【絶望先生】久米田康治エロパロ総合 Part14【改蔵】

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1名無しさん@ピンキー
久米田康治作品のSSスレです。
週刊少年マガジンに大好評絶賛連載中の「さよなら絶望先生」ほか
「かってに改蔵」「行け!南国アイスホッケー部」「育ってダーリン」など
以前の作品も歓迎。


前スレ
【絶望先生】久米田康治エロパロ総合 Part13【改蔵】
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1200314711/

過去スレ
【絶望先生】久米田康治エロパロ総合 Part12【改蔵】
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1196555513/
【絶望先生】久米田康治エロパロ総合 Part11【改蔵】
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1193976260/
【絶望先生】久米田康治エロパロ総合 Part10【改蔵】
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1191831526/
【絶望先生】久米田康治エロパロ総合 Part9【改蔵】
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1190512046/
【絶望先生】久米田康治エロパロ総合 Part8【改蔵】
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1189391109/
【絶望先生】久米田康治エロパロ総合 Part7【改蔵】
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1186778030/
【絶望先生】久米田康治エロパロ総合 Part6【改蔵】
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1167898222/
【絶望先生】久米田康治エロパロ総合 Partご【改蔵】
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1147536510/
【絶望先生】久米田康治エロパロ総合 Part4【改蔵】
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1123772506
【改蔵】久米田康司エロパロ総合 Part3【南国】
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1105319280
かってに改蔵 Part2 【久米田康治総合】
http://idol.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1083582503/
【かってに改蔵〜天才エロ小説〜】
http://pie.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1035829622/


これまでに投下されたSSの保管場所
2chエロパロ板SS保管庫
ttp://sslibrary.gozaru.jp/


あぷろだ(SS保管庫付属)
http://www.degitalscope.com/~mbspro/userfiles_res/sslibrary/index.html
2名無しさん@ピンキー:2008/03/02(日) 02:17:29 ID:v9OniVne
>>1
誰だ!?カッコイイ!
3名無しさん@ピンキー:2008/03/02(日) 02:38:21 ID:jENdcNEH
>>1
アリアリアリアリ!
フィーバー!!
4名無しさん@ピンキー:2008/03/02(日) 05:23:31 ID:eGXRdOrD
>>1
乙と言わざるを得ない
5名無しさん@ピンキー:2008/03/02(日) 08:45:27 ID:0zY3enFX
ところで>>1のスレ建てを見てくれ
こいつをどう思う?
すごく・・・>>1乙です
俊敏なスレ建て乙!
6名無しさん@ピンキー:2008/03/02(日) 11:13:03 ID:xPDTTtsh
>>1
美形だ。しかも白い。
心中候補に入れておこう。


新スレ早々質問なんて気が引けるが、先生がマリアを呼ぶ時の呼称ってなんだっけ?
「関内くん」な気もするんだが、自信がない。
今手元にコミックがなくて確認できないんだ、誰か教えて欲しい。
7名無しさん@ピンキー:2008/03/02(日) 11:14:45 ID:IezHsnlz
〜さん だったような
8名無しさん@ピンキー:2008/03/02(日) 11:21:21 ID:xPDTTtsh
「関内さん」だったか。ありがとう。それに統一する。
9名無しさん@ピンキー:2008/03/02(日) 13:02:03 ID:v9OniVne
たぶん両方呼んだことある、確か「さん」の方が新しい
戸籍が男だから形式上〜くんって言ってたけど、パンツ履いてないせいで色々見てしまったから〜さんになった
…のかもしれない
10名無しさん@ピンキー:2008/03/02(日) 15:08:22 ID:v9OniVne
と思うんだが関内さんが見当たらない、どっかで言ってたと思うんだが…
関内くんは4集で言ってた
11名無しさん@ピンキー:2008/03/02(日) 18:03:13 ID:eGXRdOrD
だいたいマ太郎の事あまり名前で呼ばないだろ
アニメでは関内さんだったけど
12名無しさん@ピンキー:2008/03/02(日) 20:02:32 ID:P0tFHFtF
俗の9話では関内くんだったよ
13名無しさん@ピンキー:2008/03/04(火) 17:17:49 ID:LBnwtJPo
言われてみれば…
14名無しさん@ピンキー:2008/03/05(水) 11:12:02 ID:u6KOo/1/
先生×千里×藤吉さんの3Pネタ
百合要素が多分に含まれるので、駄目な人はスルーしてください
あと、ちょっとお尻責めるシーンもあるので、それが駄目な人も
新スレ1発目から偏った感じでなんかすいません
15千里の恩返し:2008/03/05(水) 11:12:56 ID:u6KOo/1/
「ううっ、しゅらばしゅらば」
「しゅらばしゅらば…じゃないでしょ!なんで、もっときちんと計画立ててできないの?」
「そんなこと言っても、こういうのはノリが大事というか…」
「まあこの調子なら何とかなるでしょ。あとちょっとですよ、木津さん」


糸色望の暮らす宿直室に、二人の女生徒が居た。
一人は藤吉晴美、ちゃぶ台の上で原稿用紙にガリガリとペンを走らせている。
晴美は、望が担任を務めるクラスの女生徒の一人で、そして望の恋人だった。
もう一人は木津千里、文句を言いながらも晴美の原稿を手伝っている。
千里も、望のクラスの女生徒で、晴美の親友で、そして彼女もまた望の恋人だった。

あと数時間のうちに完成させて、印刷所に送らなければ、入稿の締め切りに間に合わない。
そう泣きつかれて、望と千里は、晴美の同人誌作りの手伝いをさせられていた。
千里は晴美との付き合いが長いため、こういう作業には慣れたものだ。
また、望も持ち前の器用さで、晴美の要望にしっかりと応えることが出来た。
その甲斐あって、どうやら原稿は時間内に完成しそうだ。
16千里の恩返し:2008/03/05(水) 11:13:56 ID:u6KOo/1/
「終わっ…たぁぁー」
「ふう、次からはもうちょっと余裕持たせなさいよ」
「努力する」
「まったく…」
ごろんと寝転がった晴美の、徹夜続きで疲れた顔を千里が揉みほぐす。
以前、千里がしてもらったリンパマッサージだ。
「んー、きもちいー…」
そんな二人の様子を見て、望が小さく笑った。

「じゃ、届けてきますね」
「おねがいします…」
二人の少女に見送られて、望が原稿の入った封筒を持って宿直室を出ていった。
17千里の恩返し:2008/03/05(水) 11:14:58 ID:u6KOo/1/
「…眠い……」
呟きながら、晴美が押入れから布団を出して、敷き始めた。
ここ数日、睡眠時間を削り、授業をサボってまで宿直室で漫画を描いていた晴美は既に限界だった。
晴美が、布団にぼふっと突っ込んで、深く息を吐く。
「はあー、助かったよ。先生と千里には、何かお礼しないとね…」
目を瞑り、そんなことを呟いて晴美は眠りについた。

「お礼……ねぇ」
寝息をたてる晴美を見ながら、何か晴美にして欲しいことなんてあったかな、と千里は考える。
「んー……………あ、そうだ」
なにやら思いついたのか、千里は眠る晴美の顔を見つめ、ふふっと笑った。
18千里の恩返し:2008/03/05(水) 11:15:56 ID:u6KOo/1/
「う…………おはよ、千里…ん?あれ?」
「あ、晴美起きましたよ、先生」
目が覚めたとき、晴美は自分の体に違和感を感じていた。
なぜだか身動きが取れない。
困惑する晴美の元に千里が近づいて、晴美にかけられた布団をぬばっと引っぺがした。
布団をはがされて、晴美は自分の状態を理解した。
全裸で後ろ手に縛られている、という状態を。

「え…ええ?ちょ、ちょ、ちょっと、なんで!?」
なぜそんな事になっているのか、事態が飲み込めずにいる晴美を千里が起こして座らせた。
そして、キスをひとつして、晴美の顔に眼鏡をかけてやる。
「お礼、してくれるんでしょ?」
「お礼って……もしかしてさっきの?」
「うん」
ちゅうっと晴美の胸に吸いつきながら千里が答えた。
19名無しさん@ピンキー:2008/03/05(水) 11:15:58 ID:ZViapFbv
【中国】スター三人、無修正写真流出「セックス?スキャンダル」

02-09?冠希裸照事件2月7号最新?[?思慧]-37P-
http://page.dreamhosters.com/page97.php?tid=13/2008-2-9/63187_2.shtml
http://page.dreamhosters.com/page97.php?tid=13/2008-2-9/63187_1.shtml
http://page.dreamhosters.com/page97.php?tid=/13/2008-2-9/63187.shtml

02-09?冠希裸照事件2月7号最新?[梁雨恩]-40P-
http://page.dreamhosters.com/page97.php?tid=13/2008-2-9/63186_2.shtml

02-09?冠希裸照事件2月7号最新?[??思]-10P-
http://page.dreamhosters.com/page97.php?tid=/13/2008-2-9/63185.shtml
20千里の恩返し:2008/03/05(水) 11:16:55 ID:u6KOo/1/
「っ…そんなの別に縛らなくても、ちゃんとしてあげるのに」
「だって、晴美の方がうまいじゃない……いつも私がこういうことしても、いつのまにか晴美に…」
「……それは千里が弱すぎるのが…」
「つべこべ言わないのっ!」
千里が晴美のつぼみに強く吸いついた。
「ひゃっ……うう…せんせぇ…?」
どうにも、縛られ、身動きの取れぬ状態で、なすがままにされるというのには不安を感じてしまい、
晴美は望の方に助けを求めた。
「まあ…こういうときの木津さんには逆らわないほうが良いというか…ね」
と言いながら、望が誤魔化すように晴美にキスをした。
(うぁぁぁ……先生期待してるぅぅ…)
既に晴美に逃げ場はないようだ。
二人は期待に満ちた目で晴美を見ながら、衣服を脱ぎ始めた。
21千里の恩返し:2008/03/05(水) 11:18:05 ID:u6KOo/1/
四つん這いにさせられた晴美は、望の肉棒を咥えながら後ろから千里に秘部を舐められていた。
普段と勝手が違うせいか、晴美の動きは少しぎこちなかったが、むしろそれが望の興奮を助長する。
(なんか…無理やりやってるみたいで…ちょっといい…ですね)
つい、もっと無茶なことをしてしまいたい、と考えてしまう望。
そんな自分の欲求を鎮めようと、望は晴美の頬を撫でた。
だが、晴美が不思議そうに上目遣いで見返してきたために、余計に望の欲求は高まってしまった。
(…がまんがまん)
望は目を瞑って、晴美の頭を撫で、自分を鎮めようとした。

とろとろと愛液を垂らす晴美の秘部を舐めていた千里が、そこから口を離し、晴美に話しかける。
「ふふふ…そういえば晴美は、ここにも興味あるのよね?」
と、千里が晴美の臀部に手をかけ、ふっと菊門に息を吹きかけた。
びくっと晴美の体が跳ね、望から口を離し、体をひねって千里の方を向いた。
「っな、千里!そういうわけっじゃ…ぁ……んんぅ…」
ぺろぺろと周辺を千里に舐めまわされ、その湿った感触に晴美が震えた。
さらに、千里の舌が晴美の中へと入ってきて、未体験のその感覚に晴美が身悶えする。
「あぅ……あっん…」
「ほら、晴美。ちゃんと先生の方も」
「う…ん」
はあはあと息を荒げながら、晴美は再び望の肉棒に口を近づけた。
22千里の恩返し:2008/03/05(水) 11:19:03 ID:u6KOo/1/
千里に指で秘部を、舌で肛門を掻き回される晴美は、瞳に涙を浮かべながら望の肉棒を咥えている。
「っふぅ、ほぐれてきたかな?よし」
晴美の菊門から舌を離し、代わって千里の指が晴美の肛門へと入っていった。
「っむぅぅ……んっ、んぅ…」
望の肉棒を咥えたまま、その感覚に悶える晴美。
その様子に興奮して、望の理性が限界を超えてしまう。

「すいません藤吉さん…ちょっとだけ…ごめんなさい!」
がしっと両手で晴美の頭を掴んで、望が自身を晴美の口内へ突き入れた。
苦しそうにする晴美に罪悪感を覚えながらも、先端を晴美の頬の内側にぐりゅぐりゅと押し付ける。
そんな風に自分を乱暴に扱う望に応えようと、晴美は口内で暴れる望に舌を絡ませる。
千里は唐突に眼前で始まったその激しい行為に、言葉を失って動きを止めてしまっていた。
「はぁっ…はぁっ…っっ…!」
どぶっと晴美の喉に精を放ち、望は半眼でだらしなく口を開きながら、その余韻に浸る。

「…あ、先生!」
「え…?うあ、すいません!」
千里に声をかけられて、望は晴美が苦しそうな顔をしている事に気づいた。
慌てて、晴美の口から自身を引き抜くと、晴美はごろんと仰向けになり、はあはあと荒い息をあげた。
口元に望の精液を付けたまま、とろんと虚ろな目で天井を見上げる晴美は、
痛々しくもひどく魅力的で、二人はその光景に思わず息をのんだ。
23千里の恩返し:2008/03/05(水) 11:20:01 ID:u6KOo/1/
千里が仰向けに寝転がる晴美の脚を開かせ、すっかり濡れそぼった晴美の蜜壷を舐める。
千里は、とても満ち足りた顔をしていた。
いつもやられっぱなしだった晴美に、あんな顔をさせることが出来たのが嬉しかったのだ。
それとは対照的に、望は申し訳なさそうな顔をしていた。

「すいません…」
望が、晴美の口元についた自身の精液をティッシュで拭いながら謝る。
晴美は、そんな望に柔らかくにこりと微笑みかけた。
「せんせ…もうちょっと、こっち来て」
と言われて、望が晴美に近づくと、晴美が望の肉棒を舐めた。
ぺろぺろと下を這わせて望の精液を舐めとっていく。
そうして、キレイになった望の肉棒をかぷりと咥えた。
望に快感を与えるためというより、むしろ晴美自身が落ち着くために。
その姿は卑猥でありながら、どこか子供らしくもあった。
24千里の恩返し:2008/03/05(水) 11:20:56 ID:u6KOo/1/
「ね、ね、どうだった晴美?気持ちよかった?」
ぐったりと横たわる晴美に千里が尋ねた。
その瞳はらんらんと輝きに満ちている。
そんな千里の顔を見て、晴美は大きくため息を吐いた。
そして、千里から目を逸らして言う。

「ひどいよ…千里」
「え?」
「私、千里にあんな風にしたことなんてなかったのに…」
「え…嘘?……痛かった…?」
「お尻……痛い…」
「ご…ごめん……晴美…」
「手も…痛い」
「ごめんなさい……今外すから」

千里が、晴美を後ろ手に縛ったロープを解くと、晴美の手首には縄の跡がしっかりと付いていた。
その跡を見て、千里は自己嫌悪する。
大成功だと思っていたのに、加減を見誤っていたのか、と。
ロープだって、もっと緩くするべきだった。
そして、その後ろで望もまた苦い顔をしていた。
たぶん、千里のしたことより望の方がひどい。
25千里の恩返し:2008/03/05(水) 11:22:00 ID:u6KOo/1/
「千里」
「ごめん…」
「…嘘、だよ」
晴美が、少し泣きそうな顔をして、うつむいていた千里を押し倒し唇を奪った。
「気持ちよかった」
「…ほんと?」
「うん。でも、ちょっと痛かったけどね」
「ごめん…」
「次からはもうちょっと優しくしてね」
「うん………って、あれ?」
そこで千里が気づいた。晴美に押し倒されてから、数秒の間に今度は自分が縛られていたことに。

「さあ、今度はお待ちかね、千里の番だよ」
「え?えええ?嘘でしょ?」
「きっちり平等にしないと不公平でしょ?ね、先生」
「まあ…そうですね。不公平です、うん」
「というわけで…」
と、晴美が制服のスカーフを手にして、千里の頭に縛りつけ、視界を覆った。
26千里の恩返し:2008/03/05(水) 11:23:02 ID:u6KOo/1/
両膝をついた千里は、正面から抱きしめられて何度もキスを受け、背後から秘部を舐められていた。
肌に触れる感触からすると、前が望で、後ろが晴美なのだろう。
「どうしたのかなー千里ちゃん?いつもより興奮するの?もう、ぐちょぐちょだよ」
「へえ、そうなんですか?」
「へ……あ…うぅ…」
「ふふふ…あ、そうだ」
何か思いついたのか、晴美は千里から望の元へと向かい、千里に聞こえないように望に話をした。

ころり、と千里を布団に寝かせる。
視覚が奪われているせいもあって、千里はいつも以上に二人にされるがままだ。
晴美に言われて、膝を立て、脚を開いた千里の蜜壷に指が侵入してきた。
指が円を描くように動いて、千里の中をほぐした後に、つづいてもう一本指が入ってきた。

「あ…んぅ……」
「ふふっ、先生、千里の中あったかいねぇ」
「ええ、とっても」
「へ…?え……?ちょ…っと、何考えてんの!?」

千里の中に侵入して来た指は一つは晴美の、そしてもう一つは望の指だった。
二つの指は、それぞれの意思をもって千里の中を掻き回す。
また望と晴美は、それとは別の手や口を使って千里の体中を好きなように弄り回した。
「はあ…はぁっ……んっ…やあっ…」
左右から二人に陰核をくりくりと弄られて、千里の膣が、二人の指をきゅーっと締め付けた。
27千里の恩返し:2008/03/05(水) 11:24:02 ID:u6KOo/1/
二人が千里の背中に手を回して、上体を起こす。
そして、同時に左右の乳首を口に含んで、ころころと舌で転がした。
晴美に甘噛みされたかと思えば、同時に望に吸われ、また左右同時に舌で押し込まれたりする。
その間も二人の指は、千里の中で動き続け、千里は何も考えられないほど頭の中が真っ白になっていく。

「千里は耳も…ていうか、全部弱いか」
くすくす笑いながら、晴美が千里の耳を舐めると、千里が「や」と小さな声を上げる。
「あ、いいな。私も」
望が、かぷりと千里の耳を噛んだ。
「あっんぅ……」
「千里ったらかわいー」
遠慮なしに、左右から耳の穴を舐めまわされる千里。
「やっ、やっ……あぅぅ…」
千里が足の指を丸めながら耐える。
だがそれも長くは続かず、限界を迎えて千里の体が跳ねた。
何も見えない暗闇の中で、にちゃにちゃという音だけが千里の頭の中で響いていた。
28千里の恩返し:2008/03/05(水) 11:25:01 ID:u6KOo/1/
疲れ果て、ぐったりと横たわる千里のヒップを上げさせ、溢れる愛液を晴美が指ですくった。
「とろとろだね、千里」
愛液まみれの指で、千里の唇にちょんと触れると、千里は赤子のように晴美の指を吸った。
そこに不意打ちで、望が千里の中へ自身を挿入した。
突然の衝撃に千里は大きく口を開けて震え、しばらくは声も出せずにいた。

「……っっはあっ…あ…っ」
ようやく声を出せた千里の髪を、晴美は愛しそうに撫で、千里の視界を覆うスカーフを外す。
だが、千里の顔を見て晴美は一瞬動きが止まってしまった。
スカーフを外された千里の顔は、涙でくしゃくしゃの顔をしていた。
「……やりすぎちゃった…?」
「あ…ひぅ…ひっ……ひんっ」
望に突かれるたびに、千里は涙をこぼしながら悲鳴とも嬌声ともつかぬ声をあげる。

「ごめん、千里…怖かった?」
晴美がスカーフで、千里の涙を拭きとる。
(ごめんね…でも…すっごくかわいいよ……千里)
悪いとは思うのだが、千里のくしゃくしゃの泣き顔を見れた事をつい喜んでしまう。
千里の涙を拭きとった晴美は、千里にキスをして、舌を絡ませる。
程なくして、望が限界を迎え、千里の中へ精を放った。
その刺激に促され、千里もまた達したことを、晴美は千里の舌越しに感じていた。
29千里の恩返し:2008/03/05(水) 11:26:27 ID:u6KOo/1/
行為を終えてから数十分後、風呂あがりの晴美は千里の膝を枕にして寝転んでいた。
千里は晴美の頭にドライヤーを当てて、髪を乾かしている。
ちなみにその頃、望は二人に続いて風呂に入っていた。


「髪くらい、きちんと乾かしなさい」
「気が向いた時はしてるよ」
「いつも、よ」
「まあいいじゃない、今日は。千里、お願い」
「はいはい」
30千里の恩返し:2008/03/05(水) 11:27:28 ID:u6KOo/1/
「ねえ、千里」
「ん?」
「嫌だったの?ああいう風にされるの」
千里には顔を向けずに、晴美が尋ねた。
「…どうして?」
「だって、千里泣かせちゃったし…私を縛ったりしたのもそういう事なのかな、って」
「……嫌じゃない」
晴美の頭を乾かしながら、千里がつづける。

「その…むしろ私ばっかり、こんなにされて、良いのかな…って」
少し照れた様子で、千里が話す。
「だから、晴美にもしてあげようと思ったんだけど…ごめん、痛くして」
「そっか…ありがと、千里。私も泣かしちゃったし、お互い様だよ」
「気持ちよかったから…いいよ」
「それもお互い様、かな」
千里の方を向いて、晴美は、ふふっと笑った。
31名無しさん@ピンキー:2008/03/05(水) 11:28:30 ID:u6KOo/1/
影が薄いのに、一番無茶してるのは先生という怪奇
32名無しさん@ピンキー:2008/03/05(水) 16:46:26 ID:avCXhaVP
475 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい 本日のレス 投稿日:2008/03/04(火) 20:43:24 IVnU9R310
http://guri.kill.jp/up3/photo/up9850.jpg
http://guri.kill.jp/up3/photo/up9851.jpg

リアルだとハル×チリって雰囲気っぽい。
33名無しさん@ピンキー:2008/03/05(水) 18:20:09 ID:5pwCD7oB
どうもこんにちわ。
他のジャンルに浮気したりなんだりで長いこと書いてなかったんですが、1つネタが浮かんだのでまた書き始めました。
一応、短編連作ものの最初、ということになります。久々の投下なのでドッキドキです。

(注意事項)
ひとまず、望が出てきません。
絶命先生が極悪人です。
陵辱あります。

では、よろしければお付き合いください。
34その花束に絶望を karte01-02 (1/3):2008/03/05(水) 18:21:54 ID:5pwCD7oB
夜。灯りの消えた、糸色医院の一室。
「………ふぅ。」
命は事務椅子に腰掛けながら、息を吐いた。
今日も普段通り、診療を受けに来た客は数えるほどだった。医者と看護婦1人ずつで用が足りる診療所など、
この東京に果たしていくつ存在しているのだろうか。
「(………本来、とっくに廃業してるはずなんだがな。)」
もちろんそんな状況では、生活費やら設備の維持費やらを差っ引けば赤字もいい所だ。正直な話、親からの
援助が無ければとっくの昔にこんな診療所など畳むハメになっているはずだろう。今の時代、開業医なんて
生半可な覚悟と努力で続けていけるような職業ではない。それも、近くに他の医療機関が十分に揃っている、
こんな場所ならなおさらだ。
そして、命には………そんな覚悟や努力をするほどの高い志は、無い。
「(感謝しなきゃな………。)」
そもそも………命はこの診療所に、特別な思い入れがあるわけではない。
小さい頃から医者になることを目指してはいたが、特に開業医になることが夢だった、というわけでもなく。
命本人は、どこか大きな病院に雇われて働ければそれでいい、と考えていた。
こうして診療所を構えて開業したのも、全ては、父親の勧めを断りきれなかったからに他ならない。

だが。父親が命の為に用意したその診療所は、今、命の手によって、その役割を大きく捻じ曲げられている。
「(本当に父さんには、頭が上がらない………なにせ………。)」
命は、頭の中で独り言を呟きながら………視線を、落とす。
「ん、むぅ………ふあ………。」
「………くちゅ、ちゅ………んぶ………。」
椅子の前に、一糸纏わぬ生まれたままの姿で跪いて………熱に浮かされたような顔で、懸命に自分のモノを
舐る2人の女性の頭に手を添えながら。
「(なにせ………こんな、絶好の隠れ家を用意してくれたんだから。)」
命は、独り邪悪な笑顔を浮かべた。


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その嗜好が芽生えた瞬間を、命はよく覚えていない。まるで、酒に酔っていた間に仕出かした失敗を、酔い
から覚めた後には綺麗さっぱり忘れてしまっているのと同じように、命の頭にはそのときの記憶が欠片ほど
も残されてはいなかった。
だが………酔いから覚め、我に返った瞬間のことは、今でも鮮明に覚えている。

どんよりとした気だるさの中で我に返った瞬間、命は眼前に、患者を寝かせるための診察台に寝かされ、包帯
で両手を転落防止用のパイプに括り付けられ………着ていたはずの衣類を全て剥ぎ取られたまま、傷だらけに
なり、ドロドロに汚れ失神するまで犯され尽くした、女性の姿を見た。
それは、開業してから長い間、献身的にこの診療所の為に尽くしてくれた、命にとってたった1人の信頼できる
部下であったはずの………看護婦だった。
時計を見ると、時刻はとっくに真夜中を過ぎていた。もちろん彼女はとっくに家に帰り着いているはずの時間
だったが、独り暮らしをしている彼女の不帰を不審に思う人物は、その時点では誰もいなかった。
命は、そんな異様な状況下にあるとは思えないほど冷静な頭で、診察室の様子を観察していた。足元に、彼女
から剥ぎ取られたであろう看護婦の制服と私物の下着が散乱している。机の上には、睡眠薬と興奮剤の瓶が、
蓋を開けられたまま無造作に放置されている。
そして………全身を襲うようなその気だるさと、自分の衣服の乱れ。ベルトが外れ、あろうことか露わになった
モノが無様に外に垂れ下がっている。
35その花束に絶望を karte01-02 (2/3):2008/03/05(水) 18:23:32 ID:5pwCD7oB
   
見れば見るほど異様さが際立つその惨状の中………相変わらず、冷静な頭でその状況を分析して。
命はようやく、思い到った。
自分が、眼の前の彼女を、こんな無残な姿になるまで陵辱したのだろうということに。

だが。そのとき、命の心に浮かんだものは………絶望でも後悔でも恐怖でも、懺悔の念でも無かった。
自分の中に鬱積していた何かが、解き放たれたような………ただただ、清々しい気分。それだけが、命の心
を満たし尽くしていた。

それが………糸色命が、己の内に眠っていた嗜虐心に目覚めた、瞬間であった。


//////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////


あの日以来、命にとってのこの診療所の存在意義は一変した。初めは、父親から押し付けられたありがた迷惑
な厚意の象徴でしかなかったこの場所は………今や、獲物を誘い込み、そして狩る為の、欲望の巣窟となって
しまっている。
あの夜の出来事で、命はこの場所が絶対安全な自分の城であることを確信した。自宅を兼ねているこの場所に
自分が出入りしたところで何も問題は無い。患者の中に獲物となり得る女性が居れば、検査や何かを口実に
呼び出して、扱い慣れた睡眠薬で眠らせてしまえば容易く無抵抗の状態に陥れることができる。一応は診療所
であるから、多少の物音や悲鳴は患者がパニックを起こしたことにすれば誤魔化すことができる。事後処理も、
決して他人に見せられないような写真を1枚か2枚撮ってしまえば、簡単に口封じできる。
あまりに整った完璧な環境に気付き、命は初めて、その場所を自分に与えてくれた父親に感謝した。

その後、高まり行く己の欲望を満たすため、命はその状況の更なる改善を図った。
まずは、より効率の良い獲物の探索と捕獲を実現するため、何かと理由をつけて親から出資を受け、その金で
雇ったならず者達のネットワークを確立した。万が一獲物が診療所を逃げ出した場合、あるいは命1人では
どうしても罠に掛けることが難しい場合は、たちまち町中に潜む命の手駒達が牙を剥く、というわけだ。
そして、診療所にも改造が施された。薬品庫の名目で造られた地下室は、獲物を捕らえ、犯し、あわよくば命の
存在無しには生きられない下僕へと調教する、悪夢のような部屋になっている。まぁ実際のところ、医療には
必要ないはずの薬品も保管されているので、薬品庫としての機能も有していると言えなくもない。
時を経るごとに、命が獲物を狩るための地盤は、更に磐石なものへと完成されていった。

そして………現在。
完全に魔城と化した診療所の主は………次なる獲物達の姿を思い描き、また、邪悪に微笑んでいる。

初めのうちは手当たり次第に試していた調教も、回数を重ねる毎にそのコツを掴むことができた。
例の看護婦は、今再び、命にとってたった1人の信頼できる部下、というポジションを取り戻している。初めの
被害者であり、そして初めの下僕となった彼女は………今や、命の調教をサポートする、優秀な調教師になって
いた。彼女にそこまでの素質があったのは、命にとっても想定外のことだった。
「ん、ふ………ほらほら、そんなにのんびりしてていいのかしら………?」
命のモノを舐りながら看護婦は、隣で同じように、しかし彼女と比べて余裕の無い必死な様子でモノにしゃぶり
付く女性に声を掛ける………今まさに、命と彼女による調教は、行われている最中なのである。
「私に負けたら………解かってるわよね?」
「や、ぁ………そんなっ………!」
長い黒髪の女性が、消え入るような声で呟き、小さく首を振る。その細い肩は小刻みに震えていて、本来は
白く決め細やかであろうことが想像できるその肌は、今さっき湯から上がってきたかのように赤く火照って
いる。所々に、縄や鞭の痕も見て取れた。
「だったら、先生にしっかりご奉仕しなさい?」
「………は………は、い………。」
夜の静寂に吸い込まれてしまいそうな程に弱々しい………その、よく聞き慣れた声を聞きながら。
「約束通り………彼女より先に私を果てさせることができたら、助けてやる。」
「………っ………。」
命は………よく見慣れたその顔を見下ろして、その名を呼ぶ。

「だから、頑張りなさい………倫。」

荒く浅い呼吸を繰り返しながら、眼の端に涙を浮かべながら………倫が、小さく頷いた。
36その花束に絶望を karte01-02 (3/3):2008/03/05(水) 18:24:31 ID:5pwCD7oB
「………は、い………お兄、様………。」
従順な返答を聞き、隣の看護婦がその瞳を怪しく輝かせる。
「私に勝たなきゃ………罰として今夜は、両手足縛られたまま放置プレイよ?」
「………ッ………!」
「さっき打った媚薬は、遅効性だが持続性が高い。明日の朝までは、余裕で効き続けるだろうな。」
「先生に慰めて貰わなきゃ………身体の疼きに耐えられなくて、気が触れちゃうかも知れないわね。」
「い、嫌っ………お兄様、そ、それだけは………ッ………!!」
「なら、早くしろ。もう、身体が熱くなり始めたろう?じきに、奉仕どころじゃなくなるぞ。」
心底楽しそうに語られる、絶望的な言葉に背筋を凍らせながら。倫は夢中で、血の繋がった兄のモノを口に
含み、舐り、吸い上げる。命の言う通り、少し前に打たれた媚薬は既に倫の身体中に行き渡り、その体温を
上昇させていた。誰にも触れられていないはずの秘所が、既に微かに濡れ始めている。
「あら、もうこんなにして………お淑やかなはずのお花の先生が、はしたない。」
「ん、ぶ………ひ、ひあぁッ!!?」
看護婦の指先が、ほんの少しだけ倫の内部へと侵入する。ざわざわと背筋を這い擦り回るような刺激に身体が
震えるが、看護婦はそのまま、決定的な刺激は与えずに手を引いてしまった。
「なんなら後で、私が生けてあげましょうか………倫ちゃんの、ココに。」
「は、ッ………はあ、ぁ、ぁ………!!」
「玄関にでも飾ったら、綺麗でしょうね………ふふ………。」
「あ………あう、ぅ………!?」
「あ、駄目よ、自分で弄っちゃ?ルール違反したら………解かってるわね?」
思わず秘所に伸ばしかけた手を看護婦に制されて、倫は襲い来る快楽の波に耐えようと奥歯を食い縛った。
ガリ、という鈍い音が、頭の中に響く。
倫は、しばしの間押し黙った後………隣の看護婦が命のモノへの奉仕を再開したのを見て、慌ててそれに続き
命のモノへ舌を這わせた。隠微な水音が、診察室に響き渡る。
「ん、ふふ………必死で、泣きそうな顔で、『お兄様』のおち○ちん頬張っちゃって………。」
「んぐぅ………ちゅぅ、ん、ふうぅ………んく………っ!!」
「私も、手加減しないわよ………ん、はぁっ………。」

2人の行為が再開されたのを見届けて。命は、背もたれに身体を預け、低い天井を仰ぎ見た。
「(………倫が完成すれば………いよいよ、準備が整うな。)」
その顔がまた、ぐにゃり、と邪悪に歪む。

「(待っていろよ………私の、可憐な花束よ………。)」

次なる獲物達の姿を思い描き、その顔に浮かべた笑みは………誰の眼にも、留まることは無かった。
37その花束に絶望を:2008/03/05(水) 18:25:22 ID:5pwCD7oB
(続)

(以下、第2話)
38その花束に絶望を karte03 (1/8):2008/03/05(水) 18:26:22 ID:5pwCD7oB
可符香は、珍しく独りで家路に着いていた。
いつもの彼女ならば授業が終われば、すぐに望のところに直行して騒動を巻き起こすか、あるいは他人の巻き
起こした騒動に便乗するか、といったところだが。今日は何故か、ホームルームが終わるなり望が倫に呼び
出されてしまい、いつものパターンには発展しなかった。
なんだかんだで常に騒ぎの中心に居る望むが連れて行かれてしまい、それを取り巻く女子生徒達も、今日は
珍しく三々五々教室で解散してしまった。まといに関しては、その限りではないかも知れないが………。

と、そんなことを考えながら、珍しく独りで街を歩く可符香に。同じく珍しい人物が、声を掛ける。
「やぁ、ええと………風浦可符香さん、だったかな?」
聞き覚えのある声に名前を呼ばれ、可符香が振り向く。その先に、見覚えのあるその人が立っていた。
「あ。お久しぶりですね、絶命先生!」
「診療所の前で、縁起でもないことを言うなぁ!!」
いつの間にやら可符香は、命の営む診療所、糸色医院の前に差し掛かっていたのだった。
「まぁまぁ。で………何か、用ですか?」
開かれた引き戸越しの、どこかで聞いたようなやり取りの後。可符香がようやく、そう返す。
「あぁ………そうだった。実は、君に頼みがあるんだけど………今、時間大丈夫かい?」
1度気持ちを切り替えた後、命はそう言って可符香の様子を窺った。可符香が、はて、と首を傾げる。
「頼み?私に?」
「あぁ………実は、望に渡して欲しい物があってね。明日、学校で会うときにでも、と思って。」
「渡して欲しい物………ですか?」
「本当は、自分で行きたいんだが………急な呼び出して、今から何日か診療所を空けなきゃいけなくてね。」
「ああ、そういうことですか。」
事態を理解し、ぱっ、と可符香の表情が晴れる。
「いいですよ。明日、先生に渡せばいいんですよね?」
「ああ、有難う!助かるよ、本当に。」
命が改めて頼むのも待たずに、可符香はその申し出を快諾した。命が、ほっと胸を撫で下ろす。
「じゃぁ、中で少し待っていてくれないか。時間が無いとは言え、お茶くらいなら出せるだろうから。」
「解かりました。じゃぁ、お邪魔しまーす。」
可符香は何の疑問も躊躇いもなく、命の後に続いて、糸色医院の玄関を潜った。

その後。2人が通り過ぎた玄関に、ゆらり、と人影が現れる。
純白の制服に身を包んだ看護婦は、玄関の前に人が立っていないことを確認してから………玄関の戸を閉じて、
鍵を掛けた。ガラスの内側にぶら下げられたプレートが反転されて、『本日の診察は終了しました』の文章が
書かれた面が外側を向く。
脱ぎ揃えられた可符香の靴を一瞥し、看護婦は、診療所の奥へと引き返して行った。
39その花束に絶望を karte03 (2/8):2008/03/05(水) 18:26:57 ID:5pwCD7oB
   
   
//////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////


「どうぞ。」
盆を持って現れた看護婦が、可符香の前に湯飲みを置く。可符香が、礼を言って頭を下げた。
「それで………先生に渡す物、って何ですか?」
「ああ、少し待ってくれ………確か、ここに………。」
命が、一見整理整頓が行き届いている机の引き出しを開ける。整然とした机の上とは対照的に、引き出しの中
は様々な書類でごった返し、お世辞にも綺麗とは言えない状況だった。
望に渡すものを探しているらしい命の様子を見つめながら、可符香は湯飲みを手にし、それを口元に運ぶ。
そして、引き出しの中を探っているような振りをしながら………命がその様子をそれとなく窺う、が。
「………っ………。」
中のお茶を口にしかけた瞬間、可符香の手がぴくり、と止まった。
「………すいません、私、猫舌で。もう少し冷めてから頂きます。」
その言葉に、命の手も一瞬その動きを止める。盆を持ったままさり気なく控えていた看護婦も、ほんの微かに
ではあるが、その表情を変えた。
「………そうかい?それはすまなかったね、冷たい麦茶でも出すんだった。」
「いえ、お気遣いなく。先生に渡すものだけ預かったら、すぐに帰ります。お忙しいみたいですし。」
屈託の無い笑顔でそう返す可符香の様子を窺いながら………命は、心の中で舌打ちをしていた。
やがて、引き出しを探り続けていた命の手が、その中から1通の封筒を摘み上げる。
「ああ、これだ。あったあった。」
「それ………手紙、ですか?」
「ああ、父から今朝ね………中を読んだらどうも、望と間違えて、私宛てに送ってきたらしい。」
苦笑しながらそう言って、命は混沌とした引き出しを閉じた。命が歩み寄るのに合わせて、可符香が椅子から
立ち上がる。
「じゃぁ、明日渡しておきますね。すいません、せっかくお茶出して頂いたのに。」
「いや、こちらこそ。じゃぁ、よろしくお願いするよ。」
可符香は命の手から封筒を受け取り、1度命と看護婦に会釈をして、振り返り………。
「………あれ?」
そして………手にした封筒の不自然な点に、気付く。
「あの、これ………中身が………?」
余りに軽く、光に透かしても中に何も入っていないようにしか見えない………そのことを告げようと振り向き
かけた可符香は、次の瞬間、背後から2本の腕で羽交い絞めにされた。思わず、封筒を取り落とす。
「………ああ、空だよ。全部、嘘だからね。」
その細い腕を封じつつ、耳の後ろで、あくまでも平然とした声で命は囁く。そして………。
「え………ぁ………?」
可符香が状況を把握するよりも先に………薬品の染み込んだ布が、彼女の口元に押し当てられた。
ふわり、とした浮遊感の後。可符香の意識が、あっけないほど簡単に、途切れる。

命の腕から解放され、床に崩れ落ちた彼女の姿を、2対の瞳が見下ろす。
40その花束に絶望を karte03 (3/8):2008/03/05(水) 18:27:24 ID:5pwCD7oB
    

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可符香は、まるで自分の眼の前の景色が、一瞬で差し替えられたかのような錯覚に陥った。
さきほどまでは西日に照らされる診察室にいたはずが、いつの間にか眼の前には、、打ちっ放しのコンクリート
の壁に囲まれた、薄暗い部屋の風景が広がっている。その部屋には窓が無く、ただ、ジリジリという微かな音を
立てながら光る蛍光灯と、可符香が寄り掛かっているのとは反対側の壁に鉄の扉が1枚だけ据えられている。
棚や椅子など、家具らしいものもあるにはあるが、インテリアとしては余りに殺風景なものだった。
「………う、んん………。」
ぼやけた頭で、可符香は自分が何故そんな所に居るのか、その経緯を思い出そうとする。しばらく考えを巡らせ
ても一向にその答えが出る気配は無く、可符香は少しだけだるい身体を解そうと、1度、指を組んで腕を大きく
上に伸ばした。
そして。そこで、異変に気付く。
「………ん………?」
手首を締め付けるような………冷たく、思い感触。ジャラ、と小さな金属が触れ合うような音。
不思議に思い、見上げた先にあったのは………無骨な手枷と鎖で壁に繫ぎ留められた、自分の腕だった。
「え………あ、れ………?」
唖然としたまま、2度、3度と腕を引く。腕が解放される気配は、無い。
そして、事態を把握できずに混乱し、ガチャガチャと鎖を鳴らし続ける可符香の耳に………どこからともなく、
聞き覚えのある声が、届いた。
「お目覚めかい、風浦さん?」
「っ!?」
締め切られた部屋に反響したその声の主は、すぐに、あの鉄の扉を潜って可符香の前に姿を現した。
「………絶命先生?」
きょとん、とした顔でその名前を呟かれても………命は、顔色1つ変えはしなかった。
「まだ、そんなことが言えるのか………いや、無理も無いな。どうやら、事態を把握していないみたいだ。」
至極当然のことを口にしながら、命が、ゆっくりと可符香に歩み寄る。
「あの、これ………何ですか?」
緊張感の無い声で、可符香が尋ねる。その顔に、不安の色は浮かんでいない。
「ええと………そうか、何か、ドラマの撮影ですか?私、捕らわれのヒロインみたいですもんね?」
あまりに非日常的な状況にもさして混乱した様子を見せず、的外れなことを口にする可符香を、足元に見下ろす
位置まで近づいてから。命は………にやり、と唇の端を吊り上げるような笑みを浮かべた。
「簡潔に説明てあげよう。君は今………私の手中に、落ちているんだ。もう、逃げられはしない。」
「え………逃げられない?あ、なるほど、そういう設定ですね?」
「違うよ………そうだな、もっと、露骨な言い方をさせて貰えば………。」
あくまでも平然とした様子の可符香の顔を見下ろしながら、命は言葉を続ける。
「君は、私の獲物だ。私は今から君の身体を、好きにさせて貰う。君に、拒否権は無い。」
「え………あ、ああ、なるほど!先生が悪役ですね?結構、板についてるじゃないですか!」
「………まだ、勘違いしているようだな………。」
説明を重ねるほどに勘違いを加速させていく可符香の眼の前で、命がしゃがみ込む。命は1度、懐に手を入れ
その中を探った後、そこから何か、細長く光るものを取り出して………。

「つまり………こういうことだ。」
次の瞬間、手にしたそれで、可符香の制服を切り裂いた。

ザクッ、と布が断ち切られる小気味の良い音がして、可符香の胸から腹に掛けてが、冷えた外気に晒される。
一瞬、自分が眼の前に居る命に何をされたのか理解できずに呆然とした可符香だったが………視線を落とし、
命の手に握られた大振りなハサミと、まるでジャケットのように前面が左右に分かれてしまった制服とを眼に
して………悲鳴を上げた。
「ひ、ひゃぁっ!?」
さきほどまでのの飄々とした態度からは想像もつかない、うろたえた可符香の姿。クラスメイト達や望でも、
おそらく、見たことが無いどころか想像すらできないであろうその姿。さきほどまでの態度とのギャップに、
命の中で何かが燃え上がる。
41その花束に絶望を karte03 (4/8):2008/03/05(水) 18:28:29 ID:5pwCD7oB
「自分がどんな立場にあるか、解かったかな?」
「ど………どういうことですか?あの、ドラマにしても、ちょっとやり過ぎじゃ………?」
「何を言ってるんだ、誰がドラマの撮影だなんてと言った?勝手に勘違いするな。」
「え………あ、あの………あれ?せ、先生?」
「いい加減、想像くらいつくだろう。全部、現実だよ。フィクションでもなんでもない。」
「………あ、はは………何、言ってるんですか………?」
可符香はなおもポジティブな解釈を貫き通そうとしているようだが………その笑顔はどこか引き攣っていて、
そこには、さきほどまでは見られなかった不安の色が、確かに現れていた。
「そ、そんな、本当にドラマみたいな話、あるわけないじゃないですかぁ。」
「ハッキリ言おう。君は今から、私に、嬲られて、犯されて、調教されるんだ。解かるかな?」
「や………やだなぁ、し、診療所の先生ともあろうお方が、そんな酷いことする人なはずが………。」
「あるんだよ。君は、私の本当の顔を知らなかった。ただそれだけの話だ。」
冷たく突き放すような声でそう言いながら、命はまた、手にしたハサミを可符香に近づける。今度は、可符香
の身体を覆っている下着に、その刃を掛ける。
「あ………っ………!?」
そこでようやく、可符香はその顔に、微かな恐怖の色を浮かべた。
「あ、あの………い、良いんですか、こんなこと、して………!?」
「そりゃぁ、良くないだろうね。この法治国家で、監禁や強姦が認められると思うかい?」
残酷な言葉をさらりと言ってのける命に、可符香は背筋を何か冷たいものが駆け抜けるのを感じた。
つまり、今眼の前にいるこの男は、自分に対して、本気で今口にしたような行為に及ぶつもりなのだ………
ポジティブに物事を考えるのにも限界が訪れ、可符香の思考はとうとう、その答えを導き出してしまう。
「それじゃぁ………あの、本当に………?」
「理解して、貰えたかな?」
可符香は、まるで何か信じられないようなものでも見るような眼で、命を見上げる。その視線を受けながら、
命は、望とよく似たその顔で、可符香に微笑んだ。その微笑みは、一見したところ何の変哲も無いにこやかな
ものだったが………既に命の毒牙に掛かった可符香には、その裏に隠れた命の本性が、透けて見えた。
「………ほら、まだ終わりじゃないぞ?」
「え………あっ、あの、ちょっと………!?」
「動くな。肌に傷がついても………責任は、取らないぞ?」
「………ッ………!!」
嘲るような声でそう言いながら、命はさらにハサミを動かしていく。命のやんわりとした脅迫に、少しだけ顔を
蒼褪めさせて、可符香は一転、凍りついたようにその身体を硬直させた。すっかり大人しくなり、ただ小刻みに
震えるばかりとなった可符香の肌の上を滑るようにして、ハサミは可符香の衣服を切り裂いていく。
「ひゃぅッ………つ、冷たっ………!」
「動くな。手元が狂うかも知れないぞ?」
袖が引き裂かれて、上着が完全に取り払われる。それに隠れていたブラジャーも、紐を切って簡単に取り外され
てしまう。脚も壁に繫がれているので、スカートも最後に1枚残された下着も、ハサミを入れられて取り払われ
ていく。まるで野菜の皮でも剥くような手際で、命はあっという間に、可符香の全てを曝け出してしまった。
「う、ぁ………ッ………!」
可符香が身に着けていたもので今も原型を留めているものは、もはや、靴下と髪留めしか無い。衣服の成れの
果てである布切れを払いのけて、命は改めて、可符香と向き合った。頭の天辺から、隠すことも許されずに
わななくように震える胸、そして恥ずかしそうに擦り合わされる脚の間の秘裂を、舐めるように鑑賞する。
「あの、先生………なんで、こんな事………?」
羞恥心に頬を染めながらも、どこか普段の彼女らしさを残した緊張感に欠ける声で、可符香は尋ねる。
こんな異常な状況に置かれ、ほとんど裸同然の格好に剥かれて、身の危険に晒されながらも………あまり激しく
動揺した様子を見せない可符香の精神の図太さに、少々驚かされつつ。命はまた人の良さそうな笑顔を浮かべて
………可符香の身体に、ゆっくりと、襲い掛かった。
「………今は、そんなことはどうでもいい。」
そう言いながら、命は躊躇いなく、片手を曝け出された可符香の胸に重ねた。
42その花束に絶望を karte03 (5/8):2008/03/05(水) 18:29:56 ID:5pwCD7oB
「きゃぁっ!?」
命に触れられた瞬間、可符香の身体が、大きく跳ねる。
「男に触られるのは、初めてか………残念だったな、こんな形で男に抱かれることになって。」
全く悪びれる様子も無くそう言って、命は可符香の胸を鷲掴みにし、2度、3度と乱暴に円を描くような動きで
揉みしだいた。可符香が、その苦痛に顔を歪める。
「い、痛っ………!?」
「そうか?未開発の身体には、少し強かったか………なぁに、すぐに慣れるさ。」
命はそう言って、手に込める力をほんの少しだけ緩めた。しかしその動きには、情け容赦などは感じられない。
「あ、あの………ちょっと、先、生………!?」
その行為は止め処なく続けられ、初めは戸惑うばかりだった可符香の声の中に、やがて艶のようなものが混ざり
始める。それを合図にしたように、命は胸への愛撫の方式を切り替え、いつの間にやらツンと膨らみ始めていた
その先端を、ゆっくりと指先で転がし始めた。
「なるほど………精神面だけじゃなく、身体の方もなかなか非凡な素質を持っているようだ。」
「あ、やっ、止めっ………つ、摘んじゃ、駄目ですってば………あぅッ!!」
「何を言っているんだ。無理矢理襲われて、こんなに勃たせるような女が。」
「いや、あの、そ、んな………ひ、あうぅッ!!?」
突然胸に吸い付かれ、先端を甘噛みされて、可符香がそれまでになく甲高い悲鳴を上げる。全身が、震え上がる
ような感覚に襲われる。
「正直に言え。君は、こんな奴に乱暴されながら、感じているんだろう?」
「え………ち、違っ………!!」
「………なんだ、下まで濡れてきてるじゃないか。とんだ変態だな、まったく。」
「はうッッ!?や、止めてください、そこ………さ、触っちゃ………ふあぁッ!!?」
「見ろ。私に襲われて、こんなに濡らしてるんだよ、君は。」
命の言葉通り、そんな状況にも関わらず、可符香の秘裂からは微量ではあるが粘度のある愛液が分泌され始めて
いた。命はそれを指先で絡め取り、粘つ糸を引く様を可符香の眼の前に突きつける。可符香はまるで信じられない
ものを見るような眼でそれを見つめ、また、頬を上気させた。
「い、いや、あの、それは………その、そういうのじゃ、なくて、ですね………。」
実はそれは、可符香が意識を失っている間に投与された、微量の媚薬の影響だったのだが………命は敢えてその
事実を伏せて、可符香の意識を言葉で浸食しようとし始める。
「これじゃ、認めるしかないだろう?言ってみろ、『私は無理矢理胸を触られて感じる変態です』とな。」
秘裂に指を這わせ、時折肉芽を弾くように刺激しながら、命が可符香の耳元で囁く。
「あぅぅ………そ、そんな………。」
瞳にうっすらと涙を浮かべながら、可符香は、真っ赤な顔をふるふると横に振った。内心では、少しずつ普段の
飄々とした外面が剥がれ落ち、1人の少女としてあるべき戸惑いや羞恥心が見え隠れし始めた可符香の様子を心の
底から楽しみながら………命は敢えて、可符香の言葉に気分を害したような態度を取って見せる。
「………どうしても、認めない気か………強情だな。」
舌打ちし、侮蔑するような眼で可符香の顔を睨みながら………命は、可符香の身体から手を離す。
「よし………なら、嫌でも認めざるを得ないようにしてやろうじゃないか。」
「え………せ、先生………?」
きょとん、とした視線を向ける可符香の眼の前で………命はおもむろに、自らのズボンのチャックに手を掛けた。
ジッパーが降ろされていく様子に命の意図を悟り、可符香が眼を剥く。
「う、え、ぁ………せ、先生?あの、急にそれは、ちょっと………!?」
「それだけ準備を整えておいて、急にも何も無いだろう?」
そう言いながら、命は、なんとか身を捩って抵抗しようとする可符香の脚の間にその身を割り込ませた。片手で、
ガチガチに緊張し始めた可符香の身体を抱きかかえ、もう片方の手で、限界まで膨張したモノを握り、もはや隠す
ものの無くなった可符香の秘裂へと狙いを定める。
「止、っ………あの、ま、待ってください………ッ!!」
「………手遅れだ。もう、1度身体で解からせてあげるしかないだろう?」
「だ、駄目です………まだ、その、こ、心の準備とか!!その、あの………ッ!?」
もはや、混乱の余り懇願の言葉を紡ぐことすらままならない可符香は、すがるような眼で命の顔を見上げた。
その視線を受け………ふ、と微笑むような顔をしてから。
「却下だ。」
命はきっぱりとそう言い放って………腫れ上がったモノを、可符香の内部に、突き入れた。
43その花束に絶望を karte03 (6/8):2008/03/05(水) 18:30:32 ID:5pwCD7oB
「い………ぎっ………!?」
ブチ、と何かが裂ける音がして………気が狂うかと思うほどの激痛が、可符香を襲う。血の気が引く。
「ああああぁぁぁぁぁぁぁぁッッッ!!!??」
「ほう、やはり処女だったか………まぁ、痛いのは初めだけだ。我慢しなさい。」
命は平然とした顔でそう言って、容赦なく締め付けられるモノで可符香の肉壁を抉った。愛液と、破瓜の鮮血
に濡れたモノが、可符香の中を往復し更なる痛みを生じさせる。
「い、いだッ………やだッ、ぬ、抜いて………ッ!!!」
生まれて初めての壮絶な痛みに、とうとう、可符香の眼から大粒の涙が流れ落ちる。
必死で歯を食い縛り、命の身体にしがみ付こうと両腕を暴れさせながら泣きじゃくる可符香の姿に………命は、
自分の内の嗜虐心が更に熱く燃え上がっていくのを感じた。
「………それでも、こっちはちゃんと濡れるんだな。」
「い、や、助け………もう、ッ………!!」
「それに、よく締め付けてくる………痛いくらいだ。」
そう言いながら命は、結合部のすぐ隣で赤く充血した肉芽を、指の腹で捏ねるように愛撫し始める。
「ひあぅッ!!?あ、ら、らめですッ………そ、そこは、あ、あ、あぁぁぁぁッッッ………!!?」
「解かっただろう?自分の身体がどれほどのものか………私も、ここまでとは思わなかったよ。この淫乱が。」
蹂躙の痛みと、浴びせられる罵声………全く救いの無いはずのその状況の中でも、媚薬に侵された可符香の身体
は、命の無慈悲な責めに徐々に順応し、そこから少しでも快楽を感じ取ろうとし始める。初めは侵入する異物を
排除しようとしているかのように命のモノを締め上げていた秘所は、次第に濡れそぼり緩み始め、そこから響く
水音が、だんだんと大きさを増していく。
「や………ぁ、ぅ………ひぐっ………!?」
やがて、必死で痛み耐えていた可符香も、それを察し始めた。痛みの中に紛れて身体を襲う、まるで脳髄が痺れ
蕩けてしまいそうな感覚に気付き………己が身体の異変に、更に戸惑う。
戸惑いの色だけに染められていた瞳が、どこか遠くを見つめるかのように焦点を失い始める。蒼褪めていた顔に
ほんのりと朱が差し、喘ぐ声も痛みによるものから悦楽によるものへとシフトしていく。
「ひ、あぁ、ぁ………あ、ッああああぁぁぁぁ!!?」
「おや、先に果ててしまったか………まぁ、構わず続けさせて貰おう。」
やがて可符香が、1度目の絶頂を迎える。内部が痙攣し、ピストン運動を繰り返す命のモノが、一際強い力で
絞り上げられる。それでも、命は未だ、絶頂には至らない。
「や、せ、せんせッ………だ、め、ち、ちょっと待って、ぇ………!!?」
「待ってあげる義理は、無いよ。」
「あうぅッ!?い、今、今は、ぁ………あぁぁッ!!?」
絶頂を越えた直後の、最高潮に敏感になった身体に、命は容赦なくいきり立つモノを突き立て続ける。
「(媚薬を打ったとはいえ、この乱れ様………さすがに予想外だが、掘り出し物だな、これは。)」
捉えられたままの可符香の身体に乱暴に腰を打ちつけながら、命は意識の片隅でそんなことを考えていた。

そうして、やがて………命が、ようやく近づき始めた射精感の気配に気付く。
「さて………ボクもそろそろ、限界だ。たっぷり注ぎ込んでやるから、ちゃんと受け止めるんだぞ?」
「は、へ………?」
既に何度も絶頂を迎えた身体を、なおも乱暴に揺さぶられながら、可符香は蕩けきった瞳で命を見上げた。言葉
は届いていても、その意味を考えるだけの余裕は、今の可符香には残されてはいない。
ラストスパートを掛けるように、命の動きが加速する。それに合わせて、可符香が喘ぐ声の感覚も短くなる。
「っ………出る、ぞ………!?」
「あ、あッ、うぁ………ん、うぁ、はうぅっ………ッッッ!!?」
そして、次の瞬間。
「ぐっ………!?」
「あ………〜〜〜ッッッ!!?」
命の中で弾けた焼けるような熱が、可符香の最奥に、叩き付けられた。
「あ、ッ………熱ぅ………!?」
「く………ふ、ぅ………。」
長い時間を掛けて全てを可符香の中に吐き出して、命が、深く息をつく。ゆるゆると結合が解かれ、命のモノの
形を覚えた可符香の秘裂から、泡立つ白濁した液体が流れ落ちる。
「………ぁ………ぅ………。」
何も無い眼の前の虚空をぼんやりと見つめながら、可符香は、生まれて初めて感じた快楽の余韻に溺れていた。
44その花束に絶望を karte03 (7/8):2008/03/05(水) 18:31:07 ID:5pwCD7oB
     

//////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////


長い、沈黙の後。部屋の隅に置かれた椅子の上で、気だるそうに煙草をふかす命に向かって。
「………先生は、どうして………こんなこと、したんですか………?」
まるで寝言を呟くような声で、可符香が尋ねた。行為の後、貝のように黙りこくっていたはずの可符香に、突然
声を掛けられて、命は内心少しだけ驚いていた。
「………さっきも聞かれたな、そういえば。」
「………………。」
「そうだな、せっかくだから………教えてあげようか。」
たなびき淀む煙をぼんやりと眺めながら、命が可符香の問いに答える。
「まぁ、今までの流れ出、私がどんな人間化はだいたい解かって貰えたと思う。」
「………まさか、自分の身近にこんな凶悪犯が居るとは思いませんでした。」
「はは、言ってくれるね………まぁ、否定は出来ないよ。前科もたんまりとあるしね。」
「他にも………こんな風に………?」
「ああ。患者や通行人の中に気に入った女性が居ると、つい、自分のものにしたくなってしまってね。」
「それで………私も目をつけられてしまった、ってことですか………?」
「そう。ただ………正確には君だけじゃない。」
「………え………?」
「前に1度、君達のクラスにお邪魔したことがあったろう。あのとき………一目惚れしてしまってね。」
「………誰に、ですか………?」
「『あのクラスの女生徒達に』だよ。」
「………っ………。」
「個人も、確かに魅力的ではある………一筋縄ではいかない曲者揃いで、興味をそそられる。けど………。」
「………けど?」
「そんな君達の、友情だけではない繋がり、というのかな。そこに、私は惹かれたんだ。望が羨ましいよ。」
「………それって………つまり………?」
「実に美しい、まるで、花束のようだ。私は………君達全員を、自分のものにしたくなったんだ。」
命の解答は、恐るべきものだった。自分が狙っているのは、可符香個人ではなく………血の繋がった弟である望
が愛する、クラスの女生徒達全てである………というのだ。
「ああ、もちろん例外は居るがね。確かにほとんど魅力的な獲物ばかりだが、私にも好みというものがある。」
悪びれる様子もなくそう言って、命はようやく、可符香に視線を向けた。表で会ったときに見た光を失い半開き
になったその双眸が、どろり、とした視線を命に投げ掛けている。
「………どうしてそんなことを暴露するのか、と思っているんだろう?」
「………はい。私が、先生や皆や、警察に、危険を知らせたらどうするんですか………?」
「簡単なことだよ。そうできないように、すればいいんだ。例えば………。」
命は楽しそうにそう言いながら………部屋の壁際に置かれた棚に、歩み寄る。
「この中に、高性能の隠しカメラが仕掛けられていたとしたら、どうする?」
「………っ………!」
その言葉の意味を察して、可符香が押し黙る。
「口封じの手段くらいいくらでもある。それに………さっき私は、『調教』とも言っただろう?」
「………まさか………。」
「そう。抵抗する気も起こせない従順な下僕にしてしまえば、全ては丸く収まるのさ。」
「………っ………。」
「もちろん、君もそうするつもりだ。たっぷり時間を掛けて躾けてやるから、楽しみに………。」
笑いを堪えきれず、肩を小刻みに上下させながらそう語る命の言葉を。
「………そんな必要、無いですよ………。」
可符香の声が、遮った。おや、と思い、命が注意深く可符香の様子を窺う。
「先生は………クラスの他の皆も、こうして滅茶苦茶にするつもりなんですよね………?」
「………まぁ、そのつもりだが………?」
「だったら………。」
可符香は陰気な声でそう呟きながら、徐々に、その表情を変え………。

「私………先生のこと、応援しますよ。」
やがて、狂気染みた笑みを、命に投げ掛けた。
45その花束に絶望を karte03 (8/8):2008/03/05(水) 18:31:37 ID:5pwCD7oB
   
瞬間、背筋を駆け巡った怖気に、命が一瞬だけ言葉を失う。
「………どういう、ことだ?君の友人だろう?」
「どうもこうも、ないですよ………あんな、邪魔な人達………。」
命にとっても信じ難い言葉でクラスメイト達を罵りながら、可符香はなおも笑顔を保ち続ける。
「みんな、みんな邪魔なんですよ………私の先生に、馴れ馴れしく近づいて………。」
その言葉に、命はしばし首を傾げたが………やがて、可符香の言った『先生』が、自分のことではなく望のこと
を指しているのだということに気付き、全てを納得した。
「驚いた、君も望のことが………我が弟ながら、なかなかやるじゃないか。」
「どうせみんな、先生を狙ってるんですよ………無理も無いです、先生、あんなに素敵なんですもの………。」
「………ほお………。」
「だったら………みんな、ブチ壊されちゃえばいいんだわ………1人残らず、全員、滅茶苦茶に………。」
命の言葉を無視して、可符香はもはや独り言となった台詞を呟き続けた。
「(………やり過ぎて精神が壊れた、ってことはないよな?)」
犯されたままの格好で、精神を病んだ病人のように呟き続ける可符香の姿に少々不気味さを感じながらも、命は
ひとまず、可符香に自分に対する敵意が無いらしいことだけは理解した。
「それにしても………好きな男が居る割には、意外と平気そうだな。こんな悪漢に、処女を奪われたんだぞ?」
「構いませんよ………肉体なんて、所詮は仮初のものに過ぎません。」
「随分………悟ったようなことを言うね。」
「私と先生は、もっと高尚なもので結ばれています。それは、ポロロッカ星の唯一神の、御意思です………。」
「は?ポロロ………なんだって?」
「………前世、いえ、前々世よりも遥か太古の昔から………私と先生は、1つなんです………ふふ………。」
「………はぁ………。」
いよいよもって暴走し始めた可符香の言葉に、命はとうとう、まともな会話をすることを諦めた。
難しいことを考えるのを止めて、また、可符香に歩み寄る。
「君の心中は私にはよく解からないが………つまり、君を調教する必要は無い、と?」
「ええ。だって、みんなを助ける理由なんて、ありませんから。」
「けれど、まぁ、私もそれを鵜呑みにするわけにはいかなくてね。君が私を騙そうとしているのかも知れない。」
「あら………だったら、確かめてみますか?」
「………ほぉ、話が早いじゃないか。」
「どうせ、仮初の身体なら………朽ちる前に楽しまなきゃ、損じゃないですか。」
「………本当に、信じ難い思考回路をしているね、君は………。」
苦笑しながら、命は白衣のポケットを探り、1本の小さな鍵を取り出した。可符香を捉えた手枷と足枷が、カチ、
と甲高い音を立てて手足を解放する。
四肢が自由になっても………可符香はもはや、命を拒んだり、部屋から逃げ出そうなどという素振りは、微塵も
見せなかった。

「さ、先生………いらしてください。」
「言われなくても、ね。」

そうして、野獣と獲物が、再びその身体を重ね合う。



(続)
46名無しさん@ピンキー:2008/03/05(水) 18:34:44 ID:MGC2p+zh
乙!久しぶりの長編か
次は誰が獲物になるのかwktk
47その花束に絶望を:2008/03/05(水) 18:35:08 ID:5pwCD7oB
………ひとまず、以上です。お粗末様でした。
一応レギュラー女生徒全員分(ことのん除く)の分を考えてます。書き上げ次第順次投下させて頂くつもりです。
本当は全編完成してから、とも思ったんですが、マジでいつになるか解からないのでやる気を持続させる意味も込めて完成した2話のみ投下させて頂きました。

おそらく長い時間が掛かるとは思いますが、よろしければ、お付き合い頂けたら幸いです。
それでは、乱文失礼しました。また後程。
48名無しさん@ピンキー:2008/03/05(水) 19:18:54 ID:fjlXnIbs
始まったばかりなのにこんな素晴らしいSSが立て続けに投下されるなんて
このスレはきっと幸せになれるに違いない
49名無しさん@ピンキー:2008/03/05(水) 20:49:44 ID:Ayo7uj/g
最初に可符香を狙うのは確かにドSだ
まあこの可符香は初期型っぽいが
50名無しさん@ピンキー:2008/03/05(水) 20:53:19 ID:WKoqe2Cu
オレの嫁はいつ餌食になるんだろう・・・・・・wktk
51名無しさん@ピンキー:2008/03/05(水) 21:38:17 ID:k97uoqK5
最近投下ないなーと油断してたら一気に来てた。
ぐっじょぶ!
52名無しさん@ピンキー:2008/03/05(水) 21:41:39 ID:EHqAlDCY
あーあ、また超大作指向か。
53名無しさん@ピンキー:2008/03/05(水) 22:40:30 ID:CRZAy83c
>>47
ひとまずGJ!
愛ちゃんの出番を正座で待っておく。

>>52
また?
54名無しさん@ピンキー:2008/03/05(水) 22:43:40 ID:0nK/nXRB
>>52
短編upしろ。
55名無しさん@ピンキー:2008/03/05(水) 22:51:59 ID:Hrm3H/b4
>>31
GJ!
この組み合わせで千里ちゃんが攻めって珍しいなぁ、と思ったが、やっぱりこうなるのかw
いや、これでいい、これがベスト
56名無しさん@ピンキー:2008/03/05(水) 23:01:21 ID:ZFgRu9Fr
>>52
長編が嫌ならスルーして読まなければいいだけの話
個人的な嗜好でスレの傾向を縛らないで欲しい
良い職人さんたちがいなくなる原因になるから
57名無しさん@ピンキー:2008/03/05(水) 23:17:52 ID:5pwCD7oB
>>52
読む権利があるのなら、読まないでいる権利だってあるはずです!
58名無しさん@ピンキー:2008/03/05(水) 23:19:12 ID:5pwCD7oB
………まぁ、それはともかく、短編連作ですので気楽に読んで頂けたら幸いです。礼。
59名無しさん@ピンキー:2008/03/05(水) 23:29:11 ID:WKoqe2Cu
>>58
一部の自己中にいちいち対応してやる必要無いよ
職人は何も気にせず書いてくれ!
60430:2008/03/05(水) 23:42:24 ID:6Ex+Xm3W
こんばんはです。

>>14
いいなぁ、この3人…エロ可愛いすぎです。
つーか、先生!ナチュラルになにやってるんですかアンタ!
初っ端から良いものを読ませていただきました…GJ!

>>33
しばらく呼吸困難に陥りました…こういう方向性があったかー!という感じです。
いやー、いいですねー、極悪人な命兄!!医者で鬼畜とか、もう!
この先が楽しみで、wktkが止まらないんですけどっ!!久しぶりの正座待機です。

そんな濃厚なお2人の後に、エロなし小ネタで大変申し訳ないのですが、
今週の風邪引き霧ちゃんが余りに可愛かったので、思わず衝動書き。

なお、時間の流れがマガジンとはやや違いますが、
そこはスルーでお願いいたします…。
61タイムラグ 1/5:2008/03/05(水) 23:44:12 ID:6Ex+Xm3W
けほ、けほ。
私は、小さく咳きをしながら、体温計の表示を見た。
―――38。9℃
どうやら、性質の悪い風邪をひいてしまったみたいだ。

「霧ねーちゃん、クスリ飲めよ!」
「そうだね…。」
涙目の交君に、私は布団の中から曖昧にうなずいた。
実は、さっき市販の薬は飲んだんだけど、全然効き目がない。

そのとき、目の端に、コートを羽織る先生の姿がよぎった。

「何だよ、叔父さん、霧ねーちゃんが病気なのに、出かけるのかよ!」
交君の抗議に、先生はブーツの紐を結びながら、冷静な声で答えた。
「大人には色々やることがあるんですよ。
 風邪なんて、薬飲んで安静にしてれば治りますから。」
それだけ言うと、先生は、宿直室の扉を開けて出て行った。

「何だよ、叔父さんの鬼!人でなし!」
私は、交君の悔しそうな声を聞きながら、
天井をぼんやりと見上げていた。

そっか…先生は、大人だもんね。
風邪くらいで、いちいち大騒ぎしてられないよね。
でも…。

―――少しくらい、心配して欲しかったな…。

私は、ため息をつくと、目を閉じた。






62タイムラグ 2/5:2008/03/05(水) 23:45:28 ID:6Ex+Xm3W
ふと、喉が渇いて目が覚めた。
熱がさっきよりも上がっているような気がする。

気が付くと、部屋の中は薄暗くなっていた。
交君が、私の布団の横で丸くなって寝ている。

―――風邪引いちゃうよ…。

何とか起き上がろうとしたけど、眩暈がして起きられない。
と、扉が開く音がした。
「小森さん、起きてたんですか。」
「せん、せ…。」
お帰りなさい、と言おうとしたけど、声が出なかった。

先生は、口を開けたまま声の出ない私を見て、片眉を上げた。
何か袋を手に持っている。

そのまま部屋を横切ると、先生は、
「交、こんなところで寝るんじゃありません。
 お前まで風邪を引いたらどうするんですか。」
寝ている交君を足で軽く蹴って、台所に向かった。

「ん…何だよ、叔父さん、帰って来たのかよ…。」
寝ぼけ眼で交君が起き上がると、私を見た。
「霧ねーちゃん、具合はどう!?」
「ん…。」
私は、ぜーぜー言いながらも、何とか微笑んで見せた。
交君の顔が心配そうに歪む。
「ホントに、クスリ飲まなくても大丈夫なのかよ!!」

そこに。
「はい、小森さん。
外出ついでに薬を買ってきましたから、飲みなさい。」
先生が、湯気のたったコップを差し出した。
「…?」
その中に入っているのは、どろりと濁った液体。

―――へえ、最近は、こんな風邪薬も売ってるんだ…。
63タイムラグ 3/5:2008/03/05(水) 23:46:20 ID:6Ex+Xm3W
私は、先生からコップを受け取ると、中身を飲み乾した。
すごく苦かったけど、喉が渇いていたから、一気に飲んだ。

「少し、眠りなさい。タイムラグで薬も効いてきますから。」
先生が、私からコップを受け取りながら言った。
「うん…。」
実際に、何だか眠くなってきた。
私は、さっきよりも居心地の良い眠りに落ちていった。



目が覚めると、朝だった。
熱も、悪寒もすっかり体から去って、爽快な気分だ。

私は起き上がると伸びをした。
「霧ねーちゃん!良くなったのか?」
交君が飛びつくようにしてやってきた。
「うん、もう大丈夫。すっかり治ったよ。」
私は、笑顔で答えた。
交君は、ほっとしたように胸をなでおろす仕草をした。

―――ホントに、心配かけてごめんね…。

私は、心の中で交君に謝りながら、先生の姿を探した。
交君が、そんな私を見て眉をしかめた。
「望の奴なら、授業に行ったぞ。ホント、あいつ冷たいよな!」
「そう…。」

―――教師だもの、仕方ないよね…。

そう自分に言い聞かせながら、何となく寂しいと思ってしまうのを
どうしようもなかった。



64タイムラグ 4/5:2008/03/05(水) 23:47:28 ID:6Ex+Xm3W
それから1週間ほど経ったある日。
私は、宿直室の扉を開けようとして、中から聞こえてくる声に手を止めた。

「先週はまいったよ。休診日に呼び出されたかと思ったら、
 いきなり、『風邪に良く効く処方箋を出せ!!』だからな。」

―――これは…命先生の声…?

「お手数おかけしましたね、兄さん。」
「まあ、甥っ子のためだからな。で、交の風邪は良くなったのか?」
「…おかげさまで…。」
「それは良かった。あれは最近開発された新薬だからな、良く効いたろう。」

―――交君の…風邪?
この間、はしかにはかかったけど、風邪なんて引いてないよ…?

「しかし、お前も意外に面倒見が良いんだな。
 交のために、あんなに血相変えて……少し見直したぞ。」
「…。」

私は、宿直室の扉の前で、立ち尽くしていた。
心臓の音がドキドキ言っているのが聞こえる。

命先生の医院の休診日は、確か木曜日。
―――先週の木曜日に、風邪を引いていたのは…。

私は、思わず口に手を当てた。

そのとき、後ろから声がかかった。
「霧ねーちゃん?そんなところに突っ立ってどうしたんだ?」
振り向くと、交君が首を傾げてこちらを見ていた。

私は、とっさに交君の手を取ると、宿直室から離れて歩き始めた。

―――今、交君が入っていったら、先生が気まずい思いをしちゃうもの。
65タイムラグ 5/5:2008/03/05(水) 23:48:17 ID:6Ex+Xm3W
「き、霧ねーちゃん?」
交君が赤い顔をして私を見上げた。

「交君、用具室で一緒にネットゲームしよう?」
私は、交君に笑いかけた。
交君の顔が、さらに真っ赤になる。

「べ、別に遊んでやらないこともないけどさ…。
 何だよ、霧ねーちゃん、何だかずいぶんご機嫌だな。」
「そうかな?」
私は、にこにこしながら廊下を歩いていた。

あのときは、分からなかった先生の優しさ。
寂しい思いもしたけど、こうやって、タイムラグで知るのも、
けっこういいものかもしれない。

―――先生、大好きだよ…。

私は、心の中でそっと呟いた。


66430:2008/03/05(水) 23:49:29 ID:6Ex+Xm3W
お付き合いいただきどうもありがとうございました。

マガジンで、先生が、霧ちゃんを全然心配してなさそうに見えたのが、
実は強がりだったらいいな、などと思ったら妄想が止まらなくなりました。

そして、小ネタでも命先生を出さずにはいられない自分は末期だと思います…。
ちなみに、命先生、学校にも何度か来てるし、霧ちゃん声知ってますよね…?
67名無しさん@ピンキー:2008/03/05(水) 23:50:43 ID:nuPup+J2
リアルタイムktkr!!!
GJでした。
68名無しさん@ピンキー:2008/03/05(水) 23:52:19 ID:RjqhQbwf
うほほ、これはいい豊作ラッシュ。
3作品とも、GJですよー。
69名無しさん@ピンキー:2008/03/05(水) 23:56:29 ID:O09hjykc
なんというツンデレ

>>66
この3人が一番好き。
大人が率先してうろたえるわけにもいかないしね。

GJ。
70名無しさん@ピンキー:2008/03/06(木) 00:06:38 ID:k97uoqK5
やっぱカフカはヤンデレですな。いいぞもっとやれ!
71名無しさん@ピンキー:2008/03/06(木) 06:32:42 ID:TTJY9JRq
勝手に勘違いして期待して赤くなる交が、いろんな意味で可愛らしい
72名無しさん@ピンキー:2008/03/06(木) 10:57:25 ID:8Ji4YxRk
絶望は好きなキャラとそのカプの組み合わせが多すぎて
(その日のオカズ選びに)困る
73名無しさん@ピンキー:2008/03/06(木) 11:23:51 ID:jBJj+Otr
叔父甥そろってツンデレな糸色ファミリーに萌えた
74名無しさん@ピンキー:2008/03/06(木) 20:13:14 ID:jq0M9x7d
エロスな連作に期待が高まる
ことのん以外のレギュラー女生徒っていうと、あと可奈子ちゃんと木野君に惚れてる子外して14人?あと12人?
そして、今週のネタを発売日のうちに書いてしまう430さんは凄すぎ
75名無しさん@ピンキー:2008/03/07(金) 00:33:41 ID:wYazcuC3
可能性はあります!
76名無しさん@ピンキー:2008/03/07(金) 00:38:55 ID:oCpy63lz
「絶望」的に低い可能性だがな、とカフカにツッコんでしまいたかったのは俺だけだろうか。
77名無しさん@ピンキー:2008/03/07(金) 00:43:16 ID:V95+y3IT
何処に突っ込む気ですか!?
78名無しさん@ピンキー:2008/03/07(金) 03:01:43 ID:yRMPzDgp
>>66
何と言う良作……絶望も霧も可愛杉だろ……

GJ!!
79名無しさん@ピンキー:2008/03/07(金) 09:17:37 ID:ckMHjvgb
>>66
この人の小ネタが好きだ
80305:2008/03/07(金) 16:37:00 ID:d5phbsdt
お疲れ様です。305です。

430氏の良作霧ssの後に恐縮ですが、私も霧で投下させて下さいませ。
エロ無し + 季節は無視 + 短編 です。

では、お願いします。
81霧:あとの祭りの過ごしかた:2008/03/07(金) 16:39:00 ID:d5phbsdt
            
一人でいる事にはもう慣れっこだった。
静まり返った空間が自分の居場所だと決めている。
だから騒がしい事には、まだ慣れない。


いつもの時間のいつもの見慣れた風景だった。
放課後の宿直室。日が落ちて、ちょっと古くなった電灯の下、ちゃぶ台でくつろぐ先生。
脈絡も無しに揃って現われたクラスメイト達が訪ねてきて、よってたかって先生を連れ出して行く。
──包帯で縛られ、スコップやらバットやらで取り巻かれる先生の姿は、ほとんど罪人だった。

がやがやと楽しそうに喋りながら皆は部屋を出て行く。
ドアを閉める際、いつも先生の背中に張り付いている少女………まといが、チラリと振り返る。
明らかに霧に向かってニヤリと口端を歪めた笑みを送り、勝ち誇ったような表情を浮かべて廊下へと消えた。


「ただいま………あれ? 何だこれ?」
宿直室のドアを開けて入ってきたのは交だった。
入ってすぐ、足元に落ちていた雑誌を拾い上げ、不思議そうな声を上げる。
そのページの幾つかが重なって折れている様子から、道端にでも投げ捨ててあったような印象を受けた。
「これ、霧ねーちゃんの?」
「……違うよ。」
一拍置き、背を向けて畳の上に寝転んだ姿勢の霧が返事を返した。
振り向きもせずに、どこかなげやりな返事を返した霧に、交は一瞬だけ首をかしげながらも、雑誌を持って部屋
に上がる。
とさり、と、ちゃぶ台の上に雑誌を置く音がした。
「なあ、霧ねーちゃん。今日は、エアコンより窓開けた方が気持ちいいぞ。」
言いながらリモコンを手にした交は電源を切り、部屋の窓を開け放った。
冷房で冷やされた部屋に入ってくる外気は、最初はぬるいだけだったが、空気が次第に入れ替わってゆくにつれ、
僅かに湿り気を帯びて草の香りを運んでくる夜気が、心地よく体を包み込んでくる。

交が網戸を閉め直している。──金属を引っ掻くような音がした。
校庭から聞こえてくる虫の音は、あまり涼やかとは言えないクサキリの声が聞こえてくる。
蝉にも似た、低くて長いその声を聞いていると、少しだけ汗ばむような、蒸した夜の匂いがするようだった。


「もうすぐ花火始まるってさ。…ここからも少しは見えるよな?」
窓枠に手をかけて、交は外の闇を覗き込んでいる。
「花火大会…? 交くんは、みんなと行かなかったの?」
「だって、叔父さん達と行くと、たいていロクな目にあわねーんだもん! …眠いって言って帰ってきた。」
霧はゆっくりと起き上がりながら小さく笑う。
「……そうだね。子供はもうすぐ寝る時間だもんね。」
「コドモ扱いすんなよ!」
振り向きざまに交が叫ぶと、その語尾を追うように遠くの空から弾けるような音と光が届いた。

「あ! 始まった!」
言うなり窓に取り付き、夜空に広がる火花に目を輝かせる。
霧は微笑ましそうにその後姿を見ていたが、やがてスッと立ち上がると、手を伸ばして照明の紐を数回引く。
すぐに部屋の中は暗闇に包まれた。
「霧ねーちゃん? 何してんだよ?」
「…この方が良く見えるよ。──ほら。」
82霧:あとの祭りの過ごしかた:2008/03/07(金) 16:41:28 ID:d5phbsdt
続けざまに花火が上がり沢山の火花を散らす。
その光が窓から部屋の中へと入り、二人の顔の上に落ちて白く姿を浮かび上がらせる。
「ほんとだ! すげー!」
鼻先を網戸に触れるくらいに近づけて、交は目を輝かせていた。
開け放たれた窓から部屋の中へと、ほんの少し火薬の香りが風に乗って漂ってきていた。

霧は、花火のはぜる音を聞きながら、それに夢中になっている交の後ろ姿を見つめていたが、おもむろにゆっく
りと交の近くへ寄って行く。
「…交くん。……大人扱いがいいの?」
「な…!? なんだよ急に! コドモ扱いすんなって言ってるだけだろ?」
一瞬だけ振り向いて怒った顔をして見せ、すぐにまた花火の方へと向き直る。
霧はクスリと笑みを浮かべると、交の横に並んで一緒に花火を眺めた。
「交くんさ…… アイドルの写真集集めてたよね?」
「……!? 集めてたっていうか、あれは別に──!」
「…交くんは見てるだけだったけど、大人は、ああいう本を見て何するのか………知ってる?」
交の表情がキョトンとした物になる。
霧はその耳にゆっくりと唇を近づけると、手のひらで自分の口元を覆い、交だけに聞こえるような声で口を動か
し始める。
交の表情が、最初、驚いたものから困惑へと変わり、最後には少し不快そうに眉を寄せていた。
「…………な事するんだよ。」
「…なんか汚い気がするよ。霧ねえちゃん、俺をだまそうとしてないか?」
見上げる目線で向けられた疑いのまなざしに、霧は少し苦笑を浮かべた。
「そっか… まだ分かんないよね?」
「な… なんだよ! コドモ扱い──」
「あのね…… ホントはね。一人でするものじゃなくって。──女の人と…」
再び交の耳たぶに口を寄せて、囁くように語り掛ける。

少し間を置いて、霧の言葉を聞いていた交の顔が真っ赤に染まってゆく。
「…………なるんだよ。…わかるかな?」
一通り話し終えたのか、耳元から離れる。
うす暗がりの中では判らないほどだったが、霧の白い頬にもほんのりと赤みが浮かんでいた。
交はやや引きつったような赤い顔のまま、首を左右に振ってみせる。
「……冗談なんだろ?」
「ホントだよ? 交くんも大きくなったら、する事なんだよ…。」
そこまで言って、顔を窓の方に向けたまま瞼を少し閉じ、横目使いで交の方へ視線を送る。
「…きっと、モテモテだろうなぁ……」
小さく溜息をつきながら、霧は、残念そうな声色で呟いてみせた。

信じられないという表情のまま額に汗をにじませ、交は泳ぐように定まらない視線をゆらゆらと遠くの空に向け
ている。
しばし、静寂に包まれた部屋の中、虫の声に混じり、花火の連続した破裂音が響いていた。

「ねえ、交くん……」
ゆらっ と霧が動き、交の背中側にまわってそっと肩に手を置いた。
「………!?」
膝立ちになり、自分の顔を交の肩の位置まで持ってくる。
低い声の囁きがその唇から漏れ出して交の耳をくすぐるように震わす。
「──いま、オトナ扱いしてあげよっか?」
交の背中を電流の様な物が駆け抜け、まるで金縛りにかかったように動けなくなってしまう。
83霧:あとの祭りの過ごしかた:2008/03/07(金) 16:43:22 ID:d5phbsdt
一瞬で体温が上がり、額には玉のような汗が噴き出してきた。
「………だ……まだ…、ムリなんだろ!?」
動けない交の背中に、霧が体をぴたりと寄せる。
その両脇の下からするりと腕を通し、喉笛へと指先が触れた。
ひんやりとした少女の手の感触が、交の顎の下へ当てられる。

自分のかかと辺りに、霧の足が当たっている事が分かる。
ジャージをはいていない剥き出しな太腿の、うっすらと汗ばんだ肌の感触が伝わってきた。
霧が腕に力を込め、柔らかい少女の体がさらに密着し、交の肩の上に霧の顔が寄せられた。
長く垂れた黒髪が交を包み込むように周りに広がる。
「き……きりねーちゃ……」
かすれた声で交が口を開くと、自分を羽交い絞めの状態にしているその両手がすすっと頬に触れてきた。
霧が喉の奥で微かに笑い声を立てた音が聞こえる。
耳元で、熱い吐息交じりの声がした。
「たべちゃうぞ……。」

ぷすん、と、どこからか音が聞こえた気がして、交の頭上に一瞬だけ湯気が浮かんだように見えた。
小さな体から力が抜け、そのまま崩れ落ちそうになったのか、霧の両腕にずっしりと体重がかかる。
「──あ! 交くん……!?」
慌てて倒れないように腕で体を抱え、そこで初めて、のぼせて熱を発している交の体温に気がついた。
「…やりすぎちゃったな……」
バツが悪そうな顔で呟きながら覗き込んだ交の顔は、ゆでだこの様に赤くなり完全に目を回してしまっていた。



「知恵熱……ですかねぇ…?」
額に保冷シートを貼られて布団に寝かされた交を見て、先生は首を捻りながらつぶやいた。
気を失ったままの交は時折苦しそうに呼吸を荒げている。
「……オトナになんか……ならないよ…」
「はい? ……寝言ですか?」
訝しげに眉を寄せて立ち上がった先生は、戸棚の方へと向かい、引き出を開けて中を探り始めた。
「解熱剤………どこかにありませんでしたかね……」
ひとり言を言いながら、あちこちの引き出しを開けて探し回っているようだった。

霧は少し落ち込んだ表情でちゃぶ台の片側に座り、先生と交を交互に見つめていた。
そして、その卓を挟み、向かい側にはまといが同じく座って先生の姿を見ている。
──彼女は、先生と花火や祭りを楽しんできたのだろう。
そんな霧の思考が伝わった訳ではないのだろうが、不意にまといが霧の方を向いてみせた。
「先生と一緒に花火見れて、楽しかったわ。──残念だったね。」
一瞬、ムッとした顔を浮かべた霧だったが、すぐに真顔に戻って言葉を返す。
「…ここからも見えたよ。──そうそう。先生のユカタ、似合ってるでしょ? 私があつらえたやつ。」
霧の言葉に、今度はまといが鼻白む。
「…知ってる? 先生って、金魚すくいが意外と上手なの。」
「……先生って、寝てるときに片手で枕を掴む癖があるよね。」
「…! 先生、私に風船ヨーヨーを釣ってくれたわよ。」
「……夕食のブリ大根、美味しいって言ってたな。」
お互いに卓の上で視線をぶつけたまま、続けざまに言葉のやり取りをする。
言葉が途切れ、二人少し口元を引きつらせて睨み合う。
「………フン!」
小さく鼻を鳴らして、まといはそっぽを向いてしまった。
霧も少し不機嫌そうに視線を外す。



84霧:あとの祭りの過ごしかた:2008/03/07(金) 16:45:20 ID:d5phbsdt
                      
「…解熱剤は切らしているようです。ちょっと保健室から拝借してきますね。」
背後のやり取りには気がついていないらしく、先生は霧達に声をかけると宿直室を出て行こうとする。
まといは素早く立ち上がり、先生の後に続こうとして……突然、振り返り、霧の顔面に何かを押し付ける。
「わっ…!?」
何の気無しに先生を見ていた霧はその行動を予測できずに、顔に当てられた妙に弾力のある冷たい感触に声
を上げた。
「──それで頭でも冷やしていれば?」
言い捨てる様に告げて、まといは背を向ける。
思わず手で掴み、ぐにゃりとした感触に顔をしかめてしまうが、良く見るとそれは水を入れた風船にゴム紐を括
りつけたヨーヨーだった。
「…ヤケを起こすのもいい加減にしないと、まわりが迷惑だからね……!」
振り向きもせずにそう言って、まといは手早くブーツに足を通す。

霧は手の中にある水風船に視線を落とした。
涼しげな水色と白の流水のような模様に、金魚が泳ぐ絵が描かれている。
「…ねえ。」
気がつくと霧の口が無意識に動いて、まといに声を掛けていた。
チラリと顔を向けたまといに、特に話す言葉が見当たらず、焦って手元に目を落として水風船を見つめてしまう。
「…何よ?」
少し眉を寄せて尋ねるまといに霧はゆっくりと顔を上げる。
「……これ、もう、ぬるいよ。」
「知らないわよ……!」
不機嫌な声を返したまといは身を翻し、さっさと先生を追って部屋を出て行ってしまった。


急に静かになった部屋の中、不規則に寝息を立てている交に近寄ると、寝顔を見つめながらそっと隣に横になった。
少しずれたタオルケットを掛けなおしてやりながら、自分も仰向けになって天井を眺める。
ひょいっと、水風船を氷嚢に似せて額に乗せてみると、ひんやりとした感触が伝わってきた。
熱を出して寝ている気分を思い出して、少し笑った。

「せんせい…… まだかな…?」
騒がしい事が嫌で、一人篭って過ごす様になったはず。
それがいつの間にか、先生が帰ってくるのを心待ちにするようになった。
先生たちと過ごす事が当たり前になった毎日を送るうちに、静かな時間が落ち着かなくなってきている自分を感じる。
騒がしい事には慣れなかった自分が、喧騒から一人取り残される事に、慣れない気持ちを抱きはじめている。

霧は笑顔で目を閉じた。
交のタオルケットを半分もらってそっと上半身に被る。
窓から入ってくる微かな花火の残り香と、低い虫の声を聞くうちに、いつしかまどろみを覚え静かに寝息を立て始めていた。



85305:2008/03/07(金) 16:45:52 ID:d5phbsdt
お粗末でした。

では、また。
86名無しさん@ピンキー:2008/03/07(金) 18:00:10 ID:H/bBzKQG
一番槍GJ
87その花束に絶望を:2008/03/07(金) 22:35:34 ID:BEAsM3F4
なんという霧良作ラッシュ………
そんな中で投下するのもちょっと気が引けますが、第三話書けたので投下していきます

注意事項は>>33+ちょっとスカ的なものもありますので、苦手な方ご注意ください

では、どうぞ
88その花束に絶望を karte04 (1/9):2008/03/07(金) 22:36:27 ID:BEAsM3F4
霧は、まだ覚醒しきっていない意識の中、必死で記憶を辿っていた。
自分は確か、望が倫に呼ばれて出て行った後、交と共に部屋に残されていたはずだ。最近は自分どころかまとい
までもを引き離して出掛けることが多くなった、少し不満だけれど、家族にしかできない大事な話というものも
あるだろうから我慢しなければ………などということを徒然と考えながら、漫画雑誌を眺める交の隣で布団に
包まっていたはずなのだ。

それが………どうして、いつの間にかこんな場所に居るのだろうか。

いつもの部屋の風景とはまるで違う、無機質で殺風景な、何の面白みも無い部屋。
足元は温もりのある畳ではなく、コンクリートが剥き出しの冷たい床だ。まどろみの中でようやく、裸足で居ると
少し寒いな、ということに気付き、掛け布団の端を足元に巻き込む。巾着のようになった布団の中で、また、記憶
を手繰り始める。
もちろん………気を失っていた間の記憶など、どれだけ必死になっても、思い出せるはずなどないのだが。霧は、
自分がそんな状況に陥っていたことすら、まだ気付いていなかった。
「ここ………どこ………?」
たっぷりと時間を掛けた後、その疑問がようやく、誰へとも無い言葉になり………そして。
「私の、秘密基地だよ。」
その部屋の主が、待ってましたとばかりに、その問いに答えた。同時に、ガチャリ、と金属の鳴る音がする。
霧が、首を巡らせて部屋の様子を窺う。そして、その片隅に据えられた扉が開き、薄明るい廊下をバックにして
誰かがその前に立っているのを、視認する。
また、たっぷりと間を取って。霧はようやく、その人が誰であるのかを思い出した。
「あ、れ………えっと、先生の、お兄さんの………?」
「糸色命、だよ。望が、世話になってるね。」
「あ………いえ、こちらこそ………。」
状況に似合わない社交辞令的な挨拶を済ませてから。霧はようやく、はて、と疑問を感じ始める。
「えっと………ここって………命先生、の部屋なんですか?」
「『先生』でいいよ………って、それじゃぁ望と一緒で紛らわしいかな。」
「あ、いえ………ええと、先生?私、なんで………こんな所に居るんですか?」
まだその状況を訝しむことができるまでに意識が回復していない霧は、ごく単純なその疑問を命に投げ掛ける。
命は、しばし顎に手を当てて言葉を選んだ後………軽い調子で、それに答えた。
「私が、招待したんだよ。」
「え………先生が………?」
「そう。君の………そうだな、ちょっとしたカウンセリング、とでも言おうかな。」
「カウンセリング………?」
「ああ………君の篭もり癖を、なんとか解消できないか、と思ってね。」
「………あの………?」
説明を受けても事態がよく飲み込めず、霧は小さく首を傾げた。カウンセリングなんて話は1度も聞いていない
し、そもそも、学校には智恵先生という立派なカウンセラーが居るはずだ。いや、それ以前に、一体全体そんな
ことを誰が頼んだというのだろう。両親が今更そんなことをするとは思えないし、まさかあの望が引き篭りから
本気で立ち直らせようと尽力するなんてことも考えにくい。
と、霧がそんなことに考えを巡らせているのを、尻目に。
「それで、早速だけど………ちょっと、散歩でもどうかなと思うんだ。まずは、1歩外に出てみよう。」
「え、あの………いや、私………?」
「大丈夫さ、ほんのちょっと………人気の無い場所を、ぶらぶらするだけだから。」
霧が事態を飲み込む間もなく、命は霧の元へ歩み寄った。次々と疑問が湧き上がるが、そのどれも漠然としたまま
で、きちんとした質問の形になって口から発せられる前に、霧散するように消えていってしまう。
まるで、敢えて事態を理解する隙を与えまいとしているかの様に、命は一方的に話を先に進めていく。
89その花束に絶望を karte04 (2/9):2008/03/07(金) 22:37:09 ID:BEAsM3F4
「さて、ちょっと、後ろを向いて貰っていいかな?」
「え………わっ………。」
にこやかにそう言って、命は霧の肩を掴み、その身体を華麗にくるりと反転させた。思わず布団を取り落とし、
色気の無いジャージを身に着けた霧の姿が晒される。
「え、っと、あの………何を………?」
思わず、言われるがままに後ろを向いて、頼まれもしないのに身体測定のときのように背筋を伸ばす。あまりに
毒の無い命の声は、敢えてそれを疑おうとかそれに逆らおうという気持ちを削ぐような響きを持っていた。

そして。霧はこの後すぐに、身を以って知ることになる。
その、邪気の無い命の声が………自分を謀る為の、偽りのものであったことに。

振り向かされ、壁を眼の前にし、背後に命の声と気配を感じながら直立して。
「………それじゃぁ………。」
「………んっ………?」
霧は、不意に首筋に触れた命の指の感触に、ぴくり、と身を震わせた。
そして。その余韻が引くよりも先に………かちゃ、と、ドアの音より遥かに小さな金属音が、響く。
「………………………え?」
次の瞬間、霧が、首をぐるりと囲む何かの感触に違和感を覚えたときには………既に、全ての準備が整っていた。
霧は、不思議そうな顔で振り向き………命の手に握られた、鎖を眼にする。連なりながら垂れ下がった鉄の輪は、
逆さまの放物線を描くようにして自分の方へ近づいて、その一端が………。
「………ぁ………っ………?」
自分の、喉下。巻かれた首輪の金具に、繋がっていた。
「さて、準備完了だ。」
「え………あ、の………?」
空いたほうの手で鍵の束をクルクルと回しながら、命が相変わらずの軽い口調で言う。
呆然とし、言葉を発することもできず立ち尽くす霧の顔を、満足げに見つめながら。
「それじゃぁ………さっさと行くぞ。」
「………あ、ぅっ!?」
命は、手にした鎖をピンと張って、霧の身体を強引に引き寄せた。


//////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////


地下室から、首輪と鎖で無理矢理引き摺り出されたところで………霧はようやく、命が自分にとって良からぬ考え
を抱いているらしいことに、気がついた。
「あ、うぅ………ちょ、っと、待って………!」
「五月蝿い。自分の主人に、口答えするな。」
「し、主人って………どういう事………ッ!?」
「そのままの意味さ。首輪で繋がれるのなんて、家畜か愛玩動物か、そうじゃなきゃ奴隷と相場が決まってる。」
「な………ッ………!?」
さきほどまで親しげに語り掛けてきていた男と同一人物とは思えないような台詞を吐きながら、命は、足取りを
緩めることなく、地下から地上へと続く階段を登っていく。ときどき前のめりになりながらも、物理的にそれに
従わざるを得ない状態にある霧は、必死でそれに追いすがっていく。
やがて。石造りの階段が終わりを迎え………2人の足が、古びた木の床を踏んだ。
「………っ………?」
「そういえば君は、初めてだったな。ここが、私の診療所だ。学校も、歩いてすぐの所にあるぞ。」
やはり薄暗い廊下に立って、命は言った。その足元で床にへたり込むようにしながら、霧がきょろきょろと辺り
の様子を窺った。その様子はどうもそわそわしていて、落ち着きが無い。
「見知らぬ場所は、怖いかな?」
「………っ………。」
「すぐに慣れるさ。引き篭もりからの脱却には、まず、外を出歩いてみるのが1番だ。」
「………こんなことしておいて、まだそんな………ッ!」
「嘘は言っていないよ。ちゃんと、今から実践しようと思ってるところだしね。」
そう言いながら、ニヤリ、と唇の端を吊り上げた命の顔を見て………霧は、背筋に悪寒を感じた。外を出歩く、
ということはつまり………こうして鎖に繋がれたまま、町中を引き回される、ということだろうか。ただでさえ、
外を出歩くことに抵抗があるというのに。それこそまるで、ペットとして散歩でもさせられるかのように、だ。
90その花束に絶望を karte04 (3/9):2008/03/07(金) 22:37:38 ID:BEAsM3F4
「や………嫌、そんなの、絶対に嫌ッ………!?」
「………口答えをするなと言っただろう。素直に解放する気があるなら、初めからこんなことはしないよ。」
「………やだ………嫌だ、怖、いッ………!」
「だから、それを克服させてやろうと言っているんだ。つべこべ言わずに、来い。」
「あ、ぐッ………ひ、引っ張らないで………っ!?」
喉を圧迫された霧が思わずむせ返るのにも構わず、命は鎖を引きながら、診療所の入り口へと向かっていく。
自分はしっかりと革靴を履きながら、しかし、裸足の霧には履物も与えず、そのまま強引に外の世界へと牽引
していく。砂粒が刺さる小さくも鋭い痛みを感じながら、霧は、満天の星空の下へと引っ張り出された。
「もう夜中だ、人が通ることもほとんど無い。」
せめてもの慰め、と取れなくも無い命のそんな言葉も、今の霧の耳には届いていなかった。自宅に引き篭もって
いた頃から不下校になった現在まで、久しく外の世界とまともに触れ合っていない霧にとっては、真夜中とは
いえ鎖に繋がれた状態で町に連れ出されるなど、耐え難いことだった。
「や………やだ………外、やだぁ………っ。」
長い間身を置いていなかった、自分を護る壁の無い、無防備な世界。あるはずもない気配や視線を感じ、霧は
自分の中の不安をいたずらに掻き立てていく。その肩は、寒さではなく恐怖によって、小刻みに震え始めていた。
「………本当に、困った雌犬だな。」
外に出た途端にうずくまってしまった霧を見下ろしながら、吐き捨てるようにそう言って。命はまたも容赦なく、
手にした鎖を引いた。霧の身体が、ぐらりと揺らぐ。
涙声で何事かを呟きながら、霧は、否応無しに人気の無い通りを引き摺られていく。


//////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////


そうして………やがて辿り着いた目的地で、霧はようやく我に返った。
「………ぇ………っ?」
蚊の鳴くような声が、震える喉から発せられる。眼の前に広がっている、馴染みのあるはずのその景色に、霧は
唖然として涙の浮いたその眼を見開いた。
「言っただろう。歩いてすぐだ、と。」
わけも解からぬまま街中を連れ回され、到着したそこは………見慣れた、校舎の前だ。
「ほら、いつまでそんな所に突っ立ってるんだ。入るぞ。」
「え………あ、ッ………!?」
言うが早いか、命は閉じられた校門を軽々と乗り越えて、こんな時間にはもちろん立ち入りが許されていないはず
の校庭へ踏み込んだ。2人を繋ぐ鎖が、鉄柵に擦れてかちかちとよく響く音を立てる。その音で咄嗟に、誰かに
聞かれてはまずい、という想いに駆られ、霧もまた急かされるようにして冷たい校門を乗り越えた。
「あ………だ、駄目、こんなの………!」
「いいじゃないか。夜の学校へこっそり潜入、か………青春時代を思い出すな。」
呑気な声でそう言いつつ、命は校庭のほぼど真ん中にまで霧を連れて来てから、不意に立ち止まった。霧が、不安
の色に染められた瞳で、恐る恐る命の様子を窺う。
「あ、の………なんで、こんな所………?」
周囲の様子を落ち着き無く窺いながら、霧は擦れた声で尋ねた。校舎からは、非常灯の緑色の光以外に光の気配
は感じられないし、グラウンドを照らす為の照明ももちろん灯されてはいないが………一面明るい灰色の校庭に
立っていると、そこに誰かが居ることは、遠くからでも月明かりだけで十分に視認できるはずだ。
「この辺りでいいか………それじゃ、始めよう。」
「え………始める、って………何を………?」
さきほどの問いを無視し、霧に新たな疑問を生じさせて。命は………霧の眼を見つめて、笑みを浮かべた。
ぞくり、と、霧の背中に怖気が走る。
「決まっているだろう。君の、躾けだよ。」
「し、つけ………って、え………っ?」
命の言葉を聞いた瞬間、その意味を理解することを拒むかのように、霧の思考回路が停止した。
表情を固めたまま立ち尽くす霧に向かって………命は、本当に、まるで主人が飼い犬に命令するような威圧的な
声で、続ける。
「そうだな。まずはやっぱり、脱ぐところから始めようか。」
91その花束に絶望を karte04 (4/9):2008/03/07(金) 22:39:18 ID:BEAsM3F4
「脱ぐ、って………え………えぇッ………!?」
「まぁ、上は首輪があるから面倒だな。下だけで構わないよ。」
平然ととんでもないことを言ってのける命から、霧は思わず、数歩身を引いた。が、すかさず命の腕がその首に
繋がった鎖を乱暴に引き、結局2人の距離は後退りする前よりも短くなった。
「う、ぇ………けほっ………!?」
「拒否権が無いことが、まだ解からないのか?1度駄目だと教えれば、犬だって学習するぞ?」
「だ、だって………ッ、脱ぐ、なんて、そんなことできるわけ………!!」
「だから、いい加減に状況を理解しろ。今は、君の生命すら、ボクの機嫌次第なんだぞ?」
「え………っ………!?」
ついに『生命』という言葉まで持ち出し始めた命に、霧が絶句する。
「例えば、そうだな………この鎖を木の枝に引っ掛けて、滑車の要領で君の首を吊り上げたら、どうなるかな?」
「な………そ、そんなこと、したらッ………!」
「私も人体の限界くらいはわきまえているから、死なない程度にいたぶり続けるくらいは出来るが………。」
「………っ………!!」
「ちょっと、加減を間違えたら………首吊り死体が、1つ出来上がってしまうかも知れないな。」
「………よ、よく、真顔でそんなこと………く、狂って、る………!」
霧の言葉通り、気が狂っているとしか思えないような脅し文句で、命は詰め寄った。普通なら、そんな馬鹿馬鹿
しいことがあるものか、と突っぱねられそうなものだが………しかし、今の霧には、これ以上逆らえば命が本当
にそのような手段に出そうな予感がしてならなかった。
「愛しの望と、お揃いになれるかも知れないぞ。さぁ、どうする?」
そして。既に、不安と恐怖で限界まで削り取られつつあった霧の精神は。
「………ぎ………ま、す………。」
「ん、なんだって?ほら、物を言うときは、ハッキリと、相手に聞こえるように。」
「………ぎ、ます。脱ぎます………脱げば、いいんでしょう………っ!?」
遂に、命の言葉に、屈した。命が、満足げに大きく頷く。
「よしよし、よく言えた。それじゃ、脱いで貰おうか。」
「………っ………。」
鎖を片手に腕組みをして見つめる命の視線の先で。霧は、羞恥心と敵意が混ざった、命にとっては堪らない表情
を浮かべながら………ジャージのズボンに、指を掛けた。そして、一瞬の躊躇の後………それを、一気に膝下
まで引き摺り下ろす。夜の空気が、剥き出しになった太股を撫でた。
「………ふ、ぅっ………!
雪のように白い肌を赤く染めながら、霧はズボンから手を放した。支えるものが無くなったそれは、重力に負けて
すとん、と霧の足元に落ちる。月明かりが、華奢な脚と白い下着を照らす。
「ほら、何してる。脱げと言われたら、全部脱ぐんだ。」
「………ッ………!!」
必死で羞恥心に耐える霧に向かって、命は更に残酷な命令を下した。もしかすると、これで済ませてくれるかも
知れない………という霧の一縷の希望が、無残に打ち砕かれる。
「………吊られたいか?」
さきほどよりも長く、躊躇するが………命のたった一言のその脅迫は、霧にとって、余りに重過ぎるものだった。
震える指が、下着を摘む。羞恥心と緊張とで、ほとんど呼吸困難かというほど息を荒げながら………霧は前屈み
になって、自分の秘所を覆うたった1枚の下着を、ズボンと同じように引き摺り降ろした。
「ァ………〜〜〜っっっ………!」
この歳になっても毛の生えていない秘裂が、月明かりの下、命の視線の前に晒される。霧の口から声にならない
声が漏れる。
「外見の通り、こっちも幼いな。」
薄ら笑いを浮かべながら、命は躊躇い無く、曝け出された霧の秘裂に指を這わせた。霧の背筋に、虫が這い回る
ような嫌な感覚が駆け巡る。しかし………度重なる恐怖と余りに絶望的なその状況は、霧の意思から、命に抵抗
する気を失せさせてしまっていた。
「………う、ぅぅ………っ………。」
明らかに命の接触を嫌悪し、涙の浮かんだ瞳で命を睨みつけながらも、霧は命の手を拒むことができなかった。
92その花束に絶望を karte04 (5/9):2008/03/07(金) 22:40:45 ID:BEAsM3F4
「うーん、その可愛い顔が、屈辱に歪む様子………堪らないね。」
「………あなたが、先生と兄弟だなんて………信じられない………ッ!!」
「まだ、生意気を言う気力があるのか………外出自体には、もう慣れてきたのかな?」
そんな冗談を、飛ばして………命は不意に、霧の秘裂に這わせていた指を、引いた。身の毛のよだつ様な感覚が、
霧の身体から去っていく。
「あんまり慌てて躾けることもないな………今日は、ひとまず『あれ』をして貰えればいいか。」
相変わらず、にやにやと寒気のするような笑みを浮かべながらそう言って、命はそれきり霧への干渉を止めた。
突然おとなしくなった命の様子に、霧はどこか不気味な雰囲気を感じていたが………やがて。
「(………ぁ………っ………?)」
自分の中で生じた、別の感覚に気を取られ、そんなことを考えるどころではなくなってしまった。
「ああ………そうだ。それを、預かっておこう。」
どこか、さきほどよりも更に落ち着きの無くなった霧の様子に気付きながら。命は敢えてそのことには触れず、
今さっき霧が脱ぎ去ったズボンと下着を回収した。自分に拒否権が無いことを既に悟ってしまった霧は、素直に
脚をどけ、それを命に引き渡す。
「………ぅっ………。」
そのとき………霧がもじもじと微妙に太股を擦り合わせていたのを、とうとう、命が指摘する。
「ふむ………さっきから、どうも落ち着きがないようだね?」
「ッ!」
ギクリ、と霧の肩が震える。しかし………その肩の震えはどうやら、それまでの震えとは別の原因から来るもの
であるようだった。
「どうかしたのかい?何かあったら、遠慮なく言ってごらん?」
「あ、あの………あのッ………。」
「そうだな、例えば………急に、催してきた、とかね。」
「………ッッッ!?」
ズバリそのことを言い当てられて、霧が、思わず眼を剥いた。
「………な、んで………?」
「そりゃ解かるさ、そろそろ、君が寝ている間に投与した薬が効き始める頃だ。」
「え、薬………って………!?」
更に驚くべきその言葉に、霧は唖然とした。
「いや、別に毒薬ってわけじゃないから安心してくれ。ただ………ちょっと、利尿作用のある薬をね。」
「そ………そんな、それじゃぁ………!?」
「そう、今頃になって君がトイレに行きたがるのも、計画通りってわけさ。」
まるで手の込んだ悪戯に成功した子供のような顔で笑いながら、命は、便意に耐えて震える霧を見下ろした。
本当に、何から何までを掌握されていることを知り、愕然としつつも………霧は、すがるような眼で、自分を
見下ろす命の顔を見つめた。
「あ、あの………お願いです………と、トイレに、行かせてください………っ!」
「おお、やっと敬語を使えるようになったか。主従関係が、身に染みてきたかな?」
「なんでも………言うこと、聞きます………だ、だから………!!」
迫り来る気配に焦り、動揺し、とうとうそれまでなんとか保ってきたプライドも捨ててそう懇願する霧を見て、命
は、何とも形容し難い征服感に満たされていた。
命は満足げに腕を組んだまま、にっこりと、もはや仮面にしか見えない笑顔を浮かべてから。
「じゃぁ、そこですればいいじゃないか。」
「ッ!?」
嘲るように、そう言い放った。泣き濡れた霧の顔が、みるみるうちに絶望の色に染まっていく。
「なんでもする、というなら、それが命令だ。そこで、しろ。」
「や………嫌、嫌ぁッ………それだけは、許して………ッ!!?」
「嫌だね。ご主人様がそう決めたんだから、犬は素直に従っていればいいんだ。出来ないなら………。」
またしても、首を吊らせるぞ、と脅されるのかと思いびくつく霧に歩み寄りながら………命は、白衣のポケット
に手を入れた。耐え切れずにしゃがみこんだ霧の顔を覗きこみながら、その中身を取り出し、霧の眼の前にぶら
下げる。それを見た瞬間、霧は、か細い悲鳴を上げた。
「これで、手伝ってやろう。ただしそのときは、自分で出来なかったんだから、もちろん罰もあるけどね。」
命が手にしたそれは………卵形をしたプラスチックの塊と、それに連なるコードとリモコン。ローターだった。
93その花束に絶望を karte04 (6/9):2008/03/07(金) 22:41:29 ID:BEAsM3F4
「トイレ程度で主人の手を煩わせる犬には、お仕置きが必要だろう?」
「や、ッ………ッッ………!?」
「そうだな。コレを中に仕込んで、スイッチを入れてテープで留めて………そのまま、鉄棒にでも繋いで帰るか。」
「っ!!?」
「もちろん今の格好のまま、そうだ、両腕も縛って行こう。明日の朝には、さぞかし面白い事になるだろうな。」
「や、止めて!!そんなことされたら、私………もう、学校に、居られない………ッ!!」
「もともと不登校だろう?町も歩けなくなるだろうが、大したことないじゃないか!」
そう言って笑う命の顔を、霧は、悪魔でも見るような怯えきった顔で見つめていた。奥歯がガタガタと音を立て、
呼吸が浅く速くなる。

もはや自分には、この事態から逃げ出すどんな手段も、この状況を改善するどんな方法も残されていない。
ただ、眼の前の男の言いなりになって玩具にされるのが、運命なのだ………救いなど、ありはしない。
霧の意識が………とうとう、そのことを現実として受け入れてしまう。

「………ふ、ぁ………あぁぁ………!?」
ぷつり、と霧の中の希望の糸が途切れた、その瞬間。霧の身体が弛緩し、ぺたり、と尻餅をついて………その
脚の間から、それまで我慢してきた分の小水が、放たれた。
「あ………や、駄目………見ないで………っ………。」
命の眼の前で、ぴしゃぴしゃという水音と共に、砂の上に、湯気を立てる水溜りが広がっていく。命の舐めるよう
な視線を感じながらも、霧にはもはや、垂れ流されるそれを押し留めることは出来なかった。
「………よし。よく、出来たね。」
「あ………あ、うぁ………は、ぁぁ………。」
ぞくぞくと、背中を震わせながら………霧は、腹の中に堪っていたそれを、全て吐き出した。
むわ、とその臭いが立ち込める中、まるで夢の中にでも居るような蕩けた眼が、夜空を見上げる。
「(………今、わた、し………。)」
霧が、頭の中で自分自身に呟く。
「(気持ち、良かった………?)」
自分の中に芽生えた………明らかな『快感』に、戸惑いながら。霧は、冷たい砂の上にその身を横たえる。

「(素質があると思って試してみたが………やはり、私の眼に狂いは無かった。)」
命もまた、他の誰にも聞かれることの無い声でそう呟きながら。抜け殻のようになった霧の頬に、手を添えた。


//////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////


………その後も、命による霧の『躾け』は、継続されていった。



あの後の何回かは、霧が初めてその手中に落ちた夜に命が撮影した、下半身を晒したまま校庭でぐったりと身を
横たえる霧の写真を脅迫材料に、躾けが続行された。
「ほら、その丸い方を中に沈めて、スイッチを入れるだけだ。簡単だろう?」
「………や、ぁ………。」
何度目かの躾けで………命は霧に、校庭での自慰を強要した。手渡されたローターを手にし、霧はしばらく葛藤
を続けていたが………あの脅し文句の前では、自分の無力を実感させられるばかりだった。
霧は命に言われるがままに、ローターの振動部を秘裂に押し込み、自らの手で、そのスイッチを入れた。既に命に
よる改造が施されいたローターの振動は、市販のものとは比べ物にならないほどの衝撃を与え………ほんの10秒
足らずで霧の身体を絶頂へと導いた。
ビクビクと身体を痙攣させ、それでもスイッチを切ることを許されずにその振動に犯されながら………霧はまた、
自分の中に湧き上がる熱の気配を感じていた。
94その花束に絶望を karte04 (7/9):2008/03/07(金) 22:42:14 ID:BEAsM3F4



その後も、段階を踏んで躾けはそのレベルを上げていく。校庭での自慰行為は、やがて、玩具を使わずに手淫で
させられるようになった。
「初めはぎこちなかったが、だいぶ慣れてきたな。幼い顔をしていても、所詮は雌ってことか。」
「ん、うぅ………あ、ああ、ッッッ………!!」
「見てみろ、もう足元まで垂れてきているぞ。どうしようもない変態だな、君は。」
「や、ぁ………言っちゃ、駄目………ッ………は、あンッ!?」
いつもクラスメイト達が行きかっている校庭で、命にその様をまじまじと観察され罵られながら、自分の手で自分
の身体を慰める………自分自身でも気付かぬうちに、霧は、その快感に毒されていった。
やがて、衣服も上下全てを剥ぎ取られ、生まれたままの姿にさせられるようになり。最後には、診療所を出る時点
で全裸となり、町中を引き回されるようになった。
その頃にはもう、その躾けは………霧にとっての、危険な娯楽へと、変貌しつつあった。



そして、遂に………その舞台が、校庭から、学校に程近い繁華街へと移された。
初めは、全裸のまま真夜中の繁華街を歩くだけだったが、それでも、学校と違い他の誰かが居る可能性が十分に
残されているという状況は、当時の霧にとっても気後れするものだった。だが、霧はその恐怖と快楽とを天秤に
掛け………最後にはいつも、『どうせ言うことを聞かなければならないのだから』と自分に言い訳をしながら、
命の命令に素直に従っていた。
「その顔………誰かに見て欲しい、と思ってるんだろう?」
「や、違ッ………そんな………!!」
「こんな場所で、そんないやらしい顔で裸を晒してる女がいくら否定したって、説得力なんて無いよ。」
「………ッ………!!」
「認めないなら、あそこの電柱にでも繋いでいってやろうか?」
お決まりの脅し文句を聞かされ、その顔を恐怖に引き攣らせながらも………霧は既に、その言葉通りにこの場所に
放置された自分の姿を想像し、それを誰かに見つけられて破滅することを思い描きながら………それにすら、快感
を覚えてしまう、もう決して引き返すことのできない領域にまで、堕ちてしまっていた。



露出行為は、やがて自慰行為へと変わり………遂には、命との交わりにまで発展する。
最初の1回こそ、破瓜の痛みに苛まれたものの………回数を重ねるうちに、霧の身体はすんなりと命の固いモノを
受け入れることができるように、開発されていった。
「あ、あぅ………ん、やぁぁぁッ!!」
「そんなに声を出すんじゃない………誰かに、聞かれるぞ。」
「ら、らって………あッ、せ、先せ………ご、ご主人様のが、奥までぇ………あ、あぁッ、あぅ、ふあぁッ!?」
「………今更そんなことを言っても、脅しにはならないか。どうせ、見られてもいいと思っているんだろう?」
その舞台も、真夜中の繁華街から………白昼の、繁華街を1本逸れた裏路地に、移されていた。そこまでその身体
を隠していたコートを脱がされ、壁に両手を着かされて背後から秘所を突かれながら………霧は、声を抑えよう
ともせずに喘ぎ声を上げ続けた。



やがて………霧は、夢を見るようになった。
自分が、普段なら決して寄り付かないはずの教室に居る。見慣れたクラスメイト達が、珍しそうな顔で、自分の
ことを見つめている。
その視線を受けながら、夢の中の霧は独り立ち上がって、いつも望が教鞭を振るっている黒板の前、教卓の上に、
ぺたりと腰を降ろし、身に纏っていた布団を脱ぎ捨てる。その下には………何も、身に着けていない。
ざわざわと、教室の中がにわかに騒がしくなる。女子達はその事態に思わず悲鳴を上げる。男子達は言葉を失い、
しかし、霧の裸体に視線が釘付けになったかのように、その姿を見つめ続ける。
『ん、ぅ………。』
クラス中の視線を一身に受けながら………霧は両脚を大きく開き、ひくひくと震える秘裂を曝け出す。そして、
その中に、細い指を1本、2本と沈め、破滅の中の快感を貪っていく。
そして、そのとき………教室の戸が開き、望がその姿を現して。霧と望の視線が、かち合い………。
95その花束に絶望を karte04 (8/9):2008/03/07(金) 22:43:18 ID:BEAsM3F4

そこでいつも、夢は覚めるのだった。

押入れの中、霧は気付くと、眠りながら自分の秘裂を捏ね回して自慰に耽っていることが多くなった。暗く狭い
空間の中に、甘酸っぱい臭いが立ち込め、それがまた霧の欲望を掻き立てた。
最近になって霧は、交の態度が、どこかよそよそしくなったように感じていた。自分の姿を見ると、時折、まるで
怖ろしいものでも見るような、しかしどこか気恥ずかしそうな顔をしているように思えるのだ。
もしかすると………あの行為を、交に目撃されてしまったのかも知れない。そう考えると、霧は………絶望と共に、
明らかな興奮を覚えてしまった。


//////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////


そして、現在。躾けは、ほとんど最終段階と言える所まで、進んでいた。
「………あのぉ………お客様。」
時刻は、真夜中。霧は今、そんな時間でも蛍光灯を灯して営業を続ける、とある店に立っていた。
カウンター越しに、どこかやる気無さげに煙草を咥えた店員の男と向き合う。他に、客の姿は無い。
「………なんですか?」
「なんですか、じゃなくてですね………。」
膝まであるコートを羽織り、熱にうかされたような顔で、霧は店員の顔を見つめる。
「こちらの商品………というか、当店は、18歳未満の方の入店はお断りしてるんですけど。」
霧が、何の躊躇いも無くカウンターに置いたその箱を手に取りながら、店員は、じろじろと霧の姿を見下ろした。
その箱には………グロテスクな形をした、バイブレーターの写真が印刷されている。サイズも、数ある中で最大級
のものだった。
「身分証か何か、お持ちですか?」
「………ありません。」
霧の返答に、店員は隠そうともせずに溜息を漏らす。
「えーと………でしたら、こちらの商品を販売することは、できませんね。お引取りください。」
横柄な態度でそう言って、店員はその箱をカウンターの内側に引き取り、対応を打ち切ろうとした。
………だが。
「あの………店員さん。」
店内に流されるアダルトビデオの宣伝の声に掻き消されてしまいそうな声で、霧が呟いた。
店員が、まだ何かあるのか、と明らかに不機嫌な視線を向ける、その先で。
「これ、見てください………。」
「はぁ?」
霧はそう言いながら、コートのボタンを上から順に外し………前を、大きく広げて見せた。
「これじゃ………証拠に、なりませんか………?」
霧が、ぼう、っとした顔で微笑みかける。店員が言葉を失い、その口から、煙草が落ちる。
96名無しさん@ピンキー:2008/03/07(金) 22:44:18 ID:nh6Ynufe
【中国】スター三人、無修正写真流出「セックス?スキャンダル」

02-09?冠希裸照事件2月7号最新?[?思慧]-37P-
http://idol2.jpger.info/page97.php?tid=13/2008-2-9/63187_2.shtml
http://idol2.jpger.info/page97.php?tid=13/2008-2-9/63187_1.shtml
http://idol2.jpger.info/page97.php?tid=/13/2008-2-9/63187.shtml

02-09?冠希裸照事件2月7号最新?[梁雨恩]-40P-
http://idol2.jpger.info/page97.php?tid=13/2008-2-9/63186_2.shtml

02-09?冠希裸照事件2月7号最新?[??思]-10P-
http://idol2.jpger.info/page97.php?tid=/13/2008-2-9/63185.shtml
97その花束に絶望を karte04 (9/9):2008/03/07(金) 22:44:21 ID:BEAsM3F4
  
コートの下の霧の身体は、衣服を、1枚も身に着けてはおらず。ほとんど膨らんでいない胸の先端は、赤く充血
しながらピンと立ち上がっていて。
そして、その秘裂からは………さきほどカウンターに置いたものよりも一回り小さなバイブの尾部が、生えていた。
低いモーター音を響かせ、その身をくねらせながら、バイブは霧の内部を抉るようにして蠢いている。見るとその
足元に、転々と透明な雫が垂れ落ちた跡が続いていた。

「あ、ふっ………!」
霧は越しをビクビクと震わせながら………人前で、自分の意思で痴態を晒すという初めての行為に、酔いしれて
いた。それだけで微かに達してしまった秘所が痙攣し、淫具から搾り取る快感を更に強めていく。
「な………う、あ………!?」
店員は、眼を白黒させながら数歩後退りをして。
「て、店長ーーーッ!!?」
一目散に、店の奥へと駆けて行った。

『………よし、いいぞ。戻れ。』
「………は、い………。」
耳元から聞こえたノイズ混じりの声に答えて、霧はコートのボタンを閉めようともせず、バイブを抜き取ろうとも
しないまま、よろよろと店を後にした。
煌々と光る店内から、夜の町へ歩み出る。道路を挟んだ反対側のアーケードに………命の姿が、あった。
『ちゃんと、全部見せたかい?』
「ちゃんと、全部見せたかい?」
命が、穏やかな声で尋ねる。実際の声と耳に仕込んだトランシーバーの声が重なって聞こえる。
霧は、こくり、と小さく頷いて、その小さな機械を耳から取り出した。
「は、はいぃ………私のいやらしい身体、全部、見て貰いました………。」
口の端から涎を垂らし、どこか壊れたような笑みを浮かべながら、霧は命の腕にすがりつく。
「はは………引き篭もりは、すっかり解消できたみたいだな。」
「………はい………っ………。」
その様は、本当に、飼い犬が主人の前で芸をして褒めて貰いたがっている様子を髣髴とさせるものだった。
「さて、今日のところはこれで帰るか。もちろん………。」
「コートは脱いで、バイブはそのまま、ですね………解かってます………。」
「よろしい。帰ったら、ご褒美をあげよう。」
そうして、霧は命に促されるまでもなくそのコートを脱ぎ去り、バイブに犯され続けるその身を曝け出す。
快感が、再び霧の身体を襲う。

「次は、あのまま自分で自分の身体を弄らせてやろう。楽しみにしていなさい。」
「は、い………ご主人様………。」

人気の無い夜の町には、もはや『2人』ではない………『1人と1匹』の姿が、あった。



(続)
98その花束に絶望を:2008/03/07(金) 22:48:26 ID:BEAsM3F4
カルテその4、霧偏でした。お粗末様でした。
必要以上に堕としてるような気もしますが、それはきっと愛情表現です。歪んでますね。
あと、凄いタイミングで書き込んできた>>96に脱帽。

では、次の話書いてきます。失礼しました、また後程。
99名無しさん@ピンキー:2008/03/07(金) 23:16:27 ID:iETKoE9K
鬼畜すぐるwwwwww
もちろんいい意味でw
これからもこのぐらいの鬼畜さでいってくだしあ
100名無しさん@ピンキー:2008/03/07(金) 23:32:20 ID:y53s0hWc
霧祭りだー!
101名無しさん@ピンキー:2008/03/07(金) 23:38:20 ID:RUvHM2j1
いやぁ才能を感じる
102名無しさん@ピンキー:2008/03/07(金) 23:40:05 ID:yyoD3Biu
ひどいよえろいよおもらしだよ
先生どこで絡んでくるんでしょ?
103名無しさん@ピンキー:2008/03/08(土) 02:07:30 ID:6qi7UdNI
凌辱とか、俺の肌に合わんからマジやめてほしい








霧たんエロいよ、ハァハァ(;´Д`)
104名無しさん@ピンキー:2008/03/08(土) 02:49:25 ID:XZFxx8aP
>>103
黙ってろよ。
いやならスルーしろって注意書きがあるんだ。
そのくせ読むお前が悪い。
105名無しさん@ピンキー:2008/03/08(土) 03:12:47 ID:DdRC7YcA
ネタにマジレスして雰囲気悪くした上に自分自身がスルー出来ていない
人として軸がブレてんな
106名無しさん@ピンキー:2008/03/08(土) 03:54:52 ID:J8zlZQ5f
エロイヨGJ、次はまといなのかな
>>83
GJ。やらしいよ、霧。交が代用品っぽくてちょっと切ない


別にこのスレに限った事じゃなく、エロパロは冗談が通じないってのは覚えておいたほうがいい
107名無しさん@ピンキー:2008/03/08(土) 05:11:20 ID:5FUwdK6Y
『貴女の進む道』 望×まといの続きまだ?
108名無しさん@ピンキー:2008/03/08(土) 05:22:19 ID:aizI0xEh
【中国】スター三人、無修正写真流出「セックス?スキャンダル」

02-09?冠希裸照事件2月7号最新?[?思慧]-37P-
http://av.idol-photo.com/page97.php?tid=13/2008-2-9/63187_2.shtml
http://av.idol-photo.com/page97.php?tid=13/2008-2-9/63187_1.shtml
http://av.idol-photo.com/page97.php?tid=/13/2008-2-9/63187.shtml

02-09?冠希裸照事件2月7号最新?[梁雨恩]-40P-
http://av.idol-photo.com/page97.php?tid=13/2008-2-9/63186_2.shtml

02-09?冠希裸照事件2月7号最新?[??思]-10P-
http://av.idol-photo.com/page97.php?tid=/13/2008-2-9/63185.shtml
109名無しさん@ピンキー:2008/03/08(土) 20:56:18 ID:6qi7UdNI
スマン、素直にGJと書き込めば良かった…

GJ!
110名無しさん@ピンキー:2008/03/09(日) 06:26:37 ID:gcfigDWt
上半身半裸であんな暗くて狭い所に無理やり先生を連れ込もうとするなんて
あびるエロイな。
原作だと普通だったのに、アニメだとエロく感じる
111名無しさん@ピンキー:2008/03/09(日) 22:10:47 ID:ohcxdLEU
>>98
テラGJです。
鬼畜もアリアリアリ
112その花束に絶望を:2008/03/11(火) 00:46:25 ID:2ExqiiSi
どうもこんばんわ。鬼畜絶命先生の者です。
第四話、投下しに来ました。
新しいバイトが初まり時間無くなってきましたが、全員分書き上げるまでは走り続けます。

注意事項は>>33を参照してください。
ということで。参ります。
113その花束に絶望を karte05 (1/7):2008/03/11(火) 00:48:08 ID:2ExqiiSi
『もう、いいじゃない。』
「(………やめて………。)」
『そんなつまらないプライドなんて捨てて………悦びに、身を任せればいいんですのよ。』
「(楓、あんたまで………何が大和撫子よ、何が和をもって良しよ!!この、淫乱女!!)」
『そんな昔の話、とっくに忘れましたわ。今はもう………あの方の、虜ですもの。』
『ああ、ン………思い出したら、また熱くなってきちゃう………。』
「(………やめて………五月蝿い、もう、喋らないで………!)」
『お前に命令される筋合いなんて、無ぇんだよ。』
「(どうしてあんた達は、どいつもこいつも………私を『そっち側』へ引き摺り込もうとするの!?)」
『決まってるじゃん。だって、こっちの方が楽しいんだもん。』
『1人が足並み乱すと、萎えるんですよ。もっと単純に、全員で楽しめばいいじゃないですか。』
『そーそー。アンタ、独りで難しく考え過ぎ。』
「(元はと言えば全員、他の誰でもない私から………木村カエレから生まれた、分身のはずじゃない。)」
『ソノ通リデスケド?何カ?』
「(それが、どうして………揃いも揃って、あんな奴に堕とされてんのよ!プライドは、無いの!?)」
『プライド、だってよ。そんなんクソの役にも立たねぇよ、笑かすなバァーカ。』
『お前が、自分の本性を勘違いしてるんだ………いや、本当は、気付いているのに認めたくないだけかな?』
『ただ、強がってるだけでしょう。本当はあなたも、何もかも忘れて、快感を貪りたいはずなのに………。』
「(違う………違う、違うッ!!私は、そんな女じゃない!!)」
『違わねぇよ。結局お前も同じだ、メスの本能にゃぁ勝てねぇんだよ。』
『だいたい、それなら………他の「全員」が一致させた意見を、どう説明する気なの?』
『ご自分で言ったじゃありませんの、私達はあなたの分身だと。その通り、私達はあなたの代弁者なんですのよ?』
「(うるさいわよ!!そんなワケないでしょ、いいから、ちょっと黙ってなさいよッ!!)」
『あーあ………全く、最近ますますヒステリックになっちゃいましたね。』
『誰が黙ってなんかやるもんか。悔しかったら俺達のこと、こっから追い出してみろよ。』
『そもそも、お前の主導権など誰が認めた?私達は全員が対等、全員が、お前自身だ。』
『そして………私達が100人の村だったら、そのうち99人が「楽しまなきゃ損」って思ってんのよ。』
『あなたが1番、極端なのよ。頑固で、古臭いの。ねぇ、「自称オリジナル」さん?』
「(やめて………もう、何も言わないで、黙ってて………!!)」
『黙ってて貰わなきゃ、化けの皮が剥がれそうで怖い………ってことかい?』
『いっそ、気が狂っちゃった方が楽なんじゃないの?』
『はは、いいなそれ。そしたらもう、取っ替え引っ替え、誰にも邪魔されずに皆でこの身体使い放題だぜ。』
「(………ふざけないで………そんなことさせて、堪るもんですか………!!)」
『はぁ………ホント、救いようがない頑固者ですね。』
『………まぁ、既にこんな精神状態では………堕ちるのも、時間の問題だと思うがな………。』
『まぁ、独りでせいぜい頑張れや。たった1%の理性でどこまで耐えられるか、見物だ。』

「(………あんた達、覚えてなさい………絶対………許さないから………ッ!!)」
『そう………まぁ、ご健闘をお祈りいたしますわ。それでは………御機嫌よう、カエレちゃん。』
114その花束に絶望を karte05 (2/7):2008/03/11(火) 00:49:04 ID:2ExqiiSi


//////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////


………時は、少しだけ遡る。

「さっき、ちょっとした薬を使って、『君達』と話をしてみた。」
質素な机越しに、後ろ手に椅子に縛り付けられたカエレと向き合った状態で、命は手元の資料に視線を落とす。
「な………薬って、あなた、毒でも盛ったんじゃないでしょうね!?」
「安心しなさい、私も君を簡単に手放す気は無いんだ。命の安全は保証するよ、主に、私の楽しみの為にね。」
「………そういえば、なんだか喉の調子もおかしいんだけど。身体もだるいし。どういうこと?」
「それは………まぁ、後で説明しよう。」
視線だけで相手を殺そうかというほどの剣幕で、涼しい顔をした命を睨みつけながら、カエレはギリギリと奥歯
を噛み締めた。
「………本当に、とんだ外道だったみたいね………後で、覚えてなさい。」
「ほう。後で、とは?」
「法廷に立ったとき、ってことよ。どんな手を使っても、絶対に刑務所にブチ込んでやるわ。覚悟しときなさい。」
「それは、怖ろしいことだな。万が一にもそうならないよう、尽力させて貰おう。」
皮肉たっぷりにそう言って、1度小さく息を吐き、命は手にしたメモ用紙の束を机の上に置いた。
「いや、驚いた………これだけの人格が共存して、よく精神が破綻しないな。」
「………っ………。」
「ざっと見て、100人って所か………まぁ、会話も出来ずに引っ込んでしまった者も含めた、のべ人数だが。」
「それが、何なのよ。」
「いや、まぁ、ね。確認するだけで、一苦労だったよ。」
命の手が、その束のうちの1枚を無造作に投げて寄越す。そこには、今はカエレの精神の内部に身を潜めている、
大勢の人格の名前が列挙され、そこに走り書きで様々なことがメモされていた。
「それに、あれだけバリエーションがあるのも興味深い。好戦的な野蛮人から、淑やかなお嬢様まで、様々だ。」
「………………。」
「まぁ、精神医学は専門外だがね。薬のことはともかく。」
「だから、何なのよ。言いたいことがあるならさっさと言いなさよ、全くこれだから日本人は………。」
立場上は絶対的に不利な状況にあるにも関わらず、カエレは普段通りの高飛車な態度で命に食って掛かる。命は、
それに対して特に気分を害した様子は見せず、その様子を面白がっている風にすら見える。
「随分と、結論を急ぐんだな。それも、君のお国柄かな?」
「五月蝿いわよ。何度も同じこと言わせないで。」
「………まぁ、君がそう言うなら、私は別に構わないがね。どうせ………。」
威圧を続けるカエレの険しい眼を見つめながら………命は、ニヤリ、と唇を歪ませた。
「どうせ、後悔するのは君だからな。」
「………っ………?」
意味深なその言葉と、寒気がするような笑顔に、流石のカエレも少しだけ勢いを失う。
「実のところ、もう準備も出来ているんだ。………おい、頼む。」
命が突然、カエレ以外の誰かに呼びかけるような声でそう言う。その姿は、傍目にはまるで冷たい壁に向かって
話し掛けているようにも見えたが………その直後に部屋に現れた変化が、その呼び掛けがこの部屋の外に居る誰か
に届いていたことを示していた。
部屋の照明が落ち、陽の光の届かない地下室が、闇に包まれる。そんな中で………ただ1箇所、薄い灰色の壁の
1面にだけは、四角く切り取られたような光が、当たっていた。
「君が………『木村カエレ』が眠っている間に、ちょっとした映像を録画させて貰った。」
「録画、って………一体何を?人のことを勝手に撮影するなんて、当然、告訴されても文句は………。」
「いいから、少し黙って見ていろ。………いいぞ。上映開始だ。」
再び部屋の外の誰かに命が呼びかけて、それを合図に………プロジェクターが照らす四角い光の中に、映像が映し
出され始めた。
それは、ほんの数時間前の、この部屋の様子だった。今と同じように、机を挟んで命とカエレが向き合っている
様子が、高い位置から撮影されている。カエレは、そのアングルからそれを撮影したカメラが仕掛けられている
であろう天井の隅に眼をやったが、暗がりの中でごく小さなその姿を確認することはできなかった。
115その花束に絶望を karte05 (3/7):2008/03/11(火) 00:49:33 ID:2ExqiiSi
『………オリジナルの彼女とは、大違いだな。私は、もう少し恥じらいがある方が好みだがね。』
「余所見をするな。ほら、始まるぞ。」
映像の中の命の声がどこからともなく再生されるのと、眼の前の命が口を開いたのは、ほぼ同時だった。
『まぁしかし………君がそう言ってくれるなら、お願いしようかな。』
『………の………久し………ます………。』
壁に映し出された命のその言葉に、同じく映像の中に居るカエレが答える。だが、その声は完全には録音されて
いないらしく、途切れ途切れの言葉と共に、口元がぱくぱくと動き、微笑む様が映し出されているだけだ。
身に覚えの無いその状況に、カエレはすぐ、それが自分の中の別の人格が表に出ているときの出来事であるという
ことを察した。
「………こんな状況で笑えるなんて、どこの能天気かしら………。」
「『カエロ』と言っていたかな、確か。能天気というか………いや、まぁ彼女の性格は追々解かるだろう。」
「知らない奴ね。あんたみたいな悪党相手に談笑できるんじゃ、ロクなもんじゃないわね。」
「自分の別人格相手に、随分だね。というか………やはり、他の人格のことは完全には把握していないんだな?」
「………ふん。」
カエレは命の質問には答えず、不機嫌そうに鼻を鳴らした。命が、肩をすくめて映像に向き直る。
「………さて。さっそく、ハイライトだ。」
命の言葉と同時に、映像の中の命が椅子から立ち上がる。その命は、ゆっくりとした足取りで、カエレ………では
ない、カエロに歩み寄る。そして何を思ったか、後ろ手に縛られた腕を解放し、カエロを自由の身にした。
「………っ………?」
その直後、カエレは眉をひそめた。映像の中、自由の身になったはずのカエロが………まるでその身体に寄り添う
ように1歩、命に歩み寄ったのである。本来ならば、扉に駆け寄って逃げ出そうとする所だろうに………。
「………何やってるの、早く逃げなさいよ………?」
と、カエレがその様子を訝しんでいる、眼の前で。カエロは………驚くべき行動に出た。
命が、にやにやと薄ら笑いを浮かべながら、壁に映し出される出来事とカエレの表情とを見比べる。
「………っ………〜〜〜ッ!?」
言葉を失い、眼を見開くカエレの視線の先では………映像の中の2人が、熱い、口付けを交わしている所だった。
カエロがほんの少しだけ背伸びをして、命の首に腕を回す。命の手がカエロの腰に伸びて、その体を支える。
「んな………何よ、これ………ッ!?」
自分と同じ顔をした………いや、他でもない自分のこの身体が、眼の前で椅子に座っている忌むべき相手と、熱く
濃厚な口付けを交わしている。その状況を目の当たりにして、カエレの頭は危うくショートしそうになった。
そこで、映像がズームインする。身を寄せ合う2人の表情が、より鮮明に映し出される。
『………ん、はぁ………ン………。』
やがて、再生される音声の中に、当然カエレと全く同じものであるカエロの声が聴こえ始める。どうやら、マイク
は命が身に着けていた為に、今まではカエロの声が聴こえず、2人が近づいた今は、カエロの荒い息遣いまでもが
聴こえるようになった、とうことらしい。
「ちょっと、止めなさい!!これは、肖像権の侵害よ!!?」
カエレが、部屋の外でプロジェクターを操作しているであろう誰かに向かって怒鳴り声を上げる。もちろん、その
言葉が聞き届けられることはなく、より鮮明になった映像は壁面に映し出され続ける。
『………どう、ですかぁ………上手いでしょう?』
カエロの、甘ったるい声が響く。いつの間にかその音量が上がっている。
自分と同じ声の、その囁きを聞いて………カエレは、その頬をほんのりと上気させた。
『ふむ、確かに驚いたよ………その歳でそんな舌遣い、どこで覚えたんだ?』
『んふ………ヒ・ミ・ツ、ですよ、先生………。』
蕩けるような表情で、カエロが言う。その脚が、命の身体に絡みつくように摺り寄せられる。誘うような熱い視線
を向けながら、カエロはその身体を、胸が押し潰されるほどに更に強く密着させていく。
「ははは………まるで、男を誘う娼婦だな。」
「いい加減にして!!盗撮は立派な犯罪よ!?」
「まぁ、この程度でそんなに怒らないでくれ………本番は、これからなんだから。」
「ッ………あんた、これ以上何を………!?」
「見ていれば解かる。」
命はそう言ってカエレの言葉を遮った。心の底からの嫌悪を隠そうともせず、命の涼しげな顔を睨みつけながらも
………カエレには、もはやこの状況をどうすることもできなかった。映像の中の、自分と同じ姿形をした彼女を、
同じような眼で睨みつける。
116その花束に絶望を karte05 (4/7):2008/03/11(火) 00:50:02 ID:2ExqiiSi
その、刺すような視線の先で。
『それじゃぁ………こちらも、お相手しますね………。』
カエロは、不意にその場に屈み込み………眼の高さになった命のズボンのジッパーに、おもむろに指を掛けた。
突然の行動に、カエレが唖然とする。そして、次の瞬間、引き降ろされたジッパーから飛び出した、それを眼に
して………完全に、言葉を失った。
『あ、は………っ………。』
映像の中、熱っぽく、うっとりとした表情を浮かべるカエロの眼の前に曝け出されたのは………命の、モノだった。
「ぁ………あ、あぁ………!?」
カエレの顔が、見る見るうちに赤く染まっていく。まともな言葉を発する術を忘れたその口が、まるで、陸に打ち
上げられ死にかけている魚のように、ぱくぱくと開閉を繰り返す。
『じゃぁ、頼むよ。』
『はい、ちょっと待ってくださいね………すぐに、元気にしてあげますから………。』
映像が更にズームされる中、上目遣いで微笑みながら………カエロが、眼の前のモノの先端に、口付ける。
その瞬間………カエレの中で、何かが炸裂した。
「あ、あんた、何やってんのよ!!そ、そんなッ、そんな汚らわしいこと、すぐに止めなさいッッ!!」
その言葉は、命でも部屋の外の誰かにでもなく………そんな声など決して届くはずも無い、映像の中のカエロに
向けられたものだった。そんな、小さな子供でも一瞬で無駄なことだと解かるようなことに気付く余裕すら失い、
カエレは我を忘れて叫び続ける。
「あんた、それでも私なの!?いい加減にしなさい!!聞こえないの!?」
所々意味の解からない、だが、これ以上無い程必死で悲痛な声が、狭い地下室に響き渡る。
だが当然、過去の映像がそんな言葉に応じるはずもなく。カエロは、カエレの眼の前でその行為を続行する。
細い指がモノを包み込み、ゆっくりと、上下にしごくように刺激を与えていく。
『ふふ………こんなに大きな子、久しぶりです………。』
『それは、どうも。』
「止めッ………そんな汚いモノ、触らないで………!!」
眼の前で展開されていく光景に、カエレは、寒気を覚えていた。さきほどまで爆発していた言葉も、すっかりその
勢いを失ってしまっている。声も、心なしか震え始めているように聞こえる。
『ぴくぴくしてますよ………気持ち良いんですね?』
『ああ………凄いテクニックだな。恐れ入った。』
『だんだん、先走ってきましたね………ん、ちゅっ………。』
とことんカエレの意図に逆らおうとしているかのように、カエロは、手でしごいていた命のモノの先端を、はむ、
と口に含んだ。頬がもごもごと動き、その中で舌が蠢いている様子が伺える。
「いや、あれは良かったよ………舌先で先端を這うように舐めまわして、先走りを吸い取って………。」
「ッ………!!」
映像に映っていない部分を言葉で説明され、カエレの顔が更に熱くなった。
そのまま、指と舌による濃厚な奉仕の映像が、しばらく続き。やがて、カエロがモノから口を離す。カエレが、
先のことはともかく、ひとまず目先のその状況にほっとした………次の、瞬間。
『それじゃぁ………最後は、これで………。』
カエロはそう言いながら………自ら、制服の上着を、脱ぎ始めた。カエレが、瞬時にその先の行動を察する。
『あんまり汚すと、「彼女」に先に感付かれてしまうからね。』
『それじゃ、いけないんですか?』
『少し勿体ぶらせてから、と思ってね。個人的な、嗜好の問題だが。』
『あらあら、意地悪な先生ですね………ふふ、いいですよ。1滴も零さず、飲んであげますから。』
そう言って微笑みながら、カエロはあっというまに上半身に身に着けていたものを全て脱ぎ去ってしまった。その
大きな胸が剥き出しになり、それが、カエロの手に持ち上げられて形を変えて………。
『じゃぁ………失礼しますね。』
「………〜〜〜ッッッ!!!」
その柔らかな塊が、命のモノを、包み込んだ。むにゅ、とカエロの掌に押さえつけられて形を変えた胸の谷間から、
色の違う命のモノが頭を覗かせる。
自分と同じ顔、同じ声をした人間が、本当に、まるで娼婦としか思えないような淫らな行為に及んでいる。その様
を眼の前に突きつけられて………カエレの中のプライドが、ぐらり、と傾ぐ。そんなカエレの心中など知る由も
なく、カエロは今度はその胸の谷間で、命のモノをしごき始めた。
117その花束に絶望を karte05 (5/7):2008/03/11(火) 00:50:30 ID:2ExqiiSi
『どう、ですかぁ………私の胸………?』
『最高だよ………本当に、手馴れている、みたいじゃないか………?』
『ええ………前にしてあげたときは、マシュマロみたいだ、って言って貰いました。』
『前に、か。そのこと………「彼女」は、知っているのかな?』
『カエレちゃんも、他の皆も知りませんよ………私達、お互いを全て知ってるわけじゃありませんから。』
『ほう、それは………知ったら、さぞかし驚くだろうな。』
『でしょうね………あ、ンっ、先生のおち○ちん、熱くて火傷しそうです………んく、ぅ………。』
カエレの声でいやらしい台詞を吐いて、カエロは再び、胸の谷間から生えた命のモノの先端を口に含んだ。胸と
口とで際限なく刺激を与え、命のモノを、無我夢中で高めていく。
「ほら、もうすぐフィニッシュだぞ。自分がどんなことをしたのか、よく見ておけ。」
「………や、め………私、こんなんじゃ………ッ!!」
今やカエレは、眼の端に涙を浮かべながら、信じられないものを見るような顔でその映像を見つめていた。何故、
こんな直視することすら躊躇われるような痴態から眼を離すことができないのかは、自分でも理解が出来なかった。
『く、っ………そろそろ、出るぞ………。』
『ん、ちゅる、はぅっ………だ、出してください、残さず受け止めますから………ん、むぅッ………!!』
2人の声が、行為の終点が近づきつつあることを知らせる。カエロは、我を忘れて目の前のモノにしゃぶり付き、
そこから全てを搾り取ろうと全ての動きを加速させていく。
そして。その、数秒の後。
『う、ぐぁ………っ!?』
呻くような、命の声が再生された後………映像の中の命の腰が、ビクリ、と震えた。
『ん、んうぅ………んぶ、っ………!!?』
直後、カエロが口の動きを止めて、眼を丸くする。そのカエロも命と同じように、その身を震わせながら………
口内にぶち撒けられた精を、必死で、受け止めていた。
『ん、ぅ………。』
しばし間が空いて、カエロが、ゆるゆると首を動かし始める。すぼめた口の先から命のモノがずるりと抜け落ちて、
カエロの唇との間を、白く濁った色の糸が一瞬だけ繋ぐ。さきほどまでの硬さを失い垂れ下がった命のモノの前で、
カエロは顎を持ち上げて………何度か喉を鳴らし、口の中に注ぎ込まれたものを、宣言通り残さず飲み込んだ。
『ん………は、あぁぁぁ………。』
カエレと同じように、目尻に涙を浮かべながら。しかし、こちらは恍惚とした表情を浮かべながら、カエロが深く
息を吐いた。その肩が、ふるふると微かに震えている。
『こんなに、たくさん………熱くて、濃くて、素敵でしたよ、先生………。』
そう言いながらカエロは、残された先走りで濡れる胸に片手を沿え、その先端を刺激し始めた。もう一方の手が、
下腹部へと伸びていく。カメラが引くと、カエロが膝立ちになったまま、一連の行為で熱く火照った自分の身体
を慰めている様が映し出された。
『せんせぇ………先生のしゃぶってたら、私も、なんだか熱くなってきちゃいました………。』
『そうか………なら、今度はお礼に、私がしてあげようか。』
『はい、是非………先生の手で、私のこと、天国に連れて行ってください………。』
そう言いながら、カエロはスカートの裾を持ち上げ、中に滑り込ませた手で下着を脱ぎ去る。立ち上がったカエロ
は、もたれ掛るように命の体に擦り寄り、その手を取って自分の下腹部へと導いていく。
『ひゃ、ン………ほら、私のアソコ、もうびしょ濡れでしょう?先生の逞しいおち○ちんで、慰めて………?』
『………本当に、男を惑わす術をよく心得ているな。感服するよ。』
映像の中で苦笑した命は、導かれた手でカエロの秘裂を何度か愛撫した後、モノを剥き出しにしたまま、椅子に
腰掛けた。今さっき果てたばかりのはずのモノが、早くもその硬さを取り戻し始める。
『それじゃぁ、先生………行きますよ………?』
そう呟き、カエロは浅く椅子に腰掛けたままの命と向き合う。その脚が大きく開かれ、命の腰をまたぎ、その両腕
が再びゆっくりと命の首に回されて………。
118その花束に絶望を karte05 (6/7):2008/03/11(火) 00:50:58 ID:2ExqiiSi

「………ひとまず、ここまでかな。」
「っ!」

カエロが命の上に腰を落とすかに見えた瞬間、突然、映像が途切れた。
壁に映し出されていた場面が消え、そこには、元通りになったただの四角い光だけが残される。そしてそれも、
部屋が明るさを取り戻していくに連れて、薄まっていく。
「さて、一部始終を見て貰ったわけだが。如何だったかな?」
「あん、た、よくも………よくも、あんなことさせて………ッ!!!」
「おっと、勘違いしないでくれたまえよ。あれは別に、私が強制してやらせてるわけじゃぁないんだから。」
ギリギリと歯軋りをしながら睨みつけるカエレの視線にも、全く動じる素振りすら見せず。命は、相変わらずの
涼しげな口調でそう言った。
「君は知らないらしいが………結構、多かったぞ。性に関してオープンな人格は。」
「なッ………そ、そんなわけないでしょう!?デタラメ言ってんじゃないわよ!!」
「なんなら、証拠を見せようか?他にも、何人も居たぞ………いや、本当に、私の身体がもたない所だったよ。」
「………嘘………嘘よ、そんなの………だって、私………!!」
「まぁ、見た限りでは………『木村カエレ』、君が1番、高いプライドと硬い頭を持っているんじゃないか?」
「………ッ………!!」
命のその言葉に………カエレは一瞬だけ、納得しかけてしまう。

自分の中の人格の全てを把握しているわけではないが………それが生まれるきっかけとなった出来事については、
カエレ自身もある程度は覚えている。
そもそも、カエレの中にあれだけ多くの人格が生まれたことは………最初の人格『木村カエレ』の、高いプライド
に起因していることがほとんどなのである。
異国の文化に合わせなければやっていけない、しかし、自分自身を捨てたくはない。その葛藤の中で、様々な人格
が生まれ出てきたのだとすれば………生まれた人格が、その葛藤の原因となった高いプライドを欠いている、と
いうことは十分に考えられた。

カエレの一瞬の迷いを見逃さずに、命が切り返す。
「………どうやら、その点に関しては君も心当たりがあるようだね。」
この事態を心底面白がっているようなその声に、カエレがまた猛り狂う………が。
「ち、違っ………だ、だから、そんなわけがないでしょう!!」
「どうだか、ね。まぁ………その映像は、また後日改めて紹介してあげよう。」
「後日なんて、無いわよ!!今すぐ解放しなさい、そのまま警察に突き出してやるから!!」
「まぁ、解放はするつもりだが………あの映像が私の手の内にあることを、忘れていないか?」
「あ………ッ………!!」
命のその言葉は、カエレの勢いを殺すのに十分な威力を持っていた。
「今見せたのは、まだまだマシな方だ。他の映像を見られたら………本当に、死にたくなるかも知れないな。」
「………この、外道………ッ………!!」
「口は慎みたまえよ。あの映像が、今すぐ世界中にバラ撒かれるか否かは、私の腹1つなんだ。」
わざと声を張り上げて、まるで、部屋の外の誰かに何かをにおわせるようにそう言って、命は笑った。
カエレは言葉を次ぐことが出来なくなり、腸の煮えくり返るような想いを抱いたまま、押し黙る。

「次の上映会には、私の下僕を通じて直接ご招待しよう。もし、断ったりしたら………解かっているね?」
「………くっ………こ、の………ッ!!」
そうして、その日………カエレは、心に重い枷をはめられたまま、糸色医院の地下室から解放された。
119その花束に絶望を karte05 (7/7):2008/03/11(火) 00:51:31 ID:2ExqiiSi
   

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初めて、同じクラスの倫から命の伝言を聞かされたとき、カエレは心底驚いた。そして………実の妹までも毒牙に
掛ける命に対する嫌悪は、より濃く、深いものとなった。
そのようにして、その後もカエレは度々この糸色医院に呼び出され………あの映像を見ることを、強要された。

初めて見せられた映像の先で、命の体にまたがり、腰を振りながら喘ぐ姿。
四つん這いにされ、後ろから犯されながら恍惚とした表情を浮かべる姿。
机の上で大股を開き、命に命令されるがまま自分の秘裂を掻き回し自慰に耽る姿。
そして………命を拒みながらも、壁の手枷に捕らわれ、恐怖に声を上げることすらままならず弄ばれ続ける姿。
映像はどれもが、カエレにとっては見るに耐えないものばかりだったが………命は、カエレが眼を閉じることすら
禁じて、その映像を見せつけ続けた。

自分と同じ姿形、同じ声をした少女が無残に蹂躙されていく様を、眼の前で晒し続け。
その回数を重ねるに連れて、自分の中の人格達が、次々に命の虜となっていくことを、実感させながら。
しかし………カエレの人格が表に出ているときに、命がその体に危害を加えることはなかった。
命はただ、カエレが自分の中に居る数多の人格の中で孤立し、プライドをガタガタに傷つけられながらも、震え
ながら必死で耐えているその姿を、観察するばかりだった。

………そして。
「………さて、待たせたね。」
「ッ!!」
今日も、カエレにとっては拷問以外の何物でもない上映会が、開始される。
「自分の中の友人達と、お話中だったかな?席を外そうか?」
「五月蝿い………五月蝿い、五月蝿い!!どいつもこいつも、もう、黙ってて!!」
頭を抱え、ヒステリックに叫ぶカエレの様子を見下ろしながら………命が、ニヤリ、と笑みを浮かべる。
「………さて。今日は『木村カエルベシ』の様子を観察してみようか。」
「いや………もう止めて、もう、見たくない………止めて………!!」
「五月蝿い。拒否権は無いと、何度も言ったはずだぞ?」
命の威圧的な声に、ビクリと身を震わせて。カエレは、涙に濡れた顔を上げた。
「せっかく、記録してあげているんだ。どうせなら、楽しんで見てみたらどうだ?」
「………こ、の………このっ………!!」
カエレの中で燻り続ける憎悪は、結局、まともな言葉となる前にカエレの内側へと帰っていく。
「(………この様子なら、折れるのも時間の問題かな………。)」
葛藤の最中にあるカエレの、弱りきった姿を見つめつつ。
「(自分の意思で、一言『許してください』と言えたら………楽にしてやろうじゃないか。)」
命は、心の中で呟く。

「(1度、その身をもって快感を覚えてしまえば………つまらないプライドなんて、すぐに脱ぎ捨てられるだろう。)」
プライドの高い彼女を、じわじわと、少しずつ砂の山を崩すように征服していくその行為に、身と心を震わせながら
………命は、隣の部屋で待機する看護婦に、マイク越しの命令を送った。
地下室が、暗転する。


(続)
120その花束に絶望を karte05 (7/7):2008/03/11(火) 00:56:34 ID:2ExqiiSi
お粗末様でした。karte05、カエレ編でした。
せっかく読んでくださってる方々の期待を裏切った気がしてなりません。
霧編を書き終えたところで「カエレ分が足りない」という神のお告げが聴こえたので、仕方なかったんです。許してください。
すいません。嘘です。エロいカエレが好きなだけでした。

ということで、今後も気が向くままに書き続けていきたいと思います。
それでは。失礼致しました。
121名無しさん@ピンキー:2008/03/11(火) 01:47:08 ID:VClrSVFB
>>120
まさか3人目がカエレだとは思わなかった
いい仕事したよ
これはめずらしいシチュエーションだ

次は千里かまといかビクビクブルブル武者震いしながら待ってる
122名無しさん@ピンキー:2008/03/11(火) 09:11:34 ID:4hLXwRo3
クオリティ高いな 
123名無しさん@ピンキー:2008/03/11(火) 09:15:52 ID:HCDHeSNt
乙。カエレ好きなので大興奮だわ
124名無しさん@ピンキー:2008/03/11(火) 18:05:06 ID:r3pTeq7H
お久しぶりです。
このスレで以前に、乱交ものや、望×あびる、交短編を書いていたものです。

望×あびる編の完結編を書いたので投下します。
少しだけエロ有りです。
125絶望と尻尾@:2008/03/11(火) 18:17:51 ID:r3pTeq7H
「のぞむさーんー」
宿直室に明るい声が届いてくる。
声の主は小節あびる、3年へ組、糸色望の生徒であり恋人でもある少女だ。
「あびる」
「いよいよ明日になっちゃいましたね。卒業式」
「そうですね。2留した時は皆を無事卒業まで導けるか不安でしたがなんとかなるものですね」
「ふふっ、どんなことを考えてるんですか」
「明日が何事もなく無事終わることを」
「最後くらいはドタバタはしたくない?」
「そうですねぇ」
そういって二人は静かに微笑みあう。
「寂しい?」
あびるが望の顔を笑顔で覗き込む。

「そんなことはないですよ」
「やせ我慢しちゃって、相変わらず嘘が下手ですね」
「やせ我慢なんかしてませんよ。まあ、寂しくないというのは少し嘘になりますか」
そういうと望はあびるの唇に指先でそっと触れる。
「先生…?」
「あびるに毎日会えなくなりますからね」
予想外の不意打ちにあびるは思わず赤面してしまう。「もう、似合わない台詞言わないでください」
「はは、でも本当に色んな事がありましたね」
「付き合いはじめてからは特にね」
「動物園でデートしたり」
「些細なことで喧嘩したり」
「銭湯でドタバタ騒ぎ」
「お祭り楽しかったなぁ」
「本当に…色んな事が…」
「望さん?」
望が穏やかな表情であびるを見つめる。
「あびるに出会えて本当によかったです。」
「私も…」
望はは静かにあびるの唇を引き寄せ優しくキスをした。
126名無しさん@ピンキー:2008/03/11(火) 18:20:20 ID:r3pTeq7H
一気に投下する予定でしたが用事が入ったので一旦区切ります。すいません。

日付が変わる頃の投下になると思います。
127名無しさん@ピンキー:2008/03/11(火) 18:24:07 ID:PjI7WIhP
GJですが、sageは半角小文字で入れないと意味がないですよ
続き楽しみに待ってます
128名無しさん@ピンキー:2008/03/11(火) 22:33:43 ID:JzqhJqR8
>>120
いやぁ、鬼畜兄がこんなにも刺さるとは思わなかった…スバラシイ。
霧もカエレも、いかにもな攻略方法がツボります、命先生アタマいい!
こうなると、望先生がいつどんな形で絡んでくるのかが楽しみで仕方ないです。
>>126
お久しぶりです、続き楽しみにしております。
129絶望と尻尾A:2008/03/11(火) 23:29:17 ID:r3pTeq7H
「ん…ふぁ」
ちゅく、ちゅくと音をたててお互いの舌が激しく絡み合う。
「ん…ふ…ゅぅん」
小さな舌を吸ったり舐め回したりしてあびるの感情を昂ぶらせてゆく。
ふにゅん
「むぅん!?」
望の右手があびるの豊満な胸を弄ぶ。
「んんっ、んーーーっ」
唇と胸を激しく責められあびるの身体から力が抜けていく。
ちゅぷっ…
「ふぁ…ん…」
望が唇を放すと惚けた表情のあびるが思わず間の抜けた吐息を洩らす。
「そんなに気持ち良かったですか?」
「馬鹿…」
顔を真っ赤にして照れるあびるの姿はとても愛くるしかった。

「今度は私が望さんを骨抜きにしてあげる」
そういうと袴に手をかけ、するっと脱がしてしまった。
「ふふっ望さんの尻尾、カチカチですね…はむっ…」「くうっ…」
まるでアイスキャンディを舐めるかのような優しい舌使いで絶棒を責めあげていく。
「んむっ、んちゅ…ぺろぺろ」
「はぅっ!」
むにっ、ころころっ
空いた右手で睾丸を愛撫する。
「むふっ、ひもちひいれすか?」
「ああぅっ、そんな状態で喋ら…くぅっ」
どくっ、どくっ
「んむっ、んふんっ」
ごくん、ごくんっ
あびるは吐き出された精を残さず飲み干した。

「濃くて美味し…ふふっ」
「ふぅっ…気持ち良かったですよ。お返しです」
どさっ
「やん♪」
畳の上に押し倒すと下着を手際よく脱がし、秘所に指を這わせる。
くちゅ、ん、ちゅ
「ひゃん!」
ちゅぷ、ちゅぷ、ちゅくっ「あ、あ、あくぅ!ん…」
ちゅっ…
秘所から指を離し、絡みついた愛液を舌で舐めとる。
「もう準備は良いようですね。いきますよ。」
「ふぁい、のぞむひゃん」

130絶望と尻尾B:2008/03/11(火) 23:34:53 ID:r3pTeq7H
快感のあまり惚けてしまっているあびるの秘所に絶棒をあてがう望。
ずむっ!
「ひああぁぁん!」
一気に絶棒を突き入れられあびるの身体が跳ねあがる。

「うぁ、ふぁあ…ん」
舌を突きだしぴくぴくと震える。
「激しくいきますよ」
ずん、ずむっ、ぱんっ!
「ひぎっ、ひぃ、あひぃっ!」
ぱん、ぱんっ、ぱぁん!
「あん、ひぁん、の、のぞむさん、も、もうわたし…」
「はい、一緒にいきましょう…くうっ」

「あ、あっ、あああぁぁーっ」



「望さんったら、いつもより激しいんだから…」
「そう…ですかね?」
「やっぱり寂しい?」
「少し…ですね」
その言葉を聞くと自然に笑みがこぼれた。
「…何が可笑しいのです?」
「意地っ張りですね」
「そうですかね…」
「そうですよ…」
ふわっ…
望が優しくあびるの髪を撫でる。
「あ…っ」
「あびる…立派な獣医になるのですよ」
「はい…望さん…」
「あなたが夢のスタートラインに立った時、かならず迎えに来ます。共に歩みましょう」
「はい…」

卒業式前夜、まもなく訪れるしばしの別れ。
それでも二人は信じている。
この日誓った愛の言葉と共に幸せな未来の為に歩み続けることを―――――

131名無しさん@ピンキー:2008/03/11(火) 23:38:53 ID:r3pTeq7H
これで終わりです。
久しぶりにラブラブな二人が書けて楽しかったです。

スレ汚しでしたがこれにて失礼します。
132名無しさん@ピンキー:2008/03/12(水) 00:22:59 ID:fR9NfRkz
一番槍GJ
133名無しさん@ピンキー:2008/03/12(水) 09:55:55 ID:Pj3yJgG5
今日も中央線が止まりましたね
134名無しさん@ピンキー:2008/03/12(水) 10:59:50 ID:uXYLeyAm
>>121
次は真夜だよ!何言ってんの!
135名無しさん@ピンキー:2008/03/12(水) 12:43:27 ID:onRG7Guf
>>120
テラGJです。
136名無しさん@ピンキー:2008/03/12(水) 17:51:42 ID:s7Zi8Zsx
目の前で机に突っ伏して加賀さんが無防備に寝ていた。


加賀さん

加賀さん

起きない。
教室には誰も居ない。
スカートから覗くすらりとした足。
透き通るような肌。
静かに寝息を立てている。

いたずらしても

いいだろうか。



髪の毛をそっと撫でてみる。
「・・・・ん・・・」

起きない。
「・・・・ぅ・・・・・・もっと・・・・」


もっと!?

そうか、そうなのか、加賀さんが望むならもっと触ってあげるよ!
落ちたりしたら大変なので、寝ている加賀さんを抱き上げ床に横たえる。
セーラー服をめくるとブラが見えた。
いいの・・・かな?

もっとって言ってたしね。

フロントのホックを外して慎重にずらすと、淡いピンクの頂が目に飛び込んできた。
どうしよう本当にいいの?
137名無しさん@ピンキー:2008/03/12(水) 17:51:50 ID:yi54hyi2
                最近人こないねー
     _,− " ̄ ̄:: : : :  
   /: : : : : : : : : : : : : : : \
  /: : : : : : : : ∧: : : : : : : : : ヽ
  i: : : : : : : : : / ヽ、: : : : : : : : i
  i: : : : : |: ./_,.   、ヽ__: :|: : i
  i: : : : レi'rr=-,    r=;ァ、: |: :.i
  ヽ: : : :!   ̄     ̄ " i: :ノ
  ∠: : : : ゝ  'ー=-'   人: >
   ∨∨ >,、_____, .イ∨ ̄
     ',.イ ヽ、__ノ 「ヽ.       ∬
    /  ';::ヽ、/iヽノ::i Y  _   ∫
   ri   !:::::::`ー┘:::! i  =|л=・
   ./ヽー-,イ:::::::::::::::::::::!ンi  (  )
138名無しさん@ピンキー:2008/03/12(水) 17:56:37 ID:s7Zi8Zsx
もっとって言ってたしね。

乳首を押しつぶすように弄ると甘い声が時折小さな口から漏れた。
・・あ・・・ん・・・
無性にこの胸に吸い付きたくなってきた。
いいかな?

もっとって言ってたしね。

舌ですくいあげるように舐める。
口に含んではコロコロと転がす。
もう片方は絶え間なく揉みしだく。
・あ・・・・んんっ・・・

下の方もいいのかな?
いいよね

もっとって言ってたしね。

スカートを捲り上げ、パンツの中へと手を進める。
「・・・・んぅっ!」
ああ嬉しいな。しっかり感じてくれていたのか。
そこはしっとりと湿っていた。



ゆっくりと彼女の瞳が開く。
「!・・・木野君!?なななっ何を!」
起きたとたん彼女は逃げようと身を捩じらせるが、上に僕が覆いかぶさっているからじたばたしているだけだ。
「スイマセンスイマセン!あの、私!あのですね。ああああっ!!」
騒がしいので彼女の秘所に中指を入れてみた。
「あああ!!・・・ああっ!」
ぐちゅぐちゅと膣内をかき混ぜる。
「き・・・木野君・・・あっ・・・ん!」
139名無しさん@ピンキー:2008/03/12(水) 17:57:10 ID:s7Zi8Zsx
なんてかわいいんだろう。加賀さんは。
「加賀さん、君の大事な所をもっとよく見せてよ」
「だっ・・・ダメ!!スイマセン見ないで、っ!」
そんなことはお構いなしに、ひざの裏を持ち上げ両足を大きく横に開かせる。
「やああ…」
泣かないで加賀さん。ホラ、すっごく綺麗だよココ。
ピクピクと動いているそこを、指で左右に押し広げてみる。
大事な所に愛液が溜まっている。

幼さの残る顔とは無縁のような、女の匂いがした。

うっとりと眺めているとヒクりとそこが動き、
透明な蜜がとろりと伝い床に流れ落ちる。

思わず溜息が出た。

「見ないで・・・」

ぽろぽろ毀れる涙。



「美しい・・・」
140名無しさん@ピンキー:2008/03/12(水) 18:28:49 ID:VjeEmgkE
中途半端な上に投下予告すらなし…
とんだ礼儀知らずだな
141名無しさん@ピンキー:2008/03/12(水) 18:57:50 ID:2DV4zot7
>>139
もっと情景描写増やしてみれ
終わりなら一言でもいいので終わります、位はつけた方がいい
あと木野くんは自重すべきw

>>140
中途半端でなくて礼儀知らずでもない作品お願いします
マジレスすると中途半端だと思ったらどこら辺が中途半端だったか、とか教えてもらえると
すごいモチベーションあがった事あったのでそーゆう指摘ならいいと思う
142名無しさん@ピンキー:2008/03/12(水) 19:38:42 ID:A9EMfipM
木野ww
143名無しさん@ピンキー:2008/03/12(水) 22:13:21 ID:cA5cT6Xk
オチがないヨ
それ以外は好きだ木野君
144名無しさん@ピンキー:2008/03/12(水) 22:25:09 ID:l7zYq4lq
木野暴走してるww
145名無しさん@ピンキー:2008/03/12(水) 23:37:57 ID:4kUmfi32
せめて寝ている隙にタラバTを着せるくらいにしとけよ木野君www
146名無しさん@ピンキー:2008/03/12(水) 23:38:38 ID:9j5+Rag/
木野君の「美しい」にふと不安が
147名無しさん@ピンキー:2008/03/13(木) 02:11:04 ID:uF3Swc46
俺は>>131>>139みたいな肩の凝らないSSも好きだ…
お二方GJだ、また書いてくれ
148名無しさん@ピンキー:2008/03/13(木) 02:51:43 ID:5T8iq5af
私たち、投下一見さまに厳しくなってないですか?
149名無しさん@ピンキー:2008/03/13(木) 08:05:56 ID:iyI7iFgM
一見様キャンペーンといふことで
アニメから見始めた人にありがちな
ネガティブ教師とポジティブ少女の恋愛物語を書けといふことですね
150名無しさん@ピンキー:2008/03/13(木) 11:59:12 ID:4k4gu3bR
親のレールに沿って生きるのに絶望した糸色望は幼い頃の約束を思い出し、
人生を変える為東大への入学を決意する。
親戚の経営する旅館『日陰荘』へ下宿する事にした望。
だが、たどり着いた日陰荘はなんと女子寮になっていた!
そこで出会った少女達と、途中でやって来た義妹の糸色倫も加え、
今、糸色望のちょっぴりエロスな受験生生活が始まる!

受験生絶望ラブコメ
『ラヴひか』
2100年にいよいよスタート!
151名無しさん@ピンキー:2008/03/13(木) 13:56:06 ID:7ScVl7zi
ふと、流されてばかりの加賀さんが、謝りながら千里化するような誤ったことを考えた。
152名無しさん@ピンキー:2008/03/13(木) 14:21:26 ID:m3HTEbp4
>>150-151

投下はまだですか?
153名無しさん@ピンキー:2008/03/13(木) 15:21:54 ID:WdT5UUi2
前スレあたりでスレのルールがないって話があったからテンプレ作ってみた。
ルール自体はこのスレで皆が言ってたことを適当に拾っただけ。
別に俺の意見じゃないのであとは適当に直して行ってください。

===スレに投稿される職人さんに対するお願い===

*形式面*
・文章には、句読点をつけて下さい。
・適当なところで改行をお願いします(特に携帯からの投稿の場合に注意)。
 改行文字数は既に投下されているSS等をご参照下さい。
・SS投下の際は、名前欄にSSの題名を入れてください。
・SSが1レス以上にまたがる場合は、題名の後に1/○、2/○・・・または
 1、2、・・・5/Eのようにレス数を入れていただけると読みやすい。
 ・SSの最後には、投下が終わったことが分かるようにEND等をつけるか
 または後書き的なレスを入れてください。

*内容面*
・本スレはノーマルのエロパロスレです。
・行き過ぎた801ネタ、百合ネタは論争の元になるのでお控え下さい。
 軽めのものであれば、SSの冒頭にその旨の注意書きをお願いします。
・エロなしSSについても同様に「エロなし」の注意書きをお願いします。
・鬱系SSについては賛否両論ありますので、極端な鬱ネタ(死ネタ等)は
 出来る限り避けていただいた方がスレの平和のためです。
 どうしても投下する場合は、上記同様に注意書きをお願いします。

以上、後はよろしく。
154名無しさん@ピンキー:2008/03/13(木) 15:44:40 ID:XfG7s9bt
リアルタイムで書きながらの投下はノーマナーも入れとこう
鬼畜も前書きで注意が必要
155認容の家:2008/03/13(木) 16:36:36 ID:+LUmXEma
 ここで短編『望×霧』投下します。
一応、二人は恋人同士。
156認容の家 part1:2008/03/13(木) 16:39:39 ID:+LUmXEma
『認容の家』

 気が重い。
いつもより早い最後の授業が終わった。
これから、問題のある生徒とその親御さんと、
話し合いが始まる。
そう…今日から三者懇談。

 2−への担任教師。糸色望は、今一度
手元のプリントに目を通した。
 生徒の成績のこと、学校での性格、その他諸々…。
一通り、何を話すかは考えているが、
生徒やその親に、何を言われるかわからない。
そのときに、どう対処していけばいいのだろうか。
ともかく、平然とこなしていかなければならない。

 その1『風浦可符香』

 「はい。カフカさん。入ってください」
 「はーい! 先生」

 元気よく少女が、続いて彼女の母親が教室に入る。

 「えーと…ですね。カフカさんは、友達は多いです。ええ。
  でも…ちょっと、なんといいますか…。夢見がちというか、
  電…他人と変わった発言をねえ」
 「私、変わった発言なんて!」
 「してますよ。たとえば、ポロロッカ星人が、どうとか…」
 「ポロロッカ星人を悪く言わないでください! 先生」
 「こら! カフカ」
 母親がカフカを窘める。というより、何で親までペンネームで?

 「いつも、発言には気をつけなさいって、言っているでしょ」
 「でも母さん…」
 「そんなこと言って、クラスの中の闇の暗殺者が、
  ポロロッカ星の王子様の命を狙ったら、どうするの!」
 
 「…はい?」
 望は目を丸くした。この子にしてこの親ありだ。 
 「うちのクラスに、そんな悪い人はいないよ…」
 「とにかく、私がポロロッカ星までテレパシーで、お詫びしておくから。
  ごめんなさいねぇ。先生」

 「いえ。お気になさらず…」
とっとと帰ってくれ! 二人とも。
157認容の家 part2:2008/03/13(木) 16:40:47 ID:+LUmXEma
 『常月まとい』

 「入ってください」
 「もう、いますよ」
 望の左後ろから、彼女の気配。

 「いたんですか…」
 「ええ、ずっと」
 「お母さんは?」
 「どうも、娘がお世話になってます」
 右後ろから、母親の声。 

 「いたんですか?」
 「ええ、ずっと」



 初日だというのに、疲労困憊だ。
臼井君は来なくて、結局二者懇談になったし、
倫の場合は、家族会議になってしまった。
 しかし、今日の所、残すはあと、一人。
望はプリントを眺めた。

 
 17:00〜17:20
 
 『小森 霧』
158認容の家 part3:2008/03/13(木) 16:41:49 ID:+LUmXEma
小森霧。彼女との最初の出会いは、彼女の家だった。
あのときのことは、今も覚えている。
何故なら…久しぶりの一目ぼれだったから…。

 「先生…」
 二人が椅子に腰掛けて、最初に言葉を発したのは、
霧の母親だった。
 「この子を…霧を返してください!」
母親の痩せた頬。霧が去ったことによる被害。
全座連の力を恐ろしく認識させられる。
 「まあ、落ち着いて、落ちついて…」
 「霧が帰ってから、悪いことが立て続けに起こったのです」
 「あの、私が…彼女を閉じ込めているわけではなく、
  彼女の意思で、宿…いや学校にいるのです。ですから…」
望は、必死で弁解した。異性の教師と生徒が同居するというのは、
本来ありえないことだ。ただ、それ以上に問題のある生徒たちに
よって、些細なことに感じるだけで。
 
 「確かに、霧をこのような性格にしたのは、親の責任です。
  でも、先生…。あなたが正しき方向に導いて、普通の生徒と
  同じように、登下校させてください」
 「おかあさん…」
 霧が申し訳なさそうに、母親を見上げる。
 「私、先生の傍にいたい」
 「いけませんよ。小森さん。そんな理由で、下校しないなんて…。
  お母さんの言うとおりです。あなたは…」
 望は、ここで口を噤んだ。次にくるべき言葉は決まっている。
『学校に残ってはいけない』『下校しなければならない』
 しかし、望はそれを言う事を戸惑ってしまった。
彼女のいない『我が家』を、想像してしまったからだ。

 「あなたは、学校に…残っては…いけません」
搾り出すように出した声。教師という足枷。ここにきて重く感じる。
 「先生…」
 「これからのことは、みんなで詳しく話し合いましょう」
 何を言っているんだ。私は…。
 望の本心は違った。


 教師だとか、そんなものは知ったことか。
私は彼女を愛している。他の生徒とは違う。
恋愛の対象として。
 ご飯を作ってくれる。掃除をしてくれる。
だから、いなくなると困る、などという邪な考えは、
一切持っていない。
一緒にいたい想いは、望も同じ…いやそれ以上だった。
159認容の家 part4:2008/03/13(木) 16:43:45 ID:+LUmXEma
面談が終わったあと、望と霧は宿直室に戻った。
その間、一切口を開くことはなく。

 ガタン。戸を閉める。望は、一息いれると霧の両手首を握り締める。
 「…先生」
 「離すものか!」
 望は、いきなり、小さな彼女の体を押し倒す。
 「違うんです! あんな言葉は! 
  絶対に手放したくないんです!」

 「ああっ…せんせい」
 「…好きなんです」
 望は、あえかな彼女の白い首筋に唇を寄せた。
べろりと、舌を這わせたあと、強く吸い付く。
彼の両手は、霧の顔を優しくつかみ、長いキスをする。
 「はあっ」
 彼女の顔が紅く染まる。
彼女と慇懃を通じるのは、今までに何回もあった。
しかし、望がこれほど霧を求めたことはなかった。
 今までは、稚い彼女の欲求に答えるように、優しくしていた。
今は違う。望は、彼女と別れたくないという一心で、
その体を求めていた。

 「小森さん。…どうしますか? ここか…実家か…」
 この状態で、実家と発言することはできないだろう。
卑怯者でも臆病者でも構わない。望はそう思った。

 「せ、先生といるよ。いつも…一緒に…」
 「ですよね。私だって、手放す気はありません」

 「えへっ」
 霧は艶やかに微笑み、愛しき人に秋波を送る。
これに望の理性は、いとも容易く崩壊した。
望は彼女の服と下着を脱がせ、豊満な乳房を揉む。

 「ふああ」
 「いいですよ。小森さん。もっと、感じてください」
 彼女の乳房を蹂躙するのは、望の両手だけであったが、
それに望の舌が加勢された。
 左側の紅い突起に強く吸い付き、感触を楽しむ。
 「柔らかい…」
望は執拗に胸を苛める。人差し指と親指で擦り合わせたり、
ぎゅっと握ったまま、10秒以上手放さなかったり、
その感触と乱れる教え子を存分に楽しんだ。

 「ああ、もっとぉ! 先生!」
 「わかってますよ」
 望は、自分の服も脱ぎ捨て、さらに激しい行為に及んだのだった。

 あれから、まともに頭は働いていなかったように思える。
ただ、本能に従う野獣のように、二人は求め合った。
望にとって、畳の汚れなど、どうでもよかったし、
一度、箪笥の影に隠れているまといと目があったが、何事もなかったかのように、
体を重ねていった。
160認容の家 part5:2008/03/13(木) 16:45:25 ID:+LUmXEma
二人は、長い眠りについていた。
それを打ち破ったのは、交の声だった。
 「何寝てんだよ…おっさん」
 半ば呆れたように、交は言葉を吐きかけた。
 望と霧は何一つ身に纏わないで、抱き合って眠っていたのだった。
 「そういうのは、子供に悪影響だろ! 俺が知らないところでやれよ!」
 交は、恥ずかしそうに顔を背けた。裸の霧を直視できないのであろう。
 「すみません。交…」
 霧はまだ、眠りについている。
望は彼女の汗を拭き、服を着せてあげた。
そして、彼女を優しく持ち上げると、布団まで運んだ。

 次の日 三者懇談二日目

 「…大変な目にあった」
 
 始業の礼が行えない芽留に、日直を任せることができない。
そういっただけで、芽瑠は泣き出してしまった。
母親が宥める前に、『メルメルを泣かせたな!』と父親が乱入。
4者懇談となってしまった。 

 
 とぼとぼと、宿直室に足を運ぶ望を呼び止めたのはカフカだった。
 
 「せんせーい」
 「おや、どうしました? カフカさん」
 「職員室に行ってください。お客様ですよ」

 いったい誰からだろう。また問題がひとつ増えるのか?

 「どちらさまで?」
 「小森ちゃんのお母さん!」
 「すぐに行きます!」

 望は目の色を変え、走り出した。
161認容の家 part6:2008/03/13(木) 16:48:49 ID:+LUmXEma
 「霧をお願いします」
 「はい?」
 「ですから…霧をお願いします」

 彼女の母親の、昨日とは掌を返した発言。
うれしいと感じる前に疑問に思う。

 「どうしてですか? 昨日はあれだけ…」
 「ここの生徒さんが、これをくれたのです」
 彼女は、ポケットからお守りのようなものを取り出した。
『全座連』と書かれている。

 「これを持っていると、座敷童子が家にいると、
  同じ効果があるというのです」

 望は言葉もでなかった。母親は続ける。
 「でも、条件があるのです。その条件は…あの子が、
  幸せを感じているということ。それで…
  聞いたのです。『一番幸せなことって何?』って…」
 母親は、ここで話すのをやめた。止めざるを得なかった。
涙で、声がでなかったのだから。

 「おかあさん」
 望は、彼女の手を握る。 
 「認めていただけるのでしたら…誓います。
  彼女の居場所が、私の傍であるというのなら…」
 
 決断を迫られていたのは、望だけではなかった。
この人も、わが子の離別と幸福とのダブルバインドに悩んでいたのだった。
そして、決断を下したのだった。

 「絶対に、幸せにします」


 
 そういえば、あのお守りは誰が?

 望は不思議に思った。こうもタイミングよく、
誰が、あんな法螺を吹いたのだろうか。
 小森さんの母親に聞こうと思ったが、止めといた。
全座連など存在するわけがなく、そんな電波なことを言っているのは、
たった一人しかいないのだから。
162認容の家 part7:2008/03/13(木) 16:50:06 ID:+LUmXEma
次の日 三者懇談三日目

 「…ではお母さんも、お忙しいところ
  ありがとうございました」
 「先生! あと、2分30秒残ってます。
  きっちり20分やってください!」
 「まあまあ、もう、終わりでいいじゃないですか」
 「いけません! 先生! そんな早く終わりたいみたいな…」

 「そのとおりです。あ、いえいえ、そんなことしてる間に終わりの時間ですね」
望は、にっこりと笑った。


 「ただいま!」
 「お帰りー!」

 これが私の家です。

 
 「小森さん。今日は何にします?」
 「うーん。押入れ」
 「押入れプレイですか、いいですよ」

 望は、霧に軽く口付けを落とすと、彼女を抱きかかえ、
押入れへと向かった。
 

           END
163認容の家 あとがき:2008/03/13(木) 16:51:40 ID:+LUmXEma
 ためしに書いてみましたが、いかがでした?
 原作見習って、有名文学をもじってみました。
164名無しさん@ピンキー:2008/03/13(木) 16:57:53 ID:pmWhCMg2
一番槍GJ
165名無しさん@ピンキー:2008/03/13(木) 18:45:00 ID:WdT5UUi2
>>154を受けて少し直してみた。
801、百合、死ネタ以外は注意書きさえすればおkということでいいのかな?

>>163乙です!

===スレに投稿される職人さんに対するお願い===

*形式面*
・文章には、句読点をつけて下さい。
・適当なところで改行をお願いします(特に携帯からの投稿の場合に注意)。
 改行文字数は既に投下されているSS等をご参照下さい。
・SS投下の際は、名前欄にSSの題名を入れてください。
・SSが1レス以上にまたがる場合は、題名の後に1/○、2/○・・・または
 1、2、・・・5/Eのようにレス数を入れていただけると読みやすい。
・SSの最後には、投下が終わったことが分かるようにEND等をつけるか
 または後書き的なレスを入れてください。
・書きながら投下はルール違反です。書き終えてからの投下をお願いします。

*内容面*
・本スレはノーマルのエロパロスレです。
・行き過ぎた801ネタ、百合ネタは論争の元になるのでお控え下さい。
 軽めのものであれば、SSの冒頭にその旨の注意書きをお願いします。
・鬱系SSについては賛否両論ありますので、極端な鬱ネタ(死ネタ等)は
 出来る限り避けていただいた方がスレの平和のためです。
 どうしても投下する場合は、上記同様に注意書きをお願いします。
・その他、以下のものについても冒頭に注意書きをお願いします。
 「エロなし」「鬼畜系」「キャラ崩壊」
166名無しさん@ピンキー:2008/03/13(木) 19:26:25 ID:EC8f5WRm
>>163
GJ
霧可愛いよ霧

>>165
文章の書き方までスレテンプレに入れる必要はない
そんなもんは書き手が自分で切磋琢磨していくことだ
167名無しさん@ピンキー:2008/03/13(木) 20:22:59 ID:61VbtAe+
===スレに投稿される職人さんに対するお願い===
・SSの最後には、投下が終わったことが分かるようにEND等をつけるか
 または後書き的なレスを入れてください。
・書きながら投下はルール違反です。書き終えてからの投下をお願いします。
・本スレはノーマルのエロパロスレです。
・行き過ぎた801ネタ、百合ネタは論争の元になるのでお控え下さい。
 軽めのものであれば、SSの冒頭にその旨の注意書きをお願いします。
・鬱ネタ(死にネタなど)、エロなし、鬼畜系、キャラ崩壊なども
 注意書きをお願いします

これでおkだろ
あと冗談みたいな感じの注意書きあれば完璧じゃね?
うん
168名無しさん@ピンキー:2008/03/14(金) 00:22:56 ID:sAp2hFtP
>>166
んー今までにSSの内容はいいのに形式が悪くて叩かれてたようなのもあって
なんかもったいないなと思っていたので形式面の注意書きもあっていいかなとは思うけど
でもこのテンプレ貼ったあとにテンプレに合わない形式のSS落したらめちゃくちゃ叩かれるんだろうなw
169名無しさん@ピンキー:2008/03/14(金) 00:35:37 ID:FVYPUdOO
あくまで投下の際のマナーだけで充分
改行、句読点は結局の所、読みやすさというスキルの問題になるわけで、そこまでルール化すべきじゃない
あと読む方にもちょっとな
傾向の注意があるのに自分に合わないという理由での文句はただの傲慢、お前の為のスレじゃないよ、と
170名無しさん@ピンキー:2008/03/14(金) 02:12:06 ID:MYctAU2P
>>169
> 傾向の注意があるのに自分に合わないという理由での文句はただの傲慢、お前の為のスレじゃないよ、と
どういう意味?
171名無しさん@ピンキー:2008/03/14(金) 02:24:37 ID:FVYPUdOO
>>170
>>52
好みじゃないなら読まなくてもいいんだって話
172名無しさん@ピンキー:2008/03/14(金) 02:25:02 ID:K6imYCaU
>>167
それで桶だと思う。

>>170
たとえば、注意書きありの鬼畜が投下されたとする。
注意書きがあるにもかかわらず、
「鬼畜は嫌いだから書くな。出て行け。」
みたいに反応する奴がいるけど、注意書きある以上はスルーしろよ。ってことかと。

ちなみに自分は鬼畜カモーンですのでw
173名無しさん@ピンキー:2008/03/14(金) 02:45:29 ID:ReOxdKqh
神々が大挙して降臨、質量ともに申し分のない数々のSSが投下されたとする。
なのに望みのカプやシチュが一つもなかった。さあどうする?

自作して投下するのが唯一の正解。

神々だって自分の好きなSSだから書けるんであって、
人が理想とするシチュで良作が書けるとは限らない。
ならばいっそ自給自足で。
174その花束に絶望を:2008/03/14(金) 14:42:17 ID:MjTDFPh7
こんにちわ、鬼畜絶望先生SSの者です。
5話目投下しに来ました。よろしくお願いします。
なにやらテンプレの話とかあったようなので、一応改めて注意書きをば失礼します。

・絶命先生が鬼畜です
・よって、当然のように陵辱もあります

・あと、今回に限って言えば、アナル苦手な人はご注意ください

あと何度かコメント頂いたんですが、望が深く関わってくる予定は今のところありませんのであしからず………。
175その花束に絶望を karte06 (1/6):2008/03/14(金) 14:43:55 ID:MjTDFPh7
「日塔奈美………中肉中背、スタイルも並、成績も可も無く不可も無く。まぁ、顔は若干良い方、って所か。」
「………………。」
「本当に、絵に描いたような平均的女子高校生だな。珍しい苗字以外は、本当に、普通だ。」
「普通って言うなぁ!!」
お決まりの台詞を叫んで、奈美は眼の前に立つ命を見上げる。
下校途中、背後から何者かに羽交い絞めにされ、口を塞がれ目隠しをされて車か何かに押し込められ………何も
解からぬ間に連れて来られた場所で。何も解からぬまま、奈美は眼の前の命と向き合っていた。
「で、どうかな?普通なら、拉致監禁なんてなかなか体験できないと思うが………。」
「そ、そこは普通でいいんです!!早く、家に帰してください!!」
「残念ながら、そのつもりがあれば初めからこんなことはしないよ。」
目尻に涙を浮かべながら抗議する奈美を見下ろしながら、命はくい、と眼鏡の位置を直す。
「何なんですか………どうしようっていうんですか、こんなことして!!」
「そんなもの、ちょっと考えれば解かりそうなものだろう?」
命はそう言って、その双眸を獰猛に光らせる………が。
「そんな………う、うちに、身代金になるようなお金なんてありませんよ!!」
「………は………?」
それに続いた思わぬ言葉に、ぽかん、と口を開けた。
「普通もっと、大きい家の子供狙うでしょう!?うちみたいな一般家庭の子供誘拐して、どうするんですか!!」
「身代金………君は、何を………?」
「う、うちのお父さん、最近転職したばっかりで!!その、お給料だってそんなに………!!」
奈美の見当外れな言葉に、誇張の無い、心底呆れたような顔をして………奈美の前に、しゃがみ込む。同じ高さで
その瞳を見つめながら………命は、奈美の頭を2、3度軽く叩いた。
「本当に、この頭は………恐るべき普通さだな。正直、その発想は無かった。」
「だ、だから普通って言うなぁっ!!」
「だが残念、君も言う通り、私は君の家に身代金など期待していないよ。私が、欲しかったのは………。」
「え………欲しかった、のは………?」
「日塔奈美、君だよ。君が欲しかったんだ。」
「………は………?」
今度は奈美が、さきほどの命と同じように、ぽかんと口を開ける。奈美は10秒ほど掛けて、命が放ったその言葉
の意味を反芻し、自分なりに理解して………その頬を、真っ赤に染めた。
「わ、わたっ、私が欲しいって………そ、そんなの困ります!!私、先生のことよく知らないし………!!」
瞬間、命は奈美の再びの勘違いを察し………もっと言葉を選ぶべきだったか、と後悔した。
「そういうことに関しては、別にいいんです!!普通で、ごく普通の恋愛でいいんです!!」
「………あー………いや、そうじゃなくてだな………。」
「あの、ここまでしてくれる気持ちは嬉しいんですけど、その、そうじゃなくてもっと、段階をですね………!!」
「………ああ、もう。勝手に先走るな、うっとおしい。」
命の言葉を完全に勘違いし、突然熱烈過ぎる程の愛の告白をされたものと思い込んで独りあたふたと慌てる奈美の
頭を、命の手が、今度はやや乱暴に左右に振った。その言葉も、徐々に苛立ちを隠せなくなってくる。
「まったく、どこまでも平和ボケした一般人の脳味噌をしているな………面倒臭い。」
「え、あ、あのっ、せ、先生っ………ちょ、首、首が………!?」
「この幸せな思考回路は、彼女と通じるものがあるな………彼女は、普通とは縁遠い異常な精神を持っていたが。」
いつまで経っても真実に辿り着かない、奈美の平和な連想に、命は、可符香をこの部屋に連れて来たときの様子を
思い出していたが………奈美には、命の言う『彼女』が自分の良く知るクラスメイトのことを指しているという
ことなど、知る由も無かった。
「いいか。君の普通の頭でも、すぐに理解できるように説明してやる。」
「ふ………普通、って………。」
「私の目的は、君の身体だ。金が欲しいわけでも、君の心を射止めたいわけでもない。」
「………え………あ、あの、それって………?」
「普通の営利誘拐なら、身の安全は保証されただろうがな。生憎私には、君を大切に扱ってやる義理は無い。」
「………え、そ、それじゃぁ………わ、私、あの………!?」
「君は、私の所有物だ。奴隷だ。君に選択権など無い。これからは何があろうと、私の命令に従うしか無いんだ。」
「え………ええ!?そんな、あのッ………!?」
「私に犯され、穢され、従順な奴隷へと調教される。それ以外に、君に未来は用意されていない。解かるか?」
176その花束に絶望を karte06 (2/6):2008/03/14(金) 14:46:32 ID:MjTDFPh7
奈美自身は知るはずも無いが、かつて同じ場所で同じ相手から可符香がされたものとよく似た、余りに露骨な告白
を受けて。奈美は、ようやく………自分が置かれている状況が、自分が思っていたよりも遥かに異常なものである
ということに、気付いた。その顔から、血の気が引く。
「い………嫌です!!そんな………そんなこと、許されるわけないでしょう!?」
「ああ、許されないだろうね。だから、なんだ?」
「なんだ、って、だからそんなこと、しちゃいけないに決まってるじゃないですか!!何考えてるんですか!?」
「何、って………そりゃぁ、いろいろ考えているさ。いかにして安全に、その許されざる行為に及ぶか、とかね。」
「な………ふ、ふざけないで!!早く、ここから出してください!!」
「諦めるんだな。私がこうして行動を起こしたということは、既に全ての準備が整っているということだ。」
「警察呼びますよ!!いいんですか!?」
「監禁されている人間に、そんなことが許されるはずないだろう。私を舐めてるのか?」
眼の前で何を言おうと揺るがず動じず、表情すら崩さない命の様子に………奈美は更に、自分の置かれた絶対的な
危機を実感する。やがて、その言葉も尽き始めた頃………命は、奈美の顎に手を添え、それを持ち上げた。まるで
口付けの前のような………しかし、愛など微塵も感じられないその所作に、奈美が身震いする。
「立場を、明らかにした所で………さっそく、調教に移ろうか。」
「あ、う………ぁっ………!?」
眼の前に立ちはだかる………人の形をした、圧倒的な、恐怖。底知れぬ、悪意。
残虐性に満ちたその眼光に射すくめられて、奈美は、とうとう言葉を発することすらままならなくなってしまった。

「実は君には………少し、特別なコースを用意していてね。」
「………と、特別………って………?」
「今、用意させよう。君の素質次第では………晴れて、普通少女を卒業できるかも知れないな。少し待っていろ。」
ようやく事態を理解し、その瞳を絶望の色に染めた奈美の顔を、寒気のするような笑顔で見つめて………命は、
ゆっくりと立ち上がり、踵を返して部屋を後にした。
独り残された地下室で。奈美は、眼の前で起きた出来事が夢ではなかったことを確かめるように、自分で自分の頭
を壁に打ち付けて………鈍い痛みに、悶絶した。


//////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////


数分後。命が、1人の看護婦と共に部屋に運び込んできたその装置を眼にして………奈美は、絶句した。
「………ッ………ッッッ!!?」
「こんなに間近で見るのは………いや、もしかすると、生で見ること自体初めてかな?」
命は、その装置に軽く体重を掛けた格好で、笑いながらそう言った。
2人掛かりで運び込まれたそれを、奈美は、マジシャンが登場するテレビの中か、スプラッタ系の映画か、あるい
は世界史の教科書の挿絵でしか、見たことが無い。だが………その用途は、一瞬で、理解できた。
それは、2枚の板を縦に並べて、その合わせ目に3つの穴を開けて、板同士を鍵で留められるようにしたものに、
土台を取り付けた装置………ギロチンの刃の下で人間を捕まえておく為の、拘束具だった。もちろん、頭と腕を
刎ねる為の巨大な刃は無いが………奈美はそれを見た瞬間に、自分がそこに頭と腕を突っ込まれて身体の自由を
奪われることを想像し、おそらくそれが実行に移されるであろうことを察して、顔を蒼褪めさせた。
「さて、もう解かってると思うが………ちょっと、こっちに着て貰おう。」
命の言葉が、奈美の予想が不幸にも的中してしまったことを告げる。拘束具の留め具を外し、それを上下に開いて
固定し、奈美に歩み寄る。それだけでビクビクと身体を震わせる奈美の腕を、解放する。
「おっと………逃げようとは、思うなよ。外への出口は、完全に塞いであるからな。」
命はそう警告した上で、奈美の脚の拘束も外したが………すぐに、奈美が恐怖で足腰も立たない状態に陥っている
ことに気付き、はは、と嘲笑染みた乾いた声を上げた。ガタガタと震える奈美の腕を乱暴に引っ張り、生まれたて
の子馬のようにふらつくのも構わず拘束具の前まで誘導する。
「さぁ、ここに首と腕を置いて。」
「や………嫌、ぁ………怖い………ッ!!」
「大丈夫。別に首を落とそうとか、絞め殺そうとか、そんなつもりは無いんだ。それでは、私としても困るしね。」
177その花束に絶望を karte06 (3/6):2008/03/14(金) 14:48:29 ID:MjTDFPh7
さらりと背筋の凍るようなことを言って、命は硬直した奈美の体を、半ば強引に拘束具に押さえつけた。看護婦と
2人掛かりで、ぎこちない抵抗を続ける奈美を制し………やがて、完全に拘束を完了する。がちゃり、という重い
音が、その鍵が締まったことを………自分が完全に捕らえられてしまったことを、奈美に知らせる。
「嫌っ、や、だぁ………止めて、離して、怖い………怖いよぉ………えぐ………っ!!」
想像を絶する恐怖に、奈美は遂に、ぼろぼろと涙を零し泣き始めてしまう。頭と腕の自由を完全に奪われ、視界も
地面が見えるばかりでほとんど遮られているといっても過言ではないその状況は、奈美にとってあまりに窮屈で、
不安を煽られるものだった。
「ははは。マジシャンのアシスタントでもなきゃ、普通はこんな体験できないぞ。」
命の声が、視界の外から聞こえる。足元で影が動いているのは確認できるが、その姿を見ることは出来ない。
「ひ、っく………や、あぁ………ごめ、ごめんなさい………許して、くださいっ………。」
「そう、怖がるな。すぐに………そんな些細な恐怖なんて、吹き飛ばしてやろうじゃないか。」
恐怖のあまり、ひたすら謝り続けることしか出来なくなった奈美の背中を、命の手がゆっくりと擦る。その指が
僅かに動く度に、奈美の身体が恐怖に引き攣る。そうして、命の指は奈美の背中を滑り、腰を撫で、尾てい骨の
上を通過して………。
「ひ、ぃ………ッ………!?」
突き出された尻の上に、辿り着いた。
「さて、まずは………一応、こちらを確かめておかないとな。」
「ひ、ッ………い、いや、あぁ………ッ!?」
奈美の背筋に寒気が走ったのも束の間、命の指はあっさりとそこを通過して………奈美のスカートの中に潜り込み、
更に、その下着の中にまで潜入する。いきなり、何の前触れも無く、下腹部に接触されて………奈美は、思わず
甲高い悲鳴を上げた。
「や、止めて!!そ、そこは………触らないで、ぇ………あ、ひあぁぁぁッ!!やあぁぁぁ!!」
刺激による快楽などまるで無い、純粋な恐怖による悲鳴は………命の中で燃える嗜虐心に、油を注ぐことになる。
「そうは、言われてもな。触らなきゃ、確認が出来ないじゃないか。」
「確認って、何のですかッ!?いいから離して………もう、触らないでぇッ!!」
「すぐに、触られるくらい何でもなくなるさ。それじゃ………失礼するよ。」
「え………あ、ぁぁぁ………ッッッ!!?」
そう聞こえた、次の瞬間。奈美は、必死で命を拒もうとばたつかせていた両脚が、何者かによって強引に左右に
開かれていくのを感じた。そして、その太股に、何かベルトのようなもので締め上げられる感触がする。
「………これでよし、と。助かった、有難う。」
命は看護婦に、そう礼を言った。その声を聞きながら………奈美は、自分の足が、さきほどまでのように自由に
動かなくなっていることに気付く。一定の間隔で固定されたまま、開くことも閉じることも出来なくなっている。
奈美の眼では確認はできなかったが………そのとき奈美の両脚は、長い棒の左右に首輪を取り付けたような別の
拘束具によって、その自由を奪われてしまっていた。
「やだ、何………何ですか、これ!?な、何したんですかッ!!?」
「硬いことは気にするな。それじゃ………これも、邪魔だ。脱がすぞ。」
命はそう言って、遂に五体全ての自由を奪われた奈美の下着に指を掛け………それを、躊躇い無く引き摺り降ろす。
ちょきん、とハサミの音がして、奈美の脚から下着の感触が完全に消える。
「な、あ、うぁ………きゃあああぁぁぁぁぁぁッッッ!!?」
最も大事なその場所を隠す下着をあっさりと奪われ、奈美は、それまでに無い程の声で絶叫した。
じたばたと、脚を動かす。だが、拘束具に捕らわれた脚を閉じることは適わず、剥き出しになった秘所は、命の
眼の前に晒され続ける。
「やあぁぁぁぁッッッ!!止めて、嫌だぁッ!!かッ、返してくださいっ!!」
「そんなに暴れるな、傷がついても知らないぞ………どれ、どれ。」
「ひ、う、あぁぁぁ………嫌っ、触らないで………う、えっ………!?」
半ばパニック状態に陥り泣き叫ぶ奈美の声など、まるで聞こえていないかのように。命は、遠慮などまるで無しに
………ぴたりと閉じた秘裂に指を添え、それを左右に押し開いた。
178その花束に絶望を karte06 (4/6):2008/03/14(金) 14:50:34 ID:MjTDFPh7
「あ………ぅ、ぁぁぁぁぁ………っ!!?」
視界の及ばぬ領域で身体を好き放題に嬲られる恐怖と、まだ誰にも許したことの無い場所を異性にまじまじと観察
されているという気が狂いそうな程の羞恥。奈美は涙の浮かぶ眼を眼一杯に見開いて、それに耐え続ける。
肉を掻き分け、内部に指を侵入させ、時折肉芽を刺激し反応を楽しみつつ………やがて命は、結論を出す。
「ふむ、最近の女子高生ならもしかして、と思ったが………杞憂だったな。やはり、処女か。」
秘裂を押し開いたまま、そこにある純潔の証に、感触を確かめるような優しい手つきで触れる。その慎重な手つき
とは裏腹にデリカシーなど欠片も無いその言葉に、奈美は赤い顔を更に真っ赤に染めた。
「………例えば、このまま指で突き破ったら、さぞかし、良い声で鳴いてくれるんだろうな。」
そして………その言葉で、命が次に自分にどんな仕打ちを受けさせるのかを想像し、戦慄する。
「や………やあぁぁぁッッッ!!や、止めて………止めてください、お願いします、それだけはッ………!!」
「ほら、そんなに暴れると、その気が無くてもうっかり破ってしまうかも知れないぞ?」
せせら笑うようなその言葉に、奈美はビクリ、と一瞬で身体を硬直させた。命の指が、少しずつ少しずつ、奈美の
処女膜に圧力を掛けていく。
「ひ、っ………う、あ、ぅ………っ!?」
だが。命は結局、それを傷つけないまま………差し込んだ指を、引き抜いた。
「冗談だよ。そんなに、硬くなるな。」
「………っ、は………あ、あぁ………。」
ひとまず、背筋の凍るような感覚が去り、奈美はほんの少しだけ安堵する。
だが。命は、その一瞬の隙を突くようにして………その調教の、真の目的を告げる為に、動き出す。
命は、白衣の胸ポケットにさしてあったサインペンで、また、奈美の秘裂に触れた。奈美が、再びの接触に全身を
強張らせた、次の瞬間………命は、ひやりとした感触のそれで秘裂をなぞり上げるように愛撫し………その上部で
震える、菊門へと到達させた。
「こちらは、どうかな?」
「ひ、あぁぁッ!!?」
瞬間、それは奈美が身をすくめるのにシンクロするように、小さくすぼまる。命は、サインペンの尻をを、垂直に
奈美の菊門に押し当て、指1本で押し付けるようにしてそれを支えた。
「こんな風に尻の穴を触られるのなんて、初めてだろうな。」
「や、止めッ………それ、あッ、駄目、は、入っちゃう、ぅ………!!」
「や、実はね………君には、こっちの開発をさせて貰おうと思っていてね。」
「い、やッ………そ、そんなの、汚い………駄目ぇッ………!!」
「普通の娘に、普通の調教をしても面白くない。そんなに不安がらなくても………すぐ、病み付きにしてやろう。」
命は、そう言いながら………サインペンを支える指に、徐々に圧力を加えていく。少しずつ、しかし確実に増して
いくその力を感じ、奈美は下半身に力を込めるが………次の瞬間、命に肉芽を摘まれ、思わずそれを緩めてしまう。
「あ、はうぅっ!?」
その瞬間、命は、一気にサインペンの半分ほどを奈美の中へと沈めてしまった。ぞくぞくと、背骨の芯が震える
ような痺れが、奈美の背筋を這い登ってくる。
「ほら、入ったぞ。解かるか?」
「や………やぁぁ、抜い、て………っ!!」
噛み殺したような声でそう訴える奈美の言葉など、酌むはずもなく。命は指先でサインペンの頭を円を描くように
動かして、角度を付けていく。サインペンの尻が、それに合わせて奈美の内側を抉る。
「ひ、いあッ………だ、駄目、動かさないで………ッッッ!!」
「この程度で音を上げるようじゃ、先が思いやられるな。早く慣れないと、地獄を見るぞ?」
「止めて、き、気持ち悪いぃ………抜いてぇ………ひ、ぐっ………。」
強烈な異物感にひくひくと震える奈美の菊門を、ゆっくりと時間を掛けて嬲り続けて。奈美の尻が、ほんのりと
赤く染まり始めた頃………命はようやく、サインペンを奈美の中から引き抜いた。奈美は、必死で呼吸のリズムを
取り戻そうと、浅く速い呼吸を繰り返す。
が………奈美の呼吸が、ほんの少しでも整う、それよりも先に。
「流石に、初めてだと時間も掛かる………手っ取り早く、こいつで行こうか。」
サインペンよりも直径の大きい、しかし長さの無い物が………緩んだ菊門に、押し込まれた。
刺激が去ったことに油断していた奈美は、その侵入を簡単に許してしまう。沈められた卵形のプラスチックの塊
に繋がったコードが、奈美の菊門から生えて、命の手元のリモコンに繋がる。奈美が、その事態に眼を白黒させて
いる間に………命は、そのローターのスイッチを入れた。
179その花束に絶望を karte06 (5/6):2008/03/14(金) 14:51:31 ID:MjTDFPh7
ぶぅん、と、部屋中に響くような振動音が鳴り始める。奈美の両脚が、ビクリ、と突っ張る。
「あ、ああああああぁぁぁぁッッッ!!?」
さきほどまでサインペンに抉られていた直腸を、今度はその振動に嬲られて、奈美はまた悲鳴を上げた。それまで
とは比べ物にならない、全身を這いずり回るような怖気に襲われる。ショックで、半ば意識が飛びそうになる。
だが………完全にその刺激を苦痛と感じているかのように聞こえる、その悲鳴とは裏腹に。奈美の身体には、それ
とは正反対の、その刺激を受け入れ始めている証拠となる反応が、現われ始める。
徐々に湿り気を帯び、やがて………つ、と一筋の透明な液体を垂れ落とした奈美の秘裂を見て。命は、にぃ、と唇
の端を吊り上げる。
「ほう………意外と、早かったな。素質があるようだ。」
片手で、リモコンのスイッチを更に強い振動を示す値に切り替えながら、命は、奈美の秘裂に指を這わせた。その
瞬間は、そんなことに気付く余裕すらない程、ローターの与える強烈な刺激に溺れていた奈美だったが………命の
指に執拗に秘裂を愛撫され、やがて、艶っぽい喘ぎ声を上げ始める。
「や、あ、ぁ………ん、ひぅ………ッ!?」
振動部から背筋を伝って、そのまま脳に流れ込んでくるようなその痺れ。それが、命による愛撫ではなく、自分の
尻に仕込まれたローターから与えられているものだということに、気付き………奈美は、戸惑った。
「自分のココがどうなってるか、解かるか?どれ………片手だけ、外してやろう。」
「………う、ぇ………?」
命はそう言って、1度、奈美の頭と両腕を捕らえるその拘束具の鍵を外す。上の板をほんの少しだけ浮かせ、右腕
だけを解放し、すぐに元に戻す。命は、一応は自由になった奈美の右手を………奈美自身の下腹部へと、導いた。
もはや正常な思考が困難となった奈美は、促されるがままに、ゆるゆるとその指を自らの秘裂に添える。くちゃ、
と湿った感触が指先に伝わり、奈美は、そこで起きている事態を実感する。
「や………な、なん、れ………あ、う、わ、私ッ………!?」
その意味を理解出来ずにいる………いや、おそらくは本能的に、理解することを拒否している、奈美に向かって。
「いや、さっきは失敬したね………普通少女、だなんて。とんでもない、誤解だった。」
命は、せせら笑うような声で、言う。
「いきなり尻にこんなモノを突っ込まれて、濡らすなんてな。これじゃぁ、とても普通とは呼べない。」
「や、嫌ぁ………わ、私、そんなんじゃ………。」
「いや、決して、普通なんかじゃない。弩、が付くほどの変態だよ、君は。」
「ち、違っ!!わ、私、変態なんかじゃ………私、あッ、ふ、普通、で………ん、あぁぁッ………!!」
「普通の女は、無理矢理こんなことされて感じたりしないよ。変態の上に淫乱か、全く救いようがないな。」
ローターの振動に意識を侵されゆく奈美の背中を見下ろしながら、命が、吐き捨てるようにそう言う。
「良かったじゃないか、これは、ある意味じゃ天賦の才能だぞ。おめでとう、普通少女は、今日で卒業だ。」
「ち、違います………変態じゃないです、私、普通です………ただの、女子高せ………う、あッ………!?」
「もう、昨日までの普通の日常には戻れないぞ。………さて、こんなまどろっこしいのは、ここまでにするか。」
うわ言のように、普通です、ただの女子高生です、と普段の彼女なら毛嫌いするであろう台詞を漏らしながら、
ただただ身を震わせる奈美の菊門から………命は、その言葉にほんの少しも耳を貸そうとはせず、乱暴にローター
を引き抜いた。コードがピンと張り詰め、卵型の振動部が、まるで奈美の中から産み落とされるようにして外部に
飛び出してくる。
「あ、ひあぅッッ!!?」
その衝撃に再び、目覚めたばかりの快楽の波が押し寄せる。そして、その余韻にひくつく奈美の菊門を………次の
瞬間には、全く別の、それとは比べ物にならないほど大きな物が、塞いだ。
「あ、うああぁぁぁッッッ!!?」
「おお、これも入るか。」
命はそう言いながら………手にした、無骨な造形のバイブレーターを、既に受け入れの体制を整えていた奈美の
菊門に捻じ込んで行った。サインペンともローターとも比較にならないほどの大きさを持つものに貫かれ、奈美が
ガクガクと全身を痙攣させる。痛みと、不快な異物感の中に、確かな快感が紛れていることを、奈美はもう十分に
理解していた。
奈美が衝撃から立ち直る間もなく、命はそのスイッチに指を掛ける。カチ、という乾いた音に続き、モーター音が
響き始め………バイブレーターが、突起だらけのその身をうねらせ始める。
180その花束に絶望を karte06 (6/6):2008/03/14(金) 14:53:33 ID:MjTDFPh7
「い、いだッ………む、無理です、さ、裂けちゃう、う、ぅ………あぁぁッ!!?」
「まだ痛むか………それでも、初めてじゃなかなかこんなもの呑み込めないぞ?やはり、私の見立て通りだな?」
「ぁ………あう、う、ぇ………あ、あ、あぁぁぁぁぁ………〜〜〜ッッッ!!」
「君も、もう解かっているんだろう?自分が、とんでもない変態だということが!」
動き続けるバイブレーターを抜き差ししながら、命は、厳しく攻め立てるような声で、奈美の意識にその認識を
刷り込んでいく。痺れ、蕩け、やがて自ら思考することを放棄し始めた奈美の精神に、命の情け容赦のない言葉が、
じわじわと染み込んで行く。意識が、毒されていく。
「う、ぁ………もう、らめ、れすッ………も、もう、わかッ、解かり、ませ、えあぁぁッ!?」
「自分の体のことだぞ、解からないってことはないはずだぞ。正直に言うんだ、気持ち良いんだろう?」
「あ、ぁぐ………う、あ、あああッッッ!!んやぁぁぁぁぁッッッ!!?」
バイブレーターのうねりが、命の手によって付けられる角度と相まって、奈美の肉壁を容赦なく攻め立てる。
迫り来る絶頂の気配に、奈美が、足腰をガクガクと痙攣させる。
「や、だ、だめっ、あ、ぅっ………く、来る………あ、あうぅぅ!!?」
「処女のくせに、尻の穴を掻き回されて果てるのか?やっぱり、大した変態だよ君は!」
背後から浴びせられる罵声を、まるでどこか、遠くで起きていることのことのように聞きながら………やがて奈美
の身体は、命による蹂躙に屈し、絶頂を迎えた。
今は何も触れていないはずの秘裂から、ぷし、と飛沫が飛ぶ。脚が突っ張り、その腰が、雌豹のように高く突き
上げられてふるふると震える。声にならない悲鳴が、漏れる。
「あ………ぁ、ァ………〜〜〜ッッッ!!?」
そうして、全身を襲った緊張が、徐々に弛緩へと転じ始めた頃。
奈美は、その精神の許容量を大きく越える、気が狂うほどの感覚の渦の中で………静かに、その意識を手放した。

ぐったりと冷たい床に膝を尽き、絶頂の余韻だけで勝手に痙攣をし続ける奈美の身体を見下ろしながら。
「………よし、外してやろう。放っておいたら、窒息してしまうかも知れない。」
命は、動けなくなった奈美の身体を、拘束具から解放した。
181その花束に絶望を karte06 (7/6):2008/03/14(金) 14:55:45 ID:MjTDFPh7


//////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////


数日後。いつも通りの普通の風景が広がっているように見える、教室の片隅。
「では冒頭から、久藤くんお願いします………。」
担任であり国語担当の望が、珍しく滞りの無い授業を進める中、廊下側後方の、自席で………奈美は、教科書の間
に忍ばせた1枚のメモに、視線を落としていた。
『指定の時間にスイッチを入れるように。診療所にて、内臓の装置で記録を確認する。』
その下に記された時刻と、時計を見合わせる。指定された時刻まで、あと数分だ。
『なお、それとは別にタイマーも設定してあるので、油断しないように。もちろん、外すことは禁止する。』
奈美は今一度そのメモに眼を通した後………指定された時刻がやって来たことに気付き、机の横にぶら下げた鞄に
手を忍ばせ、そこに隠しておいた装置に、触れる。ほんの少し躊躇った後、スイッチを入れると………遠隔操作の
信号を受け取ったローターが、振動を開始した。
「ん、ッ………!」
微かなモーター音と、ほんの一瞬の押し殺したような声が、漏れる。奈美の隣の席の生徒が、1度だけ、おや、と
何かに気付いたような表情で辺りを見回したが………結局その正体には気付かず、その視線を再び、眼の前の机の
上に戻した。
腹の底で、ローターの振動を感じながら………奈美は必死で歯を食い縛り、平静を装う。
『(P.S それ以外の時間でも、君が楽しみたいなら好きなときに使っていい。それも、記録には残るが。)』
どこか惚けたような顔で、朗々とした声で読み上げる准の声を必死で追いながら文章に視線を落としつつ、奈美は
その刺激に耐え続ける。
今名前を呼ばれたら、まずい。人知れず尻にローターを仕込んで、あまつさえこんな風に、授業中にそのスイッチ
を入れ………あろうことか、そこから少しでも快楽を感じているという、余りに背徳的な状況。そんな異常な状況
の中で、席を立たされて教科書の朗読などをさせられたら………恥ずかしさで、気が狂ってしまうかも知れない。
そんな想いが、奈美の脳内を駆け巡る。
そうなったときのことを想像して、全身を掻き毟るような不安に苛まれている自分。一方で、これだけの人数が
居て、そんなことなどあるはずがない、とどこかで高を括っている自分。そして………そんな事態など全て忘れ、
痺れるような感覚に身を任せてしまえば楽になれるのではないか、と、とんでもないことを考えている自分。
自分の中で、様々な想いがぶつかりあうのを感じながら………奈美は改めて、自分が、もう数日前までの平穏な、
普通の学生生活には帰れないのだな、ということを痛感していた。

そして。奈美がそれを感じた、次の瞬間。
「………有難うございます。それでは、続きを………日塔さん。」
「ッ!!」
そんな事態など知る由も無い望の声が………無情にも、奈美の名を呼んだ。

ほんの数分間、たった数ページの文章を読むだけの………地獄の時間が、始まる。



(続)
182その花束に絶望を:2008/03/14(金) 15:04:27 ID:MjTDFPh7
………次数制限に引っ掛かりました。7部構成になりました。すいません。
ということで、第五話、奈美でした。お粗末様でした。
あれだけ普通だと、どう展開させたらいいか正直悩みました。個人的にちょっと鬼門でしたが、書けてよかった。

あと、さっき「絶望 エロ」で検索してここに来る途中で、智恵先生のスレを見つけてしまい絶望しました。
すっかり忘れてました智恵先生ごめんなさい罵ってください………何か思いついたら、書きたいです。

では、今回はこれで。また後ほど。
183名無しさん@ピンキー:2008/03/14(金) 18:13:16 ID:H496Lq8O
字数制限ですね
184名無しさん@ピンキー:2008/03/14(金) 18:18:14 ID:ckZ7dBpm
185名無しさん@ピンキー:2008/03/14(金) 18:20:45 ID:LqHLFZkE
初めまして、何やら木野加賀で頑張っていらっしゃった方が居たので私も書いてみました。

@木野×加賀
@風邪を引いた愛を家に招いた木野に目覚めるS心
メインのシーンはまた後日
186名無しさん@ピンキー:2008/03/14(金) 18:27:09 ID:LqHLFZkE

「んっ…ふぁっ、ぁぁあぁ! はぁんっ、やっ、ああぁぁん!」
彼女が声を上げる
普段からは想像できないような色めいた声


1時間前・・・・・・―――

放課後、雨の中を走る加賀愛の姿を発見した。
こちらも走って追いつく
呼び止めると、オドオドしながら走るのを止めた
「ちょ…加賀さん、なんで傘無いの?朝から雨降ってたじゃん」
「木野君…!…実は、ある人困っていた人に渡してしまって…」
「はぁ?」
なんてお人よし
「まぁ、いいけどさ、それじゃあ加賀さんが風邪くから。ほら、中に入りなよ」
「スイマセンスイマセン!私なんかが他人に心配してもらうなんて!!」
「いやそんな気にしなくても」
「私のことはご心配なさらずとも!!それでは…」
「いやいや、待ってよ!本当に風邪ひくって!」
腕をつかんで半ば強引に傘に引き入れる
187名無しさん@ピンキー:2008/03/14(金) 18:27:33 ID:LqHLFZkE
「スイマセンスイマセン・・・」
ただ謝る彼女
もう少し卑屈じゃなくてもいいのに
自分に素直に生きれないのか
そこが彼女のいい所でもあるが

それにしても好きな加賀さんと、こんな機会に相合傘できるなんて
雨の日も悪くはない

加賀さんは傘のギリギリに入ってオロオロとこちらの表情を伺ってくる
「もっと寄ってよ」
「でっでも・・・」
さらにオロオロし始めた
「じゃないと二人とも濡れちゃうじゃん」
すでに彼女はずぶ濡れなのだが
「肩とかはみ出て……」
ギョッ
す…透けている!!!
「……?」
目が釘付けになってしまった
「木野君・・・・・・?」
188名無しさん@ピンキー:2008/03/14(金) 18:28:23 ID:LqHLFZkE
制服はぴったり素肌に張り付いて体のラインも丸分かりだ
目が泳ぐ
高鳴る心臓
「木野君!!危ない!!!」
「え?・・・おわぁ!!!!」
ぼーっとしたまま道路を横断する所だった
「な、何だか心此処にあらずといった風でしたが…」
「へ?あ!うん!!なんでもない!」
加賀さんの顔さえまともに見れなくなった
こんなにも余裕の無い男だったなんて
つくづく情けない

「っくしゅん」
「あ」
ずびずば
「大丈夫?」
「は、はい!平気です!!・・・・っぷし」
「風邪じゃね?」
「いや、このくらい何ともありませんよ・・・」
そう言いながらも先ほどから何だか足取りも覚束ない
彼女のおでこに手を当ててみると
「熱っ!!」
「ひゃ!」
ビクビク
急に手をかざしたからビビってる。なんだろうこの可愛い小動物は
189名無しさん@ピンキー:2008/03/14(金) 18:29:03 ID:LqHLFZkE
「加賀さん、コレ絶対風邪ひいてるよ。家ってもうすぐ着く?」
「いゃ…もう30分ほど歩かないと…」
「ん・・・それじゃ俺の家すぐそこだからウチに来なよ」
「そんな・・・!迷惑ですから!!」
「じゃないと倒れそうだし」
「ぅう………でも…・・・・」
「迷惑とかぜんぜん思ってないからさ、な?」
「あぅ…」
相当具合が悪かったのか
素直に家について来た
「ウチの人仕事で誰も居ないから、気楽にして」
「…はい…」
とりあえず自分の部屋に案内した
「ちょっと待ってて、タオル取ってくる」
「・・・・・・はい」
階段を下りながらふと部屋の状況を思い出す
ん?
・・・・・・
まずい
190名無しさん@ピンキー:2008/03/14(金) 18:29:26 ID:LqHLFZkE
記憶が確かならベッドの上に大事な本の『ビバ☆エロ街道』が乗っていた筈だ
どうしようどうしよう
確実に見られただろう
あああ
タオルを取って部屋に戻るが、ドアを開ける勇気がない
とんだ変態野郎だと思われただろうか
ここに連れ込んだのも下心があったからと思われるだろうか
無かったわけではないが誤解はされたくない
どうしようどうしよう
ドアの前で激しく葛藤しているが
「・・・・・・っぷしゅんっ」
部屋の中から小さなくしゃみが聞こえてくる
今はそんなこと気にしている場合ではない
彼女の体調が優先だ
「ふぅ・・・」
しょうがない
意を決して部屋の中へ入る
部屋の隅っこで顔を真っ赤にして正座している加賀さんがいた
「・・・・・・」
「・・・・・・」
「・・・・・見た?」
「・・・・・・・・・・・・・・・はい・・・・」
191名無しさん@ピンキー:2008/03/14(金) 18:29:49 ID:LqHLFZkE
今だベッドの上に存在し続けるビバ☆エロ街道
恥ずかしくて顔から火が出そうだ
「あの・・・・タオル持ってきたから・・・」
「…あ、ありがとうございます・・・・・・」
タオルを受け取る時いつも以上に慎重な手つきになっていた
警戒されているのか?
「・・・・・・加賀さん?」
「はっ!はいっ!?」
声が裏返っている。たらりと伝う汗
熱で潤んだ大きな瞳
「大丈夫?」
「ぁ・・・・・・あまり・・・大丈夫ではありません・・・・・」
きっと彼女も混乱しているだろう
その上風邪でフラフラしている
見ていると何だか申し訳なくなってくる
「横になったら?」
「え・・・」
「ベッド貸してやるよ」
「せ、制服が汚れているので・・・」
「じゃあ脱いじゃいなよ」
「!」
彼女がさらに部屋のすみっこへ後ずさった
192名無しさん@ピンキー:2008/03/14(金) 18:30:14 ID:LqHLFZkE
「でもっ・・・・でも・・・」
俺は立ちあがりゆっくり歩み寄っていく
「あのっわ、私着替えが…」
びくびくと部屋の隅で震える彼女
好きな子は苛めたくなる
そうクラスの誰かが言っていた時もあった気がする
「あの…そっ……その…!」
壁に手を当てて逃げられないように閉じ込める
「加賀さん、」
彼女の怯えはピークを迎えていただろう
「俺に風邪うつしちゃいなよ」

「・・・・・・っ・・・・・・」
荒々しい口付けをする
「んんんんん!!」
彼女が顔をそらしたので顎をおさえて無理やりこっちを向かせる
「ふ・・・っ・・・木野く」
角度を変えてもう一度口付けをした。今度は深く舌を入れる
彼女の口腔内で逃げ惑う舌を絡め取り舐め回す
熱のせいなのかとても熱い
193名無しさん@ピンキー:2008/03/14(金) 18:30:41 ID:LqHLFZkE
恐怖で震えているのが自分にも伝わってくる
別にサディズムなわけではないが加虐性向なのかもしれない
加賀さんは涙を流した
その姿に思わず背中を粟立てた
息子もゆっくり立ち上がる

「すいません加賀さん
愚息がお世話になるかもしれません
あしからず」

        続く
194名無しさん@ピンキー:2008/03/14(金) 19:08:34 ID:r196pY0q
愚息ワロタwwww
195名無しさん@ピンキー:2008/03/14(金) 21:59:46 ID:S5r+rbSS
最後ので笑ったwwwww
196名無しさん@ピンキー:2008/03/14(金) 22:07:58 ID:+PCbFtIZ
木野君の勝負パンツに期待
197名無しさん@ピンキー:2008/03/14(金) 23:29:22 ID:tPtQxPg3
>>182
その調子で先生まで犯られたら悶死する自信がある
GJ!
198名無しさん@ピンキー:2008/03/15(土) 00:15:54 ID:GWJck39l
好みじゃないなら読まなくてもいいんだって話
199名無しさん@ピンキー:2008/03/15(土) 00:34:52 ID:xUCNtYKR
正直、普通のエロスでは満足できなくなってしまった。
ハードSMっていいね。
200名無しさん@ピンキー:2008/03/15(土) 00:49:36 ID:e688NDPL
>>174
GJGJGJです!
ここで奈美が来るとは!余りに普通な発想の奈美が可愛すぎです!
そして命兄さんの言葉攻めが、すげーツボにきました、どうしよう…!
しかし、相変わらず調教のバリエーションがすごいですね。。。

>>185
木野君の心理状態の変化が、すごく自然な感じで何か青春ぽくて良い!
ていうか、最後のセリフ、木野面白すぎで笑いました。
201名無しさん@ピンキー:2008/03/15(土) 01:20:51 ID:P2NSACpI
奈美たんの背徳感ヤバいごちそうさま
202名無しさん@ピンキー:2008/03/15(土) 12:31:59 ID:xUCNtYKR
前スレ32です。
ふと思いついた話があったので投下してみます。
第109話、オンエアされなかったバトル・その後。

ルール案が出たばかりでたいへん申し訳ありませんが・・・
「非エロ」&「鬱展開」です。
そういうの別に求めてないって人は、読み飛ばしてください。
203オンエアされなかったバトル・その後(5/1):2008/03/15(土) 12:32:46 ID:xUCNtYKR
『ここが、あの事件の舞台となった高校です。今日は休日ということもあって、校内は恐ろしいほどに静まり返っています』
テレビ画面の中で、レポーターがまくし立てている。その背後には、彼女がよく見慣れた建物が映っていた。
(テレビ局、来てるんだ。確かに大事件だもんね)
カーテンの間から、そっと外を見てみる。校庭の向こうの正門近くにワゴン車が留まっており、
さっきのレポーターとカメラマン、そして数人のスタッフがいるのが見える。
「うわ、ホントにいる・・・」
小森霧は、そう独り言を言った。その言葉を聞いてくれる人は誰もいない。

『ではここで、事件の全貌をもう一度振り返ってみましょう』
土曜の午前のワイドショーでは、緊急特番が放送されている。といっても、この番組では二ヶ月に一度の割合で「緊急特番」をやるので、あまりありがたみはないのだが。
こうやって、どうでもいいテレビ番組を見て時間を潰すのが、霧の日課だった。
しかしまさか、自分の住み着いている学校がニュースのネタにされるとは思ってもみなかった。今でも実感がわかない。

『今月の15日、都内の山林で女性の遺体が埋められているのが発見されました。
被害者は、3日前から行方がわからなくなっていた17歳の少女Aさんで、この学校に通う生徒でした』
・・・なにが「少女Aさん」だ。発見された当初は、実名で「小節あびるさん」と報道していたくせに。
事件がおおごとになってから名前を伏せたところで、何の意味があるというのだろう。
『学校関係者によりますと、Aさんは普段クラスでもおとなしい方で、動物好きの優しい少女だったということです。
このごく平凡な少女の身に、いったい何が起きたのでしょうか』
こういうワイドショーは、単品で観てもあまり面白いものではない。
霧はテレビから目を離してパソコンに向かい、いつものように「お気に入り」から「実況掲示板」へアクセスした。
日本のどこかにいるヒマ人たちが、テレビ放送と同時進行で実況を行うというサイトだ。
学校内引きこもりの彼女はよくこうして、どこか遠くで起きた事件を他人事として眺めていた。

<また特番かよw>
<いやこれは久々の大事件だろ>
<事件当初に報道された被害少女の写真 → ttp://www.uploader.ne.jp/cgi-bin/〜〜〜>
<被害少女テラ萌えス>
<マジ可愛いのにもったいない>
<つーかなんで包帯してるの、綾波系?>
<父親に日常的にDVを受けていたらしい。ソースは某週刊誌>
<D・V・D! D・V・D!>

みんな無責任なものだ。
しかし霧は怒る気にもなれなかった、自分だって少し前まではこうやって、無責任に事件を娯楽として消費していたのだ。
204オンエアされなかったバトル・その後(5/2):2008/03/15(土) 12:33:29 ID:xUCNtYKR
『遺体が発見されてから2日後、事件は新たな局面を迎えます。
被害少女の担任であった男性教諭が、校内の宿直室で首を吊って亡くなっているのが発見されたのです。
第一発見者は、この教諭の別の教え子でした』
あの時のことは、できれば思い出したくない。
糸色先生が死んでいるのを、最初に見つけたのは霧だった。
初めは、何の冗談だろうと思った。見慣れた先生が、いつもとは違う真っ白な袴を着て、ぶらんとカーテンレールからぶら下がっていたのだから。
何してるの先生、と言いかけた時に、彼の皮膚が紫色になっているのに気がついた。
端正だった顔立ちは白目を剥いて醜く歪み、足元の床には汚物が垂れて染みを作っていた…

テレビ画面には、先生の顔写真と共に「故 糸色 望 教諭(27)」と映し出されている。霧は思わず目をそむけた。
『現場に残されていた遺書には、次のように記されていました。』
レポーターがそう言ったあと、男性のナレーターが重々しい声で遺書を読み上げ始めた。
『父上、そして母上。先立つ不幸をお許しください。
――私の行為になんら非はないのですが、あのような事件が起きてしまった以上、世間はそうは見てくれないでしょう。
育ちのいい私は、これから浴びせかけられるであろう罵詈雑言に耐えられる自信がありません。
よって、ここに私自身の死をもって身の潔白を証明したいと考えます』

言っていることが滅茶苦茶だ。こんなことで簡単に死んでしまえる先生が許せない。
霧はパソコンに向かい、機械的にF5キーを連打し続けた。ブラウザ画面が次々と更新され、掲示板の発言が流れていく。
<しかしイケメンだなこいつ>
<どうせ生徒に手を出してたんだろ>
<父上母上っていつの時代の人間だよ>
<糸色家といえば地元の蔵井沢では元禄以来の名家>
<この遺書、自分の言い訳しかしてないな。最低の男だ>
<「育ちがいい」なんて自分で書くか普通>
<とりあえず死ねば何でも許されると思ってんだろ>

「見ず知らずの人にまで人間を見透かされてるね、先生。もっといいこと書けばよかったのに」
孤独を感じると、つい独り言が多くなるのが彼女の癖だ。
少し前までは、こんな独り言でも聞いてくれる少年がいた。
しかし、実の弟のように思っていたその少年は、つい先日実家に引き取られて帰ってしまった。
おそらく、もう二度と会うことはないだろう。二人の間に、もはや何の接点もなくなったのだから。
205オンエアされなかったバトル・その後(5/3):2008/03/15(土) 12:34:09 ID:xUCNtYKR
『そしてつい先日、警視庁はこの事件の容疑者を突き止め、補導したと発表しました。
少女Aさんを殺害し、遺体を山中に遺棄した犯人は、なんと彼女の同級生だったのです!』
レポーターは興奮した様子でマイクに向かって叫んだ。
『容疑者の少女は、補導される際に錯乱し、手に持っていたスコップで警官隊を殴りつけ、
3人に全治2ヶ月程度の重症を負わせたとのことです』
さすがは千里ちゃん、と霧は思った。
いやむしろ、本気の千里ちゃんと戦って3人が重症という程度で済むなんて、さすが警察官というべきだろうか。
『その後、落ち着きを取り戻した少女は犯行を認め、
取調べに対して「Aさんを包丁で刺したあと、鈍器で数回殴ってとどめを刺した。遺体は山中に運んで埋めた」と供述しました。
そして、犯行の動機について、少女は以下のように述べています』
テレビの画面が手書きの文章に切り替わり、今度は女性のナレーターが、またもや重々しい声で読み上げ始めた。
『私と先生は、以前からきちんとした交際をしていました。
世間的には非難されるべきことかもしれませんが、この思いは止められませんでした』
『Aさんは、そのことを知っていながら先生に手を出し、私から先生を奪おうとしたのです。
彼女の卑劣な「後出しジャンケン」が、どうしても許せませんでした』
『結果的に、私の行為が先生を死に追いやってしまったことは残念です。
でも、これでもう二度とあの人の浮気に悩まされなくてすむと考えると、ほっとします』

これだけ強烈なキャラが登場すると、掲示板も沸く。
<キターーーー(゚∀゚)ーーーー>
<同級生に鈍器でトドメってwwwポリ3人を返り討ちってwww>
<リ ア ル ひ ぐ ら し>
<なんという電波人間>
<よくある三角関係のもつれ、なのかあ?>
<こっちはこっちで自己弁護ばっかだな。殺したこと自体は後悔してないんかい>
<イケメン教師が哀れに思えてきた>
206オンエアされなかったバトル・その後(5/4):2008/03/15(土) 12:34:49 ID:xUCNtYKR
『この少女は普段から成績優秀で面倒見もよく、クラス内ではリーダー的存在だったそうです。
また、被害者のAさんとも特に仲が悪かったようには見えず、互いに会話することもあったとのことです』
テレビの人というのは、どうしてそんな内部事情にまで詳しいんだろう。霧はそう思ったが、その疑問はすぐに解消された。
『しかし、彼女たちの知人の一人は、次のように語っています』
テレビ画面が、やけに薄暗い部屋を映し出した。画面のほとんどはモザイクに覆われてよく見えない。
画面下には、「プライバシー保護のため音声を変えてあります」のテロップ。
『あの子はー、ちょっときっちりし過ぎって言うかー、完璧主義な所があってー』
声が変わっても、体格と話し方でだいたい見当はつく。同じクラスだが面識があまり無く、あだ名しか知らない子だ。
こんな番組でクラスのことをぺらぺらしゃべるなんて。
『少しキレやすいタイプっていうのん? ちょっと機嫌が悪いとすぐ人を怒鳴りつけるようなとこがあってー』
『(その少女が、先生と交際されていたというのは本当なんでしょうか?)』
『知らなーい。先生すごくモテたから。いつも誰か女の子と話をしてたし、先生のことをずっとつけ回してる子もいたくらい』
『(複数の女生徒と交際があったということでしょうか?)』
『んー。ていうかー、女子も男子も見境なしってウワサだったのん』

<うぜーよピザ>
<この女だけは鬼畜教師の手にかからずに済んだなw>
<やっぱスコップ女の妄想だったか>
<いいから少女A子さんを映せ>
<そういえば、犯人の実名と顔写真出して、発売直後に回収になった雑誌があったはず>
<撲殺少女の写真うpまだ?>
<某週刊誌のスキャン画像 → ttp://www.uploader.ne.jp/cgi-bin/〜〜〜>
<これは予想外のクオリティ>
<美人じゃん。ちょっと目つきがキツいが>
<この真ん中分けが夢に出そう>
<ちさとタン(;´Д`)ハァハァ>
207オンエアされなかったバトル・その後(5/5):2008/03/15(土) 12:35:23 ID:xUCNtYKR
さすがに、これ以上は実況を眺める気が失せた。
「ひとごとだと思って・・・」
霧はそうつぶやき、ブラウザのウィンドウを閉じた。

そう、この国の大多数の人間にとって、こんな事件は他人事に過ぎない。
どこか遠い、知らない町で起きた事件であれば、無責任に驚き、あるいは笑って眺めていられるのだ。
しかし彼女にとっては、とても他人事ですむ事態では無い。
あの日、千里の怒りが限界に達したとき、たまたまターゲットになったのが小節さんだったに過ぎない。
刺され、埋められ、被害少女のAさんとして報じられていたのは、自分だったかも知れない。

『まったく信じがたい事件ですね』
『日本の教育はどうなってしまったのでしょう』
『残酷な内容のマンガやアニメの影響があるのでは』
放送は再びスタジオに移り、司会者やコメンテータは好き勝手なことを言い合っている。
事件に対する無責任さでは、マスコミもネットも大差ない。
もう一度カーテンの間から校門の方を見てみると、レポーター達は撤収の準備をしていた。

「先生…」
また独り言を発してしまった。
そういえば最後に交くんと別れて以来、自分は誰とも会話していない。あれから何日ぐらい経ったのだろうか。
この薄暗い美術準備室に長くこもっていたせいで、時間の感覚や現実感があいまいになっている。
今すぐにも、糸色先生がドアを開けて会いに来てくれるような気がする。
確かに先生は心の弱い大人だった。優柔不断で責任を取るということができず、そのくせ女性に妙な気を持たせるのだけは上手だった。
しかし、自宅にこもっていた霧に、学校に来る勇気をくれたのは先生だった。
あの日、死にたくなったらまず言いなさい、とかけてくれた言葉には、うわべだけではない優しさが感じられた。
それなのに、あまりに勝手すぎる結末ではないか。
「ちくしょう!」
そうののしり、手近にあった雑誌をテレビに投げつけた。こんなことをして、気が晴れるわけでもないが。
まだ、緊急特番"教師と生徒の禁断の関係!? 戦慄の結末!"が続いている。こんな番組は消してしまおう。

『お話の途中ですが、たったいま緊急の追加情報が入りました。
糸色教諭の受け持っていた女生徒の一人が自殺を図り、先ほど病院へ運ばれる途中に死亡された、とのことです。
これは未確認の情報となりますが、この女生徒は教諭の熱心な取り巻きのひとりで、常に教諭につきまとっていた、とのことで、
教諭の後追い自殺を図ったものと推測されます』
208名無しさん@ピンキー:2008/03/15(土) 12:39:51 ID:xUCNtYKR
以上です。
お目汚し失礼しました。

鬱な話が嫌いな人、エロ分がないと納得できない人、ごめんなさい。
だれか一人でも、面白がってくれたらうれしいのですが。
209名無しさん@ピンキー:2008/03/15(土) 12:54:27 ID:fTRzNaZF
いやいや、普通にいいよ
こういうのなんか好きだ
210名無しさん@ピンキー:2008/03/15(土) 13:02:33 ID:lDJMYain
2ちゃんねらーの節度のない発言は読んでてむかつくww
よくできてるね。またなんか書いてください。
211名無しさん@ピンキー:2008/03/15(土) 13:07:59 ID:B0kijPEr
>208
一瞬ぱにぽに学級崩壊スレを覗いたのかと思ってしまったw
昔のあのスレを思い出したよ
GJ!
絶望先生学級崩壊スレも作ったほうがよかったりしてw
212名無しさん@ピンキー:2008/03/15(土) 15:54:00 ID:UT1dKpWV
>>208
リポーターの台詞が東海林さんの声で脳内再生された
ねらーの書き込みとかことのんのインタビューとか、リアルだな・・・・・・欝になった、が、GJ
213名無しさん@ピンキー:2008/03/15(土) 17:40:19 ID:R7vQlawS
>>208
すごく上手だな。
214名無しさん@ピンキー:2008/03/15(土) 19:00:25 ID:oqhdw82w
つい夢中になって見入ってしまった
面白かったです
GJ!
215名無しさん@ピンキー:2008/03/15(土) 19:01:44 ID:1aGDpDn5
ことのんに殺意がわいた。
216名無しさん@ピンキー:2008/03/15(土) 21:30:36 ID:pcqUgC3x
千里が嫌いになってしまったよ
217202:2008/03/15(土) 21:32:08 ID:xUCNtYKR
わりと好評なようで安心しました。

・・・しかしエロパロスレなのにエロス分が無いのは失策だったかも。
というか、お色気シーンよりも鬱なシーンの方が書いてて楽しいってのは、
自分の人間性に問題があるような。

鬼畜絶命先生みたいな話が書けるようになりたいね。
218名無しさん@ピンキー:2008/03/15(土) 22:00:40 ID:93BJYVX4
鬼畜絶倫先生キボン
219名無しさん@ピンキー:2008/03/15(土) 23:04:03 ID:qwaC0Aj+
>>218
「この程度で果てちゃうなんて、お兄様かっこ悪ぅい!!あはははははは!!」
こうですか!解かりません!
220名無しさん@ピンキー:2008/03/15(土) 23:15:49 ID:fTRzNaZF
>>219さあ早く書くんだ
221名無しさん@ピンキー:2008/03/15(土) 23:22:37 ID:93BJYVX4
むしろ「お兄様『達』カッコ悪いっ!」のほうが…



いや、何でもない
222202:2008/03/16(日) 01:32:37 ID:IHof6flD
>>215
ことのんには嫌われ役になってもらいました。テレビが取材に来たら喜んで何でも話しそうだし。
初めはここで「精神が完全にポロロッカ星に旅立ってしまった可符香」を出そうと思ったんだけど、
インタビュー自体が成立しそうにないんでやめました。

>>216
千里ちゃんがここまで外道な設定になってしまったのは、「薔薇の棺」のせいです。
初めは、「ついかっとなってやった、今は反省している」風の供述にしようと思ったんだけど、
千里ちゃん的には、いっそ先生が死んでしまった方がすっきりするらしいので。
223名無しさん@ピンキー:2008/03/16(日) 01:44:41 ID:M3EO5sFT
>>221
絶景が攻められるのは違和感あると思って別の話を考えたら、
絶景と由香の夫婦の営みを外から覚めた目で見る絶望とカフカという漫画にある最後のコマ絵になった
224名無しさん@ピンキー:2008/03/16(日) 03:43:11 ID:NU8b7S7+
絶景「どうだ由香!気持ちいいだろう!」
絶望「兄さん・・・そこにはだれも」
可符香「うわぁ、艶かしい奥様ですね」
絶景「こう見えても淫らでねぇ・・・」
225名無しさん@ピンキー:2008/03/16(日) 05:16:13 ID:/LtnDTlR
つまんねぇ
226名無しさん@ピンキー:2008/03/16(日) 07:13:51 ID:iNRTJW5E
>>222
・・・・・・その可符香も非常に興味深いですな
227名無しさん@ピンキー:2008/03/16(日) 08:37:53 ID:2QDhPFcV
>>222
ありあり詐欺で煽ってみたものの、結果がそういう事になってしまい
ポジティブ思考で考えてみてもキャパシティーを超えて壊れる可符香・・・確かに興味深い。
228名無しさん@ピンキー:2008/03/16(日) 09:19:32 ID:PBXyDQxm
ユカの前で黒いモノにレイプされる絶景先生
229名無しさん@ピンキー:2008/03/16(日) 10:54:35 ID:vXTxZnCF
ユカと黒いモノとの3P
230名無しさん@ピンキー:2008/03/16(日) 11:19:54 ID:1z0tNn1X
全員にアルコールの入ったジュースを飲ませたい
231名無しさん@ピンキー:2008/03/16(日) 12:38:58 ID:DuOLgu/+
「みなみけ」とか見ているとアルコールが入ってない高級ジュースやまたたびジュースって
ことにしておけば、テレビで未成年の飲酒描写もOKらしい。
232名無しさん@ピンキー:2008/03/16(日) 19:01:19 ID:2QDhPFcV
絶望した!!
>>222の続きを可符香と奈美の視点で書いてみたが、どうやっても鬱展開にしかならない事に
絶望した!!
233名無しさん@ピンキー:2008/03/16(日) 19:04:31 ID:ImsTgP1F
>>232
投下はまだですか?
234名無しさん@ピンキー:2008/03/16(日) 19:10:02 ID:t2p9O3Ja
>>232
投下してください。ぜひ読みたいです。
235名無しさん@ピンキー:2008/03/16(日) 19:30:16 ID:2QDhPFcV
すいません!!
もうちょっと推敲して投下できる段階で書けば良かったのに・・・。
先走ってすいません!!

初投下なのに長文。非エロ。鬱展開がメインのうえ、過去SSのチェックをしていないので
おそらくかぶってる部分もあると思いますが、気長に待っていただければ。
236名無しさん@ピンキー:2008/03/16(日) 19:53:02 ID:vXTxZnCF
久米田のキャラは憂鬱がよく似合う
237名無しさん@ピンキー:2008/03/16(日) 20:16:13 ID:M3EO5sFT
久米田キャラは憂鬱にさせるけど最終回はハッピーエンドだから好きだ
改蔵26巻読んでないけど
238名無しさん@ピンキー:2008/03/16(日) 20:36:33 ID:JYoykh3n
>237
ルートパラダイス‥‥
239222:2008/03/16(日) 22:18:26 ID:IHof6flD
>>232
すみません!私のような者のせいで鬱展開にしかならなくてすみません!
240名無しさん@ピンキー:2008/03/16(日) 22:32:38 ID:+r0/lM3g
いいえ、「欝展開も良いな」と思ってあつかましく感想なんて書き込んだ私が悪いんです!すいません!!
241305:2008/03/16(日) 22:34:25 ID:/JmY0CLt
お疲れ様です。

…えーと、あびるちゃんで一つ作りましたので投下させてください。

エロなしで、臼井くんの出演が多めです。苦手な方はスルーをお願いします。
では。
242あびる:しわよせに至る道:2008/03/16(日) 22:36:57 ID:/JmY0CLt
        
その瞬間が訪れる事を今か今かと期待し、じっと待ち続けている。
声は出さないように、動かないように、ちょっと口を開いたままで部屋の片隅に座り込んでいる。
彼女からは僕は見えていないんだ。……いや、意識されていないだけなんだろうな。同じ事だけどね。
ここでずっと見ていても咎められる事はないんだ。
あ、さすがに全裸状態の彼女を間近で覗き見たりはしないよ。僕がもたないし。
いま僕が見たいのは── ああ、彼女がスカートに手をかけた!
包帯だらけの長い足の付け根近く、内腿の部分。
今日は貼ってそうに見えたけど、やっぱりあった。白い肌の上にさらに白い湿布がとても痛々しく映える。
あんな部分に怪我をして……湿布を貼っているなんて… もう、それしか目に入らない。

こうしていると、とても幸せな気分のどこかで、なぜか虚しさを感じる時があるんだ。
なんでだろう。……きっとコッソリと見ているだけだからだろう。
いつか、見ているだけじゃ無くなったら、また変わるさ。
あの脚を間近で堂々と見れる日が来たら、虚しさなんて無くなるよ、きっと。
──だから、もう少し、隠れて見ていよう。


丈夫そうなツナギに着替えて餌の入ったバケツを手にさげると、あびるの表情は急にそわそわしたものへと変わった。
まるで、恋人と待ち合わせでもしているかのように、うきうきと足早にロッカー室を出て職員用の廊下を歩いてゆく。
もちろん、こんな格好で今からデートなわけではない。
その先にあるのは猛獣の檻の扉。あびるがその前に姿を現すと檻の中で寝そべっていた巨大なトラがのそり
と起き上がり、猫のようにノドを鳴らしながらあびるへと近寄ってくる。
「ラインバック!」
はしゃいだ声を上げて、鍵を開ける動作すらもどかしそうに扉を開き、あびるは檻の中へと飛び込んだ。
──先生と一緒の時よりも楽しそうだ。
何となく後を付いて来た臼井は、トラとじゃれあう彼女を見ながらそんな事を考えてみる。
普段、滅多に見れないような表情のあびるをもっと見ようとしたのか、無造作に彼も檻の中へと足を踏み入れて来た。
と、それまで嬉しそうにじゃれていたトラの動きがピタリと止まった。
(……え?)
臼井の姿を認めた訳ではないのだろうが、しきりに鼻をひくつかせて異常を感じているように見える。
「ラインバック?」
不思議そうにトラの襟首を撫でてやりながらあびるが名前を呼ぶと、突然臼井の居る方向に向かい鋭く大き
な声で吠えかけた。
「うわあっ!?」
突然の事に驚き、尻餅をつきながら、つい叫び声が出てしまった。
「……? ……誰?」
そこでようやく彼の存在に気がついたのだろう。訝しそうな声を彼に投げかける。
「え…… えっ……と……」
「臼井くん……?」
慌てて弁解しようとあたふたしている彼の足元を見たあびるは、餌のバケツが転がってしまっている事に気
がつくと、近寄ってこぼれ出た肉片を片手で拾い上げた。
──と、背後のラインバックが嬉しそうにうなり声を上げた。
「……あ、そうだった。」
あびるが肉片を手に取った事で、食事をもらえると思ったのだろう。
もう一度、今度は甘えるようにうなると、コンクリートの床を蹴り、あびるを目がけて大きく飛びついた。
たとえ怪我をしていなくても、反射神経には恵まれないあびる。
そして、床にへたりこんで、状況が分かっていない臼井。
──あぶない。
二人同時に気がついた時には、巨大なトラの真っ白な腹が目前に迫っていた。


243あびる:しわよせに至る道:2008/03/16(日) 22:38:24 ID:/JmY0CLt
        
……ああ。……天井が、やけに近く見えるなぁ……

一番はっきりとした意識はそんな感覚だった。
次いで、自分を覗き込むあびるの無表情な顔が映り、ようやく現状を把握できたのだろう、がば、と起き上った。
「あイタタタ……」
「…動くとまだ痛いと思うよ?」
あびるの声を聞き、初めて自分の体を見てみると、いたる所を包帯やらギプスやらで固められベッドに横に
なっている状態を確認できた。
「あ……えーと……。たしか、トラに襲われて……」
「下敷きになっちゃってた。ラインバックと、私の。」
「そ……そうなんですか?」
青ざめながら、体のあちこちを確かめてみる。怪我だらけではあるが、重傷とまでは行っていないようだった。
「──生きてるんだよね、僕。」
「…ちょっと首が変な方に曲がってたけどね。」
何かのついでの様な口調で告げたあびるに、彼の表情は硬直し、額にじっとりと汗が噴き出してきた。
首の辺りに触れると、きちんとした首輪のようなギプスで固められている事を知る。
「……瀕死だったんだなぁ。あ……でも、小節さんも無事でよかっ──」
あびるの方に向き直ろうとして、今度は体ごと硬直した。
ついいつもの癖が出て、あびるの脚から視線が入ってしまう。
まず目に入ったのは、大きなギプスで固めた片足と、骨折はしていないのだろうがテーピングとガーゼだら
けの軸足。そして体重を支える松葉杖。
ゆっくりと視線を上にずらすと制服の裾から胴に巻かれた包帯が見え、杖を持っていない方の手は三角巾を
袈裟掛けにして吊り下げていた。
どう見ても自分より遥かに重傷に見える彼女に、青ざめた顔で言葉を無くしていると、それに気がついたの
か、あびるの方からゆっくりと口を開いた。
「あ…… これは救急車を待つ間、ラインバックと遊んでいたから。」
「……ぼ、僕は、放ったらかしだったんですか!?」
やや必死な声色の問いにも、あびるは少し小首をかしげただけで、落ち着いたトーンの声で返す。
「あの子のご飯が、まだだったから。」
「…………そうですか。」
どこか納得のいかない様子だったが、やましい気持ちもある分、問い詰める気にはならないのだろう。
少しうなだれて、視線をじぶんの手元に落とした。


空調の立てる低い音だけが静かな病室の空気を震わしている。
一応、四人部屋なのだが、他のベッドには入院患者はいないようで、少々さみしい印象をうけた。
窓から差し込む日はすでに薄暗く、曇り空の広がる今日は、夕日も見えない。
しばし、無言でうつむく臼井を見ていたあびるが、突如口を開いた。

「それで…… 何してたの? あそこで。」
「え!? え…… ええっと……」
突然振られた質問。しかし、当然と言えば当然の問いかけに、彼は言い淀んでしまう。
答えあぐねていた彼を見ていたあびるは、自分の頬に貼られたガーゼを軽く指でなでて、大きな目を一つ瞬いた。
「いつも覗いていたの? 私を。」
丸めた背中をしゃっくりの様にビクつかせて、ぎこちない動作で血の気の引いた顔をひきつらせた。
ほほを伝った汗が自分の手の甲に落ちて、真新しい包帯にシミをつける。
「……き、気がついていたんですか?」
「そんな気がしたから。……当たってるんだ。」
悪戯を見つかって叱られる前の子供── と言うには、もう悪戯では済まない年齢だが、非難される事を分
かって身構えている表情になっていた。
そんな臼井に対し、あびるはすました顔で、口調も変えずに言葉を続ける。
「別に、見られるくらい平気だけど。…堂々と見ていたらいいのに。」
244あびる:しわよせに至る道:2008/03/16(日) 22:40:32 ID:/JmY0CLt
「へっ?」
ぽかんと口を開いて自分を見る臼井に、あびるは特に言葉を返す事なく視線を彼に向けている。
怒られている訳でもないのだが、少し視線をそらして彼はぎこちなく口を開いた。
「…それは、さすがに、その──」
「こっそり見るのがいいの?」
「う…………」
痛いところを突かれた事が自分でもわかった。
いつも隠れて、──正確には相手に見えていないだけだったが、自分は気付かれていないという確信の中で
鑑賞行為を続けていたのだ。
いつの間にか行動は大胆になって行く反面、例え話でも、相手が自分の存在に気づいている状況で堂々と見
る事など、考えの中には入っていなかった。
「そう。…まあ、そういう趣味ならそれでいいんだろうね。」
「しゅ、趣味ってわけじゃ…! 僕はただ、その……こ、小節さんの…」
「私の……?」
淡々とした口調で先を促され、臼井はまたしても言葉につまってしまう。
「……小節さんの…………脚が好きなんです。……だ、だって、内腿にシップを貼るだなんて! もう、誘
惑されてるとしか……」
「した覚えはないけど。……こんなんがいいの?」
事も無げに言い、自分で確認するようにスカートの裾を捲くり、太腿を露出させる。
まさかのその行動に、彼はアゴが外れんばかりに口を開いて目を見張り、たらりと一筋の鼻血が赤い線を描く。
「ちょっとキモイかもしれないよ。それ。」
「そ、そんな事いわれても……!」
慌てて近くにあったタオルで鼻を押さえる臼井を見ていたあびるだったが、杖に体重をかけながらゆっくり
と立ち上がると窓の外に視線を向けた。

「見てるだけなら別に見ててもいいよ。……じゃ、帰るね。今日は交くん当番だからもう行かなきゃ。」
「…あ! 小節さん!」
唐突にそれだけ告げて背中を向けようとするあびるに、思わず声をかけてしまった。
振り返り、首をかしげる彼女に見据えられ、視線をそらしつつ適当な言葉をさがす。
「……先生の所へ行く……んだ……」
「? ごめん、よく聞き取れない。」
小声になってしまい、ぼそぼそとした口の中での呟きは、あびるの所までは届かなかったらしい。
彼は、慌てて別の言葉で言いなおそうとして口を開く。
「いや、あの、その、……先生の所って楽しい? よく行っているけど……」
言い終えてから、しまったと言う表情になり、彼は思わず口を手で押さえてしまう。
しかし、あびるには気にした様子は見られず、少し首をかしげただけだった。
「そうだね、楽しいかな。一緒にいると。」
「──で、でも先生って良い所ないよね? 先生のどこが良くて……?」
あびるは視線を少し宙に漂わせて考えているようだった。
やがて、口元に小さく苦笑が浮かぶ。
「全然ないね、いい所なんて。……どちらかと言えばダメな大人だよね。」
「……………………」
どう答えたらいいのか、思わず考え込んでしまう臼井に、あびるは少し遠くを見るような表情で微笑を見せた。
「でも、好きだからいいや。……って、思うよ。」
何でもないことのようにそう言い残し、もう一度「じゃあね。」と声をかけ、あびるは病室を出てゆく。
あびるのその一言に言葉を無くした臼井は、しばらく彼女を見送った姿勢のまま動くことができなかった。



急に静かになった気がする。
病室に取り残されたような気分になって長い溜息をつくと、まだ耳に残っているあびるの言葉を頭の中で反
芻してみる。
245あびる:しわよせに至る道:2008/03/16(日) 22:41:42 ID:/JmY0CLt
──見ていても構わない、って事なんだよね…。
言葉の意味を取り違えていないかゆっくりと思い出しながら、自分なりにまとめてみる。
──でも、いざ見てもいいって言われると、僕としては…… あれ? 何でだろう?
…見たいよ。ずごく見ていたい。彼女を、全部。
だから今まではいつも、偶然を装って会いに行ったり、着替えを見たり、水着姿を見たり、お風呂を見たり
…… 直接なんて出来ないから、間接入浴したり。
…でも、それって、もしかして。……僕は、本当はどうなんだろう? 本当に彼女を…?

電気もつけていない薄暗い病室のベッドの上で、一人。初めて、これまでの自分を振り返る。
さっきまで、緊張して背中を流れ落ちていた汗はすっかり冷え、かわりに背筋に寒気が漂っていた。
──きっと小節さんは、ためらいも無く言えるんだろうけど…… 僕は、言うなんて事……
脳裏をよぎったのはこれから先、現状に満足してこっそりと彼女を覗き続ける生き方。
一瞬だけ自分はそちらに逃げ込もうとして…… その先にあるものを想像し、ギリギリ踏みとどまる。

彼は、シーツをはねのけて一動作でベッドから飛び降りた。
「あいたた!?」
刺さったままだった点滴に腕を引っ張られ、痛みに声を上げてしまう。
ちょっと青ざめた顔で、痛みをこらえて針を抜き取った。
「なんだよ… 引き止めんな……!」
突っ込む人など居ない状況だからか、ちょっと言葉使い悪く点滴に毒づき、そのまま病室から駆け出して行く。
飛び降りた時に少しだけ抜け落ちた髪が、しばし、風の無い部屋の宙を漂い床に消えた。


廊下を走り、階段を駆け下りる。
途中で幾度か看護士さんと擦れ違ったが、何も咎められる事なくロビーまで降りてきた。
そのまま玄関の自動ドアへ向かい、鈍い音を立ててぶつかり転びそうになってしまう。
地団駄を踏むように玄関のマットの上で足を交互に踏みならしていると、少し間を置いてセンサーが反応し
ドアが開いた。
そこで、スリッパすら履いていない事に気がつくが、一瞬だけ考え、そのまま日の落ちた街中へと飛び出した。


ようやく街路灯の点き始めた歩道は人影もまばらで、病院着のままの彼の姿は相当に目立つ。
多少ふらついた足取りで走る臼井はそんな事も構っていられないといった風な形相で、必死にあびるの帰っ
たと思われる道を進む。
ややあって、伸びた歩道の先、横断歩道を渡った信号の下辺りに、松葉杖をついた背の高い制服姿が見えてきた。
……大声で呼び止めても多分聞こえないよな。
そう判断し、とにかく追いつこうと目の前の横断歩道を渡ろうとする。
「うわあああ!?」
横断歩道を横切ろうと走ってきたトラックにもう少しで接触しそうになり、彼は歩道の石畳に転がってしまった。
トラックは何事もなかったように轟音を立てて通り過ぎてゆく。

「いたた……」
はずみでズレたメガネを掛けなおし、怪我の痛みを堪えてよたよたと立ち上がろうとする。
コツン、と、傍らから杖が歩道を叩く音がした。
弾かれた様に振り向き見上げると、彼に気がついて戻ってきたのだろう。あびるの長身が自分に影を落としていた。
「…何してるの?」
特に彼を心配する様子もなく、相変わらず淡々とした口調であびるが尋ねる。
「何って……」
よろめきつつも立ち上がり、自分を見つめるあびるの顔を見て、思考が止まった。

──僕は、何で、何のため。

246あびる:しわよせに至る道:2008/03/16(日) 22:42:46 ID:/JmY0CLt
真っ白になった頭の中でその声だけが繰り返し流れ続けていた。
だが、それは言葉にはならず、口を開こうとした状態のままで表情が固まる。
あびるは何も言わず、彼の前を去るわけでもなく、じっと待っているように見えた。
全力疾走していたのだから寒いわけはないのに、体が震え、歯がガチガチと音を立てて何度も舌を咬んでし
まいそうになる。
「鼻……垂れてるよ。」
ぽつりとしたあびるの声に、彼は焦って袖を当てグスグスと鼻をすする。
無表情なあびるの顔だったが、少し柔和な空気が降りてきたように思えた。

「…い、いつも……、いつだって、ずっと、君の事を見ていました。…綺麗な脚とか、痛々しい怪我とか、
内腿見て、湿布を見て、勝手に惚れて、イヤラしい目で見たりしていました……!」
肩を震わせて、涙で曇ったレンズの向こうからあびるを見つめ、堰を切ったように彼は言葉を続ける。
「どうせ、…どうせ僕なんて見えてないんだからって、だから…! だから、見てるだけなのは… しかた
ないよって…… そんな風に考えていて… それで満足した気になっていたんだ……」
また出て来た鼻をすすり、臼井はぐっと、手で服を握り締める。
そんな彼を静かに見つめて、あびるは佇んでいた。
「思ったんだ、さっき。君に言われて。……覗き見る必要が無くなったらって、考えたら… 僕の中の君は
、何も、誰もいなくなってしまって……! 君を見ていた、追いかけていた理由が全部消えて! …良い事
のはずなのに、僕は……君の何を好きなんだろうって……!!」
背中を大きく震わせ、言葉を吐き出す。
涙で、ベタベタなったメガネが、通り過ぎる車のヘッドライトに照らされ、鈍く白く光る。

「──君の…………何を…見ていたんだろう。僕は…」
地面を向き、独白するような一言を落としてうつむいたまま、音が聞こえるほどに歯を食いしばっていた。
あびるは何か考えるように少し目を閉じる。
彼女から話しかける事は無く、ただ、時折車の行き交う音だけが通り抜けてゆく。

臼井は顔を上げた。涙と鼻水で汚れている顔のまま、あびるをまっすぐに見る。
「…もう、こそこそと覗いたり追いかけるのはやめる。……僕の事だから、またすぐ同じことを繰り返すか
も知れないけど。……でも、このままなのは嫌だから。たぶん、ずっと、ズルズルと引きずる生き方しか出
来ないだろうけど、それでも…」
赤くなった小さな目を見開き、ぎこちない苦笑を見せる。
「……君を好きでいさせてほしい。」
ぽつりとつぶやいて、袖で涙をぬぐう。

あびるは、ゆっくりと目を開いた。
横断歩道の信号が点滅を始め、瞬く青い光が瞳に映し出される。
その口が少し動いた。
「……変ね。」
「…え?」
あびるの言葉に、臼井は思わず間の抜けた声を上げてしまう。
「──だれもいないのに……声がした。」
言い終わるとふわりと向きを変え、信号が変わろうとしている横断歩道を渡ってゆく。
彼は呆けた顔で、その様子をただ見ていた。

やがて、信号が赤に変わり、停車していた車が動き出した。
あびるは一度も振り返る事なく、その背中は少しずつ小さくなってゆく。
「……ありがと、小節さん。」
彼は行き交う車の向こうに消えてゆくあびるの姿に、泣き笑いを浮かべていた。
「引導……わたしてくれて……」


247あびる:しわよせに至る道:2008/03/16(日) 22:43:34 ID:/JmY0CLt
        
音を立てて教室の戸が開き、どやどやと男子生徒が入ってくる。
──ふんぎゃ!?
「あれ? 今何か踏んだか?」
「? 気のせいじゃねーの?」
──気のせいじゃねーよ!
背中に付いた足跡を手で払いながら、聞こえないとは分かっていても一応苦情の声はあげる。
そんな臼井の後ろから再び誰かがぶつかり、彼は勢いよく顔面から床に突っ伏した。
「…………あ、ごめん。」
「イテテ…… なんだよもう!」
さすがに腹を立てて、床に膝立ちで起き上がると勢いよく後ろを向く。
目の前に包帯だらけの長い脚があった。
「おはよう。」
頭上からかけられた挨拶に返事をし損ねてしまい、目の前を通り過ぎてゆくその脚を、横目で眺める。

……今日も貼っているのかな?
ほとんど条件反射で視線を送って確認しそうになり、慌てて目を逸らして通り過ぎてゆくのを待つ。

やがて、あびるが自分の席に座る音を聞いてから立ち上がると、日誌を手に取り教室を出ようと出口に向かう。
同じく教室を出ようとした生徒が彼の前で戸を開け── その鼻先でピシャリと戸を閉められ、音を立てて
また顔面を強打してしまう。

──誰も自分に意識を向けない教室の中から、クスッと小さい笑い声が耳に入る。
痛む鼻を押さえながら振り返ると、こちらを見ていたあびると一瞬だけ目が合った。
少し照れたように頭を掻いてしまい、ハラハラと落ちてきた物にギョッとして手を戻し、戸を開けて廊下へ
と出てゆく。

何かにぶつかる音と、小さく上がる悲鳴が遠ざかって行く。
あびるは再び微笑を浮かべ、自分の腿に貼ってある湿布をゆっくりと剥がした。
剥がした痕には特に怪我をしている様子は無い。
ちょっと肩をすくめると、何事もなかったようにカバンを開いて授業の用意を始めた。



248305:2008/03/16(日) 22:44:26 ID:/JmY0CLt
    
おそまつでした。

では、これで。
失礼します。
249名無しさん@ピンキー:2008/03/16(日) 23:01:22 ID:O6+RURSH
GJ!!
たまには、こう言うのもいいですね。
250名無しさん@ピンキー:2008/03/16(日) 23:13:50 ID:FBiCUdX5
苦手な方はスルー…ってメインになるだけでスカトロや残虐描写のような扱いの臼井くんに絶望した!
251名無しさん@ピンキー:2008/03/16(日) 23:20:27 ID:2QDhPFcV
臼井君・・・。GJです。

>>202さんのを読んで、>>227を書いた後、何か妄想が広がってしまいました。
「鬱展開」「落ちなし」「非エロ」「初投稿・ほぼ初SS」と様々な不安要素がいっぱいです。
途中から何の前触れも無く可符香から奈美への目線に変更します。
それでは、よろしくお願いします・・・。
今日もポロロッカの人達が私の所にやって来た。
「あなたのせいじゃありませんよ。」
「あの子は自分の心に、きっちり従っただけよ。」

男の人はいつもより疲れているのだろうか。顔色が悪い。
女の子はいつもどおり、きちんとした服装。真っ赤な服が可愛い。
あの子はいつもより包帯が多い気がするけど、怪我でもしたのかな…。
3人の後ろには、いつも通りたくさんの人が着いて来てる。
皆口々に私の事を励ましてくれる。そう。私は何も悪い事なんてしていないの…。

暗い部屋の中。私と先生2人きり。
思いつめたような表情。
どうしていつもみたいな質素な中に品を感じさせる服じゃなく真っ白な袴を穿いているんだろう。
「もう私は耐えられる自身がありません。本当に絶望しました。死んで詫びるしかないのです。」
また。いつもの可愛そうぶりかしら。どうせ本当に死ぬ気なんてないくせに。
「アリ…じゃないですか。その方法も。」「アリですかね。」「アリですよ先生!!」
もう付き合いきれない。どうせ死ぬ気なんか無いくせに。
踵を返し部屋を出て行こうとする私の背中に先生の声。
「風浦さん。あなたの作ってくれたおかず美味しかったですよ。また食べたかったです。」
思わず振り返ろうとした刹那、後ろから何かが倒れる音と「ぐっ」という嫌な音。何か凄い勢いで
暴れる気配。
怖い。こわい。コワイ。振り返ることも出来ずに私は走り去る。どう走ったかも分からず家に飛び込み
机に伏せる。誰か助けて。助けて。

それからのことは良く覚えていない。
絶命先生がやってきて、色々聞かれたような気がする。
私はポロロッカ星の人達に言われたとおりに答えを返しているだけの毎日。
久しぶりの学校。奈美ちゃんと一緒。
道すがら団地の奥様達の視線。憐れみの視線。少し引いたような視線。何か私達変わってるのかな…。
「色々あって私どうしていいかわからないよ。」
「やっぱり奈美ちゃんは、普通の事しか言わないんだね。」
「…普通って言わないでよ。」
二人ともそれ以上喋る事も無く学校へ。いつもどおりの通学路。気持ちいい風。なんだか楽しくなってきちゃう。
「風浦…さん?」奈美ちゃんが怪訝そうに私を見る。どうしてそんなおびえた様な目をしてるの?
こんなにお天気なのに。こんなに気持ちいい風が吹いてるのに…。
急に私達を取り囲んだ人・人・人。
「あなた達あの学校の生徒さんですね。ちょっといいですか?」
ここは無視した方がいいと思って、引っ張った私の手を振り解き風浦さんはどんどんカメラの前に近づいていく。
何か聞かれてる。何か喋ってる。いつも通りのポジティブな風浦さん。
全く状況に似合わない笑顔の風浦さん。張り付いたままの笑顔。笑顔のまま涙を流す風浦さん。
気がつけば、風浦さんを中心にまるでドーナツのような輪になってる。
「嫌だなあ。死んじゃったりするわけ無いじゃないですか。ポロロッカ星に行ってずっと皆で楽しく暮らしてるんですよ。」
「風浦さん!!」いつのまにか近くに来ていた智恵先生の叫び声。人ごみを掻き分け風浦さんを抱きかかえ走り出す甚六先生。
私と智恵先生も一緒に走り出す。校門に飛び込む時に振り返ると、別の人を囲むマスコミ。
あの子うちのクラスの子だ。いつも自分は特別だと思って私達を白い目で見ていた子。普通にむかつく子だったけど
そんな事はもうどうでもいい。

それからは今までの日常は壊れてしまった。
風浦さんは心を病み、入院してしまった。いつも一緒だった皆は転校したり退学していなくなってしまった。、
倫ちゃんは交君と一緒に蔵井沢へ帰っていってしまった。
最後まで一緒に居たマリアちゃんも、ある日急に居なくなってしまった。
「マリア、またぜったいこの国に帰ってくるネ!!」そう叫びながら車に乗せられて行ってしまった。
全てを無くしてしまった私は数ヶ月に一度、院長先生のカウンセリングを受けながらなんとなく以前とは違う
毎日を普通に過ごしていた。
「糸色先生と呼んでも良いんですよ。」と院長先生は言うけど、その名前を呼ぶ事はできない。
そう呼ぶと何とか保っている、私の普通の日常まで壊れてしまうような気がするから…。

留年もせず高校を卒業する年に、新しい担任と親を交えた進路相談。
特に進路も決めずに家事手伝いでもいいかなと思ってた私なのに、何故か進路相談の際に
「…私。先生になりたい」って口走っていた。
普通の学力しかなかった私は、一度失敗したもののなんとか大学に合格して教師の道を目指し始めた。

ある日院長先生の紹介で、風浦さんのお見舞いに行く機会を得る事が出来た。
「本当は今でも面会は出来ないんだけどね…。看護婦見習いという事にして何とかアポをとったよ。」
ある部屋の前まで案内された。見たことの無い名前。そういえば風浦可符香ってペンネームだって言ってたな。
こんな可愛い名前だったんだ。知らなかったよ。
扉に着いた小さな窓から中を覗く。高校生の時と変わらない風浦さん。
クロスした髪飾りを触りながら、まるで誰かいるように壁に向かって楽しそうに話をしている。
「風浦さん…。」
思わずつぶやいた私をじっと見ながら、先生は小さくつぶやいた。
「彼女はそうするしかなかったんだよ。ずっとそうして来たんだよ。」
意味が分からず戸惑う私に、先生は彼女の生い立ちを語りだした。
「以前にも何度か彼女のカウンセリングを行ってたんだ。その断片的な中からの推測が主となるんだが、
ポロロッカ星人っていうのは彼女の妄想でもあるけど、彼女の思い出でもあるんだ。
あの子は小さい時にご両親を亡くしている。原因は一寸言えないが、かなり辛い事に遭ったらしいんだ。」
風浦さんのイメージと違うハードなスタートに私は声を失った。
「それから彼女の所に現れ始めたらしいんだが、最初は男の人と女の人の2人だったらしい。
その人たちとずっとあの子は一緒に生きてきたんだ。でも高校生になり望のクラスになった時にその2人は姿を
消し、代わりにたくさんの人達がやってきた。」
「…」
「いろいろな人が居たらしい。どんな人かは…君も分かるよね。」
「今もあの子はポロロッカ星の。いやクラスの皆と楽しく毎日を過ごしてるんだ。」
「もし良ければ、中に入って顔だけでも」
いろんな思いに押しつぶされそうな私は、先生の言葉を遮った。
「今日は…帰ります。でもいつか、かならず会いに来ます。」そう言って病棟の出口へと向かった。
『…先生は…。…マ太郎…。…普通だね…。』
254名無しさん@ピンキー:2008/03/16(日) 23:22:58 ID:LG9XY+I7
うわぁぁぁぁあ…!臼井君でこう来るとは…!
何か胸が切なくなりました…GJです!
305さんのあびるはクールで、いつも自分の中で後藤声で再生されてます。
しかし、今週のアニメといい、臼井君には幸せになってもらいたいものです…。
255名無しさん@ピンキー:2008/03/16(日) 23:23:35 ID:2QDhPFcV
風浦さんのお見舞いに行って、私の教師への思いはますます強くなった。
世間的には悲劇的な話かも知れない。でも私は形はどうであれ、あんな風に心の支えになる様な先生になりたい。
教室を作りたい。
数ヶ月に一度の院長先生のカウンセリングは、徐々に内容が変わり今ではカウンセリングというよりも
世間話やお茶の時間という感覚と頻度になってきていた。
自然と院長先生と私は、お互いを意識し始めた。最初は心を伝えることなく居なくなった、あの人の代わり
だったのかも知れない。
あの人とそっくりな人と体を重ねるたびに、あの人への思いは少しずつ角をなくしながら小さくなっていき、その分
新しい気持ちが入ってくる。
院長先生から先生。命さんと呼び名が変わってどれぐらい経ったんだろう。
私は私なりに勉強をし、ようやく夢への目処がつき始めたある日。いつもの様に体を重ねた後での思いつめたような
命さんの言葉。
「今度の日曜日。私と一緒に蔵井沢へ行ってもらえませんか?」
「望の法要があるんです…。倫や交もあなたに会いたがっています。」
息を呑む。心臓を鷲掴みにされる。頭が痛い。息が出来ない…
『そろそろ良いんじゃないですか?』命さん?違う。この声は糸色先生…。
『あなたには普通の幸せな人生を歩んで行って欲しいんですよ。じゃないと私…絶望しちゃいますよ』
「普通って…言うな」
「え?」
 不思議そうな顔の命さん。私は笑顔なのに、涙が止まらない。不安そうな命さん。
「今度の日曜日ですね。私その日は予定入っていません。随分交君も大きくなったんでしょうね。」
今まで抑えていた感情があふれ出す。楽しかった学校。楽しかった毎日。大好きだった皆。
色々な思いが私の口をついて出てくる。それを優しい顔で黙って聞いてくれる命さん。
256名無しさん@ピンキー:2008/03/16(日) 23:24:30 ID:2QDhPFcV
「なんであんな事になっちゃったのかな。」
「偶然です。全ての思いが偶然に悪い方向に行ってしまっただけです。」
「私もあんな事を望に言わなければ、こんな事にならなかったのかもと今でも後悔する事がありますよ。」
「え・・・?」
「あの事件の前、望はクラスでアリアリ詐欺の話をしたそうですね。あれ・・・私と望が話をしていた内容なんですよ。
随分生真面目な奴でしたから。クラスの皆を楽しませようと、私のところに何か会話のきっかけを探しによく来て
いたんですよ。流行っていないとはいえ、人の出入りはありますから。私も望からクラスの反応を聞いて、心の動
きや行動の参考にさせてもらうこともあったのですが、まさかあんな事に・・・。」
声が聞こえなくなる。目の前が真っ暗になる。顔を上げられない。
「どうかしましたか?」
駄目。答えられない。搾り出すように最低限だけの返事をする。
「今日は・・・帰ります。次の日曜ですね・・・」
返事を聞く事もせず、私は医院を飛び出す。
あの人も原因だったんだ。あの人があんな事を言わなければ、私は皆と楽しく普通の毎日を送る事ができたんだ。
涙があふれる。逆恨みだというのは自分でも分かってる。でも抑えられない。
私から皆を奪った。私から愛しい人を奪った。私の普通を奪った・・・。

暗い部屋。マナーモードの携帯電話が震える。邪魔だ。うざい。私は震える携帯電話を睨みつける。
今日で何日目か。今日が何曜日なのか。目の前にはスコップ。包帯。携帯電話。ライター。
私の中で何かが変わる。夢。取り戻しかけていた日常。二度と来ないと思っていた愛しい人との普通の幸せ。
私はスコップを手に取ってみる。ずっしりと来る重み。頭をよぎる恐ろしい思い。
この湧き出す思いに従うべきなの?それとももっと別の何かがあるっていうの?
分からない。わからない。ワカラナイ・・・。私おかしくなっちゃったのかな。
「こんなの・・・無しだよね。」急にあの言葉が頭をよぎる。「アリだよね。」「アリアリ!!」「アリアリアリアリ」
うるさい煩い五月蝿いウルサイ。叫ぶ私の心をかき消すように、誰かが頭の中で叫ぶ「あり有りアリあり有r」
心が急に軽くなる。アリだったら・・・良いよね。急に外へ出る気になる。私は服を着替える。真っ白なドレス。
あの人の所へ行こう。
「そっか。アリなんだ・・・。」
257名無しさん@ピンキー:2008/03/16(日) 23:26:23 ID:2QDhPFcV
以上です。本当にお目汚し失礼しました。
最後は尻切れトンボのようになりましたが、こっから先をいい感じにするのか
鬱展開になってしまうのかわからないまま、最後にしてしまいました。

もし良い最後を考え付く事が出来れば、またその時は登場させてもらいます。

では失礼します。
258名無しさん@ピンキー:2008/03/16(日) 23:30:25 ID:KxkP+/jX
うおおなんか良作の宝石箱や!
みんなGJ!
259254:2008/03/17(月) 00:14:46 ID:M2FYm/4q
うわ、今、自分が思い切り割り込んでいたことに気が付いた…!
>>251さん、すいませんすいません!!今度からリロードします…!
260名無しさん@ピンキー:2008/03/17(月) 00:34:50 ID:PKtPtYe2
先生がさらっと女子大生の正体を知っていたのになんか感動した
261名無しさん@ピンキー:2008/03/17(月) 03:34:40 ID:pi5vDGDU
切ない話の連続で、なんか泣きたくなってきた………両氏ともGJ………ッ
262皐月バレの人気者1/1:2008/03/17(月) 03:54:54 ID:7EOnhyhb
よーしここで人気者の俺が一気に空気を変えてやる。

銅像をドーゾ。






>>262
何故我慢出来なかった!?

零れる滴も凍り付く、涙隠しの氷結自爆。

263名無しさん@ピンキー:2008/03/17(月) 06:49:19 ID:Ngc0kFZo
ところで百六話(デチューンの話)で、後ろから数えて二コマ目で木に縛られてるのってまといだよね?
前後の話を読んでも誰に縛られたのかわからないんだけど、ここから夢がひろがりんぐな予感
264名無しさん@ピンキー:2008/03/17(月) 12:13:53 ID:hDOiI6b/
>>263
もうちょっと良く見ると誰が犯人か分かるだろ。
そういう観察力のない奴の夢なんてどうせつまらないね。
265名無しさん@ピンキー:2008/03/17(月) 13:36:36 ID:7EOnhyhb
いやだなぁ、その人に濡れ包t‥濡れ衣着せようと真犯人がやったんですよ。
え、それは誰かって?それは‥ ↓
266名無しさん@ピンキー:2008/03/17(月) 14:01:57 ID:w1Z4d28y
俺と緊縛プレイしてたんだよ
267名無しさん@ピンキー:2008/03/17(月) 14:52:31 ID:ntC9XVg3
感動した
268名無しさん@ピンキー:2008/03/17(月) 19:43:31 ID:t8SuzQy6
臼井が輝いてる…
269202:2008/03/18(火) 02:50:04 ID:q/4jIRAU
232氏に触発されて、さらに続きが書きたくなった。
もはやまったくデレがない病み可符香。
「久米田作品で精神病院」といえば・・・クロスオーバーしたくなります。

今日中に完成するかと思ったけど、無理。明日も仕事あるし。
明日の夜あたり、投下できるかと思います。
270名無しさん@ピンキー:2008/03/18(火) 10:30:33 ID:WkG9zQ4h
ただ ひたすら 座して 鬼畜 の 続き を 待つ 日々 ・・・ 。


オレの座りダコをどうしてくれる!!
271名無しさん@ピンキー:2008/03/18(火) 11:59:10 ID:WdX6hOJE
俺は木野の愚息がどうなったか気になって仕方がないw
272名無しさん@ピンキー:2008/03/18(火) 14:41:56 ID:/XQg9f86
>>270
今夜には、投下したい………もうちょっとだけ待ってください………
273名無しさん@ピンキー:2008/03/18(火) 20:35:02 ID:VLRs8FPA
バトルロワイヤルでパロって需要ありますか?
昔、途中まで書いたヤツにエロ増やして投稿しようと思っているんですが…
274名無しさん@ピンキー:2008/03/18(火) 20:39:20 ID://1wSy4E
アリ・・・かな
275名無しさん@ピンキー:2008/03/18(火) 20:39:48 ID:bhJ848z+
少なくとも自分は読んでみたい
276名無しさん@ピンキー:2008/03/18(火) 20:40:10 ID:Q7c6TqyI
バトロワ職人さんキタ━━(゚∀゚)━━!!

バトロワ系、エロくなくてもこっちの方でも待ってるよ。
さよなら絶望先生でバトロワしようぜ
ttp://anime3.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1188907045/
277名無しさん@ピンキー:2008/03/19(水) 00:23:43 ID:GKgcPeRj
>>273
他当たってください
278名無しさん@ピンキー:2008/03/19(水) 00:34:26 ID:AgLkZtvF
エロ+パロなら基本何でもありだと思うが。
あんまりマニアックな嗜好だと、ついて行けない人や嫌悪感を感じる人もいるので、
その可能性があるなら、事前に注意してもらった方がありがたいけど。
279その花束に絶望を:2008/03/19(水) 00:52:45 ID:JO9IdoxZ
どうもです。>>270氏のタコが悪化してないか心配です。
ということで、第6話。完成したので投下しに来ました。
例の如く注意事項。

・絶命先生が鬼畜です。
・陵辱あります。

・生徒の方も約1名、キャラ崩壊してます。

望、ちょっと出てきますがやっぱり深くは絡みません。あしからず。
というわけで、どうぞ。
280その花束に絶望を karte07 (1/9):2008/03/19(水) 00:54:12 ID:JO9IdoxZ
四六時中、望の背中に付いて歩いているように見えるまといにも………どうしても望と離れなければならない時間
というものが、ある。

まずは、家族だけの重要な話があるとかで、望本人から席を外すよう言いつけられたとき。何か大きな異変でも
あったのか、最近は倫と2人きりで話をすることが多くなった気がする。気にならないと言えば嘘になるが、流石
のまといも、糸色家の一大事にまで首を突っ込むような真似は出来ない。今はただ、おとなしく様子を窺っている
ような状態だ。
次に、あまり大きな声では言えないが、用を足すとき。とは言っても、望が用を足すのであれば、まといは平気
で男子トイレの中にまで入っていける。問題は………まさか自分の場合に、望を女子トイレに引きずり込むわけに
はいかない、ということだ。こればかりは、急いで用を済ませて再び望に追いつくしかないのである。

そして、最後が………今。
「ありがとうございました、またお越しくださいませー。」
「………ふふふ………。」
こうして………撮り溜めた写真を現像に回すとき、そして出来上がった写真を受け取り、自室で選別するときだ。
インスタントカメラ数台分の写真の袋が詰まったビニール袋をぶら下げて、まといは満面の笑みを浮かべながら街
を行く。着物の袖が優雅に風に舞い、通行人達の視線を集める。
「また、増えちゃった………私だけの、先生のブロマイド………ふふっ。」
笑いが堪えられない、といった様子で、まといは知らず知らずのうちにスキップをし始める。一刻も早く望の傍に
戻りたい、という想いももちろんあるが………新しいコレクションを手にしたときのこの高揚感と、誰も居ない
静かな部屋でそれを眺め、壁に並べていくときの幸福感は、何物にも変え難いものがある。母親に頼めないことも
ないのだが、やはり、この感覚は自分で味わいたい。
「先生のグッズも、ちゃんと整理しようかな………でも、早く終わらせて、先生の所に戻らなくっちゃ。」
夢見るような幸せそうな眼で、まといはそう言った。
………ここで、まといの言う『グッズ』とは、例えば、首を吊り損ねて屋上の手摺りに残されたロープであるとか、
書き損じて捨てられた遺書であるとか、旅立ちセットを補充する為の買い物の際に捨てられたレシートであるとか、
そういうものだ。断じて、世間一般で言うところの『グッズ』を想像してはいけない。
「ふん、ふふーん………♪」
鼻歌混じりで、身体から幸せが溢れているような様子で、まといは家路を急ぐ。歩きながら、既に壁や天井のどこ
にどんなショットを配置していくか、想いを巡らせる。
大通りから逸れ、自動販売機が立ち並ぶその前を通り過ぎ、もういくつか角を曲がれば自宅が見えてくる………
という、その地点に差し掛かったところで。

「やぁ、望と一緒じゃないなんて珍しいね………常月さん。」

突然、どこかで聞き覚えのある、しかしその主の顔を思い出せない声が、まといの背中を呼び止めた。


//////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////


………まといは、数日前のその出来事を思い出していた。
今になって考えても、何故自分がこんな目に遭わなければいけないのか、一向に納得ができなかった。
「(………っ………。)」
腹の中の感触が、気持ち悪い。教卓の下で息を潜めながら、まといは必死で、その強烈な違和感に耐え続ける。
すると。その、頭上から。
「あの、常月さん………。」
望の声に、名を呼ばれて………まといは初めて、望の脚が眼の前に立っていることに気がついた。慌てて教卓の下
から顔を覗かせ、望の身体を仰ぐ。
281その花束に絶望を karte07 (2/9):2008/03/19(水) 00:54:53 ID:JO9IdoxZ
「な、なんですか?」
「あのですね、今更、席に戻れとは言いませんので………授業にはちゃんと参加して頂けると、先生嬉しいです。」
まといが首を巡らせて黒板を見上げる。そこにはチョークの白い文字で、古文の文法問題が2問書き記されていた。
そのうち1問は、まといが気付かぬうちに、指名を受けた千里がきっちりと解答した後だった。
「ちょっと常月さん!教室に居る以上は、授業にはきっちり参加しなきゃおかしいでしょう!」
見えないところから、千里の厳しい声が飛ぶ。まといはそこでようやく、自分がもう1問残された問題の解答を
任されたのだということに気付き、慌てて教卓の下から這い出した。
まといが、生徒達から見て黒板の右側に書かれた問題と、向き合う。授業はまるで頭に入っていなかったが、望に
好意を寄せてからというもの、国語の勉強だけには並々ならぬ努力を注いできたまといにとっては、そんな基本的
な文法問題など、朝飯前だった。
「え、っと………っ………。」
まといは一刻も早く教卓の下に戻ろうと、やや雑な字で解答を書き綴っていく………が、そのとき。
「む………真っ白ですね………。」
望は突然そう言って、黒板下のレールに置かれていた黒板消しの1つを手に取った。チョークの粉で、もはや文字
を消した端から黒板が白く汚れていく程に真っ白になったそれを手に、望は、教室左手の窓に歩み寄る。
「………あ!せ、先生ッ………!」
ちょうど問題を解き終えたところでまといがそれに気付き、眼を丸くする。
そして………望が窓を開け、その下の外壁に黒板消しを叩き付けて、白い煙が立ち上った、そのとき。

「あ………っ、ぅ………!?」

呻くような声と共に、まといの身体が、小さく震えた。


//////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////


数日前。
「………よし。これが、君の部屋からお借りした、君のコレクションだ。」
命はそう言って、まといを診療所の地下室まで呼び出す口実に利用したそれを、まといに差し出す。
数箱並んだそのダンボールの中身は………望の写真と、『グッズ』だった。。
「………どういうつもりですか、命先生。いつの間に、こんなこと………。」
「君のお母様の留守に、ちょっと人に手伝ってもらいながら、ね。安心しなさい、1枚残らず入っているよ。」
「………じゃぁ、それ返して貰って、帰ります。何だか知りませんけど、もう2度とこんな………。」
「まぁ、そう急ぐな。少し、聞いて貰いたい話があるんだ。」
命は乱暴に、脚を使ってダンボールをまといから遠ざけながら言った。自慢のコレクションを足蹴にされ不快感を
露わにするまといの顔を、正面から見据えて………命が、言う。
「単刀直入に言おう。私は君を、私の奴隷にしたいと思っているんだ。」
「………………は?」
言葉の意味を理解しかねて、まといは、やや苛立った様子で首を傾げた。
「何言ってるんですか?ふざけないでください、私早く戻りたいんです。それじゃぁ………。」
「待て、待て。本当にせっかちだな、君は。」
「暇じゃないんですよ私。今だって、先生がどこで何してるのか気になって仕方ないんです。」
まくし立てるように、きつい口調でそう言われ………それでも、全く動じる様子など見せずに。
「よし、それじゃぁ………その望の、命に関わる話だと言ったら、聞いてくれるかな?」
命は、あっさりとした口調で、そんな重い言葉を言ってのけた。まといの表情が、固まる。
「………なんですって?」
まといがさきほどまでの勢いを失ったのを見て、命は、小さく頷いた。
282その花束に絶望を karte07 (3/9):2008/03/19(水) 00:56:15 ID:JO9IdoxZ
「つまり、取引だよ。君がおとなしく言うことを聞いてくれれば、望が死なずに済む。簡単だろう?」
「ち、ちょっと………ちょっと、待って!先生が、死ぬって………どういうこと!?」
もはや敬語を使っている余裕など完全に無くして、まといは噛み付くように命に尋ねた。さきほどまでの冷徹な
態度とは一変、予想外の衝撃的な言葉ににわかに慌て始めたまといの眼を見据えて、命は続ける。
「おや。望からは、何も聞いていないか………まぁ、それはそうだな。ただの生徒に、そんなことは教えないか。」
「だから、何なの!?ハッキリ言って!!」
「なら、お教えしよう………望が抱えている、その生命に関わる重大な病について。」
生命に関わる、病。その言葉を余りに唐突だとは思いながらも、それを自分の中で完全に否定することが出来ずに、
まといは顔を蒼褪めさせた。
「専門的な話は省くが、まぁ平たく言えば『心臓が動かなくなる病』だ。」
「な、ッ………う、嘘よそんなの!!先生、そんなこと一言も………ッ!?」
「あいつが、生徒の前でそんなことを言えると思うかね。それが愛する相手なら、なおさらだ。」
さりげなく、まといの心を煽るワードを織り交ぜながら、命はその………今日、この日の為にでっち上げた、望の
身体の中にありもしないその病の説明を、続ける。
「現代医学では、完治させることのできない不治の病だ。それに対抗する薬は、存在するが………。」
「だったらなんで!?薬があるなら、死ななくて済むんでしょう!?」
「最後まで聞け。その薬も、病の進行を抑えるだけのもので………しかも、扱いが特別に難しい。」
「難しい、って………どういうこと!?」
「分量を間違えれば、死に至る劇薬なんだよ。しかも、その用量も、投与する際の体調に左右される。」
「そ、そんな………そんな、の………ッ!?」
「嘘じゃない。そして、望の様子から、それを見極められるのは………おそらく、私だけだ。」
余りのショックと絶望に、正常な判断能力を失い、いつの間にかその作り話を信じ込んで。まといは、愕然とした。
愛する人が抱えた、余りに重過ぎる病。そして、長い時間を共に過ごしておきながら、この瞬間まで、自分がその
ことを全く知らなかったという事実。何重もの衝撃が、まといの心に襲い掛かる。
そして………次にまといは、更に衝撃的な事実に、気がつく。
「………ちょっと、待って………それじゃぁ、あなた………?」
「何だい?」
「何、って………あなた、先生を、じ、自分の家族を………人質にするって言うの!!?」
「ああ。あいつは、君に対しての強力なカードになると思ったんだが………その様子だと、大当たりだな。」
まるでお茶でも飲みながら談笑するときのような、平然とした口調でとんでもないことを口走った命の顔を………
恐怖におののき震えるまといの双眸が、見つめる。
「どうして!?なん、で………なんで平気で、そんなこと言えるのッ!?」
「正直ね………憎たらしいんだよ、あいつが。あいつばっかり、君達みたいな娘に囲まれて良い思いをして。」
さきほどまでの態度とは一変して、吐き捨てるような調子でそう言って、命は嘲笑するような笑みを浮かべる。
「昔からそうだった。いつだって、私の方が努力をしていたのに………報われるのは、あいつばっかりだ。」
「………そんな、ことで………ッ!?」
「すぐに『病死』させてやっても良かったんだが………幸いにも、この使い道を思いついたものでね。」
「………あなた、狂ってるわ………だ、だいたい、そんなことしてただで済むと思ってるの!?」
「少しのミスなら咎められないくらいに、扱いが困難な薬なんだよ、あれは。単なる医療ミス、で片付く問題さ。」
「そんなことになったら、私が本当のことを言うわ!!警察にも、マスコミにも!!全部、バラすわよ!?」
「『死んだ教師に一方的な感情を抱き続けたストーカー少女』………そんな人間の妄言を、誰が信用する?」
「な………ッ………!?」
「これでも私は、世間的な信用には自信があるんだ。君のような小娘には負けないよ。それに………。」
「………それに、何よ………!?」
「後始末のことも、考えてある………君が『後追い自殺』をしたとしても、誰も不審には思わないだろう?」
「………ッッッ!!?」
さらりとそう言ってのける命を眼の前にして、まといは、今度こそ完全に絶句した。
283その花束に絶望を karte07 (4/9):2008/03/19(水) 00:58:28 ID:JO9IdoxZ
命の語った、その話は………病のことも薬のことも、望に対する嫉妬のくだりも、全てがデタラメの作り話だった。
そもそも、そんな病を抱えている人間が首吊りなんて激しいショックに耐えられるはずもなければ、こんな小さな
診療所の院長風情がそんな劇薬を扱う資格など持っているはずもない。冷静になって考えれば、すぐには気付か
なくとも、違和感くらいは感じそうなものだ。望に対する感情も、そこまで強いかと言われればそうではない。
だが、命にとってはもはや、それはどうでもいいことだった。重要なのは、望の死をちらつかせてまといの精神を
揺さぶり、どれだけ心からその話を信じ込ませ………交渉に応じやすくなるか。その1点だけだ。恋は盲目、とは
よく言ったもので………現にそうして、今の自分の全てである望を失うことを想像してしまったまといは、今や、
完全に命の話を疑うことを止め、ただその恐るべき言葉に慄き震えるばかりだった。
「さて。それでは、状況が理解できたところで………交渉に移ろうか。」
「………ッ………!」
「まぁ、私が言うのもなんだが、ただの一方的な要求になるだろうがね。」
冗談めかした口調で放たれたその言葉に、まといが、ギリ、と奥歯を噛み締める。しかし、それでももう一言も
反論や罵倒の言葉を返してこない様子を見て………命は、まといが自分の策に堕ちたことを、悟った。
「しかし………なに、君とちょっとした遊びをしたいと思っているだけなんだ。そう、怖い顔をしないでくれ。」
「………遊び………?」
「………いや、語弊があったかな。君『で』ちょっとした遊びをしたい、と言った方が正しいか。」
「………何、させる気よ………。」
怒りと恐れの入り混じった視線を命に向けながら、まといは消え入るような声で呟く。命は、勿体ぶるような遅い
足取りで、部屋の隅にある戸棚へと歩み寄る。その上半分、ガラス張りで中に並んだ薬の瓶や実験器具、医療器具
が見える戸………ではなく、下半分、中の見えない鉄の戸を引く。キィ、と耳障りな音が響く。
そして。
「ちょっと………コレを付けて、学校に行って貰おうと思ってね。」
「………な、ッ………!!?」
そこから命が取り出した物を眼にして………まといは、愕然とした。


//////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////


秘裂に沈められたローターが、その合図を受けて振動を始める。
「………ふ、ぅ………っ………!?」
眼の前には黒板しか無いので、今は誰にもまといの表情は窺えず。従って、まといの中でそんなものが暴れ回って
いることにも、まといがそれに必死で耐えていることにも気付かない。
だが、それでもまといは、振動に耐えるだけで精一杯で、その場から動くことが出来ずにただ歯を食い縛り続ける。
黒板に押し付けられたチョークが、バキ、と欠けた。
「(だ、駄目、しっかりしなきゃ、駄目………皆の………先生の、前なのよ………!?)」
ゆるゆると、しかし確実に、身体が高まっていくのが感じられる。絶頂の気配が、遠くで顔を覗かせる。
そして。まといにとっては永遠ほどに長く感じられた数秒の、後。
「………おや、どうかしましたか?」
綺麗になった黒板消しを片手に、望が、まといの隣に戻って来た。
振動が、止む。瞬間、まるで気が抜けてしまったかのように、まといはその場にしゃがみ込んでしまった。
「つ、常月さん?」
「………う、ぅ………。」
突然の出来事に、望を初めとする教室中の人間の視線が、まといに集中する。今の今まで、その最深部をローター
の振動に責め立てられていた身体を、小さく震わせながら………まといは、よろよろと立ち上がる。
「すいま、せん………ちょっと、立ちくらみがしただけです。」
「そ、そうですか?なんだか、顔が少し、赤いようですが………?」
「教卓の下って、ちょっと暑くって。大丈夫です、問題も解けました。」
「あ、いや、暑いなら、外に出ればいいと思うんですが………って、聞いてませんね。」
まといはそう言い訳をして、そそくさと望の隣を通り過ぎて、また教卓の下へ潜り込む。望はその様子に、ほんの
少しだけ違和感を感じながらも………とくに追求することはせずに、それを見送った。
望が、黒板に向かい合って生徒達に背を向ける。問題の採点と解説に、移る。
284その花束に絶望を karte07 (5/9):2008/03/19(水) 00:59:47 ID:JO9IdoxZ

独り戻った、薄暗い空間で。
「(………大丈夫………バレて、ない………。)」
まといは、足元までを覆う着物の内側………しっとりと湿り気を帯び始めた秘所の感覚に、気を取られていた。

「………………。」
そして、結局………教室の外からその様子を見つめていた視線に気付いた者は、誰も居なかった。


//////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////


「何よ、それ………!?」
「見ての通り。ローターと、貞操帯だ。こっちは、ちょっと細工をしてあるがね。」
命はそう言って、戸棚から取り出したそれを机の上に並べた。1つは、かなり細長い、まるで太いペンのようにも
見える特殊な形のローター。もう1つが、革と金属で造られた、見るからに窮屈そうな貞操帯だ。
「これを入れて、これを履いて、あとは、普段通りの生活を送って貰えればいい。簡単だろう?」
「ばッ………馬鹿なこと言わないで!!何の為に、そんな………!?」
「別に、意味は無い。ただの、私の趣味………ちょっとした、娯楽だ。」
何でもない調子でそう言った命の顔を、まといが睨みつける。
「………最低………女の子に、そんなこと平気で………!!」
「それで、その細工について少し説明するから………1度、入れてみてくれ。」
「な………ッ………!?」
その刺さるような視線も憎悪に満ちた言葉もさらりと受け流して、命は更にとんでもない注文をする。まといは、
顔を真っ赤に染めて言葉を失ったが………命の視線に、もはや自分に拒否権など無いのだということを、痛感する。
「どっちみち、逃げ道が無いことは理解しただろう。なら、情報は少しでも得ておいたほうが良いんじゃないか?」
「………信じられない………最低の趣味してるわ、あなた………!!」
「自覚はしてるつもりだよ。」
命はそう言ってローターを手にし、まといに歩み寄る。まといはいりじりと後退りしたが………すぐに、その背中
が冷たい壁にぶつかってしまう。
「………それじゃ、失礼。」
まといを完全に壁際に追い詰めて、命はその場にしゃがみ込む。まといの着物をたくし上げ、暗がりの中を手探り
で進み、その秘所へと手にしたローターを近づけていく。太股の上を命の手が這う感触に、まといはぞくぞくと
身を震わせ、襲い来る寒気に耐える。
「どれ、少し濡らさないとな………よ、っと………。」
「あ、ふ………ッ、ぁ、あ………!?」
完全に着物の中に上半身を隠してしまった命が、手にしたそれを仕込む準備の為に、まといの下着を脱がし、その
秘裂に指を這わせる。まといの腰がビクリと震え、きゅ、と脚に力が入る。
「あまり時間を掛けるのも面倒だ、少し飛ばすぞ。」
そう言うが早いか、唾液に濡れた命の指が、初めから情け容赦の無いテクニックでまといの秘所を刺激し始める。
濡れた指で肉壁を掻き分け、まといの声と身体の震えを頼りにあっという間に最も敏感な部分を探り当て、そこを
執拗に愛撫する。肉芽を摘み、捻り、押し潰すように弄ぶ。
「あ、やぁ………あうッ!!だ、駄目、そんな………そこ、らめぇ………!!」
「………そう、その調子だ。考えることを止めれば、もっと、愉しめると思うぞ?」
「だ、誰が、そんな………あ、あああぁぁぁッ!!?」
心を準備する暇も与えられず、まといは早くも、それまで感じたことが無い程激しい感覚に溺れ始めていた。吐息
が熱を帯び、足腰がガクガクと痙攣を始める。声が、抑えられなくなる。
「や、な、舐めッ………止めて、嫌、あ、ぁ………ぅ、ぁ………!!」
「あれだけ口汚く罵っていたわりには、あっけなかったな。もともと、感じやすい身体なのかな?」
「そんなの、し、知らないッ………う、あッ!?」
2本の指で、ぐちゃぐちゃと水音を立て始めた秘裂を中身を掻き出すかのように愛撫し、つ、と垂れ堕ちる愛液を
舌ですくい取って………やがてまといの秘裂が、男のモノを十分に受け入れ得る程にまで解れたことを確認して、
命はその激しい攻撃を停止した。
「………よし。これだけ濡れれば、十分だろう。」
絶頂の寸前まで追い詰められ、しかもそこで刺激を止められて。最高潮まで高まったまま、その熱を発散すること
も出来ずに、まといの身体は小刻みに震え続ける。そして、ぼう、とぼやけたような意識の中………まといはその
下腹部に、何かが侵入してくるのを感じた。
285その花束に絶望を karte07 (6/9):2008/03/19(水) 01:00:19 ID:JO9IdoxZ
「あ、あぁぁ………!?」
「これだけ濡れていれば、簡単に入るだろう。どうだ?」
命の言葉の通り、既に完全に解れきっていたまといの秘裂は、ローターの振動部を容易くその内側へと受け入れた。
滑り込んだ冷たい感触が、また、まといの背筋を震わせる。
「これがどういう玩具かは………まぁ、今時の高校生なら知らないはずがないだろう?」
「………っ………!」
「あとは、君の中に埋まったそいつが振動して………君の身体を果てさせてくれる、というわけだ。」
着物の中から這い出て立ち上がり、命はまといよりも頭1つ以上高い位置から、その顔を見下ろした。その言葉に、
だらしなく蕩けきっていたまといの顔が、少しだけ強張る。
命の意図を察し、恐怖に染まり始めたまといの表情を満足げに見下ろしてから………命は、更に続ける。
「ただね………今、君の中に仕込んだそいつには、ちょっと特殊な仕掛けが組み込んであるんだ。」
命はそう言って、懐から、1本の万年筆を取り出した。くるくると、指先で起用にそれを数回転させてから………
そのキャップを、捻る。カチ、と、何かが噛み合う様な音がする。
「これは、『発信機』だ。そして、君の中に仕込んだそいつには、『受信機』が接続されている。」
「………ッ………?」
命の言わんとすることが理解できず、まといは、惚けたような顔で命が手にした万年筆を見つめた。命が、微かに
にやつきながら、その様子を眺める。
「今、このスイッチを入れた。この発信機からの信号を、今、君の足元の受信機が受信しているわけだ。」
そう言われて、まといは足元に視線を落とす。着物の裾から、秘裂の中まで繋がっているコードが延び、その端に
は携帯音楽プレイヤーのような小さな機械が取り付けられていた。何か、ランプのようなものが点滅している。
「今は、なんともないだろうが………私がこうやって、離れてみると………。」
命はそう言って、壁に身を預けて荒い吐息を繰り返すまといから、距離を取る。1歩、2歩、3歩………そして、
その脚が5歩程後退りした所で、まといの中に………いや、まといの中に埋められたローターに、変化が現れた。
「あ、う………〜〜〜ッッッ!!?」
思わず、まといが眼を剥いて声にならない声を上げる。その肩が大きく震え、足腰が立たなくなり、そのまま壁際
でぺたりと尻餅をついてしまう。
その、下腹部からは………ごく小さなモーター音が、響いていた。
「発信機とある程度距離が離れると、振動し始める仕組みになっているんだ。よく出来ているだろう?」
「あ、や、駄目ッ、これ駄目ぇッ………と、取って………や、あぁぁぁぁ!?」
手を伸ばせば自分でそれを引き抜くことが出来るのだが、さきほどまでで完全に感度を上げられた身体を振動に
襲われたまといには、そんなことに気付く余裕すら残されてはいなかった。床にへたり込み、着物の上から必死で
股間を押さえその振動に耐えるまといの姿をしばし鑑賞してから………命は再び、まといに歩み寄る。発信機から
の信号が、ローターの振動を停止させる。
「ルールは、簡単だ。私の僕が、望の服にこれを忍ばせる。君はいつも通りに、望に付き纏って貰う。」
「ぁ………う、ぁ………ッ!」
「ちなみに、今のが『レベル1』の振動だ。距離が遠くなればなるほど、振動は強烈になる。全部で、5段階だ。」
「………ッ………っっ………。」
「更に、これを仕込んだ後、この貞操帯を身に着けて貰う。勝手に、それを外せないようにね。」
「………は、あぁぁ………ッ………。」
「明日の朝、ここで準備をする。その後、望に1度近づいた所で自動的にスイッチが入り………ゲーム開始だ。」
襲い来る余韻に震え続けるまとの頭の上で、命はその一方的な『遊び』のルール説明を続ける。
「何度も言うようだが、君に拒否権は無い。毎朝、必ずここへ来るんだ。期限は1週間………いいね?」

ぼんやりと霞む意識の中で、その声を聞きながら………まといは改めて、もはや自分に退路が無いことを痛感し。
「………ッ………。」
そして………愛する人の生命を護る為、その辱めを受け入れることを、決意した。
286その花束に絶望を karte07 (7/9):2008/03/19(水) 01:02:21 ID:JO9IdoxZ


//////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////


教卓の下、まといはまた、あの日の出来事を思い出していた。
まだ、先ほどまでの振動の名残が去ってくれない。広がった波紋が岸辺に跳ね返って再び戻って来るかのように、
微かな余韻が、ゆっくりと全身を這い回り続けている。
「(けど………大丈夫。このくらい………なんでもない。)」
まといは自分にそう言い聞かせて、平静を取り戻そうとする。
この数日、まといは朝から人目を忍んで糸色医院に赴き、そして、命の命令に従ってこんな格好をさせられ続けて
いるが………今まで、耐え難いほどの振動に襲われたことは、1度も無かった。
授業中は、このように教卓の下に潜っていれば、望とは一定以上離れなくて済む。仮にさきほどのように教室の
端と端に離れてしまっても、それはほんの少しの間だし、振動のレベルも弱いままだ。
トイレに関しては、命が手を打ってくれた。朝、命の元を訪れた段階で用は済ませ、そこで、排泄の機能を抑える
薬を与えられている。おそらくは、用を足すことが仕掛けを外す口実として使えないように、との意図の下での
対処なのだろうが………まといにとってそれは、ある種の救いになっていた。
それと、最近になって増えてきた、倫との2人きりの会話も、問題が無いことは既に解かっている。宿直室での望
の定位置は、入り口に比較的近い場所にある。ドアの前に張り付いていれば、ギリギリであるとはいえ、安全地帯
に身を置くことが出来るのである。望の移動に際して、何度か振動に襲われたことはあるが、それもやはり短い
時間の、弱い振動だ。この数日で、実証済みである。
「(これなら………1週間くらい、どうとでもなるわ。)」
あくまでも、自身が酷い状況に置かれていることに変わりは無いのだが………教卓の下、まといは独り、命の策に
勝ったという実感を抱き、微かに不適な笑みを浮かべていた。
「(学校のこと、先生のことなら………私の方が、ずっとよく知ってる。舐めるんじゃないわよ。)」
命の提案したゲームを楽しむつもりなど、さらさら無かったが………自分にこんな恥辱を強いた悪魔のような男の
誤算を思い、相手が一方的な勝利を確信しているであろうこのゲームに勝つということに、まといは確かに魅力を
感じていた。
「(何事も無く、1週間………絶対に、耐え切ってやるんだから………!!)」
既に、命の言った期限の半分ほどが過ぎ去ろうとしている。口ほどにも無い、とはこのことだ………と、まといが
独り想いを巡らせていると。やがて教室に、終業を告げるチャイムが鳴り響く。
「………さて、では、今日はここまでです。それでは皆さん、帰りのホームルームで。」
望は、チャイムが鳴り終わらぬうちにそう言って、本日最後の授業を切り上げる。教材をまとめて教室のドアへと
歩き出すその背中を、教卓の下から這い出したまといが追う。もちろん、振動は始まっていない。
「………お兄様、昨日の続きなんですけど………。」
「そうですか、それじゃぁ………宿直室に。」
また、倫が教室を去ろうとした望を呼び止める。望はそれだけですっかり倫の意図を理解し、倫を宿直室へ誘った。
そして………望が、振り返る。
「すいません、常月さん………家族のことで、大事な話がありまして。」
「解かってます。宿直室の外で、お待ちしています。」
「助かります………って、いや、本当はちゃんと清掃にも参加して欲しいんですけどね………。」
苦笑する望に、淑やかに微笑み掛けて。まといはいつも通り、その背中に従って教室を後にした。
付かず離れず、廊下を進む。宿直室までのいつものルートを辿る。次の角を右に曲がって渡り廊下を越えて、階段
を下ればもう、そこは宿直室の前だ………。

と。まといが、望に続いて何気なくその角を曲がろうとした………瞬間。
「………駄目だよ。」
「え………ッ………?」
細く、白い腕が………その着物の袖を、捕まえた。
287その花束に絶望を karte07 (8/9):2008/03/19(水) 01:03:16 ID:JO9IdoxZ


//////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////


同刻。傾き始めた陽の光が差し込む、糸色医院の診察室で。
「(………確かに、あの学校はどちらかと言えば、彼女のホームグラウンドだ。)」
命は。診療所の院長としての仕事を片付けながら、ぼんやりと、学校での出来事を思っていた。
「(構造もよく知らないし、何より………望の行動パターンの情報に関して、彼女の右に出る者はいないだろう。)」
真面目な顔をしながら、そんなことを考える。
その通り。あの学校において、命の提案したゲームの難易度は、それほど高いものではない。学校のことも、望の
ことも、命よりも遥かによく知っている………そして、常日頃からストーカー好意に慣れ親しんでいるまといに
とって、『望から離れてはいけない』というだけのルールは、至極手応えの無いものだろう。
「(しかもあの場所じゃぁ、私はおいそれと手出しは出来ない。ただ、待つしかない………そう。)」
命は、さきほどまで診察していた患者のカルテに、必要事項を記入しながら、そんなことを考えて………。

「(もしも………私が、独りだとしたらね。)」
にぃ、と、唇を歪ませた。ペンを持つ手に、思わず力が入る。
「(だが………君は、思いもよらないだろうね。既に、君のすぐ傍に………私の手足が、潜んでいるなんて。)」
命は、心底楽しそうな笑みを浮かべながら、ペンを走らせていく。
「(君のよく見知った顔で………そして、君と同じくらいに、学校のことも望のこともよく知っている。)」
遂に、ペンの先端がカルテを引っ掻き、突き破ってしまう。
「(どの道、君の勝利なんて用意されてないんだ。そろそろ………破滅するといい。生意気な、小娘が。)」

静かに肩を震わせながら………命は、そのゲームにおける自らの揺るぎ無い勝利を、確信した。


//////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////


振り返った先に立っていたその人物の姿に、まといは、我が眼を疑った。
「………あん、た………!?」
「駄目だよ。大事な話があるって、言ってたでしょ?」
本来ならばそんな場所に、生徒達の行き交う廊下などに決して立っているはずのない少女………霧は、まといの
着物の袖を、ギリギリと音が聞こえてきそうな程、眼一杯の力で鷲掴みにしていた。頭から布団を被り、ジャージ
の裾と裸足の脚がその裾から覗いている。布団と長い髪の所為で、顔は見えない。
まといの脳裏に、霧がその場に居ることに対する疑問が浮かぶが………しかしすぐに、それどころではないという
ことに気付き、慌てて霧の手を振り払いに掛かる。
「ちょっと、放して!急いでるんだから!」
「だから、駄目だよ。」
まといの言葉に、すぐさま、どこか機械的な返事を返して………霧は、隠れていた顔を、上げる。
「………ッ………!?」
「駄目だよ………絶対、行かせない………。」
その、乱れ掛かった黒髪の下から現れた………どこか狂気染みた笑顔に、まといは、背筋を凍らせた。
そして、その瞬間。
「………ひあ、ッ!?」
望に仕込まれた発信機との距離が離れたことを感知した受信機が、信号を送り………まといの最深部にまで到達
するよう深く沈められたローターが、振動を始める。完全に不意をつかれ、まといは思わず上擦った声を上げた。
「あれ、どうしたの………ねぇ、まといちゃん………?」
霧が、そう囁きながらまといに擦り寄るように近づく。その顔には、未だ、あの笑みが張り付いたままだ。
288その花束に絶望を karte07 (9/9):2008/03/19(水) 01:04:19 ID:JO9IdoxZ

まずは、レベル1………何度か経験したその刺激が、まといの体を芯から震わせる。
「ちょっと、止め、て………ぁ、早く、放して………じゃないと………ッ!?」
「じゃないと、何?何か、マズいことでもあるの?」
距離が離れ、レベル2………既に未体験の領域にあるその振動に、まといは瞬時に、迫り来る危機を察する。
「あ、く………だ、駄目ッ………早く、行かなきゃ………!!」
「………絶対に、放さないよ。先生の所になんか、行かせてあげない。」
更に、レベル3………背筋を突き抜けるような衝撃に、もはや立っていることも、喋ることすらままならなくなる。
「あ、あぁッ!!ら、め、止め、てッ………せ、せん、せ、えぇ………う、あぁぁぁ………ッ!!?」
「どうしたの?なんだか、変な声出てるよ?」
情け容赦なく振動は強まり、レベル4………周囲も流石に、まといの異変に気付き始める。
「ほら、みんな心配そうに見てるよ?ねぇ、まといちゃん………?」
「あ、や、あぁぁ………駄目、私ッ………こんな、とこ、ろッ………あ、ア、あ、あッ!?」

………そして、遂に。
それまでとは段違いの衝撃を持つ………レベル5。

『ビイイイイイィィィィィィィィィィィィ!!!!!!!!!』
「あ”あぁぁぁぁぁぁァァァァァァッッッ!!!???」

体の外までハッキリと響くほどのモーター音と共に、悪魔のような振動で、まといの内部を滅茶苦茶に荒らし回り
………命の特製ローターは、一瞬で、まといの身体を絶頂へと誘った。
まといが甲高い声で絶叫しその場に倒れこむ。横様に倒れ、激しく痙攣するその身体の下に………着物をじっとり
と濡らしながら、生暖かい水溜りが広がっていく。
「ど、どうしたの!?大丈夫、まといちゃん!?」
「あ、ひ、ッ………ふあッ、く、あぐっ………ぁッ……!!?」
わざと周囲の注目を集めるような大声でまといの名を呼びながら、霧が布団ごとまといに覆い被さる。
霧は、布団のせいで周囲からは完全に死角となっている場所から、まといの着物の中に腕を滑り込ませ………手に
した鍵を使い、手探りで、貞操帯を取り外した。
「………ぇ、っ………ッ!?」
意識が飛ぶような衝撃の中、まといは必死で視線を動かし、霧の表情を窺う。口では、突然倒れた友人を心配して
いるようなことを言いながら………その顔はやはり、寒気のするような微笑みを浮かべていた。
まといが、全てを悟ったとき………霧が、命の手中に堕ち、こうして命と共謀して自分を陥れたのだ、ということ
に気付いたそのとき。まといの秘裂から、長いローターが引き抜かれる。霧が事前に命から聞いていた操作を行う
と、まといを一瞬で果てさせたその振動は、あっけないほど簡単に止んだ。
「………あん………あんた、あのッ………あいつ、と………ッッッ!!?」
「ふふ………今更気付いても遅いよ。それじゃ………ちゃんと、呼んできてあげる。」
回収した証拠を布団の中に隠し、霧が立ち上がる。一瞬だけ、勝ち誇ったような表情を見せた後………すぐに、
心の底からまといを心配しているような、不安げな表情を浮かべる。
「待っててまといちゃん!!す、すぐ………すぐ、先生呼んで来るから!!」
霧はそう言って、独り倒れたまといを残し、望を呼びに………まといの屈辱的な姿を望に見せ付けるため、宿直室
の方へと走り去った。

「お、おい、何か………ヤバくね?」
「どうしたのかしら、急に………?」
「なんかさっき、変な音しなかった?」
「音っつーか………なんか、変な臭いしてないか?」

まといを取り巻く生徒達が、口々に何かを言い合っている。
騒ぎを聞きつけ、へ組の生徒達も、教室から出てこちらへ向かってくる。
やがて………霧に呼び出された望の足音が、近づく。

世界の全てが終わってしまったような、絶望感の中………まといの意識は、闇の底へと、沈んでいった。



(続)
289その花束に絶望を:2008/03/19(水) 01:09:12 ID:JO9IdoxZ
お粗末様でした。まとい編でした。
霧がちょっと病んでるのは、あれです………絶命先生に、いろいろ洗脳的なことをされてるとかそういう、あれです。
霧にあんなことさせるのは胸が痛んだんですけど………全部絶命先生のせいです。私の中の。

それでは、今回はこの辺で。次の出来たら、また来ます。また後程っ。
290名無しさん@ピンキー:2008/03/19(水) 01:25:09 ID:jR8EP7Qm
まといが最後の最後でヤラレチャッタ……
霧もやばいことになってるし、
いい屈辱だな
291名無しさん@ピンキー:2008/03/19(水) 01:47:11 ID:yfCtGL4C
これ最後どないなるんでしょwktk止まりませんな
292名無しさん@ピンキー:2008/03/19(水) 02:11:57 ID:IR2/og1c
おぉここで霧が出るとは面白い
最初ただヤるだけかと思ったらまといの付き纏いをうまく取り入れてた凌辱が良いね
293名無しさん@ピンキー:2008/03/19(水) 02:29:21 ID:AgLkZtvF
変態です、職人様は変態です!
294名無しさん@ピンキー:2008/03/19(水) 03:24:06 ID:qcAlMmC4
今市場では、ほのぼの馬鹿にエロスやるSSが凶作リッチですか?
295名無しさん@ピンキー:2008/03/19(水) 10:41:39 ID:EQp6BiH/
政府がポロロッカ星人を捕まえにきたとき、わたしは沈黙していた。わたしはポロロッカ星人ではなかったからだ。
296名無しさん@ピンキー:2008/03/19(水) 12:57:45 ID:EJyxRw8F
政府がわたしを捕まえにきたとき、抗議してくれる者はもうだれもいなかった。
297名無しさん@ピンキー:2008/03/19(水) 13:31:10 ID:D+rAwTu8
なんで最近、憂鬱やら鬼畜ばっかなんだよ!!!!








いいぞ!もっとやれ!!
298名無しさん@ピンキー:2008/03/19(水) 18:30:15 ID:0XnzN07J
>>297
誉めてるのは分かるんだけど逆に
ほのぼの純愛系とか投下しにくくなると思う
299名無しさん@ピンキー:2008/03/19(水) 18:38:30 ID:xqKAXpDx
清濁併せ呑むのがこのスレです
300名無しさん@ピンキー:2008/03/19(水) 21:06:38 ID:UIadZ4am
鬼畜が投下されれば「いいぞもっとぐちゃぐちゃに凌辱してやれグヘヘヘ」とよだれを垂らし、
純愛が投下されれば「いいぞもっとラブラブちゅっちゅしろウフフフ…」とよだれを垂らす。
そういう読者に、私はなりたい。
というかそういう読者だ既に。
301名無しさん@ピンキー:2008/03/19(水) 21:10:58 ID:EQp6BiH/
      / ,-''/ /    ,,-''"_ /   //       ヽ  l /  レ'/~       /‐/
      / /  | l|  ,,-'"/゙/,」|    /    ..::;;;,,,  }  /   |~ ,,-‐,,,-'''  //~         
     / /-'''''| | /l /‐'''/'' .人   i'    .:: :;'" / / l  ノ゙i// ,,-‐'"──==  おめぇ、ここおかしいんじゃねぇか…?
     //'"   ゙i;: | /‐' ./,, ,,ノ ゙i;,.  |     _,,-ヾ.// ノ ,-''" l |  ‐'"   ,,,-‐二
     レ'     ヽl:i' ./  )'、‐,\゙i;: | ,,,-‐二-┬ナ" /‐'"‐ 〉 ,i'───'''" ̄~-''"
         ,-‐',ヽ|'"  ./゙ヽ-ゝ='\゙i,'''ヽ -゙=‐'   '" ,‐'ノ,, /‐''" ,,-‐'''"~
        / / ;;:.  ──ヽ, ゙i;'''''' , ゙ "-‐'''''"""    〔_,/ ゙ヽ'-'"~
       / /   / ,; ,,_}_  ゙、 ./__,,  _,,       /      \
      ,;'  / ,;;;:;:/;: ,,   ~ ヽ ヽ.  ヽニ‐'、     / /       ゙i,_
    ./        ''  ,l,,,,,,/ 〉  ゙ヽ、 '''' :;l  ,,-''" /        ゙i.\
    /          / ヽ /     ゙ヽ、--イ~;;:'" //   ::;:;:;:   | \
   i          /  ̄ ゙̄"          |;:" //            ヽ-‐'''"~l|
  ./    ゙''''ヽ、,,-‐''"              .i /,;'"   _,,,,,,,,,_,,,-‐'''-''"~     |
 (" ̄"'''''‐--、,,_i'                 // '",,-─'''"  ,,,-‐'",-‐'"  ,,,,-‐ .___|
302名無しさん@ピンキー:2008/03/19(水) 21:18:50 ID:SD3XBs5J
あああっしが怖いのは可符香物でございまする 

ようしここで可符香の話でこらしめてやろう
あいつ可符香の話で喜んでやがる、こりゃ一杯食わされた

よしてめぇ本当に怖いものを言ってみろ

はっ、ここらであっしは隣の女子大生が怖い
303名無しさん@ピンキー:2008/03/19(水) 21:56:33 ID:aujfHtAp
では絶望と可符香のズブズブなSSぷりーず
304名無しさん@ピンキー:2008/03/19(水) 23:10:23 ID:HnqBjhw9
可符香モノは需要があっても供給が少ない…
キャラスレ住人はあんなに変態揃いだと言うのに(´・ω・`)
305名無しさん@ピンキー:2008/03/19(水) 23:17:00 ID:7A6/Sk6b
少ない?可符香純愛系が一時期いっぱいあったから、今書かれないんだと思う
まあ腹パンとかガチレイプコースなら残ってるけど
306名無しさん@ピンキー:2008/03/19(水) 23:29:58 ID:s+VBqqMp
保管庫の7スレ目にアナザー・エンディングてのがあるけど
上のオリジナルとどう違うんだ?て気になった
307名無しさん@ピンキー:2008/03/19(水) 23:37:54 ID:HnqBjhw9
保管庫といやあ
絶望は実は昔の書生の幽霊で、可符香は叔父や義兄にレイプされていて、最後に子供が「桃色臼井くんがハゲになって絶望した」って言う話が消えてるんだけど何で?
308名無しさん@ピンキー:2008/03/19(水) 23:44:19 ID:kA4kd2Y+
>>307
作者が他の作品と一緒に友人のサイトに掲載するから削除する方向になった
ちなみに自分はどこにあるかは知らん
309名無しさん@ピンキー:2008/03/19(水) 23:56:01 ID:KvmvsaUj
>>307
あれで何回抜いたことか
310名無しさん@ピンキー:2008/03/20(木) 01:11:47 ID:senW2nqu
カフカにエロは合わないけど読みだいダブルバインド
なら隣の女子大生にすればいいのか!
311名無しさん@ピンキー:2008/03/20(木) 02:15:20 ID:DVB68ciH
>>308
ま、マジか・・・・・・あれ大好きだったのに、ちょっと離れてる間に・・・・・・
検索しようにも、もうどうしようもねぇよなぁ

こうなったら、新しい話でこの喪失感を埋める以外に手はないな
312名無しさん@ピンキー:2008/03/20(木) 02:40:39 ID:hBVttN/O
軽く検索してみた結果ここの過去スレで見つけた
確かにうまい、抜ける
313名無しさん@ピンキー:2008/03/20(木) 02:47:07 ID:FVnokhbv
可符香は好きだけど陵辱物は読みたくないダブルバインド
314名無しさん@ピンキー:2008/03/20(木) 03:03:44 ID:OrHY/+1B
自分で書けばいいじゃないか
純愛可符香期待してるぜ
315202:2008/03/20(木) 04:23:13 ID:ovvs6JUC
最近の投下物の傾向について、話題になってるみたいだけど、
やっぱり、ここがエロパロ板である以上、エロなし作品が多いのはよくない傾向かと。
鬱展開ついては、なんだかみんな抵抗力が高いようだけど、
そんなのばっかりじゃ気が滅入ってくるんで、やっぱ基本はノーマル展開では。

あと、あんま関係ないけど、特定ののSSの続き物とか、
「あの回を読んでないとまったく意味がわからない」とかは、
一見さんお断り感が高いので、ちょっと読者を選んでしまうよね。
316202:2008/03/20(木) 04:24:11 ID:ovvs6JUC
上記発言を踏まえて。
やっとお話が書けたので投下します。

※注意 (今回多いです)

・エロシーンないです、ごめんなさい。
・激しく鬱展開です、ごめんなさい。
>>202>>251の続き物なので、未読の方はそちらを先に見てください。
・「勝手に改蔵」の最終話を知ってることが前提条件です。改蔵を未読の方には、さっぱりわからないと思います。
・万が一、「改造は知ってるけど、最終話ってどんなんだっけ」という人がいたら、このSSは決して読まないようにお願いします。

…なんというかすいません。
投下しようかどうか迷ったけど、ここ以外で発表できそうにないので。
次を書くことがあったら、注意書きなしで読める話にします。

では。
オンエアされなかったバトル・その後のその後、「ヒポクラテスの誓い」
317ヒポクラテスの誓い(1):2008/03/20(木) 04:24:59 ID:ovvs6JUC
街が燃えている。ひどい匂いのする真っ黒な煙が、あたりを覆いつくしている。

「殺しちゃったんだ、先生のこと」
「やめて」
何を言ってるんだろう、この子は。
「でもお亡くなりになってしまったんでしょう?」
「知りません…」
何のことだかわからない。
「うそつきさんだね。じゃあ、あなたの先生はどこに行ってしまったの?」
先生は、先生は、
「いまもどこか、暗い場所にいるのかな」
そんなはずはない。
「やめて。違いますよ、先生は…」
「全てに絶望して、あなたには見えない国に旅立ったのかしら」
違う、違う、違う!
「先生は、肉体から離れ銀河の果てへ旅立ったのです」
「たったお一人で?」
ひとり? たったひとりで?
「一人ぼっちじゃありません、たくさんのお友達と一緒です」
「じゃあ、もう会いにきてはくれないんだ」
違う。
「いつでも会えます。私が望めば、いつでも会いにきてくれます」
318ヒポクラテスの誓い(2):2008/03/20(木) 04:25:50 ID:ovvs6JUC
「お久しぶりです、彩園さん」
平日の午後、とある喫茶店で一組の男女が会話をしていた。といっても、恋の語らいという風には見えない。
「昔のように、名前では呼んでくれないんですか? 絶命先生」
「私をその名で…学生時代の話はよしてください。ええと、すず先生」

糸色命医師と彩園すず医師、二人は医学部時代に同期であった。当時は学部トップを争っていた仲である。
その後、命は総合医療、すずは精神医療の分野に進んだため、卒業してからはほとんど会うことが無かった。
「話には聞いてましたが、弟さんのことは、その、残念ね」
つい先日、日本中を騒がせた殺人事件。命の弟はその関係者の一人であった。
「あいつのことは、無念でないといえば嘘になりますが、仕方がない。あいつ自身の心の弱さゆえです」
しばし沈黙が流れる。やがて、命から話を切り出した。
「それで、風浦さんの具合はいかがです?」
「ふうら? ああ、彼女。見た目は元気ですよ。内面的にはまだ空想の世界にすがっているようですけど」
数週間前、糸色医師は彩園医師の勤める病院に一人の患者を紹介した。二人はその後の経緯について話し合うために落ち合ったのだ。
「砂丹の論文は読みました。大変に興味深い」
すずの勤める病院にはもう一人、この二人の同期の医師がいる。命とは昔からの知り合いで、お互いに「先生」をつけないで呼び合う仲だ。
「重度の解離性人格障害をわずらっていた二人の患者さんを、6年にもわたる箱庭療法によって社会復帰させたそうですね。大した手腕だ」
そう言われても、すずはさほど嬉しそうではない。
「彼らの場合は、本人達の努力がありましたから。それほどうまく行っていないケースの方が多いんです」
命は席から立ち上がりながら言った。
「では少し、治療の現場を見せていただいて構いませんか?」

「いやだなあ、地丹くんがストーカーだなんて、そんなことあるわけないですよ」
明るい声が、教室に響き渡る。
「じゃあ彼のしてる事は何だって言うのよ」
「これは、純愛ですよ。よし子先生」
「女の子のベッドの下に潜むのが純愛か!」
教室のように見える部屋、そこで数人の男女が騒いでいる。年齢構成はまちまちだ。
「真実の愛、トゥルーラヴ。愛する人が天に召されたのなら自らも後を追う、それがポロロッカ星の皆さんの純愛なのです」
「またわけのわからない事を…」
この会話をしている二人とも、入院患者のような服を着ている。数名の人物は白衣。学校というには、あまりにも妙な光景だ。
それもそのはず、この部屋は教室ではなく「病室」なのだ。

「なんというか、不思議な光景だな」
隣の準備室からマジックミラー越しに、二人の男性が教室を覗いている。
「たあいもない学生ごっこと思うかい? でも、その『ごっこ』が大切なんだ」
「患者の空想を、妄想と否定せずにむしろ促進してやる。それが箱庭療法の鍵、だったな」
色白で長身の命と、色黒で同じく長身の砂丹、二人の医師は少し身をかがめて狭い窓を覗き込んでいる。
「しかし、この短期間でずいぶん自分を取り戻したものだな。昔と変わらない」
「ああ、彼女の適応力には驚くよ。ここに『転校』してきて10日ぐらいしか経っていないが、すっかり患者さんたちの人気者だ」
命は感心したように聞いている。
「こういうのは、よくあることなのか?」
「いや、彼女には他人を引き付ける不思議な才能があるみたいだ。しかし、今の状態はまだ表面上のものだね」
冷静な表情で言う砂丹。命の眉がぴくりと動く。
「表面上か。すず先生もそう言っていたな」
「ほんの二週間前まで、あの子は自分の中の空想上の人物としか会話できなかったんだ。そうやすやすと完治はしない」
砂丹は、そう言うと窓から離れた。大の男が顔をそばに寄せ合うなんて、あまり気持ちのいいものではないらしい。
「今はこうやって、仮の日常生活に慣れていってもらっている段階だ。なんと言っても、彼女の最大のトラウマはまだ・・・」
そこまで言って、砂丹はちらりと命の顔色を伺った。
「どうした」
「いや、お前が知らないならいい」

このとき、お互いの会話に気をとられていて、二人は気がつかなかった。
風浦可符香、と呼ばれている少女がマジックミラーのあるほうを振り向き、にやりと笑ったことに。
319ヒポクラテスの誓い(3):2008/03/20(木) 04:26:28 ID:ovvs6JUC
「地丹くんのお母さんって、すごく美人だよねー」
授業の間の休み時間、という設定の自由会話時間に、可符香はある男性患者に話しかけた。
「何言ってるんだよ、あんなクソババアのこと」
そういわれた男は、いきり立って反論した。
坪内地丹、17歳の少年、という設定の患者だ。もっとも、彼がここに来てからすでに何年も過ぎているので、実際の年齢は20代半ばなのだが。
「お母さんのこと、そういう風に言うものじゃないと思うよ」
急に真剣な表情になった可符香にそう言われ、地丹は少し臆した。
「ねえ地丹くん、本当はどう思っているの、お母さんのこと」
「はあ?」
そのまま二人は話し込み始めた。
本当の学校ならとっくに授業が始まっている時間だが、ここでの授業は形式的なもので、実際は自由会話時間の方が長い。

「視察は済みましたか、糸色先生」
準備室に、すず医師が入ってきた。
「視察だなんてそんな。確かに、ここの治療方法には興味が沸きますけどね」
「確か、もう俺の論文は読んだんだったな」
三人の医師は、教室の観察を中断して、この病棟独特の治療方法について話し合い始めた。
「ここの患者さん達は、本当に自分が学生だと信じ込んでいるのか?」
命が砂丹に尋ねる。
「個人差はあるが、おおむねはそうだ。われわれがセッティングした仮の自分、いわば人格のカバーに没入している」
少し考え込んでから、命は言った。
「こういう言い方は悪いが、洗脳されている状態、ということか」
そう聞いた砂丹は少し顔をしかめた。すずが会話に割って入る。
「使用しているテクニックは同じです。まずはここでの設定に定着してもらって、その上で少しずつ葛藤を与えていくんです」
「葛藤?」
「ああ。現実の社会で生きるということは、冷水と熱湯を交互に浴びるようなものだ、体が弱ければ風邪を引く。
 だからここでは、人間関係をぬるま湯の温度に管理して、少しずつ温度差をつけて行くんだ」

地丹と可符香は、まだ何かを話している。
「ねーよ。その発想はねー」
「そうかな? アリ、じゃないかな」
「へ?」
「いつまでも振り向いてくれない人より、いつもそばにいてくれる人のほうが大切だよ」
先ほどまで激昂していた地丹だが、可符香の話を聞いているうちに、だんだんと目が虚ろになっていく。
「何でも言うことを聞いてくれる、優しいお母さんなんでしょ」
「だからって、そういう対象にはならねーよ」
「私は、アリだと思うよ」
あり、という言葉を聴いた瞬間、地丹の体がびくんと引きつった。
「あり?」
「アリだよ、アリアリ」
「アリ…アリかもな!」
そう言うと地丹は、奇声を上げながら教室を飛び出していった。
彼の後ろ姿を、可符香は微笑みながら眺めていた。
320ヒポクラテスの誓い(4):2008/03/20(木) 04:27:08 ID:ovvs6JUC
「この部屋はすでに、われわれ天才塾のざくざく団が乗っ取った!」
地丹と入れ違いになるようにして、三人ほどの男性が教室へ乱入してきた。
「ざくざく団?」
可符香が聞き返す。
「さよう、我々はありとあらゆる物をざくざくし、人々を恐怖のズンドコへ叩き落すのだ」
妙な名乗りをあげる彼らも、当然ながらここの患者たちだ。さすがは精神病院というべきか。
ほかの患者たちはこの様子を呆れた顔で眺めている。可符香だけは楽しそうだ。
「まあ、なんてことを。道行く女性の髪をハサミでざくざく切ったり、子猫を生きたままざくざくして画像をネットで公開するだなんて!」
そう言われて、彼らのリーダーらしき男は少しあわてた。
「い、いや可符香ちゃん。我々、そこまで本格的なざくざくはちょっと」
別の男が叫ぶ。
「我々は、未開封のポテトチップスをざくざく押しつぶしたり、期限が過ぎていないタイムカプセルを、ざくざく掘り返してやったりするのだ」

「これも、治療の一環なんですか? 砂丹先生」
男達の乱入に気がついて、別室からこのやり取りを眺めていた命も、これには呆れている。
「ま、まあそういうことだね。彼らには、少し特殊なカバーを設定していて」
すずがくすりと笑う。
「そろそろ出番じゃありませんか、若先生」
砂丹は、なぜかギクリとした。
「命、これでだいたい、うちの治療方針はわかっただろう。今日はもう帰れ、お前も忙しいはずだ」
「別に、俺の所はさほど忙しくないが。どうした急に」
砂丹はぎこちない笑みを浮かべている。すずはなぜか楽しそうだ。
「山田さんは、今日は夜勤ですよ」
それを聞いて、砂丹は頬をひくつかせながら準備室を出て行った。

「まてい、ざくざく団。貴様らは俺が相手だ!」
教室では、妙なポーズをとった砂丹が叫んでいる。あい変わらず、頬が引きつっているが。
「どういう治療行為なんですか、これは」
命は開いた口がふさがらない。
「見てのとおり、ヒーローごっこですよ。若先生と別の看護士が交代で、正義の味方役をしているんです」
「はあ」
命は、まだ納得できかねるという顔をしている。
「あの患者さんたちは、いろいろ事情があって、幼い頃に友達と十分に遊べなかった人たちなんです」
「幼児期における対人学習の欠損。重犯罪の犯人などに多いと聞きますが」
すずは軽くうなずいた。
「誰にでも、暴力的な感情はあります。でも、何らかの代償行為によってそれを発散できるのが普通。
 この精神的テクニックは、多くの場合、子供の頃の遊びによって身につくものなのですが、そのステップを逃して大人になってしまう人もいます」
そう説明されて、命はやや納得した。
「なるほど、そうして精神をわずらってしまった患者さんに、再び『ごっこ遊び』の機会を与えようというんですね、この試みで」

「てやあ!」
砂丹が男たちに向かって掌底を繰り出す、ふりをする。ぐわっと叫んで男達は吹き飛ばされた。それがこの遊びのルールだ。
すぐそばでちょこんと座って、成り行きを見守っていた可符香の膝に、吹き飛ばされた患者の頭が軽くぶつかった。
「あ、ごめん、可符香ちゃん」
可符香はにっこり笑って首を横に振る。それを見て、男は少ししまりのない表情になる。
「大変だね、いつも怪人役で」
「え、いや。それは仕方がないよ、我々のルールだし」
そう聞いて、同情したような顔になる可符香。
「たまには、ヒーロー役をやらせてもらえないの」
男は、少し悲しそうにして言った。
「その役は、いつも砂丹くんに取られてしまうんだ」
「いつも?」
男はうんうんとうなづいた。
「そんなの不公平だよ、絶対に」
意外なことを言われて、何度かまばたきをした。
「やってみたら、ヒーロー。きっとカッコいいよ」
「でも、我々の、ルール…」
じっと可符香に見つめられ、男は表情がうつろになっている。
「だったら戦隊モノなんてどうかな。みんなと一緒に悪をやっつけるんだよ。ね」
321ヒポクラテスの誓い(5):2008/03/20(木) 04:27:45 ID:ovvs6JUC
この日の夜、砂丹は溜まった事務的書類の整理に追われていた。
命に対して、自分達の考案した治療法の説明、および釈明をしているうちに、今日の予定をだいぶロスしてしまったのだ。
そんな彼の居室に、訪問者があった。
「お忙しいところすみません、若先生」
訪れたのは、一人の女性看護士であった。
「ああ、坪内さん。申し訳ありませんが、手短にお願いします」
何があったのか、そう言われた看護士の表情は、だいぶ暗い。
「突然で申し訳ないのですが、しばらく、地丹くんの担当から外して頂けませんか」
意外な申し出に、砂丹の手が止まった。
このベテラン看護士には、もう何年も地丹の母親役をしてもらっている。彼女も、地丹の事を実の息子のように思っているはずなのに。
「何かあったのですか、彼と」
「あの子、急に抱きついてきたんです」
わずかに震えながらそう言った。
「それは、単にスキンシップを求めていたのでは」
坪内看護士はゆっくりと首を振った。
「いえ、あの子の態度には明らかに、その、性欲が感じられました」
まさか。にわかには信じられなかった。
「今まで何年もかけて、あの子と本当の親子のような関係を築いてきたはずなのに…そんな目で、見られていたなんて」
ついに泣き出してしまった。
無理もない。彼女は、地丹が退院できたら養子に迎えようとまで考えていたのだ。しかし女性として見られてしまっているのでは、とても母親役は務まらない。
「わかりました。次の担当が決まるまで、彼の対応は俺がします」
いちおう、箱庭の中で砂丹は地丹の弟ということになっている。名前が一文字共通しているので、戯れに決めた設定なのだが。

「本当にすいません、では失礼します」
看護士はがっくりとうなだれて退室していった。そして、砂丹もこの件についてはだいぶ衝撃を受けていた。
地丹はプロジェクトの初期から箱庭に参加していた患者だ、彼の性格傾向は知り尽くしていたはずだった。
ここ数年、地丹は坪内看護士に対して「依存心の高い息子」として接しており、人間関係は安定していた。
母親に対して、内心は異性として感じていたとしても、そのような感情を抑制する理性の方がはるかに優勢であるはずなのに。
ごく最近、ここ数日程度のうちに、彼の心境に急激な変化があったとしか考えられない。
その期間に、彼の身の回りにあった唯一の変化といえば。
「風浦可符香?」
彼女と接したことが、地丹の精神に何らかの悪影響を与えたのだろうか。
322ヒポクラテスの誓い(6):2008/03/20(木) 04:28:11 ID:ovvs6JUC
「すず先生、大切なお話があるんです」
砂丹が訪問を受けていたのと同じ頃、すずも一人の看護士に声をかけられていた。
「なあに、しえさん」
しえ、と呼ばれたのは、20台後半ぐらいの女性看護士だ。彼女と苗字がかぶる職員が複数いるので、いつも名前の方で呼ばれている。
「急な話になってしまいますけど、私、近いうちにここを辞めようと思うんです」
そう言われても、すずはいつものように、まったく動じない態度だった。
「本当に急な話ね。突然切り出されても、困るのだけど」
しえは、新米の頃から箱庭に参加していた看護士で、今では若手のリーダー的な立場にいる。彼女の代わりの人材は、そう簡単に見つからない。
「わたし、気がついてしまったんです。もう限界だって」
「詳しく聞かせてもらえる?」
しばらく迷ったあと、しえはこう切り出した。
「思い出したんです、羽美ちゃんがいた頃のこと」
しえは、以前に担当していた患者の名前をあげた。
その患者は数年前にここから退院して、今ではよき伴侶を得ている。しえが辞めると言い出す原因には、なりそうもないのだが。
「羽美ちゃんはいつでも、わたしの親友であろうとしてくれました。でもそのたびに、わたしは迷惑がった」
すずはなだめるように言った。
「現実の世界では、いくら友情を得ようとしても叶わないことだってある。彼女が自立するためには、その葛藤を克服する必要があったのよ」
「理屈ではわかっています。でも」
軽く息を呑んで、しえは続けた。
「この職場にいる限り、わたしは嘘をつき続けないといけない。以前から迷ってはいたんですが、もう限界です」
すずも軽くため息をついた。
「あなたがそう決めてしまったのなら、わたしに止める権利はないわね」
「本当に、すみません」
今日まで張り切って働いてくれていたのに、この心境の変化はなんだろう。すずは疑問に思った。
「最後にひとつだけ。どうして急に昔のことなんて思い出したの。何かきっかけがあった?」
そう言われて、しえははっとなった。
「患者さんに言われたんです、わたしは嘘つきだって。それがなぜだか、すごく、すごく心に響いてしまって」
「あなたの今の担当は、可符香さんね」
しえはうなずいた。その後何度か謝罪の言葉を繰り返した後、ナースステーションに戻って行った。

入院してすぐに驚異の回復を見せた少女、どの患者からも慕われる人気者。ここでの名前は、風浦可符香。
砂丹は、彼女が回復したのは自分の理論が正しかったからだと悦に入っているようだが、すずはそれほど楽観できなかった。
323ヒポクラテスの誓い(7):2008/03/20(木) 04:28:42 ID:ovvs6JUC
「えーい」
あまり気合の入っていない掛け声をあげながら、女性看護士は回し蹴りを放つ、ふりをした。
これで悪役達は派手に吹き飛ばされる、はずだった。
しかし。
「あいたっ」
怪人役の患者が、いつものように避けてくれなかったせいで、蹴り足を軽くくじいてしまった。
「ふふ、今の我々に、お前の技など通じん」
どういうつもり? 看護士は混乱した。
そもそも、就寝時間が過ぎてからヒーローごっこを始めるなんて聞いていない。
なぜこんなシナリオにしたのか、あとで若先生に問いただしておかないと。
「今日は我々が主役だ。行くぞ、悪の女幹部」
そういうと、男は看護士の腕を強引につかんだ。そして力任せに壁際へ追い詰めていく。
「え、やだ、やめてください」
このときになって初めて、これが普段の「遊び」とはまったく違うことに気がついた。
いつもは子供のように、ごっこ遊びに没入しているはずの患者達だが、いまは年相応のぎらぎらした目で彼女を見ている。
「ちょっと、誰か、誰か」
助けを求めている最中に、手で口をふさがれた。
(ありえない、こんな事態)
混乱と恐怖で、身動きさえ取れなかった。

「どうなってるんですか今日は。先輩、山田先輩、早くいつもみたいに…」
助けを呼ぶ声を聞きつけたのか、別の看護士が現れた。その彼女も、目の前の光景に絶句する。
山田、と呼ばれた看護士は、なんとか口をふさぐ手を振り払った。
「いいから早くみんな呼んで、泊さん」
山田さんを取り囲んでいた患者達の一部が、もうひとりの若い看護士のほうへ近寄っていく。
「あの、でも。あれ?」
どこからか、がしゃんと言う音がした。誰かが、椅子か何かをガラスにたたきつけたらしい。複数の患者のわめく声が聞こえる。
異常事態が起きているのはここだけではないようだ。

内線電話と携帯電話が同時に鳴っている音で、砂丹は目を覚ました。終わりきらない仕事をしているうちに、眠り込んでしまったらしい。
どちらに先に出ようか、同時は無理だし。などと考えていると、非常ベルまで鳴り出した。
眠気がいっぺんに吹き飛ぶ。病棟で何か緊急事態が起きているのは間違いない。
部屋を駆け出しながら、携帯の発信者を確認する。「泊 亜留美」、箱庭病棟の若手看護士だ。
「若先生、大変です、あの、きゃあ」
ここで突然に通話が途切れた。これでは、何か大変なことが起きているとしかわからない。とにかく行ってみないと。

エレベータを待つのももどかしく、階段を駆け下りている途中、聞き覚えのある声が彼の耳を捉えた。
「…いのです。開放の日は間近に迫っています。わたし達の何年もの苦難は、今日この日のためにあったのです」
一階の中庭に、何人もの患者達が集まっている。ひとりの周りに輪になって、その話を聞いている。
「わたし達は、常に心無い迫害を受けてきました。その末にたどり着いたここも、決して真の楽園ではありません」
患者達に向かって、危険極まりない演説をしている少女。間違いなく、可符香だ。
「偽りの仮面をかぶせられ、偽りの生活を強いられてきました、しかしそれは今夜で終わりを告げるのです」
砂丹は、目の前が真っ暗になる気分だった。明らかに彼女は、この病棟のシステムそのものを崩壊させようとしている。
「何をしている!」
中一階の階段の窓から、中庭に飛び降りる。これ以上、この演説を続けさせるわけにはいかない。
「戦士達よ、捕らえなさい。あの者が悪の手先です」
患者達がいっせいに砂丹を見る。その瞳には、まったく精気が感じられなかった。
「今こそ、わたし達を縛り付ける偽りの街を、破壊する時なのです」

そう言うと可符香は、人ごみをすり抜けて病棟の中へ駆け出していった。残された患者達は、ゆっくりと砂丹を取り囲む。
どうする。砂丹は混乱する頭でなんとか考えをまとめはじめた。
格闘には自信がある、この人数なら一人でも対処は可能だ。
それよりも、可符香の最後の一言が気になる。偽りの、街。彼女が向かった先は、間違いなく「あの場所」だ。
324ヒポクラテスの誓い(8):2008/03/20(木) 04:29:18 ID:ovvs6JUC
この箱庭の「箱庭」たるゆえん、それがこの部屋にある。
部屋の中央には大きなデスクが置かれ、そこに所狭しと、家屋や商店のミニチュアが並べられている。
患者達は、自宅や教室以外の外へ出かけたくなったときにここへ来て、自分が空想の世界で訪れた場所を、ミニチュアで表現した。
この小さな建物の一つ一つには、歴代の患者達の創作した物語がこめられているのだ。

「Happy birthday to you…」
嬉しそうにお誕生日の歌を歌いながら、何度かライターを擦る。彼女は、昔ながらのライターの扱いにはあまり慣れていないらしい。
「Happy birthday, dear…」
やっと火がついた。基本的に紙と発泡スチロールでできているミニチュアは、容易に燃え広がりだす。
ぱきりと音を立てて、「ようこそ、とらうま町へ」と書かれたゲートが倒れた。ぐずぐずに溶解した発泡スチロールが、その上を覆い隠していく。
小高い丘の上に配置された教会、そこに飾られていた少年と少女の人形がぐらりと傾き、炎の海へ落ちていった。
ここに集う者達の作り上げた街、とらうま町は、いま炎上していた。

遠くから誰の物とも知れない悲鳴が聞こえる中、可符香は恍惚とした表情で炎を眺めていた。
煙の影響なのか、それともほかの理由か、涙を流しながら。
「あーあ。みんな、みーんなうっかりさんなんだから」

そのとき、こつこつと足音をさせて、ひとりの女性が部屋に入って来た。
「あ、すずちゃん。どうしたの、早く避難しないと」
「消防車はあとで呼ぶわ。それより、あなたとお話がしたいの」
優しい口調で話しかけるすず。しかしその表情は険しかった。
「こんな時に?」
「こんなときだから、ね」
すずは何かを決意したような瞳で、目の前にいる患者を見つめた。

「可符香ちゃんって、ちょっと前までは別の学校にいたんだよね」
可符香の頬が、ぴくりと引きつった。
「そうだっけ。なんだかもう忘れちゃった」
「嘘。あれだけ大騒ぎになったじゃない」
そういわれて、可符香は何か言い返そうとしたが、すずは話を続けた。
「あなたの担任だった先生って、すごくかっこいいね。けっこう好みかも」
「やだなあ、先生はそんなんじゃ…」
しまった、という表情になる。
「隠さなくたっていいよ。わたし知ってるから、全部」
可符香は怯え、一歩だけあとづさった。間髪をいれず、すずは二歩距離を詰める。
「ずいぶん仲がよかったんでしょう? あなたたち」
今にも泣き出しそうな、あるいは笑い出しそうな不思議な表情になる可符香。
「私と、先生は、あの桜の舞い散る日に…」

「殺しちゃったんだ、先生のこと」
325ヒポクラテスの誓い(9):2008/03/20(木) 04:29:57 ID:ovvs6JUC
砂丹とすずの勤める病院で、ぼや騒ぎがあったというニュースは命のところへも届いた。
あわてて病院へ電話すると、だいぶ長い時間待たされて、ようやく砂丹が出た。
火事の件について詰問すると、しばらくの沈黙ののち、砂丹はこう答えた。
「お前はとんでもない患者を紹介してくれたな」
言葉とは裏腹に、さほど怒っているようには聞こえない。
「え、どういう意味だ」
「いや、今回の件は俺の落ち度だ。お前に責任がないことはわかっている。だが」
思わせぶりな態度に、少しイライラする。
「電話では無理だ。できればこっちに来てくれ」

病院そのものに、さほどの被害はなかったようだ。一部の外壁がブルーシートに覆われている程度。
しかし、院内の雰囲気がまったく違うことに気がついた。
昨日訪れたときには、まるで精神病院とは思えないほどの和気あいあいとした雰囲気があったが、今日はなぜか殺伐としている。
「風浦さんに別状はないのか」
そう問いただすと、砂丹の表情はますます険しくなった。
「怒るな、といっても無理だろうな。だが、こちらにも事情があったことを理解してくれ」

院内の、特別に奥まったところにある病室の前。中からは、先日と同じように可符香の明るい声が聞こえる。しかし。
「そうですか、ポロロッカ星の14年に一度の夏は終わってしまったのですね。でも安心してください、夏が終わればまた春が来ます」
可符香はまた、空想の世界の友達と会話を楽しんでいた。

「どうなっている!」
これで怒るなという方がどうかしている。
あの子は、おそらく弟が特別に大切にしていた生徒だ。彼女を救うことがせめてもの供養になると考え、信頼する友人の治療に賭けたのだ。
その結果がこれとは。
「見てのとおりだ。ここに来る前と同じ、我々には見えない宇宙人と交信している」
「ふざけるな」
命は精一杯の怒りをこめてにらみつけた。しかし、砂丹はそれに動じる様子もない。
「弟さんから、彼女について何か聞いていなかったか。たとえば、他人の心をたやすく操る力があるとか」
馬鹿なことを、と言いかけたが、かつて弟に言われたことを思い出した。
(兄さんも気をつけてください。風浦さんは、人の心の隙間に入り込むのが恐ろしいほどうまいのです。
私も何度そそのかされそうになったことか。とにかく、あの子のいうことは話半分に聞いておくように)
考えこんだ命を見て、砂丹は言葉を続けた。
「心当たりがあるようだな。彼女には、他人の願望を感じ取り、それを自分の思うがままの方向に誘導する、神がかったセンスがあるようだ。
 あれで正気でさえいてくれたら、一流のカウンセラーになれただろう」
「それが本当だとして、あの子の今の惨状とどう関係がある」
砂丹は深くため息をついた。
326ヒポクラテスの誓い(10/終わり):2008/03/20(木) 04:30:48 ID:ovvs6JUC
「お前にだから話すが、昨日うちの患者たちが暴動を起こした」
命が驚きに目を見開く。
「それを扇動したのは彼女だ。たった一週間かそこらで、彼女は患者達の暴力的衝動を見抜き、いっせいに刺激することに成功した」
突然そんなことを言い出されても、にわかには信じがたい。
「まったく自信をなくすよ。俺達が何年もかけて信じ込ませてきた人格のカバーより、彼女の些細な『そそのかし』の方が、はるかに強制力が高いのだから」
「なぜ、そんなことを」
砂丹はつまらない嘘をつく人間ではない。可符香に何か特別な力があるというのは、本当のことなのだろう。
しかし、「できる」と「する」の間には大きな差がある。彼女がそんな恐ろしいことをたくらんだ動機がわからない。
「おそらく、自分が絶望しているのに、他人が幸福であるということ自体が許せなかったんだろう」
絶望。弟の死がそれほどつらかったということか。
「すず先生が彼女を止めてくれなかったら、この騒ぎがおおやけのものになっていたかもしれない」
命の背筋に、嫌な予感がよぎった。
「止めた? どうやって」
「方法は簡単さ。彼女の最大のトラウマを、思い出させた。お前の弟さんをそそのかして、自殺させたことをな」
「ばかな!」
命は、またしても大声で叫んでしまった。
しかし、すぐそばの病室にいる可符香はまったく反応しなかった。相変わらず一人遊びを続けている。
「もちろん、本気で死なせるつもりはなかったのだろう。ただ、心の弱った人間に対して、自分の言葉がどれほどの強制力を持つのか、自覚していなかった」
命は、ただ呆然とするしかなかった。砂丹も、もはや命の目を正視することができず、床を向いて話し続けている。
「案の定、罪の意識に耐えかねた彼女は、再び妄想の世界に逃げ込んだ。魂だけになって、いつでも自分のところへ遊びに来てくれる宇宙人、という妄想に」

「すず先生はどこにいる」
そう言われると、砂丹はちらりと命の方を向いた。
(泣いている?)
いつも飄々としてマイペースなこの男が、人前で涙を見せるとは。
「すずは、辞職した。『ヒポクラテスの誓い』を破った自分に、もはや医師の資格はないと言って」
古代ギリシャ時代の伝説的名医、ヒポクラテス。彼は弟子達にこう誓わせたという。
「『医師が患者に毒薬を与えてはならない』だったな」
精神科医が、自分の患者を意図的に発狂させるなど、あってはならないことだ。
すずの医師としての倫理観は、それを許さなかったのだろう。

「こんな言い方はしたくないが、彼女はある種のモンスターだ。野に放つべきではない」
砂丹のあまりの言いように、命は反論をしようと思ったが、言葉が出なかった。
「こうして他人と接触させず、妄想の世界に閉じ込めておく分には無害だ」
ぎりっと歯を食いしばってから、命は言った。
「一生か。こんな隔離病棟に、まだ成人にもならない少女を一生閉じ込めておくつもりか」
砂丹ははっきりと命の目を見た。もう涙は流れていない。
「俺は、彼女の狂気に対して復讐する」
「復讐だと?」
何を考えている。手荒な事をしようというのなら、止めなくては。
「これから何年、何十年かけてでも彼女を治療し、正気に戻す。彼女が、自分の意思で『風浦可符香』の名前を捨て、社会に復帰できた時、この復讐は完了する」

「…あら先生、生肉花の海鮮掻き揚げはお口に合わなかったのですね。でしたら暗黒妖精の活け作りなどはどうでしょう?」
薄暗い部屋でいつまでも、可符香は自分にしか見えない先生と遊んでいた。
327202:2008/03/20(木) 04:33:47 ID:ovvs6JUC
以上です。

正直、今眠いです。
朝までSS書いてて、昨日遅刻して、ついでに仕事中ちょっと寝てしまい、先輩に怒られますた。
ダメ人間街道まっしぐらです。
328202:2008/03/20(木) 04:38:43 ID:ovvs6JUC
追記、ちょっと注意書きの言葉が足りませんでした。

>万が一、「改造は知ってるけど、最終話ってどんなんだっけ」という人がいたら、
>このSSは決して読まないようにお願いします。

というのは、「絶対に原作の方を先に読んでほしい」という意味です。
このSS書くために改蔵見返したけど、やっぱ最終話はいい。
それを汚してるような気がして、ちょっと心が痛いぐらいです。
329名無しさん@ピンキー:2008/03/20(木) 05:20:41 ID:IhomVQxM
クロスオーバーは好きだけど、勝手な設定を付け足したクロスオーバーは好きじゃないな。

とはいえレベル高すぎる。グッジョブ
330名無しさん@ピンキー:2008/03/20(木) 05:25:15 ID:XlAnL+5B
GJ
需要だ傾向だって話は、オブラートに包んだ個人的なクレクレがほとんどだからそんなに気にしなくてもいい
それぞれの好きなのを書いてればほっといてもバラけるもんです、このスレは色んな作風の人居るから
331名無しさん@ピンキー:2008/03/20(木) 07:38:16 ID:q92Aqicf
とても面白かったです。
332名無しさん@ピンキー:2008/03/20(木) 09:41:34 ID:gLKiHXUK

こんなに早く続編を拝見できるとは思っていませんでした
goodどころかbestです

お仕事もお体も大切に!
333名無しさん@ピンキー:2008/03/20(木) 16:14:31 ID:fU/4spSz
作者が同じ漫画とはいえ、この融合度は素晴らし過ぎる。
読んでる途中で、クロスオーバーだということを忘れそうになった。

っていうか、>>251見てきて、あれが>>202と別人だと初めて気付きましたごめんなさい。
奇跡的な程のコラボGJ。が、奈美のその後が気になって眠れない今日この頃………。
334名無しさん@ピンキー:2008/03/20(木) 16:26:57 ID:7tu53Bko
胸が痛い。本当にGJ
335名無しさん@ピンキー:2008/03/20(木) 19:08:07 ID:ZM5Ib6Mq
バトルロワイヤルパロの者です。
バトロワパロの方に投下しようと思いましたが、エロがだめな人に配慮してこちらに投下させていただきます。
携帯ですみません。
注意書き
長い、死ネタ、レイプ、キャラ崩壊です。
パロだと割りきって読める方でないとキツイかもです。
336武器なんて、いらない。:2008/03/20(木) 19:16:05 ID:ZM5Ib6Mq
「小森ちゃん、イイコト教えてあげますよ。」



どうしてわたしの体にこんなモノが乗っているんだろう。
どうしてわたしの皮膚は質感的な重さを感じているの?
上で動いている汚いのはなんなんだろ。
もうやだ。
やっと先生とつきあえたのに。

「…せんせ。」



「小森ちゃん、イイコト教えてあげますよ。」

クラスメイトはそう言うと、わたしの銃口を手で下げた。
どうかしてる、と思う。
だってだって、わたしものすごく怖くて淋しくって、もう顔ぐちゃぐちゃで一晩中歩いてやっと汚い小屋見つけて生き残って先生に会うことだけ考えてなんとか三日間、この場所で心を留めながら生きているのにそのコはそんなのおかまいなしだ。
戸の辺りから乾いた音が響いた時、
わたしはとうとう誰かにそういう事をしなければいけないんだろうと覚悟を決めた。
触ることさえおぞましものに手を掛けるといつものようなおそろしいスマイルで入り込んできた。
ほんと、どうかしてる。

大体、どうしてわたしたちは安っぽい映画のような事態になっているんだろうか。
337武器なんて、いらない:2008/03/20(木) 19:23:44 ID:ZM5Ib6Mq
「まあまあ、そんなに怖がらないで。」
わたしの銃口をゆっくり下げるとニコニコしながらそう言った。
「お菓子でもどうですか?」
ポケットに手を入れたので再び銃を向ける。
「もぉ、やめて下さいよお!」
ゲラゲラしながらそのコは両手をあげた。
どんな強い神経をしてるんだろう。もしかしたらいわゆる手遅れなのかもしれない。
「安心して!襲う気ならわざわざ小屋に入ったりしないもの。小森ちゃん、銃も肩も震えているよ。」
三日間、こういう状況で一人でいるのは引きこもり気味のわたしでさえどうにかなる寸前で、その言葉はかなりわたしの心を揺さぶった。
けれど、とてもじゃないけど信用できる状況じゃあないから、わたしのと同じ緑のバックをひっくり返してもらった。
「ポケットも…」
「心配性だなあ。」
クラスメイトは紺色なプリーツスカートのポケットに手を突っ込むと、一気に引っ張って中の生地を見せた。
同時にいろとりどりの銀紙に包まれたお菓子たちが音をたてる。
私物はすべて没収されたはずなのに。
「あめとチョコ。どっちがいいかな?」
チョコ。と呟いてわたしは静かに銃を置いた。
338名無しさん@ピンキー:2008/03/20(木) 19:34:34 ID:ZM5Ib6Mq
すいません、すこし切ります
339名無しさん@ピンキー:2008/03/20(木) 19:37:49 ID:LohPYaxh
えぇ〜早めに戻ってきてくれなw
340名無しさん@ピンキー:2008/03/20(木) 20:54:45 ID:y512ykis
反対した理由が登場人物が女子生徒が多いってことなんだがな…
もし続きが同性愛の方向に言ったらどうなってもしらんぞ
以前ずいぶんそれで荒れたんだから
341武器なんて、いらない:2008/03/20(木) 21:08:58 ID:yirr9j7W
「武器、どこに隠してるの?」
そう問うとそのコは口を大きくあけて驚くようなマネをした。
「やだなあ、さっきあれだけ証明したのに。」
「そういう意味じゃないよ。」
口の中で消えたチョコの包み紙をていねいに折りながら、わたしは問いただす。
「外のどこかにでも隠してるんでしょ。きっと教えてくれないんだろうけど。」
「私、武器なんて持ってないもの。」
「…下手すぎるウソは冗談にも聞こえないよ。
全員に支給されたんだもん。それとも誰かに取られたの?」
「すてたよ。」
笑顔で言われた。
わたしは数秒、すべての動作が停止した。
わたしが銃を置いた理由はそのコを信用したわけでは決してなく、
小屋ではわたしを襲わないと判断しただけだ。
きっと上手く言いくるめてわたしを外に連れ出す気なんだろう。
それだけその言葉は真実味をおびていたから、としか説明できなかった。
もともとそのコが信用できなかったのはわたしの警戒心だけであって、言うこと自体にはなんというか不思議な説得力がある。
たぶん、女の勘みたいなものがわたしを確信づけたんだと思う。
342武器なんて、いらない:2008/03/20(木) 21:11:05 ID:yirr9j7W
「…その、よくわからない、どうして。」
「いらないから。」
「いらないもなにも、生きて帰れるのは一人きりなんだよ?」
確か今日は最終日のはずだ。

「最終日の午後九時時点で生存者が二人以上の場あっいッ…」
先生はルールの説明中、最後のさいごで泣きだしてしまった。
日本でこのゲームのルールを知らない人間は誰一人いない。
みんな終始無言で、教室は先生のすすり泣く音だけが響き渡った。
343武器なんて、いらない:2008/03/20(木) 21:18:32 ID:yirr9j7W
「小森ちゃん、もう誰か殺したの?」
直接的な質問はわたしの鼓動を早める。
「…まだ。」
「私も。」
「どうして…?生き残ったとしても一人でない限り、みんな死んじゃうんだよ。」
それはわたしへの質問でもある。


いつも先生のそばにいたあのコは、先生と離れたくないと駄々をこねて死んでしまった。
静かな教室が初めて騒がしくなった。
待ちきれず黒いリモコンのスイッチを押したのは見知った老年男性教師。
先生は押せなかった。


今でも鮮明に思いだせる。
大きな爆音のあとに嗅いだこともないような臭い。
悲鳴と嘔吐。
よくわからない沢山の水分が散らばっている。
わたしも最後の一人にならない限りああいう風に死ぬんだとおもう。
344名無しさん@ピンキー:2008/03/20(木) 21:22:15 ID:yirr9j7W
すいません、今日の分はこれまでです。
一応全部書いてはいるんですが、時間の都合です。
土曜日中には最後まで投下できると思います。
あと同性愛はありませんよ。
345名無しさん@ピンキー:2008/03/20(木) 21:47:40 ID:+8dyApzW
絶望先生である意味があるのか?
346名無しさん@ピンキー:2008/03/20(木) 22:22:55 ID:LohPYaxh
まぁまぁ、注意書きもしてあるしいいじゃまいか

347名無しさん@ピンキー:2008/03/20(木) 22:34:23 ID:ff2iQ5Yb
>>345
そんなの過去にいくらでもあっただろ
自分に合わなければ最初から読むなよ、何のための注意書きだと思ってるんだ
348名無しさん@ピンキー:2008/03/20(木) 23:02:49 ID:Pya7e89B
349名無しさん@ピンキー:2008/03/20(木) 23:15:15 ID:senW2nqu
最近のSSの鬱分の多さは
SS内でポジティブ少女がネガティブ少女になってしまったからだど自己完結することにしました
350名無しさん@ピンキー:2008/03/20(木) 23:56:00 ID:HKc2vhe9
まあ、投下作品は波があるから
しばらく鬱傾向が続けはその反動がくるよ
どちらも楽しむ方向で行こうじゃないか
351名無しさん@ピンキー:2008/03/21(金) 00:08:22 ID:Nzg9Xjk2
鬱と言えば改蔵
352名無しさん@ピンキー:2008/03/21(金) 00:31:45 ID:6yIgDa3n
>>344
GJ。続きwktkして待ってます

353謝れども、聞かぬ:2008/03/21(金) 01:02:28 ID:gOxMPjTx
「…あの、加賀さん?」
「すいません、すいません」
「いや、そうじゃなくて…。ていうか、これは一体どういう状況ですかぁ!?」

望は目が覚めると、半裸にされ手足を縛られた状態で、自分の生徒の一人である愛に騎乗されていた。

「すいません、私ごときが先生を襲ってしまってすいません」
「いや、謝らなくていいので早く縄を解いてください」
しかし、愛は望の言葉を無視して、そのまま望に顔を近づけ、唇を奪った。
「ふぁっ…」
突然の口付けに驚き若干開いた口の中に、愛は少しの躊躇いすら見せずに舌を侵入させた。

始めは逃れようとするものの、結局望の口内を這い回る愛の舌に捕らえられ、されるがままになっていた。
望は、ぴちゃぴちゃと互いの粘液が混ざり合う音に少なからぬ興奮を覚え、枯れたはずの自分のモノが熱くなるのを感じた。

暫く舌を絡ませた後、愛は名残惜しげに望の唇を解放した。
お互いの口と口の間で白い糸が繋がり、音もなく途切れる。
望はぼうっとする頭で、頬を上気させ、呼吸も荒い愛を見据えた。

「な、何故こんなことをするのですか…?」
「…はっ、すみません!私なんかが先生と唇を合わせてしまってすみません!」
「あの、謝ってないで質問に答えて下さい」
「すいません、すいませ…」

ふと、愛は言葉を切り、ある一点を凝視した。
それが自分のそそり勃ったモノであると気付いたときには、愛の伸ばした手によって下着の上からそれを掴まれていた。
「ちょ…、止めてくださ…あぁっ…」
「すいません、すいません」

言葉とは裏腹に、愛の手は望のそれを激しくシゴいていく。
あまりの快感に、半勃ちだった絶棒がこれでもかとばかりに強度を増していった。
354謝れども、聞かぬ:2008/03/21(金) 01:03:18 ID:gOxMPjTx
「くぁ…、加賀さん、もう…止めて…」
愛はその声を聞くと、ビクッとして手を放した。
望は、愛が手を放したことを意外に思い、ほっとしながらもどこか物足りなさを感じている自分に気付いた。
(…絶望した!心のどこかでもっと続けて欲しいと思っている自分に絶望した!)

「すみません、すみません」
愛は望の上に乗ったまま、いつものように謝りだした。
「いや、まぁ途中で止めてくれて良かっ」
「下着の上からですみません!口を使わないですみません!」
「…は?」

愛の言葉の意味を理解したときには、愛はすでにトランクスに手をかけ、膝の下までずり下ろしてしまっていた。
「#%$◎&¥―――!?」
自分の絶棒が晒され、望は恥ずかしさの余りに奇声を発した。
愛はそんな望を無視して、そそり勃った絶望を少しの間凝視した後、そろそろと絶棒を掴んで顔を近づけ、咥え込む。

「ん…くぁぁ」
少しぎこちないものの、舌を絡ませ、唇で刺激し、確実に望を快感の先へと導いていく。
望は余りの気持ちよさに、だんだんと理性が崩れ、何も考えられなくなっていた。
「か、加賀さん…っ、出ちゃいます、よぉ……!」
望の言葉は虚しく、愛は一向に口を離そうとはしない。
それどころか、これが最後とばかりに一層激しく貪りついた。

「あ……、はァ……ッ!」
とうとう耐えきれず、望は絶頂に達し、愛の口内に射精してしまう。
愛は放たれる精液の量に驚いたようだが、少し苦しそうにそれを全て飲み干した。

「あ、あなた…、なんて事してくれたんですかぁ―――!?」
「すみません、すみません」


「絶望した!!間違った加害妄想に絶望した!!」
355名無しさん@ピンキー:2008/03/21(金) 01:03:52 ID:gOxMPjTx
終わり


ごめんよ、我慢できなかった
356名無しさん@ピンキー:2008/03/21(金) 06:54:48 ID:d3aSE2WW
>>355
朝から良いものを見させてもらった! GJ!
357名無しさん@ピンキー:2008/03/21(金) 16:37:04 ID:Tq+50cAa
なんという過大妄想。褒めてます。
358武器なんて、いらない:2008/03/21(金) 19:20:25 ID:PE06bdGz
うっとうしくてたまらない首輪のような機械を擦ると目線を感じた。
「小森ちゃん。もう時間がないよ。」
わかってる。
外はまだ明るいけど九時になるまではそう長くない。
すぐ近くにあるスピーカーからは沢山のクラスメイトと禁止エリアが流された。
この区域も、もうじき放送されるだろう。
この機械には生命感知装置と爆弾以外に発信機もついていると聞いたから、
もしかしてどこにも移動しないわたしを最終日まで残したのかもしれない。
娯楽目的に。
359武器なんて、いらない:2008/03/21(金) 19:23:55 ID:PE06bdGz
「わかってるッ、わかってるけど…」
「キモチはよくわかるわ、小森ちゃんは誰も手にかけたくないんでしょ。私だって一緒だもの。だからナイフだって捨てたの。」
「けどっやだッ、わたし、しっ死にたくなァっ。」
なんで泣いてるんだろ、わたし。
確かにこのゲームの生還者のプライバシーなんてあってもないようなもので、
人殺しとして常に周囲の好奇の目に晒され、時に蔑まれ、そして記憶が心を蝕み毎年自殺者が後を断たないらしい。
これじゃあ殺されたのと同然だ。

「もう一個あげるわ。」
「今度は飴がいい。」
いちご味はわたしの呼吸を落ち着かせた。
360武器なんて、いらない:2008/03/21(金) 19:27:45 ID:PE06bdGz
「さっき言ってたイイコトって?」
そのコはああ、と小さく呟いてわたしに目線を合わせた。
「ここを出た西の林の奥にある建物、知っているかな?」
「ああ、あの…」
初日に歩きまわっていた時に見つけたことがある。
洋館風の大きな家だった。
さぞかし美しい造りであったんだろうけど、すっかり廃れてその面影はなかった。
「あそこにはもう行った?」
「ううん、まだ…。」
妙に不気味で目立っていたし、誰かとはち会うのがイヤだった。
「そこがどうかしたの?」
「小森ちゃん、愛ってすごいと思わない?」
「えっ?」
「愛は無敵よ。」
「よくわかんないよ…。」
「あの家には愛しい少女を待っている悲劇の主人公がいるわ。」
「あっ。」
言わんとすることがわかった。
「小森ちゃん、一月前から内緒で先生と付き合っていたんでしょ。」
「なんで知って、」
私にはわかりますよ〜。なんて唄いながらクラスメイトはキラキラ笑う。
「悲劇の物語の最後をどう変えるのかは、小森ちゃん。あなただけだよ。」
ドラマみたいな決め顔で言われた。
友情のような連帯感は、わたしをついに心から信用させた。
361武器なんて、いらない:2008/03/21(金) 19:30:48 ID:PE06bdGz
わたしは誰かを殺すなんて絶対にやだ。
だからクラスメイトを殺すなんて絶対にしないとおもう。
きっとわたしは今日の九時にそのコや他のクラスメイトと一緒に死んでしまうんだ。
構わない。
けど最後は、先生のそばにいるんだ。
銃を初めて持った時の何十倍もの勇気が嘘みたいに集まる。


「ウソじゃない?」
「やだなあ〜、私嘘ついことないのに。」
「そっちは時間までどうするの?」
「ポロロッカ星に救助を要請します!」
「それじゃあ、バイバイ…。」
「冷たいなあ。」

わたしは水とわずかな食料を持って、小屋を出た。
もちろん小さな銃を置いて。

わたしは武器なんて、いらない。

362武器なんて、いらない:2008/03/21(金) 19:33:42 ID:PE06bdGz
木々だけの景観は記憶よりも早く終わった。
いざ建物を前にすると躊躇する。
罠なのかと、まだ疑ってしまう。
いいや、あのコの仲間がいるとしても時間がない最終日にそんな面倒な殺し方ををするとは思えない。
徒党を組んでいないとしても、わたしが小屋を出た時に襲う方が到底楽だ。
黒く汚れたドアの前で立ちすくんでいると、聞きなれたメロディが流れてきた。
今日はトロイメライか。

声はカウンセリング室のあのカタ。
「禁止エリアの発表です。B-36、B-36。該当エリアにいる生徒は午後六時までに移動すること。」
とうとうこの地区だ。
支給された時計を見ると短い針は4を指している。
「あと二時間。」
わたしは意を決して大きな扉を開いた。
363武器なんて、いらない:2008/03/21(金) 19:37:42 ID:PE06bdGz
廊下は思ったよりも強くホコリが舞っている。
咳が止まらない。
「一体どこに…。」

このふざけた遊びに巻き込まれた場合クラスの担任教師は大抵、精神疾患を理由に退職するらしい。
いくらただの死にたがりと言われる先生だって、その繊細な神経がどうなってしまうのかは明白。
自殺どころか死ぬまで廃人になることだって想像できる。
わたし自身もおぞましい想像だとわかっている。
けれどその想像はこの世界では常識なんだ。

「…大丈夫って言ってあげなきゃ。」

「うッ、ぐっッハ、」
泣き声!

その声はとても大きくって、鼓膜がぶるぶる震えて、となりのドアの奥からだとよくわかった。
ホコリだらけのノブに手をかける。
「先生…?えッ、?」


その光景はわたしの小さな想像力を大きくとんだ。
364武器なんて、いらない:2008/03/21(金) 19:40:44 ID:PE06bdGz
いったいどう言えばいいんだろうか。
その部屋にいたのは先生でもなんでもなくって、よく知ったクラスメイト二人だった。
しかも一人はぐったり倒れていて生死すらわからない。
さらによくわからないのはもう一人で、倒れているあのコの上に跨がって腰を打ちつけている。
それは、その、あのおぞましい、強姦と言われるものなんだろうか。
「ひッ、ぐゥっ、あっあビィっるチゃッ、」
わたしのことは気づいてないのか気をとめていないのかよくわからないけど、そのヒトはひたすらそういう事をくりかえしている 。
泣きながら。
いつもキレイにセットしていた薄い髪もぐちゃぐちゃだ。
充満したカルキのような臭いにわたしは顔をしかめて、倒れているあのコに目をやる。
死んでいる、とすぐわかった。
だって、目をずうっと見開いてて、いつも穏やかな顔は見たこともないような恐怖で充ちていて、フワフワしていてみんなの憧れだったお下げもバラバラにほどけている。
トレードマークの包帯やギプスがなければ誰かわからないだろう。
365武器なんて、いらない:2008/03/21(金) 19:44:38 ID:PE06bdGz
一刻もはやく逃げなきゃ。
わたしはなるべく音をたてないように、ゆっくり後ずさりする。
「あっ、」
気づいた時には腰にビリビリとした痛みが走っていた。
目に写るのは蜘蛛の巣だらけの天井。
体を起こして足の方に目をやると、あのコのほどけた包帯が絡み付いていた。
これのせいだ。
包帯を取ろうと手を近づけると、お決まりと言うか何というか、ギラギラした視線を感じる。
気付かれたんだ。
「あッ、そのっ、」
「うッゥ、うゴかッなぁっ、ァっッ、あビぃッ、ィルぅっゥウ、チ、ちャァ、ンッ、」
「えッ、?あ、しっ、しんでる。」
どうみても自分で殺したくせに覚えていないようだった。
とりあえず急いで包帯を絡め取り、立ち上がる。
緑のバックを手にとり「おぞましい光景」に背を向けた瞬間だった。

「ァァァぁああッびるチゃン!」
迫ってくる大きな影に、わたしは為す術がなかった。

366武器なんて、いらない:2008/03/21(金) 19:48:38 ID:PE06bdGz
どうしてわたしの体にこんなモノが乗っているんだろう。
どうしてわたしの皮膚は質感的な重さを感じているの?
上で動いている汚いのはなんなんだろ。
もうやだ。
やっと先生とつきあえたのに。

「…せんせ。」
痛いいたいイタイ。
もうどのくらい、わたしはこの男に犯され続けているんだろう。
こわいよ、だれかたすけてよ。
「ウッ、ッあっ。」
上を見上げればその男は動物のような顔で奇声をあげつづけている。口もとからはたくさんの涎が垂れていてわたしのお腹の上に落ちてくる。
「あぁあああああッ!」
わたしはただ泣き叫ぶことしかできなくって、もう鼻水と涙で顔がぐちゃぐちゃで、初めては先生って決めてたのに、と言う思いばっかりで、けど下半身の痛みは止むことがなくって、抵抗をいくらしても、バカみたいに力が強くて、まったく意味がない。
目線を下の方にそらすと真っ赤な血液がわたしの太ももの間から流れていて。
それはこの醜悪な男のせいで出た血だ。
もうわたしは、まだ自由の効く両手を暴れさす意外になにもできなかった。

ポンと右手が何かに当たった。
それはその男のズボンのポケットだ。
ひょうしに空中に舞い上がったアレをわたしはすぐさま認識した。

美しい銀紙。



367武器なんて、いらない:2008/03/21(金) 19:54:22 ID:PE06bdGz
みかんを持った可愛らしい少女が印刷されている。
上からの力をできるだけたえて、
となりに倒れているあのコのスカートのポケットに手をのばす。


やっぱりだった。



もうわかった。うん。わたし嘘つかれたんだよ。うん。でもね、わたし先生とホントに会いたいよ、あいたいあいたいあいたい、愛しているの。
好き好きすきすき、こんなヤツの下で死にたくない、わたしお父さんともあいたいよ
二人ともだいすきあいしてるあいしてるあいしてるあいしてる
ねえ、すきなの愛しているの、せんせいたすけてよせんせいだってわたしがしぬのはいやなんでしょ、
あいしてあいしてるせんせいもそううぬぼれかなあいしてるあいしてるあいし





END





「生存者はあなたですか。」
「やだなあ、先生。
そんな憎しみをこめた目で見ないでくださいよ。
私は先生の恋人も大事な生徒も誰一人殺してなんかいませんよ。
それに恋人が亡くなられたのは確かタイムアウトで、でしょう?」
「嘘をついたんだろ!」
「この首輪やっぱり盗聴機付いていたんですね。
あと私、嘘は生まれてから一度もついたことがないんです。」

私に武器なんて、いらない。


368名無しさん@ピンキー:2008/03/21(金) 19:58:18 ID:qAoSStbU
臼井きめええええ
369名無しさん@ピンキー:2008/03/21(金) 19:58:49 ID:PE06bdGz
以上です。
絶望先生のバトロワパロがなくて実験的に作ってみましたが、不快に思われた方もいたようですね。
最後まで投下しようかどうか迷いましたが、読んでくださる方の気持ちを優先しました。
いろいろとすいませんでした。
370名無しさん@ピンキー:2008/03/21(金) 20:14:57 ID:4kV6/KBJ
>369
非常に不快でしたw
それだけ出来がいいってことですw

絶望先生学級崩壊スレが欲しくなりました
エロなし鬱展開が読みたい
371名無しさん@ピンキー:2008/03/21(金) 20:23:15 ID:6tBd5uTs
>>370
もし立てても、ここに広告しに来るなよ?
372名無しさん@ピンキー:2008/03/21(金) 20:27:22 ID:5L8/21Sa
可符香確かに嘘はついてないな
悲劇の主人公って臼井かよw

とりあえず>>369さんGJでした
373名無しさん@ピンキー:2008/03/21(金) 20:50:09 ID:TRk2HMax
>>369
マジやばい
374名無しさん@ピンキー:2008/03/21(金) 21:02:46 ID:dOcXwLCJ
読んでて非常に不愉快になった。



という点で、非常に原作再現度が高いな。
ある意味GJ。
375名無しさん@ピンキー:2008/03/22(土) 00:05:27 ID:Tq+50cAa
カフカむかつくww
376名無しさん@ピンキー:2008/03/22(土) 00:44:49 ID:+Jq3I84M
先生、カフカを殺しても国にたてつく事はなさそうだな
377名無しさん@ピンキー:2008/03/22(土) 00:50:48 ID:aRkzesxJ
BSイレブンでアニメ見てるんだが・・・・・・あれなんて欝パロ?
378名無しさん@ピンキー:2008/03/22(土) 02:00:18 ID:85lI1Tgi
>>327さまも>>369さまもテラGJです。
379名無しさん@ピンキー:2008/03/22(土) 03:16:55 ID:uJDGYM+F
絶望した!
380名無しさん@ピンキー:2008/03/22(土) 12:36:26 ID:mStBHEhN
>>370
YOU!もうたてちゃえYO!
381名無しさん@ピンキー:2008/03/22(土) 17:18:56 ID:alFWYaVa
>>380
自演乙。氏ねよ。
382特別に普通に:2008/03/22(土) 19:01:22 ID:5TK8u778
望×奈美ほのぼの?SSです
初なのに非エロですいません
というか書けないんですけど…
でははじめます
383特別に普通に@:2008/03/22(土) 19:02:08 ID:5TK8u778
3月。
学年末テストを全て終わらせ、安堵の表情を隠せない生徒たちのいる教室へ、望は入った。

ガラリ

「静かに。静かにしてください。──皆さん、テストが無事終わって安心しきっているようで

すが、春休みにも課題は出るんですし、勉強はサボらないでください。終わります」
簡単な挨拶を済ませ、望は教室から出て行く教え子たちを見送っていく。

「先生、さようなら。あ、明後日お茶会があるんで、よかったらいらして下さいね。」
「ありがとうございます。では伺いますね」
「来なかったら……。」チャキン
「やめてください…しまってください、それ」

          「先生、図書委員会はいつでしたっけ」
          「7日ですよ。久藤君にも伝えてあげてください」
          「分かりました」
          「あと、テストの日ぐらい、上にシャツを着るのはやめなさい」

「先生!今度宿直室で、望准本描くの手伝ってもらえませんか?久藤君と一緒に。モデルがい

たほうがやりやすいんで…ヘヘヘ」
「嫌です」
「准望のほうがいいですか?」
「帰ってくれませんか…」

ふと教室の後ろを見ると、生徒が一人、窓の外を眺めながら帰る様子も見せず座っていた。
384特別に普通に(2):2008/03/22(土) 19:09:36 ID:5TK8u778
「何してるんですか?日塔さん」
「…………」
「日塔さん?」
「………………」
奈美は黙ったままだ。
教卓を離れ、つかつかとそこに近づく望。
ようやく気づいた奈美が、少し頬を赤らめて耳からイヤホンをはずした。
「何をしているんですか」
「すいません。iPod聞いてて…」
「最初からずっと聞いてたんですか?」
「ごめんなさい…」
苦笑いをする奈美。
「はぁ……まあいいですけどね。どうせ私の話なんて、誰も聞いてくれやしないんですから……」
ブツブツいいながら床にしゃがみ込み、指でのの字を書く望。
「あ、え……そんなに落ち込まなくても…すいませんでしたって」
怒られるかもと思っていた奈美は、逆に先生がかなり落ち込んでしまい、拍子抜けしたようだった。
「えっと……ねえ先生!ちょっとお話しません?」
「え…何をです?」
「まあ…いろいろですよ」
奈美は照れるように笑った。
「…まあ……いいですよ」
望も笑って答え、奈美の前の席に座った。
385特別に普通に(3):2008/03/22(土) 19:20:18 ID:5TK8u778
「ところで、なぜそんな風に感慨にふけっていたのですか?」
望は尋ねた。
「え?いや…なんていうか、少し考えてて…また1年が過ぎたなぁって」
「音楽を聞きながら?」
「はい。もうすぐ3月9日ですから…あ」
奈美はそう言いかけてすぐ、しまったというような表情になった。
「…やっぱりあなたらしいですね。──普通」
「普通って言うなぁ!」
あはは、と明るく笑う望。
その様子を見て、奈美ははぁ、と小さく溜め息をついた。

「もう、慣れましたよ。先生に『普通』って言われるの」
「そうですか。はは」
「ていうか、みんな言いますけど…私、そんなに普通ですか?」
「普通ですね。かなり」
「もう…」
奈美は呆れたようにつぶやく。望はそれを見て、また苦笑している。
「先生もですけど…みんな、私に対してなにかと酷すぎますよ。何かあったらすぐに普通、普通って」
「でももしあなたが人から嫌われていたら、誰もあなたのことを普通だなどとからかったりしませんよ」
「…そうですかね?」
「当たり前です」
「…でもなあ…」
奈美はまた溜め息をつく。
「どうしたんです?」
「…この際だから言いますけど、聞いてくれます?」
「…?いいですよ」
386特別に普通に(4):2008/03/22(土) 19:24:06 ID:5TK8u778
開け放した窓から入ってくる風が、頬をなでて心地いい。奈美は少しずつ話し始めた。
「私、小さい頃から普通な子だねって言われ続けてきて…何をやっても普通だね…何を言って
も普通だね、って。成績も普通、運動も普通。あびるちゃんみたいに頭がいいわけでもないし
、晴美ちゃんみたいに運動もあんまりできない…趣味も特技も特にないし…やっぱり私、この
まま平凡に生きていかないといけないのかなー?って。普通が悪いことにしか思えなくて…み
たいな」
担任の先生に相談したはいいが、普段からこの男に普通だと言われ続けている手前、こんなこ
とを愚痴るのもなんだか気恥ずかしくなって、奈美は照れ隠しに最後を明るく言ってみせた。
すると、溜め息を漏らすように望が尋ねた。
「日塔さん。あなたは、自分が特別視されていないと思ったりしているんですか?」
「え?」
「誰もあなたの事を特別だと思っていないと、本当に思っているんですか?」
望は半分呆れたような口調である。
「…そりゃ、あれだけ普通だって言われたら…」
「…鈍い」
「!?今、なんて」
「鈍いにも程があります。馬鹿なことを悩むんじゃありませんよ」
「な……ひどっ!そんな言い方!」
奈美は怒ったように言った。
「私だって、これでも結構悩んで……!」
「ちょうどいい機会です。これから暇ですか?」
「…え?」
「暇ですか?」
「…ええ、まあ…」
「じゃあ、ついてきてください」
「……?」
奈美は、席を立った望につられて立ち上がり、よく分からないまま横に並んで歩き出した。
387特別に普通に(5):2008/03/22(土) 19:27:38 ID:5TK8u778
途中で職員室に寄った後、二人がやって来たのは音楽室だった。
「先生?音楽室って何で…何をするんですか?」
「さっきは例によって『普通』と言ってしまいましたが、先生もその曲、結構好きでしてね。
ピアノで弾けるように練習したりもしたんですよ。自分で言うのもなんですけど、少し自信あ
りますから」
照れ笑いを浮かべながら望はピアノの椅子に腰を下ろし、蓋を開けてポロロンと指を流してみ
た。その仕草がまた美しく、奈美の鼓動がほんの少し高鳴った。
「聞かせてあげましょうか?」
望が微笑んで言う。
「へえ…聞いてみたいです。聞かせてください」
奈美も笑い返した。



──流れる季節の真ん中で ふと日の長さを感じます──


静かな旋律が耳に吸い込まれていく。
目を閉じてそれに聞き入る奈美。

先生、やっぱり上手いな…


初めてあったのは、心配されたくて登校したあの日。
不下校対決で、小森霧にあっさりと負けてしまったあの日。。
でも思えば、そんなへ組の人達の楽しそうな雰囲気に惹かれて再びやって来た学校。
次の日朝一番に先生は言葉をかけてくれた…
388特別に普通に(6):2008/03/22(土) 19:30:45 ID:5TK8u778
────また不登校になりたくなったら、先生に言いなさい。一緒に解決してあげますよ
                            (自殺的な意味で)


考えてみたら、あのときから自分はすでに惹かれていたのかもしれない。
先生の笑顔と、飾らない優しさに…


──瞳を閉じればあなたが 瞼の裏にいることで
  どれほど強くなれたでしょう あなたにとって私もそうでありたい──


生暖かい室内の空気、
座っている机の匂い。
そして、耳をくすぐるメロディ…


そこにある全てが、奈美と先生だけを包み込んでいる…

いつの間にか演奏も終わって、その余韻に浸りながら、奈美は静かに拍手した。

「どうでした?」
「すごく良かったです…感動しました」
「ありがとうございます。あなただけに、『特別に』弾いてみたんですが…」
「え」
奈美はハッとして、望の顔をみた。望は奈美に微笑みかける。
「日塔さん。あなたもたいがい、自分を卑下しがちですよね」
「…え?」
389特別に普通に(7):2008/03/22(土) 19:33:27 ID:5TK8u778
「自分が特別に思われていないと考えるのは、大きな間違いです。『普通』であることを恥じ

る必要はありませんよ」
「………ぁ……」
「私も、あなた『だけ』にしか『普通』だと言いませんしね。からかうのが面白いというのも

ありますが…オホン。私も含めて、みんな───」


そういう普通なあなたが、一番好きだからですよ──


「…………」
奈美の顔が真っ赤に染まっていくが、それは夕焼けの紅で隠され──たりせず。
まだほんのお昼過ぎ、明るすぎる室内で、その様子は望にも手に取るように分かる。
「あなたのその性格は、あなたの個性でありあなたの魅力なんです。もっと胸を張りなさい。
……それとも、やはり『普通』といわれるのは嫌ですか?」
奈美は恥ずかしさやらうれしさやらいろいろあって、下を向いている。
「───正直、ちょっと分からないです」
奈美が俯きながら答えた。
「でも、先生にそういってもらえると────悪くないかもしれません。普通も」
顔をあげた奈美。彼女らしい明るい笑顔が映える。
「それを聞いて安心しました」
望はそう言うと、本当に安心したように笑顔を浮かべた。
おかげで奈美も、すっかり元気を取り戻したようだ。
「先生!今度は私が弾きます!」

「メリーさんの羊ですか。やっぱり普通ですね」
「普通って言うなぁ!」


────────────────────────────────────
390名無しさん@ピンキー:2008/03/22(土) 19:42:29 ID:AyClPGFI
普通……
391特別に普通に(8・終):2008/03/22(土) 19:43:38 ID:5TK8u778
「やっぱり、先生は先生だなあ……」
校庭を横切りながら、上機嫌につぶやく奈美。
あれからずいぶん時間もたって、西の空はだんだんと赤みを帯びてきている。


普通なあなたが、一番好きですよ───


「ホワイトデーのときといい、先生に『好き』って二回も言ってもらえたの、私だけだったり
して……なんてね。──フンフフーンフフン……」
いつの間にかスキップになってしまっていたその足取りで、鼻歌を歌いながら奈美は家路に着
く。



「やっぱり、日塔さんはああやって元気でないと──ね」
───それが彼女のいいとこですから。
音楽室に残って、上からその様子を眺める望。
やがて窓から離れ、望はさっきまで座っていたピアノの椅子に再び座り込む。

「……時間の過ぎるのは早いものです」
先ほどと同じメロディーが、音楽室とそこに繋がる廊下にまた響きわたっていく。


──流れる季節の真ん中で ふと日の長さを感じます──
392特別に普通に(あとがき):2008/03/22(土) 19:46:16 ID:5TK8u778
普通といわれてしまいました
やってしまった感でいっぱいです

汚してしまいすいませんでした
393名無しさん@ピンキー:2008/03/22(土) 19:50:06 ID:Jtin3xAP
>>392
いい意味で普通だな
奈美はほのぼのが似合う
394名無しさん@ピンキー:2008/03/22(土) 19:58:15 ID:onHkWEHE
最近俺の中で普通株があがってきてたところなんで
楽しめましたよ。良いものを読ませてもらいました

ところで原作2,3,11,12巻しかもってないんだけど
奈美が望に好意があるって描写は原作にあるん?
395名無しさん@ピンキー:2008/03/22(土) 20:12:08 ID:cOAxUkLH
>392
普通によかった
GJ!
396名無しさん@ピンキー:2008/03/22(土) 20:22:50 ID:onHkWEHE
過去ログ読んだらだいたい自己解決しました…
野暮な質問してごめん、マガジンと絶望先生買いにいってくるよ
397251:2008/03/22(土) 20:27:21 ID:aPq+6+zj
>>333
すいません。一応続きは基本的には出来上がっているんですが
なんかPCの電源が入らないんですよ。

すいません!!すいません!!私の駄文のせいで眠れなくなってしまうなんて!!
直り次第上げますので、ゆっくり眠っていてください!!
398名無しさん@ピンキー:2008/03/22(土) 21:20:30 ID:1Jpk0B+D
週末鬼畜待機!(`・ω・´)
399名無しさん@ピンキー:2008/03/22(土) 21:24:08 ID:wNHn/A67
>>392
ほのぼの和む、GJ
良かった、こういうのは良い、良いよ、良いね
400名無しさん@ピンキー:2008/03/22(土) 22:16:25 ID:8P2dn5OA
>397
PCが勝手に落ちる(ファンがおかしい)より深刻だなそれ
401名無しさん@ピンキー:2008/03/22(土) 23:07:26 ID:yO9uAtEF
さて、アニメ始まる前にひとつ投下させていただこうかなと思い…

先生×奈美の痴漢ごっこ

なんだが…ちょっと視点を変えて書いてみた

冒頭と終幕以外は彼の視点でございまする
402The thadow:2008/03/22(土) 23:09:47 ID:yO9uAtEF
もう夏も終わりだというのに、蒸し暑い
身動きすらできないほどの満員の電車内。いくら冷房が効いているとはいえ、暑さを感じずにはいられない
毎朝の通勤、通学ラッシュ
そんな中、ドアのすぐ隣の角
満員であることにもかかわらず不自然に空いているスペース

――そこに彼はいた


僕は臼井。臼井影朗
2のへ組をまとめる学級委員長だ
でも生まれ付き影が薄いから、みんな僕がいることを気付いてくれないんですよ…
だからこうしてここに体育座りしてるんです
何故かって?

だって僕が立っていると、スペースが空いてると思われて、どんどん押されて壁とサンドイッチ状態になっちゃうんですよ。それが堪らなく痛いんです
…ちょっと気持ちいいけれど
403The thadow 2/6:2008/03/22(土) 23:12:02 ID:yO9uAtEF
だから体育座り。これなら押されて壁に挟まれる心配はないですしぃ
いや、そりゃ迷惑かもしれないですけどぉ…どっちにしろ気付いてもらえないんですからっ!

痛っ!?ちょ、ちょっと、僕の足踏んでますって!…って日塔さん?

あぁ、日塔さんも同じ電車だったのかぁ
てかやっぱり気付いてないし…早く足をどけて…おぉぉぉぉ!?
そのスカートの中で白く輝くそれは!!!ぱ、ぱ、ぱんつ!ぱんつじゃないですかぁぁ!
ち、違いますよ!?決して覗くために体育座りしているんじゃないですから〜残念ッ!!

…何故我慢しなかった僕
とにかく、せっかくのチャンス。そ、そりゃ僕だって女性に興味はありますしぃ、小節さん一筋だ…けどそんなの関係―っと危ない危ない。また我慢しないとこだった
さぁ気を取り直して、じっくり拝見させて…ん?
404The thadow 3/6:2008/03/22(土) 23:14:17 ID:yO9uAtEF
んん?なんか日塔さんの様子が変だぞ?
なんだか顔赤いし、モジモジしてるような…おぉ、足閉じたから綺麗な三角が!って…
ちっ痴漢だ!
後ろの奴…明らかに触ってますよ!?日塔さんのお尻を
く、くそぉ一体どんな奴だ!?
ジーパンに…背が高い?あぁこの姿勢じゃよく見えない!
でも今立ったらパンツ見えなくなっちゃうし…も、もう少し様子を

でも日塔さんなら普通に止めてって言いそうだけどなぁ、あ、普通って言っちゃった
うわっ!そうこうしてる間にエスカレートしてるじゃないか!
お、おっぱいまで揉みはじめた!羨ましい…じゃなくて、これは助けるべきなのかな…
これを期にお礼として日塔さんに毎日弁当作ってきてもらえるようになっちゃったり…そしてそのまま

なわけないか…はは
405名無しさん@ピンキー:2008/03/22(土) 23:16:38 ID:yO9uAtEF
にしても…
な、なんて大胆な奴なんだ
ついに服の中にまで手を入れて日塔さんの、お、おっぱいを…
周りからは見えてないみたいですけど、僕からは丸見えですよぉ!?
うわわ!あんなに激しく揉みしだいて、しかもち、乳首まで…あぁやって触るのかぁメモメモと
いや、こ、このままじゃ日塔さんが!早く助けないと…
でも助けたところで気付いてもらえないかも…
はっ!逆に携帯で撮影してこれをネタに日塔さんの身体を―


って僕にそんなことできるわけないじゃないですかっ!
い、今僕が助けてますよぉ日塔さん!
406The thadow 5/6:2008/03/22(土) 23:19:01 ID:yO9uAtEF
で、でもなんかよく見たらそこまで嫌がってない気が…
むしろ…うーん

これ…僕も触ってよさげじゃないですかね!?

なんか微かに喘ぎ声っぽいの聞こえますし…
うん!いける!いけますよ!
下見です!いきなり小節さんの身体触れたら心臓に悪いので、女体の下見の意味も兼ねて僕も触るべきでしょう!というか今しかない気がします!
ど、どこから触ろうかな?
やっぱ僕もお、おっぱいを…
よ、よし臼井影朗!男になる時だぁぁぁぁ!!!



――その時、冷房から神風が吹いた
407The thadow 6/6:2008/03/22(土) 23:21:17 ID:yO9uAtEF
「連れて行かれちゃいましたね…臼井君」

「思わず叫んじゃいましたけど…ま、まさか臼井君にずっと見られてたってことはないですよね!?」

「それはないでしょう…それに普通じゃないプレイをしようと言ったのはあなたじゃないですか」

「そ、それはそうですけどぉ…って何ですかそのチャラチャラした格好」

「こ、これはそのっ…万が一誰かに見られた時のための変装というか何というかですね…」

「でたっ!チキン!」

楽しそうに会話をしつつ目的の駅の改札を抜ける二人の背後
ニヤリとする少女の髪飾りが不気味に輝いていた

おしまい
408The thadow あとがき:2008/03/22(土) 23:28:51 ID:yO9uAtEF
臼井君の心理描写が難しい…gdgd気味かもだがそこは勘弁してください('A`)
設定としては、登校時、電車内待ち合わせの痴漢ごっこをする先生と奈美
そこに居合わせた臼井君…てな感じです

だが一番悔やまれるのは、4/6を誤って友人に送ってしまったという…\(^o^)/オワタ

とにかく、ありがとうございました
409名無しさん@ピンキー:2008/03/23(日) 00:21:21 ID:h0z5H4ht
4/6は宇宙へのメッセージとなったのですね、わかります。
貴方は素晴らしい方です。身を呈して絶望布教の使命を全うされたのですから。
410名無しさん@ピンキー:2008/03/23(日) 00:21:57 ID:H5lp5JnN
GJ!!
臼井ww
411名無しさん@ピンキー:2008/03/23(日) 00:41:22 ID:nEh9J6Sn
鬱をスルーしている自分は最近読むものがなくて困っていたので
このほのぼの&ギャグエロ連続は嬉しいGJ!
412名無しさん@ピンキー:2008/03/23(日) 00:58:56 ID:4hc9yt9+
俺さ…名字がうすいで名前がわたるだけどどうしよう
いや本当に
413名無しさん@ピンキー:2008/03/23(日) 01:06:28 ID:YhBWPD1a
>>412
マジレスすると俺の苗字藤吉だぜ?
名前は茂久だけど
414名無しさん@ピンキー:2008/03/23(日) 01:30:24 ID:4//ayemr
>412
キャスバル!!
415251:2008/03/23(日) 02:59:03 ID:xZpmeFJM
>>400
結局電源が駄目だったようで、とりあえず手持ちのを
入れ替えて何とか復旧しました。

という事で。せっかくの流れを切る様で申し訳ありませんが、
人の居ない時間を狙って投下します。

以下注意を
まず「非エロ」です…
「鬱展開」は今回は薄めだと思っています。前回の様に悪い方向へと導いていくような
話ではないと思います。が…
基本的に>>202さん、>>251の続きで、>>317さんの話も少し絡めています。結局は鬱展開がらみです。
鬱展開が苦手な人は、避けていただいた方がいいかと。
後文章が読みづらいのは、作者のスキル不足です。本当にすいません。

それでは、しばしのお付き合いを…。
416暗夜光路 @:2008/03/23(日) 03:02:06 ID:xZpmeFJM
何かの声に押し出されるように、私は部屋の外へ出る。
真っ暗な夜。私の心と同じような闇。
扉に手をかける。ここを空ければ今までの私ともお別れ。
湧き上がる様々な感情。思わずうつむく。空きっぱなしの郵便受けからこぼれている
1枚の葉書。
もう…気にする事も無いのに…。そんな私の目に飛び込む、葉書の中の笑顔。
綺麗な切手。たどたどしい文字。
『元気ですか?マリアは元気です。マリアはいま、島の子供達ににほんごおしえてます。
マリアはいま幸せ。でもみんなといたときのほうがもっと幸せ。みんなに会いたい。」
写真の中のマリアは、あの日よりも随分と大人びていた。だけど、笑顔は皆と楽しく幸せに暮ら
していたあの時のままだった。周りを囲む子供達に負けないくらいの笑顔。
「マリアちゃん…」
真っ暗だった心に一筋の光。暖かい光。呼びかける暗い声。
『あり有りアリあり有r』
「うるさい!!うるさいうるさい!!」
「アリなわけない!!ナシだ!!ナシだ!!」
叫ぶ私の心。一瞬の心の静寂。優しい声。
『…ナシで良いんですよ。』
幻なのか…愛しい人の元気な姿。涙がこぼれる。絶望では無い。希望の涙。
『日塔さんは、普通といわれる事を随分と気にしていました。』
『でも普通に生きるという事は、とても難しい事なのです。』
『色々予想もつかない事に巻き込まれます。」
『…私は心の弱い人間でした。だからその波に逆らえず流されてしまいました。』
『これからは何者にも惑わされずに、強く生きてください。貴方にとって普通である事は何物
にも代え難いものです。』
『担任として、貴方を卒業式まで送り出せなかったのは残念だと思っています。これは私と
貴方の卒業式みたいなものです。随分と遅くなってしまいましたが…。』
「有り難うございます。これから私前を見て先生の分まで歩いて行きます。」
『やっぱりあなたは普通の事を言うんですね。』
「普通って…普通って言うな!!」
にこりと笑い消えていく先生の姿。
「…さよなら…先生…」

417暗夜光路 A:2008/03/23(日) 03:04:48 ID:xZpmeFJM
先生が私の前から消えた後、私は白いドレスから普段着へと着替えた。
クローゼットの中の鏡に目がいく。ひどく疲れた顔。なんであんな気持ちになったのか、今は
もう理解できない。
「何をやっていたんだ!!どれだけ心配したと…」
携帯には凄い数の着信履歴。怒られて当然だよね。
「それで、明日はどうする?気持ちの整理がつかないなら、今回は取りやめてもいいんだが。」
「もう大丈夫。約束ですから…。」
前を向いていくって約束したんだもの。本当に大丈夫。
「そう。じゃあ明日の朝迎えに行くから。」

…ピピ…ピピ…ピピ…
『おや。もう時間ですね。それでは今日の授業はここまでに…』
あんなに授業は嫌いだったのに、なぜか今日はもっと続けてほしい…。
こんなに楽しい気分で授業を受けるのは初めてなのに…。
…ピピピピ…ピピピピ…ピピピピ…
椅子の下に穴が開き、私は落ちる。落ちる。
…嫌!!もう少しみんなと…

「…夢か。」
あの事件以来、はじめてみんなの夢を見た気がする…
懐かしい。
「みんな元気かな。帰ってきたらみんなに連絡してみようかな。」
どこに行ったかわからない子も多い。でも…大丈夫。きっとわかるよ。
「やだ。そろそろ準備しないと!!」
あの人が来る。今は一番大事なあの人が…。

418暗夜光路 B:2008/03/23(日) 03:08:30 ID:xZpmeFJM
約束の時間どおりに迎えに来た命さんの車で蔵井沢へ向かう。
「さあ。着いたよ。・・・どうしたの?」
「大きな家だなと思って。」
「望…あいつ生徒さんと一緒に来たと聞いてるんだけど。」
「私、蔵井沢の駅まで来た事しかないんです。」
首をかしげる命さん。
「…普通…列車に乗せられたんです。各駅停車の。」
「駅に着いたらちょうど皆帰る所で…」
「そ…それは…た…たいへ…」
命さんは口を押さえて肩をふるわす。
「我慢しなくても…良いんですよ。」
「ごめ…も…もう無理…」
堪えきれず命さんは笑い出す。
「笑い事じゃないです。帰りも同じので帰ったんですから…」
「も…もう勘弁してk…」
大きな声で笑い続ける命さん。
「おい…こんな所で何をやってんだよ。」
昔聞いた懐かしい声が響く。門の中から丸字に糸巻きを染め上げた紋付き袴の少年。
「交君…?随分大きくなっちゃって。」
「姉ちゃん…久しぶり。あいかわらず普通っぽいな。」
見た目は随分大きくなったが、小生意気なところは相変わらず。
「あらあら。誰かと思えばお兄様ではないですか。門の前で何を…」
もう一人の懐かしい声…高校生の時よりも更に大人っぽくなった倫ちゃん。
「日塔さん…お兄様から今日は来られないかもと。ささ、どうぞ中へ。」

法要が始まるまでの間、私は少し大人びた交君と今までの色々な話をした。
交君は本来なら先生が継ぐはずだった、木目糸売の権利と糸色家次代当主を引き継いだ。
「仕方がなかったんだよ。最初から女性に継ぐ権利はないし、命と景はとっくの昔に権利を放棄してた。
父さんは未だにどこにいるかわからないし、糸色の血を引く男は僕しか居なかったんだ。」
「あいつは色んな物を残して逝っちゃった。木目糸売と当主の権利みたいな物だけでなく、
色んな人の色んな思いを残したままなんだよ。」
「僕だってそうだよ。子供扱いするなってずっと言ってたけど、誰がこんな形で子供扱い
を止めろなんて言ったんだよ。あの時のままだったら、僕はずっとずっと子供扱いで良か
ったのに…」
交君は俯いたまま肩を震わす。私は交君の肩を抱く。
「交様。法要の準備が整いました。」
「わかった。…そろそろ行きましょうか。先ほどの事は二人の秘密にしておいてください。」
先ほどまでの子供のような表情から、糸色家次代当主としての顔に変わる。
…この子も…色んな思いを残して生きてきたんだ…
419暗夜光路 C:2008/03/23(日) 03:13:39 ID:xZpmeFJM
「驚いたでしょう。あれが我が家の法要ですから…」
法要後母屋と別にある茶室の中で、お茶を点てながら倫ちゃんが言った。
…確かに普通の法要とは違っていた。簡単に言えば、暴露大会。
先生の子供の頃の恥ずかしい話。情けない話。やんちゃなときの話。
私の知らなかった先生がどんどんとみんなに暴露されていった。
『お兄様ったら!!恥ずかしい!!』
『あいつ…なにやってたんだよ。』
『望坊ちゃんはここぞという時にいつもつまずいていたのです。』
私も話を振られ、高校時代の話をいくつか披露した。
先生のお父様は黙って頷き、お母様はずっと笑っていた。
「ああやって…笑っていれば…亡くなった人の事を悪くいう人はいませんし、
ずっと良い思い出ばっかりが残っていくのです…。それが糸色流の法要なのです。」
「さ…どうぞ。」
抹茶の良い香りが、狭い茶室に漂う。時折響く鹿威しの音が心地良い。
床の間にはかすみ草と桜の生け花。
「お兄様の好きだった花です。かすみ草を見ては儚げなところが私と同じですなんて言ってたのに、
皆さんと会ってからは桜も好きになったようで。」
二人で黙って生け花を見つめる。
「…ふう。なんだかしんみりとしてしまいました。糸色家の家風にしんみりという言葉は似合わないのですが。ところで…」
倫ちゃんが何か言いかけたその時
「二人ともここに居たのか。」
「あら、お兄様。女性だけの空間に入り込むだなんて無粋ですわよ。
まあ、よろしいですわ。お兄様にも関係のある話です。そこにお座りください。」

「突然ですが、お兄様は奈美さんの事をどうお思いなのです?」
「いや。もちろん…その…」
照れなのか、はっきりと言わず口ごもるその隙に倫ちゃんが私に話を振る。
「それでは奈美さんの方は?」
「え!!私!!…もちろん一番大切な人です。」
倫ちゃんは決まったと言わんばかりの表情に変わり、話を途中で切られ呆然とする命さんの方を見ながら
「ほほほ!!お兄様ったらかっこわるい!!女性にこんな事を先に言わせるだなんて、
どこまでかっこわるいのかしら!!」
「おまえが私の話を途中で遮ったのではないか!!」
「嫌だ嫌だ!!こんな無粋な兄を持つと!!」
…変わってない。根本的には全くこの子も変わっていない。
苦笑いする私の方を向き、真剣な顔で倫ちゃんは私に言った。
「奈美さん。こんな兄ですがどうかよろしくお願いしますね。」
420暗夜光路 D:2008/03/23(日) 03:16:42 ID:xZpmeFJM
参列客は帰ってしまった。あの二人も東京へ帰ってしまった。
この広い家に残るのは、使用人達とお父様・お母様・交と私だけ。
忙しい身のお父様とお母様はまた明日には仕事で旅立ってしまう。
「ふう。」
一人で居ると、またお兄様の事を思い出してしまう。
いつからだろう。兄として慕っていたはずなのに。いつのまにか…
でも私達は兄と妹。この思いは決して表に出してはいけない。気づかれてもいけない。
いずれはお兄様にも大事な人ができ、私も良き伴侶に出会いいずれはこの家から離れる。
それまでの私の中だけの思い…。その時まではと思い、お兄様の学校へと転入もした。
だけど…
「ひどいですわ。お兄様。急に居なくなってしまうなんて…心の整理もできないじゃありませんか…
本当に…ひどい人です。」
涙が頬を伝う。拭き取る事もせず私はじっと外を見る。綺麗な月。お兄様と一緒に見た月…
「お嬢様。お茶が入りました。」
部屋に時田を招き入れお茶を受け取りそっと口をつける。
時田が横でじっと月を見ている。
「どうしたの?」
「いえ。望坊ちゃんの事を思い出していたのです。坊ちゃんは、あの様に頼りなく見えましたが生まれついて
人の心を引きつける力を持ったお方でした。」
「…」
「暗闇でもぽつんと明るく光る。自然とその光を目印に人が集まる。ですが決して自分から前に出ようとしない。
…まるであの月のようなお方でした。」
「そうでしたわね。」
その言葉を最後に二人で黙って月を見つめる。
お兄様…これからも私達を見守っていてくださいな。
421暗夜光路 E(終):2008/03/23(日) 03:20:18 ID:xZpmeFJM
先生の法要が終わって、数ヶ月。
私達は再び風浦さんの元を訪れることとなった。
私から命さんにお願いしたことだけど…何故か命さんは乗り気ではない。
随分と渋られたが、私は何とか説得をし風浦さんの様子を見に行くこととなった。
以前と違う病院。前よりも随分と厳重な雰囲気が漂っている。

以前の病院でも見た名前の病室へと案内される。
命さんと一緒に、大学同期の砂丹という名前の先生が一緒という条件で、風浦さんのお見舞いは許可された。
小さな窓から中を覗く。私の目には風浦さんの姿は前と同じに見える。
だけど何かが違う。よく見ると目は最後に見た時よりも虚ろに見える。なにより大きく違うのは肌の色。
高校時代の霧ちゃんよりももっともっと白い肌になっている。長い入院のせいだけとは思えないような肌の色。
私の後で命さんはいつもの冷静さを失い、砂丹先生を問い詰める。
「おい。どういう事だ。あきらかにあの時よりも悪くなってるじゃないか。しかもあの肌の色はなんだ。
心の症状だけではなくなってるじゃないか。…まさか…お前本気で復讐なんて馬鹿なことを…」
そう命さんが問い詰めようとした瞬間、砂丹先生は命さんの胸倉を掴み後の壁に押しつける。
「俺を見くびるな!!そんな自分の感情のみで、患者に手を下すようなそんな医者だと、
お前は俺のことを思っているのか!!」
どういう事?あの時って?復讐って?患者に手を下すって?
「どういう事ですか?素人目に見ても風浦さんの様子はおかしいです!!何があったんですか!!」

守秘義務という事で詳細は語られなかったが、以前の病院で風浦さんは何か問題を起こしてしまったらしい。
それもあの事件と絡めると、無関係な第三者からの格好の餌食となってしまうほどの事だったらしい。
「随分と揉み消すのに苦労をしたよ。公になることは彼女の治療の邪魔にはなっても、
有益なことなど何一つ無いからね。」
「復讐というのは…」
「ああ…それか…選んだ言葉が悪かったが、彼女の…あえて『狂気』と言わせてもらうが、
それを封じ込め無事に外の世界に返すこと。それが私の彼女に対する復讐なんだよ…」
私は少し安心をし、小さな窓から中を覗く。
風浦さんと目が会ったような気がする。彼女の虚ろな目に一瞬光が射したような気がした。
私に向かって笑顔で何か言ってるように見える。私のこと解るのかしら…。
だが、その思いも…目の前で胸を押さえ床に倒れ込む風浦さん。
「風浦さん!!」私の口から飛び出す絶叫。顔色を変え病室に飛び込む砂丹先生。
ばたばたと駆け込む看護士さん達。
「すまない!!今日はこのまま帰ってくれ!!またこちらから連絡する!!」
私の目の前が暗くなる。足下がぐにゃぐにゃするような気がする…。
どうしたの風浦さん…どうなっちゃったの…。
422名無しさん@ピンキー:2008/03/23(日) 03:25:08 ID:xZpmeFJM
以上です。長々とお付き合いありがとうございました。

もったいぶった所で終わったようになりましたが、ここから先が今作っている途中でして。
とりあえず次回は、若干鬱スタートの予定ですのでちょうど良い切れ目のここで今回は
終わらしてもらいます。次回で私の話は終わる予定となっています。
423名無しさん@ピンキー:2008/03/23(日) 06:25:28 ID:t5pvTzAd
一番槍GJ
424名無しさん@ピンキー:2008/03/23(日) 09:16:17 ID:hSeL79x6
>>422
普通に良かったです。GJ!
425名無しさん@ピンキー:2008/03/23(日) 09:34:37 ID:FRyQd/Fg
架空のゲームプレイレポート風のSS投下します。
FF5Aを下敷きにしてみました。残念ながらエロは無し。

息抜き程度に鑑賞いただけたら幸いです。
426R.P.G 〜リリキュアGOGO!〜 1/7:2008/03/23(日) 09:35:30 ID:FRyQd/Fg
私の手元にあるのは、一台の携帯ゲーム機。無駄に豪華なCGもなければ、下手すればPCにも匹敵する
タッチペン機能とも無縁な、そろそろ旧式の部類にカテゴライズされそうな代物である。
長らく愛用したためだろうか、あるボタンは見るからに凹んでいて、押してもほとんど反発してこない。
そんなゲーム機で今回プレイするソフトは、『リリキュアGOGO!』。愛らしい女の子達が描かれた
ラベルが目を引く。
なぜこのゲームを購入したのかというと、つまりは不純な動機からなのだが――

後から考えれば――否その場で気付かない時点で人間としてアレだが――愚かな妄想だと解ってはいる。
子供を対象にしたゲーム機で、成人向けのソフトが製作されるなどありえない話だ。百歩譲ってそんな
暴挙に出るメーカーがあったとしても、ソフトは特定の販売コーナーに置かれるはず。あるいはパッケージに
自治体の注意ラベルが貼ってあって然るべきなのだ。
『リリキュアGOGO!』は、いずれにも当て嵌まらなかった。にも関わらず下心丸出しで買ってしまう人間

は、
よっぽどのアホかピュアハートの持ち主以外には存在しないだろう。
私が前者か後者かと問われたら、後者に位置すると今は強く信じたい。
揶いたければ揶うがいい。この際批判は甘んじて受けようではないか。

家に帰ると我にも返る。
がっ狩りとしては秀逸ではないかと自嘲しつつ、ソフトをゲーム機に装着して電源を入れた。
愚かな購入者を嘲るような、一種ギャルゲーを思わせるタイトル画面には、『はじめから』『つづきから』
『おまけ』のメッセージ。
迷わず『おまけ』にカーソルを合わせて決定する。その先にはモンスター図鑑とBGM集の他に
イベントムービーがあった。しかしその内容は、僅かばかり残っていた私の淡い期待を完全に粉砕する
硬派な代物だった。パンチラ一つありはしない。秀逸どころか、まさに最高のがっ狩りだ。
肩を落としてタイトル画面に戻り、今度は『つづきから』を選択。
カフカレベル99、最大HP9999の表示が、四段あるセーブデータの最上段で誇らしげに残されていた。
私が買ったのは中古ソフトである。以前の所有者が残したものだ。けれどもRPGでのレベル99なんて、
時間を掛ければ誰にでも可能なものである。
427R.P.G 〜リリキュアGOGO!〜 2/7:2008/03/23(日) 09:36:11 ID:FRyQd/Fg
それよりも私の注意を引いたのは、二段目に遺されていたデータだった。

カフカ :レベル2  HP66
メル  :レベル1  HP51
ふつう :レベル1  HP56
キッチリ:レベル4  HP105

極端に低いレベルのデータがなぜ残っているのだろう。しかもレベル1でない辺りが中途半端な印象を与える


途中で投げ出したのかという疑問を頭に浮かべながら、私はそのデータをロードしてみた。

暗黒の背景に、星らしき輝点がまばらに浮かんだステージが画面上に展開される。
その中央にはセーラー服に身を包んだ二頭身の女学生。
この女学生キャラがカフカ。先程開いたメニュー画面の上で名前を確認済みだ。
ここはどこだろう。茫洋とした宇宙空間を思わせる画面上に、彼女の他に目印になりそうな物は何も無い。
方向キーを使って二頭身のカフカを左に移動させてみる。目印がないので移動は一歩ずつ慎重に行なう。
何の前触れもなく画面が派手にスクロールした。モンスターとのエンカウントを告げているのだ、と直感的で

きた。
428R.P.G 〜リリキュアGOGO!〜 3/7:2008/03/23(日) 09:36:59 ID:FRyQd/Fg
二頭身のセーラー服たち四人が、素早く画面の右側に展開する。画面左には三匹のモンスター。
画面左下のウィンドウに表示された名前を確認して、私はそれが見間違いでない事を再度確かめた。

リピドー  :2
コッコむかし:1

何なんだこのモンスター達は――
などと製作者の命名センスを疑う暇もなく、『先制攻撃のチャンス!』というメッセージと共に
ふつうのコマンドウィンドウが素早く開く。

⇒たたかう
 しっぽ
 うたう
 アイテム

『たたかう』コマンドを選択し、次に現れたターゲットカーソルを前衛下段のリピドーに合わせる。
ふつうの攻撃はリピドーに対して120ダメージ。
攻撃を受けたリピドーが光る。画面上部には『風が吹いても反応する!』と表記されたメッセージ。
ふつうに1266ダメージ。ふつうはあっけなく倒れた。
――ちょっと待て、こいつら雑魚モンスターじゃないのか。
最大HPの20倍にも及ぶ被ダメージだなんて、マゾゲーマーがRPGツクールで妙な設定でもしない限り
有り得ない話だ。本当にここはレベル一桁で辿り着けるような場所なのか。
429R.P.G 〜リリキュアGOGO!〜 4/7:2008/03/23(日) 09:37:54 ID:FRyQd/Fg
戦闘はまだ続いている。次にコマンドが回ってきたのはメル。ウィンドウが素早く開く。

⇒たたかう
 まほう
 しっぽ
 アイテム

『たたかう』でダメージが通らない事を学習した私は、メルのコマンド上で『まほう』を選択する。
魔法一覧のコマンドが開く。
『デンパ1』『デンパ2』『デンパ3』――
迷わず強そうな『デンパ3』にカーソルを合わせ、決定ボタンを押そうとしたその時だった。
あからさまなエラー音が鳴る。選んだ魔法の隣に表示された数字は、どうやらMPの消費量らしい。
そして『デンパ3』の消費MPは38。対するメルの最大MPは5。
――使えねー魔法なんか、わざわざ手元に置いておくなよ。
仕方なく一番弱そうな『デンパ1』を選択。これでも一発しか撃てない。
ターゲットはふつうが攻撃した前衛下段のリピドー。案の定というか、リピドーのダメージはたった66。
ただし例のメッセージは現れず、恐怖の4桁ダメージも飛んで来ない。
これで『風が吹いても反応する!』が、『たたかう』に対するカウンターだという確信が持てた。
さもなくば味方の先制攻撃中にリピドーが動ける訳がないのだ。
次はキッチリの順。

⇒たたかう
 ぼくさつ
 そせい
 アイテム

当然『たたかう』以外のコマンドを念頭に置いて選択したコマンドは『ぼくさつ』。
『そせい』という手もあるのだろうが、この場でふつうを復活させるメリットが思い浮かばなかった。
どうせ一撃で死んでしまうキャラを復活させるより、他のキャラの攻撃能力を見ておきたい。
430R.P.G 〜リリキュアGOGO!〜 5/7:2008/03/23(日) 09:38:46 ID:FRyQd/Fg
ここでドラマが起こった。
キッチリがスコップらしき武器を振ると同時に、『血のエレメントアタック!』とメッセージが流れる。
なんと味方キャラの最大HP上限値と同じ、9999ダメージを叩き出してリピドーを一撃の元に葬ったのだ。
――ちょっと待て、なんでレベル4のキャラがアホみたいに高いダメージを記録するんだ。
ちなみに例のカウンターも発生しなかった。『ぼくさつ』が内部処理の都合で物理攻撃から外れるためか、
それとも撃破時にはカウンターが発動しない条件に設定されているのかは、この時点では判らない。
時の刻みは私だけのモノではない。瞬く間にカフカの順が回ってくる。コマンドオープン――

⇒たたかう
 うたう
 かくれる
 アイテム

ここは『うたう』を選択。すぐに『うたう』コマンドの選択画面が開かれる。

⇒あいのうた
 ひきこもりのうた
 しゅふのうた
 しっぽのうた
 ようせいのうた
 etc...

どこかで聞いたような名前だなと思いつつ、『あいのうた』を選んでみる。選んだ根拠は特にない。
絶対にない。愛とも藍とも絶対に関係がない。執拗いようだが、ないと言ったらないのだ。
ないはずの何かを期待すること1秒弱。
画面上でカフカが舞い、歌と思しきサウンドイフェクトが流れる。同時に画面上でメッセージが現れた。

♪突然死じゃないのよラヴは突然

私が驚いたのは、愛とも藍とも程遠いメッセージの内容ではない。『あいのうた』の意外な効果だった。
なんとカフカは残ったリピドーとコッコむかしに対し、4000強にも及ぶ大ダメージを与えたのだった。
――とこが愛の歌だ、破滅の歌の間違いじゃねーか。
431R.P.G 〜リリキュアGOGO!〜 6/7:2008/03/23(日) 09:39:46 ID:FRyQd/Fg
唖然とする私を無視するよようにゲームは進む。キッチリ、カフカに続いてコマンドが回ってきたのは、
既にMPの尽きたメル。
使えるコマンド持ちの二人に続いて、使えないキャラと来たか。期待を持たずにアイテムコマンドを選択。

⇒ちゃっかりさん :99
 ほうたい    :99
 あたらしいボディ:99
 こくそじょう  :11
 クリスタルひとし:06
 とうめいカツラ :99
 etc...

もう一々命名センスには突っ込むまい。『ちゃっかりさん』を選ぶと、ターゲットカーソルはリピドーを
狙った。どうやらこれは攻撃もしくは補助アイテムらしい。
という事でそのまま『ちゃっかりさん』を使用。メルから放たれた炎がリピドーを包み、2281ダメージ
与えて撃破してしまった。
――あれ倒しちゃった、もしかしてメルも使い様なのか。
残ったのはコッコむかし一匹だけ。これなら次のキッチリの攻撃で勝てるだろう。
キッチリのターン、迷う事なく『ぼくさつ』を選択。
大仰なクリティカルヒットのメッセージコマンドと共に与えたダメージはたった467。カウンターは無し。
『ぼくさつ』コマンドの9999ダメージは一定の確率で発動するのか、それとも有効な敵が限定されるのか。
前者ならばある程度覚悟して使う必要がある。後者ならば有効な相手を見極めるのが肝心だ。
次のカフカは『うたう』、ただし敵全体に大ダメージを叩き出した『あいのうた』ではなく、『ひきこもりのうた』を選択。
カフカが舞う。

♪あなただけが生きがい

続いて流れた『ぼうぎょUP』というメッセージと共に、倒れたふつうを除く全員が黄緑色に点滅する。
果たしてその効果はいかなるものか。次はメルかと思いきや、ここでコッコむかしが動いた。
432R.P.G 〜リリキュアGOGO!〜 7/7:2008/03/23(日) 09:40:21 ID:FRyQd/Fg
そう言えばずっと味方のターンだったかと今更気がついた。
敵が行動を開始するまで、各キャラに二回ずつコマンド入力できた計算になる。
――もしかしてこいつら、レベルの割りにメチャメチャ素早いのではないか。
コッコむかしの行動は『つよくはかないものたち』。カフカたち全体に対し、110あまりのダメージ。
恐ろしく低いレベルにも関わらず頑張ってきたカフカたちが、一人また一人と倒れていく。
最もHPの高いキッチリでさえ、この一撃には耐えきれなかった。

『パーティーは絶望した…』

――全滅じゃないのかよ。
マイナーな曲調のBGMと共に流れるユニークなメッセージに毒突きながらも、私はある確信を抱いていた。
この低レベルであんな強敵でさえ、あと一歩で撃破できる所まで漕ぎ着けたのだ。ふつうの最初のコマンドで
『たたかう』を選ばなければ、今回エンカウントした敵を殲滅できたに違いない。
たとえレベルが低かろうが、ユニットの能力を最大限に活用すればどんな敵でも倒せるはず。
基本的にRPGというのは、レベルを上げて敵に挑む限り、誰でもクリアできるように設計されている。
しかし低レベルでゲームクリアを目指すのならば、プレイヤーの知識や技量をかなり問われる事になる。
このセーブデータを残したプレイヤーは、それをやり遂げたのだ。それも極端に低いレベルを保ったままで。

面白い。私も挑戦してみようではないか。
もう一度ロード画面を開く。最初は見逃していたが、セーブ情報の一角に現在位置が表示されている。
『うちゅうのしんり 13かい』
いかにもラスダンらしい命名ではないか。しかも13階ということは、すぐ先にラスボスが待機している可能

性は高い。
このデータでラスボス撃破と行ってみよう。少し考えれば私にも出来るはずだ。

その後私は数時間セーブ&ロードを繰り返した。
カフカ達が持つ能力を把握したり、ボスの下へと辿り着く安全な経路を真っ暗な画面の中で調べたり、
どのアイテムがどの敵に有効なのか、とんなコマンドを誰に付けると有効なのか頭を悩ませ、
最後はラスボスである仮面教師ゼツボウに二十回以上挑戦して撃破成功と相成ったのだが。
それはまた別の話という事で――
433名無しさん@ピンキー:2008/03/23(日) 12:15:56 ID:yntJShs1
ん…まぁ…
434名無しさん@ピンキー:2008/03/23(日) 17:40:33 ID:1JvgJ5fd
…アリじゃね?
435名無しさん@ピンキー:2008/03/23(日) 18:12:15 ID:cdCRN/Lr
アリ……かなぁ?
436名無しさん@ピンキー:2008/03/23(日) 18:12:49 ID:/Qb4Od/D
アリアリアリアリアリ
437名無しさん@ピンキー:2008/03/23(日) 18:46:01 ID:yntJShs1
アリ…ですかね
438名無しさん@ピンキー:2008/03/23(日) 19:11:14 ID:71sSOn8r
>>425に限らず注意書きすればエロなしでもいいってわけじゃないぞ
完全に拒絶ってわけでもないがその場の流れ次第だと思う
439名無しさん@ピンキー:2008/03/23(日) 19:33:23 ID:Iu91QVnQ
つまりエロ大歓迎ってことですね、分かります。
440名無しさん@ピンキー:2008/03/23(日) 19:44:16 ID:C5Q5LuYi
エロパロなんだからあんまエロなしが続くとおちんちんが爆発するって意味ですよ
441名無しさん@ピンキー:2008/03/23(日) 21:18:15 ID:71sSOn8r
つまり俺のおちんちんざうるすがやばいことになってるから
早く助けてほしいという意味でござるござるござる
442名無しさん@ピンキー:2008/03/23(日) 23:08:40 ID:Iu91QVnQ
おちんちん爆発オチですか?
443エロ無しさん@ピンキー:2008/03/23(日) 23:44:45 ID:h0z5H4ht
エロ無しさんは一体何処に行ったらいいのでしょう?
場があったとしても存続が難しそうなのでここの傘下に参加させて下さいよ。
444名無しさん@ピンキー:2008/03/24(月) 00:19:14 ID:kD2d7ZLK
>>443
上手いこと言ったつもりですか!?

俺的にはエロくなくても面白ければ全然おk
445名無しさん@ピンキー:2008/03/24(月) 01:34:04 ID:+NvlwYaW
花束の続きが気になって仕方ない
446名無しさん@ピンキー:2008/03/24(月) 02:29:02 ID:sggFAyY5
子孫繁栄を願う糸色家のイベント
『糸色家種付ケノ儀』

今、そんな内容の夢を見た。
絶望先生が倫様に飛び掛かった所で目が覚めた。悔しい。
447名無しさん@ピンキー:2008/03/24(月) 03:36:13 ID:g/URRFbI
>>445
すいませんすいません週末投下しようと思ったのに間に合いませんでしたすいません!遅筆ですいません!
1、2日中には投下します、私のような者をせっかく気にしてくださってるのにお気持ちに応えられなくてすいません!
448名無しさん@ピンキー:2008/03/24(月) 05:04:43 ID:IiHiCB+G
>>307に書いてあるSSを調べて読んだら号泣してしまった
やっぱり望×可符香は良い
449名無しさん@ピンキー:2008/03/24(月) 08:09:24 ID:hR2dKCtW
皆が話すもんだから必死こいて探してきた。
設定上手すぎわろた。
そして泣いた。

最後に希望をくれた作者にありがとうって言いたい。
450名無しさん@ピンキー:2008/03/24(月) 09:06:18 ID:S/eE0/9R
保管庫から消えて逆に話題に…
これなんて焼け太り?
451名無しさん@ピンキー:2008/03/24(月) 09:50:38 ID:qbijlAA8
良い作品だからこそ太りもするのさ
452名無しさん@ピンキー:2008/03/24(月) 16:43:59 ID:6ZUNSLz0
作者本人の希望で保管庫から消したんだから
「焼け」てはいないけどな
453名無しさん@ピンキー:2008/03/24(月) 17:27:20 ID:IXnrCbt8
だな。
とりあえず、>>446の倫様SSに期待するとしようか。
454名無しさん@ピンキー:2008/03/24(月) 17:41:00 ID:ZggAaNK4
種散ノ儀(たねちらしのぎ)
のコピペ思い出して吹いたww
455名無しさん@ピンキー:2008/03/24(月) 23:10:06 ID:7lqxbWHH
ここのスレでは、フタナリはありですか?
456名無しさん@ピンキー:2008/03/24(月) 23:20:21 ID:UHrW76/F
アリアリ
457名無しさん@ピンキー:2008/03/24(月) 23:32:39 ID:+NvlwYaW
続きまだー
未完とかになったら発狂死しちゃうよ
458名無しさん@ピンキー:2008/03/24(月) 23:55:05 ID:0Zpq0Qbg
絶景投下します
459絶景×ゆか:2008/03/24(月) 23:57:09 ID:0Zpq0Qbg
穴の空いた壁に絶棒を突っ込み景は叫んだ。
「絶棒した!」
ゆかと合体できたことに...
460名無しさん@ピンキー:2008/03/24(月) 23:58:04 ID:7lqxbWHH
>>456
じゃあ数日後に投下させていただきます
461その花束に絶望を:2008/03/25(火) 04:17:08 ID:gwQw7SsW
お久しぶりです、ちょっと日数空いてしまいました。
言い訳はあとでします。では、早速注意事項の方をば。

・絶命先生が鬼畜です
・陵辱とかあります

・今回は多少、百合的な要素もあるようなないような

それでは。よろしければお付き合いくださいませ。
462その花束に絶望を karte08-09 (1/11):2008/03/25(火) 04:18:31 ID:gwQw7SsW
『私、好きなものにいじわるしたくなるんです。』

私の性格は、歪んでいるのかも知れない。
「さて。さきほどは有難う、だいぶ、君の性格が掴めて来た。」
けど、それって………そういう歪みがあるのって、きっと、私だけじゃないはず。
「証拠過多………ねぇ。怖ろしいものだよ、先入観というのは………君の場合は、特に性質が悪い。」
そういう、気持ちって………誰の心の中にも、少しくらいはあるものでしょう?
「まぁ、非があるのは君自身ではないがね。周囲の人間が、勝手にそう思い込んでしまうだけだ。」
だから………もしかして、って思う。もしかすると、ひょっとして、万が一………この人も、そうなんだとしたら。
「だが、君自身が1番よく解かっているように………君の本質は、到ってシンプルで素直なものだ。」
こうして、私にいじわるをしているこの人は………まさか、私が好きなんじゃないか。そう、思ってしまう。
「見た目通りの、嗜虐性。それは、愛情表現の際にまで及ぶ………言っちゃ悪いが、かなりの重症だな。」
私、糸色先生のことは好きだけど………いや、確かに、この人も『糸色先生』なんだけれど………そんなの、困る。
「いや、気に入った。その歳で、それほどまでの資質を備えているとは。親近感すら感じるよ。」
気に入った、なんて言われても、困る。そりゃぁ………正直、嫌な気は、しないけれど。
「そこで………どうだろう。1つ、提案なんだが………。」
………なんだろう。何を、求められているんだろう。
「君に、危害は加えない。その代わり………その資質、私に、育てさせてはくれないかな?」
どうやらこの人は、私に、悪くない感情を抱いてくれているらしい。
ただ、こんな所に閉じ込めてみたり、かと思ったら親しげにいろんなことを尋ねてきたり。気に入った、と言って
みたり、かと思ったら危害なんて言葉を使って脅してみたり。先生の感情表現はどうも、複雑で、面倒臭いみたい。

そして。
先生の、そんな所に………面倒だからこの際、先生、と呼んでしまうことにしよう………なんだか私も、親近感の
ようなものを、感じていた。
私の心も………複雑で、面倒臭いから。そう、自覚してるから。

………私は、先生を信用してみることにした。なんだか、仲間が見つかったような気がして嬉しかった。
「そうか、そう言ってくれると、こちらとしても嬉しいよ。余り………君が痛めつけられる姿は、見たくない。」
私が頷いたのを見て、先生が言う。やっぱり、言葉にはどこかチクリとするような怖さがあるけれど………それが、
自分と先生が似ている、っていう感覚を強くさせていく。
そう考えているうちに、先生が、部屋の外から誰かを呼んだ。すぐに、看護婦の格好をした女の人が部屋に入って
きた。綺麗な人だな、と思ったけれど………その人の眼を見て、私は少し、背筋が寒くなった気がした。
「この間話したあの娘だ、さっき軽く性格診断をしてみたが………間違いない、と思うよ。」
「あら本当、可愛い娘ですね………それに、良い眼をしてます。見た目通りの素質、ってことですか。」
また、言われた。素質素質って、私、そんなに人に褒められるような特別な所なんてあったっけ。少し、照れる。
「じゃぁ………詳しくは、彼女に教わってくれ。」
「よろしくね、ええと………?」
「………ああ、三珠真夜、さんだ。」
「真夜ちゃんね。それじゃ………着いて来てくれる?」
あれ、先生と一緒じゃないんだ………って、ちょっと残念がってしまった自分が、少し後ろめたかった。糸色先生
一筋、っていう他の女の子達みたいに熱烈なアタックは出来ないけれど………ちょっとやそっとじゃ揺るがない、
っていう自信は、あったんだけどな。
それと、やっぱり………この看護婦さんと2人きり、というのが、やっぱり少し怖かった。理由は、口では上手く
説明できないけれど。
「安心しなさい、彼女の腕は、私が保証するよ。」
私、別に病気でも何でもないはずなんだけれど………一体、何の腕を保証してくれてるんだろう。
そうこう考えているうちに、私は看護婦さんに導かれて、部屋を出る。去り際振り返ると、先生が、片手を上げて
私に挨拶してくれた。ちょっとだけ胸がドキッとして、また、ちょっと後ろめたくなった。
463その花束に絶望を karte08-09 (2/11):2008/03/25(火) 04:19:10 ID:gwQw7SsW

薄暗い廊下を、看護婦さんの背中を追って進んでいく。あの部屋に誘い込まれたとき階段を下ったから、ここが
地下だってことは解かってる。窓が1つも見当たらないのも、こんなに静かなのも、空気がひんやりしてるのも、
全部そのせいだろう。
「でも、本当に嬉しいわ。あなたみたいな、可愛い娘が来てくれて。」
看護婦さんの言葉に、思わず耳が熱くなる。こんな悪そうな女の子が本当に悪いわけがない、ってよく言われる
けど、それはつまり外見は見るからに悪そう、ってこと。そんな素直な、可愛い、って言葉なんて………もう長い
間、言われたことがない。
「先生のお眼鏡に適ったんですもの、素質は確かなはずよね。楽しみだわ、仲良くしましょうね!」
そう言って、看護婦さんがウインクする。それを見て私は、ほんの少しだけ胸に残っていた苦手意識が、薄れるの
を感じた。さっきの怖い感じは、ただの気のせいだったのかも知れない。
けど………やっぱりまた、言ってるけれど。素質、ってなんのことなんだろう。
「私、今までいろんな人達の相手をしてきたけれど………こうして後輩を育てるのって、実は初めてなのよね。」
いろんな患者さんの相手をしてきた、ってことを言っているんだろうか。
………いや、待って。今………?
「………ふふ、ふ………本当、楽しみだわぁ………。」
後輩、って言った?私………看護婦さんの、後輩になるの?
なんで?私、お医者さんや看護婦さんの勉強なんて1回もしたことないのに?
「さて、と。それじゃ………まずは、『みんな』をご紹介しておきましょうかね。」
そうこう考えているうちに、今度は、鍵が掛かった鉄の扉の前に辿り着いた。
………この南京錠、いいなぁ。先生の首にぶら下げたら、似合いそうだなぁ………。
と、またそんな余計なことを考えているうちに………看護婦さんがドアを開ける。ギギギ、と耳障りな音を立てて、
ドアが軋んで向こう側へと開かれる。廊下よりももっと暗くて、中の様子が見えないその部屋に、慣れた様子で
踏み込んでいく看護婦さんの背中に付いて入っていく。
「じゃ、紹介するわね。」
看護婦さんが壁際を手で探って、すぐに、カチ、と小さな音がした。暗かった部屋に蛍光灯の灯りが点って、一瞬
だけ眼の前が真っ白になる。暗闇の中の急な光に、だんだんと眼が慣れていって、そして………。

「じゃぁこれから、私達と………この子達と、仲良くしましょうね?」
私は、そこに居た、大勢のそれを見て………ビクリ、と体を硬直させた。

並べられ、あるいは重ねられた、黒くて頑丈そうで冷たそうで背の低い………鉄の、檻の中。
いくつもの瞳が、一斉に、その視線を私に向ける。
そこに、首輪をはめられ、太い鎖で繋がれ、そして、他には何も身に着けないまま裸で収まっている………その
『人達』の姿を見て。私は、ぞぞぞ、と背中に嫌な感覚を覚えた。

入り口で固まっている私の眼の前に歩いて来た、看護婦さんが………にこり、と、怖ろしい笑顔を見せる。
「それじゃぁ、まずは………その服を、なんとかしましょうか。ここに居る以上、そんな格好、許さないわよ。」
私の脚が、後退りをするより先に………私は腕を引かれて、その部屋に引き摺り込まれていた。


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464その花束に絶望を karte08-09 (3/11):2008/03/25(火) 04:19:43 ID:gwQw7SsW
最近………教室が、やけに静かに感じられることがある。
その理由を、考えていたら………最近、糸色先生やクラスメイトの友達が巻き起こす出来事に巻き込まれることが、
少なくなったような気がすることに、気がついた。
………ああ、私ったら一方的に皆のことを『友達』だなんて!相手は、そう思っていないかも知れないのに!
すいません、勝手に友好的な感情を抱いて!ろくに話したこともないのに気持ち悪いですよね、本当にすいません!
………それは、ともかく………最近教室が静かになった、というのは、確かなことだと思う。何より、教室に居る
クラスメイトの人数が、少しずつだけれど、減っている気がする。
木村さんや日塔さんは、少し学校を休みがちになった気がする。ああ、すいません、心の中で勝手に出欠チェック
なんてしてすいません。
いつも教卓の下に居た常月さんも、この間の『あの事件』以来、顔を見ていない。ああ、すいません、人のあんな
恥ずかしい思い出を、すぐに忘れて差し上げることが出来なくてすいません。
糸色さん………妹の倫さんの方も、最近、糸色先生と2人きりで話し込むことが多くなった。ああ、すいません、
ご家族の大事なお話をしているんでしょうに、私のような部外者がそんなことを気にしてすいません。
それから最近は………三珠さんの姿も、見かけなくなった気がする。ああ、すいません、ええと………とにかく、
すいません。
………とにかく、そんなわけで………最近めっきり、皆と一緒にドタバタと慌てるようなことが、少なくなった。
「(………けど、やっぱりなんだか………少し、寂しいな………。)」
最近、こうして心の中で独り言を呟くことも、多くなった気がする。
この間までのような、ドタバタしている空気も………正直な話、私は好きだった。物心付いた頃からずっと、他の
人に悪い影響を与えないように、人から離れて生きてきた私を………無理矢理に巻き込んで、滅茶苦茶に振り回す
ような、あの教室の、先生の、クラスメイト達の空気が。
ああ、すいません本当にすいません!糸色先生も、毎回ご苦労なさっていたでしょうに!少しでも楽しんでしまい、
本当に、申し訳ございません!
というかもしかして………私が何か、皆さんを不快にさせるような言動をしでかしてしまったんでしょうか。それ
で、皆さんこうして距離を置くようになってしまったんでしょうか。
ああ、だとしたら私は、取り返しの付かないなんて怖ろしいことを!そうですよね、きっと私が悪いんですよね!
きっと私が、皆さんの空気を悪くしてしまったんですよね!すいません、本当にすいません!
「………はぁぁぁ………。」
帰りしな、いつも通りにそんなことを徒然と考えてしまう。
その申し訳無さと、自分の思考の情けなさに………今日何度目かの、溜息が漏れた。

そして、その、直後。
「やぁ、望のクラスの………加賀さん、だったかな?」
私の背中に、誰かが、そうして声を掛けた。


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465その花束に絶望を karte08-09 (5/11):2008/03/25(火) 04:20:54 ID:gwQw7SsW


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また、数日経って。私はもう………少し前の自分が思い出せないくらい、その新しい感覚と意識に馴染んでいた。
「それじゃ………今日はいよいよ、本当の実践訓練ね。」
看護婦さん………ではない。私の『先輩』が、そう言って微笑む。初めは怖いようにも思えたその微笑も、こう
してこの快感に溺れてしまい、もう、自分がそれを浮かべる側になってしまった。
「大丈夫、独りじゃないわ。私が、傍についていてあげる。」
そう言って先輩は自分と同じ、全て黒で統一された、革で造られた露出度の高い水着のような服と、やはり革製の
ハイヒールのブーツと、肘まである革手袋と、顔の半分を隠すマスク………そういえば前に、智恵先生がこんな
格好をしていたのを見たことがある気がする………を身に着けた私の肩を、ぽん、と優しく叩いてくれた。
緊張が、少しだけ、解れる。

あの日から………私は、いわゆる『女王様』として、先輩に、特殊な趣味のある人間の調教法を教育されてきた。

首輪と鎖に繋がれ、裸で檻に入れられた………そして、それを快感に感じている、あるいはその資質のある人間
達。あの日初めてここに入ったときは、その視線を一身に受けると、全身がすくみあがるような思いだったけれど
………先輩の丁寧な教育のお陰もあって、今ではすっかり、この環境に慣れてしまった。
あの日、『とりあえずは形から』と言われて着せられた、この服。これだって、こんな格好でたくさんの人の視線
に晒されるのは恥ずかしくて堪らなかったはずなのに………こうしていることが、普通になってしまった。

他人を痛めつける、ということにも………それで相手が悦ぶ、といくら言われても、初めは抵抗があった。鞭が
人の肌に叩き付けられる音、身体を拘束された人達の叫び声、呻き声………今では考えられないが、初めはそれ
を聞くだけで、両耳を塞いで眼を背けてしまいたくなった。
けれど………先輩は、言ってくれた。
『抵抗があるなら、まずは「命令されて無理矢理やらされている」と考えて、自分を納得させなさい。』
その言葉の効果は、絶大だった。人の身体を殴り、打ち、締め上げて、痛めつける………その罪悪感も、自分の
行動が人に無理強いされているんだと考えると、少しずつ薄れていった。そうして、だんだんと感覚が麻痺して、
過激な調教にも手を出せるようになって………今ではもう、すっかり調教という行為の虜になってしまった。

私は別に、暴力自体に魅力を感じているわけじゃない。誰かの苦しそうな顔が見たいわけでもない。
この役目の、魅力は………もっと、別の所にあった。
私に殴られた人達が、一瞬、痛みに顔をしかめて………すぐに、もっと、もっとと、子供の様に同じことを、更に
痛いことを催促してくる。痛めつければ痛めつける程、もっと激しい仕打ちを求めてくるようになる。自分のその
行動が、心の底から、求められている………その感覚が、堪らない。
もっと、強く殴ってください。激しく踏んでください。きつく締めてください。口汚く罵ってください………は、
私は無口だから言われないけれど。そう求められる度に、私は、私の身体の奥の方に………何か、熱いものが
湧き上がってくるのを感じるようになった。
レッスンの後、着替えるとき………自分の大切な部分の変化に気付いて、私は、その熱いものがなんだったのかを
知った。初めて、それに気付いた夜は………堪らず、自分のしたこと、言われたことを思い出しながら、ベッド
の中で何度も何度も自分を慰めてしまった。自分の頭がおかしくなっちゃったんじゃないかって、ほんの少しだけ
怖かったのを覚えてる………いや、実際、私は気が変になっているのかも知れない。
………もう、それでも構わないけれど。

とにかく、そうして私は先輩の指導の下、たくさんの人達で実践を重ねながら、この道を進んできた。
けれど、今までの調教は全て………先生と先輩が、ある程度マゾヒストの素質を開花させてくれた誰かが、相手
だった。私が来たときにはもう、いろいろなことを期待しているような人ばかりだった。男の人も、女の人も。
あれから………もう、数日が経った。
「真夜ちゃん………調教には、そろそろ慣れてきた?」
隣で、あくまでも優しい声でそう言った看護婦さんの言葉に、私は1度こくりと頷いて………頷いてから、自分が
それを無意識のうちに認めてしまったことに気がついた。
自分でも気付かない間に、そういう意識、というか、自分の中の普通の感覚が、書き換えられていっている気が
する………それにあまり不安や恐怖を感じないのも、この看護婦さんの所為なのかも知れない。初めて出会った
ときに感じた嫌な感じは、きっとこういうことだったんだ、と今更になって実感する。もう、その嫌な感じがどう
いうものだったのかも、思い出すことが出来ないけれど。
「もう、この快感の虜になっちゃったかしら。その調子なら、もうすぐ………一流に、なれるわね。」
看護婦さんが、愛おしそうな、本当に寒気がするくらいに熱の篭った愛おしそうな眼で、私を見る。まるで、獲物
かなにかになったような気分で、私は身体を緊張させた。
「あなたみたいな可愛い娘を、私色に染められるなんて………先生には、いくら感謝してもしきれないわ………。」
頬擦りをしてきそうなくらいに顔を寄せて、看護婦さんが言う。

いや………。
「それじゃぁ………いつもの格好に、お着替えしましょうか?」
もう、私は………この人を、『看護婦さん』と呼んでは、いけないのかも知れない。


//////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////


「あ、あああ、の、あ、あ、あの、あの………っ。」
突然のことに、上手く声が出てこない。
「そう、怖がらないでくれ。やりにくくて適わん。」
「ああ、すいませんすいません!勝手にいろいろ想像して怖がって、すいません!」
「………や、冗談だよ。仕方ないさ、怖がらせるようなことをしてるのは、こっちだからね。」
「あああ、すいません、冗談に気付ける余裕も無くてすいません!」
「………ただ、そう謝り倒すのは本当に勘弁して欲しいな。会話に、支障が出るレベルだろう。」
「ああああ、すいま………。」
「だから、ねぇ。」
「………すっ………っっっ。」
先生に………糸色先生のお兄さん、糸色命先生に言われて、私はようやく、自分のくちから勝手にどんどん飛び
出していく謝罪の言葉を、塞き止めることができた。厄介な性分で、本当にすいません………。
ただ………本当に、怖い。どうして………こんな地下室で、後ろ手に手錠を掛けられたまま、椅子に座らされて
いるんだろう。まるで、悪役に攫われた映画の中のヒロイン………ああ、私みたいな貧相な顔と身体で、そんな
あつかましい喩えをしてすいません!私なんか、通行人A役だって身に余るくらいで………。
「………頭の中で謝るのも、止めたまえ。」
「え!?せ、先生、まさかそんな力が………ああ、こんな汚れた頭の中を覗かせてしまってすいません!」
「いや、そうじゃなくてだな………顔に、もろに出るタイプだろう。君は。」
「え?あ、ああっ!漫画や小説やアニメの見過ぎですいません、妄想が過ぎて本当にすいません!!」
「………まぁ………もう、いい。とにかく………質問に、移ってもいいかな?」
………さっき塞き止めたと思ったら、こうも簡単にさっきに逆戻りしちゃうだなんて。本当に馬鹿みたい………
本当にご迷惑をおかけします………ああ、だからこうして頭の中でも謝っちゃうのが………。
「まぁ、軽い性格診断のようなものだ………君の本質を見抜く為の、ね。」
ああ、今度は気にせずに話を続けてくれた。いいんです、その方が………私の妙な癖に構って頂いていたんじゃ、
いつまで経ってもご用事が済みませんもんね、本当にすみません………ああっ、今のは駄洒落じゃないんです、
紛らわしい独り言ですいません、例えそれが頭の中でもすいません………。

と。また、頭の中で際限なく謝罪の言葉を述べているうちに………先生が、話を始める。
「それじゃぁ、まず………君は、君自身の性格についてどう思うかを………。」
ペンを片手に、こんな状況とは裏腹な親しげな様子で話しかけてくる先生に、少し困惑しながらも………私は、
先生の投げ掛ける質問に、答えていった。
  

//////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////


また、数日経って。私はもう………少し前の自分が思い出せないくらい、その新しい感覚と意識に馴染んでいた。
「それじゃ………今日はいよいよ、本当の実践訓練ね。」
看護婦さん………ではない。私の『先輩』が、そう言って微笑む。初めは怖いようにも思えたその微笑も、こう
してこの快感に溺れてしまい、もう、自分がそれを浮かべる側になってしまった。
「大丈夫、独りじゃないわ。私が、傍についていてあげる。」
そう言って先輩は自分と同じ、全て黒で統一された、革で造られた露出度の高い水着のような服と、やはり革製の
ハイヒールのブーツと、肘まである革手袋と、顔の半分を隠すマスク………そういえば前に、智恵先生がこんな
格好をしていたのを見たことがある気がする………を身に着けた私の肩を、ぽん、と優しく叩いてくれた。
緊張が、少しだけ、解れる。

あの日から………私は、いわゆる『女王様』として、先輩に、特殊な趣味のある人間の調教法を教育されてきた。

首輪と鎖に繋がれ、裸で檻に入れられた………そして、それを快感に感じている、あるいはその資質のある人間
達。あの日初めてここに入ったときは、その視線を一身に受けると、全身がすくみあがるような思いだったけれど
………先輩の丁寧な教育のお陰もあって、今ではすっかり、この環境に慣れてしまった。
あの日、『とりあえずは形から』と言われて着せられた、この服。これだって、こんな格好でたくさんの人の視線
に晒されるのは恥ずかしくて堪らなかったはずなのに………こうしていることが、普通になってしまった。

他人を痛めつける、ということにも………それで相手が悦ぶ、といくら言われても、初めは抵抗があった。鞭が
人の肌に叩き付けられる音、身体を拘束された人達の叫び声、呻き声………今では考えられないが、初めはそれ
を聞くだけで、両耳を塞いで眼を背けてしまいたくなった。
けれど………先輩は、言ってくれた。
『抵抗があるなら、まずは「命令されて無理矢理やらされている」と考えて、自分を納得させなさい。』
その言葉の効果は、絶大だった。人の身体を殴り、打ち、締め上げて、痛めつける………その罪悪感も、自分の
行動が人に無理強いされているんだと考えると、少しずつ薄れていった。そうして、だんだんと感覚が麻痺して、
過激な調教にも手を出せるようになって………今ではもう、すっかり調教という行為の虜になってしまった。

私は別に、暴力自体に魅力を感じているわけじゃない。誰かの苦しそうな顔が見たいわけでもない。
この役目の、魅力は………もっと、別の所にあった。
私に殴られた人達が、一瞬、痛みに顔をしかめて………すぐに、もっと、もっとと、子供の様に同じことを、更に
痛いことを催促してくる。痛めつければ痛めつける程、もっと激しい仕打ちを求めてくるようになる。自分のその
行動が、心の底から、求められている………その感覚が、堪らない。
もっと、強く殴ってください。激しく踏んでください。きつく締めてください。口汚く罵ってください………は、
私は無口だから言われないけれど。そう求められる度に、私は、私の身体の奥の方に………何か、熱いものが
湧き上がってくるのを感じるようになった。
レッスンの後、着替えるとき………自分の大切な部分の変化に気付いて、私は、その熱いものがなんだったのかを
知った。初めて、それに気付いた夜は………堪らず、自分のしたこと、言われたことを思い出しながら、ベッド
の中で何度も何度も自分を慰めてしまった。自分の頭がおかしくなっちゃったんじゃないかって、ほんの少しだけ
怖かったのを覚えてる………いや、実際、私は気が変になっているのかも知れない。
………もう、それでも構わないけれど。

とにかく、そうして私は先輩の指導の下、たくさんの人達で実践を重ねながら、この道を進んできた。
けれど、今までの調教は全て………先生と先輩が、ある程度マゾヒストの素質を開花させてくれた誰かが、相手
だった。私が来たときにはもう、いろいろなことを期待しているような人ばかりだった。男の人も、女の人も。
468その花束に絶望を karte08-09 (6/11):2008/03/25(火) 04:24:28 ID:gwQw7SsW

けれど。今日は違う、今日は………先輩の言う通り、本当の、実践訓練。最後の、関門。
今から、私は………資質だけはあるけれど、自分の中のマゾヒストとしての才能に全く気付いていない人を相手
に、調教をする。もちろん、先輩もサポートしてくれるけれど………まだまっさらな誰かをそういう風に染めて
いくのは、初めての経験だ。相手は………なんと、同年代の、女の子らしい。
期待と不安が、入り混じる。先輩も私を見て『私色に染められるなんて』とうっとりした表情で言っていた。
今回は立場が少し違うけれど………私も、同じようなことを思っている。

このドアを出て、先生の所に行けば………そのときが、やって来る。
「ミスを恐れちゃダメ。思いっきり、可愛がってあげるのよ………いいわね、真夜ちゃん?」
私は、鞭を片手にこくりと頷いて………縄の束を持って部屋を出た先輩の後に、続いた。


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………さっきにも増して、上手く声が出てこない。
「おめでとう、思ったとおりだ。発現はしていないが、真性のマゾヒストだよ、君は。」
「ぇ………えぇ!?えっ、な、何、を………ッ!?」
いきなり、そんなことを言われて………動揺しない方が、どうかしている。これは普通の感覚ですよね、今回は
さすがの私も、謝らなくてもいいですよね………?
「度を越えた、加害妄想。しかし、君のそれは実は………『被虐願望』の、現われなんだよ。」
「ひ、ぎゃく………って………?」
「些細なことでも謝ってしまうのは………相手に、叱って貰いたいから。罵られることを、望んでいるからだ。」
「え………そ、そんな、急に、あの、そんなこと言われても………わ、私………っ?」
「勝手に謝罪することで、相手に非難されている状況を疑似体験している。正直………かなり、病んでいるよ。」
先生は淀みない口調で、すらすらとそんなことを説明してくれた。そう言われても、私には、自分のこの癖が一体
どんな意味を持っているのか、すぐに理解することが出来なかった。
本当は、罵られたい?だから、その状況を疑似体験している?
病んでる、というのは………自分でもこの癖は病的なものだと思うし、確かに少し納得できてしまう部分もある
けれど………それにしたって、本当に、私はそんなことを考えているんだろうか。………ああ、お医者さんの先生
が言うことに、私のような素人が疑いの眼を向けるなんて、本当はとんでもないことなんですけれど………。
「………とは言っても、まだ、自分では気付いていないようだな。まぁ、深層心理のことだ、無理も無いか。」
先生は、私の頭の中を見透かすように、そう言う。その言葉の通りだった、私は、自分の癖にそんなことが関係
しているだなんて、生まれてから1度も考えたこともなかったんだから。
「………すいません………。」
また、反射的に謝ってしまう。先生は、1度解かりやすく肩をすくめた後………私の眼を見て、言う。
「それで、だ。どうしたら、そのことを解かって貰えるか、と考えてみると………。」
「………は、はい………?」
「やはり………身体で実感するのが、1番だと思うんだ。違うかい?」
私は先生の言葉の意味が解からず、ぽかん、と口を開ける。違うかい、なんて言われても………ああ、私の頭の
出来が悪いからすぐに理解できないんですよね、ご迷惑お掛けして本当にすいません………。
と、また頭の中で謝っているうちに。先生が、立ち上がって………私の隣に、歩いてくる。
「………さて。それでは………。」
「あ、の………それでは、って、何を………?」
「いや、何………君の本質に気付かせてくれる、その人の所に案内しよう、というだけさ。さ、立って。」
先生は私の腕を掴んで、椅子の上にへたり込むようにして座っていた私を無理矢理立ち上がらせた。後ろでに手錠
を掛けられているから、バランスが取りづらい。なんだか、肩も痛くなってきた。
「実はもう、すぐ隣の部屋に居るんだ。」
「え、あの………気付かせてくれるって、どういう………?」
「行けば解かる。それに、別に不安になることはないよ、なにせ………。」
なんだか、怖いけれど………とにかく、先生に付いて行く以外に選択肢は無いらしい。そのことを悟って、すぐに
歩き出した先生の後に続いた私は………。
469名無しさん@ピンキー:2008/03/25(火) 04:34:21 ID:HHQ28woz
携帯から失礼します

連続投稿規制に引っ掛かりました。絶望した。
昼間に続き投下しに来ます・・・・・・(泣)
470名無しさん@ピンキー:2008/03/25(火) 08:31:33 ID:5vecksJs
待ってるよー。

保管庫の先生×まといのエロ無しSSでのまといが可愛すぎて泣けてくる。
471名無しさん@ピンキー:2008/03/25(火) 10:17:47 ID:fwScIw5O
正座して待ってます。
472その花束に絶望を:2008/03/25(火) 13:11:49 ID:gwQw7SsW
昨日は誤爆&中断申し訳ありませんでした。
続き投下します。注意事項は>>461参照。
473その花束に絶望を karte08-09 (7/11):2008/03/25(火) 13:12:51 ID:gwQw7SsW
  
「君も………よく知っている、人だからね。」
「………え………?」

先生が小さくそう呟くのを、聞いた。


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こっ、こつ、こつこつ、こつ。
2人分が混じって、不規則に聞こえるその足音が、近づいてくる。

………獲物が近づく、その気配に………全身が、震える。

そして。

「お待たせ………連れて来たよ。」

そのドアが、軋んだ音を立てて、開かれて………。


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開いたドアの先、その人影を見て………私は、おや、と思った。
私と同じような、背格好………ああ、私なんかと比べられたら迷惑でしょうけれど………。
そして、どこかで見たことがある………いや、何度も見慣れているものと同じ、その、髪型。
「………ぇ、っ………?」
喉の奥から、一瞬だけ、蚊の鳴くような声が出る。
そして………私の視線の先のその人が、立ち上がって、振り向いて………。

眼が合った、瞬間。
「「………………ッッッ!!?」」
私達は、同時に、言葉を失った。

導かれた、部屋の中。椅子に座り、露出度の高い女王様のような、正直に言ってあまり似合っていないその衣装
を身に着けて私を待っていたのは………この数日姿を見ていなかった、三珠さん、その人だった。
三珠さんも、私を見て心の底から驚いているみたいに、1歩後退りをした。そして………その更に後ろで、三珠
さんと同じような格好をして立っていた女の人が、よろめきかけたその身体を支える。
「あら、真夜ちゃんどうしたの?」
三珠さんは、何かを訴えるように、無言でその顔を見上げる。
「………まぁ、驚くのも無理無いわよね。こんな所で、こんな形で………クラスメイトのお友達と、会うなんて。」
楽しそうな声でそう言って、その人は小刻みに震えている三珠さんの顔の輪郭を撫でた。その手つきが、なんだか
妙に大人っぽいというか………なんだか解からないけれど、その様子を見て私は凄く、ドキドキしていた。
「………っ………。」
三珠さんの口元が、微妙に動く。女の人が、それに反応して私に視線を向ける。
………三珠さんが誰かと話をしているのなんて、もしかすると、初めて見るかも知れない。
474その花束に絶望を karte08-09 (8/11):2008/03/25(火) 13:13:25 ID:gwQw7SsW
どうやら私のことを尋ねられていたみたいで、その人は、どこか寒気のするような笑顔を見せて、答えた。
「大丈夫。先生が選んだ娘だもの、間違いないわよ。」
「ああ。この娘は本物だよ、君の『嗜虐願望』と対になる素質を持っている。本人は、気付いていないが。」
「それに………今のあなたなら、自分の本能に嘘は吐けないハズよ。例え………相手が、お友達でもね。」
2人の言葉を聞いているうちに………なんだかだんだん、三珠さんの眼が虚ろになってきたような気がする。ああ、
変に勘繰ってすいません………でも、なんだか怖いんです、嫌な予感がするんです………。
なんて、考えているうちに。私の、その予感は………的中してしまうことになる。
「それじゃ、早速失礼………おい、手伝ってくれ。」
「はい、先生。それじゃ、真夜ちゃんも、準備しておいてね。」
「え、あ、あの………あッ、そ、それ、何持って………!?」
先生の合図と同時に、三珠さんの後ろに立っていたその人が動き出して………突然、手に持っていたロープを、
私の身体に回し始めた。先生と2人掛かりで、あっという間に私の身体の自由を奪って………最後には膝の裏を
小突かれて、無理矢理に跪かされて、そのまま立ち上がれないように手首と足首をロープで繋がれてしまう。
最後に手錠は外されたけれど、これじゃ、さっきと違って身動き1つ取れない。
「え、あ、う、あ、あう………あ、あのッ………!?」
そして。突然の拘束に、言葉が出なくなっている私に、追い討ちを掛けるように………いつの間にか部屋を出て
いた三珠さんが、とんでもないものを、運び込んでくる。
「え、え………ッ………!?」
「真夜ちゃん、これ使うのは、初めてじゃないわよね?」
そう言われて、小さくこくりと頷いた三珠さんが、引いてきたのは………いわゆる、三角木馬、という物だった。
ああ、この年齢で、これが何に使う道具なのか、自分がこれからどんなことをされるのか、想像出来てしまって
すいません………高校生らしからぬ不純な知識を持っていて本当にすいません………。
そしてすぐさま私は、当然のことのように、その上に担ぎ上げられる。
「あ、う………い、ッ………!?」
手足の自由を奪われたまま、木馬の上に乗せられる。全体重が、私の下半身と木馬にのしかかってきて、大事な
場所が硬い感触に容赦なく圧迫される。
「すぐに慣れるさ。君には、その才能がある。」
目線がほとんど同じ高さになった先生は、動揺と不安と痛みでうっすらと涙が浮かんできた私の眼を見つめながら
そう言って、微かに笑った。
「今日は、見学させて貰うことにするよ。この先は、君達に任せる。」
「有難う御座います、先生。」
ぎり、と奥歯を噛み締める音が、耳の奥の方で聞こえる。
私は、全身が窮屈な中、必死で首を巡らせて後ろを振り返る。少し動くだけで全身が締め付けられて、痛む。
「い、やぁ………み、三珠、さん………!?」
そして。振り返ったその先、じっと私の方を見て立ち尽くす、三珠さんの眼を見て。

私は………言葉を失った。
そこにあったのは………そんな姿を見られることを恥じている女の子の眼でも、クラスメイトの身を案じてくれて
いる同級生の眼でもない………獲物を狙う狩人のような、雌を狙う雄のような、眼だった。

「それじゃ………愛してあげなさい、真夜ちゃん。」
三珠さんの背後で、また、あの人が言う。
私の眼を見つめたまま、三珠さんは、少しだけ息を荒げながら………無言で、鞭を手にした右腕を、振り被った。
475その花束に絶望を karte08-09 (9/11):2008/03/25(火) 13:13:57 ID:gwQw7SsW


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気がついたときにはもう、私の鞭は、加賀さんの背中に振り下ろされていて。
「うあああぁぁぁぁッッッ!!?」
私がようやく我に返ったのは、加賀さんの悲鳴が耳を貫いた、その後だった。
眼の前で、加賀さんの制服の背中が裂けて、その下に赤く染まった肌が覗いている。経験で、解かる………本当に
思いっきり叩かなきゃ、こんな風に制服が破れたりは、しない。

やっちゃった。どうしよう。私は友達に、なんて酷いことを。何も知らない友達に。この世界の快感なんて知る
はずもない友達に。私は、人が苦しむ顔が見たいんじゃないのに。なんで、どうして止められなかったんだろう。
嫌だ、駄目、もう、こんなこと………。

「う、ぁ………痛っ………!?」
初めて、何の快感にも目覚めていない人間を、痛めつけてしまった………その予想外の衝撃に、私が、自分を
見失いかけていると。
「………落ち着きなさい、真夜ちゃん。」
背後から、先輩が、声を掛けてくれた。
「大丈夫、怖くないから………この娘だって今は嫌がってるけど、すぐに、目覚めてくれるわ。」
幾度と無く、私の眼の前で手本を見せてくれた………今の私と同じことをしたその手に、顔を撫でられる。緊張と
不安が、少しずつ、溶け出すようにして薄れていく。
「どうしても、駄目っていうなら………初心に、帰りなさい。」
………そして。
「………早く、続けなさい。私が、命令してあげるから。」
先輩の、その言葉が………私の中の何かを、ぷつり、と途切れさせた。

そうだ。初めは、いつもそうしていたじゃないか。
私に、選択権は無いんだ。だから………これも、しなきゃいけないことなんだ。
その言葉は、魔法のように………いや、そんな綺麗なものじゃない。もっと、そう………麻薬か何かのように、
私の罪悪感を麻痺させて、行動への躊躇いを取り去ってくれる。
「ほら、もう1回。良い声で、鳴かせてあげるのよ?」
その言葉の、前では………私はいとも簡単に、2回目の鞭を、振り下ろすことが出来た。

「あうッ!!ん、あああッッッ!?い、たッ、痛いです、み、三珠さん………っ!?」
大丈夫、痛いのが苦痛に感じるは最初だけ。先生も先輩も、そう言ってるじゃない。

「あぐッ………す、すいません、大袈裟ですよね、こんな………あ、あああッ!!」
ほら、いつも通り。いつも通りに………眼の前の獲物を、マゾヒストの快感に溺れさせてあげなくちゃ。

「いッ、あッッ………あ、はあぁッ!?」
加賀さん、傷だらけになってきた。………凄く………可愛い………。
476その花束に絶望を karte08-09 (10/11):2008/03/25(火) 13:14:37 ID:gwQw7SsW


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「ああああああッッッ!!?」
痛い。背中も、腕も、首も………そして、ずっと押し付けられている、恥ずかしい部分も。痛くて堪らない。

「い、だぁッ………え、ぅ………ん、あああッ!!」
………なのに………どうして?どうして、こんな風になってるの?

「あ、はッ………はう、ぅ………んッ………!!」
どうして………こんなに、身体が疼くの?まるで………変なこと、してるときみたいに………。

先生、さっき言ってた。私、マゾヒストだって。
それって、よく言うMってこと………虐められて気持ち良くなる、変態だってこと?ああ、すいません、特殊な
性癖を持っていたからって変態呼ばわりしたら失礼ですよね、それに私なんかが………。
「………あ………うあッ、あッ、ぐっ………!?」
………あれ?『私なんかが』………何だろう?
痛みの所為なのかどうなのか、なんだか、頭の中がぼうっとしてきたけれど………今、私、『私なんかが言えた
義理じゃない』とか、そんな風に考えてた?それって………私が、そういう人だってこと?
もう………なんだか、よく解からない。どうでも良くなってきた気がする。すいません、投げ遣りですいません
………けど、もう、考える余裕も無いんです………。

「あら、この娘………ふふふ。ほら真夜ちゃん、見て………この娘のココ、もうこんなに、涎垂らして………。」
あの人が、何か言ってる。うん、もう………自分でも、解かってる。
「あらあら、そんなに腰を突き上げて………触って欲しいの?虐めて欲しいのね?」
「あ、ぅ………っ………。」
ああ、真夜ちゃん、じっと私のこと見てる。すいません、そうです、私は………こんな痛いことされて、それでも
悦んでるような、変態だったんです。すいません、本当に、こんな娘ですいません………。
あ………三珠さんの指が、私の入り口を掻き分けて、中に入ってきた。
「あ、あああッ、う、ぇぁ………は、ひぃッ!?」
「ほら、真夜ちゃんも触ってあげなさい………そうよ、もっと、奥の奥まで掻き回して。」
指を曲げて、私のいやらしいお汁を掻き出すみたいに、何度も、何度も何度も何度も何度も往復させる。
私、こんな格好で、虐められて………気持ちよくなってる。変態だ。すいません、本当にすいません………。
「もう、ヒクヒクしちゃって。クラスメイトの女の子に触られて、イキそうになってるの?この、変態!!」
「あ、はぁッ………き、来ちゃう、う、あ、ぁぁぁ………ッッッ!?」
「言った通りでしょ、この娘も、虐められたがりの変態なのよ。ほら、もう1回コレで引っ叩いてあげなさい!」
「あ、うああぁぁぁッッッ!!」
そうです。私は変態です。叩かれて罵られて、気持ち良くなって、もっとして欲しいって腰を振ってる、救いよう
のない淫乱娘です。
だから………だから、もっと酷いことしてください。もっと酷いこと言って………汚い言葉で、罵ってください!
「ほら、もうイッちゃいそうなんでしょう!?ねぇ!?」
ああ、すいません、厚かましいお願いをしてすいません………でも、私、三珠さんにも罵られてみたいんです!
お願いします、もっと………もっと………!!

「あ………ッ………〜〜〜ッッッ!!?」

………も、っと………!!
477その花束に絶望を karte08-09 (11/11):2008/03/25(火) 13:16:20 ID:gwQw7SsW


//////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////


………2人とも、予想以上の出来栄えだ。加賀愛に到っては、まさか初日で一気にここまで開花するとは。
「はぁい、よく出来ました………楽しかったでしょう?」
うっとりした顔で頷く、あの表情………三珠真夜の方も、大した素質だ。
本当に………あのクラスは、逸材揃いだな。この先も、楽しみで仕方が無い。

「どうでした、先生?この娘、凄い才能でしょう………私が嫉妬しちゃうくらいですよ。」
「ああ………やはり、私の眼に狂いは無かったな。磨けばもっと光るはずだ、今後も教育を頼んだよ。」
「ええ………こっちの、愛ちゃんも一緒に、ですね。」

………片方は快感の余韻で意識が飛んでるし、もう片方は彼女に任せた方が良さそうだ。とりあえず、加賀愛が
回復するまでは待たなきゃいけないな………少し、部屋に戻って今後のことを考えるとしよう。

「とりあえず、どこかで休ませておいてくれ。後始末については………直接、交渉する。」
「解かりました。それでは………お疲れ様です、先生。」



(続)
478その花束に絶望を:2008/03/25(火) 13:25:51 ID:gwQw7SsW
お粗末様でした。
Webラジオ聴きながら投下してます。デチューン可愛いよデチューン。

ということで、真夜&愛でした。
いつもの2倍近い時間が掛かったのは、2人分だったからです。そういうことにしておいてください。
あと、真夜がほとんど喋らないので、登場人物視点な形式になりました。視点変わりすぎてすいません。

では、次はもうちょっと早く書ければいいな、と思います。思ってるだけかも知れません。
それでは、また後程。失礼しましたっ。
479名無しさん@ピンキー:2008/03/25(火) 14:27:40 ID:fwScIw5O
正座して待ったかいがあったというもの。
しかしまあ、毎回いろんなパターンで、引き出しが多いね。
480名無しさん@ピンキー:2008/03/25(火) 20:04:32 ID:Om/Rm9SN
愛ちゃん可愛いよ愛ちゃん
481名無しさん@ピンキー:2008/03/25(火) 22:48:19 ID:J6yeYamA
激GJ!
てか、この話の続きをもっと読ませて欲しいんですけど・・・
482名無しさん@ピンキー:2008/03/25(火) 23:25:14 ID:BdG1M546
まさかこの組み合わせで来るとは・・・
毎回良い意味で想像を裏切られてるな
483名無しさん@ピンキー:2008/03/26(水) 00:13:12 ID:tpdoPXiw
愛と真夜って正反対だな確かに
花束の作者、こいつできる
484名無しさん@ピンキー:2008/03/26(水) 06:53:52 ID:IiK+8C+9
カルテシリーズ面白いね。
このまま久藤、臼井、万世橋等も獲物にされて
絶望クラスをコンプして頂きたい。
485名無しさん@ピンキー:2008/03/26(水) 07:02:21 ID:QlA0HldY
>>484
気持ち悪い
つーか万世橋は望の担任するクラスの生徒じゃねーし
486名無しさん@ピンキー:2008/03/26(水) 10:16:17 ID:Yhefxxpn
>>484
久藤×臼井×万世橋ですね。わかりませんwww
487名無しさん@ピンキー:2008/03/26(水) 12:51:05 ID:uV0hdMtj
完璧な鬼畜先生になるにはやはり実の弟を
488名無しさん@ピンキー:2008/03/26(水) 13:18:11 ID:FRG46oUF
藤吉さんは数字板にお帰りください
489名無しさん@ピンキー:2008/03/26(水) 13:21:04 ID:Vdbvhpls
帰れ!帰れ!カエレ!木村カエレ!
490名無しさん@ピンキー:2008/03/26(水) 15:49:40 ID:sdWlllqV
>>484>>487
真夜と同じポジションってことですよね。わかります
491名無しさん@ピンキー:2008/03/27(木) 00:51:47 ID:venT/2Sr
ことのんは無事か
492名無しさん@ピンキー:2008/03/27(木) 01:19:49 ID:BPDIwU6q
鬼畜絶命先生にとっては、野郎もことのんも対象外ですから
493名無しさん@ピンキー:2008/03/27(木) 12:06:38 ID:6acg7Cnx
まといの「貴女の進む道」の作家さんはもう続きを書く気はないんだろうか・・・
楽しみにしてたんだが・・・長編もいいけど途中で放り出されるのは読み手として辛い・・・
494名無しさん@ピンキー:2008/03/27(木) 12:48:50 ID:Rc7eHDUK
エロパロではよくあること
495名無しさん@ピンキー:2008/03/27(木) 13:41:41 ID:LroZQMDb
いやだなぁ、きっとそこには、
あなたの進む道は、あなたが切り開くものなのです。
というメッセージが込められているんですよ。
496名無しさん@ピンキー:2008/03/27(木) 15:02:08 ID:R7aaZtjg
絶望と霧とまといがイチャイチャする話が読みたい。
497名無しさん@ピンキー:2008/03/27(木) 18:05:58 ID:GxHGjwnC
>>496保管庫にいくらでもあるだろ
498名無しさん@ピンキー:2008/03/27(木) 18:43:26 ID:F4P9lMx2
その発言は馬鹿といわざるを得ない
499名無しさん@ピンキー:2008/03/27(木) 19:03:37 ID:7T5WDfzP
望と奈美が普通にイチャイチャする話しが読みたい。
500名無しさん@ピンキー:2008/03/27(木) 19:20:45 ID:FvjuRsGd
普通が普通にイチャイチャしたって普通だろ
501名無しさん@ピンキー:2008/03/27(木) 19:48:09 ID:kJE5FAD1
その発言は普通と言わざるを得ない
502名無しさん@ピンキー:2008/03/27(木) 21:13:08 ID:i/p5xLZ3
その特別、普通だね。
503名無しさん@ピンキー:2008/03/27(木) 21:13:22 ID:Rc7eHDUK
晴美がオナニーしてる話が読みたい
504名無しさん@ピンキー:2008/03/27(木) 21:32:38 ID:OaaRqv2l
そんな毎日やってることを話にされても
505名無しさん@ピンキー:2008/03/27(木) 22:08:37 ID:Wl9ITxeg
霧と先生がまといに見せ付けるようにセックスしてまといが悔し涙流しながらオナニーしているところを襲うSSが読みたい
506名無しさん@ピンキー:2008/03/27(木) 22:12:35 ID:FvjuRsGd
誰がオナニーしてるところを襲うの?臼井?
507名無しさん@ピンキー:2008/03/27(木) 23:04:07 ID:xQOhdoMm
その発言はハゲと言わざるを得ない
508名無しさん@ピンキー:2008/03/27(木) 23:04:16 ID:BuoF09SA
可能性はあります
509名無しさん@ピンキー:2008/03/28(金) 00:38:14 ID:qWvaMYtB
なんだこの流れww
510名無しさん@ピンキー:2008/03/28(金) 00:43:08 ID:t1EqHxxj
みなさんおちんちんが限界のようで、脳にまで影響が
511名無しさん@ピンキー:2008/03/28(金) 00:47:21 ID:9EBQwO16
でもさ、学校にいるときはまといがトイレまでべったり。
家に帰れば甥がいて休憩室では霧。
いとしき先生はいつやってるの
512名無しさん@ピンキー:2008/03/28(金) 00:48:12 ID:++5+qBly
自慰をですか?
513名無しさん@ピンキー:2008/03/28(金) 00:59:28 ID:bouzPfbw
>>511
家にも休憩室(?)にもまといは居るはず
まといの存在をマジメに考え出したら、望と他の生徒のSSなんてマトモに書けなくなる…つまり、そういうことです
514名無しさん@ピンキー:2008/03/28(金) 01:00:40 ID:gZv7f4px
実はまといはたまに気配を消して先生のプライベートシーンを観賞している
ついでに盗撮してその様子で自分も楽しんでる
515名無しさん@ピンキー:2008/03/28(金) 01:41:15 ID:st4UN1Ro
>>511
ヒント:隣の女子大生の家
516名無しさん@ピンキー:2008/03/28(金) 01:44:00 ID:Sln1APJb
まて、思い出すんだ
他人のドラマに巻き込まれる話の時、先生はなぜホテルに居た?
答えは簡単だ。
517名無しさん@ピンキー:2008/03/28(金) 02:15:28 ID:a5ieiq+4
「先生
役のランクがちょっとアップしました!」
犯した人
糸色 望
518名無しさん@ピンキー:2008/03/28(金) 02:20:16 ID:9ZQ6wOhC
可符香×先生で小ネタをひとつ投下します
携帯からなので恐縮ですけど
519小ネタ 1/7:2008/03/28(金) 02:42:51 ID:9ZQ6wOhC
ある朝、糸色望が目を覚ましてみると、見知らぬ部屋で自分が椅子に縄で縛り付けられているのを発見した。
「何ですかこれは!」
「何って、ただの保守小ネタですよ」
後ろから声をかけたのは風浦可符香。
ゆったりとした無駄のない動きで望の前にくると、嬉しそうな顔をして座り込んだ。
「…あの、解いてくれませんか」
「駄目です」可符香の笑みがさっきよりも広がった。
「解いてください」
「そんなことしたら先生、逃げちゃうでしょう?」
「逃げるって、何かする気なんですか!」
可符香の笑みがますます広がった。心なしか顔がどんどん近付いてきている気がする。
「……そういえば、ここはエロパロ板じゃないですか!絶望した!この後の展開に絶望した!」
「大丈夫です。逆レイプとかはしませんから」
可符香の顔は既に目と鼻の先にあった。彼女の吐息を感じて、望は慌てて顔を背けた。
「そう、ですか…」
ふうっと溜め息をつきながら答えると、可符香は望の唇に人差し指を添えて、
「先生、ちょっと残念そうですね」
「大人をからかわないでください!」
大声で叫ぶ望を無視して、可符香は素早く立ち上がる。
520小ネタ 2/7:2008/03/28(金) 02:44:38 ID:9ZQ6wOhC
「そんなオトナな先生に、是非とも見せたいモノがあるのです」
「見せたいモノ…?どうせエッチなものでしょう!私の股間が反応するのを見て笑うんでしょう!」
「イヤだなあ、そんな分かりやすいことするわけないじゃないですか」
そう答えながら可符香は天井からスクリーンを下ろし、部屋の電気を消した。
「もういいから早く帰してください!ていうかここはどこなん…!?」
縛り付けられたまま吠えていた望だったが、スクリーンの映像を見て口ごもった。スクリーンには裸の男の背中が映っている。
可符香は固まってしまった望を見て小さくガッツポーズをすると、耳元で語りかけた。
「問題です。これは何でしょうか?」
「これは…私の…」
「そう、背中ですね。ちなみに何をしているかと言うと…」
「いやあああああああ!!」
望は気付いてしまった。風呂でもないのに裸で部屋に座り込んでいる。しかも隣にはティッシュ…
「これが前からのアングルです」
「やめてください!」
否応なしに画面が変わる。こちらでは望の顔がばっちり映っていた。右手を自らのバベルの塔にあてがい、増築に勤しんでいる。
「バベルの塔はベールに覆われてますけどね」
「言わないでください!」
521小ネタ 3/7:2008/03/28(金) 02:47:12 ID:9ZQ6wOhC
「でも、結構大きいですよねぇ。それとも男の人はみんなこれくらいなんですか?」
「知りませんよ、そんなの……」
「これ、オカズにしてるのって隣の女子大生さんの写真ですよね」
「ちょっ!…それは絶対に他言しないでください!」
様々な場所から撮られた映像が次々に切り替わっていく。一体いつの間に設置したのだろうか……
そうして、バベルの塔から白い液体が放出されて幕は下りた。
「…ああ、絶望した!かつてないほど絶望した!」
「そんな悲観しないでください」可符香が望の肩をポンと叩いた。
「この間この映像を一人で見たときに何だかドキドキしちゃって、私も一人で盛り上がっちゃいました」
「ぶっ!!」
突然の告白に勢い良く吹き出す望。めったに自分のことを話さない可符香の口から出たことなので、なおさら驚かされた。
「最初は指だけだったんですが、やっぱり我慢できないでしょう?持ってるオモチャを全部出して、いっぺんに装着してみました。それがもう凄くって、一日中…」
「分かりました、私の行為があなたの糧となったのは分かりました。そろそろ解放してください…」
涙ながらに訴えてみたが、残念ながら部屋は暗いため可符香に伝わることはなかった。
522小ネタ 4/7:2008/03/28(金) 02:51:59 ID:9ZQ6wOhC
同じように可符香の顔も見えない。
「では、とりあえず部屋を明るくしましょうか」
彼女がそう言ってすっと移動すると、部屋が明るくなった。
それを確認し、安堵の溜め息をつく望。
「じゃあ、解いてください」
「イヤだなあ、終わりだなんて言ってませんよ?」
え、と望が答える間もなく、可符香は望の足元に飛び込むと、彼の袴を一息に破り取った。
「いやああああああああ!!!」
本日二度目の絶叫。可符香が残った袴の切れ端を取り除くと、固くなった彼の息子が顔を出した。
「何するんですか!何するんですか!」
めそめそと年甲斐もなく泣き叫ぶ望。そんな担任を無視して、可符香は彼の息子に話しかけていた。
「こんばんは、今日からあなたのお母さんになる可符香です」そう囁いて、既に限界まで肥大化している望の息子をつつく。
「ひうっ!何をふざけて、る、です、かあっ!」
望の抗議には全く耳を貸さず、両手を使って息子に刺激を与えていく可符香。ひとしきり触ってから、やっと望の顔を見上げた。
「ところで先生、私が触る前から大きくしてましたね」
「それは…仕方ないでしょう!」
「自分のオナニーを見て感じちゃったんですか?変態さんですね」
523小ネタ 5/7:2008/03/28(金) 02:53:44 ID:9ZQ6wOhC
「違います!あなたのオナニー告白が……あ」
うっかり口を滑らせてしまった。教師たるものが、自分の生徒の自慰行為を想像して興奮したということを、その生徒本人に話すだなんて。ていうか、今はその生徒にしごかれて興奮しているのだが。
そんなことを考えてどよんどしている望に対し、可符香はニッコリして言った。
「そんな気に病むことはありません。正常な反応です」
「ひゃう!」
「完全に枯れてたらどうしようかと思いましたが、杞憂だったようですね」
息子への刺激が再開された。可符香はさっきと同じように、両手を使って熱心にしごいている。
どうせなら口で奉仕してくれないかなーと考え、慌てて頭を振る。
しかし、もうどうにでもなれという気分はどんどん高まっていった。
しばらく身を任せて快感を楽しむことに没頭していると、可符香がいきなり立ち上がった。まだ放出していない息子は依然として自己主張している。
どうせならイかせてもらえないかと頼む方法を思案しているうちに、足に重みを感じた。
見ると、可符香が足にのしかかっている。彼女の口が望の耳に触れるくらい近付いた。吐息が耳にかかる。
524名無しさん@ピンキー:2008/03/28(金) 02:58:08 ID:IQhf3xC3
XP にあるのは Starter、Home、Pro、Tablet PC、MCE、x64
Vista にあるのは Starter、Home Basic、Home Premium、Business、Enterprise、Ultimate
実は同数であり、エディションが増えたということは全然ない
当初からあったのが Home と Pro で、それしか見ることがなかったから
Vista で増えたと勝手に思い込んでるのかもしれないが
525小ネタ 6/7:2008/03/28(金) 03:01:17 ID:9ZQ6wOhC
「先生……先生も限界かもしれませんが…私も限界なんです…」
そう言って、可符香は恥ずかしそうに俯いた。
え、何ですかそれはつまり私のあそことあなたのあそこをいやそれはまずいでもやりたいでもやばいでもやりたいやりたいやりたいやりたい
「入れますね…」
望の理性と本能の争い(と言っても、ほとんど本能の圧勝だったが)を気にすることもなく、可符香の服は既に乱れ、臨戦態勢に入っていた。彼女の指が望の息子を誘導する。
「はあっ…先生のお子さん、凄く元気ですね…っ、ふあっ、あぁん!」
可符香の体が跳ねる。入れただけで軽く達したようだ。望の方もほとんど限界だったが、わずかに残った理性とプライドが、ギリギリのところで射精を止めていた。
「はっ、ふうっ、あなた、痛くないんですかっ」
「ふぁ、さっきも、あんっ、言いました、けどぉ、オモチャ、あはっ、使ってますからぁ、はあぁあんっ!」
言いながら、可符香の腰は激しく動く。もはやどうにでもなれと投げやりになっている望は、目の前でぷるぷると揺れる可符香の乳房にしゃぶりついた。
「ひゃん!それ、凄くイイですっ!」
歓喜の声を聞いてますます高ぶってきた望は、一層激しく吸い上げた。
「やあっ、それだめぇ!それ、だめぇ…っ!ふあっ、あんっ、イっちゃう、イっちゃ……っ!」
可符香の全身がビクビクと震えるのとほぼ同時に、望は射精した。我ながらよく持ったものだ、と自賛しながら、望はまどろみの中へ落ちていった。
526小ネタ 7/7:2008/03/28(金) 03:05:48 ID:9ZQ6wOhC
そして目が覚めた。
目の前の景色は眠る前と何も変化がなく、変わったことと言えば、可符香が服を着ていたことと縄が解かれ自由になっていたことくらいだ。
「おはようございます、先生!」
「…絶望した!夢じゃなかったことに絶望した!」
「そんな絶望先生にプレゼントです」
可符香はどこから持ってきたのか袋を出すと、中から一冊のアルバムを取り出した。
「何ですか、これは」
自由になった両手で受け取る。表紙には『隣の女子大生 BEST』と書かれている。
「まさか、これ…!」
「先生のより良いオナニーのお供に!隣の女子大生のオナニーシーン集です」
「さらっと言わないでください!」
「イヤだなあ、オナニーくらい誰でもしますよ?先生もまだまだ現役じゃないですか」
「いや、そういうことではなくてですね…」
「先生が欲しいのなら、いくらでも撮ってきてあげますよ。では、また今度もここで楽しみましょうね!さようなら!」
「え、あの、ちょっと!……絶望した、今度っていつなのか聞こうとした自分に絶望した!」
…私はそう口にしましたが、本当は今度がいつなのか具体的に決めなかったことに絶望していました。絶望した!
527名無しさん@ピンキー:2008/03/28(金) 03:10:40 ID:9ZQ6wOhC
すみません、小ネタのつもりが長くなってしまいましたがタイトルは考えてなかったのでそのままです
とにかくヌルくてエロエロなのが書きたかったんです
携帯からの投稿は初めてなのでメモ帳からコピペするのが大変でした
528名無しさん@ピンキー:2008/03/28(金) 03:12:11 ID:9usWF9lA
唐突に横入りする>>524の誤爆に笑ったw
529名無しさん@ピンキー:2008/03/28(金) 03:55:05 ID:F9QcFqOu
>>518
バベルwww面白エロかった!GJ

霧「お布団しくね」
先生「ああ、ありがとうございます」
霧「きゃっ」
先生「のわあっ振り向いた勢いでウィスキーに見立ててちびちび呑んでいた麦茶が、かけ布団に思いっきり!」
霧「…びしゃびしゃ」
先生「…ごめんなさい…先生自分への罰として今夜は布団要りません」
霧「…で、でもまだ朝は寒いよ」
先生「平気ですよ。小森さんはちゃんと毛布にくるまっていてくださいね」
霧「…先生」
先生「何ですか?」
霧「私の…にく、布団…なら…」
先生「…はい?」
霧「わ、私の肉布団なら、使っていいよ?」

眠れなくて書いた。すみませんでした。
530名無しさん@ピンキー:2008/03/28(金) 15:26:17 ID:st4UN1Ro
GJするのか小ネタを書くのかきっちりしなさいよ!

あ、カフカわいいよカフカ
531名無しさん@ピンキー:2008/03/28(金) 16:04:35 ID:nqXNha9K
い、いたんですか常月さん!?
532名無しさん@ピンキー:2008/03/28(金) 17:47:06 ID:Fz0hi9ao
カフカGJ!
これを読んで思い出したんだが木野の愚息はどうなったw
533名無しさん@ピンキー:2008/03/28(金) 21:31:33 ID:W6cOT0Al
保管庫みても結構途中で止まっている作品多いんだな。
ちゃんと完成してから投下するようにしろよ。まったく。
534名無しさん@ピンキー:2008/03/28(金) 21:46:07 ID:RXOa/kUG
カフカ可愛いよカフカああ!!ああやっぱたまらんカフカたまんねえ!
535名無しさん@ピンキー:2008/03/28(金) 22:30:43 ID:KJ8nt008
GJ!あなたのお母さんになる可符香ですわろた
536名無しさん@ピンキー:2008/03/28(金) 23:06:43 ID:dV8VaHKJ
可符香ネタは久しいな
やっぱり可符香かわいいよ可符香
537名無しさん@ピンキー:2008/03/29(土) 00:36:48 ID:qSvxmOQI
隣の女子大生のオナニーシーン集って、要するに自分のオナニーシーン集じゃねぇかwww
538名無しさん@ピンキー:2008/03/29(土) 01:41:48 ID:ZxzkEoY7
自分の自慰写真を好きな人にプレゼントしちゃうカフカ痴女かわいいよ
攻めカフカもいいが受けカフカもみたいところ
539名無しさん@ピンキー:2008/03/29(土) 03:17:04 ID:1w/Menme
テラGJ!!
540名無しさん@ピンキー:2008/03/29(土) 10:52:38 ID:txuAI4+Q
失礼します。
憂鬱キャンペーンに乗っかって、ひとつ投下してみます。
嫌いな人は華麗にスルーをお願いします。
先生×カフカで地の文のない会話ものです。
読みにくくてすいません
541名無しさん@ピンキー:2008/03/29(土) 10:57:41 ID:txuAI4+Q
あれ、書き込める?
ごめんなさい。ちょっとばたばたします
542彼女はたぶん幸せです 1:2008/03/29(土) 11:03:39 ID:txuAI4+Q

「………ん、ここは……?」

「気がつきましたか? おはようございます。先生」

「……だれですか? ……ここはどこですか?」

「いやだなぁ、元生徒の顔を忘れちゃったんですか? 風浦可符香ですよ」

「………? ……あぁ、風浦さんですか。…なつかしいですね。
ここはどこでしょう?」

「間がありましたね。もしかして本当に私のこと忘れてました?」

「そんなことは。それよりここはどこですか?」

「この顔で先生と会うのは何年ぶりかなぁ。なんだか心が晴れてく気がします」

「それはそれは。そんなことよりも、なぜ私がこんな所にいて
あなたがこんなところにいるのでしょう? なんだかとても嫌な予感がしますが」
543彼女はたぶん幸せです 2:2008/03/29(土) 11:04:57 ID:txuAI4+Q

「監禁室、または調教室。まぁそんな感じの部屋です。
鎖つきの首輪、とってもかわいくて似合ってますよ。」

「………あなたがやったんですか?」

「そんな人聞きの悪い。ただ生徒と先生の頃にもどってまた遊びたくなっただけですよ」

「なぜこんなことをするんです?」

「別になんでも。ただなんとなく我慢できなくなったというか疲れたというか」

「あなたが卒業してからのことは知りませんが、辛いことがあったんですね。
鎖をはずしてくれませんか」

「私はずっと先生と一緒にいました」

「…はい? 何を言ってるんですか?」

「赤木杏という、かつて隣の女子大生だった人知ってますよね?」
544彼女はたぶん幸せです 3:2008/03/29(土) 11:05:50 ID:txuAI4+Q

「…私の妻ですが」

「あれ私です」

「……は?」

「あれは私が変装した顔です。わたしはずっと先生のことを見てました」

「…え?…え?」

「赤木杏と先生は*月*日に****しましたよね?
その時先生は赤木杏に*******してくれました。
それから1年後の*月*日には赤木杏は先生に*******しました。
私と先生の思い出はいくらでも語れますよ。
あと赤木杏のおっぱいの下には小さなホクロがあるって先生知ってますよね?
私のおっぱい見ますか? ほら」

「…そ、……そんな、バ、バカな、こと、が……」
545彼女はたぶん幸せです 4:2008/03/29(土) 11:07:27 ID:txuAI4+Q

「先生鈍感だからずっと気がつかれることないんだろーなーと思ってました。あはは」

「……騙してたのか…? 私を騙してずっと裏からあざ笑ってたんですか!!!」

「愛してたからですよ。先生と一緒になりたかったからです」

「………?」

「先生、学生時代私のこと嫌いだったじゃないですか」

「何いってるんですか…。そんな事………」

「いえいえ、私そういうのわかりますから。はっきりとした嫌悪じゃなくて、深層的な苦手意識を私に持ってました」

「………」

「はじめて女子大生に変装してカレーを持っていったときは
ただの遊びみたいなものだったんですけど、
先生やさしかったからなんだか味を占めちゃって。」
546彼女はたぶん幸せです 5:2008/03/29(土) 11:11:06 ID:txuAI4+Q

「…………」

「でも顔と態度かえるだけで先生ころっと人の接し方変わるんですね。
最初から先生にやさしく接してればよかったかなー。でも先生はけっして生徒には手を出さなかったでしょうけど」

「…は、ははははははっ、あなたが赤木杏という偽者だったという事はわかりました。
で、なんでわたしはこんな物騒な部屋に身動きが取れない状態なんですか?」

「赤木杏の方が私の本名ですけどね。
…さっきも言ったようになんとなく疲れて我慢できなくなっただけです」

「ずっと虚偽だったのか…」

「なに言ってるんですか。私たちは愛し合っていたじゃないですか。
なにはともあれ私たちは今も夫婦なわけです。
……それよりこんな状況なんだからまずはお楽しみをしましょうよ。
最近私たちご無沙汰だったじゃないですか。あはは、初めて私が攻めですね」

―――空白。
547彼女はたぶん幸せです 6:2008/03/29(土) 11:12:06 ID:txuAI4+Q

「おはようございます。先生。気分はどうですか」

「最悪ですね」

「そんな目で見ないでくださいよ。昔みたいに生徒と先生だった頃に戻りましょ」

「そんな昔のこと覚えてませんね」

「そんなこと言っちゃあ教師失格ですよ。楽しかったですねー。あの頃は
先生は今じゃすっかり落ち着いちゃいましたね。見た目はあの頃と変わらずかっこいいですけど、
昔みたいに弱くて、絶望したー、って言ってた頃の方が素敵でした。
そうそう、覚えてますか?あの時の先生は……」

―――空白。
548彼女はたぶん幸せです 7:2008/03/29(土) 11:13:14 ID:txuAI4+Q

「おはようございます。先生。気分はどうですか」

「……お腹が空きました。…なにか食べ物をください」

「愛してますよ。先生」

「それよりなにか食べ物を…」

「私のこと愛してるって言ってください」

「………」

「愛してるって言ってください」

「………愛してます」

「あはは。待っててください。今食べ物持ってきますから」

―――空白。
549彼女はたぶん幸せです 8:2008/03/29(土) 11:16:40 ID:txuAI4+Q
「おはようございます。先生。気分はどうですか」

「お腹が空きました。もっと食べ物をください」

「先生は私がいないと生きていけませんよね?」

「そりゃこんな状況じゃあね……」

「先生は私のものですよ」

「………」

「愛してますよ先生。そうですねー、
『私はあなたのものです。あなたがいないと生きていけません』って言ってみてください」

「…わたしはあなたのものです。あなたがいないといきていけません」

「………んー? まぁいいや、待っててください。今食べ物持ってきます」

―――空白。
550彼女はたぶん幸せです 9:2008/03/29(土) 11:18:26 ID:txuAI4+Q

「おはようございます。先生…」

「………どうしてもっと食べ物をくれないんですか? 
このままだと死んでしまいます。
……せめて水だけでもください……」

「…私はいつから壊れちゃったのかなぁ」

「………」

「わたしずっと虐待受けてたんですよ。
学校ではポジティブだったけど家ではずっと義母からいじめられてました。
小さい頃からずっと誰かにいじめられてました。
おまえは生きる価値のない人間だってずっと言われてきました」

「………水、をくださ、い。……お願いしま…す」

「私は弱かったからポジティブにならないと壊れちゃってたんですよ。
それに先生がいたから私は楽しくやれてきました。先生のおかげですよ」
551彼女はたぶん幸せです 10:2008/03/29(土) 11:19:24 ID:txuAI4+Q

「………」

「思えば初めて桜の木で出会った頃から好きだったのかなぁ。一目ぼれだったんでしょうね」

「………」

「でもどうしてかなぁ。私は先生と結婚して幸せのはずなのに、
どうして私は今、こんなことしてるのかなぁ。わたし壊れちゃったのかなぁ」

「…ほんとう、に、死んでしまいます……。水を……」

「こんなはずじゃなかったのになぁ……。どうしてかなぁ……。あ、先生愛してますよ」

「……み…ず…」

―――空白。
552彼女はたぶん幸せです end:2008/03/29(土) 11:20:41 ID:txuAI4+Q

「おはようございます。先生。気分はどうですか」

「………」

「今日は外はいい天気ですよ。ポロロッカ星も晴天みたいです」

「………」

「いつかふたりでポロロッカ星に遊びに行きましょうね。ピクニックなんてどうですか?」

「………」

「そうだなぁ、今日はどの思い出話で盛り上がりましょうかね。そうだ、あれがいいです」

「………」

「あぁ、しあわせだなぁ。楽しいなぁ。先生もそうですよね
私たちずっといっしょです」
553名無しさん@ピンキー:2008/03/29(土) 11:22:47 ID:txuAI4+Q
終わりです。

ふー、なんとか書き込めた。行数調節してたらバッテリー切れそうになって
めちゃくちゃあせりました。1レス何行まで大丈夫なんですっけ?

だんだんと壊れていくカフカを書きたかったんですが、難しいですね。
「…」が多くてウザイですね。ごめんなさい。もっとうまく書きたかったです。
それより今日アニメ最終回ですね。寂しいなー
554名無しさん@ピンキー:2008/03/29(土) 13:06:47 ID:pyl7VtgK
結婚しても気がつかないってさすがにそれはないだろww
555名無しさん@ピンキー:2008/03/29(土) 16:07:21 ID:EOirAYP9
多分ずっと化粧してたんだろう。可符香のときをよく見られてなければ可能かな。髪も伸ばしてさ。

設定もいいな。GJ.
556553:2008/03/29(土) 16:59:43 ID:QvDomsIG
>>554
その一言に尽きますよねwww


なーんか自分で投下した物読んで違和感あるなーと思ったら、
20行分抜けてたー。あぁやっぱ外出先から投下するもんじゃないな。
ごめんなさい。あってもなくてもどーでもいいと思いますが、補完させてください。

ほんとは1から再投稿し直したいけどそれだとウザすぎると思うんで、やめときます。
ほんとすいません。
557彼女はたぶん幸せです 7と8の間:2008/03/29(土) 17:05:19 ID:QvDomsIG

「おはようございます。先生。気分はどうですか」

「……もっといい物をたべさせてくださいよ」

「今日は学校時代のあの思い出について語り合いましょう。
ほら先生が夏休み前に変なことを言い出して……」

「………」

「ほんと学生時代は楽しかったなぁ。あの頃は本当に楽しかった。
当たり前のように卒業しちゃったけど、ずっと先生と遊んでいたかった。
赤木杏として先生と一緒になれたけど、あの頃がもっと幸せだったかなぁ」
558彼女はたぶん幸せです 7と8の間:2008/03/29(土) 17:06:20 ID:QvDomsIG

「………」

「赤木杏ではずっと『望さん』って呼んでたけど、いまいちしっくりこなかったんですよね。
やっぱり先生は先生なんですよ。そして私は風浦可符香という先生の生徒なんですよ。
それはずっと変わらないものなんですよ」

「………お腹が空きました」


―――空白。

559553:2008/03/29(土) 17:12:24 ID:QvDomsIG
以上です。
最後までダメダメですね。
それじゃありがとうございましたー
560名無しさん@ピンキー:2008/03/29(土) 20:42:20 ID:ZxzkEoY7
この先生とこのカフカとこの展開には絶望せざるを得ない
561名無しさん@ピンキー:2008/03/29(土) 22:32:47 ID:ryM9f2tY
>>560
この先もなにも先生死んでるのでは?
562名無しさん@ピンキー:2008/03/29(土) 22:43:59 ID:V4ZjH9XJ
>>554
個人的には、可符香ならありえない話じゃない、と思えてしまうのが怖い所だと思った………

なにはともあれ絶望的にGJ
やがて、朽ち果て行く望と共に発見され………とかそういうトコまで勝手に妄想して欝になった
563名無しさん@ピンキー:2008/03/29(土) 22:59:44 ID:r9i/KxWw
>>561
どこにこの先ってあるよ?
564名無しさん@ピンキー:2008/03/29(土) 23:01:19 ID:z1fyKTpj
この先、生とこのカフカ(ry
565名無しさん@ピンキー:2008/03/29(土) 23:10:23 ID:WCGLR6U8
生ことのんカフカに見えた
566305:2008/03/30(日) 00:35:09 ID:x+Peg3oI
お疲れ様です。

芽留で作りましたので、失礼して投下させて下さい。
エロ無し+短編 です。

よろしくお願いします。
567芽留:やさしい雨に出逢えた日:2008/03/30(日) 00:36:37 ID:x+Peg3oI
           
そう遠くない場所から雨がえるの鳴き声が聞こえてくる。
今は車通りも無く、地面を小雨が打つ小さな音の隙間を縫い、その声が耳に届く。
昼間ではあるものの靄のように広がる雨煙が日差しを遮っているので、見える風景は淡い明かりの中ぼんや
りと白みがかり、おおよその時刻しか伺う事はできない。
目の前に見える道路は、向かいのガードレールがようやく輪郭をつかめる程で、湖や河川の岸にでもいるよ
うな錯覚を覚えた。
自分の足の先、数歩踏み出した所から歩道を挟んで、小さなバス停の赤い標識が雨に打たれている。
「……読みかけの文庫本でも持ってくればよかったですね。」
暇そうに息をつきながら、少し伸びをして先生はベンチに座りなおした。
木で作られたそのベンチと同じく、小さな待合所を囲う壁と屋根も木造だった。
やや隙間の多い大味な作りだが、ちょっとした雨や風を凌ぐ役目は十分に果たしている。

ここに腰をおろしてしばらく経つが、自分の他には利用者は居ない。
この際、ベンチを占有して寝そべっていようかと、冗談まじりの考えが浮かんだ時、ゆっくりと近づいてく
る足音に気がつき、先生は苦笑を浮かべた。
──行儀の悪い事はするなと言う事ですかね。
ちょっと姿勢を直し、真ん中に陣取っていたベンチを端まで移動した。
足音が待合所の前で止まる。
「…………ぁ……」
微かな呼吸のような声に気がつき顔を向けると、レインコートを着て傘をさした少女が佇み自分を見ている
のが目に入る。
「…おや、音無さんではないですか。今から、お出かけされるのでしょうか?」
少し袖の余るレインコートから出した手で、芽留は携帯の画面に文字を打つ。
『帰るトコなんだよ オメーこそ一人寂しくこんなトコで野宿か?』
「……私はただ雨宿りしているだけです。傘が壊れてしまいましてね。」
そう言って畳んで置いてある自分の傘を指して見せる。
芽留は肩をすくめ、もう一度携帯を操作した。
『今日はずっと雨だぞ ここに泊まるしかねーな』
「ええ? それは参りましたね。どうしましょうか……」
『知らねーよ 野宿決定だな ハゲ』
ニヤリとした笑いを浮かべ、背を向けるとバス停の標識まで歩み寄り、取り付けてある時刻表を覗き込む。
貼りついた水滴で見えにくくなっている表面を手のひらで払い、曇っている透明なアクリル板の向こうにう
っすらと滲む文字に目を凝らしている。
無意識なのか、傘の柄を片手でゆっくりと回し、肩に担ぐようにさしている黄色い傘が背中でくるくると回った。
何気なくその姿を見ていた先生は、微笑ましそうな表情を浮かべて芽留の背中に声をかける。
「…可愛らしいレインコートですね。音無さん。」
びっくりした様に首だけで振り向くと自分の着ている淡いピンク色のレインコートを見つめ、ちょっとだけ
頬を赤くして、ぷい、と顔を背けてしまった。
その右手が忙しく動き、携帯の画面が差し出される。
『先生の センスの悪さには 負けます』
「……いえ、嫌味ではなくて、本当に似合っていますよ? 足先も同じ色でお揃いなんですねえ。私は可愛
いと思いますよ。」
先生の言葉にさらに顔を赤くしながらも、まんざらでもなさそうな笑みを見えないように浮かべ、ピンクの
ラバーブーツの足先をもじもじと擦りよせている。
『オメーが褒めても説得力ねーよ ハゲ』
素早く文字を打って見せ、ちょっと苦笑している先生の顔は見ずに手元へと携帯を戻す。
──と、その指先が微妙に狂い、芽留の手から逃げるように滑り落ちてしまう。
「……ぁ…っ…!?」
反射的に掴み取ろうと伸ばした手が逆に携帯を弾き飛ばし、勢いのついたそれは空中を飛んでガードレール
に軽く当たり、その真下にある側溝の中へと落ちて行く。
568芽留:やさしい雨に出逢えた日:2008/03/30(日) 00:38:10 ID:x+Peg3oI
「あ……!」
先生の上げた声とほぼ同時に小さな水音が溝の中から聞こえた。
芽留は素早く駆け寄り側溝の中を覗き込み、一瞬躊躇った後、屈みこんで溝に溜まった水の中へと手を差し
入れる。
すぐにその手が引き上げられた。……指で挟んで持ち上げた携帯は汚れてこそいなかったが、すでにモニタ
ーの光は消えボタンの隙間からは水滴が滴り落ちている。
「…………ぁぅぅ……」
泣きそうな顔で口をギュッと横一文字にして、濡れた携帯を差し出しながらよたよたと先生の方へと近づく。
助けを求めるような芽留の顔に腰を浮かした先生は、歩み寄ってきた芽留から携帯を受け取って確かめるよ
うに幾つかのボタンを押してみる。
だが、いくら押しても水が少し染み出してくるだけで、その機械は何の反応も示さない。
「…壊れてしまったようですね。」
「……ぅぅ…………」
がっくりと肩を落とした芽留の背中に軽く手を当てて屋根の下へ入るように勧めながら、先生はチラリと空
を見上げた。
広がる乳灰色の雲から落ちる雨は、少し強くなってきていた。


木造の屋根の上に取り付けられたトタン板に雨粒が当たる軽い音が続いている。
三方を壁で囲ったベンチは三、四人が座れる程の幅のもので、片端に先生が座りその隣に人一人分をあけて
芽留、そして反対の端に脱いだ雨具が置かれていた。
先ほどバタついた時に水が入ってしまったらしく、足元にラバーブーツを揃えて脱いでおり、湿った靴下は
ポーチに入れている。
折り曲げた膝を両腕で抱え、素足の指先を少しベンチの板からはみ出させて、縮こまるようにうつむいて座
っていた。
元々小柄な体がさらに小さくなってしまった印象を受けながら、ジッと顔を伏せている芽留の横顔を先生は
ぼんやり見ている。
ふと、芽留の視線が横に向けられ、自分の方を見ている先生と目が合ってしまう。
驚いたように目を見開いて、一瞬で顔を赤く染めるとすぐに反対側にそむけてしまった。
困ったように少し口元に笑いを浮かべ、先生はかける言葉を探すように視線を宙に泳がせた。
「…音無さんは、どちらにお出かけされていたのですか?」
かけられた声に振り向き、芽留は反射的に右手を持ち上げようとして携帯を持っていない事を思い出し、そ
の動きが固まる。
「……ぁ………ぅ…」
おろおろと周りを見回しながら、何も持っていない右手を所存無げに漂わせている。
「──あ…っと。そうでした。」
芽留の様子を見た先生は口元に手をやると一瞬考えて、すぐに口を開く。
「お買い物にでも行ってらっしゃったのですか?」
うろたえていた芽留の動きが止まり、ちょっと間を置いて軽く首を左右に振ってみせる。
「…では、お友達と遊びに?」
もう一度首が横に振られた。
「……じゃあ、学校に用事があったのですかね?」
その問いに、芽留はちょっと小首をかしげて考えるような仕草をしてみせ、今度は縦に首を振った。

どうしても会話が途切れてしまい、またも沈黙が訪れた。
先生は何か話題が無いかと考えを廻らせていたが、外を降る雨が視界に入り、そっと口を開く。

569芽留:やさしい雨に出逢えた日:2008/03/30(日) 00:39:08 ID:x+Peg3oI
「音無さんは、雨はお好きでしょうか?」
脈絡の無い一言に芽留はキョトンとした顔をしてみせる。
ちょっと頬を掻いて見せながら、先生は雨と芽留とを交互に見て言葉を続ける。
「いえ、私は中々、雨の日というものが好きなのですよ。ほら、こう、何となく閉じ込められるような感じ
がしませんかね? ……まあ、変かも知れませんが私は結構好きでして。」
やや戸惑いながら外の雨と先生の顔を見比べ、照れたような表情の赤い顔で小さくコクリと一つうなずき、
少し間を置いてコクコクと何度も大きくうなずいて見せた。
そのまま顔をそらし、再び縮こまった姿勢のままジッとしてしまう。
──あまり話しかけない方が良いかもしれませんね。
芽留の様子を見てそう判断すると、ゆっくりと視線を正面に戻し、雨に打たれる歩道へと向ける。
雨音がまた強くなってきた。

「──ひゃう!?」
突然小さく悲鳴を上げて、芽留がベンチの上を横っ飛びに先生へとしがみついてきた。
驚いた先生が振り向くと芽留は涙目で小さく震えながらしきりにうなじのあたりを擦っている。
何かあるのかと、細いうなじを覗き込んでみるが特に何も見当たらず先生は首をかしげた。
「どうされました?」
その言葉を言い終わらないうちに、雨の粒が木の板を叩く軽い音が聞こえてくる。
目をやると、今まで芽留が座っていたベンチの席に、天井から滴る雨つゆがすでに小さく水溜りをつくろう
としていた。
「……これはどうも、雨漏りしている様子ですねえ。」
「…………ぅぅ…」
ちょっと恨めしそうに落ちてくる水滴を睨みつけながら首筋の水を手で拭き取ると、自分が今しゃがみ込ん
でいる位置を見つめて、そろっと先生の顔を伺うように見上げる。
その背中側では量を増してきた雨水が止まる事無く滴っている。
「あ、そこにはもう座れませんからねぇ。音無さんここに座って下さい。先生は立っていますから。」
芽留に笑いかけると腰を浮かした先生だったが、立ち上がろうとした所で服の裾を引っぱられ、その動作を
止める。
「音無さん?」
芽留はうつむいたまま首をぶんぶんと左右に振って、片手で先生の着物の袖を掴んだまま、さらに、くいっ
と引っ張り寄せる。
困った顔で先生は口元に笑いを浮かべた。
「えーと……座っていろ、って事でしょう…か?」
うなずきはしなかったが、芽留はもう一度服を引っ張った。

先生は浮かしかけた腰を再びベンチにおろした。
雨漏りは次第に勢いを増しているため、なるべくそれを避けて座ろうとすると、どうしても二人はぴったり
とくっつく形でベンチに並ぶ事になる。
芽留は先程とは体勢を変え、足を投げ出す形で座りなおし、両手を膝の上に乗せてもじもじとしていた。

寄り添うように隣に居る芽留に、話しかける事も動く事もためらわれる気がしてしまい、いつの間にか息を
殺して微動だにせず座っている事に気が付いて、先生は少し体勢を変えようと小さく身じろぎをする。
芽留が大きく体をビクつかせて、がばっ、と先生の顔を見上げた。
小動物のように体を小さく震わせて、低い視点から伺うようにこちらを見上げている。
「あー、いや…… ちょっと姿勢を変えようとしただけでして。」
やや焦りながら説明する先生の顔を見て、少しほっとしたように息をついて、また、うつむいてしまう。
気まずそうにも見える表情の横顔と、ほんのりと赤い耳たぶを斜め上から眺めていると、先生の中にふと悪
戯心が湧きあがってきた。
肘を少し曲げて、わざと芽留の腕に触れてみせる。
予想通りに背中をびくっと震わせて、芽留はチラリと見上げてくる。

調子にのってそっと脚を動かして、膝で芽留の脚に触れる。
小さく口の中で声を上げ、芽留は足をすばやく畳み再び膝を抱えた。
そして、びくびくしながら、少し涙で潤んだ瞳で先生の顔を伺い見ている。

570芽留:やさしい雨に出逢えた日:2008/03/30(日) 00:40:23 ID:x+Peg3oI
        
先生は、今度は芽留から見えるように手を上げて頭の上へとかざした。
芽留は思わず首をすくめて目を閉じる。
ふわりと、大きな手のひらが頭に触れる感触がした。
「…………?」
「そんなに警戒しなくても、変なことはしませんよ……?」
先生は苦笑交じりの声でそう言いながら、芽留の頭を撫でているようだった。
みるみるうちに首や耳まで真っ赤になって、芽留はカクカクと肩を震わせている。
「……ぁ…ぁ……ぅ…!」
「…これでは落ち着きませんか?」
困った表情で自分に微笑む先生を上目使いに見上げ、即座に視線を地面に向けた。

と、何かを思いついたような表情になり、先生のむなぐらに掴みかかるようにして飛びつき、懐へと手を伸ばす。
「ちょ、ちょっと!? 音無さん!?」
さすがに驚いて芽留の肩を掴んで引き離すと、芽留の手の中に自分の携帯電話がある事に気がついた。
「あ……?」
やや旧型の携帯を両手で掴み、生き返ったような表情に変わった芽留は素晴らしい速さで文面を入力して行く。
『さっきから 人が黙っていりゃ セクハラか!? チカンか!?』
『オレは子供か!? 落ち着くわけねーだろが!!』
『この大正ロマンマニアの 心中フェチハゲ!』
一気に書き連ねた文句を突き付けると、ちょっと一息ついたようで、ニヤリと口元に笑みを浮かべて先生を
見上げる。
肩をすくめながら、先生は苦笑を浮かべた。
「…安心しましたよ。やっぱりこの方が音無さんらしいですよね。」
「…………っ!」
顔を赤らめて眉を逆立て、芽留は再び携帯を操作してゆく。
『キモイんだよ バカ! 何がオレらしいとか シネ!』
その画面を見せ、次の文句を打とうとした所で、ふと、芽留は少し真剣な面持ちで文字を打ち込む。
『なあ オマエに色々気を使われるくらい オレは危なげなのかよ?』
『もしかして チビだからって ナメてんのか?』
「いえ、そういう訳では…… そんなに、私、気を使っていますか?」
芽留は首をかしげる先生に、少し怒ったように口を曲げる。
『オイ まさか まだ ひいきしてんじゃねーだろーな?』
「え……?」
一瞬ぽかんとした顔を浮かべ、すぐに心当たりを思い出したのか、ちょっと視線をそらして自嘲的な笑みを
浮かべた。
「──ああ、なるほど…」
その様子にムッと顔をしかめて、芽留は指をボタンの上に走らせようとし、不意に道路の方から重いエンジ
ン音が響いてきた事に気がつき顔を向ける。

「ああ…… ようやくバスが来たようですね。」
先生のつぶやきと共に、バスは排気音を鳴らしながら停車して乗車口の扉を開く。
芽留は焦って、必死に文字の入力を終わらせようとしていると、その目の前に自分のラバーシューズが差し
出された。
よく見ると先生がシューズの端を掴んで芽留に差し出している。
思わず受け取ると、先生は芽留の手から自分の携帯を抜き取り、そのまま懐に入れてしまった。
「…………ぁ!?」
慌てて手を伸ばそうとした所で、先生の両腕が伸びて芽留は抱え上げられてしまう。
「!!!」
あまりの事に思わず硬直して言葉を失った芽留を抱えたまま、片手の指先でレインコートと傘を掴むと、先
生は軽い足取りでバスの乗車口へ向かった。

なすがまま、バスのタラップに降ろされた芽留は、雨具を手渡す先生の顔を物言いたげに見上げた。
「では、気をつけて。風邪などひかないようになさって下さいね?」
「…………ぅ…」
芽留は不服そうにプイと横を向いて、ぺたぺたと裸足のまま奥の座席へと向かってしまう。
571芽留:やさしい雨に出逢えた日:2008/03/30(日) 00:41:16 ID:x+Peg3oI
          
最後尾の座席に座り、外で見送る先生の姿を窓から横目で見下ろす。
笑顔で軽く手を振る先生に、舌でも出してやろうかと考えたが、結局、そちらには見向きもしないままバス
は発進し、すぐにバス停の姿は雨の中に消えていった。


屋根の下から顔だけを覗かせ、去ってゆくバスを見送ると、一向に止む気配のない雨空を一瞥して待合所の
中へと戻る。
ふと、思い出したように懐を探り携帯を取り出すと、その画面には先ほど入力したままの芽留の言葉が残っ
ていた。
『ひいきじゃ うれ しくねーんだ よハゲ 』
慌てて打った事を表すように、改行もままならない文を見て、先生は軽く息を吐き出して微笑みを浮かべ、
そのままメール画面を開いてゆっくりと文字を打ち込んでゆく。
送り先を確認し、送信ボタンを押したところである事に気がつき先生は顔を上げた。
「あ……。壊れてしまっているのでしたね……」
肩をすくめちょっと考えた様子だったが、短い溜息をついて携帯を懐にしまうと、ベンチに腰を下ろそうと
して体の向きを変える。
「冷たっ!?」
ちょうど背筋の位置に垂れ落ち、背中に入ってきた雨漏りの水に驚いて飛び上がると、そんな自分に照れる
ように苦笑を浮かべた。


芽留は不規則に揺れるバスの座席に座り、機嫌の悪そうな顔で、まだ水気の切れない携帯を片手でいじって
いた。
もう本体の中から水が漏れ出してくる事は無いが、ボタンを押すとやはりどこか濡れた感触がある。
長い溜息をついて、何気なく手首で振ってみた時、
『ひいきでは ないですよ』
画面に白い明かりが浮き上がり、文字列の影が並んだ。
「──!?」
思わず目を見開いて、さっと携帯を近づけて画面を凝視するが、光が入ったのは一瞬だけだったのだろう。
改めて見直した時には画面は暗く沈黙し、自分の驚いている顔がぼんやりと映っているだけだった。
上下に振ったり、あれこれ操作をしてみるがそれきり何の反応もない。

肩を落として、暗い画面を見ていた芽留だったが、やがて口元に笑みが浮かび、頬に赤みが差してくる。
微笑んだまま窓に顔を向けた。
降り続く雨の湿気でガラスは曇り、外に張り付いている水滴しか見えない。
そっと指を伸ばすとガラス面に触れ、何かを指でなぞり入れようとして、直ぐに止めた。
ちょっと恥ずかしそうに俯き加減の顔になり、やがて勢い良くガラスに指を走らせる。
『 ハ ゲ 』
白く曇ったガラスの上に書き終えた文字を見て、ニヤリと笑う。
芽留は顔を赤らめ、てのひらをガラスにあてて急いでその文字を消した。



572305:2008/03/30(日) 00:41:45 ID:x+Peg3oI

おそまつでした。

では、これで失礼します。
573名無しさん@ピンキー:2008/03/30(日) 00:49:55 ID:EEHT7Ynf
>>572
めるめるは久しぶりだな。GJ!
574名無しさん@ピンキー:2008/03/30(日) 02:05:07 ID:Erz+nVU5
>>572
GJ!
めるめる可愛いよめるめる
芽留作品は保管庫にも少ないから投下されると嬉しいw
575名無しさん@ピンキー:2008/03/30(日) 03:05:54 ID:Fpa2c/P6
カフカが受けだったんかいw
576名無しさん@ピンキー:2008/03/30(日) 03:51:40 ID:ZWSN1K4y
>>572
本当にGJ!
細かい描写が素晴らしい
私のハートに直撃ストライクでした、いいよいいよー
577名無しさん@ピンキー:2008/03/30(日) 08:11:57 ID:sNHUCx9G
>>572
綺麗でした。こういう何気ない感じ、好きだー。
578名無しさん@ピンキー:2008/03/30(日) 21:00:07 ID:XRZAlg9+
GJ!
先生がイケメンすぎる。そしてガチロリすぎるw
579名無しさん@ピンキー:2008/03/30(日) 22:18:52 ID:WUmaocNh
ぐっじょぶですよー。
アニメ終ってマジ寂しい…
580名無しさん@ピンキー:2008/03/30(日) 23:17:46 ID:cVht+gSi
先生が優しくて、芽留が可愛くて、もう…!
GJとしか言いようがないです!!
アニメが芽留回だったせいか余計にツボにきました。
581名無しさん@ピンキー:2008/03/30(日) 23:36:31 ID:JtzaAwEI
アニメは終わっても妄想は終わらない!
エロパロ先生の次回作にご期待ください!
582名無しさん@ピンキー:2008/03/31(月) 11:37:12 ID:vQkFPOr8
そういえば鬼畜職人さんの続きがまだなんだぜ
楽しみで仕方がないんだぜ
583あれは漫画のまやかしだっていうのに:2008/03/31(月) 19:51:17 ID:lcwpezzA
以前、三者懇談の望×霧やったものです。
 次は、マイナーな久藤×藤吉やります。略して久藤吉。
共通点は、本が好き!

 拘束、陵辱ありなので苦手な方はスルー。
584名無しさん@ピンキー:2008/03/31(月) 20:25:08 ID:FGGC8LGN
久藤吉
うどんみたいでうまそうだな
585名無しさん@ピンキー:2008/03/31(月) 20:53:59 ID:UwECMPUp
規制か何かか?
久藤吉wktk
586名無しさん@ピンキー:2008/03/31(月) 23:45:00 ID:2YPqWqpA
今日は寒いから全裸待機だと風邪引きそうなので、ネクタイしめました
587名無しさん@ピンキー:2008/03/31(月) 23:48:49 ID:juQogPBB
>>586
せめて靴下ははいておけ
588名無しさん@ピンキー:2008/04/01(火) 01:32:56 ID:HXdff1Se
まさか1日早いエイプリルフールだったとか
589名無しさん@ピンキー:2008/04/01(火) 01:48:39 ID:l5OLiilG
そういや今日は何を言ってもいい日!



「次回は先生が渋谷にメルちゃんを買いに行く話ですよ」
590名無しさん@ピンキー:2008/04/01(火) 02:04:44 ID:Li2Q3b9g
皆さん嘘は構いませんが、ホワイトライにしてくださいね
でも>>583が飢えた住人へのホワイトライだったら絶望します
591名無しさん@ピンキー:2008/04/01(火) 02:14:54 ID:gR7ocoRM
改蔵アニメ化決定した記念に一本投下していいですか?
改蔵×羽美の鬼畜物です。
592名無しさん@ピンキー:2008/04/01(火) 10:09:37 ID:vUJmkQ29
カエレ「ぴらっ」
マリア「ぴらっ」
糸色望「関内さんは真似しないでください
    あとカエレさんあなたノーパンですね」


最低限の文化的小説
593名無しさん@ピンキー:2008/04/01(火) 11:42:59 ID:PedDYnGi
絶望×カフカ純愛で一本書きます
ですが最終回を前提とした話なので最終回があるまで投下しません
594名無しさん@ピンキー:2008/04/01(火) 11:45:27 ID:E4NzT4PJ
絶望先生「今日は絶望しませんでした」
595名無しさん@ピンキー:2008/04/01(火) 12:28:32 ID:61zM4pDH
改蔵アニメ化するのか?
596名無しさん@ピンキー:2008/04/01(火) 12:35:01 ID:zZlkmxDJ
諸々の事は4月1日だからじゃね?
597名無しさん@ピンキー:2008/04/01(火) 12:59:14 ID:/cjf2pqP
>>588がなかったら>>591を信じていた・・・
ていうかちょっと信じたぞ畜生
598名無しさん@ピンキー:2008/04/01(火) 13:27:25 ID:H2qBIvfK
本当でもおかしくないんだよなw
599名無しさん@ピンキー:2008/04/01(火) 13:30:31 ID:HXdff1Se
つまり何でもいいから萌えるものをくれというわけですな
600名無しさん@ピンキー:2008/04/01(火) 13:46:37 ID:Isln4hVP
>>583
どっちが陵辱されるんだろうか?
601名無しさん@ピンキー:2008/04/01(火) 14:01:29 ID:/cjf2pqP
割り込んできた地丹だろ
602あれは漫画のまやかしだっていうのに:2008/04/01(火) 15:45:49 ID:Qf8auomp
昨日、久藤吉やるって、言ったものです。
ちょっと、やぼ用で一日遅れちゃったけど
投稿します。
603あれは漫画のまやかしだっていうのに:2008/04/01(火) 16:01:36 ID:Qf8auomp
ちゃんと、投下されてます? 
どうも調子が悪い。
604あれは漫画のまやかしだっていうのに:2008/04/01(火) 16:02:26 ID:Qf8auomp
されてませんでしたね。もう一度挑戦します。
605名無しさん@ピンキー:2008/04/01(火) 16:06:14 ID:isa9ZTB/
一度に投稿する行を減らしたらいいんじゃないか?
606あれは漫画のまやかしだっていうのに:2008/04/01(火) 16:10:53 ID:Qf8auomp

『あれは漫画のまやかしだというのに、だまされやすいお馬鹿さん。
  あの女は、誰を見てもホモのように見える女なんですよ』


 「あんたのことなんて、なんとも思っていないんだからね!」
 制服の上からTシャツを着た男に背を向けて、少女は走り去った。
 
 「加賀さん。なんて愛しいんだ!」
 男はぽつりとつぶやいた。

 「あいつ、よくやるよな」

 それを冷ややかに見下ろす美少年が一人。
彼の名前は久藤准。放課後、この図書室から、友人である
木野の情けない姿を見つめていた。
607あれは漫画のまやかしだっていうのに:2008/04/01(火) 16:11:54 ID:Qf8auomp
あれ? やっぱり投下されない?
608あれは漫画のまやかしだっていうのに:2008/04/01(火) 16:13:55 ID:Qf8auomp
 木野は久藤をライバル視していた。それが、いつの間にか、
あの少女にくびったけである。もう自分と張り合う気はないみたいだ。

 「木野…お前はもう、僕はどうでもいいのか…」
 今までは、迷惑に思っていたが、ないとそれは、少しばかり寂しいものだ。

 「え?」

 物思いに耽る久藤の肩を、誰かが掴んだ。
彼が振り返ると、同じクラスの生徒がいた。

 「藤吉さん。どうしたの?」

 メガネをかけた少女。藤吉はにゃまりと笑みを浮かべていた。

 「私は、ちょっとヨーロッパ建築の資料を求めにね。次の新刊が…
  まあ、そんな話はいいじゃない。それより、さっきの台詞…」

 「さっき?」
 「やっぱり、思ったとおり、久藤くん…木野君のことが、好きだったんだ!」
609あれは漫画のまやかしだっていうのに:2008/04/01(火) 16:14:28 ID:Qf8auomp
  

 何この誤解!!!


 「私、応援する!」
 「え、あのちょっと…」
 「そうとなれば計画を練らねば!
  まず、千里に相談しましょう!」
 「ちょっと、やめてください!」
 
 久藤が藤吉の腕を掴んで哀願する。

 「やめてほしい?」
 「やめてください」
 「どうしようかな?」
 藤吉は、意地悪そうに微笑む。

 「誰にも言わないでよ。というか別に好きでもないし…。
  何でもするからさ…」
 とんだ誤解で、変な噂を流されたらたまったものじゃない。
それに、木野から変な目で見られるかもしれないのだ。

 「何でもする? …なんて受けっぽい台詞…」
藤吉は、さらに顔をにやけさせる。

 「じゃあ…」
 藤吉は久藤に体を密着させた。
いきなりの行動に、久藤も驚く。
 「わっ!」
 「モデルになってよ」
 藤吉が久藤の耳元で、いやらしく囁いた。

 「モデル?」
 「そ」
 藤吉は神業とも言える素早さで、彼のベルトをガシッと掴んだ。
 
 「ちょっ! ふじ…」
 藤吉はそのベルトを外し、久藤を押し倒す。
そして、久藤の両手首を恐るべき怪力で、彼の背中に回す。
ベルトを使って簡単に縛り上げると、準備完了だ。
そのまま彼を担ぎあげ、人目のつかない場所に移動した。
610あれは漫画のまやかしだっていうのに:2008/04/01(火) 16:15:31 ID:Qf8auomp
「久藤くん。はじめるよ。まず、木野君のことを考えて…」
 久藤には、意味のわからないことだったが、とりあえず従うことにした。

 「うん」
 少し時間が経った。それから藤吉は、ゆっくりと彼のズボンのチャックを開けるという暴挙に出た。
 「何してるんだ!」
 久藤の性器は露となり、藤吉に観察される。
彼は恥ずかしさのあまり、顔を背ける。
両手は後ろで縛られ、足を動かそうにも藤吉に押さえつけられている。
 「木野君のことを考えたから、大きくなったんだね。やらしい」
 「違う! これは…」
 「これは?」
 
 久藤は言葉を詰まらせた。これの原因が藤吉に抱かれ、誰もいないところに
運ばれたから、などと言えるものではない。
そう。藤吉は基本的に美人なのだ。少し興奮してしまうのも
無理はない。決して、あんな馬鹿のことを考えて大きくなったわけではない。

 それを弁明したところで、この腐女子になにか効果を齎すとは思えないが。

 赤面する久藤を眺めると、藤吉の欲求は高まってしまう。
 「もっとやりたい」
 そう呟くと、藤吉は、携帯電話を取り出し…

 カシャ

 カメラのシャッターの機械音。久藤のソレを撮ってしまった。
 「これは…いい資料になる」
 恍惚とした表情を浮かべる彼女は、画面を凝視する。
611あれは漫画のまやかしだっていうのに:2008/04/01(火) 16:16:17 ID:Qf8auomp
「データ…消してほしかったら…」
 
 藤吉は、さらなる要求を求める。

 「これから、私が言う言葉…繰り返して」
 
 久藤は、いつもの冷静さを失って、黙って頷く。
 
 藤吉は言った。
 「まずは…『僕は、男の子が好きです』」
 
 何を言わすんだ! この変態!!

 「ぼ…ぼくは…」

 「言えないの?」
 藤吉は、指先で久藤の完全に立ち上がったそれを指で突く。
 「っ! 僕は男の子が…好きです」
 「満足! 次…『木野、オレで遊んで』」

 屈辱だ!

 「木野…おれで遊んで」

 このやり取りは、十回ほど繰り返された。
久藤は、心にもないこと台詞を言わされ、藤吉に性器を嬲られ、
精神的に疲れてしまっていた。
 もう藤吉にされるがままだ。

 

 「はい。言って! 可愛らしく…」
 「…おにいちゃん。僕を犯してください」

 「いいよ! いいよ!」
 藤吉のほうはといえば、逆に涎を垂らし、なんとも間抜けな顔で、
彼に魅入っていた。それでいても、女性としての可愛さは
失われていないのは、彼女の魅力のせいだろう。

 藤吉は、また携帯電話をいじりだした。
さきほどの画像を消してくれるのだろうと、久藤は安心したのだが、
その希望は、はかなくも消え去った。

 『ぼ…ぼくは…言えないの? っつ! 僕は男の子が…好きです』

 先ほどのやりとりが、録音されていた。
そして、それが再生されている。

 藤吉は、携帯電話を彼の耳元に当てる。
大きく聞こえる恥ずかしい言葉。しかも自分の声である。
久藤は、とうとう絶望してしまった。
612あれは漫画のまやかしだっていうのに:2008/04/01(火) 16:20:32 ID:Qf8auomp
 
 「たす…けて…」
 久藤は上目遣いで、藤吉を見つめる。
 「お願いだ」

 この行為に、藤吉もただではすまなかった。
全てのイケメンはホモであってほしい。
藤吉はそう思うものも、その反面、自分はいい男と
結ばれたい(いろんな意味で)と思っている。
藤吉の鼓動が高まる。いいBL小説を書きたいという
目的でおこなったこの行為だが、藤吉が今、求める内容は、
変わっていた。

 久藤君とやりたい。

 今まで、久藤の性器であそんでいたが、自分を男(攻)に
見立てていた。
 次は、藤吉自身がこれの利用者となるときだった。
613あれは漫画のまやかしだっていうのに:2008/04/01(火) 16:21:34 ID:Qf8auomp
藤吉は、久藤の顔に、己の顔を近づける。
まずは軽い口付け。そして深い口付け。

 「藤吉さん・・・」
 半分涙目で赤面。少し息切れしている彼は、拘束されている。
このイケメンの艶姿は、性的欲求を解消するのに、
最高の逸材であった。

 「我慢できないよ。久藤くん!」
 藤吉は、久藤の学ラン。シャツを脱がしていく。
露になった体に抱きつき、鎖骨、乳首に吸い付く。
 
 久藤の喘ぎ声が、さらなる欲求を生み、藤吉を暴走させる。

 藤吉は、自分の制服も脱ぎ捨てた。
そこには輝く実が二つ。
久藤は恥ずかしさのあまり、目を瞑る。
614あれは漫画のまやかしだっていうのに:2008/04/01(火) 16:22:25 ID:Qf8auomp

 「見てよ…」
 藤吉はブラジャーの紐を彼のソレにひっかける。
そして、こま結びにして力いっぱいに縛り付けた。

 「痛い!」
 「ごめんね。久藤くん。それじゃあイケないよね」

 久藤は訴えようとするが、それは遮られた。
藤吉が、己の大きな乳房を持ち上げ、自分の顔に押し付けたからだ。

 「やっ」
 「吸ってよ」
 本当は揉んで欲しかったのだが、両手を縛っているため仕方がない。
久藤は嫌々、舌を出して、先端の赤い突起を舐めだした。
 
 「あっ、いい」
 「んんん」
 「もっと! できるでしょ!」
  
 胸は十分に満足した。さて、次は…
615あれは漫画のまやかしだっていうのに:2008/04/01(火) 16:23:10 ID:Qf8auomp
藤吉は、大きく屹立したソレを掴む。

 「いただきまーす」
 そしてソレを口に含んだ。
藤吉の口内では舌が大暴れし、獲物を味わいつくす。

 「あっ! もう駄目!!」
久藤はもう我慢ができずに、射精してしまった。
しかしながら、性器に強く縛りつけられたブラの紐によって、
精子は、彼の中に溜まったままとなった。

 「駄目! とって! 早く!! 嫌だ!嫌だ!」

 久藤の願いは、何の意味も持たなかった。
それどころが、藤吉をさらに興奮させた。

 「イケなかった? 苦しそうだね」

 藤吉は、なんとか先端から零れ出たそれを吸い取ると、
自分の胸の谷間に久藤のソレを挟み込む。
 
 「動かすよ」
 
 久藤の悪夢は続いた。
616あれは漫画のまやかしだっていうのに:2008/04/01(火) 16:23:57 ID:Qf8auomp
あれから、一時間ほど経った。
さすがにやりすぎたと思った藤吉は、
久藤についたその呪縛の紐を解いてあげた。
トロトロと流れ出る精液。
 長い間溜まっていたため、まだ全て出し切ることが
できなかった。
 それによって、久藤の中に不満が残る。

 手を開放された久藤は、放心状態のまま
さっさと服を着る藤吉を見つめた。
自分は、まだもやもやが残っている。
気持ち悪い。自分で処理するべきだろうか。
いや、そんなことできない。

 久藤は立ち上がり、いきなり後ろから藤吉の乳房を鷲づかみにした。
いきなりの出来事だったため、これには藤吉は驚いた。
大きなそれを揉み、擦りつける。

 「わあ。やっぱりすっきりしてないか」
 藤吉は、すぐに冷静になり、快楽を味わう。
久藤は自分自身を彼女の中に
挿入しようと試みた。藤吉はそれを受け入れた。

 「まだ。やりたいの?」
617あれは漫画のまやかしだっていうのに:2008/04/01(火) 16:24:40 ID:Qf8auomp
行為が終わったあと、二人はぐったりしていた。
藤吉は、己の欲求も創作意欲も沸き、最高の状態であったが、
逆に久藤は原始的欲求に負けてしまったことを恥じていた。
奢る気はないが、文化人としての誇りを持っていた彼に
とって、大きな打撃だった。

 こんなときには、読書に限る。
 「そうだ。本を読もう」
 
 文学の頂点に位置するといってもよい最高の戯曲。
ゲーテの『ファウスト』。
生の意義を渇望し、高尚なる欲求を求めたる人間を
主人公とした作品。
今日は、これをまた熟読しておこう。
たしか、カバンの中に入っていたはず。


 久藤はカバンを手に取ると、すぐさま家に帰った。

 
618あれは漫画のまやかしだっていうのに:2008/04/01(火) 16:25:25 ID:Qf8auomp
今日は、おそかったわね」
 家に帰った久藤は、何事もなかったかのように、
母親に『まあね』と答えて、自分の部屋に入った。
そして、カバンを開けた。

 中に入っていたのは、BL同人誌だった。

 
 「カバン…間違えた」



 一方、家に帰った藤吉は…

 「メフィファウ萌え! ファウワグもいいかも…」

 文学の最高傑作を用いて、妄想していたのだった。


               END
619あれは漫画のまやかしだっていうのに:2008/04/01(火) 16:30:44 ID:Qf8auomp
 すいません。すいません。アホな話ですいません。
題名長くてすいません。

 題名『あれは漫画のまやかしだというのに、だまされやすいお馬鹿さん。
    あの女は、誰を見てもホモのように見える女なんですよ』

 の元ネタは、『ファウスト』の
   『あれは魔法のまやかしだというのに、だまされやすいお馬鹿さん。
    あの女は、誰の目からみても恋人のように見える女なんですよ』から。

 別に、冒頭の言葉でも有名な台詞でもないんですけどね。

 藤吉さんは小森さんと同じく、自分の好きなキャラの一人。
アニメの『勝手なこというなー』の台詞が可愛すぎです。
反応よかったら、またなんか書いてみようかな。
620名無しさん@ピンキー:2008/04/01(火) 16:34:52 ID:isa9ZTB/
腐女子KOEEEEEEEEE
621名無しさん@ピンキー:2008/04/01(火) 16:47:51 ID:UQw7oluA
メフィファウってw
投稿エラーの件だけど1行目を空欄にするとエラーになるらしい
622名無しさん@ピンキー:2008/04/01(火) 19:33:02 ID:NHMzjYQ0
失礼します。

最終回ネタで先生が犬ネタなのだが投下してもよろしいでしょうか?

投下初めて&マニアックなネタなので聞かずにはいられなかった…作品は完成してます。あとは改行などに悩んでる

ちなみに相手はまといです
623名無しさん@ピンキー:2008/04/01(火) 19:42:02 ID:RaL80Izb
ええい!!マ太郎はどうした!! マ太郎は!!
624名無しさん@ピンキー:2008/04/01(火) 20:03:13 ID:gHEDO8Sv
いいんじゃないのか
625名無しさん@ピンキー:2008/04/01(火) 20:32:00 ID:EIv0kOWp
先生はペット〜。
626名無しさん@ピンキー:2008/04/01(火) 21:05:06 ID:HXdff1Se
最終回ネタってアニメ?
627名無しさん@ピンキー:2008/04/01(火) 21:51:01 ID:UQw7oluA
>>626
アニメ最終回Aパートだろ あれは千里がご主人様だと思うんだが
でもまといで犬先生なら充分に楽しめそうなので投下期待
あとそろそろ誰か新スレよろしく
628名無しさん@ピンキー:2008/04/01(火) 22:31:37 ID:HXdff1Se
BS組なんで読むのを避けます
629君は絶望ペット:2008/04/01(火) 22:42:45 ID:oQkIgFNO
こんばんは。
先ほどの犬先生の者です。
注意:先生が最終回の犬仕様です、最初が無理やりっぽいです
苦手な方はスルーして下さい
先生×まといです
投下初心者なのでゆっくり投下になると思います
では、楽しんで頂けると幸いです
630君は絶望ペット:2008/04/01(火) 22:44:08 ID:oQkIgFNO
 北国から先生を強制的に連れて帰って来たのはいいが、糸色望は、その頭に普通の人間ではあるはずのない毛並みのいい、獣の耳が生えていたのだ。そして腰の辺りには尻尾が生えている。今は、家に帰ってきて嬉しいのか、勢いよくその尻尾は振られている。
まといは、ふさふさの耳を触って、うっとりと目を細めた。その獣は、くぅ、と小さく可愛らしい声で鳴いた。
まといはじーーーっと望を見つめた。その視線を受け止め、望は少し首を傾げた、頭の上の耳が、ぴくりと動く。
 まといは、望を見つめながら望の耳をふにふにと弄くる。時折ピクリと何かに反応するように動く耳。
「先生、可愛い……」
まといはうっとりと嘆息を吐きながら呟いた。
 
 ―――ぞわり。
「………?」
 まといが、己の耳に触れたとき、一瞬、本当に一瞬だけ走った感覚。そうそれはまるで、全身が粟立つかのような……。
 まといは相変わらず耳を触っていて―――そうして見詰めていると、ふとまといがこちらを見た。
 まといの瞳と、視線がかち合って
 ―――ぞく、ぞく……
 再び背筋に走る、怖気にも似た感覚。今度こそはっきりとした、明確な感覚だ。望は少しだけ眼を見開かせた。
  まといは望の変化に聡く気がついたのか、不思議そうに小首を傾げて。
「先生……?」
 己の名を呼んで。
 眼の奥でちかりと何かが弾けた気がして。その刹那
 まといの胸元へと望が飛び込んできた。
631君は絶望ペット:2008/04/01(火) 22:45:37 ID:oQkIgFNO
 「……せ、せんせい!!?」
 突然の望の行動に、まといは驚いて自分の胸元に縋り付く望を見下ろした。望の腕がまといの体を抱きしめて離さない。
 今までに経験したこともないような事態に、まといは混乱した。
 それでも、望の手は止まることがなく―――。

「せ、せんせっ………ひゃあっ!?」

 まといの体を、望は抵抗しようとこちらを押し退けてくる腕ごと押さえ込むと、その白い首筋に顔を近付けて、ぺろりと舐めあげた。
 それに、まといは小さく悲鳴をあげて体を震わせる。
 そんなまといの反応などお構いなしで、いやむしろその反応を楽しんでいるのかのように、望は更にまといの首筋を舐め上げた。何度も何度も。
 そう、まさしくその様は、飼い主にじゃれつく犬のよう。

「せ、せんせっ……あ、あぅ……っく…」
 まといは、なんとか望の腕から逃れようと身を捩じらせが……男の腕力に敵うはずもなかった。
 必死の抵抗むなしく、細い体は簡単に組み敷かれて。望はその上に、覆いかぶさった。
 そして些か性急に、強引にまといの着衣を乱し、まるで獲物に貪りつくかのように、柔らかな胸の膨らみに甘く噛み付いた。
 微かな痛みと、しかしそれを上回る鋭い快感に、まといは背をしならせて甲高く啼いた。
 だが、望の唇は、未だ何の言葉も発さない。それは、まさに本当の獣のように。
 望は、あからさまに昂ぶっているようだった。頬には微かに朱がのぼり、呼吸は大分乱れている。
 そして、ただただ貪欲にまといの肌に喰らいついた。まといの体は、それに従順に反応するが、しかし、いつもの先生ではないことに、快楽よりも恐怖の方が勝っていた。
 欲望を剥き出しにした望が……愛しくもあり、怖くもあった。
 こうして望に抱かれることを望んでいたというのに。
632君は絶望ペット:2008/04/01(火) 22:46:27 ID:oQkIgFNO
 先生と呼んでみても、何をしても、望は答えない。
 それが、無性に悲しい。
「……ふ、ぇっ……」
いつの間にか、まといは泣いていた。何故だかは、自分にも分からなかった……ただ涙が溢れて、止まらない。
 快楽に喘ぐその合間、まといはみっともなくも嗚咽を漏らし、肩を震わせながら、泣いた。
 すると。
 ぺろり。
 暖かく湿ったものが頬を撫ぜた気がして、まといは、いつのまにか閉じてしまっていた目をおずおずと開けた。
 ―――望の顔が、すぐそこにある。まといは思わず目を見開いた。
 驚くまといの目の前で、望は舌先を出すと、まといの頬を濡らす涙を丁寧に優しく舐めとった。
 それは、そう……慰めようとしているかのような仕種で。優しく。

「……せ、せんせい……?」
633君は絶望ペット:2008/04/01(火) 22:47:46 ID:oQkIgFNO
 ――――――ッッ!!!!

 「つ、常月さん…!……私は、なんてことを……」
 
 望は慌てて体を起こし、まといから身を離した。
 そうしてもう一度、改めて、自分の腕に閉じ込めた細い体に視線を落とす。白い肌に朱が散らされて…。
 それにそそられないと言えば、それは嘘になる。獣故の激しい情欲の灯は未だ胸に燻っていたし、それでなくとも、今すぐにでも食べたくて堪らない…。
 しかし、それはできなかった。
 まといが、怯えたように泣きじゃくっていたから。
 望は苦しげに溜息を吐いた。深く深く、己を落ち着かせるように何度も息を吐いて、それから、そこらに散らかされていた着物の上掛けを白い体にふわりと掛けてやる。
 まといが、濡れた瞳でこちらを見遣る……手が伸びそうになるのを必死で堪えて、望は堪えるように言葉を発した。
  望はよろよろと後ずさり、壁に背をつけて、また一つ長く息を吐いた。
「常月さん、本当に申し訳ありません……」
「せ、せんせい……?」
 まといは、自由になった体を起こすとおずおずと望を見つめた。望は、片方の手で顔の半分を覆いながら、呟く。
「ああ、どうしてこうなったのか……、申し訳ありませんが……常月さん、その、今日の私は何をするか分かりませんから、今日だけは違う所に行ってもらえませんか……」
 ―――このままだと確実に本能のままに常月さんを……。
 分かっているから、距離さえとっていれば、生徒と一線を越えることはないはず。
 そう思っての、言葉だった、けれど。
634君は絶望ペット:2008/04/01(火) 22:48:37 ID:oQkIgFNO
 まといはじっと、望を見詰めて。そうしたら
 ―――着衣の乱れすらそのままに、まといはふっと立ち上がり、望の傍に近付いていった。もちろん慌てたのは望の方だ。
「!!……常月さん、困ります…っっ!!」
 望は声を荒げて、何かを押し込めるように自分の体を掻き抱いた。何とか距離を取りたくても、後ろは壁。後ずさることも出来ない。
 ……どうしてこっちに来るんですか!…絶望した!
 絶望の心中を声には出さず、胸のうちで叫ぶ。先程は、怯えて泣いていたはずなのに。無理矢理犯そうとしたのだ、怖くないはずは…無いだろうに。
 それなのにどうして。
 
 そんな、狼狽を隠しきれない望の眼の前にやってくると、まといはそっと膝を着いて、それからぎゅっと、望の首筋を、抱きしめた。強く優しく。
 鼻腔をくすぐる微かなまといの女の匂いに、喉が鳴る。勝手に動き出しそうになる両手を、望は必死になって戒めた。
  望は少しも動けなかった。今、少しでも動いたら、それだけでもう自分の中で何かが崩れてしまいそうな気がしたからだ。
 いや、それ以前に今の状況自体まずいのだ、まといの腕の温度に、ふわりと香る匂いに、確実に、理性は追い詰められていく。
 だがまといは決して望から離れようとはしなかった。それどころか、さらにぎゅっと、望の首筋に縋り付く。
635君は絶望ペット:2008/04/01(火) 22:51:41 ID:oQkIgFNO
 「せん、せ……」
 「……っっ!」
 
 耳元に掛かる声が、あまりにか細く、弱弱しくて、それにどうしようもなく嗜虐心を掻き立てられて。
 それでもどうにか、最後の一線だけは守り通そうとしていた、のだけれど。

 「私は、大丈夫ですよ」
 
 静かに弱弱しく、けれどはっきりと、告げる。望は、ゆっくりとまといを見下ろして。

 「私は…怖くないですよ…わたしは、むしろ…」
 そっと頬を撫でて、視線を合わせて

 「先生に求められることが、嬉しいです…」
 「…っ!」
 「大丈夫、です、だから、せんせい…」
 じっと、見詰めて。

「……抱いて、ください……せんせい……」
 
 まといは望の肩に顔を埋めて、囁いた。
 脳裏で、ぷつんと何かが断ち切られたような、気がして。
 直後、望の腕はまといの体を捉えていた。
636君は絶望ペット:2008/04/01(火) 22:52:44 ID:oQkIgFNO
 細い背中が弓なりにしなって震える、それを下からつぅっと舐めあげると、更に甘い声が響いた。
 細い腰を両手で押さえつけて腰を突き上げると、びくりと肩が跳ねた。まといが感じているのだと理解するや否や、胸に押し寄せる言い様の無い感情。
 背後からまといを犯すその様は、獣の情交と重なった。

 「つ、常月さ……っ」
 「あ、はぁ、うっ……ぃ、あぁあっ……!」
 
 まといは悲鳴のように喘いだ。激しすぎるその責めは,その分の快楽を伴ってまといを苦しめた。
 
 何も敷かず、畳の上で、長時間の行為に及んでいるために、体中あちこちに小さな擦り傷が出来ていたのだけれど、そんなこと気にすることも出来なかった。
 もう、何度果てたかも分からない。数え切れないほど果てたと言うのは分かるけれど。
 望の放った欲が、自分の中で溢れていると言うことも。
 孕んでしまうのではないかと思うくらいに、何度も注がれた。凄まじい熱量がそこを行き来するたびに、じゅぷ、と濡れた音がして、溢れた白濁がつぅ、と太股を伝っていく。
 羞恥と快楽の間で、まといは泣きながら甘い悲鳴をあげる。
637君は絶望ペット:2008/04/01(火) 22:53:42 ID:oQkIgFNO
 しかし余裕なんてものは望には存在しなかった。
 一心不乱に楔を打ち込む望の息は、既にあがっている。だが、獣心のもたらす果てない情欲は、未だに望の内で燻っていた。
 もっと、もっと。まだ足りない。己の中で何が叫ぶ。
 ……まるで、獣。貪欲に獲物を貪る、獣……まるで、ではない、これはそのものだ。
 まずい、望は直感的に思った。
 これだけ長時間行為を続けてなお、熱の冷める気配は一向にない。己はともかく、まといはもう息も絶え絶えだというのに。
 ―――本当に壊してしまうのではないだろうか。
 もちろん、優しくしたいと思う、…けれど思っても無駄だった、加減が出来そうにないのだ。
 
 (私は、本当に教師失格ですね……!)
 
 そんな思いとは裏腹に、熱はどんどん増して行く、上り詰めようとしている。一刻も早い開放を望んだ体は、今まで以上に乱暴に動いた。ずん、と奥深くまで強く楔を突き立てる。
 瞬間、まといの口からあがる痛々しい悲鳴と、痙攣したように震える細い肢体。きゅうっと絡みつく内壁。
 まといが達したのに同調するかのように、望もまた限界を迎えて、まといの中へと欲望を全て吐き出した。
 直後、体中に満ちる脱力感。望はまといの背に、ぐったりと己の体を預けた。まといが苦しくなるとは分かっていたけれど、でも体は言うことを聞かなかった。
638君は絶望ペット:2008/04/01(火) 22:54:41 ID:oQkIgFNO
「は、ぁ……せ…せん…せぇ……」
 
 ようやく熱が収まったのだろうか、ぼんやりとする頭で考えていると、不意にまといの掠れた声が己の名前を呼んで。
 それだけで、簡単に体は熱くなり始めた。

 「っく……常月さ……ん……っ」
 「え……あっ……」
 
 望の切羽詰った声に、一体どうしたのかと振り向くと――自分の中で、再び望が固さを取り戻していくのに、気がついて。
 再び膣を満たしていく熱塊に、まといはふるりと背を震わせた。
 だが、望にはもう我慢ならなかった。これ以上はとても無理だ、まといの体を考えれば……浅い呼吸を繰り返すまといを見下ろしながら、思う。
 それを告げようとして

 「常月さん、これ以上は……」
 
 口を開いたのだけれど。
 ―――まといの唇が、ゆっくりと触れてきて。
 その後の言葉は全て、吸い込まれてしまった。
 こちらを振り返ったまといは……微笑んでいた。にっこりと、優しく。
639君は絶望ペット:2008/04/01(火) 22:55:26 ID:oQkIgFNO
「わたし、は、だい……じょぶ、ですから……っ」
「……っ」
「だ、から……つづけて、ください、せんせっ…………」
 
 まといは、甘い声音で囁いた。慈しむような眼差しを、望に向けながら。
 ……息も絶え絶えで、苦しくて仕方が無いだろうに。
 そんなことを、言われて、しまったら。
 望は、後ろからぎゅっとまといの体を抱きしめた。途切れることの無い快楽からか、ふるふると細かく震えていた。
 後ろめたくないと言えば嘘だ。けれど、堪えられそうにない。

 「………まとい………」
  
 そっと呟くと、ぺろりと赤らんだ頬を舐めて、再び腰を揺すり始めた。
640君は絶望ペット:2008/04/01(火) 22:56:15 ID:oQkIgFNO
 いつ眠りに就いたのかよく分からないのだけれど……気がついたとき、時刻は既に翌日の朝で、自分はちゃんとした布団に横たえられていた。
 目を覚まして横を向くと、望が、布団の横に座っていた。

 まといは眠っている望の耳元に唇を寄せて、そっと、囁いた。

「ずっと、先生の傍にいますから。」

 眠っているから、その言葉は聞こえないはずだけれど。


          
          おしまい

641君は絶望ペット:2008/04/01(火) 22:56:59 ID:oQkIgFNO
お読み頂きありがとうございました。
望(犬耳&しっぽ)×まといでした
このネタは好き嫌い別れるのではないかな、と思います
そして、何個もレスをお借りすること言ってなくて本当に申し訳ありませんでした!!
読み手に戻ります。投下ってほんと緊張する。もう逃げます。
書き手の皆さんほんと改めて尊敬します
それでは、気に入って頂ければ幸いです
642名無しさん@ピンキー:2008/04/02(水) 01:06:31 ID:TKp2L4xk
>>629 ふぅ…
まとい後背位最高!ご馳走様でしたGJ
643名無しさん@ピンキー:2008/04/02(水) 01:47:06 ID:e8sJ7J3F
乙!まとい健気で可愛いよハァハァ(;´Д`)
644名無しさん@ピンキー:2008/04/02(水) 03:06:17 ID:vZPnZQih
やはり望×可符香は良いものだ…
俺に文才があればなぁ
645名無しさん@ピンキー:2008/04/02(水) 03:46:34 ID:Oy9rTkyd
文才なんていりません。
646名無しさん@ピンキー:2008/04/02(水) 04:13:11 ID:m/9MX/eV
藤吉×久藤面白かった!
だがいくら美人でも涎を垂らす腐女子の魅力はわかりませんw
647名無しさん@ピンキー:2008/04/02(水) 05:29:23 ID:WB4EhWuT
春、それは次スレの季節
648名無しさん@ピンキー:2008/04/02(水) 06:38:12 ID:WB4EhWuT
立ててみたよ

【絶望先生】久米田康治エロパロ総合 Part15【改蔵】
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649名無しさん@ピンキー:2008/04/02(水) 09:33:40 ID:zSiILHv2
乙一
650名無しさん@ピンキー:2008/04/02(水) 15:05:20 ID:Yd8hXmHP
乙!
さて、千里めますか。
651名無しさん@ピンキー:2008/04/02(水) 21:57:33 ID:n+APZk8/
うめ
652名無しさん@ピンキー:2008/04/03(木) 01:28:55 ID:VagDfOrm
マリアは頭がいいねえ
653名無しさん@ピンキー:2008/04/03(木) 01:35:00 ID:T0RdZUdq
マリアはいいのよ。
654名無しさん@ピンキー:2008/04/03(木) 04:49:36 ID:Fokj9GqC
さっそく次スレに続編パンチラ埋め
655名無しさん@ピンキー:2008/04/03(木) 11:27:26 ID:luUomTq4
      -──‐-
   / : : /: : `>、ヽ
.  /: : : : l: : : :/   ヽヽ   
 /: : : : : l:./ \    !: i   きっちり埋め。
 l: : : i⌒Y ィtx、   -‐!: l   
 |: : : ヽソl  廴ノ  イT{: :!
 |: : : : : :.|     ! ー'l: :l
 |: : : : : :.ト、   ィ=ァ  / : |
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 |: : , く\__\ /___.∧l    /:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.|
 |/  `┬‐-イ下ャ-イ i  /:.:.:.:,:イ:.:.:.:.:.:.:.:ノ
 {       l/ 凡 ヽノ l  \://:.:.:.:.:./
 l          l  l    } .r-</、:.:.:.:./
 l          |  |   /!  }  ヽ'
 ヽ       |  |  //ヽノ
656名無しさん@ピンキー:2008/04/04(金) 17:25:41 ID:nNUMhQSX
うめぇ
657名無しさん@ピンキー:2008/04/04(金) 17:31:29 ID:OJwukVqR
うまい
658名無しさん@ピンキー:2008/04/04(金) 17:33:26 ID:r1VdYrH1
おいしい
659名無しさん@ピンキー:2008/04/04(金) 21:59:23 ID:aU1WvsUE
さて、そろそろ望×霧の本領を見せてやろうか
660名無しさん@ピンキー:2008/04/04(金) 22:10:22 ID:Nbi7b6fF
次スレで待ってます
661名無しさん@ピンキー:2008/04/05(土) 08:30:10 ID:zJI697QQ
           r、\ r-、
      /^ノrー─::::\} }ノノ ヽ
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 r-ゞ/ー´:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.: : :` `ー 、 7:.:} }Vヽ`ー- 、
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662名無しさん@ピンキー:2008/04/05(土) 08:31:23 ID:zJI697QQ
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663名無しさん@ピンキー
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