【絶望先生】久米田康治エロパロ総合 Part16【改蔵】

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1名無しさん@ピンキー
久米田康治作品のSSスレです。
週刊少年マガジンに大好評絶賛連載中の「さよなら絶望先生」ほか
「かってに改蔵」「行け!南国アイスホッケー部」「育ってダーリン」など
以前の作品も歓迎。


前スレ
【絶望先生】久米田康治エロパロ総合 Part15【改蔵】
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1207085571/

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【絶望先生】久米田康治エロパロ総合 Part14【改蔵】
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1204387966/
【絶望先生】久米田康治エロパロ総合 Part13【改蔵】
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1200314711/
【絶望先生】久米田康治エロパロ総合 Part12【改蔵】
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1196555513/
【絶望先生】久米田康治エロパロ総合 Part11【改蔵】
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1193976260/
【絶望先生】久米田康治エロパロ総合 Part10【改蔵】
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1191831526/
【絶望先生】久米田康治エロパロ総合 Part9【改蔵】
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1190512046/
【絶望先生】久米田康治エロパロ総合 Part8【改蔵】
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1189391109/
【絶望先生】久米田康治エロパロ総合 Part7【改蔵】
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1186778030/
【絶望先生】久米田康治エロパロ総合 Part6【改蔵】
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1167898222/
【絶望先生】久米田康治エロパロ総合 Partご【改蔵】
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1147536510/
【絶望先生】久米田康治エロパロ総合 Part4【改蔵】
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1123772506
【改蔵】久米田康司エロパロ総合 Part3【南国】
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1105319280
かってに改蔵 Part2 【久米田康治総合】
http://idol.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1083582503/
【かってに改蔵〜天才エロ小説〜】
http://pie.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1035829622/


これまでに投下されたSSの保管場所
2chエロパロ板SS保管庫
ttp://sslibrary.gozaru.jp/


あぷろだ(SS保管庫付属)
http://www.degitalscope.com/~mbspro/userfiles_res/sslibrary/index.html
2名無しさん@ピンキー:2008/04/23(水) 10:35:36 ID:GqY8yZzh
>>1はーん乙
3名無しさん@ピンキー:2008/04/23(水) 11:03:27 ID:5T7Fe/wd
これもヨロ

===スレに投稿される職人さんに対するお願い===
・SSの最後には、投下が終わったことが分かるようにEND等をつけるか
 または後書き的なレスを入れてください。
・書きながら投下はルール違反です。書き終えてからの投下をお願いします。
・本スレはノーマルのエロパロスレです。
・行き過ぎた801ネタ、百合ネタは論争の元になるのでお控え下さい。
 軽めのものであれば、SSの冒頭にその旨の注意書きをお願いします。
・鬱ネタ(死にネタなど)、エロなし、鬼畜系、キャラ崩壊なども
 注意書きをお願いします


書き手にもルールがあるからといって必要以上に
気負い込まずにみんなと楽しくやっていきましょう。
4199:2008/04/23(水) 12:07:30 ID:nvZtDD8R
前スレからお騒がせしてしまいまして申し訳ありませんでした。
そして>>1様、新スレ立てありがとうございます。
皆さんに感謝しつつ投下いたします。
5『貴女の進む道』望×まとい:2008/04/23(水) 12:11:21 ID:2i/hqP0p
――せんせいがわたしをおいていく
――せんせいがとおくへいってしまう
――せんせい、まって、まってください。
――せんせい、待って、先生――


「……せ……せ……」
微かな声にはっとして振り返るが、ベッドの上の少女が目覚めた様子はない。
寝言だろうか。僅かに肩を落とす。うっすらと薬品の匂いがする保健室の中は静か過ぎて、どこか落ち着かなかった。
それとも、落ち着かないのはこうなったのが全て自分のせいだと分かっているからだろうか。
ぼんやりと考えながら、立ったまま窓の外を眺める。試験なんて馬鹿らしくなってしまうほどの青空。
(……貴女の未来は、この空と同じくらいにどこまでも広がっているはずなんですよ)
思いついた言葉に自嘲する。なんてありふれた安っぽい言葉だろうか。3年B組じゃあるまいし。
可能性が無限だなどと言うつもりは毛頭ない。
将来に夢を持ち、希望を持っていいのは中学生までだ。
だが、それにしたって――こんな絶望的な道一本だけに将来を限定してしまうには、彼女はあまりにも若過ぎる。
幼過ぎる、と言ってもいい。
きっと彼女には、今自分の目の前にある数多くの交差路が見えていないのだ。
獣道のほんの少し先に咲いている路傍の花の珍しさに惹かれて、その更に先が断崖絶壁になっていることに気付いていないのだ。
ならばその道を封鎖してやるのが、教師たる自分の役割ではないか。
その道を敷いてしまったのが自分であることを考えれば、尚更――そんなことは、分かっている。
「……せん……せい」
再び聞こえた掠れた声、うっすらと目を開いてまといがこちらを見ていた。
「常月さん、大丈夫ですか?」
「……はぃ……」
ぼんやりとした様子で答えながら、ゆっくりと上体を起こすまとい。眩しそうに目を細める彼女を見て
ベッド周りのカーテンを閉めてやりながら声をかける。
「覚えてますか?昼休みに職員室で倒れたんですよ。私と甚六先生で貴女を運んだんです」
「……はい」
その前後のことを思い出したのか、にわかにまといの表情が強張った。望はゆっくりとベッド脇の椅子に腰を下ろしながら
視線は自分の手元に落としたまま話し続ける。
「今、ちょうど5時限目が始まったころですね。ああ、私のことは気にしないで下さい。試験官なら
 智恵先生が変わってくれましたし……今回はさすがに智恵先生にも何も言われずに済みましたしね、
 サボっているわけじゃなくて、常月さんの付き添いっていうちゃんとした理由があるわけですから……」
それ以上何を言えばいいのか分からなくなって、口をつぐむ。
いや、何を言えばいいのか分からないわけではない。そんなことは、分かっている。
「常月さん」
分かっている、けれども。
6『貴女の進む道』望×まとい:2008/04/23(水) 12:15:53 ID:Erwuhirg
「私から甚六先生にお話してみますから、後日テストを受けなおさせてもらいましょう。社会はまだ
 問題も見ていないわけですから、せめてそれだけでも――」
「嫌です」
きっぱりとした声に顔を上げた望の目を、まといの潤んだ目が射抜く。
「常月さん――」
「私、テストなんか受けたくありません。先生が何とおっしゃろうと、私、先生と一緒にいられないな、らっ……」
まといの声が大きく震えた。ほんの少しだけつり目気味な瞳からぽろりと零れ落ちる涙をぬぐおうともせず
望を見つめたまま言葉を続ける。
「私、ダメなんです、先生と一緒にいられないと、もうダメなんです、先生の、ことがっ、好きだから、
 先生の、こと、私はこんなに、愛しているのに……」
声を震わせ、肩を震わせ、それでも視線は望を真っ直ぐに捉えて離さない。その強さとは対照的な
弱々しい声が、唇から漏れた。
「先生は私のこと、そんなに、嫌いなんですか……?」

ええ、そうです。
だから卒業しても私につきまとうだなんて、そんな愚かな考えはもうお捨てなさい。
自分がただそう言うだけで、その道は閉ざされる。それが彼女のためなのだ、そんなことは、分かっている。
分かっている、けれども。
分かっている、のに――

「そんなわけ、ないじゃないですか」
小さな、本当に小さな声で返された答えに、まといの目が見開かれる。
「私が、貴女を嫌いだなんて……そんなわけ、ないじゃないですか……」

――いたんですか。
そう問い掛ければ間をおかずに
――ええ、ずっと。
そう返ってくるのが当たり前になっていたのは、何時からだったか。
冬が終われば春が来るのが当たり前のように、その変化はとてもゆるやかなもので、でも確実なもので。
その変化が、嬉しかった。
大騒ぎしては絶望することを何度も何度も繰り返し、情けなくみっともない姿を数え切れないほど見せても
決して自分を見捨てず、ただひたすらに自分についてくる少女の存在が、何時からか愛しかった。
だが春になれば、彼女は進級し、3年生になって――その次の冬が終われば、卒業する。
ゆるやかに、しかし確実に訪れるはずだったその変化が、悲しかった。だから
『ただ、先生のお傍にいたいだけなんです』
まといの面談での言葉に、自分は確かに頭が真っ白になるほどの幸福を感じて
――それと同時に、今まで味わったどれよりも深い絶望を、はっきりと感じたのだ。

7『貴女の進む道』望×まとい:2008/04/23(水) 12:18:29 ID:8GUc76fu
「私は最低の人間です。貴女が自分の進路を捨てて私の傍にいるとおっしゃった時、私ははっきりと
 嬉しいと思ってしまいました――どこまでも自分本位で自己中心的な、駄目人間です……」
がっくりと頭を落とし、大きく息をついてうめくように続ける。
「絶望した……自分さえよければ教え子の将来なんてどうでもいい自分自身に絶望しました……
 教師失格どころか、人間失格……私なんかに、貴女が傍にいて下さる価値なんて無いと、そう思ったんです……」
まといの白い指が、そっと望の手に触れる。
「先生……それじゃあ、先生は……」
のろのろと顔を上げれば、まといが半ば呆然としながらこちらを見詰めていた。
「先生は……先生も、私のことを、慕って下さるんですか?」
ここで肯定してしまえばもう引き返せない。そんなことは、泣きたくなるほど、分かっているのに。

――結局のところ、自分も彼女と同じくらいに幼過ぎるのだ、きっと――

「……貴女のことが、好きでした……好きです、常月さん……」
「先生っ!!」
はらはらと涙を零しながら、まといが望の胸に飛び込んだ。少女がベッドから落ちてしまわないよう
反射的にその体を受け止めて――手の置き場に困りながらも泣きじゃくるまといを突き放すこともできず
僅かに迷った後、そっと彼女の両肩に手を置く。
「わ、私……先生に、嫌われたと、拒絶されたと思って……」
「常月さん……」
ショックで倒れるほど、こんな自分のことを想ってくれる。その事実に望の胸の奥がじんわりと暖かくなった。
「申し訳ありません、貴女のことを苦しめてしまって……」
「先生……」
まといが胸にすがりつく。未だその瞳からは涙が溢れているが、それが先程までの涙とは全く
異なる意味のものだと、少女の言葉に込められた幸せそうな響きが教えていた。
「先生……先生、お慕いしています、愛しています……」
少女の囁く声を聞きながら、そっと両腕を背に回して壊れ物を扱うように抱き締める。
「常月さん、私も――」
貴女が好きです。
そう続けようとして、ふと胸元に違和感。と言うか、開放感。
ぱっと視線を落とせば、白い指がぷちぷちと望のシャツのボタンを外していた。
「ちょ常月さん、ちょっと何ををおぉお!?」
「先生」
すっとこちらを見上げたまといは――今までに見たことのない、艶っぽい表情をしていた。
「先生、私本当に怖かったんですよ。先生に拒絶されたって思った瞬間、目の前が真っ暗になって、本当に苦しくなって……」
まといの台詞に、ぐっと言葉に詰まる。
「先生の口癖ではないですけど、本当に、絶望したんですから……」
どこか悲しそうに囁きながらも、ほっそりとした指の動きは止まらない。着物の前を引っ張るようにして
はだけさせ、シャツのボタンを次々外してしまう。
「だから、証を下さい……先生が、本当に私のことをお慕い下さるという証を……安心させて下さい、先生……」
8『貴女の進む道』望×まとい:2008/04/23(水) 12:20:49 ID:6QIY8sNn
ヤバイ。この状況ヤバイ。まじでヤバイよ。マジヤバイ。
そんなヤバイ状況で誘惑してくる常月さんとか超偉い。もっとがんばれ。超がんばれ。いや頑張ったら駄目でしょーが!!
冗談はともかく、脳内で軽く現実逃避してみたくもなるほどにヤバイのだ、今の状況は。
時は5時限目、全校生徒は実力テストの真っ最中。場所は校内の保健室。
ベッド周りのカーテンが閉めてあるのが不幸中の幸いか、いやいや全く幸いではない、
余計誤解を招きかねないだろうがこのカーテン、誰かが保健室に入って来てこの状況を目の当たりにすれば
まず間違いなく自分は襲われている方ではなく、襲った方だろう。
だからって襲われていると認識されても全くありがたくもないし救われるわけでもないが。
白昼堂々学校の保健室で女生徒に襲われるなど、洒落にならない――
「――っ!」
とめどない望の思考を遮ったのは、素肌に直接感じた生暖かい感触だった。
「先生……」
まといの赤い唇が、すーっと望の胸元を辿る。時折舌を少しだけ覗かせてぺろりと肌を舐めたり、強めに吸い上げたりしながら
何時の間にか全てボタンを外してしまったシャツの中へと手を差し入れ、直接望の体を抱き締める。
幼子をあやすように優しく、けれどもどこか妖しく背中を撫でる手の動きに心臓が跳ね上がった。
「先生、暖かいですね……」
「そ、れは、生きてますから……」
甘さを帯びた言葉にだいぶピントの外れた返事をしながら、少女の体を引き剥がそうと小さな両肩に手をかける。
が、それに抗うように背に回した腕に力を込めながらまといがそっと囁いた。
「先生、お嫌ですか……?やっぱり私なんか、先生にとってどうでも宜しいんですか?」
まといが寂しそうに話すたび、胸に熱い吐息がかかる。彼女がすり寄せてくる頬にはまだ少しだけ
涙の跡が残っていて、それらが望の腕から力を失わせた。
「い、いえ、嫌では……ただ、場所とかですね、授業中ですし、その」
「嫌では、ないんですね?」
心底嬉しそうに言いながら、触れるか触れないかという強さでつーっと腰から背中にかけてを撫で上げる。
ちゅ、と乳首を吸い上げられ、望はぞくりとした快感に体を震わせた。
「は……っ」
「先生、先生……」
熱っぽく繰り返しながら、まといの唇が、舌が、指が、自分の素肌をなぞっていく。
セーラー服の肩に置いたままの自分の手に汗が滲み、呼吸がどんどん荒くなっていくのを自覚しながら
下半身に集まっていく熱の未だかつてない熱さに息を漏らす。
「っく……っ、常つ……」
まといが唐突にベッドの上で膝立ちになり、伸び上がるようにしてこちらに口付けてきた。
ついばむようなキス、次に押し付けるような力強いキス。口内に入り込んできた少女の舌が誘うように望の舌を絡めとる。
ぴちゃぴちゃと水音が上がるほど激しいその動きに、頭の中に霞がかかるように思考が鈍って行く――。
9『貴女の進む道』望×まとい:2008/04/23(水) 12:23:52 ID:IXHrni64
「――っふ……」
何時の間にか彼女を求めて自ら動き始めていた望の舌に、まといが嬉しそうに微笑んだ。
その動きに応えながら、ゆっくりと白い手が望の袴紐へと伸ばされる。
「――っつ、常月さんっ!」
寸でのところで僅かに残った理性でその手を押さえつけるこちらの顔を、間近で見上げてくる愛しい少女。
「先生」
お願い。
声にならない訴えをいっぱいに湛えた瞳に、ぐらりと気持ちが揺らぐ。
思えば、常に自分についてまわっている彼女がこんな強硬手段に出るのは初めてで。
彼女のためを思っての言動だったとは言え、そこまで不安にさせてしまったということ、か。
望の両手が三度まといの肩に置かれ、そのままゆっくりと力を込めて――少女の体をベッドへと優しく押し倒した。
「先生……」
「……知りませんからね、どうなっても……」
自分もベッドに上がりながら拗ねたように呟く望を見て、まといがくすくすと笑い出す。
「大丈夫です、どうなっても……私は、先生のお傍を離れませんから」
ああ、どうしてこの少女はこんなに迷いなく自分などを選んでくれるのだろう。
どうしてこの少女の言葉を――こんなにも、信じたくなるのだろう。
彼女なら本当に、自分がどんな道を歩もうとも、傍にいてくれそうな気がする。
今までと同じようにただひたすらに、今までよりもずっと幸福そうに。
「……常月さん」
華奢な体に覆い被さりながら柔らかく呼びかけると、まといが何か答えようとするより早く、今度は自分から口付けた。
舌を差し入れて歯列をなぞり、少女のそれと絡めて吸い上げる。
セーラー服の裾からするりと右手を滑り込ませると、ぴくんと腰が跳ねた。
そのまますべすべした腹部を焦らすように数度撫でてから、下着の上から包み込むように胸を揉む。
「ふ……ぅう――」
塞いだままの唇からくぐもった喘ぎ声。抱きついてくる細い腕が少しこそばゆい。
こちらも抱き締め返すように腕を背中に回し、邪魔な下着のホックを取り外してしまう。
顔を離し眼鏡を取り払うと、まといの耳元に口を近付けそっと耳打ちした。
「声、あんまり出さないで下さいね」
少女がこくりと頷くのを確認し、下着をずらして直接膨らみに触れる。掌に吸い付いてくるような感触に
頭がくらくらするような興奮を覚えながら胸を優しく揉んでいくと、すがりついてくる腕の力が少しずつ強くなる。
「……ぅ……っくん――」
唇を噛み締めるようにして必死で声を押し殺すまといの表情。その艶やかさにこちらの呼吸も荒くなる。
掌の中で硬く尖り始めた突起を指でこすると、あっ――と掠れた声が僅かに上がった。
「我慢して、下さい……」
少し意地悪く囁きながら、指先でくりくりと乳首をこね回し、時に押し潰すように強く愛撫する。
固く目をつむっていやいやをするように首を振り、少しでも快感を逃そうとするまとい。震える白い足を
そっと撫で上げながら、スカートの中に手をしのばせる。びくりと一際大きく跳ねる華奢な体。まといが慌てて手で口を覆う。
「――っ!」
下着の上から触れたそこはしっとりと濡れていて、彼女がどれだけ望を求めているかを伝えてくるようだった。
そっと布地をずらして秘所に直接触れる。
10『貴女の進む道』望×まとい:2008/04/23(水) 12:26:38 ID:/xKUacSU
「ん――っ!」
少女が大きくかぶりを振る。短い黒髪が乱れる様子に言いようのない興奮を覚えながら、全体をさするように手を動かすと
くちゅくちゅと粘着質な水音が立った。淫靡な音に、望の自身も昂ぶっていく。
溢れ出す蜜を指で掬い上げ、塗りたくるようにしてぷっくりと膨らんだ秘豆を刺激する。声にならない嬌声が
まといの指の隙間から漏れた。2人の荒い息遣いと水音がカーテンの中に響く。
「っふ……ぅ――ぅあ?」
口を押さえる手を引き剥がし、代わりに己の唇を押し付ける。混ざり合う吐息。
たっぷりと蜜を絡ませた指をゆっくり秘所へと沈めると、一瞬まといが呼吸を止めた。
「……苦しいですか?」
掠れた声で尋ねるが、少女はゆるゆると首を振ってそれを否定する。
「――気持ち、良いです……先生……」
快楽に潤んだ瞳で見つめられ、ぞくぞくとした欲望が全身を駆け巡る。
袴の中で自身が痛みを覚えるほど熱くなっているのを感じながら指を動かす。熱くぬかるんだそこをかき回すように
ゆっくりと動かし、まといの表情に苦痛がないのを確かめながら抜き差しするように擦りあげる。
「あ……ぁあ……ん――」
頬を真っ赤に染め上げ、再度口元に手を当てるまとい。自分の愛撫でこんなにも彼女が感じてくれることが、ただ嬉しい。
もっともっと感じて欲しい。沈める指を一本増やし、同時に秘豆への刺激も再開する。
「ふ――ぅうん――っ!」
ほっそりとした足がもがくように震えた。指を動かすたび、自分の体の下で細い体が跳ね上がる。
元から白かった手がさらに真っ白になってしまうほど強くシーツを握り締め、襲い来る快感の波に耐える少女。
その髪を愛しげに撫でながら、蜜にまみれた秘豆をぐり――と押し潰すように強く擦った。
「う――ぅう―――――っ!!」
押し殺した叫び声を上げながら大きく背を反らせてまといが達した。指を締め付ける秘所の動きに思わず熱い吐息を漏らす望。
少女の細い体が数回痙攣するように震え、だらりと弛緩する。そうっと指を引き抜くと
掌までとろりと暖かい蜜が滴った。

焦点の定まらない目でぼうっと天井を見上げ、胸を大きく上下させて荒い息を繰り返すまといの顔を覗き込み
そっと汗ばんだ頬にキスを落とす。
「大丈夫ですか?常月さん……」
自分に従って健気にも声を抑え続ける彼女の姿に嗜虐心をくすぐられ、調子に乗って攻めすぎたような気がする。
ゆっくりとこちらを見たまといの目はまだ絶頂の余韻にぼんやりとしていたが、小さくこくりと頷いて
「……だぃ、じょうぶです……」
と呼吸の合間に応えた。力の入らない手を何とか持ち上げるようにして、望の体に腕を回す。
「大丈夫、ですから、先生……」
弱々しい声を聞き取ろうとその口元に耳を近付けると、少女はわざと望の耳に熱っぽい息を吹きかけるようにして囁いた。
「……下さい……先生の……欲しいです……」
11『貴女の進む道』望×まとい:2008/04/23(水) 12:29:21 ID:3/q4lDlC
「―――――」
断れるはずもない。ないのだが。
「本当の本当に……いいんですか?」
乾いた喉から搾り出すようにして発した言葉にまといが一瞬きょとんとした表情を見せ、ぷっと吹き出す。
「もう、何なんですか先生、今更……」
「た、確かに今更かも知れませんが、貴女が後悔するようなことがないように聞いておかないといけないんですっ」
「私、後悔なんてしませんよ」
そう言ってこちらを見上げてくる目は、とても穏やかで。
「私は糸色先生が大好きですから、いいんです。絶対に後悔しません、賭けてもいいです。
 だって私、先生のお傍にいられて――」
――こんなに、しあわせなんです。そう動いた唇に噛み付くように口付けた。
角度を変えて何度も何度も夢中で愛しい少女を味わいながら自ら袴の紐を解き
乱雑に押し下げたそれを蹴り放つようにして脱ぎ捨てる。
自分も貴女が傍にいてくれてこんなにも幸せなのだと、そう伝えたかった。
けれど口に出せば、それは男女の情事の合間によく囁かれる睦言のような薄っぺらなものにしか聞こえなさそうで
結局言葉よりももっと本能に近い部分でまといを――彼女の心と身体を求める。
着物の前をはだけて下着を下ろし、今までにないほど熱く滾った分身をとろんとした目で
見てくるまといのスカートを捲り上げて彼女の下着も脱がせてしまうと、大きく開かせた少女の足の間に割って入った。
秘所は先程絶頂を迎えたばかりでまだ十分潤っている。ひくつくそこにゆっくりと先端を押し当てると、ん、と
押し殺した喘ぎ声とともに僅かに体を震わせるまとい。頬をそっと撫でてやりながら、掠れた声で
「……いいですか?」
と尋ねると、小さく頷いた。
「はい……先生、いらして下さい……」
こちらも頷き返してまといの細い腰を両手で押さえると、ぐっ――と腰を押し出した。
そこは何のためらいもなく望を呑み込んでいく。まるで、ずっとずっと長いことその瞬間を待ち侘びていたかのように。
「んっ――あぁあっ!」
深くまで繋がりあったまといの口から抑え切れなかった悦びの声が上がった。
愛しい男から与えられる快楽に震える体を、望が抱き締める。
「……っ、はぁっ」
息を荒げ、少女の髪に顔を埋める望。熱く絡み付いてくる頭の芯が痺れそうな快感に
夢中になって突き上げる。2人の結合部から上がる、ぐちゅぐちゅと湿った音。
「ぁ、んぁっ、あっ――やっ!?やぁんっ!」
唇で髪をかき分け探り当てた耳にしゃぶりつくと、まといが悲鳴じみた嬌声を上げた。同時に
きゅんと分身を締め付けられ、その動きに奥歯を噛み締めて耐える。
「っ……常月さん、耳、弱点ですか?」
さっきのお返しとばかりにわざと息を吹きかけながら耳元で囁いてやると、首を反らせて少女が反論した。
「やぁっ、くす、くすぐったいだけっ……ひゃっ!やぁ!だめ、駄目ですっ!」
12『貴女の進む道』望×まとい:2008/04/23(水) 12:32:27 ID:IzB59sbs
小刻みに突きながら耳を舐め上げ、甘噛みしてやる。涙目で喘ぎながら頭を振って逃れようとするまとい。
代わりに首筋に舌を這わせながらセーラー服をまくりあげ、自分の動きに合わせて揺れる膨らみを揉みしだいた。
硬く尖った先端の突起を押し潰すようにこね回し、擦り上げると、まといの中がそれらの愛撫一つ一つに
細かく反応した。震えるように広がったかと思えばうねるようにまとわりつき、望のものに吸い付いてくる。
制服姿のまま乱れる少女の姿に、肉感的な興奮だけではなく精神的なそれすら覚えて、頭の中が沸々と煮立つようだった。
「ふぁっ、あ、あぁっ、せんせい、せんせ――」
抱きついてくる少女の自分を呼ぶ口を、己のそれで塞いだ。自分はここにいると教えるように。
自分が振り向けば、いつでも彼女がそこに立っていたように。
彼女が顔を上げれば、いつでも自分がそこに立っていられればいい。
それだけで彼女がどんな獣道でも歩いていけると言うならば、それがきっと自分の役割なのだ。
「――まとい……」
唇を貪りながらうわ言のように漏らした言葉に、少女の目が大きく見開かれた。ぽろり、と涙が落ちる。
「せん……せ」
「――くっ」
「――んぁっ!ふぁ!ゃぁ、ああっ!」
震える細い腰を抱え上げ、そのまま激しく最奥を突き上げる。つぅ、っと汗が一筋頬を流れ落ち
顎で雫となってぽたり、とまといの首筋に落ちた。濡れた肉が擦れ合う淫らな音がどんどん大きくなっていく。
激しい動きに泡立った蜜が結合部から溢れ出てはシーツを濡らす。
痙攣するように蠢きだした下半身の感覚と、がくがくと震えだした白い太股に、少女の限界が近いことを悟った。
「っ、せ、せんせ、も、だめえ――っ!」
切羽詰った声。腰を抱えた望の腕を白い手が掴み、着物の上からがり、と爪を立てた。だが、それが決して静止ではないことを
望は知っている。だから、彼女を労わるようにそっと腰を撫でるだけで動きを止めようとはしなかった。
飢えた獣のようにひたすらにまといを求め、上り詰めていく。
「――ぁ、あ、ぅぁ、ああぁあぁああ――っ!」
ぽろぽろと涙を零しながらまといの全身ががくがくと震える。望を包み込む秘所がぎゅぅっと収縮し、射精を促すように絡み付く。
「――っ!」
最後の理性を振り絞るようにして自身を引き抜くと、ぐったりと脱力したまといの白い下腹部目掛けて
己の欲望を放った。びゅく、びゅくと数度に渡って勢い良く吐き出される白濁が横たわったまといの素肌を汚していく。
「……あ……」
大きく胸を上下させながら、自分のセーラー服やスカートまでも汚したその白い液をほっそりとした指でのろのろと掬い取って
「……せんせい、あたたかい……」
そう呟いて潤んだ目で幸せそうに笑う少女に、肩で息をしながら口付ける。
――5時限目の終了を告げるチャイムが、どこか遠くの音のように聞こえた。


13『貴女の進む道』望×まとい:2008/04/23(水) 12:35:08 ID:141GAuta
「よし、と」
放課後の保健室。きゅ、と袴の紐を結び終えて、満足そうにまといが微笑む。
着物と袴、いつもの彼女のスタイルを見ながら、望は疲れたようにため息をついた。
いや、実際疲れたのだが。
「どうなさったんですか?先生。元気がないですね」
「……あんなことした後で堂々と教室に行くはめになった私の身にもなって下さい」
まあ、まといに愚痴っても仕方のないことだとは分かっている。担任として受け持ちのクラスのHRを行うのは
至極当然のこと、その上まといの制服を汚したのは他ならぬ自分だ。彼女がテストが終わったら着替えようと
あらかじめ教室に置いていた和服を持ってくる役目も――誰かに頼んで『まといちゃんのセーラー服、汚れたんですか?』と
尋ねられた時、まともな受け答えができる自信がない以上――自分がやるしかない。
だが、校内で、教え子と、結構というかかなりというか100%本気であんなことやそんなことをした直後に
他の教え子達の前に何食わぬ顔で出て行くのは――想像以上に、疲れた。と言うか、無理だった。
「……死にたい……」
声は上擦るわチョークは折るわ、挙句の果てに生徒の名前を間違えて呼ぶわ、明らかに挙動不審だった
HRでの自分を思い出し、ぐりぐりと窓に頭を打ちつけながら呻く望の後ろにそっと寄り添うまとい。
「死ぬときは、ご一緒させていただきます」
「……そんな風に言われたら、死ねないじゃないですか」
「死ねなくならないと、お困りでしょう?先生」
図星を突かれて沈黙する望の後ろでくすりと笑うまといが窓に映った。着物の袖を口元に当てて笑うその仕草に
一瞬、目を奪われる。
「……どうなさったんですか?」
「いえ……」
くるりと振り向けば、きょとんと自分を見上げてくる愛しい少女。
爽やかな黄色の着物に深緑の袴、時節柄卒業式か一歩間違ったコスプレかという服装を見ながら、ふわりとした笑みが浮かんだ。
「ああ……やっぱり常月さんは、制服よりもそちらの華やかな装いの方が似合います」
望の言葉に、かぁっとまといの頬に赤みが差した。恥ずかしそうに俯いて片手を頬に当てる。
「そんな先生……次は和服で乱れて欲しいだなんて、先生がお望みなら私は何時でも」
「言ってません!そんなこと誰も言ってませんから!!
 絶望した!ささやかな褒め言葉すら捏造フラグになる男女関係に絶望した!!」
そもそも別に次回も着衣じゃないといけないとかそういうことはないわけでいや待て何を彼女のペースにはまって
次回とか考えてるんですかそれは確かに和服も悪くはないですけどだから待てその方向性は極めて危険です
今ならまだ間に合いますから戻ってきなさい落ち着くんです糸色望素数を数えなさい――
14『貴女の進む道』望×まとい:2008/04/23(水) 12:40:11 ID:5DnBnoUA
「先生」
固まってぐるぐると思考を巡らせる望の胸にとん、と軽い感触。まといが頭をもたせかけ、目を閉じる。
当たり前のようにその体を抱き締める自分に驚き――ああ、これでは彼女の言う次も遠くなさそうだ、と勝手に赤面した。
「私、浪人します」
「は?」
思わず素っ頓狂な声を上げ――すぐに彼女が進路のことを話しているのだと気付いて、慌てて首を振る。
「い、いえ、いきなり浪人なんて言い出さないで下さいよ。とりあえず今からでも進学を希望するのは遅くないですし」
「進学なんてしませんよ」
まといの返答に心中で首をひねる。てっきりテストの件があったから進学を諦めた結果の浪人と思ったのだが。
「就職浪人することに決めました。卒業してすぐにでも就職したいんですけど、それは私だけでは決められませんから」
「はあ?」
ますます訳が分からない。眼鏡の奥で目を瞬かせる望の顔を見上げて、幸せそうに笑う少女。
「先生、永久就職ってご存知ですか?」
一瞬ぽかんと口を開け、見る見る耳まで真っ赤に染まる顔を片手で押さえて
「……本当に、貴女の愛は重いですねえ……」
言った男は、呻くような口調と裏腹にどこからどう見ても彼女と同じくらい幸せそうで。
「あんなに熱っぽく『――まとい』なんて囁いてしまわれる先生に言われたくないです」
「んなっ!?い、言ってませんよ私!言ってませんよね!?」
「いいえ、確かにおっしゃいました。まさか覚えていらっしゃらないんですか?
 でもそれだけ夢中になって下さったっていうことですね、うふふ、嬉しいです」
「夢中とか言わないで下さーい!!
 って言いますか優位に立ち過ぎです!何で貴女そんなに余裕しゃくしゃくなんですか!?」
「だって、先生のお気持ちをちゃんと知ることができましたもの」
惚れたら負け、そんな名言を思い出して思わず苦笑する。この場合彼女も自分に惚れているのだから
自分1人が負けっぱなしというのは割に合わない気もするが、考えても仕方がない。
つい昨日までは自分の後ろにあった少女の体を抱き締める腕に少しだけ力を込める。いずれ手を取り合って
同じ道を進んで行ける――かも知れない少女。
「お傍にいますよ、ずっと」
誰にともなく呟いたまといの声は、きっと一緒に進んで行けると、そう望に応えているようだった。


数時間後。
こそこそ保健室のベッドシーツを洗濯していた望が交に見つかり、その挙動不審っぷりに交は呆れるのを通り越して
かなり本気で望を命の病院に連れて行こうとしたりするのだが、まあ、オンエアされない話の1つ。
15199:2008/04/23(水) 12:42:57 ID:Hyy7n0Fa
すいませんすいません、長い間ほったらかしですいません。
エロがおまけ程度ですいません。絶望とまといのキャラが原作通りじゃなくてすいません。
エロシーンが致命的に苦手なのにエロパロなんか書いてしまう身の程知らずですいません。
今更いらねーよと言われるのは承知で完成させてしまいました。マジすいません。
お付き合いありがとうございました。
16名無しさん@ピンキー:2008/04/23(水) 13:09:18 ID:5fm7qiDo
うおおお最高です!
私はこのSSを読んでまとい萌えに開眼しましたよ
本当にGJ!
17名無しさん@ピンキー:2008/04/23(水) 17:56:07 ID:QqN8goE+
ヤバイ、この作品ヤバイ…
マジGJ!
18その花束に絶望を:2008/04/23(水) 21:55:51 ID:X9IxIlhz
>>15
改めて、保管庫の方から通して読ませていただきました
待った甲斐がありました………なんというGod−Job
まとい可愛いよまとい可愛いよまとい………幸せな結末になって本当に良かった
>>8冒頭からの随所にちりばめられたネタも、思わずクスリとしてしまいました
完結おめでとうございます、そして素敵な作品をありがとうございました!



えー………そして
そんな、幸せなお話の後で恐縮しっぱなしなんですが
「その花束に絶望を」完結片が書き上がりましたので、投下させて頂きたく存じます
正確には「完結編」と「後日談編」の2本なので無駄に長いです、本当にすいません

(注意事項)
・絶命先生が鬼畜な設定です
・更にもう1人、外道にキャラ崩壊してる子がいます
・エロ無しです
・鬱展開上等

以上、了解していただきましたうえで、お読みください
では、参ります
19その花束に絶望を karte16 (1/8):2008/04/23(水) 21:58:14 ID:X9IxIlhz
時は、ほんの少しだけ遡って………。

男は1度息をついて………カチカチ、と取り出した携帯電話のボタンを操作する。それを耳に当て、しばし抑揚に
欠ける呼び出し音に耳を傾けた後。
『はい、もしもし。』
「………もしもし、私です。」
今回の『依頼人』に、確認の電話を寄越す。
『ああ、どうも。それで、どうなりました?』
「今、送り届けました………。」
『有難うございます。マ太郎は、ただの仕事だと思って行ってるんですよね?』
「はい、そうです。」
『そうですか………ああ、そうだ、あちらの手配も確認できました。とっても頼りになる人達ですね。』
「本当に、例の通りでいいんですよね?」
『はい、ご苦労様でした。お金は、そちらの指示通りに振り込んでおきますから。』
電話の向こう側に居る相手の声に、何度か頷いて。男はやがて、満足げな笑みを浮かべた。
「はい、有難うございます。後で、確認させて頂きます………。」
『あとは、私達の仕事です。それじゃぁ………これで。』
「はい。それでは、失礼します。」
丁寧な応対の後、電話を切り………電話越しにも関わらず無意識のうちに浮かべてしまっていた、営業スマイルと
いう仮面を外し、息を吐いた。

依頼人の顔を、思い出す。まさか………あんな、どう見てもただの女子高生にしか見えない娘が、依頼を持ちかけて
くるとは思わなかった。が………金さえ用意出来る相手なら、専業だろうと副業だろうと全力で要求に応え、相手が
求めるものを用意するのが自分の仕事だ。それ以上でも以下でもない。
正直な話、あの娘の正体はかなり気になるが………余計な詮索はしない、というのも、この世界の常識だ。

「………人の良さそうな面して、大したもんだよ、全く………。」
男は、どこか呆れたような声でそう言って………すぐさま、その場を離れ、報酬の入金を確認しに行った。
20その花束に絶望を karte16 (2/8):2008/04/23(水) 21:58:43 ID:X9IxIlhz


//////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////


開かれたドアの向こうに立っていたのは………よく見知った、自分の僕、あの看護婦だった。
だが。恐怖に表情を引き攣らせた看護婦の、その背後に控えている人間を見て………命は、愕然とする。

まず、看護婦の背後で、その腕を関節技を決めるように拘束して………もう一方の手で持った拳銃をそのこめかみ
に突きつけている少女。それは、命が身内である倫を除き、あのクラスで1番初めに手中に収めたははずの、その
少女………風浦可符香、その人だった。
そして、その、更に背後。狭いドアからでは、全体を確認することはできないが………それでも、数十人は控えて
いるであろうことが察せられる、褐色の肌を持つ人間の群れ。半ばパニック状態に陥った命には、その正体を知る
術など無かったが………それは、あの簡易物置で暮らしていた、そして、それ以外にもこの町の到る所に身を潜めて
いる、マリアの同胞達だった。

「せ………せん、せ、い………っ!!」
看護婦が、震える声で呟く。その声がスイッチになったかのように、命は我に返り………腕に抱えていたマリアの
身体を放り出して、とっさに、机の上に放置してあった拳銃に手を伸ばす。
だが………命の手がそれに届くよりも先に、地下室に、ピシュン、と気の抜けたような音が響く。サイレンサーに
よって抑えられた銃声の直後………命が掴もうとした拳銃は、弾丸に弾き飛ばされて床に転げ落ちた。
「………ッ………!?」
伸ばした手の先を飛び去った弾丸に………その、驚くほどに精密な軌道に、命は戦慄する。
弾丸を放った可符香は、すぐさまその銃口を硬直している命の頭に向けた。
「お久しぶりです、絶命先生。」
「ッ………貴様………!」
普段通りの明るい声とにこやかな笑顔で、可符香は遅い挨拶を済ませ………そして。
「まぁ!どうしたの、マ太郎!」
命が何か返事をする前に、大袈裟な声と口調で、そう言った。心の底から驚いているような言い方とは、対照的に
………命からしか見えないその顔には、妙に落ち着き払った微笑が、張り付いている。
そして。可符香のその言葉を受けて………背後に控えていた人の群れが、ざわめき始める。
「大丈夫!?その人に、何をされたのマ太郎!?」
「マタロウ?」
「………マリア?」
「マリア。」
「マリア………。」
可符香が地下室に踏み込み、通路を空けるように1歩横へ退く。何人もの呟きが重なり連なった音と共に、マリア
と同じ色の肌をした人間達が、踏み込んでくる。男も女も、大人も子供も入り混じって………その数、数十人。
「マリア………ッ!!」
その中から1人、マリアと似た背格好の少女が飛び出す。マリアよりも短い髪をしたその少女は、壁際でぐったり
としているマリアに真っ直ぐに駆け寄って、その顔を覗きこんだ。しかし………眼の前にその少女の顔が現れても、
マリアの瞳は動かない。その視線はただ、どことも知れない空間に、ぼんやりと漂ったままだ。
「おい、勝手に………。」
命が、その少女を制止しようと振り向きかけて………その瞬間、再び弾丸が部屋を横切る。正確に命の頬を掠め、
その肌だけを切り裂いた弾丸は、壁に着弾してコンクリートの欠片を飛び散らせた。
「………勝手に動いちゃ駄目ですよぉ、先生。」
再び硬直した命の顔を、1度、憎悪に満ちた眼で睨みつけて………少女は、力無く弛緩したマリアの身体を抱えて、
人の群れの中へと戻っていった。いくつもの眼が、不安げにその様子を見送って………その後、命に視線が集中
する。その視線を受けて………命は、生まれて初めて、心の底からの恐怖に身震いした。
21その花束に絶望を karte16 (3/8):2008/04/23(水) 21:59:32 ID:X9IxIlhz
「マリア………。」
「マリア、泣イテタ。」
「泣イテタ。」
「泣カセタ。」
「マリア、泣カセタ。」
「………アイツ、マリア泣カセタ。」
片言の日本語で、口々にそう呟きながら、人々はじりじりと命に歩み寄る。そして………扉の隣に立つ可符香が、
拳銃の狙いを命の頭に定めたまま、それを煽る。
「………そうです。その男は、皆さんの大切な同胞、関内・マリア・太郎を泣かせた、極悪人です。」
「………泣カセタ。」
「マリア、泣カセタ。」
「同じ運命を背負った仲間を穢し、その心を踏み躙った、悪魔です!そんな男を、皆さんは許せますか!?」
「………アクマ。」
「マリア泣カセタ、アクマ。」
「許サナイ。」
「この国は、皆さんの怒りを代弁してはくれません。裁きを下せるのは、そう、あなた達だけなのです!!」
「許サナイ。」
「アクマ、許サナイ。」
「………殺ス。」
「さぁ、今こそ怒りの拳を振り上げるのです!同胞の心を壊した悪魔に、裁きの鉄槌を!!」
明るい声とは裏腹の、血生臭い内容の可符香の演説は、まるで催眠術のように、人々の中の命への怒りと、仲間を
傷つけられたことへの復讐心を煽っていく。自らの作り上げた、逃げ道の無い地下室の片隅に、命が追い詰められて
いく。床に落ちた拳銃は、既に人の群れに無残に踏み潰され、もはや命にその身を護る術は残されていない。

欲望に忠実でありながらも、その欲望を満たし続ける為に、保身にも余念が無かった………そんな狡猾な性格だから
こそ、命には、眼の前に迫り来る人の群れの危険さが、それこそ死ぬほどよく理解できてしまっていた。
自分が穢し、そして壊した少女の、同胞達。今の彼等の頭の中には………自分の身を護る、という意識など、欠片
も残されてはいない。そこにあるのは………ただただ純粋な、怒りと復讐心のみ。自暴自棄、などという言葉すら
生易しい………それは、完全に怒りに我を忘れた、野獣のような精神状態だった。
しかし………本来の彼等ならば、ここまでの狂乱状態にはならなかったであろう。彼等がこの国で生きていく根底
には、『自分の身は自分で護る』というルールが存在するはずであり、例え同胞が無残に傷つけられ怒りを覚えた
としても………傷つけられたその人が、自分の為の復讐により他の同胞が危険に晒されることを望まないであろう、
という思考に到るはずだからだ。
彼等がここまで、怒りを動力源とする人形のような状態に陥ってしまった原因は、おそらくただ1つ。
今は彼等の背後で、事の成り行きを見守っている………風浦可符香。彼女による扇動………いや、洗脳である。

「(私は………私は、何を仕出かした?)」
命が、自問する。
「(………私は、一体………。)」
その、答えが出る前に。
「(なんという、悪魔に………手を、出してしまったんだ!?)」
命の身体………無数の手足が、襲い掛かった。
22その花束に絶望を karte16 (4/8):2008/04/23(水) 22:00:13 ID:X9IxIlhz

その後数分に渡って、鈍い音と命の叫び声が、混ざり合って部屋中に響き渡る。
そんな、思わず耳を塞ぎたくなるような騒ぎの中でもよく通る声で、可符香は言葉を続ける。
「命を奪っては、いけません!死によって………その魂を、この世界から解放させてはいけません!」
人々はその声に反応しなかったが………その言葉は確実にその頭に染み込み、延々と続くかに見えた人々による暴力
にいくらかの歯止めを掛けていった。
「私なら………その悪魔に、もっと、死ぬよりも辛い償いを課すことが出来ます!」
その言葉に………ものの数分で、もはや立ち上がることすら出来ない程痛めつけられた命への暴行が、止む。
「ツグナイ?」
「ツグナイ………。」
「そうです、償いです!その悪魔の背負った罪は、死などという生易しい審判で贖えるものではありません!」
中には、可符香の言葉の意味を理解できない者も居たが………可符香の言葉には、どこか、言葉の壁を越えて人々
の心を操る、ある種の魔力が備わっていた。命を襲う手足の動きが、徐々に、緩慢になっていく。
無残な姿で、血を流しつつ床に横たわりながら………命は、その声が次に何を告げるのかを恐れ、震えていた。

やがて、しん、と凪いだように静まり返った部屋の中で。
「………もう、いいですよ。入ってください。」
可符香の声だけが、やけに大きく響く。

「駄目ですよ、先生………そんな、都合の良い夢を見ちゃ。」
その声を合図にして。
「こんな凶悪な性犯罪者が、何のお咎めも無しなんて………そんなこと、あるはずないじゃないですか………。」
黒ずくめにサングラスという、いかにもな出で立ちの男達が、部屋に踏み込んだ。


//////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////


「………時間を掛ければ掛ける程、足がつく危険は増しますが。」
「すいません。でも………最期に少し、お話したいんです。なんなら、別料金も払いますか?」
「………いえ、初めの契約は護ります。事務所に、拘束しておきますので………なるべく、早いうちに。」
「解かりました。それじゃぁ、お願いします。」
ボロ雑巾のようになった命を、乱暴に地下室から引き摺り出した男達は、鮮やかな手際でそれをただの荷物のよう
にカモフラージュし、糸色医院の裏口から運び出した。黒塗りの車にそれを積み込み、代表者らしい男が可符香と
二言三言会話をして………やがて、車は走り去る。
「………それじゃぁ、皆さんも、今日はこれで。」
「………………。」
「あとの処分は、私に任せてください。皆さんは………マ太郎の傍に、居てあげてください。」
「………マリア………。」
「あの悪魔の行く末は、必ず………皆さんにも、マ太郎にも、知らせますから。」
大挙して押し寄せたマリアの同胞達も、可符香のその言葉にあっさりと納得し、まるで少しでも目立たぬよう気を
遣っているかのように、それぞれバラバラの方向へと歩き出した。まるで、さきほどまでの地下室の惨状が嘘のよう
に、糸色医院はいつも通りの寂れた静けさを取り戻していた。
そして。可符香と共に残された………最後の、1人。
「………さて。」
「ひ、っ………!?」
命の右腕として、この悪行に加担してきた彼女は、可符香の声にビクリと身を強張らせた。まるで、異形の怪物を
見るような眼で、泣きそうな顔で、人の良さそうな笑みを浮かべる可符香の顔を見つめる。
23その花束に絶望を karte16 (5/8):2008/04/23(水) 22:00:49 ID:X9IxIlhz
「やだなぁ、そんなに怖がらないでくださいよぉ。」
「………っ………?」
「解かってますよ。あなたも、先生に酷いことされたんでしょう?」
「え………ぁ、っ………?」
「1番悪いのは、絶命先生です。あなたまでどうこうしようなんて、私、思ってませんよ!」
可符香のその言葉に、看護婦は、まるで絶望の淵から救済されたような表情を浮かべた。浮かんでいた涙が、まるで
眩しい光を見つめるように細められた眼の下で、つ、と流れ落ちる。
………が。

「ただし。」

それに続いた声の持つ、圧倒的な迫力に………看護婦はまた、ビクリ、と身を震わせる。
再び硬直した看護婦に歩み寄り………それまでの笑顔が嘘のような、まるで、底の見えない沼の様に濁った色で鈍く
光る瞳でその顔を見つめつつ、可符香が付け加える。
「あなたが………2度と私の眼の前に、姿を現さなければ、ですけどね。」
「………ぇ、っ………。」
可符香の言葉に、看護婦が、ぽかん、と口を開ける。
「そうすれば、これ以上あなたを責めるつもりはありません。すぐに、どこか遠くへ出て行ってください。」
「ぇ………あ、っ………?」
「さもないと………もしも私が、次に、あなたのことを見かけたら………。」
「………ッ………!」
「あなた………もしかして、絶命先生よりも、私の友達よりも、ず〜っと酷い目に遭っちゃうかも知れませんよ?」
その言葉と、声に………看護婦は、直感する。
この娘は………気が、狂っている。この娘なら、本当に、自分をどんな目に遭わせるか、解からない。
「ひ、ぃ、ぁ………っ………!!?」
看護婦は、生まれて初めての恐怖に戦慄しながらも………ガクガクと何度も、その首を縦に振った。
それを見て、可符香は満足げに微笑み………そして、それ以上は何も言わずに背を向け、歩き去った。

独りその場に残された看護婦は………やがて緊張の糸が切れたように、ぺたん、とその場にへたり込んだ。


//////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////


数日後。余り治安の良くない街の、とある事務所の一室。
ごく普通の生活を送る、表社会に生きる一般人なら、一生縁の無いはずのその場所で。
「………凄いニュースになってますよ、先生の診療所。」
可符香は………診療所に押しかけた黒ずくめの男達によって椅子に括り付けられた命と、向き合っていた。
「突如として失踪した、町の開業医の先生。警察が、その診療所を調べてみたら………。」
「………………。」
「近隣の女性を狙った、婦女暴行事件を記録した資料がどっさり、ですもんね。」
「………っ………。」
「今や、『失踪者』じゃなくて『逃亡者』扱いですよ。有名人ですね!」
命が、どろりとした視線を可符香に向ける。長い間風呂に入らず、髭も剃っていないその姿は、一見すると公園で
野営している人間のようにも見えたが………しかし、汚れてはいるが肌の血色は良く、痩せ細ったりやつれている
ような様子も無い。声も、しっかりしている。
「それで、どうですか?ここでの、生活は。」
可符香のその質問に………命は、ようやく反応を示した。
「………ああ………健康管理だけは、マトモにやって貰ってるよ。栄養的には申し分の無い食事も出るしね。」
「そうですか、それは良かった。ちゃんと、頼んだ甲斐がありました。」
24その花束に絶望を karte16 (6/8):2008/04/23(水) 22:02:14 ID:X9IxIlhz
「………君が、どんなつもりかは知らないがね。あとはそうだな、強いて言えば………死ぬほど、退屈だ。」
「大丈夫ですよぉ。それも………今日限り、ですからね。」
皮肉たっぷりの命の言葉に、可符香が含みのある言葉を返す。そんなやり取りが、しばし続いて。
「で………今日は、どういうつもりだ………?」
命が、その問いを可符香に投げ掛けた。
可符香は、うーん、とわざとらしく空中を見つめて考え込むような仕草を見せてから、それに答える。
「まぁ………最期の挨拶、ってところですかね。」
「………最期の、か。」
「ええ。それと………せっかくお別れなので、いろんな、タネ明かしも兼ねて。」
付け加えられた言葉に、命の眉がぴくりと動く。
「………先生、私のしたことで、何か気になってることとかありませんか?」
この期に及んで、未だに上辺だけは純粋無垢な少女のように装う可符香の態度に、苦笑してから………命は、じ、
としばらくの間足元を見つめて………可符香の言葉に、答えた。
「1番、解せないことと言えば………私が、こうして生かされていることか。」
「さて、どういう意味ですか?」
「ここまで来て、とぼけるなよ。まず………どうして、私を始末する気になったんだ?」
どこまでもストレートに、真正面から投げ付けられる、命の問い。それを受け続けるうちに………可符香の被った
仮面も、徐々に剥がれ落ちていく。その表情に、どこか狂気染みた………あの日、命が初めて可符香を犯し、その
純潔を奪った後に見た、あの気配が浮かび始める。
「………1番の理由は、やっぱり、先生の………あなたじゃない、私の大好きな、先生の為です。」
「望の………か?」
「先生………倫ちゃんにも、酷いことしたんですよね?実の、妹なのに。」
「………ああ。あれは、君達のクラスの中で動いてくれる、優秀な手駒になると思ってね。」
「それですよ。そんなに簡単に、身内に手を出せる人です………私の先生だって、いつ牙を剥かれるか。」
「………危険因子は、取り除いておこうと?」
「ええ。先生が、あなたにとっての邪魔者になったとしたら………あなたは、必ず先生を消そうとしますから。」
確信に満ちた声で、可符香はそう語った。普通なら、勝手にそんなことを決め付けられれば憤慨してもおかしく
ない所なのだが………可符香のその話が、怖ろしいほどに真実を言い当てているだけに、命は反論できず、ただ
苦笑いを浮かべ続けるだけだった。
「………まぁ、今の話は間違っちゃいないな。いやはや、大した行動力だよ。」
「ふふふ………有難うございます。」
「しかし、だ。それならば、やはり………どうしても、この状況が解せないんだよ。」
この状況においてもなお、まるで自分と相手が対等な立場に立っているような態度で、命は続ける。
「そう思ったのなら、しかも、こうして裏社会の人間を操れるなら………何故、私をすぐに殺さない?」
「………ですからそれは、あなたに死ぬよりも辛い苦しみを………。」
「その理由を、聞いているんだ。合理的に考えれば、一刻も早く存在そのものを抹消するべきだろう?」
「………へぇ、そういう手もありましたねぇ………。」
「生き永らえさせておくことにメリットは無い。それに………難民の群れを引き連れてきたりするか、普通?」
「さぁ、私、奈美ちゃんじゃないからよく解かりません。」
「早く、ミンチにして魚の餌にでもすれば良いだろう?何故、そうしない?」
やがて、対等どころかまるで立場が逆転してしまったかのように、命ばかりが饒舌になっていく。
「それをせず、こんな非合理的な真似をする理由など………1つしか、考えられない。」
「へぇ、そうですか。それって、何でしょう?」
「恨みだよ。平静を装ってはいるが、君は………危険を冒してでも私に復讐をしたがる程、私を恨んでいる。」
その言葉に、今度は可符香の眉が、ぴくりと動いた。命が………そんな圧倒的に弱い立場にあるとは思えない顔で、
にい、と笑ってみせる。
「………本当は………私に処女を奪われたのが、悔しかったんじゃないか?」
「………何言ってるんです?あのとき、言ったじゃないですかぁ、身体なんて所詮は仮初の………。」
「ほら、恨んでいること自体は否定しないだろう?ならば、それ以外に私が君に恨まれる原因などあるか?」
「私は、ただ………あなたに傷つけられた友達の、仇討ちをしたかっただけですよ。」
「それは、無いよ。断言できる。それなら………あれだけの被害者が出る前に、手は打てたはずだ。」
可符香の反論が、止む。
25その花束に絶望を karte16 (7/8):2008/04/23(水) 22:03:25 ID:X9IxIlhz
「しかし、君は待った。私が、君が言う『望に近づく邪魔者達』を、全て穢し尽くすまで、だ。」
「………っ………。」
「そんな人間が、仇討ちだと?はは………こりゃぁ、傑作だ。」
嘲るような、命の声に………今までは、ほんの一瞬狂気が見え隠れする以外はいたって平然としていた可符香から、
明らかな、激しい感情のオーラが漏れ出し始める。
「少々、狂ってはいるが………君も所詮は、愛する男に純潔を捧げることを夢見た、純情な乙女だったわけだ。」
空気がざわめくような錯覚に陥る。しかしそれが、眼の前の少女が心を乱していることを示しているのだと思うと
………自分の言葉が、少なからず可符香を動揺させているのだと思うと、もはや救いようの無い状況に追い込まれ
ながらも、命は心のどこかで、胸のすくような気分を感じた。
「この勝負に、私は負けた。最終的には、こうして完膚なきまでに、君に叩き潰される結果になった。」
「………………。」
「が、どうやら………あの日の私は、君の鋼鉄のような精神に、一矢報いてくれたようだな。」
挑発的な態度で、命は続ける。その言葉を浴びせられながら、可符香はしばしの間眼を閉じ、呼吸を整えるように
深く息をして………数秒の後にはもう、ここに来たときと同じような、普通の人間には決して見破ることの出来ない
笑顔の仮面を身に着けていた。
「ごめんなさい、先生。私ったら気が抜けて、余計なこと言っちゃったみたいです。」
爽やかな笑顔でそう言って、可符香は椅子から立ち上がる。その顔を、命の一対の瞳が見つめる。

そして。
「それじゃぁ、今日でお別れです。今まで本当に………。」
「そうだ、それと1つ、面白い話を聞いた。」
可符香の最後の挨拶を遮って、命は、なおも言葉を続ける。
「なにやらインターネットで、今回の事件のことが、いろいろと問題になっているようだね。」
「………へぇ、そうなんですか?」
「なんでも………私が狩った『13名』の生徒の顔写真と実名、彼女等に関する資料が流出したそうじゃないか。」
「まぁ、大変ですね。」
「可哀想にな………顔と名前、受けた屈辱を晒された女生徒達は、もう今まで通りの日常には戻れないだろう。」
「それはお気の毒に………けど大丈夫、きっと、その人達も立ち直ってくれますよ。」
どこか抑揚に欠ける声で、会話は続く。
「………私でも、そこまでしようとは思わないよ。君も大概、外道だな。」
「………さぁ?何のことだか、私にはさっぱり。」
最後に、そんな言葉を残して。
「話が済んだなら、これで失礼しますね。それじゃぁ………。」
可符香は、ドアに歩み寄って………。

「さようなら………絶命先生。」

振り返らずにそれだけ言い残して、命の眼の前から、姿を消した。
26その花束に絶望を karte16 (8/8):2008/04/23(水) 22:04:17 ID:X9IxIlhz


//////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////


黒ずくめの男達に、今日まで命を拘束してくれた礼を言って、可符香は事務所を後にしようとした………その、去り
際に。男達の中の1人が、可符香に1枚のメモを手渡す。可符香は、その場でそれに目を通し、それを手渡した男
に微笑んでから………それを、細かく破り、近くにあった灰皿に捨てた。完全に消えていなかった煙草の火が、メモ
の端に燃え移る。
「追加の分は、私は要りません。皆さんで好きにしてください。」
「は?いや、しかしこれは相手の厚意で………。」
「私は、私の目的さえ達成できれば………『あれ』が少しでも長く地獄で苦しんでくれれば、それでいいんです。」
「………はぁ………。」
困惑する男に、可符香はそんな言葉とは裏腹な、場違いなほど爽やかな笑顔を見せて。
「それじゃぁ、後のことはよろしくお願いしますね。」
そうして………今度こそ、その事務所を後にした。

たった今破り捨てられ、灰皿の中で黒くなっていくメモには………この事務所の人間を介して可符香と通じている
某国の人間からのメッセージが綴られていた。
おそらくこの国の大半の人間が読めないであろうその文章には、その人間がこの事務所で実際に命の姿を見たこと
と、そして………非常に供給の少ない、『健康な若いの男』と言う実験用モルモットを、非常に優れた健康状態で
提供してくれたことへの感謝の辞、それに対する追加の報酬についての伝言が、記されていた。



(完………?)
27名無しさん@ピンキー:2008/04/23(水) 22:05:56 ID:vDq9pgKA
GJ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
28その花束に絶望を:2008/04/23(水) 22:06:26 ID:X9IxIlhz
(以上、完結編でした
前スレ>>579氏のレスを読んだときは、正直ドキッとしました(苦笑



では、以下、後日談編です)
29その花束に絶望を After (1/7):2008/04/23(水) 22:13:13 ID:X9IxIlhz
「………はい、それでは、今日の授業を終わりにします。皆さん、気をつけて帰るように。」
「「「はーい!!」」」

生徒数わずか3.1人の、小学校のクラスでの授業を終えて。
望は、我先にとランドセルを背負い校庭に飛び出していく子供達を見送ってから、教室を後にした。


//////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////


望は今、生まれ故郷も慣れ親しんだ町も遠く離れた、離島に身を置いている。
本島との連絡線は月に2本。住んでいるのは十数世帯。医者は、じきに引退を考えている老人が1人と、その弟子
に当たる望と同じ世代の青年が独り。学校は小学校と中学校が1つずつで、いずれの学年も生徒数は1桁前半か、
もしくはゼロ。港の周りにはある程度の文化的な店が並ぶ商店街があるが、それ以外はほとんど野山と海岸のみ。
観光客も、滅多に来ない。電気、ガスはあるが、電車や信号は無い。電話も島の外へは繋がっておらず、島外への
連絡手段は連絡船で運ばれる手紙のみ。もちろん、携帯やパソコンのメールなど届くはずも無い。島内での移動手段
は、数少ない家庭が所有する自家用車か、本数の少ないバス、そうでなければ自転車か徒歩のみである。

自分の過去を知る者が、ほとんど居ない、自分がかつていた世界からは隔絶された場所。
耐え難い過去から、逃げるように辿り着いたその島で………望は、ひっそりと暮らしていた。
この離島での生活も、もう1年。もともと、他人との接触を好まない望にとって、見知らぬ土地で暮らし始めること
に抵抗は無かったが………この島の住人は望の思っていた以上に、余所者である望にも優しく接してくれた。今では
よく見知った人間達の中で暮らしていたあの頃よりも、社交的になっているかも知れない。都会の世知辛さ、隣人
との関係の希薄さを、望はここに来て改めて実感していた。

と。誰も居ない教室をぼんやりと見渡しながら、考えを巡らせていると。
「………っ………。」
望は………無意識のうちに、1年前の出来事を思い返していた。
30その花束に絶望を After (2/7):2008/04/23(水) 22:14:08 ID:X9IxIlhz


//////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////


兄が失踪した、という知らせを受けてから、数日。再び自分のもとを訪れた、千里の事件で何度か顔を合わせたこと
のある老齢の刑事が持ってきた、恐るべき続報を聞かされ………望は、自分の耳を疑った。

命の消息を探るために、診療所を捜索していた際に地下室で見つかった、カルテの束。
そこに記されていたのは………近隣の女性を狙って命が行った悪魔の所業、連続婦女暴行事件の詳細な記録であった。
そして………その餌食となった女性達の、リストの中には。望もよく見知った名前が………望のクラスの女生徒達
の名前、怖ろしいことに実の妹である倫をも含む名前とプロフィールが、13名分に渡って書き連ねられていた。
おそらく言葉だけでは信じることが出来ないと思ったのであろう、刑事は、ここだけの話にして欲しい、と一言だけ
前置きした後、そのカルテの中の1枚の写しを望に差し出した。既に筆跡鑑定の済んだそのカルテは、望のクラスの
女生徒に関するものでは無かったが………非道の限りを尽くして1人の女性を自らの下僕に調教する一連の流れが、
淡々と、しかし事細かに記されたそれを見れば………自分の愛する生徒達が、自分の実の兄の手によって、どんな
酷い目に遭わされたのかは、想像に難くなかった。

結局、刑事が望から何か有力な情報を得られることは無かった。命のことに関しては、望は完全に何も知らなかった
し、女生徒達の最近の異変についても、あの特異なクラスを担任し常識の感覚が麻痺した望には、それに気付くこと
は非常に困難なことだった。
全てを知った今になって、冷静に考えてみれば………一部の生徒の出席率の低下、まといが廊下で起こした例の騒動、
交の霧に対する態度の変化など、それらしい兆候はあったが。今となっては、全てが遅すぎる。
刑事は最後に、これからは命を『失踪者』ではなく『逃亡犯』として追うことになる、というようなことを伝えて、
警察へと帰っていった。

その後、望は居ても立ってもいられず………実家の父、大へと電話を寄越した。既に連絡を受けた地元の警察から
事情聴取を受けていた大は、自分の息子が性犯罪者となり、あまつさえ娘がその被害者となってしまったという
余りに衝撃的な事態に、珍しく憔悴した様子だったが………それにも構っている余裕など無く、望は大にある無茶
な注文をした。
大はその名前の通り、警察関係者に対しても絶大な影響力を持っている。その力を生かして………警察から、今回
襲われた自分の女生徒達の記録、命が残したそのカルテの写しを手に入れて欲しい、という注文だ。
大もそれを聞いた直後は、馬鹿なことを言うな、そんなことをして何になる、と拒んだが………余りに真剣な望の
声と、そして、今まで親の七光りにすがることを嫌ってきた望が必死になって自分に頼ってきているという事実が、
やがて大の心を動かした。警察の上層部の人間に口利きをして、秘密裏にその資料の写しを手に入れ、大はそれを
時田に命じて望に届けさせた。

届けられた………正視に堪えないような文章が綴られたそれに、望は、隅から隅まで眼を通した。
襲われた生徒は、倫も含めて13人。うち1名は、記録が途中で途切れていたので、事実関係を捜査中、とのこと
だった。女生徒が全員餌食となったわけではなかったが………正直に言って、何名かがその魔の手から逃れたという
事実も、それ以外の女生徒が全員その毒牙に掛かったという重過ぎる事実の前には、大した慰めにはならなかった。
だが。余りに衝撃的な、信じ難い事実の連続に、精神を病んでしまいそうになりながらも………命が行方を眩ませた
今、加害者である命と被害者である生徒達の間を繋ぐ唯一の存在である自分が全てを知らねばならない、という望
の義務感が、その身体を突き動かした。あるいは、それは………自分が担任したばかりに女生徒達が命に眼を付け
られた、ということに責任を感じているが故の、衝動だったのかも知れない。
31その花束に絶望を After (3/7):2008/04/23(水) 22:14:57 ID:X9IxIlhz

とにかく、そうして全ての所業を知り、理解し………それに、心の底から絶望した後。望は………この先、自分が
すべきことを考えた。その答えは、さして長い時間も掛からずに、望の心の中で実を結ぶ。
命に蹂躙された、女生徒達は………自分の、愛すべき教え子達である。ときに振り回され、ときに、生命の危機に
すら追い込まれたことはあったが………それでも自分は、あのクラスの生徒達を愛している。その想いがある以上、
自分が取れる行動は………教師を続け、傷ついた生徒達と向き合い、それを支えることだけだ。
以前の望ならば決して出せなかったであろう、その結論。それを出せたのは………望が、本人も知らず知らずのうち
に、あのクラスの中で自分を変えていったそのおかげなのかも知れない。
絶望の淵から、立ち上がる。望は、その信念を胸に………再び、学校へ戻った。

が、しかし。
世間は、望に対して………未曾有の性犯罪者の実の弟に対して、それほど甘くはなかった。

望が職員室に戻ったときに………そこには既に、どこからか命の弟がこの学校で教師をしているという情報を聞き
つけた、被害者の家族や近隣住民からの抗議の電話が、鳴り響いていた。教職員が総出でその対応に当たっている
のを、呆然と見つめながら………望は、背後に歩み寄っていた誰かに、ぽん、と肩を叩かれた。
振り向いた先に、立っていたのは………校長だった。

校長室に招かれてから、校長が望に告げた言葉は、至極シンプルなものだった。
「さきほど見た通り、君が犯罪者の弟だと知れてから、抗議の電話が鳴り止まない。」
「君のような人材を失うことは我が校にとっても痛手だが、このまま君を抱え込んでいくのは難しい。」
「君の体裁の為にも、ここは1つ、自ら進んで辞職してはくれまいか?」
その、控えめな言葉の裏に隠された大人の本音を、敏感に読み取って。望は………自分がこの学校で我を通すこと
が不可能であることを、理解した。

そして、そのわずか数日後には………体育館を使った記者会見が行われていた。
大勢の記者と何台ものカメラのレンズが見つめる先では、学校の重役達と、被害者である女生徒達の担任であり犯人
の弟である望が並び、望が自ら辞職の意を示したことが告げられた。その日を最後に、この学校の人間ではなくなる
望が涙を流したとき、ここぞとばかりに、膨大な量のフラッシュが焚かれた。
机の上の物を処分して、生徒達に顔も合わせずに学校を去る、その間際。校門でこっそりと望を待ち構えていたの
は………甚六だった。全ての事情を察し、しかし、流石の甚六と言えどももはや収拾のつかない程の事態に陥って
しまったことを嘆きつつ………甚六は望に、1枚のメモを手渡した。
何かあったら、そこに連絡をして欲しい。その言葉と、最後の別れ、そして激励の言葉を告げて………それに、
疲れきったような微笑で応えた望を、甚六はその背中が見えなくなるまで、見送っていた。

その後数日は、ストレスで胃が捻じ切れてしまうのではないかと思うような日々が続いた。
当然の如く、自宅への抗議の電話は鳴り止まず、望はやがて電話線を引き抜いてしまった。まるで望自身を犯罪者
扱いするかのような落書きと張り紙に埋め尽くされた玄関の前には連日何人もの記者や野次馬が押し寄せ、乱暴に
ドアを叩き続けた。外へ出れば何をされるか解かったものではないので、雨戸まで締め切った部屋の中で、冷蔵庫
に残っていた食料を消費しながら何もせずに時間をやり過ごす、ニートのような日々が続く。
時折ニュースをかけると、自分がそうして引き篭もっている家の玄関が映し出された。また、学校や実家にも報道陣
が押し寄せていて、上空から撮影しているらしいその映像を見ると、校門や実家の玄関も、この部屋ほどではないが
酷い有様になっているらしいことが窺えた。ある日望はニュースで、被害に遭った自分の生徒達の実名や顔写真、
それと望が眼を通したあの資料がインターネットで流出してしまったことを知った。彼女等の今後の人生を想い、
望はまた、暗い部屋で独り絶望していた。
部屋から1歩も外に出ず、パソコンにも触らない望には知る由も無かったが、無責任な週刊誌やインターネット上
の大きな掲示板では、好き勝手な言葉が書き連ねられ続けていた。中には、望が手引きして自分のクラスの女生徒
達を実の兄に襲わせたのではないか、という事実無根の憶測まで飛び交う始末だった。
32その花束に絶望を After (4/7):2008/04/23(水) 22:15:38 ID:X9IxIlhz

やがて、同じ建物の住人からの苦情が殺到し、業を煮やした大家から立ち退きを命じられ………記者会見から数日後、
事件発覚から数えておよそ1週間後、望は、まるで夜逃げをするように、慣れ親しんだ部屋を後にした。
少しでも人目を避けようと、怪しげな業者に頼んで深夜に作業を行ったにも関わらず、望は数人の記者に囲まれて
しまった。が、運び出す荷物が少なかったことも幸いにし、その他の記者たちが大挙して押し寄せる前に、望は
その場を離れることができた。もちろん追手もあったが………その業者もその道のプロらしく、小回りの利かない
トラックで、軽々とその追手を煙に撒いてしまった。

その後、最低限必要な物だけを残して全ての財産を売り払い、当面の資金を確保して。望は、ビジネスホテルを
渡り歩きながら数日を過ごす。
そしてやがて………ここ数日の地獄のような生活で忘れかけてしまっていた、甚六のメモの存在を、思い出した。
財布の底に仕舞いこんでいたそれに記されていた連絡先に、望は電話を入れた。甚六の名前を出すと、その人間
は何かを考え込むような唸り声の後、数秒間押し黙り………その後、落ち合う時間と場所だけを告げて、一方的
に電話を切った。

何も解からぬまま、望は指定された日時に、指定された場所へ訪れた。そこで待っていたのは、甚六と同じくらい
の世代らしい、男だった。
挨拶もそこそこに、男はしばし、望に学校での甚六の様子を尋ねたり、どういう経緯でこんなことになっている
のかを尋ねたりと、いくつかの質問を続けて………そして。

突然、何の前触れも無く。
望に………あの決断を、迫ったのだった。


//////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////


今までの、全ての繋がりを捨てて………新たな土地で、教師と言う仕事を続ける覚悟はあるのか。
あの日、男は………今現在、望が勤めている小学校、そしてそれに程近い中学校、その両方の校長を兼任する男は、
初対面の望に向かってそんな質問をした。
望は、ほんの少しの間、その言葉を理解できていないかのように硬直したが………すぐに男の意図を察し、そして、
自分がどうすべきかを考えて………短い沈黙の後、迷いの無い声で、はい、と答えた。あの学校で、いや、自分を
知る人間が居るあらゆる場所で教師を続けることが不可能になった今、それでも最後までこの職を全うするには、
それ以外の選択肢は無いように思えた。それは、あるいは望の自己満足であり、なんの贖罪にもならないのかも
知れなかったが………望に、それ以外の道を思いつくことは出来なかった。
解答の直後には、急かすように最後の別れを告げる相手への電話を掛けさせられた。あれこれ考えた末、結局別れ
を告げた相手は実家の家族だけになってしまった。

そうして。望は生まれた土地を離れ、遠く海を越えた孤島に移り住み、ひっそりと生きていくことを決意した。
………が。それから数日後………島へ旅立つ、運命の日。島への連絡線を待つ、人気の少ない桟橋で。

「ああ、やっと見つけましたよ、先生!」

遠く水平線を眺めていた望は………背後から自分を呼んだその声に、思わず、我が耳を疑い。
振り返ったその先で、自分に向けて手を振っていた少女の姿を見て、今度は、我が眼を疑った。
33その花束に絶望を After (5/7):2008/04/23(水) 22:16:37 ID:X9IxIlhz


//////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////


望は今、島に唯一の下宿で暮らしている。下宿と言っても、2階建てのその建物は1階が大家一家の住居になって
おり、下宿者が借りられる部屋は2人分である。それでも、島に滅多に人が訪れなくなってからは、数少ないその
部屋も大家一家の物置として使われていた。望が入居することになったとき、大家一家は、まるで新しい家族が
増えたように喜んで、望を迎えてくれた。以来、ときに食卓に招かれたり、休日には子供達の遊び相手をしたりと、
親しい関係が続いている。

そんな下宿の、望の部屋。ある日の、夜。
「………ふぅ。こんな所ですかね。」
望は部屋で独り、明日の授業の為の教材の準備を終え、ふぅ、と息を吐いた。
ぐ、と伸びをするようにして立ち上がり、部屋の隅に置かれた本棚に歩み寄る。そこには、連絡線に乗ってやって
来た、あるいは中学校の図書館を訪れて借りてきた、この島では数少ない文学作品が収められていた。昔から愛読
していた本は、家具やらなにやらと一緒にまとめて処分してしまったので、今は手元に1冊も残っていない。その
ことに関しては、望は今でも時折、ほんの少しだけ後悔してしまうことがあった。
色褪せた畳の上、ほとんど万年床と化している薄い布団の上に腰を降ろし、白けた色のちゃぶ台に本を広げる。
窓から部屋を抜ける夜風が、心地良く髪を揺らしていく。

………と。望が、そうして読書の時間に入ろうとした、そのとき。

『コン、コン』
「ん?」

部屋のふすまが、外側からノックされた。


//////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////


1年前。望が連絡線を待っていた桟橋に、突如として姿を現したのは………風浦可符香、その人だった。
「ふッ………風浦さん!?」
可符香の登場に、望は当然の如く心の底から驚き、海の彼方まで響くような叫び声でその名前を呼んだ。
「やだなぁ、そんなに驚かないでくださいよ。」
「ちょっと、あなた何やってるんですか!?なんで、こんな所に………というか、なんで私がここだと!?」
「私はただ、ちょっといろんな人に尋ねながら追ってきただけですよ。」
何でもないことのように、可符香はそう言ってのけたが………2人が居るその場所は、直線距離でこそ都会から
それほど離れてはいないが、近くに駅も無く、主要道路とは高い山を隔てている僻地であり、あの町から来ようと
すれば丸1日潰れてしまうような場所だった。
望はしばし、何も言えずに呆然と立ち尽くす。その眼の前で、可符香は、望と同じ教室に居たときと変わらない、
屈託の無い微笑を浮かべる。
「聞きましたよ。先生、どこか遠くの島に行くんですね。」
そう尋ねた、可符香の言葉に………望は、自分の胸が締め付けられるような錯覚を覚えた。
「………先生、は止めてください。私は………もう、あなたの先生ではないんです。」
「何言ってるんですか、先生は、いつまでも私の先生ですよ。」
「………っ………。」
太陽のような笑顔で、そう言う。その表情が、今の望には………直視できない程に眩しかった。
34その花束に絶望を After (6/7):2008/04/23(水) 22:18:06 ID:X9IxIlhz
そして。結局、先ほどの可符香の言葉には答えず。
「………風浦さん、あなた………どうして、こんな所に来たんですか?」
望が何気なく放った、至極当然のその疑問に対して。
「やだなぁ、先生ったら。」
可符香が、さも当然のように返した言葉に………望は今度こそ、完全に言葉を失った。

「好きな人に会いにいくのに、特別な理由なんて必要ありませんよぉ。」
「………〜〜〜ッ!!」

余りにも真っ直ぐで、無邪気で………全てを捨てる決意をした今の望にとっては、突き刺さるように鋭い言葉。
もはや、家族以外で自分のことを省みて人間など居ない、と思っていたこの世界に………こんなにも素直に、自分
を求めてくれる人が居る。その事実に、望の決意が揺らぎそうになる。
「あ………あなたはまたそうやって、人の心の隙間に入り込もうとする!そうはいきませんよ!」
その迷いを悟られぬよう、望は心を鬼にして、可符香を拒絶する素振りを見せた。
………すると。
「………隙間、ですか。」
「………はい?」
望の予想に反して………可符香は、どこか憂いを帯びたような表情を浮かべて、そう呟いた。
てっきり、彼女と、そのクラスメイト達と同じ教室に居た頃のように、彼女のペースに巻き込まれてしまうのでは
ないか、と思っていた望は、それまでにほとんど見たことが無いような可符香の表情を眼にして、固まった。
「何も………心に隙間を持ってるのなんて、先生だけじゃ、ないんですよ?」
そう言ったとき、可符香の顔にはまた笑顔が戻っていたが………それはどこか儚げで、望の顔を上目遣いに見上げ
ながら語るその声は、微かに震えているように聞こえた。
「………風浦、さん?」
「私………気付いちゃったんです。先生が、居なくなってから。」
「………………。」
「私の中で、先生がどれほど大きな存在だったのか。先生のことを………どれだけ、想ってたのか。」
「っ!!」
「先生が居なくなって、気付いたら………私の心は、スポンジみたいにスカスカのくしゃくしゃになってました。」
可符香は、あくまでも明るい声でそう語ろうとするが………どうしても、声の震えを抑えることができない。やがて
その声は、喉の奥に詰まったように途切れがちになり、遂に………可符香が、その顔を伏せる。
「先生こそ、ずるいです。気付かないうちに、私の心の隙間に入り込んで、どんどん私の心を虜にしていって。」
「………風浦さん、私はそんな………。」
望が困惑した表情を浮かべているのに気付き、可符香はハッと我に返った。
「あ………ご、ごめんなさい。急に来て、何言ってるんでしょうね私ったら。あはは………。」
おそらく、望も初めて見る………喜び以外の感情を溢れさせる、可符香の姿。それまでは、どこか人間離れした
精神を持つ少女であると、自分との間に無意識のうちに線引きをしていた少女が、自分と、他の少女達と何一つ
変わらない少女であることを、初めて思い知り………望の胸の内に、可符香への愛しさが、こみ上げてくる。
「………こんなときに、こんなこと言うのは………卑怯だって、解かってます。」
可符香の口から、また、震える声が発せられる。
「………………。」
「けど………先生。お願いです、お願いですから………。」
可符香が、すがるような瞳で、再び望の顔を見上げる。その目尻には………今にも零れんばかりの、大粒の涙が、
湛えられていた。

「私も………連れて行ってください。私の心の隙間から、出て行かないでください。」
「………風浦さん………。」
「私なんかじゃ、お役に立てないかも知れませんけど………先生の心の隙間を埋める為なら、何だってします。」
「………………。」
「だから………だから、私を………追いて、行かないでください………!」
35その花束に絶望を After (7/7):2008/04/23(水) 22:20:09 ID:X9IxIlhz

涙ながらに伝えられた………どこまでも真っ直ぐな、愛の告白。
「………っ………。」
言葉も無く立ち尽くす望の腰に手を回し、可符香は、その薄い胸板に顔を埋めた。じんわりと、暖かいものが着物
の胸に染み渡っていく。

命は、無言で………震えながら自分を抱き締める少女の背中に、腕を回した。


//////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////


ノックされたふすまが、開かれる。その向こうに居たのは………エプロン姿の、可符香だった。
「望さん、ご飯出来ましたよ。」
「おや………もう、そんな時間でしたか。」
1年間ですっかり呼ばれ慣れたその名前で呼ばれ、望は持ち上げかけた栞を再びページの間に戻した。
「今夜は、大家さんの特製カレーです。私も頑張って手伝いました!」
「ほう、良いですね。少ししたら行きます、可符香は先に降りていてください。」
望もまた、呼び慣れたその名前で可符香を呼ぶ。はぁい、と機嫌の良さそうな声で返事をして、可符香はとんとん
と軽い足取りで階段を下っていった。

「………………。」
望が、1度窓の外で輝く月を、見上げる。
それは………あの町で見た月よりも、少しだけ、余計に輝いているような気がした。
「………行きますか。」
そう独り言を言って、望が立ち上がる。蛍光灯からぶら下がった紐を引くと、部屋の明かりが消える。

この上なく平和な時間が、そこには流れていた。


//////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////


島の外………かつて2人が暮らしていた世界で、望と可符香は、『行方知れずの失踪者』となっている。

全てを置き去りにして来たかつての世界からは隔絶された、この、小さな世界で。
全ての真実は………可符香の心の奥底、封印された闇の中で、永遠に沈み続けるのだろう。



(完)
36名無しさん@ピンキー:2008/04/23(水) 22:22:39 ID:ZCproue6
一番槍GJ
37名無しさん@ピンキー:2008/04/23(水) 22:26:04 ID:PIiC7hUm
うわぁぁぁん、絶命先生ーーーーー!!!
しかし、可符香の最強っぷりは見事でした。
そしてそして、心からのGJを…!!!!
38その花束に絶望を:2008/04/23(水) 22:30:50 ID:X9IxIlhz
………はい、以上です
完結編、そして、後日談編でした
長らくお付き合い頂き、有難う御座いました

それにしても、最終的に可符香が真っ黒な娘でごめんなさい
最初に可符香を襲わせた時点で、今回の「可符香独り勝ちエンド」は決定していました
ヤンデレ、なんてレベルで済まされる話じゃないかも知れませんが………可符香に、とことんやらせてみたかったんです
余りに2面性が強いのは、最近読んだ漫画の所為かも知れません
とにかく、なんというか、こう………色々とごめんなさい

3スレに渡ってだらだらと続けさせて頂いたこのお話も、今回でひとまず完結となりました
短編連作という形なので、一貫したストーリー性などはありませんでしたが………ここまで長いこと書き続けたのは、他ジャンルも含めて初めてでした
重ね重ね、長らくお付き合いくださった方々に厚く御礼申し上げます
あと、鬼畜・陵辱が苦手だった方、長々と続けてすいませんでした

機会と気力があれば、またお邪魔したいと思います
それでは………今回はこれにて
乱文、失礼致しましたっ!!
39その花束に絶望を:2008/04/23(水) 22:31:35 ID:X9IxIlhz
絶望した!!たかが後書きに8分も掛けてる自分に絶望した!!
40名無しさん@ピンキー:2008/04/23(水) 22:39:37 ID:XMxhWnFp
まさしくGJでした
ところでその、>>35の6行目の命は望のミスですよね?なんか意味があるのかとしばらく考えちゃったけど
41その花束に絶望を:2008/04/23(水) 22:45:55 ID:X9IxIlhz
>>40
…………………痛恨のミスです
望と命、絶対に間違わないように、何度も見直したはずだったのに………

すいません、あんまりにもあんまりな間違いですので………そこだけ、訂正稿投下させてください………
42名無しさん@ピンキー:2008/04/23(水) 22:46:57 ID:lh18k7Ew
GJ

そして、こえー!
こえーよ 可符香・・・

でも、ここまでやっても不思議じゃないよ
43その花束に絶望を After (7/7):訂正稿:2008/04/23(水) 22:47:16 ID:X9IxIlhz
涙ながらに伝えられた………どこまでも真っ直ぐな、愛の告白。
「………っ………。」
言葉も無く立ち尽くす望の腰に手を回し、可符香は、その薄い胸板に顔を埋めた。じんわりと、暖かいものが着物
の胸に染み渡っていく。

望は、無言で………震えながら自分を抱き締める少女の背中に、腕を回した。


//////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////


ノックされたふすまが、開かれる。その向こうに居たのは………エプロン姿の、可符香だった。
「望さん、ご飯出来ましたよ。」
「おや………もう、そんな時間でしたか。」
1年間ですっかり呼ばれ慣れたその名前で呼ばれ、望は持ち上げかけた栞を再びページの間に戻した。
「今夜は、大家さんの特製カレーです。私も頑張って手伝いました!」
「ほう、良いですね。少ししたら行きます、可符香は先に降りていてください。」
望もまた、呼び慣れたその名前で可符香を呼ぶ。はぁい、と機嫌の良さそうな声で返事をして、可符香はとんとん
と軽い足取りで階段を下っていった。

「………………。」
望が、1度窓の外で輝く月を、見上げる。
それは………あの町で見た月よりも、少しだけ、余計に輝いているような気がした。
「………行きますか。」
そう独り言を言って、望が立ち上がる。蛍光灯からぶら下がった紐を引くと、部屋の明かりが消える。

この上なく平和な時間が、そこには流れていた。


//////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////


島の外………かつて2人が暮らしていた世界で、望と可符香は、『行方知れずの失踪者』となっている。

全てを置き去りにして来たかつての世界からは隔絶された、この、小さな世界で。
全ての真実は………可符香の心の奥底、封印された闇の中で、永遠に沈み続けるのだろう。



(完)
44その花束に絶望を:2008/04/23(水) 22:48:22 ID:X9IxIlhz
最期に、お見苦しい所をお見せしてしまいました
お眼汚し本当に申し訳ございません
45名無しさん@ピンキー:2008/04/23(水) 22:52:55 ID:QqN8goE+
絶望先生かわいそすぎる…
けどまぁ最後幸せになってよかった

>>44
長編完結お疲れ様です GJ!
46名無しさん@ピンキー:2008/04/23(水) 23:10:24 ID:fgiCPydT
Theヤンデレですね

GJ!!!
47名無しさん@ピンキー:2008/04/24(木) 00:15:49 ID:4D+L+1hO
こ、これは…感動せざるをえない
48名無しさん@ピンキー:2008/04/24(木) 00:48:07 ID:9ars76Bj
>>38
天才だな…

いい具合に欝になれた
ありがとう
その後の絶望少女が気になるが
そこは妄想で補うべきだな

あとこんなに鬼畜なの初めて
3スレもよくがんばった!
49名無しさん@ピンキー:2008/04/24(木) 01:02:47 ID:KfXh33il
凄まじい…ただもうひれ伏す特濃ミステリー
GJを連呼させてくなさい!
こんなに濃い作品を放出して花束さんの健康が心配なぐらい

いやーまとい望といい鬼畜先生といい
えらい作品を拝読してもうた
50名無しさん@ピンキー:2008/04/24(木) 01:26:11 ID:hcnoMiUH
>>48
そういえば、他の絶望少女達はまだ救われず、まといや霧や千里やあびるは愛する望も失って・・・・・・
そう考えると、ラストで強調してる幸せな時間ってのが、末恐ろしく思えてくるな

可符香・・・・・・恐ろしい子・・・・・・!
51名無しさん@ピンキー:2008/04/24(木) 01:28:05 ID:pw4X6pAa
>>44
長編完結乙です。
本編のあの調子からこんな感動的なエンドになるとは…。
素晴らしいとしか言いようが無いです。
52名無しさん@ピンキー:2008/04/24(木) 02:16:19 ID:Irbbwlwi
絶望先生と可符香が幸せだから良かったと思ってる私は最低な男です。
53名無しさん@ピンキー:2008/04/24(木) 02:20:31 ID:Irbbwlwi
しかし、また原作最終回のネタが一つ潰され…
54名無しさん@ピンキー:2008/04/24(木) 02:49:10 ID:9+auU9xT
乙でした。
個人的に交がどうなったか気になる
55名無しさん@ピンキー:2008/04/24(木) 03:25:13 ID:jexbxbnN
カフカ外道過ぎワラタ
56名無しさん@ピンキー:2008/04/24(木) 06:13:29 ID:ibIpVXsw
心が…病んでいく…
57名無しさん@ピンキー:2008/04/24(木) 06:37:18 ID:/i404Zly
すごいわ。まさか低俗なエロパロ版でこんなにもすばらしい才能を見れるなんて。
58名無しさん@ピンキー:2008/04/24(木) 07:26:13 ID:ibIpVXsw
他のみんながどうなったかを考えると…
辛いことだな
>>38乙です
59名無しさん@ピンキー:2008/04/24(木) 09:08:27 ID:MoiG2J28
しばしば行われてた望と倫の会話って何だったの?
60名無しさん@ピンキー:2008/04/24(木) 10:08:00 ID:FDs4gWTW
つうこんといえば、うみうし
61名無しさん@ピンキー:2008/04/24(木) 15:54:26 ID:sXUZ/kvD
先生、可符香が好き
可符香はわざと先生に冷たくする
なぜ先生に冷たくするの、と久藤くん
先生はみんなに愛されたいだけよ、だから私にも愛してもらいたいだけと可符香
可符香ちゃんは先生、嫌いなのと久藤くん
好きよ、でも嫌い。私は誰も愛さないのと可符香
そんな妄想
62名無しさん@ピンキー:2008/04/24(木) 16:10:10 ID:jexbxbnN
原作のカフカは最近では先生のことを殺す気満々に見えて困る。
63名無しさん@ピンキー:2008/04/24(木) 16:14:53 ID:VgaQoHS0
まあ先生は殺しても死なないし
64名無しさん@ピンキー:2008/04/24(木) 16:29:57 ID:jexbxbnN
そーゆー問題かよっ
65小ネタ:もし可符香が変態だったら:2008/04/24(木) 17:46:00 ID:L3+3H15X
可符香「春…それは始まりの季節。恋が生まれ夢が生まれ喜びが生まれる」
望「はあ」
可符香「そして私たちの赤ちゃんも生まれちゃったみたいです」
望「何ですかそれは!」
可符香「きっと、さっき押し倒されたときにポロッと」
望「するか!ていうか押し倒したのはあなたでしょう!」
可符香「ほら、私とあなたの子ですよ」
望「どう見ても人形なんですけど」
可符香「コンニチワ、ポロロダヨ(裏声」
望「腹話術じゃねーか!」
可符香「そう、私のお腹から出てきた子です」
望「私は忙しいので」すたすた
可符香「ああん、待ってくださいよ〜」
望「あいにくと変な人に関わってる暇はないのです」
可符香「そんな、えっと…そうだ、こんな日に自ら命を絶つなんて桃色ガヴリエルが許しませんよ」
望「何ですかそれ。つーか無理やり軌道修正しましたね」
可符香「あの一番立派な桜の木のことですよ。ちなみに根本には…」
望「え……まさか…死体!?」
可符香「やだ、初対面の女の子に向かって『したい』だなんて☆」
望「あなたの脳内が桃色なんじゃないですか」
可符香「えへへ、よく言われます」
望「褒めてません」
可符香「そうそう、あなたは身長を伸ばそうとしていたんですね」
望「ずいぶん端折ったな!」
可符香「長い台詞は難しい」
望「で…何でしたっけ?」
可符香「えーと…でも全然チン長低くないじゃないですか」ぬぎぬぎ
望「って何してんだ!」
可符香「桃色注射器のチェックです。わあっ、これが私の中に…」
望「桃色注射器じゃないし、あなたの中に入りませんから!」
可符香「コンニチワ、チンポロダヨ(裏声」
望「やめろ!」
通行人「変質者です!警察を!」
望「へっ?」
警官「変質者め!猥褻物チン列罪でタイホする!」
望「ちょっ…絶望した!こういう時は対応が早い警察に絶望した!」だっ
可符香「……変わった人ね」
66名無しさん@ピンキー:2008/04/24(木) 19:01:26 ID:eHubPkPD
GJだがとりあえず前スレを埋めようぜ
67名無しさん@ピンキー:2008/04/24(木) 19:13:49 ID:+j5WeRe/
>>44
可符香外道すぎww
でもカワイイから許す

>>65
変態可符香いいね GJ
68名無しさん@ピンキー:2008/04/24(木) 20:19:39 ID:hcnoMiUH
>>66
保管されてからでよくね?
69名無しさん@ピンキー:2008/04/24(木) 22:45:18 ID:Irbbwlwi
前スレもこのスレもかわいい可符香がいて私は幸せ者です
70名無しさん@ピンキー:2008/04/24(木) 23:13:02 ID:B8Sdchd+
前スレ埋めようと覗いたらマジびびった。リアルで怖かった…
71名無しさん@ピンキー:2008/04/24(木) 23:13:23 ID:9ars76Bj
絶望を背負わされた花束たちの末路を考えたくなってしまった
最近はすごい作者が多いな
72名無しさん@ピンキー:2008/04/24(木) 23:59:50 ID:93jGukwr
さよなら絶命先生・・・
73名無しさん@ピンキー:2008/04/25(金) 00:02:23 ID:SVljI5nd
絶命先生の絶命エンドと予想してたが、さすがに死にネタは無かったか…
74名無しさん@ピンキー:2008/04/25(金) 00:34:44 ID:vOJK9SxM
さっそく新スレ建ったばっかりで2つも超大作を見れるとは。
またこのスレでも楽しめそうな勢いがありますね。

という事で、大作の箸休め的な感じで小ネタを一つ投下させてください。

エロはほぼありません。つうか私にはこれが限界です。
よくあるパターンですので、特段新しい展開などは無いと思います。

それでは。
75dilemma der stachelschweine:2008/04/25(金) 00:35:54 ID:vOJK9SxM
クチ…ピチュ…
暗い部屋に水音が響く。
「クッ…ふぁ…」
徐々に高まる私の気持ちに比例するように水音が大きく激しくなってくる。
「アッ…く…やっ…」
それ自身が意思を持った生き物のように、指が頂上へと導くように激しく動く。
「もう…や…ああ…せん…」
ビクッと体が震え、私は指を動かすのをやめた。

後始末を終え、濡れた下着を履き替え私はベッドに横になり色々な事を考える。
女子大生に変装し、カレーを届けた時は嬉しそうに受け取り食べてくれてた。
その後も、顔を合わすと美味しかったと言ってくれた。一緒に道を歩いた事もあった。
隣の1年生に変装してラブレターを渡したときは受け取ってくれた。
その後大変な事になっていたけど、困った風にもまんざらでも無い様にも見えた。

だけど…いつまでたっても彼女達が私だということに先生は気づいてくれない。
それどころか…本当の私に接する時と、彼女達に接する時の先生は明らかに違う。
なにか…私には少し警戒をしているような素振りが見える。
「仕方ないよね。」思わずため息が出る。
確かに初めて桜の下であった時から、私は先生の隙を探しては自分が楽しめる方向へと導こうとしていた。
私だけでなく、そうする事でクラスの皆も先生も楽しい気分にはなる。でもそれを繰り返せば自然と先生も
私に対して警戒心を抱くようになる。警戒心は自然と棘になり、私との間に壁を設ける。

「ヤマアラシのジレンマ…か…」
先生は私に棘を向ける。他人を容易に受け入れる事ができない私もやはり棘があるんだろう。
でも…私は先生ともっと近づきたい。千里ちゃんや纏ちゃんのように先生に自分の気持ちを伝えたい。
だけど…お互い近づきすぎると棘が刺さってしまう。近づきたいけど近づけない

…だけど…ヤマアラシの棘は刺さると抜けていく。お互いの棘さえなくなれば私は先生にもっともっと近づける。
しかし私の棘は抜けても抜けてもすぐに生えてくる。昔の記憶。お父さん…お母さん…叔父さん…。
先生と私以前に…私の中にも2匹のヤマアラシがいるみたい。
いつか。私の中のヤマアラシの棘が抜け、先生と私の棘も抜ける日が来るのかしら。
そんな事を考えながら…私はいつの間にか眠りに落ちていった。
76名無しさん@ピンキー:2008/04/25(金) 00:37:33 ID:vOJK9SxM
以上です。お目汚し失礼しました。


…ところで…ろくに調べもせず記憶で書いたんですが…ヤマアラシの棘って抜けましたっけw
77名無しさん@ピンキー:2008/04/25(金) 01:11:41 ID:xL4/83hp
可符香あああああああああああGJ
78名無しさん@ピンキー:2008/04/25(金) 01:24:47 ID:D0uzVPTx
花束のオチって原作で千里が何度となくオチでやろうとしたこと(消去法、バトロワ等)と思想的には重なるよね。
79名無しさん@ピンキー:2008/04/25(金) 01:27:36 ID:fB4OwGLr
80名無しさん@ピンキー:2008/04/25(金) 07:28:29 ID:hIWhGxTE
ポジティブっ子かわいいよポジティブ
81名無しさん@ピンキー:2008/04/25(金) 22:31:12 ID:fB4OwGLr
僧侶弱っ
82名無しさん@ピンキー:2008/04/25(金) 23:16:05 ID:tNQgjkgR
GJ!
ヤマアラシの棘は刺さると抜けるって聞いた事はある。本当かは知らんけど。
83名無しさん@ピンキー:2008/04/26(土) 02:37:40 ID:vnkuDwEA
針をどこに挿すつもりですか!?
84名無しさん@ピンキー:2008/04/26(土) 20:54:08 ID:DasnsOGY
真昼の人もブログ持ってるんだな
85名無しさん@ピンキー:2008/04/26(土) 21:30:53 ID:6JvYeECX
あっそ
86名無しさん@ピンキー:2008/04/26(土) 21:38:04 ID:d+WNBLe8
>>84
そういうことはあまり言うな
87名無しさん@ピンキー:2008/04/27(日) 14:06:47 ID:NiJdsUZc
誰もいないぞ!
望霧望可符香望千里望あびる望晴美望麻奈実望マリア望倫望カエレ望まとい望奈美望智恵望ことのん
するなら今のうちだぞ!
88名無しさん@ピンキー:2008/04/27(日) 14:42:19 ID:EVHczFXL
鬼畜王ランス
89名無しさん@ピンキー:2008/04/27(日) 15:26:49 ID:mcqA4IlC
>>87
死ね
90名無しさん@ピンキー:2008/04/27(日) 19:14:12 ID:aEtQLDnm
>>87芽留と愛と真夜がいないよ。
91名無しさん@ピンキー:2008/04/27(日) 19:18:42 ID:xutrz+Ha
小ネタで場を繋ぐか萌えるシチュエイションを語らうかこのスレか保管庫の作品への感想などを書き込むか。
92名無しさん@ピンキー:2008/04/27(日) 21:41:48 ID:IpHoIplW
>91

連休に入れば、それなりに投下されるだろうし、
この機に保管庫の作品の感想を述べるのもよいかもな。
93もし可符香が変態だったら リターンズ 1/2:2008/04/27(日) 22:22:02 ID:sDdJswzu
望「やれやれ、何とか逃げてきましたが……ここが私の受け持つクラスですね」ガラッ
可符香「あら、今朝の変態さん!」
望「またあなたですか!ていうか変態はあなたです!」
可符香「やだなぁ、変なモノぶら下げて限界突破したくせにぃ」
望「あなたのせいでしょ!」
千里「ちょっとあなた!」
望「はい?」
千里「あなた教師なの?変態なの?きっちりしないと刺すわよ」グサッ
望「痛!わ、私は教師ですよ!はやくそれを抜いてください!」
可符香「はーい」ぬぎぬぎ
望「袴を脱がすな!」
可符香「だって抜いてって言ったじゃないですか」
望「そっちじゃなくてこっち!包丁!」
可符香「包茎?」
望「惜しい!いや全然惜しくないけど!」
可符香「早漏?」
望「母音しか合ってません!」
可符香「ボインですか。パイズリが良いならそう言ってくださいよ〜」
望「ちょっ」
千里「先生、これは包丁じゃなくてナイフですよ」グサグサ
望「とか言いながら傷を増やすのやめてください!」
千里「ナイフが5本、ナイフが6本…」グサグサ
望「あだっ!羊みたいに、か、数えないでくださ痛い!」
千里「…ナイフが8本、ナイフが9本…1本足りな〜い」
望「こ、この娘はキチガ……ガクッ」
可符香「あっ、先生が気を失いました」
千里「羊たちの沈黙ってやつね。テレビで見たわ」ザクザク
可符香「なんか先生、黒ヒゲ危機一発みたい。千里ちゃん、遊ばない?」
千里「そうね、ホームベースだし」
可符香「ホームルームですね」
千里「それに、この勝負に勝ったら私の胸が大きくなる気がする」
可符香「あ、もしかしてさっきの私の言葉、根に持ってます?」
千里「そんなもの持ってないわ。私が持ってるのはペタンコのおっぱいだけよ!」
可符香「そうですか、じゃあ黒ヒゲを始めましょう」
千里「じゃあ私からね。…ここだ!」ザクッ
可符香「千里ちゃん、黒ヒゲはナイフを刺すんじゃなくて抜くんですよ」
千里「えー、つまんなーい。きっちり刺した〜い」ザクザク
可符香「仕方ないですね、私の番です。えい!」ムギュ
望「うぎゃあ!!」
千里「あ、起きた」
94もし可符香が変態だったら リターンズ 2/2:2008/04/27(日) 22:24:50 ID:sDdJswzu
望「ちょっ、あなたどこ掴んでんですか!」
可符香「先生のナイフです」
望「違うから!」
可符香「先生のを私に刺してください♪」
望「あなたの頭にはそれしか無いんですか!」
千里「いえ、髪留めもありますよ」
望「あなたの頭にはスポンジが入ってるんですか?」
千里「失礼な、ちくわマヨネーズとかも入ってます」
望「駄目だこいつ…」
可符香「先生、私というものがありながら、他の女の子にスッポンポンとか言わないでください」
望「そんなこと言ってませんし、あなたは私のモノじゃありませんから!」
可符香「じゃあ私を先生のモノにしてください」
望「しません!」
千里「私も先生を私専用のナイフ置き場にしたいです」ザクザク
望「ちょ、痛、やめっ……も、もう今日は自己紹介して帰ります!私の名前は糸色望です!」
可符香「絶望先生ですか」
望「早!気付くの早!ああ絶望した!クラスに早くも絶望した!」ダッ
千里「ああ、私のナイフ置き場が逃げちゃった…」
奈美「もう学校行くのやめよう…」

〜〜もし千里がバカだったらの巻〜〜完
95名無しさん@ピンキー:2008/04/27(日) 23:20:20 ID:E2yt/pCo
いいテンポだなw
こういうの好きだww
96名無しさん@ピンキー:2008/04/27(日) 23:47:06 ID:s7iZXQEp
奈美の判断は正しい
97名無しさん@ピンキー:2008/04/28(月) 01:38:24 ID:hJJ++uMp
痴女っ子可符香かわいいよ可符香
98名無しさん@ピンキー:2008/04/28(月) 03:05:31 ID:fKQRd22C
シリーズ化してください
99昼休み小ネタ:2008/04/28(月) 12:47:08 ID:B5toKRse
ピチュ・・・クチュ。
望の指が動くたびに、湿った音が宿直室に響く。
それに、霧のため息が重なった。
望は、ふふ、と笑って霧を見上げると、これ見よがしに指を動かしてみせる。
「・・・っ!」
霧は頬を紅潮させて、唇を噛んだ。
瞳は既に潤み、目尻には涙が溜まっているようだ。
「どうしました・・・?小森さん。」
言いながら、望は激しく手を動かして、かき回した。
「やぁ・・・っ、だめ・・ぇ、せんせぇ・・・!」
「ふふふ・・・何を言っても無駄ですよ・・・。」
口の端に笑みを浮かべながら、望は指を目の前に掲げた。
「ほら・・・見てご覧なさい、こんなに蜜をしたたらせて・・・美味しそうですね・・・。」
霧はもはや、答えることもできない。
ただ、望を見つめて肩で息をするだけだった。
「それでは・・・いただきますよ、小森さん・・・。」

あーん
ぱくんv

「お・い・ひ〜vvv」
「わーん、せんせぇ、ひどいよ〜!」
「大人気ねーな、叔父さん!霧ねーちゃんも杏仁豆腐くらいで泣くなよ!」
うんざりとした顔の交の前には、限定発売の『黒蜜杏仁豆腐』を抱え、指先に持ったスプーンで
杏仁豆腐をこねくり回している望と、それを恨めしげに半べそをかいて見ている霧がいた。

「うるさいですね、勝負は勝負。ジャンケンで買ったのは私です!」
「でも、せんせぇ、その食べ方は汚いよ・・・そんなにかき混ぜちゃダメ!」
「ほっといてください、私はこうやって食べるのが好きなんです!」
(ダメだこいつら・・・早く何とかしないと・・・!)

ちゃんちゃん♪
100名無しさん@ピンキー:2008/04/28(月) 13:59:21 ID:vE4fdC1M
おもろかったw
こういうお約束もいいよね
101名無しさん@ピンキー:2008/04/28(月) 15:51:59 ID:XK6p1P4S
構想段階なのだが、アニメオリジナルのネタはいいのかな?

DVD待ちの人にはネタバレになりそうだしから、止めた方がいいかな?
102名無しさん@ピンキー:2008/04/28(月) 16:32:56 ID:hnNKayfn
投下前に注意書きを添えればおkでしょう。
103名無しさん@ピンキー:2008/04/28(月) 17:49:17 ID:BXqzUBPl
>>99 みたいな小ネタは、面白い。

 前回、久藤×藤吉とか、王様ゲームとか書いた者ですけど、
流れに乗って小ネタっぽいやつを投下します。
望×千里っぽいやつです。
104変人と海:2008/04/28(月) 17:50:14 ID:BXqzUBPl

変人と海』

 ニャマリ…

 休み時間のことである。
『2−へ』の女子生徒の一人。藤吉晴美がなんもないのに、
笑みを浮かべていた。

 「また、思い出し笑い? 気持ち悪い」
その彼女の友人である木津千里は、呆れていた。
どうせまた、妄想しているんだろう。

 「そんな、酷いこと言わなくても…。ちょっと、面白い話があってね」
 「次は、どんな漫画? いや、言わなくてもいいけど…」
 「それが、今回は漫画で妄想してたんじゃないのよ」
 晴美は得意げに言う。

 「ちょっと、参考資料を求めて、サイト巡っていたら、
  ジョーク集みたいなサイトに着いちゃってさ」

 「ジョーク?」
 「千里は聞いたことあるかな? 有名なアメリカン・ジョークみたいなんだけど」

 「どんなの?」
 千里は、少し興味を持ち、晴美の話に乗った。
いつもの頭の痛くなるマニアックな話ではなく、一般的で面白そうな内容だったからである。
 
 「えっと…各国の人々を乗せた大型の船が、事故を起こしてしまった。
  乗客がパニックにならないように、全員を海に飛び込ませる必要があった。
  船長は船員にこう言ったのです」
105変人と海:2008/04/28(月) 17:51:21 ID:BXqzUBPl
「『アメリカ人には、『海に飛び込めば、英雄になれますよ』
   イギリス人には、『海に飛び込むのが紳士です』
   ドイツ人には、『上官が、飛べ込めと命令してます』
   イタリア人には、『美女が溺れています』
   ロシア人には、『ウォッカが流されています』
  そして日本人には、『みんな飛び込んでますよ』」

 「ふぅん。なかなか面白いわね。国民性が出てるね」
 「日本人は他者と同調しやすいというのも、そのとおりだしね」
 「でもきっちり、全世界の国を出すべきね」
 「そんな無茶な…小説より長くなっちゃうよ」

 「晴美の場合、何かな? 『BL本が流れてます』とか?」
 「…ぅ。飛び込むかも」

 「飛び込むなよ!」

 「じゃあ、千里は何かな? 『先生が溺れています』だったら、
  飛び込んで助ける?」
 
 千里は、晴美の発言に赤面する。

 「それは、常月さんでしょう!」
 「そうね。じゃあ、他の人たちはどう?」
 「芽留ちゃんには、『船は圏外です』だね」
 「携帯が壊れると思うけど…」
 
 「小節さんには、『海蛇が泳いでいます』」
 「しっぽがあれば、なんでもいいけど」

 「加賀さんには、『船にいては迷惑です』」
 「あり得る。あり得る」

 「マリアは?」
 「『亡命のチャンスです!』」


 「なるほど…そのジョークは『ステレオタイプ』ですね」
 
 少女二人の会話に図々しく入り込んできたのは、担任の糸色望だった。

 「ステレオタイプ?」
 「皆が共通して持っているイメージです。
 「西洋人からした日本人は、皆メガネで出っ歯でカメラ持ってるとか、
  悪の組織のトップは、シャム猫撫でて、ワイン飲んでいるとか、
  腐女子はメガネだとか、ブロンド女は、パンツ見せても平気な破廉恥だとか、
  他国からきた人は、語尾がカタカナになるとか、漫画キャラは、
  名前が性格を現すとか…
  絶望した! 現実とは違うステレオタイプに絶望した!」
  
 「まあまあ、そう嘆くことないじゃないですか」
 「当てはまっているの…結構あるけど…」
106変人と海:2008/04/28(月) 17:52:33 ID:BXqzUBPl
「まあ、逆に何のイメージをもたれないというのも、悲しいものですけどね。
  千里さん。あなたなら日塔さんを、どうやって海に飛び込ませますか?」

 「…いい答えが見つかりません」
 「でしょう? 特徴は、ありすぎても、全くなくてもならないのです」

 その砌、奈美は自分が話題にされているとは露も知らずに、I-podを聞いていた。

 「そういう先生は、どうなんですか?」
 「私ですか…」
 「『海に飛び込めば、絶対に死ねます』とか? 
   いやいや、それじゃあ先生、意地でも船に残りますね」

 「私はですねぇ…『木津さんがいる』これだけで、
  思わず飛び込んでしまいますね」

 この発言に、一瞬、時が止まった。

 「えー! 先生…わ…私が…」
 「どうしました? 木津さん?」

 そんな…そんな…そんなー!!!
107変人と海:2008/04/28(月) 17:53:16 ID:BXqzUBPl
(ここからは、千里の脳内の中の出来事です。決して現実ではありません)

 「海の中に私は一人。あれ? 先生? 船から飛び込んでくる!?」
 
 ザバーン!!!

 「先生!」
 「あなたがいるから、思わず飛び込んでしまいましたよ」
 「もう、先生ったら…って何するんですか」
 「抱きしめさせてくださいよ。この広い海で二人、誰も見てませんよ」
 「ちょっと、ヤダ! せんせ…」
 「美しい髪ですね。しっとり濡れてて…いいにおいだ。
  高いシャンプー使ってるんでしょうね」
 「もう、先生ったら…っ! いきなりキスしないでくださいよ」
 「キスだけではすみませんよ。ほら!」
 「きゃあ!」
 「いいですね。服が濡れてて色っぽい」
 「そ…そんなに胸…揉まないでぇ!」
 「ふふ。本当に揉み甲斐がありますね。あなたの胸は…」
 「もう、皆と同じこというんですから。『大きい大きい』って、何度言われたことか」
 「私の手に余りますよ。もっと激しくいきますよ!」
 「ああん。だめ! せんせぇ!!」

 (千里の脳内の出来事終了します)

 「木津さん?」
 「そんなに揉まないで!!!」

 千里は望に平手打ち一発食らわせると、教室を出て行ってしまった。
108変人と海:2008/04/28(月) 17:54:22 ID:BXqzUBPl
 「揉む? なんのことやら」
 望は、ヒリヒリ痛む頬を押さえ、呟く。

 「ちょっと、言い過ぎましたかね。でも千里さんと一緒にいると、
  被害を被ってばかりなんですから、離れたいと思ってもいいじゃないですか?」
 「え? 先生? 千里と一緒にいたいんじゃないですか? 海に千里がいるから、
  飛び込むんでしょ?」

 「まさか! 逆ですよ。『船に』木津さんがいたら、海に飛び込むといったんですよ」

 「あらあら」
 苦笑いを浮かべる晴美。

 「千里には、黙っておこう…」



 おまけ

 宿直室にて

 「ねぇ。交くん。私、乗船してて『船が開放的になります』って言われたら、
  思わず海に飛び込んじゃうかも」
 「海のほうが開放的だろ!」
109名無しさん@ピンキー:2008/04/28(月) 18:15:47 ID:hnNKayfn
おお、これは原作のノリにかなり近い
テンポが良くて面白かったです
110名無しさん@ピンキー:2008/04/28(月) 18:19:26 ID:M0DkLvxF
先生が「千里さん」って呼んだり「木津さん」って呼んだりしてるぞ
111名無しさん@ピンキー:2008/04/28(月) 18:32:53 ID:BXqzUBPl
間違えた。
そこはスルーライフで。
112その花束に絶望を パロ:2008/04/28(月) 22:18:12 ID:W0hPX+V+
「………例えば、このまま指で突き破ったら、さぞかし、良い声で鳴いてくれるんだろうな。」
そして………その言葉で、命が次に自分にどんな仕打ちを受けさせるのかを想像し、戦慄する。
「や………やあぁぁぁッッッ!!や、止めて………止めてください、お願いします、それだけはッ………!!」
「ほら、そんなに暴れると、その気が無くてもうっかり破ってしまうかも知れないぞ?」
せせら笑うようなその言葉に、奈美はビクリ、と一瞬で身体を硬直させた。命の指が、少しずつ少しずつ、奈美の
処女膜に圧力を掛けていく。
「ひ、っ………う、あ、ぅ………っ!?」
「冗談だよ。そんなに、硬くなるn・・・あ」
ぶちっ。

「もう、絶命先生ったらドジっ子なんだから」
「てへっ」
「破瓜した!確実に破瓜した!」

むしゃくしゃしてやった。いまは後悔している。
113名無しさん@ピンキー:2008/04/28(月) 23:50:09 ID:VGhsqYF/
>>112
ある意味絶望だww


というか花束の普通は
最後はもう普通な生活をおくれないんだな
114名無しさん@ピンキー:2008/04/28(月) 23:53:55 ID:CGANib3r
花束ではもうみんな普通には生きれなそうな終わりだったじゃないか
115名無しさん@ピンキー:2008/04/29(火) 00:08:39 ID:VhilraIP
とりあえず、加賀ちゃんと三珠ちゃんの話は、文句なしのハッピーエンドだったな。
116名無しさん@ピンキー:2008/04/29(火) 02:39:13 ID:kFP3JqXn
>>115
百合スレに行くべきな結末になったことは間違いない
117名無しさん@ピンキー:2008/04/29(火) 10:57:21 ID:v3MZBUJE
大草さんは借金消えた上に余計に金もらえたし、ある意味ハッピーエンドじゃないか
118名無しさん@ピンキー:2008/04/29(火) 12:12:35 ID:ZCicfMDq
マ太郎『…履いてナイヨ、見るカ?久藤チャン…』
久藤『いいの?』

ピラリ、自らスカートを捲るマ太郎

マ太郎の足元に顔を近づける久藤
119名無しさん@ピンキー:2008/04/29(火) 12:15:15 ID:ZCicfMDq
ピト、ツー
(人差し指を割れ目に差し込み、隠れているクリをなぞる)
マ太郎『あ…///…久藤チャン』
久藤『気持ちいいかい?』(上目使い)
120名無しさん@ピンキー:2008/04/29(火) 12:18:01 ID:ZCicfMDq
久藤『チュッ…ピチャ♪』
(マ太郎のオマンコにキス、マン筋をひと舐め)マ太郎『(>_<)(ぶるぶる…///)』
121名無しさん@ピンキー:2008/04/29(火) 12:24:16 ID:ZCicfMDq
マ太郎『なんか…久藤チャン…変ダ…///』
久藤『し〜、ジッとして?』
マ太郎の両膝を左右に大きく開く
久藤『濡れて、光ってるね‥』
指で優しく入り口をトントン…
マ太郎『(ピクン)』
122名無しさん@ピンキー:2008/04/29(火) 18:06:30 ID:7JEZh7vm
おまえいいかげんにしろよな。



この後どうなるんですか?
123袖合。:2008/04/29(火) 18:31:36 ID:3fZunG3F
誰か望霧書かないかな…
124名無しさん@ピンキー:2008/04/29(火) 19:03:58 ID:F21wn4ur
>>121
久藤が真性のロリコンに



いいぞもっとやれ
125名無しさん@ピンキー:2008/04/29(火) 19:11:21 ID:7qlLGtlX
絶望エロパロスレは本当に色んな種類の傑作が揃っていると思う。小ネタも非常に充実しているし。
126199:2008/04/29(火) 20:01:13 ID:GxWZbZ61
こんにちは。
今回は小ネタです、ご了承ください。
普通がいじられなのは仕様です、ご了承ください。
127小ネタ『小生と個性』:2008/04/29(火) 20:06:40 ID:GxWZbZ61
「絶望した!10,000円分貯めてやっと200円割引されるスタンプカードに絶望した!!」

「……先生の決め台詞なんか叫んで、何やってるの?日塔さん。」
「あ、千里ちゃん。何だかね、先生にこの台詞を叫んでくれって言われて……」
「はい、ありがとうございます日塔さん。貴女ならこの極めて普通な内容の決め台詞を普通にこなしてくれると信じていました」
「普通って言うなぁ!」
「先生!一行目からスレ住人を混乱させるような真似はやめて下さい!
 ただでさえ今回小ネタで地の文章がないせいで分かりにくいんですよ!分かりやすくきっちりして下さい!」
「それです」
「はあ?」
「地の文章がないと、誰が喋っているのか分からないわけじゃないですか。だから意図的に台詞で
 『日塔さん』とか『千里ちゃん』とか言わせるわけですよね。
 あとは『絶望した!』とか『きっちり』とか『普通』とか、決め台詞で判別させるわけですよね」
「私の決め台詞、『普通』!?」
「だってそうでもしないと、誰が誰だか読んでいる人が混乱するじゃないですか。」
「ええ、書いている方も混乱します」
「それはさすがにどうかと思いますけど……。」
「それってつまり、普通に喋っている私たちには個性がないってことじゃないですか?」
「「え?」」
「お2人とも、この会話文章をご覧なさい」

 「おはよー」
 「あ、おはよう」
 「ねえねえ、数学の宿題やってきた?」
 「え!?宿題なんてあった!?」
 「やだ、忘れたの?問題集49ページの『総合問題』ってやつ、先生が次の授業で答え合わせするからって言ってたじゃない」

「どちらが誰だかお分かりですか?」
「分かるわけないだろ!?」
「まあ、普通分かりません」
「……何でだろう、普通って言われたのに腹立たないって言うか……」

 「どうしよう!私こないだの授業中はパイン×ナップルのネーム考えるのに夢中だったから!」

「あら、片方は晴美ね。」
「彼女しか持ち得ないキーワードが台詞に入りましたからね」
「じゃあ、もう片方は仲のいい千里ちゃんじゃないの?」
「いいえ違います。まあ、落ち着いてもう少し先まで会話を見てみましょう」
128小ネタ『小生と個性』:2008/04/29(火) 20:09:39 ID:GxWZbZ61
 「それじゃあ、私のノート写す?私昨日夜中2時半までかかって終わらせたから」
 「いいの!?助かるー!お礼に今度のイベントで新刊渡すから!」
 「い、いいよそんなの……今度なんかジュースでも奢ってくれれば」

「先生、分かりました。あまりに会話が普通な上、感謝強盗まで行っているので日塔さんです。」
「はい、正解です」
「私に対して酷過ぎませんか!?」
「とまあこのように、何らかのキーワードを挟み込まないと全くキャラの区別がつかないという
 小ネタ泣かせな状態は何かと大変なわけですよ」
「あのー、思ったんですけどそこまで頑張らなくても、」

 奈「こんな風に台本形式にしちゃえばいいんじゃないですか?」
 千「なるほど、これなら誰が誰だかきっちり分かるわね。」
 絶「まあ一理ありますが……ってくっつけて書くな!!貴女方と同じパターンなら『糸』か『望』になるはずでしょう!?」
 千「いいじゃないですか、『儲』とかと同じで分かりやすくて。」
 絶「良くありません!却下です却下!!」

「我ながらいい案だと思ったのに。先生、結構わがままですよね」
「台本形式になんてしなくても、貴女方がもっと個性豊かになればいい話なんですよ」
「今でもきっちり個性豊かなクラスだと思いますけど……それに『きっちり』とか『普通』は個性じゃないんですか?」
「『普通』は個性じゃないでしょう、普通は」
「普通普通連呼するなぁ!」
「あの」
「おや、小節さん」
「そもそも、キャラの区別がつかなくなってるのは先生にも責任があると思うんですけど」
「え゛」
「だって、先生男なのに一人称『私』だし、生徒の私達にも敬語で話すし。
 先生が一人称を変えて話し方も先生っぽくしたら少なくとも先生は判別できるようになると思う」
「いいじゃないですかそれ。先生、小節さんの言う通りにやってみて下さい。」

 「先生、これ……」
 「ん?……小森、これ俺にか?」
 「うん。先生の分だよ……バレンタインだから」
 「そうか。そう言えば去年も小森にチョコもらったなあ。悪いな、毎年手作りなんかもらって」
 「いいよ……先生のためだもん」
129小ネタ『小生と個性』:2008/04/29(火) 20:12:33 ID:GxWZbZ61
「絶望した!全く原型を留めないキャラ改変に心の底から絶望したあぁぁああ!!」
「確かにこれは『うわぁ』って感じだなぁ……」
「どうして例文がわざわざ小森さんから手作りチョコをもらう話になるんですか!?」
「千里ちゃん的な問題はそこなんだ!」
「個性を出そうとすればキャラが変わり、ありのままで居れば区別がつかないほど無個性のまま!
 一体どうすればくっきりとキャラ立ちできると言うのですか!」
「嫌だなぁ、これは無個性なんかじゃなくて、オールヒロイン平等主義ですよ」
「可符香さん、どういうこと?」
「幼馴染とか病弱とかお嬢様とか鯛焼きとか死んでも代わりはいるとか、ヒロインの個性が強すぎると
 人気がそのヒロインに一点集中し過ぎて、他のヒロイン候補がかすんでしまうじゃないですか。
 あえて1人1人のキャラ区別を付けにくくして
 ヒロイン全員の人気を出そうという究極の前向き横並びですよ」
「おお、なるほど!この状態は2のへの皆さん誰もがヒロインという、全く問題のない状態なのですね!」
「そうですよ。誰がメインヒロインになってもおかしくない、素晴らしい状態ですよ」
「……誰がメインヒロインになっても、おかしくない?」
「私達のクラスの全員が……」
「……メインヒロイン候補……」
「ん?……ど、どうしました、皆さん?」
「嫌だなぁ、メインヒロインと言えば恋愛の成就ですよ。羽美ちゃんだって改蔵君と結婚したじゃないですか」
「は、はあ」
「つまり、先生との既成事実ができればそれでもうメインヒロイン決定ですよ」
「はあ!?ってあの、近い!皆さんちょっと距離が近過ぎるんですけどぉ!?」
「先生」
「先生。」
「先生」
「い、いやあぁぁあぁあああぁああ!!」

・・・・・・・・

「結局逆レイプオチカヨ」
「オール小ネタオチ平等主義だよ、マ太郎」

「デモ、キャラ区別つかないノガみんなメインヒロイン候補なら、先生もメインヒロイン候補なのナ」
「え!?何なに!?先生がヒロインで総受けで先生×先生もアリアリ!?」
「食いつきすぎダヨ」
130199:2008/04/29(火) 20:15:59 ID:GxWZbZ61
お粗末さまでした。
こんなん書いておいて何ですが絶望先生のキャラは個性豊かですね。
地の文なしで進行するというのは素晴らしいです。
131マリアと放課後:2008/04/29(火) 20:27:18 ID:ZCicfMDq
>>121続き
久藤『(右目を閉じて、小首傾げ)…』
マ太郎『??』
マ太郎『久藤チャン?どした…』
132マリアと放課後:2008/04/29(火) 20:31:56 ID:ZCicfMDq
久藤『(立ち上がる)』
マリア『辞めちゃうカ?何でダ』

久藤『(セーラーの上から、ピンポイントでマリアの乳首をツツく)』
マ太郎『…ぁ…///(※乳首弱い)』
133名無しさん@ピンキー:2008/04/29(火) 20:36:13 ID:gT+TNqKk
分けすぎじゃね?
134マリアと放課後:2008/04/29(火) 20:46:16 ID:ZCicfMDq
久藤『(…マ太郎、ノーパンでノーブラ)』
久藤『今日は準備が足らなかった…』
※コンドームを持ち合わせてなかった!
※臼井が教室にいた…(うっすら)
※糸色トーナメント覇者も教室内にいた!
久藤『また、今度』
久藤『マ太郎、パンツ履かないの?』
マ太郎『くつとパンツはくとキモくなるヨ』
マ太郎『地球がマワル』
マ太郎『バランスくずれるヨ』

久藤『(マリアをナデナデ)』
マ太郎『(久藤チャンに触られると…くつはいたみたい、パンツはいたみたい…マリア、弱点が増えたよ)』

終わり

未遂オチでスマソ。
135名無しさん@ピンキー:2008/04/29(火) 21:06:56 ID:OoK0+Cy5
とりあえず久藤チャンという呼び方はどうなんだ
136名無しさん@ピンキー:2008/04/29(火) 21:43:19 ID:ZCicfMDq
第二集収録、十一話、最終コマで
マリアが霧の事、小森ちゃんて呼んでて可愛かったからそれに倣った…
『小森ちゃん マリア 漢字 おぼえたヨ!』
『マリアは 頭がいいねえ』

でも久藤くんは望からも可符香からも(読者でさえ)『くん付け』されてるから
久藤チャンはナシだね‥
っていうか、書きながら投稿したからグダグダでした…

次は、ちゃんと完成させて推敲の後、投稿します。
137名無しさん@ピンキー:2008/04/29(火) 22:57:11 ID:6HkTJS16
>>130
ギャグ調のSSを書く時に困るんだよなあ
絶望:ウザい、可符香:柔らかい、千里:キツい、奈美:弱い
とか微妙な違いはあってもほとんど似たような口調で、先生との会話だとみんな敬語
ギャグ調だとテンポ重視のために地の文を減らすけど、そうすると誰の台詞か分からなくなって、それを知らせる台詞を混ぜて結局テンポが悪くなるダブルバインド
作者の力量が問われるわけだ

…俺は台本形式に逃げたけどな
138名無しさん@ピンキー:2008/04/30(水) 02:21:28 ID:Z3xN9J2j
あの…前田君投入ってアリ?
前田×カエレ
〃 ×藤吉
〃 ×倫
139名無しさん@ピンキー:2008/04/30(水) 02:27:43 ID:Fn4biGae
>>138
無しです。止めてください。
140名無しさん@ピンキー:2008/04/30(水) 02:45:38 ID:I4mt7vg4
実写じゃなくて絵として出てる役ならアリじゃないかな?
141名無しさん@ピンキー:2008/04/30(水) 03:01:05 ID:w0CusSxS
>>130
GJ!
原作の雰囲気がよく出てて面白かったw
142名無しさん@ピンキー:2008/04/30(水) 07:28:11 ID:jEy8rpKP
前田が社会的に抹消されるならいい…
わけねーだろ
143名無しさん@ピンキー:2008/04/30(水) 12:24:58 ID:ptSgSCUQ
このスレの雰囲気が好きだ。
144名無しさん@ピンキー:2008/04/30(水) 17:18:53 ID:+/kM9/+g
作家いじり禁止
145おかしな休日:2008/04/30(水) 20:01:29 ID:Z3xN9J2j
GW中の学校
霧:ぷんすかっ!
『先生ったら、交くん連れて蔵井沢行っちゃった…』
『…家がいいのに(泣)』『スンスン(泣)』
『淋しいよ…くぴっ(アンバサを飲み干す)』

『先生…はぁぁ、ぁ…ぁ…』
一人残された寂しさから望の布団でふて寝…のつもりがいつの間にか…
枕を抱き締め、うつ伏せ寝、股間をピクピクと布団に擦り付け…自慰を始めてしまう。
『ぁん…っ…///…気持ちぃい…よ…はぁ、はぁ』

一方、望…連休の機会に交の今後を話し合うため実家に帰省中…
のはずが忘れ物(自殺未遂道具一式)を取りに宿直室へ戻る途中
(交には倫&時田が付き添い)

『…せん…せい…はぁ…は…ぁん…っ』

宿直室から霧の声が漏れ聞こえ…

『おや、小森さん?私を読んでるんですかね?』
146おかしな休日:2008/04/30(水) 20:04:20 ID:Z3xN9J2j
ガラガラっ宿直室の引き戸を開けると布団の中で蠢く霧
望『…真昼間からお布団敷いて、どうしました?』
霧『ぁ…はぁ、はぁ(行為に夢中)』
望『小森さん、具合がわるいんですか?』
望『忘れ物を取りに来たんですが…戻ってよかった』

霧『…!!(先生?戻って?)』
霧『ぁ…開けないでよ!!…///』
霧『はぁ…はぁ』
布団の中から叫ぶ霧

望『はぁはぁ言ってますよ…大変だ、あなたはよく風邪を引くから、お薬飲むといいですよ』
霧『はぁ…はぁ…か、風邪じゃ…ないよ…(泣)』
霧『お布団、開けないで、よ…///』
望『そういう訳には』

ガバッ…
布団をめくると
147おかしな休日:2008/04/30(水) 20:09:05 ID:Z3xN9J2j
望『ほら、風邪だ!そんなに赤い…顔、して』『??』
布団をめくると水色のキャミ&ショーツ姿、両手で顔を覆い
更に長い髪で顔が隠れている霧…
霧『…スンスン(泣)…開けないで、よ』

望『…私の布団で何をしてたんですか?』

望は、そっ…と髪をかき分け…霧の可愛らしい顔を覗き込む

霧『ぁ…(///)恥ずかしいよ』
霧『言えないよ…』
148おかしな休日:2008/04/30(水) 20:26:06 ID:Z3xN9J2j
望『言わなくても、だいたいわかりますよ…』
霧『(///)』
指先で霧の唇をなぞったあと、口づける望…
舌を霧の中に差し込み激しく絡める
霧『チュッ…ん…んん…/// 』
霧『…ぷは…!』
望『…甘い、小森サンはアンバサの味がしますね』
霧『(///)』

望『寂しさ思いをさせてすみません…』
霧『淋しかったよ』
ギューッと望に抱きつく霧
望『蔵井沢、一緒に行きましょうか?』
霧『〜(悩)…』
霧『家がいいよ…』
149おかしな休日:2008/04/30(水) 20:49:11 ID:Z3xN9J2j
〜fin〜
150真昼:2008/05/01(木) 00:22:51 ID:rvy/vyIJ
>>145
GJデス。望霧良いよ望霧。

望と可符香で妄文垂れ流させてもらいます。
本番ナッスィングのぬるいエロです。
151黎明 01:2008/05/01(木) 00:27:16 ID:rvy/vyIJ
はじめてだった。
あんなにも感情が昂ぶって、自分が制御できなくなったのは。
それはお互い様だったようで、気が付けば二人して、戸惑いがちに唇を重ねていた。
頭の先からつま先まで、身体全体に染み渡る他人の体温。
自分のそれより僅かに骨ばった指先が、唇を撫でた。
親指で柔らかな弾力を楽しむように、ふにふにと押される。
からかう様にその指先を舐めると、彼の指は引っ込むどころか口の中にまで入り込み、舌までも弄びはじめた。

いずれ誰かに、こんな風に身体を預ける日が来るだろうと思っていた。
けれどまさか、相手がこんな、有体に言えばチキンな人とは予想していなかった。
しかもそんな人に触られて、未体験の感覚に戸惑う事になろうとは。

身体がはねる。反らした頤を彼の舌がなぞる。
悶えて、弓なりに身体を反らすと、胸の先端がツンと上を向いているのが見えた。
その淡く色づいた乳頭を、細い指の間に挟まれてコリコリと弄られる。
驚いて小さく声を上げると、唇を塞がれてその声を飲み込まれた。
気が付けば未開拓の茂みの奥は秘かに潤っていて、太ももをすり合わせると、愛液が一筋シーツに伝う。
知識としては知っていたが濡れた事なんて始めてで、咄嗟にタイミング悪く生理が来たのかと焦ってしまった。
男は戸惑うこちらの反応を楽しむように小さく笑って、ゆっくりと茂みの奥に指を滑らせた。
反射的に緊張した身体を抱きしめられる。蜜の感触を楽しむように、花弁の間で骨ばった人差し指が蠢いた。
耳元で何か言われた気がするが、内容までは覚えていない。
普段聞く事のない深みを帯びたその声にすら、身体は快感を見出していた。
たぶん、自分も普段絶対に上げないような声で鳴いているのだろう。
秘所で蠢く指。鎖骨をなぞる舌先。胸を包み込む、思ったより大きな温かい掌。
与えられる感触が多すぎて、ただ自分がおかしくなっている事しか、わからなくなった。
わからない。自分が何をされているのか。そもそもこの感覚は快感なのか苦痛なのか。
思考が曇る。悲しくもないのに涙が溢れる。まともに呼吸が出来ない。
気持ち良いなんて嘘だ。自分が自分でなくなるこの感覚は、紛れもなく恐怖だった。
それでも何故か拒めない。このまま気が狂う事を望んでいるのか、無意識に腰がくねって愛撫を求める。
ああもう、何がなにやら。
助けを求めるように喘ぐ。形だけでも拒絶するように頭を振り乱す。
閉じた視界を塞ぐ黒の中で、光がチカチカと瞬き出した。
もうすぐ届く。もうすぐ、気が狂うのはもうすぐだ。
呼吸が犬のように忙しなくなる。太ももの内側の筋肉がビクビクと痙攣し出して―――

そこで、意識が急速に冷めた。

「―――っぅ、ぁ…ッ…」
ゆっくりと両目を開く。
グチャグチャに乱れたシーツの上で、荒い呼吸を吐いているのは、風浦可符香という名の少女、ただ独り。
薄桃色のパジャマの前を肌蹴させ、ズボンを膝まで下ろした扇情的な格好で、彼女はベッドの上で深く息を吐いた。
下着の中に突っ込んだ右手を引き抜く。指先は、自らの愛液で濡れそぼっていた。
顔の前に手をかかげ、人差し指と親指をすり合わせて、糸を引く様をぼんやりと見つめる。
汗で湿ったパジャマが、肌に張り付いて気持ち悪い。
瞳に溜まっていた涙が頬を伝い、枕に染みを描いた。
「やっぱり、駄目かぁ」
ふっと苦笑して、乱れた格好を直す事もせず寝返りをうった。うつ伏せになり、枕に顔を埋める。

「……独りじゃ、駄目かぁ……」

自分の声がくぐもって聞こえるのは、枕に顔を押し付けている所為だと思う事にした。
152黎明 02:2008/05/01(木) 00:28:48 ID:rvy/vyIJ
◇ ◆ ◇ ◆

その日、ちょっとしたハプニングが起こった。
いやそもそも、2のへではハプニングが起こらない日の方が珍しいのだが。
そんなクラスでも珍しい類の事件は、午後の体育の授業中に起こった。
授業中、一人の女生徒が倒れたのだ。
しかもその女生徒があまりに意外な人物だった為、彼女が倒れた際、クラスメイトは一瞬思考が停止する程に驚いた。
連絡を受けた担任にいたっては、倒れたクラスメイトの名を聞いて、また何かの冗談かと思ったくらいだ。
けれど保健室に見舞いに行って見れば、ありえないと思っていた光景は、実際に彼の瞳にしかと映し出された。
「あ。来てくれたんですか、先生」
可符香は青白い顔で、ベッドの上から弱々しい笑顔を望に向けた。
「……そ、そのままで。無理をしないで下さい」
身を起こそうとした可符香を慌てて制止して、今だ状況を理解できないまま、
とりあえずベッド脇にあったパイプ椅子を移動させて、可符香の前に座る。
彼女は大人しくもう一度ベッドに身を沈めた。
布団から覗く体操着は汗で湿って、彼女の身体に纏わりついている。
ついこの間までは、いくら着込んでも歯の根があわない程寒かったというのに、
気がつけばちょっと運動するとすぐに汗ばむほどの陽気が、春の訪れを告げていた。
「……驚きました」
「私もです。全然元気だったのに、バスケしてたらいつの間にかベッドの上なんだもの」
青白い顔のままで、コロコロと笑う可符香。
いつもと変らぬ完璧な笑顔と、透けるような顔色がつりあわない。
「保健の先生は」
「ちょっとした貧血と、あと寝不足だっておっしゃってました」
そう診断した当の本人は、人が居ると落ち着いて眠れないだろうからと、気を利かせて席を外したとの事。
大事はないと聞いて、ひとまずホッと胸を撫で下ろす望。
「まさか貴方が倒れるなんて、何の冗談かと思いましたよ」
「そう思ったんなら、どうしてわざわざ来てくださったんです? お見舞い」
「担任って立場上、ほっとくわけにもいかないでしょう」
そう言いつつも、最後の最後に蚊の鳴くような声で。
「――まぁ、少しは心配したのも事実ですが」
あらぬ方向に視線を投げつつ、口の中でボソリと呟いた。
ニヤリと可符香の口元が吊りあがる。
次に彼女の口から出るのは、実に意地の悪い台詞に違いない。
瞬時にそう察した望は、彼女を黙らせる目的も込めて、ズイっと身を乗り出した。
不思議そうな顔で見上げてくる可符香の瞳を覗き込むように顔を寄せる。
「……あ」
彼女は反射的に顎を引いて逃げようとするも、頭をより深く枕に埋めるくらいしか出来ない。
息が触れるくらいまで近づくと――望はやおら眉をハの字にして、心配そうな、それでいて情けない表情になった。
「隈ができてますね。顔色も、やっぱり悪い」
そう言うとすぐに顔を離す。
「眠れないんですか? 何か悩みがあるなら、解決できるかはともかく聞くことくらいは出来ますよ。
 ……まぁ、あまり深刻な相談をされると、私まで不眠症になりかねませんが」
ドンと胸を叩いて頼もしい事を、この男が言う筈もなく。
確実に相談する気が失せるような事をさらっと言ってのける担任教師に、可符香はやれやれと嘆息しながら苦笑した。
いつの間にか強張っていた肩の力が抜ける。
「まぁ、そうですよね。糸色先生ですもん」
「……なんか、そこはかとなく馬鹿にされたような気がするんですけど」
「いえいえ。気のせいです」
やぶ睨みで見つめてくる吊り目を悪びれも無く見返して、大仰に肩を竦めて見せる可符香。
153黎明 03:2008/05/01(木) 00:30:18 ID:rvy/vyIJ
「それじゃあ、先生?」
「はい」
相談事かと身構える望に、彼女は花のようにニッコリと笑いながら、小首を傾げて問うた。

「最後にしたのって、いつでしたっけ?」

主語のない質問に、可符香とは逆の方に小首を傾げる望。
「……したって、何を」
……思った以上に朴念仁だったようだ。
内心で溜息を吐いて、彼女は一度瞳を閉じた瞳をゆっくりと開きながら、首を左右に振った。
「やっぱり、なんでもないです」
「やっぱりって。わざと気になる言い方しないで下さいよ」
「やだなぁ、そんなつもりないですよぉ。先生はお気になさらず、今夜もたっぷり惰眠を貪ってください」
そう応える間にも、彼女はゴソゴソと身を捩り、頭までスッポリと布団に包まってしまった。
「あ、ちょっと」
思わず身を乗り出す。ガタン、と椅子が鳴り、自分でその音に驚いて硬直してしまった。
可符香が見ていればからかうように笑ったのだろうが、生憎彼女は布団の中で目を閉じてしまっている。
「眠くなっちゃいました。良くなったら適当に帰りますから、先生はもう戻って大丈夫ですよ」
どうやらもう話すつもりはないようだ。
これ以上食い下がっても彼女の身体に、それどころか気にも障るだけだ。
望はこれ見よがしに深く溜息を吐いてから、のろのろと椅子から立ち上がった。
「……もし治らないようでしたら、一応病院に行くんですよ」
「先生のお兄さんのとこですか?」
「あそこ以外、です」
ベッドの周囲を囲むカーテンを開きながら言うと、くぐもった笑い声が背中を擽った。

◇ ◆ ◇ ◆

「……悩み聞いてもいないのに、眠れなくなってどうするんですか」
時刻は午前0時になろうとしていた。
望は天井の染みをぼんやりと見つめつつ、不貞腐れたような声でぼやく。
隣では交がスヤスヤと、こっちの気も知らず幸せそうな寝息を立てていた。
まぁ甥に罪はない。眠れないのはきっと、昼間これ見よがしに倒れた誰かさんの所為だ。
無意識に眉間に皺が寄る。
さっきから何度も眠気の波は襲ってくる。けれど意識が落ちるその寸前に、
青白い顔に笑顔を張り付かせた女生徒の姿がチラついて、目が覚めてしまうのだ。
苛立たしげに布団を被りなおす。
数分もしないうちに寝返りをうって、ようやく彼は、このまま眠る事は無理だと認めた。
諦めて目を開く。視界に、枕元に置いた携帯が映った。
「……眠れているでしょうか」
旧式の携帯を見つめながら、小声で呟く。
電話してみようか。いや、もし眠っているならむしろ邪魔にしかならないだろう。
もう日付が変るような時間なのだ。眠っている可能性の方が高い。
だがこのままでは自分が眠れない。そうだ、そもそも眠れなくしたのは彼女なのだから、
意趣返しとして電話くらいは許されるだろう。そうだ。そういう事に今決めた。
「よし」
言い訳成立。
そのわりには微妙に自信なさそうな笑みを浮かべつつ、望はゆっくりと携帯に手を伸ばした。

 ◇ ◆ ◇ ◆

日付が変った。
可符香はすっかり眠ることを諦めて、枕を抱きながらベッドの上に座り込んでいた。
曇り硝子のような瞳には、壁に掛けてある時計が映り込んでいる。
息が荒い。熱にでも浮かされたように胡乱気な眼差しで、
口を半開きにして時計を見つめる彼女からは、淫靡な雰囲気が漂っていた。
肩までずり落ちたパジャマから覗く細い肩が、呼吸の度に上下する。
内側から生じる熱は、何もウィルスと白血球が戦っているからではない。
「……は、ぁ……。あ、ぁ……」
吐息の中に混じった声は、助けを求めるようにか細く弱々しい。
154黎明 04:2008/05/01(木) 00:31:41 ID:rvy/vyIJ
モゾモゾと身体を揺り動かす。太ももをすり合わせると、くちゅ、と湿った音が聞こえた。
下着と下の唇が、愛液に塗れて擦り合わさる。
その感覚を追うように、可符香は枕を抱き潰すようにしながら、身体を揺り動かしていた。
「……どうせ、駄目、なんですけど……ね……」
呼吸の震えが激しくなっていく。悲しくもないのに、じんわりと涙が滲んでくる。
いつの間にか無意識に、パジャマの隙間から手を突っ込んで、自身の胸を掴んでいた。
揉むというよりも握り潰すような荒々しさで、まだ少し固さの残る乳房をこねくり回す。
そこに快感はない。強く力を入れすぎている所為で、痛みしか感じられなかった。
それでかまわない。腹の底から湧き上がってくる情欲に対抗するように、自ら痛みを求めていた。
けれど茂みの奥は熱い杭を求めて秘かにひくついて、身体の熱は増していくばかり。
「ッ、ッ……う……ん…ッ…」
いつの間にか泣いていた。
小さな嗚咽を漏らしながら、可符香は糸の切れた操り人形のような唐突さで、抱きしめた枕と共に深くベッドに身を沈めた。
「……は…ぁ……」
ゆっくりと目を細めると、目尻に溜まった涙が頬を伝った。
温かな雫の感触が、愛しい指先が頬を撫ぜた記憶を思い出させて、余計に息が苦しくなる。
「―――」
無意識に唇が誰かを呼んだ。声は出ない。
昨夜と同じように、この一晩を渇望に耐えながら過ごす覚悟を固めて、可符香はより強く枕を抱きしめた。

唐突に流れ出したハマショーの着メロが、悲観的気分をぶち壊す。

自分で設定しておきながら、あんまりなタイミングにキョトンとしてしまう可符香。
そもそも、こんな真夜中に着信があるなんて思わないだろう、普通は。
「……誰、かな」
ふいに脳裏に過ぎった都合の良い名前を、それはナイと頭を振って掃いながら、携帯に手を伸ばす。

――その都合の良い名前が、そのまま携帯の画面に光っていた。

◇ ◆ ◇ ◆

三回。
三回コールして出なかったら、寝ていると判断しよう。
そう心に決めて、望は荒くなる呼吸を静めようと努めながら、静かに携帯を耳に押し当てていた。
何故か加速する心音が煩く耳の奥に響く。コールの音よりも煩く感じた。
眠っている交を起こさないよう宿直室から出て、今は廊下の窓から青白い月を見上げている。
――三回目のコールが終わった。
「……」
携帯が手元にない可能性も考慮しよう。近くになかったら、起きていたとしても取るのに時間が掛かる筈だ。
七回。七回コールして出なかったら、今度こそ切ろう。
そう心に決めて、少し強く耳に携帯を押し当てた。何故だか、携帯を持つ手が震えている。
――七回目のコールが終わった。
「……もう少し……」
十回。十回コールして出なかったら、今度こそ―――。
青白く光る月が、嗤うようにこちらを見下ろしているように見えて、望は眉間に深く皺を刻んだ。

『――先生?』
電話口から声が聞こえたのは、十五回目のコール音が止んだ時だった。
もはや諦め初めていた望は、耳朶を擽るか細い声に心底驚いて、思わず携帯を取り落としそうになってしまう。
「あ、あ、ぇ、あっと……。ふ、風浦さんですよね?」
裏返った声が可笑しかったのか、電話の向こうで可符香が盛大にふきだした。
しばらくクスクスと笑い声だけが聞こえて、
『はい、私ですよ。風浦可符香です。こんな時間にどうしたんです? 先生』
深夜に電話。その上開口一発妙な事を口走る。そんな自分の常識外れな行動を、
可符香の笑みを含んだ声音が余計に意識させた。
155黎明 05:2008/05/01(木) 00:33:00 ID:rvy/vyIJ
背中に嫌な汗が流れる。そもそも、彼女に電話して何を話そうと言うのだろう。
「いえ――その。ちゃんと眠れていたか心配で……」
そんな理由で安眠妨害の電話を掛けるなんて、それこそ本末転倒だ。
僅かな沈黙を挟んで、望は諦めたように肩の力を抜いた。
結局の所、
「……声が聞きたかっただけ、です」
そんな、子供じみた馬鹿らしい理由だったのだと、不承不承認めつつ、
特に言い訳も思いつかなかったので、気持ちをそのままに伝える事にした。
『……あはは』
てっきり呆れたような言葉が返ってくると思ったが、
予想に反して耳朶を擽った笑いは、今にも泣き出しそうな程に擦れていた。
もしや呆れが限界突破して泣いてるのかと誤解して、望は冷や汗をかきながらワタワタと慌ててしまう。
「い、いや分かってたんですよ? もし眠ってたら邪魔にしかならないだろーなー、とかッ。
 でもですね、何といいますか。その、昼間あんな事言われて気にならないわけがないというか、
 ぶっちゃけ私の安眠を返して欲しいと言いますかッ!」
しかし口から出てきたのは謝罪ではなく、子供じみた言い訳だった。
自分でも何を言いたいのかわからないほど混乱している彼の様子が電話越しに見えるようで、
可符香はベッドの上で仰向けに寝転がりながら、穏やかに、静かに深く吐息を吐いた。
『――じゃ、私もぶっちゃけちゃいますね』
「ん、あ、はい?」
なんて事のない、いつもの口調で、彼女は一言。

『寂しかったんです』

必死に次の言い訳を考えて熱暴走していた頭に冷水を浴びせられたように、望は息を呑んで固まった。
『はじめて一緒に寝た時のこと、覚えてますか?』
「あ……、当たり前じゃないですか」
いつか抱きしめた少女の肢体が鮮明に蘇って、月明かりの中でもそれと分かるほど顔を赤くする望。
『知識としては知ってたんです。男女の交わりとか、気持ち良くなる方法。
でもですね。先生と一緒にするまで、実際どんなモノか経験した事なかったんですよ、私』
「それは……」
そうだろう、と内心で続けた。彼女のはじめての証である処女は、確かに自分が貰ったのだから。
痛みを堪えて涙目で見上げてくる可符香の姿が蘇って、思わず前かがみになる。
『もちろん処女云々もそうです。それだけじゃなくて――性的な快感そのものを、私は知らなかったんです』

性に目覚める年齢は人それぞれだが、一般的に性欲の全盛期は、中学生頃から高校生頃と言われている。
早い人なら小学生から自慰にふけっていただろうし、逆に遅い人も居るだろう。
可符香が知識としてソレを知ったのは、小学生の頃だった。
けれど特に興味を持てなくて、自ら自慰や遊びに踏み出す事はしなかった。

中学生になれば、クラスメイトがそういう話題を持ち出す事も多くなった。
人の心を掌握する一つの手段になるだろうか。そんな考えで、自ら試してみた事もあった。
けれどどんなに自分で触ってみても、話に聞くような快感は得られない。
触れ方が悪いのかと、色々調べてみたりもした。
だがどんなに試してみても、皆が夢中になるような快感はどこにもない。
結局彼女は諦めて、知識として覚えておくだけに留めた。
身を持ってその感覚を知らなくても、人の心を弄ぶには十分だった。

時が過ぎて彼女は高校生になり、快感を知らぬまま、愛しい男に身を委ねた。
そこで彼女ははじめて知ったのだ。思考が霞みがかって、身体の奥が痺れる程の快感を。
可符香も高校生というお年頃。はじめて得た性的快感に夢中になるのは、そう不思議なことではなかった。
だが。
156黎明 06:2008/05/01(木) 00:34:50 ID:rvy/vyIJ
『あんまり頻繁におねだりもできないじゃないですか。二人きりで会う事すら少ないのに。
 だから自分で静めようとしたんです。先生にどう触られて気持ちよくなったか、思い出しながら』
はじめて得た快感を、一人になると思い出す。
抱きしめられて満たされる安心感。撫でられて、呼吸を狂わされる焦燥感。
夜毎火照る身体は、ただ一人の男を求めて酷く疼いていた。
けれど、潤む秘所に指を這わせても、固くなった乳頭を苛めても、その指は男のものではない。
触れる体温は紛う事無く自分のもので、いくら望との性交を思い出してみても、望の愛撫を再現してみても、
そこには心がなかった。
意識が爆ぜる最後の最後で、急速に心が冷めてしまう。
けれど身体の奥で燻る熱は冷めず、彼女の意識を犯していく。
――切なくてしょうがなかった。

『そんなこんなで、ここの所ずっと寝不足だったんです。やらしいでしょう? 私』
自嘲するような響きを含んだ声。
彼女は今夜も眠れていなかったのだろうか。だとすれば、いったいどんな想いでいたのだろう。
電話に出た時の彼女の声を思い出す。泣いた直後のような、擦れた声音を。
望は乾いた喉に、無理矢理唾を押し込むように喉を鳴らした。
「――絶望しました。自分のあまりの不甲斐なさに」
『あはは。今更ですよー』
茶化すように笑う可符香。
望は深く俯いて、今すぐ彼女の元に駆け出したい衝動を抑えるように身を震わせた。
「……今度、二人でどこかに行きましょう」
『お泊りで?』
「もちろん」
口の端に笑みを乗せて応えると、電話の向こうで可符香が寝返りをうったのがわかった。

『やった。おねだり成功です』

答える声からは、堪えきれない幸せの空気が伝わってきた。


『それじゃあ先生。ついでにもう一つ、おねだりしても良いですか?』
「この流れで断れると思います?」
くぐもった布ずれの音に、可符香の忍び笑いが飲み込まれた。
『えへへ、ですよね。それじゃあ……、私の安眠に協力して下さい』
子守唄でも歌え、という意味ではもちろんなさそうだ。
望は更に前かがみになりつつ、自重しない自らの下半身に心底嫌になりながら答えた。
「い、今すぐ行きます。走って行きます」
『そこまでは望みませんよぉ。先生は、ただ喋ってくれてるだけでいいんです』
「?」
首を傾げていると、ゴソゴソと可符香が身じろぐ音がした。

◇ ◆ ◇ ◆

「先生は…ッ、何もしなくて、いいですから」
ショーツの上から自らの秘所を撫でつつ、可符香は肩と耳の間に挟んだ携帯電話に、わざと熱い吐息を吐いた。
息を呑む気配。どうやらこれから何をするのか気付いたようだ。
電話の向こうでオロオロする望の姿を想像するように、可符香は楽しげに瞳を閉じた。
『ふ、風浦さんッ。あの……ッ』
「先生の声……聞いてるだけで。自分でするよりずっと、気持ちよくな…ッ…ちゃ…って」
意識せずとも言葉が途切れる。荒い息を吐きながら、堪えきれずショーツの中へ指先を滑らせた。
『……ッ……』
望の呼吸も乱れ始めている。まるで可符香の興奮に呼応するように。
「ん……――んんんッ!」
膨らんだ陰核を皮の上から押し潰すように刺激すると、否応にも身体がはねた。
『……今、どこを触ってますか……?』
どうやらあっちも気分が乗ってきたようだ。
いつもより幾分低い声にゾクゾクして、可符香は乾いた唇を舐めた。
「ん、下の方……です。何なら、もっと詳しく言いましょうか?」
157黎明 07:2008/05/01(木) 00:36:21 ID:rvy/vyIJ
『え。あ、いや……。そ、そこまでは、その……ッく……』
そっちが恥ずかしがってどうする。
どうやら、気分が乗っても望は望らしい。
クスリと苦笑しながらも、あまりにらしい反応に胸の奥が温かくなった。
「ッぁ、あ……。せんせ、黙らないで下さい……」
『――ッす、すみません。えぇっと……ぅ、困りました、ね……』
「喋りながら自慰って、難しいですか?」
『――ぇうッ!!?』
「あっははー。バレてますよ、先生も息荒いですもん」
『ど、どこかから見てるんじゃないでしょうね……』
「わかりますよ。先生の事ですから」
『答えになってませ、ッ……』
「アハハッ。先生の声、良い……なぁ……ッ」
秘所で蠢く指の動きが、意識せずとも早くなる。
それに合わせて呼吸も忙しなくなり、電話の向こうの望にも、彼女の絶頂が近い事が伝わっていた。
「あ、あ、ぁ――んんんぅぅぅ……ッ……」
『……ふ、うら、さん。もう……?』
可符香はもう「はい」と答える事すら苦しくて、見えないとわかっているのにコクコクと頷く事しか出来なかった。
見えなくとも切羽詰った空気は伝わったようで、望の呼吸も興奮に擦れて、忙しなくなっていく。
『……ぁ、く……。風浦、さ――ッ……』
上ずった声が耳朶を擽る。それがトドメだった。

「ッッッ!! ぁ、んんんんんん―――……ッ!!」
『―――ッッ!!』

食いしばった歯の間から、抑えきれない喚声が漏れた。
身体がはねて、シーツに後頭部を押し付けるように悶える。
小刻みに襲ってくる震えに合わせて、小さな声が断続的に漏れた。
――しばらくそうして、久方ぶりの絶頂の余韻に震えていると、電話の向こうから小さな声が聞こえてきた。
そこでようやく、いつの間にやら携帯を放り出していた事に気付き、慌てて耳に押し当て直す。
荒い呼吸をぬうように、望が何か言っていた。
けれどその声はあまりに小さく、しかもこもって聞こえて何を言っているのか聞き取れない。
『―――せん』
「はい?」

『……い、一泊二日の温泉旅行ッ! 詳細は、また後日にッ!!』

「わっ」
声量の調節を失敗したらしく、今度は煩すぎる声が耳を貫いた。
驚いていったん携帯を離し、もう一度そっと耳を傾ける。
――通話は既に切れていた。
「……えっと。温泉旅行?」
不可思議な捨て台詞の意味は、自ずとすぐに理解できた。
ジワジワと嬉しさがこみ上げてきて、可符香は身体からその幸せが溢れないように、頭からシーツを被る。
携帯をギュっと握り締めて、だらしない笑みを浮かべながら、
「私、箱根が良いです。先生」
今頃きっと顔を赤くしているであろう愛しい人に、悪戯っぽく呟いた。

――その愛しい人は、廊下の壁に寄りかかって座り込み、
「……絶望した……。後先考えずに、こんな所で……」
白濁に塗れた自分の手と、廊下にぶちまけた液体の処理に絶望していた。

翌日、可符香の隈はスッキリ消えていたが、
担任教師の目の下には、クッキリと隈が出来ていたらしい。
158真昼:2008/05/01(木) 00:37:37 ID:rvy/vyIJ
上げてもうた……すみません。
そいではこれで終了ですんで、次の方お願いしますー。
159名無しさん@ピンキー:2008/05/01(木) 00:51:17 ID:snPSWeQA
エロいよ可愛いよ可符香
GJでした!温泉編も期待!!
160名無しさん@ピンキー:2008/05/01(木) 03:08:43 ID:ClVJRMxZ
>>149 GJ望霧 前田じゃなくてよかったです
161名無しさん@ピンキー:2008/05/01(木) 06:51:05 ID:Qx7E7QzD
ぷんすかかわええ
162名無しさん@ピンキー:2008/05/01(木) 07:13:31 ID:or6hmwU0
可符香エロいよ可符香
先生と同じように俺もビンビンです
163ふー:2008/05/01(木) 07:51:55 ID:hWdEI+6a
>151
えーっと、やばい!!!!えろすぐる。
電話越しなのに頑張りきれない先生に萌えました。



私ですがちょっと長編になりそうです。
有る程度まで書きあがってるんですが、内容について。

『さよなら糸色先生』

・推理系
 (注) ・暗いというか、欝っぽい展開あり
・そのうちでてきますがまだ得ろなし
・本編で明らかでない設定に関して、勝手に書き加えがあります
・長いっす、章ごとに何度かにわけて投稿させてもらいます
164さよなら糸色先生 1:2008/05/01(木) 07:54:16 ID:hWdEI+6a
エピローグ
               ・・・・

「先生、真面目に授業してください」
日塔奈美は手を上げて立ち上がりながら言う。五月一日の一時限目の国語の授業。
2-へ担任教師、糸色望は、五月病が五月だけではなく、一年中社会を蝕んでいるのがどうたらこうたらと言い出すと、
あげくの果てに慣れた手つきで鞄からするするとロープを引っ張り出し、
さっさと教室で首を吊ってしまったのだ。
「私達には卒業まで教育を受ける権利があります。勝手に死ぬことは許されません。訴えますよ!」
木村カエラが独特の鼻にかかった、甲高い声で叫ぶ。
もちろん女子高生としてはとんでもない発言だが周囲の生徒には慣れたもので、
当然といった顔で様子を眺めたり、机の上に問題集を広げたり、
携帯ゲーム機をこっそり鞄から取り出したり、Gペンとトーンを出して同人誌の校正を始めたりと
それぞれ気ままに時間をやり過ごす。
「絶望した!自分の命さえ自由にならない社会に絶望した!!」
「あーあ、また始まった…」
奈美はあきれた顔をして口をはさむのを諦めて、音無芽留は『死ぬならさっさと死ね糞教師』とメールを送り、
関内マリア太郎は首を吊っている望に飛びつき、ぶらさがる。
二倍の体重が掛かったロープは、強烈に望の首を絞めつけるが、二秒ほどでぷつんと千切れてしまう。
マリアは器用にバランスを取って着地したが、望は目をくるくると回しながらどすんと落っこちる。
「先生、大丈夫カ?」
屈託なく笑いながらマリアは望に声をかける。
「げ、げほ……っだ、大丈夫なわけないでしょう!ほんとに死んだらどうするんですか!」
望はほとんどお決まりの台詞を叫んでから、
すぐにはっと気づいて頬を赤く染め、こほんと咳を一つはさんだと思うと
自習です、とそそくさに告げて、逃げるように職員室へ踵を返す。
が、教室の扉に手をかけた瞬間、望の袖をがっちりとつかむ者が一人。
「勝手に授業を終了するのは許されません、きっちり最後まで授業してください」

木津千里は、にっこりと笑いながら死にたがりの担任教師を力ずくで教壇まで引きずり戻す。

               ・・・・
165さよなら糸色先生 2:2008/05/01(木) 07:56:57 ID:hWdEI+6a
               ・・・・



木津千里は考える。


――――――― −−- 
あれ、私何をしているんだろう…
目をつむってるんだから、寝てたのかな…
ここはどこ?鳥の鳴き声がする、朝…
目を瞑っているのにまぶしい、カーテンがあいているの?
何がなんだか分からない、とりあえず起きなきゃ…
――――――― −−- 


まどろむ意識の中私は目覚めて、体を起こす。
そして見たことのない部屋が目に飛び込んできた。
木目がそのまま表面に出ていて、出来てからだいぶ経っているような古ぼかしい濃い茶色の壁。
ロッジという言葉がぴったりの簡素な作り、木の丸太を利用したテーブルといすが真ん中にあって、
今私の寝ているベッドは正方形の部屋の、丁度隅に置かれているようだ。
長方形のベッドの長い辺が面している壁に40cm四方の窓がついていて、ブラインドは上げられている。
思わず窓の外を見ると、そこは…なんともいえないけれど、とにかく山の中なのか、
木々が鬱蒼と茂っていた。ただ日光は入ってきているので、おそらくこの部屋に日照が入る程度だけは
伐採しておかれているのかもしれない。


知らない場所で突然目覚めた私は、パニックに陥っても当然なはずなのに、
なぜか冷静なままだった。
夢の中ではどんな不思議なことがあっても、それが当然で、昔から当たり前にそうだったみたいな
気がすることがよくあるけれど、その感じに似ている…
ヘンなのは分かるけれど、なんとなくこの状況を冷静に見ることが出来る。


私は木津千里で、朝起きたら知らないロッジらしき小屋の中。
どうしてここにやってきたのかも覚えていない。
そういえば、昨日何をしたのか、どこで眠りについたのかも分からない。
もしかしたら自分の意思でここまできたのかもしれない。
私の中の情報はそれだけだった。
166さよなら糸色先生 3:2008/05/01(木) 07:58:31 ID:hWdEI+6a

部屋は綺麗に片付いていて、私の制服がハンガーにかけられて壁につるされている。
私は寝巻き姿の自分を、小屋備え付けらしい鏡で確認した。
これは…家で使っていた、私のパジャマだ。
すると誰かが、私が寝ている、もしくは私を寝かせてしまった隙に、
一気によっこらせっと運んできたのか。
でもそれならせめて昨日、私が寝るまでのことくらい、私は覚えていても良さそうなのに。



ああ、まどろっこしいわね…


私は学校に毎日行っていた。そこに揺るぎはない。
糸色先生はじめみんなのこともはっきり覚えているし、どんなことをしていたのかも思い出せる。
先生のことを何度か埋めたり、きっちり責任をとってくださいと迫ったり、
最低文化的な文化祭の準備をしたり…
…どれを今思い返しても、輝いていて、楽しかった日々。
でもそれらは私の頭の中で全く整理されていなくて、どの記憶が最近のことなのか、
昔のことなのか、区別がつかない。みんな遥か遠くで霞んでしまっている。
数ある日々の記憶の中で、どれが昨日の私なのかが分からない。

私はたぶん、昨日という付箋紙のついた、真新しいはずの記憶の欠片を
見つけることが出来ないのだ。
一つのピースを失ったパズルを、いつまでも完成させることはできないのに似ている。

               ・・・・
167ふー:2008/05/01(木) 08:02:28 ID:hWdEI+6a
とりあえずエピローグは終わりです。
ああなんて中途半端なの!!!きっちりしなさいって感じですね。
でも一章が長いせいで、この先に繋げて書くとぎっちぎちになっちゃうので
少々ご勘弁ください><すみません・・
つづきはそのうち・・
168名無しさん@ピンキー:2008/05/01(木) 09:59:38 ID:UJNH8wOZ
エピローグ?
プロローグじゃなくて?
169名無しさん@ピンキー:2008/05/01(木) 10:13:05 ID:NFVuhln0
エピローグなら、これが話のラストに来るんでしょう
千里がどうしてこうなったのかがメインの話になるのかな
170名無しさん@ピンキー:2008/05/01(木) 10:35:59 ID:KMpOeyp+
>>158
うおおお、まさか自分の好きなプレイがエロパロ板で読めるとは思わなかった。
しかも絶望先生で、しかも真昼さんで、しかも望カフカで。
エロい、エロすぎる・・・今日も一日頑張れそうです。ありがとうGJ!

>>167
GJ!推理もの好きだから楽しみだ。
しかしこれがエピローグだったら中途半端な終わり方になってしまうんじゃないか?大丈夫?
今後にwktk
171名無しさん@ピンキー:2008/05/01(木) 13:04:46 ID:TjZoX/zK
>>167
嫁ktkr
172名無しさん@ピンキー:2008/05/01(木) 17:06:46 ID:9mALMp/c
>>158
GJ
めちゃくちゃ萌えた
173名無しさん@ピンキー:2008/05/01(木) 21:38:49 ID:2uLxnGKr
>>158
読んると何かゾワゾワきた。
GJ!
174名無しさん@ピンキー:2008/05/01(木) 23:40:17 ID:zsTOYycn
>>167
自分も推理物好きだから期待
千里は結構レアだしwktk
175199:2008/05/02(金) 00:49:55 ID:bV4d56GI
ふー様の長編までの間繋ぎにでもどうぞ。
可→望気味、エロなしです。
176『〜暇潰し編〜』:2008/05/02(金) 00:50:57 ID:bV4d56GI
例えば、祝日や開校記念日で休校なのをすっかり忘れたまま登校したとか。
例えば、台風による暴風雨の中を必死で登校したのに学校に着いてから『今日は休校』と言われたとか。
例えば、長期休み中の補習を受けるのが自分だけだったとか。
そんなことでもないとなかなかいる機会なんてないのではないだろうか、無人の教室というのは。
「ふふっ」
可符香は机に頬杖をついたまま声を上げて笑った。いつも微笑みを浮かべている彼女だが、今日は
たとえ自分がこの場で泣き叫んだり、怒鳴り散らしたところで誰にも見られやしないのだ。
別に泣きたくも怒りたくもないが、そんなことを考えると可笑しくなる。
2のへ組の教室の中には可符香1人で、他のクラスメイト達ははしかによる学級閉鎖で休みである。
もっとも、クラスの女子のほとんどは宿直室――つまり、担任である糸色望のところに出向いているはずで、
まあ、自分の想像通りというか、計画通りというか。
千里やまといや霧はもちろん、あびるに奈美に真夜に楓、某国のハニトラ娘にまで
もみくちゃにされているであろう担任教師を想像して、再び笑う。
きっと今頃、生徒たちのバトルの真っ只中でまた『絶望した!』とでも叫んでいるに違いない。
本当にいじりがいのある人だ。
そんなことを考えていると、廊下をぺたぺたと足音が近付いてくるのに気がつく。
さっき様子を見に来た智恵先生がまたやって来たのだろうか、そう思いながら体をひねって
入り口のドアを見つめると、足音はこの教室の前で立ち止まり、ガラガラと戸が開けられた。
「あ――」
「おや、風浦さん」
ひょっこりと顔を覗かせたのは、ついさっきまで想像していた担任教師だった。そのまま教室に入ってくると
後ろ手に戸を閉めながら尋ねてくる。
「どうしました?学級閉鎖しているんですからこんな所にいなくてもいいんですよ?」
「知ってますよ。先生こそどうしたんですか?」
「いえまあ、何と言いますか……宿直室に居づらい雰囲気なんですよね、ちょっと……」
呟いて大きくため息をつく望。どうやらほぼ彼女の想像通りの状況らしい。ニャマリと微笑んで口元に手を当てる。
「先生は凄いんですね。はしかにかかった皆の看病をしてあげるなんて素晴らしいじゃないですか。教師の鑑ですよ」
だが、からかうような可符香の口調に望は半目になって疲れたように肩を落とす。
「何をおっしゃるんですか。感染源のくせに」
「感染源?」
何のことですか?とすっとぼけて見せると、望はごそごそと懐を探って手紙を取り出した。
ある意味全ての元凶となった、1年生の女子からもらった『好きです』という手紙。
――もちろん、可符香にはよーく見覚えがある。
「あら、もらったラブレターを持ち歩いてるなんて、先生見かけによらずロマンチストですね」
「風浦さん」
彼は自分の座っている机の正面に立つと、その上にすっと手紙を置いた。
「これ、貴女が書いたんですよね――って言いますか貴女でしょう、あの下級生」

177『〜暇潰し編〜』:2008/05/02(金) 00:53:34 ID:bV4d56GI
一瞬、教室内を完全な沈黙が支配する。
可符香は口の両端を吊り上げ、意識して最上級の笑顔を作り上げながら斜め45度に首を傾げて見せた。
「あら、ばれちゃいました?」
「まあ、あの時すぐに気付かなかったのは不覚ですけれども」
「あはは」
言いながら頭をかく担任教師を見上げ、とりあえず笑い声など上げておく。
「どこで気付きました?今後の参考に教えて下さい」
「今後って、止めて下さい」
悪戯っぽく言うと、望はげんなりと言いながら再び手紙を手に取った。
「どこでも何も、文章にご丁寧にたぬきのしっぽなんて付けてあるじゃないですか」
「ポロロッカ星では一般的ですよ、それ」
「ポロロッカな時点で既に、貴女です」
「あはは」
再び笑ってみせると、それに被さるように望のため息。
「何がしたかったんですか、貴女は」
「何がって、何ですか?」
困ったような担任を見上げながら尋ねる。そろそろ首が疲れてきた。先生もずーっと立ちっぱなしではなくて
座ればいいのに、と思う。
「わざわざ変装までして、私にラブレターなんて出して。何がしたいのか全く分からないじゃないですか」
手紙を片手でぴこぴこと振りながら、望。何となくだろうか、その手紙をぼんやりと見つめている。
「だって」
すっと顔から力が抜けるのが分かる。手紙を見つめる彼の顔を見つめながら、はっきりと答えた。

「だって、私が私のまま『好きです』って言っても、先生は信じてくれないじゃないですか」

望がこちらに向き直ったのが分かった。でも、もう可符香は手紙を見つめている。
「……ふうr」
「それに私がそんなこと言ったら、千里ちゃんとかまといちゃんにいろいろされちゃいますよぉ。
 先生は大人気でライバルもいっぱいなんですから、オンエアされてないだけでいろいろあるんですよ?」
彼の言葉を遮って、いつもと変わらない口調で続ける可符香。横目でちらりと教室の入り口を見て
再びニャマリと笑う。
「先生だっていつももみくちゃにされてるんだから分かるんじゃないですか?
 まあ、先生がもみくちゃになってるのは見てて楽しいですけどね」
改めて望を見ながらあっけらかんと言うと、呆然とこちらを見つめていた望の顔がさっと強張った。
178『〜暇潰し編〜』:2008/05/02(金) 00:54:26 ID:bV4d56GI
「あああっ!やっぱり貴女、私で遊んでいるんですね!」
「嫌だなぁ、先生で遊べるわけないじゃないですか。これは単なる暇潰しですよ」
「余計悪いです!絶望した!こんなところにも用意されていた二段底に絶望したあーっ!!」
仰け反って叫ぶ彼――の手首に、しゅるるるるっ!とすさまじい速さで何かが巻きついた。
「ひっ!?」
「あら」
引き攣ったような声と呑気な声が綺麗にハモる2のへ教室。その室内を、入り口のところから覗き込む女子――数名。
「先生、つかまえた」
望の手首に巻きつけた包帯の片方をしっかりと握り締めたまま、嬉しそうに言うあびるに
望が青ざめた顔を向ける。
「ええと……どうして私がここにいると……?」
「それぐらい分かりますよ、先生の叫び声、廊下まではっきり聞こえますもん」
あっさり答える奈美の横でうんうんと頷く真夜。何に使うのか(大体想像はつくが)金属バットをしっかり握り締めている。
「さ、先生、戻りましょう。まだ私達のはしか、治ってないんですから」
望の背後にぴたりとつきながら、まとい。一足早く望近くのポジションを確保した彼女と他の女子の間で
バチバチと火花が散る。着物の袂の中できらりと銀色の刃が光ったように見えた。
「そうですよ先生!きっちり療養しないと治るはしかも治りません!早く行きますよ!」
高らかに宣言して、『E:きっちりすこっふ゜』状態の千里がぐいっと包帯に拘束された方とは反対の腕を掴んだ。
あびると千里、2人に強引に引っ張られて望がよろける。
「わ、分かりました!分かりましたから自分で歩けますよ!」
「先生、はしかの看病頑張って下さいね」
にこにこ笑いながら手を振ると、彼が恨みがましい目でこちらを見た。が、ここで堂々とネタばらしする気はないらしい。
彼なりに自分を庇おうというつもりだろうかと思うと微笑ましい。そんな心配をしなくても
ばれたらばれたで、その場を切り抜ける手段などいくらでも持っていると言うのに。
「可符香さんはどうして教室にいるの?」
千里が望の腕を引っ張りながら尋ねてきたので、とりあえず何時も通りの笑顔を浮かべて両手を組む。
「毎日決まった時間にここから呼びかけを行わないといけないんだよ。途中で交信をやめちゃったら
 宇宙人が不審がって接近を諦めてしまうかもしれないもの」
「……あ、そう。」
怪訝そうに眉をひそめながらも、一応は納得したらしい。他の女子は最初からこちらに興味がないらしく
完全にスルーだ。彼女たちの中では自分は『安牌』なのだろう。
「先生、早く宿直室に帰ってテールスープでも食べて、体を温めましょう」
「体を温めるんでしたら、私と体を寄せ合うのが一番宜しいかと思います、先生」
「どうでもいいからとりあえず帰ってコタツに入りましょうよー、寒いんですよ」
『……普通』
「わざわざハモらせてまで普通って言うなぁ!」
「皆様、大和撫子たるもの殿方の前ではしたなくお騒ぎになってはいけません」
「ああもう、分かりましたから。帰ればいいんでしょう帰れば……」
179『〜暇潰し編〜』:2008/05/02(金) 00:56:09 ID:bV4d56GI
きゃあきゃあと大騒ぎをしながら、一団が教室から出て行くのを「お大事に〜」などと言いながら
手を振って見送る。最後に千里がひょい、と入り口から顔を覗かせた。
「可符香さんも早く帰った方がいいわ。学級閉鎖のときはきっちり自宅で休むのが一番よ。」
「うん、ありがと、千里ちゃん」
自分はきっちり自宅で休もうとはしないという辺りが微妙に矛盾しているとは思うものの、こちらを
気遣ってくれる言葉は温かい。
ひらひらと手を振ってから長い髪をなびかせて千里が行ってしまうと、再び教室には可符香1人となった。
「ふふっ」
あの調子ではまだまだ一騒ぎも二騒ぎもありそうだ。ああ、面白そう。
自分は何をするべきか――そう考えてすぐに結論を出すと、よしっと呟きながら立ち上がる。

「先生、駄目ですね。手紙を読まないと気付かないなんて」
今日ははしかで学級閉鎖。生徒が教師を好きになってしまう、とってもありがちなはしか。
でも先生だって、『時々手料理を分けてくれるお隣りさんを好きになる』っていう
ラヴコメ漫画では鉄板クラスのはしかにかかってるじゃないですか。
さあ、冷蔵庫の中には何があったっけ?ジャガイモはこの間一袋まとめて買ったし、ニンジンもあったはず。
お肉を買って肉じゃがにでもしようかな。
――手料理片手に宿直室を訪問する、元隣りの女子大生。ああ、今からクラスメイト達の反応が楽しみで堪らない。
――先生は、どんな顔で女子大生を迎えてくれるんだろう?
「待っててくださいね、先生」
彼の慌てつつも嬉しそうな、自分だけが知っている、けれども決して『風浦可符香』には見られない表情を思い浮かべて。
教室から飛び出しながら、誰も見ていないと言うのに泣くでも怒るでもなく、可符香は口の両端だけを吊り上げて――笑った。


嫌だなぁ、これは単なる暇潰しですよ。
先生が、自分が誰を好きになったのか気付くまでの、長い――永い、暇潰しですよ。
180199:2008/05/02(金) 00:59:05 ID:bV4d56GI
お粗末さまでした。
嫌だなぁ、『〜祟り殺し編〜』とか『〜祭囃子編〜』なんてあるわけないじゃないですか。
181名無しさん@ピンキー:2008/05/02(金) 01:06:15 ID:6ipmtRXJ
すげー良い
182名無しさん@ピンキー:2008/05/02(金) 01:19:10 ID:PEWGl6C3
ちくしょう。萌えるなあ・・・。
183名無しさん@ピンキー:2008/05/02(金) 02:22:51 ID:ufrsZ4Mu
隣の女子大生さんかわいいよ

本編でも一年生の正体には気づいてそうだね
184名無しさん@ピンキー:2008/05/02(金) 04:51:00 ID:3/mzPQJS
>>199
なんだこれは…最高じゃないか…。
185名無しさん@ピンキー:2008/05/02(金) 06:00:26 ID:aI3+k2Zo
>>184を感動させた>>199にも期待
186名無しさん@ピンキー:2008/05/02(金) 06:47:26 ID:AMLP3h4N
初投稿です。(しかも携帯から)

霧→望でエロなし。
絶望先生である必要があるかと言われると、多分ないです。
187『あの子へ』:2008/05/02(金) 06:49:02 ID:AMLP3h4N
朝、目が覚めると先生の顔が私の顔のすぐ近くにあった。
すごくビックリしたけど、それと同時に胸が高鳴るのが分かった。
頬が熱くなり、寝ている先生が起きてしまうのではないかと思う程、心臓がドキドキしてる。


そういえば昨日、私は風邪をひいちゃって、夜眠る前に先生に

「心細いからそばにいて」

と言った記憶がある。
きっと熱があったせいで普段なら絶対口に出せないような事言えたんだと思うな。
今思うとちょっと恥ずかしいけど、先生はずっとそばにいてくれた。
そんな先生の優しさが素直に嬉しい。

(先生ってなんだかんだで優しいんだから)

そう私は少し微笑みながら心の中で呟いた。


胸がまだ少しドキドキしたまま私は、今まで先生の顔をこんな近くで見た事なかったなぁ、なんて思いながら眺めていた。


先生って男の人なのに色白だなぁ、まつげ長いなぁとそんな小さな発見に嬉しさを覚えつつ

(先生の頬の産毛も、閉じてる瞳も、この長いまつげも全部私のものになったらいいなァ)

なんて考えてた。


先生は私の横で小さなイビキをかいて眠っている。
そして今、小さく笑ってそんな先生の寝顔を独り占めしながら見つめている私は、きっと世界で一番幸せ。


私は声に出さずに唇だけ動かし呟いた。

「先生、大好き…」


少し頼りないけど
少し優しすぎるけど
すべてあたしが守ってあげる
だから早く受け止めてね
188名無しさん@ピンキー:2008/05/02(金) 06:56:00 ID:AMLP3h4N
短い上に駄文過ぎて絶望した!!

はい、実はこれaikoの『あの子へ』という曲が元になっています。
霧(絶望先生)とこの曲が大好きなんで、思い付きで書いてみましたが、思い付きでやるものじゃないですね。

修行してきます。
189名無しさん@ピンキー:2008/05/02(金) 08:07:43 ID:vjla5woX
>>185
199ってコテのことでしょ

黒かわいいなあ可符香
190名無しさん@ピンキー:2008/05/02(金) 14:17:46 ID:j9zbdt5n
>>188 霧かわいいよ霧
191名無しさん@ピンキー:2008/05/02(金) 19:46:08 ID:x/so3Kei
正中線からぶれてはダメ…心の中で呟いた。
場所は保健室のベッド。
先生の唇は、私頭頂部、分け目の真ん中にキスをしている。
そのまま、まっすぐ。
オデコ、眉間、鼻…と私の正中線を愛撫する。
唇と唇が触れたとき、先生の顔が傾いた。
『ん!んん…』
無理やり、舌がねじ込まれ絡んでくる、私は抗議したかったけれど…唇を塞がれている…

きっちりと正中線を愛撫して欲しいのに…
此処で留まってはダメ、顔を傾けるのもダメ…なのに先生は構わず、舌を絡めてくる。
キスしてる間中髪を撫でられているので乱れて分け目がズレてるみたい、胸騒ぎがする。
私はきっちりしてないと心が不安定になる…のに…

はぁ、はぁ。。こんなに長いキスは初めて。
192名無しさん@ピンキー:2008/05/02(金) 19:48:46 ID:x/so3Kei

相変わらず、唇は塞がれた儘で、先生の右手が動き出した。
私の顎先をくすぐり、喉を降りて、胸の間を通り、鳩尾、お臍、下腹部へと進む。

下着の上を通る…中指が足の付け根の真ん中の割れ目をしつこく、往復している…///
私はたまらず、身をくねらせる…
頭をふんばっと振り乱したら、唇が離れた。
二人の唾液が混ざり糸を引き光っているのが見える。
193名無しさん@ピンキー:2008/05/02(金) 20:03:40 ID:x/so3Kei
チュッ、ピチュ…と水音が聞こえる。
先生が私の耳の裏や項、首筋を舐める音…
熱いのに、ゾクゾクして落ち着かない。
キッチリしないのはイヤ…イヤ…

右手は足の間を往復している。
クリトリス…ヴァキナ…アナル…
下着がじんわり、湿り気を帯びていてばつが悪い。

『ん…ぁ!、せんせー…はぁはぁ。。』

『どうしました?木津さん?』
言うと、先生の左の手のひらが私の胸の片方を覆って手のひら全体でさすり出す。
『あん…あん…イヤ』(ふんばっふんばっ)

イヤって言ったけど、イヤじゃない。
思いと発言が一致しない、こんなの大嫌い。
194名無しさん@ピンキー:2008/05/02(金) 20:17:53 ID:x/so3Kei
『イヤ…せんせー(泣)』
泣き声が混ざる、あんまり弱みを知られたくない。
私は胸が弱いのだ。

『…辞めましょうか?』
『…!!…っ…ダメよ‥きっちり、最後まで、全部!』
はっ!!
先生が真面目な顔で聞くから慌てて、取り乱した…
ムカつく事に先生は余裕タップリにニヤケテイル…
両手が左右対象の動きをする私の体の側面:わき腹を滑り、腰にたどり着く…
今日、履いているショーツはサイドリボンのデザイン…
ふたつのリボンを解くとハラリと下着が脱げる。
(ちなみにめるめると渋谷に買いに行った)

今、まさに左右のリボンが解かれた…
195名無しさん@ピンキー:2008/05/02(金) 20:35:09 ID:x/so3Kei
う…っ…こういう時、どんな顔をすればいいの?
愛しい人に下着をはぎ取られた時…
正しい対応を知りたい!
『…!!…っ…///』

下着を取られただけでも、恥ずかしいのに
先生ったら、私の膝を曲げて立たせて、大きく開いて覗きこんでる!?

『よく、見せて下さいね♪』だって…

(恥ずかしいよ‥火噴きそう!)
『ん…見て、せんせー』(…!!…私ったら、何を口走っ…?)
196名無しさん@ピンキー:2008/05/02(金) 20:44:44 ID:x/so3Kei
『チュッ…』と唇が触れる、あの場所に。
既に、濡れている入り口を先生の舌が這う。
『ん…ん〜…はぁはぁ』
…!
舐めながら、先生が頭を振る。
私はピクンっと跳ね上がってしまう…

…入り口を舐める時、クリトリスに鼻が当たって、先生が頭を振ると…そこが刺激される。
『はは…ピクンってなりましたね‥』
…また、笑われた、でも…先生が楽しそうだと嬉しい。
どうか今だけは、絶望しないでいて…
197名無しさん@ピンキー:2008/05/02(金) 20:48:00 ID:x/so3Kei
ーendー

スマソ、なんか、ベランダ菜園の野菜食べたら、蕁麻疹出てきた。カユ…うま…

熱発の為、水飲んで寝る。
198名無しさん@ピンキー:2008/05/02(金) 21:13:16 ID:VJ0eQTok
お大事に
199名無しさん@ピンキー:2008/05/02(金) 21:21:56 ID:U57wmhqE
GJ
200名無しさん@ピンキー:2008/05/02(金) 22:09:34 ID:x/so3Kei
>>196 ー再開ー
『ふ…ぁ…///』

『パクっ』先生がクリトリスを口に含む…口の中で、舌が蠢き…頭が真っ白になってしまう!
『…!!…は…(イ、イく…)』
怖くなって、先生から逃げるようにずり上がる。
『コラ、ダメですよ‥』
ガシッと腰を掴まれ、位置を固定され、再びクリをなぶられる…
その少し下ではヤんなる位トロトロと液が溢れ出している…
入り口がヒクヒクと震え、先生が中に入るのを待っている。
201名無しさん@ピンキー:2008/05/02(金) 22:11:18 ID:x/so3Kei
『ぁん…も、ダメ…はぁ』
腰を抑えつけてる片方の手が外れ、指が中に入ってきた。
ゆっくりと抜き差しを繰り返し…
『木津さんは、濡れやすいですね‥』
いつの間にか、先生の顔が耳元に来ている!?
耳元で私が恥ずかしがるようなセリフをいくつも呟いている。
指が2本…生き物のように、中を掻き回す。
不意に、一本の指をクイクイっと曲げて、お腹側の…浅い…ザラザラの…ところを…
しつこく、しつこく、こすり始める…
思わず、ダラッと、トロンと、とろけてしまう。
私らしく、無いわ…わたしらしくない…

でも…もっと、溺れたいみたい…
202名無しさん@ピンキー:2008/05/02(金) 22:27:19 ID:x/so3Kei
今度は私が先生の耳元で呟く…
『せんせー…来て、中に』『…///…早く…』

先生は私の手をとり、硬くなった部分を握らせた。
…///…恥ずかしい事に、期待が膨らんでしまう。
『すぅ…はぁ…』深呼吸…
『私がまだ、生徒の間はきっちり、避妊して下さい…』
深呼吸のおかげで、僅かに自分らしさを取り戻す…
先生はちょっとの間、キョトンとし、すぐにニャマリ…と、にやける。

こそこそ、モゾモゾ…と行為は中断…コンドームを装着している。
『ここが保健室で良かった』と先生が呟く…


高校の保健室のベッドサイドに避妊具が用意されていて、いいの…?
…考える間もなく、入り口に硬いモノが押し付けられている…
203名無しさん@ピンキー:2008/05/02(金) 22:37:38 ID:x/so3Kei
先生の亀頭が私のクリトリスをくすぐる…
私は、股間をじっと見つめている。

ヌルッと、亀頭が下に降りて、ゆっくり、ゆっくり、中に入ってくる。
下腹部にズシッと重たい感覚…
『ぁ…せんせー…入っ…ぁ、あん…っ…イっ…』
充分、濡れているけれど…やはり、少し、キツい。痛い。
メキメキ、ミシミシ、体が壊れそう。
入れて欲しい。抜いて欲しい。気持ちが矛盾する…
『恐いから、キスして…』
204名無しさん@ピンキー:2008/05/02(金) 22:54:35 ID:x/so3Kei
『チュッ…♪』
…これは、唇と唇のキスの音ではない。
先生の唇は私の乳首にキスをしている。右側の…
先生は唇を開き、吸い込むように、胸の先端を口に含む。
左の胸は手のひらをあてがわれ、優しく…撫でられている…
不思議ととても甘い気分…///
下の方は、ユックリと出し入れされている…
『あ…あ…ぁん…ぁぁ…』
動く度に、快感が走り…痛みが気にならなくなってきた…

勝手に腰が動く…体は床についたままなのにクイクイと浮いたり、沈んだり…
先生を離したくなくて、中がギューッと締まる…
『うっ…木津さん、締まって、絡みついてきますよ‥』

…グッと押し込まれ、先生が中で大きくなってると感じる。
205名無しさん@ピンキー:2008/05/02(金) 23:13:52 ID:x/so3Kei
最初みたいに、先生は私の頭頂部に口づけている…
分け目は乱れて真ん中にはない。

『ん…?…木津さんは正常位がお好きですか?』
『…///…き、気に入りました…』
悔しい、けれど…とても良かった…
『気に入って頂けましたか、では次回も』

『ダメ…ダブらずに、キッチリ48手…教えて下さい。』
ーendー
マジで、マジで。
206名無しさん@ピンキー:2008/05/02(金) 23:19:02 ID:x/so3Kei
ギャッ…204と205の間にもいっこあったのに抜けとる…ゴバーク?したかも…

イくとこだったのにorz
207名無しさん@ピンキー:2008/05/02(金) 23:24:48 ID:7E58y/Eb
もしかして書きながら投下してない?
208名無しさん@ピンキー:2008/05/02(金) 23:51:30 ID:6ipmtRXJ
///←こういうのはやめた方が良いかと
209「しばらくお待ち下さいを補完する」前書き:2008/05/03(土) 01:04:24 ID:ELogXDLn
>>206GJ! 千里がエロくていい感じです!誤爆は残念でしたね><

小ネタを投下します。9レスほど。
特殊カップリングですので、注意点をお読みください。
特に、ロリショタ、ファンタジー過ぎが駄目な方、114話(12巻所蔵)を読んでいない方は、
激しくスル―推奨。IDのNGか、「しばらくお待ち下さいを補完する」をnameNGにしてください。
【カップリング】
交×芽留
【特殊シチュエーション】
114話ネタバレ含む。本番なし。激しく寸止め注意
【その他】
キャラ崩壊、設定ファンタジー
ファンタジーな妄想垂れ流しですので、保管庫への所蔵はナシでお願いします。
210「しばらくお待ち下さいを補完する」1/9:2008/05/03(土) 01:05:50 ID:ELogXDLn
はーい、こっちですよー」
 あひる型の髪飾りをつけた少女の声が響き渡る。

 場所はデパート2F、玩具売り場。いわば、子供のフロアー。
 声に導かれてやってきた、飛んで火に入る夏の…もとい、お子様が2名。
 1人は、男の子。和装の出で立ち、年のころは●歳くらい。その名も糸色交。
 1人は、女の子。綺麗な黒髪を2つに分けている。
 あどけない顔と小さな体で、時折恥ずかしそうにもじもじしている。名前は音無芽留。

「大人の階段です」
 髪飾りの少女、風浦可符香が上にあがる階段を示すと、大人扱いされたいお年頃の交少年、
たちまち食いついた。
(あの、有名な大人の階段!)
「可符香姉ちゃん!俺、登りたい!」
「どうぞ、どうぞ」
 可符香はにこにこしながら、誘導する。
「芽留ちゃんも、どうぞ」
「……」
 芽留のほうは、すぐには食いつかない。少し不満げな顔をしている。
『オレはすでに大人だから必要ないな』
 携帯に文字を打ち込み、ずむっとディスプレイを可符香に見せた。

 このどう見ても小学生以下の少女。実は17歳なのだ。
 小柄なせいで子供扱いされることが多く、そのことに大いに不満を持っている。

「やだなぁ。大人の階段なんだから、大人は当然登っていいのよ?
て言うか、むしろ登らなきゃダメ。大人のチョコレートの購入対象はまさにオトナ層そのもの!」
「……?」
 芽留は、ちょっと小首をかしげた。その仕草はいかにも可愛らしく、子供っぽい。
「芽留お姉ちゃんも、一緒に行こうぜ」
 交も興奮ぎみに芽留を誘う。

 特に予定もなかった芽留は、小さく頷くと2人の後をついて階段を登りはじめた。
 ところが、階段の途中で可符香が変なことを言い出した。

「交君、今から『大人のマガジン』の展開を体験してみない?」
「『大人のマガジン』!?」
「そう、実は『少年マガジン』で掲載される予定の展開の他に、『大人のマガジン』の展開もあるのよ」
 すっかり『大人』という言葉に魅せられている交は、一も二もなく同意した。
「オレ、その展開やってみたい!」
 それを聞いてニコリとする可符香。
 怪訝な顔をしている芽留の手を取ると、交と3人で階段を昇り始める。

「大人の階段、の〜ぼる〜♪君はまだ、ツンデレラっさ〜♪」
『シンデレラだろ この電波が』
 上機嫌で間違った歌詞を披露する可符香に、芽留は一抹の不安を覚えていた。
211「しばらくお待ち下さいを補完する」2/9:2008/05/03(土) 01:06:49 ID:ELogXDLn
****************************************
 階段を登ると、たくさんの刃物が並んでいるフロアーに到着した。
 3F金物売り場 とある。

「いらっしゃいませ、売り場担当の木津です」
 インストラクターの女性――木津千里がにっこりとほほ笑んで3人を出迎えた。
「確かに刃物を使えるのは大人だな」
 『刃物』という危険な存在は、交を大いに惹きつけたようだ。
 彼の脳裏に、包丁を馴れた手つきで操りながら食事を作っている小森霧――彼のお姉さん的
存在である――の姿が浮かぶ。
 刃物に慣れれば、彼女の手伝いができるかもしれない。

「きちんとインストラクターさんが使い方を教えてくれるよ」
「刃物は使い方を間違えると危険だからね」
 可符香がもったいぶった動作で千里を指し示すと、千里はニコニコしながら、一本の縦長の包丁を
手に取った。チカリと刃を傾けて、こぼれがない事を確認する。
「じゃあ、まずお姉さんが手本を見せるね」
「おう!」
 すっかり乗り気の交は、目をキラキラさせて応じた。
 芽留も少し興味深そうな顔を見せる。
 音無ミュージック社長のお嬢様である彼女は、ハサミ以外の刃物はあまり馴染みがないのだ。
 千里が、手にした包丁を一閃すると……。
……
「ん?」「?」
 何も起きないではないか。思わず、目を見合わせる芽留と交。
「どう?刃物の使い方が分かった?」
 千里はなぜか満足そうだ。
めるめる…めるめる…呆れたような顔つきで、芽留が得意の毒舌メールを打ち始めた。
『なにもおきねーじゃねーか このへたれ真ん中分けが』
 送信ボタンを押すと同時に、軽い寒気を感じてブルっと震えた。
 んーなんか、寒いな……、胸のあたりがどうもスースーすると、心の中で呟く。
212「しばらくお待ち下さいを補完する」3/9:2008/05/03(土) 01:07:52 ID:ELogXDLn
「め、芽留お姉ちゃん!」
 なぜか、横にいる交が顔を真っ赤にして口をパクパクさせている。
『なさけねーな 包丁に ビビってるのか?』
 芽留は、大人の余裕を見せようとニヤリとして胸を張った。
 
――芽留嬢の胸は年齢にしては余りに平らであつた。膨らみというほどのものがまるであらぬのだ。
ただただ、平たく、それは朱の盆のように凹凸がないのである。
 なれど、色彩は朱の盆とはいささか趣を異にしてゐる。白い肌は透きとおる硝子のやうであり、
また伊太利亜の真つ白い陶磁器を思わせるのである。薄い肌の下にはとくとくと血脈がかよつ
ており、心の蔵がそのりいずむに合わせて上下してゐる。白色灯がきらりきらりと産毛を反射し、
ておる。そして愛らしい小さなふたつの突起がぴいんく色の……

 交少年が、上記まで観察し終わったあたりで、ようやく芽留は自分の胸の異変に気づいた。
「……????」
 芽留は目をぱちぱちさせる。
 なんで、素肌の胸が……露出……??
 よく見ると、お気に入りのワンピースの胸元が綺麗に2つに割かれている。
 その下につけていたアンダーシャツとAAAカップのブラも同じ運命をたどっていた。
「芽留ちゃんたら、大胆なぽろりですねぇ。さすが、大人!」
「……!!」
 芽留は思わずしゃがみこんで、胸を隠した。

『てめーなにすんだ!人の服を切り刻みやがって!!』
 真っ赤になりながら、携帯ディスプレイを千里に見せて抗議するが、彼女は素知らぬ顔である。
「これが大人の刃物の使い方よ。きっちり頭に入れておきなさい」
「あわわわわ」
 交は思わず腰を抜かした。しかし、考えてみると神業である。芽留の肌には傷一つ付いていない。

「まだ終わりじゃないわよ」
 そう言うと、千里はカミソリを手に取った。これまた、刃を傾けてこぼれを確かめている。
「おお、お手入れですね。それは大人のたしなみです」
 可符香は、大げさな動作で手を前に組んで感心して見せた。
「さあ、きっちり全部剃ってあげるわよ」

 言うや、千里は体をかがめて、しゃがみこんでいる芽留の体を押さえつける。
『ヤメロ コロスコロスコロス』
ぶんばぶんば
 ツインテールをしきりに振って抵抗するものの、千里は全く意に介さない。
 簡単に制圧すると、芽留の股を開いてしまう。スルリとパンツを脱がせ、ひょいと覗き込んだ。
「……!」
 元々恥ずかしがり屋さんな芽留は、耳まで真っ赤になってしまった。
213「しばらくお待ち下さいを補完する」4/9:2008/05/03(土) 01:09:44 ID:ELogXDLn
 だが、千里はそれ以上何もせず、芽留の手を放すとゆっくり体を起こした。
 顎に手をあて、嘆息する。
「なんだ、まだ生えてなかったの」
ぬがんば
「っ!」
 あんまりな屈辱である。
わあああぁぁぁ(/□\*)と泣きながら、芽留は走り去ってしまった。

「あ、芽留お姉ちゃん!!」
「あーあ、逃げちゃった。これからが本番なのに残念ね」
 特に残念でもなさそうな口調で肩を竦める可符香。あなたは逃げないわよね、と交に向かって微笑む。

「しょうがない。それじゃあ、こっちで我慢しようか」
 チラリと交に目を走らせると、今度は小刀を取り出す。
「そ、それは……?」
「割礼」
「か…かつれい??」
「そう、子供のアソコに刃を入れて…余すところなくきっちりと皮を……」
交には、千里が何を言ってるのか良くわからなかった。
しかし、分かることもある。それは、ここに留まるとヤバいということだ。

「ひぃ!!あわわわわ……さ、さよなら!」
交もまた、慌てて逃げ出すのだった。
(大人って、あんな風に刃物を使うのかっ!!)
☆★

 3Fから4Fに至る階段の踊り場に、芽留は座り込んでいた。
 胸の辺りを腕で隠して困った顔をしている。
「め、芽留お姉ちゃん、これを」
 隠された白い胸を気にしつつ交は、羽織を脱ぐと芽留に着せてやる。
 芽留はちょっと照れた顔をした。
「…ぁ………が…と………」
「え?」
 よく聞き取れなかったようだ。
 芽留はむっとしたように、携帯のディスプレイをかざす。
『こっちジロジロ見るなっていってんだ タコ』
「ご、ごめん」
 思わず目をそらす交。だが、芽留はそれ以上何も言わず、うさんくさそうに周囲を見た。
『このデパートは 危険な匂いがするぜ 気をつけろ』
「お、おう」
214「しばらくお待ち下さいを補完する」5/9:2008/05/03(土) 01:11:55 ID:ELogXDLn
****************************************
4F 火器売り場
どうやら、4Fは火を取り扱っているらしい。
ガス製品、マッチやチャッカマンが商品棚にずらりと並んでいる。
「確かに、火を使わせてもらえるのって大人だよな」
『リアルに 火事はヤバいからな』
「お、あれは……」

 店員らしい女性が1人。チャッカマンを持って立っている。目つきが鋭く、どこか中性的な
顔立ちだ。店員こと三珠真夜は、2人に気づくとすぐに近づいてきた。
――私が火の使い方を教えましょう
「おう!」
 交はやる気を取り戻したようだ。
 彼の脳裏に、再び、今度は鍋に火を掛けて料理にいそしむ霧の姿が浮かんだ。
 火を扱えるようになれば、彼女の手伝いがはかどることだろう。
 真夜は、おもむろにバットを取り出した。
 バットと火に何の関係が……と、思うまでもなく芽留の頭にそれが振り降ろされた……。
……

「……ぅ……」
 しばらくの視界の暗転ののち、芽留は体中をくすぐられているような感覚に襲われ目を覚ました。
 なんだか意識がはっきりしないが、いつの間にか、床に横たわっているようだ。
 なぜか、体が妙にふわふわして熱くなっている。
「…………?」
 今まで感じたことがない、甘い感覚が体を巡って来て思わずうっとりする。

「あれ、なんかネバネバしたのが出てきた」
――着火したんだよ
 何をしているのだろうと、声のほうに顔を向けた芽留はギョッとして目を見開いた。
 いつの間にかワンピースと下着をたくしあげられ、胸と股間が露出させられているではないか。
 しかも、交と真夜が何やら自分の体を弄っているのだ。

『なにしやがる ヤメロヤメロヤメロ』
「あ、芽留お姉ちゃん。目が覚めた?」
――見ての通り、火の使い方を実践させている
『火ってなんだよ どこにもねーよ』
「真夜姉ちゃんに教えてもらったんだ。女の子って、体に火を持っているんだって。
俺思い出したんだよ。霧姉ちゃんも1人で『先生、熱いよう』とか言って体を弄ってたもん」
 あいつ、子供の前でなにやってんだ……、芽留は軽く呻いた。
215「しばらくお待ち下さいを補完する」6/9:2008/05/03(土) 01:13:39 ID:ELogXDLn
 しかし、今の芽留は霧以上に露わな姿を子供の前に晒しているのである。
「芽留お姉ちゃん、俺にまかせてくれ!お姉ちゃんの火をうまく操って見せるぜ!」
 冗談じゃないっ…と思い体を起こそうとするが、力が入らない。
 どうやら、軽い脳震盪を起こしてしまったようだ。

――火力の調整をしてみようか。処女膜だけは傷つけないように。

 すでに真夜の薫陶を受けていたのか、交の指は心得たように動き始めた。
 小さな指がぷっくり盛り上がっている無毛の丘を、幾度もなぞってくすぐっていく。
(なんだか、霧姉ちゃんや倫おばさんのと違うな)
 子供の特権を活かして目にしてきた女性の部分は、もっと複雑な構造をしていたような気がする。
 だが、芽留の部分は単純な縦の線でしかない。
 交は真面目くさった顔付きでその縦長の切れ目を、広げて指をもぐりこませた。
「……ぅ……は…」
 ぞくっとした感覚が芽留の背中を駆け巡る。メールで抗議しようとするも、指が震えてうまく打てない。

 それに反して、交の指は快適に動き回り始めた。
 内側のピンクの襞を指で何度も擦っていく。
「……ぁっ!……!!」
 熱い火が芽留の芯を焼き、ビクンッと体が跳ねる。
 交は子供特有の熱中ぶりで、芽留の中をぐにぐにと捏ねくりまわしていく。
「……ぁ…っ!……ぅ…っ!」
 芽留は目をぎゅうと瞑ったままツインテールを弱々しく振っていたが、
 我慢できなくなったのか、顎を上げて熱い吐息を吐き始めた。
「……は……ぁ……っ!…………んっ!」
 未開の地がどんどん開発が進められていく度に、芽留は切ない喘ぎを上げて、小さな肢体を震わせた。

――これが、大人の遊び、『火遊び』だよ
「これが噂の『火遊び』か!」
 違うだろっ……と、メールで突っ込もうとするも、体を駆け巡る熱さに勝てない。
 悔しそうに唇を噛むのがせめてもの抵抗である。

――こっちもあるよ
 真夜は、芽留のはだけた胸を指差した。
 真っ白な胸に、ふくらみはほとんど無く、真っ平といっていいほどである。
 ただ、ピンク色の乳首はすでに痛いほどにピンと立って自己主張していた。
「お」
 交は片手を伸ばすと、芽留のほとんど膨らんでいない薄い胸に手の平をあてた。
 芽留のとくんとくんという鼓動とじわっとした汗の感触が伝わってくる。
 やわやわと優しく摩ってあげると、芽留はくすぐったそうに身じろぎをした。
 調子に乗った交は、小さな突起に指を伸ばす。
216「しばらくお待ち下さいを補完する」7/9:2008/05/03(土) 01:15:06 ID:ELogXDLn
「点火スイッチをポチッとな」
 どこかのオヤジが言いそうなイタイ台詞を吐く糸色交。年齢●歳。
 芽留が痛がっていないのを確認し、指できゅうきゅう乳首と転がし始めた。
 むろん、片手では股間を寸断なく愛撫しつづけている。

「……ひっ……ぁああ……」
 芽留の呼吸が急速に激しくなっていく。2点攻めをされて、絶頂の兆しが訪れてきたのだ。
「……ぁ……ん……ぁぁあ!」
 小さな体が細かく痙攣をはじめ、今までよりも粘っこい愛液がトロリとスリットから溢れる。

――火が強すぎる。少し弱火に
「お、おう」
 交は割れ目への直接的な愛撫をやめ、性感の低い、ふとももやお腹をやわやわと摩りはじめた。
「……ぅう…」
 急に刺激を弱くされて、芽留は思わず物欲しそうな顔をしてしまう。
 ああ、はしたない……でも……、芽留は恥じらいながらも、もどかしい気持ちを隠せすことが
 できない。思わず膝を擦り寄せてもじもじしてしまう。

 当たり障りのない所を摩ったりくすぐったりしていた交は、
「そろそろ、中火でいいかな」
 そう言うと、スリットへの愛撫を再開した。
 また、蕩けるような快感がじわじわと襲ってきたて、芽留はすぐに喘ぎはじめた。

「なんだか、オモチャみたいだな」
 自分の動きに合わせて、ビクビクと反応する芽留を見て、残酷にも交は呟いた。
「ま〜じる君の玩具〜♪ま〜じる君の玩具〜♪」(「先生のペット〜♪」的なメロディーで)
 どこからか上機嫌な調子を含みつつ、間違った歌詞が聞こえてくる。

うぅ、オモチャかよ……!バカにしやがって……、芽留は情けない気分になり、眼尻に涙を浮かべた。
 だが、同時にぞくっとした感情が背筋を貫いたのを感じていた。
「……んん!」
 あ、あれどうして…?戸惑う彼女の心とは裏腹に、無毛のあそこはひくりと蠢いて新しい蜜を垂らしていた。
 マゾ気のある芽留は、自分がオモチャに成り下がったことに対しても興奮を覚えていたのである。

 だが、交はオモチャという言葉を悪い意味で使ったのではないのだ。
 むしろ、逆である。彼は自分の指の動きに合わせて反応を繰り返す芽留に、今まで感じたことのない
愛おしさを覚えていた。
 交にとって、女性は憧れの存在である。だが、芽留を見ていると、憧れとはまた違った甘酸っぱさが
胸に去来していた。そして、その感情が彼自身でも思ってもいなかった行動として現れた。

 突然、交は芽留の股間に顔をうずめると、舌で秘部を舐めはじめたのだ。
「芽留お姉ちゃん、可愛いよ……」
 うわごとの様に呟く交は、芽留の熱が移ったかのように真っ赤な顔になっている。
217「しばらくお待ち下さいを補完する」8/9:2008/05/03(土) 01:16:07 ID:ELogXDLn
 教えてもいないのにクンニを実行する弟子を、真夜はじっと観察していたが、ひょいと肩をすくめた。
――飛び火してしまった。延焼には気をつけなければいけない。

 柔らかですべすべした肌を、割れ目を、交はぺろぺろと舐めていく。
 微かにオシッコの味がしたが、そのようなことを気遣う余裕はない。
「……ひ…ぁ……!」
 芽留は、新しい刺激に反応して、ますます熱い吐息をついた。
「……っ、…ふぁ……」
 交は、手のほうも休んではいない。
 片手で股間に休みなく刺激を与えつつ、もう一方の手で乳首をこねたり弾いたりしている。
「はぁ……はぁ……っ!……ぁ……ん!」
 芽留は深く荒い呼吸で喘ぎ、切なそうに身をよじる。
 すでに脳震盪もおさまり、自由に動けるようになったというのに、身を委ねてなすがままである。
(あ…あぁ……き、気持ちいいよ……。ど、どうなっちゃうんだよ……コレ)

「……っ……っ!!」
 突然、芽留は声にならない叫びをあげて、びくりと跳ねた。
 交の舌が、はからずも芽留のピンクの突起を捉えたのだ。
 ざらりとした感触が2度、3度と突起を摩ると、強烈な炎が芽留の体を焼き、ぴゅうっと蜜液が
零れ落ちた。芽留の体ががくがくと痙攣をはじめ、目が大きく見開かれる。
……な、なんかくるっ……くるっ……
 口をパクパクさせて、声にならない声をあげた。
 体中の火が集結し、芽留を一気に絶頂まで押し上げていく。
「……!!………あ……ぁああ!!」
 未知のそして、強烈な期待感が芽留の脳を一気に焼いて……。

   不意に体への刺激がやんだ。

「あ、俺なんか小便行きたくなってきた」
「……ぇ?」
「火遊びはもう終わり!ちょっと待ってて!」
 言うや、ぴょこんと立ち上がり男子トイレにタタタと駆け込んでしまったのだった。
「……」

 糸色家の直系。その名も糸色交。恐ろしい子……!
218「しばらくお待ち下さいを補完する」9/9:2008/05/03(土) 01:17:33 ID:ELogXDLn
☆★

「…………」
 交が戻ってくると、芽留はすでに立ち上がって服を整えていた。
「今度は5Fに行ってみようぜ!」
「…………(#^ω^)ビキビキ」
 何事もなかったかのような交の態度に、芽留のこめかみはぴくぴく痙攣し始める。
「あれ?どうしたんだ?何か怒ってる?」

 芽留はぷくっと頬を膨らませて、ぷいんとそっぽを向いた。めるめる…めるめる…
『てめー なめやがって ゆるさねーぞ 絶交した! もう絶交したっ!』
「ご、ごめん。芽留お姉ちゃんがあんまり可愛かったから……俺、途中で頭がかぁーってしちゃって。
気がついたら、舌でなめてたんだよ……」

「……ぅ……っ」
 芽留はさっとほほを染めた。
『ななななな このロリコ…』
 とココまで打って、はたと気づく。
   いや、ロリコンは違うだろう。相手は●歳だ。
   とすると、オレがショタか!?ば、ばかな……。

 あたふたと視線を彷徨わせる芽留の瞳が、交の指を捉えた。
 芽留の体はいまだ火照っている。思わずごくりと喉がなってしまう。
 危険な残り火がチロチロと芽留の体を駆け巡っていた。
「……っ」
 ぶんぶん ツインテールを振って、妖しい気分を吹き飛そうとする。
「芽留お姉ちゃん、上の階に行ってみようぜ」
 交が芽留の手を取る。
「……ぁ……。」
 幼い割れ目から、新しい蜜がトロリと溢れ出した。
 芽留は頬を染めて少し体を震わせたが、恥ずかしそうに目を伏せると、こくりと小さく頷いた。

階段の昇っていく2人の後ろ姿を見ながら、
――火は後始末を忘れずに
と真夜は呟くのだった。

(終わり)
219「しばらくお待ち下さいを補完する」後書き:2008/05/03(土) 01:18:16 ID:ELogXDLn
交芽留ってアリなのか?と反応を知りたかったので、実験的に投下。
改めて読むとファンタジー脳全開……病気かもしれん。
この後、
5F 包帯緊縛SM
屋上 スリル満点!危険日の生スリットコースター
(但し、ちん長制限あり)
と大人の階段を登って……うん、今すぐに病院行くから許してほしい。
220名無しさん@ピンキー:2008/05/03(土) 01:21:37 ID:tgbH09OW
>>219
フロンティアスピリットですね。
わかります。

GJ!!
221名無しさん@ピンキー:2008/05/03(土) 01:47:34 ID:GLVgkuNP
流石糸色の家系、
幼いころから男女のべつまくなく
222305:2008/05/03(土) 17:09:51 ID:3rgV/YKo
お疲れさまです。

えーと芽留で一つ作ってきましたので投下させてください。

大体14レスほどになると思います。
よろしくお願いします。
223芽留:ティファニーで調子良く:2008/05/03(土) 17:14:52 ID:3rgV/YKo
        
高い木々に囲まれた小道は、生い茂った枝葉の落とす影に覆われ、ここまでは眩しい日差しも落ちてはこない。
普段なら暑苦しさすら覚える蝉の合唱も、遥か頭上から遠い声が届くだけで、時おりそよぐ風は、木々の香りを
含み、涼やかな匂いを運んでくる。

少女が一人。涼しげな白いワンピース姿で、日 に焼ける事は気にしていないのかノースリーブの肩には何も掛け
ず、剥き出しにさらしている。
およそ山林を歩くには不向きなピンクのミュールの爪先が、柔らかい地面を音も無く踏みしめた。
楽しそうに飛び跳ねるような動作で、小道を少しずつ進んでいるように見える。
日陰に包まれた道に、光の浮島が作られたように点々と落ちる木漏れ日の上を選んで、飛び伝いながら歩いてい
るようだった。
片手で帽子のつばを握り締め、軽やかに飛び跳ねる度に、頭の左右で対象的に括った長い髪が尻尾のように跳ね
ている。
楽しそうに口元に笑みを浮かべ、さくり と音を立てて飛ぶ。

──と、着地した拍子にバランスを崩し、前のめりに転びそうになってしまう。
なんとかもう片足を踏み出しバランスを立て直すと、足元に、脱げてしまったミュールが転がっていた。
「………ぁ…!」
拾い上げようとしてかがみ込むと、さっき着地した時だろう、ストラップが外れてしまっている。
手にとって確かめてみるが、根元の金具から壊れてしまっており、簡単には直せそうもない。
小さく溜息をつき、少し未練がましくそれをいじっていると、ふと、こちらに近づいてくる足音が耳に入ってきた。
「──大丈夫ですか?」
こんな所で一人しゃがんでたら、それは具合が悪そうにも見えるだろう。
横手から気遣うような声が掛けられるが、少女は少しおっくうそうに肩を落として見せただけで振り向こうとはしない。
地面に落とした視線の先には、ゆったりしたジーンズの足首とスニーカーを履いた足先が見える。
様子からして、おなじように散歩していたのだろう。
取り敢えず、変質者の類ではないようだ。そう判断し、肩に掛けた小さなポーチに手を伸ばそうとしていると、
相手も屈み込んだのだろう、地面に置いたミュールに日に焼けた様子もない白い手が伸びる。
「…ああ、紐が取れてしまったのですね。ちょっと拝見させて頂いてよろしいですかね?」

──聞き覚えのある、…いや、聞き間違いようも無いその声。
弾かれたように顔を上げた少女と、しゃがみ込んだ青年の、眼鏡をかけた線の細い面が鉢合わせた。

「…………!!」
少女は息を飲み、一瞬きょとんとした青年の顔も、みるみる血の気が引く。
「…お……音無さん……!?」
うわずった声で名前を呼ばれた少女は、手を伸ばしかけていたポーチからサッと携帯を取り出し、素早く文字を
打ち込む。
そして、青年の鼻先に画面を突き付けた。
本人としては、相手への文を打ったつもりだったのだろう。
だが間の悪い事に、受信されたメールがそのタイミングに重なったようで、携帯を突き付けたと同時に着信音が
鳴り、なぜか自動開封された文面が表示されてしまった。

『めるめる〜 どこにいっちゃったんだい? パパが悪かったよう 返事しておくれ〜』

「……音無さん……お父上とケンカでもされたのですか?」
絵文字が散りばめられたメール文に当惑しながらも、少し心配そうな声色で尋ねられ、芽留は慌てて画面を確かめる。
そしてすぐに、眉を釣り上げて真っ赤になりながらも、再び携帯を突き付けた。
『勝手に人のメール見んな! このチャラ男のダメ教師が!』
「…いや、あなたが見せてくれたのでしょう?」
『そんなわけあるか! このハゲっぱなし!』
困った顔をして後ろ頭を掻きながら、ようやくいつもの調子に戻ったようで、先生は拾い上げたミュールを片手
に芽留に微笑んでみせた。


224名無しさん@ピンキー:2008/05/03(土) 17:16:00 ID:3rgV/YKo
                      
「…ええと。まだ怒っています?」
『コロスコロスコロス』
「あー……」
先生は苦笑を浮かべ、手元に目をやり作業へと戻る。
ゆったりとしたホールの様な広めの店内には、自分たちの姿しかない。
数あるテーブルは全て空席だが、流行っていないという訳ではないのだろう、隣接したボートハウスの桟橋には
船は一台も泊まっておらず、ガラスの向こう一面に広がる湖へと、みな出払っているようだった。
テーブルを挟んで向かい合わせに座っているが、芽留は帽子を掛けた椅子を横に向けて先生に背を見せ、手に持
っているジェラートを黙々とつついている。
「…でもまあ、ワンピースでおんぶでは色々とまずいでしょう?」
『だからって 姫抱っこは ねーよ!! 歩けるって言ったろーが!』
「そこそこ距離がありましたから… 転んではいけないと思いましたので…」
小さく笑って肩をすくめると、応急処置が終わったのかストラップを二、三回張ってみせ、芽留へと差し出す。
「どうぞ。取り敢えず履けるようにはなりましたよ。」
『……恩着せるのか。』
半眼で振り返った芽留に悪戯っぽく笑ってみせただけで、特に何も答えずに先生は自分の前にあるアイスコーヒ
ーを口元にまで持ってゆく。
からからん と、氷が少し騒いだ音がする。

芽留は顔の半分を振り返らせて、チラチラとグラスに入ったコーヒーを飲むその姿を見ていた。
いつも学校などで見る時とは全く違う先生の姿に、動揺を隠しきれないのだろう。
袴姿の時はどこか病弱そうに脆く儚い印象を漂わせていたのだが、若返ったような錯覚すら覚える目の前の先生
は、血色の良い元気そうな顔色に、Tシャツ姿から伺える肩と胸板は意外としっかりとして健康な若者そのもの
だった。
常に背筋を伸ばしていた普段とは違い、片手の肘をテーブルに置いて、椅子にもたれながらグラスを傾ける姿か
らは、行儀の悪さより先に違和感すら覚える新鮮さが溢れていた。
『──ニセモノ?』
「って、いきなりなんです? 私は本物ですって! 影武者でもありませんよ?」
こちらを窺いながら画面を見せる芽留に苦笑しながら頬を掻いてみせた。

「それはそうと音無さん。ここにいるという事は……やはりお父上を避けて?」
芽留はようやく体をテーブルの方へと向き直し、食べ終わったジェラートのグラスを置く。
『悪いか うっとうしくて仕方ねーんだよ それにオレの事言えんのか ハゲ』
「いえ、私は『避諸』に来たわけではなく… もともとこの蔵井沢が地元ですよ? ちょっと立ち寄っただけで…」
『ボンボンだから フラフラしてんだな 』
「人聞きの悪いことを言わないで下さい…!」
即座に反論しながらも、本気ではないのだろう。
シニカルな笑みを浮かべてグラスを置き、テーブルに乗せた腕で頬杖をついてみせる。

いつもよりやや前髪が垂れ気味で目を半分ほど覆っているように思える。
暗い光を宿したような瞳で自分に微笑みかけられ、芽留は一瞬心臓が跳ね上がり、慌ててごまかすように席を立
ち、すたすたとボートハウスの方へと歩いていってしまう。
「音無さん?」
ガラスのドアを開け、桟橋の方へと歩みゆく芽留を追って先生も席を立った。


湖面には時折そよ風が吹き抜けているのか、小さなさざなみが立ち、日差しを照り返して輝いている。
はるか彼方に見えるボートに乗る人たちは皆オールを漕ぐ手を止めて、漂っているように見えた。
湖上は涼しく気持ちが良いだろうという事は想像に難くない。
うらやましそうに遠くの船と、一隻も残っていない桟橋を見比べ、芽留はため息をついた。
「……よければ一緒に乗りませんか。」
背後にいた先生から声をかけられ、芽留は鼓動が、どき、と一度大きく跳ね上がった事を感じる。
──しかしボートは残っていないはず。
そう考えながらも期待し、急いで振り返った芽留は先生が指さす物を見てへなへなと全身から力が抜けてしまう。
たしかにボートではある。……だがその一隻はまっ白い白鳥かアヒルをかたどった足漕ぎ式の物だった。
225芽留:ティファニーで調子良く:2008/05/03(土) 17:17:39 ID:3rgV/YKo
馬鹿にするな、と、怒って捲し立ててくるだろう。
いつもの芽留を想像して、待ち構えていたとも言える状態で先生は芽留を見ている。
だが、当の芽留は、一瞬怒ったような顔をしたものの、突っかかりには来ず、への字に曲げた口と今にも泣きだ
してしまいそうなほど潤んだ目で恨めしそうにこちらを見ているだけだった。
携帯を突き付けられて苦情を連呼される事を予想していただけに、先生は焦ってしまった様子でとっさにハンカ
チを取り出すと芽留に手渡そうと近寄る。
「ああ、すみません! ちょっと冗談のつもりで……」
その手からハンカチを引ったくり、芽留は先生に背中を向ける。
『まず オマエ一人で 一周してきやがれ』
「……すいません。それは恥ずかしいです。」
ちょっとバツが悪そうに首をすくめる先生をチラリと振り返り、小さく鼻を鳴らすとハンカチで眼がしらを拭いて
、ついでに携帯の液晶画面も拭いてみせる。

『ぼっちゃん メガネをお拭きしましょうか?』
指で挟んだハンカチを軽く回しながら、小首をかしげ、すました顔で先生を見上げる。
「……いえ、遠慮します。」
思わず苦笑いを浮かべた先生を見て芽留はニヤリと笑いを浮かべ、ミュールの乾いた足音を立てながら桟橋の先
端まで歩いて行った。
少し遅れて先生もその後に続き、板張りの縁まで来ると横に並んで湖を眺める。

相変わらず照りつける日差しは強かったが、適度に湖面を風が流れており、それほど暑さは苦にはならなかった。
そよ風に髪を揺られて気持ち良さそうに芽留は目を細める。
その目をチラリと横にやってみる。
隣に佇む先生は、ジーンズのポケットに親指だけ残して手を入れ、片足にだけ体重をかけてもう片足の膝を少し
曲げて崩した姿勢で立っている。
遠くを見つめる表情からはいつもの悲観した様子は全く感じられず、何だか急に先生が自分に近い年齢に近づい
てきたような気がして、芽留はしばらくその姿を飽きもせずに眺めていた。

ポケットに手を入れて、曲げた肘と胴の間に隙間が見えた。
芽留は気がつくと、そのスキマにそろそろと手を伸ばして腕を通そうとしている自分に気が付き、慌てて手を引
っ込める。
そんな芽留の行動には気がつかない様子の先生は、湖面を眺めたままポツリと口を開く。
「何だか、デートしているみたいですねぇ。」
「…………ぃ……!?」
さらりとした何気ない口調のその一言に、芽留の心臓は大きく跳ね、あっという間に顔色を朱に染めてしまった。
即座に返す言葉が見当たらず、胸の前で携帯を握りしめたまま、芽留は顔を伏せて必死に落ち着こうとしている。
「……あ。いえ、まあその、なんと申しますか。…私、昔から、いつか恋人などできたら、この場所で一緒にボ
ートに乗りたいな、などと思っていましてね。」

何とか落ち着き、悪口雑言をメールに打ち込もうとしていた芽留の収まりかけた鼓動は、今度こそ激しく打ち出
し始め、頭に血が上り、うなじには汗が吹き出してくる。
最高に紅潮した顔を見せないように俯いたままで、芽留は高鳴る心臓となぜか同時に沸き上がる苛立ちに、何と
も表現しがたい怒りとも照れともつかない表情を浮かべ、そろりと一歩後ろへ下がる。
先生はそんな芽留に気がついていない。
芽留は、イタズラをする前の子供のような微笑を浮かべると、桟橋の縁に立つ先生の背中に軽く体当たりをかける。
「おや? 音無さ……」
それと同時に、隣に姿が無い事に気がついた先生が体ごと振り向く。
目標物に突然避けられ、勢いあまった芽留は止める事ができずに桟橋から飛び出してしまう。
「………ゎ……!?」
「え!? 音無さん!!」
宙に浮かぶ自分と、先生の叫び声がやけにゆっくりと聞こえ、目の前に迫る水面に芽留は思わず目を閉じた。

激しい水音が上がる。
──が、いつまでたっても水面に触れた衝撃もなく、呼吸が苦しくなる事もない。
恐る恐る目を開けて見ると、まず見えたのは青い夏の空と流れて行く雲が幾つか。
一瞬仰向けで宙に浮いているような錯覚を覚えるが、首を捻ると、湖面から突き出した二本の腕に支えられ、落
下は免れた事が理解できた。
よく見ると、二本の腕の間からは水中から気泡が湧き出ており、この下に人……先生が居る事は間違いない。
呆然としていると、先生はその体勢のまま、芽留を桟橋の上へと運ぶつもりらしく、ゆらりと一歩進み出る。
『く くすぐってーよ!!!!』
226芽留:ティファニーで調子良く:2008/05/03(土) 17:18:36 ID:3rgV/YKo
背中側で自分を支える手に、芽留は擽ったそうに顔を歪め、器用に携帯を操作する。

一拍置き、ダンクショットの要領で芽留は桟橋の上へと放られ、尻餅をついてへたり込む。
続いて水しぶきと共に水中から先生が上がり、橋板の縁に胸から上だけを出してへばり付き、苦しそうに息を吐
き出した。
「…し……死んだら……どう……す……」
お約束の台詞を吐こうとしたのだろうが、苦しそうに息も絶え絶えでは、かえっていつもの冗談ぽさが感じ取れ
なくなってしまっていた。
笑っていいのかどうかわからなかったが、取り敢えずちょっと苦笑を浮かべて見せ、尻餅をついたままの自分の
姿に気がついて慌ててスカートの前を押さえる。
『ちっ もう少しだったのに 残念』
「な…何がですか!? まったく……」
目の前に突き出された画面を見て、少し余裕を取り戻したのか、先生は疲れたように苦笑いを浮かべ、水滴まみ
れになっている眼鏡を外すと、水が滴り続ける前髪をかき上げて後ろに撫で付ける。
剥き出しになった額に数本のほつれた髪が垂れる。
そして、やれやれといった風に溜息をついて、目の前の芽留へと微笑みかけた。

おそらく当人にはその気はなく、単に目が悪い事で焦点が合っていないだけだろう。
しかし、どこも見ていないような遠い目で、まっすぐに自分と視線を合わされた芽留はたちまちのぼせるように
赤くなってしまい、びっくりしたように見開いた目を逸らす事もできずに、心臓を握り締められたように胸の中
が痛くなってくる。
ほとんど無意識の内だろう。芽留は携帯を持ち上げ、震える手でボタンを押す。
連続撮影のシャッター音が続けざまに鳴り渡り、先生は驚愕の表情を浮かべる。

「ぜ、絶望した! 情けない写真をネットにばら撒かれ── わわっ!?」
叫んだ表紙に手を離してしまい、再び水音を立てて姿が消える。

携帯を閉じた芽留は、正面からは顔を逸らし胸に小さな手を当てて落ち着こうと深呼吸していた。
簡単には驚きから冷めないのか、紅潮した顔のまま少し目を潤ませ、やがて満足そうに小さく微笑んだ。



開くドアの音、そしてスリッパの音をさせて、先生がリビングへと入ってきた。
「すみませんね。シャワー使わせて頂いちゃって。」
『 よう みみずもしたたる イイオトコ 』
「ちょ、ミミズなんて滴ってませんから! やめて下さい!」
本気で嫌そうに眉を寄せ、先生は少し声を荒げて見せる。
ソファーに座って携帯をいじっていた芽留は、ひょいと肩をすくめると立ち上がって玄関口の方へと歩きだす。
『ほれ、暗くならねーうちに帰れよ 湯上りの散歩は気持ちいいぜ』
「…湯冷めしそうですが。まあいいです。──何だか面倒おかけしちゃいましたね。」
小さく礼をして靴を履きながら、先生はふと気がついたように芽留の方を見る。

「音無さんは、いつまでこちらの別荘に居られる予定ですか?」
尋ねられ、芽留は小首を傾げて携帯を操作する。
『あのヤローが嗅ぎつける前には 引き払うぜ』
「…あなた、逃亡犯ですか。…まあ、大変なお父上なのは分かりますが。」
『そうだぜ もっと同情しろよハゲ! 』
わざと疲れたような仕草をしてみせる芽留に小さく吹き出しながら、先生はドアノブに手を掛ける。
「では、失礼します。…一人で心細くなったら、いつでも呼んで下さいね。」
その言葉に、芽留は少し頬を膨らませる。
『コドモじゃねーんだよ! オメーこそ 明日の朝刊に載るようなマネすんなよ 変態教師 』
「…私は変質者ではありませんから!」
笑いながら軽く手を振り先生はドアを閉めた。

『おいハゲ 』
打ちかけてはいたが間に合わなかった文面を見て、少し溜息をつくと、芽留はのろのろと鍵を掛けて玄関を離れた。
だが途中で足を止め、小走りで玄関口まで戻って靴を履こうとした所で、やはり思いなおしたように首を振る。
もう一度、今度は深く溜息をつくとリビングの照明を落とし、階段を上がって行った。
227芽留:ティファニーで調子良く:2008/05/03(土) 17:19:40 ID:3rgV/YKo
ゆっくりと上りながら、携帯を取り出してフォトフォルダを開く。
薄暗い中、モニターの明かりに照らし出された芽留の表情は先ほどよりも沈み、手にした携帯を少し強く握る。
そのまま駆け足で階段を上がり、芽留の姿は二階へと消えて行った。


カチャリと鍵を掛けられた音が聞こえた。
無機質なその音にどこと無く寂しさを覚えながら、先生は芽留の別荘を後にする。
もう日は山の向こうに沈み消え、人の姿も少ない別荘地は街灯もまばらで、あちこちに暗い闇がわだかまってい
るように感じられる。
ゆっくりとした足取りで歩きながら周囲に目をやる。
シーズンにも関わらず、空き家なのか単に使用されていないのか、明かりが入っていない宅が多い。
どうしてもさっきからホラー映画のワンシーンが脳裏をよぎってしまい、先生は思わず頭を抱えて立ち止まる。
「……ちゃんと戸締りはしたのでしょうか。」
ぽつりと呟き、やがて回れ右をすると急ぎ足で今来た道を戻り始めた。

玄関先は先ほどと変わった様子はなく、そっとノブを引くと鍵がかけられている事がわかった。
念のため、一階の窓の施錠も確認するため、外壁にそって周囲を歩きはじめる。
だが、先生の心配を他所に、しっかりとロックされカーテンも閉められており、ほっと胸をなでおろす。
──ふと見ると、勝手口だろうか、小さいドアが目に入った。
「…さすがにそれはないでしょう。」
苦笑しながらノブに手をかける。……ドアは何の抵抗も無く開いてしまう。
一瞬の硬直の後、ちょっと青ざめた顔で静かに足を踏み入れると音も無くドアを閉じて中から鍵をかけた。

一階は全て灯が落とされており、暗い廊下を手探りで進む。
冷静に考えれば、この場合は自分の行動が不法侵入者なのだが、悪い想像にとりつかれた先生はとにかく芽留の
安否を確かめようと、恐る恐る暗闇の中を玄関口へと向かう。
門灯の明かりが見え、少し目が慣れてくると、そっと階段の上を覗き込む。
二階の廊下に明かりが漏れているのが見え、一段一段ゆっくりと上ってゆく。
その明かりは半開きになっているドアから漏れているようだった。
悪い考えを押し消し、何が出てきてもいいように拳を握り締めて、先生はすり足で進む。
そろり、と隙間から部屋の中を覗き込む。


芽留は── いた。
ここは寝室なのだろう。キャミソールと短パンに着替え、ベッドの上に横向きに寝転がっている。
一瞬目が合ったかと思ったが、なにやら携帯を見る事に夢中になっているのか、気がついた様子はない。
楽しそうな── とは何か様子が違う気がして、芽留の表情に先生は訝しげな顔をする。
芽留は、やや上気したような顔に、目を細め、うっとりとした表情を浮かべていた。
今までに見た事もないようなその顔に、先生は思わず身を乗り出してしまう。
芽留の全身が見て取れた。
横たわった芽留は、片手で携帯を目の前に固定し、もう片手は下の方へと伸び、その指先は柔らかい生地の短パ
ンの中へと潜っていた。
潜った指先が芽留の一番大事な所でもぞもぞ動くのが見える。
動かすたびに体を小さく震わせ、細い腰を僅かにくねらせながら少しずつ吐息が荒くなって行き、瞳は潤み始め
て恍惚とした表情が浮かんでくる。
絶頂に達して行こうとする事は見ているほうにも判った。
廊下まで聞こえてくる程、呼気が激しくなり、時折細い鼻声を漏らして、泣きそうにも見える表情を浮かべた。
その芽留がふと視線を遠くに飛ばし── 今度ははっきり、先生と目が合った。

二人とも、そのままの姿勢で固まり、動く事が出来ないでいる。
芽留は大きな瞳を見開き、口を丸く開けたまま呆然と先生の姿を凝視して、
「────ッ!!!」
声にならない悲鳴を上げてシーツを蹴り上げ、ぐるっと体に巻きつけてその中に身を隠してしまう。
「…あっ! 音無さん……!」
思わず声を上げながら駆け寄る先生だったが、ベッドの上に放り出したままの携帯の画面を見て思わず動きが止
まった。
「こ…れ…… 私です…か……?」
その声にシーツに包まった芽留がビクッと動き、素早く隙間から手を出して携帯を掴み中へ取り込む。
228芽留:ティファニーで調子良く:2008/05/03(土) 17:20:54 ID:3rgV/YKo
声を掛けあぐねていると、すぐにまた携帯を持った芽留の手が差し出された。
『見たな!? 見たな!? 見たな!? 全部見ただろ!?』
再びシーツの中に手を戻し、画面を打ち直して差し出してくる。
『コロスコロスコロスコロスコロス!!!』
芽留はシーツの中でジタバタ暴れている。
先生はなんとか諌めようと思ったのだろう。ベッドの上へと上がり、シーツに手をかける。
暴れていたシーツの塊が、ピタリと動きを止めた。
『てか オレが死にてえよ』
差し出された画面は文字だけだったが、自分の頭の中に、聞いた事のない芽留の声が響いた気がして、先生はそ
ろりと腕を伸ばしながら声をかける。
「年頃になれば、誰もが行なう行為でしょう?」
『そーいう問題じゃ  』
ぐい と、やや乱暴なくらい力強く芽留の体は先生へと引き寄せられて、あっという間に腕の中へ抱えられてしまう。
シーツが払われ、びっくりした芽留の顔が現れる。
背中から肩越しに覆いかぶさるように抱きしめられ、芽留は慌てて抜け出そうともがくが、非力な上にこの体格
差ではびくともしない。
『はなせコラ!』
「駄目ですよ。」
『何が駄目なんだよ!?』
尚ももがく芽留の耳元に先生の顔が近づけられる。
「私が離したくありませんから。」
告げると同時に、芽留の剥き出しの肩にそっと唇で触れる。

ぞくりっ と、決して悪寒では無いが、くすぐったさに近い感覚が走り、芽留は携帯を打つ事も忘れ硬直してしまう。
携帯を持っていない方、左手首に先生の左手が添えられ、その長い指が芽留の小さな手先に絡まり、手の平を親
指で撫でながらほぐすように包み込む。
戸惑い続ける芽留は、首を捻って先生の顔を見上げる。
相手の顔が見たい。どんな表情で自分に触れているのか知りたい。
期待しているような表情を携えて見上げようとした時、
「……ひゃ!?」
驚いたように、ビクリ、と体を飛び上がらせて大きく息を吐き出す。
さっきまでずっと自分で触れて敏感になってしまっている場所へと、滑り込むように触れてきた先生の手は、短
パンの生地の上からでもはっきりとした質感を感じ取れる。
「……!!」
指先が微かに動いた。
布越しとは言え、これまで自分以外の人間が触れた事の無い場所に触れられている状態が、はっきりと視界に入る。
めまいを起こしたように視界が揺れ、反射的に逃げるような動作をしてしまう。
『なにすんだ!?』
ほとんど画面を見ずに何とか打った文字を突きつけた。
ひと呼吸置き、先生の静かな声が耳に入る。
「…続き、です。……先ほど、満足するまでは至らなかったように見えましたから……」

先ほどの光景が蘇り、芽留の目の周りがのぼせた様に真っ赤にそまり、激しく首を振って見せる。
「…す、すみません…! お嫌でしたか… そりゃそうですよね……」
慌てて芽留を離そうとする先生に気がつき、咄嗟に握っていた左手を掴み返しベッドに押し付けた。
「音無さん……?」
芽留は押し黙ったまま一度先生の顔を見上げ、そして携帯のボタンに指を走らせる。
先生には見えない角度で、打ち込んだ画面をチラリと覗いた。
『めずらしく強引と思ったら やっぱチキンがでるのかよ』
ちょっと苦笑を浮かべ目を細めた。
そこで画面を消し、握ったままの左手で先生の指をやや強く握り締め、小突くように肘で先生の脇腹をつついた。

出し抜けに芽留の耳たぶに先生の口が触れ、唇で咬むように耳たぶを下から上へとなぞる。
声も出ずに体を震わせて、芽留は少し恨めしそうに眉を寄せた顔で振り向いた。
その瞬間を待ち構えていたかのように、素早く先生が顔を寄せ、唇が重ねあわされる。
そっと触れただけの口付けだったが、芽留は目を丸く見開いて硬直してしまう。
唇を一度離し、芽留に微笑みかけると、今度はやや力強く唇を奪いに来た。
229芽留:ティファニーで調子良く:2008/05/03(土) 17:21:43 ID:3rgV/YKo

瞳を閉じ、熱っぽい表情を浮かべた先生が目の前にいる。
ぼんやりとその顔を眺めていると、途端に芽留の唇に先生の舌先が触れ、口唇を撫でるようになぞる。
しびれるような感覚が走り、ビクビクと肩を小さく震わせた芽留の唇を割り、さらに口内へと侵入してきた。
自分の舌先に相手の舌が触れた瞬間、たまらず唇を引き離し、先生から顔をそむけて大きく息をつく。


芽留の脚の付け根にある先生の手が動き始めた。
最初はゆっくりとなでるように、時折指を曲げ服の下にある秘裂の上をなぞるように動かす。
手を止めて中指で一か所だけを重点的に攻めると、芽留は背中を反り返らせて少し苦しそうに息を漏らした。
「音無さん。体から力を抜いて…… 私に寄りかかっていて下さい。」
先生は芽留の体を支え直し、背中を自分にもたれかかるような態勢に持ってくると、再び指を這わせだす。
そのまま、もう片手で芽留の下腹辺りを抱え込むと、ゆっくりと撫でながら手のひらを上へと持って行く。
キャミソールの上から胸に触れると、すぐそこに小さな突起があることが分かる。
下着はつけていないようで、指先で転がすように触ると芽留は目を閉じて細い声を上げた。
「…とても…… 可愛らしいです……」
壊れ物でも触るようにそっと胸の膨らみのある辺りを手で包む。
ほとんど掴む事はできないそれを、少し強引に寄せるように揉みしだくと、芽留はちょっとすねたように口を尖
らせた。

『小さくて苦労する とか思ってんだろ このロリコン!』
額にコツンと突きつけられた画面を見て、苦笑を浮かべながらも、先生は芽留の胸を愛撫しつづけている。
「…ロリコンかどうかは、わかりません。ただ……」
そう言って突然手を翻し、するりと裾の中へと入り込み直接少女の乳房に触れる。
「……ただ、いまは、とにかく、貴女が愛らしくてしかたがないのです……」
やや強く胸の柔らかみを握りしめ、指の腹で小さな突起を撫でる。
「こうして貴女に触れていると言う事が、たまらなく……」
芽留は顔を反らしながらも、じっとその声を聞いているようだった。

短パンの上から触っていた手を戻し、素早く、へその下から直接肌を伝い下腹へと潜りこむ。
少女のそこは、すでにとろとろになっており、溢れ出している温かい蜜がたちまちに指に絡みつく。
先生の細い指が器用に動き、秘裂を花びらのように開くと、その中の陰唇を指先でつつきはじめる。
「……! ……!?」
声も無く、芽留の体が何度も跳ねあがった。
指がさらに動きまわり小さな淫核を探り当てると柔らかく転がすように弄り、触れるか触れないかの加減を保ち
ながら秘裂を何度も上下にさする。
小さく、猫のような声を漏らしてなすがままに愛撫を受け入れていた芽留だったが、先生の指が次第に自分の奥
へと沈んで来ている事を感じ取ると、ハッとしたように顔を上げた。
『ちょ まて! 指は入れんなよ!』
先生は驚いたようにちょっと眉を上げてみせた。
「──ええ、分かってますよ。安心してください。」
その言葉にほっとしたような顔を見せ、即座にまたぶんば! と顔を向ける。

『オメーのために取ってあるとか そんなんじゃないからな! 誤解すんじゃねーぞ!』
「え……?」
呆けたような先生の顔と、勢いで文字を打ったのか、もう一度画面を見直す芽留の視線が絡まった。
『何を言わせんだ ハゲ! オレはツンデレじゃねー!』
すでに上気しきっている顔をさらに赤くして怒る芽留に、嬉しそうな柔らかい笑みを浮かべて目を閉じ先生は芽
留を抱き寄せる。
秘所を蹂躙する手の動きが速まってゆく。
芽留はあっという間に翻弄されてゆく意識の中で、いつのまにか胸を触っていた手で短パンも下着も下げられて
いることに気が付く。
剥き出しになった下半身は、自分の行為からの一連の動作で、びしょびしょになっているのが見えた。
いまは恥じらう余裕もなく、奥歯を少し噛みしめながら目の前、自分の真上にある先生の顔をみる。
今しがた自分に触れた唇が目に入った。
先生も気がついたのか芽留の顔をみる。素早く携帯が差し出された。
『察しろよ ヘタクソ』
潤んだ瞳で切なそうな表情を浮かべ、自分のほうに顎を突き出している芽留の意図に気が付き、今は笑い返す余
裕もないのか真剣な顔のまま芽留の唇を塞いだ。
そのまま二人同時に求めるように舌を絡ませ合う。
230芽留:ティファニーで調子良く:2008/05/03(土) 17:22:53 ID:3rgV/YKo
                        
芽留は意識が切れかけた電灯のように点滅してゆくのを感じ、そして、押しとどめていた、体の奥底から湧き上
がってくるものを解放した。
ふっ と全身の力が抜け、電池が切れたようにくたりと先生に体を預ける。
周りとの感覚が遮断される。
起きたまま深い眠りにつくような、広がって行く開放感に包まれ、微笑を浮かべたまま目を閉じた。


頬を撫でる手の感触に目を開けると、すぐ上に先生の澄ました笑顔があった。
「……気持ち……よかったでしょうか? …と聞くのも変ですかね。」
ややきまり悪げに笑いながら、芽留の頬にピタリと手を添える。
芽留はちょっと顔を赤らめ、恥ずかしそうに笑いながら携帯を手に取った。
『なんか 宇宙かどっかに 放り投げられたみてーだった』
さっと文字を見せて顔を背けた所で、自分の格好に気がつき、慌ててシーツを引き寄せて前を隠す。

『どうせ やらしい女だとか 思ってんだろ!』
『いつもこんな事してる訳じゃねーからな!』
上目で先生を睨みつけて、芽留は低く唸る。
「…そんなに恥ずかしがらないでも大丈夫ですよ。年頃になれば当たり前の事で……」

『ハズカシイ物は ハズカシイんだよ!』
『てか オレばっか不公平だろ!? オメーも見せろ! コラ!』
ずい と携帯を突きつけて迫ると、先生のベルトのバックルに手をかけて強引にベルトを引き抜いてしまう。
「ちょ!? ちょっと音無さん! 何を!?」
グイグイとGパンを芽留に引っ張られ、先生は慌ててズボンを抑える。
『オレだけ 半裸にしやがって しかも恥ずかしい事させたじゃねーか!』
「いや、まあ、それはそうなんですが……」
半笑いになって先生が抵抗を止めたと見ると、芽留は勢いづいて下のトランクスごと一気に引き下ろしてしまう。

「────!?」
その瞬間、勢いよく飛び出した絶棒が目の前にそそり立ち、声にならない悲鳴を上げて後ろに飛び退いた。
「…そんなに驚かなくても。」
自分のズボンを抱えたまま、目を丸くしてそれを凝視している芽留に、少しへこんだ様子で先生はうなだれる。
驚いた顔のままおずおずと近寄ってきた芽留が、絶棒にゆっくりと手を伸ばした。
「…う!?」
そっと握りしめるように触れると、先生が低い唸り声を上げ硬く肥大した絶棒が大きく跳ねた。
またまた後ずさる芽留に先生は少し照れくさそうに笑う。
「モンスターとかじゃないんですから。怖くないですよ。」
『どこに そんなモノが収納してあったんだ!? おかしーだろ!?』
まじまじと見つめながら不思議そうな顔をする芽留に、困った顔で先生は首を少し傾げる。
「…しまってあったというより…… こうなってしまったと言うのか… いやまあ、予想して然るべき事だった
のでしょうが。……まあ、つまり…」
言葉の最後に首を振って見せ、すっ と芽留の腕を取り、静かな動作で顔を近づける。
「……?」
「…つまり、音無さん。私はあなたが……どうしようもなく可愛くて仕方がないようです。」
一瞬意味が掴めずぽかんとする芽留を、その言葉を理解する前に胸の中に抱え込み、両腕を背中に回して抱きしめる。
「私に自分を預けてくれて、腕の中で感じてくれている仕草も、時々漏らす声も、こんな時も忘れないいつもの
毒舌も、全部、自分の腕の中にあるのだと思うと、もう離したくなくなってしまい…… 私は……」
抱きしめる手を少し緩めて芽留の体を離し、正面からその瞳を覗き込む。
「私は…… あなたと愛し合いたいのです。」
どこか少年を思わせる、照れくささを隠し切れていない、はにかんだ笑みを芽留に向けた。
芽留は頬を染めた顔のままで、自分を見つめる先生の瞳の奥を覗いていた。

いつになく饒舌になっている事。
瞳の奥に、かすかに揺れる不安そうな光が、芽留には見えた気がする。
──断られたら。……とか、ここまできて思ってるんだろうな。
なら、自分が返す反応は決まっている。
──同じ。──いつもと同じ、だ。
   
231芽留:ティファニーで調子良く:2008/05/03(土) 17:23:43 ID:3rgV/YKo
                     
そっと、目の前に携帯を差し出した。
『だれが 愛し合うかよ! このハゲ! シネ! バカ!』
画面を見せながら片手は先生の腕を取り、細い手指を探り当てて壊れそうなくらい力いっぱい握りしめる。
かざした携帯が小さく揺れている。
それと同じく、芽留の瞳も潤み揺れているように見えた。


返事は無かった。
代わりに、自分の手が優しく握り返され、背中に回された手を支えにしてゆっくりと体がベッドに横たえられた。
携帯をどけると、何とも言えない透明な微笑みが見える。
横たえられた自分にかぶさるように体を重ねた先生の唇が落とされる。
唇を触れさせただけ。なのに、今までになく熱っぽい口づけが交わされた。
『…ロリコン教師 』
わざとそっぽを向きながら、芽留は笑うように鼻を短くならしてみせる。
照れ笑いを浮かべたまま、先生はTシャツを脱ぎ去った。
無造作ともいえる動作で先に進められ、芽留は次第に鼓動が落ち着きなく打ち出しはじめた。
シーツが除けられて、芽留の下半身が再び露わになった。
脚を閉じてもじもじしていると、上着のキャミソールに手をかけられる。
『変態! 犯罪! チカン!』
罵る単語が打ち出されるが、抵抗するわけではなくするするとそれは頭を通って脱ぎ去られ、芽留は慌てて手胸
の前に当てて両手で乳房を覆うように隠す。

「…見せて……くださいませんか?」
まさか言葉で申し出てくるとは思っていなかった芽留は、恥ずかしさで顔を真っ赤にそめて激しく頭を左右に振る。
先生はなんとも言えない愛おしそうな顔で、恥じらう芽留に微笑んだ。
「……ほんとうに、可愛らしいです。」
ぽつりと落とし、芽留の白い腹部に顔を落とした。
鼻先で触れながらゆっくりと下腹部の方へと下り、何も生えていない芽留の恥丘へと移動してゆく。
何をしようとしているのか気がついた芽留が動くより早く、その唇が吸いつくように秘裂に入り込んだ。
「!!!!」
芽留の喉から声にならない嬌声が上がる。
陰唇を口唇で甘く噛み、舌先を尖らせて秘裂を上へ下へと繰り返しになぞる。
今度は舌を潜り込ませるように膣口をなんども味わうように弄る。
「…ぃぁ……!?」
強烈な感覚に、必死に逃がれようとする芽留の腰回りを、動けないように腕で固定し秘肉とへ何度も口唇を這わせる。
やや性急なほどに芽留を責め続けていたが、少女がすでに息も絶え絶えに細い甘い声を漏らしている事に気が付
くと、そこで愛撫を止めて体を起こす。
「……つい、夢中になってしまいました……」
すこしバツがわるそうに呟く。

まだ感じる事に慣れていないのだろう。送り込まれる快感を受け流しきれず、苦しそうに喘ぐ芽留のへその上に
かるく口づけると、唇を肌の上に這わせたままゆっくりと胸の方へと昇ってゆく。
すこしくすぐったそうに身をよじる芽留は、涙目になりながらそれでも素早く携帯を打つ。
『脳みそ焼き切れるかと思ったじゃネーカ バカ! コロス!』
そんな少女に微笑みかけて、先生は芽留の胸の突起を口に含んだ。
体をヒクつかせた芽留の反対側の胸を手の平で覆い、ゆっくりと揉みしだく。
くちの中で可愛らしい乳首を舌で転がすたびに、芽留はか細い声をあげる。
『完全に ロリコン だな! 変態!』
先生は口を離して、愛おしそうに、少女の頬に手を伸ばす。
「……あなたを愛しく思えるのなら、私はロリコンがいいと思いますよ。」
真顔で告げられて、芽留は慌てて顔をそむけ、頬を赤くする。
『もう すきにしろ!』

もちろん芽留は言葉通りの意味で言ったのではないのだろう。
顔を見合わせる。それは二人とも分かっている。
分かっているが、違う意味で伝わった方が望ましかった。
それも、お互いに共有している事なのだろう。
             
232芽留:ティファニーで調子良く:2008/05/03(土) 17:24:53 ID:3rgV/YKo
怒張しきった絶棒が芽留の秘所の前に当てがわれた。
さすがにもう余裕を無くしているのだろう、不安そうな表情で少し唇を震わせながら、芽留は目を強く閉じる。
しかし、それは先生も同じように見える。
早く芽留と繋がりたがっている自分の絶棒に手を添えて、表情を固くしていた。
芽留は目をあけてその顔を窺う。
「…こんなグロテスクな物が、あなたのここに、無理やり入ってしまうんですね……」
厳しい目でそんな事をこぼした。
芽留は素早く起き上がると、両手で先生の頬に触れ、自分の方を向かせる。
『なにチキンやってんだ!』
『ここまでしといて ほったらかすな バカ!』
少し泣きそうな顔で、毒づく芽留に先生は言葉を返す。
「…初めてが、私で…… 良いのですか。」
『ダメなやつにここまでさせるかよ!』
『オメー以外にいるのかよ!』
頬を軽くつねりながら怒った顔をした芽留を見ていた先生だったが、やがてその頭を抱えるように抱きよせ、静
かに口づけを交わす。

「…………ン……」
安堵したように溜息を洩らした芽留に、少し申し訳なさそうに笑いかけた。
「音無さん、私は、これで、あなたが苦痛を訴えても止める事が出来ないほど、あなたを求めてしまいそうです
…… 壊してしまいそうで怖く…… でも、やはり、あなたと…… 一つに… なりたいのです……」
そう言って芽留のまぶたに軽く口づけを落とす。
その表情からは、もう不安は感じられず、まっすぐに芽留の目を見つめていた。
『こんなチャンス もう やらねーぞ』
すました顔で目を閉じてみせると、口付けを請求するように口を僅かに開いて上を向く。
「…今日一日で、ずいぶんと普段は見れない、私の知らないあなたを教えて頂きましたが……」
言いながら芽留の肩に両手を回し、自分の方へと引き寄せる。
「まだ、足りないです。……もっと、あなたを、見せて下さい。」
目を細くした笑顔で、もう何度目かわからない口付けを交わした。


ゆっくりと味わうように互いに唇を絡めながら、芽留の背中側から先生の手が伸びて行き、そっと両側にある髪
留めに指が触れた。
芽留はまだ気がついていない。
器用に髪留めのゴムを広げ、両側を同時にするりと抜き去った。
ぱさり。
柔らかい音を立てて下りた髪が芽留の肩と背中に広がる。
さすがに芽留も気がついて、瞳を大きく見開き、びっくりした顔をしてみせる。
戸惑ったようにおろおろとしながら潤んだ目で先生を見つめていると、自分を抱きかかえ、覆いかぶさるように
してベッドに横たえられた。
「…見た事の無いあなたを、もっと沢山……見せてください。」
ささやくような声でそう言うと、今度は力強く芽留の唇を奪い、強引に舌までもねじ込んでくる。
『ウゼー事 言ってんじゃねー!』
それでも何とか毒づく事は忘れない。
そして芽留も先生の頭を力強く抱え込み、夢中で唇を震わせ深い口付けを交わす。
芽留の胸を、秘所を、先生の手がやや乱暴に愛撫して行く。
ぞくぞくと湧き上がる感覚に身をよじって耐えながら、芽留は先生の背中に手をまわししっかりと抱きしめた。
しっかりと濡れそぼった秘裂に絶棒の先端が触れる。

ほんの先端だけを芽留の大事な場所に沈めると、柔らかい陰唇に張り付くように包み込まれ、切ない程の快感が
絶棒を駆け抜け、先生は首を震わせた。

膣口に目の前の男性の物が触れている事が感じられる。
口を離した芽留は、少し涙ぐんだ目で先生を見上げた。
自分を見つめる、切なそうなその笑顔を見つめる。
──いとおしい。
見つめられた瞳から何度もそう語りかけられるように、脳裏に声が響く。
芽留は相好を崩し、今まで誰にも見せた事がないような柔らかい笑顔を見せる。
──来て。
声は無かったが、はっきりと小さな唇がその言葉をかたどった。
233芽留:ティファニーで調子良く:2008/05/03(土) 17:26:00 ID:3rgV/YKo
                        
ゆっくりと、ゆっくりと、男性自身が芽留の中へと沈んで行き、二人は繋がってゆく。
予想以上に狭い芽留の膣内を力づくで押し広げながら、絶棒は奥へと侵入を続ける。
手で握り締めたようにきつく包み込み、進入を拒む体内で純潔の証が突き破られた。
芽留はその痛みに歯を食いしばりながらも、声を上げる事は無く、荒い息を繰り返しながら、ただじっと耐えて
いる。
絶棒と膣壁がこすれる度、ざりざりとした痛みが走り、芽留は先生の体にしがみつきながら涙をこぼした。
激痛に耐える少女を気遣うように、首筋を、頬を撫でながら、ゆっくりと奥へと侵入を続けて行く。
熱いくさびをその身に打ち込まれながらも、体内が先生で満たされて行く事を感じ、芽留は苦痛に耐えながら嬉
しそうな泣き笑いを浮べ、唇を突き出してキスをねだる。

下手をすれば大人と子供ほども体格差のある二人である。
先生は背中を丸め、ぎりぎり届いた芽留に、やさしく口付ける。
「…苦しくないですか?」
痛がっている事は判っている。しかし、やはり芽留の様子が心配なのか少し不安げな顔で尋ねてくる。
体内に入った絶棒は止めたまま、しかしきつく締め付ける芽留の膣内での恐ろしい程の快感に、それは、早く少
女の奥まで入りたい、中を動き回りさらなる快感を貪りたいと言わんばかりにビクビクと震えている。

『痛てーに決まってんだろハゲ!』
「…そ、そうですよね。」
『でも 途中でやめたりしたら コロスからな』
涙目で訴えるように見つめられ、たまらなくなった先生は芽留の頭を胸に抱え、少女の奥まで突き入れた。
芽留は先生の胸に顔を埋め、力を込めて相手の体を抱きしめたまま、口をぎゅっときつく結んで、痛みに耐えて
いる。
先生は、ゆっくりと小刻みに腰を打ちつけながら動きはじめ、芽留の暖かい膣壁の感触を絶棒に感じ取り、強い
圧力で締め付けてくるその窮屈な体内を動き続け、言いあらわせないほどの快感に飲まれてゆく。
「…ああ……音…無……さん……!」

芽留は顔を上げ、自分の中で感じている先生の必死な表情を見て取り、胸が締め付けられるような感覚に囚われ
目の前にある胸板に吸い付くように口付けて、思わず涙ぐんだ。

痛い。痛いのはなにも変わらない。
だが自分の中を動き回る熱い異物感、これが目の前にいる相手の物なのだと。
そう考えるだけで、痛みとは違う何かが背中から頭の先まで突き抜ける。

「…いとおしくて…たまりません。おかしくなりそうなくらい……」
芽留の顔を覗き込み呟く先生に、涙目のまま携帯を拾い上げた。
『だれが オマエなんか スキになるかよ! ハゲ!』
『なりゆきで こーなっただけだっての! 勘違いすんな!』
片手はしっかりと先生の背中にしがみ付いたまま毒づいて見せる。
「…わたしは……あなたを……」
芽留を攻め続けたまま、切なそうな笑顔で何か言いかける先生に、さらに携帯を突きつける。
『ちょっと 遊んでやってる だけだ! バカ!』
それだけ見せると携帯を手放し、ぷいっと顔を横に向けてしまった。
先生は微笑を浮かべ、その細い首筋に口を寄せ、そっと唇でなでる。
「…………ぃぃ!?」
ビクリと芽留の体が震え、同時に緊張した膣壁がさらに絶棒を締め付けてきた。
「お…… 音無さん! すみません、もう……!」
腰を引こうとした先生に気がつき、芽留は がばっ と両足をその腰に回してしっかりと抱え込んでしまう。

「ちょ……!? 駄目です…! 抜かないと……!」
そう言っている間にも駆け上がって来そうになる物に焦り、なんとか芽留を引き離そうとするが、頑として足を
離さず芽留は激しく首を振るばかりだった。
──離れるな。
確かに芽留の口がそう動いたように見えた。
一瞬の迷いが起きるが、次には真剣な面持ちで芽留に顔を寄せる。
「……受け止めて……下さい。」
芽留は何度も首を立てに振り、目を閉じて力いっぱい先生を抱きしめた。

234芽留:ティファニーで調子良く:2008/05/03(土) 17:27:17 ID:3rgV/YKo
                       
強く締め付けてくる体内の奥へと、自身を突き入れる。
絶棒が震え、はじけた。
快液が絶棒を駆け抜け、芽留の膣壁に打ちつける様に何度もほとばしる。
狭い膣内を暴れ回るように痙攣し続けながら、快感の固まりを吐き出し続ける。
たちまちに、膣内に収まりきらない快液が結合部から漏れ出し、純潔の赤い印と混じりシーツの上へと広がってゆく。

どんな熱い衝撃が来るのか。
身構えていた芽留はゆっくりと目を開ける。
痛みも、衝撃もなかった。
ただ、自分よりも高い体温の物が体内で広がり、じんわりとしみ込んでゆく。
自分の中が暖かく満たされて行く事に心地よい幸福すら憶え、芽留は先生の顔を見上げる。
その人は、苦しそうにも見える表情で、芽留の中に全てを吐き出そうと苦痛に耐えているようにも思える。
芽留は目を閉じたままの先生に向かい、聞こえないような声でコッソリと呟いてみた。
「…………すき…」


長い放出が終わり、今は二人抱き合ったままベッドに横になっていた。
汚れたシーツはとりあえず床に退け、タオルケットに二人でくるまり、余韻に浸るように互いの体に触れている。

「…音無さん……」
いままで無言だった先生が口を開いた。
芽留は顔を上げる。
「…学生の間は、無理でしょうから…… あなたが卒業したら……」
そこまで言った所で、素早く芽留の手で口を塞がれて、先生は目を白黒させている。
『また 勘違いさせる気か?』
先生は苦笑した。
「……本気ですよ。──でも、まあ…… これを言うのはもっと先にしましょうか……」
頭を撫でる先生に、芽留は鼻を鳴らして笑った。

ぴろりぱらぴりろら

突然のメール着信音に、芽留はあわてて携帯を操作する。
その顔色が、少し不機嫌そうになった。
「…どうしました?」
『クソヒゲハット……』
「お父上ですか?」
芽留は沈痛な面持ちでうなずいてみせる。
『さっさと 引き払った方がいいな ここも』
「…いえ、ちゃんと、改めてご挨拶……」
『ヤメロ! とにかく 朝になったら出ようぜ』
「そうですか……?」
小首をかしげる先生の額を小突き、芽留は横になった。

「では、少し眠りましょうか。」
『…どうせなら もう一回するか?』
「……え!? いや、その、それは……どうしましょうか……」
うろたえる先生に、芽留はニヤリと笑って携帯を見せる。
『 冗談 だっての エロ教師!』
そして、さっとタオルケットにもぐりこんでしまう。
先生は苦笑を浮べて頭をかきながら、寝たふりを始めた芽留をそっと抱きしめる。

汗も引いて冷えてきた体に、互いの体温が心地よかった。
いつしか、本気で寝息を立て始めた芽留の頭を優しくなでると、自分も目を閉じ、眠りへと落ちて行った。





           
235305:2008/05/03(土) 17:28:24 ID:3rgV/YKo
おそまつでした。

お付き合い下さった方、ありがとうございます。

では、これで。
236名無しさん@ピンキー:2008/05/03(土) 20:04:55 ID:ELogXDLn
>>235
GJ―!!
エロも感情描写も、素晴らしすぎるとしか言いようがない。
超ツボに入った…
めるめる可愛いよ、めるめる
237袖合。:2008/05/04(日) 14:05:53 ID:fBk9hE4w
久しぶりに投稿させてもらいます
続編で相変わらずの望霧です
今回はちょっと長いので、前後半に分けます
よろしくお願いします
238機織。:2008/05/04(日) 14:06:37 ID:fBk9hE4w
暑き朱夏は身を横たえ、全てを落とす季節が足早にやって来る。
校庭は色付いた木の葉が舞い降り、一面を黄色に染められている。
秋の訪れを示すように、機織が短き時期を懸命に生きて鳴いている。
放課後、夕暮れの校舎は静けさに支配されず、虫の声が響く。
宿直室の二人は身を寄せ合いつつ、耳を澄ませる。
意識は互いに向けられず、外の世界へ。
大きな毛布に包まれながら、外音を聞いていた。

「キリギリスですか、…すっかり秋になりましたね」
「うん、…あっと言う間だったね」
「えぇ」

両思いを知り充実した日々を手に入れた二人。
変貌の欠片も見られず、退屈極まりない生活を脱け出したのだ。
それはあまりに急激だった。
急激な変化に休息を入れるかのように、二人は今日と言う日をのんびり過ごして
いる。
華奢な肩に手を回し、小さな体を引き付ける。
力に逆らわずに身を任せ、これまた小さな頭を預けている。
霧はそっと横を向き、望の横顔を見つめる。
暫くは気付かない振りを続けたが、熱心なその視線につい応えてしまった。

「どうか、しましたか…?」

正面から少女を見据え、決して目を反らさない。
疑問を乗せて目で聞いてみる。
そうすると、やっと霧は答えた。

「ううん、…何でも無いよ」

目を臥せて少し寂しそうな表情を見せる。
一瞬、何か粗相があったかと危惧したが思い当たる事は有りもしない。
この秋の日に、何やら想う事があるのだろう。
具体的で無いが、将来の不安など。
具体的に言えば、死への畏れだろう。
それは、誰も避けては通れない道なのだ。
そう考え付くと、望は少しだけ肩を抱く力を強めた。
より、少女との距離が縮まる。
霧も遠慮する事なく、その身を寄せた。
時の流れを早く感じれば、その時間の終りを恐れる。
239機織。:2008/05/04(日) 14:07:36 ID:fBk9hE4w
当然、必然、偶然。

死を恐れるのは当然。
死が訪れるのは必然。
二人が出会ったのは偶然。
せめて身が滅びるまでは。
心も精神も崩れる前には。
二人、寄り添って生きていきたい。
それだけを望み生きていく。
それ以上は望まない。
それ以下は望まない。
二人離れずに、生きていきたい。
その強い決意、信念は機織の鳴き声と共に心に染み入った。
二人動く事なく、そのまま。
会話は無い。
只、抱き寄せる力だけが変化していた。

夜は明けたのか。
厚い雲に覆われた空は、太陽が確認出来ない。
可愛い寝息を吹き掛けながらも、望は物思いに耽ていた。
もし、自分が死んだら。
彼女はどうするだろうか?
もし、彼女が死んだら。
自分はどうするだろうか?
堂々廻りの議論は、脳内に疲れをもたらした。

(少し、散歩でもしてきましょうか…)

幼い寝顔を眺めながら思い付いた。
霧に付いてきて貰うかどうか。
起こすのは可哀想だ。
しかし、独りにするのも。
望は、五分程考えて毛布から抜け出した。
少女を起こさないようにゆっくりと。
二人の生活には大きいだろう食卓に走書きでメモを残し部屋を後にする。
何のことはない。
結論は簡単に出た。
自分が、独りに成りたかっただけなのだ。
霧が外に出るわけがない。
だがしかし、未来の事など誰にも分からないものだ。
少し想像してしまう。
一度見た夢のように、外で霧が遊び回る光景。
そんな未来を、想像してしまう。
外は太陽が出る代わりに、時雨がぽつぽつと降り出した。
和風の傘を広げ、望は街に繰り出した。
朝方の冷え込みは、熱った望の脳には丁度良い。
本当に降っているか分からない程の零雨。
地を叩く音など微塵も存在しない。
無音の世界だ。
それは淋しすぎる世界で。
瞬時に気付いた。
彼女を其処に、置き去りにしたのだと。
思う程に体は動かなかった。
全速力のつもりだが、それは速歩きに過ぎない。
唯、道順だけは正しかった。
校門に着いてすぐに、校舎を仰ぐ。
240機織。:2008/05/04(日) 14:08:14 ID:fBk9hE4w
(まだ、起きていらっしゃらないようですね…)

宿直室の窓は暗いままで、生活感が感じられない。
霧が起きる前にと、歩を速める。
校庭を駆け抜け、昇降口に着く。
傘を折り畳み、一息付ける。
水滴を落とし、自らが作り上げた模様に目を向ける。
冷たいコンクリートに、冷たい雨が。
滲みながら吸い込まれてゆく。
そうして視線を動かしていると、ある物が目に入った。
それは、機織だ。
しかし、その機織は既に生命の燭を亡くしてるのか、ぴくりとも動かない。
無惨に横たわり、触角を垂れ下げている。
どうやら、雨に流されてきたようだ。
望は、宿直室を目指そうとした。
こんなものに構う余裕は無いのだ。
そう、無い。
無いのだが何故か。
望は目を離せなかった。
静かに、淋しそうに。
横たわっているだけ。
なのに、それは。
自分の自殺未遂よりも明確に、死を痛感させた。
何故か分からない。
理由は必要ないかも知れない。
只、死を実感させた。
より、死が身近な物に感じる。
思い立った望は、走り出した。
走って、走って。
機織から遠ざかった。
或いは、死から逃げようとした。
息を切らせながら宿直室の扉を開ける。
立て付けの悪い扉は、派手に音を立てて開いた。
霧は起きていたようで。
その音に気付かないわけがない。
毛布を揺らしながら望に近付く。
その手にはタオルが握られており、大事そうに抱えている。
241機織。:2008/05/04(日) 14:09:35 ID:fBk9hE4w
「…大丈夫?どこ行ってたの、先生?」
「少々、散歩に…」
「お風呂、沸かしてるよ、入る?」
「…すみません、小森さん」

タオルを渡してくれるのかと思いきや、頭から被せられる。
と、為す術もなく髪を掻き乱された。
少し背伸びをし、少し背を屈める。
二人の距離が一気に縮まる。

「それなら、着替え用意するね」

寒くない程度に水滴を取ると、霧は離れようとした。
特にそうしようと思ったわけでも無いのだが、望はそれを引き留めた。
離れてゆく手を握り締め、そのまま引き寄せる。
先程目にした切ない瞳。
本能的に言葉が口を出ていった。

「小森さん、一緒に入りませんか?」


今二人は、狭い浴場に身を入れている。
顔を紅くさせながらも霧は返事を返した。
只、一度首をもたげただけではあったが。
確かな意思表示だった。

「朝からお風呂なんて、贅沢だね」

望を目の前に座らせて、霧が楽しそうに語りかけた。
成人男性標準的な体格の望の背中は、霧からすれば十分に大きい。
その背中に、タオルを当てて擦りあげてゆく。
石鹸の泡が表面を占拠する。
時折見える白く柔らかな肌。
だが、望はそれに触れたいと思わない。
昨日の晩から脳を駆け巡る疑問が、重く乗し掛るのだ。
自分が死んだら、どうなるのか?
少女が独りに成ってしまうのか。
それは、少々傲慢な考えの気もしたが、恐らく、そう間違ってはいないはずだ。
あの淋しい世界に取り残される。
彼女が独りで。
生きていくのか。
胸が、締め付けられた。
242機織。:2008/05/04(日) 14:10:08 ID:fBk9hE4w
「小森さん…」
「んー、なぁに?せんせぇ」

嬉しそうに、いや、楽しそうに背中を流してくれる霧に話し掛ける。
作業を止めずに、そのまま問い返してくる。
だから望も、そのまま話を続けた。

「…先生、決めましたよ」
「何を決めたの?」
「もう、死にたがるのはやめにします…」
「え…!?」

動きが止まる霧。
しかし、その言葉には確かにそれだけの驚きが備わっている。
絶望先生が死にたがらない。
これはもはやタイトルを変えるしかない。
そんな状況に陥ったのだ。
だから霧は、必死に止めた。

「ど、どうしたの、急に…?何かあったの?」
「はい、実は…」

望は全てを話して聞かせた。
色々な想いが詰まった話だった。
霧を独りにしたくないという話がメインだったが、機織の事も思い出していた。
機織は死にたがったのだろうか?
動物は死ぬその時まで、自分の死を知らない。
なら、機織は生きようとしたはずだ。
この世界には生きたくても生きていけない生命がある。
そして、死がとても身近な物だと感じられた。
全てを話して聞かせた。
霧は黙って聞いてくれた。
無駄な相槌を打つこともなく、静かに耳を傾けた。
まるで、機織の鳴き声を聞いているかのように。

「というわけです。…理解して頂けたでしょうか?」
「うん…」

霧は話が終わると、止めていた両腕を動かし望に抱き付く。
いや、望を抱き締めたのだ。
豊かなバストを押し付けながら望に語り返す。
243機織。:2008/05/04(日) 14:10:46 ID:fBk9hE4w
「先生はやっぱり、凄く優しいんだね…」
「そうでしょうか…」
「うん…、優しいよ。」
「ありがとう、ございます…」
「だけどね、…死にたがるの悪い事じゃないと思うよ…」
「…!?」
「先生の言う通り、生きたくても生きていけない人が一杯いるけど…」
「…」
「死にたいと思う人は、そう思うなりの事があるはずだから…」
「…」
「それは、否定出来ないよ。思想は多分、自由なんじゃないかな?」

まさか、自分の教え子に諭されるとは。
教師人生の中でもかなり珍しい事象だ。
目から鱗がボロボロ落ちる。

「そうですね、確かに…「だから!」

これまた珍しい事象だ。
霧が望を制し、言葉を重ねる。
より体を密着させ空間をなくしてゆく。

「私が先生に死んで欲しくないって思うのも、自由だよ…」

次に目から落ちたのは鱗ではない。
もう少し温かくて、人情的なものだ。
何だかスッキリした。
独りで悩んでいたのが馬鹿らしい。
二人の考えは何ら変わらない。
互いに生きていて欲しい、という簡単なもの。
唯、それだけ。
それたった一つなのだ。
244機織。:2008/05/04(日) 14:11:35 ID:fBk9hE4w
とりあえず此処までです…orz
245名無しさん@ピンキー:2008/05/04(日) 14:13:59 ID:nl32NZvS
リアルタイムで気付いたわw

とりあえずGJと言わせて戴こう!
246名無しさん@ピンキー:2008/05/04(日) 14:40:56 ID:mQ1Gebky
>>244
待ってました。後編も期待いてます。b
247名無しさん@ピンキー:2008/05/04(日) 14:52:46 ID:mQ1Gebky
う〜ん、誤字
248名無しさん@ピンキー:2008/05/04(日) 16:01:33 ID:2kaYGd3B
>>244 GJ!!後半が楽しみだ
249名無しさん@ピンキー:2008/05/04(日) 21:02:37 ID:dNUPnwXv
>>235
最高でした
自慰見られるシチュエーションが大好きな人ですみません
250名無しさん@ピンキー :2008/05/04(日) 21:24:01 ID:t7XxeLKD
職人さんGJです!

>>235
ぐあぁ、読んでて悶絶しました。めるめる好きにはたまりませんな〜。
251名無しさん@ピンキー:2008/05/04(日) 22:40:53 ID:W81sYJcM
>>244
GJ!
後半楽しみに待ってます


これからだッッ
望霧はここからだ!!!
252投下予告:2008/05/05(月) 00:11:11 ID:YYFQINQ4
投下予告 15レス

霧可符香×望

以下注意点
キャラ崩壊 エロは軽い自慰のみ
痛い和歌が2首ついていますが、生温くスルー願います。
和歌の作法とかは詳しくないので、御免なさいという他ないです。
保管庫への収蔵はとりあえず保留でお願いします
2531/15:2008/05/05(月) 00:12:29 ID:YYFQINQ4
「できたあ」

ぬばたまの 夜雨に籠る わが恋は 霧さえ渡る 望月の君 

(意味:私の恋は、夜の雨のとばりに隠れているようだよ。
満月(=望月)さえ出て来てくれれば夜の霧も冴えわたって光り輝くのになあ )

「うーん、ちょっと強引すぎるかなあ」
 霧は、少し伸びをすると、自分の詠んだ和歌を見直した。
 和歌は、七夕のときに使った短冊の残りものに書かれている。
 なれない筆ペンを使ったせいか、少しバランスの悪い文字になってしまっていた。

「これ先生に、見せたら何て言うだろう……」
 霧は望月の君たる、想い人の顔を思い浮かべた。細身で色白の彼は、いわゆる世間的な男と
しての魅力は、欠けるだろう。しかし、そのどこか儚げな様子がクラスの女子生徒、もちろん
そこには霧自身も含まれている――を惹きつけてやまないのだ。
「あ……っ」
 内部から溢れるものを感じ、霧は小さく呻いた。赤くなって、ジャージのズボンの中に手を入れる。
 そこはすでに蜜を含んで潤っていた。ショーツがねっとりした糸を引いて肌に張り付いている。
「濡れてるよ……」
 いろいろと妄想しながら苦吟しているうちに、濡れてしまったらしい。肌もしっとりと熱を
帯びている。霧は、少しためらいつつも、茂みを掻き分けて、中指を慎重に秘密の部分に沈めた。
中をゆっくりとかき混ぜつつ、親指と人差し指で秘裂のまわりを何度も擦りあげる。

「ああ、だめだよ。そこは……先生……」

 妄想の中で、糸色望が霧の大事な部分を嬲り、その度にじわじわと甘い熱が体の奥に広がって
いく。もう一方の手を、鼓動を速めている自らの胸に押し当てた。
 服の上から最近とみに目立つようになってきた柔らかな乳房をもみたてる。
「あ…ああ……っ」
 指の動きが次第に早くなる。

 切なげに涙に濡れる霧の目が、突然「ある物」を捉えた。洗濯物の籠。勉強の後片づけてし
まおうと考えていた洗濯物がその中には溜まっている。そして、その中の白い布きれが霧の
視線を釘付けにしていた。先生のふんどし……喉がごくりと鳴った。
 いけない。そんなのいけないよ……そう思いつつ、止められない。
 洗濯カゴの前まで這って行くと、ふんどしを手に取った。微かな異臭がする。しかし、霧に
とってそれはどんな香水よりも甘美な香りなのだ。
そのまま、顔に近づけていく……。
2542/15:2008/05/05(月) 00:13:14 ID:YYFQINQ4

「ここでお約束のガラッですよ」
「ひゃあっ」
 突然、宿直室のドアが開けられ、霧は飛び上がった。洗濯物を投げ出すと、ジャージから
手を抜く。だらしなく垂れ下った毛布をかきよせ、素早くくるまった。まさに秒速の動きである。
 ウィンドウの最小化を覚えた中学生よろしく、平然を装って後ろを振り向く。
「あ、開けないでよ!!」
 視線の先にはきょとんとしている和装の少年が立っていた。

「な、なんだ、交君か」
「なんだって……酷いなあ。霧姉ちゃんに頼まれてた買い物をしてきたのに」

 和装の少年―糸色交は、少し頬を膨らませながら、部屋に入るとスーパーの買い物袋を
床に置いた。中から、緑色や橙色の野菜その他飲料水などを取り出すと冷蔵庫へ入れ始める。
 霧はその間に、熱くなっている吐息をなんとか整え、ジャージの乱れを気づかれぬよう直す。

「お約束のガラッって何よ」
「さっき、廊下で可符香お姉ちゃんと擦れ違ったんだけどさ。
そう言ってドアを開けなさいって。何だったんだろう」
「そ、そっかぁ。何だろうね」

 もしかして、可符香に見られたのだろうか。霧の額に冷たい汗が流れた。
 可符香とは、霧のクラスメイトの1人であり、親しくしている友人である。クラスでも
1、2を争う美少女なのだが、言動に癖があり、多くの生徒が苦手としている。
 交は、買い物の成果をしまい終えると、霧のほうに寄ってきた。
「何してたんだ?」
「お勉強だよ。古典の課題で、和歌っていうのを1首作りなさいって先生に言われてるんだ」
「ふーん……」

「これか?」「あ、こら!」
 霧の手元からひょいと、和歌の書かれた短冊を取り上げてしまう。
 人に見られたくないと思うと同時に、見て褒めてほしいと思ってしまうのが、人の心の機微
であろう。和歌の感想を5歳児に求めるのは間違っていると知りつつ、霧は少し期待をこめて
交を見た。
「ど、どうかな?」
「これ……日本語でおk?」

グリグリグリ…

「……この口なのかな?生意気なこと言うのは?」
「ひちゃい、ひりおへえはやん やへれ」
2553/15:2008/05/05(月) 00:14:01 ID:YYFQINQ4
 ぷんすかしながらも、霧は交の頬を抓っていた手を離してやる。
 微かに赤くなった頬を交は、手で挟んだ。
「いってーーっ」
「まったく。交君には、まだ恋の機敏を知るには早いんだね」
「子供扱いするなよっ!」

 この年頃の少年というのは、とかく大人扱いに憧れるものであろう。交は不服そうな顔を
した。霧はその様子に少し目を細めて、交に顔を近づけた。
密かに憧れている女性の接近に、交は少し顔を赤らめて顔を引く。
「じゃあ、この和歌の意味わかる?」
 交は神妙な顔で和歌を読み直した。

「ポロロッカ語でおk?」

グリグリグリ…

「やへれ やへれ」
――このお子様にはいつか思い知らせてやらねばなるまい。
 霧が交への恨みを『長恨歌』(端に「先生とおそろい」などと書かれている)に書き留め
ていると、交が聞いてきた。
「じゃあ、どういう意味なんだよ」

 霧は頬をぽっと赤くした。
 考えてみれば、他人に語るには少しばかり恥ずかしいことである。
 それに、和歌に込められた想いの丈を言いつのるには、時間がいくらあっても足りないだろう。
 だから、霧は簡単でかつ的確な表現で済ますことにした。

「これはね、私が先生のことを好きで好き堪らないっていう気持ちを表したものなんだよ」
「ふーん……」
「これは、秘密なんだよ?」
「分かったよ」
 交は、たいして面白くもなさそうな顔でそっぽを向いてしまった。
「あれー?ヤキモチ?」
「そ、そんな訳ないだろ!」と、さらに顔を赤くして否定する交に、霧はくすくすと笑った。
 霧がからかおうと口を開きかけたとき、控え目な調子でドアがノックがされた。

コンコン
2564/15:2008/05/05(月) 00:14:50 ID:YYFQINQ4
「はい。どうぞ?」
 交君もこうやって入ってくれればいいのにと思いながら、霧が返事をする。
 カラリとドアが開かれると、そこにはクラスメイトの音無芽留が立っていた。

「あれ、どうしたの?」
 芽留は、少し恥ずかしそうに俯いた。小さな肩を擦り寄せてもじもじしながら、メールを
打つ。めるめる…めるめる…ぴろりぱろぴりぽら♪
 芽留からの着信を受けて、霧は携帯を確認する。
『あのハゲに プリント届けに来た』

「そっか、先生すぐに戻ってくると思うけど。少し待つ?」
 霧が言うと、芽留はコクンと頷いた。
 芽留が部屋に入ったとたん、甘いミルクのような砂糖菓子のようなふわふわした匂いが
漂ってきた。ちょこんとちゃぶ台の前に正坐して、携帯をいじり始める。
 霧は隣で毛布にくるまりながら、その横顔を見詰めた。
――芽留ちゃんは、可愛いねえ。
 柔らかそうなほっぺは、白い桃のようにピンク色に透き通っている。
 未完成の顔立ちは、ちょっと子供っぽいもののその手のマニアには垂涎ものだろう。
 時々こぶしを手に当てて恥じらう動作をするのが、なんとも愛らしい。

 ふと、霧は、芽留という存在が自らの恋敵を記した『らいばるのうと』に記載されていない
数少ないクラスメイトであることを思い出した。
 芽留は望から割合贔屓(ひいき)にされているのだが、なかなかフラグが立たないのだ。
 でも、油断は禁物だよ、と霧は自分を戒める。
 あの先生のことだもん。いらぬ一言でコロッと女の子を丸めこんじゃうんだから、と。
 しかし、自らに掛けられた「死にたくなったら、まず先生に言いなさい」の殺し文句だけは
いらぬ一言ではないと思っているのだから、女の心の内は都合がいい。

 霧が空想の世界に籠り始め、このまま静かな時が経って行くのかと思ったとき、突然交が
芽留に声をかけた。

「なあ、芽留お姉ちゃん聞いてくれよ!霧姉ちゃんが、アイツのこと好きで堪らないんだって!」
「!?」
 ちょっと?交君?いきなり何を?…霹靂のような、交のカミングアウトに、霧は飛び上がった。
 しかし、交はまるで気付かずに、さっき取り上げた霧の力作を芽留に見せた。
「こんな変な日本語を書いちゃうくらいだから、もう病気だよ!どうすればいいんだろ」

――キミは何故……ソウイウコトヲ……バラシテルノカナ?カナ?
2575/15:2008/05/05(月) 00:15:51 ID:YYFQINQ4
 霧の細い眉毛がきゅっと吊りあがる。どうやら、座敷わらし症候群の発症の前兆らしい。
 ところが、芽留はふんと鼻で笑うと、澄ました顔でとメールを打って、ディスプレイを
交に見せた。
『とっくに 知ってるぜ オセーヨ ボケ』
「あれ、そうなのか。なーんだ」
 あぁ、もう知られていたんだ、と霧は少し恥ずかしくなった。しかし、そうだろうなとも思う。
 自分で言うのもなんだが、霧はかなりアピールしてきたつもりだ。それは、鈍感男には気が
付かれなくとも、周りの女生徒達には明白だったのだろう。

「じゃあ、この意味わかる?」
 芽留は、交が差し出した霧の和歌が書かれた短冊をチラりと見た。
『食肉花でおk?』

グリグリグリ……

「……っ……ぅ!!」
『テメー なにすんだ!!』
 芽留は涙を浮かべつつ、携帯ディスプレイを高く掲げて抗議した。
 霧は慌てて、芽留のほっぺを抓っていた手を離す。
「あ、ごめん。つい、交君と同じ扱いを……」
『コロスコロスコロスコロスコロスコロス』

 ぷんぷん怒っている芽留を見つつも、霧は少しホッとしていた。
 望の恋愛の話題に、芽留が興味を示した様子がないからだ。

「芽留ちゃんは、好きな人とかいないの?」
『あんま キョウーミねーな』
「久藤君とかは?」

 久藤は同じクラスの男子である。
 ハンサムで優しく、考え方も至極まともであることから、クラスでは一番のモテ男である。
 しかし、芽留はちょっと肩をすくめて興味がないことを意思表示した。
 芽留としては、久藤に比べれば、臼井の方がまだ興味の対象である。
 もちろん、ハゲ的な意味でだが。

『男には もうウンザリだ』
「そう……なんだ」
2586/15:2008/05/05(月) 00:16:28 ID:YYFQINQ4
 こう聞くと、読者諸兄にはあたかも芽留が男性を良く知っているかのように聞こえるだろう。
 しかし、言うまでもなく芽留は男性経験どころか、男と手すら繋いだことはないのだ。
 芽留は携帯を使って、様々な2次元媒体にアクセスしてきた。某エロパロスレに携帯小説を
投下して、フルボッコにされたことすらあるのだ。このように2次元による疑似体験を重ねると、
なんだか知ったような気になってしまい、自己完結して3次元に興味を失うことがある。
 その結果……めるめる…めるめる…
『男なんて みんなガキだぜ すぐウホッと か言い出すしな』
「そっかあ」
 このような事を言い出す処女娘が出来上がるのである。

 それはともかく、霧は芽留こそは絶好の相談相手ではないかと思い、話題を振って見るこ
とにした。

「先生と両想いになるには、……どうすればいいかな……?」
 芽留は、少し驚いた顔で霧を見たが、すぐに困ったような顔つきに変わった。
めるめる…『どうって… 告白でもしろよ』
「告白かぁ……でも、たぶんうまくいかないよ」
 霧には分かっていた。望は生徒との恋愛は受け入れないだろうということを。
 好きとか嫌いとかそういう問題ではない。望は、生徒を恋愛対象とすることを頑なに拒んでいる
のだ。それが、世間体を気にしてのことなのか、それとも他の理由があってのことなのか、
霧には良く把握できていなかった。

「よし!俺が協力してやるよ!」
 交がすっくと立ち上がると、大げさな動作で胸を叩いた。
 霧はふふふと微笑んで、ありがと、と言った。
「なあ、お姉ちゃんも一緒に協力してくれよ!」
 交は、霧に礼を言われたのが嬉しかったのか、芽留も勧誘し始めた。
 芽留は大きな黒目をパチパチさせていたが、すぐに携帯を取って文字を打ち始める。
『メンドクセー』
「なんでだよ。いいじゃんか」
 交は簡単には諦めず、あれこれと言い募っている。
 しかし、芽留は首を縦に振らない。他人の恋に無暗に口を出さないのが、賢明な高校生の
処世術である。

「ふーん、つまり芽留お姉ちゃんには大人の恋なんて分かりっこないってことだな」
「……?」
「無理しなくていいぜ。まだまだ子供だもんな」
2597/15:2008/05/05(月) 00:16:57 ID:YYFQINQ4
 交は、慰めるかのように芽留の肩をぽんぽんと叩いた。
「そのうち、大きくなるさ。小学生用のブラを付けれるようになるまで頑張れ?」
「……っ!?」
 芽留のあどけない顔がさっと朱に染まった。
『キ、キサマ……』
 芽留は、怒りに震えて携帯を操作し始めた……世にも恐ろしい罵詈雑言が並ぶ。
 しかし、携帯を打っていた指を途中で止め、「ふぅ」と溜息を一つついた。
 今まで打っていた文字をクリアし、めるめる…と新しく文字を打っていく。

『そこまで言うなら 手伝ってやる』
「本当か!?さすが、高校生!」
『チョーシに乗るな』

 少し苦笑ぎみの芽留も、言うほど嫌がってはいないようだ。霧は思わぬ展開に、目を
ぱちくりさせた。交君、君は人材登用のスキル持ちかい?と呟く。
 先ほども触れたが、何故か望はモテル。クラスの女子生徒のほとんどが彼を奪い合っている
のが現状だ。ここは1人でも味方が欲しいところである。
 籠りきりで、外界に干渉できない霧ならなおさらだ。

「じゃあ、協力してもらってもいいかな……?」
『ケータイの 孔明と呼ばれた このオレに まかせておけ』
「なんて読むんだこれ」
「『こうめい』だよ。中国の頭のいい人の名前だよ」

 その後、作戦会議で用意するお菓子について熱心に相談をする2人を見て、なんだか、
子守をする対象が増えただけではないかと霧は思ってしまうのだった。
◆◇◆◇
2608/15:2008/05/05(月) 00:17:27 ID:YYFQINQ4
朝――
 望が寝ぼけ眼で起きてくると、すでに朝食の用意が整えられていた。
「おお、今日は秋刀魚ですか。豪華ですね」
 望は嬉しそうにちゃぶ台の前に座る。さっそく箸を取り、秋刀魚に付けられている大根おろし
に醤油をかける。秋刀魚の身を器用にほぐすと、大根おろしと一緒に口に運んだ。
「これは、美味です……!」
 口に広がる旨味。望は思わず目を細めた。

「せーんせ。明日からの着替えここに置いておくね」
 霧が台所から顔を出して、居間のタンスの傍に和服一式を揃えて置いた。
「いつも悪いですねえ。自分でやろうやろうと思っているのですが、つい」
「ううん。私、家事好きだから。気にしないで」
 そう言うと、霧は望とちゃぶ台を挟んで向かい合う位置に座った。

「そうですか、すみませ……ん……」
 望は目を一瞬疑った。
 霧の毛布の隙間から、ブラジャーのようなものが見えた気がしたからである。
 霧はいつも通り、暖かそうな毛布をくるりと巻いて、体育座りをしている。
 そして、いつも通りであれば毛布の下にジャージを着ているはずなのだ。
 疲れているのか、と眼鏡を外しごしごしと裾で拭く。
 そして、眼鏡をつけ直すと、何事もなかったかのように白飯を口に運んだ。

「今日は寒いねえ」
 そういうと、霧は少し身じろぎをした。
「そうです……ね……!?」

 今度は毛布から、霧の裸の肩がはみ出ているのが見えた。
 白い肌にほんのり赤味がさしているのが、なんとも艶っぽい。男なら、だれもが呻くような
扇情的な光景である。望とて例外でなく、思わず秋刀魚の骨ごと唾を飲み込んでしまう。
 そればかりではない。華奢に見える鎖骨からなだらかな曲線が、膨らみに向けて美しい
カーブを描いている。むろん、膨らみは見えない。しかし、2つの膨らみが作る見事な
谷間が毛布の隙間から覗いている。

「こ…小森さん……、あの……ジャージは……」
「なあに?」
「い、いえ。何でも……」
2619/15:2008/05/05(月) 00:18:18 ID:YYFQINQ4
 望はできるだけ霧のほうを見ないようにして、飯に集中した。せっかくの好物なのに、
味がいまいち分からない。男の性か。ついつい、目の端で霧を捉えてしまう。
 冷汗を垂らしている望に、霧は無邪気な調子で話しかけた。

「せんせ、今日の朝食はどうかな?」
 思わず顔を上げた望の視界に、真っ白なモノが飛び込んできた。
 霧が正面を向いたのに合わせ、毛布の隙間から純白のショーツがバッチリと見えたのだ。

「げえっ!パンツ!!」

 望は、慌てて朝食をかっ込むと、御馳走様と叫んで宿直室を飛び出した。
「チラリズム社会に絶望したあぁぁぁ……!!」
 ドップラー効果よろしく、声がだんだんと遠ざかっていくのだった。
……

「ちょっと、大胆だったかな……」
 霧はそっと毛布を下に落とした。
 毛布の下には、魅力的な肢体が隠されていた。男好きのする肉体とはこのようなものを
言うのだろう。透きとおるような白い肌。腰はくびれ、腕も足も小ぶりでありながら、
胸とお尻は肉感的に熟れていた。そして、その熟れた豊かな部分のみが白いレースの布で
覆われていた。そう、霧は毛布の下ににブラジャーとショーツしか着用していなかったのだ。

 昨日の夜、霧は、1通のメールを受け取った。それは、『件名:明日の作戦』というもので、
本文には『女を アピールして ハゲを意識 サセロ』とあった。
 より具体的には、肩を出したり、下着をチラチラ見せて悩殺するというのが、本日の
作戦内容なのだ。さすがにそこまでは恥ずかしくて出来なかったが。

「『げえっ』は酷いなぁ……白昼に関羽を見たような顔してさ…」
 でも、と霧は続けた。
「先生、意識してたよね……」
 霧の頬は嬉しそうにほころんだ。同時に今更ながら気恥ずかしくなる。

 あ……。霧が体を動かすと、内部からトロリとした液体が溢れたのが分かった。
 そっと、自らの股間に手を伸ばす。そこは、しっとりと濡れていた。
 先生に見られちゃっただけで、こんなに……。自分は濡れやすいのだろうか、と自問する。

「まさか、これは見られてないよね……」
 でも、もし見られてたら……?霧は、真っ赤になって毛布に顔をうずめた。
 朝一番の自慰が行われるには、そう時間がかからなかった。

※※※※
26210/15:2008/05/05(月) 00:19:05 ID:YYFQINQ4
「ん……なんですかこの迷惑メールの数は」
 職員室で授業の準備をしながら、望はうんざりとして自分の携帯を見た。
 同じような件名の悪戯メールがいくつも届けられているのだ。

07:02 baka  女は16歳から結婚可能(本文無し)
07:31 ahoo 【真実】某県における、教師と卒業後の教え子との結婚率の高さ
07:58 hage 【生体験】女教師チエの童貞ハゲ緊縛物語
08:03 boke 【みんな】現役教師の食った女生徒自慢話【やっている】

 3つ目の奴は少し気になるな等と呟きつつ、メールを消去していく。
 ピロリパロピロ♪携帯の着信音が新たなメールの到来を告げた。まわりの教師達が非難する
ような眼で望を見たが、彼は気にならないらしい。
 また悪戯かと、ややイラつきながら、ディスプレイを見ると、発信者:音無芽留とある。
「なんだ、音無さんですか」
 教え子からのメールに、望は携帯を不器用に操作して内容を確かめた。

『オイハゲ 携帯小説 書いたぞ ヨメ

「先生、好きです」
生徒が告白してきたので、先生はいった。
「俺も俺も」
「うれしーです」
「とりあえず、すべてを委ねるんだ」
と、僕は言った
「きゃーvvv」
先生「ほれほれ、先生のアソコはどうだい」
生徒「あーん」
数時間後ー
「先生、妊娠しちゃったーvvw」
「結婚して^^」
2人はその後、幸せに暮らしました。めでたりめでたし

「しょぼ!!絶望したっ!教え子の国語力の低さに絶望したっ!」


「んー……」
『1人称は統一しましょう 今度 先生と同人誌を書きますか?』などと打たれた返信
を見つつ、芽留はちょっと悩んでいた。
 芽留は、望がそもそも生徒を恋愛の対象としていないことを何とかするべきと考えていた。
 しかし、さすがに悪戯メール連打くらいでは、望の意識が変わるはずもない。
 あれほど多くの女学生に追い回されながらも、受け入れを拒否しているのだから、
意志はかなり固いだろう。もっと、手を考えなければならない。
26311/15:2008/05/05(月) 00:20:00 ID:YYFQINQ4
「芽留ちゃん、どうしたの?」
 突然声をかけられて、芽留は携帯から顔を上げた。そこには、クラスメイトの風浦可符香が
立っていた。ヘアピンをX字にして前髪を止め、つややかな後ろ髪はショートでまとめている。
「なんか、悩み事?」
「…ん……」
 芽留は少し迷った顔をした。霧の恋作戦を打ち明けてよいものだろうか。

 しかし、霧が望を好きな事はすでにクラス中に知れ渡っていることである。それに、霧と
可符香はクラスの中でも仲がいい。当然、可符香は霧に協力をするだろう。
芽留はそう結論付けた。

 可符香は、芽留の話を聞いて何度も頷いた。
「もちろん、私も協力するわよ」
 芽留が、さしあたっての目標は、望に生徒を恋愛対象として認識してもらうことだと告げる
と、可符香もすぐに同意した。
「じゃあ、こんなのはどう?」
※※※※

 授業中、それまで黙々と黒板に向って文字を連ねていた望は、ふところに入れた携帯が
震えるのに気づいた。発信者を見ると、音無芽留とある。

「まさか授業中に携帯小説を書いているのではないでしょうね……ん……ほほう」
 メールを読み終わると、望はくるりと生徒たちのほうを向くと、大声で叫んだ。

「皆さん、巷には『せいか主義』が横行しているのです!」

「は?」「また、突然何を……」
 毎度のごとく、突如としてオカシナ事を言い出す担任の教師に、生徒たちが呆れたような視線を
向けた。今日の授業の課題である『蟹鋼船』の精読とは、全く関わりがなさそうである。

「日塔さん、あなたは『せいか主義』を知っていますか?」
望は、生徒の中でも、もっとも普通そうな少女、日搭奈美を指して質問した。
「はぁ。成果を上げた人に報酬を高くする制度のことですか?」
「まぁ、普通の答えですね」
「普通って言うな!」

 眼尻に涙を軽く浮かべて、お決まりの抗議をする奈美。
 望はそんな奈美を完全に放置して、話を続けた。
「しかし、巷にあふれているのはそんな生易しいものではないのです!!あれを見てくださいっ」
 望の指の先に、生徒たちの視線が集まる。
 廊下に3人のアニメ品質管理者が、何故かたむろしていた。
26412/15:2008/05/05(月) 00:20:47 ID:YYFQINQ4
「あー。『みな●け〜おかわり』(※註 2007下半期の深夜アニメ)駄作だったな」
「オリジナルキャラクターのせいか」
「それとも、作画の崩壊具合のせいか?」
「スタッフが原作読んでないせいか?」

「なんだ、この台詞は……」
 髪を真ん中分けにしているロングヘアの少女、木津千里がげんなりと呟く。
 望は、千里の呆れたような言葉の調子に、我が意を得たりと頷いた。
「ああやって、何か問題が起こる度に『誰のせいか』と悪者を探そうとするのです!」

「確かにそういうところ、ありますね」
 相槌を打ったのは、小節あびる。感情を見せずに、淡々と続けた。
「ショッキングな事件が起きると、『アニメのせいか』とか言いだすコメンテイターとか
居ますものね」

「そうです。あれなんか『せいか主義』の発展形ですよ」
 望はツカツカと窓際まで寄ると、今度は窓越しに校庭を指差した。
 校庭には、何やらトーチを掲げた走者が走っているようだ。バトンのようにして、走者から
走者へトーチが渡されていく。

「オリンピックが混乱したのは、西側のマスコミ報道のせいか!」
「西側のマスコミが騒いでいるのは、チ●ットの動乱のせいか!」
「チ●ットで動乱が起きたのは、●国のせいか!」

「これぞ、『せいかリレー』!!」
「政治ネタは危ないですからっ!!」
 顔に縦線を走らせつつ制止する奈美に構わず、望は大絶叫した。
「『せいか主義』がはびこる世間に絶望したっ!悪者探しに邁進する世界に絶望したっ!」

 それまで嬉しそうな顔でやり取りを見ていた可符香が、さっと手を挙げて発言する。
「先生!先生が枯れてしまったのは誰のせいかな?」
「な!人聞きの悪い事言わないでください!私はまだ枯れてませんから!」

 望は、突然の指摘に思わずいきり立つも、自分のアソコが最近すっかりションボリな事を
思い出した。
「う、誰だろう……あの子のせいか?いや、あの人のアレを目撃してしまったせいか?」
「先生って、やっぱ若い頃はチャラチャラしてたんだね……」
 奈美が少しジト目で担任教師を睨む。
 他の女生徒も、様々に意味ありげな視線を望に集めてきた。望はそれには気づかず、何やら
ブツブツ言っていたと思うと、突然自己完結した。
「全てか!!この世の全てのせいか!絶望したっ!全てに絶望したっ!」
26513/15:2008/05/05(月) 00:21:31 ID:YYFQINQ4
「や、だ、な」
 ふわりとスカートを翻し、可符香が望の前にすーっと寄った。
 ぴっと人差し指を立てる。
「やだなぁ。全てではないですよ。先生が手を出してない女性層がいるじゃあないですか」
 望は、真剣な顔つきで腕を組んだ。
「誰でしょうか。私、結構男女のべつまくなしでしたが」
 女生徒達の視線がさらに突き刺さるように望に集まる。
 可符香は彼女らの視線に気づいてか気付かずか、手を大きく広げて、満面の笑顔を作った。

「生徒ですよ!生徒主義です!生徒を恋愛対象にすれば、枯れた木にも花が咲くかも!」
「生徒っ!?確かにそれは、今まで対象とすることを避けてきた層ですね」
「そうです。性活習慣病を直さねばなりません。先生は今、年高女劣(ねんこうじょれつ)
化現象が進んでいるのです!お年を召された方々よりも、今は若い子を先生は必要として
いるんです」
「わ、若い子を?しかし……」

 望の瞳に少し迷いが浮かんだ。その瞳を可符香がしっかりと見つめる。
「青い果実をもぎ取りましょう!生徒主義!青果主義!!」
「な、なるほど!生徒主義!青果主義!」
 有無を言わせないような可符香の調子に、望は思わずリピートしてしまった。

「……何、その主義主張」
 今日何度目かの縦線を走らせ奈美が呟いた。どうも、このクラスは普通じゃない。
 しかし、クラスの女性陣は次々と賛同した。

「可符香さん、あなたいい事を言うわね」
「先生……私なら、いつでも、もぎ取っていいんですよ……」
「若いのがいいなら、マリアだナ」
『ハゲは 霧タンポを抱えて 引きこもった ほうがいいぞ 直射日光で ハゲルからな 』
「しっぽ、しっぽ」
「生徒なら、男性でもいいんですよね!?」

 可符香は教壇の前に立ち、騒ぎ出したクラスメイト達に語りかけた。
「では、皆さん。ご一緒に!」
「生徒主義!」「青果主義!」「生徒主義!」「青果主義!」
「生徒主義!」「青果主義!」「生徒主義!」「青果主義!」
 このシュプレヒコールは、隣のクラスの担任が怒鳴り込んでくるまで続いたという。
……
26614/15:2008/05/05(月) 00:21:59 ID:YYFQINQ4
放課後――

「芽留ちゃん、うまくいったね」
 芽留は少し眠そうな顔で可符香を見上げると、めるめる…と携帯を打った。
『お前 相変わらず スゲーな』
「ふふふ、それほどでも」と、可符香はにっこり笑う。そして続けた。
「ねえ、芽留ちゃん。これからも協力するから、小森ちゃんの動きを私に教えてくれる?」

 芽留は少し小首を傾げた。
『これから 引きこもりと 作戦会議するから 来いよ』

「ううん。恩着せがましく成りたくないし。小森ちゃんにはナイショ。いい?」
 可符香はゆっくりと首を横に振った。芽留は目をパチパチさせたが、すぐにコクリと頷いた。
『オッケ お前 友達思いな んだな』
 可符香はそれを見ると、少しきょとんとした顔をしたが、すぐに微笑んだ。

「ううん、そんなこと、ないよ」
※※※※

「はーーっ、そんなことがあったんだ」

 芽留の報告を受けて、霧は感心したように溜息をついた。
 ただ、可符香が協力してくれたことは内緒にしてある。
 放課後、宿直室で霧陣営の3人はオヤツを囲む会……改め作戦会議を開いていた。

 芽留はお皿に盛られたタマゴボーロがお気に入りのようだ。
 さっきから、つまんでは食べ、つまんでは食べしている。

『小ネタだけどな 何度も繰り返せば ハゲのことだ 洗脳されるぜ』
「おじさんは、すぐ洗脳されるからな」
 交はちゃぶ台の下で足をパタパタさせながら、にやにやしている。

 次の作戦として、芽留は『アリアリ詐欺』作戦を提案した。
 髪型を変えて『アリアリ詐欺の被害者』を装い、望に色々と『アリアリ詐欺の実態』
について吹き込む。その結果、『教師と生徒の恋愛はアリ』という結論を導き出こうと
いうのである。
 実はこの作戦。提案者は可符香なのだ。しかし、可符香はあくまでも自分の名は伏せてほしい
ということで、芽留もそのことを霧には告げなかった。
 霧に異論はなく、数日後に決行することが決まった。

『案外 すんなり いきそーだな』
 芽留は楽観的な顔をした。
 霧の脳裏に、今朝の光景が浮かぶ。望は確かに、霧の裸身に、下着に反応していた。
 霧はぽっと顔を赤くして、「そうだといいな」と頷いたのだった。
◆◇◆◇
26715/15:2008/05/05(月) 00:22:43 ID:YYFQINQ4
ギシリ、ギシリ
 不快な木と木が擦れ合う音とともに、寝台が細かく揺れていた。
 微かに揺れるカーテンの合間から淡い月光が降り注ぎ、ベッドの上の白い裸身を浮かび上がら
せる。今宵は満月である。その月の光の下で、可符香は慰み事に耽っていた。
「あぁ……はぁん……先生……」
 ピンク色の清潔な寝巻きの胸元はしどけなくはだけられ、乳房が零れている。細見の体に
似合わず、胸は豊かな曲線を描いていた。その最高の弾力と肌ざわりの毬を、可符香は惜し
げもなく揉みしだき、こね回す。もう一方の手は、薄桃色の花弁を焦らすように優しく摩って
いた。そこはすでに蜜でしとどに垂れ、光沢を放っている。

「あぁ……先生……。あ……ああ」
 可符香の形のいい唇が、熱く、切ない吐息を吐き出した。黒い瞳は甘く濡れて煙っている。
 可符香の脳裏では、望はレイプ魔になっていた。いつものヘタレ振りはどこへやら。
嫌がる彼女を四つん這いにし、一方的に後ろから欲望を叩きつける。

「はぁ、はぁ、先生……酷い……ですよぉ……あぁああ」

 可符香は不思議なものだと、思うのだ。自分が弄んでいるこの蜜壺の奥にある処女の証は、
これまで幾度となく破滅の危機を乗り越えてきた。多くの男が純潔を奪い、汚そうと挑み、
襲いかかってきたのだ。ある者は一時の欲望のため、ある者は金のため、ある者は一方的な
愛のため。しかし、その度に可符香はその知略を尽くして純潔を守り通してきたのだった。

「あ、あぁん……いぃ……」
 それが今、自分から純潔を奪われたい、汚されたいと願っている。まだ誰も踏み入れた
ことのない秘密の場所を、無理やりにでも蹂躙されたいと心の底から熱望しているのだ。
 陰核を切なく擦りあげ、涙に暮れながら喘ぎを漏らすほどに。
 洪水のように蜜液をぽたぽたと垂らし、シーツをべっとりと濡らすほどに。
 愛する男に犯されたいと、狂おしいほどに想ってしまうのだ。

「はぁ、はぁ、はぁ」
 快楽の波が過ぎ去ると、可符香はぐったりとしてベッドに身を預けた。
 ぼんやりと窓から見える満月を眺める。『彼女』も今頃、火照った体を、身を切るほど切ない
想いを、持て余して自ら慰めているのだろうか。
 可符香はそっと詠んだ。

望月の 照らす心は 黒々と 霧に隠れば 色も変わらず

(意味:満月の光に照らされると、私の心の影が濃くなっていくようです。
26815ラスト一行補足/15:2008/05/05(月) 00:23:41 ID:YYFQINQ4
いっそ月が霧に隠れてしまえば、影の色が濃くなることもないのでしょうか)

269終了宣言:2008/05/05(月) 00:24:26 ID:YYFQINQ4
投下終了
過去作品はチェックしてないので、もしネタがかぶっていたら、申し訳ないです。
270名無しさん@ピンキー:2008/05/05(月) 01:19:45 ID:6OA9hsK1
>>269
原作っぽくておもしろい。芽留と霧って組み合わせが新鮮でした。霧ちゃんかわいい
271名無しさん@ピンキー:2008/05/05(月) 01:20:38 ID:6OA9hsK1
sageるの忘れたorz
272名無しさん@ピンキー:2008/05/05(月) 03:05:49 ID:jgS8HaPm
>>269
真昼氏?
273名無しさん@ピンキー:2008/05/05(月) 03:22:55 ID:uoOhDgqM
>>422
誰もお前とは会話してないから安心しろ
274名無しさん@ピンキー:2008/05/05(月) 12:29:27 ID:MexEzvVn
>ハゲ的な意味で

ワロタwww
275名無しさん@ピンキー:2008/05/05(月) 13:05:26 ID:mQamzVOW
>>273こそ誰と話してるんだ?
276名無しさん@ピンキー:2008/05/05(月) 14:25:50 ID:UyCe7uZ2
未来人に決まってるだろ
277名無しさん@ピンキー:2008/05/05(月) 15:06:04 ID:MexEzvVn
お前ら止めろよ!羽美ちゃ……>>273さんが傷付いたらどうするんだ!
278名無しさん@ピンキー:2008/05/05(月) 15:41:21 ID:mQamzVOW
ごめんよ>>273
ついキッチリとツッコミを入れただけなんだ
279名無しさん@ピンキー:2008/05/05(月) 19:38:19 ID:P3wQC9Of
>>422に期待せざるを得ない
280名無しさん@ピンキー:2008/05/06(火) 23:57:45 ID:9Sb2sB/B
>>235
亀レスで悪いけど、文章中の望の表現を「先生」じゃなくて「望」ってした方がいいと思う
生徒の一人称での文中だったら違和感無いけど、第三者型の文章だと違和感が出てくるから
281名無しさん@ピンキー:2008/05/07(水) 01:14:44 ID:Bf3lQ5be
自分は違和感ないけどなあ。
三人称視点で「先生」や「警部」を使っている小説もあるし。
282機織。:2008/05/07(水) 19:36:24 ID:7ld4hQyo
>>223の続きです
相変わらず自己完結してますが、そこはスルーで
283機織。:2008/05/07(水) 19:37:29 ID:7ld4hQyo
「小森さん、変わりましょう…」
「え?あっ…、うん」

頬を濡らす雫は見られたくなかった。
誤魔化すために、自らにお湯を掛けてから霧の方に向き直す。
先程までは何とも無かったのに。
突然、少女の背中に興味が湧いてくる。
ヴィーナスのように白く、美しい。
一片の穢れも無い、まさに大理石の滑らかな肌。
しかも、とても子供とは思えない艶めかしいボディライン。
隠すことも無く、喉を鳴らしてしまう。
タオルを押し当てて、軟らかく擦るように気を付けながら綺麗にしてゆく。
普段、自らを洗うようにしては駄目だろうと考えて、慎重に。
もはや擦ると言うよりは、なぞる。
そう表現した方が良いだろう。

「あははっ、せんせぇ、くすぐったいよ」

霧が与えられる感覚から逃れようと身をくねらせる。
少女はそんなつもりは無かっただろうが、その動き。
あまりにも妖艶で、望への刺激に変わる。
それに耐え切り、何とかお湯で背中を流してあげる。
楽しそうな表情だ。
霧は無邪気にも微笑んでいる。
だというのに、独りで欲情している。
少し、罪悪感を感じる。

「小森さん、流しますよ…」

再び、ゆっくりと背中にお湯をかける。
望はその動きを眺めていた。
霧のしっとりとした肌を、摩擦を無視して滑り落ちてゆく。
重力しか存在していないかのように、滑り落ちてゆく。
それは、とても美しく。
つい、手を這わせてしまった。
284機織。:2008/05/07(水) 19:38:02 ID:7ld4hQyo
「あははっ、あははっ!!」

本当に擽ったいようで、霧は始終笑っている。
流石にそんなつもりで触れているわけではないので、徐々に力を込める。
次第に感じ始めたようだ。

「んっ…、はぁ…」

呟いているのか、吐きだしているのか分からない声を出す。
望は止める事なく撫で続けた。
霧の肌は吸い付いつくような、心地好い弾力を保っている。
長い爪で、水滴の後を軽くなぞる。
体が、ピクリと震える。
それに釣られて、更に激しく指を這わせる。
ふと、視線を上げると見覚えのある美しいうなじが。
唇を寄せる。

「ひゃあ…!」

今度はピクリでは無い。
はっきりと分かるように、少女は震えた。
幼い独占欲が満たされてゆく。
それに気を良くして、望はより深い反応を求めた。
右手を上気した頬に添え、左手を胸に当てる。
指を上手く使い、霧を横に向かせ口付けた。
半ば無理矢理で強引な接吻だが、霧は拒まずに優しく受け入れた。
舌を唇に触れさせると、霧は望を迎え入れた。

「んっ…、はぁ…」

ピチャピチャと音を立てながら互いの舌を味わう。
望は、はやる気持ちを抑え付けながら、ゆっくりと舌を絡め合い、唾液を霧の口
内に送り込む。
同時に左手でやわやわと胸を揉みしだく。
形の良い房を撫で、時にはきつく絞り込んだ。
手の中で、先端が硬くなってゆくのを感じる。
それに気付いた望は、執拗に其処だけを責めた。
いつの間にか、霧は対面に座り直していた。
役目を失った右手を後頭部に回す。
霧も両腕を望の体や頭に回し、抱き締めた。
より深く、口付け会う。
より深く、身を寄せる。
285機織。:2008/05/07(水) 19:38:28 ID:7ld4hQyo
「んっ、…ふぁあ」

霧の舌を吸い、その唾液を貪る望。
もう、どのくらいの間口を交わらせているのか。
感覚が痺れていく。
いや、感覚が痺れると言うよりは、共有。
一人だけの感覚でなくなっていく。
そう表現した方が的確だろう。
そう思い付くと、漸く望は唇を離した。
離れる二人の間は銀の糸で繋がれている。
霧は少しうつ向きながら、真っ赤になっている。
陶磁器に優るとも劣らない、その美しい肌を朱色に染めている。
その可憐な姿に可愛いさを覚え、望は更なる場所に手を伸ばす。

「あんっ…!?」

既に濡れそぼった其処は、簡単に望の指を受け入れた。
適当に指を動かし、霧の中をほぐれさせていく。
暫く続けると、霧の力が段々抜けてゆく。
そうして、完璧に脱力した霧を抱えて、浴槽の縁に座らせた。
抵抗しないのを良いことに、望は霧の脚を大きく広げさせる。

「きゃ…!!やだっ…」

恥ずかしさからだろうか。
霧は両手で顔を覆う。
しかし、指の間から覗く双眸には期待や不安の色が見えている。
それを確認するように望は眼前の秘部に口付けた。
何時まで経っても初々しい霧の反応に望は満足げで。
顔が緩みきっている。
しかし、すぐに目の前に集中する。
花びらは僅かに開いており、奥からはお湯とは全く違う蜜が溢れている。
口付け続けて、それらを吸いあげる。
瞬間、霧が髪を揺らしながら望の頭を抑え付け、密着させる。
口では拒もうとも、体は正直だ。
余計に溢れ出す蜜を一心に吸いながら、快感を与える。
味などありはしないのだが、望の味覚は確かに甘さを感じていた。
286機織。:2008/05/07(水) 19:38:50 ID:7ld4hQyo
「小森さん、気持良いですか…?」
「…!?」

顔を離して意地悪な表情で訊いてみる。
こういう時、霧は嘘を吐かない。
だが、恥ずかしさから素直にすぐには言わない。
沈黙が続く二人の浴室。
しかし望がアイコンタクトで、

“答えないと続けませんよ…”

と、伝えると霧はボソリと呟いた。

「………うん」

そんな可愛らしい返事をする。
それが嬉しくて堪らなくて、更に優しく愛撫を続けてゆく。
外面ばかり刺激していた舌を休ませてから、望は中へと滑らせる。
ゆっくり、ゆっくりとその膣壁を確認しながら奥を目指す。

「あぁ…!!気持ち良いよぉ…、せんせぇ」

正直な感想が口をついて出る。
望はそれに応える為に、舌を最奥まで滑らせる。
同時に手を花びらの元へ持ってゆき、その頂点を撫でる。
新たな快感の波に乗り、蜜が滴る。
それらを、わざと音を立てて吸い取る。
今や浴室の中は望の舌使いの音だけが響いている。
いや、だけではない。
その愛撫を受け入れて、脚を開いて喘ぐ霧の声も。

「んんっ!!」

そろそろ限界だろうか。
望は舌を抜き取る。
霧の切ない声が上がる。
すぐに代わりの指を指し込んでやる。
舌は蕾の所へと移動させ、一気に責め立てる。
287機織。:2008/05/07(水) 19:39:17 ID:7ld4hQyo
「やぁ…、だめぇ…!だ、めぇ…!!!」

霧が嬌声を奏で、脚を震えさせる。
少女の蕾を舐めるのではなく、吸い付く。
指を鍵状に変形させ膣の上側を集中的に擦る。

「あぁ!!せんせぇ!!!」

霧が一際大きな声を出し、体を弓形に反らす。
望の口元にかかる無味無臭の液体。
脱力して喘ぐ度に、少女が潮を噴く。
全てを口で受け止めると、霧への愛しいさが溢れかえる。
望は立ち上がり、すっかり力の抜けた霧に囁く。

「逝きましたか?小森さん…」
「…はぁ、…はぁ」

楽しそうに訪ねる望。
再び真っ赤になる霧。
それがまた可愛くて、唇を合わす。
軽く舌を絡ませ、そして離れる。
離れてゆく感触に寂しそうにする霧。

「小森さん…、良いですか?」

何の事かは、分かっているはずだ。
望も、そろそろ我慢が効かなくなっていた。
自らの欲望を遠回しに訊いてみる。
満たしてくれるのか、どうか。
霧は一度だけ、しかし、はっきりと伝わるように頷いた。
達したばかりの少女にすぐ付き合わせるのは少々厳しい気もしたが、望の絶棒は
はち切れんばかりに元気だ。
霧を立ち上がらせ壁に両手を付かす。
高く上げられた秘部を見つめる。
バックでの行為は想像しただけでも体に電流が走る。
ゾクゾクとする快感だ。
腰を掴み、霧の体を固定する。
天を高く突く、自らの絶棒を支えて目標を定める。
腰を寄せて、入り口に当てがう。

「行きますよ…」
「うん、きて…、せんせぇ…」
288機織。:2008/05/07(水) 19:39:53 ID:7ld4hQyo
腰を進めて絶棒を埋没させる。
入れる瞬間の限りない閉塞感。
入れられる瞬間の限りない閉塞感。
存在を確かめ合う。
先程舌を踊らせた最奥まで辿り着くと、望は一息入れる。
霧に覆い被さる体制で体を支え、じっと動かずに居る。
そうしているうちに、互いに新たな快感を欲しがってしまう。
決して尽きる事のない欲望である。

「動きますよ、小森さん…」
「ふぅん…」

入れる時とは逆に思い切り引き抜く望。
絶棒が完璧に外気に晒される直前で止め、再び突き入れる。
何度も何度も、それを繰り返す。
単調な動きだが、それで十分。
息が荒くなってゆく二人。
特に望は、興奮を重ねているようだ。
浴室の壁に手を付いており、霧は背中を見せている。
その背中には、長く艶やかな黒髪が散りばめられている。
普段は綺麗に下へ向いている髪が、今は体に張り付いている。
ガクガクと震える脚。
しっかりと支えねばすぐに崩れてしまいそうだ。
普段の行為では起こり得ないであろう、あらゆる事象が此処にはある。
それらは、まとめて望の興奮剤となっていた。
まるで、無理矢理犯しているかのような。
そんな征服感が体を支配する。
只腰を振っているだけなのに、あらゆる快感を、感情を引き出す。
死ぬまで続けていたいと思う。
死んでも止めたくないと思う。
そんな脳の痺れ。
だけど、生理現象には抗えない。
訪れた射精感。
このまま霧の中に出したい。
ふと、そんな風に考えた。
それを、読み取ったのか、感じ取ったのか。

「い、良いよ…、ふぁ!こ、このまま中で…、んんっ!!」
289機織。:2008/05/07(水) 19:40:18 ID:7ld4hQyo
そう言ってくれる霧を抱き締めて、望はラストスパートを掛けた。
霧は意識を飛ばされているようで、既に正気を失いかけている。
だけど、気にせずに繰り返す。
少女の中が気持ちよくて、どんどんそれに溺れてゆく。
全てを少女に捧げる。
望がそんな事を考える暇も与えぬ程に締め付け、まとわり付き、吸い取る。
もう、何も考えられない。
互いに壊れてゆきながら、そんな事に構いもせずに快楽を奏でる旋律を響かせる

肉壁と肉壁のぶつかる音が脳天を貫く。
駆け巡る解放感。
望は、気付いたら精を放っていた。
腰が抜けそうになる程の快楽。
ビクリ、ビクリと絶棒を突き抜ける。
それらを全て少女の中に注ぎ込む。
まだ成熟しない体に種を植え付ける。
背徳感と絶望感。
そして、それを超える幸福の時。
それは刹那の時ではあるが。
感じられただけでも至福の感覚。
子宮口に直撃する種。
それは更なる強烈な波となる。

「あっ…!ああっ…!!」

気をやりながら喘ぐ霧。
最後に思い切り突き上げる。

「ああぁっー!!!」

それが限界だった。
霧は望の放出を受けて、体をぐったりさせる。
倒れそうになった体を抱え込む望。
どうやら、動けそうにない霧。
シャワーを浴びようかと考えたが、両手が塞がったこの状態では難しい。
一応お湯を張っておいて助かった。
狭い浴槽の中を体を縮めながら入る。
が、やはり二人ではきつい。
仕方がないので、霧を自らの上に来るようにしながら望は湯の中に沈む。
290機織。:2008/05/07(水) 19:41:18 ID:7ld4hQyo
まだ元気な絶棒が霧の肌に当たり、一瞬ビクリとなってしまう。
それを抑えてゆったりと浸かる。
先程までの躍動的な時間とは正反対。
揺蕩う時が過ぎてゆく。
ふと、髪の毛に顔を埋めた。
欲情していたはずなのだが、もう何も感じない。
只、その香りを嗅ぐと不思議な安堵感が満ちていった。
目を瞑り、嗅覚に集中する。

「ふふっ、擽ったいよ…」

行為を始める前に言った言葉と同じだ。
それだけの事なのだが、何となく嬉しい。
行為の後でも前でも同じ関係で居られる。
自分を受け入れてくれる事も。
自分が性欲のままに抱いていない事も。
それは達する時の幸福感とは違うが、何も変わらない。
素晴らしい高揚感だ。
それを伝えたかったのだ。
そう、それだけの事なのだが。
何故か言葉にならない。
だから、もう少し分かりやすい言葉に変えて伝えたい。
そう決意する望。
今は代替えで我慢して欲しい。

「ずっと一緒に、居ましょうね…」

と、だけ伝えておく。

「…うん」

その言葉が何か。
それは別の話で綴りたい。
291機織。:2008/05/07(水) 19:42:56 ID:7ld4hQyo
これで一応終わりです…
もしよかったら、感想などいただけると嬉しいです
292名無しさん@ピンキー:2008/05/07(水) 20:28:26 ID:ulOsbR3S
>>291 待ってたよ望霧GJ!
大変萌えさせて頂いた
293名無しさん@ピンキー:2008/05/07(水) 20:44:07 ID:zx6SSmFB
>>291
なんだ、ただの神か。
294名無しさん@ピンキー:2008/05/07(水) 21:29:06 ID:azujHyCD
>>291
あんたがニクイよ
こんな良作書けるなんて
マジ291ぜGJ!
295名無しさん@ピンキー:2008/05/07(水) 21:36:03 ID:zx6SSmFB
>>291
お疲れ、望と霧への愛を感じるよ。GJ
296名無しさん@ピンキー:2008/05/07(水) 22:30:37 ID:Lqbada84
>>294
誰が上手いこと言えと(ry
297名無しさん@ピンキー:2008/05/07(水) 22:37:32 ID:muMM/7b/
自己完結をスルーしたら何も言いたいことがなくなっちゃう
298名無しさん@ピンキー:2008/05/07(水) 23:22:17 ID:kswRtYkQ
望霧いいよ待っててよかった
個人的に風呂場でってシチュが大好きだ。

あと最後の「別の話」というのも期待してしまう
また書いてくれるのを楽しみにしてます
299名無しさん@ピンキー:2008/05/08(木) 00:33:27 ID:J5bBnx5r
夢で可符香×一旧のエロをみてしまった
疲れてるんだろうか…俺…
300名無しさん@ピンキー:2008/05/08(木) 00:47:22 ID:J6g0zs5b
>>299
投下まだー?
301名無しさん@ピンキー:2008/05/08(木) 00:52:11 ID:J5bBnx5r
>>300
頑張ってみる
しかし投下は明日になるかもしれん
302名無しさん@ピンキー:2008/05/08(木) 18:18:19 ID:kWWL5h0w
これは期待
303名無しさん@ピンキー:2008/05/09(金) 08:02:47 ID:R6T/B7zn
一旧ってレアだな
304名無しさん@ピンキー:2008/05/09(金) 12:59:06 ID:A2pLC5Si
一旧の出てくるSSってたぶん二作くらいしかないよね。
リー、天下り様なんかはまだ出てないかな?
305名無しさん@ピンキー:2008/05/09(金) 16:05:12 ID:sU78hBNe
前に一旧の鬼畜系SSあったね

リーはともかく天下り様ってw
306名無しさん@ピンキー:2008/05/09(金) 16:18:57 ID:MQAJFcxm
天下り様は悪役要員だな
金と権力にモノを言わせて大草さんを…とか
307名無しさん@ピンキー:2008/05/09(金) 16:49:47 ID:wvLlekpV
金と権力にものを言わせて大草さんに赤ちゃんプレイを強要するのですね、わかります。
308名無しさん@ピンキー:2008/05/09(金) 16:52:08 ID:A2pLC5Si
先に言われた(>_<)
309名無しさん@ピンキー:2008/05/09(金) 20:09:53 ID:R6T/B7zn
大草さんならあしなまおじさんだろう。
一旧といえば、
一旧×20倍の女、も出来そう。
310名無しさん@ピンキー:2008/05/09(金) 20:45:21 ID:+xgHunkf
先生以外の男に興味がない俺がいる。
311名無しさん@ピンキー:2008/05/09(金) 20:49:48 ID:A2pLC5Si
お前がどんな男に興味があるかないかだなんて、それこそ、お前以外には誰も興味ないと思うぜ。
312名無しさん@ピンキー:2008/05/10(土) 11:52:37 ID:MbBPZsH5
まあまあ、アメでも舐めながら神の降臨をまとうではないか
313名無しさん@ピンキー:2008/05/10(土) 22:22:03 ID:9FHJXEaE
勢い落ちてきたね…
誰か今週の惚れ薬ネタで書いてくれないかな?
314名無しさん@ピンキー:2008/05/10(土) 23:39:19 ID:CIaT+O+9
木野「加賀さんったら俺にホレている!」
315名無しさん@ピンキー:2008/05/11(日) 00:31:36 ID:o+W9rawd
今週ネタと言ったら惚れ薬の他にも絶命先生とあびるとかあったな
結局あびるは糸色医院に通ってたのか
316名無しさん@ピンキー:2008/05/11(日) 00:43:20 ID:PP2oOKfv
真夜と先生の乾電池プレイとかもナ
317名無しさん@ピンキー:2008/05/11(日) 01:41:11 ID:feHGXlZy
命とあびるin糸色医院で
鬼畜命シリーズを思い出したのは俺だけじゃないはず
318名無しさん@ピンキー:2008/05/11(日) 05:01:10 ID:xjj3zRZI
「ふ、風浦さん」
「ん? 何? 愛ちゃん」
「あの、一緒にお弁当食べませんか?」
「・・・・・・」
「ああっ! そうですよね! 私みたいな根暗イクラお蔵女と一緒にお昼ごはんなんて!
 マラッカ海峡の底までテンション下がりますよね!? すいませんでした変なこと言って!
 今すぐ消えます! 一週間は風浦さんの視界に入りません!」
「待って」
「ひっ! ああ! 一週間では短すぎますよね!? すいませんすいません!
 一ヶ月・・・いや一年は風浦さんの視界に入りません! すいませんでした!」
「・・・待って」
「ああ! 一年でも短すぎますよね!? もう一生あなたの視界に入りません! 今すぐ退学届けを・・・!」
「一緒に、食べよ?」
「へ?」
「椅子、久遠君のを使えばいいから」
「で、でも私なんかが人様の椅子を借りるなんて・・・自分のを持ってきます!」
「ええ? あー・・・うん、じゃあそうして」

「先生、あれが素の可符香ちゃんですよ」
「なるほど・・・しかし加賀さんはなぜ風浦さんを・・・?」
「さっき僕が愛ちゃんのそばで、『可符香ちゃんはいつも一人でご飯を食べてるなあ・・・』と、
 つぶやいておいたんですよ。愛ちゃん、優しい子ですから」
「ほほう・・・」
「それじゃあ、僕はこれで」
「ええ、おもしろいものを拝見させてもらいました」
「・・・何がおもしろいんですか?」
「ひいいっ!? ふ、風浦さん!? いつからそこに!? い、いやほらこれはその!」
「そうだ! 先生、一緒にお昼ご飯を食べませんか? 愛ちゃんも一緒なんです」
「く、久遠君!? ってもういない! 絶望した!
 人を虎の巣穴に誘っておいて、自分だけさっさと逃げてしまう教え子に絶望した!」
「何ですか、虎の巣穴って? ほら、早くこっちにきてください」

三すくみの話を読んでいたら、可符香の苦手な相手って誰だろう? という疑問を抱いたので書いてみた。
ひっかけたり陥れたりする前に自分から引いちゃう愛ちゃんは、実は可符香の天敵かもしれん・・・?
319318:2008/05/11(日) 05:03:18 ID:xjj3zRZI
すまん、注意書きしっかり読んでなかった。エロなしです。
320名無しさん@ピンキー:2008/05/11(日) 08:09:26 ID:uF/oEvTQ
不覚にも和んだ。GJ
321機織。:2008/05/11(日) 09:16:20 ID:pxsiGPV0
和みますね
GJ
322名無しさん@ピンキー:2008/05/11(日) 11:35:47 ID:ydhRKg2f
>>318
和んだぜ

>>321
続き待ってますぜ
323名無しさん@ピンキー:2008/05/11(日) 11:47:44 ID:amfyX0wG
くどう君がくおん君になってますよ。
324318:2008/05/11(日) 16:05:45 ID:Lw8tyJ5s
>>323
これは・・・orz
すみません久遠→久藤です。
325199:2008/05/12(月) 08:54:46 ID:V5UseYoY
一本、短いのを落とします。
可→望気味、テンション低めってか暗めです。
あと可符香がだいぶ捏造です、ご注意下さい。
326『サクラ、さくら』:2008/05/12(月) 08:56:25 ID:V5UseYoY
春、卯月。
「……何をしているんですか、貴女は」
ひらり、ひらり。
「先生こそ、何やってるんですか?」
桃色ガブリエルと名付けられた桜の下に、寝転がって花を見上げる少女が1人。
その傍らに立って、困ったように少女を見下ろす青年が1人。
「書店へ行った帰りです、貴女は?」
「私はここで、お花見です」
答えながらも起き上がる気配は一切見せない可符香に、周囲を見回す。
「それは結構ですが……公道でしょう?ここは」
「大丈夫ですよぉ。制服はちゃんと帰ってからお洗濯しますから」
「そういう問題ではありません」
言いながらため息をつくものの、車や自転車はおろか、歩行者すら近付く様子がないことに
まあいいか、などと考えて自分も腰を下ろす。
ひらり、ひらり。
見上げれば、一面に広がる桜色。そこから思い出したように落ちてくる花びら。
ぽかぽかと暖かく降り注ぐ日差しに、冬の終わりを実感させる柔らかい香りの空気は、確かに花見でもすれば
気分がよかろうと思わせるのに十分過ぎるほどの力を持っていた。
ぼんやりと花を見上げる望に、可符香が声をかけてくる。
「気持ちのいい日ですね、やっぱり春ですね」
「そうですね、暖かくなって雪解けの樹海からいろいろと発見される頃でしょうね」
あいも変わらずどよんどとした発言だが、少女の明るい声がその空気を吹き飛ばす。
「そうですよ、雪解けを迎えていろいろな草花が芽吹き、樹海に華を添えてくれるんです。
 樹海へ迷い込んでしまった人たちはその美しさに心惹かれて夢中になっているに違いありません」
さすがと言うべきか、自分のそれから微妙にずらされた話にはあ、と適当に相槌を打ちながら横目で可符香の笑顔を見下ろす。
「それで、夢中になっているうちにその草花の栄養になるんですか。何かの食虫花みたいですね」
根元に死体が埋まっているから、美しい花が咲く――ああ、それは桜か。
「嫌だなぁ、下に死体が埋まっているのは桜ですよ、先生」
まさしくピンポイントで自分の考えを読まれたような気がして、望はぎょっとして少女に向き直った。
ん?とでも言うように邪気のない笑顔でこちらを見上げてくる可符香の顔をまじまじと見つめる。
「どうかしたんですか?先生」
「あ……いえ」
ぶるぶると首を振って誤魔化すように再び桃色ガブリエルを見上げた。
ひらり。
袴の上に落ちてきた花びらを手で払う。払い落とされ、地面の上に美しく浮かび上がった桜色。

「先生、私、人を埋めたんですよ」
327『サクラ、さくら』:2008/05/12(月) 08:57:25 ID:V5UseYoY
いつものポジティブ声で独り言のように呟かれた言葉を、最初は何かの聞き間違いかと思った。
「……は?」
「人を殺して、埋めたんです。あはは、何だか千里ちゃんみたいですね」
見下ろした少女はいつものように屈託なく笑って桜を見上げている。だから、何かの冗談だと思った。
「私と同じ年の女の子だったんですけど。高校に入る少し前だったかなあ、気付いちゃったんですよ。
 その子がいると、私はどんなに頑張っても前向きに明るく生きられないって」
ひらり。
短い黒髪に鮮やかに浮かび上がった桜色。それを払い落とそうともせず、可符香は続ける。
「私が前向きに生きるには、その子を殺すしかないって、分かっちゃったんですよ」
明るく、微笑を絶やさずに話すその内容は、あまりにもその表情にそぐわないはずなのに。
「だから、殺しちゃったんです。結構あっけなかったですよ。なーんだこんなに簡単なんだって、笑っちゃいました」
ひらり、ひらり。
舞い散る桜の花びらの中で語られるその言葉を、性質の悪いからかいだと思いたかった。
「先生、桃色ガブリエルがこんなに綺麗なのは」
聞き間違いでも冗談でもからかいでも、何でもいい。真実ではないと思いたかった。
「ここに、その女の子が埋まってるからなんですよ」

ひらり、ひらり、ひらり。

「――あの、」
ひどく掠れた声が喉から漏れる。ん?と再度見上げられて、思わず1つ深呼吸をした。
「何ですか?先生」
「……いえ、あの……」
「ぷっ」
言い淀んでいると、急に可符香が吹き出した。手で花びらを払いのけながら楽しそうに笑い出す。
「嫌だなぁ、そんなこと本当にあるわけないじゃないですか。先生、ひょっとして本気にしちゃいました?」
「……あ」
また、遊ばれた。だが不思議と絶望よりも先に安堵が心に浮かんできて、慌ててかぶりを振る。
「や、止めて下さいよ。猟奇オチ要員は木津さんだけで十分です」
「あはは、先生ってすぐに信じ込んじゃうんですね。育ちがいいからですか?」
「そうじゃありません、身近にすぐ埋めようとする人がいるのが悪いんですっ」
「あはは」
笑いながら何事もなかったように桜を見上げる可符香を見つめることしばし、大きく息をついて
いつの間にか強張っていた肩から力を抜く。
「正直に言いますと、信じてしまいそうになりました」
「あら、それじゃ私の演技力も捨てたものじゃないんですね」
ニャマリと笑う可符香に苦笑で応えると、袴についた土埃を払いながら立ち上がる。
「お帰りですか?」
「ええまあ、もうしばらくゆっくりしたいんですけど、交に留守番させてしまっているもので」
328『サクラ、さくら』:2008/05/12(月) 08:58:23 ID:V5UseYoY
きっと今頃『叔父さん、遅いなあ』と文句を言っているに違いない。
「そうですか。それじゃ先生、お気をつけて」
可符香が寝転がったままこちらに手を振る。それを見下ろして――再び少女の脇にしゃがみ込んだ。
「先生?」
不思議そうに声を上げる少女の髪にそっと手を伸ばし、払う。
「貴女も早く起き上がったほうがいいですよ、こんなに土や砂をつけてしまって。体も冷えますよ」
「―――――」
「……風浦さん?」
何も答えないままこちらを見上げてくる少女に首を傾げる。と、可符香がにこりと目を細めて笑った。
「――大丈夫ですよぉ。私、平熱高めなんです」
「そういう問題ではありません」
「分かりました。もう少ししたら起きてちゃんと帰ります」
「ええ、それがいいと思います」
ゆっくり立ち上がりながら頷くと、可符香が再度手を振った。
「さよなら、先生。交君によろしくお伝え下さい」
「分かりました。風浦さんも気をつけて帰ってくださいね」
そんな別れの言葉を交わして、並木道を学校へ向かって歩き出す。
ふと顔だけで振り返ると、可符香は未だそこに横たわって桃色ガブリエルを見上げていた。


ひらり、ひらり。
不意に目の前に舞った桜色に立ち止まる。
振り返れば、もうかなり後ろにかろうじて見える桃色ガブリエル。根元の部分はここからでは見えない。
――真実ではないと思いたかった。
隙あらばいつでも心の中に入り込み、他人を扇動してからかって弄んでくる少女。風浦可符香。
そんな彼女の突拍子もない発言なのだから、いつものごとく『また私で遊んでいますね!絶望した!』とでも叫べば
それで彼女は満足だったのではないか、とすら思う。
それなのに少女の言葉を一瞬でも信じてしまったのは、あの目を見てしまったからだ。
――深い闇を湛えたような、笑顔とはあまりに不釣合いな、あの目。
そう言えば、明るいポジティブ声も本当にいつものものだっただろうか?
どこか硬さのある、無理のあるものではなかったか――
そこまで考えて、ぶんばぶんばと首を振って
「……馬鹿馬鹿しい」
と呟いた。
329『サクラ、さくら』:2008/05/12(月) 08:59:21 ID:V5UseYoY
彼女本人が言ったとおり、そんなことが本当にあるわけがない。いつものように自分をからかって
騙されかけて青ざめた自分を見て笑っていた。ただそれだけのことに違いない。
ただ、それだけのことに、違いない。
そう、思いたかった。
ひらり。
そよ風に運ばれた花びらが、足元に落ちる。
桃色ガブリエルの根元に、真っ白いセーラー服で横たわって桜を見上げていた少女。
その光景を思い出しながら、まるで彼女自身が今から埋められる死体のようだ。そんなことを心の中で呟いた。


ひらり、ひらり。
舞い落ちてくる桜色に目を細める。
寝転がったまま首だけを巡らしてみるが、もう担任教師の姿はここからでは見えない。
――あの、と声をかけてきたときの緊張に強張った表情を思い出して、くすくすと笑う。
よほど自分の話に真実味があったということだろう。
それはそうだ、ほぼ真実なのだから。
高校入学の前夜、大きく咲き誇ったこの桜の木の下で、1人の少女を殺して埋めた。
それまでの人生の嫌な記憶を、悲しい記憶を、苦しい記憶を全て抱えた少女を。
これからはポジティブに生きるのだとそう決めて、もう二度と私の中に現れないでとそう言って、自分は――『風浦可符香』は
『赤木杏』という少女を笑いながら殺したのだ。
殺した、はずだったのだ。
それなのに。
「……なんででしょうね、先生」
彼の去った方向を見たまま、ぽつりと呟く。
彼と話していると、一緒にいると、不意に気付いてしまうのだ。
殺して埋めたはずのその少女が、生き返ろうとしていることに。
生き返って、自分のすぐ傍まで近付いてきていることすらあることに。
「なんででしょうね」
ひらり。
頬に落ちた花びらを、手で払う。
「どうしようかなぁ」
ひらり、ひらり。
「どうすれば、いいのかなぁ……」
桜の下には、自分が殺したはずの少女がいる。死体こそ埋まってないけれど。
いっそ、彼が掘り起こしてくれるまで待ってみようか。そんなことを心の中で呟いた。
330199:2008/05/12(月) 09:03:52 ID:V5UseYoY
お粗末様でした。季節外れですいません。
エロなしばっかり落としてすいません…自重します。
331名無しさん@ピンキー:2008/05/12(月) 10:50:23 ID:PIXYCm/o
泣いたGJにもほどがある
332名無しさん@ピンキー:2008/05/12(月) 11:04:57 ID:xFEiP2sf
何だ画面が滲んで読めねーぞ、どうしてくれんだ。

…うっ…。
333名無しさん@ピンキー:2008/05/12(月) 12:48:58 ID:qPqauDKA
桜の下にはと来ると、梶井さんや安吾さんを思い起こさせるなあ。ともあれGJ
334名無しさん@ピンキー:2008/05/12(月) 18:32:50 ID:Fk9tMwHD
GJ!
雰囲気があって良かった
335名無しさん@ピンキー:2008/05/12(月) 20:24:42 ID:F5g4gaS5
>269

規制のため遅くなったけど、これだけ完成度の高い作品は久々に読んだ気がする。
まじで尊敬する。次回にも期待させてくれ。


投下数が少ないのは、一部で規制が掛かっているためじゃないだろうか。
俺も自宅からは書き込めないので、ネカフェから書き込まざるを得ない。
336名無しさん@ピンキー:2008/05/13(火) 01:14:52 ID:1FN4LhQx
まーた最終回のネタ潰しをして
もっと潰せ
337名無しさん@ピンキー:2008/05/13(火) 02:37:09 ID:Nz9qnJu2
いい最終回だった
338名無しさん@ピンキー:2008/05/14(水) 22:59:00 ID:fownaJp1
木津家ネタ読みたかった。
339名無しさん@ピンキー:2008/05/15(木) 00:31:37 ID:lApilqo4
姉の巴里がでてくるかと期待したんだがな。きっぱりさん。
340名無しさん@ピンキー:2008/05/15(木) 01:04:16 ID:of5VpbOr
お姉ちゃん、何で留学先がロンドンなのよ!
きっちりフランスにしなさい!
あーイライラする。
341名無しさん@ピンキー:2008/05/15(木) 07:09:36 ID:8Gx5FZwX
>>330
GJ過ぎる
最終回手前みたい
やっぱりカフカはいろんな意味でいいキャラだ
342注意書き:2008/05/15(木) 07:42:49 ID:Vt4VC3ka
可×望、可→望でエロは仄めかす程度です。
捏造は特にありませんが旧校舎が出てきます。
よろしければお付き合いください。
343ポジティブとネガティブ:2008/05/15(木) 07:45:50 ID:Vt4VC3ka


眩しい緑が、さわさわと揺れる、午後のこと。
開け放された窓から入ってくる爽やかな風が、中間服の白い袖を膨らませ、緩やかに通りすぎていく。
いつものように何かに絶望したらしい担任教師が、今しも首をくくろうと梁に縄をかけ、固く結んで作った輪の中に首を通そうとしている。


かすかに乱れたスカーフを手で押さえながら、しくしくと涙を流して台から脚を下ろそうとしている担任――糸色に、少女はにこやかに笑いかけた。
「先生、今日はどうしたんですか?」
「みんなの爽やかさに絶望したので、死のうと思います」
「爽やかなのはいいことじゃないですか」
相変わらず、つまらないことで死にたがる人だ。
内心で苦笑しながら、にこやかにそう取り成すと、糸色は神経質そうに眉をしかめて眼鏡を押し上げた。
「いいえ! 人間というのはもっとどろどろとして汚いものなんですよ!」
「そうですか」
「そうです! ましてやうちのクラスの生徒があんなに爽やかだなんて! ありえません!」
だから死にます、と再び縄に手をかける彼を制止して、少女は底抜けに陽気な笑みを浮かべる。
「いいじゃないですか。みんな青春なんですから、爽やかにもなりますよ」
「現実を見据えなさい! 今のご時世爽やかな高校生なんざいませんよ!
例え一見爽やかに見えたとしても、裏で恐ろしいほどえげつないことをしているものですよ! 
うちのクラスの生徒が一見でも爽やかに見えるということは、その数十倍はえげつないことをしている証拠です! 絶望した!」
「そんなことないですよ」
尚も叫ぶ糸色を、にこにこと笑顔でおしとどめた少女は、首を吊ろうとする彼の手を引いて、廊下に座り込んだ。
死にたがっていた割には、案外と素直にそれに従い、糸色は少女の隣に腰を下ろす。
「うちのクラスの皆は、本当に爽やかなんですよ」
「……そうは思えませんけどねえ。特に、あなたは」
「私はとっても爽やかですよ。青春してます」
一見邪気のない笑みを浮かべる少女を苦笑して見やりながら、糸色は大きなため息をついた。
はあ、と静かな廊下に彼の吐いたため息が思いのほか大きく響き渡る。
「……そういえば、ここで何をしていたんですか? 授業中ですよ?」
「先生に言われたくないですけど、探し物です」
「私は今の時間は受け持ちの授業がないからいいんです。何を探してたんですか? こんな所で」
軽く胸を張って言った糸色は、こんな所、と周囲を見回した。
今は使われていない旧校舎には、当然のことながら人影はない。
グラウンドから響く、微かな歓声だけがかろうじて、学校の面影を残していた。
344ポジティブとネガティブ:2008/05/15(木) 07:46:15 ID:Vt4VC3ka
「先生を」
「私をですか? ……まさか、また何かあったんじゃないでしょうね」
「いいえ。個人的に探していただけですよ」
頭を抱えてうめいて糸色を慰めるようにして、少女は彼の肩に手をかける。
顔を覗き込むようにして、その耳元に小さな声で囁く。
「ねえ、先生。なんでそんなふうにすぐ死にたがるんですか?」
「この世の何もかもが私を絶望させるからですよ!」
少女の真剣な眼差しに若干たじろぎながらも、糸色はそう吐き捨てた。
その答えに微かに顔を顰めた少女は、嗜めるように彼の肩を叩くと、さらに続けた。
「じゃあ、絶望しなければいいじゃないですか」
「簡単に言わないでください! できるものならそうしています!」
「私、その方法知ってますよ?」
噛み付くように、大人気なく言い返す糸色に、少女はにっこりと微笑みかける。
「簡単です。世界が変わって見えますよ」
「……あなたのことだから、どうせおかしな薬とかでしょう? 嫌ですよ」
「いいえ、先生。もっと簡単で、もっと単純で、もっともっと健全です」
怯えたように身を震わせて、イヤイヤをするように首を振った糸色の顔は若干青褪めている。
普段の少女の、ある意味あの真ん中分けの委員長に匹敵する暴走振りを身を持って知っている彼だけに、その反応は当然と言えた。
あまりといえばあまりな言われようにも、少女は苦笑いを浮かべるだけですませる。
「先生、本が好きでしょう?」
「それなりには、読むほうだと思いますが」
「よく言うじゃないですか。恋をすると世界が違って見える、って」
だんだんと距離を詰めていった少女は、糸色の肩を壁に押し付け、彼の目の前へと移動すると、微笑んでそう言った。
必死に目をそらせる糸色に、少女はゆっくりと顔を近づけていく。
「……使い古されすぎたネタに、絶望します」
「そんなこと言わないで下さいよ。私、わりと本気です」
「余計に絶望度が増しました。……近い! 近いですよ! 離れましょう、風浦さん」
いつのまにか、額が触れそうな距離にまで近づいている少女の顔に狼狽し、糸色は必死で言い募った。
「私は! 犯罪者になるのはごめんですよ!」
「合意だって証言してあげますよ」
「例え合意の上だろうが、未成年とのアレコレは犯罪なんですよ!」
全く頓着しない様子の風浦は、糸色の和服を乱し、中に着込んだシャツのボタンを外していく。
わたわたと慌てる糸色は初めて触れる他人の指の感触に息を飲み、動揺のせいでろくな抵抗ができない。
345ポジティブとネガティブ:2008/05/15(木) 07:46:40 ID:Vt4VC3ka
「バレなきゃ大丈夫です」
「なんなんですか貴方は! 全く爽やかじゃないじゃないですか!」
「爽やかさに絶望してたんだから、爽やかじゃない事には安心してくださいよ」
ついに袴にまで手をかけ始めた少女に、糸色はもはや口だけでも、と言い募る。
もどかしい愛撫に力の抜けた体を、少女の白い手が掠めていく。
「……なんなんですか、風浦さん。いつにも増して意味がわかりません」
「言ったじゃないですか。私、爽やかに青春してるんです」
「まさか、恋、とかいうオチじゃないでしょうね。私と貴方の間で」
本気で恐ろしそうに目を剥く姿に、内心でこっそりと傷つきながらも、少女は手を止めない。
快感に、微かにうめく糸色をどこかうっとりとした目で見つめながら、少女は囁く。
「そうですよ。私と先生の間に」
「……今日一番の絶望です」
「先生は、酷い人ですね」
目を伏せて、セーラーの襟に手をかける少女をわたわたと止めながら、糸色はうめく。
「本当に、一体どうしたんですか風浦さん」
「ふざけてるわけじゃないですよ。私、先生が好きなんです」
にこり、と笑いながら、今度はスカートの裾を持ち上げ始めた少女に赤面して、糸色は口元を手で覆った。
性に疎い糸色にとって、生徒といえど年頃の少女のあられもない姿は刺激が強すぎる。
「やめてください。死にたくなります」
「先生は、本当に酷い。私は、先生に死んでほしくないんですよ。好きな人にはこの世に絶望なんかして欲しくない」
「……わかりました! お気持ちはありがたく受け取ります! 今後あまり絶望しないように努めます! 勘弁してください!」
ぎゃあぎゃあと喚く糸色を意に介さず、少女は下着に手をかけて、躊躇いなく引きずり落とした。
壁にぴったりと張り付いて、追い詰められたように震える糸色に、少女は口付けを落として彼を黙らせる。
「先生、好きですよ」
「……もう絶望しませんから、マジで勘弁してください」
「あら、先生お言葉が」
くすくすと、彼の実家の執事を真似て笑った少女は、ゆっくりと彼に圧し掛かっていく。
甘い息が糸色の首筋に触れ、不覚にもソレに反応を見せてしまった彼はますます落ち込んだ。
「ね、いいでしょう?」
「うううう」
「好きですよ、先生」
囁かれた言葉に、糸色は涙声で呻きながら俯いた。
その白いうなじを甘く噛み、舌でなぞりながら、少女は彼を自らの内部へと導いていく。
旧校舎の中に、荒い息と押し殺した喘ぎ声、そして微かな水音だけがしばらくの間響いていた。


346ポジティブとネガティブ:2008/05/15(木) 07:47:05 ID:Vt4VC3ka


「全く、貴方という人は」
「世界とか、変わりました?」
照れくさそうに衣服を整えながら、糸色はため息まじりに彼女を嗜めた。
にこにこと微笑む彼女の制服は未だ乱れたままで、妙に生々しい素肌にはいくつかの跡が見え隠れしている。
その様子に頬を染めながら、糸色は何かを言い募ろうとしていたが、やがて諦めたように肩を竦めた。
「ええ、確かに変わったような気がします」
「それはよかった」
「といっても、どうせ一時的なものです。どうせ人間は根本から変わることなどできはしないのですからね」
皮肉げに吐き捨てた糸色の、汗で張り付いた前髪を払って、少女は彼の額へと口付ける。
「それなら、先生が世界に絶望するたびに、私が世界を変えてあげます」
「…………ものすごい問題発言だと思うのですが、気のせいでしょうか」
「気のせいじゃないと思います。嫌ですか?」
彼女らしい壮大な言葉で、遠まわしに次回を仄めかせた少女に、あんぐりと口を開けた糸色は、はっとしたように口を閉じる。
その口元の端に口付け、少女はさらに言い募った。
「ねえ、好きですよ、先生。死なないで下さい。死ぬような真似、しないでください」
「……私もね、貴方のことは、実はそれほど嫌いでもありませんよ。……むしろ、羨ましいときもある」
ふっと顔を和ませた糸色は、初めて自分から、少女の唇に口付けを落とした。
その行為に微かに頬を染めながら、少女は満面の笑みで彼に言う。
「お似合いじゃないですか、私たち」
「……本当に、ポジティブですね貴方は」
苦笑して、少女の髪を撫でた糸色は立ち上がり、傾いた陽を見つめる。
その後姿を見つめながら、少女が小さく、しかしこの上なく幸せそうに微笑んだ事に、糸色が気付くことは――残念ながら――無かった。
347名無しさん@ピンキー:2008/05/15(木) 07:47:52 ID:Vt4VC3ka
終わりです。お付き合いありがとうございました。
348名無しさん@ピンキー:2008/05/15(木) 11:34:00 ID:NegJAzPD BE:208847726-2BP(333)
>>347
徐々に可符香ちゃんに絡め取られていく絶望先生……萌えた! 
GJ! 良いものを読ませていただきました。
349名無しさん@ピンキー:2008/05/15(木) 12:06:55 ID:7Iw8TWck
>>347
これが受けオーラというものか。
なかなか良いではないですか。
350名無しさん@ピンキー:2008/05/15(木) 17:56:28 ID:zEBgdldb
久しぶりに神を見た
351名無しさん@ピンキー:2008/05/15(木) 22:53:10 ID:zig4tCgQ
神作の後で気がひけますがSS投下させていただきます
去年日本書紀のパロとかやったんで割と日常的な話なんですが藤吉さんメインなんでBLネタが苦手な方はスルーお願いします

(一応前後編のつもりです)
352BLとNLのあいだ 前編@:2008/05/15(木) 22:54:36 ID:zig4tCgQ
「久藤くん、ちょっと相談したい事があるんですよ・・」

放課後、生徒は殆ど下校した静寂の中で本の世界に想いをはせていた准に声をかけてきたこの教師

生徒に相談を乗ってもらうなど教育者らしからぬ行動もこの糸色望ならさほど不自然な事ではなかったので
准は少しウンザリしながらも文庫本のページに最低限文化的な紐をかけてこの頼りない先生の言葉に耳を傾ける事にした。


「なんですか僕に相談って?
また普通より悲しまれる死に方を知りたいんですか?」


「いえ違います、藤吉さんの事ですよ。」


一時心が読めると望に思われていた准にも予想だにしてなかった、
しかし望のいつにも増して疲弊した表情からは随分困っている事であるのは予想出来た。


「藤吉さん・・彼女が何か?」

「えぇ彼女がBLの同人誌を描いてるのは久藤くんもご存知でしょう?
生徒の趣味をとやかく言う筋あいはないですが
彼女は私まで妄想の餌食にしてるんですよ。」


「はあ・・・・・」


「なにかこう私を妙な目付きで見たり、
私が兄さんと喋ってる時とか、
授業で久藤くんを当てた時とか何か授業と関係ない事を必死にメモしてるみたいなんです・・・」
353BLとNLのあいだ 前編A:2008/05/15(木) 22:57:03 ID:zig4tCgQ
望らしいネガティブな被害妄想、
いつもならそう言い捨てる事も出来たが准は複雑な面持ちだった。


「つまり彼女は二次元でなく三次元の先生と僕まで妄想して視姦してる訳ですか・・・・・
そういや万世橋くんから聞いたんですが、
アニメが放送していた時期に僕×先生の本が結構売られていたらしいですよ
それもコミケとかでなくとら○あなで・・・
絵のタッチが明らかに藤吉さんのもあったとか・・・」


「なっ!なんですって!!絶望した!腐女子の妄想を全国チェーンで販売されるなんて絶望した!
うわ〜!!きっとPTAにバレて退職させられ、週刊誌に載って世間に糸色望=変態教師のレッテルを貼られて縁兄さんみたいに絶縁されて
一生ウホッ!に追い回されるんですね!!
いやだーーー!!!死んでやるーーーッ!!!!!!!!!!!!」


と、その時、
望の絶望を遮るように図書室の入口のドアが開いた。


「あ〜同人誌の背景の参考にしてたら返すの遅れちゃった〜
って、ああぁ!!
これは・・・・・・・!」

この恥ずかしい台風の中心、藤吉晴美である。
354名無しさん@ピンキー:2008/05/15(木) 23:05:24 ID:zig4tCgQ
突如現れた騒動の中心だが望と久藤が気付いた時には既におらず、
何処かに疾風の如く走り去っていた。

「ん?何か今一瞬ふんばって音がした様な気がします・・・・・」


「まさか・・・・」


そのまさか藤吉晴美はトイレに駆け込んでいたがそれは無論排泄のためなどではない。

「はぁはぁ・・先生と久藤くんが・・放課後の誰もいない図書室で・・二人きりで!!
あぁ・・・・・」


晴美が先生と准の二人をオカズにした事は今まで何度もあった、
授業や休み時間での二人の会話やそぶりを詳細にメモして悶々としながら下校して自室のベッドで発散したり同人誌執筆の参考にしたり


しかし今ほど決定的なシチュはあっただろうか?作家志望の教師と読書好きの生徒が誰もいない図書室で二人きりだなんて!!
と思いをはせていると股に妙な違和感を感じた
カバンをフックに架け、おそるおそるスカートの中に手を入れてみると・・・・・
「やっぱり濡れてきちゃった・・このままじゃシミになっちゃうし家まで待てない!」


晴美は濡れた下着を膝まで脱ぎ降ろし洋式便座に座ると躊躇いなく指を愛液が溢れ出す被所に押し当てた。


「フフフ、准でジュンとなっちゃった」
355BLとNLのあいだ 前編C:2008/05/15(木) 23:08:02 ID:zig4tCgQ
自分の言動に鼻で笑うと気を取り直して先程の光景を事細かに思い出し始める。
「あぁ・・先生ったら先生なのに久藤くんに何を聞いてほしかったの・・・・・久藤くんは自分の教え子なんだよ?」


晴美の指は濡れる秘所を、既に勃起したクリトリスを撫で回す、きっと彼のもこんな風になってるに違いないと・・・・・

「あぁ・・だめ・・放課後の図書室で告白する気なの・・背徳の愛に身を委ねちゃうの・・・・」

左手を服につっこむとノンストラップブラの上からでもわかるほど乳首は固く大きくなっていた、いつもベッドで行っていた自慰行為を学校のトイレでやってしまうだなんて、
しかも担任教師とクラスメートを思いながら・・・・・


「そんな・・・・人がいないとはいえ図書室で!皆が本借りるとこで・・・・・あぁ!だめ久藤くん、先生は押しに弱いんだから・・・慰めるだなんて!あぁ先生!准!先生!准!ーーーッ!!!!」

ビクンビクンビクン!


普段より遥かに生々しい妄想によって晴美のオーガズムは膨れ上がり
膣を体を痙攣させのけぞる様にして
藤吉晴美は皆が使う学校のトイレで
自室以上に深くに激しく達してしまった。
356BLとNLのあいだ 前編D:2008/05/15(木) 23:13:50 ID:zig4tCgQ
予想以上の気持ち良さ
晴美はしばらく頭がぼうっとする様な余韻に浸った後、
普段と違う気持ちである事に気がついた。

いつもなら達した後は懸命に愛し合う二人のキャラを自分はオカズにしてしまったと少し罪悪感を抱いてしまうのだが今はそうは思わない、


もっと見たい、もっと准×望のカプを追求したい
まだなりやまぬ心の鼓動にニャマリとしながら手を洗うと再び図書室に向かう事にした。


開きっぱなしの図書室のドアから中を見ると二人はまだ椅子に座って話し合っている、
一瞬がっかりしたが焦る事はない、そう思って視姦していると二人は自分に気付いてしまった。


「そんなとこで覗いてないで入ったらどうですか藤吉さん。」


ギクッ!しまった二人の時間を邪魔してしまったと思ったら気付かれては仕方ないので図書室におそるおそる入る事にする。
「あははは・・本を返しにきたんですが・・・・・」
「そうじゃないでしょう貴女はまた私達を視姦して同人誌に描く気なんでしょう。」
357BLとNLのあいだ 前編E:2008/05/15(木) 23:16:41 ID:zig4tCgQ
「な・・何言ってるんですか?私が好きなのはココ×ナツやサン×ゾロ・・」

「とぼけたって駄目です!コミケどころかとら○あなでまで置いてるそうじゃないですか!!
木村さんみたく訴えますよ!!」


完全にバレてしまった・・・・・そもそも先生を題材にした同人誌は単に自分が楽しむ目的で描いいていた、
しかし同人仲間が
「晴美2のへなんだし絶望先生のカプ描きなよ〜アニメ始まってから結構人気出てるんだよ〜」
と勧めて来たのでどうせ受からないだろうと思い出してみる事にした、


するとどうだろう、その人気は凄まじくサン×ゾロ以上の売上を記録したのだ。
初め担任教師と同級生のカプを出品してしまったという後ろめたさも
「教室やシチュの設定が凄く事細かで萌えました!」などという絶賛につい良い気になってしまい
店舗からの出品依頼もつい受けてしまったのだ。それがバレてしまうだなんて・・・・


「・・しかし私も教師のはしくれ、生徒の可能性を潰すようなマネはしたくありません、
なので嫌ですが久藤くんと貴女の参考になる様な事をしてあげましょう。」
「許してくだ・・・・・って本当ですか!?
それじゃ誰かに見られないよう鍵しときますね♪」
358BLとNLのあいだ 前編F:2008/05/15(木) 23:19:21 ID:zig4tCgQ
さっきまで青ざめていたとは思えぬ程彼女はウキウキしていた、
こんなシチュを間近に見れるだなんて生まれて初めてだろう。

三人ものむさくるしいオタクの兄に囲まれる生活をしていた藤吉晴美は自然と二次元の少年の清潔感溢れる美しさと洗練された格好良さに心奪われた、
そのため今まで学校の男子にも全く魅力を感じる事ができなかった、


しかし高校に入って突然現れたこの教師と同級生は二次元にしか持ち得なかった線の細さを持っていたのである。


「フ〜ンフフ〜ン♪さあ鍵をバッチリ締めましたよ二人が愛し合っう姿をしっかり見てますからね♪」

妄想が現実となる期待に胸踊らせる晴美、
しかし席を立った准は何故かこの腐女子の背後に回り込み、
望は見下ろすかの様に晴美の前に立ち塞がった。

「え?あの先生は久藤くんと愛し合うんじゃ・・・?」


「勿論参考になりますよ、貴女が一生忘れられない程ね!!!!!!!!」

「んぐぅ!?」

そう言うなり望は慣れた様子で晴美の頭を掴み強引に唇を奪った
359あとがき:2008/05/15(木) 23:21:49 ID:zig4tCgQ
前編Bが抜けたりとおそまつでした・・・・・

取り敢えず後編ではヤる予定ですが久しぶりに書いたもんですいません・・・・・
360望可?:2008/05/16(金) 01:14:23 ID:jOFD7l1S
第七集 前巻のあらすじの続き


ますます現状は盛り上がりを見せていく中、明日も明後日も己の死を今か今かと待ち望む
見舞客が押し寄せる。
医者も最後の望みと言わんばかりに何故かリボスチンやらフルメトロンなどを次々投与するが
それは眼に点眼するお薬です。これはおかしい。望はついに気がついた。
自分はおちゃっぴーでもエロモナス病でもない!周囲の人間達に殺されかかっているのだ!
脱走を試みるが時すでに遅し、津軽要塞と化していたサナトリウムは脱出不可能。
医者と看護師はベレッタM92でも隠し持っていそうな犯罪者にしか見えない。
見舞客はついに輪廻転生について語り始め、中途半端な生命学を延々聞かされ憔悴するが
最早涙すら出ない。
そんな時現れたのは毎日のように病室に飾る生花を換え、献身的に見舞いに足を運ぶ
心優しい一人の教え子。必然の如く心の拠り所となるが、彼女がいつも持ってくる花は切花でなく
鉢に植えたままの状態である事実に気付き 半ば自暴自棄になった望はとうとう彼女を
ベッドに押し倒す。禁断の恋に苦しむ余命僅かな教師と女生徒が病室で一線を超えるという
どこぞのAVのようなシチュエーション。本気で死ななきゃ舌打ちでもされかねない状況に
拍車を掛ける結果を自ら招き、生来のチキンな性分が災いして窓からの飛び降りを一考していると
教え子はクロスしたヘアピンをキラリと光らせ「その前に自叙伝を書いてください。」
泣く泣くペンを握らされる羽目に。
361名無しさん@ピンキー:2008/05/16(金) 01:19:47 ID:jOFD7l1S
終わりです
362機織。:2008/05/16(金) 10:57:24 ID:uSq/HAYv
GJの波に乗って投稿
もはやキャラ崩壊ですが一応これで最後です
あとエロなしです
363帰郷。:2008/05/16(金) 10:59:38 ID:uSq/HAYv
望にとって憂鬱なクリスマスも過ぎ去り、正月前のだらけた期間。
宿直室の二人はこたつに包まれていた。
テーブルの上にある蜜柑の皮を霧が剥き、望がそれを食べている。
更に拍車のかかっただめーんずである。

「はい、あーん☆」
「あ、あの、小森さん…」
「あーん☆」
「…あーん」

霧の指から直接、蜜柑の房をいただく望。
甘い時間が漂い始める宿直室。
それに危機感を持ち、蜜柑を飲み込むと共に真面目な顔をする望。
霧の横へ移動し、正座で座る。
望は真剣さを全て掻き集めた瞳で少女を見付める。
初めて会った時のように、髪を掻き分けるると。
つい、きゅんとなってしまう霧。
その精悍な顔立ちに魅せられ、頬に朱色を落とす。
他の何にも意識がいかない。
真摯な態度に対して、霧も正座になってしまう。
顔から手を離し、見つめる望。
見つめ合う二人。
ゆっくりと動き出す口元。

「小森さん…、実は、正月に交の為にも実家に帰る予定があります」
「!?」

霧が驚くのも無理はない。
そんな話、一度も聞かされていないからだ。
その上、望は外出すると言う。
霧に留守を任せるつもりだろうか。

「…そう、なんだ」

寂しそうに目を臥せる霧。
先程までときめいていた瞳を、今は見ることも出来ない。
辛い。
別れの宣告を承けて、身を切り裂かれているかのように。
只、辛いだけ。
364帰郷。:2008/05/16(金) 11:00:10 ID:uSq/HAYv
「それでですね…、その、小森さんにも付いてきて欲しいのですが…」
「…!?」
「やはり、無理でしょうか…?」

再び驚愕の言葉を耳にする。
臥せた眉を上げ、望の目を見つめる。
何も変わっていない。
冗談など微塵も感じさせない。
本気なのだと実感させる。
そんな、瞳。

「わ、私も…?」
「はい、出来れば一緒に来て頂きたいのです」

悩んだ。
悩みきった。
悩みに悩んだ。
正直、嬉しい。
だけど。
霧は、答えが出しきれない。
外に出る。
それが、あまりに実感できない。
だが、最終的には答えを出さなければいけないのだ。
そして。
霧は、一つの考えに及ぶ。

「あの、せんせぇ…」
「はい?」
「どうして、私も一緒の方がいいの?」
「…」

当然と呼べる疑問だ。
確かに近くに居たいが。
必ずしも隣に居なければならないわけではないはずだ。
霧が普段をどう過ごしているかを知っていれば、それは酷だろう。
霧が質問をぶつけると。
冷や汗をかきながら、わざとらしく目を反らす望。
それだけでなく、顔を赤らめている。
365帰郷。:2008/05/16(金) 11:02:03 ID:uSq/HAYv
(何だろ…、隠し事、かな?)

「ねぇ、…先生」

立場は一変して逆転。
悩み顔の望。

(やはり、話さないわけにはいきませんよね…。私だけの事ではありませんから
…)

「小森さんもご存知でしょう、糸色家にある見合いの儀を」
「…うん」
「正月に、また企画されたのです」
「えっ…!?それって…」

たっぷり間をおいて。
凍結する思考。
これはまさに、絶望。

――――先生、結婚するの?

言葉が、喉から離れない。

――――私は、どうなるの?

頭の中が、狂い出す。

――――何で、笑ってるの?

もう、何も考えられない。
何を、信じるのか。
分からない。
突然、流れだした。
その身を知る雨が。
頬を伝う。
嗚咽も声も出ない。
単純に、涙の雫が溢れた。
366帰郷。:2008/05/16(金) 11:03:23 ID:uSq/HAYv
「あ、あの…、小森さん?どうされました?」

何故、泣き出したのか。
全く理由が分からない。

さて、賢明な皆様なら御分かりでしょうが。
この二人の間には、致命的な勘違いがある。
望の真意は、霧と見合いたいと言う事。
霧は、望が誰か別の人と結婚すると考えている。
一体、望はどうするつもりだろうか?
泣き声が、部屋を支配する。
オロオロすることしか出来ない。

「すんすん、すんすん…」
「こ、小森さん…?」
「せんせぇ…、私を捨てて他の人と幸せになるの!?」
「へ…!?」
「死にたくなったら先生に言いなさい、って言ってくれたの信じてたのに!」
「小森さん、落ち着いて下さい…」
「先生の馬鹿!開けないでよ!」

あまりのショックから、意味の分からない事を口走り始める霧。
焦りに焦る望。
どうにも言葉が通じない。
何と説明すればいいのか。
普通に説明すればいいのだが。
霧に釣られて望も落ち着かない。
もはや、見つめあっていた時の空気は欠片も存在しない。
霧は、すっかり後ろを向いてしまった。
未だ、止まない涙の雫。
畳の上に一つずつ染みがついていく。
ぽたぽたと。
その音が、望の胸を締め付けた。
完全に理解したのだ。
霧の考えを。
霧の想いを。
それは、望にとっても哀しく、淋しい。
そんな、想い。
それを、はっきり感じると。
望は感極まって、霧を抱き締めていた。
どうしたら良いのか。
どうすべきかを考える。
口下手の自分が、少し嫌になる。
けど、心に嘘はない。
偽りなく、抱き締めた。
367帰郷。:2008/05/16(金) 11:04:16 ID:uSq/HAYv
「すみません、小森さん…、言葉足らずでしたようで」
「…すんすん」
「他の女性ではなく…、貴方と見合いたいのです」
「……………?」
「…………」
「……?」
「…」
「えっ!?そ、それって…」
「小森さん…、結婚しましょう…」

回りくどい言い方になり。
在らぬ誤解を受けた。
それもまた、一興。
時が笑い話に変えてくれる。
だから、それまで。
いつまで掛るか分からないが。
寄り添っていたい。
霧もまた、望の真意を知ったのだ。
雨は止まない。
その身を知る雨は。
哀しくても流れ。
嬉しくても流れ。
留まる事を知らない。
全て受け入れた。
少女の気の弱さも。
男の情けなさも。
互いに許したのだ。

「うん…、私も、一緒に行くよ」
「小森、さん」
「結婚するなら、もう違うよ…」
「…霧さん」
「はい」
368帰郷。:2008/05/16(金) 11:05:11 ID:uSq/HAYv
深く抱き締め合い、息を吐く。
また、息を吸う。
少女の肩を掴み、少しだけ距離をとる。
望は深呼吸をしてから、服の中に手を突っ込んだ。
時代錯誤な和服から小さな箱を取り出す。
青い、いや碧いと言うべきか。
その正方形の箱は、中心から上下に開く仕組みになっている。

「給料が安いので、こんなものしか買えませんでしたが…」
「せんせぇ…、嬉しい」

大きいとは言い難い、的確な表現をするのなら小さい。
慎ましやかな、小振りなダイヤモンド。
それを称えるシルバーリング。
それは絆の印。
それは契りの印。
エンゲージ・リング。
箱から取り出し、その輝きを確かめる。
少女の手を取り、その細さを確かめる。
彼女の為だけに用意した贈り物。
究極の愛の形。
もう何も必要ない。
その愛を確認する行為以外に。
身体以外に必要なものなど有りはしない。
そう、必要ないのだ。
その日を境に、互いの呼び名は変わった。

「霧さん」
「なぁに、…あなた?」

それは、当たり前と呼べる事。
369名無しさん@ピンキー:2008/05/16(金) 11:11:53 ID:DWCeVOD1
降ればどしゃぶりとはいうけれど、
ずっと投下がなかったのに、1本SSが投下されると
たて続けに投下される現象ってよくあるよね・・・不思議と



なんにせよ、みんなGJ!
370名無しさん@ピンキー:2008/05/16(金) 12:44:10 ID:94q6qMon
真っ昼間っから甘いな!
むせかえりそうだぜ全く
371名無しさん@ピンキー:2008/05/16(金) 14:31:47 ID:k2TKYyUI
最近エロなし多いんですね!
372名無しさん@ピンキー:2008/05/16(金) 15:25:14 ID:zT4zgtxb
二次創作のスレではよくあること
板名もエロパロ&文章創作板だし
373名無しさん@ピンキー:2008/05/16(金) 15:44:30 ID:MKeKiah8
最近枯れてきたからエロなしでもいいや
374名無しさん@ピンキー:2008/05/16(金) 18:47:45 ID:FPhaJ6WW
>>368
心から言わせてもらおう、GJ!
375好きです(木野と奈美):2008/05/16(金) 19:17:56 ID:suqFIM0Y
えーと、では>>372-373のお言葉に甘えさせてもらってもいいでしょうか。
エロ無しで奈美と木野のお話。ちょっぴり加賀ちゃん出ます。
ちょい長いので多分今からと夜に分割させてもらうと思います。
376好きです(木野と奈美):2008/05/16(金) 19:19:10 ID:suqFIM0Y


「ずっと前から好きでした、どうか俺の傍に居てください!」


◇   ◇   ◇


大地をじりじりと焦がす太陽は必要以上に自身の持つ特性を発揮する。
額に浮かぶ汗はそれによって生み出されたものだ。
夏の暑さと巧みなハーモニーを奏でる虫の鳴き声は、只今下校中である少女の内に、次第に苛立ちを募らせていった。

そして呟いたのは、

「あぁ、早く帰ってクーラー浴びたいよ」

普通の一言。
無論、何がおかしいというわけではない。
――――普通、との言葉はただそこにあった真実を述べているだけである。

「………お」

日塔奈美は曲がり角を勢いよく曲がった。
すると前方に見えたのは見覚えのある二つの背中。
一つはクラスメート、性格を表しているかのように丸まった背中―――加賀愛。
その後ろを行く一つは別のクラスの知人、前方を歩く愛を尾行するように慎重な速度で移動を図る木野国也。
彼がどんな意図で彼女の跡を追っているかは大体想像できること。
奈美は邪魔しては悪いかと道を変えようとするが、他人の恋路のためにそこまでしてやる自分もどうなんだと結局方向転換はしなかった。
暇つぶしにじっと木野の背を見つめながら奈美は道のど真ん中を堂々と歩き続ける。
377好きです(木野と奈美):2008/05/16(金) 19:20:15 ID:suqFIM0Y
    恋愛か。
そういえば最近…いや、高校に入ってから一度もしてないな。
中学のときは……友達と騒ぎたいがためによく無理矢理好きな人を作ってキャーキャー言ってた気がする。
そんなことやってたらいつのまにか自然に好きになってたりしたっけ。
だけど最終的にはいつも本気になるのが遅すぎるから別の人と両思いになって、私もすぐ諦めてた。
高校になってもまた同じことするのかなとか思ってたけど、そんなこともなかったなぁ。
どうせあんな面子を好きになっても、発展無しのままお前普通だなって馬鹿にされるだけだし。
そう考えるとみんなは良いな、普通じゃなくて。学校内でも自由に恋愛できるじゃない。
私もあんなふうに誰かに夢中になったりしてみたい。楽しそうだもん。

「……あれ?」

思考を止め不と意識を現実に引き戻すと愛が自宅に入っていく姿が見えた。
いつの間にやらこんなところまで差し掛かっていたのか。
木野といえば近くに停車してあった車の影に隠れ、扉の向こうへと姿を消す愛を最後まで見届けていた。

(………完璧にストーカーだよ、あの人)


◇  ◇  ◇


木野国也はチャイムが校内に放課後の知らせを届けると共に勢い良く教室から廊下へと飛び出す。
帰りの礼が終わっていなかったため背後からは担任の怒声が聞こえた気もするが、今は説教に付き合っている暇などない。
何故彼が今日こんなに張り切っているかというと、心の中である決意を固めていたからだ。

――――今日こそ加賀さんと一緒に帰る!
378好きです(木野と奈美):2008/05/16(金) 19:22:10 ID:suqFIM0Y
…勿論彼が言っている"一緒に帰る"の意味は横に並んで男女睦まじく下校をするという意味で。
確かに一緒に帰ってはいるが、こんな風にただ後ろから付き纏うストーカーのような真似をしたかったわけでない。

(くそ……いつ言えば良いんだ?いつ誘えば……あ!)

愛が自宅の門を開くために身体を横に向ける。
視界の隅に映ってしまうといけないので木野はわざわざ付近の車の影に身を潜めた。
そして慎重な動作で顔を覗かせ、愛の横顔を最後まで見据えて扉が閉まると道路に姿を露わにする。

(無理だったか……。しかしこういうときはどうすりゃいいんだ?どんな誘い方すれば女の子は喜ぶんだろう…)

木野が頭をポリポリと掻いて愛の家の二階の窓を、特に意識せずに見つめる。
しかし背後からその様子を窺っていた奈美にとってはそれは不審者にしか見えなかった。

「ちょっとちょっと、女の子の部屋じっと見つめるなんて怖がられちゃうよ」
「え、日塔さん?」
「愛ちゃんのことが好きなのはわかるけどさ、……まといちゃんじゃないんだから」

奈美の呆れたような表情を見れば、何を言っているんだこの人は?という疑問よりも先に浮かんできたのは喜び。
そうだ、女の子のことは女の子に聞けば良い!
木野は素晴らしいタイミングで声を掛けてくれた奈美の手を胸の前で握り、歓喜の涙を目尻に浮かべた。

「相談があるんだ!」


◇  ◇  ◇

379好きです(木野と奈美):2008/05/16(金) 19:23:22 ID:suqFIM0Y
「え…、愛ちゃんと下校?」
「うん」

子供たちの戯れる声が飛び交う中、木野と奈美は公園のブランコに腰を降ろしていた。
キィキィと緩くブランコをこぎながら奈美は木野の方に面を向ける。

てっきり愛の傍に居たいがためだけに尾行していたのかと思いきや、そのような目的があったことに奈美は面食らったのだ。
成る程、自分は近くに常月まといという少女が居るのでどうもそっちの方に意識がいっていたのか。
思えば木野は私服のセンスが未来人を連想させるほどに異常なだけで、性格的にはそこらの男子と同じな気がする。
特に恋愛に関しては女子の気持ちがわからなかったり下校を一緒にしたいというところなど普通の男子の考えのようだ。

「そうだねー…。別に、ただ一緒に帰らない?って言えば良いだけだと思うけど」

普通!
どこからかそんな罵声が浴びせられた錯覚に陥るが、決してそれは現実で起こった出来事ではなかった。
木野は深刻な面持ちで低く唸りながら何かを思案するように視線を天へと仰がせていた。

「でも断られたら嫌じゃん」
「はぁ!?そんなこと言うくらいなら最初から帰りたいだなんて思うなよぉ!…まぁ確かにその考えもわからなくもないけどさ」

愛の性格を考えれば、有り得なくも無い。
けれどそれが怖くて誘えないだなんて、その願いはあまりに無謀すぎやしないだろうか。

「断られるのが怖いなら、一生片想いのままじゃない」
「でもこれってすげー勇気がいることなんだぜ?」
「それはわかってるけど……帰りに誘うことすらこんなに悩むんだったら告白はどうするのよ」
「……告白!?」
「告白しないと愛ちゃんと付き合えないじゃん」
「………………そうだな、告白すりゃ良いんだ」
「……………」
380好きです(木野と奈美):2008/05/16(金) 19:24:27 ID:suqFIM0Y
前言撤回。
やはりこの男はちょっとズレている。
帰りを誘うことに頭を悩ませるくせに、告白することには何の躊躇いも持たないのか?
それともその考え自体が普通すぎるのか?

「じゃあ練習させてくれ!」
「練習?」
「告白の練習」
「……私告白とかしたことないからそこまでアドバイスできないよ?」
「いや、俺の告白を受けてどう感じたかとか、ただ感想みたいなこと言ってくれれば良いよ」
「だったら良いけど」

熱心な申し出に奈美はいとも簡単に折れた。
了承の言葉を受けて木野は無邪気に黄色い笑顔を浮かべる。


◇ ◇ ◇

381好きです(木野と奈美):2008/05/16(金) 19:26:36 ID:suqFIM0Y
区切ります。
また夜。
382好きです(木野と奈美):2008/05/16(金) 20:08:59 ID:suqFIM0Y
ブランコから立ち上がった二人は互いに向き合う形となり、なるべく雰囲気を出すために園内の鮮やかな木々の並ぶ中に立っていた。

「じゃあまずはシュチュエーションを決めよう。そうだなぁ…学校の教室とかどうだろ?よくあるじゃない、テレビとかで」
「…………………ああ、良いなそれ」

実は先ほどから木野は"普通"という言葉を何とか喉の奥に押さえていた。
自分のために指導してくれる先生である奈美が機嫌を損ねないように、だ。
奈美はそんな木野の気も知らず、両瞼を閉じてイメージを膨らましていく。

「ここはグラウンドから野球部のバットとボールがぶつかり合う音だけが聞こえてくる教室。
夕焼けが紅く染め上げる教室の中心に向かい合う愛ちゃんと木野くん。ここに居るのはその二人だけ。
雰囲気はまさに最高、木野くんにとってこれは最大のチャンスです。……さぁ、想像しながら言ってみて」

緩く瞼を持ち上げる奈美と入れ替わりに、木野は両目を閉じ瞑想する。

―――ここはグラウンドから野球部のバットとボールがぶつかり合う音だけが聞こえてくる教室。
夕焼けが紅く染め上げる教室の中心に向かい合う加賀さんと俺。ここに居るのはその二人だけ。
雰囲気はまさに最高、俺にとってこれは最大のチャンス…。

頭の中で復唱すると、心を落ち着けるべく大きく深呼吸して――――

「好きです、結婚してください!」

頭を深く下げた。
木野の頭のてっぺんの向こうで奈美は頬を引きつらせて顔を蒼褪めさせている。
383好きです(木野と奈美):2008/05/16(金) 20:10:50 ID:suqFIM0Y
「結婚って……お前らまだ高校生だろ!もう一回!」
「好きです。俺、加賀さんを満足させられる自信があるんだ!」
「自信過剰すぎるだろ!もう一回!」
「どうか俺と付き合ってください!俺からの一生のお願いです!」
「必死すぎて痛い!次!」
「君は薔薇の花さながらの…」
「きもい!次!」
「俺とペアルック…」
「次!」
「………」
「次!」
「………」
「……!」
「…」
「…!」


◇  ◇  ◇


「ハァ…ハァ……」

あれから何十回と妙な告白を聞いて、両肩を上下させ呼吸する奈美はツッコミすぎて疲れ果てていた。
どうしてこの人はまともな告白ができないのだろう。
いや、寧ろ本当に真面目にやっているのかすら疑わしい。
だが奈美からの否定の言葉にいちいち落ち込む木野の表情を見れば、本人は至って本気であることはわかる。
384好きです(木野と奈美):2008/05/16(金) 20:12:17 ID:suqFIM0Y
「どこが悪いんだ!?俺の言っていることの、何がおかしいんだ!?」
「……アンタの考え全てがおかしいんだよ、じゃなくて………。木野くんの告白には砂漠を彷徨うアゲハ蝶だとか澄み切った空とか無駄な単語が多すぎ」
「…………」
「告白っていうのはそんなに難しく考えなくても、木野くんの気持ちを愛ちゃんに伝えられればそれで良いんだよ」
「俺の気持ちを?」
「そう。好きなら好きって、単純にそういえば良いの」
「そんなもん?」
「そんなもん」
「そっか…」

心を入れ直そう。
木野は緩慢と瞬きをする際もう一度最高のシュチュエーションを脳内に作り上げ、真っ直ぐ奈美の瞳を見つめた。

(む……)

貫くかのような眼差しに、奈美は僅かに動揺する。
緊張感の無かった頬は筋肉が引き締まって、表情が硬直してしまう。
そういえばお団子ヘアの友達が言っていた、"木野くんはカッコイイ"と。
確かに口を開いていない今ならその言葉に大きく頷ける。

「じゃあ、改めて」
「…う、うん」
385好きです(木野と奈美):2008/05/16(金) 20:13:09 ID:suqFIM0Y
青かった空には橙色が飾られており、夕陽が強い決意を固めた少年を優しく見守っていた。
気付けば時間が大分流れていて先刻までのはしゃぎ声も止んでおり、子供たちが帰路についたことを奈美は知る。
そんな静寂に包まれながら、木野は今までに見てきた愛の全てを瞼の裏に蘇えらせながら全身全霊を掛けて抱いてきた感情を吐き出した。

「ずっと前から好きでした、どうか俺の傍に居てください!」

―――――――あぁ、この人は本当に。

ざわりざわり。
間を吹き抜ける風が、二人を囲む木々の葉を揺らした。
そこに紛れて今にも木野の耳に届いてしまいそうな奈美の鼓動音。
ひょっとしてもう聞こえてしまっているのではないだろうか、と奈美は不安になりながらも無意識の内に口を開く。

「もう一回言って」
「……日塔さん?」
「え、あ、ううん、何でもない!それにしても本当に愛ちゃんのこと好きなんだね」

ついつい出てきてしまった本音。
奈美は仰々しく両手を振りながら頬を紅潮させ罰の悪そうに笑った。

「今のすごく良いと思うよ!絶対に愛ちゃんに伝わると思う!」
「マジ!?じゃあこれでいこうかな…サンキュー日塔さん!」
「うん!よし、それじゃあ私はこの辺で…!ばいばい!頑張ってね!」

一気にまくしたてると木野の返答も待たずに奈美は即座に身を翻し、足元に置いた鞄を手に歩き出す。
"いや、お礼に送ってくよ。もう遅いし"という背後からの声は聞こえぬ振りをして。
だってこれ以上居たらきっと自分が辛い想いをしなければいけなくなるかもしれない。
だから、どうか今はまだ小さなこの気持ちが大きく膨らんでしまわないように。

ただそれだけを祈って。
386好きです(木野と奈美):2008/05/16(金) 20:14:37 ID:suqFIM0Y
以上です。
本当はもっとgdgdgdgdと長かったんですがエロ無しで
長編はさすがに怒られる気がしたのでちょっと短くしました。
だから中途半端な気もしますが・・・・許してやってください。

では失礼しました。
387好きです(木野と奈美):2008/05/16(金) 20:15:34 ID:suqFIM0Y
あ、それから書き終えた後で木野が2のへに編入してきたということを思い出したので
作中では別のクラスとなってしまっています。
申し訳ないです。
388名無しさん@ピンキー:2008/05/17(土) 02:33:23 ID:nJzlVHaR
おお…なんというGJ祭り…秀作揃い踏み
ここは来世ですか?
389名無しさん@ピンキー:2008/05/17(土) 02:50:24 ID:kT6aYbfb
GJ 奈美かわいい奈美かわいい

>>359
藤吉さんネタは久しぶり、後編楽しみにしてます
390名無しさん@ピンキー:2008/05/17(土) 03:18:20 ID:9wjp4pWQ
誰も居ない。投稿するなら今のうち・・・。
4レスほどお借りします。

どちらかと言えば、小ネタの方かと。
エロは「ああ。やるこたあやってんだな。」と思わす程度です。
若干暗めでよくある話ではあります。
先生メインです。

それではしばしのお付き合いを。
391心変わり:2008/05/17(土) 03:19:19 ID:9wjp4pWQ
「すいません…。あなたをこんな事につき合わせてしまって…。」
フルフル…少女は首を振る。
少女の手を握る。瞬間彼女の手がビクッとする。震えている。掌はじっとりと湿っている。
「…怖いのですか…?いいんですよ。無理に付き合ってもらわなくても…」
「…」
しばしの沈黙の後、彼女は静かに口を開いた。
「…先生…一人だと…寂しいでしょ?」
「…それに…私も…先生が居ないと…」
握った手に力が入る。少女の爪が手の甲に食い込む。
「…わかりました。…ずっと一緒ですよ…。」
顔を上げた少女と視線を交わす。にっこりと笑う少女。
最後に見るのが…この顔で…私は幸せ者なのでしょうね。
「常世でも…よろしくお願いしますね。」
最後に長い口付けを交わす。二人を結ぶように唇と唇をキラキラと一本の糸が繋ぎ、
まるで名残を惜しむように、細くなり消えていく。
常世でも一緒に。未来永劫一緒にいられるよう願い、誓いを込めて…。
二人静かに…水面へと…体を沈めて…
392心変わりA:2008/05/17(土) 03:20:00 ID:9wjp4pWQ
ピッ…ピッ…ピッ…
『何ですか…この音は…』
ピッ…ピッ…ピッ…
『ああ。そうか。そろそろ学校へ行って。また今日も忙しくなるんでしょうか。』
憂鬱な気分で目を開ける。見たことの無い天井。ここは…どこでしょう?
「望!!」
「てめえ!!なにやってんだよ!!」
「兄さん…交…」
「馬鹿やろう!!死ぬなら一人で死ねよ!!何でお前だけ…」
全ての音が聞こえなくなる。…死ぬなら一人で…。
急に記憶がよみがえる。そうだ。あの時…彼女と…まさか…私だけ…死ねなかった…。
死ねなかった。死ねなかった。約束。約束…。
「あああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!」
口から飛び出す絶叫。嗚咽。止らない涙。
「望!!落ち着け!!」
彼女を一人にしてしまった。私は一人になってしまった。
急に彼女の言葉が蘇る。
「…先生…一人だと…寂しいでしょ?」
「…それに…私も…先生が居ないと…」
何故…あの時…彼女の為に生を選べなかったのか。
何故…あの時…私は死を選んでしまったのか。
私は自分の事しか考えなかった。私は彼女の事を考えてなかった。
私は彼女を失ってしまった。彼女も私を失ってしまった。
私は約束を破ってしまった。彼女に約束を破らせてしまった。
私は…私は…私は…
393心変わりB:2008/05/17(土) 03:20:57 ID:9wjp4pWQ
「はあっ!!」
勢い良く体を起こす。動悸が激しい。冷や汗がする。体の震えが止らない。
大きく一つ息を吐く。横から何かの気配。
私と一緒に水面へ体を沈めた少女が横たわっている。
「すう…すう…」小さな寝息。
「ふう。夢でしたか。よくある話とはいえ…自分に降りかかると驚きますね。」
そうつぶやき、少女の顔をしばし見つめる。
「…それにしても…」二人が横になっている布団を見つめる。
…随分激しく行ってしまいましたね。明日は朝一で洗濯をしないと大変な事になります。
二人の行為を思い出す…何故か顔が赤くなったのがわかる。
枕元の急須から湯飲みにお茶を注ぐ。もう温くなってしまったが、渇いた喉にはちょうど良い。
眠っている少女の顔を見ながら、誰に言うでもなくつぶやく。
「いくら夢とはいえ…もうあんな思いはしたくないですね。」
「あんな夢を見るということは、私は自分の事しか考えてなかったんでしょうね。」
「皆さんは本気ではないと思っていたんでしょうが、私は本気でいつ死んでも良いと思っていました。」
「でも…私が居なくなると少なくともこの子は悲しい思いをするんでしょうね。」
「そんな思いだけはさせたくありませんね。この子のためにももう少し自分を大事に生きてみますか…」
そうつぶやき、少女に口付けをし乱れた布団に体を預け、再度眠りに落ちる。
今度はもっと楽しい夢が見れますように…。
394心変わり(終):2008/05/17(土) 03:21:41 ID:9wjp4pWQ
すう…すう…
私はゆっくりと目を開ける。目の前の愛しい人の顔をじっと見つめる。
「…あんなにうなされて…心配しました。」
物凄くうなされていた。搾り出すようで…苦しそうな寝言。溢れ出す涙。
あまりの様子に声をかけようとした矢先。物凄い勢いで半身を起こす。
私は思わず寝たふりをしてしまった。
その事によって、私は先生の気持ちを知る事が出来た。
初めて…前向きな言葉を聴けたような気がする。
初めて私への思いを伝えてくれた。
先生の顔を見つめる。自然と涙がこぼれだす。
「本当です。先生がいない生活なんて考えられません。」
「自分で思ってるよりも…先生はみんなの心を暖かく照らしてるんです。」
「でも…もう信じて良いんですよね。わかってくれたんですよね。」
「先生の命は…先生だけのものじゃない。私だけのものでもない。」
「皆のものなんです…私も含めて…みんな先生無しでは…それだけみんなの心に入り込んじゃったん
ですよ。随分罪な人ですね…」
「でも…誰にも先生は譲りませんよ。だって私も先生を好きなんですもの。」
「…大好きです。先生。ずっと一緒ですよ。」
そう呟き、先生の手をぎゅっと握る。この手がずっと離れませんように…。
395名無しさん@ピンキー:2008/05/17(土) 03:24:02 ID:9wjp4pWQ
以上。おそまつさまです。

とりあえず、誰が先生の相手でも成り立つように考えてみました。
まあ望×絶望少女達とでも言ったところでしょうか。

私ですか・・・?普通かわいいよ。普通という感じですw
396名無しさん@ピンキー:2008/05/17(土) 05:00:58 ID:UbtBdpuN
.
397名無しさん@ピンキー:2008/05/17(土) 18:57:32 ID:t9MrRZGv
>395

乙。こういう形式もあるのかと勉強になったよ。
398名無しさん@ピンキー:2008/05/17(土) 21:52:42 ID:hNq878ud
>>395
おつ、そしてGJ!
先生ってみんなから愛されてるんだなぁと改めて思った。

普通かわいいよ。普通
399名無しさん@ピンキー:2008/05/17(土) 22:34:08 ID:Svq+sIYC
エロなし小ネタ投下します。
400荷が重い:2008/05/17(土) 22:34:51 ID:Svq+sIYC
放課後の職員室。望は自分の机で本を読んでいた。
「先生」
背後からの声に気付き、望は顔を上げ、声がする方へ振り向いた。
「おや?大草さんじゃないですか。私に何かご用ですか?」
大草麻菜実――。望が受け持つ生徒の一人だ。
何だか元気がない様子である。というか、少しやつれて見えるのは気のせいだろうか…。
「実は…、ちょっと相談したいことがあるんです」
「相談…?」
望は訝しげに少女を見上げた。
大草さんが自分に相談すること――。
進路だとか恋だとか、普通の学生がするような軽い悩みであるはずがない。
嫌な予感を募らせるも、とりあえず聞くだけ聞いてみることにする。
「それで、私に相談とは…?」
「実は…」
「そ、それは大変ですね…」
(重い…、重すぎる…っ!こんな重い相談、私には荷が重すぎる!)
「絶望した!学生にあるまじき相談に絶望したぁ!」
望は頭を抱えてそう叫び、机に顔を伏せてしまった。
「…あの、まだ何も話してませんけど」
麻菜実は呆れた様子で、そんな望を見下ろす。
「話さなくても分かります!どうせあなたは私に荷が重すぎる相談を押し付ける気でしょう!
私を悩ませて、睡眠時間を奪う気でしょう!」
「いや、そんなつもりじゃ…」
「とにかく今の世の中、荷が重すぎることが多いのです!
押し付けられる方の身にもなってください!本当にあの人で良かったんですか!?」
「先生、また話が脱線してます…」
「…はっ、この漫画が週間連載には荷が重すぎるとか言うなぁ!」
「言ってませんし。それに、何のことだか分からないです」
「…うーん。やっぱり二人だけだといまいち盛り上がらないですね…」
「盛り上がってどうするんですか!相談くらいちゃんと聞いてください!」
「そ、それもそうですね…。それで、相談とは?」
「実は…」
「それは大変ですね」
「…もういいです。なんかアホらしくなってきました」
401名無しさん@ピンキー:2008/05/17(土) 22:40:01 ID:Svq+sIYC
やべ、間違えてる。ごめんなさい…

×週間→○週刊
402名無しさん@ピンキー:2008/05/18(日) 01:44:42 ID:B7MUzP+C
こんばんわ。
暇に任せて、また一つ書いてみました。

以下注意を。
エロ無しです。
かなり実験をしてみました。
殆ど会話形式ですので、読みにくいと思います。
苦労した割りに面白くないと思います。

終わった後に若干解説が必要かと。

それでは、しばしのお付き合いを。
403半分…@:2008/05/18(日) 01:45:47 ID:B7MUzP+C
国交の無い某国から帰ってきた我らが糸色先生。

「ふう。さすがに今回は帰ってくるのに苦労しました。」
「あ。先生。お久しぶりですねえ。」
「おや、風浦さん。今回ばかりはもう帰って来れないかと思いましたよ。」
「うふふ。お疲れ様です。」
「ええ。本当に。少し疲れたので休みたいのですが、少し留守番をしてもらっても良いですか?」
そう言いながら絶望先生は部屋の奥へ。

「先生帰ってきたんですって!!」
「あ。奈美ちゃん」
「あ…風浦さん。…先生は?」
「疲れたから奥の部屋で寝てるよ。」
「へー。突然居なくなっちゃうからどうしたかと思ったよ。」
どうやら、日塔さんは先生がどうして居なくなっていたか事情を知らないよう。
「困るなあ。私たちを捨てて、遊びに行ってもらっちゃ。」
「嫌だなあ。遊びの訳無いじゃないですか。」
「先生は、私たちが簡単に出来ないような体験を居なくなっていた期間中に経験してきてるはずです。」
「そして…私達の知っている先生よりも一回りも二回りも教師として人として成長なさっているはずです。」
「その経験を踏まえ、私達の今後の人生に影響をするような…そんな体験を話してくれるはずです。」
「そうかなあ…」
「そうに決まってますよ!!」
404半分…A:2008/05/18(日) 01:46:36 ID:B7MUzP+C
そのやり取りを奥で聞いていた絶望先生。
日塔さんが帰った後、こっそり出てきて、風浦さんに一言。
「風浦さん。」
「はい?」
「あのような事を言われると困ります。あれでは私が何か立派な話をしないといけないではないですか。」
「すればいいじゃないですか〜。そうそう無いですよ?某国の思想改…」
「…わーーーー!!!!止めてください!!あなたこのスレをどうしたいのですか!!」
「…先生…スレって…?」
「ごほん。良くわかりませんが、思わず口をついてしまいました。やはり何か憑かれているようですね。」
「先生。言葉の意味が違っていますが…?」
「ある意味…これで良いのです。」
「はあ…」
「おや…あれは…?」
扉が閉まっている用務員室の前を行ったり来たりする影が一つ。
「はあ。先生帰ってきたって聞いたんですけど…私みたいな人間が、会いに行くと疲れも取れないでしょうね。」
ガラッ
「あ…愛ちゃん」
「ひっ…すいません。すいません。私のような者が先生の顔を見に来るなんて迷惑ですよね。私のような者が来たら
先生ますます疲れますよね。扉の影から見てますから。」
「大丈夫ですよ。私は明日からでも授業に復帰したいと考えていますし。ささ。どうぞ中へ。」
何故か顔を赤くした加賀さん。何かを吹っ切ったように…
「ご…誤解しないでよね!!あんたが心配で顔を見に来たわけじゃないのよ!!」
「別に早く学校に出てきて欲しくなんか無いんだから!!誤解しないでよ!!」
プイッと顔を逸らし駆け出す加賀さん。どこからともなく…ホレッ…という音が聞こえたが本筋とは関係ない話なので
先生と風浦さんは華麗にスルー。

「えっと話を戻して…あの様に何か期待を持たせるようなことを言うと、皆さんの前で何かを言わないといけない
雰囲気になるじゃないですか!!絶望した!!嫌な思いでも楽しく話させようとする教え子に絶望した!!」
「義務も果たした事ですし、私はもう少し休みたいのですが、もしその間に誰か来た時は、もう少し抑えたふうにしていた
だければ。」
「そうやって、つまらないと思わせておいて珍しい話をした方が、みんなの印象も良くなるという物です。」
「予防線ですね!!」
「ま…そういう所です。それではもう少しよろしくお願いします。」
そう言いながら、絶望先生は再び奥の部屋へ…
405半分…B:2008/05/18(日) 01:47:35 ID:B7MUzP+C
「先生帰ってきたんですって?」
「もう困るわね。明日から遅れた分の授業もきっちり取り戻さないと…。あら風浦さん」
「あっ、先生今ちょっと休んでるんだよ。」
「ふーん。で?先生どうだった?一人で長い間休んで、もしかして海外でも行ったのかな?海外…一人旅…言葉も
文化も違う異国で…先生は…ウフ…ウフフ」
ニャマリっと笑う藤吉さん。
「うーん。それがどうもたいした事なかったらしいよ。ずっと日本に帰りたかったって。」
「へえ…出会いとか無かったのか。つまんないの。」
「うん。何でもずっと部屋に居たんだって。何か一回りも二回りも前よりしょぼくれた感じだったよ。」
「は?何それ」
「それで、何もネタが無いって言ってたし、もしかすると何か話を捏造するかもね」

そのやり取りをじっと聞いていた絶望先生。これ以上不条理に貶められては大変と…
「風浦さん!!あなたは何を言ってるんですか!!これ以上私を貶めるような事は言わないでください!!」
「あら…先生。起きてらしたんですか?」
「いや…起きてらしたんですかじゃありませんよ。何ですか。言うに事欠いて話を捏造などと。」
「ただでさえ捏造・偽装等々、真実と違う事に対する非難が殊更大きい昨今。そういうことは実にデリケートな
発言を求められる世の中なのです。」
「はあ…」
406半分…(終):2008/05/18(日) 01:48:35 ID:B7MUzP+C
「あ、先生。ところでどこに行ってたんですか?」
「ええ。ちょっと海外へ。言われる前に言っておきますが、あなたの想像しているような体験は何もありません
でしたよ。藤吉さん」
「ちえっ…つまんないの。でも、日本とはちょっと違う体験したんでしょ?」
「ええ。まあ…色々と。」
「結構海外へ行くと、その国に影響されて帰ってくる人居るじゃないですか。」
「そうね。そう言えば旧さんとかも、インドから帰ってきたばっかりの時は随分あっち方面の人になってたものね。」
「うーん。そうですね。日本は格差が大きいというのを、あらためて感じましたね。」
「あら。意外と普通の意見ですね。」
「やはり…理想の社会というのは、格差の無い全ての民が平等であるということが大事なのではないでしょうか。」
「ふーん。まあまあ立派な事言ってるじゃないの。なんかどっかで聴いたような言葉ばっかりだけど。ちょっと先生の
人間性が大きくなったのかなあ…。」
「いやだなあ。藤吉さん。先生の見かけ倒しに騙されちゃいけませんよ。」
「へ?どういう事?」
「先生は中途半端に経験を自分の物にしてるだけですからねえ。もし先生の人間性が大きく見えたとしたら、それは半分
アカのせいですよ。」

その後
「…良くない。それは良くない。」
「ひっ!!千…千里…?」
「半分なんて言わずに…きっちり知るか…?」
「ひっ…ひいっ!!た・・助けてください!!風浦さん!!藤吉さん!!」
徹底して、木津さんからその方面の話を教育されている絶望先生。…その様子を見ながらマリアが一言。
「オチテナイヨ!」


お後がよろしいようで…?
407名無しさん@ピンキー:2008/05/18(日) 01:52:09 ID:B7MUzP+C
以上です。
すいません!!すいません!!突然意味のわからない文章を書いてしまってすいません!!

えっとですね。落語で”半分垢”ってお話があってですね、お相撲さんのお話なんですけど、
興味があれば調べてもらえたら。
それで垢とアカを掛けてみたんですけど、わかりづらいですよね。すいません。
408名無しさん@ピンキー:2008/05/18(日) 11:00:27 ID:/oGyOFxW
臼井×あびるを読みたいな。。
木野×愛も!
409名無しさん@ピンキー:2008/05/18(日) 12:38:44 ID:IfxR/0Db
ちょっと落語の勉強してくる
410名無しさん@ピンキー:2008/05/19(月) 16:07:00 ID:8bCiA2Hq
>>407
オチテないよw
411名無しさん@ピンキー:2008/05/20(火) 14:38:23 ID:8rSYQGy/
けっこう過疎ってきたな・・・・
412名無しさん@ピンキー:2008/05/20(火) 14:55:20 ID:i+581Dvl
最近は、週の前半は過疎、後半はラッシュという傾向にあるから
きっと今週も木曜日以降は神作がバンバン落ちてくるさ!
413名無しさん@ピンキー:2008/05/22(木) 15:45:06 ID:5zubKVhm
そろそろ保管庫の作品の感想を語る準備をしておいた方がよさそうだな・・
414名無しさん@ピンキー:2008/05/22(木) 18:26:08 ID:jVkWYo6N
職人待ちのつなぎに小ネタの投下いきまーす
エロ無し、テンポ重視で台本形式です
415超展開で世界観は変わる:2008/05/22(木) 18:29:04 ID:jVkWYo6N
 超展開で世界観は変わる


望  「私、ふと思いました。この絶望があふれる世界が変われば、私の絶望も無くなるのではと……。
 というわけで、世界ががらりと変わる出来事が起きた場合を妄想してみることにしました。いわゆる超展開ってやつです」
奈美 「今度は何を始めるのやら……」
望  「皆さんも、どうなれば良い世の中になるか一緒に考えてみてください。これは、皆さんの将来にも関わることですから、とても重要ですよ」
芽留 『妄想で将来が決まるわけねーだろ メンヘラ』メールメール
望  「よく言われるのは、何か大きな不幸が起こると世界が一変して見えるそうです。例えば、瀕死の重傷を負うような事故とか……。
 私、妄想でも痛いのは嫌なので、精神的に重症患者になってみることにします。ありがちですが、記憶喪失でいってみましょう」
千里 「何が原因で記憶喪失になったんですか?」
望  「その辺は適当でいいでしょう」
千里 「ダメです。ちゃんと理由を作ってください」
望  「そうですね。――では、くしゃみをした弾みで記憶が飛んだことにします」
千里 「わかりました」
晴美 「千里もこだわったわりにそんな設定でいいのね……」
望  「ではいきますよ。――ハックション!!」
可符香「実際にシミュレートしてみるんですね」
望  「…………」ボケー
あびる「先生?」
望  「あれ? ここは学校ですか? でも、どうして私が教壇に? 私は先生だった? そう言えば、私の名は?」
晴美 「あはは、先生名演技っ」ヤンヤヤンヤ
望  「先生? 私は先生なのですか」
千里 「そうです。先生はこの2のへ組の担任教師ですよ」
望  「そうでしたか。ついでと言ってはなんですが、私の名前も教えてもらえないでしょうか」
千里 「糸色望です。黒板に書いてあげますね」カツカツ
望  「……これって、横に書いたら絶望って読めますね」
千里 「はあ、今さらですけど……」
望  「冗談みたいな名前ですね。もしかして、私をからかってるんですか」
千里 「ち、違います。生徒名簿を見てください。同じ姓のあなたの妹さんの名前がありますから」
望  「本当ですか? どれどれ――糸色倫。こっちは絶倫ですか」
倫  「お兄様、その呼び方はおやめになってとあれほど」
望  「本当に私の妹なのですか? 手の込んだイタズラとかじゃなく……」
倫  「お兄様、いい加減にしないと怒りますよ」
望  「す、すみません。受け持ちのクラスに妹とか、でき過ぎ感が強くて。それに、こんなにかわいい妹がいるとは思わなくて……」
倫  「や、やめてください、お兄様。恥ずかしいですわ」カーッ
カエレ「授業中にいちゃつくの禁止! 訴えるわよ」
望  「べ、べつにいちゃついては……。とにかく、私は自分が何者なのか全然分かりません。他にも色々と教えてくれないでしょうか」
まとい「先生のことなら私が一番詳しい」ウシロカラヒョッコリ
望  「い、いつから背後にっ?」
まとい「最初から」
望  「そうですか。でも、なぜあなたが一番詳しいのですか。この教室には私の妹だっているのに」
まとい「それは――(ムムッ、これってもしかしてチャンス?)」ヒラメイタ!
望  「それは?」
まとい「それは、私が先生の恋人だからです。(言っちゃったー!)」
望  「そうだったんですか?!」
まとい「はい」シレッ
416超展開で世界観は変わる:2008/05/22(木) 18:30:15 ID:jVkWYo6N
千里 「ちょーっと待ったああああ」ダンッ!
晴美 「おおっと、ちょっと待ったコールが出たああ!!」
芽留 『古くせーな。知ってるオレもアレだが』メールメール
千里 「常月さん、この状況でそれは卑怯じゃないの」
まとい「卑怯? 何がですか? 私と先生が恋仲なのは純然たる事実ですけど」
千里 「嘘おっしゃい! そんな所、見たこともないわ」
まとい「それはそうでしょう。私と先生はみんなから見えない所で愛を育んでいたんだもの」
千里 「くっ……、涼しい顔でぬけぬけと」
まとい「だってホントなんだもーん。(勝った!)」
可符香「じゃあ、私も」
望  「え?」
可符香「私も先生の恋人だね! 先生とはやんごとなき関係ですから」
奈美 「やんごとなきって……、どんな関係よ」
可符香「そんな口に出して言えないこと聞かないでくださいよぉ」
奈美 「マジ!?」
望  「それは本当なんですか!? 二人と交際……、それも教え子と……」
千里 「それなら、私と先生だってただならぬ関係よ。同じベッドで一緒に寝るほどなんだから」
望  「また増えた!」
マリア「マリアもだヨ! 先生といろんなことシテ遊んダ!」
晴美 「それなら私もー。先生といるとおもしろいよね」
あびる「私、先生にならどんな痛いことされてもいいよ」
望  「その包帯、もしかして私が……」ヒヤアセ
カエレ「私も責任とってもらうから!」
芽留 『オレも参加しとくぜ』メールメール
麻菜実「私も、先生が援助してくれるなら、何でもしてあげますよ」
奈美 「私も普通に付き合ってました」
愛  「私なんかで恐縮ですが、私も先生の恋人に加えてもらってたことにしてください」
真夜 「月の無い夜は気をつけろ。後ろからズブリだ」
臼井 「三珠さん、その時は手伝いますよ」
霧  「死ぬ時は一緒だよって言ってくれた」
倫  「お兄様は私のものです!」
    ・
    ・
    ・
望  「一体、私はどんな生き方をしてきたのでしょうか。だんだん、自分が怖くなってきました」
千里 「いつも死にたがってましたから」
望  「そうですか……。今日は私、早退させていただきます。ところで、私の自宅はどこなんでしょう」
霧  「私が送ってあげる」
望  「すみません」

奈美 「先生、真っ青な顔で帰っちゃったけど大丈夫かしら」
晴美 「いやー、迫真の演技だったね」

417超展開で世界観は変わる:2008/05/22(木) 18:32:07 ID:jVkWYo6N
 後日、朝の教室で

命  「望はしばらく学校を休みますので。それを伝えに来ました」
千里 「それって本気で不登校になるってことですか?」
命  「サボリじゃないんだ。ちょっと入院することになってね」
千里 「どうかしたんですか!?」
命  「その……、命に係わるとかじゃないからそんなに驚かないで。どうやらひどい健忘症のようでね」
奈美 「けんぼうしょうって?」
命  「まあ、記憶喪失ってことかな」
晴美 「それなら先生の演技だよ」
命  「そうだったらよかったんだけど、高度な医療機器を使って検査したから間違いないんだ。それじゃ、また望の様子を報せに来るよ」

 命が去った後も、しばらく静まり返ったままの2年へ組だった。

 望の入院を聞かされてざわめく教室

奈美 「ちょっと! あれ本当に記憶喪失だったじゃないの。どうするのよ」
晴美 「どうするって言われても……。先生に悪いことしたかな……」
愛  「わ、私のせいです。調子に乗ってあんなこと言ったから」
千里 「とにかく、先生が早く学校へ戻ってこられるように、みんなでお見舞いに行きましょう」

 ガラガラとドアが開き、教室に入ってきたのは――

望  「皆さん、おはようございます」
千里 「先生!? 入院なさったのでは――」
望  「ああ、あれは命兄さんに頼んで一芝居打ってもらったんですよ。ね? 兄さん」
命  「みんな、ごめんね」ヒョッコリ
望  「どうでしたか? 私が記憶喪失で入院したと知った途端、世界が変わって見えませんでしたか?
 どう変わったかはあえて聞きませんが……。私がいなくなってスッキリした人もいるでしょうから」
千里 「そんな人、いるわけないじゃないですか!」ワナワナ
愛  「そうですっ。先生が戻ってこなかったら私、私――」
望  「加賀さん、何も泣かなくても」
倫  「私も本気で怒ってますわ」
芽留 『いっぺん死んでこい』メールメール
望  「ど、どうしてそんなに怒ってるんですか」
命  「望、お前が悪い。謝っておけ。(こいつはみんなに好かれてるんだなぁ)」
望  「わかりました。――ご、ごめんなさい」ペコリ
千里 「わかればいいんです」
可符香「みんな、先生の大切さが再確認できてよかったじゃないですか。先生も、みんなの信頼を再確認できてよかったじゃないですか」
奈美 「また強引なまとめだね」


 おまけ

まとい「私は先生の嘘を知ってたんだけどね」
霧  「私も」
まとい「本当に?」
霧  「うん」
まとい「ホントに?」
霧  「うん、交君が教えてくれた」
まとい「なーんだ」
霧  「何よ」
まとい「べつにぃ」


 終
418名無しさん@ピンキー:2008/05/22(木) 18:41:17 ID:jVkWYo6N
以上です
小ネタのくせに長くてすみませんw
419名無しさん@ピンキー:2008/05/22(木) 18:52:39 ID:l8OGYT3Z
へ組のメンバーが仲良さそうで良い。
420名無しさん@ピンキー:2008/05/23(金) 01:52:45 ID:et3YVP4m
面白かったよ
421名無しさん@ピンキー:2008/05/23(金) 07:27:02 ID:sOR1X/jZ
面白かったけど、三珠さんが喋っちゃアレでしょう。
422名無しさん@ピンキー:2008/05/23(金) 14:49:51 ID:HwvRZafq
>>408

あびると臼井、夕方の図書室にて。

「……」
「……」
「……」
「…あの」
「……」
「…小節さん?」
「…あ、臼井君…いたの?」
「ええ、ずっと」
「…まといちゃんみたい…」
「ええっ!? べ、別に付きまとってたわけじゃ…!」
「ううん、さっきの言い方が」
「…ああ、『ええ、ずっと』、ですか…」
「うん」
「確かに…そうですね」
「…で、何?」
「は? ああ…その問題、さっきからずっと悩んでるみたいだったから…」
「わかるの?」
「ええ、一応」
「どうやるの?」
「えっとですね…」
「……」
「で、ここが…」
「…あっ」
「…わかりました?」
「うん」
「…いやあ、小節さんにもわからない問題ってあるんですねえ…」
「うん」
「…嫌味じゃないですよ?」
「うん、ありがとう」
「えっ? はは…どういたしまして」
「……」
「……」
「……」
「…そろそろ下校時間ですね…それじゃ、僕はこれで…」
「うん、私も帰る」
「…そ、そうですか…じゃあ、駅まで一緒に…とか…」
「うん」
「えっ? …僕と一緒に帰る…?」
「うん」
「…はは…」
「ん?」
「い、いや! な、なんでもないです!」

普通「ほんとに見たんですって!」
絶望「いや、それはない。ないない」
普通「ほんとですよ! あの後あびるちゃんと臼井君、二人仲良く…!」
絶望「日塔さん、人を騙すにはあまりにも普通すぎる嘘です」
普通「普通って…! じゃなくて…ほんとのことですから!」
423帰郷。:2008/05/23(金) 19:42:13 ID:IwK3r1Gh
えらく過疎ってますが、気にせず投稿
望霧でずっときたので、心機一転して加賀さんを書いてみました
加賀さんはキャラ崩壊注意報です
それでも良い方は、どうぞ
424被害と加害の狭間で:2008/05/23(金) 19:43:41 ID:IwK3r1Gh
灼熱の夏。
まるで、砂漠でも歩いているかのような錯覚を受ける暑さ。
しかし、所詮は錯覚に過ぎない。
彼は勤務している学校の校庭を歩いているのだ。
重い足取りを気にすることもなく歩き続ける。
だらだらと。

(暑い…、私は育ちが良いから堪えられませんね…)

今にも手放しそうな意識の元で、望は一歩を踏み出していく。
力弱く一歩、また一歩。
そんなふらふらな望を見つめる瞳が二つ。
ハの字に曲げられた眉が申し訳なさを示している。
少女の名は加賀 愛。

(あぁ、先生…。私ごときが後を付けてしまって、すみません…。でも、止められないです…)

身を隠し、昇降口から眼を向けて、倒れるか倒れないかの瀬戸際を見つめている。


―――愛はいつからか。
儚げな雰囲気を身に纏う望に惹かれていった。
初めて意識したのは沖縄に連れていかれた時の事。
死にたがりの母性本能をくすぐる感覚。
なのに、時々見せる大人の包容力。
自分の加害妄想を理解し、受け入れてくれた。
幾人もの女生徒が虜になる理由が、少しだけ分かる。
誰もそんな事は無かったのに、望だけが受け止めたのだ。
それをはっきり意識してから。
愛は、惹かれていった。
425被害と加害の狭間で:2008/05/23(金) 19:46:41 ID:IwK3r1Gh
しかし、生徒と教師の関係では報われぬ想い。
そう割りきって、愛は今日も後ろ姿を眺めるだけ。
その姿を目に焼き付ける。
…はずだったのだが。
突然、望が倒れた。
それはまさに、刹那の事象で。
気付いたら、望は身を横たえていた。
愛は驚愕し、身動きも取れなかった。
約5秒の間を置いてから、駆け出していた。

「先生!」

一秒でも速く先生の元へ。
望は薄れていく意識の中で、自らへと走り近付く姿を捉えた。
ボンヤリとした視界の中では、その表情を特定することも出来ず。
申し訳なさそうな眉と、泣き黶だけが視認出来た。


白い部屋。
白いベッドに、白い天井。
白が協調され、非常に落ち着いた雰囲気の部屋。
何処かの教室ではなく、宿直室でもない其処は。
学校のオアシス、保健室。
その一郭を担うベッドを占拠する姿。
望と愛である。
額に濡れタオルを乗せて、寝息を立てる望。
望の手を握り、自身の腕を枕にしている愛。
二人とも夢の中を散策している。
時刻はとっくに下校時間を過ぎており、校内には二人しか居ない。
電気も点けられていない部屋は、暗い。
大きな窓から差し込む月明かりだけが、光と呼べる。
そして、今丁度。
更なる月の傾きによって、その明かりが望の瞼を突き刺す。
眩しさから目を開け、現状を認識する望。
取り敢えず、身を起こした。
額からタオルがずり落ちたのを慌てて拾う。
動きずらい右手に、初めて愛の存在に気付いた。
426被害と加害の狭間で:2008/05/23(金) 19:47:24 ID:IwK3r1Gh
(加賀さん…?此処は、保健室でしょうか…?)

起きぬけの冴えない脳で、考えた。
何処に居るのかは分かるが、何故、此処にいるのか。
それだけは、考え付かない。
だから、恐らく答えを知っているであろう少女に訊いてみる。

「加賀さん…、加賀さん…!」

肩を揺さぶり、少々強引に起こしに掛る。
2、3回も揺さぶれば、そのつり目を開かせた。
愛も暫くの間、考え事をしてから、急に謝りだした。

「すみません、すみません…!私ごときが先生の安眠を妨害してしまいまして…」
「加害妄想ですから、それ…」

謝罪の嵐で全く話が出来ない状況、どうにもならない。
仕方なく望は、再び愛の肩に手を置いて引き寄せた。
至近距離の瞳と瞳。
漆黒に彩られた美しい宝玉。
互いに相手の眼を綺麗だと認識していた。
愛は、謝ることを止めた。
と、同時に頬を染める。

「えー…、何故私は此処に居るのでしょうか?」
「そ、その…、実は…」

愛は事の経緯を全てを、話して聴かせた。
望が倒れて、乾いた土から乾いた音が響いた。
すぐに駆け寄った愛は、意識の確認をしたのだが、望は堅く双眸を閉じたまま。
覚醒することなく、高い熱を体内に宿し続ける。
危険な状態ではないかと危惧した愛は、望を日陰へと移動させて、助けを呼びにいった。
運良く、職員室まで向かう途中で甚六と出会い、此処に至るのだと。
427被害と加害の狭間で:2008/05/23(金) 19:48:50 ID:IwK3r1Gh
「そんな事があったとは…」
「すみません、すみません…!説明が遅れてすみません」
「いえいえ、こちらこそ手間を取らせてすみませんでした…」

午後七時半。
甚六の診断は只の熱中症に過ぎず、すぐに気が付くはずだった。
しかし、甚六の予想を遥かに上回り望が虚弱だった。
夜中の至近距離での会話に、少しずつ鼓動が速くなる愛。

「しかし、熱中症で倒れるとは。加賀さんが居てくださって助かりました…」
「いえ、そんな…」
「本当に、ありがとうございます」
「こ、困ります…!恩に着られては…!」
「え…!?」
「あ、貴方の為にやったんじゃないんだからね!誤解しないでよね!」
「………あのですね、加賀さん。先生は最近の流行りには疎いんですが…」

再び濁りなく瞳を見つめ合う。
長い間、忘れていた感覚だろう。
本気で人を諭そうとしているのだ。
加害妄想少女を、今この時だけ救おうとしている。
自分の意見の主張は苦手な望だが。
ハッキリとその耳へと届ける。

「今、先生は確かに加賀さんに感謝しています。ですから、…そんなに悲観しないで下さい」
「はい、すみません…」
「…あのですね、言っている事分かってますか?」
「はい、すみません…」
「……とにかく、時には素直になる事も大切ですよ」

話の半分は聞いていなかった。
その真剣な眼差しは、決して反らされる事なく。
愛を貫いていた。
また、心が溺れて行く。
少しずつ、少しずつ。
糸色 望にのめり込んで、沈み込んで。
二度と抜け出せなくなるような。
そんな感覚だけに集中していて。
他には何も考えられないのだ。
428被害と加害の狭間で:2008/05/23(金) 19:49:32 ID:IwK3r1Gh
「さて、随分遅くなってしまいました…。そろそろ帰りましょう。加賀さん」
「あぁ…、すみません。私のせいで遅くなってしまって…」
「だから、加害妄想だから、それ…」

望の小さな呟きは、少女の鼓膜に届くか届かないかの微妙なもので。
二人はそのまま立ち上がり、出口に向かう。
鍵も掛けられてない扉を開き、その空間に身を滑らせる。
その瞬間に、また呟く。

「…まぁ、それが加賀さんの美徳でもありますがね」

(…えっ!?)

それは、確かに届いていた。


暗闇の街を歩く二人。
満月の明かりと、時々存在する街灯以外に光りは無い。
そんな、不気味な街中を二人で歩く。
淡々と歩き続けた。
沈黙に沈黙を重ね、押し黙った二人の間に気まずさはなく。
この状況が普通だと、認められているかのように。
只々、歩き続けた。

(あぁ…、あんな事を言われたのは初めてです)

延々と広がるコンクリートの道路に視線を落とす愛。
考え事を繰り返しながら、時々望の方を見る。
その頬の紅潮は、保健室を出たときから変わっていない。
恋する乙女のものだ。
そして、その隣でも考え事を繰り返す影が一つ。
こちらは少々情けない考え事だ。
429被害と加害の狭間で:2008/05/23(金) 19:50:38 ID:IwK3r1Gh
(しかし…、大の大人が、しかも男が、夏バテとはいえ歩いているだけで倒れるとは…)

情けなさ過ぎる。
日頃から体を鍛えてはいるが、それは一部分のみであり、体力にはあまり直結していない。
それを恥じた望は、言い訳をすべきか、せざるかを悩んでいた。
悩みに悩んで、行き着いた答えは。

(言い訳をしようにも、何もありませんね…。やはり黙ったままの方が良いでしょうか)

沈黙を守るという選択だった。
情けない上にチキンな考えだ。
しかし、そう自覚していても望は、この心地好さを大事にしたかった。
騒がしい日常から一変したこの時間を。
守っていたかったのだ。
愛と二人で歩き続け、闇の中に身を沈めていく。
やがて、地を踏む感覚は離れてゆき、不確かに空を舞うかのようだ。
世界が二人だけになった。

「此処が家です、先生…」

白昼夢は儚く消え去り、目の前には現実が。
何とか聞こえた愛の声で、感覚が帰ってきた。

「すみません、送って頂いて…」
「いえ、気にせずに…。それでは」

そう言って、身を翻す望。
視界から愛が消えた、その時。
何となく、少女の事が気にかかった。

「すみません、すみません…」

小さな振動が鼓膜に届く。

―――今、彼女は何をしているのだろうか?

後ろ姿の自分に頭を下げているだろうか?

それは、あまりにも鮮明に、そして容易に想像出来た。

―――もし、そうだったら、どうしようか?
430被害と加害の狭間で:2008/05/23(金) 19:51:38 ID:IwK3r1Gh
望の心の中に、少しばかり悪戯心が芽生える。
期待と予感を入り混ぜて、望は振り返った。
頭だけでなく、体ごと振り返った。
そこには、自分の思い描いた未来があり。
ほんの少しだけ違ったのは。
眉が想像したものよりも申し訳なさそうだった。
目を瞑り頭を下げる少女を見ると。
芽生えた悪戯心に花が咲いてしまった。
つかつかと歩み寄り、少女の目の前に移動する。
瞼を通して感じていた月の光が消える。
不審に思った少女は、頭を上げた。
そこには、自分よりも遥かに長身の男が立っており。
影が光を遮っていた。

「加賀さん、貴方の加害妄想は度が過ぎますね…」
「すみま…、え…?」

先程自分の癖を許してくれた教師が、あんなに険しい顔をしている。
もう、見放されてしまったのだろうか。
愛は、望が倒れた時以上に危惧していた。
嫌われてしまったのだろうかと。

「少し、被害を受ける事を覚えた方が良いかもしれないですね…」
「えっ…?先生…?」

そう言い放つと同時に望は、愛を家の塀に追い込んだ。
乱暴にならないように気を付けながら片手を取り、塀に押し付ける。
左手で右手を抑え、余った右手を頬の横で塀に置く。
すでに紅潮はしておらず、話の展開に着いて行けてない困惑が表れている。

「被害を受ける事も、時には重要なのですよ…」

少しずつ近付いてくる望の瞳。
暗闇の中でも、その漆黒の瞳は輝きを失っていない。
愛は、逆らえない。
逆らうつもりもないだろう。
視界に望が収まりきらなくなった時を境に、愛は目を閉じた。
少し怯えた表情で覚悟を決めた。
431被害と加害の狭間で:2008/05/23(金) 19:53:09 ID:IwK3r1Gh
「…何故、逃げないのですか?」

吐息を感じるような距離で、望が呟いた。
唇が重なるまで、残り数センチだ。
愛は、再び目を開けた。
愛しい人が、まさに目の前。
異常に心臓が速くなり、顔に血が昇ってくる。
問い積める瞳を見つめ返して、愛も呟いた。

「先生になら、被害を受けたいです…」

その時は素直に。
加害妄想する事もなく、口を付いて言葉が出てきた。
こんな事を言われては、望が後に引けなくなってしまう。
愛が嫌がるものだと考えての行動だったので、この展開は予想外でしかない。
今更どうにかすることも出来ないので。
望は黙って、愛に口付けた。
音も立たない接吻で。
本当に唯、重ねているだけ。
緊張の面持ちの望は、うっすらと目を開ける。
そして、其処には自分以上に緊張している少女が居た。
その可憐で、妖艶な表情は望の精神を追い込み。
終にはそれを千切らせた。

「んっ…、ちゅ…」

重ねるだけでなく、色々と動作をおり混ぜる。
少女の唇を自らで包んだり、舌でつついてみたり。
そんな風に遊んでいると、愛が口を開いた。
すかさず望は舌を差し込み、愛の口内を侵す。
より顔を押し付けて、奥まで差し込む。

「くちゅ…、ちゅぱ…、んっ…」
432被害と加害の狭間で:2008/05/23(金) 19:54:57 ID:IwK3r1Gh
歯茎をなぞり、犬歯を舐める。
しかし、何時まで経っても愛が舌を出すことはない。
痺を切らした望は、愛の舌を舌で拾い上げる。
びっくりしたのか、顔を引っ込めようとする愛。
だが、塀に置かれていたはずの望の右手が頬を支えており、離れられない。
舌が絡み合う音が、辺りに響く。
相変わらず愛は舌を動かさず、何処までも受動的なキス。
望はそれでも満足していた。
口付けを交す間も、そのしおらしさは少女にピッタリだと考えていた。
流石に息苦しくなってきて、望が口を離す。

「んっ…!はぁ、はぁ…」
「加賀さん…」

二人の間に銀の糸が繋がる。
それが重力で落ちる前に、再び口付けを交す。
もう何も考えていなかった。
少女に悪戯するつもりだった事も。
生徒と教師の関係の事も。
考えられなかった。
何時の間にか、両手で頬を支えていた。
愛も舌は動かさないが、手を望の後頭部に回す。
より深く、より近く。
我に還ったのは、接吻を始めてから三十分後。
愛の携帯が高らかに音を立てた。
親が心配して連絡してきたのだろうか。
愛はしきりに謝っている。
その姿は、元の少女に戻ってしまったようで。
望は無性に淋しい気持ちがしてしまい。
携帯を閉じた少女に、つい言ってしまった。

「加賀さん、被害を受けたかったら…、先生は何時でも手伝いますよ」
「は、はい…!すみません…」

最後まで謝っていた少女を残して、望は学校への闇に消えていった。
433被害と加害の狭間で:2008/05/23(金) 19:59:18 ID:IwK3r1Gh
キャラ崩壊とエロ無し
すみません…
自己完結してますが、できれば感想とか聞かせて下さい
434名無しさん@ピンキー:2008/05/23(金) 20:18:11 ID:1Vmbfxxu
愛可愛い
435名無しさん@ピンキー:2008/05/23(金) 20:59:55 ID:avM3rpXB
>>433 GJ!!かわいい愛をみれてよかった。後、エロのシーンがないと言うが
キスのシーンが十分エロかったよ。
436名無しさん@ピンキー:2008/05/23(金) 22:03:19 ID:FAYbUMwx
>>433 GJ!!
愛すごい可愛いよ愛

437名無しさん@ピンキー:2008/05/23(金) 22:49:55 ID:Ztqjoxdi
またしても降るとどしゃぶりw
438名無しさん@ピンキー:2008/05/24(土) 00:19:28 ID:o2BRqOMw
どしゃ降り大歓迎!
439 ◆NAToRibzOk :2008/05/24(土) 08:09:09 ID:DezsR5O4
私、「本部屋」で名無取さんをしている者です。
いきなり別件での乱入で申し訳ないのですが、残しておきたい文章があったので、
ここに置かせて下さい。



猟奇、メンヘル、エロ無し、言いががりです。
前半は辛いです。でも、後半は少しおかしくしているつもりです。

レス数はいくつになるかわかりません、
PCがPINK系規制されていて、携帯投稿になるので時間が掛かります。

文章としての流れが出来ていない箇所もあります。
名前も少しおかしいですがご了承ください。


前集までのあらすじ
真昼さんの影響もあり、元々謎めいていた久藤准に興味を持つ。
スレを探すうちにあの場所に辿り着く。
初めはとんでもないギャップに驚いたが、とんでもない彼自身の魅力に惹かれていく。
だが、やはりこんな彼は認めたくない。そこで意地悪な質問を投げかけてみる。
…彼は優しく応えてくれた。
そのうちにかまって欲しくなり自己アピール。自らを名取さんだと誤認させる。
都合がよい、便利だった。半分名無しオリジナルに多重人格ならキャラ無いから。
彼は何にでも優しく応えてくれるので調子に乗り、人生相談を始めてしまった。
自らの状況をいいがかり姉さんに当てはめると似ていた気がしたのだ。
そしてでしゃばり過ぎて全体の雰囲気に影響を及ぼしてしまう。
反省しようとしたのだが…


「久藤君、私、お話考えたよ。タイトルは… 」 【これがこの話のタイトルです。】

──────────────────────────────
【この【】も向こう向けのものの未推敲なので内容が暴走していますがスルー願います。】

【あったかい雰囲気に割り入る冷たい話。】
【私が居なくなる最終回パターン2(絶望)に3(希望)を足した復活版。】
【ここ一週間そんなことばっかり考えて心が半分分裂状態。ぼけ〜っと身が入らない。】
【でもこれ、やってしまうとすっきり出来るかもしれないのに、】
【これまでの全てをぶち壊してしまうダブルバインド!】
【元々ギャグのつもりだったのに、これじゃ内容が完全猟奇じゃない!痛い!困った。】
【死んでません。痛いけど痛くありません。でも見る人を痛めつけてしまう…。】
【言わなきゃいいのに言っちゃうのは、このままじゃ痛み続けてしまうから。】
【この闇を内包しつつ外面あははーだと私…。(死にはしないけど…胃が)】
【週末に状況が変化するかもしれないのでそれまでに私に溜まった渦巻くものを。】
【特に猟奇系は…と言われた傍からこんな事を。苦手な人は後半までスルー願います。】
440名無取さん@ピンキー ◆NAToRibzOk :2008/05/24(土) 08:12:34 ID:DezsR5O4
 5/20以前
扉の前で立ち止まる、大丈夫、私は大丈夫。そう言い聞かせる。
こんばんはー!いつも元気な名無取さん参上ー!
……誰も居ない。
ごんぶとちゃーん、元き‥ 寝てるのかな…
はぁ、 椅子に腰掛け机に臥せる。


ザシュッ!  !!!
突然背中に衝撃が走る。
何っ!? しーん。
ぎゃっ 無数の棘が心に突き刺さる。
さては見えない敵だな!戦っちゃってますか!?私見えない敵と戦っちゃってますか!?
ボケても誰もツッコまれない。椅子を振り回しても空を切る。
居ない、誰も居ない。一体誰が!?
ひっ 足をカマイタチのような鋭い何かが通過した。
がっくりと膝を着きそのまま倒れこむ。
441名無取さん@ピンキー ◆NAToRibzOk :2008/05/24(土) 08:15:00 ID:DezsR5O4
このまま… このまま消えてしまうのもいいかなぁ… 

私が何かすると、いつも誰かに迷惑が掛かるんだよなぁ… 
私が呼んだ荒波にあの子が飲み込まれちゃったからなあ…
本当に消えるのは私で良かったかもしれないのに、
私は取りとトリを取り外せは元のままだもんなぁ… でも、もうなかった事には出来ないよ。

【長いし、ここから現状報告だから物語としてはスルー】
どこでもそう、私が口を出すと、荒れるの。3〜4つ被害を蒙ったかな…最近。
そんなつもりじゃなかったんです!不可抗力だったんです!
とか言い切れる人だったらどんなに良いか。
晒さないで!お願いだから傷を抉らないで!あの人を失ったら我々は…
ネット上じゃなくてもそう、例えば、例えばだよ。
私が探し回っても見つからなかった大殺界を前の街でおかあさんが見つけてくれたのね。
初回版エンドカードが入っているのを開けて確認してくれたのね。
でもね、パッケージに丸いシールあるじゃない。あれ集めているんだけどね。
「あんたいろいろうるさいから」って別に取って置いてくれたの。でも、無いの。
どっかいっちゃったの。そこで私が余計な事言う訳よ。ほーらまた喧嘩だ。
意味無いし、DJCDで臼井君を隠してる役目があるくらいだけどね。
仕舞いには何が県下第二だ!いちいち県庁所在地に挑んで来るな!勝負にもならない!
のぞみは要らない!ひかりを停めろ!(違)と元市民のくせに現在市にいいがかる始末。
こうなの。余計な事言っちゃうの。
おかあさん、今の私はまだまだあなたが居ないと生きていけないのに。
【この間、数秒。長い走馬灯終わり。】
442名無取さん@ピンキー ◆NAToRibzOk :2008/05/24(土) 08:18:59 ID:DezsR5O4
後頭部に重い衝撃、…もあまり感じない。
脳が揺さぶられ薄れ逝く視界、どこかで見覚えのある粒が散らばっていく。
綺麗だなぁ。ああ、これ水槽の… やっぱり消えたくな…

体の上に土が被せられていく気がした。そう、私が埋まるべき…




どれ程の時が遷ったただろうか、7日、数分、数秒、それとも…

いったー、何?何だってのよ!
恐る恐る頭を擦る、あれ?全然痛くない、むしろ妙に体が軽い!

何この研ぎ澄まされた感覚!何か見える。あいつか!あいつが見えなかった敵か!
そこに居るのがぼんやり見えるぞぉ!今だ、今ならやれる!
悪魔の微笑みを浮かべ軽やかに、まさに飛ぶように躍り掛かる。
愛用のプラスコップ(大)一閃。
傍にあった本来は美しい花を飾るであろう剣山を握り締め突き立てる。
亀手裏剣!可哀想な黒刃カッターガムテープ巻きの亀が投げつけられる。
 ・・・     ・・・・・  ・・・   ・・  ・・・。
こいつ、何か呻いてやがる!…長いっ!往生際の悪い!可哀想ぶるのもいい加減にしろ!
さっさとくたばりやがれ!!
交換用のクリスタルサンド5kgを振り落とす。

裏庭まで引きずり出し、愛したスコップを初めてこんな事に使う。
443名無取さん@ピンキー ◆NAToRibzOk :2008/05/24(土) 08:22:10 ID:DezsR5O4
はあっはあっ…?ってあれ、ぜんぜんドキドキしない、なんて軽やかで爽やかな…。 
ぐらっ、ずんっ、軽かった体が急に重くなる。???
おかしい、何かがおかしい。
何か、とんでもない事をしてしまったような…?


なんだこれ、いつの間にか体に紐が巻きついている。
蒼く透った か細い紐は、陽炎のように危げに揺らめきながら背後へと。
裏庭へと。 土の下へと。
薄々予感しながらも、恐る恐る土を払いのけていく。
今ははっきり見える。ああ、やっぱりこの子は…。
温もりが残っていた。ほんの少し前までこの子は生きていた。
それを私が…
444 ◆NAToRibzOk :2008/05/24(土) 08:24:23 ID:DezsR5O4
冗談でもこれやっちゃいけないよ。私の一番大事な人を殺めちゃったよ…
涙が溢れ出す、思い返して泣けてくる。打ち込みながら泣いている。
なんでこんなことやっちゃったんだろ。
やっぱり私、大丈夫なんかじゃない!壊れてるじゃないの!
あ、あはは、来週になれば、来週になればきっとしれっと出てくるよね… 
部長でしょ?あなたは本当に科学部部長だったんだからしれっと起きなさいよ!
ね?ね?返事しなさいよぉ…

キャラとしてを超え、人として魂が分離していた。

突然視界が遮断される、緞帳が下りたのだ。第一部終了。


──────────────────────────────
445名無取さん@ピンキー ◆NAToRibzOk :2008/05/24(土) 08:27:27 ID:DezsR5O4
しばしの後に富士の山、第二部開幕のチャイムである、内容に似合わず間抜けである。

このままあんたに死なれたら困るのよ!私が!
人工呼吸がファーストキスでも躊躇しない。だって大事な私だから。
心臓マッサージのセットも駄目、停止している。
そ、そうだ!これならっ、電池!Pamasomic!。さあ、これならどう?
起きるでしょ?何されるかわかったもんじゃないから起きるでしょ?
こういうの言うのは好きでもされるのは駄目なんでしょ?
さあ、早く起きないと充電するぞ!!
…へんじがない、ただ事ではない死過羽のようだ。

…本当にすがる思いで電気ショックにでも。
AEDAED、そうだ、駅に… あー、こんな田舎駅じゃ無い!
この低周波治療器改で、どこにしよう。試しに足で…
ふくらはぎと太ももに電極を貼り付け、弱電を流す。 
ぴくぴくっ。動いた!やった!生き返ったのね。しばらく待つも変化無し。
新鮮なカエル肉に異なる金属を当てると電気が発生して動く事を思い出す。
うえぇ、新鮮な肉なんだ、嫌だぁ。新鮮じゃないと困るけど。
こうなったら、MAXで掛けてやる!
446名無取さん@ピンキー ◆kNatoUMKwg :2008/05/24(土) 08:30:00 ID:DezsR5O4
ぎゃあああ!いっったあああ!攣ったあああ!
就寝中に突然足が痙攣したかのように飛び起きる。
 何なのよ!せっかく人が寝てたっていうのに…。
…あれは、私?同じ顔の人がいる、変な電極がつけられている。
例に出されたカエルの解剖の絵、怪しげな雰囲気…
「私、クローンにされたのか!!」
記憶が無い…?いいえ思い出した。私死んだんだ。じゃあ。ぱたっ。
447名無取さん@ピンキー ◆NAToRibzOk :2008/05/24(土) 08:32:59 ID:DezsR5O4
うひゃあああ!起きた!飛び起きた!
なんと肢体を晒した死体が飛び起きると、疎ましそうにこっちを見ている。
ぱたっ。あ。

よかった、生き返ったのね。本当に、よかった… 
さあ、起きて。ごめんなさい、あなたを殺そうとしてしまったなんて。
448名無取さん@ピンキー ◆kNatoUMKwg :2008/05/24(土) 08:35:35 ID:DezsR5O4
…うるさいなぁ。私は死体なんだから、話しかけないでよ。私はここで消えるの!
消えるの、消えるの消えるの消えるの、消えたいの!
はやく飛んでいっちゃいなさいよ。そのうち切れるでしょ…この忌々しい…鎖が。

紐はほんの少しだけ太くなっていた。
449 ◆NAToRibzOk :2008/05/24(土) 08:41:59 ID:DezsR5O4
あ、やっぱり本当は消えたくないんでしょ!せっかく出来た友達じゃない!
久藤君だけじゃない、名無しさん達だって倫ちゃんだって、
智恵先生だって、小節さんだって、折角知り合えたんだから!
ここで消えたら消え損だよ、そんなのまっぴらだよ!
_ ………消え…る  の…。
もう…、私の魂は誰にも渡さないと意地を張っていたけど、
あなたにだったらあげるから…
だから私の代わりに、生きて…。
倒れている私を、魂の私が抱きかかえると、紐はだんだん帯となり、
螺旋状に2人を包み込む。
_ううん、私も意地を張っていたわ、このまま消えたらどんなに楽かと思っていたけど、
_苦しいことばかり。このまま永遠に苦しみ続けることがわかったから。
_ありがとう、私を生き返らせてくれて。
 体の私が魂の私を抱き締めると帯はぼんやりした光の繭となり2人を照らし出す。


気が付くとすぐ後ろに壁があった。元々傍にあったのに気が付けなかった。
壁には、様々な事象の境界という扉が。

さあ、一緒に、扉を開こう。
2人の重なった手でノブを回すと、眩しい光が差し込んだ。
その境界線を通過すると、通い慣れた本達の部屋。
そのまま輝きは増していく。もっと光を。
450名無取さん@ピンキー ◆NAToRibzOk :2008/05/24(土) 08:45:00 ID:DezsR5O4
…ん、ふぇっ?あ、あれ?私寝ちゃってた。なんかとんでもない夢見てたような…?
わっ、もうこんな時間、はやく帰って寝ないと明日も大変だあ〜。


迷惑そうに首を伸ばした亀が、去り行く姿を見送っている。
彼は知っている。足元の床板に無数の透明な粒が入り込んでいたのを。

ご愛読ありがとうございました。引き続き久米田先生の連載作品をお楽 だーーーっ!
ちょちょまーっ!!

緞帳が降り第二部終了。
──────────────────────────────
間を開けず、すぐさま「結」。

451名無取さん@ピンキー:2008/05/24(土) 08:51:01 ID:DezsR5O4
【お疲れ様です。初めて会って初めての対話なのに、初めてな気がしないね。】
_【そりゃそうよ、あなたと一緒に20年以上も生きてきたんだから。】
【あはは、そうだね。あなたとだったらこの世の果てにでもいけそうだね。】
【あのまま消えてたらどうだった?】
_【やっぱり消えられないよ、私は演じてる訳じゃないし名無しでもバレバレだよ。】
_【何よりクセがあるんだから、わざとアピってるでしょ。最近ズレてるけど。】
_【もう原点回帰なんて無理、またそのうち忘れられなくて出で来るんでしょ。】
【うん…。一度覚えてしまうともう戻れないものだもの…。 あ、めんどいっ! 】
 ぽいっ ノ ⌒【 】
  _またなんでもぶち壊すね、あんたって子は。
_で、これからどうする気?
そうだねー、新しい私はやるよ!やってやるよ!
_何を?
久藤君。
_え?
久藤君だって。
_あんた!まさか久藤君を殺って自分のものにしようとしてるの!?
_まだ懲りないんだ!もっぺん死んで来い!カランッ!(プラスコップ)≪オマエもな≫
違う違う!ロール。
_へ?
久藤君とロール。
_はぁ…、あんたねえ、自分が一番苦手だって言ってたんじゃない。
_久藤君だって気ぃ使って今のままの関係で居てくれるってのに、またふざけた事を…
あれれ〜?ツンデレですかぁ〜?ニヤリ。
本当は期待してたんでしょ。すっごく期待してたんでしょ。
久藤君から求められた場合の対応策、考えていたんでしょ?
  _ばっ、馬鹿!なに本当の事言ってるのよ! あっ。
ほらぁ〜、ねぇ〜、ニヤニヤ。
大丈夫、私は私なりの方法でやるから、あなたのデッドラインは熟知しているから、多分。
久藤君と、みんなともっと仲良くなる為に、ねっ。 
_うん。それなら…。
452名無取さん@ピンキー ◆NAToRibzOk :2008/05/24(土) 08:55:55 ID:DezsR5O4
【あの時は早く収めないと大きくなりそうだったから急いでめるめる。】
【もうぶっちゃけでもなんでもいいから止めたかったの。】
【それでもお膳にネタは据えたけどね。】
【そういう流れになったら即、断るつもりだったけど祝福されて心境に少しだけ変化が。】
_____________ ≪その人に冗談って言われたよ≫
【まあね、あのね、…期待しないでよね!】

ところで、さっきからあれ何   →               ≪…?≫
  さあ?
_____________ ≪……どうも、三人目です。≫
┏ええーーっ!!
┗ええーーっ!!

ED:ナナトリ(替え歌)
私の中のユニゾン、協調よ。この魂はあなたと一つよ。

緞帳が降り静寂の演舞場。
劇団名無取一世一代ひとり芝居、こうして幕は閉じられた。

──────────────────────────────
453名無取さん@ピンキー ◆NAToRibzOk :2008/05/24(土) 09:00:00 ID:DezsR5O4

ぼけ〜
・・・○○したら、××して、…そこっ!ちゃんとログしてるの?
研修だからって気を抜かない!きっちり覚えなきゃ意味が無いでしょ。
来週から簡単と言っても、商品に携わることを自覚しなさい!
はっ、はい、すみません!木津先輩(仮称)!ありがとうございます!

目の前のディスプレイには何かよくわからない謎の物体が映し出されていた。

そうだ、私はここから未来を造りあげていくのだから。
でも、もう暫く背中を押してくれると嬉しいな、みんなありがとう。


──────────────────────────────

(劇中のあとがき)
これでボケも解消されるかなぁ〜、
闇が外に出た分あからさまに黒くなっちゃうかな。
もっと考え込んじゃったりしてね。
名無取さんの今後の活躍にご期待 …しないでよね!

私はしつこい天丼が大好きです。



久藤君、私、お話考えたよ。タイトルは「ココロナイ名無取さん。」


脚本:名無取さん 演出:名無取さん 主演:名無取さん 助演:名無取さん
三人目:◆NAToRibzOk 設営提案:597さん
剣山:100円ショップ 亀模型原型:ごんぶとさん
Special Thanks:久藤准・本の部屋の皆さん
協力:エロパロスレ

──────────────────────────────

  おまけ 
突然もう一度幕が上がる。
ガラッ!私JA○○ACの方から徴収訓練に来ました。
あなたは非難訓練指導員!何故ここに?
私は様々な訓練を指導しているのです。
名無取さんは替え歌と称しパクリましたね?今日はその警告と…
わかった!あなた天才塾崩れね?…調度いい、あなたの声が気に入らないのよ!
二枚目キャラかと思ったら、地球に優しい変態まで!イメージぶち壊しよっ!
ひーっ、いいがかりだよ名無取さん。


このおまけ話、前から考えていたのに見事に読まれちゃってた。
やっぱり久藤君は心が読めるんだね。本当に嬉しかったよ。


──────────────────────────────


全体のあとがき
今までの自分を消す事で新しく生まれ変わろうとしたのに、消せませんでした。
自分の中で再確認する事で整理を付けられました。これからは自重を心掛けます。
ストーリーが自重していないのは、構想ベースを使いたかったからです。すみません。
エロパロの皆さん、突然別の話題にこの場をお借りしてすみません。
本部屋の皆さん、まるで自分の家のように勝手放題でごめんなさい。
皆さん、本当にありがとうございました。
これからもよろしくお願いします。
455名無しさん@ピンキー:2008/05/24(土) 09:59:29 ID:EiQXwG16
なんだなんだ何が起こったんだオロオロ
456 ◆NAToRibzOk :2008/05/24(土) 18:29:00 ID:DezsR5O4
>>455
私の個人的な妄想言い訳を勝手に置いてしまって、
この場にまで淀んだ空気を運び込んでしまいました。
一応舞台形式で物語に構築出来ていれば許されるかも、
と思い込んでやってしまいました。
言っている事と、やっている事が相反していますね。
気持ちをうまく表せなかったんです。

言えば言う程嘘っぽいという言葉が私に当てはまります。
謝れば謝る程逆効果になっていますがすみませんでした。
物語としても読めなくないと思うので指摘があったらお願いします。
457名無しさん@ピンキー:2008/05/24(土) 18:49:15 ID:HtCmmKX7
意味不明なのでスルーします
458被害と加害の狭間で:2008/05/24(土) 19:15:30 ID:ymBpaBVk
慌てるな
小ネタでやり過ごすんだ
459彼女の事情:2008/05/24(土) 19:21:26 ID:ymBpaBVk
私は何時でも孤独だった。
誰も私に気を留めなかった。
だから、私も。
何も気に留めなかった。
そうすると、段々視界が狭くなった。
周りは暗くなり、視える物が少なくなっていった。
あぁ…。
違う。
私が閉じ籠っただけ。
世界も、視界も変わらない。
私が視ないだけ。
それでも、良いか。
どうせ誰も気に留めはしない。
なら、このままで良い。
別に無理する必要は無い。
このままで良いんだ。

暫く閉じ籠った。
長い時間を暗い世界で過ごした。
段々、それが日常に成ってきた。
もう、何も視たくない。
今更、何も視れはしない。
誰にも私を視られたくない。
だから、このままで良い。
460彼女の事情:2008/05/24(土) 19:21:52 ID:ymBpaBVk
春が来た。
テレビだけは有るから、それくらいは分かる。
でも、私には関係無い。
此処から出るつもりは無い。
誰も気に留めないのだから。
出る意味が無い。
だから、あの日も閉じ籠って過ごしていた。
其処に先生が来た。
私は拒否した。
どうせ誰も私を視たりなどしない。
視られたくない。
拒否した。
外に出る事も。
先生に面識を持つ事も。
だけど先生は…。
私を視てくれた。
方法は不器用だったけど…。
私に気を留めてくれた。
世界を変えてくれたんだ。
嬉しかった。
私は、誰かに視て欲しかったのかもしれない。
殻を破壊してくれる誰かを待っていたのかもしれない。
あぁ…。
少しづつ視界が広くなっていく。
先生を通して視る世界は複雑だけど…。
とても楽しくて、儚げに美しい。
私も、彼を通して世界を視るのではなく。
私が想うように世界を視てみたい。
そうすれば…。
クラスの皆と同じ立場になれる。
先生の隣を堂々と歩ける。
でも、まだ駄目。
まだ、私は弱いままだから。
もう少しだけ貴方に甘えさせて欲しい。
いいでしょ?
先生。
461彼女の事情:2008/05/24(土) 19:23:55 ID:ymBpaBVk
加賀さんに行ったり、小森さんに行ったり
申し訳ない…
462名無しさん@ピンキー:2008/05/24(土) 20:43:53 ID:cWP05MFn
あなたの書く小森さんが大好きです。
小森さんにとって先生はほんとに大事な人なんだなぁ。
もっと甘えなさい。俺が嬉しい。
463名無しさん@ピンキー:2008/05/24(土) 20:47:46 ID:m9Rij95a
絶望スレのモノローグはケータイ小説の途中に挿入される心情語りパートみたいでキモいな。
464名無しさん@ピンキー:2008/05/24(土) 21:56:47 ID:OSs0begK
>>463
お手本うp!!
465名無しさん@ピンキー:2008/05/24(土) 22:27:39 ID:eFtDq4tr
>>459
GJ 自分も引きこもりなので
心情描写に共感がもてた
466名無しさん@ピンキー:2008/05/24(土) 22:35:39 ID:m9Rij95a
>>464
もしもあの時君に出会わなければ

こんなに苦しくて

こんなに悲しくて

こんなに切なくて

こんなに涙が溢れるような想いはしなかったと思う。
467名無しさん@ピンキー:2008/05/24(土) 22:50:40 ID:CSPX2RJU
あてつけじゃないが、モノローグはどうしてもキモくなる傾向にある
そもそも独白という時点で、芝居じみたナルシシズムが含まれる気がする
明治テイストの文語表現でも使えば、多少マシになる。多分
468名無しさん@ピンキー:2008/05/24(土) 23:12:40 ID:m9Rij95a
ドタバタギャグ漫画の絶望キャラは、元々モノローグとは親和性低いしな。
アニメが終わってついモチベーションが低くなり教室に出てきてしまうような原作の霧がこのモノローグ読んだら爆笑するんじゃねぇの。
469名無しさん@ピンキー:2008/05/24(土) 23:54:20 ID:RAamvJTA
じゃあ保管庫いってみようか、腹いたくなるのいっぱいありそうだわ

>>461
あなたのSS好きですよ
470名無しさん@ピンキー:2008/05/25(日) 00:49:59 ID:zQ23vooC
>>468
そこまで言うなら、丸々一本書いてみろよ。どんな文章が書けるか見てみたいよ。

あんたのは感想じゃなくて、ただの言い掛かりだから。
471名無しさん@ピンキー:2008/05/25(日) 02:45:29 ID:bwkH7RiK
かけるにきまってるだろ、これだけ言える奴だぜ?
神だGJだ言われまくる良質なSSを書いてくれるだろうよ
それとも過去に投下したことあるの?おしえてくれよ今から読みに行くからさ
472名無しさん@ピンキー:2008/05/25(日) 04:13:09 ID:5X03fPSX
みなさんポジティブですね
473名無しさん@ピンキー:2008/05/25(日) 06:28:31 ID:56sQ8Os/
言い掛かりはあんたらの方だろ。論理が無いんだもん。
何でもそうだけど、例えば下手な料理に対して「美味しくない」と感想を言った人の大半は、その料理を作った人以上に上手に料理が作れる、なんて法則はないし、
また、「不味い」という感想を言うためには、料理を作った人よりも上手に作れなければならないというルールは何処にもないだろう。
久米田より面白い漫画を書けないなら久米田につまらないと言うことは出来ないのか。
俺はこのモノローグの霧は「キャラ崩壊」に当たると思うね。だから怒った。
何をもって「キャラ崩壊」とするかは人それぞれ基準が違うが、この霧と原作の霧を比べれば性格設定が食い違うのは確だ。
注意書きがあったらキャラ崩壊していようとスルーするが、これには無かったよな。
また個人的には、地の文がしっかりしていれば、キャラ崩壊していようと作品世界として説得的に迫ってくるものがあるので気にならないが、モノローグ形式だとキモさがあからさまできつい。
「やりすごす」と言いながら余計不快な気分にさせられたのも嫌だった。
474名無しさん@ピンキー:2008/05/25(日) 07:12:21 ID:wY8vDfM0
>>473
とりあえず過去に書かしてもらった者として一言。

誰も感想を言うななんて言ってないだろ?
批判をするなとは言わんが、いきなり出てきて「キモイ」なんていうのは感想ではないぞ。
キャラ崩壊と言うが、自分の意見が全ての意見と思わないほうが良い。
そもそもSSって書き手の解釈である程度自由に書けるものじゃないの?
しかもここエロパロ板でしょ?じゃあエロネタなんかどうしたら良いの?

君の書き方が癇に障ったからそういう風にいわれてるのを考えた方が良い。
少なくとも読み手が書き手のモチベーションを下げるような書き方をする事は
やってはならんことだと思うがな。
ようはもうちょっと言い方考えて書けよ馬鹿って事だ。
475名無しさん@ピンキー:2008/05/25(日) 07:15:10 ID:wY8vDfM0
思わず書いたけど、余計に空気を悪くしたな。
スルー力を身につけますorz
476名無しさん@ピンキー:2008/05/25(日) 07:28:10 ID:zQ23vooC
よく使われる設定だけど、可符香が黒い理由が先生が好きだからみたいなのも、勝手なキャラ設定だからなあ。
そこまで言われたり、気にしたら何も書けなくなるわけで。

まあ、ここまで絡む理由は想像できるけどね。
477名無しさん@ピンキー:2008/05/25(日) 07:51:26 ID:El0Zk3p7
とりあえず>>461氏の小森SSが投下されなくなったら俺が死ぬ。
持つべきであろう悩みとかネタにするのはいーんでないの?
つまりは>>461さんもっとお願いします。
478名無しさん@ピンキー:2008/05/25(日) 07:51:59 ID:56sQ8Os/
>>474
> 誰も感想を言うななんて言ってないだろ?
「他人の作品をけなすくらいだから、お前はもっと上手いのが出来るんだよな」という言説は「もっと上手いのが出来ないなら黙ってろ」という暗黙のメッセージだと受け取られても仕方なくねぇか?
一般的にはそういう意図の元発せられることが多い言葉だろう。
> 批判をするなとは言わんが、いきなり出てきて「キモイ」なんていうのは感想ではないぞ。
あなたの定義ではそうなのか、それともそういうルールがここにあるのか。
もし前者だとすれば、自分の意見が全ての意見だと思わない方がいいぞ、というあなたの意見が撥ね返るな。
> キャラ崩壊と言うが、自分の意見が全ての意見と思わないほうが良い。
「基準は人それぞれ」って書いたよな。「だが、原作と比較すれば性格設定が食い違う」とも。
そもそも「キャラ崩壊」の話題と俺が「自分の意見が全てだと思っているかどうか」は関係なくねぇか。話題を摩り替えているように感じたぜ。
ま、多くの人にとっては「許容出来る範囲のキャラ崩壊」だったのだろうとは思う。
> そもそもSSって書き手の解釈である程度自由に書けるものじゃないの?
受け止める側にも自由はあるんじゃないの。
> しかもここエロパロ板でしょ?じゃあエロネタなんかどうしたら良いの?
前提として、俺の意見なんて無視しても構わないと思うがね。
どうしたらいいの?ってのは俺の趣向を聞いてるの?「個人的には地の文をしっかりさせれば気にならない」てのは前のレスにもう書いたよな。
> 君の書き方が癇に障ったからそういう風にいわれてるのを考えた方が良い。
> 少なくとも読み手が書き手のモチベーションを下げるような書き方をする事は
> やってはならんことだと思うがな。

> ようはもうちょっと言い方考えて書けよ馬鹿って事だ。
「キャラ崩壊してるのに注意書き無し」ならば、エグい言い方はしてもいいもんかと思ってたわ。
479名無しさん@ピンキー:2008/05/25(日) 08:51:30 ID:rmaQeEdN
ああ…スレが険悪な雰囲気に…
皆さん!スルーライフを実践してください!
自分にとって好きじゃないSSはスルー!険悪な雰囲気の感想もスルーですよ!
480名無しさん@ピンキー:2008/05/25(日) 08:55:44 ID:wY8vDfM0
>>479
すまんかった。批判に対する批判は他人がやると険悪になるんだった。
481名無しさん@ピンキー:2008/05/25(日) 10:49:42 ID:bwkH7RiK
>>478
何コイツ必死過ぎてキモい
482名無しさん@ピンキー:2008/05/25(日) 11:17:13 ID:eRzmSTAG
マリア、ちょっとイイスギタヨ (笑顔)
483名無しさん@ピンキー:2008/05/25(日) 11:34:05 ID:kVBWd75J
>>478
とりあえずもっと簡潔にまとめような。
484名無しさん@ピンキー:2008/05/25(日) 12:02:16 ID:EiSVr0U3
      , ─ 、
    / ∧  l
    |/ー゚|  | _ かけてよし。
    r'⌒とVj   ヽ
    ノ ,.ィ'  `ヽ. /
  /       i!./
 (_,.         //
 く.,_`^''ー-、_,,..ノ/

       , ─ 、
.      / ∧ l
    /| /ー゚l | かぶってよし。
    / |/::/~V、
   (__ノ、__)

        , ─ 、
     / ∧  l⌒'⌒'⌒ヽ  まるまってよし。
     |/ー゚|  l____)
         ̄ \N

      , ─ 、
    / ∧ l
    | /ー゚| | _ 毛布サイコー。
    r'⌒とVj   ヽ
    ノ ,.ィ'  `ヽ. /
  /       i!./
 (_,.         //
 く.,_`^''ー-、_,,..ノ/
485名無しさん@ピンキー:2008/05/25(日) 14:04:32 ID:YasDM9dl
そういやマヨも日塔も初登場ではモノローグキャラだったよな。

サイレントマジョリティーも考慮に入れて決めさせてもらいます。久米田キャラに
はモノローグが似合う。当然だよね。
486名無しさん@ピンキー:2008/05/25(日) 15:18:12 ID:KM93VtFa
>>485
IDがヤス
487名無しさん@ピンキー:2008/05/25(日) 16:13:43 ID:Z64tnVjm
>>484
和んだ
488名無しさん@ピンキー:2008/05/25(日) 17:36:00 ID:9BZUYJ6v
>>484の3番目の霧がグレゴール・ザムザに見えて仕方がないw
489名無しさん@ピンキー:2008/05/25(日) 20:51:40 ID:pr9H6NS9
『変身』は芋虫じゃなくて、甲虫になるんじゃなかったか?
490名無しさん@ピンキー:2008/05/25(日) 21:51:39 ID:5X03fPSX
変身トイエバカフカ
491名無しさん@ピンキー:2008/05/26(月) 10:36:21 ID:NuKg/g7k
カフーってサッカー選手いなかったっけ
492昼休み小ネタ:2008/05/26(月) 12:15:09 ID:C3A3o+hB
>>488を見て急に思いついた「変身」パロ小ネタ。
注意!エロなしです!
493昼休み小ネタ 1/4:2008/05/26(月) 12:15:41 ID:C3A3o+hB
ある朝のこと、目覚めた霧は、自分が1匹のばかでかい毒虫変わっていることに気がついた。

「ひぃ!なんだこいつ!」
悲鳴が聞こえるとともに、背中に激痛が走った。
振り返ると、交が真っ青な顔で両手に林檎を抱えて立っていた。
背中の激痛は、交が投げた林檎が刺さったせいらしい。
「交君、私だよ、霧だよ…!」
必死で呼びかけたが、交は、霧の言葉に耳を貸そうともせず、
「寄るなぁぁぁあああ!」
と叫んで逃げて行ってしまった。

さて困った。
1人宿直室に残された霧は途方にくれた。
望は教員研修とやらで2泊3日の出張に出ており、今日戻ってくるはずだ。
普段からチキンな望が今の自分の姿を見たら…想像するのも恐ろしい。
どこかに身を隠してしまおう、と霧は決心し、もぞもぞと扉まで這って行ったが
毒虫の姿では扉を開けることができない。
扉の前ででんぐりこんぐりしていると、突然、扉が外から開いた。
494昼休み小ネタ 2/4:2008/05/26(月) 12:16:25 ID:C3A3o+hB
「あ…。」
目の前に立っていたのは、まさしく愛する先生。
望は目を丸くして、毒虫と化した霧を見下ろしていた。
望の後ろに付きまとっていたまといが「ひぃ!」と一声叫び声を上げて逃げ出した。
それが当然の反応だ。
しかし、望は、最初こそ驚いた顔をしたものの、その後は平然と部屋に入ってきた。
「ただいま戻りました。」
「お…お帰りなさい。」
霧は、望はこの姿が見えていないのだろうかといぶかりながら、返事をした。

「小森さん、その姿はどうなさったのですか?」
「(…見えてるのか…。)朝起きたら、こうなってたんだよ。」
「ふーん、そうですか。」
望は、恐れる様子もなく霧に近づくと、その背中に刺さった林檎を抜いた。
「背中、怪我してますよ…どうしたんですか。」
まさか交にやられたとも言えず、霧が黙っていると、望は救急箱を取り出した。
「先生は、私が怖くないの…?」
望は驚いたように顔を上げた。
495昼休み小ネタ 3/4:2008/05/26(月) 12:17:15 ID:C3A3o+hB
「怖い…?どうしてですか?」
「だって…こんな格好になっちゃて…。」
「どんな姿をしていたって、中身は小森さんでしょう?だったら何も怖いことなんかありません。」
望は、丁寧に霧の甲羅で覆われた背中に湿布を張っていく。
「それよりも、いったいどうしてそんなことになってしまったのでしょうね?」

背中の湿布から、じわりと望の優しさが伝わってくる。
霧は、この2日間、望に会えずにどれくらい寂しかったを思い出した。
自分は望と一緒に外に行けない。望にはまといが付いて行っている。帰ってこない2人。
そんなことばかり思っていたから、いつの間にか体中に毒が回って毒虫になってしまったんだ。
先生を信じてなかったから…先生は、いつもこんなに優しいのに…。

「先生、ごめんなさい…。」
思わず、口から言葉がこぼれた。
それと同時に、霧の体を細かい光の粒子が包んだ。
「小森さん…あなたの、体。」
「あれ…。」
霧は自分の体を見下ろした。
いつの間にか、体は人間のものに戻っていた。
496昼休み小ネタ 4/4:2008/05/26(月) 12:17:53 ID:C3A3o+hB
望がコホンと咳払いをした。
「あの…服を着ていただけませんか?」
言われて初めて気がついた。自分は裸だった。
「きゃ、ごめんなさい、先生!」
「さっきから、謝ってばかりで…加賀さんみたいですよ?」
望は赤い顔をしながらも笑っていた。

「で、結局、どうして虫なんかになってしまっていたんでしょうね?」
「うん…もう大丈夫。もう、虫にはならないよ。」
もう、自分が望の心を疑うことはない。
だから、毒が体に回ることもない。

霧は望の背中にそっと頬を押し当てた。
「先生、ありがとう…。」
497昼休み小ネタ:2008/05/26(月) 12:18:44 ID:C3A3o+hB
かっとなってやった…名作をこんなネタにしてすいません!
498名無しさん@ピンキー:2008/05/26(月) 13:23:59 ID:3ybsjVK9
なんかかわいいなw
499名無しさん@ピンキー:2008/05/26(月) 15:01:14 ID:fZBXMsIG
>言われて初めて気がついた。自分は裸だった。
大丈夫、俺はこれだけで抜ける。
あー霧可愛い。
500彼女の事情:2008/05/26(月) 19:44:27 ID:ceqsuonU
霧可愛いww
和みました
501名無しさん@ピンキー:2008/05/26(月) 20:29:42 ID:ccwTFAQA
はじめまして 初投稿です。
ずっとこの板に書き込むのが夢だった者です。
2chに慣れてなくて、いまいちルールがわかっていないため
ご迷惑かけるかもしれませんがよろしくお願いします。

・奈美→望ですが先生は出てきません。
・奈美のモノローグです。
・キャラ崩壊と捏造設定ありです。
・自慰に関しての自分の勝手な解釈があります。

苦手な方はスルーお願いします。
始める前に言っておきますが、「これって思い込みが激しいだけじゃ・・・」
という展開です。前後で文がつながってなかったりして不快感を与えてしまうかも
しれませんが・・・書き込ませてください。
502やりたいこと 1/8:2008/05/26(月) 20:46:31 ID:ccwTFAQA

明日でテストは終わりだ・・・・

ここ1週間、頭をフル回転させて勉強してきた。
その甲斐あってか、今回は過去のテストの中で最高の出来ではないか・・・・・と思う。

残る教科は現代文と倫理。その勉強もたった今、1通り終わった。
自信はそんなにないけど、高得点が狙えそうだ。

これで長かったテスト期間も終わる・・・・・・
時計を見ると、午後九時、まだ寝るには余裕がある。
でも集中力は切れたし、このままもう少し見直しをするには気が引けた。

思えば、テスト勉強で頭は疲労しっぱなしだった。

「はぁぁ・・・・・・・・・・・・」

思わず溜息が出る。
ベッドに寝っころがった・・・・



すいません・・・書き忘れです。8レスほど消費します。
503名無しさん@ピンキー:2008/05/26(月) 20:51:27 ID:ccwTFAQA

申し訳ありません!! 大事な注意書き忘れてました。

「エロあり」です。
504やりたいこと 2/8:2008/05/26(月) 21:04:38 ID:ccwTFAQA

テストが終わる度に思うが・・・・・・

自分は何のために勉強しているのだろうか?

もちろん大学にいくためであるが・・・・・正直、自分には実感がわかなかった。
自分が大学で何を学びたいのかが、全く見えてこない。

自分は本当は何がやりたいのだろう?・・・・思えば自分の進路に関して真剣に考えたことなどなかった。

「大学にいくため」でなく・・・・・「テストがあるから」勉強しているのではないだろうか?

1つの定期テストが終われば息つく間もなく、次の小テストやら模試やらが迫ってくる。
テストに追われる日々の中で、自分のやりたいことを見つけることすら忘れてしまっていたのではないか・・・・・

そんなことを取りとめもなく考えていると・・・・・
つい指が普段あまり触れる機会がない身体の箇所に伸びてしまっていた
505名無しさん@ピンキー:2008/05/26(月) 21:05:41 ID:M7AdyJRw
wktk
紫煙
506やりたいこと 3/8:2008/05/26(月) 21:21:12 ID:ccwTFAQA

「ふっ・・・・・あっっ・・・・・・・・・・」

周りから「普通」呼ばわりされる私・・・・だが
普通でないことをたまにしてしまう・・・・・・・いや私くらいの年齢の子がこういう行為をするのは今や、「普通」のことか

もっとも女子は男子ほど性欲が強くないので
明確に「意識する相手」がいないとこういうことをする機会はあまりない。
男子は「顔がいい女」なら誰でも「おかず」にできるだろうけど
女子は本当に好きな人じゃないとできないのである。

私くらいの年齢の子なら、誰でも好きな異性の1人はもつだろうから、私の行為自体は「普通」のことなのだ

その好きな異性が自分にとってどんな人か・・・・・を除いては


「はぁ・・・・・・・・・・はぁ・・・・・んんっっっ・・・・・」 

ジャージの中に右手を入れ、下着の上から2本の指を秘所に這わせる。
愛液がジュッ・・と染み出てくるのがわかる。
507名無しさん@ピンキー:2008/05/26(月) 21:32:39 ID:+yRvS6yD
>>497
あなたのおかげで充電完了しました。可愛い霧をありがとう。

>>501
温かく見守ってるからガンバって。
508やりたいこと 4/8:2008/05/26(月) 21:45:44 ID:ccwTFAQA

さっき考えていたことの続きが頭に浮かんできた・・・・・

高卒ですぐ社会に出るには気が引けるし、
大体、パートやアルバイトじゃない限りは高卒で採ってくれるはずもない。
専門学校に行くには覚悟がいるし、何よりまだ遊びたがっている自分がいる・・・・

結局、とりあえず大学に行って、そこでやりたいことを見つける・・・・というモラトリアムな進路を選ぶことになってしまった。

そもそも、自分がやりたいことなんて中学の時くらいから考えておくべきなのだ。

自分の中学時代を思い返してみると・・・・・・ほんと、どうでもいいことで悩んだりしていて
自分が将来就きたい職業なんてこれっぽっちも考えてなかった。

自分が行為の「おかず」にしている人のことを再び思い浮かべた。


あの人は本当は何になりたかったんだろう・・・・・・・・・・?

人間、幼いころは必ず「将来の夢」を描く。
「プロ野球選手」だったり・・「声優」だったり・・「漫画家」だったり・・・・・

しかし、しばらくたつと、それになるのがどれだけ難しいか知り、絶望する。・・・
意志が強い人はその夢を追いかけつづけるが、弱い人はモラトリアム型人間に成り下がる。
そして、その後「現実的に考えて就けそうな職業」を選択するようになり、それに見合った進路を選ぶようになる。

・・・・・あの人を見ていると、とてもじゃないが、今の職業に希望を抱いていたとは考えられない。

あの人はいつから希望を捨てるようになったのだろう・・・・・・

そもそも自分の夢なんて最初からなかったのだろうか・・・・・?
509やりたいこと 5/8:2008/05/26(月) 22:07:32 ID:ccwTFAQA

「あっ・・・・はぁぁ・・・・はぁうう・・・・・ん」

気がついたら、指の動きが早まっていた・・・・・

無意識のうちにさらなる快感を求め、2本の指は下着をずらし、直接秘部に触れる・・・
同時に左手は胸を愛撫し始める。

愛液はとろとろ流れて、ズボンを汚していた。


___希望を抱いていいのは中学生までです!高校生になったら、そろそろ自分の限界を知らなければ____


あの人はそう宣言していたそうだが・・・・・

あの人にも抱いていた希望があったはずだ・・・・・夢中になれるもの 本気になって打ち込めるもの 誰よりも熱い情熱を傾けられるもの

人として生まれたからには、必ず誰もが1度はそういうものに出会えるはずだ・・・・

その夢に挫折した時・・・・・人は無気力になってしまうのだ。

あの人だって、そうだってのではないか?

生まれたころから無気力な人なんていない。

あの人だって誰にも負けないくらい輝いていたはずだ。

自分が人生を懸けられるもの・・・・・必死になれるもの・・・

それに対する思いが強ければ強いほど、挫折した時の反動は大きくなる______



510やりたいこと 6/8:2008/05/26(月) 22:34:59 ID:ccwTFAQA

自分のことを思い返してみると、夢中になれるものなんて今まであっただろうか・・・・・・


音楽を聴くのが今現在でも趣味であるが、それはあくまで他人がつくり出すもの

自分から何かをつくりだそうとしたことなんかなかった・・・・・・・・

スポーツをやる気にもならなかったし、芸術に挑戦することもなかった。

いつも下らないことで悩んだり、勉強や行儀に追われていて、がむしゃらに何かに打ち込むことなんてなかった。

今が一生で1番大切な、かけがえのない時間だなんて忘れていた


__________気がついた時には高校生活はもう半分以上過ぎていた



人の過去については憶測しかできない。

あの人はただわがままで、致命的に心が弱いだけなのかもしれない

だが、あの人があそこまでネガティブでチキンになったのは・・・・私にはなかった「夢」に挑戦し、挫折した結果なのだ・・・・
とそんな気がしてならなかった。

ただあの人はそこから立ち直るのが破滅的に遅いのだ・・・・

自分にはない何か・・・・・そこに私は引きつけれていたんだと思う。

たしかに今のあの人は情けなくて、とても見ていられない人だ・・・・・ だがあの人の奥底にとても熱い情熱を感じることができる。

 
________先生_________


それを再認識した時、人指し指と親指は秘豆をつまみあげていた・・・・・

「ひゃうんんんんっーーーーーーーーー・・・・・ッッッ!!」

背を仰け反らせて、私の身体は絶頂に達してしまった。
511やりたいこと 7/8:2008/05/26(月) 22:48:26 ID:ccwTFAQA

「はぁ・・・はぁ・・・・・・・・はぁっ・・・・・・・・・・」

頭が真っ白になる・・・・・・・・・・・

熱を発散し、冷静になった頭で自分の行為を恥じた。

先生のことを考えて、絶頂を迎えるのはこれで・・・3度目・・・・

自分の担任教師のことを考えて自慰にふけるという普通の女子高生に
あるまじき行為に過去3回も及んだことに自分でも驚きを覚える。

「はぁーーーーっっ 何やってるんだろう自分・・・」

時々自分でも何をしているかわからない時がある。

自慰が終わった後は猛烈にそう感じる。

やっぱりテストでつかれているのかな・・・・・残り2教科といえど、明日もテストはあるんだ

オフロに入って、ココアでも飲んで、明日のためにしっかり睡眠をとろう。

タンスから着替えを取り出す。
512やりたいこと 8/8:2008/05/26(月) 23:07:01 ID:ccwTFAQA

自慰の最中に考えていたことを冷静になった頭でもう1度思い返してみる。

私は先生が好きだ・・・・・これだけは確かな事実。

そしてあの人の過去について、すごく気になっている。どうして今みたいな性格になったのか

その背景にはきっと私をひきつけるものがあるはずなんだ・・・・・・・

そして今まで何もしてこなかった、本気になれるものを見つけようとしなかった自分・・・・

自分はまだ高校生活が約半分残っている。
これからでも自分のなりたいことを見つけて、それを目指すことは可能だ!!


自分の夢を追い求めた結果、疲弊してしまって、今の先生のようになってしまうだってあるだろう。

でも、それでも自分が本気でやると決めたことを死にものぐるいであきらめずにやれば、絶対に後悔しないはず

その結果、希望の職業に就けなくても、絶対にそれを引きずったりしない。

最後まであきらめずに続れば、悔いは残らないはずだから。


そのためにはまず、やりたいことを見つけなければならない・・・・・・私の道はそこから始まるのだ。


「とりあえず、明日の2教科頑張るか・・・・」


________先生、見ていて下さいね。






                 END





513やりたいこと あとがき:2008/05/26(月) 23:25:15 ID:ccwTFAQA

___________これはひどい


まず・・・・たった8レスの文章を打つのにいつまでかかってんだ・・・・・・
気がついたらこんな時間になってました。すいません
タイピングに慣れてないんです自分・・・・・・・・・
みなさんの貴重な時間をけずってイライラさせてしまって申し訳ありません。

そして・・・・・?な内容。

・絶望先生である必要は全くない
・オナニーの最中に何を考えているんだ?
・これただの奈美の思い込みだろ?
・この内容でオナニーをさせる必要は全くない
まだまだあります・・・・・・


何を考えていたのでしょう、自分は・・・・・

言い訳をすると自分も高校で部活を退部して、それ以降、目標ももたずテストに追われる日々をすごし
ここまできたので、その悔しさを反映させたかったんです。

高校で同人やってた過去から先生は小説家を目指していて
その夢、叶わず教員になったのだと予想しているため、こんな設定になってしまいました。

あと自分が先生と奈美を好きだからです。

自分の意味不明なSSでみなさんを不快な気分にさせてしまって本当にすいません・・・・・






514名無しさん@ピンキー:2008/05/26(月) 23:53:24 ID:szb0VtTT
>>513
GJという一言が言いたかっただけなのに……
何故こうも感想を言い辛くなるような雰囲気を作るんだね、貴方は。
515名無しさん@ピンキー:2008/05/26(月) 23:54:12 ID:UZPalpYT
>>513
加害妄想ですから!
奈美かわいいよ奈美
516名無しさん@ピンキー:2008/05/26(月) 23:54:43 ID:viHoZQAq
>>513
お疲れ様。

投稿する時は、メモ帳かなんかに一度書いたのを投下すると良いよ。
リアルタイムで書いてると時間があいて終わったのか終わってないのか、わからなくなるから。
あと、あまり卑屈になりすぎないように。個人的に奈美の考えとか良かったし
517名無しさん@ピンキー:2008/05/27(火) 00:59:57 ID:T3pDqIgs
とりあえずリアルタイム投稿だけやめてくれれば、他にいちいち文句はつけない。
518513:2008/05/27(火) 20:45:46 ID:yC+naAMz
ご感想いただきありがとうございました。

初めて書き込む不安から、
どうしようもなく卑屈になってしまいました。

この絶望先生という作品に出会ってから、この板には本当に感動させられてきました。
だからここに自分のSSを書き込めて、あまつさえ、GJもらえるなんてまるで夢のようです。
遅ればせながら読んでいただいた方、励ましていただいた方、スルーしていただいた方、
本当にありがとうございました。これからもよろしくお願いします。
>>516 >>517
リアルタイム投下ってこういうことだったんですね・・・
ホントにパソコン苦手なんで、参考になりました。アドバイスありがとうございました。


519305:2008/05/27(火) 22:01:44 ID:KNOvvltk
お疲れ様です。

小ネタを一つ投下させて下さい。

127話ネタです。
エロ無し・暴力的シーンあり・捏造設定多数

ですので、苦手な方はスルーでお願いします。
520百二十七話ネタ:2008/05/27(火) 22:03:33 ID:KNOvvltk
         
侵入者を告げる警報が鳴り響き、兵士たちがバタバタと行き交う足音が聞こえてくる。
「…みなさんでしょうかね。」
牢屋の壁に背を預けたまま、先生はぽつりとつぶやいた。
その両手両足は電子ロック式の枷で繋がれ、これではまともに歩く事もままならないだろう。
「そうみたいですね…… ああ…… 私はずっとこうしていたかったのに。」
鉄の扉に耳を当てて外の様子を伺っていたまといは呟きながら先生のそばにすわり、
その肩に両手をまわして体をすりよせる。
先生は何も答えず、困ったように眉を少し寄せて鉄格子の嵌められた小窓へと視線を送り耳をすます。

遠く。地上の方から爆音らしき音が聞こえ、独房の天井が少し揺れた。

 ◇ ◇ ◇ 

薄重ねの軽合金が焼けるキナ臭い匂いが立ち込めている。
カエレの構えるハンディカムのレンズから照射された鋭い光が一点に収束し、ドアの隙間の部分に焼き目を入れている。
その焼き目に沿って、芽留の持つ携帯のアンテナドリルが耳障りな音を立てて合金板を切り裂いてゆく。
切り終わると同時に奈美のグローブを嵌めた手が扉を跳ね開けた。

その先には細長い通路があるのみで、兵士たちの姿は無い。
三人は顔を見合わせて頷くと、通路へと滑りこむ。
「…みんな無事かなぁ。」
ぽつりとした奈美の言葉に、芽留は携帯を確認して首を振った。
『何も 連絡はねーな』
「連絡してるヒマがないんでしょ。ブツブツ言ってないで行くわよ?」
カエレに促されて、窓もないような長い通路を小走りで一塊になって進んでゆく。

やがて通路は突き当りを見せ、そこは直角な曲がり角になっており、
その先から複数の駆けてくる足音が聞こえ、三人は思わず足を止めてそれぞれ身構える。
気配を隠す様子も無く、通路の先から現れたのは三名の武装した兵士達だった。
彼らは通路の先に三人の姿を捉えると同時に急停止し、抱えていたアサルトライフルを腰溜めに構えた。
窓もない一本道の通路には逃げ場もなく、向けられた銃口に奈美とカエレは僅かに恐怖の表情を浮かべ身を引く。
兵士達の指がトリガーにかけられる。
芽留は── 背後で素早く携帯のボタンに指を走らせ、それを握りしめた手を、二人の間から突き出した。

芽留が携帯を突き出すのと。
兵士達が引き金を引いたのは、ほぼ同時だった。

発射された無数の弾丸は正確に彼女らを狙い撃ち、襲い来る鉄の弾はかわす事は不可能だろう。そう見えた。

──が、弾丸の群れは彼女達にまで届く事は無く、まるで途中で気が変ったかのように射線をそれ、壁に床に
天井に、真新しい弾痕を作ってゆく。

驚愕の表情を浮かべ、半ばパニックを起こしながらも兵士達は引き金を引き続ける。
が、その銃弾はどれも同じような運命を辿るのみで、ただの一発も彼女達には当たらない。

弾倉がカラになったのだろう。不意に弾幕が途切れる。

慌てて弾を補充しようとするが、それよりも早く肩に構えたカエレのレンズから強烈な閃光が放たれ、兵士達
の目を焼いた。

「ぐあっ!?」
目を押さえ呻き声を上げる兵士たち。
内一人がヤケを起こしたように、銃を振り上げながら見えない視界を彼女達の方向へと突進してゆく。
「おおおおおお……! うぐべあっ!?」
だが、目潰しが放たれたと同時に飛び出していた奈美の右ストレートがカウンター状態で決まり、兵士は二回
転ほどキリもみながら鈍い音を立てて床へと落ちる。
さらに間髪いれず、状況が把握できていないもう一人の腹に、奈美は左のブローを差し込む。
目を剥いて、兵士の体勢が前のめりに崩れ、
そのアゴへと、十分に勢いをつけた大振りの右アッパーが突き刺さった。
521百二十七話ネタ:2008/05/27(火) 22:04:34 ID:KNOvvltk
     
兵士の体は宙に浮き、狭い天井へもろに顔面でキスをし、折れた前歯と共に床へ叩きつけられた。
やや視力が回復したのか、壁を背にして焦りながらナイフを抜こうとしていた最後の一人は、壁に張り付け状
態でパンチの連打を浴びせ、あっさりと黙らせる。

兵士達が完全に沈黙したのを確認すると、奈美は後ろの二人にグローブを嵌めた手で親指を立ててみせた。
一つうなずき、倒れた兵士達をよけながらカエレは進み、少し遅れて、携帯のバッテリーを交換し終えた芽留も続く。

が、二人を先導するように少し前を進む奈美の足が止まる。
訝しげにカエレと芽留が視線を通路の先へと送った瞬間──
「うあ!?」
悲鳴と共に奈美が跳ね飛ばされ、その体を何とかカエレは両手で受け止める。
「何!? 一体!?」
咄嗟にガードしたのだろう。
顔の前で交差された奈美のグローブには焼け焦げたような跡が付き、白い煙を上げている。

重い足音を立てながら、それは、ゆっくりと三人に近づいてきた。

 ◇ ◇ ◇ 

晴美は曲がり角から顔を半分だけ覗かせ、先の様子を伺う。
「何にもいないナ?」
そのすぐ下からひょっこりと顔を出したマリアは、通路の先へと伸びる連絡橋を指で示した。
「そうねー。向こうの建物の方が大きいし、先生が居るとしたらあっちよね。」
「テキも、ウヨウヨしてるだろナ。」
「まあ……ね。」
晴美は一つ苦笑して、マリアと共に連絡橋へと足を進める。

「ん? なにこの音?」
突如聞こえてきたバラバラという機械音に晴美は眉を寄せるが、辺りにはそのような音を出している物はない。
「…何の音?」
「マリア知ってル。これ、ヘリこプターの音ネ。」
「へ? ヘリ!?」
思わず声を上げた晴美の目前、橋の下から勢い良く浮き上がってきた機体はローターから強い風を撒き散らし
ながら空中で停止する。
「せ、戦闘ヘリ!? ──AH-1コブラぁ!?」
晴美の叫び声が合図であるかのように、連絡橋に狙いをつけた20mm機関砲が火を噴いた。
「ウソでしょ!?」
咄嗟にマリアを抱えて前方に転がる。
毎分680発もの速度で連射される機銃は、橋の床も手すりも順次粉砕しながらじりじりと二人を本館の方へと
追い詰めてゆく。
晴美は床を蹴り、トンボを切って機銃の追撃をかわしながら本館へ通じる鉄扉へと体当たりをかける。

だが、その防火扉を思わせる扉は分厚く、さらに鍵も掛っている様子で晴美の体当たりにはビクともしない。
「ちょっ……!? マズイって!」
ドアノブを何度も回してみるが、やはり扉は開く様子はない。
機銃の音が途切れた。
振り向くと、ヘリがその機体を僅かに回転させた。
その両翼に搭載されたミサイルポットには、装填された十数本のM261ハイドラロケット弾が目にはいる。

晴美の顔が引きつった。
もしあんなものが一斉掃射でもされたら、自分達は連絡橋ごと跡形もなく消滅してしまうだろう。

「お?」
その晴美に抱えられたままのマリアが、のんきな声を上げて、ヘリの背後── 別館の屋上を視線で示した。
つられて目をやると、そこにはマリアと同じ褐色の肌をした短髪の少女が、巨大な筒を肩に担いでこちらに向
けて構えているのが分かる。
「あの子は──」
   
522百二十七話ネタ:2008/05/27(火) 22:05:38 ID:KNOvvltk
無表情に指揮装置を覗き込んでいた少女は、おもむろにそのミサイル── FGM-148ジャベリンの発射スイッチを入れた。
砲身から飛び出したジャベリンは、次の瞬間にロケットモーターが点火され、一瞬でマッハ1.2まで加速して
空中を突き飛び、ヘリの機体後部へと突き刺さった。

耳をつんざく轟音が鳴り響く。

対戦車ミサイルの直撃を受けたコブラは一瞬で火の玉と化し、四散しながら中庭の方へと墜落して行く。
再び爆音。そして散った火の玉は黒煙を吹き上げながら更に粉々に散らばってゆく。


「やったネ。」
無邪気な笑顔で屋上の少女に手を振るマリアの横で、晴美は力が抜けたのかへたり込んでしまう。
「…助かった。ありがと、マリア……の友達?」
「ハルミ、ちょっと伏せるネ。いまから道作るョ。」
「道……?」
首をかしげながら屋上へと目をやると、少女がミサイルの砲身を放り、替わりに対戦車ライフルを担いでいる
様子がわかった。
慌てて二人が場所を開けると同時に、銃声が鳴り響き通路を塞いでいた鉄扉は耳障りな音と共に弾け飛んだ。

 ◇ ◇ ◇

鋼鉄の様な装甲に包まれた拳から繰り出される一撃を防ぐたび、そのあまりに重い衝撃に奈美の腕は痺れ始め
、次第に感覚が無くなってくる。
反撃しようにも、万一相手の攻撃を避け損ねたらそこでアウトだろう。
どうしても防戦一方となり、じわじわと後退しながら突破口を見出せないままになっている。
「…こんな小娘たちに侵入を許したとはな。」
感情は込められていない。が、間違いなく人間の声だろう。
全身を鋼の装甲に包んだその相手は、わずかに露出した口元を忌々しそうに歪ませて言葉を放つ。

突然その顔面に向けてカエレが一点収束した光線を放つが、それは相手の皮膚の表面で弾け散り、効果がある
ようには見えない。
「ちょと! どうすればいいのよこんな奴!?」
声を荒げるカエレに、芽留は首を振った。
おそらく彼女達の攻撃手段では、この相手に傷を入れることは困難に思える。

相手が攻めあぐねている状況を把握したのだろう。
その装甲人間は構えるとまず先頭にいる奈美へと襲いかかる。
「死ね!」
先ほどよりもずっと重い一撃を防ぎきれず、グローブのガードが弾かれてしまった。

次は防げない──

その言葉が奈美の脳裏に浮かんだ時、
立て続けに響いた銃声と、銃弾を弾いた鋼の音が響きわたり、その衝撃で装甲人間は数歩後ずさってしまう。

射撃は天井からだった。
通気口らしき蓋と共に、チャイナドレスに身を包んだ長身の娘が通路へと降り立つ。
「あ…… だれ?」
「だれでもいいわ。こいつは引き受けるから。……行きなさい!」
一方的に言い放ち、空になった拳銃を投げ捨てたその娘は両手にトンファーを構えて、装甲人間へと飛びかかる。
次々に繰り出されるトンファーの連打を素手で弾きながら、装甲人間は娘の喉元へと拳を繰り出す。
片手のトンファーでそれを受け流し、すくい上げる一撃をガラ空きの顎へと放った。
鈍い金属音がする。
効いている様には見えないが、少なくとも娘以外の人間に構っている余裕は無くなった事は分かる。

「誰かは知らないけど── 悪い! 行かせてもらうよ! ほら、今のうち!」
「わ…… わかった!」
『骨は拾ってやるぜ』
めいめいに言葉を残しながら、三人は通路を奥へと駆けていった。
523百二十七話ネタ:2008/05/27(火) 22:06:32 ID:KNOvvltk
    
左右から、微妙にタイミングをずらしたトンファーの連打を、装甲人間はあえてガードせずにその身で受け止める。
鉛でも叩いているような硬い感触に娘は顔をしかめた。
「むん!」
気合の声と共に、鋼の拳が灼熱して真っ赤に染まり、娘の銅へと一撃が入る。
「!?」
声にならない悲鳴を上げ、娘の体が衝撃で宙に浮く。
何とか着地はしたが、腹に食らった一撃はかなり効いたのだろう。口元を押さえて数回咳き込んでしまう。

チャイナドレスの腹部、焼け焦げたその部分に一瞥をくれると、装甲人間は舌打ちしてみせた。
「…ち。ボディアーマーか。ならば──!」
言うなり間合いを詰め、娘の体をサバ折りに抱え込むと渾身の力を両腕に込める。
「!?」
ミシミシと嫌な音を立て軋み始めた骨への激痛をこらえると、娘は相手の頭を鷲掴みにした。
「? それでどうする!」
侮蔑の表情を浮かべたのだろう。
歪ませたその口元に、娘はためらう事なく自分の口を重ねる。

何が起きたのか── どういうつもりなのか──
おそらく最後の瞬間まで理解できなかっただろう。

鈍い破裂音とともに、彼の頸椎を砕き、首筋の辺りに小さな穴が貫通した。
細く、血を噴き出しながらゆっくりと重い音を立てて床に倒れて行く。

娘は横に顔を向け、短い息と共に口中に仕込んだ短針銃の砲身を吐き出した。

倒した相手へはもう目もくれず、投げ捨てた拳銃を拾い上げると素早くカラの弾倉を外して入れ替え、目線の
位置に構え直して、ゆっくりとその場を後にした。

 ◇ ◇ ◇

「ここが制御室?」
「だろうね。さ、開けるよ。」
『グズグズすんな パンツ要員』
芽留の言葉に顔をしかめるカエレだったが、何も言わずにハンディカムを取り出して構える。
ロックを焼き切ろうとレンズを調節したカエレだったが、ふと、不審そうな表情を見せた。
「…ちょっと。ロック── ってか、このドア。開いてるじゃない。」
「……あ。ホントだ。」
いささか不審な点を感じながらも、奈美はそっとドアを開けて中の様子をうかがう。

「なに…… これ……」
呆然とした奈美の声に、カエレと芽留も中を覗きこむ。

ここは基地全体の電子系統を管理している場所なのだろう。
それなりに広い部屋を半ば埋め尽くすように配置された機械。
そして、おそらくここを持ち場としているであろう、兵士や情報官たち。

全員が一目で戦闘不能と分かる状態で倒れていた。
目立った外傷は見当たらないが、ある者は泡を吹いて白目を剥いて。
もしくは自分の首を自らの手で締めあげた状態で。
さらには、数は少ないが、同士討ちがあったかのように揉み合った状態で倒れている者。

形状は様々だったが、ここで何かがあった事だけは確かのようだった。


524百二十七話ネタ:2008/05/27(火) 22:08:33 ID:KNOvvltk
   
「こ…… これ何かヤバくない?」
身を引きながら呟く奈美の肩を、ぽむ、と叩き、可符香はにっこりとほほ笑んで見せる。
「でも、いまのうちですよ? ここが事実上の本丸みたいなものです。」
「…それは、まあ…… って!? カフカちゃん!? いつからそこに……!?」
ひきつりながら問う奈美に、可符香は部屋の奥のモニターを指差してみせる。
「あれがこの基地の制御システムです! さあ!」
「…いや、答えになってな……」

「これさえ抑えればいいワケね?」
『意外とチャチだな』
そんな奈美の横を通り、カエレと芽留はモニターの方へと向かう。
「ええ!? それはスルーなの!?」
困惑顔で叫ぶ奈美を尻目に、芽留は接続ケーブルを取り出すと、自分の携帯と制御システムとを繋ぎ、携帯を
操作してゆく。

真剣な目で画面を見ていた芽留だったが、やがてコクリとうなずくと送信ボタンを押し込む。

その瞬間、すべてのモニターが一瞬ブラックアウトし、すぐに画面が切り替わり一つの画像を表示する。
英国紳士を思わせるシルクハットと髭の模様。
それがすべてのモニターを支配し、芽留は少し嫌そうな顔をしながらもブイサインをして見せた。

『乗っ取ったぜ これで やりたい放題だ』
「芽留ちゃんのお父さん……?」
『言うな』
不満そうな顔でケーブルを抜き取る芽留に替わり、カエレがメインモニターを見ながらキーを叩く。
「あのダメ教師、どこに居るのかわからないから、とりあえず全部の電子ロック解除するよ。…あとは自分で
逃げてくるだろ。」
面倒くさそうに言い放ち、ロックを解除したのだろう、制御盤のランプが一斉に赤く染まる。

三人をよそに、後ろの方で何やら別のシステムを操作していた可符香が、すいっ、と間に割り込み制御装置の
片隅を指差す。
「ここもロック解除されたみたいですよ? なんでしょうね?」
そう言いながら強化ガラスで作られた小さな戸をスライドさせ、中にある毒々しい赤色のボタンを露出させる
「…これって、もしかして……」
「なんでしょうね?」
青い顔の奈美が言葉を言い終わらないうちに、可符香は無造作にそのボタンを押しこむ。

一瞬の沈黙。
そして次には、警告ブザーと共に非常灯が赤く点滅し始め、人工音声のアナウンスが流れ始める。

 ──自爆システムが作動を開始しました。総員、速やかに退避してください。
 尚、この自爆システムは解除する事ができません。

 ──自爆システムが作動を……

『どう見ても ヤバい ボタンだろ!?』
「何やってんのよ! 訴えるわよ!」
「黄金パターンですよ! 少年漫画の。」
「わけの分からない事言うなぁ!」

文句だか苦情だかを言い合いながら四人は制御室を飛びだした。
三人からの批難を受け流しながら走る可符香は楽しそうにも見える笑顔を浮かべている。
その手に隠し持っていたMOディスクを、みんなには見えないように制服の中へと滑りこませたようだった。

 ◇ ◇ ◇

突然のドアロックの解除。
そして続けて鳴り響く、自爆のアナウンス。
525百二十七話ネタ:2008/05/27(火) 22:09:39 ID:KNOvvltk
事情を知らなくとも、異常事態が起きている事は分かった。
そして又と無い脱出のチャンスである事も。


まといは手足に枷を嵌められ歩くこともままならない先生を背中に担ぎ、脱出路を求めて通路を軽快に走っていた。
おそらく兵士たちの間でも混乱が起きているのだろう。見張りや巡回の者はいない。

「常月さん…… 意外と力持ちなのですね…」
「ディープラブの力ですよ、先生。」
まといは背中の先生にチラリと微笑む。
「さあ、先生。もっとしっかり! ぎゅっ……! と抱きついていて下さいね。」
「あ、はい、まあ、その……」
少々情けないが、どの道そうするしか無い状況でもあり、落ちないようにしがみつきながら先生は遠慮がちに返事をする。

その時。
「オオオオオオオオオッ……!!」
建物中に響き渡るような雄叫びが聞こえてきた。
続けて硬いものの砕ける音が続けざまに響く。
まといは足を止めて一旦先生を下ろし、用心深く周囲を探る。
「──近づいてきてる?」
まといの言葉通り。
突然コンクリートの床に亀裂が入ったかと思うと勢いよく砕け散り、床下──おそらく地下だろうが、這い上
がってくる巨大な影があった。

それは通路の床に上り立つと、まとい達の前に仁王立ちになる。
大人より頭一つ分ほどの背丈の人間── に見えた。
だが、体のあちこちに埋め込まれた計器類やチューブ・パイプ。
金属で作られたグローブの様な両腕を見る限り、まともな人間ではない。

「侵入者と── 捕虜の始末をする。」
開口一番のその言葉にまといは険しい顔をして身構える。
その両腕を一つ振ると袖の中から大ぶりの出刃包丁が滑り落ち、それを左右の手に構えて、床を蹴り飛びかかった。

「むうっ!?」
左右から連続して繰り出されるまといの斬撃に、彼はたちまち防戦一方に追いやられ、腕や胴に浅く傷を負い
オイルだか血だかが染み出してくる。
「小娘ぇ!!」
怒りの声を上げると同時に、その金属の拳が一瞬、陽炎のようにゆらりと揺らめいた。
「!?」
本能的に危険を察したのか、身をひねったまといの脇を目に見えない衝撃波が突き抜け、それは壁に当たり放
射線状に亀裂を作り出した。

その隙に間合いを取り、彼は続け様に衝撃波を放つ。
確かに目で捉える事は出来ないが、拳の動きにさえ気をつければ、かわす事はさして難しくもない。

まといは落ち着いた動作で避けながら反撃するタイミングを見計らい──
「ぐは!!」
背後で聞こえた先生の悲鳴に弾かれたように振り向く。
「先生!?」
流れ弾── ではない。
まといを狙う振りをして、その後ろにいる動きが不自由な相手を狙ったのだろう。
そしてもう一つ。
動揺を誘い、隙を作りださせる事。
「ぐうっ!?」
まといの背中に衝撃波が直撃し、もんどりうって床に伏してしまった。

食らったダメージは少なくはないのだろう。
二人とも気を失ったまま起き上がろうとはしない。
彼は勝利を確信し、とどめを刺すべく二人ににじり寄る。
526百二十七話ネタ:2008/05/27(火) 22:10:49 ID:KNOvvltk
         
──と、建物が…… いや、床が鳴った。
彼の足もとに大きな亀裂が入り、クレパスのような裂け目となって彼を飲み込んだ。


明かりも乏しく薄暗い地下室。
その床に着地するや否か、彼に向けて飛びかかって来る者がいた。
風を切る音と共に振り抜かれたバットを、寸での所でガードし、押し返す。
一瞬、猛禽類を思わせる鋭い眼光が見えた。
その相手── 真夜は素早く地下に張り巡らされた燃料タンクやらパイプやらの影に隠れる。

「貴様も侵入者か!?」
怒りの声を上げ、彼は両腕を振りまわして真夜の隠れた辺りに衝撃波を乱打する。
薄暗さと機械類の影を利用し、真夜は巧みにかわしてまわる。
「ちょろちょろと!」
いささか見境を無くしたように八方に衝撃波を撃ち続け、地下室にあるタンクやパイプは破壊され、オイルや
燃料がそこら中から噴き出して混沌とした様子を見せている。

攻撃が一旦途切れた。
辺りの様子を探り、すでに廃棄場のような有様になった地下室を見回して、真夜の姿を探しているようだった。
オイルの噴き出す音、壊れた機材が時おり立てる金属音だけが聞こえ、真夜の気配はない。

真夜は── 彼の真上、天井に張り巡らされているパイプを手がかりに、張り付くようにしてその様子を見て
いた。
タイミングを見計らい、手を離すとバットを構えて落下し、頭上から襲い掛かる。
「!?」
風を切る音がしたのか、それともセンサーでもついているのか。
接近する気配に気がつき、反射的に腕を振り上げてガードする。

硬い音が鳴り響いた。

真夜のバットは衝撃でいびつな形に変形したが、相手の腕の金属部分も嫌な音を立てて大きくへこみ、白い煙
が上がった。
「うおおっ!?」
半分機械で出来ているようなその体でも痛みは感じるのか、腕を押さえてうめき声を上げた。

その目の前に真夜がスタリと着地する。
が、足がついた途端に激しくバランスを崩し、仰向けに転倒してしまう。
重い水音が上がった。
床には一面に漏れ出したオイルが広がり、排水設備などはないのか、すでにくるぶしの辺りまで溜まってしまっている。

慌てて起き上がろうとした真夜の喉笛を鉄の指でわし掴みにされ、再びオイルが広がる床へ押し倒される。
「終わりだ!」
指にさらなる力がこもる。
真夜の細い首をへし折らんかとするように絞め上げられた。

目を見開き、苦しそうにもがきながら何とか指を引き剥がそうとするが、元からの力の差がありすぎるのだろう。
鉄の指はぴくりとも動かせない。

真夜は引き剥がす事をあきらめたのか手を引くと、彼は機械が埋め込まれた顔に、二ヤリと残酷そうな笑みを浮かべた。

真夜は手をスカートのポケットに伸ばす。

カチリ

固い音が聞こえた。
一瞬、訝しそうに眉を動かした彼だったが、すぐにその音の意味が分かった。
527百二十七話ネタ:2008/05/27(火) 22:11:52 ID:KNOvvltk
      
炎が── 真夜の体の下から湧き出るように吹き出し、あっという間に床を伝い引火し、地下は炎で埋め尽く
されて行く。
「なっ…… なんだと!?」
焦りの声を上げて立ち上がろうとするが、今度は真夜が彼の腕をガッチリと抱え込み、身を起こす事が出来ない。

「!? き……貴様、正気か!?」
真夜は何も答えず、ただ鋭い目を見開いて彼を見ている。
転がっている真夜よりも、起き上がっている彼の方がより炎に炙られるのか。
体の表面にはブスブスと焦げ目が広がって行き、埋め込まれた計器類の針は狂ったように激しく振れる。

余裕を無くした表情になり、真夜の首を掴んだ手に全力を乗せ、握り潰す勢いで締め上げてゆく。
──かはっ!
喉が切れたのか、真夜は咳と共に口から鮮血を吐き出した。
だが、掴んだ腕は離さず、苦しそうに目を閉じ歯を食いしばっている。

ばしゅっ!
「ぎやぁぁぁっ!?」
風船のはぜるような音と共に、彼の体に埋め込まれたチューブが一本焼き切れた。
真夜を掴んだ手が離れ、狂ったように全身を痙攣させながら、腕を滅茶苦茶に振り回す。
次々と焼き切れるチューブからは白い蒸気が立ち上り、計器類は悲鳴を上げたようにひび割れ、停止する。

彼の顔色はドス黒く変色し、両目が白く濁ってゆく。

その視界の中、地獄のような様相となった部屋で、自らも炎に包まれながらゆっくりと真夜が立ち上がるのが見えた。
手に持ち、構えるバットも炎をまとい、ゆらりと近寄ってくる。

もう、悲鳴を上げる事も出来ず立ち尽くす。

最後に視界に入った物は、高々と振り上げられた燃え盛るバットの影だった。

 ◇ ◇ ◇

「ああもう! 一体何匹いるのよ!?」
思わず吐き出した文句と共に振り払われた冊子の一撃が、晴美を囲む人造人間たちの一体を薙ぎ払う。

突如鳴り響いた警報の後、実験室らしき所のロックが次々と外れ、異形の者達が飛び出してきたのだ。
かろうじて人間っぽい姿をしているが、知性は殆ど感じられず、攻撃を加えた傷跡から流れるのは黒いオイル。
動きも、人間と大差なく、一対一ならまず遅れをとる事はないだろう。

しかし問題はその数である。
全部で一体何匹いるのか。
廊下に溢れた者だけでも十数体。そして実験室の扉の向こうにはさらにひしめくような気配が伝わってくる。
一体ずつ潰して行くしかないのだが、晴美の得物ではどうしても決定打に欠け、一体を倒すのに時間が掛かっ
てしまう。
そして、先程から繰り返されるアナウンスの内容は、そんな悠長な事をしている時間は無い事を示していた。

 ──残り時間五分です。敷地内にいる人は急いで退避してください。
 ──残り時間……

「ああああ! 私にどうしろとぉ!?」
「ヤケクソになるナー。ハルミ。」
晴美に負ぶわれたままのマリアが晴美の頭をぽんぽんと叩く。
「うう…… もう一か八かで中央突破するしか……」
528百二十七話ネタ:2008/05/27(火) 22:13:34 ID:KNOvvltk
              
「──ぅぅぅぅなぁぁぁあああぁっっ………!」
遠く── 遥か遠くから急速に近づいてくるその雄叫びに、やや諦め気味だった晴美の表情が輝いた。
「千里ぃぃ!!」
張り上げた声に反応するかのように、永く響く雄叫びは一瞬途切れ──

「うなあっ!!」
コンクリート壁が砕ける音と共に、声の主が晴美の居る通路に踊り込んで来た。
吹き飛んだ壁の下敷きになった人造人間の上、まるで跪くような姿勢でスコップを高く掲げ、千里はゆっくり
と顔を上げる。
見開かれた切れ長の目に映っているのは、敵か、晴美たちか。

何の前触れもなく── 千里が動いた。
雄叫びを上げて、嵐の様にスコップを振り回しながら晴美の方へと突進する。
前を塞ぐ人造人間達は、千里はスコップを振るうたび、紙細工のように粉砕され、
バラバラになって廊下に散らばって行く。
ほんの瞬きする程の間に通路に居た敵は残らず破壊され、千里は突進の勢いのまま、晴美の背にしている壁に
スコップを突き立てる。
あっさりと、まるで発砲スチロールのように壁に大穴が開いた。

千里は晴美の肩に手を回し、背中にいるマリアのように自分もしがみ付いて、
壁の穴から眼下に広がる密林を指差す。
「跳べ。」
「ええっ!?」
声を上げながらも、晴美は二人にしがみ付かれたまま壁穴に足を掛けた。
ひと呼吸おき──
「おうりゃあ!!」
床を蹴り、宙に舞う。
空中で優雅に一回転してみせ、三人の姿は密林の中へと消えた。

 ──残り時間三分です。敷地内にいる人は……

 ◇ ◇ ◇

千里達が建物から飛び下りたのが見えたのだろう。
先に退避していた四人と、密林の中で落ち合った。
「千里ちゃんたち! 無事だった!?」
「こっちは平気よ。それより先生は?」
「それが、まだ……」
千里の問いに、珍しく歯切れが悪くカエレが答える。
「そんな……」
一同に重い空気が広がる。

がさり

茂みの揺れる音がして、ぼろぼろの姿になった真夜が顔を見せる。
制服は焼け焦げ、手足も顔も煤で黒く汚れ、火傷の痕もいくつか見えるが、しっかりとした足取りで皆に近寄る。
その後ろにはライフルを担いだままの少女の姿もあった。
「三珠さん! 無事だった!?」
「…って、どんな激しい戦いしてたのよ。」
駆け寄るクラスメイト達をぐるりと見回し、真夜は首をかしげた。

その意味を悟り、再び全員に沈黙が広がる。

ただ一人。可符香だけがすました笑みを浮かべ、小さな爆発が広がり始めている建物を見上げていた。


529百二十七話ネタ:2008/05/27(火) 22:14:13 ID:KNOvvltk
        
がさ! ざざっ!

再び葉ずれの音がして、密林の中から長身の女性が姿を現わした。
その肩には、未だ気絶したままの先生とまといを担いでいる。
「先生!?」
「無事!? 無事だった!」
「で、誰なのよ!?」
口々に叫びながら駆け寄る。

もはやドレスは脱ぎ捨てボディアーマーだけの姿になった娘は、その場に先生とまといを下ろすと無言のまま
背を向けて、立ち去って行く。
「だれなの!? いや、感謝してるけどさ!」
娘に声をかける者、先生を抱きかかえる者、まといを介抱しようとする者。

そんな中、可符香は娘の背中に手を振りながら、何でもない様な顔で口を開いた。

「いやだなあ。ピンチの時に現われる謎の助っ人に決まっているじゃありませんかぁ。」
「それも王道だから……?」
少し投げやりに言う奈美をよそに、可符香は手を振り続けた。

──密林の中に消える前。
チラリと振り向いた娘と、可符香が視線を交わした事に気づいた者は居ないようだった。


次の瞬間──

空気を震わすような轟音に、全員が基地の方を振り向く。
その建物は、あちこちから火の手を上げながら次々と崩壊してゆく。

続けてさらに大きな爆音に基地は飲み込まれ、粉々に吹き飛びながら上空に大きな爆煙が固まりとなって浮か
び上がる。

少女達から、密林中に響き渡るような歓声が上がった。



530305:2008/05/27(火) 22:15:25 ID:KNOvvltk
おそまつでした。

ではまた。
531名無しさん@ピンキー:2008/05/27(火) 22:32:44 ID:yC+naAMz
>>530
自分の稚拙なSSの後で恐れいります。
やっぱ古参の人は違うなあ・・・・・・
こんなすごいSSを書ける305さんの才能は本当に尊敬いたします。

305さんと言えば、命先生が奈美の相談に乗る話が大好きでした。
あなたのSSの雰囲気にいつもいつも魅了されます。
これからもあなたのSS楽しみにしております。
532名無しさん@ピンキー:2008/05/27(火) 23:03:57 ID:Q5YjxXH6
>>530
GJ
はっちゃけっぷりが最高ですな
娘娘やマリア二号も出してくるあたりすごいなぁと思った
533名無しさん@ピンキー:2008/05/28(水) 00:33:23 ID:tvk3+Xax
工作員強いなあ
534名無しさん@ピンキー:2008/05/28(水) 05:59:18 ID:SuLlhC6z
初めまして。
こんな時間にひっそりと初投稿させて頂きます。
・エロ無し、芽留メイン

よろしくお願いします
535少女の携帯が壊れた日:2008/05/28(水) 06:06:22 ID:SuLlhC6z
 夕暮れの道、一人歩く少女。
 頭の両側で縛られたおさげ髪はそのゆっくりとした歩みに合わせ揺れている。
 珍しいことに彼女の手には携帯電話は握られていない。時折、不安げに何も掴まないその手を開いたり閉じたりしていた。
 無気力そうにただ空を見つめ歩いていく。


 今日の彼女は朝からついていなかった。
 朝学校に着き担任の姿を見つけると、朝の挨拶代わりにその日一通目毒舌メールを送りつけてやろうと携帯に文字を打ち込んでいた。
 ちゃんと周りを見ていなかった自分も悪かったのだが、後ろから来たクラスメートとぶつかり手元から携帯を誤って落とすと、それを間が悪く望に踏まれてしまったのだ。
 パキッという乾いた音と共に折り畳み式のそれは、真っ二つに折れてしまっていた。
「あっ」
 手にとってみるが、既にそれが携帯としての役目を終えているのは誰の目にも明らかだった。
「すいません音無さん!すいません!」
 と加賀さんばりに頭を下げ謝罪している望を一度睨み付けては見るのだがどうにもならない。
「こうなれば私の命をもって贖罪します!」
 叫んで廊下の窓から飛び出さんとする先生を尻目に、壊れた携帯を鞄にしまうと肩を落として教室に入っていった。
536少女の携帯が壊れた日:2008/05/28(水) 06:11:14 ID:SuLlhC6z
 携帯が無いと何も言えない。そんな自分にコンプレックスを抱いていた時期もあった。悩んで、泣いて、自分の声を恨み自棄になって自分の喉を自分で締め上げたりして。
 けれどどうにもならないといつしか諦め、そのままで良いのだと今ある状況に甘んじて来た。そしてこれが当たり前となり、『音無芽留』は携帯でしか物が言えない『毒舌メール少女』になっていた。
 どこかでまだそんな自分に納得できないから、その苛立ちをついつい携帯のメッセージにぶつけてしまう――。

 携帯という彼女にとって唯一の発言手段を失った今、彼女は独りふと冷静に自分自身のことに思いを巡らす。
 実際、こんなことでもない限り普通に生活していて困ることはなかっただろう。テストの答案を携帯で提出したのは流石にまずかったが。
 休み時間、こうやって座っていても彼女に気を使ってか声を掛けてくる者は今日に限っていなかった。前の時間にはカエレが何か言いたそうにこちらを睨んでいたがその時もそれ以上は何もなかった。
 束の間の休み、教室中のあちこちで男子も女子も談話を楽しんでいる。
 先程の授業の話――分からなかったことを確認しあったり――や、恋愛話、昨日のテレビ番組の話題やほとんど中身のないような会話まで。
 様々に声が混じりあい、誰が何を話しているのか注意深く耳を澄まさないと分からない。分からなければそれらはただの雑音で耳障りなだけ。
 そうか――突然芽留は得心がいく。
 自分は怖かっただけなのだ。あのクラスメートの男子に声のことを言われたことはただの切欠に過ぎない。
 自分は怖かったのだ、あの中に飛び込んでいくことが。
「くっ」
 認めたくなかった、自分の弱いところなんか。
 強く唇を噛み締める。握り込んだ手には力が入り爪が食い込んで、痛い
 けれどこの痛みがなければ、目尻に溜まった熱いものが一度に溢れ出してしまうだろう。
 周りに悟られぬようゆっくり立ち上がり、廊下へと、そのむこうへと向かう。
 鞄を片手に駆け出した。
537少女の携帯が壊れた日:2008/05/28(水) 06:13:52 ID:SuLlhC6z
「こら」
「あっ?」
 気付くと誰かが彼女の腕を強く掴んでいた。
「今から何処へ行こうっての。もうすぐ授業始まるんだから」
 その金髪の少女はいつもやる様に、力強く、猛然とその少女に抗議する。
「う、訴えるわよ!」
 しかしその表情は恥ずかしげで、ポリポリと照れくさそうに指が頬を掻いていた。
「あら、それはいけないはね。授業はきっちり受けないと」
 正義の粘着質少女が続く。
「ずるーい。芽留ちゃんだけ授業サボるなんて」
「しまった今日は新刊の発売日だ!」
「私も音無さんについて行こうかな」
 ポジティブ少女、腐女子少女にしっぽ好き少女。
「マリアもー!」
「すいません、音無さん私のせいですよね。私がいるせいで授業に集中できないんですよね。すいません!」
 難民少女に加害妄想少女。
「そういえば洗濯物が溜まっていたわね」
 主婦女子高生。
「加賀さんが行くなら俺も行くぜ!」
「木野待てよ!」
「俺も行こっかな」
 続々と男子も。
「こ、小節さんが行くなら僕も行こう」
 誰もいなのに声がした、が、これは気のせいだろう。
「まあ、生徒のいない教室で授業なんて。お兄様かっこう悪い!」
 気付いたら教室には芽留とカエレだけが取り残されていた。
「全く! この国の学生はどうかしてるよ!」
 言いながらもいつの間にかその手にはちゃっかり鞄を抱えていた。
 そしてまた強引に芽留の腕を掴み、
「ほら、アンタも行くわよ」
「あっ」
 走り出した。
 走りながら芽留は思い出していた。
 そうここは、
『31いや32人の絶望的な生徒が集う絶望教室』
 絶望的なお人好し達の集まる場所。
538少女の携帯が壊れた日:2008/05/28(水) 06:17:18 ID:SuLlhC6z
 今日は朝からついていなかった。
 でも、それでも良かったと思った。
 彼女は夕暮れの空を見つめ歩いていく。彼女の後を独り間延びした影法師がついて来る。
 そしていつの間にか影法師は一つ二つと数を増し、いつしか珍妙な形の影を作り出していた。
 彼女は手の中にはない携帯電話にいつもの様に毒の混じったメッセージを打ち出す。
『ホントに クソハゲばっかだな コイツら』





 〜おまけ〜


 誰もいない教室に入った望は、あまりの光景に言葉を失う。
 そこにはポツンと一人普通少女が取り残されていた。
「これは一体なにがあったのでしょうか?」
「知りませんよ! 私がトイレから帰ったらもう誰も居ませんでした!」
「そうやって取り残されるのはやはり普通なんですかね?」
「普通って、知るか!」
539少女の携帯が壊れた日:2008/05/28(水) 06:21:44 ID:SuLlhC6z
以上です。

まだまだつたない文章ですが、
ここまでお付き合い頂きどうもありがとうございました。
540名無しさん@ピンキー:2008/05/28(水) 09:16:41 ID:An31OdeS
>>534
GJ!不意打ちにほんわかした
541名無しさん@ピンキー:2008/05/28(水) 18:51:42 ID:I6JWtl4p
>>534
GJ
最後の奈美、絶望ファイトの奈美を思い出したw
542名無しさん@ピンキー:2008/05/28(水) 19:55:19 ID:tenrGgZR
奈美がいないから何度もそのレスだけ読み返してたらこんなオチとは GJ
>>541
元キャラ真っ向無視だったのに奈美だけはらしかったよな
543名無しさん@ピンキー:2008/05/28(水) 20:15:22 ID:7Vn2AuSc
>>539
その後先生と奈美が誰もいない教室で何かするんですね GJ!
544名無しさん@ピンキー:2008/05/28(水) 23:17:58 ID:Szdw6E7r
木野加賀投下します。
おそらくキャラ崩壊してます。
545愛の下見:2008/05/28(水) 23:18:26 ID:Szdw6E7r
ゆっくりと、教室のドアを開く。
そこにはたった一人――窓際の席でグラウンドを眺める少女がいた。
はやる気持ちを抑えながら、自然なふうを装い、俺は加賀さんに近づいてゆく。

「いやぁ、ごめんごめん。委員会の仕事が長引いちゃってさ」
声をかけて初めてこちらに気付いたのか、彼女は体をビクリとさせて立ち上がった。
「すいません!ボケッとしていてすいません!」
すかさず何度も頭を下げて謝ってくる。すぐ謝るのは彼女の癖だ。

「いや、遅れちゃったのは俺のほうだし。待たせちゃって本当にごめんな」
俺は、彼女を落ち着かせるよう、ニッコリと微笑みかけた。
すると、加賀さんは顔を赤らめ、
「あ、あなたのために待ってたわけじゃないんだからねっ!勘違いしないでよね!」
と、ツンデレの決まり文句を言って、ぷいっ、とそっぽを向いた。

(か、可愛い…)
ヤバイ…ヤバイよ、可愛すぎる!俺の理性を崩壊させる気か…!?
最高だよ!君はなんて可愛いんだ!
だが、男としてこんなところで理性を失うわけにはいかないぜ!


…やっぱ無理。もう、限界っ!!
546愛の下見:2008/05/28(水) 23:19:20 ID:Szdw6E7r
気が付いたときには、加賀さんを押し倒していた。

「…え!?き、木野さん、何を――」
加賀さんはかなり困惑している。
無理もない。いきなり押し倒されて驚かないはずがないだろう。
だが、獣と化した俺の本能を抑えることはできない。
俺は彼女の腕を押さえて、彼女の怯えて引きつった顔に近づいた。

「加賀さん……愛してるぜ!」
俺の言葉に加賀さんは目を見開き、抵抗を止めた。
俺はそのまま、無抵抗となった彼女に軽く唇を合わせる。
柔らかい感触が、俺の乾いた唇に伝わる。

俺は無抵抗をいいことに、調子に乗って、彼女の口をこじ開け舌を侵入させてみる。
「ふぁっ…!?」
さすがにびっくりしたのか、加賀さんは俺から顔を離そうとする。
だが、俺は構わずに彼女の口腔を犯してゆく。
次第に彼女の体の強張りも取れてきて、されるがままになった。

「ぷはっ……!加賀さん、俺もう我慢できねぇよ」
唇を解放して、俺は彼女に懇願するように呟いた。
「あ…あの、木野さん……?」
「ごめん!」
俺はズボンのベルトに手をかけ、屹立した肉棒を剥き出しにした。
547愛の下見:2008/05/28(水) 23:19:49 ID:Szdw6E7r
「ひぁっ!?木野さん、何を…」
加賀さんは顔を紅くし、俺の肉棒から顔を逸らした。

「君と一つになりたいんだ!頼むよ」
「そんな……こ、困ります!私なんかじゃ迷惑が…」
「全然迷惑じゃないぜ……俺には君しかいないんだ!!」

俺は彼女のスカートに手をかけ、下着をずらした。
加賀さんは諦めたのか、抵抗を見せずに、堅く目を閉ざしている。
「…入れるよ……力抜いて…!」
棒をあてがい、ゆっくりと腰を沈めていく。

「ひぁっ、ん―――ッ!」
加賀さんが苦痛に顔を歪める。だが、俺にも彼女を気遣う余裕がない。
「くぁ…はぁぁ……」
彼女の中は、初めて受け入れるであろう異物を拒み、俺の肉棒をきつく締め付ける。
俺は何とか我慢して、ゆっくりと、だが確実に奥へと進め…

そして、ついに俺たちは一つになった!
548愛の下見:2008/05/28(水) 23:20:24 ID:Szdw6E7r
「動くよ……!」
静かに腰を動かし始める。
「ぁ…んぅ!ひぁぁっ―――!」
加賀さんが、嬌声に程遠い苦痛の声を漏らす。だが、もう止められない。
俺は徐々に動きを速め、彼女の秘部を突きまくる。

「…あぁっ、はぁっ、ひゃん、あぁぁぁ!」
明らかに彼女の声色が変わった。
それを合図に、さらに腰を速め―――……

* * * * *

「はあぁぁぁぁ、出るよ加賀さんっ!!」
俺の恥部から大量の白濁液が発射される。
今夜はいつもより出がいいみたいだ。

「はぁ、はぁ、……はー…」
ぼーっとした頭で、無意識に時計を見る。
いつの間にか、日付が変わっていたようだ。
俺は快感の余韻に浸り、ニヤリと笑みを浮かべた。

「ふぅ、今日もいいマスかいたぜ…!」


おわり
549名無しさん@ピンキー:2008/05/28(水) 23:21:12 ID:Szdw6E7r
稚拙な文章ですいませんでした。
初心者なんで、できれば多めにみてください・・・
550名無しさん@ピンキー:2008/05/28(水) 23:50:23 ID:94njsiEQ
妄想オチかwだがgj
551名無しさん@ピンキー:2008/05/29(木) 00:04:13 ID:jxE/42RG
>530
亀だが、GJ!です。

絶望ガールズたちの戦闘能力の高さが、
昔読んだ「システリック深海」ってサイトを思い出させたぜ!
552名無しさん@ピンキー:2008/05/29(木) 11:17:34 ID:eRcZfO+O
木野ニーwww
553名無しさん@ピンキー:2008/05/29(木) 23:30:47 ID:+9MFlSox
はーん木野wwwいいね
554名無しさん@ピンキー:2008/05/30(金) 10:10:38 ID:xm3EcqbI
木野はどうしてもアレな役回りになるよね
555名無しさん@ピンキー:2008/05/30(金) 19:01:26 ID:qONUGAlT
ある意味場所を間違えているかも知れないがどうしても言わせてくれ。

絶望した!『真昼が雪』のMADを削除するニコニコに絶望した!!
これから俺は一体何に萌えてSSを書けばいいんだorz
556名無しさん@ピンキー:2008/05/30(金) 19:26:56 ID:an7d+xdU
>>555
つ真昼さんのSS
やだなぁ、映像なんて脳内で再現できますよ
557名無しさん@ピンキー:2008/06/02(月) 00:39:51 ID:9RZ1C6mx
アップロード者削除でしょ?
うp主自身になにか思うところがあったんだろう
558名無しさん@ピンキー:2008/06/02(月) 01:08:31 ID:Wg51rf3E
そういう話はよそでね
559名無しさん@ピンキー:2008/06/02(月) 03:39:37 ID:dj+9uzEP
望と奈美の純愛を書こうとして挫折しました。
なので2人が結ばれたのを前提にエロを書きました。
エロい奈美と優しい先生が書きたくてしょうがなかったんです。
だから奈美と先生がかなりキャラ崩壊してます。
かなりムチャクチャ書いてます。

というわけで注意点は
・キャラ崩壊と捏造設定あり
・エロあり

あと感染症に関することでかなりメチャクチャなこと書いてます。
ツッコみどころ満載ですので、これはひどいと思った方、どんどんツッコんで下さい。
そんなに長くありませんが、事情により、前後に分けて、投下させて下さい。
よろしくお願いします。


560{望と奈美} 大好きな人 01:2008/06/02(月) 03:45:48 ID:dj+9uzEP

「先生、今日は私をフツーとは呼ばせないよ・・・・」


青年を抱きしめる少女は顔を赤らめながらも、少しませた口調でそう言った。

ここは少女の自宅の部屋。彼女の両親は夫婦水入らずの旅行に出かけていて、家には青年と少女の2人だけである。

時代錯誤を感じさせる書生姿に身をまとった青年の名は糸色望・・・・高校教師である。
そして至って普通のブラウスとミニスカートで身を包む少女の名は日塔奈美。
望の生徒でありながら恋人である。

2人は多くの試練を乗り越えて、恋を成就させた。
望は多くの女性徒からしたわれ、アプローチを受けていたが、最終的に奈美を選んだ。

女生徒の中には、愛の重い娘がいて、愛情のもつれから望を殺そうとしたこともあったが・・・
覚悟を決めた望は命がけで彼女たちを説得し、納得させた。
彼女たちは涙ながらに、望と奈美を祝福してくれた。

こうして壮絶なドラマを経て、2人は晴れて結ばれることがかなった。
多くの女性徒の思いを胸に、2人は交際を始めた。

しかし、望と奈美は生徒と教師の間柄・・・・・・・・周りの目が光る中、堂々とイチャつくこともできなかった・・・・。
2人はなるべく普通の生徒と教師としてふれあい、時間ができるまで待った。

そして交際開始から3ヶ月後・・・・本日、ようやく2人きりでデートを決行したのだった。
そして遊園地で2人だけの甘い時間をたっぷり満喫して、今現在、奈美の家に至るわけである。
561{望と奈美} 大好きな人 02:2008/06/02(月) 03:49:45 ID:dj+9uzEP

「奈美さん・・・・男女が愛しあう方法は他にいくらでもあるでしょう?」

「何言ってるんですか。私の純潔奪ったくせに・・・・」

「な・・・・・・・あの時は、あなたが・・・・・・い、いや言い訳はしません。男として責任を取ると決めましたから。
で、でも私はあなたの体を大切にしたいんです。体裁を気にしてるとかじゃないんですよ・・・・本当にあなたのことが大切だから」

「先生・・・・今日がどんなに貴重な日かわかってる?お父さんもお母さんも、両方いないんだよ・・・・・
今日を逃したら、いつ堂々とできるかわからないんだよ!」

奈美はうるんだ目で哀願する。

奈美の純潔が望によって奪われたのは、交際が始まって1週間がたった日のことだった。
夜、誰もいなくなった体育倉庫で、2人は愛しあえるよろこびを分かちあった。
望は後ろめたさを感じながらも、優しく奈美を抱いた。
奈美だって決して、性にオープンなわけではない。だがその時の望の優しさが忘れられなかった・・・・・
愛する人と体を重ねられるよろこびを知った。
あの快感をもっと味わいたい・・・・・

でも奈美はまだ高校生・・・・・・・教師である望とそう、おおっぴらに情事を行うことはできない。
両親が両方、泊りがけで出掛けるというこの日はまたとない機会だった。

目の前の愛しい少女の強い想いを感じとり、望は彼女を強く抱き返す・・・・・・

「わかりました。奈美さん・・・・・今日はたっぷり愛しあいましょう。」

「えへへっ・・・・・・先生、大好き!!」

望の唇が奈美に触れる・・・・・・軽く触れあうだけのキスは次第に互いに舌を絡ませあう、濃厚なものへと発展する。

「んっ・・・・んんっ・・・・・・」

10秒ほど互いの唾液を交換しあうと、2人は糸を引きながら互いの唇を離した。
望は奈美の髪を優しく撫でる。・・・・・・・
愛しい少女は頬を染め上げて、とろん・・・とした目で自分を見ていた。
一瞬、欲望のままにメチャクチャにしてやりたい衝動にかられたが・・・・・

____やはり私は彼女のことを大切に思っている。
____彼女に無理はさせたくない。あくまで優しく彼女を抱きしめたい・・・・

そんな想いに胸をはせていると・・・・
___________望の下半身に痛烈な刺激が走った____________
562{望と奈美} 大好きな人 03:2008/06/02(月) 03:55:37 ID:dj+9uzEP

「―――――――――――つっッッッッッッッッッ」

あまりの衝撃に望の頭は真っ白になった・・・・・・・・・・・・・・・

奈美の右手が望の股間で屹立していた絶棒を袴ごしに握りしめたのだ。
男性器は自分自身の手で包むのですら、強い衝撃があるというのに・・・
それを他人の手でしっかりと握りしめられると、思わず叫んでしまいそうな、
暴力的なまでの衝動に襲われる。

「なっッッッ―――――――・・・・・何を・・・・」

「言ったでしょう?・・・・先生、今日は私をフツーと呼ばせないって・・・・・・
今日は私が主導権握らせてもらうからね!覚悟するんだぞぉ・・・」

驚愕にひきつった望の唇に人指し指をあてて、
奈美はつい先ほどの、とろんとした顔とはまるで別人のような艶やかな笑顔で言い放った。

そして望がショックから立ち直らないうちに、履いている袴に手をかけた。
紐をほどき、あっという間に脱がしてしまう。
さらに浴衣の前を肌蹴させようとする。

「ちょっ・・・・・・奈美さん!そんないきなり・・・・・」

「何ですか?いまさら・・・脱がないとできないでしょう?」

望は奈美が何をしようとしているか察し、おおいに慌てた。・・・・・・
いくら一度体を重ねた仲とはいえ、まだあどけない顔をした目の前の少女。
女の子らしいかわいさが魅力である、この少女がそんなことをするなんて・・・・・
とても、すぐには容認できなかった。

しかし・・・・・奈美は手際よく帯を解き、浴衣の前を肌蹴させてしまった。
・・・・・・そして下着に手をかける。

「いけません!奈美さん・・・・そんなこと・・・・」

望はたまらず静止する。・・・・・・・
奈美は動きを止め、目を見開いた。

「何で・・・ですか・・・先生?私たち恋人ですよ。
・・・・・恋人同士がこういうことをするのは別におかしいことではないですよ。
それに先生言ってくれたじゃないですか・・・・たっぷり愛しあいましょうって・・・・・」

心底不思議そうに尋ねた。


「でも・・・・・そんな・・・汚いですよ。・・・・・
私はあなたにこんなことをさせたくありません。」


________奈美はその言葉に胸をしめつけられた。
563{望と奈美} 大好きな人 04:2008/06/02(月) 04:01:43 ID:dj+9uzEP


______ああ・・・・・この人は本当に私のことを大事に思ってくれているんだ・・・・・・


常人なら快楽にその身を委ねようとするところを、
この人は私を汚したくない一心で守ってくれようとする。
・・・・・この人は本当に優しい・・・・・・・・だけど、

私たちが堂々と体を重ねられるのは、次はいつになるんだろう・・・・・・・
私が高校生である以上は、そんなに回数を重ねられるわけではない。

初めて先生に抱かれてから今日までの間、しばらく時間がたってしまっていた。
その間はうずく体をずっと1人で慰めてきたが、
先生の手による感触とは比べものにならなかった。
この貴重な一夜に、先生の全てを体で感じたかった。・・・・・・それに・・・・・


「先生・・・・・私だってはずかしいんです。
でも・・・・・私たちがこういうことをできる時間は限られているんです。
私は先生に気持ちよくなって欲しいし、私も気持ちよくなりたい!・・・先生をもっと感じていたいんです。
それに私は千里ちゃんやまといちゃん、霧ちゃん、あびるちゃん、真夜ちゃん・・・
先生を好きだった他の娘の想いを背負っているんです。
私と同じく、先生を好きで好きでしょうがなかった彼女たちの分も、私は先生と愛しあいたいんです!!」


奈美は一気にまくしたてた。

そう・・・・・奈美は自覚していた。自分のクラスメイトでありながら、恋敵だった少女たち。
自分と同じく、心の底から望を愛していたのに、望に選ばれなかった。・・・・・・・・
悲しくて、悔しくてどうしようもなくて、でも、それでも私を祝福してくれた少女たち。

選ばれた人間は選ばれなかった人々の想いを背負わなければならない・・・・・・・
私は彼女たちの分を背負って、先生と幸せにならなければいけないんだ。


奈美の目は強い光をもって、望を射抜いた。
564{望と奈美} 大好きな人 05:2008/06/02(月) 04:08:30 ID:dj+9uzEP

望は奈美の言葉に先ほどの彼女と同じように胸をしめつけられた・・・・・・・・

「わかりました。・・・・・・奈美さん。
木津さんや常月さん、小森さん、小節さん、三珠さんたちのためにも全力で愛しあいましょう。
・・・・・一緒に気持ちよくなりましょう。」

言うが早いか、望は下着を脱ぎ捨てた。屹立した絶望が姿を現す。
それを見て、奈美もブラウスのボタンを1つ1つ外していく。
望はベッドに腰を下ろした。

「奈美さん・・・・・くれぐれも感染症に気をつけて下さい!
亀頭から出てきた液体は絶対に飲み込まないで、ティッシュに吐き出して下さいよ。」

ベッドの隅にあったティッシュを引き寄せて言う。
行為の途中で先走って出てきた腺液が数滴、喉をを通ってしまうかもしれない。
でも性感染症を防ぐため、できるだけのことはしたかった。

「わかりました。」

頷いて、奈美はブラウスを脱ぎ捨て、望に近づく。
自分がよく「普通」とからかっていた少女の上半身、「普通」よりやや大きな胸が目について、
望の絶棒がピクッとわずかに痙攣した。

奈美は絶棒を包み込むと、軽くしごいた。先走りの腺液が亀頭から流れ出す。
次に左手を絶棒に添えたまま、右手で陰嚢をやわやわ・・・と揉み始めた。

「あっ・・・・・・」

望は思わず声をあげる。


「柔ら・・・かい・・・んですね・・・」


奈美は初めて触れる陰嚢の感触を興味深そうに確かめた。
そしてさらなる好奇心にかられ、外から少し強く圧迫してみた。


「ぎゃあっ・・・・!?」

望が悲鳴を上げる。

「ご・・・・ごめんなさい、痛かったですか?」

「・・・ちょっとびっくりしただけです。でも気をつけて下さいよ・・・そこはそんなに強くないんですから。」

ちょっと調子に乗りすぎた・・・と反省し、奈美は陰嚢から右手を離す。
そして待ち望んだ、口による愛撫を開始していく。

「はぁ・・・はむっ・・・・・んんっ・・」

565{望と奈美} 大好きな人 06:2008/06/02(月) 04:15:30 ID:dj+9uzEP

初めての感触に戸惑いながらも奈美は亀頭のくびれた部分から、尿道、裏筋までゆっくりと愛撫していく。
・・・・ピチュッ・・・・ピチュッ・・と小刻みに唾液が跳ねる音が響く。
グロテスクに肥大した亀頭へ、顔を赤く染めながら唇を寄せ、舌を突き出す、まだあどけない少女・・・・・・・

それを見て、望は言いようもない背徳感と罪悪感にさらされる。
ああは言ったものの、やっぱり愛しくてしょうがない女の子に、こんなことをさせてしまっている自分が情けなくて、仕方がない。
だが、その背徳感に興奮を感じていることも隠せなかった。

奈美の唇は一旦、亀頭から離れた。

「んぁ・・・・・・・・・は――――――むっ、んん・・・・・」

奈美は顔をずらして、真横から笛を奏でるように竿を咥えこんで、舌で撫き始めた。

「はぁ・・・・・・・・・・奈美さ・・・・・・ん・・・・・」

柔らかい唇が上下から絶望を挟み込んで、ズルズルと擦りたてる。さらに隙間から突き出た舌が竿をくすぐる。
押し寄せてくる快感に、脳が麻痺する。
唇と舌が絶棒の根本まで下がり、そこからまた全体を刺激しながら昇ってくる。・・・亀頭までくると、また根本に戻り
今度はアイスクリームをすくうようにぺろり・・・と舌を跳ねさせる・・・・・・

「うくっ・・・・・・・・」

下半分を唾液に濡らすと、そこから一気に亀頭の先まで舌を滑らせる。ぴちゃぴちゃと卑猥な音が響く。・・・・・
そしてついに、奈美は大きく口を開けて、亀頭に吸い付いた。

「んっ・・・・・んむっ・・・・・ふっ・・・・・ふぁ・・・・」

ぐぐもった奈美の声・・・すぼまった唇が四方からきつく先端を圧迫しているのに加え、尿道のくぼみに舌先が侵入してきた。

「くああっ・・・・・・・・・・・」

入口をちろちろとくすぐり、突き出して、さらに奥に進もうとする。
奈美の頭は少しずつ前進して、ついには根本まで一気に咥えこんだ

「うっ・・・・・あっ・・・・くっっ・・・・・・・」

そしてきつく締めつけながら、亀頭の先まで戻っていく
(この娘は今日、初めて男の性器を愛撫するはずだ・・・なのに・・・こんな・・・)

望は信じられなかった―――――――――――

3ヶ月前、自分が処女を奪うまで、男性との経験がなかった奈美がこんな愛撫のテクニックを身につけていることが。
だが、その疑問よりも今は奈美を心配する方が先だった。

「奈美さん・・・・・・・それ以上はもう、その・・・・・出してしまいますよ・・・・このままだと。」


望の射精感はくるところまできていた。・・・・・このまま彼女の口に自分のものを出してしまいそうで恐ろしかった。
精液を全て口で受けとめ、あまつさえ、それを飲んでしまうようなことも今時よく行われているそうだが、
大切なこの少女にそんなことをさせたくなかった。

望の切実な、自分を気遣う声を受け、奈美は絶棒を口から離した。
奈美の舌から唾液が糸を引く。奈美が愛撫を中断したことで、望の射精感は退いていった・・・・・・・
566{望と奈美} 大好きな人 07:2008/06/02(月) 04:20:31 ID:dj+9uzEP

望はすぐさま、脇に用意してあったティッシュを取り出す。

「口の中の汚物をここに吐き出して下さい。」

奈美はすぐにティッシュを受け取り、口内に入った先走りの腺液を唾液と共に吐き出した。

「ぷはぁ――――――――――っっっっ・・・・・・先生、気持ちよかった?」

奈美は期待に満ちあふれた声で聞く。

「も・・・もちろんです。だからこそ、出す寸前まで昇りつめたんです。・・・・・頭の中が真っ白になりましたよ!」
望は気恥ずしさから、視線を反らして答える。

「よかった!・・・・・・練習してきた甲斐がありましたよ!!」

________望は、奈美の発言に頭を痛烈に殴打された衝撃を受けた。


「なっ―――――――――れっ・・・・・練習って?」

望は血相を変えて、奈美に向き直る。
奈美は望の予想どうりの反応に満足した様子で、望の口に指を当てた。

「ふふっ・・・・先生、今変なこと考えたな――。大丈夫です、安心して下さい。
ソーセージですよ・・・・・スーパーで売ってる」

「ソ・・・・ソーセージ!?」


「はいっ、ソーセージを先生のに見立てて、練習してたんです。
まあ、今実際やってみたら、本物の方が断然太かったので、ちょっともの足りたりなかったんですけどね。
あっ・・・・もちろんちゃんと食べましたよ。」

「なっ―――――――――――――――――――――」


望はまたしても、鈍器で強烈に殴打されたような衝撃を頭に受けた。

・・・・・・この娘は・・・・・そんな真似までして・・・・自分との行為を待ち望んでいたというのか!
数少ない機会の中で自分を快感へと導くために・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

愛しくて、愛しくて仕方がない、目の前の少女。
自分が全力で守っていこうと考えた、この少女は自分との性交渉をこれほどまでに望んでくれていた。
私を気持ちよくさせようとこんなにも努力してくれた。


「――――――――っっっ」

衝動的に望は奈美を抱きしめた。
567{望と奈美} 大好きな人 08:2008/06/02(月) 04:23:56 ID:dj+9uzEP

「すみません、奈美さん・・・・・・あなたがそんなことまでして、私との行為を待ちわびていてくれたなんて知りませんでした!!」

「・・・・・・・・・・先生・・・・・・・・・・・」

「私ももっと、時間をつくってやるべきでした。本当に今さらですが、自分のふがいなさに絶望しました。」

奈美は望の言葉を聞き、優しく微笑んだ

「いいんです。先生・・・・・私が勝手にやってただけなんですから。
それより私は、私の体を気遣ってくれた先生の優しさが本当に嬉しかった。」

奈美も望を抱き返す。・・・・・・・そして

「さあ、先生・・・・・・どんどんいきますよ!!」
奈美は楽しくて仕方がないといった期待に満ちた声を上げ、望のワイシャツのボタンを外し始めた。

「な・・・・・・・奈美さん、自分で外しますよ。」

望は奈美の急な動きにたじろみ、静止しようとするが・・・・奈美はあっという間に望の胸元を肌蹴させた。
そして望をベッドまで押し戻して、座らせ、その膝に乗り上げる・・・・・

「言ったとーり、今日の主導権は私が握らせてもらいますからね!がんがん攻めますよ!!」

そう宣言するが早いか、ワイシャツの中から望の背中に手を回すと、望の右の乳首を吸いついた。

「ひゃううんっ・・・・・・」

まるで女性のような情けない声を望が上げる。
奈美はしばらく、乳首を吸うと、舌で舐め始めた。

「――――――――――――――――――――っ、くぅ・・・・・・!!」

くすぐったさから望は背をのけ反らせる
男性であっても女性同様、性的興奮によって乳首は勃起する・・・・

「あははっ・・・・・乳首勃っちゃってるよ、先生――――――。」

右乳首を舐めながら、左乳首を手の平で転がす。さらに親指と人指し指でつまんだり、親指でこねたりする。

「あっ・・・・・・・あっ・・・・・・」

新たな刺激が加えられるたびに、望が喘ぐ。


「あはは・・・・・先生、カワイイ・・・・・・」
568{望と奈美} 大好きな人 09 :2008/06/02(月) 04:28:46 ID:dj+9uzEP

望の反応が奈美の嗜虐心を高ぶらせる・・・・・・・今度は左乳首を口で愛撫する。

「あっ・・・・・・んんっ・・・・・・」

「あは・・先生、乳首弱いな!!」

望の敏感な反応を見て、うれしそうに奈美は、はしゃぐ。
こうして大好きな人のいろんな反応が見られるのが楽しくて仕方がなかった。

それに対して、望は・・・・・・男女の仲になってからは自重していたが、
以前自分がよく「普通」「普通」とからかって、いじめていた、あの奈美が
こんなに強気に自分を攻めている姿が新鮮でうれしかった。
(あのころの奈美さんは本当にかわいくて、ついいじめてしまいたくなったけど・・・・・こんな奈美さんもすごくかわいい。)

「ああっ・・・・・・・・・」

快感に震えながら、奈美の強気な姿勢に心をときめかせていた。
やがて、奈美は愛撫を中断し、自分の背中に手をやりホックを外し、ブラを脱ぎ捨てた。
「普通」よりやや豊かな胸が望の前に露わになる。

「さあ、今度は先生の番ですよ。私を気持ちよくして下さい!」

奈美は顔を赤らめ、やや恥ずかしそうに言う。
望は彼女がかわいくて仕方がないという様子で、

「わかりました・・・・・お返しです。」

奈美の胸に顔をうずめた。

「んっ・・・・・ちゅぅ・・・・・んんっ―――――」

奈美がやったのと同じように、左胸を愛撫しながら、右の乳首に吸いつく。

「ひゃうんっ・・・・・・ふぁ・・・・・・・・ああんっっ」

ふくよかな乳房は望の手の中で様々に形を変えていく・・・・・・望と同じように勃起した乳首は舌で刺激され、奈美に快感を送る。

「あっ・・・・・・ふっ・・・・・・・・・先生、気持ちいいよ。・・・・」

「そう言ってもらえて何よりです。」

そうしてしばらく望が愛撫に没頭していると・・・・・
急に奈美が望の頭に手をやり、唇を奪ってきた。

「――――――――――――――んっ、んんっ」

望が急な口づけにひるんでいるのを見越して、奈美は望をベッドの押し倒した。

「奈・・・・・・・・美さん!?」

「先生・・・・・・本当はもっといろんなことをして楽しみたかったけど、・・・・もう我慢の限界!!」

せつなそうに目を細める奈美・・・・・・・
望は奈美の思いを察し、このまま彼女に身を委ねようとしたが、その前にやらなければならないことがあった・・・・・・・

To be continued

569{望と奈美} 大好きな人 前半 あとがき:2008/06/02(月) 04:44:54 ID:dj+9uzEP
あの方の影響を受けまくってますね・・・・

かなりムチャクチャ・・・・というかデタラメなこと書いてすいません。
先生はよく殺されずに千里を説得できたね・・・・・・

奈美と望ができていること前提なんで・・・・・・
ホントは2人が結ばれるまでを描いた、感動巨編の後に
この話が来ると感動的なんですけど・・・・・冒頭で述べたとおりなので・・・・

なんかやっぱり・・・・・奈美の口調が可符香みたいになってしまう。
だから、なるべく・・・タメ口入れるようにしました。
なるべく奈美らしい言い方にするようにしたんだけど・・・・・

前半以上にデタラメ、ムチャクチャな後半は明日には投下できると思います。
それでは、ありがとうございました。そして申し訳ありませんでした。




570名無しさん@ピンキー:2008/06/02(月) 08:14:00 ID:RwfXRGmp
>>569
すごく…GJです。
最近先生と奈美の話ないなぁ〜と思っていたので良かったです。

奈美かわいいよ奈美
571名無しさん@ピンキー:2008/06/02(月) 09:49:35 ID:9UWQC8lo
GJ
次も期待してる
572名無しさん@ピンキー:2008/06/02(月) 13:52:20 ID:3w+fWZn1
あああ、奈美かわいいです…!

奈美の口に自分のを触れさせたくなくて止める所が、個人的にすごくツボりました!
その行為に抵抗を感じる先生の気持ちも分かって、あえて、
それを踏まえてもっと近づきたいという奈美が、すごぃ良かったです!

後半、期待してます。GJ。
573彼女の事情:2008/06/02(月) 19:55:46 ID:iVEMtfEG
かなりGJ!
ここは明日まで待ちましょうか
574名無しさん@ピンキー:2008/06/02(月) 22:49:38 ID:DMuaogio
GJ!
ええい!この奈美のエロさは化け物か!
575名無しさん@ピンキー:2008/06/03(火) 02:34:19 ID:2RFfJcaH
昨夜、デタラメな駄文を投下して、叩かれてるだろうな・・・・・・・
と覚悟していたのですが、
みなさんがGJ下さって、ホントに嬉しくて仕方ありません。

というわけで、{望と奈美} 大好きな人 後半投下です。
童貞である自分の勝手な妄想と価値基準と、電波が入れまじって、前半以上に
ツッコみどころ満載ですが、よろしくお願いします。
576{望と奈美}大好きな人 10:2008/06/03(火) 02:38:16 ID:2RFfJcaH

「わかりました。奈美さん、・・・・・ですが、その前に・・・」

望は奈美を膝の上から下ろすと、起き上がり、部屋の隅のかばんから、小さな袋を取りだした。

「本当は、私も本気であなたと感じあいたいのですが・・・・やっぱり、あなたのことが、大切ですので。」

望はゴムを袋から出すと、十分、屹立した絶棒に素早く器用にかぶせた。

奈美は目を少し、残念そうに細めながらも、優しい笑顔で望を見上げた。
先ほどの口による絶棒への愛撫を望が中断させた理由・・・・・それは性感染症を防ぐためであった。
そして、これから行おうとする行為も同じ。
望は本来の目的・・・避妊ももちろんであるが、
性感染症を恐れて、ゴムを着用してくれているのだ。
処女を捧げたあの時もそうだった。・・・・・・
望は自分の体を本気で心配してくれ、まるで自分自身の体のように扱ってくれる。

本番直前の、理性が薄れていってる状態でも、その優しさがしみてきて・・・・・・・
奈美は胸の奥が熱くなった。

「お待たせしました。さあ!奈美さん・・・・・今日の私は受身です。あなたにこの体、お任せしますよ。
がんがん攻めてきて下さい。」

言いながら、望はベッドの上に横たわった。
奈美は満面の笑みで、望に微笑み返すと・・・・・

「よし、言ったな!先生、覚悟しろよ――――!!」


スカートと下着を脱ぎ捨て、望の上にまたがった
577{望と奈美} 大好きな人 11:2008/06/03(火) 02:41:54 ID:2RFfJcaH
望の絶棒を右手で握りしめ、自らの秘裂にあてがう。

「ん―――――――――っっっっ」

亀頭がぬぶりっと音をたて、秘裂に飲み込まれる。
・・・・・・段々と腰を沈めていく。

「はぁ、んっ、――――――――――っっっ」

本番に至るのは、処女を捧げた時以来だったが、フェラや胸への愛撫でとろとろになった内部は絶棒をすんなり受け入れた。
ゴム越しに望の熱い熱が伝わる。
絶棒を根本まですんなり包み込むと・・・・・
奈美は「攻撃」を開始した。

「――――――ん、あぁ、ふぅ―――――――――ッッ!」

勢いをつけて、腰を思いっきり、望の股間に打ちつける。

「っぐ――――――――――――ッ」

波打つように躍動する奈美の腰の動きに合わせ、膣内が絶棒を締めつけ、圧迫する。

「―――――――――んっ、ああっ、はああんっ・・・・・・」

奈美の上下運動が激しさを増すと共に、
豊かな乳房がたぷん、たぷん・・・と激しく揺れる。

―――――――――――――――その光景は、たまらなく――――――――エロティックだった。

奈美は膣内で絶棒を大きく、グラインドさせ、ゴム越しに圧倒的な快感を与える。
1秒ごとに、射精の欲求が爆発し、呼吸が止まりそうだった。・・・・・・・・・

「はぁ・・・・・・・はぁ・・・・・・くっ――――――――――――」

奈美は自分が望を完全にリードできているという征服感で満たされていた。
自分の下で横たわって、快感で顔を歪めて、喘いでいる大好きな望・・・・・・・・
自分ががんばって腰を振れば、振るほど、感じてくれている。
その事実に頭が恍惚となった。
卑猥な水音は、ぴちゃ、ぴちゃと段々とボリュームを増していく。

「あっ、はぁぁぁぁぁ―――――――――ッッッ・・・・・・・!

はぁぁん・・・・・・・・先生・・・・・・・私、・・・・・・もう」
奈美は絶頂が近いことを訴えた。

「私も・・・・・・・・・もうっ・・・・・・・・・・・・・」

望ももう限界に達していた。

「一緒にイきましょう・・・・・・・・・・・・・奈美!!」

奈美が体を前傾させ、望の腹の脇に手をつく。
望は奈美の手の上に自分の手を移動させる。
―――――――――2人の手が重なった瞬間――――――――――――

「くっ、はあっっっっっ――――――――――――――!」

「ひゃうう〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ッッッッ、んんんんん―――――――――――――――ッッ」

2人は同時に絶頂を向かえた。
578{望と奈美} 大好きな人 12:2008/06/03(火) 02:46:14 ID:2RFfJcaH

「はぁ・・・・・・はぁ・・・・・・」

奈美は体を浮かせ、絶棒を膣から引き抜くと、
望の横にぐったり・・・・・と横たわった。

「はぁ・・・・・・はぁ・・・・・・はぁ・・・・・・・・・・・・・・・」

2人は互いに目を閉じて、余韻に浸っていた。
しばらくして、奈美が先に起き上がり、まだ横たわって、目を閉じている望の唇に口づけた。
続けて、目を細めて、望に聞く。

「先生、・・・・・・・どうだった。」

望は奈美の顔を見つめて、行為の最中を思いだした。
・・・・・・・・すると、真っ先にあの光景が蘇ってきた。・・・・・・・・・・

「その、・・・・・・・・・・何て言いましょう。・・・・・
すごく、・・・・・・・・・・・・エッチでした。・・・・・」
「エッチって・・・・・・・・・私がですか・・・・・・・・?」

奈美は最近はあまり聞かなくなった、端的な響きをもつ、その単語に反応した

「ええ・・・・・・・あなたが一生懸命、上下に動くたびに、
たぷん、たぷん・・・と揺れるあなたの胸が。」

「なっ――――――――――――――――――」
奈美の顔がまるで、トマトのように真っ赤に染まる。

「・・・・・・・・・・〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ッッッッ!!!」
奈美が恥ずかしがっている様子に気づき、望はかわいいなあ・・・
と思う反面、ちょっと意地悪をしてしまったという罪悪感にとらわれた。

「なっ・・・・・・・・・何よ、それっ、・・・・せっかくいい雰囲気だったのに!!
そんなこと言う先生、ばーか ばーか スケベ、変態、サイテー・・・・・・」
奈美は動揺して、ちょっと、キャラが変わってしまったようなセリフを言って、そっぽをむいた。
それを見て、望があわてて、声をかける。

「ごめんなさい、冗談ですよ。・・・・・・私が悪かったです。
本当はあなたが、一生懸命動いてくれて、まるで、あなたに犯されているみたいで・・・・・・
本当に気持ちよくて、何も考えられなくなりました。」
・・・・・・・奈美はそっぽをむいたままだ。

「ねぇ〜〜〜〜〜〜〜〜〜、奈美さ〜〜〜ん、機嫌直して下さいよ〜〜〜〜〜〜〜〜〜!」

望は、子供の機嫌をそこねてしまった親のような口調で、奈美に呼びかける。
・・・・・・・・確かに、あの甘い雰囲気をぶちこわすような発言をしたのは、軽率でした。・・・・
反省して、望は奈美を後ろから抱きしめて、優しい口調でささやく、

「どうしたら、機嫌直してくれますか・・・・・?」

奈美はしばらく考えて、

「先生、・・・私を後ろから犯して下さい。」

そう答えた。

「へっ・・・・・・・・・・・・・・」

望は奈美の穏やかならぬ、ニュアンスの返答に唖然とした。
579{望と奈美} 大好きな人 13:2008/06/03(火) 02:50:23 ID:2RFfJcaH

「後ろから・・・・・・ですか?」

「はい、今日は私が先生をリードしてきましたが、やっぱり先生にもリードしてほしいんです。
それに先生、さっき私に犯されてるみたいだって・・・・言ってましたよね。
はじめての時は先生が本当に優しく、抱いてくれたんで、犯されてるって感じがしなかったんです。
だから私も犯してほしいんです。まだやったことないけど、後ろから力強く突かれると、「犯されてる」って感じがすると思うんです。
だから・・・・・・・・・」

奈美のおねだりを聞いて、望は苦悩した。
自分は奈美をどんなことがあっても、優しく抱きたいと思ってきた。
しかし彼女は後ろから獣が交尾をするように、乱暴に突いて欲しい・・・と願い出たのだ。
四つん這いになって、後ろから犯され、苦悶の表情を浮かべて、喘ぐ奈美の姿を想像して、望は頭を抱えた。

――――――――――――彼女のそんな姿は見たくない――――――――――

望は眉間にしわを寄せる。
振り返って、その様子を見た奈美は、溜息をついて―――――――

「どうしたの?先生、・・・さっき私にいやらしい発言したくせに、バックで私を犯すのは嫌だっていうの・・・・・?」

奈美は望が何を考えているか、理解して、ツッコミをいれる。

「いや・・・・・その・・・・・・・何といいますか、さっきフェラまでさせといてなんですが・・・・・・・
私はあまりバックという体位が好きでなくて、・・・・獣の交尾みたいで・・・・人間らしくないので・・・・」

奈美は望の気持ちがわからないでもなかったが・・・ここまできて引き返すのも嫌で・・・
切り札を出すことにした。

「先生、最初に言ったでしょ。・・・私は先生を好きだったみんなの思いを背負ってるって!
獣の交尾みたいって言ったけど、あびるちゃんが聞いたら、怒るよ、
獣だって子育てもするし、思いやりもある、優しい生き物なんだよ。・・・それに人間だって哺乳類だし、
あびるちゃんだったら、きっとバックで先生とやりたいと思うな・・・・・私はあびるちゃんの思いも背負ってるから、バックで先生とやりたい!!」

まるで、あびるがバックが好きだと決めつけるような言いっぷりだった。
望は奈美のあまりのへ理屈っぷりに、つい噴き出してしまった。


「ぷっ・・・・・・・・」

「あ―――――――!!、笑ったな――――」

奈美は抗議の声を上げるが、望はそれを静止して、

「ははっ・・・・わかりました。・・・・奈美さん、先生が悪かったです。
そうですね・・・バックだって立派な体位です。人間らしくないなんて言いすぎました。
奈美さん、・・・・・みんなの分も先生と気持ちよくなりましょう。」

望の決意を聞いて、奈美は嬉しそうに微笑む。


「はいっ・・・よろしくお願いします。」
580{望と奈美} 大好きな人 14:2008/06/03(火) 02:54:40 ID:2RFfJcaH
望はゴムを新しいものに取り替えると、さっそく、奈美をベッドの上で四つん這いにさせた。
肘に負担がかからないように、ベッドの頭についている板に手を掛けさせる。

「あっ・・・・・はぁ・・・・・んんっ・・・・・・」

望は人指し指を秘裂に侵入させる。
先ほどまでの行為で、十分にほぐされているのだが、念入りに刺激して慣らしていく。
そして舌による愛撫も開始する。

「ひゃああんっ・・・・・・・ふっ・・・ふああっ・・・・くっ・・・」

舌を突き出して、ひくつく秘裂の内側に滑り込ませる。
入り口付近に細かく舌をあて、出てくる愛液をすする。
視線を下におとすと、止まらない愛液はとろとろと流れ、奈美の太腿をつたい落ちていた。

顔をあげて奈美の尻全体を見ると、
張りとボリュームにはかけるものの、「普通」よりずっと形がよく、きれいな肌色をしていた。
(とても魅力的で、かわいいお尻じゃないですか・・・・・・・・)
望は尻たぶに吸い付いた。

「ひゃあんっ――――――――ッッ」
さらにそこからゆっくりと太腿まで舌を這わせていき、とこどころにキスの雨をふらす。
そして、両手全体でマシュマロのように柔らかく、肉感的な尻肉を揉みしだく。

「ふっ・・・・・・ああんっ・・・・・・」
奈美はくすぐったさに震えながら、抗議する。

「先生の変態・・・・・・・私のお尻で遊ばないで下さい!・・・」
「あはは・・・・・すいません。つい、あなたのお尻がかわいかったもので・・・・・」
奈美は顔を赤くする・・・・・。

奈美の抗議を受けて、遊びはここまでと、望は気持ちを入れかえて、声をかける。
「それでは、いきますよ・・・・奈美さん。」
「は・・・・・・はいっ。」
尻たぶを両手で、痛くしないようになるべく優しくつかんで、腰を進め、秘裂に絶棒をあてがう。
愛液をからめて、先ほどと同じように、すんなりと膣は絶棒を受け入れる。
「あっ・・・・・はあっ・・・・・・・ひぁん・・・・」

「―――――――っっ!・・・・これは・・・・・・・・・」

奈美の膣内はさきほどの騎上位の2倍増ほどの圧力で絶棒を締めつける。
どの体位がよくしまるかは、個人によって差があるが、奈美はバックの方がよく締るようだ。・・・・

「大丈夫ですか・・・・・・奈美さん、・・・・・・痛くありませんか・・・?」
望はすかさず、奈美の体を案ずる。

「大丈夫です。・・・・・・すごく気持ちいい・・・・です。」
望は安心した。
男女の体はよく相反する反応を見せる。
男子が快感を感じるときは、女子は苦痛に顔をゆがめる・・・・ということがよくある。
絶棒はゆっくり膣内を進み、最奥に達した。
望は奈美が落ち着くのを待つと同時に、腹の下から股間に手を回し、奈美の秘豆をつまむ。

「ひゃううんんっっ――――――ッッッ」
奈美は快感に震える。
「大丈夫ですか、・・・・・では動きますよ。」
「はっ・・・・・・・・はいっ。」

望はゆっくりとピストン運動を開始する。
581{望と奈美} 大好きな人 15:2008/06/03(火) 02:59:11 ID:2RFfJcaH

「あっ・・・・・・ああっ・・・・・・・んぁっっっ・・・」

互いの太腿がぶつかりあい、パン、パンという音が響かせる。

「やんっ・・・・・・あっ・・・・ふぁ・・・・んんっ・・・・・」

前後運動は段々、激しさを増していく。
絶棒は入り口まで一気に戻されると、再び、最奥まで突きつけられる。
望は突く角度を微妙に変え、奈美の感度が1番、良い場所を探ろうとする。
そうして、膣の内側を擦られるたびに、奈美は背筋を反らして、甲高い声で喘ぐ。

「うぁ、あ・・・・・・・あうっ、あっ、ン―――――――はぁぁぁぁッ・・・・・・・!」

望は、愛しい少女の嬌声を聞くたびに、興奮をつのらせていく。

(ああ・・・・・・・・私は大事に守ると決めたこの少女を、今、自らの手で乱暴に犯しているんだな・・・・・・・)

後背位は奈美が指摘した通り、1番「犯している」感覚が強い体位である。
それが嫌で嫌で、仕方がなくて、この体位を嫌ってきた望だったが、・・・・・・・・
今となっては、その背徳感と罪悪感は興奮へと確実に変わっていた。
望は奈美に問いかける。

「どうです。奈美さん・・・・・・・・『犯されている』気分は・・・?」

「あっ・・・・・・・くぅ・・・・・・・先生・・・・・・・・
キ・・・・・・キモチいい・・・・・・・です。」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・っっっっっっ」

望はその反応に顔をひきつらせた。・・・・・・・・

(犯されて、気持ちいいって・・・それじゃあ・・・ドマゾじゃないか・・・・・そこは『すごく・・・嫌な感じです。』と答えてくれなきゃ
いやっ・・・・で・・・でも、彼女は最初から快楽を望んでいるから、それでいいのか?・・・・・・・ああ・・・頭がこんがらがってきた。・・・)

望がそんなことを考えて、少し、勢いをゆるめていると・・・・・・・・
奈美が思いっきり、腰を望に打ちつけてきた。
・・・・・・ぱあん・・・・・・・ぱあん・・・・・・・・

「くっ―――――――――――っっっっっ」

「ふッ――――――――ああんっ・・・・・」

奈美はこれでもか・・・とばかりに腰を振る。


「先生!!、私だって、やられてばっかりいないぞ・・・・・こっちからもどんどん攻めるぞっ・・・・・・・・」


「――――――――――――っっ」
582{望と奈美} 大好きな人 16:2008/06/03(火) 03:03:32 ID:2RFfJcaH

望は絶句した。
自分で犯して下さい・・・と言っておきながら、自分からも攻めだすなんて、・・・
望は奈美という少女がもつ覇気の強さに、しびれを感じた。

あの日の記憶が脳内にフラッシュバックする。―――――――――――――――――――――

彼女が私に思いを告げた日。
涙に目を赤くしながらも、まっすぐに私を見つめ、涙声になりながらも、はっきりと―――――

―――――――――――――私は先生が好き―――――――――――

と訴えたこの少女・・・・・・・・
自分のことが嫌いで嫌いで、仕方がなく・・・・・・・自分の存在を否定することでしか生きていけなかった私を、後ろから抱きしめ、

―――――――先生はもっと、自分のことを好きになるべきです――――――――――

と優しく声をかけてくれた少女・・・・・・・・・

あの日から私は、この少女の強さと優しさに虜になっていた。
そして、あれから、木津千里や常月まといなどの圧倒的な恋敵に臆することなく、果敢に挑んでいったあの姿。
私は、彼女がまぶしくて仕方がなかった。
「普通」と言われることを徹底的に嫌っていた彼女・・・・・・・・だが、その反応がかわいくて、つい、いじめてしまっていた自分――――――
奈美さん、私が悪かったです・・・・・・あなたは普通なんかじゃありません、

こんなにも強くて、優しくて、輝いている、魅力的な女の子なんです。―――――――――――


奈美の柔らかい尻肉がももの付け根に叩きつけられるたびに、言いようもない快感が伝わる。
激しい攻勢に精液を搾り取られそうになる。・・・・・・・・・もっとも、ゴムをしているため、そんなことにはならないが
この感触もたまらなく気持ちよかった。
だが、こっちがリードすると決めた以上、負けているわけにはいかなかった。

「こっちだって、負けてませんよ・・・・・・・」

望は負けじと、奈美の骨盤をつかんで、力強く、突き返す。

「はぁ――――――――――ああんっ・・・・・・あんっ・・・・・・・あんっ・・・」

互いの太腿がこれまで以上に激しくぶつかり、小気味良い音をたてる。
・・・・・・・・ぱあんっ・・・・・・・・ぱあんっ・・・・・・・・・
そして結合部から、湧き出す、じゅぶじゅぶ・・・という卑猥な水音もこれまでになく大きくなる。
奈美はここにきて、体全体がバターのように溶け出しそうな感覚に包まれた。
頭の中が、熱い蜂蜜のようにとろけ、恍惚としてくる。

――――――――もう、何も考えられない―――――――――――――――

今日、2度目となる絶頂がすぐそこにせまっている。
それは望も同じだった。・・・・・・・目の前が白くなり、脳がとろけそうな感覚が襲ってくる
圧倒的な射精感が駆けのぼってくる


「くっ―――――――――――っっっっっ・・・・・・・奈美―――――――!大好きだ!!」



「はあんっ、はあんっ・・・・・・・・・先生――――――――――――――――――――ッッッッッッッッ・・・・・・・・!!」
583{望と奈美} 大好きな人 final :2008/06/03(火) 03:07:54 ID:2RFfJcaH

一片の出し惜しみもなく、互いの快感全てを破裂させ、2人同時に果てた・・・・・・・・・・
互いの力を使い果たし、2人は向かいあって横たわる。
奈美は望の腕の中で、安らかな顔で目を閉じる・・・・・・・

「先生、バック・・・・・・少しは好きになった?」

奈美は望の腕に顔をうずめて聞く。

「はい。・・・・・・・・こういうのもいいですね。・・・・それにしても驚きました。
バックは挿入する側の一方的な攻めだけだと思っていたのですが、入れられる側も攻めることができるんですね・・・・・。」

先ほどの奈美の腰使いが思いだされる。

「えへへ・・・・・・・・やられてるばかりは嫌だったから・・・・私も気持ちよくなりたかったし。」

「はいっ・・・・・あのまま、あなたに犯されてもいい・・・・と思いました。」

「それはダメですよ・・・・・・・やっぱり、入れる側がしっかり突いてくれないと、私も感じられないよ・・・。」

奈美は、望が負けじと、突き返してきてくれたことが嬉しくて仕方がなかった。

「でも、やっぱり、私は正常位が1番ですよ・・・・・・あなたの顔を見ながら、できるから・・・・」

望は、奈美を抱く力を強めて言った。

「そうですね・・・・・・私も始めて、した時の感触が忘れられません。」

奈美の脳に、本当に心配そうな目で自分を気遣ってくれた、あの日の望が思い出された。

「今日は本当に、いろんなあなたが見れてよかった・・・・次は私の方からお誘いしましょう・・・・・
時間と場所を確保して、もっと回数を増やせるように努力しますよ・・・・・・・・・・」

「先・・・・・・・・・生・・・・・・・・ありがとう・・・・・・・・・・」

望の言葉に胸をときめかせると・・・・奈美の意識はまどろみの中に落ちていった。


「奈美・・・・・・・・・・愛してますよ・・・・・・・・・・」


望はこの愛しい少女を一生かけて守っていこう・・・・・・と、これが何度目になるかわからない、固い決意をして
安らかに眠る少女の額に口づけた。






END
584{望と奈美} 大好きな人 あとがき:2008/06/03(火) 03:20:23 ID:2RFfJcaH

・先生。フェラはダメ、バックもダメ・・・・どんだけだよ・・・・・・・!!

・騎上位の描写が短かっ・・・・・・それに比べ、バックは長い・・・・・・→自分は尻フェチです。

・奈美が先生の発言に怒り、そっぽ向くところ。自分でも、なぜ怒ったのか、後から考えれば、わからなくなりました。
奈美に「ばーか ばーか」が言わせたかっただけです。

その他、ツッコみどころ満載というか、根本的に間違ってるところがありますが、
ぜひ、ご指摘下さい。参考になります。

というわけで・・・・・・2日にわたって読んでくださった方、スルー下さった方。GJいただいた方、本当にありがとうございました。
これからもよろしくお願いします。

585名無しさん@ピンキー:2008/06/03(火) 18:03:41 ID:JNYTBYcq
GJなんだが容量がヤバイ
つーことで ほい

【絶望先生】久米田康治エロパロ総合 Part17【改蔵】
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1212483646/
586奈美かわいいよ奈美
                          ,...‐''"´       `''ー..,_
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