【友達≦】幼馴染み萌えスレ12章【<恋人】

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541名無しさん@ピンキー:2007/08/13(月) 23:16:48 ID:7txVAGMt
お願いします
542名無しさん@ピンキー:2007/08/14(火) 00:21:59 ID:3xzLUFdA
それじゃ、試しに投下してみます。
543名無しさん@ピンキー:2007/08/14(火) 00:26:09 ID:3xzLUFdA
「それじゃ、お先に失礼します」
「おう、お疲れさん」
 荷物をまとめて鞄に詰め込み、先輩に挨拶をしてから会社を出る。
 少々出るのが遅かったかも知れない。マナーモードに設定してある携帯電話がさっきから震えっぱなしだ。
 出たら出たで怒られるのは分かっているので出ない。それよりまず一秒でも早く待ち合わせ場所に着くことだ。
 走って、走って、走って─
 
「おーそーいー」
 会社を出て五分後、俺はスーツ姿の女性に文句を言われていた。
 女性としては高い身長、黒いパンツスーツ、モデル顔負けのスタイル、整った顔に長い黒髪。
 ぱっと見は、どこぞのキャリアウーマンだが、朗らかな笑顔が柔和な雰囲気を感じさせる。
 男女関係なく振り向かせる様な女性。
「はぁ…はぁ…わ、悪いな……はぁ…」
「十五分も遅刻。電話にも出ないし。まったく、後五分来なかったら帰ろうと思ってたよ?」
「悪かったって…ふぅ……ちと、片付けておきたいもんがあったから」
「ふぅん?皆原優也くんは幼馴染みより仕事の方が大事なんだね?そうなんだね?私悲しいな」
 言葉面だけ見ると怒っているようだが、口調にそんな調子は無い。
 そんな彼女の調子に笑ってしまう。
「なんでそうなるんだよ?どっちも大事だっての」
 幼馴染み、と言うか彼女の方が大事だが、言えるものか………
「………」
「な、なに?」
 なぜか恨めしそうな目を俺に向けてくる。
「……ま、良いもん。伊藤友梨ちゃんは優しいからそんな優くんも許したげるもん」
 いったい俺は何を許されたんだ?
 そんなことを聞く暇もなく、彼女、同じ会社の部署違いの友人、俺の幼馴染みの伊藤友梨は居酒屋に入って行く。
544名無しさん@ピンキー:2007/08/14(火) 00:28:04 ID:3xzLUFdA
「……だからね、私はそういうのが好きだって言ったの」
「それで?」
「そしたら美奈ちゃんね。『私はそういう………」
 いつもの会話。いつもの役割。彼女は話し手、俺は聞き手。
 彼女は最近の出来事や愚痴を話し、俺はそれに適当な応答を返す。
 いつもの事だ。いつものままで充分。近くに入れれば、それで。
 彼女は酒も入って舌の回りが良い。俺が飲むのはコーラやサイダー等の炭酸飲料。
 別に酒が嫌いな訳じゃない。飲むときは飲むし、それなりに強い自信もある。
 ただ、彼女と飲むときは酔っちゃいけない。彼女を送らなければならないから。彼女に何かあってはいけないから。
「ちょっと、聞いてるの!?」
「ん?あぁ、すまん」
 
「だからね、私…は……そこで…………あぁ…言っ……………」
「………友梨?」
 机に突っ伏している。どうやら眠ってしまったらしい。
「……ぬぅ…」
 別に彼女が眠ってしまうのはいつもの事だ。ただ、いつも思う。
─出来れば起きていて欲しい
 
「御来店、ありがとうございましたー」
 会計の女店員が微笑ましげな目で俺達を見ていたのが妙に記憶に残る。
 まぁ、来るたび来るたびこんな感じじゃ微笑ましげにもなるか?
 俺は寝てしまっている彼女をおんぶしていた。
 正直、彼女がズボンで助かった。過去にタイトスカートで、足を開けないから、お姫様だっこをするしかなかった事があった。
 ……だめだ、思い出すだけで赤面してしまう…
 通行人は羨望と嫉妬、微笑みが混ざりあったような視線を向けてくる。
 まぁ、小さいときから一緒にいる俺でも綺麗だと思うからな。赤の他人がそういう視線を向けるのも分かる。もう慣れた。
 ……恥ずかしいには変わらないが…
545名無しさん@ピンキー:2007/08/14(火) 00:30:16 ID:3xzLUFdA
「……ふぅ…」
 駅の駐車場。目指していた車が見えてくる。
 大学在学中に親から資金を提供してもらい購入した軽自動車。免許ももちろん取ってある。
 基本的に電車で通勤、帰宅するが、さすがに友梨をおんぶしたまま電車には乗れない。
 だから友梨から「今日は飲もう」と連絡があったら車を使う。
「んぅ……」
 背中の彼女が唸り、俺の首筋に頬擦りをする。
 彼女をおんぶ出来るのは、幼馴染みの特権だろう。
 実家は隣同士、幼稚園、小学校はもちろん、中学、高校、大学、果てには就職先まで一緒だった幼馴染み。
 小さい頃から一緒に遊び、その付き合いは社会人三年目の今になっても続いている。
 いつの間にか、だった。理由は分からない。
 彼女を好きになっていた。
 だけど、幼馴染みと言う関係を崩すのが怖くて、まだ、告白も何もしていない。
「……はぁ…」
 彼女を後部座席に乗せて、自分は運転席に。
 いつか、この関係を崩すのだろうか?崩せるのだろうか?
 
 
 友梨の実家の前に車を停める。彼女はまだ起きていない様だ。
 ……しょうがない…
 再び彼女をおんぶして玄関先へ。まだ十時は回っていない。チャイムを鳴らす。
「はーい、あら、優くん、こんばんは」
 出てきたのは友梨の母親。
「こんばんは」
「また今日も?」
「今日もです。ちょっと失礼します」
 許可を貰い中に上がらせてもらう。
 そのまま階段をあがり彼女の部屋に。
 ドアを開けるとたくさんのぬいぐるみが出迎えをしてくれる。
 友梨は可愛いものが好きで、ぬいぐるみを集めている。
 それを知っているのは彼女の家族と俺くらいのものだろう。
 その事実が、なんとなく嬉しい。
 友梨をベットに寝かせる。
 優しげな寝顔だ。
「……じゃあな」
 出来る限り静かにドアを閉める。彼女を起こしてしまわない様に。
 
「……なにか、してよ………」
 部屋に響くその呟きは、誰にも聞こえなかった。
546名無しさん@ピンキー:2007/08/14(火) 00:32:22 ID:3xzLUFdA
 階段をおりると、まだ友梨の母がいた。
「いつもありがとうね」
「いえ、幼馴染みですから」
「幼馴染み、ねぇ……」
「?」
 何か変なことを言っただろうか?
「いやね?そろそろ良い歳って言ってもいいころじゃない?」
「…ええ、まぁ……そうですね」
 俺と同い年だから20代後半になるはずだ。
「だからね?そろそろ結婚とか、そういう話、した方が良いかなぁって思うの」
「いいんじゃないですか?友梨なら、相手には困らないと思いますよ」
「……はぁ…」
 なぜか深く溜め息をつかれた。変なこと言ってますか?俺は?
「じゃあ、お邪魔しました」
「……じゃあねぇ。優くんなら、いつでも来て良いからね」
 
 結婚、か。友梨は困らないだろうな。美人の上に仕事が出来る。料理もそこそこ出来たはずだ。
 天は彼女に二物以上を与えた。
 俺は……どうなるんだかな。
 一応会社ではそこそこ仕事出来る方らしい。
 顔は…甘目に見て……中の上?……駄目だ、自分で言ってて悲しくなる。
 
「……ふぅ…」
 やっと家に着いた。彼女は実家から通勤しているが、俺は一人暮らしだ。
 実家にはたまに帰るし、親と仲が悪かったりする訳じゃない。
 ただ、男なのにいつまでも親の世話になるのが嫌だっただけ。
 小さい意地だ。まぁ、一応最低限の料理や片付けくらいは出来る様になった。そこは成長したところだろうか?
 ただ、このくらいの成長で、彼女と釣り合う様な男に、なれる訳がない。
 シャワー……は…面倒臭い……
 今日は金曜日、明日土曜日は休みのはずだ。
「別に、いいか」
 そのままベットに倒れこむ。
「…友梨……好きだ……」
 この一言が直接言えたら、どれだけ楽だろうか。
 この呟きは、誰にも聞こえない。
547名無しさん@ピンキー:2007/08/14(火) 00:36:15 ID:3xzLUFdA
投下終了
出来ることならもうちょい書き続けたいと思ってます。
感想とか、貰えたら嬉しいです。
548名無しさん@ピンキー:2007/08/14(火) 02:06:55 ID:wdXpaRxM
王道…だがそれがいい
GJ!
549名無しさん@ピンキー:2007/08/14(火) 02:08:42 ID:KNcy/jdw
是非続きを書いてください!続きが気になって仕方ない!
550名無しさん@ピンキー:2007/08/14(火) 03:10:23 ID:nIghLGqM
20後半…奥手にもほどがあるwww

だがGJ
551名無しさん@ピンキー:2007/08/14(火) 03:55:56 ID:jmQU1r8X
王道だが20代後半は奇抜ですなww

GJ!!続き待ってます
552名無しさん@ピンキー:2007/08/14(火) 08:35:34 ID:T5Oo3+gy
age
553名無しさん@ピンキー:2007/08/14(火) 17:14:52 ID:oysL+DVP
社会人ネタとか少ないしGJ!
554名無しさん@ピンキー:2007/08/14(火) 19:25:46 ID:q9tR+EaN
GJ!
社会人ネタいいねえ。

ところで480KBを超えたわけだが。
555名無しさん@ピンキー:2007/08/15(水) 02:56:47 ID:thLtn+NQ
次スレ建ててくれ
556名無しさん@ピンキー:2007/08/15(水) 03:31:42 ID:8BU4nIeq
結婚&新婚萌えスレで内容が非常に似通った作品を見た気が・・・・・・気のせいか?
557名無しさん@ピンキー:2007/08/15(水) 09:07:03 ID:112bah+7
>>556
みたいですね。今見てきました。
ただ、それのことは知りませんでした。真似したつもりも無いです。
まぁ、今回は被ってるとこが確かに多かったからそう思われても仕方ないですね。
パクりとかと思われるくらいなら、投下は自粛します。
558名無しさん@ピンキー:2007/08/15(水) 23:21:06 ID:tq9bsI96
次スレのテンプレこのままでいいの?
559名無しさん@ピンキー:2007/08/15(水) 23:42:45 ID:4uQrJdbx
>>557
まあ、作家の数だけ作品があるんだから、他の作品と一部被る所があっても不思議じゃないんで…
というわけで続きにwktk
560名無しさん@ピンキー:2007/08/16(木) 00:09:40 ID:OXUKzJiS
そうだねぇ。まぁこれからも投下したいのであれば、どんどん投下すべきだと思うなぁ。
それが結局は盗作の疑いを晴らす一番の手段だし。個人的には続きを読みたいんで投下待ってるよー。

あとは連載物を抱えている職人さんも頑張れ! 絆と想いとシロクロの続きを俺は待ってるぞ!
561名無しさん@ピンキー:2007/08/16(木) 00:14:30 ID:wKLGwP6I
>>529
長髪にすることによる手入れの手間の方がずっと面倒って意味じゃね
手入れ無しでゴム縛りなんてしてたら、それこそ汚らしいオタの髪型の典型で
後ろからでもすぐわかるから、女性に間違えられる心配なんてねーし。
562名無しさん@ピンキー:2007/08/16(木) 00:53:46 ID:8HYTbzxt
【友達≦】幼馴染み萌えスレ13章【<恋人】
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1187193091/l50

初スレ立て
不備があれば申し訳ないですが補完お願いいたします
563名無しさん@ピンキー:2007/08/16(木) 13:25:21 ID:Yk+v4Ms2
>>562
埋めネタ投下.ややエロゲちっくなのは許してくれ
564名無しさん@ピンキー:2007/08/16(木) 13:26:43 ID:Yk+v4Ms2
やっぱり夏休みだよ! 夏休み.
嬉しい気分で過ごして想い出を作るには夏休みが一番だ.
近所に出かけるのもいいし,それが例えありふれた近場でも夏はなんか良い.
普段行かない海辺でも観光地でも良い.色んな場所が最高になるさ.
やっぱりだからつまり夏はイイぜ.

なんて浮かれてしまうほど夏の暑さや熱風がおれの気分を高めてくれる.
試験が終わり単位を何とか滑り込みで取った後は,お楽しみの始まりだ.
彼女と一緒に出かけたいけれど彼女は親戚の家に顔を出さないといけないらしい.
なら,おれは地元でのんびり過ごすかな,と言うわけで今日は幼なじみと待ち合わせ.
それにしても折角の夏休みなのに,おれの彼女ときたら
親戚に顔出ししなくちゃ,なんてなんだかなあ…….
まあそんなことはいいか,夏だし.
陽気に回転しながらドアをへし開ける!
そのまま外に出て,でんぐり返しをしながら待ち合わせの場所へ!
まあ,しないけどな.

地元の風が吹く.熱い風.
田んぼの中にある,こじんまりした薄い林の神社が待ち合わせの場所.
周りがマジで水田しかなくて笑える.
大きな道路から既に神社の中に見える白い人影がヤツだろう.
細いあぜ道を通って祠の前に突っ立っている娘に近づく.
「遅いよ……」
「いやあ悪い.今日も暑ぃな」
日陰でも白のワンピースは眩しく見えた.
「笑って誤魔化すんだから……」
「いや,お前のためを思って,でんぐり返ししながら来たら時間がかかって」
「してないでしょ」
「したぞ」
「嘘!?」
「やーい,騙されてやんの」
「すぐ騙す……」
そしてお前はすぐ騙される.
実際は前転を三回半もしたら気持ち悪くなって止めちゃったんだけどな.
565名無しさん@ピンキー:2007/08/16(木) 13:31:01 ID:Yk+v4Ms2
「時間には間に合うように来たつもりだったけど遅かったかな」
腕時計を確認する.あれ?約束の時間3分過ぎぐらい??
「そ,そんなことより,今日は何処行くの?」
「今は夏だな!」
「うん」
「夏はすべての場所がスペシャルになる!」
「う,うん……」
「その微妙な反応はなんだ」
「何でも?」
何故疑問形……….
「近場の丘にある神社に行こうと思う」
「清竜神社?」
「ああ.大して何も無いけどさ.大学のレポートにも丁度都合が良くてな」
「地元の歴史取材? いいね,それ.私も少し興味あるな」
「おし,行こうぜ.理菜」
「うん,健次ちゃん」

田んぼ沿いの道は広くて車がびゅんびゅん飛ばしている.
日差しは,だ〜だ〜と照りかかって来てシャワーを浴びるようだ.
そんな中ワンピースを風にはためかせながら歩く理菜の姿を横目に見るのも
面白いと言えば面白い.
ヤツは日差し避けに麦藁帽子を被り,広い道を飛ばす車の風圧に飛ばされないように
帽子のふちを押さえたりなんかしてその仕草は決まってると言えば決まっていなくもない.
「オマエ麦藁帽子なんて被ってるのかよ」
日差し避けの素朴な帽子をいじくる.
「わあっ,止めてよ健次ちゃん」
押さえていた手を深く構えてしまう理菜.
「もう,意地悪……」
「ははは.つい,な.でもそれ子供っぽくないか?」
「そんなことないよ.それより健次ちゃんは被りものなくて大丈夫なの?」
「平気さ.丘までの道ぐらいなら.だけど理菜は必要かもな」
理菜は体が少し弱いから…….
「私だって別に用心しての事だもん.そんな軟弱じゃないからね」
実は気にしてるらしい.


「おっと,自転車来てるぜ」
「あ……」
理菜の手を引いて端による.
その横をシャーっと漕いでいく自転車.
「いやー,なんか競輪みたいな格好してたな.気合入ってんな〜」
「………」
「プロの人か自転車好きなんだろうなあ」
「………」
「なあ,理菜?」
「………」
「ん?帽子飛ぶぞ」
おれが自動車の風圧に飛ばされないよう帽子を押さえるとようやく気付いたみたいに
理菜はおれの手から帽子へと手を移す.
「あ,ありがと」
「いや帽子押さえたぐらいで大袈裟な」
おれたちは歩き出す.
理菜のワンピースと麦藁帽子が熱い夏に茹だる気持ちを落ち着かせてくれた.
566名無しさん@ピンキー:2007/08/16(木) 13:33:59 ID:Yk+v4Ms2
埋めネタ投下終了.
ハイ,お後がよろしいようで.
567名無しさん@ピンキー:2007/08/16(木) 14:03:05 ID:n2hLShCL
>>563-565
まだ500kBまでは余裕がある。せめて目的地について何するかとか、
ヒロインの微妙な反応の理由くらいまでは書いてくれ。頼む。
568名無しさん@ピンキー:2007/08/16(木) 16:20:40 ID:Yk+v4Ms2
むぅ,テキトーに書いただけだから続きを書けるか自信ないぞ
微妙な反応を返した理由は「夏はすべての場所がスペシャルになる!」
と異様にハイテンションな主人公に(健次ちゃんは相変わらずだなあ……)と
思ってるだけだったり.ダメかもしんないけど埋まるまで続き考えてみるよ
569名無しさん@ピンキー:2007/08/16(木) 17:18:11 ID:nlFol+L5
幼なじみちゃんはハイテンションBOYに
彼女がいる事を知るや知らずや……

色男、女を泣かすなよー、とか言ってみるテスツ
570名無しさん@ピンキー:2007/08/16(木) 18:55:18 ID:8heaa93M
できれば句読点は「、」と「。」にしてもらえると嬉しい。
571名無しさん@ピンキー:2007/08/16(木) 20:32:38 ID:Yk+v4Ms2
おk 続き書いたぞ
572名無しさん@ピンキー:2007/08/16(木) 20:34:04 ID:Yk+v4Ms2
それで結局、清竜神社に行ってみたんだが、石碑を見たりして分かった事は
その神社は平安時代の頃に建てられたもので、治水を願って建設されたものであることや
先ほど待ち合わせに使った小さな神社は清竜神社の分社であることだった。
管理してる人のいない神社なので詳しい情報は分からない。
「水神を祭る為……でもそれにしては近くに川はなかったと思うけど」
理菜が首を傾げる。
「確かに。だが治水のための神社が川の側にあって決壊で破壊されても困ると言う事かな」
「でもちょっと離れすぎな気もするなぁ」
「もしかしたら昔と今では川が違うのかもしれないぞ。
 工事とかして川が変わってしまったとか」
「うふふ」
「……なんだ?」
「川がカワった、て……ふふふぅ」
「あほかっ」
ぽくっ
麦藁帽子が、ぽむっと弾む。
「ごめんごめん……ふふっ………」
「ったくよー。それにしても暑いな。そこの縁側が日陰になってるから、ちっと休むか」
「うん………ふふぅ……」
まだ笑ってるのかよ!

「さて、それではスーパー夏実感タイムの開始と行こうか」
「?」
おれはバッグから取り出した!
「ミニク〜ラ〜ボックス〜〜!」
「ドラえ○ん?」
「はい、アイス」
「うわぁ、凄い! 凄いよ、健次ちゃん!!」
「いーだろ?」
「うん、最高だよっ」
「おれに感謝して食え。貪るように食え」
まあ、暑い中おれの予定に付き合ってくれたんだしコレぐらいしておこうと思いましてね。

「ありがとー! 健次えもん」
「誰が健次えもんだっ!」
理菜は、おれのツッコミを笑顔で受け流しアイスをかじる。
「ち、アイス好きめっ。腹でも壊すがいい」
「んちゅ……本当に感謝ひてるひょぉ……ちゅっ、んぷっ」

なんか…………エロくね?
人のいない神社の中、おれはセミの声をバックに理菜にフェラをさせている。
「うまいか?」と訊けば「おいひいよぉ」と彼女が返す。
そして、おれはそのまま彼女の口に特濃ミルクを
トロトロになったアイスシャーベットのように注ぐのだった――
な〜んてエロ週刊誌や東スポよろしくのエロ妄想は頭の中から
無理矢理にでも理性でねじふせて追い出す。
小生の愚息も一気に昇天!なんてやるわけにいかないからな。
573名無しさん@ピンキー:2007/08/16(木) 20:36:19 ID:Yk+v4Ms2
「健次ちゃんっ、垂れてるよ!」
なに、先走り液!? じゃなくてアイスの話か。
「ハッハー、すまんすまん。おれはアイスを持って楽しむ趣味の持ち主でな」
おれは凄い言い訳で凌いだ。騙されてくれ理菜よ。
今晩のオカズにお世話になります、なんて考えてる事に気付くなよ?
「んもうっ、だから垂れてるってば! ……ぺろ」
理菜がひょいと舌を伸ばし、溶けたアイスの雫を舐める。
舐める、のだが彼女の舌はおれの指も、ちろっとくすぐる。
「………ぅ」
「な、なに……?」
そう返す理菜の顔だって赤い。
「い、いや。おれのかじったアイスでもあるわけで、いわゆる間接キスってやつにならないか?」
「……! べ、べつにそんなこと気にしないってば!」
「ま、まあな! そんなこといちいち気にしたりなんかしないけどな」
アイス食ってるのに、なんで赤面しないといけないんだ。
おれはがじがじと残りのアイスを食っていった。

そうして、ようやく頬の熱さも冷めてきた頃。
「こうして一緒にいると昔を思い出すね」
理菜がぽつりと呟いた。
「去年の夏も健次ちゃん、帰って来てくれたよね」
……。
「やっぱり夏は最高だよ。でも…………。
 でも、去年の夏休みはそんなに長く一緒にいられなかった」
「………そうだったかな」
「そうだったよ」
それは、おれに事情があったからだ。彼女が出来たから。
「もしかしたら、今年は帰って来てくれないんじゃないかと思ってた」
「…………」
「でも……帰ってきてくれた」
そして理菜は一息つくと静かに続けた。
「やっぱり夏は最高だよ」
そんな大したもんじゃないさ。でも何故か彼女にそんな風に言う事はできなかった。
笑顔がまるで向日葵のようだから。

だが、その向日葵が、あまりにも眩しすぎて
「帰ってきた健次マン」
「ウル○ラマンじゃないよぉ」
つい、ふざけてしまう。
「帰ってきた、だがウ○トラの母」
「嬉しくないよぉっ」
おれのからかいの言葉に、まるでくすぐられているような理菜の反応が心地よかった。
574名無しさん@ピンキー:2007/08/16(木) 20:42:42 ID:Yk+v4Ms2
>>570
すまん。いつも書いてる報告書の仕様のまんまだった

てなわけで神社行くとこまで書いたんだがオチがつかねぇ
この後、付き合ってる彼女捨てて幼なじみを選ぶという見え見えのエンディングが
あるわけだが、そのへんは妄想でカバーだ
ダメか?
575名無しさん@ピンキー:2007/08/16(木) 20:57:16 ID:/aO83SV0
書くんだ
576名無しさん@ピンキー:2007/08/16(木) 21:46:29 ID:zFsYbKC3
むしろ付き合ってる彼女の方も書いてくれ
577名無しさん@ピンキー:2007/08/16(木) 21:47:58 ID:c0y9w2wL
そこまで創作意欲があり、需要もあるなら埋めSSで終わらせるなんてもったいない
You次スレで連載しちゃいなよ
578名無しさん@ピンキー:2007/08/17(金) 00:48:50 ID:p16Uxx0l
上げてくぜい!
579名無しさん@ピンキー:2007/08/17(金) 08:32:28 ID:+zAhZ3cD
>>575-577
むむむ、夏休み中だから一区切りするところまで書けるかな
てかまだ、このスレ容量残ってるのか
580名無しさん@ピンキー:2007/08/17(金) 17:59:21 ID:mFYfA4l2
AAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
581名無しさん@ピンキー:2007/08/17(金) 18:00:06 ID:mFYfA4l2
あれ?なにこれ
582『縁側とミルクアイス』 ◆NVcIiajIyg :2007/08/17(金) 22:01:08 ID:KEz/OOuN

夏休みは自由で楽しいけれど憂鬱だ。

幼馴染みの勝利の家には、毎年お盆になると従兄がやってくる。
努(つとむ)兄ちゃんは都会に住んでいてここらにはちょっといない雰囲気を持っている。
明るくて少年漫画が大好きで、小さい頃からうちにもよく漫画を借りに来ていた。
(うちは漫画大好きなパパのせいで近所から漫画御殿といわれている。恥ずかしい)
(閑話休題)


――問題はひとつだけ。

努兄ちゃんは世間で言うところのロリコンというものらしい。
ゆえにあまり深くかかわってはいけない。
特に、年齢の割に背が低くて大人の体型になるまでもう少しだけかかりそうな、あたしなんかの場合にはなおさらだ。
583『縁側とミルクアイス』 ◆NVcIiajIyg :2007/08/17(金) 22:02:23 ID:KEz/OOuN




「愛ちゃーん。ごろごろしていないで、紫蘇の葉っぱ、お庭から取ってきてちょうだい。」

ママが最近倉庫から出してきた「ベルサイユのばら」を読んでいたら
すごくいいところでお手伝いを頼まれてしまった。
あんまりだ。
今まさにアンドレがオスカルと乾杯しようとするところだったのに。
抗議したけれどダメだったので、悔しい気持ちのまま裏口からサンダルを履いて表に回った。
6時の空はまだ明るい。
芝生には夕立のにおいが残っていた。
庭のはずれにある小さな畑に屈んで何枚か葉を摘んでいると、すぐ近くから二人分の声がした。
隣の男の子たちが、ちょうど草むしりをしているようだ。

「……んー」
うううん。
勝利だけなら声をかけるのだけれども。

高い位置で二つ結びにした髪が夜風に揺れて、庭が騒ぐ。
まあ努兄ちゃんはちょっと変だけれど悪いお兄ちゃんでもないからいいということにした。
今年こそ復讐気分にならずに爽やかなお隣の妹を演じきってみせよう。
我が体型の名誉にかけて。

「ふったりともー」
低い柵の前まで草を踏みしめていき、隣の庭を覗く。
勝利は声をかける前に気づいたのか、軽く手を上げて合図してきた。
相変わらず腹が立つほど背がでかい。
「よ。ばんは」
「こんばんはー。手伝いしてんの?」
「おおお愛じゃないか久しぶりだなーもう十四歳かー!」
努兄ちゃんは瞬間的に立ち上がってこちらに来て私の頭をなではじめた。
早い。
顔はかっこいいのであまり嫌な気分ではないけれど身長差がありすぎていやだ。
黙っていると撫で回されながら覗き込まれてニコニコ笑われた。
584『縁側とミルクアイス』 ◆NVcIiajIyg :2007/08/17(金) 22:03:00 ID:KEz/OOuN

うああ。

嫌な予感がする。

「つ、努兄ちゃんは、受験なんでしょ。いいの?こっち来てても」
「俺は頭いいからオー・ケーなのよ…いやしかし」

勝利が後ろで立ち上がっているのが見える。
遅い。
対応が遅い。
じろじろと胸の辺りを眺められて首を満足げに振られ溜息をつかれ、
既に次の言葉がすごくよく分かってしまったので勝利が止めるのも間に合わないと思う。

「愛はやっぱり可愛いなあ。
 いくつになっても体型は ぜ ん ぜ ん 変わってないようで何よりだ!」
「……う、」
「背もそろそろ止まったのかな?うんうん、いつまでもそのままでいろよ!」
「――うるっっっさあああい!!!!」

近所中に響き渡る声で怒鳴ったので窓からお母さんと弟の友と向かいのおじいさんと
勝利のお父さんが顔を出して斜め向かいの今の電気がついたけどそれどころではない。
やはりこのロリコンで無礼な顔だけ兄ちゃんには十年来の復讐をッ!!
585『縁側とミルクアイス』 ◆NVcIiajIyg :2007/08/17(金) 22:04:14 ID:KEz/OOuN
と力いっぱい助走しつつ塀を乗り越えけたところで勝利に額を押さえられて止められた。
じたばたしてもダメで力ではどうしたって敵わない。
左ジャブもよけられた。
悔しい。
「もう!ちょっと放」
「まったく。毎年よくやるよな」
「放しなさい勝利!勝利は馬鹿にされてないから分かんないのよ!」
「いやァ馬鹿にしてるわけじゃなくて誉め」
「努兄ちゃんは黙ってて!!こ、これでもあたしだって、先輩にデート誘われたりしたし、
 映画だって行ったし。
 …ぜ。ぜんぜん子供ってわけじゃないんだからっ」

涙が出てきた。
今年はそんなこともあって、ちょっとくらい女の子らしくなれてるかなとか、自信もつき始めてたのに。

そりゃあ誘ってくれた先輩のことが好きかどうかはまだ分からなくて、
せいぜい一緒に帰るくらいでまだお付き合いしたりとかそういうことはしてないけど。
でもいつも悠々としている勝利に威張れるくらいには大人になったかなって。
「泣くな泣くな」
ぽんぽんと同い年の幼馴染みに頭を叩かれて無性に悔しかった。
「泣いてないわよ」
紫蘇の葉っぱを握り締めて睨むと溜息をつかれた。
努兄ちゃんは何も知らない顔でずっと向こうまで逃げ出している。
……お母さんに怒られそうだし、もう何も無かったことにして手伝いに戻ろう。
悔しいけど。
勝利に慰められてずれた髪を結びなおして、紫蘇を摘みなおして家に入る。
なんとなく漫画の気分じゃなかったので夕飯の準備をたくさん手伝った。
梅のそうめんだった。
友が日焼けした手であたしの分まで食べていたのでお箸で叩いてテレビを見る。
8月ももう下旬、と天気予報で言っていた。
お盆休みもそろそろ終わってしまう。
586『縁側とミルクアイス』 ◆NVcIiajIyg :2007/08/17(金) 22:05:45 ID:KEz/OOuN
シャワーのあと、縁側でお母さんと涼んでいると勝利がビニール袋を手に提げてうちにきた。
お隣からのアイスのお裾分けだった。
お母さんがお礼のお惣菜を取りにに台所まで戻っていく。
ビニール袋を覗き込んでちょっとだけ笑った。
あたしの好きな6本300円のミルクアイスだ。
「ありがと」
「や。兄ちゃんのアレ、あんま気にすんなよ」
「別に。気にしてないわよ」
濡れたままおろした髪をいじって、みえみえの嘘をつく。
「そんならいいけど」
笑った声が見透かされているのもいつものことだ。
隣の家に帰っていく幼馴染みを見送りながら、夜の雲を眺めてアイスをかじった。
虫が縁の下で鳴いている。

そう、毎年こうなんだから呆れもする。
お盆のたびに隣の兄ちゃんに馬鹿にされて、泣き出して、勝利があとから慰めにやってくる。

いつかは「成長したじゃないか」って初恋のお兄ちゃんを驚かせてやりたいと、心の底で思っていたこともあったけれど。
まあ驚いたとして、努兄ちゃんは顔だけの変態ロリコンだから別に喜んではくれないんだろう。

まあいいのだ。
あたしだって好意とからかいの区別がつくくらいにはなんとか成長してきている。
それに対して闘う女の子の意地は、小学生にだって中学生にだってあるものだ。
そこまで考えたら漫画の続きを読みたくなって、ビニール袋を手に提げたままあたしは縁側に立ち上がった。




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埋めネタでした。
ベルばらは良い幼馴染みですね。ノシ
587名無しさん@ピンキー:2007/08/18(土) 01:58:02 ID:GMfiW3XP
>>243
good UME!
588名無しさん@ピンキー:2007/08/21(火) 14:46:37 ID:qpYMlvMb
589名無しさん@ピンキー:2007/08/23(木) 06:51:28 ID:a72sNzFR
590名無しさん@ピンキー