14(火) 00:28:30 ID:DLR11Jze
投下します。
>>447さんの後で恐縮しますが、先生×可符香
>>332-345の後日談という前提になっています。
460266:2008/10/14(火) 00:29:52 ID:DLR11Jze
窓から差し込む夕日が、廊下を茜色に染める。既に辺りの人影はなく、一人ぼっちの廊下を先生はゆっくりと歩いていた。
「今日も終わりですね……」
スピーカーから流れ始めるトロイメライの調べ。下校時間がやってきたようだ。部活動に打ち込んでいた生徒達も、職員室の教師達もだんだんと帰り支度を始めるだろう。
人恋しいような、切ないような、そんな気持ちを、たぶん今この学校にいる全員が感じているだろう。
夕暮れの学校がそんな気分を誘うのは、たぶんこの学校という場所自体が過ぎ去っていく時間の象徴みたいなものだからじゃないかと、先生は感じていた。
平凡に繰り返される毎日、同じように積み重ねられる日々の中で、人間は時間がどうしようもなく流れていくものである事を忘れてしまう。
だけど、この学校という場所は、大人になる為の通過点であり、どんな人にとってもいずれは過去のものになってしまうものだ。
生徒たちはいずれここから巣立っていく時を感じ取り、大人たちは自分が通り過ぎた過去を思い出す。ここにいつまでもいられる人なんて、一人もいやしない。
夕暮れ時、学校の一日が終わろうとする時間は、それを否応なく際立たせる。
そしてその事が、時間は過ぎ去っていきもう戻らないものなのだと、その動かしようの無い事実を思い出させる。
「………きれいですね」
先生が窓の外へと視線を向ける。
部活の片付けを行う生徒たちや、校庭の隅に並んだ鉄棒、それに学校を囲むフェンスなどが、長い長い影を地面に落としている。
その向こうに見える住宅街の家々の窓に、一つまた一つと明かりが灯っていく。
窓を閉めているのだから、どうやったって届く筈が無いのに、どこかの家の夕飯のカレーの匂いがここまで漂ってくるような気がする。
最初は苦手な景色だった。あまりにも物悲しくて、心細くて、それを眺めるような余裕なんてなかった。
それが今では、好き好んでこんな時間の校舎を散歩するようにまでなってしまった。
家を焼かれて宿直室に住むようになって、無理にでもこれに慣れなければいけなかったのも、一つの原因だろうと思う。
慣れた分だけ余裕が出てきて、今までよく見てこなかった物を、じっくりと見つめる事ができるようになった。だから気が付く事ができた。
それはやっぱり、物悲しくて、心細くて、だけどきれいだった。
窓の外の夕焼けに、廊下や教室の片隅の暗がりの中に、過ぎ去っていく時間の名残を垣間見るような感覚を覚える。
今日という日が過ぎ去って、だけどそこに微かにのこされた匂い、そんなものを求めて先生は夕方の校舎を一人歩く。
「うちのクラスのみなさんもいつかは……」
永遠の高校2年生を過ごしているかのような2のへのメンバーだって、いつまでもここにいる事はあり得ない。みんないつかはいなくなる。
毎日の馬鹿騒ぎが、いつも通りの授業が、他愛も無い会話が、笑顔が、最近は何もかも愛おしく、美しく感じられるようになった。
だけどそんな事を口にするのも変だから、こうして一人ぼっちの夕暮れの校舎を歩いて、その思いだけをかみ締める。
「私も…年をとったんでしょうか……」
先生は廊下の途中で足を止め、窓を開いてみた。ゆっくりと茜色から紫へと変わっていく空に、2のへの生徒たちの顔を一つ一つ重ねて……
「ね〜こ〜の毛皮着る〜貴婦人のつくるスープ〜ぅ♪」
聞こえてきた歌に、その物思いを完膚なきまでに破壊された。
「い〜ぬ〜の毛皮着る〜貴婦人のつくるスープ〜ぅ♪中身聞いたその人具にな〜った〜ぁ♪」
それはもう塵一つ残さず全てを無に帰すかのような、容赦の無い破壊だった。
「おーばーさんのいなくなった〜住宅街〜♪スコーップが売れーたよー金物屋さん♪」
「風浦さぁんっ!!!!!!」
聞き覚えのある声に、聞き覚えのある歌詞。廊下の奥から歩いて来たその人物に先生が半泣きで怒鳴ると、風浦可符香はいつも通りの笑顔で答えた。
「あ、先生も夕方の校舎のお散歩ですか?」
「ええ、そうです。そうでした……」
「これぐらいの時間の学校を歩くの、私も好きなんです。なんだか独特な雰囲気があって………」
「はい。今しがたあなたに完全に破壊されましたが…」
「歌、聞かれちゃいましたか?ちょっと、恥ずかしいですね」
「聞きましたよ。届きましたよ、私の耳に。あの不気味で不吉で不穏な言霊が……」
「なんだか照れるなぁ。先生が聞いてるなんて思わなかったですから」
「頼みますから、ほんと頼みますから人の話を聞いてください……」
ニコニコ笑顔で楽しげに話す彼女と、致命的なレベルで会話が噛み合わない。さっきまでの物思いもどこかへ消し飛んで、先生はガクリと肩を落とした。
461266:2008/10/14(火) 00:30:46 ID:DLR11Jze
「どうしたんです、先生?大丈夫ですか?」
「あんまり気にしないでください。……むしろほっといてください」
「黄昏の校舎の雰囲気に浸って、ちょっぴりアンニュイな気分の自分に酔ってたのを邪魔されたのがそんなに辛かったんですか?」
しかも、ピンポイントで図星を突いてくるし。それも本当に心配そうな調子で聞いてくるから、余計に傷をえぐられる気分だ。
「はいその通りですよっ!!だから、夕方の校舎の散歩も今日は終わりですっ!!!」
ヤケ糞気味に先生が叫んだ。もうさっさと宿直室に戻って、小森さんの作った暖かい夕飯を食べて、明日の授業の準備を済ませたら、風呂に入って寝てしまおう。この傷ついたハートを抱えて……。
「そうですか……」
その言葉に、可符香は少しだけ残念そうな顔をして
「……やっぱり早く家に戻りたいですよね。だったら、あんまり無理は言えないけど……でも」
先生の上着の袖をきゅっと掴んで、彼女はこう言った。
「でも、少しだけ……ほんの少し付き合ってくれませんか?」
「え、な、何ですか急に?」
「……デートしてください」
意外な言葉に先生の胸がドキンとして、自分を見上げる可符香の顔の、少し頬を染めた真剣な表情にその言葉が嘘や冗談でない事を悟る。
「デートって、どこで……?」
やっとの事で搾り出した言葉は、そんな質問。
「……ここで…この夕方の校舎で………私といっしょにデートしてくれませんか?」
答えた彼女の言葉に、先生は首を横に振る事ができなかった。

太陽はさらに西に傾き、より薄暗くなった廊下を、先生と可符香は並んで歩く。二人の手の平は、きゅっと握り合っていた。
「………♪」
ちらりと可符香の顔を横目で伺う。さっきから喋ってはいないが、彼女はとても上機嫌な様子で、廊下を進む足取りも軽い。
(どういうつもりなんでしょう?)
先生が可符香の誘いを断れなかったのは事情があった。
思い出すのも忌まわしい事件。親の遺した借金を理由に怪しげな男達に彼女が連れ去られ、陵辱を受け、あまつさえ彼らの『商品』とされようとした事。
あの時の自分は完全に冷静さを欠いていた。必死に彼女の行方を追い、やっと見つけたその場所に一人で向かった。
あの時は、それ以外に正しい選択肢があるとは思えなかったし、それは今も変わらない。だが、あれが愚行であった事も認めないわけにはいかない。
あわやという所で2のへの生徒達が助けに来てくれなければ、殺されていてもおかしくなかった。
兎も角も助け出された彼女だったが、『商品』となる事jこそ免れたものの、男達に体を汚された、その事実は、心の傷は消しようが無い。
事件が終わってしばらく後のある日、放課後の教室で彼女は先生にすがり付いてきた。『抱き締めて欲しい』、そう言った。先生には彼女を受け入れてやる事しかできなかった。
『みんなや先生がいるから、私は大丈夫』、彼女は言った。それはきっと、本心からの言葉で、紛れも無い事実なのだろう。
だけど、もう一方で彼女が見せた、あの触れるだけで壊れてしまいそうな弱さも、また疑いようの無い事実なのだ。
彼女の事が心配だった。だから、彼女に握られたその手を、先生は振り払う事ができない。
「こっちです、先生」
「どこに行くんですか?」
「それは着いてからのお楽しみですよ」
ほとんど可符香に引っ張られるようにして、廊下を進み、階段を登る。彼女の笑顔に事件を思わせる影はなく、今この時を心から楽しんでいるように見えた。
それでも、あの事件で初めて見た彼女のくしゃくしゃの泣き顔と、教室で抱き締めた彼女の背中の微かな震えの記憶が、先生をどうしようもなく心配にさせる。
先生の手の平を握る彼女の手には、ぎゅっと精一杯の力が込められていた。それは、まるで彼女が藁にでも縋るような思いで、助けを求めているみたいで……。
(…………風浦さん)
だけど、そこで先生は気がついた。
462266:2008/10/14(火) 00:31:34 ID:DLR11Jze
(………これは?私は?)
彼女が先生の手を精一杯に掴んでいるのと同じように、彼女の手の平を握る先生の手にも精一杯の力が込められていた。
まるで彼女がまたどこかへ消えてしまうのを防ごうとでも言うかのように、必死に彼女の手の平を握り締め、その感触を、体温を、ひたすらに求めている自分の手の平。
(これじゃあ、まるで私は………)
先生が自分の中に生まれた疑問に答えを出すより早く、唐突に、先を進んでいた可符香の足が止まった。
「さ、着きましたよ」

そこは音楽室だった。
「途中で気が付いたりしました?」
「い、いいえ…気が付きませんでした」
一応、校舎の構造は覚えているが、薄暗い廊下を可符香に手を引かれるまま、しかも考え事をしながらここまで来たので、どこをどう進んでいたのかすらわからない。
「でも、鍵しまってますよ。中に入れなくちゃ…」
「いやだなぁ、心配無用ですよ」
可符香は言って、前髪を留める×の字型に交差した二本のヘアピンの内、一本をそっと外した。そして、音楽室の扉の前で膝を突いた可符香は
「えいっ!」
ガチャリ。あっさりと扉を開錠。再び何事もなかったかのようにヘアピンを頭に戻す。後ろで見ていた先生はただただ呆然唖然。
「今、なにかすごく手慣れてませんでしたか!?」
「?…そうですか?」
「だって、今一秒もかかりませんでしたよっ!!いくら学校の簡単な鍵でも…っ!!」
「いやだなぁ、先生。それはこの魔法の鍵のおかげじゃないですか」
可符香がクスクスと笑いながら、先ほどのヘアピンを指差す。
「そうです。実は私魔法の鍵を持ってたんです。みんなには内緒ですよ、先生」
「魔法って、それはどう見ても…」
「魔法の鍵は不思議な鍵です。どんな扉の、どんな鍵だって開けられないものはありません。長年の経験と技術と勘があれば………」
「その話題はスルーで、スルーライフでお願いしますっ!!」
「生半可な対策なんて、あってないようなもの……」
「いやああああああああああああっ!!!!!!!」
一体、いつ、どうやって、彼女がそれを習得したのか?それをこれまでどんな風に使ってきたのか?考えたくもない事ばかりが頭に浮かび、それを振り払うように先生はブンブンと頭を振る。
「さあ、魔法の鍵で夢の国にご案内でーす」
そんな先生を強引にひきずって、可符香は音楽室の中へ
「うわあ、やっぱり雰囲気ありますね」
薄暗い音楽室は、窓から差し込む夕日だけを明かりにして、いつもと違った表情を見せていた。
グランドピアノが、並べられた長机や椅子が、床の上に黒く濃い影を落とし、昼間ではあり得ない静寂が室内を包んでいる。
その光景は確かに、現実を離れた夢の国を思わせた。
「そ、そうですね……」
先ほどのショックが抜けない先生は、生返事を返すのが精一杯だ。
「理科準備室とどっちにしようか、正直迷ったんですけどね」
「いや、そっちの選択肢はなしでしょう」
「え、あっちも良い雰囲気ですよ。ホルマリン漬けとか標本とかたくさんあって……」
「どんな雰囲気ですかっ!!」
「そっと目を閉じると、彼らの声が聞こえてくるんです」
「……音楽室の方を選んでくれた事、感謝します」
先生はぐったりとして、辺りを見渡した。
「……まあ、悪くない雰囲気ですよ、ここに関しては。……いえ、違いますね」
首を振り、先生は言いなおす。
「…素敵です。とても、素敵だと思います」
言われた可符香はとても満足そうに、得意げに、微笑んでうなずく。
463266:2008/10/14(火) 00:32:41 ID:DLR11Jze
「ずっと前から、時々、こういう風に夕方の校舎の、教室の中に潜り込んで、遊んでたんです。そしたら、最近先生が同じように夕方の校舎の中を散歩してるのを見つけて……」
夕日の差し込む廊下に立って、どこか遠くを見つめる先生を見たとき、少しドキンとした。先生が自分が黄昏の校舎の空気を共有している事が、何故だか嬉しかった。
「それで、今度は先生と一緒にこれを見たいって、そう思ったんです」
「確かに、これは私一人では見れませんでした。何しろ、私にはあなたみたいな犯罪スキルがないですから」
「人聞きが悪いなぁ、先生。魔法ですよ、魔法。頭領も言ってくれました『あざやかだ。あざやかすぎる……まさに魔法だ…』って」
「……頭領って、誰ですか?」
それから二人は並んで、最前列の長机の上に腰を下ろした。可符香が先生の方に体を寄せる。先生はそれを拒まず、二人の肩と肩がくっつく。
それからしばらく二人とも無言のまま、穏やかな時間だけが過ぎていく。だが、そんな時…
「…………あ…うあ」
隣り合った肩から伝わる震えを感じて、先生は可符香の方を見た。微かに荒くなる呼吸、額に僅かに滲んだ汗、何とか笑顔を保とうとして保ちきれずに、彼女の顔が辛そうに歪む。
「…ごめんなさい…先生…ごめん……」
彼女の中で、再びあの事件の記憶が蘇っていた。痛みと、嫌悪と、それすら塗りつぶす虚無感、無力感。
彼女は自分の体を抱えるようにしてうずくまる。
「…だ、だいじょうぶ…ですから……今回のは…あんまりひどく…な…」
「そうは見えませんよ」
先生の両腕が優しく可符香の体を包み込む。自分を守ってくれる、確かな安心感に包まれて、可符香の体の震えがだんだんと和らぐ。忌まわしい過去が霧に溶けるように薄らぐ。
「…ありがと…先生……」
「前に頼まれたのに、いざという時には遠慮されたんじゃ、こちらも困ります。私はあなたに辛い時でも耐えて忍ぶような日本人的奥ゆかしさのあるキャラクターは期待していませんから」
「そんな言い方はひどいですよ、先生……」
言いながら、可符香は先生の胸に顔を埋め、ぎゅっと背中にしがみつく。そんな可符香に対して先生が、少し改まった口調で話しかける。
「…風浦さん…少し聞いてください…」
「……なんですか?」
「…風浦さんが辛いとき、こうやって抱きしめてほしい、そうあなたは私にお願いしましたよね?」
「はい……」
「だから、その代わりに私のお願いも聞いてください……」
先生がそう言った後、可符香を抱き締める先生の腕にぎゅううっと力が込められた。
それは先ほどまでの可符香を守り慈しむような抱擁とは違っていた。
むしろ、まるで泣きじゃくる子供が必死で親に抱きつくような、彼女の存在を、熱を、一欠けらも逃すまいとするかのような、……それは縋りつくような抱擁だった。
「せ…先生……!?」
「情けない話ですけど、今になって気が付いたんです。恐いんですよ、私は……」
先生の腕の中で、可符香は気が付く。微かな呼吸の乱れと、ごく僅かな体の震え、それはまさしくついさっき可符香を襲ったのと同じものだ。
そして、次の一言で彼女は全てを理解する。
「あなたを失う事が、ひどく恐ろしいんです……」
あの事件の時の自分は、ひどく冷静さを欠いていたと、先生は後になって何度も後悔した。何とか事態が収まったから良かったものの、最悪の結果も十分にありえた。
だけど、今になって気が付いたのだ。あれは全て、彼女の、風浦可符香のためだったのだと。
恐らく、他の2のへの誰が彼女のような苦境に陥ったとしても、先生があの時出した結論は変わらないだろう。
たとえ無駄でも、無理でも、自分に危険が及ぼうと、先生はその誰かを助けるために全てを投げ打って行動するだろう。
だが、その行動の質は違ってくるはずだ。震える心を必死で押え付けて冷静さを保ち、考え得る最も可能性の高い方法で助ける。きっと、そうするはずだ。
だけど、あの事件の時の先生は、冷静さなど放り捨てて、ただ彼女の元に向かおうとした。それはほとんど、親を探して泣きじゃくる迷子のようで……
「……だから、こうやって時々、抱き締めさせてください。あなたがここにいる事を確かめさせてください。臆病な私を、どうか安心させてください……」
あの春の日、桜の下で出会った彼女の笑顔が、先生の新しい生活の幕を開いた。
464266:2008/10/14(火) 00:33:25 ID:DLR11Jze
超ポジティブ思考で暴走するか、それとも人の心の隙に取り入って陰謀をめぐらすか、彼女の行動に先生は振り回されるばかりで、だけど、振り回される日々の中で何度も笑うことができた。
きっかけなんてわからない。ただ、彼女を気にかけて、彼女に痛い目に遭わされて、そんな日常の積み重ねが、いつしかかけがえの無いものに変わっていった。
それは、どうしようもなく単純な、使い古された言葉でしか表現できない、一つの感情として結晶する。
「……あなたを愛しています。風浦さん……」
「……え…あ……先生…?」
可符香はその言葉の意味をすぐに理解することが出来なくて、それなのに心臓ばかりがドキドキと鼓動を早めて、彼女の心をさらにかき乱す。
「好きです。だから、失いたくなかった。失うのが恐かった。……でも、そのせいで私は軽率な行動をして、あなたを……」
「…そんな…事ないです…あの時先生が来てくれたから…私…諦めずに…」
あの事件で、先生が再び可符香の前に姿を現した時、絶望の底に沈んで凍り付いてしまったはずの心を、先生の声が、言葉が、いとも簡単に揺り起こした。
自分のせいで先生を危ない目に遭わせているという気持ちと、先生がそこにいてくれる事の嬉しさと、二つの感情が胸が荒れ狂ってボロボロと涙を零した。
『お願い、先生、死なないで………っっっ!!!!』
張り裂けんばかりの声で叫んだ。
からかって、イタズラして、笑い合って、彼女の心にキラキラと輝く2のへでの日常の、その真ん中にはいつだって、先生の顔があった。
泣いたり、笑ったり、怒ったり、拗ねたり、くるくると変わる先生の表情を、いつだって可符香は見つめ続けてきた。
いつの間にか彼女の胸の中は、そんな先生の見せる色んな顔に埋め尽くされていた。
「…そっか…先生も同じだったんですね……」
学校側は、例えばスクールカウンセラーの智恵先生なんかは誤解しているようだけれど、小さい頃の可符香は幸せだった。
借金だらけの家、寂しい思い辛い思いをする事も決して少なくなかったけれど、それでも両親に愛されていたあの頃の可符香は、間違いなく幸せだった。
お父さんは何度も『身長を伸ばそうとした』し、生活だって本当に苦しかったけれど。
それでもお父さんもお母さんもしぶとくて、諦めずに頑張って、だから可符香も一緒に頑張って、そして家族で笑い合っていた。
だけどある日、津波のように襲ってきた抗い難い力に負けて、両親はいなくなってしまった。
それは、『身長を伸ばそうとした』んじゃなくて、『首を吊って自らの命を絶った』のだと、可符香にもわかった。
その日までの幸せな時間は、まるで嘘のように断ち切られて何も残らなかった。
『幸せも、大事なものも、人も、ある日突然に消えてしまう』、それが彼女の心の奥底に刻み付けられた傷の正体だった。
幸せが消えてしまうのなら、自分で作り出すしかない。どんな時でも幸せである自分を、笑顔の仮面を、そうしなければ生きていく事に耐えられないから。
その筈だったのに、友達と、先生と過ごす時間は、いつしかその仮面を溶かして、その存在を忘れさせていった。
そしてあの事件、再び彼女の全てが奪い去られ、過去の傷が大きく口を開いて彼女を飲み込もうとしたとき、先生が来てくれた。叫んでくれた。
だから、可符香は気付くことができた。彼女は何も失っていない。どんな相手も、彼女から何一つ奪うことが出来ないのだと、先生が気付かせてくれた。
目を閉じれば、ほら、何のことは無い。両親の笑顔はそこにあって、かつての幸せな彼女は欠片も損なわれていない。絆は断ち切られる事などなく、ずっと彼女を守り続けているのだと。
そして、それでも時に怯えてしまう臆病な心を、その感情を分かち合ってくれる人が、今ここにいる。私を抱き締めてくれている。
「……先生…私も……」
痛いぐらいに抱き締めてくる先生の腕に負けないように、可符香は自分の腕に力を込める。
「…私も、好きです…先生の事が……」
そして可符香は、先生の胸に埋めていた顔を上げる。見下ろす先生と、額と額がくっつくほどの距離で見詰め合う。
言葉も出せないまま、お互いの高鳴る心音を感じながら、相手の眼差しに、瞳に、心を奪われる。
「…………えっと、私なんかでいいんですか?風浦さん……」
「…このタイミングでその後ろ向き発言は、私のポジティブでもフォローしきれませんよ?」
言い合って、笑う。言葉とは裏腹に、可符香の体を抱き締める先生の腕の力は緩む事なく、その事が可符香には嬉しくてたまらなかった。
465266:2008/10/14(火) 00:34:06 ID:DLR11Jze
「私が好きで、失うのが恐いんじゃなかったんですか?こんなにぎゅーって抱き締めてくれるのに」
「……でも、私なんかが本当にそんな…風浦さんと……」
「ついさっき、私の気持ちを言ったばかりじゃないですか」
「…本当に本当なのか、今までの絶望的な自分を思い出すと自信がなくなって……」
「ふうん……つまり、私の事信じてくれないんですね、先生……」
拗ねたように可符香が言うと、先生は大慌てで
「…そ、そ、そんな事…そんな事ぜんぜんありませんっ!!」
「……それなら…」
可符香は目を閉じ、先生の方に唇を差し出した。
「…ふ、風浦さん…」
彼女の行動に、先生は少しだけたじろいだが、やがて覚悟を決めたような表情を浮かべ、ゆっくりと自分の唇を可符香の唇に近づけていく。
「……愛しています、風浦さん…」
「…ん…せんせ…んくぅ……んんっ……」
触れ合った唇からは意外なほどに熱いお互いの体温が伝わり合い、二人を一気にその行為に没入させていく。
おずおずと自分の口腔内に差し入れられてきた先生の舌に、可符香は自分の舌を優しくなぞらせ、優しく絡ませた。それに応えるように、先生の舌の動きが積極的になる。
お互いの口腔内を貪るように味わう。歯列を舌先でなぞり、舌の裏側まで愛撫される。舌を絡ませ合うほどに、そこから溶け合っていくような感覚を覚えて、先生と可符香は恍惚とする。
息の続く限界までキスを続けて、それでも名残惜しそうに、ようやく二人は唇を離した。
「…っはぁ…はぁはぁ……せん…せい……」
「…ふうら…さん……」
乱れた呼吸が整うのも待たずに、可符香は先生に強く強く抱きついた。そして、先生の耳元でささやく。
「…せんせい…もっと…わたしにふれて…あいしてください……」
「……えっ」
その言葉を十分に聞き取れなくて、その意味を察する事が出来なくて、戸惑う先生の耳元でもう一度
「…先生と…ひとつになりたい……」
はっきりと、可符香はそう言った。
しかし、それは、あの事件で可符香が負った心の傷を知る先生にとって、あまりに辛すぎる願いだった。頭はぐるぐると空回りし、声は上ずり、言葉が上手く出てこない。
「…でも、あなたは……」
「…先生が恐いの…わかりますよ……私も恐いです、少しだけ…」
そこで可符香はゆっくりと顔を上げ、先生に向けて精一杯の笑顔を向けて、こう言った。
「…だけど、だからこそ…私はそれを先生と一緒に越えて生きたい…先生となら越えられる、そう思うんです…」
彼女の目から零れ落ちる涙は、きっと先生が抱えているのと同じ怯え。それを包み込んでやれるのも、慰めてやれるのも、きっと自分にしか出来ないこと。
そう思って、先生も覚悟を決める。
「…わかりました。あなたと、いっしょに……」
「…はい、先生といっしょに……」
可符香の体を抱き締めていた腕を緩め、右の手の平を背中からわき腹へ、さらにそこから彼女の胸にまで這わせる。
柔らかなふくらみを手の平に感じた瞬間、再びよぎる恐怖。傷付けてしまうのではないか、壊してしまうのではないか、そんな想いが先生の心の中に渦巻く。
それを察したように、可符香の手の平が先生の手の平に重ねられる。伝わる温もりが、思いやりが、先生の背中を押す。
466266:2008/10/14(火) 00:34:41 ID:DLR11Jze
「……っあ…」
先生の手に少しだけ力が入って、可符香は微かに声を上げた。あくまで慈しむように、優しく、先生の手の平が可符香の胸を撫でて、揉んで、彼女の体温が僅かに上昇し始める。
「……っく…あぁ……せん…せいぃ…」
可符香の反応を確認しながら、先生は今度は左の手の平を彼女の首筋に。下から上へ、つーっと指先でなぞってやると、腕の中で可符香の体がビクンと小さく跳ねる。
そのまま彼女の反応を伺いつつ、先生の手の平は可符香の脇腹やおへその周り、太ももに背筋、そこから上がっていってうなじと、体の各所を愛撫する。
先生に触れられれば触れられるほど、だんだんと可符香の呼吸は荒くなっていく。先生はそこで可符香の耳元に唇を近付け
「…ふぁ…や…あ……みみぃ…」
耳たぶにそっとキスをする。それに対する可符香の反応を待たず、さらに耳たぶの縁を舌先で舐め、さらに軽く甘噛みをしてやる。
耳元から駆け抜けるくすぐったさと、ゾクゾクする感覚に実をくねらせる可符香の体中を、さらに先生の指先が這いあますところなく刺激を残していく。
「…あぁっ…ひぁ…ああんっ……はぁはぁ…せんせい…」
駆け巡る刺激に翻弄されながら、可符香は先生の瞳を見つめて呼びかけた。
「…どうしました、風浦さん?」
「…こんどは…私の肌に直接触れて……先生の手の平…もっと感じたいんです…」
そう言って、おずおずとセーラー服の上着の裾をつまみ、胸元までたくし上げ、さらに胸の膨らみを覆うブラジャーまで上にずらしてしまう。
「…お願いです…せんせい……」
先生はしばらく声もなく可符香の顔を見つめ、しかしやがて、ゆっくりとその手の平を彼女の肌へ。おへその辺りからなぞるようにして、鳩尾を経て鎖骨の辺りまで指先で撫でてやる。
それから両方の乳房を優しく手の平で包み込み、その先端の淡いピンクの突起を、最初は指の腹で撫でて、次は親指と人差し指でつまんで軽く転がしてやる。
「…あっ…くぅんっ…せんせ…キスして……」
まるで酸素を求めて息継ぎでもするかのように、自分の唇を求めてくる可符香の声に、先生は唇を重ねてやる事で応える。
夢中で先生の舌に自分の舌を絡ませ、先生の愛撫に敏感に身をくねらせる。そんな可符香が愛しすぎて、つい我を忘れそうになるのを必死で堪えながら、先生はあくまで優しく愛撫を続ける。
「…そんなに我慢しなくても、だいじょうぶですよ…せんせい…」
それを見透かしたかのように、可符香が微笑んで言った。
「ですが……」
「…だいぶ慣れてきましたから…それに、先生の指なら、私大丈夫みたいです……」
それから今度は恥ずかしそうに、少しだけ声を小さくして
「……今度はここで…先生の指先を感じたい……」
スカートをゆっくりと捲り上げ、その下の、白い薄布一枚に守られた、彼女の一番大事な場所に手を当てる。先生は導かれるようにして、そこに右手の指先を触れさせて……
「…先生の指先…すごく熱いです……」
なぞる。指先に感じる。そこに篭る途方も無い熱量を。
「……あぁ…」
「……風浦さん…」
信じ難い熱を、彼女の内側から溢れ出て来たエネルギーを感じながら、先生は何度もその部分を撫でた。
指先を濡らす湿り、布地越しの摩擦に反応する彼女の声が、先生を駆り立てる。
「ああっ!…ひぅ…あっ…ああああああんっ!!!!」
やがて先生の指先はショーツの上側からその内部へ、密やかな茂みの心地よい感触を感じてから、指先はさらにその先へ、敏感な入り口の部分に到達する。
「…ふああっ!!…あぁ…せんせいっ!!!」
さらに熱く、指先を溶かすようなその熱量。直接触れられて、激しく反応する彼女の体を、ぎゅっと抱き締めた。
先生の指先にかき混ぜられる度に、彼女の体が踊り跳ねる。強すぎる刺激に耐えようとぎゅっとしがみついてくる可符香に、先生は何度もキスをしてやる。
「…んんっ…んくぅううっ!!…ぷぁ…あぁ…せんせ…すごいいいいっ!!!」
滴り落ちる蜜は既に先生の手の平をびしょびしょに濡らしていた。くちゅくちゅと聞こえる水音は可符香の恥ずかしさを煽ったが、それが先生の指先を求める衝動は収まらない。
一度先生の指が動く度に、声が出てしまう、体がビクンと震える、涙が零れて先生の事を呼んでしまう。体は天井知らずに熱くなっていき、その熱が理性を溶かしていく。
「…せんせいっ…せんせ……ぅああああああああ!!!!」
やがて可符香の心と体は、先生の指先の導くままに、高みへと上り詰める。一気に力が抜けて崩れそうになる彼女の体を、先生の腕はしっかりと抱きとめた。
467266:2008/10/14(火) 00:35:31 ID:DLR11Jze
「…大丈夫ですか、風浦さん……?」
「……はぁはぁ……はい、先生……」
涙が滲んだ瞳で、可符香は先生の顔を見てうなずいた。
そのまま、しばし見詰め合う二人の間に言葉は無かったが、お互いの気持ちは手に取るようにわかった。
ひとつになりたい。愛する者の全てを受け入れ、繋がり合いたい。
「……先生…わたし…」
可符香の呼びかけに、先生が頷く。
可符香は自分のショーツに手をかけ、するすると脱いでいく。先生も自分の大きくなったモノを取り出す。少し恥ずかしそうにしている表情が可愛いなと、可符香はこっそり微笑んだ。
先生のモノは、やはり生物として同種である以上、あの事件の時に見た男達のモノとそう変わらないような形をしていたが、不思議と可符香には嫌悪感は湧かなかった。
手の平で触れてみる。伝わってくる脈動は、全て自分を想うが故なのかと思うと、可符香の胸に不思議な愛しさが湧いてきた。
「…それじゃあ…風浦さん…」
「…はい……」
長机に座り脚を開いた彼女の、大事な部分の入り口に先生のモノがあてがわれる。触れ合った感触に、お互い少しドキリとしてしまう。
だけど、そんな時、得体の知れない不安が可符香を襲った。
「…風浦さん?」
微かに歪んだ彼女の表情を見て、先生が心配そうに顔を覗き込んでくる。
「大丈夫ですか?…辛いなら、今からでもやめに……」
「違います…違うんです……」
気遣う先生に、可符香はぶんぶんと首を横に振った。
「……汚くないですか?」
「えっ!?」
「……私…汚くないですか?」
それは、あの事件の忌まわしい記憶。何度も汚され、男達のオモチャにされた記憶がもたらした理屈では言い表せない不安感。
しかし、そんな可符香の頬に、そっと先生の手の平が添えられて
「あなたはきれいですよ、風浦さん……」
どこまでも優しいその声が、心の中をじんわりと満たして、不安をほどき、消し去っていく。
「あなたはとてもきれいです……」
もう一度言ってくれた言葉に、可符香は少しだけ目じりに涙を滲ませてうなずく。
「はい、先生……」
先生と可符香の唇がそっと重なる。
二人はもう一度うなずき合って、それからゆっくりと、先生は可符香への挿入を開始した。
「…うぁ…っあああああ……せんせいっ…せんせいの…はいってくるぅ……っ!!!」
愛しい人に体を満たされていく、満たしていく、言葉に出来ない感覚と感情に、二人は互いの体を強く抱き締め合い、歓喜に震える。
繋がりあった部分から一つに溶けてゆくような感覚が、二人の理性すら奪い去り、むき出しになった感情が、愛情が、行為をだんだんと加速させていく。
「…くぅ…ああっ…風浦さんっ!!」
「…ひゃうぅ…あはああっ!!…せんせ…やぁ…すごいぃいいいっ!!!!」
敏感な粘膜が擦れあう度に、脳裏に無数の火花が飛び散る。抑えきれずに出てしまう声、ビクンと震える体、そんな互いの反応が愛しくて嬉しくて、それが行為をさらに激しいものにしていく。
何度も何度も、先生のモノが可符香の中をかき乱して、かき混ぜて、ほとばしるあまりに大きな快感に、彼女は背中を弓なりに反らせて体を震わせた。
「…ふああああっ!!!あんっ!!あ、ああんっ!!!…や…は…ぁああああああんっ!!」
ともすれば怒涛の如き感覚の洪水に流されて、壊れそうになってしまう彼女の体を、先生の腕がしっかりと抱き締めてくれた。
468266:2008/10/14(火) 00:36:10 ID:DLR11Jze
自分の全てを相手に委ねる事ができる、相手の全てを受け入れる事ができる、そんな感覚が生み出す安心感が、先生を、可符香を、より大きな快感の高みへと解放していく。
「…ひぅ…ふあああんっ!!…せんせ…せんせいっ!!…もっと…もっとはげしく…おねがいっ…せんせいっ!!!!」
「…風浦さんっ!!…ああっ…すごい…わたしも……っ!!!」
汗に濡れた肌が触れ合う感覚さえ、頭をスパークさせるような痺れに変わる。体の上をなぞる相手の手の平の通った跡が、火傷を起こしたように熱い。
呼吸する時間さえ惜しむように互いの唇を求めて、舌を、口の中を、溶けそうになるまで愛撫し続ける。競うように相手の体にキスマークを残し続けた。
「…風浦さんっ!!…風浦さんっ!!!!」
「…せんせいっ!!…せんせいせんせいっ…せんせいぃいいいいっ!!!!」
思考能力は当の昔に消し飛んで、今の二人の中を満たすのは、快感と、快感と、快感と、そしてそれさえ
凌駕するほどのお互いへの激しい想い。
このまま本当に一つに溶けてしまいたいほどに、好きで好きで好きで、愛しくてたまらない。溢れ出して止まらない感情の波の中で、先生と可符香はさらに強く互いを求め合う。
「…風浦さんっ…私はもうっ!!!」
「…せんせいっ…きてくださいっ!!…せんせいっ…きてぇええええええっ!!!!!」
熱も、快感も、全てが許容量をはるかに超えて高まり、先生と可符香は限界に近づいていく。しかし、二人の行為はそれでもペースを落とす事無く、むしろさらに激しさをましていく。
そして、高まり続けた熱が二人の心と体の中で弾けて、ついに限界を迎えた。
「…くっ…あああああっ…風浦さぁああああんっ!!!!!!!!!」
「…せんせいっ…せんせいっ…ふああああああああああっ!!!!!!!!!!」
ビクンビクンと、体の中で溢れ出た熱が可符香を満たしていく。その幸福感に零れ出た涙を、先生の手の平がそっと拭う。
そしてそのまま見詰め合った二人は、引かれ合うように唇を重ねて、お互いの体を抱き締めあった。

それから二人が衣服を整え、音楽室を出ようとする頃には、さすがに夕日も沈んで、僅かに薄紫の光が西の空を染めていた。
「随分、遅くなりましたね……」
「でも、不思議ですね……先生にもっとずっと長く抱き締められてた気もします」
音楽室の中もすっかり薄暗くなって、互いの存在を確かめ合うように二人は手をつなぐ。伝わる温もりの中に、お互いの気持ちを確かに感じる事ができる。
夕日に染められた校舎がいつもと違う雰囲気に変わるように、通じ合った気持ちは先生と可符香の見る世界の色を変えていくのだろう。
「先生、また夕方の学校でデートしてくれますよね?」
「どうせ、理科準備室でホルマリン漬けと挨拶でしょう?それは遠慮します。絶対にっ!!」
「いやだなぁ、他にも見所はたくさんあるんですよ」
「そうなんですか?」
「ええ、廊下だけしか見てなかった先生じゃ思いもよらないような所が…」
「それは自由自在に不法侵入しまくってたって事でしょう…」
「それならもう先生も共犯ですから、ぜんぜん全く問題ありません」
「ああっ、そういえば……」
嬉しそうにクスクスと笑う可符香と、苦笑しながらも彼女に優しい眼差しを送る先生。暗くなった廊下を、二人は肩を寄せて歩いていく。
きっと、もう大丈夫。
喜びも悲しみも、良い事も悪い事も、今は一人だけのものじゃないから。二人なら、きっと大丈夫。
先生がつないだ手の平に力を込めると、応えるように可符香の手の平が握り返してくる。その感触が、今の二人にとって何よりも確かな道標になる。
東の空の隅に上った冴え冴えとした三日月が、並んで歩く二人の後姿をいつまでも、いつまでも見守っていた。
469266:2008/10/14(火) 00:38:35 ID:DLR11Jze
これでお終いです。
しかし、最近の多くの職人さんたちのフィーバーぶりは嬉しいばかりですね。
それでは、またお会いしましょう。
470名無しさん@ピンキー:2008/10/14(火) 01:54:55 ID:ME1z6/2k
>>469
実に素晴らしい。
ぶっちゃけ前回のは見てないけど。
471名無しさん@ピンキー:2008/10/14(火) 03:24:28 ID:aS1WuX1U
遠まわしに、カフカだから読みましたってことね
472名無しさん@ピンキー:2008/10/14(火) 07:16:21 ID:ME1z6/2k
んー、陵辱とかが好きじゃないだけ。
そして前回sage忘れごめん。

頑張って作品書いてきます。
473名無しさん@ピンキー:2008/10/14(火) 09:05:49 ID:Z9j0PUx6
新しい可符香書き職人の誕生かGJ
欲を言えばもう少し改行してくれるとうれしいかな
474名無しさん@ピンキー:2008/10/14(火) 22:59:08 ID:n9bGE4qc
激しく今さらなのだが
>>445
「白百合」という言い方があるんだって初めて知ったよ
475名無しさん@ピンキー:2008/10/14(火) 23:14:23 ID:a99sgKCs
あ、うん
476名無しさん@ピンキー:2008/10/15(水) 23:11:55 ID:Xd3dVRIe
実際にエチーのときに「ひゃう」とか言われたら興ざめするなw
「入って来るぅ」とか「大きいぃ」とかいちいち口に出すのもウザイ
真っ赤になって歯を食いしばってる感じがいい 
しかもそれが奈美だったら一晩中イケる
477名無しさん@ピンキー:2008/10/15(水) 23:36:34 ID:IBUl/re+
>>476
じゃあそのシチュでよろしく。
478名無しさん@ピンキー:2008/10/16(木) 05:26:46 ID:bnS3KYkc
>>476
奈美は普通だからそれこそ普通に口に出して喘ぐだろ
479名無しさん@ピンキー:2008/10/16(木) 10:50:46 ID:lDqqkWpS
大らかなセックスが読みたいです。
480名無しさん@ピンキー:2008/10/16(木) 11:20:51 ID:sfW8t/9U
マグロっぽさではカフカと互角
481名無しさん@ピンキー:2008/10/16(木) 15:22:52 ID:WZJ2U7CF
まあエロ要員だよなとは思う
482名無しさん@ピンキー:2008/10/16(木) 15:53:09 ID:lwqwIYSU
カフカと千里ってエチん時の声デカそう


483名無しさん@ピンキー:2008/10/17(金) 00:22:26 ID:OV2PZ7yN
ひゃあああらめえぇお○んちんおっきいぃいー!とか
盛大にギャグの如く喘いでようが、
生々しい息遣いの中に僅かに喘ぎが聞き取れるくらいだろうが、
際限なしに好物な俺が通りますよ。

カエレあたり声大きいんじゃなかろうか。千里も。
個人的にカフカは声ちっさいイメージ。
並は普通にあんあんと。
484名無しさん@ピンキー:2008/10/17(金) 03:29:31 ID:tDMgfAA2
>>483
小林ゆうのそれ系の声は萎えそう
485名無しさん@ピンキー:2008/10/17(金) 08:17:53 ID:GIxhAgtv
大浦さんとセクロスしたいです
486266:2008/10/17(金) 11:07:19 ID:2CMxpx0u
投下します。
またも懲りずに、先生×可符香です。
487266:2008/10/17(金) 11:08:55 ID:2CMxpx0u
あなたと一緒に

いつも通りに始業のチャイムが鳴って、いつも通り席に付いた私達の前に現れたのは、いつも通りの先生の姿ではなくて、ニコニコと穏やかな笑顔を浮かべる甚六先生だった。
「みなさん、おはようございます」
甚六先生はぺこりと頭を下げる。私は手を上げて質問した。
「甚六先生、糸色先生はどうしたんですか?もしかして、風邪をひいたりとか…」
「いえいえ、そういう事ではありませんよ、風浦さん。体調を崩されたとか、そういう事ではないので安心してください」
それから甚六先生は、少し困ったような、申し訳なさそうな表情を浮かべて、こう続けた。
「糸色先生は出張に出ています。出張先で一泊して明日の朝に戻っていらっしゃる予定です。……本来は、私の仕事だったんですが……」
多くの学校の教職員が集まる会議、甚六先生はこれに参加する予定だった。
しかし、甚六先生が担任を受け持つ3年生のクラスの、ある生徒の推薦入試の準備のために出張に時間を割く事が難しくなってしまった。
他の先生たちも色々と忙しかったの中で、ウチの先生だけがなんとか時間に都合をつけられそうだと、甚六先生の代理を引き受けたらしい。
場所も遠いし、会議もかなり長引くらしいので、今夜は出張先で一泊して明日はそこから直接学校に来るという予定になっている。
つまり今日は丸一日先生はいないという事だ。
「急な話で皆さんには大変申し訳ない。何か糸色先生に急ぎの用事がある方は、出来る限り私の方で対応させていただきますので…」
そう言って、甚六先生はぺこりと頭を下げてから、教室から出て行った。
残されたのは空っぽの教卓が一つだけ。
いつもなら、朝も早くから何かに絶望して大騒ぎを始める先生の姿は、そこにはない。
「…そっか…いないんだ……いないんだ、先生…」
確認するように私は呟く。
ほどなくして鳴り響く一時限目の開始を知らせるチャイム。
こうして、先生のいない一日が始まった。

先生がいなくとも2のへに騒ぎの種は絶えない。
今は昼休憩。
愛ちゃんがいつもの加害妄想を発揮して、そこから勝手に話を膨らませた千里ちゃんがスコップを片手に暴れて、晴美ちゃんがそれを後ろから羽交い絞めにして止める。
私もいつも通りにみんなの輪に加わる。大騒ぎして、笑う。
いつも通りの教室、いつも通りのみんなとの時間、だけど………。
「……………」
その事がより一層、先生の不在を際立たせる。
楽しいのに、楽しくない。
振り返った視線の先にある教卓に、いつもなら騒ぎの中心にいる筈の先生の姿は無い。
ため息を一つつく。
「あれ、可符香ちゃんがため息なんて珍しいね、初めて見たかも。どうかしたの?」
いつの間にか横から奈美ちゃんがこっちを覗き込んでいた。
「あ、奈美ちゃん、ううん、なんでもないよ」
「もしかして、先生がいなくて寂しいとか?」
知ってか知らずか、私の意識していた事をピンポイントで突いてくる奈美ちゃんの言葉。
「そうだね、うん、ちょっと寂しいかも」
スンナリとその言葉を認めて、笑顔を返す事で、これ以上その話題で追求されることをシャットダウンする。
「そっか、可符香ちゃんなんだかんだで先生と一緒にいる事が多いもんね」
「うん」
「……あ、ほら、そんな暗い顔しないでよ」
奈美ちゃんの言葉にハッとなって頬に手を当てる。笑顔のつもりだったのに、私はうまく笑えていなかったんだろうか。
「先生なら明日にはもう帰って来るんだから、ね?」
奈美ちゃんが私の肩を掴んで、励ますように言った。
「うん、わかったよ。奈美ちゃん」
なるべく明るい声で答えて、私はうなずく。今度はうまく笑えただろうか。
「な、奈美ちゃんお願い、千里を止めるの手伝ってぇ〜っ!!!」
488266:2008/10/17(金) 11:09:49 ID:2CMxpx0u
「あ、うん、…それじゃあ、可符香ちゃん、元気出してね」
それから奈美ちゃんは藤吉さん達に呼ばれてそちらの方に。
去り際の奈美ちゃんの笑顔は、明るくて優しくてとても素敵だった。
2のへは色々と個性的過ぎる面子が揃っているから、『普通』なんて言われるけれど、不登校に家庭の事情と奈美ちゃんが抱えてるものはそんなに楽なものじゃない。
それなのに、どうしてあんな風に笑えるんだろう?どうしたらあんな風に笑えるんだろう?
もう一度、そっと自分の頬に手を当てる。
先生がいないだけで、どうやら私の笑顔はボロボロらしい。それに……
「…明日か……」
たった一日なのに。土日に祝日、春休み夏休み冬休み、お休みなんていくらでもある。
こっちから会いに行ったり、偶然会う事もかなり多いけど、基本的にお休みの最中は先生とはあまり会えない。
それが普通で、それで今までなんともなかったのに、どうして今日に限ってこうなってしまうんだろう?
「先生………」
もう一度空っぽの教卓を見る、いる筈の無い人の姿を求めて、未練がましく。
そこで、昼休憩の終わりを告げるチャイムが鳴った。なんだか随分長い休憩だったような気がする。
先生のいない時間はどこまでも引き延ばされていくみたいで、私はその中でゆっくりと憂鬱と倦怠の沼に沈んでいくようだった。

チャイムが鳴る。授業が終わる。今日の一日が終わる。
いつもなら下駄箱に直行するところだけど、つい宿直室の方に足が向いてしまう。
入り口から覗く。そこにいるのは夕飯の支度をする小森ちゃんとそれを横で手伝う交くんだけ。当然、先生の姿は無い。
こちらまでは聞こえないけれど、何か楽しそうに話している二人。
だけど、その笑顔が少し寂しそうに見えるのは、単に私自身の不安を二人に投影しているだけだろうか。
それからくるりと踵を返し、下駄箱に向かう。
もうみんなは帰ってしまったみたいで、いつもならわいわいとお喋りをしながら帰る道を、私は一人で歩いていく。
道路にのびる黒い影、遠くに聞こえるカラスの鳴き声、だんだんと冷えていく空気、いつもなら気にならないそれらに私の心を憂鬱にさせていく。
家に帰り、鍵を開ける。扉を開いて中へ。
一人ぼっちで暮らす私だけれど、毎日『言ってきます』と『ただいま』を欠かした事はなかった。
だけど、今日はそれを言う元気も無い。
ふらふらと自分の部屋に向かい、ベッドの上にばたんとうつ伏せに倒れた。
「……本当に、どうしちゃったのかな?今日の私……」
寂しい。寂しい。寂しい。
そんな気持ちで頭の中がいっぱいになっていく。
この時間に一人きりなのはいつも通りの、当たり前の事なのに。
「晩ごはん、作らなくちゃ……」
そう呟いてみるけれど、起き上がる気にならない。
明かりもつけないまま、ずっとベッドの上に寝転がっていると、昔あった色々な出来事がとりとめもなく蘇ってくる。
お父さんの勤める会社が倒産して、たくさんの借金を抱えて、家の中の空気はだんだんと暗くなっていった。
そして、ある日突然、私はひとりぼっちになってしまった。
私は、自分が歪んでいる事を自覚している。
物事の意味を読み替えてポジティブにしかとらない自分の性格は、全ては幼い頃の記憶に根差しているのだと。
それでも不安と孤独に押し潰されないために、生き抜いていくために、私はそうなるしかなかった。
そんな私も高校に入って、少しずつ少しずつ、友達と一緒にいる事や、学校での生活を楽しめるようになった。
そして、あの日、満開の桜の下で出会ったあの人。
あの日からの毎日は、いつだって最高に楽しくて、みんなと一緒に騒いで笑って、そしてその真ん中にはいつだって先生の姿があった。
くるくると脳裏を駆け巡る思い出の中には、いつだってどこかに先生の姿がある。
「そっか……私は先生に会いに学校に通ってたのかも…」
目頭が熱い。
私は枕に顔を押し付けた。
自分の瞳から溢れ出してくる熱い雫に気付かない振りをして、私は必死に口元に笑みを浮かべる。
「いやだなぁ、明日の朝なんてすぐにやって来るのに…」
489266:2008/10/17(金) 11:11:10 ID:2CMxpx0u
明日の事を考えて、自分をなだめて、なだめて、だけどとうとう私はごまかしきれなくなった。
私はベッドから起き上がり、制服を着替える。
時計を見るともう8時が近かった。思った以上に長い間、ここにいたらしい。
暖かいコートに袖を通して、秋の寒空の下へ。玄関に鍵をかけて、私は家を後にした。

また電車が通り過ぎて、そもそも叶う筈の無い期待を胸に、改札から出てくる人の群れを、少し離れた柱の影から見つめる。
もちろん、そこに先生の姿は無い。
当たり前だ。先生が帰ってくるのは明日の朝で、いくら今ここで見張っていても何の意味も無い。
それでも電車がやって来る音が聞こえる度に、改札を通る大勢の人たちの中に先生の姿を探してしまう。
我ながら不毛な事だと思いながら、私はここから離れられないでいた。

駅前のハンバーガー屋で適当に頼んだセットを胃袋に入れて、それから3時間以上だろうか、ずっとこうしている。
途中、絡んでくる酔っ払いや不良、それからおまわりさんなんかを言葉巧みにかわして、目立たないように隅っこの方に座って列車を待ち続ける。
列車が到着して、先生を探して、見つけられなくて、当たり前の事なのにひどく落胆して、そして次の列車がやって来て、また同じ事を繰り返す。
「寒いな……」
駅の構内に流れ込んでくる冷たい空気が、手先足先から私の体をじわじわと冷やしていく。
もう帰ろう。
私の理性はそう言うけれど、今の私は切実に、先生の姿を、声を、存在を求めていた。
だから、だんだんと人気の無くなっていく駅の中で、息を潜めるようにして、私は待ち続ける。
次の列車、次の次の列車、次の次の次の列車、次の次の次の次の列車………。
その度に失望を積み重ねる。それでも、私の足はここから離れてくれない。
やがて、最後の列車が行き過ぎて、そこから降りて来た人たちの流れも絶えた。最後まで先生は姿を現さなかった。
さあ、もう十分でしょう?
理性の声の促すままに、私は駅から出て行く。そして……
「…………」
ぺたん、と駅の入り口脇に腰を下ろした。
冷え切った地面にさらに体温を奪われて、ぶるり、私は身震いした。
ここで、先生を待とう。
先生の帰ってくる明日の朝まで、ずっとここに座っていよう。
もはや馬鹿げているとか、そういったレベルを超えている。どうせ明日になるのなら、いつも通り学校に行って、いつも通り先生に会えばいい。
こんな所に一人でいて、どんな人間に目をつけられるかわかったものじゃない。だいたい、ただでさえすっかり体が冷え切っているのに……。
理性の叫ぶ声を無視して、私は駄々っ子のようにその場にうずくまる。
我慢できない。寂しい。切ない。恋しい。苦しい。
私の中から溢れ出す信じられないほどたくさんの気持ちが、そのまま私をこの場に留める重石になる。
それらの感情はたった一言、この言葉に集約される。
「会いたい………」
呟いた時には、もう決意は固まっていた。
何があっても、朝が来るまで、先生を迎えるまで、絶対にここを動かない。
体育座りの両膝をぎゅっと抱き寄せて、天敵から身を守る小動物みたいな格好で、私は先生を待つ。
深夜を迎えた街からはだんだんと明かりが消えていく。
残された飲み屋や、コンビニ、街頭の明かりは夜の街の寒々しさを余計に際立たせるようだった。
そんな景色を見るともなく見ながら、そのまま数分が過ぎた、その時だった。
「そんな所で何をしているんですか?」
耳に馴染んだ声、待ち望んでいた声、信じられない気持ちのまま声の聞こえた方向を見た。
「こんな時間に一体どうして…何かあったんですか?」
いつも通りの着物に袴穿き、その上に外套を羽織って、先生はそこに立っていた。
その顔に浮かんでいるのは驚きと不安の表情。きっと私は、またうまく笑えなかったのだ。
「ほら、立ってください……って、体めちゃくちゃ冷えてるじゃないですか。本当にどうしたんです?」
私を立ち上がらせようと手の平を引っ張って、先生は私の体が冷え切っている事に気が付いたみたいだ。
490266:2008/10/17(金) 11:11:51 ID:2CMxpx0u
羽織っていた外套を私の肩の上に被せてくれた。外套に残った先生の体温が、じんわりと私の体に染み込んだ。
「さあ、帰りますよ。これ以上ここにいたら、本当に風邪をひいてしまいます」
先生に背中を押されて、私は歩き出した。
「……先生、帰ってくるのは明日だったんじゃ……」
「思ったより早く会議が終わったんですよ。それでも、こんな時間になっちゃいましたが……」
予定通り一泊して帰る事も考えたけれど、学校に小森ちゃんと交くんを二人きりで残しているのが気がかりだった、と先生は言った。
「そうだ、一応小森さんには帰って来たって連絡しておかないと……」
先生はそう言って、携帯電話を取り出し、相変わらずの慣れない手つきでメールを打ち始める。
私はとっさに、先生のその手を掴んでいた。
「ちょ…何をするんですか。どうしたんです、さっきからずっとおかしいですよ…」
「……家に、来てください…」
もう理性の声は聞こえなかった。溢れ出す感情を、そのまま言葉に変える。
「心配しなくても、こんな夜道を生徒一人で帰らせたりはしませんよ。私も一応教師なんですから、ちゃんと家まで…」
「…家に来てください、お願いです………」
掴んだ先生の手を、ぎゅっと握り締める。
「……家に来てほしいんです、先生…お願いします……」
「……風浦さん…あなたは……」
ようやく先生は、私の発言の意味を理解したようだった。先生はメールを打つのをやめ、携帯を懐へ。
私はそのまま、先生の手を引いて家に向かって歩き始めた。

家に着くまでの道程では、先生も私も一言も言葉を発する事はなかった。
無言のまま、歩いて、歩いて、私の家の前までたどりついた。
玄関の鍵を開けて、先生を招き入れる。居間まで案内して、対面に並べられたソファーに、向かい合わせで腰を下ろす。
「………それで、一体どうしたんですか?」
先生が静かに口を開いた。
私はそれに答える言葉を持たない。
こうして衝動に任せて行動した事を、私は今になって後悔し始めていた。
私の気持ちを、私の中にとめどなく溢れ出る感情の全てを、それを先生にぶつけて一体どうしようというのだろう。
ありがちなラブソングに歌われているように、それは人と人との関係を致命的なレベルで変えてしまう。
今までの先生と私ではいられなくなる。
私にはそんな勇気はなかった。
「…言いにくい事ですか?それならば無理強いはしませんが……今日のあなたは普通ではありませんでしたよ」
対する先生の言葉はあくまで淡々として、その瞳は普段の先生からは信じられないくらい静かで、まっすぐな視線を私に投げかけてくる。
自分で掘った落とし穴に、自分ではまったようなものだ。
普段見せている笑顔の仮面はすでに無残に剥がれ落ちて、私を庇う物はもう何も無い。
逃げ場なんて無い。
それが痛いほどわかっている筈なのに、臆病な私は無様に事態を取り繕おうとする。
「……い、いやだなぁ…別に大した事じゃないんですよ……ただ、あの時はあれぐらい強引じゃないと来てくれないかと思って…」
無理のある笑顔に、無理のある言い訳。
一度、仮面の剥がれ落ちた姿を見せられて、そんな言葉で納得できる人間なんてどこにもいない。
私を見つめる先生の視線は全く揺るがず、私の笑顔は乾ききって今にも崩れ落ちそうだ。
「それでも、聞かせてください。私に何か言いたい事があるのには変わらないでしょう?」
「いえ、そんな、やっぱりいいですよ。ほんとに大した事じゃないんです……先生も早く宿直室に帰った方がいいと思うし…」
「……私には、大した事でないようには見えないのですが……」
先生はどこまでも食い下がってくる。
私は半ば無駄と悟りながら、貧弱な嘘の城壁でそれを凌ごうとする。
「…いやだなぁ、本当にそんな急ぐような話はないんですよ。私、先生みたいにすぐに絶望したりしないし…」
「……本当にそうですか?」
寒々しい、白々しい、それでも私は既に破綻した演技を続けるしかない。
491266:2008/10/17(金) 11:12:50 ID:2CMxpx0u
だけどそんなもの、今の先生を止めるのに何の役にも立ちはしない。
「……神、未来人、ポロロッカ星人…」
「……えっ?」
「覚えていませんか?進路絶望調査書ですよ。あなたの書いた、あなたが絶望的だと思う進路です。ポジティブが身上のあなたでも諦める事はある。同じように、悩むことも、苦しむことも……」
少しずつ、先生は私への包囲を狭めていく。退路を次々に潰されて、私は返す言葉すら失っていく。
先生の視線は先ほどからずっと、私の方に注がれたまま動かない。まるで内心の全てを見透かされているような錯覚を、私は覚えた。
「お願いします、風浦さん……」

もう覚悟を決めるしかなかった。
「わ、私は……」
ぎゅっと握った手の平が、膝が、喉が、体中が震えて頭の中にははっきりあるその言葉が、上手く声になってくれない。
先生の視線に見据えられたまま、心臓はバクバクと鼓動を早め、焦りと不安が頭の中をめちゃくちゃにかき乱す。
それでも私は、その言葉を先生に伝えた。
「…私、好きなんです…先生の事…好きなんですっ!!」
一気に言い切って、そのまま下を向いた。
先生の顔を見る勇気なんてなかった。ただ暴れだしそうに苦しい胸を抑えて、怯えたようにうずくまるだけ。
(言っちゃった……)
そんな私の頭上から、先生の声が響く。
「………何の冗談ですか」
そこには何の感情も込められていなかった。
ただ淡々と、先ほどまでと何ら変わらない調子で発せられたその言葉には、言葉以上の意味が込められているように感じられた。
たぶん、私は拒絶された。
顔を上げる。
ソファに腰掛けた先生は微動だにしておらず、先ほどの私の告白に対しても、何の動揺も見せていないように思われた。
「先生、私は……っ!!」
一番恐れていた事態が現実のものとなった。
涙さえ出てこない。
言いようの無い感情が胸の中に溢れ出して、抑えきれずに叫びとなる。
「…私は本当に、本当に先生の事を…っっ!!!」
「…冗談はいい加減にしてくださいっ!!!」
もう一度先生が叫んで、私の心はナイフで切られたみたいに血を流す。
それでも私の叫びは止まらない。
いつの間にか私の中をいっぱいに満たしていたその感情の全てを、先生に向けてぶつけた。

「……私は先生を…愛してますっ!!!!!!」
「…私があなたを好きな事、知っているんでしょうっ!!!!!」

そして、重なった二人の叫びを、私と先生、それぞれが理解するまでに数秒の時間が流れた。

「「……へっ!?」」
ぽかんとした表情で、私と先生は見つめ合う。
「先生、今なんて言いました?」
「あ、あ、あなたこそ…」
もう一度、お互いの発言を反芻、検討。導き出される答えはやっぱり同じ。
「「え、え、えええええええええええええええええええっ!!!?」」
次に口を開いたのは私だった。
怒っているんだかなんだか、訳がわからないまま先生を責め立てる。
「じゃ、じゃあどうしてあんな言い方をしたんですかっ!!!」
「何の話ですっ!?」
492266:2008/10/17(金) 11:14:29 ID:2CMxpx0u
「私が先生を好きだって言ったら、『何の冗談ですか』って、すごく冷たい声で……っ!!!」
そこまで叫んだところで、急速に記憶が巻き戻されていく。
私の告白を聞いた直後の先生の言葉が、もう一度脳内に再生される。
『……な、な、何の…冗談ですかっ!?』
思いっきり動揺してるし……っ!!
突然の生徒からの告白に戸惑う、気の小さな先生としては至極まっとうな反応。
そもそも、あの時の私は先生の言葉を冷静に聞ける精神状態ではなかったのではないか……?
先生がまったく動揺しているように見えなかったのは、驚きのあまり身動きも取れないほどに硬直していたからだとしたら……
私がビクビクしていた先生の態度は全て、尋常ではない様子の私を心配して真剣に向き合おうとしていたからだと考えれば……
「いや、あなたの告白に真剣にとりあわなかったのは悪かったと思いますが、こっちの気持ちもさっき言った通りですし、その辺り察してください…」
全ては先生に拒絶される事を恐れた私の心が引き起こした錯覚……。
どうやら、それが答えらしい。
「あなたの様子があまりに普通じゃなかったので、何か大変な事が起こったんじゃないかと思っていて……。そしたら、思っても無かった事を言われて、私も動転してしまって……」
先生の言葉もほとんど耳に入らない。私は顔を真っ赤にしてうずくまる。
「えっと、私そんなに信用ないでしょうか?涙ながらの告白を無下に扱うような奴だって、もしかしてそう思われていますか?」
「……そんな人に、私、告白なんてしませんよ……っ!!」
驚きと恥ずかしさが落ち着いてくると、ぼろぼろと涙が零れてきた。
心の底からホッとして、安堵感が胸を満たして、それまで栓をされていた涙腺が一気に決壊したみたいだった。
そんな私の頭を、先生の手の平がぐしぐしと優しく撫でる。
「先生…私の事…好きだって……嘘じゃありませんよね?」
「今更、嘘はありませんよ」
「いつから…どうしてなんですか……?」
先生は私のその質問に、しばし考え込むように間を空けてから、ゆっくりと答えた。
「いつの間にか、知らない内に、……そういう風にしか私にも言えません。ですが…」
そっと、先生の手の平が頬に添えられて、その手に促されるままに私は顔を上げる。
すぐ目の前、鼻と鼻がくっつきそうな距離に、先生の笑顔があった。
「私が学校に赴任してからずっと、私の側にいてくれたのはあなたじゃないですか。……それは、まあ、その分あなたにはずいぶんと苦労させられましたけど……」
あの出会いから始まった2のへでの日々、その中で私の心の真ん中にはいつも先生がいて、そして先生の心の真ん中にはいつも私がいた。
先生の言葉が、気持ちが、私の中に染み込んでいく。
「私の意気地なさは知っての通りでしょう。あなたの勇気がなければ、こんな風に気持ちが通じ合えるなんてあり得ませんでした。………今度は私が勇気を見せる番です」
そう言ってから、先生はそっと私の唇にキスをした。
時間が止まったかのような数瞬が過ぎて、唇を離した先生は私にこう告げた。
「……改めて、愛しています、風浦さん……」
「…私も好きです…大好きですよ、先生……」
ずいぶんと思いつめたくせに、なんだかお互い間の抜けた所を見せて、ようやくここに至れたのが、どうにも私と先生らしくてクスクスと笑った。
これからもきっと、こんな風にして先生と時を重ねていける、それが何よりも嬉しかった。

先生の腕に抱かれて、ソファに体を横たえる。
私の体を優しく愛撫する先生の指先に身を任せながら、私は何度となく先生の唇を求めた。
「…んっ…んくぅ……んんっ…あっ…先生……」
「きれいです、風浦さん……」
先生の手で服を脱がされて、生まれたままの姿に戻っていく私。
じっと見つめてくる先生の視線が熱くて、体中がゾクゾクと疼いた。
しゅるり、先生も自分の着物を脱ぎ捨てて、細身で華奢な先生の裸身が私の目の前にあらわになる。
私はただ息を呑んで、それに見蕩れる。
「キレイですよ、先生も…」
「それ、男としては複雑な心境になっちゃう言葉なんですが……」
「いいじゃないですか、キレイなものはキレイなんですよ」
私の言葉に苦笑しながら、先生はおでこにキスをしてくれた。
493266:2008/10/17(金) 11:15:20 ID:2CMxpx0u
それから、先生は裸の腕で私の体を抱き締めた。
触れ合う肌と肌。先生の体温は燃えるように熱くて、それに包まれた私の心も、体までもが一緒に燃え上がってしまいそうだった。
「……っあ…ひぅ…くぁあああっ!!」
先生の指先が、私の体をなぞる、撫でる、這う、弄る。
その刺激に、快感に、思わず漏れ出てしまう私の声。
恥ずかしくておかしくなりそうだったけれど、絶える事の無い快感の連続攻撃は、私からそれを拒否する言葉も気持ちも根こそぎ奪い去っていく。
「ひあっ…やっ…んぅ…あああああああああああっ!!!!!」
体の火照りに合わせる様にピンと立ち上がった、私の胸の上のピンク色の突起に先生がキスをする。
体中の神経が集まったみたいに敏感になっていたその部分を、唇で、歯で、舌先で、先生は徹底的に刺激して、弄んだ。
どんどん大きくなっていく私の声、だけど先生は容赦なく私の体を刺激し続ける。
「…ひゃ…うぅんっ…あぁ…ひぁあああああっ!!」
先の部分だけでなく、胸全体が熱くて、ジンジンして、ワケがわからなくなりそうだった。
その間にも、先生の指先は私の体の上を自由自在に行き来する。
今度はきゅと閉じられた太ももの内側、私の一番敏感で大事な場所ギリギリの部分を何度も撫でられる。
先生の愛撫ですでにびしょびしょなっている秘所には触れずに、その手前ギリギリだけを延々と刺激され続ける。
それがじれったくて、もどかしくて、私は先生の体の下で何度も身をくねらせる。
「…せんせ…おながい…そんな…いじわるしないでぇ…」
「わかりました。それじゃあ……」
あまりの切なさに哀願した私の言葉を受けて、先生の指先がつーっと太ももの内側を這い上がって、私の大事な部分に触れた。
その手先があまりに滑らかだったせいで、ほとんど何の覚悟も無いまま秘所に触れられて、私はまた背中を反らして大きな声を上げてしまう。
「あっ…あああああっ!!!…すご…こんなぁ…」
くちゅくちゅ、ぴちゃぴちゃと恥ずかしい音を立てて、先生の指先が私のアソコを蕩けそうなほどに刺激しまくる。
内側から溢れ出てくる蜜は止めようもなく、私の内股と先生の手の平を濡らしていく。
「…ひっ…くぅんっ…あぁ…は…ひぅううううんっ!!!」
電気のように体を駆け抜ける刺激が、私の頭まで痺れさせていく。
先生の指先の動くまま、声を上げて、あえぎ続けるだけの存在に変えられていく私。
もう体中のどこを触られても、いやらしく声を上げてしまいそうだった。
やがて、めくるめく快感の渦の中、私の中で一つの、燃え上がるような衝動が湧き上がってくる。
「…せんせい…わたし…せんせいと…せんせいといっしょに……」
私の体の中に、先生を受け入れたい。
その衝動は、先生への激しい愛情と絡まりあって、抗いがたいほどに私を突き動かす。
そして、それは先生も同じのようだった。
「…風浦…さん…私も、あなたの全てがほしい……」
先生の愛撫の手が止まる。
先生の瞳が、私の瞳を覗き込む。
そのまま二人で見つめ合う。言葉もなく、ただお互いの瞳に心奪われる時間だけが過ぎていく。
やがて、先生の瞳に、私の心に浮き上がってくる確信。
「…風浦さん……」
「…先生……」
ささやくように、お互いの名前を呼んだ。
先生は私の大事な場所の入り口に、大きくなった自分のモノをあてがう。
触れ合っただけで、熱と痺れに思考が停止しそうになった。
そして、先生は自分の唇を私の唇に重ねる。舌を絡め合わせ、互いの唾液を味わうような濃厚なキス。
そのまま先生は、私の中へ、ゆっくりと挿入を開始する。
「…んっ…んくぅ…あ…痛ぅ…」
「だ、大丈夫ですか?」
「…はい…平気ですから…先生…もっと私の中に……」
引き裂くような痛みの後から、私の中を満たしていく先生の熱と質量を感じた。
痛みと歓喜が入り混じった、形容しがたい感覚と感情の中で、私は先生の背中に必死でしがみついた。
494266:2008/10/17(金) 11:24:51 ID:2CMxpx0u
「初めての時の痛みは人によりますから、これ以上無理をしなくても……」
「…いいんです、先生…私…もっと先生を感じたい……」
そう言って、私は先生にしがみつく腕に精一杯の力を込めた。
それで先生の決意も固まったようだ。
ゆっくりと、私を気遣うように先生は腰を動かし始める。
「…っく…うああっ…あっ…ひあああっ!!!」
先生が私の中を、奥深くまでかき混ぜ、攪拌する。
その度に私を襲う痛みと、体の奥から湧き上がる得体の知れない熱さ。
私はぽろぽろと涙を零しながら、何度も声を上げて、先生の体にしがみついた。
「ひぅ…ああんっ…や…うあああああっ!!!」
抜き差しを繰り返すたびに、混ざり合って判別がつかなくなっていく熱と痛み。
私の体は、心は、いつしかその、自分を内側から壊されていくような狂おしい感覚を求めるように変わっていく。
先生もいつしか我を忘れて、腰を動かし始めていた。
「…ああっ…風浦さんっ!!!」
「…ひあっ…ああっ…せんせ…せんせいっ!!!」
私と先生は溺れていく。
渦巻く熱の真ん中で、理性も何もかも溶かされて、剥き出しの愛をぶつけ合い、お互いを求め合う。
壊れたように腰を動かし続け、ほとばしる熱をさらなる原動力に変えて、さらに行為を続ける。
「…ひゃうぅ…あぁ…すご…いぃ…っ!」
引き抜かれる動きと共に、二人が繋がった部分から、初めての証の赤い色と、大量の蜜が溢れ出す。
「…あっ…そんな…奥までぇええええっ!!!」
そして、すぐさま根元まで挿入される。
先生の、先端の部分に一番奥を叩かれて、私は思わず大きな声を上げる。
繰り返される激しいピストン運動。
自分と相手以外の何もかもが見えなくなって、感覚の全てを激しい熱に塗りつぶされて、私と先生はただただ貪欲にお互いを求めた。
「…風浦さんっ!!…そろそろ限界みたいですっ…」
「…ああっ…せんせいっ…わたしも…わたしもいっしょにぃいいっ!!!!」
熱く。さらに熱く。もっと熱く。
二人が溶けて、混ざり合って、それでも足りないほどに私と先生は互いを求め続け、行為を加速させていく。
そして、最も激しい突き上げと共に、凄まじい熱の津波が私の意識を呑み込み、全てを粉々に砕いた。
「くっ…風浦さんっっっ!!!!」
「あああっ!!せんせ…わたしっ…ひああああああああああっ!!!!!!」
ビクンビクンと全身が痙攣して、私の体から一気に力が抜ける。
そんな私を抱き締める、先生の腕の優しさに浸りながら、私の意識はゆっくりと薄れていった。
495266:2008/10/17(金) 11:25:37 ID:2CMxpx0u
カーテンの隙間から差し込む朝の光で、私は目を覚ました。
私は裸のままで、その代わり毛布が二枚、体の上にかけられていた。
「……先生?」
目をこすりながら探すと、向かいのソファですやすやと寝息を立てている先生の姿を見つけた。
先生は着物を着て、外套を毛布代わりに眠っていた。
幸せそうな寝顔を眺めていると、昨夜の事がまるで嘘みたいだったけれど、体に残る微かな熱の名残が、そうではない事を教えてくれた。
そして、私は立ち上がり、部屋の時計を見る。
学校に行くまでにはまだ余裕があったけれど、ものすごく早起きしたとは言えないぐらいの時間だ。
自分の部屋に戻り、下着を身に付けて、制服に袖を通す。
顔を洗って、歯を磨いて、出来ればシャワーも浴びたかったけど、そこまでの余裕は無い。
それから台所に向かい、朝食の準備に取り掛かる。
トーストを二枚、二つ並べたグラスに牛乳を注ぐ。ちょっと簡単すぎるけれど、今日は仕方が無い。
「ふぁ〜……風浦さん?」
「あ、先生、おはようございます」
オーブントースターのタイマーが鳴らしたチンという音で目を覚ましたのか、先生が眠そうに目をこすりながらやって来た。
私は焼きたてのトーストと、牛乳の入ったコップを先生に手渡す。
「……?これは?」
「朝ごはんです。急いで食べてください」
「でも、まだそんな時間じゃ…」
もふもふとトーストを食べながら、未だに頭のハッキリしないらしい先生に、私は明るくこう言った。
「何言ってるんですか、一緒に学校に行くんですよ」
「はぁ……」
「だから、先生、ここはいつもの宿直室じゃないんですよ」
「あっ…!!」
ようやく先生は事態に気付いたようだ。
慌ててドタバタと支度を始めて、部屋の中を右往左往する先生を見ながら、私ももふもふとトーストを頬張り、牛乳を飲む。
「持って行ってた筈なのに、髭剃りが見つかりませんっ!!!」
「先生、ヒゲも体毛も薄いですから、きっと平気ですよ」
慌てふためく先生に、無責任な言葉を投げかけて、クスクスと笑う。
それから、ようやく髭剃りを見つけて、身支度を整えた先生と私は玄関に並ぶ。
「……よく考えたら、朝っぱらに教え子の家から姿を現す教師ってヤバくないですか?」
「今頃気付いたんですか?」
「一緒に学校に行ってて、他の生徒たちに見られたら、なんて言い訳しましょう?」
「駅で会って、一緒に学校に行くことにしたって言えばいいんじゃないですか?」
「大胆に、中間の過程が省かれてますね……」
「でも、嘘じゃありませんよ」
苦笑する先生に、私は目いっぱいの笑顔で答える。
「なんだか、楽しそうですね…」
「それはもちろん!」
だって、私の横には先生がいてくれるのだから。
たぶん、昨日みたいな不安に襲われる事だってもう無い筈だ。
だって、先生が受け止めてくれたから、抱き締めてくれたから、もう不安を感じる必要なんてどこにもないのだから。
それから、私は先生に向かってさっきの質問を投げ返す。
「先生こそ、楽しくないんですか?」
「…………」
先生はその質問に少しの間黙りこくってから
「………楽しい、です…」
観念したように、頬を赤くして答えた。
私は笑顔でうなずいて、それから玄関のドアを大きく開け放つ。
「それじゃあ、いってきます!」
「いってきます」
爽やかな朝の光の中へ、私達は二人一緒に足を踏み出した。
496266:2008/10/17(金) 11:31:08 ID:2CMxpx0u
これでお終いです。
マガジン最新号で、先生と可符香が何故か一緒に通勤通学していたので、つい妄想してしまいました。
そもそも、先生、下宿住まいじゃないのか、と。
その後の54角関係の14角目にちゃっかりイメチェン可符香がいたりするし。
原型留めてないモードとはいえ、隣の女子大生さんでも隣の校舎の一年生でもなく、ちゃんと可符香として参加してるのに萌えました。

それでは、この辺で失礼いたします。
497名無しさん@ピンキー:2008/10/17(金) 15:08:38 ID:Hjd/o2yN
悪いことは言わん、シャワーは浴びとけ
498名無しさん@ピンキー:2008/10/17(金) 15:10:48 ID:BqlEjgSX
>>266さん仕事超早ぇwGJ!
499名無しさん@ピンキー:2008/10/17(金) 17:11:37 ID:o65QMKlY
>>266さん
仕事が早いねぇ、数編一遍に読んだ
 G J!
しか言い様がないw
500名無しさん@ピンキー:2008/10/18(土) 01:22:46 ID:8w/U0Rw3
GJ
やっぱりあれはお泊まりだったから一緒に登校してたんですね
501名無しさん@ピンキー:2008/10/18(土) 01:53:02 ID:oUVydj0G
円すい!円すい!
502名無しさん@ピンキー:2008/10/18(土) 05:48:02 ID:Sal1fbub
ひゃえぎは義務、ですね
503名無しさん@ピンキー:2008/10/18(土) 07:34:08 ID:7vnLpOjy
こだわるねぇ
504名無しさん@ピンキー:2008/10/18(土) 12:11:14 ID:xjjOL2Pv
ひゃえぎwそれいいなww
505名無しさん@ピンキー:2008/10/18(土) 16:16:46 ID:7vnLpOjy
千里のあえぎはうなぎ声かよ
506名無しさん@ピンキー:2008/10/18(土) 16:25:29 ID:u4WC2X5x
お前は何を言っているんだ
507名無しさん@ピンキー:2008/10/18(土) 18:07:23 ID:7ui/CLam
>>505
「うなぎ声」ワロタwwwwwww

しかし去年の夏ばりの勢いになってきたな……これは全裸待機解禁もあるかもしれん。
508名無しさん@ピンキー:2008/10/18(土) 22:51:02 ID:7yMo/lau
>>266
あなたのおかげで良い週末を迎えられそうです。
509名無しさん@ピンキー:2008/10/19(日) 02:00:04 ID:QaeYTBB1
>>266
前にも誰か言ってたけどもうちょっと改行してくれ
読みにくくてかなわん
・・・なんて書くと、また叩かれるんだろうなw
510名無しさん@ピンキー:2008/10/19(日) 03:02:31 ID:5ZzVo8EJ
そういうコメはいいかと
511名無しさん@ピンキー:2008/10/19(日) 07:27:39 ID:h3glA/w0
見てる方の設定にもよるだろうけど
だいたい50文字超えると読みにくい
512名無しさん@ピンキー:2008/10/20(月) 10:28:10 ID:ypPlmd6Z
カエレの円すいを先生が丹念に図っていくSSはまだですか
513名無しさん@ピンキー:2008/10/21(火) 01:28:46 ID:uGOn9xr3
カエレ先生の18禁版を
514名無しさん@ピンキー:2008/10/21(火) 02:28:32 ID:2clt1bCB
うなぎ声って今意味が分かったw
515名無しさん@ピンキー:2008/10/23(木) 10:33:22 ID:tD7izlD0
カエレの乳首エロいな
516名無しさん@ピンキー:2008/10/23(木) 10:35:00 ID:tD7izlD0
ごめんsage
517266:2008/10/24(金) 17:25:46 ID:hXS4sSHM
パソコン修理中なのだけれど、どうしても書きたくなったので、ネットカフェで短いのを書いて投下します。
先生×可符香で、エロありとエロなしがそれぞれ一本ずつ。
それでは、まずはエロありの方から…
518266:2008/10/24(金) 17:26:46 ID:hXS4sSHM
恥ずかしい二人

薄暗い部屋の中に、少女の切れ切れの声と、荒い呼吸が響いていた。
「…っあ…く…ぅうんっ…あっ……はぁああああっ!!!!」
年齢から考えると、不釣合いなほどに艶をもった嬌声が少女の口から漏れ出る。
それに混じって、ヴヴヴ、ヴヴヴ、と聞こえるのは、彼女の秘所に深く突き刺さり、
休むことなく彼女を蹂躙し続けているバイブレーターの駆動音だ。
「ずいぶんとエッチな体になりましたね、風浦さん…」
彼女の傍らに座り、責め続けているのは、彼女のクラス担任糸色望である。
「だってぇ…せんせ…が…まいにち…あんなにはげしくぅ…するからぁ……」
先生の声に対して、少女、風浦可符香が涙声で答える。
彼女の顔には目隠しが施され、両腕は後ろ手にまわされて手錠で繋がれている。
そしてうつぶせのまま、可愛いお尻だけを上に突き出した姿勢で、彼女はバイブに犯され続けている。
二人がこうした特殊なプレイに没入するようになって、今日で2週間ほどになろうとしていた。
「…うあっ…やぁああっ…ひ…あああああっ!!」
バイブレーターの振動と共に、しとどに溢れ出て可符香の内股を濡らす愛蜜。
先生はそんな彼女のお尻に顔を近づけ、きゅっと窄まった後ろの穴にその舌先で触れた。
「ふぇ…ひゃああああっ!!?」
突然の刺激と羞恥に、可符香は思わず声を上げる。
「だめぇ…先生…そこ…きたな…っ」
「そうですか?あなたのなら、私はぜんぜん汚いとは思いませんけど……それに」
先生は舌先を後ろの穴から離すと、今度は右手の人差し指をそこへ深々と突っ込んだ。
「や…あああああああっ!!?」
悲鳴を上げる可符香の反応を楽しみながら、先生は二度三度と可符香のお尻の中を指先でかき回す。
そして指先を引き抜いてから、それをチロリと舐めて言った。
「それに、ずいぶんと綺麗にしてきたみたいじゃないですか?まるで、こっちでしてもらうのを待ってるみたいに」
「あ…や…先生…言わないで…」
「我慢しなくてもいいんですよ、風浦さん。私が好きなだけ気持ちよくしてあげます。あなたが、お願いしてくれるなら…」
先生の言葉に、可符香はしばし沈黙する。
彼女の胸の内が快楽への誘惑に葛藤し、揺れ動く。
やがて、彼女は口を開き、蚊の鳴くような声で先生に言った。
「お願いします…せんせい…わたしのおしり…せんせいのでめちゃくちゃに…おかしてください……」
可符香の答えを聞いて、先生は満足そうにうなずいた。
そして、自分の大きくなったモノを、彼女の震える後ろの穴にあてがう。
519266:2008/10/24(金) 17:27:28 ID:hXS4sSHM
「わかりましたよ、風浦さん。すべて、あなたの望みどおりに…」
ズブブ、ズブブブブ、先生が先端を押し込むと、可符香の後ろの穴がそれを飲み込む。
可愛い見た目とは裏腹の貪欲さで先生の分身をくわえ込み、しっかりと食い締める。
「ひっ…くぁあああああっ!!!せんせぇ!!!せんせぇええええっ!!!!!!」
根元まで突き入れてから、入り口近くまで引き戻し、再び最奥まで突き入れる。
その度に少女の華奢な体の内側は滅茶苦茶に攪拌され、それに反応して全身を弓なりに反らす。
「たまりませんよ、風浦さん、あなたの中は熱くて、きゅうきゅうと締め付けてきて、最高ですっ!!」
「あああっ!!ひゃあああんっ!!!せんせいぃ…すごい…すごすぎるよぉおおおおおっ!!!!」
先生は夢中になって腰を振りたくり、可符香はその度に大きく声を上げる。
全身が快楽の虜となった少女の瞳からはぼろぼろと涙が零れ、目隠しから溢れて頬を濡らす。
突き入れられて、突き上げられて、お尻から背中を突きぬけ全身を痺れさせる快感が、
少女のまだ未発達な体を蕩かし、可符香の理性を奪い去っていく。
「ああんっ!!せんせいっ!!!もっとぉ!!!もっとぉおおおおおっ!!!!!」
どんどんと乱れていく可符香の姿を見ながら、先生は思う。
もっと、彼女が壊れていく様を見てみたい。
思案に暮れる先生は、部屋の中を見渡して、ある物に目をつける。
(ベタなアイテムなのに、そういえば使っていませんでしたね…)
先生は早速自分のアイデアを実行に移す事にした。
腰の動きをいったん止めて、両足を持って可符香の体を抱え上げソレの前に移動する。
「…?せんせい、なに?」
「いえ、二人の時間をもっと楽しむための、ちょっとした思い付きです」
そう言って先生は、可符香の目隠しを取り去った。
「あ……っ!?」
最初に目に入ったのは自分の顔。
そして次に気が付く、今の自分の恥ずかしすぎる姿…。
「や…せんせい…こんな…いじわるぅ…」
「そうですか?私はとても可愛くて綺麗だと思いますよ」
部屋に備え付けの姿見の鏡の前で、可符香は先生に抱えられていた。
バイブがうなりを上げぐっしょりと濡れた秘所、そして先生と繋がった後ろの穴。
そのどれもが彼女の眼前に、はっきりと鮮明に映し出されていた。
そして、戸惑う可符香をよそに、先生は再び腰を動かし始める。
「ひぅ…く…あはああっ!!…やぁ…こんな…だめぇえええええっ!!!!!」
快感に素直すぎるほどに反応し、打ち震える体。
可符香の目の前で、みだらすぎる自分自身の姿が鏡の中に踊る。
520266:2008/10/24(金) 17:28:07 ID:hXS4sSHM
恥ずかしくて、目を逸らしたいのに逸らすことができない。
「こうしっかりと反応してもらえると、私もうれしいですよ。気に入ってもらえたみたいですね」
「いや…そんなことぉ…ああああああああっ!!!!!!」
ヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴッ!!!!!
先生がバイブレーターの出力を最大にして、押し寄せてきた快感の凄まじさに、可符香は悲鳴を上げた。
前の穴も、後ろの穴も、熱くて、痺れて、気持ちがよすぎて、可符香にはもう叫ぶ事しかできない。
「くあああああああっ!!!!せんせいっ!!わたしっ!!わたしぃいいいっ!!!!」
「そろそろ限界みたいですね、あなたも、私も…」
恥ずかしさも、気持ちよさも、全てが一体になって可符香を翻弄した。
そして限界ギリギリの彼女の体に、強烈な突き上げが止めを刺した。
「ああああっ!!イクぅ!!わたし、イっちゃううううううううっ!!!!!」
電流が流れたように可符香の体は痙攣し、凄まじい絶頂感と共に彼女の体は崩れ落ちた。

それからしばらく後、可符香は力の抜けた体を先生に抱きしめられて、ぐったりとベッドに横たわっていた。
「今日は、少し調子に乗りすぎたでしょうか…大丈夫ですか、風浦さん?」
「いやだなぁ…これぐらいへっちゃらですよ、先生」
見つめ合う二人の顔には笑顔、恋人同士の甘い時間が過ぎていく。
ところが…
「そうだ…」
「風浦さん?」
突然、がばりと可符香が起き上がる。
呆然としている先生の前で、可符香は机の上に置かれた自分の鞄を手に取って
「…ああ、あった、あった」
「風浦さん、何なんですか、風浦さん?」
「うん、撮れてる撮れてる」
「とれてる?何がですか?」
頭の上にクエスチョンマークを浮かべるばかりの先生だったが、
可符香が振り返った時にはさすがにその意味を悟った。
「うんうん、アングルも申し分なし、完璧ね」
「あの、風浦さん、それ……」
彼女が手にしていたもの、それはビデオカメラだった。
「これできっかり2週間分、私にそそのかされてから、先生がどんどん変態になってく所、ぜ〜んぶ撮っちゃった」
先生の顔から血の気が引いていく。
真っ青な顔の先生に、可符香はにっこりと笑う。
521266:2008/10/24(金) 17:28:48 ID:hXS4sSHM
「いやだなぁ、心配しないでくださいよ、先生」
愛しげにビデオカメラを頬に摺り寄せてこう言った。
「私が個人的に楽しむためだけに撮ったんですから、心配しなくても、他の誰にも見せませんよ」
どさり、ベッドの上に崩れ落ちた先生は、もうピクリとも動けなかった。
「先生の恥ずかしい姿、ぜんぶ私のにしちゃうんですからね」

そして翌日、いつも通りの学校、いつも通りの授業。
そんな中、2のへのクラス担任の先生の様子だけが、いつもと違っていた。
「それでは、次は木津さん、125ページの頭からを読んでください」
「はい」
いつも通りに振舞おうとしているが、なんだか声や動作がぎこちない。そして…
「………あ」
宙に視線を漂わせていた先生の顔が、みるみる赤くなっていく。
先生の中で、何か思いっきり恥ずかしい記憶が津波のように押し寄せてくる。
「うああああああああっ!!!!!」
ガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンッッッッ!!!!!!
それを振りはらおうと、教卓に頭を打ちつけ続ける先生。
可符香に隠し撮りされていた事がトラウマとなり、
ふとしたきっかけで、先生の中に自分のしたあんな事やこんな事がフラッシュバックしてしまうのだ。
正直、病院送りにされても文句の言えない有様だった。
(先生、あんなに恥ずかしがって、可愛いなぁ……)
それを見ながら、いつも通りの笑顔を浮かべ、可符香は知らぬ顔を決め込んでいる。
可符香の手元に残った膨大な映像データは見てもよし、所持しているだけでも楽しい、最高の宝物になった。
だけど……。
ふと、可符香の脳裏に違和感が生じる。
彼女はまんまと愛する担任教師の痴態を撮りに撮りまくったわけだけど……。
(あれ、私って……)
確かに、最初に先生をそそのかした時は多少の演技もしたけれど。
じゃあ、自分の見せた痴態が全部嘘かというとそんな事ぜんぜんなくて。
ていうか、先生にされるがまま、めちゃくちゃに感じまくっていたのが事実であって。
つまり、自分も先生と一緒にしっかり変態になってしまったわけで。
しかも、それはしっかりと映像記録に残されている、自らの、可符香自身の手によって……。
(私、実は、ものすごく恥ずかしいことを……)
急速に可符香の顔が赤く染まっていく。
522266:2008/10/24(金) 17:29:24 ID:hXS4sSHM
そこに先生を襲ったのと同じフラッシュバックが押し寄せる。
『…っあ…く…ぅうんっ…あっ……はぁああああっ!!!!』
『だってぇ…せんせ…が…まいにち…あんなにはげしくぅ…するからぁ……』
『お願いします…せんせい…わたしのおしり…せんせいのでめちゃくちゃに…おかしてください……』
『あああっ!!ひゃあああんっ!!!せんせいぃ…すごい…すごすぎるよぉおおおおおっ!!!!』
『くあああああああっ!!!!せんせいっ!!わたしっ!!わたしぃいいいっ!!!!』
『ああああっ!!イクぅ!!わたし、イっちゃううううううううっ!!!!!』
凄まじい恥ずかしさの中で、可符香の頭の中の線が一本、ぷつりと音を立てて切れた。
「ふ……」
可符香の異変に気づいた周囲のクラスメイトの視線も、もう気にならなかった。
「ふあああああああああああっ!!!!!」
ガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンッッッッ!!!!
真っ赤な顔の可符香は、自分の机に頭を叩きつけまくる。
「か、可符香ちゃんまで壊れたぁあああっ!!!!」
戸惑うクラスメイト達が叫ぶ声が、やけに遠くに聞こえた。

そしてそして、さらにその夜のこと
昼間の恥ずかしさが抜けきらず、未だ真っ赤な顔の先生の前で、
同じく真っ赤な顔をして俯いた可符香が自分の鞄をひっくり返す。
ドササッ!!!
中から出てきたのは、縄やら蝋燭やらローションやら、怪しげなグッズの数々。
そして、一台のビデオカメラ。
可符香はカメラを三脚に固定して、アングルを調整してから
「お、お、おねがいします……」
ぺこり、先生に頭を下げた。
「こ、こちらこそ……お願いします…」
対する先生もぎこちなく、ぺこり。

………こうして、恥ずかしい二人は、さらに恥ずかしい方向へと自ら堕ちていくのでした。
523266:2008/10/24(金) 17:30:38 ID:hXS4sSHM
続けてもう一本、エロなし行きます。
524266:2008/10/24(金) 17:31:11 ID:hXS4sSHM
うちの先生はモテる。
「先生っ!!」
「せんせ〜」
「先生…」
「先生ぇっ!!」
すぐに『絶望したっ!!』と叫んでは、騒ぎを起こす先生に呆れながらも、
2のへのクラスの生徒たちはなんだかんだで先生の事が大好きだった。
そして、先生の事を恋い慕う女子生徒も相当数、潜在的なものまで数えるとどれだけいることやら。
先生の周りには、そんな女子生徒たちが今日も集まり輪を成している。
ただし、相手は2のへの誇る絶望少女ばかり、相手をする先生がただで済む道理はない。
「うなっ!うなっ!!うなあああああっ!!!」
「ちょ…木津さんっ!!…落ち着いてっ、落ち着いてくださいぃっ!!!!」
ブンッ!!
スコップが風を切る音が頭上を掠める。
首を引っ込め、命からがらそれをかわした所にもう一撃、涙目の先生はほとんど転がるようにして逃げる。
スコップを振るう千里の目は完全にすわっており、的確なスコップ攻撃は確実に先生を追い詰める。
そもそものきっかけは、先生を巡ってまといと霧が争い始めた事だった。
いつになく熱烈なアプローチを先生に仕掛けてきたまとい。
そこに、どうやら今日は教室のロッカーに引きこもっていた霧が飛び出した。
二人に両袖を引っ張られて困り果てていた先生が、刺すような視線を感じて振り返った先に彼女はいた。
憤怒の表情を浮かべた千里が、片手に持ったスコップをビュンッと一薙ぎ。
そこからはもう、いつも通りの大騒ぎだ。
ふざけ半分のマリアのドロップキックを食らって吹っ飛んだり、
やみくもに謝る愛がぺこりと下げた石頭が後頭部に直撃したり、
その他、先生に恋心を抱く女子生徒たちがやんやと参加して、先生はあっという間にズタボロになった。
そして今もまた、迫りくるスコップを、かわして、かわして、かわして、かわして………
だけど、そこで先生はひとつの違和感を感じる。
いつもなら、こういう騒ぎには必ず首を突っ込んでくるあの人物がいない。
偏ったポジティブ思考で事態をより致命的な方向に運ぶ少女、
人の心の隙に付け入り場をかき乱す彼女の姿がここには見当たらない。
「……風浦さん?」
教室中に視線を走らせる。
いた。
525266:2008/10/24(金) 17:32:16 ID:hXS4sSHM
教室の、後ろの出入り口の扉に背中を預けて彼女はどこか遠くを見ていた。
そこでまた先生は違和感を感じる。
彼女の表情、彼女の顔にいつも浮かんでいるあの笑顔が見られない。
そのかわり、ぼんやりと遠くを見るその表情は、なぜか少しだけ不機嫌そうに見えた。
それは、まるで子供が拗ねているようで…
「………あ」
ふと、彼女の視線がこちらを向いた。
二人の視線が交差する。
先生はその視線から目が離せなくなって……

「うぅなぁああああああああああああっ!!!!!!!!!」
結局、それが先生の命運を決めた。
先生が目を奪われたたった一瞬に、振るわれたスコップは先生の即頭部にジャストミート。
ホームランボールよろしく吹っ飛んだ先生は、教室の前の方の扉を突き破って廊下へ。
そこで先生を待っていたのは……
「…………」
「……三珠さん?」
先生に名前を呼ばれて、真夜の頬がぽっと赤く染まる。
そして、ビュンッという音と共に先生の後頭部に凄まじい衝撃が襲い掛かった。
真夜が血染めのバットを片手に廊下を走り去っていく後姿を見ながら、
先生の意識はブラックアウトしていった。

目を覚まして、最初に視界に入ったのは見慣れた保健室の天井。
痛む頭に手をやりながら起き上がると、ベッドの傍らには見慣れた少女の姿があった。
「風浦さん……」
時間はもう夕陽が沈もうという頃。
室内に明かりは点けられていない。
ベッド脇の椅子に座る彼女は、いつもの饒舌さはどこへやら、全くの無言である。
浮かべる表情は、教室で見たのと同じもの。
少しだけ不機嫌そうな、子供の拗ねているような表情。
「……あなたが手当てしてくれたんですか?」
自分の頭に巻かれた包帯や、体の数箇所に張られた湿布に気付いて、先生は問うた。
彼女はそんな先生の言葉には全く答えない。
526266:2008/10/24(金) 17:33:33 ID:hXS4sSHM
そのかわり、彼女は椅子からすっと立ち上がり…
「………えっ?」
先生が起き上がったベッドの上に、先生の隣に腰を下ろす。
そして、戸惑う先生に体を預けるようにして、そっとしなだれかかってきた。
「ちょ…風浦さん…なにして…って、痛っ!!痛たたたたたたっ!!?痛いです、風浦さんっ!!」
全身打撲と擦り傷だらけの先生には、彼女の体を支えるだけでも結構な痛みを伴った。
しかし、彼女は先生の抗議の声を無視して、先生の着物の袖口をきゅっと握る。
先生は痛みを堪えながら、彼女の表情を見つめる。
拗ねる子供のような不機嫌な表情。
本当に、今の彼女はまるで小さな子供に戻ったようだった。
「……………」
先生は、もう何も言わず、彼女のするがままに任せることにした。
子供が拗ねて、泣いて、駄々をこねるのは、それ以外に相手に自分の思いを訴える方法を知らないからだ。
自分の感情や願いを筋道立てて言葉に換える術を持たないからだ。
今の彼女は、そんな子供に戻っている。
先生にはそう思えた。
ならば、出来ることはそれを漏らさずしっかり受け止めてやる事ぐらい。
「………私にも、我慢できなくなる事ぐらいあるんですよ、先生」
ぽつり、彼女がようやく呟いた。
「……先生がみんなに好かれるのは、別に先生のせいじゃないってわかってますけど……」
だけど、その声はあんまりにも小さくて、か細くて、耳を澄ませても先生には聞き取れなかった。
それでも先生には、何となく彼女がどうしてこんな風にしているのか、分かった気がした。
そっと手の平を、彼女の頭へ
「…………あ」
撫でてやる。
彼女はきゅっと目をつぶった。
その表情が少しだけ和らぐ。
彼女の腕が先生の腰に抱きついて、少し体は痛んだけれど、先生は何も言わなかった。
そして二人はそのまま、夕陽がだんだんと沈み、暗くなっていく保健室の中で、
互いに何も言わず、ずっと二人寄りそっていた。
527266:2008/10/24(金) 17:34:35 ID:hXS4sSHM
これでお終いです。
パソコン、早く戻ってくるといいのですけれど……。
ともかく、この辺で失礼いたします。
528名無しさん@ピンキー:2008/10/24(金) 18:21:38 ID:qrdlAlC+
おぉGJ!
速筆なのは羨ましいなぁ
オレは最近、全然筆が進まない…
529名無しさん@ピンキー:2008/10/24(金) 18:55:26 ID:jJkYlpTV
なんかまたこのスレ勢い出てきたね
530名無しさん@ピンキー:2008/10/24(金) 19:46:42 ID:tHdC56Wt
>226さん
相変わらず、早いねぇwww
可符香かわいいよ可符香
531名無しさん@ピンキー:2008/10/24(金) 22:29:54 ID:eHiEAAqC
>>527
GJ!
可符香ってホントいろんな性格になるんだな
532名無しさん@ピンキー:2008/10/24(金) 23:25:48 ID:2v6jcvVa
先生もね
533名無しさん@ピンキー:2008/10/25(土) 03:31:10 ID:J60XiFbS
可符香「ざんげ一回100円です☆」

ごめん、ヘアピンでなんとなく思いついた
534糸色 望 ◆XvI60Hd.KE :2008/10/25(土) 06:38:20 ID:8vbi7sQu
望「ルルーシュさん、そう気を落とさないではしご酒でもやりましょうよ。」

ギュイーン!
望「竜崎さん、頼みます。旅行費を貸してください。」
L「えーっ!?旅行費をゆうべの飲み会で、全部使ってしまったのですか?」
望「そうなのですよ。絶望した・・・。このお金は私がローカル線の乗り潰しをするための
お金であったことをすっかり忘れて、ゆうべ、ルルーシュさんと一緒にはしご酒をするときの
酒代とカラオケのスタジオ代として全部使ってしまいました・・・。」

ミサ「竜崎、お金を貸しちゃだめよ。糸色先生、自分で全部使っちゃったんだもの、自業自得じゃないの?」
535名無しさん@ピンキー:2008/10/25(土) 21:58:02 ID:MjVa/Syq
534
マジで消えて

いや消えなくていいから

死んでw
536名無しさん@ピンキー:2008/10/26(日) 13:15:09 ID:BVuwqorI
ごめん。まったく理解不能。
537名無しさん@ピンキー:2008/10/27(月) 00:07:31 ID:yfnHDvqV
>>535
ん〜〜〜〜



ひまわり!ひまわり!
538名無しさん@ピンキー:2008/10/27(月) 00:52:57 ID:0UaYHZ6r
絶望先生が大好きなんだね
見守ってあげるよ

見るだけだよ
539名無しさん@ピンキー:2008/10/27(月) 01:11:25 ID:5YGwzPi4
素直になれないけど内面は腐ってる
カフカはツンゲス
540名無しさん@ピンキー:2008/10/27(月) 14:00:38 ID:w/D5vJ2c
だがそれがいい
可符香ってなんかヨイコノミライのあのヒロインとかぶる
541名無しさん@ピンキー:2008/10/27(月) 16:19:34 ID:tHXDGf48
改蔵SS書く人はもういないのかな
前にちょっとだけクロスオーバーのはあったけど


お前が書けよって言わないでね書けないから
542名無しさん@ピンキー:2008/10/27(月) 19:19:39 ID:ZF2cLozT
改蔵とはまた懐かしい…。
たまには読んでみたい気もするな。
543名無しさん@ピンキー:2008/10/27(月) 23:46:51 ID:98CvGTPX
久米田漫画はもう一度読みたいという気が起こらないな
下ネタにしろ時事ネタにしろ
544名無しさん@ピンキー:2008/10/27(月) 23:59:29 ID:5YGwzPi4
また同じネタが出てくるからな
545名無しさん@ピンキー:2008/10/28(火) 00:02:34 ID:hYfJpe47
百万回ry
546名無しさん@ピンキー:2008/10/28(火) 00:35:12 ID:dUOyiI13
>>543
粛日の回をもう一回読み返してみろ
背景に不自然な線が入ってるのに気付いたか?
547名無しさん@ピンキー:2008/10/28(火) 02:18:26 ID:vRjAkVYL
何回も読み返す話とそうでもない話とあるなぁ。好きなキャラが活躍する話は何回も読む。
5481レス劇場「戯れる少女」:2008/10/28(火) 15:51:50 ID:FoEqC4ti
可符香「……」
絶望「……」
可符香「ところで先生、お話が」
絶望「何ですか藪から棒に」
可符香「実は、隣の女子大生は私の変装です」
絶望「そんな!あなた私を騙していたのですか!」
可符香「隣の校舎の一年生も私です」
絶望「あれもあなたですか!」
可符香「あと宿直室に引きこもってるのも私です」
絶望「え!?」
可符香「先生の背後にぴったりくっついてるのも私です」
絶望「うそ!?」
可符香「いつも包帯を巻いてるのは3人目の私です」
絶望「3人目!?」
可符香「キレてスコップを振り回して暴れるのも」
絶望「まさかそんな…」
可符香「かわいそぶって自殺する振りを」
絶望「それは私でしょ!」
可符香「…まあ冗談ですけど」
絶望「…何がしたいんですか」
可符香「暇つぶしです」
絶望「……」
可符香「……」
絶望「…暇ですね」
可符香「…そうですね」
549名無しさん@ピンキー:2008/10/28(火) 20:33:50 ID:UmtO1IOZ
先生×千里、投下します
すぐフェードアウトするけど可符香×晴美の百合もあるんで駄目な人はスルーでお願いします
55028の木津千里:2008/10/28(火) 20:34:54 ID:UmtO1IOZ
「先生っ!」
と、大声を上げて宿直室の扉を開いたのは藤吉晴美。
「先生…?あれ?」
きょろきょろと宿直室内を見回すが目当ての人物の姿はない。
どうしようか、と困る晴美の肩を誰かがぽんと叩いた。
振り向いてみると、そこには晴美のクラスメイト、可符香が立っていた。

「藤吉さん、先生探してるの?」
「ん?うん。あのね、千里がね…」
晴美が宿直室に住まう担任を訪ねたわけは、例のごとく彼女の親友、千里に関する面倒事だ。
千里の暴走には望をぶつける…それは彼女たちのクラスのいつもの光景だった。

とりあえず、晴美は望の居場所を知っていそうな可符香に事情を説明する。

年忘れを許さない女、千里。
年相応の生活を送るべき、とする千里だったが、彼女はその肌年齢が28歳であることを知ってしまった。
そして、自身の主張どおり、きちんと28歳の生活をしてみせた千里であったが…

「ってわけでね…千里が28歳から帰ってこないのよ」
「ずいぶんのめりこんじゃったんだね。それで先生に…あ、でも……」
「でも?」
「まあいいか。来ればわかるよ」
そう言うと、可符香は晴美の手を引いて歩き出した。

55128の木津千里:2008/10/28(火) 20:36:00 ID:UmtO1IOZ
晴美が、可符香に案内されて辿り着いたのは、糸色の表札のかかった木造の家。
その庭に、晴美の探していた人物の姿があった。
だが、その様子を見て晴美は愕然とする。
少し曲がった腰で、ちょきんちょきんと盆栽に鋏を入れる望は明らかに普段の彼ではない。

「先生も?」
「うん。先生、脳年齢が57歳だったから」
「あーもう……先生もこうなってちゃどうしたら……」
晴美が頭を抱えて唸る。
だが、そんな晴美を尻目に可符香は、てくてくと望に近づいて声をかけた。

「せんせーい」
「ん…………?ああ…………風浦さん?お久しぶりです」
「お久しぶりです」
「……お久しぶりじゃないんだけどなあ」
何やら話し合っている二人を眺めながら、晴美がぼやいた。

55228の木津千里:2008/10/28(火) 20:36:52 ID:UmtO1IOZ
「ふぅ…」
ひとりぼっちの部屋で、千里はため息を吐いた。
最近、随分とため息を吐くことが多くなった気がする。
ぼーっとテレビを見ているが、つまらない番組は、千里の寂しさを払ってはくれない。
「はぁ…どこかに素敵な人居ないかなあ……あの人もあの人も奥さん居るしなあ…」
また深くため息を吐いたとき、不意にチャイムが鳴って来客を告げた。

「誰かな……って、どうせまた宅配便とかよね……」
特に期待はせずに、千里が玄関の扉を開ける。
だが、その扉の向こうに居た人物を見て、千里は驚き言葉を失った。
10年前の千里の、まだ高校生だった頃の千里の担任教師。
毎日学校で顔を合わせ、学校のない日だって用事を作って会いに行っていた人。
大好きだった先生。

「お久しぶりです」
「……」
「あの……木津さん?」
「え!?ああ……はい、お久しぶりです……」
少し緊張しながらも、千里はどうにか返事を返した。
55328の木津千里:2008/10/28(火) 20:37:51 ID:UmtO1IOZ
「あの、どうぞ中へ…」
と、言う千里に促されて望が千里の部屋に入り、扉が閉められた。
その様子を少し離れた場所からうかがっていた晴美は、心配そうな顔をする。
「大丈夫なのかなあ、先生に任せちゃって…そりゃ、行き当たりばったりなのはいつものことだけど」
「確かにちょっと心配だね。だから……」
というと、可符香は千里の部屋の隣の部屋の扉を開け、晴美に手招きをしてから中に入った。
怪訝な顔をするが、とりあえず晴美も可符香の後を追って中に入る。
中を見回してみると、一般的な生活用品に混じって置かれた3つのモニターが嫌でも目についた。
そこに映るのは、千里と望の姿。
考えるまでもなく、千里の部屋のライブ映像だった。
ご丁寧に音まで拾っている。

「用意良いね……というか、いいのかなコレ?」
「今の先生と千里ちゃんだけにしとくのは、危ないからね」
「ん…………そうだね」
とりあえず、その理由で納得したことにする。
実際のところは、今の千里と望が一体どんな会話をするのかという好奇心に負けたからだったが……
「じゃあ、はい」
「ほんとに用意良いね…」
と、可符香がさし出したクッションとショートケーキと紅茶を受け取る。
クッションに座り、紅茶で喉を潤してから、晴美は二人の映るモニターに目を向けた。

「あれ?先生、なんか若返ってない?」
「ほんとだ。たぶん、話してるうちに千里ちゃんの方に引き込まれたんだね」
ついさっきまで、望(57歳)の腰は曲がっていたはずだが、今はピンと背筋がのびている。
千里(28歳)の世界にのみこまれたのか、その分設定年齢が低くなっているようだ。

「復調の兆し…でいいのかな?」
ケーキを口にしながら晴美が心配そうに呟いた。
だが、同時にちょっと期待もしてしまう。
どうせ覗き見れるのなら、千里も望も10年後であった方が面白いものが見れそうだ、と。

55428の木津千里:2008/10/28(火) 20:38:50 ID:UmtO1IOZ
「疲れてる……?私がですか?」
「ええ」
「晴美にそう言われて……ね…………そっか、この間一緒に飲んだとき…」
くす、と千里が少し困った顔で笑う。
「ほんと、先生って昔から……普段は面倒くさがりなのに、ときどき妙に面倒見いいですよね」
「妙に…は心外ですね。卒業したって、私の教え子です。心配になりますよ」
「ごめんなさい。来てくださってありがとうございます」
千里は柔らかく微笑むと、カップを口にした。

「そうですね……確かに最近は、ちょっと疲れてはいます」
「お仕事、ですか?」
「それもありますけど………………ふふ、もう28歳になっちゃいました」
「ん……」
望は、困り顔で頭を掻いた。
「23歳で結婚する、なんて決めてたんですけどね。周りはもう……晴美も結婚しちゃいましたし。
 それで、つい晴美に愚痴っちゃったんです……先生に会いたいって」


「そうなの?」
「知らない……」
「じゃあ、千里ちゃんのアドリブだね」
「というか私、誰と結婚してることになってるんだろう」
「意外と先生と…なんてね」
「えー、それはないでしょ。というかさっき先生、私のこと藤吉さん、って呼んでたし」
ケーキを食べながら、晴美と可符香は千里の脳内設定をネタに談笑していた。
55528の木津千里:2008/10/28(火) 20:39:54 ID:UmtO1IOZ
「卒業してから、男の人と付き合ったりもしましたよ。もちろん好きだったからですけど……」
ふう、と千里がため息を吐くと、腰を上げて望に近づいて、隣に並んでソファーに座った。
「でも……先生ほど夢中にはならなかったなぁ……」
軽く望に体重を預けて、うつむきながら千里が寂しげに呟いた。
お互いに無言のまま時が過ぎていく。

千里が顔を上げて、少し緊張した様子の望に柔らかく微笑み、その手を握った。
「ねえ先生、抱いてくれません?」
「…………なぁっ!?」
「そんなに驚かなくても」
「駄目ですって、私とあなたは」
「教師と生徒、ですか?それは、私にとって先生はずっと先生ですけどね。
 でも、今はもうただの大人の男と女です。しちゃったって、誰かに咎められる謂れもありません」
「それは…」
「私のこと、慰めに来てくれたんじゃないんですか…?」
望の指に自身の指を絡ませて、絡み合った二人の指を見つめながら、千里が甘えた声で言う。
「う……」
「大丈夫ですって。私だってもう大人なんですから、1回したからどうこうなんて言いません」
また千里が顔を望の方に向けると、困った顔で唸る望が千里の目に映った。
そんな望に千里が、少し寂しそうな笑顔で言う。
「先生、私じゃそんな気にもなれませんか?」
「いや!そんなことは…けして……」
じっと見つめる千里に目を合わせることが出来ずに、望は目を泳がせる。
そんな望の様子を黙って見ていた千里が、目を閉じて望に決断を迫った。

55628の木津千里:2008/10/28(火) 20:40:48 ID:UmtO1IOZ
「……キス……しちゃった……」
モニターに映る二人を見ながら、晴美が言った。
「しちゃったね」
「わ、また……うわ、え、えええ…私達見てるのに……うそ……?うっわぁぁ……」
「どうする?止める?」
「え?ああ……でも、やっぱり二人が自分の意思で……やってるんだし、うん」
可符香と自分に向けて言い訳をすると、晴美は再びモニターに意識を集中した。

モニターの向こうでは、ベッドに寝転がった千里の胸を望が揉んでいる。
少し顔を赤らめて、恥ずかしそうにする千里の耳元で何かを望が囁くと、
千里は、はにかみながらも嬉しそうな顔をして、望の頭を抱え、自分の胸に押し付けた。
千里の腕の中で望は、密着する千里の乳首を口に含んで、ちゅうちゅうと吸い付く。
「…あ、だめだって先生……千里は、先生の生徒なのにぃ……」
二人の情事にのめりこんでいく晴美を見ながら、可符香が小さく笑った。

55728の木津千里:2008/10/28(火) 20:45:09 ID:UmtO1IOZ
「う……んんぅ…あ……」
むにゅむにゅと千里の二つの乳房を揉みながら、気まぐれに口に含み、千里の反応を楽しむ望。
「かわいい……ほら、あなたのここ、ぴーんと立っちゃってますよ?そんなに気持ちいいんですか?」
望が唾液にまみれた千里の乳首を人差し指で押しながら、見せつけるように言う。
「あっ!やぁ……はい、いい……です……やっ…ん」
「素直な良い子ですね。よし、じゃあこっちにも」
望の指が千里のふとももをさすりながら股のつけねへと向かった。
千里のクレバスを探り当てた望の指が、秘部を左右に開いてその中へと侵入していく。
少し恥ずかしそうではあるが、期待に満ちた嬉しそうな目で見つめる千里に微笑むと、
望は指を千里の中で前後に動かしはじめた。

「あっ……あ……んっぅう…」
望の指から与えられる快感に悶える千里の唇を唇で塞ぎ、舌をその中へ侵入させて千里の舌をくすぐる。
息苦しさを感じながらも、千里は望の背中に手を回して抱きついて、彼女もまた望を強く求めた。
幾度も唾液を交換し合い、望に膣内をかき回される快感に千里は溺れていく。
長いキスの後、望が千里から唇を離すと、二人の唾液がつうっと糸をひいた。
その光景をうっとりと眺める千里が、離れていく望の舌に引かれるように伸ばしていた舌に、
望が再び口を近づけて吸い付くと、抑えきれぬほどの快感に限界を迎えた千里の体が小さく跳ねた。
55828の木津千里:2008/10/28(火) 20:47:47 ID:UmtO1IOZ
「せんせい……せんせぇ……」
望の胸に顔をうずめて甘える千里。
その反応に気を良くした望が、千里のもっとも敏感な部分に指を伸ばした。
指先でその芽に軽く触れてみると、千里が小さく反応して望に体を寄せた。
千里の頭を優しく撫で、望が指をゆっくりと動かしはじめた。
甘い声を漏らして、とろけてしまいそうな快感に溺れる千里が、望を見つめる。
指の動きはそのままに、望は千里の頬に手の平で触れながら言う。
「木津さん、今さらなことを尋ねますが……私のこと、好き、だったんですか……?」
望の質問に千里は、軽いキスを返した。

「好きでしたよ……ふふふ、言ったのは初めてですね。ずっと……言えませんでしたから」
頬に触れる望の手にその手を重ねて続ける。
「卒業式の日だって、せっかく晴美がお膳立てしてくれたのに、泣いて……逃げちゃって…」
「ええ……」
「好きだったんです。大好きでした。先生のことが好きすぎて……だから、認められなかったんです。
 私はこんなに好きなのに、先生がそうじゃないっていうのが…………本当に子供だったんですね」

千里が、望の手の甲に軽く口付けをしながら、望に拗ねたような顔を見せた。
「でもぉ…先生も悪いんですよー、いつもいつも期待させるようなこと言って、
 式場の下見に行こう、とか物件の下見に行こうとか……私、あのとき本当に嬉しかったのに
 ほんといつもいつも女の子を勘違いさせるようなことばっかり言って」
「…すいません」
「ふふ、いいですよ。おかげでずっと先生のこと好きでいられたんですし。
 結ばれなかったけど、先生のこと好きだったの、後悔なんてしてませんから」
楽しかったです、と千里が望に微笑みかける。

お互い無言のまま時が過ぎる。
しばらくすると、絶頂を迎えた千里が小さく声を上げて全身を痙攣させた。
「は……っぁああ…………先生、次は私がしてあげますね」
千里は、艶っぽく笑うと望の服に手をかけて脱がしにかかった。

55928の木津千里:2008/10/28(火) 20:50:01 ID:UmtO1IOZ
「うっわああ、先生……私たちも見てるんだよ?お、おっきくなってるんだよね、これ…?
 あ、千里が触って……舐めて……え?え?そこにキスしちゃうの?そんなところにまで!?」
「千里ちゃん、えっちだね」
「ほんとだよぉ……いつも私にあんなこと言うくせに、千里の方がずっとえっちじゃない……
 あぁぁ……千里が先生のぺろぺろ、って……ああ……咥え……ちゃったぁ……」
「ほら、あんまり騒ぐと二人に聞こえちゃうよ、隣なんだから」
「え……ん……」
「そうそう、静かにね……ちょっと私、お手洗いに行ってきますから」
そう言うと、可符香は空になった二人分のカップと皿を持って立ち上がった。
真っ赤な顔で頷き、晴美はきらきらと瞳を輝かせながら、二人を見守る。


ちゅっちゅっ、と音を立てて、千里は絶棒にキスの雨を降らせる。
片手でゆっくりと竿をしごきながら、先っちょや袋を軽く口に含んだりぺろぺろと舐める。
焦らすようなその刺激は、快感ではあるが射精にまでは至らない。
「っはぁ……はぁ」
「せんせい……かわいい」
息を荒げる望に見せつけるように、くにくにと絶棒をいじりながら舌を使って刺激する千里。
教え子に好きなように操られているようで、望は、ばつが悪そうに少し困った顔を千里に向ける。
そんな望に千里は笑顔を返すと、かぷりと絶棒を口いっぱいに咥えこんだ。
たっぷりの唾液をすりこむように、千里は舌を使って望を悦ばせる。
手はやわやわと望の袋をもみ、その中にある玉を指でころころと転がしている。

「うっ……ん、木津さん!出ます、離して」
だが、千里は首を横に振り、さらに深く絶棒を咥えて、動きを激しくする。
「木津…さっ!?あっ……!ん……うう……」
望は与えられる快感に陥落し、限界に達した。
絶棒がびくびくと跳ねながら千里の口内で欲望を放つ。
その感覚に千里はうっとりと目を細め、望の精液を飲み込んでいった。
56028の木津千里:2008/10/28(火) 20:51:45 ID:UmtO1IOZ
「はぁ……飲んじゃいましたぁ……えへへ」
挑発するような笑顔で言う千里に、望はすっかりペースを握られてしまった。
千里は、少し元気を失っている絶棒にそっと手をやって、こびりついた精液を舌で拭う。
指で優しく撫でながら、舌で精液を舐めているうちに絶棒は再び硬さを取り戻していく。

「ふふ……良かった。また元気になりましたね」
綺麗になった絶棒をきゅっと握りながら言うと、千里は望の隣に寝転がった。
望の顔を見上げながら千里がちょんちょん、と絶棒に触れる。
「ほらぁ、せんせぇー」
くすくす笑いながら、甘い声で望を誘う千里。
望は頷くと、千里の股を開かせて、自身の先端を千里の秘部に触れさせた。

「結構……キツい、ですね…」
「うう…ん…」
狭い膣内を少しずつ押し広げながら、望は千里の中へと入っていく。
その苦しさに千里は強くシーツを握り締めて震える体を抑えていた。
だが、少し進んだところで望が動きを止めた。
「木津さん……今は、どうなんですか?」
「今?」
「私のこと、まだ……好いてくれてるんですか?」
「先生?」
「私だって……いくら昔の教え子に頼まれたからって……こんなこと、しませんよ」
「……」
「あなたは、私のクラスでも特に手のかかる生徒で、そういう子ほどってわけでもないですけど、
 つい気にかけてしまう子で、ずっと……頭から離れなかったんです、卒業してからも……」
「先生…」
千里が望の背中に手を回して抱きついた。
「いいんですか、いまさら……先生にそんなこと言っても……」
「木津さん」
ぐっと腰を深く突き入れると奥に挿し込まれた絶棒が、ぷつんっと何か薄い膜を突き破った。
56128の木津千里:2008/10/28(火) 20:52:53 ID:UmtO1IOZ
『へ?』
二人ともないとは思っていたそれの感触に、千里と望は同時に間抜けな声を上げた。
少し遅れて、強烈な痛みに襲われて千里が悲鳴を上げた。
「いっっ〜〜〜!?」
「え?え?なんですかこれぇ!?」
「うっっ、ああっぁああ!?」
「っ!?すいません、今抜きますから!」
千里の中から自身を引き抜こうとする望だったが、望の背中に回されている千里の手がそれを止める。
「動かないっっで……」
抜く痛みにも耐えられない様子の千里に、望はとにかく動きを止め、千里が落ち着くのを待った。


「魔法が――――解けた………」
晴美が呟いた。
モニターに映る二人は、既にいつもの二人に戻っている。
強烈なショックによって元の状態に戻ったということなのだろう。
だが、自己暗示にかかっていたために、意識できていなかった痛みが突然かつ一度に押し寄せ、
千里はもちろん、望もまた動けなくなっていた。
ぎゅっとこぶしを握りしめ、晴美は固唾を飲んで二人を見守る。


少しずつ、ここに至るまでの記憶が整理されていく。
とんでもない事態になってしまっていることに、望は大いに絶望した。
こんなことをしてしまって、今度こそ殺されるかもしれない。
逃げてしまいたい所だが、ボロボロと涙をこぼす千里を前にして、さすがにそんなマネはできない。
さらにもうひとつ、千里の中の気持ちよさに腰を動かしたい衝動にも駆られているのだが……
自身をぐっと抑え、望は震える千里を抱きしめる。
56228の木津千里:2008/10/28(火) 20:54:04 ID:UmtO1IOZ
「せんせい」
少し落ち着いたようで、千里が震える声で望を呼んだ。
「さっきの……本当なんですか?それともただの……」
「え……」
「私、私は……」


「がんばれ……千里……」
晴美が、モニターの向こうの千里に声援を送る。
小さく震える千里の唇を見つめる晴美は、すっかり千里に入れ込んでしまっているようで、
瞳に涙を浮かべながら、祈るように掌を合わせていた。


「好きです……先生が、大好きです」
ようやく千里が絞り出したその言葉に、望は何も答えず黙ったままだ。
「先生?」
望が返事をしないまま、時間だけが過ぎていく。
「答えて……くれないんですか」
千里の寂しげな呟きにも望は黙ったままだ。
その沈黙に耐えられなくなった千里が、ぐっと腰を動かして絶棒を自身の奥へと導いていく。
「っくぅ……った」
「やめなさい、痛いんでしょう?」
痛みに耐えながら、望と深く繋がろうとする千里を止め、今度は望が腰を引いた。

「あ……ああ……う、ううわあぁぁ…」
望に拒絶されて、千里は涙を流した。
全身から力が抜けて、ベッドに沈みこむ千里の中から絶棒が引き抜かれていく。
だが入り口付近でその動きを止め、今度は奥に少し、そしてまた戻り、と前後に動き出した。
「え?あ……あぁ…ん」
「ここも痛いですか?」
目を見つめて尋ねる望に、千里はふるふると首を振った。

56328の木津千里:2008/10/28(火) 20:55:13 ID:UmtO1IOZ
「あ……すご……千里の中で先生のが…」
ぽーっと、まるで夢の中にいるかのようなふわふわとした心地で晴美が言う。
そんな晴美の頬にちょん、と可符香が軽いキスをした。
思わず、びくんと跳ねるように反応してしまう。
「っぁ!?え?え?どうしたの?」
「藤吉さんこそどうしたの?真っ赤な顔しちゃって……限界なんじゃない?」
「なにが……っちょ!?」
晴美のふとももをさすって、可符香の手が晴美の下着に触れる。
「ほら、濡れてる。でも、仕方ないよね。千里ちゃんがえっちしてる所なんて見ちゃったんだし。
 というか……さっき、私が離れてた間に触ってたでしょ?」
「やっぁぁ……」
「がまんしなくていいよ。私も手伝ってあげるから」
すりすり、と下着越しに晴美の秘部を刺激する。
力の抜けた晴美を床に寝転ばせて、スカートをめくり上げた。
「あ、千里ちゃんの方見たままでいいからね」
「だめ……え」
力ない抗議は無視して、可符香が晴美の下着に手をかけた。

56428の木津千里:2008/10/28(火) 20:56:24 ID:UmtO1IOZ
幾度も動き続けるうちに、望から与えられる刺激が確かな快感へと変わっていく。
ずちゅずちゅと水音も次第に激しくなり、千里も甘い声を漏らし始めた。
千里の様子を確認しながら、望が絶棒を少しずつ奥へと進ませていく。
「んっ…せん……せ」
「私も、あなたのこと……好きですよ」
望が千里の耳元で囁いた。
きゅーんとお腹の奥が締め付けられるような感覚を覚える千里。
ぽろぽろと涙をこぼしながら、望に強く抱きつく。
「先生、お願い!もっと、もっと…………あっ……あ」
さらに深く、絶棒が千里の中を進み、ついにその先端が最奥に辿りついた。
一番深い場所と軽くキスをすると、また前後に動き千里の中をかき回す。
すさまじい快感と幸福感、痛みの中にも望を感じることが出来て、それが千里にはたまらなく嬉しい。

「あっ……あっ……あっ!せんせ……私、イッちゃ……う?」
「私も……限界です。ほら、一緒に」
「うん。うんっ……」
そして二人は同時に昇り果てる。
自身の中に精液を流し込まれる感覚に酔いしれながら、千里はがくがくと全身を痙攣させていた。

56528の木津千里:2008/10/28(火) 20:58:48 ID:UmtO1IOZ
(まったく、何がもう大人ですから……なんですか)
望が心中で毒づいた。
望の胸に顔をうずめて甘える千里には、少し前までの大胆に望を誘っていた彼女の面影などなく、
年相応に、もしくはそれ以上に子供っぽい。

千里の頬に手を当てて撫でると、千里はとろんと惚けた目で望を見つめた。
望が指を伸ばして、千里の唇に触れ、ふにふにといじってみる。
この小さな唇に肉棒を咥えられて、いいように遊ばれていた、ということが信じられない。
不意に千里が口を開き、はむっと望の指を咥えた。
「あ、ちょっ」
「?」
こういうことじゃなかったんですか?と、指を咥えたまま千里が小首を傾げた。
(う……かわいいじゃないですか)
望は千里の頭をくしゃくしゃと撫でると、指で千里の舌に触れる。
千里は、ん、と小さな声を上げてちゅうちゅうと望の指を吸った。

「はぁ…………23歳で結婚、でしたよね」
望の指を咥えたまま、千里はきょとんとした顔で望を見る。
「ちゃんとそれまで……私のこと、好きでいてくださいよ」
ぱちぱちと目を瞬かせた後、千里の顔がだらしなく緩んだ。
千里は、こく、と小さく頷くと、指から口を離して、望に抱きついた。


「良かったね、千里…………私も…もらわれちゃったぁ……」
モニターの向こうで幸せそうに抱き合う二人を見ながら甘ったるい声で呟く晴美。
そんな晴美を後ろから抱きしめている可符香は、心底楽しそうに笑っていた。
566名無しさん@ピンキー:2008/10/28(火) 21:00:22 ID:UmtO1IOZ
305さんの>>407と微妙にネタが被っちゃった気もしますが、たぶん大丈夫、芸風が違う

思い出話しながらえっちてのがやりたかったんです
でも、それをガチでやるのは恥ずかしいし難しいので、いじりやすいようにこういう構成に
書ける範囲に逃げたわけですが、これはこれでかわいいからいいじゃないか、とうぬぼれております
567名無しさん@ピンキー:2008/10/28(火) 22:03:36 ID:vRjAkVYL
568名無しさん@ピンキー:2008/10/28(火) 23:03:48 ID:4CO3FZ6P
千里の可愛さに萌え死にました…!
そして先生と千里、どんだけ暗示に弱いんだww
569名無しさん@ピンキー:2008/10/28(火) 23:20:11 ID:/UhwkV6+
GJ! うっかり切なくなったw やっぱり千里ちゃんはかわいいよなぁ
570名無しさん@ピンキー:2008/10/29(水) 01:55:41 ID:NQRS6Q+W
素晴らしい
こういう原作に妄想を加える?作品は、先生大好きですよ>>566さん
571名無しさん@ピンキー:2008/10/29(水) 09:22:44 ID:ed4Tgo4q
激しくGJ
愛しさと切なさと
572名無しさん@ピンキー:2008/10/29(水) 15:00:41 ID:8VJbsvS4
>1回したからどうこうなんて言いません

こんな事を言う千里に激しく萌えました… GJ!
573430:2008/10/29(水) 23:19:56 ID:539ia6Op
こんばんはです。
可愛い千里ちゃんの後で恐縮ですが、
今週のマガジンを読んで妄想が止まらなくなりました。
霧で1本投下させてください。

以下注意事項です。
@エロなしです。
A今週号のマガジンが元ネタですので、未読の方にはネタばれあります。

以上がダメな方はスルーでお願いいたします。
574Blind Runner 1/6:2008/10/29(水) 23:21:07 ID:539ia6Op
望は不機嫌だった。

霧が、生活費を下らない週刊誌につぎ込んでしまったのは
まあ、よしとしよう。
自分も以前、小遣いもらってパチンコに行ったりしていた身だ。
とやかくは言えまい。

しかし。

「はい、次はじゃあ、膝枕!絶対服従!!」
霧は嬉しそうに命令すると、望の膝の上にコロンと転がった。
「わーい、本当に先生に膝枕してもらってるみたい。」
満面の笑みで、こちらを見上げてくる。

「…。」
望は、口をへの字に曲げて、霧を見下ろした。

どうも不愉快だった。

自分のアンドロイドが週刊誌の付録として出回っていることを
知ったのは、つい最近のことだ。
霧はそれをこっそり通販で買っていたらしい。

ところが、交が、霧のアンドロイドをうっかり壊してしまった。
幼いなりに、交は、それを霧に知られまいと考えたようで、
何と、望本人に、アンドロイドになったと暗示をかける手に出た。

「オマエはアンドロイドとして蘇ったんだからな!」
必死な顔で自分に言い聞かせようとする交が、少し不憫でもあり、
また悪戯心もあって、付き合ってやることにしたのだが…。

―――いつまで、こんなことをやっていればいいんでしょうね。

望としては、霧が自分のことにすぐに気がつくと思ったのだ。
そこで、皆で笑い合っておしまい、そう思っていたのに―――。

まさか、霧がこうも交の嘘を信じてしまうとは。

自分の膝の上に頭を乗せ、鼻歌を歌いながら望の指を曲げたりしている
霧を見て、望はひそかにため息をついた。
575Blind Runner 2/6:2008/10/29(水) 23:22:15 ID:539ia6Op
霧は、完全に自分のことをアンドロイドだと思っているらしい。
さすがにチューは思いとどまったものの、その後は、膝枕や添い寝等、
普段だったら決して望にねだらないようなことを命じてきた。

そのたびに望は、イラつくような、胸の奥に石がつかえているような、
何とも言えない重苦しい気持ちになった。

それはそうだろう。
こんな風に、年下の女の子に顎で使われて不快にならないはずはない。
望は胸の中で、そう呟いた。

いい加減に、本当のことを霧に告げようか。
そう思って望が口を開きかけたとき、宿直室の扉が開いた。

「糸色先生、そろそろ授業に出て欲しいんですけど…。
 もうこれで、1週間になりますよ。」
困り顔でそこに立っていたのは、スクールカウンセラーの智恵だった。

―――まずい。

授業をさぼった上に、女子生徒に膝枕しているなんて、懲戒免職ものだ。

―――絶望した!アンドロイド役に夢中になって失業する
   本末転倒な展開に、絶望した!!

蒼白になりながら心の中で叫んでいると、霧が膝枕のまま、
前髪の間から智恵を見据えて言った。
「違うよ、智恵先生。これはアンドロイドだよ。
 本物の糸色先生は、今、旅に出てるって交君が言ってたよ。」
「…。」

望は思わず霧を見た。
交はそんなことを言っていたのか。

智恵は頬に手を当てて霧をじっと見つめると、望に目を移した。
そして、しばらく何か考えるようなしぐさをしていたが、
やがて、手を下ろすと小さく息をついた。
576Blind Runner 3/6:2008/10/29(水) 23:23:02 ID:539ia6Op
「…分かりました。」
「へ。」
思わず望の口から声が漏れるが、誰も気づいた様子はない。

智恵は考え深そうな目でちらりと望の方を見ると、霧に言った。
「失踪中の糸色先生に連絡が付いたら、伝えておいてちょうだい。
 あと3日は待ちましょう、って。
 …それまでに、きちんと落とし前つけておきなさいって。」

―――きちんと落とし前…?何のことでしょう…?

望は内心首を傾げたが、霧は智恵から顔を背けるようにした。

「…じゃ。」
宿直室の扉が閉まった後、部屋の中はしん、と静まり返った。

「…先生、今頃、どこにいるかねぇ…。」
霧がぽつんと呟いた。

―――何を呑気な。

望は、再び、苛立たしい気分が湧き上がって来るのを感じた。
一緒に暮らしている人間が1週間も行方知れずだと言うのに、
この霧の呑気さはいったいどういうことだろう。

アンドロイドがいるから、それでいいと言うことなのだろうか。

そう考えて、望ははっとした。

あれだけ長い間一緒に暮らしているのに、
霧は、自分とアンドロイドとの区別さえつかなかった。
そのことを、今までいぶかしく思っていた。

しかし、霧にとって自分と言う存在が、
アンドロイドにとって代われる程のものであれば―――。
霧が、その違いに気がつかなくても、不思議はない。

考えるにつれて、望の胸の中のもやもやしたものが、
次第に大きくなっていった。
577Blind Runner 4/6:2008/10/29(水) 23:23:54 ID:539ia6Op
そのとき、霧がひょい、と望の両手を自分の頬に押し当てた。
望はその柔らかい感触に驚き、慌てて手を放そうとして、
自分が今、アンドロイドの役をしていることを思い出す。

「うふふ、手、冷たいね。本物の先生みたいだ。」
反対に、霧の頬は温かかった。
白く、柔らかく、温かい霧の頬―――。
望は我知らず、鼓動が速くなり、頭に血が昇っていくのを感じた。

胸の中で、何か訳の分からない感情が、爆発した。
もう我慢の限界だった。

「―――私ですよ!!!」
望は大声で叫んだ。
霧が、驚いたように望の手を取り落とした。

「いつも膝枕しているのも、あなたと添い寝していたのも、
 今こうやってあなたの頬を触れているのも、
 アンドロイドなんかじゃない、私です、糸色望です!!」

望は大声で言い切ると、肩で息をした。
何故、自分がこんなにも激昂しているのか分からない。

とにかく、もうアンドロイドの振りなんか真っ平だった。

霧が、望の膝からゆっくりと起き上がった。
そして、畳に手をついて望に向き合うと、ぽつん、と呟いた。

「…うん。分かってた…ごめん。」
「え…?」
望は霧を見たまま固まった。

―――今、何と?

「ごめんね、先生…先生が、アンドロイドなんかじゃないって、
 最初から気がついてたんだ。」
「な…んですって…!?」
578Blind Runner 5/6:2008/10/29(水) 23:25:14 ID:539ia6Op
「でも…先生がアンドロイドの振りをしてくれてたから、
 それをいいことに、気がつかない振りして…。」
「…。」
「…本物の先生だったら、こんな風に甘えられないから…。
 ごめんなさい…先生の交君への思いやりを利用して。」

そう言うと、霧は目を潤ませながらも、笑顔を見せた。
「でも、この1週間、先生が本当に自分だけのものになったみたいで、
 とっても楽しかったよ…先生、ありがと。」

―――そうだったのか…。

とすれば、この1週間、望は霧に騙されていたことになる。

―――私だってこと、知ってたんですね…。

しかし、何故か、望はそのことに怒りは湧かなかった。
それどころか、先ほどまで感じていたイライラや重苦しい気持ちも
きれいさっぱり消え去っている。

きっと、今までの自分のイライラは、嘘をつかれていたことに
自覚ないままに気づいていた、潜在的な不快感だったのだろう。
望はそう自己分析した。
今、霧が嘘を自白したから、その不快感は解消したのだ。
だったら…。

「…嘘をつかれるのは、先生、好きじゃありません。」
「…ごめんなさい…。」
霧はうなだれた。
「だから、今度からは正直に言ってください、私に。膝枕して欲しいって。」
「……え?」

望は霧を見てにっこりと微笑んだ。
こうすれば、霧も嘘をつかずに済み、自分もイライラせずに済む。
何という単純かつ素晴らしい解決策。自分は天才だ。

霧の頬に朱がさした。

「だ、だったら、せんせぇ、添い寝もお願いしてもいいの!?」
「…えっ、そ、それは…っ!」
579Blind Runner 6/6:2008/10/29(水) 23:36:35 ID:539ia6Op
望は焦った。
今までアンドロイドとして霧に添い寝をしていた時は、
実は、ほとんど眠れていないのである。

神経質な自分には、他人と一つ布団に寝るのは無理なのだ、と
明るくなっていく空を恨めしげに見ながら思ったものだ。

「…やっぱり…だめかぁ…。」
望の表情を見て、霧が肩を落とした。
「い、いや…!」

―――ここでひるんではいけない!
ひるんでは霧に再び嘘をつかせることになりかねない。
教育者として、それだけは阻止せねば。

望は、咳払いすると霧に向きなおった。
「毎日は、ちょっとアレですが…たまにだったら…。」
「…うん!たまにでも嬉しいよ、せんせぇ!」

両手を合わせて喜ぶ霧を見て、
望は胸の中がほんわかと温かくなっていくのを感じた。

―――これが教育者としての醍醐味なのかもしれませんね。

そのときふと、望は、先ほどの智恵の言葉を思い出し、首をひねった。

―――落とし前をつけるって…このことを言ってたんですかね…。






その後、望型アンドロイドは製造中止となった。

たとえ電気羊の夢を見るアンドロイドでも、
心にブラインドをした、この青年の
複雑怪奇な心理を模倣することは到底不可能だ。

「糸色望」になり切れなかったアンドロイド達は、
あっという間に返品の山と化したのだった。

そして。
今日もまた、望は霧の隣で悶々と寝不足になっていた。
自分がなぜ眠れないのか、彼が心のブラインドを取り去って
その本当の理由に思い当たるまでには、まだ時間がかかるようである―――。
580430:2008/10/29(水) 23:37:45 ID:539ia6Op
お付き合いいだたき、どうもありがとうございました。

先生、交の嘘はスルーです。
どうも先生は自分の気持ちに鈍感な気がしてなりません。

ちなみに題名は、マガジンの題名の元ネタが原作の映画の題名を
もじったものです…って、分かりにくいな。
581280:2008/10/30(木) 00:57:14 ID:KvTglT+U
このタイミングですいません。
望×霧×交

ヘタエロです。
582280:2008/10/30(木) 00:59:19 ID:KvTglT+U
絶望とゆう名の電車

秀丸エディターの画面を見ている霧を交。
「とりあえずここmainだろ?」
「mainは使わないょ?」
「ならvoidか?」
「void使うと宣言が面倒になっちゃうから。アタシならint ☆」
「ふ〜んん。姉ぇちゃんはここmainじゃないんだ?」
「んん・・・交クンならまだここmainで書いてもいいかなぁ〜」

ピンポーン
「宅急便でーす!!」

「ブーツ頼んどいたんだぁ♪
ハンコ下駄箱の上にあるから。 ついでにそこの回覧板お願いね ☆」
「おぅ。これ?な?」

オレは部屋の隅に置いてある回覧板を持って玄関に出た。
宅急便屋の兄ぃちゃんはオレが戸も開けてないのに勝手に玄関に入っていた。

「なんでガキが出て来るんだぁ?! ママは留守か?」
そう言って見知らぬ大人が玄関を靴のまま上がってきた。
なんだよコイツ?!勝手に人ん家に靴のままで。
「おい。なんだよ。オマエ。人ん家に勝手に上がりこんで!」
「るっせぇガキだな。どけよっ」
そう言って大人の男がオレを払いのけた。突き飛ばされたオレは板の間に倒れた。
すぐに起き上がって振り返ると、男は部屋の中に入ろうとしていた。
泥棒か?  ヤバイぜ。
「出てけよ」
オレは男の足にしがみついて進入を阻止しようとした。
「邪魔だって言ってんだろ!」
男は足を振り回して、オレの体を吹っ飛ばした。
痛てっ。 オレは板の間の角に頭をぶっつけて倒れた。 頭がめちゃくちゃ痛い。
頭に傷に当てた手にはベットリと血がついている。  なんだこれ? 嘘だろっ?
でものんびり倒れてる暇ないぜ。 中には霧姉ちゃんがいる。霧姉ちゃんが危ない!!
オレは起き上がってまた男の足にしがみついて進入を阻止しようとした。
「出てけよっ」
「いい加減にしねぇとぶっ殺すぞくそガキ!!」
男がオレの体を踏み拭ける。何度も何度も。 マジだ。 こいつ。マジで人殺しだ。
オレは痛みに耐えれずにうめき声を上げた。
583280:2008/10/30(木) 01:01:13 ID:KvTglT+U
「やめてぇ!!」
大きな声なんて出したことない霧姉ちゃんが部屋の奥から出てきて叫んだ。
それでも男は容赦なくオレの体を踏んづける。

オレはこのまま死んじゃうの? なぁ・・・?ノゾム・・・。父ちゃぁん・・・。

「綺麗な女じゃねーか。楯突きやがって。ムカつくな」
そう言って男は霧姉ちゃんに襲いかかっていった。 
「いやぁー」
姉ちゃんはアッて間に毛布を剥がされて部屋の隅に追いやられていた。
こいつの狙いは姉ちゃんだ!! 姉ちゃんを殺しに来たんだ!!
クソっ。体中が痛くて起き上がれない。でも姉ちゃん守らないと!!
男が姉ちゃんの体にしがみついた。姉ちゃん泣いていた。
オレは必死で立ち上がって男の方にフラフラしながら近寄っていった。
男はオレの気配に気がついたみたいだ。
「おとなしく死んでなっ。このクソガキ!!」
男が振り返ってまたオレを蹴り飛ばそうとした。
「お願い!! やめて!!!」
姉ちゃんが男の腰にしがみついてオレを守ろうとしてくれた。
「でしゃばったマネするんじゃねー」
そう言って男は姉ちゃんの顔を殴った。それでも姉ちゃんは男を離さない。
「早く。逃げて!!!!」
また姉ちゃんは男に殴りつけられた。連続で何度も。
姉ちゃんの苦しそうな声が聞こえた。
「逃げて・・・」
姉ちゃんが殺される・・・。目から一気に涙が溢れた。そして、卑怯なオレは逃げた。
男に襲われてる姉ちゃん置いて部屋から逃げた。
ゴメン姉ちゃん。オレ守ってやれなくて。
姉ちゃん・・・   死ぬな!
涙や鼻水がダラダラ流れる。

オレはノゾムのいる学校へ走って行った。

お願い。交クン。無事に逃げて・・・・
何度も殴られすぎて力が出ないよ。
「ははっつ。酷でぇ顔んなったな」
そう言って男が顎を持ち上げた。 イヤ。 触らないで。 
「さっきの威勢はどうしたのかな〜」
男がジャージを無理やり引きちぎる。もぉ抵抗する力が出ないよ。
584280:2008/10/30(木) 01:02:50 ID:KvTglT+U
「いっ・・・やぁ・・・」
声も出ないよ。 このまま死んじゃうのかな?
交クン。 せんせい。 会いたいょ。    望・・・・。 
男がブラの肩紐を引きちぎりカップを下げる。 プルっとおっぱいが剥き出しになる。
いやぁ・・・。霧のおっぱい見ないでっ。 涙流すしかもう抵抗の手段ないょ。
まだ望にも見せてないのに。こんなヤツに手にかかるなんてイヤ。
「俺好みのプックリ乳首だな」
そう言って男が指先で柔らかい乳輪をクルクル回す。
時々その指が乳首に当たる。    ぁっ・・・。もぉ止めて・・・・。
「旦那より感じるだろ?」
せんせいは霧の体に触れたことなんてないよ。 いつか霧にこんなことしてくるのかな?
死んじゃう前に一度でいいから抱かれたかったな。 望。 好きだよぉ・・・。
男の顔が体に近づいて汚しい男の口が霧のおっぱいを含む。
乳首を吸い上げられ男のよく動く舌先が乳首を激しく弾く。
こんな男にレイプさるくらいなら、死んじゃってもいい。
「嫌がってても感じてんじゃん」
乳首を集中して責められ続ける。 乳首が立ってるのは感じてるからじゃないよっ。
裸にされて寒いからだけなのっ。 男は乳首を舐めまわす。 舌先で転がす。
「ぁ・・・んんん」
イヤっ。こんなの。  アンタなんかに霧の体、舐めて欲しくないよ。

男がズボンのチャックを下ろした。 いきり立った汚しいモノが反り返ってる。
「欲しいだろ?」
そう言って男はアタシの鼻をつまんだ。  苦しい・・・。 息できない。
苦しさで口を開いた。
「ほら見ろ。お口が俺を欲しがってるじゃん」
男は汚しいモノを突っ込んできた。
「ぐぇっ」  汚らわしいモノが喉の奥まで入ってる。
「おらおらっ。 どうだ? 旦那のよも立派だろ?」
男は頭を両手で持って揺さぶる。
男が腰を打つたびに醜い茂みが顔に当る。 
打つ腰がどんどん早くなる。 苦しいよ。 息ができない。
「ぐぇ・・・」
喉の奥に男が汚い液体を放出した。

汚らわしい。 涙を流しながら嘔吐した。
「おらぁ、味わわんかい!!」
汚らわしい精液を床に向かって四つん這いで吐いていると男が背中を踏みつけた。
痛みに耐えていると男は足で体を転がす。
「せっかくの美人がボロ布みたいになっちまったな〜」
585280:2008/10/30(木) 01:03:58 ID:KvTglT+U
男は仰向けになった体を足で蹴ったり踏みつけたりする。 ぁぁ子宮が壊れちゃうょぉ。
意識が薄らいでいく。 交クン、辛い思いに巻き込んじゃってゴメンね。
アタシはこのまま死んでくから辛い思いは消えてそのまま天国に行けるけど、
交クン、ゴメンね。 いっぱいケガさせちゃって。 怖い思いをさせちゃって・・・。

「蹴られると涙流すほど嬉しいのか? えっ?この変態オンナめ!」
そう言って男は霧のズボンを下げた。
上はおっぱい剥き出しで下は下着姿。 男が白いパンツの上に指をあてた。
「奥さんのパンティ。グショ濡れじゃね〜か」
あてた指で霧の反応見ながらアソコを弄る。
「パンティの上からでもオマンコが熱くなってんのが丸分かりだぜ・・・。
強姦されてんのに感じてんの?  まったくスケベな体してんね。アンタ」
男の指がパンツに中に入ってきた。 イヤ。 やめて・・・・。
中指で割れ目を上下に滑るようになぞられる。
「いくら奥さんが感度いいスケベでもちょっと濡れすぎじゃねぇ?」
「旦那のいない時間に一人でオナニーばっかしてんだろ?」
いやらしいそうに男は笑う。
「喜びな。今日はバイブの代わりに俺の太いの挿入してやるよ」
男がパンツを剥がした。
「いっ いやぁ 〜!!!!」
力を振り絞って絶叫した。
「バカ!! 俺様のチンポはまだお預けだよ。その前にオマンコ舐めさせろ」
男にアソコが丸見えの恥ずかしい姿勢にさせられる。 イヤぁ・・・ 見ないで・・・・
「綺麗なピンクだな。ビラビラもイヤラシしい。クリもデカい。完璧じゃねーか」
「こんなヤらしい体を抱ける旦那が羨ましいな。 俺アンタに惚れそうだ」
男の生暖かい舌がアソコに当たる。 クリを唇で吸い上げられる。  ぁぁんんん。
初めのクンニが強姦だなんて・・・・。  涙が流れる。
ヤだよぉ。 舐めないでよぉ。 ぁっ・・・
「ぁんんん・・・」
「感じてんだろ? なら声を出してそう言いなっ!!」
感じてなんかないもん・・・。 違うもん。違うもん。気持いいんじゃないもん・・・
ぁんん。 でもこの感覚はなに? アソコがジンジン疼いちゃうょ。 ぁんんん。
望ぅ、もぉ耐えられないよぉ・・・。
霧はいつも望を思ってここに触れてるの。  望。 気持いいよぉ。
キュッと男が乳首を摘まむとアソコがドクンっとなった。
いっそう激しく舌先が動く。 
「ぁん・・・」   もぉダメ・・・・。
586280:2008/10/30(木) 01:05:13 ID:KvTglT+U
[職員室]
オレはそう書かれた見覚えのある大きな部屋の扉を開いた。
「ノゾム〜」

時計に目をやると5分前? そろそろ教室に行かねばなりません。
そこに交が現れました。
「おや?交?どうしてここに?  どうしなすったね?」
私は交の姿を見ると尋常でない異変に気が付きました。
顔面が腫れあがって頭部からは出血が。 さんざ泣きじゃくった後が見えます。
抱き上がると交は堰を切ったように泣き始めました。
「わぁぁぁぁんんんん!!」
「何があったんです?」
「霧ね〜ちゃんが・・・ 殺される!!」
なんですって!?  私の留守中に一体なにが!?

「交クンは私にまかせて下さい。 それより先生。 早く! 小森さんの所にっ!!」
状況を察した甚六先生が泣きじゃくる交を私の腕から抱き上げました。
「甚六先生。交をお願いします!!」
 そう叫ぶと私は宿直室の方へ向かって走りました。

「霧さぁ〜ん!!!」
霧さんの名前を叫びながら一心不乱で宿直室を目差しました。

「イッたな?」
イッてなんかないもん。気持良くなんかないもん・・・。   えぇ〜んんんん。
「泣きながらよがるオンナは久々だ。旦那の留守に知らない男に強姦されて
感じまくってイキまくりなんてアンタほんと最低なメス豚だよ」
「まったく・・・。燃えさせてくれるぜ」
男が体に覆いかぶさってきて愛液で濡れた指で乳首を刺激する。
片方の乳首は男の舌先で転がすように舐められてアソコは男の指が弄ってる。
ぁぁんんん。      アソコもオッパイも気持いいよぉ。
ヤられてるのに感じてる。アタシって最低な女・・・。  でも 気持いいの・・・。
アソコが疼いてもどかしいよ。  望ぅ。入れて。 望の入れて欲しいよぉ・・・。
男の顔が近づいてくる。
イっ。イヤっ。   キスは絶対 イヤぁ!!!!

587280:2008/10/30(木) 01:06:13 ID:KvTglT+U
その瞬間、霧の目に映る全てが止まった。 
瞳を見開いたまま。目に映る映像が静止している。
「おっ?! おい!!! どうしたんだよ?」
「マジかよ? こりゃヤバイな・・・」
なんだ?! 叫び声が近づく。 誰か来るのか? 逃げるしなないなっ!

[宿直室]
引き戸を開けると座敷の奥には裸の霧が横たわっていた。
「霧っ!!」
壊れて捨てられた操り人形の様にすっかり変わり果てた無残な姿。
可愛そうに。霧。なんて酷いことに。すまない・・・。
私は傷だらけの霧の体を抱き上げる。
グッタリしたままピクりとも動かない。青ざめた霧の顔。その小さな鼻に手を当てる。
息がないっ!?     嘘だっ!!
溢れるほどの涙が流れ出た。
「霧ぃぃぃ〜い!!!!」
私は天をも引き裂くほどの声で絶叫した。

霧の体を抱きしめて何度も霧の名前を叫び、泣いた。
微かに霧の口が開いた。
「霧?!」   夢中で霧に口づけをして息を吹き込んでやる。
「ん・・・」  霧が小さく息を吐いた。
霧の胸に手を当てて呼吸を促してやる。
「コホっ」   霧が息を吹き返した。
「霧。目を開けて!!」
霧がゆっくり瞳を開く。 潤んだ大きな霧の瞳。 吸い込まれそうな霧の瞳。
「せ、せんせぇ・・・」 微かに微笑みながら私を見つめる霧の瞳。
愛おしい霧。 愛してるよ。 離さない。 どこにも行かせない。
愛しい霧にキスをした。
霧の暖かい口の中と舌に自分の舌を這わせ生きている喜びを感じた。
「愛してるよ」 私は強く霧を抱きしめた。

[絶命医院]
「まったく・・・。オマエがついていながらなんて事に・・・」
「本当にすまないと思ってます。私がついていながら2人をあんな目に・・・」
医局で沈む夕日を眺めながら私は兄さんから2人の容態を聞いていた。
「まず交だが、後頭部を2針縫った。抜糸までには2週間かかるな。
他には前歯が一本折れている。交はまだ乳歯だからいいようなものの・・・。
打撲が十数か所。骨折やヒビは見当たらないが大怪我してるよアイツ。
脱水症状も見られるから1時間ほど点滴をしている。
588280:2008/10/30(木) 01:10:31 ID:KvTglT+U
あの子は強い子だな。頭部の縫合手術の時に泣かなかったんだから。
誰かさんの子供の頃とは大違いだな」
「兄さん。それは言いっこなしでしょ!」
「悪い。悪い。  で、点滴が終われば交は家に帰ってもいいけど、
倫とも話し合ったんだが、交はそばらく私の家で預ろうと思うんだ?」
兄さんの言わんとしていることは分かります。恐らく兄さんの元にいる方が
交にとって安心で、幸せでしょう。
「それが最良ですね・・・」
「で、霧さんの容態は?」
「安心しろ。 眠ってるよ」
兄さんは優しい目になって私を見ました。
「呼吸が数秒停止していたようだ。原因はショック性の物と考えられるが。
可哀想に。余程のことがあったんだろうな。他に検査も必要だから彼女は入院させるよ。
交と同様の全身に打撲の跡があるが骨折などの所見なし。内臓にも異常はない。
安心しなっ望。 何もされてないよ・・・。 犯人は彼女の体に触れてないから。
だが交と違って彼女は女性だ。心に受けた傷は計り知れない。
まだ処女なんだからなおさらだよ。 ショックで呼吸停止するくらい繊細な神経だし」
「オマエで彼女が支えられるとは思えんが・・・。」
命兄さんはイタズラっ子の様な笑みをした。
「兄さん!」
「真実を述べたまで! そう怒るなって。
ただ性的に傷を負った女性が立ち直るのは難しいんだ。
まず男の愛情に包まれて人を信じる気持を取り戻させなけらばいけない。
日常にも今回のことがトラウマになって現れることもある。
その時にそばに付いててやる男が必要なんだ。分かるな? 
彼女を心から愛する男にしか彼女が受けた傷を癒してやることは出来ないんだよ?」
「霧の傷は私が直します」
きっぱりと答えた。
私は世界で一番に霧を愛している男ですから。世界中のどんな男よりも霧のことを。
窓の外はすっかり暮れた寒空になりました。寂しい世界が広がります。
589280:2008/10/30(木) 01:12:01 ID:KvTglT+U
そこに看護婦さんに連れられ交が現れました。
「交。今日はほんとにすまなかったね」
顔や腕のあちこちに当てられたガーゼや消毒の跡が痛々しいです。
「こんなのへっちゃらだよオレ。それより霧姉ちゃんはどこ?」
「まだ病院のベットで寝てますよ」
「今もか?」
「ええ。霧姉ちゃんは明日も他にケガしてないか調べなきゃいけないから今夜は病院に泊まるんですよ」
「ならオレも病院に泊まるぞ。霧姉ちゃん一人にはさせれないからな」
交の目には力強い光が宿っていました。

「いいよノゾム。霧さんの病室に付き添いのベットを用意させるから。
 オマエも交と一緒に今晩はここに泊まれ。 ・・・・・・心配なんだろ? 霧さん」
「兄さん・・・」

よっぽど疲れていたのか、交はすぐに眠ってしまいました。
私は眠れれず月の光を頼りに眠っている霧の顔を何時間も見てました。
柔らかい頬に触れたり。 そして少しエッチな妄想にふけってました。
「んん・・・」
霧がうっすら瞳を開きました。
「起こしちゃいましたか・・・」
小さな声で話しかけると霧も小さな丸みのある声で答えます。
「いいの。起きなきゃ・・・。お布団があたる背中んとこ痛いから・・・」
傷ついた体で起き上がろうとするので腕を添えて上体を起こしてやりました。
傷を負った体で力が入らないのか霧は私の腕の中でグッたりとしてます。
「ほんとに申し訳ありませんでした・・・」
「なんでせんせいが謝るの? だってアタシを助けてくれたの せんせいなんだよ。
 よく分からないけど気がついたら暗い海の底にいたの・・・
みんな一列になって進んでいくけどワタシは怖くて一歩も踏み出せずにいた。
そしたら後ろからせんせいがアタシを呼ぶ声が聞こえた。
 でも動けずにいたらこうやって抱き上げてくれて連れてってくれた。
 眩しいい光の中に。 必死で目を開いたら今みたいにせんせいの腕の中だったの」
「夢の中で  せんせい キスしてくれた」
霧は恥ずかしそうにうつむきます。 それは夢じゃありませんよ。
「こうしていると。せんせいに支えられてると。楽だな・・・」
うなされるように霧はつぶやきます。 そして薄っすら瞳に涙を浮かべました。
「ごめんね。せんせい。 霧・・・。 霧は知らないオトコの人に・・・」

黙って!!!!     霧には何も言わせません!
590280:2008/10/30(木) 01:13:35 ID:KvTglT+U
「黙って。 黙って私の言う言葉を繰り返し言ってください」
「ん?」
「霧さんの・・・」
「アタシの?」
「霧さんの心も体も私のものです。誰れにも触れさせません!」

霧はキョトンとした顔をしてから恥ずかしそうに腕の中に顔を埋めました。
私の腕に添えた指に少し力を入れて震えています。 愛らしい姿ですよ霧。
私は霧の胸の膨らみを手のひらでスッポリと包みました。丸くて可愛らしい胸です。
「せんせいの手におっぱい包まれてると幸せだな」
うっとりした表情を浮かべ霧は私にしがみついてきました。
「ずっとこうしてて」
「いいですよ。霧さんが眠るまでずっと守っててあげるから」
「ありがとう。      ・・・・好き」
「今なんて言いました?」
「なぁんにも・・・」
私は手のひらで霧の数回おっぱいを揉みました。柔らかい霧の胸。食べてしまいたい。
「ちゃんと言わないと触ってあげませんよ。ここ」
そう言いながら霧のプックリした乳首を服の上から指先で攻めます。
霧は軽く瞳を閉じて少し口を開いてます。  感じてますね霧。
「・・・・・好き」
「お願い。 キスして」
感じ始めた霧がキスをねだるので霧の舌を求めて口の中に舌を入れました。
堪えていた欲望がもう止まりません。
私以外の男に植え付けられた霧の体の欲望を全て私の方に向けたくて、
霧の体を気遣いながらも霧の体も心も私だけを求めさせたくて霧の体に触れます。
「気持いい?」  指先の動きを早めて攻めながら訊きます。
「うんん・・・。  気持いぃ・・・」 声が吐息に変わっています。
「して・・・  お願い・・・」    身悶えしながら霧が欲しがります。
「今日はお預けだよ。元気になったらいっぱいしてあげますから」
「ぃゃぁ。 今して欲しいよぉ・・・」   霧が泣いて私をせがみます。
「しょうがない子だな。じゃあもぉ少し足開いて」 霧の下着に指を滑らします。
「こんなにパンツが濡れてたら風邪ひいちゃいますよ」
私は愛液で濡れた下着をゆっくり脱がしてやり指先で霧の蕾に私の愛を伝えます。
「ぁぁんん。 ノゾムぅ。 気持いいよぉ・・・・」
「可愛いよ霧。 もっと感じて」
「ノゾムぅ。  好き」

591280:2008/10/30(木) 01:14:45 ID:KvTglT+U
眩しい・・・
朝かぁ。
横に椅子に座ったままベットの柵によりかかってせんせいの眠る姿が見える。
アタシが眠るまで傍にいてくれたんだ・・・。 せんせいの寝顔可愛いな。
「気がついたか?!姉ちゃん?」
ちょうど柵の高さに交クンの元気そうな顔がまぶしい。
アタシが起きるまでそこで見守ってくれてたのかな? 交クン?
「交クン? おはよぉ。  交クン。いっぱいケガさせちゃって・・・ゴメンね」
「こんなん大したことないって! それよりオレの方こそすまねぇ姉ちゃん・・・
 オレ、姉ちゃんのこと守ってやれなくって・・・・」
「そんなことないよぉ。 霧は交クンがいなかったら助からなかったよ」
「そぉかぁ?」
「うん♪」
「あのなぁ、姉ちゃん。 あのな、オレ、強いオトコになって姉ちゃんを二度と怖い目に合わせないから。 だから。 姉ちゃん・・・。 オレのお嫁さんになってよ」
少しはにかみながらも真っ直ぐな目の交クンにドッキとする・・・。
その言葉、アタシに世界で一番最初に言ってくれたの交クンだよ。ありがとうね。
アタシは交クンと指きりの約束をした。 なんか幸せだな。
「嬉しいな。霧も可愛いお嫁さんになれるように頑張るね」
「姉ちゃんは十分に可愛い嫁だぜ」
そんなこと言わないでよ。 照れるじゃない。 吹いちゃうょ。

看護婦さんが部屋に入ってきました。
「お傷のガーゼを代える時間だから命先生とこ行こぉね」
「交クン。消毒ん時は痛くても我慢だよ。ねっ♪」
霧が明るい声で交を励まします。
「ぉう」
交は素直に看護婦さんに連れられて部屋を出て行きました。
「せんせい?」
霧が呼ぶので私は伏せていた顔を上げました。
「バレてましたか? タヌキ寝入り」
「うん」
「アタシね・・・交クンにプロポーズされちゃった ☆」
いたずらっぽい微笑みの霧が明るく話します。
「聞いてましたよ」
なぜか不機嫌に答えてしまいます。
相手が交でも霧がこんなに笑顔で話す内容が他の男の話しだなんて気分良くないです。
「交にだって渡しませんよ」
「あなたの心も体も私のものですから」
誰にも触れさせませんよ。
592280:2008/10/30(木) 01:15:52 ID:KvTglT+U
私は寝ている霧を抱きしめました。
腕の中の霧が私に体を寄り添え言いました。
「離さないで」
私は寄り添った霧の頬にキスをした。
「離しません。あなたは私の大切な人ですから」
霧の大きな瞳を見つめて言います。

「私の妻になってください」

「・・・うん。」

瞳に涙を浮かべて霧が頷きました。

私は絶命医院の帰り道を交と一緒に歩いています。
「本とに命兄さんのとこでなくていいのですか? 
命兄さんのとろは隙間風も入ってこない高級マンションですし。TVの画面も家のより大きいんですよ?」
「そんなのいらねっ」
「いつも文句だらけの交がどぉしたのです急に?」
「だって、霧姉ちゃんは、その、オレのお嫁さんになる人だから、オレが傍についいてやって、悪いヤツから守ってやんなきゃなんないだろ!」

おやおや。 頼もしいですね・・・。
交は最強の恋敵ですね。
私も負けてはいられません。

――――― 恋愛の真の価値は、人間に一般的な生活力を増大させるにある ―――――
「ポール・ヴァレリー」

なんだか楽しくなってきましたね交。
私と交は手を取りつないで朝の光の中を歩きだしました。



   おしまい 
593280:2008/10/30(木) 01:27:12 ID:KvTglT+U
人称がメタメタで読みにくくてすいません。
今回のタイトルはT・ウイリアムズから戴きました。
そして書き上げたところで今週号のメインがちょうど霧でした ♪

前回の望×交×霧にエロを加えたつもりがなんとも盛り上がりのない
ものになってしまい霧×先生ファンの方すいません。
霧は引き篭もりでパソコンに頼って生きてるのでプログラミングくらいは
出来そうな気がして勝手にC言語やらせてみました。
読んで下さった方、ほんとにヘタクソですいません。

594名無しさん@ピンキー:2008/10/30(木) 01:28:37 ID:VJGQ4OUy
わけわからんが乙
595名無しさん@ピンキー:2008/10/30(木) 08:39:10 ID:Z8c6Yque
同じ霧SSでもこうも違うとは
596名無しさん@ピンキー:2008/10/30(木) 13:50:04 ID:hNaYnTUN
>>580
得意げに、うっかりと膝枕を公認してしまう先生に萌えましたw
ニヤニヤがとまらないぜw GJ!
597名無しさん@ピンキー:2008/10/30(木) 14:45:55 ID:cl3FjeY8
>>580
霧にも先生にも絶萌した!
GJGJッ!
598名無しさん@ピンキー:2008/10/30(木) 20:45:13 ID:VIrp5CyR
>>580
GJでした 霧が、むしろ先生がかわいいw
>>593
望×霧×交てよりは、霧陵辱モノですね
やりたいことはわかるんだけど、断片的で唐突すぎて伝わりません
あと宿直室がまるで一軒家みたいです、学校内の一室なんですから
宅急便を装った男が入ってきて中にいた女の子を奥さん呼ばわりってのはないでしょう

書きあがった後に、前後の流れの確認、不自然な点の訂正、誤字脱字のチェック、と
投下する前に何度も読み返して修正するのが、文章書くのに苦手意識あるなら特に重要な作業です
チェックに数日かけてもいいくらい、別に締め切りはないんですから
599名無しさん@ピンキー:2008/10/30(木) 21:23:45 ID:wgGfcsnz
めるめるの吹き替えの可付香ばりに言いたい‥

>>548
好きだ!
600名無しさん@ピンキー:2008/10/30(木) 23:15:28 ID:D3y9uo6t
今週の新キャララッシュは、間違いなくコミック裏表紙対策要員。
しかしそれでも!俺はおおらさんのエロパロを書き上げてみせる!

……いつかな。
601名無しさん@ピンキー:2008/10/31(金) 02:08:46 ID:rdGp+x17
そろそろ500kb
次スレ立てれる人居たら立ててもらいたいが
>>430>>445
辺りで出てたテンプレの話がいまいち固まってないんだな
かといって今さら話せるほど容量ない
602名無しさん@ピンキー:2008/10/31(金) 07:35:30 ID:mqUdg5Xp
新スレ。

【絶望先生】久米田康治エロパロ総合 Part19【改蔵】
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1225406105/l50
603名無しさん@ピンキー:2008/11/01(土) 12:14:23 ID:wzqKP0yY
>>602
604名無しさん@ピンキー:2008/11/01(土) 17:22:26 ID:wzqKP0yY
新スレにテンプレ貼ろうかと思うけど、こんなところでいいだろうか?

===スレに投稿される職人さんに対するお願い===
・SSの最後には、投下が終わったことが分かるようにEND等をつけるか
 または後書き的なレスを入れてください。
・書きながら投下はルール違反です。書き終えてからの投下をお願いします。
・前書きに主要登場キャラ、話の傾向を軽く書いておいてください。
・鬱ネタ(死にネタなど)、エロなし、鬼畜系、キャラ崩壊、百合801要素アリなどは、注意書きをお願いします。
・ただし、完全に女×女や男×男のネタなら百合板、801板の該当スレで。
・過度な謙遜、自虐は荒れる原因になるので自重してください。

書き手にもルールがあるからといって必要以上に
気負い込まずにみんなと楽しくやっていきましょう。
605名無しさん@ピンキー:2008/11/01(土) 17:35:55 ID:WLpXSy5v
良いと思う。
まぁ、また問題があるようならその時に修正いいよ。
606名無しさん@ピンキー:2008/11/05(水) 18:05:36 ID:Omv9Y+Hw
新スレにぎわせる前にこっちをきっちり埋めなさいよ!
607名無しさん@ピンキー:2008/11/11(火) 16:08:05 ID:3a2nu6Az
          ,. -――‐- 、
          /        ヽ      い
       | /\  、   |      や
       | /=・=\|ヽ/| |   も  |
     う  ,ノ |  _____   | \   う
    め   7 \ `ー' / r一   い
 だ. た.   ̄|/>|゙'゙'゙'゙ト、へl      い
 よ  い   ,. -‐''\>く/'ー-、    か
 ね. ん /       |○     `、   げ
       |       |        |   ん
       |       |○      |
      |_,,. -‐'二 ̄二'ー-、,,_|_
      ̄_一 ̄     ̄ー_ ̄
608名無しさん@ピンキー:2008/11/11(火) 22:04:39 ID:bMMJbY7m
                                 ,.ィ=≡=-、
                                ,イ三三三三ミi
                               {三三三三三ミl... ---―--....__
                               l三三三.,.ィ'三三三三≡‐.''"三二ヽ、
           た い  し ょ う          ヾ、三/三三三三/三三三三三ミヽ、
          _l_ _l_   ノフ             /三三三ァ''"(三三三三三三三三ヽ、
           、 / ヽ.|  (二エ二コ            /三三ア"    ∨三三三三三三三y''"三三ム、
          /ヽ. 、j   彡)<_         /:三ミ/      ∨三三三三三三/:三三三三ム
                               l三ミ/`ヽ、      ∨三三三三三:i三三三三三三',
.                               {三リ,ァ-、     ___∨三三三三三i三三三三三三}
         ,イ二ヽ r-i  r-i ト、  ,ィ'ヲ       .l三/ スZ}    '´ ̄ ̄`∨三三i三三ヘ:ミ三三三三ツ
         lXl"二ニ |X|  |X| \"./        lミ/ {:オシ     ,ァ==ヽ、∨ミ三l三三三ゞ、三三ミ/
         lXL'つメj.|XL__,ノXj  .|X|         ソ  `゛      ぃアハ i ∨ミ/三三三三ミi~ ̄
         `ー― ' .`ー--‐'   `゙´         '、         {ヌ巛リ ! ∨三三三三ミ/
     ,.ィ三三ヽ、           ,,.ィチ三ヌハ      ヽ.        `ー'   //,ィ=、`Y三/
    /タ二''二'マli    __,   <ミ/__ __Yミi      ヽ. 、__         './:)   //
    /t!.<・>.<・>LL  ,if´  `li   >-|''=、 ,ィzY゙}       ヽ.  ̄¨    _,,.. -ィ、`‐'  ./"
    ト、l  ... :D{ /f⌒ ⌒:|i  ゝl、 ,⊥、 j''゙        ゝー‐ 'i"     :{ ー‐ '
  ,ィzZヘ、ノ==ヽ,イwl、{~{ニ゚H゚ニコ|~} /ミェ,三ィ'ミt、            l      モZZエハ
./三三ミー-‐'三ミミソミ、 {二} ,イミハ';三三ミY三三ミt、         /ミ}      ヽ、/ミム
609名無しさん@ピンキー

                   


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 ,'     i     l     ヽl    lヽ        ',
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  `‐、    `` ‐--‐ー ''"´ ! .i  ,' イ  `、      ',
    !``‐-、._        ノ / ノ l |   `、      i
     ヽ、   `` ‐- 、._ / `‐´  l    `、       !
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