2 :
名無しさん@ピンキー:2008/03/18(火) 03:34:19 ID:fKITsEks
>>1 乙。
このスレでも良作が投稿されるといいなぁ。
5 :
名無しさん@ピンキー:2008/03/18(火) 08:40:07 ID:S0EUq60S
あ
r、 _
| \ / /
__| H /
/:.:.>:.r‐r:.<:.\
/:.:.:.:.レ:.:.:/:.:∧:.:|:.:.:.:.:\
|:.:.|:.:.|:.:./!:./::|:ヽ!:.:.:.ヽ:.:.ヽ
|:.:.|:.:.|:./::|/::::j:::::::ヽ:.:.:l:.:|:.:| これは
>>1 乙じゃなくて
l:|:.|::.Y:::::::::::::::::::::::::|:.:.Nト、! ブッ刺しプレイなんだからね!
ヽ|:.|:.| |:/ト:.|
|:.|:.ト、 (二二{ ノ:.:.} リ
ヽト:.:>ニr‐r</ |:.:/
r<:::::::::〈_Y::::: ̄ス 。
| ヽ:::::::| |:::::::::/ |ー-、. ・ o っ o _____
| -'" ̄ ̄ ヽ ̄`/〃/ , " ==- ____ ヽ
/ / ,、 ハ______________,.へ ____
/ / ) }.ミ::::::::::::::::::::::::::| |////////| ヽ ==−
/ ノ《〜〜〜〜〜| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ア / ──
/ ,,../ /,ミ` ────┘____ / /
! / // / ` 、ヾ・,. | ==- / /
! / / /ー'"! っ o / / |\
| ノ / / | 。 ゚| | { j ヽ
|/ / ノ | |__ ', `ー――‐" ノ
| / / ヽ、 ノ ` - ._,;ー 、 ` ----------‐´ ____
| | / `ーー- __ ( ヽ ==─
保守
保守
即死は嫌だな
即死かい日
とりあえず保守
11 :
即死回避で投下:2008/03/22(土) 01:05:01 ID:ADGhNPLr
ぱらり、とページをめくる音が聞こえてくる。
他の音といえばたまに体を動かした時の衣擦れだけで、それ以外に二人きりの部屋を乱すものはない。
何となく、畳に座って読書する幼馴染に視線を向けてみる。
ちょっと癖のある黒髪とやや鋭すぎる両目。鼻は低くもなく高くもなく、唇は薄め。
読書に集中している姿はそう悪くはないと思う。尤も、読書に限らず、何かに集中している彼は私の鼓動を早くするのだけれど。
ぱらり、と彼がページをめくる。
今読んでいるのは第二次世界大戦の架空戦記だったか。文庫にカバーをかけているので表紙からは判明できない。
私と彼はともに読書家であるとは自負しているが、読むジャンルは殆ど違う。私は恋愛物が殆どなのに対し、彼は面白そうなのは手当たり次第に読む。
乱読とも言えるが、その好奇心は正直羨ましい。恋愛という枠に捕われている私からすれば、特に。
ああ、でもミステリだけは苦手だと前にこぼしていたっけ。何でも推理という行為が絶対的に苦手だとか何とか。
物語を読む時は没入したいのであって、客観的に物語を読んで推理するという行為が苦手らしい。
そんな、妙に子供っぽい彼が唐突に可愛くなって、寝転びながら指先で彼の髪を弄る。
和室の癖に床で寝ると体が痛いという彼の為に、この部屋にはベッドがある。そのお陰で寝転びながらも彼の頭にちょっかいが出せた。
「……何だ?」
本から顔を上げ、やや物憂げにこちらを見てくる。
無口な彼ではあるが、私や家族に対しては何くれと口を開く事は多い。
今の行為も、もしも友人程度の人間がやったならば、視線だけで問い返していただろう。
それが嬉しくなって何となく笑う。
「んー」
答えにならない返事を返す私をどう思ったのか、彼が逆隣にある机の上から品川巻を一つ取り出して私の唇に押し当てた。
醤油と海苔の香ばしい匂いに口を開けて受け入れ、カリコリと噛み砕く。
12 :
即死回避で投下:2008/03/22(土) 01:06:39 ID:ADGhNPLr
高校二年生にして薄味が好みという彼は、菓子もこういった和菓子等を好む。
一時は爺むさいなどと揶揄されて幾らか考えたようだったが、結局は変らずに食べていた。
因みに好きなおかずは鶏肉のあんかけ、八宝菜、ナスと豚肉とシソの炒め物。どれも私が作るものだ。
苦手なものは主に魚介類で、味ではなく食感が苦手。特にタラコやイクラ、ウニなどが苦手である。
けれど客先で出された場合は礼儀としてそれをおくびにも出さずに食べる事は出来る。
ただ、寿司自体はは好物の一つ。
そこまで思い至ってから、ふと聞いてみる。
「奏(かなで)ってさあ、私の好きなおかず知ってる?」
またも本から視線を上げてこちらを見てくる。
細く鋭い目に反して、その瞳の色は意外なほどに優しい。
唐突な質問の真意を図りかねているのか、幾らか瞳が揺れた後に口を開いた。
「豆腐料理、主に湯豆腐と焼豆腐。その他であればカレーやシチューなどの煮物。肉じゃがも好物に入る。苦手なものは脂っこいもの、豚カツやから揚げ等。ただし、俺が作る同じ物は含まれない」
僅かに首を傾げて答えの是非を問うてくる。
うん、正解。
くしゃくしゃと頭を撫でると、くすぐったそうに目を細めた。
「で……何の試験なんだ?」
「別にー。奏が私の事理解してくれてて嬉しいだけ」
撫でるのをやめてごろりと寝転ぶ。
その頬に、彼の指の感触が伝わってくる。
赤ちゃんをあやすように、指の腹でくすぐってくる。
お互いに幼児をあやすような行動は、だけど二人の間ではいつもの事だった。
13 :
即死回避で投下:2008/03/22(土) 01:07:44 ID:ADGhNPLr
それが、御堂奏(みどうかなで)と立花閨(たちばなけい)の在り方なのだ。
義姉の鈴歌(すずか)さん等は、どうにも生温い目で見てきたりはするのだけど。
そういえば、家族にでも彼はあまりこうやってじゃれあったりしない。
これは私だけにする事と自惚れていいのだろうか。それとも――
「ねえ、他の人にもこういう事するの?」
声が震えなかったかどうかは分からない。手の震えは、彼の指をきつく握り締める事で誤魔化した。
質問にか、或いは指の締め付けにか、彼が嫌そうな顔をして私の目を覗き込んで来た。
「分かってて言っているのなら、お前には悪女の素養があると思う」
彼の表情の意味を理解して、私は指の締め付けを緩くした。
彼は質問でも締め付けでもなく、その事を私が理解していないという事実に嫌な顔をしたのだ。
相手が自分を理解していないという、ともすれば傲慢な感情は、しかし私には嬉しさだけを呼び起こさせた。
「んふふ、だって奏は実は内気だものねえ。奏のペースに付き合えるのって私ぐらいだもんねえ。ふふふ」
笑いながら、彼の指と自分の指を絡ませて弄ぶ。
彼は相変わらずむくれたように唇を噤んでいる。
そんな拗ねた顔の彼に、なおも笑いながら頬をつつく。
つぐんだ唇はそのままに、けれど嫌がりもせずにその好意を受け入れる彼。
こういう時に思う。
私は彼が好きなのだ、と。
14 :
即死回避で投下:2008/03/22(土) 01:08:17 ID:ADGhNPLr
即死回避で投下してみました。
続きは書きたいけど、まったく書けてない。
>>14 よかった。奏がかわいいね。
良い続きが書けて投下してくれるよう祈ります。
前スレ埋まったみたいだな。
それはそうと
>>14GJ!
砂糖けぱぁー!
さて……温泉はまだかな……
>>20 ふと、「温泉まだかなー」とか二人で小旅行する幼なじみとか思い付いた
>>21 そういうこと言うから書きたいネタばかり増えて書き上げられなくなる……
八つ当たりですね、すみませんorz
書きたいけど書けない、困ったもんだ
>>21ネタで超即席で書いてみましたよ
携帯で一晩で書き殴ったので改行などお見苦しい点あるかもしれません、ご容赦の程を
24 :
即席・鈍考列車:2008/03/23(日) 06:03:08 ID:XWZ63xzH
景色が流れて行く。
窓際に座った利恵はずっと首を右に向けて動かなかった。口も利かない。
金は無い癖時間も暇もある俺達だから、安く遠出して日がなゆっくり出来る場所を探すと自然と行き先はそうなる。
博多から出てすぐの半端な駅から乗るこだまの自由席なんてがら空きに決まっていて、棚に二人分の小荷物を上げる。
俺達より他誰も乗ってこない通路を塞ぎながら、利恵が奥へ行くのを待った。
「…………窓際、行かないの?」
大層不思議な顔をして言うから、二人して黙り込んで突っ立っていた。
俺よりもずっと大人なこの馴染がどういうつもりでそれを言ったのかは大方わかるけれども、
その大人が子供と同じほどはしゃぐ事もあることぐらい子供の俺でも読み取れる。
相手が利恵ならなおのことで、間もなく列車が動き始めて、ほら危ない、さっさと座りなとその目新しい靴を窓際に歩かせた。
自分の土地から離れて行く景色というのは得てして飽きない。
もれなくそうであろう利恵の、綺麗な艶のある黒をした髪の落ちる後頭部を見つめながら考えていた。
目的地まであと三時間あって、乗り合わせた駅を出てから四時間ほど経っている。
その間これは振り向くことも口を開くことも舟をこぐこともせず、ただ、ただ窓を眺めていた。
顎をさすると切り傷が痛い。
こう長く、常に一緒にいるというので張り切って念入りにやったのが仇だった。
しかしこれほど景色に夢中というのなら、利恵に見られる心配もない。何やらわからない溜め息を一つついた。
実に下らない話だ。しかし心配でたまらない。
温泉宿に向かうのだ。二人で。二人きりで。
部屋は一つしか取っていないし、向こうに着くのは夕方である。宿に入って汗を流して、夕飯を済ませばもう夜だ。
女の子は皆耳年増等と言うけれど、童貞の俺には確かめるべくもない。
しかし十余年幼馴染をやってきて、近くやっと互いの気持ちに気付く事が出来てこの切符を買ったのだ。
何がしか変わるに違いない。その確実に訪れる変化の前に俺は不安でしょうがなかった。
25 :
即席・鈍考列車:2008/03/23(日) 06:06:25 ID:XWZ63xzH
確かに普段のお前はそうおしゃべりではなくて、話すことが無ければ黙っている奴だ。
しかしこれから向かう旅館がどんな部屋なんだろうねとか聞いて、俺がネットで見たけど
綺麗だったよと答えて笑い合うとか、一つはそういうのがあっても良いのではないか。
幸いこの年までにきび一つ出来なかった顔に今朝刻まれたこの小さな傷さえ、どこかで俺を強ばらせる。
癖もないのに先程から全く飽きずに揺らさない髪を飽きるほど眺めて、
もう駄目だと腕を伸ばしたとき、ふっと利恵は言った。
「温泉、まだかなー……」
引っ込めた腕が髪を揺らした。気が付いて利恵が振り向く。目が合った。
その目は、まるで―――。
「……まだ三時間もあるぞ。宿にも入らにゃいかんし、そう焦ってもしょうがないよ」
嬉しいような怖いような、あれこれとがないまぜになってわからないまま口を開くと、案外出たのは自然な言葉だった。
「焦ってなんかないよ」
駅名でも地名でもなく、温泉が楽しみだと。しかし焦ってなんかいないと、彼女は言った。
「嬉しくて、待ちきれないだけ。楽しみは、待ってれば来るんだから。別に焦ってなんか、ないよ」
さして気取ることもなく、再び窓の方に向き直りながら利恵は言った。
――ああ、やっぱり利恵は大人だ。いくらこっちが大人ぶって席を譲っても、
景色にはしゃいだのを見てにやけてみても、どうしようもなく利恵は大人だ。
待っていれば楽しみはやって来るのだ。それを利恵はわかっている。
焦りながら迎えに行くのではなく、ゆったりと待っているのだ。
今までだってそうしてきたのを、何故忘れていたのだろう。この景色だって、急に流れるのが速くなるわけではなかった。
同じスピードで走り続けて、時々ゆっくり止まることもあるだろう。いちいち時間をかけて止まり、そしてまたスピードを上げていく。
結局これはそういうもので、そうにしかならないもので、そして俺達はこれからもそうして行くのだろう。
いつしか俺の目線は利恵の髪ではなく、奥の窓を流れる景色に移っていた。
「…………楽しいな」
今度は俺の方から言葉を掛ける。
「……………………うん」
言葉少なに、でも俺達には十分な答え。
視界の横の髪が、少しだけ揺れた気がした。
以上です。
ありがとうございました
>>26 あ、やべえほのぼのしすぎで二度寝しそう……
GJ!
幸せなほのぼの過ぎる雰囲気乙。そして、この後がとっても…気になります…
さて、温泉はまだなのか。
幼馴染みを作るためにタイムマシンが欲しい
31 :
名無しさん@ピンキー:2008/03/25(火) 06:14:13 ID:y6IQNn7y
プロポーズ大作戦みたいなノリか
デュークエイセスの「おさななじみ」は、このスレ的に国歌だと思う今日この頃、
他にもお勧めの曲ってある?
個人的にはロックマン8のEDだった「Brandnew Way」かな
当時はまってた漫画の幼なじみの二人と重なった歌詞だったから印象に残った
幼なじみってか郷愁だけど、FF5の「親愛なる友へ」もいいと思うんだ
FF5!!!!!!
オレ、あの主人公の生まれたリックスの村の幼なじみがサイコーに好きなんだ・・・
「バッツ!!
帰ってきたのね!
私…
ずっと待って…
ねえ!
旅が終わったら私の話を聞いてくれる?」
もう村娘最高ですよ! スマン、もういっかい低レベル攻略してくるッッ
ちなみにお勧めの曲はないけど、最近聞いた中じゃ川本真琴の1/2に意外とナジミっぽいフレーズが少しだけあった。
>>35 お前は俺かww
FF5はあの娘との後日談イベントを妄想してしまうわ
世界中を旅する主人公を健気に待つ女の子とかツボすぎる
次元の狭間に吸い込まれた町が元に戻って本当によかった
5のSSだと、バッツの相方としては三番目くらいによく見るなぁ。
クルルは全く見ないがなんでだろか。
小さいころは喧嘩友達。
しかし旅から帰るごとに逞しくなるバッツ。きゅんきゅん直前でドルガンが死に、バッツは長い旅に出る。そこで自分は彼が好きだったと気付くが、次に彼が帰って来たときには掛け替えのない仲間(※ガラフは視界に入ってません)が……!
……うん、妄想のキレがイマイチだ。
>>37 おまえ十分妄想しすぎだろw
しかしバッツって覚えたアビリティを幼なじみに教えたりするのかな?
なんつーかFF5のアビリティってエロいんだよな
「とらえる!」とか
「かくとう!」とか
「ためる!」とか
「みだれうち!」とか
「はなつ!」とか
「のむ!」というのは流石に『バッツ!! やりすぎじゃ!』という感じかもしれないが
愛があって良い。それから「ちょこまかうごく」というのもテクニシャンだな
「うたう!」にしても「ほら、もっといい声で啼いてみろよっ」「ええ、わかったわ! バッツ!!」
みたいな感じでさ?
なにが言いたいかっつーと、おまえらFF5のプレイし過ぎには気を付けろってことだ
>>38 アビリティはクリスタルの力を借りて手に入れたジョブによる能力だから
クリスタルの欠片がないと使えないんじゃないだろうか
個人的にはFF5はシリーズ最高傑作だ。システム的にもストーリー的にも
でもそろそろスレ違いなので自重するわw
俺、小学生のときに幼馴染にプロポーズしたことあるんだけど
そのネタで小学校で「あいつが私にwぷぷぷ」って6年馬鹿にされ、
中学校で3年馬鹿にされ、高校でも3年馬鹿にされ
今だに夕食の時に馬鹿にされる
>>41 まあ…ご愁傷様
と思いきや…え?最後何て?
>>41 すごく羨ましいです。
12年間の中でよい幼馴染イベントがあったら教えてくれないか?
というか41って、その、アレだろ?
>>46 おk、やったろうじゃないか。
規制されてるんで携帯だが。
>>47ではありませぬが、即興を投下
長い……というか改行が多いので二レスに分割します
読みにくいのは仕様です、すみません
では開始
「お、おれ、かなこのことが好き!」
「ふぇ?」
「け、けっこんしてください!」
「……んー」
「だ、だめか?」
「……んー」
〜小学校時代〜
「……って、こーたがわたしに言ったんだよ」
「えー、いいないいなー」
「こーた、おまえかなこちゃんとけっこんするのか?」
「な、なんでみんなが知ってるんだよ!?」
「えー、かなこちゃんが教えてくれたよ?」
「『おれー、かなこのことが好きー』」
「『けっこんしてくださーい』」
「「……はずかしー」」
「な、なんだよー、バカにすんなよ!」
「ねぇねぇ、お返事どうしたの?」
「聞きたい聞きたーい」
「んー?それはね……」
〜中学校時代〜
「……って、こーたが私に言ったんだよ」
「へー、森山くんが」
「……考太、恥ずかしいぞそれは」
「ばっ、お前、だからそれを言うなって!」
「いいじゃん別に。減るもんじゃなし」
「『おれ、かなこのことが好き!』ときて、」
「『けっこんしてください!』ね。」
「「……うわー」」
「お前らぶっ殺す!待て逃げんな!」
「で、返事とかしたの?」
「あ、ちょっと聞きたい」
「んー?返事はね……」
〜高校時代〜
「……って、こーたが私に告白したのよ」
「……加奈子ぉ、それ何回目よ」
「もうお前らさっさとくっつけよ」
「……まだ言うか、お前は」
「何回も聞かされるのは、ちょっとねー」
「何だっけ、『おれ、かなこのことが好き!』で」
「『けっこんしてください』だろ?」
「「……うぜー」」
「俺じゃねーよ……かなこに言えよ」
「で、返事はどうしたんだっけ?」
「まぁ、オチも覚えちゃったけどね」
「んー?ふふ、それはー……」
〜そして今〜
「って、パパが私に言ったのよー?」
「へー、パパカッコいいー」
「すごーい」
「……お前、子どもにまでそれを言うか?」
「いいじゃないの別に。こっちは楽しいわ」
「『おれ、かなこのことが好き』」
「『けっこんしてください』か」
「「……ひゅーひゅー」」
「親連合は黙ってろ」
「ねー、ママはなんておへんじしたの?」
「聞きたい聞きたーい」
「えー、それはね……」
うん!わたし、こーたのおよめさんになる!
以上です
読みにくいにも限度がある……誰が何言ってるかわからないな、これ
どうか笑って流してやってください。
さて逃げるか
かわいいなwなんか微笑ましいぞ
いつまで経っても男の事を「こーた」って呼んでる加奈子萌え
>>52 親連合に笑ったw
さてこんなに幼馴染みを愛してる俺には、幼馴染みがいない…
世界は何て理不尽だ…
田舎に住んでたから小中高一緒の幼馴染なんて
野郎除いても12人くらい居るぜ。(うち一人は大学の学部も一緒)
とくにイベントなかったけどな!
神様、ボクに幼なじみをください(´人`)
59 :
神様:2008/03/26(水) 21:58:35 ID:zyvV62W4
ごめん、それ無理。
「生まれて初めて会う幼馴染」という言葉を思いついてみました
>>60 顔を合わせれば口喧嘩が始まるような間柄。
でも彼女が中学の制服に袖を通したとき、
俺は生まれて初めて『彼女』に出会った。
こういう解釈ですがいかが?
>>59 神様、せめてラーメンが出来るくらいの時間は………(泣)
>>60 難しいな……
『引っ越してきた隣の家の少女が重い病でずっと遠い場所で入院していて、
隣家の両親に頼まれた主人公が手紙を使って慰める→数年後病から
回復した少女と初めて顔を合わせる』
というシチュしか思い付かん……
主人公が記憶喪失ならいいんじゃね?
「……えっと、君が……神崎、由美香、さん?」
「何だか他人行儀だなぁ。いつも通りユミちゃんでいいよ、タロ君」
「……え、あ、うん……ユミ、ちゃん、だよね?」
「うん! こういう場合も、やっぱり初めまして、なのかな?」
「ど、どうなんだろ……?」
僕には、物心ついた頃からとある手段で連絡を取り合ってきた、女の子がいた。
その手段というのは……まあ今時は珍しいかもしれないが……手紙だ。
物心ついた頃……だから、四歳くらいからかな?……それから、十八になる
今日この日まで、僕は彼女と……神崎由美香と、週に一回は必ず手紙のやり取りを
していた。俗に言う文通という奴だ。
なにせ物心ついた頃からやっていたことなので、習慣づいてしまってたというのも
あるんだろうけれど……あとは、引っ込み事案で、あまりお喋りをするような友達に
恵まれなかったという事もあるんだろうけど……僕は特に疑問を抱く事もなく、
それどころか毎週楽しみに、彼女と……顔も知らない彼女と、手紙のやり取りを続けていた。
その週にあった出来事を色々と書き、嬉しかった事、悲しかった事を綴り、それに
返事が来るのが酷く嬉しくて、彼女に返事を出すのが酷く楽しくて。
そして、それは……彼女も同じだったのだろう。
「じゃあ……初めまして、楠木太郎君!」
初めて見る、彼女の顔。そこに浮かぶ笑顔が、僕にそう教えてくれていた。
「あ、うん……初めまして……ユミちゃん」
釣られて笑いながら……僕は、彼女が差し出した手を取り、初めて彼女に触れた。
>>60 というのはどうだろう。
やっぱりメールや手紙でのやりとりが主体になる気がする。
そういう意味では外国人の幼馴染なんかもアリかもしれないなぁ。
>>65 キャサリンに実際会ってみたら香澄さんでした、という謎電波が来たけど気にしないでくれ。
>>66 香澄と聞くと秋篠香澄しか思い浮かばない…あ、幼馴染み関係ねえや
まさかの同志ktkr
…レベリオンだよな?
70 :
名無しさん@ピンキー:2008/03/27(木) 02:00:35 ID:nDNeVR0j
>>41
これ、ネ実でも見たぞw
71 :
名無しさん@ピンキー:2008/03/27(木) 02:06:26 ID:nDNeVR0j
72 :
名無しさん@ピンキー:2008/03/27(木) 03:25:01 ID:AGYi02et
「なぁ幼馴染っていいよなぁ〜。」
「手前は漫画とラノベとゲームの影響を受けすぎだ。」
全く、『幼馴染萌え』というのは結構だが、俺にそれを押し付けられても困る。
大体、漫画やラノベの幼馴染ってほとんどが甲斐甲斐しい才色兼備か、自堕落な無防備娘。
そりゃあそんな娘が幼馴染だったら俺も奴の言葉に賛同してやら無くは無い。
本当にそうなら声を大にしていってやるよ。幼馴染ってのはイイモンです、ってね。
「笹川くん。峰岸さんが来てるわよ〜。」
だがな、お前ら。幼馴染ってのはそんな羨ましい存在ばっかりじゃないんだぞ。俺は知っている。
「あ、あぁ今行く。」
少なくとも俺の幼馴染と呼ばれる相手はそういうイイもんじゃない。これだけは自信を持っていえる。
教室のドアの向こう。偉そうに突っ立って、俺より身長が低いくせに見下してやがる。
「遅いぞ雄介。」
「一体何の用だよ。」
くそっ。年下なんだから敬語くらい使えよ全く!これだから最近の若い者は・・・
「・・・ふーん。雄介君は私に向かってそういう口の利き方をするんだ。」
「・・・。」
いくら凄んだって怖くない!怖くないんだからな!?あ、足?こ、これはその・・・・武者震いって奴さ。
73 :
名無しさん@ピンキー:2008/03/27(木) 03:26:14 ID:AGYi02et
「まぁ、私はどうでもいいだけどね。君が昼食を食べれずにひもじい思いをしたとしても私は痛くも痒くも無い。」
ひょいっと見せ付けてきたのは
「あっ、俺の弁当!!」
「君も相変わらず馬鹿だねぇ。おばさんがわざわざ届けに学校まで来てくれていたよ。」
「ありがとよ!ほらよこせ。」
「嫌だね。」
「・・・なぁ瑞穂。お前は俺の年下で俺はお前の先輩なわけだ。」
「それがどうかしたの?泣き虫雄君。」
この野郎、昔の恥ずかしいあだ名を!!
「うっせえ、さっさと寄越せよ!!」
「怖い顔してるよ?せ・ん・ぱ・い♪」
あったまきた。もう殴る。マジ殴る!絶対殴る!!
「いい加減にしろよ!!このガキが!!」
弁当は俺の・・・っておおい!?俺なんで中に浮いてんのおおおお!!!????
「あがぁっ!?」
い、いてえ・・・背中が・・・超痛い。
「いつものことだけど女性に暴力はよくないよ雄介?」
黙れこのアマ。なに見下してやがる。その笑みは何だ!?
「まあおばさんの顔に免じて弁当はあげるよ。」
「緑と白の縞パンはいてるお子ちゃまがなにをぎゃがっぁ!!!!」
鼻が、目が、口があああああああああああ!!!!!
「それじゃあさよなら変態君。」
あれが俺の幼馴染の峰岸瑞穂。どうだ?これでもかって言うほど可愛くないだろ?
おしまい。
>>73とんでもない家内関白だな。だがそれがいい!こんな暴力幼馴染みも最高だな。
で…続きは?もし無いと言ったら、幼馴染み作るために作っている、十年後に完成予定のタイムマシン(一方通行です。現代には戻れません)に
>>73だけ乗せないぞ。
香澄で沢渡香澄と反応する私はもう若くない
>>71 読んでて死にそう
>>72-73 いいねいいねー
端から見る分にはとても仲良しに見えるんだろうな……
77 :
68:2008/03/27(木) 09:08:19 ID:lG1KolRA
>>67 初めて読んだラノベがレベリオンだった。引っ越す時に全部のラノベ売ったら1万円超えてた。
ラ板にはもっと凄い人が居るだろうけど。
俺は藤堂香澄だった。
>>74 それ、おっさんが過去に戻るだけで終わりなんじゃないか?
へへ……
俺、将来、田舎に引越しして、たくさんガキ作るんだ……
近所付き合いもきちんとしてさ……
俺は、無理でも……せめて、俺の子供には、幼なじみ、を……
>>75 懐かしい
香澄の友達が幼馴染みでくっついたよね
あの漫画は大好きだったわ
星の欠片がほしいです
今回、初の長編に挑戦
別の言い方をするなら「ゴメン長くてまとまらない」
>>63にインスピレーションを受けたが、馴染み分が薄くなったような……
まぁとりあえず投下。嫌な人はタイトルをスルーで
最初に目に入ったのは、白い天井だった。
どうやら眠っていたらしい。
身体を起こそうとすると、なぜかひどい痛みが襲ってきた。
それでもやっとこさ上半身を起こすと、左足が吊されているのが目に入った。
「……あれ?」
部屋を見回す。
白い壁、白い天井。対面にはベッドが二つ。どちらも白くて清潔な感じ。
まるで病院の一室だ。少なくとも俺の部屋ではない。
いや、そもそも『俺の部屋』はどんな……
「あ、起きた」
隣から声がかかる。左を向くと、ベッドがもう一つ。
俺と同じような姿勢のパジャマ姿の女性が一人、こっちを向いて会釈してきた。
「こんにちは」
「あ、ども」
簡単に挨拶を返す。
女性は頭に包帯を巻いていた。そこ以外は見た目に外傷などはない。
俺はそのことに安堵し……なぜだ?こんな女性を俺は知らない。
いや、それ以前に……
「あの、ここは?」
疑問をそのまま口に出す。女性も少し首をかしげながら、
「病院だそうです。あなたも事故にあわれたそうですよ」
と教えてくれた。
「え、『あなたも?』」
「わたしも同じ事故にあったみたいです。よくわからないんですけど」
ちょっと困ったように微笑む女性。事故ったことを覚えてないのか、この人は。
「あなたは?」
「え?」
「事故のこと、覚えてます?」
実は俺も、人のことは言えなかった。いや、俺の場合はもっとひどいかもしれない。
「いや、そもそも自分の名前がわからない」
「え?」
「いわゆる『記憶喪失』っていうのかもしれない。
自分が誰かがわからないんだ」
言葉にすると、底知れない不安感が襲ってきた。世界に一人残された気分。
自分が誰かわからない。それがこんなに怖いことだなんて。
知らず、身体が震えていた。
「……よかった」
その言葉に顔をあげる。女性は本当に安堵したような表\情で、
「私も、そうなんです。奇遇ですね」
俺に向かって、微笑んでくれた。
一瞬、誰かの泣き顔が頭に浮かんだ気がしたのは何故だろうか。
ほどなく、部屋に看護師さんらしき人が来た。
二、三の質問をされ、逆に俺も質問を返した。
それから体温を計られ、しばらく待つように言われた。
言われた通りにすると、今度は医者と思われる人物がきて、俺の状態が説明された。
曰く、交通事故だったらしい。
車にはねられた俺は左足を骨折、他にも打撲とか色々。どうりで節々が痛むと思った。
頭も打ったようで、記憶がないのはそれが原因かもしれないとのことだ。
ふと頭を触る。確かに包帯が巻かれていた。
「あの、彼女は大丈夫なんですか?」
「彼女?」
「俺の隣にいた……」
包帯で思い出した。あの女性も頭に包帯をしていたはずだ。
ちなみに彼女は検査を受けるとのことで、この場にはいない。
医者はそれでわかったのか、あぁ秋吉さんね、と言って、
「彼女は頭部以外に怪我はなかったよ。ちゃんと庇ったんだね」
と答えてくれた。
それから、もうすぐ親が来ることを伝えてから、医者は席をたった。
しばらくしてから、一組の男女が俺のもとへやってきた。40代後半といったところか。
やはり、記憶にない顔だった。残念。
女性は俺の母だと言った。わざわざ母子手帖まで持ち出してきて、俺への証拠とする。
その間、男性は黙りっぱなしだった。厳しい顔で俺を見ている。
「えー、とあなたが母さんですよね?」
今度はアルバムらしき物を取り出してきた『母』を制止し、尋ねる。
そうよそれともまだ信用できないなら今度はこのアンタの乳歯を
ものすごい勢いでまくし立てる『母』をもう一度止め、俺は男性を見る。
「落ち着いてください……じゃあ、こちらは父さん?」
俺としてはごく自然な発想だった。
一言も喋らないけど、わざわざ息子の見舞いに他人の男を連れて来ないだろう。
だが俺がそう言ったとき、一瞬空気が凍った、ような気がした。
男性はさっきより厳しい目でこちらを睨み付け、自称『母』は爆笑しだしてしまった。
「わ、私は認めんからな!絶対だ!」
ものすごい剣幕で怒鳴られた。何をだ。
笑いながらも女性が男性をなだめる。俺の状態を思い出したのか、男性はスマン、とだけ言った。
『母』の話によると、『父』は仕事でどうしても来られない、とのことだった。
電話越しでも本当に申\し訳なさそうだったと言われ、逆に気まずくなる。
……どうせ会っても、俺には誰だかわからない。
それはともかく。ではその人は、と聞こうとしたとき、扉が開く音がした。
見ると、あの記憶喪失の彼女が戻ってきたところだった。
「あ、」
「モミジ!」
声をかけようとしたら、男性に先を越された。
男性は彼女のもとに駆け寄り、いきなり抱きしめた。
「心配したぞ!あぁ、よかった。無事で本当によかった。
そうだ、ケガはないか?いや、頭を打ったのか!
大丈夫、心配するな、父さんがついてるからな、とにかく落ち着くんだ」
「あ、あの、え?」
ものすごい勢いでまくし立てる男性と、何が起こってるかわからない彼女。
ポカンとして見つめていると、『母』こっそり耳打ちしてくれた。
「あの男の人は、あの娘のお父さんなの」
なるほど、そういうことか。すごく親バカな雰囲気がある。
あの娘のお婿さんは大変でしょうね、
と何故かいじわるそうに笑ってから、『母』は男性を止めにいった。
……寒気がしたのは気のせいか。
二人が帰れば、部屋にいるのは俺と彼女だけとなる。
さて、親である先ほどの人々の話を総合すると、
「知り合い、だったんですね」
先を越された。俺が言おうとしたのに。
「それも、かなり昔からの」
どうやら、そういうことらしい。
とりあえず、俺の話から。
俺は氷川 亮平(ひかわ りょうへい)。20歳の大学2年生。両親は健在。
どうやら俺は一人暮らしをしているようで、今は夏休みということで戻ってきていたらしい。
さっきの女性は母親の静子(しずこ)さん。
俺のことを色々教えてくれたが……何故幼稚園時代の思い出まで語るのかまでは言わなかった。
自分のこととはわからないが、すごく恥ずかしかったぞ。
……まぁ、それはともかく。
次は隣の彼女のことだ。
秋吉 紅葉(あきよし もみじ)という名前の彼女は、どうやら俺の幼なじみらしい。
それはもう幼稚園時代からつるんで(?)いた仲で、高校まではずっと一緒だったとか。
彼女は大学は地元を受けたようで、それからは疎遠になったらしい。
同じ事故に巻き込まれたことについては、親である二人にもよくわからないとのことだ。
二人とも、「出かける」としか言わなかったからだという。
つまり俺は親に内緒で彼女に会っていたのだろうか。しかし、なぜ。
「……私たち、いったい何をしてたんでしょうか?」
同じような疑問を、彼女も口にする。彼女にもわからないのだろう。
「さぁな……」
だが、それを考えると、なぜかモヤモヤした気分になる。
わからないのに、苦しい。
そんな気分を晴らしたくて、俺は軽い口調で言った。
「まぁ、大事なことならそのうち思い出せるさ」
「そう、ですよね」
彼女も困ったように、でも暗くはない声で同意してくれた。
「とりあえず、これからよろしくな。えーと……」
「紅葉、でいいです。昔からそう呼ばれてたみたいですから」
「そう、じゃあよろしくな、紅葉」
「はい、亮平さん」
「……あー、いや、お前も亮平って呼んでくれ。昔からそうだったみたいだし」
「あ、そうか。よろしく、亮平」
そう言って微笑む彼女を見ると、なぜか気分がやわらいでいく。
記憶をなくす前の俺は、きっと幸せ者だったんだろうな、などと思った。
こうして、俺たち二人は幼なじみとしてではなく、赤の他人として、再び友達になった。
自分のことはまだわからないけど、それも悪くはないと思えた。
そう、このときの俺は何も考えていなかった。
大事なことならそのうち思い出せる。
半ば本気でそう思っていた。
だから俺は一つ失念していたんだ。
大事でも、思い出したくないことだって、人にはあるということを。
とりあえずここまで
あ、あれ、投下分だけなら全然長くないよ?幼なじみ分どこー?
……導入部で引きとかある意味ダメだとは思いますが、続きはまた近日中に必ず
とりあえず、生暖かい目で見守ってください
さて逃げるか
なんか切ないなあ…
続きwktk
>>86 逃げるなよw
全てうpしてからいなくなってくれw
なあ、小さい頃から一緒にいてこれからもずっと一緒にいるのが理想の幼馴染だよな
つまり自分自身=理想の幼馴染なんじゃね?
さあ一緒に布団に入ろうか、今夜は寝かさないぜヒヒヒ
某所で叩かれて一時期バッツリと筆がとまっちまったぜこんちくしょう……
とりあえず細々と書いていたのを投下。久々の投下は怖いね。
日本語おかしいとこあったらゴメンよ。
『ゆうくんゆうくん』
『なに?』
『けっこんしよ!』
『……けっこんって、なに?』
『すきなひととね、ずっとずうっといっしょってこと。あたしゆうくんだいすきだもん』
『ぼくもゆりちゃんだいすき!』
『じゃあ、けっこんしよ?』
『うん!』
『じゃあ、やくそくのキス』
『……きす?』
『んとね、おくちとおくちをね、くっつけるの』
『んー、わかんないや』
『もう、ゆうくんはおばかさんなんだから。こうするの』
ゆっくりと二つの小さな唇が一つになり、ゆっくりと離れる。
『……これで…ずうっといっしょ』
『ずっと?』
『うん、ずっと、ずうっとずうっといっしょ』
間─
『どうした?こんな時間に携帯で呼び出しまでして』
『はは……ちょっと、親とケンカしちゃって…朝までいさせてもらえない、かな?』
『俺は別に構わんが……お前なぁ……明日…いや、もう今日か……誕生日だろうに…なんと間の悪いこと……』
『自分でも……そう思う…はは、は……』
『とりあえず俺の部屋に行っとけ。飲み物くらい出してやるから』
『うん……』
『ほれ、とりあえず茶でも飲んで落ち着け』
『うん……ありがと…』
『ま、理由は詮索しないがな、早いうちに仲直りはしとけ』
『………うん……』
沈黙
『………はぁ…しょうがねえなぁ………ホントは夜に渡そうと思ってたんだが……』
そう言って彼が押し入れから出したのは一抱えもありそうな大きな可愛い熊のぬいぐるみ。
『人の泣きっ面見る趣味はないんだ。ほれ』
『……ぇ?…』
『プレゼントだよ。誕生日プレゼント。こういうの、好きだろ?』
『あ……うん…』
『なんだよ、反応悪いな。俺からぬいぐるみなんて気持ち悪いか』
『そ、そんなことない!嬉しいよ!』
彼が私の為に買ってくれたもの。嬉しくないはずがない。
『でも……良いの?…この大きさじゃ、安く無かったでしょ?………』
『小遣い三ヶ月分………てのは冗談だが、俺が持ってても意味ないだろ』
『ん……まぁ…』
『恥忍んで買ったんだ。受け取れ。てかお前さんに拒否権は無しだ。むしろ貰え』
『あ……うん…ありがと』
『どういたしまして。あとはとりあえず休め。ベットは貸してやっから』
『うん……優也は?…』
『俺は適当に横なってりゃ寝れる。ぱっぱと寝ろ。明日の朝にゃ俺も付いて行くからな』
『……なんで?…』
『娘さんを無断外泊させて申し訳ございません、と謝らんとな』
付いてくる言い訳だ。無断外泊とか気にしないくせに。
優也が付いてきて来てくれる。それだけでとても心強い。とても暖かい。
そうか、私は優也が─
『つうわけで、寝れ』
『…うん…………襲ったり、しないでよ……』
『冗談を。こっちの台詞だね』
『わたっ!私はそんな……しないもん…』
『さぁ、どうだかなぁ?』
『も、もういい!寝る!』
『おう、寝ろ』
意地悪な笑顔。何度も見せてくれた笑顔。私の大好きな笑顔。
その笑顔をずっと側で、近くで見続けたい。ずっと、ずうっと……
暗転─
見慣れた茶色。あの日から毎日抱きしめながら寝ている大きな熊のぬいぐるみ。
「……ずっと…ずうっ…と?………」
─ゆ……め………夢?
懐かしい
十年、二十年前のことだ。
なんというか、よくまあこれだけうまく幼馴染みをやっていたものだ。
適度な距離。適度な好意。ほんの微かな悪意。
他人と言うには近くて、恋人と言うには遠い。
そんな距離感に、私は我慢出来なくなった。
もっと歩み寄りたい。誰よりも彼の近くにいたい。彼の近くに、ずっといたい。
だからこそ、私は努力した。彼が誰よりも私が好きになるように、魅力的であろうとした。
でも彼は、その間にもっと素敵になる。
素敵になっていく彼の隣に、私以外の人がいたらと思うと、怖い。
だから、私だって素敵になる。他の人が霞んじゃうくらい素敵になろうと思う。
自分の為にも、彼の為にも。彼の隣に立つために。また、キスをするために。
『ゆうくんゆうくん』
『なに?』
『けっこんしよ!』
『……けっこんって、なに?』
『すきなひととね、ずっとずうっといっしょってこと。あたしゆうくんだいすきだもん』
『ぼくもゆりちゃんだいすき!』
『じゃあ、けっこんしよ?』
『うん!』
『じゃあ、やくそくのキス』
『……きす?』
『んとね、おくちとおくちをね、くっつけるの』
『んー、わかんないや』
『もう、ゆうくんはおばかさんなんだから。こうするの』
ゆっくりと二つの小さな唇が一つになり、ゆっくりと離れる。
『……これで…ずうっといっしょ』
『ずっと?』
『うん、ずっと、ずうっとずうっといっしょ』
間─
『んじゃ、よろしくな』
『うん』
二週間後に迫った体育祭。
運動は嫌いじゃない。負けるのは嫌い。だから一生懸命練習する。
今日の練習競技は学年種目の二人三脚。男女で組まなきゃ駄目だそうだ。
まぁ俺の場合は組み決めのときに『じゃあまず優也は友梨とだな』と希望を言う前に決まった訳だが。
ま、拒否する理由は無かったし、実際自分でも友梨と組むことを希望するつもりだった。
女子の中では一番親しい友人、と言うか幼馴染みであるし、やりやすいであろうから。
友梨もそんなつもりだったのだろう。俺たちの組はすんなりと決まった
『じゃ、一回ゆっくり歩いてみるか』
『うん』
まず肩を組む─
ん……
……彼女の肩はこんなに細かったか……
その肩は、力を入れたら折れてしまいそうな程華奢で、俺の肩に触れる彼女の手、指は細く、しなやか。
これじゃまるで、女の子じゃないか……いや、女の子……なのか…
『どうしたの?』
『ん、あぁ、いや……』
『ふふっ、変なの』
いつもと変わらない彼女の笑顔のはずなのに、いつもよりまぶしく見えた─
俺と友梨は、アンカーに選ばれた。
そして、本番。
『うっしゃっ!来るぞ!』
『うん!』
前の組がコーナーを抜けた。
こっちの組は三組中三位。とは言ってもまだ充分挽回出来る。
一位が行った!数秒開けて二位、間を置かずに三位の組!
友梨がバトンを受け取った。友梨が振り返ると同時にスタートを切る。
タイミングを合わせるために立ち止まっていた二位の組を置いて行く。
練習の成果。
彼女が振り返り右足を踏み出せば次は左足。俺は踏み出した右足が着地する直前に合わせて右足を出すだけ。
そうすれば彼女が左足を出すタイミングに大体合う。
他のペアに助言を求められたときにこう言ったら『よく分からない』と言われた。
友梨はすぐ理解してくれたんだがな……
数メートル先に一位。充分追い付ける!
彼女の足に合わせる事はまったく苦にならない。つまづいたり引っ掛かったりすることもない。
一人で走っているかのように、軽い。
前の組が少しもたついた。行ける!
足のペースを早める。するとまるで俺の思考が伝わったかの様に彼女もペースを早めた。
スピードの変更時にすら、足首に巻かれた紐の感触は無かった。
一位に並んだ。掛け声が聞こえる。これが不思議でたまらない。
俺と友梨が走るのに、掛け声は必要なかった。
短距離走のタイムは三、四秒離れていたが、それでも初めからきちっと合っていた。
互いが少し気を遣っただけだ。それだけ。
並ばれた事に気付き、少しペースを崩した一位をそのまま抜きさり、ゴールテープを切る。
『やった、っあ!』
友梨がゴールに油断してタイミングをずらした。足首の紐に引っ掛かり、倒れ─
『だっ!』
地面と友梨の間に割り込み彼女をかばう。このくらいは、幼馴染みの義務だ。
背中に衝撃。
倒れた彼女の顔が、俺の顔から十センチも無いところに。
運動後だからかほんのり赤く上気した頬。つぶった目、少し長いまつ毛。少し荒く、甘い吐息が俺の顔に触れる。
それを見た途端、周りの声がまったく耳に入らなくなった。
友梨は、こんなに可愛かったのか─
『……えへ、ゴメンね』
『ん、いや……』
友梨が立ち上がる。離れる体に少しの寂しさを覚えた。
どうしようもなく、友梨が好きになっていた─
暗転─
見慣れた天井。彼女はいなく、俺に覆い被さっているのは毛布。
「…ん……」
─……夢…か……
懐かしい。
十年、二十年前のこと。
しかしよくもまあ、これだけ幼馴染みが続くものだ。
適度な好意と適度な距離。微かな悪意。
他人と言うには近すぎて、恋人と言うには遠い。
そんな関係に、俺は我慢出来なくなった。
小さな頃の様にずっと側にいれたらと思う。誰よりも近くにいられたらと思う。
だから、努力する。彼女と釣り合う様な男になるために。
だけど彼女はその間にも素敵になっていく。
そんな彼女に彼氏がいないことは、俺にとっては僥倖なのだ。
だからその機会を、逃したくない。だからこそ、彼女と釣り合う様な男になる。なってみせたい。
自分の為にも、彼女の為にも。ずっと隣にいられるように。彼女を抱き締めたいと思うから。
投下終了
なんか俺のは夢オチばっかりだ……
とりあえず誰も来ないうちに退散。
>>98最高の一言に尽きるな。全体的にシリアス雰囲気な中に、幼馴染みならではの萌ポイントがたくさん詰まってて、本当に良かったよ。
これからも是非頑張ってくれ。超期待して続き待ってる。
神GJ!
>>98 優也と友梨の続きだー!待ってたよ、作者さん
二人のすれ違いに何とも言えない寂しさを感じる
こういう切なくも温かい雰囲気は見習いたいな
敢えて苦言を呈するなら、場面転換の際にわざわざ暗転の言葉を入れなくてもいいと思う
行間開ければその意図は分かるし、それまでの余韻が途切れてしまうんじゃないかと思った
311 名前:おさかなくわえた名無しさん[sage] 投稿日:2008/03/25(火) 21:22:23 ID:mI5IkzzD
俺、小学生のときに同級生の子にプロポーズしたことあるんだけど
そのネタで小学校で「あいつが私にwぷぷぷ」って6年馬鹿にされ、
中学校で3年馬鹿にされ、高校でも3年馬鹿にされ
今だに夕食の時に馬鹿にされる
ああそう、今は幼馴染ではなく奥さんなわけね…クソッ!クソッ!
ん、デジャヴ?
幼馴染がスレタイになってる大抵のスレでみたな
幼馴染関係のスレね・・・・・・最近このスレとエロゲ板しか見ねえ
4月1日にツンデレ幼馴染みに
「あんたなんか今までの20年間もこれからもずっと大っ嫌い!
これから一生私に近寄らないで!
あんたの子供なんか一人も産んでやらないし、それ以前にエッチもさせてあげないんだから!」
って顔を真っ赤にして言って欲しい。
ああそう、今は(ry
ん、デジャ(ry
>>110 ツンデレと幼馴染ってどうしてこうも通じ合っているんだろう…
やっぱセット最強
そりゃキミ、そもそもツンデレの分類には昔、幼馴染型っていうのもあったくらいだし
ツンすぎず(友達以上)デレすぎず(恋人未満)な立場だからだろ
幼なじみエイプリルフールネタを投下します
稚拙な文ですが、合わない人はスルーしてやってください
では投下
「……っかんねー、どうなってんだこれ」
思わず言葉が口から漏れる。
いったいこの文章からどういう数式を導けというんだ。
「だから、最初が2で3倍ずつ増えるんだから、等比級数の公式を使えばわかるでしょ?」
オレの愚痴を丁寧に拾って、目の前から適切なアドバイスが与えられる。
……そもそも等比級数ってなんだよ?
「オレはこの宿題から逃避したいけどな……」
「……下らないこと言ってないでさっさと解きなさい」
オレの渾身(?)のギャグさえ軽く流し、目の前の女は再び自身の宿題に取り組む。
こいつは木崎 優奈(きざき ゆな)。
オレこと高遠 匠(たかとお たくみ)の幼なじみだ。
ついでに言うと、ここはオレの部屋。オレ達は今、春休みの宿題に取り掛かっている。
オレは普段勉強なんかしないし、宿題にだってまだ手をつけてなかった。
今日はなぜか優奈のやつが一緒に勉強をしようと言いだし、オレは付き合わされる羽目になったのだ。
……今日は、いや今日もゲームをやりたかったのだけど。あと少しでボス倒せそうだし。
そもそもだ。
「あのさ、優奈」
「なに」
「お前さ、オレと勉強する意味なんかないじゃねーか?」
そうなのだ。
先ほどから黙々と宿題をしているオレと優奈。
しかし、オレが一問解く間に、優奈は軽く三問は解いてしまう。
もともとオレは勉強が苦手だ。特に数学は天敵と言ってもいい。
対して、優奈は頭がいい。勉強もできるし機転がきく。
いや、勉強だけじゃない。こいつは何でも平均以上にこなしやがる。
オレが勝てるのは運動くらいだが、それだって男女差以外の何物でもないのだ。
加えて、性格は明るくて人当たりもよく、クラスの連中からの人気もある。
容姿だって、人並み以上だ。
皮肉屋気取りで下らない男でしかないオレとこいつの接点なんて、幼なじみであること以外……
「いいのよ、別に。私が好きでやってるんだから
それに、アンタがバカだと私までそう見られるかもしれないんだから」
優奈の返事は厳しいものだ。
確かにオレは優奈と一緒にいることが多い。
今までも、いまいちクラスになじめないオレを助けてくれたことがあるし。
それでも、そのせいで優奈が迷惑に思うなら。
(……いっそ、オレのことなんかほっとけばいいのに)
そんなことを、思ってしまう。
「……よ、ようやく終わった」
結局、オレが数学との死闘を終わらせたのは、午後4時を回った頃になった。
優奈が12時過ぎにきたことを考えると、オレはかなり頑張ったらしい
当たり前だが優奈はとっくに宿題を終わらせ、
暇そうにしつつもたまにアドバイスをくれたりした。
「ごくろうさま、よく頑張ったわ」
優奈がねぎらいの言葉をくれる。……そもそもお前がやらせたんだけどな。
「いつもこれくらい頑張ればいいのに」
「無茶言うな、これ以上は本当無理だ」
「匠ならできるよ」
「……オレはお前とは違ってバカなんだよ」
「匠がバカだと私まで同類扱いされるかもしれないじゃない」
「バカっていう方がバカなんだぞ」
「どっちなのよ」
オレと優奈の会話はいつもこんな感じだ。微妙に噛み合わないような、軽口のたたきあいになる。
さっきは「いっそ離れてしまえ」と思ったけど、しかしオレはこの時間が嫌いじゃない。
いや、むしろ好きなのだけど。
それから話は新しいクラスのことに変わった。
あと数日もしたらオレ達も進級することになる。
「また、お前とは同じクラスかな」
「なに、嫌なの?」
「いや、そういうわけじゃないけどさ」
さすがに怒涛の11年連続同クラス、ってのはどうなんだろうな。
ある意味恐怖だよ、これは。
「まぁでも、新しいクラスで新しい出会いもあるかもね」
「んー、そういうのは別に……」
むしろ顔馴染みが揃っていたほうが、個人的には楽だし。
「ほら、春は出会いの季節っていうじゃない。
匠だって、可愛い女の子に告白されたりするかもしれないよ?」「興味ないね」
そもそも、オレに告白するような物好きがいるわけがない。断言するのもアレだけど。
「断るの?」
「当たり前だ。あいにくオレは女は苦手だ」
「……まさかホモ」
「ちげーよ!」
だからオレは人付き合いが苦手だと何度言ったらわかるんだ、お前は。
優奈はふぅん、と何かに納得したしたようにうなずいてから、
「じゃあ、さ。匠?」
「ん?」
「もし私が、匠のことを好き、って言ったら、どうする?」
……は?
優奈は少し照れたような、そんな顔でこちらを見ている。
上目遣いとほんのり朱に染まったほうが、何だかとても可愛いらしい。
「え、あ、なに、って?」
「だから、私が匠と付き合いたい、って言ったら、どうするかって」
優奈が、オレと?
いやいやいやいや待て待て持て待てちょっと落ち着け優奈がオレを好きだったらだって?
いやまさかそんなでもこいつオレといつも一緒だしいやいやそんなのただの腐れ縁だし
そもそもこいつにはオレよりもっとふさわしい奴がけどオレは優奈のことは嫌いじゃないし
……ここまで一秒。オレの思考は光速を超え地球を15周して後、パンクした。
「うぁ、いや、それは、そのあの」
まともな言葉が出てこない。優奈は顔を伏せ、肩を震わせている。
あぁオレのバカめちゃくちゃ混乱してるから優奈が泣いちまったじゃねぇか。
ここはビシッと男らしく決めるべきでだけど突然のことで考えがまとまらないし
「……ぷっ」
ああどうしようまさかこんな展開は考えてなかった頭が真っ白で困った困っ……て、おい。
優奈を見る。
さっさと同じく肩は震えているが、これは泣いているのではなく……?
「……っあははっ!た、匠、混乱しすぎ〜!」
思い切り笑われた。何だこれ。
「ゆ、優奈?何なんだよいったい」
問いかけるも、優奈は腹を押さえて笑うばかり。「ひーっ!」とか言って床をバンバン叩いている。
しばらくしてから少し落ち着いた優奈が、笑いすぎて出た涙を指先で拭いながら、
「匠、今日は何月何日?」
今日?んなもん四月の……
「……四月の、一日だな」
もう一度、優奈を見る。してやったり、って顔付きだ。
「優奈、てめえ騙したな!?」
「フフッ、匠ってバカだとは思ってたけど、ここまで単純だとは思わなかったわ」
また笑いが再発したらしい。オレの部屋に優奈の笑い声が響く。
あー、くそ、ムカつく!
オレは部屋を出る。優奈にどこに行くのか聞かれたので、
「水飲んでくるんだよ!」
と怒鳴ってしまった。
くそ、まさかあんな騙され方をするなんて。アイツ絶対演技派だ。
ついつい本気で受け取ってしまった。まともに考えたオレはまさしくバカだ。
……アレが本当だったらよかったのに。
頭を振る。なに考えてるんだオレは。忘れろ。
「……ふぅ」
匠が部屋を出ていって、私は一息つく。途端に、自己嫌悪に襲われた。
「何やってるんだろ、私……」
今日はエイプリルフール。一年に一度、嘘をついてもいい日。
地方によっては午前中のみとかの規制があるらしいけど、私には関係ない。
だって、嘘なら毎日ついてるから。匠と、私自身に対して。
私は匠が好きだ。それこそずっと昔から。
匠はいつも引っ込み思案で泣き虫な私を連れて、色々な遊びを教えてくれた。
今でこそ人付き合いが苦手な彼だけど、昔はたくさん友達がいて、私も輪の中に入れてくれた。
今の私があるのは匠のおかげで、だからこそ、私も匠の支えになりたいと思った。
……いや、本当はそうじゃない。
匠はいつもは無気力だけど、私が本当に困ったときは、今でも力を貸してくれる。
普段だって、私はいつも匠を悪く言ってしまうのに、匠は普通に接してくれる。
結局、私が匠から離れられないだけ。私が匠を好きなだけ。
でも、匠が私をどう思っているかはわからない。
もし私が匠を好きだと言って、迷惑に思われたらどうしよう。
もしこの関係が崩れたら。匠が私から離れたら。
そんなことをいつも考えて。結局私は嘘をついた。
私にとって、匠はただの幼なじみ。単なる腐れ縁。
そう考えればとりあえず楽になれたから、私は嘘を重ねていった。
けど、積もった嘘は私を押し潰しそうで。
近くても手が届かないこの距離が不安で。
だから、今日は嘘をつくのを止めようと思った。
いつも嘘をついてる私だ、今日くらいは本当のことを言ってもいいかもしれない。
そして結果が、これ。
結局私は逃げ出して、彼を怒らせるだけになった。
「……バカだな、私」
匠のことを言えない。いや、本当は私がバカなだけだ。
悔しくて、涙が出る。必死にこらえているうちに、何だか眠くなってきた。
意識が落ちる。最後に映った光景は、さっきの匠の顔だった。
「ほら、優奈。お菓子持ってきたぞー……って」
部屋に戻ると、優奈が机に突っ伏していた。
オレが頭を冷やしている間、暇で眠ってしまったのか。
側により、顔を見る。こいつの寝顔を拝んだのも何年ぶりだろうな。
髪がかかって顔が少し隠れていたが、やはりきれいな顔立ちをしている。
細い眉とか、長いまつ毛とか、きれいな鼻筋とか、柔らかそうな唇とか……
(匠のこと、好きだって言ったら)先ほどの言葉がいきなりよみがえってきた。待て落ち着けオレ。
「お、おーい。優奈、起きろー」
とりあえず肩を揺さ振る。これ以上寝ていられたらたぶんオレがもたない。
優奈は「んー」とか言っているが、起きる気配はない。
「優奈、起きろー、そろそろ帰れー」
さっきより激しく揺らす。あ、これだけでもけっこう気が紛れるな。
「……んー?」
お、目が覚めたか。
「優奈、起きたかー?」
声をかけるとこっちを向いた。まだまぶたが半開きな気もするが、とりあえず起き……
「……くーたん」
……って?
「くーたぁん」
それは一瞬だった。
謎の単語を発すると、優奈が突然オレに抱きついてきた。
不意をうたれたオレはそのまま後ろに倒れこみ、優奈に押し倒される形となる。
「ゆ、優奈、ちょ、ま」
「くーたん……くーたん……」
どうやらまだ寝ぼけているらしい。オレをぬいぐるみか何かと勘違いして……
「ってバカ、抱きしめるな、な、なんか当たってるから」
ほら、胸のあたりにこう、柔らかいものが……って本当に勘弁して!?
さっきの優奈の嘘が効いている。
変に意識したうえ、こんなことまでされて、オレはもうパニックだった。
「優奈、お、起きろ、頼むから起きろー!」
「……たくみ、好きー」
……え
一瞬、完全に固まった。さっきと似たパターンだが、これは。
「ゆ、優奈……?」
おそるおそる顔を覗く。優奈は幸せそうな顔で、すぅすぅと可愛い寝息をたてている。
「狸寝入り……じゃ、ないよなぁ?」
それとも夢の中でもこいつは嘘をついているのか。
もうオレには何が何だか……
「くーたぁん……」
……優奈、お前な。
相変わらずぬいぐるみ(?)の名前を呼ぶ優奈に、オレは思わず苦笑する。
「まぁ、いいか」
優奈の言葉が嘘かどうかは、所詮オレにはわからない。
オレの気持ちも、今はまだわからない。
まぁけど、今のところ言えることはさ、こうしている今この瞬間は嘘でも何でもなくて、
「たまにはこんなのも、悪くないかもな」
って思ったことだけだ。
ちょっとだけ優奈を抱きしめながら、オレも目を閉じた。
余談。
あのあとしばらくしてから目を覚ました優奈にめっちゃ叩かれた。
「変なことしてないでしょうね!?」と聞かれたので、
正直に「くーたんと間違われました」って言ったせいだろうかね。
そうそう、オレも飛びっきりのネタを用意してやった。
騙されっぱなしは気にいらないからな。
「優奈」
「何よ」
「実はオレ、本当は寝てるお前に落書きした」
「はぁ?」
「早く洗面所行け、その顔は親に見られたくないだろ?」
「ば、バカ、何してるのよ!」
慌てて洗面所に向かう優奈。
バカめ、見事に騙されおって。落書きなんぞどこにもない!
よし、これでオレの勝ちだ。
2分後、飛び蹴りを食らった。なぜだ。
はい、以上です。
毎度ながらの低クォリティ、我ながら涙が出ますね。序盤は冗長で終盤ぐだったし……
え、記憶喪失?
……はい、近日中には、必ず……いや本当スミマセン
わき道にそれるのが大好きで、つい……
お目汚し、失礼しました
さて逃げるか
GJ!
こんな生活したかった…
gj。とても面白かったです。
新年度開始の用事が忙しくて、まだ読んでないが、4月1日が終わらないうちに先に言わせてもらう。
GJ! 暇を見つけて読むぜ。長編の続きも書いてくれよ!
ああああと一時間早く帰ってきたらエイプリルフールらしく
「つまんねーからもう書くなよ!」って言えたのに…
ところでエロシーンもあるよね?つづくよね?
えっと、SS投下します。
PC壊れてて携帯で書いたし初SSだから読みにくくてつまんないかもしれないけどお許しを。
あと、力尽きたからエロまでいきません。ぶつ切りです。
「おかえりー、遅かったねー。どしたの?帰宅部期待のエースのヒロちゃんがこんな時間まで」
時刻はもうすぐ5時をまわる。陽も沈む頃だ。
「それよりなぜお前がここにいるか、ということを問いたい。
答えろ姫、いや岡崎姫華」
おかえり、と言われたがここは俺の部屋で。当然俺に連絡もなしに他人がいるわけもなく。
しかし目の前では俺の幼馴染みであるところの女子高生がいて、俺が買ったばかりの大作RPGの新作を勝手に自分のデータを作成してプレイしているばかりか、俺の買い置きのスナック菓子まで食っている。
「帰ってきてー、暇だからヒロちゃんち遊びに来たんだけど、おばさんがまだ帰ってきてないって、
部屋に上がって待ってていいわよー、って言われたから!」
「そこまではいい。だがなぜ君は俺のゲームを勝手にプレイし、俺の菓子を勝手に食らい、あまつさえなぜそんなにくつろいでいるのかね!?」
「それはだね、山野貴弘くん、面白そうだったからだよ。おいしそうだったからだよ。とっても居心地が良かったからだよ!」
「理由になってねえっ!」
「えー、じゃあゲームやっていいー?お菓子食べていいー?ベッドでごろごろしていいー?」
「事後承諾で済んだら警察と弁護士はいらんですよ?」
「けちー。いいじゃないかボクとヒロちゃんの仲なんだしぃー。」
「ぐっ、この女は…まあいい、終わったらすぐ帰れよ。」
「えー?今日はヒロちゃんちでご飯食べていこうと思ってたんだけどー?」
くっ、どこまでわがままなんだ。うちの親が姫に甘いのを知ってか知らずか。
だがさすがにこれに屈するわけにはいかん。
「今日はやめてくれ、俺は一人で考えたいことがあるんだ。」
「えー?めっずらしー!どうしたの…ってそういえば、
さっきの質問だけど、今日なんかあったの?」
「え?…いやまあその、なんていうかだな、えと…告白、されたんだ。クラスの女子に。」
「へっ?」
「………」
恥ずかしい。なんで言っちゃったんだ俺。
「えと、こくはくされたって、ヒロちゃんがだよね。ヒロちゃんが、クラスのおんなのこに。」
「まあ、うん、そう。合ってる。」
「ヒ、ヒロちゃんのばかやろー!!」
「ええっ!?」
なんだどうした何が起きた?どうして姫が怒るんだ!?
「ななななんでいきなり、ボクに断りもなくこくはくなんてされてるんだよう!」
「俺が告られんのに姫の許可がいるのかっ!?」
「ちがっ、そーじゃなくて!この…ヒロちゃんのばかやろー!」
突然怒りだした姫が、コントローラとか漫画とかCDとか、そのへんの物を投げ付けてくる。
マズい!いろいろマズい!
「バカはお前だ!やめろ!いてっ、ちょ、本当にやめろ!どうした!?落ち着け!」
「これが落ち着いていられるかー!」
姫の攻撃を受けながら、ベッドの上の彼女に近付き、とにかくやめさせようとする。
そしてついに姫の腕をとり、押さえ付けることに成功する。そして気付く。
ベッドの上で、女の子の腕を押さえ付けて、上に覆いかぶさっている。これじゃまるで、
「ヒロちゃ…っ」
潤んだ瞳なんかするな。本当に押し倒したみたいじゃないか。
いや結果的にはそうだがけしてそういう目的じゃなくてだな…
「い、いきなりどうしたんだ。そんな、暴れるような理由が俺には見当たらないぞ…」
再び襲われないように、腕を押さえながら彼女に問う。
「だ、だって…ひっく、ぇぐ…ヒロちゃんが、こくはくされた、って。
一人で、考えたいってことは、ひっく、悩む程度には、かわいい子で、」
泣き出しちまった。もうどうすればいいのか…
「それで、ヒロちゃんが、ぇぐ、オッケーしちゃったら、付き合うってことで、
つまり、ヒロちゃんに、彼女、ができるってことで…ぐすっ、彼氏と彼女は、でーととか、き…きすとかっ、せせせ…せっくすとか、するものだから」
「お前、何を…」
「でーとも、きすも、せっくすも…ヒロちゃんの隣にいるのはボクじゃなくて、知らない女の子で…
そんなの、ボクは嫌だから!堪えられないから!
ヒロちゃんの隣がボクじゃないのは、ボクの隣にヒロちゃんがいないのは、嫌だから!ボクもヒロちゃんのこと、大好きだから!」
えーと、これは…告白されてるんだよな?
それもかなり切羽詰まった感じの。
「バ、バカ。誰がオッケーするなんて言ったんだよ。
向こうが一生懸命告白したのに、その場で返事なんかしたら理不尽で、かわいそうだと思ったからだよ。
だから、一日考えさせてくれって。
確かにまあ…ちょっとはかわいかったけど、そんなの関係ない。
それをお前は、勘違いして、怒って、告白までしちゃって。ムードもなんもないぞ。」
「だって、ヒロちゃんが遠い人になっちゃうと思ったから…違う人のものになっちゃうと思ったから…」
「ならねえよ。本当は、その…告白された時、昔から知ってる顔が、ふと浮かんだんだよ。ちっちゃくてわがままで泣き虫で…すごく、かわいい子の顔が…」
「そ、それってつまり、」
「最後まで言わせてくれ。
姫に泣かれるまで気付かなかったなんて情けないけど、俺も気付いたんだ。
姫華、俺もずっと好きだった。付き合ってくれ。」
「ヒロちゃん…嬉しい。ずっとこうなりたかった。
ずっとヒロちゃんの彼女になりたかった。ヒロちゃんとずっと一緒がよかった。
ありがとう…ヒロちゃん。」
彼女が目を閉じる。
ああ、わかってる。彼氏彼女がすることは、そう。
「怖くない?」
「大丈夫、ヒロちゃんに全部任せるから。」
そして、淡いくちづけを交わす。
一瞬触れるだけ、そんな二人のファーストキス。
おわり…
SS書くのってこんなに恥ずかしかったのか…ヤバイ、恥ずかしくて頭がフットーしそうだよぉっ!
>>136 SSを書く事は恥ずかしい事じゃないぞ。人目に晒すのは恥ずかしいが。
そんなものは経験を践んで慣れるんだ、後は勇気で補え!!
文章では説明口調が気になったので、地文を上手く使うと良いだろう。
という訳で続編を待つ事にする。頑張れ。
>>136 GJでした
ボクっ娘(゚∀゚)!素敵なシチュエーションだよこれ
こういう話は本当好きだよオレは
>>136 とてもGJ! 初ssでこれですか、前途有望ですね。
ボクっ子が泣いて暴れるのはいいものですね。
ssの書き方として「〜。」をつかっていると暴れだす人がいるから気をつけてください。
少なくとも「〜」か「〜。」で統一したほうがいいと思います。
1レスあたりの用量についても気にする人は気にします。
内容以外で叩かれることは本意ではないと思うので予防線を張る意味で気をつけてみてください。
感想とアドバイスどうもありがとうございます。
できればエロ含む完結篇も書きたいと思うのでその時はどうぞよろしく…
>>140 遅くなったがGJ!!
幼めな口調のボクっ子…大好物です。
続き期待してます。
こんばんは。このスレではお初です
以下に投下します
今回はエロなしです。すみません
『断らない彼女』
それは、二人が知り合って間もない頃のことである。
「ゆきなりくん、3がつうまれなの?」
小さな女の子は驚いたように言った。
男の子はおもしろくなさそうに頷く。
「……そうだけど」
「じゃあわたしのほうがおねえさんだね。わたしは4がつ」
「そ、それくらいでいばるなよ!」
女の子は目を丸くした。
「いばらないよ。そうじゃなくて、わたしがおねえさんになってあげようとおもって」
「……え?」
女の子はにっこり笑う。
「ゆきなりくんもわたしもきょーだいいないでしょ? だからわたしがおねえさんになるよ」
男の子は困惑した顔で呟く。
「……ぼくにおねえちゃんなんていないよ」
「だーかーらー、わたしがかわりにおねえさんするから」
「そんなのいらない!」
「わたしはおとうとほしいよ? なんでもきいてあげるから、なんでもいって」
「いわない!」
放課後の教室で、自分の椅子に腰掛けながら、高橋雪成(たかはしゆきなり)は昔のことを
思い出していた。
唐突ではない。同じクラスの女子生徒をぼんやり眺めていたら自然に思い出したのだ。
雪成の視線の先には、帰る準備をする幼馴染みの見慣れた姿。
彼女──田中亜季(たなかあき)は雪成と同じ高校一年生である。
4月生まれのため、クラスの誰よりも年上だ。
百五十センチに満たない身長に、背中まで届く長い黒髪。ぱっと見の特徴はその二つ。
成績は優秀。運動はあまり得意ではない。友達はそれなりにいるが、騒がしいのは苦手。
そして、
「田中さん、今日掃除当番代わってくれない?」
「うん、いいよ」
人からの頼み事を断らない。
基本的には好ましい点だろう。しかし周りにすればそれは『便利な人』でしかないのでは
ないだろうか。
雪成はそれを忌々しく思う。
亜季のその性質は周りのみんなにとって都合のいいものだ。宿題を見せてもらったり、
当番を代わってもらったり、多くの人間が亜季を利用する。
みんながみんな悪気を持っているわけではないのだろう。しかし、
「ホント? ありがとう田中さん! 今度何かおごるよ」
「いいよ別に」
クラスメイトは嫌いではないが、それでも今のようなやり取りを見ると嫌気が差すのだ。
亜季に片目をつぶって礼を言うと、女子生徒は小走りに教室を出ていった。
「亜季」
雪成は席を立つと、机を引く亜季に声をかけた。
「雪成くんまだ帰らないの?」
幼馴染みは柔らかく微笑む。
「掃除、手伝うよ」
「いいよいいよ。雪成くん当番じゃないし」
「お前だってそうだろうが」
亜季は目を丸くした。
「少しは断れよ。いつも言ってるけどさ」
「でも、別に私嫌じゃないし」
「甘やかすなって言ってるんだよ。みんなどこかでお前を便利屋扱いしてるぞ」
亜季は答えず、箒で床を掃き始める。
雪成も箒を持ってそれに続く。
「他の奴らはどうしたんだよ」
「さあ、わかんない」
「サボりか」
「用事があるんだよ、きっと」
亜季は肩をすくめて笑う。
「そんなわけ、」
「ごめん、遅れちゃった!」
雪成の声を遮るようにドアが開き、一人の女生徒が現れた。
クラスメイトの百合原依子(ゆりはらよりこ)だった。依子は少し息を切らして教室に
入ってくる。走ってきたらしい。特徴的なポニーテールが小さく揺れている。
「ごめんごめん。宿題持っていったら先生いなくて、見つけるのに手間取っちゃった。
……あれ、二人だけ?」
「依子ちゃん含めて三人だよ」
彼女は苗字で呼ばれるのを嫌うため、周囲に名前で呼ぶよう言っている。
亜季が言うと、依子は頬を小さく掻いた。
「しょうがないなあ。ていうか亜季ちゃんもユキナリくんも当番じゃないし。みんなサボり?」
当番は四人制である。
「知らね。小川はさっき亜季に押し付けていったけど、他はどっか消えたな」
「そういう言い方しちゃだめだよ」
亜季が人差し指を立ててたしなめた。
「押し付けられたのは事実だろうが」
「私は別に嫌じゃないもん。それに小川さんちは母子家庭だからいろいろ大変なんだよ」
ちゃんと相手にも理由があるの、と亜季は言う。
しかし理由をつけられること自体が雪成は気に入らない。反論できないからだ。
「じゃあ他の奴らは? 百合原だけ、」じろりと睨まれた。「……依子だけだぞ来てるの」
「掃除くらいでそんなに怒らなくてもいいじゃない」
「……俺はお前が、」
「はいはいストップストップ」
雪成が言い募ろうとした瞬間、依子がそれを遮った。
「口論は後でね。早く掃除終わらせようよ」
雪成は黙って依子を見返す。
さっきの目はどこへやら、ニコニコと毒気のない笑顔に何も言えず、ため息と共に掃除を
再開した。
箒で集めたチリをチリ取りで取ると、机を今度は教室の前側に寄せる。教室の後ろ側の
チリを掃き集め、同じようにチリ取りで取ってごみ箱に入れた。
「ごみ捨ててくる」
雪成はごみ箱を持って教室を出ようとする。
「早く戻ってこないと亜季ちゃん先に帰っちゃうかもよー」
依子がからかうように言った。
「大丈夫、ちゃんと待ってるから」
「……」
亜季の笑顔に雪成は小さく肩をすくめると、灰色のごみ箱を抱えてごみ捨て場に向かった。
◇ ◇ ◇
幼馴染みなんてろくなものじゃない。
雪成は最近強くそう思う。
家族のように近い距離にいることが当たり前で、それがたまに鬱陶しい。
互いの生活リズムは丸わかりだし、何かあったらどうしても気にかけてしまうし、長い
付き合いの分遠慮がなくなるし、そのくせ歳を取るにつれて昔の気安さをそのまま持ち込む
ことに若干の抵抗を感じるし。
ましてや、異性の幼馴染みなんて。
(意識するなって方が無理だろ)
朱に染まった夕暮れの帰り道を、二人は並んで歩く。
亜季の狭い歩幅に合わせながら、雪成は隣の幼馴染みのことを思う。
小さい体だ。この体によくもまあクラスの連中はいろいろなことを押し付けられるものだ。
亜季は決して弱い人間ではない。だからそんなことで潰れたりはしないだろう。
しかし、やはり側にいる者としては不安なのだ。
頼みごとを断らないというのは、美点であり欠点だ。
人が好すぎるために、それが亜季を苦しめないかと心配になるのだ。
当の本人はそんな雪成の気持ちをわかっているのだろうか。
「どうしたの? ぼんやりこっち見て」
亜季が雪成の顔を覗き込んできた。身長差が三十センチ近くあるため、見上げる形になる。
「なんでもない。晩飯のこと考えてた」
「うちは今日スキヤキだよ。いいお肉がお母さんの実家から届いたの。よかったら来ない?」
「いいよ。母さんが作ってくれてるはずだから」
雪成の家は共働きだ。両親共に遅くなることも多いので、そういうときは母親が前もって
用意してくれている。
「そっか、残念。久しぶりに雪成くんと一緒に晩御飯食べられると思ったのに」
「……」
気安い、と雪成は思う。
亜季はこちらをそれほど意識していないように見える。だからこそ彼女はいつまでも
幼馴染みとして変わらない。
雪成が好きな幼馴染みとして。
それはとても嬉しいことだが、同時に寂しかった。
こちらだけが意識して、ときに鬱陶しささえ覚えるのは寂しかった。
「……えっとね、大丈夫だよ」
不意に亜季が言った。
「何が」
「心配してくれてるのはわかるの。でもね、雪成くんが思うほど、私弱くないよ」
「……知ってるけど」
「だからね、私は好きで頼まれごとを受けてるわけだし、大丈夫だよ。安心して」
亜季は雪成を元気づけるように、にっこりと笑った。
そんなことはわかっている。
雪成は別にそこを心配しているわけじゃない。
雪成が心配しているのは、亜季の強さや弱さではなく、相手の悪意や好意の方だった。
亜季は人をいい者と信じているし、他人を信用しすぎている。
クラスメイト相手と言えども、それは危ういと思うのだ。悪意なら避けることもできるし
断ることもできる。しかし好意だったら、亜季はそれを拒絶できるだろうか。
人の好意が必ずしも誰かのためになるとは限らないのに。
「……お前、なんか連帯保証人とかにさせられそうだけどな」
わりと本気で思ったことを口にすると、亜季はむくれた。
「ひどい! 私は真面目な話をしたのに、どうしてそんな茶化すようなこと言うの?」
「いや、結構本気で言ったんだが」
「なお悪い!」
頬を膨らませて怒る姿はどこかかわいい。
こういう姿を見せるのは雪成の前だけだろう。それはちょっと嬉しかった。
「嫌い、雪成くんなんて」
そっぽを向く幼馴染みに、雪成は苦笑した。
◇ ◇ ◇
ある日のこと。
亜季の様子がおかしかった。
普段と違い、どうにも落ち着きがない。教室で席に座りながら、友人との会話にもあまり
身が入っていなかった。
雪成は怪訝に思い、昼休みに直接尋ねてみた。
返ってきた答えは「なんでもない」だった。
もちろん納得などしない。
「いや、なんでもないことないだろ。今日のお前、なんか気が入ってないし」
「そ、そんなことないよ?」
「授業中に二度注意されて、休み時間も上の空で、移動教室間違えて授業に遅れた人間が
何言ってんだ」
「ううー……」
亜季は小さく唸ると、ちらりと雪成の顔を見やった。
何か迷っているような表情で、すぐに顔を伏せる。
「言いたいことがあるならはっきり言えよ?」
「うん……」
口を開きかけて、しかし閉じる。そんなことを二度三度亜季は繰り返したが、なかなか
思い切れないのか言葉が出てこない。
雪成はせかさなかった。ただじっと、話し出すのを待った。
やがて意を決したのか、亜季が口を開いた。
「えっと、ここじゃ人も多いから、別の所行こ?」
「いいけど、聞かれたくないことか?」
「できれば」
亜季は席を立ち、廊下に出ようとする。
後についていくと、亜季はそのまま階段に向かって進んでいく。
階段を上がっていく幼馴染みに雪成は首を傾げた。上の階は二、三年の教室が集まる所で、
その先の階段は屋上に繋がっているが、学校側が開放していないので外には出られないはずだ。
しかし亜季は迷いなく階段を上っていく。仕方なく雪成もそれを追っていく。
屋上に通じる扉の前で亜季は立ち止まり、くるりと振り返った。
「あ、あのね」
「お、おう」
相手の緊張が伝わってきて、なぜか雪成まで固くなってしまう。
亜季はゆっくり息を吸い込むと、小さな声で言った。
「放課後にね、呼び出されてるの」
「……は?」
予想外の言葉にきょとんとした。
「……番長グループとかそういうやつ?」
「いつの時代の話? そうじゃなくて、えっと、男の人と待ち合わせの約束をしてるというか……」
「!?」
心臓が一際強く跳ねた。嫌な予感が。
「だ、誰? 相手は」
「二年の三原先輩。図書委員やってて、私よく図書館行くからそこで知り合って……」
「……待ち合わせって、何の用だよ」
「あ、デートとかじゃないよ?」
「なら何だよ?」
「……」
言い淀む亜季の様子に、なんとなく想像が間違ってないことを悟る。
雪成は胸が急速に締め付けられる思いに駆られたが、平静を装って尋ねた。
「で、どうするんだ?」
「どうって……わからないよ。いい人だし……」
息が詰まる。もしOKするなんて言われたら、どうすればいいのだろう。
すると亜季がじっと見つめてきた。
「……何」
「……」
亜季は何も言わない。
しかしどこか探るような目に、雪成はたじろぐ。
「な、なんだよ。言いたいことがあるなら、」
「言いたいことがあるのは雪成くんの方だと思う」
「……え?」
ドキッとした。
何かを期待するような亜季の目が、下から突き刺さる。
「私が断らないのを知ってるのに、それでも雪成くんからは言ってくれないんだね」
断らないとは誰に対してだろう。
「これじゃ役割があべこべだね。何かを言うのはいつも雪成くんの役目なのに」
「……」
雪成は固まって答えられない。
「言わないなら私から言うね。私は、」
「待てよ!」
咄嗟に大声を上げて言葉を遮った。
「……俺のこと全部わかってるような口ぶりはやめろ」
「……ごめん」
「言いたいことはある。でもそんな簡単に言えるなら苦労はしないだろ」
亜季がくすりと笑う。
「私だって一緒だよ。だから今迷ってる」
「迷ってるのか?」
何に、とは訊かない。放課後の件であることはわかりきっている。
「うん。とても、迷ってる。だから雪成くんに打ち明けたんだよ?」
「俺が断れって言ったら断るのか?」
「違う。そういうことじゃなくて、踏ん切りつけさせてくれるかな、って期待してたから」
「……」
「でもいいの。もうわかったから」
「え?」
「雪成くんに話してよかった。ちゃんと勇気もらったから」
「はあ?」
まったくわけがわからなかった。今のやり取りのどこにそんな要素があったのだろう。
「じゃあ、先行くね」
「あ、おい!」
雪成の横をすり抜けて、亜季は階段を駆け下りていく。
相手のいなくなった空間で、雪成は歯噛みした。
言いたいことがあるならはっきり言うべきだったのに。
◇ ◇ ◇
放課後。
急いで教室を出ていく亜季を窓際の席から見つめていると、後ろから声がかけられた。
「ユキナリくん」
振り返ると依子がニコニコと笑顔を浮かべていた。
「なんだよ」
「つれない反応だなあ。おねーさんもっと素直な子が好きですよ?」
「同い年だろうが」
「早生まれのくせに」
なんで知ってるんだ。
「亜季ちゃんに聞いたの。三月生まれだから私の方がおねえさん、だって」
「……」
雪成は閉口した。昔から言われているそれは、雪成の気に入らないネタの一つだ。
「……何の用だよ」
「いやいや、今日は亜季ちゃんと帰らないの?」
「今日も、だ。いつも一緒に帰ってるわけじゃない」
「そうなの? 仲良いのに」
「幼馴染みだからな」
言いながら、自分で嫌な返しだ、と思った。
幼馴染みというだけで仲良くしているわけじゃない。少なくとも雪成はそうだ。
好きだから近くにいるのだ。
すると依子は小さく首を傾げた。
「とっても綺麗な縁で繋がってるのになあ……」
意味のわからないことを言う。
「は?」
「ああ、いやなんでもない。こっちの話。うーん……でもなあ」
「なんなんだよ」
「ユキナリくんは亜季ちゃんのこと好きなんでしょ?」
いきなりずばりと言われて、雪成は息が詰まった。
赤くはならなかったと思うが、すぐには答えられなかった。
「告白はしたの?」
「──待てよ、なんで俺があいつを好きってこと前提で話進めてんだよ!?」
「声大きいなー」
はっと気付いた時にはもう遅かった。
教室に残っていた結構な数のクラスメイト達が、興味深々の目を向けてきていた。
さすがに顔が熱くなった。恥ずかしさに頭を抱えたくなる。
依子はそんな雪成の肩を軽く叩くと、小さく囁いた。
「ここだと色々面倒だから、出よっか。一緒に帰ろ?」
雪成はじろりと相手を睨み、しかし何も言い返せずに力なく頷いた。
「えっ? じゃあ亜季ちゃんは今先輩の告白を受けてるの?」
下駄箱でスニーカーに履き替えながら、依子が驚いたように言った。
「それってユキナリくんにはおもしろくないよね」
「……何でだよ」
「もう。自分の気持ちには素直になった方がいいよ。好きなんでしょ?」
「……」
ストレートな物言いは反論を許さない程に強烈だった。
気に入らない。清々しいくらいに気に入らない。
「ずかずか人の心に入り込んできて楽しいか? 俺は不愉快だ」
「……ごめん」
素直に謝られた。
まるでこちらが悪いように思えてきて、雪成は舌打ちした。
「……好きだよ、あいつのことは」
苦々しい口調で、しかし素直に雪成は己の気持ちを吐露した。
「小さい頃から一緒で、あいつのことはなんでも知ってる」
靴を履き替えながら独り言のように続ける。
「きっと嫌われてはいない。むしろ向こうだって、自惚れじゃなく俺のことを好いてくれて
いると思う」
「うん」
「けど……近すぎるんだよ、やっぱり。この距離に、幼馴染みの距離に慣れてるし、今の
関係も嫌いじゃない。それを壊すのって、怖くないか?」
「うーん」
依子はあまり納得できないようである。
外に出ると夕方ながら、残暑の太陽が厳しく体を照り付けてきた。
「例えばさ」
右手で体をぱたぱたと扇ぎながら、依子が呟いた。
「例えば、テストの解答用紙がある人の目の前にあるとするよ?」
「何の話だ?」
「例え話だよ。答えも検討がついているのにその人は答えを書かない。それは間違えたら
どうしよう、って臆病な気持ちが決断を妨げているせい」
「……」
「でも書かなければ、そのまま制限時間を過ぎれば、どのみち不正解で終わってしまう。
だから追い詰められたら人は駄目元で答えを書くの」
「……」
いまいち何が言いたいのかわからない。
「でも、それは制限時間があるから決断するわけで、それがなければその人は答えをいつまでも
書けないと思うの」
「……」
「で、今のユキナリくんはそういうものに追い立てられていない。物書きさんだって〆切
設けられなかったらいくらでも怠けると思う。『まだ時間はある』ってね」
「……」
「だけど人生には、そんなわかりやすい〆切や制限時間なんて設けられていないんだよ。
知ってる? 宇宙にはたくさんのチリがあって、いつ地球に落ちてくるかもわからないん
だって。ひょっとしたら私たち、明日にも死んじゃうかもしれないんだよ? 隕石落下の
ディープインパクトで。三冠馬には勝てないんだよ」
「おもしろくねえよ。……そりゃ先のことはわからないしな。そういうこともあるかもな」
ぶっちゃけた話、二秒後に心臓発作で倒れることもありうるのだ。……倒れなかった、よかった。
「先のことはわからない。制限時間も不明。ならさ、今できることをやるしかないよ」
「月並みな励ましだな」
「ユキナリくんにはそれで十分じゃない? 月並みな悩みなんだから」
「……」
皮肉を言ったのにあっさり切り返された。苦手だこいつは。
「偉そうなことを言うけど、お前はどうなんだよ。お前はできることをしてるのか?」
「まあそれなりに。カレー作ったり囮になったりお節介を焼いたり、色々してるよ」
「なんだそりゃ」
謎の言い回しに眉をひそめるが、とにかく。
雪成にできるのは想いを口にすることだけだ。それを相手に伝えることだけだ。
あとは向こうがどう受け止めるか。
それさえ、昼のやり取りである程度察しているのだ。あのとき幼馴染みの言葉を雪成が
遮らなかったら、あるいは望む答えが聞けたかもしれない。
一つだけ気掛かりがあるとするなら、それは例の告白の件で。
「後手後手に回ってる時点でヘタレ確定かもな……」
「ん? そりゃ君のせいだよ」
「わかってる。十年以上も時間もらっといて何もしなかった俺が悪い。だから……待つよ」
校門の前で、雪成は歩みを停めた。
おもしろそうに依子が見つめる。
「十年以上も幼馴染みやってきたの?」
「ああ」
「ずっと好きだった?」
「……まあな」
「もし、亜季ちゃんが先輩の告白を受け入れたらどうするの?」
「どうもしない。それが亜季の選択なら諦める。十年間の積み重ねが足りなかっただけだ。
それは俺の責任なんだから」
「潔いね」
「どこがだよ。頭の中はもう諦め悪い考えでいっぱいだぞ。後悔ばかりだ」
「まあ大丈夫だと思うけどね。亜季ちゃんの気持ちを君が知らなさすぎなんだよ」
わかった風な口を聞く依子を雪成は軽く睨んだ。
「……あいつは、人の好意を拒絶できるやつじゃないんだ」
「知ってる。でもちゃんと、相手のことを思って答えの出せる強い子であることも知ってる」
「……」
幼馴染みの自分より依子の方が亜季をわかっているみたいで、少しおもしろくない。しかし
そうかもしれないと雪成は思った。
いずれにせよ、待つことしか雪成にはできないが。
「じゃあ頑張ってね。私は先に帰るよ」
「ああ。ありがとな」
依子は驚いたように目を見開いた。
「……ユキナリくん、人にお礼を言える人だったんだね」
「どういう意味だそれは!?」
「いやいや、素直な子は好きですよ?」
「さっさと帰れ」
依子はぺろりと舌を出すと、その場でターンをして背を向けた。綺麗に結ったポニー
テールが飛行機の旋回のように踊った。
「明日結果教えてね」
「誰が言うか」
「じゃあ亜季ちゃんに訊くよ。んで、明日君をからかうのだ」
「地獄に落ちろ」
明るい笑い声を残して依子は去っていく。
雪成は無言でその後ろ姿を眺めていた。
◇ ◇ ◇
待ち合わせ場所の北校舎裏に行くと、すでに相手はそこにいた。
眼鏡をかけた細面の上級生。スマートで背の高いところは幼馴染みによく似ていると思う。
三原正志(まさし)は亜季の姿を認めると、穏和な笑顔で迎えた。
「亜季ちゃん」
どこか嬉しげな声で呼ばれて、亜季はぎこちなく笑う。
二人が最初に出会ったのは図書館。正志はカウンターで受付をしていた。
入学当初から図書館に通っていた亜季は、すぐにその顔を覚え、覚えられた。
梅雨の時期にはおすすめの本を教え合うくらいに親しくなり、夏休み前には下の名前で
呼び合うようになった。
正志は亜季にとって、気安い先輩だった。
穏和で人懐っこい性格は近付きやすかったし、本という共通の話題があったため、会話にも
困ることはなかった。
部活や委員会のような組織に入っていない亜季にとっては、唯一親しい先輩だった。
そういった『先輩後輩』の関係は亜季には新鮮で、とても楽しく嬉しいものだった。
しかし、
「亜季ちゃん」
もう一度、正志は名を呼んだ。
亜季は顔を上げ、真っ直ぐ相手を見つめる。
眼鏡の奥の目は穏やかながらも真剣で、唇は真一文字に結ばれている。緊張が強く窺えた。
亜季は軽く息を呑む。緊張を移されたみたいだ。
正志は静かに口を開いた。
「急に呼び出してごめん。でも、来てくれてありがとう」
「いえ……」
亜季の方があるいは緊張しているかもしれない。返事もそっけなくなってしまう。
「……えっと」
「はい……」
「……亜季ちゃん」
「……はい」
「ぼくは……君が好きだ」
「…………はい」
頷く。喉が微かに震えた。
予想していたことだから、前置きなく単刀直入に言われても取り乱しはしなかった。だが
やはり驚きは隠せず、亜季は相手を見返すのが少し辛かった。
「初めて会ったときは何も思わなかったけど、話をして君を知っていくうちにぼくはなんだか
嬉しくなっていった。穏やかに本を読む亜季ちゃんを見るのが好きで、当番の日はいつも君を
待っていた」
「……」
「君と同じ本を読むのが楽しかった。本の話ができて嬉しかったし、共通の趣味を持てること
がすごく嬉しかった」
「……」
「ぼくは君が、とても好きです。だから、もしよければ、ぼくと付き合って下さい」
はっきり想いをぶつけられた。
もし図書館などで準備なくいきなり言われたら、きっと石か何かで頭を殴られたような
衝撃に襲われただろう。しかし、準備できていても、亜季の胸には鉛のように鈍く重い思いが
広がったに違いない。
実際、今その胸には、立っているのがやっとの苦しさが渦巻いている。
それでも逃げるわけにはいかないのだ。
勇気をもらったから。
「先輩……ごめんなさい」
亜季は深々と頭を下げた。
「先輩のことは嫌いじゃありません。全然そんなことなくて……むしろ先輩に好きって言われて
嬉しいくらいです。でも、その気持ちに応えることはできません」
「……」
「私、他に好きな人がいるんです。だから、先輩と付き合うことは……できません」
言い切って、途端に苦しさが増した。
相手の想いが真剣だとわかっているから、こちらも真剣に答えなければならない。応え
られないが答えなければならない。
亜季の答えは、断ること。
他人主義の彼女にとって、それはとても苦しいことだった。
それでもそうしなければならない。自分のために。正志のために。そして、幼馴染みのために。
すると、正志は微かに目を細めた。
「ああ……それは、しょうがないよね……」
僅かに言い淀む声は寂しそうだ。
「ごめんね。変なこと言って困らせて」
「そんな! 変なことだなんて」
憂いの色が隙間から覗く正志の表情は、目を逸らしたくなる程に寂しい。
亜季は目を逸らさなかった。
悲しいことを言わないでほしい。亜季は、嬉しかったのだから。
「……すごいです。先輩は」
「え?」
「想いを伝えるって勇気がいりますよ。私にはそんなの……だから、先輩はすごいです」
正志は目をしばたき、それからおかしそうに微笑んだ。
「ちゃんと断れたじゃない」
「え?」
「ぼくの告白をちゃんと断った。それも、勇気のいることだと思うけど?」
正志は茫然とする亜季にただ笑いかける。
「本当はさ、ちょっと期待していたんだ」
「何、を?」
「亜季ちゃんが断らないことを。君が頼み事を断らない子だっていうのは、この半年で十分
わかっていたからね。だから、結構期待してた」
「……」
「でも、そんなことはなかった。君は決して受け身な人間じゃないし、自分の意思を通せる
強い子だ。だから、亜季ちゃんはすごい娘だよ」
「……」
真正面から褒められて、亜季は思わず赤面した。
正志は微笑んだまま亜季を見つめている。
「で、その相手って?」
「へ?」
「亜季ちゃんの好きな相手」
「え、あ、その、……お、同い年の幼馴染み、です」
「ああ、前話してた子か。うまくいくといいね」
「は、はい」
亜季は頷くと、もう一度頭を下げた。
「もういいから、先に行って。ぼくはもう少しここにいるよ」
「……はい」
ゆっくりと足を逆方向へ返して、亜季は背を向ける。
そのとき、最後の声がかけられた。
「明日も、図書館に来てくれるかな……?」
不安げな問いかけは先程の告白よりも遠慮がちだった。
亜季は顔だけ振り返り、言った。
「……またおすすめの本、教えてくださいね」
笑顔でそう答えると、正志は救われたような、ほっとしたような顔で、「うん」と頷いた。
◇ ◇ ◇
亜季は歩きながら昔のことを思い出していた。
雪成と出会ったのは四歳の頃。
初めての異性の友達は、ちょっとだけひねくれていた。最初亜季が挨拶しても、目を合わせずに
軽く頷くだけだった。
元々の性格もあっただろうが、仕事で親が夜遅くまで帰ってこないのも、一つの要因だった
のかもしれない。
そこで亜季は自分の家に雪成をよく招いた。
最初は嫌がっていた雪成も、次第にそれを受け入れていった。二人は一日のほとんどを
亜季の家で過ごすようになった。
ときおり見せる雪成の寂しそうな顔を、なんとかしたいと思っていた亜季は、少しずつ
笑顔を見せるようになっていった少年の様子がとても嬉しかった。
早生まれの雪成に対してお姉さんぶりたかった、というのもあったかもしれない。思えば
亜季は、幼馴染みの世話をやたら焼きたがった。
好きなお菓子は一番に譲ってやったし、困ったことがあればいつも助けてやった。
そうすれば少年は、ぶっきらぼうだったけど、必ずお礼を言ってくれたから。
少年を助けてやることが、何かをしてやることが、何より嬉しかったのだ。
でも、それはいつまでも続かなかった。
少年はいつの頃からか、もう少女の助けを必要としなくなっていて、お姉さんぶる必要も
なくなっていった。
それでも誰かのために何かをすることは嬉しかった。頼られることが嬉しく、役に立つ
ことが楽しかった。自分にできることなら、亜季は喜んで引き受けた。幼馴染みはそれを
快く思ってはいないようだが──。
(誰かの役に立つことの嬉しさを教えてくれたのはあなたなのにね)
苦笑が洩れそうになる口をなんとか引き締め、亜季は校門へと歩いていく。
そのまま門を抜けようとして、しかしその真ん中で亜季は足を止めた。
塀にもたれかかるように、幼馴染みがすぐそこに立っていた。
亜季は驚いて、その場に立ち尽くしてしまう。
こちらに気付き、雪成が近付いてきた。
「終わったのか?」
「え……な、何が?」
「……告白されたんだろ。どうだったかって」
「あ、うん……」
亜季は正志のことを思い出して、顔を曇らせた。
しかし雪成を心配させたくなかったので、わざと明るく言った。
「断ってきたよ。うん。先輩も納得したみたいだったし、後腐れなし」
「……そうか」
雪成は安心したような、しかしどこかこちらを案ずるような、複雑な表情を見せた。
やっぱり心配させてしまったのだろうか。亜季は帰ろ、と短く言い、雪成を先導するように
歩き出した。雪成は何も言わず、黙って亜季の横に並ぶ。
横目でちらりと隣を見やる。
相変わらず高いなあ、と内心でぼやく。背を抜かれたのは小学六年の頃だった。中学に
入ったら雪成の身長は一気に伸び、今やセンチで175を数える。
本当にもう、亜季の助けは必要ないのかもしれない。
そんな自分が雪成の側にいるには、どんな立ち位置を取ればいいのだろう。
「……俺さ」
不意に雪成が口を開いた。
慌てて横目を戻そうとしたが、その表情に微かな緊張があることに気付き、亜季は思わず
じっと見入ってしまった。
雪成は軽い呼吸を何度か重ねると、立ち止まって言った。
「俺、亜季のことが好きだ」
亜季の足も止まった。
夕日が雪成の顔を朱に染めている。きっと自分の顔もそうだろうと、亜季は思った。
赤面していたとしてもこれならごまかせるかも、とずれたことを思った。
雪成は軽く髪をかき上げる。手が微かに震えていたのは気のせいじゃない。
「……今、言うの?」
「今じゃなきゃ、決心が鈍りそうだったから」
亜季は呆れ笑いを向ける。
「……昼休みのときに言ってほしかったんだよ?」
「……悪かった」
「……私が先輩のところに行くとき、止めようとは思わなかった?」
「資格がないと思った。十年以上何もしてこなかった俺に、止める資格なんてない」
資格。そんなもの、どうだっていいのに。
「そういうときは、強引になってもいいんだよ。少なくとも私に対しては」
「……悪い」
「ううん、嬉しいんだよ。私の知ってる雪成くんはもうちょっとひねくれていて、自分の気持ち
なんて素直に言葉にするような人じゃないもの」
「……」
不満そうな目を向けられたが、文句は来なかった。自覚はあるらしい。
「だから嬉しい。自分の気持ちを真っ直ぐ伝えてくれて」
「……」
沈黙する雪成の手を亜季はそっと掴んだ。
「断るのって……辛いんだね」
「……」
「先輩の告白を断って、すごく心が苦しかったの。人の好意を受け取らないのが、こんなに
苦しいなんて、知らなかったよ……」
「……」
「本当はすごく迷った。先輩は本当に優しくて、とても仲がよかったから。でも……でもね、
昼休みに雪成くんの慌てる姿を見て、やっぱり断らなきゃ、って思ったの。雪成くんに慌てて
もらえるくらいには、私も好かれているのかもしれない、って思ったから」
「……」
「雪成くんの気持ちが少し見えた気がして、勇気もらったから」
自惚れた気持ちかもしれない。それでもよかった。
亜季は、やっぱり、
「私ね、ずっとあなたの支えになりたかった。あなたのお姉さんとして、ずっと。でもそれも
終わり。あなたの恋人になるには、姉弟じゃだめだから」
「……お前、忘れてるんじゃないだろうな?」
雪成が眉をしかめて言った。
「……え?」
「昔、最初に言っただろ。俺に姉はいないって。姉はいらないって」
「……」
「もし覚えてるなら、あれの意味……今ならわかるだろ?」
「……雪成、くん」
幼馴染みは顔を背ける。恥ずかしそうに、ぷいっと。
亜季が雪成を恋愛対象として見るようになったのはいつのことだろう。
たぶん小学生のときだ。彼が亜季の助けを必要としなくなって、そのうち背も追い越されて、
姉弟である必要がなくなっていった頃。
しかし雪成は、それよりもずっと前から亜季のことを想っていたのだろうか。
『……ぼくにおねえちゃんなんていないよ』
『だーかーらー、わたしがかわりにおねえさんするから』
『そんなのいらない!』
『わたしはおとうとほしいよ? なんでもきいてあげるから、なんでもいって』
『いわない!』
亜季は、泣きたくなった。
「……バカ」
うつ向く亜季に、雪成は囁く。
「かもな……ごめん」
「違う……バカは私。そんなに前からそういう風に見ていてくれたことに、なんで気付かな
かったんだろう、って」
「ずっと言わなかった俺も似たようなものだ」
「……うん。あなたはいつだってひねくれているものね」
亜季は掴んだ手を胸元に引き寄せると、それを包み込むようにぎゅっと抱き締めた。
「でも、そんなあなたが大好きです」
彼の想いに応えたい。自分の気持ちを伝えたい。抱き締めるその手の温もりを通して、
少しでもその気持ちが彼に届けばいいと思った。
亜季は頭を上げ、笑顔を浮かべた。
雪成もそれに応えるように、優しい微笑を見せる。
「付き合ってくれるか?」
「うん──」
見つめ合い、頷き合う。
亜季は相手の手を握り直して、寄り添うように雪成の横に並んだ。
繋いだ左手の感触は、少しだけ硬く、温かかった。
もうただの幼馴染みじゃない。それが切なくて、嬉しくて、亜季はまた泣きたくなる。
でも泣かない。今はまだ我慢する。帰ってからおもいっきり泣くのだ。それが亜季の最後の
仕事だ。雪成の前で泣かないことが、お姉さんとしての最後の仕事だ。
「帰ろ?」
「ああ」
二人は手を繋いだまま、ゆっくりと歩き出した。
◇ ◇ ◇
「アキー、宿題見せてくれない?」
「うん、いいよ」
雪成は亜季とクラスメイトのやり取りを、席からじっと眺めていた。
亜季は相変わらず人からの頼みごとを断らない。それはもう、亜季の性質として切り放せない
ものなのだろう。
「不満そうだねー、ユキナリくん」
背後から楽しげな声がかけられた。雪成は振り返りもしない。
「別に不満なんかない」
ぶっきらぼうに言葉を返すと、依子は前に回り、雪成の顔を覗き込んだ。
「んー、心配なのはわかるけどね」
「あいつの性格なんだから、もう何も言わねえよ」
「でも心配でしょ?」
「……」
相変わらず人の心を見透かしてくる。雪成はうんざりした。
しかし、依子は続けて言った。
「でも、前とはちょっと違うみたいだよ」
「……違うって、何が」
依子はにっこり微笑んで、促すように左手を差し向けた。
その先には、小さな幼馴染みの姿。
「亜季ちゃん、今日掃除代わってくれない?」
「あ、ごめんね。今日はムリ」
聞こえてきた亜季の言葉に雪成は驚く。
「え? 何か用事あるの?」
うん、と頷くと、亜季はくるりと雪成の方を見た。
目が合って、雪成はドキッとする。
亜季は楽しそうな笑顔で答えた。
「彼氏と待ち合わせしてるから」
えーっ、と驚く女子達の声が響く。
にやにや笑う依子を横目に、雪成は恋人から、真っ赤になった顔を慌てて逸らした。
以上で投下終了です
今回はエロなしですが、次回はエロありで
それでは
>>157 オレ、オマエ、スキ。ツギ、トウカ、マッテル。全裸で。
>>157 GJ!! エロ無しでも全然おk。
はじめてな気がしないけどはじめましてw
次もお待ちしております。
>>157 GJ!! まさかこのスレで貴方の作品に出逢えるとは思っておりませんでした。流石の出来ですね!
次もお待ちしております。それまでには、私も自分の作品を投下出来るよう頑張ります!!
>>157 うっひょうっ
うっひょうっっ
うっひょうっっっ
俺だけだろうか?幼馴染みは主人公より気が強い気がする…
>>164 幼馴染みは大体そんなもんじゃないの?
俺は腐れ縁の幼馴染み(女)が一人いるが
「おめぇ人の心フルボッコにする気?」って思うくらいに
他人(特に俺)に歯に衣着せぬ口きくぞー
>>165 しかし、それは愛情の裏返し。本当は優しくしたいし、優しくして欲しい。
愛したいし、愛して欲しい。
ツンデレスレとこのスレは、うーんと、二卵性双生児くらいの感じ
「キス、しちゃったね」
「ああ」
「恋人同士、だね」「ああ」
恋人同士。改めて確認すると、恥ずかしくて嬉しくて。叫んでしまいたい気分だ。
それに…今のキスで、頬を朱に染めて微笑む姫を見ていたら、俺はもう止まらなかった。
「ヒロちゃん、その…あんまり見つめられると、んむっ…!」
もう一度、今度はさっきより強引にキスをする。
さっきよりも長く、姫が、息苦しくなったのか俺の胸板を押してくるまでくちづけを交わす。
ぷはあっ、と姫が呼吸をする。
落ち着いたのを確認すると、今度は姫の華奢で小さな体をぎゅっと抱きしめる。
姫は驚いて一瞬体を強張らせるが、すぐに背中に腕をまわして抱きしめ返してくれた。
「ごめん姫、俺もう無理だ、止められない」
言うが早いか、姫のセーターをめくってブラウスをスカートから引っ張り出し、隙間から両腕を突っ込んだ。
「ひゃああっ!ちょっとヒロちゃっ、なにすっ、あっ…んぅっ…!」
突然の行動に驚いた姫だったが、俺がブラジャー越しに軽く胸を揉むと、体を強張らせた。
そのまま、胸を揉むというか、さすりながら言う。
「なにって、わかるだろ。恋人同士がすること、もうひとつあるだろ?」
「でも、えと、はうぅっ…そういうのは…っ、もっと、段階を重ねて、ステップアップしてから…んっ…」
さわさわと内側に向けて円をえがくように姫の胸を揉みしだく。
「んっ…ふぅっ…は…っ…ひぁ…」
姫の、我慢しているのだろうが押さえ切れず漏れてくる艶っぽい声が俺を高ぶらせる。
なにより、自分が好きな人を気持ち良くさせていると思うと、嬉しくてたまらない。
「ヒ、ヒロちゃっ…うあぁ…っ、気持ち、いいよぉ…」
「俺も…姫の声聞いてたら…興奮してきた…
姫の身体、もっと見てみたい。触りたい」
「んぅっ…ヒロちゃんなら、ボクのっ、ぜんぶ、好きにしていいんだよ、っ」
「そんなこと言われたら、やばいって…」
胸を揉む内に、俺の高ぶりに応じて俺のペニスも制服のズボンを破らんばかりに膨らみ、痛いぐらいに堅くなっていた。
まだ早いだろうか。お互い初めてだ、もっと馴らしたほうがいいだろう。
早くこいつを突き入れて一つになりたい。尽き果てるまで犯しつくしたい。
理性と欲望が激しく渦を巻く。爆発してしまいそうだ。
理性がかき消えそうになる。
ブラジャーをたくしあげ、現れたかわいらしい乳房に乱暴にむしゃぶりつく。
先ほどからの愛撫で既に乳首は勃起している。俺はなめ回したり甘噛みしたりしてそいつをいじる。
「あぁっ、ヒロちゃっ、いきなりっ、はげしすぎぃっ、んん〜っ!」
「姫っ!姫ぇっ!」
乳房への責めを早々に切り上げ、スカートに手をかける。
「あっ!ヒロちゃっ、ダメぇ!そっちはまだ早いよぉっ!」
姫の抗議を無視し、スカートをめくりあげる。姫の股間には、ブラとおそろいのかわいらしいピンクのパンツ。
しかしてそこは、既にびちょびちょに濡れそぼっており、大洪水といった状況だった。
「姫、お前…」
それを見て、理性を失いかけていた自分を揺り起こす。
「見ちゃやだよ…ボク、胸だけでこんな…ううん、キスだけで…濡れ、ちゃった」
おそらく感じやすい体質なのだろう。恥ずかしそうにそう打ち明ける。
「ボク、初めてなのに、こんなっ…ヒロちゃんにいやらしい女だなんて思われたくないのに…」
ああ、なるほどそういうことか。こんなに敏感だと知られたら軽蔑されると、嫌われると思ったのか。
「そんなことない。いやらしくなんかない。俺は、姫がこんなに喜んでくれて嬉しい。
それに、そんなことだけで嫌うほど短い付き合いじゃないだろ?俺がそんな奴じゃないって、姫が一番よく知ってるだろ?」
「ヒロちゃんは、優しすぎるよ…」
「俺が優しいのは姫にだけだよ」
「ねえヒロちゃん、さっきからきついんだよね?辛そうだもん。ボクはもう、いいよ…?」
「それはそうだけど、本当にいいのか」
「だいじょうぶだよ。ボクも、ヒロちゃんのが欲しい、一つになりたい」
「じゃあ、いくぞ…」
「うん」
下着に手をかけ、するすると下ろしていき、足から引き抜く。置場に困ったが適当に床に放っておいた。
俺もズボンのベルトをはずし、ズボンとトランクスをまとめて下ろす。
俺の屹立したペニスを見て、ひゃ、と姫が小さく声をあげる。
濡れそぼった姫の秘部に触れ、軽く指で弄ぶと、どんどん愛液が溢れ出てくる。
これならもう本当に前戯は必要なさそうだ。
俺はその液をペニスに塗りたくり、潤滑油がわりにする。
「えと、その…こんどーむは、つけないの?ボクたちまだ高校生だし、デキちゃったら困る、よ?」
「こんなことになると思ってなかったからな…あいにく用意してない。
どうしてもダメだっていうなら仕方ないさ。俺はそれに従うよ」
「でもボクもヒロちゃんも、準備万端だよ?ヒロちゃんが中途半端なの嫌いなの、知ってるもん」
「まあな…しょうがない、避妊できるかは運だけど、中に出さないように善処するよ」
「ヒロちゃんと、生でつながるんだ…こわいけど、それもいいかも」
「怖いこと言うなよ…まあいい、いくぞ?」
姫が足をゆっくりと開き、完全に受け入れる体勢となる。
「ヒロちゃん、きて」
「姫、今のお前すごくかわいいよ。陳腐かもしれないけど、世界中の誰より君を愛してる。」
「へへっ、恥ずかしいこと言うんだね。…ボクも、同じだよ。愛してる。」
「うん…じゃあ」
開かれた足の間にある秘裂に、自分自身のそれを近付けていく。
そこに触れると、くちゅ、と卑猥な音が鳴る。それだけで射精してしまいそうだった。
姫はきつく口を結び、目を閉じている。その瞬間に備えているのだろう。
徐々に挿入していくが、姫は必死に声をあげずに快楽に耐える。少し挿入しただけでその熱さときつさで一気にはち切れそうになった。が、俺も必死にそれを押さえ付ける。
少し奥で、引っ掛かりをとらえた。おそらく処女膜だろう。じわじわ痛め付ける趣味はない。一度入口まで引き抜き、もう一度一気に突き入れる。
ぶち、という音と共に軽い出血。
覚悟していたその瞬間に、姫はのけぞって痛みを訴える。
俺は姫の頭をこちらに向かせ、唇を重ねる。
「んふうぅっ、うっ、ぐぅっ!」
キスしているから声はあげていないが、苦しそうな表情と吐息からその痛みの激しさは伝わってくる。
俺は一度唇を離す。
「大丈夫か!辛かったら、いつでもやめるからな!」
「だいじょうぶ、すごく痛いけど、信じられないくらい辛いけど、ヒロちゃん、と、一つになった証だから!」
「姫華ぁっ!」
こらえられない。
これ以上美しいものなんかあるものか。
もう絶対に離さない。ぎゅうっ、と強く抱きしめる。
「ヒロ、ちゃん…そろそろ、動いていいよ…」
「もう、いいのか?」
「うん、ボクも、気持ちよく、なってきた…ヒロちゃんが…ボクの中にいるって、わかるよ」
「じゃあ、最初はゆっくりいくからな…」
少しずつ、姫が辛くないように本当にゆっくりと前後に動く。
動くたびに、ぐちゅぐちゅと淫靡な音が鳴り、俺も姫も興奮が高まっていく。
「ふぁっ…ぃうっ…んんんっ…ひゃあっ…」
「ぐっ…くう…きつい、な…姫の中」
「やぁっ…ヒロちゃんの、中で擦れてる…すごく、あつい…」
「ごめっ、やっぱ無理だわ…姫、気持ち良すぎる」
「ボクも、もっと気持ち良くなりたい、もっと激しくして!」
言われなくても。
体勢を変え、姫の太股を掴み、持ち上げて激しいピストン運動を始める。
今までとは比較にならない快感が襲ってくる。長くはもたないだろう。
「姫っ、俺っ…そろそろ、イキそうだっ…!」
「ボクもっ…!一緒に、ヒロちゃんと、一緒に!」
ラストスパートをかけて、絶頂へと駆け登る。
ぱんぱん、と腰がぶつかる音が響く。もう、駄目だ!
「くぁっ!姫華っ!」
「あっ、あっ、ヒロちゃん!ヒロちゃん!」
「出るっ!」
「んっ、ああぁーっ!」
マズい、と発射寸前にペニスを引き抜く。
ほぼ同時にイっただろうか、少し中に出したかもしれない。
「はぁっ、はぁっ、大丈夫、か、姫…っ」
「へへっ、ちょっと、大丈夫じゃないかも…しばらく立てそうにないよ」
「そ、そんなにか…お前、ホントに処女かよ…」
「はじめてだから、慣れてないから余計に、きちゃったんだよ」
「そういうもんかぁ?…っと、ごめん姫華、その…ちょっと、中に出ちまったかも」
「もしデキちゃっても、きっとお父さんたちなら許してくれるはずだよ。
それに、これからだってずっと一緒だもん、だいじょうぶ」
「まあ、そう言うなら…でも今度する時は、ちゃんと避妊しような」
「もう次の予定なんて…けだものだね!」
「うるせえなっ!姫が、かわいすぎるんだよ!」
「面と向かって言われると照れちゃうなあ…でも、ヒロちゃん、カッコイイよ」
「へっ、動けないんだろ、しばらく寝てろ」
「そうさせてもらうね」
ティッシュで事後処理をし、服装を正す。そして、姫華に布団を被せる。
と、不意にドアをノックする音が響く。
「ちょっとヒロー!?さっきからガタガタうるさいよー?
それに変な声も聞こえるしー?」
やばい、姉さんだ!待て、今はマズい!
「なんでもない!今静かにさせるから!」
「ん?誰か来てるの?」
ガチャ。
「あ。」
「あら姫華ちゃん。ん?んん?あれれれー?」
二人して真っ赤な顔。
ゴミ箱の大量のティッシュ。
隠せない性交後の淫臭。
そして、床に落ちてる姫華のパンツ。
もう駄目でした。
「あらあら邪魔しちゃったわねあとは若い二人に任せるからどうぞごゆっくりー♪」
「まっ…ちが…姉さん!」
楽しそうにドアを閉めその場を去る姉。
ちょっと待てなに「おかーさーん!ヒロがー!」とか言ってる!
「あああ…」
「いいじゃん、いつかは言うんだし。気にしなくていいよ!」お前は、気楽でいいなあ…
おわり
あっ、
>>169の後にこれ入ります、スイマセン
「さっき言ったろ。もう、止められないってな」
「うぅ〜…!で、でもね、もうちょっと、えと、優しく、して欲しいよ…」
軽い愛撫で上気した頬と、潤んだ瞳で姫はそう懇願する。
でもそんな顔されたら、もっと乱暴にしたくなるのが男ってもんだ。
でもさすがにいきなり嫌われたくない。一度ブラウスから腕を抜き、服に手をかける。
セーターをたくしあげ、ブラウスのボタンを下から外していく。ほどなくピンク色のかわいらしいブラが露出する。
「え…あの、その、着たまましちゃうの…?えと、そういうのって、お互いはだかでするんじゃ」
「ごめん、俺の趣味」
「ヒ、ヒロちゃん…変態さんだぁ」
ぐっ…着衣H程度で変態扱いか…これじゃ先が思いやられる…。
じゃなかった、今は続きをしよう。
「い、いくぞ」
「う、うん。きて」
なんか確認をとると恥ずかしい。
そして、ブラジャーの下から手を入れ、今度は直に胸に触れる。
「ひあぁっ!!」
「うあっ、どうした!だ…大丈夫、か?」
「ヒ、ヒロちゃんの手が冷たくて、ちょっとびっくりしちゃっただけ。だいじょぶ」
「そ、そうか。」
「うん。うん。だから、つ、続けて…」
いきなり大声あげる
以上です。一気に書いたから誤字脱字ほかおかしなところあるでしょうがご容赦を。
もう二度と書けません。
告った子との決着篇でも書こうかと思ったけど無理っす。
これでおわれ
>>176が途中で切れちゃってる…
たびたびスイマセン
いきなり大声あげるからこっちもびっくりした。
でも変だな、さっきもみ合って俺の体温、上がってるはずだけど…
「姫の胸…あんまり大きくないけど、すっげえ柔らかいな」
「き、気にしてるのに!いいもん、発展途上…ボクにはまだ将来が…」
生きてきた中で一番柔らかいかもしれない。女の子っていいな。
そんな事を考えつつ、そろそろ本気で胸をかわいがってやることにした。
>>177 乙&GJ!!!
> もう二度と書けません。
次は別のキャラ/シチュでってことですね。わかります。
> 「ごめん、俺の趣味」
ヒロちゃんとは魂の友になれそうだw
GJ!!
素晴らしく萌えました。姫可愛いよ姫。
次の投下待ってますぜ。
ほ
前にcan't stop〜って感じの名前のSSってありませんでしたっけ?続きが気になるんですが...
>>182 多分スレ違いの上完結してたような。
保管庫行って見れば?
>>182 純愛スレの方の作品かと
最近はないようですが、去年の末に続き来てました
エロパロ板保管庫にありますので、そちらへどうぞ
あれは完結してたのか。
純愛スレは最近行ってなかったけど気にはなってたんだ。
好きだったSSもう一回読みたいと思ってもどのスレのやつだったっけ?
って悩む事けっこうあるよね
>>187 あるあるww
そんな作品に限って保管庫無+dat落ちとかorz
空ageするな
ケイタとアキラは、通う小学校は違ったけれど、ずっと仲の良い親友だった
ところが、中学生になって同じ学校に入ったら、ずっと男だと思ってたアキラが、スカート穿いてて実は女の子だった
驚くと同時に、可愛らしい異性として、激しく意識してしまうケイタ
幾夜も眠れない夜を過ごした彼は、ようやくアキラに告白する決心を固めた
そしてその夜
久しぶりにグッスリ眠るケイタは、アキラの夢を見る
恋人になった二人は、いよいよ初エッチ
ケイタがアキラのあそこに手を伸ばすと、そこにはなぜかチンコがあって−−
ってところで目が覚めた
その夢に混乱して、結局告白出来なかったケイタであった
ケイタとアキラは、通う小学校は違ったけれど、ずっと仲の良い親友だった
しかしアキラは6年生の春に初潮を迎え、自分が女の子であると自覚を持つようになった
そして自然に、ケイタのことを好きになってしまう
しかしケイタはアキラのことを男だと信じており、友情が壊れることを畏れたアキラは、女だと打ち明けることが出来なかった
そして小学校を卒業し、同じ中学に進んだとき、スカートをはいた制服姿で、ケイタに女の子であることを白状した
そのままアキラは、ケイタに告白しようと思ったがやめた
彼が激しく動揺しているので、すこし日を置いてからにしょうと決めたのだ
だが、やはりケイタとの関係はギクシャクしてしまった
どうやらケイタは、女の子になった親友に、付き合い難さを感じているようだった
アキラはこのままケイタと疎遠になるのを畏れて、いよいよ告白を決意する
そしてその夜
久しぶりにグッスリ眠るアキラは、ケイタの夢を見る
恋人になった二人は、いよいよ初エッチ
ケイタがアキラのあそこに手を伸ばすと、そこにはなぜかチンコがあって−−
ってところで目が覚めた
その夢に落ち込んで、結局告白出来なかったアキラであった
193 :
名無しさん@ピンキー:2008/04/13(日) 14:55:38 ID:PLpNUcyv
ほ
し
の
る
わ
ん
だ
ルワンダとブルンジの並びを見て一言↓
ハーフの二人が幼馴染なんですね。わかります。
203 :
名無しさん@ピンキー:2008/04/20(日) 16:09:56 ID:TX/cIHvp
204 :
名無しさん@ピンキー:2008/04/20(日) 16:46:31 ID:VxUml9N8
ほ
し
い
幼
馴
染
なんか餓えた獣の叫びが聞こえてくるようだ。
ほ
さ
か
CV:小野大輔
ヘンタイですか。
予想通りの結果になって俺は大満足
おはようございました。かおるさとーです
約三週間ぶり、このスレは二度目ですね
以下に投下します。
>>143-156の後日談的なものを
エロあり、というかエロ編です
『続・断らない彼女』
ある日曜日のこと。
田中亜季は部屋の真ん中で緊張していた。
六畳間の一室。小さな座卓の前にちょこんと座り、彼女は部屋の主を待っている。
勉強机と大きなベッド。壁に張り付くように置かれたタンス。タンスの横の押し入れ。
他には座卓と、二つの窓。
高橋雪成の部屋は、そんな簡素さに満ちた部屋だった。
小学生の頃までは何度も訪れていたが、ここ最近は全然だった。
部屋の雰囲気は昔と変わっていない。
机の位置が変わっていたり、ベッドのサイズが大きくなっていたりと、確かに部屋自体は
変化している。しかしシンプルな雰囲気は昔のままである。
亜季は懐かしい気持ちになった。ここにはちゃんと昔の空気が残っている。
外は雨が降っている。
冷たく聞こえる雨音は、静寂を生み出すような気配を伴った矛盾の音だ。
この雨のせいで──おかげで、亜季はこの部屋にいる。
今日は本来デートのはずだったのだ。ところが秋雨前線の余計な頑張りで、何度目かのデートは
中止になってしまった。
……いや、正確には中止ではない。
「お待たせ」
ドアが開き、幼馴染みが姿を現した。烏龍茶の入ったグラスを二つ、盆に載せている。
「う、うん」
亜季は腰を浮かせたが、雪成がそれを制した。盆を卓の上に置き、グラスを一つ亜季に差し出す。
「あ、ありがとう」
声が微かに震えた。
このような状況を作ったのは、実は亜季の方だった。
雨が降っただけでデートがなくなるのはあまりに残念である。なんとか代わりの案を出そう
として、思い付いたのがこれだったのだ。
『家、行ってもいい?』と亜季がメールをすると、雪成は案外簡単にOKしてくれた。
随分とおもいきったことをしたなあ、と亜季は他人事のように振り返ったが、これは確かに
自分が望んでいることだった。
なんというか、『いろいろと』望んでいる。
二人が付き合い始めて一ヶ月になる。
互いを好き合い、順調に仲を深めてはいる。デートを幾度も重ね、学校の昼休みには一緒に
亜季の手作り弁当を食べるようになった。
それはそれで幸せなのだが──そこから先の段階に、二人は踏み込んでいなかった。
まだキスさえしていないのである。せいぜい手を繋ぐ程度の接触しかなく、亜季は少し
焦れったく思っていた。
最大の原因は雪成が奥手すぎることだろう。雪成は亜季を大事にしてくれるが、それゆえに
どこか積極性に欠けていた。
別に急がなくてもいいとは思う。しかし、思春期の男の子ならもう少しそういうことを求めても
いいと思う。
亜季は雪成の彼女なのだから。
「……」
亜季は烏龍茶を一口飲んだ。液体は渇いた喉を潤し、高鳴る胸の奥へと落ちていく。
(うあー……私、緊張してるよ……)
すぐにまた喉が渇く。唾が呑めなくなる程に口の中はカラカラで、鼓動のリズムも激しい。
そっと顔を上げる。
対面に座る雪成と目が合った。
(!)
ふい、と目を逸らす。
意識過剰かもしれない。しかし意識してしまうのを止められない。
「……そんなに緊張するなよ」
呆れたように雪成が言った。
うつ向いて亜季は答える。
「して、してないよ」
「どもるなどもるな」
「うう……」
「なんにもしないから安心しろ」
雪成は苦笑する。
亜季はその言葉におもいっきり眉を寄せた。
「……な、なんだよ」
亜季の睨みに雪成はたじろぐ。
「……二人っきりだよ」
休日にも関わらず、雪成の両親は仕事で出ている。
「……ああ」
「何もしないの?」
「……何も、って、何を」
「……わかるでしょ?」
亜季は真っ赤な顔で雪成を見つめる。
「私は……したいよ」
「……」
「手をつないだり、抱き締め合ったり、キスをしたり……そ、それ以上も、私……」
「……」
雪成は答えない。しかし表情を見るに、慌てているのは一目瞭然だ。
亜季はなんとか心を落ち着かせようと、大きく息を吐き出した。
「……たぶんね、私、わがままになっちゃったの」
「……」
「雪成くんの彼女になれてすごく嬉しいの。幸せで、毎日が楽しくて、ずっと浮かれてしまう。
でも……同時に不安なの。ちゃんと私、彼女できてるかなって」
「……」
「私、魅力あるのかな、って……」
亜季の声はだんだん小さくなり、最後にはずいぶんとか細いものになってしまった。
「……どこがわがままなんだよ」
「だって、『足りない』って思っちゃうんだよ? もっともっと雪成くんに近付きたい、
愛されたいって思っちゃって、気持ちが抑えられないの。こんなの初めてで、私……」
亜季は溢れ出る想いに流されるように、心情を吐露する。
ずっと「お姉さん」として雪成の側にいたのだ。だから亜季は、雪成のために何かをすることは
あっても、自分の欲や願望のために何かをすることはほとんどなかった。はっきり表に見せる
ことなどありえなかった。
しかし今の亜季は、確かに自分のしたいことを主張している。
それはお姉さんではなく、恋人としての立ち位置。
その主張の内容はかなりアレだったし、亜季自身恥ずかしくて仕方なかったが、抑えることなど
できなかった。
「……だから雪成くんも、もっと……」
熱で浮かされたような目で、亜季はじっと雪成を見つめた。
すると、雪成はすくっと立ち上がり、亜季のすぐ隣に寄ってきた。
「……ゆき」
名を呼ぼうとした亜季の口が、「な」で止まる。
雪成がしゃがみこむや、亜季の体を抱き締めたからだ。
力強い抱擁だった。背中に回された両手は、どこか焦るように荒々しく、亜季にしがみついてきた。
胸が遠慮なく押し付けられる。
「……どう、したの」
かろうじて、それだけを訊く。
雪成は小さく呟いた。
「限界だ……」
「え?」
「いくらなんでも反則だろ」
何が、と問おうとして、その言葉は発せられなかった。
雪成の唇が亜季の唇を開かせなかったからだ。
「ん──」
抵抗はしなかった。受け入れたわけではなく、突然のことに体が動かなかっただけだった。
唇が離れる。温かい感触が消える。
雪成の目がじっと亜季を見つめてくる。いつもの優しい印象はなく、野生動物みたいだと
亜季は思った。
そのときになってようやく、自分が雪成に求められていることを理解した。
「ゆ、雪成くん」
「もう止まらないからな」
雪成のノンストップ宣言に、亜季は顔を真っ赤にしながらもこくりと頷いた。
◇ ◇ ◇
ベッドの上で仰向けになった亜季は、高鳴る鼓動の音を内に聞きながら目の前の相手を見つめた。
覆い被さるように上から見下ろしてくる幼馴染み。ベッドに着いて体を支える両手は亜季の
肩口近くにあり、まるで格子のようだと亜季は思った。
しかし嫌悪はない。緊張と高揚が入り混じり、熱っぽくなっていく感覚が少し心地よい。
雪成の顔が近付く。睫毛が長い。鼻筋が真っ直ぐ通っている。恰好いいとか綺麗とかそういう
感想はなぜか出てこない。
思ったのは──愛しい。
それだけで、この状況を受け入れるのには充分だった。
雪成は亜季の頬に手を添えると、ゆっくりとキスをした。
さっきのような荒々しいキスではなく、いたわるような優しいキスだった。口唇が柔らかく
亜季を撫でる。
亜季は一瞬どうしようか迷った。こちらも積極的に応えるべきかどうか。
しかしその間に雪成の唇が離れる。亜季は「あ……」と声を洩らした。
「……不満か?」
「!」
顔が熱くなる。でも、それは雪成の勘違いだ。不満とかそんなんじゃ、
……本当に勘違いなのだろうか。
答えを返す間もなく雪成の口がまたくっついてきた。
さっきよりも深く繋がる感触。海に溶け込むような心地よい安心が広がっていく。
勘違いではないかもしれない。繋がっていることに、こんなにもほっとするのだから。
亜季は相手の背中に手を回して、自分から深く求めた。
雪成の口が細かく動いた。唇に生温かい何かが触れる。
(舌が、)
亜季の弛緩していた体が一気に強張った。唇を舐め回していたかと思ったら、隙間から舌が
ねじ込むように侵入してくる。
「んんっ……」
強引に突破され、無理やり口を開けさせられる。だらしなく開いた口から涎が染み出るように
垂れて、頬を伝って落ちていく。
舌同士が絡み合った。雪成の舌は蛇のようにしつこくまとわりつき、亜季の口内をなぶる。
肉が触れ合った瞬間、亜季はぞくぞくと背中が震えた。
(……こんなに、気持ちいいんだ)
不快感はまるでない。亜季にとって初めてのキスで、ましてやディープキスなど経験どころか
想像さえろくにしたことがなかったが、しかし痺れるくらいの感触は、決して悪くないものだった。
それどころか、
(離れたくない──)
亜季は雪成の体を強く抱き締める。背中のごつごつした肉感が掌を通して伝わってくる。
絡み合う二つの舌は唾液と熱を交換するように密着し、互いの味を求め合った。擦れる歯が、
顔を撫でる息が、興奮を高めていく。
「んっ」
不意に雪成の右手が動いた。左胸を触られて思わず声が出る。感じたわけではないが、驚いて。
雪成の口が名残惜しげに離れた。
「……柔らかい」
何を言うかと思えば、たったそれだけだった。亜季は拍子抜けする。
「私の胸、そんなに大きくないよ」
「でも揉めるぞ」
「……ひょっとして、小さい方が好きとか」
「お前のならなんでも好きだ」
「……」
話している間も雪成の手は止まらない。
左手も同じように動く。両胸を同時に揉まれて、亜季は恥ずかしくなった。
「ゆ、雪成くん……」
「服、脱がすぞ」
両手が胸から少し離れる。ブラウスのボタンが上から順に外されていき、その下のシャツも
捲り上げられた。抵抗する間もなく、胸を包む下着も上にずらされる。
亜季は反射的に胸を右腕で隠した。
「見えないぞ」
不満げに呟かれる。
「ごめんね。いざとなると……ちょっと恥ずかしい」
「さっきも言ったけど、今さらやめないからな」
「……うん」
右腕をおそるおそる下にどける。
乳房が露になると、雪成の息を呑む音が聞こえた。
「……どう、かな」
「……」
雪成は答えない。呆けたようにただ亜季の胸を凝視している。
「いいよ、……触って」
亜季は心持ち胸を張る。あまりボリュームに自信はないが、雪成が好きと言ってくれるなら
もう気にしない。
左胸に、次いで右胸に大きな手が降りる。未成熟な果実をもぎ取るかのように、指が膨らみを
しっかりと包み込んだ。
始めは慎重に。次第にやわやわと大胆に揉まれる。特に気持ちいいわけではないが、なんだか
不思議な気持ちになる。恥ずかしいのもあるが、それ以上に『しょうがないな』という気になる。
「あ……」
乳首を指先で撫でられる。少しくすぐったい。
「ん……んっ」
こりこりと摘まれたり、押し潰されたりする。くすぐったさに自然と声が洩れた。
(ちょっと気持ちいいかも……)
初めての感覚に亜季は戸惑った。
雪成の顔が降りてくる。胸に、その先っぽに、
「ひうっ」
左胸を舌でなぞり上げられた。下から真ん中にかけて、唾液を染み込ませるように舌が伝い、
登頂部で止まる。
生温かい感触が先端を刺激して、亜季は思わず体を震わせた。
雪成の手は休むことなく両胸を揉んでいる。少しずつ力が入っていくのが亜季にはわかる。
決して乱暴な手つきにはならないが、それでも揉むというより揉みしだくといった方が正しい
くらいには強い。
(雪成くん、本当に私を求めてる)
緊張、不安、困惑、羞恥、そんなマイナス感情は確かにあるが、求められていると思うと
少しも苦にならなかった。
右胸から左胸に口が移動する。同時にくすぐったさも左に移る。
「あ……んん……」
普段なら出ない妙な声が、亜季の口から吐息と共に洩れた。
それは雪成も同じのようで、荒い息が乳房に強く当たる。
互いに気が昂っている。亜季にはそれがいいのか悪いのか見当がつかない。
ただ、
「うわっ」
雪成が慌てた声を上げた。
亜季が雪成の頭をおもいきり抱き締めたのだ。
「お、おい、亜季」
「ごめん、でも私っ」
昂ったまま亜季は力を緩めない。
愛しい気持ちが止まらない。胸の奥からせり上がってくる想いに、亜季は逆らえない。
「……怖いのか?」
雪成が心配そうに尋ねてくる。
「違うの、よくわからなくて……」
怖くはない。むしろ、
「たぶん……ううん、きっと、嬉しいの。求められて、愛されて、あなたのものになれることが
とても嬉しくて、こうやって抱き締められるくらい近くにいることも嬉しい」
「……俺もだよ」
雪成は亜季の腕を引き離した。
「でも少しだけ間違ってる」
「え?」
雪成は頭を上げ、真っ直ぐな目で亜季を見つめめきた。
「お前が俺のものになるだけじゃない。俺も、お前のものになるんだ」
「…………うん」
亜季は雪成の頬を両手で挟むと、そっと口付けた。雪成もそれに応え、二人は静かに目を閉じた。
浅く添える程度の、しかし互いを支え合うような和らかいキス。
十秒間の繋がりの後、二人は唇を離した。
「あっ」
亜季の首筋に雪成が舌を這わせた。
「ん、急に何するの」
「おいしそうだったから」
「ムード考えてよ」
「お前のことだけ考える」
「……もう」
頚動脈から喉辺りを強く吸われる。痕が残らないかちょっと心配になるが、今度は耳を甘噛み
されてすぐに余裕はなくなった。
「ひゃあ!」
スカートが捲られた。右手が太股を大胆に撫で回してくる。
「やっ、ああ」
内腿から尻にかけて揉むように触られる。遠慮のない手つきについ声が出る。
指が下着の端にかかった。
「っ、」
するすると脱がされていく。着ているものを剥がされていく度に、どこか心許ない気持ちに
なって、亜季は再び体を強張らせた。
膝辺りまで下着が下ろされ、下半身が部屋の空気にさらされた。
そして、
「──んっ!」
脚の間、一番大事な部分に右手が触れる。指で縦になぞられて、亜季は目をつぶる。
「ちょっと濡れてるな」
不意に耳元で囁かれて、瞬間的に頭が沸騰した。
「バ、バカぁ!」
「おっと、暴れるなよ?」
軽く頬に口付けされる。それからまた指が動いた。
割れ目を優しく撫でられる。他人に許したことのない部位を預けるのはかなり緊張するが、
同時に襲う快感がそれを上回る。
くちゅ、と微かに水音がした。
(は、恥ずかしい……)
羞恥と快感が入り混じる中、雪成の指は止まらない。
ゆっくり慣らすようになぞられる。次第に湿り気が増していくのを自覚する。
やがて、指が膣の中に侵入した。
「ああっ!」
亜季の叫びに雪成は眉をしかめる。
「ひょっとして、自分でいじったことないのか?」
「え? な、い、いじるって」
「ないのか。道理で妙に狭いと思った」
苦笑いする彼氏に、亜季はばつの悪い顔をする。
「やりにくい?」
「なんだそりゃ」
「だって、慣れてる方が楽なんじゃないの?」
「さあ」
雪成はそっけなく返す。
「はっきり言ってよ」
「知るかよ。お前以外の女なんて知らないんだから、やりにくいも何もあるか」
亜季は目を丸くした。
「……雪成くんも初めてなの?」
「……悪かったな」
「だ、だって、さっきからあんなに気持ちよくしてくれるからてっきり……あ」
失言だった。
雪成が嬉しそうに笑う。
「そっか、気持ちよかったのか」
「や、その、」
「これからもっと気持ちよくしてやる」
赤面する亜季の耳に口付けると、雪成は右手をゆっくり動かした。
人差し指が膣内をほぐしていく。入り口から徐々に奥へと潜り込んでいき、内側から肉を
外へと拡げていく。
「ああ……やぁ……」
亜季は新たな感覚に体を震わせた。
大事な人に大事なところをいじられている。その事実だけでもたまらないのに、性的な快感が
強烈に脳を揺さぶってくる。
「あんっ、あっ、ああっ、」
声を抑えることもできない。陰部への刺激に亜季は理性を保てなくなりそうだった。
雪成は亜季の様子を伺いながら、今度は中指も一緒に入れてきた。
二本の指は案外すんなりと入った。濡れすぼった秘壺をぐちゅ、ぐちゅ、とかき回されて、
亜季はたまらず叫声を上げた。
「ふぁあっ! あんっ、ゆきなりくん、そんな……ああっ!」
「そんなに喘ぐなよ。抑え利かなくなるだろ」
「そんなこといわれても……はぁんっ」
亜季は頭を振って堪えようとするが、雪成の容赦ない攻めの前に陥落寸前だった。
中指の腹が膣内の側面を小刻みに擦り上げてくる。亜季は幼馴染みの指の感触に絶頂を迎えて
しまいそうになる。
しかし、その寸前で雪成の指が引き抜かれた。
「んんっ……え?」
突如引いていく波に亜季は戸惑いを隠せない。
雪成は体をゆっくりと起こした。二人の間に空間ができる。
数十センチの距離を隔てて、亜季の視界には雪成の上体がはっきりと映っている。
亜季は消え去った快感に不満の目を向けようとした。しかし雪成がずいぶんと真剣な目を
していたので、途中でやめる。
いや真剣と言うより、なんだか余裕がないような──
「もう入れたい。いいか?」
声がどこか焦っているように聞こえる。
亜季は頷きかけて──首を振った。
「……その前に、雪成くんも服脱いで」
雪成はきょとんとなる。
「……そういえばまだ着たままだったな」
素で忘れていたようで、亜季は呆れのため息をつく。それだけ没頭していたということか。
「ちょっと待っててくれ」
雪成は急いで服を脱いでいく。長袖シャツを捲り上げると、筋肉質な体が姿を現した。
次いでジーンズも脱ぎ捨てる。ベルトの金属音がカチャカチャと、焦るように鳴り響く。
雪成が目の前で服を脱ぐなんて小学生のとき以来である。なんだか懐かしいと同時にこそばゆい
嬉しさを亜季は覚えた。
何でもないことなのかもしれないけど、改めてちゃんと近くにいるんだ、という気がした。
トランクス一枚になった幼馴染みを、亜季はぼんやり見つめる。
「な、なんだよ」
雪成の狼狽する様子がなんだかおかしい。
「だって……」
亜季の目は正面にあるものをしっかり捉えている。雪成の下腹部、トランクスの真ん中の
膨らみをじっと注視している。
「あんまり見つめるなよ」
「雪成くんだってジロジロ見たじゃない」
「……」
急に恥ずかしくなったのか、雪成はトランクスを脱ぐのを躊躇した。
亜季は目の前の膨らみに腕を伸ばす。
「あ、亜季!?」
無視してトランクスをずり下ろす。途中、逞しい突起物に引っ掛かるが、硬直したそれを
うまく外して、亜季は下着を膝下まで脱がした。
ついにというべきか、現れた男根は亜季の想像以上に大きかった。自分の指よりもずっと長く、太い。
亜季の視線に照れたのか、雪成は顔をしかめた。
「……」
亜季は沈黙。
「……何か言えよ」
「……へ? あ、う、うん」
「気持ち悪いか?」
「そんなことないよ。ただ……」
「ただ?」
「……これが私の中に入るんだなって思うと、なんか不思議な感じで」
「……不思議って」
亜季は照れを隠すようにはにかんだ。
「今から私たち、その、……えっち、するんだよね?」
「……ああ」
亜季は小さく深呼吸をすると、姿勢を正して改めて雪成に向き直った。
「優しくしてとは言わない。雪成くんのしたいようにして下さい」
柔らかく亜季は微笑む。
雪成は微かに眉を寄せた。
「それは、俺のためか?」
「私のためだよ。私の『頼み事』」
「……わかった。じゃあ俺は俺のために、お前をできるだけ優しく抱く」
亜季は笑みを深めた。
「ホント、ひねくれてるね」
「うるさいな」
「ううん、それが雪成くんだもの。私が知ってる、優しいひねくれものさん」
そういう人を好きになったのだ。素直じゃないけど、誰よりも亜季を大切に想ってくれる
優しい幼馴染みを。
抱くぞ、と囁かれ、亜季は仰向けに倒れ込んだ。
枕元のベッドの引き出しから、雪成はコンドームの箱を取り出す。一つだけ中身を抜き取ると、
袋を破って自身の逸物に装着した。
その間に亜季は、最後に残ったスカートを脱ぐ。紺色の布地から脚を抜き、ベッドの下に落とす。
そして、準備を終えた二人は互いに見つめ合った。
「じゃあ行くぞ」
「ん……来て」
雪成が慎重に腰を沈めてくる。亜季はどくんどくんと激しく鳴る胸の鼓動に、心臓が壊れるん
じゃないかと思った。
秘部に、彼の逸物が触れた。
「んっ」
体が固まる。反射的に身を縮めようとする。
何かが侵入してくる。指よりもずっと大きな異物が、亜季の中に、
「あっ!」
ずん、と一気に塊が入ってきた。膣口もそうだが、中にひどく響いた。
「いっ、あっ……くうっ」
体を裂かれるような感覚と言おうか。割れ目から奥までを、無理に広げられている。
亜季は声を上げない。
特別我慢する気はなかった。それでも声を抑えたのは、雪成の性格をわかっているからだ。
苦痛の色を濃く見せれば、彼は行為をやめてしまうかもしれない。それだけは絶対に嫌だった。
ちゃんと、最後まで、
「手……」
亜季はか細い声で言った。怪訝な顔をする雪成に、今度は幾分はっきりと、
「手、握って……」
雪成は頷き、指を絡めるように亜季の手を握った。
確かな感触が届き、亜季はほう、と息をついた。雪成の手はごつごつと固く、亜季のそれよりも
一回り大きい。
雪成が心配そうな顔でこちらを見つめている。
「まだ……全部、入ってない、よね」
荒い呼吸を続けながら、亜季は途切れ途切れに言った。
「ああ。半分くらいかな」
「ん。じゃあ、一気に……入れて、いいよ」
「……それで大丈夫なのか? ゆっくり入れた方が、」
「あんまり、長くやられると……そっちの方が、多分きつそう、だから」
「…………わかった。できるだけ早く終わらせる」
亜季は微笑みと共に頷く。
緩やかな腰の動きに合わせて、再び鈍痛が下腹部に響いた。
互いに呼吸を落ち着かせる。亜季は数回の呼吸を重ねてから、ぐっ、と歯を食い縛った。
その瞬間、一息に奥まで貫かれた。
「うああぁっ!」
あまり女の子らしくない悲鳴を上げ、亜季は思わず固まった。
奥がズキズキと痛い。大きなナイフで貫かれたような、未体験の痛みが亜季を襲う。
息が止まりそうになる中、必死に呼吸を重ねて、亜季は痛みに耐える。
「全部入ったぞ」
「……ん」
うまく言葉を出せず、亜季は短く答えた。
「痛いか?」
「……ん。……雪成くんは?」
「きつい」
一言で返される。亜季は不安になった。気持ちよくないのだろうか。
しかし雪成はすぐに付け加える。
「きつくて、締め付けがすごい。予想以上に気持ちいいな」
「……よかった」
涙が滲む目を細めて、亜季は笑顔を浮かべた。
依然として痛みはある。しかし亜季は満たされる思いだった。
痛みと共に雪成を直接感じられる。それが愛しさを増大させて、とても嬉しくなる。
雪成はしばらく動かなかった。
「……動かないの?」
少し痛みに慣れてきた亜季は、ふと訊いてみた。
それに対して雪成は答えなかった。言葉では。
「きゃうっ」
不意に乳首を摘まれて、亜季は叫声を上げた。
「な、何するの?」
「お前にも気持ちよくなってもらいたい」
「え……別にいいよ」
「俺が嫌なんだよ。少しは俺にも頑張らせろ」
雪成は言うと、左手で乳首をいじり回した。
さらに右手を下に持っていき、亜季の陰部の上端を軽く擦った。
「あんっ!」
男性に比べたら遥かに小さい、しかし敏感な突起物を触られて、亜季は声を上げる。
雪成は腰を動かさず、しばらく愛撫に専念した。
「や、あん……ひゃう、ううんっ……ああっ」
小さな胸を撫でるように揉まれる。陰核をこねるようにいじられる。挿入前の愛撫と同様の
快感が亜季の全身を駆け巡り、亜季は激しく身悶えした。
「ふあ、あぁん! やんっ、やんっ、やぁ、あん、ああっ、あんっ!」
声が際限なく洩れる。部屋中に響く淫声に混じって、ベッドが軋み始めた。
「あっ……うごいて」
雪成の腰が少しずつ動く。ゆっくりと腰を引くと、逸物に引っ張られるように膣の中の襞が
激しく擦れた。
亀頭のえらの縁が肉襞に引っ掛かり、亜季は悶絶する。
再び男根が奥まで入ってくる。少し前まで未開だった内部を、亀頭の先端で容赦なく蹂躙される。
「んん────っ!」
緩慢に繰り返される往復に、亜季は悲鳴を上げた。
痛い。確かに痛いのだが、しかし何か違う感覚が痛みの中に混じっている。
亜季はその感覚の正体が掴めず、軽く困惑した。
(わけわかんないよぉ……)
今日一日初めての体験の連続で、亜季の頭は許容量を越えそうだ。
そんな中もたらされた新たな感覚は、妙に意識を蕩けさせるようで、亜季はひどく陶酔した。
「気持ちいいのか?」
その言葉に亜季はようやく自覚する。
(そっか……私、感じてるんだ)
気持ちいい。痛みはまだ強く残っているが、その感覚は小さいながらも明確に存在していた。
亜季は小さく頷く。
「うん……私、気持ちいい」
雪成はよかった、と安心の笑みを浮かべた。
「なら、もうちょっと激しく動くぞ」
腰の動きが速くなる。性器同士の摩擦が一段と激しさを増す。
亜季は痛みに耐えながら、入り混じる快楽に身を委ねた。
「あぁっ! んん、あっ、あっ、あっ、やんっ、んっ、やぁんっ!」
「ふっ、くうっ」
雪成の声も微かに響く。亜季の耳に届くそれは、懸命に何かに耐えているようだった。
「悪い、亜季っ。俺もう限界だ」
「あっ……うん、いいよ。あっ、気持ちよく、んっ……なって」
亜季は雪成の首に両手を回して、強く抱き締めた。
雪成の腰がさらに速さを増した。膣から漏れ出る愛液が、互いの陰毛を濡らして妖しく輝く。
二人の腰が激しくぶつかる。ベッドは壊れそうな程に軋み、スプリングが大きく跳ねる。
亜季はしばらく後に到るであろう幼馴染みの絶頂を、拡散しそうな意識の中でひたすらに待った。
そして、
「あっ、やっ、やああぁ────っ!」
「ううっ」
雪成は微かに呻くと、腰の動きを一気に落とした。
膣内で暴れていた男根が、小さな震えと共におとなしくなる。
亜季は甲高い声を収めると、直後に襲ってきた倦怠感に大きく息を吐いた。
「亜季……」
雪成の力ない声が耳を打つ。
亜季はろくに返事もできなかったが、なんとか雪成の顔を引き寄せる。
「雪成くん……」
どちらからともなく、二人は唇を重ねた。
幼馴染みの温もりを感じながら、このままずっと抱き締めていたいな、と亜季は思った。
◇ ◇ ◇
亜季が目を覚ましたのは夕方頃だった。
外は依然として雨が降っている。静かな雨音が、疲れた体に染み込むような気がした。
隣には幼馴染みの寝顔がある。
穏やかな寝息を立てながら、雪成は眠っている。
寝顔を見ながら、亜季は小さく息をついた。
下腹部にはまだ鈍痛が残っている。
しちゃったんだ、と改めて亜季は行為を振り返った。
ちゃんと最後までできた。めちゃくちゃ痛かったが、気持ちよくもあった。最後の方は軽く
達してしまった。
「……」
嬉しさのあまり、笑いが込み上げてくる。にやけるのを止められない。
さらに嬉しいことに、これはまだ最初の一回目だということだ。これから何度もこういうことが
できるのだ。信じられないくらい嬉しい。
痛みさえなければ、今すぐにでもまたしたいと思う。
(ああ……)
自然とそう考えていることに、亜季は驚いた。同時にそれを嬉しく思った。
最初は雪成の本当の彼女になるためにという意識が強くあった。それは、雪成のものにして
ほしいという面が大きかったためだ。
しかし今は少し違う。雪成を自分のものにしたいと強く思っている。
雪成は言った。亜季は雪成のものになるのだと。そして、雪成は亜季のものになるのだと。
自分達にはそのスタンスが一番合っていると思う。
ずっと長い間、並んで歩いてきた幼馴染みなのだから。
(ならあと一つ、直さなきゃいけないことがあるかな)
一つだけ、ずっとやりたかったことがあるのだ。亜季は心の中でそのイメージを描く。
しばらくして、雪成が微かに身じろぎをした。
亜季はそれを見て身構える。
やがて亜季は、ぼんやりと目を覚ました幼馴染みに向かって、穏やかに微笑んで言った。
「おはよう、『雪成』」
以上で投下終了です。ぴったり10レスで収まったことにびっくりしてます
それではまた次の機会に
>>229 おいおいおいおい!
朝っぱらから何だよ!
テラGJじゃねぇか!
もう学校行けねーよw
某スレでもファンですた
流石です
GJ!
GJ!
自分も某スレからのファンです。
初々しさが伝わってきて、ニヤニヤ止まりません!
gj!
某スレっていうか、かおるさとー氏がSS投下してるスレ一体幾つあるんだよwww
俺が知ってるだけで3つ以上あるww
ほ
し
が
き
あまぁぁぁあああああああい!!!
ワロタww
「このほしがきあまぁぁぁああああい!」
そう言って笑顔を見せる隣家の女の子。
「だろー?」
ふふん、と誇らしげに胸を張る俺。
「じーちゃんが毎年送ってくれるんだぜ!いいだろー」
「いーなぁ・・・。ねぇ、もいっこ頂戴?」
「えー、ダメだよ!さっきのは特別にあげたんだ!」
「けちー」
頬を膨らまし、ジトっとした目で抗議され一瞬たじろいでしまうが、
「ダメなものはダメ!家族の分しかもうないの!」
本当のことを言って諦めて貰うことにした。
「えー・・・。でも、あ、そっか」
残念そうだった表情が一転、何か得心したような顔になると
「じゃあ、お嫁さんになれば好きなだけ食べられるんだね!」
「あなた、お義父さんがこんなに」
妻が俺に実家から届いた荷物を見せてくれる。
「親父も毎年よく送ってくるよなー」
そろそろ来るころだと思っていたが、そのまめな所に思わず苦笑してしまう。
今度礼に孫を連れて帰るか。と思っていると妻は早速そのうちの一つを味見していた。
「お前、本当にそれ好きだなぁ」
少し呆れて言う。毎回俺の倍ぐらい食べるからだ。
「いいじゃない。あの時食べてから大好物になっちゃったんだもの」
美味かったのだろう。最高の笑顔で答えられた。
「食べさせた俺に感謝してほしいね」
「あら、あなたが私に悪戯して泣かせちゃったからくれたんじゃなかった?」
「・・・やなこと覚えてるなぁ」
妻はふふっと笑ってから、それに、と付け加える。
「あなたがくれたから余計に美味しかったのよ。」
照れたように言うのは、もちろん嫁になる!と干し柿目当てで言った女の子である。
勢いだけで書いた。反省はしていない。
いいなw
ちょっと干し柿買ってくる。
245 :
湯泉:2008/05/04(日) 20:16:00 ID:BefZfrC9
言い訳はすまい…ちょっと諸々の事情で二ヶ月程遅れたが投下させて頂く…!
あたしは最近、いつも有頂天だった。理由は簡単。長年の初恋が……叶っちゃったからで。
あ、だめ。自然に顔がにやけてきちゃう。あーもう、こんなことしてないであしたの服装をさっさと決めて
寝なきゃいけないのに。
明日は休日。それで女の子がおめかしする理由は? 答えはひとつ。好きな男の子と出掛ける、つまりは
デートだ。しかも、初デート。初。はじめて。思わず脳内で明日のデートのシミュレートを始めてしまう。
手を繋いで貰って、ちゅーもいっぱいして貰って、もたれかかったりもしちゃって、色んなとこ回って、ご飯も
雰囲気のいいとこで食べて、ちょっとぎゅーっ、てしてもらっちゃたりなんかして……それで、それで、もちろん最後は――
最後は、その……当然……きゃー!
「へ……へくしゅ!」
なーんてバカなことを考えてたらくしゃみをひとつ。時計を見ると既に午前一時。流石に寝なきゃ……
よしと気合いの入っている服、アクセサリーを決め、念のために下着もお気に入りの物を選択、布団に潜った。
明日――じゃないや、今日という日が良い日でありますように……
そして、今のあたしはとても憂鬱だった。
「38度5分」
「うう……」
体温計をもったゆーちゃんがやれやれという表情であたしを見た。
「デートは中止だな。養生しろ」
それについて抗議の声をあげようとするが、力が上手く入らなかった。あたしは風邪を引いて、熱を出し、
ベッドで寝込んでいた。頭ががんがん痛む。寒気がする。咳が出る。喉も痛い。
朝、起きたあたしはもうベッドから抜け出せないほどにしんどかった。時間になっても現れないのを不審に
思ったゆーちゃんに発見され――今に至る。
「ほれ、こいつでも貼っとけ」
ぴた、と額にひんやりした感触。市販の熱冷ましシートだ。
あ、きもちい…
「薬、飲んだか?」
首を横に振る。
「じゃあ、今から薬と、あと色々買ってきてやるから、大人しくしてろ」
ゆーちゃんがそう言って、ぱたんと扉が閉められた。足音が遠ざかっていって、玄関の扉が閉まる音がして、
門の閉まる音がした。
失敗、しちゃったなぁ……あーあ。
しんどいせいか、熱に浮かされているせいか、細かいことが脳裏に浮かんでは消える。
その中で、あたしは昔も同じ様なことがあったのを思い出していた。
……いつぐらいだったか、あたしが同じ様に熱だして、同じ様にお母さんもお父さんも仕事が忙しくて、でも、
やっぱりゆーちゃんがずっと傍にいてくれて。
あの頃くらいかな、ゆーちゃんを本当に好きになったのは。
恋を自覚するのは今から考えると早過ぎかなぁ……でも、仕方ないよね。ゆーちゃん、凄く優しいんだもん。
女の子なら放っておかないよ。ゆーちゃんは気付いてないみたいだけど、女子の間では評判も良いんだよ?
風邪の寒気なのか、そのもしもを想像してなのか、寒気が走る。
もし、ゆーちゃんがあたしじゃない女の子を好きになってたら――
息が詰まるほどの恐怖感。嫌だ。そんなの嫌だ。絶対に嫌だ。胸が苦しい。
「本当に、あの日」
勇気を出して良かった。
心から思う。
『一日中、ゆーちゃんとちゅーしてたい』
あの瞬間から世界がぐるりと変わった。夢みたいに。
「…−…おい」
今がずっと続いて……
「おい、みー」
いつの間にか寝ていてしまったみたいだった。声に気付いて目を開けると、ゆーちゃんが横に立っていた。
「飯、食えるか?」
「う、ん」
掠れた声が喉から漏れる。
「首を振るだけでいいから大人しくしてろって」
ゆーちゃんが苦笑しながら言った。ぽんぽんとあたしの頭を軽く叩く。
たったそれだけで妙に気分が落ち着いてしまうあたしは本当にゆーちゃんがすきなんだな、と思う。
「すぐ作るから。あと、これ買ってきたから飲めよ」
取り出されたのはスポーツドリンク。それをグラスに注いであたしによこしてくれる。ちょっとだけ体を起こして
ゆっくりとほんのり甘い液体を飲み干した。喉がカラカラだったからかとてもおいしい。
ゆーちゃんはそんなあたしを見て、満足そうに頷いて笑って部屋を出ていった。
「あ、はは」
思わず笑い声。あたし、結構おかしいな。ゆーちゃんの笑顔を見ただけで少し幸せな気分になれるだなんて。
しばらくしてゆーちゃんが持ってきたのはおかゆ。具はとき卵だけ。ゆーちゃんに食べさせて貰った。具体的には
ふーふー、あーん、の繰り返し。風邪で苦しいのに顔が笑顔になってしまい、ゆーちゃんに「本当は大丈夫じゃ
ないのか?」と疑われる。だって仕方ないじゃない。その後、薬を飲んだ。「口移しで」と言ったら無言で頭を軽く叩かれた。
小一時間くらい経過すると、薬の効果か少し気分が楽になった。すると、おもむろにゆーちゃんが袋からある物を
取り出した。
「あと、デザートな」
「あ、アイスクリーム! しかもちょっと高いやつ」
「流石にこれは自分で食べるだろ? ほれ、スプーン」
「やだ」
「……は?」
「食べさせて」
「……まぁ、いいけどさ」
釈然としない表情のゆーちゃん。スプーンでアイスをすくって――あたしがそれを止めて言った。
「口移し」
「馬鹿じゃねぇのかこいつ。……あ、しまった。つい心の声が」
「バカ〜?」
「いや、まぁ、うん、その、なんだ。あ、口移しで食べたいんだったな。喜んでさせて頂きますとも。わーい、うれしいなー」
言葉の抑揚の無さが気になったけど、ちゃんとしてくれるようなのでベッドに上半身を起こしたまま、目を閉じた。
いつものように胸のざわめきが激しくなる。
そして、ゆーちゃんの唇があたしの唇と接触した。
251 :
湯泉:2008/05/04(日) 20:29:37 ID:BefZfrC9
とりあえず、今回はここまで。
続きは今日か明日か明後日には絶対に投下するのでよしなに。
自分で言っておいてメチャメチャ遅れてごめんなさい。
おお、待ってたよ湯泉……!
甘いなぁ畜生! 何で俺はお持ち帰りの激辛カレーなんか食ってるのかなぁ!
看病イベントキタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!!!
相変わらずラブラブな二人ですな。ニヤニヤしっぱなしですわw
>>251 口移しなんかしたせいで、風邪をうつされるんですね?わかります。
255 :
湯泉:2008/05/04(日) 21:55:19 ID:BefZfrC9
ちょっとだけおまけ(書いといて忘れてた)
>>247の八行目から分岐
「けほっ、ゆーちゃん、薬なら確か救急箱の中に、あるよ……」
「そうか、まぁ、でも、他にも買うものあるから出かけてくらぁ」
(中略)
「……なぁ、みー、救急箱に薬あることはあったけどさ」
「?」
「これ……座薬だぞ?」
省略されました…全てを読むにはここをクリックしてください。
流石にジャンルが違ってきそうだし、かなり好みが分かれそうなので省略させて頂きました。
実はオシリスキー(スカトロ的な意味合いではない)なんだよォォォォォごめんなさいごめんなさいごめんなs
クリック出来ないぞー。訴えてやるー!
まあなんだ超GJ
壊れんばかりにクリックしたのに展開されない(´・ω・`)
とはいえGoodJob
258 :
湯泉:2008/05/05(月) 18:01:35 ID:k1+5QGLt
なんとかあがったぜ…他に投下する人がいなければ二分後より投下する…!
至って普通の唇の感触。それから、ゆーちゃんの冷たい舌があたしの口腔内に入ってきた。
「――っ!」
声が出た。互いの舌のさきっちょがくるりと絡まる。ゆーちゃんの口に一回入って少し溶けたバニラアイスの味が、
口に広がる。顎がだるくなるぐらいの甘さ。口腔内に溜まったアイスと二人の唾液を音を立てて飲み込んだ。
やがて距離が離れた。離れる時に唾液の糸があたしとゆーちゃんの間に出来た。あたしはそれがなんだか
途轍もなくいやらしい光景に感じた。
うわ……なんか、ゆーちゃんの顔が見れない。なんだろう、何か……胸がむずがゆい。
ごく、と息を飲む音が聞こえた。でも、それはあたしが立てた音じゃない。まさか、と思って、そのむずがゆさも
忘れて顔を上げた。目が合った瞬間、ゆーちゃんが言った。
「……まだあるけど、どうする?」
そう、食べたアイスはまだほんのひとくちだけ。
「残すのはもったいない……よ」
それだけで確認は終わった。アイスを含んで飛びつくように荒っぽく口付けを交わした。ゆーちゃんの背中に両手を
回して服をきつく握り締めた。全身に震えが走る。熱のせいなのかな、なんて、解ってるのにわざと勘違いして見たり。
最初はゆーちゃんがあたしに口移しする一方だったけど、何回かしてから、ゆーちゃんがあたしにくれたアイスを
もう一度、あたしがゆーちゃんの口に送り返すような事もし始めた。
あたし――いや、あたしとゆーちゃんっておかしいのかな……? ううん、きっとおかしいんだろうなぁ……だって、
風邪で苦しいはずなのに口のまわりをべたべたにしながらアイスの食べさせあいっこしてるなんて、どう見ても――
どうみても。
260 :
湯泉:2008/05/05(月) 18:04:55 ID:k1+5QGLt
「ん、く、ふぅっ、はぁっ、ね、ゆーちゃん……?」
「……ん?」
「あたしね、ゆーちゃんが恋人でよかった」
「……なんで?」
「……だって、あたしもゆーちゃんも同じくらいすごいおかしいから……あたしたちはあたしたちじゃなきゃ恋なんて
出来ないと思う」
ゆーちゃんは呆気に取られた表情をした後、笑顔であたしの頭を二回、軽く叩いた。
「……そうだな、俺はみーに染められちまったな」
「……その言い方じゃあ、あたしは最初からおかしかったみたいな言い方なんだけど」
「違うのか?」
「だ、だって、あたしは――」
幼稚園の頃からゆーちゃんに対してひたすらにちゅーをせびっていた自分が頭に思い浮かんだ。
「あたしは……だって」
「うん?」
あたしは思い切って言った。
「だって、ゆーちゃんがすきなんだもん……ずっとそうで、ずっとずっとああしたい、こうしたい、って思ってて、
それで今、やっと夢が叶って、こんな風になっちゃったら、もう、ガマンなんてできないよぅ……」
「……そう、なのか」
「……うん」
そして部屋に広がる微妙な空気。言ったあたしだけじゃなく、何故かゆーちゃんも恥ずかしそうにしている。
二人っきりの部屋で顔を真っ赤にした二人が横目でチラチラ見るというわけのわからない状況が展開される。
は、はずかしーっ! 言わなきゃよかったー!
心の中に手足をバタバタさせて悶えてる自分が描かれるくらい恥ずかしい。
「ま、まぁ、あー、そうだ。残ってるアイスを全部食べようぜ」
照れ隠しとはっきりわかるぐらいゆーちゃんがどもりながら言う。あたしもそれは指摘しない。
「えっと……口移しで?」
「いや、もうやめとこ……普通に」
確かに今からもう一回やると行き着くとこまでいっちゃいそうだから、普通が良さそうだった。あたしは頷いた。
本当の事言うと……あたしはまだしたいし、やっちゃってもいいんだけど、まだ体調が悪いから仕方ないよね。
うん、仕方ない仕方ない。
そんなことを思いながら、あたしはゆーちゃんがスプーンで差し出したアイスを頬張った。
……またしたいな。
なんて馬鹿な事をやったせいか、一度ちょっと下がった熱がまた上がった。その間、ゆーちゃんはずっと傍に
いてくれた。励ましたり、冗談言ったり、手を握ってくれたり。……せびったらまたちゅーもしてくれちゃったり。
「みー……何ニヤニヤしてんだ?」
ちょっと用で台所に降りて、戻ってきたゆーちゃんに言われた。あたしはちょっと元気になったのも手伝って、
ついいたずらの様なことを言った。
「すきな人が横にいてくれるって幸せだなー、って思ってた」
あたしの言葉を聞いたゆーちゃんは顔を赤くして顔を手で押さえた。
「――っく、な、なんでそういう事を突然言うかね、このお嬢さんは」
「えへ、ごめーん」
舌を出しながら謝った。九割くらいは本気だけど。
「……まぁいいや。それより汗かいたろ? お湯持ってきたから体拭けよ。着替えもしといたらいい」
「――え」
ゆーちゃんの言葉にあたしは固まった。そ、それって……?
「どうした、みー?」
「え、あ!! そ、そっか、そうだよね、ごめん!」
あたしを不思議そうに見詰めたゆーちゃんを見て、自分の盛大な勘違いに気付いた。うわぁ、あたしってほんとに……
「……どうゆうことだよ?」
「あ、う……その……ゆ、ゆーちゃんがあたしの体を拭いてくれて、着替えさせてくれるのかな、って思っちゃった、り……」
「はぁ!? 何をどうしたらそう――」
「だ、だからごめん! 今のナシ! 忘れて!」
うう、最近のあたしって考えがいつもこんな方向にばっかり行ってる……女の子としてどうなの、それって。
体は自分で拭くことにした。もちろん、ゆーちゃんは外に出てもらってだ。流石に、ずっとあのむずがゆい空気に
浸っていると……汗をかいてるんだか拭いてるんだか。
ゆっくりやっているとなんだかまた騒動が起きそうな気がしたので、さっと終わらせよう……
ぱっぱと拭いてさっさと着替える。ショーツの一部が汗以外の液体で濡れてるのを今更確認して頭を抱えたくなりながら。
あたしって……感じやすいのかなぁ……?
それからはまた午前中と同じ。ベッドで寝ているあたしの横にゆーちゃんがずっといてくれる。あたしが寂しく
ならないように。
「ね、ゆーちゃん」
「んー?」
「なんでもなーい」
あたしが嬉しそうに言ったのを見て、ゆーちゃんはあたしの頭を軽く叩いて言った。
「ほら、バカやってないで寝とけよ」
……ゆーちゃん、そんな優しい顔で言っても説得力無いよ?
「ったく。もう元気じゃないのか?」
こつんと額が合わさった。吐息がかかってくすぐったい。なんで体温を感じるだけでこんなにドキドキするんだろう……
ゆーちゃんはそんな事に気付かず「まだちょっと熱いかな」と言っている。
相変わらずだなぁ、と思う。だって、もしゆーちゃんがそうゆうことに敏感な人なら、もっと前にあたしたちは今みたいな
関係になってたかもしれないから。いや、それなら他の可能性もあったかもしれない。実は友達とかからゆーちゃんを
紹介して、と頼まれたのは一度や二度じゃないし、手紙とかだって……と、もうやめよう。そんな可能性はきっと
無くなった――はず。
「みー?」
「ん、え、何?」
「あー、いや、なんかみーが寂しそうに見えた気がして……勘違いかな」
おかしいな、とゆーちゃんが頭を掻きながら言った。
「……あは」
思わず笑いが漏れた。知ってた事を再確認できて嬉しかった。
「おいおい、今度は何だ」
「ううん、ゆーちゃんってそうだったなぁ、って」
「……意味がわからん」
そう、ゆーちゃんは鈍感かもしれない。でも、あたしが困ってるときはいつだって傍にいてくれた。いつだってあたしに
元気をくれる。いつだって、ただ、あるがままに、そこに、ゆーちゃんは。
「ね、ゆーちゃん、今日はごめんね。デート駄目になって迷惑かけちゃって」
ゆーちゃんはその言葉を聞いて――
「あだっ」
あたしにデコピンをしてきた。
「な、何するの〜?」
「馬鹿、これが俺とみーが逆の状況だったら、みーは迷惑に思うか?」
「……思わないけど」
「こうゆう時の言う言葉は逆だろ?」
「ありがとう……」
「よろしい」
ゆーちゃんが笑顔で頷いた。
あたしはその笑顔を見て、この人が好きで、この人があたしを好きで――幼馴染で、本当によかったと思っていた。
ね、ゆーちゃん、あたし、ほんとにあなたの事――だいすきだよ。
266 :
湯泉:2008/05/05(月) 18:18:55 ID:k1+5QGLt
とゆうわけで終り。
次はまた投下するの凄い空くこと確定です。ごめんなさいぃぃぃ。
下手したら二ヶ月程度空きます。また覚えていていただけたら幸いです。
では、またお会いする日を心待ちにしています。
空いても良質な物語が提供できれば何も問題はないぜ。書けるだけでも羨ましい。
てなわけでGJ!
悔しくなんかないぞ、今俺は妹からもらったチョコレートを食っている……!
く、悔しくなんか……orz イイ サクヒン デス
羨ましくなんかないぞ、今俺は
>>268を見て自分の人生を振り返って絶望している……!
う、羨ましくなんか……orz
湯泉の旦那GJ!どんなに間が空いても覚えて待ってます。
幼なじみほしー!
幼馴染って、なんでいないんだろうなぁ…
と、幼年時代に幼馴染成立フラグをバッキバキにへし折った俺が言ってみるorz
うわぁぁぁぁん
俺はあと二ヶ月全裸で正座していないといけないのか・・・
俺の両親とあちらの母親が同じ職場で、俺の母親とあちらの父親が従兄弟で、親の職場の託児所時代から約20年
の付き合いでそこそこ顔もいい幼なじみがいるが、その約20年の間特に何にもない。
このスレ見てるとすごい損した気分になる。
特に何もないだけで接点ないんじゃないんだろ?
諦めたら、そこで試合s(ry
幼稚園、小学校、中学校(田舎なんで全部一緒)の同窓会にて
幼馴染A『ねぇ、私と付き合ったりする気ない?』
俺『へ?ずっと仲の良い姉弟みたいなもんだと思ってたからそんな気は起きないなぁwww』
幼馴染A『酷い事言うね(苦笑)んじゃ、三十路までお互い独身だったら貰ってよ』
俺『構わんが、俺25までには結婚するつもりなんで期待すんなよー』
幼馴染A『人生そんなに上手く行きますかねw?』
幼馴染フラグを余裕でブチ壊す俺
何故なら俺は幼稚園の頃から幼馴染Bの事が好きなんだぁぁぁぁぁ
ちなみに幼馴染Bは酔っ払って『〇〇君の事ずっと好きだったんだ〜』とかデカい声で言ってますた
(´・ω・`)
>>275 リアル幼馴染なんてそんなもんさね
いっそ幼馴染Bに告白してフラレて禁止委員になっちまおうかなぁ・・・
>>274 俺も田舎だから小学校中学校同じで一学年一クラスだった。
>>278 田舎だとそんな感じですよね
その中で幼馴染となると家が近所になるんだよなぁ
そして撲滅委員会に入会
完。
俺の場合はことごとく引越しでフラグ消滅だった(´・ω・`)
そもそもフラグは有ったのかい?
と、自分の方が引っ越した俺が言ってみる
団地はフラグいっぱい立つな
ドア向かいのおとなりさんが中学でかわいくなって意識しちゃってそのまま疎遠になっちまった
数年後に両親が離婚したみたいで父親残して引っ越したけど
小学生のころ幼馴染と許婚フラグあった
あいての父親に相当気にいられてたみたい
当時はかけらも好きじゃなかったからフラグへし折っちゃったけど
中学生ぐらいのときその子好きになったんだよなぁ
幼稚園の頃一緒に風呂入ったり、隣としか繋がらない電話設置したり、一緒に食べたビワの種植えて成長競ったりなぁ
あの頃が一番人生輝いてたかもしれん
昔からずっと今でも家族ぐるみで付き合いあるけどそんな風に意識した事はないし
もう結婚してるからこれからも無いな
幼馴染というよりは姉って感じだったしなあ
待て、向こうもそう思っていたとは限らないじゃないか
リアル幼馴染いる、あるいはいた人多いなあ。
いない人がわざわざ名乗り出ないだけなんだろうが。嫉妬で気が狂いそうだ。
俺の幼馴染みには2才上の姉がいてな、これもまた面倒見がよくて美人で。
アニキと姉が結婚して、俺と幼馴染みが結婚するなんて言って時期があった
バレンタインももらったし・・・
10年も前の話してごめん
>>290 いなかった人はその羨ましさをこのスレにぶつける
いた人はフラグ立てられなかった悔しさをこのスレにぶつける
そうやってこのスレは成り立っているのです
「おい」
「なに」
「何で急に抱きついてきてんだよ」
「あんたこそなんで抱きしめ返してんのよ」
「お前俺が地震苦手なの知ってるだろ」
「あんただってあたしが怖がりなの知ってるでしょ」
「は! お前が怖がりだったらこの世は大和撫子で溢れ返るわ」
「そうね、あたしはあんたみたいなヘタレじゃないものね」
「なんだと」
「何よ」
「つーかそろそろ離れろよ」
「あんたが肩抱いてるから離れられないんでしょ」
「おめーだって思いっきり俺の服掴んでんじゃねーか」
「何よ」
「何だよ」
「……」
「……」
「そもそも何であたしの部屋にいるわけ? こんな時間に」
「お前が呼んだんだお前が。夜遅くに屋根伝って来るのも怖いんだぞ」
「やっぱりヘタレね」
「呼んどいてその言いぐさは何だ」
「じゃあ今すぐ帰ってよ」
「お前が手を離せば帰ってやる」
「じゃあ離してやんない」
「どっちなんだよ」
「はー……ヘタレなくせに鈍いとか」
「ヘタレヘタレうるせぇなしまいには怒るぞ」
「事実を言ったまでです」
「減らねぇ口だ、後悔させてやる」
「…ちょっと」
「んー?」
「痛い、暑苦しい」
「後悔させてやるっつったぜ」
「すぐ傍で喋んないでよ、息がくすぐったい」
「おめーの息だってくすぐったいぞ」
「じゃあどうすんのよ」
「いいことを考えた、ひっつけば息はかからない」
「それは名案だ」
「だろ?」
「どこひっつける?」
「わざわざそれ聞きますか」
「変なものひっつけられても困るし」
「その考えはありえん」
「分かんないよ、男は狼っていうし」
「また古いな」
グラグラグラグラッ
「…!」
「やっ……」
「……」
「……」
「このまま寝るか?」
「暑いよ」
「でもお前震えてるぞ」
「寒いから」
「でもお前」
「あんただって地震怖いでしょ、苦手でしょ」
「まあ、そりゃそうだが」
「そうだが、何よ」
「一人じゃねーし」
「そこは素直に『お前がいるし』って言ってよ」
「うっせーな」
「告白もあたしからだったし」
「うっせーよ」
「昔は自分のこと僕って言ってて口調もなよなよしてたよね」
「うっせーって」
「なんでこんなの好きになったんだろう」
「それはお互い様だ」
「ひどい、泣きそう」
「とてもそんな表情には見えんが」
「もしもの時には責任とってね」
「脈絡なく語弊のある言い方しないでください」
「…ひねくれもの」
「……どっちがだ」
しまったオチがない
でも余震はあった。
GJ !!
保守
ほ
も
ぐ
唐突だが少し歳の離れた年上で女性の幼馴染を呼び捨てにしてるのが萌える。
保守
「なあ、一美、今度の日曜だけど……」
「一美さん、でしょ?」
「……うっせーな」
「四つも年上を呼び捨てなんて……従姉(ねえ)さん、
隆彦をそんな子に育てた覚えは無いわっ!」
「育てられてねえから」
「おしめの交換とかしてあげたじゃない」
「覚えてるかよ、そんなこと」
「おんぶして、子守唄も歌ったげたし」
「覚えてねえって」
「お風呂にも入れてあげたのよ?」
「………………」
「……赤くならないで欲しいんだけどなー。こっちまで
恥ずかしくなってきちゃうじゃない」
「……で、一美は今度の日曜空いてるか?」
「何事もなかったかのようにっ!? ふーんだ、一美さんって
呼んでくれなきゃ答えないもーん」
「……四つ年上が聞いて呆れるな」
「なによー」
「大人なのは見た目だけじゃねえか。そんな性格じゃ彼氏もいねえだろ?」
「むむぅ、酷い事言われてるー。……そりゃ、確かに彼氏とかいないけどっ!」
「はぁ……ったくもぉ……」
「?? 私、隆彦が頭抱えるような事なんか言ったっけ?」
「うっせえ! ……とにかく、今度の日曜、行くぞ」
「……行くって……どこへ?」
「この前、一美言ってたろ。あのバンドのコンサート……ほれ」
「え? ええ!? 嘘、これ、チケット!?」
「責任持って付き合ってもらうぞ」
「……ど、どうやって取ったの? っていうか凄い、隆彦!」
「苦労したんだからな……ホントに」
「……けど、そんな苦労したチケット……私なんかと一緒に行くより……
ほら、隆彦ももう年頃なんだし、彼女とかいるんでしょ? 一緒に行ったら?」
「……いねえよ、彼女なんて」
「……あ、そうなんだー。ご、ごめんね?」
「余計傷つくわっ!? ……だいたい、これは一美の為にとってきたんだから、
例え彼女がいても……これには、お前と一緒に行くよ」
「……」
「……なんだよ」
「えへへー……何か、今、凄い嬉しいかも」
「……にやけんなよ。気持ち悪いぞ」
「にへへー」
「と・に・か・く! ……今度の日曜、ちゃんと空けとけよ、一美!」
「了解っ! ばっちり予定空けて、寂しい隆彦君に付き合ってあげますよー」
「そんな事言われたら余計寂しくなるわっ!」
オチは無い。
従姉がオチたわけだ
誰がうま(ry
「誰がうまい棒買えと」ですね、わかります
つまり隆彦の棒のことですね、わかります
いや、新境地「うまい棒プレイ」ですね、わかります
ふやけちゃう〜
緊張で起たなくてふにゃふにゃですね
わかります
結局うまい棒使いたくないんですね、わかります
でも、結局は食べられちゃうんですね、わかります
ふやけさせてる途中でそのまま食べるんですね、わかります
でも、明太子味とかヒリヒリしそうだな
だがそれがい(ry
お前らのこういう所が好きだ。
なんでもわかる賢者の集うスレなんですね。わかります
一巻目では微妙にサブヒロインっぽいだけの立場だった幼馴染が最終刊ではメインヒロインになっていたというライトノベルをこの前読んだ
かなり予想外だった
>>317 暗闇にヤギを探してですね、わかります。
正直あれは先輩でもよかったと思う
319 :
名無しさん@ピンキー:2008/05/23(金) 13:05:42 ID:0JzEJHNd
下がりすぎ
>>320 え、それマジ?
一巻以降買ってないから買おうと思ったけどやめた
>>321 自ら百合に走ったんじゃなくて主人公にフラれて後輩に告白されて「それも良いのかも」って感じで
主人公が自分の一番大事な人が幼馴染だと気付いたからなんだけどね
個人的には幼馴染キャラが一番好きだったからそれもありかと思ったモンだ、ビックリしたけど
ってスレ違いになりそう
過疎ってる…
ツンデレ幼馴染という王道を覆すような幼馴染いないかなー。
もはや新ジャンルって感じの。
あの書きかけの奴を完成させて、また戻ってくるぜー!
一迅社文庫のある夏のお見合いとあるいは空を泳ぐアネモイと。
が実にいいツンデレ巫女幼馴染みだった。
このスレの作品だと、素直デレが多くて女の子の押しが強い作品が多い気がする
あんまツンデレの印象がない
ツンデレスレが止まっている状況からして、案外ネタが続かないのかもな…
素直デレにした方が書きやすいとか
ツンデレスレはツンデレスレで勝手にやるだろ
じゃあ素直クール幼馴染みで
いやいや無口な幼馴染で
なるほど、12人の幼馴染だな
「じゅ・・・12人の幼馴染が、3分で・・・」
こうですか、わかりません><
ツンデレ、素直クール、無口娘、ヒート、世話やき、僕っ娘、ロリ風、妹的、姉的、悪友的……
あと二名は任せた。
電波、根暗
その12人が3分で殺されるのか
性的な意味でな
12人の幼馴染が3分で(性的に主人公を)イカすわけですよ
12人の幼馴染が3分で24人に増殖するんですよ
>>338 12人がかりでも3分持つ兄の賢者っぷりにワラタ
>>324 きっと良質の幼馴染み分って、即席に「ツンデレ」とかのテンプレをポンと貼り付けただけじゃ出来上がらないんじゃないかな
だからこそこのスレは幼馴染み分に恵まれてるんだと思います
いつもありがとう、書き手さん
お前ら幼馴染好きでもそれぞれ好きなタイプが違うんだな
自分はちょっと気が弱いが優しい系の幼馴染が好きだな
例を挙げるとこのみとかラムネの七海とかこんにゃくの海己とか
しかしこのタイプは昔から主人公に気持ち伝えられなくて封印してるんだけど
何かのきっかけで他のメインヒロインと主人公が接近してしまいっていうケースが多いんだまたこれが
好みとしている幼なじみのタイプは、既にこのスレで全身全霊の力を持って書かせていただいた
素晴らしき自己満足
>>343 全身全霊って一回きりじゃないと思うんだ
345 :
名無しさん@ピンキー:2008/05/31(土) 23:17:52 ID:aqBqAhsP
>>343 タイプは同じでも過程が違えば複数書けるんじゃないか?
つまり、みんな
>>343の新作を期待しているわけだな
説明ありがとうっ・・・・!
世の中にはこんな奴らがホントに存在するんだな…
22 名前:名無しさん@HOME 投稿日:2006/11/20(月) 20:14:06
ウチは幼馴染み婚。
幼稚園から高校までずっと仲良しご近所さんで大学進学と同時に
お互い上京(京都と東京w)してそこで就職したから全く会わず。
26歳の時帰省してたら地元スーパーで偶然再会し、あっという間に
結婚まで進んでしまった…。
高校までは全く恋愛感情ない友達だったんだけど不思議…。
姑さんと言っても常に夕飯ご馳走になってたオバチャンだし
(しかも旦那の姉のお下がりを私は子供の時よく着てた)
旦那は小学校の時お漏らししたパンツを私の実母に
洗ってもらってる過去があるくらいなので
何も隠すような事がない…
それが楽な事も多いけどたまにめんどくさいよ
>>348 馬鹿だなぁ、そんなの本当にいる訳無いじゃないか。
それ、俺が書いたSSだぜ?
なんつて。
うらやましくなんかないやい!
>>348 嫁と姑の中を心配しなくて良いってのは大きな利点だと思うんだ
世の中には、サッカー選手のオーウェンとか、日本の某プロ野球選手とか、
そういう実例はあるしね。
>>351 >某プロ野球選手
それは日本シリーズで8回ノーノーの快投やった投手のことですか?
確かに以前このスレに貼られたのは山井のことだったが、
野球選手の場合他にも幼なじみと結婚した人はいる
354 :
348:2008/06/05(木) 01:43:38 ID:y8mXS31x
同スレから抜粋
33 名前:名無しさん@HOME 投稿日:2007/02/22(木) 13:34:12
本人同士は「なんで別々に住んでいるんだろう?」と思うほど
物心つく前から互いの家を行き来していた2人が、成人と同時に
生まれ落ちた時点で両家の間で婚約成立していたと知らされる。
齢3歳で結納も済ませており、本人達も覚えていたが
「節句祝いだと思ってた」とのこと。
嫌いあってもいなかったので、そういうことなら…とそのまま結婚。
しかし感覚的には中々複雑だったらしく(※冒頭)
「初夜の感想は?」
『う〜〜ん、……近親○姦?』
幼馴染で結婚ではなく、結婚を前提とした幼馴染という話。
44 名前:名無しさん@HOME 投稿日:2007/05/06(日) 23:44:18
あー私、向かいの家に住んでた人と結婚したわ…
向こうが年上だったからお兄ちゃんお兄ちゃんと慕っていつも遊んでもらってた。
今思えばちょっとエロゲなシチュかも。
大人になって適齢期になった時にお互いの親の間で話がついててなんとなく…。
恋愛もそれなりにしたけど結構それで苦労してて(ダメ男好きでした)、
結婚は身元がはっきり分かってる人が良いなと思ってた時だったから。
さすがに初エチ時は少し照れました
べ、別に羨ましくなんかないんだからねっ
事実は小説よりも妬ましい
ダメ男好きってあたりがw
兄夫婦は結婚式のとき、「交際期間イコール新婦の年齢」と紹介されていたな
妬まし過ぎてなんか死にたくなって来た…
俺の幼馴染は男三人だよ
今でも皆仲良くつき合ってる
>>360のメンバー構成
>>360:ショタ
幼馴染A:筋肉バカ
幼馴染B:スポーツバカ
幼馴染C:このメンバーのリーダー的存在で比較的なんでもできる、実は
>>360が好き
/\___/ヽ ヽ
/ ::::::::::::::::\ つ
. | ,,-‐‐ ‐‐-、 .:::| わ
| 、_(o)_,: _(o)_, :::|ぁぁ
. | ::< .::|あぁ
\ /( [三] )ヽ ::/ああ
/`ー‐--‐‐―´\ぁあ
>>361 >>360は、実は女の子の幼馴染(幼馴染Cの妹)もいてその子とつきあっているんですね?
わかります。
んじゃあ、俺もリアルな話をするか
つい最近見合いをしたんだが、その相手がオレのおかんの友達の娘
向こうのほうが年上なんだが、どうやら俺は小さい頃、家によく遊びに行ってたらしい
オレは記憶がないが向こうは覚えているというこのシチュはどうよ?
というか、これは幼馴染の部類に入るのか?
>>365 王道パターンの一つじゃね?
幼い頃の顔馴染み、と考えれば個人的には幼馴染だ。
姉妹にはそれぞれ(異性の幼馴染み)いるのに
俺にはいない…
なぜだぁー!!!
>>365 個人的には幼馴染に入るな
取りあえず妬ましいから歯食いしばれ
自分は密かに近所の男女を観察している
娘の同級生なんだがその子たちは同じマンションに住んでいて
親同士仲がよく幼児期からいつも一緒で
幼稚園小学校の登下校も一緒だし帰宅後も一緒に遊んでたりする
似たような環境の子どもはけっこういるけど
男女で仲がいいのはその子たちくらい
まわりは男子〜女子〜って距離をおいてる感じ
中学生高校生くらいまで見守りたい
>>369 男女の溝って、結構ちっちゃい頃からあるよな。
俺も幼なじみ♀が一人いるけど、中学にあがるまでほとんど口聴いたおぼえが無い。
拾った捨て猫を一匹引き取ってからはちょっと親しくなったけど、恋愛とか正直無いわ。
お互い成人した今でも、せいぜいお菓子作ったときにお裾分けに行く程度の間柄。
幼馴染みの定義をどんなに広げても異性の幼馴染みがいない俺涙目www
2年前に引っ越してきたのは12戸の建て売り的な住宅地で去年うちに子供(男)が生まれた
同い年にあと男が二人
他の子供達は幼稚園以上
で、今年隣に女の子が生まれた
近所付き合いもしっかりやって末永く見守っていこうと思う
>>375 隣のうちの父親と協力して、幼馴染みブリーダーになるんだ、パパ
そして将来は孫を2軒隣のうちの孫と……
>>376 そして12戸みんなが親戚になるわけですね、わかります。
なんかすげぇwww
正月の親族会とか半端なさそうwwww
こんにちは。一ヶ月ぶりです
以下に投下します。前編です。後編はまた後日
エロありですが、今回はねっとりとは書いていません
やや逆レイプ入ってますので苦手な方はスルーして下さい
『ある失恋話・前編』
学校の北校舎裏で、三原正志(みはらまさし)はひとり深いため息をついた。
時刻は五時過ぎ。元々日の当たらない場所がさらに陰の色を深めつつある。残暑の風は
半袖にも関わらず生暖かい。
とりあえず帰ろう。正志は鞄を拾い上げると、とぼとぼと歩き出してその場を離れた。
◇ ◇ ◇
生まれて初めて真剣に告白をした。
幼稚園に通っていた頃くらいには、拙い想いを誰かに無邪気にぶつけていたかもしれない。
しかし思春期を経て、正志にも明確な恋愛感情が芽生えた。
初めての告白の相手は、一学年下の女の子だった。
本が好きらしく、休み時間や放課後はよく図書館にいた。図書委員の正志はカウンター席から、
本を選ぶ彼女の姿をちょくちょく見掛けていた。
毎日のように本を借りに来る彼女に、ある日正志は話し掛けてみた。彼女は少し驚いた
ようだったが、存外はっきりした声で返してくれた。
少女の名前は田中亜季といった。
二人はすぐに親しくなった。カウンター越しにする会話の中身は本に関することばかり
だったが、彼女は意外と話上手だった。
梅雨が過ぎ、夏休み前には下の名前で呼び合う程の仲になった。その頃にはもう、正志は
亜季に完全に惚れてしまっていた。
彼女は人からの頼み事を断らない人間だった。
誰かの世話を焼くことが、誰かのためになることが、とても嬉しそうだった。年下なのに、
まるで『お姉さん』のようだった。
正志にはそれが魅力的に映った。一見おとなしそうに見える彼女の内側を知って、正志は
もっと亜季に近付きたいと思った。
そして正志は、夏休み明けに思い切って告白したのだ。
その結果は──
◇ ◇ ◇
「だめ、だったんだ」
正志の部屋で、ポニーテールの女性が小さく呟いた。
正志はベッドに座り込んだまま顔を伏せる。
ノースリーブにジーンズとラフな服装をした女性は、困ったように頬をかいた。
彼女、天川沙織(あまかわさおり)は近所に住む、正志より三つ上の女子大生だ。明るい
性格は親しみやすく、正志は小さい頃から付き合いがあった。正志にとっては姉のような
存在で、今は家庭教師も頼んでいる。
そんな彼女に、正志はここしばらく恋愛相談をしてもらっていた。
告白をしたのは、沙織の後押しがあったからだ。
気持ちを伝えてよかったかどうかはわからない。ただ、後悔はともかく、気落ちしてしまうのは
仕方のないことだった。
沙織はそんな正志に優しく声をかける。
「大丈夫だよ。すぐにまたいい子に出会えるって」
「……どうだろう」
うつ向いたまま、正志は短く返す。
沙織に文句を言うつもりはない。相談に乗ってもらえたことはありがたかったし、勇気を
出せたのは沙織のおかげだ。だが、今はそんな彼女にさえ、恨み言や愚痴をぶつけてしまいそうで、
できればそっとしておいてほしかった。
しかし沙織は、そんな正志の思いなど介さないのか、止まらず話しかけてくる。
「ほら、私は正志くんの先生なんだから、勉強を教えなきゃいけないの。辛い思い出は忘れて、
勉学に励もう?」
「……」
「じゃ、じゃあ、気分転換に散歩でもして」
「沙織さん」
正志は一声で沙織の提案を抑えた。
うう、と唸って黙り込むのを見て、少しだけ罪悪感が湧いたが、正志は無視した。どうせ
今日はまともに会話できる気分ではない。
(ごめん、沙織さん。明日からはちゃんとする。だから今日だけは、)
ちら、と顔を上げて様子を窺うと、沙織は落ち込んでいるのか、正志と同じようにうつ向いていた。
罪悪感が増して、
「決めた」
「──え?」
不意に、強い調子で言われた。
何を、と問う前に沙織は立ち上がり、
「今日は泊まっていくから」
と言った。
「…………え、なんで!?」
正志にはわけがわからない。いきなり何を、
「だって今日はおじさんもおばさんも帰ってこないんでしょ?」
「そうだけど」
「なら誰か他にいた方がいいよ。一人は寂しいもの」
「……」
むしろ一人になりたいのだが、沙織はもうその気のようである。正志ににっこり微笑むと、
「ご飯何がいい?」と訊いてきた。
「いや、別にいいよ」
「よくない! 落ち込んでるときこそ、おいしいもの食べて元気つけなきゃ」
「……確かに沙織さんの料理はおいしいけど」
「じゃあ決まり! 和風パスタとかどうかな? あ、唐揚げも好きだったよね」
「……」
迂濶な発言だったかもしれない。実際沙織の料理はおいしいのだが、今のタイミングは
正志にとってよろしくない。
「じゃあ準備するから。正志くんはお風呂にでも入ってきて」
うきうきと指示する沙織に、正志はうまく言い返せない。さっきの罪悪感もある。
「……うん」
仕方なく、正志は頷いた。
◇ ◇ ◇
風呂から上がると、既に料理がテーブルに並んでいた。
和風パスタ、大根とごぼうのサラダ、鶏肉の竜田揚げ、けんちん汁にひじきの和え物と和風
仕立てのメニューだ。パスタの上のきざみ海苔が綺麗に映える。
「和風寄りにしたくて竜田揚げにしてみましたー」と、沙織ははにかむ。
どの料理もおいしかった。沙織は洋食の方が得意だと思っていたが、和もいけるようだ。
若干ヘルシー色が見えるのは女性特有のものだろうか。
しかし、当の沙織は食事そっちのけでビールを飲んでいる。
「あれ? 沙織さん、お酒呑めたっけ」
「今日が初めて」
「は?」
なんでこのタイミングで。
「なんで?」
「二十歳になったから」
「……へ?」
沙織はテーブルの対面から正志を見るや、むっと眉を寄せた。
「正志くんは幼馴染みのお姉ちゃんの誕生日も憶えてないの? 私の誕生日はいつ?」
「…………あ」
ここ最近ずっと亜季に告白することばかり考えていたせいか、すっかり忘れていた。
今日は沙織の誕生日だ。
「薄情な弟だねー正志くんは。そんなにお姉ちゃんは空気?」
「ご、ごめんなさい!」
「そう思うならきちんと祝いの品を献上なさい」
途端に慌てる。当然ながら正志はプレゼントすら用意していない。
沙織の視線がちくちく痛い。
「あ、あの、ぼくその、うっかりしてて」
「……許します!」
「……え?」
正志が呆けたように固まると、沙織はおかしげにくすくす笑った。
「冗談だよー。ちょっとからかっただけ。正志くんすぐ本気にするんだから」
「……」
「正志くんがいろいろ頑張ったのは知ってるし、大変だったのもわかってるもの。失恋って、
辛いよね。だから許します。特別に」
沙織は小さくウインクしてみせた。
「……本当にごめん」
「だから本気にしないの。……意外とおいしいのね、ビールって」
沙織は料理そっちのけで、三本目の缶ビールを開ける。
「あんまり呑み過ぎないようにね」
「大丈夫大丈夫。私のお父さんもお母さんもお酒強いもの。これくらいたいしたことないよ」
沙織はにっこり笑ってアルミ缶を傾けた。
正志は自省する。確かに失恋は辛いことだが、それはきちんと自分なりに向き合った結果だ。
いつまでも引きずるのはそうやって向き合った自分の行為さえ駄目にする。
まして、沙織にまで心配かけるなんて。
簡単に吹っ切るのは無理でも、他人に心配されない程度には気を張り直さないと。
「沙織さん」
「ん?」
沙織はいつもの優しい笑顔を向けてくる。
正志はそれがなんだか嬉しい。
「今度の日曜、時間ある?」
「特に予定はないけど、どうして?」
「今日の埋め合わせ。誕生日プレゼント、沙織さんに直接選んでもらおうかな、って」
「え?」
沙織は意表を突かれたのか、目を丸くした。
「ダメかな」
「さ、さっきのは本当に冗談だからね? 別に気にしなくても、」
「ぼくがそうしたいんだ。沙織さんが嫌なら仕方ないけど」
「……いいの?」
「うん」
はっきり頷くと、沙織はなぜかうつ向いた。
しばらくして再び顔を上げる。
「じゃあ、お姉ちゃんといっしょにデートしよっか」
「デート?」
「いっしょに遊ぼうってこと。映画観たり遊園地行ったり、一日私に付き合って」
「そんなのでいいの?」
「ん? 何十万もする服とか、何百万もする宝石とか正志くんに買えるの?」
「……デートでお願いします」
「うん。決まり!」
沙織は楽しそうに笑う。
「日曜日はたっくさん楽しむからね。正志くんの慰安も兼ねてるんだから」
「慰安?」
「失恋で傷付いた心を私が癒してあげるってこと」
「べ、別にいいよぼくは」
「遠慮しないの。ナイーブな少年に失恋はダメージでかいからねー。特に正志くんは初失恋
なんだから」
「失恋失恋って何度も言わないでよ」
「あははは! まあこれでも呑んで忘れなさいっ」
「未成年にビール勧めるなー!」
正志は三つ上の幼馴染みにペースを握られっぱなしだ。
こうやって馬鹿話に置き換えることで、沙織はきっと正志の心を和らげようとしているのだろう。
正志はその気遣いが嬉しかった。
少しアルコールが回ってきたのか、沙織の顔はほんのり赤い。
お酒もあるいはそのための小道具なのかもしれない。
かなわないな、と正志は内心で苦笑いした。
「ほら、箸が止まってるよ。それともお腹いっぱい?」
「ううん、食べるよ」
「お姉ちゃんが食べさせてあげよっか」
「遠慮しとく」
「こらー、そんなことじゃ将来恋人ができたときに慌てふためいて後悔するぞー」
「意味がわかんないよ」
恋人か、と正志は内心でため息をつく。
ふと思った。沙織も自分のように失恋をしたことがあるのだろうか。
(あるんだろうな……)
対面でビールをぐいぐい呑んでいる彼女からは、そんな様子は伝わってこないが、さっき
沙織ははっきりと言っていた。
『失恋って、辛いよね』
きっと世の中では茶飯事なのだ。正志が味わった思いも、沙織が受けただろう辛さも、
すべて些細なことにすぎない。
それが、少しだけ寂しかった。
◇ ◇ ◇
小道具が効きすぎた。
沙織は十本目のビールを空にすると、テーブルに突っ伏してすやすやと眠ってしまった。
幸い料理の載った皿は既に片付けていたので、和風パスタやけんちん汁に顔面ダイブを
決めることはなかったが、このまま放っておくわけにもいかない。正志は空き缶を片付けると、
奥の和室に布団を敷いて沙織の寝床を準備した。それからダイニングに戻って、沙織を揺り
起こした。
「沙織さん起きて。こんなところで眠ったら風邪ひくよ」
「ん……キリンさん、どこ……?」
「まだ呑み足りないの? ほら、寝惚けてないで」
「キリンさん、お空飛びたいの? 首を回すの首を……ヘリコプターみたいにお空を飛ぶのー」
「いや、それ首の骨折れるから。じゃなくて沙織さん、早く起きて」
「んー……?」
沙織が寝惚け眼を向けてくる。
「あー、正志くんだ」
「起きた? ほら、布団用意したからそっちに移ろう」
正志が助け起こすと、沙織は嬉しそうに体をくっつけてきた。
肩を貸して歩かせる。沙織は素直に歩いたが、どこか必要以上にもたれかかってきたため、
正志はバランスを取るのに苦労した。ビールの臭いと体の柔らかさに少し困った。
なんとか和室まで連れてくると、正志は沙織を布団の上に横たえた。
沙織はにこにこ笑って正志を見ている。
「正志くん」
「うん?」
「だっこー」
そう言うと、沙織は体を起こして正志に抱きついてきた。
「うわあ!」
正志は驚きの声を上げた。
「えへへー」
「さ、沙織さん」
ノースリーブの薄い布地を隔てて、沙織の胸が当たる。
「正志くん大好きー」
「……」
どう反応したらいいのやら。正志は困り果てた。
と思えば、今度はどこか憂いを帯びた表情で見つめてきた。
「正志くん……」
「な、何?」
正志は少したじろぐ。
「慰めてあげる」
「え?」
次の瞬間、正志は沙織に無理やり押し倒された。
そして有無を言わさぬ速さで唇を奪われた。
「──」
正志は突然の事態に目を白黒させた。
「ん……んむ……」
沙織は喋らせないかのように唇を押し付け、さらに己の舌で正志の口内をなぶった。
酒の臭いにどこか甘い香水の匂いが入り混じる。不思議と正志は不快に思わなかった。
沙織はゆっくり口を離すと、小さく微笑した。
「沙織さん、どうして」
年上の彼女は答えない。代わりにノースリーブの服を脱ぎ、ジーンズを躊躇いもなく下ろす。
下着姿になった沙織は、さらに上のブラジャーも外した。
形の整った真っ白な乳房が目の前に現れ、正志は思わず顔を逸らした。
「沙織さん、いくらなんでも酔いすぎだよ……」
「あは、そうかな」
「そうだよ、こんなの……沙織さんらしくない」
「私は正志くんを慰めたいだけ」
頭がくるくると狂いそうになる。
「そんなことしなくていいから」
「……じゃあ、私を慰めて」
「……え?」
言葉の意味がわからず、正志は沙織を見返す。
沙織はそんな正志の右手を取ると、自分の胸に押し付けた。
「さ、沙織さん」
初めて触った異性の胸はありえないほど柔らかく、正志は息を呑んだ。
「自慢のバスト88ぃー」
「沙織さん!」
耐えられなくなって、正志はついに叫んだ。
沙織はその声に驚いたようだったが、ぶんぶんと首を振った。
「失恋って、辛いんだよ……。男だけじゃ、正志くんだけじゃないんだから」
「……」
「私だって辛いの。悲しいの。耐えられないの。だから、お願い……正志くんだけなの……」
「……沙織さんも、失恋したの?」
沙織は小さく頷く。
正志は閉口した。
「正志くんは何もしなくていいから……私が勝手に正志くんを襲うだけ。悪いのは私」
酔っているのか、いないのか、沙織はタガが外れているようだった。
その分、より正直な気持ちを吐露しているように、正志には思えた。
そんな彼女を拒絶することなど、彼には──
沙織は正志の股間を愛しげに撫で回す。
すぐに反応してしまう男の性に正志は情けなく思ったが、沙織は嬉しそうだった。
ズボンを下ろされる。慣れない手つきを見ると、沙織も経験は少ないのかもしれない。
対する正志は経験0だが。
トランクスごと強引に下ろされた。少年のものが露になると、沙織はにっこり笑う。
「凄い……正志くんも成長してたんだね」
沙織は手を伸ばし、肉棒を優しく握り込んだ。その刺激に正志は微かに呼気を洩らす。
「あの……ぼく、初めてで、その……」
「大丈夫……お姉ちゃんに任せて」
沙織は性器をまじまじと見つめる。
やがて、その先端をおもむろにくわえた。
強烈な刺激だった。正志は腹に力を込めて、未知の快楽に耐える。
沙織の美しい口元から延びる赤い舌が、男根をぬるりと這った。当人以外にはグロテスクに
映るだろう肉の竿を、嫌悪することもなく沙織は舐め尽くす。
感覚的にも視覚的にも正志には刺激が強かった。こんなことをずっと続けられたら、あっと
いう間に達してしまう。
しかし沙織は、その様子を感じ取ったのか、突然舌での愛撫をやめた。
「沙織さん……」
「じっとしてて。私がしてあげるから」
沙織は残った下着を脱ぎ捨てると、正志のシャツを捲り、腹の上にまたがった。お尻の
感触が柔らかい。
沙織は微笑とともに腰をずらし、秘部を肉棒に当てがう。
そして、そのまま腰を下ろして、正志のものをずぶずぶと呑み込んだ。
「あああああぁぁぁ────っ!!」
一際高い叫声が上がり、正志は一瞬怯んだ。
沙織は荒い息を吐き、目に涙を浮かべていた。
正志は唖然とした。今の反応。気持ちよくは見えなかった。むしろ苦痛にしか、
「沙織さん、まさか……」
「ご、ごめんね。さすがにちょっと痛いよ」
沙織は涙を拭って無理やり笑ってみせた。
経験が少ないどころじゃない。沙織は経験がなかったのだ。
正志は知らないまま、彼女の処女を奪ったことになる。
「沙織さん、どうしてこんな」
沙織は笑顔を浮かべたまま答えた。
「だって、正志くんを慰めたかったから」
「そんな……」
「それに──初めては、好きな人にあげたかったから」
正志はその言葉に固まった。
好きな人。
それは──そんなことって。
沙織は少しずつ腰を動かしていく。
痛みに耐えながら、それでも懸命に刺激を送ろうとしてくる。
正志は何も考えられない。頭が混乱している。
正志の目の前では、年上の幼馴染みが必死に体を動かしている。
「あっ……あんっ! あっ、んん、まさ……し、くん、あっ」
形のいい胸が喘ぎに合わせるように揺れている。
刺激が興奮を生み、正志の脳内は快感で弾けそうになる。
しかし心は、それとは逆に倒錯しそうだった。
それでも限界はやってくる。前戯の寸止めがそれを早めてもいた。
「正志くん……私で、イッて。私を感じて。私を──」
「くう──」
正志は溺れそうな快楽から理性の一部を取り戻すと、沙織の体を両手で持ち上げて、中から
己を強引に引き抜いた。
その瞬間射精が訪れ、正志は自分の腹の上に精液を巻き散らした。
「あは、すごいね……」
沙織は感嘆の声を洩らすと、正志の上に折り重なるように倒れ込んだ。
◇ ◇ ◇
正志はぼう、と天井を眺めていた。
部屋はひたすらに無音で、ただ自身の息遣いだけが耳を打っていた。
沙織もまた動かない。
突っ伏したまま、微動だにしなかった。胸と胸とが重力に引かれて強く密着し、心臓の
鼓動と肺の収縮を伝え合うだけだった。
しばらくして、耳元に小さな寝息が聞こえてきた。
恐る恐る顔を覗くと、沙織は静かに眠っていた。さっきまでとは違う穏やかな寝顔だった。
普段の沙織が帰ってきたように思い、ちょっとだけ安心した。
「……」
正志は沙織が完全に眠ったのを確認すると、行為の後始末を始めた。
力尽きるように眠ってしまった沙織の体を拭いてやり、布団をかけて姿勢よく寝かせる。
風邪をひくといけないので、不恰好ながら下着も着けてやった。
それから正志はもう一度風呂に入った。
腹にかかった自分の精液がべたついて、どうにも気持ち悪かったのだ。気持ちを落ち着かせる
ためにも、体を洗い流す必要があった。
シャワーを浴び、アルコールと体液の臭いを石鹸で洗い流すと、少し冷めてしまった
ぬるま湯に身を沈める。
「……」
さっきまでのことは悪い夢なのではないか。正志はしかし、射精後の倦怠感が確かにあるのを
自覚する。
夢ではないのだ。
それはつまり、沙織が洩らした言葉も現実ということで、
『初めては、好きな人にあげたかったから』
「──っ!」
沸騰した頭を湯船に勢いよく叩きつける。ざばん、と水柱が立ち上がり、後頭部を濡らした。
沙織の言葉が本当ならば、正志は想いを寄せていてくれた女の子に、脳天気にも恋愛相談を
持ちかけていたことになる。
そんな愚かしいことをよくも自分はやれたものだ。知らなかったとはいえ、沙織は大いに
傷ついたはずだ。
正志は無自覚に彼女を傷つけ、その上逆に気を遣わせてしまっていたのだ。
どうして気付いてやれなかったのだろう。ずっと自分のことばかり考えて、周りが少しも
見えていなかった。
「馬鹿だぼくは……」
後悔の念が胸を貫き、呼吸をするのがひどく苦しかった。
浴室に響くのは小さな鳴咽の声。
目から溢れる涙は一向に止まる気配を見せず、湯船に波紋を作り続けていた。
以上で投下終了です。今回は
終わり方がちょっと湿気多いので(風呂場的な意味で)
できるだけ早く後編を上げたいと思います
391 :
343:2008/06/15(日) 02:18:09 ID:Y6FpGTqH
皆に突っ込まれて二度目のSSを書きかけだったことを思い出したんだ…
至らない出来な上に、この話投下するの前々スレ以来なので色々とごめんなさい|ω・`)ノシ
おお…美味い。色々他の味が気になった時もあったけど、やはり最終的にはカップヌードルは
シーフードだな。牛乳入れる人もいると聞くが、やはりカップ麺である以上お湯を注ぐべき
だろう。一回試してはみたけど、俺はこっちの方が好きだな。
やはりこの味と比較してしまうと、チリトマト味はそこに一時的な目新しさによる興味本位的な
要素が多分に含まれてしまっていることを認めざるを得ない。なんだかんだ言って、やっぱり
原点の味が一番だな。ちなみに俺にとって醤油味はパンチに欠けるので原点じゃない。
打ちやすいど真ん中のストレートより、手を出しにくい外角低めギリギリのゾーンの方がよっぽど
重要だと、とある名将も公言してるしな。
余韻も含めて噛み締めるようにしっかりと味わっておかないとな。ラストスパートなんて
もっての他だ、あんなことすれば折角の味わいが消し飛んでしまう。最後までペースを乱さず
しっかりと食って……うし、ご馳走様。
空になった容器を持って一階に降り、水洗いしてから燃えないゴミ専用のゴミ箱に放り込む。
割り箸は当然燃えるゴミの方に。分別するのは基本です。今ここに柚稀がいようものなら、
「でかい図体して細かいことをいちいち〜」とかそんなこと言われんだろうなぁ、プラスチックの
容器やペットボトルでも平気で燃えるゴミに出しそうだ。
今日は、あいつは来ない。
当然っちゃ当然だ。今頃自分の部屋で、うんうん唸りながら寝込んでるわけだし。一階に
降り、冷凍庫の中から既に買っておいた見舞い品を取り出して家を出る。一応、お見舞いは
するって約束したからな。冗談交じりではあったが。
すぐに曲がって隣の家のインターホンを押す。
『はい』
「こんにちはー」
応対に出たのは弟の恭一だ。ここのところ顔を合わせてなかったから、こうして話すのは
随分久しぶりな気がする。
『あ、どうも。急にどうしたんですか?』
「いや、お姉さんの容態の確認に来ただけなんだけどね」
『そんなわざわざ……、大丈夫ですよ? 部屋に閉じこもってはいますけど、全然普通ですし』
「あいつが大人しく部屋に閉じこもってる時点で、十分異常事態だよ。入ってもいい?」
『分かりました、どうぞ』
自分の部屋から一階に降りてからここまで僅か一分強。外に出ていた時間なんて二十秒にも
満たない。どんだけ近いんだまったく。
家に上がり込んむと、彼は玄関で出迎えてくれた。かっちりとした印象を覚える四角い
メガネに、年不相応とも言える落ち着き払った理知的な雰囲気は相変わらず健在だった。
体型も標準的で背丈も結構高い為、俺とは違った意味で実年齢よりも上に見られるそうな。
「お久しぶりです」
「久しぶり。柚稀は寝てんの?」
「ええ、まあ。父さんにも叱られて、すっかりふてくされてます」
二階に上がりながら柚稀の様子を確認する。まあ自業自得だし理由が理由だもんな。
おじさんに叱られても仕方ないよな。
「姉さん、兼久さんが来たから通すよ」
扉に顔を近付けノックをしてから恭一が声をかけるものの、中からの応答はない。
「別にいいんじゃないか。柚稀だし」
どうしましょうかと言った感じで視線を向けてくる彼に小声で返す。二人の仲は至って
良好なのだが、彼は人との距離感をとても大事にする。だからたとえ相手の性格思考を
掴んでも、それを無下に扱うことは決してない。
余談ではあるが、そのせいで柚稀は我が家の間で「小宮山さん家の末っ子」という
愛称で親しまれている。さもありなん。
「やあ柚稀、ちゃんといい子にしてたかい」
「……」
扉を開け幾分おどけながら話しかけてみるものの、機嫌があまりよろしくないのかだんまりを
決め込まれる。
床の上に直接敷かれた敷き布団の上に、緑のうろこ柄の布団を頭からつま先からすっぽり
被っていて、姿はまったく見えない。なんか亀みたいだな。
「なーにふてくされてんだ」
「……」
「姉さん、わざわざ兼久さんが来てくれたのにその態度はちょっと…」
「……」
反応がない、ただのしかばねようだ。
顔を見せたくない理由は分かるけどな。見せたくないっていうより、見せられないって
言った方がこの場合正しいか。まったく、高校生にもなって何やってんだか。
あ、なんか布団が蠢きだした。どうやら体勢を入れ替え、頭が俺達側にくるようにしてる
みたいだな。時々指やかかとがはみ出たりしてんのがまた笑える。顔だけ布団の中から現すと、
そこには不機嫌そうな表情が浮かんでいる。
「……笑いに来たんだろ」
「見舞いに来てやった開口一番がそれか」
つまり、逆の立場だとこいつは俺を笑いに来るってことだ。こういう何気ない一言で
人間性って出るよね。
「へそ曲げんなよー、ちゃんと見舞いの品も買ってきたんだぞ?」
その一言に、柚稀の顔がぴくりと反応を示す。平静を装ってるものの、俺が持ってきた
箱を気にしだしてちらちらと視線を送ってくる。
「で?」
「ん?」
「中身は?」
徹底無視の方針は既に撤回の方向らしい。意志弱いなほんと、それでこそ柚稀だが。
「ほれ」
持っていた取っ手つきの箱を柚稀の眼前へ持っていく。すると最初は訝しがっていた
表情が、みるみるうちに驚きの色へと変わり瞳が爛々と輝きだす。
「これ!」
「少し並んだ。噂は聞いてたけど、ほんと人気だったよ」
最近、駅前に新しいジェラートショップができたのだが、そこが今結構な人気を集めて
たりする。味は言うまでもなく抜群なのだが、庶民派志向とはいえない店なので一つあたりの
単価もそれなりだ。その店のアイスをこうして買ってきたわけだ。くくく…いくらアイス好き
とはいえ、月の小遣い三千円の身では流石に厳しかろうて。
「満足したか?」
「おう!」
「感謝するか?」
「おう!」
なんか餌を目の前にした犬みたいだな。見えない尻尾が左右にパタパタ振れるような錯覚を
覚える。しかし、こういうのもなかなか悪くないな……。
「喜んでもらえたようで何より」
「どういたしまして!」
「じゃ、食べるか。いただきまーす」
「ええええなんでお前が食べようとしてんだよ!」
「俺が買ってきたもんをどうしようと俺の勝手だしー。そもそもお前にやるなんて一言も
言ってないしー」
「横暴だ!」
「褒め言葉をどうもありがとう」
なんだ元気じゃないか。一晩でバニラアイス十個も食って腹壊したとか聞いてたが、
全然大丈夫っぽいな。
「姉さんお腹の調子は大丈夫…」
「ふざっけんなあたしへの見舞い品だろ! なんでくれないんだよ!」
恭一の心配をよそに、大声でがんがん喚いてくる。うーん、ここまで大仰に反応して
くれたら、わざわざ並んで買ってきた甲斐もあったってもんだ。
「だってこれ抹茶味だし」
「……っ!」
「ほらこの前、お前が腹壊したら、『目の前でアイス食ってやるからな』って言ってたろ?
ちゃんと有言実行しとかないといけないと思ってな」
「……っ! ……っ!」
俺の言葉にがああああん、と酷くショックを受けた様子で、柚稀は涙目になって再び
布団の中に隠れてしまう。こいつが好きなのはあくまで「バニラ」のアイスだからな。
それ以外の品種には興味が持ってない。当然、それを見越した上で購入したわけだが。
「兼久さん、流石にちょっと大人気ないんじゃ…」
「心配すんなって。他はちゃんと全部バニラだ」
見かねた恭一が口を挟んできたが、こうなることは想定の範囲内である。全部で四つ購入
して、その内訳は抹茶が一つバニラが三つである。
「聞こえたぞ!」
うおっ、びっくりした。突然布団をめくって膝立ち状態で姿を現した柚稀に、アイスの
箱を奪われる。三度布団を被ると、中で「うひょひょひょ冷てー!」とか言ったりしてんの、
もう見てらんない。
「もらったぞ兼久! 返さないからな!」
「あー、好きにしろ」
「おう! 好きにする!」
好きな食い物目の前にしただけで随分テンション高くなったな。本当に腹壊してたのか?
「じゃあ、ちょっとばかし味見を…」
ってオイ、本当に今食うのかよ。流石にそれはやめといたほうが……
「姉さん駄目だろう。お腹の調子は、まだ戻ってないんだろう?」
「うっさい、お前は黙ってろ」
今にもアイスを頬張ろうとした柚稀を、恭一が止めに入る。
「冷凍庫に入れておけばいいじゃないか。何のために寝てるのか忘れてない?」
「あたしは今食べたいんだよ。いいからほっといてくれ」
なんだか兄弟喧嘩に発展しそうな勢いだな。ちょっとずつだけど、口論が激しくなって
きてるぞ。
「柚稀、俺も恭一の言う通りだと思うぞ。また腹壊して、布団にくるまる時間が伸びたら
元も子もないぞ」
「お前までそんなこと言うのか」
俺が恭一の側についたことで、柚稀はしょんぼりとうなだれてしまう。いやでも、そりゃ
そうだろ。お前今の今まで横になってた理由忘れてるだろ。
「やだー! 食べたい食べたい食ーべーたーいー!」
駄々っ子かこいつは。普段は擦れてるくせに、バニラが絡むと途端に幼児になるな。
「ワガママ言うんじゃありません。そんなこと言ってると、アイス没収しますよ」
「ふざけんなー」
母親口調で宥めてもちっとも効果がない。くそー、どうしてやろうか。
と、そんなこと考えてたら部屋の隅っこの方にビニールの紐が転がっているのが目に入る。
ようし、これを使って……
「恭一、俺があいつの気を引くから、その隙にアイス奪い返してくれ」
「でもすぐに取り返してきますよ。体調も良くなってきてるみたいだし」
「それは俺が何とかするから。とりあえず、奪い取ったらそのまま冷凍庫に持ってってくれ。
ドライアイス入れてるけど、あんな風に抱え込まれてたらすぐ溶けそうだ」
「分かりました」
小声で恭一と示し合わせると、互いにそそくさと動き始める。とりあえず、警戒した目つきで
こっちの様子伺ってくる柚稀の気を引かないとな。
「あ、窓の外にUFOが!」
「は? 何言ってんだお前」
当然、こんな古典的な方法じゃごまかしきれるはずもない。だがそんなことは計算のうちよ!
「ほらあそこだって! 見えないのかお前」
「今時そんな手に引っかかるわけないだろ、アホか」
完全に呆れた様子で柚稀は毒づいてくる。そうなると当然、恭一への注意は疎かになる
わけで…
「姉さんごめん!」
「あっ! てめっ!」
その隙を突いて恭一は、柚稀からアイスの箱を奪い返す。よくやった!
そのまま彼は指示してた通りに部屋から飛び出し、足早に一階に降りていく。
「待てよ!」
「待つのはお前だ」
「うあっ!?」
立ち上がろうとした柚稀の足を綺麗に払って再び布団の上に転がすと、巻き寿司の要領で
敷き布団ごと柚稀の身体を巻き込んでいく。こんなところで日々道場習っている柔道技が
役に立つとは、分からんもんだ。
「いきなり何すんだよぉ」
「だまらっしゃい」
巻き終えると、馬乗りして逃げられないようにがっちりと固定して、更にビニールの紐で
何重にも縛っていく。多少大袈裟になってしまったような気もするが、この際気にしない
でおこう。
「なんだよこれー、身動きとれないぞ」
「お前が言うことを聞かんからだ」
頭と足だけはみ出した巻き寿司状態になりながらも、反抗はやめないときた。というか、
端から見るとすげーおかしいな。気を緩ませると笑ってしまいそうだ。
「あいすー! あいすー!」
やばい、世にもおかしい妙な地球生命体が誕生してしまった。これは面白すぎる。
「ほどけってー」
「お前が反省したらな」
「何を反省するんだよ、んなこと一つも無いぞ」
「アイス食い過ぎて腹壊して、治りきってもいないうちからまた食べようとするバカが
どこにいる」
「好きなんだからしょうがない」
「勝手に納得すんな」
ったく、屁理屈ばっかりこねやがって。相手する俺の身にもなれってんだ。
「じゃあ渡すもんも渡したし、意外とお前元気そうだし、そろそろ帰るわ」
「ざっけんな。解かないと後でヒドいぞ」
「ならあのアイスを持って帰るまでだ」
「ぐっ…卑怯者ー」
「ま、お大事に」
「覚えてろよー!」
あー、面白かった。部屋に入った時は大人しかったけど、元気が出て良かった良かった。
見舞いをした甲斐があったってもんだな。
布団の中から這い出せる頃には腹の痛みも治ってるだろうし、持って帰らなくても問題
ないだろ。それでまたぶり返しても俺は知らん。自分の体の責任は自分でとってもらうしか
ないもんな。
さあて、少ししたら道場に行く時間か。近々昇段審査が迫ってるから頑張らないとなぁ。
去年段を取って黒帯貰えたけど、今年は今年で二段になっておきたいところだ。頑張るか―――
とりあえず今回はこんだけで
これからはまたぽつぽつ書いていこうと思ってるんで勘弁してください(´・ω・`)
(・∀・)<結局、アジアのトップ5(日韓サウジイランオージー)は全チーム最終予選に出てきそうだな。イラン勝ちそうだし
>>396 アイスで腹痛の自分にはとてもタイムリーな話でGJ
腹痛い・・・
幼馴染カーチャンを読んで、近年稀にみる絶望感を味わったオレが来ましたよ。
ここの甘い話しを読まないと、オレはダメになるかもしれん。
401 :
名無しさん@ピンキー:2008/06/22(日) 11:27:26 ID:qURG1FAe
401
どんなひどい腹痛も一回下痢出せば治る俺は勝ち組
>>402 即回復することによって、幼馴染みから看護して貰えないお前は負け組
腹痛がすぐに治らないうえに、看病してくれる幼馴染みがいない俺は・・・orz
405 :
241:2008/06/25(水) 01:21:02 ID:LJqFvwnO
>>241で干し柿の話を書いた者です。
登場人物は彼らってことでお願いします。
『お見舞いの言葉』
「なんだ、お前か」
もっと可愛い娘が見舞いに来てくれたらいいのに。
とベッドの上から生意気な言葉を投げてきたのは隣の男子中学生。
昔から隣同士で同年齢ということもあり、よく一緒に遊んで(いじめられて?)いた。
ところが、こいつときたら中学生になってからは
会話はおろか挨拶すらまともにしなくなった。
まー、半月ばかりお姉さんの私からすれば、
異性と中学生にもなって仲良くしてたら恥ずかしいっていう男の子の気持ちもわからなくはない。
でも、同じ陸上部なのだし、腐れ縁と言ってもいいくらいの仲なのだから、
もうちょっと、おしゃべりするぐらい良いじゃない。と思う。
今だって、私が一方的に話して向こうは、
「ああ」とか「へえ」とか聞いてるのかどうか疑わしい返事しかしないし。
ちなみに話題は今私のお気に入りのドラマの話。
主演の俳優さんがかっこよくてついつい見てしまう。
だけど、この馬鹿にはいかに彼が魅力的なのかを語っても理解できないらしい。
ずっと難しい顔をしている。困ったもんだ。
「ああ、そうそう。先生が、来週の日曜は記録会だから調子を整えておくように。って」
先生からの言伝を思い出した。記録会と聞くと目の色を変えるのがいつものこいつだ。が、
「ふーん」
せっかく人が伝えてやったのに、ぶすっとした表情で返事をしてから、
「それじゃ寝るわ」
そう言って、ゴソゴソと布団に潜り込んでいった。
これには私も呆然とする。本気で体調が悪いのかと思ったけど、
私が語りだすまではもう元気そうだった。
ってことは、私と会話するのが嫌って事なのか!?
そう思うとなんだか今まで溜まっていたフラストレーションが一気に
「なっっっんなのよ!あんたは!?」
「へっ!?」
爆発した。
突然キレた私に驚いてがばっと跳ね起きたところにずいっと近づいて、
「人が折角来たのに開口一番『なんだ、お前か』だし、可愛い娘に来て欲しかったとか言うし、
記録会のこと教えたのに感謝の言葉もないし、私に連絡なく休むから心配したし、
最近は朝会っても『よぉ』ってだけだし、休み時間に話そうとしたら既に友達と話してるし、
理科で同じ班の女の子とはしゃべってるし、ようやく話したと思ったら話すことは部活のことばっかりだし、
だいたい、学校の中じゃ、絶対、あんた私のこと避けてるわよね!?なんなのよ!?」
言った。言ってしまった。今まで散々積もり積もった鬱憤を全部ぶちまけた気分。
スッキリしたが、あれ?私何を言ったっけ?
と自分の行動を思い出せなくなるぐらい熱くなっていた。
その後、自分が何を言ったか思い出して、かぁっと顔が赤くなるのを感じた。
目をまん丸に見開いて吃驚している彼から、
逃げるようにカバンを引っ掴んで部屋から飛び出すまで十秒とかからなかっただろう。
『今なら自己ベストが出せそうだわ』
彼の家から出て少し冷静になった私はそう思った。
406 :
241:2008/06/25(水) 01:21:58 ID:LJqFvwnO
「あの時は訳わかんなくて驚くことしかできなかったなー」
入院中のベッドの上で笑いながら話す夫に、
バツの悪い顔でいることしかできない。
入院と言っても盲腸の手術だからそれほど
心配しなくてもいいのかもしれないが、やはり不安は不安だ。
それにしても、何度目の話だろうか。
夫は風邪やらなんやらで寝込むとすぐこの話をしたがる。
いじめっこなのは小学生の時と変わらない。
「でも、まさかあの後お前が体調悪くするとは思わなかったよ」
そうなのだ。帰ってからも私はずっとあの発言を気に病み続け、
お布団の中でも寝られなかったのだ。
その結果、熱を出し学校を休んだのだが、
「私も、まさかあなたがお見舞いに来るとは思わなかったわ」
一番顔を会わせたくなかったのに。
小声で呟いたのだが、彼にはしっかりと聞こえていたようだ。
「はははっ、そりゃ気の毒だったな。でも俺が行ったら元気になったじゃないか」
そう言われると何も言い返せない。事実であるし、あの時彼は言ってくれたのだ。
私が元気になる魔法のような言葉を。これ以上ないほど正確に。
今回も、きっと不安な私の心を察してこんな昔話で私をからかって、
元気付けようとしてるのだろう。
中学生のときから、いや、小学生のときから、彼は私にすごく甘いのだ。
それは今でも変わらない。だから、
「ゆっくり休んで早く良くなってね」
「当然だろう。ずっと一緒だって言ったんだから」
やっぱり、今回も言ってくれる。あの時と同じ魔法の言葉。
以上です。
お目汚し失礼しました。
>>406 GJ!
とてもよかったです
携帯から失礼します。おやすみなさい
>>406 GJ!!! 今回も過去+現在の構成なんだな。
そういう自作内でのパターンや約束事の踏襲は大好きだw
このまま二人の関係がゆっくり深まっていく様子を是非。
モーニング保守染み
染みと幼馴染み
付いて困るのは前者、付いて有り難いのは後者
後から付けられるのは前者、今更どうしようもないのは後者orz
幼なじみと再会した。
小学校の頃は1番の仲良しで、毎日遊んでた。
中学に入って俺が意識しだして、ちょっと疎遠になった。
でも先日ばったり再会して、遊ぶことになった。
手料理をごちそうになる予定wktk
…緊張と興奮で眠れないorz
お前だけに良いおもいさせてたまるかぁーッ!
────────‐───────────−─── ─-
─‐────────────‐────────‐∧_∧
─────‐∧ ∧,〜 ────────────‐(; ´Д`)
──−──‐( (⌒ ̄ `ヽ───_ ───────‐ / /─―/
──―───‐\ \ `ー'"´, -'⌒ヽ──────‐| | /‐─‐/ | |
>>412 ―‐――──‐ /∠_,ノ _/_───‐―──―─‐| | /─―/ | |
─────‐ /( ノ ヽ、_/´ \―────‐──‐∪ ./──,イ ∪
────‐ 、( 'ノ( く `ヽ、 ―────―‐| /−─/|| |
───‐‐/` ―\____>\___ノ ──────‐|/──/ || |
───/───―‐/__〉.───`、__>.―‐―───‐─―‐| || |
──/──‐──────────────―−───‐(_)_)
─/────────−────────────‐─────
お幸せに。
>>412 宗教勧誘か子ねずみ勧誘のどちらかだな。
412逃げて逃げて〜
残念既婚者でした!
男同士というオチですよね分かります
伸びてるなーと思って来てみたらwww
421 :
412 :2008/07/01(火) 23:19:10 ID:f60PbhMq
ただいま。
進展はなかったww
でも、迎えに来てくれて、帰りも送ってくれた。
あと、頭撫でられた。
…これフラグ?
弟扱いしてるな
もううんざり
そんなに私生活自慢したいのか?
VTPで安価でもしてこいよ
>>412が実は………
『第一人称が俺』というボーイッシュ少女というオチでは?
で男に料理を作って貰う代わりに、自分が料理され(ry
幼馴染みスレって、某所でもそうだけど、リアル自慢したがりが沸くよね。
なんか変なオーラでも発してるのかな?
>>425 そりゃあ、望んでも得られないわけだし、
羨ましく思う人間も多いだろうからな。
程ほどにしておいて欲しいが、まあSSの形にして
投下してくえっるなら何の文句も無いし、
是非リアル体験者達には頑張っていただきたい。
むしろ某所含めリアル自慢叩きたがりが湧いてる気がする。
こっちの奴はマシだけど某所の方は自分の意見を住民の総意みたいに言ってるから腹立つ。
つまらないんだったらスルーするかSSに直して面白くしてくれよ。
かといってスレ違いどころか、板違いの報告行為をされても困る
SSスレでそういう事されても反応に困る。
ならその経験をネタにしてSS書こうぜ!
で、次に来るコメントは、
「ごめん、俺、文才無いんだわ」
「ごめん、俺、文才無いんだわ・・・っと」
「なにしてんの?」
「おわわわわっ、な、な、な、なんだよっ!?」
「ん? なにこれ……エロパロ板……幼馴染萌え……?」
「あっ、見るなっ! 見たら駄目っ!」
「……へへー、ふーん」
「な、なんだよそのにやけ面はっ!?」
「いえいえ、べつにー」
「……どうせ、俺はこんなエロい板を独りで見て悦に入ってる
根暗なオタクですよ……ぐすぐす……」
「あ、ちょ、泣かなくてもいいじゃん……嬉しかったのに」
「ぐすぐす……へ?」
「あんたがむっつりスケベな事くらい知ってるわ。何年の付き合いだと思ってんの」
「……酷い事を言われた気がする」
「あはは、酷い事言ってんのよ」
「ひでぶ」
「……でも、ちゃんとあんたの中身まではわかってなかったのかもね」
「……え?」
「だって、興味ないのかと思ってたもん」
「何に」
「私に」
「………………」
「お・さ・な・な・じ・み・の・わ・た・し・に」
「……べ、別に興味なんか……」
「じゃあ、それ何?」
「ぐっ……」
「……あ、やっぱり私の事書いてるじゃん」
「あ、だから読むなって!」
「もう読んじゃったー」
「………………」
「……嬉しいよ、私……だって、私、ずっと……あんたの事……」
「待った!」
「へ?」
「……先に、俺に言わせてよ。じゃなきゃ立場が無さすぎる」
「……うん」
「……ふぅ……言うぞ?」
「……うん」
「…………言うからな?」
「……うん?」
「………………言うったら言うぞ!?」
「……さっさと言えっ!」
「はいぃっ! ……えっと、だな……俺、ずっとお前の事……好きだった。
そんで、今も……その、好きだ」
「………………」
「……なんだ?」
「私、すっごいドキドキしてる」
「お、俺だって……なんかもう、心臓止まりそう……」
「ふふふっ……。ありがとう……私も、だよ」
「………………」
「……どうしたの?」
「……ヤバイ、もう、なんか……死ぬ……」
「ちょっと大丈夫? 顔、物凄い赤いよ?」
「うぉぉぉぉぉぉ、もうだめだぁぁぁぁぁぁ! 悶え死ぬぅぅぅっぅうぅ!」
「……そんなに恥ずかしがらなくてもいいのに」
「はずいわっ!? ……お前は恥ずかしくないのか?」
「ちょっとね……だけど、恥ずかしいついでに、お願いしてもいい?」
「なんかしおらしいお前ってぶきいたっ!? ……殴るなよなんだよ」
「……両思い記念に……キス、しよっか?」
「………………ぷしゅうぅぅぅぅぅぅぅ」
「ああっ! 潰れたっ!?」
男が潰れてしまったのでここまでです。
何というか、俺文才無いとか言う人が
こういう風にいい感じになってるかと思うと、
軽く氏ねばいいのにとか思いますねはっはっは(爽
どう見ても妄想です。
本当にありがとうございました。
GJ過ぎるwww
ごめん、俺、幼馴染居ないんだわ
いや居るけどさ…そんなに可愛いのいねーよちくしょう(´;ω;`)
436 :
412:2008/07/03(木) 23:51:17 ID:T0B01Vfd
ネタに勢いで書いた。
すまんかった。
432に感謝する。
何の刺激もない4年間だった。
女子大という女の園に通ったせいか、男性と付き合うどころか、出会うことすらなく卒業を迎える。
そして、なんとなく社会人になってしまった。
仕事から帰り、いつものようにパソコンを立ち上げた時だった。
懐かしい名前が目に飛び込んできた。
幼馴染の名前だ。
『亮』、物心ついた頃からの幼馴染だ。
小学校の頃は毎日のように遊び、姉弟のようだったらしい。
中学に上がってからはクラスも別になり、疎遠になっていった。
しかし、高校の頃、ひょんなことからまた話す機会を得る。
それはチャットという共通の趣味を持ったからだった。
『わ、久しぶり』
『あれ、あんたか。元気かい?』
『そっちこそ!』
『俺は結構元気!』
『こっちも元気だよ。』
大学に入ってからはお互いに生活が忙しくなり、出くわすことも少なくなっていた。
あまりに久しぶりで、会話は弾みに弾んだ。
お互いの近況や、小中学校の話、昔の友達の話など、会話は尽きることがなかった。
『うわぁ、4時過ぎてるwww』
『え・・・ほんとだ』
『そろそろ寝なきゃやばっw』
『明日・・・というか今日か、休みでよかったなw』
『お互いにねw』
『まったくだw』
『じゃあ、寝ようか』
『あ、待って』
『ん?なぁに?』
『今度遊びに来いよ、せっかく近いんだから』
『え、うん、じゃあ、お言葉に甘えて・・・』
数日のうちに話はまとまり、亮の家にお邪魔することになった。
彼は、この春から隣町で一人暮らしをしている。
『自炊ちゃんとできてるの?』
という私の売り言葉に、
『俺は結構料理うまいんだぞ』
という買い言葉で、料理をごちそうしてくれる約束になった。
ある日の仕事帰り、バス停まで歩く途中、1通のメールが届いた。
『今から迎えに行く。今どこ?』
慌ててメールを返すと、電話がかかってきた。
「あ、俺。すぐ近くにいるから、○○スーパーで待ち合わせよう。」
私が答えるか答えないかのうちに、電話は切れてしまった。
急いで待ち合わせ場所に向かいながら、混乱した頭で考える。
昨夜は今日の約束で緊張したのか、なかなか寝付けなかった。
おかげで、仕事中眠気をこらえるのに必死で。
具体的な待ち合わせなどしていなかったため、てっきり『勝手に来い』と言われるとばかり思っていたのに・・・。
「お、早かったな。ひさしぶり。」
遠慮がちにノックをして扉を開けると、笑顔の彼がそう言った。
息を切らして目的地にたどり着いた時、彼は既にそこにいた。
正確に言うと、車の中にいたのを、私が見つけた。
うながされるまま助手席に座り、シートベルトを締める。
2人きりなんて久しぶりすぎて、なんだか緊張する。
・・・顔が熱いのは、走ったせいだろう。
「じゃあ、我が家へ帰りますか!」
その言葉とともに、エンジンがかかった。
続けてすまん。
携帯からだとこんな細切れになるとは。
笑いどころはないから、つまらなかったらスルーで頼む。
「お、お邪魔しま〜す。」
「おう。遠慮なく上がれ。」
ぎこちなく会話しているうちに、家に着いた。
想像したよりずっと近くにいたんだなぁ、と思いながら、靴を脱ぐ。
部屋にお邪魔するなんて、高校以来だ。
そして、彼について奥の部屋に入った。
「まぁ、適当に座っていいよ。パソコンもあるし。」
礼を言って、遠慮がちにパソコンの前に座る。
亮の部屋は思ったよりも広くて、思ったよりも、その、落ち着かない。
さらに奥にも他の部屋があるようだ。
ダイニングにパソコンが置いてあるし、同じ部屋にいられるだけマシだと思うことにして、起動ボタンを押した。
しばらく二人でパソコンで遊び、だんだん調子が戻ってくるのを感じた。
散々笑い合って打ち解けてきた頃、亮が切り出した。
「腹減った。飯、何食べたい?」
「え、え〜と、何でも良いのだけど・・・。」
料理を作ってくれると聞いた日から、私なりにリクエストを考えてはいた。
が、結局何も思い浮かばなかったのだ。
それに、作ってくれるなら何でも美味しいだろうと思っていた。
「「う〜ん・・・」」
二人して考え込んでしまい、料理に取り掛かったのは7時を回った頃だった。
下ごしらえを終え、炊飯器を覗き込むと、まだまだ炊けそうにない雰囲気だ。
肝心の御飯が炊けなくては、調理にはかかれない。
すきっ腹を我慢し、再びパソコンと向かい合った。
ようやく御飯が炊きあがり、食事にありつけた頃には、8時を過ぎていた。
空腹は最高の調味料、とはよく言ったもので、非常に美味しかった。
いや、実際彼の料理の手際は良く、本人が言うだけあって、腕もなかなか良い。
会話も弾み、楽しい夕食だった。
しかし、夕食後の片づけを済ませた私たちは、少々ぐったりしていた。
目分量で作る男の料理は、量が多かったのだ。
持参したデザートを食べるどころではなく、休憩してから、という意見で一致した。
「じゃあ、新しいゲーム見せてやるよ」
「うん!」
嬉しそうに答えた私を見た彼は、可笑しそうに笑った。
そして立ち上がると、私の横を通り、隣の部屋へと移動しようとした。
と、通りざまに何かが触れた。
彼の手が、私の頭の上にあった。
「いいこ、いいこ。」
彼はそのままくしゃくしゃと頭をなで、そして何事もなかったようにゲームの準備を始めた。
「な、な、なになに??髪ぐしゃぐしゃになったじゃないかあぁ・・・」
我に返った私は咄嗟にそう言い返し、慌てて髪をなでつける。
彼はその様子を見て、さらに笑顔を濃くした。
その後、彼がゲームをするのを横で見る私は、混乱が深まるばかりだった。
あの彼の行動を、どう解釈したら良いのか測りかねていたのだ。
幼い頃以来、久しぶりに触れた彼の手は、大きくてごつごつしていて・・・。
背なんて、とっくに抜かされている。
この人は男で、私は女だ。そんなことはわかっていたけども。
『あんたのこと、姉のように思ってた』
この間はそう言ってたのに。
そうしているうちに、夜も更けてきた。
「そろそろ帰るか?」
「あ、そうだね。遅くまでごめん。」
そう答えると、彼は笑った。
「じゃ、送るよ。また遊びに来いよ。」
そして、こともなさげに、家まで送ってくれた。
彼を見送って、お風呂の中ではたと気づいた。
そういえば、夕食のときには必ず酒を飲むと言っていたのに。
・・・私を送るため、我慢してくれたの・・・?
そう思いついてしまうと、もう収集がつかなくなった。
ヤケになって酒を飲みながら、寝てしまった。
440 :
412:2008/07/04(金) 00:16:03 ID:2TwBw/v5
今回はこれで。
また書くかも。
GJ!ただし 続くかもではなく続けなさい。
男のヤンデレって需要ないんだろうか。
あんまりないよな。
幼なじみで男のほうがヤンデレっていう設定に萌える俺涙目。
>>443 萌える人は少ないかもしれんが、物語を盛り上げる要素にはなるかも
まあ難しい題材だと思う
想像してみたが、ストーカーにしかならないな
俺も過度の暴力やグロはちょっと…
男が解体されても修羅場の一言で済むのに
おにゃのこが解体されるとグロく感じる!ふしぎ!
例えば幼なじみの子が自分以外の男と親しく喋ってるのを見て、その日の夜は人が変わった様にドSになる男はヤンデレ男と言うのだろうか
>>449 いや、ここはむしろ書けというべきじゃね?
連投になってしまった
すごーく久しぶりに投下してみる
本当なら昨日投下すべきネタだったんだけど、途中で寝落ちしてしまってたよ……
今回久しぶりに書いたから、かなり無駄が多い文になってます。よければ軽く流して下さい
昔投下したネタの続きになってしまったんで、よければまとめにある「幼なじみと四月バカ」を読んで下さいな
では投下。いけるかな……?
今日は七夕。
天の川を隔てて生きる織姫と彦星が、年に一回出会うことができる日だという。
……天の川がどれくらいの幅かは知らないが、川くらいなら船で渡れそうな気もするんだが、どうなんだろうな。
うまく口利きしたら、船頭一人くらいは丸め込めるんじゃなかろうか。
それとも、船も漕げないくらい川の流れがすごい速いのか。……そういや雨降ったら氾濫するんだっけ。
そう考えると、本当気が長いな、あの二人は。
「まぁオレには関係ないけど」
「何だか知らないけど手を動かしなさい」
言われて、しぶしぶ視線を窓の外から手元の机に戻す。
開かれたノートの中には奇怪な数式の数々。数字は世界共通の言語とはいうが、少なくともオレには通じないぞと、恨み言の一つも言いたくなる。
思わずため息を一つ。すると目の前のこいつはそれに敏感に反応して、
「もう、今度は何がわからないの?」
と身を乗り出して聞いてくる。
「あー……、全部、かな」
素直に答えると、あきれ顔をされる。事実だから仕方ない。
「ほら、ここでは傾きが0のところが極になるんだから、微分してから値を代入して0になるところを探すのよ。わかる?」
「……えーと。極って何だっけ?」
……何だその哀れむような目は。何となく切なくなるから止めろ。こっち見んな。
今度はあっちが大きなため息。何だよ、悪かったな阿呆で。
「……あのね、極って要は山頂とか谷底みたいなもので……」
それでも、粘り強く説明してくれるこいつには、正直感謝もしてる。
天敵たる数学のテストが明日に控えているが、オレだけじゃ到底太刀打ちできないからな。
高校生のオレこと高遠 匠(たかとお たくみ)と目の前の女、木崎 優奈(きざき ゆな)に七夕なんぞは関係ない。何てったって、今はテスト週間なんだから。
そう、オレと優奈はまたしても一緒に勉強していたのだ。
「……と。はい、範囲はここまで。ちゃんとわかった?」
「な、何とか……」
あの4月1日から3ヶ月ちょっと。
オレと優奈のクラスはやっぱり同じで、オレは何者かの作為を本気で疑ったりもした。
やはりクラス委員長となった優奈は相変わらず人気者だったが、オレの立ち位置は昨年とは少々異なっていた。
それというのも、優奈が今までより積極的にオレに関わってくるからだ。
わざわざ登校時間を合わせてきたり、昼飯にはオレを強引にグループに引き込んだり、帰りもオレを待ってみたり。
最近はこうして勉強も教えてくれたりする。本当なら委員会の用事とかで忙しいはずなのに、だ。
そのおかげで、クラスの連中に散々いじられることになるのは想像にかたくないだろう。
男子連中などはことあるごとにオレの首を絞めてくる。「うらやましいぞコンチクショー!」とか何とか。
……だがまぁ正直、この変化を悪く思ってない自分がいる。
クラスメイトは気のいい連中が多いし、自分がそんなクラスの一員として参加できることは、何だかんだで楽しいのだ。
それもこれも、やはり優奈の――
「――匠、聞いてる?」
「うぉあっ!?」
気付けば、優奈がこちらの顔を覗き込んできていた。優奈の顔が間近に迫る。
「……ちゃんと人の話は聞きなさいよね」
優奈は不機嫌そうに眉根を寄せ、こちらにきつい視線を向けている。
ちょっとこっちが前に出たら、おでこがぶつかってしまいそうだ。なぜだか、少しドキドキした。
「わかった、わかったからちょっと離れてくれ」
とりあえず優奈に提案する。距離を取らないと、よくわからないが色々まずいような気がした。
と、優奈も距離感の近さに気付いたか、ちょっと頬を赤くしつつ、さっと身を引いた。
「ま、まったく、しっかりしてよね!」
そっぽを向き、眉を吊り上げながら厳しい言葉を浴びせてくる。しかし、頬の赤さが刺々しさをなくしてしまっていた。
……つか待て、その表\情は反則だろ。こっちまで赤くなってしまうじゃないか。
しばらくそのまま沈黙が続く。気まずい間が続いたままで、優奈が立ち上がった。
「お茶、入れてきてあげる」
一言を残して、部屋から出ていった。
ちなみにここは優奈の部屋だ。昔はよくきたが、最近までは来ることも滅多になかった。
まぁ4月以降、よく勉強を教えてもらうので、再び来る回数が増えていたりするのだが。
手持ちぶさたなのでマンガの一冊でも読みたかったが、腐れ縁といえど、さすがに女の子の部屋を物色するのはまずい。
暇潰しになるものはないかと首をめぐらせ、オレはそれに初めて気付いた。
2つのコップに麦茶を注ぐ。その間考えるのは、さっきの匠とのことについて。
最近の自分はずいぶん積極的になったと思う。匠と一緒にいる時間が、最近本当に増えている。
きっかけは、あの4月1日のことがあったから。
あのときほど自分の情けなさを実感した。結局あの日はウソの積み重ねが多くなっただけだった。
……やっぱり急ぎすぎたのだと、その日の自分は結論した。
幼なじみとは言え、いや、幼なじみだからこそ、告白なんてできなかった。匠だって、きっと困惑するにちがいない。
だから、少し距離を縮めてみようと思った。もう少しだけ、匠に近づいて、私のことを意識してもらおうと考えた。
今のところ、匠の対応にあまり変化は見られない。やっぱり私は単なる幼なじみなのかと、少し落ち込むこともある。
しかし、匠自身には変化があった。
私と一緒にいることをクラスメイトに色々問いつめられたりしているうちに、クラスにだいぶ馴染んできているのだ。
昨年はクラスから孤立していた(本人が意図的に距離を置いていた)ことを考えると、かなりの進歩と言える。
今では気さくに話せる友人もかなり増えたようで、何だか私まで嬉しくなってしまう。
自分の思惑とは外れてしまったが、匠が確実にみんなの輪に入ろうとしてくれるのは、とてもいいことだと思っている。
そこでふと、あることに気付いた。
「……私は、どうなるのかな」
昨年まで、匠はあまり人と関わろうとしなかった。
私が橋渡しをしなければ、匠は本当に孤立してしまっていたのではないだろうか。
私はそれが嫌だった。でも、匠にも悪く思われたくなかった。
私はなるべく匠が孤立しないように、そして匠が鬱陶しく思わない程度に、うまく周りとの仲を取り持った。
自然、匠の私に対する依存度は高くなる。匠にとって私は必要な人間だったのだ。
今はどうか。
匠は自分からみんなと関わろうとしている。それ自体は喜ばしいことだ。
でも、私は?私は匠にとって必要じゃなくなってしまうんじゃないだろうか。
私が匠に近づこうとすればするほど、匠は私を必要としなくなる。
「私、どうしたらいいのかな」
気付いたら、お茶を注ぎ終わっていた。少しこぼれてしまったようだ。
ため息を一つ。こぼれたお茶を布巾で拭って、お茶を持って部屋に戻った。
「はい、お茶持ってきたわよ」
扉が開いて、優奈が戻ってきた。オレは慌てて手元のものをポケットに隠す。
「……匠、今何かした?」
気付かれたか。しかし、ここでこのことがばれるのはすごく気まずい。
「い、いや、笹なんか置いてるから、短冊見てた」
そう、なぜだか優奈の部屋には笹が置いてあり、いくつか短冊も下がっていたのだ。
「七夕なんだしいいじゃない。風流でしょ?」
などと、コップを置きながら優奈は言う。
しかしだ、ぬいぐるみなどがたくさんある(これも優奈の外でのイメージからは掴みにくい)女の子っぽい部屋に、
ぽつんと笹だけが置いてあるのは、風流というか滑稽というか。
「つか何でオレの母さんとかが書いてるんだよ」
短冊は6枚。木崎家は4人家族であり、残り2枚はわが母と父の分だった。
ちなみに母の願いは《夫婦円満》。息子のことも気に留めてほしいかな、うん。
「私が頼んだのよ。せっかくだから短冊は多いほうがいいでしょ。何なら匠も書く?」
言いつつ、ペンと短冊を渡される。
少し考えて書いたのは、《日々平穏》。最近騒がしいからな。
「……匠、若いんだからもう少し冒険しなさいよ」
うるさいな、騒がしい原因が偉そうに語るな。
「お前だって《志望校に合格》とか、絵馬と勘違いしてんじゃないか?」
「わ、悪かったわね!」
とまぁ、優奈をやり込めつつ、短冊を笹に括り付けようとして、
「あれ?」
短冊が一枚多いことに気付いた。
さっきはよく見えなかったが、なぜだか節に近い場所に一枚括ってある。こんな場所にやらなくてもいいのに。
背後ではっと息を飲む音がした気もしたが、構わず読もうとする。
「なになに、匠と……」
「だ、ダメっ!」
優奈の叫びが聞こえたかと思うと、いきなり背中に衝撃が走った。
「どわっ!?」
オレは前のめりに倒れ、背中に重さと柔らかな感触を得た。
「ゆ、優奈……いきなり突進して来るな……」
どうやら体当たりされたらしい。オレはうつぶせに倒れ、その上に優奈が覆いかぶさる形となっていた。
優奈はその姿勢でオレから笹をひったくる。
「よ、読んだ?」
「……何を」
「短冊よ短冊!」
なぜだか必死でこちらを問いつめてくる。読まれたら困るのか?
「読んでないよ」
「ほ、本当に?」
「本当だ、本当だからさっさと退いてくれ。重い」
そこでようやく自分の体勢に気付いたか、優奈はオレの上から退いた。
オレも上体を起こし、背中をさする。痛いんだから、こういうのは勘弁してほしい、本当に。
優奈はこちらに背を向けて、
「重いは余計よ!」
とか言っている。長い黒髪に隠れて見えないが、何となく耳が赤くなってる気がした。
それからちょっとの間があって、匠は家に帰った。
さっきのことを考え、私はすごく恥ずかしかった。あれでは何かあると確実に思われるじゃないか。
先ほどの短冊を見る。ピンク色の紙に書いてあるのは、私の本当の願いだった。
《匠とずっと一緒にいられますように》
「叶うかな、本当に」
窓の外を見る。今日は天気もよく、天の川もきれいに見えた。
織姫と彦星は、遠いからこそ互いを思い慕うのだ。
近すぎる私たちは、あるいは彼らより遠い関係にあるのかもしれない。
部屋に戻り、さっき隠したものを取り出す。
それは水色の紙切れだった。優奈の部屋から取った短冊だ。
あの時、本当は短冊に願い事を書いていた。
七夕なんぞは関係ないと思っていたが、あの時はたまたま暇だったからな。本当だぞ。
しかし、思いつきで書いたはずの願いは、なぜだか特定人物に関することになっていた。
《ずっと優奈と一緒にいられますように》
「さすがにこれは気持ち悪いな」
ついつい苦笑いをしてしまう。たかが幼なじみにこんなことを願われても、優奈だって困るだろうしな。
机の中に短冊をしまう。捨てる気には、何故かならなかった。
以上。
……んー、やっぱりうまくない。エロもなければ萌えもない
読みにくいところだらけなんで、何かありましたらぜひご指導下さい
……一本投げっぱなしジャーマンになっているのは忘れ……いや、内緒にしとこうか
さて逃げるか
リアル投下ウヒョー! 今日青春トークしてきたせいか悶えちまうZe!!
2chの都合上若干つまって見えるが、読みにくくはないよ。
……ウチの七夕は幸い八月なんだが、こんなイベント、あるわけねぇよなぁ……orz
大丈夫 実は俺も なげっぱ(ry
>>457 乙ですー
>>458 仙台とか旧暦7月7日に開催するところの人乙ですー
さあさあ書くべし、書くべし。
460 :
458:2008/07/10(木) 01:52:24 ID:TiE8uWJm
>>459 七夕のじゃないけどもうすぐ投下するよ。
まあ、変なのだけど……
鳥うろ覚えなんでテスト&自分を追い込む予告
よしあってた。
今日中に投下するぜ
保管庫のを読んできた。
ちょっと期待
それじゃ予告どおり投下しますよ、と。
今回もまたごめんなさいと言うかまあアレですよお前たまにはマトモなの書け。
エロなし。15レスくらい?
コンセプトは『90年代ロボットもの』ってことで一つ。
/0.
二〇〇]年、五月二十七日。地球は宇宙人に侵略された。
なんだかんだ言って質・量ともに世界最高級らしいアメリカ軍が、真っ向からぶつかり合って、惨敗。超惨敗。
最高級がそんなざまなんだから、他の国の軍隊なんて、末路を語るまでもない。
私の住む日本においても同じ、……かと、思いきや。
まったく馬鹿らしいことに、日本――主に北海道――はわりと平気だった。
――何故ならば。巨大なロボットが、この街を守っているからなのだった。
/1.
失礼します、と一声。返事を待たず、自衛隊の駐屯地になった母校、その保健室に入る。
そこにいたのは、侵略される前―― 一月前と変わらぬ保健室の白衣・眼鏡美人教師、祭中<さいなか>先生と、幼馴染、背ばかりがむやみに高い少年、樫家・洋巻<かしや・ひろまき>だった。
「やあ、よく来てくれた、前餅君。歓迎する。そこにかけてくれたまえ」
彼女はポットからお湯を出してコーヒーを淹れて、教室から持って来たのだろうか、いつも私たちが使っていた机に一つずつ置いた。
私――前餅・杏子<まえもち・あんず>は隣の洋巻と顔を見合わせて、お互い変な表情をしている事を確認した。
彼の方は、幼馴染である私がなんでこんな所に呼ばれたのか、と。
私の方は、世界で唯一あの宇宙人と戦える戦力の操縦者が、なんでこんな所にいるのか、と。
……あまり長い間立っているのも失礼か、と私は昔――本当に昔のように感じる――のように椅子を引いて座った。
「祭中先生、何の御用でしょうか?」
「来てもらったのは他でもない、樫家君が駆る巨大人型兵器――雷轟衛<ライゴウエ>の弱点についてだ」
白衣を翻し、祭中先生はホワイトボードにガシガシと板書していく。
「第一に、単体であること。確かに、宇宙人――『イブマ』達に対して、雷轟衛の武装は効果的だ。しかし、雷雲形成からの雷撃――樫家君。技名は付けたかね」
「つけてませんけど」
即答に対し、祭中先生は大げさにふらつく。
「……勿体無い。せっかくの広範囲大火力武装――つまりは必殺武器だというのにな。明日までの宿題だ。考えておくように」
はい、と犬のように素直に頷く馬鹿。
「――それまでは仮に轟雷カッコ仮カッコ閉じとでも呼んでおこう。雷雲を生み出す最中、雷轟衛は無防備状態だ。自衛隊も部隊を出してくれるが、質も量も負けている。一時的な足止めにしかならん。昨日の戦闘のように、犠牲も多く出る」
横目で馬鹿を見ると、少しだけ泣きそうな顔になっていた。
……そりゃあそうだろう、と思う。昨日だって、あの――轟雷(仮)を撃つために――
「こら。二人とも、こっちを向きなさい。追悼の意を捧げるのは悪いことじゃないが、今はこっちだ」
「……はい」
本当、犬みたいな男だ。そんなに巨乳がいいのか。
「これについては、私達も『持ち前の根性でどうにかしろ』としか言えん。今のところはな。よって、次の問題点に移る」
ため息を吐いて、授業――と言うのもおかしいか。とにかく、話を聞く。
「第二に、固定武装が主に近距離用であること。第三に、高機動空中戦ができないことだ」
ホワイトボードに連ねられていく文字は、乱雑ながらもきびきびとしたものだ。右半分には三つの問題点が、左半分には雷轟衛の模式図だろうか、簡略な人が描かれる。
「固定武装は両腕に剣と、背部の雷雲/雷撃発生装置。肩に電磁ワイヤー。背、腰には加速器があるが、主に短距離加速用であり、長時間飛行や空中戦闘には向かない」
祭中先生は、よくもまあこれで二日前は敵機編隊を落せたものだ、とため息を吐く。
根性系だからなぁこの馬鹿。その辺もなんだか犬みたいだ。
「この二つの問題だが、――我々の方で対処可能だ」
そう言って、先生は何かをホワイトボードに書き足し、
「敵が我々の砲弾を無効化するのは、小型機は弾道予測、大型機はその構造による衝撃吸収だ。雷轟衛の腕にそれを補う高弾速かつ大威力の武器を取り付ければいい。飛行能力についても、目処はついている」
そして、ホワイトボードを叩く。こうすればいい、と。
左半分に、L字型の何かと、翼らしきものが描き込まれた。銃と追加の加速器だろうか。単純な発想と言えばそうだが、それ以上と言うのも中々出しがたい。
「レールガンを持たせ、戦闘機を背負わせる。改造に多少の時間はかかるが、肝心の動力については問題ないのが救いだな。……そんな目で睨むな、力が今すぐ必要というのはよく分かる。だが、時間も物資もない。しばらくは粗悪な試作品、改造品で我慢してくれ」
……もうちょっとブッ飛んでいた。戦闘機を背負わせるだなんて無茶、普通の人は考えない気がする。
「はい」
目の前の女性に何を言っても、事態は改善されないことぐらいは分かっているらしい。さらに素直に頷いて、彼は耳を傾ける。
「そして、第四の問題だが――前餅君。きみ、ガンダムやエヴァンゲリオンだとか、ロボットアニメを見たことがあるか?」
「は、はい?」
い、いきなり話を振られてもっ。
「その様子では見たことがないようだな。解説しよう。知っての通り、これらはロボットアニメだ。主人公は、ロボットの操縦者になる事を強いられる。
彼ら以外では無理だ、と。そして、その重圧に耐えられず逃げ出してしまう。……もちろんそのままでは話が進まないので、戻ったり、連れ戻されたりするんだが」
「は、はぁ……それで、先生。それがなんで第四の――」
そこで、あ、と気付く。現状とロボットアニメの共通点を。
彼女は頷き、答え合わせをするように言葉を発する。
「第四の問題点は、操者が彼しかいないことだ。暗殺や逃亡、病気、怪我……これらの問題が、致命的な問題になる。
体の不調なら、根性でどうにかできるかもしれない。しかし、その根性の源である心が折れてはどうしようもないんだ」
馬鹿は黙って聞いている。
その通りだ、と思っているのか、俺の心は折れなんかしない、と熱血しているのかはさておき。
「今のところ分かっている雷轟衛の問題点はこんなところだな。では、第四の問題点の対策を今から伝える」
「……その前に、あの。一つ聞いていいでしょうか。なんで私を呼んだんですか?」
「そう。それだ。ちょうど、今から説明するところなんだ」
ぴっ、とマニキュアのまの字すらないきれいな指先が私に向けられる。
「物理的、身体的な対策は、我々で対策可能だ。きみのような近しい人――家族や友人にはこちらでカバーするし、怪我や病気も最優先で治療しよう。
だが、先ほども言ったように、心までは手を出せない。君も知っているだろうが、人はテンション次第で業績が上がったり下がったりするものだ。
そして、この仕事は常に最高の結果を求め続けねばならない」
そこで彼女はコーヒーを一口。白い喉がコクリと動く。
「カウンセリングでは足りない。もっと直接的なものが必要なのだよ」
「……あ、あの、やな予感がするので帰っていいですか?」
「却下だ」
祭中先生は今日初めて笑顔を見せる。とびっきりだ。とびっきりの――最悪な顔だ。
「古来から、オトコが頑張る状況というのは決まっているんだ――女を守る時さ」
横でド馬鹿が首をかしげている。そうなのか、と。
ああもう馬鹿は本当に単純でいい。私はいつも苦労する……!
「そういうわけだ。前餅君、協力を――」
「全力でお断りしますっ!!!!」
立ち上がった拍子に、椅子が飛んだ。
元々ベッドのあった位置を抜けて、色々な薬品が入っていた戸棚にぶつかって派手な音が立つ。
「おい杏子、んな怒鳴るコト――」
「うっさいこのよーかん!!!」
「よ、よーかん!? 和菓子か!?」
「黙れ!」
「あーこらきみ、そんな風に言ってはいけないよ」
「誰のせいですか、誰の!!」
「……んー……」
指差されたのは私だった。
「きみかな?」
――色々とブチ切れる音が聞こえたが、そこで殴りかかるほど子供でもない。
……殴りかかったら、先生、その事をモトに強請ってくるかも知れないし。
「失礼します。コーヒーご馳走様でした!」
二人を完全に無視して、扉を思いっきり開く。
廊下を巡回していた自衛隊の人がビビるのがさらに腹立たしくて、思わず威嚇した。
……学校を出た後で、コーヒー飲んでないな、と、そんなくだらないことに気が付いた。
/2.
交通機関が麻痺しているから、基本的に移動は人力だ。
普段はバスを使う道程を自転車で往復するには、ちょっとばかり普段の運動が足りなかったらしい。
へとへとになりながらも家の前まで戻ってきた私は、しかし家に入らずそのまま通過した。
……根回しされてるかもしれないしなぁ。
先生の言いたいことは分かる。よく分かる。なりふり構っていられないのが現状で、余裕なんて実際にはない筈なのだ。
「こうやって自転車に乗っていられるのもあいつのおかげ、かぁ……」
ため息を吐いて、夕焼けの空を見上げた。青森と北海道の境界――津軽海峡を渡れずに亡くなった人もいるのに、と。
雷轟衛の加速器では、日本全域どころか北海道全域のカバーすら不可能だ。
罪悪感を抱くのは、間違いだろうか。
――昔。平和な日本という国にいて、地球の裏側で起こっている紛争なんて気にもしなかったのに。
「……状況が違うのは、言い訳にならないよね……」
丘の坂道に差し掛かった。今の脚力ではとてもじゃないけれど昇りきれないので、自転車から降りて押していく。
この丘の上には、雷轟衛が眠っていたらしい神社がある。しかし、そこまで行く気にはなれない。第一、雷轟衛が出現したときに壊してしまったと言うし。
目指すのは、丘を蛇行しつつ登っていく坂道の途中、夕陽の見える場所だ。
もう、六月も半ばだ。汗だくになりながら坂道を登っていく。
「…………」
なんだって私が、と歯噛みする。
「……そんな役目。先生がやればいいじゃないですか」
私がアイツの――
「――女になれって、言うんですか……」
理由がない。全くない。全然ないし、存在しない。ありえない。ありえる筈がない。
……夕陽が妙に眩しい。
目がくらんで、視界がにじんでしまった。
……最悪だ。本当に、最悪だ。
「嫌われたかな……嫌ってるって、勘違いされたかな……」
人は人の言葉の裏を読む。
私が逃げ出したあと、あの羊羹野郎は――『せんせーせんせー。結局第四の問題点の対策ってなんですかよ?』『ははは簡単サ。前餅君にきみの彼女にするのサ!』――などと会話するだろう。
あんな勢いで拒否したんだ、立場が逆なら、私だって理由は一つか二つしか思いつかない。
嫌いか、他に好きな人でもいるのか。
「……そんなわけ、ないじゃないか」
丘の中腹くらいの場所。ちょうど木々が開けて、夕陽がキレイに見えるその場所に、到達した。
自転車をガードレールに立てかけて、自らも腰掛ける。
「……あーあ」
夕陽。影になり、鳥の編隊が行く。
こんな所にくる人なんて、そうそういない。……一区切りも付いたことだし、吐き出すことにしようか。
我慢をやめたら、編隊が光ににじんで消えた。
へたり込んで、それをしばらく眺めていた。
……と、異音。
「うぅ……っ!?」
脳を直接かき回すような不快な多重音だ。
聞き覚えがあるどころの話じゃない。つい昨日も聞いたばかりの、悪夢の開始を告げる音。
これは、空間が歪む音だ。
「『イブマ』が来る……!?」
茜色の空が砕け、銀色が滴り落ちてくる。
どろどろとしたソレは、透明な容器に収まって行くかのように、その形を確定させていく。
『オオオオオオォォォォォォム…………!』
「……っ!」
空間が閉じきるのと、ソレが完成するのはほぼ同時。
その姿は、まるで昔の巨大ヒーローモノに出てくる怪獣だ。
恐竜を模した総銀のその身体は、大量のナノマシンで構成されている。
戦車の砲弾も、戦闘機の機銃も爆弾もほとんど通じない――そんな化物だ。
だけど、私たちにも対抗の手はある。
学校、その校庭で轟音がする。
雷轟衛――全高、およそ四十五メートル。樫家・洋巻駆る、稲妻を司る機械仕掛けの巨人だ。
「洋巻……!」
目を袖で拭い、目を凝らして、少しぎこちなく動き出す彼を見る。
雷轟衛は、一度胸の前で腕を交叉させ、一気に振り下ろした。
『ウゥウウラァア――――!!』
咆哮。
前腕から、収納されていた刃が飛び出す。
同時に発生するのは、背中、展開される八本の角からの雷光だ。
――『イブマ』のナノマシンは、技術レベルこそ高いものの、基本的には私たちの使うコンピューターと大して変わらない。
ブロックこそされているが、強力な電撃を受ければ、焼き切れて機能を停止する。
それが、雷轟衛が彼らを倒せる理由だ。
『ヲォオオオオ…………ム!』
二つの巨体が雄叫びを上げ、――戦闘が、開始される。
先手は銀の巨獣。
走り出し、自らの身体を砲弾に変え、雷轟衛へと投射する。
しかし雷轟衛はそれを避けず、背からの雷撃で迎撃する。退かぬ、と。
「わっ……!」
豪雷。
巨獣は射抜かれ、その足を止める。
そこに、雷轟衛は吶喊する。
『ドラァア――――!!』
雷轟衛の腰から燐光が出る。加速の光が。
両腕から伸びるは剣、近距離戦用の、雷撃発生装置――!
吶喊は突貫を。
アッパーのような打ち抜きで、雷轟衛は稲妻を巨獣に叩き込んだ。
『ヌヲォオオオオオ…………!!』
どろどろと、巨獣が溶けていく。
しかし、解けきる前に巨獣は動いた。
牙だ。
『ガァアアアアア――――!』
強靭な顎によって、雷轟衛の肩が砕ける。
「あ、」
稲妻はいまだ、巨獣を貫いている。
だが、巨獣も倒れず、雷轟衛の肩を砕き続けている。
考えてみれば、当然だ。
電撃に対する防御を高めてくるなんて。
防ぎきれてはいないけれど、確実に、先日のそれより電撃の効果が薄い。
負ける、と、弱音が来た。いつか、彼は負ける、と。
「……ひぁ」
視界が、再度歪む。
その瞬間だ。
背後から、こつ、こつとハイヒールの足音が聞こえてきた。
「……やあ。見つけたよ、前餅君」
振り返ることができない。
涙を見せたくないから。顔を見せたくないから。何より――あの戦いから、目をそらしたくないから。
「さっき言った、第四の問題点、その解決手段。これは、諸刃の剣でもあるんだ。たとえばきみ、小さい頃、親しい人から嫌いと言われて落ち込んだことがあるだろう? 恋人とケンカしたら、誰だって落ち込むものさ」
そこで彼女は言葉を切る。
代わりに聞こえたのは、きん、と火花が散る音だ。
タバコだろうか。このご時世では結構貴重品だろうに、先生は味わう様子もなく言葉を続ける。
「しかし、きみなら――と、思ったんだがね」
「そうでしょうか」
「そうだよ。きみが去った後の彼の顔と言ったら、もう、この世の終わりのようだったね」
くつくつ、と、祭中先生は笑う。
にじむ視界の先では、いまだに戦闘が続いている。
叫び、荒れ狂うように、しかし足元に気をつけながら。
被害を出さぬように、時には地をかばうような動作をしながら、だ。
……そうかも、しれませんけど、と。胸にある信頼が――もうちょっと夢見がちな言い方をすれば、『絆』が――言う。
巨獣が、その対電限界を超えたのか、盛大に溶け始める。
『ヲヲヲ……ォ……オ…………』
「……どうやら終わったようだな。今回は実験か」
ふ、と息を吐く音が聞こえた。
「そもそもこの侵略自体が実験じみたところがあるが……まあ、次回はそれなりに戦力を用意してくるだろう」
「……大丈夫でしょうか」
「どうだろうかなと言いたいところだが、今の雷轟衛――」
雷轟衛は、ボロボロだ。
格闘戦の結果、左腕はほとんど機能を失い、右腕の剣は折れた。背中の雷雲発生器も、数本折れてしまっている。
「――否。樫家君では、おそらく次の戦闘では勝てん。生き残るとしても、雷轟衛はしばらく動かせなくなるだろう。……それでは、我々の負けだ。今回も自衛隊はほとんど活躍していないしな」
祭中先生は、事実を語る。間違いのない、事実を。
彼女はタバコを吸い、唐突に話を変える。
「彼のカウンセリング――まあ、心理テストの類なんだが、そのテストは私が行った。……彼は正義感と言うものが薄いんだよな。その彼が逃げ出しもせずにいる。――なぜだろうね?」
返答を待たず、彼女はこつこつと足音を立て、どこかへと歩いていく。
「早く家に帰りなさい。治安は比較的いい方だけど、何があるか分からないからね」
「…………」
返事を返さず、私は雷轟衛を見続ける。
街を守るためにボロボロになった――はずの、雷轟衛を。
/3.
……夜。
私は、あらゆる明かりを消して、寝転がっていた。
発電所を壊されたりしているので、もう深夜に電気は使えないのだけど。
それでも習慣――普段からの夜更かし――というものは恐ろしく、『イブマ』が来てからも眠れない日々が続いている。
……贅沢だ。すごく、贅沢だ。
貧困な想像力でも、この国――否、北海道以外で、夜更かしできる余裕はないだろうと分かる。
月明かりが、部屋に入ってきている。以前と変わらぬ、冷たい光が。
このまま寝転がっていても寝れなさそうなので、立ち上がり、窓から外を見た。
北海道だ。二階程度の中途半端な高さでも、地平線ヨユー。隣の家までの距離は、百メートルほどある。月と星の明かりでは、その家を視認できない。
「街灯もついてないしね」
元々まばらだけど、と。わずかに笑い、窓を開ける。
風が来る。冷たく冴えた、静かな夜気が。
「ン……」
目を細めて、すこし、それを浴び続けた。
最近は水ですすぐしかできない髪が流れ、さわさわと音がする。
机の上に載ったままのプリントが、風で落ちた。
……モノクロに近い色彩の風景を見続けていたせいだろうか。
その人影に気づいたのは、家まで十数メートル、といった段階だった。
「あんた――」
呟きだ。
この距離で聞こえるはずはないのに、彼は右手を上げて挨拶をした。手の形は自然形。だらしない、と言うのは、ちょっと乱暴だろうか。
「む」
とりあえずこちらはズビシとばかりに勢いよく右手を上げる。窓枠にぶつかってガツンと酷い音がした。さっきとは違う理由で目が細くなる。ぶっちゃけ泣きそうだった。
「…………!」
「…………」
HAHAHAと呵呵大笑する仕草の馬鹿が見えたので、近場にあった時計を投げた。命中した。
「…………!」
いい気味だ。すごく。
あっはっは、と、仕草のみ、無音で笑う。
ひとしきり笑ってから、一階へと足音を忍ばせて降りる。
両親は、多分眠っている。それを起こすのは――二重の意味で――寝覚めが悪い。
何を話しに来たんだろうか、と思う。
「何を話すにしても――」
玄関。とりあえず、サンダル代わりのゲタをつっかける。
扉。開く前に、一呼吸を入れる。
「――あいつが来たんだったら、普段どおりにしてあげないと――」
……今日会ったのも、本当は久しぶりだった。
アイツは、私に近づかないようにしているフシがある。
洋巻は今、学校で寝起きしている。家には帰っていない。俺が狙われたらいけないから、と。
家族を。近所の人たちを。畑を。家を。風景を。雰囲気を。未来のために、きっとある未来のために、戻れるかどうかも分からないのに、彼は必死で守っている。
――その背の影には、きっと、私も入っている。
……扉を開く。
月光の下、樫家・洋巻が立っている。
「……よう。手、大丈夫か?」
「大丈夫。そっちは?」
「昼、大分やられたからな。そっちの方が痛い」
そう言って、ホレ、と時計を渡してくる。
……文字板のプラスチックが砕け、針が二本取れていた。残る秒針も、同じ場所を行ったり来たり、だ。
「うわ壊れてるじゃないこの石頭!」
「ここで俺のせいにするのかお前は!?」
「アンタがあんな風に笑うから!」
「適度に力抜いとけ馬鹿!」
「うっさい馬鹿!」
ふぅふぅ、とひとしきり怒鳴った後、洋巻の表情が固まるのが、淡い光の下でもよく見えた。
「誰かいるのか? 杏子?」
原因は背後。がろがろと窓を開く音がした。
「ひ」
ぇ、と、何故か叫びが出そうになった。
声は父さんのもので、別に驚きはしても――
「静かにっ」
Gがかかる。
強い手が、私を土手の下へと持って行く。
「んむっ……!」
「バレるだろ、静かにしろっ……!」
手が口にかかる。鼻も押さえつけられていて、ちょっと苦しい。
顔が近くて、草のにおいが濃くて、息ができなくて、引っ張られたせいか頭がぐらぐらとした。
だからだろうか、素直に思考が言語になる。
――なんで、こんなに――恥ずかしい、とか思ってるんだろうか――
理解すると、手の暖かさとか、タコの硬さだとか、腕の重さだとかがごっちゃになってやってくる。
……うわコイツ意外と男らしく――って何を私はっ。
「っ……!」
「うわ馬鹿黙れぇ……!」
暴れたせいだろうか。
父さんの足音が近づいて来る。窓際に置きっぱなしのサンダルの足音が。
逃げるか。出て行くって方法もあるし、誤魔化す手もありそうな気がしないでもない。
「あ、」
迷っているうちに、馬鹿は裏声を出した。
「あなタが落とシたのはきれいな杏子ですカ? そレともダーてィな杏子ですか?」
「何言ってやがんだ馬鹿ぁ――!」
怒声と打撃音、夢の競演だった。正確に言えば、夢に吹っ飛ばす感じのミラクル強打撃だった。
「……ここはそんな風に人を殴るダーティ杏子ちゃんと言っておこう」
マトモに答える馬鹿父親。むしろ今夢だよねと聞きたいところだ。
夢に吹っ飛ばされたはずの馬鹿は、しかし裏声を崩さずしゃべり続ける。
「ざンねんキレイな杏子なんて存在しねェよ――!」
「ぬああ夢だからオーケーかと思ったんだがチクショー!」
緩んだ腕からずざっ、と逃げる。
土手を駆け上り、
「おお、いるじゃないかキレイな杏子が――!」
勢いのまま飛んで、笑顔の父親を夢の世界まで蹴り飛ばした。
/
「で」
「おう、なんだ」
「いや、アンタは何をしにこんな深夜に」
「……お前と、話にだ」
父親の頬に残るサンダル痕と土を軽く拭いて、窓から放り込んで。
星と月と夜の下を、ゆっくりと歩きながらの会話だ。
「誰に言われて?」
「…………」
ああ、やっぱり誰かに言われてなんだ、と、その沈黙で理解する。
……足の向く方向は、神社だ。
雷轟衛が出現し、全壊してしまった神社。昔、秘密基地を作った神社。
「今日――大丈夫だった?」
「ピンピンしてるだろうが。雷轟衛も、自己修復で戦闘はできるくらいになってる。昼言ってた飛行ユニットも、徹夜改造でもうすぐらしい」
背中も壊れたんで、その自己修復にかみ合わせて強化するんだってよ、と。内部事情をべらべら喋って、彼は静かになる。
「ん、そうじゃなくて――その、苦戦してたじゃない」
答える気配はない。
だから、少し言いたくない気持ちを、続けて言葉にしていく。
「だから、ええと――大丈夫だったのかな、って。精神的に」
「……平気じゃない。正直逃げたい。あいつらだって皆殺しにしようって気はないみたいだし、裏切りでもすれば日本くらいくれるかもしれない」
くはー、と息を吐いて、洋巻はちょっと前を歩いていく。
「けど、それじゃ駄目だろ。その状態でフツーに暮らすなんて無理だろ」
「……無理じゃないかもよ。ほら、改造手術で記憶を消すとか」
「馬鹿、そんなことできん。俺はあいつらを信用できない。お前らを人質に取るかもしれないし、俺があいつらの尖兵になるかもしれない。お前らをあいつらに預けることもできない」
後ろ歩きになりながら、洋巻は、どこか楽しそうに言葉を続けていく。
「故に、俺たちは記憶をそのままにするしかない。そもそも言葉が通じるかって問題もあるしな。研究はしてるだろうとは思うが」
「……ああ。そりゃ、無理よね――」
きっと考えたんだろうな、と思う。
難しい想像じゃない。それでも、考えておかなくちゃすらすらとは出てこないと思う。
『彼は正義感と言うものが薄いんだよな――』
先生の言葉が蘇る。ただ事実を淡々と言う、あの声が。
割れたアスファルトを、向かい合うだなんて奇妙な様相で歩きながら、私たちは言葉を連ねていく。
「……ところでだけど、神社、壊れたんだよね」
「ああ、雷轟衛出たときに踏んじまった」
申し訳なさそうな、悪びれるような、そんな複雑な表情をして、洋巻は肩をすくめた。
「しかし、お前も物好きだよな。そんな神社に行こうなんてさ」
「アンタも反対しなかったじゃない」
「ヒマだからな」
「ヒマねぇ……雷轟衛の近くにいなくて平気なの? 呼んだら来るの?」
「来る。俺の声である程度自律行動するから、無線で呼べば」
そう言って、彼はポケットから小型の無線機を取り出す。
どうやら本当らしい。
「来るんだ。……無線なんだ」
「無線なんだよ。……昔のロボットアニメみたいに、ただ呼ぶだけで来るとかするにはオーバーテクノロジーすぎるんだと」
「そのわりには、無線なんかで……」
「ああ、無線なんかで来るんだよなぁ」
……そうこうしているうちに、神社が見えてくる。
踏まれ、砕け、しかしその雰囲気を残す神社が。
「懐かしい場所」
「そうだな」
一瞬、何を話そうか、迷った。
けれど、その一瞬が、タイミングを逃す。
――急に空が暗くなる。ぎぎぎぎぎりりりりりりり、と金属を引き裂いていくような音がする。
月食のような穴が、空に開いている。
多い。
今日の昼来たあの巨獣を二桁単位で作れそうな量が、空中で凝り固まっている。
「空中型……!?」
巨大な空中戦艦が、そこに顕現する。
『樫家! 樫家・洋巻君!』
祭中先生の声が無線機から響く。同時、穴から銀色が漏れ始めた。
『既に空中戦は可能だ。我々が食い止めている間に雷轟衛を呼べ!』
「分かった! 死ぬなよアンタら!」
「洋巻……!」
「いいか杏子、お前、ここから動くなよ!」
洋巻は、一歩、走り出すように前に出て、……止まった。
「……確認できて、安心した」
一言、彼が言葉を漏らす。
「実は、ずっと怖かった。けれど、今まで戦ってこれた。なんでか、分からなかった」
それは、響き始めた戦闘機の爆音にかき消されるほどの声量だ。
「俺は、俺のままだった。変わってなんかいない、大切なもののためなら、どんな時でも、どんな敵でも、戦える――!」
それでも、その決意は――何者にも消されはしない。
無骨で黒い無線機に、彼は詔を叫ぶ。
「己が覇者! 意思砕けぬ我に応じよ鬼神!」
――空が。
黒雲に、覆われていく。
「我が空に馳せ参じよ、覇我鬼神、雷・轟・衛――!!!」
爆音。
学校、その校庭に立っていた雷轟衛が、空を駆けた。
/
稲妻が空中戦艦を穿つ。
耐電仕様――ではあるのだろう。しかし、ダメージは確実にある。
主砲を、副砲を、艦橋を、打ち出される小型戦闘機を、雷撃は射抜いている。
強い。
銀色は、雷神の機体を捉えきれない。
/
……ふと、祭中先生の言葉、その続きが、蘇ってくる。
『その彼が逃げ出しもせずにいる』
逃げ出したい、と考えているのに。
『――なぜだろうね?』
「なぜだろうね……」
その意味が、分かる気がした。
/
銀の空中戦艦は、その形を大幅に変える。
前後に長く、まるで艦自身を砲身とするように。
しかし雷轟衛は怯まない。
『ウ・ウ・ウ――』
加速器を全開。
稲妻をまとい、紫電を振りまいて、その右手、剣に雷撃を秘めて、雷轟衛は貫徹を行う――!
『――ラァアアアアアア――!!!』
空中戦艦は、身悶えるように揺れ、大気の圧に砕かれていく。
しかし、雷轟衛はその手を休めない。
背面の雷雲発生器が唸りをあげる。五本と常よりも少ない、しかし、普段に倍する量の稲妻を束ねた角が。
――神雷。
銀の戦艦を形作っていたナノマシン――それら全てが、焼き尽くされた。
/
戦艦が溶け落ちていく。
――と。ざりざりと、何か砂をかむような音がした。
『――杏子』
それは、雷轟衛を呼んだ、洋巻の無線機だ。
持って行かなかったのは、きっと、私に何かを言うためだろう、と都合のいい思考をしてみた。
使い方は……よく分からない。
だから、拾って持つ。全てを聞き逃さないよう、耳を傾ける。
『――杏子。』
呼びかけは二度。
息を一つ吸う音が聞こえた。
『俺はきっと、お前がいるかぎり、戦っていける。俺はきっと、お前がいなくちゃ、戦っていけない』
だから、と彼は言う。
『杏子。俺のそばにいてくれ』
……直球だった。
顔を見合わせていたら、勢いで、うん、と言ってしまいそうなくらいに。
だけど私たちは、電波を介していた。
それは、とても大きな差だった。故に、私の返事は――――。
/4.
……なんてことがあったのが、一月前のことだった。
私の返事はと言えば、無言だった。
正確に言えば、……使い方が分からないので、発言ができなかった。
と言うか、まあ、今考えるとしなくて良かったというべきだろうか。
洋巻の馬鹿は、全帯域――オープンチャンネルであの恥ずかしい台詞を言ってたのだ。
だから今――目の前にある扉の向こう。祭中先生なんかは、ことあるごとに私たちをからかいの対象にしてくれやがったりする。
「ははは面と向かって言えばいいものを慣れない策を使うから悪いのだ」
「ぬああ我が人生最大の羞恥再び――! ええいおのれこうなれば仕方ない! 己が覇者! 意思砕けそーな俺に応じよ鬼神! 我が元に馳せ参じろ、覇我鬼神、雷・g「なに雷轟衛呼んどるかーっ!」
とりあえず扉を開けた先に後頭部があったので膝蹴りを入れておいた。
うなじの上辺りに入って、洋巻がちょっと悶絶する。
「きみの格闘センスには目を見張るものがあるね……わざわざそんなところに入れるだなんて」
「あっはっは。先生がいいんですよ。さすがベテラン自衛官、教えるのも上手くて」
「きみのような生徒であれば、教えがいもあるだろう」
くつくつ、と祭中先生は笑う。
「そう言えば、はっきりとした理由を聞いてなかったね。きみがこの駐屯地に住まうようになった理由も、できることを探し始めた理由も」
「予想はついてるんでしょう? 言いませんよ、白衣の胸ポケットに録音機が入ってる間は」
「はははそれは残念だ。編集して部隊内に回そうと思ってたのに」
「あっはっはいくら先生でも人間としての尊厳まで犯していいとは思いませんよ」
目が笑ってなかった。多分私もだけど。
「それじゃあ、そろそろご飯なので、洋巻連れて行きますね」
悶絶する洋巻の頬をぺしぺし叩きながら言う。
……ううむ、ちょっとキレイに入れすぎただろうか。
仕方ないのでわきの下に頭を入れるようにして、支える。
「うん、いってらっしゃい。食事は精神的余裕の根源だからな、しっかりと食べさせなさい」
「はい」
それでは、と一礼。
扉を出たところで、またやったのか、とでも言いたげな警備の人の視線が来た。
笑みを返して、私は歩いていく。
……鼻腔をくすぐるのは、夏の空気だ。
梅雨なんてない北海道。今年の夏は、どうやら暑くなりそうだ。
――そばにいるために。
私も、そばにいるために。
だから、私たちは、歩いていく。
/
二〇〇]年五月二十七日。世界は宇宙人に侵略された。
人類の戦力がボロボロになって、世界中で絶望が蔓延していく。
けれど、それでも私は希望を失わない。
――何故ならば。頼りになる私の幼馴染が、この街を守っているからなのであった。
End.
投下終了。ぬああ0のところタイトル入れ損ねた――!
……いいじゃないかロボットものでもっ。
ぶっちゃけロボットはただの小道具だが。
あ。
雷轟衛のイメージだけど、大雷鳳がゴッドガンダムの背中してるとかそんなイメージでどうぞ。
背負う戦闘機は、壊滅した米軍基地からガメてきたF-22ラプターってことで一つ。魔改造カマされてるが。
怪獣はレッドキング、戦艦はラーカイラム→ヤマトって感じで。
楽しんでいただけたら、本当に幸いですよ?
1番槍GJ
だが、ラプターでは背負うには小さいと思うぞ?w
素直にジェットスクランダーにしておけw
GJ!
なんか活字で「スーパーロボット」を読むのは新鮮だな。
大雷鳳にデモンベインにエヴァにと中二病な所を総取りだな。
自己修復機能でも真ゲッターロボ並のオーバーテクノロジーだしw
GJ!
幼なじみとロボ好きのオレ歓喜。またぜひ書いてくれー
三年前と別人の様になって幼なじみが帰って来た…
「俺の真後ろに立つな…命が惜しければ…」
幼なじみは傭兵?それとも暗殺者?…って感じのネタを受信した。ここに記す…
ゴルゴ13の愛読者になったんですね、わかります
厨二病乙www
しかしGJ!
退屈な講義はこれを読むためにあったのかw
>>478 ラプターて20メートルくらいだっけ?
いい感じに背負えそうな気がする…
引っ越す時…優しくて、涙もろい女の子。主人公に依存気味
帰還時…きつくて、気高い女王様気質に…主人公を容赦なくこき使い、振り回す。
性格 ハ●ヒ+女王様=ヒロイン の様な感じか?
そんな感じの変貌系で誰かお願いします。
幼馴染が居た。
何時も僕を気に掛けて、困った時には心配してくれて、けれどその云う事を聞かないで時々独りで走る僕を心配する
余りに泣き出してしまうような女の子だった。幼かった僕はその幼馴染に対して淡い恋愛感情を持っていた。毎日一緒
に遊ぶ度に心が躍るようで、お互いに家に帰らなければならに時間になってしまった時には早く明日が来ないかと心待ち
にしていた。僕の幼少期にとって、幼馴染は最も僕の世界に彩りを与えてくれていた存在だった。
しかし、そんな僕にとって不可欠の存在だった彼女は小学校に入学してから三年、突然家庭の事情で遠くに引っ越す事に
なってしまった。僕などがどうにか出来る問題では無く、彼女は涙を流しながら、唇を噛み締めて飛行機に乗って行ってし
まった。余りにも早く感じられた時の流れの中で、僕は悲しみと云う感情ですら気付けず、暫くは茫然自失としながら
流れて行く毎日の彩りを眺めていた。僕が涙を流したのは彼女が手の届かない存在になってから一週間後の事だった。
――そんな幼馴染が、明日帰って来る。
別れも突然だったら、再会も突然らしい。僕への直接的な連絡はなかったが、僕の母親がそう云う胸が綴られた手紙
を受け取ったらしく、にやにやと笑みを含みながらそれを教えてくれた。僕は最初、それが嬉しい物なのか分からなかった。
漠然とした理解の中で、彼女が帰って来ると云う事がどう云ったものなのか分からなかったのだ。しかし、徐々に時計が
深夜の零時に迫るにつれて、僕の心臓は警鐘を打つように激しく脈打った。そうして確かな随喜が見て取れた。
――幼馴染が帰って来る。
それだけが今の僕に考えられる一つ事だった。
同じ事実を頭の中に延々と反芻しながら、僕は眠った。
次の日、彼女は朝早くにやってきた。
午前八時を時計が示した時、丁度玄関の呼び鈴が軽快な音色を響かせた。その途端に心臓が跳ね上がる心持ちになった
僕は到底応対に出る勇気を持つ事が出来ず、目配せで母親に応対に出てくれと頼んだ。母親は何処か困ったような笑みを
終始浮かべながら、しょうがないわね、と云って玄関の方に歩いて行った。僕の心臓は一向に落ち着きを取り戻せないでいる。
玄関の方から客人と楽しげな会話を交わす声が聞こえる。その中で一層若々しい声が誰も物なのか、僕の頭が出す答えには
彼女以外にその声を出す人を知らなかった。久闊を叙す会話が次第に終わりに向けて進行を始めた時、突然母親が声を張り上げて、
「ちょっと出かけて来るから、沙希ちゃんと待っててね」と云った内容だった。云うまでもなく、沙希≠ニは幼馴染の
名前だ。母親は急に僕らが二人きりになる状況を作り出して、何処かへ行ってしまったようだった。
「お邪魔しまーす」
軽快な声が家の中に響く。今日は土曜日だ。学校は無い。父親は元より海外に単身赴任の為、家には居ない。僕と生活を
共にする母親もついさっき去ってしまった。僕は朝食に作られたコーヒーの味を感じる暇もなく、玄関から僕の居るリビング
に向かってくる足音に耳を傾けていた。心臓はともすれば破裂しそうなくらいに熾烈な勢いを以て、脈を打っている。
そして、待ちかねたような、その逆のような、閉じられた扉が漸く開いた。
そこから顔を出した幼馴染は幼い頃の愛らしさを微塵も損なう事なく、むしろ可愛さを研磨して研ぎ澄ましたかのような
容貌をしていた。変わり過ぎた外見に圧倒されて、彼女の瞳を見詰めるばかりの僕は茫然としながらカップを手に、
黙っていた。僕の好きだった、優しくも涙もろい彼女は、やがてこう云った。
「久し振りね! あたしのコーヒーも早く用意しなさい! 今すぐに! でないと罰として殴るから!」
僕が思い浮かべた幼馴染の成長した姿は、音を立てて一気に崩れ、灰燼と化した。
――続……かない。
>>487 これから話進めるべきだろ……
期待してる
GJ!!!!!!! 無理にとは言わないが続けてくれると嬉しいかな?
>>486 つ、続けるべきだ。いや続けて下さい!!!
491 :
蒜:2008/07/12(土) 20:39:58 ID:1WGTIQZm
俺の小説サイトからの転載です。
今ここに投下するの書いているんでいましばらくお待ちを。
次のスレから
>>486 もう少しだけ書いていけよ
それにしてもアレだ。ずっと前の話になるが12人の幼馴染って話があったけど
既にそういう企画がウェブ上にあったことを誰も指摘しなかったな
雑談が盛り上がったから、それで良いけど
次のスレからだと大分先になっちゃうよ!
495 :
名無しさん@ピンキー:2008/07/15(火) 03:51:27 ID:7WN79RUs
幼なじみの兄貴分と姉の恋の行方を見守る弟視点とかそういう傍観者系ってここ的にOKなのか?
幼なじみの兄貴分←恋愛→主人公の姉
主人公・片思い→クラスの女の子
第三者視点で幼なじみカポーを語るわけか
それはそれで面白そうだな
497 :
蒜:2008/07/15(火) 14:17:57 ID:Qm/Et4L5
意外と早く書き終わったんで投下します。
「ごめんなさい」
屋上には申し訳なさそうに謝る女の子の声が響いた。
「…あはは…。うん、分かったよ。ごめんね?変な事言っちゃって…、……でも最後に理由、だけ…聞いてもいいかな?」
男の子は告白を断られたのだろう。悲しそうに、絞り出すような声で問う。
その返事はとても残酷なものだった。
「あなたに興味がないんで。」
女の子は申し訳なさそうにしながらもはっきりと言った。
その瞬間男の子は悔しそうに「…分かったよ。」と言って去っていった。
498 :
蒜:2008/07/15(火) 14:21:31 ID:Qm/Et4L5
タイトル忘れてました。タイトルは
「そう遠くない未来」です。 下から続き
そして男の子が去って数秒後…、
「はぁ…疲れた。全く…何でろくに話したこともないのに好きとか言うのかな…」
これがこの女の子の素なのだろう。しかし、そんな彼女を見る人物がいた。
「なにやってんだよ椿(つばき)…」
とさっきとは別の男の子が彼女に話しかけた。どうやら彼女は椿という名前らしい。
椿と呼ばれた少女はその男の子の方を見るとはぁ…と溜め息を零し口を開いた。
「覗き見とは随分悪い趣味ね、一成(いっせい)。」
そう彼女に言われると一成と呼ばれる少年は心外そうに口を開いた。
499 :
蒜:2008/07/15(火) 14:22:17 ID:Qm/Et4L5
「趣味が悪い?俺が寝てる下でいきなり告白タイムが始まるのが悪いんだろ」
「でもずっと見てたでしょ。」
ズバリ言われると一成は一瞬驚いた顔をした。
「気付いてたんだな」
「あんなにチラチラ見てたら誰だって気付くでしょ…」
「いやぁ学園のマドンナと言われる女の子の椿に告白する男が気になってな」
「…ふ〜ん」
「なんでOKしなかったんだ?あいつ結構モテる奴だろう?」
「さっき返事であったでしょう?興味ないんでって」
「試しに付き合ってみればいいじゃん」
500 :
蒜:2008/07/15(火) 14:24:04 ID:Qm/Et4L5
その言葉に対して椿は心の中でバカっ!!と怒鳴った。それもそうであろう。椿は幼なじみにして唯一自分が素で相手が出来る相手、一成の事が好きなのだ。
「さっきも言ったでしょ?興味ないった」
するて一成はそっか…と呟いた。
「じゃあ帰ろうぜ」
「えっ?」
「えっ?じゃねぇよ。どうせ家が隣なんだし、帰るぞ」
「…うん。」
椿は思った。
まだこのままでもいいのかもしれない。
関係がただの幼なじみであっても…
今一成の一番近くにいる異性は間違いなく自分だろうから。
少し一成から離れた所で椿は呟いた。
「まっ、いつか絶対振り向かせてみせるけどね!」
「…なんか言ったか?」
「い…、いや?別に…」
「ふ〜ん…まぁいっか。行くぞ」
「あっちょっと待ってよ」
そして2人は夕日の中肩を並べ歩き出す。
この2人が付き合い始めるのは
そう遠くない未来ー
終わりです。
続きは要望があれば
501 :
蒜:2008/07/15(火) 14:26:40 ID:Qm/Et4L5
携帯で書いたんで誤字脱字がありますが…出来れば気にしないで下さい。
興味ないった=興味ないって
改行ミス?
いいな、このほのぼのした感じ
続き支援
506 :
亮と早紀:2008/07/18(金) 07:02:58 ID:2FkkFx9Q
439の続きです。
ぼちぼち浮かんでたネタを繋げたら完成してしまった。
完徹で書いたから、誤字脱字は多めに見てくれ。
タイトルは、主人公の名前がやっと決まったからつけてみた。
じゃあ、長いけど次から投下。
「お邪魔しま〜す」
先日から何度も訪れるようになった部屋に、私は来ていた。
『お前も知ってるヤツらで集まるんだ。』
だから来い、と誘われたのは今朝のこと。
それから数時間後…。
なぜか迎えに来てくれた亮の車で、食材の買い出しに付き合った。
行き先は、安いと評判のスーパーで、一人暮らしが板についているようだ。
あっという間に、何人集まるの?というくらい、大量の賞品が籠に積まれた。
会計を済ませ、テキパキと袋につめていくその後ろ姿は、まさに主婦のようだ。
大きい袋3袋分になった様子を見て、納得した。
こりゃ、荷物持ちがいるわ…。
私も1つ袋を持ち、並んで車へと戻る。
それにしても、これ、見た目の割に軽い。
…わざわざ1番軽いのを渡してくれたんだろうか。
そう考えると、なんだかくすぐったいような、嬉しいような。
昔は私の方が力持ちだったのに。
亮の部屋へ帰ると、今度は料理の下ごしらえが始まった。
といっても、焼き肉なので具材を切ったりする程度だが。
私は野菜を任され、焼き野菜用カットの他に、キャベツの千切りサラダと、軽いカルパッチョ風の一皿を作った。
基本不器用な亮にとっては、どちらも感動するものだったらしく、喜々として褒められてしまった。
そういえば、折り紙が壊滅的に苦手だった、この人。
何度教えても、折り鶴が折れなかった幼少時代が思い出され、笑えてきた。
変わったようで変わっていないんだなぁ、と、ぼんやり背中を見ていた。
夕方になってぼちぼち集まってきた友人は、懐かしい面々ばかりだった。
久しぶりの再会をみんな喜んでくれて、話も大いに盛り上がった。
「亮〜、ビールこれで終わり?」
「いや、まだ冷蔵庫にあるぞー。持ってくる。」
友人の一人の問いに、亮がそう答えた。
食べていた箸を置いて席を立とうとした亮に、声をかける。
「私の方が近いし、取って来るよ?」
そう言って立ち上がると、ふわりと席に座らされた。
そして、くしゃくしゃと頭をなでられた。
「いいよ、座っとけ。ありがとな。」
優しい笑顔でそう言われ、頷いて従うしかなかった。
頬が熱い気がするのは、アルコールのせいだろう。
そう思いながらふと友人達を見ると、狐につままれたような顔をしている。
「…何かあった?」
そう尋ねるが、曖昧な返事しか返ってこなかった。
「あの、呼んでくれてありがとね。」
みんなが帰って、私は後片付けを手伝った。
何しろ10人近く集まっていたのだ。
食器と鉄板だけでもかなりの量の上に、ビールやらチューハイの缶がそこかしこに転がっている。
一人で片付けさせるのは、忍びなかった。
片付けが終わり、2人でソファーに座りながら、そう告げた。
「こっちこそ、手伝ってくれてありがとな。」
そしていつものように、優しくなでなでされる。
それが心地良くて、目を閉じた時だった。
亮の手が、首に触れた。
「…っ…ぁ…!」
思わずびくり、と反応してしまった。
はっとして亮を見る。
ごくり、と喉が鳴るのがわかった。
そのまま、両手は首筋を優しく愛撫し、熱い吐息が耳をくすぐる。
私は、漏れそうになる声を抑えるのに必死だった。
「はぁっ…は…っ…」
息が上がり、恐らく顔も真っ赤になっているだろう程に熱くなっていた。
不意に、首筋をはい回っていた両手が動きを止める。
そして、頬へと伸びてきた。
ぼーっと目を開けると、信じられないほど近くに、亮の顔があった。
「ふっ…ん……」
そのまま、ゆっくりと唇に熱が伝わるのを感じた。
「んん…はっ…ん…」
そのうちに、温かいものが舌を絡め取り、奥まで犯して来る。
容赦ないその攻めに、完璧に力は抜け、息つぎをするのが精一杯だった。
「っぷ…はぁっ…はぁっ…」
ようやく解放された時には、息も絶え絶え、頭は朦朧、思考回路は麻痺状態だった。
だから、囁かれた言葉の意味も、考えられなかった。
「ごめん…我慢の限界…。」
亮は、優しい手つきだけど焦らすように攻めてくる。
それがなんとももどかしくて、心地良くて、たまらない。
私は成す術もなく、ただ与えられる刺激に耐えていた。
敏感になりすぎて、全身のどこでも感じてしまっているみたい。
「早紀…入れたい…」
ふいに後ろから抱きすくめられて、耳元でそう囁かれた。
お尻には、熱いものを感じる。
「え…ちょっ…ダメッ…!生はっ…!」
「いいじゃん…オレの子供、産んでよ…」
優しい声色でそう囁かれ、首筋にキスをされる。
そのまま、返事もできないまま…。
「っ…ふあぁっ…!!入って…く、るっ…!」
もう頭は真っ白で、何も考えられなかった。
なけなしの理性など、優しい声に吹っ飛ばされてしまったのか。
「あっ…ぁっ…おっき……りょお…っ!」
「くっ…早紀…きつ…もうちょい力抜け…」
身体が言うことをきかない。
やっと中に入ってきたモノに歓喜したように、収縮が止まない。
「あぁっ…っめ…こんな…だめ…ぇ…」
「そ…んな、締め付けんなっ…持たねぇ…!」
「だめ…っ…あっ…はっ…」
「うっ…早紀っ…で…るっ!!」
「…!!!」
その直後、激しく奥まで突き上げられると同時に、熱いものが拡がるのを感じた。
「っ…ぁ…なか…ぁっ……」
意識が薄れゆく中、抱きしめられて、囁く声がきこえた。
「早紀…愛してる…。」
ぼんやりと意識が戻って来た。
なんだか温かくて…良い匂いがする。
まだ目覚めたくなくて、隣にある温もりにしがみついて擦り寄った。
…隣にある温もり…?
ぼんやりと目を開けて、一気に脳が覚醒した。
隣では、亮がすやすやと眠っていたのだ。
私は亮の腕枕で、抱かれるような状態でいる。
すなわち、身動きをとれば起こしてしまう。
混乱と恥ずかしさでこの状態から逃げ出したい衝動に駆られるが、なんとかそれを抑える。
ふと視線を上げると、亮の顔があった。
その端正な寝顔を見ながら、ぼんやり考える。
意識を手放す直前、確かに『愛してる』と聞こえた。
今まで、ちょっとしたすれ違いで、違う道を歩んできた。
しかし、今からは、そばにいても良いのだろうか。
昔のように、でも、昔とはちょっと違うポジションで。
胸に暖かいものが溢れてくる。
穏やかな寝顔を見ながら、そっと囁いた。
「私も、愛してる」
長々とすまんかった。
さて、逃げるか。
ちなみに、友人が狐につままれてた理由だが。
「あいつ、元カノにもあんな表情で頭なでてたことないぞ」
というのを考えていた。
ずっと早紀視点で進めてたから、どう組み込んだら良いのかわからなかったんだ。
えーと、初投稿だったんで、ひどい出来な自覚はある。
どなたかご指導ください。
朝っぱらからGJなんだぜ
二人の会話とか距離感がいい感じだなあ
欲を言うなら片付け→行為あたりの展開がちょっと駆け足だったかも
そのあたりの掛け合いにワンクッション欲しかったかな
GJ こういう展開は嫌いじゃない
>どなたかご指導
なんというか悪いところがおれと同じだ
>>513氏も言ってるように
展開が駆け足気味になるところとか
おれは描写を出来る限り多くするようにして改善してる
515 :
名無しさん@ピンキー:2008/07/20(日) 22:36:27 ID:suv7Hv7+
保守
516 :
手紙〜とある戦車兵の手紙〜:2008/07/21(月) 11:56:23 ID:IEYpqFue
君は元気だろうか?俺は今日も元気です。
朝から戦車に乗り、昼から書類を片づける。そんな生活です
演習場の花を見る度に、小学校時代を思い出します。あの時はホント悪かった。
総合火力演習のハガキは出しましたか?俺も参加します。
90式戦車(角ばってる奴)に乗ってます。
今度帰省した時、高校時代に言えなかった事を言うよ…
それじゃ、お体に気を付けて…
(ある隊員が幼なじみに宛てた手紙)
総合火力演習をネタに手紙を書いてみました。
>>516 総合火力演習が何だかわからんが、雰囲気はあっていいんじゃなかろうか
>>516 ああ、これは立派な死亡フラg(ry
>>517 陸上自衛隊が富士演習場(?)で実施する1年に1度(?)の総合演習のこと
(戦車も主砲撃つ)
>>516の「俺」も、幼馴染に主砲を撃つんですね、わかります
>>518 演習じゃ死なないでしょw
あと最近の総火演は夏真っ盛りにやるから暑くてしんどそう…。
ちょっと前にもロボSSが来たが、実はこのスレメカ好きが多いんだろうか。
いいぞもっとやれ
>>518 へぇ、そんなのがあるんだ。楽しそう……ってのは不謹慎か否か
幼馴染みは自衛隊、か。
>>517はもちろん手紙だけじゃ終わらな(ry
>>522 いや、不慮の事故はあるかもしれないけど死亡フラグは立たないでしょってこと。
そのまさかを引き寄せるのが死亡フラグだ
死亡フラグ立てまくりといえばこいつ↓
<<これで戦争も終わる。おれ、基地に恋人いるんすよ。帰ったらプロポーズしようと 花束まで買ってあったりして>>
<<警告! アンノウン急速接近!! ブレイクブレイク!!>>
<<ええっ!?>>(ドカーン!)
大体、「次に会ったら、昔言えなかった事を言うよ」って台詞を送る事自体、死亡フラグそのものジャマイカ。
梶とか火事とか加持とか・・・。
とりあえずPJ自重
なんか平時で死亡フラグというのがピンと来ない件
>>526 PJは登場時点から死亡フラグプンプンで何時死ぬの?まだなの?って感じだったわ
公式に死亡扱いされるまではどこかで生きていると信じていたのは俺だけでいい
>>529を見るまでどこかで生きていると信じていたのは俺だけでいい
PJって誰? ポイズン澤田ジュリー? けどそれだとPSJだよなぁ・・・
って思ってるのは俺だけでいい。
>>533 やすいひろさと 天然みるくパイ HINANO
ありがとう。探してみるわ。
>>484を見て思い出したんだが「その台詞、幼馴染が照れ隠しで怒ってる感じで頼む」
と聞いた瞬間何も気にならなかったハ●ヒが可愛く見えた。
われながら単純すぎるというか「幼馴染」と付くだけで喜んでしまう性癖は卑しいな。
最近このスレを発見したんだが、保管庫の作品多いね・・・
エロ、否エロ問わずオススメの作品あったら教えてくれないかな?
下手に名前を挙げると作者自演乙という疑いが掛かるので
どういう幼馴染が好みなのか書いた方がオススメが出易いかと。
>>537 俺は「Scarlet Stitch」が好き。
テンポが良くて読みやすかった。興味があったら見てみ。
540 :
538:2008/07/28(月) 20:39:49 ID:/uuJxzIr
537じゃないが、自分もちょっと質問。
保管庫をパッと見た感じでは中高生カップルが多いけど、
登場人物が大学生以上でお勧めの作品とかあるかな?
>>541 大学生以上というか、中高生じゃないってチョイスになるけど。
「梅子と孝二郎」はいいんじゃないかと思う。
つか、
>>539で紹介されてるのも◆NVcIiajIyg氏の作品だな・・・
この人の作品は独特の味があって好きだ。
あ、ごめん、梅子と孝二郎は最初は中高生から始まるか・・・
まぁ、長いスパンで描いてるので中高生カップルの話とは違うと思うけど。
544 :
蒜:2008/07/29(火) 13:53:23 ID:R/+VvZX9
続きじゃないけど投下
カチカチ・・・という音が部屋中に響く。
その部屋はどこか薄暗く、パソコンの明かりだけが部屋を怪しく照らしていた。
よく目を凝らせ見てみると部屋の壁中にオタク向けのポスターが貼られている。
そう_つまり彼はオタクなのだ。
彼の名前は益田雄二。典型的秋葉系オタクである。
しかし、彼は部屋を薄暗くしてパソコンをいじっているからと言って決してニートや
フリーターの類ではない。れっきとした高校一年生である。
さっきから彼はまじめな顔や、困った顔、そしてニヤニヤした笑顔を繰り返している。
今彼がやっているゲームは一般的に言う”エロゲー”である。
そんな彼を部屋のベッドの上から見ている少女が一人。
彼女は雄二の幼なじみの三崎奈津。さっきからモニターの画面を見てニヤニヤしている
雄二を訝しげに見つめている。いや、正確には睨んでいるのだろう。
しかし、ゲームに夢中な彼は気が付かない。
とうとう痺れを切らしたのか奈津が声を上げた。
545 :
蒜:2008/07/29(火) 14:01:45 ID:GXpGIHMu
「あ〜もうっ!お前はなにやってんだぁっ!!」
突如声を上げた彼女を不思議そうに見る雄二。そして彼はあくまで普通に答えた。
「・・・?なにってエロゲだけど」
「あ〜もう、こんなかわいい女の子が部屋にいるってのに雄二はなんで放置して・・・、あ〜なんていうの?
エロゲ?なんてプレイしてるんだよ!大体それは18禁のゲームだろうがっ!!」
「ふっ、そこ(画面上)に攻略したいキャラがいるからさ。それと、今時高校生がエロゲーをやるのはいたって普通だ。ユーザーの大半は高校生と言っていい。」
雄二は髪をいじりながら得意げに答える。
「キモいから!ものすごくキモいから!それと普通でもないから!さっきから見てればニヤニヤしたり神妙な顔したり・・・あ〜もう!とりあえずキモいからやめなさい!」
奈津が怒鳴りながら言うと雄二はしぶしぶパソコンの電源を落とした。
一回またつけようとしたが奈津が恐ろしい殺気を放っていたためやめたようだ。
「で?何のようなんだよ。」
546 :
蒜:2008/07/29(火) 14:03:12 ID:GXpGIHMu
「あのね?女の子が部屋に来たらお茶とか出して…話したり…いろいろあるでしょ?」
「いまさらお前と何を話すと言うんだ…」
彼はそういってふぅ・・・とタバコを吸うふりをした。
「・・・むかつくぅ〜。大体あんたタバコなんて吸わないでしょうが」
「モチロンさ♪(ドナルド風に)」
やってやった。そう思っているのだろう。彼はwktkしながら奈津に期待のまなざしを送る。
しかし、彼女は素でこう言った。
「?なに?それ?」
そう奈津が言った瞬間雄二はorzの体勢を取り、ありえねぇ・・・と連呼し始めた。
「お前っ!全国的に一番有名でニコニコで恐れられている道化師を知らないのか!!!」
「知らないわよ。ニコニコ動画なんて見ないし。」
その瞬間、彼は近所中に聞こえるような声で叫んだ。
「この非国民がぁ!!!あれか?国歌も知らないだろう!!??」
「・・・?いくらなんでもそれは知ってるわよ。君が代でしょ?」
「がぁぁぁああああ!!!まったくわかってねぇ!!いいか?ニコニコの国歌といえばなぁ!!・・・コホん・・・、
消〜える飛行機雲〜♪僕たちはみお〜くぅったぁ〜♪・・・だろうが!!」
と彼は自分の胸に手を当てていきなり歌った。奈津は醜く太った豚を見るような目線を雄二に向けている。
しかし、驚く事なかれ。
これが彼らの日常なのだ。
しかし、こんな日常も・・・とある出来事をきっかけになくなってしまう。
かも? 続く?のかな?
〜fin?〜
547 :
蒜:2008/07/29(火) 14:07:31 ID:GXpGIHMu
ネタ要素多くでスマソ。今は一成と椿の続きを執筆中です。
GJ!期待と股間を膨らませつつ待ってる
549 :
蒜:2008/07/30(水) 22:55:03 ID:Luq/fuGN
タイトル忘れた。タイトルはオタク少年と強気少女です。
ニ コ ニ コ で や れ
保管庫読んでて、なんとなく量産型うに氏のサイトに飛んだら、
このスレでば公開されてない幼馴染ものがあった・・・
つか、このスレがたった頃の作品だからすでに数ヶ月前の作品なんだが、
このスレでは話題に上がったこともなかったし、なかなかよかったのでちょい紹介。
>>551 すごく……イイです……
酉とかコテの人は検索するとたまにひっかかるよな。
俺もHP持ってるから検索してね、とか便乗して宣伝だぜっ
553 :
コロスケ丸:2008/08/01(金) 09:25:50 ID:7iPJtR/1
初めまして。
幼馴染み物を書いたので投下します。
エロなしですので苦手な方はスルーお願いします。
教科書とノートにずらずらと踊っている数字に溜息をつきながら、俺はシャープペンをいじっていた。
別に勉強が好きなわけじゃないし、優等生になりたいのでもない。
それでも俺は、今日も勉強机に向かう。
殆どポーズに過ぎないその格好は我ながら間抜けだが、そうせずにはいられないのだ。
とんとんと軽やかに階段を駆け上がってくる足音を耳にして、俺はシャープペンをノックする手を止めた。
足音の主は、何の躊躇いもなくドアを開ける。
「あー、また勉強してる」
ひょい、と無造作に部屋へ入ってくる一夏に仏頂面を作り、「ノックしろよ」と注意するのはいつものこと。
タンクトップにショートパンツという出で立ちの彼女は、セミロングの髪を揺らしながら、にひひと笑って
「だって面倒臭かったんだもーん」
という一言で済ませる。
幼稚園の頃から一緒の幼なじみは今更そんなこと聞きっこない。
こっちが何をしてようが確認もせずに入って来られては、勉強でもしているしかない。
たまたま向かいの家に住んでいて、たまたま二人とも鍵っ子だった。
同い年の子供が親しくなる理由はそれで充分だろう。
下手をすると、そこいらの兄弟よりも一緒に居る時間は長いかもしれない。
「だってクーラーあるし、部屋広いし、テレビおっきいし」
傍若無人な幼馴染みは、そんな理由で俺の家に入り浸っている。
「それ今日の宿題?」
背後から乗り出してノートを覗き込まれ、思わず胸元に行きかけた目をどうにか戻しながら頷く。
「後で見せて」
「却下。質問なら受け付ける」
「けちー」
がたがたと椅子を揺すってくる一夏のおでこをぺちりと叩き、
「冷蔵庫にアイス入ってるから、それでも食べて大人しくしてろ」
そう言うと一夏も現金なもので、きゃーっと叫びながら部屋を出て行った。
階段を、転げ落ちてるんじゃないかと疑いたくなるような音を立てて降りていく一夏に溜息をついて、俺はシャープペンをくるりと回した。
全ての動作が唐突で、いつまでたっても幼い一夏。
一夏は多分、俺がどんな気持ちを抱えているかなんて気付いていない。
だから俺は、この気持ちには気が付かないフリをして、やっていくしかないんだ。
二人で居る時間が楽しいだけじゃなくなったのは、いつからだろう。
階下から持ってきたアイスを片手に、一夏はご満悦だった。
一夏が好きなのはラムネ味のアイスバー。
百円でおつりが来る割には大きくて、当たりが出たらもう一本貰えるというお得感がたまらないらしい。
俺の部屋にあるテレビの前に陣取り、いそいそとDVDをセットし始める。
「俺、今勉強中なんですけど」
「してればいいじゃない、あたしコレ見てるから」
お気に入りのビーズクッション、と言ってもそれも俺の物な筈なのだが、すっかり一夏の所有物になっている。
それの中にもそもそと埋もれながら、すっかり観る姿勢に入っている。
「半額セールになってないのにそんなの借りてきて、豪勢だな」
「綾が貸してくれたの、すっごく面白いんだって。明日感想聞かせてねって言われたから、ちゃんと見ないと」
こちらの事情を斟酌しない幼馴染みに観念してノートを閉じると、俺は椅子の向きを変え、テレビを見られるように座りなおした。
映画は「新人の女優が凄く可愛い」というのが見所の、良くある恋愛物だった。
時折二人で「ヒロイン可愛いね」「でも我が儘だ〜」とか、好き勝手なことを言う。
「映画を観る」と言うより、映画をネタに二人で話す感じだ。
ただ、時折挟まれるラブシーンの度に少し気まずい空気が流れる。
抱き合ったり、見つめ合ったり。
映画の中の二人は臆面もなく恋愛に没頭していて、恋人同士の愛情確認に余念がない。
うわ。
思わず画面から目をそらしてしまった。
画面いっぱいに大写しになるキスシーンに気まずさを覚えて、思わずあさっての方を見てしまう。
随分念入りにやっているらしく、音まで聞こえてくるのが更に気まずい。
ちらりと一夏に視線を落とすと、一夏も恥ずかしかったらしい。手に持ったアイスで目を隠していた。
それでも映画の内容は気になるらしく、アイスが時々左右に揺れている。
心なしか一夏の頬が赤い事に気が付いて、俺は思わず息をのんだ。
今更テレビに視線を戻すことも出来ず、そのまま一夏をじっと観察してしまう。
愛している、とか綺麗だ、とかブラウン管の中で男が囁く度に一夏は身じろぎをし、視線を泳がせている。
現実にこんな言葉を言われたら、こんな反応をするのだろうか。
ついそんな事を考えてしまって、余計に一夏から目が離せなくなる。
すらりと伸びた素足がビーズクッションから覗いているのが、やけに目についた。
もう二人の恋心だとか何だとかは頭に入ってこなかった。
わざとらしく席を外したり、停止ボタンを押すことすら出来ずにない。
二人とも、そのシーンが終わるまで微動だにも出来なかった。
場面が暗転してモノローグに入ったところで、二人同時に息を吐いた。
「び、びっくりしちゃったね……」
一夏は気まずい空気を誤魔化すようにあはは、と笑ったが、相当動揺していたらしい。
目隠しに使っていたせいで食べることができずにいたアイスから、溶けた雫がぽたぽたと彼女の太腿に溢れ落ちた。
「ごめんっ! クッション汚れちゃう!」
慌てて立ち上がった彼女の太腿を青い雫がつうと伝ってゆく様を見て、一瞬理性が消えかけた。
「ねえっ! ティッシュ取って、早く!」
必死な一夏の声に我に返ると、俺はティッシュを箱ごと掴んで一夏の足下に跪いた。
「ちょっ……いいよ、自分で拭く!!」
慌てた一夏の手元からアイスの雫が飛んで、俺の頬に掛かった。
「やだ、ごめんっ!」
「いいからじっとしてろ」
そう言うと、一夏はぴたりと大人しくなった。
そのまま、手に取ったティッシュで彼女の足を拭いていく。
溶けたアイスは僅かな粘り気をもって彼女の足を汚していて、軽くなぞっただけではなかなか落ちない。
足のすねから太腿まで、何度も往復させる。
足が柔らかいので力加減が分からなくて一夏の表情を覗うと、一夏は困ったような恥ずかしがっているような表情でこっちを見下ろしていた。
何だか、自分が酷くいやらしいことをしているような気がする。
そんな感覚に戸惑っていると、今度は溶けたアイスが彼女の手首を伝って床に落ちた。
「一夏、アイス食べろ、早く!」
床を拭きながらそう言うと、一夏は慌てて手にしたアイスを舐め始めた。
初めは上部を必死に舐めていた彼女だが、まずは下部から舐めていった方が良いと判断したらしい。
下からアイスを舐め取ろうと、アイスを自分の顔より心持ち上に持ち上げた。
多分、状況が悪かったんだろうと思う。
一夏は随分と焦ってたし、アイスはもう半分水だった。
だから、アイスを上手く食べられなかったとしても一夏のせいじゃない。
彼女がアイスを食べようとして、さっきの映画のキスシーンのような音がしたとしても、それは決して一夏のせいじゃない。
それでもそれは、一夏の動きを止めてしまうには充分だった。
もう一夏はどうして良いのか分からないほどに真っ赤になって、自分の鼻の少し先にある水色の塊を凝視していた。
ぱた、ぱた。
一夏の頬を、首筋を。
少し蛍光色がかった色水が滑り落ちていく。
これ、このままにしておいたら泣くな。
長年の経験からそう判断し立ち上がると、俺はアイスごと一夏の手を掴んで引き寄せた。
そのまま、一夏の手の中のアイスをがりがりとかじっていく。
一夏の手には少し大ぶりなアイスも、俺の手に収まると丁度良かった。
半分水になっていたアイスをものの十秒で完食すると、青い汁でべたついた一夏の手を放した。
「……あ、ありがとう」
アイスの棒を握りしめながら礼を言う彼女をまともに見ることも出来ず、俺は汚れた手を洗うことを口実に部屋を出た。
「どうしよう……」
一夏はへなへなとその場に座り込んだ。
テレビの向こうでは一組の男女が、切なかったり悲しかったりする恋心をヒートアップさせている。
足下にはラムネ味の小さな小さな水たまり。
手にしたアイスの棒には『アタリ』と、茶色い文字で書かれていた。
どうしよう、どうしよう。
アイスの棒にアタリって書かれているのは嬉しいことの筈なのに、
コレを持っていってコンビニのお兄さんに交換してくださいって言うの?とか、もう一本これと同じアイスを食べなきゃいけないの?とか。
そんな疑問でぐるぐるして、全然喜べない。
「あたっちゃった、どうしよう」
アイスを食べたのに身体が熱い。
思わず火照った頬に手を当てると、ねとついた感触が指に絡み付いた。
以上です。
このどさくさに紛れて押し倒して以下略な流れに持っていこうとしたけど
上手くいかなかったので未遂です。
おそまつさまでした
GJ!
俺ちょっとコンビニの店員になってくるわ
エロいなぁ〜
向かいの家もお隣さんも存在しない田舎住まいの俺涙目www
未遂でも十分エロいです、はい。
ちょっとアイス買ってこよう、一人プレイだけどなw
>>561 ただいま勉強中!というタイトルの4コマ漫画の
ヒロイン二人が男と女だったらどうなるか、と一瞬妄想した。
結構イケそうだった。
理想の幼馴染
↓
なじむ!実に!なじむぞ!! ……というくらい馴染んでいる幼馴染
徒然なるままに打ち込んでいたらなんかできたので、
投下させていただきます。
この日本にこんな感じの幼なじみカップルがいる希望をこめて、
そして俺にはいない恨みをこめて、
「あー」
白い天井をぼんやりと眺めて、七篠孝輔は奇声を上げた。彼はベッドに仰向けになって、
額を隠すように右腕を頭に乗せている。
枕の上には全開にされた窓がある。生ぬるい風が吹くたび、孝輔の視界上部に浮き上がった
レースのカーテンが侵入してくる。
BGMとしてセミの大合唱と時折思い出したようにガラス音を奏でる安物の風鈴があるが、
それはどちらかというと耳障りな騒音の部類に入る気がした。
「ねぇ」
足元から声がして、孝輔は黒目だけをそちらに下げてみた。
少女が腕を枕にして、うつぶせに彼のベッドにもたれている。うっすらと汗の膜が張った素足は
だらしなくカーペットに投げ出され、短いスカートから伸びた太ももの部分が朱を差して上気している。
声を掛けるまで読んでいたらしいティーンズ雑誌が、しわを寄せたシーツの上、乱雑に放り出されていた。
「なんだよ、茜」
孝輔は若干不機嫌さを滲ませた声で言う。長年付き合いを続けてきた成果か、何か彼にとって
都合の悪いことを言われそうな、そんな直感めいたものを感じていた。
高坂茜は猫が顔を洗うように、一度腕の中に顔を埋めてから、おどけた仕草でその血色のいい唇を尖らせた。
「――――暇」
彼女の予想通りの言葉に、孝輔は目線を天井に戻す。
茜は孝輔に無視されたことを感づくと、更に唇を突き出して、目の前にあった彼の脚をゆすった。
「ねー、ひまー」
「うるさい」
「ひまー、ひまー」
「うるさいって」
「ひーーーー、まーーーー」
「だー、もうっ! わかったからっ!」
その瞬間の茜は、まるでリードを目にした子犬だった。彼女の表情が期待でパッと輝く。
しかし孝輔は足をばたつかせて茜の手を振り払うと、寝そべったまま彼女に背中を向けた。
「……ったく、このクソ暑いときに」
「もー、孝ちゃん!」
「はいはい」
「ねー、夏休みだよ? もう八月だよ?」
「だから?」
「どっか行こうよ。もったいないよ」
孝輔はしかめ面の見本のような顔で、肩越しに少女の方を振り返る。その険しい視線を受けて、
彼女はにこっ、と白い歯を見せて小首をかしげた。彼女の毛先がさらりと揺れる。肩口に掛かる長さの髪は、
空気をはらんだ外ハネ気味にスタイリングされていたが、ベッドに押し付けたせいで、一部がへこんでつぶれていた。
髪色はその軽やかさを重視した髪形に合わせて、明るいブラウンに脱色されている。茜がそのカラーリングをしたのは夏休みに入ってからだ。
彼女がそれを披露するためわざわざ、隣の家(つまり孝輔の家)の夕食どきに闖入してきたことを思い出して、
彼はため息をつきそうになった。
そんな夏休み仕様の髪で飾られている茜の顔立ちは、異性から見てなかなかに魅力的だった。
卵形の小顔。ぱっちりとした二重の瞳。本人は低すぎると嘆く少し丸い鼻。かわいらしいつぼみのような、
小さいピンクの唇。高校生にしてはいささか童顔なきらいもあるが、それもくるくるとしきりに表情を変える
彼女の性格によく似合っていった。
それはまるで、孝輔の好みをそのまま削りだしたような造形だったが、彼がその照れくさい事実を
茜に伝えたことはない。まあそれも、卵と鶏の命題ではあるが。
「遊びたいなら、友達といけよ。ほら、いつもお前がつるんでる――――」
孝輔は無愛想な口調を作る。
茜は慌てたようにぶんぶんと首を振った。それから少し考えるような仕草をして、
「んー。みんな、この夏は男の子と遊ぶんだって。高二にもなって女だけで遊ぶのはむなしいんだってさ」
「え? でも、お前のグループで彼氏もち、って一人だけだろ?」
「違うよ。二人だよ」
「え? 誰かできたのか? 彼氏」
「んーん。ユウちゃんと、それと――――私」
自分の言葉が気恥ずかしかったのか、茜はシーツに顔を押し当てて、栗色の髪で顔を隠す。ただ、
その間から覗いた小さな耳が、そこだけ冬に逆戻りしたように真っ赤だった。
「ばか。照れるくらいなら言うな」
紅潮の伝播した孝輔が、はぐらかすように茜の髪をぐしゃぐしゃとかき乱した。
「へへへ」
茜はベッドに密着したまま、くぐもった声で笑う。
孝輔の手を取って、自分の頭を擦り付ける。満足するまで孝輔に撫でてもらってから、茜は、もぞり、と上目で彼を見つめた。
「だーかーらー、今年の夏は全部孝ちゃんと遊ぶのです」
「俺の都合は?」
「え? なんか用事あるの?」
「……いや、基本暇だけど」
「でしょー。これだから友達のいないヒッキー少年は」
「やかましいわ」
孝輔はそう言って苦笑すると、茜の額を拳骨で軽く小突いた。
「というわけで。さぁ、遊びに行きませう」
「何が、というわけで、だよ。大体、こんな炎天下の中、どこに行くって?」
孝輔はうんざりした様子で、ぼりぼりと頭をかいた。仰向けに戻ると、無地のTシャツの背中が汗を吸ってじっとりと不快に湿っている。
「んー。映画?」
「それは昨日行った」
「海!」
「それは一昨日」
「プール!」
「それは先週」
「ボーリング!」
「それも先週」
「ゲームセンター!」
「お前負けたら泣くもん」
「バッティングセンター!」
「あれは我ながらアホだった」
「カラオケ!」
「二人ではキツイっていいかげん学習しろ」
「漫画喫茶!」
「すぐ眠くなるくせに」
「買い物!」
「お前はまだ何か買い足りないのか?」
「お祭り! 花火!」
「それは今度の土日だろ?」
茜は勢いよく立ち上がると、拗ねた表情で孝輔を睨み付けた。
「もー! だったらどこがいいの! 孝ちゃんは!」
「いや、だから。今日はもういいじゃん。この快晴の下、わざわざ外、出なくても。――――もう。ほんと。暑いし」
孝輔はしみじみ呟くと、全身からやる気と元気を脱気しきった。
「むー、孝ちゃんの意地悪っ! バカっ! 間抜けっ! 早漏っ!」
「ば…っ! 女の子がなんて単語を……!」
「もういいもん。そんなこと言って、後で後悔したって知らないから!」
「あー、はいはい」
スカートのポケットをさぐり始めた茜を横目に、孝輔は子供に引っ張りまわされた老犬のように深く息をついた。
「ったく。たまにはダラダラさせてくれ」
ギシ、とベッドのスプリングが鳴る。茜は足を投げ出して孝輔の横に座ると、どこかに電話を掛け始めた。
「えっと、もしもし、先輩ですか?」
先輩。その二文字に孝輔は大きく目を見開く。顔を引き攣らせて体をハネ起こすと、焦って茜に手を伸ばした。
「このバカっ! おい! 待て!」
茜は悪戯っぽい笑みを浮かべて、携帯を奪おうとする孝輔から逃げる。
まずい。厄介なことになる。孝輔は今までの悪夢を回想しながら、茜の後を追う。
高坂茜には、他人に対して無自覚な隙があった。その分け隔てがなさ過ぎて半ば無差別テロのような邪気のない笑顔と、
常識より近めに設定されたパーソナルスペースの基準は、思春期を迎えた異性に当然のごとく勘違いをもたらした。
確信をもって彼女に告白する男子生徒たちは、その確信の原因となったヒマワリの笑みの下、呆気なく撃沈されていった。
それでも見苦しく言い寄ってくる男たちの主張を、茜はいつもキョトンとした不思議そうな表情で聞いていた。彼女にとってそれは当然で、
なにより彼女には、その時点で既に10年近くも思いを寄せる男の子がいたのだ。
そしてその想われ人は、茜の色恋沙汰に巻き込まれては、いつも四苦八苦させられていた。
七篠孝輔。彼のように、中学生にして痴情のもつれで生命の危険を感じたというのも中々に稀有な存在だと思われる。
そんな二人にとって、先輩というのは、茜に振られて一時期ストーカー行為を繰り返した一人の上級生を指していた。
「なに考えてんだ! マジで!」
「きゃっ!」
孝輔は茜から携帯をひったくると、二人はもつれ込むようにしてベッドに倒れた。
「あ! 先輩!? 今のは違うんです! ちょっとした手違いで、その――――」
『――――時30秒をお知らせします』
「…………は?」
かくん、と顎を落とす孝輔。
そんな彼に後ろから抱きすくめられた格好で、茜はこらえきれず吹き出した。
「ふふ。大体、私が先輩の番号知ってるわけないでしょ」
しかしどうも最近、
「ね? びっくりした? ね?」
彼女はそんな自分の因果な性質を、
「へへへ。どう? 焦ったでしょ」
咀嚼し、理解し、
「あんまり私を甘く見ないほうがよろしいですますことよ」
こうして孝輔を煽るのに利用している節がある。
(まったく嘆かわしい)
「まったく嘆かわしい」
「?」
高校に進学して二年目。幼馴染の恋人は年々その魅力を増していく。
追いかけられて、暴れたせいだろう。幾条かの髪の毛が張り付いた茜のうなじに、孝輔は触れるだけのキスをした。
「わっ! なに? 突然」
「まぁ、なんとなく」
「もう」
そういう茜の声音に非難の色はない。
茜は孝輔の腕の中で小さく身じろぎすると、反転して彼と向かい合う形になった。そのまま彼の背中に腕を、
彼の腰に脚を巻きつかせると、肌の隙間を全て埋めるようにしてしがみ付いた。
「ふふふ。ねぇ」
「ん?」
「これだと家の中でも暑いよ。どうする?」
茜は更に全身をくまなくまとわりつかせる。それから、クスリと細めた目で、色気を絡ませた眼差しを孝輔に送った。
(まったくもって嘆かわしい)
「いつの間にお前は、そんな小悪魔エロっ娘キャラに」
「へへへ。責任とってね、孝ちゃん」
女の子の方が早熟である。そんな提言は自分たちには当てはまらないと思っていたのに。
孝輔はトロンと艶っぽい瞳に、熱を逃がすためか軽く開いた唇に、汗の筋をぬめらせる頬に、
視線をさまよわせながら喉を鳴らして唾を飲み込んだ。
あんな天然で、泣き虫で、すぐ転んで、寝ぼけた子犬みたいで、いつもほわほわしていたくせに。
「あついよ、孝ちゃん」
「お前のせいだろ」
「へへ」
茜は猫が甘えるように自分と孝輔の髪をすり合わせると、彼の鼻の頭をペロンと舐めた。
「しょっぱい」
「この変態」
「――――孝ちゃん」
「なんだよ?」
「孝ちゃんが一緒に出かけてくれないのは私に飽きたから?」
「は?」
孝輔は唐突に向けられた不安に目を丸くする。
「ちげーよ、ばか。なんでそうなる?」
「だって」
「ん?」
「昨日も、一昨日も、今日と同じくらい暑かったけど、遊んでくれたもん」
「あのな。夏休み入って毎日毎日遊びまわってたら、そりゃそろそろネタも尽きてくんだろ普通」
孝輔は頭痛に耐えるようにこめかみを押さえてから、茜のふわふわとした手触りの髪を梳いた。
「むー。そうだけど……」
「なんですか? 何か納得できないことでも? お嬢様?」
「なんかそれって倦怠期の夫婦みたい」
不満げに頬を膨らませる茜を見て、孝輔は彼女に気づかれないよう喉の奥で笑った。
「もー、何がおかしいの?」
「いや。まぁ、確かに何だかんだで17年目だしな」
「むー。でも交際暦はまだ、……えーっと、2年だっけ?」
「そうだな。中3の初めからだから、3年目か」
告白は一応孝輔からだった。とは言っても、それ以前から幼馴染としてほとんど一緒にいたし、
茜が頻繁に告白を受けるようになってからは、いつの間にか断りの方便として孝輔が使われていたので
外堀は完璧に埋められていたわけだが。
「しかしまぁ、」
「……あ」
「とりあえず、セックスレスではないな」
「もう、……孝ちゃんのバカ」
茜は太ももに押し付けられた昂ぶりを感じて、孝輔の胸板に赤らめた顔を埋めた。
孝輔は茜にキスをしようとして、しかし途中で動きを止める。
「? 孝ちゃん、どうかした?」
「しまった。ゴム、切らしたんだったな」
孝輔は形容しがたい表情で、茜と顔を見合わせる。
昨晩(正確には今日の早朝)、最後の一個を使い切った所だった。彼らも多分に漏れず学生らしく、文字通り毎日のように盛っていたりする。
「はい、コレ」
茜のスカートのポケットから出てくる、なんだかんだで見慣れた箱。
「あれ?」
「無いの分かってたから、家の買い溜め持ってきた」
茜は恥ずかしそうに頬を染めて、まるで孝輔のTシャツに潜り込むような仕草をした。
「朝、戻ってたのは、コレのためか」
「うー」
むーむーと羞恥に唸っている茜の髪をぐしゃぐしゃかき乱すと、孝輔は肩を震わせて笑った。
「そういや、母さんたちは?」
「うちのお母さんと一緒に出かけてる。夕飯も外で食べてくるから、二人で済ませといて、って」
「父さんとおじさんの分は?」
苦笑気味に尋ねた孝輔に、茜はさぁ? と首をかしげて笑った。
「ったく。――――どうする? 俺たちは?」
「うん。行ってみたいお店があるんだ」
「へー、美味いの?」
「うん。らしいよ。資金もお母さんから徴収してある」
「二人分?」
「もちろん。半分は孝ちゃんのお母さんから」
「お前、いつの間に」
へへへ、と茜は得意げに口元を持ち上げる。
「だから、今晩は外食して、ちょっとブラブラしてこよ。夜なら涼しいから良いでしょ?」
「まぁな」
そうして孝輔はふと思った。コイツ、始めからそのつもりだったんじゃ?
「ねぇ?」
孝輔は思考の海に足をかけた所で、ちょいちょいと袖を引かれて立ち戻った。
「ん?」
「その、…………しないの?」
「う」
茜に上目遣いに見つめられて、下火になっていた欲望が再燃する。分かりやすい彼の息子は
既にその頭をムクムクと持ち上げていた。
「あ。もう――――孝ちゃんのえっち」
「お前が言うな。このエロっ娘」
「うん。私も」
茜は愉しそうな声を上げて、孝輔に抱きついた。
「あー、くそ!」
なんで出掛けるつもりのヤツがコンドームもってんだよ、とかそんなツッコミを入れるのも忘れて、
孝輔は発情してウルウルと瞳を輝かせる茜に覆いかぶさった。
投下終わりです。
お目汚し、すいませんでした。
>>571 GJ!
氏とは恨みを肴に杯を交わせそうだな、ハハハ、ファック
>>571 ファーック!
なぜ寸止めなんだファーック!!
これでは画竜点睛だファーック!!!
続きキボンヌ←いつの間にか死語だなファァアアアアアッッック!!!!
>>573の書き込みボタンを押した直後に冷静になったわけだが……どうよコレ……
GJ。
夏だなぁ。夏っていいよなぁ。ほんっとうにいいよなぁ。
>>571 GJ!
文章、構成、キャラどれをとっても申し分ない
素晴らしい一編だった
>>574 どんまいw
人生そういうこともあるさw
>>571 GJ!
よかった
本当に文章が上手いね
良いなぁこの空気
俺の幼馴染………最後に会話したの小学校の高学年じゃねぇかwww
幼稚園は別で小学校は一度も同じクラスになれず中学で初めて同じクラスになった時は
お互い思春期真っただ中で隣の席になっても一言も言葉を交わせませんでした
俺と幼馴染の最期の会話が「体育の●●ウゼェよな。んじゃまたな。」
「また明日ね、帰ったら●大にメール送るから」
まさか事故って逝くとは予想もしてなかった。
その日以来、俺は原付に乗れなくなった。
高校の思い出は卒業間近の事故一色だ。
幼馴染の男と二人葬式で泣いた事しか思い出せない。
581 :
名無しさん@ピンキー:2008/08/09(土) 08:02:29 ID:53NnMAef
男幼馴染と十分なフラグがたってるじゃないかwwww
>>571 ぐっじょ!
大変良い話しを読ませて頂きました。
つけっぱなしのテレビは、国会放送を垂れ流している。
「……クーラー代凄そうだよな、国会議事堂」
「一回の国会で一億円かかるってねー。死ね」
「ストレートにそういうことを言うんじゃない。……でも同感だ。せめてクールビズれ」
だらけつつ、ゴロ寝を二人で続ける。
気温は高熱三十八度。クーラーなんて便利なものはなく、レースのカーテンを引いた室内には陽の光が、こう、蔓延している。
「……アイスあったっけ」
「ばか、さっき食べただろ……アイスは一時間に一本だ」
「じゃあ次のアンタの分を、こう、アタシに譲渡するとかどうさ」
「……くたばれもしくは死ね」
「す、ストレートに言われたぁっ」
……暑くて勢いがまったく足りない。
いつもはウソ泣きの演技も入るが、今回は寝そべったままだ。
「…………」
彼女の方を見ると、非難がましい涙目だった。
いたたまれなくなって来たので、腹筋を使い、起き上がる。
「…………!」
だらしなく寝そべっていた馬鹿が、四足獣が駆け出す直前みたいなポーズになった。
その熱烈な視線を背に浴びつつ、冷凍庫からアイスを取り出した。
「んー……」
ぴり、と袋をつまんで破って、アイスを取り出し袋を捨てる。
「……さて」
なにやらハァハァ言い出した四足獣ちゃんの前にしゃがみこみ、……アイスをかじる。
しゃり、とした歯ざわりと、急に冷やされたことによる僅かな歯の痛み。直後に来るのは、痺れにも似た冷たさと、それ以上の甘味だ。
「…………!?」
今にも泣きそうな顔で、彼女は肉薄してくる。……そう、肉薄、なんて変な言葉を使うくらい、その表情には悲壮感とか憤怒とかが満ちていた。
「よ」
その開きかけた唇に唇を押し付けて、口移しをした。
「ふぉお…………!?」
「ちょっとぬるいのは許せよ。ホレ、次行くぞ次。ステップアップだ。色々と」
「ちょ、アンタ、スケベうわぁ――!」
……テレビでは、保守派の政治家が、何かを言っていた。
orz
酉間違えた
>>585-586 某スレでの失敗も目撃してしまったぜw
こういうときは推敲をし過ぎることなく勢いで投下した方が好評なことが恐らく多いと思うけど
急ぎすぎて焦ったのか?
下らんことをあれこれ言ったが今のおれにとっては最高だ。あんたは漢だぜ
ところで甘えんぼう幼馴染の場合、ここと甘えんぼうスレのどっちに書き込むべきだ?
>>589 ここでそんな質問されたらここにと答えるしかねぇべw
その二属性は親和性高いんだよなぁ。個人的には両スレ見てるが、どちらでも合わせ技一本が多い気がする。
>>589 自分が好きなほうでいいんじゃね?
そりゃまぁこっちに投下があれば嬉しいけど、それは向こうのスレも同じだし
ヒロインの性格でスレを選ぶとこのスレの作品も他に流れまくるからなぁ
ツンデレとかさ
深く考えないほうがいいよ
オレも両スレ見てるけど逆に甘えん坊のほうは見たことないって人もやっぱいるのかな?
>>593 ノシ
あっちに投下するんなら読みにいくけど
甘えん坊な年下のボーイッシュ幼なじみの話書いとります
確かに、投下場所に迷った
このスレに投下するのは初なのですが、
テレビでオリンピックを見ていたら頭の中の妄想が文章化されていたので投下してみます
598 :
1/3:2008/08/17(日) 00:13:02 ID:u5+oA4iU
「さあ、得意のタックルが出るか!?」
「下がっちゃダメですよ!」
20型の地デジ対応テレビからオリンピックの熱闘が伝えられてる。
現在の競技は女子レスリング。日本人選手が決勝戦を奮闘してる。
レスリングに興味があったわけじゃない。
ただ、暇だから見てるだけ。
恭介・・・キミが、構ってくれないから・・・。
キミはベッドに座っていつものように本を読んでいる。
わたしがここに来たときに読んでいたものとは違う文庫本。
熱心に読み進めている横顔、真剣な眼差し、すごく・・・好き。
その瞳に見つめられる時の幸せ・・・。思い出すだけで心臓がドキドキしちゃう。
キミが傍にいる空気感が・・・好き。
心から安らげる。安心できる。優しい気持ちになれる。
だけど。
わたしたち、もうただの幼馴染じゃないんだよ?
恋人同士になったんだよ?
キミはわたしの、彼氏・・・なんだよ?
わたしが"キミの部屋にいること"。
その表面はいつものことでも、"中身"はもう・・・違うんじゃないの・・・?
「フォールだ!!オリンピック連覇達成ーーーーー!!」
「いやぁ、やりましたっ!!」
実況アナウンサーと解説のおじさんが、喜びを爆発させる。
画面上で選手がガッツポーズをしながら泣いている。
それを見て、わたしも胸がきゅん、ってなる。
きっとわたしたちが知らないところで、いっぱいいっぱい努力したんだろうな・・・。
苦しかっただろうな・・・。
あんまり喋らないからって、感受性が鈍い訳じゃないんだから。
「ね、ぇ・・・」
呼びかけてもキミは反応してくれないね。読書中はいつもそう。
わたしの声が小さいのもあるけど・・・もう少し注意を向けて欲しいよ・・・?
Tシャツの肩のとこを引っ張ると、ようやくキミは顔を上げる。
「・・・金メダル・・・」
キミはテレビにチラッと視線を向けただけだった。
「ああ」
たった2文字で感想ともいえない反応をして、キミはまた視線を戻す。
わたしの中で、ふつふつと怒りが湧き起こってくる。
ものすごく頑張った選手に、どうしておめでとうが言えないの?っていうのもあったけど。
それ以上に・・・わたしはキミと、感動を共有したかったのに。
599 :
2/3:2008/08/17(日) 00:14:44 ID:u5+oA4iU
急に立ち上がったキミ(たぶん飲み物を取りにいきたいんだ)を、わたしは通せんぼする。
「なんだよ・・・ひかる?」
キミがわたしの名前を呼んだの、これが今日始めて。
分かってる?・・・もう4時間も一緒にいるんだよ?
「・・・だ、め」
言いたいことは山ほどあるのに、これしか言えなかった・・・。
どうしたら自分の気持ちを上手に伝えられるのかも、何から話していいのかも、よく分からない。
キミの顔が困惑の表情を形作る。
出逢った頃からずっとそう。
どんなときも、キミはわたしに嫌な顔をしないね。
こんなわたしを、めんどくさがらないね。
キミはとても、優しいヒト。
「ひかる・・・?どうかしたのか?」
急に真剣な表情になって、それまでの態度が嘘のように、心配そうにキミが顔を覗き込んでくる。
すぐ目の前に、大好きなキミの顔がある。
それだけで、わたしの顔は真っ赤になる。
「顔赤いぞ?熱でもあるんじゃないのか?」
前髪が触れ合いそうな距離までキミの顔が近づいて・・・。
訳が分からなくなって・・・キミに思い切り抱きついちゃった・・・。
まるでタックルみたいに。
「おわっ」
二人の身体が、ベッドに倒れこむ。
反射的に目を閉じていたわたしの鼻腔を、キミの香りがくすぐる。
「だ、大丈夫か?」
大好きな匂いに陶然としていたわたしに、キミの声が届く。
「・・・うん」
気づけばキミの両腕が、ちょっと強めにわたしを包んでくれてる。
守ろうとしてくれたの?
嬉しい。もの凄く嬉しいよ。
その気持ちに、それをうまく表現できないもどかしさが混ざって、わたしをちょっと大胆にする。
「ン・・・ちゅ・・・」
やっぱりちょっとなんかじゃない・・・。普段のわたしはこんなことできないもの。
恭介は、固まったように動かない。
どうしよう・・・。
変に思われないかな・・・?本当は嫌だったりするのかも・・・。
でも、怖くて確かめることなんてできない。
目を閉じて必死に唇を押し当てていたら
「・・・んあっ!?ンンッ!」
キミの舌が、わたしの口の中に入ってきた。
熱くてヌメヌメしてて、でも全然嫌じゃない。
キミに、蕩かされちゃいそう・・・。
何秒くらいそうしていたんだろう。
幸せに包まれた時間。
名残惜しいけど、息ができなくなって唇を離す。
キミはちょっと驚いた顔をしてた。
でも、切なそうな顔だったよ?
「わたしの・・・フォール、勝ち・・・」
何言ってんだろう、なんて思わなかった。
もう、ちょっと変になってるね、わたし。
「ばか、フォールってのは・・・肩をつけるんだよ」
キミは乱れた呼吸で、わたしを抱きしめたまま反転して上下を入れ替わった。
「ひかる・・・したい」
いつもはドキドキする、キミの真剣な眼差し。
でも今は、ホッと胸が温かくなった。
良かった。
キミもちゃんと、わたしとしたいって・・・思ってくれてるんだ。
嬉しくて、涙が出そうになる。
「今日はずっとしたかったから、ひかるを見ないようにして耐えてたってのに、さ・・・」
「・・・えっ?」
わたしにはそんなに女の子として魅力を感じていないのかと思ってた・・・。
キミにとってわたしは「保護対象」で、エッチなことなんて・・・もうする気にならないのかな、とか・・・。
「お前のせいだぞ」
甘く甘くキミが言う。
それだけで内腿の付け根が熱を帯びてくる。
「・・・責任、とる・・・から」
わたしが言うと、キミは嬉しそうに微笑んだ。
そして今度は、キミがわたしをフォールする―――
終わりです。↑の名前欄は3/3ってことでお願いします
もし好評だったなら二人の初体験の話とか・・・書けたら書きますw
これも無口娘とも迷うなぁ・・・
では失礼しましたー
GJ!
むしろフォールされたい
くそぉ、俺が独りで寂しくオリンピックを見てるというのにorz
というのは置いといてGJ
無口幼馴染もいいなぁ
>>601 GJ!
いいセンスだ!
それはさておき…君…ちょっと無口スレまできてもらおうか…。
GJ!幼馴染科無口属か
ごめん勝手に生物分類っぽくしてみた
こんにちは、二ヶ月振りです。規制って辛いですね。
以下に投下します。
>>380-387の続き、後編です。
>>143-156とも若干繋がりがありますので、興味がある方はそちらもどうぞ。
もちろん単品としてもお読みいただけます。
『ある失恋話・後編』
その週の日曜日は快晴だった。
その日、三原正志(みはらまさし)は幼馴染みの天川沙織(あまかわさおり)と一緒に
街に出かけていた。
四日前に二十歳になった沙織の誕生日祝いである。いっしょに遊ぼうと沙織が言った
ので、それに応えてのことだ。
デートとも言う。
三つ上の『姉』は気立てのいい美人で、そんな彼女と一日を過ごすのはなかなか悪くない
ものだが、今の正志には少し気まずく感じられた。
誕生日の夜、酔った沙織に半ば無理やり『されて』しまったから。
正志は無理に拒絶しなかったが、それなりにショックは大きかった。
沙織の洩らした深い恋慕の情を無視できるほど、正志の神経は図太くなかったし、何より
彼女の気持ちに長い間気付かなかった自分が情けなかったのだ。
とはいえ、すぐに答えを返せるわけでもない。
それに沙織は、あの日の夜のことに一度も触れなかった。忘れてしまったかのように
あの夜のことをスルーしていた。
翌日にただ一言「夕べのことは忘れて」と言っただけだった。
そう言われると正志も話を持ち出せなくなる。
なかったことにされてしまったのかもしれない。あの夜のことは無しにして、これまで
通りの関係でいようと、そういうことなのかもしれない。
正志にとっては絶対に忘れられない。
思いがけず初体験の相手となった女の子と出かけるのだ。意識せずにはいられなかった。
「正志くん」
大通りを並んで歩いていると、沙織が呼び掛けてきた。
「え? は、はい!」
物思いに耽っていた正志はつい驚き、なぜか敬語で返してしまった。
「? どうしたの?」
「あ……いや、なんでもないよ。何?」
沙織は訝しげに眉を寄せたが、深くは突っ込んでこなかった。
「だから、まずはどこ行こうかって」
訊いてくる沙織の今日の服装は白のツーピースだった。普段のラフな服装と違って新鮮に映る。
「……沙織さんの誕生日祝いなんだから、沙織さんが行きたい所に行こうよ」
「え? 私が決めていいの?」
「もちろん。沙織さんのためのデートでしょ」
「……こういうときは決断を相手に委ねずに自分でリードしないとダメだよ」
「そうなの?」
「そうだよ。気遣いは大事だけど、それ以上に相手を引っ張っていかなきゃ」
「……気を付けます」
正志は困惑の中でそれだけ答えた。
戸惑いもする。こちらは努めて意識しないようにしているのに、平然と色恋事を口に出す
沙織の神経が信じられない。
やっぱりあのときのことはなかったことにされてしまったのか。
沙織にとってはもう過去の出来事に過ぎないのだろうか。
それは少し淋しかった。
「でも、やっぱり沙織さんの誕生日だし、沙織さんの好きなところに行きたいよ」
「正志くんもなかなか頑固だね。……じゃあ、映画観よう。アクション映画」
そういえば、昔から彼女はアクション映画が好きだった。好きな有名人にチャック・
ノリスを挙げるくらいだ。
「了解」
今は何を上映しているのだろう。わからないが、アクション映画は多分いつでもやって
いると思う。
映画館の方角に足を向けると、沙織が待って、と言った。
立ち止まると、沙織に左手を握られた。
「デートでしょ? だったら女の子の手くらい握ってあげなさい」
「……急にそんなことしたら、普通は驚くと思うけど」
実際驚いた。
「もう十年以上の付き合いでしょ。手を握ったくらいじゃ驚かないよ」
「ぼくは驚くけど」
「度胸をつけなさい」
正志は苦笑すると、沙織の手を握り返した。小さな手だった。
「よし、行こっか」
笑顔を浮かべる沙織に正志はうん、と頷いた。
◇ ◇ ◇
映画館は空いていた。
買ってきた飲み物を沙織に渡し、前列の席に座る。沙織は紙コップの中の紅茶を見つめ
ながらぽつりと呟いた。
「昔もこうして、いっしょに映画観に来たことあったよね」
「……八年前かな?」
正志が小学三年生のときだった。沙織は六年生で、沙織の父に連れられて三人で映画を
観に行ったのだ。
そのときも確かアクション物だった。確か。
「あのとき正志くん寝てたでしょ」
「……そうだったっけ?」
「そうよ。映画の話をしたかったのに、正志くん全然中身覚えてなくて。ちょっと残念
だったな」
「……」
そういえばそうだったか。アクション物と記憶していたのは沙織が話してくれたのを
憶えていたからだろう。
昔から正志は、沙織に悪いことをしている気がする。
「あのときは、帰りにファミレスに行ったことの方が嬉しかったような」
「あー、正志くん唐揚げセット注文したよね。私はハンバーグステーキセットだった」
「よく憶えてるね。あんまり外食とかしなかったからね。なんか嬉しかったよ」
「今日は寝たりしないよね?」
「しないよ」
思わず苦笑する。さすがにそれはない。
「小さい頃はじっと何かを楽しむっていうのが理解できなかったんだよ。でも本を読む
ようになってからは映画も好きになった」
「そうなんだ。いつから本を読むようになったの?」
「そうだな……」
思い返すと案外あっさりときっかけに辿り着いた。
小学四年の頃に読んだ『ルドルフとイッパイアッテナ』がとてもおもしろかったのだ。
本は気難しいもの、という固定観念が一瞬で吹き飛び、あっという間に読み切ってしまった。
あれは確か──
「正志くん?」
沙織の呼び掛けに正志は慌てて顔を向けた。
「あ……ごめん。よく憶えてないや」
「ふーん。……そろそろ始まるんじゃない?」
沙織が言うと、直後に明かりが消えた。
後列から順に照明が落ちていき、やがて真っ暗になる。
正志は言葉を濁したことを後ろめたく思った。
本当は、憶えている。
沙織が中学に上がる際に荷物整理を手伝って、そこでもらった本が『ルドルフとイッパイ
アッテナ』だったのだ。
そのことが正志の読書好きのきっかけになったことを彼女は知らないだろう。ちょっと
気恥ずかしくて咄嗟に憶えていないと言ってしまったが、しかし、
(……いつもぼくを助けたり、支えたりしてくれる)
その上で何かのきっかけをくれるのはいつも沙織だった。
この間告白できたのも、沙織の後押しがあったから。
正志は沙織に世話になりっぱなしだった。
「……」
せめて今日くらいは、楽しんでもらいたいと思う。
答えはまだ出せないが、楽しんでもらえれば正志も嬉しい。
スクリーンが別の作品の予告を映している。
こちらに向かって明滅の光を放つ画面の眩しさに、正志は細かくまばたきをした。
◇ ◇ ◇
映画館の外に出た瞬間、沙織は大きく伸びをした。
正志も少し四肢に力を入れる。両手をぐうっと伸ばして筋肉をほぐす。
「結構面白かったかな」
沙織は後ろのテールを小さく撫でながら言った。
「でもやっぱりCGに頼りすぎるのはよくないと思うの。もっとバランスを考えてほしいわ。
なんで格闘シーンにまでCG多用するのかしら」
「その方がコストかからないんじゃないかな、よくわからないけど。ぼくは面白かったよ」
「うん、だから結構面白かったって。でももう少し細部を詰めてほしいというか」
こだわるなあ、と内心で苦笑する。
「ま、いいか。じゃ次行こ次」
切り換えて、沙織は正志の手を引く。自然と繋がれるその手に、正志はドキッとした。
それを表には出さず、尋ねる。
「次はどこ行きたい?」
「もうお昼だし、食事行こうよ」
元気に答えるその様子は、とても楽しそうだ。
「どこ行く?」
「ファミレス」
「なんで?」
「八年前の追体験しようかな、って」
真面目くさって沙織は言う。
「別にいいけど、なんでわざわざ」
「なんとなく。なんだか懐かしいじゃない。正志くんがまだ小学生の頃だよ」
「沙織さんも小学生だったよ」
沙織はにこりと笑った。
「そう。そこが重要なの」
「……は?」
「その頃までじゃない。私が正志くんと遊んでたのって」
「……」
それは──その通りだった。
沙織は笑う。寂しそうに。
「私が中学に上がるくらいから、正志くんとあんまり会わなくなったよね。私、すごく残念
だったんだよ。どうせなら一緒に学校通いたいなあ、って」
「……」
それは正志も寂しく思った。親しい彼女と離れるのは、とても嫌だった。
小学生と中学生では微妙な心理の差がある。それは中学生と高校生でも変わらない。
三歳差とは学生にとって遥かな差なのだ。なぜなら、同じ学校生活を共有できないから。
「正志くんの家庭教師になれて、私嬉しかった。昔に戻れた気がして」
「……」
「こうやって正志くんと何かを過ごせることが懐かしくて、本当に嬉しいの。正志くんは
どう?」
「……嬉しいよ」
沙織は笑った。
「というわけで、ファミレスへゴー!」
何が「というわけで」なのかはわからないが、正志は素直に沙織に従った。
彼女は魅力的な女の子だと思う。美人で明るい、正志にとって自慢の幼馴染みだ。
そんな彼女とこうして並んで歩けることが、嬉しくないはずがなかった。
正志が沙織を想う気持ちと、沙織が正志に対して抱く気持ちとは違うかもしれない。
それでも正志は、沙織を愛しく想っている。恋愛か親愛かはわからないが、それだけは
確かだった。
◇ ◇ ◇
食事を終えた後、沙織が遊園地に行きたいと言ったので、二人は市街地の端にある
遊園地に向かった。
遊園地は家族連れやカップルでごった返していた。入場券を二枚買って、二人は中へと
入る。
人混みの苦手な正志は園内の賑わった様子に辟易したが、沙織は笑顔だった。
「みんな楽しそうね」
「沙織さんが一番楽しそうだよ」
「楽しみに来たんだもん」
正志の手を引いて、沙織はまっすぐ目的のものへと向かった。
「正志くん、あれに乗ろうよ」
沙織の指差した先には、轟音と共に空中を駆ける乗り物があった。
「ジェットコースター?」
頷き、沙織は問い掛けてくる。
「正志くん、ああいうの苦手?」
「別に苦手じゃないけど……」
「えー、小さい頃正志くん泣いてたよー」
「幼稚園のときの話だよ! 今は平気だって」
「三つ子の魂百までって言うじゃない。試してみようか」
「泣かないってば」
行列の最後尾に二人は並ぶ。
十分待ちの後、順番が回ってきた。前の客と入れ替わりにコースターへと乗り込み、
(──え?)
すぐ横をすれ違ったカップルに憶えがあり、正志は思わず振り返った。
遠ざかる後ろ姿は見知った小柄な女の子のものだった。その隣には見知らぬ長身の男の姿。
背中まで届く長い黒髪を見間違えるはずもなく、
「正志くん?」
沙織が不審そうに正志の顔を覗き込んできた。
正志は慌てて顔を戻す。何を動揺しているのだろう。今のが『彼女』だったとしても、
自分が揺らぐ必要など何もない。たとえその隣に誰がいたとしても。
しかも今は沙織が隣にいるのだ。なおさら動揺など見せてはならない。
「なんでもないよ。早く乗ろう」
吹っ切るように正志はコースターへと進む。
沙織は怪訝な表情を見せたが、正志は気付かない振りをした。
◇ ◇ ◇
二人はいろんなアトラクションに臨んだ。
ジェットコースターに乗り、お化け屋敷に入り、巨大迷路を歩いた。
沙織は子供のように笑い、驚き、喜んだ。それを見て正志も嬉しくなった。
ちゃんと楽しんでもらえている。誕生日プレゼントの代わりになるか心配だったが、
幼馴染みの華やいだ様子に正志は安心した。
「次はあれ乗ろうよ」
迷路を抜けてベンチで休んでいると、沙織が遠くを指差した。
「観覧車?」
ゆっくりと回転する風車のようなそれを、沙織はじっと見つめる。
「ちょっと疲れたから休憩代わりに」
「了解。……って、休憩ってことはまだ乗るつもり?」
もう四時に近い。閉園までまだ時間はあるが、残暑の厳しい日照りを受けて、正志は正直
バテ気味だった。
沙織は小さくはにかむと、再び正志の手を取る。
「もう少しだけ付き合って。今日だけだから」
正志は幼馴染みに微笑む。
「今日だけなんて言わないよ。沙織さんが望むなら、いくらでも」
それくらいのことしか正志にはできないから。
「ありがと。行こっか」
二人は並んで歩き出す。
観覧車は順番待ちだった。子供連れよりもカップルが多く、正志は気まずく思った。
しばらくして二人の番が回ってきた。宙にぶら下がった鉄の籠は二人の体を預けるには
頼りなく見え、正志は大丈夫かと危惧したが、沙織があっさりと乗り込んだので後に続いた。
頼りないと思った空中密室は、特に問題もなく上へと上がっていく。
「こっちの方が苦手?」
唐突に沙織が尋ねてきた。
一瞬何のことかわからなかったが、すぐに『三つ子の魂』のことだと気付く。
「だから別に苦手じゃないって」
すると沙織は向かいのシートから立ち上がり、正志の隣に座った。
二人とも一方のシートに座るとバランスが悪いんじゃないかと思ったが、沙織は気にも
せず、正志の手を当たり前のように握った。
「温かいね、正志くんの手」
「沙織さんも温かいよ」
「それは私が温かい人だからだよ」
恥ずかしげもなく沙織は言った。
「何? 急に」
「お父さんが言ってたの。心が温かい人は体も温かい、って。正志くんの手も温かいから、
正志くんも温かい人だね」
その言葉はきっと心底からのものなのだろう。そして、沙織は言葉通りに温かい心を
持っているのだろうと正志は思った。
しかし、
「……ぼくは違う」
正志はうつ向き、低い声で呟いた。
え? と沙織は戸惑いの表情を浮かべる。
「温かくなんて、ないよ」
「そんな事は、」
「本当に温かい人なら、沙織さんを傷付けたりしない」
「え……」
「亜季ちゃんに対しても恨んだりしない。亜季ちゃんの彼氏に対しても嫉妬したりしない」
正志はさっきの、ジェットコースターの入口での出来事を思い返していた。
すれ違った小柄な女の子。田中亜季という名のその少女は、正志の失恋の相手だった。
彼女の隣にいたかった。彼女の笑顔が欲しかった。しかし、それはもう叶わない。
さっき彼女の隣には、別の男が立っていたから。
彼女の幸せな顔が嬉しく、また辛く響いた。
強烈に暗い情念が正志の胸中で渦巻いていた。こんなにも自分は嫉妬深く、醜い。
そんな自分が温かい人なわけがなかった。相手の幸せを心底から望めない自分は、ひどく
冷たい人間だと思う。
「さっきの子が、正志くんの……?」
困惑気味な、遠慮した声で問われる。正志は小さく頷いた。
「……」
沈黙がゴンドラの中を満たした。
沙織は何を言えばいいのかわからないらしく、正志も何を返せばいいのかわからなかった。
◇ ◇ ◇
観覧車が下に着いた瞬間、正志はほっとした。
嫌な空気にしてしまった。それを変えるような気の利いた言葉を言えるわけもなく、
正志はただ無言のままゴンドラから降りようとした。
が、
「正志くん──」
沙織は立ち上がらず、正志の手を掴んだまま離さなかった。
バランスを崩しかけた。何とかこらえて振り向くと、沙織がじっとこちらを見つめていた。
「もう一周……」
「え?」
「もう一周だけ、付き合って」
正志は困惑した。嫌な空気のままもう一周なんて、あまりに気まずい。
「で、でも」
順番待ちは一人もいなかった。誘導係の人に目を向けると、にっこりとした笑顔で
「続けてお乗りでしたら、どうぞそのままで」と返された。
正志は迷ったが、沙織が手を離しそうにないので仕方なく座り直した。
鍵をかけられたゴンドラが再び上昇する。正志は沙織に問い掛けた。
「沙織さん、なんで急に」
すると沙織は、おもむろに正志を抱き締めてきた。
「!?」
正志は突然のことに固まる。
優しい抱擁だった。甘い匂いと柔らかい感触が心地よく、正志は陶酔しそうだった。
沙織は耳元で囁く。
「支えてあげる」
小さな、しかし確かな声。
「辛いなら私が支えてあげる。甘えていいんだよ。だって、私は正志くんのお姉さんだから」
「……」
泣きたくなった。沙織の温かさは嫌な気持ちを全部洗い流してくれそうだった。
「ぼくは……いつも甘えているよ」
「いいじゃない、それで。後ろめたく思わないで。私、正志くんにならいくらでも甘えて
もらって平気だから」
「……うん」
正志は目の前の温もりに体を預ける。
「好きだった……本当に好きだったんだ」
「うん」
「でも、もう叶わないことなんだよね……」
「……うん」
沙織の頷きに、心が震えた。
気休めの言葉を彼女は口にしなかった。叶わぬ恋。それを肯定されたことが寂しかった。
涙が滲むように出て、やがて止まらなくなった。観覧車が下り切るまで、その涙は続いた。
そのときになって、正志はようやく、一つの恋が終わったのだと感じた。
◇ ◇ ◇
遊園地を後にして、二人は駅までの道を歩いていた。
眼鏡の奥に涙の痕はまだ残っていたが、正志の心はさっぱりとしていた。沙織の温もりが
自分の涙とともに辛い想いを拭い去ってくれたかのようで、なんだかくすぐったかった。
「沙織さん」
正志が呼ぶと、隣を歩く幼馴染みは、ん? といつもの笑顔を向けてくれた。
正志はそんな彼女の手を取ると、そっと握った。
沙織は目を見開いて驚く。
「沙織さん」
「な、何?」
「はっきりとは言えない。まだうまく切り替えられないから。でもちゃんと応えたいんだ」
「え?」
「沙織さんを好きになりたい。いいかげんな気持ちじゃなくて、ちゃんと恋人になりたい。
まだ弱いけど、ぼくは沙織さんを好きだと思うから」
「……え、えっと」
沙織は狼狽した様子でうつむいた。
正志はその様子に微笑み、言葉を続けた。
「あのときの言葉は失言だったのかもしれないけど、ぼくは嬉しかった。戸惑ったけど、
悩んだけど、すごく嬉しかった。だから、ありがとう。ぼくを好きでいてくれて」
あの夜のことをなかったことになんてしたくないと、正志は思う。あのときの沙織の
言葉は確かに嬉しくて、忘れたくなんかない。
あるいは酔った勢いなのかもしれない。それでもかまわない。この人がいてくれるなら、
正志はちゃんと立ち直れる。そしてきっと、想いを確かに出来る。
沙織は顔を上げると、不思議そうに首を傾げた。
「何の……こと?」
「え?」
沙織の反応に正志は困惑した。
「何のこと、って……あのときの、」
「『あのとき』って?」
「だから、その、四日前の」
沙織の顔色が変わる。しかし、その次の反応は正志の意表を突いた。
「……やっぱり私、変なこと言っちゃってた?」
「は?」
「だ、だって、あのとき私酔っ払ってたし、ひょっとしたら寝言で変なこと言っちゃった
んじゃないかってずっと心配で、」
「…………」
「ま、正志くん?」
「…………それ、冗談とかじゃないよね?」
「え?」
◇ ◇ ◇
結論から言うと、沙織はあの日の夜のことをまったく覚えていなかった。
恥ずかしいくらいにテンションが上がってしまったことはなんとなく覚えているらしいが、
具体的な詳細はまるで記憶から抜け落ちてしまっているようで、
「えっと、なんだかあったかいものに抱きついてた憶えはある……かな?」
「…………」
四日間悩んでいたのは一体なんだったのか、正志は盛大なため息をついた。
「……悩んでいたのはぼくだけだったと」
「ご、ごめんなさい。まさかそんなことになってたなんて」
あの日のことを説明すると、沙織は茹でられたタコみたいに真っ赤になってしまった。
本当にそんな大それたことをやってしまったのかと、何度も何度も確認してきたが、何度
訊かれても答えは一緒だ。
「そりゃもう、おもいっきり押し倒されたさ。なんで憶えてないのか不思議なくらいに、
積極的だったよ」
正志は大仰に頭を抑えながら言った。少しくらい意地悪な言い方をしてもバチは当たら
ないと思う。
沙織は縮み込む。
「ほ、本当に私、そんなことしたの……?」
「沙織さんのバストは88」
沙織の顔が強張る。
「合ってるよね」
「なんで知って、」
「沙織さんが自分で言ってた」
「あう……」
ますます縮み込む沙織。
正志はそれがおかしくて、つい笑った。
「……いいよ、覚えてなくても。あのときの沙織さんの言葉は嘘じゃないと思うから」
「で、でも、私正志くんにすごく嫌なことしたんじゃ」
「嫌じゃなかったよ」
混乱はしたが、別に嫌じゃなかった。本当に嫌なら、無理にでもはねのけていたはずだ。
「気にしないで。沙織さんの気持ちを聞けただけで、あの日のことは良かったと思ってるから」
「そ、そんなのダメ!」
必死な声で沙織は叫んだ。
「ちゃんとやり直すからっ」
「……やり直すって」
「正志くんはさっきちゃんと言ってくれたもの。でも先に好きになったのは私なんだから、
改めて言わないと」
「……」
沙織は深呼吸をすると、若干緊張気味な目でまっすぐ向き直った。
「正志くん。私は、あなたが好きです」
「……」
「なんだかややこしいことになっちゃったけど、それだけは本当。もしよければ、私と
付き合ってください」
「……うん」
改めて言い切ると、沙織はほう、と息を吐いた。そして照れくさそうに赤く染まった頬を
緩めて微笑んだ。
「はあ……やっと言えたよ……」
沙織の呟きを聞いて正志は尋ねた。
「ねえ。いつからぼくのこと」
「昔からだよ。多分、小さいころからずっと」
「てっきり姉弟みたいなものだと思ってた」
「私も最初はそう思ってたよ。でも、中学・高校に上がってなかなか会えなくなって、
すごく寂しかった。そのとき初めて気付いたの。私は正志くんが好きなんだ、って」
「……」
「高校生になった正志くんに初めて会ったとき、驚いた。私より身長高くなってたから。
いつの間にこんなに成長したんだろうってびっくりして、すごくドキドキしたのを覚えてる。
でも、これからまた同じ時間を過ごせるんだと思ったら、嬉しかった」
正志はうつむく。そんなにも想ってくれていた彼女を、正志は傷つけて、
「あ、そんな落ち込まないで。私が一方的に想って、一方的に失恋しただけだから。それに」
そこで一旦沙織は言葉を切る。
正志が顔を上げると、沙織は後ろに手を組み、静かに微笑んでいた。
「これからはずっと一緒にいてくれるんでしょ?」
夕日の中で輝くその微笑みは何よりも綺麗で、正志は呆ける程に見惚れてしまった。
胸が激しく鳴る。
そのときになって、ようやく間違いないと思った。
三原正志は、天川沙織に恋をしている――。
「……うん。一緒にいるよ。沙織さんのこと、好きだから」
「私も」
美人で、世話好きで、料理が得意な年上の幼馴染みは、正志の手を取り直した。
「帰ろっか」
何度も感じた手の感触。だがそのときの温もりはどこか違っていて、正志は初めて心から
沙織と繋がり合えたような気がした。
◇ ◇ ◇
正志の家に帰り着いてから、沙織が唐突に言った。
「……やり直さない?」
ソファに座る沙織に、麦茶を淹れてやる。自身の分も用意して、正志は対面の席に座った。
「何を?」
「初体験」
正志は手に取ったグラスを落としそうになった。中の麦茶が僅かにこぼれる。
「な、なな何を」
「だ、だって、初体験が逆レイプなんて、正志くんだって嫌でしょ?」
「……別に嫌ってわけじゃ」
「それに私だって、初体験を覚えてないのはちょっと……」
「……」
確かにまともな体験ではなかったし、気持ちはわからないでもないが、やり直してどうこう
なるものでもないだろう。もう起こってしまったことなのだし。
ただ、
「あー……やり直すとかじゃなくてさ、したいと思ってするのが一番いいんじゃないかな」
「あ、えっと、……そうなのかな?」
「沙織さんはどう思ってる? ぼくとしたい?」
「せ、セクハラだよ」
沙織の言葉に正志は笑う。笑いながら自分はどうだろうと考える。
正志は――
「ぼくはえっと……したい、かな」
素直な気持ちを吐露した。
「……それなら」
「待って待って。沙織さんもしたいと思ってないと……うん、意味がないと思う」
「あう……」
顔を真っ赤にする沙織。年上でも、そういう純なところはかわいいと思った。
沙織はしばらく迷うようにちらちらと正志の顔を窺っていたが、やがて覚悟を決めたのか
口を開いた。
「わ、私もしたい……」
小声だったが。
正志は頷くと、立ち上がって奥の洗面所へと向かった。
「正志くん?」
「いや、お風呂沸かすだけだよ」
「あ……」
沙織が硬い声を洩らす。緊張が高まっているようだ。もちろんそれは正志も同じだ。
洗面所から繋がっている風呂場に入って、スポンジで浴槽を軽く洗ってからお湯を張る。
白い湯気がもやもやと沸き上がる中、正志の頭には四日前の出来事が浮かんだ。
あのときとは違う。今日は、ちゃんと愛し合うのだ。
リビングに戻ると、沙織がソファから立ち上がって待っていた。
「あと十分くらいかかるかな。……えと、先に沙織さんから入る?」
小さく頷く沙織。
正志の目に映る幼馴染みの姿。これまでほとんど意識したことはなかったが、改めて見ると、
沙織の体つきはとても綺麗だ。
張りのある胸は服の上からでも形のよさがわかる。腰つきは細いが、華奢というより抱き
締めやすそうな印象を受ける。スカートから覗く脚は真っ白で綺麗だった。
ごくりと息を呑む。
急速に動悸が激しくなるのを自覚して、正志は慌てて顔を逸らした。
「へ、部屋で待ってるから」
踵を返して二階の部屋へと戻る。部屋に飛び込んでドアを閉めると、しん、と静寂が下り、
鼓動の高鳴りを助長させるようだった。
(うわぁ……)
凄まじく緊張する。失敗しないだろうか。どういう手順で進めればいいのか。その前に
ここでするのか。ベッドの上。当然枕は一つ。ティッシュはある。足りないもの。経験。
そんなのは当たり前だ。時間は? 今六時だから、両親が帰ってくるまであと三時間弱。
足りないもの。何か必要なものがあっただろうか。避妊具。
「……買ってこなきゃ」
財布を掴んで部屋を出る。一階に下りると沙織の姿はなかった。浴室から物音が聞こえて
きたので、正志は再び洗面所へと向かう。
中から体をお湯で洗い流す音が聞こえる。扉越しに正志は呼びかけた。
「沙織さん」
「え? ……ひゃ、正志くん!?」
悲鳴交じりの頓狂な声が上がり、正志は慌てて抗弁した。
「い、いや、そのままでいいからっ。えっと、ちょっと出かけてくるから、上がったらぼくの
部屋で待ってて。すぐ戻るよ」
「え? どこに行くの?」
「コンビニ。ちょっと買い物に」
「買い物?」
買い物の中身の見当がつかないのか、沙織は不思議そうに呟く。
正志は特に答えなかった。
「とにかくそういうわけで、待っててね」
そのまま正志は洗面所を飛び出して、玄関へと急いだ。靴を履いて外に出ると、日が山の
向こうに沈んでいくところだった。
夜を迎える。そのことが嫌でも今からやることを自覚させ、正志は心が浮つくのを抑えられ
なかった。
◇ ◇ ◇
帰宅して、正志はすぐに自室へと向かった。
自分が住んでる家なのに、なんだか違う空間みたいだった。階段を登る足がどこか
おぼつかない。
扉の前まで来て、正志は一旦立ち止まる。
深く息を吐いて気持ちを落ち着かせてから、正志はゆっくりドアを開いた。
ベッドの上に、沙織はいた。
ちょこん、と正座をしていた。若干不安げな目でこちらを見つめてくる。正志は近付くと、
ベッドの縁に腰掛けた。
「……何を買ってきたの?」
「……コンドーム」
それを聞いて沙織の顔が真っ赤になった。
「そ、そう。……ひ、必要だもんね」
「うん」
沙織の緊張は簡単には解けそうにない。
それを見ると、逆に正志の方が落ち着けた。相手が極端に緊張しているせいか、自分の
緊張が大したことないように思えてくる。
「……いいかな?」
正志は少しだけ迷い――結局ストレートに尋ねた。
「――――」
沙織は言葉を詰まらせる。
正志はじっと相手を見つめて、返事を待った。
しばらくして、ようやく沙織がひとつ頷く。
それを確認すると、正志は小さく微笑みかけた。
少しは安心してくれるだろうか。自分の微笑なんかで、彼女は落ち着いてくれるだろうか。
沙織は一瞬戸惑った表情になり、それから笑顔を返してくれた。
それがすごく嬉しくて、正志は思わず沙織を抱き締めていた。
お風呂上がりの、優しく甘い匂い。
沙織は体を強張らせたが抵抗はしなかった。おずおずと細い腕を正志の背中に回してくる。
正志は眼鏡を外して枕元に置くと、沙織の頬に手を添えた。
綺麗な唇に優しく口付けると、また沙織の体が強張った。
それでも抵抗はない。本当に、正志を受け入れてくれる。
二度、三度とキスを交わすと、少し慣れてきたのか、沙織の方からも唇を押し付けてきた。
胸や脚も強く当たり、女の子の柔らかい感触に正志は興奮する。
舌を差し込む。意外にも沙織の体は硬くならなかった。あっさりと口内への侵入を受け入れ、
逆に舌を絡めてきた。
唾液が口の中で混ざり合う。
熱が舌から舌に伝導し、液が唇をだらしなく濡らした。口同士の繋がりは呼吸を阻害して、
体温を上昇させた。
唇を離すと、二人は荒い呼吸を繰り返した。酸素が足りず、頭がふらついた。
「は、激しいね」
「でも、気持ちいい」
沙織は躊躇する素振りを見せたが、小さく頷いた。
正志は沙織の脚に触れる。
「あ」
スカートの内側に右手を滑り込ませる。太股の感触はひどく滑らかだ。
「んっ」
さすがに沙織も身をよじるが、正志は少々強引に突破しようとした。
スカートを捲ると、ピンクの下着が覗いた。
下着に触れる。その隙間から指を滑り込ませる。
「あっ」
秘所に触れた瞬間、沙織は声を上げた。
割れ目に沿って人差し指でゆっくりとなぞる。柔らかい。
強く力を入れると指が中に少しだけ沈む。
「い……」
沙織が表情を歪めた。はっきりと苦痛の色を浮かべたので、正志は慌てて指を離した。
「ごめん、痛かったよね」
「急に力入れられたから……もう少し、優しくして」
再度下着の中に手を入れ、陰部に触る。言われたとおりできるだけ優しく、指の腹で
撫で擦った。
最初は顔をしかめるだけだったが、次第に沙織の呼吸は荒くなっていった。
割れ目から徐々に液が染み出てくる。粘り気のある透明な液体は指によく絡んだ。熱を
含んだ液体は、沙織の興奮の高まりを教えてくれるようだ。
正志は左手で沙織の体を抱き寄せると、背中越しに左胸を触った。
薄い布地の服なせいか、柔らかさはあまり阻害されていない。豊かな胸の感触はまるで
突きたてのモチのようだ。
右手で下腹部を、左手で胸を愛撫する。抱きかかえるような体勢のため、互いの顔は
すぐ触れられる程に近いが、沙織は恥ずかしいのか顔を左側に逸らしている。
正志は左手を胸から離すと、沙織の後頭部に支えるように添えた。そのまま反対側に
向いている顔を自分の方へと向かせた。
「あ……」
すぐそこにある、幼馴染みの瞳。
それを直視しながら、正志はまた唇を重ねた。
「ん……んん……」
キスをしながら、右手の指を再び中に沈める。沙織の体がぴくりと震えたが、舌で口中を
ねぶると抵抗はなくなった。
先程よりも緩んだ割れ目から中に侵入する。襞々に触れ、中の膣道をじわりじわりと
押し進んでいく。
中に入れた指を支えに、親指で陰核に触れてみた。
「んん!?」
はっきりした反応が現れた。唇を離すと沙織は声を上げて喘いだ。
「んっ、だめっ、そこは触っちゃ……」
「ここがいいの?」
小さな突起をこね回すと、目に見えて沙織は体を揺らした。
「やっ、だめだってばぁ……」
「でも沙織さん、気持ちよさそうだよ」
「うう……」
羞恥心が強いのか、沙織はまともに言葉を返せなくなってしまう。
正志は沙織に微笑みかけると、頬にキスをした。
「かわいいよ、すごく」
その言葉に沙織は戸惑った表情を浮かべる。
「かわいいって……ひあっ!」
強めに陰核を押し潰すと、沙織は嬌声を上げてのけ反った。
正志は首筋に吸い付きながら、右手でひたすら秘所を弄る。染み出す液は量を増し、
指の根本にまで垂れてきていた。
左手で胸のボタンを器用に外す。薄布が剥がされ、仰向けでも膨らみのはっきりした
裸の乳房が現れた。
服の下に何も着けていなかったことに正志は驚く。
「沙織さん?」
「こ、この方が正志くんしやすいかなと思って、その、お風呂から上がったときに……」
小声で沙織が答える。
正志は目の前の胸の美しさに感動しながら、その先端に顔を近付けた。
乳首に吸い付くと、沙織が肩を震わせた。
「正志くん、あ、あんまり強く吸わないでね。痕がついちゃう……」
「……」
むしろつけたいのだが。
正志は答えずに左手で胸を鷲掴んだ。
張りのある胸から伝わる弾力は魅惑的な感触だった。ずっとこのまま揉んでいたい。そう
思わせる魔力が、この二つの膨らみにはある。
「んぅ、やぁん」
揉んで、舐めて、弄って。上も下も沙織の体は唾液や愛液でぐちゃぐちゃで、正志の
下腹部はジーンズの中で痛いくらいに張り詰めていた。
下の下着も脱がす。意図を汲んだ沙織が脚を持ち上げてくれた。肉付きのいい太股から
細い足首にショーツをずらしていく。
下着が脚から離れるのを確認して、沙織が上体を起こそうとした。体を離すと、沙織は
上のブラウスを脱いでスカートだけの恰好になる。
「正志くんも脱いで……」
言われて正志は服を脱いでいく。潤んだ瞳に操られるように、シャツを脱ぎ、ジーンズを
下ろす。
残ったトランクスも下ろし切り、正志は全裸で沙織の眼前に膝を着いた。
「これが、男の人の……」
呆然と呟く沙織。正志は苦笑する。
「本当はもう見られてるはずなんだけどね」
「憶えてないもん……」
沙織は拗ねたように唇を尖らせた。
正志は沙織に寄り添うと、彼女が身に付けている最後の一枚を剥いだ。
スカートがベッドの下に落ちる。これでもう、邪魔するものはない。
硬直しきった男性器に避妊具を被せると、正志は沙織に正対した。
「いいかな」
「……うん」
返事を聞くや、正志は沙織の体を優しく押し倒した。
上から沙織の体を見下ろす。
乳房の先端がつん、と立っている。真っ白な肌が熱で赤みを帯びている。細い腰のすぐ
下は愛液まみれで、陰毛に絡み付く光沢がいやらしい。
幼馴染みの淫らな姿は正志の情欲をかき立てた。ベッドにつく両手の平にじんわり汗が
滲み、焦りのような興奮が体中を覆っていく。
生唾を呑むと、正志は沙織に囁いた。
「じゃあ、行くよ」
こくん、と沙織は小さく頷く。
薄いゴムに包まれた男性器をすぐ下にある女性器へと向ける。二つの器官が触れる。
ぐちゅ……
亀頭が陰唇の間を押し開き、中へと入っていく。きついが、進めない程ではないと思った。
が、
「うっ……」
沙織が顔を歪めた。その表情はいかにも痛そうで、正志は慌てて進入を中断した。
「い、痛い?」
「……ちょっとだけ」
沙織は引きつった顔で答える。
処女を失っているとはいえまだ二回目なのだ。女陰は結構な濡れ具合を見せているが、
痛みはやはりあるのだろう。
正志はそこで一つ疑問を持った。
「あのさ、この前は痛くなかったの?」
「え?」
沙織はきょとんと正志を見返す。
「憶えてないのはわかるよ。けど、起きたときに体が痛かったりしなかったの?」
初体験の翌朝、下腹部の痛みはどうだったのかという話だ。酔っていても痛そうにして
いたし、尾を引いてもおかしくないはずだが。
「……」
沙織はえーと、と思い返し、
「痛かったけど、あそこ……だけじゃなくて、なんか全身が痛かった……かな」
無理な性行為をしたためだろうか。
「……変に思わなかったの?」
朝起きて自分の局部に痛みがあったら、普通は疑問視する。
「あのときは、二日酔いで頭の方が痛くて……」
「……二日酔い?」
思い出す。沙織はあのとき飲酒は初めてと言った。となると二日酔いも初体験なわけで。
「お腹の下が痛かったような憶えはある……かな?」
「頭痛の方がひどかったと」
「だ、だってお腹は生理のときにも痛いけど、頭は普段痛くないから」
なるほど、と正志は納得した。考えてみれば女性は毎月血を流しているわけで、腹痛など
茶飯事なのだろう。大変だ。
が、それとこれとは関係ない。挿入自体は液が潤滑油となって果たせるだろうが、無理に
入れると沙織を痛がらせてしまう。
しばらく躊躇していると沙織が微笑んだ。
「ありがとう、心配してくれて。でも……いいよ」
「……痛いんでしょ?」
「大丈夫……いくらでも甘えていいって言ったじゃない」
「……」
正志は小さく歯噛みした。気を遣わせてどうする。
「できるだけゆっくりするよ。痛いと思うけど……」
「平気。耐えられない程じゃないから」
言葉を受けて体を奥に進める。
開通しているはずの膣道はひどく狭かった。潤滑油のおかげで進めることは進めるが、
ゴム越しに擦れると中がひくひく動いて少し痛々しい。
だが、それ以上に気持ちがいい。
締め付けるというより閉じて進入を妨害するような感触だが、敏感な亀頭をぐいぐいと
刺激してたまらない気持ちになる。奥へ進めば進む程それは顕著だ。
「あ……ぐぅっ」
同時に沙織の顔が激しく歪む。
正志は一瞬怯んだ。しかし抜くこともできない。沙織が正志の肩を掴んで離さないからだ。
このまま押し進めるしかない。正志は一気に奥まで貫いた。
「あああぁぁぁっ!」
一際高い叫び声を上げて、沙織は大きくのけ反った。両手に力がこもり、正志の肩に
爪が深く喰い込んだ。痛みが走るが、沙織の痛みに比べたら大したことないはずだ、と
正志は我慢する。
目尻に浮く涙を指ですくってやると、沙織は荒い息を吐きながらぼんやりと見つめてきた。
「正志くん……」
「痛い?」
うん、と頷く幼馴染み。
「でも、嬉しい……」
「ぼくも」
「……ん」
沙織は目を閉じて、唇を軽く突き出してきた。
正志はそれに応える。口唇を交わらせると、体がより密着した。
温かく柔らかい感触に、正志は満たされる思いだった。
ほんの少し前までただ親しい人だったのに。今はこんなにも近しく、愛しい。
絡み合う舌を解き、ゆっくりと顔を離す。
「動いていい?」
「ん……」
沙織の小さな返事を確認して、正志は腰を動かし始めた。
腰を引いていくと、襞々が亀頭のエラに引っ掛かって刺激を送り込んできた。
今度は前に押し進める。引いた分を戻そうと、再び奥へ。
(うわ……)
前回はあまりに唐突すぎて何が何やらわからないうちに終わってしまったが、こうして
しっかりと感触を味わうと別の意味で何が何だかわからなくなってしまう。
異性の柔らかい秘肉が男根にみちっと絡み付く。ゴム越しでも充分気持ちいい。
「あ……う、あん、あっ……」
沙織の口から洩れる喘ぎが耳をとろかす。
非常に緩慢な往復を繰り返していくと、次第にスムーズに動かせるようになっていった。
染み出る愛液が往復を助ける。膣の締め付けが柔らかくなり、進入を阻害しなくなる。
(すご……こんなにいいんだ)
覚え立ての頃は病み付きになるとは聞くが、それが正に実感できる。相手が美人なら
尚更だ。
前後の動きを重ねていくうちに、沙織の吐息がどこか色を帯びてきた。苦痛が和らいで
きたような、腰の動きに合わせて洩れ出る淡い息。
「はあ……んっ、まさ……し、くん……」
「気持ちいいの? 沙織さん」
「わかん、ない……でも……いやじゃ、な……あんっ」
艶めかしい喘ぎ声。綺麗な唇から溢れるそれは、互いを陶酔させる魔力に満ちていて、
「ああ……わたし、へんかも……あんっ、あっ、あっ、ああっ!」
徐々に大きくなっていく嬌声に引っ張られるように、沙織の体はどんどん熱くなっていって、
正志は沙織の体を溺れそうな程に貪った。
腰はもう遠慮なく動いていた。沙織も痛がることなくそれを受け入れている。
ぱちゅ、ぱちゅん、と音が響く。淫水がシーツに滴り落ち、互いの汗が混じり合う。
正志は下っ腹に力を入れる。気を抜けばあっという間に達してしまいそうだ。女陰の
与える快感は気持ちよすぎて油断ならない。
形のいい胸が揺れている。
正志はその両胸をおもむろに鷲掴んだ。
「きゃあっ!」
驚いたような沙織の悲鳴。
正志は根本から絞るように揉み込んだ。沙織が上体をよじるが、もちろん逃れることなど
できない。
「やぁ、揉んじゃダメぇ……」
乳首をこね回したり、乳輪に舌を這わせたりしながら丁寧に揉んでいくと、沙織はやがて
抵抗をやめた。
正志の手で自在に形を変える乳房。ぐにぐにと揉みしだくと膣がきゅうっと締まった。
締め付けが腰の奥まで響くようで、正志は思わず声を洩らした。
「うっ……」
沙織は正志の反応に驚いて動かしていた腰を止めた。
「正志くん?」
「い、いや、大丈夫」
「でも」
「単に沙織さんがエロすぎるだけだから」
沙織は一瞬きょとんとなって、それから顔を真っ赤にした。
「な、何それ」
「いっぱい感じてるし、いっぱい締め付けてくるから」
「感じてるなんてそんな……あんっ」
腰をぶつけると沙織は甘く喘いだ。正志は沙織に覆い被さると、うなじにかぶりつきながら
両胸を激しく揉み込んだ。
「ひゃう……あっ、んっ、んんっ、あぁんっ」
正志は汗でしっとりと濡れた肌を舐め回す。ほんのりと上気して桃色に染まった柔肌は
どこもかしこも柔らかく、触れているだけで興奮を高めた。
(沙織さん、本当にエッチだな……)
正志の色のこもった視線に、沙織は顔を背けた。
「み、見ないで」
「そんなこと言われても……」
目を逸らすなどできるわけがない。
「ダメ……こんなの私……」
「何がダメなの?」
「……いやらしい女なんて思わないで」
「かわいいと思うよ」
沙織は呆けた顔で正志を見やる。正志は苦笑した。
「ひょっとして、嫌われるとか思ってる?」
「……違うの?」
「そんなわけないよ。むしろもっと好きになりそう」
淫らに乱れる様子は、正志の知っている天川沙織とは思えないくらいのギャップがあったが、
少しも幻滅しない、むしろ魅力的だとさえ感じる。
沙織は恥ずかしそうに沈黙したが、やがて正志をじっと見つめて訊いた。
「いいのかな……いやらしくても」
「ぼくの前だけならね」
正志が冗談めかして笑うと、沙織はむっとした顔で睨んだ。
「私、そんな軽い女じゃない」
そして正志の体をぎゅっと抱き締める。
「正志くんだけなんだから」
「……うん」
頷いて、またキスを送る。
正志は腰をひたすら振った。子宮にぶつけるようなイメージで自分の逸物を何度も
突き入れる。
沙織も合わせるように体を動かす。正志の体に擦り付けるように腰が跳ねる。
腰がぶつかる度に陰嚢ごと吸い出されるような快感が正志を襲った。電流が脳を駆け巡り、
下半身から背中に沿ってゾクゾクと震えが走る。
「ひあっ! ゃんっ、んっ、あっ、あぁんっ!」
沙織の嬌声がどんどん激しくなる。長い髪を振り乱して何度も喘いだ。
その綺麗な色声に正志はますます興奮して、さらに行為が激しさを増した。
「あっ、あんっ! はげし、やっ! はあ、んっ、ふあああっ!」
深い谷の底に落ちていきそうな、たまらない陶酔が理性を狂わせていく。
膣内で暴れる男性器がやがて限界を迎えた。
「沙織さん……もう、出るっ」
「んはぁっ! わた、わたしもっ、なんか、ああっ!」
腰の動きが小刻みになる。打ち込む分身が欲望の塊を放出しようとゴムの中で震える。
「くう──」
「あっ、あっ、いっ、あっ、やっ、ああああぁぁぁぁ────っっ!!」
これまでで一番の沙織の嬌声が上がると同時に、正志はゴムの中に溜まった白濁液を
勢いよく吐き出した。
先端から火を吹くように熱い精液が次々と噴出する。下腹部に抜ける快感はヒリヒリと
痛いくらいに痺れるものだった。
◇ ◇ ◇
すべてを吐き出し終えると、正志は荒い呼吸をしながら沙織の顔を見つめた。
沙織は虚ろな目でしばらく放心していたが、正志の視線に気付くと柔らかく微笑んだ。
「どう、だった?」
「気持ちよかった……」
「私も」
正志は沙織の中から性器を引き抜いて体を離した。
避妊具の中はドロドロだ。正志は逸物から外して口を縛る。それをゴミ箱に捨ててから
ティッシュを取り、汚れた部分を拭き取っていった。
沙織は疲れたように体を投げ出している。
「立てない……」
腰が抜けてしまったのだろう。正志はティッシュを捨てると、沙織の背中に腕を回して
抱き起こした。
「ありがとう」
「体はどう? 痛くない?」
「平気。ちょっと疲れたけど」
沙織はふふ、と微笑むと、正志の体に身を寄せた。
「あーあ、とうとう正志くんとしちゃった」
「四日前にしてるんだけどね」
「そんなの知らない。憶えてなーい」
明るい口調で返す沙織。
その顔は喜びに満ちていて、とても嬉しそうだった。その笑顔を見るだけで、正志も
幸せな気持ちになってくる。
「正志くん、やっぱり温かいよ」
不意に沙織が言った。
「え?」
「体。温かいよ。あなたが自分をどう思っていても、それは確か」
思い出す。観覧車内で呟いた一言を。
温かくなんか──
「沙織さんの温かさが移ったのかも」
正志はそう言って微笑んだ。
「……元気出た?」
「うん、ありがとう」
「どういたしまして」
沙織は笑顔で頷いた。
傷つけたことは確かだ。
でもそれを取り返せるなら、正志は全力で取り返したいと思う。
三原正志は、天川沙織が好きだから。
「お風呂、また借りていい? 体ベトベトで」
「あ、うん」
うまく立てない沙織の体を正志が支える。二人は部屋を出て一階へと下りた。
そのとき、
「ただいまー」
玄関から繋がるリビングのドアが開いて、正志の母親が現れた。
「……」
「──」
二人は裸でくっついたまま固まった。
言い訳など不可能だ。
母親はんー、と首を傾げると二人に向かって言った。
「保健体育の勉強?」
「イヤミかよ!」
正志が反射的に突っ込んだ。
「いや、最近の家庭教師は進んでるから」
「マジボケ? 嫌がらせ?」
母親はクスリと笑う。
「沙織ちゃん、とりあえずお風呂入ってきなさい。準備してあげるから」
「もう沸いてるよ」
「あらそう。ならごはん食べていきなさい。話はそのときに聞くから」
「は、はい」
「正志、沙織ちゃん連れていったらすぐにこっち手伝いなさいよ」
「わかってるよ」
母親が台所に消えるのを見届けて、正志はため息をついた。
「最悪なタイミングだ……」
「うん。でもおばさん、あんまり怒ってなかったね」
「怒るわけないよ。母さん、沙織さんのこと大好きだから」
沙織はくすぐったそうに笑う。
「じゃあ家族公認だね」
「それは早すぎると思う」
「そんなことはないと思うけど。……正志くん」
ん? と顔を上げると、沙織がじっと見つめてきていた。
何、と訊く前に沙織は体を離して、正志の前に相対した。
「これからもよろしくね」
嬉しげに宣言する恋人の笑顔は、何よりも魅力的だった。
以上で投下終了です。
後編の方が分量多いのは、エロだけで半分近くあるためです。
それではまた次の機会に。
一番槍GJ!!
631 :
名無しさん@ピンキー:2008/08/20(水) 19:24:13 ID:gkH3tJsc
>>629 GJ!
くそ、この文才はうらやましいぜ
GJ!スピンオフとは珍しい
幼馴染はやっぱりいいなぁ……
保守
636 :
名無しさん@ピンキー:2008/08/23(土) 00:39:46 ID:Lt4ARCE0
幼馴染は最高だね。
ないものねだり
両親が煩くいうので顔を出しただけよ。と春原乃理歌は缶コーヒーに口をつける。
ガードレールの曲がった白に腰を預けて、夏の夜でも熱い缶を手放さない。
乃理歌は相も変わらず砂糖たっぷりの熱い缶コーヒーを愛しているらしい。
ちいさくふくらんだ唇に缶の縁を挟み、喉を鳴らす。
「へえ」
私はなんということもない返答をした。
乃理歌は視線をちらりと揺らし、私を見上げた。
「いつものことで申し訳ないわ。デリカシーがなかったのね」
「謝ることじゃあないよ」
こちらの口調に乃理歌が笑った。
真っ直ぐな髪が肩を撫でて揺れる。
両親が早逝し、祖父の面倒を見ているのは確かだがこれくらいのことは本当になんでもないのだ。
とはいえ面白くもなんともなかった。
アパート裏の狭い通りは街灯も老齢なのか。
薄暗い明かりの下でも月明かりは鮮烈だった。
乃理歌は両親が健在だ。
大学進学を機に関東に出た彼女はほとんど帰省をせず、
地元で働く私と顔をあわせることも少なかった。
あれから十年以上の時が経つ。
仲が良かった方か、といえばそんなこともなかった。
一般的な幼馴染みというのは、果たして中学高校と歳を重ねても仲が良いものなのだろうか?
異性同士でしかも女性が年上であった私たちのような場合はどうなのだろうか。
少なくとも私と乃理歌はいつまでも親密というわけにはいかなかった。
というか中学の頃、猥褻な書籍を発見されて以来絶縁宣言をされたのである。
高校になっても「おはよう」「さよなら」「私東京の大学に行くから、それじゃ」以外の会話を交わしていない。
気難しやの高嶺の花な先輩は十数年かけてようやく、
家の裏手でお茶をすることを承諾してくれるくらいに軟化した。
「和義もお酒ばかり飲んでは駄目よ」
「このうえ禁酒ではやっていられないんでね。それは無理な命令だよ乃理歌さん」
「あら」
大人ぶっちゃって、と眼が細められる。
「身体は大事にしなさいよ。資本でしょう」
「そっちこそ、さっきから姉さんぶってら」
鼻を鳴らす。
街灯に当たっては火花を散らして羽虫がバチリバチリと止め処なく死んでいた。
アパートの三階では親戚同士の宴会なのか賑やかな笑い声が網戸越しにも響いていた。
少年の頃、遠目に眺めた面影を宿したままで乃理歌は静かに傍にいた。
なんとはなしに居心地が悪かった。
「もう。気遣ってくれる女性くらいいるでしょ?悲しませてはいけないわよ」
黙って隣でポカリの空き缶を転がしては去っていった彼女達をほんのひと時回想する。
結婚相手に将来手のかかりそうな老人つきは向かない。
愛だの恋だのパートナーだのと言っていても結局それが現実だ。
深い溜息が漏れる。
汗ばんだ手のひらは、あっという間に冷えたアルミも温くした。
「……今はいないよ。いたら紹介してほしいよ」
「そうなの。意外ね」
「うん。誰かいないかな」
「紹介なんてできないわ。そんな奇特な女性は私くらいのものでしょ?」
肘に軽く触れた手は、缶コーヒーで温められてじわりと熱かった。
すべるようにして手首を握る指先がやわらかい。
薄ら明かりの街灯と響く笑い声。
コオロギのなくお盆の満月が、彼女を伴わずに何度私を通り過ぎていっただろう。
「乃理歌さん、さ」
「なあに?」
「結 婚 焦 っ て る ん だ ね ・ ・ ・」
――クールなようで無感動なようで口数少ない一見高嶺の花の春原先輩。
そんなの全て嘘っぱちだ。
私、いや俺だけがずっと知っていた秘密なのだから。
案の定斜に構えた表情をがらりと捨てて彼女は私を睨み上げた。
懐かしい表情だった。
「うっるさいわね!」
これでこそ乃理歌さんだなあと私はようやくにして楽しくなり心から笑った。
-----
というわけで保守
一番槍gj!
…槍だっけ?
>>243氏キテタ━━━( ゚∀゚ )━( ゚∀)━( ゚)━( )━(゚ )━(∀゚ )━( ゚∀゚ )━━━!!!!
砂糖たっぷりの熱い缶コーヒーのように甘いオチでないところがGJ!
>>639 オチ吹いたwwwwwwwwww
GJ!
大人の幼馴染ネタいいなぁ。
老人つきは結婚相手にならないとか三十路で結婚焦ってるとか、リアルなのがいいw
続編あれば希望ww
>>629 GJ。
イザとなった時の、沙織さんの恥じらいぶりが自分にはツボでした。
272 名前:名無しさん@ピンキー 投稿日:2008/07/26(土) 23:44:26 ID:pJJiDZi4
幼馴染の男女がいて、女の子は煮え切らない男の子に焦れてある計画を立てる。
知り合いの男性に協力して貰ってデートをしてる振りをする、その姿を幼馴染に見せ付ける。
そして勝手知ったるお互いの家、男の子の部屋に押し掛けてさり気なく挑発、
告白されるかな、もしかして押し倒されたりするかな、そしたらOKしようと思っていたら、
喋る間も無く腕を縛られ猿轡を噛まされて…
ってなのが読みたい私は幼馴染スレ住人。
・・・・・・
その後誤解が解けて結ばれるなら・・・まだ・・・
なんという尻にしかれフラグ。
この後一生女の子に頭が上がらないんですね、わかります。
でもHの時はMなんですね、わかります。
>>639 久しぶりのNVcIiajIyg氏の光臨で、今夜はイイ幼馴染的な夢を見れそうです。
( ´∀`)
どこか懐かしい感じのする猫の鳴き声に誘われて、外に出た。
家の前の通りには誰もいなかった。逃げて行く尻尾の先でもないかと見回したが街灯が等距離に光を溜めているだけで猫の影すら見えなかった。
静かだった。
すっかり目が覚めてしまったが家の中に戻る気にもなれず、ぼんやりとしたままお尻をつかないくらいまで腰を落とした。
自然視線は上を向き、ドームのような夜空に星がたくさん輝いているのが目に入った。
「きれいだ」
そう思った。
思ってから打ち消すように陳腐であるなと思い、風が吹いて鼻がぐずついて苦笑する代わりにくしゅんと鳴いた。
「寒いな」
隣りにのっそりと大きな人影が生まれた。
「おや」
「やあ」
全身が星明りで半端に翳っていた。
表情がわからない。
しかしいつものように声は陽気だった。
だから笑っているのだろう、いつものように。
「猫がうるさくてさ」
彼の影はそんなことを言いながら、何か肩から羽織っているものをかけなおした。
「わたしも」
呟き声になってしまった。
かすれていたかもしれない。
「けど、いないな」
「いないね」
「どこの猫だろう」
「さあ」
手のひらが汗ばむ。
どうもいけない。
お互いの影が重なるような、この距離がいけない。
「最近どう?」
彼が訊く。
「特に変わりなし」
「こっちもだな。日々淡々として変わることなしだ」
「そうですか」
「そうだ」
「彼女さんとはどうなったの」
「ああ……」
しばらく影がもぞもぞとうごめき、
「別れたよ」
「そう」
「驚けよ」
いや。
驚いてるよ。
「どうして」
「俺は驚いたんだ。あれだけ仲の良い二人だったのに、なんでって」
「まあ他にもきっと良い人はいるよ」
「慰めは要らない。もう心の整理は付いたんだ」
「慰めてるんじゃなくて、事実」
影に向けてとっておきの声でささやく。
「だって、あなたはとても良い男だから」
しばしの沈黙。
顔が熱い。
動悸がうるさい。
暗くてよかった。
「……こっぱずかしい台詞をありがとう」
「少しは喜びなさい」
また沈黙。
彼の影の角度が変わる。
「ありがとう。嬉しいよ」
「どういたしまして」
彼は立ち上がると腰の辺りを手で払った。
「寝るか」
「寒くなってきたしね」
私も立ち上がる。
彼は私より頭ふたつ分くらい背が高い。
「おやすみ」
「おやすみ」
私が家に入ろうとするその背中に、彼が声をかけてくる。
「本当は話したかったんだ。嘘ついた」
振り返ると、彼の姿がぼんやりと夜の中に浮かび上がった。
そこで私はようやく思い出した。
小学校低学年の夏の夜。
歌うような猫の声に誘われて、そっと玄関のドアを開けると、まだ私と背丈の変わらなかった彼が、今と同じように立っていた。
彼は多分笑いながら、どこか懐かしい声音で、歌うように鳴いた。
GJ
静かさがイイわあ
思わずじっくり読んでしまったじゃないか。
何だこのほのぼのする会話。
Λ Λ . . . .: : : ::: : :: ::::::::: :::::::::::::::::::::::::::::
/:彡ミ゛ヽ;)ー、 . . .: : : :::::: :::::::::::::::::::::::::::::::::
/ ::/:: ヽ、ヽ、 ::i . .:: :.: :: ::: :: :::::::::::::::::::::::::::::::::
/ :::/;;: ヽ ヽ ::l . :. :. .:: : :: :: :: ::::::::::::::::::::::::::
 ̄ ̄ ̄(_,ノ  ̄ ̄ ̄ヽ、_ノ ̄
創作意欲の糧にしようと読んでたら面白すぎて
まだ物足りねぇ…
>>655 その字面だけ見て某夜闇の魔法使いを連想したのは俺だけだ(自己完結
しかし面白いなw
>>655 いいねえ、こんな関係……
そういえばソウ君元気かなあ
>>660 懐かしくなってまとめ全部読み直してきた
やっぱいいな、この二人
「おーい。帰りにお茶しよー」
「げッ!学校で話しかけないでっていつも言ってるでしょ!」
「だって携帯も出てくれないし・・・」
「私これから夕飯の買出しだから。他の女の子でも誘いなさいよ。」
「えー。せっかくレアチーズケーキのうまい店見つけたのになー。
あーぁダメかー。そんなに混んでなくて店も綺麗で紅茶もうまい店なのになー。
そっかー。行けないのかー。」
「(レアチーズケーキ・・・)
・・・あんたの奢りなら寄っていってもいい。」
「マジでッ!?もちろんおごるおごる!早く行こうぜ!」
「ちゃんと買い物にも付き合ってよね。
どうせ今日もうちでご飯食べて行くんでしょ?
もうッ手握らないでよ!暑苦しい!!」
書いてみたはいいが少女漫画みたいになった・・・ギギギ
>>663 良いですねぇ。さあ、早く続きを書く作業に戻って下さいwww
>>664 これ初めてみたよ! 凄いなぁ……幼馴染ってやっぱり良いなぁ。
ソウ君読んできたよ3日もかかったが
凄いねありゃ究極だね
今頃二人は大学生かね?元気だといいな
>>664 いいものをありがとう
自分の中に溜まってしまったモノを吐き出させてください。
エロでもないし初心者なのでスレ汚し失礼いたします。
669 :
幸せな日曜日:2008/09/04(木) 00:00:53 ID:UG143bWG
やっとじめじめした暑さも落ちつき、心地いい風が家の中を通る。
少し早めにお昼ご飯の支度を終え、庭の手入れをしている祖母を呼ぼうかと思ったその時に
玄関の戸がガラガラと開く音が聞こえる。
「たっだいまー!」
「あんた人の家に来たときにはお邪魔しますでしょ。」
家にはいってくるなり、さっそくツッコミをいれなきゃいけないこの男は私の幼馴染みだ。
親同士が仲がよく、幼い頃からの付き合いだが
数年前私と弟がこの古いが大きくて落ち着いた祖母の家に越してきてからも毎週のように遊びに来ている。
「いらっしゃい。チヒロちゃん。」
庭から戻ってきた祖母がタオルで顔を拭きながら声を掛ける。
「はい。これ前ばーちゃんが食べたいって言ってた店の豆大福!」
「あらー、嬉しい。覚えててくれたの?」
毎回持参するお菓子を祖母に手渡し
満足げに笑う幼馴染みを横目に見ながらお茶を入れる。
チラリと時計を見ると、弟のサッカーの迎えは今から出れば丁度いい時間だ。
「環ちゃんもう行く?」
「うん。そろそろ出る。
おばあちゃんお昼台所にあるから先に食べててね。」
「ありがとうね。気をつけていってらっしゃい。」
優しい笑顔で送り出してくれる祖母の分のお茶を出し、カバンを手に玄関に向かう。
すると自分の分のお茶を入れようとしていたらしい彼が慌てた様子で立ち上がる。
「ちょっと待てよ!もう出んの?」
「今日は早めに終わるのよ。」
「だったら俺も一緒に行くー。」
そんなことを言いながら靴を履く彼のつむじを眺める。
相変わらず柔らかそうな髪ね。なんて考えていると、いつものように「ん。」と目の前に右手が差し出される。
寂しがりやな彼は手を繋ぐのがとても好きなのだ。
私はしょうがないわね。と笑いながらもその温かくて自分よりもすこしだけ大きな手をとる。
「「いってきまーす!」」
いまだ強い日差しに目が眩んだけれど手を引かれて歩き出す。
あぁ今日も騒がしい日曜日になりそうだわ。と一番騒がしい人物の感触を左手に感じながらも、
笑っている顔を見られるのが恥ずかしくて、
「チヒロ、歩くの遅い。」と彼の前を歩いてしまう私なのであった。
おわりです。
少女漫画全開みたいになってしまいました・・・ギギギ
>>670 これはいい幼馴染。
もちろん騒がしい一日も書いて(ry
いい雰囲気だなあ。
gjです。
素敵ですねぇ! GJです!!
久々に投下させていただきます
このスレでは自身初のエッチ描写に挑戦しようと思ったら、
何だか驚異的な長さになったので、とりあえず前編(?)だけ
お気に召さない場合はスルーして下さい。では開始
「輝、宿題写させてくれ」
始業式前夜、宿題も終わって後は寝るだけだった俺に、小学校からの幼なじみはそう言った。
俺は机の上に置いた眼鏡をかけなおし、窓からの侵入者に一言諭した。
「……晶、お前もそろそろ学習しろ。始業式の前日にやっても宿題は終わらん」
正直言うと、晶の来襲は予想の範囲内だ。
何せこいつは、毎回長期休暇の度に宿題を写させろと言ってくるのだ。
だからこそ今日は用事を済ませてさっさと寝ようとしていたのに。
「大丈夫、あとワークが二冊だけだ。いつもより負担は少ない」
何事もないように言う晶。確かに通常よりは頑張ったようだ。
晶は別に頭が悪いわけではない。普通に取り掛かっていれば、夏の宿題など二週間で終わらせるだろう。
ただ、こいつにとっては宿題よりも先にやることが山ほどある、らしい。
つまり課題達成の優先順位はかなり低いというだけだ。……悪く言えば、後先を考えない。
よってこいつが宿題を始めるのは、たいてい始業式の三日前になる。
宿題の分量はそこそこあるため、こいつは徹夜で課題をこなすことが多い。
それでも間に合わない最後の一日は、俺が駆り出されるわけだが……。
「だが、俺の貴重な睡眠時間が奪われるのは間違いない」
「どうせ明日は始業式があるだけだし、ちょっとくらい眠くても問題ないだろ?」
宿題を写す作業は俺と晶で分担することになっている。
何で俺がそんなことをしないとならないのか、とたまに思うこともある。
「明日は委員会がある。会議中に居眠りした日には、俺はともかく木崎に迷惑がかかる」
「大丈夫、優奈ならうまくフォローしてくれるさ」
ちなみに委員会に必要な資料は既にまとめてある。
手伝わされるのはわかっていたから、これ以上余計な仕事を残しておきたくなかっただけだ。
「そういう問題じゃない。……だいたいだな」
一呼吸おいて、言っておこうと思っていた言葉を吐き出す準備をする。
そう、手伝うだけならまだいい。
晶には世話になっている部分もあるし……いや、あるのだろうか?
俺は常にこいつのフォロー役に回っている気がするが……まぁそれはいい。
問題はこいつが昨日まで徹夜をしていて、
「お前、途中で寝るじゃないか」
そのために、宿題の残りは俺がやらないといけないという、実にバカらしいオチがあるからだ。
晶がやっている分にはまだ手伝おうという気も起きる。
しかし、原因かつ依頼者のこいつが寝てしまうというのは、協力者としてはかなり気分が悪い。
一瞬、晶は身体を強ばらせ、それから恐る恐る俺を見て、
「だ、大丈夫。今回は起きてるし、寝たら起こしてくれたらいい」
びくびくしながら言ってくる。
俺はその提案を、
「寝たら朝まで絶対起きないヤツが言うな」
いつものように一蹴する。
晶は寝つきがいい上に、一度眠ると朝までに目を覚ますことは滅多にない。
それこそ頬をつねろうが、ベッドから転げ落ちようが、お構い無くだ。
ゆえに晶は始業式ではいつものように元気に振る舞える。もちろん宿題は終わっていて。
一方、俺は睡眠不足でその日はミスを頻発し、スタートからつまづくというわけだ。
晶は「ぅう……」とか情けない声をあげながら、それでも上目遣いに俺を見てくる。
俺がじっと見ていると、晶は顔を伏せた。そのままうーうー唸っていたが、やがて再び顔をあげた。
「じゃ、じゃあさ、起きない間は宿題しなくてもいいから!
それで、何やってもいいから絶対に起こしてくれ!」
それは必死の提案だった。一人では寝てしまうのが本人にもわかっているからだろう。
「……起きるまでやらんぞ」
「その代わり、絶対起こしてくれよ」
「何やってもいいんだな?」
窓から叩き落とすとかやるぞ。
「男に二言はない」
「お前は女だけどな」
そうそう、言うまでもないが晶は立派女の子である。
「……お、女にも、二言はない」
……どうやら本気らしい。今回はいつもとやる気が違うらしい。
さすがにそこまで言われたら、手伝わないわけにはいかないか、と思う。
「わかった。とっとと始めるぞ」それだけ言うと、晶の顔がパッと明るくなった。
その顔を見るだけで、何だか自分も楽しくなれるから不思議なものだ。
676 :
名無しさん@ピンキー:2008/09/05(金) 23:08:51 ID:5uABJ0qS
楽しい時間は長くは続かない。
「だから嫌なんだよな……」
今、俺は先ほどの自分の浅慮を少し嘆いていた。
目の前にはさっそく睡魔に敗れた幼なじみがテーブルに突っ伏している。
机の上で組んだ腕に顔をのせて、半開きの口からはヨダレが垂れそうだ。
開始してから30分でうとうとし始め、それから寝付くのに5分とかかっていない。
これでも普段よりは頑張ったほうだというのだから、こいつの睡魔に対する弱さも相当なものだ。
「晶、寝るな。ちゃんと起きろ」
頬を軽くはたきながら声をかける。もちろんそんなことで目を覚ますはずもなく、
「……むにゃ……ひかるのばかぁ……」
などという寝言を洩らすだけである。人をバカ呼ばわりするな。
「……まったく、仕方のないやつだ」
晶の相変わらずの姿に呆れつつも、俺の顔には笑みが浮かんでいた。
こいつの幸せそうな寝顔を見ると、それだけで頑張ろうと思えてしまう。
何だかんだでこいつの宿題を肩代わりしてやるのも、そういった心情があるからだ。
正直に言おう。実に馬鹿馬鹿しい話だが、俺はこいつを憎からず思っている。
幼なじみに恋をするなんて、マンガか何かでもあるまいし、と自嘲することもある。
それでもまぁ仕方がない。好きなものは好きなのだ。
……甘やかすのは愛じゃないな、とたまに思ったりもするが。
俺は晶の身体を抱え、自分のベッドに寝かせてやる。
こいつが始業式の朝をすっきり迎えることができるのは、こうやってちゃんと布団で寝ているからだ。
もちろん俺は机に身体を預ける格好になるため、翌日は身体が少し痛むわけだが。
「……よく眠れよ」
晶の寝顔に何だか癒される自分に苦笑しつつ、毛布をかけようとして、
《何やってもいいから……》
先ほどの晶の台詞が頭の中で響いた気がした。
思わず手が止まる。スゥスゥと寝息をたてる晶の姿を、何故かじっくり見てしまう。
晶は基本的に無防備なタイプだ。
そもそもが奔放な性格であり、それが仲のいい奴に対してはより顕著になる。
その性質は、幼なじみの俺に対して最大限に発揮される。
こいつは俺が男であることを完全に度外視しているのだ。
でなければ、ランニングシャツにショートパンツなどという、
あまりにも肌が見える服装で男の部屋に来たりはしない。
スラリとした白く長い脚は少しだけ開かれている。
シャツの裾の下からはヘソが顔を覗かせている。
胸はそこまでないが、そのささやかな膨らみがシャツごしに存在を主張している。
そして、長い睫毛と通った鼻筋を持つ顔に、
何とも可愛らしい唇が少しだけ開いた隙間から吐息を洩らしていた。
(ば、バカ、落ち着け俺)
晶が泊まる事態など、今まで一度や二度じゃなかった。その度に俺は晶をベッドに寝かせている。
たかだか無防備な寝姿を見たところで、何を興奮して……。
《何やってもいい》
……違う、この台詞は「何やってもいいから起こせ」だ。
そんな、寝ているのをいいことに好き放題していいなんてことは……。
「んぅ……ひかるぅ……」
寝言と共に、晶が少し身動ぎする。
ランニングシャツの裾はさっきよりも上になり、ともすれば胸が見えてしまいそうだ。
激しく動揺している俺に、更に追い討ちがきた。
《何してもいいよ、輝》
とうとう台詞の改竄までもが為され、晶の声が頭の中に再生されてしまったのだ。
……正直に言おう。俺はこの瞬間、後のことを考えてなかった。
俺の頭を占めていたのは、好きな女の身体に触りたいという、何とも情けない考えだけだった。
「晶……」
恐る恐る右手を晶の頬に触れさせる。
今度は叩くつもりはなく、こいつへのいとおしさを込めて撫でてみる。
「……このままだと襲っちまうぞ。」
我ながら何を言っているか意味不明だが、これは本心からの台詞だった。
好きな女が無防備な姿を晒している。どうして我慢できるというだろうか、いや、できない。
俺はどうやら他の男と同レベルらしい。
自制するのが自分の長所と思っていたが、これでそれもなくなった。
そんなことを考えながら、しばらく頬を撫でていた。やはり晶が起きる気配は一向にない。
……一度、深呼吸をして心を落ち着かせる。これからはなるべく起こさないようにしなければ。
ランニングシャツに手をかけ、ゆっくりと裾を持ち上げていく。
少しずつ、少しずつ……晶の上半身が、ゆっくりと晒されていく。
シャツの裾を胸の上まで捲りあげた時、俺は改めて晶という人間の無神経さに思い至った。
視界に入ったものに対する驚きから、思わず「それ」から目を背けてしまう。
(し、下着くらいちゃんとつけやがれ……!)
白い電灯の下に、晶の小ぶりで形のいい乳房が惜し気もなく披露されている。
ノーブラだったらしい。いくら何でも、羞恥心がないのか、こいつは。
……だがしかし、俺はその事態にむしろ興奮してしまっていた。
乳房が重力に負けて少し潰れている。その胸の先端、綺麗なピンクをした乳輪と、
その頂点でささやかな自己主張をする乳首に、俺の目は釘付けだった。
「起きるなよ……」
乳房に手を当て、少し力を込める。
小ぶりな胸は、しかし弾力性があって、胸を揉む手を押し戻そうとしてくる。
その感触が楽しくて、段々と揉む力を強くしていく。
揉む度に形を変える晶の乳房。
時折乳輪をなぞってみたり、乳首を軽くつねってやると、そのうち乳首も立ってきたようだった。
晶は相変わらず眠っていたが、その寝息にも、
「……ふ、ぅん……」
とか、
「……んぅ、は、ぁ……」
などという、色っぽいものが混ざってきて、俺の興奮はますます高まっていった。
ひとしきり晶の胸を堪能したあと、今度はショートパンツに手をかける。
ボタンを外して、ジッパーをそろそろと下ろしてやると、白いパンツが見えてきた。
飾り気がなく、ちょっと子供っぽいデザインは、何というか、実に晶らしい。
むしろこいつがセクシーな下着を穿いていた日には、天変地異か何かの可能\性を考えるだろう。
この辺になると俺の中にある罪悪感はかなり薄れており、
晶の身体を思うように弄ることに夢中になっていた。
右手の人差し指で、パンツの上から秘所をなぞる。
(寝てても濡れるのか……)
そんなことを思う。可愛らしいデザインの下着は、確かに少しだけ湿り気を帯びていた。
そのまま指でそこを擦ってみると、だんだん湿っぽさが増していくのがよくわかる。
晶の頬は上気し、寝息も浅くなっていった。やっぱり変な夢とか見てるんだろうか。
それにしても、これだけされて起きないというのもすごいな。最も、目覚められても困るのだが。
そんなことを思いつつ、ショートパンツと下着を膝の辺りまでずらす。いよいよ晶の大事な部分とご対面だ。
「……こ、これが……」
晶と一緒に風呂に入ったことは何回でもある。双方泥だらけになるまで遊んだからだ。
もちろん幼い頃の話で、第二次性徴も迎えていない俺と晶の違いなど、
それこそついてるかどうかくらいしか考えなかったが……。
それが今はどうか。
かつては無毛だったその部分に、今は綺麗に揃えられた黒い茂みができていた。
茂みと言っても、何となくだが毛が全体的に薄い気もしたが。これくらいが普通なのか?
その黒い陰毛の下、小さい頃はただの一本筋だった晶の秘所は、今はうっすらとその口を開いていた。
この部分を「唇」に喩えるのもわかるような気がする。
確かに浅く入り口を開く姿は、男を誘う妖艶な女の唇を思わせる。
普段の晶の姿と、晶の女の部分とのギャップに生唾を飲み込みつつ、俺は再び指を添える。
十\分な湿り気を帯びたそこは、つまりは今なら受け入れ可能\ということだろうか。
俺の興奮は最高潮に達していた。もっと晶に触りたい。もっと晶を弄りたい。
しばらく直接秘所をなぞってから、おもむろに指を膣口に差し込んでいく。
変化は、劇的だった。
「……っ!は、ぁっ……!」
晶の吐息が一瞬途切れる。先ほどよりも大きな声を洩らしていた。
中で指を折ったり出し入れしながら晶の顔を、反応を確かめていた。
「ぁ、ふぁ、んぁ、は……!」
よく知る幼なじみの洩らす声は、しかし全く聞いたことがない種類ものだった。
甘ったるいあえぎ声を上げる晶の姿に、ますます精神が昂ぶる自分がいる。
しばらく指を動かしていると、秘所から覗く小さな突起に気がついた。
それが何かは知っていた。女の子の敏感な部分。
空いていたほうの手を使って、その部分を軽く弾いた。
「……ふ、ぁ、はっ!〜〜〜〜っ!!」
その瞬間、晶の身体が弓なりに反り、腰が少しだけ浮いた。
膣に入れていた指が、強い力で締め付けられる。
やがて再びベッドに身を沈めた晶の身体は少し痙攣しているようにも見えた。
頬は完全に赤く染まり、浅い呼吸が繰り返される。その表\情が、実に色っぽい。
引き抜いた指は、ぬるぬるとした液体に塗れていた。
「イッた、のか……」
初めて見る現象に、俺はしばらく呆然としていた。
時間が経ち、興奮も治まってくれば、自分のやったことの重大さにも意識は回ってくる。
「ぅ、あ……」
俺は何をやったのか。大事な幼なじみに、何とひどいことをしてしまったのか。
俺はパニックに陥りつつあった。
その上、身体は正直に反応しており、今すぐにでも処理せねば大変なことになりそうだった。
(と、とりあえず片付けを……)
ティッシュを持ってきて、晶の濡れた股間を拭おうとする。
「……いい、自分でやる」
「そ、そうか。すまんな」
箱からティッシュを2、3枚取って、そのまま拭き始める。
「全く、人が寝てるからって好き勝手するなんて」
「あ、いや、本当にすまん」
返す言葉もない。本当に俺は……?
顔を上げる。
視線の先に、目を細めてにらんでくる幼なじみの姿が。
その頬は未だに赤く、服はまだはだけていて……って!
「ぅ、ぅあああぁぁぁっ!?」
俺は思わず、近所の迷惑を考えない大声を上げていた。
今回はここまで
タイトル忘れた上にsage忘れました……orz
>>676も私です
自分基準でバイト数が5ケタいくのは長いのです。内容はないけど
後編は2、3日中には必ずや。輝くんの運命や如何に
さて逃げるか
まて、
GJです。
投下し終えたのにすみません
>>675-678の投下で、たまに[\]が挟まっていますが、誤字です
ケータイから長文仕様で投下すると、どうもたまに挟まるみたいで……
差し出がましいですが、まとめサイトに載ったりする場合は、省いていただけると助かります
それではまた後日。今度こそ逃げるか
コラ、逃げるな!GJ!!
これは後編にwktkせざるをえない
>>681 Janeから見る限り[\]なんてないけど?
あと逃げるなら荷物を軽くするために後編は置いていくべきかと思います。
GJ!!!!!!!!!!!!!!!
>>681 待て!
後編落とさずして逃げる事まかりならん!
逃げたら俺が捕まえに行く
久しぶりの捕獲部隊編成か
腕が鳴るぜ
野生のスイクンがあらわれたくらいの興奮度だ。
691 :
名無しさん@ピンキー:2008/09/07(日) 00:50:33 ID:obxozABg
くそう、やっぱり幼馴染は良いなぁ!!
おい、誰かありったけのマスターボール持ってこい
>>692投げた人が所有者になるから、血みどろの争いになりそうなんだが…
TO
>>681 いけっマスターボールっ!
…こういう距離が近い幼馴染みを男が意識するってのは大好物だ。GJ!
幼馴染にマスターボールを投げるとな!?
「お前をずっとつかまえといてやる」っていう超変則的なプロポーズですねわかります
おさななじみをやせいにかえしますか?→はい
ばいばい、おさななじみ!
>>696 「逃がすなんてひどい…私もうアナタがいないと生きて行けないの。だから…」
少し考えてみただけだ。忘れろ
おさななじみがなかまにしてほしそにこちらをみている
なかまにしますか?
はい
→いいえ
じたく にかえった。
おとうさん「なかまにしてあげなさい」
おとこ はこうえんにもどった。
おさななじみはこっちをみている。
にげられない!!
なかまにしますか?
はい
→YES
はいかYESwwwwwwwww
平行世界では世界の守護者が幼馴染になっている世界もあるはずだと力説するのかっ!?
【馬鹿はわからない人にはさっぱりわからない話をしようとしている】
>>699 いやおとうさん、そこは
「おまえはただしい
なかまではなくかぞくにしてあげなさい」だろJK
そのよる…
ねぐるしさにめをさますと……
おさななじみがうえにのしかかっている!!
「あたしたち…もうただのおさななじみじゃないんだよ…」
………おさななじみをだきますか?
はい。しょじょげっとだぜ!!
いいえ。○○さんにみさおをたてるぞ。
→……(とりあえずだいてからかんがえよう)。
つづかない。
おさななじみはやんでれにしんかした!
学校では遠い存在なのに毎日自室に遊びに来て甘えてくる幼馴染、
という電波に従い書いてみたのだが……
>>681氏の投下を待った方がいいかな?
まあ、後日がいつになるのかはわからんので、
投下できるときに投下しておくが吉かと思われるぞ。
709 :
707:2008/09/08(月) 23:06:56 ID:jlLv4O6f
お言葉に甘えて投下させてもらおうかな
>>681氏、完成してたらごめんなさい
エロは無いんで、それもごめんなさい
では、行ってみます
夕方といえども残暑は未だ厳しい。自室に行き、エアコンをつけて部屋を出る。
洗面所に向かい冷水で顔を洗う。止まると汗が噴出してくるから、極力動き続けるのだ。
三科悟(みしなさとる)は冷蔵庫から牛乳を取り出し、直接口をつけて一気に飲みほした。
「ふぅーっ! 生き返るな」
キンキンに冷えた牛乳が身体に染み渡っていく。
パックを簡単に水洗いしてから流しに置き、再び自室へ。そろそろ部屋の温度が下がり始めた頃だろう。
ベッドに座って汗が染み付いたYシャツを脱ぎ、タオルで身体を拭う。
(今日はシャワーを浴びれそうだな)
そう思った瞬間、玄関が開く音がした。
「間に合わなかったか……」
悟は苦笑した。この来訪者は、シャワーを浴びることを許してくれない。
というか、部屋を出ることを許してくれない。
静かに悟の部屋のドアが開いた。侵入してくるのは、制服姿の少女。
無言のまま上がりこんで来たが、当然ながらこの家の住人ではない。
星川愛莉(ほしかわえり)。
悟の幼馴染兼恋人である。
少女の顔に浮かんでいるのは満面の笑み。
相当いいことがあったに違いない、とは思わない。
「ただいま」
「ここはお前の家じゃない」
いつもの挨拶に定型句で返す。いつものようにサッと変わる表情。膨らむ愛莉の唇。
「あつーーい」
「このクソ暑いのにブレザーまで着てりゃ、当然だな」
「っ! いちいちうるさいっ! ばか悟!」
キッと睨みつけながら、ブレザーを脱ぐ愛莉。
こいつがこんなに表情を変えるのも、「ばか」という言葉を発するのも、"ここ"でだけ。
愛莉はここ以外ではまさに別人なのだ。
県内でも有数の進学校である我が校にあって、定期テストの成績は学年トップ3を逃したことが無い。
2年生の現在、生徒会副会長であり近々行なわれる選挙により会長に就任することが確実視されている。
基本的にはきちんとしているが抜くときは抜く、所謂話が分かるタイプのため、突っ張った連中からも好意的に見られている。
そして、きわめつけはその容姿だ。
身長は160センチ半ばだが、手足がすらっと長く170近くあるように見える。
胸元まで届こうかという長い黒髪は艶やかだ。
たまご形の顔は、切れ長で大きな瞳をはじめ各パーツが絶妙のバランスで彩っている。
男女問わず愛莉は抜群の人気を誇る。
常に冷静沈着だが、時折見せる笑顔とのギャップが人気の秘訣らしい。
ちなみに愛莉は運動神経も抜群だ。しかし愛莉は部活には入らない。
何故入らないのか、という問いに対する彼女の答えを聞いたときには、愛しさのあまり襲ってしまったっけ……。
魅力に溢れたこの幼馴染は、こうして毎日のように部屋にやってくる。
そうなったのは、高校に入ってから。
小学校中学年からそこまでの期間は、幼馴染とはいえ少し距離が開いていた。
なぜその距離が今のように詰まったのかはわからない。
悟はずっと愛莉に惚れていた。
だからそうなったのは愛莉の方も好きになってくれたからなのだろうけど、その理由は知らない。
訊いても"ここ"での愛莉はわがまま過ぎて、相手をしてくれないのだ。
「待ってろ。タオル持って来てやるから」
言って部屋を出て行こうとしたが、滑らかな動きで進路をふさがれた。
「いい。タオルあるじゃない」
「それは俺が使ったやつだ」
年頃の女の子が男の使用済み汗拭きタオルなど使いたがるわけがないのだが。
「それでいいの!」
強い口調で言う。でも、声には微かに甘えの色が混じっている。
「こっち……見ないでよ?」
紅くなった頬。暑さのせいだけとは思えない。
悟に背を向け、胸元から手を入れて身体を拭う愛莉。
シャツから透けて見える、白い肌。下着。
もう何度か"その奥"も見ているというのに、悟の心臓が大暴れをはじめる。
吹き飛びそうな理性を抑えるために、悟は机に手を伸ばす。
昨夜から読み始めた小説。一心不乱に文字を追う。
内容など入ってくるわけが無かった。それでも読み続けた。
「悟……? 悟ってばぁ!」
作業を終えた愛莉が呼んでいる。
耳を貸してはダメだ。
「……なんだよ」
分かっていてもできやしない。
「ちゃんとこっち見て!」
ほんの2分前に見るなと言っておきながらこの態度はどうなのよ。
見るな。見るな。せめてもの抵抗だ。
「見ないなら……」
思わせぶりな愛莉の言葉。でも、悟はどうすることもできない。
それは期待しているからに他ならない。
本能には抗えない。
そして愛莉は、期待通り抱きついてきた。
悟の真横から。
「んーっ! 悟の匂いだぁ」
すぐ近くにある幼馴染の顔。無意識に投げ出される小説。
「俺、汗臭いぞ?」
「平気だよ。悟のだもん」
そういってヒクヒク鼻を動かす。
小動物かっての。
……可愛すぎるっての。
「悟こそ、嫌じゃない……?」
恐る恐るといった感じで愛莉が言う。
この状況で、嫌なことなどあるはずも無いのに何だというのか。
「わたし、汗臭くない……?」
気にしていたのか。悟は意地の悪い笑みを浮かべながら大げさに匂いをかいでやる。
「ぁ、いやっ!」
嫌といいながらも離れようとしない。
無言のまま目だけで訊いてくる、どうしようもなく愛しい少女。
「お前と一緒。愛莉のだから平気」
「良かったぁ。今日スプレー忘れちゃったからどうしようかと思ってたんだ」
陽の光を待ち望んでいた花の様に、笑顔が広がる。
悟の言葉は決して嘘ではなかった。
サラッとというのか、サッパリというのか、清涼感のある匂い。
微かに甘さすら感じたような気がするのは、さすがに贔屓目かな。
「わざわざブレザー着てきた甲斐があったなっ」
クスクスと愛莉が笑う。
「ねぇ、どうしてわたしがブレザー着てきたかわかる?」
分かるわけがなかった。悟は首を横に振った。
"ここ"での愛莉がいくら無邪気で表情豊かでも、悟とでは頭の出来が違いすぎた。
思わせぶりな間を空けてから、愛莉は口を開いた。
「悟以外に、見せたくなかったから」
「何を」かは、さすがにすぐ分かった。ついさっき、目を奪われたものだから。
生徒副会長として身だしなみもちゃんとしようとしているのか、程度にしか思ってなかった。
といってもまだ9月の頭だからブレザーの着用は義務付けられていないが。
「そんな理由で着てたってのかよ」
必死に呆れの色を声に出して言う。内心は嬉しくてしょうがない。
「だって、嫌なんだもん。……しょうがないじゃない」
潤んだ瞳で睨むな。
どう見ても上目遣いにしかなってない。
もう、限界だ。
愛莉をシーツの海にそっと寝かせ、一番上のボタンに手を掛ける。
「愛莉……いいよな?」
結局今日も、悟の理性は陥落した。
「いいよ……。悟、だから」
ふんわりとした笑顔で愛莉が言う。また一つ、悟の心臓がギヤを上げる。
震える手でボタンを外す。何度したら震えなくなってくれるんだろう。
顕わになった素肌。
平素は真っ白なそれが、すでに朱色に染まっている。
汗に塗れてもスベスベで柔らかい。
そっと首筋に口付ける―――直前に愛莉に止められた。
「どした?」
荒い息遣い。悟と同じ。
愛莉もすでに、愛欲の渦に取り込まれている。
悟の右手を取り、人差し指に口付けた。
「先にこっちに、してくれなきゃイヤ……」
小さくてピンク色の艶やかな唇。微かに湿っていた。
男としての余裕など見せられない。
ただ、溺れていくだけ。
この一見遠くて物凄く近い、気ままなようで寂しがり屋な、クールなようで甘えん坊な、最愛の幼馴染に。
二人の吐息と香りが染み付いた、この部屋で。
終わりです
続くかは電波次第ってことで
なんなのよ……こんなの投下されたらGJしか言えなくなるじゃない……
>>715 短い中で萌えとエロスを感じさせるGJな文ではありませぬか!
見習いたいもんです、はい
このあとの投下は勇気がいるからまた明日(ry
(本当はまだ書ききってないんです、すみません)
718 :
名無しさん@ピンキー:2008/09/09(火) 01:03:25 ID:anbCKeG+
俺も幼なじみいてる。
男だけどいつもサッカーや釣りをいっしょにしてたな。
今は嫁さん貰ってなかなか遊べないけど幼なじみは大切にしなきゃね。
俺の幼馴染は三人とも死んじまったなあ
>>715 GJだ
たった
ダレモイナイ……投下スルナラ今ノウチ……
えと、
>>675-678の続きです
前回の投下が10kちょいでしたが、今回はなぜか20k近くなってしまいまして……
長いですが、最後までお付き合い頂ければ幸いです
では、開始です
「……何であんなことしたのさ」
色々と片付けた後、晶は俺にそう言った。
ベッドに座る晶に対し、俺は床に正座をしている。裁判でも受けている気分になる。
「……その、晶が寝ている姿を見てたら、《何やってもいい》って言葉を思い出して……」
「襲いたくなった、と」
「……」
思い返せば単純な話だ。欲望に負けた男が女に手を出した。ただそれだけ。
……もちろん、それが許されることだとは思わない。自分は最低な人間だ。
「輝がこんなことするとは思わなかったよ」
「……すまん」
一時の気の迷いとは言え、大事な幼なじみの信頼を裏切ったのだから。それも最悪の形で。
気まずい沈黙が流れる。晶は何かを考えているようだった。
さて、俺にはどういう審判が下されるのだろうか。
考え得る最悪の罰は……絶交を宣告されることだが。
「……一つ聞きたいんだけど」
しばらく経ってから、ポツリと晶が言葉をこぼす。
「その、もしも寝てたのが私じゃなかったら、輝はどうしてた?」
「ど、どうしてたって……」
質問の意味がわからない。そもそもそんなシチュエーションになるはずもない。
「そ、その、例えば、いいんちょが相手だったりしたら……とか」
「……何で木崎が出てくる?」
「だ、だって委員会で一緒だし、いいんちょは可愛いから」
目を反らしながらボソボソと呟く。むくれたような顔つきは、先ほどとは違う赤に染まっている。
同じクラスの委員長である彼女とは一緒にいることが少なくない。なぜなら俺は副委員長だからだ。
確かに彼女は有能だし、人として魅力的でもある。俺自身、彼女には何度も助けられている。
だがしかし、それは友人としての話だ。俺は特に彼女を異性として意識してはいない。
……あぁ、晶が言いたいことはわかった。
要するに、「女なら誰でもよかったのか」を問うている。
それなら答えは簡単だ。
「……何とも思ってない奴に、手を出したりはしない」
そう、晶が相手だったから。俺はこいつの魅力に抗し切れずに、あんな真似をしたのだ。
それだけは、偽らざる事実である。信じるかどうかは晶次第だが。
「……そ、そうか」
適当な相づちを打ち、晶は再び黙り込んだ。
俺から言うことは、もう何もない。あとは晶が決めることだ。
再び生じた沈黙の時間、俺は晶の決定をじっと待つのみだった。
「……うん、決めた。輝」
ずいぶん長い間黙っていた気がする。それを破ったのは晶だった。
「あぁ、何だ」
どうやら俺の処遇を決めたらしい。俺はそれに従うべく返事をする。
「そこに立って、目を瞑れ」
「……?」
よくわからないが、指示に従う。何をするつもりだ?
「……よし」
気合いを入れるような掛け声のあと、何やらごそごそと動く音がする。
こういうとき、何も見えないのはけっこう怖い。ぼやぼやしてると後ろからバッサリだったり。
そうやって悶々としていると、ふと正面に晶の気配を感じた。
そのまま俺の腰の辺りに触れ……
「……って、あ、晶!?」
想定外の事態に思わず目を開ける。
視線を下に向けると、晶が俺のズボンを脱がしにかかっていた。
「ちょ、晶、止めろ!」
思わず大声を上げる。すると晶は睨むようにこちらを見上げ、
「こ、これは罰だ。私がされたことと同じことを、私が輝にする」
そう言い放ち、再び行動を開始する。
「ば、バカなこと言うな!」
「バカなもんか!お、お前が悪いんだぞ!」
俺の必死の抵抗もむなしく、ズボンは一気に引き下ろされる。
続けてトランクスにまで手をかけるものだから、俺は必死の思いで晶の腕を掴んだ。
「こ、こら、離せ」
「離せるかバカ!お前何してるかわかってるのか?」
「……だから輝と同じことをやる。拒否権はないからな」
……目には目を、と言うことらしい。確かに晶は負けず嫌いの一面はあるが、しかしこれは。
「ま、待て!そういうのは好き合ってる男女がやることで……」
「輝は私にしたじゃないか」
「そ、それは……」
当然だが、俺は晶の言い分に反論できなかった。
同じことを俺はこいつにしたのは、間違えようのない事実である。
「とりあえず、腕から手を離せ」
据わった目付きの晶に言われ、俺は仕方なく手を離した。
同じことをする、と晶は言った。それはつまり俺のを色々と弄るということで。
晶の考えがよくわからない。なぜ対抗意識が芽生えるのか、意味不明だ。
……しかし、これからされることに、何となく期待をしている自分がいた。
ワッフルワッフル
ついにトランクスも脱がされ、俺のモノが外気に晒された。
「う、わ……」
晶が息を飲むのが聞こえる。
実に情けない話ではあるが、俺はこれからのことをつい想像してしまい、
「な、何で大きくしてるんだバカ!」
俺のそれは今、硬く隆起し、上向いていた。
「いや、その。これから晶がすることを考えたら、つい」
シチュエーションはともかく、好きな女が自分のを触るというのだ。
普通、興奮せずにはいられない。
「へ、ヘンタイめ!」
そう俺に罵声を浴びせかけ、晶は俺のモノをじっくりと観察する。
俺が晶の秘所の変化に驚いたのと同じく、こいつも俺の昔との違いに慌てているのだろう。
興味津々と言った風情で、色々な角度から何回も眺めてきた。
「そ、それじゃやるぞ……」
しばらく観察した後、いよいよ晶が俺のモノに手を伸ばす。
そろそろと近付けられた手、晶の細い指が、硬くなったそれを掴む。
それもかなり力強く。
「ぐぁっ!?」
力加減を盛大に間違えられたため、激痛に襲われる。何となく予想はしてたが。
「ぇ、あっ、ご、ごめん!」
慌てて晶が手を離す。握られた部分がちょっとだけ痛みを訴える。
「い、いや、いいんだ。俺が悪いんだからさ」
今の俺は晶に何をされても文句は言えない。そもそも俺を罰するのが目的なのだから。
「そ、それは……、そう、なんだけど」
何やら微妙に意気消沈した様子の晶。まるで自分が失敗してしまったかのような。
「晶の好きなようにやればいい。お前の気が晴れるまで、痛めつけられても構わない」
俺としてはフォロー……というか、当たり前のことを言ったつもりだ。
晶の考えはよくわからない。
けど、これで晶の気が少しでも晴れるというなら、どんなことをされたって、
「そ、それじゃダメなんだ!」
突然大声を出され、俺の思考が中断される。
自分の声にはっとした晶は、打って変わって顔を伏せ、ボソボソと呟くように、
「そ、その……、輝には、ちゃんと気持ち良くなってもらわないと、こ、困るんだ……」
などと言った。
……意味がわからない。何で俺が気持ち良くなる必要がある?
晶は俺に怒っていて、これはそのことに対する罰で、俺は晶にひどいことをして……。
晶の言葉に混乱している俺に対し、こいつは言葉を続けた。
「だ、だって、私だけ気持ちいいのは、ずるいじゃないか……!」
顔を真っ赤にしてそんなことを言うが、俺にはますます理解できない。
「……っ!もういい、勝手にやるからな!」
顔中に疑問符を浮かべていた俺に対し、晶は怒ったふうに再び俺のに手を添えた。
先ほどよりも優しく手で包み、
「こ、こうだっけ……?」
ゆっくりと、上下に扱き始めた。
「うぁ……っ」
初めてなのだろう。
おそるおそるといったふうなその手の動きは、正直言って稚拙である。
いや、ここでいきなりAV女優みたいな技術を発揮されても困るが、問題はそこではない。
「こう、か?……あ、何かピクピクしてる」
あの晶が。
クラスの男子に「身体は大人、頭脳は子供」と揶揄される晶が。いつまでも子供っぽいと思っていた晶が。
……俺の大事な幼なじみの、晶が。
俺のモノを、一生懸命扱いている。
それだけで、俺はもう限界に上り詰めそうになった。
「あ、あきら……、や、やっぱりやめ……!」
息が荒くなる。それはますます硬さを増し、今にも出してしまいそう。
「やだ。これは罰なんだからな」
やがて、晶の手の動きに緩急が生じてきた。何となくテクニックみたいなものを掴んだらしい。
(こ、これはまずい……)
このままだと本当に出してしまう。しかもこの位置だと、晶の顔に……。
「ふぅ、それにしても、何かカメの頭みたいな形だな」
そんな俺の焦りもどこ吹く風といった様子の晶。何だかズレた感想を洩らし……ふと、手の動きを止めた。
「……あ、晶?」
今にも達してしまいそうな場面で寸止めされたことに、
深い安堵感とちょっとした名残惜しさを感じつつ、
とまった手の持ち主の様子を伺う。
晶はじっと俺のモノを見つめている。
そのままの姿勢でしばらくじっとしていたと思うと、
「……ぺろっ」
いきなり舐めた。
「ばっ、っつあ……っ!」
完全な不意打ちに、もはや俺の我慢も限界だった。
「ん?ひゃ、あっ!?」
俺の分身から放たれた白濁液が、すぐそばにあった晶の顔を汚していく。
先ほど晶の身体を弄っていたときの興奮が残っていたからか、
射精はそれからかなり長く続いた。
「……ぁ、はぁ、はぁ……?」
そのまま射精後の脱力感にしばらく身を任せていた。
それから意識がはっきりしてくると、しだいに周りも見えてきた。
そこで俺の目に映ったのは、
「はぁ……、あ、晶!?」
「……うぇ」
白いドロドロした汁――まぁつまり俺の精液なんだが――塗れの顔をした晶が、
今にも泣きそうに顔を歪めている姿だった。
ごめんなさい、なんか急に呼び出しくらってしまいましたorz
ひっぱるみたいで本当に申し訳ないのですが、ちょっと出掛けてきます
夜にはかならず最後まで投下いたしますので、今しばらくお待ちください……
逃げるのは後回し……
そうか、パンツ脱いで待ってる
寸止めとは……やりおるなw
全裸待機しときます
いきなり呼び出されるだなんてwwwとにかく続きをお待ちしておりますね!
>>730 縄とマスターボールとプラズマホールドと萬国吃驚掌を携えながらwktkすることにします。
お待たせいたしました、ただ今より
>>729の続きを投下します
最後までお付き合いいただけると幸いです。では開始
「ひ、ひかるのばかぁ!何するんだよ、いきなり!?」
「わかった、わかったからとりあえず落ち着け、動くな!」
怒り心頭といった晶をなだめつつ、その顔を拭いてやる。
半分は自業自得だろうとは思うが、そんなことを言えば晶の怒りは倍加するから、とりあえず黙っておく。言わぬが花というやつだ。
「うぇぇ、苦い……」
「の、飲んだのかよ……」
晶の何気ない(と本人は思っている)一言にドキリとする。
一瞬、こいつが俺のをくわえているイメージまで浮かんでくるから重症だ。
そういった動揺を何とか隠そうと思っていると、何やら晶が感慨深そうに、
「でもこれって……その、輝も気持ち良かった、ってことだよな?」
などと言う。
「……まぁ、な」
冷静を装うのは、晶の言うことが図星だからである。
それでも、認めるのは何となく悔しい。よって、軽く流すことにする。
「そっか、よかった……」
そんな俺の心情を知ってか知らずか、晶が安心したような声でつぶやく。
そのままお互い黙り込む。
俺は晶の身体を弄った。晶は俺の息子を扱いた。
これでおあいこ。これ以上、何かが起こることもないだろう。
これは言わば、一夜限りの過ちだ。今ならば、まだ何とか引き返せる。
このまま片付けを済ませ、晶を家に帰しさえすれば。
また明日からは、いつもの俺たち、幼なじみの関係に戻れるはずだ。
「……よし、終わり」
晶の顔の汚れをすべて拭き取り、俺はそう告げた。
そう、やりすぎた悪戯はここで終わり。明日に備えて早く寝ないとな。
「さ、そろそろ帰れよ。今日はもう家で寝ろ」
ごく自然に見えるよう立ち上がり、晶に帰宅を促す。
「……」
「……晶?」
しかし、晶は動こうとしなかった。
その場に座りこんだまま、何かを考えている様子だ。
「おい、晶。早く立てって」
「……輝」
しばらく間があってから、ふいに晶は意を決したように顔をあげる。
こちらをじっと見つめてくる真剣な表情に、俺は動揺してしまう。
思わず後退りしそうになる中、とうとう晶が口を開く。
「……続き、しよ?」
その台詞は、俺をまたもや仰天させるのに十分な重みを伴っていた。
「おま、自分が何言ってるかわかってるのか!?」
この続きをする。つまり俺と晶が一つになることであり。
それはもはや、幼なじみの範疇を超えた、立派な男女の営みである。
「ダメ、なのか?」
「当たり前だ!」
「何でさ!?」
そう、当たり前だ。それはさすがにいけないことだ。
それでも晶は引き下がらない。立ち上がり、噛み付くような勢いで迫ってくる。
「な、何で、って……」
すぐ傍に晶の顔がある。その迫力に圧されつつも、必死に言葉を選ぶ。
「そ、そりゃ悪戯とか罰とかの範囲を超えてるだろうが!
さすがに幼なじみ同士がやることじゃないだろ!?」
……思ったことがそのまま口から出てきた。
いやいや落ち着け自分。ちゃんとゆっくり諭してやれ。
「……あー、だから、そういうのは然るべき相手を見付けて、その上で……」
「然るべき相手って?」
人が話してるときに聞くな、ただでさえ平静を欠いているのに。
「……そりゃ、好きな相手に決まってるだろうが」
ごく当たり前のことを告げる。
少なくともお前は、俺のことをそういう目では……
「……幼なじみが好きな相手だった場合はどうするのさ」
「まぁその場合はだな……って、なんだと?」
思わず聞き返す。今のは幻聴か?
「……何さ、その反応は」
「え、いや、だって、お前は俺のこと、単なる幼なじみとしか……」
宿題を写させろと言う晶。遊ぼうといきなりタックルをしてくる晶。
いつまでも子供っぽく、昔と変わらず接する晶。
その中に俺を異性として意識したような行動が、
果たしてどれだけあっただろうか。
「そ、それは輝も一緒じゃないか!
ずっと『晶は幼なじみだ』って言い張って!」
俺の言葉に、晶が真っ赤になって反論する。
確かに、俺は晶の幼なじみであり続けた。
そこからの一線を、決して踏み越えようとはしなかった。
自分の思いに封をして、何もないように過ごしていた。
顔を赤くしたまま、なぜか泣きそうになりながら、晶が叫ぶ。
「わ、わたしだって!」
……晶も、一緒だったのか?俺と同じで、本当の気持ちは。
「わ、わたしだって、好きでもない相手に、あんなことしないからな!」
……俺を、単なる幼なじみ以上に、思っていてくれたのか?
「ひ、ひかる、苦しい……!」
気付いたら、晶を抱き締めていた。それも力強く。
「あ、す、スマン」
謝って、少し力を抜く。しかし腕からは解放しない。
腕の中の晶は華奢で。それでも昔よりは女の子らしくなって。
そして何より、愛しかった。
肩を抱いて、晶の顔を真正面に見据える。
「ひ、ひかる……」
涙に潤んだ瞳が俺を見つめていた。
晶が俺に伝えてくれた大切な気持ち、俺はそれに応える義務がある。
一度深呼吸をする。心を落ち着け、思いを形に変えていく。
「晶、ありがとう」
伝えたい思いが、自然と言葉になる。
「俺も晶が好きだ。誰よりも大切に思っている」
何と情けないのだろう。
きっかけは俺の悪戯だった。次は晶の罰。
そして晶は、俺に好意を告げてくれた。
それからようやく俺の告白。順番がメチャクチャだ。
「……最初に、それを言ってよな」
晶の拗ねたような返事。
しかしその表情からは、嬉しそうな雰囲気が溢れていた。
長年の思いがようやく通じた、そんな気持ちが顔に出ている。
そのまま抱きつかれ、顔を胸に埋めた姿勢で、
「輝のバカ!ずっと待ってたんだからなっ!」
本当に嬉しそうに、思いのたけをぶつけてきた。
「ほ、本当にやるのか……?」
正直、ちょっと戸惑っている。今からすること、その意味に。
「いやダメだ、今やるんだ」
そんな俺の言葉は、目の前の少女に一蹴されてしまう。
俺と晶は、生まれたままの姿になっていた。
おまけにベッドの上で、寝転がった晶に俺が覆いかぶさるような姿勢だ。
そんな体勢からすることは、一つしかない。
「し、しかし、何も焦る必要はないだろ?」
確かに思いは通じ合った。俺と晶は幼なじみから恋人になったのだ。
だからと言っていきなり行為に及ぶのは、ちょっと急ぎすぎじゃなかろうか。
「いいじゃないか、今までが長い付き合いなんだから」
そんな俺の意見もまったく意に介さない晶に、ちょっとした疑問を抱く。
「なぁ晶、何か理由でもあるのか?そこまで急いでさ」
「え、ぅあ、そ、それは……」
疑問をぶつけると、なぜかいきなり言葉に詰まる晶。
そんなに困らせること言った覚えはなかったが、しかし晶の答えは予想外だった。
俺から目を逸らし、しばらくもごもごと口を動かしてから、
「……が、我慢できないんだもん……」
などと恥ずかしそうに言うのだから。
「い、言っとくが、別に私はヘンタイじゃないぞ!?
た、ただ、色々されたりしたりで、気分が高ぶっちゃってだな……!」
慌てて弁解する姿は、しかし赤い顔によって可愛さを倍加する効果しかなかったし、
「あ、晶、お前可愛すぎ……」
何というか、俺の理性を吹き飛ばすのには十分だった。
「そ、それじゃやるぞ」
「ぅ、うん」
晶の中への入り口に、自分のモノをあてがう。
晶の準備はできていて(い、インランじゃない!と主張する晶もまた可愛かった)、
俺のほうも、避妊具もつけて問題はなかった。
「ひ、輝もそういうの持ってるんだな……」
「クラスのやつが渡してきたんだよ」
冗談のつもりだったのだろうが、まさか本当に使うことになるとは。
閑話休題。
「痛かったら、ちゃんと言うんだぞ」
「わ、わかった。けど、輝も我慢するなよ」
お互いが緊張しているのがよくわかる。
電気は消しているから細かい表情は見えないが、たぶん両方とも顔は真っ赤だろう。
「そ、それじゃ、いくからな」
宣言し、ゆっくりと腰を沈める。
初めて男を受け入れた晶の中は狭く、そして熱かった。
「ぁ、ぐ……ぅ」
苦しそうな晶の声。すぐに動きをとめ、様子をうかがう。
「あ、晶、やっぱり無理しないほうが……」
「だ、だいじょぶ、だから、つ、つづけて」
そういう晶の顔はまさに痛みを我慢しているようで、俺は躊躇してしまう。
「ひ、ひかる、はやく、ぅ……」
「で、でも、晶」
促され、しかしそれでも先に進めない。
「わ、わたしは、ひかると一つになりたいから……」
そんな俺に、晶はニコリと笑いかけてきた。
苦しそうな、それでも本当に嬉しそうな顔で、
「ひかるを、もっと、かんじたい……」
痛みを堪えて、そう言ってくれた。
「あ、晶っ……!」
そこまで言われて、もう俺も我慢しなかった。
自分の気持ちを乗せて、一気に腰を沈める。
きつい締め付けを無理矢理押し退け、そのまま膜を貫通する。
「ぅあっ、ぐ、ぃ……!」
晶の表情が、苦痛に歪む。
破瓜の痛みは相当なものだろう。変わってやれたらどんなにいいか。
「す、スマン!大丈夫か!?」
「く、ぅ……ちょ、ちょっとだけ、待って……」
やはり一気にやるのはまずかっただろうか。
ゆっくり時間をかけるのも大変だと思ったのだが……。
痛みを耐えている晶の背中を優しく擦る。
あまり意味はないだろうが、それでも何かしてやりたかった。
「……やっと、一つになれたな」
小さな声で、晶がつぶやく。
「あぁ。ごめんな、痛くして」
「うぅん、いいんだ。この痛みは、輝を受け入れたってことだから」
謝る俺に対して首を振って、
「ずっと待ってた。こんな日が来ることを、輝と一つになる日を……」
暗闇になれた目が、晶の表情を映し出す。
まだちょっと痛そうで、無理していないとは思えなかったけれど、
「ありがとう輝。本当に、本当に嬉しい」
それでも晶が浮かべていたのは、言葉通りの、
誰をも幸せにしてしまいそうな笑顔だった。
しばらく休憩してから、晶が「もう動いてもいい」と言った。
俺はそれに応え、ゆっくりと腰を動かす。
「ぅ、ぐ、ぁっ……んぅ……!」
俺が動く度に、晶の苦しそうな声がする。すぐに動きが止まりそうになるが、
「い、いいから、つづけて……!」
という言葉に従う。
しばらくはそのペースで続けた。なるべく晶が痛みを感じないように。
「ふ、ぁっ!ん、ぅ……ひぁ、あ、んっ……!」
やがて、晶の声が色を帯びたものに変化してきた。
それに合わせて、俺の動きも激しくなっていく。
「ひゃぁっ!お、おっぱい、いやっ、ひ、ぁ、ふぁっ!」
腰を打ち付けながら、晶の胸を揉みしだく。乳首をつまみ、扱いてやる。
「は、ぁんっ、ひぁっ、ふぁっ、はぁっ……!」
先程弄ったときとはまた違う激しい反応に、興奮はさらに高まる。
「ぁ、はぁっ!ひ、ひか、るぅ、ふぁ、ひ、ひかる……、ひ、ぁっ……!」
「あ、あきらっ!う、ぁ、あきらぁっ!」
俺たちにはもう理性なんかなかった。互いが互いを求めあい、どんどん高みに登りつめる。
「ふぁっ!ひ、ひかるっ、わ、わたし、もぉ……っ!」
「あ、あきら、だすぞっ!」
絶頂を迎える瞬間、俺と晶は手を握りあった。
しっかりと、決して離れぬように。
「ぁ、ぁ、あっ!〜〜〜っ!!」
「う、あ、ぁっ!」
瞬間、晶の身体が大きく仰け反る。
俺は晶の腰を抱え、そのままゴムの中に己の精を吐き出す。
そのまま絶頂の余韻に身を任せ、俺と晶は微睡みの中に沈んでいった……。
目を覚ます。
空は未だ暗く、夜が深いことを伝えてくれた。
時計を見ようと身体を横に向け、
「……あ」
自分の隣に、幼なじみが裸で寝ていることに気が付いた。
「いや、俺も裸か」
思わず苦笑する。子供時代でもこんなことはなかった気がする。
夢ではなかった。俺と晶は確かに一つにつながったのだ。
そのことが嬉しくて、つい表情が弛んでしまう。
傍らに眠る幼なじみの寝顔は、いつも以上に幸せそうで。
愛しい相手の頬を優しく撫でつつ、小さな声で囁いてみる。
「これからもよろしくな、晶」
幼なじみとして。それ以上に恋人として。
明日からも頑張ろうと、再び眠ろうと目を閉じて。
……明日?
そういえば、明日は始業式だったような……。
「って、しまったぁ!起きやがれ晶ぁ!」
慌てて飛び起き、隣で眠る幼なじみを叩き起こす。
「ふにゃ……、な、何だよいきなり……まだねむい……」
寝起きも可愛らしいが、今はそんなことを言っている場合ではない。
自分たちは、いや正確には晶が、致命的なミスを犯していた。
「このバカ、宿題がまだ終わってないだろうが!」
「…………あ」
そう、すっかり忘れていたが、明日は始業式である。
そもそも晶がここにきたのも、俺に宿題を手伝わせるためだ。
それなのに、それを忘れて情事に耽ってしまったのは、まったくの誤算だった。
「先にしたのは輝じゃないか」
「う、うるさい!とにかくやるぞ!」
「えぇ、今からぁ!?」
壁に目をやる。時計の針は、午前3時過ぎを示していた。
「まだ間に合う、徹夜で仕上げるぞ!」
「えぇぇぇぇーっ!?」
灯りをつけ、テーブルに向かう。
甘い時間はあっと言う間に過ぎ去って、迎えたのはいつにない大ピンチ。
だがまぁおそらく問題はない。
思いが通じた二人に怖れるものなどないだろうし、
「ほら、ちゃんと問題やれ!さっさとしないと明日に間に合わないぞ!」
「うぅ、あんなこと言わなけりゃよかった……」
とりあえず、晶の分の宿題は、ちゃんと本人にさせてやれるみたいだし、な。
始業式が終われば、次はホームルームの時間となる。
二学期は学校行事がいくつかあり、
今日はそれについての話し合いを行うことになっていた。
担任の先生に名前を呼ばれ、教壇に立つ。
「では、今日のホームルームを始めます。」
委員長の私は進行役だ。いつものように議題を告げる。
「今日話し合うのは、体育大会での各競技のメンバー、
それから合唱コンクールの曲決め、あとは文化祭の……?」
途中まで言って、黒板に書き込む音がしないことに気が付いた。
書記は副委員長の仕事だ。私は自分の補佐役の様子を伺う。
ある程度予\想はしてたが、やはり彼はボーッとしていた。
心ここにあらず、といったところか。
彼とはこの2年間ずっと同じクラスだから、このような経験は何度かあった。
始業式の日はほぼ必ずこんな調子で、何だか意識がおぼろげなのだ。
(始業式の前日に、夜更かしでもしてるのかしら?)
とは言え、普段の仕事は完璧だ。前日まで課題をため込むタイプとも思えない。
まぁいい。とりあえず仕事をしてもらおう。
色々な疑念は横において、小さな声で彼に呼び掛ける。
「斎藤くん、板書お願い」
「え……、あっ、すまん木崎」
私の言葉で引き戻されたのだろうか、慌てた様子で議題を黒板に書き留めていく。
「それでは、まず最初に体育大会について話し合います。
体育委員、前に出てきてください」
気を取り直し、ホームルームを再開させる。
男子の体育委員はすぐに前に出てきた。しかし、
「女子の体育委員、出てきてください。……神崎さん?」
もう一人の体育委員、神崎さんの返事がない。
普段なら、
「はいはーい!いいんちょ、元気かー?」
なんて、物凄く元気のいい返事をしてくれるのだけど。
神崎さんの席を見る。
いつも元気なはずの彼女が、今日はなぜか机に突っ伏していた。
「神崎さん?大丈夫」
「おい晶、起きろ」
斎藤くんが神崎さんの席まで行き、彼女の肩を叩く。
神崎さんと斎藤くんは仲がいい。聞くところによると、幼なじみなのだとか。
……幼なじみ。
窓際のある席に目を向ける。
あいつも他のみんなと同じく、神崎さんの様子を自分の席から伺っている。
去年ならきっと、どこ吹く風といった感じで外でも見てたに違いない。
ちょっとは進歩したのかなと、喜ばしくも寂しい気持ちになる。
「ほら晶、起きろよ。体育委員の仕事だぞ」
「……ふぁ……、あ、ひかる、おはよー」
「おはよー、じゃない。ほら立てよ。体育大会の話だから」
そんなことを考えている間に、斎藤くんが神崎さんを起こしたみたいだ。
ふらつきながらも立ち上がる神崎さん。眠そうな彼女というのも珍しい。
「ふぁー、あ、そうだ。ひかるー?」
「何だよ……ってこら、首にぶら下がるな!」
うまく立てないのか、神崎さんが斎藤さんにしなだれかかる。
相変わらず仲がいい。この二人は猫とその飼い主みたいな雰囲気がある。
クラスの雰囲気も、この二人を見守るときはとても和やかだ。
だから、その次の瞬間、
「ひかるー、おはよー」
斎藤くんにもたれかかった神崎さんが、
「それはさっき聞いた……んぅ!?」
そのまま彼にキスしたときの、
「なっ……」
『ええぇぇぇーっ!』
クラスにはしった動揺は相当のものだった。
「えへー、おはよーのキスだぞぉ」
「こ、バカっ、こんなところで……!」
寝呆けている神崎さん。動揺する斎藤くん。
「み、みんな静かに!落ち着いて!?」
クラスのざわめきを止めようとする私は、二人がちょっと羨ましかったり。
なぜって、今の二人とも、
「あは、顔真っ赤だぁ」
「あ、たり前だっ!……ふ、不意打ちが初めてとか……」
とっても、幸せそうだったから。
以上です、投下終わり
えー、「その翌日」は視点が変わっております
いわゆるクロスオーバー。かおるさとーさんに触発されてしまいました
木崎さんについては「幼なじみと四月バカ」を(ry
まぁなんか恥ずかしい真似しちゃいましたね。忘れてください
さて逃げるか
逃がさん・・・。これを受け取れ!!!「Good Job」
こんな唐突な終わりだと逃がせるわけがないだろう
まだまだ100kくらい続くんだろうな
>>745GJ。
さあ、輝も感化されてバカップルに走るのかツンデレチックにちょっと曲がるのか続きを書いてもらおうじゃないか。
とりあえずは次スレを視野に入れておかないとな。
残り30kB。一つ投下ですぐ埋まる量だけどまだ次スレを立てるにはまだ早いという感じ。
>>745 GJ!!!
また続きでも他の作品でもいいから書いてほしい
>>745 お見事です! 出来ればこの後のお話も、木崎さんのお話も読んでみたいですねぇ!
752 :
蒜:2008/09/10(水) 02:02:08 ID:NDSQbJrO
…気になる。続きが気になるぞっ!
今現在完結してるやつがあるのだが次スレに投下しようと待ち構える漏れ…
投下時以外はコテハン外そうや
業者乙
756 :
蒜:2008/09/10(水) 04:20:23 ID:NDSQbJrO
なんか眠れないから投下。
【〜桜が舞い散る並木道の中で〜】
時は4月…世間では私と同い年が高校の入学式を迎えている中
「ふぅ…」
私はガンで入院し病院にいた。
「はぁ〜何でだろ…」
私はもう末期で治る確率が10%をきっている。両親は教えてくれないが両親が医者と話しているのを聞いてしまった。
話は変わるけど私には幼なじみがいた。その人は私の幼なじみにして…恋人だった。
「まぁあんな言い方したら来ないよね…」
実は私はその幼なじみに対し一方的に別れを告げた。
………
……
…
757 :
蒜:2008/09/10(水) 04:21:12 ID:NDSQbJrO
時は戻り二年前の出来事。桜が舞い散る並木道の中で二人で歩いていた時のことだ。
「いや〜もう中学二年生になりましたなぁ〜慶。」
「そうだな」
「もぅ〜さっきから元気ないよ?」
「…なぁ奈々。」
「ん?なぁに?」
「…ずっと好きだったんだ。俺と付き合ってくれよ…」
「…うん。いいよ…」
その言葉が私たちの始まりだった。もちろん断る理由なんてない。私も慶(幼なじみ)の事が好きだったからだ。
それから私たちは恋人になった。時には喧嘩したりもした。……自分でいうのもなんだけどなかなか仲がいいカップルだったと思う。しかし高校も決まった矢先に私は倒れた。
そして医者からガンであることが分かり私は一週間後に入院する事になった。医者からは「長い間入院することになるかもしれないから、けじめをつけてきた方が良いよ。」
と言われ…私が死んで悲しむより別れて悲しむ方が…
そう思い私は慶に別れを告げる決心をした。
そして一週間後。私の最後の登校日の放課後に慶を呼び出した。
758 :
蒜:2008/09/10(水) 04:23:18 ID:NDSQbJrO
「どうした?最近元気ねぇけど」
「うん…実はね……………別れてほしいの」
「はぁ!?何だよそれ…。マジ意味わかんねえ」
「……………」
「その目はマジらしいな…わかったよ。でもな?幼なじみとして13年恋人として2年一緒にいた一人の人間として…せめて理由位言ってくれ」
そう言われ私は有り得ない発言をしてしまったんだ…
「…他に……好きな人が出来たから…」
「…そうかよ。」
そして私はその重い空気に堪えきれず
「じゃあ私行くね?」
「…あぁ」
そして私はその日で学校を休学(形式上)した。
759 :
蒜:2008/09/10(水) 04:25:00 ID:NDSQbJrO
そしてそれ以来慶に会っていない。いや…正確には会えない。
だって私の我が儘で慶に辛い思いをさせたし…段々と痩せほそってく私を…苦しんでる私を見てほしくない。
何故なら慶は多分私よりも苦しむ事になるから…慶は優しいから多分自分の事以上に苦しみを抱えこんでしまうから…
760 :
蒜:2008/09/10(水) 04:27:11 ID:NDSQbJrO
そんな時…病室のドアが開いて…ふとドアの方を見て私は愕然とした…
「………………はぁ…はぁ……この…大馬鹿野郎!!」
だってそこにはー
私が別れを告げた恋人がいたからーー
「…な…んで…」
「…急に休学になるなんておかしいと思ったんだ。だから雅也さん(奈々父)問い詰めて聞いた。」
「なら…知ってるよね?私はガ…「ふざけんな!!」っ!!」
「お前昔言ったよな?"慶はいつも一人で抱えこんじゃうから、何かあったら私にすぐ話してね?"ってよ!!」
「…で…、っでも!!」
「でももくそもねぇ!!」
「っ!!」
「お前、自分が注意した事を自分でしてどーすんだよ…。本当は心細いんだろ?一人になりたくないんだろ?」
「でもっ!慶が!!「んなの関係あるか!!」…。」
761 :
蒜:2008/09/10(水) 04:28:18 ID:NDSQbJrO
「俺はな?何が悲しいかって言うと…お前が俺に言わなかった事だ。俺は
そんなに頼りないか?俺はそんなにお前に信用されてないのか?」
「ちが……、慶を苦しませたくなくて…」
「…やっぱお前は大馬鹿野郎だ。俺はお前…奈々の何なんだ?」
「…元恋人。」
「元を付けるな、元を。」
「だってもう…」
「俺は別れるなんて言ってねぇぞ?あの時は奈々がすぐ逃げたから返事出来なかったし…、それに他に好きな奴が出来たんならともかく、ガンで死にそうで慶を悲しませたくないから別れます。なんて…俺は認めねぇ
本当に俺の事を思うんだったら何で"一緒に頑張って"って言えない?何で必死に生きようとしない?いいか?お前が俺の恋人であるうちはお前を絶対に死なせやしねぇ。意地でも生きようとしてもらうぜ!!」
762 :
名無しさん@ピンキー:2008/09/10(水) 12:59:46 ID:erspHREx
あれ?おわり?
763 :
蒜:2008/09/10(水) 14:45:38 ID:NDSQbJrO
書き込めねぇw
764 :
蒜:2008/09/10(水) 14:47:58 ID:NDSQbJrO
もちつけと
下げようよ
766 :
蒜:2008/09/10(水) 14:51:18 ID:NDSQbJrO
>>766 アドレスだけでナジミストということが分かる俺も末期だな。
768 :
蒜:2008/09/10(水) 15:52:42 ID:NDSQbJrO
他もアクションGってやつ以外は全部幼なじみ小説しか書いてないんだよなぁ…。幼なじみが好きで
770 :
名無しさん@ピンキー:2008/09/11(木) 13:33:35 ID:gBrpfZ1d
なんてことを!俺の息子を殺す気かっ!?
最近になってようやくわかった。
幼馴染には自分の告白をOKしてもらわなくてもいい。
ただ一つ望むのは誰のどんな告白も断ることだ。
随分歪なコロンブスの卵だなw
それって、幼なじみとは幼なじみ以上のことできないから悲しくね?
それこそ上にあったソウ君みたく、我慢できなさそう
775 :
名無しさん@ピンキー:2008/09/12(金) 11:25:48 ID:swmqpHcA
>>771tearsは未完だ。でも俺の頭の中でなら完成してる。
776 :
小ネタ:2008/09/12(金) 21:20:00 ID:tf69uaIH
「なあ」
「なぁに、裕君?」
その日も、いつもと同じだった。
何も変わらない、だから何にも代えられない、日常。
もう二十五年一緒に過ごしてきた幼馴染と、休日の習慣となっている、
土手沿いの道を歩く、他愛も無い散歩。
そんな毎日を、二十五年繰り返し続け、そして辿り着いた、今日という日。
「……一緒にならないか、美香?」
俺は、プロポーズした。
何も変わらない日常を変え、何者にも代えられない女性(ひと)へ誓う為に。
「………………」
しばらくキョトンとした顔で俺をまじまじと見つめていた美香は、
ふいに唇を笑みの形に歪め、笑い出した。
「な、何がおかしいんだよ!」
「だって、裕君……そんなの……」
「そんなの、なんだよ……?」
「……もう、ずっと一緒じゃない、私達」
「………………あ、え……?」
随分と間抜けな顔をしていたんだろうな、と今にして思う。
そういう事じゃなくて。
一緒になるというのは。
確かにずっと生まれた次の瞬間から一緒だったけど。
そうじゃない。そうじゃないんだ。
「ウソ。わかってるよ……ちゃんとわかってる」
胸に溢れかえった言葉が口をつく前に、美香の指先が、俺の唇を抑える。
「ほんと……いつそう言ってくれるのかな、って……十年くらい前から、ずっと、
ずっと思ってたんだから」
上目遣いで俺を見上げる美香の瞳には、光る物が滲んでいた。
「ずっとずっと傍にいたけど……だから、大丈夫だと思ってた。
だけど、凄く不安だった……怖かったの。せめて、自分はちゃんとしようって、
裕君以外の誰も見ないで……だから、もし裕君に……それが怖くて……」
声は震えていた。滲んでいただけだった光る物が、零れ落ちる。
「……ごめん」
俺は、美香の肩を引き寄せ、そっと、その身体を抱きしめた。
「謝らないで……嬉しいんだから……私、今……嬉しいんだから」
「……ありがとう」
謝らないでと言われて、俺の口をついて出た言葉は、感謝。
ずっと、俺の言葉を待っていてくれた幼馴染への、精一杯の言葉。
「裕君」
「美香」
陽が落ち始めた、オレンジ色の世界の中で、俺達は三度目の口付けを交わした。
幼馴染から恋人を飛び越し、夫婦になった事を確かめるような、深い、深い口付けを。
終わり
777 :
小ネタ:2008/09/12(金) 21:21:38 ID:tf69uaIH
思いついたから書いた。
今は反省している。
告白しないまま、飛び越えてプロポーズしちゃいましたの図。
近くにこういう人間がいたから困る。
ほんわかした
大学生くらいの年齢だったらいいけど25は引くわwww
このスレの住人は若いんだなぁ・・・。
おっさん的には25歳で結婚というだけでも早い気がするw
>>776 ぐっじょぶ!そういう過程すらも要らないというのも幼馴染みならではですな
これが40とかだとアレだがw
あー、でも15で出会った場合は幼馴染みではないな
せめて小学生で
肝心なことを言い忘れたが、とりあえずおっさん的には
>>776はグッと来たw
短編ではなくシリーズで読みたい気がする。
>>そんな毎日を、二十五年繰り返し続け〜
>>って……十年くらい前から〜
この件から、5歳頃知り合う→20歳頃プロポーズwktk→今30…
と考えた来週結婚式な俺35歳。。。
>>776 いや、これはいい幼なじみ
幼い頃から一緒だから、彼氏彼女の関係はいらないときたか
>>776 いい話だ。また頼む
>>781>>783 ん?この2人、生まれた時からのお付き合いみたいだが?
15の時からは告白してくれるのを待ってた、ってことだろ?結果としてプロポーズになったけど。
あと
>>783おめでとう。幸せにな
>>776 短い話なのになんかこう、いいですね
>>781 保管庫には80歳でプロポーズするやつがあるw
>>780 保管庫には22歳の女の子にプロポーズするド外道の話とかありますぜ旦那w
788 :
名無しさん@ピンキー:2008/09/13(土) 12:14:26 ID:5X7EbSK8
保守。エロなしです。暇つぶしにでも・・・
791 :
やわらかい夢:2008/09/13(土) 23:07:45 ID:CyVWiKiO
青い空の下、たくさんの花に囲まれた庭で
真っ白なシーツを干す女性の黒髪が風にゆれている。
身を起こした自分に気づいて、振り向いたのは幼い頃からずっと一緒の彼女だ。
おきたの?
うん、いまおきた。
手伝うよ。と庭に降りて君のとなりまで歩く。
ありがとう。
どんなに小さなことにでもちゃんとお礼を言うところは大人になってもかわらないんだな。
なんてちょっと感動していると、
大きめのシャツを手にした彼女の左手に指輪。
けっこん・・・したの?だれと?
だれとって・・・わたしたち3ヶ月前にしたばかりでしょ。
見ると自分の指にも彼女とおそろいの指輪がはまっている。
そうか
そうよ。
やわらかく風になびくシーツと花の香りに包まれながら、
まだねぼけてるの?と微笑む彼女の頬にふれる。
君は少し照れながらも、目を閉じる。
だいすきだよ。と愛しい妻に顔を近づける。
ちかづけ・・・る・・・
ちか・・・づけ・・・───
「あ、起きた。よだれ垂れてるわよ。」
どうやら縁側で本を読んでいて眠ってしまったらしい、日はまだだいぶ高い。
「なんかうなされてたけど、悪夢?」
隣で洗濯物を畳みながら彼女が言う。
「いや・・・ちっちゃい頃からの夢が叶う・・・みたいな・・・」
「良かったわね。どんな夢だったの?」
「・・・ひみつ。」
幸せだったけどだいぶ惜しかった。
いや、でも、もしかして。
伸びのついでに彼女の膝に頭をのせて、聞いてみる。
「環、ちゅーしていい?」
彼女は呆れた様子でため息をつく、
「もう、何言ってるの。
午後から映画観にいこうって言ったのは誰でしたっけ?
寝ぼけてないで出かける前にお風呂洗ってきて。」
ダメか。・・・ダメかぁ。
お気に入りの歌を口ずさむ彼女の声を聞きながら廊下を歩く。
眠気覚ましに顔を洗いながら、少し泣いた。
792 :
やわらかい夢:2008/09/14(日) 15:03:10 ID:bLvW5cvA
短いですが、おしまいです。
失礼いたしましたー。
>>792 GJ!
いい小ネタだ
ちゅーをあっさりかわされる男カワイソスw
gj
gj!
480k越えてるのでそろそろ次スレですかな
798 :
名無しさん@ピンキー:2008/09/17(水) 00:44:44 ID:KfO0My8l
次スレまだかな?今2つ位小説溜まってるんだが
↓次スレよろ
ってことだぬ
>>799 どうしても聞きたいから
>>800だって踏んじゃうが、何で君はいつも酉が付いてるんだろうか?
自己主張とかKANONのためとかなら止めた方がいいんじゃないかなぁ
>>800 ごめん、いつも付けっぱなしなんだ
次からは気をつける
あとスレ立て乙
>>789 今宵の月のようにだったかな
エレカシの曲のタイトルみたいな
それの連作の最後にあった
r'丁´ ̄ ̄ ̄ ̄`7¬‐,-、 /
r'| | | |/ >、 /
! | | | |レ'´/| | 待 て
| | | /\ | |l /⊂う |
| | |__∠∠ヽ_\ | リ / j ヽ あ わ て る な
|´ ̄ O  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄`! 〉
l'"´ ̄ ̄ヾ'"´ ̄ ̄`ヾ::幵ー{ / こ れ は 孔 明 の 罠 だ
⊥,,,,,_、 ___,,,,,ヾ| l::::::| |
lヾ´ f}`7 ヘ´fj ̄フ | l::i'⌒i | そ ん な 事 は 無 理 だ
l ,.ゝ‐イ `‐=ニ、i | l´ ( } ヽ
l { U | l 、_ノ ∠ヘ
l / ̄ ''ヽ、 | l ヽ_ \,_________
! ハ´ ̄ ̄ ̄`ト、 |亅〃/\
,人 f ´ ̄ ̄ ̄``ヾ j ,!// {_っ )、
// `ト、__iiiii______,レ'‐'// _,/ /スァ-、
,.イl{ { 々 !/´しllllト、 ̄`ヽ、 // /´,.-、 /彑ゝ-{スァ-、
,.イ彑l l > ゞ く l 〃 l|ハ.lヽ、 ハVゝヽ二ノ/ゝ-{、彑ゝ-{、彑ァ-、
,.イ彑ゝ-'l l ( (,) レシ′ !l `ソァ'´ _ノ7{、彑ゝ-{、彑ゝ-{、彑{
ュゝ-{、彑l l ` -イヘ !l // /⌒ヽヾ/_ゝ-{、彑ゝ-{、彑ゝ-{、
{、彑ゝ-'l l f⌒Yハ ', !l/ / ヽ_う ノ /-{、彑ゝ-{、彑ゝ-{、彑ゝ
彑ゝ-{、彑l l{ に!小 ヽ /!l / ,/ /彑ゝ-{、彑ゝ-{、彑ゝ-{、
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______ 仕 な
r〃〃〃 f7⌒ろ)
l‖‖‖ || f灯 業 ん
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|儿儿儿._」⊥厶 か で
〔__o____o_≦ト、
. 「⌒ヽノ ヽ|l __ ヽ よ も
|ヘ、 rノ¬、 l「r,ヽ i
. l ー| `ー' ||、_八 | : 俺
l │ ll 〃V
、{`―-ヽ ,〃 〃 \ の
__\ rテ ノ´ 〃 / ー- 、
. ,ィ(⊆≧リ≦⊇)〃 / rク\
. / | ̄r少}¨ ̄〃 / /′ ヽ
〃 l | l| | l| 〃 / / └ヽ
/ E l |l | |l/″ / ! 厂 \
く, Y ! l」fレト! / | / 1
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l;;llllll||lll从从WWWl||ll,,ツ从ツツノlイノ'彡ヽ
イ从、从从从从从ll|| |リ从////ノノ彡;j
jl从从从从;;;;;;;;;;;;从;;;;;/;;;;;;;;;、、、;;-ー、イ彡:}
(ミミ;;ッ''"゙ ̄ '、::::゙`゙''ー、/"´::: :::: |;;;;;彡|
}ミミ;;;} ::: {:: ゙:::::、::: :::ィ ,,:::: };;;;イ;;l
jミミ;;;;} ::: ヽ::::ミヽ:: | ノ W:: |;;;;彡:|
}ミ;;;;;;} ::: ヾ {:::::ミ ヽ j イ|从 ":::: };;;;;;彡{
iミ゙;;;ノ:::::: \'、 }}: l||イ /,ィ;;、、-ーーヾ'ァ;;イ、
{;;;;リ:レ彡"三三ミヽ,,リ{{,,ノ;;;;ィ≦==ミ'" |;;〉l.|
l"';;;l ゙'''<<~(::) >>::)-ら::ィ'ー゙-゙,,彡゙ .:|;l"lリ
|l ';;', ::: ー` ̄:::::::ミ}゙'~}彡ィ""´ .:::lリノ/
l'、〈;', ::: :::::::t、,j iノ:::、::.. ..::::lー'/
,、,,,/| ヽヽ,,', ::.、 :::::(゙゙( ),、)、ヽ::. イ ::::l_ノ
)ヽ"´ ''''"レl_ヽ,,,', ヾ'ー、:::;r'"`' ゙'';;"" ゙l| ::j ::: |: l,,,,
゙''(,l ', l| リ {"ィr''''' ーー''ijツヽ l| :" l |',`ヽ,
き 利 (l :'、 `',. 'l| |;;゙゙゙゙"""´ー、;;| ノ: / /リヽ \
. く い Z::::ヽ '、 ゙'t;ヽ ` ´ ノ;;リ ,r' // |
な. た >; :::ヽ ::ヽミニニニ彡'" , ':::::// |
┃ ふ フヽ ::\ : ミー―― "ノ , ':::: //: |
┃ う }ヽヽ :::::\::( ̄ ̄ ̄ /:::://: |
┃ な }| ヽヽ :::::`'-、竺;;ニィ':::// | l
// 口 (: | ヽ ヽ :::: ::::::... ::// | |
) ・・. を ( | ヽ ヽ:: ::::::... // リ. |
つ、 r、{ | ヽ ヽ // / |
ヽ '´ | ヽ ヽ // / |
○________
なぎはらえー |:|\\:::::||.:.||::::://| /イ
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ト、 ,.  ̄ ̄Τ 弋tァ― `ー / l从 |メ|_l l_.l斗l |ヽ V |:| ̄ ̄ ̄ ̄ フ  ̄ ̄ | イ
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\! | / 入_.V/| >-ヘ \:::∨::∧ ∨ ∠二 -‐ .二二 -‐ ' ´ / / / l. l
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.,,r'',,r| .,, ゙゚ti,゙゙|,,,i,´ | ^ ^ | |,l° .,√ | あれほど言ったはずだ
.'ur“: .lyl廴 `゚'!c.廴 | .>ノ(、_, )ヽ、.| l° ,,,l < わたしを怒らせるなと
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O 。
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|__|__|__|_ __((´∀`\ )< というお話だったのサ
|_|__|__|__ /ノへゝ/''' )ヽ \_________
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|_|_| 从.从从 | \__ ̄ ̄⊂|丿/
|__|| 从人人从. | /\__/::::::|||
|_|_|///ヽヾ\ / ::::::::::::ゝ/||
────────(~〜ヽ::::::::::::|/ = 完 =
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人./ノ_ら~ | ・・・と見せかけて!
从 iヽ_)// ∠ 再 開 !!!!
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)::::/∠Λ てノし)' ,.-―-、 _
______人/ :/´Д`):: ( _ノ _ノ^ヾ_) < へヽ\
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巛ノi
ノ ノ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
ノ')/ノ_ら ∧_∧ | いきなり出てくんな!!
、)/:./、 ( ´Д`) | ビックリしたぞゴラァ!!!
)/:./.:.(,. ノ) `';~"`'~,. \ ________
\\:..Y:.( ・ '' :, ,. -―- 、|/
_____ 从\、,. ,; .,、∴';. ・ ( _ノ~ヾ、ヽ
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|_|_| 从.从从:/ |__|::|ノ \ ミ`;^ヾ,)∃ < へヽ\
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