【おむつ】幼児女装小説 4冊目【園児服】

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1名無しさん@ピンキー
可愛い男の子に幼い女の子の格好をさせたりするスレです

ジャンルに沿っていれば男、女、ふたなり等の絡みは全てOK



前スレ
【おむつ】幼児女装小説 3冊目【園児服】
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1188338286/l50

前々スレ
【おむつ】幼児女装小説 2冊目【園児服】
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1182584330/l50

初スレ
【おむつ】幼児女装小説【園児服】
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1173416419/l50

関連画像掲示板
ttp://www.gazoru.com/k-joe.html
95氏の手による幼児女装イラストがあったりします
220 ◆JSxcaNkD96 :2008/07/08(火) 08:26:59 ID:1Eu0djBH
 前スレに書き込もうとしたら容量が512KBを超えたとかで
書き込めなかったので勝手だけど新スレを建てました
 テンプレとかありましたら追加でお願いします

320 ◆JSxcaNkD96 :2008/07/08(火) 08:31:24 ID:1Eu0djBH
「そんな……そんなこと、あるわけ……」
 そんなこと、あるわけないじゃないか! 皐月に向かってそう言い返そうとした葉月
だが、言葉が途中で力を失い、遂には口をつぐんでしまう。
「あらあら、随分しおらしくなっちゃったじゃない、葉月ちゃんたら」
 力なく途中で言葉を飲み込んでしまった葉月に、皐月は少し呆れたような表情を浮
かべた。だが、園長がセーラーワンピのボタンを留め終え、襟元のリボンを結んで形
を整える間も頬をピンクに染めるばかりで全く抵抗の素振りもみせない葉月の様子
に、ふと思い当たる節がある。
「これですっかり年少さんの女の子ですね、葉月ちゃん」
 スカートの裾をきゅっと引っ張り、強引に着せる時にできた制服のシワを伸ばしてか
ら、園長が葉月の前を離れる。皐月は、園長が自分のすぐ横に戻って来るのを待っ
て、感心しきりといった声で話しかけた。
「ええ、そうね。あとは、通園の時の帽子をかぶらせて靴を履かせてみなきゃいけな
いんだけど、このぶんだと、そっちの方もサイズは間違いさなそうだわ。これも御崎先
生の見立てのおかげよ。やっぱり、ずっと一緒に暮らしていると、細かなところまで観
察が行き届くものなのね」
 園長は、二人の目の前で体の前に両手をおろして左右の指先どうしをもじもじと触
れあわせている葉月に視線を向けたまま、こちらも感心したように応じた。
 それに対して皐月は、葉月にもちゃんと聞こえるよう幾らか声を強めて、どこか思わ
せぶりな口調で言った。
「それにしても、制服の色がピンクなのも理由の一つなんでしょうけど、うちの保育園
の他の女の子たちと比べても、なんだか葉月ちゃんの方が幼い感じさえしますね。一
番上の年長さんよりも本当は葉月ちゃんの方が一回り以上も年は上なのに」
「ああ、それは、色もそうだけど、他の女の子が着ている制服と比べて少しだけデザイ
ンを変えているからでしょうね、葉月ちゃんの制服の」
 皐月の言葉に対して、少しだけ考えて園長が頷き応えた。
420 ◆JSxcaNkD96 :2008/07/08(火) 09:06:02 ID:1Eu0djBH
「デザインを変えてあるんですか?」
「そうよ、よく見ないとわからないような細かなところなんだけど、縫製業者さんにお
願いして、きちんと変えてもらってるのよ。だって、本当は大学生の葉月ちゃんに、子
供用の制服をそのままサイズだけ大きくして着せたりしたら、どうしてもおかしなことに
なっちゃうもの。葉月ちゃんに着せてあげた制服と他の女の子の制服とを実際に並べ
て説明すればわかりやすいんだけど、今はそれもできないし、言葉だけの説明になる
んだけど、私が言うことを頭の中に思い浮かべて聞いてちょうだいね」
 園長は目だけを動かして皐月の横顔を見てから、もういちど葉月の姿に視線を投げ
かけて言った。
「一番わかりやすいのはウエストラインかしらね。小さな子供の体格というのは、大人
をそのまま縮めただけじゃないの。その最たるものが頭身なわけ。大人の場合はモデ
ルさんとかだと八頭身の人もいるし、さほどスタイルがいいってわけじゃない人でも六
頭身ってとこかしら。だけど、保育園児くらいの子供だと五頭身とかが普通なの。そん
な小っちゃな子供の体にあわせて洋服をつくると、ウエストラインを下げ気味に仕立て
ても、なんだか上の方にあるように見えるのよ。それをそのままサイズだけ大人用に
つくり変えたりしたら、実際の腰まわりよりもウエストラインが下になって、全体が変な
ラインになっちゃうの。それを補正して、その上、子供っぽい可愛らしさを強調するた
めに、葉月ちゃんに着せてあげた制服は、葉月ちゃんの本当の腰まわりよりも上にウ
エストラインがくるように変更してもらったのよ。あと、幼児体型の特徴っていうと、お
腹がぽっこり出てるとこよね。その感じを出すために、葉月ちゃんの制服は、ウエスト
の部分をあまり絞り込まないようゆったりしたラインにして、そんな幼児特有の体型を
再現してもらうようにしてあるの。他の部分も含めて、そんなふうに、実際の子供より
も子供らしさを強調するように手を入れてもらったから、幼い感じが強まっているんだ
と思うわ。ま、狙い通り、それで葉月ちゃんの可愛らしさが何倍にもなって引き出され
たわけだから、私としては大満足ってとこね」
520 ◆JSxcaNkD96 :2008/07/08(火) 09:37:05 ID:1Eu0djBH
 そんな園長の説明を黙って聞いていた皐月だが、園長が手短に説明を終えて口を
閉じると、目の前に佇む葉月の姿をじっと見つめて意味ありげに尋ねた。
「じゃ、スカートの丈が短めに仕立ててあるのも、それと同じ理由で園長先生が業者
さんに指示されたからですね?」
「ええ、その通り。私が縫製業者さんに、スカートはなるべく短めに仕立てるようお願
いしたのよ。スカート丈が短い方が、幼い感じが余計に強調されるから」
「ですよね。制服を着た葉月ちゃんが他の女の子たちよりも幼く見える理由をいろい
考えていたんですけど、私が真っ先に思いついたのはスカート丈の短さでした。うち
の保育園で預かっている女の子の制服のスカートの丈は膝頭のすぐ上くらいの長さ
なのに、葉月ちゃんの制服のスカートは膝上二十センチってとこでしょうか。太腿が
半分くらい見えちゃって、それが、いつもじっとしていない活動的な子供らしさと、まだ
恥ずかしさなんて感じない幼児のあどけなさを強調してるのかなって考えたんです。
園長先生の説明を聞いて、ウエストラインの高さとかウエストの絞り込みとか細かな
ところを工夫しているんだなってこともわかったけど、そういうのとスカート丈の短さと
が相まって、とっても可愛らしくて幼い印象を強めているんでしょうね」
 皐月は思案げにそこまで言ってから、園長にというよりも葉月に向かって、こんなふ
うに付け加えた。
「でも、スカートを短めに仕立てるよう業者さんに指示されたのは、そんな見た目の可
愛らしさを強調するためという目的もあるとは思うんですけど、でも、それだけじゃない
ようにも思えるんです。なんていうか、もっと実用的な意味があるんじゃないかなと思
うんですけど、いかがでしょうか?」
 そんなふうに重ね訊く皐月に対して、園長はすっと目を細めて小さく頷いた。
「いい勘をしているわね、御崎先生は。さすが、先輩保育士を差し置いて主任に抜擢
されるくらいだわ。――その通り、スカートを短めに仕立ててもらったのには実用的な
意味合いもあります。スカートを穿き慣れていない葉月ちゃんに少しでも上手にあんよ
をしてもらうためという立派な意味合いが」
6名無しさん@ピンキー:2008/07/08(火) 11:57:01 ID:iYUodySh
スレ立て乙です
7名無しさん@ピンキー:2008/07/08(火) 13:15:21 ID:2SV+URUV
導尿カテーテルでオムツに糞尿垂れ流しをお願いします
オムツは紙オムツがいいです。
テープタイプのビニールでお願いします
820 ◆JSxcaNkD96 :2008/07/08(火) 17:36:04 ID:jQKVvC58
 何度か繰り返される質問と返答。実は、それは、前もって皐月と園長とが口裏を合
わせておいたのを、葉月の目の前で、いかにも皐月が疑問に思ったことを園長に尋
ねるというふうを装って演じているに過ぎなかった。その目的は、葉月がとても幼く見
えること、女の子の制服が葉月にひどく似合っていること、そうして、葉月が今どんな
装いに身を包まれているかといったことを葉月自身により強く実感させ、羞恥をこれで
もかと煽りたてるところにあった。
 そして、その煽りたては、更に深い段階に進もうとしていた。
「うふふ。やっぱり、そんな意味合いがあったんですね。そうですよね、これまでスカ
ートなんて穿いたことがない葉月ちゃんだもの、スカート丈が長いと裾がまとわりつい
て、ますますあんよが下手になっちゃいますもんね。あんよのたびに転んじゃって、そ
のたびにスカートが捲れ上がってパンツを男の子に見られちゃうなんてことになった
ら可哀想ですもんね」
 皐月は、丈の短いスカートの裾から見える葉月の腿をちらと見て納得げに頷くと、毛
足の長い絨毯の上を足音もなく歩き出した。
 皐月の進む先には、頬を上気させ、二人と目を合わせまいとして視線を落とす葉月
の姿があった。
 皐月と葉月との間は三歩くらいしか離れていない。目を伏せたままこちらを見ようと
しない葉月だが、皐月が足早に近づいてくる気配に、はっとしたように顔を上げた。
「だけど、スカート丈が短い理由、それだけじゃないんですよね? たとえば、スカート
が短いと、こういうことを調べるのも簡単ですもんね」
 葉月のすぐそばに歩み寄った皐月は、さっと背後にまわりこみ、太腿を半分ほどしか
隠していないスカートの裾に右手をかけた。
 葉月が慌ててスカートを押さえたが、既に手遅れだ。皐月が右手を振り上げると、ス
カートがぱっと捲れ上がって、シナモロールのパックプリントがあらわになった。
9名無しさん@ピンキー:2008/07/08(火) 23:04:25 ID:vXORZmia
復活うれしいです。
これからの20氏の小説も楽しみにしていますので、
どんどん20氏が好きな風に話を進めてください。
1020 ◆JSxcaNkD96 :2008/07/09(水) 04:49:06 ID:6LFnzoi1
「やだ! 急に何すんだよ、姉さん!」
 それまではおどおどしてばかりいた葉月だが、この時ばかりはさすがに怒気を含ん
だ声をあげてしまう。
 けれど、皐月は澄ましたものだ。葉月の金切り声などまるで耳に届いていないかの
ような涼しい顔で、あらわになったショーツに包まれたお尻の膨らみに冷ややかな視
線を向けたかと思うと、
「少しの間だけだから、腰を曲げて体を前に倒してごらんなさい。それで、お尻を後ろ
に突き出すのよ」
と有無を言わさぬ口調で命じるのだった。
 途端に、葉月の顔に絶望的な表情が浮かんだ。金切り声をあげていた唇がわなな
き、体が小刻みに震え出す。
「な、何を……」
 何をするつもりなのさと尋ねたいに違いない。けれど、その声さえ出てこない。
「お尻を後ろに突き出しなさいと言った筈よ。ぐずぐずしてないで、早くなさい!!」
 スカートの後ろを捲り上げたられた姿で身を固くするばかりの皐月に向かって葉月
の怒声が飛んだ。決して乱暴な口調ではないものの、なかなか言いつけを守ろうとし
ない園児を叱りつける時の、低く威厳に満ちた声だ。
 忙しい両親の代わりに子供の頃から面倒をみてくれていた皐月にそんなふうに叱り
つけられては、葉月としてもたまったものではない。体をびくんと震わせ、涙目になり
ながらも、命じられるまま、のろのろと腰を折り、体を前屈みにして、おそるおそるお尻
を後ろに突き出すしかない。
「そう、それでいいのよ。先生の言うことがきけて、葉月ちゃんはお利口さんね。でも、
これからは先生に叱られる前に言いつけを守るようにしようね。葉月ちゃんだって、先
生に叱られるのはいやだもんね?」
 両手を自分の膝について腰を折り脚をぷるぷる震わせながらようやくのこと後ろに
突き出した葉月のお尻の膨らみを空いた方の手でぽんぽんと叩いて、つい今しがた
の怒声が嘘みたいなわざとらしくも優しげな声で皐月は言った。
1120 ◆JSxcaNkD96 :2008/07/09(水) 05:36:55 ID:6LFnzoi1
「じゃ、今からパンツが濡れてないかどうか確かめてあげるから、そのままじっとして
いるのよ。暴れたりしたらお尻たたきのお仕置きだからね」
 皐月は、スカートの後ろを捲り上げられた状態でお尻を後ろに突き出すという惨め
な姿で体を固くする葉月に対してそう言い聞かせると、スカートの裾をつかんだ右手
を何度か上げ下げしてみせながら、にこやかな笑顔で園長に向かって言った。
「スカート丈が短いと、捲り上げる時に脚に絡まないからいいですね。これなら、葉月
ちゃんがおもらしでパンツを汚しちゃってないかどうか調べるのも楽ちんです」
「お、おもらしだなんて……」
 おとなしくしているよう厳しく命じられ屈辱の姿勢を強要されながらも、皐月が口にし
た『おもらし』という言葉が耳に届いた瞬間、我を忘れて反論してしまう皐月。けれど、
その声には力がない。
「粗相しちゃった子供はね、誰でも最初は、自分がおもらしでパンツを汚しちゃったこ
とをなかなか認めようとしないのよ。でも、ちょっとパンツを見れば一目瞭然。その時
になってやっとのこと、おもらしを認めて、ごめんなさいするの。葉月ちゃんも、そんな
子たちと同じなのかな。他の子供たちと同じで、自分から進んでごめんなさいできな
いのかな」
 皐月は、片方の眉をぴくんと吊り上げて、葉月の弱々しい抗弁を遮った。
「ち、違う……そんなじゃ……」
「ふぅん、何が違うのかな? 僕は本当は十八歳です。十八歳の大学生だからおもら
しでパンツを汚したりなんてしません。ひょっとすると、そう言いたいのかな? だけど、
大人になってもパンツを汚しちゃうこともあるよね。葉月ちゃん、寝ている間に汚しち
ゃったパンツを恥ずかしがって洗濯カゴに入れてなかったことがあるんじゃなかったっ
け。そんなパンツを私がみつけて内緒で洗っておいてあげたこと、何度もあるんだよ。
気がついてない?」
 夢精で汚してしまったパンツのことを皐月は言っているに違いない。そう思いついた
瞬間、葉月の顔がこわばる。
1220 ◆JSxcaNkD96 :2008/07/09(水) 06:56:01 ID:6LFnzoi1
「あらあら、葉月ちゃんたら、びくびくした顔なんかしちゃって。でも、先生は、葉月ちゃ
んがおねむの間にパンツを汚しちゃったことを叱るつもりはないのよ。こんな格好をし
ているけど、葉月ちゃんは本当は大学生の男の子だもん、夢精なんて、自然な生理
現象だよね。だから、それはいいの。ただ、先生が言いたいのは、おもらしでパンツを
汚しちゃうのは小っちゃな子供だけじゃないのよってこと。現に、葉月ちゃんも汚しちゃ
ったんだもんね? ま、透明なおしっこか白いおしっこかっていう違いはあるし、昼間
おっきしている時のおもらしなのか夜おねむの間のおねしょなのかっていう違いもあ
るけど、でも、子供でも大人でも女の子でも男の子でも、パンツを汚しちゃうことがあ
るってことには違いがないよね。だけど、パンツを汚しちゃって、それを黙ったままにし
とくのは感心しないな、先生。濡れたパンツを穿いたままだと、せっかくのすべすべの
お肌がただれて真っ赤に腫れちゃうものね。だから、調べてあげるのよ。葉月ちゃん
がパンツを汚しちゃってないかどうか。汚しちゃって、なのに恥ずかしがって正直にそ
のことを教えてくれないと困るから。叱るためなんかじゃないんだってこと、お利口さん
の葉月ちゃんはわかってくれるよね?」
 葉月の羞恥を煽ってやまない内容を口にしているのに、皐月の口調はあくまでも優
しげだ。そのギャップが葉月を際限なく不安にさせる。
「……」
「園長先生、お手数をかけて申し訳ないんですけど、私がスカートを捲り上げています
から、その間にパンツを調べていただけないでしょうか。特に、クロッチの部分、両脚
の間から後ろにかけてのあたりを念入りに」
 葉月が反論の言葉を全く失ったことを見て取った皐月は、園長に向かって一礼をし
ながら、いかにも恐縮した様子で声をかけた。
「あ、いいわよ。明日からうちの保育園で預かることになっている年少さんの女の子
が濡れたパンツのままでいてお肌が荒れちゃったなんてことになったら可哀想だもの
ね。これも子供たちの健康管理の一環なんだから、喜んで調べさせてもらうわよ。だ
から、そんなに恐縮したりしないでちょうだい。今でこそ管理職だけど以前は私も現場
に立っていたんだし、おやすいご用よ」
 恭しく頭を下げる皐月に向かって園長は鷹揚に頷くと、葉月の正面を離れて背後に
まわりこみ、両膝を床について葉月のお尻を斜め下から見上げるような姿勢をとった。
1320 ◆JSxcaNkD96 :2008/07/09(水) 08:24:40 ID:6LFnzoi1
「いかがですか?」
 葉月の身を包む制服のスカートの端を持ち上げたまま、皐月が軽く腰をかがめて気
遣わしげに訊いた。だが、そこには、葉月のパンツが濡れている筈だという確信めい
た様子がありありと見て取れる。
「ちょっと待っていてね。今、上の方から見ているから。――あら、これは……」
 腰を曲げて後ろに突き出した葉月のお尻の膨らみの真ん中あたりからゆっくり視線
を下におろしていた園長だが、不意に驚いたような声をあげ、葉月の両脚の後ろがわ、
ちょうどペニスの先とおぼしき膨らみがあるあたりをしばらく見つめていたかと思うと、
幾らか声を弾ませて
「そんなに大きくはないけど、シミがあるわね。よく見ないとわからないほど薄い色だ
けど、封を開けたばかりの新しいパンツにこんなシミがついているわけなんてないか
ら、葉月ちゃんが汚しちゃったものに間違いさなそうよ」
と、すぐそばにいる皐月の顔を見上げて言った。
「そうですか、やっばりね」
 園長の言葉に、けれど、皐月はまるで驚く様子もなかった。保育園に通う女の子そ
のままの格好をさせられた実の弟が穿いている女児用ショーツのクロッチ部分にシミ
があると聞かされても、全く動揺するふうもなく、まるでそのことをあらかじめ知ってで
もいたかのように平然とし、あまつさえ、うすら笑いの表情さえ浮かべているのだ。
「やっぱりねって――御崎先生、知っていたの? くっしょりってわけじゃないけど葉月
ちゃんがパンツを汚しちゃっているのを、確かめる前から知っていたっていうの?」
 僅かに首を反らし、皐月の顔と葉月のショーツのクロッチ部分を交互に見比べなが
ら、園長が怪訝そうな顔で聞き返した。
「はい、とっくに知っていました。園長先生、私に、『ずっと一緒に暮らしていると、細か
なところまで観察が行き届くものなのね』とおっしゃいましたよね。そうなんです。子供
の頃、それこそ生まれたての赤ちゃんの頃から両親の代わりに私が面倒をみてきて、
私が短大を卒業して一人暮らしを始めてから今年の四月まではマンションと実家とで
別れ別れになったけど、この春からまた一緒に暮らすようになった血のつながった弟。
そんな葉月ちゃんだもの、私が知らないことなんて一つもありません。夢精で汚しちゃ
ったパンツをどこに押し込んでいるのか、こっそり買ってきたエッチな本をどこに隠して
いるのか、オナニーでティッシュを一日に何枚くらい使っちゃうのか。そんなことも、好
きな食べ物が卵焼きだってことやお気に入りのアイドルが誰かってことと同じくらい、
よく知っているんです。葉月ちゃんと私とのそんな間柄だもの、葉月ちゃんがパンツに
シミをつくっちゃったことなんて、とっくにお見通しだったんです」
 皐月の顔に浮かんでいたうすら笑いが、いつしか、艶然とした笑みに変わっていた。

1420 ◆JSxcaNkD96 :2008/07/09(水) 14:14:35 ID:6LFnzoi1
 園長に向かってそういう皐月の言葉は、もちろん、葉月の耳にも届いていた。
 ただでさえ俯き加減に視線を落としていた葉月が、ぎゅっと唇を噛みしめて更に顔
を伏せてしまう。
「園長先生と私とで制服を着せてあげようとした時、短い間だったけど、葉月ちゃんの
手から力が抜けたことがあったよね? あの時に溢れ出ちゃったんでしょ? ああ、う
うん、きちんと言うと、それまでもじわじわ溢れ出てたのが、その時に一番たくさん出
てきちゃったんだよね? でも、園長先生がみつけたシミ、葉月ちゃんがおねむの時
に夢精でこぼしちゃったり自分で自分を慰めててティッシュを汚しちゃう精液なんかじ
ゃなくて、その前にじくじく溢れ出してくる、俗に言う我慢汁ってヤツなんでしょ? もし
も本格的に精液を出しちゃってたりしたら、その時には葉月ちゃん、あっとかいう呻き
声をあげて体をのけぞらせて、その後、へなへなになって床にへたりこんじゃってた
筈だもん。いくらなんでも私たちの目の前でそこまでいやらしいことはできなかったみ
たいだけど、でも、我慢汁を溢れ出させちゃうほど気持ちよかったんだよね。お尻の
下におねしょシーツを敷いてもらったことが、女の子用のソックスを履かせてもらった
ことが、お股を小さな女の子みたいにしてもらったことが、シナモロールのバックプリン
トの可愛いショーツを穿かせてもらったことが、胸にカップのあるキャミを着せてもらっ
たことが、特製の園児用セーラーワンピを着せてもらったことが、でもって女の子扱い
してもらったことが気持ちよかったんだよね。気持ちよくて気持ちよくて、そのたびに
少しずつ我慢汁を溢れさせて、とうとうパンツに、表側からもわかるほどの我慢汁のシ
ミをつくっちゃったんだよね? でも、知ってる? 我慢汁はねばっこいから、すぐには
乾かないんだよ。パンツを穿き替えないと、いつまでもべとべとしたパンツを穿いてな
きゃいけないんだよ。ま、明日からは年少クラスの女の子の葉月ちゃんも本当は大学
生の男の子だもん、そんなこと、とっくに知ってるに違いないけどさ」
 それまで園長と並んで葉月の真後ろにいた皐月だが、スカートの端を持ち上げたま
ま葉月の体の横に場所を移して、羞恥のために真っ赤にほてる耳元にねっとりした声
で囁きかけた。
15名無しさん@ピンキー:2008/07/09(水) 16:56:16 ID:kqEqR5pZ
オムツマダー
カテーテルも挿して上げて下さい
16名無しさん@ピンキー:2008/07/09(水) 19:46:10 ID:roPnhxDe
吸収量の少ない特性おむつ(パッド)を穿かせて脱げないように>
こまめに出せば乾いて溢れないけども、まとめて出すと漏れちゃうからね>
ちゃんと忘れず出せるようにタイマー付きローターで一定間隔ごとに数秒振動>
振動=排尿が習慣づけられたり、こまめな排尿で我慢が出来ない体に。
なんて妄想してみた。
17名無しさん@ピンキー:2008/07/09(水) 20:52:25 ID:kqEqR5pZ
できれば、サンダンとかの強力なバルーン付の浣腸器で大量空気浣腸後
グリセリン浣腸をしてオムツ当てをキボン
18名無しさん@ピンキー:2008/07/09(水) 20:58:11 ID:34ExoEBq
要望ばっか連呼するのやめれ
19名無しさん@ピンキー:2008/07/09(水) 23:17:49 ID:kqEqR5pZ
まだ、オムツとお漏らしネタが入っていないので
要望も聞き入れてもらえやすいと思ったから連呼しているのだ
新しい風を取り入れてもらいたい
20名無しさん@ピンキー:2008/07/09(水) 23:23:47 ID:AnvVK5rb
作者が何のコメントもしてないんだからKY
2120 ◆JSxcaNkD96 :2008/07/10(木) 06:10:42 ID:54L+wzk/
 今後の展開に関して幾つかリクを頂戴していただきました
こと、thxです
 ただ、先にお断り申し上げますが、浣腸・うんち・カテーテ
ルといったシーンが登場することはないと思います。そうい
うシーンの描写が苦手だということもありますし、もしもそう
いうシーンのあるSSを書くとするなら『強制女装少年エネマ
調教』スレの方がふさわしいようなので、そちらでということ
になるかと思いますし


--------------以下、チラシの裏-------------------

 それと、原則として、直接的な性行為のシーンも出てこな
い予定です。一般的なエロ小説の場合は直接的な性行為
を描くことに重きを置いてあって、たとえばそこにおむつシー
ンとかが登場したとしても、それは、性行為に至るまでの前
振りであり、前戯にしかすぎないわけです。それに対して、
フェチ指向の強いSSの場合は、例えばこのスレの主眼であ
るところの幼児女装そのもの(または、そこに至るプロセス)
といった、フェチシズムに満ちた状況を描くことによって、そ
れを読む人に性的興奮を覚えてもらうことが大きなテーマに
なっていると思います。だから、フェチ臭の強いSSを書くにあ
たっては、例えば「エッチシーンが少ないぞゴルァ」というお叱
りを受けたとしても、それはそれでちっとも構わない、それよ
りも、「あのシーンで主人公の男の子がジュニアブラを着けさ
せられる時の表現がねちっこくてナイスだったぜ」というよう
な感想をもらえさえすれば大満足といった気持ちが強いわ
けです。
 ということで、たぶん、性行為のシーンもありません。

--------------以上、チラシの裏-------------------


というような身勝手な理屈をこねくりまわした上で、本日も再
開させていただきまつ
2220 ◆JSxcaNkD96 :2008/07/10(木) 06:11:28 ID:54L+wzk/
 そうして皐月は、葉月の耳元に唇を近づけたまま目だけを動かして園長に向かって
意味ありげな視線を投げかけた後、再び葉月の耳たぶにねっとりと絡みつくような声
で囁きかけた。
「だけど、いつまでもそんな中途半端なままじゃ嫌だよね? イけそうでイけいなんて、
そんなの困るよね。いつまでもあそこが疼き続けてちっともおとなしくならないなんて、
気持ちがどうにかなっちゃうよね。うちの保育園でも、年少さんのちょっと気の弱い女
の子だと、おしっこが出そうなのにトイレへ行くのを無理に我慢して、それでとうとう失
敗しちゃうようなことが多いんだ。お家のトイレじゃなきゃできない子とか、おしっこが
出そうなのはわかってるけど他の子供たちと遊んでる途中に抜け出せない子とか、ト
イレに入って便器に座るところまではできるのに外から聞こえる他の子供たちの声
が気になっておしっこがなかなか出ない子とか、いろいろなのよ。葉月ちゃんも、そん
な子たちと一緒なのかもね。白いおしっこと本当のおしっこの違いはあっても、出そう
になっているおしっこを自分でちゃんとできないとこなんて、まんま同じだよね。でね、
おしっこが出そうなのに出せない子たちには、私たち保育士がちゃんとさせてあげな
きゃいけないんだ。保育園のトイレを怖がる子は私たちが手をつないで連れて行って
あげなきゃいけないし、遊んでるお友達の輪から抜け出せない子は私たちが声をか
けて連れ出してあげなきゃいけないし、トイレの外からドア越しに聞こえる友達の声
が間になって仕方ない子は、おしっこが終わるまで私たちがトイレのドアのすぐ前に
立って優しく話しかけてあげなきゃいけないの。だから、葉月ちゃんにも先生がちゃん
としてあげなきゃね。女の子の下着と女の子の制服が気持ちよくて女の子パンツの
中に白いおしっこを出しちゃいそうなのに恥ずかしくてたまんなくて我慢汁しか出せな
い葉月ちゃんには、私が思いきりイかせてあげなきゃいけないんだよね。だから、心
配しなくていいのよ。先生にまかせておけば大丈夫なんだから」
 そう囁きかけた皐月は、再び葉月の背後に戻り、それまで持ち上げていたスカート
の裾から手を離した。
 スカートが空気をふくみながら、葉月のお尻の上にふぁさっと舞いおりる。
2320 ◆JSxcaNkD96 :2008/07/10(木) 08:14:17 ID:54L+wzk/
 けれど、それで下腹部が全て覆い隠されてしまったわけではない。腰をかがめ体を
前に倒し気味にしてお尻を後ろに突き出すような姿勢を取らされているせいで、スカ
ートの裾はお尻の膨らみの中ほどの所に引っかかってしまい、脚の付け根のあたり
から下はまだ丸見えのままだ。
「スカートの丈が短いと、葉月ちゃんがパンツを濡らしてないかどうかを調べるのも簡
単ですし、その後の処置も楽にできるから本当に助かります。適切な指示を業者さん
にしてくださった園長先生には幾ら感謝しても足りないくらいです」
 園長と葉月、どちらに向かってともなく言い、皐月は、葉月の両脚の間に右手を差し
入れた。
「あ……」
 身構えるひまもなかった。葉月の唇が半開きになって、あえかな呻き声が漏れ出る。
「葉月ちゃんがいつもどんなふうにして自分で自分を慰めているかは知らないから上
手にできるかどうかわからないけど、優しくしてあげるから心配しなくていいよ。どう、
ここが気持ちいいの? ほら、こんな具合にしてあげれば気持ちよくなるのかな」
 皐月は、中指の腹をショーツ越しに葉月のペニスの先に押し当て、しばらくの間ぐり
ぐりと小さな円を描くように動かした後、人差指と中指の先でペニスの先端を軽く挟み
こむと、二本の指でこくっこくっと揉みしだいた。
「くぅ、ん……」
 後ろ向きに折り曲げられ、接着剤によって下腹部に固定されてしまっている皮から
窮屈そうに顔を覗かせた、体の中で最も感じやすい部分。そこをこねくりまわされ、こ
れでもかとばかりに責めたてられては、どうすることもできない。決して手慣れている
とはいえないものの、皐月の指の動きは執拗だ。これまで自分で慰めるしかなく、異
性の手で弄ばれたことのない葉月のペニスは、ショーツ越しにとはいえ充分に感じ取
れる皐月の柔らかな手の感触に見る見る怒張し、けれど皮を固定されてしまっている
ためにいきり勃つこともかなわずに、女児用ショーツのクロッチ部分に我が身をいやら
しくこすりつけながら、ひくひくと蠢くばかりだ。
24名無しさん@ピンキー:2008/07/10(木) 08:27:21 ID:Y6ZuD6Yd
wktk
2520 ◆JSxcaNkD96 :2008/07/10(木) 08:52:45 ID:54L+wzk/
「いいのよ、出しちゃって。恥ずかしがらずに思いきり出しちゃっていいのよ。精液を溢
れ出させちゃうことなんて、大学生の男の子にとっては、小っちゃな子供が我慢でき
なくなっておしっこをおもらししちゃうのと同じくらい自然なことなんだもの。それで誰に
も迷惑をかけないのなら、少しも我慢することなんてないのよ。――ただ、遠藤先生を
襲った男みたいなことさえしなきゃ、それでいいのよ」
 皐月が最後のところを語気を強めて言うと同時に、葉月のペニスを責める指の力が
増した。
「ひっ……!?」
 葉月の口を悲鳴じみた喘ぎ声が衝いて出て、女児用ショーツの中でペニスが激しく
どくんと脈打った。
 その直後、ショーツの生地がねとっと濡れる感触が皐月の指先に伝わってきて、独
特の青臭い匂いが漂い出す。
「いいのよ、それで。もしも葉月ちゃんがおねだりするなら、先生、何度でも同じように
してあげる。それで、葉月ちゃんが女の人に襲いかかったりしないなら。遠藤先生と
同じゼミだった男みたいに、誰かに襲いかからなきゃいけなくなるほど胸の中にいや
らしいもやもやを溜め込まなくてもすむように。そうして、葉月ちゃんが可愛い年少さん
の女の子になれるように」
 ショーツの中のペニスがゆっくり萎え縮こまってゆく様子をはっきり指先に感じながら、
皐月は、瞳を涙で潤ませる葉月に向かって、これまで聞いたことのないようなとびきり
優しい声で語りかけるのだった。

                      * * *

 それからしばらく後、もうすぐお昼という頃、ひばり保育園の通園バスの中に皐月と
葉月の姿があった。
 園児送迎用のマイクロバスを運転しているのは、古くから保育園に在職している水
無月という初老の女性だ。先代の園長の時代から事務を一手に引き受けるかたわら、
女性がてら早くから車の大型免許を取得し、送迎バスの運転も引き受けているという、
ひばり保育園にはなくてはならぬ女性で、しかも人柄も良く、誰にでも優しく接するの
で、園児や保護者からも『水無月のおばちゃん』と呼ばれて慕われている。もっとも、
年齢のせいか最近は『水無月のおばあちゃん』と呼ばれることもあり、本人がそれを
気にしているふうなのは否めない。もっとも、それも、園児や保護者の親しみの表れ
だと思うと苦にはならというのが実際のところか。
2620 ◆JSxcaNkD96 :2008/07/10(木) 10:00:36 ID:54L+wzk/
「すみません、水無月さん、せっかくの日曜日に休日出勤なんてしていただいて申し
訳ありません」
 運転席のすぐ後ろの席に葉月と並んで座った皐月は、バスが信号待ちで駐まるの
を待って水無月に声をかけた。
「いいのよ、気にしないでちょうだい。どうせ独り身だし、家にいても暇を持て余すだけ
なんだから。それよりも、いつもと同じようにバスを運転したり、保育士さんたちとお話
をしたりしていた方が気が紛れて丁度いいのよ。それに、若い保育士さんや小さな子
供たちと一緒にいると、なんだか自分も若返ったような気になって、もっと頑張らなき
ゃって気力が充実してくるんだから」
 水無月は前方を注視しつつも、時おり視線をちらちらとルームミラーに走らせ、ミラー
に映る皐月と葉月の様子を確認しながら、にこやかな声で応じた。
「そう言っていただけると助かります。でも、葉月ちゃんのために明日から送迎コース
が追加されることになって忙しくなるんじゃありません? ま、もっとも、正直に言うと、
私の方は送迎バスに便乗させてもらえることになるから毎日の通勤が楽になって喜
んでいるんですけど」
 皐月は気遣わしげに言って、隣の背席に座っている葉月に視線を向けた。
 ひばり保育園の場合、園児の三分の二ほどは保護者が送り迎えをし、残りが水無
月の運転する送迎バスに乗って登下園をしている。送迎のコースはだいたい決まっ
ているのだが、たとえば町外れに家がある園児が登下園に送迎バスを使わざるを得
なくなった場合なども、持って生まれた人柄なのだろう、水無月はバスのルートを追
加変更するに際して億劫がる様子をまるでみせない。むしろ、一人でも多くの園児と
触れ合う時間が持てるといって進んで送迎コースを追加するくらいだ。だから、明日
から登園することになっている葉月にも送迎バスを使わせるからといって園長がルー
トの追加を依頼し、明日からに備えて道順の確認がてら皐月と葉月をマンションまで
バスで送り届けるよう指示した時も、穏やかな表情を浮かべてふたつ返事で引き受
けたのだった。しかも、そのために日曜日なのに出勤し、園長室の隣の事務室で葉月
の面談が終わるのを待つことも、ちっとも厭わない水無月だった。
27名無しさん@ピンキー:2008/07/10(木) 11:19:31 ID:HHUeBIj/
朝から投下乙です!
28名無しさん@ピンキー:2008/07/10(木) 12:18:00 ID:R5gr5u0d
皐月の友達に、泌尿器科の看護婦とか、小児科医が居れば
最強な展開のような気がします
オムツお漏らし医療幼(女)児化プレイ
2920 ◆JSxcaNkD96 :2008/07/10(木) 13:19:29 ID:54L+wzk/
「忙しいだなんて、とんでもない。これまでよりも少しだけ早起きすればいいだけだか
ら、なんてことないわよ。年を取ると朝が早くなるから、丁度いいくらい。それよりも、
御崎先生が弟さん……ああ、いけない、妹さんって呼ばなきゃいけないんだったっけ
……妹さんと一緒に私のバスに毎日乗ることになって、他の先生方も喜んでらっしゃ
るんじゃないかしら。だって、これまでは先生方がみんなでローテーションを組んでバ
ス添乗の順番を代わる代わるこなしていたのが、明日からは御崎先生がずっと一人
で添乗をしてくれることになるんだから」
 水無月が葉月のことを『弟』と呼びかけ、それを慌てて『妹』と訂正するのを聞いて、
皐月はなんともいいようのない笑みを浮かべながら葉月の横顔を見た。皐月の大学
生の弟である葉月が年少クラスの園児、それも女の子として通園する手筈になって
いることは、遠藤弥生の心のケアのためという理由と共に(そして、葉月と弥生が互
いに憎からず想っている間柄だという事実も包み隠さず)とっくに園長が全ての保育
士と水無月に告げていた(そう、そんなことになっていると知らなかったのは、実は、
葉月だけだったのだ)。しかも水無月は、『面接』という名目で葉月がセーラーワンピ
の試着を強要され、下着まですっかり女児用のものに着替えさせられる様子を、園長
室のすぐ隣の事務室に置いてある防犯用のテレビモニターで窺っていた筈だ。その
間、水無月がどんな表情を浮かべていたかを想像すると、皐月はくすくす笑いが止め
られなかった。
「それにしても、妹さん――葉月ちゃん、とっても可愛らしいお子さんね。ちょっとしたこ
とですぐ恥ずかしそうに頬を赤らめちゃうみたいだけど、そんなところもすごく可愛いし、
お姉さんに叱られると何も言い返せないでしゅんとしちゃう気の弱そうなところも可愛
いし。私の娘、ちょっと遠い所に嫁いじゃったんだけど、その娘が時々連れて遊びに来
てくれる孫娘がこの春から保育園の年少さんで、やっぱりちょっと気が弱くて恥ずかし
がり屋さんのところがあって、なんだか葉月ちゃんのこと、赤の他人とは思えなくて。
これから毎日、私の運転するバスに乗ってくれると思うと楽しみでならないのよ」
 葉月が本当は大学生の男の子だということは充分に承知している筈なのに、時おり
遊びに来るという孫娘とそれほど面影が重なるのか、葉月のことを半ば本気で年少ク
ラスの女の子だと思っていそうなほど、まるで祖母が実の孫娘と久しぶりに会ったか
のように声を弾ませて、水無月はルームミラーの向こうで目を細めた。
3020 ◆JSxcaNkD96 :2008/07/10(木) 14:53:53 ID:54L+wzk/
 一方、葉月は、皐月にじっと横顔をみつめられ、水無月から幼い孫娘扱いされて、
居心地悪そうにバスの座席にちょこんと腰かけて顔を伏せるばかりだ。葉月が居心
地悪そうにしているのには幾つもの理由があった。
 先ず一つ目の理由は、園長室での面談やバスの中でのさきほどからの会話も含め、
周囲の者から自分がまるで本当の幼女のように扱われることに起因する屈辱のせい
だ。
 次に二つ目の理由は、バスの座席の座り心地のせいだった。いや、誤解のないよう
に言っておくと、座席そのもののクッションが悪いとかバスの乗り心地が固いとかとい
う意味ではない。葉月が座り心地が悪いと感じているのは、実は、園長の手で施され
たタックのためだった。タックのせいでペニスと陰嚢が両脚の間に押し込まれ、座席に
つくとペニスや陰嚢に体重がかかり、たえずで重心の位置を変えたり身をよじったりし
ないと鈍痛や軽い痺れを覚えてゆったり座っていられないのだった。
 続いて三つめの理由は、頭にかぶせられたベレー帽にあった。ひばり保育園に通
う園児は、通園の時や遠足の時はセーラースーツの制服を着ることになっているのだ
が、同時に、それと同じ色合いの生地でできたベレー帽を頭にかぶる決まりになって
いる。ベレー帽は頭をすっぽり覆ってしまうような大きな物ではなく、やや小ぶりの物
を少し斜めにちょこんと頭に載せるようになっているのだが、これにも、制服の襟元や
背中にあしらってあるのと同じ、発育別クラス分けをしめす色違いのリボンが縫い付け
てある。制服を着ているだけなら、通園バスに乗せられていても外から窓越しに見ら
れても、葉月が園児として乗っているのか、保護者として乗っているのか、それとも保
育士として乗っているのか、ぱっと見には区別がつかない。それが、頭にベレー帽を
かぶせられ、しかもそこに濃いピンクのリボンが縫い付けてあるとなると、少し離れた
所から窓越しに見られても、葉月が保護者や保育士などではなく、ひばり保育園に通
う園児、それも、一番下で手のかかる年少クラスの園児としてバスに乗っているのだ
とすぐに判断されてしまうに違いない。おしらく、信号待ちで隣の車線にバスと並んで
駐まっている車に乗っている者は、窓越しに見える葉月のことを、ひばり保育園の年
少クラスの園児だと思っていることだろう。隣の車に乗っているのが見ず知らずの人
間ならまだいいが、もしも顔見知りが乗っていたとしたら、葉月が園児のベレー帽をか
ぶっていることを訝しく思うに違いない。それがきっかけになって、自分が年少クラス
の女児として保育園に通うことになると知られたらどうしようと思うと、気が気ではない
のだった。
3120 ◆JSxcaNkD96 :2008/07/10(木) 16:43:37 ID:54L+wzk/
 最後に四つ目の理由として挙げられるのが、肩にかけさせられた通園鞄と、右手に
持たされた手提げ袋だ。どちらも鮮やかな黄色の素材でできていて、葉月の体に合
わせるため本当の園児が肩にかけたり手に提げたりしている通園鞄や手提げ袋に比
べると二回りほども大きく作った特注品ということもあって、ただでさえ目立つ黄色が
更に鮮やかに感じられる。通園鞄の中に入っているのは、園長室で園長から手渡さ
れた、『せいかつれんらくちょう』と『けんこうれんらくちょう』という文字が表紙に大きく
印刷された二冊のノートと、それらに比べると小ぶりな『えんじてちょう』というハンディ
サイズの手帳だった。『せいかつれんらくちょう』というのは、園児が家庭や保育園で
生活する中で気になるところを保育士と保護者とが互いに連絡し合うための帳面で、
忘れ物が多いみたいだから気をつけてあげてくださいといった注意喚起や、何月の何日
に個別面談をお願いしたいとか、明日は暑そうなのでタオルを余分に持たせてくださ
いとかいった細々した連絡事項のやり取りをこのノートで行うことが多い。もう一冊の
『けんこうれんらくちょう』というのは、やはり保育士と保護者との連絡に使うノートなの
だが、このノートは主に健康管理とか持病とかに関する連絡をやり取りするするため
に使うことになっている。例えば、今日は遅刻しそうになって朝食を抜いているので激
しい運動をさせる時は注意してやってくださいとか、最近は一週間ほどおねしょをせず
にすんでいるからお昼寝の時は毛布だけでも大丈夫かもしれないとか、乳歯と永久
歯との生え替わり時期になっているようなのでオヤツの後の歯磨きは念入りにさせて
ほしいとか、そういった類のことを記入するようになっている。そして葉月に手渡された
『けんこうれんらくちょう』には早々と、「七月○日(日曜日)午前十一時ごろ、おもらし
(白いおしっこ)をしてしまいました。パンツを穿き替えさせて、濡れたパンツは『おみや
げ』として持たせていますので、持ち帰ったら洗濯してあげてください。ただし、あまり
叱りすぎるとおどおどしてしまって余計におもらしの癖がついてしまうかもしれませんか
ら、なるべく優しく接してあげてください」という皐月の文字が最初のページにくっきりと
記されていた。葉月の場合、このノートを受け取って読む保護者も皐月自身ということ
になるのだが、葉月の羞恥を煽るため、わざと皐月は自分に宛ててこの文章を記入し
たのだった。そして、『えんじてちょう』というのは、中学校とか高校でいうところの生徒
手帳みたいなもので、ひばり保育園の園章が印刷された表紙をめくると、園児の写真
が貼ってあるページになり、そこには、その園児が確かにひばり保育園に在籍してい
るという証明書きと共に所属クラス名が記載されている。学割で博物館に入館する高
校生などと違って保育園児がこの手帳でどこかの入場料を割り引いてもらうということ
は少ないのだが、自治体が運営する一部の子供向け施設などの場合、地元の幼稚
園や保育園の園児は無料で入場できるといった所もあるため、外出する時は子供に
この手帳を持たせる保護者も多い。もちろん、葉月が手渡された『えんじてちょう』に
は、前もって皐月が用意しておいた皐月の顔写真が貼ってあり、その下には、『ひば
り保育園 特別年少クラス(ひよこ組) みさきはづき』という文字が記載されていた。
32名無しさん@ピンキー:2008/07/10(木) 18:02:52 ID:R5gr5u0d
オヤツがオムツに見えたw
続き期待してます
33名無しさん@ピンキー:2008/07/11(金) 00:57:22 ID:g9tmWJeq
次スレに移動してたのか(*´Д`)
3420 ◆JSxcaNkD96 :2008/07/11(金) 06:01:09 ID:YNFfZf9f
 そうして、通園鞄とは別に右手に持たされた手提げ袋。これは、プールでの水遊び
があったり楽器のお稽古があったりで、園児が保育園へ持って行く荷物が普段よりも
多くなり、通園鞄に入りきらなくなる時に使う袋だ。園長室にあらかじめ用意してあっ
た紙袋は三つとも皐月が持つことになり、葉月が手渡された物といえばノートが二冊
と手帳が一冊だけだから全て通園鞄に収めることができ、本当なら手提げ袋は空っ
ぽの筈だが、今は、そこに、恥ずかしくてたまらない物が入っていた。それこそが、健
康連絡帳に「濡れたパンツは『おみやげ』として持たせています」と記された、皐月の
手で弄ばれて遂に我慢できなくなり精液でべとべとに汚してしまったシナモロールのシ
ョーツのことだった。園児が保育園でトイレに間に合わなくて汚してしまった下着は、
原則として、丈夫なビニール袋に入れて持ち返らせることになっている。これを大半の
保育園・幼稚園の関係者のみならず母親などは『おみやげ』と呼び習わしている。こ
れが、例えば年少さんでまだおむつ離れできない園児の布おむつだと、持ち返らせる
には枚数も多いし、おもらしをしてしまうことを前提に家庭から持って来てもらった布お
むつやおむつカバーを預かることにしていることが多いため、保育園なり幼稚園なりで
洗って昼間のうちに乾かしてしまう場合が殆どなのだが、パンツおもらしに関しては、
とっくにおむつ離れできている筈の比較的年長の園児が粗相してしまった際の処置と
いうことで、教育的指導の目的もあって、おもらしの事実を園児自ら保護者にはっきり
伝えさせるためにも、園児に持ち返らせるケースが大半だ。今は『つばめ保育園で葉
月ちゃんのパンツを穿き替えさせてあげた優しい御崎先生』として振る舞っている皐
月が、マンションへ戻ると同時に、『これまで葉月の面倒をみてきた姉である皐月』に
立場を変えておみやげのパンツを見、健康連絡帳に書かれた(御崎先生としての自
分自身からの)葉月の恥ずかしい粗相に関する連絡事項を読むことになるのだ。その
時、皐月がどんな態度を取るか、それを想像するだけで葉月にしてみれば気が気で
はない。いっそこのまま手提げ袋をバスの窓から放り投げてしまいたい気分だが、そ
んなことをしたらしたで、それを口実にどんな仕打ちが待っているのかしれたものでは
ない。
3520 ◆JSxcaNkD96 :2008/07/11(金) 07:20:46 ID:YNFfZf9f
「あら、いけない」
 葉月が陰鬱な思いで窓の外に力ない視線を投げかけるのと殆ど同時に、水無月の
少し慌てたような声が聞こえた。バスと並んで駐まっていた隣の車線の車が先に行
ってしまっているところをみると、皐月とのお喋りに興じていたあまり、信号が青に変わ
ったのを見落としていたらしい。
 普段は決してそんなことはしないのだが、後ろの車にクラクションを鳴らされてはた
まらないという思いと、いつもとは違って乗客が二人しか乗っていないという気の緩み
とが重なってのことだろう、慎重な運転を心がけている水無月にしては珍しく、少しば
かり乱暴な発進になってしまった。
「あっ、と」
 一瞬、皐月の体が大きく揺れた。が、敏捷な皐月のことだ。すぐに体勢を立て直して
きちんとした姿勢で席に座り直す。
「ひゃん……」
 一方、心ここにあらずといった風情で窓の外に弱々しい視線を向けるばかりだった
葉月は、もともと体を動かすことが得意ではないというところに加えて、座席が幼児用
で背もたれが低く背中を押しつけることのできる部分が狭いということも相まって、思
いきり体をのけぞらせてしまった。そのせいで予想外に体重が移動し、だだでさえ鈍
い痛みを覚えてやまないペニスと陰嚢に、瞬間、鋭い痛みが走る。同時に、丈の短い
スカートの裾がはらりと乱れ、いやらしいお汁でべとべとに汚れたシナモロールのショ
ーツの代わりに穿き替えさせられたハローキティのショーツが三分の一ほどあらわに
なってしまった。
「やだ!」
 慌てて両手でスカートを押さえ、慣れない手つきで裾を引っ張る葉月。その時に発
した声は、自分では意識していないだろうが、どこか少女めいた羞じらいを確かに含
んでいた。
 盛んにスカートの裾を引っ張り、ショーツのみならず、少しでも腿の露出を少なくしよ
うともがきながら、葉月は、股間に妙な違和感を覚えた。いや、それは、実は、今にな
って急に覚えるようになった違和感などではなかった。本当のことをいえば、バスに
乗せられる以前から感じていたくせに、そのあまりの恥ずかしさのために意識の外に
追い出そうと努め、忘れたつもりになっていた感覚だった。それが、ペニスと陰嚢に鋭
い痛みを覚えると同時に新しいショーツがあらわになったことで、改めて意識の表面に
浮かび上がってきてしまったのだ。
3620 ◆JSxcaNkD96 :2008/07/11(金) 08:16:58 ID:YNFfZf9f
 両脚の太腿に触れ、ペニスの先を包み込むようにして、夏のこの時期、蒸れ蒸れし
た不快感さえ与える違和感の正体を、もちろん葉月は知っている。知っているのに、
気づかないふりをしていただけだ。なのに、水無月の幾らか乱暴なバスの発進のせい
で改めてそれに気づいてしまった今、園長室でのできごとが鮮やかな映像となって脳
裏によみがえってくるのを止められない――。

「出ちゃったのね、葉月ちゃん? でも、恥ずかしくなんてないんだよ。年少さんクラス
にはまだおもらしの治らない子がたくさんいるし、年中さんや年長さんでもしくじっちゃ
う子がいるんだよ。だから、明日から年少さんになる葉月ちゃんがおしっこでパンツを
濡らしちゃっても、ちっとも恥ずかしくないんだよ」
 実の姉の手で精液を搾り取られ、女児用のショーツをぬるぬるに汚して床にへたり
こんでしまった葉月。そんな当の実の姉である皐月は、それが自分の仕組んだ結果
なのだというようなことはまるで知らぬげに、面倒見のいい保育士という役を巧みに
演じつつ、自分の足元で膝と両手を床について無力にうずくまる皐月に向かって、わ
ざとらしくも気遣わしげな声をかけた。
 だが、皐月からの反応は返ってこない。感情にまかせて金切り声をあげることはお
ろか、弱々しく首を振る気配もなかった。
 けれど、まるでそんな葉月の様子を楽しんででもいるかのように、皐月は尚も
「駄目だよ、そんなにしょんぼりしてばっかじゃ。年中さんや年長さんのお兄ちゃんと
お姉ちゃんでもパンツを汚しちゃうことがあるんだもん、まだ年少さんにもなってない
葉月ちゃんがパンツを濡らしちゃっても、ちっとも変じゃないよ。無理におしっこを我慢
して病気になっちゃうくらいなら、粗相でパンツを汚しちゃう方が何倍も何万倍もいい
んだから。それに、葉月ちゃんがパンツを濡らしちゃっても、そのたびに先生や遠藤
先生や他の先生方が優しくパンツを穿き替えさせてあげるんだから。葉月ちゃん、ま
だ自分でパンツを穿けない小っちゃな子だけど、でも、心配しなくていいんだよ。先生
たちがみんなで穿き替えさせてあげて、濡らしちゃったパンツはちゃんとビニール袋
に入れたおみやげにして持たせてあげて、でもって、健康連絡帳に、葉月ちゃんは保
育園でおもらししちゃったけどあまり叱らないであげてくださいねって書いてあげる。だ
から、心配しなくていいんだよ。めそめそしなくていいんだよ」
と、表面上は慰めているかのように聞こえるくせに、その実、『おもらし』『パンツを汚し
ちゃって』『自分じゃパンツも穿けない』というような葉月の羞恥を煽ってやまないフレ
ーズを何度も繰り返し含む言葉を投げかけ、葉月のことをこれでもかと幼女扱いし続け
るのだった。
3720 ◆JSxcaNkD96 :2008/07/11(金) 13:37:34 ID:YNFfZf9f
「さ、いつまでも濡れたパンツのままだと葉月ちゃんのすべすべのお肌が真っ赤に爛
れちゃうから、ほら、たっちしようね。たっちして、新しいパンツを穿くのよ。葉月ちゃん、
園長先生がみせてくれた二枚のショーツ、どっちがいいか選べなかったよね。シナモロ
ールとハローキティ、どっちも大好きだから、どっちかを選びなさいって言われても迷っ
て選べなかったんだよね。それで、最初はシナモロールのパンツを穿かせてあげたん
だけど、そのパンツ、おもらしで汚しちゃったんだよね。だから、今度はハローキティの
パンツだよ。よかったね、葉月ちゃん。シナモロールのパンツとハローキティのパンツ、
どっちも穿けてよかったね」
 葉月は、自分でパンツを穿けないような幼児ではなく、ましてや、年少クラスの女の
子などであるわけがない。保育園に通っている児童は一人残らず葉月からみれば一
回り以上も年下の年端もゆかぬ小さな子供だ。いくら年長クラスでも、葉月のお兄ちゃ
んやお姉ちゃんでは決してない。ショーツを汚してしまったのも、我慢できずにおしっこ
を漏らしてしまってのことではなく、葉月の手でペニスをいたぶられた結果だった。な
のに、皐月は、葉月が自分では何もできない幼女で、年長クラスや年中クラスの園児
をお兄ちゃん・お姉ちゃんと呼ぶのが当たり前で、トイレを教えられずにパンツを濡らし
てしまったのよと甘ったるい声で囁きかけるのだ。
 しかも、囁きかけるだけではなく、弟とは比べものにならないほど引き締まった体で
もって葉月の体を強引に引き起こし、ショーツのウエストに指をかけてさっと引きおろ
してしまうのだった。
「くちゃい、くちゃい。葉月ちゃんが汚しちゃったパンツ、葉月ちゃんの白いおしっこの
匂いでくちゃいくちゃいになっちゃってるよ。可愛い女の子がいつまでもこんなパンツ
を穿いてちゃ可哀想だもん、早く新しいパンツを穿こうね。あ、でも、その前に、お股に
ついてるおしっこの滴を綺麗綺麗してあげなきゃいけないね。でないと、せっかく新し
いパンツを穿かせてあげても、お肌に残っているおしっこでまた汚しちゃうもん」
 床に膝立ちになった皐月は、脱がせたばかりのショーツの匂いを嗅ぐふりをしてみ
せ、葉月の羞恥を存分に煽ってから、すっと顔を上げて、スカートの裾から覗く葉月の
股間に目をやった。
 と、葉月のペニスの先からとろりと滴り落ちる薄く白濁した雫が皐月の目に映った。
 まだ尿道の中に残っていた精液がペニスの先端からじくりと溢れ出し、うっすらと白
い雫になって垂れ落ちているのだ。
3820 ◆JSxcaNkD96 :2008/07/11(金) 15:26:02 ID:YNFfZf9f
「タックのせいね、きっと」
 床に膝をついた皐月と目の高さを合わせて膝を折った園長が、一目で事情を見て取
ったらしく、面白そうな口調で言った。
「タックの……?」
「精液っていうのはおしっこなんかよりもずっと粘りけがあるから、本人は全部出しきっ
たつもりになっていても、後から溢れ出してくることが少なくないのよ。普通でもそうな
のに、葉月ちゃんのおちんちんは私が後ろ向けに折り曲げて固定しちゃったから、精
液の通り道が狭くなって、いつもみたいに勢いよく出せなくなっているってわけ。だか
ら、イっちゃった後、じわじわ時間をかけてじくじく溢れ出てくるのよ。精液の通り道が
どれくらい細くなっているかにもよるけど、全部出しきっちゃうにはかなり時間がかかる
んじゃないかな」
 ふと要領を得ない表情を浮かべて聞き返す皐月に向かって、園長は、しゃがむ場所
を少しずつ変えて葉月の股間をいろいろな方向から見上げ、ペニスの先端からやむこ
となく滴り続ける精液の様子を確認しながら言った。
「あ、そういうことですか」
 園長の説明に納得の表情を浮かべる皐月。それが、すぐに、困ったような顔になっ
たのだが、いかにも取って付けたような表情なのは否めない。しかも、
「でも、そうだとすると、お尻拭きでいくら綺麗に拭き取ってあげても、きりがありませ
んね。どうしよう、いつになったら出しきっちゃうかわからないから、新しいパンツを穿
かせてあげられない」
と困り顔で言ったのはほんの短い間で、じきにまた悪戯めいた顔つきに変わったかと
思うと、腰に付けていたポーチの蓋を開いて中の様子を探りながら
「じゃ、仕方ないから、これを貸してあげようかな。いつも念のためにと思って持ってる
んだけど、まさか、こんな形で役に立つとは思わなかったわ」
と、独り言というにはいささか大きな声で呟いた後、三つ折りになった生理用ナプキン
を取り出すのだった。
 それを見た葉月はぎょっとしたように両目を大きく見開き、弱々しく首を振って身を退
きかけるのだが、引きおろされたばかりのショーツがまだ両脚の足首に絡みついてい
て、自分のペニスからじくじくと溢れ出る精液の雫がそのショーツの上に滴り落ち、吸
水性のいい生地にシミをつくっていることに気がつくと、このまま下手に動いて精液を
園長室の絨毯の上にこぼしてしまったりしたら、それを口実に二人からまたどんな『お
仕置き』をされるかしれたものではないと怯えが先に立って、まるで身動きが取れなく
なってしまう。
39名無しさん@ピンキー:2008/07/11(金) 20:32:22 ID:JicoFCdk
タックの漏尿・漏(精)液は女装のロマンですね
ナプキンだけと言わずクロッチも沢山汚して
辱めてやって下さい
GJ!
4020 ◆JSxcaNkD96 :2008/07/12(土) 06:16:23 ID:0yZZEy7a
「はい、おとなしくしていようね。勝手に動き回って綺麗な絨毯を汚しちゃ駄目よ。新し
いパンツを穿けるよう先生がちゃんとしてあげるからじっとしていてね」
 皐月は葉月の胸の内を見透かしたかのように言って、身をすくめる弟のすぐ後ろに
立ち、小刻みに震える両脚の間、もうすっかり萎え縮こまってしまいながらも絶えず精
液の白い雫を滴らせているペニスの先があるあたりに、封を解いたナプキンを押し当
てた。
 男物のトランクスは勿論のこと、女児用のショーツとも異なる、さらっとしているのに
ねっとりとまとわりついてくるような独特の感触に、葉月の背中がぞくりと震える。
「じゃ、ナプキンが落ちないよう押さえてくれている御崎先生の代わりに私がパンツを
穿き替えさせてあげるわね。ううん、心配することなんてないのよ。葉月ちゃんは本当
は男の子で、明日からは女の子でも年少さんだから、こんなナプキンを使ったことなん
てないわよね。でも、大丈夫。御崎先生と私とでちゃんとしてあげる。それに、使い方
も丁寧に教えてあげるわね。葉月ちゃんが一人できちんとナプキンをショーツに重ね
て穿けるようになるまで、手取り足取り教えてあげる。今はまだ小っちゃな年少さんの
葉月ちゃんも、いつかは、毎月ナプキンのお世話になるお姉ちゃんに成長するのよ。
その時になって困らないよう、ちゃんと教えてあげるからね」
 お尻の方にまわりこんだ皐月の代わりに、いつのまにか園長が葉月の目の前に膝
をついていた。そうして、下腹部を屈辱の感触に包まれて力なく顔を伏せる葉月の潤
んだ瞳を真下から見上げつつ、足首に絡まったままになっているシナモロールのショ
ーツを手際よく脱がせてしまった。このあたりは、今は管理職的な立場にありながらも
日ごろから小さな子供に接してあれこれと面倒をみていることもあり、実際の園児と比
べて随分と体の大きな葉月が相手でも手慣れたものだ。
「さ、次は新しいパンツを穿くのよ。はじめは右のあんよね、そうそう、お箸を持つお手
々の方よって御崎先生に教えてもらったから葉月ちゃんにもわかるよね。はい、お箸
の方のあんよを上げて――うん、お上手よ。じゃ、次はお茶碗を持つ方よ。そうそう、
本当に葉月ちゃんはお利口さんだわ。これなら、すぐに、年少さんのお友達だけと仲
良しなれるし、年中や年長のお兄ちゃん・お姉ちゃんにも可愛がってもらえそうね」
41名無しさん@ピンキー:2008/07/12(土) 08:01:25 ID:HGOWWBDB
ナプキンは先に半脱ぎのぱんつに貼り付けて使うんだよ?
42名無しさん@ピンキー:2008/07/12(土) 08:04:00 ID:0yZZEy7a
 ちょっと聞いただけではとても優しそうなくせに、その中に、自分の言葉に逆らうこと
は絶対に許さないという威圧的なトーンを含んだ声で園長は葉月に話しかけながら、
シナモロールのショーツを脱がせた時と同様に手慣れた手つきでハローキティのショー
ツを穿かせ、股ぐりのゴムが太腿に食い込むようになるあたりまでさっと引き上げた。
 と同時に、皐月が、葉月の股間に押し当てているナプキンの外側に付いている粘着
テープを覆うシールを剥がして、相変わらずペニスの先からとろとろと滴り落ちてくる精
液をこぼさないよう注意を払いながらそろりと手をおろし、ナプキンをショーツのクロッチ
に重ねた。
「わかったわね、葉月ちゃん? こういうナプキンの外側には粘着テープが付いていて、
それでパンツとくっつくようになっているの。こうしておけば、普通に体を動かしたくらい
じゃナプキンがずれたりしないから安心なのよ。でも、それだけだとちょっと心配かもし
れないから、ほら、こうして――」
 園長は、優しくも威厳のある声で簡単に説明し、皐月に目で合図を送った。
 それを受けた皐月が軽く頷いて、ショーツのクロッチに粘着テープで固定したナプキ
ンの左右に広がっている羽根を、ショーツのクロッチ部分を両側から抱え込むような
形に折り曲げてみせた。
「ね、こうしておけば、とっても安心でしょ? 体を動かしたりパンツを上げ下げしたりし
ても、これで、まず大丈夫よ。ただ、激しい運動をしたりするとナプキンが体の動きにつ
いてこれなくなってヨレたりしちゃうから、ナプキンを使っている時は恥ずかしがらずに
先生にちゃんと相談しなきゃ駄目よ。お友達にひやかされたらどうしようとか思って黙
ったまま体操をしてナプキンがずれたりしたら、パンツを汚しちゃって、もっと恥ずかし
い目に遭うことになるんだから」
 皐月がナプキンのずれを細かく調整し終わるのを待って、園長はすっとその場に立
ち上がって言った。そうして、葉月のうなじにほんのりと朱がさす様子を面白そうに眺
めながら
「あらあら、なんだか、大人の体になってナプキンを使い始めることになったお姉ちゃ
んに言うようなことを葉月ちゃんに話しちゃったわね。ま、いつかは必要になることだ
から前もってと思ったんだけど、考えてみたら、年少さんの葉月ちゃんにはさすがにま
だ早すぎたわね。そうよね、葉月ちゃんたら、きょとんとしたお顔なんてしちゃって。い
いわ、まだちゃんと憶えなくていい。葉月ちゃんはまだ自分でパンツも穿けないような
小っちゃな女の子だもん、ナプキンを使う時も、御崎先生や遠藤先生にちゃんとしても
らえばいいのよね。私から遠藤先生にお願いしておいてあげるから心配しないでね。
今度から受け持ってもらうことになった御崎葉月ちゃんはちょっと事情があって小さい
うちからナプキンのお世話にならなきゃいけないから、ちゃんと面倒をみてあげてくだ
さいねってお願いしておいてあげるから」
と付け加える。

4320 ◆JSxcaNkD96 :2008/07/12(土) 08:07:10 ID:0yZZEy7a
>>41
 葉月タンのおちんちんからこぼれる白いおしっこが
床に落ちないようにする配慮ということで、先におち
んちんに押し当てることにしました
 ご了承くらはい
44名無しさん@ピンキー:2008/07/12(土) 08:50:12 ID:HGOWWBDB
>>43
はわっ!?レスどうもです。余計なお世話でした、ごめんなさい。
腐wなんで前作を拝見してからいつも楽しみにしてます。がんばってください。
4520 ◆JSxcaNkD96 :2008/07/12(土) 10:09:05 ID:0yZZEy7a
>>44
 こちこらこそどうもです
 ヲタさん腐さん共々にご満足いただけるようなSSを
目指す所存でございますので、これからもご贔屓に
願いますww

 ということで、何事もなかったかのように再開
 ↓
4620 ◆JSxcaNkD96 :2008/07/12(土) 10:09:26 ID:0yZZEy7a
 ナプキンを着ける手順をわざわざ園長が説明したのは、実は、葉月に使い方を教え
るためなどではない。男子大学生である身にはまるで無縁の生理用品を着用させ、
その手順をあれこれと説明することで、葉月の羞恥をくすぐるのが目的だった。そんな
園長の狙い通り、葉月は屈辱にまみれた表情を浮かべながらも、いいしれぬ羞恥と
倒錯感とに顔を真っ赤に上気させ、うなじをピンクに染めていた。その姿に、園長の胸
が妖しくざわき出す。

 ――脳裏によみがえった園長室での一連の映像に葉月は下唇を噛みしめ、スカー
トの裾から覗いている腿の上に置いた掌をぎゅっと拳に握りしめて、股間から伝わっ
てくる恥ずかしい違和感に耐えるしかなかった。
 おずおずと落とす視線の先に、黄色の通園靴があった。履いているのは、勿論、葉
月自身だ。この通園靴も、園長室を出る寸前に、ピンクのリボンが付いた帽子をかぶ
せられ、連絡帳と園児手帳を入れた通園鞄を肩にかけさせられ、ビニール袋に押し込
んだ濡れたショーツをおみやげとして入れた手提げ袋を持たされた時に一緒に履かさ
れた、十八歳の男の子である葉月を年少クラスの女児に変身させるための羞恥溢れ
るグッズに他ならなかった。通園鞄や手提げ袋と同じ鮮やかな黄色は、本来は夕暮
れの下園時に車や自転車を運転している者からの視認性を高めて園児が安全に歩
けるようにという配慮で選ばれた色だが、本当は大学生の葉月にとっては、まわりの
者からの庇護がなければ通園もままならない園児とまるで同じに扱われているという
事実を改めて思い知らされる屈辱の色だし、雨に濡れても大丈夫なようにと選ばれた
ビニール素材も、それが、雨上がりの水溜まりをみつけたらたまらずに水遊びをしてし
まうがんぜない幼児と同様に自分が扱われているのだと無言のうちに物語っている
ように思えてならない。更に、靴の甲のところがスナップ留めのベルトになっているの
も、自分では満足に靴の脱ぎ履きさえできない幼い子供にふさわしいつくりで、尚の
こと屈辱と羞恥が煽りたてられる。

「随分、女の子らしい仕草が板についてきたじゃない。黄色い声で悲鳴をあげながら
スカートの裾を押さえるところなんて、そこいらの小学生や中学生の女の子より可愛
らしい仕草だったんじゃないかな。ま、もっとも、小学校や中学校の女の子なんて、成
長期のまん中だし、日焼けも気にしないで走り回るしで、男の子とあまり変わらないか
ら、気の弱い葉月ちゃんの方が控えめでおとなくして可愛らしいのは当たり前かもし
れないけどね。それに、それよりも小さな幼稚園や保育園の女の子っていえば、恥ず
かしいって感覚そのものをまだ持ち合わせてないから、少しくらいスカートが捲れ上が
っても平気で、とてもじゃないけど葉月ちゃんみたいな可憐な羞じらいの表情なんて
見せないもん。そりゃ、実の姉としての身贔屓を差し引いても、まわりのどんな女の子
よりも葉月ちゃんが一番女の子らしいってもんだよね。こんなに可愛い男の娘を妹に
持てるなんて、姉冥利につきるわね、ほんと」
4720 ◆JSxcaNkD96 :2008/07/12(土) 14:30:52 ID:0yZZEy7a
 重っ苦しい溜息をつきそうになる葉月の耳元に囁きかける声があった。もちろん、皐
月だ。実の弟をこんな目に遭わせて嬉しそうに声を弾ませる者が皐月の他にいるわ
けがない。
「……」
 それに対して葉月は、さっきから噛みしめている下唇を更に強く噛みしめるばかりだ。
「せっかく褒めてあげてるのに、そんな顔しちゃ駄目じゃない、葉月ちゃん。せっかくの
形のいい唇が切れて血が出てきちゃうわよ」
 視線を落とし無言で唇を噛みしめる葉月に向かって、変わらず声を弾ませて皐月が
言う。
「……姉さんのせいだ。姉さんのせいで、僕、僕……」
 葉月が恨めしげにぽつりと言った。だが、その後は涙で言葉が続かない。これまで、
あまりの羞恥と屈辱のせいで自分の身に起こっている異様な出来事がどこか遠い世
界のことのように思えていたのが、次第次第にそれが実際に自分の身に降りかかっ
ている悪夢じみた事実だと実感せざるを得なくなってきたのだろう。
 けれど、実の弟に表現しようのない羞恥と屈辱を与えた当の本人である皐月は澄ま
したものだ。ごめんなさいの一言を口にするわけでもなく、まるで自分が受け持ってい
るクラスの中の機嫌が悪い園児をあやすみたいに
「あらあら、葉月ちゃんは何をそんなにむずがっているのかしら。お腹が空いちゃった
のかな、それとも、お喉が渇いたのかしら。ううん、ひょっとしたら、おねむなのかもし
れないわね。あ、お腹が痛いのかな、ひょっとして、上手にあんよができないのが悔し
いのかしら。さ、どうしたのかな? どうしてほしいか先生にちゃんと教えてちょうだい」
と言って、よしよしと頭を撫でるばかりで、葉月に対する子供扱いを決してやめようとは
しなかった。

                     * * *

 保育園から皐月のマンションまで、保育園の送迎バスで二十分間ほどしかかからな
かったが、路線バスだと、乗り換えが必要になって、そのの時間も含めると、倍以上
の五十分間はかかることになる。皐月は通勤のために毎日のように路線バスに乗っ
ているわけで、それが、葉月の送迎のために水無月が運転する送迎バスがマンショ
ンの前まで来てくれて、それに便乗させてもらえることになっているから、明日からの
通勤は時間だけを考えれば楽になりそうに思える。しかし、その代わり、葉月を迎えに
来るのが送迎ルートの一番目のルートになっているから今までよりも早く起きなけれ
ばならない上、車内で子供たちの面倒みる送迎バス添乗係を毎日こなさなければな
らないから、結局のところ、どちらかといえば損な役回りを引き受けたことになるかもし
れない。
48名無しさん@ピンキー:2008/07/12(土) 14:47:58 ID:fCj9/lRs
>47の最後のところは皐月のことですよね?
4920 ◆JSxcaNkD96 :2008/07/12(土) 17:21:42 ID:0yZZEy7a
>>48
 ”葉月を迎えに来るのが送迎ルートの一番目の”の箇
所のことでしょうか?
 もしもそれだとすると、お迎えの主役はあくまでも葉月
ということになっているから、この文章の名前の部分も
皐月ではなく葉月でいいかなと思うのですが……

 ただ、最初からざっと読み返してみたところ、皐月と葉
月の記述がごっちゃになっている箇所がわりとあるみた
いです。それに、それとは別の誤字・脱字・重複もかなり
みつかりました。もう今さら訂正もできませんし、今後の
誤字脱字も含めて、みなさんの脳内補正のほど、よろし
くお願いします
5020 ◆JSxcaNkD96 :2008/07/12(土) 17:22:15 ID:0yZZEy7a
 とはいえ、可愛くて可愛くてたまらない弟が更に(倒錯的な)可愛い格好をしてバス
に乗っているところにずっと一緒に居合わせることができるわけだし、バスの中で他
の子供たちとどんなふうに時間を過ごすのかを眺めていられるわけだから、皐月にと
っては、単純な損得にかえられない役得ということもできる。
 そして皐月は、そんな”役得”の旨味を早くも得ようとしていた。

「――というわけで、園長先生のお許しもいただいていますから、水無月さん、ここで
待っていてくださいね。なるべく早く戻ってきますし、ここならバスのエンジンをかけて
エアコンをかけたままにしていても周りから苦情を言われるようなことはありませんか
ら」
 皐月が水無月に道順を案内してバスを駐めさせたのは、マンションの前を少し行き
過ぎた所にある空き地の一角だった。ひばり保育園や皐月のマンションがある街は、
中心付近こそ賑わっているが、街の中心部から少し離れると急に寂しくなって田園風
景が広がるといった典型的な地方小都市で、皐月の住むマンションが建っているあた
りでも、あちらこちらに造成途中の(あるいは、造成が放棄された)空き地が点在して
いる。皐月はバスをそんな空き地の一つに誘導し、ここで葉月と一緒におりることにし
たのだ。普段の送迎ならマンションのすぐ前でバスを駐めてもらえばいいのだが、二
人でバスをおりた後、マンションで着替えて、また再びバスに乗ることになっているか
ら、その間を水無月に待ってもらうために、長いことバスを駐めていても差し支えない
空き地までわざわざ誘導したというわけだ。
 保育園のバスをプライベートで使うことに関して、皐月が水無月に言った通り、既に
園長の許可は貰っている。面談を終えた二人を送迎バスでマンションまで送るよう園
長が水無月に指示した時に皐月は既にそれとなく申し入れをしておいたし、ついさっき
も、葉月が唇を噛めたまま涙をこぼし続けている間に携帯電話で園長に許可の再確
認したところだ。皐月が園長から許しを得ているのは、皐月と園長とのやり取りをそれ
となく耳にしていたから、言われるまでもなく水無月も充分に承知しているものの、葉
月と共に着替えを終えて再びバスに乗り込んだ皐月がどこへ行こうとしているのか、
それはまだ知らされていなかった。
51名無しさん@ピンキー:2008/07/12(土) 23:47:58 ID:+wkDXG7h
>>50
どこへ行くのかな…まさか…地獄行きかな(葉月にとって)…
5220 ◆JSxcaNkD96 :2008/07/14(月) 05:37:36 ID:1cNHk541
 そして、勿論のこと、それを知らされていないのは葉月も同じ。
 ただ、葉月にとっては、これからまだどこかへ連れて行かれることになりそうだという
ことよりも、もっと切羽詰まった、考えるだけで目の前が真っ暗になりそうな試練が目
の前に迫っていた。
「え……? こ、ここから歩くの!?」
 葉月は、さんざ泣きはらしたのにまだ諦めきれないのか(ま、そうそう簡単に観念で
きるわけがないのが普通だけど)尚も涙で潤む瞳をきょときょとさせ、涙の雫が残る長
い睫をしばたたかせて、身軽に座席から立ち上がる皐月の顔を見上げた。
「あらあら、なんて顔してんのよ、葉月ちゃんてば。歩くったって、ここからお家まで五
分もかからないのよ。それくらい、あんよの苦手な葉月ちゃんでも大丈夫でしょ? さ、
お手々をつないであげるから、元気にあんよでお家に帰りましょ」
 葉月が怯えの表情を浮かべているのは、この空き地からマンションまでちゃんと歩
き通せるかどうかを心配しているのではなく、その間に誰かの目に自分の恥ずかしい
姿をさらしはしないかという不安からだった。言うまでもなく、そんなことは皐月も充分
にわかっている。わかっていながら、わざとそんなふうに言って葉月の反応を楽しんで
いるにすぎない。
「でも……でも……」
「ほら、さっさとなさい。もうそろそろお昼なんだし、いつまでも水無月さんに待っていて
もらうわけにいかないのよ。いい子だから、さ、立っちして」
 差席の肘掛けにしがみつこうとする葉月の手首をつかみ、少し強い調子で皐月は言
った。
「や、やだ。……痛いから離してよ、御崎先生」
 座席から引き離されまいとして身を固くし、葉月は、今にも消え入りそうな声で訴え
かけた。
 けれど、体格にも体力にも明らかな差がある悲しさ、葉月の体はいとも簡単に座席
から引き剥がされ、皐月のすぐ横に立たされてしまう。
5320 ◆JSxcaNkD96 :2008/07/14(月) 06:31:57 ID:1cNHk541
「はい、それでいいのよ。ちゃんと立っちできて、本当に葉月ちゃんはお利口さんだわ」
 皐月は、自分の手で強引に葉月を立たせておきながら、さも、自ら言いつけを守った
園児を褒めそやすように言った後、わざと大げさな仕草で大きく頷いてみせながら、い
かにも感心したといった口調で付け加えた。
「それに、私のこと、ちゃん『御崎先生』って呼べるようになったしね。やっと、ひばり保
育園の年少さんとしての自覚ができてきたのかな。うん、いい子いい子」
 葉月の頬がさっと紅潮する。
 そんな葉月の様子を面白そうに眺めながら、皐月は尚も幼児をあやすように続けた。
「でも、もうバスをおりてお家に帰るんだから、『先生』って呼ばなくてもいいのよ。もう
お家だから、いつもと同じように『姉さん』でいいわ」
 が、そこまで言って皐月は意味ありげに少し間を置き、皐月の言葉が途切れたこと
どこか不安そうな表情を浮かべる葉月の顔を正面から覗き込んだ。
「あ、だけど、『姉さん』じゃ、いかにも男の子っぽい呼び方よね。葉月ちゃんは可愛い
女の子だもん、『お姉ちゃん』っていう呼び方の方がいいかな。ううん、けど、それだと
ありきたりよね。どんな呼び方がいいかなぁ。――うん、そうそう。『お姉ちゃま』がいい
わね。年の離れた甘えんぼうの妹がお姉さんを呼ぶ時って、そんなふうに呼ぶのがお
似合いよね。うん、『お姉ちゃま』にしましょう。いいわね。葉月ちゃん。私のこと、保育
園じゃ『御崎先生』で、お家じゃ『お姉ちゃま』って呼ぶのよ。わかったわね? じゃ、
試しに呼んでみようか。さ、『お姉ちゃま』って呼んでごらん」
 けれど、腰に手の甲を押し当ててそう迫る皐月に対して葉月は唇を噛むばかりだ。
頬を羞恥に染めたまま弱々しく首を振る。
「あら、葉月ちゃんはお利口さんねって褒めてあげたところなのに、本当はそうじゃな
かったのかな。へーえ、葉月ちゃん、本当は聞き分けのわるい困ったちゃんだったん
だ。ふぅん、そうなんだ」
 無言を押し通す葉月の瞳を見据えて皐月は片方の眉をぴくんと吊り上げ、ふんと鼻
を鳴らした。
「そんなに聞き分けの悪い子には、幾ら言って聞かせても無駄よね。言葉で言っても
わからない子には、体に教えてあげないといけないんだよね。いいわ、お家に帰って
も、お部屋には入れてあげません。聞き分けの悪い困ったちゃんを入れてあげるお部
屋なんてありません。葉月ちゃんみたいな子は、お家の外に立っているといいわ。困
ったちゃんには、お外に立って反省するのがお似合いよ」
5420 ◆JSxcaNkD96 :2008/07/14(月) 07:04:42 ID:1cNHk541
「そ、そんな……」
 皐月の言葉に、ようやくのこと葉月が口を開く。
 けれど、皐月は容赦しない。少しばかり嘲りを含んだ声で
「お外に立たされている葉月ちゃんを見て、たくさんの人が心配そうに話しかけてきて
くれるでしょうね。可愛い女の子が保育園の鞄を肩にかけたままお外に立たされてる
んだもの、みんな心配してくれるでしょうね。たくさんの人が『どうしたの? どうして、
こんな所に立たされてるの?』って訊いてくれるでしょうね。でもって、その内の何人
かは、こんな所に立たされてるのがどこの子なのか調べようとして鞄の中を見たり手
提げ鞄の中を見たるするかもしれないわね。それで、鞄の中から『みさきはづき』って
名前の書いてある園児手帳をみつけて、手提げ袋の中からは、おみやげのパンツを
みつけてくれるかな。そしたら、みんな、納得するよね。ああ、ひばり保育園で保育士
をしてる御崎先生のとこの葉月ちゃんがおもらしでパンツを濡らしちゃって、それで、
そのお仕置きにお外に立たされてるのねって、きっと納得するよね。よかったね、葉
月ちゃん。そしたら、誰かにお部屋の中まで連れて来てもらえるかもしれないよ。私も
一緒に謝ってあげるから、さ、お部屋に入ってお姉さんにごめんなさいしようねって、
誰かがお家の中まで一緒について来てくれるかもしれないよ」
と、葉月のことを脅しあげる。
 葉月の脳裏に、パステルピンクのセーラーワンピースを着て肩に黄色の通園鞄をか
け、大きなシミのついた女児用ショーツの入った手提げ袋を持ってマンションの外に呆
然と佇む自分の姿が浮かび上がった。そして、そんな自分を取り囲んで口々に何やら
言葉を交わす大勢の人々。
5520 ◆JSxcaNkD96 :2008/07/14(月) 07:48:02 ID:1cNHk541
「どうするの、葉月ちゃん? 誰か親切な人が一緒に謝ってくれるまで待つ? それと
も、ごめんなさいって一人で言える?」
 皐月は、葉月の顎先に人差指をかけ、くいっと引き上げた。
「……ご、ごめんなさい。僕……わ、私、いい子にする。言いつけを守るから、お外に
なんて立たせないで……」
 そう言うしか葉月にはなかった。
「うふふ。ちゃんと、ごめんなさいできたわね。それに、自分のことも『わたし』って言え
るし、やっぱり葉月ちゃんは聞き分けのいいお利口さんだったのよね。葉月ちゃんが
困ったちゃんだなんて、私の思い違いだったのよね。じゃ、ちゃんと呼んでちょうだい。
私のこと、どう呼べばいいんだっけ? お利口さんの葉月ちゃんはもう呼び間違ったり
しないよね」
 強引に顔を上げさせられ目だけを動かして視線をそらす葉月に、嵩にかかって皐月
は言った。
「……ごめんなさい、お姉ちゃま。わ、私、お姉ちゃまの言いつけを破ったりしません。
だから……だから、お外に立たせないで……」
「駄目よ、ちゃんとお姉ちゃまの目を見てお願いしなきゃ駄目。心からごめんなさいす
る気があるなら、お姉ちゃまの目を真っ直ぐ見なさい」
 蚊の鳴くような声で哀願する葉月の顎先を尚も自分の方に引き寄せながら皐月は
軽く首を振り、ふと何かを思いついたのか、含み笑いを漏らして言った。
「ああ、それと、自分のことは『葉月』って呼ぶようにした方がいいわね。自分のことを
『わたし』って呼ぶようになるのは小学生くらいのお姉ちゃんからで、小っちゃい女の
子は自分のこと、下の名前で呼ぶことが多いもの。いいわね? 葉月ちゃん本人の呼
び方と私の呼び方、両方に気をつけながら、どうして欲しいかお願いするのよ」
5620 ◆JSxcaNkD96 :2008/07/14(月) 08:25:52 ID:1cNHk541
「……」
「どうしたの? 葉月ちゃん、やっぱり、聞き分けの悪い困ったちゃんだったのかな?
誰かと一緒じゃなきゃお姉ちゃまにごめんなさいできない聞き分けのない子だったの
かな?」
 皐月の瞳が妖しく輝いた。
 その光に射すくめられたかのように、葉月が身を固くして、ようようのこと口を開く。
「……は、葉月、お姉ちゃまの言いつけをちゃんと守ります。ごめんなさい、はづ……
葉月、困ったちゃんなんかじゃありません。葉月、いい子にします。だから、お願い。
葉月のこと、お外に立たせないで、お願いだから、お姉ちゃまぁ……」
 最後の方は、それこそ本当の保育園児が母親に許しを請うてでもいるみたいな、ど
こか甘えたような涙声になってしまう葉月。
「うん、わかった。ちゃんとごめんなさいもできたから、葉月ちゃんのお願いを聞いてあ
げる。お願いを聞いて、お外に立たせるのは無しにしてあげる。だから、お家に帰りま
しょう。お家に帰ってお着替えをして、またバスに乗っていい所へ行こうね」
 皐月はようやく納得したように、葉月の顎先を持ち上げていた手をおろし、背中をぽ
んぽんと優しく叩きながら、慈母の顔になって言った。
 けれど、少しばかり意地悪な慈母なのは否めない。

                    * * *

 バスを駐めた空き地からマンションまで、葉月にとっては幸いなことに(逆に皐月に
とっては幾らか物足りないことに)、誰にも会わずにすんだ。目の前が田園地帯という
ことでもともと住人の数も多くはない上、暑い盛りの日曜日の正午ということで、農作
業や買い物で外出していた人々も、残らず自宅に戻っている頃だというのが皐月に幸
いしたのだろう。
 だが、道路から少し入り込んだ所に建っているマンションの専用通路に、葉月が安
堵の溜息をかんばかりにして足を踏み入れた瞬間、涼しげな水音と共に、若い女性の
声が飛んできた。
57名無しさん@ピンキー:2008/07/14(月) 09:07:21 ID:VmUaB6Nl
葉月は幸せものだなぁ…
代われるものなら代わりたいww
5820 ◆JSxcaNkD96 :2008/07/14(月) 10:34:06 ID:1cNHk541
「今お帰りになられたんですね。九時ごろでしたっけ、弟さんと一緒にお出かけになる
ところをお見かけしたんですけど、それから、もうお昼なのに帰ってこられないから、ど
うしたのかなと思っていたんです」
 木立にホースで水をやりながらそう話しかけてきたのは、皐月と葉月が一緒に暮ら
しているマンションの管理を任されている若い女性だった。皐月が借りているのは、
一応はマンションということになっているものの、見るからに古ぼけた建物で、玄関ド
アがオートロックになっているわけでもなく防犯カメラが設置してあるわけでもない、
人の出入りは管理人がそれとなく目でチェックする仕組みになっているという、いささ
か時代遅れの賃貸アパートみたいな名前ばかりの”メゾン”だった。そして、その若い
女性こそが、愛犬と共にマンションに住み込んでいる、O無K子という名前の、少しば
かり天然ぼけの入った管理人というわけだ。
 若い女性の管理人は、水道の水を止め、ホースを地面に置くと、にこやかな笑顔の
中に少し心配そうな表情を浮かべて続けた。
「日曜日でお仕事はお休みの筈なのに、御崎さんはお仕事の時によく着てらっしゃる
ジャージでお出かけでしたし、大学で初等教育科に在籍してらっしゃると聞いている
弟さんも少し堅苦しい格好をして御一緒だしで、ひょっとすると勤め先の保育園で何
かあったのかなと心配してしまいました。でも、もうお帰りになられたところを見ると、
問題は片付いたのでしょうか? ――それとも、保育園から子供を連れて帰ってこら
れたところを見ると、この子のことでまだ何かあるのでしょうか? それに、弟さんは
御一緒じゃありませんのね。連れもって出かけられた後、どこかで別々になられたの
ですか?」
 どこかのほほんとした口調で話しかける管理人だが、「この子」といって首をかしげ
てみせた相手の園児こそが皐月の弟その人だと気づいていないのは、天然ぼけの
せいばかりではなかった。出かける時には面接に備えてぱりっとした格好をしていた
のが、帰ってきた時には保育園の女児用の制服に身を包まれているのだから、それ
を葉月だと気づく方がおかしいくらいだ。
「うふふ。管理人さんたら、まだ気がつかないんですか。弟も一緒ですよ。ほら、この
通り、目の前に」
 首をかしげる管理人に向かって皐月は悪戯っぽく目を細めて言い、水音が聞こえる
と同時に自分の背後にまわりこんで身をひそめた葉月を、管理人の目の前に押しや
った。
5920 ◆JSxcaNkD96 :2008/07/14(月) 11:40:29 ID:1cNHk541
「え……!?」
 皐月が何を言っているのか最初はわからなかった管理人だが、通園帽をちょこんと
頭に載せた丸っこい童顔に目を凝らし、それがよく見知った顔だとわかると、何度か
瞼をしばたたかせてから、感に堪えないといった声で言った。
「あらあら、まぁまぁ。本当に弟さんだわ。何か事情があって、御崎さんが保育園で預
かっている子供を連れて帰ってきたのだとばかり思っていたのに、それが御崎さんの
弟さんだったなんて。あらあら、うふふ。でも、とってもお似合いだこと。お出かけの時
に見た堅苦しい格好よりも、こっちの方がお似合いですね、弟さんには。――あ、ご
めなんさい、失礼なことを言っちゃったかしら。でも、本当にお似合いなんですもの」
 体を前に押しやられ、恥ずかしい姿を管理人にじろじろ眺めまわされた葉月は、恨
みがましい目つきで皐月の顔を振り仰いだ。が、その姿が、まるで幼児が拗ねたよう
な目で若い母親の顔を見上げているみたいで、何事もあまり深く考え込まない管理
人としては、ついつい、くすくす笑いをこらえきれなくなってしまう。
 男子大学生が保育園の制服、それも女の子用のセーラーワンピを着ているのだか
ら、普通なら驚きが先に立って然るべきだ。が、そんな常識、この管理人にはまるで
通じない。更に付け加えて言うと、管理人だけではなく、皐月や葉月以外の住人も似
たりよったりで、類は友を呼ぶというか、この管理人にしてこの住人ありというか、とに
かく、皐月たちが住んでいるマンションにいるのは、たとえば管理人に一目惚れをして
日がら「管理人さーん、好きじゃ〜」と叫び続けている貧乏大学生や、たとえばトレン
チコートに身を包んだ姿でマンションの壁に穴を開けているばかりの正体不明の中年
男や、たとえば昼間から色っぽいネグリジェ姿で部屋や廊下をうろついている安スナ
ックのホステスやといったわけわかんねーやという者たちばかりだった。もっとも、そ
のおかげで、十八歳の男子大学生が保育園児の格好をして帰ってきても訝しむ者な
ど一人もいないというのが、葉月にとっては唯一の救いだと言えなくもない。
「幼稚園の教諭や保育園の保育士の資格を取るためには保育実習が必要なんです
けど、それを前もって、子供の視線から経験させてあげようと思って、明日から弟をう
ちの保育園に通わせることにしたんです。これから当分こんな格好でいますけど、機
会があったら可愛がってやってください」
 もう何年もこのマンションに住んでいて管理人の人柄を熟知している皐月は、ことも
なげにそう言い、にやりと笑ってみせるばかりだった。

「というわけだから、マンションに住んでいる他の人のことは気にしなくていいのよ、葉
月ちゃん。葉月ちゃんがどんな格好をしていても変に思う人は一人もいないから」
 管理人と挨拶を交わして自分の部屋に戻った皐月は、他の住人の目を意識してお
どおどし続ける葉月に向かって励ますように言った。
6020 ◆JSxcaNkD96 :2008/07/14(月) 14:49:30 ID:1cNHk541
 が、皐月が口にした『どんな格好をしても』という言葉が、励ますどころか、葉月をま
すます不安にさせてやまない。
「で、でも……もういいんだよね? もう、着替えていいんだよね?」
 葉月はそんな不安を強引に押し隠し、誰にも見られていないことを確認するかのよ
うに、皐月が閉じた玄関ドアにちらと視線を走らせてから、玄関のあがりがまちにお
尻をおろして通園靴を手早く脱ぎながら、皐月の顔を見上げて念を押した。
 葉月の願いはたった一つ。一刻も早くこの羞恥に満ちた衣類を脱ぎ捨てて自分の
洋服に着替えることだ。雇用契約書にサインをしてしまっから両親に迷惑をかけない
ようにするためには園長に命じられるまま明日から園児として保育園に通うしかない
が、とりあえず、今から今日が終わるまでの僅かな間だけでも大学生としての生活を
取り戻したいというのが偽らざる心境だ。
「もちろん、着替えていいわよ。明日から毎日着なきゃいけない制服だもの、汚さない
ようにするためには、お家に帰ってきたら少しでも早く着替えなきゃいけないんだしね」
 皐月は、葉月がセーラーワンピを脱ぐことを意外とあっさり認めた。皐月の園長室や
バスの中での振る舞いを思い起こし、自分が制服を脱ごうとするのを何かと理屈をつ
けて妨害するかもしれないぞと覚悟していた葉月にしてみれば、皐月の予想外の言
動にあっけにとられる思いだが、ここは、皐月の気持ちが変わらないうちに着替えな
きゃという思いに急かされて、通園靴を行儀悪く脱ぎ散らかして廊下に上がり、通園
鞄と手提げ袋を放り出しながら小走りで自分の部屋に向かうしかない。
(やれやれ、あんなに急いで走るからスカートが捲れてパンツが見えちゃってる。そ
れに、靴は脱ぎっ放しだし。ほんと、小っちゃな子と同じね、葉月ったら。でも、ドアが
開かないって知ったら、どんな顔をするかしら)こちらはゆったりした動作で紙袋をお
ろし、廊下を駆けて行く葉月の後ろ姿を苦笑交じりに見送る皐月だったが、やがて葉
月が自分の部屋の前で立ち止まり、ドアのノブに手をかけた直後に首をひねる様子
を目にすると、胸の中で赤い舌をちろっと突き出し、今にも笑い出しそうになるのを止
められないでいた。
6120 ◆JSxcaNkD96 :2008/07/14(月) 16:07:26 ID:1cNHk541
 スカートの裾が空気をふくんで舞い上がり、ハローキティのショーツが皐月の目にさ
らされる。けれど、そんなことも気にならないかのように足早に自分の部屋に向かい、
ようやくの思いでドアのノブに手をかけた葉月。だが、その直後、あれ?というような
顔つきになってノブと自分の右手とを交互に見比べては、その後も何度かノブを廻そ
うとし、そのたびに首をかしげるといった動作を繰り返した。
「どうしたの、葉月ちゃん? なんだかとっても不思議そうな顔をしているけど、何かあ
ったのかな?」
 悠揚迫らぬ様子で靴を脱いで廊下に上がり、いったん廊下の端に置いた紙袋を再
び手にした皐月が、葉月のすぐ後ろに立って声をかけた。
「ドアが……ドアが開かないんだよ。僕の部屋のドアが、どうやっても開かないんだ。
びくともノブが廻らないんだよ」
 少しあせり気味の声で葉月が応じた。マンションのエントランスホールに足を踏み入
れるまでは自分のことを葉月、皐月のことをお姉ちゃまと呼んでいたのに、もうすぐに
でも自分の洋服に着替えることができるとなると、現金なもので、すっかり男子大学
生の口調に戻っている。もっとも、それは、気の緩みのせいだけではなく、どうやって
も自分の部屋のドアを開けられない苛立ちのせいもあるのだろうが。
「ドアが開かないって、そりゃ、このお部屋のドアには前もってお姉ちゃまが鍵をかけ
ておいたんだもの、開かないのが当たり前よ。今朝お出かけする時に、お姉ちゃまが
戸締まりを確かめていたこと、葉月ちゃんも憶えてるでしょ? あの時、このドアが開
いていたから鍵をかけておいたのよ」
 うわずった声の葉月とは対照的に、皐月の方は落ち着き払ったものだ。さも当然の
ことといった口調でことの成り行きを手短に説明する。
「どうしてだよ? どうして、僕の部屋のドアに勝手に鍵なんかかけるんだよ!?」
 皐月の説明に、葉月ははっとしたような顔で振り返り、金切り声で問い返した。
「僕の部屋ですって? あらあらも、何をおかしなこと言ってるのかな、葉月ちゃんは。
ここは『葉月お兄ちゃん』のお部屋で、『葉月ちゃん』のお部屋なんかじゃないわよ」
 皐月は、無造作に廊下に投げ出されていたのを拾ってきた通園鞄を再び葉月の肩
にかけさせ、手提げ袋を葉月の右手に持たせながら、わざと不思議そうな顔をして言
った。
6220 ◆JSxcaNkD96 :2008/07/14(月) 16:49:02 ID:1cNHk541
「ここは『葉月お兄ちゃん』のお部屋って……いったい何を言ってるんだよ、姉さん。そ
の『葉月お兄ちゃん』って誰のことを言ってるんだよ。僕が葉月だよ、ここは僕の部屋
なんだよ!? 何をおかしなこと言ってるんだよ?」
 皐月の手で再び強引に通園鞄を肩にかけさせられ、手提げ袋を持たされながら、葉
月はまるで要領を得ない顔で聞き返した。
「おかしなことを言ってるのは葉月ちゃんの方よ。もういちど言うから、ちゃんと聞いて
なさい。いい? ここは、大学生で十八歳の男の子『葉月お兄ちゃん』のお部屋で、
私の目の前にいるのは、つばめ保育園に通う年少クラスの女の子『葉月ちゃん』なの
よ。『葉月お兄ちゃん』は今、どこかにお出かけしてるから、その間に誰かが勝手にお
部屋に入らないよう鍵をかけておいてあげたの。『葉月ちゃん』みたいな悪戯盛りの
小っちゃな子が勝手に入って部屋の中を滅茶苦茶にしちゃわないようにね」
 そこまで聞かされて、ようやくのこと葉月も理解せざるを得なかった。皐月はもう葉
月に自分の部屋を使わせるつもりはないのだ。大学生本来の衣類を詰めたタンスや
衣装ケースが置いてある部屋のドアを開けられないようにして、葉月が自分の下着
や洋服を身に着けられないよう仕組んでいるのだ。
「やっとわかったみたいね? そう、ここは葉月ちゃんのお部屋なんかじゃないのよ。
何度も言うけど、ここは、大学生の葉月お兄ちゃんのお部屋。保育園児の葉月ちゃん
のお部屋はこっちよ」
 葉月の顔色が変わったのを見て取った皐月は、ドアのノブを握りしめたままの葉月
の右手を強引に引き離し、手首をつかんで、廊下の更に奥へ歩き出した。

「ここよ、年少さんの葉月ちゃんのお部屋は」
 皐月が葉月を引っ張って行ったのは、ドアに鍵をかけられて今は開けられない葉月
の部屋のすぐ隣の部屋の前だった。もともとは、葉月の部屋と皐月の部屋との間にあ
る、二人の部屋よりも一回り小さな、これまでは使い途を決めていなかった部屋だ。
63名無しさん@ピンキー:2008/07/14(月) 17:18:32 ID:Q1zKyLO8
ちょw五代くんwww
毎回楽しく読ませていただいてます
64名無しさん@ピンキー:2008/07/14(月) 17:45:44 ID:ueo8m0wM
マンションはMaison Ikkokuですかな(爆
6520 ◆JSxcaNkD96 :2008/07/15(火) 05:49:49 ID:+cHquqbC
 皐月たちの暮らしているマンションが建っている場所は街の中心部に比べると土地
の価格もかなり安く、一戸建てにしても集合住宅にしても敷地が広い。そのため、皐
月のマンションも一世帯あたりの専有面積に恵まれており、有り体に言って無駄に部
屋数が多かったりする。だから普段は使わない部屋もあるのだが、皐月が葉月を連
れて行ったのは、そんな部屋の内の一つだった。
「いい? 今日からここが年少さんの葉月ちゃんのお部屋よ。葉月お兄ちゃんのお部
屋と間違えないように目印を付けておいてあげるね」
 皐月は、葉月が見ている前で思いきり背伸びをして、ドアの一番高い所にネームプ
レートを貼り付けた。花を摘む少女のイラストが描かれ、そのすぐ下に『はづきのおへ
や』という濃いピンクの文字が記された、厚手のプラスチックでできたネームプレート
だ。葉月よりも頭一つ背の高い皐月がわざわざ背伸びをした貼り付けたものだから、
どう足掻いても皐月がそのネームプレートを外すことはできそうにない。
 しかも、皐月がドアに取り付けたのはネームプレートだけではなかった。
「それと、このマンションに住んでるのはうるさくて変で勝手なやつらばかりだから、用
心のためにこれも付けておこうね」
 ネームプレートの貼り付き具合を確認してから皐月が手にしたのは、葉月が身に着
けているのとそっくりなセーラーワンピを着て、やはりこれも葉月が頭にちょこんと載
せているのと瓜二つの通園帽をかぶり、まん丸な顔が葉月自身にそっくりな小ぶりの
人形だった。人形は両手で白い伝言板を抱え持っていて、その伝言板には、ネーム
プレートと同じ色で『ここは、はづきのおへやです。おとこのこは、はいっちゃだめ♪』
という、どうやら皐月が書いたらしい丸文字が並んでいた。皐月は、人形の通園帽か
ら伸びている丈夫な紐をドアのノブに引っかけ、そのまま思いきり力を入れてきゅっと
結んだ。
 ネームプレートとノブの人形を付けただけなのに、ドア周りが、いかにも小さな女の
子の部屋らしい雰囲気に飾りたてられる。
 葉月は、自分の本当の居場所がどんどん狭められ、しまいには針の先ほどもなくな
ってしまうような予感を覚え、ぞくりと身震いしてしまった。
6620 ◆JSxcaNkD96 :2008/07/15(火) 06:40:10 ID:+cHquqbC
「さ、できた。今からここが葉月ちゃんのお部屋よ」
 皐月は満足そうに両手をぱんぱんと打ち鳴らした後、喋り方を大学生の葉月に対す
る口調に変えて言った。
「あんた、大学の夏休みが始まったら、土曜日も日曜日もなしで、日がな図書館に籠
もってたよね。その間に、空いている部屋の模様替えをしておいてあげたのよ。業者
さんにお願いしてかなり本格的にやってもらったんだけど、あんた、ずっと出かけたま
まだったから気づかなかったでょ?」
 が、それは一瞬の間だけだった。じきに、幼い妹に対する口調に戻って、優しく話し
かける。
「じゃ、入ってみようか。葉月ちゃんも、新しいお部屋がどんなのか、早く自分のお目々
で見てみたいよね」
 そう言いながら、皐月の手が、人形をぶら下げたばかりのノブを軽くひねった。

「……!」
 入ってみようかと言われ、皐月に背中を押された葉月だが、部屋の雰囲気に圧倒さ
れて足が一歩も進まない。それほどまでに、今朝まで自分が生活していた殺風景な
部屋とは様子が違っていた。
 コンクリートの打ちっ放しだった元の部屋とは対照的な、一部の隙もなくパステルカ
ラーの壁紙で装った壁。まるで飾り気のない実用本位の家具ばかりだった元の部屋
など比べものにならない、ファンシーな色遣いが明るい印象を強調する、有名な通販
のカタログから抜け出してきたような調度品ばかりが整然と並んだ室内。万年床の薄
っぺらな布団が嘘みたいな、まるで絵本に出てきそうな可愛らしい造りのふかふか
のベッド。教科書や専門書をぎゅうぎゅうに詰め込んだ金属製の書架が別世界の物
のように思える、カラフルな絵本や童話集ばかりを並べた木製の本棚。
 そのどれもが、葉月にとっては生まれて初めて目にするような物ばかりだった。
6720 ◆JSxcaNkD96 :2008/07/15(火) 07:14:28 ID:+cHquqbC
「びっくりした? そうだよね、古っちいマンションの中のお部屋だなんてまるで思えな
いくらい素敵なお部屋だもん、びっくりしちゃうよね。でも、ここが葉月ちゃんのお部屋
なんだよ。明日からひばり保育園に通う年少さんの女の子の葉月ちゃんのお部屋な
んだよ。びっくりしちゃうけど、嬉しいよね。さ、遠慮なんてしなくていいから、ほら、自
分のお部屋に入ろうね」
 皐月が葉月の背中をとんと押した。
 それまで部屋の雰囲気に気圧され、半ば自失していた葉月だが、体格にも体力に
も勝る皐月に力まかせに背中を押されたものだから、機械仕掛けの人形みたいにぎ
くしゃくと部屋の中に足を踏み入れてしまう。
「それでいいのよ。そう、それでいいの」
 葉月を先に入れ、続いて自分も部屋に入ってきた皐月が、なにやら含むところのあ
りそうな声で言って、後ろ手にドアを閉めた。
 微かな軋み音にはっとして葉月が振り返ったのは、ドアが完全に閉じた後のことだ
った。
 葉月はいいようのない不安を覚え、おずおずと皐月の顔を見上げた。
「よかったね、葉月ちゃん。これからずっと、こんなに素敵なお部屋で過ごせるんだよ。
これなら、保育園のお友達に遊びに来てもらっても、ちょっぴり自慢できちゃうよね。
こんなに素敵な自分のお部屋を持ってる子、あまりいないんじゃないかな。だから、
葉月お兄ちゃんのお部屋に入ろうなんて思っちゃ駄目だよ。葉月お兄ちゃんのお部
屋、埃っぽくて、お布団が敷きっ放しで、難しいご本しかないんだから。そんなお部屋
に行っても、ちっとも楽しいことなんてないのよ。だから、葉月お兄ちゃんのお部屋に
は近づかないこと。お姉ちゃまと約束できるよね。葉月ちゃん、お利口さんだもん、指
切りげんまん、できるよね」
 こちらを見上げる葉月の顔を正面から見据えて皐月は言った。
 口調こそ優しげだが一切の反論を許そうとしないその威圧的な様子は、ひばり保育
園の園長にそっくりだった。
「どうしたの? ほら、指切りげんまんよ」
 皐月は、思わず身をすくめる葉月の手首を左手でつかみ、強引に腕を伸ばさせると、
その細く白い小指に自分の右手の小指を絡ませた。
6820 ◆JSxcaNkD96 :2008/07/15(火) 08:11:06 ID:+cHquqbC
「じゃ、いいわね? はい、指切りげんまん、指切った。嘘ついたら針千本呑〜ます。
うん、これでいいわ。葉月ちゃんとお姉ちゃまの女と女の約束なんだから、ちゃんと守
れるよね?」
 強引に小指どうしを絡ませたか思うと、勝手にさっさと指切りげんまんを済ませてしま
って、皐月はにっと笑った。
 ようやくその時になって指切りで交わした約束の意味を悟った葉月が、あっと言うふ
うに唇を半開きにして皐月の目を見る。
 葉月お兄ちゃんのお部屋に入っちゃ駄目よ。葉月お兄ちゃんのお部屋なんかに近
づかないよね。皐月が口にしたそんな言葉は、葉月に対して『あんたが元の部屋に
戻ることはもう二度とないのよ。あんたはこれからずっと、この女の子の部屋で暮らす
のよ。もちろん、保育園の年少さんとしてね』と告げているのだ。
「やっとわかったみたいね、葉月。そう、あんたはずっとこの女の子の部屋の住人に
なるのよ。ちゃんと指切りまでしたんだから、絶対に約束は守ってもらうわよ。もしも
約束を破ったりしたら、その時は、保育園に子供を預けているお母様方みんなに、あ
んたの正体をばらしちゃうからね」
 皐月は、葉月の胸の内を見透かしてしまうかのように大きな瞳をみつめ返し、唇の
端を僅かに吊り上げるような笑みを浮かべて言った。
「いくらセーラーワンピを着て小っちゃな女の子向けの可愛いパンツを穿いても、あん
たが本当の保育園児だなんて思う人は一人もいないよね。いくらあんたが小柄だっ
ていっても、それは同じ年代の男の子と比べた時の話。身長が百六十センチの保育
園児なんているわけがないんだから、いくら格好に気をつけても、あんたが本当は保
育園児なんかじゃないってことは誰にもすぐわかっちゃうよね」
 皐月は冷徹な口調でそこまで言うと、不意に葉月のスカートの裾を捲り上げ、あら
わになったショーツ越しに葉月の股間をさわっと撫でて続けた。
「それに、ほら、生理用ナプキンなんか着けちゃって。いくら今どきの子は発育が早い
っていっても、背の高さが百六十センチで、もう初潮を迎えた保育園児なんているわ
けないよね」
6920 ◆JSxcaNkD96 :2008/07/15(火) 09:03:28 ID:+cHquqbC
 葉月は慌ててスカートを押さえようとするのだが、皐月はその手を振り払い、右手を
葉月の両脚の間に差し入れると、ショーツのクロッチ部分の外側に出ているナプキン
の羽根を指先でつっと撫でながら言葉を重ねる。
「でも、あんたにはどうしても保育園に通ってもらわなきゃいけないの。遠藤先生の心
のケアのためにね。そのために園長先生は雇用契約書まで用意してくださったんだ
から、どうしても通ってもらうわよ。そのために、園児のお母様方には、あんたのこと、
私の妹で小学校の三年生だって説明する手筈になっているのよ。小学三年生なら、
大柄な私の妹だもの、身長が百六十センチあっても変に思われないし、そろそろナプ
キンを使い始める子も出てくるからね。それで、私の小学三年生の妹が私と同じ保育
士になりたがっているから、園長先生にお願いして夏休みの間に職場体験をさせて
もらうことにしたって説明する予定なの。ただ、保育士の仕事がどれだけ大変なもの
か体でもって経験させるために、子供たちがどんな行動を取るのか、保育士としての
立場だけじゃなく、子供たちに混じって生活させることで身近に接してもらうことにした
っていう説明をする手筈になっているの。これなら、あんたが園児として保育園に通う
ことになった経緯をどうにかこうにかお母様方にも納得してもらえそうだから。――で
も、あんたが約束を破ったら、あんたが通園するようになった後で、あんたが本当は
大学生の男の子だってこと、お母様方にばらしちゃうからね。大学生の男の子が保育
園の女の子の格好をしてお遊戯やお絵描きをしているところを見て、お母様方、なん
て思うかしらね。気の弱いあんたが、そんなお母様方の視線に耐えられるかしらね。
でも、あんたは通園し続けなきゃいけないのよ。父さんや母さんに迷惑をかけないよ
うにするためには、雇用契約書に従わなきゃいけないんだから」
 そこまで言ってようやく皐月は葉月の股間から手を離し、捲り上げていたスカートの
裾をおろして、それまでの冷たい口調とは打って変わった、幼い妹の面倒をみるしっ
かり者の姉の口調に戻ると、
「あらあら、スカートがシワになっちゃったわね。いいわ、お姉ちゃまがちゃんとしてあ
げる。いい子だから、そのままじっとしているのよ」
とわざと優しく囁きかけて、自分が捲り上げてシワにしてしまったスカートの乱れを、い
かにも甲斐甲斐しく整えてやるのだった。だが、その後に
「ちゃんと約束を守れたら、私はいつまでも、可愛い葉月ちゃんの優しいお姉ちゃまで
いてあげる。だけど、約束を破ったりしたらその時はどうなるか、お利口さんの葉月ち
ゃんだもの、もうわかったよね」
と念を押すように付け加えるのを忘れない。

7020 ◆JSxcaNkD96 :2008/07/15(火) 11:16:07 ID:+cHquqbC
「……」
 逃げ道がどんどんなく塞がれてゆくのを痛いほど思い知らされて、半開きになった
葉月の唇が、ぱっと見ただけでわかるほどわなわなと震え出す。
「そんなに心配しなくていいんだよ、葉月ちゃん。葉月ちゃんが約束を守りさえすれば、
心配しなきゃいけないことなんて何もないんだから」
 約束を守らないとひどいからねと言外に匂わせつつ皐月は諭すように言って、自分
の人差指の先を葉月の唇に押し当て、すっと目を細めると、
「さ、いつまでも鞄を肩にかけたばかりじゃ重いでしょ。ほら、お姉ちゃまに貸してごら
ん。あ、でも、明日からは自分でちゃんとするのよ。パンツを穿いたり制服を着たりは
まだ自分でできないけ年少さんの葉月ちゃんだけど、鞄や手提げ袋をしまうくらいは
できるよね」
と言い聞かせて通園鞄を葉月の肩からおろさせ、壁際に置いてある、鉢植えのサボ
テンを模した形のカラフルな小物ハンガーにかけた。それに続いて手提げ袋を葉月
の手から受け取って、これも通園鞄と同じ小物ハンガーにかけようとしたが、不意に
何かを思い出したように手提げ袋に手を突っ込むと、ビニール袋に入れたショーツを
取り出した。そうして、取り出したビニール袋をこれみよがしに葉月の目の前で振って
みせながら
「ああ、あぶないあぶない。もう少しでこれを忘れるところだったわ。あとでちゃんと洗
濯しておいてあげないとね。でも、今は水無月さんを待たせているから、お洗濯は帰
ってきてからにしようね」
とおかしそうに言ったのだが、その時、自分が口にした『水無月さんを待たせている』
という言葉を耳にした瞬間に葉月の両目が大きく見開くのを見逃さなかった。
 バスをおり、マンションに戻ってくるまで、葉月は、ようやくのこと羞恥に満ちた装い
から解放されるものだとばかり思い込んでいた。これから再び水無月の運転するバ
でどこかへ連れて行かれるにしても、保育園の女児用の制服を脱いで着慣れたトレ
ーナーとジーンズに着替えることができるものだとばかり思っていた。それが、自分の
部屋に入ることを禁じられ、空き部屋だったのをいかにも小さな女の子向けといった
感じに模様替えを施した部屋に連れ込まれ、そこがこれから自分の部屋になるのだ
と告げられたのだ。整然と並んだ整理タンスや衣装ケースはどれも子供向けのカラフ
ルな色遣いの物ばかりで、その中に十八歳の男子大学生にふさわしい衣類が収め
てあるとはどうしても思えなかった。
71名無しさん@ピンキー:2008/07/15(火) 18:02:28 ID:+/17ogw2
小三で160は大きすぎじゃない?w
7220 ◆JSxcaNkD96 :2008/07/16(水) 05:59:36 ID:icSqADOD
>>71
160センチの園児 ← 絶対おれへんやろ、そんなん!
160センチの小三 ← まぁ、ひょっとしたら、おるかもしれへんなぁ

 ……くらいの感じの設定だったんだけど、ま、たしかに、160セ
ンチの小三というのは無理がありそうかなということで、唐突です
が、五年生ということに設定を変更しますww
 いや、五年生でも無理があるかもしれないけど、そんなことばか
り言ってるとストーリーが進まないので、前に書いた部分、みなさ
んの脳内訂正よろしく
7320 ◆JSxcaNkD96 :2008/07/16(水) 06:02:32 ID:icSqADOD
 再び出かけるに際して、どんな装いに着替えさせられるのだろうか。大きく見開いた
葉月の目には、明らかな怯えの色が浮かんでいた。

                   * * *

「さ、どれにしようかな。葉月ちゃんが女の子になって初めてのお出かけだから、うん
と可愛い格好をさせてあげなきゃね」
 皐月はそんなふうに呟きながら、壁際に置いてある整理タンスの一番上の引出を
開け、しばらく中身を探っていたが、やがて一着の衣類を取り出すと、左右の肩紐を
両手に引っかけるようにして、葉月がいる場所に戻ってきた。
 この時の葉月は、通園帽と制服だけではなくソックスも脱がされて、キャミとショーツ
だけの下着姿に剥かれ、目の前にある大きな姿見の鏡に映る自分の姿に羞恥で胸
をこがしている最中だった。そうして、皐月がタンスの前から戻ってくる気配に、これ
でやっとのこと恥ずかしい下着姿を覆い隠すことができるかもと一縷の期待を託し、
皐月が広げ持った衣類に目を向けたのだが、それは儚い望みにすぎなかった。
「そ、それ……なの? 制服の代わりに着る洋服って、それなの? 僕、制服を脱い
だ後も、そんな洋服を着なきゃいけないの、姉さん!?」
 皐月は、葉月が両手で広げ持っている衣類を見た瞬間、悲痛な叫び声をあげた。
 それは、十八歳の大学生にはおよそ似つかわしくない、スカイブルーとライトスカイ
ブルーとのギンガムチェックの生地でできたサンドレスだった。それも、大人用のやや
タイトなラインに仕立ててようなものあるのではなく、少しハイウエスト気味のウエスト
ラインから下がふわりとした感じで丸く広がったラインの、ついさっきまで着せられてい
たセーラーワンピ同様、いかにも子供向けに仕立てたという印象の強いサンドレスだ。
しかも、ウエストラインにはサンドレスと共布でできたウエストリボンがあしらってあっ
て、更に可愛らしさを引き立てているという念の入れようだった。
7420 ◆JSxcaNkD96 :2008/07/16(水) 06:07:18 ID:icSqADOD
 ちなみに、↑に出てきたサンドレスは
http://trans.s6.x-beat.com/ の tr0395.zip みたいなのを
ベースに、柄をブルー系のギンガムチェックに変更し、ウエ
ストリボンをあしらったイメージです
7520 ◆JSxcaNkD96 :2008/07/16(水) 07:11:27 ID:icSqADOD
「ほら、また呼び方を忘れちゃってる。バスの中じゃお利口さんだったのに、お家に帰
ってきたら途端に困ったちゃんになっちゃうんだから。――葉月ちゃん、明日から保
育園に通うことになってるけど、本当は小学校の五年じゃなかったっけ? だったら
来年は六年生で最上級生なんだよ。なのに、いつまでも、お姉ちゃまや自分の呼び
方を間違えるような困ったちゃんじゃいけないよね。それとも、葉月ちゃんは本当は五
年生なんかじゃなかったのかな? ううん、でも、ひょっとしたら、葉月ちゃんが間違っ
たんじゃなくて、お姉ちゃまの聞き違いだったのかもしれないね。じゃ、どっちだったか
確かめなきゃいけないから、もういちどさっきと同じように呼んでみてごらん」
 葉月と並んで大きな鏡の前に立った皐月は、僅かに首をかしげて、鏡に映る葉月
の大きな目を見て言った。
 バスの中で教えた通りの呼び方をしないなら、あんたが本当は大学生の男の子だ
ってことをお母さん連中にばらしちゃうわよ。皐月が暗にそう告げているのは明らかだ。
「あ……ご、ごめんなさい。は、葉月、お利口さんにする。葉月、もう間違えない。だか
ら……」
 皐月が口にした言葉の意味を読み取った葉月は、これ以上ないくらい弱々しく首を
振り、ようやく絞り出した掠れ声で応じた。
「だから、もういちど、今度はちゃんと言うんでしょ? ほら、さっき言ったこと、もういち
ど言ってごらん」
「……それなの? 制服の代わりに着るお洋服って、それなの? は、葉月、制服を
脱いだ後も、そんなお洋服を着なきゃいけないの、お姉ちゃま!?」
 皐月に急かされ、さっき口にした言葉を思い返しながら、屈辱にまみれつつ幼い女
の子の口調を真似る葉月。
 だが、皐月は満足しない。
「うん、呼び方は間違ってないみたいね。でも、『制服を脱いだ後も、そんなお洋服を
着なきゃいけないの!?』だなんて、まるで、お姉ちゃんが選んであげたサンドレスが気
に入らないみたいじゃない? いいわよ、これが気に入らないんだったら、どんなのが
いいか、葉月ちゃん自身に選ばせてあげる。このサンドレスを買ったお店に連れて行
ってあげるから、どれがいいか自分で選ぶといいわ。可愛いお洋服がたくさんあるか
ら、いっぱい試着して楽しめるわよ。もちろん、試着室にはお姉ちゃまも一緒に入って
アドバイスしてあげる。でもって、お洋服がいっぱいありすぎて選びきれない時は、お
店の人に葉月ちゃんのキティちゃんのパンツを見てもらって、こんな可愛いパンツを
穿いてる葉月ちゃんに似合うのはどんなお洋服でしょうかって訊いてあげるわね」
76名無しさん@ピンキー:2008/07/16(水) 07:57:17 ID:Vek95+bN
>>72
くだらぬツッコミ申し訳ない…
小5なら有り得そうだ。
かくいう自分が小5時に158aでクラス男子一位だったんだけど、女子のほうが成長はやいですからね。
7720 ◆JSxcaNkD96 :2008/07/16(水) 08:02:06 ID:icSqADOD
 皐月は、ようようの思いで葉月が言い直した言葉の一節を責めたて、鏡の中の
葉月の瞳を再び覗き込んでこう言った。
「でも、もしも葉月ちゃんがこのサンドレスをとっても気に入ってくれてるんだったら、
暑い中をわざわざ出かけなくてすむんだけどな。だから、もういちど訊くわね。葉月ち
ゃん、お姉ちゃまが選んであげたサンドレス、あまりお気に召さないのかな?」
 そんなふうに迫られては、もう葉月には返す言葉など残っていない。
「……だ、大好きだよ、お姉ちゃまの選んでくれたサンドレス。保育園の制服も可愛い
けど、それに負けないくらい、とっても可愛いよ、そのサンドレス。せっかくの可愛い
制服を脱いじゃって、葉月ちょっぴり寂しかったんだけど、その代わりにお姉ちゃまが
選んでくれたサンドレスを着せてもらえるなんて夢みたい。は、葉月、早く着てみたい
な、そのサンドレス。……お、お願い、お姉ちゃま。早く葉月にそのサンドレスを着せ
……着せてちょうだい」
 皐月が自分に言わせようとしているに違いない言葉を、姿見の鏡から目をそらしな
がら、そんなふうに口にするのが葉月には精一杯だった。
「そう、本当は気に入ってくれていたのね、お姉ちゃまが選んであげたサンドレス。な
のに、葉月ちゃんは恥ずかしがり屋さんだから、照れちゃって本当のことを言えなかっ
たんだ。うふふ。なんて可愛いのかしら、葉月ちゃんは。小学五年生にもなって恥ず
かしがり屋さんでそんなことも言えないだなんて、なんて可愛い妹なのかしら、葉月
ちゃんてば」
 ようやくのこと皐月は満足げに微笑むと、顔をそむけた葉月の耳元に唇を寄せて甘
ったるい声で囁きかけた。
「でも、恥ずかしいのが当たり前だよね。葉月ちゃん、年少さんの女の子なんかじゃな
いし、小学五年生の女の子でもなくて、本当は大学一年生の男の子だもん、恥ずかし
くてサンドレスなんて着られないよね。だけど、葉月ちゃん、言ったんだよ。『お姉ちゃ
ま、早く葉月にそのサンドレスを着せてちょうだい』って言っちゃったんだよ。そう言い
なさいって、お姉ちゃま、命令なんかしてないよ。お姉ちゃまは、ただ、『可愛いお洋
服がいっぱいあるお店に連れて行ってあげようか?』って言っただけだよ。なのに、
葉月ちゃん、自分から言ったんだよね。『早くサンドレスを着せてちょうだい』って、そ
う言っちゃったんだよね」
7820 ◆JSxcaNkD96 :2008/07/16(水) 09:03:27 ID:icSqADOD
 そこまで囁きかけた皐月は、葉月の耳元からすっと唇を離して、勝ち誇ったように続
ける。
「いいよ、着せてあげる。葉月ちゃんが着たくて着たくてたまんないサンドレス、すぐに
着せてあげる。お姉ちゃまも、葉月ちゃんが喜ぶお顔、少しでも早く見たいもん。ほら、
お手々を上げて。園長先生のお部屋でキャミソールを着る時はお姉ちゃまがお手々
を上げさせてあげたけど、今度は自分で上げるのよ。なんたって、早く着せてって葉
月ちゃんが自分からおねだりしたんだもの。お姉ちゃんは葉月ちゃんのおねだりをき
いてあげるだけなんだもの」
 それに対して、葉月は何も言い返せない。ただ、皐月に言われるまま、のろのろと
両手を上げるだけだ。
「そう、それでいいのよ。お姉ちゃまの言いつけ通りにできてお利口さんね、葉月ちゃ
んは。ま、でも、葉月ちゃんが自分でおねだりしたことなんだもの、それも当たり前っ
ちゃ当たり前なんだけど」
 皐月はそう言っておかしそうにほくそ笑み、両手で広げ持ったギンガムチェックのサ
ンドレスを葉月の頭にすっぽりかぶせた。
「はい、もうお手々をおろしていいわよ。お手々をおろして体の横にぴったり付けてい
てね、肩の紐を結ぶのに邪魔にならないように」
 皐月はいったん上げさせた葉月の両手を、サンドレスがずり落ちないよう押さえる
ような形で体の両側におろさせ、サンドレスの左右の胸当がそのまま上に伸びてホ
ルターネックの留め布になっている箇所を葉月の首筋の後ろにまわして、大きなリボ
ンになるようにきゅっと結んだ。
「もうすぐだから、ちょっとの間だけじっとしているのよ。あとは、ここをこうして、と」
 皐月は葉月の首筋の後ろでリボンに結んだ留め布の長さを細かくいじることでサン
ドレスを微妙に上げ下げし、キャミのバストラインを縁取るフリルのレースがサンドレ
スのざっくり開いた胸元から僅かに見え隠れするように調節してから、裾の乱れを整
えた。
「うん、これでよし。とっても可愛くできたから、葉月ちゃん、自分のお目々で見てごら
ん。すっごく似合ってるから、ほら」
 皐月は、葉月の全身を眺めまわして満足そうに頷くと、手を挙げている間もホルター
ネックの留め布を結ばれている間も裾の乱れを直してもらっている間も自分の姿を見
まいとしてそむけていた葉月の顔を強引に鏡に向けさせながら、優しくも威圧的な口
調で命じた。
7920 ◆JSxcaNkD96 :2008/07/16(水) 09:08:19 ID:icSqADOD
>>76
 いえいえ、おかしいと思ったら遠慮なしでツッコんで
やってください
 なんたって、リアリティ第一ですから(いや、男子大
学生が年少さんの園児になるっつう設定のどこにリア
リティなんてものがあるんだよ、というようなヤボなマ
ジレスは無しという方向でお願いしますけど)ww
8020 ◆JSxcaNkD96 :2008/07/16(水) 10:10:12 ID:icSqADOD
「こ、これが……!」
 皐月に命じられるまま鏡に向かっておそるおそる瞼を開いた葉月の口を感嘆の声
が衝いて出た。
「そうよ、これが葉月ちゃんよ。すっかり女の子になっちゃった葉月ちゃんなのよ」
 瞳に妖しい炎を宿した皐月が大げさな仕草で頷いてみせた。
 二人の目の前に置いてある大きな鏡に映っているのは、どこからどう見ても男子大
学生などではなかった。普段の仕事着であるジャージ姿の大柄な皐月の横に佇んで
いるのは、肌が透けて見えそうな薄手の生地でできたキャミソールの上にホルターネ
ックのサンドレスを着た、華奢で可憐で清楚な少女だった。それも、夏だというのに肌
は磁器のように滑らかで白く、眉の上でざっくり切り揃えた髪があどけなさを引き立て、
まるで膨らんでいない胸が却って無垢な色香を漂わせる、滅多にお目にかかれない
ほどのとびっきりの美少女だ。サンドレスがホルターネックになっているため、脇の下
や背中が大きく開いていて、下に着ているキャミソールのバストラインやサイドライン
が見え隠れするのだが、それも決してだらしない感じを覚えず、幼くしどけない妙な隠
微さを感じさせて、それが男性であれ女性であれ見る者の目を例外なく虜にしてしま
うほどだ。そう思って見れば、まるで袖がないどころか肩布さえないサンドレスのせい
であらわになった撫で肩に微かに食い込むキャミの肩紐さえもが、その美少女の儚
げな佇まいに彩りを添える繊細なアクセサリーにさえ思えてくる。
 保育園の制服であるセーラーワンピースに身を包まれていた時はあどけなかった葉
月が、露出の多いサンドレスに着替えると、本当の性別や年齢を想像することさえ困
難な、子供用のファッション誌のグラビアを何ページもソロで飾ることさえ難しくないほ
どの蠱惑的な少女に変身してしまっていた。それは、ある意味、男子大学生から年少
クラスの女児に変身した時にも劣らない変貌ぶりかもしれない。
「やれやれ、妹がこんなに可愛くなっちゃうと、同じ血をひく姉としちゃちょっぴり妬けち
ゃうな。こっちは年がら年中子供たちと一緒に走りまわってるからどうしてもがさつに
なっちゃうし日ら焼けてばっかなのに」
 皐月は、『妹』という部分をわざと強調して呆れたように言い、ひょいと肩をすくめて
みせた。
8120 ◆JSxcaNkD96 :2008/07/16(水) 10:12:58 ID:icSqADOD
 ↑

× 隠微
○ 淫靡
82名無しさん@ピンキー:2008/07/17(木) 00:59:00 ID:N21ozVja
ちょっと目を離してたら前スレ落ちてたぁぁぁ・・・(;´Д`)
>1にある関連画像掲示板も、つながらなくなったんで消滅したのかと思ってた・・・orz

今頃ですが>1さん、乙です。
8320 ◆JSxcaNkD96 :2008/07/17(木) 05:29:12 ID:02OM8MOj
「これが、ぼ……あ、ううん、葉月?」
 思わず「これが僕?」と呟きそうになり、皐月の視線を浴びて慌てて「葉月」と言い
直しながらも、どこか陶然とした表情を浮かべて、葉月の目は鏡に釘付けになってし
まった。羞しい下着姿を見まいとし、サンドレスを着せられる様子を直視しまいとして、
あれほど頑なに顔をそむけ瞼をぎゅっと閉じていたのに、いざ自分の幼女姿を目にす
ると、今度は一転、どうしても視線を外すことができなくなってしまったのだ。しかも、い
いようのない下腹部の疼きさえ覚えてしまう。
「そうよ、これが葉月ちゃんなのよ。セーラーワンピースを着せてあげた時も可愛かっ
たけど、サンドレスもとってもよく似合ってるわね。制服の時は葉月ちゃんに自分が
どんな格好をしているのか見せてあげられなかったけど、今はこうしてちゃんと見せて
あげられるからお姉ちゃまも嬉しいんだ。自分で見てみてどう思う? 自分でもびっく
りしちゃうほど可愛いよね、葉月ちゃん。もしも葉月ちゃんが男の子だったら、自分で
自分に恋しちゃうくらい可愛らしいよね」
 皐月は悪戯っぽくそう言うと、頬をうっすらとピンクに染めて鏡に見入る葉月の両脚
の間にさっと右手を差し入れた。そうして、差し入れた右手の中指と人差指をさわさわ
動かして、ショーツとナプキン越しにペニスの様子を探ろうとする。
「や……」
 皐月の思いがけない行動に、葉月は反射的に腰を退いてしまった。だが、そのせい
で却って皐月の指によってペニスを押さえつけられ、じんじんと疼き始めていた下腹
部が尚のことかっと火照る。
「可愛い声を出すんだね、葉月ちゃん。可愛いお顔にお似合いの、とっても可愛いお
声だね。その可愛いお声、お姉ちゃまにもっともっと聞かせてちょうだい」
 ナプキンの中でもぞもぞと蠢くペニスの様子をはっきり指先に感じながら、皐月は熱
い吐息を葉月の耳たぶに吹きかけた。
「くぅ……」
 皐月はペニスを激しく揉みしだいているわけでは決してない。さっきは皐月が急に
腰を退いたから二本の指の腹でペニスを押さえつけてしまったが、少し力が入ったの
はその時だけで、あとは、指先で軽くペニスの様子を探っているだけだ。なのに、葉
月はあえかな呻き声を漏らしながら、はしたなくペニスをエレクトさせている。それは、
これまで一度も見たことのないような美少女に自分が変貌させられてしまったという
倒錯感と、自分が変身した美少女に自身が心ときめかせてしまったという背徳感と、
美少女さながらの格好を強要された上で感じやすい部分を実の姉に責められている
という被虐感とがない混ぜになった、いいようもなく奇妙な、甘ったるい腐臭にも似た
フェロモンを嗅いだ時のような、異様な感情の昂ぶりのせいだろうか。
8420 ◆JSxcaNkD96 :2008/07/17(木) 06:09:28 ID:02OM8MOj
「そ、そんなところ、いじっちゃ……」
 無論のこと、「そんなとこ、いじっちゃ駄目」と皐月は言おうとした。けれど、下腹部の
切ない疼きが、「駄目」という言葉を押しとどめさせてしまう。
「いいんだよ、出しちゃって。遠慮なんかしないで、存分に出しちゃっていいんだよ。
葉月ちゃんのおちんちんからいやらしいお汁が幾ら溢れ出しても、お姉ちゃまの貸し
てあげたナプキンがちゃんとしてくれるから。でも、用心のために持ち歩いているナプ
キンが『弟』の役に立つなんて今まで考えたこともなかったわ――ああ、そうね、今は
可愛い『妹』だったっけ。だったら、不思議でもなんでもないんだ。でも、体の大きさと
か出血の量とか人によっていろいろだから、ナプキンもどれがいいか、自分に合うの
をきちんと選ばなきゃいけないんだよ。いいわ、今度、薬屋さんに連れて行ってあげる
ね。ちゃんと薬剤師の資格を持っている店員さんに相談して、葉月ちゃんに合うナプ
キンを選んでもらおうね。経血じゃなく白い澱り物でパンツを汚しちゃう葉月ちゃんに
合うナプキンを」
 ナプキンの中で窮屈そうにのたうつ醜悪なペニスの持ち主である葉月だが、外見だ
けはとびきりの美少女だ。姉に付き添ってもらってやって来たドラックストアで生理用
ナプキンの選び方を相談する小学五年生の少女など、特に目を惹く存在ではない。し
かし、可憐で清楚そうな少女の口から「精液でパンツを汚さないようにしたいんですけ
ど」というような言葉が発せられたら、相談にあたった薬剤師はどんな顔をするだろう。
そんな情景をちらりと脳裏に浮かべて、葉月の顔が歪み、皐月は舌なめずりせんば
かりの表情を浮かべた。
「は、葉月、薬屋さんなんて行かない。葉月を薬屋さんなんかに連れて行ったりしない
でよ、お姉ちゃま」
 下腹部の疼きに息を荒げながら、葉月は必死の思いで女の子らしい言葉遣いを真
似つつ懇願するしかなかった。
85名無しさん@ピンキー:2008/07/17(木) 07:09:13 ID:2eMcZUgH
お。いい展開
8620 ◆JSxcaNkD96 :2008/07/17(木) 07:18:47 ID:02OM8MOj
「そう、薬屋さんへ行って店員さんに相談するのが恥ずかしいのね、葉月ちゃんは。
ま、それも仕方ないかな。お姉ちゃまだって、初めての時はとっても恥ずかしくて、ナ
プキンを買うのだって自分でできなかったくらいだもん、内気な葉月に急に店員さん
に相談しなさいって言っても無理だよね。うん、わかった。じゃ、自分で買いに行ける
ようになるまで、お姉ちゃまのを貸してあげる。貸してあげて、パンツに付けるのもお
姉ちゃまがしてあげる。だって、葉月ちゃん、本当は小学五年生のくせに自分でパン
ツも穿けない年少さんになるんだもんね」
 皐月は葉月の股間をまさぐり続けながら『本当は小学五年生』という部分を殊さら強
く言った。
「ち、ちがう……葉月、本当は……本当は……」
 本当は大学生。けれど、この状況でそれを口にするのは、却って自分の羞恥を煽る
結果にしかならない。
「お姉ちゃまのナプキンだから、ひょっとしたら葉月ちゃんの体に合わなくて、パンツを
汚しちゃうこともあるかもしれないね。でも、心配しなくていいんだよ。葉月ちゃんが汚
しちゃってもいいように、パンツはたくさん買っておいてあげたんだから。園長先生も
パンツを用意しておいてくれたけど、あれは、制服を試しに着てみるためのものだから
二枚しかなかったよね。でも、お姉ちゃまは、うんとたくさん買っておいてあげたんだよ。
お部屋の模様替えが終わって可愛いタンスを並べたら、タンスの中に入れておく下着
やお洋服もいっぱい買っておいてあげなきゃって思って、お給料をはたいちゃったん
だ。葉月ちゃん、背の高さは百六十センチだけど、華奢で全体に線が細いから、百五
十サイズのでも窮屈じゃない筈だし、パンツとか伸縮性のいい生地でできてるのだっ
たら百四十サイズでも大丈夫どころか、物によっては百三十サイズくらいでもいける
から、本当に小っちゃい子が身に着けるのと同じような可愛いのを選んであげられた
んだよ。もちろん、今着てるサンドレスもね。買ってきた時に数えたら、パンツは三十
枚くらいあったし、シャツやキャミは十五枚くらいあったかな。それと、ソックスも綿や
絹を合わせて二十足だし、あ、そうそう、冬になっても大丈夫なように、毛糸のパンツ
とかオーバーパンツとかも買っておいてあげたよ。まだ夏なのにって思うかもしれない
けど、必要な物は思いついた時にさっさと買っとかないと、その時になって買い忘れに
気づいて慌てちゃうから。うん、もちろん、上に着るお洋服なんかも、秋物や冬物も買
っておいてあげたから心配しなくていいよ。シックなワンピースも、ふかふかのフード
付きコートも、元気に走り回れるようにデニムのサロペットスカートも、お友達の誕生
日会に呼ばれてもいいようにふりふりのドレスも、みんな買っておいてあげたんだか
ら」
 皐月は、ショーツとナプキン越しに葉月のペニスを弄びながら言った。言われる方が
本当の幼女なら、自分のために優しい姉が買い揃えてくれた衣類の種類と数の多さ
に目を輝かせることだろう。けれど、皐月が声を弾ませて話しかけているその相手は、
大学生の男の子なのだ。
8720 ◆JSxcaNkD96 :2008/07/17(木) 08:12:13 ID:02OM8MOj
 そして皐月は、ほんの短い間を置いた後、こんなふうに付け加えて言った。
「葉月ちゃんが本当に年少さんだったり五年生だったりしたら、こんなにたくさんまとめ
買いなんてできなかったよ。だって、保育園に通ってる子とか小学生とか、育ち盛り
で、今買った洋服や下着がいつ窮屈になっちゃうかわかんないもん。だから、成長に
合わせて少しずつ買い足していくのが普通なんだよ。でも、葉月ちゃんはもうこれから
大きくなることなんてないよね。だって、十八歳の男の子だもん、成長期なんてとっく
に終わっちゃってるよね。だから、安心してまとめ買いできたんだよ。これ以上おっき
くならないから、今年の夏に買ったお洋服は来年の夏にも再来年の夏にも着れるし、
今年の冬のために買っておいた物もやっぱりこれから何年経っても冬になるたびに
着れるんだもん。それに、まとめ買いをするからって店員さんに交渉してちょっぴりだ
けど値段をひいてもらえて安くすんだし。うふふ。お姉ちゃま、お買い物上手でしょ?」
 そんな皐月の言葉に、葉月は何か引っかかるものを感じた。切なく疼く下腹部。皐
月の指にいじられながらも皮が接着剤で固定されてしまっているせいでもぞもぞと蠢
くしかないペニス。自分が本当は男子大学生なのだと改めて思い起こさせられ、煽り
たてられる羞恥と屈辱。まともに物事を考える余裕などない筈の中、葉月の意識にち
くりと突き刺さる細い針。
「お、お姉ちゃま……」
 下腹部の疼きに耐え、皐月の言葉を何度も頭の中で反芻を繰り返すうちに、その言
葉のどこに自分が引っかかりを覚えたのかを唐突に理解した葉月は、今にも消え入り
そうな声で言った。
「お姉ちゃま、今、『今年の夏に買ったお洋服は来年の夏にも再来年の夏にも着れる』
とか、『今年の冬のために買っておいた物もやっぱりこれから何年経っても冬になる
たびに着れる』とか言ったよね? それって……それって、どういうことなの? 葉月、
保育園に通うの、夏休みの間だけなんでしょ? 遠藤先生が元気になるようにって葉
月が一緒にいるの、この夏休みの間だけなんでしょ? 夏休みの間だけのアルバイト
なんでしょ? なのに、どうして、来年や再来年のことまでお姉ちゃんは言ったの!?」
 葉月の声は、注意していないと聞こえないほど小さく弱々しい。だが、その響きは悲
痛だ。
8820 ◆JSxcaNkD96 :2008/07/18(金) 05:48:27 ID:gkb9i8bn
「あら、私は『夏休みの間だけ』なんて言ってないよ。『いいバイトの口があるからやっ
てみたら』とは勧めたけどさ。たしか、契約書にも期間を夏休みに限定するって内容
は書いてなかったんじゃないかな。たしか、遠藤先生のケアに必要な間とか、そんな
表現だったと思うけど」
 葉月の問いかけに、皐月はわざとのような冷たく事務的な口調で応じた。
「じゃ、じゃ……遠藤先生が元気にならなかったら、夏休みが終わっても保育園に通
わなきゃいけないの? 葉月、ずっとずっと保育園のままなの?」
 葉月の脳裏を、夏用の制服を合い服に替え、更に冬服に着替えた上にふかふかの
コートを着て保育園の送迎バスに乗り込む自分の姿がおぼろげに浮かんだ。
 とても屈辱的な姿の筈なのに、なぜだか、その姿にさえ下腹部が疼く。
「さあ、それはどうかしらね。でも、そうなったらそうなったでいいじゃない。明日から
保育園に通うようになったら、葉月ちゃん、きっとたくさんお友達ができるよ。こんなに
可愛い年少さんの女の子だもん、年上の子に可愛がってもらえて、他の年少さんとも
仲良しになって、いっぱいいっぱいお友達ができるよ。お友達がたくさんできた後、ば
いばいしちゃうの、寂しいでしょ? だったら、ずっと保育園でいいんじゃないかな」
 葉月が重ねて訊くのに対して皐月は皮肉めいた口調でそう言い、人差指と親指で
ペニスの先をきゅっと挟んだかと思うと、
「それに、ほら、葉月ちゃんは女の子の格好をしておちんちんをおっきくしちゃうよう
なはしたない子なんだよ。男の子に戻って大学へ行くようになったら、大好きな女の
子の格好なんてできなくなっちゃうんだよ? でも、保育園に通ってる間は、好きなだ
け女の子でいられるんだよ。葉月ちゃんが女の子でいる間はお姉ちゃまも葉月ちゃ
んが喜びそうなお洋服やパンツをもっとたくさん買ってあげる。だから、それでもいい
んじゃないのかな。――だけど、今はそんなこと気にしてないで、気持ち良くなっちゃ
えばいいのよ。ほら、こんなふうに」
と甘ったるい声でねっとり囁きながら、二本の指をペニスの付け根の方へつっと動か
した。
8920 ◆JSxcaNkD96 :2008/07/18(金) 06:20:50 ID:gkb9i8bn
 95氏、まだ規制が解けないのか、こちらに書き込みが
できないようなので、お節介を承知で代わりにおしらせ
をば
 いろいろ美味しそうな絵が上がっていますぜ、皆の衆

ttp://www.gazoru.com/b-84865e6faed251.html
9020 ◆JSxcaNkD96 :2008/07/18(金) 06:21:22 ID:gkb9i8bn
「ゃ、ゃだ……」
 葉月のペニスがどくんと大きく脈打った。
 けれど、ペニスを後ろ向けに折り曲げられ接着剤で固定されてしまっているため、普
段のマスターベーションのように精液が勢いよく噴き出ることはない。なんだか、トイ
レが近くに見あたらなくて我慢しているおしっこがいつの間にか少しずつ溢れ出る時
みたいにじくじくとしか出てこない。それでも、さんざ弄ばれなぶられた後の絶頂感は
一際だった。あまりの昂ぶりのため、全身から力が抜け、その場にへなへなとへたり
こんでしまう。
「園長先生のお部屋でもそうだったけど、白いおしっこを出しきっちゃうまでには時間
がかかるんだよね。いいわ、しばらくそうしてなさい。葉月ちゃんがそうやって白いお
しっこを全部出しちゃうまでの間にお姉ちゃまも着替えてお出かけの準備をしておくこ
とにするわ。ちょっと遅くなっちゃいそうだけど、水無月さんにはお姉ちゃまが謝ってあ
げる。だから、葉月ちゃんは何も心配しないで、白いおしっこでナプキンをべとべとに
しちゃえばいいのよ。自分の準備が終わったら、あとできちんとお姉ちゃまがナプキン
を取り替えてあげる。だから、だ・い・じょ・う・ぶ」
 いわゆる『とんび座り』とか『女の子座り』とかいう姿勢で床にお尻をつけてへたりこ
み、僅かに首を反らせて喘ぐ葉月。そんな葉月の顔をちらと見おろして、皐月は真新
しい部屋をあとにした。

                   * * *

「ずいぶん待たせちゃって、本当に申し訳ありません。この子が面倒ばかりかけるも
のだから、すっかり手間取っちゃって」
 空き地に駐まって待っているバスに再び乗り込んだ皐月は、運転席の水無月に向
かってぺこりとを頭を下げてみせ、皐月に手を引かれておぼつかない足取りでようや
くバスのステップを昇りきったばかりの葉月の方に振り返った。
9120 ◆JSxcaNkD96 :2008/07/18(金) 07:27:39 ID:gkb9i8bn
 それこそまるで本当の幼児みたいに『この子』と呼ばれた葉月だが、窓ガラスにうっ
すらと映る自分の姿を目にすると、一言の反論もできなかった。窓ガラスにうっすらと、
そしてルームミラーにくっきりと映っているのは、キャミソールとサンドレスを重ね着し
て、つばの広い麦わら帽子をかぶった、夏休みの最中のお出かけに心弾ませる少女
そのままの姿をした葉月だった。しかも麦わら帽子はお澄ましした感じで少し斜めに
かぶるのではなく、強い日差しから真っ白の肌を守るためにまっすぐ目深に、そして、
少しくらいの風では飛んでしまわないよう顎紐を顎の下でしっかり結んだ、いかにも
小さな子供がそうするようなかぶり方だった。その上、やや大ぶりのポシェットを肩に
かけているのだが、それも、肩紐を右の肩にかけ、ポシェット本体が左の脇腹あたり
にくるような、通園鞄と同じようなかけ方だから、いっそう幼さが強調されている。
「あらあら、すっかりおめかししちゃって。とっても可愛いわよ、葉月ちゃん」
 皐月に手を引かれてバスに乗り込んだ葉月の姿を見るなり、その正体を充分に承
知しているくせに、まるで久しぶりに会う幼い孫娘の面影と重ね合わせてでもいるか
のように水無月は顔をほころばせた。そうして、じきに心配そうな表情を浮かべ、
「でも、どうしたの? 皐月お姉ちゃまに面倒かけてばっかりだそうだけど、どんなふう
にお手間を取らせちゃったの? だけど、葉月ちゃんはまだ小っちゃいんだもの、自分
でできないことも多いわよね? 面倒をかけてばっかりだって皐月お姉ちゃまはおか
んむりだけど、年少さんの葉月ちゃんにはできないことを無理にさせようとして皐月お
姉ちゃまが勝手に怒ってるのかもしれないし、どうしたのか、おばあちゃまに話してご
らん。おばあちゃまが、どっちがいけないのか考えてあげるから」
と、日ごろから園児たちに『水無月のおばあちゃん』と呼ばれ慣れていることもあり、そ
れこそ、厳しい母親に叱られる可愛くて仕方のない孫娘を不憫がる祖母さながら、こ
れ以上はないくらい優しく話しかけるのだった。
 そんな水無月の様子に、皐月がくすくす笑いながら応じる。
「やだ、水無月さん。すっかり葉月ちゃんのおばあちゃま気分じゃないですか。このぶ
んだと、私が葉月ちゃんに自分でできるわけのないことを無理にさせようとした意地
悪なお姉ちゃまにされちゃいそう。ああ、こわいこわい」
「だって、仕方ないわよ。孫娘と会える機会なんてあまりないし、たまに会ったと思って
も、一泊するだけで帰っちゃうのよ。そんなところへ孫娘によく似たお顔の葉月ちゃん
のおでましだもの、ついつい甘やかしたくなっちゃうのよ。ここは私のためだと思って、
御崎先生には悪いお姉ちゃまの役を引き受けてもらえると嬉しいんだけどね。そうし
てくれたら、私は優しいおばあちゃまになって葉月ちゃんの味方になってあげられる
もの」
 水無月もくすりと笑って冗談めかしてそう言ったのだが、その口調が半ば本気めい
て聞こえたのは否めない。
9220 ◆JSxcaNkD96 :2008/07/18(金) 09:23:20 ID:gkb9i8bn
「いいですよ、そのくらい、お安いご用です。でも――」
 皐月は笑い顔のまま鷹揚に頷いたが、その後、片方の眉を僅かに吊り上げ、肩を
すくめて続けた。
「でも、私は葉月ちゃんに無理なことをさせようとしたわけじゃありませんよ。着替えの
途中で葉月ちゃんがナプキンを汚しちゃったから、それを取り替えてあげただけなん
です。ただ、葉月ちゃんの場合、なんて言うか、ナプキンを汚しきっちゃうのに時間が
かかって、それで遅くなっちゃったんですよ」
 そんなふうに説明して最後の方は悪戯めいた顔つきになる皐月に向かって、園長
室での一連の出来事を事務室に置いてある防犯モニターでつぶさに観察していた水
無月は、苦笑交じりの表情を浮かべて言った。
「ああ、そういうことだったの。そう、皐月お姉ちゃまにナプキンを取り替えてもらって
いたのね、葉月ちゃんは。じゃ、仕方ないかな。まだ小っちゃな葉月ちゃんに『自分で
取り替えなさい』って言ったのなら皐月お姉ちゃまがいけないけど、皐月お姉ちゃまに
取り替えてもらって遅くなっちゃったのなら、仕方ないわね」
 葉月がナプキンを使うことがさも当たり前のことのような調子で言葉を交わす二人。
 そんな二人の会話に対して、けれど葉月は沈黙を守るしかなかった。いやらしい白
いお汁でナプキンをべとべとに汚してしまったのは事実だし、それを理由に、替えのナ
プキンと、更に用心のためという名目で、替えのショーツが入ったポシェットに肩にか
けさせられているのだ。しかも、マンションの『はづきのおへや』で取り替えられたばか
りの真新しいナプキンさえもがもう既に小さなシミになっていた。それは、部屋を出て
ここへ歩いて来るまでの間、葉月が歩を進めるたびに両脚の内腿にペニスがこすれ
て、自分の意識とは裏腹に我慢汁がとろりと溢れ出たせいだった。バスをおりてマン
ションへ向かう時はそんなことはなかったが、着替えを終えて部屋を出る時に少し踵
の高いサンダルを履かされたため、これまでスニーカーしか履いたことのない葉月は
ぎくしゃくした歩き方しかできなくなって両脚に余計な力が入ってしまい、そのせいで
両脚の間に後ろ向けに固定されたペニスが、葉月が脚を動かすたびに撫でさすられ
て、皐月の手で精液を搾り取られてさほど時間が経っていないというのに、我慢汁を
じわじわ溢れさせてしまったのだ。
 そんな姿の葉月が言葉を返せる筈などなかった。


 じくじく湿っぽい感触が下腹部から伝わってくるのを歯咬みして耐える葉月を乗せた
バスがやがて着いたのは、皐月のマンションと保育園との中ほどから街の中心方向
へ少し走った場所にある公立の水族館だった。こじんまりした建物だが、園児手帳と
職員証を提示すれば地元の保育園や幼稚園の園児と付き添いの保育士は無料で入
園できる上、敷地の中に様々な深さのプールが併設されているため、春や秋の遠足
だけではなく、ひばり保育園のように自分のところにプールが設置されていない保育
園や幼稚園の場合、暑い盛りに園児たちに水遊びをさせる場合もここに連れて来る
ことが多く、皐月にとってはすっかりお馴染みの水族館だ。
9320 ◆JSxcaNkD96 :2008/07/18(金) 11:41:50 ID:gkb9i8bn
 しかし、この水族館の特徴はそれだけではない。水族館の直営というわけではない
のだが、広い駐車場の一部を借りて営業しているレストランが、なかなか美味しい料
理を出すことで地元では有名なのだった。建物は地味で、料理も派手さはないのだ
が、地元出身のシェフの材料に対する目利きが確かな上、和食やフレンチ、イタリア
ンや中華といった既存の枠組みにとらわれない自由な発想で旬に合わせた調理を
することで素材の持ち味を引き立てたランチを提供してくれる。しかも、まるで気取っ
た様子がなく、デパートの大食堂みたいな気楽さもあって、いつも混み合っていた。
 皐月は、園長室での面談を終え、バスに乗り込むと同時にこのレストランに予約の
電話を入れて、かろうじて三人分の席を確保してもらっていたのだ。もちろん、それは、
せっかくの日曜日にわざわざ出勤してもらった水無月へのささやかなお礼として昼食
をご馳走するためだった。

 大型車専用レーンにマイクロバスを駐め、レストランに足を踏み入れた三人は、窓
際の席に案内された。アスファルトで舗装された駐車場だが、レストランのまわりはち
ょっとした花壇になっており、ほどよく利いたエアコンと相まって、夏の日の昼過ぎでも、
窓を通して見る風景に暑苦しさはまるで感じない。
「本当は冷たいワインが欲しいところですけど、水無月さんにバスを運転してもらって
いる手前そうもいきませんから、とりあえず、ペリエで乾杯しましょう」
 オーダーを済ませた皐月は、ワインの代わりに注文したよく冷えた発泡性のミネラル
ウォーターが運ばれて来ると、びっしり汗をかいたグラスを高々と持ち上げた。
 そこへ、うきうきした顔の水無月と、おどおどした様子の葉月がグラスを合わせる。
細かな泡が絶えず浮かび上がるグラスが三つ軽く触れあって涼やかな音をたてた。
「ああ、よく冷えていておいしいこと。それに、誰かと一緒に食事をすることなんて滅多
にないから楽しいわ。誘ってくれた御崎先生にお礼を言わなきゃね」
 一口二口とペリエを飲んで、水無月はグラスをテーブルに戻しながら嬉しそうに目を
細めた。
「そんな、お礼を言うのはこちらの方です。お休みの日にバスを出していただいた上、
勝手なお誘いにつきあっていただいて感謝しています」
 皐月は恐縮しきりの態で言ってから、にこやかな笑顔になった。
「それに、このお店、私も来てみたかったんです。子供たちを連れて遠足や水遊びに
来るたび、バスをおりるとすぐに気になってメニューなんかを見ていたんですよ。でも、
園の行事の途中に入るわけにはいかないし、夕方はやってないし、日曜日のランチく
らいしか来る機会はないけど、外へ出るのが得意じゃない弟はつきあってくれないし
で、なかなかチャンスがなかったんです。それが、こうやって水無月さんや妹と来るこ
とができて、私自身が一番楽しんじゃってるんじゃないかしら」
94名無しさん@ピンキー:2008/07/19(土) 01:51:38 ID:htE4Dkhv
小説オモロー!
絵オイシー!
9520 ◆JSxcaNkD96 :2008/07/19(土) 04:57:51 ID:wkKTIbhb
「そうだったの。実を言うと、私も子供たちや先生方を送り迎えしているたびに気には
なっていたんだけど、やっぱり、仕事の途中に一人で入るわけにはいかなくてね。じ
ゃ、お互いよかったってわけね」
 水無月は更に目を細めて頷いた。
 送迎バスは朝夕の送り迎えだけではなく、遠足や水遊びで水族館へ行く時にも活
躍している。ただ、送迎バスの定員は水無月を除けば付き添いの大人が一人と園児
が四十人ということになっているから、年長・年中・年少クラスが全員で移動するとな
ると水無月は往復で大忙しだ。しかも、やっと園児たちを送り届けたと思っても、水無
月は事務作業も一手に任されているから、そのままとんぼ返りで園に戻って帳簿の
整理ということになる。そのため、やはり皐月と同じようにレストランの存在を気にしな
がらもこれまで店の中に足を踏み入れる機会に恵まれなかったらしい。
「その点、葉月ちゃんは幸せね。保育園に通うことが決まった途端、評判のお店で入
園祝いをしてもらえるんだから」
 三人は、葉月と皐月が横に並び、二人の向かい側に水無月という形で座っている
のだが、それまで向かい側の水無月と言葉を交わしていた皐月が、不意に葉月の横
顔を見て言った。
「そんな、入園祝いだなんて……」
 思ってもいなかった言葉を急にかけられた葉月はどう応じていいのかわからず、途
中で口をつぐんでしまう。
 しかし、皐月が言った『入園祝い』という言葉を耳にしてどう反応していいのかわか
らないのは葉月本人だけではなかった。近くの席についていた他の客たちも、皐月
が口にした言葉を聞くと、決して目立たないよう注意しながらではあるものの、ちょっ
と困ったように同じテーブルの者どうし顔を見合わせたり、葉月の顔をちらちらと横目
で窺ったりといった動作をとるのだった。それは、もちろん、葉月の見た目と『入園祝
い』という言葉とのギャップのせいだった。
9620 ◆JSxcaNkD96 :2008/07/19(土) 06:40:15 ID:wkKTIbhb
 男子大学生でありながら、その体つきと容姿のせいで女子高生や女子中学生に間
違われることも珍しくない葉月だが、今は、身に着けたサンドレスや肩から斜めにか
けた大きめのポシェットのせいで幼さが強調され、どう見ても高校生には見えなかっ
た。いや、それどころか、中学生に見えればまだいい方で、皐月が園児の保護者たち
にそう説明する手筈になっていると言っていたように、ぱっと見には小学校の高学年
と思われてもまるでおかしくないほどだ。そんなふうに実際の年齢よりもずっと若く、と
いうか、幼く見える今の葉月でも、まさか保育園児には見えない。なのに、隣に座って
いる姉とおぼしき女性が『入園祝いをしてもらえるんだから』と口にしているのだ。これ
では、まわりの客たちが不思議に思うのも無理はない。
「ひょっとしたら聞き間違いだったのかしら。あのお姉さんふうの人、『入院祝い』って
言ったんじゃないかな」
「でも、退院ならともかく、入院をお祝いするなんてことないだろ?」
「たしか、『保育園に通うことが決まった』とか、そんなことも言ってたよね」
「うん、そう言ってた。でも……」
 店内のそこここからそんなふうに囁き合う声が聞こえてくる。本人たちは葉月に聞
こえないよう努めているのだろうが、普段ではなかなかお目にかかれない光景に好
奇心が刺激されて、いささか声高になってしまうのは否めない。ただ、そんな中、「ね
え、ひょっとして、あの子、男の子なんじゃない?」という声が聞こえないことだけが
葉月にとっては唯一の救いだろうか。
 そんな、まるで針のむしろに座らされているような気分で待つ中、やがて運ばれて
きた料理も葉月には屈辱の一品だった。
 皐月がオーダーしたのは、本人と水無月の分はシェフのお薦めランチコースだった
が、葉月の分は、お子様ランチだった。それも、このレストランのメニューには、比較
的年齢の高い子供向けと、低年齢向けという二種類のお子様ランチが掲載されてい
るのだが、皐月が葉月のために注文したのは、その内の低年齢向けのお子様ランチ
だった。高学年向けのお子様ランチは、普通のコースではボリュームがありすぎて食
べきれないという小食の客向けのいわゆるレディースランチも兼ねているため、料理
ごとにそれぞれきちんと別皿に盛って出てくるし、料理の内容も普通のコースとさほど
変わらないのだが、低年齢向けのお子様ランチの場合、プラスチック製の一枚のプレ
ートにハンバーグもケチャップライスもサラダもフルーツもまとめて盛り合わせて出て
くる上、小さな子供でも食べやすいように、フォークとナイフや箸ではなく、やはりプラ
スチック製の先の割れたスプーンがついてくる。しかも、星の形に型抜きしたケチャッ
プライスの上には紙製の旗が立っているといった具合だから、それを目の前に置かれ
た葉月としては、まわりの囁き声と相まって羞恥の極みだ。
9720 ◆JSxcaNkD96 :2008/07/19(土) 08:08:34 ID:wkKTIbhb
 しかし、お子様ランチによって味わう屈辱はそれだけではなかった。プレートと先割
れスプーンを運んできたウエイターと入れ替わりでウエイトレスが運んできた飲み物
が葉月の羞恥を更にくすぐる。皐月と水無月のランチコースにはスープと食後のコー
ヒーがついているし、高学年向けのお子様ランチの場合は冷製スープとオレンジジュ
ースのどちらかを選べるようになっているのに対し、低年齢向けのお子様ランチには
オレンジジュースしかついていなかった。それも、高学年向けお子様ランチのオレン
ジジュースがちゃんとしたガラスの大ぶりのゴブレットに入っているのに対して、ウエイ
トレスが葉月の目の前に置いたオレンジジュースは、幼児がこぼさないようにという
配慮だろう、左右に取っ手が付いた丸い透明のプラスチック製の容器に入っていた。
しかも丸い容器には蓋が付いていて、蓋の真ん中に開いた小さな丸い穴にストロー
を差し込んでジュースを飲むようになっているのだ。
 だが、屈辱がそれで終わることはない。料理を盛りつけたプレートの横にウエイター
が置いた純白の大きめの紙。葉月はそれを、皐月や水無月が膝の上に広げたのと
同じペーパーナプキンだとばかり思っていた。けれど、その白い紙を皐月がつかみ上
げ、葉月の目の前ですっと広げてみせると、それがペーパータオルなどでないことは
一目瞭然だった。
「あら、小っちゃい子向けのお子様ランチにはいい物が付いてくるのね。うん、これな
ら、せっかくの新しいサンドレスを汚さなくていいわ。それに、ほら、葉月ちゃんの大好
きなキティちゃんの絵が描いてあるし。よかったね、葉月ちゃん、パンツとお揃いのエ
プロンだよ。さ、これを着けてお洋服を汚さないよう上手にごはんを食べようね。ほら、
キティちゃんのエプロンだよ」
 そう。皐月がわざとのように声を弾ませて言う通り、葉月がペーパーナプキンだとば
かり思っていた物は、純白の生地にハローキティの顔をプリントした紙製のエプロンだ
った。それも、小学校の給食係が着用するような割烹着タイプのエプロンではなく、胸
当ての部分から伸びている紐を首筋の後ろと背中で結んで留めるような仕組みの、
ぱっと見には大きなよだれかけみたいな形のエプロンだった。
 エプロンを見るなり、皐月は「あら、いい物が付いてくるのね」と驚いたように言った。
しかし、エプロンがセットになっていることを皐月が今まで知らなかったとは思えない。
きっと、前もってメニューを入念に調べておいて、葉月がどんな恥ずかしそうな様子を
みせるか、それを期待してこのメニューをオーダーしたに違いない。
9820 ◆JSxcaNkD96 :2008/07/19(土) 09:13:30 ID:wkKTIbhb
「やだそんなエプロン、やだってば、お姉ちゃま。葉月、もう……もう、五年生なんだ
よ。小っちゃな子じゃないんだから、そんなエプロン要らないってば」
 紙製のエプロンを目の前に突きつけられた葉月は、まわりの客が不審に思わない
よう少女めいた話し方を意識し、だだでさえ高い声が更に高くなるよう注意を払いつ
つ、小さく首を振った。
「ふぅん、葉月ちゃん、エプロンなんて要らないんだ。そっか、もう五年生だから要らな
いんだ」
 葉月の訴えに対して、皐月は、『もう五年生』という部分を殊さら語気を強めて言い、
くすっと笑って続けた。
「でも、お家でごはんを食べる時、ごはん粒やお野菜をぽろぽろこぼしちゃう子は誰だ
ったかな。もう五年生なのにお箸もスプーンも上手に使えなくて、せっかく買ってあげ
たブラウスにソースをべっとり付けて汚しちゃった子は誰だったっけ。お家にはお姉ち
ゃまと葉月ちゃんしかいないんだよ。お姉ちゃまがそんなことするわけないもん、残り
は誰だかわかるよね?」
 からかうようにそう言う皐月の言葉は、もちろん、本当のことではない。小さい頃か
ら行儀の良かった葉月が食事のたびにごはんをこぼすなどということはあり得ない。
あり得ないのだが、皐月は、葉月がエプロンを着けざるを得ないよう仕向けるために、
周囲の客に葉月は食事の仕方が下手だと思わせようとしているのだ。
 そこへ、水無月が割って入った。
「そうよ、葉月ちゃん。おばあちゃま、葉月ちゃんが聞き分けのいい、とってもお利口
さんだってこと、よぉく知っているわよ。それはよく知ってるけど、でも、お箸やスプーン
の使い方が小っちゃい子と同じくらいお上手じゃないってことも知っちゃってるのよ。だ
って、おばあちゃまんちと葉月ちゃんちとはお隣どうしで、おばあちゃまがベランダで
洗濯物を干してると時々お姉ちゃまも一緒になるんだけど、そのたびに、葉月ちゃん
のブラウスの胸元に残ったミートソースの跡や、トレーナーの袖口についたお醤油の
跡なんかをみせてくれるんだもの。それで、お姉ちゃま、溜息交じりに言ってるのよ、
『いくら注意しても妹がこぼしてばかりだから、どんなに丁寧にお洗濯しても跡がとれ
なくなっちゃって』って。忙しいお姉ちゃまのお仕事を余計に増やしたりするの、あまり
感心できないわね。だから、今も、せっかく買ってもらったサンドレスを汚さないように、
きちんとエプロンを着けた方がいいんじゃないかな」

9920 ◆JSxcaNkD96 :2008/07/19(土) 11:32:33 ID:wkKTIbhb
 むろん、水無月が言っていることも嘘だ。水無月が皐月と同じマンションに住んでい
て隣どうしなどということは決してない。だから、当然、皐月が洗濯物を干しているとこ
ろに出くわしたこともないし、皐月がごはんをすぐにこぼしてしまうのかどうか知ってい
るわけもない。だが、それとなく皐月の胸の内を察した水無月は、皐月の企みに加
勢することにしたのだった。さして悪気があるわけではなく、たまにしか会えない孫娘
の面影を宿す葉月をもっともっと子供扱いしてみたくて。
 水無月の言葉に、まわりの客たちがなんとなく納得したような表情を浮かべた。これ
まで、保育園児にしては随分と体の大きな葉月への入園祝いというのが何を意味し
ているのか理解できず、また、そもそも三人がどんな関係にあるのかさえもうひとつわ
からなくてひそひそ声で互いの推測を語り合ったりしていた客たちにしてみれば、皐
月と水無月のやり取りから、少し年の離れた姉妹と、その隣に住む(ひょっとしたら、
祖母のような存在の)初老の婦人が仲良く食事に訪れたのだろうなと三人の間柄を
推し量ることができただけでも、どことなく感じていた居心地の悪さみたいなものが少
しおさまったような気がする。
「ほら、水無月のおばあちゃまもこう言ってくれてるでしょ? だから、エプロンをしよう
ね。葉月ちゃんがケチャップライスやハンバーグをこぼしてもサンドレスを汚さないよう
に、ちゃんとエプロンを着けようね」
 水無月の加勢を得て、皐月は僅かに腰を浮かした姿勢でエプロンの上の紐を葉月
の首筋に巻き付け、簡単にほどけないようきゅっと結んだ。それから、シワを伸ばしな
がらエプロンで胸元を多い、下側の紐を背中にまわして、こちらも強く結んでしまう。
「これでいいわ。これならお洋服を汚すことはないから、こぼす心配なんてしないで、
おいしいお子様ランチを思いきりたべられるよ」
 まるで大きなよだれかけみたいなエプロンですっかり胸元を覆われてしまった葉月
の姿に皐月は満足そうな笑みをたたえ、同意を求めるように水無月の顔をちらと見た。
「そうね、これで大丈夫ね。あ、そうだ、葉月ちゃん。どうせだから、お家でもエプロン
をしてごはんを食べるようにしたらどうかしら。そうすればブラウスやトレーナーを汚す
こともなくなって、お姉ちゃまも助かるんじゃないかな」
 人の好さそうな笑顔で相づちを打つ水無月には悪気などない。しかし、その邪気の
なさが却って葉月を屈辱と羞恥の罠に誘い込んでゆく。
10020 ◆JSxcaNkD96 :2008/07/19(土) 13:44:48 ID:wkKTIbhb
「本当ね。葉月ちゃんがお家でもエプロンを着けてくれるようになったら、お姉ちゃま、
大助かりだわ。早速、帰りに赤ちゃん用品のお店に寄ってみようか。大きめのよだれ
かけならエプロンの代わりになるわよ、きっと」
 皐月は満更でもなさそうな表情で言って、エプロンに覆われた葉月の胸元を人差指
の先でつっとなぞった。
「そんな……よだれかけだなんて、冗談だよね、お姉ちゃま!?」
 葉月は今にも泣き出しそうななって弱々しく首を振る。
「さ、どうかしらね。でも、よだれかけがいいのかどうかは別にしても、エプロンを着け
る習慣はつけておいた方がいいと思うわよ。葉月ちゃんが明日から通う保育園、年少
さんの子供はお弁当を食べる時にみんなエプロンを着けることになっているんだもの。
葉月ちゃんも年少さんクラスのひよこ組に入るんだから、お弁当は毎日エプロンをして
食べるのよ。だったら、少しでも慣れておいた方がいいんじゃないかな」
 悪戯っぽい笑顔でそう言う皐月の言葉に、まわりの客たちが再び当惑の表示を浮
かべて一斉に葉月の顔を注視した。
 つい今しがた、この子は自分のことを五年生だと言ったし、その隣に座っている姉と
おぼしき女性もそのことを認めたではないか。なのに、ぞれがどうして、この子が明日
から保育園に通うことに、それも年少クラスの園児として通うことになっているのだろ
う。客たちの胸には一人残らず同じ疑問が去来していたに違いない。
 そんなふうに大勢の視線が葉月に集まるのに対して、皐月は幾らか声を強め、
「葉月ちゃん、大きくなったら、お姉ちゃまと同じ保育士になりたいんだよね。だから、
保育士のお仕事がどんなだか前もって経験させてあげるために、お姉ちゃま、園長先
生に『夏休みの間、妹に職場体験をさせてあげてください』ってお願いしてあげたんだ
よね。そしたら園長先生、気持ちよく許してくれて、でも一つだけ条件をつけてきたん
だったっけ。その条件っていうのは、『保育士さんとしての体験をするだけじゃなくて、
子供たちと一緒の生活をしてみて、保育士さんのお仕事がどんなに大変か子供の目
から観察すること』だったんだよね。だから、明日から葉月ちゃんは保育園に通うこと
になって、本当は小学校の五年生だけど、年少さんからやり直すことになったんじゃ
なかった? だったら、なにもかも、どんなことでも年少さんと同じような生活をするつ
もりでいる方がいいと思うよ、お姉ちゃまは。だから、エプロンを着ける習慣も身につ
けといたいいと思うんだ」
と、いささか説明口調で、そう、まるで、葉月にではなく、まわりのテーブルの客たちに
向かって説明するかのように言うのだった。
 ああ、そういうことだったのね。なるほど、職場体験ねぇ。園児の目から観察か、そ
んなことまでするんだね、最近は。へーえ、かなり本格的じゃないの、それって。――
皐月の言葉が終わるや否や、口々にそう囁き交わす声が微かに聞こえてきた。それ
と共に、同じテーブルの客どうし小さく頷き合う姿が三人の目に映る。
10120 ◆JSxcaNkD96 :2008/07/19(土) 14:53:35 ID:wkKTIbhb
「保育園で預かっている子供たちのお母様方への説明として考えた設定だけど、この
ぶんだと、どうやら納得してもらえそうね。なんとなく半信半疑の人もいるみたいだけ
ど、とりあえず、なんとかなるでしょ」
 皐月はまわりの様子をそれとなく窺い、それまで葉月の顔に注がれていた視線が
一つまた一つとそれてゆくのを確認すると、葉月を園児として通園させることになった
経緯に関する保護者への説明もどうにかこうにかうまくゆきそうだという手応えをつか
んで、うふふと笑ってみせた。
 そうして、テーブルに並ぶスープのカップやお皿に改めて目をやると、にまっと笑って
「あらあら、せっかくのお料理が冷めちゃうわね。大変大変、早く食べちゃわないと。
でも、スプーンの使い方がお上手じゃない葉月ちゃんに早く平らげちゃいなさいって
言っても無理よね。いいわ、お姉ちゃまが食べさせてあげる。とりあえず、ケチャップラ
イスとハンバーグは温かいうちに食べちゃわないといけないものね。で、温かいお料
理を食べさせ終わって、サラダとか果物とかを葉月ちゃんが自分で食べている間にお
姉ちゃまも自分のランチを食べちゃうことにするわ。うん、そうしましょ」
と強引に決めつけ、葉月の目の前に置いてあるプラスチック製の先割れスプーンを、
葉月が慌てて制止するのもまるで無視してさっさとつかみ上げたかと思うと、星形に
型抜きしたケチャップライスの一角を手早く掬い取った。
「はい、あーんして」
 皐月は、いかにも妹思いの姉を演じ、日ごろ園児を相手に出しているのだろう、とび
きり優しい声で言って、ケチャップライスを掬い取ったスプーンを葉月の口のすぐ前に
突きつけた。
 けれど、大勢の客で混み合うレストランの中、まるで本当の幼児そのまま誰かの手
でごはんを食べさせてもらうという羞恥に葉月は耐えられない。皐月が何度も「あー
んするのよ」と言いながらスプーンを突きつけてくるのだが、頑なに口を閉ざしたまま
だ。
 それに対して、皐月は、強引に葉月の口を開かそうとはしなかった。その代わり、あ
くまでも優しい仕草でスプーンを葉月の口に近づけ、もう少しで唇に触れようかという
ところで、わざとスプーンを傾けたのだ。その直後、スプーンからケチャップライスが半
分ほどこぼれ落ち、そのまま、葉月の顎先から胸元へと伝い落ちてしまう。葉月の胸
元を覆うエプロンは下の方が表側への折り返しになっていて、そこで、子供が食べそ
こねた食物をキャッチする、幅の広いポケットみたいな仕組みになっていた。スプーン
からこぼれ落ちたごはん粒も大半はそのポケットが受け取ってくれたおかげで、サン
ドレスの胸元はもちろんのこと、ウエストラインから下を汚すこともなかったものの、ま
わりの客たちはまさか皐月がわざとスプーンを傾けたなどと思う筈がないから、傍目
には、優しい姉にごはんを食べさせてもらったのに食事の仕方が下手で、子供たちに
とっては大好物である筈のせっかくのケチャップライスをこぼしてしまい、紙製のエプロ
ンにうっすらと赤いシミをつけたのは全て葉月自身のせいだというふうに映っていた。
102名無しさん@ピンキー:2008/07/20(日) 12:42:16 ID:i3xE7zGu
今日はないのかな?
毎日投下乙です。
103名無しさん@ピンキー:2008/07/20(日) 18:57:09 ID:RWNUTvp1
>>102
毎週日曜はお休みじゃね?

幼児化が進んできたな"ちっち"の方にもwktk
104名無しさん@ピンキー:2008/07/20(日) 19:42:33 ID:wMiF8igS
お漏らしの前に、オシッコの後でも
ナプキン必須描写は読みたいな、可能であれば。
10520 ◆JSxcaNkD96 :2008/07/22(火) 06:08:29 ID:LFPwoJeJ
「ママ、あのお姉ちゃん、ごはんをこぼしてキティちゃんのエプロン汚しちゃってるよ。
キティちゃんが可哀想だよね」
 甲高い幼児の声が店内に響いた。
 見れば、小学校の低学年くらいだろうか、おしゃまな感じの小さな女の子が葉月と
同じお子様ランチを食べながら、少し得意げな表情で、隣の席に腰かけている母親に
話しかけていた。自分が全くエプロンを汚していないことで幾らか自慢したい気持ちも
あるのだろうが、声をひそめて囁き交わす大人とは違って、小さな子供は遠慮という
ものがまるでない。
「え? ああ、そうね。エプロン、汚しちゃってるわね、あのお姉ちゃん。うん、キティち
ゃんのお顔がケチャップで汚れちゃって可哀想かもね。でも、ごはんの食べ方が上手
とか下手とかは人それぞれだから、そんなことで大声を出しちゃ駄目なのよ。もしも美
亜がエプロンを汚しちゃって、そのことを大勢の人の前で大きな声で言われちゃった
ら恥ずかしいでしょ? だから、そんなこと、大きな声で言っちゃ駄目なの」
 美亜というのがその子の名前なのだろう、若い母親は愛娘の不躾を優しくたしなめ
て、気遣わしげな視線を葉月に向けた。
 けれど、小さな子供になかなか理屈が通じるものではない。美亜は少し拗ねたよう
に頬を膨らませると、自分のエプロンと葉月のエプロンとを見比べ、勝ち誇ったように
ますます大きな声を出すのだった。
「でも、美亜、エプロン汚してないもん。ごはんだったハンバーグだってレタスだってち
ゃんと食べられるから、エプロンのキティちゃん、ちっとも汚れてないもん。だから、美
亜、恥ずかしくないもん。美亜、あのお姉ちゃんじゃないから恥ずかしくないもん」
 母親と美亜が見つめる中、葉月は皐月が手にしたスプーンで今度はハンバーグの
上に載った目玉焼きを食べさせてもらっていた。けれど、今度もまた皐月が他の客た
ちに気づかれないようそっとスプーンを傾けたものだから、半熟の黄身が流れ出て葉
月の唇の端を汚してしまう。
 それを見た母親は
「ま、確かにそうだけど、でも、駄目なことは駄目なのよ。とにかく、よその子が恥ずか
しがるようなことを言うのは駄目なの」
と、美亜よりも遙かに体の大きな葉月の食事風景に苦笑交じりに再び我が娘をたし
なめるしかなかった。
10620 ◆JSxcaNkD96 :2008/07/22(火) 06:57:52 ID:LFPwoJeJ
「なによ、ママったら。いつもいつも、これは駄目、あれも駄目って、駄目駄目ばっか
言っちゃってさ。美亜、もう小学生なんだよ。いつまでも幼稚園のガキンチョじゃない
んだから、たまには美亜のイケンを聞いてくれてもいいじゃないのよ。美亜、もう、ご
はんのたびにエプロンを汚しちゃうようなお子ちゃまじゃないんだから」
 いつも口で言い負かされているのが悔しいのだろう、美亜はぷいっと唇を尖らせた。
 それに対して母親の方も少し思案顔になり、しばらくの間なにやら考えた後、やれ
やれ仕方ないといった表情を浮かべて、こう応じた。
「そうね、確かに、美亜の言うことにも少しは耳を傾けてあげなきゃいけないかもね。
たしかに美亜、小学校に通うようになって給食が始まったら、途端にごはんの食べ方
も上手になったし、近所の小っちゃい子供たちのお手本になるんだっていろいろ面倒
をみるようになって、急にお姉さくらしくなってきたもんね。うん、わかった。じゃ、美亜
の言うことを聞いて、これからは駄目駄目言わないように気をつける。で、ママはなん
でも駄目って言わないように気をつけるから、美亜はよその子が恥ずかしがるような
ことを言わないように気をつける。これでどう? これでおあいこだよね?」
「ほんと? 美亜、お姉さんらしくなってる? うふふ。美亜ね、気をつかってるんだよ。
もう幼稚園のガキンチョじゃないから、保育園や幼稚園に行ってる小っちゃな子たち
のお姉ちゃんだから、お手本になるよう頑張ってるんだよ。ママ、ちゃんと美亜のこと
わかってくれてたんだ。やっぱ、美亜のママ、最っ高だよ。いいよ、わかった。よその
子が恥ずかしがるようなこと、美亜、もう言わない。美亜、もうお姉ちゃんだもん、よそ
の子のことを考えてあげられるもん」
 母親の言葉が意外だったのか、美亜は最初のうち少し戸惑ったような表情を浮か
べたが、すぐにぱっと顔を輝かせて言い、声を弾ませて続けた。
「でも、その前に一つだけママにお願いしていい? ママと美亜、おあいこだけど、そ
の前に一つだけどうしてもお願い聞いてほしいの」
「いいわよ、どんなお願いなの?」
 それまでの拗ねた様子とは一転、娘の殊勝な態度に母親の顔がほころぶ。
10720 ◆JSxcaNkD96 :2008/07/22(火) 07:52:46 ID:LFPwoJeJ
「うん。あのね……エプロン、外してもらえないかな? 美亜、もう小学生なんだから、
こんなエプロン恥ずかしくてたまんないよ。絶対にお洋服を汚したりしないから、こん
なお子ちゃまエプロン、外してもいいでしょ? このお店だけじゃなくて、別のお店でお
子様ランチを食べる時でも、エプロンは着けさせないでほしいの。それが美亜からの
お願い。いいでしょ、ママ? 美亜、お姉ちゃんだから、ごはんこばさないもん」
 美亜は少し照れくさそうに、けれど半ば真剣な表情で母親の顔を見上げた。
 母親は再び思案顔になったものの、点々とケチャップの汚れが付いている葉月のエ
プロンとシミ一つ付いていない自分の娘のエプロンとを見比べると、やがて根負けした
ように小さく頷き、その後もういちど大きく頷き直してから、美亜の首筋の後ろで結わ
えた紐に指をかけながら言った。
「いいわ、わかった。美亜のお願いを聞いて、エプロンを外してあげる。でも、ちょっと
でもお洋服を汚したら、またエプロンに逆戻りよ。いいわね?」
「うん、約束する。絶対にお洋服を汚さない。でもって、もしも汚しちゃったら、ちゃんと
エプロンする。それでいいんだよね、ママ」
「そう、それでいいのよ。ちゃんと約束できるなんて、本当に美亜はお姉ちゃんになっ
たわね。――はい、いいわ、エプロンを外してあげたわよ。だから、美亜も約束を守っ
てね」
 短い言葉のやり取りの間に手早くエプロンを外した母親は、それを丁寧に折りたた
んでテーブルの隅に置き、改めて美亜の目を覗き込んだ。
「まっかせといてよ、ママ。美亜、聞き分けの悪い小っちゃい子じゃないもん、ちゃんと
約束を守れるお姉ちゃんだもん」
 ハローキティの顔が描かれたいかにも幼児向けといったデザインの紙製のエプロン
から解放され、自分がまた少しお姉さんになったんだという自信にぱっと顔を輝かせ
た美亜は母親に向かってにまっと笑ってみせた後、どこか自慢げに胸を張って葉月の
方に振り向いた。
「あの美亜ちゃんっていう子、エプロンを外してもらえたみたいね。お母さんと美亜ちゃ
んとのお話を聞いてると、美亜ちゃん、この春から小学校に通うようになって急にお
姉ちゃんらしくなって、それでエプロンも外してもらえたんだね。なのに、うちの葉月ち
ゃんは――」
 皐月は、葉月の唇の端に付いた目玉焼きの黄身をエプロンの端で拭い取り、ジュー
スの入った丸いプラスチックの容器を半ば強引に持たせながら、すっと目を細めて葉
月に話しかけた。

10820 ◆JSxcaNkD96 :2008/07/22(火) 08:27:16 ID:LFPwoJeJ
「葉月ちゃんはちゃんとスプーンを使えなくて、お姉ちゃまが食べさせてあげても上手
に食べられなくてごはん粒や目玉焼きをこぼしちゃうんだよね」
「ちがう。あれは葉月のせいじゃない。お姉ちゃまがスプーンをかたむ……」
 お姉ちゃまがスプーンを傾けたせいだ。思わず反論しかけた葉月だが、ジュースの
容器に差し込んだストローを咥えさせられたため、あとは言葉にならなかった。
 だが、それでも口を開こうとするものだから、ストローから口の中に流れ込んだジュ
ースの内の幾らかが唇の端から溢れ出て顎先から胸元に滴り落ち、ケチャップの跡
がうっすら残る紙製のエプロンに今度は黄色のシミを付けてしまう。
「ほら、言ってるそばからエプロンを汚しちゃって。美亜ちゃんは小学校の一年生だけ
どエプロンはちっとも汚してないんだよ。なのに、葉月ちゃんは五年生のくせに、ごは
んだけじゃなくジュースもちゃんと飲めないなんて、困ったお姉ちゃんだこと。――でも、
あ、そうか。葉月ちゃんは明日から保育園の年少さんだもん、エプロンをごはんやジュ
ースで汚しちゃってもちっとも変じゃないんだっけ。そうだよね、だったら、ごはんの食
べ方が上手じゃなくても仕方ないよね。うん、そうだよね。年少さんの葉月ちゃんより
小一の美亜ちゃんの方がずっと年上のお姉ちゃんだもん、小っちゃな妹の葉月ちゃん
がエプロンを汚しちゃうのも無理ないよね。葉月ちゃんよりも美亜ちゃんの方がずっと
ずっとお姉ちゃんのしっかり者なんだもんね」
 皐月は、唇の端から顎先をエプロンの端で拭ってやりながら皮肉めいた口調で言い、
葉月の耳元にそっと唇を寄せて囁いた。
「だけど、本当は葉月ちゃん、大学一年生のお兄ちゃんなんだよね。大学生のお兄ち
ゃんのくせにキティちゃんのエプロンを汚しちゃってるんだよね。やれやれ、いつになっ
たら美亜ちゃんみたいなお姉ちゃんになれるのかな、葉月ちゃんは。あ、そうだ。困
ったお兄ちゃんの葉月ちゃんが早くしっかり者のお姉ちゃんになれるよう、美亜ちゃん
が要らなくなったエプロンを貰ってかえろうか。でもって、エプロンに『早く葉月ちゃんを
美亜ちゃんみたいなお姉ちゃんにしてください』ってお願いするの。どう思う? このオ
マジナイ、とってもよく効くんじゃないかしら」

                   * * *

 そんなふうに羞恥に満ちた昼食を終えてようやくレストランをあとにし、穿き慣れな
い踵の高いサンダルのためおぼつかない足取りでバスに向かって歩き出した葉月だ
が、皐月に手をつかまれ、くるりと体の向きを変えさせられてしまう。
10920 ◆JSxcaNkD96 :2008/07/22(火) 09:21:31 ID:LFPwoJeJ
「どこへ行くつもりなのよ、葉月ちゃんてば」
 葉月の手をつかんだ皐月は、どことなく意地悪そうな笑みを浮かべて言った。
「え? どこへ行くつもりって……帰るんでしょ? お家に帰るんじゃないの?」
 レストランに出入りする客や駐車場を行き来する人々に怪しまれないよう少女めい
た口調を意識しながら、葉月はきょとんとした顔つきになって聞き返した。
「なに言ってるの、葉月ちゃんてば。せっかく水族館まで来たのに、ごはんを食べただ
けですぐに帰っちゃうような勿体ないことするわけないでしょ? ほら、これを首にかけ
るのよ」
 皐月はにやっと笑い、自分のポーチから小ぶりの手帳を取り出すと、手帳の背に開
いている丸い穴に丈夫そうな紐を通し、その紐を固く結んで葉月の首にかけさせた。
 まだきょとんとした表情のまま葉月が視線を落とし、紐で首にかけさせられたばかり
の手帳を確認すると、それは、園長室で手渡された園児手帳だった。
「あ、これ……」
「そう、葉月ちゃんの園児手帳よ。お出かけ前に、小物ハンガーにかけた鞄から取り
出して持って来てあげたのよ。これがあれば水族館に只で入れるんだもん、ごはんの
後の散歩を兼ねてお魚を見てまわろうね。ほら、お姉ちゃまもちゃんと保育園の職員
証を持ってきたんだから」
 皐月は笑顔のままこともなげに言って自分の職員証を葉月に見せ、かたわらに立
つ水無月の方をちらと見た。
 それに合わせて水無月も自分の小物入れから職員証を取り出す。
「ほら、おばあちゃまもちゃんと持って来たわよ。これで、三人揃って水族館に入れる
でしょ。おばあちゃま、遠足や水遊びのために子供たちを何度もバスで送り迎えして
きたけど、いれまで中に入ったことがなかったの。孫娘がお泊まりに来るたびに連れ
てってあげようかとも思っていたんだけど、孫娘はデパートでのお買い物の方がお気
に入りで、こっちに来るチャンスがなくってね。それで葉月ちゃんと一緒にお魚を見て
まわるのが楽しみで楽しみで」
 水無月は葉月の目の前で自分の職員証をいかにも嬉しそうに振ってみせ、皐月が
つかんでいるのとは反対側の葉月の手をとると、さっさと歩き出した。

「あら、珍しい。日曜日に来園なんて、今日は保育園で特別の行事でもあるの?」
 皐月の顔を見るなり、すっかり顔馴染みになってしまった受付の職員が話しかけて
きた。保育園の行事で何度も訪れているから、今や、その若い女性職員とは、皐月
がわざわざ職員証を見せなくても顔パスで入園できる程の仲だ。
「うん、ちょっとね。いつもバスで子供たちを送り迎えしてもらっている事務係の人にも
一度は水族館の中を見てもらっておいた方がいいと思ってつきあってもらったのよ。
紹介するわね、こちら、水無月さん」
 少し遅い昼食を終えたこの時間帯、水族園への客の出入りも少し落ち着いたようで、
比較的空いているゲートのすぐそばで皐月は受付職員に水無月を紹介した。
11020 ◆JSxcaNkD96 :2008/07/22(火) 13:38:15 ID:LFPwoJeJ
「あ、じゃ、こちらが『水無月のおばあちゃん』ですか。子供たちからいつも聞いていま
す。今日も水無月のおばちゃんがバスで送ってくれたんだよって。今日は楽しんでい
らしてくださいね」
 職員はにこやかな笑みを浮かべ、水無月の職員証を形ばかり確認すると、ぺこりと
お辞儀をした。
「そうですか、子供たち、私のことを話してくれているんですか。嬉しいことですね。え
え、今日はこの葉月ちゃんと一緒に存分に楽しませていただくことにします。ほら、葉
月ちゃんも水族館のお姉さんにご挨拶なさい」
 水無月の方もにこやかな表情で会釈を返し、皐月の後ろに身を隠そうとする葉月の
手を引いて職員の前に連れ出した。
「えーと、こちらのお子さんは?」
 自分の目の前に立って身をすくめる葉月の様子に一瞬だけ表情を固くした職員だっ
たが、葉月が首にかけている園児手帳に気がつくと、今度は、どう見ても保育園児に
は思えない葉月の背の高さに困惑の顔つきになり、皐月にともなく水無月にともなく、
葉月の顔と園児手帳とをちらちら見比べながら訊いた。
「実は私の妹なのよ。明日から私が勤務する保育園に通うことになっているの。はい、
これ」
 皐月は職員の困惑ぶりに胸の中で面白そうにぺろっと舌を突き出しながら、葉月の
首にかけさせた園児手帳を職員の目の前で広げてみせた。
「あ、御崎先生、妹さんがいたんだ。たしか、弟さんがいるとかって前に聞いたことが
あるけど、妹さんもいたのね。そうか、弟さんは大学生だって聞いけど、妹さんとはだ
いぶ年が離れてるのね。――はい、お名前はみさきはづきちゃんね。クラスは特別年
少クラス、ひよこ組……ええ、年少さんなの、葉月ちゃん!?」
 皐月の背後から姿を現した、自分とあまり身長に差がない少女が首に園児手帳を
かけているのだけでも当惑の極みなのに、しかも年少クラスだというのだ。これで驚
かない方がどうかしている。
11120 ◆JSxcaNkD96 :2008/07/22(火) 16:02:23 ID:LFPwoJeJ
「うん。ま、年少クラスっていっても、職場体験での仮の年少さんだけどね――」
 皐月は職員が記載事項を確認するのを待って園児手帳を閉じ、レストランで周囲の
客たちに向かってそれとなく行ったのと同じ説明をここでも苦笑交じりに繰り返すこと
にした。
「――というわけなのよ」
「はぁ、なるほどね。ふぅん、そういうこともあるのかな」
 皐月の説明に職員は頷くのだが、どこか半信半疑といったふうなのは否めない。も
っとも、レストランの客の中にも皐月の説明にどことなく不審げな表情を浮かべている
者もいたし、皐月自身も、自分の説明に疑念を抱く者が一人もいないなどとは思って
いない。説明を聞く者になんとなくそんなものかなと思わせればそれでいい。葉月を
その場に居合わせる名目ができれば、あとはなんとでもなるものだ。
「うん、まぁ、園児手帳は本物だし、いいわ、入ってちょうだい。普段は園児たちのお
世話で大変でしょうから、今日はゆっくり楽しんでいってね」
 まだ納得しきれていない様子の職員だが、親子連れの入園客がゲートに近づいて
来たため、皐月たちに軽く手を振っていたわるように言った後、事務的な顔つきに戻
ってくるりと体の向きを変えてしまった。
「じゃ、行こうか、葉月ちゃん。ひばり保育園の子供たちは、この春に入園した年少さ
んのお友達も含めて、みんなここに来たことがあるんだよ。なのに葉月ちゃんはまだ
だから、保育園でお魚の話になってもみんなについていけないでしょ? そんなこと
になったら可哀想だから、今日のうちに連れて来ておいてあげたかったんだ。それで、
水無月さんへのお礼も兼ねて三人で来ることにしたってわけ。だから、どんなお魚が
いるのか、ちゃんと見ておくのよ。みんなが綺麗な熱帯魚のお話をしてるのに、葉月
ちゃんだけ、そんなお魚見てないよなんて言ったら、葉月ちゃん、みんなからバカにさ
れちゃうかもしれないんだから。それで、どんなお魚がいたのかちゃんと憶えておいて、
晩ごはんを食べながら、どのお魚が綺麗だったかお姉ちゃまに話してちょうだいね。さ、
行きましょう」
 皐月は職員に向かって軽く頷いてみせ、葉月の右手を引いて歩き出した。
 同時に、水無月も葉月の左手を握って歩き出す。
 そんな三人の様子は、傍目には、祖母と年の離れた姉(あるいは、随分と若い母親
だろうか)と幼い女の子の組み合わせという、仲のいい家族垂れそのままだった。ま
さか、幼い女の子がハローキティのショーツの中にいやらしい肉棒を隠し持っているな
どと想像する者は一人もいないだろう。

 皐月の体に異変が起きたのは、水族館の展示棟に足を踏み入れて大小様々な水
槽を見てまわり始めてから三十分ほど経った頃だった。それまで、穿き慣れない踵の
高いサンダルでおぼつかない足取りになりながら、他の入館者たちに正体を見破ら
れないまいと、皐月や水無月に手を引かれるまま、たとえば色とりどりの熱帯魚が群
れになって泳ぎ回る水槽の前では魚たちに見入る少女のふりをし、たとえばウツボの
いる水槽の前では怖そうに身を固くする少女を演じていたのが、急に足取りが重くな
り、二人が促してもなかなか歩を進めようとしなくなってきたのだった。
112名無しさん@ピンキー:2008/07/22(火) 16:21:23 ID:ipH8f8d+
wkwktktk
113名無しさん@ピンキー:2008/07/22(火) 16:56:20 ID:Hdp0PiDP
食事の中に薬仕込んでたら余計食べなくなるな
11420 ◆JSxcaNkD96 :2008/07/23(水) 05:45:44 ID:UoT7f1KW
「どうしたの、葉月ちゃん? あんよが痛いのかな? だったら、カフェかどこかで休ん
でいこうか?」
 二階の展示場へ向かうスロープに足をかけた後なかなか歩き出そうとしない葉月
に、水無月が心配そうな表情で話しかけた。
 けれど、葉月は無言で首を振るだけだ。
「駄目じゃないの、葉月ちゃん。水無月さんが心配してくれているのに、何も話さない
で首を振るだけだなんて。もう五年生なんだから、もっとちゃんとしなきゃ駄目よ」
 口をつぐんだまま視線を落とす葉月に、皐月は、幼児に対して言って聞かせるという
よりも、それこそ小学校高学年の児童に対して少し強い調子で叱責するといった方が
ふさわしい口調で声をかけた。時によっては保育園の年少さん扱いで羞恥をくすぐら
れ、時によっては今みたいに小五の女の子扱いで屈辱を煽られといった手練れで皐
月に弄ばれて、葉月の心は千々に乱れ、瞬間的ではあるれけど自分が本当は何者
なのか、自分に対する自信といったものが揺らぐのを止められない。
「あ、あし……あんよじゃないの……」
 小学五年生の少女のふりをするなら『足じゃない』と言ってもまるで不自然ではない
のだが、自分がどんな年齢の女の子を演じていいのかという判断もつかなくなってし
まいそうになっているのか、皐月は慌てて保育園の幼女っぽく『あんよじゃない』と言
い直し、自分の言いようのあまりの幼さに恥ずかしそうな表情を浮かべて視線を床に
落とした。
「そう、あんよが痛いってわけじゃないのね。じゃ、どうしたの? どうして欲しいのか、
ちゃんとお姉ちゃまに教えてちょうだい。年少さんでも、そのくらいは教えられるよね」
 皐月は、今度は幼女をあやすように言った。
「寒いの……寒くて、それで……」
 葉月は、まるで皐月の視線から逃れようとでもするみたいに麦わら帽子のつばを下
げ、今にも消え入りそうな声で応じた。
「あ、そっか、寒かったんだ、葉月ちゃん。そうだよね、レストランの中もこの建物の中
もよく冷房が利いてて、外は真夏だなんて思えないほどだもん」
 皐月はようやく納得したような表情を浮かべ、くすっと笑っておかしそうに言った。
「それに、本当は男の子の葉月ちゃんだもん、これまでノースリーブのお洋服なんて
着たことがないよね。それが急にホルターネックのサマードレスとかキャミソールだも
ん、余計に寒く感じちゃうよね」
11520 ◆JSxcaNkD96 :2008/07/23(水) 06:37:30 ID:UoT7f1KW
「や、やだ……葉月のこと、男の子だなんて、そんなこと言っちゃやだ」
 麦わら帽子の広いつばで顔を隠したまま、葉月は幼児がいやいやをするみたいに
小さく首を振った。
「あら、葉月ちゃん、自分のこと、男の子だって言われるのがいやなんだ。ふぅん。自
分が年少さんの女の子だっていう自覚が出てきたのかな」
 皐月がからからい気味に言う。
「ちがう。……葉月、男の子だよ。男の子だけど、他のお客さんたちに男の子だって
知られたらどうしていいかわかんないもん。男の子のくせに……十八歳の男の子の
くせにこんな格好してるだなんて他の人たちに知られたらどうしていいかわかんない
んだもん」
 葉月が声を絞り出すのに合わせて薄い胸が動き、細い肩が震えて、麦わら帽子に
あしらった小花の飾りが揺れる。その様子は、確かに、誰かの庇護のもとでなければ
何もできない幼い女の子そのままだった。
「わかった。葉月ちゃんのこと、男の子だって言わない。これからはもうずっと年少さ
んの女の子のつもりで話しかけてあげる。それでいいんだよね?」
 少しだけ考えて、皐月はいかにも恩着せがましく応じた。
「……うん……」
 スロープにかけた自分の足をじっと見つめて、葉月は蚊の鳴くような声で応えた。
「いいわよ、これからずっと葉月ちゃんは年少さんの女の子で決まりね。いい? これ
は葉月が自分で言い出したことなんだから、そこんとこ忘れちゃ駄目だよ」
 葉月が麦わら帽子を揺らしながら弱々しく頷くのを見届けた皐月は、有無を言わさ
ぬ強い調子で決めつけた。
「あ……」
 その時になってようやく葉月は自分の置かれた状況に気がつく。
 これまでの一連の流れでは、皐月の言う通り、葉月が自ら自分のことを小さな女の
子扱いしてくれるようせがんだと受け取られても仕方ないのだ。
「ち、ちがう。……葉月、年少さんの女の子なんかじゃないもん」
 葉月はのろのろと顔を上げ、麦わら帽子のつば越しに皐月の顔を見上げて、両手の
掌をぎゅっと拳に握った。
11620 ◆JSxcaNkD96 :2008/07/23(水) 07:26:36 ID:UoT7f1KW
「じゃ、いいの? こんな格好をしているけど葉月ちゃんが本当は男の子だってこと、
みんなに知られちゃってもいいのね? 熱帯魚の水槽の前にいる親子連れやタコの
水槽の前にいるカップルやイソギンチャクの水槽の前にいる中学生に、葉月ちゃんは
本当は大学生の男の子なんですよって教えちゃってもいいんだね?」
 皐月は自分たちが歩いてきた通路の様子をぐるりと見回した後、葉月の顔に視線を
戻して目を細めた。
「や、やだ……そんなの、絶対、や!」
 葉月はぶんぶんと首を振って体を震わせた。
「だから、それがいやだったら、葉月ちゃんは年少さんの女の子で決まりでしょ? 同
じことを何度も言わせるような聞き分けのない子、お姉ちゃまは大嫌いになっちゃう
んだからね。聞き分けのない子なんて、ここに一人ほっぽって帰っちゃうんだからね。
お姉ちゃまと水無月さん、二人で帰るから、葉月ちゃんは一人でここにいるといいわ。
ここにいて、お魚をたくさん見て、でもって、一人でお家に帰ってらっしゃい。わかった
わね!?」
 それまでは口調こそ少しばかり厳しいものの声そのものは大きくなかったのが、こ
の時ばかりは声も張り上げ気味にして、皐月は葉月を叱りとばした。
 いささか荒々しくさえ聞こえる皐月の叱責声に、葉月はびくんと体を震わせ、水槽を
観察しながら通路を歩いていた来館客たちが一斉に視線をこちらに向けた。
「……ご、ごめんなさい。葉月、いい子にする。いい子にするから、一人で帰ってらっし
ゃいなんて言わないで。いい子にする、約束するから、お姉ちゃま」
 自分に向けられた大勢の視線を痛いほど感じながら、葉月は首をうなだれ、弱々し
い声で皐月に懇願した。
 皐月の言うように一人ここに取り残されたとして、その後どうすればいいのかまるで
見当もつかない。しばらくの間は一人ぽつんとベンチに座っていることもできるかもし
れない。けれど閉館時間になって水族館を追い出された後、穿き慣れないサンダル
のおぼつかない足取りでどうやってマンションまで帰ることができるだろう。小っちゃ
な子供が持つようなものじゃないからと言って一銭のお金も持たせてもらえず、バス
にもタクシーにも乗ることができず、痛む足を引きずってとぼとぼ歩いているうち、次
第に暗くなってくる夜道を幼い女の子が一人でいるのを見咎めたパトロール中の警
官に呼び止められて事情を聞かれ、正体を暴かれるかもしれない。いや、もしも、マン
ションの近くの停留所に停まるバスに乗るだけの小銭を持っていたとしても、羞恥に
満ちたこの格好で大勢の乗客と乗り合わせる勇気はない。
 そう思うと、屈辱にまみれながらも皐月に許しを請うしかなかった。
11795:2008/07/23(水) 08:02:50 ID:Pf+w+yti
書き込めるかな。
水族館のお姉さんに手帳を確認してもらっている葉月。

昨日遅くに完成したのに、ネットに上げる気力をなくしてました。

http://www.gazoru.com/g-63583d7e1313bd7c81720cb86dd12a65.jpg.html
11820 ◆JSxcaNkD96 :2008/07/23(水) 08:14:00 ID:UoT7f1KW
「本当に約束できるのね?」
 皐月は瞳に厳しい光をたたえて葉月の顔を正面から見据えた。
「約束する。葉月、いい子になる。本当だってば、お姉ちゃま」
 葉月は瞳を涙でうるうるさせて哀願した。
 途端に、皐月の表情がふっと緩む。
「いいわ。葉月ちゃんの気持ち、お姉ちゃまにもちゃんと伝わってきたから許してあげ
る。葉月ちゃん、本当はいい子だもん、もう我儘なんて言わないよね」
 皐月は、それこそ幼い子供に対してするみたいに噛んでふくめるように言い聞かせ
ながら、葉月の頭を麦わら帽子の上から優しく撫でた。
「……約束する。葉月、いい子だもん……」
 自分は本当は幼い女の子なんかじゃないという当たり前の主張をすることを身勝手
な『我儘』だと決めつけられながらも、それに対する反論もできず、葉月は幼い女の
子のふりをしてそう応えるしかなかった。
「そう、それでいいのよ。葉月ちゃんは聞き分けのいい、とっても可愛い妹ね。こんな
妹がいて、お姉ちゃま、本当に幸せだわ」
 皐月は少しばかり芝居がかった様子でそう言って葉月の体を抱きすくめ、来館客た
ちが再び水槽の方に向き直るのを見届けてから、葉月の背中にまわした両手の力を
更に強くして続けた。
「葉月ちゃん、さっき、寒いって言ってたよね。だったら、このままずっと抱っこしててあ
げようか? それとも、お日様の当たる広場に行って体をあっためる方がいい?」
「……あ、あの……あのね、葉月、寒くて元気がなくなってたんじゃないの……」
 それまでの厳しい様子が嘘みたいな皐月の穏やかな問いかけに、葉月は思わず
何かを訴えかけるかのように口を開いたが、すぐに羞じらいの表情を浮かべて言葉を
途中で飲み込んでしまった。だが、恥ずかしそうに頬をうっすらとピンクに染めている
のは、実の姉に優しく抱きすくめられたせいばかりではない。
「じゃ、どうしたの? どうして、急に歩くのが遅くなっちゃったの? 寒くて元気がなく
なったわけじゃないって、だったら、どうしちゃったの?」
 皐月はキャミソールの上から葉月の背中をぽんぽんと優しく叩きながら早口で訊い
た。
 だが、どうして葉月の歩みが遅くなったのか、その理由について実は皐月には思い
当たる節があった。おそらくと思い当たるところがありながらも、それを葉月の口から
聞きたくて、わざと気づかないふりをして何度も繰り返し尋ねているのだった。
11920 ◆JSxcaNkD96 :2008/07/23(水) 09:47:16 ID:UoT7f1KW
「……あのね……あのね、葉月……」
 葉月は何度も最後まで言葉にしようと唇を動かすのだが、そのたびに口をつぐんで
目を伏せてしまう。
 けれど、それが長くは続かないだろうということも皐月は予想していた。葉月の歩み
が遅くなった理由が皐月の想像通りなら、もうそろそろ限界の筈だ。
「どうしたの、葉月ちゃん? 何か言いにくいことなのかな? お姉ちゃまに教えるの
が恥ずかしいことなのかな?」
 皐月は重ねて訊きながら、優しく葉月の背中を叩いていた手をゆっくり下におろし、
お尻の膨らみをスカートの上から二度ぽんぽんと叩いた後、その手を葉月の体の前
にまわして、おヘソの下のあたりをぐっと押した。
「や! そんなとこ触っちゃやだ。……出ちゃう、出ちゃうから、そんなところ触らない
でってば、お姉ちゃま」
 葉月は反射的に腰を退き、僅かに前屈みになって、ぶるっと腰を震わせた。
「出ちゃうって、何が出ちゃうの? 園長先生のお部屋や葉月ちゃんの新しいお部屋
で出しちゃったのと同じ、白いおしっこが出ちゃうのかな?」
 切ない喘ぎ声で懇願する葉月の様子に、葉月の歩みが遅くなった理由が自分の想
像していた通りだという思いをますます強くし、皐月は満足げな声で確認するように言
った。
「……違う。白いおしっこじゃない。白いおしっこじゃない方のおしっこが出ちゃいそう
なの。だから、そんなとこ押しちゃやだってば……」
 皐月の手は、体をくねらせ、どこか甘えるようにそう言う葉月の膀胱のあたりをショ
ーツの上から押さえていた。ただでさえ尿意の高まりを覚えて足の運びが滞りがちに
なっていた葉月だから、そんなところを力まかせに押されたりしたらどうなってしまうか
しれたものではない。
「そうなんだ、葉月ちゃん、おしっこを我慢してたんだ。でも、そうだよね。着慣れない
ノースリーブのお洋服を着て冷房の利く所にずっといたんだもん、体が冷えておしっこ
が近くなっちゃっても変じゃないよね。でも、どうして黙っていたの? もう出ちゃいそ
うになるまで、どうしてお姉ちゃまに教えなかったの? 教えてくれたらすぐにトイレへ
連れて行ってあげたのに」
 それまで言い澱んでいた葉月が自ら「おしっこ」という言葉を口にしたことに皐月は
思わずほくそ笑み、尚も意地悪な質問を重ねた。

 
 
12020 ◆JSxcaNkD96 :2008/07/23(水) 16:00:04 ID:UoT7f1KW
「だって……だって、恥ずかしかったんだもん」
 葉月はようやくのこと皐月の手を振りほどき、再び麦わら帽のつばで顔を隠すように
して視線を落とした。
「恥ずかしいの? トイレへ行くのが? どうして恥ずかしいの?」
 葉月の胸の内を充分に承知していながら、皐月は矢継ぎ早に質問を投げかける。
「だって……初めて会った水無月おばあちゃまもいるのに、おしっこに行きたいだなん
て、そんなの……」
 そうしている間にも次第に高まってくる尿意に耐えるためただろう、葉月は左右の
内腿をもじもじと擦り合わせながら、うなじまで赤くしてぽつりと言った。
「ふぅん。水無月さんがいる所でおしっこを教えるのが恥ずかしかったんだ。そっか、そ
うだよね、初めて会った人の前でトイレへ連れて行ってほしいだなんて恥ずかしくて
言えないよね。特に葉月ちゃんみたいな可愛い子は、大声でおしっこだなんて言って、
はしたない子だって思われたらどうしようかって心配しちゃうよね」
 皐月は納得したような表情を浮かべてわざと大げさな仕草で同意してみせたが、す
ぐに、どことなく疑わしそうな顔つきになって尚も問い詰めた。
「でも、それだけかな? おしっこをしたいってお姉ちゃまに教えなかったの、水無月
さんに知られるのが恥ずかしかったからっていう理由だけだったのかな? ――この
水族館の展示棟、あまり大きな建物じゃないくせに、狭い敷地にいろんな展示品を詰
め込もうとしたせいで、ちょっとした迷路みたいになっちゃってるんだ。しかも展示品は
年々増えてるから、一応の案内板はあるんだけど、初めて来た人にはわかりづらい
んじゃないかな。お姉ちゃま、通路のあちこちに立っている案内板を葉月ちゃんがじっ
と見てたの、気がついてたんだよ。特に、トイレの場所を描いた案内板なんて、まるで
睨みつけるみたいにして真剣な目つきで見てたよね。でもって、案内板が指し示す方
にちらちら目を向けて、なのに、その方向にお目当てのトイレが見あたらなくてがっか
りしてたんだよね? でも、それも仕方ないんだ。いつのまにか迷路みたいになっちゃ
った展示棟だから、案内板が指し示す場所まで行って、そこからちょっと壁をまわりこ
むみたいにしないとお目当ての場所へ行けないんだから。うん、そう。初めて来た人
は来慣れた人に案内してもらわないとトイレへ行くのも難しいんだよ。――もういちど
だけ訊くけど、葉月ちゃんがおしっこを教えなかった理由、本当に、水無月さんに知ら
れるのが恥ずかしかったからってだけだったの?」
 本当の理由を教えないとトイレへ連れて行ってあげないわよ。もう我慢もぎりぎりの
状態で、迷路みたいなこの展示棟のトイレに自分だけで行けるのかな? 皐月の言
葉の最後の方はそんなふうに脅しているのも同然だった。
121名無しさん@ピンキー:2008/07/23(水) 21:06:23 ID:jRxkRL8k
せっかく本格的なタックもしている事だし、
お漏らしに行く前に、立ちションも出来ずに
屈辱のおしゃがみオシッコイベントを
見てみたいものだ。

振り切って男子トイレに行くも小便器の前で唖然、
とした所を捕まえられて女子トイレへ連れてかれ
……とかね。
12220 ◆JSxcaNkD96 :2008/07/24(木) 05:37:27 ID:GZ+0Nxwg
「……あ、あのね……」
 葉月は、まるで心の奥底まで見透かしてしまいそうな皐月の鋭い眼光を浴びてぴく
りと頬をこわばらせ、胸の内に隠し抱いていた本当の理由を口にするしかない状況に
いつしか自分が追い込まれていることを実感せざるを得なかった。
「……葉月、恥ずかしかったの。トイレへ行ってパンツを脱がなきゃいけないんだと思
うと、それがとっても恥ずかしかったの。脱いだパンツ、おしっこをしてる間、膝のとこ
ろまで下げてなきゃいけないでしょ。それがとっても恥ずかしいの。おしっこをしてる間
ずっとパンツが見えてて、それが葉月の穿いてるパンツだって自分で改めて実感しな
きゃいけないのが恥ずかしかったの。だから……」
「だから、トイレへ行くのが辛くて、お姉ちゃまにもおしっこを教えなかったわけね。自
分が女の子パンツを穿いてること、そして、女の子パンツの内側にナプキンを着けて
ることを改めて思い知らされるのが恥ずかしくて、でも、そんな本当の理由を自分自身
で認めるのが辛くて、それで水無月さんに知られるのが恥ずかしいっていうもっともら
しい言い訳で自分をごまかして」
 皐月は、少し呆れたような表情と、やっぱりねとでもいうような表情とがない交ぜに
なった顔つきで葉月の言葉を継いだ。
「……ごめんね、お姉ちゃま。ごめんなさい、水無月のおばあちゃま。本当はみんな葉
月自身のことなのに、おばあちゃまのせいにして。こんなこと、もう二度としない。しな
いから許して。葉月を一人でほっぽって帰っちゃうなんて言わないで」
 皐月の言葉を認め、再び許しを請う葉月だったが、それこそもう本当に限界が近い
のだろう、両手で下腹部を押さえんばかりにしている。
 つばの広い麦わら帽子を目深にかぶり、ポシェットの肩紐を斜めがけしたサンドレス
とキャミの重ね着姿の少女がもじもじと内腿を擦り合わせ、両手を下腹部の前で組ん
でいる様子を見て、それが実は十八歳の男子大学生だと見抜く者など一人もいるわ
けがなかった。
12320 ◆JSxcaNkD96 :2008/07/24(木) 06:51:36 ID:GZ+0Nxwg
「いいわよ、わかった。葉月ちゃんがちゃんと話してくれたから、今回は許してあげる。
でも、もう一つ、お姉ちゃまにおねだりしなきゃいけないことがあるよね? 葉月ちゃ
のこと許してあげるから、ちゃんとおねだりしてごらんなさい。でないと、間に合わなく
なっちゃうんじゃないのかな?」
 皐月は、それこそ本当の幼児さながら尿意に耐えるために今にも地団駄を踏みそう
にしている葉月の姿に胸の中でほくそ笑みながら、言葉だけは優しく応じた。
 皐月が自分に何を言わそうとしているのか、もちろん、葉月にもわかっている。わか
っているのだが、それはあまりにも羞恥に満ちた『おねだり』だった。
 けれど、
「どうしたの? 間に合わなかったら、もっと恥ずかしい目に遭うことになるのよ」
という皐月の言葉通り、いくら踏ん張ってもどうにもできなくなってきているのは紛れ
もない事実だった。しかも、皐月は追い討ちをかけるように
「遠足で保育園の子供たちを連れて来てあげると、何度か来たことがあるのに、トイ
レへの道順を間違っちゃう子が必ず何人かはいるのよね。こっちが気づいて大急ぎ
で連れて行ってあげられればいいんだけど、子供っていうのは遊びに夢中で本当の
ぎりぎりになるまでトイレへ行こうとしないから、途中で迷っちゃうと私たちがいる場所
へ戻ってくる余裕もなくなっちゃってる場合が殆どで、結局、トイレの近くまで行ってな
がらしくじっちゃうことが珍しくないんだ。だから、遠足の時は絶対に替えのパンツを持
たせてくれるよう連絡帳に書いてお母様方にお願いしてるんだけど――あ、そうだっ
た。葉月ちゃんにも替えのパンツを持たせてあげてたんだっけ。そうだよね、肩にか
けてるポシェットに新しいパンツとナプキンを入れといたげたから、もしも間に合わなか
ったとしても大丈夫だよ、よかったね」
とも言って、なかなか『おねだり』をしようとしない葉月をどんどん追い詰めてゆく。
「……お姉ちゃま……」
 下腹部を両手で押さえるようにしながら何度か浅い呼吸を繰り返し、おずおずと皐月
の顔を見上げた葉月が、ようようのこと決心を固めたのか、こわばった表情で声を絞
り出すようにして言った。
「葉月をトイレへ連れて行って。葉月、もう我慢できないの。だけど、どうやってトイレ
へ行ったらいいかわからなくて……だから、連れて行って。おしっこが出ちゃう前にト
イレへ連れて行って、お願い、お姉ちゃま」
12420 ◆JSxcaNkD96 :2008/07/24(木) 07:52:38 ID:GZ+0Nxwg
 自分では何もできない幼い妹さながらトイレへ連れて行ってくれるよう実の姉にせ
がまざるを得ない、それはどれほど羞恥に満ちた『おねだり』だろう。けれど、今の葉
月には、そうするしかなかった。
「お願い、お姉ちゃま。もう出そうなの。葉月、おしっこ出ちゃいそうなの。だから、早く
ってば、お姉ちゃま」
 一度おねだりの言葉を口にするとそれまでの緊張の糸がぷっつり切れてしまったの
か、尿意が急に高まってきた。しかも、踵の高いサンダルを履かされているため体の
バランスを崩しやすく、倒れまいとするたび下腹部に余計な力が入って、今にもしくじっ
てしまいそうになる。
「うん、わかった。そうやってちゃんと事情を話してお願いしてくれたら、いつでも葉月
ちゃんのおねだりをきいてあげるよ。ふぅん、葉月ちゃん、トイレへ連れて行ってほしい
んだ。でも、そうだよね。葉月ちゃん、年少さんだもん、まだ一人じゃトイレへ行けない
もん、誰かに連れて行ってもらわなきゃいけないよね。だったら、すぐにお姉ちゃまが
連れて行ってあげる。――だから、一つ約束してちょうだい。明日から通う保育園で
も、おしっこをしたくなったら、誰かにお願いしてトイレへ連れて行ってもらうようにしな
きゃ駄目だよ。まだ年少さんの葉月ちゃんが勝手にトイレへ行って便器にお尻をぶつ
けちゃったりドアが開かなくなってトイレの中に閉じ込められちゃったりしたら大変だ
から、保育園でも一人でトイレに行っちゃ駄目。葉月ちゃんの担任は遠藤先生だから、
おしっこしたくなったら遠藤先生にお願いして連れて行ってもらうのよ。もしも遠藤先
生がいなかったり忙しそうだったりしたら、誰か近くにいる他の先生にお願いしなさい。
でもって、他の先生方が誰も近くにいないみたいだったら、年長さんのお兄ちゃんか
お姉ちゃんにお願いするといいわ。ひばり保育園の子供はみんな面倒見がいいから、
葉月ちゃんがきちんと『葉月、一人でトイレへ行けないから、連れて行ってちょうだい』
ってお願いすれば優しく手を引いて連れて行ってくれるから。約束できるよね。葉月ち
ゃん、まだ年少さんだけど聞き分けのいいお利口さんだもん、こんな簡単なこと、ちゃ
んと約束できるよね? 約束できたら、お姉ちゃまがすぐにトイレへ連れて行ってあげ
るよ」
 でも、もしも約束できないようだったらトイレへ連れて行っていげないわよ。皐月がそ
う仄めかしているのは明白だった。
12520 ◆JSxcaNkD96 :2008/07/24(木) 09:02:41 ID:GZ+0Nxwg
「そんな……」
 自分よりも一回り以上も年下の保育園児に手を引かれてトイレへ連れて行ってもら
う自分の惨めな姿が脳裏をよぎり、一瞬、とめどなく高まってくる尿意のことさえ忘れ
て葉月は言葉を失った。
 けれど皐月は容赦しない。
「どうするの?」
 決して荒々しくはない冷ややかで短い言葉が却って重々しく葉月に決断を強いる。
「……約束する。葉月、保育園に通うようになったら勝手にトイレへ行ったりしない。
遠藤先生にお願いして連れて行ってもらう。遠藤先生がいなかったら、他の先生に
お願いする」
 迷っている時間など一刻もなかった。葉月には、唇を噛みしめ、肩を震わせてそう
応えるしかなかった。
 そこへ、嵩にかかって皐月が重ねて問いかける。
「他の先生方もいない時はどうするんだったかな?」
「……年長さんの……お、お兄ちゃんかお姉ちゃんにお願いして連れて行ってもらう。
葉月、年少さんだから、年上の年長さんにおねだりしてトイレに連れて行ってもらう」
 唇を「へ」の字に曲げてそう約束する葉月は、限りなく高まる尿意のためだけでなく
今にも泣き出しそうな顔をしていた。

                    * * *

 通路の途中にある待合場所のベンチで待つことにした水無月と別れ、皐月に手をつ
ないでもらい、おぼつかない足取りでやっとのことトイレに辿り着いた時には、もうい
つしくじってしまってもおかしくないほどになっていた。
「さ、着いた。よく我慢できたわね。年中さんや年長さんでも失敗しちゃう子がいるの
に、年少さんの葉月ちゃんが我慢できたなんて本当にお利口さんだこと。保育園に行
くようになっても、こんなふうにお利口さんでいようね」
 トイレの入り口で、皐月は、保育園で勝手にトイレへ行かないよう改めて葉月に釘
を刺してから手を離した。
 弱々しく頷き、少しでも余計な力を入れたらすぐにでも失敗してしまいそうになるのを
かろうじて堪えつつトイレの入り口に足を踏み入れた葉月だが、つい、いつもの癖で
男性用トイレがある方に向かって進んでしまう。
「ちょっと、葉月ちゃん、そっちは……」
 慌てて呼び止める皐月だったが、葉月がふらふらと男性用トイレに入ってしまうと、
さすがにそこから先は追いかけられない。
126名無しさん@ピンキー:2008/07/24(木) 10:02:03 ID:bjLyVlSC
なんというwktk
12795:2008/07/24(木) 17:24:57 ID:jpHDbNhS
おしっこガマン絵を描いていたのですが、最初に描いたのは小さくなりすぎてしまい、ボツ。

今度のはまあまあなのですが、背景がいいのがなくて、自分の撮った物ですぐ出て来た写真を使ってしまいました。
話しの流れとは別の場所ですが、絵に足りないものを少しでも補おうとしてしまいました。

http://www.gazoru.com/g-270c107e1d4cc556580444b3df4e663f.jpg.html

もしかしたら、いいものが見つかったら変える可能性は有ります。
128名無しさん@ピンキー:2008/07/24(木) 17:56:39 ID:/VSOWBye
二人ともグッジョブ

俺こうゆうジャンル好きなんだけど、ネットで小説があんまりないんだよな。
誰かオススメの小説とか知らないか?
129名無しさん@ピンキー:2008/07/24(木) 20:21:23 ID:wZ7pQp83
素晴らしい展開GJ!
おしゃがみオシッコの後ではきっと、
ネチネチと女の子の拭き方指導(前から後ろへ)を
受けるんだろうな。
もっとも幾ら表面を拭いた所で、
残尿でナプキンorクロッチを汚すのだろうけどなw
13020 ◆JSxcaNkD96 :2008/07/25(金) 06:24:20 ID:wLh4j1Ci
 限界ぎりぎりの尿意のせいで呼び止める皐月の声も耳に届かず男性用トイレに入っ
た葉月は、壁に沿って並ぶ朝顔型便器の前に立ち、いつも通りジーパンのファスナー
を開けるつもりで自分の下腹部に手を伸ばしたところで、指先に触れるのが穿き慣れた
デニムの感触とはまるで違うふわったしたサマードレスの素材なのに気がついて、は
っと我に返った。
 直後、慌てて周囲を見回し、自分以外に誰もいないことを確認して、思わず安堵の
溜息を漏らす。
 その後、葉月は男性用トイレの様子を改めておそるおそる見渡し、三つ並んでいる
個室の方も、使用中か未使用かを示すためにドアに設けられた小窓が『空き』を示す
青色の表示ばかりなのに気がついて、思わずそちらの方に駆け出しそうになった。
 が、そこへ、小さな男の子を連れた若い父親らしき男性が入ってきて、小花をあしら
った麦わら帽子にサンドレスといういでたちの、どう見ても小学生の女の子にしか思
えない葉月の存在に一瞬ぎょっとした顔になった。そうして父親は、自分が間違って
女性用トイレに入ってしまったのかと思ったのか、大急ぎで踵を返しかけたのだが、
壁際に朝顔型便器が並んでいるのを見て、ようやくのこと、自分の間違いではないこ
とを確認すると、そのすぐ後、なにやら気がついたように小さく頷いて、どことなく遠慮
がちな様子で葉月に話しかけた。
「よっぽど慌てていたのかもしれないけど、ここは男の人のトイレだから、お嬢ちゃん
みたいな可愛い女の子が入ってきちゃいけないよ。たくさん人がいて女の人のトイレ
が混雑しててなかなか入れないっていうような時は、どうしても我慢できそうになかっ
たら男の人用のトイレを使うのも仕方ないかもしれないけど、入り口を見た限りじゃ女
の人のトイレも混んでないみたいだから、そっちに行かなきゃ駄目だよ。あ、ううん、
お嬢ちゃんみたいな子が男の人のトイレで何か悪いことをするわけがないよ。それは
よくわかってるさ。でも、お嬢ちゃんみたいな可愛い子がいると、男の人の方が逆に
恥ずかしくなっちゃってちゃんと用を足せないんだ。だから、ね? それに、たぶん、
お嬢ちゃんのお姉さんなんじゃないのかな、入り口の所で心配そうな顔でこっちを見
ている女の人がいたんだけど、たぶん、間違って男の人のトイレに入っちゃったお嬢
ちゃんのことを心配しているんだと思うよ。ほら、おじさんがお手々を引いてあげるか
ら、さ、お姉さんの所に戻ろうね」
 見るからに人の好さそうな若い父親は優しくそう言い聞かせると、右手で自分の息
子の手を引いたまま、空いている方の左手で、男性用トイレの中ほどに立ちすくむ葉
月の手をそっと握って静かに歩き出した。
13120 ◆JSxcaNkD96 :2008/07/25(金) 07:30:27 ID:wLh4j1Ci
 父親の手を振り払うこともできず、尿意を堪えながらとぼとぼ歩き出す葉月。そんな
葉月の顔を見上げて、少し前を歩く父親の体を挟むようにして葉月と並んで歩く小さ
な男の子がにっと笑った。まるで邪気のない、文字通り天使のような笑顔だった。そ
れはひょっとしたら、葉月のことを(体こそ大きいものの)自分と同じくらいの年代の新
しい友達ができたと思って、その喜びを表している笑顔かもしれない。いや、男の子だ
けではない、父親もまた、葉月のことを自分の小さな息子と同じくらい手のかかる幼い
女の子そのままに扱っているのは明かだった。そうでなければ、わざわざ葉月の手を
引いて皐月のもとに送り届けるという手間のかかることなどするわけがないだろう。そ
思うと、隣を歩く男の子の笑顔に、葉月の胸は激しい屈辱と羞恥とに張り裂けそうに
なるのだった。

「まぁ、わざわざすみません。この子ったら、もういつ失敗してしまうかもしれないくらい
おしっこを我慢していて、それで慌ててトイレに駆け込んだものですから、男性用と女
性用との確認もしないまま入ってしまって。本当にお世話をかけて申し訳ありません」
 共用入り口で様子を窺っていた皐月は、若い父親に手を引かれて男性用トイレか
ら出てきた葉月の姿を見るなり、手首をつかんで自分の近くに引き寄せ、深々と頭を
下げて礼を言うと、右手で葉月の頭を押し下げさせながら強い調子で命じた。
「ほら、葉月もちゃんとお礼を言いなさい。もう五年生なんだから、どう言えばいいかく
らいわかるでしょ? だから、ほら」
「……あ、あの……ありがとうございました、……おじちゃま。間違って男の人のトイレ
へ入っちゃった葉月をお姉ちゃまのところに連れて来てくれてありがとうございました。
葉月、もう五年生なのに恥ずかしい失敗をしちゃったけど、これからは気をつけます。
でも、みつけてくれたのが……おじちゃまみたいな優しい人で嬉しかったです。おじち
ゃま、本当にありがとうございました」
 皐月に命じられるままお礼の言葉を口にする葉月。決して滑らかな口調ではなく言
葉が途切れがちなのが、いかにも小学生の女の子が自分の知っているまだ数少な
い語彙の中から言葉を探している様子を感じさせて初々しく可憐だ。
 だが、それは、葉月が自らの意志で発しているのではなく、葉月の頭を右手で押し
下げさせると共に耳元に口を寄せて小声で囁きかける皐月が口移しで言わせている
偽りのお礼の言葉だった。でなければ、実は男子大学生の葉月がまだ三十歳にもな
っていないだろう若い父親のことを『おじちゃま』などと呼ぶわけがない。
13220 ◆JSxcaNkD96 :2008/07/25(金) 08:20:38 ID:wLh4j1Ci
 しかし、そのことに父親はまるで気づいていない。葉月の途切れがちの言葉を訝し
むどころか、相好を崩して
「あ、いいんだよ、そんな、お礼だなんて堅苦しいことをしなくても。それに、お嬢ちゃ
んみたいな可愛い子から『おじちゃま』なんて呼ばれると照れちゃうし。でも、女の子
もいいもんだね。今は息子しかいないけど、お嬢ちゃん、ええと、お名前は葉月ちゃん
っていうんだっけ、葉月ちゃんみたいな可愛い子を見てると、女の子も欲しくなってき
ちゃったよ。息子も葉月ちゃんみたいな妹ができたら喜ぶだろうしね。――あ、でも、
本当にこれからは気をつけるんだよ。世の中には悪いヤツもいるんだから、葉月ちゃ
んみたいな可愛い女の子が男の人用のトイレなんかに入っちゃったら何をされるか
わからないこともあるんだよ。そんなことになったら、間違っちゃったなんて言ってる
だけじゃすまないんだからね」
と照れくさそうに、そして最後の方は少しばかり説教口調で言って手を振るばかりだっ
た。

「やれやれ、あんたのことをすっかり気に入っちゃったみたいだね、あの若いパパさん。
ひょっとしたら、ロリコンの気があるんじゃないかしら。『世の中には悪いヤツもいる』な
んて言ってたけど、実は自分のその一人だったりして」
 親子連れが男性用トイレに戻り、二人の姿が見えなくなると、皐月が声をひそめて
悪戯っぽい口調で言った。
「駄目だよ、お姉ちゃま、そんなこと言っちゃ。親切で葉月のことをここまで連れて来
てくれたのに」
 一方、葉月の方は、姿が見えなくなったとはいえ、コンクリートの壁に反響して皐月
の声が父親の耳に届いてしまうのではないかと冷や冷やだ。
 が、それに対して皐月は尚も冗談めかした口調で
「へーえ。あんたがお姉ちゃまに逆らうなんて珍しいこともあるじゃない。どういう風の
吹き回しかしらね。ひょっとして、間違って入っちゃった男性用トイレでどうしていいか
わかんなくておろおろしてるところを助けてもらって、素敵なおじちゃまにめろめろにな
っちゃったとか? でも、それもいいんじゃない? あんたみたいな可憐な美少女に好
意を寄せられたりしたら、ロリっ気のあるおじちゃまとしちゃ絶対に放っとけないと思う
よ。それにしても、女の子になってまだ半日も経ってないのに、早速おじちゃまを虜に
しちゃうなんて、そのままロリっ子アイドルになれちゃうんじゃないの、あんたって。い
いじゃん、おじちゃまキラーとしてデビューしちゃいなよ」
と冷やかすことをやめない。
13320 ◆JSxcaNkD96 :2008/07/25(金) 09:03:45 ID:wLh4j1Ci
「そんな……」
 皐月にからかわれて葉月はどう応じていいかわからず口をつぐんでしまう。
 すると、皐月が今度は真面目な顔になって
「だけど、間違って男性用トイレへ入っちゃうところを見ると、まだまだ女の子としての
自覚が足りないって言われても仕方ないかな。ちょっと踵の高いサンダルを履いただ
けで歩き方がぎこちなくなっちゃっうし、もっともっと女の子修行が必要みたいね。い
いわ、葉月ちゃんがちゃんと女の子らしくできるよう、お姉ちゃまが徹底的につきあっ
てあげる。先ず、手始めはトイレからだね。さっきは一人でトイレへ行かせたから男の
人用の方に行っちゃったけど、もう間違えないよう、今度は最後までお姉ちゃまが面
倒みてあげる。さ、おいで」
と有無を言わさぬ強い口調で言い、葉月の手首をつかんでさっさと歩き出した。
 もちろん、向かう先は女性用のトイレだ。
「ちょ、ちょっと待ってよ、お姉ちゃま。そんなに早く歩いちゃやだ。もっとゆっくり歩い
てよ」
 足早にずんずん歩いて行く皐月に引きずられるようにして後を追う葉月が、体のバ
ランスを崩して倒れそうになり、そのたびに粗相してしまいそうになるのを必死の思い
で耐えながら、悲鳴じみた声で懇願した。
「ん? どうして、急いじゃいけないの? 葉月ちゃん、もうすぐにでもおしっこが出ちゃ
いそうなんでしょ? だったら急がなきゃいけないじゃない」
 皐月にしてみれば葉月の心情などすっかりお見通しだ。けれど、歩速を緩める気配
は微塵もない。
「で、でも、早すぎるよ。葉月、そんなに早く歩けないよ。そんなに急いで歩いたりした
ら、葉月、葉月……」
 皐月の手を振りほどこうとして両脚を突っ張ったりしたら余計な力が下腹部にかかっ
て却ってしくじってしまうことは明かだ。葉月は、足早の皐月に付き従うしかなかった。
「だから、急いで歩いたらどうなっちゃうの? きちんとお姉ちゃまに説明してごらんな
さい」
「こ、このままじゃ、葉月………お、おもらししちゃうよぉ。トイレへ行く前におしっこが
出ちゃうよぉ。小っちゃい子みたいにおもらししちゃうから、もっとゆっくり歩いてよ、お
姉ちゃまってば」
 もうとてもではないが我慢できそうにない。思いあまって葉月は金切り声をあげた。
13420 ◆JSxcaNkD96 :2008/07/25(金) 10:17:54 ID:wLh4j1Ci
 が、じきに、自分が口にした『おもらし』という言葉に耳たぶの先まで真っ赤にして口
をつぐんでしまう。
「あらあら、そっか、葉月ちゃん、あまり早く歩くと『おもらし』しちゃうんだ。でも、そうだ
よね。葉月ちゃん、体はおっきいけど、年少さんだもん、すぐに『おもらし』しちゃうんだ
よね。ごめんごめん、お姉ちゃま、もっと気をつけてあげなきゃいけなかったね」
 それまで葉月のことなんてまるでお構いなしに早足で歩みを進めていた皐月だが、
悲鳴じみた金切り声にちらりと後ろを振り向き、葉月が顔を真っ赤に染めて唇を震わ
せている様子を目にすると、くすくす笑いながら『おもらし』という言葉を繰り返して、よ
うやく歩く速度を緩めた。
 けれど、皐月が歩速を緩めたのは葉月のことを慮ってのことなどではなく、単に、幾
つも並ぶ女性用トイレの個室の内、皐月が目指していた一番奥の個室が目の前に
迫っていたからだった。付け加えて説明しておくと、皐月が葉月をわざわざトイレの一
番奥まで連れて行ったのは、少しでも長く葉月を歩かせて尿意に耐える様子を楽し
むためと、葉月が勝手に女性用トイレから逃げ出さないようにするためなのは言うま
でもない。
「さ、ここよ。ちゃんと連れて来てあげたから、今度こそ間違わずにここでおしっこする
のよ。いろいろあったけど、ちゃんと我慢できてお利口さんだったわね」
 皐月は目の前の扉を手前に引き開け、ぴかぴかに磨きあげられた見るからに清潔
そうな和式の便器を指差した。
 やっとの思いで辿り着いたトイレ。そこは女性用の個室なのだが、もうなりふりを構
ってなどいられない。葉月はトイレの個室に飛び込むむと同時に、扉の取手をつかん
で内側に引いた。
 けれど、個室の扉はびくりとも動かない。
 はっとしてこちらに振り向いた葉月の目に映ったのは、扉を外側に向かって引っ張
っている皐月の姿だった。
「な、何してるの、お姉ちゃま? そんなことしたら扉を閉められないじゃない!?」
 一瞬きょとんとした顔つきになった葉月だが、じきに明かな狼狽の表情を浮かべる
と、普段からは想像もできない、まるでなじるような鋭い声を皐月にぶつけた。
 しかし、皐月の方は落ち着き払った様子で、
「いいのよ、扉なんて閉められなくても。葉月ちゃんが上手におしっこできるかどうか
見ていてあげなきゃいけないから、扉を閉めちゃ駄目なのよ」
と言って、ますます大きく扉を引き開けてしまう。
135名無しさん@ピンキー:2008/07/25(金) 11:21:35 ID:daSbxjxW
お姉ちゃまドS過ぎるww
だがそこがいい
13620 ◆JSxcaNkD96 :2008/07/25(金) 15:16:54 ID:wLh4j1Ci
「だって、見えちゃう。扉を開けたままだったら見えちゃうよ」
 葉月は悲痛な表情でそう叫び、再び扉の取手を内側に引いた。
 しかし、二人の体力の差が歴然な上、体に余分な力を入れたが最後すぐにでもしく
じってしまいそうになる葉月だから、扉を引っ張る力もたかがしれている。
「見えちゃう? 何が見えちゃうのかな?」
 葉月が閉めようとする扉を片手で悠々と開け放しにしたまま、葉月はからかうように
尋ねた。
「それは……」
 葉月が「見えちゃう」と言ったのは、自分のおしっこ姿も勿論だが、それよりも、和式
の便器にしゃがんでおしっこをするとなるとどうしてもお尻を上げり気味にせざるを得
ないから、両脚の間に接着剤で固定されているペニスが丸見えになってしまうので
はないかと、それを心配してのことだった。けれど、そんなこと、とてもではないが口に
出しては言えない。
「大丈夫よ、他のトイレはどれも『空き』になっているから。それに、誰かが入ってきた
らお姉ちゃまがすぐに扉を閉めてあげる。だから、おちんちんを誰かに見られちゃうか
かもって心配なんてしなくていいの。それに、うちの保育園に通ってる子でも、年少さ
んだとおしっこ姿を誰かに見られても恥ずかしがらない子が多いんだよ。さすがに年
中さんとか年長さんになるとそうもいかないけど、小っちゃい子はまだ恥ずかしいって
いう感覚を持ってない場合もあるし、一人でトイレに入って扉を閉めると狭い所に閉じ
込められちゃったような気持ちになるみたいで、扉を開けたまま外で見ててねってお
願いする子も珍しくないんだよ。葉月ちゃんも年少さんなんだから、本当は扉を閉めら
れちゃうのが怖いんじゃないかな。本当は、おしっこをするところ、お姉ちゃまに見て
いてもらいたいんじゃないのかな?」
 顔を真っ赤にして口ごもる葉月の様子を目にした皐月はますますからかい気味に言
い、今度こそ扉を最後まで引き開けてしまった。
 そうなると、個室の中からでは扉の取手に指が届かない。
「……こっち見ちゃやだよ……」
 とうとう観念せざるを得ないところまで追い詰められた葉月は、扉を閉めることを諦
め、その代わりにとでもいうように、皐月に向かって目をそらしていてくれるよう哀願
するしかなかった。
13720 ◆JSxcaNkD96 :2008/07/25(金) 16:46:36 ID:wLh4j1Ci
 だが、葉月にとっては最後の一線とも言えるその懇願をも皐月はあっさり拒絶してし
まう。
「そのお願いはきけないわね。葉月ちゃんが上手におしっこできるかどうかきちんと見
ていてあげなきゃいけないもの。さ、他の年少さんのお友達と同じくらいちゃんとでき
るかな。上手にできるところ、お姉ちゃまに見せてちょうだいね」
 皐月はこともなげにそう言うと、わざとらしい大げさな仕草で葉月に向かってじっと目
を凝らした。
 皐月はもういちどだけ扉の取手と皐月の顔とに絶望的な視線を交互に向けた後、す
っと息を吸い込んでから、のろのろと脚を動かして純白の便器を跨いだ。下唇を噛み
しめる表情が痛々しく見えるが、清楚な少女そのままの可憐な顔つきと見るからに痛
々しい表情との対比が皐月の妖しい加虐的な悦びを煽ってやまない。
 白い便器を跨いだ葉月は再び浅く息を吸ってから、自分の手でおずおずとスカート
を捲り上げるようにしてハローキティのショーツに指をかけた。
「パンツ、自分で脱げるかな? もしも駄目だったら脱ぎ脱ぎさせてあげるから、ちゃ
んとお姉ちゃまにお願いするのよ。葉月、自分でパンツ脱げないから、お姉ちゃま脱
ぎ脱ぎさせてっておねだりするだけでいいんだから」
 踵の高いサンダルを履かされて倒れまいと足首を小刻みに震わせながら僅かに膝
を折り、前屈みの姿勢になって、ウエストの部分を丸めるようにしてゆっくりショーツを
おろしてゆく葉月。実の弟の倒錯的なその姿に、皐月の胸が妖しくざわめく。
 やがてショーツを膝のすぐ上まで引きおろした葉月は、長い睫を震わせながら更に
膝を折り、ショーツのおろし具合を確認するためだろう、自分の下腹部にちらりと目を
やった。いつもなら(といっても、おしっこの時は立って済ませるから、大きい方の時に
限った話だが)ジーパンとトランクスをまとめて足首のあたりまで引きおろすところだけ
れど、ついさっきまで自分の下腹部を包み込んでいた女児用のショーツを正視するの
に耐えられず、膝の上まで引きおろすのが精一杯だった。それでも、スカートの裾の
少し先にコットンのショーツは確かに見えているし、クロッチ部分に留めたナプキンの
存在を無視することもできはしなかった。
13895:2008/07/26(土) 01:59:43 ID:Y/V9o4fB
最新部分を読む前に描いていたので、パンツの見える感じになっていません。

http://www.gazoru.com/g-74ba3d0c760780c2dfdc00a4f5ef74e9.jpg.html

このくらいがギリだったりして。
もうちょっと引いて、ドアまで入れてしまうと葉月が小さくなってしまうし、描きづらいから・・・と思っていたのに、葉月の下ろしたパンツに焦点が当たっていた、最新パートにやられました。
うまく描けそうもないので多分挑戦はしないでしょうw
139名無しさん@ピンキー:2008/07/26(土) 02:04:27 ID:zvlg4EPE
wktk
14020 ◆JSxcaNkD96 :2008/07/26(土) 06:12:44 ID:1nvM8NvC
>>138
 常々、イラストを描くことのできる人を羨ましく思って
います。言葉に言葉を幾つも重ねてでしか表現でき
い(それでも、その結果がちゃんと読む人に伝わって
いるかどうか定かではないわけで)ような情景がイラ
ストだと一目でぱっと伝わるわけですから、それを羨
む気持ち、わかっていただけると思います
 ただ、
>うまく描けそうもないので多分挑戦はしないでしょうw
という部分を読んで、文章にはイラストにない有利な
点もあったんだなと思い直しました。文章だと、想像の
産物ですから、少々無理なポーズや情景でも言葉の
積み重ねで強引に表現できてしまい、かつ、それに対
して不自然さを感じさせないこともできる場合がある反
面、イラストの場合、強引な描写をするとデッサンの狂
いという形で結果に反映されてしまう恐れが多分にある
のかなということです
 結局ありきたりな結論――隣の芝生は青く見えるっ
つうことで、こちらはこちらなりに精進を重ねますので、
95さん、今後ともよろしくです
14120 ◆JSxcaNkD96 :2008/07/26(土) 06:13:14 ID:1nvM8NvC
 ナプキンの内側に我慢汁の小さなシミがうっすらと付いているのを目にした葉月は
慌てて顔をそむけ、個室の壁を睨みつけるようにしてそろりと腰をおろした。当然とい
えば当然のことだが、皐月の方に視線を向けるようなそぶりは微塵もみせない。
「そうそう、お上手よ、葉月ちゃん。そのままころんしないよう気をつけて」
 深く膝を折り、おそるおそる前屈みになって幾らかお尻を浮かせ加減の姿勢をとっ
た葉月に向かって、個室のすぐ外から皐月が声をかけた。それこそ、ようやくのこと自
分でパンツを脱いで便器を跨いでしゃがむことができた年少クラスの園児を励ます時
の口調そのままだ。
 けれど葉月は皐月の励ましなどまるで耳に届いていないかのように無視を決め込
んだまま、おしっこがあらぬ方向に飛んでトイレの床を汚してしまうのを防ぐためなの
か、そうすることが便器の上にしゃがんた時の癖になっているようで、ごく自然に、右
手を股間に伸ばしてペニスをそっと下向きに押さえる仕草をみせた。
 しかし、伸ばした右手は虚しく空を切るばかりだ。葉月は反射的にもういちど股間を
まさぐったが、そこにあるべき物はやはりない。頭ではわかっているつもりだったし、
下腹部に覚える皮膚の微妙なひきつり感からも、便器にしゃがんだ時にはいつもそこ
に垂れ下がっている筈の物が今は目に見える所にはないことが実感されていたのに、
つい癖でそうしてしまう自分のことがどうしようもなく惨めに思えて仕方ない。
「いいわよ、もう出しちゃっても。ずっと我慢してきたけど、もう出しちゃっていいのよ。
あとは、パンツを汚さないよう上手にできるかどうかだけど、葉月ちゃん、年少さんだ
もん、上手にできなくても、お姉ちゃま叱らないから心配しなくていいよ。だから、ほら」
 小さな子供を甘やかすような口調でそう言う皐月の声が随分と近くから聞こえてき
た。
 それまでその存在を無視しようと努めていた葉月だったが、声のあまりの近さにはっ
として顔を上げると、いつの間に個室の中まで入ってきていたのか、軽く膝を折り、折
った膝の上に両手をつくような姿勢で僅かに前屈みになってこちらの様子を覗き込ん
でいる皐月の姿が自分のすぐ後ろにあった。
14220 ◆JSxcaNkD96 :2008/07/26(土) 08:17:00 ID:1nvM8NvC
「どうしたの? もう出しちゃってもいいのに、なかなか出ないのかな?」
 皐月は、葉月のお尻の膨らみを斜め上から見おろしながら、なにやら含むところの
ありそうな口調で言った。
「……」
 それに対して葉月は口をつぐんだままだ。けれど、その様子が、却って皐月の指摘
が図星だと告げている。
 水族館の入園ゲートをくぐった時から感じ始め、着慣れない袖無しの子供服と冷房
のせいでますます強くなってきて、展示棟の通路の半ばではもう堪えきれないほどに
までなった尿意。トイレに入ってからも男性用トイレから女性用トイレへと連れ戻され
る間に、もうどうしていいかわからないほど、我慢の限界は目の前に迫っていた。な
のに、ショーツを引きおろすのももどかしく便器にしゃがみこんでみれば、あまりの尿
意の高まりのために下腹部はじんじんと痛いほどのくせして、おしっこが溢れ出す気
配はまるでなかった。
 もっとも、それも仕方のないことかもしれない。小さい頃からの、おしっこは朝顔型の
便器に向かって立ってするものだという習慣がすっかり体にしみついてしまっている
上、僅かな風にさえふわりとそよいで腿のあたりを撫でまわすサンドレスの感触に倒
錯的で淫靡なくすぐったさを覚え、自分の膝のあたりに目をやればコットンの女児用シ
ョーツと、男性の身には本来ならまるで必要ではない筈のナプキンが見えている。し
かも、体のバランスを崩しそうになりながらかろうじて跨いでしゃがみこんでいる純白
の便器にはうっすらと自分の股間が映っているし、それだけではなく、その便器があ
るのは、ドアが大きく開け放たれた女性用トイレの個室の中というこんな状況だ。そ
んな中、そうおいそれとおしっこが出てくるわけがない。
 かといって、いつまでもそうしていられる筈もない。穿き慣れない踵の高いサンダル
のせいで足首といわずふくわはぎといわず、もう随分と痛みに耐え続けていて、いつ
トイレの床にへたりこんでしまってもおかしくない状態だし、ドアを外側に開けたまま丸
見えのお尻をさらして便器にしゃがみ続ける姿に、屈辱と羞恥はもう耐え難いほどに
強まってじりじりと葉月の胸を焼いていた。しかし、このままショーツを引き上げ、個室
から出ることもかなわない。そんなことをすれば、膝を伸ばして立ち上がり、ショーツを
引き上げた途端に恥ずかしい粗相をしてしまうだろうという予感が惨めなくらい明瞭に
感じられてならなかった。
14320 ◆JSxcaNkD96 :2008/07/26(土) 09:58:32 ID:1nvM8NvC
「いいよ、心配しなくても。出ないんだったら、お姉ちゃまが出るようにしてあげる」
「え……?」
 思ってもいなかった皐月の言葉に、葉月は困惑の声を漏らすだけだ。
 だが、皐月はこともなげに
「保育園でもいるのよ、特に、初めて保育園のトイレを使う年少さんに多いんだけど、
おしっこがしたくてトイレに入ったのに、なかなか出ない子が。男の子は何人も並ん
で立ったまますることに慣れているから問題ないんだけど、それまでお家のトイレしか
使ったことのない女の子の場合、初めての保育園のトイレっていう緊張感がある上、
ドアや壁越しに友達や上のクラスの子供たちの声が聞こえてきて、なんだか自分が
おしっこをする様子をどこかで見られてるんじゃないかって不安になっちゃうことがあ
ってね、なかなか出ないことがあるのよ。だけど、そういう子の場合、おしっこをするの
を諦めてパンツを上げてトイレから出ても、きちんと済ませていないものだから、当た
前のことだけど、すぐにまたおしっこをしたくなって、でも、つい今しがたトイレでできな
かったっていう思いが胸に残っているから、トイレへ戻るのをいやがって、それで、結
局しくじっちゃうことになるんだ。一度そんなふうに失敗しちゃうと、今度はおしっこをし
たくなってくるともうどうしていいかわからなくてパニック状態を引き起こしちゃうんだ。
だから、そうならないよう、先生方はそれとなく気配を察して、そんなことになりそうな
子には最初の何度かは一緒にトイレへ行っておしっこがちゃんとできるように手伝っ
てあげるんだよ。そう、ちょうど、今の葉月ちゃんみたいな子の場合はね」
と言ってくすっと笑い、葉月の反応を楽しむかのようにわざとゆっくりした動作で自分
のポーチに手を入れると、ポケットティッシュを取り出して、これみよがしに葉月の目の
前で二度三度と振ってみせるのだった。
 それでも、皐月が何をしようとしているのか、葉月にはさっぱりわからない。
 便器にしゃがんで首だけをめぐらせてこちらの様子を窺っている葉月の当惑の顔つ
きがよほどおかしいのか、皐月はもういちどくすっと笑ってから、歩ケットティッシュを
一枚さっと引き抜くと、それを両手の指で手早く捻って細いコヨリに仕上げた。そうして、
そのコヨリをそっと自分の唇に近づける。
「あ……」
 ティッシュで仕上げたコヨリが簡単にばらけないようその先端を口にふくんで唾で湿
らせる皐月の姿を見て、ようやく葉月は、自分の背後に立っている姉が何を企んでい
るのかを理解した。
14420 ◆JSxcaNkD96 :2008/07/26(土) 11:13:41 ID:1nvM8NvC
「んっふふ、お姉ちゃまが何をしようとしているのかわかったみたいね。やっぱり葉月
ちゃんはお利口さんだわ。お利口さんのご褒美に、ちゃんとおしっこを出させてあげる
からね」
 葉月の顔に怯えの色が浮かぶのを見て取った皐月は、弟とは対照的に満面の笑
みを浮かべると、葉月にぴったりと体を寄り添わせるようにして膝を折り、自分の舌で
湿らせたばかりのコヨリの先を葉月の脚の付け根よりも少しお尻側のあたりにそっと
押し立てた。
「やだ。そんなことしちゃやだってば、お姉ちゃま」
 ペニスの先に触れる湿ったコヨリの感触にぶるっと身震いしながら、葉月は弱々しく
も甲高い金切り声をあげた。
「やだ、じゃないわよ。あんたも初等教育の免許を取る時には保育実習だって経験す
るんでしょ? その時、ひょっとしたら、こんなこともしなきゃいけなくなるかもしれない
じゃない。それを前もって、それも、される方の立場で経験させてもらえるんだから感
謝してほしいくらいなのに、『そんなことしちゃやだ』って、なにフヌケたこと言ってんの
よ」
 皐月は優しい『お姉ちゃま』ではなく厳しい『姉さん』に戻って葉月のお尻を軽くぴし
ゃりと叩いてそう言うと、改めて立場を面倒見のいい『お姉ちゃま』に変え、
「ほら、しー来い、しー来い。葉月ちゃんのおしっこさん、恥ずかしがってないで出てお
いで。いつまでも恥ずかしがってるとくすくっちゃうぞ、ほら、おいで」
と妙な鼻歌みたいなメロディを付けて続け言いながら、手にしたコヨリを、葉月のペニ
スの先に開いている縦の割れ目の真ん中にすっと突き立てた。
「ひゃん!」
 葉月の口からまるで言葉にならない喘ぎ声とも悲鳴ともつかない声が漏れ出て、お
尻がぴくんと浮いた。
「なんて声を出すのよ、葉月ちゃんてば。あまり大きな声を出したりしたら、何かあった
のかと思って誰か駆け込んでくるかもよ。ま、お姉ちゃまはそれでもいいけどね。お外
のトイレに慣れていない妹におしっこをさせてあげてるだけですって説明すればいい
んだし。でも、あ、そうか。葉月ちゃんにとってもその方がいいかもね。だって、よその
人に見てもらいながらおしっこをするお稽古をしておけば、たとえば保育園とかで初め
てのトイレを使わなきゃいけなくなった時に少しでも早く恥ずかしさに慣れることがで
きるもん。そうね、それがいいわね。だったら、遠慮しないで声を出していいよ。ほら、
可愛い声で啼いてごらん」
 葉月の悲鳴にまるで手を緩める気配などなく、むしろ、ペニスの先の割れ目に押し
立てたコヨリを尚もぐりぐりと捻り込みながら、皐月はねっとりと絡みつくように言った。
14520 ◆JSxcaNkD96 :2008/07/26(土) 14:57:09 ID:1nvM8NvC
「ん……」
 足首の痛みにもう立ち上がることもかなわず、ペニスの先をコヨリでいじくられて、い
よいよおしっこが溢れ出しそうになって立ち上がろうとする気力さえ失って、葉月は首
をのけぞらせ、恨みがましい目で皐月の顔を睨みつけるばかりだ。けれど、その瞳が
潤んでいるのは、決して悔し涙のせいばかりではない。
「もうそろそろいいかしらね」
 葉月の下腹部がぶるんと震えるのを見た皐月は、もう頃合いだと判断し、ペニスの
先に押し当てていたコヨリをすっと離した。
「ぁ……!」
 なんとも表現しようのない喘ぎ声が葉月の口から漏れて、同時に、ペニスの先がぐ
じっと濡れたかと思うと、生温かい雫がすっと浮き出て後ろの方に流れ出し、いつしか、
ひとまとまりの滴りになって溢れ出し始める。
 けれど、それはいつものおしっこの出方とはまるで違っていた。男性の場合、トイレ
で大の方の用足しをする際に小の方も一緒に出してしまう者が多い。葉月もその内
の一人だから、一日に一度は便器にしゃがんでおしっこを出す習慣が身についてい
る。その時のおしっこの出方と、今こうして女性用トイレの便器にしゃがんでするおし
っこの出方とがまるで違っているのだ。とはいえ、女性用と男性用とで便器の形が異
なっているわけではないし、葉月のしゃがみ方がいつもと違っているわけではない(
もっとも、厳密に言えば、マンションのトイレは洋式の便器だから、しゃがむのではな
く座ってすることになるのだが、大学では和式の便器の方が多いし、高校を卒業する
まで暮らしていた実家は少しばかり古くさい建物で和式の便器のままだったから、しゃ
がんでのおしっこの経験は葉月にも数え切れないくらいあった)。
 いつもとおしっこの出方が違う理由は一つ、それは、園長が葉月に施したタックのせ
いだった。ペニスを両側の間で後ろ向けに折り曲げられて皮膚を接着剤で固定され
てしまっているために、普段なら斜め前方下向けにほとばしりでるおしっこが、今はお
尻の方に向かって、それも、タックのせいで尿道が不自然な形に折り曲げられ細くな
っているものだから、勢いよく流れ出るのではなく、じくじくと溢れ出すのだった。
「ゃ……」
 再び弱々しい喘ぎ声が葉月の口を衝いて出た。
 ペニスから溢れ出たおしっこの内の幾らかが下腹部の皮膚を伝って滴り流れて自
分の肛門の周囲をじわっと濡らす、そんな、これまで味わったことのない惨めな感触
に思わず身悶えしてしまう。
14695:2008/07/27(日) 00:51:44 ID:8I+a4LLq
描けそうもないので、パンツを降ろした事に焦点を当ててみました・・・というか、そちらのほうが描きやすくて・・・w

http://www.gazoru.com/g-10acbc026120efe0742efa0e9d3f42c6.jpg.html
147名無しさん@ピンキー:2008/07/27(日) 20:52:54 ID:i6iqvvmz
GJ
148名無しさん@ピンキー:2008/07/31(木) 00:43:30 ID:QD+0yBKt
期待期待期待。
14920 ◆JSxcaNkD96 :2008/07/31(木) 08:06:42 ID:zzwaLTb4
「わかった? 女の子はね、おしっこをすると、そんなふうに後ろの方から濡れるんだ
よ」
 皐月は、自分の唾で湿らせた時とはまた違う濡れ方をしたコヨリの先をちらと見てか
らすっと立ち上がり、すぐ目の前で便器にしゃがんで腰から下を小刻みに震わせてい
る葉月に向かって笑い声で言った。
「ま、とはいっても、本当の女の子だって、そんなふうに辺り構わずって感じにおしっこ
が飛び散るわけじゃないけどね。男の子ほどじゃないにしても、ちゃんと条になって一
定の方向に向かって溢れ出るから、お尻のまわりをびしょびしょにしちゃうなんてこと
はないし。でも、葉月ちゃんはまだ年少さんで、やっと一人でトイレを使えるようになっ
たばかりの小っちゃな子だから、おしっこの仕方が上手じゃなくても仕方ないよね。お
外のトイレに慣れてなくて、コヨリできゅってしてあげないとおしっこが出始めないくら
い小っちゃな子だもん、どんなふうにすれば上手におしっこできるか、これからゆっく
りお姉ちゃまが教えてあげる。なんたって葉月ちゃんは、男の子としては十八年間も
生きてきたけど、女の子としては生まれたての赤ちゃんと同じなんだもの」
 そんな皐月の一言一言が、両脚の付け根からお尻の穴にかけてのあたりを自分の
おしっこで濡らし続ける葉月の胸に鋭く突き刺さる。
 立ってする時は無論のこと、しゃがんでする時でもペニスに手を添えて方向を調整
し、便器の縁を汚したこともなかった葉月。男の子は誰でもそんなものなのかもしれな
いが、小さい頃は、そうやっておしっこの向きを自在に操れることがちょっとした自慢
で、珍しく大雪が降った時などは皐月の目の前でわざわざズボンとパンツをおろして
純白の雪におしっこで悪戯描きをしてみせたこともある。それが、今は、園長の手で
折り曲げられたペニスの先からおしっこを後ろ向けにじくじくと溢れさせ、為す術なく自
分のお尻のまわりを濡らしてしまっているのだ。皐月の言う通り、男の子のおしっこの
仕方では決してないどころか、ちょっと大きくなった女の子でさえそんなみっともないこ
とはしないに違いない。たしかに、まだやっとのこと一人でトイレへ行けるようになった
ばかりの幼い女の子おしっこの仕方だと決めつけられても仕方ところだ。


15020 ◆JSxcaNkD96 :2008/07/31(木) 14:03:29 ID:zzwaLTb4
 かといって、いったん出始めたおしっこを途中で止めることはできない。尿道の長さ
などの差異のため、男性は女性に比べておしっこを我慢しやすい上、いったんおしっこ
が出始めても途中で止めやすい身体構造になっていると言われる。しかし、これまで
我慢に我慢を重ねてきてようやく緩めることを許された膀胱を再び緊張させるなど、と
てもではないができるわけがない。
 しかも、タックのせいで尿道が細く折り曲げられているため、一気に出しきってしまう
こともできない。やっとのこと膀胱の堰の緊張を解くことができた妙に甘美な悦びと、
自分のお尻を自分のおしっこで汚す屈辱の感触とに、けれど葉月の下腹部が熱く火
照る。
 やがて、ペニスからじくじく溢れ出るおしっこがお股間の皮膚に伝い広がり、それが
互いに幾つもの雫に合わさりあって、お尻の真下にある便器に滴り落ち始めた。
 ぴちゃん。
 ぴちゃん、ぴちゃん。
 ぴちゃん、ぴちゃ、ぴちゃぴちゃぴちゃ。
 便器の中に浅く残っていた水の上におしっこの雫が続けざまに滴り落ち、扉を開け
放った個室の中に恥ずかしい音が響き渡る。
 葉月はぎゅっと瞼を閉じ、お尻のまわりの惨めな感触と、両耳を打つ屈辱の響きに
耐えるしかなかった。
 けれど、突然。
「ぇ……!?」
 生温かい液体の雫が内腿の皮膚を伝い落ちる感触に、葉月の唇がぴくんと震えて
両目が大きく見開かれた。
 それまで瞼を閉じたり壁を睨みつけたりして自分の下腹部を直視しようとしなかった
葉月だが、思ってもみなかった感触に、思わずスカートの裾をつかんで捲り上げ、どこ
か焦点の定まらない視線をおそるおそる向けてしまう。
 きょときょと揺れる大きな瞳に、膝頭の上まで引き下ろしたショーツが映った。
 そうして、右脚の内腿の皮膚をお尻の方から伝い落ちて来る幾つもの雫。
15120 ◆JSxcaNkD96 :2008/07/31(木) 18:21:00 ID:zzwaLTb4
 本当の女の子なら、いくら男の子に比べておしっこの向きを自由にできにくいとはい
っても、お尻のまわりをびしょびしょにしてしまうことはない。けれど葉月は、その見た
目とは裏腹に、まがいもの女の子でしかない。だから、本当の女の子よりも尚のこと
おしっこをあたりに飛び散らかしてしまい、その上、お尻のまわりを濡らしてしまったお
しっこの大半は便器の中に滴り落ちるにしても、残りの幾らは皮膚に沿って股間から
内腿へと伝い流れて来てしまうのだ。しかも、伝い流れて来たおしっこの雫は、膝の
すぐ上の所にひっかかっているショーツの股ぐりの部分に触れ、吸水性のいい生地に
すっと吸い取られてゆくのだった。
「……」
 腿のあたりに比べれば膝のすぐ上は脚が細い。それでも、放っておけばショーツが
くしゅくしゅになってしまうくらいには張りのあるゴムが縫い込んであるから、細い部分
とはいえ、幾らかは股ぐりの生地が皮膚に食い込むような感じになっている。そこへ、
ゴムを縫い込んだ周囲の布地がおしっこでじとっと湿るものだから、ゴムが食い込ん
だ皮膚のまわりが心なしむず痒くなってきて仕方ない。
 今や葉月は、思う存分おしっこを迸らせる快感を奪われ、自分の意志でというよりも
どちらかというと思わぬ粗相めいてじくじくと溢れさせたおしっこで自らの肛門のまわり
を濡らした上に、便器の中に落ちることなく皮膚を伝い流れてきた生温かい雫で女児
用ショーツの股繰りの布地を濡らしてしまうという、幾重もの屈辱に身悶えしながらも、
いったん溢れ出したおしこっこを止めることもかなわず、ただ己の惨めさをこれでもか
と思い知らされながら、その輝きが意地悪な皮肉めいて見える純白の便器に跨って
いつ終わるともしれない恥ずかしい液体の流れに身を任すしかない無力な存在にな
り果てていた。
152名無しさん@ピンキー:2008/07/31(木) 20:29:54 ID:7hNDS70o
尿が脚を伝う、って事は中腰か、そこまで行かなくても
ちょっと腰を上げた位の姿勢で放尿しているの?
15395:2008/07/31(木) 22:49:18 ID:2x7xQmM0
ちょっとポーズが違っているみたいですね。

http://www.gazoru.com/g-c95d98198dfc7dfeffc9d959ee7a1b74.jpg.html
15420 ◆JSxcaNkD96 :2008/08/01(金) 06:14:37 ID:ym9g/Kn8
>>152
 う〜ん。ショーツの股ぐりのところを濡らしてしまう
というシチュを書きたかったからあまり深く考えずに
書いてしまったわけだけど、あらためて指摘される
と、たしかに、>>153みたいな姿勢とはちょっと違う
というふうにしとかないとおしっこが脚を伝うという
状況にはならないかな
 ま、そのへんは、みなさんの適当な脳内補正でよ
ろしくということで

 びしょびしょにしたくてやった
 恥ずかしそうなシチュならなんでもよかった
 今度も粗相させてやる
15520 ◆JSxcaNkD96 :2008/08/01(金) 06:14:52 ID:ym9g/Kn8
 それでも、やはり、いったん出かかったおしっこを途中で止めることはできない。ペニ
スから溢れ出たおしっこでお尻のまわりを濡らしてしまい反射的に中腰になりながら
も結局は諦めの表情を浮かべて下腹部の力を緩めるしかなかったついさっきと同様、
今もまた、ショーツの股ぐりがじとじと濡れるのに耐え、一刻も早くおしっこが全て出て
しまうよう祈ることしかできない。

「出ちゃったみたいね。我慢して我慢してやっとだったもの、気持ちよかったでしょ?」
 葉月の腰が最後に大きくぶるんと震えるのを見て、いたわるように皐月は言った。
 けれど、それに対して葉月は無言だ。
 そんな葉月のかたわらに皐月は再びすっとしゃがみ、手早くトイレットペーパーをち
ぎり取って、それを葉月に手渡しながら言った。
「おしっこの後、男の子はおちんちんを振るだけでいいけど、女の子はそうはいかない
んだよ。ま、言わなくてもわかってるかな。お尻のまわりをびしょびしょにしたままパン
ツを穿こうだなんて、女の子になったばかりの葉月ちゃんでも思わないよね?」
 トイレットペーパーが手に触れた瞬間、びくんと肩を震わせ、そのまま立ち上がりそ
うになった葉月だが、皐月に言われ、改めて自分のお尻から股間にかけてのあたり
から伝わってくる感触に気づくと、僅かに顔を歪めて便器の上にしゃがみ直すしかな
かった。
「男の子だと、おちんちんの先に付いてるおしっこを振って落とせばそれでおしまいだ
けど、女の子は、ちゃんとトイレットペーパーで拭いて綺麗にしなきゃいけないんだよ。
あ、でも、拭くっていっても、力任せにごしごし拭いたりしたら大事なところに傷がつい
ちゃうかもしれないから、慣れないうちは、拭くんじゃなくって、優しくぽんぽん叩くよう
な感じを心がけるといいかな。ほら、こんな感じ」
 皐月は、葉月に強引にトイレットペーパーを手渡した後、すぐにもう一枚ちぎり取って
丁寧に四つ折りにし、それを今度は自分が持って、諭すように言った。
 そうして、便器の上にしゃがんでいる葉月の脚の付け根のあたりにさっと手を伸ば
す。
156名無しさん@ピンキー:2008/08/01(金) 07:12:55 ID:JvD9E5z+
前から後ろに拭かないと尿道からばい菌が入るぞ
15720 ◆JSxcaNkD96 :2008/08/01(金) 07:32:45 ID:ym9g/Kn8
 皐月が手を伸ばした向こうには葉月のペニスの先端があった。コヨリを突き立てた
時には僅かながら縦の割れ目が見えていたのに、惨めな姿でおしっこを強要された
屈辱のせいで、今は元の皮かぶりに戻ってしまい、貧相にすぼんだ皮膚の先におしっ
この小さな雫が付着しているだけの、日ごろ保育園で面倒を見ている男の子たちの
それと見紛わんばかりの可愛らしいペニスだ。
 皐月は、先ずペニスの先にトイレットペーパーをそっと押し当て、自分で言った通り
優しく二度ぽんぽんと叩くようにしてから、
「それと、トイレットペーパーは絶対に前から後ろへ動かさなきゃ駄目だよ。うんちを
した後、最初にお尻を拭いて、それでトイレットペーパーを前に動かしたりしたら、うん
ちが女の子の大事なとこについちゃって、それが原因で恥ずかしい病気になっちゃう
こともあるんだからね。そんなことにならないよう、トイレットペーパーを動かす時は前
から後ろへっていう癖をつけとくこと。そういう癖をつけるためにも、おしっこだけの時
もトイレットペーパーは前から後ろへ動かすようにしなさい。後ろから前は絶対に駄目。
わかったわね?」
と最後の方は少しきつい調子で言って、トイレットペーパーを持つ手をゆっくりお尻の
方に動かした。
 小さい頃は、忙しい両親の代わりに六つ年上の皐月に面倒をみてもらっていた葉月。
勿論、おしっこをしくじってしまった時の処置も例外ではなかった。その時の記憶がお
ぼろげながら蘇ってきて、余計に惨めになる。しかも今は、当時のまだ物心つかぬ幼
い子供などではない上に、女の子としておしっこの後の面倒をみてもらっているのだ。
「どうしたの? お利口さんの葉月ちゃんにはちっとも難しくない筈だよ? それとも、
,年少さんの葉月ちゃんには難しいことだから、お家のトイレや保育園のトイレでも、お
姉ちゃまがお世話してあげなきゃいけないのかな? だったら、いいわよ、それでも。
どうせ、おしっこが出るようにコヨリでこちょこちょしてあげなきゃいけないんだから、お
しまいまで一緒にいてちゃんとしてあげる。まだ自分じゃ何もできない小っちゃな可愛
い妹のお世話だもん、お姉ちゃま、ちっとも苦になんてならないんだから」
 唇を噛みしめるばかりで一向に手を動かそうとしない葉月の耳元に、皐月はわざと
らしい優しげな声で囁きかけた。
15820 ◆JSxcaNkD96 :2008/08/01(金) 09:10:29 ID:ym9g/Kn8
 それが、私の命令に従わないようならこれから先も自由にトイレを使わせないわよ
と脅しているのは明かだった。
 そこまで言われては、葉月としてもいつまでも愚図愚図してはいられない。それに、
このままお尻を濡らしたままでは立ち上がることもできず、いつ何時、誰の目に自分
の惨めな姿をさらす羽目になるともしれないのだ。
 葉月は一度だけすっと息を吸い込んで、トイレットペーパーを渡された右手をのろの
ろと動かし始めた。最初は、皐月の指示通り、トイレットペーパーをペニスの先にそっ
と押し当て、おそるおそるといった感じでぽんぽんと叩き、それから、ゆっくり後ろの方
に動かす。
「そうそう、お上手よ、葉月ちゃん。お尻をびしょびしょにしちゃったから最初はどうなる
かって心配したけど、後片付けはちゃんとできそうだから安心だわ。これなら、保育園
のトイレで、何度か、おしっこが出るようにこちょこちょしてあげれば、あとは一人でな
んとかできそうね」
 葉月がぎこちない手つきでおしっこの後の措置をする様子をしげしげと眺めながら、
皐月は、それこそ年少クラスの園児が初めて自分の手でパンツを引きおろすところか
らトイレットペーパーで綺麗に拭き清めるところまでできるようになった場面に立ち会
ったかのように大げさに褒めそやした。
 しかし、これで全てがおしまいになる由もなかった。

「ぇ……?」
 どこか呆然としたような弱々しい声が葉月の口から漏れたのは、慣れない手つきで
やっとのことお尻のまわりを拭い清め、足首が痛むのを我慢してのろのろと立ち上が
り、両手でショーツを引き上げた直後のことだった。
「どうしたの? 何か困ったことになったのかな、葉月ちゃん?」
 ショーツを引き上げた両手をぶるぶる震わせて大きな瞳に絶望の色を浮かべる葉
月に向かって、いかにも気遣わしげな様子で皐月が声をかけた。けれど、この時、葉
月の身に何が起こったのか、皐月にはすっかりお見通しだった。
「ん、……ううん」
 皐月に声をかけられた葉月は最初、心ここにあらずといった風情で首を縦に振りか
けたが、不意にはっとしたような顔つきになって、慌てて首を横に振った。それは、ま
るで、なにやら粗相をしでかしながらもそれを保育士に気取られまいとして咄嗟にご
まかす園児そのままの仕草だった。
159名無しさん@ピンキー:2008/08/01(金) 10:49:08 ID:w2cFREfR
最高!
16020 ◆JSxcaNkD96 :2008/08/01(金) 17:22:26 ID:ym9g/Kn8
「ううんじゃないでしょ? なんでもないんだったら、どうしてパンツをちゃんと穿いちゃ
わないの?」
 葉月が幼児めいた仕草をみせるのに合わせてか、皐月の方は、まずいことをごまか
そうとする園児をたしなめる時の口調そのまま、優しく、それでいて言い逃れの道を
容赦なく塞いで問い詰める。
 皐月の言う通り、葉月は、のろのろ立ち上がると同時にショーツを引き上げたものの、
完全に下腹部を覆い隠してはいなかった。いや、引き上げたショーツを最後まできち
んと引き上げて下腹部を包み隠そうとしたのだが、もうちょっとで最後というところで
なぜか呆然とした表情を浮かべ、ショーツを引き上げる手を止めてしまったのだ。
「どうしたの? どうして、パンツを最後まで穿かないの?」
 後ろめたげな表情で視線を落とす葉月に向かって、皐月は重ねて訊いた。
 だが、それでも、葉月のからの返答はない。
「ナプキン、汚しちゃったんでしよ?」
 不意に皐月が表情を緩め、短い言葉で問い質した。
「……!」
 葉月が大きく両目を見開き、唇を半開きにして皐月の顔を見返した。
「わかるわよ、そんなことくらい」
 驚きの表情を浮かべる葉月とは対照的に、皐月の方は澄ましたものだ。
「園長先生のお部屋と、葉月ちゃんの新しいお部屋とで、葉月ちゃんは合わせて二度
も白いおしっこでナプキンを汚しちゃったよね? 白いおしっこと普通のおしっこ、出て
くるところは同じだよね? だったら、普通のおしっこも白いおしっこと同じで、葉月ちゃ
んはみんな出しきっちゃったと思っていたかもしれないけど実際にはおしっこの管にま
だ残っていて、お腹に力を入れたり脚を動かしたりした拍子に、残っていたおしっこが
こぼれてきちゃうんじゃないかってことくらい、簡単に予想できると思わない?」
 皐月の言う通りだった。
 お尻のまわりについたおしっこの雫をトイレットペーパーで拭き取った葉月は、少し
でも早く丸裸の下腹部を皐月の目から隠そうとして無我夢中で立ち上がり、じっとり
濡れた股ぐりが太腿にいやらしく絡みつくのも構わず、両手でショーツを引き上げた。
けれど、ショーツの内側に貼り付けたナプキンがペニスの先に触れるか触れないかと
いうところで、両脚の間がじくっと湿る感触を覚えたのだった。一瞬なにが起きたのか
わからなかった葉月だったが、その直後、園長室とマンションの新しい部屋での痴態
が脳裏に蘇ってくると同時に、両脚の付け根に感じるのが、尿道に残っていたおしっ
こがペニスの先から溢れ出し、ショーツの内側に装着したナプキンを濡らした結果だと
いう恥ずかしい事実を理解せざるを得なかった。
16195:2008/08/01(金) 19:10:43 ID:362fJKRy
昨日のもの、改訂しました。
・・・あまり上手くはいってませんがw

http://www.gazoru.com/g-5b11e97cf837c76527987c029bb87a74.jpg.html
162名無しさん@ピンキー:2008/08/01(金) 20:42:23 ID:JvD9E5z+
イイヨ、イイヨ、ネチネチと言葉責め。

>161
尻から滴る尿滴があるともっといいかも。
16395:2008/08/01(金) 22:18:55 ID:o8LOHai0
>162
御意見ありがとうございます。

で、もう1枚。
http://www.gazoru.com/g-52a44a8d3c5f23248c74b6abecfad2d8.jpg.html
16420 ◆JSxcaNkD96 :2008/08/02(土) 11:28:00 ID:QjWiEPo2
「ほら、お返事はどうしたの? お姉ちゃまは葉月ちゃんに『ナプキンを汚しちゃったん
でしょ?』って訊いたのよ。そうなら、そう。違うなら、違う。どっちにしても、ちゃんとお
返事しなきゃいけないんじゃないのかな」
 何があったのかすっかりお見通しのくせして、皐月は尚も葉月を問い詰める。
「……」
 だが、葉月はショーツをそのまま最後まで引き上げることもできず、かといって再び
引き下げることもできずに、ただおどおどと皐月の顔を見上げるばかりだ。
「ちゃんとお返事しなきゃ駄目でしょ、葉月ちゃん。お姉ちゃま、葉月ちゃんがパンツを
汚しちゃったことを叱っているんじゃないのよ。葉月ちゃんはまだ年少さんで、しかも
女の子になったばかりなんだから、パンツを汚しちゃうのは仕方ない。それはお姉ち
ゃま、よぉくわかってるよ。でも、パンツを汚しちゃったら汚しちゃったで、ちゃんと教え
なきゃ駄目なの。葉月ちゃん、明日から保育園に行くんでしょ? 保育園でトイレが
間に合わなくておもらししちゃって、それでパンツを汚しちゃったら、どうするつもりな
の? 葉月ちゃんがおもらしでパンツを汚しちゃったこと、先生が誰も気づかなかった
ら、葉月ちゃん、ずっと濡れたパンツのままになっちゃうんだよ。そんなことになったら、
せっかくのすべすべのお肌が真っ赤に腫れちゃうじゃない? それに、ずっと濡れた
パンツのままお友達と遊んでたりしたら、遊んでる間におしっこの雫が幾つも落ちてき
ちゃうんじゃないかな。そしたら、お友達に葉月ちゃんがおもらししちゃったって囃した
てられちゃうかもしれないよ。そんな恥ずかしい目に遭うのはいやだよね? だから、
パンツを汚しちゃったら、どうしたのってお姉ちゃまや先生たちが訊く前に、自分でち
ゃんと教えなきゃいけないんだよ」
 皐月は、園児に接する時そのまま噛んでふくめるように言って、やおら、ショーツと
葉月のお尻との間の隙間に右手を差し入れた。
「ひゃ!」
 思いがけない皐月の行動に、葉月は思わず甲高い悲鳴をあげてびくんと体をのけ
ぞらせてしまう。
16520 ◆JSxcaNkD96 :2008/08/02(土) 13:53:36 ID:QjWiEPo2
「じっとしてなさい。どれくらい濡れているか調べてあげるんだから」
 身をくねらせる葉月の肩を左手で押さえつけながら、皐月は右手をショーツの中に
尚も深く差し入れた。
 しばらくの間ショーツの中をもぞもぞと這い回っていた皐月の手が、やがてペニスの
先に届いたかと思うと、そのまますっと下におり、ペニスと軽く触れ合っているナプキン
の内側を何度か軽く撫でた。
 その後、皐月の右手はクロッチ部分から離れ、太腿に軽く食い込んでいるゴムの周
囲ををなぞるようにして股ぐりの様子を探り始める。
 皐月がショーツとナプキンの濡れ具合を調べている間、葉月は、体を焼き尽くす業
火のような羞恥に耐えるしかなかった。物心つく前の幼児ならともかく、もうすぐ十九
歳、更に一年経てば成人しようかという身で、それこそ、まだおしっこを教えられない
小さな子供そのまま、パンツをどれほど濡らしてしまったか実の姉の手で調べられて
いるのだ。それも、男物のブリーフやトランクスなどではない、可愛いアニメキャラのバ
ックプリントをあしらい、その上、クロッチの部分にナプキンを固定した、女児用のショー
ツなのだから、それがどれほどの羞恥なのかは想像もつかない。

「やれやれ、思っていた以上にびしょびしょね。これじゃ、とてもじゃないけどこのまま
穿かせてなんかいられないわ」
 とても短い時間で済んだような気もするし、とてつまなく長い時間が過ぎたような気
もする。いつのまにかショーツから右手を引き抜いていた皐月の声にはっとして葉月
は我に返った。と同時に、皐月が口にした『このまま穿かせてなんか』という言葉が何
度も頭の中にこだまする。
「あ、あのね……お姉ちゃま……」
 皐月の言葉に嫌な予感を覚え、葉月はショーツのウエスト部分に指をかけたまま、
いかにも不安げな表情でおずおずと話しかけた。

166名無しさん@ピンキー:2008/08/02(土) 14:01:14 ID:1hg/u1UK
長い長い前哨戦が終わって、いよいよ来るか?wktk
16720 ◆JSxcaNkD96 :2008/08/02(土) 15:01:15 ID:QjWiEPo2
>>166
 ごめ
 もしも「いよいよ」というのがオムツのことを指して
いるのだったら、もうちょっと時間がかかります
 前作は早めにおむつを登場させて園児服が後回し
だったから、今作は逆に、園児服を優先しておむつ
を後回しにしようかなということで
 おむつに期待の人、あしからず
16820 ◆JSxcaNkD96 :2008/08/02(土) 15:01:47 ID:QjWiEPo2
「ん? どうしたの、なんだかとっても心配そうな顔をしてるけど?」
 葉月が不安にかられているのが自分の発した言葉のせいだということを充分に承
知していながら、皐月は、わざと不思議そうな顔をして聞き返した。
 そうして、これもまたわざとらしく何かに気がついたように大げさな仕草でぽんと手を
打って頷いてみせる。
「あ、替えのパンツのことを心配してるのかな。そうだよね、股ぐりのところもナプキン
も思った以上にびしょびしょになっちゃってお尻が気持ち悪いから新しいパンツに穿
き替えたいよね。でも、それだったら葉月ちゃんは心配しなくても大丈夫だよ。だって、
ほら、お家を出る前に念のためにと思ってお姉ちゃまがポシェットに入れておいてあ
げたのがあるじゃない。お姉ちゃまがタンスから出してポシェットに入れるとこ、葉月ち
ゃんも見てたでしょ?」
 あっけらかんとした顔でそういう皐月の言葉は、ある意味、葉月の予想通りだった。
どうか、そんなことになりませんように。お願いだから、とんでもないことを言い出しま
せんように。そんなことになりそうだなと直感しつつ、けれど心の中でそれが自分の
思い過ごしでありますようにと天にもすがるような思いで葉月が祈った予感。
 そう。皐月は葉月に、女性用トイレでおしっこをさせるだけでは飽き足りず、おしっこ
でショーツとナプキンを汚したことを口実に、ショーツを穿き替えさせようとしているのだ。
しかも、おそらく、どこかちゃんとした更衣室などではなく、いつ誰が入ってくるかもしれ
ない、ここ、この場で。
「や……やだ。そんなの、絶対やだ!」
 葉月の悲痛な叫び声がコンクリート打ちっ放しの壁に反響する。
「やだじゃないでしょ? お姉ちゃま、さっき言った筈よ。濡れたパンツのままだとおし
っこの雫が伝い落ちて、それをみつかったりしたら葉月ちゃんが余計に恥ずかしい思
いをするのよって。それでもいいの?」
 感情にまかせて叫ぶ葉月とは対照的に、皐月はつとめて冷静な声で応じた。そんな
二人の様子は、六つ違いの姉弟というよりも、保育士と園児といった間柄の方が確か
にふさわしく思える。
「それは……」
 皐月に諭され、思わず葉月は口をつぐんでしまった。
 けれど、すぐに、もうこれが最後の綱とでもいうような形相で尚も食いさがる。
「じゃ……じゃ、せめて、どこか人目のつかない所で穿き替えさせてよ。こんな、いつ
人が来るかもしれないトイレの中なんかじゃない所で」
169名無しさん@ピンキー:2008/08/02(土) 17:37:08 ID:1hg/u1UK
>167
いえいえ、お構いなく。
今のタックならではイベント展開も好きなので、
じっくり・ねっとりとお書き下さい。
17020 ◆JSxcaNkD96 :2008/08/02(土) 18:07:18 ID:QjWiEPo2
「ああ、それは、葉月ちゃんがその方がいいって言うんだったら、お姉ちゃまもそれで
いいよ」
 皐月から予想外の言葉が返ってきた。
「ほ、本当? 本当に、どこか別の場所で穿き替えていいの?」
 思いがけない返答に葉月の顔がぱっと輝いた。
 ショーツを穿き替える場所が女性用トイレではなくなったというだけで喜色満面の葉
月だが、実のところ、十八歳の男子大学生がキャミソールとサンドレスを着せられ、そ
の下にはハローキティのバックプリントが愛くるしい女児用ショーツを穿かされている
わけだから、皐月の目には、その喜びようが却って滑稽に映る。
「いいわよ、本当に」
 皐月は意味ありげな笑みを浮かべてわざとのように大きく頷いてみせてから、念を
押すように続けた。
「でも、本当に葉月ちゃんもそれでいいのね? 今パンツの中に留めてるナプキン、お
姉ちゃまがもしもの時のために持ち歩いている非常用のサイズだから、吸水量はあま
りないんだよ。それに、股ぐりのところもだいぶ濡れちゃってるから、トイレを出てどこ
かパンツを穿き替えられるような所まで歩いてる間に、股ぐりの生地やナプキンが吸
い取ったおしっこが沁み出てきちゃうんじゃないかな。葉月ちゃん、慣れないサンダル
のせいであんよが上手じゃないから、お腹にも余計な力が入って、パンツやナプキン
を絞るような歩き方になっちゃって、ナプキンからもパンツからもおしっこが沁み出て、
おしっこの雫をぽたぽた落としながら歩くことになるんじゃないかな。今日は夏休みで
日曜日、この水族館も普段よりもずっとお客様が多いよね。その中でも、特に子供た
ちが多いんだけど、子供って大人より視線が低いから、葉月ちゃんがおしっこの雫を
滴らせながら歩いてたらすぐに気がつくでしょうね。それに、子供って遠慮がないから、
そんな葉月ちゃんのこと、指を差して大声で笑ったりお友達に教えたりするに決まって
るよね。――もういちど訊くけど、本当に葉月ちゃんもそれでいいのね?」
「あ……」
 僅かに首をかしげてそう言う皐月に、葉月は二の句を告げられなかった。
171名無しさん@ピンキー:2008/08/02(土) 22:19:47 ID:X6p0bNF1
なんと言うハイペース、GJです
172名無しさん@ピンキー:2008/08/03(日) 19:59:15 ID:mnniR+Yv
凄い久しぶりにきたんだが、20氏相変わらず(・∀・)イイ!!
前スレのタックの部分とか凄い気になる…
17320 ◆JSxcaNkD96 :2008/08/04(月) 07:00:59 ID:WktsPyKY
 小さめのサイズとはいってもそれなりの吸水性はあるし、いったん吸い取ったた経
血(この場合はおしっこだが)は高分子材料でゼリー状に固めてしまうから、ナプキン
からおしっこが沁み出すことはあり得ない。それに、ショーツにしても、よほどのことが
ない限り、いちど吸収した水分が雫になって滴り落ちるなどということはない。皐月に
は充分すぎるほどわかっている事実だが、初めて身に着ける女児用ショーツの素材
がどれほどおしっこを吸い取ってくれるものなのか、まさか自分がお世話になるなんて
思ってもみなかった生理用ナプキンがどんな仕組みになっているものなのか知ってい
るわけのない葉月にしてみれば、皐月の言葉が全てだった。
「どうするの?」
 皐月は、これ以上はないくらい優しい声で、もういちど訊いた。
「……ここ……」
 葉月には、蚊の鳴くような声でそう応えるのが精一杯だった。
「ここだけじゃわからないでしょ? ううん、お姉ちゃまは葉月ちゃんが『ここ』って言う
だけで、どうしてほしいかわかるわよ。なんたって、これまでずっと一緒に暮らしてき
て、葉月ちゃんのことならどんな小さなことでも知っているもの。でも、遠藤先生もそう
だけど、保育園の先生方は『ここ』って言われても、葉月ちゃんにどうしてほしいかわ
からないじゃない。だから、自分の気持ちをちゃんと伝えるお稽古だと思って、もうい
ちどきちんと言ってごらんなさい。どうしてほしいのかな、葉月ちゃんは?」
 皐月は、優しい声はそのまま、葉月自身の言葉による返答を強い調子で求めた。
「……ここ……ここでパンツを穿き替えたいの……どこへも行かなくて、ここで……」
 葉月は、ショーツのウエスト部分をつかんだままの自分の指と皐月の顔とをちらちら
と見比べた後、明かな諦念の色を浮かべて弱々しく言った。
「そう、ここでパンツを穿き替えさせてほしいのね、葉月ちゃんは。保育園でも、パン
ツを汚しちゃった時は、そんなふうにきちんと先生に教えるのよ」
 葉月が口にした『穿き替えたい』という言葉をさりげなく『穿き替えさせてほしい』と言
い直した皐月は、 トイレットペーパーを思いきり長くちぎり取ると、それを何度か折り
返してから個室から出たすぐの所に敷いて、
「さ、こっちへいらっしゃい」
と手招きしてみせた。
17420 ◆JSxcaNkD96 :2008/08/04(月) 08:19:14 ID:WktsPyKY
「え……?」
 こともなげに手招きする皐月に対して、葉月の方は、姉の行動が何を意味している
のか咄嗟にはわからず、きょとんとした顔つきになってしまう。
「ほら、何をしているの。いつまでも濡れたパンツのままじゃお肌が荒れちゃうでしょ」
 皐月は、ショーツのウエストに指をかけたままのせいで「く」の時に曲がっている葉
月の肘をつかんで、通路側にぐいっと引っ張った。
「ちょっ、ちょっと待ってよ、お姉ちゃま。中で穿き替えるんじゃないの!?」
 力まかせに肘を引っ張られてようやく皐月が何をしようとしているのか理解した葉月
は顔色を変えて首を振った。
「あらあら、何を言ってるの、葉月ちゃんてば。そんな狭い所で穿き替えさせてあげら
れるわけないじゃない。ちょっと油断したら便器の中に足を突っ込んじゃうかもしれな
いんだから、ほら、出てらっしゃい」
 皐月は呆れたように言って、葉月の肘をますます強く引っ張った。
 皐月の言う通り、小さな子供のパンツを穿き替えさせるくらいのことならできるかも
しれないトイレの個室だけれど、大人が二人も入れば窮屈で仕方ない。しかも、履き
慣れないサンダルのせいで足取りのおぼつかない葉月に片方ずつ足を上げさせたり
体の向きを変えさせたりすれば、便器の中に倒れてしまう恐れもあるだろう。それは
葉月にもわかる。わかるのだが……。
「でも、でも……通路でパンツを穿き替えてる途中に人が入ってきたらどうするの? 
中だったら扉を閉めて隠れられるけど、通路でだなんて……」
 葉月の不安はもっともだ。通路でパンツを穿き替えている最中に誰か人が入ってき
たりしたら、身を隠すこと術など一切ない。
「その時はその時よ。それとも、便器に溜まっている自分のおしっこで足を濡らしちゃ
ても平気なの、葉月ちゃんは? ああ、そうか。自分のおしっこでお尻のまわりをびし
ょびしょにしちゃって、内腿をおしっこが伝い落ちてパンツを濡らしちゃっただけじゃ物
足りなくて、おちんちんに残っていたおしっこでナプキンまでぐっしょり濡らしちゃった葉
月ちゃんだもの、今さら足が濡れても気にならないかな」
 必死の思いで両脚を突っ張る葉月に向かって、どこか嘲るような口調で皐月は言っ
た。
17520 ◆JSxcaNkD96 :2008/08/04(月) 10:24:12 ID:WktsPyKY
「そんな……」
 思わず葉月は恨みがましい目で皐月の顔を睨みつけた。しかし、まるで迫力を感じ
させない、どちらかというと拗ねたような表情なのは否めない。
「ほら、いつまでも愚図愚図してないの。さっさとこっちへいらっしゃい」
 皐月は有無を言わさぬ調子で叱りつけるように言い、葉月の肘を思いきり引っ張っ
た。
 ただでさえ体格と体力に差がある上、おぼつかない足取りの葉月だから、力まかせ
に引き寄せられてはたまらない。あっという間に、前のめりの姿勢で、たたらを踏むよ
うにして通路に引っ張り出されてしまう。
「ほら、サンダルを脱がせてあげるから、通路に敷いたトイレットペーパーの上に立つ
のよ。サンダルを履いたままじゃパンツを脱いだり穿いたりできないでしょ」
 個室の中から通路へ引っ張り出された後も、葉月はどうしていいかわからず、まだ
ショーツに指をかけたままだ。皐月は呆然と立ち尽くす葉月の足元にしゃがんで甲の
ベルトを留めているスナップボタンを手早く外すと、足首をつかんで片方ずつサンダル
を脱がせ、背中をぐいっと押して、足の裏が汚れないよう通路に敷いたトイレットペー
パーの上に立たせた。
「はい、そのままじっとしているのよ。全部お姉ちゃまがやってあげるから、葉月ちゃ
んはおとなしくしていればそれでいいんだから」
 皐月は、トイレの個室から通路へ引き出され抗弁する気力さえ失って身をすくめる
葉月の指をショーツから引き離すと、その代わりに自分の指を葉月の肌とショーツの
間に差し入れ、ウエストの部分を外側へくるりと丸めるようにして一気に引きおろした。
 尿道に残っていたおしっこはもうすっかりナプキンに吸収されてしまったようで、ペニ
スの先から滴り落ちる雫は一つもなかった。
「そのまま待っているのよ。すぐに新しいパンツを穿かせてあげるから」
 倒れないよう壁に手をつかせ、サンダルを脱がせたのと同じ順番で葉月に足を上げ
させて、足首まで引きおろしたショーツをすっかり脱がせた皐月は、個室の中に設け
られた小さな棚に置いてあるポシェットを手に取って蓋を開けた。
176名無しさん@ピンキー:2008/08/04(月) 22:21:48 ID:7bYNJUrg
女性だけが入ることを許された空間で、
タックメコスジ強制露出プレイとはやるな。
おっきした。
177名無しさん@ピンキー:2008/08/04(月) 23:42:14 ID:TiI3CqdL
タック自体は良いけれど、タックによっておちんちんが見えなく(見にくく)なってしまうのは興ざめ。
17820 ◆JSxcaNkD96 :2008/08/05(火) 06:42:31 ID:57RET0dL
 皐月がポシェットから取り出したのは、やはりハローキティのイラストなのだが、たっ
た今脱がせたばかりのショーツがハローキティの顔だけなのに対して、今度のはピン
クの全身像のバックプリントをあしらった真新しいショーツだった。
 皐月は、ポシェットから取り出したばかりのショーツをひらひらと葉月の目の前で振
ってみせてから、やはり脱がせた時の順番通りに足を上げさせ、膝のすぐ上までする
りと引き上げた。
 そこでいったん手を止めたのが、ポシェットから新しいナプキンを取り出すためなの
はいうまでもない。
 が、ショーツの内側にナプキンをセットしようとする皐月を、葉月が今にも消え入りそ
うな声で制止する。
「あ、あのね、お姉ちゃま……ナ、ナプキンはもういいよ。葉月、ナプキンがなくても大
丈夫だから」
 その言葉にナプキンを持った手を止め、腰をかがめた姿勢で皐月は葉月の顔を斜
め下から見上げて言った。
「ナプキンは要らないって、白いおしっこと普通のおしっこで汚しちゃったくせに何を言
ってるのよ葉月ちゃんてば。ちゃんとしとかないと、パンツを汚しちゃうのに」
「だ、だって……」
「ま、気持ちはわかるけどさ。生まれてからずっと女の子してた私でも、小学校四年生
の時だったかな、あれが始まっちゃって、母さんからナプキンとあれ用のショーツを渡
された時はとっても恥ずかしかったもん。今日から大人なんだっていう照れくささもあっ
たけど、それよりなにより、とにかく恥ずかしかったっけ。女の子を十年間もやってきた
上に前もってそれなりの知識も持っていた私があんなに恥ずかしかったんだもん、急
に女の子になって何の知識も心構えも持っていない葉月ちゃんにしてみたら、そりゃ、
恥ずかしくて仕方ないよね。それはわかる。わかるけど、恥ずかしさを我慢してちゃん
としとかないと、パンツを汚してもっと恥ずかしい目に遭うのも葉月ちゃんなんだよ」
「あ、ううん……は、恥ずかしいってのもある。それもあるんだけど……」
「それもあるんだけどって、じゃ、それ以外の理由もあるわけ? 何よ、言ってごらん
なさい。恥ずかしいからっていう以外の理由を」
 ナプキンを拒む理由を言いかけたものの気後れしたように途中で口をつぐむ葉月に
対して、好奇の色を顔中にたたえたて皐月が言った。
17920 ◆JSxcaNkD96 :2008/08/05(火) 07:24:36 ID:57RET0dL
「……む、蒸れちゃうの。蒸れて、ちょっぴり痒くなっちゃうから、だから……」
 一瞬言い澱んだ葉月だが、すぐに意を決したようにぶるんと首を振ると、右手をぎゅ
っと拳に握って、か細い声で応えた。
「蒸れちゃう? ああ、なるほどね。たしかに蒸れちゃうよね。特に葉月ちゃんの場合
は蒸れやすいよね」
 葉月の返答に、皐月はいかにもおかしそうにくすくす笑いながら、『蒸れる』という言
葉を何度も繰り返した。
 女の子の格好をさせられるまで、葉月の下着はトランクスだった。同じ男物の下着
の中でもブリーフより風通しのいいトランクスに慣れ親しんできた葉月が、太腿とウエ
ストをゴムでぴっちり締め付けられる女児用ショーツを穿かされたのだから、それだけ
でも窮屈で通気性がよくないのに、その上、生理用のナプキンで局部を覆い包まれ
てしまっては、ただでさえうだるような夏の午後、たまったものではないだろう。しかも、
ナプキンの内側は汗でじっとり湿ってくるのではなく、ペニスに残っていた精液やおし
っこで肌に触れた瞬間からじくじく濡れてしまうのだから、時間をかけて慣れることも
かなわないのだ。
「わ、笑わないでよ。笑ってないで、『ナプキンはもう無しにしましょう』って言ってよ、お
願いだから、お姉ちゃま」
 皐月のくすくす笑いに顔を真っ赤にしながらも、葉月はすがるような思いで訴えかけ
た。
 しかし、葉月の必死の懇願はあっさり拒否されてしまう。
「駄目よ。蒸れるのは仕方ないから、慣れるまで我慢なさい」
 皐月はこともなげに葉月の訴えを却下した後、替えのショーツに改めて新しいナプキ
ンをセットしながらこう付け加えた。
「それに、これくらいで『蒸れちゃうよ、痒いよ』なんて弱音を吐いてちゃ先が続かない
わよ。そのうち、もっと蒸れ蒸れになっちゃうかもしれないんだから」
「え……? ど、どういうことなの、それって?」
 ぎょっとしたような顔つきになって葉月が聞き咎める。
 が、皐月は曖昧な笑みを浮かべて悪戯っぽく
「うふふ。今はまだヒ・ミ・ツ。楽しみに待っているといいわ」
と言うばかりで、自分が今しがた口にした言葉がどういう意味を持っているのか、葉月
に説明しようとはしなかった。
「そんな……教えてよ、どういうことなの、お姉ちゃま。あ……!」
 皐月の真意を図りかねて、もちろん葉月は説明を求めるのだが、その時、トイレの
入り口に人影が立つのが見えて、思わず両手で口を覆ってしまう。
18020 ◆JSxcaNkD96 :2008/08/05(火) 08:17:19 ID:57RET0dL
「そのうちわかるわよ。だから、そんなに急がなくていいの。さ、誰かトイレに入ってき
たみたいだから、葉月ちゃんの恥ずかしいところをないないしちゃおうね」
 皐月は、トイレの入り口に向かってちらと視線をやり、葉月が口をつぐんだ隙に、手
際よくナプキンをセットしたショーツをさっと引き上げた。
「……!」
 おしっこをする間だけ感じずにすんでいた女児用ショーツとナプキンの妙に柔らかな
肌触りに再び下腹部を包みこまれる葉月。さっきすっかりおしっこを出しきったばかり
で今はまだナプキンが汗も吸っていず、その内側がさらさらなのが唯一の救いといっ
たところだろうか。

 採光のために天井や壁の一部がガラス張りになっている建物の構造のせいか、トイ
レの入り口のあたりが眩しくて、こちらに近づいてくる人影が逆光になって顔つきまで
はわからない。ただ、ほっそりした全身のプロポーションや太陽の光を透き通してふわ
っと浮かび上がる薄手の衣服のシルエットから、それがどうやら若い女性らしいという
ことが見て取れるだけだ。
 葉月が履いているのと同じようなサンダルだろう、革靴のような硬さをまるで感じさ
せない軽やかな足音と共に近づいてくる人影だったが、通路の一番奥にいる皐月と
葉月に気がつくと、そんな所で何をしているのだろうと訝しむように立ち止まり、こちら
の様子を窺って無遠慮な視線を投げかけた。
 見知らぬ女性の視線を浴びて体を固くする葉月。
 だが、葉月にショーツを穿かせ終えた皐月は、
「あら、あの子……」
と独り言めいた呟き声を漏らしたかと思うと、逆光の眩しさに耐えて入り口の方をじっ
とみつめ、やがて、トイレに入ってきた人影に向かっていかにも親しげな様子で呼び
かけた。
「如月さん、如月芽衣さんでしょ? 芽衣さんも水族館に来てたの!?」
 それに対して、如月芽衣と呼ばれた女性も、逆光の中でもそれとわかるくらいぱっと
顔を輝かせて嬉しそうな声で応じた。
「あ、やっぱり御崎先生だ。そうじゃないかなと思ったんだけど、知らない女の子も一
緒だし、人違いだったらどうしようと思って声をかけられなかったんです。でも、よかっ
た、人違いじゃなくて」
18120 ◆JSxcaNkD96 :2008/08/05(火) 09:16:20 ID:57RET0dL
 いったん足を止めた人影だが、弾んだ声でそう言うと、再び歩き出し、見るからにう
きうきした足取りで二人のすぐそばまでやって来た。ここまで近づくと、眩しい入り口を
背にしていても、まだ幼さの残る顔が葉月の目にもくっきり映る。
「芽衣さんが来ているってことは、もちろん、正太郎くんも来ているってことよね?」
 皐月は、顔見知りということがありありとわかるほど親しげな様子で、葉月よりも幾ら
か背の低い女性――いや、少女と呼んだ方が正確だろう――に向かって話しかけた。
「はい、一緒です。保育園の遠足や水遊びでこの水族館にはもう何度も来ているの
に、まるで飽きる様子なんてなくて。ちょっとでも暇があると水族館に連れて行けって
うるさいんですよ。私だって友達と遊びたいし、宿題もあるっていうのに、んと、我儘な
弟を持つと苦労します」
 芽衣は、やれやれとでもいうように肩をすくめて言い、興味深そうにちらと葉月の顔
を見た。
 芽衣の視線に気づいた皐月は、これみよがしに葉月のサンドレスの乱れを整えて
から、こちらもひょいと肩をすくめて言った。
「あ、私の妹で葉月っていうの。小学校の五年生なんだけど、この子もなかなか手の
かかる子でね、私も苦労してるのよ。お互い、年の離れた弟や妹を持つと苦労が絶え
ないわね」
「あ、妹さんなんだ。私、てっきり、どこかよその子がトイレで困ってるのを御崎先生が
助けてあげてるんだとばかり思ってました。だって、先生、弟さんがいるってことは何
度か話してくれたけど、妹さんがいるなんて教えてくれなかったもん」
 芽衣はちょっと驚いたような表情になって葉月の顔と皐月の顔を何度も見比べた後、
ふっと溜息をついて言った。
「でも、そう言われると、たしかに顔がよく似てますね。いいな、御崎先生は。弟さんだ
けじゃなくて、こんな可愛い妹さんもいて。私も生意気な弟なんかじゃなくて、葉月ち
ゃんみたいな可愛い妹がほしいなぁ」
「ありがとう、葉月のことを可愛い妹って褒めてくれて」
 皐月は嬉しそうな笑い顔で芽衣に言ってから、僅かに表情を変え、意味ありげな笑
みを浮かべて葉月に言った。
「こちらは、お姉ちゃまの保育園で預かっている如月正太郎くんっていう年長さんの
男の子のお姉さんで、芽衣さんよ。忙しいご両親の代わりに正太郎くんの送り迎えを
してくれる、とっても優しくて面倒見のいいお姉さん。正太郎くんを迎えに来てくれるた
びにお姉ちゃまといろいろ話すようになって、今じゃ私たち、お友達みたいな関係にな
ってるの。まだ中学一年生だけど、正太郎くんが年少さんの時から送り迎えをしてい
て、今じゃすっかり、正太郎くんにとっては、お姉さんっていうより二人目のお母さんっ
てとこね。すごくしっかりしているし、正太郎くんが保育園でどんなふうに一日を過ごし
たのかちゃんと聞いてくれるし、このぶんだと、いつでも保育園に勤められるんじゃな
いかしら。――さ、ご挨拶なさい。それに、葉月ちゃんのこと可愛いって言ってくれた
んだから、お礼も忘れずにね」
18220 ◆JSxcaNkD96 :2008/08/05(火) 15:31:33 ID:57RET0dL
「あ、あの……」
 皐月に促されても、咄嗟には言葉が出てこない。本当は自分の方がずっと年上の
男子大学生なのだが、ここで正体を知られるわけにはゆかないという苦悩に加えて、
芽衣は中学校一年生でそれに対して自分は小学校の五年生ということになっていて、
だから……そんなふうに年回りや間柄を改めて思い起こさなければならないから尚
更だ。
「御崎先生、妹さん――葉月ちゃんから『お姉ちゃま』って呼ばれてるんですか。先生
が葉月ちゃんに話しかけている時、自分のことを『お姉ちゃま』って言ってるからそう
思ったんですけど、いいなぁ、お姉ちゃまっていう響き。うちなんて生意気な弟だけだ
から『姉ちゃん』がいいところだし、機嫌の悪いときは『ちゃん』も省略されちゃってぶっ
きらぼうに『姉(ねえ)』だけなんだもん、やになっちゃいますよ。いいな、羨ましいな、
お姉ちゃまだって」
 視線を床に落として両手の指をもじもじと絡み合わせるばかりでいつまでもちゃんと
挨拶をしようとしない葉月に助け船を出すつもりなのだろう、横合いから芽衣がふっと
割り込んで話題を変えた。しっかり者の上に機転が利く少女なのが一目で見て取れ
る行動だ。
「ふぅん、そんなに羨ましいの、妹がいるってことが?」
 皐月は『妹』というところをわざと強調して芽衣に尋ねた。
「はい、羨ましいです。それに、お姉ちゃまっていう甘えんぼうな響き、大好きです」
 芽衣は何のてらいもなく応えて大きく頷いた。
「そうなの、そんなに羨ましいの。それじゃ――」
 あまりに正直な芽衣の言いように苦笑混じりの顔つきになった皐月は、すぐに悪戯
っぽい笑みを浮かべてこんなふうに続けて言った。
「うちの妹に、芽衣さんのこと、『芽衣お姉ちゃま』って呼ぶよう言いつけてあげる。芽
衣さんは中一で、うちの妹は小五。実の姉妹でもおかしくない年回りだから、それで
いいわよね?」
「え、本当ですか? 葉月ちゃんに私のこと『芽衣お姉ちゃま』って呼んでもらえるん
ですか。うわっ、やった〜」
 思いがけない皐月の提案に無邪気に喜びの声をあげる芽衣。
 一方の葉月は唇を噛みしめ、救いを求めるように皐月の顔をちらちら見上げるばか
りだ。
18320 ◆JSxcaNkD96 :2008/08/05(火) 17:11:41 ID:57RET0dL
 だが、皐月はすがるような視線などまるで無視して
「ほら、芽衣お姉ちゃまにご挨拶なさい。もう五年生なんだから、ちゃんとご挨拶でき
るでしょ?」
と言って、葉月のかたわらからすっと身を退いてしまった。
 サンダルを履いていれば葉月も慌てて歩を進め、皐月の体のかげに身をひそめる
ところだが、新しいショーツに穿き替えさせてもらったばかりで素足のため、足が汚れ
るのを防ぐために敷いたトイレットペーパーの上から通路へ足を踏み出すことが躊躇
われる。
「うふふ。葉月ちゃん、とっても恥ずかしがり屋さんなんだね。でも、そんなところもとっ
ても可愛いよ。男の子だったらもっと元気な方がいいけど、女の子だもん、おとなしく
て少し恥ずかしがり屋さんなくらいが丁度いいのよ」
 ひとりトイレットペーパーの上に取り残されてただおろおろするばかりの葉月に向か
って、身を退く皐月とは対照的にすっとこちらに身を寄せてきた芽衣が面倒見の良さ
をいかんなく発揮して優しく言った。その口調は、葉月のことを二つ年下の女の子だと
信じて疑っていない様子がありありだ。
「あ、あの……」
 実のところ、葉月の方が芽衣よりも幾らか背が高い。しかし、葉月にしてみれば、自
信たっぷりといった感じで眼前に立ちはだかる芽衣に気圧おされるような感じで、そ
れこそ、自分が、中学生の姉を目の前にした保育園児になってしまったような思いに
とらわれてならない。
「恥ずかしがり屋さんの葉月ちゃんはご挨拶が苦手なのかな。じゃ、私の方から先に
自己紹介しとこうかな。その後で葉月ちゃん。それでいいよね?」
 葉月がなかなか口を開こうとしないのを恥ずかしがっているせいだとすっかり思い
込んでしまっている芽衣は、いかにも中学生のお姉さんが小学生の女の子に教え諭
すといったふうに言って、面映ゆそうにくすっと笑った。
「じゃ、改めて――初めまして、葉月ちゃん。私は、葉月ちゃんのお姉さんの御崎先生
に保育園で弟の正太郎の面倒をみてもらっている如月芽衣です。中学一年生で、誕
生日は五月に済んだから、今、十三歳です。好きな教科は家庭科で、苦手な科目は
数学。将来、御崎先生みたいな優しい保育士さんになりたいと思っています。だから、
弟の送り迎えはちっとも苦にならないの。どっちかっていうと、御崎先生や他の先生
方といろいろお話できるから、正太郎を保育園へ送って行ったり迎えに行ったりする
のが楽しみです。んーと、すっごく簡単だけど、こんなとこかな、私の自己紹介は」
18420 ◆JSxcaNkD96 :2008/08/06(水) 06:13:38 ID:epKPUsx1
「は……葉月、御崎葉月です。しょう……小学校の五年生で、まだ誕生日が来てない
から、今……十歳で、その、お、お姉ちゃまのマンションにいます。は、葉月も幼稚園
か保育園の先生になりたくて……だから……」
 だから、今、大学で初等教育を勉強しています――さすがに、それは口にできない。
葉月はもともとの撫で肩をいつもよりすぼめて、それだけ言うのが精一杯だった。
 そこへ、皐月の声が飛んでくる。
「それじゃ駄目でしょ? ちゃんと『これから仲良くしてください、芽衣お姉ちゃま』って
言わなきゃ」
「……あ、あの……これから、仲良くしてください、芽衣さ……芽衣お姉ちゃま。葉月、
小学五年生で、まだまだ知らないことが多いからいろいろ教えてください。お願いしま
す……芽衣お姉ちゃま」
 視線を落としたまま屈辱の面持ちで途切れ途切れにそう言う葉月の体を、突然、芽
衣が力まかせに抱きしめる。
「かっわいい! なんて可愛いのかしら、葉月ちゃんてば! そうよ、これが妹ってや
つなんだわ。やんちゃで生意気で口が悪くてどうしようもない弟なんて糞食らえの、
可憐で清楚で内気で甘えんぼうの妹なんだわ!」
「ぁ……」
 思いがけず中学一年生の少女に抱きすくめられて、それまで屈辱のあまり顔色を失
っていた葉月の頬にさっと朱が差した。
「いいわよ。うんと仲良くしてあげる。葉月ちゃんにわからないことがあったらなんでも
教えてあげる。困ったことがあったらどんなことでも私の相談するといいわ。なんたっ
て、私、内気で恥ずかしがり屋さんの葉月ちゃんの新しい『お姉ちゃま』だもの」
 どう対応していいかわからず両手の指先を絡める仕草を、内気な葉月が恥ずかしが
ってのことだと思い込んだ芽衣は、自分よりも幾らか背の高い新しい妹分の体をいと
おしげに抱き寄せて頬擦りをした。
「ゃ……」
 小学校の時はともかく中学校に入ってからは殆ど女の子と接した経験のない葉月
はひたすら戸惑うばかりだ。が、そんな葉月の反応が内気な少女の羞じらいとしか映
らないのだろう、芽衣はますます強く頬を擦り合わせてやまない。
18520 ◆JSxcaNkD96 :2008/08/06(水) 07:13:31 ID:epKPUsx1
「よかったわね、芽衣お姉ちゃまに仲良くしてもらえて。これなら、これから毎日、保育
園で顔を会わせた時にもいろいろと話が弾みそうね」
 しばらく体を絡み合わせていた二人の耳に、横合いから皐月の声が届いた。
 その時になってようやく芽衣は葉月の体から手を離し、きょとんとした顔で皐月の方
に振り向く。
「あの、それって、どういうことなんですか? 葉月ちゃんと私が保育園で顔を会わせ
るって。私は中学校が夏休みでも正太郎の送り迎えがあるから保育園には行くけど、
葉月ちゃんは保育園に用事があるわけじゃないんでしょう? 御崎先生に弟さんがい
るって聞いたことはあるけど、たしか、大学生だとかおっしゃってたから、送り迎えじゃ
ないし」
 その大学生の弟というのが実は自分のことだと気取られまいかと葉月の胸がどきん
と高鳴る。
 皐月は、そんな葉月の顔を、唇の片方の端を僅かに吊り上げるような笑みを浮かべ
てちらと見てから、芽衣の方に向き直った。
「そうね、普通だったら葉月には保育園へ行く用事なんてないわよね。でも、さっき自
己紹介で言っていたように、葉月、芽衣さんと同じように保育士になりたがっているの。
それで、小学校が夏休みの間、うちの保育園で職場体験をさせようと思って、両親と
一緒に住んでいる家から私のマンションに呼び寄せたのよ。だから、当分の間は葉月、
私と一緒に保育園にいることになるの」
 皐月と葉月にとってはもうすっかり馴染みになってしまった偽りの説明だ。
 けれど純真な芽衣は一片の疑いも持たず、皐月の説明をすっかり信じ込んでしまう。
「あ、そうなんだ。葉月ちゃん、夏休みの間、ひばり保育園で見習いの保育士さんに
なれるんだ。いいなぁ」
 皐月の説明を信じ込んだ芽衣は、心の底から羨ましそうに言って葉月の顔を見た。
「職場体験をする葉月のこと、そんなに羨ましい?」
 しげしげと葉月の顔をみつめる芽衣に向かって、なにやら含むところのありそうな口
調で皐月が声をかけた。そうして芽衣が
「はい」
と応えて大きく頷くと、少し前屈みになって顔の高さを合わせ、芽衣の耳元に口を寄
せ、ひそひそと何やら囁きかけ始める。
18620 ◆JSxcaNkD96 :2008/08/06(水) 08:01:50 ID:epKPUsx1
 皐月の囁き声は葉月の耳には届かなかった。しかし、皐月が囁きかけるのに合わ
せて何度もこくんと頷く芽衣の様子や、芽衣にひそひそと囁きかけながら時おりこちら
に目を向ける皐月の悪戯めいた表情に、葉月の気持ちは穏やかではいられない。
「――ということだから、そのつもりで準備しておいてね」
 ひとしきり低い声で囁いてから、最後は葉月の反応を楽しもうとでもするみたいに意
味ありげにわざと大きな声で言って、皐月は芽衣の耳元から口を離した。
 それに対して、芽衣の方も葉月の様子を窺うようにちらちらと視線を投げかけながら、
満面の笑みをたたえて
「わかりました、先生。忘れないよう、家に帰ったら、すぐに準備しておきます」
と応じ、それに続いて
「でも、このことを知ったら正太郎のヤツ、びっくりするだろうなぁ。ううん、正太郎だけ
じゃないや、パパやママもびっくりするに決まってる。んふふ、どんな顔するかな。今
から楽しみだなぁ」
と独りごちるのだった。
(な、何を話してたのさ? 何を話してたのか、僕にも教えてよ)
 芽衣の反応になぜとはなしに嫌な予感を覚えた葉月は、皐月に向かってしきりに目
で訴えかけた。
 だが、皐月は悪戯めいた表情を浮かべたまま無言で首を振るばかりだ。
 そこへ、いかにも嬉しそうな顔をした芽衣が割って入った。
「葉月ちゃん、今日、女の子になったばかりなんだって? たった今、御崎先生に教え
てもらったの」
 視線を遮って葉月と皐月の間に立った芽衣は、とんでもない言葉を口にした。
 芽衣に抱きすくめられて頬をピンクに染めた葉月の顔から再び血の気が退く。
18720 ◆JSxcaNkD96 :2008/08/06(水) 09:33:59 ID:epKPUsx1
(正体がばれちゃったんだ。僕が小学五年生の女の子なんかじゃなくて男の大学生
だってこと、この芽衣って子に知られちゃったんだ)
 咄嗟にそう思った葉月は唇をわなわなと震わせ、両手を握りしめて、次に芽衣が何
を言うのかと怯えつつ、身構えるように体を固くするしかなかった。
 けれど、それは葉月の思い過ごしだった。
 言葉を失った葉月を気遣うように芽衣は
「パンツが血で汚れちゃったんだもん、びっくりしたでしょ? お腹は痛くない? でも、
始まっちゃった時にお姉ちゃまが一緒にいてくれてよかったね。一人でお出かけの時
に始まっちゃったりしたら、それも、初めてのことだったらどうしていいかわからないも
んね。まだ慣れてないんだもん、ナプキンの使い方も上手じゃないし、パンツを汚しち
ゃっても仕方ないよ。だから、気にしちゃ駄目だよ。これまで小っちゃい子の体だった
のが、とうとう女の子の体になって、おっぱいも膨らんできて、今度は大人の女の人
の体になってくんだよ。恥ずかしくて鬱陶しくてお腹も痛いかもしれないけど、大人にな
ってく階段を昇るつもりで、堂々と胸を張らなきゃ駄目だからね」
と続けて言い、葉月の足元に丸まっているショーツに向かって、いたわるような視線
を投げかけたのだ。
 どうやら芽衣は、初潮を迎えたという意味で『女の子になったばかり』と言ったらしい。
 だが、正体を知られたわけではないということがわかっても、それで葉月の心が穏
やかになるわけではない。皐月が声をひそめて芽衣の耳元に囁きかけた言葉の中
に「うちの妹は今日の昼前、初めてナプキンを使ったのよ」という内容が含まれていた
のだろう(もっとも、皐月が芽衣の耳元に口を寄せていた時間の長さや、芽衣が頷く
回数から判断するに、皐月が芽衣に話した内容がそれだけだったとはとても思えない
が)。それは決して嘘ではない。たしかに、細くなった尿道の中に残っていた精液に対
処するためにナプキンを使わされたのは事実だ。けれど、見た目は小学生の女の子
そのままの葉月がショーツの中に醜い肉棒を隠し持っているなどと思う筈のない芽衣
にしてみれば、皐月の言葉を聞いて、葉月が今日の昼前に初潮を迎えたのだと偽り
の理解をしてしまったとしても無理からぬところだ。そうして、おそらく、トイレの通路に
敷いたトイレットペーパーの上に立った葉月の足元にショーツが丸まっているのを見
て、自分がトイレに入った瞬間に目にした二人の様子を考え合わせ、ナプキンの使い
方が下手なせいで葉月がショーツを汚してしまい、それを皐月の手で処置してもらっ
たのだろうと判断したのだろう。芽衣の目には、実は十八歳の男子大学生である葉
月が、初めての月経に戸惑い恥ずかしそうに身をよじる無力な年下の少女として映っ
ているに違いない。まるで邪気のない限りなく優しい芽衣の視線に、葉月は羞恥に身
を焼かれる思いだった。

18895:2008/08/06(水) 22:47:59 ID:Gxffu/hF
芽衣の抱きつきに焦る葉月・・・に落ち着くまで、別のシチュエーションを描こうとしてました。
http://www.gazoru.com/g-6a1a8a37579cc6cd00ab64250b70fc2e.jpg.html
うまくいかずにこれに落ち着き。
18920 ◆JSxcaNkD96 :2008/08/07(木) 06:12:00 ID:7sQYaZSd
「でも、パンツは穿き替えさせてもらったみたいだし、サンドレスもちゃんとしてもらった
みたいだから、もう大丈夫ね。あとはサンダルを履けばおしまいかな。じゃ、サンダル
は私が履かせてあげる。葉月ちゃんの新しいお姉ちゃまになれた記念にね」
 頼りない妹を慈しむしっかり者の姉そのまま、芽衣はいとおしげにそう言って、トイレ
の個室から出てすぐの所に置いてあるサンダルをさっと揃えて葉月の目の前に置い
た。
「よかったじゃない、優しいお姉ちゃまができて。芽衣お姉ちゃまだったら初めて女の
子の体になった時のこと、まだよぉく憶えているでしょうから、いろいろ相談するといい
わ。私はもうすっかり慣れっこになっちゃって、初めての葉月ちゃんがどんなことに困
るか、適切なアドバイスができないかもしれないし。――ほら、サンダルを履かせて
もらいなさい。それと、ちゃんとお礼を言うのを忘れちゃ駄目よ」
 困惑の視線でこちらをみつめる葉月に向かって皐月はしれっとした顔で言い、トイレ
ットペーパーの上で丸まっているショーツを拾い上げた。
「……あ、ありがとう……芽衣お姉ちゃま……」
 怪しまれないようにしようと思えば、見た目通り小学校五年生の女の子のふりをす
るしかない。それはわかっているのだが、あまりの屈辱と羞恥のため、言葉が途切れ
途切れになり、身のこなしがぎこちなくなって、時おり声が裏返ってしまう。
 だが、皮肉なもので、そんな仕草が幼く見えるのか、却って芽衣の母性本能をくす
ぐり、持って生まれた保護欲を煽る結果になるのだった。
「いいって、いいって、そんな、お礼なんて言わなくても。私の方こそ、葉月ちゃんみた
いな可愛い子と知り合えてとっても嬉しいんだから。――はい、これでいいわ。じゃ、
甲のベルトを留めるからじってしててね」
 たどたどしくさえ聞こえる葉月の言葉に満更でもなさそうな表情を浮かべながら芽衣
はサンダルを履かせ、ふっと顔を上げた。
 と、葉月の足元にしゃがみこんでいるものだから、ちょうど真下からスカートの中を
仰ぎ見るような形になって、真新しいショーツが丸見えになってしまう。
「あはっ、可っ愛いパンツ穿いてるんだ、葉月ちゃん。やっぱ、小学生はこういうお子
ちゃまパンツがお似合いだよね。さすがに中学生になると恥ずかしくて穿けなくなっち
ゃうから、こういうパンツ、今のうちにたくさん穿いて楽しんでおくといいよ」
 芽衣が葉月の足元にしゃがみこんでいるとはいっても体の前側だから、バックプリン
トのハローキティまでは見えない。ただ、今度のショーツにはバックプリントだけではな
く、前の方にも左上に小ぶりのハローキティがプリントしてあって、おヘソのすぐ下のあ
たりに飾りリボンがあしらってあるから、後ろからでも前からでも、その愛くるしいデザ
インがいやでも目につくのだ。
19020 ◆JSxcaNkD96 :2008/08/07(木) 07:08:28 ID:7sQYaZSd
「う……きゃっ」
 芽衣にショーツを覗かれ、思わず『うわっ』と叫びそうになったのをかろうじて少女め
いた『きゃっ』という悲鳴に変えて、葉月は慌ててサンドレスの裾を両手で押さえた。
「本当に葉月ちゃんたら恥ずかしがり屋さんなんだから。私が小学校の時なんて、男
の子に見られた時はともかく、女の子どうしだったらパンツの見せっこなんて平気だっ
たのに、そんなに恥ずかしそうにするなんて。でも、葉月ちゃんが恥ずかしがり屋さん
っていうより、今の子がみんな私たちの頃よりもオマセさんになってるのかな。オマセ
さんになって、大人の女の人はパンツが見えたら恥ずかしがるもんだって真似っこし
てるのかもしれないな」
 大げさに身をよじってサンドレスの裾を押さえる葉月の行動を少し呆れたような顔で
眺めながら、芽衣は誰にともなく呟いた。
「たしかに、子供たちが年々オマセさんになる傾向はあるわね。この調子だと正太郎
くんと同級生の女の子たちが大きくなる頃にはどんな感じになるのか、ちょっぴり楽し
みだけどちょっぴり怖いかなって私も思う時があるもの。ま、でも、葉月はそういうの
とは違うと思うわよ。もっと単純に心の底からただただ恥ずかしがっているだけだと思
うわ」
 葉月にサンダルを履かせ終えて体を起こした芽衣の肩にぽんと掌を載せて、皐月
が幾らか笑いを含んだ声で言った。
 その笑いが何を意味しているのか、葉月には痛いほどわかっている。そりゃ、恥ず
かしいよね。大学生の男の子が中学生の女の子にサンダルを履かせてもらいなが
キティーちゃんのお子ちゃまパンツを見られたりしたら、そりゃ恥ずかしいよね。しかも、
本当はずっと年下の女の子から『オマセさん』なんて呼ばれたら、恥ずかしくて恥ずか
しくてたまんないよね。――皐月は葉月に向かって笑い声でそう囁きかけているに違
いない。
 そうして皐月は、葉月の羞恥を更に煽るように、こんな言葉を付け加えた。
「それと、葉月、今日の昼前からナプキンを使い始めたばかりじゃない? あれ用のシ
ョーツだったらナプキンの羽根が外から見えないように二重のクロッチになってるけど、
普通のパンツだったら、どうしても羽根が見えちゃうのよね。それで、パンツの中にナ
プキンを着けてることを誰かに知られるのが恥ずかしくて仕方ないんだと思うわ。もう
あと何回か使えば段々慣れてきて、お友達ともあっけらかんとした顔でどこのナプキ
ンがいいとか、タンポンの方が使いやすいよとか情報交換し合うようになるんでしょう
けど、今日のところは、ね?」
19120 ◆JSxcaNkD96 :2008/08/07(木) 07:52:30 ID:7sQYaZSd
「あ、そうか。言われてみれば、そうですよね。やだ、私ったら、お姉ちゃまぶってたく
せに、葉月ちゃんの気持ちに気づいてあげられなかったんだ」
 最後の方は同意を求めるように言った皐月に向かって小さく頷いてみせた芽衣は、
葉月の方に向き直ると、その細っこい体を再び力まかせに抱きしめた。
「ごめんね、葉月ちゃん。私、葉月ちゃんのことオマセさんなんて言っちゃって、葉月
ちゃんの恥ずかしさに気づいてあげられなくて、本当にごめんね。ナプキンの着け具
合、どう? ちゃんと大事なとこに当たってる? お腹は痛くない? 可愛いお洋服も
いいけど、薄手の生地のばかり着てお腹を冷やしたりしちゃ駄目だよ。とにかく、何か
困ったことがあったら、どんな小さなことでも、お姉さんに相談するのよ。でもって、年
の離れたお姉さんに相談しにくいことがあったら、この芽衣お姉ちゃまに相談していい
からね。芽衣お姉ちゃまだったら葉月ちゃんと年が二つしか違わないから、葉月ちゃ
んがどんなことに困っているのか、すぐにわかってあげられるから。いいわね? 遠慮
なんてしちゃ駄目だよ。あとでお姉さんに私のケータイの番号を教えといてあげる。葉
月ちゃん、小学生だからまだケータイなんて持ってないかもしれないけど、とにかく、
困ったことがあったらお家の電話からでも公衆電話からでもいいから私にケータイし
てちょうだい。いつでもすぐに相談に乗ってあげるから。いいわね、約束だよ」
「い、痛いよ。そんなに力いっぱい抱かれたら痛いってば、芽衣……芽衣お姉ちゃま」
 がりがりとは言わないものの決してふくよかとも呼べない芽衣の体のどこからそん
な力が出てくるのか、無遠慮に抱きしめられた葉月は、思わず悲鳴をあげた。
 だが、それは、決して苦痛に耐えかねての悲痛な悲鳴などではなかった。どこか甘
えるような、満更でもなさそうな、だけど自分がなぜとはなしにうっとりしたような表情
を浮かべているのを皐月に気取られまいとして漏らした、熱い吐息の混じった喘ぎ声
じみた悲鳴だった。
「あ、ごめんね。そうだよね、葉月ちゃん、背は私より高いけど、こんなに華奢なんだも
ん、力いっぱい抱いたりしたら痛いよね。そんなこともわからないなんて、さっきもそう
だけど、今も、ほんと、私、お姉ちゃま失格だよね」
 悲鳴を耳にした芽衣は、大慌てで身をよじり、葉月の体から手を離した。
19220 ◆JSxcaNkD96 :2008/08/07(木) 08:52:45 ID:7sQYaZSd
 と、汗混じりの芽衣の体臭がぷんと葉月の鼻をくすぐる。
 汗混じりではあるけれど、育ち盛りの男の子の体臭とは違って、決して汗臭いという
わけではない。乳房はまだ発育の途中だし、腰のくびれも曖昧だ。それでも、初潮を
迎えて何年か経つ芽衣は、もう子供を生むことができる体の持ち主になっている。見
た目は女の子と成人した女の人の境にあっても、いわゆる人としての少女や女性と
いう区別の更に根源にある、生物としての『雌』としての存在を既に確立しているのだ。
汗混じりの体臭さえ、生物としての『雄』を誘因してやまないフェロモンを含んだ蠱惑
的な『匂い』(それは、心地よい『香り』などというような弱々しい響きを持つ言葉では
決して表現できない、もっと荒々しいものだ)そのものだった。次の世代を担う新しい
生命を生み育み、その新しい生命が危険にさらされた時には自らの命を投げ出すこ
とさえ厭わずに危険の源に対して容赦ない闘いを挑む、神聖にして冒されざるべき性
である『女性/雌』。
 そんな性の発露を体中にみなぎらせ艶然と微笑む芽衣を目の前にすると、葉月は、
自分がどれほど弱々しくちっぽけな存在なのかを思い知らされてならない。もともと、
男性の方が女性に比べて病気や怪我に弱い。ちょっと熱が出たといっては寝込んで
しまい、包丁で指先を僅かに切って少量の血が流れ出ただけで顔色を失ってしまう男
性に対して、新しい生命を生み出す仕組みを体の中に備え、毎月のように出血を経
験する女性は、滅多なことでは動じない。本当の年回りでいえば六つも年下の中学
生の少女を眼前にして、葉月が知らぬまに身をすくめてしまうのには、そんな理由が
あることも否めない。
 しかも今の葉月は、生物学上の『雄』としても中途半端な存在だった。或る意味では
それだけで完結していると表現しても過言ではない性である『雌』が、連れ合いとして
もう一つの性である『雄』を求めるのには大きく分けて二つの理由がある。一つは、次
の世代を担う新しい生命のバリエーションを増やす目的で遺伝子をシャッフルするた
めのツールとしてであり、もう一つは、自ら狩りに出られなくなり、生命の危機に対して
闘いを挑むことが難しくなる妊娠の中期以後における食料の調達係を兼ねたボディガ
ードとしてだ。なのに、今の葉月はペニスをお尻の方に折り曲げられて射精の自由を
奪われているせいで遺伝子をシャッフルする役割を果たすことなどかなわず、華奢な
体つきと内気で引っ込み思案な性格とのため、社会に出て生活に必要な物品を手に
入れて巣に戻ってくることも難しいといった、『雌』から見れば、まるで役に立たない、
どうしようもない存在に過ぎない。
 そんな葉月にもしも役割が与えられることがあるとすれば、それは、新しい生命を生
み育てる性である雌が持つ母性本能や保護欲を満たすための『愛玩の対象』という
ことになるのだろう。そう、芽衣が葉月のことを今まさにそのように扱っている役割そ
のままの。
193名無しさん@ピンキー:2008/08/07(木) 22:03:41 ID:GJ6d3Zel
こーいう匂い表現は好きだよー
エルイ
19420 ◆JSxcaNkD96 :2008/08/08(金) 05:16:51 ID:/ViERZPQ
「本当にごめんね。これでお詫びになるわけじゃないけど、はい、これ」
 芽衣は何度も「ごめんね」を繰り返しながら、個室の中の棚に置いてあった麦わら
帽子を葉月の頭にかぶせさせ、ショーツとナプキンを取り出したあとのハンカチとティッシュ
しか入っていないポシェットを肩にかけさせた。けれど、芽衣が口にする「ごめんね」は、本気で
謝罪しているというよりも、たとえば、お気に入りのヌイグルミを冗談半分で放り投げ
て表面に鉤裂きをつくってしまい、慣れない手つきで補修をする時に何気なくヌイグル
ミに対して投げかける「ごめんね」の方が近いように感じられてならない。
「あ、あの……ううん、いい……」
 こんな時、本当の小学五年生の女の子だったらどんなふうに応じるのだろう。そん
なことを考えながら、けれど適当な言葉を思いつかない葉月は、曖昧に首を振って言
葉を濁すだけだった。

 その時、ぱたぱたという足音が聞こえたかと思うと、
「姉ちゃーん、おしっこ、まだ終わらないの〜?」
と叫びながら、保育園児くらいの男の子が駆け込んできた。
「こら、正太郎。ここは女の人のトイレなんだから、男の子のあんたが入ってきちゃ駄
目じゃない!」
 けたたましい足音をたてて駆け寄って来た男の子の腕を掴み強い調子でたしなめ
たのは芽衣だった。
 その様子から察するに、どうやら、さっきから皐月と芽衣との会話に出てきていた芽
衣の弟で、ひばり保育園の年長クラスに通っている正太郎という男の子がこの子らし
い。
「え、なんでだよ? 春に来た時はここのトイレに入ってもよかったのに、どうして今は
入っちゃ駄目なんだよ?」
 正太郎は腕を掴まれたまま、いかにもやんちゃらしい口調で芽衣に食ってかかった。
「やれやれ。それは前にも説明してあげたでしょ? 三月まではあんた年中さんだっ
たし、おしっこの仕方が上手じゃなくてしょっちゅうズボンを汚してたから、仕方なく私
が女の人用のトイレに連れてきてさせてあげてたんじゃない。でも、もう年長さんだし、
どうにかこうにかズボンを汚すこともなくなって、一人で男の人用のトイレに行けるよう
になったんじゃなかったっけ。だから、もう、女の人のトイレには入ってきちゃ駄目な
んだって」
19520 ◆JSxcaNkD96 :2008/08/08(金) 06:09:25 ID:/ViERZPQ
 芽衣は少し呆れたように説明してから正太郎の腕を引っ張り、皐月の方に体を向け
させて続けた。
「ほら、いい加減にしないと、『正太郎くん、いつまでも女の人のトイレに入ってるんだ。
だったら、いっそ、女の子になっちゃえばいいのに』って御崎先生に笑われちゃうわよ。
大好きな御崎先生に笑われてもいいの?」
「え、御崎先生? ほ、ほんとだ。でも、どうして?」
 それまで、姉と一緒にいる女性がまさか自分の通っている保育園の保育士とは思っ
てもみなかったのだろう、正太郎は驚きの声を上げて、皐月の顔をまじまじとみつめ
た。
「そんなにびっくりしなくてもいいじゃない。先生だってお休みの日に水族館へ来るこ
ともあるわよ。それより、お姉ちゃんの言う通りよ。正太郎くん、年長さんになった途
端おしっこの仕方が上手になって、保育園のトイレでも便器を汚したりスリッパを汚し
たりしなくなったじゃない。他の先生たちも褒めてるよ、正太郎くんのこと。なのに、ま
だお姉ちゃんを追っかけて女の人のトイレに入ってきちゃったりするんだ。ちゃんとお
しっこできない小っちゃな子だったら仕方ないけど、正太郎くんみたいに一人で上手
におしっこできるようになった子がここへ入ってくるの、先生、感心しないな。それとも
正太郎くん、本当は女の子になりたいのかな? 女の子になりたいから、お姉ちゃん
を追っかけて女の人のトイレに入ってくるのかな?」
 最初の方は教え諭すように、最後の方は少しからかうような口調で皐月は正太郎
に言ったが、「女の子になりたいから女の人のトイレに」という部分を口にする時には、
悪戯めいた目つきで葉月の反応を楽しむのを忘れなかった。
「ち、違います。俺、女の子になんかなりたくありません。女の子になっちゃったら、立
っておしっこできなくて、おしっこする時、しゃがんでしなきゃいけなくて、それに、おち
んちんを振っておしまいじゃなくなって、そんなの、いやです」
 目の前にいるのが保育園で面倒をみてもらっている皐月だとわかるとやんちゃな喋
り方がなりをひそめ、少し困ったような口調で言い募る正太郎だった。
19620 ◆JSxcaNkD96 :2008/08/08(金) 07:21:16 ID:/ViERZPQ
「だったら、どうして女の人のトイレに入ってきたりしたの?」
 正太郎の困った様子に皐月はくすっと笑って先を促した。
「だって、姉ちゃんがなかなか戻ってこないから、どうしたのかなと思って。俺、早くタ
ッチプールに行ってヒトデやヤドカリを触りたくて、ちゃんとおしっこも済ませたのに、姉
ちゃんが戻ってこないから、だから……女の人の方がトイレが長いのは俺も知ってる
けど、でも、いつもよりうんと遅いから見に来たんです」
 正太郎は考え考え応えた。
「あ、そうなんだ。正太郎くん、お姉ちゃんがいつもより余計にトイレに時間がかかっ
てるから心配になって様子を見にきたんだ。そうだよね、正太郎くん、お姉ちゃん思い
の優しい子だもんね」
 皐月は正太郎の頭を優しく撫でて褒めそやした。
 そこへ、芽衣が茶々を入れる。
「私のことが心配で見にきたんじゃないよね。少しでも早くタッチプールに行って貝や
アメフラシに触りたいだけだよね、本当は。なのになかなか私が出て行かないもんだ
から、せっつくにきたんでしょ。んと、御崎先生の前だといい子ぶっちゃうんだから、あ
んたは」
 芽衣の少し意地悪な口調も仲のいい姉弟ならではだ。そのことを充分に理解してい
る皐月は、穏やかな笑みを浮かべて正太郎に話しかけた。
「あのね、正太郎くん。お姉ちゃん、まだおしっこを済ませてないのよ。実は、私の妹
がちょっと困ったことになっちゃって、それで、その後片付けを手伝ってもらっていた
の。だから、お姉ちゃんが遅くなったのは、私と私の妹のそのせいなのよ。でも、もう
後片付けは終わったから、これからお姉ちゃんに用を足してもらうわね。その間、もう
少しだけ待っててくれるかな、お願いだから」
「先生の妹? このお姉ちゃん、御崎先生の妹なの?」
 皐月に言われて、正太郎の興味がたちどころのうちに葉月に向けられる。
「そうよ。葉月っていって小学校の五年生なんだけど、夏休みの間だけ、私のマンショ
ンに遊びに来ているの。それで、まだこの水族館には来たことがなかったから連れて
来たの」
「ふぅん、葉月ちゃんっていうんだ。すっごく綺麗なお姉ちゃんだけど、どこの人かなっ
て思ってたんだ。そうなんだ、葉月ちゃんっていうんだ」
 少し照れたように頬をうっすら上気させて、正太郎はまじまじと葉月の顔を見上げた。
19720 ◆JSxcaNkD96 :2008/08/08(金) 08:33:55 ID:/ViERZPQ
「先生、嬉しいな。妹のこと、綺麗だって正太郎くんに褒めてもらえて嬉しいな。ね、ね、
正太郎くん。本当に葉月のこと綺麗だって思ってくれる?」
 頬をうすいピンクに染める正太郎の様子を妖しく輝く瞳でみつめて、皐月は、わざと
のように弾んだ声で言った。
「うん、綺麗だよ。お肌が白くて、目がぱっちりしてて、なんだか、お人形さんみたいで。
それに、おとなしそうで優しそうで。うちの姉ちゃんなんて真っ黒で暴れん坊で、いつ
も俺のこと、がみがみ叱ってばかりで。あーあ、葉月ちゃんが俺の姉ちゃんだったらい
いのになぁ」
 正太郎はそう言って、最後の方はどこまで本気なのか、おおげさに溜息までついて
みせた。
「はいはい、どうせ私は、まっくろくろすけですよ。でも、それって、あんたのせいなん
だからね。私は休みの日くらい家の中で本を読んでゆっくりしてたいのに、すぐあんた
がどこかへ連れてけって我儘いうもんだから、根負けして、休みのたびに外出しなき
ゃいけなくなって、それですっかり日焼けしちゃったんだし、私がいつも叱ってばかり
なのも、あんたが私の言いつけを守らないせいなんだよ。なのに、まぁ、減らず口ばか
り叩いちゃってさ」
 芽衣は仲の良さをいかんなく発揮しつつもわざとらしく正太郎に怒ってみせてから、
ふっと葉月の方に向き直り、やはりこちらも溜息をつかんばかりにして言った。
「それにしても、御崎先生と葉月ちゃん、絵に描いたような美人姉妹なんだから。御
崎先生は大人の魅力だし、葉月ちゃんは、同じ女の私から見てもうっとりしちゃうくら
い可愛らしくてたまんないし。葉月ちゃんを見てると、私、なんだか、百合の道に走っ
ちゃいそうで自分が怖いわ」
 最後の方は冗談めかしてそう言った芽衣だが、ふと何かに気づいたような表情を浮
かべると、真顔になって正太郎をたしなめた。
「あのさ、正太郎。あんた、さっきから、『葉月ちゃん葉月ちゃん』って呼んでるけど、葉
月ちゃん、小学五年生であんたよりずっと年上なんだから、ちゃん付けで名前を呼ぶ
のはとっても失礼なことなんだよ。私は年上だから『葉月ちゃん』でもいいけど、あんた
は『葉月お姉ちゃん』って呼ばなきゃ駄目じゃない。ほら、きちんと謝って、ちゃんと呼
び直しなさい」
「あ、俺、すっごく綺麗な女の人を見てびっくりしちゃって……ごめんなさい、葉月お姉
ちゃん。お姉ちゃんのこと、同じクラスの女の子を呼ぶ時みたいに『葉月ちゃん』なん
て呼んじゃって、本当にごめんなさい。これからはちゃんと『葉月お姉ちゃん』って呼ぶ。
だから、怒らないでね」
 やんちゃそうでも、根は素直なのだろう。芽衣にたしなめられた正太郎はすぐに真
面目な顔になってぺこりと頭を下げた。
19820 ◆JSxcaNkD96 :2008/08/08(金) 09:29:36 ID:/ViERZPQ
 まさか自分が『お姉ちゃん』と呼ばれることになるなんて思ってもみなかった葉月は
どう応じていいかわからず、ただ弱々しく首を振るばかりだった。その仕草が、ますま
す葉月のことを内気で可憐な少女めいてみせる。
「ありがとう、気をつかって妹のことを『お姉ちゃん』って呼んでくれて」
 皐月は、羞恥のために耳の先まで真っ赤に染めた葉月の横顔をちらちら眺めなが
ら、すっと膝を折り、正太郎と目の高さを合わせて言った。
「でも、本当のことを言うと、葉月は『お姉ちゃん』なんかじゃないのよ。だって、葉月は
明日から正太郎くんと同じ保育園に通うんだから。それも、年少さんのクラスに入るこ
とになっているの。だから、『葉月お姉ちゃん』なんかじゃなくて、『葉月ちゃん』でもい
いし、なんなら、『葉月』って呼び捨てでも構わないのよ。だって、葉月は年少さんで、
正太郎くんは年長さん。本当の年は葉月の方が上でも、保育園じゃ正太郎くんの方
が上のクラスで、お兄ちゃんなんだもの。だから、葉月が何か間違ったことをしでかし
たら、『そんなことしちゃ駄目じゃないか、葉月』って、お兄ちゃんとして叱ってあげて
ちょうだいね」
「え? 葉月お姉ちゃんが年少さん? 俺がお兄ちゃん?」
「それ……本当なんですか? 葉月ちゃんの職場体験って、園児として通園するって
ことなんですか? それも、年少さんクラスに?」
 正太郎と芽衣、二人の驚きの声がトイレの中に響き渡った。
 正太郎がびっくりするのは勿論だが、さっきのひそひそ話の時に皐月からそこまで
は聞かされていなかったのだろう、芽衣も驚愕と疑念の入り混じった顔で両目をまん
丸にしている。
「ええ、本当よ。保育士になりたがっている葉月のために園長先生が特別に――」
 職場体験と合わせて、皐月にとってはこれまで何度も繰り返してきた馴染みの説明
だ。まるで言い澱む様子もなく、しれっとした顔で最後まで簡潔に話し終えてしまう。
「――ということなの。わかってもらえたかな」
 皐月の説明を聞き終えても、芽衣はまだ半信半疑といった顔つきだ。もっとも、小学
五年生の女の子を年少クラスの園児として保育園に通わせるというのだから、それが
職場体験の一環だと説明されてもにわかには信じ難いのが当たり前だろう。が、顔
馴染みで現役の保育士が言うことだから不承不承ながら納得するしかない。
 そんな芽衣とは対照的に、正太郎の方は喜色満面だ。まだ保育園児で難しいこと
は最初から気にしていない上、一目ですっかり気に入ってしまった可愛い女の子が
自分と同じ保育園に通う、それも、本当なら年上で『お姉ちゃん』の筈の女の子が自
分よりも下のクラスに入って自分があれこれと指図をしてもいいというのだから、明日
からの保育園生活が楽しみでならないという様子がありありだ。
199名無しさん@ピンキー:2008/08/08(金) 10:32:03 ID:OROSfOsW
wktk
20020 ◆JSxcaNkD96 :2008/08/08(金) 10:40:13 ID:/ViERZPQ
「じゃ、そういうことだから、今度は葉月ちゃんが正太郎くんにお願いする番ね。ひばり
保育園じゃ正太郎くんの方が先輩でいろいろ教えてもらわなきゃいけないんだから、
きちんとお願いするのよ。――お姉ちゃまが教えてあげるから、その通りに言えばい
いわ」
 驚きの表情を浮かべる芽衣と、好奇に瞳を輝かせている正太郎。二人の顔を交互
に見比べてから、皐月は葉月の耳元に唇を寄せて、言うべき言葉を口移しで伝えた。
「……御崎葉月です。さっきは『葉月お姉ちゃん』って呼んでもらったけど、葉月は年
少さんだから、『葉月』って呼んでください。それと、葉月、ひばり保育園のことは何も
知りません。だから、いろいろ教えてください。でもって、しちゃいけないことを葉月が
しちゃったら、きちんと叱って教えてください。葉月、年少さんだから、年長さんや年中
さんのお兄さんやお姉さんの言いつけを守っていい子にします。でも、我儘いったり勝
手なことをしたりするかもしれません。その時は、葉月がもっといい子になるよう叱っ
てください。お願いします、正太郎おに……正太郎お兄ちゃま」
 さっきは『お姉ちゃん』と呼ばれた羞恥に耳先まで赤く染まっていた葉月の顔が、今
度は正太郎のことを『お兄ちゃま』と呼ばされた屈辱に熱く火照った。
 それに対して、それまで『お兄ちゃま』なんて呼ばれたことのない正太郎の方はどこ
か照れくさそうにしながらも満更ではない様子で、自分よりもずっと背の高い葉月の
目の前で胸を張ってみせ、いかにも自分の方が年長者だといわんぱかりの態度で鷹
揚に頷いてから言った。
「うん、わかった。俺、これまでも年中さんや年少さんの子にいろいろ教えてやったか
ら、葉月にもいろんなことを教えてやるよ。それで、葉月が廊下を走ったり、お絵描き
の時に机をクレヨンで汚したりしたら、きちんと叱ってやる。葉月だって、先生に叱られ
るより、俺に叱られる方がいいよな? 先生は大人だけど、俺は同じ園児でちょっぴり
先輩なだけだから、俺に叱られる方が悲しくないもんな。大人に本気で叱られたら泣
いちゃうほど怖いけど、俺に叱られても、そんなに怖くないもんな。だって、俺、俺……
優しいお兄ちゃまだもん」
「よかったわね、葉月ちゃん、早速お兄ちゃまの知り合いができて。最初はなかなか
お友達ができなくて寂しい思いをするかなって心配だったけど、年長さんのお兄ちゃま
にいろいろ教えてもらえるんだったら安心だわ。それに、正太郎お兄ちゃまのお友達
も仲良くしてくれるでしょうし。これで、明日からの保育園がますます楽しみになってき
たわね、年少さんの葉月ちゃん」
 皐月は皮肉めいた笑みを浮かべて、おしっこの間ポケットに入れて預かっておいた
園児手帳を再び葉月の首にかけた。
20120 ◆JSxcaNkD96 :2008/08/08(金) 13:05:21 ID:/ViERZPQ
 と、それを見た正太郎がさっと手を伸ばし、葉月が改めて首にかけさせられた園児
手帳を開いて中を覗き込んだ。
「えーと、とくべつねんしょうくらす、みさきはづき。ほんとだ、葉月、年少さんになってら。
この『とくべつ』っていうのがわからないけど、確かに『ねんしょうくらす』って書いてあ
る。ふーん、ひよこぐみっていう新しいクラスなんだな、葉月」
 漢字はまだ無理にしても、平仮名や片仮名は割とすらすら読めるようで、正太郎は
記載されている内容を短い間に読み取って、園児手帳から手を離した。この時にはも
うすっかり葉月の名前を呼び捨てにすることに慣れてしまったようだ。
「これでわかったわね、正太郎くん。先生の妹だからって甘やかさないで、いけないこ
とをしたらびしびし叱ってちょうだい」
 皐月が、葉月の首にかけさせた園児手帳の紐の捻れを直しながら、正太郎の顔を
正面から見て言った。
「うん、わかった。まっかせていとよ、先生。俺、お兄ちゃまだもん、葉月のこと、ちゃん
といい子に躾けてやるよ」
 正太郎は鼻の下を人差指の横腹でこすって言うと、葉月の背後にたっと回りこみ、
「じゃ、葉月と仲良しになった記念に、ほーら、こうしてやるぜ。俺、仲良くなった女の
子には記念のスカートめくりをやってるんだ。みんなにしといて葉月だけにはしなかっ
たら不公平だから、ほら、これでどうだ」
と声たからかに叫んだかと思うと、両手でサマードレスの裾をつかんで思いきり高く差
し上げた。
「や……いやーっ!」
 自分の身に何が起こったのか一瞬わからなかった葉月だが、スカートがお尻の方
から大きく捲れ上がっていることに気がつくと、慌てて両手を後ろにまわしてサマード
レスの裾を押さえた。叫び声というよりも悲鳴といった方がふさわしい甲高い声がトイ
レの中にわんわん反響する。
「こら、なんてことするのよ、この子ってば!」
 芽衣が大声で叱りつけ、サンドレスの裾から正太郎の指を力まかせに引き離す。
「え……あ……」
 急いで芽衣がスカートを元に戻して乱れを整えてやった後も、自分の身に起きたこ
とが信じられないようで、葉月は大きな瞳を小刻みにきょときょと震わせ、まるで言葉
にならない声を漏らすばかりだった。
20220 ◆JSxcaNkD96 :2008/08/08(金) 16:37:27 ID:/ViERZPQ
「よしよし、大丈夫よ。ほら、抱っこしてあげる。ごめんね。弟がバカなことしちゃって、
本当にごめんね。弟のことはみっちり叱っておく。だから、もう大丈夫よ。ほら、芽衣お
姉ちゃまが抱っこしてあげるから気持ちを落ち着けなさい」
 芽衣は、スカートの裾から指を引き剥がした正太郎の頭をゲンコツでぽかっと殴っ
てから、葉月の体をぎゅっと抱きしめ、自分の肩に葉月の顎を載せさせて、背中を何
度も優しく撫でた。
「ごめんね、葉月ちゃん。本当にごめんね。私がいくら謝っても謝り足りないけど、でも、
本当にごめんね。恥ずかしかったよね。男の子にスカートを捲り上げられてキティちゃ
んのパンツを見られて、とっても恥ずかしかったよね。泣きたかったら思いきり泣いて
いいんだよ。私のTシャツでよかったら、いくら涙で汚してもいいんだよ。だから、ほら、
もっと体を近づけてごらん」
「め……芽衣お、お姉ちゃま……葉月、葉月ね……」
 強引に女児用のショーツを穿かされ、特製のセーラーワンピを着せられるという羞
恥に満ちた体験を強要され、ナプキンを精液で汚すという屈辱のきわみも味わってき
た葉月。さっきは穿き替えたばかりのショーツを芽衣に見られもした。けれど、男の子
にスカートを捲られてショーツを見られるという行為に、それまでとはまた違った種類
の羞恥が葉月の胸をじわっと満たす。なんだか自分が本当に一人では何もできない
年少さんの女の子になってしまったような思いが湧きあがってきてならない。と同時
に、さっき抱きすくめられた時にはわからなかったのに、今は、芽衣の胸の膨らみが
いやにはっきり感じられた。
「葉月ね……う、うわーん」
 葉月は、それまで自分の肩を載せていた芽衣の肩に今度は頬を押しつけて、遠慮
のない泣き声をあげた。まわりの目を気にしながらひそやかに涙をこぼすのでもなく、
独りさめざめと泣くのでもない、まるで手放しに涙を流す、子供そのままの泣き方だ。
「よしよし、それでいいのよ。気が済むまで思いきり泣くといいわ。泣いて泣いて、涙
が涸れるまで泣いて、それから、芽衣お姉ちゃまと二人で正太郎のバカをとっちめよ
うね。保育園じゃ葉月ちゃんのお兄ちゃまかもしれないけど、ここじゃ、私のバカ弟な
んだから、なんの遠慮も要らないんだよ。だから、二人でとっちめちゃうおね。とっち
めちゃうためにも、葉月ちゃんは元気にならなきゃいけないんだよ。泣いて泣いて、
でもって、前よりも元気になろうね」
 自分の肩に頬を押しつけてわんわん泣きじゃくる葉月の髪を、芽衣はいとおしげに
何度も何度も繰り返し撫でつけた。
「な、なんだよ、バカ弟とか、とっちめちゃうおうとか、勝手なことばっかり言って。俺が
何したんだよ。保育園の女の子、スカートめくりをされたくらいじゃ泣かないぞ。俺がス
カートめくりをして泣いちゃったの、葉月が初めてだぞ。そんなだから、本当は五年生
のくせに年少さんクラスに入れられちゃうんだぞ、葉月。ほんと、すぐに泣いちゃうな
んて弱っちいんだから」
 葉月に泣き出され、芽衣に頭をぽかりとやられて、却って正太郎の方が困惑の表
情を浮かべていた。それは言い訳でもなんでもなく、これまでスカートを捲られたくら
いで泣き出す女の子を見たものがないものだから、悪戯混じりの軽い気持ちで葉月
のスカートを捲り上げたはいいものの、その結果として、お気に入りの葉月を泣かせ
てしまった上に姉からこっぴどく叱られて、正太郎としてもどうしていいのかわからな
いというのが本当のところかもしれない。


20320 ◆JSxcaNkD96 :2008/08/09(土) 06:25:31 ID:TwAwDALI
「何いってんのよ、バカ弟。バカ弟にバカ弟って言って何が悪いのよ。可愛い葉月ち
ゃんを泣かせといて、『俺が何したんだよ』もないもんだわ。いい? 保育園の女の子
はまだ小さいから、そもそも、恥ずかしいっていう感覚を持ってない子が殆どなのよ。
だから、スカートを捲られてパンツを見られても平気なの。ま、女の子のいる所で堂々
とおちんちんの見せ合いっこをするくらいだから、男の子も同じだけどね。でも、葉月
ちゃんはもう小学校の五年生なのよ。立派なレディなんだから、スカートを捲られたり
したら恥ずかしいに決まってるでしょ。保育園児のガキンチョじゃないんだから、パン
ツを見られたりしたら恥ずかしさで泣き出しちゃってもちっとも不思議じゃないわよ。そ
んなこともわかんないで、なにが『正太郎お兄ちゃま』よ、このバカ」
 芽衣が何度も繰り返す『バカ弟』という言葉を聞いているうちに、葉月の胸の中に、
正太郎に対する同情心めいた感情が湧き起こってきた。男の子にスカートを捲られて
ショーツを見られるという屈辱のため一瞬の内に感情が昂ぶり、それこそ本当の少女
のように泣き出してしまった葉月だが、芽衣に抱かれ、芽衣の肩に頬を押し当てて涙
を流し、芽衣に優しくあやされていると、実は自分よりも六つも年下の女の子から逆に
完全に妹扱いされる羞恥のせいで、ほどなく我に返っていた。返っていたけれど、十
八歳にもなって子供みたいに手放しで泣きじゃくって涙のあとの残る顔を見られるの
が恥ずかしくて、芽衣の肩に頬を押し当てるのをやめられないでいたのだ。それが、
芽衣が正太郎をなじり続ける様子に、なぜとはなしに、叱られている正太郎の姿が自
分と重なって見えるようになってきていた。葉月と皐月との年齢差は六つ、一方、正
太郎と芽衣との年齢差は八つだが、生まれ月を考えると、ほぼ同じような年の差の姉
弟という組み合わせだ。その一方の弟が姉からこっぴどく叱られる様子に、幼い頃の
自分の姿が思い起こされて切なくなるのだった。しかも、正太郎が叱られている理由
が、ほんの軽い気持ちでしたことなのにその結果として葉月が泣き出してしまい、そ
れを芽衣に責めてのことだという事実が尚さら葉月の胸を痛くする。
「あ、あのね、芽衣お姉ちゃま……」
 泣き腫らした後の顔をさらす恥ずかしさに耐えるためにすーっと深く息を吸い込んだ
葉月はおずおずと顔を上げ、すぐ目の前にある芽衣の顔を面映ゆそうにみつめて言っ
た。
「正太郎くん……正太郎お兄ちゃまを叱るの、もうそのへんでおしまいにしてあげられ
ないかな。正太郎お兄ちゃま、まさか葉月が泣いちゃうだなんて思ってなくて、それで、
保育園のお友達の女の子にするのと同じように、冗談っていうか悪戯半分っていうか、
ううん、それこそ、初めて会ったけどすぐに仲良くなれた記念とかご挨拶みたいな気持
ちで葉月のスカートを捲ったんだと思う。それを、そんなに叱ったら、正太郎お兄ちゃ
まが可哀想だよ。それに、正太郎お兄ちゃまがいつもでも叱られてると、葉月も悲しく
なってきちゃうの。だから、もうこのへんで……お願い、芽衣お姉ちゃま」
20420 ◆JSxcaNkD96 :2008/08/09(土) 08:24:41 ID:TwAwDALI
「いいの? 正太郎に泣かされたのに、そんなに簡単に許しちゃっていいの? 悔しく
ないの、葉月ちゃん?」
 葉月の訴えに、芽衣がきょとんとした顔で聞き返した。
「うん、いいの。皐月お姉ちゃまが葉月のことを明日から年少クラスに通う保育園児
だって紹介したから、だから、正太郎お兄ちゃま、保育園のお友達にするみたいにし
て葉月のスカートを捲ったんだよ。それって、正太郎お兄ちゃまのせいじゃないと思う。
だから、もういいの」
 葉月は必死の思いで小学生の女の子に似つかわしい言葉を探しながら言った。
「そう。葉月ちゃんがそう言うんだったらそれでいいけどさ」
 芽衣は少し呆れたように応じたが、すぐに優しい笑みを浮かべると、改めて葉月の
体を思いきり抱きすくめて明るい声で言った。
「でも、大好きだよ。私、そんな葉月ちゃんのことが大好きだよ。正太郎に泣かされた
くせして、自分を泣かせた正太郎を許してやってって私にお願いできる葉月ちゃんの
こと、とってもとっても大好きだよ。内気で引っ込み思案のくせに、たぶん、芯はしっか
りしてるんだよね。だから、優しくなれるんだよね。それで、だから、小っちゃな子供た
ちの気持ちがわかる素敵な保育士さんになれるんだと思う。葉月ちゃん、絶対にすご
く立派な保育士さんになれるよ。明日からの職場体験、頑張ってね。小学五年生なの
に年少さんの園児と一緒に生活するのって大変なことだと思う。でも、葉月ちゃんなら
大丈夫だよ。可愛い園児になれるよ。可愛い園児になって、園児の気持ちが肌でわ
かるようになって、でもって、世界一の保育士さんになれるよ。私も保育士になりたい
からよぉくわかるんだ、葉月ちゃんのすごさが。頑張ろうね、二人で頑張って、御崎先
生よりもすごい保育士さんになろうね、約束だよ」
「う、うん……そうだね。……二人で頑張ろうね、芽衣お姉ちゃま」
 もう正太郎を許してやってくれと葉月が訴えたのは、芽衣が思っているほど麗しい
理由からではない。ただ、どことなく自分に似た境遇で姉からこっぴどく叱り続けられ
ている正太郎のことが他人事とは思えなくてついつい庇ってしまっただけだ。けれど、
そんなことを芽衣に告げられるわけがない。葉月は弱々しく相槌を打つだけだった。
 ちらと皐月の方に視線を走らせると、皐月の方はそんな胸の内などすっかりお見通
しのようで、葉月の視線に気がつくと、おかしそうに笑って、人差指の先を自分の唇に
そっと押し当てた。
20520 ◆JSxcaNkD96 :2008/08/09(土) 09:59:32 ID:TwAwDALI
「じゃ、そういうことだから、姉ちゃん、もう、正太郎のことを叱らない。葉月ちゃんと二
人で正太郎のことをとっちめるのも無しにしてあげる。だから、その代わりに、きちんと
葉月ちゃんに謝りなさい。明日からは正太郎の方が保育園の先輩かもしれないけど、
今はまだ葉月ちゃんの方が小学生のお姉さんなんだから、言葉遣いにも気をつけな
きゃ駄目よ」
 芽衣はもういちど葉月の体をぎゅっと抱きしめてからようやく手を離し、正太郎の顔
を見おろして強い調子で命じた。
「わかったよ。謝ればいいんだろ、謝れば。なんだよ、仲良しになった挨拶の代わりに
スカートめくりをしただけなのに、頭なんかぶっちゃって。ほんとに暴力女なんだから、
姉ってば」
 芽衣に言われて、正太郎が不貞腐れた態度で応じた。だが、それは、本気で姉に
対する反発をあらわにしてのことではない。葉月が泣き出した瞬間、とんでもないこと
をしてしまったらしいということは正太郎本人も自覚していた。ただ、それまでスカート
めくりくらいで泣き出してしまうような女の子と接したことがないものだからどうしてい
いかわからず、ちょっと逆ギレ気味の態度で葉月と芽衣に応対していたせいもあって、
謝りなさいと命じられても今さら何をどう言えばいいのかわからず、しかも、お気に入り
の女の子(と正太郎は信じ込んでいる)に対して正面切って「ごめんなさい」と口にす
るのも照れ躊躇われて、わざとぶっきらぼうな言い方をしてしまったのだ。
 だが、正太郎のそんな心の動きは、同じくらい年の離れた姉を持つ同じ男の子とし
て、葉月には手に取るようにわかっていた。
「ごめんね、正太郎くん。正太郎くんはちっともそんなつもりじゃなかったのに、葉月が
急に泣いちゃったりしたから、正太郎くん、困っちゃったでしょ? 謝らなきゃいけない
のは葉月の方なのに正太郎くんが芽衣お姉ちゃまに叱られちゃって。葉月がいけな
いのに、ごめんね、正太郎くん」
 葉月はその場に膝を折ってしゃがみ、正太郎と目の高さを合わせて穏やかな口調
で言った。見た目は年端のゆかぬ少女でも、中の人は十八歳の大学生だから、その
場の取りなしようは幾らかわかっている。
 そんなふうに下手に出られると、正太郎としてもいつまでも不貞腐れた態度ではい
られない。
20620 ◆JSxcaNkD96 :2008/08/09(土) 10:51:36 ID:TwAwDALI
「葉月……葉月ちゃん……葉月お姉ちゃん、ご、ごめんね。お、俺、葉月お姉ちゃんを
泣かすつもりじゃなかったんだよ。保育園の女の子は泣いたりしないから、そのつも
りだったんだけど、でも、そうだよな、葉月お姉ちゃん、保育園じゃなくて小学校のお
姉ちゃんだもん、パンツを見られたら恥ずかしいよな。なのに俺、そんなことちっとも
考えてなくて、それで、だから、ごめん……こんな俺のこと、嫌いになったよな。ひどい
ことしちゃったんだもん、葉月お姉ちゃんに嫌われても仕方ないことしちゃったんだも
ん、俺。……け、けど、俺は……俺は、葉月お姉ちゃんのこと……」
 正太郎は声を震わせ、やんちゃぶってはいるものの本当は思いやりがあって(将来
は子供がてらにピストルを持ち、巨大ロボットを簡単なリモコンで操る、半ズボンとス
ーツの着こなしが渋い少年探偵になっても決して不思議ではないほどの)正義感の
持ち主であることを伺わせるに充分な殊勝な様子で葉月の目を正面から見て言いか
け、けれど、最後は言葉を詰まらせてしまった。
「大好きだよ」
 言葉に詰まった正太郎の代わりにそう言ったのは葉月の方だった。葉月は短くそう
言った後、
「いいよ、『葉月お姉ちゃん』なんかじゃなく、『葉月』って呼び捨てで。さっきはそう呼
んでくれたじゃない。親しみを込めて優しく『葉月』って。葉月、正太郎お兄ちゃまのこ
と、嫌いになんてならないよ。年少さんの葉月が、上のクラスで何でも知ってていろん
なことを教えてくれる頼りがいのある正太郎お兄ちゃまのことを嫌いになるわけがな
いじゃない。葉月、正太郎お兄ちゃまが大好きだよ。だから、正太郎お兄ちゃまも葉
月のこと大好きだよね?」
と甘えるように続けて言い、芽衣が葉月に対してそうしたように、正太郎の体を抱きし
めて、元気づけるために背中を優しく掌でとんとんと叩いた。
「葉月お姉……ううん、葉月。俺も葉月のこと、大好きだぜ。俺が葉月のこと嫌いにな
るわけないじゃん。おう、明日から保育園でいろんなこと教えてやるから楽しみにしと
けよ。年少さんの葉月と違って、俺、一番上のクラスの年長さんだから、なんでも知っ
るし、どんなことでもできるからさ、いろんなこと教えてやるよ。葉月、知らない保育園
で心配かもしれないけど、俺がいるから安心しとけよ。苛めっ子がいても俺が守って
やるから心配なんてすんじゃねーぞ」
 葉月に嫌われたわけではないとわかった途端、現金なもので、すぐに元気を取り戻
した正太郎は葉月に抱きすくめられたまま人差指の先で鼻の横をぽりっと掻き、照れ
くさいのをごまかそうとして、わざと乱暴な口調でそう言った。
20720 ◆JSxcaNkD96 :2008/08/09(土) 12:37:55 ID:TwAwDALI
 葉月にしてみれば、なにかと姉から虐げられることの多い弟どうし、お互い元気でい
こうよというくらいの軽い気持ちで励ましただけなのだが、正太郎の受け取り方はまる
で違っていて、今や正太郎にとって葉月は、初恋の人そのものになっていた。
「は、離せよ。いつまでそうしてるつもりなんだよ。年長さんのお兄ちゃんが年少さん
のちび助に抱っこされてちゃ格好つかないんだから、もう離れろよ」
 本心を言えば、いつまでもずっとこうしていたいに違いない。しかし、皐月と芽衣の
冷やかすような視線に気づいた正太郎は、照れくささを覆い隠すために、自分よりも
ずっと体の大きな葉月のことを『ちび助』呼ばわりし、わざとつっけんどんな調子で言っ
て、葉月の手をすり抜けた。
 だが、正太郎の体が離れる際、絡みつく両手をかいくぐろうとして、葉月の体を軽く
後ろに押すような格好になってしまった。膝を折ってしゃがんんでいた葉月は慌てて
バランスを取ったために倒れることは免れたが、両脚を踏ん張る時につい膝が開いて
しまい、スカート丈の短いサンドレスを着せられていることと相まって、さっき穿き替え
た新しいショーツが丸見えになるのを防ぐことはできなかった。
「あ、葉月、小っちゃなおむつしてる。葉月、あの日だったんだ」
 葉月の気遣いで元気を取り戻し、葉月の抱擁ですっかり有頂天になった正太郎が、
あらわになったショーツを目にするなり、遠慮のかけらも感じさせない大声をあげた。
「いやっ!」
 葉月は後ろ向きに飛びすさるようにしてぱっと立ち上がり、大慌てでスカートの裾を
押さえたが、もう後の祭りだった。
 耳たぶをかっと上気させた葉月が立ち上がるのと同時に、芽衣のげんこつが飛んで
きて正太郎の頭に命中した。
「この、バカ弟! さっきのでおとなしくなるかと思ったのに、ちっとも懲りてないんだか
ら。パンツが見えるだけでも恥ずかしいのに、なんてこと言うのよ。ええい、この、大
バカ!」
 手加減する気配などまるでなかった。ごつんっという音が聞こえてきそうだ。
「何すんだよ、姉! この前、姉が何かごそごそしてるから、俺が『それ、何?』って訊
いたら、姉が『これは小っちゃなおむつよ』って教えてくれたんじゃないか。今、葉月も
姉と同じのをしてるのが見えたからそう言っただけなのに、なんで殴るんだよ!」
 頭を押さえて正太郎が喚いた。
20820 ◆JSxcaNkD96 :2008/08/09(土) 13:43:41 ID:TwAwDALI
「その時、一緒に教えた筈よ、男の子がやたらと『あの日』なんて口にしちゃ駄目なん
だよって。『小っちゃなおむつ』っていうのも、人によってはとっても恥ずかしい言葉な
んだから言っちゃ駄目って、それも教えたでしょうが。それを、よりによって、葉月ちゃ
んみたいな恥ずかしがり屋さんに言うなんて!」
 もういちど、ごつんっという音が聞こえた。
 それでようやく気が収まったのか、芽衣は正太郎のもとを離れ、葉月に寄り添うよう
に立って、弟に聞かれないよう声をひそめ、気遣わしげな口調で言った。
「ごめんね、弟が変なことを言って。今日の昼前に初めてのあれが来たばかりの葉月
ちゃんにあんなこと言うなんて、ほんと、最低の弟だわ。だから、男の子なんて嫌いな
のよ。デリカシーとか思いやりとか、そんなののかけらも持ってないんだから。――先
週の日曜日、私も今月分のあれが来ちゃってさ、自分の部屋でナプキンを着けてた
んだけど、丁度その時、自分が放り出したままにしていたゲーム機が私の部屋にない
かって弟が探しに来たのよ。それも、声をかけるわけでもないしノックをするわけでも
なく、急にドアを開けるもんだからびっくりしちゃったわよ。で、結局、ゲーム機はママ
が片づけてたことが後でわかったからそれはいいんだけど、弟がノックもしないでドア
を開けたもんだから、私がナプキンを着けてるところを見られちゃってさ、普通のことじ
ゃないって直感したのか、盛んに『姉ちゃん、何してるの?』なんてうるさくて。あれの
ことを詳しく説明しても小っちゃな子がわかるわけないし、下手な説明をして根掘り葉
掘り聞き返されるのも困るしで、咄嗟に『女の子は小学生の四年生くらになると、月に
三日くらい、おもらしとかおねしょとかしやすくなる日が来るようになっちゃうのよ。だか
ら、パンツを汚さないように小っちゃなおむつを着けなきゃいけないの』って言ってごま
かしちゃったのよ。弟にしてみたらその時の光景がよほど印象的だったんでしょうね、
葉月ちゃんのスカートを捲った時と、ついさっき葉月ちゃんの膝が開いた時、パンツの
外に出てるナプキンの羽根にすぐに気がついたみたいで、それで、つい、あんなこと
を言っちゃったんだと思う。今から思えば、私が変な説明をしちゃったのがいけなかっ
たのかもしれないんだけどね。説明を聞いた弟、『ふーん。女の子って、赤ちゃんの時
もおむつだし、小学生になってもまたおむつを着けなきゃいけなくなるんだ。おむつを
着けなくてもいいの、保育園の時だけなんだな』って妙に感心したように言って興味
津々って感じだったから。それが気になったから、あれとかナプキンとかを思い起こさ
せるような言葉はみだりに口にしないよう言いつけておいたんだけど、どうやら無駄だ
ったみたい」
 そういう芽衣の説明を聞いて、やっと葉月にも、正太郎が口にした『小っちゃなおむ
つ』という言葉の意味がわかった。
20920 ◆JSxcaNkD96 :2008/08/09(土) 15:02:24 ID:TwAwDALI
「でも、芽衣さんの説明、変でもないわよ。子供たちのお母様方と話していても、そう
いう説明をするお家、意外とたくさんあるみたいだから。それに、うちでもそうだったし
ね」
 それまで三人の様子を静かに見守っていた皐月が僅かに首をかしげて割って入っ
た。
「うちも、今は大学生になっている弟がまだ小さかった頃、私がちょっと油断している
隙にナプキンをみつかっちゃってね、子供心にそれがなんだかとっても興味を惹きそ
うなものだって直感的にわかったみたいで、これは何、これは何ってうるさかったも
のよ。それで、ついつい、芽衣さんがしたのと同じような説明をして、その後、私、弟
に随分からかわれたものだわ。赤ちゃんじゃないのにおむつしてる、大きいのにおむ
つしてるってね。母さんが弟を何度もたしなめてたけど、殆ど効き目がなかったかな。
ま、今となっちゃ笑い話だけどね」
 皐月も正太郎に聞こえないよう声をひそめてそう言った。
 言われてその頃の記憶をぼんやり思い出した葉月が思わず僅かに頷く。
 皐月は葉月の反応を見届けてから、更に声をひそめ、葉月の耳元に唇を寄せて囁
きかけた。
「本当は経血を吸収するためのナプキンだけど、ま、おむつみたいなものだし、あなが
ち間違っちゃいないよね。それに、特に葉月ちゃんの場合は、白いおしっこや普通の
おしっこでパンツを汚さないように着けてるわけだから、ナプキンっていうより、おむつ
っていった方が正確かもね。それにしても、子供の頃、私のことを『赤ちゃんじゃない
のにおむつしてる』ってからかっていた葉月ちゃんが今度はナプキンのお世話になる
番だなんて、人生って皮肉なものだよね」
 そんな皐月の囁きかけに対して、葉月は何も言い返せない。
「さて、と。芽衣お姉ちゃまに叱られて、またまた正太郎お兄ちゃまがしょげかえっちゃ
ってるみたいよ。ほら、さっきみたいに元気づけてあげた方がいいんじゃないかな。葉
月、お兄ちゃまのこと大好きだよ。思いきり甘ったれた声でそう言ってあげれば、正太
郎お兄ちゃま、元気もりもりになるんじゃないかな」
 恨みがましい目でこちらをみつめる葉月の肩をぽんと叩いて、皐月はすっと身を退
いた。

                   * * *

 それから何時間か後、夕飯を終えた葉月は、浴室と隣り合った脱衣場に居心地悪
そうな顔をして立ち尽くしていた。お世辞にも決して広いとは言えない脱衣場に皐月
と二人でいるのだから快適なわけがない。ただし、居心地が悪いのは窮屈なせいば
かりではない。素っ裸になるための場所に年頃の男と女が二人でいることに居心地
の悪さを覚えているのだ。
210名無しさん@ピンキー:2008/08/09(土) 16:49:03 ID:42ihaPml
GJ
211名無しさん@ピンキー:2008/08/10(日) 17:32:07 ID:Vrb2Va7Q
そろそろ小っちゃなおむつから本当のおむつの展開でしょうか?
楽しみにしてます。
21295:2008/08/10(日) 18:00:41 ID:Qae53pdB
尻もちつかずにバランスとったらこんなになっちゃうかなw
http://www.gazoru.com/g-0dcb801b8da780c7805044f039cd9d34.jpg.html
21320 ◆JSxcaNkD96 :2008/08/12(火) 17:10:59 ID:ukBvW3zZ
「……どうして姉さんがここ来るのさ?」
 夕飯の後片付けをしているものだとばかり思っていた皐月が自分のあとを追って脱
衣場に入ってくるのに気づいて、葉月は思わず咎めるような口調で言った。
「どうしても何も、葉月ちゃんの着ている物を脱ぎ脱ぎさせてあげるために決まってる
じゃない。他に何か理由があるっていうの? それより、お外ではちゃんと『お姉ちゃ
ま』って呼んでいたのに、また『姉さん』だなんて呼び方をして。せっかくのいい子ちゃ
んがどうしちゃったのかな?」
 困惑というよりも怯えと言った方が近い、なんともいいようのない表情を浮かべる葉
月に向かって、皐月はしれっとした顔で聞き返した。
「いいじゃないか、『姉さん』で。ここには僕たち姉弟しかいないんだし、いくら壁が薄い
っていても、脱衣場の声が外まで漏れる心配はないんだし。僕は大学生の男の子な
んだよ。それがどうして小さな女の子みたいに『お姉ちゃま』なんて呼ばなきゃいけな
いのさ。外だったら誰かに聞かれて僕の正体がばれるかもしれないから仕方ないけ
ど、家の中だったらそんな心配なんてないんだし、普段の呼び方でいいじゃないか」
 気圧されて視線を落としそうになってしまう自分を必死の思いで励まして、葉月は虚
勢を張った。ここで退き下がったが最後、四方八方から絡みつく姉の手から今後もう
二度と自由になれる日が来ることがなさそうな気がしてならない。いまにもくじけてし
まいそうになる気持ちを支えて、ここは踏ん張るしかなかった。
「大学生の男のですって? 葉月ちゃんが? ふぅん、男子大学生ねぇ、保育園の年
長さんの男の子にスカートめくりをされて悲鳴をあげてた葉月ちゃんがねぇ」
 皐月は、ずいっと歩み寄りながら面白そうに言った。
「上手におしっこをできなくてキティちゃんのパンツとナプキンを汚しちゃった葉月ちゃ
んがねぇ。女の人用トイレの通路に敷いたトイレットペーパーの上でパンツを穿き替
えさせてもらった葉月ちゃんがねぇ。中学一年生の女の子の肩に頬を押し当てて手
放しで泣きじゃくっていた葉月ちゃんがねぇ。年長さんの男の子から呼び捨てにされ
てにこにこしていた葉月ちゃんがねぇ」
「そ、それは……」
 皐月は反射的に腰を退きながら弱々しく呻いた。
 そこへ皐月がとどめを刺すように付け加え言った。
「たしかに、大学生の男の子だったかもしれないわね、葉月ちゃん、今日の昼前まで
は。でも、セーラーワンピを着てシナモロールのパンツを穿いた時から女の子になっち
ゃったのよ。それも、芽衣お姉ちゃまを百合の道に誘い込んだ上に正太郎をお兄ちゃ
まをたぶらかしちゃうような魔性の女にね。――ううん、小学五年生だから、魔性の少
女かしら。いいえ、保育園の年少さんだもの、魔性の幼女って呼んだ方がふさわしい
わね。そう、葉月ちゃんは魔性の幼女に生まれ変わったのよ」
21420 ◆JSxcaNkD96 :2008/08/12(火) 21:18:58 ID:ukBvW3zZ
「……」
「ま、そんなことはどうでもいいから、ほら、逃げちゃ駄目。すっかり汗でびしょびしょに
なっちゃったキャミとサンドレスを脱がせてあげるからこっちへいらっしゃい。葉月ちゃ
ん、バスの中でも二回ほどくしゃみしてたでしょ。本当は夕飯の前にお風呂に入れて
あげたかったんだけど、お湯が沸くのに時間がかかるから仕方なかったのよ。だから、
ほら、少しでも早く入って温まらなきゃ」
 芽衣や正太郎と別れてトイレを出てからも水無月と皐月に手を引かれて水族館の
中をぐるりと連れ回され、ようやくの思いでバスに戻った時には、じりじり照りつける夏
の太陽に焼かれての汗と、大勢の入館者の誰かに正体を気づかれてるのではない
かという不安による冷や汗とで、キャミソールもショーツもびしょびしょだった。それが、
しばらくしてバスの冷房が利いてきたものだから、葉月はぞくりと体を震わせてしまっ
たのだ。しかし、皐月はそんな葉月のことを気遣うどころか、トイレの中で何があった
のか、事細かに水無月に報告しては、二人で葉月の様子をちらちらと窺いながらお
かしそうに笑い合っていた。くしゃみは冷気のせいなどではなく、二人のひそひそ話
のせいだと拗ねた表情で言ったりしたら、それは八つ当たりになってしまうだろうか。
「で、でも……」
「いいから、こっちへ来なさい。汗臭いままじゃ、大好きな正太郎お兄ちゃまに嫌われ
ちゃうわよ」
 皐月は更にずいっと歩を進め、葉月が壁に阻まれてもうそれ以上は体を退けなくな
ったのを見て取ると、肘をつかんでぐいっと引き寄せ、首筋の後ろで結わえたサンドレ
スの肩紐の結び目を手早くほどいた。
 ホルターネックになっていて、ウエストラインの絞りもないサンドレスは、肩紐を解か
れると、まるで抵抗なく、葉月の足元にふぁさっと落ちる。
 皐月はサンドレスに続いてキャミソールも手際よく脱がせた後、力ない抵抗の素振
りをみせる葉月の足首をつかんで、両方のソックスも脱がせてしまった。
215名無しさん@ピンキー:2008/08/13(水) 18:24:31 ID:Sifwqo21
早くオムツはかせろよカス
216名無しさん@ピンキー:2008/08/13(水) 18:41:50 ID:KDg0O4DC
Sifwqo21が交通事故にあって寝たきりになり、オムツ生活を送りますように。
21720はアニヲタ:2008/08/13(水) 20:43:53 ID:V2hMedcl
いい加減じらし杉
あと登場人物のネーミングセンスが無さすぎだろ。
なんかのアニオタか知らんが名前キモイんだよな。
脳内で変換するしかないんだろうけど。前スレから
どんだけジラしてるんだよ20は。前置きが長くておいしい
部分は少ししかない小説なんか書かなくていいよ。
もう書くのやめろ!能無しキモアニヲタ野郎!
218名無しさん@ピンキー:2008/08/13(水) 21:22:14 ID:6yPvNZ4M
しっかり読んでる奴が言えることだなw
俺、流して読んでたからネーミングセンスとか気にもならなかったわ

なんというツンデレwwww
219名無しさん@ピンキー:2008/08/13(水) 21:31:57 ID:tNhD65X2
辛抱の足らない奴らだ。
そんなだからお漏らしして怒られるんだお。
22095:2008/08/13(水) 21:52:16 ID:M5eh/xJX
>215、217
きっともうじきでしょ。
早く、そっちの絵が描ける事を期待してます。

名前は気にならないなー。
まとめてるテキストソフトならいつでも好きな名前に一括変換出来ちゃうし・・・
221名無しさん@ピンキー:2008/08/14(木) 00:11:00 ID:7x6RZ5XV
見たくない人は見なければいいだけ。非難することはない。
222名無しさん@ピンキー:2008/08/14(木) 01:02:15 ID:qoA95R+f
>217 前置きが長くておいしい部分は少ししかない
確かに前作は、前置きの割りには、イク時や漏らす時の
描写があっさりしてたので、今回はその辺を
じっくり・ねっとりと描写してくれると嬉しいな。
223名無しさん@ピンキー:2008/08/14(木) 01:13:02 ID:jTaSN99k
最近は少し改行覚えたみたいだからいいじゃん

名前なんかどうでもいいけど
文章がいちいちクドいんだよねぇ…名詞の羅列とか。
最初は京極の影響かと思ったが流水だった

>>220
なにげに酷いw
224名無しさん@ピンキー:2008/08/14(木) 19:38:36 ID:Ia0E2XYa
20誌いないときは戻ってきてくれとかレスしたり
戻ってきたらくどいやらなんやら・・
そんだけ批判するんなら、自分の納得するものを投下してほしい
225名無しさん@ピンキー:2008/08/14(木) 21:00:42 ID:qoA95R+f
>そんだけ批判するんなら、自分の納得するものを投下してほしい
の突っ込みは兎も角として、

>20誌いないときは戻ってきてくれとかレスしたり
と、
>戻ってきたらくどいやらなんやら・・
が、同一人物という保証は何処にも無いだろ。
226名無しさん@ピンキー:2008/08/14(木) 21:26:29 ID:7x6RZ5XV
批判も含めて、なんらかのレスが欲しいからこそ、
過疎の自分(管理は他人だが)のHPでなく
ここにうpしてるんでは?
227名無しさん@ピンキー:2008/08/15(金) 03:09:52 ID:ulu2RMp2
>>220
そのソフトについてkwsk
228名無しさん@ピンキー:2008/08/15(金) 03:47:20 ID:nvaFWCzc
>>226
あそこで止まってるあれこれや、新作の為のリハビリだと認識してたが(前に掲示板にそんな事
書いてなかったっけ?)、その意見が重要なモチベーションっぽい気がしてきたな。
少なくともあそこじゃまんせーしか出ないし
229名無しさん@ピンキー:2008/08/15(金) 03:51:18 ID:nvaFWCzc
>>227
普通のテキストエディタならなんでも検索と置換はあるだろ?
OS付属のテキストエディタは微妙だけど。

場合によっちゃLL系でスクリプト書いてる奴もいたりして(笑)
230名無しさん@ピンキー:2008/08/15(金) 11:13:51 ID:o3jIAnJJ
というか、HPってどこにあるの?
まさか、かおりの小部屋じゃないよね
231名無しさん@ピンキー:2008/08/15(金) 12:23:53 ID:MWOBTRId
確かに前より諄く冗長になってる気がする。
申し訳ないけど最近は流し読みしたほうが読みやすくかんじてしまう。
テーマ的に焦らしになるのはしょうがないのかもしれんが御一考頂きたい。
それと正直、めぞん一刻には萎えた。
必要性が感じられないし、ギャグやサービスなら見当違いも甚だしい。
何故一刻館なんだ?
232名無しさん@ピンキー:2008/08/15(金) 13:47:50 ID:F2Lz/Ccy
読者の言う事なんか聞いて日和ったらダメですよ、我が道行ってくださいな。
めざせSS界のルー大柴。
233名無しさん@ピンキー:2008/08/15(金) 14:19:33 ID:b0xgVJRD
芽衣や皐月がトトロみたいで萎えるっていってるようなものだ
234名無しさん@ピンキー:2008/08/16(土) 00:08:11 ID:7aMVUJlv
とりあえず批評と好き嫌いを混同しないように。
235名無しさん@ピンキー:2008/08/16(土) 07:33:32 ID:AYUcsAn4
>>230
し〜っ!それは公然の秘密。
236名無しさん@ピンキー:2008/08/18(月) 17:08:12 ID:1aJvH0Cf
いなくなった
237名無しさん@ピンキー:2008/08/18(月) 19:34:23 ID:b4j+EKR2
今回のが始まった当初は冗長になってくどすぎた描写が綺麗にまとまってたけど、
話がだんだん進むに当たってまどろっこしい余計な文が増えてきてるのが気になる
238名無しさん@ピンキー:2008/08/19(火) 00:03:22 ID:I0xiU6J/
オレが20氏だったら、もうここには来ない。
239名無しさん@ピンキー:2008/08/19(火) 01:18:46 ID:6tS8gDXh
批判がどうとか以前に空気が悪すぎる……
240名無しさん@ピンキー:2008/08/20(水) 05:49:50 ID:RprTQ9Y1
言っとくけど俺をあまりナメないほうがいいよ
ttp://set.bbspink.com/test/read.cgi/feti/1191945910/
vipでコテハンやってるしこのスレ潰すくらいの影響力は持ってるから
http://venus.bbspink.com/test/read.cgi/megami/1218831123/
くだらないことで刺激して後悔しないようにね
241名無しさん@ピンキー:2008/08/20(水) 12:29:23 ID:++6zRNaK
で?
242名無しさん@ピンキー:2008/08/20(水) 14:38:29 ID:qqGpINQ6
>>240はタイトルに女装がつくスレにコピペしてる暇人だよ
243Marilyn:2008/08/20(水) 17:36:07 ID:hGhMl+gJ
ん、ひまんじ???
244名無しさん@ピンキー:2008/08/20(水) 19:24:05 ID:u0dE7S+P
>>243
おまえ今俺を見て笑ったろ。ゾンダー許せない
245名無しさん@ピンキー:2008/08/21(木) 11:01:33 ID:hEyOzM2s
エロをエロを下さい。
246名無しさん@ピンキー:2008/08/21(木) 20:25:34 ID:jMFF+uK9
結局こうなったか。。お前らホントにアホだな。
247名無しさん@ピンキー:2008/08/21(木) 21:06:15 ID:sjS9R9Gx
>>246
同感。
気に入らない作品でも黙ってスルーしていれば
いずれ自分好みの作品も投下されるだろうに・・・
もう、残念で残念でなりません。
お盆休みでありますよーに。
248名無しさん@ピンキー:2008/08/21(木) 21:19:32 ID:dFCfcz6t
この雰囲気だから続けてくれ、とは言わないが、
もし匙(さじ)を投げたのであれば、一言放棄宣言をして貰えると、
こちらとしてもムダな期待をしないで済むのでありがたい>作者さん

例え話で悪いが、舞台公演が何らかの理由で中断する時だって、
幕位は引くのだから、最低限それ位はして欲しい…
24920 ◆JSxcaNkD96 :2008/08/22(金) 03:37:49 ID:VzULPmRL
(ケータイから書き込み)

 現在、世間様よりも少しばかり長い盆休みの途中で、続きを書ける環境にいません。来週からまた再開させていただきますので、その時はよろしくです。
 いろいろ批判とかもありますけど、華麗にスルーされるよりいいかなぁと(ただ、まぁ、それ批評じゃないんじゃね?というようなレスを貰ったりすると凹んでしまうのが正直なところではありますけど)
250名無しさん@ピンキー:2008/08/22(金) 03:44:07 ID:bEb+8gdd
おお、盆休みなのですね、それは吉報です。
ごゆっくりお休み下さい。
251名無しさん@ピンキー:2008/08/22(金) 11:49:08 ID:0yqhUKxV
アホが湧くのはデフォなんで、お気になさらず投稿してくだされ!
お願いします(*´Д`)
25220 ◆JSxcaNkD96 :2008/08/25(月) 05:52:40 ID:t6KFFGF5
「とっても可愛いね、葉月ちゃんは。どこからどう見ても、可愛い女の子だわ。本当は
男の子、それも大学生の男の子だなんて信じられないくらい可愛いいんだから」
 葉月を壁際に追い詰めショーツ一枚を残すだけの裸に剥いた皐月は、瞳をきらきら
輝かせて言った。
 皐月の言う通り、女児用ショーツしか身に着けていない葉月を見て、それが男の子
だと思う者はいないだろう。本来なら葉月の性を明確に示す筈の平らな胸板さえ、ま
だ生育の途上にある幼い女の子のぺたんこの胸にしか見えないし、くびれの微妙な
腰回りも、第二次成長期を迎える前の少女の体つきだし、タックのせいで僅かな膨ら
みしかみせない股間にいったっては、恥丘の発達もまだの控えめなうっすらしたスジ
でしかない幼女の秘部そのままだ。お腹が少し凹み加減だけれど、これがぽっこり丸
く膨らんだお腹の幼児体型だったりしたら、それこそ、年端もゆかぬ小さな女の子そ
のままの外見だ。
「さ、あとはパンツだけね。でも、その前にお姉ちゃまも自分の着ている物を脱いじゃ
うから、ちょっと間だけ待っててね」
 まるで舐めるようにして葉月の体を眺めまわしながら皐月はにっと笑って言うと、自
分の胸元のファスナーに指をかけ、さっと引きおろした。
「あんたは昔から私の自慢の弟だったのよ。すべすべのお肌にさらさらの髪。ぱっちり
した大きな目に、真っ赤で薄い唇。小さい頃から、あんたのことを初めて見る私の友
達は、あんたのこと、決まって妹だと勘違いしてた。でも、それも仕方ないよね。それ
だけ可愛くて、まるでお人形さんだったもん。だけど、友達があんたのことを弟じゃなく
て妹だって間違うのを見て、私、面白がるだけじゃなくて、それがとっても自慢だった
んだ。世の中、どこを探しても、こんなに可愛い弟を持った姉さんなんていやしないっ
てね。保育園でたくさんの子供たちの面倒をみているけど、今まで、小さかった頃の
あんたより可愛い子に出会ったことなんてなかった」
 皐月は上着に続いて薄手のシャツも手早く脱ぎ去り、ブラジャーを無造作に外して
脱衣カゴに投げ入れた。そうして、次に、ボトムスに指をかける。
「小学校に入っても中学校に上がっても、それに、高校に通うようになっても、あんた
は可愛いままだった。中学校の制服を着ても高校の制服を着ても、なんだか、女の子
が無理して男の子の格好をしているふうにしか見えなかった。だから、私、こっちに就
職が決まって独り暮らしを始めるのが辛かった。あんたと離れ離れになるのが、どうし
ようもないほど辛くてたまらなかった」
25320 ◆JSxcaNkD96 :2008/08/25(月) 07:40:52 ID:t6KFFGF5
 皐月はそう言いながら葉月と同じようにショーツだけを残す姿になったかと思うと、そ
のまま、まるで躊躇う様子もなく、たった一枚残っているショーツもさっと脱いでしまっ
た。
「でも、やっぱり、神様の思し召しっていうのがあるんだね。私があんたのことを思って
ばかりいたからなのか、それとも、あんたが私のことを慕ってくれたせいなのか知らな
いけど、こっちにある大学を選んだおかげで、あんたと私はまた一緒に暮らすことがで
きるようになったもんだもの。あんたが私のマンションに来るって聞いた時から実際に
引っ越して来るまでの間がどんなに長かったことか。父さんと母さんは寂しがってるで
しょうけど、あんたのことを独り占めできるようになった私がどんなに嬉しかったことか、
誰にもわかんないでしょうね」
 皐月は僅かに首をかしげて、なすすべなく立ちすくんでいる葉月の目を覗き込んだ。
「だけど、そんなにまでして待っていたあんたも、ま、そりゃそうなんだけど、やっぱり、
男の子だった。見た目は女の子、それもとびっきりの美少女で通じるあんたなのに、
でも、中身は男の子だった。私のマンションに来て何日も経たないうちにパンツを夢
精で汚しちゃうし、エッチな本やDVDを買ってくるし、それも、汚れたパンツやいやら
しい本をあっちこっちに押し込んで隠したりしてさ。やーらしいお汁で汚したティッシュ
にしたって、ゴミ袋にぎゅう詰めにするだけじゃ匂いでわかっちゃうのに、そんなこと
気にする様子もなくってさ。いつの間に、こんなにだらしなくていやらしい子になっちゃ
ったんだろうって、私がどんなに心配したことか、あんたにはわかんないよね」
 皐月は、一糸まとわぬ姿で、けれどまるで臆するふうもなく自分の裸体を葉月の瞳
にさらして、どこか哀しげに言った。
「そんな時に、遠藤先生が――弥生がバカな男に襲われる事件が起きたんだ。幸い
未遂に終わったけど、弥生の心には深い傷が残った。それで私は思ったのよ。可愛
い弟がそんなバカなことをしでかさないよう、きちんと躾け直してあげなきゃいけない
って。見た目はどんなに可愛い弟でも、中身は、そのバカと同じ、何をしでかすかしれ
たもんじゃない、危なっかしい男っていう醜い生き物だから、きちんと躾けてあげなき
ゃいけないってね」
 皐月は、後輩の保育士である遠藤弥生のことをいかにも親しげに『弥生』と下の名
前で呼んで言い、退路を断たれた葉月の体におおいかぶさるようにして、こちらもたっ
た一枚だけ残っていたショーツを強引に剥ぎ取った。
 そうして、小刻みに体を震わせる両脚の間にすっと右手を差し入れる。
25420 ◆JSxcaNkD96 :2008/08/25(月) 09:23:54 ID:t6KFFGF5
「ほら、今もそう。血のつながった肉親の裸に欲情しちゃうなんて、ほんと、男っていう
のは、いやらしくてどうしようもない、ケダモノそのものの生き物なんだから」
 両脚の間で後ろ向けに折り曲げて固定されながらもひくひくと蠢く葉月のペニスに
触れながら、呆れたように、そしてどこか嘲るように皐月は言った。
 それに対して、葉月は一言も言い返せない。まさか血のつながった姉に襲いかかる
ほど理性を失ってしまうことはないし、万が一襲いかかったとしても、園長によって施
されたタックのせいでペニスは自由にならず、最後の行為にまで至ることはできない
のだが、それでも、大学に入ったばかりという、自分でもどうしていいのかわからなく
なるほどに人生の中で最も性欲を持て余しているこの時期、張りのある乳房とみずみ
ずしい肌をあらわにした若い女性の裸体を目の当たりにして、いくらそれが実の姉な
のだと自分に言い聞かせてみても、いきりたつ若い肉棒を鎮めることは不可能だった。
 今の葉月には、脱衣場の壁に背中を押しつけ、挑発するかのような姉の裸体から
おずおずと目をそらすことしかできなかった。
 だが、それにしても、それは、なんと奇妙で淫靡な姉弟の姿なのだろう。姉の方は
合気道で鍛えた体の持ち主。筋肉が目立つ体質ではなく、体つきは女性らしく丸みを
帯び、ウエストのくびれもはっきりしているものの、無駄な脂肪はまるで目立たず、引
き締まっているがゆえに却ってほっそりしているように錯覚させるのだが、体幹の内
筋が発達しているため背筋がしゃんと伸びていると同時に、発達した胸筋のおかげで、
元々豊かな乳房が上向き加減に形よく張り出し、ぷりんとして、えもゆわれぬ健康的
な色香を漂わせている。対して弟の方は、丸っこい童顔に、前述した通りの、華奢で
はあるものの決してがりがりの痩せっぽちという感じではない、少年というよりは少女
めいた体格とが相まった上、更に、ペニスを両脚の間に隠して折り曲げられているも
のだから、それが実は男性だと予め告げられていてもそうとはとてものこと信じられな
いほどに、触れなば折れんといった風情の、たおやかで、周囲の者の保護欲を際限
なく掻き立ずにはおかない蠱惑的な彩りに包まれていた。
 そんな、少しおおげさな表現をするなら、まるで男と女が入れ替わったかのようにさ
え見える姉と弟とが体を触れ合わせる様は、見る者の胸を妖しいざわめきで満たして
やまない。しかも、少し視点を変えて、葉月を皐月と同じ女性とみなしたとしても、二人
はひどく対照的だった。引き締まった体躯と豊かな乳房をの持ち主である皐月は、ま
た、充分に発達した陰核や小陰唇・大陰唇などからなる熟れきった性器の持ち主で
もあり、股間には豊かな陰毛が生え揃っていた。一方、葉月の方は、男性のシルシで
ある本当の性器は巧みに隠され、うっすらと見えるか見えないかといった微かな縦筋
が一本という(紛い物の)童女のシルシを、ただでさえまばらだった飾り毛を綺麗に剃
り落とされてしまったせいでこちらも童女そのまま、まるで陰りのなか下腹部にあらわ
にしているのだ。そんな、少し年の離れた姉と弟というよりも、若い母親と幼い娘とい
った方がぱっと見には近いかもしれない二人が体を絡み合わんばかりにしている光
景は、倒錯感と背徳感とに満ち満ちていた。
255名無しさん@ピンキー:2008/08/25(月) 12:00:38 ID:IzOLHNP0
おかえりなさいいませ
256名無しさん@ピンキー:2008/08/25(月) 20:50:16 ID:18mbEfqm
キモ姉だったのかっ!
ならば今までの数々の言動も全て納得
&バッチコーイ
257名無しさん@ピンキー:2008/08/26(火) 03:01:15 ID:LAzo46bp
待ってましたぁー
25820 ◆JSxcaNkD96 :2008/08/26(火) 06:54:34 ID:98SrGjgY
「わかる? ケダモノみたいなそんないやらしい生き物をちゃんと躾け直してあげるた
めに、園長先生にお願いして保育園に通わせてもらうことにしたのよ。あんたがバカ
男と同じになっちゃわないよう、見た目通りの可愛い女の子になれるように」
 皐月は、鈎型に曲げた人差指で葉月の顎先を持ち上げるようにして言った。
「……そんな、躾け直しって……ぼ、僕、遠藤先生の心の傷を癒すために雇われた筈
だよ? な、何わけわかんないこと言ってんのさ、姉さんたら」
「確かに、それもあるよ。でも、それだけじゃないの。それだけじゃないっていうか、ど
っちかっていうと、弥生の心のリハビリよりも躾け直しの方が主な目的ね。それと、バ
カ男の代わりに責任を取ってもらうっていう意味もあるし」
 皐月は葉月の顔を引き寄せ、互いの唇を触れ合わせんばかりにして言った。
「責任……?」
「そう、責任。弥生を襲ったバカ男は警察に捕まった後、公判中だから、向こうからも
弥生の方からも接触できない。ま、もういちど襲われる心配がないから安心っちゃ安
心なんだけど、このままだと、こっちが仕返しするチャンスをつくることもできないって
ことになるわけだよね。弥生本人もそう思ってるでしょうけど、私としても、それじゃ気
が済まないのよ。可愛い弥生をひどい目に遭わせた最低野郎に復讐できないだなん
て、それって、あんまりだよね。だから、いつか、絶対に仕返ししてやる。でも、そのチ
ャンスがいつ来るかわからない。だから、その間、手っ取り早いとこであんたで間に合
わせることにしたの。バカ男と同類のあんたを恥ずかしい目に遭わせることで気持ち
をまぎらわせようってことよ、簡単に言えば。もちろん、強力してくれるよね? お気に
入りの遠藤先生の傷付いた心を慰めるめだもん、喜んで、バカ男の代わりになってく
れるよね?」
 皐月は更に葉月の顔を引き寄せた。
「な、なに身勝手なこと言ってんだよ。そんなの、僕には関係な……」
「関係ないですって? 冗談じゃない。関係はおおありよ。あんたはあの最低野郎と
同じケダモノじみた男の一人なんだし――だいいち、ここをこんなにしちゃって、それ
なのに自分は関係ないだなんて、よくそんなことが言えるものね」
 皐月は葉月の言葉を途中で遮り、空いている方の手を再び葉月の両脚の間に差し
入れた。
 


25920 ◆JSxcaNkD96 :2008/08/26(火) 08:14:22 ID:98SrGjgY
 思わず皐月の体を突き飛ばして身を退こうとした葉月だが、明かな体力差がある上
に脱衣場の壁に阻まれて、それはかなわない。
「体は正直なものよね。僕は関係ないなんて生意気なこと言ってるけど、こんなにビン
ビンにしちゃてるんだもの。ああ、やだやだ。可愛かった弟が醜い男どもの仲間入りし
ちゃうなんて、姉さん、そんなの我慢できない。思いきり厳しく躾け直す必要があるわ
ね、このぶんじゃ」
 葉月の両脚の間をまさぐりながら、皐月は、いかにも嘲るように言った。
「……」
 皐月の口を衝いて出た嘲りの言葉に、けれど葉月は何も言い返せない。実の姉と
はいえ目の前にさらされる若くみずみずしい女性の裸体に疼きをおさめられないペニ
スが、皐月が体を寄せてきたせいで薄い胸に乳房が触れ、ぷりんと張った弾力のあ
る肌触りと、ぴんと勃った乳首のこりこりした感触とに責められて、ますますいきりたっ
てならなかった。もちろん、強力な接着剤のせいで実際には醜い鎌首をもたげること
はかなわないのだが、お尻の方に折り曲げられ固定されたままでも、窮屈そうに蠢く
のを決してやめようとしない。
「ほら、こうしてあげたらどうなるかな。ほら――」
 前から見れば無毛の童女にしか見えない葉月の股間に伸ばした手でますますいや
らしくペニスを責めたてながら、皐月は舌なめずりせんばかりにして言った。
「や、やだ! やだってば、姉さん……」
 葉月は、それ以上は後ろにさがれないことを痛いほど承知していながら、それでもま
だ諦めきれない表情で背中を壁に押し当てた。
「何をそんなに嫌がってるのよ。あんた、自分の手で自分のおちんちんを慰めてるん
でしょ? エッチな本とかやーらしいDVDとかをオカズにして、ティッシュをたくさん汚し
てるんでしょ? おちんちんをいじってもらうのが好きで好きでたまんないんでしょ? 
どうしようもない男っていう下等な生き物の仲間なんだもん、昼も夜も、どうやっておち
んちんを慰めようかってことばかり考えてるんでしょ? なのに、どうしてそんなに嫌が
るのよ? いつも自分で自分を慰めてばかりじゃ可哀想だから優しい姉さんが可愛が
ってあげようっていうのに」
 皐月は、窮屈そうに蠢くペニスをなぶり続けながら、熱い吐息を葉月の耳たぶにふ
っと吹きかけた。
260名無しさん@ピンキー:2008/08/26(火) 17:45:03 ID:XSFn7qI8
逆レイプはちょっと・・
261名無しさん@ピンキー:2008/08/26(火) 18:48:36 ID:PUzNjSTm
よく考えて逆レイプしようがないぞ
262名無しさん@ピンキー:2008/08/27(水) 01:06:00 ID:RWrdy7te
つC
26320 ◆JSxcaNkD96 :2008/08/27(水) 06:53:42 ID:qxwsOwvi
「そ、そんな言い方……」
「どんな言い方でもいいでしょ。やってることは変わらないんだから」
 皐月は吐息をもう一方の耳に吹きかけてから、ふと気づいたように
「あ、でも、このままだと脱衣場の床を汚しちゃうわね。そんなことになったら後のお掃
除が大変だから、続きはお風呂場でないとね」
とわざと大げさに顔をしかめてみせて、葉月を浴室に急かした。

                  * * *

「さ、ここなら、いくら床を汚してもいいわよ。あんたがいやらしいお汁でどんなに床を
汚しても、お風呂場ならシャワーですぐ綺麗に洗い流せるから」
 皐月は、浴室に連れ込んだ皐月にぴったり寄り添うようにして囁きかけ、ぱっと見は
童女そのままの股間に向かってそろりと右手を差し伸べた。
「や、やめてよ。駄目だったら、姉弟どうしでそんなことしちゃ」
 葉月は、思わせぶりにそろそろ伸びてくる皐の右手をおそるおそる払いのけた。
「ふぅん、してもらいたくないんだ。姉さんにしてもらっちゃ困るんだ。――つまり、自分
でしたいってことね。部屋に隠れてこそこそやってるみたいに、自分の手で気持ちよく
なりたいってことね。いいわ、じゃ、やってみせてごらん。あんたがいつもどんなふうに
自分で自分を悦ばせてるのか見てみたいから、私の目の前でやってごらんよ」
 皐月は、振り払われた自分の手をちらと見て、唇の片方の端を吊り上げるようにし
て艶然と微笑むと、一糸まとわぬ姿でこれみよがしに胸を張った。
「そんな……そんなこと……」
「そんなことできないって言うの? 別にいいわよ、私の方は、それならそれでも。た
だ、いつまでもこのままじゃ、あんたが困るんじゃないのかな」
 皐月は自分の腰骨の出っ張りに手の甲を押し当てて葉月の顔を正面から見た。
「あんた、水族館でトイレへ行ったきり、一度もおしっこに行ってないよね。もうそろそ
ろだと思うんだけど、大丈夫なの? 可愛い弟のことを思っていつも気にかけてる優
しい姉さんとしちゃ、だいたいどれくらいの間隔でおしっこに行くかってことも知ってる
から心配になっちゃうんだけど、まだ大丈夫なのかな?」
「そ、それは……」
「男って、おちんちんをいやらしく大きくしてるままだと、おしっこをしたくなっても出ない
んだよね? いやらしいおちんちんをおとなしくさせてあげないと、おしっこを出せない
んだよね? したくてしたくてたまんないのに、いつまでもおしっこが出ないんじゃ、さ
ぞ辛いでしょうね。そのうち、お腹のあたりが痛くて痛くてたまんなくなってくるかもし
れないよね。なのに、魅力的な私の裸を目の前にしてちゃ、おちんちんがおとなしくな
るわけないよね。でも、それは罰の一種かな。実の姉さんに対して欲情しちゃうような
情けない存在である男として生まれついたことへの罰なんじゃないかな。だったら、お
となしく受け容れるしかないかもね」

26420 ◆JSxcaNkD96 :2008/08/27(水) 08:55:33 ID:qxwsOwvi
 皐月の言う通りだった。水無月が運転するバスでマンションに帰ってきて皐月が夕
食の準備をしているうちにトイレへ行きたくなってきて、夕飯を食べ終えた頃にはもう
我慢できるかどうかというところまできていた葉月だが、幼い女の子みたいに変貌さ
せられてしまった自分の下腹部を目にするのがたまらなくて、今までトイレへ行くのを
我慢していたのだ。けれど、限界は目の前だ。しかも、皐月がわざと裸体をさらすもの
だからペニスがいきりたってしまって、もうどうすることもできない。
「どうするの? 自分でできるの? それとも、やっぱり、私にしてもらいたい?」
 皐月はねっとり絡みつくような口調で重ねて訊いた。
「……」
「そう、いつまでもだんまりを続ける気なの。ま、いいわ」
 口をつぐんだままの葉月の顔を小馬鹿にしたような目で見て、皐月はその場をすっ
と離れた。
「え……?」
 思いがけない行動に面食らったかのように驚きの目を向ける葉月の視線の先で、
皐月は浴室の床に片膝をつき、大ぶりのスポンジにボディソープをたっぷりふくませて
から、再び葉月の体にぴったり身を寄せた。
「あんた、昔からそうだったよね。私がいなきゃ何もできない、頼りない子だったよね。
でも、私、そんなあんたが大好きなのよ。どんな小さなことでも私が面倒をみてあげ
なきゃいけないあんたのことが」
 皐月は、いい香りのするボディソープをふくませた後きゅっきゅっと何度か握って盛
大に泡をたてたスポンジを自分の体に押し当て、あっという間に、体中を真っ白な泡
で包みこんだ。そうして、再びスポンジにボディソープをふくませて泡立て、今度は葉
月の体に押し当てる。
「だから、思いきり気持ちよくさせてあげる。自分だけじゃできないことを私がしてあげ
る。これまで経験したことのないほど気持ちよくさせてあげるから、ちょっとの間だけ待
っているのよ」
 皐月は葉月の体も手際よくきめの細かい無数の泡でふわっと包み込むと、ますます
体を密着させた。
「ひぁ……」
 皐月が体をくねらせるたび、形のいい乳房やぴんと張った腰が葉月の胸や腹につる
んと触れて、体中をぞくぞくさせる。
265名無しさん@ピンキー:2008/08/27(水) 15:18:30 ID:e79dBgBE
勃起状態でも排尿は出来るよ?
266名無しさん@ピンキー:2008/08/27(水) 16:07:42 ID:czYd04di
ちょっと幼児プレイからはなれるな
26720 ◆JSxcaNkD96 :2008/08/27(水) 16:35:24 ID:qxwsOwvi
>>265
 別の小説を書いている時に「射精をした後じゃないと
おしっこはできない」と注意されたのですが……。それ
を思い出して書いたんだけど、ひょっとして思い違いだ
ったのだろうか
 は、そういえば、注意は「精液とおしっことは同時に出
ない」という意味だったのかもしれない Σ (゚Д゚;)

 とりあえず、葉月タンはおっきしたままじゃおしっこ出な
い子という脳内設定かけといてください
26820 ◆JSxcaNkD96 :2008/08/27(水) 16:36:45 ID:qxwsOwvi
「ふふ、気持ちいいでしょ。あんた、小っちゃい頃、こんなふうにしてあげると、とっても
嬉しがってたんだよ。いつもぐずって、せっかくお風呂に入っても頭とか体とかなかな
か洗わせてくれなかったけど、私が最初に自分の体を泡だらけにしてあんたを抱っこ
してあげたらきゃっきゃ言って喜んじゃって、自分の体にも泡をたててってせがんでさ。
憶えてる?」
 自分の体と葉月の体をどちらも泡だらけにしてしまった皐月は、まだぶくぶくと泡をた
てているスポンジを洗面器のそばに放り投げると、なんの躊躇いもなく葉月の体を正
面から抱いて、両手をぎゅっと背中に絡ませた。
「や、やだ……そんなことしちゃ……」
「そんなことしちゃやだって、どうなっちゃうのかな、そんなことされたら?」
 皐月は無数の細かな泡にまみれた乳房を葉月の薄い胸に押しつけ、背中にまわし
た両手の内、右手を背中に沿ってそろりとおろして、葉月のお尻の下に差し延べた。
そこにあるのが窮屈そうにのたうちペニスなのは今更いうまでもない。
「い、言えないよ、そんなこと……」
 さも面白そうに訊いてくる皐月に、葉月は言葉を濁すしかなかった。
 けれど、皐月の方は追い討ちをかけるように
「あんた、小っちゃい頃は、お風呂場でおしっこをするのが癖だったよね。どうしてそん
な癖が付いちったのかは知らないけど、私があんたをお風呂場に連れて入って掛け
湯をしてあげると、決まってすぐに可愛いおちんちんでおしっこをして、お風呂場の床
におしっこの泡をたててたっけ。ひょっとしたら、今でもあの時の癖、治ってないんじゃ
ないの? 治ってないんだったら、遠慮しなくていいから出しちゃいなさい。もしも治っ
てるんだったら、あの時のことを思い出して、ここでおしっこを出しちゃえばいいのよ。
もっとも、最初は白いおしっこからだけどね」
 皐月は、泡だらけの手で皐月のペニスを優しく揉みしだいた。
「や、やぁ……」
 びくんと体をすくめた葉月の口を衝いて、今にもとろけてしまいそうな喘ぎ声が漏れ
出た。
「やだやだ言いながら、こんなによがってんだから世話ないわね。もっと正直になれ
ばいいんだよ、ほら」
 接着剤で固定されながらも醜く怒張するペニスの先を、皐月が人差指の腹ですっと
擦った。ぬるぬるに溢れ出している我慢汁とボディソープの泡とが絡み合って、これま
で経験したことのない刺激が男性の最も敏感な部分をいやらしく責めたてる。
269名無しさん@ピンキー:2008/08/28(木) 02:48:43 ID:o+N9q2UZ
入れずに出しちゃった→惨め→後々言葉攻め
〜の黄金パターンですね!
270名無しさん@ピンキー:2008/08/28(木) 03:00:16 ID:o+N9q2UZ
あ、パターンだと悪口ぽいかな('A`)…
大歓迎って事です
27120 ◆JSxcaNkD96 :2008/08/28(木) 07:47:18 ID:+dPKVdpE
 皐月の手にペニスをなぶられ続けるのにしたがい葉月の両脚から力が抜けてゆき、
次第に、その場に立っていることも難しくなってきた。
 そして、とうとう、へなへなと体が崩れ落ち、膝立ちの姿勢になってしまう。
 幸い浴室の床には発泡ウレタンのバスマットが敷いてあったから膝頭に痛みを覚
えることはなかったものの、実の姉にペニスをなぶられて我慢できずにへたりこんで
しまうなど、惨めなさまにもほどがある。
 けれど、皐月の手が動きを止める気配は微塵もなかった。
「あらあら、急に座りこんだりして、どうしちゃったのかしら。あ、そうか。白いおしっこが
出そうになって、立ったままじゃお行儀が悪いと思って、ちゃんとしゃがもうとしたのか
な。そうよね、葉月ちゃんは女の子だもん、立ったままおしっこしちゃうだなんてはした
ないことはしないよね。うふふ、早速、躾け直しの効き目が出てきたのかしら。ほんと、
葉月ちゃんは聞き分けのいいお利口さんなんだから」
 皐月は、それまで『あんた』と呼んでいたのを、がらりと口調を変えて『葉月ちゃん』
と呼び直し、なおも執拗にペニスを責めたてるために、葉月がへたりこんだのに合わ
せて自分も膝立ちになった。
 皐月が両膝を床について体を伸ばしたものだから、豊かな飾り毛に彩られた秘部が
葉月のすぐ目の前に迫る。ボディソープの泡に覆われているため、完全にあらわにな
るわけではないのだが、その見えそうで見えないといったところが、まだ若い葉月の
欲情をそそってならない。
「あれ? さっきよりもまたおっきくなってきたよ、葉月ちゃんのあそこ。でも、変だよね。
葉月ちゃんは女の子なのに、あそこをおっきくしちゃうなんて、とっても変だよね」
 皐月は泡にまみれた手でペニスの皮膚を撫でまわし、最も感じやすい先端の部分
を挟んだままの人差指と中指とをすっすっと前後に滑らせながら、わざと不思議そうな
表情をつくって言った。
 そうして、葉月が何も応えられないでいると、耳元に唇を寄せて
「ほんっと、どうしうもない生き物なんだから、男ってやつは。血のつながった姉の手に
なぶられておちんちんをおっきくしちゃうだけじゃ足りなくて、姉の恥ずかしいところを
見てますます悦んでおちんちんをはちきらせちゃうんだから。他のバカな男どもと違っ
てあんただけはそんなことないって思ってたけど、そうじゃなかったんだね。ま、躾け
直し甲斐がたっぷりあるってことだからそれでもいいけどさ。弥生と一緒にきっちり躾
け直してあげるから楽しみしてるといいわ」
と辛辣な口調で囁きかけてから、改めてわざとらしい優しげな笑みを浮かべ、受け持
ちの園児に対する時そのまま、幼児をあやすように言った。
「でも、その前におしっこしちゃおうね。葉月ちゃんは白いおしっこと普通のおしっこの
両方しちゃわないといけないから時間がかかるけど、急ぐことはないから、ゆっくり出
しちゃっていいのよ。その間、お姉ちゃま、ここで待っていてあげる。葉月ちゃんが上
手におしっこできるかどうか、ここでしっかり見ていてあげる。だから、頑張ってしっか
り出しちゃおうね」
27220 ◆JSxcaNkD96 :2008/08/28(木) 09:00:37 ID:+dPKVdpE
 そう言ってから皐月は、ますます両脚から力が抜けて膝立ちの姿勢を続けることさ
え難しくなってきた葉月の背後にまわりこみ、今にも床につきそうになっているお尻
の下に自分の膝頭を強引に差し入れた。けれど、それは、葉月の体をいたわってのこ
とではなかった。そのまま放っておけば葉月がその場にへたりこんでお尻を床に落と
してしまう。そうなれば、ペニスをいたぶるために葉月の両脚の間に手を差し入れるこ
とができなくなる。それを防ぐためだった。
「葉月ちゃん、憶えてる? おむつ離れするかしないかくらいの小っちゃい頃は、母さ
んや父さんに後ろから抱っこしてもらっておしっこさせてもらってたんだよ。おむつを外
してもらったりトレーニングパンツを脱がせてもらったりした後、お尻の下に伸ばした
母さんや父さんの両手の上にちょこんと座らせてもらうような格好をして、『しー来い、
しー来い』って言ってもらって、そうやっておしっこをさせてもらっていたんだよ。あの
時の葉月ちゃん、とっても可愛くてさ。お姉ちゃまも父さんや母さんの真似をして葉月
ちゃんにおしっこをさせてあげたくてたまんなかったんだけど、お姉ちゃまも子供だっ
たから、葉月ちゃんを後ろから手だけで抱っこするなんてことできなくてさ。大きくなっ
たら絶対に私がさせてあげるんだって思って諦めてたんだけど、私が大きくなったら、
それと一緒に葉月ちゃんも大きくなるってこと、その時は気がつかなくってさ。笑っち
ゃうけど、子供って、そんなもんだよね。今もお姉ちゃまの方が体は大きいけど、やっ
ぱり、葉月ちゃんを手だけで抱っこしてあげることはできないんだよね。でも、膝の上
に葉月ちゃんのお尻を載せてだったら後ろから抱っこしてあげられるよ。ちゃんと抱き
上げることは無理だけど、抱っこの真似ならできるよ。だから、上手におしっこしようね。
母さんや父さんにさせてもらった時のことを思い出しながら、お姉ちゃまの膝の上でお
しっこしようね」
 皐月は、葉月のお尻の下に差し入れた膝頭をゆっくり上げながら、空いている方の
手を葉月の太腿の下に差し伸べ、膝頭を上げるのに合わせて、その手を持ち上げた。
そうすると、葉月は、爪先こそ床についているものの、皐月の膝にお尻を載せた状態
で体全体を後ろから抱き上げられるような姿勢をとらされ、それこそ、母親の手に抱
かれておしっこをさせてもらう幼児みたいな姿を強要されることになる。
 そんなふうにして皐月は葉月を後ろから抱きかかえながらも、尚もペニスをなぶり
続けるのをやめない。
「ぁ、はぁ、ん……」
 ボディソープのきめこまかい泡越しに、皐月の豊かな乳房が葉月の背中に触れる。
こりこりした乳首の感触に加え、すべべした泡に包まれた乳房の感触。はからずもペ
ニスがますます窮屈そうにのちうち、葉月の口を熱い吐息そのままの喘ぎ声が衝いて
出た。
273名無しさん@ピンキー:2008/08/28(木) 09:56:35 ID:1D6NNKcC
>>267
排尿できるかどうかはペニスの角度なんですよ。
射精直前の大きく上向きのときは排尿は困難です。
うつぶせオナニーのような
ペニスが尻の方になっているときは
精液はゆっくりとは出せても
大量の精液を射精しようとすると
前立腺に逆流して前立腺が痛むときもありますよ。
274名無しさん@ピンキー:2008/08/29(金) 01:30:25 ID:v2OH69bU
95氏も帰ってこないかなщ(゚д゚щ)
27520 ◆JSxcaNkD96 :2008/08/29(金) 07:33:38 ID:QdUc1Xjd
「さ、もう、そろそろでしょ。脱衣場から今まで、よく我慢したわね。ほんと、葉月ちゃん
はお利口さんだこと」
 皐月は、半皮かぶり状態になっているペニスの先端の皮膚を中指と親指でそっと押
し広げると同時に、人差指の先を、我慢汁を溢れさせている赤黒い割れ目に押し当て、
これでもかとばかりに、けれど決して力任せにはならないよう細心の注意を払いなが
ら擦りあげた。
「ひ……」
 悲鳴じみた喘ぎ声が聞こえて、葉月の腰がぶるんと震え、ペニスがどくんと脈打つ。
「そう、それでいいのよ。これまでちゃんと我慢できたけど、もういいのよ。お姉ちゃま
に抱っこしてもらったまま最初に白いおしっこを出して、それから、普通のおしっこを出
せばいいの。こんなふうにして葉月ちゃんにおしっこをさせてあげられる日が来るのを
お姉ちゃまはずっと待っていたんだから、なにも遠慮することなんてないのよ」
 強引に後ろ向けに折り曲げられたペニスの先からとろりと溢れ出す精液の雫を掌に
掬い取り、それを皐月の目の前にかざしてみせながら、葉月はねっとりした声で囁き
かけた。
 皐月は慌てて目をそらしたが、一瞬見えた、純白の泡との対比で微かなコントラスト
をつくる乳白色の雫が網膜にしっかり焼き付いて、瞼を閉じると、却って鮮やかに浮
かびあがってくる。
 皐月の膝にお尻を載せた格好で座った姿勢をとっているため、太腿を持ち上げられ、
ペニスの先端よりも下に肛門が位置するようになるのは避けられない。そのせいで、
勢いなくとろとろ溢れ出る精液は、両脚の間の皮膚を伝って肛門にまで滴り落ちてゆ
く。自分の放出した精液で自らの肛門を汚される屈辱に葉月は身をよじるのだが、皐
月の手でおさえつけられた上、射精直後の脱力感とが相まって、その場から逃げ出
すことはかなわない。
 やがて、肛門のまわりに集まった精液の雫は、葉月の下腹部を包み込んだ細かな
泡が弾け元のボディソープを溶かしたぬるま湯に戻ってお尻から床に滴り落ちると共
に、次第次第に葉月の肌から離れてゆく。
「園長先生のお部屋と、お家の新しいお部屋、それに、今。葉月ちゃんは今日だけで
三回もお姉ちゃまに白いおしっこをさせてもらったことになるのよ。わかる? 昨日ま
では自分でおちんちんをいじって白いおしっこをしていた葉月ちゃんだけど、今日から
は違うんだよ。これからはずっとお姉ちゃまがさせてあげる。白いおしっこも普通のお
しっこも、おしっこはどっちも、お姉ちゃまがさせてあげる。――ううん、お姉ちゃまだけ
じゃないわね。お家じゃお姉ちゃまだけど、保育園なら遠藤先生もだもの。それに、他
の先生方もだもの。よかったね、葉月ちゃん。これからはずっと、優しい保育士さんた
ちにおしっこをさせてもらえるのよ。これもみんな、葉月ちゃんを保育園に通わせてあ
げることにしたお姉ちゃまと、それを許してくださった園長先生のおかげなんだから、そ
のことを忘れないで、可愛い年少さんになれるようしっかり頑張ろうね」
27695:2008/08/29(金) 08:30:56 ID:a2yyqacR
ちょっと間が空いたので、顔が変わってしまって下書きで苦労してます。
お風呂場の1枚を何とか早めにあげて、お話しに追いつきたいと思いますので、しばらくお待ちください。
・・・待っていてくれていると書き込みをして下さった方へ。
27795:2008/08/29(金) 17:00:02 ID:ZeUghYWa
何とか1枚アップです。

はっきり判るように、泡にも色を付けてます。
http://www.gazoru.com/g-6e4c0f8618fccec63fa301b8a7c645fd.jpg.html
でも、お風呂場のイメージが決まらず、後ろはなしです。
278名無しさん@ピンキー:2008/08/29(金) 23:08:04 ID:lAhlWeqW
95氏もキタ*・゜゚・*:.。..。.:*・゜(゚∀゚)゚・*:.。. .。.:*・゜゚・*!!!!
27920 ◆JSxcaNkD96 :2008/08/30(土) 05:38:45 ID:mybtxRKh
 皐月は、勢いよく射精することを許されず、力なくじくじくと精液を溢れさせながら時
おりびくんと身を震わせる葉月のペニスを指先でぴんと弾いて、小さな子供に言って
聞かせる時の口調そのままに囁きかけた。
 そう、葉月は、今日だけで三度も皐月の手で精液を搾り取られたのだ。実の姉の手
でペニスをいたぶられ、とうとう我慢できなくなって精液を溢れさせてしまうのがどれ
ほど惨めなことか、それは、本人以外には想像もつかない。しかも、三度ともが、年相
応の男性として扱われるのではなく、或る意味では男たるものの象徴たる『精液』で
はなく、幼児めいた『白いおしっこのおもらし』として処理されてしまったのだから、その
屈辱は殊更だった。
「全部出しきっちゃうまで、お姉ちゃま、葉月ちゃんを抱っこしていてあげる。だから、
寂しくなんてないんだよ。水族館のトイレじゃ、お姉ちゃまは葉月ちゃんが一人で上
手におしっこてぎるかどうか近くて見ていてあげただけだったよね。だから、葉月ちゃ
ん、おしっこでパンツもナプキンも濡らしちゃったんだよね。でも、今からは違うのよ。
もう二度とあんな可哀想なことにならないよう、これからはずっとお姉ちゃまや他の保
育士さんたちがちゃんとおしっこさせてあげる。だから、無理して一人でしなくてもいい
のよ。葉月ちゃんは年少さんになったばかりの小さな女の子だもん、おしっこをするの
が上手じゃなくても、ちっともおかしくないんだもの。――いいわね? おしっこをしたく
なったら、ちゃんと先生方に教えるのよ。もしも一人で勝手に保育園のトイレへ行って、
水族館の時みたいにパンツを汚しちゃったら、ひょっとしたら替えのパンツの用意が
できないかもしれないんだから。そんなことになったら、パンツを穿かずにお友達と遊
ばなきゃいけなくなって、恥ずかしい思いをするのは葉月ちゃんだもの、ちゃんと言い
つけを守れるよね?」
 葉月の体を後ろから抱きかかえて慈母のように優しく教え諭す皐月。けれど、口調
とは裏腹に、皐月の言葉は、葉月にとっては、体の自由を奪うためにがんじがらめに
巻き付く鋭い棘の付いた鎖以外の何ものでもなかった。おしっこをしたくなって勝手に
保育園のトイレへ行ったりしたら、下半身丸裸にして他の子供たちの中に放り込むわ
よと、皐月は言っているのだ。そんなことになったら、葉月が男の子だということがす
ぐにばれてしまう。おそらく、それがきっかけになって、葉月が実は職場体験に来た
小学生などでもなく、実は大学生だということさえ知られてしまうだろう。そんなことに
なるのを避けるには私の言うことに従うしかないのよ。排泄の管理は私や私の同僚
の保育士たちに委ねなさい。さもなきゃ、これ以上はないくらい恥ずかしい目に遭わ
せてあげるからね――要するに、皐月は、冷酷にそう告げているのだった。
28020 ◆JSxcaNkD96 :2008/08/30(土) 05:40:02 ID:mybtxRKh
>>273
解説、thx
28120 ◆JSxcaNkD96 :2008/08/30(土) 06:25:39 ID:mybtxRKh
 それに対して、葉月は一言も発せない。うんと言って頷くことができるわけもなく、か
といって、皐月の膝にお尻を載せたままペニスの先から精液を滴らせている姿では抗
弁することもかなわない。
「お返事はどうしたの? 葉月ちゃんはお利口さんなんじゃなかったっけ? 年少さん
とはいっても、もう保育園のお姉ちゃんなのよ、葉月ちゃんは。お喋りのできない赤ち
ゃんじゃないんだから、きちんとお返事できるよね? それとも葉月ちゃんは簡単なお
返事もできない赤ちゃんだったのかな。ふぅん、そうだったんだ。だったら、パンツを穿
かずにお友達と一緒にいても平気だよね。だって、赤ちゃんは裸んぼうでいるのが大
好きだもの。へーえ、葉月ちゃん、明日から保育園のお姉ちゃんだと思ってたのに、
本当はまだ、裸んぼうでいるのが大好きな赤ちゃんだったんだ。だったら、上も下も丸
裸でお友達と遊ばせてあげた方がいいのかな」
 屈辱にまみれた表情で唇を震わせる葉月に向かって、皐月は、口調こそ優しげだ
が容赦のない言葉を投げかけた。
「や、やめて……丸裸だなんて、そんなの……」
 首をうなだれた葉月の口から、よく注意していないと聞こえないようなかすれた声が
漏れ出た。
「あら、裸んぼうは嫌なんだ。そうよね、葉月ちゃんはもう赤ちゃんじゃないんだもん、
保育園のお姉ちゃんだもん、裸んぼうは恥ずかしいよね。だったら、お返事できるか
な。保育園のお姉ちゃんらしく、きちんとお返事できるかな」
 皐月は葉月のお尻をぽんぽんと優しく叩いて返答を促した。
「……お、おしっこしたくなったら、せ……先生に教える。葉月、おしっこしたいからトイ
レへ連れて行ってって先生にお願いする。……それで、先生に、お、おしっこさせても
らう。……葉月、勝手にトイレへ行ったりしない。……だ、だから……だから、裸んぼう
は……」
 葉月は身を固くし、決して後ろを振り向こうとはせず、首をうなだれたまま、蚊の鳴く
ような声で言った。
28220 ◆JSxcaNkD96 :2008/08/30(土) 10:01:59 ID:mybtxRKh
「はい、よくできました。最初からそんなふうにお返事をしていればよかったのに、どう
して葉月ちゃんはだんまりをしていたのかしらね。でも、もういいわ。ちゃんとお約束で
きて、葉月ちゃんが本当にお利口さんだってこと、お姉ちゃま、よぉくわかったから。せ
っかくできたお約束だもん、ちゃんと守って、明日からは保育園の先生方におしっこを
させてもらうのよ」
 葉月の返答に皐月は満足そうに微笑み、一時に比べれば幾らか縮こまってきたペ
ニスを撫でさすった。
「白いおしっこはもうすぐおしまいかな? じゃ、次は普通のおしっこね。おねむの間に
おねしょしちゃわないように、しっかり出しておこうね」

 そんなふうにして葉月はまるで幼児扱いのままおしっこをさせられた後、改めて真っ
白の泡に包まれて体を洗われ、シャンプーハットをかぶせられて頭を洗われてから、
ようやく、羞恥に満ちた入浴シーンから解放されたのだった。

                  * * *

 そうして、いよいよ、葉月が保育園に行く日の朝がやって来た。
「葉月ちゃんはもうおっきしてるかな。それとも、まだおねむかな」
 微かにかちゃりという音をたててドアのノブがまわり、まるで遠慮する様子もなく皐月
が葉月の部屋に入って来た。七月終わりの太陽はもうかなり高い所まで昇っているよ
うで、レースのカーテン越しに差し込んでくる光が眩しい。
 けれど、葉月が頭まですっぽり毛布の中にもぐりこんでいるのは、その眩しさに耐え
かねてのことでは決してない。
「……葉月、まだ眠いの。もう少し寝かせてよ、お姉ちゃま……」
 起床時間になったのに、(そうしないと皐月からどんな折檻を受けるかしれたもので
はないため)保育園に通うようになったばかりの幼女の口調を真似て、まだ眠気が残
っているからと言い訳をし、なかなか起きようとしない葉月。
 だが、葉月が毛布の中に身を隠しているのには、全く別の理由があった。しかし、葉
月がなかなか起きようとしない本当の理由を、皐月は前もって知っていた(もっとも、
本当の理由を皐月が知っているということを、葉月自身は気づいていないのだが)。
「いつまでもぐずってちゃ駄目よ、葉月ちゃん。今日から保育園なんだし、せっかく水
無月のおばちゃまがバスで迎えに来てくれるんだから、もう起きなきゃ。最初の日か
ら遅刻だなんて、お友達に笑われちゃうわよ。それに、水無月のおばちゃまに迷惑を
かけることになるでしょ」
 保育園のマークが入ったジャージを着た皐月が、毛布の端に指をかけて、あやすよ
に言った。これまでは乗り合いバスで通勤していたからマンションを出る時はブラウス
にスカートといういでたちだったが、今日からは葉月のお伴を兼ねた添乗係として保
育園の通園バスでの通勤になるため、最初からジャージ姿だ。
28320 ◆JSxcaNkD96 :2008/08/30(土) 11:07:09 ID:mybtxRKh
「……だ、だって、まだ眠いんだもん……それに、なんだか体がだるいし……」
 毛布越しのくぐもった声で言い訳を繰り返す葉月だったが、何か少し考えるように間
を置くと、おそるおそるといった様子で続けて言った。
「……葉月、今日、保育園お休みしたい。体がだるくて動けないから……」
 それに対して、皐月は、
「ふぅん。体がだるいんだ。お熱があるのかな、葉月ちゃん」
とさりげなく言って、毛布の端にかけた指に力を入れ、そのまま、葉月の顔が見える
くらいに毛布をさっと捲り上げ、手の甲を額に押し当てた。
 咄嗟のできごとにはっと体を固くする葉月。
 だが皐月はいたって落ち着き払った様子で自分の手の甲を葉月の額に押し当てた
まましばらく待ってから、わざと怪訝そうな表情を浮かべて、問い質すような口調で話
しかけた。
「あら、おかしいわね。お熱はないみたいよ、葉月ちゃん。本当に体がだるいの?」
 まるで胸の内を見透かされてしまいそうな皐月の視線を浴びて、身をすくめるばかり
の葉月。
 そんな葉月の様子をじっと窺ってから、皐月は更に訝しむような表情を深くして言っ
た。
「お熱がないとすると、お腹が痛いのかしら。ひょっとしたら寝冷えかな。じゃ、今度は
ぽんぽん具合をみてみようね」
 怪訝そうな顔つきながらも口調はわざと優しく言いながら、皐月は毛布を強引に剥
ぎ取ってしまった。
「やだ、駄目!」
 葉月は悲鳴をあげて毛布を押さえようとしたが、もう手遅れだ。
 夏用の毛足の短い毛布を剥ぎ取られ、子供用ベッドのマットの上に重ねた敷布団
に体を丸めるようにして横たわる葉月の姿があらわになった。
 と、葉月は、皐月と目を合わせまいとして顔をそむけてしまう。
「ふぅん、そういうことか。体がだるいっていうのは嘘だったのね? それに、まだ眠い
っていうのも嘘なんでしょ、葉月ちゃん? 本当は、敷布団に広がった黄色い地図を
見られるのが恥ずかしくて、それで嘘をついちゃったってことだよね、葉月ちゃん」
 皐月は、向こうをむいた皐月の横顔をちらと見おろしてから、おもむろに視線を動か
し、葉月のお尻の下にうっすらと広がるシミに目を留めると、納得した様子で大きく頷
いた。
28420 ◆JSxcaNkD96 :2008/08/30(土) 16:44:26 ID:mybtxRKh
 昨夜、屈辱と羞恥に満ちた入浴を終えた葉月が着せられたのは、パイル地のパフ
スリーブワンピースのナイティだった。ワンピースとはいっても、裾が膝まで届くわけ
ではなく、せいぜい、お尻の膨らみが全て隠れるか隠れないかといった丈しかなく、
その下にショートパンツを組み合わせて穿くといったタイプの、レディス向けではなく、
キッズ向けのナイトウェアだった( http://trans.s6.x-beat.com/ の tr0419.zip をベー
スに、それぞれ好みのデザインに脳内補正していただければ幸いです)。ショートパン
ツの下には、クロッチ部分にナプキンを装着した女児用ショーツを穿かされたから、夏
の夜、下腹部はじっとり蒸れて仕方ないのに、上半身は、ワンピースの裾がふわりと
丸みを帯びたシルエットになっているせいで、ちょっと体を動かすだけで空気をふくん
でふわふわ揺れ、男物のパジャマとは比べようもないほど頼りない着心地だった。夕
飯の後すぐ浴室に連れて行かれたものだから、皐月の手で白いおしっこと普通のおし
っこを念入りに搾り取られ、頭にシャンプーハットをかぶせられた幼児さながらの姿で
これでもかというくらい丹念に体を洗われて浴室をあとにした時でも、まだ宵の口とい
う時刻だった。なのに、「小っちゃな子は夜更かしをしちゃいけないのよ」と皐月に言
われ、幼い女の子の部屋そのままにしつらえられた『葉月のお部屋』に連れて行かれ
て、花柄が愛くるしい真新しいシーツに包まれた敷布団を敷いた子供用のベッドに横
たわらされた上、ベッドのすぐ横に置いた椅子に腰かけた皐月が読み聞かせる絵本
の童話を耳にしているうちに、いつのまにかうとうとし始め、知らぬ間に眠りについてし
まった葉月だった。
 いや、童話を聞いているうちにいつしか眠ってしまったというのは厳密に言えば正し
くはない。時刻もまだ早いし、明日になったら保育園に通わされることになるのだと思
うといたたまれなくなり、到底心安らかに眠りにつける状態ではなかった。なのに葉月
がいつの間にか深い眠りに墜ちたのは、なかなか寝ようとしない葉月に皐月が与え
たホットミルクのせいだった。ホットミルクとは言って、ふうふうと息を吹きかけながら
でないと飲めないほど熱いわけではなく、夏の夜に飲めばうっすらと汗をかくかなとい
った感じの、手頃な温度に調整されたミルクだった。ベッドの上に上半身を起こした葉
月は、皐月から手渡されたカップに躊躇いがちに口をつけた途端、すーっと鼻を抜け
て口中に広がる心地よい香りに思わず溜息を漏らしたものだ。それに加えて、舌の上
に広がる上品な甘み。おそらく、精神を落ち着かせる作用のあるハーブで香り付けを
して、レンゲのハチミツを溶かしたのだろう、確かに心が昂ぶって寝つけない時には
ぴったりの飲み物だった。気がつけば一口二口とミルクを飲み進め、やがてカップが
空になった頃にはすっかり気分が落ち着いて、そうして、皐月が再び童話の読み聞
かせを始める中、いつしか穏やかな寝息をたて始めたのだった。
 体を覆っていた毛布を剥ぎ取られた今、葉月は、眠りについた時と同じパイル地の
ワンピナイティ姿だった。けれど、まるで同じというわけではない。皐月に寝かしつけ
られて渋々横になった時にはよく乾いて糊が利いていたシーツの、葉月のお尻が載
っている部分が、今はぐっしょり濡れてうすいシミになっていた。そうして、入浴の後に
履かされたナイティのショートパンツは言うに及ばず、その下のショーツも、その内側
に装着したナプキンも、シーツに負けないくらいびしょびしょになってしまっていたのだ。
285名無しさん@ピンキー:2008/08/31(日) 22:20:42 ID:b2bIbHeo
計画的おねしょキター!!
286名無しさん@ピンキー:2008/09/01(月) 01:53:40 ID:sN6AcOzB
皐月、御主も悪よのぉ…ぐへへへへ
28720 ◆JSxcaNkD96 :2008/09/01(月) 06:49:33 ID:aYqMtgJf
「それにしても、すごいわね、あんた。今日から保育園の年少さんだっていったら、本
当に年少さんみたく、おねしょまでしちゃうなんて。そのなりきりよう、感心しちゃうわ」
 皐月は、ナイティのショートパンツについたシミとシーツのシミにじっと目を凝らして、
さも感心したように言った。
「ち、違う……そんなじゃない……」
 葉月が顔をそむけたま力なく言って、よく見ていないとわからないほど小さく首を振っ
た。
「違う? 違うって、何が違うって言うのよ?」
 間髪を置かず皐月が聞き返す。
「……おねしょじゃない。おねしょなんかじゃない……」
 葉月は声を絞り出すようにして応えた。けれど、まるで説明にはなっていない。
「おねしょじゃないですって? あらあら、何を言い出すかと思ったら、そんな見え透い
た嘘なんかついちゃって。保育園のお昼寝の時間にもいるのよね、そんな子が。おね
しょをしちゃったのをごまかすために、暑かったからいっぱい寝汗をかいて、それでお
布団が濡れちゃったんだとか、水筒の麦茶をこぼしちゃったんだとか。ほんと、子供っ
ていうのは、大人からみればすぐにばれちゃうような嘘でも、大真面目な顔をしてそん
なふうに言い張るんだもの、おかしくってたまんないわ。ま、もっとも、そんなとこが可
愛いんだけどね」
 皐月は小馬鹿にしたように応じてから、がらりと口調を変えて続けた。
「でも、そんなに恥ずかしがらなくてもいいのよ、葉月ちゃん。だって葉月ちゃんは、今
日から保育園に通うようになったばかりの、まだ小っちゃな女の子だもん。年少さん
の中でも一番あとから保育園に入った一番小っちゃな妹だもん、おねしょなんて当た
り前。だから、恥ずかしがらなくていいんだよ。さ、いつまでもぐずってないで、新しい
パンツを穿こうね。新しいパンツを穿いて、新しい制服を着て、お友達がたくさんいる
保育園に行こうね。先生たちも、みんな、可愛い年少さんの葉月ちゃんが来るのを待
ってるから」
 そんなふうに葉月のナイティとシーツがぐっしょり濡れているのがおねしょのせいだ
と信じて疑わない様子の皐月だが、実を言うと、それがおねしょなどではないことを充
分に承知していた。それもその筈、ナイティの股間と敷布団をびしょびしょに濡らした
張本人は、皐月自身だったのだから。
288名無しさん@ピンキー:2008/09/01(月) 07:10:45 ID:SjPRJIbx
薬による仕込みじゃないのか…
28920 ◆JSxcaNkD96 :2008/09/01(月) 08:00:29 ID:aYqMtgJf
 昨夜、なかなか寝ようとしない葉月に飲ませたホットミルク。その中には、睡眠導入
剤が混入していた。穏やかな効き目の鎮静剤とは違い、副作用の恐れがある睡眠導
入剤は入手が困難だ。それを、園長が自分の友人である女医に依頼して処方箋を書
いてもらって近くの薬局で手に入れ、昨日の面談を終える際、そっと葉月に手渡して
いたのだ。厳密に言えば正式な処方箋ではないが、葉月とずっと生活を共にしていて
葉月の身長や体重、食物アレルギーの有無や特定の薬によって体調を崩したことが
あるかないかといったことまで事細かに把握している皐月から得た情報に基づいて作
成させた処方箋だから、それで入手した睡眠導入剤で葉月の体が変調をきたす恐れ
はない。ハープの香り付けも、少し強いハチミツの甘みも、ミルクに混入した睡眠導入
剤のことを葉月に気づかせないためだったなのは言うまでもない。
 そうして葉月を強引に眠らせて部屋をあとにした皐月は、明け方近くになって再び葉
月の部屋に足を踏み入れたのだが、その手には、一本のペットボトルがあった。ペット
ボトルを満たしているのは、冷たくもなく熱くもなく、ちょうど人肌くらいの温度に調整し
たぬるめのお茶だった。足音を忍ばせて部屋に入って来た皐月は、レースのカーテン
越しに窓から差し込む月の明かりだけを頼りに葉月の体から毛布を剥ぎ取り、ナイテ
ィのショートパンツとショーツをずりおろして、ショーツに装着したナプキンの内側に、ペ
ットボトルのお茶をそろそろと注ぎ込んだのだった。それも、ナプキンが吸い取れる量
を遙かに越えて、お茶が外側に沁み出し、敷布団とナイティが大きなシミになるくらい
たっぷりと。
 そう、皐月がペットボトルから葉月の下腹部に注ぎかけたお茶こそが、このおねしょ
の正体なのだった。
 やがてペットボトルを空にした皐月は、睡眠導入剤が効いているのに加え、お茶が
適度な温度に調整されているため肌に対する刺激が全くなかったことも相まって、ま
るで目を覚ます気配もなくすやすやと安らかな寝息をたて続ける葉月に背を向けて部
屋から出て行き、そうして、あらためて、起床時間を見計らってドアを開けたのだった。
 皐月が起こしに来る少し前に目を覚ましていた葉月は、まだぼんやりしたままの意
識の中、下腹部から伝わってくるじとっと湿った感触に戸惑い、信じられない思いだっ
た。が、ナプキンに覆われた股間だけがじとじと蒸れるのとはまるで違う下腹部全体を
包み込むような重く濡れた感触に、思わず手を伸ばして確認してみても、掌に触れる
ぐっしょり濡れた感触は気のせいなどではなかった。そうして、思わぬ事態にどう対処
していいのかわからずあれこれと逡巡していたのだが、結局、葉月には、そうこうして
いるうちに廊下から聞こえてきた足音に気づき、皐月がドアを開ける直前に毛布の中
にもぐりことしかできなかったというわけだ。
29020 ◆JSxcaNkD96 :2008/09/01(月) 10:14:26 ID:aYqMtgJf
「……おねしょなんかじゃない。葉月、おねしょなんかしない……」
 自分のことを徹底的に子供扱いして言う皐月の顔を恨みがましく横目でちらと見上
げ、葉月は唇を噛んで訴えかけた。
「母さんから聞いたんだけど、あんた、おむつ離れが早かったそうよ。昼間のおむつは
一歳ちょっとで要らなくなったし、夜のおむつも、それから間もなく外れたんだって。な
のに、大学生になってまたおねしょが始まっちゃうなんて皮肉なものね。でも、いいじ
ゃない。あんた、本当は大学生だけど、年少さんの女の子として保育園に通うんだか
ら、おねしょをしちゃってもちっとも変じゃないんだもん。ひょっとしたら、おむつ離れが
早すぎたせいで、母さんに甘えられる期間が短くて、それが欲求不満みたいになって、
ずっと心の底に溜まってたんじゃないかな。で、また保育園に通うようになる初めての
日の今朝、欲求不満のはけ口を探して、それで、おねしょしちゃったんじゃないかな。
そう考えれば辻褄が合うのよね、十八歳にもなっておねしょしちゃった事情の」
 葉月の訴えに対して、それが自分の企みだということはまるでおくびにも出さず、偽
りのおねしょが葉月自身に起因するものだと信じ込ませるために、しれっとした顔で皐
月が言った。
「そ、そんな……」
「でも、それでいいのよ。せっかくまた保育園に通えるようになったんだから、存分に
子供に戻って、母さんに甘え足りなかった分、今度はたっぷり私に甘えればいいの。
おむつ離れが早くて手のかからない葉月くんじゃなく、いつまでもおねしょが治らなく
て手がかかってしようのない甘えん坊の葉月ちゃんとしてね」
 皐月は葉月の横顔に向かって笑いを含んだ声でそう言ってからすっと体の向きを変
え、壁際に配置した整理タンスの前に歩み寄ると、手早く引出を引き開け、新しいショ
ーツを取り出しながら、最後の方をどこか意味ありげに付け加えてこんなふうに言った。
「じゃ、パンツを穿き替えてパジャマを制服に着替えようね。――今朝はお姉ちゃま、
ちょっと寝坊しちゃったから、急がないと水無月のおばちゃまに迷惑をかけちゃう」

                  * * *

 その後、大急ぎで着替えさせられた葉月は、朝食も与えられないまま皐月に手を引
かれてマンションから連れ出され、通園バスを待つため歩道の端に立たされた。
 朝食を口にできなかったのは皐月が「お姉ちゃま、ちょっと寝坊しちゃったから、急
がないと」と繰り返し言って慌てて葉月を連れ出したせいだ。これまでなら他の保育士
とローテーションを組んで順番に受け持っていた添乗係を今日からは毎日一人でこな
さなければならなくなったのに目覚まし時計を合わせ直し忘れていたため大慌てにな
ってしまったと皐月は説明するのだが、実のところ、それは、でっちあげの口実にすぎ
なかった。本当のことを言えば、皐月は、葉月の下腹部を偽りのおねしょでびしょびし
ょに濡らした明け方からこちら、ずっと起きていて、たっぷり時間をかけて普段よりも
丹念に化粧を施すことができたほどだ。そうしておきながら、皐月は、葉月の下腹部
にペットボトルのお茶を注ぎかけた後、ベッドの枕元に置いてある目覚まし時計が起
床時間になっても鳴らないようベルを止めるボタンを押しておき、大急ぎで準備をしな
いと通園バスに乗り遅れるというぎりぎりの時刻になるまで葉月を起こさないでおいた
のだった。
 わざわざそんなことをしたのは、葉月に、トイレに行く時間を与えないようにするため
だった。結果として朝食を摂る時間も奪ってしまうことになったが、それはあくまでも副
産物にすぎない。皐月の狙いは、葉月に朝一番のトイレを使わせないようにするとこ
ろにあった。
291名無しさん@ピンキー:2008/09/01(月) 14:48:34 ID:joGYN1Vt
尿とお茶の違いぐらいわかりそうだが動揺していてわからなかったということか
29220 ◆JSxcaNkD96 :2008/09/01(月) 14:53:02 ID:aYqMtgJf
 むろん、皐月が葉月にトイレを使わせなかったのは、保育園で更に恥ずかしい目に
合わせて、それを口実に、葉月が自分や弥生、それに他の保育士たちの言いつけに
従わざるを得なくなるよう仕向けるためだった。だが、葉月は皐月のそんな企みには
まるで気づいていない。悪だくみに気づいていないどころか、却って、皐月が自分を急
かす理由にしても、要らぬパンツの穿き替えなどで余計な時間を費やしたせいもあっ
てのことだとさえ思い込み、通園バスに乗り遅れないようにと急かされるままマンショ
ンから連れ出されるのを拒むことができないでいた。

 待つほどもなく水無月の運転するバスがやって来て、皐月に背中を押されおずおず
とステップに足をかけた葉月は、運転を担当する水無月の他に既に先客が乗り込ん
でいるのに気づいて、ぎょっとしたように両目を大きく見開いた。
 先客は二人。
 一人は、自分が通う中学校のジャージを着た芽衣で、水無月が座っている運転席と
通路を挟んだ反対側、バスの乗降口に近い一番前の席に腰かけていたのが、足早
に近づいてきて、ステップを昇る葉月に向かって優しく手を差し伸べている。
 そしてもう一人は、運転席のすぐ後ろに腰かけている正太郎だった。
「おはよう、葉月ちゃん。今日からよろしくね」
 二人の存在に驚いてステップを昇る脚を止めてしまった葉月の体に腕を絡め、強引
に通路へ引き上げるようにしながら、芽衣は声を弾ませて言った。
 一方、正太郎は、芽衣が葉月の体を引き上げる様子をじろじろ眺めながら、わざと
ぶっきらぼうな口調で
「おい、葉月、あまり姉ちゃんに手間かけさせるんじゃねーぞ。ま、葉月は今日から保
育園に通うようになったばっかの年少さんのちび助だから手間かけさせるのは仕方な
いけど、うちの姉ちゃんを困らせるようなことをしたら、俺が許さないからな」
と言った後、少し間を置くと、鼻の下を人差指の横腹でごしっと擦り、微かに頬を染め

「迷惑かけるんだったら、姉ちゃんじゃなく、俺にしとけよ。俺、年長さんで、保育園の
ことはなんでも知ってるから、どんなことでも教えてやるよ。だから、わかんないことが
あったら俺に訊けよ。保育園のことだったら、姉ちゃんより俺の方がよく知ってるんだ
からな。それに、年長や年中のやつらに苛められそうになったら俺に言いつければい
いんだからな。俺、葉月を苛めるやつがいたら、こてんぱんしてやっからさ。姉ちゃん
より俺の方が頼りになるんだから、そのこと、忘れちゃ駄目だぞ」
と続けた。
29320 ◆JSxcaNkD96 :2008/09/01(月) 14:58:07 ID:aYqMtgJf
>>291
 そういうこと
 本当は「匂いを嗅げば気づきそうなものだが、思いが
けない事態に動揺してしまった葉月には、ことの次第を
確認する余裕もなかった」というような一文を入れる予
定だったのに、すっかり忘れていました
 脳内補完よろしく
294名無しさん@ピンキー:2008/09/01(月) 21:14:25 ID:SjPRJIbx
皐月のキモ姉^H^H^H溺愛っぷりであれば、
皐月自身のオシッコを使ってもよかった希ガス。
もしくは、睡眠剤+利尿剤のダブルコンボでも。
295名無しさん@ピンキー:2008/09/01(月) 22:01:41 ID:KTmREG71
皐月はそこまでキモ姉って感じがしない。本命は弥生の気が・・・
296名無しさん@ピンキー:2008/09/01(月) 23:15:52 ID:sGtjMnQa
弥生と葉月の絡みが楽しみでならない
29720 ◆JSxcaNkD96 :2008/09/02(火) 06:45:51 ID:DJyv2Ddq
 わざとぶっきらぼうを装ってそんなふうに言う正太郎だが、それが照れ隠しなのは
明かだった。お気に入りの女の子である葉月に対して「何か困ったことがあったら僕
がなんとかしてあげるから心配しなくていいんだよ」というような意味のことを言いたい
のに、それが照れくさくて、ついつい、ぶっきらぼうな口調になってしまっているのが、
ほんのりと赤く染まった頬を見れば一目瞭然だ。「うちの姉ちゃんに手間かけさせるん
じゃねーぞ」と言ったのも、芽衣のことを思ってのことなどではなく、ことあるごとに自分
に頼ってほしいからというのがその理由に違いない。
「ど、どうして芽衣ちゃ……芽衣お姉ちゃまと正太郎お兄ちゃまが乗ってるの?」
 思いがけない再会に昨日の水族館のトイレでの痴態を思い出してしまいながら、葉
月はおそるおそる訊いた。
「うふふ。私は葉月ちゃんと同じなんだよ」
 葉月の問いかけに、芽衣は悪戯っぽく笑って応えた。
「は、葉月と同じ?」
 要領を得ない顔で葉月が聞き返す。
「そう、葉月ちゃんと同じ、職場体験。つまり、保育士さんたちが保育園でどんなお仕
事をしているのか、実際に体験させてもらうことになったの。ほら、昨日、葉月ちゃん
のお姉さん――御崎先生が私に耳打ちしてたでしょ? あれが、つまり、よかったら
保育園で職場体験させてもらえるよう園長先生のお許しを貰ってあげてもいいわよっ
ていう御崎先生からのお誘いだったのよ。もちろん、私はすぐにお願いしたわよ。葉
月ちゃんもそうだけど、私も将来は保育士さんになりたくて仕方ないんだもん。それに、
せっかく知り合いになれた可愛い葉月ちゃんと少しでも一緒にいたいし。だから、葉月
ちゃんと同じ保育園で職場体験させてもらうことにしたの」
 芽衣はいかにも嬉しそうにそこまで一気に早口で説明し、それから、少し間を置いて
付け加えた。
「でも、何から何まで葉月ちゃんと同じってわけじゃないんだけどね。葉月ちゃんは年
少さんの園児として保育園生活を経験するけど、私は保育士の見習いとして職場体
験をするのよ。だって、中学生にもなって、もういちど保育園児に戻るなんて変だもん
ね。でも、葉月ちゃんはまだ小学生だし、とっても可愛いから、保育園児に戻るのもい
いと思うよ。だって、実際、保育園の制服がこんなに似合ってるんだもん。正直言って、
体の大きな葉月ちゃんが年少さんになって保育園に通うことになってるって御崎先生
から昨日教えてもらった時、なんだか変に思ってたけど、これなら、ちっとも変じゃな
いよ。葉月ちゃん、私より背が高いけど、でも、保育園の制服、とっても似合ってるよ。
背が高いことさえ気にしなかったら、どこから見ても可愛い保育園児だよ。それも、短
いスカートから可愛いパンツをちらちら見せてるとこなんか、年少さんそのものだよ。
うん、これなら大丈夫。他の子供たちに混ざっても変じゃないから自信を持って」
29820 ◆JSxcaNkD96 :2008/09/02(火) 08:08:15 ID:DJyv2Ddq
「そ、そんな……」
 芽衣は親切心から、初登園の葉月を元気づけようとして「自信を持って」と言ったの
だろうが、当の葉月にしてみれば、保育園の年少さんにしか見えないわよと言われて
も、なんの慰めにもならないどころか、むしろ、羞恥をこれでもかと煽りたてられるば
かりだ。しかも、制服に着替えさせられた時から気になって仕方のなかったスカート
丈の短さを改めて指摘され、つい顔が真っ赤になってしまう。
「なに恥ずかしがってんだよ、葉月。おまえ、ほんとは小学生かもしんないけど、今日
からは年少さんなんだろ? うちの保育園の年少さんの女子、パンツが見えたくらい
で恥ずかしがってる子なんていないぞ。俺がスカートめくりしてやったらきゃっきゃ言
って喜んでるくらいなんだから、葉月もそんな恥ずかしがらなくていいんだよ」
 顔を真っ赤に染めておずおずとスカートの裾を押さえる葉月に向かって、つっけんど
んを装った正太郎の声が飛んできた。そうして、どこか照れくさそうな声が続けて飛ん
で来る。
「それに、そのパンツ、葉月にとっても似合ってるぞ。俺、女の子の好きなキャラなん
てあまりよく知らないけど、でも、可愛いと思うぞ、それ。だから、パンツが見えても恥
ずかしがらなくてもいいんだぞ。あまり恥ずかしがってばかりじゃ姉ちゃんに手間かけ
させることになるんだから、いい加減にしとかないと駄目なんだぞ。葉月にお似合いの
可愛いパンツなんだから、恥ずかしがることなんてないんだからな。いいな、わかった
な?」
 それも正太郎なりの気の遣いようなのだろうが、ついさっきの芽衣の言葉と相まって、
葉月の羞恥を際限なく掻き立ててやまない。
 赤い顔で俯いたまま何も言えないでいる葉月と、幼い妹を気遣うしっかり者の姉さな
がらの芽衣、そして、腕白盛りながらもお気に入りの女の子の気を惹こうとしてあれこ
れ口を出す正太郎。そんな三人の様子を眺めながら、皐月は思わず胸の中でにやり
とほくそ笑まずにはいられなかった。水族館のトイレで出会った時、この姉弟を自分の
企みを進めるための持ち駒として利用するのもわるくないかなとふと思いつき、芽衣と
正太郎をさりげなく計画に引き入れた皐月の狙いはどうやら的中したようだ。
29920 ◆JSxcaNkD96 :2008/09/02(火) 09:32:35 ID:DJyv2Ddq
「さ、バスを出すから、芽衣さんも葉月ちゃんも座ってちょうだい。立ったままだと危な
いからね」
 一瞬しんと静まりかえったバスの車内に、水無月の声が響き渡った。
「そうね、いつまでもぐずぐずしてちゃ、次の待合場所に着くのが遅くなっちゃう。芽衣
さんは元の席について、葉月ちゃんもどこかに座りなさい」
 水無月の声を受けて、皐月がぽんぽんと手を打ち鳴らした。
 皐月に言われるまま芽衣はもともと座っていた一番前の座席に腰かけたが、初めて
通園バスに乗る葉月はどこに座っていいのかわからず、おろおろするばかりだ。
「何してんだよ、葉月。俺の横に座ればいいんたよ。ほら、景色が見えるよう窓の方
に座らせてやるから、こっち来いよ」
 運転席のすぐ後ろに座っていた正太郎がひょいと通路に立って、二人がけの席の
内、自分が腰かけていた窓側の席を指差した。
 一瞬どうしようか躊躇った葉月だが、そこに座らせてもらいなさいと皐月が目で指図
しているのに気づくと、おどおどした様子で、正太郎に言われるまま窓側の席に腰か
けようとした。が、慣れないスカートに加え、園長や皐月の企みでスカート丈が短く仕
立てられているせいで、腰をおろす時に制服の裾が座席の手すりに引っかかってシ
ナモロールの女児用ショーツが丸見えになってしまう。
「わ……きゃ!」
 思わず男声で喚いてしまいそうになった葉月だが、慌てて少女めいた声色で悲鳴
をあげ、もたもたした身のこなしで手すりの端に引っかかったスカートの裾をたぐり寄
せた。だが、なにぶん慣れないスカートと初めての車内ということもあり、ようやくスカ
ートの乱れを整えて座席に腰をおろすまでにはたっぷりの時間が必要だった。むろん、
その間、葉月のすぐ隣にいて通路側の席に座ろうとしてした正太郎の目にショーツの
純白の生地がさらされたままだった。
「葉月、おまえ……」
 やっとのこと座席につき、ぎゅっと閉じた両脚の上に通園鞄を置いた葉月のスカートの裾
の裾から覗く太腿をちらちら見ながら、正太郎はなんとなく納得したような口調で言っ
た。
「おまえ、今日も小っちゃなおむつしてるんだな。まだ、あの日が終わらないのかよ。
でも、だったら、パンツが見えて恥ずかしがるのも無理ないかもな。だって、保育園じ
ゃ、小っちゃなおむつなんてしてる女の子、一人もいないもん。一人だけ小っちゃなお
むつだったら、他の女の子と違うから、そりゃ恥ずかしいかもな。けど、気にすんなよ。
保育園の他の女の子もいつかは小っちゃなおむつを使うことになるんだろ? だった
ら葉月が恥ずかしがることなんてないんだぞ。女の子は誰だってみんな小っちゃなお
むつのお世話になるんだったら、葉月は威張っていいんだぞ。年少さんの中でも一番
の妹分なのに誰よりも早く小っちゃなおむつを使ってるんだぞって威張っていいんだ
からな。――おむつっていったら赤ちゃんみたいだけど、あの日に使う小っちゃなお
むつは、女の子が大人の女の人の体になったシルシなんだって姉ちゃんが言ってた。
やっぱ、葉月、本当は俺なんかよりもずっと姉ちゃんなんだな。そうだよな、ほんとは
小学校の五年生なんだもん、ずっとずっと年上の姉ちゃんなんだよな。でも、保育園じ
ゃ、俺の方がお兄ちゃんだってこと、忘れちゃ駄目だぞ。保育園じゃ葉月は年少さん
なんだから、俺の言う通りにしてればいいんだぞ。なんだったら、ずっと俺のそばにい
てもいいんだからな」
300名無しさん@ピンキー:2008/09/02(火) 22:15:41 ID:S2rB89da
正太郎ってまだ幼稚園児ですよね?
なんか饒舌すぎて小学校中〜高学年位に感じる…
(ストーリー上必要なのであれば全然構いませんが)
301名無しさん@ピンキー:2008/09/02(火) 22:54:40 ID:VHCYDSOC
最近の幼稚園児はおませさんが多いんだよ
302名無しさん@ピンキー:2008/09/03(水) 01:35:01 ID:CkDrfxzF
もうこのスレが生活の一部だな
30320 ◆JSxcaNkD96 :2008/09/03(水) 07:16:05 ID:Nc2/F+29
 もたもたしているうちに、ショーツだけでなくナプキンの羽根も見られてしまったに違
いない。葉月には、返す言葉がなかった。
 そこへ、芽衣の激しい調子の声が飛んでくる。
「こら、バカ正太郎。昨日も注意したのに、まだわかんないの!? 女の子が恥ずかしが
るようなことを何度も言うんじゃないわよ、んとに」
 バスが走り出したから叱責だけですんだものの、バスが停まっていたら、席を立って
こちらにやって来た芽衣に正太郎は頭をぽかりとやられていたところだ。
「今度また同じようなことをしたら、その時は本当に承知しないからね、憶えといで。―
―ごめんね、葉月ちゃん、弟がバカなこと言って。あ、そうだ。ね、ね、葉月ちゃんが
御崎先生と一緒に住んでるマンションって、あの建物?」
 芽衣は自分の席から正太郎の顔をきっと睨みつけてから、話題を変えるためだろう、
どこかとりなすような口調で葉月に言って窓の外を指差した。
「え? あ、そうです。生け垣の向こうに見えてる古い木造の建物がそうです」
 葉月は芽衣が指差す方に顔を向けてこくりと頷いた。
「へーえ、なんかマンガにでも出てきそうな建物だね。うわ、時計台が付いてて、いい
感じ。それで、葉月ちゃんたちのお部屋はどれなの?」
 芽衣は歓声をあげて、重ねて訊いた。
「お姉ちゃまと私が住んでるのは、端から二番目の……」
 そこまで言って葉月は大きく両目を見開き、唇を震わせて押し黙ってしまった。
 自分の部屋のベランダに布団が干してあるのが見えたのだ。出かける前、忘れ物
を思い出しと言って、皐月がマンションのエントランスから部屋に戻った。あの時、葉
月が寝ていた子供用ベッドから敷布団を剥ぎ取ってベランダの手すりに掛けたに違い
ない。しかも、よくよく目を凝らしてみれば、目が覚めた時には薄かったシミが、夏の
日差しを受けて乾いてきたせいか、幾らか色が濃くなっているようだ。
 中学生の芽衣は視力の発達が殆どピークに達する年ごろだし、保育園年長クラス
の正太郎にしても、ほぼ大人並みの視力に達している頃で、走り出したバスの中から
でも、ベランダの手すりに干してある布団を見落とすことはあり得ない。そして、おそら
く、花柄のシーツに広がった薄茶色のシミを見逃すことも。

 
 
30420 ◆JSxcaNkD96 :2008/09/03(水) 08:16:42 ID:Nc2/F+29
 一瞬はそれがどういうことなのかわからなかった二人だが、すぐに事情を察したよう
で、芽衣は困ったような顔をしてバスの窓から目をそらした。けれど、まだ幼い正太郎
には芽衣のような気遣いはまるで無縁だ。
「なんだ、葉月、おねしょしちゃったのかよ。おまえ、ほんとは小学校の五年生なんだ
ろ? 小学生のくせにおねしょしちゃうなんて、だっせーな。あ、わかった。おまえ、保
育園の先生になりたいから『しょくばたいけん』とかで年少さんになって保育園に通う
ことになったって言ってたけど、ほんとは違うんだろ? おまえ、小学生のくせにおね
しょが治らなくて、それで、小学校から保育園に、ええと、なんていうんだっけ、ほんと
の年よりも下の年の子が行く学校へ行かされるのって……あ、そうそう、『らくだい』っ
ていうんだ、おまえ、小学校から保育園に『らくだい』させられちゃったんだろ? そう
だよな、小学校のお姉ちゃんが保育園の年少さんだなんて、そんなの、どう考えても
おかしいもん。でも、これでわかったぞ。葉月、ラクダイっ子なんだ。けど、だったら、そ
れでいいや。年少さんでもほんとは小学生のお姉ちゃんだからいろいろ遠慮しなきゃ
いけないかなって思ってたんだけど、ラクダイっ子だったらほんとの年少さんと同じだ
もん、遠慮することなんてないんだからな。いいな、葉月? 俺、おまえのこと、小学
校のお姉ちゃんだなんてちっとも思わないからな。おまえ、年少さんのちび助なんだ
から、年長さんでお兄ちゃんの俺に逆らったりしたら駄目なんだぞ。ま、おねしょしちゃ
うような恥ずかしいラクダイっ子だもん、俺に逆らったりできるわけないよな」
 正太郎は、ベランダに干してある布団とシーツについているシミとが何を意味するの
か理解すると、まるで無遠慮に囃したてた。そうして、ふと何かを思い出したような顔
になると、隣に座っている葉月の横顔をじろりと見上げてこう言った。
「さっき、俺、葉月に、小っちゃいおむつは大人の女の人のシルシだから威張っていい
んだぞって言ったけど、あれ、取り消しにする。姉ちゃん、小っちゃいおむつを使ってる
時、おねしょやおもらしをしたことなんてないんだぞ。母ちゃんもそうなんだぞ。姉ちゃ
ん、大人の女の人の体になるとおねしょやおもらししちゃいそうになることが月に何日
かあるから小っちゃなおむつを使うんだって俺に言ったけど、姉ちゃんも母ちゃんも布
団を汚したことなんて一度もないんだからな。だから、小っちゃなおむつって、ほんと
はおしっこなんかじゃなくて、別のことに使うもんなんだって、俺、思ってるんだ。ほん
とはどんなことに使ってるのか知らないけど、でも、そう思うんだ。俺みたいな小っちゃ
い子には難しいことだからまだほんとのことを教えてくれないけど、俺が姉ちゃんくら
いの年になったらほんとのことがわかると思う。だから、今は、ほんとのことを教えてく
れよって姉ちゃんにせがんだりしないで我慢してるんだぞ。――けど、葉月は姉ちゃ
んや母ちゃんとは違う。葉月はほんとにおねしょで布団をびしょびしょにしちゃうんだ。
だから、葉月の小っちゃなおむつは、姉ちゃんや母ちゃんの小っちゃなおむつと同じゃ
ないんだ。俺、なんとなくわかるぞ。どうしてわかるかのか、それはわかんないけど、
でも、わかるんだ。葉月、おまえ、おねしょしちゃうんだったら、小っちゃなおむつなん
かじゃなくて、ほんとのおむつを使った方がいいんじゃないのか? 小学校から保育
園に落とされるラクダイっ子だもん、ほんとのおむつの方がお似合いなんじゃないの
か、おまえ」

た。
30520 ◆JSxcaNkD96 :2008/09/03(水) 08:22:48 ID:Nc2/F+29
 ↑
 最後の行の「た。」は、文章を見直していた
時の名残の消し忘れです。無視してください

 それと、たしかに正太郎は保育園児にした
ら饒舌というか、喋りが達者すぎww
 ただ、本当の園児の喋りを文書にすると何
を言っているのかわからなくなるから勘弁し
てやってください。それと、考え方も大人顔負
けなわけですけど、狂言回しの役を受け持た
せているということで納得していただければ
幸いです(体は子供・頭脳は大人という設定
ではありませんので、その旨、先に断ってお
きます)

30695:2008/09/03(水) 08:32:06 ID:SXiRA2Ew
仕事が立て込んでいて、絵を描く時間が思うように取れないのですが、いま、1枚、おねしょが見つかったシーンの線画まで書き終わったところです。
今日中には部分色付けのものをアップ出来そうな感じです。
30720 ◆JSxcaNkD96 :2008/09/03(水) 09:45:51 ID:Nc2/F+29
「もうそのくらいにしときなさいよ、正太郎」
 さっきにも増して鋭い芽衣の声が飛んできた。
「けど……」
 尚も何か言おうとする正太郎だったが、顔をこちらに向けてこれ以上はないくらい怖
い目で睨みつける芽衣に、ちぇっと舌打ちして口をつぐむ。
「さっきもそうだったけど、本当にごめんね、葉月ちゃん。バカ弟の言うことなんて気に
しないでね。――ったく、こんなことになるんだったら、正太郎は保育園に預けて私一
人でバスに乗りゃよかったわ」
 芽衣は、ようやく正太郎が口を閉ざしたのを見届けると、シートベルトで背もたれに
押さえつけられた体を窮屈そうに捻り、葉月の方に向き直って申し訳なさそうに言っ
て、視線を正太郎の顔に移し、憮然とした表情で呟いた。
「あ、そういえば、どうして二人ともバスに乗っていたの? 確かに、昨日、職場体験
のお許しを園長先生から貰ってあげるって芽衣さんに言ったけど、添乗係までお願い
した憶えはないわよ。それに、二人のお家は保育園とあまり遠くないから、芽衣さん、
いつも歩いて正太郎くんを送り迎えしてたじゃない。なのに今日に限ってバスに乗っ
てたの、何かわけがあるの?」
 おねしょ布団を二人に見られて唇を噛みしめ顔を伏せている葉月の様子を面白そう
にちらちら見やりながら、前から二番目の座席に腰をおろした皐月は、芽衣の肩越し
に言った。
「ええ、昨日、先生たちより先にトイレから出た所で、水無月さんに会ったんです。なん
でも、ベンチに座って待ってらしたらしいんだけど、先生たちがなかなか出てこないか
ら気になって様子を見にいらしたらしくて、その時、私がトイレの中で何があったのか
事情を説明して、それで、職場体験させてもらえることになったことも話したんです。
そしたら、もしも早起きが苦にならないんだったら、添乗係も体験させてあげようかっ
水無月さんにおっしゃっていただいて。それで、今朝、水無月さんが車庫からバスを
出す時間に合わせて保育園に行って乗せてもらったんです」
 皐月の問いかけに、芽衣はそこまで簡単に説明して、通路の向かい側の運転席に
座っている水無月の横顔を見た。
「そういうことなのよ。芽衣さんに添乗係もしてみないかって誘ったこと、昨日のうちに
御崎先生にも話しておいてもよかったんだけど、ちょっとびっくりさせちゃおうかなって
思って黙っていたの。お楽しみは後でってことでね」
 水無月が、前方を注視しながらも悪戯ぽっく微笑んで小さく頷いた。
30820 ◆JSxcaNkD96 :2008/09/03(水) 09:47:04 ID:Nc2/F+29
>>306
 首を長くして楽しみに待っていまつ
309名無しさん@ピンキー:2008/09/03(水) 12:14:00 ID:F6xqhFOq
毎回楽しみにしてます
台詞なげー
31095:2008/09/03(水) 17:37:27 ID:LCVMn28I
待たれて首が長くなっては困るのでw
http://www.gazoru.com/g-e0f7717acd674687619fbafc958659f0.jpg.html

”うそ”おねしょを見つかる(見つける芝居に引っかかった)葉月。

次の1枚はバスの中は勘弁してほしい(バスの資料がないから)のです。
仕事もつまっちゃっているので・・・・
ちょこっと空きそうです。
31120 ◆JSxcaNkD96 :2008/09/04(木) 07:59:45 ID:Ekuzu37f
「ああ、そういうことだったの。それで、正太郎くんも芽衣さんについてバスに乗ってき
たってわけね?」
 皐月は納得顔で頷き、通路を挟んで反対側の席に座っている正太郎の横顔に目を
やった。
「そうなんです。私たちが保育園に行った時にはもう園長先生と水無月さんが何か打
ち合わせをしてらしたから、正太郎はそのまま園長先生に預かってもらうこともできた
んですけど、弟、どうしても私と一緒バスに乗ってくって言い張るもんだから、つい」
 芽衣は更に体を捻り、自分のすぐ後ろの席に腰かけている皐月に向かってそう言っ
てから、何やら思わせぶりに声をひそめて続けた。
「あの、どう言えばいいのかな……いつも歩いて通園してるからバスに乗るのが珍し
くて、それで私についてきたのかなと思ったんですけど、どうやら、本当の目的はそん
なことじゃなさそうなんです。正太郎のやつ、葉月ちゃんのことが大のお気に入りにな
っちゃったみたいで、だもので、ちょっとの間でも葉月ちゃんと一緒にいたくて、だから
通園バスに乗りたくてたまらなかったみたいなんです。昨日、水無月さんとお話してる
時、御崎先生さんと葉月ちゃんの所に最初にまわるって聞いて、それで、それについ
て行けば席はがらがらだから葉月ちゃんと一緒に座れるって考えたらしくて。ったく、
いつもは朝になって起こしてもなかなか布団から出てこないのに、こんな時は自分で
さっさと目を覚まして、まだ早いっていうのに私を起こしに来るんだから、現金なやつ」
「なるほど、そういうわけだったのね、二人揃ってバスに乗ってきたのは。正太郎くん
が妹のことを気に入ってくれたらしいのは昨日のうちに気づいていたけど、わざわざ迎
えに来てくれるなんて、ちょっとした白馬の王子様ってとこね。――よかったじゃない、
葉月ちゃん。入園早々、こんなに素敵なボーイフレンドができて。小学五年生と年長
さん、葉月ちゃんの方がちょっと年上だけど、保育園じゃ葉月ちゃんの方が下の年少
さんだから、ちょうど釣り合いがとれてるんじゃないかな。お姉ちゃまはまだボーイフレ
ンドがいないっていうのに妹の方が先でちょっぴり妬けちゃうけど、正太郎くんなら大
賛成よ。わからないことがあったらなんでも正太郎お兄ちゃまに教えてもらって、たっ
ぷり甘えるといいわ。正太郎くんも、葉月ちゃんのこと、優しくしてあげてね。まだまだ
一人じゃ何もできない年少さんになりたての女の子なんだから、ちゃんとリードしてあ
げてちょうだいよ」
 せっかく芽衣が声をひそめて説明したのに、皐月の方は芽衣の気遣いなどてんで
無視するかのように、わざと声を張り上げて、通路の向こうの座席に腰かけている二
人に向かってひやかすように言った。
31220 ◆JSxcaNkD96 :2008/09/04(木) 08:02:22 ID:Ekuzu37f
>>310
 イラスト、thx
>次の1枚はバスの中は勘弁してほしい
 ということでなので、なるべく早く保育園に到着
させるように頑張ります
313名無しさん@ピンキー:2008/09/04(木) 23:33:40 ID:l87oM/5D
ぴっしり書きすぎ
お願い改行したり間開けて
314名無しさん@ピンキー:2008/09/05(金) 02:29:44 ID:FzWm/+v8
>>313
作者さんの作風なんだから、それぐらい脳内変化しろよ
315名無しさん@ピンキー:2008/09/05(金) 03:33:20 ID:88VxwZXh
>>313
息継ぎないようなマシンガントークも個性
316名無しさん@ピンキー:2008/09/05(金) 06:27:08 ID:+FmQrPTU
隙間無く埋められた文字がまるで色弱検査かと
31720 ◆JSxcaNkD96 :2008/09/05(金) 06:52:15 ID:KDOQjtko
「……」
「な、なに言ってんだよ、姉ちゃん。それに、先生も。お、俺、葉月のことなんてなんと
も思ってないぞ。ただ、年少さんの新入生だからいろいろ面倒みてやるだけじゃんか。
そんなの、年長さんだもん、あたりまえのことだろ!」
 顔を伏せたまま何も言えないでいる葉月とは対照的に、正太郎はむきになって喚い
た。けれど、それが照れ隠しにすぎず、内心では満更でもなく思っているのは、芽衣
のことを『姉(ねえ)』ではなくちゃんと『姉ちゃん』と呼んでいることをみれば明かだっ
た。
「なに照れてんのよ、正太郎ったら。いいじゃん、御崎先生のお許しもいただいたんだ
から、このまま葉月ちゃんの王子様になっちゃえば? そんで、大人になるまでおつ
きあいを続けて、結婚までしちゃえばいいのよ。そしたら、葉月ちゃん、私のほんとの
妹になってくれるもん。可愛い葉月ちゃんがほんとの妹になって、でも私のことは『お
姉様』なんかじゃなく、やっぱ『芽衣お姉ちゃま』って呼んでもらって、うんと甘えさせてあ
あげるんだ。それだけ仲が良かったら小姑問題なんて起きないし――絶対そうしなさ
い、正太郎。途中で葉月ちゃんと別れたら、私もあんたと姉弟の縁を切ってやるから、
そのつもりでいなさいよ」
 こちらは、まるでひやかす様子もなく、半ば真面目な顔で芽衣が言った。
「じゃ、決まりね。まだおねしょの治らない年少さんの妹だけど、ガールフレンドにして
あげてちょうだい、正太郎くん」
 たまたま計画に引き入れた二人の存在が思わぬ効果をあげていることに胸の中で
ほくそ笑みつつ、皐月はしれっとした顔で言った。

                  * * *

 普段なら二運行に分けて園児たちを迎えにまわる送迎バスだが、小学校や幼稚園
が夏休みの間、保育園は自由登園ということになっていて、登園する園児は半分くら
いのものだから、一回の運行で済む。
 保育園の正門に横付けしたバスから、皐月と芽衣に誘導されて園児たちがぞろぞ
ろおり始めたが、一人の例外もなく、自分の席を立つ時も、通路を進む時も、ステップ
から地面におり立つ時も、みんな、まだ車内に残っている葉月の方にちらちらと目を
やっていた。もっとも、自分たちよりもずっと体の大きな女の子が保育園の制服、それ
も、誰も見たことのないピンクの制服を着て送迎バスに乗り合わせているのだから、
気になって仕方ないのも当然のことだろう。バスが停まるごとに園児たちが乗ってき
て葉月の存在に気づき怪訝そうな顔をするたび、皐月は「この子のことは保育園につ
いてから説明するからね」と言い聞かせていたものの、園児たちの疑念がもうそろそ
ろピークに達しているのは確かだ。

31820 ◆JSxcaNkD96 :2008/09/05(金) 08:30:23 ID:KDOQjtko
「ほらほら、いつまでもバスの中を見てないで、ちゃんと前を向いて歩くのよ。じゃない
と、石にけつまずいてころんしちゃうからね」
 皐月はバスからおりてくる園児一人一人に声をかけ、グラウンドで待っている各々
の受け持ち保育士たちの方に向かわせた。
 もちろん、芽衣も汗みずくになって手伝うのだが、なにせ慣れない仕事な上、園児
たちが一様に葉月の方に向かって好奇に満ちた目を向けたまま歩くものだから、全
員をバスからおろすのに、普段よりもたっぷり時間がかかるのはどうしても避けられな
かった。

 そうして、ようやくのこと、最後に残った葉月と正太郎が乗降口に姿を現す。
 だが、グラウンドで各々の受け持ち保育士の前に並びながらも好奇心満々といった
様子でこちらを見ている園児たちの視線を浴びて、葉月は足をすくめてしまった。救
いを求めるような目で皐月の顔を見つめ、昇降口の手すりをぎゅっと握りしめて、なか
なかステップに足をかけようとしない。
 それに対して行動を起こしたのは正太郎だった。
「いつまでぐずぐずしてるんだよ、葉月。ほら、手を引っ張ってやるから早くおりてこい
よ」
 身をすくめるばかりの葉月の様子見かねた正太郎は、自分が先にさっさとバスから
おりると、くるりと振り返り、すっと右手を差し伸べた。
 けれど、葉月はこわばった表情で弱々しく首を振るだけだ。
 と、正太郎が呆れたように言った。
「ったく、体は大きいくせに、バスからおりることもできないなんて、ほんと、葉月は一
人じゃ何もできない年少さんなんだな。いいや、おねしょも治らなくて小っちゃなおむ
つしてるから、赤ちゃんと一緒だな。だったら、バスからおりられないのも仕方ないよ
な。まだあんよも上手じゃない赤ちゃんなんだから、手すりにしがみつくしかできない
よな」
 そこまで言って正太郎は大人びた様子で肩をすくめてみせてから、にまっと笑って
続けた。
「けど、いつまでもそんな所にいると、パンツが丸見えになったままなんだぞ。葉月、
それでもいいんだな?」
319名無しさん@ピンキー:2008/09/05(金) 12:05:26 ID:E+NZLhF9
>>313
改行はされてる
320名無しさん@ピンキー:2008/09/05(金) 13:31:45 ID:+FmQrPTU

「いつまでぐずぐずしてるんだよ、葉月。ほら、手を引っ張ってやるから早くおりてこい
よ」


最後の
よ」 
こんなのが苛つくんだよ
321名無しさん@ピンキー:2008/09/05(金) 14:51:04 ID:trwFs177
苛ついてまで読まなくても良いんじゃないの?
322名無しさん@ピンキー:2008/09/05(金) 16:34:24 ID:NT1BEMlp
横に入れる文字数決めてるだけだ
323名無しさん@ピンキー:2008/09/05(金) 20:07:38 ID:mgBugKPz
つまんねーこと言ってるんじゃねー
324名無しさん@ピンキー:2008/09/05(金) 20:37:39 ID:eJGpnE4C
お前らも反応してんじゃねぇ
325名無しさん@ピンキー:2008/09/05(金) 20:39:42 ID:OUpfjx5v
1行の文字数が多目で空行少なくびっしりなので、
自分も読み辛いとは思っている。
しかし、まぁ作者の好きなようにやっとくれ。
326名無しさん@ピンキー:2008/09/05(金) 21:03:01 ID:j6/h00rW
作者を不快にさせるような事はいうな
327名無しさん@ピンキー:2008/09/05(金) 21:15:04 ID:dEYPvyID
改行ぐらい自分でコピペして治せばいいじゃんw
328名無しさん@ピンキー:2008/09/05(金) 21:36:48 ID:OUpfjx5v
さすが儲、些細な事にも噛み付いてくるな。
黒でも作者が白と言えば儲も「白!」と言いそうだな。
32995:2008/09/05(金) 22:19:35 ID:WeC+VMZw
>327
同意見。そうして縦書きに直して読んでますから。
330名無しさん@ピンキー:2008/09/05(金) 22:42:10 ID:tH/Nx3pw
>>328
まぁお前みたいなアホと違って楽しみを提供してくれてるわけだしな
的外れな事を好き勝手言うやついたらそりゃ噛み付くよw
331名無しさん@ピンキー:2008/09/05(金) 23:02:16 ID:b+j6THep
>>320
お前さんに指摘されるまで全く気にならなかったのに、
いちいち気になるようになってしまったぞ。
どうしてくれる(怒
332名無しさん@ピンキー:2008/09/05(金) 23:11:54 ID:OUpfjx5v
>330
的外れ?
少なくとも「びっしりで読み辛い」と思っているのが三人居るのは
事実だろ。(>313,>325,>329)
329は工夫しているようだが、逆にいうと工夫しないと
読み辛い、って事だろ。

事実に目を瞑って自分に都合のいい解釈するなよw
333名無しさん@ピンキー:2008/09/05(金) 23:29:45 ID:b+j6THep
>>332
無償で投下してくれてるものにそこまで要求するか?
自分の手を動かせ。

これだからゆとりは
334名無しさん@ピンキー:2008/09/05(金) 23:43:53 ID:CboRPoP/
>自分の手を動かせ。
きっと右手は忙しいんだよw
335名無しさん@ピンキー:2008/09/06(土) 00:44:03 ID:itnOlAOz
序盤が読みたいんだけど
336名無しさん@ピンキー:2008/09/06(土) 02:18:14 ID:b7eQgp+W
まーた始まった。
懲りねえアホ共だな。
337名無しさん@ピンキー:2008/09/06(土) 05:45:21 ID:mxqKCDc/
信者晒し上げ
33820 ◆JSxcaNkD96 :2008/09/06(土) 06:01:02 ID:e6cD+RS6
 正太郎の言う通りだった。もともと正太郎に比べれば葉月の方がずっと背が高い上、
バスの乗降口に立ちすくんでいる葉月を正太郎が地面から見上げている状態だから、
ただでさえ丈の短いスカートの中を覗き込むような格好になっていた。それに、時おり
吹く風のせいでスカートの裾がそよぎ、グラウンドの園児たちからも、ナプキンの羽根
はともかく、シナモロールのショーツは丸見えになっているに違いない。
 葉月は右手でスカートの裾を押さえ、左手を正太郎が差し伸べた手に向かってそろ
そろ伸ばした。
「それでいいんだよ。んと、葉月はぐずいんだから。いくら年少さんだからって、甘えて
ばかりじゃいけないんだぞ」
 正太郎は、のろのろ伸びてくる葉月の手をぎゅっと握り、お兄ちゃんぶった口調で言
った。
 突然、そこへ、どこか刺々しい女の子の声が飛んでくる。
「ふぅん、正太郎くん、いつもの時間に来ないからどうしたのかなって思ってたら、そう
いうことだったの。随分と仲が良さそうだけど、誰よ、その子。ひばり保育園の制服を
着てるけど、そんな色の制服なんて見たことないし、それに、その子、すっごく背が高
いよね。正太郎くんとどんな関係なの!?」
 バスをおりる園児たちの流れとは逆にグラウンドからこちらへやって来たその女の
子は、葉月の顔をきっと睨みつけ、少しばかり厳しい口調で正太郎に問い質した。
「あ、卯月ちゃん。あ、あの、この子は、葉月ちゃんっていって、今日から保育園に通
うことになってるんだよ。それで、葉月ちゃんは御崎先生の妹で……」
 正太郎の前に立ちはだかった女の子は笹野卯月という名前の、正太郎と同じクラス
の園児だった。正太郎と卯月は家が隣どうしの幼なじみなのだが、卯月の方が生ま
れ月が早く、この年ごろの子供どうしだとよくあるように女の子の方がおませさんにな
りやすいため、同じ年長とはいっても、いつも卯月の方がお姉さんぶっている。しかも、
卯月は正太郎のことを自分のボーイフレンドだと勝手に決めつけているため、たとえ
同じクラスの子でも、自分以外の女の子が正太郎と仲良くしていると機嫌悪そうに二
人の間に割って入ってくるという、いささか手に負いがたい存在だった。そんな卯月を
相手にして、つい正太郎の声がうわずってしまう。
「今日から保育園に通う葉月ちゃんですって? こんなに大きな子が?」
 苦手な相手を目の前にしておそるおそるといった感じで説明する正太郎の言葉に、
卯月は半ば驚き半ば呆れたような声を出した。
33920 ◆JSxcaNkD96 :2008/09/06(土) 06:06:41 ID:e6cD+RS6
>>335

ttp://trans.s6.x-beat.com/ の tr0425.zip に前スレ
をテキストファイルにしてうpしました
 よろしければどうぞ
34020 ◆JSxcaNkD96 :2008/09/06(土) 07:18:52 ID:e6cD+RS6
「そうなの。正太郎くんもちょっと言いかけたんだけど、私の妹なのよ。体は大きいけ
ど、年少さんなの。仲良くしてあげてね」
 おどおどした様子の正太郎に代わってそう応えたのは皐月だった。
「御崎先生の妹? 年少さん? こんなに体がおっきくて背が高いのに?」
 卯月はいかにも怪訝そうな顔をして重ねて訊いた。
「うん、そうなのよ。こんなに大きな体で年少さんだなんて変だと思うでしょうけど、後
で説明をしてあげるから、それまで待っててちょうだい。ほら、卯月ちゃんのクラス、あ
とは卯月ちゃんと正太郎くんだけよ。他のお友達はみんな揃って受け持ちの先生が
早くおいでって手を振ってるから、さ、列に並びなさい」
「……わかりました。後でちゃんと説明してくださいね。――じゃ、ほら、正太郎くんも
行きましょう。いつまでもその子の手を握ってないで、ほらったら」
 卯月は尚も要領を得ない顔で小さく頷くと、傍らに佇んでいる正太郎の手を引いてさ
っさと歩き出した。
「いつも、私がママに送ってもらって保育園に来たすぐ後、正太郎くんはお姉さんに送
ってきてもらうじゃない? なのに、今日はなかなか来ないから、病気かなって心配し
たのよ。でも、病気だったら、お家がお隣さんどうしなんだから、ママと私が出かける
前に何か言ってきてくれるんじゃないかなって思って、それで、どうしたんだろってずっ
と考えてたたんだから。もうすぐバスの子たちが着いて朝のご挨拶が始まるのに、や
っぱり今日はお休みなのかなって思ってて。そしたら、正太郎くん、バスからおりてく
るんだもん、びっくりしちゃったわよ。それも、私の知らない女の子と手をつないだりし
てさ。どうしてそんなことになったのか知らないけど、そうなるって前からわかってるん
だったら、ちゃんと私に話しておいてもらわないと困るじゃない。いつもいつも心配かけ
て、ほんと、男の子っていうのは、いつまで経っても子供なんだから。わかってるの、
正太郎くん? 私たち、もう年長さんなのよ。小っちゃい子のお手本にならなきゃいけ
ないんだから、もっとちゃんとしなさい。正太郎くんがちゃんとしないと、ガールフレンド
の私が恥ずかしい思いをするんだから。いいわね、わかったわね!?」
 卯月は叱責するようにそう言いながら、正太郎の手を引いて、自分たちのクラスの
園児が列をつくって待っている方に向かってずんずん歩いて行く。葉月に対しては大
威張りで「俺がなんでも教えてやるよ」と言っていた正太郎だが、卯月の前ではすっ
かり形無しの様子だった。
34195:2008/09/06(土) 10:11:08 ID:L5iVfm1m
>332さん
329に書いたものだけど、小説は全て縦書き(単行本とおなじように)で読む方が気持ちいいので誰の作品という事は関係無い。自分が読みやすい形にしているだけなので、そこのところを誤解しないでほしいものですがねw
作者の意向は気になりますけれど、編集可能な方式で公表しているものなので、閲覧も、自分に合った形にしたいのですよ。
342名無しさん@ピンキー:2008/09/06(土) 13:07:13 ID:iWMcouTR
卯月は完全に幼稚園児じゃないな
34320 ◆JSxcaNkD96 :2008/09/06(土) 14:17:28 ID:e6cD+RS6
「やれやれ、いつもあんな感じなんだから、正太郎もたいしたことないわね。葉月ちゃ
んみたいなおとなしい子には威張ってみせるくせに、相手がちょっと強気だと途端に
へたれちゃうんだから。やっぱ、あいつは、年上の女の人にリードしてもらわなきゃい
けないタイプみたいね。だから、本当、葉月ちゃんみたいな子がいいのよね。普段は
おとなしいのに、いざとなった年上の貫禄で正太郎のことをぐいぐい引っ張っていって
くれそうで。ね、葉月ちゃん、弟のこと、ちょっとは本気で考えてやってよ。卯月ちゃん
も悪い子じゃないんだけど、ちょっと強引なとこ、私でも苦手だったりするのよね。お
隣どうしで小さな時からずっと一緒だったから余計にそう感じるのかもしれないけど」
 卯月に引っ張られて行く正太郎の後ろ姿を見送りながら芽衣が少し大げさな仕草
で溜息をついた。
 と、そこへ、こちらもどこか溜息混じりの声が横合いから割って入る。
「でも、男っていうのは、女の人にリードされるくらいでちょうどいいのよ。子供でも大
人でも、男なんていうのは、好き勝手にさせといたら、何をしでかすかしれたものじゃ
ないんだから」
 幾らか陰鬱にさえ聞こえるその声の主こそ、髪をポニーテールにまとめた若い保育
士・遠藤弥生だった。
「え……?」
 芽衣もこれまで何度か弥生とは顔を会わせていたが、軽く会釈を交わす程度のこと
で、会話まではしたことがなかった。この春に短大を卒業して保育士になったばかり
なところに加え、どことなくほんわかしたういういしい雰囲気が芽衣としても好感が持
てならなかったのだが、いつからか急に横顔が暗い陰にいろどられるようになったふ
うに感じられ、ついつい会話を交わすのが憚られていたのだ。そんな弥生の口を衝い
て出た恨み言めいて聞こえる言葉に、芽衣は背中がぞくりとしてならなかった。
「おはよう、遠藤先生。もう園長先生から聞いていると思うけど、改めて紹介しておく
わね。こちらは、『はと』組に通っている如月正太郎くんのお姉さんで芽衣さん。今日
から保育士見習いということで職場体験をしてもらうことになっているの。遠藤先生に
預けるから、どんどん用事を言いつけてちょうだい。変に遠慮なんてするより、保育士
がどれほど大変なお仕事なのか今のうちに知っておいてもらった方がいいから」
 葉月と二人きりの時は馴れ馴れしく『弥生』と呼びならわしている皐月だが、さすが、
職場ということもあって、ここはきちんと『遠藤先生』と呼んで、手短に芽衣を紹介した。
「承知しました、主任。――これからよろしくね、芽衣さん。あ、ううん、ちゃんと『如月
先生』って呼ばなきゃいけないかな。見習いとはいっても、子供たちにとっては私たち
と同じ保育士に違いないんだから」
 弥生は、ついさっきの溜息混じりの言葉が嘘みたいな明るい笑顔で芽衣に向かって
右手を差し出した。が、その笑みがどことなくぎこちなく感じられてならない。
344名無しさん@ピンキー:2008/09/06(土) 14:19:52 ID:leIxJZ0q
20の展開が無さ過ぎ。自演までして自分を擁護してんじゃねーよゴミ。
いつまでチンタラ書いてんだよ。ダラダラやってないで
スパッと書けクズ。登場人物のネーミングも非現実的でアニヲタっぽくて
キモい。まともな名前にしろよ、このキモヲタが!
345名無しさん@ピンキー:2008/09/06(土) 14:30:05 ID:+wXLUtMh
まぁ取り敢えず服着ろや
346名無しさん@ピンキー:2008/09/06(土) 16:14:05 ID:k5EV5WSd
>>344
ちんこ握りながら、言っても説得力ないよ
34720 ◆JSxcaNkD96 :2008/09/06(土) 17:09:26 ID:e6cD+RS6
「それと、こっちが……」
 卯月と芽衣が握手し終えるのを待って、皐月は次に葉月の背中をぽんと突いて自
分の前に押しやった。
 が、皐月が紹介するまでもなく、卯月が今度は満面の笑みをたたえて葉月の顔を
正面から見据えて言った。
「おはよう、葉月くん――あ、ううん、今日からは葉月ちゃんだっけ。葉月ちゃんの受
け持ちになる遠藤弥生です、よろしくね。葉月ちゃん、自分のお名前、きちんと先生に
教えられるかな?」
 卯月は、芽衣と握手を交わす時も、正太郎に挨拶をする時も、笑みを浮かべていた。
けれど、芽衣に対してはどこかぎこちない笑みを見せていたくせに、正太郎に対して
しめした笑みは、どことなく、獲物を目の前にした獣が浮かべる表情めいて見えてなら
ない。
「葉月くん? 遠藤先生、今、葉月ちゃんのこと、葉月くんって呼びませんでした? あ、
ううん、慌てて呼び直したけど、最初はそう呼んだみたいに思えたんですけど……。そ
れに、御崎先生が紹介する前に名前を呼ぶなんて、前からご存じだったんですか、葉
月ちゃんのこと?」
 弥生に向かって葉月が返事をする前に、芽衣が怪訝そうな顔つきで、けれど、どこ
となく自信なさげにおそるおそる尋ねた。
 それに対して卯月は、葉月に対して見せたのとはまた違った悪戯めいた笑みを浮か
べて
「あら、そうだったかしら? うふふ。さ、どうだったかな。でも、ま、御崎先生のお宅に
行ったことはあるし、その時に葉月ちゃんのことは見かけたことがあるから、まるで初
対面というわけじゃないのは確かね」
と曖昧に応えただけで、再び葉月の方に向き直るのだった。
 葉月は、卯月の視線を受けて、射すくめられるような思いだった。初めて会ったあの
時の目はこんなじゃなかった。全体の雰囲気は楚々としていて、(園長室で聞かされ
てわかったことだが、強姦未遂というひどい目に遭ったせいで)物憂げで陰鬱な目こ
そしていたけれど、こんなに冷たい眼光をたたえた目では決してなかった筈だ。それ
も、冷たいだけでなく、こちらの隙を窺ってでもいるかのような剃刀の刃みたいな鋭い
視線などでは。
「どうしたの、自分のお名前、先生に教えられないのかな?」
 思わず気圧され口を開けられないでいる葉月に向かって、それこそ、本当の園児に
対するみたいな口調で弥生は話しかけた。
 そうして、葉月がなかなか口を開こうとしないのを見て取ると
「正太郎くんに手をつないでもらってバスからおりるところ、先生も見ていたわよ。入
園早々ボーイフレンドをつくっちゃうくらいなんだからお口も達者で積極的なんだろう
なって思ったんだけど、それって先生の思い違いだったのかしらね。だって、自分の
お名前も言えないくらい恥ずかしがり屋さんなんだものね、葉月ちゃんは」
と、僅かに首をかしげて言うのだった。
 その声に憐憫と嘲りとが入り混じった笑いが含まれているように思えたのは、決して
葉月の気のせいばかりではない。

34820 ◆JSxcaNkD96 :2008/09/06(土) 17:12:25 ID:e6cD+RS6
 とりあえず、これで主な登場人物は全て出
揃った筈です
 展開がゆっくりしていて申し訳ないのです
が、この作者はこんなもんなんだなと諦めて
つきあっていただけると嬉しいです
349名無しさん@ピンキー:2008/09/06(土) 18:20:44 ID:leIxJZ0q
>>346
オナニーしながら、言っても説得力無いよ。
350名無しさん@ピンキー:2008/09/06(土) 22:02:33 ID:ujrwc3QG
なんかさキモヲタとか言ってる人が居るみたいだけど、ここに居る時点で・・・・後は言わなくても分かるだろ?
351名無しさん@ピンキー:2008/09/06(土) 23:43:30 ID:hQgSEryA
>>leIxJZ0q

ぷっ
352名無しさん@ピンキー:2008/09/07(日) 00:01:45 ID:j97vrx+U
オタクには2種類いる・・・・開き直ってマイウェイな奴と、自分ではそうは思ってなくても振り返ってあれ?ッて奴
・・・・・いや、もっと種類ある気がする。
俺もラブコメとか駄目なんで>>344の言ってることちょっとわかるがそこまでヲタ臭は感じない。
しかし、焦らしで叩かれるって珍しいと思う。逆に期待してるとしか・・・・・・・
353名無しさん@ピンキー:2008/09/07(日) 00:27:30 ID:xOTAb/QH
それに対して卯月は、葉月に対して見せたのとはまた違った悪戯めいた笑みを浮か
べて
「あら、そうだったかしら? うふふ。さ、どうだったかな。でも、ま、御崎先生のお宅に
354名無しさん@ピンキー:2008/09/07(日) 00:28:22 ID:xOTAb/QH
正太郎は、のろのろ伸びてくる葉月の手をぎゅっと握り、お兄ちゃんぶった口調で言
った。
355名無しさん@ピンキー:2008/09/07(日) 00:29:47 ID:xOTAb/QH
しめした笑みは、どことなく、獲物を目の前にした獣が浮かべる表情めいて見えてなら
ない。
356名無しさん@ピンキー:2008/09/07(日) 00:31:18 ID:xOTAb/QH
な。まだあんよも上手じゃない赤ちゃんなんだから、手すりにしがみつくしかできない
よな」
357名無しさん@ピンキー:2008/09/07(日) 00:32:16 ID:cXpFSnkL
>>339
>>335です
ありがとうございますヽ(゜∀゜) ノ大感謝!!
358名無しさん@ピンキー:2008/09/07(日) 05:50:28 ID:tlAr2qt9
葉月が顔をそむけたま力なく言って、よく見ていないとわからないほど小さく首を振っ
た。
359名無しさん@ピンキー:2008/09/07(日) 05:51:05 ID:tlAr2qt9
そんな葉月の様子をじっと窺ってから、皐月は更に訝しむような表情を深くして言っ
た。
360名無しさん@ピンキー:2008/09/07(日) 07:24:14 ID:j97vrx+U
展開が遅いのは羞恥心を煽るのが目的だからだろうか
同じ表現を繰り返すことで屈辱感上昇っと
361名無しさん@ピンキー:2008/09/07(日) 16:21:40 ID:DFiQdL71
てくれたら、私は優しいおばあちゃまになって葉月ちゃんの味方になってあげられる
もの」
36220 ◆JSxcaNkD96 :2008/09/08(月) 07:31:22 ID:4fEtJih4
「ほら、ちゃんとお名前を言わなきゃいけないでしょ?」
 皐月がスカートの上から葉月のお尻をぽんと叩いた。
「……葉月……御崎葉月です」
 ようやく葉月は弱々しく応えた。
「はい、よくできました。今日から保育園のお姉ちゃん、もう赤ちゃんじゃないんだから、
先生が訊いたことにはきちんと答えるようにしましょうね。それで、葉月はどのクラス
になるのかな?」
 弥生はわざと大きく頷いてみせてから続けて訊いた。
「……と、特別年少クラスの……ひ、ひよこ組です」
 葉月は、制服の胸元に縫い付けてある名札に書かれた文字をちらと見て躊躇いが
ちに応えた。
「そうね、葉月ちゃんは今日から特別年少クラスのひよこ組に入ることになるのよ。た
だ、ひよこ組には葉月ちゃん一人しかいないの。でも、寂しがることなんてないからね。
私がずっと付きっきりでお世話してあげるし、芽衣さんが私のお手伝いをして葉月ちゃ
んの面倒をみてくれるから。――あ、いけない。如月先生って呼ばなきゃいけないっ
て言ったばかりだったのに。じゃ、葉月ちゃん、葉月ちゃんの受け持ちの先生のお名
前、ちゃんと憶えられたかな。憶えられたかどうか、試しに呼んでみようか。最初は私
から。はい、私は誰でしょう?」
「遠藤先生、ひよこ組の遠藤先生です」
「よくできました。じゃ、私の隣にいるのは?」
「芽衣お――如月……如月先生です」
 自分よりもずっと年下の女の子のことを『お姉ちゃま』と呼ぶよう強要され、そして今
度は『先生』と呼ぶことになるのだ。大学で初等教育を学んでいる自分が、ただ漠然
と保育士になりたがっているにすぎない中学一年生の少女のことを。そう思い知らさ
れた葉月は、例えようのない屈辱に胸が焼かれる思いだった。
「それじゃ、葉月ちゃんの隣にいるのは?」
「おねえ――み、御崎先生です」
「はい、ちゃんとできたわね。他の先生方の名前はあとで教えてあげるから、ゆっくり
憶えていけばいいわ。じゃ、ついでだから、ここで朝のご挨拶を済ませちゃおうか。朝
のご挨拶っていうのは、先生と子供たちが『おはよう』の挨拶をして、忘れ物がないか
どうか調べたり、保護者の方に書いてもらった連絡帳を先生が預かったりする、朝一
番の大切な時間のことなのよ。ほら、年長さんと年中さんのお兄ちゃんやお姉ちゃん
たちも、葉月ちゃんと同じ年少さんのお友達も、みんな行儀良く並んで、先生に鞄の
中を見てもらったり、連絡帳を渡したりしてるでしょ? だから、葉月ちゃんも同じよう
にしようね」
 自分たちの名前を一通り葉月に言わせた弥生は、次に、グラウンドの方を指差して
そう言った。
36320 ◆JSxcaNkD96 :2008/09/08(月) 08:53:42 ID:4fEtJih4
「え? ここで……?」
 弥生の言葉に、思わず葉月は首を横に振ってしまう。
「ここじゃ嫌なの?」
「だ、だって……」
 気がつけば、園児たちをおろした送迎バスは車庫に入ったのだろう、とっくに走り去
ってしまっていた。そうなると、バスからおりてすぐの歩道の片隅にいる葉月たちの姿
は、道を行き来する人たちから丸見えだ。駅前からは遠く、近くに商店や会社がある
わけでもない場所だから、この時間、人通りは殆どないものの、大きな体をして保育
園の制服に身を包んだ葉月が立っていれば、いやでも人目を惹くに違いない。
 だが、そんな葉月の胸の内を知ってか知らずか、弥生はわざとらしく大きく両手をぽ
んと打ち鳴らすと、納得したような顔で言った。
「あ、そうか。一人きりで朝のご挨拶をするのが寂しいのね。お兄ちゃんたちやお姉ち
ゃんたちやお友達がみんなグラウンドで朝のご挨拶をしてるのに、葉月ちゃんだけこ
んな所でだなんて、そりゃ寂しいよね。せっかく保育園に通うことになったんだから、
お友達とも少しでも早く仲良しになりたいだろうし、そうよね、みんなと一緒の所がい
いよね。うん、わかった。それじゃ、みんなの所へ行きましょう。如月先生、葉月ちゃん
のお手々を引いてあげてちょうだい」

 芽衣に手を引かれて葉月がグラウンドに足を踏み入れると、それまでもちらちらとこ
ちらに向けられていた園児たちの視線が一斉に集まった。
「ほら、駄目でしょ、ちゃんと先生の方を見なさい」
「こら、まだ朝のご挨拶の途中なんだから、じっとしてなさい」
 興味津々といった様子で葉月に無遠慮な目を向ける園児たちをたしなめる保育士
たちの声がグラウンドのあちこちから聞こえ、葉月をいたたまれなくさせる。
「みんな、先生の言うことをきいて、ちゃんと朝のご挨拶を済ませなきゃ駄目よ。あと
できちんと説明してあげるから、それまで待ちなさい」
 葉月のことは弥生と芽衣にまかせ、皐月が園児たちの列の前に立って大声をあげ
た。
「はい、ここでいいわ。むこうの列から年長さん、年中さん、でもって年少さんの順番
になっているから、特別年少クラスでひよこ組の葉月さんは、ここ、つばめ組の隣で
朝のご挨拶をしようね」
 皐月が言い聞かせてようやく園児たちが静かになる中、弥生は、年少クラスの園児
が二列になって並んでいるすぐ隣の場所に葉月を立たせ、
「じゃ、鞄の中を見てみようかな。葉月ちゃん、ハンカチやティッシュ、ちゃんと持ってき
たかな」
と言って、葉月が肩にかけている黄色の通園鞄に手を伸ばした。
36420 ◆JSxcaNkD96 :2008/09/08(月) 15:23:10 ID:4fEtJih4
 そうして弥生は葉月の返事も待たずに蓋を開け、通園鞄の中にすっと右手を差し入
れたかと思うと、芽衣に掌を広げるよう言いつけて、鞄の中からつかみ上げた物を順
番に芽衣の手の上に置いていった。
「最初はハンカチ。汗をかきやすい季節だから、ちゃんとガーゼのガーゼか。さすが、
準備をなさるのが御崎先生なだけに、小さなことまで用意周到ね。で、次はポケットテ
ィッシュ。うふふ、可愛いカバーに入ってるんだ。ええと、それから――」
 そう言いながら弥生が次に通園鞄から取り出した物を目にした瞬間、葉月の頬がか
っと熱くなった。
「これは替えのパンツね。汗をかきやすいから、グラウンドでお友達と一緒に駆け回っ
た後で穿き替えさせてあげればいいのかな。それとも、お昼寝の時の寝汗で濡れち
ゃった時の替えかしら。――あら?」
 決して独りで呟くようにではなく、葉月や芽衣のみならず、それこそ、グラウンド中の
園児みんなに聞こえるのではないかと思えるほど声を張り上げ、新しいショーツをこれ
見よがしに大きく振ってみせる弥生だったが、再び通園鞄に手を入れた瞬間、不思
議そうな顔をした。
「どうしたんですか、遠藤先生」
 何があったのかと、心配そうな顔で芽衣が尋ねる。
 それに対して弥生はどこか呆れたような表情を浮かべて、鞄の中に差し入れた手を
引き上げた。
「え? また替えのパンツですか? それも、二枚も」
 弥生がつかみ上げた物を手渡された芽衣がきょとんとした顔になった。
「そうなのよ。さっきのと合わせて、替えのパンツが三枚。いくら汗をかきやすい季節
だとはいっても、ちょっと多すぎるわよね。何か事情があるのかしら」
 弥生はわざと不思議そうな表情を浮かべつつ、まわりの園児たちにもよく聞こえるよ
う意識して言った。
「そうそう、連絡帳を読んでみましょう。何か書いてあるかもしれないから。ええと、ど
れどれ――ふぅん、なるほど。そういうことだったのね」
「なんて書いてあるんですか? 替えのパンツが三枚も入っている理由、書いてある
んですか?」
 思わせぶりに言って健康連絡帳を読む進める弥生に向かって、芽衣が気がかりな
様子で尋ねる。
36595:2008/09/08(月) 23:58:36 ID:zWOudzMN
卯月と葉月の対比みたいなもの。

本当は正太郎に向って話しているのですが、幼稚園児どうしでは面白くないし、どちらかの顔を描く事になりそうなので、それを避ける為にこうしました。
(自分ルールで葉月と皐月以外の顔をかかないアングルにするとしているので)
http://www.gazoru.com/g-9cb3caf90983a74680f9259138c4bf25.jpg.html
36620 ◆JSxcaNkD96 :2008/09/09(火) 06:58:32 ID:YgHNvSax
「うん、あのね、葉月ちゃん、おねしょしちゃったらしいのよ。今朝、御崎先生が葉月ち
ゃんを起こしにいったら、パンツとパジャマとシーツがびしょびしょだったんだって」
 訊かれて、弥生は健康連絡帳から目を離し、葉月の顔と芽衣の顔とを交互に見比
べて言った。もちろん、園児たちや他の保育士たちにも聞こえるよう『おねしょ』という
部分を強調するのを忘れない。
「……!」
 葉月は、園児たちの列の前にいる皐月を恨みがましい目で睨みつけたが、大勢の
目が再び一斉に自分の方に向けられるのを感じて、おずおずと顔を伏せてしまった。
「そうだよ。俺、見たもん。葉月の部屋のベランダに布団が干してあるの、バスの窓か
ら見たもん。な、姉ちゃん。二人して見たよな、シミのついた布団」
 不意に、園児たちの列の中からそんな声が聞こえた。葉月たちがいる場所からは一
番遠い年長クラスの列に並んでいる正太郎の声だ。
「こら、正太郎。そんなこと、大きな声で言っちゃ駄目でしょ!」
 顔をかっと赤らめる葉月の様子を目にして、芽衣が正太郎を厳しく叱りつけた。
「だって、本当のことなんだもん。花の模様のシーツにおねしょの跡がくっきりついてた
もん。姉ちゃんも見たくせに、どうして本当のことを言っちゃ駄目なんだよ」
 芽衣の叱責にもかかわらず、正太郎は尚も言い募った。それが葉月にとってどれほ
ど恥ずかしいことなのかと考え気遣いできるほどの年齢には達していないところに持
って来て、限られた者しか知らない秘密を共有していることを暴露することで葉月と自
分とがとれほど親密な仲なのかをこの場に居合わせた者に知らしめたいという思いも
相まって、葉月にとっては身を焼かれるほど羞恥に満ちた事実を暴きたててやまない
のだった。
「やだ、あの子、おねしょしちゃったんだって」
「体はあんなに大きいのに、年少さんみたいにおねしょしちゃうんだ、あの子」
「そういえば、年少さんの列のすぐ隣に立ってるんだよね。ほんと、どういう子なんだろ」
「先生は後で説明してあげるって言ったけど、いつになったら教えてくれるのかしらね」
 正太郎の言葉がきっかけになって、いったんは鎮まっていた葉月の正体に対する
好奇や疑念が再び園児たちの胸の中にむくむくと湧き起こり、あちらこちらで互いに
囁き合う声が聞こえ始めた。
367名無しさん@ピンキー:2008/09/09(火) 07:03:04 ID:ulCfRTbi
言葉遣いがどうも子供っぽくない・・・。
36820 ◆JSxcaNkD96 :2008/09/09(火) 08:50:52 ID:YgHNvSax
 けれど、弥生はそんな喧噪になどまるで気に留める様子もなく再び健康連絡帳に目
をやると、わざとのような驚きの声をあげた。
「あらあら、おねしょだけじゃなく、おもらしまでしちゃったんだ、葉月ちゃん。ええと、昨
日だけでも、制服を試着する時に一回と、お家で二回。それに、おもらしじゃないけど、
水族館のトイレでちゃんとおしっこをできなくてパンツを汚しちゃったみたい」
 弥生は連絡帳に目をやったままそう言ってから、おもむろに顔を上げ、芽衣に手渡し
たショーツを見て納得顔で頷いた。
「あ、そうか。それで、替えのパンツがこんなにたくさん鞄の中に入っていたわけね。
お昼寝の時におねしょでパンツを濡らしちゃうかもしれないし、お友達と遊ぶのに夢中
でトイレへ行きそびれてパンツを濡らしちゃうかもしれないし。そうね、だったら、三枚
くらいは替えのパンツが必要になるわね。ううん、ひょっとしたら、もっと要るかもしれ
ないくらいだわ」
 弥生がそう言い終わるか終わらないかのうちに、園児たちのざわめきがますます大
きくなった。
 そうして、正太郎が発した次の一言で喧噪が絶頂に達する。
「え、葉月、おもらしもしちゃうのかよ。小学校五年生のくせにおねしょもおもらしもだな
んて、ほんと、小っちゃなおむつなんてちっとも役に立たないんだな」
 正太郎が言うと同時に、互いに囁き合っていた園児たちが、もうまるで遠慮するふう
もなく葉月のことを指差しては口々に甲高い声で言い交わした。
「え、あの子、小学生なんだ?」
「小学生なのに、おねしょとおもらし?」
「小っちゃなおむつって何のこと?」

 そんな喧噪の中、卯月が正太郎の顔を睨みつけるようにして話しかけた。
「ね、正太郎くん、あの子が小学生って本当なの? 先生はまだ説明してないのに、
どうして正太郎くんがそんなことを知ってるのよ?」
 卯月は少し厳しい声で正太郎にそう尋ねたが、他の園児たちは葉月がいったい何
者なのかということを友人と言い交わすのに気を取られて、卯月と正太郎との会話に
聞き耳をたてる者は一人もいなかった。
「え、どうしてって言われても……。うん、あの、昨日のことなんだけどさ――」
 一瞬は口ごもった正太郎だったが、苦手な相手である卯月に詰め寄られては、これ
までの経緯を説明するしかなかった。
369名無しさん@ピンキー:2008/09/09(火) 11:07:56 ID:3fOgAdje
 葉月のことは弥生と芽衣にまかせ、皐月が園児たちの列の前に立って大声をあげ
た。
370名無しさん@ピンキー:2008/09/10(水) 01:54:44 ID:SEwn3Gac
>>367
お話だからね。
あ、でも大きいのにオムツのとれない>>367ちゃんにはちょっと難しいかな?
371名無しさん@ピンキー:2008/09/10(水) 02:07:53 ID:b31RqZwi
>>370
現代の地球が舞台とはかぎらない
実は少し不思議なパラレルワールド
372名無しさん@ピンキー:2008/09/10(水) 02:08:54 ID:b31RqZwi
あ、アンカー間違えた('A`)悪りぃ…
373名無しさん@ピンキー:2008/09/10(水) 05:49:32 ID:GL9y4CeT
いつものパターン
20が名無しで擁護
37420 ◆JSxcaNkD96 :2008/09/10(水) 06:41:31 ID:hu3zE8XZ
「――ふぅん、そうなんだ。じゃ、あの子が小学五年生だっていうのは本当なのね。小
学生なのに、おねしょしちゃうんだ、あの葉月ちゃんって子」
 正太郎の説明を聞いた卯月はこくんと頷き、デパートで新しいオモチャをみつけた時
と同じように瞳を輝かせて、からかうように言った。
「で、正太郎くんは葉月ちゃんのことが好きで好きでたまんなくなっちゃったって? そ
うよね、卯月みたいな保育園のお子ちゃまなんかより、小学生のお姉様の方がずっと
ミリョク的よね。だから、わざわざ手をつないでバスからおろしてあげたんでしょ?」
「え? あ、う……うん。……で、でも、卯月ちゃんのことも大好きだよ。は、葉月ちゃ
んに負けないくらい……」
(こんなことを言ったら卯月ちゃんにこっぴどく怒られるかな。卯月ちゃん、切れたら、
姉ちゃんより怖い時があるもんな。ごまかしちゃえばよかったかな。けど、そんなこと
したら葉月ちゃんのこと……)卯月に詰め寄られた正太郎は、迷いながら、それでも
おずおずと自分の本当の気持ちを口にした。
 だが、正太郎の返答を聞いても、卯月が喚き出すようなことはなかった。いたって平
静な口調で
「あ、そう。正太郎くんが気に入っちゃったんなら仕方ないよね。私のことも好きでいて
くれるんだったら、それでいいや」
と言って、どういうわけかにっこり微笑んでみせてから、少し不思議そうな顔をして更
に尋ねた。
「でも、小学生のお姉さんを『葉月ちゃん』って呼んでもいいの? おつきあいが長い
んだったらそれでもいいけど、昨日知り合ったばかりなんだったら、『葉月お姉さん』と
か『葉月お姉ちゃん』とか呼ばなきゃいけないんじゃないの? 正太郎くんのお姉さん、
そういうこときっちりしないとすぐ怒るんじゃなかったっけ?」
「う、うん。ほんとだったらそうだよね。でも……葉月ちゃん、小学生なんだけど、保育
園にいる時は年少さんになるんだ。難しいことはわかんないけど、『しょくばたいけん』
とかで、保育園の先生の見習いみたいなことをするんだって。でも、先生の見習いだ
けじゃなくて、子供の役もやってみることになってるそうだよ。それで、葉月ちゃんが
年少さんで、俺は年長さんだから、俺は『葉月ちゃん』って呼んでいいし、逆に葉月ち
ゃんが俺のことを『正太郎お兄ちゃん』って呼ぶことになってるんだ」
 それが照れた時の癖なのだろう、正太郎は人差指の横腹で鼻の下をこすって得意
げに説明した。
37520 ◆JSxcaNkD96 :2008/09/10(水) 08:51:09 ID:hu3zE8XZ
「年少さん? へーえ、本当は小学五年生の子が保育園じゃ年少さんになるんだ。ふ
ぅん、だったら、正太郎くんが『葉月ちゃん』って呼んでも変じゃないよね。じゃあさ、私
も同じように『葉月ちゃん』でいいのかな」
 正太郎の説明を聞くなり、卯月は更に瞳をきらめかせ、にまっと笑って言った。
「うん、それでいいと思うよ。それに、葉月ちゃんは卯月ちゃんのこと、『卯月お姉ちゃ
ま』って呼んでくれると思うよ。昨日、御崎先生が俺のこと『正太郎お兄ちゃま』って呼
ぶよう葉月ちゃんに言いつけたんだ。だから、他の年長さんや年中さんのことも同じよ
うに呼ぶんじゃないかな、葉月ちゃん」
「そう。そうなんだ。本当は小学五年生で私たちよりずっと大きな葉月ちゃんが私のこ
と『卯月お姉ちゃま』って呼ぶんだ。でも、そうよね。保育園にいる時は年少さんだも
ん。おねしょもおもらしも治らなくて替えのパンツを三枚も持ってこなきゃいけない年
少さんなんだもんね、葉月ちゃんは」
 卯月は、あどけない表情の中にもどこか大人びた含み笑いを漏らしながらそう言っ
て、弥生の目の前で顔を伏せている葉月の姿をまじまじと眺めた。

 一方、葉月の方は、正太郎と卯月との間にそんなやり取りがあったことなど知る由
もなく、限りない羞恥に顔を伏せたまま、弥生に向かって恨みがましい声を絞り出して
いた。
「ひ、ひどい。ひどいよ、遠藤先生。みんなの前で、こんな……こんなひどいこと言うな
んて」
「あら、おかしなことを言うのね、葉月ちゃんてば。ここがいい、朝のご挨拶はみんなと
同じ所がいいって言ったのは葉月ちゃん自身じゃなかったっけ? 私はただ、葉月ち
ゃんに寂しい思いをさせないよう、他のお友達の列の隣に葉月ちゃんを連れてきてあ
げただけなんだけどな? それとも、よその人たちが行ったり来たりする歩道の隅で
朝のご挨拶をした方がよかったのかしら? どこの誰かわからない人に、健康連絡帳
に何が書いてあるか聞いてほしかったのかな、葉月ちゃんは?」
 葉月の恨み言に対して、弥生はしれっとした顔でそう問い返すだけだった。
 が、それだけで、葉月はもう何も言い返せなくなってしまう。
 と、ピーッと笛を吹く音が聞こえて、たちまち園児たちが静かになった。
 笛の音が聞こえた方に思わず葉月が視線を向けた先に、夏の日差しを浴びてきらき
ら光る金属製のホイッスルを口にした皐月の姿があった。
37695:2008/09/10(水) 09:51:41 ID:UsTeX1w7
ここに来る人の中で、出してもらった同人誌を買ってくれた人もいると思います。
まだ、話の途中なので、本にまとめる事は出来ませんが、今までのものをファイルした状態でどこかの即売会で公開したら見に来る奇特な人っていますかね?

来てくれたら、どれか気に入ったものをひとつの絵に付き1枚、コピーを差し上げるくらいは準備出来ると思いますけれど。
377名無しさん@ピンキー:2008/09/10(水) 10:14:28 ID:J183nR1c
もなく、限りない羞恥に顔を伏せたまま、弥生に向かって恨みがましい声を絞り出して
いた。
378名無しさん@ピンキー:2008/09/10(水) 10:14:59 ID:J183nR1c
「ひ、ひどい。ひどいよ、遠藤先生。みんなの前で、こんな……こんなひどいこと言うな
んて」
379名無しさん@ピンキー:2008/09/10(水) 14:25:09 ID:xP/VBM5C
>>373がコピペ嵐か
380名無しさん@ピンキー:2008/09/10(水) 21:24:45 ID:SEwn3Gac
こらっJ183nR1cちゃん、おいたしちゃダメよ!
おいたが過ぎる子はもう白いオシッコ出さしてあげないからね!
381名無しさん@ピンキー:2008/09/11(木) 01:37:29 ID:fYc6e6l4
わらた
38220 ◆JSxcaNkD96 :2008/09/11(木) 07:22:15 ID:tt8EdymU
「みんながなかなか静かにならないから、このまま朝のご挨拶を続けるのは無理みた
いです。今日だけ特別に各々の教室で朝のご挨拶の続きをするから、ちゃんと並んで
先生のあとについて教室に入りなさい。それと、朝のご挨拶が終わった後、入園式を
開くから、みんな発表室に集まること。いいわね? ――じゃ、先生方、子供たちの誘
導をお願いします」
 ほんの短い間だけ葉月と目を合わせた皐月だったが、すぐに園児たちの列を見渡し
て声を張り上げ、もういちどピッと笛を吹いた。
「今ごろ入園式だって。なんか、変なの」
「うん、変だよね」
「あ、そうか。ほら、あの子の入園式なんじゃない?」
「え? ああ、そうだね。きっと、そうだよね」
 皐月が言った『入園式』という思いがけない言葉に怪訝な表情を浮かべた園児たち
だったが、中の一人がふと気づいて口にした推測を耳にするなり、さも納得したように
互いに頷き合うと、葉月に向かって好奇に満ちた目を向けたまま、先にたって歩き出
した保育士たちに付き従って各々の教室に向かって足を踏み出した。

「入園式? ぼく……は、葉月の入園式……!?」
 建物の中に消えてゆく園児たちの列を見送りながら、葉月は、園児たちが互いに言
い交わす言葉を、呆然とした表情で口の中で繰り返した。
「そう、今から葉月ちゃんの入園式を開くのよ。葉月ちゃんのこと、他のお友達にまだ
ちゃんと紹介してないから、新しいお友達ですってお披露目しなきゃね。それに、如月
先生のこともみんなに紹介しなきゃいけないし」
 葉月の呟き声を耳にした弥生が、こともなげに言った。
「で、でも……」
「あら、恥ずかしいの? 葉月ちゃん、体は大きいのに、人見知りが激しいのかな。で
も、みんなにちゃんとお顔を憶えておいてもらわないとお友達もできないから、勇気を
出してみんなの前で自分の名前をしっかり言って、仲良くしてくださいってきちんとご
挨拶しようね」
 何か言いかけて、けれど途中で言葉を飲み込んでしまった葉月に、弥生は励ますよ
うに言った。そうして、葉月の耳元に唇を寄せて
「そりゃ、恥ずかしいよね。小学校五年生なのに、保育園の年少さんになっちゃうんだ
もん、恥ずかしいのが当たり前よね」
と囁いたかと思うと、弥生に聞かれないようますます声をひそめて、こんなふうに付け
加えた。
「でも、本当は小学生どころか、大学生なのよね、葉月ちゃんは。それも、女の子じゃ
なくて、いやらしいおちんちんを持ってる男の子。それが年少さんの女の子として保育
園に通うんだもの、恥ずかしくて恥ずかしくてたまらないわよね。でも、それでいいの
よ。恥ずかしい目に遭うたびに、葉月ちゃんは女の子に変わっていくんだから。私を
襲ったバカ男と同じ最低のケダモノから、けがれを知らない可愛い女の子に変身して
いくんだから。これからたっぷり時間をかけて、御崎先生の期待以上に葉月くんを葉
月ちゃんに躾け直してあげるから楽しみにしてなさい」
38320 ◆JSxcaNkD96 :2008/09/11(木) 08:58:39 ID:tt8EdymU
「……!」
 弥生の言葉に、葉月はぎょっとしたように顔を上げた。
 弥生の目には、つい今しがた葉月に向かって囁きかけた言葉が冗談でもなんでも
ないことをしめす、相手を射すくめるかのような鋭くぎらぎらした光が宿っていた。

                  * * *

 園児たちが各々の教室で朝のご挨拶を終えてしばらくすると、柔らかな音色のチャ
イムが鳴り響き、それを合図に、保育士たちが受け持つの園児を『発表室』に連れて
行った。
 小学校などとは違って、保育園には体育館や講堂といった施設はない。その代わり
になるのが『発表室』や『つどいの部屋』と呼ばれる、普通の教室に比べると何倍も広
い部屋だ。オルガンやピアノが置いてあって普段は音楽の時間に使うことが多いの
だが、踏み台や椅子を並べることで合唱や合奏の舞台にして音楽会を開くこともでき
るし、床の一定の区画を園児たちがぐるりと取り囲んで座れば、その区画が寸劇の発
表の場にもなるという、利便性に富んだ部屋だ。もちろん、卒園式や入園式といった
セレモニーの会場になるのもこの部屋だった。
 発表室の壁は、保育士たちの手作りだろう、色とりどりの造花や紙製の人形や星で
飾りたてられ、前方の扉から入ってすぐの所には、きらびやかなモールで彩られたア
ーチが立っていた。それは、どれも、四月の初旬に新しい園児たちを迎え入れた入園
式の時そのままの飾り付けだった。

 しばらくの間は園児たちの甲高い声でざわついていた発表室だが、皐月が部屋の
中央に立ってぱんぱんと両手を打ち鳴らすと、ほどなく園児たちのお喋りがやみ、静
寂が訪れた。
「それじゃ、今から臨時の入園式を始めます。四月の入園式とは違ってお母さんやお
父さんはいないし、自由登園の間だからお友達も少ないけど、そのぶん、みんなでい
つもよりしっかり拍手をして新しいお友達を呼びましょうね。新しいお友達のお名前は
御崎葉月ちゃんです。いいかな? じゃ、みんなで一斉に、はい、葉月ちゃーん!」
 園児たちが静かになるのを待って、皐月が葉月の名前を呼んだ。
 それに合わせて、床に座った園児たちが声を合わせて
「葉月ちゃーん! 御崎葉月ちゃーん!」
と大声を張り上げる。
 同時に前方の扉が開いて先ず弥生が部屋に足を踏み入れ、モールに彩られたアー
チの前で立ち止まった。
 それに続いて、芽衣に手を引かれた葉月がおどおどした様子で姿を現す。
384名無しさん@ピンキー:2008/09/11(木) 12:20:31 ID:E6BkaYpH
イムが鳴り響き、それを合図に、保育士たちが受け持つの園児を『発表室』に連れて
行った。
385名無しさん@ピンキー:2008/09/11(木) 12:21:10 ID:E6BkaYpH
と囁いたかと思うと、弥生に聞かれないようますます声をひそめて、こんなふうに付け
加えた。
386名無しさん@ピンキー:2008/09/11(木) 13:55:29 ID:70YLiL4o
グダグダでダルい展開になって参りました。
もう20の能力も限界かな?グダグダグダグダグダグダグダグダグダ
グダグダグダグダグダグダグダグダグダグダグダグダ
無駄に長い。無駄過ぎる。読んでる時間が無駄。
このスレって爺しか居ないでしょ。アニヲタのキモオヤジども死ね!
38720 ◆JSxcaNkD96 :2008/09/11(木) 15:48:45 ID:tt8EdymU
「じゃ、そのまま進んで、アーチの下をくぐるのよ。それから、みんなに向かってぺこり
と頭を下げればいいの。葉月ちゃんはお利口さんだもの、できるわね? 四月の入園
式じゃ新しい年少さんはみんなできたんだから負けないように頑張るのよ」
 弥生は、自分の後から部屋に入ってきた葉月の耳元にそう囁きかけて、芽衣に向
かって目で合図を送り、葉月の背中をとんと押した。
「さ、行きましょう、葉月ちゃん。私がお手々を握っていてあげるから心配しなくて大丈
夫よ」
 芽衣が葉月の顔を気遣わしげに見て、ゆっくり歩き出した。
 が、葉月はなかなか足を踏み出そうとしない。本当は大学生の男の子がいよいよ年
少クラスの女の子として扱われることになるのだから足がすくんでしまうのも当たり前
のことだが、葉月がなかなか歩き出そうとしない理由は、それだけではなかった。
「ほら、みんな待ってるわよ。いつまでも待たせてちゃいけないわね」
 弥生がもういちど葉月の背中を、今度は両手でとんと突いた。
 その拍子に葉月の脚が動いて、芽衣に手を引かれるまま、入園式用のアーチをくぐ
って部屋の中央まで進んで行く。
 本当のことをいうと、葉月は弥生に背中を突かれた瞬間、園児たちの目の前に連れ
出されまいとして両脚を踏ん張ったのだが、それも束の間、すぐに顔色を変えて抵抗
を諦め、葉月に付き従ったのだった。実は、弥生たちには気づかれないように努めて
いたが、そのまま抵抗を続け、下腹部に余計な力を入れたりしたらどうなるかしれたも
のではない状態に葉月は追い込まれていた。ついさっき、芽衣が歩き出した時に葉
月が足をすくませてしまっていたのもそのせいだった。
「じゃ、改めて紹介します。今日からみんなのお友達になる御崎葉月ちゃんです。は
い、拍手〜」
 二人がアーチをくぐって発表室の中ほどまで進むと、葉月の胸の内などまるでしらぬ
げな明るい声で皐月が園児たちに言った。
 その直後、園児たちの手が一斉に動いて、葉月たちは拍手の音に包み込まれる。
自由登園の期間で登園している園児は普段の半分くらいだが、それでも、部屋中の
園児が一斉に拍手をするとなかなかの音量だ。
「あ、葉月ちゃんのパンツ、かっわいーい。私のと同じシナモロールだぁ」
 鳴りやまぬ拍手の中、不意に、甲高い女の子の声が園児たちの一角から聞こえた。

 
388名無しさん@ピンキー:2008/09/11(木) 19:36:00 ID:sCiJZnhY
いい加減にしろや!
389名無しさん@ピンキー:2008/09/11(木) 20:05:12 ID:nfQxHBQh
「さ、行きましょう、葉月ちゃん。私がお手々を握っていてあげるから心配しなくて大丈
夫よ」
390名無しさん@ピンキー:2008/09/11(木) 20:06:12 ID:nfQxHBQh
い部屋だ。オルガンやピアノが置いてあって普段は音楽の時間に使うことが多いの
だが、踏み台や椅子を並べることで合唱や合奏の舞台にして音楽会を開くこともでき
るし、床の一定の区画を園児たちがぐるりと取り囲んで座れば、その区画が寸劇の発
表の場にもなるという、利便性に富んだ部屋だ。もちろん、卒園式や入園式といった
セレモニーの会場になるのもこの部屋だった。
391ntfkok115230.fkok.nt.ftth.ppp.infoweb.ne.jp :2008/09/11(木) 23:15:14 ID:L/TZhRL7
専ブラシラネってのが如実にバレるなw>嵐
392名無しさん@ピンキー:2008/09/12(金) 00:25:05 ID:DdWZu6VW
イムが鳴り響き、それを合図に、保育士たちが受け持つの園児を『発表室』に連れて
行った。
393名無しさん@ピンキー:2008/09/12(金) 00:27:39 ID:DdWZu6VW
「そりゃ、恥ずかしいよね。小学校五年生なのに、保育園の年少さんになっちゃうんだ
もん、恥ずかしいのが当たり前よね」
と囁いたかと思うと、弥生に聞かれないようますます声をひそめて、こんなふうに付け
加えた。
394名無しさん@ピンキー:2008/09/12(金) 00:29:47 ID:DdWZu6VW
いた。
「ひ、ひどい。ひどいよ、遠藤先生。みんなの前で、こんな……こんなひどいこと言うな
んて」
「あら、おかしなことを言うのね、葉月ちゃんてば。ここがいい、朝のご挨拶はみんなと
同じ所がいいって言ったのは葉月ちゃん自身じゃなかったっけ? 私はただ、葉月ち
ゃんに寂しい思いをさせないよう、他のお友達の列の隣に葉月ちゃんを連れてきてあ
げただけなんだけどな? それとも、よその人たちが行ったり来たりする歩道の隅で
朝のご挨拶をした方がよかったのかしら? どこの誰かわからない人に、健康連絡帳
に何が書いてあるか聞いてほしかったのかな、葉月ちゃんは?」
 葉月の恨み言に対して、弥生はしれっとした顔でそう問い返すだけだった。
39520 ◆JSxcaNkD96 :2008/09/12(金) 06:22:11 ID:93FzGzxq
 声のする方に葉月が反射的に目をやると、自分から向かって一番右側、年少クラス
の列の中にいる愛くるしい女の子の姿があった。その女の子は発表室の床にお尻を
落として体育座りをしているのだが、自分の制服のスカートがはだけているのを気に
する様子もなく、むしろ、スカートの裾からこれみよがしにショーツをさらけ出すように
してにこにこ笑っていた。
 その子だけではなく、園児たちはみな部屋の床に座って葉月の姿を見上げている。
そのせいで、ただてさえ丈の短いスカートと相まって、園児たちの目には葉月のショ
ーツが丸見えになっていた。今更ながらそのことに気づいた葉月は慌ててスカートの
裾を押さえたが、もう後の祭りだった。
「ね、ね、あれ、なんだろう?」
「え、どれのことよ?」
「ほら、脚と脚の間、パンツの一番下のとこから出てる、なんだか白いの」
「あ、ほんとだ。パンツのリボンなんかじゃないし、なんだろね」
 グラウンドでの時のような喧噪にこそならないものの、あちこちでひそひそ囁き合う
声が葉月の耳にも届いた。それがナプキンの羽根のことを言い交わしているのだと瞬
時に理解した葉月の顔が赤く染まる。
「なんだ、みんな、小っちゃなおむつのことも知らないのかよ。男子は知らなくてもいい
けど、女子が知らないなんて、そんなのダメダメじゃん。女子はもう少しして大きくなっ
たら小っちゃなおむつを使わなきゃいけなくなるんだからな」
 突然、男の子の声が聞こえた。
 はっとして葉月が目を向けた先には、得意げな表情を浮かべた正太郎の顔があっ
た。自分だけが『女の子の秘密』を知っていることが自慢で、それをみんなに話したく
てたまらない様子がありありだ。
「こら、正太……」
 思わず怒鳴りかけた芽衣だが、その声を途中で飲み込んでしまう。自分が叱るより
早く
「駄目じゃない、正太郎くん! そんなこと、人前で言うもんじゃないわよ!」
と叱責する声が聞こえたからだ。
39620 ◆JSxcaNkD96 :2008/09/12(金) 09:00:37 ID:93FzGzxq
 正太郎を叱りつけた声の主は卯月だった。
 卯月は年少クラスの女の子が声をあげる前に葉月のショーツが見えていることに気
がついていたし、同時に、ショーツの舟底を包んでいるナプキンの外羽根にも気づい
ていた。ただ、たまたま母親がナプキンを使うところを目撃したことがきっかけになって、
「いずれは卯月ちゃんも使うことになるのよ」と母親から丁寧な説明を受けたことがあ
ったため、それが女の子にとってはとっても大事な物なんだということを知っていたか
ら、嬌声をあげることもなかったし、他の園児たちと同じように外羽根の正体を巡って
友達どうし囁き合うこともしなかった。なのに、すぐ隣に座っている正太郎がさも自慢
げな様子でナプキンのことを口にしたものだから、ついたしなめたのだった。
 だが、本当は、いつもみたいにお姉さんぶっておとなしく教え諭すだけのつもりだっ
た。なのに、知らず知らずのうちに厳しく責めるような声をあげ、正太郎のことを叱責し
ていた葉月。自分でも気づかないまま声を荒げてしまったのは、実は、嫉妬のせいだ
った。グラウンドでの朝のご挨拶の時に正太郎から簡単な説明を聞いておぼろげに
理解したところによると、葉月は小学五年生なのだが、保育士になりたがっていて、
保育園の仕事がどんなものなのか、園児の立場で体験してみることになったらしい。
それはそれでいいのだが、葉月の登場の仕方が卯月にとっては最低だった。なかな
か正太郎が登園してこないのを心配していた卯月の目の前で、なぜか送迎バスの昇
降口から姿を現した正太郎が見も知らぬ女の子の手を優しく引いて、恭しくバスから
おろしてやった、その相手の女の子が葉月だった。正太郎のことを何ヶ月か年下のボ
ーイフレンドだと信じ込んでいる卯月にとって、それはあり得ない光景だった。そうして
事情を問い質すと、葉月が小学生だということがわかった。その時、正太郎が自分た
ちよりずっと年上の女の子にメロメロになってしまったのだと思い込んだ卯月の胸の
中に嫉妬の炎が燃え上がったのも無理からぬところだろう。そうして、今、葉月が生
理用ナプキンを使っていることを知った卯月だが、同時に、そのことを正太郎が前もっ
て知っていたことに、嫉妬の炎をますます大きく燃えたぎらせ、我知らず厳しい声を出
してしまったのだ。女の子が自分からは口外しない筈の羞ずかしい秘密を正太郎が
知っていたことが二人の間柄の深さを窺わせ、そのことに対する(いいしれぬ疎外感
にも似た)嫉妬と、そして、自分のボーイフレンドである筈の正太郎がメロメロになって
しまった相手が既に初潮を迎えた、とうてい自分が敵う筈のない年上の魅力をたたえ
た(保育園児から見れば)ずっと大人の女性だという事実に対する嫉妬とのせいで。
 更に付け加えて言うなら、卯月は、葉月がショーツの中に装着しているナプキンその
ものに対しても、いいようのない憎しみや嫉妬を覚えたのかもしれない。なんとなれば、
それは、葉月が年上の女性であることをこれ以上はないくらい明確にしめす『大人の
証』なのだから。



397名無しさん@ピンキー:2008/09/13(土) 01:10:24 ID:WoIr952t
みつしりキタ━━━(゚∀゚)━━━ !!!!!
39820 ◆JSxcaNkD96 :2008/09/13(土) 08:12:48 ID:319bORFs
 いくらお姉さんぶってはみても、卯月と正太郎とはたかが数ヶ月の差しかない。それ
に対して、突如として目の前に現れた葉月という少女はずっと年上で既に初潮さえ迎
えているのだと思うと、自分のことがいかにもお子ちゃまに思えてならない。卯月が正
太郎を厳しく諫めたのは、葉月のことを気遣ってのことなどではなく、年上の女性であ
る葉月という少女の存在そのものを認めまいとしてのことだった。
 だが、卯月には、いつまでも感情を高ぶらせている必要はなかった。皐月が発した
次のような言葉で、実は自分の方が圧倒的に優位な立場にいることに改めて思い至
ったからだ。
「はい、今から大事なことを話すから静かにしてちょうだい。みんなもとっくに気がつい
ていると思うけど、葉月ちゃんはみんなに比べてとっても体が大きいよね?」
 皐月は葉月のすぐ横に立って園児たちの顔を見渡した。
 それまでナプキンのことをひそひそと囁き合っていた子供たちだが、自分たちの前に
現れた少女が何者なのかいよいよわかるのだと思うと、一斉にぴたっと口を閉ざして
前方を注視する。
「それもその筈、保育園の制服を着ているけど、葉月ちゃんは本当は小学生なの。そ
れも、一年生とか二年生とかじゃなくて、みんなから見るとずっとずっとお姉さんの五
年生なのよ。でもって、葉月ちゃん、私の妹だったりします」
 初めて見るピンクの制服に身を包まれた少女が実は小学校高学年で、しかも、日
頃から面倒をみてもらっている保育士の妹だという事実に、園児たちが再びざわめく。
皐月は両手を打ち鳴らしてそれを鎮め、園児たちの顔を順番にゆっくり見渡しながら
続けて言った。
「小さな頃から私にべったりだった妹は、なんでも私の真似をするのが好きで、今度
は、私と同じように保育園の先生になりたいって言い出したの。それで、園長先生に
お願いして――」
 あとはお馴染みの説明だった。弥生の心のケアのためだということは巧みに隠しつ
つ、皐月はこれまでの経緯を虚実とり混ぜて園児に話して、最後にこう締めくくった。
「――というわけで、妹、つまり御崎葉月ちゃんは、今日から年少さんとしてこのひば
り保育園に通うことになったの。それも、四月に入園した子より何ヶ月も後に入園した
んだから、年少さんの中でも一番の妹ということになるわね。新しい妹ができたと思っ
て、みんな、可愛がってあげてね。本当は小学五年生のお姉さんだってことは忘れて、
本当に年少さんの一番小さな妹として可愛がってあげてちょうだい」
(そうだった。正太郎くんも言ってたけど、あの葉月って子、保育園じゃ私よりも下の年
少さんになるんだった。なにが小学五年生のお姉さんよ。ふん、年少さんのちびっ子
ちゃんに正太郎くんを渡したりするもんですか。年少さんは年少さんどうし、お子ちゃま
なボーイフレンドがお似合いなんだから)皐月の説明を聞いているうちに卯月の胸の
中から嫉妬めいた感情は次第に消えていった。が、その代わりに、自分のボーイフレ
ンドを横取りしようとしている(というふうに卯月には思えて仕方ない)メス猫をどんな
ふうにいたぶってやろうかという、幼いながらも『女』としての自我に根ざした幾らかど
す黒い感情がふつふつと湧き上がってくるのだった。
399名無しさん@ピンキー:2008/09/13(土) 10:55:46 ID:+tMau4pX
20氏は、ブログを始めたら良いのにと思う
40020 ◆JSxcaNkD96 :2008/09/13(土) 11:05:20 ID:319bORFs
「さ、それじゃ、今度は葉月ちゃん本人からみんなにご挨拶してもらおうね。年少さん
の中でも一番小さな妹だからまだ上手にお喋りできないかもしれないけど、みんな、
ちゃんと聞いてあげてね」
 小学生が年少さんとして自分たちと同じ保育園に通うなことになったと聞かされて、
一人ほくそ笑む卯月と、それとは対照的に一様に驚きの表情を浮かべる残りの園児
たち。皐月は、子供たちの反応を興味深げに見やり、葉月の背後にすっと身を退いた。
「え……?」
 本人からご挨拶してもらいましょうと言われても、なんの準備もしていない葉月には
どうすることもできない。だいいち、こんな入園式の真似事があること自体、前もって
聞かされていないのだ。
 と、皐月の代わりに今度は弥生がぴったり身を寄せ、葉月の背中をぽんと叩くと、声
をひそめて言った。
「大丈夫よ。私が教えてあげるから、その通り言えばいいわ」
 そうして、葉月の返事も待たずに、『入園のご挨拶』を囁きかける。
「……」
 けれど、咄嗟のことに、葉月は口をつぐんだままだ。
「どうしたの、葉月ちゃん? やっぱり、年少さんの葉月ちゃんにはご挨拶は難しいの
かな。四月の入園式の時は、年少さんなのに、みんなちゃんとご挨拶できたんだけど
な。でも、そうね。一番小っちゃな妹の葉月ちゃんには難しいかもね」
 なかなか口を開こうとしない葉月に、弥生は挨拶の言葉を教えるのを途中でやめ、
わざとらしくふっと溜息をつくと、意味ありげに少し間を置いてから、にっと笑って
「だけど、入園のご挨拶もできないような子を年少さんクラスに入れるわけにはいかな
いわね。そんな子は二歳児クラスに入ってもらわなきゃいけないかな。だとすると、こ
れがお似合いね」
と園児たちにも聞こえるよう大きな声で言い、ジャージのポケットからゴム製のオシャ
ブリを取り出して葉月の唇に押し当てた。
「あ、葉月ちゃん、かっわいーい」
「ほんとだ、赤ちゃんみたい、葉月ちゃん」
「小学生のお姉さんなのに、本当に私より小っちゃい子みたい」
 オシャブリを咥えさせられた葉月の姿に、それまでびっくり顔をしていた園児たちが
今度は口々に囃したてる。
40120 ◆JSxcaNkD96 :2008/09/13(土) 12:47:08 ID:319bORFs
「や、やだ、こんなの。こんな、赤ちゃんみたいなの……」
 オシャブリを咥えさせられたせいでくぐもった声になりながらも、葉月は恨めしげに訴
えかけて首を振った。けれど、弥生がオシャブリを押さえているため、吐き出すことは
できない。
「赤ちゃんみたいでいいのよ。だって、簡単なご挨拶もできない葉月ちゃんは二歳児
クラスなんでしょ? 二歳児っていったら、まだまだ赤ちゃんだもの。年少さんがすご
くお姉さんに思えるくらい小っちゃな赤ちゃんだもの」
 弥生はそう言って、葉月の口にふくませたオシャブリの端を指先でぴんと弾いた。
 その様子を、葉月と手をつないだままの芽衣が呆れたような顔で見ている。
「ご挨拶する……ちゃんとご挨拶するから、もうオシャブリは……」
 挨拶を終えない限いつまでもこの羞恥に満ちた姿を園児や保育士たちの目にさらさ
なければならないことを思い知らさた葉月は、唇と舌を押さえつけられて自由にならな
い口で懇願した。
「そう、ご挨拶できるの。だったら、葉月ちゃんは二歳児クラスの赤ちゃんなんかじゃ
くて、年少クラスのお姉ちゃんね。じゃ、私が教えてあげるから、その通り続けて言う
のよ」
 弥生はオシャブリを人差指と親指でつまんで葉月の口から引き抜き、改めて耳元に
唇を寄せた。
「……あ、あたしは、今日からひばり保育園に通うことになった御崎葉月です。体……
体はおっきいけど、年少クラスに入ります……」
 二度三度と浅い息を吸い込み、ようやく覚悟を決めた葉月は、耳元で弥生が囁き聞
かせる言葉を、今にも消え入りそうな声で復唱し始めた。
「……年長クラスと年中クラスのお兄ちゃん、お姉ちゃん。それに、年少クラスのお友
達。ううん、年少クラスだけど葉月よりも先に入園したお兄ちゃんとお姉ちゃん。これか
ら仲良くしてください。葉月は一番後から入園したから、保育園のことはまだ何も知り
ません。だから、いろいろ教えてください。……それに、もしも葉月が何かいけないこ
とをしたら、きちんと叱ってください。葉月がちゃんとごめんなさいしていい子になるま
で叱ってください。お願いします、お兄ちゃん、お姉ちゃん」
 年長クラスや年中クラスのみならず年少クラスの園児のことまで『お兄ちゃん』『お
姉ちゃん』と呼ばされる弥生からの口移しの挨拶に、葉月は限りない屈辱を掻きたて
られた。けれど、弥生がまだポケットにしまわず手に持ったままにしているオシャブリを
目にするたび、挨拶を拒むことができないことを痛いほど思い知らされ、渋々ながらも
口を開かざるを得ないのだった。
40220 ◆JSxcaNkD96 :2008/09/13(土) 13:53:56 ID:319bORFs
 けれど、弥生が囁いた次の言葉を耳にするなり、顔をかっと熱くして思わず口をつぐ
んでしまう。
 弥生は葉月に
「それと、葉月はまだおねしょが治りません。だから、お昼寝の時、一緒におねむして
くれるお兄ちゃんやお姉ちゃんに迷惑をかけるかもしれません。それに、おもらしもま
だ治らないから、遠足や音楽会でみんなに迷惑をかけるかもしれません。だから、今
のうちにごめんなさいしておきます。ごめんなさい、お兄ちゃん、お姉ちゃん。おねしょ
とおもらしの治らない葉月のこと、許してください。――ほら、こう言うのよ」
と囁きかけたのだ。
 さすがにそれを口にするのは躊躇われた。
 だが、弥生はまるで容赦しない。葉月が思わず口を閉ざしてしまうと、
「あら、せっかく途中までご挨拶できてたのに、最後までは無理なのかな。だったら、
やっぱり葉月ちゃんは二歳児クラスで決まりね。二歳児クラスの赤ちゃんなんだから、
オシャブリが欲しくてたまらないわよね。まんまの時以外はずっとオシャブリを咥えてい
るといいわ」
と言って、これ見よがしに、オシャブリを持った手を高々と差し上げた。
 それに対して葉月は弱々しく首を振ると、再び浅い呼吸を何度も繰り返してからおず
えずと口を開いた。もちろん、赤ん坊みたいにオシャブリを咥えた姿をさらす屈辱に耐
えかねてという理由もあるが、実を言うと、その他にも、この羞恥に満ちた挨拶を一刻
も早く終えずにはいられない切羽詰まった理由があった。
 それは、もう既に我慢の限界ぎりぎりのところまで達している尿意だった。
 小さい頃からそうだったが、大学に入ってからも葉月は、いつも同じような時間に目
を覚まし、同じバスに乗って大学に通っていた。それは夏休みが始まってからも同じ
で、特に授業はなく大学の図書館に引き篭もる際にも、皐月が呆れるほど、毎日同じ
ペースで生活していた。それが、今朝は、皐月が仕組んだおねしょ騒動のせいで目を
覚ましてすぐのトイレへ行きそびれてしまっていた。マンションから連れ出される時に
そのことに気づいたものの、それからトイレに行こうとすれば送迎バスを待たせること
になるからといって皐月に叱られるのは目に見えていたし、(実に情けない心理では
あるのだが)どうせ眠っている間におねしょをしてしまったのだったら、目が覚めてすぐ
のトイレを済ませておかなくても、おしっこをしたくなるのはまだ先のことだろうという惨
めな開き直りめいた気持ちもあって、そのままトイレへ行くことなく水無月の運転する
バスに乗り込んでしまったのだ。

づいたものの、
40320 ◆JSxcaNkD96 :2008/09/13(土) 16:18:18 ID:319bORFs
「……は、葉月……まだおねしょが治りません。だから、お昼寝の時、一緒におねむし
てくれるお兄ちゃんやお姉ちゃんに……迷惑をかけるかもしれません。それに、それ
に……おもらしもまだ治らないから……だから、遠足や音楽会でみんなに迷惑をかけ
るかもしれません。先にごめんなさいしておきます。……ごめんなさい」
 葉月は弥生から口移しで教えられたようにそう言うと、ぎゅっと唇を噛みしめて顔を
伏せた。拳に握って両手がぶるぶる震えているのは、けれど、屈辱に耐えるためば
かりではない。
「はい、上手にご挨拶できました。みんな、新しいお友達の葉月ちゃんに大きな拍手
をしようね」
 いったんは身を退いていた皐月だが、小刻みに震える声で葉月が挨拶を終えると
再び葉月のすぐ横に姿を現し、先頭に立って両手をぱちぱちと打ち鳴らした。
 それに続いて園児たちが小さな手を叩いて拍手を送る。
 けれど、拍手の音はまばらだった。年少クラスに入るとはいっても、それはあくまで
も『しょくばたいけん』の一環で、本当は小学五年生の(更に真実を述べるなら、大学
生の)葉月がおねしょやおもらしでパンツを汚してしまうという事実を知らされて、どう
反応していいのかわからず、ついつい拍手をしそびれてしまった園児が殆どだ。
「どうしたの、みんな? 元気がないわよ。ほら、拍手〜」
 園児たちの胸の内を充分に承知していながら、皐月はわざと明るい声で再び拍手を
促した。
 そこへ、卯月の甲高い声が飛んで来る。
「先生、葉月ちゃんのことで質問があります」
「はい、どうぞ。新しくお友達になる子のことだもん、遠慮しないでどんどん訊いてちょ
うだい」
 大きな瞳を葉月に向けながらすっくと立ち上がる卯月を指差して皐月が頷いた。
「葉月ちゃん、本当におねしょやおもらしをしちゃうんですか? 年少さんだっていって
も、ほんとは五年生なんでしょ? なのに、ほんとにおねしょもおもらしもしちゃうんで
すか?」
 卯月は、スカートの裾から僅かに見える葉月のショーツをねめつけるようにして、ま
るで遠慮するふうもなくずけっと尋ねた。
404名無しさん@ピンキー:2008/09/13(土) 18:10:49 ID:RbowrrFN
園児にチンコがバレるのはまだですかな?いや、別にバレなくてもいいけど。
405名無しさん@ピンキー:2008/09/13(土) 18:56:44 ID:2QkG7sfk
いや、バレてほしい。できれば園児ではなく、同年齢以上の女の人に。
タックをはずされて、皮の被った全貌を見られてほしい。
406名無しさん@ピンキー:2008/09/14(日) 01:34:21 ID:7MyiUU89
同年齢以上の女で知らないキャラはいませんけどね
407名無しさん@ピンキー:2008/09/14(日) 02:57:25 ID:Zf7v7e/x
新キャラという発想はないのですか?
40895:2008/09/14(日) 22:49:39 ID:S6FItP9/
ちょっとずれたペースの1枚。
次の日曜くらいまで、絵が描けたらいいかな、という仕事の具合なのでごかんべんを。
http://www.gazoru.com/g-347b405981923382eac28bbea1f102ba.jpg.html
40920 ◆JSxcaNkD96 :2008/09/15(月) 11:22:45 ID:RuDj0qqy
「うん、そうなのよ。グラウンドで遠藤先生が健康連絡帳を読んでいたの、卯月ちゃん
にも聞こえていたでしょ? あれ、私が書いたんだけど、嘘なんかじゃないわよ」
 卯月の質問に、皐月はまるで迷うふうもなく答え、僅かに首をかしげて続けた。
「でも、そうよね、小学五年生の葉月ちゃんがおねしょとおもらしだなんて信じにくいわ
よね。じゃ、本人に答えてもらおうか。その方が確かだもんね」
 皐月がそう言った直後、葉月が、よく注意して見ていないとわからないほど弱々しく
首を振った。
 けれど皐月はそんなことには全く気づかないふうを装って葉月の肘をつかみ、それ
までより一歩分、前方へ連れ出して
「ほら、年長クラスの卯月お姉ちゃまからの質問よ。こらからずっと可愛がってもらわ
なきゃいけないんだから、正直に答えようね」
と言い聞かせた後、真っ赤な唇を葉月の耳元に寄せて
「ちゃんと『本当のこと』を答えるのよ。もしも嘘なんかついたら、どんな口実をつけて
でも入園式を長引かせてあげるから、そのつもりでいなさい。あんた、おしっこを我慢
してるみたいだけど、もうそろそろ限界なんでしょ? 入園式が長引いて、いつまで我
慢していられるか楽しみだこと。――どんな細かなことだって、あんたのことは全部お
見通しなんだってこと、忘れちゃ駄目よ」
と囁きかけた。
 それに対して、葉月は、顔を伏せたまま横目で皐月の顔を恨みがましく睨みつけて
からおずおずと口を開くことしかできなかった。。送迎バスがコースの半分くらいの地
点に差し掛かった頃から感じ始めていた尿意は全く衰えることなくじわじわと高まり、
バスが保育園の正門に横付けになった時には、もうどうしようもないほどになってい
た。それには、朝一番のトイレに行けなかったという肉体的・生理的な理由もあるが、
それに加えて、おそらく、毎日の習慣になっているトイレに今朝は行きそびれたことで
精神的に追い詰められてという事情もあるのだろう。とまれ、尿意の高まり具合はい
つもより激しく、正太郎に手を引かれるまでバスの乗降口の手すりにつかまったまま
立ちすくんでいたのは、実は、それもあってのことだった。そうして、卯月に睨まれな
がら正太郎にバスからおろしてもらった後、グラウンドで途中まで行われた朝のご挨
拶の途中、とうとう我慢できなくなって、ペニスの先からおしっこの雫を何滴か溢れさ
せていまってもいたのだ。その時は必死になって膀胱の緊張を取り戻すことができた
ためショーツの表面まで濡らしてしまうことは免れたけれど、今度またそんな状態にな
って再び我慢し通す自信はまるでない。汗だけでなはなくつい溢れ出させてしまった
おしっこのせいでじっとり湿ったナプキンの感触を下腹部に覚えつつ、葉月には、蚊の
鳴くような声で返事をすることしかできないのだった。
41020 ◆JSxcaNkD96 :2008/09/15(月) 14:38:58 ID:RuDj0qqy
「……は、葉月、お……おねしょ、しちゃいます。お、おもらしもしちゃいます。それで、
昨日だけでたくさんパンツを汚しちゃいました。葉月、本当は小学五年生なのに、おね
しょもおもらしも治らないんです。……だから、年少さんがお似合いなんです。こんな
葉月だけど、仲良くしてください、お願いします、卯月……卯月お姉ちゃま」
 さっきの挨拶と同様、弥生から口移しに教えられるまま答えさせられる葉月。だが、
それは確かに『本当のこと』だ。それが例え皐月が仕組んだ偽りのおねしょと白いお
しっこのおもらしだとしても。
「そうなんだ、葉月ちゃん、ほんとにおねしょしちゃうんだ。それに、おもらしもしちゃう
んだ」
 葉月の返答を耳にするなり卯月はきらりと瞳を輝かせ、なにやら思案顔になると、
葉月の下腹部をじろじろ眺め回しながら言った。
「御崎先生にもうひとつ質問があります。年少さんの子たちは、おもらしが治るまでパ
ンツを穿かせてもらえません。恥ずかしいけど、もうおもらしが治ったから言うけど、私
も年少さんの時は夏までパンツじゃなくておむつでした。正太郎くんは秋の音楽会の
時もおむつだったと思います。――葉月ちゃん、年少さんでおねしょもおもらしも治ら
ないのに、パンツを穿いてもいいんですか? そんなの、えこひいきだと思います」
「そうね、ひばり保育園は、おもらしの治らない年少さんはパンツじゃなくておむつって
いうことになっているわね。でも、まだ葉月ちゃんは保育園じゃおもらしをしてないでし
ょ? おねしょもおもらしもお家の中だから、今はまだパンツでいいんじゃないかな」
 おむつという思ってもみなかった言葉に顔をひきつらせる葉月の様子を横目で窺い
ながら、皐月は取りなすように言った。が、それは、皐月の心情を慮ってのことなどで
はない。ただ、卯月とのやり取りをできるだけ長引かせて葉月をのっぴきならぬ状況
に追い込むために、胸の中で舌を突き出してみせながら、さも庇っているかのような
ふりをしているだけのことだ。
「でも、でも、私、保育園でおもらししなかったのに、おむつだったよ。ちょっと前にパン
ツにしてもらって大好きなシナモロールのパンツ穿けるようになったけど、入園式の時
からずっとおむつだったよ、私」
 皐月が言い終えた直後、手を上げて名前を呼ばれるのを待つこともしないで、さっき
「私のと同じシナモロールのパンツだ!」と嬉しそうな声を上げた年少クラスの少女が
今度は不満げな表情を浮かべて言った。
411名無しさん@ピンキー:2008/09/16(火) 02:06:21 ID:7iV6BNyG
なんと雄弁な口調の園児達…

いっそ20さんが書きやすい年齢に上げて
妙なしきたりがある学園物にでもした方がいいんじゃないの
412名無しさん@ピンキー:2008/09/16(火) 05:06:08 ID:iOujwosM
最近はマセガキが多いと聞くが、これはちょっとねぇ・・・
41320 ◆JSxcaNkD96 :2008/09/16(火) 07:20:05 ID:MtDmIJqQ
 園児たちの口調については確かに違和感を
覚える方が多いと思います。たどたどしい台詞
まわしにして、その内容を地の文で補うという
ことにすれば自然な感じになるのでしょうが、
ちょっと、そうする元気がなかったり、描写テク
がなかったりしますので、みなさんの脳内補正
でよろしくお願いしたいぞ、と
41420 ◆JSxcaNkD96 :2008/09/16(火) 07:23:49 ID:MtDmIJqQ
「あ、そうだったわね。確かに純ちゃんは最初からおむつだったっけ。でも、それは、
入園式の日、お家からおむつをあてて保育園に来たからじゃなかったかな。たしか、
ちょっと心配だから当分はおむつで通園させますってお母様がおっしゃっていたから、
そうなった筈よ」
 年少クラスの少女に対して皐月はそう答え、なにやら含むところのありそうな目で
葉月と少女とを交互に見比べながら続けて言った。
「でも、このままだと、卯月ちゃんや純ちゃんだけじゃなく、他の子供たちからも私が
葉月ちゃんのこと依怙贔屓してるって思われるかもしれないわね。本当はそんなこと
ないんだけど、妹だから特別に贔屓してるんだって。じゃ、そんなふうに思われないよ
うに、これから葉月ちゃんが一度でも保育園でおねしょかおもらしをしちゃったら、そ
の時はパンツじゃなく、おむつを使わせるようにしようか。みんな、それでいいかな?」
「ちょ、ちょっと待ってよ、姉さ……」
 思わず我を忘れて叫びだしそうになる葉月。
 だが、その声は、
「はーい。それでいいと思いまーす」
「私もそれでいいでーす」
「約束だよ、先生。一度でもおもらししちゃったら、葉月ちゃんにもおむつだからね」
「葉月ちゃんも年少さんだもん、そうじゃなきゃおかしいもんね」
と口々に発する園児たちの嬌声に掻き消されてしまう。
「あんたもそれでいいわよね? まさか、保育士の資格を取ろうっていう初等教育科
の学生が、大勢の園児との約束を反故にしたりなんかしないよね?」
 園児たちのはしゃぐ姿をおかしそうに眺めながら、皐月は葉月にぴったり寄り添い、
声をひそめて囁きかけた。
「そ、そんな……」
 皐月の真意を図りかねて、葉月は曖昧にそう言うのが精一杯だった。
「どうしたのよ、心配そうな顔しちゃって。あんた、こんな格好はしてるけど、本当は大
学生なんでしょ? まさか大学生がおもらしなんかするわけないよね。だったら、おむ
つのお世話になるかもなんて不安がる必要なんてないじゃない。ほら、あんたが自分
で子供たちと約束しなさい。さもないと、大騒ぎになって、いつまでも入園式が終わら
なくなっちゃうよ。そんなことになって一番困るのはあんたでしょ?」
 皐月は片方の眉を僅かに吊り上げて言った。
「で、でも……」
「なにをぐずってるのよ。あんた、ひょっとして、おもらしをしない自信がないの? もし
かしたらおもらししちゃうかもって心配してるの? 大学生にもなって? やだ、それじ
ゃ本当に年少さんのまんまじゃん。だったら、今からでもおむつをあててあげなきゃい
けないかもね。今はパンツになってるけど、入園した時から七月の半ばまでずっとお
むつだった、あの純ちゃんっていう女の子と同じように」
 皐月は年少クラスの列の中にいる少女を目で指し示してくすっと笑った。
41520 ◆JSxcaNkD96 :2008/09/16(火) 08:59:43 ID:MtDmIJqQ
 そこまで言われては、他にできることはない。葉月はのろのろと顔を上げ、園児たち
と目を合わせないよう部屋の片隅に視線を向けて、小刻みに震える声で言った。
「……は、葉月、保育園でおねしょかもらしをしちゃったら、他の年少さんのお友達と
同じように……お、おむつを使います。……約束します」
「うん、わかった。約束だよ、葉月ちゃん。みんなと約束したんだから、絶対に守らなき
ゃいけないんだよ」
 屈辱の言葉を言い終えて葉月が口を閉ざすと同時に、卯月が葉月の顔をじっと見て
言った。もうすっかり自分の方が年長だと信じてやまない様子で、それこそ、最上級
クラスのお姉さんが年少の幼児に言って聞かせる口調そのままだ。
「……はい、わかりました、卯月お姉ちゃま」
 皐月にスカートの上からぽんとお尻を叩かれて、葉月は伏し目がちに弱々しく頷い
た。
 だが、羞恥に満ちた入園式がこれで終わったわけではない。一刻も早くこの発表室
をあとにしたくてたまらない葉月の胸の内を手に取るように見透かしていながら、皐月
がこんなことを言ったからだ。
「それじゃ、ついでだから、他の子も葉月ちゃんに何か質問があったら今のうちに訊い
ておくといいわ。せっかくだから、いろんなことを知って、少しでも早く仲良しになって
ほしいから」
 皐月の言葉が終わるか終わらないかのうちに何人もの園児が我先にと手を上げる
様子を、葉月は絶望の色をたたえた大きな瞳で眺めるしかなかった。

                  * * *

 好きな食べ物は何なの?とか、どんなアニメが好きなの?とか、寝る時は布団なの
かベッドなのかとかいう、葉月にとってはどうでもいいような質問が幾つも続き、その
たび皐月に促されておずおずと返事をするということを何度も繰り返した後、最後に芽
衣の自己紹介があって、ようやくのこと入園式が終盤に差し掛かった。
 入園式を終えるにあたって、最後に残った行事は、園児たちの目の前に立っている
葉月を年長クラスの園児が手を引いて年少クラスの列の中に連れて行くといった、葉
月を自分たちの仲間として迎え入れることを意味するセレモニーだった。
 葉月を年少クラスの列の中に連れて行く役に選ばれた年長クラスの園児は、正太
郎と卯月だった。二人に白羽の矢を立てたのが皐月なのは言うまでもない。
416名無しさん@ピンキー:2008/09/16(火) 10:59:48 ID:T2Kvj1Ks
読み方も内容も脳内変換やれよってか
417名無しさん@ピンキー:2008/09/16(火) 18:19:31 ID:iOujwosM
まぁモロ幼児言葉使われるのもキツイんですがね
418名無しさん@ピンキー:2008/09/17(水) 01:55:17 ID:IG8b1TLV
でちゅ…みたいのもありえ無いしなぁ
語尾に!マークつけて元気を感じさせても個性出せないし
茨の道ですね
41920 ◆JSxcaNkD96 :2008/09/17(水) 06:36:18 ID:Swmxflpa
 前もって何も聞かされていなかった二人はびっくりしたものの、少しでも葉月と一緒
にいたい正太郎に、葉月と正太郎との仲を事細かに監視する気満々の卯月だから、
せっかくの指名を断る筈がない。
 いさんで園児たちの列を離れた正太郎だったが、僅かに遅れてあとをついてきた卯
月に肘をつかまれて、葉月が立っている場所までもうすぐという所で歩みを止めてしま
った。そうして、怪訝な顔をして斜め後ろに振り向いた正太郎に向かって、卯月がな
にやら小声で囁きかける。正太郎は驚いたような顔をして卯月に何か言い返したが、
それに対して卯月が表情豊かに言葉を重ねると、遂に、こくんと頷いた。
 そんな二人の様子に嫌な予感を覚えた葉月だったが、この場から逃げ出すことはで
きない。

 皐月と弥生、それに芽衣の三人が葉月のそばから離れると、それと入れ替わりに年
長クラス代表の二人が歩み寄り、最初に卯月が葉月に向かってすっと手を差し伸べ
た。一瞬は躊躇った葉月だが、最後に残ったこのセレモニーが終わりさえすればこの
部屋から出てトイレへ行くことができるのだと思うと、自分でも意識しないうちに体が
動いて、気がつくと卯月の手をぎゅっと握りしめていた。それはまるで、大勢の他人の
中に取り残された無力な幼児がしっかり者の姉にすがりつく姿さながらだ。
 続いて正太郎が手を差し出した。こちらに対しても無意識のうちに手を差し伸べる葉
月。だが、掌が重なる前に正太郎がさっと体の向きを変え、葉月の背後にまわりこん
だ。
 葉月がはっとして身をすくめる。その直後、正太郎が
「入園おめでとう、葉月。ほぉら、俺からの挨拶だぞ」
と大声で言って、葉月のスカートをぱっと捲り上げた。
「いやぁー!」
 葉月の悲鳴が部屋中に響き渡った。
 実は、さっき卯月が正太郎に耳打ちしていたのは、このことだった。ことあるごとに女
の子のスカートを捲るというあまり感心しない癖を持っていて、四月に行われた正式
な入園式の日でも、式を終えて受け持ちの保育士に連れられ各々の教室に向かって
歩いて行く入園したばかりの年少クラスの女の子のスカートを次々に捲り上げては悪
友たちと歓声をあげていた正太郎に、卯月は、「もちろん、葉月ちゃんにもスカートめく
りをするんだよね。じゃないと不公平だもん」と言って、いつもの癖を発揮するようそそ
のかしたのだった。
420名無しさん@ピンキー:2008/09/17(水) 07:05:50 ID:vVKiYUuM
「ほぉら、俺からの挨拶だぞ」→スカート捲り
なんか中年セクハラっぽい…
42120 ◆JSxcaNkD96 :2008/09/17(水) 07:47:53 ID:Swmxflpa
 葉月に対して特別な感情を抱いている正太郎は卯月からそう耳打ちされても最初
は断ったが、「ふぅん。正太郎くん、葉月ちゃんにはスカートめくりできないんだ」「そう
だよね、御崎先生の妹だもん、スカートめくりなんかしたら御崎先生にこっぴどく叱ら
れちゃうよね」「先生に叱られるのが怖くてスカートめくりもできないだなんて、思って
たより意気地無しなんだ、正太郎くんてば」「でも、四月の入園式の時、スカートを捲
られた年少さんの女の子たち、きゃっきゃ言って面白がってたっけ」「ひょっとしたら葉
月ちゃん、自分だけスカートめくりをされなかったって拗ねちゃうかもね」「スカートめく
りもしてもらえないほどミリョクがないんだって思って泣いちゃうかもよ」「でも、意気地
無しの正太郎くんは先生に叱られるのが怖いから葉月ちゃんのスカートを捲ったりし
ないよね」と言葉巧みに何度も言いふくめられるうち、持ち前の悪戯心に火がついて、
とうとうその気になってしまったというわけだ。
 正太郎にしてみればほんのちょっとした悪戯のつもり。卯月にしても、正太郎と仲良
さそうにしている女の子をちょっぴり恥ずかしい目に遭わせやろうと思った、些細な嫉
妬心の表れに過ぎなかった。
 だが、二人にとっては何気ないそんな行動が、とんでもない結果を招くことになる。

 悲鳴をあげた葉月は、空いている方の手で慌ててスカートの裾を押さえると同時に、
その場にしゃがみこんだ。けれど、急に体を動かしたものだから、思いがけない力が
下腹部にまで加わってしまう。
「……!」
 床にしゃがみこんだ葉月が不意に両目を大きく見開き、声にならない声をあげた。
「ど、どうしたの、葉月ちゃん? ……ご、ごめんね。みんなの前でスカートめくりをされ
たのがそんなに恥ずかしかったの?」
 葉月の異変が自分のせいだと思い込んだ正太郎が、おろおろした様子で宥めようと
する。
 しかし、葉月が唇を震わせているのは、園児たちの前でスカートを捲り上げられた羞
恥のためなどではなかった。いや、正太郎のスカートめくりが全く関係ないとは言えな
い。それがきっかけになったのは確かだ。けれど、葉月が今にも泣き出しそうな顔をし
ているのは、ショーツを大勢の目にさらす羞恥のためではなく、表現しようのない絶望
のどん底に突き落とされたせいだった。
42220 ◆JSxcaNkD96 :2008/09/17(水) 09:04:17 ID:Swmxflpa
「あ……」
 葉月の肩が小刻みに震えて、呻き声とも喘ぎ声ともつかぬあえかな声が漏れ出た。
 それまでじっとり湿っていたナプキンが、とうとう堪えきれなくなって溢れ出たおしっ
こを吸ってじくじく濡れる。
「いや……」
 葉月は弱々しく首を振った。ナプキンがいつまでもおしっこを吸い取ってくれるもので
はないことは葉月にもわかっていた。
「や、やだったら……」
 とめどなく溢れ出るおしっこを遂に吸い取れなくなったナプキンの内側から生温かい
液体が沁み出し、ショーツのクロッチ部分がじわっと濡れる感触が下腹部から伝わっ
てきた。
「え……?」
「嘘……!?」
 正太郎と卯月の目に、ショーツの生地から沁み出し太腿の内側を伝い落ちる雫が
映った。
「……見ないで。……見ちゃ駄目なんだからぁ!」
 最初は力なく呟くように言った葉月だが、あとの方は感情の高ぶりにまかせて涙声
で喚いてしまう。
 だが、それも束の間。内腿を伝い落ちる雫が二滴三滴と増え、とうとう細いながら一
条の筋になる頃には、ペニスから溢れ出たおしっこは全くナプキンに吸い取られるこ
ともなくショーツの生地をしとどに濡らし、クロッチ部分からも床に滴り落ちるようになっ
て、葉月は声を失ってしまう。

「途中ですが、入園式を中断します。先生方は、子供たちを連れて速やかに各々の教
室に戻ってください!」
 葉月がしゃがみこんでいる場所の床に小さな水溜まりができだした頃、皐月が大声
を張り上げて入園式の中断を告げた。
 正直なところを言えば、葉月の痴態をこのまま園児たちの目にさらすのも面白いか
なという思いが皐月にはあった。しかし、しばらくして葉月のショーツを脱がせることに
なった時、裸に剥かれた下腹部を見て葉月が実は男の子だということに気がつく園児
もいるだろう。そんなことになったら、思いもしなかった醜い肉棒を見せつけられて幼
い心に深い傷がつく恐れが多分にある。そういった事態になるのを避けるため、葉月
のことを思いやってなどではなく、ただ子供たちの心に傷を負わせないようにするた
めに、受け持ちの子供を連れてこの部屋から出るよう皐月は保育士たちに指示した
のだった。
423名無しさん@ピンキー:2008/09/17(水) 09:41:51 ID:sSYCuR5l
飽きたyo
424名無しさん@ピンキー:2008/09/17(水) 10:19:16 ID:7kQlpIls
いよいよおむつですな♪
425名無しさん@ピンキー:2008/09/17(水) 19:41:13 ID:kpXPmWJ5
鳴かせるおむつ ム○ニ○マン♪

…スマン
426名無しさん@ピンキー:2008/09/17(水) 20:19:09 ID:Dm2iQJYA
>>425
俺は紙おむつ派だけど。
427ピン:2008/09/17(水) 23:52:48 ID:CBjvZIwA
包茎であることを、もっとからかってほしい。
42820 ◆JSxcaNkD96 :2008/09/18(木) 07:40:39 ID:dIvfcMZA
 目の前で新入生が、それも本当は自分たちよりもずっと年上の筈の女の子がおしっ
こを漏らす姿に、園児たちは動揺を抑えきれなかったが、それと共にいいようのない
好奇の念がむくむくと湧き上がってきて、部屋の中央付近にしゃがみこんだままの葉
月から目を離せないでいた。
 それを、それぞれの受け持ちの保育士たちがぱんぱんと手を打ち鳴らし、手を引い
て強引に立たせ、後ろの扉に向かわせる。

「さ、正太郎くんと卯月ちゃんも自分の教室に戻りましょうね。ほら、もうみんな廊下に
出ちゃったよ」
 しばらく間があって園児たちがみんな発表室から出て行った後、年長クラスの副担
任が引き返してきて、葉月のそばにいる二人に声をかけた。
「あ、はい……」
 思いがけない事態に呆然とした表情を浮かべ、俯いたままの葉月の顔を気遣わしげ
にちらと見て、正太郎が小さな声で返事をした。
 だが、卯月の方は首を縦に振ろうとしない。
「私、ここにいる。ここにいて、御崎先生や遠藤先生のお手伝いをする」
 葉月の手をぎゅっと握ったまま、卯月は胸を張って副担任にそう応えた。
「え? でも……」
 思いがけない卯月の返答に、副担任が困惑の表情を浮かべる。
「だって、先生、いつも言ってるじゃない。小さい子には優しくしてあげなさいって言っ
てるじゃない。小さい子が困ってたら助けてあげなさいって言ってるじゃない。先生も
御崎先生も遠藤先生も、それに園長先生も、いつもそう言ってるでしょ? だから、私、
御崎先生や遠藤先生のお手伝いをして、おもらししちゃった葉月ちゃんの面倒をみて
あげるの。だって、私、年長さんのお姉さんだもん」
 副担任の戸惑いをよそに卯月は澄ました顔で言い、葉月の方に向き直って、わざと
のように優しく話しかけた。
「だから大丈夫よ、葉月ちゃん。みんな教室に戻っちゃって一人ぽっちになっちゃうっ
て心配かもしれないけど、お姉さんが一緒にいてあげるからね。年長さんのお姉さん
がずっと一緒だから安心していいんだよ」
42920 ◆JSxcaNkD96 :2008/09/18(木) 07:45:13 ID:dIvfcMZA
 で、このスレもそろそろ容量いっぱいになりそう
なわけで、新スレを立てようとしたのですが、どう
してだか失敗ばかりです

 どなたか、よろしくお願いします
430名無しさん@ピンキー:2008/09/18(木) 10:56:33 ID:vfZFK6iS
脳内変換の次は立てろかよ。
お前が大量消費してるんだから自分で立てろ。
スレ立て依頼所に行ってでも立てろ。
431名無しさん@ピンキー:2008/09/18(木) 12:04:14 ID:Q2nFPxqt
20調子乗りすぎ。
ここはテメーのスレじゃねーんだよボケ!
キモイアニヲタが生意気言ってんじゃねーよ。
スレぐらい自分で立てろクズ
432名無しさん@ピンキー:2008/09/18(木) 14:04:47 ID:NOjAlHXj
荒らしが調子に乗ってますねw
433名無しさん@ピンキー:2008/09/18(木) 14:10:38 ID:uUbiQEr+
立てました。
434名無しさん@ピンキー:2008/09/18(木) 14:11:28 ID:VBpatKsn
自演だろーなw
435名無しさん@ピンキー:2008/09/18(木) 14:53:07 ID:gONcPYxs
【おむつ】幼児女装小説 5冊目【園児服】
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1221714595/
436名無しさん@ピンキー:2008/09/18(木) 19:04:56 ID:TzTeOFgE
ID変えてまでお疲れ様です
437名無しさん@ピンキー:2008/09/21(日) 02:16:24 ID:y3jIeLk4
20キモイ
438名無しさん@ピンキー:2008/09/21(日) 09:11:29 ID:aBj8KMLo
a
439名無しさん@ピンキー:2008/09/21(日) 09:13:11 ID:55W7SgOk
来ませんねぇ?
440名無しさん@ピンキー:2008/09/21(日) 10:17:20 ID:L2ZSRWiU
ああああああああああああああああああああああああああああああああああああ
441名無しさん@ピンキー:2008/09/21(日) 10:20:39 ID:L2ZSRWiU
ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ
442名無しさん@ピンキー:2008/09/21(日) 10:25:17 ID:aBj8KMLo
あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ
あああああああああああああああああああああああああああああああああああ
あああああああああああああああああ
あああああああああああああああああああああああああ
ああああああああああああああああああああ
あああああああああああああああああああああああああ
あああああああああああああああああああああああああ
あああああああああああああああああああああああああ
ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ
あああああああああああ
ああああああ
ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ
443名無しさん@ピンキー:2008/09/21(日) 10:26:48 ID:aBj8KMLo
目の前で新入生が、それも本当は自分たちよりもずっと年上の筈の女の子がおしっ
こを漏らす姿に、園児たちは動揺を抑えきれなかったが、それと共にいいようのない
好奇の念がむくむくと湧き上がってきて、部屋の中央付近にしゃがみこんだままの葉
月から目を離せないでいた。
 それを、それぞれの受け持ちの保育士たちがぱんぱんと手を打ち鳴らし、手を引い
て強引に立たせ、後ろの扉に向かわせる。

「さ、正太郎くんと卯月ちゃんも自分の教室に戻りましょうね。ほら、もうみんな廊下に
出ちゃったよ」
 しばらく間があって園児たちがみんな発表室から出て行った後、年長クラスの副担
任が引き返してきて、葉月のそばにいる二人に声をかけた。
「あ、はい……」
 思いがけない事態に呆然とした表情を浮かべ、俯いたままの葉月の顔を気遣わしげ
にちらと見て、正太郎が小さな声で返事をした。
 だが、卯月の方は首を縦に振ろうとしない。
「私、ここにいる。ここにいて、御崎先生や遠藤先生のお手伝いをする」
 葉月の手をぎゅっと握ったまま、卯月は胸を張って副担任にそう応えた。
「え? でも……」
 思いがけない卯月の返答に、副担任が困惑の表情を浮かべる。
「だって、先生、いつも言ってるじゃない。小さい子には優しくしてあげなさいって言っ
てるじゃない。小さい子が困ってたら助けてあげなさいって言ってるじゃない。先生も
御崎先生も遠藤先生も、それに園長先生も、いつもそう言ってるでしょ? だから、私、
御崎先生や遠藤先生のお手伝いをして、おもらししちゃった葉月ちゃんの面倒をみて
あげるの。だって、私、年長さんのお姉さんだもん」
 副担任の戸惑いをよそに卯月は澄ました顔で言い、葉月の方に向き直って、わざと
のように優しく話しかけた。
「だから大丈夫よ、葉月ちゃん。みんな教室に戻っちゃって一人ぽっちになっちゃうっ
て心配かもしれないけど、お姉さんが一緒にいてあげるからね。年長さんのお姉さん
がずっと一緒だから安心していいんだよ」
444名無しさん@ピンキー:2008/09/21(日) 13:25:01 ID:JPHwrYV8
まだ14Kも残ってるじゃん
最後まで使い切ってから次スレへ移行してくれと
445名無しさん@ピンキー:2008/09/21(日) 21:32:47 ID:NNmXjj60
446名無しさん@ピンキー:2008/09/22(月) 21:18:02 ID:2Lmg5uye
とりあえず埋めろよな。
447名無しさん@ピンキー:2008/09/22(月) 23:07:37 ID:GhDh3XQb
なんで?
448名無しさん@ピンキー
残り550レスぐらいを残りおよそ20kbに詰め込めるだろうか?