1 :
名無しさん@ピンキー:
乙
乙
>>1乙。
そして投下。
前回までの黒ハムシリーズの続編となりますが、シリーズ名が変更となります。
ぶっちゃけどうでもいいよね、そんなこと。
「ヒナギクさん、三千院のお屋敷でメイドをやりませんか?」
「…………は?」
ハヤテ君がそんなことを言い出したのは、放課後、生徒会室での情事を終えた後、お互いに衣服の乱れを整えている時のことだった。
「えーっと……何? 今度はそういうプレイがいいの?」
「まあ、それもあるんですが……わりと真面目な話なんですよ。実は――」
ハヤテ君の話によると、マリアさんがインフルエンザにかかって倒れてしまったのだという。4月にインフルエンザって、と思わなくもないけど……要するに人手が足りないということらしい。
「それで、もしヒナギクさんが良ければ、今度の土日だけでもいいので助っ人に来てくれないかなぁ、と」
「事情は分かったけど……なんで私なの?」
「まあ、本宅の方から応援に来てもらうという手もあるんですが……ご存知の通り、お嬢さまは人見知りが激しいので。それに、マリアさんほどの仕事が出来る人となると、そうそういませんし……」
ナギとある程度親しくて、マリアさん並に仕事が出来て……そういう条件を満たしていたのが私だった、ということだろうか。前者はともかく、後者は自信が無いけど。
「それで、どうでしょう。もちろん、無理にとは言いませんけど……」
「そうねぇ。土曜日はともかく、日曜はちょっと……丸一日バイトが入ってるし」
「ああ、確か西沢さんもでしたよね。なるほど、それは外せませんよね〜」
何もかも見透かしているかのような笑顔が、なんとなく気に入らない。まあ、ハヤテ君が考えているであろうことは全部事実だから、あまり文句も言えないんだけど……。
「じゃあ、土曜だけでもいいです。駄目ですか?」
「……仕方ないわね」
こうして、私の一日メイド体験が決まった。
土曜日の早朝。
当然と言えば当然なんだけど、メイドさんの朝は早いらしい。だから、来るように指定された時間も早い。こんなに早いなら、いっそ昨日から泊り込みにしておけば良かったとも思うけど……まあ、それはいい。
問題なのは――。
「はっ、あぁん! やぁ、ん、んんっ! はやて、くぅん……!」
「まったく、ヒナギクさんは。こんな朝早くから、そんなえっちな声出しちゃって……」
「あ、ああっ! それを、あん、言うなら、は、あぁ、はやてくんが、あ、んぁあああっ!」
そう、問題なのは、こんな朝早くから早速手を出してくるハヤテ君の方だ。
仕事着であるメイド服を渡されて、着替えるように言われて、それで――私は下着姿のまま、ハヤテ君のいいように弄ばれていた。
「やん、は、あぁん! はやて、く、ふぁ、ひぃん! や、だめ、あん、ナギが、あ、ああ!」
「安心してください。お嬢さまなら、お昼過ぎまで起きてこないでしょうから」
「は、あ、あ、ふああっ、あぁああんっ!」
ハヤテ君の指が、私のナカで暴れまわる。同時に、固く勃起しているクリトリスや乳首を責められて、耳や首筋も舌で舐め回されて――歩に開発された身体中の性感帯は、もうハヤテ君にも知り尽くされていた。
絶え間なく続く快楽の波に、理性の抵抗も次第に弱まっていく。
歩もハヤテ君も、いつもこうだ。快楽に溺れていく私を眺めながら、私が“負け”を認めるのを待っている。
「ひっ、いぃん! あぁ、あん、はぁん! ふああっ! はやて、く、あん、はやてくぅん! おちんちん、おちんちんがほしいの! あ、ああっ、あぁっん! はやてくんのおちんちん、ひなのおまんこにいれてぇ! ひ、あああっ!」
私の敗北宣言を受けて、ハヤテ君はニヤリと、ゾクゾクするような笑みを浮かべた。きっと今日も、激しく、いっぱい、犯してくれる――そんな私の期待を、ハヤテ君は、
「……残念ですが、それはまだお預けですよ♪」
見事に裏切った。
「そん、なぁ……」
「はは。まあ、代わりと言ってはなんですが……」
「ひっ、い、あああんっ!?」
「おマンコと一緒に、コッチも弄ってあげますから」
ハヤテ君の指が新たに向かった先は……お尻の穴、だった。
「や、あ、そっちはだめ、だめぇ! ひぃん! はん、あ、あ、ひゃあぁああぁん!?」
「ダメと言うわりには、すごい反応ですけど?」
指の先を少しだけ入れられて、ぐりぐりと回すように……たったそれだけで、私の口から漏れる喘ぎ声はさっきまでよりずっと大きくなっていた。
ハヤテ君がソコを弄るようになったのは、彼と身体を重ねるようになってすぐのことだった。
その時、ハヤテ君はこう言っていた。
「確かに、ヒナギクさんの身体は最高です。いくら貪っても、飽きることなんてない……ですが、やはり物足りないんですよ。誰かの手で出来上がっているモノに手を出しているだけではね」
そうしてハヤテ君が目を付けたのが――。
「ちょ、やだ、そんなとこ! ひっ、あ!」
「でも、ここは……西沢さんもまだ、手を出していないでしょう?」
「そ、そうだけどっ……あ、ん!」
歩が手を出していない場所というなら、上と下の処女は両方ハヤテ君に捧げたんだから、それでいいはずなのに。
「ここまで来たら、お尻の処女も僕が貰ってしまうのが道理でしょう?」
「どんな道理よ、それはっ! い、あ、はぁんっ」
ハヤテ君は、意外と欲張りだったみたいで。
大抵のえっちな要求は受け入れていた私だけど、お尻の穴を弄ることにだけは抵抗していた。そこは元々、こういうことをするためのものではないし……その、汚いし。
まあ、いくら言ってもハヤテ君は聞かないだろうから、身体を洗う時は、今まで以上に入念に綺麗にするよう努めていたけど……。
「では、もう少し奥まで入れますよ」
「ひぃん! やっ、やぁあああっ!」
ずぶっ、とハヤテ君の指が、お尻の穴を突き進んでくる。
最初の頃は、固く閉じていて指なんてとても入らなかった私のお尻の穴は、もう指一本ぐらいなら簡単に呑み込んでしまうほどに躾けられていた。
そう遠くない内に、ハヤテ君の太くて固いおちんちんも、全部入るようになってしまうかもしれない。
「ふふ……最初の頃に比べると、お尻の穴だけでも随分と感じるようになりましたね。ヒナギクさん、気付いてます? 今、おマンコからは指を抜いてるんですよ」
「へ、あん、はあっ、はぁああっん! そんなっ、そんなのっ……ひぁああっ!?」
そのことに気付けなかったのは、私がそれだけお尻の穴を弄られることで齎される快楽に翻弄されていたから……お尻の穴でするなんて嫌だと思っていたはずなのに、私はもう、お尻の穴だけで十分感じてしまう身体にされてしまった――。
「これでおマンコの方も一緒に弄ったら、どれほど気持ちいいんでしょうね……?」
「はっ、あ、あぁぁぁんっ! やぁ、だめ、だめぇ!」
抜かれていた指が再び私のナカに戻って来て、お尻の方の指と一緒になって暴れ始める。
くちゅくちゅと、淫靡な水音と一緒に、前後の穴から同時に齎される快感――今までお尻を弄られても、ここまで感じることはなかった。あまりの気持ちよさに、確かにあったはずの、お尻ですることへの抵抗感が薄れていく。
指一本でこんなに気持ちいいんだから……おちんちんだったら、どれだけ気持ちいいんだろう――。
「あん、やぁん! もっ、と……もっとぉ! もっとはげしくしてぇっ!」
「おやおや。ヒナギクさん、後ろの穴でするのは嫌がってませんでしたっけ?」
「だって、んぁああっ! きもち、いいからぁ!! あん、あぁん! あぁあああっ!!」
「気持ちいいなら何でもいいんですか。まったく、とんでもない変態さんですね、ヒナギクさんは」
ハヤテ君が、“あの”冷たい目で――初めてハヤテ君とした時と同じ、あの冷たい目で、視線で――ひたすらに乱れる私の姿を射抜く。
「本当に、もう……ヒナギクさんみたいな変態を放っておいたら、学院の健全な男子生徒が、ああ、女子生徒もですかね、とにかく、生徒の身が危険ですよ。だから……」
「ひっ、あ、いひぃいいっ! あん、ひぁあっ、だめ、だめぇ! わた、あぁん、おか、おかしくなっちゃうぅぅっ!!」
指の動きが、前後の穴の中でより速く、より激しくなって……あの感覚が、歩やハヤテ君に何度も何度も覚えさせられてきたあの感覚が、私の身体を支配していく。
そして――。
「……だから! これからも僕が責任を持って飼ってあげますよ、淫乱で変態なドMの生徒会長、桂ヒナギクさん!」
「いっ、あ、あ、イク、イッちゃう! ひ、っあぁああぁあぁあああああっ!!」
私は、お尻の穴での初めての絶頂に達した――。
「とうとうお尻でもイケるようになりましたねー。まあ、今回はおマンコも一緒でしたが」
「……バカ」
一仕事やり遂げたとでも言いたげな笑顔を浮かべるハヤテ君に、私は悪態をついた。
大体、今日はメイドの仕事をやりに来たはずなのに。
「はは、すいません。ヒナギクさんの下着姿を見ていたら、こう、ムラムラと……」
「本っ当にバカ。まったくもう……」
ショーツ穿いたままだったから、凄い濡れちゃってるし……どうせこんなことになるんだろうと思って多めに替えを用意してきたのは、正解だったみたいだ。
「そんなにムラムラするっていうなら、部屋の外で待ってなさいよ」
替えのショーツに穿き替えながら、当然の要求を言いつける。まあ、最初からそういう風に言わなかった私にも責任はあるんだけど……。
「あ、ちょっと待ってください。着替える前に……」
ハヤテ君はポケットから何かを取り出すと、私を抱き寄せて……そのまま、ブラを外してしまった。
「ちょ、ちょっと。さっきしたばかりなのに……」
「いえ、違いますよ。メイド服を着る前に、これを付けてもらいませんと」
「それは……」
ハヤテ君が手に持っていたのは――ピンク色をした、多分プラスチック製の球がいくつかコードで繋がっている、そんなモノだった。
私には、それが何なのか分からなかった。少なくとも、私の知識の中にはない。
「……それ、何?」
「まあ、説明するより実際に使ってみた方が早いでしょう。ちょっと失礼しますね」
「え? あっ」
よく見ると、球は全部で四つ。それぞれ、大きさが違っている。小さいのが二つに、大きいのが一つ。中間ぐらいのが一つ。ハヤテ君は穿き替えたばかりのショーツをずらすと、その中で一番大きな球を、秘裂に押し当てた。
「はっ、ん! ちょ、な、何を……さっきは違うって……ひぃん!?」
「まあ待ってくださいよ。……まだ少し濡れてますね。これならそのままでも大丈夫そうです」
ハヤテ君はそのまま、ピンクの球体を、私のナカに押し込んでしまった。
「は、あぁん!」
「さて、お尻の方にも入れちゃいますよ」
「やっ、ちょ、ちょっと! ぃ、ああぁあっ!」
お尻の穴に、指を入れられた時とは違う挿入感を覚えて、私は身体を震わせた。指やおちんちんとは違う、ひんやりとした感覚がおマンコとお尻の穴の中にあって、どうにも妙な気分だ。
「な、何を、入れたの……」
「すぐに分かりますよ。さて、後は……流石にこっちは、テープで固定するしかないですね」
ハヤテ君はずらしたショーツを元に戻すと、今度は残った小さな球二つを、さっきはだけさせた私の胸、正確には乳首に当てて、落ちないようにテープで貼り付けた。
「んっ……」
「これでよし。ではヒナギクさん、そのままメイド服を着てください。そしたら説明してあげますよ」
「は、はい……」
もう、なんとなく分かってはいた。あのピンクの球は、私を辱めるための道具なのだろう。
それを思うと、口からつい、敬語での返事が漏れた。
さっきハヤテ君は、私のことを……「これからも飼ってあげますよ」と、そう言っていた。やっぱりそういう風にしか思われていないんだと、少し悲しくもあったけど……心のどこかで、喜んでもいた。
飼う、なんてペットみたいに言われて。でも無意識に、普段ハヤテ君には使わない敬語が出てきて……そう、まるで、ご主人様に従順なペットみたいに。
私は、ハヤテ君の雌犬になってしまいたいのかもしれない。もう、恋は叶わなくても。カラダだけの関係でも。ハヤテ君との繋がりが途切れなければ、それでいい。そう思っているのかもしれない。
「……着替え、終わりました」
今度は、意識して敬語を使ってみる。少し変な感じだけど……これから先、今まで以上にえっちなことをされて、私も、今まで以上にハヤテ君に従順になっていって、そうして、慣れていくのだろうか。
「へぇ……なかなか様になってるじゃないですか」
「そ、そう?」
無理して敬語を使うこともないし、私はいつも通りに、ハヤテ君に応じた。
私が着ているのは、いつもマリアさんが着ているのと同じメイド服。マリアさんにはよく似合っていたけど、私はどうなんだろう。こういう可愛い服って、あまり着たことないし……ハヤテ君は褒めてくれているみたいだけど。後で鏡でも見よう。
「よく似合っていますよ。ヘッドドレスが四文字熟語で喋りだしたり、狐っぽいお面を被ってリボンを武器に戦ったり、そんな感じです」
「何をワケの分からないこと言ってるのよ。それより、さっきのは……」
「ああ、そうでしたね」
ハヤテ君は、新たに細長い……リモコンのような物を取り出すと、それのスイッチを、押した。
「ひっ!? あ、ああっ、ひぁ、は、んぁあっ! なに、なにこれぇ! あ、あ、んぁああぁあっ!!」
突然の刺激が、私の身体を襲う。耐えられずに膝をついても、それは止まることがない。
その刺激は、胸と、お尻と、おマンコから、同時にきているらしくて……さっきイカされてから、落ち着きを取り戻していた私の身体に、再び火をつける。
「どうですか? これはローターという物で、振動で快感を得られる……いわゆる大人のオモチャってやつですよ」
「ひぁああっ、あん、あっ、あぁん! やぁ、とめて、はっあぁああ!」
「これはリモコン操作できるタイプでして。強弱の調節もできるんですよ。こんな風に」
「っあぁあああぁああん!!」
ハヤテ君の言葉通りに、私の身体の敏感な部分でそれぞれに振動しているローターからの刺激が、一斉に強くなる。
それだけでは終わらなかった。お尻の振動が弱くなったと思ったら、入れ替わりにおマンコの振動が強くなって……そんな風に、四つのローターでそれぞれに緩急をつけて、私のえっちな身体を責め立てる。
「じゃあ、とりあえず一回、イッてしまいましょうか」
ハヤテ君はそう言うと、一旦ローターの振動を止めた。そのすぐ後に、ローターはまた、今度は小さく震え始める。でも、その振動は少しずつ強くなっていって――。
「あ、あ、ああっ……くる、くる、きちゃうぅ……はあぁん!」
振動が強くなっていくにつれて、私の性感も高まっていく。
そして、多分、その振動が最大になった時――。
「あん、あ、あぁん……イク、はやてくん、わたし、イッちゃうよぉ……!」
「いいですよ、ちゃんと見ててあげますから。存分にイッてください!」
「あん、あぅ、いはぁ……イク、イクから、イッちゃうからね!? はやてくん、はやてくぅん……! ひゃっ、ああああっ、あぁぁぁん! んあああっあぁぁあ!!」
この調子じゃ、今日これからどれだけイカされることになるのだろうと、頭の片隅で思いつつ……私は、この日二回目の絶頂を迎えた。
「はぁっ……はぁっ……」
「どうでしたか、ヒナギクさん。こういうのも、なかなかいいでしょう?」
「そ、それは……まあ、その……そ、そうじゃなくて! どうして、こんなこと……」
マリアさんがインフルエンザで倒れたなんて嘘で、こうやって辱めるためだけに私を呼んだんじゃないか、そう疑って、私はハヤテ君に尋ねた。本当にそうだったとしたら……えっと……よく考えてみたら、それでもいい気がしてきた。
「理由ですか? そうですねぇ……このお屋敷って、すごく広いじゃないですか」
まあ、一応、ハヤテ君の言う“理由”は聞いてあげるけど。
「で、僕がヒナギクさんに用がある時は、こうやって」
「ひっぃん!?」
「リモコンのスイッチを入れる、と」
一瞬ローターが振動して、すぐ止まった。イッたばかりで敏感になっている私の身体は、しっかりと反応する。
「こ、これだけじゃ、ハヤテ君が呼んでるのは分かっても……場所が分からないでしょ。それはどうするのよ」
「そこはまあ、ヒナギクさんに僕を探してもらうということで。僕を見つけるまで、ローターは動きっぱなしなので、そのつもりで♪ あ、安心してください。屋敷の中なら、とりあえず電波は届くはずですから」
悪びれた風もなく言うハヤテ君の笑顔は、小さな子供のように輝いていた。
その顔が、今日私がどうなるかを物語っていた。
さっきは、今日どれだけイカされるのだろうと思ったけど……どれだけ、で済みそうではなかった。
もしかしたら、一日中、イキっぱなしにされてしまうかもしれない――。
「ではヒナギクさん、まずは仕事をお教えしますから。こっちに」
「……うん」
「大丈夫ですよ。ヒナギクさんなら、三千院家のメイドとして立派に仕事をこなせます。だから……」
笑顔の中で、その瞳だけが、ゾクゾクするぐらいに冷たくて、私は――。
「今日一日、よろしくお願いしますね?」
「……はい」
心の中で、その後に――ご主人様、と、そう続けていた。
To be continued…?
俺は話を短くまとめるためのスキルを身につけた! 前後編に分けちまえばいいんだ!(`・ω・´)
というわけで、続きます。
次回、性奴会長ヒナギクさんに新たなアイジンが!
ハヤテの鬼畜攻めもいいけど、そればっかだと飽きるしねー。ハムはしばらく出番ないなー。
新スレ早々投下乙!
いいものを読ませてもらった
GJ!
りゅうのすけあくたがわ
>>17 GJ!
生徒会長ヒナギクさん(せいとかいちょうひなぎくさん)
性奴会長ヒナギクさん(せいどかいちょうひなぎくさん)
濁点一つ足しただけで大違いだな。
GJ!
ヴィルヘルミナとは中の人繋がりかw
タイトルがいい意味でひどい(笑)
いやー、楽しませてもらいました。ヒナ攻められまくり。
まったく、電車の中で読むのは地獄だぜ。
続きも楽しみにしてます。次はあの腹黒メイドさんじゅうななさいの出番か。
お疲れ様でした!
よいお話でした。
後は再びスレが荒れないことを祈ってます。
アイジン?マリアか美希であることを祈る。そしてGJ
新たなアイジン・・・文?
27 :
名無しさん@ピンキー:2008/02/03(日) 15:37:29 ID:Hu3aAmwy
ダイヤの人キター!
続き期待です。
いやいや、前後編だから。お屋敷編がもうちょっと続くから。美希とか文ちゃんとかも書きたいけどさ。
ところで、やっぱ職人増やしたいなら投下されたSSに何でもいいから反応してあげることが大事だと思うんだ
人に見てもらいたいから、ここなり他所のサイトなりに投下するわけだから。現に俺も反応返ってきて嬉しいしね
ただ、だからって甘やかす必要は無いと思うよ。謂れの無い罵詈雑言はもちろんNGだけど。
批評されるのが嫌だとか、耐えられないだとかいう奴は文章書くのに向いてないと思うし何より上達しないと思う
俺の個人的意見だから、↑が全部正しいってわけじゃないのは当然だけど、一応SS書きとして意見してみた。
偉そうに物言ってスマン。
前スレ埋まったな
>>28 批評の度合いが難しいわな。あんまり辛口すぎると雰囲気悪くなるしマイルド過ぎても意味ないし
もっとも、SS投下が無きゃ賞賛も批評もできんけど……
書き手と読み手が上手い具合にコミュニケーション取れてるぐらいがスレ的にはいい感じなのかな
蒸し返すな
大バカのために書いたのかもしれんが、俺みたいな多少バカがいらっと来る
この板は向上心を持って集まってくるような場所じゃないんだぜ?
32 :
名無しさん@ピンキー:2008/02/04(月) 09:30:11 ID:Gbi0VoK6
小ネタ。中の人ネタ。
「あっ、あの、愛歌さん、お願いがあるんですけど・・・いいですか?」
「願い事にもよるけど・・・・・・何かしら?」
ハヤテは背後のナギをちらっと見る。
ナギはもじもじしながら早く言え、と目で訴えた。
さらに彼女の横では千桜が仏頂面で立っていた。
良く言えばクールなたたずまい。
「・・・・・・たいへん言いにくいお願いなんですけど、
お嬢様から一言ずつ言っていくので、僕が○○○○○と言ったら
×××××と言ってくれませんか?」
「ええ、いいけど・・・・・・」
愛歌の快い返事かどうかはいささか疑問があるが、
ナギの目がらんらんと輝いた。
「それじゃあ、お嬢様どうぞ」
ナギは軽く咳払いをして・・・・・・・・・・、以下ナギ、千桜、ハヤテの順。
「さぁ、はじまるざますよ」
「いくでがんす」
「ふんがー」
三人は愛歌を見る。愛歌は少しためらいを覚えたが、
「まともに始めなさいよ!」
ナギは感動のあまりしばらく震えていたが、
教室の窓枠に足をかけ身を乗り出し絶叫。
「かがみは俺の嫁ぇぇえええーーー!」
「ちょっ、お嬢様ぁあっ!」
執事とそのお嬢様を見ていた千桜がぼそっとつぶやく。
「・・・ツンデレ愛歌さん」
「なにか?」
愛歌がジャポニカ弱点帳を取り出して微笑んだ。
・・・・・・あろうことか目は笑っていなかった。
「いっいえ、何でもありません・・・」
以上、愛歌とかがみの中の人が同じだと
知っていることが前提のらき☆すたネタ。
ハヤテに平野って出てたっけ?
らきすたはおもんない。あと28、あんた口に気をつけろ、自分が人気作家とでも
うぬぼれてんですか?ROCO氏はあんたよりおだやかだ。
おだやかだから何なのかと。
アニメでの藍華の出番がわずかだし
キャラが似てるわけでもないし
同声優ネタとしても弱いわね
藍華(笑)愛歌な?あとわざとだろこのらきすとオタクが
らきすと?
>>40 VIPPERとニコ厨の関係を説明すれば誰でもすぐ判る
とても21以上とは思えない言動はやめていただきたい。
自分の投稿のせいで申し訳ありません。
小ネタ。ヤンデレ美希ネタ。
インタビュアーは歩
「そういえば、どうして花菱さんは生徒会に入ったんですか?」
なんとなく投げかけた疑問。
すぐに答えは返ってきた。
「ヒナの力になりたいと思ったからかな」
「へぇ・・・花菱さんて優しいんですね」
「それに・・・」
「それに?」
「ヒナの写真も取れるし」
「へっ?」
「ヒナの側にいられるし、ヒナと二人っきりになれるし、ヒナといちゃつけるし」
「えっ、あの・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「ヒナをじっくり見れるし、私しか知らないヒナも見放題だし、ヒナとお茶ができるし、
ヒナと共同作業し放題だし、ヒナの匂いも嗅ぎ放題だし、ヒナの髪の毛も採取できるし」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「ヒナの怒った顔も見れるし、ヒナの困った顔も見れるし、ヒナの落ち込んだ顔も見れるし、
ヒナの不機嫌な顔も見れるし、ヒナのご機嫌な顔も見れるし、ヒナの疲れた顔も見れるし、
ヒナの勉強する様子も見れるし、ヒナの体調の変化もわかるし、ヒナのスパッツも見れるし、
・・・とまあ、ヒナで色々、ヒナと色々できるからだよ」
そこで、花菱さんは不気味ににやっと笑う。
「ヒナの着替えも見られるし、ね」
「・・・・・・・・・・・・・」
お巡りさーーーんっ!(泣)
ヒナさん、逃げて!(笑)
ゆr・・・ヤンデレ美希ネタ。
自重必死。
それはヤンデレじゃない!頭のおかしい子だ!
謝りつつもめげずに投下するところがすごいと思った。
美希はまだ本編で気持ちの裏側が語られてないから、ほんとにこう思ってても不思議ではないから困る。
今ひとつ書いてるんだけど、執筆中に出張とかマジ最悪だしorz
携帯サイト見て回ると改めてここの質の高さが分かる
名前変換すれば誰でもあてはまりそうな話ばかり
その上小文字顔文字を平気でSSに入れてくる
無駄に行間が長い
あとCPがこれでもかと言うほどどのサイトもハヤテ×ヒナギクばかりだった
ちちしりふとももー!
どうした横島。
>>43 かな〜り吹いた
美希×ハヤテでもいいかもな
美希って実際こうなるかもな。ハヤテがヒナをフったら怒り狂う図ができてしまう。
>>50 むしろヒナを独占するためくっ付かないようにしてるふしがあるんだが
でもヒナが告白して振ったら振ったでキレそうな気もする
新ジャンル「クーギレ」だな
ヒナの恥ずかしい写真をネタに脅迫され、
ヒナを守る為に男らに犯される美希というネタが思いついたが…
暗いので没にしとくか
最後はヒナが助けに来てください
俺様が美希がハヤテを認めてヒナとハヤテをくっつけるSS書いたらオマエら読みたい?
読んでやるからさっさと書けよ馬鹿者
57 :
名無しさん@ピンキー:2008/02/06(水) 17:57:25 ID:CA0zjylS
ROCO師はらきスレでも書いてたんだな…
時と場所によれば誰でも神になれるのか…ゴクリ
しゅごキャラでも見かけたような
>>28 コテつきで語らないほうがいいよ、スレが荒れるもとだ。
あじのもと
>>53、またはその周辺のネタに感化されて、他の合間に一本小ネタ書いてみたよ。
出先なので携帯での投稿のため、どこかおかしいところがあるかもしれないがご愛敬。
「くくく、さあ観念するんだな花菱…」
「なぁに、おとなしくしてりゃ悪いようにはしねぇよ…」
「…まったく、三下の定型文みたいなセリフばかり吐いて…」
「んだとコルァァァ!!」「てめ、自分が今どういう状況かわかってんのかオラァァァァ!!」
「ふむ、それなりに体の成熟した男子3人に囲まれ、辺りに人影無し。
対して、こちらはか弱い女子1人。すでにしっかり腕は縛られ、しかも親友の恥態を晒した写真を盾に
脅されているときた。なんてかわいそうなわたし」「わかってんじゃねえか…。だったら無駄口叩かず大人しく…」
「まあ待て。おい、さっきのそのヒナの写真。もう一回見せてみなさい」
「あァ? んだコラ、これがどうかしたっつーのかよ」
「くは、何回見てもたまんねえぜあの会長がこんな…」
「……ぬるいな」
「あァ?」
「ぬるい、生易しい。児戯に等しい。お前ら、『その程度』のヒナで満足しているのか?」
「てめぇ何言って…」
「まあそれでも。確かに強迫のネタとしては十分だし、さっき言ったとおりの私の不利は変わらない。
だから、これは取引でもなんでもなく、単なるお願いになるのだが…。…よっと、まあこれを見てみたまへ」
「あァ? なんだこりゃ…」
「『サンプル』だ」
「ぶはぁぁぁぁっ!!」
「うわああっ!! 西木が鼻血吹いて倒れたぁぁ!!?」
「ど、どうした…、…! こ、これは…!」
「クククク…、どうだい? 『その』ヒナは?」
「あ、あああ…」
「ふ、目も当てられないとはこのことか。
しかし刮目して見よ。…どうだ? みっともないだろう? はしたないだろう? あられもないだろう?」
「(ゴクリ…)」
「言葉もない、か。情けない。こんなもの、まだまだ氷山の一角だというのに…」
「なん、だと…?」
「サンプル、と言ったろう? 私のコレクションはまだこんなものではない。…しかし、悲しいかな、
今の持ち合わせはこれだけしかないんだ…」
「お、おい…どうするよ?」
「ああ、わかってる…。お願いなんて、この女、そんな甘いもんじゃねぇ。たった一手で、立場を逆転させやがった…!」
「話が早くて助かる。そうだな、ブツはまた明日にでも渡そう。一枚だけ、な?」
「な、一枚だけかよ!」
「今回のように悪用されては困るのでね…。『次』は用意しておかないと。それに、破壊力はそのサンプルの
比ではないぞ? ああ、その一枚もくれてやる」
「なんてやつだ…」
「ああ、そうそう。もうすぐヒナが助けに来ると思うが、わたしはもうお前らに犯されてしまったあと、
ということにしてくれないか?」
「なに? いったいどういう…」
「純潔を汚された私はヒナに懇願する。『ヒナ、あなたが汚れを拭い去ってちょうだい』…。
…あとはお前たちが知らないネチョがネチョネチョの世界だ」
「ね、ネチョが…、ネチョ…」
「ふふ…。…む、来たな。さあお前ら、さっさと散れ!」
「ああ、すまねえ、恩に着…」
「てぇぇぇやあああああぁぁぁっっっ!!!!」
「「げぼああああっっっ!!!」」
「むぅ、一太刀で葬り去られたか。未遂とはいえ、罪は裁かれるということだな」
「美希!! 大丈夫!?」
「あ〜、コホン」
「?」
「…そ、それが、あいつら、無理やり私の制服をひん剥いて…、私の大事なところを、乱暴に…」
「そ、そんな…」
「具体的には、胸を揉んだり、吸ったり、引っ張ったり、挟んだり、あそこを擦ったり、いじったり、舐めたり、臭いをかいだり…」「………」
「あまつさえxxxをxxxってxxxxにxxxxx、さらにxxxxxxをxxしたあとxxxxして、あにはからんやxxxのxxxxをxされるなんて…」
「……(オロオロ)」
「とにかく、人畜非道の限りを尽され、むぐっ!?」「美希、美希ぃ! ごめんね、助けられなくて、ほんとに…」
「……」
「ぐすっ、美希ぃ…」
「…そうになったすんでのところでヒナが助けてくれたので、まったく無傷のーぷろぶれむさー」
「……ほんとに?」
「ああ、ほんとにほんとだともむぐぅ!?」
「ああん、良かった! ほんとに良かったよぉ、美希ぃ! うわぁぁぁん!!」
「…なんか、これはこれでもう満足かな…」
携帯しんどすぎ。携帯職人ってすごいな…。
セリフのみのSSはダメ、みたいなことが上で書かれてたけど、
それなりに伝わるように書いたつもり。
あとエロ期待した人がいたらゴメン。次は頑張る。
そりゃ携帯は大変だわな
上手くまとまってると思うぜ、GJ
セリフだけなのに上手く仕上がってるなぁ GJです
美希コレクションどんだけ凄いんだよw
聞きたいんですが
SS投下するときコテ付けるとしたら頭に◆を付けるんですか?
久々に来てみたら職人さん達みんな付けてるみたいなんで
トリップでググれ
美希わろたw
GJ
死ね。
SSは書けなくてもさ、ハヤテのキャラでエロ妄想してそれだけで抜けるってやつどれくらいいる?
とりあえず俺は余裕。
職人とそうでない者の差は、エロ妄想を文に出来るか出来ないか
職人さんは自分のSS読んで抜いちゃったりすることあるのだろうか
マジレスするとある。ハヤテのSSを書いたことはないが
抜けないと書かないとか、抜くために書く人もいる
抜けないと他の人も抜けたいだろうと思いつつSS書いてるな、俺は。
某書き手だが、自分の脳内妄想版の方が数倍抜けるな、
それを文章化してSS版にするけど、かなり劣化してしまう自分の文才の無さが毎度情けないわ;
>>78 同志よ。
妄想とはいえ、いろいろ緻密にごちゃごちゃ考えてるから、
文章に起こすと長くて分かりづらくなってタイガボッチャマー
というわけで、お前らが嫁だと思っている咲夜は俺の脳内であまあまエロエロになってるんでよろしく。
職人多すぎだろwハヤテで書いたことあるかどうかは分からんけどw
まあ、なかなか面白い話が聞けたわ
ちなみにヒナギクは俺の脳内で「私…その、虐められるのとか、好きだし…」とか言ってるぜ
いいんちょさんの立場がねぇ('A`)
いや、いいんちょさんは大好きなんだけど、いいんちょさんでエロ妄想する気にはなれない…
なんかそういうのってあるよな、好きだけどエロ妄想はできないキャラとか。神聖視してるわけではないんだけど
>>78 大丈夫
SS読んだらそこから脳内妄想が爆発するから
65のは糞。おもんなさ杉死ねばいい。
83 :
綾崎ハヤテ:2008/02/08(金) 17:46:36 ID:lACuOBhh
>>80 瀬川さんは僕が毎日責任を持ってお相手してあげているので
心配なさらなくても大丈夫ですよ
>>80 今せこせこ書いてるよw
確かに、エロと結び付かないキャラっているよな。俺の場合だとナギ。ヒロインなのに…。
しかし、ヒナはMっていう共通認識がある気がする…。つか、Sのヒナってみたことない気が。
今非エロSSを執筆中なんだがそもそもこのスレって非エロはおK?
やっぱ非エロは歓迎されてないのか?
>>85 なんでも来い
そこに萌えがあればいいのさ
87 :
駄文投下:2008/02/08(金) 23:26:25 ID:L9Pt2ZEv
ある平日の夕方、「もうそろそろ2人が帰ってくる時間ですね〜。夕食の支度しなきゃ」なんてことをマリアは考えながら廊下を歩いていると何やらガサゴソと音が聞こえる。音のする場所はハヤテの部屋だった。
「まさか、泥棒が入ってるなんてことは…」
SPたちの能力を考えると侵入を許していることがないとは言えない。恐る恐るドアを開けて中の様子を窺う。
「ニャ?!」
人の気配に驚いたタマが窓から逃げ出して行くのが見えた。
「なんだ… タマでしたか。もぉ、こんなに散らかしちゃって」
実はタマが以前ハヤテの部屋に持ってきた『相撲ファイター』の隠し場所が分からなくなり室内を物色していたのだった。
また面倒な仕事が増えたと、ぶつぶつと文句を言いながら散乱したものを片づけ始めるといくつかのDVDが目にとまった。
「あれはもしかして10代の男子が必ず持っているという…。このままにしておくわけにもいきませんし、かと言って元の場所と違う場所に戻したらハヤテくんとしても気まずいでしょうし…」
ハヤテがそのような物を持っていることに驚き戸惑いつつ、とりあえず床から拾い上げる。
それらのジャンルはメイドものばかり。
88 :
駄文投下:2008/02/08(金) 23:27:16 ID:L9Pt2ZEv
ガチャ
「あれ?マリアさん?」
いつのまにか帰ってきたハヤテが入ってきた。マリアは慌ててDVDを隠そうとしたがハヤテの目に止まってしまった。
「・・・・・」
「・・・・・」
2人とも顔を真っ赤にしてしばし沈黙が続く。
いろいろ考えた結果、どうにか主導権を握ろうとマリアが先に口を開く。
「ハヤテくん!だめじゃないですか、まだ16歳なのにエッチなDVDなんて持ってちゃ!」
「そ、それは… その…」
「それに、」
ハヤテとの間を詰めて顔を近づける
「こんなの見なくても、本物のメイドさんがいるんですから」
以上
とりあえずハヤテ×ヒナギク×歩書いてくれませんか?17回やってきたけど一度も夢とか以外は無かったし。
>>91 二次創作の基本無いなら自分で造る
メモ帳やWordや一太郎にでも良いから
自分の妄想ぶちまけて、それに構成等の肉付けしてみたら一丁上がり
ケータイで書いてるが、なかなか進まない割に時間の進みが恐ろしく速いw
やっと出来た…
投下なければ11時15分頃から投下開始します。
7〜8レス使用
CPは…まだないです
ハヤテ&ナギ
早朝の公園。ラジオ体操に励む老人や朝から友達と遊ぶ小学生達がまばらに見えるなか、
時折深い溜め息を付き念仏の様な独り言を唱えている、ある意味でひときわ目立つ青年がブランコに腰掛けていた。
彼の名は綾崎ハヤテ。日本有数の大富豪である三千院家の執事を勤めているにも関わらず、
日本有数の名門校である白皇学園にも通っているという良く分からない肩書きを持つ高校生だ。
その執事兼高校生のハヤテが何故朝から学校にも行かず、主人への奉公もせずに公園のブランコに腰掛けているのか。
その理由に行き着くには時間を明朝三時半にまで溯らなければならないだろう。
AM3:30
「ハヤテ!どうした?お前の力はそんなものか!?」
「お嬢様〜、流石にもう寝ましょうよ、明日も学校があるんですよ〜?」
ハヤテは主人である三千院ナギに深夜遅くまでゲームに付き合わされていた。
元来学校が大嫌いなナギという人間にとってこの様なオールでゲーム大会♪、なんて事は日常茶飯事だったのだが、
ハヤテが白皇学園に編入してからは以前に比べて格段に登校率が上がっていた。
最近では想いを寄せるハヤテとの学園生活がナギのさぼりたいという怠惰心に勝つ事も珍しくなくなり、
ちょうど明日も登校する予定だった。
にも関わらず何故その彼女がゲームに熱を上げているのか?
その原因は三千院家直属の研究者である牧村詩織の突然の来訪に端を発する。
という事で更に時間を巻き戻したいが、ごちゃごちゃしてきそうなので簡潔に言うと、
彼女が開発中のゲームの試作品が出来たという事でナギにモニターを依頼してきたというわけである。
しかし、そのゲームが問題であった…
「おお!これは!!」
「三千院家ってこんなものまで作ってたんですか!?」
ハヤテが驚愕するのも無理はない。そのゲームとは今巷で出回っているスマ○ラXの続編、スマ○ラγなのだ。
そんな物があれば当然の如くナギが飛び付くわけで。
「ハヤテ!早速やるぞ!初プレイだ!筆下ろしプレイだ!!」
「筆下ろしプレイっていうのはちょっと言い方がまずいと思いますが…」
そのままナギとハヤテは協力プレイをしながら睡眠時間を浪費していった。
「お嬢様〜…もうそろそろ僕の目が限界を超えて来ました」
そう言ったハヤテの眼球には赤い筋が張り、ピクピクと軽い痙攣が小刻みにそれを揺らしていた。
連日テスト勉強と執事仕事に明け暮れていたハヤテはろくに睡眠時間が取れていなかった。
加えてこのスマ○ラは彼の精神力と体力を確実に奪っていく。
「よ〜し!100面クリア!残り900面だな!ハヤテ!」
そんなハヤテの様子もどこ吹く風。ナギは軽々とハヤテにとっての死刑宣告を言ってのけた。
まずい!まずいぞ!綾崎ハヤテ!お嬢様は一日、いや、厳密に言えば二日でこのゲームをクリアするつもりだ!
もしそうなってしまったら…考えるな!考えたら負けだ!!いや、考えろ!どうすればお嬢様がゲームをやめてくださるかを考えるんだ!いや、考えたら…
ハヤテの思考は睡魔によって混乱しながらも、どうにかしてこのゲームを止めさせようという方向に向かっていった。
そんな事を考えながらも手だけはしっかりとスマッシュしている当たりはさすが有能な執事である。
ハヤテはゲームに集中している目をちらりとナギの方に向けてみた。
その顔には自分を蝕む睡魔の類いは一切浮かんでおらず、
ただただ新作のゲームを楽しむ少女の喜々とした表情が浮かんでいるのみであった。
そこでハヤテは改めて自分の危機的状況を思い知る。
くっ…!ダメだ…止める気配が全く無い!あっ死んだ。
「ハヤテ!動きが悪くなってきているぞ!まだ899面も残っているんだから気合いをいれろ!」
容赦ない主の一言に精神力を激しく摩耗していたハヤテの体は考えるより先に行動を起こしていた。
「うわ〜!!!!」バキッ!!!
調子の外れた掛声ととともにハヤテが繰り出した手刀は、的確に絶賛稼働中の真っ白なハードをぶち抜いていた。
ぷしゅ〜。
間抜けな音とともにテレビ画面はブラックアウトした。
ナギは瞬間、何が起こったのかが理解できなかった。
えっ…ハヤテ?何をしてるんだ?
ハヤテは今まで失敗こそすることはあれど、ナギの無理難題も忠実に且つ懸命にこなし、ナギに反抗することなど一度としてなかった。
ナギ自身もそんなハヤテに執事としての全幅の信頼を置いており、自分に反抗することなど考えた事は無かった。
だがどうだろう。今目の前にはハヤテの手刀によって壊されたハードが転がっている。
なんだ!?何なのだこれは!?!?ハヤテが私に反抗したのか?いや、そんな馬鹿な事があるはずがない。
それこそ二次元と三次元を同一視するような愚か者の思考と同類だ。
では、何なのだろう?目の前の惨状は。鈍感野郎のハヤテにも私がこのゲームを楽しんでいることぐらいは伝わっていたはずだ。
私が楽しんでいる物をハヤテが自分から自分の意志で壊す事等あるのかな?
いやいやいやいや、ないよ絶対。ハヤテはそんなことはしない。
じゃあ、なんでなんだ?
年齢こそ幼いがその頭脳は高校生のそれを遥かに超えているはずのナギもこの自体には焦った。
そして彼女はその焦燥とも怒りとも驚愕ともとれる感情を渦中の本人にぶつけることにした。
「ハヤテ、これはどういうことだ」
ナギはコントローラーを持ったまま顔色ひとつ変えず、ゆっくりとハヤテの方を見ながら静かにそう言った。
あまりに静か。
壮厳にして雄大。
ハヤテはその時確かに、牙を剥こうとする大自然を感じていた。
心中ではやっちまったやっほおおおおいいい!!!!何やってんだよ馬鹿馬鹿阿呆執事うわああああああ!!!!!、と錯乱気味のハヤテは何とかその知能の全てのギアを一点に集中させた。
さあどうやって言い訳をしようかな♪
言い訳何て…何にもない、これは明らかに僕が悪い…
でもここで何も言えなければお前は終わりなんだぞ!綾崎ハヤテ!!
ハヤテは必死に脳内で拙い言い訳を生産した。
「お嬢様…」
やがて、ナギの問い掛けに対してハヤテはゆっくりと応じる。
ナギがハヤテに質問してからこの間4秒。
ハヤテの重々しい様子に一瞬気圧されたナギだが、やはり何か事情あってのことなのだろうと少し落ち着く事にした。
「ハヤテ、何故こんな事をしたんだ?理由を言ってみろ」
ナギは限りなく優しい口調でハヤテに語りかける。
その瞳にはハヤテに対する無償の慈愛が籠っていた。
「よっぽどの事があってこのような事をやったのだろう?ああ、可哀相なハヤテ…さぁ言ってみろ。黙っていては何も分かんないぞ?」
ナギの妙に大人しい様子が余計にハヤテの不安を一層駆り立て、心臓の鼓動を爆発的に加速させていく。
漫画の様な汗を額からだらだらと流して膠着している様子は、最早不審を通り越して追詰められた鼠への博愛の念すら湧いてくる物だった。
「お、お、て…」
口腔の乾燥がハヤテの発音を妨げる。
「なんだ?良く聞こえなかったぞ?」
ハヤテは決意した。
きっと…きっとお嬢様は分かってくれるさ!そうだ!僕とお嬢様はオリハルコンよりも堅く、コンニャクよりも柔軟な絆で結ばれてるんだ!
こんな、このような事でそれが揺らぐはずなんてない!
ハヤテは静かに主に真意を伝える。
「手が、すべっちゃいました♪」
「バカ〜!!!!!!!!!!」
深淵を裂くナギの叫弾が夜の闇に響き渡った。
投下終わりです
エロパロなのにCP無しっていうのはあれですが…
続きます
CPは後から出ます
ラズベリヘヴン迎えに来たよ
優しい夢のへヴン
怪談聞いて怖がる神様かわいいよ神様
黒猫出すな。虫唾が走るわ、幽白とカウビ堂々とパクリやがって。
技は幽白、キャラはカウボーイビバップ。
>>104ー106
なんだこいつら?揃いも揃って誤爆でもしたのか?
>>103 乙。なんとなく盛り上がりというか、オチがない感じだけど、まだ始まったばかりって事でいいのかな?
続きに期待。
108 :
106:2008/02/10(日) 00:50:13 ID:cQf/3odv
誤爆じゃない。オリハルコンのことをいってんだ。黒猫=オリハルコンだろ
虫唾が走るんじゃ。
オリハルコンって黒猫以外にも色々あるじゃんw
自分の嫌いな作品ネタがあるってだけで自分勝手に批判しちゃうあたり、18未満だから知らないんだろうけどw
ちょ、投下しようとしたらアクセス規制とかありえねえorz
俺からすればオリハルコン=スパロボなんだが
元は古代ギリシャだかローマだかの話に出てくる合金のことだろ。そんなことも知らんのか
>>103 頑張れ。続き期待してる
新スレになっても粘着質の餓鬼が多いのは相変わらずだな。
他のスレよりもダントツに民度が低い。
この板は18歳未満は立ち入り禁止だ。
餓鬼は帰ってオナニーして寝てろ。
114 :
103:2008/02/10(日) 02:24:44 ID:80oU5YGn
オリハルコンとかドラクエ以外知らねえwww
だがオリハルコンを最も固い金属と説明したがるのは糞猫だけ。あと俺は18ではなく25だし。
ドラクエ筆頭に、スクエニ作品でオリハルコンはだいたい最強の金属だぞ
オリハルコン特別扱いが黒猫だけってどこからどう得た知識だそりゃ
>>115 ちょっと待て。25にもなってソレか? なお悪いわw もっと歳相応の精神構造身につけろよwww
>>115 IDが違うけど、
>>108と同じ人でいいのかな?
話題すり変わってるよ。それならなおさら今回のSSのネタは黒猫と無関係だよな?
ごく個人的な嗜好で、しかも無知からの勘違いで人の作ったもの蔑んだんだぞ?
実年齢とか関係ねえよ。そんなことも冷静に判断できないやつは書き込むな。反論できるか?
そもそもの元ネタがギリシアやローマ時代に存在したとされる合金のことだし、
その後ファンタジーやSFではお約束の最強アイテムとして一般化しているだろ>オリハルコン
25にもなって、逆恨みにも等しい理不尽な怒りで喚いていることに引くわ……。
どんだけ低能なんだ、お前は?
色々読んできたよ黒猫とかハヤテとか。
黒猫とかハヤテとか。
オリハルコンと言えば海のトリトンしかない
高尾山翌日の話、44レス1820行ほど。いつものです。よろしければどうぞ
「安全神話崩壊!!
犯罪大国日本!!」
アウターストーリーin第157話
「闇に隠れて危険がウォーキング中」
筋肉痛のため自室のベッドで寝ていたナギは、見舞に訪ねてきたヒナギクに
挨拶もそこそこに同じ布団に潜り込まれ、そう叫んだ。
「あまり屋敷から出ないナギはそんな犯罪に出くわすことも少ないでしょうけど、
女の子なんだから十分注意するのよ?」
「説教強盗かよ!!ていうか出歩かなくても危険になってるし!?」
制服姿のヒナギクは、逃げようとするナギを布団の中で背中から捕まえた。
「生徒会長として……あなたの友達として、忠告してあげてるだけよ?」
ヒナギクはくすくす笑いながらナギを抱きすくめる。
「特にバイト病欠の時には、執事君が休まず出勤すると、自宅で一人で寝込む
お嬢さまが発生――」
「ひゃん!!」
「ひとけのないお屋敷でー、女の子がー、 一人でー……」
「あんっ!!んはっ、くすぐっ、んんんっ!! やめっ、ぁああ゛……」
ひとしきりナギを弄くると、ヒナギクは手を休めて尋ねた。
「どう?分かってもらえたかしら?」
「はぁっ、はぁっ……あぁっ、……よく、分かった……」
ナギは息をついて答えた。
「要するにハヤテのいない隙に私に性的いたずらをしに来たということだな!?」
「ちゃんとお見舞の品に桃缶を買ってきたのに……」
ヒナギクはすねた口調で言いながら、ベッド横のテーブルの上を指差す。
「筋肉痛と分かってて桃缶とか明らかに建前だろ見舞は!!ぐぬぬ、マリアめ、
主人からお付きの執事を引き剥がし、その情報をエロ生徒会長に売り渡すとは、
いつもながら油断のならん奴だ……!!」
「あー、今回はたまたま別ルートで知ったから、マリアさんからじゃないの。」
ヒナギクはマリアを弁護する証言を述べた。
「……なに?マリアではないと?」
「ええ、今回は。」
少し前。
「今日のところはこれくらいでいいのでは?」
「そうね……」
ヒナギクは書類を整えると、溜息を吐いて机に上体を伏せた。時計塔の上の
生徒会室に、ヒナギクの愚痴る声が響く。
「ああー、まだ授業もろくに始まってないのに、なんでこんなに生徒会に仕事や
やっかいごとが持ち込まれてるのかしら……」
横に立って書類をチェックしていた副会長・霞愛歌が、ふふふと笑いながら
ヒナギクに声を掛ける。
「お疲れ様。お紅茶、いかが?」
「のむー……」
ヒナギクは体を伏せたまま片手を上げた。愛歌は書類を片付けてティーポットの
方へと向かう。
「悪かったわねー、休みの日なのに手伝ってもらっちゃって……」
「あらあら、お忘れ?私はこれでも白皇生徒会副会長よ?生徒会の仕事をして、
会長に謝られる理由はないわよ。」
「でも、昨日は高尾山に登って疲れたでしょう、愛歌?」
ヒナギクが心配そうに尋ねる。
「それが、不思議と気分がいいの。やはり適度な運動は体にいいのね。」
「……美希たちは案の定ダウンしてるというのに、愛歌は元気ね……」
「そんなに変かしら?」
愛歌は首を傾げる。
「まああまり体力のある方ではないけど、千桜さんだって今日もちゃんと
アルバイトに行けるくらい元気だし、それに所詮は高尾山じゃない。」
「あー、ハル子また愛歌に謝ってたわよ。さっきメールが来て、バイトがどうしても
抜けられそうにないどころか、夜までいてくれって言われてるんだって。こっちは
予定時間で終わりそうだから、気にしないでって返しといたけど……」
思い出して伝言するヒナギクに、愛歌はやれやれというふうに肩をすくめて返す。
「だから、急な生徒会の仕事を、前からアルバイトの予定のあった千桜さんが
出れなくて私が必要になったからといって、謝られる理由もないのに。困った人ね、
千桜さんも……」
「ほら、あの子は真面目だから。プロ精神ってやつ?生徒会はプロじゃないけど。」
「あれを使ってお願いするほど……どうしても書記の千桜さんが必要という状況では
なかったのだから、安心して大人しくお仕えしていればいいのに……」
愛歌はノートをちらりと出してふふふと笑った。
「……あんまりいぢめないようにね。」
ヒナギクは真面目な生徒会書記の幸運を祈った。
「それはそれとして、愛歌が元気だという話に戻るんだけどね。」
紅茶を愛歌から受け取ってから、ヒナギクは話を再開した。
「まだ、なにか?」
愛歌は首を傾げる。
「クラスに好きな人でも出来た?」
「……どうしてそんなところへ飛躍するの?」
すぐには言葉の意味が分からなかった、というふうな反応で愛歌は問い返した。
「今日の仕事中のおしゃべりで、クラスや昨日の高尾山の話を振ると、他の話題と
微妙な反応の差があったわ。しかも高尾山で疲れていても不思議ではないのに、
なぜか機嫌が良さそう。これは昨日なにかクラスメイトとラブなイベントがあったと
見るべきね。」
ヒナギクはにこやかに微笑んで自信満々に断言すると、紅茶を口に含んだ。
「その観察が気のせいでなかったとしても、ラブとか言い切るのはやはり飛躍だと
思うわよ?」
愛歌は動揺の一つも見せず切り返す。ヒナギクはティーカップを置きながら次の
言葉を紡ぎ出した。
「いいえ。断言できるわ。なぜなら……」
そこで立ち上がり、愛歌を指差す。
「今日の愛歌はいつもに増して可愛く見えるからよ!!」
「……は?」
ヒナギクは愛歌に背を向け、手を後ろで組んで述懐を始めた。
「……私は可愛い女の子の中でも、特に恋をする可愛い女の子が好きなの。」
「……母集合が『可愛い女の子』ですか。」
「知ってるでしょ?」
「ええまあ知ってるけど。身をもって。」
首だけ振り返り尋ねるヒナギクに、愛歌はとりあえずそう答えるしかなかった。
さらにヒナギクはコブシを握りながらゆっくりと体を反転させた。
「その私が今日の愛歌はとっても可愛いと感じてる。フェロモン出してるのかしら
このベイビィは?ってくらい。これは愛歌が恋をしているからに違いないわ。」
「あの、一応私はあなたより一つ年上なので、ベイビィというのは……」
「正直生徒会の仕事なんか後回しにしてすぐにでも隣の休憩室にしけこみたいほど
だったけど、そこは生徒会長としての自制心がかろうじて勝ったわ。とっとと仕事を
終わらせて、それからおいしくいただこう、と。偉いぞ、私。」
ヒナギクはうんうんと頷いている。
「……ええと、つまり。私とえっちしたい、と。」
「うん。」
ヒナギクは力強く答えた。
「生徒会長としての自制心で、しないで済ますわけにはいかないの?」
「無理。」
ヒナギクは力強く答えた。
「……ああっ、高尾山の疲れが今頃出て、持病の癪とフォースの暗黒面が……」
「大丈夫。えっちをするとお肌がつやつや、元気になるそうよ。」
ヒナギクは力強く答えた。
「ええと……」
愛歌は口に手を当てて目を逸らし、次の言い訳を考える。
「ああ可愛いわぁっ!!」
それが何かツボに来たのか、ヒナギクは愛歌にいきなり抱きついた。
「きゃっ!!あ、待って……」
「やー。」
どさっ……。
「あっ。んっ……」
「んんん……」
ヒナギクは愛歌をソファーに押し倒し、その赤い唇を奪う。制服の上から胸の
膨らみを手でなぞりつつ、貪るような口付けを繰り返した。
「ん、愛歌、唇もおっぱいも色っぽい……いいなあ……」
ヒナギクは愛歌の胸を捏ねながら呟いた。愛歌は苦笑と共にたしなめる。
「もう、困った生徒会長さんね……」
「ね、いいでしょ?」
愛歌は自分の顔の上でねだるヒナギクの頭をコツンと叩いた。
「制服くらい、ちゃんと脱いでからに、しましょうね……」
「んあっ、あっ、ああ……!!」
「あぁ、んむっ、あぁんっ、愛歌ぁ……!!」
休憩室のベッドの上で、生徒会長と副会長が裸で絡み合う。上になっている
ヒナギクは、愛歌の唇と胸と秘所を同時に責め立てていた。愛歌は激しい愛撫に
喘ぎながらも、ヒナギクの内股や背を撫で、口付けに応じて舌を絡め合う。
「この胸、素敵っ……すごく、欲しくなっちゃう……」
「んああ!!」
ヒナギクは愛歌の女らしい乳房を手のひらで揉みしだいた。硬く尖った乳首を
せり出させ、乳輪ごと吸いつく。
「んっ…んっ…んっ……」
「んあん、あんっ、あぅんっ!!」
片胸を丸ごと愛撫され、愛歌は喉を反らして呻いた。ヒナギクの背を腕で抱き、
細い尻に手を触れてかろうじて愛撫を返す。ヒナギクは、愛歌の秘裂から溢れ出す
愛液を指先で掻き回して、荒い息で尋ねた。
「愛歌っ、もう、ぐっしょり……。気持ちっ、いいっ?」
「んんんっ……!!そんな、言わないで、ちょうだい……」
「いいのよっ、もっと、気持ちよく、なっても……!!」
「……、こそっ……!!」
「んんっ!!」
ヒナギクの腰を撫でていた愛歌の手が、腹を滑りなだらかな胸を捕らえた。
ヒナギクはむずがるような甘い声を漏らす。愛歌はヒナギクのかすかな膨らみを
指先で刺激し、耳元に囁きかけた。
「ここっ……んっ、感じやすい、でしょう?」
「んぁ!!ん!!だめっ!!」
「ほら、すっかり、敏感になって……」
「んんっ!!愛歌っ!!」
「先っぽも……」
「んんんっ!!」
愛歌がヒナギクの乳首を摘み絞ると、ヒナギクは背を反り返らせた。性的興奮が
高まっていて、その周辺は触れられるだけで痺れが走る。さらに敏感な突起をも
攻撃されて、弾ける快感の衝撃に、ヒナギクは必死で耐えた。堪え切れずに飛び出し
そうになる声を懸命に噛み殺す。
「こっちも……」
「んんっ!!」
愛歌は指をもう片方の胸に置き換えた。乳首の根元からやや慎重に愛撫する。
「んんっ!!んん!!」
「んっ、あ!?」
ヒナギクはそれが少し物足りなかったのか、硬くなった突起を愛歌の指に自分から
押しつけるように、体を揺すった。さらに、しばらく責めていなかった方の愛歌の
胸と、まさぐりを中断していた股間の秘所に手を掛け、強く愛撫を施す。愛歌の
喉から再び快楽の呻きが上がった。
「んんんんぁっ!!んんっ!!」
「ああんっ、うんっ!!」
愛歌も手掛かりを無くさないように、ヒナギクの胸を掴むように手を当て、乳首を
指で弾き、押し潰し、捏ね上げて刺激する。それに対抗するように、ヒナギクも
愛歌の乳首を激しく擦り立て、濡れた指で陰核を弄る。
「んんぁ!!ああ!!んあ!!」
「んあ!!愛歌っ!!私の、ここもぉ、あんんっ!!してっ!!」
「んああ!!んあ!!ああっうんっ!!うん!!」
響き合う媚声の中、ヒナギクは愛歌に強請りつつ腰を浮かせた。その間も愛歌の
秘裂に指を滑らせる。愛歌の腕が求めに応じて腹の下でヒナギクの股間を探した。
もどかしげにヒナギクは、愛液で濡れた手で愛歌の手を掴み、自分の秘所へ誘った。
「あんっ!!
「ん……!!」
愛歌の指が、すっかり濡れそぼったヒナギクの花弁に触れた。ヒナギクの口からは
音色の違う声が出た。陰唇をめくると、とろりと愛液が零れて指に伝う。愛歌は指に
湿りを馴染ませながら、ヒナギクのかたちを確かめた。
「あぁあんんっ……!!」
「んっんぁん……!!」
「んん……」
「んふ……」
二人は体勢を微調整して、互いの秘所を愛撫しやすいようにする。そして顔を
寄せ合い、唇を求め合った。
「んは……っ……」
「ん……愛歌っ……!!」
「んんーーっ!!」
「ぁあんんっっ!!」
離れた口から嬌声が溢れる。準備万端で開始された秘裂の責め合いは、直ちに
強い快楽をもたらし、一気にトップスピードへと加速した。陰唇を往復する指が
膣口から溢れる愛液の飛沫を飛ばし、陰核は刺激に肥大して甘い苦痛と共に快感を
受け止める。体は揺れ弾け、汗が飛び散り、表情は悩ましく、声は高く淫らになって
いった。いつしか手を絡め合い、互いを快楽の高みに向かう伴走者とする。
「あああ、ぁあ、あっぁぁあ……!!」
「んぁ!!んんっ、ぁんっ!!あんっ!!」
「あ、ああ!!……いきっ、そう、だわ……っ!!ああぁ!!」
「んん!!んあっ、いいよっ、いっていいよっ!!」
「ああぁあ!!く!!んん!!」
激しい愛撫は二人の昂りを限界へと近付ける。先に達しそうになった愛歌は、
このまま絶頂へ登ることをヒナギクが言葉と指で勧める中、首を振ってギリギリで
堪え、その瞬間が来るのを引き延ばしてヒナギクの秘所で指を動かし続けた。
「んく!!ああ!!んん!!ああ!!」
「あっ!!ああ!!いいよっ、わたしもいく、はんん、いくからっ、いこっ、あ!!
いっしょいこっ!!」
「はぁ!!ああ!!んん!!あ!!ああ!!」
「んぁ!!あんん!!ふああぁぁ!!」
「んんん!!あ!!ん!!あああ!!」
愛歌の努力はしばらく続いたが、それもついに力尽きる時が来た。
「ああ!!あ!!あああ!!いく、いくのっ!?ああ!!あ!!いくの!?あ!!ああぁあ!!」
「ああ!!あいかっ、あああ!!」
「あ!!いっちゃう!!ああ!!」
「あいかぁ…………っ!!」
体を震えさせ、最後の階段を駆け上がる愛歌に、ヒナギクは優しく止めを刺す。
指を掛けられた愛歌の花が、快楽に弾け飛んだ。
「ああ!!ああ!!いっちゃう!!いっちゃう!!あああぁあああああああぁあああ……!!」
「あいかっ、ああぁあ、ああああ、ああああ…………ああああああああ!!」
喉を反らしくずおれた愛歌を見下ろしながら、ヒナギクも自分で自分を追い込み、
愛歌の後を追って果てた。
「……本当にもう、困った生徒会長さんね……」
「えへへー、愛歌はやっぱり優しいなー。」
じゃれ付くヒナギクの髪を、愛歌は撫でてやっていた。
「だから、優しい副会長の恋に、この生徒会長桂ヒナギクも、協力させてね。」
「いえ、それは……」
ヒナギクは愛歌の言葉を遮って、携帯電話を取りながら意気込んだ。
「ああ大丈夫!! 私自身は恋の経験値は低いけど、知り合いに恋愛相談の達人が
いるの。今からちょっと電話してみましょ。」
「いえ、だから、それは誤解……」
「あ、もしもし?ヒナギクよ。今暇?あ、そっか今日バイトの日なんだ。へー、
そんなに早く来るなんて気合入ってるわね。はははっ……あ、じゃあ時間あるのね。
うん、実はね、今学校の友達といるんだけどね、いや美希たちじゃない人。うん、
クラスメイト。いきなりだけど、その人の恋愛相談に乗ってあげてほしいの。うん。
スーパー恋愛コーディネーターの腕を見込んで……ありがとう!!じゃ、代わるわ。」
ヒナギクは携帯電話を愛歌に差し出す。
「はい。」
「……スーパー恋愛コーディネーター?」
「スーパー恋愛コーディネーター。」
何の疑いもなくヒナギクが答えるので、愛歌はつい電話を取ってしまった。
「あの、」
『はい!!スーパー恋愛コーディネーターです!!』
「……あの、私ヒナギクさんの友人の、か……いえ、匿名希望とさせてください。」
『はいはい。もちろん秘密は厳守しますよー。』
愛歌はしばらく考えをまとめてから、口を開いた。
「相談したいのは、私の友達の話なのですが……」
『ああ、いいですよ。友達の話というのは恋愛相談の定番ですからね。』
「私の友人の、か……いえ、Kさんなんですが。」
『ふむふむ。』
「Kさんは新学期になってクラスメイトになった男の子が気になっているんですが、
Kさんはその男の子からあまり女の子として見られていないと悩んでいるよう
なんです。どうしたら女の子として見てもらえるでしょうか?」
『……はっはーん、なるほど!!はいはい、色々手段はありますけどね、有力なのは
やはり、すぱっつ、じゃないかな?』
「……すぱっつ、ですか。」
『そうそう、すぱっつ。ホントはぶるまがいいんだけど、白皇はすぱっつだものね。
すぱっつによる健康的な女らしさというのが今のトレンド!! 制服のスカートを
無造作にめくって彼をノックアウト!!』
「……なるほど、参考になります。それからその彼なんですが、付き合っている
わけではないけれど、どうも大事に思ってる女の子がいるようなんです。友人は
そんな間に割り込んでいいのかとも気にしているようなんですが、どうでしょう?」
『恋は!!競争!!』
「……はぁ。」
『ヒナさ……じゃなかった、友人Kさんに伝えてください。《好きになったら
しかたがないんじゃないかな にんげんだもの》と!!』
「なんだか哲学的に聞こえますね。最後に、友人は胸が無いんですがどうしたら」
『大丈夫っ!!Kさんの胸は小さくてもふにふにすべすべでこれはこれで』
「こらーーーーーーーっ!!!!」
ヒナギクは愛歌から携帯電話を取り上げた。
「誰の恋愛相談をしてるのよ!?」
「名字のイニシャルがKの人の恋愛相談よ。」
『あれ? もしもーし?』
「ちょっと歩?こっちの友達も悪かったけど、あなたも乗らないでくれる?」
『あ、あはは……あ、ハヤテ君たち来たみたい。じゃあまたね!!』プープー
「あ、こら歩待ちなさい……もうっ。」
切れた電話を放り投げたヒナギクに、愛歌はふふふと笑って言う。
「さすがスーパー恋愛コーディネーター……的確なアドバイスだったわ。」
「愛歌ぁ……」
恨めしげに睨んでいたヒナギクは、手をワキワキさせながら愛歌ににじり寄った。
「そ・う・い・う意地悪をするやつは……こうだっ!!」
「きゃんっ!!」
「もう帰っちゃうの?」
愛歌が制服を着込むのを見ながら、ヒナギクは尋ねた。
「ええ、迎えの車を呼ぶことになってるから。運転手さんにあまり長く待機して
いただいても申し訳ないので。」
「そう。たしかにあまり日が暮れると、女の子が一人で歩くのは危ないかもね。」
ヒナギクもゆっくりと起き上がり、放り出したままの携帯電話を拾って手に取る。
「……あなたは?」
「私?私はいつも通りに帰るわよ。」
メールチェックをしながらヒナギクは返事をした。
「……あなたが一人で歩くのは危なくない?道行く女の子が。」
「こんなに学院の平和と安全に尽くしているのに……」
不満そうにヒナギクは愚痴る。愛歌はふふふと笑いながら自分の携帯電話を
取り出し、ヒナギクに尋ねた。
「なんだったら、お家まで送りましょうか?」
「愛歌の家の車で?」
「ええ。」
「えっちしてもいい?」
「車内は禁えっちよ。」
「愛えっち家にはつらい時代ね……」
「昔からだと思うけど……」
「うーん、今日はちょっと別の所に寄ってから帰ることにするわ。そこに愛歌に
送ってもらうのはちょっとどうかと思うので、気持ちだけもらっておくわ。」
「あら、なにか急な用事でも?」
「ん。ナギがね……」
ヒナギクは愛歌に携帯電話の受信メールを見せた。
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From:西沢 歩
Sub :な・なんと!!
ナギちゃんがバイトお休みで
ハヤテ君だけが来てます!!
これはフラグ?二人きり帰宅
イベントのフラグかな???
どうしようこころの準備がま
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「あらあら……彼女に随分と信頼されているのね。」
「な、なんのことかしら?」
ヒナギクは知らん振りをした。そして愛歌に次を言わせぬ勢いで話し出す。
「ナギの執事のハヤテ君が一人バイト先に出かけているということはよ?ナギは
いまお付きの執事がいないということよ。これは防犯上問題があるわ。学院生徒の
平和と安全を守る生徒会長としては、忠告を兼ねてお見舞いに行こうと思うの。
どうかしら?」
「どうかしら、と言われても……」
愛歌は困ったように言いよどみ、こう続けた。
「美味しい桃缶を売っているお店があるのだけれど、よければそこまで家の迎えの
車で送るので、お見舞の品を買っていってはいかが?」
「さすが副会長、気が利くわね。」
冒頭に戻る。
「誰だエロヒナギクに警備情報を漏らした防犯意識の無い奴は!!」
「まあそんなことはどうでもいいじゃない。」
「よくねえぇーーー!!」
ヒナギクはナギの苦情をいなし、パジャマの下に手を差し入れた。
「こらっ、あっ!!」
「ほーら、用心してないと簡単に触られちゃうわよ?」
「あっ!!んんっ!!」
ヒナギクの手が下着の上から、ナギの乳首と股間に触れた。ナギは短い声を上げて
恥ずかしがり、か細い腕で押し退けようとする。全くそれを無視して、ヒナギクは
ナギの乳首の上で指を捏ね回し、耳元で囁いた。
「ナギの乳首ちゃん、ちっちゃくて可愛いわ……」
「やめろぉ……」
「可愛い……」
ちゅ……ちゅ……
「やぁ……」
ヒナギクは甘く囁きながら耳朶に口付けを繰り返す。ナギは目をきゅっと閉じて
身を縮め、呼吸を速くしながら拒否の言葉をぽつりぽつりと呟く。
「ん……む……」
「ふうんっ!!」
ナギの耳をヒナギクの舌が舐め回り、ナギは鼻にかかった声を上げた。さらに
ヒナギクは、耳の後ろや首筋、うなじなどをじっくりと舐めていく。
「ん……気持ちひひ?」
「はぅ、よ、良くなんか……うううんっ!!」
ナギは思わず声を漏らす。ヒナギクはナギの乳首を弄っていた手で、もはやそれを
押し退けようとする力が殆ど入らなくなっていたナギの手を握り、指を絡ませた。
「んんっ……」
「ん……ナギ……」
ヒナギクはナギの小さな手を優しく抱き、指と指を擦り合わせ、汗ばむくらいに
熱心に触れる。ナギはだんだん頭がぼおっとしてきて、自分とヒナギクの吐息と、
二人の指の擦れ合う音だけが理解できた。
「ナギ、自分で乳首ちゃん触ってみて……」
「ふぇ?」
「はい、ここ……」
「んんっ!!」
ヒナギクがナギの手を導いて、平らな胸の突起を触らせた。小さいながらも硬く
立った乳首から、刺激と快感が膨れ上がる。
「あ……」
「好きなように、していいからね……」
そう言って、ヒナギクはもう片方の乳首を指で摘まんだ。
「あんんっ!!」
さらに、股間に忍び込ませた指も、ゆっくりと動かし始める。
「あっんあんっ……!!」
「ナギ、可愛い……」
「あっ、あぁっ、ヒ、ヒナギクぅっ……」
「ナギ……ナギ……」
「う……んはぁんっ……」
ヒナギクの声と愛撫による快楽が脳を焼く中、ナギの手はおずおずと自分の乳首を
弄り始めた。
「はぁん!!ああ!!あんっ!!」
「ナギ、私の指、気持ちいい?」
「ふあんんっ、あんっ、ヒナっ!!あああっ!!」
最初、ショーツの上からナギの秘密の場所を責めていたヒナギクは今、愛液の
付着したナギのショーツを腰から引き下げ、秘裂に直接指を触れて愛撫をしている。
ナギはヒナギクの愛撫に応じて蜜を溢れさせ、それを浴びたヒナギクの指がナギの
股間を広く濡らしていった。愛撫にこなれたナギの体は、秘唇を責められるたび
その刺激をおびただしい快感に変換する。抑えきれずナギの口からは、淫らな快楽に
悦ぶ声が次々と飛び出した。
「ん……ナギの可愛いここ、もっと気持ちよくしてあげる……」
「ぅんんっ!!んぁ!!ぁんん!!ああっ、んぁああ!!」
ヒナギクはうっとりした表情でナギの反応に魅入られている。布団の中で横向けの
ナギを背から抱きすくめ、股間と胸に手を掛けてぎゅっと密着していた。こもる体温、
快楽による身のよじれと震え、肌ににじむ汗、高鳴る心拍、耳を打つ嬌声と荒い
呼吸音、そういった全てを体中で愉しむ。
「気持ちよく、なってる?」
「あああぁあっ!!んんん……!!」
「ん……は……私も……」
「あんっ!!あ!!んんん!!」
「うん……っ……ナギ……」
ナギだけではなく、一方的にナギを責めているヒナギクの体も、興奮により熱く
なり始めていた。悩ましい息遣いを見せ、内股を擦り合わせる。
「ナギ……もっと……もっとしちゃうよ……」
「んぁ!!ああ!!あぁあん!!」
「んん……んむ……」
「ふぁん!!んんぁ、あ、あ、あ!!あああ!!」
ヒナギクはさらに熱心にナギの体を求めた。耳を噛み、尻に腰を押し付け、指の
愛撫のスピードを上げる。さらに激しくなったナギの叫びの合間に、鼻にかかった
ヒナギクの吐息と声が聞こえる。
「んん!!ああぁんっ!!ああ!!ん!!」
「んんん…………」
「ああぁああんんっ!!」
ヒナギクの指がナギの秘所の興奮を限界に追い込んでいった。張りつめた陰核や
愛液を垂れ流す秘裂を擦り立てられ、そこから生み出される昇華しきれない快楽が、
腰にどんどんと蓄積する。それは許容量を超えて、出口を求め始めた。
「んんぁ!!だめぇっ!!ああ!!あん!!いっちゃう、いっちゃう、あああ!!」
「んんっ、ナギっ……!!」
「あああ!!ああ!!だめっ、んんん!!いっちゃうぅ!!」
「いっていい、のよっ、ナギっ……!!」
「ああん!!だめえぇ……!!ああ!!」
「気持ちいいんでしょ、ほら、大丈夫だから、いっちゃいなさいっ……」
「ああ!!ああ!!あああ!!」
そして体ごと弾け、ナギは絶頂に達した。
「んんあ!!あ!!あ!!あ!!……ぁああああああああぁぁぁあああああああああ……!!」
「はぁ、はぁ……」
荒い息でぐったりしているナギの顔に、影が落ちた。
「ん……?」
「ねえ、ナギぃ……」
「あ?」
ヒナギクが紅潮した顔でナギを見下ろしている。
「今度は、私も、気持ちよくして……」
「ああ!?」
よく見るとヒナギクはいつの間にか制服とスパッツを脱いでいた。
「ああああ!?」
「ほら、こんなに、なっちゃってるの……」
ヒナギクはナギの手を自分の股間に導いた。ショーツに触れると、じとっと湿って
いるのが分かる。
「ああああああああ!?」
ヒナギクは快感に軽く身を捩った後、ナギに覆い被さっていった。
「んぅ、ナギが可愛すぎるから、こんなになっちゃったわ…せきにん、とってね?」
「ああああああああああああああああ!?」
「大丈夫、私だけじゃなく、ナギももっと気持ちよくしてあげるから……」
「ああああああああああああああああああああああああああああああああむぐ!?」
ナギの声は柔らかい唇で塞がれた。
「ああ……久しぶりだったけど、ナギはやっぱり可愛いわね……」
「重い……」
ヒナギクはナギの背に乗ってじゃれ付いている。ナギは苦々しげに呟いた。
「……なぜこんな危険人物が野放しにされているのだ……」
「こんなに学院の平和と安全に尽くしているのに……」
不満そうにヒナギクは愚痴る。
「この犯行のどこが平和と安全のためかーーー!!」
コンコン
「ナギ、ヒナギクさん、入ってもよろしいでしょうか?」
ドアの向こうから声がした。
「はーい、マリアさんどうぞー。」
「くそー、マリアの奴いつも通り主人の危機にサボタージュしおって……」
扉が開く。マリアはナギの着替えを持ってやってきた。
「ナギ、汗かいたでしょう。もうお風呂にしますか?それとも汗を拭いて下着を
着替えるだけにしますか?」
「この状況で他に言うことはないのかマリア!?」
ナギがマリアを叱責する。
「ああ、申し訳ありません、お嬢さま。」
マリアはそう言って深く頭を下げ、また顔を上げると、ヒナギクの方を向いて
言った。
「ヒナギクさんはお風呂になさいますか?それともお食事?」
「ちっがーーーーうぎゃ!!」
ナギは起き上がろうとして、体を走る痛みに崩れ落ちた。
「にゃあああ……」
マリアはにこやかにヒナギクと話す。
「ああ、それともナギになさいますか?」
「いえ、お風呂だけいただいて帰ります。」
「そうですか。ナギはどうします?ヒナギクさんといっしょに入りますか?」
「いっしょに入るなら体の隅々まで洗ってあげ――」
「とっとと風呂浴びて帰れこのエロ大王ーーー!!」
「ああ、流石に三千院家の大浴場、毎度ながらすごい広さね……」
ヒナギクはだだっ広い浴槽の壁に背をもたれ、すっかりくつろいでいた。
「まあ、一人っきりっていうのは少しさびしいけど……」
カララララ……
「ヒナギクさん、いらっしゃいますか?」
入り口の方からマリアの声がした。
「え、はい?マリアさん?」
「はい、マリアですけど、お風呂、御一緒させていただいてもいいですか?ナギが
不貞寝してしまったので、今のうちにお風呂を済ませてしまおうと思ったので。」
「あ、はい、大歓迎です!!ちょっと広すぎてさびしいなと思ってたので!!」
「ありがとうございます。じゃあ、お邪魔させてもらいますね。」
カララララ……ピシャ。
浴場の入り口の戸が閉まった音がした。ヒナギクは岩陰に回りこんで、そっと
入り口の方を覗き見た。曇りガラスの向こうで着替えをしている人影が見える。
「おお……」
ヒナギクは小さく感嘆の声を漏らした。ぼやけた影の動きの意味を解読して
いくだけで、ヒナギクは軽く興奮してきた。
やがて肌色の人影が戸に近づき手を掛ける。
「おっとっと……」バシャ
ヒナギクはさっと身を引いてなにもしていない風を装った。
「お湯加減はいかがですか?」
「あっはい、ちょうどいいですよっ。」
マリアはシャンプーなどの入った洗面器を手にやってきた。体の前をタオルで
隠していたが、ヒナギクはマリアがしゃがんで湯桶を拾う時、タオルの上端から
くっきりとした胸の谷間が覗くのを見てしまった。
「くはっ!!」
ヒナギクは何か大ダメージを受けた。
「どうかなさいました?」
「いえ、なんでもありません……」
「のぼせないように気をつけてくださいね。」
マリアはそう言って蛇口のある浴場の端へ行って風呂椅子に座り、体を湯で流し、
洗った。掛かり湯を済ませ、再びタオルで前を隠して浴槽に近付く。
浴槽の縁でタオルを畳みながら、マリアはヒナギクに話し掛けた。
「ヒナギクさん、今日はナギと遊びに来てくださってありがとうございました。」
「え?いやそんな私こそとっても楽しませてもらってますし。」
ヒナギクはマリアの胸を見つめながら答えた。
「またお暇な時に遊びに来ていただければ嬉しいんですけれど、お忙しいですか?」
タオルを岩に置いて、マリアが湯に浸かった。胸が湯の中で揺らめいて見える。
「えー、まあそれもありますけど。ほら、あのですね。」
ヒナギクは思考になんとか脳のリソースを振ろうと努める。
「遊びに来ると、ハヤテ君にとって私は三千院家に来たお客ということになるじゃ
ないですか。遊びに来た友達の家で、執事とはいえクラスメイトにお客扱いされる
のはなにか違うと思うんですよ。でもハヤテ君はそういう所頑固そうだし、三千院家
としても執事にフランクに客をもてなせとは言いにくいでしょうし。ですから、
ハヤテ君が他の仕事があるとかで、私の接客をしなくていい時なら、私も迷いなく
ナギと遊べる気がするんですけれど。けどハヤテ君はナギの専属執事ですから、
いつもナギの側にいるでしょう?今日みたいにうまくいないときを知って来られる
なんてことは、そうはないので。気兼ねなく遊びに来られればいいんですけど……」
マリアは楽しそうに微笑んでヒナギクの話に応じた。
「なるほど、上手い……もとい、一理ある理由ですね。どうです?気兼ねなく遊びに
来たい時には、ナギにそれとなく希望を伝えてみては?」
「難しいでしょうね。それで上手くいくようなら、今までもナギは生徒会室に
遊びに来てくれてますでしょうからね。気兼ねなく遊びに来ていいのよと、いつも
言ってるんですが、全然来てくれなくて……」
「あらあら、ヒナギクさんのお誘いを断るなんて、ナギもお高く止まってますね。」
「きれいなメイドさんが優しく尽くしてくれているから、私程度では袖にされて
しまうんですよ。」
「まあ、お上手。」
「マリアさんこそ。」
調子の合った二人は、しばらくくすくすと笑い合った。
「ほんとに、のぼせないうちに上がってくださいね。」
マリアは湯から上がり、そう言って再び蛇口の側へ向かった。
「はーい。」
それからしばらく、ヒナギクは大人しく湯に浸かっているように見せながら、
体を洗い始めたマリアの様子を伺っていた。頃合を見計らい、ヒナギクはそっと
浴槽から上がり、そーっとマリアの背に近付く。そして膝を突いてマリアの耳元に
顔を寄せ、小声で呼びかけた。
「マーリーアーさんっ。」
「きゃ、ヒナギクさん?」
マリアは軽く驚く。
「お背中、流しましょうか?」
「でもヒナギクさん、もうお風呂上がられる頃合なのでは?」
「せっかくマリアさんといっしょですから。もうちょっと、御一緒したいと思って。
湯から上がってマリアさんのお背中を流していれば、私はのぼせずに済んで、
マリアさんも楽が出来て、一石二鳥ってことで、どうですか?」
ヒナギクのねだるような申し出に、マリアは苦笑しながら突っ込んだ。
「え〜、ホントに背中だけですか〜?」
「信用ないですね……」
「信用してますよ?ヒナギクさんはとっても危険、って。」
「こんなに学院の平和と安全に尽くしているのに……」
不満そうにヒナギクは愚痴る。笑って待つマリアにヒナギクは正面突破を試みた。
「背中以外は駄目ですか?」
「そうですねぇ……」
マリアは手に持ったタオルを転がしながら、考えている様なポーズをしていたが、
あっさりヒナギクにタオルを渡して悪戯っぽく囁いた。
「背中をしっかり洗ってくれたら、考えてもいいですよ……?」
「んんっ、ヒナギクさん、やっぱりお上手っ……」
「マリアさんの肌はとっても綺麗だから、私も洗い甲斐がありますからね……」
ヒナギクはマリアの胸を揉んでいる。
「あっ、うんっ、気持ちいいですわ……」
「私も手の感触がぷにぷにで、とっても気持ちいいです……」
「もう、えっちですね、ヒナギクさんは、んんっ……」
石鹸の泡を付けたヒナギクの手が、マリアの立派な膨らみをすりすりと擦った。
ヒナギクはマリアの座っている後ろに跪いて、肩越しにマリアの胸を見下ろしながら
乳房のマッサージを行っている。
「んん……おっぱいばっかり、ほんとにヒナギクさんはえっちですね……」
「いやぁ、マリアさんの大事な胸ですから、しっかり洗わないと……」
「ふふ、背中も前ももう十分洗ってもらいましたのに。」
「いいじゃないですか。しっかり洗うのは、気持ちがいいですよ、と……」
「んんん……っ!!」
ヒナギクが妖しい手つきでマリアの乳房を捏ね回した。マリアは反射的に首を
仰け反り、声を抑えて口をきゅっと結ぶ。ヒナギクはマリアの肩口からその表情を
見て、さらに意欲が湧いてきた。
「気持ちいいですか?マリアさん。」
「あっ、うん、き、気持ちいいです……けれど、んっ、あ、ちょっと、激しく、
ないですか……?」
「えー、ちょうどいいと思いますよ。ほら、マリアさんのおっぱいだって……」
「んんんああっ!!」
ヒナギクは、しこり立ったマリアの乳首を摘む。マリアは強い刺激と快感を浴びて
思わず声を放った。
「……こんなにぴんぴんになって、気持ちいいって言ってますもん。」
「んんんっ、あんんっっ……!!ヒナギクさんは、いじわるですね、もう……」
風呂場の温度や体を洗われて促進された血流でほの赤くなっていたマリアの顔に、
一段と朱が差した。
「うーん、ちょっといじわるしたくなってるかも……だって、マリアさん、とても
素敵なスタイルしてるんですもん。ちょっと妬けちゃいます……」
「んんぁっ、あんっ!!もうっ、ヒナギクさんったらっ、ふぅんんっ……!!」
ヒナギクは優しく、しかし容赦なく、マリアの乳首に高い快感を生み出す責めを
仕掛ける。ヒナギクの指が突起を揉み、擦るたび、マリアの唇から悩ましい声が
漏れた。
「マリアさんのおっぱい、いいなあ……」
「もおっ……んんあっ……洗ってくれるのは、おっぱいだけ、ですか?」
「あ、ごめんなさい。じゃあ次は、マリアさんの、大事なところを……」
そう言って、ヒナギクはマリアの股間に手を伸ばそうとする。しかし、マリアは
その手を押し止めた。
「マリアさん?」
マリアは横を振り向いて、ヒナギクに微笑みと共に提案する。
「ねえ、ヒナギクさん。……せっかくですから、大事なところは、洗いっこ、
しませんか?」
「んん!!……んむ……んんっ!!んっうん……んぁあ!!んんんん!!」
「はふんっ、ああんぁん!!むむ……むむんーんーんんん……っっ!!」
マリアとヒナギクの美しい口が、快楽に喘ぎつつ目前の秘裂にしゃぶり付く。
壁の隠し扉を開いて取り出した風呂マットを床に敷き、二人はマリアが下となって
いわゆるシックスナインの体位をとった。最初はママゴトの様に局部を洗い合って
いたが、当然それだけにとどまるはずもなく、互いに相手の秘唇への性的な接触を
始め、指と口を使った濃厚な愛撫へと発展を見せていた。
「んんっ、ヒナギクさんのっ、とっても素敵……んぁっ、可愛くて、えっち……」
マリアはヒナギクの陰核を指で責めながら、縦横無尽に舌を秘裂で動かす。汁に
まみれている陰唇に口付け、奥から零れてくる愛液を浴び、あるいは舐め取って、
湯以外の液体でじっとりと口元を濡らしている。
「あんんっ!!マリアさんっ、すごいっ……いいのっ……!!」
ヒナギクはマリアとは逆に淫裂に指を差し入れ、敏感な突起を優しく口で愛撫して
いた。ヒナギクの指にくすぐられる膣口から、とろとろと愛液が零れ落ち、マットの
上に溜まっていく。ヒナギクの唾液と、指で撫で付けられた自分自身の愛液とで、
マリアの花弁も体液に濡れそぼっていた。
「んっ、私もっ、ああっ!!お豆さんとかっ、中とかっ、気持ちいいですっ……!!」
「んむ、ああぅ!!マリアさんっ、そこ、いいっ……!!」
二人の声が浴場に響く。自分の恥ずかしいところを相手にさらけ出し、口唇で
調べ尽くされる感覚が、愛撫による性感を何倍にも増幅した。熱心に互いの秘部に
しゃぶり付く光景は、そこに吸い付いて繋がろうとしているかのようで、横から
見れば快感の循環する一つの閉じた回路を形作っているようでもあった。
「んんあっ!!すごい、マリアさんっ、うううんんっ!!」
「んあ!!ヒナギク、さんっ、あぁっ!!あああ、はげ、しぃっっ!!」
「ごめんなさいっ、とまらないっ……!!」
「ううんっ、気持ちいいんです!!はげしいっ、んぁっ、けどっ、気持ちいいのっ!!」
「わたしも、ぜんぶ気持ちいいからっ、マリアさんもっ、おもいっきり、あああ、
おねがいっ……!!」
「ヒナギクさんっ……!!」
「うんっ、マリアさんもっ、んんぁあああっ!!」
エスカレートしている興奮を互いに確かめあい、ヒナギクとマリアは愛情と欲望を
激しい愛撫に表してぶつけあう。指と舌と唇が秘唇と陰核を強く摩擦し、快感が
腰から脳へと飛び抜ける。二人とも愛液を秘裂から零しながら身をよじりあった。
「んんんっ!!むっうんん!!あんんん!!」
「ああ!!ん、ん、んんんんんん!!んぁんんぁんん!!」
「むん!!んんん!!ふあ!!あん!!」
「くんん!!ぁんっ!!む、ふ、んんん!!」
呻きを発し快感に溺れつつも、二人は愛撫の手を休めない。むしろ一層激しく
なっていくその責め立てぶりこそが、悦びと昂りの証しと言えた。結果、加速度的に
快感は膨れ上がり、耐えきれないほど張り詰めていく。
「んんん!!ああ!!ああ!!」
「んあ!!あっあ!!んんんんぁっ!!」
「ああ!!ああ!!」
「あん!!あ!!あ!!」
「「…………ぁあぁぁあぁぁぁぁああああああああああ………!!」」
そしてついにほぼ同時に絶頂に達し、高い声を上げた後、二つの裸体はぐったりと
マットの上で横たわった。
「うーん、大分遅くなっちゃったわね……」
三千院ナギ邸を辞したヒナギクは、街中を目指し夜道を歩いていく。と、家なみの
中の小さな交差点で、見知った少女と出くわした。
「あ、ハル子じゃない。」
「あれ、会長?」
生徒会書記・春風千桜は、こんな時間に制服姿の生徒会長と出会って驚く。
「いまお帰りですか?生徒会の仕事、こんな遅くまでかかってしまいました?」
「いいえ?ほぼ予測通りに終わったわよ。解散した後、ちょっと寄り道したら
遅くなっちゃった。」
「そうですか。すみません、お手伝いできなくて。」
千桜は深く頭を下げる。
「気にすることないわよ、メールでも言ったけど。バイトは前からあったんだし、
そもそも休日だし。」
「でも愛歌さんを無理に呼び出すことになって――」
「んー、私もそれはちょっと心配してたんだけど、なんか今日は元気だったのよね。
なにか昨日いいことがあって気分がいいって感じに見えたんだけど、ハル子何か
知らない?高尾山で同じ班だったでしょ?」
「昨日、ですか?同じ班といっても、途中ではぐれてしまいましたからね……」
千桜は首を傾げて昨日の愛歌の様子を思い出そうとした。だがヒナギクはさほど
その話題に執着していないのか、千桜がすぐには答えを出せないと見ると、別の
話題を振った。
「まあそれは明日にでも話すとして。ハル子の方はいままでバイトしてたの?」
「え?ええ。メールにも書いたと思いますが、雇い主から夜までいてくれと頼まれ
まして、断り切れなくて。」
「じゃあこんなに暗くなるまでバイトして、一人で帰って来たの?やっぱり断った
方が良かったんじゃない?」
「いえ……雇い主は帰りはタクシーを使っていいとも言ってくれたので、断る理由は
なかったというか。タクシーは結局自分で遠慮したんです。暗くても交通機関が
営業を終えるにはまだまだ早いですし。もったいないじゃないですか。」
「うーん、その経済観念はうちのお姉ちゃんに見習わせたいところね……」
「まあでも、さすがに暗くなりましたね。会長が心配してくださるのも、もっともな
ことですが……」
千桜はあたりを見回す。交差点には小さな電灯が一つきりで、道の先を照らすには
心もとない。
「まあ、用心は何かあってからでは遅いからね。」
「というか。会長こそこんな夜中に歩かれては危ないですよ。」
「何?あなたも私が夜道を歩くと通行中の女の子の身が危険とか言うつもり?」
「いえいえ、今のはそういう意味ではありませんって……」
「こんなに学院の平和と安全に尽くしているのに……」
不満そうにヒナギクは愚痴る。
「ですからね。例えばですよ。この後ここで私達が別れて帰りますよね。もし、
その辺に変質者が一人潜んでいて、どちらかの後を付けるとしたら、どちらを
狙うと思いますか?」
千桜は真意を伝えようと、自分との比較を例示して話すことにした。
「どちらかというとハル子のほうがか弱いから、ハル子の方?」
「それは外見からはほとんど分かりません。不届き者は外見を見て、私より会長が
美人だから、会長の方を狙うと思うんですよ。」
「えー。ハル子こそチャーミングじゃない。」
「人それぞれ好みはあっても、会長の容貌の方が美しいと多くの人が言うと思います。
そういうわけで会長は人目を引くので、変質者でなくても、夜遊びしてる者達や
酔っ払いが絡んできたりするかもしれません。会長は実際はお強いから、めったに
危機に陥ることはないでしょうけれど、相手も何を持っていてどんな無茶をするか
わからないですから、腕に自信があっても、他の普通の女の子と同じかそれ以上に
危ないですよ。」
「あー、うん、心配してくれてありがとう。」
頬を指でこすりながら、ヒナギクは力説する千桜の肩をぽんぽんと叩いた。
「でもなんかこそばゆいから、それくらいにしてくれない?」
「あ……す、すいません。」
千桜は頬を赤らめた。
「でもホントにハル子だってかわいいんだから、用心しないとだめよ……?」
「そんなことないですよ。」
ヒナギクの言葉をお世辞と取って、千桜は謙遜する。
「そんな事言ってぇ。何かあってからでは遅いわよ?」
ヒナギクは千桜の頬に手を伸ばし、優しく撫でた。
「もぉ、勘弁してください、会長……」
千桜は、ヒナギクが褒められて照れたので仕返しに自分を褒め殺そうとしている
のだと考える。間近でヒナギクの瞳に見つめられ、心拍が上がる。耐え切れず、
十分照れました、という様子で降参の意思を告げた。
「だから、ハル子みたいなチャーミングな女の子が用心しないとどうなるか、
これから私が教えてあげようと思うの。」
「……は?」
「大丈夫。優しくするから!!」
ヒナギクの朗らかな笑顔に、千桜は彼女の意図を読み違えていたことに気付く。
「か、会長?」
「うん。やはり白皇学院高等部生徒会長・桂ヒナギクとしては。学院生徒に平和と
安全について指導する義務があると思うの。」
「それはそうかもしれませんが!!これから私あんまり平和でも安全でもない状況に
されそうな!?」
「安心して。私のレクチャーは健康的で効果的よ。練馬区にお住まいのN.S.さん(13)
からも、『もっと用心するべきだったことがわかった』と称える声が――」
「どう聞いてもデンジャラスです!!」
「はい、チェックメイト。」
「あ。」
いつの間にか、千桜は壁に追い詰められてしまっていた。ヒナギクの顔が目の前に
ゆっくりと迫ってくる。
「か、会長、こ、こんなところで……」
「ん?駄目?」
ヒナギクは接近を止め、千桜に尋ねた。
「駄目に決まってるじゃないですかぁ……」
千桜は顔を真っ赤にして声を絞り出した。
「ふむ。ハル子が恥ずかしいというなら、場所を変えましょう。」
「他所ならいいってわけでもないですから!!」
千桜はヒナギクの譲歩に乗じて決死の抵抗を試みた。剣道有段者のヒナギクとは
いえ、さすがに女の子一人を望みの場所に引きずっては行けないだろうと見込んで、
粘り勝ちを目指す。
「ちょっと荒っぽくなるけど、しばらく我慢してね。」
ヒナギクは片手を後ろに隠した。
「は?」
「来なさい、正宗――!!」
ピカーーッ……
「わわっ!?」
突然ヒナギクの後ろで光が溢れた。思わず千桜は目をつむる。急速に光は収まり、
暗がりが戻ってきた。目をしばたく千桜の前で、ヒナギクは腕を斜め下に伸ばす。
その手には見事な木刀が握られていた。
「ちょ!?どこからそんなものセットアップしたんですか!!」
「じっとしててね!!」
「ひ!!」
ヒナギクは短く警告すると、目にも止まらぬ速さで千桜を抱え上げ、飛ぶような
速度で走り出した。
「きゃーーーーーーーーー!!」
「ごーーーーーーーーるっ!!」
ずんっ……
「…………ぁ………」
着地したヒナギクの腕の中で、千桜はまだ固まっていた。
ヒナギクは夜道を車より早く駆け抜け、道角を直角に曲がり、最後に高い白壁に
向かって爆走し、なんとそれを軽く飛び越えて、木々の合間に降り立った。
「ふう、ここなら人目につかないわ。」
「ぁ……え?」
千桜はきょろきょろと辺りを見回す。周りの木々は庭の植樹として手入れがされて
いるようだった。夜闇のために木々の先がどうなっているのかはよく分からない。
唯一知りうるのは、後ろ側に飛び越えてきた白壁が木よりも高くそびえ立っている
ことだった。
「なにをどーイグニッションしたらあれを飛び越えられるんですか!?」
「気合よ。」
「気合て!?」
「これを構えているとなぜか気合が入って力が出るのよね。」
ヒナギクは木刀を軽く動かして見せた。
「いやいや、気合でどうにかなるものでは……」
「気合は大事よ。気合が入っていれば、目を瞑ったままで高い壁を飛び越えること
だって」
「瞑ってたんですね!?高い所怖いから目を閉じてテイクオフしたんですね!?」
千桜はヒナギクの制服の襟を掴んで引っ張る。
「わ、ちょっと苦しいわ、ハル子……」
「あ、すいません……」
千桜は手を離した。ヒナギクはすかさず千桜を抱きすくめる。
「さあ、人目に付かないところに来たところで、再開しましょう。」
「大して状況が変わっていません!!」
ヒナギクが迫り、千桜は尻込みした。
「そりゃぁ、夜道の危険を身に教えるレッスンなんだから、やっぱり夜道と同じ
ような雰囲気のある場所でやらなきゃ。」
「だから……そんなレッスンいりません……」
千桜はヒナギクの艶かしい視線に絡め取られないよう、横を向く。
「言ったでしょう、」
ヒナギクは千桜の耳元で熱っぽく囁いた。
「何かあったら、もう、遅い、って……」
「ん、だめ、ですっ……」
「んくっ、あっ、んん……!!」
「ん……はん……」
ヒナギクは千桜の唇をついばみながら、胸と尻の膨らみを服の上から撫で回す。
優しくもいやらしい手つきで体の曲線をくすぐられ、千桜は体が熱くなっていった。
「どう?こんなふうに、いやらしいこと、されてるのは……?」
ヒナギクは意地悪な質問をする。
「やっ、そんなこと聞かないでくださいっ……」
千桜は目尻に涙を浮かべ、紅潮した顔で呟いた。
「答えてくれないならー、ハル子の体に直接聞いちゃおうっと……」
「んんあ!!」
ヒナギクは乳首の上をきゅっと指で押さえて、千桜に呻き声を上げさせた。
それから壁の方へ体を引き寄せると、くるりと千桜の背後に回り、胸をしっかりと
揉みながらスカートの裾をめくり始める。
「あんんっ!!だめ、だめですっ!!」
千桜はヒナギクの手の悪戯を防ごうと、抵抗する腕に力を込めて叫んだ。
「あんまり大きい声出すと、外に聞こえちゃうかもよ?」
「あっ……!!」
ヒナギクに小さな声で指摘され、千桜はびくっとして思わず口を手で塞いだ。
ヒナギクの手への意識が留守になり、防御動作が空回りする。ヒナギクはその隙に
服の下のブラジャーとショーツに辿り着いた。
「んんんっ!!」
「ここの子たちは、素直に答えてくれるかしら?」
「やあ……」
千桜はか細い声を漏らす。
「乳首ちゃんはー、いやらしいお手々でくーにくーにされるの、好きかなー?」
「んんん!!」
ブラジャーの上から乳首を指で捏ね回され、千桜は零れそうになる声を必死で
堪えた。
「くーにくーに……ハル子の乳首ちゃん、くーにくーに……」
「んんん!!んん!!んっんんん!!」
「くーにくーに……さあ、どうかな……?」
「んんんっ!!……はぁああ、え?あ!?」
ヒナギクは千桜のブラジャーを外してずり下げる。火照った乳房が外気に触れた。
その頂上の突起を、ヒナギクは直接指で摘まんだ。
「んんぁあ!!」
「ふふ……乳首ちゃん、こんなに硬くなって、いやらしいお手々が気持ち良かった
って言ってるわよ?」
「や、あんんっ!!ふ、はんんっ!!」
硬くしこった乳首を、ヒナギクの指が弄ぶ。
「はうっ、あああ……」
プルルルル……プルルルル……
千桜のポケットで携帯電話が鳴った。
「……ほら、出ていいわよ。」
ヒナギクは手を休めて千桜の体勢を楽にしてやった。穏やかに頷き、千桜に行動を
促す。
「は、はい……」
千桜は携帯電話を取り出して、電話を掛けてきた相手を確かめる。少し顔を曇らせ
わずかに逡巡し、ヒナギクの顔をちらりと見て、意を決して応答ボタンを押した。
「はいっ、ハルです……」
火照った体にヒナギクの手がじっと絡み付いている。その感触が電話の向こうの
相手に今の自分の状態が気取られるのではないかという恐れを増幅させていたが、
千桜は何度か返事をしていくうちに、今のところバレてはいないと推測した。
それによって少し緊張が解け、受け答えに余裕ができる。
「いえ、まだ帰り道で……友達と会って。……はい、女の子、です……」
ヒナギクの方をまたちらと見て、千桜は電話の相手に答えた。
「ええ、いま、彼女と……」
『友達』としていると語る偽の出来事は、ヒナギクとしている現実の出来事とは
まるっきりかけ離れた無害なもので、その隠蔽行為が千桜に背徳感を覚えさせる。
「すみません、御厚意を……はい、大丈夫です……はい、ではまた……」
千桜は携帯電話を畳んでほっと溜息を吐いた。
「バイト先の人かしら?」
「ええ……」
千桜は携帯電話をポケットに仕舞い、無意識にヒナギクの腕に寄り掛かった。
「ふふ、やっぱりハル子は可愛いわね……」
「……は!!」
ようやく気付いた千桜がヒナギクの腕から逃れようともがくが、ヒナギクは
もちろんぎゅっと抱き締めて離さない。
「どう?いやらしいことされてる途中に、電話で人と話すっていうのは?」
「どうもこうもありません!!」
「そう?刺激が足りなかったのかしら。やっぱり定石通り乳首を摘むとかいやらしい
ことをされつつも、必死に耐えながら話すというのでないと、いやらしさが足りない
のかしらね?」
真剣に検討しているヒナギクの声を聞いて、千桜は泣きを入れた。
「お願いですからそんなことは勘弁してください……」
「ま、そうね。せっかくハル子が自分から今の人にごまかしてくれたんだし、
共犯者は大事にしないとね……」
「いやいや被害者ですから私!!」
「まあ今の人とか電話先の人を共犯にしておけば、ハル子が耐えきれないくらいの
いやらしいことをしても大丈夫ってことにはなるわよね……」
さらに真剣に検討しているヒナギクの声を聞いて、千桜はもう一度泣きを入れた。
「ほんとにお願いですからそんなことは勘弁してください……」
「まあ、それはおいといて。次は、こっちの子はどうかしら……?」
「んんあっああっあっ!!」
千桜の股間に伸びたヒナギクの手が、ショーツの上から秘所を撫でた。
「あぅ、あんん!!あんっあっあんん……!!」
ヒナギクの指が割れ目の上を往復するたび、千桜はあられもない声を上げた。
さらに指先で敏感なポイントを突き捏ね回し、千桜の足をがくがくと震えさせる。
千桜は壁に腕を突いて快感に震える体を支えていた。飛び出る声を抑えることも
忘れ、ヒナギクの指の技巧になすがままにされる。
「ああっ……?」
不意にヒナギクの愛撫が途切れた。
「さあ、ハル子の女の子は、どんなお返事かな?」
そう言ってヒナギクは千桜のショーツを引き降ろした。
「あ、あ、あああ……」
「どれどれ……」
ヒナギクは指で割れ目を探り当て、指の腹をくちゅりと沈めた。
「んんあっ!!」
「ほら、びしょびしょ……こっちの子も、いやらしい指ですりすりされて、感じてる
って、とろとろのお汁で、お返事してくれてるわ……」
「んあっ、はああ!!やあぁ!!はんんっ!!」
ヒナギクが指を動かすと、愛液が秘裂から掻き出され、さらに奥から新しい体液が
零れてくる。そのぬかるみを掻き回される恥ずかしさと心地よさに、千桜は次々と
悩ましい声を響かせた。
「可愛いわ、ハル子……」
そんな千桜の痴態をうっとりとした顔で見つめ、ヒナギクは褒め称える。
「……どうせっ!!」
千桜は顔をさらに赤くし、ぷいと横を向いて文句を言った。
「どうせ、ヒナギクはっ、みんなにそんなこと言ってるんでしょうっ?」
「みんな可愛いんだもの。『私にとって可愛いのはあなただけよ』と言わないだけ、
誠実な態度だと思わない?」
かつて言った文句に対し、かつて言われた返事が繰り返される。
「でも、そうね……」
ヒナギクは千桜の頬に手を当てて、かつては言われなかった言葉を続けた。
「当代白皇学院生徒会長にとっては……書記さんはやっぱりクールでチャーミングで
働き者の誰かさんじゃないと、甘え甲斐がないかもしれないわね。」
「……それで誠実さを示したつもり?」
「ねー、機嫌直して、ハル子ー。」
ヒナギクは千桜の頬を指でつつきながら、ねだるような口調で呼び掛ける。千桜は
軽く溜息をつき、優しい声で言った。
「はいはい。会長のためなら何でもいたしますよ。機嫌だって直しちゃいますよ。
まったく、しょうがないですね会長は……」
「うふ、ありがとうっ、ハル子。」
ヒナギクは感謝を述べ、千桜の頬に繰り返し口付けをする。千桜は目を軽く閉じ、
気持ち良さそうにそれに身を任せた。
「ん……」
「ホント、可愛い、ハル子……」
「んんんっ!!」
ヒナギクが千桜の秘所をさわさわと撫でた。
「ねえ、ハル子、いやらしいこと、もっとしていい?」
ヒナギクは千桜に問いかける。
「あんっ!!あっあうんっ!!」
「ハル子、可愛いから、私、ハル子にいやらしいことしたいの。私がするいやらしい
ことで、ハル子が気持ちよくなってくれると、とっても可愛くてうれしいの。私、
もっとハル子にいやらしいことしたい……」
「あ、かい、ちょうっ……」
千桜の耳にヒナギクの吐露が染み込んでいく。
「クールなハル子も、怒ってるハル子も、そうやって泣きべそなハル子も、みんな
可愛い……ね、次は、いやらしいことして気持ちいい時のハル子を見せて……」
「……」
千桜はこくりと頷いた。
「んんぁ!!あああ!!あんんっ!!んふぐ……」
「むぐ……んんっ……あっ、んんっ……!!」
壁に背をもたれた千桜の股間を、ヒナギクの手がまさぐっている。千桜の両手は
ヒナギクの背に回され、ギュッと服を掴んでいた。ヒナギクは千桜の喘ぐ表情を
愉しみながら、時折ディープな口付けを交わす。
「ふぁ!!ああ!!んんあっ!!んんんんっ……!!」
千桜は秘裂をヒナギクの指で弄りまくられ、精神は溢れる快楽に翻弄されていた。
肉体においても、とめどなく分泌される愛液は花弁を溢れ出て内股とヒナギクの手に
伝い落ち、陰核は愛撫を受けて膨れ上がり、開いた口元からは唾液がだらしなく
零れてしまう。
「んっ、可愛いっ、ハル子っ!!」
「ああっ、あんんっ!!」
「ほら、いやらしいことされて、気持ちいいでしょ?」
「ああああ!!」
千桜はがくがくと首を振った。
「もっと気持ち良くなっていいのよ、ハル子が気持ち良くなっていっちゃうとこ、
私に見せて……!!」
「あんんあああ!!」
ヒナギクの指が千桜の秘所の豆つぶを、花びらを、激しく擦り立てる。敏感な
場所への刺激が、痛いくらいの快感となって体に突き刺さった。じんじんとする
体の奥底から、しだいに何か熱いものが呼び起こされる。
「あ!!ああ!!な、なにか、わたし、わたしっ!!ああっ!!」
「いいの?きもちいいの?」
「んんあ!!あ!!んっんっんっああああ……!!」
千桜の性の興奮が急速に高まっていく。ヒナギクの背をぎゅっと抱き締め、自分の
胸を押し潰すように強くしがみ付いた。腰が震え、足元がおぼつかなくなる。
「ああっ、ああ!!あ!!あっああぁああ!!」
「いきそう?ハル子いっちゃいそう?」
「あ、はう!!ああ!!あんんんっ!!」
「いっちゃいそうよ?ハル子いっちゃいそうよ?」
「ああ!!ああ!!あっはぁあああ!!」
「ほら、ほらっ……!!」
「あっあああ……!!」
ヒナギクは上ずった声で呼び掛けながら、愛液まみれの手で千桜の潤みきった
秘唇を責め倒す。膣口を弄り陰核を摘み上げ、千桜を追い込んでいく。千桜は
高い声を発して窮地を訴えた。
「ひあっ、ああぁ!!だめ、だめぇ!!あんんっ!!もうだめっ!!」
「いきなさい、いっちゃいなさい、気持ちいいんでしょ?我慢できなくなったら、
ほら、いっちゃいなさい……!!」
「あ!!あああ!!ひぁ!!あ!!もうっ!!あんんあぁっ!!あ!!ああ!!あ!!」
「ハル子っ、さぁっ……!!」
そして、千桜はついに絶頂に達した。
「あ、あ!!いっちゃうっ、もう、いっちゃうっ、あ!!あ!!あ!!あ!!あぁいぁぁぁああ
ぁぁああぁぁあぁぁぁあああああ……!!」
「うーん、やはりハル子は可愛かった……」
「……会長が夜中に歩かれては危ないということが良く分かりました。」
「こんなに学院の平和と安全に尽くしているのに……」
不満そうにヒナギクは愚痴る。千桜は深く溜息をついた。そして尋ねる。
「ところで、ここはどこですか?」
「どこでしょう……?」オロオロ
「来たのは初めてだけど、鷺ノ宮家の庭のはずよ。」
ヒナギクは何でもないように答えた。
「伊澄さんの家ですか!?そんなところに不法侵入したら不味いのでは……」
「まあ、私、不法侵入してしまったのでしょうか……」オロオロ
「そんな可愛く言っても駄目です。見付かったらどうするんですか!?」
千桜はヒナギクに問い質した。
「夜道で襲われかかった友人を連れて走って来たら入ってしまったと説明すれば
分かってもらえると思うわ。」
「無理があります!!」
「夜道というのは怖いのですね……」オロオロ
「ほら、分かってもらえたじゃない。」
「だから、家の人に分かってもらえるかが問題で……!!」
そこでやっと千桜は和服の少女に気付いた。
「い、伊澄さん……!!」
「はい、千桜さん、こんばんは。」
伊澄は丁寧にお辞儀して挨拶した。
「こんばんは鷺ノ宮さん。」
「生徒会長さんも、こんばんは。」
ヒナギクにも挨拶を返す。
「あの、これはですね……」
「というわけなので、勝手に入ってごめんなさい。」
「いえいえ。それは仕方の無いことです。」
ヒナギクと伊澄の間で、あっさり片が付いた。
「もうハル子も襲われないと思うので、家に帰してあげたいんだけど、」
千桜の何か言いたげな視線を無視して、ヒナギクは伊澄に尋ねる。
「どこから出ればいいかしら?」
「……さあ?」
伊澄は首を傾げた。
「ごめんなさいね、ヒナギクさん。うちの伊澄が……」
「いえいえこちらこそ感謝するほうですから。勝手に庭に入ったのに、家にまで
上げていただいて。鷺ノ宮さんもお母さまもありがとうございます。」
初穂が横に座る伊澄の頭をぐりぐり撫でながら娘の不手際を謝るのに対し、対面で
正座しているヒナギクも礼を述べて御辞儀した。その横に座る千桜も頭を下げる。
あれから彼女たち三人は結局、ヒナギクが携帯電話で伊澄の家の電話に掛けて、
伊澄捜索隊に発見してもらったのだった。
「春風千桜さん、でしたっけ。聞けば災難だったようですね。」
「ええ、まあ……」
千桜は言葉を濁し、横目でヒナギクを見る。ヒナギクは視線を逸らしとぼけた。
「うちの車を出してお家まで送ってさしあげましょうか?」
「いえ、そこまでしていただくわけにも……」
「でももう暗いですし、そんなことがあった後では怖いでしょう?」
「お気遣いありがとうございます。でも大丈夫です。大丈夫ですよね?」
千桜はそう言ってヒナギクに問いかけた。
「私がハル子……千桜を送って、一緒に帰ろうかとも思っていたんだけど……」
千桜を見ると、ぶんぶんと首を横に振っている。ヒナギクは苦笑しながら初穂に
向って意見を表した。
「……ええと、彼女ももう大丈夫そうなので、一人でも帰れるでしょう。夜道を
用心するようには、私もすでに言っておきましたから。」
「そう、無理にとは言わないけれど、ほんとに用心してね。ヒナギクさんはどう?
車で送らせてもらえるかしら?」
「私にはおかまいなく。むしろ夜道を見回るくらいの気持ちで帰りますので。」
「あら、頼もしいこと。でも女の子なんだから、あなたも用心しなくちゃだめよ?」
「はい、覚えておきます。」
「あの、ではあまり長くお邪魔しても申し訳ないので、私はそろそろ……」
話がついたと見て、千桜は辞去を申し出た。
「あら、ゆっくりしていってもいいのよ?」
「いえ、あまり遅くなると家の者も心配しますし、ああは言いましたけどなるべく
早く帰った方がいいには違いないので……」
「まあ、それはそうよね。残念だけど、また遊びにきてちょうだいね。」
「私もお待ちしています。」
伊澄も母の申し出に同意した。
「ありがとうございます。伊澄さんも、今日はありがとうございました。」
千桜は立ち上がって深くお辞儀をした。横からヒナギクも声を掛ける。
「気を付けて帰るのよ。」
「……会長はまだお話をされていかれるんですか?」
「そうね、ハル子が一人ですぐに帰るということなら、私は少し鷺ノ宮さんと話を
していこうかしら。」
そう言ってヒナギクは横に置いた木刀に手を触れ、鷺ノ宮母子の方を見た。
それを見て初穂は小さく頷き、すっと立ち上がって千桜に声を掛けた。
「それじゃあ、私はハル子ちゃんを門まで送っていきますね。」
「あ、いえそんな、おかまいなく……」
「いいのよ、門までけっこう入り組んでるし、見送った方が安心だわ。伊澄ちゃん、
ここはよろしくね。」
「はい、お母さま。千桜さん、お気を付けてお帰りになってくださいね。」
微笑んで千桜に言葉を掛ける伊澄を、千桜は心配そうな目で見ながら言う。
「……伊澄さんこそ、気を付けてくださいね……」
「?はい……」
千桜と初穂が障子を閉めて出ていくのを見送り、伊澄はヒナギクに向き直った。
湯呑みを手に取り茶を一口飲むと、引き締まった表情で尋ねる。
「さて、どんなお話でしょうか……?」
「あんっ、ああああんんっ……!!」
「ふふ、もうびしょびしょよ、鷺ノ宮さん……」
畳の上に押し倒し、和服をはだけ、脚を開かせ、伊澄の股間にヒナギクは舌を
這わせる。まだ外見上幼さのある秘裂は、しかしそれ以前の愛撫によって大いに
快感を得て、すでに多量の愛液を分泌し始めてた。零れ出る愛液を舌でかき混ぜ、
陰唇や陰核を舐め回して愛撫するので、伊澄の秘所は広く濡れわたってしまう。
「ああ、あんんっ!!は、恥ずかしいですっ……!!」
「大丈夫、そのうちもっと気持ちよくなって、気にならなくなるわ……」
「や、そんな……ああぁうんんっ!!」
ヒナギクの舌が陰唇を這い回り、伊澄の体にゾクゾクした快感が走った。白い喉を
見せて嬌声を漏らし、手をぎゅっと握りしめる。恥じらって閉じようとする両脚は、
ヒナギクの手でしっかりと止められていた。
「むちゅ、んむ、ちゅ、んんんんん……」
「ぁはんっ!!ふうんっ!!あっうんっ、うん……!!」
伊澄の秘部をヒナギクは口唇で徹底的に愛撫する。舌と口の形を様々に変え、
伊澄の肌と粘膜に擦り合わせた。陰核を口に含み、舌で皮をいじる。膣口に舌先を
差し入れる。尿道口をくすぐる。べろべろと全体を上下に舐め回したかと思うと、
首を傾けて舌と上唇で陰唇を咥えてみたりする。絶え間ない愛撫に、伊澄の息は
荒くなり、吹き出し続ける愛液は尻の下の和服に零れ落ちた。
「あうん……!!ああ……!!はっ、ああぁ……、うんんんんんんぁああ!!」
「……ぷは。気持良くなったら、いっていいからね……」
「はぁっ、はぁっ、……あっあっああっ……!!」
一言だけ言うと、ヒナギクは口を戻し、愛撫を続ける。ヒナギクの舌が快楽を
送り込むと、伊澄の腰はぴくんぴくんと反応を示した。手懐けられた伊澄の肉体は、
さらなる快感を享受したいという反射的な衝動に動かされている。頭脳も快楽に
酔いしれ、肉体の反応に恥じらいを覚えるような余裕もなくなってきた。
「あ!!あんっ!!んんんっ!!ああ!!あっ!!」
「んっ、んーんんんんん、ぢゅ、ぢゅ、ぢゅっ……」
「あああ!!あ!!ああ!!んひぃ!!ひんっ!!ああっはぁああぁっ!!」
快楽に飛び付いた心身が、内なる興奮を増大させていく。伊澄の声や仕草に
興奮の高まりは段々と表れて、ヒナギクはそれに合わせて愛撫の激しさと衝撃度を
引き上げていった。最終的に伊澄の性感もヒナギクの責めも、これ以上ないくらい
高まり合う。
「あ!!ああ!!あんあ!!い!!いいっ、あああ!!」
そして秘所を貪り続けたヒナギクの舌が、ついに伊澄に限界をもたらした。
伊澄の体は縮こまり、小刻みに震え出す。
「あああ!!いく、あ!!あ!!いっちゃう!!あああ!!」
「んんんんんん……」
「ああ!!あああ!!あっあっあああ……」
「んんんんんんんん……っ!!」
「……んああああぁぁぁぁっぁあぁあぁああぁああああああ!!」
シャシャシャッ……
伊澄は激しく潮を吹き出して果てた。
「ふう、さっぱりした。」
ヒナギクは洗面所を借りて顔を拭き終わった。
「洗面所とタオル、借りさせてもらってありがとうね、鷺ノ宮さん。」
「いえ、身繕いを手伝っていただきましたから、お礼を言うなら私の方です……」
伊澄はヒナギクからタオルを受け取って言った。
「ありがとうございました。生徒会長さん。」
「あー、なんか感謝されると少し良心が痛むわね……」
「?」
伊澄は首を傾げる。
「それにしても生徒会長さんはすごいですね……安息日に生徒会の仕事をこなし、
自主的に生徒に安全指導をして、夜道で襲われかかった女生徒を救出するなんて、
一年生で会長に選出されたのも皆納得の働きぶりです……」
「う、うんまあ……」
ヒナギクはさらに良心が痛んだ。
「このように学院の平和と安全に尽くしているのよ……」
「ほんとうに、素晴らしいです……先ほどは私にも、用心することを教えて
くださって……ホントは千桜さんと楽しくお帰りになりたかったのでしょうに、
千桜さんと協力して、私に試練を講じてくださったのですね……」
「あ……あはは……」
キラキラした伊澄の目に耐え切れなくなり、ヒナギクは横を向いて笑った。
「あ、そ、そろそろ私も帰らなくちゃ。ごめんなさいね色々と。」
「いいえ、何のお持て成しも出来ませんで……」
「げ、玄関どちらかしら?」
「あ、こちらです……」
二人は洗面所を出て行った。
「ねこーねこー」
「……あれ?」
ヒナギクが伊澄と共に敷地の正門まで出てくると、そこにとっくに帰ったはずの
少女が座り込んでいた。
「ねこーねこー」
「にゃー……」
少女は猫の群れの中の一匹の猫の頭を撫で、至福の表情をしている。
「ねこーねこー」
「あー……ハル子?」
ヒナギクはメガネが似合うかなりクールな生徒会書記に声を掛けた。
「ねこーねこー……はっ!?」
千桜はやっとヒナギクたちに気付く。
「か、かいちょうっ!?」
「あら、ヒナギクさんもうお帰り?」
門の外に立っていた初穂がヒナギクに話し掛けた。どうやら千桜に付き合って
ずっとここにいたらしい。
「あ、はい。」
「ごめんなさいね、何にもお持て成し出来なくって……」
「いえ、十分持て成していただきましたので……」
ヒナギクは答えつつも千桜に視線をやる。
「あ、いえこれはですね、なんといいますか……あっ!!もうこんな時間だ!!」
千桜は時計を見てわざとらしく叫んだ。
「すみません、伊澄さんのお母さま、付き合わせてしまって!!」
「あらあらいいのよ全然。」
「大変失礼で申し訳ないのですが、時間がありませんので、これで失礼します!!
会長と伊澄さんもまた明日!!」
「あ、はい、千桜さん、さようなら、おやすみなさい……」
「おやすみなさいーーーー!!」
千桜は別れの挨拶を叫んで闇の中へ駆けて行った。
「……お気を付けて〜〜……」
伊澄の声が最後まで届いたかどうかは定かではなかった。
「……ええと。伊澄さんのお母さま、私も失礼します。」
「はい、ヒナギクさんも気を付けて帰ってね。おやすみなさい……」
「あれ、愛沢さん?」
ヒナギクは帰り道にまた見知った顔を見つけた。小さな用水に掛かる橋の欄干に
もたれて携帯電話を弄っていた少女は、ヒナギクに名前を呼ばれて振り向く。
「おや、白皇の生徒会長さんやないか。」
「ヒナギクでいいわよ。こんな所でなにをしているの?」
聞かれてしばし考え、咲夜は携帯電話をしまった。
「愛沢家で最近バイトに雇ったメイドさんがおるんやけどな。これがまた
パーフェクトなメイドさんでな。笑顔は明るく仕事は完璧。メイド魂に満ち溢れた
ホンマモンのメイドさんなんや。」
「へー、すごそうな人ね。」
「うん、すごいんやけど、一つ欠点があるんや。」
「何?」
「欠点がないんや。」
「……ん?」
「つまり、ドジも失敗もうっかりもないんや。」
「……いいことじゃないの?」
「まあ、ポンコツメイド分は他で間に合うとるからエエといえばエエんやけどな。
そういう隙の無いメイドさんの何がウチにとって問題かというとな――」
「何?」
「胸を揉ませてくれへんのや。」
「……それは深刻な問題ね。」
二人して深刻な顔になる。
「こっそり背後に寄ると振り返る。正面から行けば身をかわす。まったく隙が
あらへん。これまで999人のメイドさんの胸を揉んできたウチもこんなに手強い
メイドさんは初めてや。」
「揉ませてくれって頼んだら?」
「それはパワハラやん。」
「セクハラはいいんだ……」
「ああっ14歳って事は便利やねっ……」
咲夜は午後の気だるい気分のような目をして夜空を見上げた。
「で、そのメイドさんの胸とこの愛沢さんの夜歩きに何の関係があるの?」
「うむ。今日はたまたま人手が足りんでな。そのメイドさんに時間延長で仕事して
もろたんやけど。もう夜遅いのに一人で帰ってしもたんや。」
ヒナギクは、どこかで聞いたような話だなあ、と思った。
「そこでウチに名案が浮かんだんや。メイドさんの帰りを夜道で待ち伏せして、
『あんさんみたいなチャーミングなメイドさんが夜道用心せんとどうなるか、
ウチが教えたるー。』といけば、胸を揉む大義名分ができるやないか、と……」
「で、ここで待ち伏せしているわけ?」
「うーん、そうなんやけどな、尾行組が途中で見失うてしもてな。電話かけたら
友達と会っとる言うから、その辺のファーストフードや喫茶店なんかをを手分けして
探してもろとるんや。まあ住所からするとこの辺を通るのは間違いあらへんから、
ここに近付けば待ち伏せ組が連絡してくるはず――」
Come on Come on Come on Come on huu♪……
「……あら?」
咲夜の携帯電話の着メロが鳴った。
「はい、咲夜ですー。……いやいやそんな気にせんといて……は?……あー、それは
ぶじにかえりついてうちもあんしんやー……うん、ほなまたこんど、きょうは
おおきになー……」
咲夜は通話を終えて気落ちした様子でうな垂れた。
「もう家の前やて……」
「メイドさん本人から?」
「せや。どこをどう大回りして帰ったんやろ……」
咲夜は携帯の地図アプリを見て首を傾げている。ヒナギクはその横から尋ねた。
「ねえ、愛沢さん。一つ聞きたいことがあるんだけど。」
「なんや?」
「バイトのメイドさんって帰宅中もメイド服着てるの?」
咲夜の動きが止まった。
「メイド服を着てないときにメイドさんの胸を揉んでも、メイドさんの胸を揉んだ
ことになるのかしら。」
「しもたーーーーーーーーーーー!!」
「全作戦中止、速やかに撤収やー……」
地面に片膝を付きながら咲夜は部隊に指令を出した。
「ううっ、マリアさんとかのいつもメイド服着とる職業メイドさんのイメージが
強うて、計画立案段階からしくじってしもとった……」
「まあ、そんなに気を落とさないで。メイドさんだけが女の子じゃないわよ。」
ヒナギクは腰を屈めて咲夜の肩をぽんぽんと叩く。
「生徒会役員とかどう?クールな書記とか優しい副会長とかいい娘がいるわよ。」
「おお。それはなんや新鮮な感じがするなー。」
咲夜はけろりと表情を戻して顔を上げた。
「まあ彼女たちは触らせてくれるかどうかわからないけど、生徒会長の胸なら
オーケーが出るかもしれないわよ?」
ヒナギクはウィンクして誘いかける。
「はは、それなら白皇の生徒会長さんに、この悲しみを慰めてもらえるやろか?」
咲夜は手をわきわきさせながら尋ねた。
「許可しまーす。」
「わーい、おおきに。ほなさっそく……とりゃ!!」
「きゃっ!!」
ヒナギクの胸に咲夜の手が押し当てられる。ヒナギクはわざとらしく声を上げて
驚いて見せた。咲夜はヒナギクの胸に顔を寄せ、胸に当てた手をくにくにと動かす。
ヒナギクはその後ろ頭を優しく撫でた。
「うりゃうりゃうりゃ………」
「ん……ふふ、愛沢さんったら―――」
「うむ。見事なないちちや。」
ごち。
「痛っ!!」
ヒナギクのヘッドバットが咲夜のおでこに決まった。
「あ・い・ざ・わ・さん?」
「いやつい。ひと月ぶりにこの見事なないちちに触れて思わず」
ごち。
「痛っ!!」
「悪かったわね!!相変わらず小さい胸で!!」
「まあ確かにあまり揉み応えはタンマタンマ。」
三度目のヘッドバットを叩きつけようとしたヒナギクの頭を重ねた両手で防ぐ。
「そんなに大きいのが好きなら乗って来なければいいのに……」
ヒナギクは不満そうに言った。
「いやいや小さいんも好きやで?それにひと月ぶりやから一応成長具合を確かめて
おかんとな。八か月もたつと画風やキャラデザも変わっとるかもしれへんし……」
「なんの話よ。ひと月くらいでそんな大きくなったりしないでしょう!?」
「あー……そ、そやね……」
強く主張するヒナギクの怒りのこもった目から、咲夜はつつつと視線をそらした。
「……愛沢さん。まさか……」
「……な、なんやろか〜?」
目を合わせずに咲夜は返答する。
「……」
「……さ、十分慰めてもろたしそろそろかえ」
「待ちなさい。」
振り向いて逃げ出そうとした咲夜の肩をヒナギクが掴んだ。
「ちょっとあなたのも確かめさせなさい!!」
「あ!!いやほらあかんそれはまたこんど――」
ぐに。
「んあんっ……」
ヒナギクに背後から胸を鷲掴みにされ、咲夜は可愛い声を漏らした。むにむにと
ヒナギクは咲夜の膨らみを確かめる。
「……明らかにひと月前より大きくなってるわね?」
「あっ……まあ、14歳になったしなぁ……」
「ブラのカップとか変ってるんじゃない?これは……」
「んっ……あれやな、下田温泉の秘湯が効いたんかな、あはは……は……」
「……愛沢さん。私のこの悲しみを慰めてもらえるわよね?」
ヒナギクは涙目で手をわきわきさせながら尋ねた。
「お、お手柔らかに、なー……」
「んっ……あんっ……はあっ……」
「むう……ぐぬぬ……それにしても見事な胸ね……」
ヒナギクは咲夜を橋の欄干に背もたれさせて、正面から二つの膨らみを揉み
ほぐした。弾力感とボリューム感が手に楽しい。
「……私の14歳のころは、こんなに大きくなかったわよ……?」
恨めしそうにヒナギクは咲夜の目を見詰める。
「んんっ……そら当たり前や……昔大きかったんなら、その乳は縮んだんかーいって
話んなるやないか……」
「自慢じゃないけど、縮むほどの胸があったことはないわ。」
「はあ、ホンマに自慢やあらへんな……」
咲夜は呆れたように溜息を吐いた。ヒナギクは咲夜の胸に視線を戻して、また
ねちっこく双丘を揉みまくる。
「まあ、私のことは措いておいても、ちょっと14歳とは思えない大きさね……」
「んぁっ、手がやらしいで会長さんっ……」
咲夜は軽く頬を染めた。幼馴染の友人であるところの、この白皇学院生徒会長は、
さすが女の胸を揉み慣れていると見えて、咲夜の目から見ても手付きが巧みだった。
「えー?そう?愛沢さんのおっぱいがえっちなおっぱいに育ってるから、そんな
ふうに感じちゃうんじゃないかしら?」
もちろん実際は愛撫に近い揉み方をしているのだが、ヒナギクはわざとそんな
ことを言って咲夜をからかった。
「んんん……っ、そんなわけあるかいっ。やらしい揉み方しとる自覚がないっ
ちゅうんやったら、会長さんの手ぇこそやらしい育ち方しとるんやないか?」
「……私の手がそんな育ち方をしているとするならば、」
「んぅ、んっ!!」
ヒナギクは咲夜の胸をさらに揉みつつ、さも真剣そうに言った。
「それは多分、世の中に魅力的なおっぱいが多すぎるせいよ……」
「うわ居直りおったで。」
ヒナギクは芝居ががった口調で嘆いてみせる。
「なんてこと、素敵なおっぱいを数多く揉み過ぎたせいで、私の手は勝手にえっちな
揉み方をするようになってしまったのね?」
「認めるんかいな。」
咲夜の胸を揉んでいたヒナギクの手が、服の胸元のボタンを外し出した。
「ああっ、直接おっぱいを揉もうと勝手に手が愛沢さんの服を脱がし始め――」
「えーかげんにしなさい。」
バシィン!!
咲夜はとりあえず携帯ハリセンでつっこんでおいた。
「うーん、形もキレイだし、張りもいい……なんて卑怯なおっぱいかしら……」
「んぁっ……あんんっ……んあぁぁぁ……!!」
咲夜の胸を露出させたヒナギクは、さらに乳房を揉みしだき、手に触れる柔らかい
肌の感触を貪った。乳房を丹念にマッサージされ、咲夜も変な気分になってくる。
「乳首も可愛いし……」
「んああ!!」
勃起した乳首を摘まれ、咲夜は気持ち良さに声を上げた。
「ほら、感度もいいわ……」
「ふあっ!!あんっ!!んんあっ……!!」
ヒナギクは乳首を転がしながら、咲夜の胸を捏ね回した。ヒナギクの手の中で、
咲夜の乳房はむにむにと形を変え、敏感な突起と乙女の柔肌が摩擦される。
「あっあうんっ、あんんっ!!」
圧迫され擦られる、密かに自慢の双丘から、淫らな快感が体内に広がっていった。
潤んだ目と開いた唇に、その影響がうかがえる。
「気持ちいい?私も気持ちいい。愛沢さんのおっぱい、ホントに素敵よ……」
ヒナギクは優しく話し掛けた。
「んんんっ……会長さん、やっぱ揉むの上手いなぁ……」
「ありがと。でも、あんまり揉むとまた大きくなっちゃうかしら?」
ふふっと微笑む。
「それはなんだかくやしいけど……とても素敵なおっぱいだから、今は楽しまずには
いられないわ。」
「そりゃ、んん、光栄なこっちゃな……あんんっ!!」
「だから、愛沢さんも、楽しんでね……」
ヒナギクは咲夜の乳首を揉み、乳房を押し転がした。愛撫に馴れた頃とみて、
少し強めに突起や膨らみを刺激する。硬くしこった乳首を強く擦ると、咲夜は
びくんと反応して悩ましい声を響かせた。
「んんんっっっ!!あっ!!んーーーーっ……!!」
「はぁんっ、あんっ、んんんっ!!」
「ん、はっ、む……」
ヒナギクは咲夜に口付けを交わしている。咲夜の瑞々しい唇と舌を、よく味わう
ように丹念に舐め回した。咲夜も負けじとヒナギクの唇に舌を割り込ませ、入り
込んでくるヒナギクの舌先を強く吸う。
「んはっ、あっ!!あっ!!」
咲夜の片手は、ヒナギクの手に導かれて自分の股間へと伸びていた。ヒナギクは
咲夜の手を取り、咲夜自身のスカートの下へ差し込むと、スカートをめくり上げる
ように引き上げて、大胆にもその手を股間に押し付けさせたのだった。自分で慰める
ように求められた咲夜は、胸と口唇を愛撫される内に切なくなってきていた体を、
しばらくの逡巡の後に下着の上から指でゆっくりとさすり始めてしまった。
「あんんっ!!あ!!あ!!んんぁっっっ!!」
今や咲夜が自身を慰める指は、横の隙間からショーツの下に潜り込んで、熱い
秘裂を直接掻き回している。下着の上からの指遊びで湿り始めていた秘唇は、
指の接触と運動でじっとりと愛液に潤んだ。それに濡れた指でまためくられ擦られ、
さらに快楽を得て愛液の分泌が促される。
「んあん!!あぁあっ!!あんんんっ……!!」
咲夜は今も片胸の乳房と乳首をヒナギクの手で揉みほぐされ、そのヒナギクと
濃厚なキスを繰り返した。上半身の興奮は下半身に向かい、一層秘所を自慰する指が
激しく動く。陰核や陰裂を弄って快楽に女の器官を昂ぶらせると、性の衝動は
頭上へと体を巡っていった。興奮の高まった胸を空いた手で自ら揉みしだき、
上体を揺らし、口付けしている頭をせわしなく動かす。
「んっ、はあっ……」
ヒナギクは口を離して呼吸を整え、片方の乳首だけを摘んで愛撫しながら、咲夜の
興奮の様子を見定めた。
「あはぁっ、あんんっ!!あっ!!あっ……!!」
咲夜は胸と股間を自慰しながら、物欲しそうにヒナギクを見つめている。
「愛沢さん、とってもえっちな感じで、可愛いわよ……」
そう言いながら、ヒナギクはもう片方の乳首も指で押し挟んだ。
「んはぁあぁんっ……!!」
咲夜が首を反らして快楽の声を上げる。ヒナギクはしゃがみ込み、その乳首に
口元を寄せた。
「もっといっぱい、してあげるっ……はむっ……」
「んっふあんんっ!!あ!!あふんん!!」
ヒナギクに乳首を甘噛みされ、咲夜の胸にさらに電撃が走った。ヒナギクはもう
片方の乳首を責める指と共に、快楽と興奮に繋がり易い敏感な場所に大量に刺激を
送り込む。咲夜の興奮度グラフは、また上に一段突き抜けた。
「ああああ!!あふあ!!」
「む、む、む……ふはむ、ふはむ、ふちゅっ……」
「あ、あんんっ!!」
時折ヒナギクの口唇は乳首の突起だけでなく、乳輪から白い乳房まで広くを覆い、
愛撫する。乳房を口にされて、咲夜はそこで二人が繋がっている感覚を覚えた。
それに似た歓喜を求めて、秘裂に割り込む指が密着したまま激しく擦られ、
じゅぶじゅぶと愛液をしぶき飛ばす。
「ん、は、むむ、んんっ……」
「ああ!!あんん!!あぅあぁっ!!あん!!あんんっ!!」
咲夜の胸の歓喜と自慰の激しさは、どんどんエスカレートしていき、コントロール
不能な域にまで達した。一心不乱に胸を責め立てるヒナギクと共に、ひたすら頂点に
向けて突き進む。
「ああ!!ああ!!あ!!あんんっ……!!」
「ふあ、む、ふむふ、んう、んんん、むはむむっ……!!」
「ああ!!あ!!あ!!あ!!ああ!!あ!!」
「ん、ん、む、んん、んんんん……」
「ああああ…………い、くっ…………」
咲夜は不意に身を固くした。体の硬直が、大きなオーガズムが来る事を予告する。
そして数瞬身構えた続けた咲夜を、ついに絶頂が弾き飛ばした。
「いくいくいくっ……ぁああああああああぁぁああぁぁっぁぁぁぁああああ……!!」
「ありがと。かなり慰められたわ。」
「はー、そらえかったな……」
咲夜は胸元を整えながら生返事をした。
「おっぱいはいいわね……ちっぽけな悩みなんかどこかへ飛んでいっちゃうわ……」
ヒナギクはそう言って夜空を見上げる。
「まあそやな。胸が小さいなんちゅうのは、べっぴんの会長さんやと贅沢な悩みや。
玉に瑕ってほどのことでさえあらへんよ。もっと自分に自信持った方がええで。」
「ありがとう、愛沢さん。そうよね、自然体が一番よね……」
ヒナギクは咲夜に向き直って微笑んだ。
「そう自然と……愛沢さんみたいに成長期がきて、18歳位にはいっぱしのサイズに」
「いや、それはどうやろか……」
咲夜は引きつった笑顔で呟く。
「なによ?」
「ああいや、なんでもあらへんよ。そやね、そうなるとええね。アフターものが
楽しみやね……」
咲夜はヒナギクから視線をそらしてごまかした。
「……ああ、結構時間経っちゃったわね。」
ヒナギクはふと気づいて時計を確かめた。
「撤収とか言ってたけど、愛沢さんは帰らなくていいの?」
「ああ、そやな。車呼ぼ……」
咲夜は携帯電話を取り出し、誰かと短く話して通話を終えた。
「会長さんは帰りか?なんなら乗せたってもええよ。」
「車内は禁えっち?」
「なんやそら。」
咲夜はその単語に思わず笑った。
「まあ、なんとかならんこともないけどな……いろいろとリベンジしたいことも
あるしな。」
そして少し乗り気を見せる。ヒナギクも咲夜に歩み寄りながら語り掛けた。
「私も愛沢さんの胸以外にも、もう少し知りたいことが……」
「なんや?」
「このおしりが――」
ばっ。さっ。
ヒナギクは素早く咲夜のヒップに触れようとしたが、驚くべき速さで咲夜は
身をかわし、手で尻を隠した。
「……どうして逃げるの?」
「……どうしてこんなとこ触ろうとするんや?」
「だってほら、愛沢さんなんだかヒップも大きくなっているような」
「なってへん!!なってへんで、それは目の錯覚や!!」
咲夜は強硬に否定する。
「だから、触って確かめてみたいと」
「だから大きゅうなってへんから確かめる必要ないで!!」
「いいじゃない、大きくなったって。豊かなヒップっていいものよ。ちっぽけな
悩みなんてどこかへ飛んでいっちゃうわ……」
「そら他人のデカ尻はウチも大好きやけどな!?自分のこととなれば話は別や!!」
「ふむ。愛沢さんはヒップが大きめなのを気にしていると……」
「あぐ……」
「キューティーな愛沢さんにはそれは贅沢な悩みよ。むしろ鬼に金棒ってなものよ。
もっと自信を持ちなさい。いいわ、白皇学院生徒会長の名に懸けて、帰りの車内で
いかに愛沢さんのヒップが素敵かということを、手取り腰取り教えてあげ」
「かんにんしてや!!」
「こんなに学院の平和と安全に尽くそうとしているのに……」
不満そうにヒナギクは愚痴る。
「ここは白皇やあらへんし、ウチも白皇の生徒とちゃう!!」
「二周目は通うそうだからまあいいじゃない。」
「チラシの裏に描いとれ!!」
ブロロロ……
「あ、迎えが来た。ほなさいなら!!」
バタン!!ブロロロ……
咲夜はやって来た黒塗りの車に乗り込み、ヒナギクを置いて帰って行った。
「……あらら、残念ね。」
「ハヤテ君、じゃあ、ここでお別れかな……」
「はい、西沢さん……」
「えっと、今日はホントにありがとう。」
「いえ、怪我が無くてなによりです。……いや、ノートを駄目にしてしまったので、
こっちこそすみません。」
「あは。ノートや課題くらいなんとでもなることだからいいよ。ありがとう、
ハヤテ君。う……嬉しかった、よ……」
「その、えーと、に、西沢さん……」
「ハヤテ君……」
「嬢ちゃん熱いねえ。なぁ乃木坂?」
「警部、邪魔しちゃ悪いですよ。」
「「あ゛。」」
パトカーの窓越しに別れを惜しんでいた歩とハヤテが、状況を思い出して慌て
ふためいた。
「え、えと、刑事さんありがとうございました!!送っていただいて!!」
「なあに、これも可愛いお譲ちゃんのためよ。なあボウズ?」
「え、えと、はい、まあ、そうですね……」
「け、刑事さん!!早くハヤテ君を送ってあげて欲しいんじゃないかな!!」
「はいはい。もういいか、ボウズ?」
「あ、はい。じゃあ、おやすみなさい、西沢さん。」
「う、うん。おやすみ、ハヤテ君。」
ブロロロ……
手を振る歩を残し、パトカーは夜の道路を走り去った。
「……あれ?歩?」
「はい?」
遥か遠く小さくなった車のランプに向かって手を上げ続けていた歩は、そのまま
自分の名を呼ぶ声に振り向いた。
「あれ、ヒナさん?」
そこには怪訝そうな顔をして歩み寄るヒナギクの姿があった。
「さっきあなた、パトカーから降りてなかった?」
「はい、そうですよ。見てたんですか?」
「暗くて遠くて誰かは分らなかったけど、誰かパトカーから降りるのが見えて。
さっきようやく歩と分かったんだけど、なんでパトカー?」
「あ、それはですね……」
「……さすがハヤテ君。」
「そうでしょ?」
「……元の学校で強盗に出くわすなんて、さすがの不運さね。」
「ええと……」
歩には反論の言葉もなかった。
「それで事情聴取の後、パトカーで送ってもらってたのね。でも歩の家って、
もう少し先なのに?」
ヒナギクが歩の団地の方を見る。ここからもう見えるが、入口まではまだ住宅地を
歩かなければならない。歩はどよんとした口調で疑問に答えた。
「……パトカーが団地の入口まで来ると、あらぬ噂が立ちそうじゃないですか。」
「頼めばハヤテ君に家まで送ってもらえたんじゃないの?」
「私を降ろした後で、次はハヤテ君をお屋敷に送ってくれるという順番になっていた
ので、刑事さんたちを車で待たせるのはやっぱり悪いんじゃないかな、と思って。」
今度の質問にはしっかりとした口調で答える。だが、歩は少し残念そうな表情を
見せた。それを見て、ヒナギクは微笑みを浮かべ、歩に囁いた。
「ふーん。じゃあ、ハヤテ君を歩の家に泊めれば良かったんじゃない?」
「そ!そんなの無理じゃないかな!!」
わたわたと手を振る歩を、ヒナギクは楽しそうに見物した。
「もう、ヒナさんからかわないでくださいよ……」
「いいえ?からかってなんかないわよ?用心して送ってもらった方が良かったんじゃ
ないかしら、ってことよ。すぐ家の近くだからとはいえ、夜も遅いんだから……」
「ヒナさんこそー。こんなに遅くまでなにをしていたのかな?」
歩は膨れ面で問い掛けた。
「私は白皇学院高等部生徒会長・桂ヒナギクとして、学院生徒に平和と安全について
指導する義務を果たしていたの。」
「うん?」
抽象的な返答に、歩は首を傾げる。
「女の子一人や夜道がいかに危険かということをね、しっかりと分かってもらえる
ように、一所懸命忠告をしていたら、こんなに遅くなってしまったのよ。」
ヒナギクはうんうんと頷いて説明した。
「だからね、歩も少し用心が足りないようだから、私がこれから教えてあげ――」
「ヒナさん。」
歩の肩に手を置いたヒナギクは、彼女にじと目で見られていることに気付いた。
「……はい?」
「ちょっとそこにお座りなさい。」
「え、と、歩?」
歩がしゃがむのに引き摺られ、ヒナギクは身を屈めた。
「いいですか、」
アスファルトの上に歩は正座し、背をピンと張ってヒナギクを見据える。
ヒナギクはつられて自分も正座をしてしまった。
「は、はい。」
「しっかりしていないように見えるからといって、叱るばかりではいけません。
褒めたり信頼して見せたりもしないと、人間関係は上手くいきません。
わかりますか?」
「は、はい。」
「相手が『ああっ、またお姉さまに叱られてしまった』と喜ぶような境地に達して
いれば別ですが、そうでなければ気持ちのすれ違いを生みかねません。ていうか
もう生まれてるんじゃないかな。」
「こんなに学院の平和と安全に尽くしているのに……」
不満そうにヒナギクは愚痴る。
「平和と安全も結構ですが、分かりやすい優しさも大事です。例を挙げましょう。
これはある人の話です。この人は容姿も学歴も経済力もごく普通でした。その人は
なんと、人がよさそう、というだけで結婚できたのです。いいですか、人が良くて
優しいってだけで結婚できるくらい、分かりやすい優しさは強力なんです!!」
「な、なるほど、臆病者の言い訳じゃなかったのね……」
歩の力説は続き、ヒナギクは言いくるめられていった。
「わかってもらえたかな?」
「うん。努力はするわ。でも、歩……それでもなお、誰にでもいると思うのよ……」
ヒナギクはしおらしい態度で俯いたまま語る。
「嫌いじゃなくても……シャキッとしてないのを見ると……軽く殺意が沸いてくる
ような相手というのが……ね?」
「いやいや『ね?』とか可愛く言われても誰も同意できないんじゃないかなそんな
一般化は……」
顔を上げて問いかけてきたヒナギクに、歩は溜息で答えた。
「仕方ありません。スーパー恋愛コーディネーターとして、出来る限りのことを
やってみましょう。」
「あれ?これ恋愛相談だったかしら?」
ヒナギクは首を傾げる。
「まずは、これからヒナさんに、迷惑行為に対する忍耐力を付けてもらいます。」
そう言って、歩は立ち上がり、ヒナギクに手を差し出す。
「……は?」
ヒナギクは正座のままそれを見上げた。
「ちょ、ちょっとこの恰好、は、恥ずかしいわよっ……!!」
「それもまた忍耐です、ヒナさん……」
物陰でヒナギクは四つん這いにさせられる。歩は悟ったふうなことを言いながら、
ヒナギクの姿勢をチェックし、細かく修正を指示した。
「手はまっすぐ……頭は低くして……」
歩はヒナギクの髪をゴム紐でくくってやり、地面に落ちないようにした。
「こ、こう……?」
「そうです、そして、膝はなるべく前に出して、足先とヒップが揃うくらいに……」
「こ、これくらい……?」
「そう、ちょっとそのまま……」
歩はヒナギクの横に回ってしゃがみ、その姿を確認する。
「い、いいかしら?」
「うーん。位置はいいんですけど、あれが邪魔かな……」
「な、なにが不満なの?」
ヒナギクは不安そうに尋ねた。歩は立ち上がってヒナギクの腰に近付いた。
「うん、やっぱめくっちゃいましょう。スカート。」
「えええ!?」
「はい、じっとしてー。」
「ちょ、ちょっと歩!!」
ヒナギクの抗議も空しく、歩はスカートを腰に捲り上げて縛り、固定する。
スパッツに覆われた尻の曲線が露わになった。
「ふう、これで出来上がりかな。」
歩は額の汗を拭きながら、またヒナギクの横手に座って彼女を眺めた。
「なんなのよこれー!!」
「これは……失意や悲しみを表すポーズです!!」
orz
「失意や悲しみに打ちひしがれ、倒れてしまったように見えるこのポーズを
取ることによって……今日の悲しみに区切りを付け、生まれかわって歩き出す
ことが出来るのです!!」
「は、はあ……」
自信満々に歩が言うので、ヒナギクは気圧されてしまう。
「迷惑行為を忍耐するには色々な方法が考えられますが……これは、迷惑行為を
受けた時の感情を、こうして一度悲しみの表現に昇華することで発散し……
相手にあたることを思い止まれるようにするという方法です。」
「ええと、つまり代償行為とかいうやつかしら?」
「難しい言葉はわかりません。バカなので!!」
歩は偉そうに言い切った。
「ともかく、何か負の感情が生じたら、こういうふうに打ちひしがれたポーズを
とり、済んだこととしてしまうのです。」
「で、でも、人前でこんな恰好したら、おかしな人と思われるでしょ!?」
ヒナギクは心配そうに問題点を指摘する。
「大丈夫。まず実際にこのポーズを取る練習をして、イメージをしっかりと掴めば、
あとは心の中で思い描いたり、掲示板やブログに書き込んだりするだけで感情を
処理できるようになります!!」
「掲示板やブログ?」
ヒナギクは首を傾げた。
「まあそんな応用問題はまた今度にして……実際に迷惑行為を受けて、その感情を
悲しみの表現に置き換えてみましょう。」
「……これが迷惑行為じゃないの?」
「これは白皇学院の平和と安全のために必要な行為です。」
歩は言い切った。
「うう……」
学院のためと言われると、ヒナギクも強く抵抗できない。
「迷惑行為はこれから私がやってみます。ヒナさんに迷惑をかけることに関しては、
そこそこ自信があるんじゃないかな……」
「ちょっと歩っ?なんだかデンジャラスじゃない?」
「大丈夫、優しくしますから!!」
朗らかな笑顔で、歩はヒナの肩を叩いた。
「うんっ!!……あっ!!……あくっ……!!」
「わ、ヒナさん今日はなんだか敏感ですねぇ……」
歩は四つん這いのヒナギクの後ろに回って、スパッツの上から股間を指で
さわさわと撫でている。あまり技巧のない歩の弱い愛撫でも、ヒナギクは
息を乱して身をよじった。
「どこが触ってほしいところなのかな?」
「ん……んん……」
歩はヒナギクの内股を拭くように触って、反応の強弱をうかがう。
「んっ……ぜっ、ぜんぶっ……!!」
ヒナギクは甘えた声で申し出た。実のところ、マリアと洗い合ったあとは、
ヒナギクが一方的に相手をいかせることが続き、知らず知らずの内に肉体に欲求が
溜まっていたのだと思われた。
「どこでもいいからっ、もっと強く、お願いっ……」
「『ぜんぶ』で、『どこでもいい』なんてのじゃ、どこを触って欲しいかわからない
んじゃないかなー?」
歩はいじわるな口調でヒナギクの願いを拒んだ。
「やあっ、お願いっ……!!」
「だーめ。ちゃんと場所を教えてくれないと、わかりませんよー?」
「んんん……」
歩は適当にヒナギクの股間を指先で擦り回して見る。
「んっ!!あ!!そこぉっ!!」
ある点を指で擦った時、ヒナギクは気持良さそうな声を漏らし、歩にその場所を
触って欲しいということを必死な声で伝えた。
「ここですか?」
「あ!!うんっ、うんっ!!」
歩がちょんちょんと指でその場所を突くと、ヒナギクは何度も首を縦に振った。
「じゃあ、ここは、後回しー。」
歩は求められた場所に触れていた指を、つつつーっと脇に避けた。
「え!?そ、そんな……」
「触って欲しいところは聞きましたけど、そこを触ってあげますとは言って
ませんよ?」
「んんっ、いじわるっ……!!」
「ふふふ……私の迷惑行為はすでに始まっているんじゃないかなっ……」
歩は楽しそうにヒナギクの股間の愛撫を再開した。
「あ……ん……あっ!!そこ……!!」
「はいパス2ー。」
「やあっ……ん、くん……んあん!!」
「ここもパスかなー。」
「うえんっ……」
ヒナギクは涙目で嘆いた。欲求の溜まった体はかなり敏感になっているので、
極端な反応を示さず歩が愛撫をしてくれる箇所でもそれなりの気持ちよさは
あるのだが、とくに気持良くなれるところがあると分かっていて、そこをわざと
避けて愛撫されると、どうしても求める場所を弄って欲しくなってしまう。
特にポイントへの指の接触後、愛撫を中断されるときの悲しみは、その気持ちよさを
僅かに見せられる分だけ、より深いものになった。
「んん、ん……んんふむっ!!」
「パス、ええといくつかな?」
「あ、あゆむぅぅ……」
「はぁっ、あんん、ふあっ……!!」
「うおお、パスが追い付かない!!」
おあずけの愛撫でも、ヒナギクの興奮は少しずつ高まっていって、反応の強度が
全体的に引き上げられた。そうすると、歩のテクニックでは感度の低い場所を
見分けて愛撫するというようなことは困難で、ちょっと強めの反応をしたところから
別のところに指を持って行ったらもっと敏感なところだったとか、あわててそこから
また別のポイントに移ってみたらさらに敏感なところだったとか、そういう事態が
頻発した。
「ああっ、あ、いいっ、そこっ!!」
そうなるとおあずけされた分、途切れ途切れのポイント愛撫でも、強い快感の
悦びは大きい。その悦びがヒナギクの興奮をさらに高め、ますます股間全体が
敏感になる。気持ちいい所に触れられるたび、ヒナギクは声を上げて体を震わせた。
「……あああ、ギブ!!ギブ!!」
とうとう歩は戦略的撤退を決断した。
「あ、んっ……?」
ヒナギクは股間から手を離してしまった歩に、問いかけるような視線を向けた。
「えー、おほん。」
歩は咳払いをしてなんとか恰好をつける。
「えーと、どうですかヒナさん?『気持ちいいところにはさわってあげないよ作戦』
の迷惑っぷりは?テクニックとかあまり自信ないことを逆手に取った、まさに私の
為にあるような作戦じゃないかな!!さあヒナさん、迷惑かな?かなり迷惑かな?
迷惑だったらその迷惑さを、その悲しみのポーズに込めて!!間違っても私にぶつけ
ないように!!」
「……けっこう、気持ち良かった……」
ヒナギクはぽぉっとした表情で、歩に囁いた。
「……はい?」
「……途中までは歩のいじわるは、確かにいやで悲しかったけど。んっ……焦ら
された分、指できゅきゅってされた時は、すごく気持ち良かったの……」
少し恥ずかしそうにヒナギクは告白する。
「最後の方は、もういっぱい気持良くなって……気持ちいいのがずっと続いてたの。
ねえ、もっと、して……?」
「あー……い、いや、ヒナさん全然迷惑そうじゃないので、あれはこれ以上やっても
仕方ないんじゃないかな……」
「お願い……」
「ええと……」
「ねえ、歩……」
「いや、ですから……」
「さわって、くれないの……?」
ヒナギクは悲しげに尋ねた。
「ああっ、そんな目で見ないでっ!!」
「んんっ!!ああっ!!あゆむっ!!いいっ!!」
ヒナギクが高い声を上げる。
「はふっ、ちょ、ヒナさんっ、もう少し静かにっ……!!」
「だって、だってぇ……!!」
歩はヒナギクを諌めるが、ヒナギクは声を止められない。
「あああ、あ、いいっ、いいのっ!!」
ヒナギクのスパッツとショーツは膝上までずり下げられ、歩の前に恥ずかしい
場所を晒し出していた。すっかり潤った淫裂を、歩の指と舌が優しく愛撫する。
「んはっ、ヒナさんったらもうっ、ちゃんと口閉じてないと、してあげませんよ。」
「んんんっ、だって……ああう!!」
ヒナギクは待ち望んだ歩の愛撫を受けて、歓喜が制御できないほどに弾けていた。
さらに、律儀にも手をまっすぐ地面に突いた四つん這いの姿勢を続けており、
手で口を塞ぐこともできない。
「ほら、口閉じて……」
一旦、歩は手を止めて、ヒナギクを落ち着かせた。
「んんんぅ、んんっ……」
「ううん、我ながらすごい恰好をさせてしまったんじゃないかな……」
ヒナギクの様子を見ていると、改めてそんな感想が浮かぶ。綺麗な髪を無造作に
纏め、口を必死に噛みしめるヒナギク。スカートは胴まで捲り上げられ、その下の
スパッツとショーツさえも引き下げられて、魅惑的なヒップと、大事な部分を曝け
出している。それだけでも扇情的なのに、犬のように四つん這いになって尻を裸で
突き出し、背後から秘所を弄られて淫液を垂らしているのだ。
「……はっ。もういいですかヒナさん?」
歩は我に返ってヒナギクに尋ねた。ヒナギクは口を閉じたままうんうんと頷く。
「じゃ、いきますよ……」
「ん〜〜〜〜〜!!」
歩は愛撫を再開し、濡れた手で陰唇をくすぐり、舌で陰核を転がす。ヒナギクは
必死に口を閉じて、衝動に逆らう。手と足で支えられているヒナギクの胴体は、
快感が体を走るたびに、びくんびくんと揺れ動いた。
「はむ、んん……あふ、ちゅ……」
「んん〜〜〜〜〜っ!!」」
歩はそう技巧があるわけでもない。だからクリトリスはなるべく優しく舐め、
淫裂を愛撫する指は無茶な動きはしない。それでも熱心にやっているのがいいのか、
あるいは相性がいいのか、ヒナギクのための愛撫は十分以上に効果的だった。
ヒナギクの愛液まみれになりながら、歩はその秘所に奉仕し続ける。
「んん……んん……んっ、あ!!」
ヒナギクは与えられる甘く愛おしい快楽に身悶えし、ついに興奮の炎がその
自制心を焼き切るまで燃え広がった。
「あっ!!あああ!!」
「あ、ヒナさん、またっ……」
「やああ、やめちゃやぁっ……!!」
ひとたび封が解かれたヒナギクの興奮の発露は、歩が愛撫を止めても鎮めにくく、
声を限りに歩を求めて止まなかった。
「ねえっ、もう少し、もう少しなのっ!!あゆむぅっ、おねがいっ!!」
「ああもう、仕方ないかな……!!」
歩は腹を括って愛撫を再開した。
「あうぅ、これいいっ、あっ!!」
「はむ、こおっ……?」
歩はヒナギクの反応をヒントに、責めを集中させ、なんとか早くヒナギクに気を
やらせてしまおうと努力する。ヒナギクは声と愛液を多大に漏らしてそれに応えた。
「ああああ!!あ!!うん、そう、もっと、いい……!!」
「ふあ、むう、うんっ……!!」
「ああ!!あ!!すごい!!ああ!!あああ……」
歩の努力が実を結んだのか、あるいはヒナギクの言う通りすでに『もう少し』
だったのか、意外なほど早くヒナギクの登り詰める瞬間は訪れた。
「あんんぁ!!ああ!!あゆむっ!!あ!!あ!!いく!!いくの!!」
「あぅ、ふふうううっ……!!」
「ああ!!ああ!!いく!!いっちゃう!!ああ!!あ!!あ!!」
ヒナギクは高く顔を上げて、獣のように夜空に叫んだ。
「あ!!あ!!んぁあああ…………ああああぁああああぁああああ………!!」
orz
「歩、ほら、そんなに落ち込まないで……」
ヒナギクはうなだれる歩を励ました。
「ううっ……すいませんヒナさん。私がヒナさんにきちんと迷惑を掛けられなかった
ばっかりに、忍耐力の練習が失敗してしまってご迷惑を……」
「いいのよ、歩。気持ちだけでも嬉しかったわ。それに、全部が無駄だったとは
思わないの。」
「え……?」
歩は頭を上げてヒナギクを見上げた。
「意味がないと分かっていても、気持ち良くなりたがっていたわたしを受け止め、
労わってくれた……あれが、優しさというものなのね。」
「ヒナさん……」
「歩は自分でいいお手本を示してくれたと思うの。それに、私にしてくれた忠告や
教えてくれた教訓も、大事なことだと思う。今日は、ありがとう……」
「ううっ、そうまで言ってもらえると、少し救われます……」
歩は目を拭いて立ち上がった。
「見ててください、こんどこそは立派に救いようのない迷惑をかけて、必ずや忍耐力
強化のお役に立ちます!!」
「え。」
握りこぶしに力を込めて、歩は固く誓った。
「スーパー恋愛コーディネーターとして、この名誉挽回は必ず!!ではまた!!
おやすみなさい!!」
「あ、うん、おやすみ……」
駆けていく歩を見送り、ヒナギクは首を傾げて呟いた。
「……さっきも気になったんだけど、これって恋愛相談じゃなかったわよね……?」
ひゅるるる〜……
「……帰ろ。」
夜風は何も答えなかった。
「お嬢さま、ただいま戻りました――」
ハヤテはようやく屋敷に帰り、ナギに帰館を報告した。
「ハヤテ……」
「はい?」
ベッドの上で枕に顔を伏せているナギが、だるそうにハヤテに忠告した。
「きれいなバラにはトゲがあるから、用心するんだぞ……」
「え?……あ、マリアさんのことですか?」
「私が……なんですって?」
「わぁっ!!すいませんっ!!」
「……このあたりでは、」
マリアとハヤテの騒ぎ合いを尻目で見ながら、ナギはハヤテに聞こえないように、
小さな声で呟くのだった。
「ヒナギクにもトゲがあるから、十分用心するんだぞ……」
〜Fin〜
伝説に立ち会えて光栄です
長いだけで、キャラが全然違うじゃねーか
少しはそれっぽくする努力をしろよ
長けりゃ良いってもんじゃないんだよ
最初から書き直せ!
これ・・・密かに一度に投下された中では最長クラスではあるまいか。
いつもスレ見るときは一旦一番下へ行って、そこから上がっていくんだけど・・・今回メチャ長くて吹いたw
ってか
>>160に爆笑したw 上手いなぁw
「いつもの」堪能させていただきました。GJ!
すばらしきレズの世界、そしてハヤテは空気
この大空の果てまで
翼広げ飛んで行け
雲を抜けたその先に
きっと待ってるから
44レズすげえ!
GJ!
これぞまさにエロパロって感じだな
GJです
保管庫の中でかなり好きなシリーズでリアルタイムで読めるっとは思わなかった。
性奴会長の人とは別方向にエロいヒナギクですね(`・ω・´)
とても良いです。もっとやれー
投下します
またしてもエロもCPもないです…とりあえずここまではプロローグっぽいです
2レス使用
〜あらすじ〜
屋敷を追い出されたハヤテは負け犬公園に逃げるようにやってきた。
「はぁ、どうしよう…」
眠かったからとはいえ主の機嫌を大きく損ねてしまったハヤテの心持ちは重い。
「あの様子だと一週間は帰れなさそうだなあ…
ほんとにこれからどうしよう。お金なんか持ってこなかったし」
ぐぅ〜
消沈するハヤテの腹部が本人とは対照的な景気の良い音を立てた。
昨日の昼から何も食べていなかったハヤテにここにきて空腹が襲いかかってきたのである。
勿論ハヤテにとってこのような空腹を耐える事など造作もないことなのだが、これからの事を考えると自然と気も重くなる。
「はぁ…」
今日何度目か分からない溜め息を付きふと公園の時計を見ると、ちょうど学校が始まっている頃合であった。
「とりあえず、学校に行こうかな。もしかしてお嬢様も登校なさってるかもしれないし」
ハヤテがいない学校にナギが行くはずはないが、そんな事が人の気持ちを読む事がめっぽう苦手な執事には分かるはずもなく、
ハヤテはベンチを立つとふらふらとおぼつかない足取りで登校を始めた。
リィィーン、ゴーン。リィィーン、ゴーン。
けたたましい鐘の音が白皇学園に一時限目の合図を告げる。
各教室ではそれぞれ授業が始まり始め、渡り廊下は体育の授業の為に移動する生徒でごった返していた。
肌寒い冬の朝から体育があることをぼやきながら歩いている生徒達の様は他の高校とさほど変わらないようにも見える。
それでも彼等が履いている靴のメーカーひとつみればそんな考えは吹き飛ぶわけだが。
そんないつもの風景を絵に描いた様な白皇学園の朝の校内に怪しく蠢く影がひとつ。
渡り廊下から1kmほど離れた白皇学園の私有林の中にそれは息を潜めていた。
辺りを見回して誰もいないことを確認するとそれはゆっくりと口を開き、低い声で呟いた。
「こちらハヤーク、作戦エリア内に侵入した。これより…、ってこんなことやってる場合じゃない!」
綾崎ハヤテはピンチに陥っていた。
「おかしいなあ、確かにそこにいたはずなんだが…」
ハヤテが隠れている茂みの前を警備員がうろついている。
ハヤテは心中で自分の軽率な行動を大いに悔いていた。
こんな格好でここにくるんじゃなかった!!
あほだ、僕は最大級の阿呆だ!
一昨日にナギの屋敷から脱出する際にハヤテは夢中で抜け出した為、
羽織っていたパジャマが木の枝やらでビリビリに破れていることに気付いていなかったのだ。
そしてそんな一見すると単なる浮浪者にしか見えないハヤテが学園内にふらふらとした足取りで入ろうとした時、
当然の如く警備員に止められ弁解のしようもないので学園内を逃げ回って今に至るというわけである。
「いたぞ!こっちだ!」「くっ…」
またハヤテは走りだした。
警備員の執拗な追跡は体力的にも精神的にも疲弊しているハヤテの活力を確実に奪っていく。
嗚呼、ここで捕まったら僕どうなるのかなあ。今はナギお嬢様を頼るわけにもいかないし、
最悪白皇学園の秘密の地下牢に監禁されてそのまま一生を終えたりするのかなあ…
実際には捕まれば生徒会辺りに引き渡されてハヤテにとっては楽な展開になってくるのだが、
疲れた心はありもしない妄想を産みだし、徐々にハヤテを追い詰めて行く。
「はぁ、はぁ、もう…限界だ…」
ハヤテは目前の植え込みに倒れこんだ。
「あれ?消えたぞ?」
「くそ、すばしっこい奴だ。あっちを探してみよう」
ハヤテは頭上で交わされる警備員の声を聞いた。
「良かった…助かったのか…」
一時的な安堵を感じた瞬間、ハヤテの脳に甘い睡魔の波がやってきた。
まだダメだ!ここで寝たら…みつ…か、る…
脳内で必死に抵抗するが体はそれに反比例して活動を停止し始め、
やがてハヤテの口から寝息が漏れ始めた。
終了
やっと次から始まりますって感じです
もうちょっとまとめて書いてから投下しろ
このバカ野郎が!
そうでもねーよ。ハヤテの女装×ヒナギク×黒ハムがない時点で神とは言えない。これを書いた奴はまだいないからな。あのROCO氏でも書いてないからな。ある意味一番難しく、一番抜けるネタだし。
まあ
>>180はわかりやすい叩きどころ見つけて罵りたいだけの阿呆だとは思うが、
ちょっと導入部にしては冗長に感じるかも。
本編始まってからのクオリティに期待する。とりあえず乙。
しかし、最近やけに投下率高いな。いや非常に喜ばしいことだが。
一番抜けるネタって、お前の主観だろ。俺はマリアさん絡みが一番好きだ
>>183 それもお前の主(ry
俺は咲夜がいればご飯のお供は困らない。
考えたらわかる事、ヒナギク、ハムは人気最上位。俺が言いたいのはまだハヤテ×歩×ヒナギクを書いた奴がいないと言うこと。これを書いた奴が真の神だろ。書きにくいし
25歳か
そういう君は未成年?
ハムとヒナはまだ書きにくいような
189 :
名無しさん@ピンキー:2008/02/12(火) 18:03:40 ID:iClj1z9A
いやナギ×ヒナ×ハムの方が…
ども、1週間ほど前に小ネタ投下した者です。GJくれた人ありがとう。
やっぱ改行のミスとか多かったですね……。携帯はやっぱムリ。
思えば、こちらのスレでは前回のネタが初投稿でした。改めましてよろしくです。
今回はちゃんとPCで書いたものが完成したので、それを投下します。
ハヤ×サクのエロメインです。ほんとは別のハヤサク書いてたんですが、
そっちがムダに長くなっているあいだに、アニメのハヤテ43話で出てきた
咲夜の衣装を見て変なスイッチが入り、その勢いで書き上げました。
…そしてこっちも長くなったという。
微妙にネタの鮮度が古くなってますが、思い出しつつ見てもらえると幸い。
(アニメ見てなくてもわかるようにはしています)
「自分、放置プレイって知っとるか……?」
その日、綾崎ハヤテは、ただでさえ不幸な人生の中でも、最悪の部類に入る受難続きの
一日だった。
「えーと、一般的な用法の方であれば『敢えてネタをスルーすることによって笑いを取る』
漫才、お笑いの手法のことでしょうか……」
影で何のイベントが進行していたのか朝からお嬢様の機嫌はマイナス突破しているし、
分けもわからず乗せられたクルーザーは爆破、沈没するし、頭から流血したまま冷水に
放り込まれたあげくサメ二匹に襲われるし、少しは頑丈だと思っている自分の体も今日
ばかりはもう無理です限界ですフェニックスの尾をくださいと思ったものだ。
「そうや。ウチ、これはあんまり好きやないねん。ツッコミが対して努力もせえへんでも
笑いに繋がるっちゅーんは、ボケに対する不義であり怠慢や」
「は、はぁ…」
「でな。結局ウチが何を言いたいかっていうと…」
それでも、なんとか無事(?)生還し、波乱の一日もやっと幕降ろしかと思ったのだが…。
「なんでウチの服装に誰ぁれもツッコまんねーーーーーんっっ!!」
…まだ、不幸はハヤテを寝かせてはくれないようだった。
『ラヴリー・チェーン』
咲夜は、クルーザーパーティの時の衣装のままでハヤテのベッドのそばに立っていた。
インディゴブルーをベースに、幾重に重なったフリルが特徴的な可愛いドレス……、
だが、何よりも目を奪うのは、首に巻かれたチョーカーと左手首のブレスレット――と
言うより手錠にしか見えない――を繋ぐ1本の鎖だった。
ジャラリと音を立てるそれを掴み前に突き出して咲夜はまくし立てる。
「なんでやねん!? 首輪やで? 鎖やで? フレームの右下から指差しで斜め45度に
飛び出してきて『って何のプレイですかー!』ってつっこんで来るところちゃうん!?
そこまでやらんでも『すごい衣装ですね』の一言くらいないんかい!」
「あ、やっぱりツッコミ待ちだったんですね。お嬢様もマリアさんも何も言わないから、
僕もここは黙っておくべきかなあと……」
「ナギも自分もほんまにぃ!」
「や、でも蜘蛛の巣界隈や某匿名掲示板では大反響だったみたいですよ?」
「そんな陰で言われてもちぃとも嬉しゅうないわ!」
「それは……」
あはは、と苦笑いを浮かべるハヤテ。まあ要するに、ちょっと奇抜な服装をしてきた
のに誰も構ってくれないから拗ねているんだろう。
「……で?」
「はい?」
「せやから、自分……、ハヤテは、ウチのこのカッコ見て、どう思うたんや?」
口を尖らせながら、少し浮ついたトーンで問いかける咲夜は、心なしか少し顔が赤い。
「ええと、いや、もちろん可愛いと思いますよ。咲夜さんによく似合って……」
「そ、そうやのうて!」
ツカツカツカと荒々しい足取りでベッドに近づいてきた咲夜は、そのままハヤテの
横にどかっと腰を下ろして、にゅっと顔を寄せてきた。
首もとの鎖が、チャキと乾いた音を立てる。
「そうやのうて……、ハヤテは、こういうカッコしてるウチを見て、どんな気分に
なったんや……?」
目の前で、恥じらいながら呟く咲夜の顔は、すっかり上気している。
ああ、そうか。この人は拗ねているんじゃない。
求めているんだ。綾崎ハヤテからの言葉を。
「……ええ、とても魅力的で、ちょっと、その、いけない気分になっちゃいました」
「……ふふ、そうか。いけない気分になったかハヤテは」
猫のように口をにんまりと歪ませると、咲夜は体をさらにぐっと寄せて、すっと
目を閉じ、そのまま唇を――
「だめですよ」
「むぐっ!?」
5センチ先に迫った咲夜の顔との間にシュビッと手を差し込むと、ハヤテは咲夜の
唇をそのまま押しのけた。
「なっ、なんやねん、いま絶対そういうムードやったやんかぁ!」
「駄目です。キスなんて、僕たちみたいな年齢の人間がそう妄りにしてはいけません」
「オヤジくさぁ……。それに、妄りにも何も、ウチらもうすっかり『いたして』もてるん
やけど?」
「ぐ……」
そうなのだ。何の因果か勢いか、ハヤテと咲夜は先日の突発的なイベントで急接近、
しかも勢い余って抱き合ってしまったのだ。
事の詳細は省くが、一行で表すならば、
『2人で探検や危ないえっ咲夜さんってこんなに女の子ナギごめんなあっあっあっ』
といったところである。
その後は、できるだけ周りの人間関係を壊さないことを目標にしつつ、ひっそりと
恋人としての関係を続けていこうと決めたのだ。
……それがつい1週間ほど前。実は、こうして2人きりになるのも抱き合ったその日
以来だった。
「で、ですから、あの日は、その、つい、我慢し切れなくて、しちゃいましたけど……。
ほんとは僕はこういうことはもっと段階を踏んでゆっくりと……」
「じゃあ、しばらくはキスもせぇへんていうこと?」
「いや、絶対ってことはないですけど……、でも」
「ウチは」
しどろもどろになるハヤテの言葉を、咲夜が遮る。
俯いてハヤテから目を逸らしているが、こちらを向いた耳まで真っ赤になっている。
「ウチは、もっとしたいんやで。自分と、もっと……」
「咲夜さん……」
ハヤテも、しゅんとうなだれてしまう。
求められることは、嬉しい。
けれど、心の奥、理性の部分で、どこかブレーキがかかってしまうのだ。
一度してしまったからといって、それはその後もしていいという免罪符にはならな――
「だああぁぁぁ、もう! こういう湿っぽいの、全然ウチらしゅうないわ!」
「さ、咲夜さん?」
がーーーっと髪を掻き毟って立ち上がった咲夜は、ハヤテの方に向き直るとハヤテの
両肩に掴みかかった。
「自分、いつも本音殺しとる感じやけど、もっと気持ちの根っこのほう、本能みたいな
部分出してええんちゃうん!? あの時かて、そんな自分が本音の気持ち出してくれて、
抱いてくれて、それでウチほんま嬉しかったんやで! そういうのがこれから続いてく
思うたのに、それとも、やっぱりウチってやっぱりそんなに魅力な――うぐっ!?」
必死になってまくし立てる咲夜の体を、ぎゅっとハヤテは抱き寄せた。
「そんなことないですよ、咲夜さん」
「う、うわわ、うわ」
いきなり抱きとめられるとは思っていなかった咲夜は、あっぷあっぷと慌てている。
背中の開いたドレスだから、ハヤテの手のひらの暖かな感触が直接伝わってきて、
なんだかムズムズしてしまう。
「本音を言いましょうか。……もうさっきから、体が疼いて仕方ないです。咲夜さん、
ただでさえそんな格好してるのに、あんなに近寄られて、いい匂いがして……。
こうやって抱きしめたくらいじゃ、全然治まりそうにないですよ」
「〜〜〜っ!!」
耳元で囁かれるハヤテの言葉に、ただでさえ赤かった咲夜の顔がますます紅潮する。
「ほ、ほんまは今日かて、ちょっと期待してたんやで? ナギもおったけど、ちょっとは
どこかで2人きりになれんかな、て。せっかく船まで出して……」
「本当にすいません。……じゃあ、これから埋め合わせをしましょう」
ハヤテは、そっと咲夜の体を解放する。
咲夜は自分がどんな顔をしているかわかっているのか、そっぽを向いてハヤテと目を
合わせようとしない。
「ほんま、自分と付き合うてから、ウチ変やわ。ほんまはこんなキャラやないのに……」
「それは……、えーと、すいません」
「なーんか下手(したて)やな。前みたいにおっかなびっくりなんやのうて、今日は
ちょっとは強気なとこ見してや」
言って、咲夜は挑戦的に口端を歪める。
「強気、ですか。うーん。はい、じゃあわかりまし、た」
一瞬、ヒュンと風を切るような音が2人の間を通り抜ける。
「? って、うぇぇぇ!!? な、何でウチ縛られてるんやぁ!?」
一瞬の間に、首元と左手の間に結ばれた鎖は右手首にくるりと巻かれ、さらに咲夜の
頭の上、ベッドのフレームに結び付けられていた。
いつの間にか咲夜は、頭の上で手を組んでベッドに縛り付けられた状態になっていたのだ。
「あ、手首痛くないですか? そんなに強く結んでいないんで大丈夫だと思うんですけど」
「い、いつの間に……」
「さっきの台詞の『し』と『た』の間に……」
「いらんことで超人的な能力発揮すんなやボケェ!」
罵る咲夜だが、鎖は手首を締め付けているわけでもないのに、何故か抜け出すことが
できない。
うろたえる咲夜をよそに、のんびりと佇まいを直している。
「な、なんでこんなこと……!」
「いや、なんかこうそのドレス……、というか鎖を見てると、こうするべきかなあって」
「そうやのうて、なんでいきなり、んむっ、ん……」
わめく咲夜の口をハヤテの口が強引に塞ぐ。
「んっ、む、んんぅ……」
唾液を潤滑油にこすれ合う唇と唇。ときに押し付けるように、ときに吸い付くように
ハヤテは咲夜の唇を味わう。
「ふぅ……、いや、強きにとおっしゃられましたので、僕なりに咲夜さんを強気に攻めて
みたんですけど……、いかがですか?」
「あ、アホぉ、そ、それやったらそんなんいちいち言わんと、やってくれたらええねん……」
なんとか言葉を返す咲夜だが、首の後ろがキューッと熱くなるような感覚が止まら
なくて、どこか発音がおぼつかない。
普段の、首を落とされても怒らなさそうなハヤテとのギャップ。それは愛の告白の
ように咲夜の鼓動を早めていた。
「じゃあ続けますね……」
「や、ちょっと、ハヤ、んむっ、むあ、えう、んんっ……!」
今度は咲夜の顎をくいと優しく持ち上げて、さらに荒々しく唇を奪うハヤテ。
覆い被せた口腔から舌を伸ばし、唇を撫で、こじあけ、半ば無理やり咲夜の口内に
進入する。
混ざり合う舌と舌。咲夜が知っているキスは、もっと優しい刺激だったはずなのに、
どくんどくんと溢れる欲情が頭に響くようだった。
「う、む、れう、んんぅ、……ぷは!」
一筋垂れた唾液も気にせず、たっぷり一分はディープキスに没頭した二人は、どちら
ともなく唇を離した。
「はぁ、はぁ……、は、ハヤテ、ちょっとキャラ変わりすぎというか、エンジンかかり
すぎやないか……?」
「なに言ってるんですか咲夜さん。求められれば応えるのが執事です。言うなれば、
今の僕は『強気攻め』です!」
「……いや、言うなればもクソもそのまんまや、ひゃぅ!?」
咲夜のツッコミを待たずに、ハヤテはドレスに包まれた柔らかな双房をわし掴む。
突然の刺激にわなないた咲夜の体に連動して、鎖がジャラジャラと激しい音を立てる。
「前も思いましたけど……、咲夜さん、ほんとにおっぱい大きいですね」
「そ、んっ、そんな、あっ! こ、と、あっ、あら、へ、んん! ……ちぃとは喋らせぇ!」
反論しようにも、その間にハヤテが胸を揉んだり押したりつまんだりするものだから、
なかなか二の句が告げない咲夜はとうとうキレた。
「咲夜さんの反応がよすぎるんですよ……。ちょっと失礼しますね」
「あっ、だめ、そこは、んっ!」
カップの上端のフリルをつまんで、そっと生地をめくると、桜色をした乳首が露出した。
ピンと立ったそれに、まずは挨拶するように軽いキスをしたハヤテは、円を描くように
その先端を舐め始めた。
「どうですか、咲夜さん……」
「んあ、や、だめ、ぇ……っ! いやや、ウチ、こんなん、んああっ! 吸わんといて……!」
いつの間にかハヤテは乳首を口に含み、程よい圧力がかかるようにちゅっ、ちゅっと吸引
する。
ハヤテの口の中で、咲夜の固くなった小さな乳頭の形が明確化する。
あまりの刺激にハヤテの頭を押し退けたくなる咲夜だったが、しっかり繋がった鎖が
ガチャガチャと乾いた音を立てるだけだった。
「は、あっ、は、ハヤテ、ぇ……」
さんざん胸を弄ばれた咲夜は、やや涙交じりの声を絞り上げた。
「はい、なんですか、咲夜さん」
「ウチ……、ウチ、ダメや、もう、あそこが、切なぁて……」
「!」
「挿れてぇ……」
咲夜自身は気づいていないが。
「? ど、どないしたんや、ハヤテ……?」
普段、親だろうが友達だろうが容赦なくツッコミを入れる勝ち気な咲夜が。
負けず嫌いで、自分の意思を少しも曲げない強気な咲夜が。
目の前で、顔を紅潮させ瞳を潤ませ、息も絶え絶えに自分を懇願してくるというこの落差。
それは、ハヤテの半分演技が入った「ギャップ」とは比べ物にならない破壊力だった。
「わ、ど、どないしたんやハヤテ!?」
アルコールが頭に直接まわったかのようにくらくらときたハヤテは、そのまま咲夜に
もたれ掛かってしまった。
「……ダメです、やっぱり咲夜さんには一生敵いそうにありません……」
「な、なんのことやねーん!」
何だかわからないがなんとなく馬鹿にされた気がした咲夜は、体をゆすって抗議する。
「わ、わ、落ち着いてください……。ほら、ん……」
「んっ、んぅ……」
今まで散々浴びせられた、攻めるようなものとは違う、包み込むような暖かいキス。
唇からじわっと広がる安心感に癇癪を治める咲夜だが、体の疼きは止まらない。
「……っ、ふぅ、……ハヤテ、早ぅ……」
「わかりました。じゃあ咲夜さん、後ろを向いてください。手が不自由なところ申し訳
ありませんが」
「そう思うんやったら解かんかい……」
不平を垂れつつも、くるりと後ろを向いた咲夜は、ベッドの上で立てひざをついて
壁を見るような格好になった。
目の前には、ベッドの支柱に縛り付けられた鎖とそこに収まる自分の手首。
「なんか、改めてウチらがいかがわしいプレイをしていたことに気づかされるわ……、
っひゃぅ!?」
199 :
名無しさん@ピンキー:2008/02/12(火) 20:47:13 ID:Z8aBbYb6
紫煙
素っ頓狂な声を上げる咲夜。
無理もない、ハヤテがいきなりスカートの中に顔をつっこみ、なおかつ咲夜のお尻の
間に口先を突っ込んできたのだから。
「な、何をやっとんじゃこの変態執事ーっ!!」
「いや、ここがしっかり濡れているか確かめないと……。でも大丈夫みたいですね」
「んひっ!?」
ハヤテの舌がぺろりと咲夜の秘部を舐める。汗を濃くしたような、塩気とえぐみのある
味が舌を通り過ぎる。
「こ、こら、舐めるな、ってあれ、ウチ、パンツは……?」
「ああ、これですか。さっき咲夜さんが後ろを振り向いたスキに、こうシュパッと」
「お〜の〜れ〜は〜っ!!」
ハヤテの指先でくるくる回る自分のパンツを恨めしげに睨む咲夜の視線をかわし、
ハヤテは咲夜のスカートの中に再び潜る。
「このスカート、2層のフリルになってるんですね。可愛いです」
「そ、その場所からいうセリフか! ひゃ、あ、だめぇ……っ!」
ハヤテの舌がねっとりと割れ目の間を通り抜けるたびに這い上がる快感に、咲夜の腿
から背筋にかけてがピンと伸びる。
痙攣するように震える咲夜の背中を、不意にハヤテの指がつつ……と撫でる。
撫でられた跡が外気に当てられヒヤリとする。濡れていた。
「どうです……? 咲夜さんの、ここの、お汁ですよ」
「ひゃ、ば、馬鹿ぁ……!」
咲夜のそこは、放っておいてもじわりと愛液がにじんでくる。ハヤテが指や舌を使って
刺激すると、たちまち雫を垂れるほどだった。
「もう、いいですかね。……いきますよ、咲夜さん」
「うん、うん……」
ハヤテはズボンを下ろし、こちらも先端がすっかりぐしょぐしょになったペニスを露出
させる。後ろがよく見えない咲夜は、ハヤテが来るのをじりじりと待つ。
「……っ、あ、あ、あああぁ……っ!」
ハヤテは咲夜のお尻にそっと両手を添えると、すっかり濡れそぼった咲夜の陰部にゆっ
くりとペニスを差し込んでいく。
自分の体内に異物が割り込んでくる感覚、それとともに痺れるような快感が脊髄、腿、
膝、二の腕までびりびりと伝わる。
体勢が保てなくなって、ベッドの外枠に体重を預ける咲夜。
「だ、大丈夫ですか、咲夜さん……」
「う、うん、大丈夫や、続けて、ん、あっ!」
少し心配になったハヤテだが、咲夜の言葉に腰の動きを続けることにした。
バックから、ゆっくりと自分の大きさを馴染ませるように注挿を続ける。
「ん……、んんっ、あ、あぁ、くぅ、は、ハヤテぇ、いい、優しぃ……」
膣の内壁をずりずりと撫でられると、気持ちよくて首筋がぞわぞわする咲夜。
緩慢なピストンのリズムに合わせて、下腹部に淀んでいた欲求不満がゆっくり満たされて
いくようだった。
「咲夜さん……」
「ひゃっ、は、ハヤテ、駄目や、んっく! 痛、つまんじゃ、やぁや……」
ハヤテは咲夜を抱きすくめるような体勢に変えると、ドレスの裾から手を差し込み、
咲夜の胸を揉みあげた。
手のひらでしっかり乳房を包み込み、人差し指と親指でツンと張った乳首をつまみ上げる。
しかし、腰の動きは片時も止めない。
「くっ、咲夜さん、気持ち、いいですか?」
「んっ、うん、あっ、いい、ええ、ええよハヤテぇ、んんあっ!?」
十分に咲夜の胸の感触を味わったハヤテは、右手を下方に回して、自分のペニスが
収まっている秘部の入り口あたりをまさぐる。
きゅっと押さえられた下腹部にかかる圧力が、快感を増大させる。
「咲夜さんの、中で、動いてるの、わかります、ほら……」
「あっ、ハヤテ、それ、だっめぇ、んっ、んんんぅ〜〜〜っ……!」
手首の鎖をガチャンと鳴らして、子供がむずがるように体を大きく奮わせる咲夜。
「はぁ、はぁ、んっ……」
「咲夜さん、イッちゃいました……?」
「はぁ、うん……、ウチ、もう、んんっ」
ハヤテがゆっくり肉棒を引き抜くと、余韻が残っていた咲夜はびくっと身を震わせる。
「おつかれさまでした。……すみません、今ほどきますね」
「うん……」
ハヤテが鎖をほどくのを見守る咲夜は、借りてきた猫のようにおとなしかった。
てっきり今までの無礼千万を怒られるものだと思っていたハヤテは、いぶかしみながらも
複雑に絡んだ鎖を早業で解いた。
「えっと、体、痛いところとかないですか?」
「ううん、……なあハヤテ、自分、まだ『終わって』ないやんな?」
「え? ええ、まあ……」
「……それでええん?」
「いや、まあまだこんな風になってますけど、そのうち治まりますし」
自分のいきり立ったペニスをちらりと見て、はは、と苦笑するハヤテ。
「……う、ウチは、まだ」
「え?」
「ウチは、まだ足りんで……」
「……」
「う…、ウチも正直に言うたんや、自分も」
「……、わかりました。僕はまだ全然足りません。しましょう、咲夜さん」
「う、うん」
もうすっかり赤くなったまま戻らない顔を縦に振って、咲夜は応えた。
「そや、今度はな」
「はい、って、え、咲夜さんちょっと」
「ふふ、自分よう似合ぅてるで。で、こっちはここ、と」
咲夜は、鎖の手錠をハヤテの右手首にはめると、チョーカーを自分の首に巻きつけた。
「咲夜さん、これは……」
「そういうプレイ、ぽいやろ? どや、興奮する?」
「んー、どうでしょう……」
二人の間で繋がった鎖を掴んで、ハヤテは困り顔を浮かべる。
まあ、なんというか、言い知れぬ背徳感はある。興奮するかどうかはともかく。
「ぐい」
「うおっ!?」
不意に鎖を引っ張られた咲夜は、首を弓なりに逸らせてバランスを崩し、ハヤテの
胸元に倒れこむ。
「おっ、おま、何しとんじゃー!!」
「いえ、ちょっとムラムラとしちゃって……」
「まったく……、……むちゅ」
「っ!!?」
ハヤテの懐に治まった咲夜は、不意打ちのようにハヤテの唇を奪った。
唇をあわせるだけの、けれど力強いキス。
「お返しや」
「もう、まったく咲夜さんは……」
「ははは」
ニカッと笑う咲夜を見て、改めてこの人には敵わないと思うハヤテ。
そして、どうしようもなく愛しい、とも。
「咲夜さん、このまましますよ。ちょっと腰、浮かせてください」
「えっ、あ、うん……」
「僕のこと、跨いじゃって……、うん、そうです」
二人は、向かい合ったまま佇まいを直す。お互いの首に腕を回し、ハヤテが咲夜を
抱え上げ、対面座位の形をとる。
「咲夜さん、自分で入れてみてください」
「わかった……、ん、んんんっ……!」
しゃがみこみながら、自分の膣内に恐る恐るハヤテのペニスを挿入していく咲夜。
さっきイッたばかりなのに、伝わる刺激はキツくもなく、心地いい。
「そのまま、体重預けていいですよ……」
「……っ、あ……っ! これ、ハヤテ、これ、深い、うあぅ!」
体位の違いからか、先ほどより奥に届く肉棒の感触。快感がより体中に響く。
「……いいですか、動きますよ」
「だ、待って、あっ、あっ、ああぅ!」
ハヤテは自分に乗っかる咲夜の体をぐん、ぐんと突き上げる。
振幅は短いが、一突きの刺激は先ほどと段違いだった。
「っ、咲夜さん、すごいです、きつくて……!」
「くっ、んっ、んああ、あっ! ハ、ヤテ、ウチも、いいっ、いいよ、ああっ!!」
一心不乱に、互いに互いをむさぼる様に行為に没頭する二人。
時折、思い出したようにキスをし、またピストン運動を再開する。
「あっ、ハヤ、テぇ、ウチ、もう……、また……」
「ええ、僕も、イキます、咲夜、さん……!」
「うん、ええよ、来て、あっ、あぅ、だっ、め、イ、イく、ん、あ、あああー……っ!」
キュウッ、と頭の中が一瞬真っ白になったような感覚が通り抜け、咲夜は再び絶頂に
達した。
ワンテンポ遅れて、ハヤテも小さく唸りながら、ビュッ、ビュッ……、と咲夜の膣内に
思い切り精子を放った。
「あ、出てる……ん……」
自分の中にどろりとした液体が注がれる感触に体を震わせる咲夜。
「ん……、ハヤテ……、……ん? ハヤテ?」
ぎゅっと抱き寄せていたハヤテから何も反応がない。咲夜がそっと腕を放すと、ハヤテは
そのままぺたりとベッドに仰向けに倒れこんでしまった。
「ちょっ、え、ハヤテぇ!?」
「は、はは……、なんか、完全に精気搾り取られちゃったみたいです……」
「ちょ、大丈夫なん?」
まあ、今朝からのイベント数とそのハードっぷりを考えれば当然の結果なのだが。
「咲夜さん、もうそろそろ意識ダウンしそうなんで、その……」
「……うん、そやな」
咲夜はニコッと笑うと、ハヤテの体から降りて、ぽすっとハヤテの傍らに寝そべった。
「え、咲夜さん、あの」
「添い寝したる。うちが一緒に寝たったら、元気出るやろ?」
「……そうですね、そんな気が、しま、す……」
ハヤテは安らかに笑うと、電源が落ちたように眠りに落ちた。
繋がった鎖。咲夜はふと思いついて、自分の首もとのチョーカーと、ハヤテの手錠を
取り替えてみた。
「ふふ、こっちの方がお似合いかも知れんで、自分」
ハヤテの首もとの鎖をチャリチャリ鳴らしながらニヤニヤ笑う咲夜。声は届いていない
はずだが、悪い夢でも見ているのかむにゃむにゃと口を歪ませるハヤテ。
「ふふ……。おやすみな、ハヤテ……☆」
ちなみに、次の日の朝には咲夜と同衾(鎖付き)しているところをナギに目撃されそれを
誤魔化しきらなければならないという難度MAXのミッションが待ち受けているのだが、
今の二人は幸せな心地なので、とりあえずめでたしということで。
-END-
以上です。なんか知らんがageられてるw
読んでいただけたなら幸い、楽しんでいただけたならなお幸い。
とりあえずサクのエロが書けて満足。けどもっと書きたい。
あと、黒ハム改め性奴会長の人の続きが楽しみでなりませんぅ。では。
KAPPA
やっぱエロい妄想したくなるよね、あの服。GJでした
>>205 エロいサクキタワァ*:.。..。.:*・゚(n‘∀‘)η゚・*:.。..。.:* ミ ☆
超GJ!!やっぱあの服はエロすぎたよ、うん
ハヤテ×咲もいいと思います。
前スレ以来ですね。
>194
>『2人で探検や危ないえっ咲夜さんってこんなに女の子ナギごめんなあっあっあっ』
この一行に妙に興奮した。
>>205 GJ!
よく見るとこの二人後始末もしてないから本格的に言い訳できないぞww
GJ
難易度MAXのミッションを成功したのか失敗したのか…とにかく結末が気になる。
>>205 GJ! 咲夜かわいいよ咲夜
そしてこっちも投下
といってもエロなしで、短めですが
一足お先にバレンタインネタで
『サキさんのバレンタイン』
その日、貴嶋サキは静かに燃えていた。
「やっと……やっと、この日が来ました」
壁にぶら下がっているカレンダーを見つめながら、サキはおもむろに口を開く。
「長かった……本当に長かったです……」
昔を懐かしむような視線を宙に向け、重ねてきた時間の長さを再確認。
「一年……も経っていない様な気がしますが、そこは置いておいて……」
そしてもう一度、カレンダーへと視線を移す。
視線の先にはハートマークで彩られた『十四日』の文字。
「今年こそ……今年こそ必ず!」
ぐっと拳を握り、強い決意を瞳に宿し、サキは言葉を放つ。
『十四日』の下にある『バレンタインデー』の文字を睨みつけながら。
「若に手作りチョコをプレゼントします!」
――二月十四日。
日本中の恋する乙女達が熱狂するお祭りの日。
幸せになりたいと頑張る、その日。
貴嶋サキは静かに燃えていた。
すいません、なんか専ブラの調子が悪いのか書き込みエラーがでますorz
ワタルと出会ってから、サキはバレンタインには必ずチョコをプレゼントしていた。
家事はちょっとだけ苦手(サキ談)なので、手作りするのは諦めていたが、
それでも美味しいと評判のお店を探して買いに行ったりと、
かけている手間と愛情は手作りのそれと変わらないつもり……だった。
『捨てるのも悪いし、結構困るっつーか……』
一年前、ワタルのその一言を聞くまでは。
「はぁ……喜んでくれてると思っていたのに……」
確かに、ワタルが甘いものをあまり好きではないのは知っていた。
だけど、ワタルはそんな素振りはまったく見せず、嬉しそうにチョコを受け取っていたのだ。
そしてそんなワタルを見て、サキもちょっと嬉しく思っていた。
それが迷惑だったなんて、まったく気付きもせずに。
「……迷惑でしたら、そう言ってくれれば……」
言った所で、何が出来るというわけではないのだが。
まあ、過ぎた事を気にしてもしょうが無い。
大事なのは明日なのだから。
「そう……今年こそ、絶対に手作りチョコを完成させます!」
チョコ以外のものをプレゼントすることも考えたが、やはりバレンタインにはチョコレート。
甘いのが駄目なら、甘くないチョコをあげればいい。
だが、既製品を買いに行ったのでは去年と同じ。
今までの反省の意味も込めて、今年こそ手作りチョコをプレゼントするんだ! とサキは硬く誓うのだった。
***
「……なるほど、いきなり料理し始めたのは、手作りチョコを作るためだった、と」
「そ、そうです」
「ふむふむ……一つだけ教えろ」
鍋、ボウル、木ベラ……その他もろもろが散乱したキッチンの中で、ワタルは呆れたようにため息をついた。
「どこにチョコがあるんだ?」
「そ、そこに……」
「どこだ?」
「ですから、そこに……」
サキが指差したのは、ワタルの目の前に転がっている鍋……の中にある、何か。
「……この異様な臭気を発している、形容しがたい何かをチョコと言い張るのか、お前は」
「……」
「……」
「……テヘ」
「可愛い仕草でごまかすんじゃねー!」
キレ気味のワタルに、サキはおびえた様に言葉を返す。
「だ、だって、私もなんでこうなったのか分からなくて……」
「お前が分からないものを俺が分かるか! とりあえずどうやって作ったのか最初から教えろ!」
「え、えーと、まずチョコを湯煎しようとお湯を沸かして……」
「……湯煎は知ってたのか」
「その中にチョコを入れて……」
「ちょっと待て! それは湯煎じゃない!」
「お湯が多かったのか、ドロドロになってしまって……」
「そりゃ、お湯の中に直に入れればそうなるだろうよ……」
「ですので、甘みととろみを付けるために、砂糖と片栗粉を混ぜて……」
「混ぜんな! それは混ぜちゃ駄目だから!」
「そうですよね、冷やして固めるんですからゼラチンが正解ですよね」
「どっちも違う!」
「で、ちょっと砂糖入れすぎたのか甘くなってしまったのでバランスを取ろうと……」
「……水を足したか?」
「塩を……」
「バランス取れてねえ!」
「そう思って、七味とうがらしも……」
「より酷いわ!」
「で、大人の雰囲気を出そうとブランデーを……」
「ああ、それはまともだ」
「探したんですけど無かったので、代わりにこのお酒を……」
「待て! 確かに酒は酒だがそれはみりんだ!」
「最後に、乳製品を入れたらまろやかになると思って……」
「ヨーグルトか? それともチーズか? ここまできたらもう驚かねーぞ」
「カルピスを……」
「その発想はなかったわ」
ワタルは頭痛を我慢するかのように頭を抑えながら、またため息をつく。
「なんというか……ここまでくるとチョコに対する冒涜だな、これは」
「ひどい!」
「いや、だってどう見てもチョコじゃねーし」
そう言ってサキに向けた鍋の中身は確かにチョコではなかった。
というか、食べ物ですら無い。
「……捨てておきます」
「そうしてくれ……まあ、慣れない事はするなって事だ」
「はい……」
「でも、なんでいきなり手作りなんだ。今までどおり既製品じゃ駄目なのか」
「だ、だって若が……」
「俺が?」
「甘いのが苦手だから、迷惑だって……」
そう言った瞬間、ワタルの目が大きく見開かれる。
「……ああ、そう言えばそんな事言ったっけ」
「だから、甘くないチョコを作ろうと……」
鍋の中の何かは甘くないどころか、食べる事すら無理なのだが。
自分の駄目さに心底落ち込みながら、そのチョコであった何かを捨てようと、サキは鍋に向かって手を伸ばす。
「……ちょっと待て、サキ」
「どうしました、若?」
サキの疑問に答える前に、ワタルは鍋へと手を伸ばす。
鍋の中の何かを指ですくい、小さく深呼吸した後――
「ふん!」
気合と共に、その指を口の中に入れた。
「わ、若!」
驚くサキの目の前で、ワタルの顔が青を通り越して白くなる。
吐き気をこらえているのが傍目でも分かるほどプルプルと震えていたが、
それでもその何かを吐き出すこと無く、『ごくり』と無理やり飲み込む。
「……お、美味しくないな」
「あ、当たり前です! 何やってるんですか、若!」
「何って……」
そこで、ワタルはサキから視線を外した。
顔を赤くし、口を尖らせて、小さく呟く。
「た、食べ物を粗末にしたくなかっただけだ」
「若……」
「そ、それと、別に迷惑だなんて思ってねーからな! 確かに甘いものは苦手だけど……」
そしてもう一度、上目がちにサキを見る。
「お前から貰えて、ちょっと嬉しかったし……」
「わ、若、それって……」
「ゴホン! ほらほら、喋ってないで早く片付けるぞ。このままじゃ飯の支度もできないし」
サキの言葉を咳で遮り、何かをごまかす様にキッチンの片づけを始めるワタルの後姿を、サキは嬉しそうに見つめる。
「……はい」
「な、なんでそんな嬉しそうなんだよ、お前は」
「さあ、なんででしょうね?」
――二月十四日。
日本中の恋する乙女達が熱狂するお祭りの日。
手作りチョコは失敗だったけど――サキは少しだけ幸せだった。
「来年こそ手作りチョコをプレゼントしますからね」
「それだけはやめてくれ、マジで」
以上です
一行目に何も書いてないとエラーになるんですね……始めて知ったよorz
GJ!
いいバレンタインネタだな・・
二作品ともGJ
GJ!
和んだぜ!
やはり非エロはいいものだ
GJ!
無しでもナイス!
GJ!
サキさんかわいいよサキさん!
そして他のキャラのバレンタインも希望
今週のハヤテでヒナギク×ハヤテを希望。ハヤヒナフラグ見えたな。だってハヤテも密かな恋心っていったし。
あと昨日のリンカーンで三村がスパッツを連発してたけどハヤテ見てるのかな?んなわけないか…
三村芸人で一番好きだから漫画とか見てたら親近感沸く。
>>228 どう読んでもヒナギクのモノローグです、本当にありg(ry
230 :
名無しさん@ピンキー:2008/02/14(木) 00:50:36 ID:ZIf13TMf
僕も見てたら書きたくなってきたので書いてもいいですか?
>>230 そういうのは「誘い受け」と言って、あまり褒められたもんじゃないんだぜ
書きたかったら書けばいい
それが評価されるかどうかは、お前の実力次第だから
あと、できればsageような
この前は、余計なことを言ってしまってすいませんでした。最近はSSの投下も多く、嬉しい限りです。
というわけで、恥知らずにも投下したいと思います。相変わらずヒナギクの話です。
勢いだけで書き上げたもんなので、正直、出来はそんなによくないと思う
>>205 申し訳ないですが、性奴会長の続きではないです。全く別のお話で、非エロ。いや、微エロか?
「はあ……」
昼休み。人もまばらな教室で、ヒナギクは机に突っ伏しながら溜息をついた。
考えているのは、ハヤテのことだった。
友人であり、恋敵でもある西沢歩の話によれば、ハヤテはヒナギクから嫌われている、と勘違いしているらしい。
実際には、そんなことはない。むしろ、どうやってその誤解を解いたものか、と思い悩むほどに、彼への好意を抱いている。
しかし何の因果か、ヒナギクとハヤテはとことん噛み合せが悪かった。誤解を解くための行動が逆にさらなる誤解を呼び、関係はこじれるばかり。何もしない方がいいのではないか、とすら思うが、それでは何も変わらない。
好きだと気付いてもらえなくてもいい。でも、せめて、嫌っていないということだけは分かってほしい。マイナスの関係をゼロにまで戻すのが、ヒナギクの当面の目標だった。
だが、そのためにどうするべきかが、分からない。様々な方策を講じてきたが、前述の通りことごとく失敗しているのだ。
「……はぁ〜……」
先ほどより深く、溜息をつく。
そんなヒナギクに、声をかける者がいた。
「生徒会長さん、どうかしましたか……?」
「あ、鷺ノ宮さん」
少女の名前は、鷺ノ宮伊澄。飛び級で入学した才媛であり、ヒナギクのクラスメイトである。
同じクラスになったのは進級してからだが、この二人にはちょっとした交流があったりした。
「あはは……まあ、ちょっとした悩みがあってね」
「……もしかして、恋のお悩みではありませんか?」
伊澄の言葉に、ヒナギクはしっぽを踏まれた猫かのごとく跳ね上がった。
「な、な、な……なんで、分かったの?」
「ふふ……私、そういうの、とっても鋭いんですよ」
いつもポーっとしているように見える和服少女の、意外な一面だった。
「へ、へー……そうなんだ……」
「ええ、そうなんです。あ、もしよろしければ……恋愛成就のおまじない、やってみませんか?」
「え、ええ?」
伊澄からの突然の提案に、ヒナギクは、この展開はちょっと強引すぎやしないか、と困惑する。
「最近、家業の関係で勉強中なんです。無理に、とは言いませんが……」
が、実際、ヒナギクにとっては一筋の光明となるかもしれない話であった。成就までを望みはしないし、そもそもおまじないという時点で半信半疑であるが、藁にも縋りたい思いだった。
「えっと……じゃあ、ちょっとだけ」
「わかりました。では、まず……十円玉、という物を二つ、用意してください」
微妙な言い回しが気にかかったが、ヒナギクは財布の中から十円玉を二枚、適当に選んで取り出した。
その十円玉を見て、伊澄は、ほぅ、と感嘆するかのように息を漏らした。
「これが十円玉……初めて見ました……」
(……あー、前にナギも同じようなこと言ってた気が……さすが大金持ちのお嬢さま、って言うべきなのかしら、ここは)
少女の将来が少し心配になったヒナギクだったが、そんなことは露知らずの伊澄は、気を取り直しておまじないの説明を続けた。
「では、その十円玉を縦に立ててください」
「まあ、それぐらいなら……よし、立ったわよ」
「立ちましたら、さらにもう一枚、その上に縦に立ててください」
「それぐらい楽勝よ! ……って、あきらかに無理でしょ、それ!?」
ヒナギクはノリツッコミ風に声を張り上げた。一枚なら実際にやってみせたが、二枚ともなるとその難易度は跳ね上がる。
「でも、それが出来なければおまじないは完成しません」
「くっ……」
ヒナギクは、考えを改めた。
藁にも縋りたい思いだったのではない。恋愛成就のおまじないと聞いて、簡単な方法に手を伸ばしたくなってしまったのだ。
ヒナギクは、自身のその甘い考えを捨てる。
何かを手に入れようと思ったら、相応の努力、代償を払わなければならない。それが大事なものなら、なおさら。
「……わかった、やるわ。やってみせる……!」
ヒナギクはそぉっと、立っている十円玉の上に、もう一枚を乗せ……そぉっと、そぉっと、指を……離す。
「…………」
ヒナギクも、伊澄も、息を呑む。これで、倒れなければ――
「……た、立った……十円玉が立ったわ!」
指がすっかり離れてしまっても、二枚の十円玉は奇跡的なバランスを保って、直立していた。
成功である。
「わぁ、すごいです。では会長さん、リタフトンクテヤハニコウソクイイタ、と三回唱えてください」
「わ、わかったわ」
ヒナギクは、指示されたやたらに長い呪文(?)を三回、唱える。
「リタフトンクテヤハニコウソクイイタ、リタフトンクテヤハニコウソクイイタ、リタフトンクテヤハニコウソクイイタ……これでいいの?」
「はい。では、次に――」
「ちょっと待って。恋愛成就って言ってたけど……これ、どういうおまじないなの?」
ここまでやっておいて今さらではあるが、不意にそんなことが気になった。尋ねられた伊澄は、ほわんとした微笑を浮かべたまま、
「そうですね……意中の殿方と、二人きりで体育倉庫に閉じ込められるおまじない、です」
そう、答えた。
「……は? え? ちょ、ちょっと、それって――」
「では、一緒に閉じ込められたい殿方のことを思い浮かべてください」
「だ、だから、待ってってば! と、閉じ込められるって、ハヤ――」
その時。チャリン、と音がして、せっかく立てた十円玉の塔が崩れた。
「あっ……」
「これで完了です」
「……え? もう?」
「はい」
どうやら、十円玉が倒れるのが、おまじない完成の合図だったらしい。
動揺していながらも、ヒナギクの脳裏にはしっかりとハヤテの姿があった。むしろ、動揺しているからこそ、はっきりとハヤテのことを思い浮かべていたのかもしれない。
どちらにせよ、「意中の殿方と二人きりで体育倉庫に閉じ込められるおまじない」は完成してしまった。
「では、がんばってくださいね、生徒会長さん」
ヒナギクが想いを寄せる相手が誰かを知らない伊澄は、ニッコリと笑って言った。
放課後。ヒナギクは、グラウンドの外周にある体育倉庫の前にいた。野球部やサッカー部など、どの学校にもあるような運動部が各々に練習している風景が見える。
生徒会長であるヒナギクがここにいる表向きの理由は、そうした部活動の視察だったのだが……。
「とりあえず、来てはみたけれど……」
結局、おまじないのことが気になって来てしまったというのが、本当の理由だった。
おまじないが本当に効くなら、ハヤテがここを通りかかるはずである。が、そのような偶然が本当に起こるかと言われると、正直な所、疑わしいと言わざるを得ない。
「というか、ハヤテ君ってば今日休んでるし」
恐らくは、相も変わらず学校へ行こうとしない主に付き合っているのだろう。ハヤテの場合、一人でも学校に来ることがあるから、まだマシではあるが。
「……このままここに居ても、しょうがないわね。もう帰――」
「あれ、ヒナギクさん。こんな所で何をしてるんですか?」
立ち去ろうとしたまさにその時、背後からかかった声に、ヒナギクは一瞬硬直し、すぐさまバッと振り向いた。
「ハ、ハ、ハ……ハヤテ君!?」
「えっと……なぜ、そんなに驚いてるんですか?」
そこに立っていたのは、まさしく綾崎ハヤテ本人であった。ヒナギクにとっても見慣れた執事服を身に纏い、頬をポリポリと掻いて苦笑している。
「だ、だって……今日、休んでたじゃない。どうしてこんな所にいるのよ?」
「いやー、実は買い出しに行く途中だったんですけどね。たまたま白皇の前を通りかかって、そしたらいつの間にか、フラフラと中まで入って来てしまっていたんですよ」
(……も、もしかして、これがおまじないの効果なの……?)
悪魔に魂を売ったかのように効くおまじないだった。
(で、でも、この状況からどうやって体育倉庫に閉じ込められるっていうのよ。ありえないわ、そんなの)
その時である。
「危ないっ!」
「へ? きゃっ!?」
突然ハヤテが抱きついてきて、ヒナギクは押し倒された。その勢いのまま、二人は一緒になってゴロゴロと転がっていく。
ガシャン、と大きな物音が聞こえて、ようやく止まったかと思えば、二人は薄暗い空間の中にいた。
「ヒナギクさん、大丈夫ですか? 野球部の方からボールが飛んできて……」
「あ、ありがと。それで、ここは……」
まあ、ヒナギクも何となく察してはいたのだが……。
「どうやら、体育倉庫の中みたいですね」
(……悪魔の所業だわ……)
薄暗いのは光が差していないからであって、光が差していないのはドアが閉まっているからである。ここにこうしている以上、入る時には開いていたはずなのだが、何かの拍子で閉まってしまったということらしい。
その状況を確認して、嫌な予感しかしないヒナギクである。
「ヒナギクさん、立てますか?」
「う、うん」
「では、とりあえずここから出ましょう」
「そ、そうね……」
もちろん、ハヤテはそんな事は知らないわけで。
「……えっと、ごめんなさい」
「え? どうしたんですか、いきなり謝ったりして」
「いや、その。多分、私のせいだから」
「……?」
ハヤテはハテナマークを頭上に飛ばしながらも、ドアノブに手をかけた。
ガコ。ガコガコ。
「おや……?」
「……開かない?」
「ええ、開きません。おかしいですね……」
と、ここで、ハヤテはハッと何かに気付いた様子を見せる。
急に小動物的にオロオロし始め、その途中でヒナギクの姿が視界に入ると、そこで視線を固定させてジリジリと半歩ほど身を引いた。
「ヒ、ヒナギクさん。僕はまた、何かやらかしてしまったんですか」
「へ?」
「だ、だって、さっき意味もなく謝ったじゃないですか。僕がまた何か、ヒナギクさんの気に障るようなことをしてしまって、それで、良心を痛めながらもこんな所に閉じ込めて……お、お叱りを……」
「ち、違うわよ! だいたい、何かやったかもって、心当たりでもあるわけ!?」
「いや、ないですけど」
ハヤテと同じく、ヒナギクにもその心当たりは無い。妙な所で卑屈な態度を見せるハヤテに、ヒナギクは溜息をつきそうになって、しかし、友人が言っていたことを思い出した。
(そっか……ハヤテ君は、私に嫌われてるって勘違いしてて、だから……)
そうなると、そもそもハヤテに勘違いをさせてしまうような態度を取ってきた自分にも責任があるわけで、ヒナギクは急に罪悪感に襲われることとなった。
「……ハヤテ君、聞いて。別に、ハヤテ君は悪くないの」
「へ? え、あ、じゃあ、どうして、さっきは……」
「それは……そのぉ……さっき謝ったのは……えっと、これ、おまじない……だから」
その罪悪感から、ヒナギクは決して言いたくないことを白状してしまっていた。
案の定、ハヤテからはさらなる質問が飛んでくる。
「おまじない……ですか?」
「うん……体育倉庫に、二人っきりで閉じ込められる、おまじない」
「…………」
「な、何よっ、その可哀相なものを見る目はっ!?」
「だ、だって、どこの世界にそんなピンポイントなおまじないがあるって言うんですか! 僕の不幸体質のせいだってことにしてくれた方が、まだマシですよ!」
まあ、ハヤテの言い分は普通の感性を持っているなら至極当然のものではあるのだが。
「そんなの、私だって信じてなかったんだからしょうがないじゃない!」
ヒナギクとしても、まさか本当に効くなどとは思っていなかったわけで。
それどころか、実際に閉じ込められてしまった今となっては、伊澄に文句の一つでも言いたい気分ですらあった。ドアが開かなくなるという時点で、これではほとんど呪い染みているではないか。
ちなみに、“おまじない”を漢字で書くと“お呪い”となる。
「じゃ、じゃあ! どうしてその相手が僕なんですか!?」
「うっ……そ、それは……」
そうこうしている内に、ハヤテの口から、どうやっても答えられるはずのない問いが飛び出してきた。
突き詰めてしまえば、ヒナギクがハヤテのことを好きだから、なのではあるが。
(そんなこと、言えるわけないじゃない……! 言えるわけ、ない、けど……)
そもそも、おまじないに頼ったのはハヤテとの関係を何とかしたかったからだ。
好きだと気付いてもらえなくてもいい。でも、せめて、嫌っていないということだけは分かってほしい。
せっかく呪い、もといおまじないが効いているのだから……それを、利用すべきではないのか。少し言葉を選べば、誤解を解くぐらいのことはできるのではないか――。
「……ハヤテ君となら……一緒に閉じ込められても、いいと思ったから……」
「へ?」
気付けば、そんなことを言ってしまっていた。
「あ、や! へ、変な意味じゃないのよ!? 私、ハヤテ君のことそんなに嫌いじゃないし、だから……!」
「あ……そ、そうなんですか」
微妙に、気まずい空気が漂う。
ほぼ勢いだけではあったが、一応“嫌いではない”ということは伝えることができた。ハヤテはどう思っただろうと、ヒナギクはチラチラと様子を窺うが、彼は何やら考え込んでいるように見える。
しばらくして、ハヤテが口を開いた。
「……ちょっと、意外です」
「え?」
「ヒナギクさんには、嫌われているのだとばかり思っていたものですから」
ハヤテは、どこか安心したような微笑を見せた。
騙しているような気がして、ヒナギクの良心がチクリと痛む。
「……嫌ってなんて、いないわ。私にも、色々悪い所はあったけど……もう少し、自分に自信を持ってもいいんじゃない?」
「自信、ですか」
正確には、それを“自信”と呼ぶべきなのかは、ヒナギクにも分からなかった。
ただ、ハヤテには、人に好かれることに関して特に、その“自信”のようなものが欠けているように思えた。もちろん、自分の思い違いであるだけかもしれないことは、ヒナギクも重々承知である。
ただ、なんとなく、そういう言葉をかけたかったのだ。
「……そうですね。努力してみます」
自分でも何を言いたかったのか、よく分からないのだから、ハヤテにどういう風に伝わったのか、ヒナギクに分かるはずもない。
だが、場の空気は柔らかくなったように感じられた。
「とりあえず、ここから出る方法を探しませんか?」
「ええ、そうね」
ハヤテの提案に、ヒナギクは頷いた。当初の目的はすでに達成しているし、いつまでもこんな所にいる必要は無い。
「このドア、蹴破ってみるのは……」
「却下よ。生徒会長として、学院の施設をむやみに傷つけるのは感心しないわ。それに、壊したら弁償する羽目になるわよ?」
「ですよねぇ……」
その場合はヒナギクも一緒に弁償するつもりだが、どちらにせよ、これは最終手段である。
「他は……そうだ、携帯電話は?」
「あ、その手がありましたね。ちょっと待ってください」
しかし。
「……えー、どういうわけか、圏外です」
(……やっぱり、呪いだわ……)
その他にも色々手を尽くしてはみたものの、全てダメだった。恐るべきはおまじないの効力である。
ちなみに、結局蹴破ってみようとはしたものの、ビクともしなかった。
「八方ふさがりですね〜」
「そうね……」
ドアに五回目の蹴りを喰らわして、無駄な努力であることを悟ったハヤテは、積まれたマットの上に腰を下ろした。ヒナギクも、その隣に座る。
「まあ、部活が終わる時間になれば、運動部が片付けに来るだろうし。それまでここで待ってるしかないわね」
「となると、あと2時間くらいですか……」
随分と長い時間である。おつかいの途中であったハヤテが怒られることになるのは、まず間違いないであろう。
「ごめんね、ハヤテ君。変なことに巻き込んじゃって……」
「ああ、いえ。気にしないでください。それに……そんなに、悪くないですよ」
「へ?」
「……すみません、忘れてください」
二人の間に、妙な空気が漂い始める。先ほどの気まずい空気とは、別の……薄っすらとピンクがかっているような、そんな空気である。
ヒナギクも、その変容を感じ取った。隣に座るハヤテの横顔が微かに赤くなっているのも、その証明だった。
気付いてしまった以上は、ヒナギクも意識せざるを得なかった。さっきまではすっかり頭から抜け落ちていたが、これから少なくとも2時間ほどの間、ここでハヤテと二人っきりとなるのだ。
心拍数が、上がった気がした。
「…………」
「…………」
二人とも、この空気を嫌っているわけではない。だが、今動けば何かが変わってしまいそうな、そんな予感があった。
十分ほど経った所で、先に沈黙に耐え切れなくなったのは、
「……い、今! 今、ふと思い出したんだけど!」
ヒナギクだった。
「わ、きゅ、急にどうしたんですか、ヒナギクさん」
「思い出したのよ、この状況を脱するための解呪の方法があることを!」
口から出任せで物を言っているわけではなく、本当のことだった。なぜこんなことを忘れていたのか、ヒナギク自身にも分からなかったが……あのおまじない、記憶にも作用するのではないか、と少し恐くなった。
「そんなものがあったんですか。というか、解呪って……」
それではもう、おまじないではなく呪いではないか、とでも言いたげな顔を浮かべるハヤテだが、そこはヒナギクが既に通った道である。
「とにかく、早くこんな所から出るのよ!」
少し名残惜しい……などと思わないように努めて、ヒナギクは伊澄の言葉を回想する。
『まずは、服を全部脱いでですね』
『そんなの出来るわけないでしょ!?』
『……なら、仕方ありません。まずは、一緒に閉じ込められた殿方と向かい合ってですね。肩に、手を置いてもらいます。そうしたら、目を閉じて――ああ、最後まで閉じたままでないといけませんから、気をつけて。
その後、顔を少し上向きに。殿方のお顔を、見上げるようにするのがいいと思います』
『それで終わり?』
『いえ。しばらくしたら、唇に何か柔らかい物が触れるはずですから、その間に、ルテシイアキスイダキスキス、と三回心の中で唱えてください。それで呪いは解けるはずですから』
『今はっきり呪いって言ったわよね』
『気のせいです』
口頭の説明ではイマイチ意味が掴めなかったが、こうしておまじないが効いている以上、解呪の方も有効なはずである。試してみる価値はあるだろう。
「ハヤテ君立って」
「あ、はい」
ヒナギクはハヤテを立たせると、伊澄に言われた通りに、解呪の準備を始めた。
向かい会って、ハヤテの手を肩に置かせ、目を閉じて、彼の顔を見上げるように――
「あ、あの、ヒナギクさん。これは……その……」
「……? どうかした?」
目を閉じて問うヒナギクには分からないだろうが、ハヤテの顔は真っ赤だった。その顔を見ていたのなら、ヒナギクにもこの状況の意味が少しは分かったかもしれない。
一方のハヤテは、ゴクリと息を呑んで、声が震えそうになるのを抑えて、ゆっくりと口を動かす。
「ヒナギクさんは、さっき……自分に自信を持て、と言ってくれましたよね」
「ええ、言ったわね」
「……持っちゃって、いいんですか?」
「私は……いいと思うけど」
グラリ、と来た。
ああ、この人は……なんて、可愛らしいんだろう。直接言うのが恥ずかしいからって、解呪のためだなんて嘘をついて。尻込みする僕の背中を、こんな風に押してくれて。
――漂いっぱなしだった桃色空気が、実に良さ気な感じで作用していた。
「……ヒナギクさん。僕、こんなこと初めてですけど……精一杯、がんばりますから」
「……?」
ここに来て、ヒナギクもようやく何かがおかしいことに気付いたが……時、既に遅し。
ヒナギクの唇に、柔らかい“何か”が、触れた。
(あ……なんだろう、これ。柔らかくて、温かくて……ちょっと、気持ちいいかも……)
その、どこか甘い感覚に酔い痴れそうになって……ヒナギクは、慌ててその欲求を振り払った。呪文を唱えなくてはならない。
(えっと……ルテシイアキスイダキスキス、ルテシイアキスイダキスキス、ルテシイアキスイダ――あ)
三回目を唱えている途中で、唇にあったはずの感触が、無くなってしまった。
「……もう。ハヤテ君、ちょっと早いわよ」
「え、あ……そ、そうでしたか? すいません……」
解呪が失敗に終わった所で目を開けたヒナギクだったが、その瞳に映ったハヤテの顔は、この薄暗い空間の中でもはっきり分かるほどに真っ赤だった。それを訝しく思ったヒナギクが問うより早く、
「では、その……もう一度」
「え? あっ……」
ハヤテの唇と、ヒナギクの唇が、重なっていた。
(え……え? これ、私、あ、え? わ、私、ハヤテ君と……キス、してる……)
そのファーストキス……いや、セカンドキスに、ヒナギクの顔は一瞬で真っ赤に染まった。
逃れようとした所で、頭も背中も、ハヤテの細腕に抱き締められていることに気付く。
(な、何よ、何なのよ、これ……だ、だって、嫌ってるわけじゃないって、それだけ分かってもらえればよかったはずなのに。こういうのは、もっと、段階が……)
どうしようもない熱さと、突然の事態に、ヒナギクの思考は乱れに乱れ、混乱の極みに達し――ついには、停止に至った。
言い方を変えるとするなら――ハヤテに、委ねてしまうことにした。
それがキスだと分からなかった時に感じた、柔らかく温かな、それでいて、どこか甘いような感覚。今も変わらずにあるその感覚に、今度は解呪のことも忘れて、酔い痴れてしまうことにした。
いつの間にか、ヒナギクもハヤテの背中に手を回して、しがみ付くかのように抱き締めていた。
「んっ……ふうっ……」
やがて、ハヤテが行動を起こす。
ハヤテの舌が閉ざされたヒナギクの唇を割って、その口内に侵入した。ヒナギクは抵抗せず、侵入者を迎え入れる。
最初に触れ合ったのは、二人の舌だった。どちらからともなく、自分の舌を相手のそれに絡ませ、転がし、強く吸い上げる。淫らな水音が漏れ、唾液が互いの口の周りを汚す。
その深い口付けは、どれくらいの間続いていただろうか。互いの唇が離れる頃には……もう、それだけでは満足できなくなっていた。
「ヒナギクさん……」
「ハヤテ、くん……」
ハヤテが、後ろのマットに、ヒナギクを優しく押し倒した。そのまま覆い被さって、今度は短く、もう一度口付ける。
「ヒナギクさん……もう、三回もしてるのに……おまじない、解けませんね」
ハヤテが、からかうように言う。
「……ふふ、当たり前よ。だって、本当のやり方じゃないんだもの」
だから、ヒナギクも同じように答えた。
そして、付け加えて言う。
「本当は……服をね、全部脱がないといけないんだって」
「…………」
まずハヤテはポカンと口を開け、続いて元から赤かった顔をさらに赤らめた。そして、
「私……その、初めてだから。優しく、してね……?」
ヒナギクの言葉が、トドメを刺した。
体育倉庫のドアが開けられたのは、結局、それから2時間ほど経った頃だった。
ハヤテとヒナギクが2時間振りに見た太陽は、もう暮れかけていて、空は夕焼けに染まっていた。
「ハヤテ君、急がなくていいの? 買い出しの途中だったんでしょう?」
「はは、まあ、そうなんですけどね。ここまできたら、もうどれほど遅れても一緒ですよ」
ヒナギクは、ハヤテらしくない不真面目な言い草に、おや、と疑問を抱く。同時に、ちょっぴりの期待も。
「ねぇ、ハヤテ君。自惚れになっちゃうかもしれないけど……それって……もう少し、私と一緒にいたい……とか?」
ハヤテは、小さく笑って答えた。
「自分に自信を持てって言ったのは、ヒナギクさんですよ?」
え? おまじない、ですか……? こう言ってはなんですけど、あんなもの、デタラメですよ。
私が言えたことではないですけど、生徒会長さんは奥手なタイプに見えましたから……きっかけさえあれば、後はご自分で何とかなさる方だと思ったんです。
それにしても、あの会長さんが好意を寄せる殿方とは、いったいどのようなお方なのでしょう……。
Fin
最近、CLANNADは人生、という言葉の意味が分かってきた。あんな人生なら送りたいわ。
原作やってないから、この先どうなるか分かりませんが。
ちなみに、体育倉庫の話のプレイ動画だけは見た。
肝心な部分が抜けているのは、俺が書くとどうせドSとドMになって純愛っぽい雰囲気がブチ壊しになるだろうと思ったから。
あと、書いてる途中でヒナギクアフターなんて言葉が浮かんできたけど……聞く所によると鬱話らしいですね、あれ。
リアルタイム遭遇ktkr
gJ!
GJ!!!11
そしてクラナドは人生
GJ
エロ抜きだけどそこがまたいい!
GJ!!
ヒナギクさんには、願望を実現する能力がある
GJ
エロ抜きでもいいものだ
最近レス消費が早いね。
GJ
ハヤテ×泉でバレンタインネタ投下開始します
携帯からなので投下が遅いのはご容赦を
繝上Ζ繝?テ玲ウ峨〒繝舌Ξ繝ウ繧ソ繧、繝ウ繝阪ち謚穂ク矩幕蟋九@縺セ縺?
謳コ蟶ッ縺九i縺ェ縺ョ縺ァ謚穂ク九′驕?縺?縺ョ縺ッ縺泌ョケ襍ヲ繧?
ちょっと笑ったw
2月14日。
今日もいつもと変わらずお嬢様とともに学校に向かいます。
いや、いつもと変わらないというのは変ですね。
朝からマリアさんとお嬢様にチョコを頂きましたから。
勿論義理チョコという奴ですが…
でも義理チョコといえどマリアさんが下さったチョコレートがおいしくないはずがありません。
ナギお嬢様のチョコは…執事として誠心誠意全身全霊で頂かせて貰おうと思いました…
学校から帰ってから、楽しみ半分不安半分な面持ちになりました。
ただお嬢様のチョコから
『大好きだぞハヤテ』
という手紙がひらりと落ちてきたおかげで、
お嬢様に学校に行く前からライフポイントを大幅に削られてしまいました。
しかししっかりと主に信頼してもらえている事が分かったので執事として嬉しいかぎりです。
これからも一層お嬢様の為に精進しようと思いました。
登校中はいつもの朝とは違う雰囲気なのがありありと伝わってきました。
公園を通る時に、
『○君の事、実はずっと好きだったんだ…』
『お、俺も…△の事、好きだ!』
といういかにもなセリフの応酬が交わされていました。
ただどちらも男声だったので僕とお嬢様を乗せた自転車はそのまま現場を通り過ぎました。
お嬢様は
「止めろ!ハヤテ!あんなおいしい場面を見逃す気か!」
と喚いておられましたが、教育上まだ早いと判断した僕はやむなく命令違反をして学校へとペダルを漕ぎ進めました。
教室に入るとそこは既にある種の異世界でした。
義理チョコを仲の良い男子に配っておられる女子や、それを貰っている男子を嫉妬と憎しみの眼で睨み付ける男子。
わざわざダンボールを用意されている男子もいますが、すっかり閑古鳥を鳴かせています。
そんな男子に少し釣り目気味の女子がちらちらと様子を伺いながらそろそろと近付いていきます。
そして意を決したのか顔を真っ赤にしながら
「そ、そんなダンボールなんか持ってくるなんて、ば、ばっかじゃないの!?
ほら!!可哀相だから一個恵んであげるわよ!言っとくけど、ぎ、義理なんだからね!?勘違いするんじゃないわよ!?」
と、まるで用意されてあったかのようなセリフを早口に捲し立てて綺麗にラッピングされたチョコを差し出しました。
男の方はキョトンとしています。
そして…
これ以上はさすがに障気にあてられてしまいそうだったので僕は一時間目の準備を始める事にしました。
ただ誰もがその瞬間
『ツンデレ乙』と心を揃えていたであろうことは言うまでもありません。
友チョコを渡しあっている女子グループの横を通って花菱さんと朝風さんが近付いてきました。
そしておもむろにポケットからチ○ルチョコを取り出すと、
「ハヤ太君、バレンタインおめでとう」
「では勿論白い日には20倍返しをよろしくな」
そう言って僕の机に合計40円分を置き、一度親指を立てた後去っていきました。
何がおめでたいのかも分からないし、
何故定番の3倍返しが3分の20倍に跳ね上がっているのかも理解出来なかったので、
白い日には800円分のジンギスカンキャラメルでも投げつけてやろうかと思いました。
そういえば瀬川さんがいないと思い何となく周りを見回すと、
瀬川さんは律義に男子女子に限らずクラスの全員に義理チョコを配っていました。
このクラスの委員長である事に対しての責任感が強い瀬川さんなりの配慮のようです。
さっきからひとつも貰えず消沈していた男子の顔がみるみるうちに艶やかになっていくのが目に見えて分かります。
あ、貰った男子が調子に乗って告白してます。「ごめんね♪」
瀬川さんはいつもの笑顔で断りました。
それでも振られた男子は瀬川さんの方をデレデレと締まらない顔で見ています。
「………死ねばいいのに」
おっと、口が勝手に動いてました。
瀬川さんがクラス全員にチョコを配るという事はつまり…
僕にもそれを貰う権利は充分にあるわけで…
内心で大きな期待を持ちながら瀬川さんが僕の席に来るのを待ちました。
そして瀬川さんの宅配チョコが僕の席の周辺に差し掛かったところで、瀬川さんの動きがピタリと止まりました。
僕の方を困ったような顔でチラリとみると、また配達を開始しました。
不自然に僕の順番を飛ばして。
―――え?―――
瞬間、脳内が停止しました。
why?何故?
どっかのラノベの主人公のようなセリフが頭に浮かんできている場合じゃありません。
とりあえず瀬川さんに嫌われる事をしたか?という線で脳内記憶googleを使います。
検索結果は勿論0件です。
全く意味が分かりません。
しかも周りの女子達は憐れな僕を嘲笑うようにニヤニヤとした表情でこっちを見ています。
ナギお嬢様なんか僕が顔を向けると何故か拗ねたようにそっぽを向きました。
最悪です。
僕が何をしたというのでしょう?
ウツダシノウ
僕はその言葉を心に深く刻み込んでその後放課後まで抜け殻だったのでした。
最悪な朝から時は流れてやっと放課後です。
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僕は早く帰ってマリアさんのおいしいチョコレートを食べてやさぐれた心を癒したかったのですが、
悪い事は続く物で校門を出たところで体操着を教室に忘れて帰っていた事に気付きました。
お嬢様に教室に戻る旨を伝えると、
「…なら行って来い。私は車を呼んで帰るからな」
と、何故か更に不機嫌さに拍車がかかったご様子でした。
もう今日は厄日だということは分かっているので、僕はすいませんと一言だけ謝って教室に急ぎました。
教室に着くと明かりが付いていて、まだ誰かがいるみたいでした。
悪い予感がしますが、中を覗いてみます。
やはり瀬川さんでした。
一人でせっせと日誌を書いています。
間違いなく人生最大クラスの気まずさです。
しかし三千院家の執事としては忘れ物などするわけにもいかないので、入らないわけにはいきません。
3、2、イチ!!
頭の中でスリーカウントを取ってから意を決して室内に入りました。
バク、バク、と心音が重い連撃を放ってきます。
鉛のように重い足を引きずって極力瀬川さんの方を見ないようにして自分の机に近付いて――――――
体操着を引っ掴むとドアまでダッシュ!、となるはずでしたが、代わりに体に電流が走りました。
いえ、正確には電流が走ったような衝撃を受けました。
いつの間にか僕のお腹の辺りに小さな手が回されていたのですから。
背中から感じる暖かさとマシマロと形容するのさえおこがましい様な柔らかさが僕の脳を一気に蕩かしていきます。
「ハヤ太、くん?」
瀬川さんの囁く声が耳を通じて頭の中に麻薬のように浸透していきます。
「な!な!なななんでしょうか!!」
無理です。舌が全く回りません。
すぅ、と瀬川さんが息を吸い込む感触がくすぐったくて、心臓は更にポンプ運動を加速させます。
「うん、とねぇ…チョコ、貰って欲しいのだ」
「え!?あっ…」
瀬川さんは僕の手に綺麗な長方形の箱を握らせるとそのまま僕を離して逃げ出します。
僕はとっさに瀬川さんの手を掴んでしまいました。
「ほえ!?」
「あ、あああのすいません!」
また手を離します。
僕の失態のせいでせっかく瀬川さんからチョコを貰ったというのに、気まずい雰囲気が流れてしまいます。
僕はとりあえず話題を代える事にしました。
一流の執事たるもの、こんな空気ぐらい難なくやり過ごさなくてはいけないのです。
「あ!、そういえば瀬川さんクラスの皆にチョコを配ってた時に僕だけ忘れてたじゃないですか〜!
酷いですよ〜!結構傷ついたんですから〜!」
何とか笑い話っぽく持って行きたかったのですが、瀬川さんは俯いています。
まずいです。完全に滑りました。助けてサクえもん。
僕が自分で自分を追い込んでいると、
瀬川さんが朱に染まっている顔をあげてうるうるとした瞳で上目遣いに僕を見てきました。
女の子のこんな表情に僕の胸が高鳴らないわけはなく、自らの失言で冷えた頬が再び熱を帯び始めます。
瀬川さんは相変わらず可愛らしい目で僕を睨んで「う〜」とか「む〜」とか唸っています。
そんな瀬川さんの真意が分からない僕は彼女の言葉を待つしかありません。
しかしそんな瀬川さんとの睨合いは先ほどの空気が刃に変わる様な辛い間ではなく、
むしろ心癒されるような優しい時間なのでした。
「ええと〜、その、クラスの皆にチョコをあげたのはいいんちょさんの仕事なんだよ…」
瀬川さんはぽつぽつと話し出しました。
「でも………ハヤ太君にあげたのは、いいんちょさんの仕事とかじゃないんだよ?」
え?それってどういう意味ですか?、とは言えませんでした。
間違った解釈だったならば死ぬほど恥ずかしいですが、それでも僕は聞かずにはいられません。
「瀬川さん、それは、もしかして、これは………所謂本命チョコ、だったりするんですか…?」
「うん、そうだよ!」
瀬川さんの表情がパッと明るくなります。
代わりに僕の顔は先程より更に熱くなって沸騰してしまいそうな勢いで熱を吐き出します。
本命チョコ…それがそれが意味するところを思い浮かべると頭の中で『告白』の二文字が飛び交います。
返事、は考えるまでもありません。
この一時は僕が瀬川さんに夢中になるには充分過ぎるぐらいの時間だったのです。
しかしここで何と言っていいものか全く思い浮かばず、ただじっと瀬川さんの方を見つめます。
相変わらずにこにこと笑顔な彼女の顔を直視し続ける事は、結果的に僕の体内温度をあげることにしかなりませんでした。
そんな僕の心情に気付いたのか瀬川さんは少し悪戯っぽい表情で僕にすりよってきました。肉体的な意味で。
「ねぇ、ハヤ太くん…いいんちょさんは、ダメ?かなぁ?」
僕の胸元にいる瀬川さんが甘い声でおねだりをしてきます。
「え!あ、あの!僕は、その…」
またしても役立たずの声帯は機能してくれません。
「いいんちょさんはハヤ太くんの事、だ〜いすきなんだよ?」
猫を彷彿とさせる透き通った瞳が僕を追い込んでいきます。
「瀬川さん…返事は、もう分かってやってますよね?」
「ええ〜、泉ちゃんはハヤ太くんの返事が気になるな〜」
ああ、もう我慢の限界です。これは明らかに瀬川さんが悪いです。
僕は瀬川さんを強くだきしめると、強引に彼女の唇を奪いました。
「ふぁ…あ、んぅ…、ふ、あぅ…」
瀬川さんの普段とは違うなまめかしい声に興奮が高まります。
「ん…んあ、はぁ…」
まだ舌を入れるなどと言う事はとてもじゃありませんが勇気がなかったので、そのまま唇を離します。
瀬川さんと僕が一本の糸で繋がっている事が何故かとても嬉しく感じられました。
「もう…ファーストキスなんだよ?」
「あはは、僕もですよ」
今の行動で主導権がこちら側に移った様な気がします。
「じゃあ…ハヤ太くんも私の事好きって事だよね?」
「いえ、すいません…今のは出来心で…」
「え゙え!?」
コロコロと変わる瀬川さんの表情は本当に見ていて飽きません。
「あはは、嘘ですよ。僕も好きです。泉さん」
「もう…えへへ、これからよろしくね♪ハヤテくん♪」
僕達はまたひとつキスをしてぎゅっと抱き締めあいました。
「差し当たってこれからどうしましょうか?」
「ん?お腹空いたし日誌を提出してご飯食べに行こうよ!」
「初デート、ですね…」
「ほえ?ハヤ太くんは誰かと付き合った事ないの?」
「瀬川さんが初めてですよ」
「嬉しいな、いいんちょさんもだよ。じゃあ行こっか♪」
「はい♪」
僕達はそのまま学校をあとにしてご飯を食べた後、お互いの初めてを奪いあうのでした。
ちなみに体操着は瀬川さんが盗んでおいたそうです。
終わり
文字化けwwwww
やっぱPCじゃないとダメだwwww
投下終了
GJGJG
やっぱりいいんちょはハヤテの嫁
ども。こないだのハヤ×サクにGJくれた方ありがとうございました。
予想以上に反響があって喜びに打ちひしがれてました。引越したばかりで
ネット環境がなくて、わざわざ2ch書き込みできる漫喫を探した甲斐があった…。
>>232 もう、性奴会長の続きでなくても全然GJです!
クラナドのネタそのままじゃなくて、アレンジして、ひねって、持ってったー!
って感じですね。個人的に、伊澄とヒナのやりとりがかなりツボです。
>>214 実にこの2人らしい、微笑ましすぎるSS、ごちそうさまでした。
湯銭と聞いてお湯をつっこんじゃうのが妙にリアルだ……。
というわけでバレンタインネタに感化されましたので、またも咲夜で小ネタを。非エロで。
本編のバレンタインイベントの裏イベントと思っていただければ。
漫喫での突貫作業なもので、不備があってもご容赦を。
(
>>256さん、連投になってすいません。できるだけ避けたかったのですが、
ネタがネタだけに…)
2月14日。バレンタイン。
「ほーれ、朝斗ー。お姉ちゃんからプレゼントや」
「わー!」
咲夜から青くつやつやした包装紙につつまれたチョコの箱を受け取った弟、朝斗は
やったやったと嬉しそうに飛び跳ねている。
「こら朝斗! ちゃんとお姉ちゃんにありがとうて言いや!」
「まあまあ日向。ほら、日向らにもあるで」
そう言って咲夜は、妹たちにもチョコを――こちらはピンクの包装だ――を手渡した。
「え、ええの?」
「こういうのは渡す気持ちが大切なんやで。男からとか女からとか関係あらへん」
咲夜に頭を撫でられると、困惑していた妹、日向は顔をほころばせて包みを嬉し
そうに眺めた。
「食べてええ? ご飯のあとやし……」
「ああもう、そんなん気にせんでええ。せっかくの手作りなんや、食べたいときに
食べてもらわな」
向こうでは、朝斗が包装紙をびりびりと破り、待ちきれないとばかりにゴルフボール
大のチョコにむさぼりついている。
そんな朝斗の頭をはたいて嗜める日向だが、自分も慌てているのか包み紙がうまく
解けないようだ。
「みんな嬉しそうだね」
「ほんま、毎年作りがいがあるわ」
いつの間にか後ろに立っていた父と一緒に、温かい目で4人を見守る咲夜。
その笑顔を見ていると、大変なこともあるけれど、お姉ちゃんでよかった、と思える。
「……」
「……で?」
「で、って何? お父ちゃん」
「……いや、なんでもないさ。今夜はよく枕が湿りそうだなあ……」
「ウソや、ウソウソ! ちゃんとお父ちゃんにも用意してるがな、はい!」
背中に隠していた赤い包みを受け取った咲夜父は、言葉にならないとばかりに
涙を流しながらその場でくるくると踊りだした。
「ありがとおおおお! ありがとう咲夜あああぁっ!!」
「お父ちゃんうざいー」
「ざいー」
「やれやれ……。んじゃ、お姉ちゃんは出かけてくるで」
「お姉ちゃん、どこ行くん? こんな遅い時間に」
「ちょっとナギんところにな。って言うても、用があるんは借金執事のほうやけど」
そのセリフを聞いた妹、日向は興味津々とばかりに顔を近づけてきた。その背後で、
朝斗もおもしろくなさそうな顔で耳を傾けている。
「え、なになに。本命チョコ渡すんー?」
「なんであんな冴えんヤツに……」
「あー、ちゃうちゃう。あいつに渡すんはこれや」
「これは?」
「ふふ、名づけて『3つに1つはハズレだよチョコ改め実は3つに2つがハズレ
だよチョコ』や! まずハズレを引いて「もー昨夜さんひどいですよー」とか言うて、
油断したところに襲ってくる第2波を食らったときのヤツのリアクション……。
これは期待できるで……」
「さ、さすが、鬼やなお姉ちゃん」
「あとは味のほうやけど……、あ、もちろんハズレのほうな、ちょっと温ぅしてもうた
かな……」
「あ、あれええええ? 咲夜、咲夜ぁ!? お父さんのお口の中が、お口の中が、お口の
中がまさに口内の南大○焼失やあああああああああああああっっっ!!!?」
「お父ちゃんがヘッドスピンかましとるー」
「お父ちゃん、そのネタは冗談でも本気でヤバイでー」
「……大丈夫みたいやで」
「よし、ほな行ってくるわ☆」
ところ変わって三千院家。
「よーし、まだみんな起きとるな。神出鬼没のライセンサー、愛沢咲夜としてはこっそり
と……。お、おったおった」
リビングのドアを少し開けて覗いた先には、ハヤテとマリアが何やら話し込んでいた。
ナギはいないようだ。二人ともこちらには気づいていない。
しめしめとこっそり部屋に入ろうとした矢先、ふと聞こえた二人の会話に咲夜は
足を止めた。
「あれ、おいしいじゃないですかマリアさんの1作目のチョコ。……の破片」
「ええ、もちろん普通に自信作でしたから。……こちらもある意味自信作なんですが」
ため息を漏らすマリアの傍らには、もはや誰が見てもお菓子とは思わないような、
立派な鳥の彫刻同然のチョコオブジェが鎮座していた。
「はは……。けど、こういうすごく立派なものや、奇を衒(てら)ったようなプレ
ゼントも楽しいですけど、やっぱり僕は、送った人の気持ちが素直に伝わるような、
シンプルなプレゼントが好きですね」
「…………」
「じゃあこれを作り上げた私の努力は全くの空回りと……」
「い、いやそんなこと言ってないじゃないですかマリアさん!」
咲夜は、手の中のバレンタインチョコをじっと見つめる。
立方体の箱が3つ詰まった、網掛けの小袋。
「……そっかー。……お、ちょうどいいところに通りがかったな、1人と1匹」
「ハーヤテ!」
後ろから急に声をかけられ、ハヤテは驚いて振り返る。
「おわ、咲夜さんどうしたんですかこんな時間に。ていうかいつの間に」
「ご挨拶やなー。今日は何の日や思うてるん? ほれ!」
「わ、チョコですか。ありがとうございます!」
「なんやちょっと小さいなー、とか思わへんかった?」
「何言ってるんですか、咲夜さんからもらえたってことだけでもう嬉しさ満点ですよ」
「そ、そうか。それならええねんけど」
「こういうことをサラリと言ってのけるから天然ジゴロは恐ろしいですわ……」
ハヤテは大事そうに箱を開け、取り出したチョコをゆっくりとかみ締めるように味わう。
「……うん、おいしいです。外はしっかりビターですけど、中のカスタードが程よく
甘くていい感じですね」
「ふふーん、まさにウチみたいなチョコやろ」
「は、はは……」
「なーんやその苦笑いは、うりゃ!」
「ひゃ、ひゃめてくらさいよしゃくやさーん」
ほっぺたをつねりつねられ、しかし笑いの絶えない二人。
てんやわんやの2月14日は、こうして平和に過ぎていった。
「お嬢様ー! お嬢様あああああ!! クラウスのお口の中が大炎上、祭りだワッショイ
でええすぞおおおおぉぉぉっっっ!!!」
「Sharpens you up! Sharpens you up! ニャーーーーーッッッ!!!!」
「なんか、部屋の向こうからものすごい阿鼻叫喚が聞こえるんですけど……」
「気にしたら負けやで☆」
以上です。読んでいただけたら幸い、楽しんでいただけたらなお幸い。
エロネタだったら「ど、どこにチョコ塗っとるんや!」とかできたんですが、
まあ今回は見送りで。
リアルタイム遭遇きたあああ
GJ!!!!
なんだ最近のこの投下の多さはw
何にせよGJ! サクかわいいよサク
批判厨さえいなけりゃばんじおk
咲夜は最強のツンデレ
俺はそう信じている。
280 :
名無しさん@ピンキー:2008/02/15(金) 18:53:32 ID:Xi3Xqxhv
おなじく
>>230です
では書かせていただきます
携帯からの投稿なのでみにくいかもしれません
前半と後半に分けて投稿します
前半で不評だったら続ける必要性はないてみてやめますでは
「何ですかヒナギクさんこんなとこによびたして」
「ちょっと手伝って欲しくて……」
ハヤテはヒナギクに「ちょっと手伝って欲しいことがある」と言われて少しで終わると言うので生徒会室までついていったのだ
本当にすぐ終わるもので誰かが散らかした書類をかたすというものだった
「あっ、あそこにも書類落ちてるので僕がとってきますね」
「私の方が近いからとってくる」
「ヒナギクさん大丈夫ですか?ヒナギクさんたしか高いところが苦手じゃ……」
ハヤテ言う頃には遅くヒナギクのいるところは窓際だった
「あっ……」
ヒナギクは窓の下を見て倒れた
「ヒナギクさん!」
ハヤテは倒れたヒナギクのところに向かったがなにかにつまづいて転び手を付いたところはちょうどヒナギクの胸辺りだった
ハヤテは慌て、「すいません、ヒナギクさん」
ヒナギクはちょっと火照った顔で「ハヤテ君のエッチ」
その言葉にハヤテは嫌われてしまったと思いひどく落胆してしまったがそんな思考もすぐにぶっ飛んだ
ヒナギクが甘いなんとも言えぬ目で見つめてくるのだ
「どうしたんですかヒナギクさん!」
ハヤテは慌て目をそらす
「こうなったのはハヤテ君のせい何だからちゃんと責任とってよね」
その言葉でハヤテの理性が消え去りそうだった
今はここまでです
続ける必要性があるなら10時に投稿します
284 :
だっつ:2008/02/15(金) 20:19:46 ID:KipXrz/L
主婦専用:
https//gazoo.com/G-Blog/tsudatakahiro10920/index.aspx
>>283 良い感じで書けてるじゃん、続きを期待するよ
ただ改行のみの行は少ないほうがイイかな
286 :
名無しさん@ピンキー:2008/02/15(金) 20:48:39 ID:Xi3Xqxhv
期待してるね
時間を今に変更させていただきます
この時点でヒナギクは半裸だったがハヤテは目をそらしていたためそれに気付かずヒナギクのその姿を直視してしまった
見た瞬間ハヤテの理性はぶっ飛んだ
「もう、戻れませんからね」
そういってハヤテはヒナギクを押し倒した
「ヒナギクさんの胸案外大きいんですね」
ハヤテはヒナギクの胸をソフトに揉んでいった
「あっ…んっ…」
ハヤテの手はヒナギクのピンク色の部分に触れた
「やっ…だっ……んっ」
「嫌なんですか?ならやめちゃいますよ」
「やだぁやめないでぇ」
さっき触れたピンク色の部分はいまはイヤらしく勃起している
「あん…あっハヤテ君」
「あっ…ダメ…いやああっ」
「ヒナギクさんまだ胸しかさわって無いのにいったんですか?ヒナギクさんって変態なんですね」
「いやぁ…そんなこといわないでぇ…」
そう言ってる間にハヤテの手はだんだん下に降りていった
下に降りてくうちに硬くなったものがハヤテの手に触れた
「あっ…んっ…やっあっ」
さわるたびにクチュクチュイヤらしい水音が部屋に鳴り響く
「あっ…ダメいっちゃうぅ」
「またいったんですか?ヒナギクさんのイヤらしい姿を見てたら僕も我慢出来なくなっちゃいました」
そういいながらハヤテは自分のイチモツをとりだしヒナギクの秘部へあてがった
「ヒナギクさんいきますよ」
ズブブブブブチッズブブブブ
「あっ…痛いっ」
「ヒナギクさん大丈夫ですか?」
「無理しちゃだめですよ痛みが引くまで待ちましょう」
「ありがとう」
だいぶ痛みがひいたところでヒナギクが
「ハヤテ君もう大丈夫だから動いていいよ」
「分かりました」
最初はゆっくりピストンをしていった
パンパンパンといい音がしながらクチュクチュといったイヤらしい音もする
「あっ…ああっ…ハヤテ君」
ハヤテは段々と腰の動きを速くする
パンパンパンパンパンパン
「んっ……ああっ…はやてぇあっ…くぅん」
もう二回目の絶頂からヒナギクのお尻はすごい締めつけになりハヤテはいつもより限界が速かった
「ヒナギクさんそろそろ……」
「いいよきてぇ中に出してぇ」
パンパンパンパンパンパンパンパンパンパンパン
「ハヤテ君あっ…あっ…ああっ」
ヒナギクがいきその締めつけでハヤテもいった
「ありがとねハヤテ君責任とってくれて」
「別に構いませんよ、もとはといえば僕がいけないんですし……」
「お〜いハヤテ」
「お、お嬢様!?」
ガチャ
…………………
このあと三人がどうなったか知る人はいなかった……
続くかも…………
今まで読んでくださった方ありがとうございました
もしかしたら続くかもしれません
>>290 乙
だが、気になる事が一点。
とにかく、展開が速すぎる。
エロパロだからエロ入れればいいって考えもあるけど、
そこに至るまでの葛藤とか入れたらもっと良くなると思う。
エロシーンも全体的に急ぎすぎ。
パンパン連打は思わず吹いたけどw
妄想を文章に変換する途中で、必要な描写まで削られている感じがする。
本とか他の人の文章を読めば、もっと表現力をつくと思う。
がんばれ。
>>291さん
貴重なお言葉ありがとうございます
次に書くことがあれば参考にさせていただきます
すまん、手厳しいかもしれんが俺からも。批評うざい人はスルーしてくれ。
とにかく、文章もセリフも平易すぎる。頭の中ではいろいろイメージが浮かんでいるのだろうけど、
それを伝えるには言葉が足りなすぎる。
日本語がおかしい点も多く、それに加えて句読点がちゃんと打てていないから読みづらい。
「。」、「、」をちゃんと入れるだけで、だいぶ引き締まった文章になるはず。
また、セリフを読んでいても、なんだか人形が喋っているように聞こえてしまう。
それはやはり、二人の間で何が起こっているか、どういう感情の変化があったか伝わってこないから。
あと、感嘆符(!とか)は使いすぎると間抜けに見えるが、もう少し入ってもいいと思う。
とにかく書いてみたい、という気持ちは伝わってくるけど、文章自体あまり書いたことがないんじゃないかな?
携帯ではなく、紙面なりパソコンなりでじっくり書いて、それを客観的に読んで、直し、自分なりに
満足できてから投稿したほうが、より良い反応が得られるはずだし、書いているあなたのためにもなるはず。
文章が上手い人だけ書けばいい
やっぱり素人が書くもんじゃないですね。僕は見る方に戻ります。
いや・・・ここは頑張れよ・・・
エロ展開早いけど話の流れは好きだし、表現力つければもっと広がると思うよ。
てことで俺も句読点と本を読むことをおすすめする。
>>294 おまえのような奴がいるから職人が減るんだよ
最初から上手く書ける奴がいるわけねーだろ
>>297 いろんな小説をたくさん読んでる奴は、ほぼ例外なく最初から上手いよ。
小説を読まない人は、どうしてもト書き調になってしまう。
なんも読んでない奴が最初は下手なのはほぼ確実だが
けっこう読んでる奴が最初から上手いってこたあねえだろ
まあ、>290は下手だな
練習したらそのうち上手くなるかも知れん
ガンバレ
>>299 いやいや、小さい頃から読書の習慣がついてるやつは上手いぞ。
そりゃたまに可笑しなところとかもあるが、表現とかはちゃんと学んでるって感じで素晴らしいのが多い。
それは「上手」か「下手」かじゃなくて「読める」か「読めない」かの話な気もするが
まあ「読めない」ものが「下手」であるのは確かだけどな
これから投下する人にプレッシャーかけすぎだ
とりあえず、明らかに高校生以下な文面は勘弁。
実際の年齢も基準に達してないなら失せろ。
1.投下が連続して賑わう
2.投下や物書きは初心者っぽい感じの人も流れに乗って?投下する
3.文章が稚拙だと批判がどっと込む
4.KYな気分でしばらく雑談スレ化
そして以下繰り返し・・・何だか展開がループしてるような
個人的にはぶつ切りや割り込みみたいにマナーの問題でもない限りそう目くじら立てるようなものでもないと思うんですけどねぇ・・・
このスレには決定的にスルー力が足りてないですよ?
職人は書いていて楽しいから書く。読み手は読んでいて楽しいから読む。これだけでいいと思うのは、単純に考えすぎてるんでしょうか
あ、ちなみに自分、文章ベースはラノベ、エロパロベースはエロゲですが・・・頑張れば意外となんとかなるものですよ?
とりあえず初めての方は、自分の文章を書き終わって一晩してから読み直して、面白いと自信を持って言えたら投下してみるといいかも
「面白いかどうかなんて結局主観」ですけど、自分で自信が持てるなら辛口な批判が来ても批評として受け止められると思いますし
とりあえず個人的に言いたいことは・・・自ら間口狭めて自分の首絞めることもないだろうし、挑戦者求む! ってことで
>>305 SS投下する
まで読んだ
wktkしてるぜ
>>305 3が無いと2の人が中々上達しないかと
オマイの作品は楽しそうだ 期待するよ
三村もハヤテ見てんのかな?確かに親近感沸く。
次課長の井上とかは見てそうだけど。
今はPCだけど、携帯から書き込めない、なんで?アク禁されたんかな?
誰か教えてください。
310 :
名無しさん@ピンキー:2008/02/16(土) 23:07:01 ID:/7Km8aAk
保守
保守だ
保守用小ネタ しかも書きかけ
・エロくない ・説明がやたらに長い ・文書が硬い
以上が嫌な方はスルー願います。
「!‥‥ハッ、ハッ、ハヤテの部屋のドアが‥‥、開けっぱ‥‥!!」
ナギは、掃除の行き届いた薄紅色の絨毯が敷き詰められた廊下に立ち尽くしていた。
目の前には、半開きになったハヤテの居室のドア。
今、屋敷にはナギ一人しかいない。
クラウスとマリアは帝に呼び出されて本家へ行っており、ハヤテは白皇学院で補習を受けていた。
補習は、ハヤテのような必修者の外に希望者も参加できるのだが、ナギはコンクール用の新作漫画の追い込みがあったために参加しなかったのだ。
「あ‥‥、開けっぱとは、無用心にも程があるぞ!そ、それにだ、情報通信網の高度化によって社会や人間関係が複雑になっている現代にあっては、プ、プ、プライバシーの確保の困難さはますます増大しているのだ!!そ、それなのに‥‥」
ナギの場合、振り回す文言や理論の難解さと、心理的混乱の程度は正確に正比例の関係にある。
彼女の足は、靴底にあたかも強力な接着剤を塗られたように、その半開きのドアの前に釘付けになっている。
唾を飲み込む音が、大きく耳元に響く。
少しずつ腰を屈め、上半身をおずおずと突き出すようにして、入り口から、そっと室内を垣間見る。
これ以上ないほどの速さで、鼓動が強く、速くなる。
自分が激しく恋焦がれる男の、文字通り“心の中”をこれから覗くのかと考えると、耳がカッと熱くなり、後頭部に急激に血が集まる感覚に、一瞬、目の前が白くなる。
緊張と興奮によって全身は速やかに無感覚になっていったが、細かく震える膝を何とか励まし、摺り足でドアに近づく。
歩を進める度に、足の裏からの刺激がチリチリと脛に這い上がってくる。
ぎこちない自動人形のように歩くこと数歩。
とうとう、つま先が敷居を越え、愛しい男の部屋に一歩を記す。
「(この私の一歩は小さい一歩だが、私にとっては大きな一歩だ!)」などと、他の惑星に探査に行った感想のような文言がナギの頭の中に渦巻く。
半開きのドアのノブをそっと押す手に、ノブがやけに大きく、ドアがとてつもなく重く感じられる。ノブに触れた指先から、ビリビリとした感覚が肘にまで伝わる。ナギは、自分の手が冷え切り、血の気を失っている事に気が付いた。まるで他人の手のように冷たく、白い。
やっとの思いで侵入した室内には、レースのカーテンが和らげた日の光が満ちていた。
更に、二歩、三歩‥‥。上質な床材がコツコツと足音を刻む。
正面の窓辺には、寝具がきちんと整えられたベッドがあった。その横にはやはり几帳面に本が高さ順に並べられている勉強机。
「(‥‥あっ!)」
完全にハヤテの部屋に入ってしまったことで肝が据わったからなのか、ほんの少しだけ感覚を取り戻したナギの鼻腔は、ある匂いを捉えた。
「(ハヤテの、匂い‥‥。)」
ほんの微かな香りだが、想い人の香りにナギの心臓は激しく高鳴った。
私が危機に陥ると、誰よりも早く駆けつけて逞しい腕で抱き上げ、鬱蒼とした木立の中だろうと飛び石しかない池の上だろうと構わずに、ハヤテは全力で駆け抜けてくれる。
そうした、さすがのハヤテでもいささかの汗をかかざるを得ない出来事の最中には、ほんの一瞬立ち止まった瞬間、或いは風向きの具合などで彼の匂いを強く感じることがある。
その時程では無いにせよ、これは確かに、ハヤテの匂い。
と、次の瞬間、ナギの瞳がキラリン!!と輝き、その視線が、ベッドの上にきちんと畳まれて置かれているハヤテのパジャマに注がれる。
ふらり、とした足どりでベッドに歩み寄る。
「あ、あ、あくまでも、使用人がどのような環境で睡眠をとっているのか、つまり、ベッドの硬さをだな、調べるだけなのだ‥‥」
勿論今までナギはその様な経験をした事は無かったが、まるで混みはじめた電車の中で一癖在りそうな客の間に挟まれた座席の隙間に座るように身を小さくしながら、ベッドにちょこんと浅く腰掛ける。
パジャマを手に取り、その匂いを確かめたい。しかしここで、ナギは、ハヤテが毎夜無防備に身体を預けているベッドに腰掛けているという現実に気付き、しばし強い興奮と幸福に浸ってしまった。
やがてその興奮も収まり、ぎこちなく身を捩ると、おずおずと伸ばした両手で、そっと掬い上げるようにパジャマを持ち上げた。
肌触りの良い綿の生地に形の良い小ぶりの鼻をゆっくりと埋め、深く静かに息を吸い込む。
「(‥‥!)」
ハヤテは元々体臭が強くはないし、物心ついた時から肉体労働も接客業も満遍なくこなしていたこともあって、身体を清潔に保つ習慣が身に付いていた。
そのため、年頃の少女ならば思わず顔を顰めてしまうような脂っぽい男臭さや不潔ですえた汗臭さなどとは全く違うものだが、それでもやはりそこにはハヤテその人を強く感じさせる彼特有の匂いがあった。
ハヤテの匂い。
出会ったあの夜、降り出した雪が街を白く染め始めたクリスマス・イブ。
自動販売機とやらの中にある『あたたか〜い』が手に入らず寒くて死にそうだった自分に、ハヤテは「女の子が身体を冷やすのは良くないから」と彼のコートを着せてくれた。
そこにふんわりと篭っていた温もりと共にあった匂い。
「(ハヤテ‥‥。)」
痛いほど心臓がバクンバクンと激しく波打ち、鼻腔を中心点にポーッとした火照りが体の隅々までじわじわと広がっていくのを感じて、少女はふるふると小さく震えながらほんのり色付いた溜息を漏らした。
自らの溜息の艶めかしさに、はっと我に帰る少女。
「わ、わ、わ、私は何をしているのだッ!?いや、これは、使用人の着衣の衛生‥‥。」
しかし、ナギは再び熱を帯びた溜息を漏らすと、誰とも分らぬ相手に対する言い訳を中止した。
そして、パジャマを、せわしなく上下している胸元に押し当てるようにして抱き締める。
(これが、ハヤテの頭だったら‥‥)
そうだとすれば、ハヤテの顔は、今、自分の胸元に埋められていることになる。
ナギを傷付ける者に対しては凍り付くほどに冷酷な表情となるが、普段は蕩ける様な微笑を湛えているハヤテの顔は、何時まで見ていようとも決して見飽きることはない。
そんなハヤテの顔が、今‥‥。
「‥‥ハヤテぇ‥‥。」
いつもの断定や命令の口調とは全く違う、甘い女の声音がナギの口から漏れた。
ナギは、自分の胸元にハヤテが深々と顔を埋めているという妄想を思う存分膨らませていく。
ハヤテの顔が、その位置を少しずつ変える。
その唇が、薄手のTシャツの生地の下にある膨らみ始めたばかりの乳房をなぞる。
その頂きを捉えようと緩々と蠢いていた唇が、目的の場所を探し当てる。
少年の唇が、硬くなり始めた小さな突起を、ほんの少しだけ力を入れて咥える。
ナギは、片方の手でパジャマを胸に押し付けながら、もう片方の手をそれとTシャツの間にモゾモゾと差し入れると、ノーブラの胸にツンと浮き出た乳首を生地の上からキュッと摘んだ。
「ひッ!」
短い嬌声を発しながら、少女は肩をピクンと震わせた。
それを合図としたかのようにナギは全身の力を抜き、まるでスローモーションのようにベッドに仰向けに倒れていく。
ツインテールに整えられた長く美しい金髪が、ベッドの上に風紋のような文様を描く。
寝転んでいることで髪が左右に分けられ、如何にも聡明そうな額が覗く。
緩く弧を描く細い眉の下には、何時もの挑戦的で自信に満ち溢れた眼差しの代わりに、愛しい男を想ってトロンと潤む翡翠色の瞳。
その目元からふっくらした頬にかけては、見ているほうが気恥ずかしさを感じる程に紅に染まっている。形の良い耳も、それに負けないくらい、濃い桜色に染まっていた。
ナギは既に自慰を知っていたし、してもいた。
その知識や興味の供給源は、勿論、彼女の膨大な同人誌コレクションや青年コミックだが、それをすることが楽しいと思うようになったのは、つい最近のことだ。
初めて「してみよう」と決心した時、乳房や乳首はともかく、自分のものとはいえ秘所に触れる事には嫌悪にも似た抵抗感があった。
ようやくそれを克服しても、なかなかコツが掴めずに思わず擦りすぎてお風呂の時に沁みたりした。
上手に出来るようになった直後、マリアと一緒に寝ている時にコッソリやり、絶頂の寸前、いきなり彼女に「どうしたの?泣いてるの?」と声をかけられて死ぬ程慌てたという経験をしてからは、
昼間、主にマンガの執筆に使用している自室で、中側から鍵をかけてするのがスタンダードとなっている。
お相手は、或いは筋骨隆々の剣士、或いは獣人の美少年、或いは機動兵器の美少女パイロットなどにハヤテの面影を重ねたキャラクターだ。
何故なら、ハヤテを直接おかずにすると、決まって妄想の途中から彼を弄んでいるような罪悪感に囚われ、醒めてしまうからだ。だが、ハヤテとの間でラブラブなイベントが発生した後などは、彼との身体がバラバラになりそうなほど激しい情事を心行くまで妄想できた。
「ふぅ、‥‥んッ!」
唇と乳首を隔てる布が鬱陶しい。
もっともっと、ハヤテの愛撫を直に素肌に感じたい。
「(そうだ‥‥!)」
少女は徐に身を起こし、パジャマをそっと傍らに置くと、もどかしそうに身をくねらせながら、しっとりと汗を含んだTシャツをベッドの上に脱ぎ捨てた。
つつましやかだがふんわりと形良く隆起した乳房と、その先端でぷっくりと勃ち上がっている赤い乳首が露わになる。
肌理細やかな白い肌はすっかり桜色に上気し、うっすらとかいた汗で艶めかしく光っている。
甘酸っぱい少女の匂いが辺りにふわりと漂う。
もし、宜しければ、どなたか続きをお書きくださいませ。
このあと、補習から帰ったハヤテ君が、ハヤテくんのベッドで寝てしまった半裸のお嬢様を見つけて…という展開にしたかったのですが、ドライアイになり、発想と体力が続かず、断念‥‥。
>>323 取り敢えず、改行だけは気をつけろ
あと、そこまで書いたなら続きも自分で書いた方が良い。
325 :
sage:2008/02/17(日) 08:01:21 ID:tsh0DGzk
>>323 GJ〜〜〜!!!!!続き期待してるよ〜〜〜〜!!!!!!
スレで一気に書くんじゃなくてメモ帳で保存しておけばいいぞ
>>323 ぐじょぶ
sageは小文字でsageにするといいよ
続きに期待
GJJJJJJJ
以前、愛歌の中の人ネタと危ない美希ネタを投稿した者。
8〜10レス以上使用。
『生徒会長はリリアン女学園の夢を見るか』
今朝、たまたま学校の正門付近で合流した朝風理沙と花菱美希は二人並んで時計塔に向かう。
時計塔が目的地なのは間違いないが、より正確に言えばその内部にある生徒会室である。
女子生徒しかいない生徒会室は女の花園であるが、来訪者は役員以外には少ない。
厳格に立ち入りを禁止しているわけではないが、それでも一般の生徒が来るのは稀れである。
――去年までは。
そんなことを二人は――普段する会話としては珍しく真面目な部類に入るであろう――
話しながら歩いていると、見覚えのある後姿を時計塔の前で視界に捉えた。
「おはよう、泉」
二人が片手を挙げて呼びかける。
瀬川泉は「はい」と返事をしながら、ゆっくりと全身で振り返った。
「ごきげんよう、理沙さん、美希さん」
「…………!?」
はたして三点リーダにエクストラメーションとクエスチョンの二つのマークを加えたものが
どのような音になるのか、いささか疑問だが二人は驚き、文字通り言葉を失った。
完全な不意打ちである。
「どうかされまして?」
言葉につまった二人に対し、泉は微笑みながら首をかしげる。
やけにゆっくりと発せられる言葉。
いつもの元気っ娘の印象は抑えられている。
表情もにこにことした笑顔ではなく、細目でどこか憂いを帯びており、背景には薔薇が咲き乱れていた。
「いっいやいや、いやいやいやいや、どうかしたのは私たちではなくおまえのほうだと思うぞ」
過剰気味に体をのけ反らせていた美希が言った。
「そっそうだそうだ、何かかどうかしてどうかなったのか?」
意味不明なことを口走る理沙も美希と同じような姿勢をとっている。
平たく言えば、二人は引いていた。
「頭でも打ったのか?」と美希。
理沙はそれに続けて、
「それとも落ちていた物でも食べたのか?」
「ちっ違うよ!」
さすがに自身の名誉に関わることだったせいか、泉はいつもの調子に戻り否定する。
ところで、なぜ人はいつもと違う言動をすると悪い物でも食べたのかと言うのだろう。
一種の定型句なのかもしれない。
「だったら、なぜ…」
三人並んでエレベーターに乗り込み、『閉』のボタンを押しながら理沙が尋ねた。上昇開始。
「うん、ちょっとね…」
言葉を濁した泉に、美希と理沙の目がきらーんという擬音語が似合いそうな光を放った。
二人はお互いに確認しあうように一言。
「男か」
「男だな」
「そっそうじゃないよ!」
泉は両手をぶんぶん振って否定する。
あごに手をあて、美希は言った。
「だとしたら、相手は誰だ?」
「それよりも、泉に先を越されるとは。こう見えて案外魔性の女なのか」
泉の言葉などすでに届いていなかった。
二人は勝手に推測して想像し、憶測して妄想している。
「相手は…、まさか大河くん!」
目を見開いて叫ぶ美希。
「いっ泉はショタだったのか!?」
理沙もそれに合わせるように叫び、二人は声をそろえて、
「なっなんだってー!?」
なんて。
このような遊び心があるということは本気で信じているわけではないだろう。
…たぶん。…きっと。…おそらく。
…冗談、ですよね?
「だから〜、違うって…」
根も葉もないショタコン疑惑をかけられたところでエレベーターの扉が無機質に開いた。
生徒会室にはすでに三人の人間がいた。この前の行事の後始末として報告書を作成している。
その報告書もすでに九割方完成し、後は不備が無いかチェックするだけだった。
「まったく、あの三人は何をやってるんだか…」
最後の行程が終わったところで桂ヒナギクは言った。
「いつものことでは?」
春風千桜がメガネを上げながら言う。
そう、いつものことである。
彼女たちは――意図的かどうかは定かではないが――終わったころにやって来ることが多い。
「まあ、そうなんだけど・・・」
ヒナギクもそのことに関しては今まで特に何も言わなかった。
いや、生徒会に入った当初は言ってた気がする。
慣れ――というよりは、諦めに近いのかもしれない。
「何か思うところがありそうですね」
とんとんとできあがった報告書の端を揃え、霞愛歌はヒナギクに視線を向ける。
「二年生になる以上、一年生のお手本にならなくちゃと思ってね」
「会長らしい良い心がけです」
「だから、三人にはもっと先輩らしくなってもらわなくちゃ困るのよ」
とため息を吐いたところで。
「あら、来たみたいよ」
エレベーターの到着の音に気づいた愛歌がそちらを向いた。
何やら雑談が聞こえてくる。
「ちょっとガツンと言ったほうがいいみたいね」
遅刻してきた上におしゃべり。
本来なら特に気にかけないが、今日は先輩になるという心構えがあったためか、
見過ごせるレベルではなかったのだろう。
がちゃりと。
ドアが開いた。
「あなたたち、二年生になるんだから今度からは遅刻しないこと」
これがガツンとした内容なのかは各々の判断に任せるとして、ヒナギクはその言葉を発――しようとしたが、
できなかった。
ヒナギクの前に泉が先に言葉を発したからだ。
「ごきげんよう、ヒナギクさん。おかわりなくて?」
え……?
美希と理沙同様三人は言葉を失った。
「実はある小説にはまっていてね。つい…」
生徒会の面々はソファに座り、優雅に紅茶を飲んでいる。
泉のしゃべり方が変わっていたのは好きな男の子ができたわけではなく、ただ単に小説の影響らしい。
ちなみにその小説がなんなのかはヒナギクと愛歌にはわからず、千桜だけが瞬時にわかった。
「まったく、子どもね・・・」
カレーライスは甘口のヒナギクが呆れた調子で言う。
「舞台となる学校がお金持ちの学校でね、生徒はお嬢様ばかりでどうも人事のように思えなくて」
「でも小説は小説。フィクションでしょ?」
人によっては「このリアリストが!」と言われてもおかしくない台詞だったが、
幸いというかそのような剛の者は今この場にいなかった。
「そこで」美希が紅茶をすする。「私たちも二年生になるわけだが」
「そうね」
自覚あったんだ、とヒナギク。少し感心。
「私たちももう少し淑女になろうと思うのだが、どうだろう?」
「どうだろうって……」
突拍子のないことだったが、まったくもって意味不明というわけでもなかった。
なにせ、この学校にはそういう方向に進む生徒が多数いるからだ。
淑女であることはプラスになっても少なくともマイナスにはならないだろう。
「ちなみにハヤ太くんが好きなのは熟女だ」
美希がすました顔で言った。
「そっそうなんだ……」
ヒナギクは「うわっ嫌なことを聞いた」という顔をしたが、周りは声を押し殺して笑っている。
「まあ、一理はありますね」
「そうですね」
笑いが治まった愛歌と千桜もそれに賛同したようにうなずいた。
「それに男の子はそういう女の子のほうが好きですしね」
愛歌がすました顔で言う。
ヒナギクは片手を腰に当て、
「でも、あなたたちがそんな淑女になれるのかしら?」
淑女とは程遠いとまでは言わない。
しかし――しかしである。
彼女たちが淑女になれる――のだろうか?
「ふふふ」理沙が不敵に微笑む。「意味ありげな微笑み」
自分で言って片手を広げ、「私たちはこう見えてもリアルお嬢様だぞ。それなりの教育は受けているさ」
「そういえば、そうだったわね」
そんな設定である。
すっかり忘れていた。
お嬢様に見えるのはその財力だけのような気もするが。
「ただ一つ問題が」と美希。
「なに?」
「理沙が言ったように私『たち』はそれなりの教育は受けているが……」
みんなの申し訳なさそうな視線がヒナギクに集中する。
「えっ…?」
「ヒナが淑女になれるかどうか」美希はアンニュイに息を漏らす。「問題だよな」
そうなのだ。
確かにヒナギクの家はお金持ちではあるが、美希たちほど――というわけではない。
淑女としての教養、マナー、モラルに関する教育など受けたことはない。
そのことを失念していた。
「わっ私だってちゃんと淑女らしくなれるわよ!」
ねえ、みんな――と、視線を美希から周囲に移すが、
「そう、だね…」
「そう、だな…」
「そう、ですよ…」
「そう、ですね…」
一応、賛同したのだが、なぜか目を合わせようとはしなかった。
「ちゃんと目を見て言いなさいよ…」
「というか、普段のヒナを見れば当然のことだと思うぞ」
美希が囁く。
「淑女なヒナ」口に手を当てるが、ぷくすぅと笑いを漏らし、「想像できん」
「うるさいうるさいうるさーい」
「ヒナちゃんシャナみたい」泉はうれしそうに言う。「灼眼のシャナならぬ灼眼のヒナ。なんちゃって」
「おっ、上手いこというな泉」と理沙。
「えへへ」
「と、いうわけでさっそく練習だ」美希は立ち上がる。「生徒会長が淑女らしく
振舞えなかったら話にならないからな」
少し広い空間に移動し、ヒナギクが中央に、美希を除く生徒会の面々は壁際、
美希はヒナギクと他の役員たちとのあの間に立っていた。
「まずは基本。あいさつからだ」
てってけてー。
生徒会による淑女講座――始まり始まり。
「愛歌さん頼む」
壁際に理沙、泉、千桜と並んでいた愛歌は「はい」と返事をしてから前に出る。
「朝晩昼夜を問わず、挨拶はごきげんようです。それでは実演を」
それは実に自然な動作だった。
違和感なくそのままの空気で。
流れるように。
「ごきげんよう」
みな心を奪われた。
似合いすぎる。
生徒会室が無音となるほどに。
「ほー、さすが愛歌さん、実に自然だ」
「うむ。ザ淑女って感じだ」
一瞬の静寂を美希と理沙が賞賛の言葉を投げて破り、泉は「すごーい」と手を叩いた。
それに合わせるように、千桜も――何か思うところがあったようだが――手を叩く。
「それでは、今度は会長がやってみてください」
「うっ…それじゃあ、いくわよ」
わざとせきをしてヒナギクは、
不自然ではないように。
上品に見えるように。
「ごきげんよう」
まあ、何と言うか…想像以上で。
がんばったのはわかる。が。
みんな一生懸命だった。
声を押し殺そうと――笑いをこらえようとしていた。
「えっ、えっとヒナ、なんかゴメン…」
「なんで謝るの!?」
「うん、なんかすみません…」
「理沙まで!」
そんなヒナギクに他の三人は優しい言葉を投げかける。
「よっよかったよ、ヒナちゃん」
「ええ、なかなかの淑女でした」
「良かったと思います」
「…なっなんだか無理やり言わせてる気がする…」
これでヒナギクが納得したかどうかはわからないが愛歌は壁際に戻り、
第二ステージへと移行することになった。
「次は後輩のタイ、まあスカーフだな、これを直してやる練習だ」
「? そんなの簡単じゃない」
冒頭に疑問符を置いたのは、そんなの取立て練習することではないと思っているからだろう。
そもそもなぜ、それを練習するのだろうか? とヒナギクには疑問である。
「これは…」
実演してもらう相手を探そうと美希の視線が宙をさまよう。
「はーい、私に任せたまへ〜」
泉が元気いっぱいに挙手して、前に出た。
「なら、私が後輩役をやろう」
理沙も壁際から離れる。
「ええと、協力してもらうのはうれしいんだけど、この練習は必要なの?」
ヒナギクが片手を広げてたずねた。
「何言ってるの、ヒナちゃん! とっっても大切だよ! 後輩のタイを上手く直せるか直せないかで
人生変わってくるんだからっ!」
「そっそうなんだ…」
そんなに重要なことなのか、とヒナギクは驚いて引き下がった。
と、いうよりは気圧されたのが正直なところである。
人生が変わるのか……。
………………。
うっそだぁ〜。
まだ半信半疑ではある。
「というわけで実演します。理沙ちん、後ろむいて」
「わかった」理沙がくるりと回転する。
「それじゃあ、いくよ」
寸劇の開始である。
「理沙さん」
背後から呼ばれ、理沙はまず「はい」と返事をしてから、全身でゆっくりと振り返った。
すばやく振り返ってはいけない。淑女たるもの上品に。
「なんでしょうか?」
泉はそれには答えず理沙に近づき、首の後ろに手を回し、タイを直して一言。
「タイが曲がっていてよ」
寸劇終わり。
拍手が巻き起こる。
「おお〜、読んでるだけはあるな。なかなかのお姉さまぶりだった」
「しかも普段とのギャップでかなりの萌えだったぞ」
美希と理沙の評価に泉は口元をほころばせた。
「えへへ、実は前から一度やってみたかったのだ」
もしかして練習してたのか、とヒナギクはつっこもうと思ったが、心の内に押しとどめる。
「じゃあ、次はヒナちゃんの番だよ」
ヒナギクは少しげんなりしたが、こんな感じで練習は続いていくのだった。
悪戦苦闘。
四苦八苦。
友情、努力、勝利の方程式。
その結果――、
「ごきげんよう、みなさん。おかわりなくて?」
意識して発せられた上品な声音。
"作られた"微笑み。
なんとも演じているということが丸分かりの所作だったが、
生徒会の面々が硬直するには十分だった。
やっぱり無理があるよな、と理沙は顔を引きつらせる。
もちろん、本人の前では言わない。せっかく乗り気…になったかどうかは怪しいのだが、
機嫌を損ねる必要は微塵もない。
しかし、硬直したのが生徒会の面々――つまり、この場にいる当事者以外の全ての人間なので、
理沙と同じように思っているのは彼女だけではないだろう。そもそもの発端となった人物さえ今は
賞賛の言葉を投げかけているが、一瞬固まったのだ。スタンド使いが近くにいる可能性も無きにしも非ずだったが、
この世界のリアリティレベルはそこまで許していなかった。
違和感。
まあ、似合っていなかったのだろう。
普段の行動が普段なだけに。
異質な言動は異質なだけであるように。
「あら、泉さん。タイが曲がっていてよ」
ヒナギクは凛とした声で泉に近づき、彼女のタイを直す。
と、そのとき――、
「失礼します」
「ヒナギクー、例の件だが――」
綾崎ハヤテと三千院ナギが顔を出す。
入室した二人が見たのは、
泉のタイを直すために彼女の背中に手を回したヒナギク。
ヒナギクにタイを直してもらっているため至近距離になり、恥ずかしさで目線を下げている泉。
近距離のヒナギクよ泉だったわけで。
一見、ヒナギクが泉を抱きしめているようにも見えたわけで。
「…………」
ハヤテとナギは絶句。
その絶句の意味をヒナギクが理解するのに数瞬かかり、さっと泉から離れる。
「ちっ違うの! こっこれは!」
身振り手振りを交えて弁解を始めるが、
「ごごごゆっくりー」
「失礼しましたー」
二人は顔を赤らめ、あわててエレベーターに引き返す。
生徒会室には静寂だけが残された。
「うむ。今のは完全に誤解されたな」
「まあ、仕方ないさ」
やれやれ、と人事のような美希と理沙の言葉。
泉、愛歌、千桜が苦笑いを浮かべる中、ヒナギクはぷるぷると体を震わせて絶叫するのだった。
「もう絶対に淑女なんてならないんだからっーー!」
お約束。
七転八倒なんとかかんとかに空前絶後ー
というわけで今回の裏オチ。
下降するエレベーターの中。
「それにしても驚いたな、まさかあの二人が・・・」
「ええ。というか、今回は何も見なかったことにしましょう」
「そうだな…そうしよう。百合だったことは忘れよう」
「…………」
ナギの露骨な表現に、あえてその言葉を避けていたハヤテは言葉に窮したのだった。
《The dream to become the lady》 is the END.
以上です。長いのは初めての投稿で、改行の感覚などいまいち把握できず、
色々と実験させてもらいました。前半と後半で行間が違うのはそのためです。
なるべく見やすいよう心がけたつもりですが…。
近距離のヒナギクよ泉だったわけで。
[と]が[よ]になってる…OTZ
おまけ
「おはよう、お母さん!! では、学校に行ってきまーす」
さわやかな朝、どこまでも高い青空に私の声がこだまします。
「えっ? 文ちゃん、また今日もこんな朝早くから!?」
「うん! だってじっとしてられないんだもん!」
お母さんの制止を聞かず、私は元気いっぱいに外に出ました。
「行ってきまーす!」
私、日比野文。高校一年生。
この春から私は白皇学院の生徒になりました。
何度となく見たことあるような出だしに見えたら、たぶんそれはデジャヴです。
ちなみにデジャヴの反対はメジャヴというそうです。
「さぁ、今日はどんな素敵な出会いがあるのでしょうか」
マジでキスする五秒前、MK5。
素敵な恋の予感。恋だなんて私にはまだ早すぎる気がしますが。
学校の広ーーい敷地をきょろきょろしながら歩いていきます。
「昨日のメイドさん、素敵な人だったなぁ…」
思わず息が漏れちゃいそうです。
あんな素敵な女性に私もなれるでしょうか。
「お待ちなさい」
凛とした聞き覚えのある声がします。
誰か呼び止められたようです。
だけど気にせず、私は素敵探しを続けます。
「って続けるんですか!」
あれま。
ツッコミを入れられてしまいました。
もう一ひねり欲しかったのはここだけの話です。
私は振り返ってその方を確認します。
「あっ、あなたは――」
ここは「誰でしたっけ?」というのがお約束なのですが、
あえて。
「私と一緒に時計塔を見学した人!」
「…………っ」
目を細めて見られてしまいました。
これはいわゆるガンを飛ばすという奴でしょうか。
にらむとも言います。
「私は見学者じゃありませんよ」
メガネを上げて、その方は言います。
「生徒会書記の春風千桜です」
なんと! 生徒会役員さんでしたか。
「私は日比野――」
文さんでしょ?と私が言い切る前に春風先輩は言いました。
「どっどうしてそれを? あなたはいったい…」
「さきほど生徒会書記の春風千桜と申しましたが」
と、先輩は一歩前に出ます。
「あなたのことは会長から聞いています」
会長。
つまり、生徒会長さんのことですね。
昨日のメイドさんと同じくらい素敵な方でした。
あの方が私のことを話したというだけでとてもうれしいです。
「それで、あの、私に何のご用でしょうか?」
先輩は私の質問には答えず、無言で私に近づいてきます。
もっもしかして、何か粗相をやらかしてしまったのでしょうか。
「持って」
先輩は手にしていた鞄を私に差し出します。私がわけもわからずそれを受け取ると、
先輩はからになった両手を私の首の後ろに回しました。
「?????」
なっ何が起こったかわからず、私は目を閉じ固く首をすくめます。
脳内はクエスチョンマークでいっぱいです。
もっもしかして、このまま膝蹴りを頂いててしまうのでしょうか。
私の首をつかみ、膝蹴りをくらわす春風先輩。
想像してみましたが、実にシュールです。
おそるおそるですが、そーっと目を開けてみると、そこには春風先輩のお顔が。
「タイが、曲がっていてよ」
「えっ?」
なんと先輩は、私のタイを直していたのです。
「白皇学院の生徒なる者、身だしなみはいつもきちんとしてください」
そう言って、先輩は私から鞄を取り戻すと、「ごきげんよう」を残して、
時計塔に向かって歩いていきました。
その姿は多少のイレギュラーはあったもののどこか満足したという様子です。
私は思わず、
「祥子さ――じゃないです、千桜さま!」
と叫びましたが、白薔薇のつぼみじゃないです、春風先輩はすたすたと
振り返ることなく歩いていかれました。
「マリア様の意地悪」
などと呟いてみましたが、この学校にはマリア様の像はありません。
これはまだ桜が咲き乱れる春先の出来事。
「ふふふ、これでまたノートに書くことが増えたわ」
と生徒会副会長、霞愛歌先輩が私たちの様子を秘密のノートに書いていたことが
発覚するのはこれより一週間後のことで、それはまた別のお話。
345 :
sage:2008/02/17(日) 15:54:24 ID:tsh0DGzk
GJ!!!!!
楽しませてもらいました!!!!!ヒナはほんとに淑女とか似合わなさそうwww
乙です
ナギハヤを書いた者です。
324、326、327様、アドバイス、有り難うございます。
325、327、328様、GJを頂き、とても嬉しいです。
324様、326様、この作品はワードで書いて貼り付けたもので、改行の不自然さは私の文才の無さが原因かと…。
H描写はあまり得意ではなく、心理小説のようになってしまうかも知れませんが、何とかがんばってみようかなと思います。
あ、まだ『ナギハヤ』が成立してないですね。申し訳ない。
>>347 ワードで書いた後、メモ帳に貼り付けて確認するといい。
一行が長かったら読点で区切ればOK。
一行を40字程度を目安にすれば読みやすい。
つか、ワードの設定で40字に固定にすればいいのか。
でも、ワードって重くね?
同人誌用にガッツリ書くときは最初からワードでいいけど、
短いSS書くなら、フリーのテキストエディタもいいよ。
ちなみに俺が使ってるのはTeraPad。
他の職人は何使って書いているのか、ちょっと興味がある。
>347
こーいうナギハヤは大好物なんだぜ
続き待ってる
スレが段々飽食の餌食になっていく…
名前欄に提げとかしてる奴はなんなの?釣りなの?
IEとかから書き込むと時々間違えるよね
>>352 俺は壺使いだけど間違えない、慣れてるから。
流石に専ブラ使おうぜ
322の続きです。まだ「ナギハヤ」が成立してません。
・H描写が少ない上に稚拙 ・説明がやたらに長い ・文章が硬い ・台詞に二点リーダが多い
以上が嫌だという方は、スルーをお願いします。
ナギは、パジャマの上着に緩々と両手を伸ばしてそっと両肩口の辺りを摘み上げると、一回パサッと払ってしわを伸ばし、ファサッと羽織るように背中に回すと、細く白い腕を優雅に操って袖に通した。
前身頃の左右を合わせ、するすると落ちてくる袖口に少々難儀しながらボタンをかける。
そして、自分をきつくきつく抱き締めた。
『間接キス』といえば甘酸っぱい青春ラブコメの必須要素だが、その“成立要件”は「ある物体―例えばコップ、ジュースの飲み口、縦笛の吹き口など―の、自分が好きな相手の唇が触れた箇所に、自分の唇を付ける」だ。
ならば、「ある物体の、自分が好きな相手の“肌”が触れた箇所に、自分の“肌”を付ける」というのは‥‥?
それは、『間接キス理論』によれば、「互いの裸の胸と胸をくっつけ合っているに等しい」ということになる。
少女は腕をゆっくりと解くと、今度はパジャマの上から自分の上半身を隅々まで撫で擦る。
「‥‥、ふうッ‥。」
甘い吐息が漏れ、妄想がむくむくと湧き上がる。
ハヤテの優しい掌が、ナギの首筋を、鎖骨を、肩を、二の腕を、肘を、そして指先まで撫で下ろし、更に、脇腹、臍を撫で上げ、肋骨を一本一本数えながら這い上がって乳房に辿り着く。
少女の汗がパジャマの布地の中でハヤテのそれと混じり合い、その匂いが少女の鼻腔を充たしてゆく。
「(抱かれてる時って、こんな匂いがするのかな‥‥?)」
そっと両乳房を包んだハヤテの掌がもぞもぞと蠢きだし、徐々にその動きが強くなってゆく。
「ハヤテッ‥‥。」
順調に膨らみつつある少女の乳房が彼女自身の手で揉みしだかれ、少々厚めのパジャマの生地越しでも、コリコリとした乳首の感触が掌に伝わる。
「‥‥、ハァ‥‥、あアッ‥‥。」
少女の腰は切なげにくねくねとくねり、それに合わせるように両膝がぐりぐりと擦り合わされる。
「(‥もう、そろそろ‥‥。)」
先程と同様、ナギは上半身の力を抜き、ベッドに仰向けに倒れ込んだ。
片方の手がそろそろと下半身へ移動し、仕立ての良いキュロットのボタンをはずす。
その内側のフックもはずされ、ジッパーがゆっくりと下げられる。
インクの染みと出来かけのペンだこがあるけれど細くてきれいな指が、白いショーツに辿り着く。
今そこがどのような有様になっているかなど、先刻承知。
ただ、ハヤテに触って、挿れて貰いたいだけ。
先ずショーツの上から指を這わせたが、思っていたより遥かにびしょびしょに濡れていて、それが自分のイヤラシさを証しているようで、耳たぶがカーッと急速に熱くなっていくのがわかった。
痛々しいくらいに紅く熟れている少女の秘所は、布の上からの刺激にもとても敏感に反応する。
「ひゃン!!」
いつもと同じ強さで陰核を摘んだだけなのに、鋭く大きい快感が少女の脳に突き刺ささった。
短いが大きい嬌声と共に、首筋に力が入り、腰が何かを避けるように或いは求めるように力強くグリッと旋回する。
自動的に指が陰唇の位置を確認し、摩り始める。それに比例して腰のくねりも大きくなり、乳房を揉む手にも更に力が入る。吐息が甘く、熱い。
この状態だと、イクのは時間の問題だ。
直接触るか、否か。
ナギは勿論、何度でも達することが出来る女性は「ヤリ直し」(?)がきくから、男性と違ってそれ程“ヌキどころ”に注意を払わなくてもよいということは理解してはいた。しかし、もともと性欲が強いほうではなかったので、なるべくなら一回で満足することを望んだ。
「(‥‥どう、する‥‥?)」
ハヤテの部屋、ハヤテのベッドの上、そしてハヤテのパジャマを素肌に纏いハヤテに抱かれている妄想の最中なのだ。
やはり、ハヤテとひとつに‥‥。
ショーツの上から陰唇を摩っていた指先が一旦動きを止め、ショーツの縁を潜る。
指先は、ヌルヌルと愛液に濡れそぼる生え揃って間もない金色の陰毛を掻き分けつつ膣口を目指す。
ただし、「挿れて、絶頂」という目的を達するため、陰核は勿論、尿道口など敏感な場所を慎重に迂回した。最も、“敏感でない箇所”など、そこには存在しないのだが‥‥。
そろそろと慎重に進む指先が小陰唇を乗り越える際、腰がビクンと反応する。
「くぅッ!!」
思わず摩りたくなったが何とか辛抱して膣口に辿り着く。
先ずは、その周囲をゆっくりと撫でる。
「‥‥ああッ!‥‥ハ、ハヤテ‥‥!」
無意識に切ない声でハヤテを呼ぶ。腰の動きが一層せわしなくなる。すでにパジャマのボタンははずされていて、紅く膨らみきった乳首は直接指先でグリグリと捏ねられている。
少女の鼻腔は自らの濃い汗の匂いを感じ取り、その耳には静かだが規則的な衣擦れが微かに聞こえていた。
指先は意思の制御をはなれ、自動的に膣口の縁に移動した。
本能的に膣内を爪で傷つけぬような動きや位置を選びながら、縁をヌメヌメと捲るように摩り始める。
少女の脳内では、今まさに、ハヤテの分身の先端が秘所の入口に宛がわれていた。
「‥‥、ハ、ヤ、テ!‥‥ハ、ヤテ、‥‥ハヤテェェッ!」
勿論、普段はこんなに声を上げることは無い。だが、もう、どうしようもなかった。
指先の動きが、自動的に強く、早くなる。腰の辺りに、何かの“力”が蓄積され始める。
力無く天井の模様を見る瞳は快感によって涙腺が緩んだことで熱く潤み、半開きになった可愛らしい唇からは、絶え間なく切ない喘ぎが漏れ、口角からは一筋の唾液が頬へ流れている。
やがて全身にふるふると小刻みな震えが走り、熱く蕩け切った秘所に体中の全神経が集中する。
指先の動きは更に大胆になり、第一関節までが膣内に侵入し、火が付いたように火照り滔滔と愛液が流れ伝う膣壁をグニグニとマッサージするように少し力を入れて撫で回す。
少女は必死に、ハヤテのモノの先端がぬるりと膣への侵入を開始する様子を脳裏に描くが、無常にも、思考が停止し始める。そして‥‥。
数十秒後、フゥッと意識が遠のき、頭の中が真っ白になる。
口からは何かの言葉が発せられているのかもしれないが、今の少女にはそんなことを詮索する余裕はまったく無いし、実際、興味も関心も無かった。
膣を中心とした痙攣の波が外性器全体をヒクヒクと震わせ、更にそれは腰に伝播して力強いが不規則な前後運動となり、その次の瞬間、それは全身に波及して少女は汗に塗れ濃い桜色に上気した細く美しい体をぶるッぶるッと何度もうち震わせた。
少女は、達した。
しばらくの間、絶頂の余韻に身を委ねがてら呼吸を整えると、ナギは緩々と身を起こした。
ベッドに身を横たえたときにはきちんとボタンがはまっていたパジャマは、今では前が全開な上に片方の肩からずり落ちていたので白く華奢な肩が丸出しとなり、股間からは、身じろぎする度ににちゃにちゃとした感覚が伝わって、不快だった。
パジャマのズボンの方を穿くのを思い止まったのは、やはり正解だった。
さて、これから、ひょんなことから遭遇した超弩級の幸運を楽しんだ後片付けをしなければならない。
先ずはパジャマを何とかしなければならなかったが、これはきちんと元通りにたたんでおけば問題なかろう。
勿論、移り香という問題はあるが、あのハヤテのことだ、間違っても、『お嬢様、僕のパジャマを御召しになりましたか?』などと尋ねてくるはずは無い。従って、ベッドも同様、メイキングし直すだけで良いだろう。
少女は、丁寧にパジャマを脱いだ。
既に汗でベタつき始めた身体が部屋の空気に直接晒される。
火照りの収まりきらない身体にはその感覚が心地よく、少女は自身の濃い汗の匂いに急かされながら、上半身裸のまま、キュロットのボタンやジッパーを掛け直しただけで片付けを開始した。
だが、いざ実行する段になると、パジャマはかなりナギの汗を吸って重くなっており、やはりそれはシーツも同様だった。
しかし、すぐにトボケ通す意志を固め直す。自分の名誉を傷付けずに、ハヤテの寝具に自分の汗が染み込んでいるという状況をハヤテやマリア達に合理的に納得させる説明など、あろうはずもなかった。
パジャマは、キチンとたたまれていたズボンの上に、きちんと畳み直した上着をそっと載せた。ベッドは、シーツの皺を綺麗に伸ばし、掛け布団の歪みを調整した。この辺は、普段、マリアの流れるようなベッドメイキングを観察しているから、要領は心得たものだった。
最後に、自分が着ていたTシャツを置き忘れてはいけないと、そそくさと袖を通した。
作業が一段落した安心感とハヤテの帰還予定時刻にはまだまだ間があるということで、少女の胸にちょっとした悪戯心が芽生えた。
ナギの視線が、ハヤテの勉強机の一番下の鍵付きの大きな引き出しに注がれる。
「ハヤテの行動パターンからして、ベッドの下ではあるまい。」
つかつかと机に歩み寄ると、先ず、一番上の小さな引き出しを開ける。
「ビンゴだ!ムフフ。」
少女は、中にあった小さな鍵を摘み上げると、それを大きな引き出しの鍵穴に差し込み、捻った。
カチャン、と開錠の音がする。
ハヤテの両親は、借金の踏み倒しなどゲーム程度にしか考えない、そしてその破綻を一人息子に全て押し付けて平気で姿をくらますという生来の屑人間であり、
そういう両親に育て、いや、利用され続けてきた彼ならばこそ、大事な、或いは重大な意味を持つものは、たとえ気休め程度ではあってもセキュリティーのレベルがより高いところに収容するはず、という少女の読みは的中した。
「何を隠しているのだ?」
もうオイタは止めなさいって。それより、窓を開けて換気をするほうがいいんでないの?という天の声のツッコミを無視したナギは、ニヤニヤしながら引き出しを覗き込む。
そこには、普通の高校生が普通に買えるグラビア誌や青年コミックが数冊、キチンと判の大きさ順に揃えて入れられていた。
椅子に腰掛けると、その内の一冊を取り上げ、パラパラとページを繰って見る。
内容はナギの基準からすれば緩くて緩くて笑ってしまうものだったが、その本を背表紙を下にして机の上にコトリと置き、表紙と裏表紙を軽く手で支えた。
背表紙がクリップ(針金)止めではなく樹脂糊止めであるその本のページは、程なく、大きく開くページとそうでないページに分かれた。
大きく開くページは普段よく読む、或いは大きく開いて読んでいるから、開きやすく癖が付いているのだ。つまり、ハヤテが好む“オカズ”のページがわかるというわけである。
やがて全ての本を調べ終えたナギは、「ハヤテの好みは『至極普通の女性』であり、その性的嗜好も『至ってノーマル』である」との調査結果を得た。
現在は恋人でありこれから生涯の伴侶となる男性が、極めて普通な性的感覚の持ち主であるということは少女を一応安心させたが、ページをパラパラと捲り返していた手が、ふっと止まる。
これらの本の内容については、さっき感じた通り緩々もいいところであったのだが、ナギにとっての最大の関心事は、この紙面の女性達にハヤテが性的な興奮を感じているという事実だ。
「ハヤテの奴、こんな女共をオカズにせずとも、私という完全無欠の超絶美少女がすぐ近くにいるではないか!全く!!」
そう毒づいては見たものの、ハヤテが、この紙面の女達の痴態を眺めつつ自らのいきり立つ肉棒を扱きあげ、
終いには腰をガクガクと震わせながら勢いよく大量の白濁をその先端から放出するに至る一部始終を想像すると、さっき治まったばかりの甘い疼きが再び下腹部で脈打ち始めた。
ナギは一連の本の中から、一番強く“開き癖”が付いている物を取り上げ、そのページを開いた
く。
そこに在るのは、黒く艶やかなふさふさした陰毛で飾られた秘所に怒張した肉棒を咥え込みつつ、身体、特に頬から胸元にかけての肌を緋色に染め、
両乳房を鷲掴みにし、健康的なピンク色の唇をわずかに開き、そこからほんの少し覗かせた舌先で唇を嘗めようとしている、二十歳前後美しい女の写真である。
ハヤテは、この女を激しく貫いている自分を想像しながら、夜毎自らを慰めているのだ。
下腹部の疼きは徐々に秘所に収束しつつあったが、ナギは二回目の開始を躊躇した。
いくらさっき気持ちよかったからとはいえ、にちゃにちゃになった股間に再び触れるのは嫌だったし、汗ばみ始めた身体から立ち上る濃い汗の匂いがとても生々しく、できればなるべく早くシャワーを浴びたかった。
だが、今回のような、ハヤテが実際に使っている“オカズ本”、ハヤテの痴態の全てを観ている(?)こうしたアイテムを手にし、実際に使える(??)機会はもう二度と訪れまい。
「ええい、仕方ない!」
少女は自らを鼓舞すると、キュロットのジッパーを下げ、そこから指を滑り込ませてひんやりと冷えているヌルヌルのショーツを弄り、もう片方の手をTシャツの裾から差し入れて硬くなりかけている小さな乳首をキュッと摘んだ。
「長すぎる行があります」攻撃、めっちゃ怖い‥‥。
改行についてのアドバイスを沢山頂きましたが、どうにも上手くいかないです。ほんとに申し訳ありません。
364 :
309:2008/02/18(月) 09:36:15 ID:jkBpBGh+
マジで教えてくれ俺アク禁されるような事書いてないんだ。
どうやれば携帯から入れるの?SS書きたいんだ。
にしてもヒナギクんちにお泊りの話もないなんてマジでアニメ糞だな。
ヒナギクも伊澄もただのお色気要員、西沢は食いしん坊万歳、ナギはパンチラ
咲夜は水着か露出、マリアはいじられ役、ワタルは可哀想。
本当にSS書きたいならPCでやれば済む話だろうが
残りの余分なモンはアンチスレにでも言って文句言ってこいよ、アホが
携帯で規制されたら解除される事ないな
ご愁傷様
367 :
309:2008/02/18(月) 11:28:32 ID:jkBpBGh+
規制というかエラーする、ま、いっか。所詮ここはキモいオタクがキモいこと
しゃべるとこだし。どーせあんたらは義理チョコも貰ってねーんだろ(笑)
可哀想に・・・・・そちらこそご愁傷様。1コ下の女の子の返事受けるわ、
可愛いし、いい娘だし。あんたらは「女なんて興味ないオタ」とか言って現実逃避してんだろ?
その後輩は胸無いかもしんないけどあんたらみたいにSEXばっか言うキモいオタクじゃねーからな。
ハヤテも見るのやめるわ。いい歳だし、彼女と付き合っていく。
さよなら、オタクさん
つ【鏡】
369 :
sage:2008/02/18(月) 13:23:02 ID:hIC1RzPl
>>363 超GJ!!!!!
このあとハヤテが帰ってきてみつかっちゃった…的な展開を勝手に期待www
これからも頑張ってください〜〜〜〜!!!
>>369 一度深呼吸してみようか。んでメ欄とかを確認してみるといいんじゃないかな。
リア厨だから規制されt(ry
携帯から投下したSSにPC使って自分でGJしたかったんだろうなぁ
372 :
309:2008/02/18(月) 16:19:51 ID:jkBpBGh+
妄想乙さようなら
374 :
309:2008/02/18(月) 16:39:02 ID:jkBpBGh+
ここに来る奴のまとめ。
・自分を正当化しながら、SSを叩く
・自分は書けないくせに文句を言う。
・毒しか吐かず、気に入らないから「自演乙」と書く。
・褒めても文章に不評が入る。
・嘘で初心者を傷つける(そして自己満足)
俺はシスターが出たくらいから書き込んでたのに・・・・もういいか。
最初は思いやりがある良いスレだったよ。
376 :
名無しさん@ピンキー:2008/02/18(月) 16:52:12 ID:kG5fLhUg
GJ!!
気に入らないならスルーすればいいだろうが。
書きもしない奴が偉そうなこと言うなよ
さよならっつったなら一回で消えろよ糞荒らし
378 :
309:2008/02/18(月) 16:58:35 ID:jkBpBGh+
ほらな、自分が正しいと思う奴しかいないし。
だからROCO氏はあんたらが消えてから書き込むんだよ。
わかったか。荒らしはどうみてもあんたらだし。
何も知らない人が100人見たら百人がID:jkBpBGh+の方を荒らしだと思うってwwwww
死ねよゴミクズwwwwwwwwwww
もう触るなよ…構って欲しいだけのやつなんだってw
荒らしに反応するのもまた荒らしだw
というわけで、以下神の投下を待つ住人たちが悶えてる様をご覧ください↓
ロリヒナギクううううううううううううううううううううううううう!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
ロリヒナ!!!!!ヒナがロリ!!!!!!!!ちっちゃいヒナ!!!!!!!!!!!!!!!
ヒナちゃんがロリってことはあのちっちゃいおっぱいがもっとちっちゃくなっちゃうのかな!!
貧乳よりちちゃいおっぱいきゃーーーかわいいいいいいいいいいいいいいいい><
おっしゃああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
やった!!!! やった!!!! やった!!!! やった!!!! やった!!!! やった!!!!
やった!!!! やった!!!! やった!!!! やった!!!! やった!!!! やった!!!!
やっったぞおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
バンザァーーーーーーーーーーーーーーーーーーーイ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
バンザァーーーーーーーーーーーーーーーーーーーイ!!!!!!!!!!!!!
ロリいいんちょさんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんん!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
!!!!ロリいいんちょ!!!!!いいんちょがロリ!!!!!!!!ちっちゃいいいんちょ!!!!!!!!!!!!!!!
いいんちょさんがロリってことはあのちっちゃいおっぱいがもっとちっちゃくなっちゃうのかな!!
貧乳よりちちゃいおっぱいきゃーーーかわいいいいいいいいいいいいいいいい><
おっしゃああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
やった!!!! やった!!!! やった!!!!やった!!!! やった!!!!
やった!!!!やった!!!! やった!!!! やった!!!! やった!!!! やった!!!!
やった!!!!やっったぞおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
バンザァーーーーーーーーーーーーーーーーーーーイ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
バンザァーーーーーーーーーーーーーーーーーーーイ!!!!!!!!!!!!!
俺は
>>379と
>>381-382が性質の悪い荒らしに見える。
まあ、このスレの住人は他スレに比べダントツに民度が低過ぎるがな。
他スレでも、ここまでキモイ粘着や荒らしは湧かないよ。
要するに救いようの無い餓鬼が多いってこったな。
こんな醜態晒してマジで二十歳過ぎてんなら、まずは働いてから物言えよ。話はそれからだ
「ナギハヤ」の作者です。
369様、GJとご声援、有り難うございます。
376様、GJを頂き、有り難うございます。
それにしても、何か凄いことになってますね‥‥。
ナギとハヤテを無理無くHに縺れ込ませるのって、意外に難儀です。
>>384 雑談に作者だと名乗って出てくるのは構ってちゃんに見えるので自重したほうがいい。
嵐が食いつく可能性がある。
あと、アンカーの付け方はちゃんとしようぜ。
ところで、
>>309 携帯から書き込めなくてイライラしてるのは分かったから、せめて自分の携帯の機種くらい書け。
俺らはエスパーじゃねえから、情報も無しに聞かれても答えようが無い。
だから構うなって言ってんだろ(# ^ω^)
ナギのおまんこを
ハヤテが慌てて隠したが
既に遅く
↑は置いといて
投下開始します
虎鉄→泉です
朝。
広大な敷地を持つ大豪邸の一室で少女は静かに目を覚ました。
「ん…」
ひとつ伸びをしてぐしぐしと目をこする仕草はとても高校生には見えないほど幼い。
少女はまだ焦点の合わない半開きの瞳で枕元の目覚まし時計に目をやった。
「ふわ…もうこんな時間だ!?」
瀬川泉は慌ただしく学校へ行く為の準備を始めた。
「虎鉄く〜ん、なんで起こしてくれなかったの〜」
素早く歯磨き、顔洗い、着替えを済ませた泉は肩の辺りで揃えられた髪を櫛でとかしつつ
居間で茶を啜りながら雑誌を眺めている執事の虎鉄に文句を言った。
「お嬢、俺は昨日お嬢が『明日からは朝起こさなくていいよ!』って言ってたから起こさなかったんですよ」
執事というよりも主人の風格を漂わせる虎鉄は悪びれた風もなくしらりと言いのける。
「えぇ〜!?そうだったっけ?」
泉は昨日の事を思い起こしてみた。
えぇと、昨日は美希ちんと理沙ちゃんが家に遊びに来て…何したっけ?あれ〜?
頭上にハテナマークを浮かべうんうんと悩んでいた泉に虎鉄が言い添える。
「お嬢は昨日朝風さんと花菱さんと何か言い争ってましたよ」
そこで泉の頭上にピーンとビックリマークが浮かんだ。
「思い出した!昨日美希ちんと理沙ちゃんに子供扱いされて、
珍しく怒っちゃったわたしは二人を追い出すことになっちゃったのだ!」
「誰に説明してるんですか」
言い終わると同時に泉は虎鉄のつっこみも耳に入らないぐらいひどく落ち込んだ。
「そっか…そういえばわたし喧嘩しちゃったんだったよ…」
朝から気分の上下が激しい泉に虎鉄はぼそりと忠告する。
「せっかく作った飯が冷えるんで早く食べてしまって下さい。学校にも遅れますし」
虎鉄の言葉で泉は一瞬にして我に帰る。
「は!?そういえば時間ないんだった!」
泉はテーブルに着くと急いで虎鉄が用意した豪勢な朝ご飯を片っ端から片付ける。
慌てて食べる泉を見て虎鉄は、
「そんなに時間がないんだったら食べずに出ればいいじゃないですか。朝は学校でも買えるんですし」
と、相変わらず天然さが目立つ主にアドバイスを与えた。
「うん?」
そんな虎鉄の問いに泉は一旦食べる手を止めてさも当たり前のように答える。
「せっかく虎鉄くんが早起きして作ってくれた朝ご飯なんだから全部食べてあげたいじゃない」
そう満面の笑みで言うと泉は再び朝食を平らげる作業に戻る。
虎鉄はたまに思う事がある。
俺は本当に綾崎が好きなのか?、と。
俺が彼に一目惚れしたのは事実だ。
しかし、それ以前に自分の周りに気になる、否、気になる事が出来る異性がいなかったのもまた事実だ。
そのことから導き出される仮説は、俺は自分が『気になる事が出来ない異性』への気持ちを隠すために
わざと同性に好意を向けるフリをしたのではないか、ということ。
あくまで仮説、だが。
自分が異常なほど恋愛に対して一途なのは良く分かっている。
好きになった人以外の異性が異性として目に入らない事も良く分かっている。
だから異性ではない同性に自分の異常な好意を向ける事で気持ちを隠そうとした。
周りからも、自分からも、『気になる事が出来ない異性』からも…
それはあくまで仮説、だが。
虎鉄が自分のモノノローグに浸っていると、真横から快活な声が飛んできた。
「こ・て・つ・くん!ごちそうさまって言ってるでしょ!早くしないと本当に学校遅れちゃうよ〜」
泉の顔があまりにも近かったので虎鉄は少し赤面した顔を隠すように目線を鉄道雑誌に移した。
「…すいません、ちょっと良いのが見つかったんで」
そういって表情を悟られないように紙面のプラモデルを指差す。
「虎鉄くん…」
泉は呆れてジト目で虎鉄を睨み付ける。
そんな泉に虎鉄は少し安心して雑誌を閉じ、毅然とした口調で言った。
「では急ぎましょう。委員長が遅刻しては格好がつきませんから」
「虎鉄くんが悪いんでしょ!」
「まぁお嬢がもう少し早く起きてくれていれば良かったんですがね」
「う…」
主を言い負かした虎鉄はいつもより少しうわずった心音を悟られぬように
廊下の先にある扉を開きいつものように主を扉の外へ招く。
「では参りましょう、お嬢」
そんな義務と愛情の葛藤に渦巻く執事と、友人関係に沈み気味の主の一日が今日も始まる。
「虎鉄くん!自転車パンクしてるよ!?」
「はい…?」
いつもは歩いて登校している泉と虎鉄だが、
今日は遅刻を免れるべく自転車で二人乗りして行こうということになったのだ。
しかし、自転車のタイヤはすっかり元気を無くしていた。
「何これ?」
泉はタイヤにくっついている見慣れたメモ帳の紙片を見つけ、それを拾いあげた。
瀬川さん来たか?
「理沙ちゃんのメモ帳のだ。ええと、
『昨日は大人気ない事をしたな。とりあえず謝っておく。すまん。
しかし、泉。お前にも非はあると思うぞ。そこでだ、この自転車をパンクさせておいた。
きっとお前の事だから執事に明日は自分で起きるとか言っているんだろうから困っているんだろうな。
そういうわけでこれで五分五分だ。学校に着いたら仲直りしようじゃないか。
じゃあ遅刻しないよう頑張れよ!
by Miki Risa』だって、読むの疲れたぁ…」
「びっしり書かれてますね」
「でもこれで美希ちんと理沙ちゃんと仲直り出来るよ!やった〜!」
虎鉄にはこれで仲直りしようという泉の心情が全く掴めなかったが、
これが天然である所以なのだろうという事で納得した。
「しかし困りましたね、これでは始業には間に合わない」
「そうだね〜。困ったね〜」
仲直り出来るのがよっぽど嬉しいのか泉には全く焦燥した様子はない。
虎鉄は考えた。
俺が全力で走れば余裕で学校に間に合うだろう。しかし、お嬢が全力で走っても間に合わないのは明白だ。
という事は俺の足の速さとお嬢の速さを足して二で割ればギリギリで間に合うかもしれない。
有能な執事は素早く遅刻回避の算段を立て、即座に実行に移した。
「ほぇ!?」
虎鉄は泉の手を取って物凄いスピードで走りだしたのだ。
泉はわけが分からずただ虎鉄に引きずられるままだ。
「こ〜て〜つ〜く〜〜ん!!いきなりどうしたの〜〜!!!」
泉は屋敷を出てそのまま街を走る虎鉄にめいいっぱい声を張り上げる。
「こうすれば間に合います」
虎鉄はちらりと後ろを振り向いて言うと、その一言で事は足りるといわんばかりに疾走を続ける。
「あぁ〜!なるほどねぇ〜〜!!さすが虎鉄くんだ〜!!」
泉は特有の飲み込みの速さでよく理解もせずにそう返事をすると、そのまま虎鉄に身を任せた。
そうしてぎゅっと握り返された泉の小さな掌の感触に虎鉄は少し息を飲む。
大丈夫だ。問題ない。お嬢は俺が走りやすいようにしっかり掴まってくれただけだ。他意はない。
そう自分に言い聞かせる虎鉄の左胸は走っているせいなのか、
それとも他の要因によるものなのかは本人にも分からなかったが、不自然なほどに早鐘を打ち鳴らしていた。
虎鉄は走りながら後方の泉の様子を伺ってみた。
その表情には義恥の類は一切浮かんでおらず、瞳の中に頼れる執事を移しているのみであった。
「虎鉄くん大丈夫?顔すごい赤いよ?ちょっと休んでもいいんだよ?」
泉は虎鉄を心配する。
その心配が主としてのものなのか、一人の人間としてのものなのか、
それとも大切な人を想う気持ちからなのか、虎鉄には分からない。
ただそんな泉の仕草、表情、声色、動作。そのひとつひとつが確かに虎鉄の足を速めていく。
今や虎鉄の心を占めているのは正体不明の感情などではなく、ただ『忠義』の二文字だけなのである。
「ちょ、ちょっと〜!虎鉄くん速い速い〜!足が痛いよ〜!」
空回りする忠義は揺るぎない信頼を乗せて朝の商店街を駆け抜けて行くのだった。
>384
続き待ってるぜ
甘甘でらぶらぶな展開を期待!
第三話投下終了
>>399 GJ
どうでもいいけど久しぶりに虎鉄の文字を見たような気がする
自演乙
>>399様
GJ&乙です。
>>398様
ご声援、有り難うございます。必死で甘甘にします。
>>385様から指摘を受けるまで、“台風のやり過ごし方”が分からなかった私。
>>362の続きです。
ただし、
>>404での決意表明は次回投稿に持ち越し。
前半1/4は簡単なナギひとりH、以降は中途半端な日常コント(?)です。
ダラダラとした展開が嫌い方は、スルーをお願いします。
ナギの目の前の机の上には、ハヤテお気に入りのオカズ本が、その中でも一番頻繁に“お世話”になっているページが開かれて置かれている。
「(はやく、気持ちよくなれ‥‥。)」
とにかく、滑るショーツの上から秘花の花弁を摩る。
とにかく、その硬化の度合いを確かめながら乳首を捏ねる。
すぐにでもシャワーを浴びて下着を清潔なものに換えたいが、眼前の唯一無二のチャンスも逃したくない。
『気持ちの昂り』と『身体の反応』のアンバランスさは、さながら、渋滞に巻き込まれた自動車が小刻みな発進・停止を繰り返すが如くだ。
しかし、それでもナギはがんばった。
「‥‥、ん‥‥ッ!」
ようやく、少女の中心に火が付く。
自室でのひとりHは主に漫画の執筆に使用している机でしていたから、今の体勢とほぼ同じであり、点火に成功しさえすれば、それを全身に広げるのは容易かった。
少女の脳内では、ハヤテが執事服の上着を脱いだ格好でこの机に着き、目の前のこのページを獣のようにギラギラした目で見つめながら、
ズボンの開かれたジッパーから力強くグッと突き出している、逞しく張り詰め脈打ちつつ反り返る深い赤に染まった分身を、しっかりした作りの指でリズミカルに扱き上げていた。
キュロットの開かれたジッパーに差し込まれた細い指はくねくねと蠢き、そこから立ち昇る生々しい性の匂いが少女の性感を否応無く亢進させる。
乳首への刺激も、リズミカルに先端を摘む、軽くピンと弾く、乳輪のみをくすぐる様になぞる等に変化し、更に乳房全体も、少女の掌によって、さわさわと撫ぜられ、ぐにぐにと揉まれ、きゅっきゅっと握られた。
少年の指の動きが激しさを増す。分身は一層膨れながらひと脈ごとに反り返りの度合いを強め、亀頭の縁が赤黒く膨れ上がり、竿の表面のあちこちには黒味がかった静脈がうねりながら幾筋も浮かび上がっている。
少年は、顔を顰め、奥歯を食い縛った。
ハァハァと上がる息が甘く熱を帯び、心地よい緊張感がじわじわと少女の腰に蟠り始める。
再び淫蜜を溢れさせ始めた秘所から立ち昇る性の匂いはより濃く強く香って少女に自分が雌であることを自覚させ、桜色に色付いた肌理細やかな肌はしっとりと汗に湿り、それまで以上に甘酸っぱい芳香を放った。
少女の足首は、脛と足の甲が一直線になるほど力を込めてピンと伸ばされ、つま先のすべての指が何かを掴んで離すまいとするかのように、ぐいっと内側に強く曲げられる。
「(‥‥もう、限界なのか‥‥?)」
ここで少女は『妄想劇場』の監督兼支配人兼興行主の地位を最大限に活用して、極めて大胆な行動、いや、妄想に出た。
少女は、もう限界間近の少年の太腿を跨ぐようにして向かい合って座り、その怒張を自らの淫蜜が滴り濃い紅に染まった秘花の中心に導き入れた。
少年は逞しい腕を少女の背中に回して少し自由度をもたせて支えつつ、その下半身を、これでもか、これでもか、と言わぬばかりの激しさで打ち振る。
もはや一個の独立した生物と化して猛り狂う分身が、彼の胴体を抱えるように両手両足を絡めて必死にしがみ付く少女の熱く蕩ける膣内を、遠慮も会釈もなく奔放に暴れ回る。
「(‥‥、も‥、もう‥‥、イクぅ‥)」
白く細い指が、緋色に燃え上がり淫蜜をトクトクと湧出させる膣の入り口の内壁を執拗に執拗にぐにぐにと揉む。
まだまだ発展途上だがそこがチャーム・ポイントでもある小振りの乳房は、少女自身の手によって変幻自在にその形を変える。
少女の華奢な身体がフルフルと細かく震えだす。
心地よい緊張がぐんぐんと高まって高まってそして高まりきり、次の瞬間、意識が、ふっと途切れる。
ややあって、淫蜜に塗れた秘芯がヒクヒクと痙攣を始め、それが先ず腰に、更に全身に伝播する。
艶かしく濃い雌の匂いを発する身体を不規則にガクガクと振るわせながら、少女の二回目の絶頂を迎えた。
少女は、すっかりくたびれてしまった。
意識が明瞭になり、荒かった息遣いが落ち着きを取り戻してから暫くたっても、一向に強い気だるさは去らなかった。
漫画の懸賞の応募となると寝食を忘れてしまうナギは、応募期限が迫っている上、昨日の夕方以降、興が乗って筆が止まらなくなり、一睡もせずに朝を迎えた。
マリアが三千院の本家に出かける前に、夜食と朝用にとサンドウィッチとおにぎりを用意してくれていたので空腹に悩むことは無かったが、さすがに今頃の時刻ともなると睡魔がそろそろと忍び寄る気配が感じられた。
しかし、ここで一気に描き上げてしまいたいナギは、気分転換にと緑豊かな邸内を一望できるバルコニーへと向かったが、途中で熱い紅茶を持参しようと思い立ち、
方向を転じてティーセットをとりに厨房へと向かう途中、ハヤテの居室のドアが開けっぱになっているのを発見し、今に至るわけである。
時間的にも、体力、気力の面でも、そろそろ潮時、最終的な片付けに入るべき時間が来た。
少女は、もそもそと身繕いを始める。
先ず、キュロットのジッパーを上げ、次にTシャツの乱れを直した。
件の本を引き出しの中へ元通りの順番に並べながら仕舞う。
次いで引き出しを施錠したのだが、ここで腹立ち紛れの小さなイタズラを仕掛けた。
先ほど閉じたばかりのジッパーを再びジジジと開けると、鍵の頭、つまり指でつまむ部分をその中に差し込んで、秘蜜が滲むショーツの表面を2、3回軽く撫でた。
少女は、鍵の柄を摘んで微かに滑るその頭を睨み付ける。
「ふん!これで、安い女共に手を出す前には、必ず私に触らなければならなくなったわけだ!」
『間接キス理論』の、簡単かつ素朴な応用である。
「ふぅ〜‥‥」
ナギは、背中を椅子の背もたれに預けて、思い切り伸びをした。
マリアの栄養管理のおかげで基本的な健康状態には何の問題も無かったが、引き篭もり生活のせいでスタミナは皆無であり、
さすがに徹夜の創作活動明けの激しい電撃のような2回の絶頂は、文字通り骨身に堪えた。
「うーん‥‥」
思わず、机に突っ伏す。
創作活動に疲れた時のいつもの姿勢だ。
しばらくすると、少女は規則正しい静かな寝息をたて始めた。
「はい、はい‥‥。たぶん、寝ていらっしゃるんでしょう、昨夜は徹夜だったみたいですから。では、そのようにお伝えします。」
下校中のハヤテの携帯電話に、マリアから着信があったのは、ついさっきだ。
帝が、クラウスとマリアに、どうしても晩餐を共にしてゆけといって聞かないらしい。
帰還が遅くなるという連絡をナギの携帯に入れたのだが、ナギが出ないとのことだった。
「お任せ下さい!お嬢様の疲れが吹き飛ぶような美味しいものを拵えますから!‥‥はい、分かりました。では。」
ナギに夕食を作ってやって欲しいこと、自分が添い寝しないと寝られないナギのためにもなるべく早く帰ることをハヤテに伝えて、マリアからの電話は切れた。
マリア達の行動予定の変更を、一刻も早く我が主人に伝えねばならない。
だが実は、ナギの携帯は彼女の部屋の机の上で描きかけの漫画の原稿に埋もれていたのだ。
そんなことを露ほども知らない少年は、歩を速めた。
屋敷に帰ったハヤテは、お嬢様、お嬢様、と呼び掛けながら、心当たりの場所を訪ね歩いたが、主人の姿はどこにも無い。
ひょっとすると、気晴らしの散歩がてら、ワタル君のレンタルビデオ店に面白そうなDVDでも探しに行ったのかも知れないが、ともかく、携帯電話の不通を何とか解決しなければならない。
「(とりあえず、ワタル君に電話を入れてみよう。)」
その他にも考え得る主人の立ち回り先に思いを巡らせながら、少年は自室のドアノブを捻った。
「あれ‥?」
鍵が掛かっていない。
「(ああ、そうだった!)」
今朝、ちょうど部屋を出て施錠した直後、桂先生から「講師の都合で補習の内容が一部変更になったので、もし今からでも取りに戻れる者は、
以下に指定する資料集を持ってくるように」との連絡メールが届いたので、再び鍵を開け、部屋に入ったことを思い出した。
きっと再び部屋を出たとき、かけ忘れたのに違いない。少年は、そのままドアを開けた。
「わっ!」
如何に数々の修羅場を掻い潜ってきたハヤテとはいえ、自室に入った途端、机に自分の主人が突っ伏しているのを発見すれば、びっくりせざるを得ない。
「おっ、お嬢さ、‥‥ま‥‥?」
ハヤテは通学鞄を持ったまま、慌てて少女のもとに駆け寄る。
幸い、少女の外見に特段の異常は認められない。その背中はゆっくりと上下しており、顔からは力が抜け切っている。
「寝ていらっしゃるのか‥‥」
少年の表情が見る見るうちに緩み、優しい微笑みに変わる。
ナギの奇行は何時ものことであり、徹夜明けで疲れた人一倍寂しがり屋の少女が、この広大な館で一人きりの午後の寂静に耐え兼ねてこの部屋にさ迷い込んだとしても、別段不思議は無い。
安心した少年は、ふっと、部屋の空気の違いに気付く。
少女の匂いが、濃い。
少女がこの部屋を訪れてから、かなり経つようだ。
少年は、考えた。
館内は空調完備だから風邪を引くということは無かろうが、しかし、徹夜の疲労と眠気を解消するならば、着替えもせずに机に突っ伏した窮屈な姿勢で眠るより、
シャワーなり入浴なりをして、寝巻きに着替えて自室のベッドで休んだほうが遥かに良いだろう。
しかし、これ程“爆睡”状態で寝入っているものをここで下手に起こして入浴などさせれば、目が冴えてしまって再び眠れなくなってしまう可能性があった。
「(さて、どうしたものか‥‥)」
とにかく、少女の身体に何かをかけてやる必要がある。
この執事服の上着では失礼だし、かといって毛布では暑いかも知れない。
ならば、と、ベッドに歩み寄ると、足元に畳まれている掛け布団に手を掛けた。
その上に載せられているパジャマ ― そう、例のパジャマである ― を横へ置くと、掛け布団を厚手の上掛けとシーツとに分離する作業に入る。
シーツであれば、暑すぎるということはないだろう。
なるべく音を立てぬようにはしていたが、何時もであれば机の横のフックに掛ける通学鞄をベッドの上に置いたことを忘れていたため、シーツに引っ掛かって、鞄がバタッと床に落ちた。
「‥‥、む‥‥。」
その音で目を覚ましたナギが、ゆっくりと上半身を起こす。
「あ、お嬢様、お目覚めになりましたか?」
「ふえええっ!!」
背後からのハヤテの言葉に、今度は少女が飛び上がった。
大慌てで振り返れば、ハヤテはベッドの横でシーツの塊を抱えたままにっこりとこちらに微笑みかけている。あのパジャマも移動されていた。
「ハッ、ハヤテッ!」
固まる表情筋。バクンバクンと波打つ心臓。詰まる呼吸。瞬時に耳たぶが燃えるように熱くなった。
「おっ、おっ、おっ、おかえりっ!!」
「起こしてしまって、っていうかビックリさせてしまって、申し訳ありません。」
そっとシーツをベッドの上に置き、少年は微笑みながら少女に歩み寄る。
「マリアさんから連絡があって、お二人共、帰りがちょっと遅くなるそうです。帝様から、晩餐のお誘いがあったとのことで‥‥」
ハヤテがパジャマとベッドの異変に気付いていないらしいこと、そして、帝の名が出たことでナギは少し平静を取り戻した。
「あの爺!もしや、マリア達に一服盛るつもりか?」
アハハハ、と苦笑を返しながら、少年はシーツと上掛けを再び元通りに組み合わせ始める。
「そういうわけで、御夕食は僕が作らせて頂きます。ご希望の献立があればおっしゃって下さいね。それまで、シャワーかお風呂でサッパリなさったらいかがですか?
徹夜明けで、お疲れでしょうから」
「あ、ああ。じゃあ、そうさせてもらう。」
そう言ってはみたものの、ハヤテがベッドでの作業を終えて、その関心が他所へと移ったことを確認するまでは、少女は気を緩めることなど出来ない。
「夕食の支度を、私も手伝おう」
ハヤテが掛け布団を整え終えたのを見計らって、ナギが声を掛ける。運が良ければ、少年の意識がパジャマにのみ集中することを阻止することができるはずだ。
「はい!‥‥、あっ!いえいえ、お疲れのお嬢様にその様な‥‥」
少年は無造作にパジャマを取り上げて畳み直した掛け布団の上に置いた後、少女に向き直って胸の辺りで両掌をこちらに向けて振る。
少年としては、少女の疲労とその家事一般に対するセンスの無さに思いを致しての辞退だったが、少女の目論見は見事にその目的を達した。
「それで、御夕食は何をお召上がりになりますか?」
少年は料理の腕前も超一流であり、それに、少女としては少年が自分のために作ってくれるものなら何でも嬉しく、又、彼と二人きりでの食事であれば、真冬の真夜中、吹き曝しの寒空の下で食べる冷めかけのカップラーメンと、
最高級ホテルの展望レストランを借り切りって生の弦楽合奏を聴きながら食すフルコースとの間に、何の違いも無かった。
そして何より、さっきまでの淫らな一人遊びの発覚が一応ながらも回避できたことに少女は心底安堵していたから、ついこの間食べておいしかったメニューを思いつくままに口にした。
「ハンバーグ。」
なーんだ、などと思ってはいけない。
なんといっても、“三千院家のハンバーグ”である。
主たる素材の牛肉・豚肉は、客の年齢や嗜好に合わせて、低温で一定期間熟成させた部位別の塊から必要なだけ切り取り、それを調理開始直前に挽いて混ぜ合わせる。
繋ぎのパン粉も、小麦の産地から一旦パンとして焼き上げる際のその焼き方まで、フライの衣用とは別仕立てであった。
「かしこまりました、お嬢様。」
そこに承諾の意味が込められていようと、問い掛けとしてであろうと、或いは警告としてであっても、
少女にとって少年からの「お嬢様」という呼び掛けは、その甘い声音と思いやりの篭った抑揚とが相俟ってとても耳に心地よいものだった。
だが、その次の台詞が事態を意外な方向へ誘うことになる。
「ですが、今日こそは、グラッセしたニンジンをお召上がり下さいね」
>>414の投下時に、いわゆる“連投規制”に引っ掛かりました(初引っ掛かり)。
改行がとても拙くて、本当に申し訳ありません。
GJ。
続き期待してるよ
GJ
続き待っているよ
418 :
名無しさん@ピンキー:2008/02/20(水) 23:23:20 ID:/L9CJcPz
続きを期待して待ってる
とりあえずGJ!!!!
gj
続きwktk
GJ
連投規制の基準ってなんだろ
確か板内で八連続書き込みした後に規制される。
前にあったけど携帯
の規制はとれないのはマジ?
>>421 それは同じ板の同じスレ内で8連続ってこと?
それとも板内全部のスレを含めて8連続って事?
つか、普通に携帯から書き込めるけど…。このレスもそう。
ちょい質問。このスレ、ていうかこの板かもしれないが、クロスオーバーものってアリ?
合わせる作品によりけり、っていうのもあるかもしれないが。
そういうのを聞いてくる奴がいたら間違いなくやめろって言うよ
久米田作品のキャラがちょこっと脇に出てくるくらいだったらまだ笑えるけど
ダニエルだとメイドロボだとか出てきたら俺は間違いなくブチ切れる
426 :
名無しさん@ピンキー:2008/02/21(木) 12:43:03 ID:VsajJO9Q
じゃあブチつなげる!
だれか携帯のハヤテ保管庫貼ってくれませんか?
428 :
名無しさん@ピンキー:2008/02/21(木) 13:16:41 ID:jdwlgOx9
ズキュキュキュキューーーン!!!うおおおおおおおお!!ナギ!ナギ!三千院ナギたんが僕の前に現れたあああ……ぁああ!!
ナギたんひゅぎぇええ!!あうう!!はうううううううううううううううん!ぬうううううううううううううううううん!!
きゅう〜〜〜〜〜ん!!三千院ナギたんにきゅんきゅんきゅん!!うにゅにゅにゅにゅにゅにゅ〜ん!!にゃはああああん!!!
ナギたん宇宙一かわゆしゅぎゅりゅううううううううううううううううんあんあうんあうんんあんあんあんあああああん!!!
もきゅきゅん(´・ω・`) ほえ〜ああ……ああナギたん!金髪ツインテールをナデナデしたい!ほ〜らナデナデ!あああったかい!
き…キモチいい!ナデナデペロペロ!おおスイートぉ!ナギたんツインテールナデナデペロペロもきゅきゅ〜ん(´・ω・`)おお…
あの華奢な体を抱きしめてええ!!うううん!ナギたん小さくてかわゆしゅぎゅいいん!1ああ……クンクンクンカクンカあああ
ナギたんの脇の下をクンカクンカああああああ……汗くしゃあああああああいいああああああううう!!あああん……ああいい
小股もクンカクンカ!!スーハ−スーハあああうんんん極上スメルうううん!!もきゅ〜〜〜(´・ω・`)ああホントいい……うう
でもそんなそんなことしたら怒られる…生意気……恐い?違う!ツンデレ!!ツンデレだよおお!やばいよやばいよおおおおお!
ああああああ踏んづけてください!!!!ツンツンしながら二―ソで僕を踏んづけてくだしゃいいやあああ!おおそこそこ…おお
きもちいいいいいいいいいいいいいいいいいん!!かいかああああああああああああああん!!!はぁにゃ、ふにゃああああん
ああああああああああんナギ!ああナギたん!……ああナギたんナギたんナギたん!あああはあはあはあうううんあああん!!
あああナギたん!夢の中でもナギたん!起きてても目の前にはいつもいつでもナギたん!ずううううっと一緒だね!フヒヒヒ!
フヒ!フヒヒヒ!あああ見て!ほら!ねえってば!もっとこっち見て!ああナギたん!あああああん……そう!そうそう!ほら!
ほら笑って!笑ってよナギたん!!ああああああああああああああああんきゅいんきゅいん!可愛い可愛い可愛いいいん!!1
僕知ってる!ナギたん本当は弱くて泣き虫……そしてとっても優しいいぎゃぎゃぎゃあああああん!!はあああん!ぬぅ……す
す、す、好きだあああああああああああああああん!!!僕は三千院ナギたんが好きだああああああああん!うわわあああん!!
ああっ!もう!ナギたん!ああナギたん!ナギナギナギぃいいやっほおおおおおい!!!はあ!はぁはぁはぁ!はぬううん!
うわああああああああああああああああああん……ふぅ…………う…う……うううをおおおおおおおお!きゃわいいいん!!
もふわあああああああああああああああああああああん……ふぅ………はぁ…はぁはぁ……はううううううううううううん!!
うをををっっっをおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお…ふぅ……ぅおおおおおおおおおおおおおおおおん!!
キタキタキタあああああ!!!無限ループキタああーーーぁああんしゃうんあ!!!ああああもうっ!離れられないいいい!!
…ああああん!ひゃあああああああああああああっんナギとぅわんがおっしゃてう!!ず、ずっと一緒だぞ!ってあああああん!
ずっと一緒だぞおおおおああああ当たり前ええええええええ!!!ナギナギナギナギナギナギナギナギいいいいいいい!!!!
うおおお!うわあああ!うわああああ!ナギ愛してる!ああ!僕愛してる!!!!愛してるううううううをおおおおおお!!!
ぷいにゅ〜〜〜〜いイクっいくうううううううぅぅ!!!頭おかしくなっちゃううう!らめえええええええええええええええ!!
ホントらめええええ1!!!!ひぎいいいいいいいいいい!!ひゅぎゅぶうぃゆいゆいいいいいいいいいいいいいいいいい!!
ああ僕らの想いを!あああ僕らの愛を永遠に!!ナギは僕の嫁だああああああああああああああああああああああああ!!!!!
>>424 クロス小説が楽しめるのは基本的に書いた本人だけというのを忘れるな
直で貼ってほしいんです。面倒かもしれませんがお願いします。
>>431 携帯からなら
>>1のリンク押せばファイルシーク噛ませられるだろうが
それも出来ない餓鬼は失せろ
>>430 Thx
このスレは専用のまとめwikiとかは作らないのか?
作った方が職人のやる気も上がると思う
最近のガキは何でもwikiにしたがるけど
まとめがきちんと機能してるならwikiなんかいらねーだろ
重いし携帯とかから見づらいし
俺も携帯だが何故?まさかパケ代云々ではないだろ?
>>435 携帯とかガキ御用達だよなw
皆で管理してった方がスレ全体のやる気も高まるだろ
携帯のネットなんざ外出中しか使わんだろ
まとめwikiは中華から攻撃をうけるから
まとめサイトがあるなら、わざわざ作る必要はなくね?
まぁ実際wiki何て慈善事業でしかないしなあ…
っていうかこんな事で議論しててもしょうがないな
↓ここで殺伐としたスレに救世主登場
じゃがりこってうまいよね
何のスレですかここは。
新製品の梅味もあっさりしてて中々良いよ。
じゃがりこは温めてポテトサラダにするのが俺のジャスティス
荒れてきたな。厨房はもういないはずなんだが……
>>414の続きです。
・ナギが良い子過ぎ ・エロ描写がとても少ない ・説明がダラダラ長い
以上が嫌な方は、スルーをお願いします。
さっきまでの自分の行状も、今ここにある疲労も忘れ、少女はキッと椅子から立ち上がる。
「嫌だ!」
少年に正対し、睨み付ける。
「お前もマリアも、何故そう『ニンジン』『ニンジン』と煩いのだ!」
ナギの偏食、中でも野菜嫌いとその解決は、マリアとハヤテの大きな悩みだった。
少女は、自分の不規則な生活リズムと運動嫌いを改善しようという気持ちを全く持っていなかったから、
その健康の維持と管理の生命線は勢い「食事の内容」が担うということになる。
ちょうど身体が出来上がるこの時期のビタミン・ミネラル不足、つまり野菜類の摂取不足は、
今現在のみならず将来に重大な禍根を残すことにもなる。
だが少女は、「好き嫌いは人類の当然の権利だ」などと嘯いて、ハヤテやマリアの懇願にも似た『野菜摂取の薦め』をはぐらかし続けていた。
少年は、半歩前に踏み出し、丁寧で真摯な態度で説明 ― 正確には、説得 ― を始める。
「お嬢様、ニンジンだけじゃありません。
野菜には、身体の中で造ることの出来ない栄養素が沢山含まれてるんです。お嬢様は、今、育ち盛り‥‥」
「うるさい!うるさい!うるさーーーい!!」
自分に不利な状況を打破する常套手段、『うるさいボタン』の連打で少年の言葉を乱暴に遮った少女は、
今日、これから暫くの間は大好きなこの少年と二人きりで一緒に居られるのだということをすっかり失念した挙句、
いつもの調子で、「そんなに野菜が好きなら、野菜と結婚しろ!!」と少年を怒鳴りつけてしまった。
「(あ!いかん!!)」
少年は、何ともいえない表情で視線を床に落とし、俯く。
少女は、掌が次第に嫌な汗で湿っていくのを感じた。
しかし、時、既に遅し。
『綸言汗の如し』とか『覆水、盆に帰らず』とか言われるが、
今のこの瞬間ほど、少女がそうした諺の意味や由来をその身の上に切実に感じたことはなかった。
「‥‥申し訳、ございませんでした‥‥」
少年が呟く陳謝の言葉には、諦念も、軽侮も、怒気も、少々の憤りさえなく、
只々、主人の機嫌を損じた事への慙愧の念が濃く滲むばかりだった。
「も、もうよい!風呂に入る!」
ここで詫びれば良いものを、それでも素直になれない少女は頽れかけた小さな小さな面子を必死に保つべく、
プイっとドアの方を向くと、少年の返事も待たず少し震える肩を無理矢理に聳やかしながら部屋を後にした。
広大な廊下を覚束ない足取りで浴場を目指して歩む少女は、心の中で自問自答を繰り返す。
― どうして、何時も、私を心から心配してくれている者に辛く当たってしまうのだろう ―
― どうして、何時も、大好きな相手に素直になれないのだろう ―
その小さな胸は、大きな後悔と哀しみで今にも張り裂けんばかりだ。
目に入る全ての情景が、酷くよそよそしいものに感じられた。
どうにか浴場に辿り着く。
血の気の失せた指先に、入り口のドアがとても重い。
脱衣所にフラフラと入る。
髪留めをはずすと、長く美しい金髪がサラサラと背中を覆った。
両手でその裾を掴み、汗染みたTシャツをゆっくりと脱皮するように脱ぐ。
露になった上半身には、つい先ほどまでの激しい発情の色は既になく、只、白い肌が如何にも寒々しい。
次いでキュロットのボタンをはずし、内側のフックもはずして、ジッパーを下げる。
少女が手を離すと、支えを失ったキュロットは足をするりと伝いながら床に落ち、
それまでその中に蟠っていた生々しい性の匂いが少女の鼻腔にも届く。
少女は、眉根を少し顰めた。
キュロットから一歩歩み出るように足を抜くと、乾きかけの淫蜜で股布がごわごわする白いショーツの縁に指をかけ、
前屈みになりながら一息に足首まで摺り下げる。
一筋のまだ幼さが残る淫裂の周囲には、それを護るように一撮み程の山吹色の陰毛が生えていて、
数本が乾いた淫蜜によって肌に貼り付いていた。
淫蜜の滑りがまだかなり残っている淫花が外気に晒され、そこからひんやりとした感覚が伝わる。
脱ぎたてのショーツと淫花から立ち上る噎せ返る様な濃い性の匂いから、少女は思わず顔を背けた。
裸の少女は、ショーツとキュロットを掴んで洗面台に向かうと、
そこに染み込んでいる、ある箇所は既にごわごわになり、またある箇所はまだ粘度を辛うじて保っている淫蜜を丁寧に濯いだ。
その後、これらの汚れ物をマリアが「クリーニング・バッグ」と呼んでいるレジ袋程度の大きさのジッパー付きの袋に上下分けて入れ、
ジッパーを閉じて、その摘みの部分にタッグを嵌める。
マリアによれば、これを専門のクリーニング業者に引き渡すと個別に洗浄されて返ってくるということなのだが、
そんなことは、今の少女にとってはどうでも良いことだった。
背を覆って美しく広がる金髪をくるくると後頭部の上のほうで纏めてその上にタオルを巻くと、
少女は溜息を一つ付き、浴場の方に身体を向けた。
今日はマリアが居らず、ナギ一人ではバス・タブの準備が出来なかったし、する気分でもなかったので、大浴場へ通ずる引き戸をカラカラと開ける。
浴場に入ると、適度な室温を伴った高い湿度のおかげで、ほんの少しだが心身の緊張が解れる。
湯船 ― といっても、その規模も形状も文字通り“温泉並み”なのだが ― の傍に片膝を突いてしゃがみ、左肩、右肩の順に掛け湯をする。
そして、淫蜜に塗れた秘所を洗う。
臍の辺りを目掛けて手桶の湯を注ぐと、
澄んだ川に生える水草の様に、生え揃ったばかりの金色の陰毛が、その湯の流れに従って、さわさわとそよぐ。
少女の細い指が、その陰毛とそれに護られた秘裂を左右に分けるようにして淫蜜の残滓を濯いだ。
次いで、淫花を綺麗にするために、少女は洗い場に少し股を広げて膝立ちになる。
膝頭がちょっと痛いが、辛抱。
片方の手で、手桶に汲み直しておいた湯を、少しずつ少しずつ陰毛の辺りに注ぐ。
もう一方の手でその湯の流れを受け、
浴場の温かさで本来の美しく健康的なサーモン・ピンクの色合いを取り戻しつつある秘花の所へと誘導する。
金色の縮れ毛に縁取られた大きな花弁。その内側の慎ましやかな花弁。ポツンと愛らしい尿道口。
すっかり大人しくなってしまった膣口。まだ別の使い方を知らない肛門。
そして、今は大人しく皮の下に潜んでいるが、少女にとっては敏感すぎて些か持て余し気味のプックリとした陰核。
その全てを、細い指先が満遍なくそっとそっと撫でるようにしながら丁寧に濯いでいく。
何時もなら何某かの性的な感覚を伴うだろうこうした行為も、
心が硬く冷え切っている今の少女にとっては、顔を洗うのと同列の意味しかもたなかった。
ナギは湯船に深々と身を沈めると、ハァ、と気の抜けたような溜息を一つついた。
「(‥‥これから、どうしよう‥‥)」
“これから”というのは、一つには“今日、これから”。もう一つは、“将来”。より正確に言えば、ナギとハヤテの将来である。
しかし、風呂というものは有り難いもので、身体が温まってくるにつれて暗く沈んでいた心もその活動をようやく再開した。
これまで自分は、クラウスやマリア達は言うに及ばず、咲夜やヒナギク達など、
私のことを大切に想い、接してくれている人たちに対して、彼らの気持ちを真剣に考えながら接してきただろうか。
彼らの気持ちを、自分の都合で或いは無視し、或いは攻撃し、踏み付けにして恥じなかったのではないだろうか。
そうした、人を人とも思わない行いの結果が、今日のハヤテへの罵倒となって現れたのではないか。
単なる偶然がきっかけとなったとはいえ、散々想い人のプライバシーを踏み荒らした上に、
私のことを心から心配しての助言に逆ギレするなんて、
この私には、ハヤテの恋人を名乗る資格が本当にあるのだろうか‥‥。
少女の瞳は深い悲哀に潤み、やがて、目尻に溜まった涙が一粒、血色を取り戻しつつある頬を伝い落ちた。
湯から上がった少女は、正面の壁に大きな鏡とカランが取り付けられている洗い場へと歩む。
カランの前に置かれた椅子にちょこんと腰掛けると、少女は細い腕を伸ばし、
カランの横の大小のボトルが並ぶホルダーから、優雅な飾り文字で自分のイニシャルが入れてある小振りの白いボトルを取り上げた。
それはボディー・ソープで、有機栽培された植物原料を用い、ナギの肌質の分析結果をもとに成分が調整された彼女の専用品だった。
少女は、備え付けの大判のスポンジにそれをツーッと垂らすと、スポンジをキュッキュッとよく揉んでフワフワで滑らかな泡を立てる。
それを用い、細い腕、腋、首筋、鎖骨、乳房、鳩尾、腹、臍を経て鼠蹊部、尻、そして長い足の先まで、軽く撫でるように洗う。
次いでタオルを取り、やはりボディー・ソープを泡立てると、背中に回しこれもほんの軽く撫でるように洗った。
全身を白い泡に包まれた少女は徐に立ち上がると、壁のフックに掛けられたシャワーのヘッドを他所に向け直した。
そして屈み込んでカランのコックを捻り、シャワー・ヘッドから最初のぬるい水が出切るのを待って、
暖かい流れを噴出させるヘッドを自分の方に向け直す。
立ったまま、上方から降り注ぐ優しいスコールのような湯の細粒を浴びながら、さっき泡を撫で付けたのと同じ順序で、全身を撫でる。
細い指先と湯の流れが泡を剥がし取るように押し流すと、
その下から、湯の恩恵によってほんのりと上品な桜色に染まった少女の美しい素肌が現れた。
片膝をほんの少し持ち上げて爪先立ちする足元を迂回するように、泡の塊が排水目皿へと流されてゆく。
ちょっと前までその素肌の上にハヤテのパジャマを着込んで淫蕩な遊戯に耽っていた事実が、少女の心をキリキリと苛んだ。
地中海地方産の最高品質オリーブオイルを原料とする化粧石鹸を使っての洗顔を終えた所で、少女の動きが止まった。
洗髪はマリアに、それも、シャンプーハットを使いながらしてもらっていたし、ドライヤーもマリアがかけてくれていた。
今日はいろいろな意味で汗をかいたから是非とも洗髪したいのだが、果たして、自分一人で上手く洗いおおせるだろうか。
しかし、少女は意を決して頭のタオルを解いた。
はらはらと零れ落ちた金髪が、肩に、背中に、二の腕に張り付く。
少女は、やはりイニシャル入りの色違いのボトルを取った。
勿論その中身は、国内某所で特別に栽培された椿の油をたっぷりと配合したリンス・イン・タイプのシャンプーだ。
何時もマリアがしてくれている手順を参考にしながら洗髪を開始したものの、
まずは髪に水分を含ませようと頭を前に突き出してシャワーをかけた所、
暫くしたら髪がどんどん前の方に流れ落ちてきて、あっという間に怪談の女幽霊さながらの様相になってしまった。
初めての一人での洗髪は、失意の少女にとっては、とても難儀だ。
シャンプーが目に、そして普段のマリアの優しさが心に沁みて、少女は、また少し泣いた。
「(やっぱり、このままじゃ、ダメだ。)」
困難を極める洗髪の間中、少女は考え続けた。
― この傍若無人な態度を改めない限り、自分はもとより、周りの者も誰一人幸せにはなれないだろう。
これからもみなと一緒に居るためには、特にハヤテともっともっと心を通わせるためには、やはり、自分が変わるしかないのだ。―
悪戦苦闘の末、歌舞伎の演目『連獅子』のようになりながらも何とか髪を濯ぎ終えた少女は、
脱衣所に戻って大判のバスタオルで髪の水分を出来る限り吸い取ってから身体を拭いた。
備え付けの衣装棚から白いスポーツ・ブラとショーツを選び、
その上に淡いグリーンのポロシャツとカーキのショートパンツを纏い、ソックスは二つ折りの白いアンクレットタイプを履く。
そして、やっと水気が切れたばかりの長い金髪を先ほどのようにくるくると後頭部に纏めてそれをタオルで巻くと、
ハヤテに逢うべく、浴場を後にした。
廊下の壁に取り付けられた金色のフレームの優雅なランプには、既に灯りが燈っている。
おそらく、ハヤテは厨房だろう。
「自分を、変えるのだ!」と意を決しての足取りは決して軽快とはいかなかったが、
一旦決意を固めたならば、行動あるのみ。マリアたちが帰ってくる前に決着を付けなければならない。
少女が厨房に辿り着くと、その入り口の丸窓から蛍光灯の明かりが漏れていた。
呼吸を整え、扉をノックする。
「はい!お嬢様ですね!」
中から、いつもと変わらぬ少年の明るい返事が返ってきた。
扉に掌を押し当て、一気に押し開く。
白壁と赤レンガの装飾が施された厨房の中、作業台に食材を並べている最中の少年に、少女は思い切って話しかける。
「‥‥ハ、ハヤテ‥‥。その‥‥」
「先ほどは、本当に申し訳ありませんでした。
お嬢様のお気持ちも考えずに、何時も無理強いするようなことばかり申し上げてしまって‥‥」
三角巾を被り、胸元にヒヨコのワンポイントが入ったエプロンを着けたハヤテはナギの呼びかけを聞き逃していたので、
自分だけが喋った後、如何にも申し訳なさそうに頭を下げた。
ここまでの道中ずっと胸中に暖めていたのと殆ど同じ台詞を相手に先に言われてしまい何時もであればムッとする所だが、
今はそれも“以心伝心”の妙を感じさせて、何だかとても嬉しい。
「い、いや、いいのだ。私の方こそ‥‥、その、ハヤテの気持ちを大事に出来なくて‥‥、
ご‥‥、ごめんなさい。」
大変真っ当な台詞と共に耳まで真っ赤にしながらペコリと頭を下げる少女を見て、少年は狐に抓まれたような心持ちになった。
「どうなさったのですか?眠くなられたのなら、お食事をベッドまでお持ちしますが‥‥。」
素直になろうと必死の少女としては、少年のこの的外れな問い掛けに向かっ腹が立ったけれど、
しかし、少年のこうした反応(発想?)こそが今までの自らの所業の結果だと思うと、腹の虫はすぐに萎縮してしまった。
少しずつでも自分を良い方向へと変えてゆき、それを周りの者に、特にハヤテに認めてもらう他に無いのだ。
もう、我が侭勝手と後悔の堂々巡りは御免だ。
「‥‥ハヤテと一緒に、食べたい。」
「はい。ご一緒させていただきます。
出来上がったらお呼びしますので、それまでの間、髪をお乾かしになっては如何でしょうか。」
少年は、その整った顔に何時も少女の心を蕩かして已まない微笑を浮かべながら少女を促したが、少女は少年と居ることを望んだ。
少年への感謝の気持ちと、少年を大切に想う気持ちを、今、伝えたかった。
「私も、手伝うぞ。」
「いえ!お疲れのお嬢様に、お手伝いをさせる訳には参りません。」
家事のプロである少年にとって、少女の手伝いは手間を増やすことと同義であったが、
しかしそれ以上に、創作活動中の主人の手に怪我があってはならないとの配慮があった。
「じゃあ、見ているだけならいいか?」
「ええ、僕なんかの調理中の姿で宜しければ。」
「うむ!存分に料理をするがよい!」
少女は喜色満面で元気良く調理開始を号令し、
それを受けた少年は、早速、身軽な動作で厨房中を動き回って調理器具を集め始めた。
少年の手で、ビルト・イン式浄水器を経由した水が磨き抜かれた鍋に注がれ、ガス・レンジにかけられる。
シンクの中で種々の野菜が洗われる。
ステンレス張りの巨大な冷蔵庫の扉が開かれ、ガーゼに包まれた肉塊が取り出される。
食材を、切る。刻む。炒める。挽く。混ぜる。
その合間を縫うように、使用した調理器具を、洗い、分類して置き、不要になれば片付ける。
作業の全てに亘って、全く澱みというものが無い。
ナギは、まるで玩具にじゃれ付く仔猫のように、調理に勤しむハヤテの周囲をせわしなく後になり先になりしながら付いて回る。
野菜の皮を器用に剥く指先。遠くのボウルを取ろうとぐっと伸ばされる腕。熱く滾る鍋を移動させるときの真剣な横顔。
そして、まったく無駄の無い優雅にさえ見える身のこなし。
少年のどんな些細な挙動にも、少女の小さな胸はキュンと切なくときめく。
少年は、そんな少女の方に時々顔を向けては、ゆっくりと優しく丁寧に自分が今行っている作業の内容と意味を説明する。
それに対して少女は反射的に一応ながら「うん、うん、」と相槌は打つのだが、
何よりもその声音に魅了されてしまい、残念ながらその内容にまでは気が回らなかった。
そんな時、少年の指先の妙技を見逃すまいと少女が少年の手元に顔をグッと近付けた。
その拍子に、髪を上へ纏めているためにボリュームを増していた少女の頭の先端が、少年の顎の横辺りにポフッと軽く当たった。
「あっ!すみません、お嬢様。」
「ううん。いいのだ。そうだ!後でドライヤーをかけるのを手伝ってくれ。」
「はい!」
少年と少女はにっこりと微笑みあった。
改行について、何とか工夫してみましたが如何でしょうか。
ようやく、次が甘甘編ということになりますが、
本当に、この二人をドラマチックにHへ縺れ込ませるのはとってもとっても難しいです。
>>416 >>418 >>419 >>420 GJを頂き、有り難うございます。
連投規制についてですが、私の場合は
「ERROR 連続投稿ですか? 8回」
という表示が出ました。
おそらく、一定の時間内に8連投が基準かと思われます。
やっぱり、改行が‥‥。
乙!
ナギが原作のイメージそのままなのがいい感じ
」の前に。は要らないんじゃないか?
あっても間違いじゃないけど、あると小学生の作文っぽいし
無い方がすっきりすると思う
GJ
でもやっぱり横書きだと詰まって見えて重くなるからちょっとだけ改行してくれ
偉そうに言うな。じゃあ書けんのか?あんたらは
GJです。
うん、書けるよ
じゃあ書いてみろよ
GJです
やっぱりこういうナギが一番可愛いなぁ
>>459 『アドバイス』って単語知ってる??
横からしゃしゃり出てきて指摘レスにケチつける駄目人間発見
偉そうに言うなとか言ってるお前自身が一番偉そうに見えることに気づけばいいのに
*'``・* 。
| `*。
,。∩ * もうどうにでもな〜れ
+ (´・ω・`) *。+゚
`*。 ヽ、 つ *゚*
`・+。*・' ゚⊃ +゚
☆ ∪~ 。*゚
`・+。*・ ゚
日本語でおk
どうしても少年誌系のスレだと20歳未満が紛れ込む
具体的に一言
40〜50字前後で改行すると見やすくなる
>>454 ナギ可愛いなあ・・・
ハヤテと甘甘らぶらぶな体験をさせてあげてくらさい
いや是非に!とにかくGJでした。続き待ってるぜ
今週のハヤテ×ヒナギクが読みたいな。
>>454 君、あそこのサイトでも書いてる名前の先頭がカ行の人だね。
ここは未成年立ち入り禁止だよ?
もうここで書くなとか無粋な事は言わんが、もう少し自重するか
バレないように気を付けなさい。
>>471 少年誌系はどうしても、お前さんみたいな18歳未満者が
入ってくるな
ゆとり共はひな夢(笑)で書いとけよ
年齢制限守れ
何だよガキが混じっているのかよ
18歳未満でも投下は大歓迎
俺もハヤヒナ見たい。ひな夢は幼稚園のサイトだよ盗作しかないしww
狂気の西沢さんを盗作しやがって・・・・
>>478 特定カプのクレクレは他のカプが投下しずらくなる
読みたいなら自給自足するんだ
「場所」としての意味なら、ここも向こうの小説掲示板も年齢制限以外の違いは無い
俺からすればSS投下できるならあとはどうでもいいから、エロいのはこっち、そうじゃないのは向こう、
そういう風に使い分ける。ま、ハヤテで書いたことは無いけどな
自分でサイトやブログ作るのが面倒な人からすれば、小説掲示板っていうのは便利だと思うけどなぁ
そこにどういう人間が集まってくるかはまた別の問題
それを理解できずに作者名出した奴いたよな
とりあえず餅でもついて落ち着こうぜ!
/\⌒ヽペタン
/ /⌒)ノ ペタン
∧_∧ \(( ∧_∧
(;´Д`))'))(・∀・ ;)
/ ⌒ノ ( ⌒ヽ⊂⌒ヽ
.(O ノ ) ̄ ̄ ̄()__ )
)_)_) (;;;;;;;;)(_(
どっかのスレでナギが高●ジョー●に襲われる小説書いてた奴がいた。
ここには18歳未満しかいないと思う……精神的な意味で
だって、ハヤテだぞ?
少年誌の中でも精神年齢低めな奴がターゲットのマンガなんだから
原作が単純でユルユルなだけに、二次作品も作りやすいんだから、くだらないレスで空気悪くすんな
×少年誌の中でも精神年齢低めな奴がターゲットのマンガなんだから
○少年誌の中でも実年齢高めな奴がターゲットのマンガなんだから
◎少年誌の中でも低年齢向けの雑誌だが、そのメインターゲットをおいてけぼりにしている漫画。
だが、それがいい!!(AA略
(・ω・)
やぁ
過疎ると書き込みたくなる!ふしぎ!
>>454の続きです。
・文章が硬い上に内容が深刻 ・全くエロく無い ・心理描写が長くて複雑で難解
以上が嫌な方はスルーをお願いします。
ナギは、例の、
三千院家の厨房にある超一流の食材を惜しげもなく投入したのにも拘らず、最終的には
ゴボッゴボッと不気味に泡立つ紫色の化学兵器へと変化する料理を作る際に自分が使っている踏み台を持ち出し、
ハヤテが立っている場所の横にコトリと据える。
「ここに居ても、邪魔にはならないな?」
「はい。大丈夫です」
コトンと踏み台に乗り、少年と同じ目線の高さを獲得して如何にも嬉しそうに「ムフフ‥‥!」と微笑みかける少女に、
その少女の大胆な企みをまだ知らない少年は優しい笑みを返した。
少年が、ようやく冷めた煮野菜とそのスープを溢さぬように慎重にミキサーに移し変える。
「これが滑らかになるまでミキサーを回します。十分滑らかになったら、網で漉してもう一度火に‥‥」
「なあ、ハヤテ」
不意の少女の呼び掛けに、少年は「はい」と答えながら少女の方を振り返る。
「!!」
いきなり、両頬を掌で包むように押さえられ、目を閉じた少女の顔がスッと近付いたかと思うと、
視界が暗く塞がれる中、鼻の横と唇にふんわりと柔らかくてほの温かいものが押し当てられた。
再び開けた視界の中央には、美しいストレートの金髪を背に垂らし、さっきまで髪に巻いていた白いタオルを首に掛け、
その首から上の全ての肌を文字通り濃い蛍光ピンクに染め上げて、モジモジと目を伏せる少女の上半身があった。
少年は、少女の口付けを受けたのだ。
このキスは、少女にとって、その13年間の生涯で最初で最大の、文字通り一世一代の大決断の結果であった。
今日のこの機会を逃してしまったならば、今度何時またハヤテと二人きりになれるか分からない。
皆の温かい気持ちをしっかりと受け止められるような人間になるのだと強く決心してはいたが、
しかし、それを一人で成し遂げられるかどうかについて、実は、少女はとても不安だった。
だが、大好きなハヤテに手伝ってもらえば、いや、ハヤテに自分の心の内を丁寧に説明し、それを分かってもらって、
そしてハヤテに背中を押してもらえるなら、きっと大丈夫だ。
だから、ハヤテに「大好きだ」と伝えなければ。
だから、ハヤテに「助けて欲しい」と頼まなければ。
このキスは、少女にとって、創造の、始まりの、そして希望のキスなのだ。
だが、このキスは少年にとっては破滅(カタストロフ)の始まりだった。
世間一般の“常識”からすれば、こんなことは「若い男女間の、ささやかな触れ合い」で済むだろう。
だが、少年の価値観や倫理観は、それまでの16年間の一日に何生もするが如き波乱に満ちた人生からすれば、
いや、そうであったが故に極めて堅実で保守的なものであり、それに従えば、キスは正式な交際の開始を意味した。
広大な平面に敷き詰めるように並べ立てられたドミノを端から倒すと、そこに絵が現れる、
という映像を見ることがあるが、少年は、脳中に、少女が今まで自分に対してとってきた態度や行動を並べて、
それをドミノよろしく倒してみた。
そこに現れた“絵”によれば、少女が自分に対して只の好意以上の想いを抱いていることは、最早、疑う余地が無かった。
だが、しかし。いや、だからこそ‥‥。
少年の身体と心が、その中心から順に外側に向かって凍り付いていくかのようにギリギリと冷たく固まる。
その脳裏に、あの日の、あの夜の、あの瞬間の自分の行動が鮮明に蘇る。
あの屑連中 ― つまり、両親 ― は、自転車便のアルバイト先にまで先回りして現れ、
年越し用にと当てにしていた給料を自分達で受け取り、闇金への1億5千万円の借用書を残して煙のように消えた。
夜の公園、頭上での天使のような悪魔と悪魔のような天使の論争の結論として、身代金目当ての誘拐を決意し、
その時、目標として選んだのがナギだった。
ヘラヘラしたナンパ男達からナギを助けたことで一旦その決意は大きくぐらついたが、
謝礼に何でも好きなものをやるといわれ、
ナギを人質にとるつもりで「僕とつきあってくれないか。僕は君が欲しいんだ」と宣言した。
その言葉に慌てるナギに、「こんなこと、冗談じゃ言えない。命懸けさ!」
「一目見た瞬間から、君を‥‥、君を攫うと決めていた!」と、畳み掛けたのは、誰あろう、この自分である。
少女の側近くに仕えるようになって、少年は、少女がまだほんの小さい頃から
不断に周囲の大人達から『三千院家の財産に近付くための“手段”』として扱われ続けてきた事、
そして、少女がどれほどその事に傷付き続けてきたかを知った。
営利誘拐というのは、人をして金を得る為の『手段』として扱う行為の中でも最も卑劣な方法ではないのか。
そんな犯罪を企てた我が身が喩え地獄に落ちたとしても、そんなことは別にどうだって良い。
だが、あの時の自分の必死の“告白”が、
少女を誘拐する為のためのものだったということをもしも少女が知ったとすれば、
その心はズタズタに引き裂かれてしまうだろう。
そうした事態だけは、何があろうが絶対に避けなければならない。
だがもし真実を告白すれば、この快適な屋敷を放逐され、少女への借金の返済のために、
どの様な職に就こうと、どこに住もうと、収入は管理されて一生涯馬車馬のように働かなければならなくなるだろう。
しかし少年は、少女に対する誘拐未遂という所業を隠して少女と付き合うという選択をするだけの“不誠実さ”を、
その身体にも心にも、持ち合わせてはいなかった。
真実を告白する。
少年は、最も単純だが最も困難な路を選択した。
お返しのキスを期待していた少女は、今にも本当に火が出そうな顔を俯かせたまま、
少年の逞しい腕が自分の背中をふんわりと包んでキュッと抱き締め、
少年のあの甘い声が自分の名を呼び、
少年のあの唇が自分の唇にそっと重なる‥‥
そんな展開を胸中に描いていた。
だが‥‥
どうした訳か、何時まで待っても少年の身体が近付いてくる気配はしてこない。
視界を垂れ遮る前髪の隙間から、上目遣いで少年の様子を窺う。
そこに少女が見出したのは、全身を石の如く強張らせ、血色を失って既に薄い乳白色と化していた顔色を
更に寒々と青褪めさせていく少年の姿だった。
さすがの少女も、これが徒事で無い負の変化であるということを瞬時に悟る。
「‥‥どうした、ハヤテ‥‥」
おずおずと伸ばされた少女の手が、少年の肩口に触れようとしたその瞬間。
「お嬢様ッッ!!」
少年の切ない叫びに驚いた少女は踏み台の上でビクンと飛び上がった。
「‥‥お嬢様、どうしても申し上げなければならないことがございます‥‥」
少年は、見る者の悪寒を誘うほどに青褪めた顔をゆっくりと上げると、
極限まで思い詰めた眼差しで少女の瞳を見詰める。
少女の身体にも、全身の毛が逆立つような嫌な緊張感がビリビリと伝わる。
少年は、苦悩に痛いほど張り付く喉と動くことを拒否しようとする舌を意志の力で捻じ伏せながら、
それでも震えを抑え切れない声で話し始める。
「‥‥あの日、僕がお嬢様と初めて出会ったあの時、僕が申し上げた言葉を憶えていらっしゃいますか?」
「‥‥うん」
事態の行方が全く見えない少女は、恐る恐る頷くことしか出来なかった。
そう、あの熱烈な告白。全てはそこから始まったのだ。
「‥‥あの時、僕は‥‥、お嬢様を誘拐しようとして、声をお掛けしたのです‥‥」
自動制御式のガスコンロが、ピーピーという警告音とパイロット・ランプの点滅で湯の沸騰を告げた。
少年の言葉に、少女の表情が一瞬、虚ろになる。
両拳をぐっと握り締め、肩をふるふると震わせていた少年は、
次の瞬間、少女の足元にガクリと両膝を付き深く深く俯いた。
「‥‥僕はッ、‥‥僕は、お嬢様を‥‥、自分の借金の返済のために、利用しようとしたんです‥‥」
少年は、込み上げる嗚咽に更に震える声を振り絞る。
「‥‥僕は‥‥、三千院家の財産目当てにお嬢様に近づこうとする薄汚い大人達と同じです‥‥」
少女からの返事は無い。
それは当然すぎるほど当然のことだ。
誘拐の標的と定めた少女が好意を示してくれるのを幸いに、
放課後はあらゆるアルバイトを掛け持ちし、夜遅くに何とか雨露を凌げるだけのボロアパートに帰ってみれば
『とても親切な人達』達が玄関先で待っている、という生活からあっさりと抜け出して、
日本でも指折りの超豪邸の中に専用の個室を宛がわれ、名門校に通い、仕立ての良い制服に身を包み、
主人の共をして著名人が集合するレセプションに自家用ヘリや新型の大型高級車で乗り付けるという
望んでもそうそう得られない立場を今の今までぬくぬくと享受してきた人間の屑になど、掛ける言葉は無いのだろう。
だがそれでも、最後に、これだけは伝えなければならない。
「‥‥お嬢様のお心を深く傷付けて、本当に‥‥、本当に申し訳ありませんでした」
「‥‥‥」
やはり少女は沈黙したままだ。
少年は握り締めた拳を膝の上に置き、涙に濡れる青褪めた顔で少女を振り仰いだ。
「お許し頂けるとは思っておりません。お望みならば、足蹴でも何でもお受けします。
触るのも嫌だとおっしゃるなら、今すぐにお屋敷を出てゆきます。勿論、お借りしたお金は‥‥」
「マリアは、そのことを知っているのか‥‥?」
ずっと踏み台の上から少年を見下ろしていた少女が尋ねる。
その表情も、口調も、とても穏やかだった。
おそらく、軽蔑のあまり、睨み付ける気すらも失せ果ててしまったのだろう。
それにマリアさんに話が及んだということは、
この事態が、自分がお屋敷を出て行けばそれで済むという単純なものではなくなったことを示していた。
勿論、その事情は、お屋敷に運び込まれた日、
大浴場でマリアの入浴を垣間見た ― マリアによれば、それは“夢”であったが ― 直後にマリアから受けた
事情聴取の際に全て包み隠さず話したが、しかし、それを少女に話せばマリアまで処分を受ける可能性が高い。
「‥‥、それは‥‥」
「‥‥もう、いいよ‥‥」
口篭る少年の上に、少女の静かな言葉が舞い降りる。
これ以上の会話は無用、との宣告。
万事は、休した。
「立て、ハヤテ」
少年は、少女に言われるまま、ゆっくりと身体を起こして少女に正対し、じっとその目を見詰める。
この瞬間を最後に、もう永遠に視線を合わせることは無いであろうその少女の目には、
怒気も、軽侮も、疑念も、諦念すらも浮かんではいなかったが、
その内側に何らかの激しい感情が隠されているということは少年にもすぐに分かった。
飛んでくるのは、平手か、拳か、鳩尾への蹴りか、それとも熱いフライパンだろうか。
それが何であれ、少女の心の痛みを思えば、絶対にそれを避けてはならなかった。
少女の両腕が、するすると少年の首筋に伸びる。
喉を締め上げられるとしたら、何とか耐え抜いて死なないようにしなければならない。
もし自分が死ねば、少女が罪科に問われてしまうだろうから‥‥。
完全に少年の首に巻き付いた少女の腕に、徐々に力が篭る。
これから自分がどのような仕打ちを受けるにしても、もう、全ては終わってしまったのである。
本当に、ごめんなさい、そして、今まで有り難うございました、さようなら、お嬢様‥‥
少年は身体の力を抜いて、少女の為すが儘に身を任せた。
少女の腕が、それ以上締め付けることを止めた。
少年の頬には少女の温かな頬と乾きかけの少しひんやりする髪が柔らかく押し付けられており、
少女が少年に積極的に体重を預けているために二人の身体は密着していた。
少女のシャンプーの香りを間近に感じ、戸惑う。
少女は、首を少し動かして押し付けた頬をそっと2、3回スリスリと擦り付けると、
少年の耳朶に唇を寄せて、小さく、しかしはっきりと囁いた。
「もう、そんなこと、気にするな‥‥」
暫くの間、少年は、その言葉の意味を理解できなかった。
何が起こったのかを理解すべく、ともかく少女の表情を窺おうと少し身動ぎしたところ、
首に回っている少女の腕に再びギューッと力が込められた。
この頃になると、風呂上りでいつもより少し高くなっていた少女の体温が少年の肌にも伝わっていた。
「(もしかして、お嬢様は、僕を許してくださったのだろうか‥‥)」
意を決して、抱き締められた状態のまま、自分の口のすぐ側にある形のよい少女の耳朶にそっと呼び掛けてみる。
「‥‥お嬢様」
「ん?」
呼び掛けたまでは良かったが、次の言葉が見つからない。仕方無く、いろいろな意味を込めて、再び詫びる。
「‥‥申し訳、ございません‥‥」
「だから、もうよいと言ったではないか!」
少女はとても柔らかい声音で少年を叱ると、腕にまたキュッと力を込める。
「‥‥お嬢様‥‥」
少女の小さな背中に少年の逞しい腕がおずおずと回され、やがてその腕は、
そこを覆うように広がるまだ乾ききらない長く美しい金髪越しに、その背中をそっと支えるように抱き締めた。
「もう大丈夫だ。安心しろ、ハヤテ」
想い人からの慈しみに満ちた抱擁を受けて大きな安らぎを得た少女が、その想い人を励ました。
二人は一旦抱擁を解き、少し互いの身体を離して、だが肘から先を絡めあいながら、何も言わずに見詰め合う。
「ハヤテ‥‥」
「はい」
少女の整った顔は優しい微笑を湛え、その翡翠色の瞳はほんの少し潤んでいる。
普段から立ち姿が美しい少年は、少女の呼び掛けにすっと軽く背筋を伸ばすと丁寧で慎み深い声で返事をした。
先ほど自分から尋ねておいてその後直ぐに『もうよい!』と話を遮ったのが気になったのか、
少女は落ち着いた声で少年に説明した。
「もし、ハヤテが危険な奴だったら、マリアは絶対にそんな奴を私に近付けたりはしなかったろうからな」
「マリアさんには、このお屋敷に来てすぐに、全てをお話しました」
「うむ。マリアがそれでいいというなら、私もそれでよい」
突如、少女は耳の先までをぱあっと真っ赤にしながら少年の瞳から視線をはずすと、
可愛らしい唇をちょっと尖らせて、いかにも恥ずかしそうな様子で俯きながらボソボソと呟いた。
「ハヤテの気持ち、とってもとっても嬉しいぞ」
>>458 >>459 >>462 468
GJを頂き、有り難うございます。
改行は、こんなもんで如何でしょうか。
『」の前に。は不要なのでは?』とのアドバイスを採り入れて見ました。
次回はいよいよナギハヤラブラブ展開ですが、うまく書けるかどうか‥‥。
497 :
名無しさん@ピンキー:2008/02/24(日) 21:32:09 ID:1W9rRsjw
うぉぉー
GJ!!!!!
続きにスッゴい期待
>496
ド正統派!
直球勝負キタコレ!!!
続きを全裸でwktkしながら正座して待ってます!
GJすぎて泣けてきた
普通
いいねー、こうゆうの
GJ!
咲夜分が足りない。可愛い咲夜のSSをおくれ。
>>504 「だからウチをよう見てみって言うてるやろ!」
「だからさっきからお前を見ても、さっぱり何も分からんと言ってるではないか!!」
この日サクヤとナギは『女らしさ』について白熱した議論をしていた。
「せやからな…ほら、よーウチのこの体を見てみって!自分には無いもんがあるやろ?」
サクヤはそう言いながら確かにナギには無い、年頃にしては大きめの胸を寄せてそう言った。
「…どうや?女らしいって言うのはこう言う事を言うんや。」
「何を言っている。そんな物ただの無駄な脂肪細胞ではないか。」
「な、なんやてー!!」
サクヤがそう熱くなると、ナギは勝ち誇った顔で語り始める…。
「いいか?女らしいと言うのは私の様な性格の事を言う……」
「あはははっ!さすがナギ!今のボケはなかなか面ろかったわ!」
「……なっ!ボ、ボケなどでは無い!大真面目だ!!」
「ほぉー…せやけどナギからはその女らしい性格…って言うのはいっさい感じられへんけどなぁ。」
「…な、なんだと!!」
すると、この両者引かない一進一退の攻防に割って入るかの如くハヤテが部屋に現れる。
ソレをみたナギは、ハヤテに自分がいかに女らしいかを証明させるべく駆け寄った。
「おいハヤテ!丁度いい所にきたな!今あのバカと話していたんだが…」
「だ、…誰がアホやてー!!」
「…あほでは無い、バカと言ったんだ。」
「なっ…!」
二人が何か火花を散らしていると、ハヤテはつけっぱなしになっているゲームに気づいた。
「…お譲様、ゲームもいいですがたまには女の子らしくショッピング等お出かけになられては―――」
それを聞いたナギは固まった。
「ハ、ハヤテはゲームばかりしていては女らしく無いと言うのか…?」
「そりゃあ女の子ならゲームはあまりしないかと…」
「―――はっ!!」
ナギが何か背中に嫌な視線を感じ振り返ると、そこにはニヤニヤしているサクヤが立っていた。
>>505 「そやそや、ゲームなんて女らしゅうないよな。さすがは三千院家の執事や、よーわかっとるわ。」
「いえ、そんな。ぼくなんてまだまだ…」
「そんな謙遜せんかってもええで、…ほら、これは褒美みたいなもんや受け取り。」
サクヤはそう言うとハヤテの前で服の胸元を人差し指で引っ張り、ハヤテにその谷間を見せつけた。
「…?!…サ…サク……サ…」
「あははっ!なんやなんや、こんなんで照れるやなんて可愛い執事やないか。…よっしゃ、特別に触らせたる!」
そう言ってサクヤはハヤテの手を掴んだ。
「……そんな、…お譲様からも何か言ってくださ……お譲様…?」
そこには目を光らせ般若の如く鋭い目つきで、今にも噛み殺さんとハヤテを睨むナギがいた。
「……ハーヤーテ〜!!!」
「お、お譲様…!?」
「うるさいうるさいうるさい!!さっさと出て行かんかーっ!!」
ナギはそう言ってハヤテを部屋の外へと追いやった。
…しかしハヤテはいなくなってももう一つの大問題が部屋には残っている…それは勝ち誇った顔をしているサクヤだった。
「…どーやナギ、女らしさって物がわかったか?」
「……な、何を言っている。あんなのはただの色仕掛けではないか…。」
「せやけど、その色仕掛けを出来るのが女と違うんか?」
「…そ、それは……。」
この時サクヤは、ナギが怯んだと見るや否や後ろに回り込んでナギの小さな胸に手を当てた。
「!!!!?な、何をする!離せ!!」
「そんな暴れなや、ウチがナギの胸大きいしたるわ。」
「……ほ、ホントか?」
いつもならサクヤの言う事など聞く耳を持たないナギだが、今回は珍しく素直に言う事を聞いた。
「(実際サクヤの胸は大きい…もしかしたら本当に大きくする方法があるのか?…そうすればハヤテも喜ぶんじゃ…)」
等と思っていたとかいないとか…。
「そ、…それでどうすればいいのだ?」
「なんもせんでええ、ウチが全部世話したるわ。」
「そ、そうか…すまん。その、よろしく頼む……。」
ナギがそう言うとサクヤはナギの服の中へ手を滑り込ませた。
「…?!うわぁ…っ!!」
「なんや、自分ホンマに少しもあらへんねんな。」
「よ、余計な御世話だ!…まだ発展途上なのだ……。」
「ほんならウチが急速に発展させたるわ。
サクヤはそう言うとナギの胸をゆっくりと揉み始める…。
>>506 「……く…っ。……あ…ぅっ…!」
「なんや、自分女らしい声出せるんやん。ほら、もっと出してみ。」
「…は…ぁ……んっ…!おぃ…ホント……こんな事…んんっ!!」
「ん?なんや、ハッキリ言わんとわからへんで?」
「だから…ホントに……ぃっ…こんな事で大きくなる…んっ……のか…?」
「う〜ん…そうやなぁ……」
サクヤはそう言いながら、ナギの胸の先にある硬くなった部分を指でグリグリと押さえつけ始めた。
「…ふぁ…っ!ハァ…ッ……こ、こら…そんな事したら……あぅ…ぅ…い、痛いだろ……っ!」
「そんな顔して言うても説得力無いで?」
確かにサクヤの言う通り、ナギは口ではそう言ってはいるが顔を赤くし息づかいも荒くなっていた。
サクヤが更に指の力を強くするとナギは目を固く瞑り、指を噛んで声を殺そうとしている…
「そや、ナギその調子や!今の自分色っぽいで!!」
「そ、そうか…あっ……よし、これでハヤテも喜……あっ…は…ぁ……んぁぁぁ…っ!!」
ナギは大きな声をあげると、そのまま床に倒れこんでしまった。
着衣は乱れ顔を真っ赤にし、息づかいも荒いままだが何所か満足そうな顔をしている。
すると早速ナギの大きな声を聞きつけたハヤテが部屋へ駆けつけた。
「お譲様!!なにか悲鳴のようなおおきな声が聞こえましたが…」
「おお、ハヤテ!グッドタイミングだ!…どうだ、さっきの私と何か変わった所はないか?」
「…えっと……その…。」
「なんだ、照れなくてもいいぞ。ハッキリと言ってみろ。」
「…はぁ……それではマリアさんに言って替えの下着を持ってきて貰いますね。」
ハヤテはそう言って急いで部屋を後にした。
ナギは状況が飲み込めずその場に立ちすくんでいる…
「なんだハヤテの奴…いったい何を言っているのだ……?」
すると見るに見かねたサクヤがナギの肩をポンッと叩いた。
「…あのな、たぶん女らしい人なら…おしっこは漏らさへんと思うで?」
「……え?」
ナギが自分の足元を見ると。そこにはビショビショの下着と小さな水たまりが出来ていた。
「な、何だこれは!!私はいつの間にこんな……ハヤテ、誤解だ!コレは…」
しかしその時すでに、ハヤテは見えないほど遠くを走っていた…。
「……まぁーなんや、…ウチはそう言う体を張ったギャグは嫌いとちゃうで?」
するとナギは無表情のまま、大きさの変わらない自分の胸をペタペタと触り始めた。
「…ぜんぜん大きくなってない……。」
「……ほ、ほなウチはそろそろこの辺で…」
「…サ〜ク〜!!!!」
「わっ…ちょ!そんな……あかんてーーー!!」
そんなにぎやかな三千院家の日曜日ってか。(゚Д゚)
レス見て即興で作ったから苦情は受け付けないんだぜ(;´Д`)ハァハァ
即興でこれが書ける才能に嫉妬w
GJ!
GJすぐる
うおおお、速攻でリクに応えてもらえるとは! ナイス速筆!グッジョブ!
一つ、これは苦情とかじゃないんだ、それはそれでいいんだ。
ただ、このSS…、
ナギが、
可愛い…。
>>507 GJです。
こういう素直に楽しめる作品の後だと、中々大変なものがありますが、
敢えて投下。
>>495の続きです。
・エロパロなのに全くHの場面が無い ・文章が硬くて大仰 ・説明や描写が延々と続く
以上が嫌な方はスルーをお願いいたします。
「有り難うございます。お嬢様‥‥」
少年の口から、我知らず感謝の言葉が零れる。
同時に、少女の心を深々と抉るという最悪の事態を回避できたという大きな安堵感とは別の感覚が、
少年の胸に沸々と湧き上がり始めた。
今、自分の目の前にいる、あらゆる幼さに満ちた小さな少女。
少年は、少女の父母のことに関して何も知らない。
自分が執事となって既に丸一年が過ぎたが、
彼等からの少女宛ての手紙や電話を取り次いだことは一度も無かったし、
まして少女の墓参の供をしたことも、或いは少女が少年に悟られぬように墓参をしたという気配も無く、
また、そうした事についてクラウスからもマリアからも公式・非公式を問わず明確な説明は無かった。
故あっての別居にしろ病気や事故による死別にしろ、少女がその事情に全く触れないということが、
この『父母の不在』が、少女の心に凄まじい傷を負わせ、それがまだ全く癒えていない事の何よりの証であった。
『父母の不在』
少年の父母は確かに“物理的”には存在している。
だが、彼らは自分達の子に対して『良いこと』も『善いこと』も『親として当然なすべきこと』すらも
しなかっただけでなく、合法・非合法の別を問わずに“金づる”としてとことんまで利用した。
只一つ、彼等が少年に示した“優しさ”は、借金取りからの迅速な逃走を願って、
その名を『ハヤテ』(疾風)としたことだけであった。
もし、少女が両親から愛されながらも“置いていかれた”のだとすれば、
少年は、文字通り、両親から弊履の如く“棄てられた”、いや、両親によって“利用するために造られた”のだった。
少年と少女は、『お金』に起因する問題だけでなく『親』というキーワードでも繋がっていた。
「(お嬢様を、何時までも、どこまでも、護りたい‥‥!!)」
陳腐な“憐れみ”や安っぽい“同情”などとは全く無縁の熱く激しい感情の突発に呼応するかのように、
少年の心臓が、ドクン、ドクンと力強い鼓動を打ち始める。
目の前で優しく微笑む少女は、決して小さいとはいえない踏み台を使うことでやっと少年と同じ視点の高さを得ていた。
その身体は、本当に華奢で、小さい。
16年間、自分は『親』と名乗る屑と暮らしてきた。
自分がその屑の本当の子であることは、悔しくて悲しいけれど、間違いない事実だった。
こんな自分が、お嬢様に相応しい、お嬢様と釣り合いがとれる男だとは、どう考えてもとても思えない。
だが、こんな自分でも、いや、こんな自分だからこそ、
喩えほんの少しであったとしても、お嬢様を支えて差し上げることが出来るかも知れない。
いや、“出来るかも知れない”ではなく、やらなければならない。
いや、“やらなければならない”ではなく、必ずやり遂げるのだ。
今、暖かく真っ直ぐな眼差しで一心に自分を見詰めてくれているこの少女を、あらゆる哀しみから護りぬく!!
その笑顔を護るためにこの命が必要ならば、いつでも持っていくがいい!!
少年は、今の今まで
只の一度たりとも、少女を護る際に自分自身の身体や命の安全に気を取られたことなど無かった。
だが、今からはそれだけでは不十分なのだ。
少女の幸せのために、その笑顔のために、此方から積極的に仕掛け、果敢に打って出るのだ。
その結果、自分が死のうが生きようが、そんなことは只それだけのことでしかない。
金剛石を凌ぐほどに硬く、火口から溢れ出る溶岩よりも熱い決意を宿した少年の燃えるような眼差しは、
今や、爛々と輝きつつ生死(しょうじ)の別を遥か遥か下方に睥睨していた。
今の少年にとって、『攻撃は最大の防御』という諺は、天地と我が身を貫き通す真理であった。
「お嬢様!」
「ど、どうした?」
只ならぬ気迫の篭った少年の呼び掛けに、少女は大いに戸惑いながら返事をした。
少年は、靴の踵をピタリと付け、背筋をきちんと伸ばし、右の掌を自分の胸の中央にしっかりと押し付け、
眼前の少女の翡翠色の瞳を真っ直ぐに見詰め、その感情豊かでほんの少しハスキーな声を励まして、
少女に決意を披瀝する。
「僕は、この身に代えても必ずお嬢様をお護り致します。
これから先、もしもお嬢様の身に何か困難が降り懸かることがあれば、
僕が、先ず、それをお引き受けいたします。
僕の命も身体も、全てお嬢様のものです。
僕のこれからの人生を、全てお嬢様に捧げます。
僕は、お嬢様のために、生きてゆきます。
お嬢様は、僕の、大切な大切な、本当に大切な、掛け替えの無い宝物です。」
姿勢を正し、一言一言区切りながら腹から響き渡る声で少女に語りかける少年の姿は、
憧れの見目麗しい女王に忠誠の宣誓を行う若い将校さながらの凛とした気品に満ち溢れていた。
今度は、ナギの小さな身体が固まった。
少年のブルーサファイアの瞳に射竦められる様にして、
その言葉の一つ一つを只々聴いているのが精一杯だった少女。
真っ白になった少女の脳中に、
『この身に代えても必ず護る』『命も身体も、全て』『捧げます』『全てお嬢様のもの』『掛け替えの無い宝物』
という少年の声の残響が次第に文字として形を成し、やがてそれが順序正しく列を作り、
それを改めて一文字ずつ読み辿っていく事で、少女はようやく、自分が少年からどの様な言葉を聞かされたのか、
その意味するところは何なのかを、病者が粥を飲み込むように、少しずつ少しずつ理解してゆく。
少女の脳中で時折チカチカと点滅していた砂時計のマークが消え、
その直後、
画面全体が、パパパパッとせわしなく表示される大小も形式も様々な幾つものポップアップ・メッセージによって
瞬時に覆い尽くされた。
だが、それらのウインドウの中の文字は、どれもこれも皆同じであった。
『あなたは強く愛されています』
少女の可愛らしい膝が小刻みに震え始める。
それまで緊張に引き締まり血の気が失せていた頬がふっと緩み、徐々に何時もの肌の色を取り戻していき、
更に鮮やかな桜色に変化する。
驚愕に見開かれ久しく瞬きを忘れていた美しく勝気な翡翠色の瞳がすっと細まり、
そこにあっという間に熱い涙がどんどんと沸き溜まって、ついに睫に留まり切れなくなったそれが、
目頭と目尻から、キラキラ輝く小粒の真珠となって幾つも幾つもポロポロと紅に染まった少女の頬を伝い零れた。
普段なら快活に動く唇は、ほんの小さく小刻みに開閉を繰り返すばかりで、一向に声にならない。
少女は、わなわなと取り留めなく震えるその細い両腕をぎこちなく少年へと伸ばす。
少年は、真剣な覚悟と深い慈しみに満ちた眼差しで少女の濡れた瞳を真っ直ぐに見詰めたまま、
ほんの1、2センチ、少女の立つ踏み台にその爪先を近付けた。
その次の瞬間、少女は自分の身体を少年の身体へと激しくぶつけるように投げ出すと、
少年の広い背中に回したその腕に骨も折れよと言わぬばかりに力を込め、
その背中全体を掻き毟るように縦横に撫で摩る。
少年の頬に自分の頬をぎゅーっと強く強くくっ付けると、
自分の頬骨の一番尖った所で少年の頬骨の全体を探りなぞる様に愛しげに何度も何度も擦り付ける。
幾度も幾度も喉が痛くなるほど大きく激しくしゃくり上げた後で、漸く嗚咽が言葉になり始める。
「‥‥ッ、あッ‥‥、ありがッッ‥‥と、‥‥ありがとッッ‥‥う、‥‥ハヤッッ‥‥、テェッ‥‥」
少年の大きく暖かい掌がふるふると切なく震える少女の華奢な両肩先を柔らかく包む。
やがてその掌は肩甲骨を慈しみ深げに撫でながら更に進んで背骨の上で出会ったが、
それはお互い擦れ違ったまま進み、
ついに少年の腕が、完全に少女の小さな背中をしっかりと抱えるように包み込んだ。
少年の耳元で憑かれたように感謝の言葉と少年の名と涙声で交互に繰り返す少女に、
少年が、ゆっくりと、暖かい声でそっと囁く。
「お嬢様‥‥。僕は、何時でも、何時までも、お嬢様のお側に、お嬢様と一緒にいます‥‥」
少女は、少年に暖かく強く抱擁されながら、
その小さな身体を大きく打ち震わせて、今まで一度も流したことがなかった幸せな熱い涙を思う存分に流した。
二人は、そのまま暫く抱き合っていた。
少女の呼吸が落ち着いてきたのを見計らい、その耳元に少年が優しく問い掛ける。
「お嬢様」
「うん‥‥?」
歓喜の涙に泣き疲れた少女は、密着していた上半身をほんの少しだけ離すと、
少年のその整った優しい顔を間近に覗き込むようしながら、ちょっとくぐもった鼻声で短く返事をした。
「お料理の続きを致しましょう。きっとお口に合うように仕上げてご覧に入れます!」
「うむ!ありがとう!」
ニッコリと満面の笑みを返す少女の目尻にうっすらと光る涙の痕を見付けた少年は、少女に更にもう一つ提案する。
「ですか、その前に、お顔を奇麗になさっては如何でしょう」
少女は、耳と頬を紅に染めて深々と俯き、
少年が着けているクリーム色のエプロンの両脇をそっと抓むように掴みながら恥ずかしげにボソボソと呟く。
「うん‥‥、ハヤテも、一緒に‥‥」
「はい。お供致します」
少年が手をスッと差し出して少女の手をそっと握るように支え、少女が踏み台から降りるのを助ける。
「ありがとう!」
満面の笑みでステップも軽く床に降り立った少女は、
少年に預けていた手を離さずそのまま逆に少年の手を握ると、
その手を引きながら、大浴場に併設されている洗面所に向かうべく厨房を後にした。
少年と少女は、並んで手を繋ぎながらゆっくりと手入れの行き届いた緋色の絨毯の上を歩いていく。
金糸で編まれた太いタッセルで纏められた上品な桜色の遮光カーテンから覗く窓外は、
既に深い藍色に変化していた。
「ハヤテ」
「はい」
少年が少女の方に顔を向けると、またもや少女が顔を紅に染め上げながら俯いていた。
男女の間の事情ということに関して、
少女は、都心の下手な“高級”マンションなどよりも遥かに広い専用書斎に溢れ返るほどコレクションされている
その手の同人誌や青年コミックからそれなりの知識を一応ながら得てはいたものの、
いざ我が身の上のこととなると、全く為す術を知らぬ状態に陥ってしまうのだ。
だが、そうした生(うぶ)さは、少女の魅力でもあった。
「‥‥さっきハヤテは、全てを私にくれると言ってくれたのだが‥‥」
「はい。この身体も、心も、命も、全て‥‥」
繋いでいる反対側の掌を、先ほどと同様に自分の心臓の位置に当てながら、少年が優しく返事をする。
「‥‥な、なら、私はハヤテに何をあげればよいのだ‥‥?」
少年は、少女の瞳を見詰めながら答えた。
「僕は、お嬢様だけが欲しいです」
怪訝な顔で見上げる少女に、少年が丁寧に説明する。
「去年のクリスマスの騒動を覚えていらっしゃいますか?」
去年のクリスマスの夜。
“伝説の執事服”とやらを巡って白皇学院の理事長・葛葉キリカとその専属執事を操っていた巨大な白蛇との
激烈な武闘が発生し、その結果、学院の屋内体育施設が全壊してしまった。
その時、少女は、その騒動の原因であり当事者となってしまった少年を助けるため、
桂ヒナギクと共にその武闘の真っ只中に身を投じたのだった。
「あの時、僕はあの大きな白い蛇に意識を操られていたらしくて、
お嬢様が大きな声で僕の名前をお呼び下さった時より前の記憶が無いのです。
でも、あの時、お嬢様が僕にとってもとっても大切なことをお伝え下さった様な気がずっとしていて‥‥。
今でもやっぱりそれを思い出せないのですが、
でも今、僕は、このお屋敷とか、財産とか、三千院家の次期当主とか、そういういろいろなことは関係なしに、
『三千院ナギ』っていう、僕が側にいることを望んでくれるとっても優しくてとっても可愛い女の子と
ずっとずっと一緒に居たいんです。
ですから、僕がどうしても欲しいのは、今、僕の目の前に居て下さるお嬢様御本人だけなんです」
少女は、あの騒動の折、
ハヤテに襲い掛からんとする巨大な白蛇の前に立ち塞がった際に、自分が我知らず叫んだ台詞を思い出した。
― 屋敷なんか無くても、財産なんか無くても、ハヤテさえ居てくれればそれでいい ―
― 喩え、執事の力を無くしたとしても‥‥ ―
少女が叫んだことをきっかけとして少年の洗脳は解けたのだが、
だとすれば、洗脳が解けかかったことで混乱を来たしていた少年の意識の底に、
少女のその叫びが刻み込まれたのに違いなかった。
あのような大混乱の最中(さなか)にあっても、私の叫びはハヤテの心の奥深くにまでに届いていたのだ‥‥。
あの巨大な白蛇に操られていても尚、ハヤテの心は私の叫びをしっかりと受け止めてくれていたのだ‥‥。
それに、財産も無ければ三千院家の当主でもない私など、只の小生意気な子供でしかないはずなのに、
それでもハヤテは私のことを『優しくて、可愛い』『どうしても欲しい』と言ってくれるのだ‥‥。
少女は軽く小さい溜息を付いたが、それは甘い熱情を帯びたものではなく、
フッと細められた目は、研ぎ澄ました刃のように鋭く煌き、
頬は、肌を幸せな桜色に上気させたまま、スッと引き締まり、
愛らしい唇は、軽くキュッと結ばれた。
少女は徐に立ち止まると、繋いでいた手をくいっと引いて少年も立ち止まらせた。
不思議そうな面持ちで足を揃えながら姿勢を正した少年に正対すると、
少女は、少年の澄み切ったブルーサファイアの瞳をじっと静かに見据えて、話し始める。
「私の願いなら、何でも聴いてくれるのだな?」
少女の顔色には、殆ど変化はなかった。むしろ、頬などはそれまでの桜色が少しずつ褪せ始めている。
少年は、少女が何らかの重大な決断か固い決意をしたことを悟って、真剣な表情で返事をした。
「はい‥‥」
「‥‥私の恋人になってくれないか」
ハヤテと一緒なら、どんな苦難にも耐えられる。
ハヤテと一緒なら、どんな困難も乗り越えられる。
ハヤテと一緒なら、生きることを楽しいと感じられる。
ハヤテと一緒なら、どんな状況の下でも心からの幸せを感じることが出来る。
ハヤテを、絶対に絶対に手放さない。手放すわけにはいかない。
私がこの世に生を享けたのは、ハヤテと出逢うためだったのだ。
もしも私の問いに対するハヤテの答えが『否』であれば、その時は‥‥
少年は、緊張させていた頬をふんわりと柔らかく緩め、慈しみ深く包み込むような眼差しで、
自らの運命と一対一で対峙する決意と覚悟の重大さに鋭く輝く少女の翡翠色の瞳を見詰め返した。
「はい、喜んで!僕の方こそ、お嬢様と是非お付き合いをさせていただきたいです!」
少年は、今思い感じていることをそのまま素直に言の葉(ことのは)に乗せて少女に伝える。
それを聞いた少女は、少年の逞しい胸に縋り付くように凭れ掛かかると、その胸板の厚さを確かめるように、
また、その心臓の鼓動を確かめるように耳と頬をそっと押し付けながら、
掌で少年の胸元をゆっくりと愛しげに撫で摩った。
少女の小さく華奢な身体を優しく柔らかく抱えるように、少年の腕が緩々とその背中に回る。
「私を、絶対に離さないでくれ、ハヤテ‥‥」
少年のクリーム色のエプロンの胸元をのろのろと這い回る自分の細い指先を、
熱を帯びて潤む翡翠色の瞳で追うともなしに追いながら、うっとりと夢見るような口調で少女が呟く。
「はい、絶対に‥‥」
少年は、まだ乾ききらない少女の頭頂の艶やかな金髪にそっと顎の先を押し付けながら優しく囁いた。
>>518 俺ぁこの時点で悶え死にそうなんだぜ?
その上さらに悶えさせようと言うのか!
GJ!
520 :
名無しさん@ピンキー:2008/02/27(水) 14:09:50 ID:U6QvrLr4
GJ!!!!
素晴らしい作品をありがとう〜!!!!
>518
GJ過ぎる
つか、これ以上さらになおもっとラブラブになっちまうのか!
恐ろしい子!
全裸で待ってるぜ
522 :
名無しさん@ピンキー:2008/02/27(水) 14:15:29 ID:fz4DT8Oj
>>518 GJ(;´Д`)ハァハァ
ところでオレ昨日始めて書き込んだ超新参なんだけど、
>>518sの話って長編なのか?!
安価をたどってなんとか物語のスタートにたどり着いたんだけど、
もし今後も長く続くなら分かりやすいようにタイトルが欲しいんだぜ!(´Д`)
ハヤテ×ナギ
「よし、来いハヤテ!!」
「…でも本当に大丈夫ですか?」
「遠慮はいらん!本気でかかってこい!!」
珍しく剣道場に足を運んだと思うと、ぶかぶかの防具に身を包み竹刀を重そうに持って構えるナギ。
それもこれも昨日ナギが読んだ某剣道マンガの影響らしい。
ナギ的にはそのマンガを読んで剣道の極意を得とくした……気になっているようだ。
「そ、それではお譲様…行きますよ。」
「うむ、手加減なんてしてみろ!ただじゃおかないからな!!」
そう言ったナギに対しハヤテが本気を出す訳もなく、いかにもわざとらしくナギの必殺技を受けたのだった。
「いやぁー、さすがはお譲様です。全くかないませんよ!お見事です!!」
「…………。」
もちろんハヤテの猿芝居などナギに通用する訳もなく、ナギはハヤテをキッと睨みつけている。
そして何かいい事を思いついたと言わんばかりに不気味な笑みを浮かべ始めた。
「ハヤテ、そんなことでは我が三千院家の執事など勤まらんな。お前はもうクビだ。」
「…えぇ?!……お譲様…じょ、冗談ですよね?」
「いいや、本気だ。……しかし私も鬼ではない、お前にもう一度チャンスをやろう。」
そう言ってナギが出した提案…それはハヤテが本気を出して『ナギから一本とる』と言う条件だった。
「では行くぞ!!」
ハヤテに考える時間も与えずナギは突進した…
ハヤテはとっさに、ほんの少し…それこそ100分の1程度の力でナギに軽く面を放った。
「うわぁ…っ!」
しかしナギはその100分の1の力にも耐えきれず、少し後ろに飛ばされ尻もちを付いてしまった。
「イテテッ…」
「だ、大丈夫ですかお譲様!申し訳ありません…。」
ナギは頭にかぶっていた防具を外しておでこのあたりを擦っている。
「…よ、良いのだ。…しかし、やはり私ではお前の本気には敵わなかったか。」
「は…はぁ。」
もちろんハヤテも本気を出していないなんて事は言える訳もない。
ハヤテは小走りでナギの元へ向かい、倒れているナギの肩を抱き抱えた。
>>524 「本当に大丈夫ですかお譲様?」
ハヤテは心配そうにナギの顔を見ている。
「わ、わっ……こ、これくらい平気に決まってるだろ!」
「…しかし顔が少し赤いようですし…念のため保健室へ…。」
「そ…それは、お前が抱き寄せたり……その、それにハヤテの顔がこんな近くに……うにゃうにゃ…。」
「…お譲様?」
「…な、何でもない!…わかったからとりあえず保健室へ行くぞ……。」
そう言ってナギが防具をすべて外し立ち上がろうとすると、ハヤテはナギをヒョイと持ち上げた。
それはまさに世に言う『お姫様抱っこ』と言う、ナギにとって嬉しくてとても恥ずかしいものだった。
「こ、こらハヤテっ!何をしている!降ろせ!!」
「ダメですよお譲様、ジッとしていてください。」
「だ…だけど……その、…校内の生徒に見られては恥ずかしいではないか…。」
ナギはハヤテにモジモジしながらそう言った。
「安心してくださいお譲様!このハヤテ、生徒に見えないほどのスピードで保健室まで走りぬいてみせます!」
「そ、そうか。よし…それでは頼んだぞ、ハヤテ。」
ナギはそう言ってどさくさまぎれにハヤテの首へ抱きつくように掴まった。
「それではヒナギクさん、僕はお譲様を保健室に連れていきますので今日は失礼します。」
「あー……ぅん。」
なんだか気まずそうにそう答えたヒナギクを見て、ナギはある事に気づいた。
「……!!おい、ハヤテ!!言ってるそばからヒナギクに見られてるではないか!!」
「…あっ、……あははっ…すみません。」
「…うぅ〜…っ!もう良いから早く行けー!!!」
ナギが顔を真っ赤にしてそう言うと、ハヤテは急いで保健室へ向かった。
「失礼しま……あれ?先生いないのかな?……ん、お譲様到着しましたよ。」
「…なんだ、もう着いたのか……。」
ナギはそう言うと名残惜しそうにハヤテの腕の中から降り、保健室に入って行く…
>>525 「とりあえず…消毒くらいなら僕でも出来ますんで椅子に座ってください。」
ハヤテにそう言われ椅子に座るナギ。…しかし二人きりの保健室というシチュエーションにいささか緊張してしまう。
そしてハヤテがナギの前髪をあげておでこを見る為顔を近づけると、その緊張はますます高まった。
「……あれ?…どこにもキズなんてついてないなぁ…。」
そりゃ防具を被っていたのでキズなんてなくて当たり前だ。
「だ、だから平気だと言ったではないか!!」
「…でも顔が赤いですよ?……もしかして熱が…。」
ハヤテはそう言うと、今度はおでこをひっつけてナギの体温を測っている。
少し口元を前に出せばキスが出来る距離……ナギの顔はますます赤くなっていった。
「ハ…ハヤ、ハヤテ!…その……少し近すぎはしな……」
「うーん……これじゃあ良く分からないなぁ…。」
ハヤテはそう言うとナギから離れて何やら机の中をゴソゴソしている。
「…あっ、あったあった!お譲様、コレで熱を計ってみましょう!」
そう言ったハヤテが手に持っているのは体温計だった。…ちなみに諸事情で口に咥えるタイプのものだ。
「バ、バカ者!そんなどこの誰が使ったかもわからん物…気持ち悪くて使えるか!」
「そんな事を言われましても……。」
「だいたい毒でも塗ってあったらどうするんだ!」
「そ、そんなわけ無いじゃないですか。」
ハヤテはそう言って、毒味をする様にその体温計を口に咥えた。
「ほら、平気ですよお譲様。」
ナギはそのハヤテの咥えた体温計をじっと見ている…
「(あ、あの体温計を私が咥えたら……そ…それは、か…か、間接キ……っ!)」
ナギが一人そんな妄想に浸っていると、ハヤテは咥えた体温計をナギに渡した。
「ハ、ハヤテ!これでは…その、か…かか、間接キスになるのではないのか?」
「そう言えばそうですね。…そうだ、ぼく水道で洗ってきますよ。なんだ、最初からこうすれば良かったんだ!」
ハヤテはそう言ってナギの持っている体温計を取ろうとした……が、ナギはそれを離さない。
「…ま、まぁなんだ……せっかくハヤテが命を張ってくれたんだ、私もそれに答えねばなるまい…。」
「…そんな大げさな……。」
ナギは体温計を見つめたまま、3回ほど深呼吸をして体温計を咥えた。
元に戻っていた顔色がみるみる赤くなり、顔の温度は上昇していく……
―――39℃。
>>526 ハヤテは大慌てでナギを抱きかかえて屋敷へ帰った。
「マリアさん!!マリアさん何所ですか!!」
ハヤテがナギをベッドに寝かせマリアを探していると机の上に置手紙を発見した。
『ハヤテ君へ――ちょっとクラウスさんと食料の買い出しに行ってきます。』
その手紙を発見したハヤテは、とりあえず帰ってくる前の間看病をするためタオルとお湯を持ってナギの部屋へ向かった。
「お譲様…大丈夫ですか?」
「……おぉ、ハヤテか…マリアはどうした…?」
ハヤテはマリアとクラウスが買い物に行って不在と言う事を告げた。
「…そうか、ではこの屋敷にはお前と私の二人しかいないのだな……二人っきり…。」
そう言うと、ナギの顔はまたもや赤くなってしまう。
「お、お譲様!しっかりしてください!!」
そう言ってナギの頭を抱きしめるハヤテ……これによるナギへのダメージは深刻だった。。
「…なんだか体と言うか……頭が…顔が熱いんだ…。」
「…そうだ、お譲様良い物を持ってきましたよ。これで少しはサッパリするはずです。…バンザイしてみてください。」
「こ、こうか…?」
ハヤテはそう言って手をあげたナギの服をスルッと脱がした。
「…はぇ……っ?」
状況が飲み込めないと言ったナギの体を、ハヤテはお湯で濡らしたタオルで拭いて行く。
そして背中を拭き終わったハヤテはナギの体の前も拭き始め、
その手が胸に当たったと同時にナギはようやく状況が飲み込めた。
「…ハ、ハハ……ハヤテ?!」
「あまり動くとお体に悪いですよ?じっとしていてください。」
「じっとって…お、おまえ……わっ…そんな所……ふぁ…っ…!」
…結局隅々まで拭かれてしまったナギはパジャマを着せられ布団にもぐった。
「(ハ…ハヤテの奴め……いくらなんでも今のは…)」
布団の中にもぐって独り言を言っていると、何やら布団がごそごそ動いた様な気がし、ナギは振り返った。
「うわぁ…っ!!……ハ、…ハヤテ?!」
ナギが振り返ると、目の前にハヤテの顔があった。…どうやら布団に潜り込んで来た犯人はハヤテらしい。
>>527 「お譲様、失礼します…。」
「ハ、ハヤテ!落ち着け、わ…私たちはまだ子供じゃないか!その…嫌ってわけでは無いのだが…
マリア達がいないとはいえ、その…まだ少し早いと言うか……ほ、ほら!こういう事はいろいろ段階を経てだな……」
「…???」
ナギの必死の説得をハヤテは頭に?マークを浮かべて聞いている。
するとナギは不意に自分の太もも辺りに何かが触れる感覚を感じた。
「…お、お前!人の話を聞いているのか…っ!……あ…ぅっ…そんないきなり…わ、私にも心の準備って物が……!」
「すこしだけ我慢してください、すぐ終わりますから。」
「す、す…すぐ終わるとかそう言う問題では……う…ぁ……っ!」
ナギがそう言うと、ハヤテはいったん手を離し布団から出て洗面器の方へ向かった。
良く見てみるとその手には先ほどのタオル…そしてそれをお湯で洗うと再び布団の中へ入ってきた。
「…ハヤテ、お前さっきから何してるんだ?」
「お譲様の体を拭いているのですが……先程お譲様が恥ずかしそうにしてらしたので見えない様に布団の中でと思いまして…」
それを聞いてナギは少しキョトンとした顔をしてしまう…。
「なっ…そ、それならそうとハッキリ言わんか!…私はうっかり……その…勘違いを……うぅ…っ」
「申し訳ありません。…こう言う事は初めてでして…。」
ハヤテはそう言うと再びナギの足元を拭き始めた。
ハヤテは体を拭いているだけ―――そう思っていてもナギは太もも辺りを触られるとついピクッと反応してしまう。
結局足元を拭き終わった頃には、ナギの顔の温度は帰ってきた時よりも上昇していた。
するとハヤテは事もあろうかナギの下着に手をかけ、膝のあたりまで下着を降ろしその部分にタオルをあてがった。
「…?!!…ハ、ハヤテ…そんな所まで拭くのか?!」
「良く分かりませんけど……ここも汗がびっしょりだったもので…」
もちろんそれは汗などでは無く、ハヤテに体中を触られた事で出たナギの愛液だった。
しかし、ハヤテが触ったから気持ち良くて出た―――などと言える訳もなく、ナギはソコまで丁寧に拭かれてしまう。
「…ふ……ぁっ!ハヤテ…もっとゆっくり……激しく…しては………だめ…っ」
「…あれ?……拭いても次々と出てきているような…」
ハヤテはそれを確かめる為に、ナギの割れ目に指をあてがった。
「!!!??うわ…・ぁっ!!ハヤテ、本当にダメだ……そんな…っ!」
「…やっぱりどんどん出てきてる……汗じゃ無いのか?…もしかしてこれが病気の原因?!」
ハヤテはナギの言う事も耳に入らず、その液体を確かめる様に指でグイグイ押して行く。
ソレと比例してナギの呼吸は荒くなり、口からはイヤラシイ声が漏れていた。
>>528 「ハヤテ…ふ…ぁ……ハァ…っ…ダメって言って……ダメ…んぁぁ…っ!」
「…お譲様、少しくすぐったいと思いますがもう少し我慢して下さい。」
「我慢って……ハァ…ッ、そんな……無理に決まって……あ…ぅっ…!」
もはや何を言っても、ハヤテはナギの病気の事で頭がいっぱいだった。
するとナギの体にある変化が起こり始める…。
「…うっ……あん…っ!ハヤテ、体が……熱い…熱いぞ…。…なんて言うか……お腹の中が熱い…ふぁぁ……っ!」
この声にはさすがのハヤテも気が付き、慌てて手を離してナギを心配する…
しかしナギはその手を掴み、さっきしていたことを続けるようにハヤテに命令した。
まだ子供とは言え、自分に迫りくる波の様なものを感じていたのかもしれない。
「ハヤテ…体中熱い…頭も真っ白になってきたぞ……んっ…!私は…ハァ…ッ……死んでしまうのか…?」
「そんな!お譲様、弱気な事を言わないでください!」
ハヤテはナギの割れ目を擦り、ナギはそれを感じている……なのにこのシリアスなセリフ、はたから見れば滑稽である。
しかし当の本人たちは涙を浮かべ大マジだった。そしてナギは最後のお願いをするのだった…
「…ハヤテ、私は死ぬ前にお前とキスがしたい。私はお前の事が好きなんだ…。」
「お譲様……死ぬ前だなんて言わないでください…っ!」
ハヤテはそう言って涙ながらにナギにキスをした…。
唇が離れると、ナギはにっこりと笑いハヤテの服を力いっぱい掴み最後の時(絶頂)を迎えた。
「ハヤテ…熱い……もうダメだ…私は……はぅ…っ!」
「お譲様!!」
「ハヤテ……ハヤテ…ハヤテ、ハヤテ、ハヤテー!!んんっ…!…んぁぁぁぁ!!」
ナギはハヤテの名前を連呼し、そのまま果ててしまった。
呼吸を荒くしてぐったりとしたナギをハヤテは泣きながら抱きしめている。
…しかし、しばらくすると当然の如く起き上がり元気になっているナギ…。
「お譲様……?」
「おぉ、ハヤテ。なんだかさっきのでスッキリしたら体が熱いのも無くなったぞ!」
その様子を見てハヤテもホッとしている。
「こ…これもお前が私にキスをしてくれたおかげかもしれんな。…その、…ありがと。」
「キ…キス?!……そう言えばあの時勢いでつい…」
体は拭いただけと思っているので、キスと言う言葉に過剰に反応して顔を真っ赤にしてしまうハヤテ。
「なんだ?今度はハヤテの顔が赤いぞ?…よし!今度は私が看病してやろう!」
「そ、そんな!これは風邪ではないので大丈夫ですよ!」
「遠慮する事はない!…さぁまずは体を拭いてやる!服を脱げ!!」
「わっ…ちょ…っ!!お譲様………らめぇぇーー!!」
そんなにぎやかな三千院家の月曜日。(;´Д`)
諸事情ワロタ
GJ!
ハヤテの天然も極まってるな〜w
風邪が移ったなw
GJ!!
ハヤテの天然さがいかにもな感じで素晴らしいです
誰か
薫先生×雪路書いてくれ。全然見掛けねえやこの組み合わせ
最近ハヤテ×ナギが増えてきてうれしすぐる
>518
すでに死ぬほど甘甘なのにもっとラブラブになんのかよ!
すげー楽しみ!
>529
ハヤテのトウヘンボクっぷりがナイス!
>>529 GJだが、お嬢様でしょうが。 お譲様ってw
久々に投下します、今週ネタですのでご注意を。
そういえば高校時代の頃はまだ「桂」姓じゃなかったんだよな…
というわけで呼び方に、ちと不自然な所あるかもしれませんがご了承を;
「うっ…う〜ん…」
ここは、何処だ?オレは何をしていたのだろうか?
なんだか頭の中がボーっとしてて、今は何も思い出せない…
ん?遠いとこから誰かオレを呼んでるような声が…
「ちょ…っと…ね…いぃ…」
ん?うるさいな…なんだ?
オレはもう少しこのまま寝ていたいって、オレは寝てたのか?
するとだ、そんな眠気を吹っ飛ばすような衝撃が起こったのだ!
「ちょっと!いい加減に起きなさいってば!」
「うわぁぁぁぁっ!!?」
オレはその大声に飛び起きてしまった、な…なんだ?
女の声だったような気がするが…オレはようやく目蓋を開き、
この心地良かった暗闇の世界から、外の世界を見るのだった。
するとオレの目に映りこんだのは…
「やっと起きたの!あんたね…人を誘っておいて、何を寝てるのよ」
それはまごう事なき美少女だった、なんだ?まだ夢でも見てるのか?
辺りをよく見ればプラモがあっちこっちに飾られてる、ここはオレの部屋じゃないか。
そんな中に女が居るなんて…はっ!!
「どうした〜まだ起きてないの?目覚ましに叩こうか?」
「いや…その、起きてる…だが、何でここに…」
「ちょっと、だから誘ったのはあんたでしょうが、他のプラモを見せてくれるって」
え?そう言って誘ったのか、オレが?
このオレの部屋に…女を誘ったというのか!ゆ…雪路を!!
そうだ、目の前の少女は、雪路…オレと同じクラスの女子だ。
確か…そうだ、学校でこいつがオレの作ったプラモを褒めてくれて…ん?
だが誘ったか?オレの部屋に来てくれって…?
その事だけは全く思い出せない、というか
チキンハートのオレがそんな事を言ったなんて信じられないぞ!
「ほらほら、ボーっとしない、この私がせっかく来てあげたのに」
「あ…あぁ…まぁな」
「ん?もしかして…」
するとだ、あの可愛らしい顔がオレの間近に迫ってきたのだ!?
思わず胸がドキッと高鳴ってしまう、すると…雪路は指を伸ばし、
オレの鼻の先をボタンを押すかのように触れてきたのだった。
「緊張してる?何だか顔が赤いわよ」
「なっ!そ…そんな事、ない…ぞ」
「あはは、結構かわいいじゃない…あんた」
「うっせぇな……うわっ!」
するとだ、まだベッドの上で呆けてるオレの横に、こいつは座ってきて、
その身体を横から密着させてくる、恥じらいもなく…というかオレを挑発してきてるようだ!
「どう?」
「な、何が?」
「こんな風に女の子に密着された事…ないんでしょ?」
「うっ!」
図星だ…そしてオレはこいつの思い通りに、更に胸がドキドキし緊張してきて、
頭から湯気がでそうなくらいにまでなっていた。
そんなオレの態度を面白そうに、こいつは…雪路は見てた。
その時だ、さっき雪路が勢いよくベッドの上に座ったせいか、
その振動でベッド横の棚の上に置かれた大き目のプラモ箱が、
今にも落ちてこようとしてたに気付いたのは!
雪路からは死角で見えてないようだが、それが雪路の頭の上に落下しようとしてる…
「危ない!」
「えっ?きゃっ!!?」
ドサァァッ!!
オレは咄嗟にそいつを落下物から庇った、幸いに空箱だったらしく怪我は無い、
少々箱の角にぶつかって痛い程度で済んだが…しかし。
「あっ…」
「あ…」
そんな痛みを吹き飛ばし感じさせないような、衝撃的な状況にオレはいた…
咄嗟に庇ったわけで、何も邪な考えなんて無かった…無かったのに。
オレは雪路を…このベッドの上に押し倒したかのような体勢になっていたのだ!
雪路も驚いた顔でオレの顔を見つめてる…頬が少し赤い、
ち…違う、そんなつもりじゃなかったんだぁ!!
オレの頭の中はスパークし、顔の体温が一気に物凄く急上昇していく…
「え…えっと…薫君が、こんな大胆な事をするなんて、思わなかったかな…」
「ち、違う…これは、そのだ…」
「わかってるって、守ってくれたんでしょ?私を…」
「えっ?」
ちょっ…なんだ、この空気は?
何だかいいムードになってる気がするのはオレだけか?
倒した時に乱れた制服、そしてほんのりと上気した顔、
そして…少し潤ませた瞳がオレを見つめてる。
「雪路…お、オレ…その…」
「えっ?」
「お、お前が……好きだ!」
「!?」
えっ?え…ちょっと待て、オレ…何を言った?
勢いにのって…好きって…な、なにぃぃぃ!!
まさか緊張してボタンを連打して、罠な選択肢を選んでしまったのか?
それとも何かのバグなのか…
チキンハートなヘタレなオレが、この状況で…告白してしまったなんて!!
雪路は更に驚きを感じ、唖然としてた…
あぁ…終わったかもしれない、早まった…早過ぎたんだ、だが…
「あ、あはは…男の子の部屋に来たからには少し覚悟してたんだけどさ」
「え…?」
「まさか本当に、こんな風に…告白されちゃうなんて思わなかったな」
「ゆ、雪路…オレ…」
「特に、薫君ってここ一番な時に弱腰になるタイプだと思ってたのに…」
なぁ…オレの錯覚か、さっきから妙な熱い眼差しを向けられてるような気が…
息使いが荒い…オレの呼吸音?いや…それだけじゃない、オレ達二人のだ。
「いいよ…」
「な、何が?」
「女の子に全部言わせる気?初めてなんだから…その、優しくしてよね」
…………ガピィィィィ─────
って思考を強制終了してる場合じゃない!
な…何のイベントだこれは!ちょ…オレの想像もつかない展開になってる気がする。
これってあれだよな…その、エロ展開?
そ、そんなわけあるのか!?だって…突然の告白から、
その一気にエッチだと?ま、まさか…そんな事…
久米田×畑もキボンヌ
「服…脱がせるの、上手いんだ」
「えっと…知識だけだけどな」
「なぁ〜に、それって男子特有のエロ妄想で?」
「まぁ…そうかな」
「ふぅん…こっちまで器用なんだ、ん…あっ…」
制服を捲りあげて、胸元を隠すブラのホックを外していくオレの手…ん?
待て待て!!な、なんでオレは雪路のブラを外してる!?
気付けばオレは雪路を脱がせにかかっていた、半ば無意識の状態でだ…
はっ!うぉっ!!そ…そんな状況にも驚くなかで、更なる衝撃がまた…
オレの目に、二つの膨らみが目に入った…それは雪路の胸、おっぱいだ!
「あ、あんまり…ジロジロ見ないでよ」
「いや、その…とっても綺麗だったから、つい…」
「は、恥ずかしいじゃない!ん…まぁ…ありがと」
揺れてる…エロ雑誌とか二次元とかでしか見た事のない、
あの女性の胸の膨らみの全容が、オレの目の前に…いや!
「あっ!ん…優しく…揉んでよ…あっ!」
「わ、わかってる…これくらいでいいか?」
「う、うん…あっ!あんっ!」
さ、触ってる…揉んでるよ、オレのこの手は!!
雪路の胸の膨らみを、オレは…あぁ柔らかい、これが女の胸か。
その膨らみを鷲掴みにし、柔らかさと弾力を堪能していく、
すると動きの度に、あの雪路の口から色っぽい声が漏れるのだ。
「あっ…んっ…なんだ、上手じゃない…あ!」
か、感じてる…オレの愛撫で雪路が!
こんなエロイ表情をして、感じてるのか…
まさに手から伝わってくるその感触は夢心地だった、
あぁ…もう死んでもいいかと思うくらいに感激をうけてしまう。
だが、まだこれは始まりだったんだ…
「あんっ!ちょ…そ、そこ…」
「えっ?えぇ!?」
「駄目っ!あっ…そんなとこをクリクリしたら…あぁ!!」
オレの指先は突起を摘み、そして回すように弄くっていく、
この胸の先の突起…ピンクの乳首を!
そしてそして…何といつの間にか、下半身の突起まで、
下着越しにもう片方の手で弄ってしまってたのだ!
クリという…あの豆な突起部を!
「あぁ!薫君…そ、そこ…ちょ…調子に乗りすぎだって、あぁ!」
「ごめん雪路、お、オレ…もう止まらねぇ!!」
いつの間にか抱き上げ、後ろから抱きつくようにし、
その半裸の雪路の全身をより愛撫していく、
こ…こんな真似ができる勇気がオレにあったのか不思議なくらいの行動力だった。
しかし…オレの手でやらしく乱れる雪路に、オレは激しく興奮させていたのは確かだ、
すでにパンツの中のも激しく勃起させてる、雪路も…この指先で弄くる股間部が、
べっとりと濡らさせていて興奮させてるのを知らせてる。
だから欲情が収まらない状況でオレが、その行動に出るのは自然の流れだと思った、
特に今の無意識状況で大胆な行動ができるオレには!
「なぁ…入れるぞ、雪路…」
「えっ!あ…マジで、んっ!あっ…ちょっと待っ…あぁぁ!!」
ズブゥゥゥゥゥ!!!
「あぁぁぁ─────!!!」
オレはその股間で膨らませてたのを、外に解放させてやると…
じっくり火照り濡らしてた雪路の股間に、それを押し当てていた…そしてそのまま一気に、
この塊を熱くドロドロになってた中へと挿入していったのだった!
な、なんて…気持ち良さなんだ、これが雪路の…中!
「あ…あぁ…もっと優しく…んっ!」
激しい衝撃のせいか、雪路の身体が反り暴れさす、
ポニーテールの髪が激しく揺れてるぞ。
オレは、優しくと努力しようとしてた…だがこのあまりの快楽が、
勝手に身体を動かしていく、更に快感を貪ろうと行動するのだ!
「あぁ!!激しい…あ…あぁ!!」
し、絞まる…オレのを締めていく…くっ、だけどなんて気持ちよさだ…
雪路もあまりの激しい感覚に翻弄されてるようだが、
オレもまた同じく激しい衝撃に翻弄されていく…その中でオレは、
段々と身体の奥から湧き上がる熱さを感じてた。
そしてそれは…下半身に集中し…膨張させた柱へと移っていく、
つまりそろそろオレは…
「うわっ!で…出るっ!」
「んあぁ…ちょ…あ…待って!あぁぁ!!」
ドクドクドクゥゥゥ!!!
オレはその熱いマグマを…雪路と繋がったまま、その中へと解き放った。
勢いよく吐き出されていく感じがする、そして頭の中を白く染める開放感…
オレはイったのだ…雪路と一つになって、そして…
「はぁはぁ…あ…馬鹿、中に出すなんて…んっ…熱っ」
「ご、ごめん…オレも初めてだから…うっ」
オレはようやく全てを出し切り、弱々しく萎えた自分の分身を抜く、
すると…その今日初めて無修正で見た女性の性器部から、
赤い…初めての証と一緒に、白い…オレが出したのが溢れてくる。
「はぁ…はぁ…もしもの時は、ちゃんと責任をとってよね…」
「あ、あぁ…わかってるって」
「約束よ…薫…京ノ介君」
チュッ…
初めてだった、これも生まれて初めての体験だ、
その互いの初めての経験の最後にもう一つ経験したのは、
キス…女性との初めての唇を重ねる行為だった。
それから数ヶ月後…
「ねぇ…あのね」
「な、なんだ…雪路?」
「……できちゃった」
「はい!?」
オレの元に、衝撃すぎる告白が飛び込んできた…
それを口にしたのは当然に雪路、どうやらあの時のが命中したらしい!
「だから…責任、とってよね」
「あ…あはは…」
そしてオレはその後に…すっかりお腹の大きくなった雪路と学生結婚をする事になったのだ。
彼女も薫の姓名になり「薫 雪路」となり、オレ達はその後の人生を二人で…
いや生まれてくる子を合わせて三人で力を合わせ生きていく事になった。
後の人生はそれはもう波乱な展開だったよ、
趣味だって、就職して金を稼ぐ身になっても新婚生活に稼いだ金を奪われ、
そんなに金を費やせる事ができなかったしな。
でもオレは…幸せだった、何故ならオレの側には…
あの大好きな惚れた女がいるのだからな。
【オレの人生 二周目…HAPPY END】
神よ!朝っぱらからビックリしたぜw
支援
:::::::::::::::::
「うっ…う〜ん…」
ここは、何処だ?オレは何をしていたのだろうか?
なんだか頭の中がボーっとしてて、今は何も思い出せない…
ん?遠いとこから誰かオレを呼んでるような声が…
「ちょ…っと…ね…いぃ…」
ん?うるさいな…なんだ?
オレはもう少しこのまま寝ていたいって、オレは寝てたのか?
するとだ、そんな眠気を吹っ飛ばすような衝撃が起こったのだ!
「ちょっと!いい加減に起きなさいってば!」
「うわぁぁぁぁっ!!?」
オレはその大声に飛び起きてしまった、な…なんだ?
女の声だったような気がするが…オレはようやく目蓋を開き、
この心地良かった暗闇の世界から、外の世界を見るのだった。
するとオレの目に映りこんだのは…
「こらぁ〜〜〜〜!!あんたね…まだ倒れるには酒が足りてないわよ〜ひっく!」
……ヤバイ、オレは目を覚ますべきでなかった、
違う…こっちの世界は違う!!
「何を必死に現実を否定してるような目をしてるのよ〜こらぁ〜」
オレの…目の前には酔っ払いがいた、
そのだらしない様は、女性としてもはや色気も無いような姿だった。
よく見れば場所だって飲み屋の店内だしな。
「ん〜なんか失礼な視線を感じたけど、気のせいかしら」
「あぁ…気のせいだ、だからもう飲むのはよせ雪路!」
「え〜〜やだよ、まだ飲むもん!うぃ〜」
ったく、オレのおごり…強制的にそうさせられたのだが、
さっきまで高い酒を飲んでたと言うわりに、オレにおごらせた安い酒を飲みまくってたのだ。
はぁ…アレがこんな風になってしまうなんてな。
「時間って…残酷だよな」
「ん?何の話よ〜」
「こっちの話だ、気にするな…」
そっか…さっきまで見てたのは夢だよな、夢…
何だか感覚がリアルだったから、騙されかけたぜ!
でももしかしてらそんな風になるルートがあったのだろうか、
このオレの人生にも…もしかしたら。
「あの時にセーブしたかったな…できるのならさ」
「何を言ってるかわかんないけどさ、あんた…キモイわよ」
「うっせーバーカ!!」
分かってるよ人生にセーブも二周目も無いって、
だからオレは…
「え〜い、オレも飲むぞ!親父…酒!」
まだ希望は捨てないさ、そいつと腐っても縁がある内はな!
そうだ、オレの好きな人は側にいる…随分と変わってしまったが、
それでもまだ誰の物にもなってないんだ…だから。
【まだオレの人生 一周目…進行中】
駄作
>>535 この世にお譲様とお嬢様の二種類があるとは…(;゚∀゚)=3
でもかちゅ〜しゃで『おじょうさま』と変換したらお譲様しか出てこない悲しさ(´Д`)ハァ…
いちいち『お』『じょう』『さま』と3回つに分けないと(;´Д`)ハァハァ
547 :
名無しさん@ピンキー:2008/02/28(木) 18:47:55 ID:VtlfX7ig
ここはハヤナギ厨とハヤヒナ厨の多いインターネッツですね^ ^;
は、早くハヤヒナを・・・・・・・・誰か・・・・・・・
>>544 貴方は最高の神です。
まさかこんなに早く薫雪SSが読めるとは思いませんでした。GJ!!!
>>547 こらー、この板でハヤナギとハヤヒナを厨呼ばわりとはいい度胸だー
文句があるなら、かかってこーい
(棒読み)
このスレって投下するときトリップ付けなきゃダメなの?
高校生時点で薫と雪路くっついたらヒナはどういう人生歩んだのかねえ。
ワカメちゃんってパンツ丸見えだよね。
ワカメちゃんはギャルだからってばっちゃが言ってた。
誘ってるのか・・・・・・性欲を持て余す。
マスオさんが危ない
随分前に雪路がガンプラ先生を誘惑するSSがあったけど、あれって完結した?
続き楽しみにしてたんだ
>>554 少なくとも、宿直室を塒にはしていないだろうな
テスト
千桜にビンタされたり踏まれたり罵られたりってのが欲しいんだよ
咲夜の留守中にハルさんに性的悪戯しようとしてパンツ脱いだら
そんな粗末なモノだしてなにするんですか?とかハルさんに言われたいんだよ
ハルさんのあのキラキラな瞳が千桜の時の冷たい目に変わる瞬間がみたいんだよ
そういや花沢さんもパンツが・・・・・・・
なんか子供の頃、アナザーディメンションをハナザワディメンションと空耳してた事を思い出した
花沢時空に引きずり込め
何故かハヤヒナよりむしろ康ヒナに萌えている
俺は異端者なのだろうかorz
報われてない系カップリング好きな俺orz
>>563 ハルの時にハヤテとやっちゃって反省しつつも、精子の匂いが妙に気にいっちゃって、生徒会室で
たまたま二人きりになったときにハヤテにフェラしちゃう千桜なら俺の脳内にいるんだが、
つか、今朝もそれで(以下略)
>>517の続きです
・全くエロくない ・描写が長くて中途半端でマンネリ ・グダグダなラブコメ
以上が嫌な方はスルーをお願い致します。
少年の掌が少女の後頭部に優しく添えられ、
それが、あたかも鮮やかな山吹色の大河を緩やかにたゆたう小船の如く、
少女の美しい金髪を慈しみ深く撫でながら細い首筋から肩、背中、そして腰へとゆっくりゆっくり降りてゆく。
選りすぐりの絹糸でしっかりと織り上げられた布地のような、滑らかでしっとりとした手触りが掌に伝わる。
少年のもう一方の掌が、少年の胸元を緩々と這う少女の小さな手の甲を包むようにそっと重ねられ、
そのしっかりした造りの指が僅かにさわさわと動いて、少女の白く細い指を絡め取っていく。
少女は空いている方の腕を少年の腰に回し、密着している二人の身体を名残惜しげに引き剥がすと、
髪を撫で下ろしてそのまま腰に留まっている少年の手に自分の背中を預けた。
「ハヤテ‥‥」
頬と耳を可愛らしい桜色に染め上げ、翡翠色の瞳を切なく潤ませた少女は、
やっと手に入れた恋人の優しさに満ちた笑顔を見上げながら、甘くて熱い溜息が交る声でその名を呼ぶ。
「はい‥‥」
ブルーサファイアの瞳をちょっと細めながら返事をする少年の態度は慎み深さを少しも失ってはいなかったが、
その声音は、少女の耳には蕩けるように甘く響いた。
少女がゆっくりと目を閉じ、ピンクの薔薇の蕾のように愛らしい唇をちょっと尖らせながら、ツッと爪先立ちになる。
少年は、少女の腰に回した手に軽く力を入れると、
ほんの少し肩を窄めながら背を丸め、鼻がぶつからぬように僅かに首を傾げて、
自分の唇を少女のそれへそっと接近させていく。
と、その時‥‥
グゥ〜〜〜
少女の腹の虫が盛大に鳴いた。
少女は、パチッと見開いた目を点にすると、次の瞬間、真っ赤にした顔をサッと少年の胸元に伏せる。
その様子がとても可愛らしくて、少年は、少女の腰に回していた手に軽く力を込めて少女の小さな身体を抱き寄せ、
シャンプーが甘く香るそのつむじにチュッチュッと2、3回軽くキスをした。
きちんと告白し合ってからの初めての口付けだというのに、もう、恥ずかしいやら、バツが悪いやら、
こういう時の癖で−少年に抱き締められたままではあったが−少女は咄嗟に少年に対して無難な指示を出す。
「か、顔を洗いに行くぞ!」
「はい」
頬っぺたを真っ赤に火照らせたまま、ドギマギ、オロオロと定まらぬ視線を宙に泳がせながら、
少年の腰に回した自分の腕をサッと解き、自分の腰に回っている少年の腕をスルリとはずすと、
絡めている指はそのままに、少年の手をクイクイと引っ張って少女は洗面所へ向けて大股で歩き出す。
そんな少女の後姿がまたとても可愛らしくて、少年は、絡めている指にキュッと力を込めた。
大浴場の入り口に到着したところで、ちょっとした問題が発生した。
洗面所は脱衣所の中にあるのだが、『男』と『女』、果たしてどちらの脱衣所にある洗面所を使うべきか?
ハヤテにしてみれば
『男』の側にナギを連れて入るのは如何にも自分の“ホーム”にナギを連れ込む様で嫌だったし、
ナギにしてみれば、
『女』に入るのはハヤテの部屋での悪いひとり遊びの動かぬ証拠に近付かねばならないので気が進まなかった。
仕方が無いので、『男』『女』それぞれに別れて入ることにする。
しっかりと絡められている指同士を解くのは、とても難儀だった。
先ず少年が指の力を抜いて少女のするままに任せたが上手く解けず、
次に少年が少しずつ指を動かして、ようやく解くことが出来た。
少女は、たった今解いたばかりの指をもう片方の手できゅっと握り締めると、
おずおずと少年の優しい顔を見上げながら、如何にも不安そうに呟く。
「顔を洗い終わったら、もう一度手を繋いでくれるか‥‥?」
「はい。僕のこの指も、全てお嬢様のものですよ」
少女にとって、少年が話す言葉の一つ一つは正真正銘の福音(エヴァンジェリン)であった。
「‥‥ありがとう‥‥」
少年の真っ直ぐで情熱的な言葉にポッと頬を染めた少女は、
寸刻でも惜しいと言うように、少女漫画のヒロインさながら、美しい金髪を靡かせながらサッと身を翻すと、
『女』の入り口の引き戸を素早く開けて中へと飛び込んだ。
その後姿を見届け、少年が『男』の暖簾をくぐる。
少年は洗面台の前に立ち、先ず被っていた三角巾をはずしたが、
その時、ついさっきまで少女と絡め合っていた指が軽く強張っていることに気が付いた。
その指を見詰めながら、何回か曲げ、伸ばす。
「(こんなにも強く指を絡めていたのか‥‥)」
その指に、少女の長い指の滑らかな感触と時に大胆で時に恥ずかしげなその微妙な動きが蘇る。
「(お嬢様‥‥)」
早く、あの指に、再び触れたい。
少年は、自分自身で自覚している以上に少女に強く惹かれていることに気付く。
ふと目が合った鏡の中の自分は、とても幸せそうな顔をしていた。
少年は手早く顔を洗い柔軟材が良く効いたタオルで拭き上げると、三角巾を素早く被り直して脱衣所を出た。
少女は、大急ぎで洗面台に駆け寄り、ザブザブと顔を洗い立ててタオルで拭き上げ、
そのタオルをそれまで首に掛けていた白いタオルと共にクリーニング・バックの中に捩じ込んだ。
と、その横にある例のひとり遊びで汚れた下着が入っているバッグに目が行く。
「(やっぱり、ハヤテに正直に言わなきゃ‥‥)」
その部屋の主の留守を良いことに、そこに入り込んでその人のものを使って自分を慰めた挙句、
その机の中まで好きなようにかき回すなどというのはルール違反に極めて近い重大なマナー違反であり、
あらゆる意味ですごく恥ずかしいことである。
少年の寛恕に期待するのは如何にも虫が良すぎるが、しかし、少女は、少年に対して誠実でいたかった。
少女が脱衣所の引き戸を開けると、既に外には少年が待っていた。
少女は小さな身体を縮こませながら少年の前にぎこちなく進み出て、正対した。
「ハヤテ、すまん‥‥」
「どうなさったのですか?」
いきなりの少女の様子の変化に、少年は心配そうな表情で少女の顔を覗き込みながら、不安な声で尋ねる。
「‥‥ハヤテの勉強机の、一番下の大きな引き出し、中を見てしまった‥‥」
俯いて答える少女の言葉を少年は暫し心の中で反芻していたが、やがて、「あ!!」という表情になる。
「あはははは‥‥。あれをご覧になったのですか‥‥」
「‥‥うん。ごめん‥‥」
虚ろに笑う少年の心の内が読み切れず、少女は謝ることしかできなかった。
「いえ、僕こそ、お嬢様の大切なお屋敷の中にあんなものを持ち込んでしまって、申し訳ありません」
高い背を縮こまらせて本当に申し訳なさそうな声で侘びる少年の姿を見て少女は少し安堵すると共に、
もうあんなことは二度とするまい、と固く心に誓った。
だが、とても幸せなことに、少女はもうあんなことはしなくてもよくなったのである。
「すぐに処分しますので、お許しください」
「あ、いや、別に処分せずともよい‥‥。‥‥というか‥‥、今度から、そういう必要があったら、私が‥‥」
そう言った直後に顔を真っ赤にして深々と俯いてしまった少女を見て、少年が慌ててフォローを入れる。
「いえ!お嬢様にそういうことをさせるわけには‥‥。
あ!!いや、その‥‥、お嬢様にして頂くのが嫌だと申し上げているわけでは‥‥、
わあっ!そ、その‥‥、『して頂く』というのはですね‥‥」
どうにもエライことになってしまった。藪を突付いたらパンドラの箱が転がり出てきたようなものである。
二人を包む空気が、かなり微妙に重くなりかける。
その時、少年の頭に、この難局を打開する天の啓示が一条の黄金の光と共に舞い降りてきた。
「えー、では、そのことは、僕がこのお屋敷でお仕事をさせて頂いた最初の日に、
お嬢様の書斎でお嬢様がお描きになっていた漫画をお許しを得ずに読んでしまったことと“おあいこ”ということで
如何でしょう‥‥?」
「うん!」
丁度良い“落とし所”が見つかって安堵した少女は、満面の笑みで頷く。
あの時、
少年は、少女の書斎で読んだ少女渾身の漫画『世紀末伝説・マジカル☆デストロイ』を絵日記扱いしてしまい、
少女の逆鱗に触れて屋敷を退去せざるを得なくなった。
だがそれは全くの誤解であり、闇金業者よって海外へ連れて行かれそうになったところを『マスク・ザ・マネー』に
救われて、その結果、少女との固い絆が結ばれたのだ。真に丁度良い“おあいこ”であった。
少年の手が、すっと少女の前に差し出される。
「お嬢様、お手をどうぞ。」
「うむ」
少女は夢見るような眼差しでその大きな掌を見詰めながら、そこに自らの同じ方の掌を乗せる。
少年の指と少女の指が互いの掌をそろそろと撫であい、やがて指の関節の一つ一つを、
そして爪の形を愛しげになぞり確かめるように動き、最後にはどちらからともなく指を幾重にも複雑に絡めあった。
「では、参りましょう」
「‥‥うん‥‥」
少女の返事がほんの少し遅れた。
このとき少女は、
さっき自分が思わず口にした「そういう必要があったら、私が‥‥」という台詞を思い返しながら、
少年と指を絡めあうだけでもこれだけ心地よいのに、少年と一つになるその時を迎えたら、
果たして事が終わるまで自分は正気を保ち続けられるだろうか、という不安と期待に心を震わせていたのである。
厨房に戻ってきた二人は、早速、調理を再開する。といっても、少女は大人しく見学である。
消えていたガスコンロの火を再点火し、フライパンを暖めなおし、必要な食器を選り分ける。
作業工程を説明する少年の声がとても心地良くて肝心のその内容が上の空なのはさっきと同様だが、
少女は、明日からでも、マリアに本格的に料理を習おうと考えていた。
食器棚から皿を1枚取ろうとすると2枚割ってしまうというほどの家事音痴を改善して
ハヤテの手伝いが出来るようになれば、その間一緒に居られるし、
ゆくゆくはハヤテに「美味しい」と褒めてもらえるような料理を作れるようになるかもしれない。
少女の脳中では『二人きり』『新婚』『裸エプロン』『はい、ア〜ンして』などの単語がピンクの文字でチカチカと点滅し、
その夢と希望は幸せにどこまでもポワポワと大きく膨らんでゆく。
「では、これを焼いていきます」
少年の手によって、形良く小判型に整えられたハンバーグが2つ、
ジュッという音と共にフライパンの上に並べられた。
手入れの行き届いたレンジ・フードはその機能を最大限に発揮してはいたが、良い香りが厨房全体に満ちていく。
少年は、頃合を見計らってハンバーグを返し、
野菜嫌いの少女のためにと一工夫も二工夫も凝らしたキャロット・ポタージュの仕上げに入る。
やがて、ハンバーグに続いてキャロット・ポタージュも仕上がり、
それらが少年の手で金線の飾り模様のあるシンプルな皿に手際よく盛り付けられていく。
それらを乗せた優雅な装飾が施されたカートを少年が押し、それを少女が先導して一番小さな食堂に移動した。
二人きりの食卓。
普段、少女が食事をしている時、少年はその後ろの側近くに立って給仕をするのだが、今日は違う。
さっき恋人同士になったばかりの主人と執事が、仲良く向かい合って同じテーブルに着いている。
「と、とっても、美味いぞ」
夢にまで見た想い人との初めての二人きりの食事だというのに、少女は緊張で味も何も良く分からない。
「有り難うございます。お嬢様」
少年は、蕩けるような笑みを返す。
食事のときのマナーは、
日本では味噌汁を音を立てて啜っても良いが“無言”で食べるのが善しとされ、
西洋ではスープを音を立てて飲んではならないが“楽しい会話”は大いに奨励される。
そんな訳で、少女は思い切って
−それを始めるのに“思い切り”が必要な会話が“楽しい”かどうかは大いに議論が分かれるであろうが−
少年に話しかけた。
「なあ、ハヤテ‥‥。その‥‥、私達は恋人同士なわけだが、えっと‥‥、
二人きりの時は、お互いに名前で呼び合うことにしないか‥‥?」
少女の思い切り照れながらの提案に、少年は笑顔で頷く。
『お互いに名前で』とは言っても、既に少女は少年をずっと呼び捨てにしていたから、
その提案を受け入れたからといって自分と少女の関係にそれほどの変化は無かろうと少年は考えていた。
「ええ、お嬢様がそうおっしゃるのでしたら」
「じゃ、じゃあ‥‥、『ナギ』と呼んでみてくれ」
「はい。では、ナギ‥‥さま」
思わず『さま』を付けてしまった。
「(これでは従来の呼び方から『お嬢』を抜いただけではないか!)」と、呼んだ方と呼ばれた方、
二人の考えがシンクロする。
「ちがーう!」
思わぬ結果に、少女が鋭くダメを出す。これでは少しも“二人の特別な関係”を実感し楽しめないではないか。
「もう一度!」
少女の、巨匠と呼ばれる映画監督の如きリテイク指示に、少年は少々焦りつつも真剣に応える。
「え‥‥、あ‥‥、はい。‥‥ナギ‥‥さん‥‥」
今度は『さん』を付けてしまった。自らの内奥に潜んでいた想像以上の心理的抵抗に、少年は動揺を隠せない。
少女は、ナイフとフォークを持つ手を糊の効いた白いテーブルクロスの上にキッチリと据え、
翡翠色の目を細め、仄かに紅に染まる頬をプッと膨らませ、愛らしい唇をツンと尖らせて、
疑り深い独裁者のような口調で少年を尋問する。
「もしかして、『ナギ』と呼びたくないのか?」
「いえいえ!決してそのようなことは!!」
先ほどの、大浴場の入り口以来の大ピンチである。
少年は、自らの認識の甘さを激しく悔やんでいた。
『その対象を何と呼ぶか』−子供の命名や新製品の名称の決定はその産みの親達にとって最重要な課題であり、
渾名にしても、それがそう定まるまでにはいろんなエピソードがある。
ましてや、自分の屑両親だって『ハヤテ』の名に彼等なりの願いを込めたのではなかったか‥‥
最終的にどういう結果を招くのかは分からないが、少女のことをとにかく一度『ナギ』と呼んでみる他無いだろう。
「‥‥では、‥‥ナギ‥‥」
「うん!それでよい!」
恋人から自分の名を呼び捨てにしてもらえた少女は、向日葵のような微笑みを浮かべて大きく頷いた。
だが、少年の心はどうにも落ち着かない。
嬉しさを隠しきれないと言わぬばかりの少女の視線をひしひしと感じつつ切り分けたハンバーグを口に運びながら、
少年はその理由をあれこれと考える。
“親”を名乗る屑共に散々利用された挙げ句の果てに莫大な借金を押し付けられて棄てられた自分を、
そのたった一言の宣言で大財閥の次期当主の専属執事という高みにまで一気に引き上げてくれた少女は、
少年にとって、自らの命に換えて守り抜きたい真の救いの女神であった。
そう、今まで、少年は、少女を物理的・心理的に護ってきたのだが、
同時に、そしてそれ以上に少女によって物理的にも心理的にも、救われ、護られてきたのである。
そして何より、こうした事実と真実に基づく『少女が「主」で、少年が「従」』という関係に、
少年は心からの安定と安心を見出していた。
だが、それと、『呼び捨て』は−喩えそれが恋人同士として過ごす時間を証するためのものだとしても−
果たして両立するのだろうか‥‥
少年の顔が憂いに翳り、そのナイフとフォークも動きを止めていることに少女が気付いた。
「どうした?ハヤテ‥‥」
少女自身もその手を止め、如何にも心配げな表情で少年の顔を覗き込む。
「お名前を呼び捨てにせよとのお言葉は、お嬢様の恋人としての僕にとってはとても嬉しいのですが、
やはり僕は、いつでも、どんな時でも、どんな所でも、お嬢様をお助けしお護りする、お嬢様の、
お嬢様だけの執事で居たいのです。ですから、お呼び棄てのことはお許し頂けないでしょうか。
でも、お嬢様が『どうしても』とおっしゃるのなら、お呼び捨てにさせて頂きます‥‥」
−どんな時でも所でも、私を助け護る、私だけの執事−
俯きながら、ポツリポツリと自らの苦しい心の内を吐露する少年の姿とその言葉に、
少女の小さな胸は甘く切なくキュンキュンと痛み、その心臓はドキドキと高鳴る。
「ごめん!‥‥悪かった。ハヤテの気持ちも考えないで、つまらんことを‥‥」
少女の侘びの言葉を、少年の切ない訴えが遮った。
「お詫びしなければならないのは僕の方です!!
せっかくお嬢様の恋人になれたのに、お嬢様のお望みを何でも聴かせて頂くと約束申し上げたのに、
‥‥僕は、ダメな男です‥‥」
力なく項垂れる少年に向かって、今度は少女が切ない声を張り上げる。
「そんなことはないぞ!!
ハヤテは、強くて、優しくて、カッコよくて、ステキで、とにかく最高の男の中の男なのだ!
もう二度と『ダメな男』なんて言ってはいかん!
私のハヤテをバカにする奴は、喩えそれがハヤテ本人だって絶対に許さないからな!!」
「‥‥お嬢様‥‥」
失意の少年に向けて放たれた少女の言葉は、その心の内をそのまま表した何の飾り気も無いものだった。
だが、それだけに、ストレートに少年の柔らかい心のど真ん中に深々と突き刺さり、
そこから熱く甘い痺れがじんわりとその隅々にまで沁み広がっていった。
>>519 >>520 >>521 >>522 >>523 GJを頂き、有り難うございます。
>>534 ご声援、とても嬉しいです。
>>523 職人にとって「タイトルを付けよ」とのご要望は
その作品をお認め頂いていることと同義であって、本当に嬉しいことです。
ですが、タイトルを付けるという事は、今回が初投稿の私としては大変に“生意気”なことのように思いますので、
今回は、『壮大な小ネタ』ということで、ご不便をお掛けしますが、タイトル付けはご容赦くださいませ。
ドライアイは、何とかなりました。しかし今度は胃がシクシクと痛いです。
次こそは、どうにかしてHに持ち込みたいと思います。
乙です
胃痛には牛乳
どうしましょ…
この天然さん達はもう…
性奴会長ヒナギクさんの続きをwktkしながら待っているのだが…続きの投下はされないのでしょうかorz
SS書いてる時にラノベ読んだら絶望フラグだよな
自分の文章の幼稚さに吐き気がしてくるよ
>>579 最近色々忙しくて全然書けてないんだ、ごめんよ
今後、フルボイスの人生を謳歌しながらチマチマと書いていくつもりだ
康って東宮?
異端児ではなくキチガイだろww
東宮自体自分はなにもできないくせに暴言吐くスネ夫以上のキチガイ。
死ね東宮。
ヤク中で退学になれ。
また18未満が来ちゃったよ
>575
ド直球だなあ
こういうの大好きだ
二人にもっといちゃいちゃラブラブさせてやってくれい
?
>>575 タイトル付けたくないならトリップ付ける事を推奨する
>>575 タイトルorトリップは作品の繋がりを示すだけでなく、
「読みたくないものを飛ばす」
的な意味合いもあるので、
変なものに粘着された時の対策として付けとくのもあり。
「タイトルorトリップをNGしとけ」で済むし。
ヒナにバイブつけて1日放置してみたい
>>587 自演は止めようよ
素直に教えてって聞けば?
俺も東宮は嫌いだな。あいつ見るだけでじんましんが………
ヤク中は言い過ぎ。
保守ネタ
宇宙船での
「ぐすっ、ハヤテー!」
感動的な再会を果たす、主人と執事〜。(アニメ風ナレーション)
「お嬢様…」
いきなり抱きつくハヤテ
「えっ、なんだ、ハヤテ、ちょっ」
「よかった…。もう会えないかと…」
顔を真っ赤にして叫ぶナギと、ナギの首もとに顔を埋めるハヤテ。
しか〜し!ナギの顔の横で卑しく笑う執事に、ナギは気付いていなかった!
続くぅ!
>>584 高所恐怖症の女の子をつり橋を揺らして泣かして笑うような変態執事よりは多分マシ
なんか…もうこれ次スレ要らねんじゃね?
他スレに比べてここだけ年齢制限守れてない奴多杉だろ
職人さん、アニメで描かれなかった3月3日のヒナハヤキボンヌ。
14さいだけど
ここにいて良いですね
>>596 その全部じゃないの?
つか、
>君、あそこのサイトでも書いてる名前の先頭がカ行の人だね。
>ここは未成年立ち入り禁止だよ?
>もうここで書くなとか無粋な事は言わんが、もう少し自重するか
>バレないように気を付けなさい。
この文見ただけで新人職人いじりだって見え見えじゃん
自分じゃ何にも書けない奴ほどこういう下らない突っ込みが上手
あ、これひょっとして新参職人いじり用のテンプレか?
>>600 その質問には、駄目としか答えられん
未成年者が、酒飲んで良いですよね、と聞くのと同じだ
ROMに徹するか、18歳以上の態度で書き込めばばれないだろうが、
推奨はできない
ちょっと質問。ここって500kbまでですよね?
投下しようと思ったら残り容量が不安な感じなので、少し早いけど次スレ立ててもいいですか?
早いよ
それとも何十KBも使うような大長編なのか?
>>605 68kbほどです。とりあえずここに全部は入らないかな?
作者さんには申し訳ない気がするけど、今の所ちょっと過疎気味だから
途中までこっちに投稿して余った分を次スレにってのが一番常識的かな
取りあえず埋まりそうになるまで投下を我慢してもらって
その間に推敲を重ねて、さらばるパワーアップを図ってもらうという方法もある
適当な雑談でもいいから、まめに話を振ってくれたら一週間ほどで埋まると思う
出来れば今日中に投下したいので、前後に分けることにしますね。
構成的に「前半27kb」「エロ15kb」「後半26kb」って感じなのですが、エロはどっちに落としましょうか?
単純計算では、前半+エロまでこのスレに収まるので、
そこで分ければ良いんじゃないかな。
ただ、作者さんの都合で、エロの前で一区切り入れた方が良いのなら、
それでも構わないと思う。
ともかく、長編wktk期待してます!
611 :
F:2008/03/03(月) 23:21:50 ID:H9jvj617
はじめましての方ははじめまして、お久しぶりの方はこんばんは。
そんなわけで、投下させていただきます。
今回は、前作「想い人に贈るキャン・ユー・フィール?」の裏話的なものから始まっています。
さらに、これまでとは趣向を変えて、美希視点でのお話となります……はい、本当なら半年前に完成させたかったのですが。
前回の投下がちょうど1年前なので、おそらく覚えてる方は少ないかと思われますので……
・時系列は5巻、夜の旧校舎編が終わったあたり
・ヒナギク×ハヤテ
これだけ頭に入れてもらえば、大体大丈夫なんじゃないかな、と思います。
また、この設定で美希視点となる以上、どうしてもシリアス過多というか、ビターというか、ぶっちゃけ鬱に近い展開となります。
そんなわけで甘党の方、もしくは三人娘のノリの美希が好きな方、さらには美希×ヒナのガチエロパロシーンが見たいという方は、
「こんなんミキちゃんやない……Mikiや!」とか思われるかもしれませんが、そのあたりは、いずれリトライということでご容赦を。
それでは開始します。タイトルは「想い人に贈るハッピー・エンド」
……あ、最終回じゃないですよ。もうちょっとだけ続くんじゃ。
それなら、サクッと次スレ立てて全部そっちに投下したほうがいいと思う。
書いたもの、ちゃんと読まれたいでしょ?分割すると読みづらいし、すぐに前半見れなくなる、みたいなことになるし。
613 :
名無しさん@ピンキー:2008/03/03(月) 23:23:56 ID:9j2WnsxS
後半のみ次スレでおk
後半次スレでいいよ
だらだら雑談なんかやってられん
615 :
F:2008/03/03(月) 23:27:38 ID:H9jvj617
まぁ、始めてしまいましたし、このまま行きますね。
とりあえず14レス分ほど、エロ含みます。
私には、好きな人がいる。
見つめるだけで、気持ちがこみ上げて。想うだけで、心が騒ぐ。
誰よりも大切で、何よりも特別な感情。
私にとっての、たったひとつ。けれど、きっと誰もが見つけるもの。
だから私は知っていた。私の好きな人も、いつか誰かに恋することを。
けれど私は願っていた。その日がずっと、いつかのままであることを。
……本当は最初からわかってた。何事にも、終わりはある。
いつまでも続いてほしいような楽しいことにも。今すぐにでも逃げ出したいような辛いことにも。
今が楽しくて、終わりは悲しくて。ずっとずっとこのままでいたいのに、変わってしまうのはどうしようもなくて。
叫びだしたいほどの悔しさが、過ぎ去る今を引きとめようとする。
だけどそんな子供じみた嘆きは、本当に無力なものでしかなくて……わかっているのに、やめることができない。
それでもただ、私は願っていた。子供のように純粋に、そしてワガママに。
―――いつまでもずっと、ヒナの一番近くにいられたらいいのに……って。
「お は よ う」
「―――へ?」
昨日の夜、ハヤ太君を探しに旧校舎に行ってから、ヒナの様子がおかしい。その瞬間、そんな懸念が確信に変わった。
校門前で出会ったハヤ太君を睨むようにじっと見ながら、私ですら驚くほどに低い声で、ヒナは朝の挨拶を言い放つ。
かと思えばそのまま固まり、細かく、そして目まぐるしく表情を変えて―――
「じゃ、じゃあ私、生徒会の仕事があるから!」
「あっ……ヒナギクさん!?」
そう叫びながら、ヒナは全速力で走り去っていった。あまりにも気が急いているせいか、慌てる気持ちがそのまま形になったような後姿。
だからあれは、最高速じゃない。いつもより乱れたその走りは、タイムを計ればベストにはほど遠いものだろう。
だけどそんな完璧さを欠いた姿は、ヒナの焦りを何よりも明確に表していた。
威嚇するような低い声。拒絶とともに向けられた背。避けるように走り去る姿。ヒナをよく知る私でさえ、激怒してると間違えそうな態度。
けれど、もし本当に怒っていたなら、ヒナはあんなふうに背を向けたりはしない。
不器用な焦り方も、隠し切れない強がりも、染まった頬の赤さも、怒りとは違うものだ。
昨日、ヒナとハヤ太君の間で何かがあったのは間違いない。けれど一晩中旧校舎を調べさせても、誰かがいた痕跡すら出てこなかった。
もう数日調査を続ければわかることもあるかもしれないけど、今の私にはそれを待つ心の余裕がない。
「……ずいぶん、怒ってたわね?」
だから私は推定される元凶に向かってそう尋ねた。
「ハヤテ……お前、何かしたのか?」
「いや……そんなはずは……」
3人の視線の先で、さっきまでの薄紅から蒼白へと顔色を変えたハヤ太君が、声さえも白く霞めて呟きをこぼす。
「あ、あの! すみません、ちょっと僕、謝ってきます!」
そのままこちらも妙にギクシャクした動きで、ハヤ太君がヒナを追って走り出す。
「あ……おい、ハヤテ!?」
そんなハヤ太君に投げかけられる、驚きに満ちた疑問の声。けれどそこにはほんの少しの不安があるような気がした。
そりゃ、目の前で自分の執事と友達がケンカしてるように見えれば心配するのも当然だけど……まさか、ね。
「ま、どうせたいしたことじゃないでしょ。教室で待ってればそのうち戻ってくるさ」
ふとした疑問。だけど私はそれを確かめないまま状況を流した。
「そうね、ナギ。行きましょう」
そのまま教室へと向かう2人を見送り、私も走り出す。
向かうは―――生徒会室。
「で、ハヤ太君。ヒナと何かあったの?」
「……………………」
時計塔から出てきたハヤ太君を捕まえ、そう問い詰める。急いだつもりだったけど、私が来たときにはもう終わっていたらしい。
状況は不明。こんなことなら生徒会室に隠しカメラでも設置しておくべきだったかもしれない。
でも、ヒナは生徒会室で仕事をしている時は生徒会長の顔しかしないから覗き見ても意味はないし、さすがに後ろめたかったし……
いや、後ろめたいというより―――本当は単に私自身の歯止めが効かなくなりそうで、恐ろしかっただけかもしれない。
「あんな風に怒ったヒナ、久しぶりに見たんだけど?」
聞き出すのに都合のいい嘘を交えて誘導しつつ、おどけた口調で尋ねる。
……どうしてだろう。私にとって本当に切実な話をしているはずなのに。
「何か……? いえ……何も、なかった、って……ことなんでしょう、ね……」
そんな私の口調と対照的な態度で、ハヤ太君は切り刻まれたように途切れ途切れに言葉を搾り出す。
か細く苦しげな声で、悲しみ一色に染まる表情で、乱れた心中のまま固まったように立ちすくむ、その姿。
……おかしな話だ。そんな素直さを、羨ましく思うなんて。
「ま! まぁ、しかたないですよ!! ヒナギクさんはスゴイ人ですし、僕には元々……」
そんなことを考える私に、ハヤ太君は明らかに無理をしているとわかる笑顔でそう口にした。
「それに、わかってたはずなんです。誰かを好きになっても、ずっと一緒にいられるとは限らないって。
だから、今回もいつもと同じで……結局、何も変わらないんだって……それだけの、ことなんですから」
穏やかな声の中で渦巻く、敵意にも似た絶望。それは深く暗く狂おしいものだったけど、恐ろしくはなかった。
だって、それは誰でもない、ハヤ太君自身に向けられていたから。
「ま! 吹っ切れた、悟ったなんてのは勘違い。人間そんな簡単に変われるものじゃない、って言いますし!」
冬の夕日に似た、寒々しい明るさ。寂しげな口調で、それでもきっぱりとハヤ太君はそう言い切った。
だけど私にはわかる。ヒナの近くで、ヒナに気軽な憧れを抱く人を大勢見てきた私には。そしてヒナを本気で好きな私には、わかる。
本気と憧れの違いが。ハヤ太君が、本気でヒナのことが好きで……それなのに、本当にあきらめようとしてるってことが。
反射的に湧き上がる詰問の言葉を抑え、なんでもないことのように流す言葉を口にする。
「そう……ま、そう思うならそれでいいんじゃない?」
「……そう、ですね」
一瞬の間。まるで、自分が戸惑ったことを不思議がるような……無意識で抵抗していることにすら気づいていないような、小さな齟齬。
だけど私はそれを指摘することも問いかけることもなく、ハヤ太君から離れた。
(―――どうしてそんなに簡単にあきらめたがるの?)
胸に押し込めた疑問を、理不尽な怒りとともにぶつけてしまう前に。
放課後。校門前でヒナを待ち構え、寄り道を提案した。
待ち伏せ、不意打ち、連行。
気づかれないよう押し付けた生徒会の仕事と、それ以外の何かに疲れたヒナを勢いで押し切り、誘拐犯のような手順で連れ込んだ場所。
「……それで、なんでこんなところになるわけ?」
ま、文句を言いたい気持ちもわかる。確かに下校途中の寄り道にランジェリーショップなんて、定番とは言いがたい。
本来隠すべき代物には不釣合いなほど自己主張の強い商品たち。
それらを飾り立てる照明器具の群れでうそ寒いほどに煌く店内。
本人は誰よりも鮮やかなくせに、こういう華美な雰囲気が苦手なヒナには、あまり縁のないお店。
「いいじゃない、たまには」
「……まぁ、いいけど。ちょうどよかったし」
とりあえず目的があってつれてきたわけだけど……どうも、ヒナの都合もよかったらしい。
……これから試そうとすることに意識が向いていたせいか、ついつい勘繰ってしまう。
「ふぅん……ところで、昨日は旧校舎で何してたの?」
「え? ……べ、別に何も?」
だから焦ったように直接的な質問を投げかけてしまい……さすがにこれじゃダメみたいだ。
「……ま、確かに何も見つからなかったけど」
ただ、この反応を見ても、昨日ヒナが旧校舎に行ったのは間違いない。
これでも調べることについては自信がある。ヒナとハヤ太君だけで隠しきれるほど甘くはない……つもりだったんだけど。
「じゃあ、いいじゃない」
「……だからおかしいんじゃない」
何だかヒナがまた妙なことに首を突っ込んでいる気もして心配だけど……ま、今はいい。とりあえずここに来た目的を果たさないと。
今朝のハヤ太君の態度から、ハヤ太君がヒナを好きなのは確実。わからないのはヒナの気持ちと、昨日何があったのか、だけ。
とにかく、ヒナが今、ハヤ太君をどの程度気にしているのか確かめよう。
さっきみたいに確証もないのに直接問い詰めるなんて、調査法としては三流。
これが推理モノなら探偵役失格だ。火サスや『犯人はヤス』じゃあるまいし、そんな簡単にいくはずもない。
パズルでわからない部分があってもその外側を埋めれば欠けたピースの形が想像できるように、間接的にたどり着くのが上手いやり方。
例えば……好きな人が出来たのなら、今まで熱心じゃなかったことにも色々と気を使うようになるだろう、とか。
……我ながら迂遠な方法だとは思うけど、ね。
「あ、これなんてどう?」
気持ちを切り替えて外堀から攻めるべく、目に付いたブラジャーを指差し、ヒナの興味を引こうとする。
「ああ、そっちはいいの」
だけどそんな私にかまわず、ヒナはショーツをゆっくりと見ていく。
普段あまりウインドウショッピングに積極的でないヒナがああいう動きをするってことは、買う気があるってことだ。
だけど……
「? なんでそっちだけなの?」
思わず発した疑問。
大体、基本的に上下セットになってるものを、片方だけ欲しがる理由がわからない。
「…………」
……黙秘?
ま、根が正直なヒナのこと。そんなやり方でいつまでも逃げられるはずもなく。
「……だ、だって、その……スパッツの下にも穿くものらしいじゃない?」
思ったとおり、さほど持たずに白状した。
「ああ、やっと気づいたのね」
その声が恥らうように小さく、可愛かったせいで、思わず素で言葉を返してしまう……って。
「……知ってたなら教えてよ……って、何で知ってるのよ!」
「まあまあ……で、どういうのにするの?」
しまった。ヒナがスパッツの時ぱんつはいてないことを知ってるのは秘密だったっけ。
ま、この程度のミスなら大丈夫。要するに動揺せず堂々と押し切ればいい。
政治家の娘だから、ってだけじゃないけど……本心を隠すのは、得意だ。
「別に、こんな感じに普通の……」
予想通り追求を止めたヒナが、私がそらした話題に乗ってきた。
……いや、私みたいに適当に話をあわせてるわけじゃないんだろうけど……イマドキの女子高生としてその選択はどうかと思うけど?
「ヒナ……それは『普通』じゃなくて『地味』って言うのよ?」
「む……じゃ、じゃあ、どんなのが普通なわけ?」
あきれた口調で答える私に、すねたような顔で言葉が返る。
よし、かかった。
プランに従い、できるだけ不敵な感じに見えるように笑みを作り、手早く目をつけていた商品を取り出す。
「そうね……これなんてどう?」
まずは定番。アトミック雑貨謹製、黒いスケスケレースなオトナの下着から。
「そ、そんなヒワイなの穿けるわけないじゃない!」
反応は―――別に普段と変わらず、と……しかしまさかいつもヒナをからかってたデータが、こんなところで役に立つとは。
「そう? じゃあ、こっちは?」
ならばお次は……『新ジャンル:ノーレグ』……また勢いで適当なことを。というか単なる紐じゃないか、これ。
「……何それ?」
―――どう見ても素で引いてるわね、これは。
「それ、着てる意味ないんじゃない?」
「ま、衣類としては無意味ね」
「衣類としては……?」
防御力と引き換えに生み出される攻撃力、なんて言うとヒナ好みな気もするけど……どうも全く意味がわかってないらしい。
目の前で小首をかしげる姿は、これを着た人がどう見られるかわかってない……どころか、そんなこと想像もしていないって感じ。
……これはどうも、勝負下着の準備にいそしむとか、そういった話ではなさそうだ。
安堵の気持ちをごまかすように、やれやれとため息をつく。
「……なんだ。本当に着るものを増やしたいってだけなのね」
「他に何があるって言うのよ……」
それがわかればもう用はない……というわけで、適当に引っ掻き回して退散するとしよう。
「あ、面白そうなのが」
「人の話を聞きなさいよ……って、まさかそれ……」
「『寄せて上げるは女の英知』らしいけど……そうなの?」
「知らないわよ!」
なになに……『マのつくメイドも御用達!』って……色々とギリギリなキャッチコピーだな、これ。
某V1046に思いをはせつつ―――とりあえずそういうことにしておこう―――豊胸ブラをヒナに向かって突き出す。
打てば響くとばかりに激しく反応するヒナが面白い。何だかガス抜きに付き合わせるようで悪い気もするけど……ま、いつものことか。
「あ、こんなのも」
「だから……話を聞いて」
「シリコン製パッド、セットで6万円だって。本格的ね?」
こっちは某エルダー御愛用、と……今度ハヤ太君につけさせるのも面白いかもしれない。
そんな、妙に浮かれた気分のまま、さっきよりもっと露骨な胸パッドを見せてヒナを挑発する。
楽しくて楽しくて、自然と笑い声も軽くなる。震えた肩につられて揺れるパッドの感覚にすら、笑いがこみ上げる。
ま、とりあえずこのネタを引っ張るのはここまで。でないとヒナが本気で怒り出すし。
さてさてお次は妙にしっかりした作りのばんそうこうを見せて唖然とさせるか、それとも子供っぽい青白縞々で反応を窺うか……
「いいわよ別に。だってそれ、意味ないでしょ?」
そんな風に浮かれて、油断とも呼べるほどに安心して。
だから、すぐには気づかなかった。
「? ……ああ、確かにこれをつけても胸自体が大きくなったりはしないけど」
「いや……それもそうなんだけど……」
恥らうような態度に。思い出すようにそらされた視線に。柔らかな色を帯びた声に。
「今更見栄張ってもしょうがないじゃない」
その言葉の、意味に。
「……………………そう」
今更ながら、思い知る。二人の仲も、昨日からの調査も、私の心配も。全部、全部今更のことでしかなかった。
胸に広がる驚き、痛み、悔恨、納得、嫉妬、羨望。ぐちゃぐちゃと混ざり合った感情は、お世辞にも綺麗なものとは呼べなかった。
そんな醜さを遠ざけるように、抑え込むように目を伏せる。
「……やっぱりそうなんじゃない」
ヒナから顔を背けて瞳を隠す。放たれた言葉は、自分でも笑ってしまうほど投げやりで、そして弱々しかった。
けれど、不幸中の幸いというやつかもしれない。
今朝見た限りでは、ハヤ太君はヒナが本気で自分のことを怒って―――どころか、嫌っているとすら思っているようだった。
なら、このまま黙って見過ごすだけでいい。何もする必要はない。そうすればまた元通り。何も無かったように、ヒナの隣にいられる。
「どうしたの?」
「別に。じゃ、そろそろ行きましょうか」
「ちょ、ちょっと美希、どうしたのよ!」
積極的に妨害するわけじゃない。狙って誘導するわけでもない。
私がすることは何も無い。私が気にすることも、何も無い。
だからこれは最善。棚ボタのように、ただ待っているだけでいいんだから。
それだけでいい。そうすればいい。それでいい、のに―――
「なんでも……ないわ」
―――どうしてこんなに、嫌な気持ちになるんだろう?
ヒナの視線から逃げるように、店から出る。
夕日に照らされた街は、冬らしい寒さに凍えていた。
容赦なく吹きすさぶ風に、思わず身をすくませる。
熱を失った太陽は、ただ切なげな光をかざすことしかできない役立たずで……なのに私は、それに安堵を感じていた。
ひょっとしたら私は、そんな何も出来ずに消え去るしかない斜陽に、自分を重ね合わせていたのかもしれない。
「……ふぅ」
隣から聞こえたため息。
きっとヒナは、この寒さを素直に厭っているのだろう。
それはとてもヒナらしいまっすぐさで……それが今は、少し寂しい。
「悩みでもあるの?」
「別に、なんでもないわよ……」
「ま、ヒナなら大丈夫でしょうけど」
「……話振っておいていきなり結論出さないでくれる?」
「いつも1人で決めてさっさと行動する人が何言ってるのよ」
「そんなこと……」
寂しさを紛らわせるように紡いだ会話が途切れる。
散り散りになった言葉と気持ちが、欠片になって白く舞う。
それらを吹き飛ばすように息を吐き出し、文句を1つ。
「ホント、勝手なんだから……」
ま、こんなこと言ってもしょうがない。
……今言わなきゃいけないのは、別のことだ。
「美希こそ、さっきはどうしたのよ」
「どうもしないわよ……ところで、そろそろ行かなくていいの?」
「行くって、どこに?」
あきらめにも似た悪戯心で会話を回し、後ろから不意打ちするように言葉を差し出す。
「ハヤ太君のところに決まってるじゃない」
「な! な、なんで私が!?」
確信を持って放った言葉。それは予想通りにヒナを動揺させて……それを見た私の心にも、動揺が走る。
それは、目の前でヒナが動揺してるせいだろうか。それとも、昨日からの疑問を終わらせる時が来たからだろうか。
「だって、付き合ってるんでしょ?」
「…………」
追い討ちの断定。直接の回答を求める質問。さっきまで無意識に避けていた、決定的な言葉。
それを聞いたヒナは口ごもり、言葉を求めるように、私の瞳を見つめて……
「……どうして、わかったの?」
「……別に。ただのカンよ」
静かに、そう認めた。
湧き上がる体全てを埋め尽くすような喪失感を、曖昧な言い方で、なんとかごまかす。
「……そう。でも、今日はいいわ。明日になれば、また会えるんだし」
そう呟いて、すっきりしない顔のまま、ヒナは小さくため息をついた。
それはまるで何かをあきらめたような態度で……ふと、私の心にも弱気が生まれる。
このままでも、いいんじゃないか。無理に嫌なことをしなくてもいいんじゃないだろうか、って。
きっと今なら、それが出来る。
今私が『ならそれでいいんじゃない?』なんて曖昧に流せば、ヒナはそのまま帰ってしまうだろう。
そして全ては白紙に戻る。何も起きなかったことになり、何事もなかったように元通りに―――
―――わかってる。そんなこと出来るはずがない。
そんなことをしても元通りになんてならない。もしもそんなことをすれば……きっと私は、踏み越えてしまう。
ヒナに気安く近づく人を遠ざけるだけなら、別によかった。
ヒナが誰かのことを『少し気にし始めた』程度なら、まだ理由もこじつけられた。
だけどヒナが本気で好きな人に近づこうとするのを妨害するなら―――それは、私が私の都合でヒナの幸せを邪魔した、ということだ。
そんなことをしてしまえば、私はきっと我慢できなくなる。
そうしたら……私はきっと、胸を張ってヒナを好きだと思えなくなってしまう。
「じゃあ、明日まで待てるの? それで後悔しない?」
だから私は、言葉を続けることを選んだ。
ワガママだって知ってる。自爆だってわかってる。それでも私は、そうしなければならなかった。
「後悔って、そんな大げさな……」
私の言葉に、ヒナが戸惑った表情を見せる。確かに唐突で大げさな言い方だったかもしれない。
「なら、もしも……」
だから今が、言わないでいられる最後の場面。
無意識に胸元に触れた指先が、何かを握り締めるように折り曲げられる。
だけど今しか言えない。ここで黙っていたら次の機会は……明日は、ない。
このまま何もしなければ、きっと明日ヒナが出会うのは、ヒナのことをあきらめきってしまったハヤ太君だから。
「もしも、明日、ハヤ太君がいなくなってたとしたら?」
「―――ッ!」
そして私は、祈るような気持ちで言葉を続けた。
それがヒナを傷つけることは知っていたけど……言わないでいることは、私には出来なかった。
「な、なんで……そんな……」
疑問の姿をした否定の言葉が投げかけられる。そう言いながら握られたヒナの拳は、震えていた。
怒りと……多分、怖れによって。
「そんな、こと……」
その理由の中に、私に裏切られたって気持ちはあるだろうか。
私の知る、桂ヒナギク最大のトラウマ。それを利用してまでヒナを操作しようとする、私に対して。
無いほうがいい。けれどあれば嬉しい。
それは矛盾した、だけどたった一つの理由から生まれた、私の痛み。
「もしそうなったら……どうするの?」
震えないように固めた指先が、私の胸をえぐる。
今だけは、ヒナに動揺してる姿を見せるわけにはいかない。
「そんな、こと……」
そんな私の前で、ヒナは言葉を見つけられないまま立ち尽くしていた。
言葉を求めるように息を吸い、けれどもそれはただ真っ白な吐息にしかなれず……
「…………っ」
そうしてヒナは黙り込む。何も言えないまま、何もできないままで。
失う恐怖にくすむ瞳。怯える気持ちにうつむく顔。震えることしか出来ない拳。
きっとこの想像はヒナにとって、今一番考えたくないこと。普通なら思考停止して逃げ出してしまってもおかしくない。
だけど。
「もし、そうなっても……」
だけどヒナは―――
「だけど、好きだから。だから……大丈夫」
そう言って、まっすぐに前を見た。
「……そうね。そうだったわね」
一途に、凛々しく、力強く。
私が大好きな、桂ヒナギクがそこにいた。
まっすぐに、気持ちをそのまま形にしたような言葉。
それは理屈としては曖昧なものだったけど、そう指摘する気にはなれなかった。
顔を上げて。前を向いて。微笑みを浮かべて。
ただ素直に好きだと言えるヒナを、羨ましいって思ったから。
だから私はゆっくりと、まるで胸の痛みを吐き出すように大きく息をつく。それはきっと、安堵のため息に似ていた。
そんな気持ちを言葉にするために、息を吸う。空っぽになった胸が、再び満ちる。
「……ん。もう、大丈夫みたいね」
苦しくて、切なくて、悔しくて、惨めですらあるはずなのに―――
なのに私は、笑っていた。
「じゃ、行ってらっしゃい」
さっきまでのような、作った表情じゃない。
どうしようもなく悲しいけど。今にも叫びだしそうなほど辛いけど。
ヒナが、私の好きなヒナでいてくれたことが、本当に嬉しかったから。
嘘の言葉と嘘の表情。
だけど、好きな人のために嘘をつけることが、どこか誇らしかった。
だからだろう。ヒナも私に微笑んで、迷い無く一途に走り出す。
「……さよなら、ヒナ」
その背中が見えなくなってから別れの言葉を口にして、私は家へと歩き出した。
―――独り静かに、泣ける場所を求めて。
眠れない夜なんて、キャラじゃないけど……それでも朝は、やってくる。
どれだけ悩んでも、涙に暮れても。明けない夜はなく、日はまた昇る。それはある意味無慈悲で、けれどとても優しい事実。
朝が来て、起き上がって、学院に行って、出会ったヒナにおはようを言って……そんな、いつもの朝。
ま、今日はハヤ太君もいるのが違いといえば違いだけど……そのくらいなら『いつも』の範疇。
「どうしたんですか、ヒナギクさん。何だか眠そうですけど」
「へ? ……べ、別にそんなことないわよ?」
「でも、さっきから……」
見上げた冬の空は青く高く美しく、澄み渡った朝の空気は重いため息も爽やかに受け止め、溶かしてくれる。
大空に煌く朝日の雄大さは、人間のちっぽけな悩みなんて吹き飛ばしてしまいそう。
「そ! そういえば! ハヤテ君って、ケータイ持ってる?」
「はい、持ってますけど?」
「……いや、『けど?』じゃなくて……持ってるなら番号教えてほしい、ってことよ。ほら、昨日みたいな時にないと困るでしょ?」
「ああ、そうですね……まぁ、ちょっと残念な気もしますけど」
「? 何が?」
「いえ、昨日みたいに連絡を取る必要がある機会って、そうそうないと思いますし」
そんな宇宙的視野に立てば未練がましい気持ちも、この状況もなんてことはない些細なことで―――うむ、現実逃避もそろそろ限界。
「……ふぅ」
それにしても……意外と辛いわね、この状況。先を歩くヒナとハヤ太君を見ながら、私は小さくため息をついた。
原因は目の前の桃色時空で展開されるストロベリーフィールドINイチャイチャパラダイス。
心配はしていなかったけど、どうやら昨日はあれから上手く行ったらしい。むしろ上手く行き過ぎた、と言うべきか。
別にことさら見詰め合うとかくっついてるとかじゃない。
お互い前を向いて、ただ普通に会話しながら並んで歩いてるだけなのに、なのになんと言うか、こう……近い、のだ。
単純に距離が近いだけじゃなくて、気持ちごと重心まで自然とお互いに寄り添ってる感じ。
そういう理屈を思い描いたからかもしれないけど、なんだか親密さが溢れてて……あれが俗に言う、二人の世界……ってやつだろうか?
「まぁ、それはそうだけど……別に緊急の用事以外じゃ電話しちゃいけないってわけでもないんだし……」
「……いいんですか? 用もないのに電話なんてして。お邪魔になったりしません?」
「あ、当たり前じゃない。ハヤテ君こそ、放課後も執事のお仕事で忙しいんじゃないの?」
「確かにそうですけど……ヒナギクさんからの電話なら出ますよ、絶対」
「ぅ……い、いいわよ、そこまでしなくても。夜とかなら大丈夫でしょ? だったらそれまで待ってるから」
「あは。それじゃあ、楽しみにしてますね」
「……ばか、なに恥ずかしいこと言ってるのよ」
そう言いながらヒナがハヤ太君を小突く。こつん、なんて音が聞こえてきそうな気安さで、ハヤ太君に触れる。
こっちは二人の世界にあてられてて平然とした顔を作るだけで精一杯だって言うのに、そういう追加攻撃をされるとちょっときつい。
「……あんまり朝から人前でラブラブしないほうがいいんじゃない?」
「「な! そ、そんなこと……あ」」
「……ハモらないでくれる?」
「と、とにかく! そんなんじゃないし、そうだったとしても別に何も問題は……」
「なに言ってるの。大体ヒナはただでさえ目立つんだから、あんまり迂闊なことしてると学院中の噂になるわよ?」
苛立つ気持ちを隠しながら、八つ当たりのような言葉を放り投げる。
「う……それは……確かに、困る……けど……」
「ああ……そういえばマリアさんからも似たようなことを言われたような……」
そんな本心とは程遠い、建前を盾にした空虚なセリフに、二人は真剣に考え込む。
それは望んでいた展開のはずなのに……私が感じたのは、寂しさだけだった。
「そういうこと。だからヒナ、人目のあるときはこれまで通り、皆の生徒会長でいたほうがいいわよ」
いっそ嘘で二人を操ることに満足できるような性格なら、まだ楽だと思うのに。
中途半端な私に出来るのは、むなしさを募らせることだけだった。
だけど私にはおとなしくむなしさに浸ることすら許されないらしい。
考えてみれば当たり前のこと。人前で我慢すれば……二人っきりの時に反動が来るのだ。
あれから数日。ヒナとハヤ太君は人目のない時、こっそりと見ているのがいたたまれないくらいに甘い世界を作るようになっていた。
放課後、生徒会室でヒナを待つ。来週のマラソン大会の関係で、伝えておくことがあったのだ。
正直今の二人を見ているのは辛いので、用事を済ませたら早めに退散するとしよう。
「……ふぅ」
何にもないのに、ため息が出てしまう。最近寝不足が続いてるし、ヒナの前では気を張ってるから疲れがたまってるせいかもしれない。
「それにしても、遅いな……」
そんな時に限って暇な時間は出来るもので……何もせず起きてるのも、もう限界。
でもここで横になると誰か来た時に寝てるところを見られてしまうわけで……それは何だか恥ずかしい。
というか、私は人の弱みを見つけるのは好きだけど、人に弱みを見せるのは嫌いなのだ。
だから私は執務室の隣の部屋に行き、ちょっと休憩するつもりで目を閉じて……
……それだけのつもり、だったのに。
「はい、ヒナギクさん。紅茶が入りましたよ」
「うん。ありがとう、ハヤテ君」
そんな声で、目を覚ます。
音源は隣の執務室らしい。扉越しのせいか、いつもよりくぐもったように聞こえてくる。
なんてことのない普通の会話。なのにその声は甘く優しく、言葉よりも先に感情を伝えていた。
「あ、そうだ。今日はクッキーを作ってみたんですけど、よかったらどうですか?」
「ありがとう。でも、そんなに気を使わなくてもいいのに。いつも大変でしょ?」
どうやら割と深い眠りに落ちていたらしい。私が起きたのは、二人が来てからしばらくたってからのようだった。
間の悪いことに今日はヒナとハヤ太君、二人一緒にいるみたいで……非常に出辛い。
二人は私がいることを知らないらしく、完全に二人っきりモードに入っているからなおさら。
とりあえずタイミングを窺わないと……
そっと、扉の隙間から二人の様子を覗き見る。どうやら休憩に入るところだったらしく、ハヤ太君がお茶の用意をしていた。
「いえいえ、ヒナギクさんはいつもおいしそうに食べてくれますから、作りがいがあるんですよ」
「……何か、その言い方だと私がすごい食いしん坊みたいじゃない?」
「はは、そんなことないですよ」
からかうような口調のハヤ太君と、不満げにむくれてみせるヒナ。
だけどそんなことを言うわりにハヤ太君の出すお茶菓子は毎回そんなに多くなかったはずだし、当然ヒナも、そのことは知っている。
実際紅茶らしきものと一緒に出されたクッキーは数枚ほどで、食べるというより、つまむという表現がしっくり来る程度の量だった。
要するにこれは通じ合っていることが前提のじゃれあいで、笑いあう二人もちゃんとそれがわかってて……
「まったく……あ、こら。人が食べてるとこじろじろ見ないの」
「……え? や、いえ、そういうわけでは!」
「ん? どうしたの?」
「い、いえ、なんでも、なんでもないですよ!?」
「ふうん……ねぇ、ハヤテ君も食べる?」
そう言いながらヒナが最後の1つになったクッキーを口にくわえて、意味ありげに笑う。
それを見たハヤ太君は、一瞬考えた後に赤くなり―――それを見た私は、私は……どんな顔をしているんだろう。
「へ? あ、その……いいんです、か?」
そしてハヤ太君は、真っ赤な顔のままささやいた。ゆっくりと机を迂回して、真横からヒナへと近づいていく。
こちらからだと後姿しか見えないけど、それでもわかるほど緊張でギクシャクした動き。
そんなハヤ太君と向かい合うヒナの瞳が、少しだけ見開かれる。おそらくは本人すら気づかないような、無意識の動き。
軽い悪戯心でからかうつもりが、思わぬ展開に……と、本人は思っているんだろう。
……次の展開を拒絶しない時点で、そうじゃないことは私にだってわかるのに。
止めたかった。だけど踏み込むことが出来なかった。
見たくなかった。けれど足も、目も、何一つとして動かなかった。
「ん……っ」
「ふぁ……っ」
そして二人は重なり合う。
分かたれたクッキーと、合わされた唇。
小さく鳴る喉元。ありふれたはずのしぐさが妙に目を惹いた。
飲み込まれているのはクッキーか、それとも二人の熱だろうか。
「っ……んむ……」
「……ヒナギクさん」
とても、とても長いキスを終え、濡れた瞳と唇に、ハヤ太君が問いかける。
主語のない質問。それでも通じ合っているのは、見ているだけの私にすらわかる熱のせいだろうか。
……それとも、事細かに説明する必要もないほど、この問いかけを重ねてきたからだろうか。
「……今はダメ」
「ぁ……」
ゆっくりと体を離すヒナを追う、狂おしいほど切なげな声音。
そんなハヤ太君に、ヒナは机に揃えられた書類の束を示しながら笑いかける。
「今日の仕事、まだ終わってないから」
「じゃあ……終わったら、いいんですか?」
衝動を抑え込むように、ゆっくりとヒナの後ろに控えるハヤ太君。
頬を染めたままうなずいたヒナが、書類にペンを走らせる音が響く。急くように淀みなく、弾む鼓動のように軽快に。
そのまま次々と書類が右から左へと流れていく。
一枚……二枚……三枚……
一枚一枚流れる書類は、まるで砂時計の粒のよう。
四枚……五枚……六ま……って。
「ひやぅんっ!?」
だけどそんなじりじりとした時間に焦れたのか、突然ハヤ太君が後ろからヒナを抱きすくめた。
「すみません、ヒナギクさん。少しだけ……」
「やっ、もぉ……ちゃんと待ってなさい」
「でも……」
躊躇う口調とは裏腹に、ハヤ太君は大胆にヒナの胸元へと手を伸ばす。
「んっ……こ、こら、終わるまでダメって言ったでしょ?」
「少しずつ終わってる分、少しずつ始める……ってわけには、いきませんか?」
普段の控えめな態度からは想像できないような積極さ。
実はハヤ太君って、一度スイッチが入るとなかなか止まらないタイプなんだろうか?
「……じゃあ、後でまとめてする分を少しずつしてるんだから、今日はそれだけで終わりってことでいいわよね」
どうもヒナの負けず嫌いスイッチも入ったらしい。ジト目で振り向き、無茶な理屈に同じやり方で対抗する。
「う……すみません、大人しくしてます……」
だけどそう口にした以上、そのままだと本当に言葉通りにすることを知っているのか、ハヤ太君は素直に引き下がった。
「うん。素直なハヤテ君は好きよ?」
「……イジワルなヒナギクさんも好きですよ」
勝ち誇るヒナに、負け惜しみのようにしょんぼりとした態度で視線を伏せ気味にしたままハヤ太君が言う。
……だから、ハヤ太君には見えていない。
後ろに視線を感じながら、書類の処理を再開するヒナが浮かべた笑みが。
勝利の喜び。求められる嬉しさ。大事にされた温かさ。
そしてそれらを超える、強く深い愛しさを湛えた表情。
……今更、罪悪感に襲われる。
これは、ハヤ太君のための笑みで、私が見ていいものじゃない。
今からでも遅くない。踏み込むことや立ち去ることが出来なくても、目を閉じて耳をふさぐことは出来る。
なのにどれだけ自分の浅ましさを突きつけられても、私の目は二人に釘付けのまま動かなかった。
私が硬直していても、周りは変わらず動いていく。
「お待たせ、ハヤテ君」
机の上を必要以上にてきぱきと片付けながらハヤ太君へと振り向いて、ヒナはふわりと柔らかい笑みを浮かべた。
朱に染まったその頬は、触れれば鼓動のように力強い熱を伝えてくるだろう。
そして、そんなヒナを見るハヤ太君も、体を温めるようにそわそわと瞳を揺らしていた。
「あ……はい、こちらこそ急かせてしまいまして……」
「気にしないで。私も……」
どうやら揺れてるのは瞳だけではないらしく、微妙に奇妙な受け答えをする二人。
言いかけた言葉を途中で飲み込み、ヒナはそのまま固まった。
そのまま流そうとしたヒナに、ハヤ太君は律儀に続きを待つ。
だけどヒナも、言葉を続ける様子はなくて―――要するに、かなり恥ずかしいことを口走りかけてたらしい。
「と、とにかく! 今日の仕事は終わったから!」
「は、はい! お疲れ様です!」
ごまかすように仕切りなおすけど、結局二人は固まったまま。それだけ見ればチープなコメディのように笑いを誘う風景。
だけどそうやって同じ行為をする二人を見ていると、余計に疎外感が増してしまう。
「うん、そうね。お疲れね」
「あー……そうですか……お疲れですか……じゃあ、しかたないですね……」
「って、何よその残念そうな顔は」
「いえ、お疲れなのに無理をさせるわけにもいきませんし、今日はもう帰りましょうか?」
だからそんなズレを含んだ会話に、少しだけ安心してしまう私がいて―――まったく、何バカなこと考えてるのか。
お疲れと言うわりにやけに早口なヒナに、肩を落として沈んだ声で、自分こそ疲れきったような態度でハヤ太君は引き下がりかける。
そんなハヤ太君を見上げるヒナは、恥ずかしがってるような、もどかしそうな瞳をしていて……やっぱり、このまま帰りはしないらしい。
「……何を言ってるのかしら? ハヤテ君」
「……?」
「日常業務だけで限界まで疲れるようなことで、生徒会長が務まるとでも思う?」
「……えーっと」
「だから……その、確かに一息ついたけど、別にそこまで疲れてるってほどでもないの、うん」
「……えっと、要するにどういうことなんでしょう?」
予想通り流れを戻そうとするヒナに、ハヤ太君は何が何だかわからない、といった顔をするばかり。
そんな朴念仁に向けるヒナの眦が、だんだんとつりあがっていく。
見る、ではなく、睨むとか射抜くとか、そんな感じの視線を受けて、ハヤ太君が爆発間近の時限爆弾でも見たような表情で慌てだす。
そんな態度を見た私の唇が、自然と歪む。だけど、なぜだか誰かに見咎められた気持ちになって、慌てて暗い快楽にフタをした。
「……まったく」
慌てるハヤ太君に、ヒナはため息と一緒にあきれたような言葉をかけた。
だけどなぜかその声音は、ため息と一緒に気まで抜けたように、穏やかなものに戻っていた。
「しょうがないわね、ハヤテ君は」
小さな苦笑と、受け入れるような言葉。突然和らいだヒナの態度に、ハヤ太君は不思議そうな顔を見せた。
まっすぐにハヤ太君へ視線を向けながら、その中に何かを見出すように、ヒナは一瞬、遠い目をする。
何を考えていたのかはわからない。だけどそれはきっと、二人で得た大切な記憶なんだと……それだけは、確信できた。
「ほら、そんな顔しないの。男の子でしょ?」
「ぁ……はい!」
なぜなら―――二人がどうしてそんなに通じ合うような笑みを浮かべているのか、私には何一つ理解できないのだから。
「じゃあ……ヒナギクさん」
「うん……いいわよ」
まるでヒナのしぐさを分けてもらったように、まっすぐな決意に引き締まった表情で、ハヤ太君がゆっくりとヒナへ近づく。
それに応えるヒナの笑顔は、朱色に染めた頬のままに熱を持ちながら、穏やかで自然なものだった。
そんな二人を、理解を置き去りにされた私は、どこか冷めた気持ちで眺める。
「……んっ……ぁ」
「……っ……はぁ」
ふわりと笑いあい、二人は再び重なり合う。おそらくは優しく、そして甘い、触れるだけのキス。
ヒナはまるで陽だまりでまどろむ猫のように、暖かそうに、心地よさそうに、目を細めた。
そんな微笑ましいふれあいに、二人の熱が高まっていくのがわかる。
「ぁむ……んっ、ぁ……ふぁむ」
それを待ちきれないように、お互いをせかすように、二人はキスを繰り返す。
ヒナが座ったままでいるせいで、動きの主体はハヤ太君が担っている。
そんなされるがままな行為は、ヒナらしくはなかったけど……それが私にとって望ましいことなのもわかっていた。
「んっ……ふぁっ……ぁむん!?」
やがてハヤ太君は、首を傾けより深く繋がるように、キスの種類を変えた。
だけど突然変化した行為に驚いたのか、ヒナは驚いたような声と―――何か変な音がしたような。
「あ! ご、ごめんなさい、大丈夫?」
「ッ―――い、いえ、大丈夫です。すみません、驚かせてしまったみたいで」
慌てたように謝るヒナと、自分の行為を謝罪するハヤ太君。
察するに、ハヤ太君がディープなキスをしようとしたけど、それに驚いたヒナが反射的に噛んでしまった、といったところか。
―――自然とドス黒い嘲りが湧き上がる自分を、壊したくなるほど嫌悪する。
「……それはいいから、ちょっと口あけてくれる?」
「あ、はい……ほら、大丈夫ですから」
だからだろう。何かを狙い定めるように輪郭のくっきりとした表情を浮かべるヒナが、私を咎めているように見えてしまうのは。
もちろんそれは勝手な妄想なんだけど……今の私にとって、それが報いになるのも確かなことだった。
「じゃあ、大丈夫かどうか……直接、確かめてあげる」
「? それって……ッ!?」
薄紅色の頬に微笑を乗せ、座ったままで背伸びして、ヒナからハヤ太君へと唇を触れ合わせる。
その言葉の意味なんて、わざわざ想像するまでもない。
「ふぁむ……うんっ……むふぁっ……」
二人の口元から水音が聞こえる。深く激しい、恋人どうしのキス。
おそらくは初めてに近いのだろう。二人はたどたどしく懸命に、手探りするように進んでいく。
紅い唇がお互いの熱で潤む。抑えきれない吐息が喘ぎ声になって、二人の世界を彩る。
お互いの顔が近すぎるせいで、どこか焦点の合わない瞳。そこにはゾクリとするほどの情欲が満ちていた。
「……ふぁ……はぁ……どう? まだ痛い?」
「……いえ、もう、大丈夫、です、けど……」
悪戯な笑みも、誘っているようにしか見えない。多分そんな自覚もないまま、ヒナがハヤ太君を見上げる。
当然それを見たハヤ太君は、驚いたような態度で、焦れるように恥じ入るように瞳を揺らしていた。
「……けど?」
自分がどう見えるかはわからなくても、ハヤ太君が何を考えているかはわかるらしい。
ヒナがからかうような口調で、続きを促す。
「すみません。ちょっともう、我慢できそうにないです」
だけどハヤ太君の方はそんなヒナの考えが見抜けないのか、申し訳なさそうに、そんな心境を告白した。
「我慢って、何が?」
「ぁぅ……やっぱりイジワルです、ヒナギクさん」
その伺うような態度が不満だったのか、ヒナはすました表情で追い討ちをかける。
けれど耳まで真っ赤なハヤ太君を見つめる瞳には、待ちきれないようなもどかしさが浮かんでいた。
「だ、だから……つまり……こ! こういうことが、です!」
「キャ! ―――って、こら、ちょっと!」
それに気づかないまま、ハヤ太君が自分の内心を体ごとヒナへとぶつける。
少々勢いが付きすぎたのか、二人は向かい合ったまま机の上に乗り上げてしまった。
……何だか腰に悪そうな体勢だな、なんて、痛いほど冷たい思考で考えてしまう。
「んっ……ちょ、待って、あっちで……ひゃん!?」
「ダメです。待てません」
近くのソファーに視線を向けながら、ヒナが口にした戸惑いを、ハヤ太君は一言で却下した。
恐れさえ感じているような慎重さで、それでも衝動に流されるように強く、ハヤ太君の手がヒナの胸元をまさぐる。
強引な行為をしながら、申し訳なさそうな表情をするハヤ太君。人によってはバラバラな態度を問い詰めたくなるかもしれない。
「もぉ……ワガママなんだから」
どちらかといえば、ヒナだってそんな性格のはずなのに……そんな一言で、ヒナは自分への行為を受け止めた。
ハヤ太君もあたりまえのように表情から切なさを消して、柔らかな笑みを浮かべて手を動かし続ける。
きっとその動きは優しく、丁寧で、情熱的なものなんだろうけど……
何が二人を繋げているかわからない私は、置いてけぼりをくらった気持ちで、ただ眺めることしか出来なかった。
「はぁ……あんっ、ぁふ……んんっ!」
ヒナがハヤ太君の手で高まっていく。
恥ずかしげに声を抑えてはいたけど、漏れ出る喘ぎ声はむしろ、圧縮したかのようにいやらしさを増していた。
それに誘われたかのように、ヒナの胸元で動かされていたハヤ太君の手が、片方だけ下へと流れ落ちる。
「っ、ぁん! え……も、もう?」
左手を、まるでヒナを机に張り付けるように胸元に置いたまま、右手だけがスカートの中へ潜り込む。
流れるようによどみなく、そのまま即座にヒナのスパッツを取り去った。
何か、すごいあっけなくやったけど、結構これってすごいスキルのような……
「はい……もう、待てません」
「や、ちょ、待っ……ふぁっ!」
ともあれ、これでヒナとハヤ太君を妨げるものは何もない。
机に上半身を預けるように横たわるヒナから名残惜しげに手を離し、恭しく跪いて、ハヤ太君はヒナのスカートを―――あ、れ?
おかしい。ヒナはいつもスパッツしか穿いてないはずなのに……どうして、ショーツを穿いてるんだ?
「やっ……ひゃうっ! ……ハ、ハヤテく……んんっ!」
「? どうしたんですか、ヒナギクさん」
ハヤ太君の舌先がショーツの上からヒナを突く。
それは、とても官能的な情景だったけど……私はただ、信じられないような気持ちで放心していた。
何よりも驚いたのが、二人とも何の疑問もなく行為を続けていること。
知らない、私だってそんなことは―――いや、違う。知っていた!
「だ、だって、その、あんまりそういうことされると……」
「?」
あの日、ヒナがハヤ太君を繋ぎとめた日に、ランジェリーショップでヒナ本人から確かに聞いた。
つまり……そういうことなのか?
ヒナがスパッツの下にもショーツを穿くようになったのはハヤ太君の影響で、しかもハヤ太君はそのことを知っていた?
「……ほ、ほら、汚れちゃうと、その……困る、し……」
自然な動機。普通に考えれば、何一つおかしなところはない。
だけど私は、ヒナが私の知らないうちに変化したことに怯えていた。
「―――じゃあ、ヒナギクさん」
「うん……その、どうぞ……」
違う……そうじゃない。私は、私以外の誰かがヒナを変えたことに、嫉妬しているんだ。
ヒナのことなら、誰よりも知っている自信があった。だから……こんな、大切なものを奪われたような気持ちになっている。
的外れの嫉妬。自分こそ、姑息にヒナの秘密を掠め取っただけだというのに、盗人猛々しいにもほどがある。
それが正しい理屈のはずなのに―――それでも苦しいと感じるのは、私が間違っている証拠だろうか。
「あ……っぁ……やん!」
ゆっくりと、宝物を取り出すような手つきで、取り去られた最後の1枚。
それは絵画にすら出来そうなほど、麗しい光景のはずなのに―――私をさらに、打ちのめした。
ようやく、ハヤ太君の舌が、ヒナに直接触れる。
少々刺激が強すぎたのか、ヒナは反射的な態度で机にうつ伏せでしがみつくようにして、ハヤ太君の舌から逃れた。
それは単に思わず動いてしまっただけで、ヒナの瞳を見ればそれはわかるのに―――私は、心の中でハヤ太君を責めていた。
もはやそれは、ヒナのためじゃない。ハヤ太君の間違いを探して、自分の間違いを帳消しにしたがってるだけ。
揚げ足を取って、相手を下に落として、自分を上だと思い込もうとしている。
―――消え去りたくなるほどの自己嫌悪に、目がくらむような感覚すら覚えた。
「……ふふっ」
「ふぁん!? な、何!?」
そんな私にかまわず、ハヤ太君はヒナのおしりを見ながら、小さく笑みを漏らす。
その拍子に吐息がかかったのか、ヒナが驚いたような、けれど熱のある声を上げた。
「いえいえ、なんでもありませんよ?」
妙に弾んだ声。抑えきれない笑い声が、ハヤ太君の喉元で跳ねる。
その視線はヒナのおしりを―――って、どこ見てるんだ。
なんと言うかこう……『世界で最も恐ろしいタブー、解禁』なノリでハヤ太君が笑い続ける。
不穏な笑い声に嫌な予感がしたのか、ヒナが一番大事な部分を隠すように両足を閉じる……けど、それだとあまり意味がないような。
「……っ、く……ふふっ……」
まさに、頭隠して尻隠さず。後ろが丸見えなままのヒナに、ハヤ太君の笑いはますます大きくなる。
それは別に、間抜けさを笑うような嫌なものじゃなく、微笑ましいものを見るような笑い声だったけど……私の心に、棘を刺した。
「―――ッ!!?」
「あ、気づきました?」
やがてヒナも、自分がどんな姿勢をしているのかわかったらしい。さっきまでとは違う羞恥に、顔全体を灼熱に染めた。
すぐさまそれを隠すように机に頭を埋め、ハヤ太君の視線を跳ね除けるように首を振る。
それは本当に、ただ恥ずかしさを紛らわせるための行為だったけれど……客観的に見れば、誘われるのに十分なほどに可愛すぎた。
だからハヤ太君も弾んだ笑みを浮かべたまま―――いや、だからって直接触らなくても。
「せっかくですから、こっちも試して……って、痛い、痛いですヒナギクさん!」
とたんにヒナの蹴りがハヤ太君を襲う。かなり力が入っているのか、ハヤ太君は本当に痛そうな顔をしていた。
「そ、そんなに嫌ですか?」
「っ……当たり前でしょバカァ!!」
寝ぼけた問いかけと、そこに叩きつけられた本気の絶叫。
これはハヤ太君の自業自得と呼んでいい場面のはずだけど―――なぜか、そんな気になれない。
散々自己嫌悪したからだろうか。ハヤ太君が以前見たときのように、本気で落ち込んでいる様子だからだろうか。
それとも―――そんなハヤ太君に、ヒナが悔いるように迷いを見せるばかりで、怒りをなくしているせいだろうか。
「……すみません、ヒナギクさん」
沈んだ声。まるで取り返しの付かないことをしてしまったかのような、後悔に満ちた声。
それを受けたヒナが、机に顔を伏せたまま、言いたいことがあるのに言葉が出ないような、もどかしげな表情になる。
「……怒ってますか?」
そんなヒナの背後から、贈られた声。
心配と、後悔と、不安を乗せた―――けれど、誠意に満ちた、優しい声。
それは何一つ混じることのない、純粋な謝意だった。
「怒ってるわよ」
「ぅ……」
そんなハヤ太君にヒナは、それを跳ね除けるような言葉を……もどかしげな表情のままで答えた。
見ればわかる。今ヒナは、素直になれない自分に悔しがってる。
だけどいつもなら、ヒナはすぐに、自分だけでなんとか気持ちに折り合いをつけるはずだ。
そんな予想を当たり前のように確信して―――
「だから……今度は、ちゃんとしなさい」
「ぁ……はい、まかせてください」
だから、その言葉に驚いた。
口元は腕に沈めたまま、首を半分だけ振り向かせ、左目だけでヒナはハヤ太君に気持ちを伝える。
そしてそれだけでハヤ太君は全てを理解したように、透き通った綺麗な笑みを浮かべた。
「じゃあ、行きます……」
そのままハヤ太君は優しくヒナの背中に覆いかぶさり、耳元でゆっくりと、けれども強く、ささやいた。
右手をヒナの前へと回し、手探りで狙いを定める。くちりと、小さな音がした。
体を支える準備をするかのように、ヒナは前へと視線を戻し、机に両手をつく。
ふとさまよわせたヒナの視線が―――さっき片付けた書類を見つけた。
一瞬、ヒナの表情が生徒会長のものに変わる。
「! そ、そういえば……今誰か来たら……」
それで日常を思い出したのか、ヒナは失態にうめくように頭を抱えた。
というか……しまった、私もその辺は全く気づいてなかった。
「あ、大丈夫です。ちゃんと鍵かけておきましたから」
そんなヒナに、ハヤ太君はいつものように気軽な声で言葉を返す。
いや……いつの間に、ってのもあるけど、要するにそれって最初から準備万端、やる気満々だったってことでは……
「だから……気にしなくても、大丈夫ですよ?」
「っ……ひぁんっ!」
疑問が湧くけど、そのあたりは二人とも流してしまうらしい。
ゆっくりと言葉を重ね―――二人は、繋がりあった。
その瞬間だけは目をそらすつもりだったけど……やっぱり、私の視線は魅入られたように奪われたままだった。
動き出す二人。ハヤ太君はヒナの背を見ながら。ヒナは机の上の書類を見ながら。
私の知ってる生徒会長の顔と、私の知らないハヤ太君にもたらされた顔の狭間で、ヒナの表情が揺れる。
いつものヒナが、そこにいるような気がする。知らない誰かが、そこにいるような気もする。
「なんだか……っ、いつもより……っく」
「ひあっ……んんッ……だって、だって……ぇ」
激しくなる揺れ。まるでヒナを机に叩きつけるような、遠慮のない動き。
それに従いヒナの表情も、だんだんとハヤ太君のためだけのものに変わっていく。
「ひょっとして……こっちの、ほうが……っ、いいんですか?」
「だって……んっ! ハヤテ君が、強く、する、から……ぁん!」
ハヤ太君以外の何も感じていないような、叫びにも似た情感。
私の知っているヒナがいなくなってしまいそうで、恐怖を感じてしまう。
「じゃあ……もっと、強くしても、いいですか?」
「うん……もっと、もっと……あぅん!?」
ヒナはヒナのままだってことは、わかってる。だけど同時に、どうしようもなく変わってしまうことも理解していて―――
「……っ、いきますよ、ヒナギクさん……ッ!」
「ハヤテ君、私、私も……っ!」
限界へと上り詰める二人を見ながら、私の心はどこまでも沈み込んでいった。
生徒会室に、夕日が差し込む。刹那しか存在しない黄昏時。血のような、痛みのような、赤に満ちた世界。
そんな中、私はヒナたちがいつ帰ったのかもわからないほど、放心していた。
「……っ、あ……ぁ」
……気づけば頬が濡れていた。
この間一生分泣いたと思っていたが、どうやらそうでもなかったらしい。
思わず指先でなぞった涙の跡は、二人の秘密を汚した残滓にふさわしく、おぞましいほどに冷たくなっていた。
それは後悔の涙だろうか―――それとも、おしまいの予感がするからだろうか。
632 :
F:2008/03/03(月) 23:51:06 ID:H9jvj617
後半へ続くっ(CV:キートン山田)
さて、新スレ立てますので少々お待ちを……
なんてこった…
GJとしか書けない
続きマダー?
635 :
F:2008/03/04(火) 00:19:38 ID:T9coiVqX
切な過ぎる…
あれ何故もう立てるの
容量じゃね?
,. --- 、 _
/ \ア´ \
/ ヽ
/ ! | | ! '. ハ
/ | |-|-|ト./| l !.! | l '.
| | l,r==K |ト、|Tトl ! ! |
| | | | |{ |:トr| f圷|ハ.| ! |
| |∧| | | マり ヒリ ! |ハ| |リ
| { {_ヘ. !ハ| ' | | |、|
| ヽ.__,|/ /`ー‐ァ ノ |∨ ヽ!
| | 、 ヽ.__// |
|| | ! ` -r‐ '´ ∧| ハ
. |∧ ∧トハ |、∧リ リ
∨_,/ __\_,/_\
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,r ¨´ く ! /l|ヽ\ ノ ` ー- 、
. / ヽ > !/ /! ヽ.ノ \ | '.
f ! く .|V || |j! / ! i
| | ヽ l !! / / / !
| | ヽ ! | ./ / / |
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1204557441/
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| l | l. / l_ | _|__|ノ| | | ヽ ̄丁 T 十ハ :! | ハ
V l | | l j !.│ l │ l\ │ -\ ! jl / | | │:∨j}\
Vヘ l ヘ小∧:! ヽ{ ヽ:{ \|'r行モ示矛〒ラ | | /ー/ツ \
ヽ∧ ヽ、 ∨} ヾ ヽ \ Vヘ:::::ト-1 " | l /| /シ″ \. \
\xヘ l∧ ッ=z=彡 -ゞ-=≠″ ! W火 ヽ ヽ
/\/\ !:ハ. /////////////// | ∨/ \ ヽ
/ / ム丶八 ' ,′/く \ ',
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長編が多かったせいか早くも次スレか〜。
ま、なんにしてもFさんGJ!
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名無しさん@ピンキー:2008/03/05(水) 09:35:40 ID:63DRgqvB
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| |∧| | | マり ヒリ ! |ハ| |リ
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