嫉妬・三角関係・修羅場系総合SSスレ その32

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1名無しさん@ピンキー
浅いものはツンツンしたり、みたいな可愛いラブコメチックなヤキモチから
深いものは好きな人を独占して寵愛する為に周囲の邪魔者を抹殺する、
みたいなハードな修羅場まで、
醜くも美しい嫉妬を描いた修羅場のあるSS及び、
他様々な展開の修羅場プロット・妄想を扱うスレです。

■前スレ
嫉妬・三角関係・修羅場系総合SSスレ その30
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1172454585/

■まとめサイト
2ch 「嫉妬・三角関係・修羅場統合スレ」まとめサイト
http://dorobouneko.web.fc2.com/index.html
2名無しさん@ピンキー:2007/03/17(土) 13:51:23 ID:dBeR4cKf
■前スレ
嫉妬・三角関係・修羅場系総合SSスレ 31テーな女
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1173338061/

■まとめサイト
2ch 「嫉妬・三角関係・修羅場統合スレ」まとめサイト
http://dorobouneko.web.fc2.com/index.html
3名無しさん@ピンキー:2007/03/17(土) 13:52:29 ID:dBeR4cKf
■関連スレ
嫉妬・三角関係・修羅場統合スレ 第17章
http://idol.bbspink.com/test/read.cgi/hgame/1169657507/
■姉妹スレ
嫉妬・三角関係・修羅場統合スレinラ板 その2
http://book4.2ch.net/test/read.cgi/magazin/1172035731/
嫉妬・三角関係・修羅場統合スレin角煮板2nd
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/ascii2d/1167959218/
誘導用
【モテモテ】ハーレムな小説を書くスレ【エロエロ】7P
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1168178299/
ヤンデレの小説を書こう!Part4
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1172332198/
ほのぼの純愛 9スレ目
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1171372657/
●●寝取り・寝取られ総合スレ4●●
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1164867401/
4名無しさん@ピンキー:2007/03/17(土) 13:53:24 ID:dBeR4cKf
SSスレのお約束
・指摘するなら誤字脱字
・展開に口出しするな
・嫌いな作品なら見るな。飛ばせ
・荒らしはスルー
・職人さんが投下しづらい空気はやめよう
・指摘してほしい職人さんは事前に書いてね
・過剰なクレクレは考え物
・作品に対する評価を書きたいなら、スレ上ではなくこちら(ttp://yuukiremix.s33.xrea.com/chirashi/)へどうぞ
スレは作品を評価する場ではありません
5名無しさん@ピンキー:2007/03/17(土) 14:45:05 ID:SMbsgOOo
>>4それ古い。更新された
〇SSスレの使用法
・作品投稿
・作品感想・誤字等の指摘
・ネタ・プロットの投稿
・アイデア・プロットの組み上げ

〇SSスレのお約束
読者諸兄へ
・作品や保管庫更新の過剰な催促はダメ
・職人さんが投下しづらい空気にするのはやめよう
・つまらないと思う作品はスルー、展開は見守りましょう
・作品批判や各個人への中傷は禁止
・作品に対する個人的な評価は、このスレでは不要です。評価・批判を書くなら
こちら(ttp://yuukiremix.s33.xrea.com/chirashi/)へどうぞ

作者さんへ
・長編はトリップ使用を
・投稿の前後には「投稿します」「投稿終わり」の一言を(割り込み防止)
・作品に対して、何も指摘してほしくないときは事前に書いてね
・嫉妬・三角関係・修羅場系の範囲内で、人を選ぶような展開になりそうな場合は
最初に宣言するのを推奨(グロ、スカ、調教、NTRなど)

〇その他お約束
・sage進行でお願いします
・次スレは450KBの時点で立てよう(番号の付け方は立てる人の自由)

6名無しさん@ピンキー:2007/03/17(土) 15:33:51 ID:/UXyuv3k
7名無しさん@ピンキー:2007/03/17(土) 15:45:43 ID:v48uPYAi
>>1
乙!
8名無しさん@ピンキー:2007/03/17(土) 16:33:49 ID:8PAEUEYo
これって全部オリジナルでなきゃダメなのかね?
9名無しさん@ピンキー:2007/03/17(土) 16:35:04 ID:8PAEUEYo
これって全部オリジナルでなきゃダメなのかね?
10名無しさん@ピンキー:2007/03/17(土) 16:42:32 ID:uUtFVBGI
過去に「基本的にはオリジナルメインにしようぜ!!」という流れが有った。
二次創作は非難の対象になる可能性が高いから、該当作品毎のスレでの投下をお勧めします。
11名無しさん@ピンキー:2007/03/17(土) 16:50:13 ID:KDTooFVy
別に二次があってもいいけど、該当スレがあるならそっちに投下したほうが
需要があるんじゃないかな。なくて嫉妬ものならここでいいと思う。

自分は守備範囲が狭いほうなんで原作つきだとネタがわからなくて
スルーすることが多いけど、最初に元ネタを明記しといてくれれば気にはならない
12名無しさん@ピンキー:2007/03/17(土) 17:10:03 ID:X5OD4aZs
>>8-9
とりあえずageんな
13名無しさん@ピンキー:2007/03/17(土) 18:05:04 ID:/UXyuv3k
二次は核等スレに投下、誘導となってまs
14名無しさん@ピンキー:2007/03/17(土) 18:14:18 ID:qqvz3Et6
二次は該当スレでやればいいじゃん
なんか叩かれそうなら書く前に○○注意とかすればいいし
15名無しさん@ピンキー:2007/03/17(土) 18:48:35 ID:J3+8gdZs
嫉妬スレで認められるべきなのは

二次創作はNGだけど

某作品のネタを一次創作に入れ込むのはアリってことでOK?
16名無しさん@ピンキー:2007/03/17(土) 20:20:19 ID:v93VA1C1
あんまり入れすぎると叩かれる前例あり
正直自分のネタ一本で言ったほうがいい気ガス
17名無しさん@ピンキー:2007/03/17(土) 20:43:55 ID:mxcdp+UT
希ガスとかまだ使ってる奴いるのね
18名無しさん@ピンキー:2007/03/17(土) 20:50:10 ID:KDTooFVy
むしろ二次創作じゃなくて変にネタだけ入ってるほうがウザくないか?
19名無しさん@ピンキー:2007/03/17(土) 20:57:05 ID:uUtFVBGI
ID:KDTooFVy

しつこいっての。
何の恨みが有るのか知らんが、いつまでも粘着するつもりかよ。
20名無しさん@ピンキー:2007/03/17(土) 20:58:48 ID:IX+yJtbn
>>17
age荒らし乙

おとといぐらいからage荒らしが常駐してるな
21名無しさん@ピンキー:2007/03/17(土) 21:17:40 ID:mxcdp+UT
             /ヽ       /ヽ
            / ヽ      / ヽ
  ______ /U ヽ___/  ヽ
  | ____ /   U    :::::::::::U:\
  | |       // ___   \  ::::::::::::::|
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  | |      .|U |   |      ::::::U::::|  何このスレ・・・
  | |       | ├―-┤ U.....:::::::::::::::::::/
  | |____ ヽ     .....:::::::::::::::::::::::<
  └___/ ̄ ̄      :::::::::::::::::::::::::|
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22クロユリ ◆/qHTzufVAQ :2007/03/17(土) 21:48:25 ID:4FaILx60
クロユリ第4話、投下します。
忘れてる方が多いと思います。いちおう過去の話は↓です。
ttp://dorobouneko.web.fc2.com/SS/20070107_1.html
23クロユリ第4話 ◆/qHTzufVAQ :2007/03/17(土) 21:49:05 ID:4FaILx60
クロユリ第4話
I wish I were an innocent girl.

朝の日差しを受け、ゆっくりと目を開く。
携帯の画面に目をやる。時間は朝の7:30。
冬休み中だが、自分のリズムを作って生活するというのは大切なことだ。
弓道部に入る前は冬休み中にこのような時間に起きることは無かったが、どうやら精神が鍛えられたらしい。
それに今日は部の新年会の日だ。
昨日の買い物で、面白そうなものも買ったから、楽しくなるはずだ。

寝間着のまま部屋を出て、1階のリビングへと向かう。
……いくら起きられるとはいっても寝起きは寝起きなわけで。
少し気だるい気分でリビングのドアを開けつつ姉ちゃんに挨拶。

「ふはぁ〜。おはよう姉ちゃん」

しかし、返事は無い。この時間なら姉ちゃんはとっくに起きててテレビでも見てる時間なのに。
それともまだ寝てるのか?一応確認するか。

さっき降りてきた階段を再び上り、姉ちゃんの部屋へと向かう。
ドアの前に立ち、軽くノック。
………返事なし。
もう少し強めに。
……返事はない。
直接居るか居ないか確認しよう。
ドアノブをまわし、ドアを開く。姉ちゃんの部屋に入るのは久しぶりだ。
ベッドにはシーツがきっちりと敷かれている。
どうやら部屋の主である姉ちゃんは出かけているらしい。
いつもは部屋に入れてもらえないからここぞとばかりに観察してみる俺。
机の上に置いてある30センチ四方くらいの大きさの厚い本が目にとまった。
あれは、確か、アルバムだな。こんなところにあったのか。
開かれているページを覗き込むと、そこには満開の桜の木の前に立つあどけない少年と少女の姿が。
これは……小学校の入学式か。今から10年ほど前の出来事だ。
姉ちゃん、変わってないな………
写真に写っている少女は今と変わらず、ボーイッシュな格好で少年、つまりありよき日の俺、の肩に腕を回して首を絞めている。
フレーム内の俺は、苦しそうな顔をしている。よく我慢したな。俺。
そんな小学生になりたての俺は、苦しそうな顔をしながらもまんざらでもない様子が、容易に見て取れる。
あのときはようやく姉ちゃんと同じ"小学生"になれたということで嬉しかったんだった。
記憶の中に残る姉ちゃんの姿はクラスの男の子と遊んでいるイメージで一杯だ。
今の姉ちゃんのボーイッシュな風貌はそのときに完成されたに違いない。
思い出に浸っている間の時間は、意外なほど早く進む。
道場へ行かなければならない時間にギリギリ間に合うバスが来る時刻が迫っていた。
ヤヴァイ。遅刻するっ!!!
急いで学校へ向かうのだった。
24クロユリ第4話 ◆/qHTzufVAQ :2007/03/17(土) 21:50:35 ID:4FaILx60
Side夏美

現在時刻7時40分。
あと5分で鶴川君が来る時間。
冬の朝特有の凛とさせてくれる空気を胸いっぱいに吸い込み、道場の前で待つ。
バスのブレーキ音が聞こえてくる。
鶴川君が来るんだ。
寒いとしきりにさすっていた手の動きを止め、弓道場から校門へとつながる道の先をじっと見つめる。
現れる人影。見慣れた姿だ。
「お〜っい!鶴川ク〜ン!!」
いつの間にか寒さは感じない。あのヒトの名前を呼べば。

Side綾音

いろいろと用意するものがある。
どうして今までこの気持ちを抑え付けていたのだろうか。
……稜が好き。そう思うだけで世界が色づく。価値のあるものになる。
日曜日は残念だけど、別にいい。
これからの稜と過ごし続ける時間を考えると、とても小さなものなんだ。
ただ、気がかりなのは、相手の女。
稜は映画が好き。だから誘いに乗るのはわかる。でも、その女はどうなのかしら。
稜は優しい。だから誘いに乗るのはわかる。でも、その女はどうなのかしら。

朝早く家を出て綾音が向かった街は、日本中、いや、世界にも広く知られる電気街だ。

買わなくちゃいけないものがたくさんある。

綾音はさまざまな品を見ながら考える。

受信距離は隣の部屋だから短めでも大丈夫かな。
こんな小さなカメラでも綺麗に写るのね。
なんだかストーカーみたいになってるけど、稜の保護者としてなんだから仕方ないわ。

ポイントが5桁分貯まるほどの買い物をした。

十人十色の日曜日はやってくる。
25クロユリ ◆/qHTzufVAQ :2007/03/17(土) 21:51:10 ID:4FaILx60
以上で第4話は終わりです。
26名無しさん@ピンキー:2007/03/17(土) 22:24:49 ID:j5y4sa62
GJです
これからの姉の行動が期待できるっ
27名無しさん@ピンキー:2007/03/17(土) 23:25:42 ID:N3r6vkpq
>>1

28名無しさん@ピンキー:2007/03/17(土) 23:28:10 ID:N3r6vkpq
>>1

29名無しさん@ピンキー:2007/03/17(土) 23:31:06 ID:N3r6vkpq
連投スマソ
30名無しさん@ピンキー:2007/03/18(日) 00:06:39 ID:wG9y8CsA
GJ!!!!!!!!!!!!!!!!!
まとめサイト行って読み返して着たけど、面白い展開になってるな!
これからのキモ姉に期待!
31名無しさん@ピンキー:2007/03/18(日) 00:11:50 ID:1Ba/EWZW
>>25
GJ!!
帰ってきてくれてうれしい限りだ!!
俺も姉に期待してるw
32名無しさん@ピンキー:2007/03/18(日) 00:20:43 ID:bKU5mD+g
まーた、GJ荒らしか
33名無しさん@ピンキー:2007/03/18(日) 00:40:22 ID:qBXN4vlo
>>25
おおお、待ってたんだよ貴方とこのお話を! GJ!
34 ◆WIhkQEicx2 :2007/03/18(日) 00:53:48 ID:LTP95E05
埋められてしまった…。こっちのスレでもう一度
35愛は両腕では足りない ◆WIhkQEicx2 :2007/03/18(日) 00:54:53 ID:LTP95E05
「この戦争が終わったら、結婚しよう。」

唐突なその申し出に、僕の心は驚きと喜びに満ちながらも、照れと動揺もあったので
「そ、そういうセリフは戦場では不吉ですよ?隊長。」
とついつい斜めに構えた回答をしてしまった。
もちろん、その後セシル隊長にぶっとばされそうになって、僕は慌ててOKの返事をした。
しかし、ジンクスという奴は本当にあるものなのだ、とその後すぐ思い知らされる。
まさか本当に隊長があの後すぐ戦死してしまうなんて…。
あの日あのプロポーズがあったあと、僕らは魔物たちの前哨基地となっている怪しげな塔に踏み込んだ。
魔法も含めた罠や敵の抵抗で1人また1人と僕ら騎士が倒れていく中、
隊長も敵の魔法にかかって…ぐつぐつ気味の悪い液体が煮えたぎる巨大な壷に落とされてしまった。
怒りに燃える僕ら隊員は敵をなんとか制圧し、その後壷の中身をさらってみたものの、
隊長の体も鎧もその中に見つけることはできなかった。溶けて…しまったのだ。

「どうしたの?…その…まだ駄目?」
愛しいアニーが不安そうな顔で聞いてくる。僕の意識は過去の回想から幸せな今に戻ってきた。
結婚という言葉をアニーから切り出されて、もう一つのプロポーズのことを思い出していたのだ。
「ごめん、ちょっと考え事しただけ。結婚、しよう。アニー。」
言って、裸の彼女をもう一度抱きしめる。
「うん…幸せになろうね、ジュリアン。」
柔らかくて暖かい体を腕の中で感じる。これ以上の幸せはこの世にないとさえ思う。
隊長の死後そう間を置かずにこうして別の女性と深い関係になっていることを、
人は冷血漢だと罵るだろうか?
だが僕には愛した人を一人思い続けて死ぬなんてストイックな男の真似はできない。
飽満な体を持つ美女が精一杯慰めてくれているのに、受け入れない奴がどこにいる?
そういうわけで、慰めてくれた衛生魔術師であるアニーと僕は親身になり、愛し合うようになった。
そして魔界との戦いもひと段落し、こうして僕らは晴れて夫婦になろうとしている。
こんな冷たくて殺風景な砦で愛し合わなければいけない日々ももうすぐ終わる。
小さくて貧乏な領地だが、この娘と二人でなら何とかやっていけるだろう。
明るい未来を描きながら、僕はもう一ラウンドがんばる気になっていた。
彼女の燃えるような赤い髪をかき分け、耳たぶを軽く噛む。
「あん…。」
彼女の喘ぎが少し寒い室内に響き、
「あん、じゃないっ!!この泥棒猫がーーーっ!!!」
この場にまったく似つかわしくない、しかしどこか懐かしい怒声がすぐ後に響いた。
36愛は両腕では足りない ◆WIhkQEicx2 :2007/03/18(日) 00:55:39 ID:LTP95E05

「きゃああ!!!!」
突然の声に驚き、アニーが悲鳴を上げる。
「なっなっなっ!?誰だ!?」
がばっとベッドから起き上がった僕は、すぐにドアの方向に身を向けた。
さっきの怒鳴り声の主と思われる侵入者が、ドアのところに立っていた。
ボロボロの皮鎧に荒々しく伸びた金髪、そして頭の上に生えている犬のような耳!
どこからどう見ても魔物だ。こんな奴にこんなところまで侵入されるなんて!
まったく油断していた裸の僕だが、それでもアニーだけは守ろうと体で彼女を隠す。
「貴様!何者だ!!」
内心の焦りを必死に隠して、僕は問いかけた。
「ジュリアン…お前、上官に向かってその口の利き方はないだろう?
それとも、まさかそこの女にうつつを抜かして、私の顔を忘れたとは言うまいな?」
その魔物が発した声と口調、怒りを押し殺したような笑顔に、僕の心臓は止まりそうになった。
目の前にいるこの魔物は、セシル隊長だ。間違いない。

「た、隊長?い、いやお前は魔物で。隊長は人間で金髪で恐ろしいけど綺麗な笑顔が…
え?あ、お、お前も同じ顔で同じ笑顔で…あ、あ…や、やっぱり隊長?」
動き出した心臓が脳に血液をまともに送ってくれないのか、僕の思考は完全にパニック状態に陥っている。
ありえない。あの日、隊長は死んだのだ。跡形もなく溶けて…。
「信じられないけど…確かに隊長みたいね。」
僕の腕にしがみついているアニーは、意外に冷静に答えをはじき出した。女ってこういう時強いなぁ。
「そういうお前は、隊の衛生魔術師か…よくも私のいない間に私の下僕…いや、恋人を寝取ってくれたな。」
歯をむき出しにして怒りを露にしている隊長。犬歯がすごく立派で、前以上に迫力がある。
いや、そもそもあんな凶悪なものは人間には生えないはず。
「まぁいい。とりあえず事情を話さなくてはならないようだな。お前ら、服を着ろ。」

隊長に促されてとりあえずそこらに散らばったものを再び着込んだ僕らは、
ベッドの上で正座させられて隊長の知られざる苦労話を聞くことになった。
あの日隊長は死んだのではなかった。確かに体は完全に分解されたが、
あの壷は元々合成魔法の途中だったものを急遽僕らの撃退に転用したものだったらしいのだ。
塔の後始末をそこそこに僕らはその後魔界のさらに奥へと進軍したため、壷は結局そのままになっていた。
放置された壷は、隊長と、その前に魔導師たちが色々溶かし込んでいたものを合成し、
中から今の魔物と見間違う(というか半分は実際魔物だ)隊長が生まれていたというわけだ。
37名無しさん@ピンキー:2007/03/18(日) 00:56:19 ID:cquIyDSt
>>25
クロユリGJ
38愛は両腕では足りない ◆WIhkQEicx2 :2007/03/18(日) 00:56:20 ID:LTP95E05

「そういうわけで、私はこうしてこの世に再び舞い戻り、お前の元に戻ってきたわけだ。
…そうしたら、お前はのん気にこうして別の女と寝て…。」
がるる、といううなり声を上げて、隊長が睨み付けてくる。こ、怖い…。
「隊長…そ、その…。隊長が生きていたと知ってたら、僕は隊長だけを愛していました。
でも、隊長が死んでしまったと思った後、僕を心配してくれたのはこの子で…。」
「そうよ、ジュリアンは悪くないわ。こうなるのは当然のことだったのよ。」
しどろもどろで弁解しようとする僕と違い、落ち着き払った声のアニーが僕にぴとっと身を寄せる。
それを見た隊長の怒りはさらにヒートアップし、今にもこちらを食い殺しそうな顔に…。
「ま、待ってください、隊長!
貴方が怒るのも分かります。僕を不義の男と思われるかもしれません。
しかしもう僕はこの娘を愛していますし…こんなこと言いたくはないですが、貴方はもう…人間では…。」
隊長が望んでそうなったわけではない。それを分かっていながら言う僕はやはり冷血かもしれない。
でも、仕方がない。これは異文化理解とかそういう範疇をちょっと超えてしまっている。
今愛している人と、昔愛していて今魔物になってしまった人。これは選択の余地がない。
僕の言葉で再び出会えた隊長を悲しませるのは不本意だが…。
そう思って隊長の方を見ると、しかし隊長は意外にも落胆ではなく憮然とした顔をしていた。
「私を魔物と呼ぶがな、ジュリアン。お前の横にいるその女、そいつも魔物だぞ?」
「え?」
何を言い出すのだろう。あまりに唐突な言いがかりではないか。
そんな言葉で僕が心を変えると思っているのだろうか?
「…やっぱり、その鼻にはバレてたか。まぁ、いつかはバレるかもしれないことだったしね。」
そのアニーの言葉に、何を言っている?と僕が問いかける前に、
バサッという音がして、彼女の背中からこうもりのような羽が生えた。
僕の心臓は、この日二度目の停止を経験した。

39愛は両腕では足りない ◆WIhkQEicx2 :2007/03/18(日) 00:57:03 ID:LTP95E05
「結果的に騙すことになってしまったのは謝るわジュリアン。
でもね、戦場で貴方を見かけて一目で好きになってしまって以来、
私は貴方のために生き続けることを誓ったのよ。それだけは信じて。」
少し呆然としていた僕を、アニーが何とか説得しようとしていた。
アニーが魔物だったなんて、信じられ………る。今は。
この短い間に起こった出来事によって、僕は自分に適応力が結構あることを知った。
もう何が起こっても大して不思議ではない、と思うようになっていた。
まぁこれぐらいのものが生えていても大して不便ではないし、心も体も僕が愛したアニーのものだし。
良く考えてみたら、衛生魔術師なのに神聖系の魔法を唱えられなかったり、
回復してもらった後、なんだかやけに股間が元気になってしまったりしていたのだ。
あれは、僕の知らない何か淫猥な魔法を回復に応用していただけだったんだな。
しかし、この際どうでもいいか。過ぎたことだ。
彼女の蜜壷が他の女よりずっととろとろで気持ちいいこともどうやらそういう理由だったみたいだ。
でもそれもどうでもいい。僕は彼女を愛しているのだし。
「で、条件は同一になったわけだ。どうする?ジュリアン。」
つい忘れそうになっていた隊長が問いかけてくる。
けど隊長、残念ながらやはりそれでもアニーの方が魅力的で。
「…私もただ魔物になったわけじゃない。これを見てくれジュリアン。」
身にまとったものを素早く外した彼女の体には、胸が複数あった。
「胸が…2つじゃなくて6つあるんですね。」
犬と混ぜられた影響なのだろうか?そう気持ち悪くはないが、自然なものではない。
「これで体中を愛してやったら、さぞ気持ちいいぞ?ん?」
隊長が自分の複数の胸を撫で下ろすように触る。
…確かに、隊長のあの弾力のある胸がいくつもあるというのはいいかもしれない…。
僕の一瞬の迷いを見抜いたのか、アニーが僕の腕にすがって詰め寄ってくる。
「ジュリアン?私たち、さっきまで結婚しようって言ってたよね?
それにね、もう貴方に私のこと隠す必要がないから、全身全霊で貴方を愛してあげられるよ?
勃起が止まらないほど体中で愛して愛して愛して、もう二度と戻ってくれないくらいの快感を…」
彼女の目が少し怪しい。魔物っぽい眼になっているというか…。
今でも少し体力的にきついというのに、これ以上愛してくれても困るのだが。
「私も、その女に負けたりしないぞ。この体になって、今まで以上の持久力も手に入れたのだ。
お前の上で、この世の終わりがくるまで踊り続けることだって出来よう!」
自身満々に言い切る隊長も、僕の方に体をぶつけてきた。

両手に花…と言い切れるのか?この状況は。
「ジュリアン…こんなメス犬斬り殺して、私と一緒に人間の快楽を超えたところに旅立ちましょう?」
「ジュリアン、こんな汚れたモノ叩き殺して、獣の悦楽を共に味わおう。」
両腕にかかる圧力がどんどん増す。ああ、僕の目の前にはもう未来が見えない…。
修羅場に巻き込まれての惨死、腹上死…どう転んでも僕は死ぬ…。
1人の人間である僕に、彼女たち両方を幸せにすることは不可能だ。
そう、1人の、人間である、僕には。

僕は、一つの決心をしていた。
40名無しさん@ピンキー:2007/03/18(日) 00:57:40 ID:jpdJ4P0F
>>25
クロユリが戻ってきた!
テラGJ
41愛は両腕では足りない ◆WIhkQEicx2 :2007/03/18(日) 00:57:54 ID:LTP95E05


『冠省

親愛なる弟へ。突然姿を消してしまい、大変迷惑をかけた。
こうして事情を手紙で説明することになってしまうことを許して欲しい。
心配もしてくれているだろうが、私は今魔界で元気にやっている。
国を守るべき立場にいた私が無責任なことをしていることを情けなく思うだろうが、
これには今ここで書きつくせないほどの事情があるのだ。
私は私ひとりでは解決しようがなく、さりとて他の誰の手を借りることもできない事態にぶつかった。
そこで私の出した結論はと言うと、「1人では無理なら自分が増えればいい」というものだ。
意味が分からないだろうが、世の中にはこんな世迷いごとを通す手段もあるものだ。
私は、魔界に赴いてある種のスライムと融合することにした。
その試みに成功し、そのスライムの分裂能力によって目下私は5人ほど存在する。
融合したと言っても、緑色の液体だったりはしないので安心して欲しい。
魔界との関わりもある日突然出来たもので、以前から人間を裏切っていたのではないことも付け加えておく。
増えた私は、日々私を全身で愛してくれる二人の妻を満足させることと、
融合にかかった代金や身銭を稼ぐために獅子奮迅の働きをしている。
特に前者が大変魅力的であると共に大変労力のいることであり、私は今二人ほど死にそうだ。
負担を軽減するため、さらに何人か増やそうと思うが、
しかし何人増やしても彼女たちの愛情には限りがなさそうで、少し自分の選択に後悔している。
それも数に偏りがあるとすぐに彼女達は拗ねてしまうので、数を合わせるのも大変なのだ。
こちらの苦労話を長々と書き連ねてしまった。すまない。
近々、増えた私の一人がそちらに赴くと思う。その時に正式にお前に家督を譲る算段を立てよう。
出来れば、お前の方からもこちらに出向いてくれる機会があってくれるといいと思っている。
色々と複雑な形状をした者たちが住んでいるところだが、慣れれば楽しいところでもあるし、
何より私の美しい妻をお前にも見せてやりたい。
私と容貌の似ているお前なら、二人も特に手厚く歓迎してくれるだろう。
再び会える日を楽しみに待つ。
                                ジュリアン・ジョーンズより
                                              草々』
42 ◆WIhkQEicx2 :2007/03/18(日) 00:58:52 ID:LTP95E05
荒らしのせいとはいえ駄文を何度も読ませることになって済まなかった。じゃあ。
43名無しさん@ピンキー:2007/03/18(日) 01:19:33 ID:H+QtXejj
>>42
主人公が分裂するとは驚きだw
GJ
44名無しさん@ピンキー:2007/03/18(日) 01:20:05 ID:qBXN4vlo
>>42
災難でしたな、そしてGJ!!
しかし、乳スキーの俺でもおっぱい6つはちょっとなぁ…w
数がいっぱいありゃいいってもんでもないようなw
45名無しさん@ピンキー:2007/03/18(日) 01:27:33 ID:cvi/FRBQ
>>45
おお、とにかく全部よめてGJ!
…乳の好みといい主人公は俺たちとは別の次元に旅立ってしまわれたなw
46名無しさん@ピンキー:2007/03/18(日) 01:28:21 ID:cvi/FRBQ
アンカ間違えたorz >>42
47名無しさん@ピンキー:2007/03/18(日) 01:38:07 ID:gyJ0dqWI
>>42
世の中、複乳というジャンルがあるのは知ってはいたが。
ここでお目通りすることになるとはw

…で、肝心のエロシーンはマダー?
48 ◆tVzTTTyvm. :2007/03/18(日) 02:00:11 ID:sMITVOHA
白き牙 完結の労いのお言葉ありがとう御座いました
クリス愛されてたんだなぁと素直に嬉しかったです
ですが前回投下分は実は完結では無くアナザーエンドだったのです
前スレ471 http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1173338061/471
のメール欄にこっそりとアナザーエンドと書いてあったりしますw

と、言うわけで仕切りなおしの真ルート投下行きます
49白き牙 ◆tVzTTTyvm. :2007/03/18(日) 02:02:16 ID:sMITVOHA
「ふふ……。 お目覚めかしら?」
 再びクリスが目を覚ました時最初に其の耳に飛び込んできたのはコレットの声だった。
 声のした方を見れば勝ち誇ったように見下ろすコレットとそれに付き従う雇われた男達。
 男達の目は皆叩きのめされた怒りと恨みにたぎらせていた。
 周りに意識を廻らせると薄暗くどこかカビ臭い石造りの部屋。 おそらくは地下室。
 手足には鉄の枷が嵌っている。
 だがクリスは其の事に気を留めるでなく手を握ったり開いたりしてみた。
 それは自分の体の状態を確認してるようだった。
 どうやら打ち込まれた毒は命を奪うようなものではなく麻痺と催眠の効果。
 そして其の麻痺も殆ど抜け僅かに痺れが残ってる程度。

「いい様ね。 どうかしら今の気分は?」
 鎖につながれたクリスの姿を見下ろしながらコレットは得意げに口を開く。
 そんなコレットをクリスは冷めた瞳で見つめ返す。
 其の瞳がコレットの癇に障った。
「な、何よその目は! あんた自分の置かれた立場分かってるの?!
鎖につながれたそんな様で何も出来やしない癖に?!」
 コレットは激昂して感情のままに手を振りぬいた。
 乾いた音が響きクリスの前髪が揺れその下の潰れた瞳と大きな傷が覗く。
 其の傷にコレットは思わず怯み、そして直後脳裏に蘇る記憶。

「あ、アンタもしかして……」
「へぇ……。 思い出してくれたんだ」
 コレットの声に答えるクリスの声にははっきりとした怒りの色が現れていた。
 其の声にコレットは一瞬怯むも、直後睨み返す。
 そして彼女のの瞳にまた怒りの様な色が現れていた。

「ええ……、思い出したわ幼い頃……。 あの時……! アンタが!
アンタがリオの家にきたお陰で! 私がリオと過ごせる時間が減ってしまって! 
それが私にとってどれだけ辛かったか解ってるの?!」
「ふん……。 それで裏でコソコソ糸引いいて村の子供達を使って虐めてくれたわけだ」
「そうよ! リオはね! 小さい頃から私だけのものなの! それを突然やってきて!
弟面して独り占めにしてくれて! 許せるわけ無いでしょ!
だからね! アンタが居なくなってくれたあの日すっごく嬉しかったわよ!
それなのに! また私の前に現れて今度はあの泥棒猫に肩入れしてジャマしてくれて!」
 コレットは興奮のあまり無意識にクリスの胸倉を掴んでいた。
 その時コレットは何かに気付いたように、そしてそれを確かめるように
クリスの胸元を強引に暴く。
50白き牙 ◆tVzTTTyvm. :2007/03/18(日) 02:05:03 ID:sMITVOHA
「アンタ、女……だったの? ふ、ふふ……。 アハハハハハハハハハハハハハハハ!!
お笑い種ね! そんな醜い傷のある顔で!」
「てめぇ……!」
「あら怒った? 本当のこと言われちゃって? アハハハッ……、
そう言えばアンタ随分とあの泥棒猫と仲が良いみたいね。
姉さん、とか言ってキスなんかしちゃって。 女同士の癖して二人共気持悪い」
「貴様っ!! 姉さんを愚弄する気か!」
 コレットが嘲るように言い放つとクリスは怒りを露わに言い返した。

「ふふ……。 本当に気持悪い。 でも丁度いいわ。
そんなに仲が良いのが自慢なら利用させてもらうわ。
アンタをね、エサにしてあの泥棒猫をおびき出してやるの。
アハハ。 ね、いい考えでしょ? それであの泥棒猫に地獄を味合わせてやるの。
私から大事なリオを奪った事を……、いいえ、産まれてきた事を後悔するぐらい」
「……とことん腐ってやがるな」
「はん! 泥棒猫に加担するようなヤツがほざくんじゃないわよ!
身動きも取れない其のカッコで! アンタが幾ら馬鹿力だって其の鎖は切れっこないわよ!
それはね、大型の猛獣とか捕縛する為のものなのよ」
 クリスは力いっぱい引っ張る。 確かにコレットの言うとおり鎖はびくともしない。
 其の様子にコレットは喜悦の表情を浮かべる。
 そんなコレットに対しクリスが悔しそうに顔を歪め――たかと思った口元に笑みが浮かぶ。

「な、何がおかしいってのよ! 痩せ我慢のつもり?!」
 コレットはクリスに向かって怒鳴りつけた。
 だがクリスは其の言葉に耳を貸すでなくスッと目を閉じ、そして――
「ハァッ!」
 気合と共に声を発し鎖を引きちぎった。
51白き牙 ◆tVzTTTyvm. :2007/03/18(日) 02:06:10 ID:sMITVOHA
 一瞬コレットは何が起こったのか理解できなかった。
 直後其の表情が脅えに染まる。
 確かにクリスを繋いでた鎖は彼女の豪力を持ってしても千切れない程の強固なもの。
 だがそれはあくまでもクリスの純粋な力だけを持ってした場合の話。
 ブーストアップで増強した超力の前では紙切れも同然だった。

 コレットの動揺がそのまま回りの男達にも伝わる。
 男達の一人が耐えかねたかのように襲い掛からんと剣を振り下ろす。
 迫り来るその剣に向かいクリスは蹴りを放った。
 はめられてた鉄の枷をものともせず引きちぎり放たれた蹴りは男の手首を砕き、
剣を叩き落す。
 手首を抑え痛みにのたうつ男を尻目にクリスは残ったもう片方の足の鎖と、
そして枷を同じく容易く引きちぎってみせる。

「あ、あの太くて頑丈な鎖を……! ば、化け物かこの餓鬼ぃ……」
 男が発した声にクリスは睨み返す。
 クリスの眼光に男の一人が「ひっ」と情けない声を発する。
「化け物……か。 ま、あながち間違っていないかもな。
こちとら化け物相手の命のやり取りを常日頃から行ってるんだ。
そんなボクも……確かに化け物みたいなものかもな」
 そう言ってクリスは不適に笑ってみせた。
 其の笑みに男達は皆後退る。

「どうする? 未だやるって言うんなら……」
 言いながらクリスは先ほど男から叩き落した剣を拾い――
「今度は手加減しませんよ?」
 ――まるで枯れ枝のようにあっさりとへし折った。

「じょ、冗談じゃねぇ! こんなヤツとやりあえるか!」
「お、俺も降りる!」
 クリスに恐れをなした男達は口々に情けない言葉を吐き我先にと逃げ出す。
「な?! そ、そんなあなた達契約……」
 コレットは逃げようとする男達を止めようとするが、
「五月蝿ぇ! こんなヤツ相手にまともにやりあえるか!」
 逃げ出す男達の耳に静止の声は全く届かない。
 後に残ったのは呆然と放心したように立ち尽くすコレットと、そして――
52白き牙 ◆tVzTTTyvm. :2007/03/18(日) 02:08:10 ID:sMITVOHA
「ざまぁないな」
「ひっ?!」
 冷めた視線を向けるクリスの姿にコレットは脅えの声を上げる。
 そしてクリスがずい、と一歩足を踏み出すと腰が抜けたように崩れ後退る
「こ、来ないで……、ひぃっ!」
 背を向け逃げ出そうとするコレットは髪を掴まれそのまま壁に叩きつけられた。
 クリスはコレットに近づき彼女の顔の直ぐ横に拳を繰り出し壁を殴りつける。
 部屋全体が揺れるような音が響き、コレットは恐怖に目を瞑り脅え崩れそうになる。
 だがクリスに其の髪を掴まれ無理矢理引っ立てられた。
 コレットはクリスにつかまれたまま恐怖で目を明けられずにいた。
 そんな彼女はその時鼻腔に嗅ぎ憶えのある匂いを感じた。
 其の匂いにコレットの胸に驚きと疑念が沸き起こる。

「う、嘘……。 な、なんでアンタからリ、リオの匂いがするのよ……?」
 其の言葉にクリスは一瞬驚いた表情を見せ、すぐに其の表情は笑みへと変わる。
「な、何よその表情は?! 何で?! 何で――痛ぁっ!」
 クリスは髪を握る手に力を込めると遮るように口を開く。
「へぇ……。 意外といい鼻してるね。 じゃぁ訊かなくても分かるだろ?
どうしてボクの体からリオにいさんの匂いがするのか」
「嘘ッ! 嘘よ嘘よ! そんなわけが! ひぃっ!」
 クリスに髪を引っ張られコレットは其の痛みに言葉を切る。

「そうさ。 ボクもね――
リ オ に い さ ん に 抱 い て も ら っ た の さ」
 其の言葉にコレットは其の表情に益々驚きと、そして絶望にも似た色を露にし、
クリスはその顔に満足げに笑みを深める。
「ふふっ……悔しいか? 妬ましいか? アハハっ! いい貌だな?!
さっきボクの事醜い傷のある顔の癖して女だなんてお笑い種とか抜かしてくれたなぁ?!
でも現実はそんなボクが抱いてもらえてお前は捨てられた。
そっちの方がよっぽどお笑い種じゃないか。 えぇ?!」
 笑と怒りが入り混じったような表情で檄昂したまま言い放つクリス。
 其の表情が次の瞬間ふっと和らぐ。
 だが其の瞳は目の前のコレットではなくどこか遠くを見つめるよう。
 そして言葉を紡ぎだす。 其の口調は先ほどまでとは違い静かなもの。

「そんな傷のあるボクもリオにいさんに抱いてもらって
女としての歓びを感じる事が出来たのも姉さんのお陰……。
いつもボクのことを大事に思ってくれて、まるで本当の妹のように可愛がってくれた。
だから姉さんは一度だってボクのこの傷を馬鹿にした事は無かった。
勿論哀れむような事も、蔑むような事も、見下すような事も――。
そんな風に接してくれたのはリオにいさんを除けば姉さんだけだった。
それがボクの心をどれだけ癒して救ってくれたか……。
そして傷に対するコンプレックスを拭ってくれたんだ。
ボク自身すら忘れそうになる女としての自覚を促してくれた。
諦めてた女としての幸せを味あわせてくれた。
分かるか? 器が違うんだよ。 お前ごときと姉さんとじゃな!!」
 言い終わった瞬間再びクリスの表情に険しさが戻る。

「だからな、この先姉さんとリオにいさんの間を邪魔するようなことしてみやがれ。
今回だけは見逃してやる。 お前みたいな女でも仮にもリオにいさんの幼馴染だからな。
だが、次に同じ様な真似しやがったら――
容 赦 な く 叩 き 潰 す か ら な 」

To be continued...
53 ◆tVzTTTyvm. :2007/03/18(日) 02:10:02 ID:sMITVOHA
投下完了です

そういう訳でもうしばらくこのお話にお付き合い願います
54名無しさん@ピンキー:2007/03/18(日) 02:11:48 ID:LTP95E05
>>47
すまんのう、エロを書くのは難しくて…ごほっごほっ。
この夏にはお前にもエロを見せてやれればいいんじゃが…。

>>53
GJ。そうかぁそれであんなに駆け足の終わり方だったんだな。
55名無しさん@ピンキー:2007/03/18(日) 02:30:25 ID:lDk/L6RG
新スレ早々投下乙であります。
クリス萌えなのでこのまま生存ENDに期待してます。
56名無しさん@ピンキー:2007/03/18(日) 02:40:32 ID:8L0MhwQW
>>53
      +
 +
     ∧_∧  +
  + (。0´∀`)
    (0゚つと )   +
 +  と__)__)
57名無しさん@ピンキー:2007/03/18(日) 03:49:15 ID:ynzuho8L
>>53
あのまま終わったほうが良かった
58名無しさん@ピンキー:2007/03/18(日) 03:52:23 ID:aYuZVRGC
>>53
>白き牙 完結の労いのお言葉ありがとう御座いました
>クリス愛されてたんだなぁと素直に嬉しかったです

なんだこれ、某トライデント氏と同じ匂いがするwwwwwwwww

59名無しさん@ピンキー:2007/03/18(日) 03:59:14 ID:NMZWThkB
>>57
俺もあのEND以外はないと思うお
60名無しさん@ピンキー:2007/03/18(日) 04:04:04 ID:q0ZNgx20
>>58
まさに自画自賛乙w
61雨の音  ◆tTXEpFaQTE :2007/03/18(日) 04:40:31 ID:2lzh/mQK
投下します。
62雨の音  ◆tTXEpFaQTE :2007/03/18(日) 04:41:18 ID:2lzh/mQK
  雨の音  第5回


 清涼院家の庭園の片隅。
そこは屋敷のどの窓からも死角となる場所だ。
そこで、横たわった響の上にシヲンが馬乗りになっていた。
外でバイオリンを弾いていた響を見つけたシオンが彼を押し倒し、
その上に跨り、座り込んだのだ。

「ヒビキ、あなた、楽でいいわねえ。
 そうやって、暇を見つけてはバイオリン弾いていればいいんだもの。
 イソウロウのくせに、気楽だ事。
 少しは、役に立つ事でもしてみせなさいよ」
響を見下ろし、彼のシャツをまくり上げると、そのお腹に爪を立てた。

そこには、すでに彼女がつけた傷跡が無数にあった。
それを見ると、シヲンはいつも気分が良くなる。
もっと気分を良くする為、彼女は新しい傷を刻み込む。
苦痛の声を懸命にこらえる響。
シヲンはこれ以上は無い、と言うほど愉快になる。

 最近、シヲンは響の事を考えると、苛苛する自分に気がついていた。
だったら、あんなイソウロウの事なんか気にしなければいい、と思ってるのだが、
ふと気がつくと、響の事を考え、その姿を探している自分に気がつくのだ。

なんで、あんなイソウロウが気になってしまうのか?
何度か自問したが、結局、
「目障りだからね」
そう思うことにした。

「ほら!どうしたの!痛かったら痛いっていなさい!」
シヲンが何度も響のお腹を引っ掻いているが、響は顔を歪ませこそするが、
悲鳴や泣き言を口にする事は無かった。

響から許しを請うような声が聞こえないのが残念だったが、
今日は沢山の傷を新しくつけてやった。中には血が滲むほどの傷もあった。

ヒビキの体は、自分がつけた傷だらけ。
その考えは、鳥肌が立つほどの陶酔感があった。
傷跡だらけのヒビキを想像したら、なぜかおしっこをするところが
うずうずしてきた。


その夜。
シオンはベッドで、ヒビキを痛めつけた事をおもいだしながら、初めての自慰を行った。
その意味を知らないままに。
 そしてこれから先も、それをする時の想像の相手は響のみだった。

63雨の音  ◆tTXEpFaQTE :2007/03/18(日) 04:43:13 ID:2lzh/mQK
投下終了。
次あたりでヒロインが動き出し始めると思います。
64名無しさん@ピンキー:2007/03/18(日) 07:28:15 ID:7sgoTRhN
>>63
GJ!!次回をwktk!!
65名無しさん@ピンキー:2007/03/18(日) 07:56:49 ID:jAbrKDDb
投稿する時は割り込まない&投下する時は4スレ以上、というのはマナーだったが。
どこへいったんよ。
66名無しさん@ピンキー:2007/03/18(日) 08:13:42 ID:VyywpRso
>>63
GJです!
そろそろ本格的に話が動き出しそうで期待してます!
67名無しさん@ピンキー:2007/03/18(日) 08:29:00 ID:jAbrKDDb
4スレはやっぱり必要だよな。今みたいに1レス1レスの投下はやんわり否定されたし。
書くのは大変だが修正やなんかがあると便利だし、読み方も見やすいし入り込みやすい。
68名無しさん@ピンキー:2007/03/18(日) 08:29:25 ID:KmCQh08i
4スレはやっぱり必要だよな。今みたいに1レス1レスの投下はやんわり否定されたし。
書くのは大変だが修正やなんかがあると便利だし、読み方も見やすいし入り込みやすい。
69名無しさん@ピンキー:2007/03/18(日) 08:42:53 ID:5B0u6+PS
>>63
GJ!
成長して自分の気持ちに気づいたときが楽しみでたまらねぇ
70名無しさん@ピンキー:2007/03/18(日) 09:00:25 ID:LMfUttt2
>>63
まぁ、確かに1ページ投下は短い感じがしますね。もう少しまとめての投下が望ましい。
そのほうが世界観が解りやすいので。ヒロインの細かい動きに注目してます。
71名無しさん@ピンキー:2007/03/18(日) 09:05:28 ID:doYytr6A
でもなかなか面白かったよ
シヲン屈折かわいいよシヲン
72名無しさん@ピンキー:2007/03/18(日) 09:39:58 ID:W1ephOe2
>>63
さすがに短すぎるよ
73名無しさん@ピンキー:2007/03/18(日) 10:07:39 ID:PxvDUIdX
4スレってどんだけ長丁場なんだよ
74名無しさん@ピンキー:2007/03/18(日) 10:17:52 ID:nl2JG+eG
でも、当たり前に書いてるよ。時間かかってもそのほうがいいとは思う
75名無しさん@ピンキー:2007/03/18(日) 10:28:04 ID:W1ephOe2
1レスはやっぱり短いと思われ
なんでいきなりこういう風にしたんだろ?
76名無しさん@ピンキー:2007/03/18(日) 10:54:20 ID:0QOD8dN9
スランプ?ってわけでもないよなぁ
誰もクレクレしてないしね、どうしちゃったんだろ
77名無しさん@ピンキー:2007/03/18(日) 11:05:02 ID:q8evJDbV
>>53
GJ!
あの悪夢がアナザーエンドで良かったよ……
wktkして待ってます。
78名無しさん@ピンキー:2007/03/18(日) 12:21:58 ID:66fPAQlL
>>65
長杉
79名無しさん@ピンキー:2007/03/18(日) 13:17:59 ID:teAKWTwd
>>63
シヲンいいっすね!割とめずらしいタイプのヒロインですな。このスレだと。

別に1レスでも物語が進めばそれでいいと思うよ。
ていうか短い短い言ってるやつらは今の雰囲気だと例の粘着君に見えるぞ。
80名無しさん@ピンキー:2007/03/18(日) 13:23:17 ID:U4V7jx+t
『4スレ』とか言ってるやつと『4スレ』に疑問をもてないやつが居て吹いたww
81名無しさん@ピンキー:2007/03/18(日) 13:25:46 ID:PZe5Ic/r
普通に短いだろ
82名無しさん@ピンキー:2007/03/18(日) 13:33:52 ID:1Ba/EWZW
4スレ・・・・・これはひどいww
83名無しさん@ピンキー:2007/03/18(日) 14:01:00 ID:f/CdIGQ3
シオン、これで散々ツンだった後デレ期に入っても
あれだけ酷いことしておいて今更なんだよ!って拒絶されて嫉妬の修羅になってくれたりすんのかな…

物分りの良すぎる主人公ばっかだったから今まで酷いことしておいて失せろ!とか拒絶されたりするのも見たい
84名無しさん@ピンキー:2007/03/18(日) 14:46:20 ID:ncF05PhE
>>83
ヤンデレスレにあったな、その話題。俺も見たい。
ただ、愛情の裏返しか真底嫌っての嫌がらせかで展開は大きく変わるけどね。
85名無しさん@ピンキー:2007/03/18(日) 15:17:21 ID:bePuLTCU
>>63
4スレとかは>>4に書いてないし良いんじゃないかな?

って言うか、>>4>>5に更新されたの?
>>5は叩き台にしてくれって話だと思っていたが・・・。
86名無しさん@ピンキー:2007/03/18(日) 15:31:20 ID:PZe5Ic/r
>>85
一応本決まりではないんでは?
だから今まで同じのできてたんじゃ
87名無しさん@ピンキー:2007/03/18(日) 15:32:26 ID:U4V7jx+t
>>85
良いとか悪いとかじゃなくて、
4スレなんてやったら逆に叩かれると思うんだ。
88名無しさん@ピンキー:2007/03/18(日) 16:10:00 ID:IwuV4SsO
分かりやすく言うならば4スレは4000レス分だと言う事?
89名無しさん@ピンキー:2007/03/18(日) 16:20:24 ID:djfYWGWB
>>85>>86
いや、一応更新された。
まとめサイトもそれに合わせて変えてるし
90名無しさん@ピンキー:2007/03/18(日) 17:07:45 ID:PZe5Ic/r
>>89
ソースは?
まとめサイトは先走りでは・・・
91名無しさん@ピンキー:2007/03/18(日) 17:26:34 ID:bePuLTCU
>>89
あ、そうなの?
テンプレの議論が28スレくらいにちょっとあったのは覚えているんだけど・・・。

俺個人としてはやっぱりテンプレを変えるなら住民皆で議論して決めて欲しいな・・・。
92名無しさん@ピンキー:2007/03/18(日) 17:31:06 ID:bePuLTCU
>>87 
ごめん、4レスね^^;
93トライデント ◆mxSuEoo52c :2007/03/18(日) 19:22:57 ID:EgE+LIde
では投下致します
94水澄の蒼い空 ◆mxSuEoo52c :2007/03/18(日) 19:27:19 ID:EgE+LIde
 第31話『暴走姉妹』

 変わらない日常が変わる時。
 運命は悲劇に向かって加速する。
 人は誰かを愛することによって、人は狂ってゆく。
相手に対する想いが深ければ深い程に人は病んでゆく。大好きな相手が自分ではない誰かに好意を向けられたときに嫉妬し、
相手を奪い返すために修羅場へと転化する。待ち望んでいた長年の想いが溢れだした時に
人は自らの牙を持って、相手に死という絶対的な愛を与えることによって、人は永遠の愛を手にすることができるのだ。

 それがずっと家族として暮らしていた義理の妹でもその流れに逆らうことができない。
ただ、激流に翻弄されて届かない想いに自らの心を傷つけてゆくだけ。
 願いは叶うはずがない。それが恋をする者の運命。

「小さな頃からずっと好きだったんだよ。兄さんのことが好きで好きでたまらないの。
でも、この気持ちを表に出すのは恐ろしかった。だって、兄さんが拒絶されたら恐いもん。
だから、ずっと言えなかったの」

 紗桜は小さな口を震わせて、顔をこれまでにない以上に赤面してゆく。

「でも、兄さんが……。幼なじみの女の子がこの家にやってきたあの日から。私はね。ずっと、焦っていたの。
だって、兄さんが他の女の子に取られるなんて嫌。嫌なの。更に兄さんがクリスマスまでに恋人を作る宣言のおかげで。
私は兄さんを恋人を作るのをどうやって阻止すればいいのか。そればかり考えていたの。
今日、兄さんに私が裸を見られたおかげで兄さんの想いが溢れて止められなかった。止めることなんてできなかった」

 紗桜が俺のベットの上にやってくると俺の腕を無理矢理に胸の位置に持ってきた。紗桜の胸の鼓動の感触が確かに感じる。
「ドキドキしているでしょ。兄さんが悪いんだよ。私の裸なんて覗くから。
おかげでもう止めることなんてできない。兄さんが好きっっ!! 
水澄紗桜は天草月のことを愛しています」
「紗桜……」
 更に胸を触らせている紗桜の手の力が強く押し込められる。男の力では簡単に引き剥がすことができない想いの力がそこに存在していた。
「に、兄さんは私のことが好きっ?」
 紗桜は瞳を潤わせて上目遣いで俺を見る。

 この問答の答えはあっさりと出るはずがない。今まで自分が無意識に避けてきた命題なのだから。
 この問いに解を求めることは俺が今まで大切にしていた家族の絆が壊れるのだ。
少なくても、俺は孤独の恐さに襲われることはない。恋人を作る事は一人じゃないから。
でも、紗桜と虹葉姉のどちらかを選んだ場合。選ばれなかった方は独りぼっちになってしまう。
俺がトラウマになっているあの恐怖と絶望と暗闇を二人には味あわせたくなかったから。 
だから、俺は目を背けることにした。自分の気持ちも二人の気持ちも。全て知らないフリをしていれば良かった。
 そんなことが許されたのは子供の頃だけである。
 今は違う。俺達は大人の階段を上り始めているのだ。

「俺は……」
「兄さんっ。んんっっ……」
 俺の口を塞ぐように紗桜の甘いキスによって遮られた。生暖かい唾液が流されて、紗桜の舌が俺の舌を絡み合うように刺激する。
それはなんて背徳的な行為だ。理性が俺が守っていたモノを吹き飛ばしてしまいそうで恐い。
やみつきになりそうになるぐらい、紗桜ののキスは気持ち良かった。
「えへへ……。兄さんとキスしてしまいました」
「紗桜」
「こ、今度は抱いて。お姉ちゃんじゃなくて。私の方を選んで。お、お願いだから」
「そんなこと……」
「わんわんですぅ」

 隠し持っていた犬の人形を俺の顔に押し当てた。俺が男性恐怖症になっていた紗桜を元気付けるためにプレゼントした犬の人形は
古ぼけているが、紗桜は今も大事に使っているのであろう。姉妹の部屋に入る機会を滅多にないので、すっかりと忘れていた。
紗桜はずっと人形を使っていた分。俺のことを想っていたんだろうか。
「兄さん」
 俺はどちらを選んだらいいんだろうか?
 迷っている間に惨劇のシナリオは待っていたのかのように舞い降りた。
95水澄の蒼い空 ◆mxSuEoo52c :2007/03/18(日) 19:29:25 ID:EgE+LIde
「紗桜ちゃんっっっ!!」
 その罵声と共に勢い良くドアが開かれた。
そこに立っていたのは説教していた時の数倍般若の仮面を被った虹葉姉がいた。
「どうして……。月君の部屋にいるの?」
 確かめるように虹葉姉が紗桜に尋ねてくる。
紗桜は虹葉姉の背後から溢れだしている重圧をまっすぐに受け止めて、挑むような視線で返す。
「私は兄さんのものです。だから、ここに居ても不思議じゃあないでしょう」
「……そうなの」
「虹葉姉。紗桜も悪気があって言ったんじゃあ」

「月君は黙っててよぉぉ!! これは私と紗桜ちゃんの問題なんだから」
 迫力のある声に圧されて、俺の言葉は遮られてきた。何も言うことができずに虹葉姉が悠長に雄弁と語ってゆく。
「紗桜ちゃんは月君の妹なんだよ。それ以上もそれ以下もないのっ!! もし、そこから先に進んでしまったら、もう元には戻れないの」
「わ、わかってるもん」
「全然わかってないよぉぉ!! 紗桜ちゃんが境界線を踏み出すなら、私だって踏み出すよ。その意味がわかるよね?」
「うん」
「だったらどうして。そんなことをしたの?」

「私、兄さんのことを愛しているから」
「紗桜ちゃんっっっ!!」
「仕方ないもん。兄さんを想う気持ちが抑えることができないの。
毎日、毎日。胸が苦しくてたまらないよぉ。我慢なんてもうできない。
お姉ちゃんに取られるぐらいなら。全てが壊れても構わないよぉ」
「これ以上言ったら叩くわよぉぉ!!」
 虹葉姉が恐れる事は俺が事前に思っていたこと。
 紗桜と虹葉姉の精神的な病を患ったことがある。
それは二人の両親が飛行機の墜落事故で亡くなってから、二人の心に深い傷を背負うことになった。
二人が心の病に侵されていることは冬子さんから聞いたが。
詳しい症状や原因などは医者からも冬子さんにだって教えてもらえなかった。理由は女の子特有の病気だと言っていた。

「本当は何かも嘘だったじゃない。お父さんやお母さんを殺したのはお姉ちゃんと私じゃない」
「や、や、や、やめてぇぇよよぉぉ。私は悪くない。悪くないんだよ。紗桜ちゃんだって悪く、わ、わ、悪くないんだからぁぁあ」
「やばい。病気が再発してるのか?」
96水澄の蒼い空 ◆mxSuEoo52c :2007/03/18(日) 19:34:06 ID:EgE+LIde
 おじさん夫婦が亡くなった事件のきっかけは虹葉姉と紗桜がいつも働いて頑張っている両親に感謝して
商店街の福引きで当てた温泉旅行をプレゼントしたから。間接的に両親を殺す起因になってしまった虹葉姉と紗桜は自分を責めた。
その結果、心に消えることのない傷をおったはずだった。
嘘もヘマチもあるか、それは二人が両親を殺したと思い込んでいるのは両親の亡くなった悲しみから来る現実逃避だろう?
「うふふふ。お姉ちゃんと私は共犯だもんね……。お父さんとお母さんはいい年頃になって女の子ぽくなってきた
わたしたちから月君を引き離そうってね」
 えっ……。
 それは聞かされてない事実。
 告白する時に健気な表情を浮かべていた紗桜は今はもういない。
ただの発狂者に近い壊れた笑みを浮かべている。原因は虹葉姉が一世一代の告白している最中に乱入してきたせいだろう。
動揺した紗桜は水澄家の禁忌の話題を持ち出すことで虹葉姉の精神と自分の精神を崩壊させる。
 虹葉姉は乾いた笑みを浮かべて、焦点が合わせずに喋ってゆく。
「あはははっっ……。だって、お父さんとお母さん。私たちがいい年頃になって。
赤の他人の月君を家に置いていられないなって。他に人のとこに預けようかって私達に聞いてきたんだよ。
月君と私たちはこんなにも愛し合っているのに。引き離そうとしたから、私と紗桜ちゃんはね。
あっはははっっ……福引きで当てた温泉旅行の最中に事故に遭って死にますようにと憎悪を込めて贈ったんだよ。
結果は月君が知っている通りに死んだの」
 虹葉姉。それは殺したって言わないから。
「お父さんとお母さんが死んだことを利用して、思春期で私達の傍から離れていた月君を精神的病を患ったフリをしてまで
傍に居させようとしたんだよ。だって、思春期のせいで月君は私達と一緒にお風呂入らなくなったり、
一緒に遊ぶ機会も昔に比べてたくさん減ったんだよ。両親の死は好機だったの。
心に深い傷を背負った姉妹を月君が精一杯看病してくれる。傍に居てくれるためなら、私たち姉妹は何でもするよ」
「おじさん夫婦が死んだ時に落ち込んで精神科を通院していたのは全て仮病だったのか」
「うん。そうだよ」
 あの頃を深く思い出すと精神的な病を抱えていたはずの沈んだ表情や自嘲気味な笑みを浮かべていた。
それが仮病であると言うならば、虹葉姉と紗桜は今から演劇部に速効で入部し、女優の道を志すことをお薦めする。
後、付け加えるならば、あの病院の精神科の医者をヤブ医者だと認定でもしよう。
97水澄の蒼い空 ◆mxSuEoo52c :2007/03/18(日) 19:36:08 ID:EgE+LIde
「兄さんが悪いんだよ。私たちに構ってくれないから……」
「虹葉姉……紗桜……」
 俺の視界が一瞬だけ暗転するような感覚に陥るそうになる。
中学時代、現代の青春の盛りのほとんどを虹葉姉と紗桜のために捧げていたというのに。
この仕打ちは余りにも残酷で酷いではないかと。
 ただ、一つだけ疑問が残る。
 虹葉姉と紗桜が病気だと宣言したのは二人の自己申告であり、医者と冬子さんから詳しい病名や症状を教えてもらうことはなかった。
ただの仮病ならば、冬子さんが俺にしつこく門限時間を守れとか、水澄姉妹と一緒にいてやれと言わない。
二人の傍から離れると精神が不安定になるのもおかしい話だ。
 ああ。そうか。
 一つの可能性に辿り着いた。これはもっともらしいオチだ。

 虹葉姉と紗桜は仮病だと言っているが、本当は……。
 ただの自覚症状がないだけじゃん。

 更に教えてもらえなかった病名や症状なら今になってわかった。
つい、秋頃に同じ病を患った感染者に襲われたばかりである。
 虹葉姉と紗桜はヤンデレ症候群に感染していた。
それも政府が正式に発表する以前から感染していて症状が出ていた。
一人の男の子に対する異常な独占欲、近付いてくる他の女の子に対する警戒心や生まれてくる殺意。
 過去の記憶に当てはめても、二人の行動はヤンデレ症候群の感染者の症状と一致してしまう。
俺は危険な綱渡りを命綱なしで今まで歩いていたんだな。もし、症状が進行してしまえば、俺は殺されている可能性すらもあったのだ。
 ということで。

「俺はもう眠いから寝るよ」
「にゃんですと!?」
「わわんわん!! 私の告白の返事はぁ?」
「だって、もう深夜三時になっているんだよ。問題がどんなに深刻だとしても寝る時は寝ないとね。じゃあ、お休み」
「月君っ!!」
「兄さんっ!!」
 二人が布団に入り込んでも、俺は悪夢から逃避するために寝ることは頑固に譲らなかった。
だって、そうだろ。寝なきゃやってやれんよ。もうっ。
98トライデント ◆mxSuEoo52c :2007/03/18(日) 19:38:16 ID:EgE+LIde
以上
投下終了です
99名無しさん@ピンキー:2007/03/18(日) 19:41:39 ID:MibkNPcX
>>98
>ヤンデレ症候群
これはヤンデレSSだろ、スレ違いでは?
100名無しさん@ピンキー:2007/03/18(日) 19:42:35 ID:U4V7jx+t
修羅場がありゃこっちでも良いんだよ
101名無しさん@ピンキー:2007/03/18(日) 19:43:43 ID:MibkNPcX
外伝としてヤンデレSSに投下した方が良かったのでは?
102名無しさん@ピンキー:2007/03/18(日) 19:47:01 ID:U4V7jx+t
誰が外伝だけをヤンデレスレに投下するんだよww
103名無しさん@ピンキー:2007/03/18(日) 19:49:26 ID:D1VfmVOO
赤色まだー?
気になって夜も眠れないよ…
104名無しさん@ピンキー:2007/03/18(日) 19:50:10 ID:PxvDUIdX
ヤンデレを含めていても、修羅場がメインの作品なのだからこちらに投稿するのは当たり前
難癖つけ蔵さんはお引っ込み下さい
105名無しさん@ピンキー:2007/03/18(日) 19:50:55 ID:HnkgyRVm
つうかヤンデレSSと嫉妬SSの違いって何だよ
その違いが分かんないよ
106名無しさん@ピンキー:2007/03/18(日) 19:52:29 ID:geVYPXel
>>99

お前、もう一度トライデント氏の作品を読み直せwwwwwwwww

すでに2月頃に投稿された時にヤンデレ症候群の名前があったぞ
何、今頃騒いでいるんだ?

追放するような誘導の仕方は日本語がおかしい荒らしにそっくりだよ
107名無しさん@ピンキー:2007/03/18(日) 19:54:35 ID:k4m1kFsF
嫉妬の末に病むのがヤンデレ

血生臭いSSだけじゃなくて、軽い嫉妬も網羅してるのがこのスレでしょ
108名無しさん@ピンキー:2007/03/18(日) 19:55:28 ID:U4V7jx+t
>>105
ヤンデレ → 主人公を想うあまり精神状態がやばくなっていく女性の描写。修羅場有りでも無しでも良い。
修羅場スレ → 嫉妬・三角関係・修羅場があればホモ以外何でも良い。
109名無しさん@ピンキー:2007/03/18(日) 19:56:59 ID:8fCk7/eB
>>108
801は分けちゃいけないらしいよ
110名無しさん@ピンキー:2007/03/18(日) 19:59:26 ID:K+dAuBa9
ホモは数字板に行けってね
111名無しさん@ピンキー:2007/03/18(日) 19:59:50 ID:MwNBp8ci
ID:U4V7jx+t
hage
こいつ煽り君だよ、しつこいな
112名無しさん@ピンキー:2007/03/18(日) 20:05:14 ID:U4V7jx+t
フヒヒヒヒヒ、煽りでサーセン

でも、特に間違ったことも言ってねえだろ?
113名無しさん@ピンキー:2007/03/18(日) 20:06:38 ID:YGurZA6E
>>110
どうやら
>既存スレッドとの重複や類似、特定の作品についてのスレをテーマ/カップリングで限定して立てることは禁止。
に801を分けることは該当するみたいで、801は解禁だそうだ
まぁこのスレで需要があるかは知らんが前に誰かショタは書いてた気がする
114名無しさん@ピンキー:2007/03/18(日) 21:08:41 ID:jbNnEG2O
そして、ついにGJも貰うことができない憐れなトライデントにワロスwwwww
115名無しさん@ピンキー:2007/03/18(日) 21:19:23 ID:MMKXH5nu
>>114

誰も読んでないからGJを叫び続けるわけないだろ
つまらない作品にレスを返す程暇じじゃないってことだよ
116名無しさん@ピンキー:2007/03/18(日) 21:40:57 ID:ncF05PhE
はいはい、単発IDお疲れ様。
117名無しさん@ピンキー:2007/03/18(日) 22:09:21 ID:Sr8UjW7M
ちょっと前までは昨日読んだレス数よりも50レス以上増えてたら
投下ラッシュキターと喜んで更新してたが
今は「どうせ荒れてんだろうなぁ」と思うようになってしまった。
で、案の定荒れてるからちょっと笑っちゃうよ。
118名無しさん@ピンキー:2007/03/18(日) 22:16:29 ID:K095uN3E
つ チラシの裏
119名無しさん@ピンキー:2007/03/18(日) 22:33:31 ID:tFI0Cia2
120名無しさん@ピンキー:2007/03/18(日) 22:34:54 ID:ncF05PhE
>>119
で、なんで君はそのレス番”だけ”していしてるのかな?かな?
121名無しさん@ピンキー:2007/03/18(日) 22:41:20 ID:3YiHmcYT
80 :名無しさん@ピンキー:2007/03/18(日) 13:23:17 ID:U4V7jx+t
『4スレ』とか言ってるやつと『4スレ』に疑問をもてないやつが居て吹いたww
87 :名無しさん@ピンキー:2007/03/18(日) 15:32:26 ID:U4V7jx+t
>>85
良いとか悪いとかじゃなくて、
4スレなんてやったら逆に叩かれると思うんだ。
100 :名無しさん@ピンキー:2007/03/18(日) 19:42:35 ID:U4V7jx+t
修羅場がありゃこっちでも良いんだよ
102 :名無しさん@ピンキー:2007/03/18(日) 19:47:01 ID:U4V7jx+t
誰が外伝だけをヤンデレスレに投下するんだよww
108 :名無しさん@ピンキー:2007/03/18(日) 19:55:28 ID:U4V7jx+t
>>105
ヤンデレ → 主人公を想うあまり精神状態がやばくなっていく女性の描写。修羅場有りでも無しでも良い。
修羅場スレ → 嫉妬・三角関係・修羅場があればホモ以外何でも良い。
112 :名無しさん@ピンキー:2007/03/18(日) 20:05:14 ID:U4V7jx+t
フヒヒヒヒヒ、煽りでサーセン

でも、特に間違ったことも言ってねえだろ?

煽るときだけageるのか
スレ住人装って卑怯な奴だ
>>120
煽るな
122名無しさん@ピンキー:2007/03/18(日) 22:41:47 ID:PxvDUIdX
うるせえよ、連鎖的に煽り合い始めやがってぷよぷよかお前らは
123名無しさん@ピンキー:2007/03/18(日) 22:42:26 ID:lGbQLI9L
不覚にもワロタwwwwwwww
124名無しさん@ピンキー:2007/03/18(日) 22:47:40 ID:U4V7jx+t
>>121
ぷよぷよ乙ww

メル欄はvipで使ってたのがそのままだったんだよ
125名無しさん@ピンキー:2007/03/18(日) 22:48:07 ID:3YiHmcYT
>>122
ワロタw

悪かった
126名無しさん@ピンキー:2007/03/18(日) 22:51:40 ID:ncF05PhE
悪いが俺はマジドロ派だ。ぷよぷよなんて知るか。
127名無しさん@ピンキー:2007/03/18(日) 22:52:44 ID:rT9RkS8a
>>122
ワロタw
128名無しさん@ピンキー:2007/03/18(日) 22:59:42 ID:eieiUc98
>>122
糞ワロスwwwwwww
129名無しさん@ピンキー:2007/03/18(日) 23:07:57 ID:rXFS+01j
>>124
俺もvipperだが目欄にhageなんて使わないがな
ソースも出さずに信じてもらおうなんて都合いいな
130名無しさん@ピンキー:2007/03/18(日) 23:17:12 ID:U4V7jx+t
安価で晒す系のにhageって入れただけだ。

ソースなんて無いが、
とりあえず俺はインストラクター(静岡県)のどれかだ。
新ジャンルの保守に「あ」とか書いてたやつ
131名無しさん@ピンキー:2007/03/18(日) 23:25:11 ID:Nz4xH1da
ヤンデレはいい……だが、ヤンデレの起こす修羅場はもっといい!!
ってわけでGJです。これからもがんばってください。
132名無しさん@ピンキー:2007/03/18(日) 23:31:39 ID:6mt/7pLb
>>131
誰にレスを返しているんだwww

お前はトライデント氏のヤンデレ症候群は

相手を想って想って想って想い続けていたら病んでしまうんだぞ
かなり健気じゃないかwwwwww

133名無しさん@ピンキー:2007/03/18(日) 23:36:52 ID:NUQXnikn
>>130
さっさとスレ教えればいいじゃんw
もう必死だな〜www
134名無しさん@ピンキー:2007/03/18(日) 23:42:23 ID:IQivULfn
ついに耐え切れずに自演北
135名無しさん@ピンキー:2007/03/18(日) 23:53:17 ID:PxvDUIdX
ぷよぷよだから粘着質なんだな
136131:2007/03/18(日) 23:58:28 ID:Nz4xH1da
しまった、トライデント氏への安価忘れてたorz
ってか漏れ自演として疑われてたりする? 残念ながら別人だよ。
137名無しさん@ピンキー:2007/03/19(月) 00:06:31 ID:v4G1SdGk
>>136
トライデント氏光臨!!!
138名無しさん@ピンキー:2007/03/19(月) 00:45:44 ID:pcZhSL1e
しかしID変えて自演している奴が自演乙自演乙とは情けない話よのぅ。
139名無しさん@ピンキー:2007/03/19(月) 00:50:54 ID:sZH9c/nP
>>98
GJ!!!!!!!!!!!!!!1
140名無しさん@ピンキー:2007/03/19(月) 01:04:50 ID:HfHNzNhv
>>98
GJ!
主人公のスルーっぷりにワロタw
141名無しさん@ピンキー:2007/03/19(月) 01:13:57 ID:UBKrFNNY
>>98
GJ!!!
主人公ワロタw
142名無しさん@ピンキー:2007/03/19(月) 01:14:43 ID:NfBg63MU
>>98
GJ!!!!111

143名無しさん@ピンキー:2007/03/19(月) 01:16:02 ID:Rcdbv9Cw
>>98
GJ!!!!!!!!!!1
最高です
144名無しさん@ピンキー:2007/03/19(月) 01:16:33 ID:Rcdbv9Cw
>>98
GJ!!!
これはいいヤンデレSS
145名無しさん@ピンキー:2007/03/19(月) 01:38:47 ID:BhbXCjBk
こういう自演ならまあ許せないこともないわな
146名無しさん@ピンキー:2007/03/19(月) 02:05:51 ID:NsjS6ZHg
>>139-145
GJ荒らし乙
147名無しさん@ピンキー:2007/03/19(月) 02:06:08 ID:kgozlerl
むしろ微笑ましい
148名無しさん@ピンキー:2007/03/19(月) 02:23:54 ID:HfHNzNhv
なんか巻き込まれたw
149雨の音  ◆tTXEpFaQTE :2007/03/19(月) 03:11:55 ID:eAwHe0ci
投下します。
150名無しさん@ピンキー:2007/03/19(月) 03:12:12 ID:1kDTLUiN
まー相変わらず荒れてんな
雑談はいいが、荒れるのはいただけないな
まあとにかく作者様バッチ来いって事だ。
そして荒れつつあっても見捨てず投下してくれる神たちに感謝の気持ちを。
151雨の音  ◆tTXEpFaQTE :2007/03/19(月) 03:13:01 ID:eAwHe0ci
雨の音  第六回

「あーあ。やな天気」
窓越しに空を見上げる清華。
もう三月の半ばも過ぎたというのに、天気は雨で、肌寒い。

掃除をしに響の部屋を訪れたが、こんな天気ではすっきりしない。
布団を干すのは諦めて、床に掃除機をかけるだけにする。
「さって、はじめましょうか」
掃除機のスイッチをオンにする。

「ヒビキ!ちょっと来なさい!」
「きゃあ!?」
ノックも無く、ドアを開けると同時にシヲンは声を張り上げた。
「お、お嬢様!?
 どうしました?」
それに答えず、シヲンは清華をきつく睨んだ後、部屋を見渡し、
響がいない事に気がつくと、
「ヒビキは何処!?」
怒気もあらわなシヲンに清華は
「ええと、今は、先生のところでバイオリンの練習中ですが…」
と、ちょっと後ずさりながら答えた。

4日前から、響にバイオリンの先生がつけられた。
その初老のフランス人は、本来は音大の特別講師で、
響の様な子供相手にレッスンをする様な事はしないのだが、
幸一の頼みと言うこともあり、また響自身のセンスに興味を覚え、
特別に個別レッスンをつけてくれるようになった。

邪魔しに行ってやりたいが、幸一から、先生の邪魔はしちゃいけないよ、
と厳重に注意されていたのでそれもままならない。
ふん、とつまならそうに鼻を鳴らし、シヲンは部屋に入る。
「あの、お嬢様、今お掃除中ですが・・・」
「邪魔よ」

響がいないならば、と、はたきを持った清華の横を通り過ぎ、
響の机に向い、引き出しを開ける。
何か面白いものでも隠してないかと、ごそごそと中をあさる。
日記でも出てくれば面白いんだけど。

何も言わずに引き出しを検索し始めたシヲンに慌てて
「ちょ、お嬢様。駄目ですよ、そんなことしちゃ」
なおもゴソゴソと引き出しをかき回している手を握ったが、
シヲンはまるで清華の手が汚らわしい物であるかのように、
彼女の手を振りほどき、一言、
「邪魔よ」
とだけ言い、再び引き出しの中をチェックし始めた。
152雨の音  ◆tTXEpFaQTE :2007/03/19(月) 03:13:44 ID:eAwHe0ci
…最近、私、お嬢様に嫌われてるわよね…
何かしちゃったけ?

元々シヲンはメイドを空気のように考え、メイドのうち、誰が好き誰が嫌いとか、
そんなことを言った事は無かった。
しかし最近、清華は、自分は嫌われている、
と感じるようになっている。

いくら考えても、シヲン相手に粗相をした覚えは無かった。
最近変わった事と言えば、響の専属になったぐらいだ。
それが原因?
お嬢様は、ヒビちゃんのこと、嫌いなのかしら?
だから、彼の専属になった私も嫌になったのかしら?
…だとしたら、ヒビちゃん、なんて可哀想なのかしら。
居候先の娘とうまく行かないなんて、肩身が狭いでしょうに。
…いいわ!だったら、私だけは貴方の味方になるから!

そんな決意を固めていると、
「清華!ちょっと来なさい!!」
シオンの怒鳴り声に我に返された。
慌ててシオンの元に駆け寄ると、シオンは一枚の写真と指輪を
手に取り、ブルブルと震えていた。
それらには見覚えがあった。響が見せてくれた事があったからだ。
153雨の音  ◆tTXEpFaQTE :2007/03/19(月) 03:14:28 ID:eAwHe0ci
「ほら、この子!
 この子ね、凄くピアノがうまいんだよ!」
響は嬉しそうに、写真の女の子を指差しながらそう言った。

少し前、清華と響の話の中で、まだ響が外国にいた頃、感動したコンサート、
と言う話題になったときだ。
響は清華の知らない楽器演奏者の名前を次々あげて言った。
あのチェロ奏者のあの曲は凄い、とかあのオーケストラの交響曲は忘れられない、
と、興奮気味に語られても清華はチンプンカンプンだった。

なおも、音楽について語ろうとする響を押しとどめ、今度は同い年位で
上手だった子は居なかったのかと聴くと、
「えー?そんなの全然居なかったよ。
 あっちの子、全員僕より下手だったもの」
さらりと傲慢な事を言う響。
「あ、でも…一人、とんでもなく上手な子が居たよ。
 ちょっと待ってて」
そう言って取り出してきたのが、あの写真と指輪だった。

写真には、タキシードを着た響と、ドレスを着た、金髪で響と同じぐらいの年の女の子が
写っていた。
「これね、向こうで政治家さんのパーティーに呼ばれたときのだけど、
 その時この子と一緒に演奏したんだ。
 そのときの写真」
写真を渡された清華はタキシード姿の響にちょっと萌えていた。

「そこで好評だったから、何回かその子と一緒にコンサートに呼ばれたこともあったっけ」
「ふーん、ところで…
 なんで、この写真、そんなに大切に持ってるのかなあ?」
ニヤニヤと笑いながら清華が尋ねた。

「ひょっとして、アレかな?
 ヒビちゃんにとって、忘れられない娘?」
とたん、顔を赤くして
「違う違う!
 これ持ってたのは、あっちが大事に持ってて、っていったからだよ!
 それに、約束したからだよ!
 大きくなるまで、この写真持ってたら、一緒に演奏してくれるって」
「演奏?」
「そう、
 『大きくなって、またで会えたら、私たち、一緒になりましょう』
 っていてくれたんだもん!
 それでこれは、再開した時に交換する指輪!」
そういって見せてくれた指輪は、どう見ても安物ではなかった。
写真の女の子が二つセットの指輪を持ってきて、一つを自分に、
一つを響に渡してくれたらしい。
何でも、再開のおまじないらしい。

……日本と外国の文化の違いかしら?
私にはそれ、どうしても演奏の約束には聞こえないんだけど…
むしろ、婚約って感じじゃ…

154雨の音  ◆tTXEpFaQTE :2007/03/19(月) 03:15:22 ID:eAwHe0ci
「清華!聞いてるの!?
 これ、だれなのよっ!!」
シヲンの怒鳴り声で我に返る。
「ええと、ヒビちゃんが言ってましたけど、ここに来る前に
 一緒に演奏のした事がある子だそうですよ」
「なんでこんな大事そうにしまってるのよ」

それは、ヒビちゃんがその子が好きだからですよ、
と言おうと思ったが、あれぐらいの年の男の子が
そんな事言いふらされるのは嫌がるだろう、と思い、
「まあ、その子、可愛らしいですからねえ」
と、お茶を濁しておいた。

実際、その写真の子は可愛らしかった。
シヲンも、まるで天使のように可愛らしいが、
その子もまた、同じほど可愛らしい。
清華はシヲンほど整った顔立ちの子供は居ないだろうと
おもっていたが、写真の子も神様に愛されて生まれてきたのだろうと
思えるほど、可愛らしかった。

 気に入らない。
全然気に入らない。
ヒビキが女の子の写真を大事そうに持っているのが気に入らない。
その上、どういうつもりか、あのイソウロウはその写真と一緒に指輪まで
隠していた。
ユビワ。なにやら意味深じゃない。

シオンは清華のほうを盗み見た。
幸い、壁の方を向いて掃除していた。
シヲンは指輪を手に取ると、窓から放り投げた。

これで少しは気が晴れるかと思ったが、不快感は一向に取れなかった。
本当に、あのイソウロウが来てから私は苛苛させられる。
ああ、本当に目障り。
私の前から消えればいいのに。
苛苛する。苛めてやりたい。
今日はお腹だけじゃなく、背中も腕にも足にも傷を刻んでやる。
だから、さあ、早く帰ってきなさい。
そしたらまた、いたぶってあげるから。
だから、さあ、早く。
どうせ、逃げられないんでしょ?
行くところなんかないんでしょ?
この屋敷以外の居場所、ないんでしょ?
だから早く、ここに、私のとこに、帰ってきなさい。
窓から、冷たい雨が降る外を見ながら、シヲンは響の帰りを待った。




なぜ、自分がこんなに響を意識するのか。
その理由を自問する事は無かった。

彼女の前に、金髪の少女が現れるまでは。
その時初めて気づくのだ。
自分が、響を、どんなに、どれほどに――――――……・・・



155雨の音  ◆tTXEpFaQTE :2007/03/19(月) 03:17:28 ID:eAwHe0ci
投下終わり。
前回、短いって言われましたが、
私は一回の投下ごとに1つのシーンとしてるので、ご容赦ください。
156名無しさん@ピンキー:2007/03/19(月) 03:21:08 ID:sZH9c/nP
>>155
GJ!
別にそんなことは気にしなくて良いよ!
投稿してくれるだけでありがたいんだから。
157名無しさん@ピンキー:2007/03/19(月) 03:31:58 ID:ofWSC4MJ
>>155
超GJ!!
断定は出来ないけど、短い言ってた奴らの何割か(もしかして全部)は荒らしだと思います。
4レス以上書くのがルールとか言ってたけど、18スレ目ぐらいからいて初耳だし
それ以上前にあったルールなら、テンプレに書いて無いと新しく来た人は分かるわけ無いです。

手の込んだ荒らしが沢山いますし
残念ですけど、これからもつまらない事でイチャモン付けられるかもしれませんが
どうか、めげずに頑張って下さい。
続き楽しみにしています。
158名無しさん@ピンキー:2007/03/19(月) 03:38:43 ID:BhbXCjBk
荒らし荒らしって言ってる奴が荒らしだってばっちゃが言ってた
159名無しさん@ピンキー:2007/03/19(月) 03:55:05 ID:HfHNzNhv
>>155
GJ!
新たなヒロイン登場の予感でwktk

>>157
初代スレからいるけど4レス以上じゃなきゃ駄目ってルールは初耳だから大丈夫。
とはいえ1レスだけの投下を何度も続ければためてから書けと言われてもおかしくはない。
160名無しさん@ピンキー:2007/03/19(月) 06:19:56 ID:DkmzzMvM
新たなるヒロイン登場にwktk。
あとあんまり何レス以上とかは気にしなくても良いとおもう。
まあ単発ばっかだとあれだけど。
作者さんGJ
161名無しさん@ピンキー:2007/03/19(月) 06:21:44 ID:eCXx9cFC
,,ゞ.ヾ\\ ゞヾ:ゞヾ ノノ ゞヾ .  ゞヾ ゞヾ  .ゞ;ゞヾ;ゞゞ;ゞ ヾ;ゞゞ;ゞ    `
ゞヾ ,,.ゞヾ::ゞヾゞ:ヾ ゞ:.y.ノヾゞ..ヾ .ゞ,'ヾ  ゞヾゞ ;ゞヽ,.ゞ:,,ヾゞヾ;ゞゞ;    `
ゞヾゞ;ゞゞヾゞ;ゞiiiiii;;;;::::: イ.ヾゞ, .,;  ゞヾゞ___// ;ゞ   ゞヾゞ;ゞ  ヾ;;ゞ    `
ゞヾ   ゞ;ゞ iiiiii;;;;;::::: :)_/ヽ,.ゞ:,,ヾゞヾゞ__;::/      ゞヾゞ;ゞヾ;ゞゞ;ゞ
  ゞヾゞ;ゞ   iiiiii;;;;:::@:|;:/    ヾ;ゞゞ;ゞ   ヾゞ  ,               `
ヾ;ゞゞヾ;ゞゞ |iiiiii;;;;::: : |:/ ヾゞ        `          '   `
  ヾ    |iiiii;;;;;::::: ::|       `   `  
  `    |iiiiiiii;;;;;;::: :| `      `            `   
 `     ,|i;iiiiiii;;;;;;::: :| `    春♪    `     `      ` `   `
   Λ  |ii,iiiiiii;;;;;;:: -‐‐-  ,  故意の季節♪
. r,'^Vヘ ̄|iiii;iiii;;;;:;_ ,' ,,==='、      `        ` 
_ ノ ィ' ノリノ|iiiiiii;;;;;;((, !/x〈((ハ))〉  今度こそあの○X△をぎゃふんと♪      ` ,   
(( ゝ!゚ ヮ|iiiiiiii;;ii;;;;'ノl リ!´ヮ`ノ!       .                ` 
.,)) ⊂)夲|iiiiii;iii;;;;i;ノ (つとノ `        `           ,
   .く/_|j|iii;;iiiii;::;(⌒,く/_|j〉    `      
,,.,.. ,. ,...|M|iMiiii;;ii:i;;:;i:i し'ノ ,...... ,.... ,.,.. ,,,.,.. ,.... , ,,,,.,.,.... ,,,.,.. ,.... ,... . ,,,..
,.,.. ,.... ,,,.. ,,,,.,.. ,.... ,,,.. ,,,,.,.. ,.... ,,,.. ,,,,.,.. ,.... ,,,.. ,,,, ... ,,,,.,.. . ,,,,. ,.... ,,,.. ,,,,.,.. ,....



162名無しさん@ピンキー:2007/03/19(月) 08:11:08 ID:CLpyDCoS
>>155
月曜の午前3時から投下なんて仕事してないの?
163名無しさん@ピンキー:2007/03/19(月) 08:14:31 ID:4J/lvCUb
>>155
うはwww顔がめちゃくちゃにやけるwww
これは癖になるSSだ!
164名無しさん@ピンキー:2007/03/19(月) 09:13:21 ID:Eo1MoOvb
やっべぇwww ヒロインが主人公への気持ちに気付いた時の反応が今から楽しみだw とにかくGJ
165名無しさん@ピンキー:2007/03/19(月) 09:42:37 ID:MTT0W06m
>>162
そういうお前も仕事行かんでいいのか?
そんな俺は大学生。ようやく、嫉妬への道が開けてきた激しくGJ。
166名無しさん@ピンキー:2007/03/19(月) 11:17:18 ID:LZ5fFJLw
金髪さんktkr
167名無しさん@ピンキー:2007/03/19(月) 12:06:08 ID:CLpyDCoS
ものすごく自演の匂いがするGJがちらほらと
168名無しさん@ピンキー:2007/03/19(月) 12:15:03 ID:eJbbEoiQ
印象操作のための無根拠自演認定も最近多くなって参りました
169名無しさん@ピンキー:2007/03/19(月) 12:23:30 ID:EwRbZaKP
最近の嫉妬スレの劣化は激しすぎる・・
粘着荒らしが住み着いてから、嫉妬スレはおかしくなってしまっている
特にスレ住人や神が離れて行っているのが辛いよ
170名無しさん@ピンキー:2007/03/19(月) 12:35:39 ID:hY1duCAm
春休みだから4月までは続くだろうね
171名無しさん@ピンキー:2007/03/19(月) 12:50:11 ID:hY1duCAm
自演もあれだが、投下の時はある程度溜まってからのほうが良いよって意見に荒らしだのイチャモンだの言う奴もどうかしてる。そこまで全否定したいのかよ
172名無しさん@ピンキー:2007/03/19(月) 12:51:43 ID:Jtm/huTo
自演もあれだが、投下の時はある程度溜まってからのほうが良いよって意見に荒らしだのイチャモンだの言う奴もどうかしてる。
173名無しさん@ピンキー:2007/03/19(月) 12:52:26 ID:wbhIaU2a
荒らし分の過剰摂取でアレルギー体質になってるんだよ。
174名無しさん@ピンキー:2007/03/19(月) 12:53:00 ID:wbhIaU2a
うわ、何かひどいものを見た気がする……。
175名無しさん@ピンキー:2007/03/19(月) 12:53:38 ID:EwRbZaKP
全く、スレの住人同士の争いで神が来なくなるのは最悪だ
ニートの俺の唯一の楽しみを取るんじゃないっての

せっかく、ここまでの神スレに育ってきたのに
自ら壊してしまっていいのかね?
176名無しさん@ピンキー:2007/03/19(月) 13:29:10 ID:8ns8pHNQ
自ら壊すというか荒してるやつはここの住人じゃないだろ
修羅場スキーがこんなひどいことするかよ
177名無しさん@ピンキー:2007/03/19(月) 13:42:02 ID:+fS8I6qx
物を言ってはいけない雰囲気になるのは絶対ダメだね。
178名無しさん@ピンキー:2007/03/19(月) 13:53:19 ID:EwRbZaKP
エロゲーのシナリオライターが投稿してくれたなぁ・・
GJの嵐は病まないのに
179名無しさん@ピンキー:2007/03/19(月) 14:10:44 ID:wbhIaU2a
>しまっていいのかね?

なんかしらんけど、この語尾ムカツクお
(#^ω^)ビキビキ
180名無しさん@ピンキー:2007/03/19(月) 14:17:58 ID:EwRbZaKP
>>179
てめえはこれを見て癒されやがれですぅ!!
http://pikupiku.com/upload/src/pikupiku0846.jpg
181名無しさん@ピンキー:2007/03/19(月) 14:59:23 ID:JJWu+9Lh
>>180
(゚д゚ )

(゚д゚)
182名無しさん@ピンキー:2007/03/19(月) 15:17:35 ID:L9S8vZkx
>>180
真ん中の右腕ではなく右手がいやらしいんですが…痴漢?
183名無しさん@ピンキー:2007/03/19(月) 15:52:59 ID:zC1Jkkgy
>>180
SSの絵でもねぇし、角煮に行けよ
184名無しさん@ピンキー:2007/03/19(月) 18:33:48 ID:eJbbEoiQ
黙って待ってろ
185名無しさん@ピンキー:2007/03/19(月) 18:54:01 ID:zC1Jkkgy
>>184
正論だし、そんな煽るような書き方しなくても
186名無しさん@ピンキー:2007/03/19(月) 19:02:25 ID:eJbbEoiQ
別に特定の一人に言ったんじゃねえよ
雑談は本スレでやれお前ら
187名無しさん@ピンキー:2007/03/19(月) 19:06:08 ID:OhgeydZ/
そして、神が投下されると思い切り作品を貶すお前らは何様だと問い詰めたい
188名無しさん@ピンキー:2007/03/19(月) 19:26:09 ID:zC1Jkkgy
なんだ,昨日の煽り君か
189名無しさん@ピンキー:2007/03/19(月) 19:29:35 ID:ZVpcMuVM
もう、このスレは終了しました


     |:.|:.:ハ:.::.:.i:.:.:.:.i_,.-弋!'"\゙、\ヽ:.::.::./`メ/!:.:i:.: :.::| i:.:.::|
     |::| l ::!:.:.:i:.:.:.:.|_____-\-- ヽ、 ` }:::.ノ-/-ノイ'|:.:.:.:ノ .}:.:.|
     | iヽ ::ト.├、:.:.i ̄i;;:} ̄ ̄     レ' I;:! ̄イi:.l:.:.::/  ノ:./
    //  ::{入Y:\゙、、″ _ノ     ヽ ″ ノ レ'.:ノ  //
    //::  ::\ヾっ ヽ  ̄          ̄  ル'i /'"
   //!:  :.:.:i::.:`ー弋           ゝ   ハ:|    
   // | : ::.:i:.:.:.:i:.:.:.::ヽ      ヽ_;フ   , イ i ハ|   神は泥棒猫に奪われました
  // | :::.:.:.i:.:.:.:i:.:.::.:.:.|\        ,イ:.:i.:. i ハ
190名無しさん@ピンキー:2007/03/19(月) 19:37:50 ID:ZVpcMuVM
てか、マジレスすると30歳過ぎたらどんな資格取ってもマトモな職に就くのはムリだと思う。
すくなくともホワイトカラーはムリ。誰が30過ぎた奴を採用するんだ?

だからガテン系に行くしかない。それも清掃とか清掃とか・・・
おてんとうさまの下を歩くような仕事はもうムリなんだよ俺らには。
闘わなきゃ現実と。

仕事してるけど、経験て呼べるほどのものを持ってる人はほとんどいないよ。
仕事変えれば、皆初心者。
だから資格もドンドン受けるつもりだよ。

しかし現実問題、要資格で求人探すと大抵は実務経験も必要と書いてあったりする。
転職も前職と関連のある仕事じゃないと厳しいのも本当。
前述の薬剤師とか弁護士とか、そんなのなら初心者でも良いんだろうけどねw
でも0じゃないから、資格取ってから考えた方が良いと思うんだよね。
資格取る前から諦めちゃったらスタートラインにも立てないじゃん。
頑張ろうぜー

君の話は典型的な負け組みパターンだよ。
同じ仕事してて経験が身につかないってどう言う事だよ。
仕事変えれば云々って、計画性の無さも自己擁護してるし

無職から日商簿記1級とか、TOEIC900点超えとか、MOUSマスターとかとっても良い会社入れないの?

ちなみに今僕は高卒フリーターの20歳なんですが・・

簿記一級とTOEIC900点越えの労力と
年齢を考えたら大学受けたほうが良いと思う。
日本でもっとも就職に有利な資格はなんといっても学歴だしな。

資格勉強は大学行ってからでも遅くない。

事実だなら生活保護がもらえるな。自分と妹の学費も
奨学金から出せばいい。市役所やその他の関係機関で相談窓口もあっし。
将来の自分への投資を怠ると一生底辺の生活を強いられる。

んじゃあ、そこそこの生活で満足してください。
まぁ、TOEIC900点越えなら派遣とかでもかなり自給高い
仕事に就けるとは思うから、生活していくだけの賃金を
稼ぎたいならそれで十分かな。

20代半ばあたりから難関国家資格受験しようと考える奴らに言っておくが、その試験に情熱注ぐことによって
30代もっと悲惨な状況に突入することのないようにな。
大学時代から勉強していて、国家試験浪人ならまだ受かる見込みのある奴はいるだろうけど、
あんま勉強しない人生送って国家資格取るとかって稀だから。

大学行くのが一番良い
TOEICでそれだけとれてるなら英語はかなり楽だろうし
早慶めざせばいいのに 
妹にもバイトさせろよ 妹の犠牲になる必要なし

MF文庫のえむえむっの母と姉が素敵だった
話の中身自体は微妙だが、母と姉が登場のたびにヤンデレ発言かましてくれるからそれだけで満足できたなあ……
抱きつきながら女の子の匂いがするとか吹いた
この二人の出番は少ないし修羅場も軽めだったが、一応報告を
191名無しさん@ピンキー:2007/03/19(月) 19:41:16 ID:ZVpcMuVM
『大和総研学歴フィルターで判る!国公立/私立の就職比較決定版』(2007.03.17)

【国公立】         【私立】
◆東京
◆一橋京都
◆東工          ◇慶応
◆             ◇早稲田
◆大阪          ◇
◆名古屋         ◇上智ICU
◆九州東北       ◇
◆            .◇東理
◆神戸         .◇立教同志社
◆北海道       . ◇中央明治
◆横国筑阪市茶東外 ◇学習院
◆千葉首都農工電通 ◇法政青学
◆阪府奈女横市阪外 ◇関学立命
◆名市埼玉      .◇関大芝工武工
〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓
〓〓〓〓〓〓...大和総研学歴フィルターの壁...〓〓〓〓〓〓
〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓
◆広島学芸京繊茨城 ◇津田塾
◆岡山金沢名工九工 ◇成蹊成城明学日女東女獨協南山
◆京府都留小樽熊本 ◇
◆中位駅弁       ◇日東駒専上位産近甲龍上位
◆            .◇
◆下位駅弁       ◇日東駒専中位産近甲龍中位
◆            .◇
◆駅弁底辺      .◇日東駒専下位産近甲龍下位
             ..◇
             ..◇大東亜帝国
192名無しさん@ピンキー:2007/03/19(月) 19:44:56 ID:zC1Jkkgy
ID:ZVpcMuVM
>190ageてるし、まぁどうみても日本語君ですね
193名無しさん@ピンキー:2007/03/19(月) 20:02:44 ID:JJWu+9Lh
>>190-191
誤爆?
194名無しさん@ピンキー:2007/03/19(月) 20:18:19 ID:zC1Jkkgy
>>193
>189のIDと>190の目欄
195名無しさん@ピンキー:2007/03/19(月) 20:34:48 ID:O0SwE62T
>>190
こいつムカつく!!!!
ガテン系がお天道様の下を歩けない仕事って本気で思ってんなら、お前の人生って腐ってんだろな!勿論、頭も心もな。

ちなみに俺の職業は大工だ。
お天道様の下を堂々と歩いてるぞ!

氏ね糞貧弱野郎!!!
196名無しさん@ピンキー:2007/03/19(月) 20:35:22 ID:1Zzmvycc
まあ黙って神の投下を待とうじゃないか。全裸で。
197名無しさん@ピンキー:2007/03/19(月) 20:42:04 ID:HjR/UKiE
大工さん乙
そうだよ俺らの家だってふんぞり返ってるやつらの家だって
みんな大工さんが汗水たらして家建ててくれたからなんだぜ!
大工さんに全力で感謝

ってスレと関係ねぇよ!w

ところでモカたんマダー?
四月馬鹿のネタで始まったあの話
もうすぐ開始から一年迎えちまうぜ
198名無しさん@ピンキー:2007/03/19(月) 20:53:55 ID:pcZhSL1e
俺はやや地獄な彼女と君という華、愛娘の恋マダー?だな。

あと、指先チョコレートのホワイトデーバージョンもみたいな。俺って欲張りw
199名無しさん@ピンキー:2007/03/19(月) 21:04:53 ID:1+rgvrD7
俺は
200名無しさん@ピンキー:2007/03/19(月) 21:09:02 ID:V3npRgGW
死にましぇーん
201名無しさん@ピンキー:2007/03/19(月) 21:09:16 ID:zC1Jkkgy
俺は



クレクレやめようぜ、新作が投下しづらくなるから
202うふ〜ん:うふ〜ん ID:DELETED
うふ〜ん
203うふ〜ん:うふ〜ん ID:DELETED
うふ〜ん
204うふ〜ん:うふ〜ん ID:DELETED
うふ〜ん
205名無しさん@ピンキー:2007/03/19(月) 21:49:27 ID:pcZhSL1e
>>201
新作も大事だが、それ以上に旧作を完成させる事が大事じゃね?
未完成作品が飽和状態になるがな。
206名無しさん@ピンキー:2007/03/19(月) 21:50:46 ID:6OWyFY7i
「兄さん・・・私とお風呂入らない?背中流してあげる代わり・・・私も洗って欲しいな・・・」
「由夢ちゃん!抜け駆けはずるいよぉ〜お姉ちゃんも弟くんとお風呂入る〜♪」

朝倉姉妹とHした後、俺はぐいぐいと彼女らに引きずられ、風呂場へ向かわされていた。

どちらか一人と〜という選択肢はもはや無い。

昔みたいに三人でお風呂……というのと、もうこれで意味が違ってしまったのだなあと思い。ちょっとノスタルジック。

「ちょ、ちょっと待てって。一端着替え持ってこないといかんだろうが」

そういえば俺が彼女らの愛液で、濡れたからこその提案。だが、このままでは風呂で暖まっても、その後が寒い。

ストーブとかで乾燥させてもなあ、愛液のチーズ臭を服からぷんぷん漂わせる男というのも、全く様になりそうも無い。ってか、嫌だよ!そんな勇者になるのは!

「お姉ちゃんのスカート履かせてあげよっか?弟くん、可愛い顔してるから似合うかも」

「やめい!大体女の子の……音姉のウエストじゃあ、スカートが延びてしまうだろうが」

音姉はこんな時でも、冗談なのか本気なのか分からん提案をしてくる。朗らかさんめ。

「それはウエストが延びるのが心配であってスカートは嫌じゃないということですね、に・い・さ・ん」
「……お前の団子包んでる布を借りて、フケだらけにして返してやろうか?」

さっきまで俺の指で、しおらしくよがっていた由夢は、もうほとぼりも醒めたのかいつもの毒舌を仕掛けてくる。ここは、ぴしゃりと返す。少しは兄のような俺を尊敬してくれよ……。

「や、これは私の命ですから。貸しませんよ。兄さんには特に」
「その団子はペンタゴンの翼かよ!……へくちん!」

「もう、二人とも〜。行動するなら迅速に、横槍入れないの!」

で、結局。生徒会長モードになった音姉にたしなめられ、俺は着替えを取りに一端芳乃家に行き。朝倉姉妹は風呂の用意を始めたのだった。



「入るぞ〜」

「う、うん……」
「いらっしゃい弟くん〜」

俺は先に入っていた朝倉姉妹に一声かけて、桃源郷であろう風呂場のドアを開けた。

某ルパン氏のようにがっつくとヒンシュクを買いそうなので、あくまで紳士的に振舞うとする。

「あ、あの……その……ううう」

由夢はバスタオルを身に纏い、普段の強気と違いもじもじしているのに対し。俺とお風呂に入ってた期間の長い音姉は肝が据わっているためか、すっぱりと全裸で白い肌が桜色に染まっているのがありありと見える。

「由夢ちゃん。湯船の中にバスタオルなんてお行儀悪いよ?取っちゃおうね」
「や、やだ。お姉ちゃん!」

音姉は、そっと由夢の肩に手を置くと、そのまま手を滑らせてすっとバスタオルを取った。途端に露になる音姉よりちょっと豊かな乳房、白い肌、毛の薄い秘所。由夢は顔を真っ赤にして、軽く秘所と乳房隠す。



207名無しさん@ピンキー:2007/03/19(月) 21:54:14 ID:6OWyFY7i
「あうぅ……あ、あんまり見ないでよぉ……」
「まる見えだぞ由夢。これぞ正しい風呂の入り方だ」

なおも初々しく顔を赤らめる由夢の羞恥心を煽るように、わざとじろじろ視姦する俺。いじめっ子の由夢にはこういう時に仇を取らねばな。

「由夢ちゃん可愛いから弟くんも嬉しそうだよ。後はかったるがってあんまりお風呂で体を洗わないのをなんとかしなくちゃね〜弟くん」

「ほう、それはいかんな。俺が湯船で暖まってる間に音姉洗ってあげてくれる?それとも二人がかりで……」
「ひえっ!?う、うう……二人して〜。お、お姉ちゃんにだけお願いっ!」

「うんうん、人間素直が一番だよ」
「はぁ……」

観念したのか、由夢は音姉と一緒に湯船を出て、椅子に座った。代わりに二人の入ってた湯船に入る俺。彼女らの残り湯は、女の子の甘い香りが二重に漂って、心身ともにぽかぽか温まる。

音姉は俺をだしに長い間の懸念であったろう、由夢を洗ってあげる問題の解決に嬉しそうににこにこしながらタオルを湿らし、ボディーソープをつけ、泡立てる。

仲のいい姉妹の姿とはいえ、全裸でお風呂で洗い合うか……。凄い百合エロイな。

「それじゃ、いくね」
「う、うん」

音姉が泡立ったタオルで、由夢の背後に回り華奢な背中を洗う。由夢は普段の言動が憎らしく感じる時もあるが、こういう所はやっぱり女の子だよなあと二人を眺めながら思う。

肩、うなじ、腕、脇腹……順番に、やさしく、由夢の柔肌を味わうように音姉が擦る。後ろが終わると次は前だ。

「あ! ま、前は自分でやるって!」
「そう?」
「この際だ、遠慮するな」

俺は音姉からタオルを借りると由夢の前で、タオルを絞る。たちまち乳房から下は泡まみれになった。

「え? 兄さん、何を……」
「大切なところは、手で優しく洗わないとな」

「そうだよねー。弟くん、ナイスアイディア♪」
「ち、違うよ!お姉ちゃん。これは兄さんの罠……きゃん!」

音姉は俺の意図を察したようで、由夢のお碗型の乳房を下からすくうように撫で上げた。限界点まで上がりきると、乳房がぷるん、と弾ける。何度か音姉が繰り返すと、乳首が固くなっているのが遠目にも分かった。

俺の股間も流石に固くなってきた。が、まだ俺の出番ではない。

由夢の興奮に感化されたのか、音姉は今までの動作を止め、乳房を包み込むように手を添え、上気顔をしながら指で由夢の乳首を摘んだ。

「あっ……ああっ……!お……お姉ちゃん?」
「由夢ちゃん……もう硬くなってる。羨ましいなあ、お姉ちゃんよりおっぱい大きくて。
えっちなことはいけませんって教えてきたのに、一人Hで抜け駆けしちゃったの?」

「あ……はぁ……そ、そんな事は……ああっ!」
「お姉ちゃんも……由夢ちゃんよりおっぱい欲しいなぁ……えいえいっ」

由夢が言い終わる前に、音姉は摘んだ乳首を転がす。由夢は面白いぐらいにぴくぴく反応して、
前屈みになってしまう。音姉は追い討ちをかけるようにそのまま手を這わせ、お腹やふとももを摩る。

208名無しさん@ピンキー:2007/03/19(月) 21:56:21 ID:6OWyFY7i
「あ……はぁ……そ、そんな事は……ああっ!」
「お姉ちゃんも……由夢ちゃんよりおっぱい欲しいなぁ……えいえいっ」

由夢が言い終わる前に、音姉は摘んだ乳首を転がす。由夢は面白いぐらいにぴくぴく反応して、前屈みになってしまう。音姉は追い討ちをかけるようにそのまま手を這わせ、お腹やふとももを摩る。

お堅い音姉だが、元々頭脳明晰だけあって。Hに弾けた後はとんでもない学習能力を発揮するようだ。

女同士ということもあり、弱い所が分かるのか由夢からの静止を一切受け付けない。

「はううぅ!……や!だめぇ……おね、ちゃ……はあ……はあ」
「はい、これでおっぱいは終了〜♪」

由夢いじりに満足したような音姉はシャワーからお湯を出し、少しくったりしてる由夢の身体についていた泡を洗い流す。

「で、次は女の子の大事なところを洗うから弟くんもしっかり見ててね」
「え? あ!……っく」
「うお!す、スゲエ……」

音姉は由夢の大陰唇に指を添え、すじに沿ってちょっと強めに撫で上げる。

「お、お姉ちゃん……そこは……あ、ああっ」
「ちゃんと綺麗にしないと恥垢が堪りやすいからね。男の人の方に傷があると、そこから感染症になったりもするんだよ」

音姉は言いつつ、割れ目を開き。由夢の小陰唇にほんのりこびりついてる白い垢を指でくりくりと削ぎ落としていく。

「ふ!ああ……ひゃうう!」

音姉の指で悶える由夢。じたばたと逃れようとするが、音姉はしっかり組み付いて剥がされようとしない。

口喧嘩では負けても、キャットファイトでは姉の面目躍如だ。由夢の背中に押し付けて、むにぃと形を変えてる音姉の小ぶり胸もエロくてイイ!

「音姉……凄いえっちになってない?」
「保健体育で習う内容だよぅ、ここは。指とか……入れちゃうときも、清潔にしてないと女の子の粘膜は傷ついたり、病気になったりするんだからね」

「い、妹で人体実験しないでよぉ……ふあああっ」

音姉は添えた指で由夢のクリトリスを探り当て、中指の先で弄ぶ。中指がクリを弾くたび、由夢は歓喜とも悲鳴ともとれる喘ぎ声を上げる。

「ん〜ちょっとお湯が乾いてきちゃったね。弟くんシャワーとってくれるかなあ」
「はいよ音姉」

俺は呟き、近くに放り出していたシャワーを拾い上げ、音姉に渡す。そのシャワーを音姉は右手に持ち、左手で由夢の花弁を押し広げ、皮を剥いたクリトリスに水流があたるようにした。

「やああ!み、水……入って、く……る。ああ……はぁ……ん!」
「体洗うのって気持ちいいでしょ?今度からは自分でやろうね由夢ちゃん」

音姉は意地悪っぽく由夢に訊ねる。その間にも、左手の自由な指で秘裂をくちゃくちゃ撫で上げる。もうそこは、お湯以外の液体が湧き出し始めていた。

「くぅん……き、気持ちいいってこんなの……ああっ!」
「それとも、これからはお姉ちゃんが洗ってあげる?ゆーめちゃん?」

音姉は由夢のクリトリスをきゅっと摘み上げながら、シャワーを花弁に押し付けた。

209名無しさん@ピンキー:2007/03/19(月) 21:58:25 ID:6OWyFY7i
「あっ! ダメっ!……ああっ……イイ……よぉ……イっちゃうぅぅ……!」
「いいよ……イって、由夢ちゃん……!」

そう言って由夢はビクッ、ビクッ、と身体を震わせ、イったようだった。

「はあ……はあ……おねぇ……ちゃん……」
「ふふっ。感じやすいんだね……由夢ちゃん」

音姉は後ろから由夢を優しく抱きすくめ、自分もイった直後のような、とろけるような表情でなだめるように下腹部を摩ってる。 そして……俺が言うまでもなく、二人に仕込んだキスを交わす姉妹。

なんつーか、俺がいなかった間に姉妹同士で慰めあった夜もあったような息の良さを感じた。

が、そんな詮索より俺もそろそろ仲間に加わりたい。ざぱっと湯船から腰を上げる。

「兄さん……」
「弟くん……」

上目遣いに俺を見る音姉と由夢。女の子には無い肉棒が珍しいのか、これからの行為への期待感か共に微熱に満ちた視線を浮かべている。

「その、なんだ。二人の見てて、俺も洗って欲しいとか思って……」

「ふふっ……兄さんったら」
「うん、洗ってあげるね。弟くん」

そう言って音姉と由夢はにっこりと前後に俺を挟むように迎え入れてくれた。前担当は由夢、後ろは音姉。

二輪車か……風俗だったら金額上、会社重役クラスじゃないと出来そうも無いプレイらしいな……スゲエぜ。

まあ、金の問題以前に風見学園で有名な美少女姉妹をモノにしてるんだから俺ってとんでもない果報者か。

音姉はもう一度タオルにボディソープを付けて泡立てる。しかし何を思ったのか、俺の両肩の上でタオルを絞り、全身に泡をまぶした。

「音姉?」
「こうしてね……えいっ!」

掛け声と共に音姉が後ろから抱き付いてきた。音姉の柔らかい身体と俺の背中が密着し、さらに背中にちんまりしてても張りのある乳房の感触を覚える。

ああ……くっついてるだけでも、泡と音姉の柔らかさと人肌で気持ちいい……だけじゃなく。

そのまま音姉は上下に身体を動かして、ぷにぷにと乳房で背中を洗う。そして俺の胸辺りで、優しく撫でるように手を動かしている。

「これで後ろは、ばっちり洗えるよ♪」
「…………」

あ、泡踊りですとぉー!?生徒会長自らのHなご奉仕に、鼻にくるものがある。いや!来なきゃ男じゃないっ!

意識をしっかり保とうとしないと、すぐにでも向こうの世界へ旅立てそうな心地よさだ。

「ふふ……広い背中になったんだね……あんなにちっちゃかった弟くんが……。お姉ちゃんなんだか嬉しいよ」

俺の背中に甘えつつも興奮し、音姉の乳首が勃つのを皮膚に感じる。そのピンクのツボミが擦れるたび、俺の肉棒がより興奮にメキメキと硬くなっていくのが分かる。

「なんだか……新婚さんみたいだね弟くん♪」
「ああ……そうだね」

210名無しさん@ピンキー:2007/03/19(月) 21:58:30 ID:zC1Jkkgy
>>205
もしかしたらスランプで書けないのか、もう書く気が無いのかもしれない
それなのにいつまでも未完の作品のことを言われたらSSが投下できなくなるだろ
211うふ〜ん:うふ〜ん ID:DELETED
うふ〜ん
212うふ〜ん:うふ〜ん ID:DELETED
うふ〜ん
213うふ〜ん:うふ〜ん ID:DELETED
うふ〜ん
214うふ〜ん:うふ〜ん ID:DELETED
うふ〜ん
215うふ〜ん:うふ〜ん ID:DELETED
うふ〜ん
216うふ〜ん:うふ〜ん ID:DELETED
うふ〜ん
217うふ〜ん:うふ〜ん ID:DELETED
うふ〜ん
218名無しさん@ピンキー:2007/03/19(月) 22:16:06 ID:6OWyFY7i
うん? 誤爆してる?
219名無しさん@ピンキー:2007/03/19(月) 22:18:49 ID:zC1Jkkgy
>>218
どこに投下するつもりだったんだ?
220名無しさん@ピンキー:2007/03/19(月) 22:24:37 ID:JRdTDFts
なんというダカーポU・・・
221名無しさん@ピンキー:2007/03/19(月) 22:34:52 ID:3ZreOklc
荒らしのSSとしては・・

俺のあそこが勃起してしまうぜ
222名無しさん@ピンキー:2007/03/19(月) 23:31:40 ID:G2H9prAS
>>221
荒しじゃなくて、本当に誤爆しただけなんじゃないのか?
みんな近頃過敏に反応しすぎ。もう少しマターリ行こうぜ。
つ旦旦旦旦旦旦旦旦旦旦
223名無しさん@ピンキー:2007/03/19(月) 23:33:18 ID:NLJa0xXW
>>222
もらっていくよ
224名無しさん@ピンキー:2007/03/19(月) 23:58:32 ID:Cw9tNz8e
>>222
サンクス
225名無しさん@ピンキー:2007/03/20(火) 00:02:43 ID:zC1Jkkgy
>>222
"朝倉姉妹とHした後、俺はぐいぐいと"でググった
http://pie.bbspink.com/test/read.cgi/erog/1139621527/548-573
誤爆なんていうやつは大抵荒らしという事が判明したな
226222:2007/03/20(火) 00:17:21 ID:W5GLMgVW
>>225
そうだったのか…
以降俺も気を付けるとしよう
227名無しさん@ピンキー:2007/03/20(火) 00:27:58 ID:MUtLJ+a9
いや、以前だったら本当に誤爆の可能性もあった
それに>>222の流れで十分またーりとさせてたんだよね・・・

228名無しさん@ピンキー:2007/03/20(火) 00:35:09 ID:7IMjvgJf
>ID
ほんとうにスルーができないでしゃばりさんだわねあなた
229名無しさん@ピンキー:2007/03/20(火) 00:42:53 ID:zAx/3s3v
853 名前:名無したちの午後[sage] 投稿日:2007/03/19(月) 23:56:48 ID:dWJkwF680
身分違いの恋による修羅場は妄想するだけで萌えるなぁ・・

正ヒロインがどこぞの大企業の令嬢で格式が高い家に生まれた
天然のお嬢様。言葉遣いや性格はいかにもお嬢様で世間一般の常識は疎い
そんな最中に偶然に助けてもらった普通の学園に送ってくれた男子生徒に恋をする。
その想いは通じるはずだと告白するがあまりにも身分が違いすぎると主人公に振られる

主人公は父親と二人でボロアパートに暮らしている。家事一般を起用にこなし、母親の愛は知らないが
近所の皆様に暖かく見守ってもらったのでグレることなく真っ直ぐな純朴な少年と育つ。
そんな暮らしを送っていた主人公がたまたま助けた女の子、大企業の令嬢に告白されても
悪い冗談かタチの悪い嫌がらせだとしか思えなかった。振ったことでその女の子の接点は消えるはずだった。

しかし、家に帰ってみるとお嬢様は自宅の中に待っていた。
それは身震いする程の恐怖を感じた主人公はお嬢様に向って出て行けと叫ぶが

「わたし、あなたのことが諦められないんです」
「俺には付き合っている彼女がいるんだ。ずっと、幼馴染で傍に居てくれた女の子が」
「だったら、さっさとその子と別れてください。わたしこそがあなたの彼女に相応しいんです!!」


と、泥棒猫の幼馴染が偶然に部屋へやってきて鉢合わせするような展開を入れれば
立派な修羅場になると思う・・。


ここが荒れているから
本スレにこんなプロットもどきが・・

お嬢様は諦めが悪くて挫折を知らないから黒化しやすくて好きだよ
230名無しさん@ピンキー:2007/03/20(火) 01:13:47 ID:RUQfdxOh
荒らしてる奴って他にする事がないのか…
231名無しさん@ピンキー:2007/03/20(火) 01:24:38 ID:RqzJnUW4
.........._________________________
   ||
   || お約束 【 荒らしは無視・放置 】 しましょう。
   || 
   || ★ 荒らしは放置されるのが一番苦手です。
   ||   → ウザイと思ったらそのまま放置!
   || ▲ 放置された荒らしは煽りや自作自演であなたのレスを誘います。
   ||   → 釣られてレスしたらその時点であなたの負け!
   || ■ 反撃は荒らしの滋養にして栄養であり最も喜ぶことです。
   ||   → 荒らしにはエサを与えないで下さい!
   || ☆枯死するまで孤独に暴れさせておくのが一番です。
   ||             ∧ ∧   。
   ||          ( ,,゚Д゚)/ ジュウヨウ!!      E[]ヨ  
    ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ノ  つ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
232名無しさん@ピンキー:2007/03/20(火) 01:33:41 ID:b1IAgXb9
>>228
コピペがバレたからってw
233名無しさん@ピンキー:2007/03/20(火) 01:39:50 ID:egVDKPBf
テンプレに>>231と削除依頼の誘導も入れてはどうだろう。

eroparo:エロパロ[レス削除]
http://sakura02.bbspink.com/test/read.cgi/housekeeping/1157053553/

荒らされて反論したくなるのもわかるけど
ひたすら無視して、さっさと消してもらうほうがいいかと。
234名無しさん@ピンキー:2007/03/20(火) 02:36:04 ID:PtO5l2Y+
無視、放置が一番いいのに何で構うのかな
荒らしが一番喜ぶのに
235名無しさん@ピンキー:2007/03/20(火) 03:02:43 ID:k3eg3hFw
>>231
   _________________________
   ||
   || お約束 【 荒らしは無視・放置 】 しましょう。
   || 
   || ★ 荒らしは放置されるのが一番苦手です。
   ||   → ウザイと思ったらそのまま放置!
   || ▲ 放置された荒らしは煽りや自作自演であなたのレスを誘います。
   ||   → 釣られてレスしたらその時点であなたの負け!
   || ■ 反撃は荒らしの滋養にして栄養であり最も喜ぶことです。
   ||   → 荒らしにはエサを与えないで下さい!
   || ☆枯死するまで孤独に暴れさせておくのが一番です。
   ||          ∧ ∧   。
   ||          (,,゚Д゚)/ ジュウヨウ!!      E[]ヨ  
    ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ノ  つ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
236名無しさん@ピンキー:2007/03/20(火) 09:17:15 ID:OaqpWj/W
保守
237名無しさん@ピンキー:2007/03/20(火) 09:52:17 ID:KQi/3yHq
見事に過疎ってるな・・

もう、終焉が近いかもな♪
238名無しさん@ピンキー:2007/03/20(火) 10:12:01 ID:t+I1dzY2
保守
239名無しさん@ピンキー:2007/03/20(火) 13:54:58 ID:mYtHF8pq
とりあえず、お前ら全員自粛しな。
作品の投稿、
作者が投稿した後のGJ以外のマトモな感想、
新たな修羅場の芽の紹介、
他スレ誘導、
この4つ以外はスルーすれば自然と収まる。
荒らしも厨房もエサが無くなれば飢え死ぬから。
此処は我慢の時です。
240名無しさん@ピンキー:2007/03/20(火) 14:49:07 ID:HOChU6A9
>>239
投稿後のマトモな感想だって荒れる元だぞ。
241名無しさん@ピンキー:2007/03/20(火) 15:12:19 ID:OT6nEAEi
それは荒らしが人の言葉尻をつかんで来るからでしょ
はたから見ればマトモな感想かそうじゃないかぐらいわかるって。
俺は以降>>239にしたがって神を待つぜ
242名無しさん@ピンキー:2007/03/20(火) 15:23:29 ID:SuO4TIBc
感想を書いてるんだと勘違いして評論モドキをやらかす奴がいるんだろ
漏れは神を待つのみ
243名無しさん@ピンキー:2007/03/20(火) 15:24:25 ID:SuO4TIBc
おっと忘れてた
全裸でな
244名無しさん@ピンキー:2007/03/20(火) 15:33:33 ID:rics4j4X
これ以降雑談禁止
↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓
245名無しさん@ピンキー:2007/03/20(火) 15:53:32 ID:v+Quu9FB
>>244
スレが落ちるし阻止
246名無しさん@ピンキー:2007/03/20(火) 15:58:57 ID:Ht+VLGW+
必死に保守したりしてる奴は、エロパロ板をvipと勘違いしてないか

1週間書き込みなくても、ここじゃあ滅多にスレ落ちねえよ
247名無しさん@ピンキー:2007/03/20(火) 16:07:21 ID:tD83Bi29
これ以降雑談禁止(神が来るまで書き込みしたら荒らし認定)
↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓
248名無しさん@ピンキー:2007/03/20(火) 16:13:51 ID:aK+Y3fFf
わかった!!!絶対書き込まない!!おまえら!書き込むなよ!!!
249名無しさん@ピンキー:2007/03/20(火) 16:25:14 ID:5covS86f
誰かがやってくれるじゃなくて、削除依頼や荒らし報告とかを自発的にやって
自分たちで治安を守らないとね。
250名無しさん@ピンキー:2007/03/20(火) 16:37:13 ID:kiI4sWXw
同意、よけい荒れるからやめろとか言ってた奴もいるけど結果がコレだ
以後自発的に報告しよう
251名無しさん@ピンキー:2007/03/20(火) 16:43:57 ID:v+Quu9FB
      {    !      _,, -ェェュ、   | 
ィ彡三ミヽ  `ヽ     ,ィハミミミミミミミミミヽ、|
彡'⌒ヾミヽ   `ー  /ililハilミilミliliミliliミ|  
     ヾ、        /iiiiイ!ヾヾミ、ミニ=ー-ミ| 
  _    `ー―' i!ハ:.:.\\_::::::::::::::/:.| このスレは
彡三ミミヽ        i! ヽ:.:.:.:冫': : :::/ ∠| 
彡'   ヾ、    _ノ i!::: ̄二ー:: : :(  ) | 荒らしに
      `ー '    {ヘラ'(  )シ;テ ヽ''''" | 
 ,ィ彡三ニミヽ  __ノ ヽヘ彡 ( o -^ ノ   | 監視されて
彡'      ` ̄      `l ∴ )-=ェっ( ∵ |
      _  __ ノ ヽ    ⌒     | います
   ,ィ彡'   ̄        ヾ ヽ-- '    |
ミ三彡'        /⌒ / ヽ   : ::::::::::|
       ィニニ=- '   / i  `ー----(二つ
     ,ィ彡'      / ミ/        (二⊃
   //        /  ミ/          ト、二)
 彡'       __,/ ミ/         :..`ト-'
        /    / ミ/         :.:.:..:| 監視だけじゃなく
          / ヾ\_       :.:.:.:.:|
      ィニ=-/    ミ/      :.:.:.:.::::| 突撃されても
    /    / ̄ ̄/         : .:.:.|
   ノ     _/   /       :. :.:.:.:.:.:.:| います
252名無しさん@ピンキー:2007/03/20(火) 16:50:17 ID:0vWLMKdO
保守
253名無しさん@ピンキー:2007/03/20(火) 20:00:56 ID:aK+Y3fFf
保守
254『閉鎖的修羅場空間』 ◆wGJXSLA5ys :2007/03/20(火) 23:02:21 ID:qxydPQzX
投下しますね
255『閉鎖的修羅場空間』 ◆wGJXSLA5ys :2007/03/20(火) 23:03:02 ID:qxydPQzX
「ふぅ。やれやれ。」
 翔子の部屋を出た途端、溜め息が漏れる。なんとか翔子のやつが立ち直り、ホッとした溜め息だ。シチューの器を洗おうと、階段を踏み始めた時……
「あの……祐吾、さん?」
 上から俺を呼ぶ声が降ってきた。声からして姫野だろう思い見上げると、彼女は階段を上り切ったところのドアの前に立っていた。顔は……階段の所は暗い上、リビングからの逆光でよく見えない。
 まぁあの制服は姫野の学校のものだから間違いないだろう。あまりこいつと関わりたくないのだが。ボロを出しそうで。
「ん?なんだ?」
「何処にいたんですか?探しても見つからなかったんですけど……」
「……なにか、用か?」
「いえ、特に用ってわけではないんですけど……ちょっと話したいかなぁって……それで、どこに?」
「ん、あぁ……」
何故か俺がなにをしていたのかを気にする姫野。どうしても答えないといけないのだろうか。別にやましくもないからいいだろう。
「翔子のやつにシチューを持っていっただけさ。だいぶ調子取り戻したみたいだけどな。安心したさ。」
256『閉鎖的修羅場空間』 ◆wGJXSLA5ys :2007/03/20(火) 23:07:27 ID:qxydPQzX
「ずいぶん、仲が良くなったみたいですね。もう名前でよんでるなんて。」
 さっきまでのお淑やかな声は消え、急に無機質な声へと変わる。悪いことをしたわけではないのに、その声の変化に焦ってしまう。
「別に仲良くもなってねえよ。ただシチュー持ってやっただけだ。」
「お優しいんですね。聖さんに対しては。思い入れでもあるんですか?」
 表情が見えないのが怖く、少しずつ階段を登っていく。……この角度からだと彼女のスカートの中が見えてしまうのだが……注意すべきか。
「ちょっと悲惨なことがあってな。かなりショックを受けてたから、自暴自棄になられても困るし、落ち着かせただけさ。」
「そうですか。やっぱりお優しいんですね。」
 階段を登り、姫野の前に立つと、やっと表情が見えた。今は笑顔なのだが……ずっとそうだったのだろうか。
「だから優しくなんかないっての。誰だってそうするさ。」
「でも、自暴自棄になるなんて、なにかあったんですか?」
 さすがに教われただの親に捨てられただのと言えるはずもない。ここは軽く流しておくか。
257『閉鎖的修羅場空間』 ◆wGJXSLA5ys :2007/03/20(火) 23:08:37 ID:qxydPQzX
「状況が状況だからな。精神的に参っちまったんじゃないか?あまり苦労を知らずにそだったみたいだし。」
「……じゃあ、祐吾さん。しばらく私とも一緒にいてくれます?私も不安なんです。」
「わりぃ、今は翔子のやつなだめたせいで疲れてんだ。また後でな……」
 そう言い残し、リビングの方へと入ろうとしたのだが、姫野のに服の裾を掴まれ止められる。振り向くと、怒っているのか悲しんでいるのか。よく分からない顔をしていた。
「な、なんだよ。」
「聖さんとは一緒にいてあげてるのに……私とはいてくれないんですか!?休むんだったら私の部屋でもいいじゃないですか!少しだけ……話の相手をしてほしいんです。」
 姫野の掴む力がだんだんつよくなり、手には血が滲み始め、服も赤く染まる。このままだとやばいことになりそうだ……
「わ、わかった!話すだけならな!……だから、コーヒー入れてくる。お前の部屋は、どこだ?」
「はい!階段を降りてすぐの、右側の部屋です。」
 とたんに笑顔になり、はりきって部屋の場所を言う姫野。こいつといい、翔子といい、どうして女は表情がころころかわるのか。
258『閉鎖的修羅場空間』 ◆wGJXSLA5ys :2007/03/20(火) 23:11:24 ID:qxydPQzX
「わかった。コーヒー、砂糖とミルクはいるか?」
「いえ、ブラックでいいです!」
「そうか。じゃあ先に部屋へいっててくれ。」
 そう促すと、姫野は軽い足取りで階段を降りていく。俺はというと、コーヒーをおとしながら溜め息をつくしかなかった。
「はぁ……くそっ、あいつにばれるのも時間の問題か?」
ポケットからだしたペンダントを、上着の内ポケットに入れ、チャックをしめる。これでそう簡単に見られることはないだろう。もし正体がばれ、中の写真を見られたらと思うと気が重くなる。
 ……まさかこんなところで義妹に会うとは思わなかった。兵馬家を出てから一度も会っていなかったから最初は分からなかったが、あいつから兄の話をされて初めて気付いた。
 ……さすがに霧からもらったペンダントにアイツの写真が入ってるなんて見られたらまずい。それどころか、俺が結婚していたなんてことも知らないだろう。
 俺は霧が昔から少しにがてだった。俺の事を兄として異常なまでに慕ってくるからだ。優しくしてたのも、霧が怒ると何をしだすかわからないからだ。
 霧は薄々俺の事に勘付いてるらしい。自己紹介の時に嘘の名前を言っとけばよかったぜ。ここはうまい具合に回避するしかないな……
 俺はコーヒーを持ち、自分に大丈夫だと言い聞かせ、霧の部屋へと向かった。
259『閉鎖的修羅場空間』 ◆wGJXSLA5ys :2007/03/20(火) 23:14:16 ID:qxydPQzX
以上です。
260名無しさん@ピンキー:2007/03/20(火) 23:17:43 ID:Ms3MIvJh
うーん
罠に飛び込む主人公、好きですw
261名無しさん@ピンキー:2007/03/20(火) 23:22:04 ID:7IMjvgJf
>>259
GJGJ!
閉鎖的修羅場空間、初嫉妬ktkr!
やばい、久しぶりににやけが止まらないwww
262名無しさん@ピンキー:2007/03/20(火) 23:45:05 ID:OT6nEAEi
GJ!
このスレでヒロインの部屋に入る展開がくると何か悶えてしまうのは俺だけか
263名無しさん@ピンキー:2007/03/20(火) 23:50:20 ID:0b1X4hAV
お前だけじゃないさ、少なくとも他に一人いる
それはともかくGJッス! 義妹が既にいい感じに仕上がっててサイコーッス!
264名無しさん@ピンキー:2007/03/21(水) 01:04:46 ID:qPJ6z0M8
部屋か。ルームシェアリングで修羅場なんかいけそう。

今年の春から全寮制の高校に入ることになったヒロイン。
だが、寮の定員から漏れてしまいアパートを借りることになってしまう。
両親に金銭面での負担はかけたくないと、共同生活の相手を学校に探してもらうことにする。
数日後、学校から連絡があり相手が見つかったとのこと。そちらに直接向かわせるから出迎えてやってくれと言われる。
だが、チャイムの音でドアを開けると立っていたのは男だった。
男の名前と容姿が中性的すぎて、学校が手違いを起こしていたのだ。
無論ヒロインは追い出そうとするが、男は家財道具など全て処分してしまい、手荷物一つなのだと言う。
ヒロインは渋渋ながらも家事などは全て男が行うことを条件に一時的に手を打つ。
なんだかんだで活発なヒロインと家庭的な少年は相性が良かったのか、徐々に溝を埋めて行く。
ただし、学校にばれないよう外には他人の振りをしながら。
そんなある日、少年から電話がかかってくる。
「今日は友達の家に泊まるから帰れない」
久し振りな独りでのアパートの夜は酷く空虚で静かだった。ベットの中で意味も分からないまま、涙を流す彼女。
265名無しさん@ピンキー:2007/03/21(水) 01:06:57 ID:qPJ6z0M8
翌日、学校で少年の友人にそれとなく尋ねるヒロイン(学校では他人の振りのため)
だか、友人によればそんなことはなかったと言い、さらに見知らぬ女の子と一緒に少年が帰るのを見たと言う。
他人の目に映るのも構わず、廊下に少年を引き摺り出すヒロイン。
まともに答えない少年の口を無理やりに割らせるが、彼から告げられたのは信じたくない事実だった。
「あの子は故郷に残して来た彼女で、久し振りに会ったんだ。それで昨日は彼女と泊まった」
ヒロイン、恋心に気付くと同時に、独占欲に目覚める。
この後廊下で派手に言い合ったことから、共同生活が学校とか彼女にバレて、引き離されるか、男が自分から出て行く展開。
彼女登場を早めれば楓の「帰って!帰って!この家まで来ないで!」も可。
266名無しさん@ピンキー:2007/03/21(水) 01:10:15 ID:SyNaLU9T
>>264-265
こうまでSS化したものを読みたいと思ったプロットは今年初めてだ……
267名無しさん@ピンキー:2007/03/21(水) 01:14:29 ID:zVmewLZi
良い!!
これは良いぞぉ〜!!
268名無しさん@ピンキー:2007/03/21(水) 01:37:06 ID:ZcOTvQIX
>>264-265
面白そうだ。
ここまで書けてるんだからID:qPJ6z0M8が自分で書いてみるのもいいんじゃない?
269名無しさん@ピンキー:2007/03/21(水) 01:53:23 ID:vwv2RgDC
ここまで続きが気になるプロットは久しぶりだ。
是非作品化してほしい。
270名無しさん@ピンキー:2007/03/21(水) 02:28:32 ID:/XQPjy/B
こんな期待かけられたプロットは俺には荷が重すぎる。
誰か腕のいい神がやってくれるといいね。
271名無しさん@ピンキー:2007/03/21(水) 02:30:02 ID:A1BVLOfj
>>259
待ってましたwww義妹登場ktkr
そして自ら罠に果敢に飛び込んでいく主人公最高w
>>264
かなりおもしろそうなのでプロットだけじゃなく続きにも期待w
272名無しさん@ピンキー:2007/03/21(水) 02:34:00 ID:zy2mby5r
>>264
前半のあまりのベタさ加減が好き。
むしろプロットのままでいいからオチまで書いてほしいぜ。
273名無しさん@ピンキー:2007/03/21(水) 02:43:20 ID:qPJ6z0M8
一応、オチまでは考えたんだが。

周囲にすべてがバレてしまった後、悩む少年に対しヒロインは、自らの気持ちを伝え、こう言う。
自分と恋人関係になって欲しい、そうなれば同棲関係となり、
自分が学校を辞めれば、多少問題はあるかも知れないが、この生活は失わなくて済む、と。
だが、少年の出した結論は真逆のモノであった。
これまでは友人の関係であったから、一緒に生活が出来た。
でもキミにそういう感情が生まれた以上、共に暮らす生活は終わりだ、と。
ヒロインは自分を愛してくれなくても構わないと少年にすがるが、
ヒロインに対し、実は気持ちが傾きかけていた少年はケジメを付けるため、あえて出て行くことを選ぶ。
少年が出立する前夜、少女はこれが最後と、まあ、あれだ、逆レイプだ。
次の日、少年が目覚めるとヒロインの姿はなく、テーブルの上に置き手紙が。
内容には自分が出て行くこと、二人で過ごした生活を忘れないで欲しいこと、そして最後に小さくゴメンナサイの文字。
少年は呆然と手紙を眺めるしかなかった。
274名無しさん@ピンキー:2007/03/21(水) 02:45:25 ID:qPJ6z0M8
一年後
少年の記憶とアパートからヒロインの痕跡が失われかけた頃。
少年が家に帰ると家財道具が突然増えていた。
少年の食器棚には女性用の皿と幼児用の皿が。
少年の布団の横にはもう一式の布団と、それに挟まれる子供布団が。
玄関のドアが開く音に悪寒を感じながら、振り向くと、
あの少女が何かを大事に抱えながら、あの頃と変わらぬ笑みを浮かべ当然のようにこう言った。
「た・だ・い・ま」

自分にここのSS書きは無理。三人以上の人物を書き分けられん。
現に修羅場が発生して無いしな。やっぱ神はスゴいよ。
275名無しさん@ピンキー:2007/03/21(水) 03:35:07 ID:vwv2RgDC
修羅場分は薄いけどいいラストだと思う。
どうしても修羅場分がほしいならラストのところで少年が故郷の彼女と同棲していた
って設定を加えれば修羅場になるんじゃないか?
276名無しさん@ピンキー:2007/03/21(水) 03:47:24 ID:zVmewLZi
普通に良いと思うけど、修羅場スレとしては修羅場が無いとスレ違いになってしまうからな。
全体的な流れはそのままでもいいと思うけど
故郷の彼女登場からヒロインが失踪するまでに
主人公とヒロインと故郷の彼女の三角関係で修羅場を発生させれば行けるんじゃないか?
277名無しさん@ピンキー:2007/03/21(水) 05:15:47 ID:oyXqUf1R
そのネタHRスレで是非
278名無しさん@ピンキー:2007/03/21(水) 07:22:32 ID:T1MOYuBb
寝取られなら強烈だ
279名無しさん@ピンキー:2007/03/21(水) 22:15:32 ID:umpMpK1l
久しぶりに来たら荒れてて驚いたよ
sage進行を守れない住人が多くて民度落ちたな
280名無しさん@ピンキー:2007/03/21(水) 22:24:29 ID:MrQwIGlG
>>279
落ち着いてきたところで掘り返すお前の民度が低い。
281名無しさん@ピンキー:2007/03/21(水) 22:30:24 ID:umpMpK1l
はぁ、なんで煽る馬鹿がいるんだか
282名無しさん@ピンキー:2007/03/21(水) 23:22:28 ID:Ugx46DFH
>>280
ツッコミが的確すぎて笑ったw
283名無しさん@ピンキー:2007/03/21(水) 23:57:31 ID:akLtnuXI
>>280=>>282
自演荒らし乙
284名無しさん@ピンキー:2007/03/22(木) 00:00:51 ID:mNE6+A5q
まあまあ、落ち着きましょうや
最近どうも皆さんピリピリしちゃって、スレ自体がそれに覆っちゃってんだよなwww
285 ◆6xSmO/z5xE :2007/03/22(木) 00:02:59 ID:ytnNzhVz
投下いきます。
286284:2007/03/22(木) 00:03:19 ID:uy4TSV53
○覆われちゃって
×覆っちゃって

お目汚しスンマセン…
287284:2007/03/22(木) 00:04:36 ID:uy4TSV53
割り込みすいません…
投下お願いします
288ブラッド・フォース ◆6xSmO/z5xE :2007/03/22(木) 00:06:26 ID:ytnNzhVz
 洗面所の鏡に一人の少女の姿が映っている。
 やや幼げな顔立ちは酷く憔悴し、少女が本来持っている健康的な魅力を大きく損ねていたが、少女はそんな自身の様子には見向きもしない。
 服を脱いで洗濯機へ入れ、タオルを濡らして身体を拭き、替えの下着を身につけて服を着直す。
 機械的な所作ですべきことを一通り済ませると、少女―――折原千早は、ここ数日の定位置である階段の段差に腰を下ろした。
 立てた膝に顔を埋め、震える身体を抱きしめるようにして。






 智が千早を突き飛ばして家を飛び出してから二週間、千早は完全におかしくなっていた。
 行動は完全にルーチン化し、決まった時間に決まった事を繰り返すのみ。
 それ以外の時間は玄関を一望できる場所に陣取り、愛しい幼馴染の帰還をただ待っていた。
 拒絶されたという事実を突きつけられ、理性もそれを分かっているのに、感情が認めなかった。
 智が自分より藍香を選んだということを受け入れられなかったのだ。

「帰って来ない、帰って来ない、帰って来ない、帰って来ない、帰って来ない、帰って来ない、帰って来ない、帰って来ない・・・」

 膝に埋もれた口からは、くぐもった声が呪詛のように漏れ続けている。
 その一方で、失意と隈で恐ろしくギョロついた瞳は、瞬きもせず玄関を見つめていた。
 おもむろに扉が開いて、腹減ったなどと言いながら、智がいつものように帰ってくるのではないかと思いながら。
 その幽鬼の如き様子には、昔日の可憐な少女の面影は微塵も無かった。


 智が出て行った日から、千早の時間は動いていない。
 彼女自身が死んだように心を凍りつかせているのに加え、外との接触も一切無いからだ。
 千早の両親は智が一緒なら安心と言って、彼が出て行く直前に夫婦水入らずの旅行に出かけていた。
 街は連続失踪事件の恐怖に包まれ、クラスメートも隣人も姿を見せない智や千早のことなど気にも留めない。
 日に日に濃くなる目の隈、強くなる震え、やつれていく身体だけが物理的な時間の流れを表していたが、今の千早にはそれさえも認識できるものではなかった。

 買いこんであった食料はすでに底を尽いており、何も食べなくなって3日になる。
 だが、何かを買いに行ったりということもない。自発的に行動を起こす気力が無い。
 だからといって、このままでは倒れて動けなくなってしまうのは確実だった。
 もうこのまま、誰にも知られること無く死ぬのではないかという可能性さえも現実味を帯び始めた頃。



 突如として、ガチャリという音を響かせてドアノブが回る。
 長いこと閉ざされていた扉が、軋んだ音を立ててゆっくりと開かれた。

289ブラッド・フォース ◆6xSmO/z5xE :2007/03/22(木) 00:08:49 ID:ytnNzhVz
 ただでさえ血走った千早の目が一層大きく見開かれ、扉の向こうを凝視する。
 夜の闇に浮かんだのは、170センチ程度のスラリとした細い身体のシルエット。
 そこまでの条件は智に合致したが、風にたなびく長い髪が映った時点でその可能性も無くなった。
 どう見ても女性だ。改めて身体つきを見てみると、確かに長身ではあるが男性のものではない。
 現れたのが待ち人ではなかったことを悟り、膨らみかけた期待が急激にしぼんでいく。
 それ以前に、知らない人間がいきなり入ってきたというとんでもない事態なのだが、それもどうでもいいことだった。


 女性は何かを呟いて口元に笑みを浮かべると、靴も脱がず無遠慮に玄関を上がる。
 その様子をやはり何の反応も見せずに眺めていた千早だったが、微かに感じた身に覚えのある気配にビクンと肩を震わせた。

「さ・・・・・・とし、ちゃん・・・?」

 千早は膝に埋めた顔を僅かに上げて前を見るが、そこに居るのは当然ながら女性であって智ではない。
 だが確かに今、智の気配を感じた気がした。
 物心付いた頃から一番身近であり続けたこの感覚を間違えるはずは無い。
 ならば今感じたのは一体何だったのか。この場に智はおらず、知らない女が1人いるだけなのに。


「・・・!」

 そう、確かに智はいない。『智本人』がいるわけではない。
 まるで言葉遊びだが、しかしその屁理屈のような言葉は間違いでも何でもなかった。

 いつの間にか、女性が千早の目の前に来ていた。
 至近距離になった今ならはっきり分かる。
 気配の元はこの女だ。この女から、この女から―――。


「智ちゃんの匂いがする・・・!」

290名無しさん@ピンキー:2007/03/22(木) 00:11:19 ID:uxripQ8g
全く話は変わるけどレス削除依頼を出している人、もっと客観的にレス選べないか?
あの排他的なレスの選び方ではろくに削除されないよ
事実コピペSSがデリられただけだし、しかも微妙に残ってる
291ブラッド・フォース ◆6xSmO/z5xE :2007/03/22(木) 00:12:33 ID:ytnNzhVz
 ここにきてようやく、景色の一つに過ぎなかった女性が千早の脳内で個としての色を持った。
 血走った瞳を鋭く釣り上げ、笑顔で自分を見下ろす彼女を睨みつける。

 改めて見てみると、信じられないくらいの美貌を持つ女だった。
 長く艶やかな髪、白磁のような肌、スラリと伸びた手足、豊満な胸元。
 そのどれもが女性として申し分なく、ある種の芸術を思わせる完成度を見せている。
 どちらかといえば幼児体型の部類に入る千早にとっては、どれだけ夢想したか分からない女性らしさがそこにはあった。

 ここ2,3年で急速に背が伸び、男らしくなってきた智に対し、150cmにも満たない千早の身長はこれ以上伸びる様子はない。
 性的な成長にしても、同年代の女子と比べて明らかに見劣りする。
 これは千早にとって密かなコンプレックスだった。
 兄妹のように智の後ろに付いてではなく、横に並び立っても見劣りしない女性らしさが欲しい。
 特に智が神川藍香と交流を持つようになってから、その気持ちは更に強まっていった。

 そんな千早の前に現れた、彼女のコンプレックスを嘲笑うかのようなスタイルの美女。
 それも発情期の猫のように、智の気配を全身から漂わせて。

 智は藍香の元へ行ったのではないのか。この女は何者で、何故自分の前に現れたのか。
 決して些細ではないそれらの疑問は全て、加速度的に高まる泥棒猫への憎悪に塗りつぶされていく。
 


 女が近づいてきたことで、もう一つ分かったことがある。
 智の匂いに混じって漂う、雌の匂い。こちらにも覚えがあった。
 全てが狂いだした、智が朝帰りした日に感じたのと同じもの。

(知らない女からする、知ってる匂い・・・。智ちゃんからしてた匂い・・・)

 不意にフラッシュバックしたのは、智の唇にべったりと付いた真紅のルージュ。
 千早でさえ触れた事の無かった智のそこに、まるで所有権を主張するように毒々しく咲き誇っていた。
 今は口紅をしていないようだが間違いない。
 あの日智を汚したのはこの女の仕業だったのだ。

292ブラッド・フォース ◆6xSmO/z5xE :2007/03/22(木) 00:16:19 ID:ytnNzhVz
(この女が、この女が智ちゃんを惑わしたんだ。このいやらしい身体で智ちゃんを誑かしたんだ。
 私の智ちゃんを、私だけの智ちゃんをっ、私しか触れちゃいけない智ちゃんをっ!!)


 口の中に血の味が広がる。
 胸の中で言葉を重ねるたびに、瞳を走る血線が目に見えて増えていく。
 今の思いを口に出したら、もう歯止めが利かないような気がした。
 きっと目の前の女を殺してしまう。どんな手段を使ってでも息の根を止めようとするだろう。
 それだけでは飽き足らず、女のパーツを細部に至るまで破壊しなければ気が済まないに違いない。
 長い髪を根こそぎ引き抜き、白い肌をズタズタに切り裂き、長い四肢を砕き折り、大きいばかりの乳房を破裂するほどに突き破って。

 想像を膨らませるほど、そうすることが正しいように思えてきた。
 その類稀な美貌を二度と見られぬ肉塊に変えてやれたら、どれだけ気持ちがすくだろう。
 死体としてでさえも、もう智に認識されることはなくなるのだ。


(そうしよう・・・うん、そうしよう。
 そしてこの女を殺したら、次は神川藍香を殺しに行こう。そうしたら智ちゃんは私の所に戻ってきてくれる。
 それでもダメだったら、まだ邪魔する泥棒猫がいるってことだから。そいつも殺そう。
 みんなみんな、智ちゃんに近づく女は殺しちゃおう)
 
 決意を固めるたびに、嫉妬心からきつく噛み締められていた唇が少しずつ緩んできた。
 カチリ、と歯が噛み鳴らされ、口元が歪に釣り上がり始める。
 そのかつてない鋭さと禍々しさは、今の千早の心そのものだった。


 だが、嫉妬の刃を心に秘めていたのは千早だけではなかった。
 何より、目の前の女がどういうモノなのかを知らなかった。
 そして、彼女の方が早かった。






「やっと逢えたね」

 まるでずっと捜し求めた恋人を見つけたように。
 笑顔でそう呟いた次の瞬間、能面のように一切の表情が消え―――。


 女性の右手がぶれたと思ったと同時に、景色が急速に旋回する。
 ドンッ、という鈍い炸裂音と共に、全身が衝撃の振動に揺れた。

 二週間前に食らった同じ感覚が、既視感として蘇る。
 女性――エルの手刀を胸に受け、千早は壁に叩きつけられていた。
293 ◆6xSmO/z5xE :2007/03/22(木) 00:17:42 ID:ytnNzhVz
 今回はここまで。もう少し進む予定でしたが、文量の関係で2回に分けました。
 なので、前回と変わらず完結まで2〜3回です。


 千早はツルペタというわけではありませんが、どっちかといえばロリです。
 ロリを気にする(=好きな人のために綺麗になりたい)女の子って健気でいいですよね。
294名無しさん@ピンキー:2007/03/22(木) 00:19:51 ID:3mo6vbd5
りあるたいむぐっじょぶ
295名無しさん@ピンキー:2007/03/22(木) 00:19:56 ID:uxripQ8g
>>293
割り込みすまん
296名無しさん@ピンキー:2007/03/22(木) 00:25:05 ID:qH1Td91e
>>293
RTGJ!
297名無しさん@ピンキー:2007/03/22(木) 00:27:49 ID:rjIMs+cv
ブラッドフォースキタコレ
GJ!期待以上の千早の病みっぷりにオラワクワクしてきたぞ
298284:2007/03/22(木) 00:29:01 ID:uy4TSV53
>>293
なんか俺が駄文書いてる間に超大作がぁ〜〜〜〜〜Gj。
千早はロ、ロリなんだ………wwwww
299名無しさん@ピンキー:2007/03/22(木) 00:37:12 ID:qo2PkhI4
乙です。GJ
こういう感想もなんだけど、性的暴行・妄想は架空の世界だけでのみ楽しむもんだとつくづくおもた
心理描写とか(・∀・)イイ!
300名無しさん@ピンキー:2007/03/22(木) 00:42:09 ID:9XEXDRVk
>>293
もうGJとか乙なんて言葉ではとても足りません
うまく感想が書けませんが、とにかくキタキタキタキタ━━━(゚∀゚≡(゚∀゚≡゚∀゚)≡゚∀゚)━━━━!!
301名無しさん@ピンキー:2007/03/22(木) 00:47:15 ID:afFMxzvS
(゚д゚)ウマー
このあと千早とエルがどう動くのか楽しみだ
302名無しさん@ピンキー:2007/03/22(木) 00:59:31 ID:byRZhXkh
殺伐としたスレに神が舞い降りた
303名無しさん@ピンキー:2007/03/22(木) 01:17:44 ID:S+ICplmr
>>293
テラGJ
エル復讐のチョップに期待
304名無しさん@ピンキー:2007/03/22(木) 01:19:24 ID:lloRcOuO
久しぶりに覗けばブラッドが来てるぅううううううううううううううううううううう

いやまじGJです。首を長くして続きを待ってますよ
305名無しさん@ピンキー:2007/03/22(木) 01:28:55 ID:NUZ3RLQu
         ∧∧
キタ━━━\( ゚ω゚)/━━━!!!!! 
       〜(O  )
          U
306名無しさん@ピンキー:2007/03/22(木) 01:37:10 ID:NUZ3RLQu
GJ!

さて、俺もそろそろ続き書かないとまずいかな……。
307名無しさん@ピンキー:2007/03/22(木) 02:40:23 ID:RxL0+szR
流れぶった切ってまとめサイトが更新されてたから読んだ
かすかな彼女が面白かった。俺こういうの好きだわ

あと、まとめサイトでしか読まない者としては完結したものから読んでいくから
出来れば新しいのを始めるより完結してくれた方が嬉しい
そうしろって訳じゃなくあくまで一読者の要望だけどね
そういう考えの奴もいるってことで気にとめておく程度でお頼み申す
308名無しさん@ピンキー:2007/03/22(木) 03:08:20 ID:KUfnVN0e
阿修羅氏乙です。
309名無しさん@ピンキー:2007/03/22(木) 05:40:03 ID:Z/N4IgwF
ブラッドフォースキター!!そして千早登場テラウレシスwww
このままフェードアウトしていくんじゃないかって心配してたよ。
そして千早の活躍に期待w
作者さんGJ
310名無しさん@ピンキー:2007/03/22(木) 08:06:02 ID:OeA00q44
>>307
つチラシの裏
つーかまとめサイトの掲示板に書けよ・・・・
311名無しさん@ピンキー:2007/03/22(木) 08:10:28 ID:U6sCMXja
>>310
ま、ま。そういきり立たずに。
スレ住人の要望だから少しは大目にね。
312名無しさん@ピンキー:2007/03/22(木) 08:19:14 ID:GrZsHdHa
別に阿修羅氏がスレ住人の要望聞く必要は無いだろ、常識的に考えて
>307も文句があれば自分でやればいい
313名無しさん@ピンキー:2007/03/22(木) 08:26:03 ID:2qlHh+ul
>>252
・・・・・・・・
314名無しさん@ピンキー:2007/03/22(木) 08:52:08 ID:tnusclm1
阿修羅氏ってweb拍手始めたんだね
315名無しさん@ピンキー:2007/03/22(木) 12:08:10 ID:U6sCMXja
>そうしろって訳じゃなくあくまで一読者の要望だけどね
>そういう考えの奴もいるってことで気にとめておく程度でお頼み申す

要望であって強制じゃないだろ・・・。
316名無しさん@ピンキー:2007/03/22(木) 12:44:08 ID:XMZ0606i
てか>>307が要望してるのは作者さんにであって阿修羅氏じゃな(ry
317名無しさん@ピンキー:2007/03/22(木) 12:47:06 ID:OeA00q44
>>314
アンケとかならともかくweb拍手って何様だよw
318名無しさん@ピンキー:2007/03/22(木) 12:55:08 ID:QXed479+
トラインデント氏とかは何と言ってもいいけど
阿修羅氏の事は悪く言わないでおくれよ
319名無しさん@ピンキー:2007/03/22(木) 12:56:00 ID:2U55JoW6
スレ住人なら>>210を守ろうぜ
320名無しさん@ピンキー:2007/03/22(木) 13:04:41 ID:2qlHh+ul
>>266
ま た お 前 か
321名無しさん@ピンキー:2007/03/22(木) 13:16:22 ID:uE5H/1I0
>>307
てめートライデント神に言ってんだろ
日本語荒らし乙
322名無しさん@ピンキー:2007/03/22(木) 13:18:36 ID:2qlHh+ul
>>269
ちょっと待て、このスレなんかおかしくないか?安価がめちゃくちゃだ
323名無しさん@ピンキー:2007/03/22(木) 13:27:21 ID:WFqxEZWV
>>322
意味不明
具体例は?
324名無しさん@ピンキー:2007/03/22(木) 13:32:07 ID:2qlHh+ul
>>271
271 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/03/22(木) 13:27:21 ID:WFqxEZWV
>>322
>意味不明
>具体例は?
どうなってんの?
325名無しさん@ピンキー:2007/03/22(木) 13:32:29 ID:XMZ0606i
>>313>>320>>322
アンカーがおかしいのは君だけ。
つまりおかしいのは君のPCなり専ブラ。
326名無しさん@ピンキー:2007/03/22(木) 13:33:44 ID:2qlHh+ul
>>273
252 名前:ここ壊れてます[] 投稿日:
こんなのが出たのだが・・・
そうか・・・
327名無しさん@ピンキー:2007/03/22(木) 13:39:25 ID:WFqxEZWV
>ID:2qlHh+ul
もう安価付けない方がいいよ、他の住人も混乱するだろうから
328名無しさん@ピンキー:2007/03/22(木) 13:40:10 ID:2qlHh+ul
ID:WFqxEZWV
了解、IDでやるわ
329名無しさん@ピンキー:2007/03/22(木) 14:25:31 ID:/T+HwzQE
>>318
そういや、トライデント氏の作品はどうなった? 
330名無しさん@ピンキー:2007/03/22(木) 15:04:25 ID:c/roe2rh
>>329
「どうなった?」の意味が分からん。
331名無しさん@ピンキー:2007/03/22(木) 15:35:07 ID:/T+HwzQE
以前は毎日のように投稿してきたけれど
最近になって、投稿ペースが落ちたような気がする
何かあったのか? 

俺は久々だから荒れているスレの状況に
リアル浦島を体験しているんだけど
332名無しさん@ピンキー:2007/03/22(木) 15:36:48 ID:U6sCMXja
また単発IDか!!


といいたいが、よく見れば単発じゃない。
とうとうスレ住人の心まで荒んだか。こりゃ荒らしがいなくなっても意味ないな。
333名無しさん@ピンキー:2007/03/22(木) 15:38:12 ID:gLOMFaMi
年中同じペースなわけないだろ常識的に考えて……
334名無しさん@ピンキー:2007/03/22(木) 15:44:11 ID:c/roe2rh
>>331 
以前が異常だっただけだよ・・・。
335名無しさん@ピンキー:2007/03/22(木) 15:53:07 ID:ajf03/IQ
雑談は本スレかチラシの裏でやれよ
336雨の音  ◆tTXEpFaQTE :2007/03/22(木) 16:13:12 ID:0biqQ3kB
投下します。
337雨の音  ◆tTXEpFaQTE :2007/03/22(木) 16:13:49 ID:0biqQ3kB
雨の音  第7回


外はまだ、冷たい雨が降っていた。
その雨の中、響は傘もささず、地面を見ながら彷徨っていた。
指輪を、探しているのである。

バイオリンの練習が終わり、屋敷に戻る時、響は自分の部屋の窓から
シヲンが何か放り投げる様な動きがするのが見えた。
猛烈に嫌な予感がし、大急ぎで自分の部屋に戻った。

部屋にはもうシヲンは居なかったが、清華はまだ掃除をしていた。
清華に、シヲンがここに来なかったか、と聴くと、
ついさっきまでここに居た、との事。
「あいつ、ここで何してたの?
 なにか、触ったりしてなかった?」
「うん…ごめんなさい、お嬢様、あなたの机、勝手に開けたりしてた。
 ゴメンね、止めさせられなくて」

机の中。もしかして。
引き出しを開けて、便箋を開ける。

……そこにあった写真は折り潰されていた。
さらに、指輪が、無くなっていた。
部屋から捨てていたのは、指輪だったのだろう。

……もういやだ。
なんで、こんなひどい事ばかりして来るんだ。
涙がジワっと出てくるのが解った。
もういやだ。これ以上、この屋敷に我慢できない。

「ヒビちゃん?
 どうかしたの?」
後ろから心配そうな清華の声。
一瞬、清華に泣き付きたい衝動が溢れた。
しかし、その衝動と涙をこらえ、
「ううん、なんでもない」
笑顔で答えた。

その後、清華にお部屋の掃除ありがとう、と伝え、
清華を部屋から見送ると、窓の外を見た。
まだ、雨は降っていた。
それでも傘を持ち、響は庭へ出た。

指輪を探し始めてすぐ、傘があっては足元が暗くなり、
探しにくくなるので、傘を差すのを止めた。
たちまち、体中が濡れる。
十分もしないうちに、体が芯まで冷え、震えが止まらなくなった。
それでもなお、響は指輪を探し続けた。
338名無しさん@ピンキー:2007/03/22(木) 16:14:09 ID:2qlHh+ul
ID:ajf03/IQ
いいじゃないか
マターリした空気は職人さんに投下しやすい空気を作るし
339雨の音  ◆tTXEpFaQTE :2007/03/22(木) 16:14:31 ID:0biqQ3kB
「…バカなのかしら、あの子」
傘も差さずにウロウロしている響を、自分の部屋から見下ろしながら、シヲンは呟いた。
恐らく、ヒビキは自分が放り投げた指輪を探しているのだろう。
こんなスグに、指輪が無くなったことに気づくなんて、清華がばらしたのかしら?
ううん、清華は見ていなかった。
第一、気づいていたらあの目障りなヒビキの専属メイドは何かしら言ってきただろう。
そうなれば、私が放り投げたとこを見られたのかしら。
ふん、私に文句でも言いに来ればいいのに。
そんな気も起きないようになっちゃったのかしら。
とんだ意気地なしね。

ずぶ濡れになっていくヒビキを見るのは楽しいだろうとシヲンは思っていた。
だが、彼女の顔に笑みが浮かぶ事は無く、その表情は、むしろ気弱な表情が
見え隠れした。

こんな雨の中探そうとするなんて馬鹿げてるわ。
どうせ探すなら、もう少し待って、晴れたときに探せばいいのに。
本当にバカなのかしら?

―――それとも、あの写真の女との思い出とやらが、そんなに大事なのかしら?

そう思うことで、シオンは胸の中の後ろめたさを消してやろうと思ったが、
どういうわけだが、出来なかった。

もうこれ以上、響の姿を見ることが耐えられなくなり、シヲンは窓際から離れ、
頭から布団にくるまった。

もういや。どうしてあいつは私をこんなにイライラさせ、苦しめるのか。
このまま、雨に打たれて風邪をひいて死んでしまえばいいのに。
340雨の音  ◆tTXEpFaQTE :2007/03/22(木) 16:15:35 ID:0biqQ3kB
指輪を探し始めてすでに一時間が経過していた。
まだ指輪は見つかってない。
当然だろう、あんな小さなものを、この広い庭から探し出すのだ。
それでも、響は探し続けた。雨に打たれながら、諦めもせず。

花壇の花を一本ずつ調べ、レンガとレンガの隙間を調べ終え、次に池の方を調べに行こうと
思ったとき、
「ヒビちゃん!?
 何やってるの!!??」
清華に呼び止められた。
自分が濡れる事も構わず、清華が庭に飛び出し、響を抱きしめた。
響の体の冷たさに愕然となり、急いでお風呂にいれに行こうと抱っこしたが、
響は暴れ、言う事を聴いてくれなかった。
「どうしたのよ、そんな体じゃ、風邪引いちゃうわよ!」
「いやだ!ほっといてよ!
 指輪、探さなきゃダメなんだよ!」
「指輪?あの指輪?
 あれがどうしたの?」
「あの指輪、さっき」 
シヲンが放り投げたんだ。
そう口が滑りそうになり、慌てて口をふさぐ。
「…さっき、落としちゃったんだ。
 だから、探さないと」
響は清華から目を逸らしながら言った。
「じゃあ、後で探しましょ? 
 こんな天気じゃ見つけにくいし、何よりあなた、
 このままじゃ風邪引いちゃうわよ!」
「いやだ!
 あれは、あれは…大切なものなんだ」
地面に眼を落としながら響は言った。
「解ってるわよ、女の子に貰ったものなんでしょう、
 だけどね」
「あれだけなんだよ、
 …みんなの、思い出は…」
ポロポロと、響の目から涙がこぼれた。
「あれだけしか、残ってないんだ。父さんと母さんがいた頃の物って。
 あれだけなんだ。写真も、あれだけしか残ってないんだ。
 どっちも、父さんも母さんも、関係ない物だけど、
 それでも、あれを見れば、思い出せたんだ。
 父さんがいて、母さんがいて、僕も一緒に演奏できた頃を」
それだけを一気に言うと、響はまた指輪を探しに、庭の方へ戻っていった。

…ああ、そうか。
あの指輪は、形見なんだね。
だから、そんなに必死なのね。
広い庭の中、幼い背を屈めながら指輪を探してる響を見ていると、
清華は泣きそうになってきた。
今まで、あまりにもシッカリした子だから気づけなかったが、響は両親をなくし、
今まで知らない所で繰らす破目になった、可哀想な子だったのだ。
それに気づけなかった自分は、なんてオロカモノなのだろうか?

「ねえ、何処から探し始めたの?」
芝生の草を一本一本掻き分けている響に、清華が尋ねた。
「私も手伝うから。
 二人でやった方が効率もいいでしょ?」
「いいよ、さやかさん、ぬれちゃうよ!」
「気にしない、気にしない。
 ね、手伝わせてよ」
そう言って、清華は微笑んでくれた。
341名無しさん@ピンキー:2007/03/22(木) 16:27:46 ID:XpoUFB0S
hoshu
342雨の音  ◇tTXEpFaQTE :2007/03/22(木) 16:29:13 ID:XpoUFB0S
…ああ、そうか。
あの指輪は、形見なんだね。
だから、そんなに必死なのね。
広い庭の中、幼い背を屈めながら指輪を探してる響を見ていると、
清華は泣きそうになってきた。
今まで、あまりにもシッカリした子だから気づけなかったが、響は両親をなくし、
今まで知らない所で繰らす破目になった、可哀想な子だったのだ。
それに気づけなかった自分は、なんてオロカモノなのだろうか?

「ねえ、何処から探し始めたの?」
芝生の草を一本一本掻き分けている響に、清華が尋ねた。
「私も手伝うから。
 二人でやった方が効率もいいでしょ?」
「いいよ、さやかさん、ぬれちゃうよ!」
「気にしない、気にしない。
 ね、手伝わせてよ」
そう言って、清華は微笑んでくれた。
343雨の音  ◇tTXEpFaQTE:2007/03/22(木) 16:31:11 ID:XpoUFB0S
雨の音  第8回


外はまだ、冷たい雨が降っていた。
その雨の中、響は傘もささず、地面を見ながら彷徨っていた。
指輪を、探しているのである。

バイオリンの練習が終わり、屋敷に戻る時、響は自分の部屋の窓から
シヲンが何か放り投げる様な動きがするのが見えた。
猛烈に嫌な予感がし、大急ぎで自分の部屋に戻った。

部屋にはもうシヲンは居なかったが、清華はまだ掃除をしていた。
清華に、シヲンがここに来なかったか、と聴くと、
ついさっきまでここに居た、との事。
「あいつ、ここで何してたの?
 なにか、触ったりしてなかった?」
「うん…ごめんなさい、お嬢様、あなたの机、勝手に開けたりしてた。
 ゴメンね、止めさせられなくて」

机の中。もしかして。
引き出しを開けて、便箋を開ける。

……そこにあった写真は折り潰されていた。
さらに、指輪が、無くなっていた。
部屋から捨てていたのは、指輪だったのだろう。

……もういやだ。
なんで、こんなひどい事ばかりして来るんだ。
涙がジワっと出てくるのが解った。
もういやだ。これ以上、この屋敷に我慢できない。
344名無しさん@ピンキー:2007/03/22(木) 16:32:21 ID:XpoUFB0S
保守
345名無しさん@ピンキー:2007/03/22(木) 16:33:21 ID:XpoUFB0S
hoshu
346名無しさん@ピンキー:2007/03/22(木) 16:38:03 ID:qZb/6Hz4
雨の音の作者です。
連投規制にひっかかりそうなので、中途ですか終了します。
347名無しさん@ピンキー:2007/03/22(木) 16:40:06 ID:2qlHh+ul
ID:qZb/6Hz4
もうね、なんて言われようがGJとしか言えないは
割り込んでスマソ
348名無しさん@ピンキー:2007/03/22(木) 16:40:20 ID:3FUpqXbb
>>346
336 :雨の音  ◆tTXEpFaQTE :2007/03/22(木) 16:13:12 ID:0biqQ3kB

偽者乙

349名無しさん@ピンキー:2007/03/22(木) 16:42:34 ID:KUfnVN0e
>>346
超GJです!
最近は雨の音の続きが楽しみで仕方ないです。
次回の期待して待っています。
350名無しさん@ピンキー:2007/03/22(木) 16:48:11 ID:HJLzjuoN
IDも違うしトリも付けてないのになんで本物だと信じられるのかが分からん
俺がおかしいのか?
351名無しさん@ピンキー:2007/03/22(木) 16:49:23 ID:2qlHh+ul
ID:HJLzjuoN
ID変わる現象なら体験したことがある
352名無しさん@ピンキー:2007/03/22(木) 16:52:41 ID:KUfnVN0e
別に言って何か損する訳でもないし
偽者だったとしても、作者さんは自分に対して言ってるんだと
分かってくれるんじゃないかな?
本物だったらそれでいいし。
353名無しさん@ピンキー:2007/03/22(木) 16:54:55 ID:HJLzjuoN
ついさっきまで割り込み荒らしがいたからな〜
嫌になって途中で止めたのかもしれないだろ?
それなのに偽者にレスしてたらいい気はしないと思うんだ
354現在専ブラぶっ壊れ中:2007/03/22(木) 16:58:40 ID:2qlHh+ul

ID:HJLzjuoN
俺荒らしたつもりはねぇよ・・・・
355名無しさん@ピンキー:2007/03/22(木) 17:01:07 ID:6a091PzK
取りあえず、響→シヲン はもうありえなさそうな感じだな。
この先どういう展開になるか怖楽しみだ。


作者さんマジでGJです。
356名無しさん@ピンキー:2007/03/22(木) 17:02:23 ID:HJLzjuoN
>>354
いや、お前のことを言ったつもりじゃなくてコピペしてたやつのことだよ
気分悪くさせてすまん

ところでアンカー付けないのは俺が煽りだと思ってる?orz
357名無しさん@ピンキー:2007/03/22(木) 17:04:02 ID:1+R3KnpK
ID:2qlHh+ul

完全にスレ違いだけど
スレを再度読み込みすればレス番がおかしくなってるの直るよ
専ブラなら大抵、その機能があるから試してみて
358名無しさん@ピンキー:2007/03/22(木) 17:04:40 ID:KUfnVN0e
明らかな偽者、荒らしならともかく
本物の可能性も十分有り得るレスだと思うし
とりあえず本物としてレスしとけばいいかなと。

もし本物だったら、それを偽者扱いして何もレス付けないのもアレだし
偽者だったとしても
安価は作者さんに対するものじゃなくても
感想は作品に対するものだから、そこらへんは作者さんも分かってくれるんじゃないかな?

まあ、作者さんが気を悪くしそうなら
安価無しで作品に感想を言えばいいのかもね。
359名無しさん@ピンキー:2007/03/22(木) 17:06:51 ID:2qlHh+ul
ID:1+R3KnpK
ども、試してみる
360名無しさん@ピンキー:2007/03/22(木) 17:07:40 ID:rjIMs+cv
341 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/03/22(木) 16:27:46 ID:XpoUFB0S
hoshu

342 名前:雨の音  ◇tTXEpFaQTE [sage] 投稿日:2007/03/22(木) 16:29:13 ID:XpoUFB0S
…ああ、そうか。

コピペ荒らしに切り替えたモヨリ
本物の作者様、こんなんにへこたれず最後までがんがってくれ
361名無しさん@ピンキー:2007/03/22(木) 17:13:29 ID:2qlHh+ul
おお直った!!
362名無しさん@ピンキー:2007/03/22(木) 17:26:01 ID:NUZ3RLQu
前スレで偽阿修羅氏が出たとき乙とかGJとかレスしてたが本物の阿修羅氏は凹んでたぞ
だから偽者への感想は分かっても嫌だろ

せっかくトリ付けてるんだからトリを安価にすりゃいいじゃん
363雨の音  ◆tTXEpFaQTE :2007/03/22(木) 17:47:31 ID:0biqQ3kB
響とは逆方向から清華は指輪を探し始めた。
彼女も、響と同じく傘を差さなかったため、すぐにびしょ濡れになった。
メイド服もすぐに泥がつき始めた。
それを気にする事もなく、清華は指輪を探してくれた。

清華の優しさが嬉しかった。
自分のためにずぶ濡れになる事を厭わず、頑張ってくれる人が
いることが、嬉しかった。
シヲンに刻まれた、心への傷跡がゆっくりとふさがり始めるのが解った。
清華を、美しい、と感じていた。
この人がいてくれたら、僕はここで頑張れる、とおもった。

響の心に感応したように、一瞬、雲が途切れ、太陽が顔を覗かせた。
清華が顔を上げ、眩しそうに空を見上げた。
そして自分を見つめる響に気がつき、微笑んでくれた。
その時、

「あ――――っ!
 今、今光ったあ!!」
清華が勢い良く立ち上がり、響のほうに駆け寄ってきた。
そして響のいるところから1メートルぐらいのところにしゃがみこむと、
「はっけーーん!!」
指輪を拾い上げ、頭上にかざした。

「ほらほら、これだよね、君の指輪」
「うん、うん、これだよ。
 良かったあ、良かったあ」
二人とも、泣き笑いながら指輪を見つめた。

次の瞬間。
グラリ、と響が倒れた。
慌てて響を支える清華。
抱きかかえると、さっきはあんなに冷たかった響の体が、
驚くほど熱い。
「ヒビ君!!ねえ!ヒビ君!!」
呼びかけても、返事は無かった。
ぐったりしたままの響を抱っこし、清華は屋敷の方に
大慌てでかけていった。
364名無しさん@ピンキー:2007/03/22(木) 17:49:08 ID:2Vr6xu39
響とは逆方向から清華は指輪を探し始めた。
彼女も、響と同じく傘を差さなかったため、すぐにびしょ濡れになった。
メイド服もすぐに泥がつき始めた。
それを気にする事もなく、清華は指輪を探してくれた。

清華の優しさが嬉しかった。
自分のためにずぶ濡れになる事を厭わず、頑張ってくれる人が
いることが、嬉しかった。
シヲンに刻まれた、心への傷跡がゆっくりとふさがり始めるのが解った。
清華を、美しい、と感じていた。
この人がいてくれたら、僕はここで頑張れる、とおもった。

響の心に感応したように、一瞬、雲が途切れ、太陽が顔を覗かせた。
清華が顔を上げ、眩しそうに空を見上げた。
そして自分を見つめる響に気がつき、微笑んでくれた。
その時、

「あ――――っ!
 今、今光ったあ!!」
清華が勢い良く立ち上がり、響のほうに駆け寄ってきた。
そして響のいるところから1メートルぐらいのところにしゃがみこむと、
「はっけーーん!!」
指輪を拾い上げ、頭上にかざした。

「ほらほら、これだよね、君の指輪」
「うん、うん、これだよ。
 良かったあ、良かったあ」
二人とも、泣き笑いながら指輪を見つめた。

次の瞬間。
グラリ、と響が倒れた。
慌てて響を支える清華。
抱きかかえると、さっきはあんなに冷たかった響の体が、
驚くほど熱い。
「ヒビ君!!ねえ!ヒビ君!!」
呼びかけても、返事は無かった。
ぐったりしたままの響を抱っこし、清華は屋敷の方に
大慌てでかけていった。
365雨の音  ◇tTXEpFaQTE :2007/03/22(木) 17:49:59 ID:2Vr6xu39
響とは逆方向から清華は指輪を探し始めた。
彼女も、響と同じく傘を差さなかったため、すぐにびしょ濡れになった。
メイド服もすぐに泥がつき始めた。
それを気にする事もなく、清華は指輪を探してくれた。

清華の優しさが嬉しかった。
自分のためにずぶ濡れになる事を厭わず、頑張ってくれる人が
いることが、嬉しかった。
シヲンに刻まれた、心への傷跡がゆっくりとふさがり始めるのが解った。
清華を、美しい、と感じていた。
この人がいてくれたら、僕はここで頑張れる、とおもった。

響の心に感応したように、一瞬、雲が途切れ、太陽が顔を覗かせた。
清華が顔を上げ、眩しそうに空を見上げた。
そして自分を見つめる響に気がつき、微笑んでくれた。
その時、

「あ――――っ!
 今、今光ったあ!!」
清華が勢い良く立ち上がり、響のほうに駆け寄ってきた。
そして響のいるところから1メートルぐらいのところにしゃがみこむと、
「はっけーーん!!」
指輪を拾い上げ、頭上にかざした。

「ほらほら、これだよね、君の指輪」
「うん、うん、これだよ。
 良かったあ、良かったあ」
二人とも、泣き笑いながら指輪を見つめた。

次の瞬間。
グラリ、と響が倒れた。
慌てて響を支える清華。
抱きかかえると、さっきはあんなに冷たかった響の体が、
驚くほど熱い。
「ヒビ君!!ねえ!ヒビ君!!」
呼びかけても、返事は無かった。
ぐったりしたままの響を抱っこし、清華は屋敷の方に
大慌てでかけていった。
366雨の音  ◇tTXEpFaQTE :2007/03/22(木) 17:51:23 ID:2Vr6xu39
響とは逆方向から清華は指輪を探し始めた。
彼女も、響と同じく傘を差さなかったため、すぐにびしょ濡れになった。
メイド服もすぐに泥がつき始めた。
それを気にする事もなく、清華は指輪を探してくれた。

清華の優しさが嬉しかった。
自分のためにずぶ濡れになる事を厭わず、頑張ってくれる人が
いることが、嬉しかった。
シヲンに刻まれた、心への傷跡がゆっくりとふさがり始めるのが解った。
清華を、美しい、と感じていた。
この人がいてくれたら、僕はここで頑張れる、とおもった。

響の心に感応したように、一瞬、雲が途切れ、太陽が顔を覗かせた。
清華が顔を上げ、眩しそうに空を見上げた。
そして自分を見つめる響に気がつき、微笑んでくれた。
その時、

「あ――――っ!
 今、今光ったあ!!」
清華が勢い良く立ち上がり、響のほうに駆け寄ってきた。
そして響のいるところから1メートルぐらいのところにしゃがみこむと、
「はっけーーん!!」
指輪を拾い上げ、頭上にかざした。

「ほらほら、これだよね、君の指輪」
「うん、うん、これだよ。
 良かったあ、良かったあ」
二人とも、泣き笑いながら指輪を見つめた。

次の瞬間。
グラリ、と響が倒れた。
慌てて響を支える清華。
抱きかかえると、さっきはあんなに冷たかった響の体が、
驚くほど熱い。
「ヒビ君!!ねえ!ヒビ君!!」
呼びかけても、返事は無かった。
ぐったりしたままの響を抱っこし、清華は屋敷の方に
大慌てでかけていった。
367雨の音  ◆tTXEpFaQTE :2007/03/22(木) 17:57:02 ID:0biqQ3kB
第7回はこれで終わります。
次回、看病イベントの予定。

すいません、今回読みにくくなってしまいました。
規制を食らいそうだったので、一旦時間を空けました。
それだけの事ですので、色々と気を使ってくださった方には
大変心苦しく思います。
よろしければ、これからもお付き合いください。

あと、赤色の続きを読みたい方っていますか?
いまさらな気もするのでどうしようかと思っています。

368名無しさん@ピンキー:2007/03/22(木) 18:00:14 ID:KlHOC0SZ
結局>>346は偽者だったのかな?
369名無しさん@ピンキー:2007/03/22(木) 18:02:13 ID:/T+HwzQE
煽る奴と荒らす奴のおかげでスレがメチャクチャですね
370名無しさん@ピンキー:2007/03/22(木) 18:15:27 ID:rjIMs+cv
>>367
GJ!
シヲンの心情が徐々に移り変わってきててますます面白くなってきたと思います
371名無しさん@ピンキー:2007/03/22(木) 18:16:28 ID:4r9Qfusm
>>367
GJ!
そして赤色!読みたい!読みたい!待ってました!
372名無しさん@ピンキー:2007/03/22(木) 18:21:03 ID:AtTkoS8y
>>320
GJ!!これでますますシヲンの立場がwだがそんなシヲンがテラモエス
いつもう一人の女の子が登場するのかwktkして待ってますwww

赤色にもものすごく期待してるので大変だと思うけど頑張ってください。
373名無しさん@ピンキー:2007/03/22(木) 18:26:58 ID:i6YiMfY9
>>367
GJ!!
そして…赤色!?
俺が最も続きを楽しみにしている作品のひとつじゃないスか!
ぜひ、どうかぜひ続きを!
374名無しさん@ピンキー:2007/03/22(木) 18:28:14 ID:pl/ivpW/
>>367
GJ
共倒れになるとアレなので雨の音が終わってからの方がいいのでは?
375名無しさん@ピンキー:2007/03/22(木) 18:31:58 ID:mXbd9uH6
取り敢えず、トリップをコピペした場合には、
◆が◇になるのを覚えとこう。
376名無しさん@ピンキー:2007/03/22(木) 18:37:49 ID:6yvuCY4Z
>>371-373
お前らは本当に赤色を読みたいのかと問いたい。問い詰めたい。小1時間問い詰めたい。
お前ら、赤色って言いたいだけちゃうんかと。
377名無しさん@ピンキー:2007/03/22(木) 18:41:48 ID:U6sCMXja
>>367
このスレでは、すべての住人が、すべての未完成の作品に対し、是非とも最後まで見たいという思いを抱いているのですよ!!
378名無しさん@ピンキー:2007/03/22(木) 18:42:39 ID:mXbd9uH6
>>376
ssスレで作家さんのssを読みたいと思うのは当然。
特に赤色みたいに続きが気になるssはね。
379名無しさん@ピンキー:2007/03/22(木) 18:52:19 ID:niOGx1tD
>>377
勝手にスレ住人の総意にすな
俺は雨の音を始めたんだからそっちを先に完結させてからでもいいと思うよ
380名無しさん@ピンキー:2007/03/22(木) 19:04:23 ID:c/roe2rh
>>367
GJ!

>>あと、赤色の続きを読みたい方っていますか?
>>いまさらな気もするのでどうしようかと思っています。
こういうことは住人に聞かない方が良いんじゃないかな?
荒れるもとになるから。
作家さんが独断で決めて良いと思うよ。
381名無しさん@ピンキー:2007/03/22(木) 19:04:50 ID:U6sCMXja
>>379
何カリカリしてんだよw
少なくとも未完結の作品は完結させて欲しいって言うのは誰でも思ってるだろ。
382名無しさん@ピンキー:2007/03/22(木) 19:05:17 ID:X5TKlCKa
おれも完結させてからでいい派
まあ,作者さんが並行したほうがやりやすいんなら
それでもかまなわいけどね
383名無しさん@ピンキー:2007/03/22(木) 19:10:23 ID:gLOMFaMi
まあそうがっつくない
雨の音だって未完結作品だしょうが
作者さんがその時々によって書きやすい方を書いてくれればいいんす
384名無しさん@ピンキー:2007/03/22(木) 19:10:31 ID:LJcJve+s
>>380
良くも悪くも◆tTXEpFaQTE氏はスレの起爆剤になってるなァ
ここのスレの神は住人に下手に出すぎだよ
385名無しさん@ピンキー:2007/03/22(木) 19:19:41 ID:gLOMFaMi
神が下手に出てるっていうより、
住人ががっつきすぎなだけだと思う
自制して全裸で待とうや
386名無しさん@ピンキー:2007/03/22(木) 19:20:19 ID:rzATNMjl
なんで連載中なのに未完のまま放り出した作品をいきなり再開させたかがるのは連載中の作品が煮詰まってきている証拠
赤色が完結まで書けてるのなら再開すればいいとは思うけど、
たまたま1話思いついたぐらいなら投下しないほうがいいと思うね
クレクレ君がいつまでも昔の未完作品を投下しろ、って五月蝿くなりそうだしね
387名無しさん@ピンキー:2007/03/22(木) 19:21:49 ID:QXed479+
でも、あくまでも作者の自由だからね、それは
388名無しさん@ピンキー:2007/03/22(木) 19:24:18 ID:DVphmUhC
>>387
作者がスレ住人に意見を求めてるから答えてるだけ
389名無しさん@ピンキー:2007/03/22(木) 19:36:35 ID:c/roe2rh
要は神もスレ住人に意見を聞いたり、要望を聞いたりしなくて良いんだよな。
投稿してくれるのはありがたいが、スレが荒れるもとを作らない様にしてくれるともっとありがたい。
390名無しさん@ピンキー:2007/03/22(木) 20:11:08 ID:gLOMFaMi
「荒れる荒れる」っつって荒れを持続させてんだから世話ねえや
投下しづらい空気はいい加減にしような

よしまずシャツを脱いでベルトを外せー
391名無しさん@ピンキー:2007/03/22(木) 20:16:31 ID:ZSzpx79C
言葉様もアニメ化されるんだからそろそろ原点に回帰するべきだと思うんだが
392名無しさん@ピンキー:2007/03/22(木) 20:38:46 ID:d3FB0K0P
>>390
全裸ネタもういいよ
スレも昔とは違うから懐古は控えたほ(ry
393名無しさん@ピンキー:2007/03/22(木) 20:51:22 ID:9AMtuLPk











        も   ち   つ   け








394名無しさん@ピンキー:2007/03/22(木) 21:00:42 ID:gLOMFaMi
全裸が駄目なら……俺は一体どんな格好をして投下を待てばいいと言うんだ……
395名無しさん@ピンキー:2007/03/22(木) 21:04:51 ID:ZSzpx79C
>>394

鋸と空鍋と空糸電話を持参してこい
話はそこからだ
396名無しさん@ピンキー:2007/03/22(木) 21:23:59 ID:MCgmcbfK
>>395
不覚にもワロタw
397名無しさん@ピンキー:2007/03/22(木) 22:02:12 ID:6d/gwxCx
とりあえずシヲンざまぁwww因果応報wwwを用意してワクテカして待っております

主人公が物分りの良すぎる甘ちゃんでないことを期待。
メイドさん頑張れ!
398名無しさん@ピンキー:2007/03/22(木) 22:03:47 ID:rN8Dnghs
全裸、全裸うざいな
399名無しさん@ピンキー:2007/03/22(木) 22:12:57 ID:GMLhkrKA
じゃあ、靴下だけつけて待ってます。
400名無しさん@ピンキー:2007/03/22(木) 22:16:12 ID:rjIMs+cv
じゃあ俺はネクタイだけで待ってますね
401名無しさん@ピンキー:2007/03/22(木) 22:26:07 ID:gLOMFaMi
仮面だけで待っててもいいですよね
402名無しさん@ピンキー:2007/03/22(木) 22:26:57 ID:MCgmcbfK
なら俺は手袋で待つ
403名無しさん@ピンキー:2007/03/22(木) 22:31:52 ID:sjdKOMvz
じゃあ俺はアイマスクだ。
404名無しさん@ピンキー:2007/03/22(木) 22:39:31 ID:sSGkNqFZ
405名無しさん@ピンキー:2007/03/22(木) 22:47:22 ID:HhCQi6Pj
スレ住人がつまらない馴れ合いはじめたら終わりだな
ROMってられないのか?
406名無しさん@ピンキー:2007/03/22(木) 22:59:38 ID:gLOMFaMi
>>405
そうだね、プロテインだね
407名無しさん@ピンキー:2007/03/22(木) 23:05:00 ID:3aiEMVKN
>>405
お前がROMってっろボケ。氏ね。 
408名無しさん@ピンキー:2007/03/22(木) 23:14:15 ID:Y2Avrabl
まーた、いつもの煽り君が暴れてますよ
409名無しさん@ピンキー:2007/03/22(木) 23:21:56 ID:sjdKOMvz
>>407
ロムッテッロ?
どんなイタリアンだ?
410名無しさん@ピンキー:2007/03/22(木) 23:30:51 ID:ZSzpx79C
続きが気になる作品は一杯ある・・

だが、今は投稿がないってことは

今年の夏からアニメ化されるスクールデイズの前の嵐の静けさ
を感じて仕方ない。その頃になると新たな風が吹くはずだ

皆、耐えるんだ耐えて

鋸の庭で鮮血再会しようじゃないか!!
411名無しさん@ピンキー:2007/03/22(木) 23:30:58 ID:mXbd9uH6
>>405
馴れ合いでもいいじゃないですか。
雰囲気が悪くなって作家さんが投下しづらくなるよりはね。
>>406-409
言いたい人には言わせておけばいいんです。
私達は静かに見守りましょう。
412名無しさん@ピンキー:2007/03/22(木) 23:39:03 ID:O8ebmov3
妄想ネタを語り合うのはOKだったはずだ・・
全てはここからが始まりであった。

過去の本スレでもこんなネタの書き込みがあったんだからね


706 名前:名無したちの午後[sage] 投稿日:2005/12/20(火) 14:04:14 ID:w8AWjjQb0
『弟×監禁』

弟を想い度々オナニーに耽っていた姉は、とうとうその現場を弟本人に覗かれてしまう。
私の想いを知られてしまった……戦々恐々とする姉だが、弟は態度をまったく変えようとしない。
見て見ぬふりであろうか。
嫌われはしなかった、だがこの想いに答えてもくれない……姉のフラストレーションは日に日に溜まっていった。
そうして、既に習慣となっている"弟のPCチェック"に取りかかったある日の事である。
「メールを見た感じ、悪い虫がついたりはしてないみたいね……アラ?」
2chブラウザフォルダのkakikomi.txtを覗いた姉は、とある書き込みに目を留める。
"いや、うちのは俺が好きだからとかでなく、単に俺のエロ本見つけて発情して始めちゃっただけなんだけどね。"
「そんなっ……!」
そもそも、弟は姉の想いになど全く気付いていなかったのである。
ショックのあまり姉は指先を震わせる、しかし他の書き込みに目を通す内に、姉は次第に落ち着きを取り戻していった。
弟を溺愛し、束縛する――そんな"姉の妄想"の数々でtxtは埋め尽くされている。
「なんだ、そういう事だったんだ……」
常日頃から抑えつけてきた妄念・暗い願望のそれと弟の妄想とは、完全に一致していた。
これはつまり、姉と弟の想いが通じ合っていたからこそに違いないのである!

コンコン
「姉さん?いいよ、入って。こんな夜更けにどうしたの?」
「お休み前に紅茶でもどうかなって。美味しいリーフを頂いたの」
「……うん、ありがとう」
突然の訪問に驚く弟だが、しかし姉の気遣いに遠慮する事もない。
有り難く紅茶を啜っていると、不意に意識が暗転する。
弟が意識を取り戻すと、いつの間にか姉のベッドの上に裸で寝かされていた。
後ろに回された手はひも状の物できつく縛られている。
「姉さん、これって……一体?」
「心配しなくていいのよ?お姉ちゃん、あなたの事ぜ〜んぶ分かってるんだから……」
姉はそう言って弟の目前で次々と服を脱いでいく。
弟にはそれをただポカンと眺める以外、何もできない。
「あなたはここで、一生お姉ちゃんにお世話されるの……他の女なんて誰一人近づかせないっ」
優しい手つきで弟の股間をなで回す姉……二人きりの爛れた生活が、今まさに始まろうとしていた――。
413名無しさん@ピンキー:2007/03/22(木) 23:51:39 ID:mXbd9uH6
>>412
確かそれに近いもので、兄がvipperで妹が想いを募らせていて、
書き込みを見た妹が勘違いして兄を監禁する。
というのもありましたね。
どなたかこれを長編で書いてくれませんかねぇ…
414名無しさん@ピンキー:2007/03/23(金) 00:02:22 ID:Z6bHM3f5
>>412
昔とは違うから昔は批判とかしても作者は真摯に受け止めてたからね
415名無しさん@ピンキー:2007/03/23(金) 01:03:54 ID:U6qYWsDk
え? いつから妄想ネタ禁止の流れになってたの? ずっと見てたけど気付かなかったな
416名無しさん@ピンキー:2007/03/23(金) 01:29:35 ID:9DtR4EXq
ID:U6qYWsDk
(゚Д゚)ハァ?
けっこう前から雑談禁止、感想&プロットのみに徹する流れになっているけど?
417名無しさん@ピンキー:2007/03/23(金) 01:37:56 ID:d7UT3CFJ
>>415
妄想ネタでも一つの作品のような物であれば大丈夫だと思いますよ。
>>416
確かに、余りにも酷い雑談はいけないと思いますが、
作品について少して話す位は良いのではないでしょうか。
418名無しさん@ピンキー:2007/03/23(金) 02:33:16 ID:sjfMUHMm
>>410なんか脳内でルルの声で再生された
スレ違だが今日のコードギアスは物凄かったな
初めてアニメなんかで悲しみというものを感じたよ
419名無しさん@ピンキー:2007/03/23(金) 03:32:13 ID:lSOIp1A+
>>416
とりあえずテンプレに「雑談禁止」は入ってないんだから、
そういう流れがあったと主張するだけでは脳内ルールの言い合いになる
本気で雑談禁止にしたいなら、このスレが埋まる時期にでも
テンプレ改正の提案をすればいいんじゃなかろうか

個人的にはスレのジャンルにあった雑談はあったほうがいいに1票

>>417
>作品について少して話す位は良いのではないでしょうか。
一応現在のテンプレには批評禁止が入ってる(>>4参照)
こちらも、やはり作品評価があったほうがいいと思うなら
スレが埋まりかけたあたりでテンプレ変更を提案してはどうだろうか?
420名無しさん@ピンキー:2007/03/23(金) 04:30:24 ID:lIB1ijrE
ともかく勝手に「雑談禁止」とか主張せずに、
テンプレについて議論しろ。
421名無しさん@ピンキー:2007/03/23(金) 09:55:02 ID:U6qYWsDk
>>416
妄想ネタ=プロットのつもりで言ったんだが。
ただの小ネタをみんなで話してプロットに昇華させるのはアリっていう流れもあったよね。
422名無しさん@ピンキー:2007/03/23(金) 10:35:05 ID:GTVp0MOt
>>421
妄想ネタはOKだろ・・。基本的に神たちのネタを提供することは悪くない
ただ、荒れる理由がSSしか認めないとか言っているアホ住人が暴れているだけ
妄想ネタは初期の頃からOKだろうに・・。

423名無しさん@ピンキー:2007/03/23(金) 11:16:53 ID:hehxHTzI
そもそも、妄想から生まれたスレだし
424名無しさん@ピンキー:2007/03/23(金) 12:17:01 ID:/MDVO1LS
いや、妄想ネタは本スレで書けばいいだろ
425名無しさん@ピンキー:2007/03/23(金) 12:40:13 ID:U6qYWsDk
本スレで溢れた妄想ネタを書くためにスレが生まれたのに、本スレに戻って書けとか意味わかんね
426名無しさん@ピンキー:2007/03/23(金) 12:41:59 ID:JHuIl/U8
雑談や議論、妄想ネタのせいでスレが荒れまくったことを知らないのか?春厨は
427名無しさん@ピンキー:2007/03/23(金) 12:47:25 ID:d7UT3CFJ
>>423
そういう言い方はいかがなものでしょうか。
>>424
妄想ネタでも面白い作品はありましたし
それ位は許容しても良いのでは…
428名無しさん@ピンキー:2007/03/23(金) 12:53:01 ID:d7UT3CFJ
>>426
あれは特定の作家さんへの叩きや
作品への過剰な口出しが原因だったと記憶していますが。
また、相手を煽ると喜ぶだけですよ。
429名無しさん@ピンキー:2007/03/23(金) 12:56:42 ID:mh06N6cX
ダウト
アレは作者に絡む奴なりコピペ荒らしなりが元凶だろ

流れを変える意味もあるし妄想の余地は残すべきじゃね?
430名無しさん@ピンキー:2007/03/23(金) 12:57:20 ID:mh06N6cX
ぁ、>>426に対してね
431名無しさん@ピンキー:2007/03/23(金) 13:04:54 ID:JHuIl/U8
つまらん雑談やクレクレ、妄想ネタがスレの空気を悪くさせていた
嵐はその空気に便乗して拡大させただけ
もうこのテンプレ修正でいいだろ

・作品に対する評価&妄想ネタを書きたいなら、スレ上ではなくこちら(ttp://yuukiremix.s33.xrea.com/chirashi/)へどうぞ
432名無しさん@ピンキー:2007/03/23(金) 13:05:15 ID:QW15ZpWj
>>426こそ春だと思うが
433名無しさん@ピンキー:2007/03/23(金) 13:22:34 ID:d7UT3CFJ
>>432
なるべく穏便にいきましょう。
434名無しさん@ピンキー:2007/03/23(金) 13:49:21 ID:whf4XYGE
なんかスレタイ決めの時と同じ感じになってきた
435名無しさん@ピンキー:2007/03/23(金) 13:59:46 ID:WD1bTL9/
とりあえず、どうでもいいことはスルーしろ・・

ネタと妄想を語ってくれ
語れない奴は一生ロムってくれw
436名無しさん@ピンキー:2007/03/23(金) 14:00:07 ID:cf5nvgZm
>>239です。

とりあえず、お前ら全員自粛しなPartU。
作品の投稿、
作者が投稿した後のGJ以外のマトモな感想、
新たな修羅場の芽の紹介、
他スレ誘導、
スレの本分にあった雑談(荒らしと厨はスルー)、
この5つ以外はスルーすれば自然と収まる。
荒らしも厨房もエサが無くなれば飢え死ぬから。
此処は我慢の時です。〆
437名無しさん@ピンキー:2007/03/23(金) 14:00:08 ID:U6qYWsDk
>>431
その理論でいくと、次は「SSの投下は批評や粘着で空気悪くなって荒れるから禁止」ってことになりますね^^
438名無しさん@ピンキー:2007/03/23(金) 14:09:18 ID:sNqs53XD
噛み付かれると、神疲れる

なんちて(*´∀`)
439名無しさん@ピンキー:2007/03/23(金) 14:09:33 ID:B0C7wypA
最近妄想ネタなんてほとんど書かれてなかったのにいまさら必死にならなくてもいいだろ
煽りが妄想ネタ賛成の方に潜り込んでないか?

もうこれ以上荒れるなら>>431>>436の徹底でいいよ、SSさえ投下されてればいいしな
440名無しさん@ピンキー:2007/03/23(金) 14:10:11 ID:d7UT3CFJ
>>436
把握しました。
出来れば二行目のような高圧的な書き方は止した方がよいかと思います。>>437
そう斜に構えずに楽に行きましょう。
441名無しさん@ピンキー:2007/03/23(金) 14:32:37 ID:U6qYWsDk
あれ?結局妄想ネタ駄目な流れになってる
もう妄想プロット原作のSSが生まれなくなるのか、残念
442名無しさん@ピンキー:2007/03/23(金) 14:39:17 ID:mh06N6cX
妄想否定側がこぞって単発IDなんだから察してくれ。
443名無しさん@ピンキー:2007/03/23(金) 14:40:28 ID:2JGEaSQt
>>441
例えば何があるんだ?
444名無しさん@ピンキー:2007/03/23(金) 15:21:15 ID:d7UT3CFJ
>>441
妄想ネタ・プロットは禁止ではありません。
禁止するのは、煽りや非難中傷などの相手を害する事だと思います。
>>443
まとめサイトの一話完結の物や埋めネタなどは、殆どが該当します。
445名無しさん@ピンキー:2007/03/23(金) 15:23:52 ID:4q2dMHO/
ID:JHuIl/U8
とりあえずお前は半年ROMってろ
446名無しさん@ピンキー:2007/03/23(金) 15:24:56 ID:sNqs53XD
スイッチブレイド・ナイフなんかが、妄想プロット原作のSSだね
447名無しさん@ピンキー:2007/03/23(金) 15:33:18 ID:DIbut3Qg
荒れたり空気悪くなる原因は、妄想や雑談じゃなくて
少しでも気に入らないと些細な事にも喧嘩腰で噛み付く人。
448名無しさん@ピンキー:2007/03/23(金) 15:38:08 ID:sI6ya1Ai
>>447
明らかにこの雑談で空気悪くなってる
449名無しさん@ピンキー:2007/03/23(金) 15:46:41 ID:yvr40/Cp
妄想雑談があるから空気悪くなってんじゃなくて
それに対してどーでもいいイチャモン付けるから、その瞬間から空気悪くなるんだし。
450名無しさん@ピンキー:2007/03/23(金) 15:48:02 ID:2FUsh6Oe
話は変わるが「スリップ、ストラップ、ラップ」がまとめサイトに入れられてたな
あれってまともな投稿だったかな?
451名無しさん@ピンキー:2007/03/23(金) 16:17:43 ID:uGwymcOG
ttp://up2.viploader.net/pic/src/viploader441243.jpg

うぁ……。
相変わらず、サムネイルの位置変わらんし画像の切抜きが汚いままだし……。
漏れのJane子ちゃんはいつになったら理想の姿に生まれ変わるんだろう。
VSも変えたほうが良いのかしらん?
452名無しさん@ピンキー:2007/03/23(金) 16:20:27 ID:uGwymcOG
誤爆、マジスマソ
453名無しさん@ピンキー:2007/03/23(金) 18:15:53 ID:q/NBWDGQ
なーんか最近"誤爆"が多いよな
454名無しさん@ピンキー:2007/03/23(金) 19:06:58 ID:d7UT3CFJ
>>453
そう神経質にならずに、速やかに削除依頼をしましょう。
以後気を付けて頂ければいいですしね。
455名無しさん@ピンキー:2007/03/23(金) 19:32:24 ID:U6qYWsDk
みんな忘れてるかも知れんけど、「やや地獄な彼女」の続きを待ち続けている俺ガイル
強烈な逆調教描写とNTRで敬遠されて連載停止状態になっちまったけど、話は面白いと思ってたから、もし気が向いたらでいいんで作者さんにはいつか復帰してもらいたいなあ
復帰の際には頭にちゃんと人を選ぶ描写の警告は忘れないで欲しいが
456名無しさん@ピンキー:2007/03/23(金) 19:34:34 ID:1qRBZ2aX
>>455
そんなのがあったのか・・・・
保管庫見てくる
457名無しさん@ピンキー:2007/03/23(金) 19:38:18 ID:N2859HjO
>>455
クレクレ禁止
これはテンプレにもあるよ
458名無しさん@ピンキー:2007/03/23(金) 19:52:25 ID:2D50N/mD
妄想を受信したので超短編を投下してみる。
仮タイトルは ドウイツジンブツ 。
でもあまり気に入ってないので、まとめサイトに掲載されるときは阿修羅さんにタイトルを
つけて欲しかったり。
459名無しさん@ピンキー:2007/03/23(金) 19:53:45 ID:2D50N/mD
僕はアラン。王国の宮廷錬金術師の見習をやっています。
昨年ついに足掛け20年に及ぶ魔王軍との大戦争が終わりました。
王国を勝利に導いたのはお城に代々伝わる大魔法。
それは複数人の魔術師の魔力を完全に同調させることによって瞬間的な爆発力を生み出すというもの。
簡単に言えば水面にできた波紋同士がぶつかると波の山が大きくなるというあれ。
しかし魔力というもの個人によって波長が変わるため親子や兄弟、双生児すら似ることはあっても
同じものは生まれなかった。
ところがそれを解決したのが今僕の目の前にいる彼女たち、天才宮廷魔術師のモアレだ。

「ねぇアラン、雌豚はほっといて今日は私と一緒に昼食をしましょ?」
「ねぇアラン、泥棒猫は無視して今日は私と一緒に昼食をしましょ?」
「モアレったら頭に蛆が沸いてるみたいね。今度腕の良い安楽死執行人を紹介してあげるわ」
「モアレったらアランに相手にされてないのにストーカーみたい。宮廷警察を呼ぼうかしら」
「「………………」」
『ね、ねぇ、モアレ?』
「「アラン、なぁに?」」
『そ、その、やっぱり、け、ケンカは良くないと思うんだ』
「アランは優しいね。
 でもこんな疫病持ちのドブネズミと居ると病気になるから駆除したほうが良いと思うの」
「アランは優しいね。
 でもこの色情魔は優しさを愛情と勘違いしてるからはっきり言ったほうが良いと思うの」
「「………………」」
『ちょ、ふたりとも、落ち、落ち着こう? ね?』

親子、兄弟、双生児、これらよりもより近い"本人"という存在。
西方魔術だけではなく東方魔術に北方錬金術に南方秘法、それに古今東西南北の宗教秘術や
オーパーツと言われる神々の宝珠まで組み合わせて練り上げた分身魔法で誕生させた存在。

「アランに選ばれなかったビッチさんはさっさと死んでくれませんか?」
「じゃあモアレが死ぬのね。埋葬くらいはしてあげるわ、浮浪者地区のゴミ捨て場に」
「かわいそうに………自分が選ばれる麻薬中毒症状の幻覚を見てるのね」
「アランごめんなさいね今までモアレが鬱陶しかったでしょう?今、駆除するわね」
「「………………天に輝く灼熱の太陽よ、目の前の敵をその劫火によって焼き尽くs」」
『ふ、ふふふふふたりとも攻撃魔法ストップ!ストォォォォォォォッッッップ!!』

どちらもオリジナルでありどんな細かな違いすらもなく。
見た目も性格も趣味や思考どころか僕の愛し方、果ては恋敵への対し方までも同じふたりに迫られて、
僕にどっちを選べと言うのさ…
460名無しさん@ピンキー:2007/03/23(金) 19:55:29 ID:2D50N/mD
姉妹・双子・二重人格・コピーでは飽き足らず、ついに"本人同士による修羅場"を妄想してしまった。
同一人物ならなんでも良かった。
もちろん反省なんかするもんか。
461名無しさん@ピンキー:2007/03/23(金) 19:57:14 ID:d7UT3CFJ
>>457
一応テンプレには「過剰」と書いているので、
そう目くじらを立てずに穏便にね。
462名無しさん@ピンキー:2007/03/23(金) 20:05:58 ID:d7UT3CFJ
>>460
GJ!久しぶりの投下に感激です!
所で質問なんですが、同一人物という事は、
性別はどうなっているんでしょうか!?
463名無しさん@ピンキー:2007/03/23(金) 20:10:32 ID:mh06N6cX
>>460
イイヨイイヨー
最終的に少しずつ差異が生まれてくるとか
その差異の所為で余計に泥沼にハマるとかあれば俺的に超GJ
464名無しさん@ピンキー:2007/03/23(金) 20:28:36 ID:2D50N/mD
>>462
ありがとうございます。
"同一人物"ってのはモアレとモアレが同一人物なわけです。
>>460にあるように近い存在同士による争奪戦を突き詰めたら、
同一人物×2と男による修羅場な妄想電波を受信しました。
性別は書きませんでしたがアランが男、モアレ×2が女です。

>>463
ありがとうございます。
差異も片方だけが進化(?)よりはベクトルを変えた同じ差異だと良さそうですよね。
例えば片方は肉料理が好きになってそれ系の手料理を作り、もう片方は魚料理とか。
465トライデント ◆mxSuEoo52c :2007/03/23(金) 22:16:53 ID:avr619Mt
では投下致します
466水澄の蒼い空 ◆mxSuEoo52c :2007/03/23(金) 22:19:36 ID:avr619Mt
 第32話『選択の時』

 ふと目が覚めた瞬間に俺は深夜に起きた出来事が全てが悪夢で現実は何事もない平穏が続いていればいいと思ったが、
逃避される場所は水澄家のどの場所も存在しないとわかった途端に俺は思わず嘆息を吐いた。
俺の狭いベットに小柄な紗桜が当然ここにいるのが当たり前ですと主張するかのごとく、俺が寝ている左の場所を独占していた。
更にその右側に現在空白の虹葉姉が寝ていたはずが。
今はどこにも見当らなかった。まさか、自分の部屋に戻って寝ているということはありえない。

虹葉姉は一人で寝ることが出来ないためにいつも紗桜が一緒に寝ているからである。
ゆえに紗桜が俺の部屋に寝ることになれば、自動的に虹葉姉がおまけとして付いてくるのだ。
その虹葉姉がどこにもいないので、俺は心配になって温かい布団から抜け出して探すことにした。
 空気はそのものが冷たくて息を吐くだけで白い息が露になる。

今年の冬も寒そうだなぁと階段を降りてリビングに向かうと焦げた匂いが漂ってくる。

 もしや。
 駆け込むと焦げた匂いと煙が充満していて、キッチンを覗くと虹葉姉が朝ご飯らしきものを作っていた。
姉妹の料理を食べると今年の正月は寝正月を過ごすことになるか、新年は病院の寝床で明かすかのどっちかである。

「虹葉姉。何やっているの?」
「月君のために朝食を作ろうとしたんだよ」
「虹葉姉はそんなことしなくていいんだよ。どうせ、作った物は食べられないし」
「ううっ。月君もひどいよぉ〜。せっかく、お姉ちゃんが月君のために必死に作ろうとしてたのに。
うにゃ〜。どうせ、私は料理はヘタクソですよ」
「何で急に朝食を作ろうとしたんだ?」

「だって、紗桜ちゃんが月君に告白したから……かな?」
 その言葉にどのような重い意味が含んでいるのかは俺にわからない。
ただ、虹葉姉は紗桜が俺に告白した事に嬉しいような少し困ったような表情を浮かべていた。
「紗桜ちゃんは見た目通りに気が弱くて人見知りが激しかったんだよ。
月君が水澄家に引き取られた頃なんか全然喋れなかったでしょう? 
その紗桜ちゃんが月君に告白したのって、ずっと見守っていた私からすれば凄い進歩と思うよ。
だから、ちょっと羨ましかった。ううん。かなり羨ましかったよ」
「虹葉姉……」

「あの小さな身体でどこからそんな勇気が湧いてきたんだろうって。
私は今までの家族の関係がとても居心地が良かったから。それにずっと甘えていたんだ。
だって、私と紗桜ちゃんがどちらか一歩を踏み出したなら、もう元の関係に戻れないんだよ。
どんなに悔やんでも悲しんでも、『家族』の関係を取り戻すことができない。
そんなことは紗桜ちゃんもわかっていたのにね……」

 まさか、俺に裸を見られたのが発端だと夢にも思わないだろうね。

「月君だって悪いんだよ。私たちの気持ちを知っているくせに……クリスマスまでに恋人を作るって言うから。
だから、抑えきれなくなっちゃったよ。月君を想う気持ちが溢れだして胸が苦しいよぉ」
 手を胸に当てて、顔全体を朱に染めて、想いを解き放つ。
467水澄の蒼い空 ◆mxSuEoo52c :2007/03/23(金) 22:21:37 ID:avr619Mt

「私は月君のことが好きです。姉としてではなくて。
たった一人の女の子として、月君のことが大好きです。愛しています。
紗桜ちゃんが想っている気持ちの何倍もあなたのことが大好きです」

「俺は……」
「これで壊れちゃったね。大切にしていた家族の関係が……。
ううん。私が私でいられる間に月君に本当の気持ちを告げて良かったよ」
「いつから俺のことが好きだったんだ?」
「うふふっ……。月君は覚えていないと思うけど。あれは月君と距離を置いていた子供の頃にねぇ。
恐い犬に私と紗桜ちゃんが襲われている時に月君が助けてくれた時から。あの日からずっとずっと好きだったよ」
「えっ……犬。犬ねぇ……。あの頃からか」
「そうだよ。紗桜ちゃんもその頃から月君のことが好きだと思うよ」
「そうだったのか……」
「もう、月君は鈍すぎるよぉ〜」

 お互い軽く談笑しながら、虹葉姉の笑みはぴたりと止まる。
現実逃避する時間はもう終わりだと言わないばかりに虹葉姉の表情は陰気になってゆく。
 そうだ。何も終わってはいなかった。

 彼女たちはヤンデレ症候群感染者であり自覚症状もないのである。
今は平然と語っているのは自分たちが平常だと思い込んでいるのだ。
例外は俺が他に恋人を作ったりすると問答無用に症状が進むだけ。
今までは俺が虹葉姉と紗桜が家族の関係を望んでいるから、特に変化はなかったのだが。

 紗桜と虹葉姉が俺に告白することによって、仲のいい姉妹の関係は崩れ去り。
お互いが恋敵となる。だが、深層心理ではお互いを傷つけたくないと思っているから不自然なヤンデレ症候群の症状が出るのだ。

「私、私、紗桜ちゃんを傷つけたくなんてないよぉ……。
でも、独りぼっちは嫌なの。寂しいよぉ……とても悲しいんだよ」

 虹葉姉はその場に座り込んで声を出さずに泣きだした。
たまに嗚咽が漏れるが俺はかける声も見つからないまま、虹葉姉が作ろうとしていた朝食の準備に取り掛かる。
 それしか、俺は気を紛らわす方法なんてなかったからだ。
468水澄の蒼い空 ◆mxSuEoo52c :2007/03/23(金) 22:24:47 ID:avr619Mt
 朝食を作った後に俺は無言で虹葉姉と紗桜を置き去りにして、学校に向かうことにした。
家に居ると二人が俺のために争い事が勃発するのが恐くてたまらなかった。
朝早く来たおかげで教室に辿り着いても、誰も居なかった。
適当に暖房装置のスイッチを入れると冷えた教室が温かくなるまで俺は自分の席でひたすら震えていた。
 その間に考えたのは当然。虹葉姉と紗桜のことであって。
二人の告白に俺がどういう対応すれば物事が上手く行くのか頭の回転を速くしてもいい策は思い浮かばない。
 浮かぶのは、ヤンデレ音羽と同じような惨劇が繰り広げられること。

あの時は催眠術でお茶を濁したが、今回はその手を使うわけにはいかない。
二人はまっすぐに怯えながらも自分の気持ちを伝えてきた。だから、家族として俺は応えなければならない。
 自分の本当の気持ちを。
 だが、どっちを選ぶべきなのかは全く検討がつかなかった。

 学校が賑やかになると静寂を保っていた教室も雑音混じりの音で考え事に集中できない。
俺は暇つぶしに後ろの席にいる花山田に相談事を持ちかけようと思う。

「合コンは中止だ」
「なんですとぉぉぉお……お前は正気なのかよぉ!!」
「相手が集まらなかったら仕方ないだろ。それに合コンに行けない事情も出来たし。今回は大人しく諦めるしかねぇだろ」
「なんてことだ。俺の黄金ハーレム伝説が始まる予定だったのに。ちくしょっ!」
 大物アーティスト全国訪問コンサートのチケット争奪戦に敗北したように花山田は椅子の上で真っ白に燃え尽きていた。
「オレンジよ。そんなお前に朗報だ。俺の心の悩みを相談するカウンセラーの役目をくれてやるぞぃ」
「男の心の悩みなんて一生聞きたくも乗りたくはないが、親友の月なら今日の昼食を奢ってくれるなら受けてやるぜ」
「わかった。奢ってやる」
「ようし。どんな悩みもこの名探偵花山田忠夫が30年以内に解決してみせるぜ」
 30年ってオイw
「これは例えの話なんだがな。仮に男性をLとする。Lは小さな頃から不幸一直線の特急券のキップを
生まれてつき握っている男でな。両親は交通事故で亡くなるは、引き取られた先でいろんな苦労を背負うわと
波乱に満ちた人生を送っていたわけだ。Lはそれでも健気に生きていたんだ」
「ほほう。結構泣ける話だな。ちょっと涙が出てくるぜ」
「ところが同居している美人姉妹というよりは性格が少し破綻しているような姉妹から愛の告白を受けたんだ。

そこでLは嬉しいと思いながら少し困っていたりする。姉と妹。どちらを選んでいいのかわからない。
困ったことに優柔不断でいつまでも悩んでいるわけだよ」

「簡単じゃないかっっ!! そんなこともわからないのかLって奴は」
 珍しく自分に自信に満ちた表情を浮かべている花山田は俺に向かって人差し指を向けた。

「俺だったら両方を取る。姉と妹セットなら大歓迎だ。
 両方を選んで、俺は姉妹丼を頂くぞぉぉぉ!!」

「マジでそんな選択でいいのかよ」
「当然だ。月」
「いや、その辺は世間体とか近所の視線とか気にするのが普通なんじゃあ?」
「全然気にしないっっ!! 俺は退廃的な生活を望む者だ。姉妹丼こそが我が生きとし生きる道。
愚民どもの理解を得るなんて笑止千万!! 法律なんてクソくらえ!!」

 こいつ、人間としては最悪だが。そのバカは俺に対する最高の声援になったよ。
ありがとうバカ野郎。
469水澄の蒼い空 ◆mxSuEoo52c :2007/03/23(金) 22:28:43 ID:avr619Mt
 その後、クラスのホームルームが始まったのだが。
新担任が学校から連絡事項を発表した。
内容は学校全体の男子生徒の死亡者数が四割以上、逮捕されて確実な証拠を経て検察庁から起訴されている女子生徒が
二割以上の生徒が学園内からいなくなったので。
学校側はこれからの事を協議するために今日から学校は休校となり冬休みに入ることを決定したと新担任は連絡を伝えた。
更に午後の7時から政府から重大発表があるので必ず見るように打診されて、俺はしみじみと思った。嘘だろうと……。
 ホームルーム終了後に学校はお開きとなった。事態は更に深刻化となっている。
ヤンデレ症候群感染者による殺害された人は大多数の犠牲者へと上り詰めた。
もはや、政府がさっさとまともな策を打たない限りはこのまま犠牲者は増えてゆく。
最初はたったの一つの修羅場が最終的には世の中の男性を震わせる程に進展しまった。
一人の女性の健気な想いが世界をここまで動かしてしまうことになるとは。

 一体、僕らは何を間違えてしまったのか?

 学校が終わった後、病んでしまった虹葉姉と紗桜が待つ家に帰る気に
ならなかったので俺は冬子さんの家に寄っていた。
二人の症状が再発したこととその後の対応について協議する必要があったからな。
「その必要はありません」
 と、冬子さんはばっさりと俺の提案を否定した。いつもの楽しそうな笑みを浮かべている冬子さんは何の問題がないとはっきりと答えたのだ。
「ヤンデレ症候群ですよ。精神科に強制的に入院して拘束監禁しておかないと俺の命が危ない」
「ダメですよ。月さんにはあの子たちの溢れる想いをまっすぐに受け止めないといけないんです」
「危険だ。危険すぎる。虹葉姉と紗桜が凶器を振りかざして殺し合うことになる。
そんなことになってしまえば……二人とも優しいから傷つくよ」
 互いに姉を想い、妹を想い合っているのだ。
仲の良い姉妹だからこそ、感情に身を任せて殺してしまうと絶対に傷つく。
亡き相手を想って人生の一生を罪という十字架を背負って生きることになるのだ。
そんなことに虹葉姉と紗桜が耐えられるんだろうか。

「私はヤンデレ症候群をそんな危険な病だと思っていませんよ。
元々の修羅場好きだった私だからわかるんです。
病んでしまった女の子たちはただ愛されたかっただけなんです。
想っている相手に自分だけを見て欲しい。常に一緒に居て欲しい。
あの女の元に行くのは絶対に嫌。って普通の女の子なら当然のことですよ。
それを勝手に社会が危険だと勝手な価値観や先入観のおかげでメチャクチャになってしまった」

 楽しげに笑っていた表情は沈んで、冬子さんは自嘲的な笑みを浮かべた。懐かしい過去を語るように冬子さんの重い口を開いた。


「最初のヤンデレ症候群感染者、榊原彩。彼女は不器用な女の子だった。
好きな人に声をかける勇気もなくて、ただ片思いの男の子が彼の幼なじみと帰るのをただ眺めている生活ばかり送っていた。
要領も悪くて貧乏クジばかり引いても笑っていられる強さを持っていた
陰気な彼女の魅力に気付いた片思いの男の子は告白したのよ。
大好きです。僕と付き合って欲しいと。
彼女は人生で最も嬉しい出来事だと喜んでいたのもつかの間。
実はその男と友人グループが賭事で負けた罰ゲームだったのよ。
冗談半分で学年の誰でもいい女の子を選んで嘘の告白する。それが悲劇の引き金だったかもしれません。
 賭事で決められた二週間が過ぎると男の方は彼女を振りました。
健気に彼のために毎日毎日お弁当を作っていたんですが、男は何の躊躇いもなく彼女を捨てました。
 優しくしてくれた。好きと言ってくれた彼の突如の裏切りに戸惑う彼女。
それが嘘だと決め付けた彼女は彼に問い詰めようと家にまでやってくるのですが。
彼女は彼と幼なじみが性行為に没頭している姿を見て茫然と立ち尽くします。その光景を見て、彼女は壊れました」
470水澄の蒼い空 ◆mxSuEoo52c :2007/03/23(金) 22:30:47 ID:avr619Mt
 冬子さんが長々と語っているのは数年前に有名になった女子高校生による刺殺事件の内容だった。
当時はマスコミたちが面白おかしく取り上げていた。

「殺された幼なじみの女の子は無残にも包丁や鋸で何箇所もメッタ刺しにされていた。
激しい憎悪がそうさせたのは理解できないが。この出来事は後の社会に大いなる混乱を与えた。
過熱な報道が毎日取り上げられる中、彼女の真似をする模倣犯が多数に出現し、
それは恋をする女性にとっては大きな力を手に入れた」

「大きな力って……」

「それは、どんな苦況に追い込まれても決して諦めないということ。
例え、愛しい彼が振り向いてくれなくても、執念で彼を振り向かせる。
泥棒猫が彼の隣にいても、躊躇なく排除し、手段を選ばずに彼の心そのものを手に入れることができる。
 可哀想なあの子、榊原彩が体を張って恋する女の子に教えてくれたことなの」

「……」

「女の子はとてもとても一途なんですよ。相手を想う気持ちがたまに暴走するけれど、
本当は誰かを傷つけるつもりはなくて。
ただ、愛しい人に笑っていて欲しかった。喜んで欲しかったんだと思うんです。
今まで感染した女の子たちはただの人殺しさんですか? 
死んでしまった男の子は強すぎる想いを受け取れなかった。
現実から逃げて、知らない振りをして、その果ての終局を迎えただけ。本当は無限大の幸福の道に辿り着けることだってできたのに」

「何事も現実から逃げたらダメなんですね」
「そうですよ。男ならちゃんと受け止めてあげてください。決してどんなに恐ろしくても、逃げないでください」
 冬子さんの考え方と世間の考えたには大きな隔てりがあると思うが、
彼女の真摯なる言葉を聞いていると二流の詐欺に騙されている気もしなくはないが。
いいだろう。俺は冬子さんの助言通りに虹葉姉と紗桜の気持ちを受け止めよう。男らしくな。

「虹葉ちゃんと紗桜ちゃんのことをよろしくお願いします。姉さんの子供たちをどうか幸せにしてあげてください。
叔母の私から一生に一度のお願いです」

「任せてくれ。あの二人は俺が幸せにしてみせる」
「ありがとう」

 それは新たな誓いであり、俺の胸に刻み付けられた重い重い約束ごとだった。

 家に帰路を着く道で俺は楽しいことを思いついた。
 今日、ホームパーティを開催しよう。
 落ち込んでいる虹葉姉と紗桜が笑顔一杯になるまで俺が騒いでやる。
 寄り道をするために俺の足はスーパーへと向かった。
471トライデントd123:2007/03/23(金) 22:32:50 ID:avr619Mt
以上 投下終了です。
472トライデント ◆mxSuEoo52c :2007/03/23(金) 22:36:14 ID:N2859HjO
以上 投下終了です。
473トライデント ◆J7GMgIOEyA :2007/03/23(金) 22:37:07 ID:avr619Mt
とりあえず、トリップ変更しておきます。
474名無しさん@ピンキー:2007/03/23(金) 22:42:16 ID:U6qYWsDk
>>472
GJGJ!
もうすぐクライマックスなのかな?
だんだん話の起伏が大きくなってきて、オラなんだかワクワクしてきたぞ!
475トライデント ◆mxSuEoo52c :2007/03/23(金) 22:42:38 ID:YuYu9EIo
>>473は偽者です。私の名前を騙らないで下さい。
476名無しさん@ピンキー:2007/03/23(金) 22:44:00 ID:4q2dMHO/
なんでIDが違うんだ?
477名無しさん@ピンキー:2007/03/23(金) 22:44:17 ID:U6qYWsDk
違う>>473
トライデント氏ほんとすいません
478 ◆mxSuEoo52c :2007/03/23(金) 22:49:06 ID:XXNJzfy5
te
479名無しさん@ピンキー:2007/03/23(金) 22:52:15 ID:jMbR4PB3
480名無しさん@ピンキー:2007/03/23(金) 22:53:22 ID:mh06N6cX
>>473
GJ。
話は終盤に向けて加速してきたモヨリ
最後まで期待してます
481名無しさん@ピンキー:2007/03/23(金) 22:55:00 ID:UOgDks+w
わざとやってるように見えないでもない
482名無しさん@ピンキー:2007/03/23(金) 22:59:05 ID:uGwymcOG
トラ氏、『#』を忘れて書き込む
 ↓

それを見て>>472が勝手にトリをつけて「以上 投下終了です。」と発言
 ↓

トラ氏、トリ変更
 ↓

次は>>457がトリをつけてトラ氏を「偽者」扱い
 ↓
     ←今このへん?
 ↓
荒らしが目をつけて混沌へ導くような発言を残す
483名無しさん@ピンキー:2007/03/23(金) 23:01:47 ID:Am0zAZSp
うん。さっそくヤンデレスレに来たよ。
484名無しさん@ピンキー:2007/03/23(金) 23:03:49 ID:U6qYWsDk
よーし状況確認終了
あとは各自スルーに徹しろー
485名無しさん@ピンキー:2007/03/23(金) 23:06:59 ID:d7UT3CFJ
>>476
>>479
>>481
皆さん>>482が仰る通り>>472は悪質な荒らしです。
トライデント氏は>>473にトリップを変更したので注意して下さい。
486名無しさん@ピンキー:2007/03/24(土) 02:14:43 ID:bj4f8Utr
これは阿修羅さんに知らせておくべきかな。
今までの作品の表記にも関わるかも知れないし。
487名無しさん@ピンキー:2007/03/24(土) 02:21:19 ID:1oWk9KN7
ほんと、スレ止めてくれるよな
488名無しさん@ピンキー:2007/03/24(土) 03:35:11 ID:RlxTWn2g
GJ
>女の子はとてもとても一途なんですよ。
のくだりがすごくよかった。
今までヤンデレ症候群の部分は微妙だと思ってたけどこれからは好きになれそうだ。
結末に期待。
489やや地獄な彼女(ヤマグチ篇):2007/03/24(土) 03:43:48 ID:4VFBUCJ+

投稿します。
490やや地獄な彼女(ヤマグチ篇):2007/03/24(土) 03:46:52 ID:4VFBUCJ+

 最近、気が付けば、柴田君を眼で追っている私がいます。

 彼を見ていると、何だかとても落ち着くのです。
 彼の声を聞いていると、何だかとても安心できるのです。
 彼と話をしていると、何だかとても楽しいのです。
 理由は分かりません。

……いえ、本当のところは、大方の予想はついているのですが、認めたくない私がいるのです。

 それを認めてしまうと、自分の中で、何かが終わってしまうような気がするからです。
 何故でしょう?
 私が、腐女子だからでしょうか?
 それとも、男性恐怖症だからでしょうか?

……いえ、実を言うと、この疑問に対する解答も、ちゃんと分かっているのです。

 私は恐れているのです。
 親友のはずの、落合静香という女性を。

 以前、落合さんの家で、次の期末テストの勉強会をした時、彼女がトイレに立った合い間に、私は彼から聞いてしまったのです。
 かつて“血のヴァレンタインデー”と呼ばれ、学園全体を震撼させたドッキリ事件があったそうです。
 その被害者は、柴田遼太郎。
 その映像は、フられる直前から、企画者と思しき放送部員を柴田君がKOする瞬間まで含めて、見事に編集されてネットでばらまかれ、諸方面に様々な反響を呼んだそうです。
 そして、柴田君が言うには――その無修正版の画像データを、落合さんが持っているんだそうです。
 画像データは4種類。つまり4台のカメラから撮影したリアルタイム映像が全て、彼女のパソコンのデータベースに入っていたのだ、と。
 もしそうなら、“血のヴァレンタインデー”のスタッフの中に落合さんがいた、ということになります。
 いや、スタッフにいたどころではありません。企画立案、いやいや、まさかとは思いますが、編集を手がけたのも彼女自身かもしれないのです。
491やや地獄な彼女(ヤマグチ篇):2007/03/24(土) 03:48:46 ID:4VFBUCJ+

 彼は非常にショックを受けたそうです。
 何故なら、事件の後に女性不信に喘ぎ、半ば鬱化していた彼を、再び日常生活を送れるまでにケアしてくれたのは、落合さん本人だったからだそうです。

「静香を疑いたくない」
 彼は、そう言っていました。
 でも、疑いたくないからこそ、その疑惑は留まるところを知らずに広がってしまう。
 それが怖いのだ、とも。

 でも私には、分かるのです。
 彼女は、ただひたすらに、柴田君を独占したかっただけなのでしょう。
 彼を慰め、自分以外の女性は全て信じるに価しない、彼の心にそう刷り込ませるための、壮大なる狂言だったのでしょう。
 彼にブン殴られた放送部員こそ、いいツラの皮だというべきでしょうか。
 ハッキリ言って、そこまでムチャクチャな行動力と独占欲、そして計画性を持った人を、私は二次元以外では知りません。
 
 つまり、柴田君に対する好意を自認してしまうということは、少なくとも、そんな落合さんを敵に回すということなのです。

 しかし、先手を取られたのは、やはりというか、何というか、私でした。
492やや地獄な彼女(ヤマグチ篇):2007/03/24(土) 03:52:15 ID:4VFBUCJ+

「あれぇ〜〜、誰かアタシのサイフ知らない?」
 体育の後の着替えの時間、クラスメートの素っ頓狂な声が教室に響き渡りました。
 うちの学校の体育の授業は、2クラス合同が常で、1組の男子は2組の教室で、2組の女子は1組の教室で着替える事になっています
 サイフが無いと言い出したのは、我がクラスで“頼ちゃん”と呼ばれている、いわゆるドジっ娘で、
最初はみんな『やれやれ』とか『またなの』とか、そんな他人事な口調だったのですが……。

「ちょっと、ホントに見つかんないんだって!! みんな頼むから探すの手伝ってよっ!」
 頼ちゃんが泣き声をあげ始めると、その場にいた女子たちはみな呆気に取られ、
「頼ちゃん、そのサイフって、いくら入ってたの?」
「12万とちょっと……昨日、バイトの給料日だったから」
 金額を聞くに及んで、ようやく事態がシャレになっていない事に気付いたのです。

「ちょっ……、マジっ!?」
「何で貴重品係りに預けなかったのよ!?」
「わすれてたの……」
「アンタ、バカじゃないの!?」
「そんなこと言ってる場合じゃないよっ、早く探さなきゃっ!!」

 こういう時にリーダーシップを取るのは、やはり落合さんで、サイフの特長やメーカーなどを、ぐずつく頼ちゃんから聞き出し、
ついでに廊下で待っている男子たちも教室に入れ、捜索を開始したのです。

 しかし、サイフは見つかりません。
 そうこうする間にチャイムが鳴り、次の授業の先生が来たのですが、幸いな事に、その先生は我が組の担任だったので、
自習という名目で、サイフを探し続けたのですが……。

 次の瞬間、私は心臓がぶっ飛びそうになりました。
 何の気もなしに覗いた自分の机の中に、何とそれっぽい物体があったのです。
 まさかと思って、手を突っ込んで取ってみると、……案の定、それが例のサイフでした。
493やや地獄な彼女(ヤマグチ篇):2007/03/24(土) 03:55:14 ID:4VFBUCJ+

「あれ、ヤマグチが持ってるサイフって、それ頼ちゃんのじゃないの?」

 突然、背中から声をかけられて、振り向くと同時に私は、思わずそのサイフを背中に隠してしまいました。
「ちょっと、何隠してんのよ、見せなさいよ」
 その女の子の声で、他のクラスメートもこっちを振り向き、瞬く間に誤魔化せなくなってしまいました。

 私は仕方なく、
「あの、これ、――頼ちゃんのサイフだよね?」
 おそるおそるサイフを出すと、
「あああ、これだよぉ!! あった、あった、ありがとぉぉヤマグチっっ!!」
「……うん、よかったね」
「助かったよぉ、で、コレどこにあったの?」
「……」
 いま私にとって最も痛い質問を、彼女は無造作にしてきます。
 だからといって、もはや嘘はつけません。
 私が机からサイフを取り出したところを、クラスの女子に見られてしまっているのですから。
「私の……机の中……」

「ちょっと待ちなさいよっ、それってヤマグチ!」
「あんたがサイフ盗んだってことぉ?」
 私の周囲にいた女子たちが、一斉に騒ぎ始めます。
「おいおい、まじかよヤマグチ」
「お前、見かけによらねえなぁ〜」
 男子たちも騒ぎ始めます。

「違いますっ、違うんですっ! 私も知らないんですっ! 知らない間に机に入ってたんですっっ!!」
 たまらなくなって、周囲を見回します。
 私を見つめるクラスメートの視線、視線、視線!
 或いは疑惑の、
 或いは好奇の、
 或いは白眼の、
 或いは驚愕の。

 私も可能な限り声を張り上げます。
 もう、この場で私を庇ってくれるのは、私しかいなかったのだから。
「信じて下さいっ!! 本当なんです! 本当に私は知らないんですっ!」
「嘘つきなさいよっ!」
「予想以上に大騒ぎになって、引っ込みがつかなくなったから、こんな小芝居で誤魔化そうとしてるだけでしょう!」
「違いますっ!」

「――もうその辺にしといてやれよ」
494名無しさん@ピンキー:2007/03/24(土) 03:59:51 ID:KTGELaUw
保守
495やや地獄な彼女(ヤマグチ篇):2007/03/24(土) 04:00:29 ID:KTGELaUw
彼は非常にショックを受けたそうです。
 何故なら、事件の後に女性不信に喘ぎ、半ば鬱化していた彼を、再び日常生活を送れるまでにケアしてくれたのは、落合さん本人だったからだそうです。

「静香を疑いたくない」
 彼は、そう言っていました。
 でも、疑いたくないからこそ、その疑惑は留まるところを知らずに広がってしまう。
 それが怖いのだ、とも。

 でも私には、分かるのです。
 彼女は、ただひたすらに、柴田君を独占したかっただけなのでしょう。
 彼を慰め、自分以外の女性は全て信じるに価しない、彼の心にそう刷り込ませるための、壮大なる狂言だったのでしょう。
 彼にブン殴られた放送部員こそ、いいツラの皮だというべきでしょうか。
 ハッキリ言って、そこまでムチャクチャな行動力と独占欲、そして計画性を持った人を、私は二次元以外では知りません。
 
 つまり、柴田君に対する好意を自認してしまうということは、少なくとも、そんな落合さんを敵に回すということなのです。

 しかし、先手を取られたのは、やはりというか、何というか、私でした。
496やや地獄な彼女(ヤマグチ篇):2007/03/24(土) 04:01:15 ID:KTGELaUw

 最近、気が付けば、柴田君を眼で追っている私がいます。

 彼を見ていると、何だかとても落ち着くのです。
 彼の声を聞いていると、何だかとても安心できるのです。
 彼と話をしていると、何だかとても楽しいのです。
 理由は分かりません。

……いえ、本当のところは、大方の予想はついているのですが、認めたくない私がいるのです。

 それを認めてしまうと、自分の中で、何かが終わってしまうような気がするからです。
 何故でしょう?
 私が、腐女子だからでしょうか?
 それとも、男性恐怖症だからでしょうか?

……いえ、実を言うと、この疑問に対する解答も、ちゃんと分かっているのです。

 私は恐れているのです。
 親友のはずの、落合静香という女性を。

 以前、落合さんの家で、次の期末テストの勉強会をした時、彼女がトイレに立った合い間に、私は彼から聞いてしまったのです。
 かつて“血のヴァレンタインデー”と呼ばれ、学園全体を震撼させたドッキリ事件があったそうです。
 その被害者は、柴田遼太郎。
 その映像は、フられる直前から、企画者と思しき放送部員を柴田君がKOする瞬間まで含めて、見事に編集されてネットでばらまかれ、諸方面に様々な反響を呼んだそうです。
 そして、柴田君が言うには――その無修正版の画像データを、落合さんが持っているんだそうです。
 画像データは4種類。つまり4台のカメラから撮影したリアルタイム映像が全て、彼女のパソコンのデータベースに入っていたのだ、と。
 もしそうなら、“血のヴァレンタインデー”のスタッフの中に落合さんがいた、ということになります。
 いや、スタッフにいたどころではありません。企画立案、いやいや、まさかとは思いますが、編集を手がけたのも彼女自身かもしれないのです。
497やや地獄な彼女(ヤマグチ篇):2007/03/24(土) 04:01:44 ID:4VFBUCJ+

 柴田君が、そこにいました。
「何かお前ら、無理やり山口さんに罪を被せようとしてるみたいだぜ」

 その一言で、私に詰め寄ってきていた女子たちは、何も言えなくなってしまったかのようでした。
「アンタ、ハメられたんだよ山口さん。そうでなきゃあ、あんな挙動不審なうろたえ方はできないさ」
「いい加減なこといわないでよっ!!」
「だったら、一体誰が、そんな事したって言うのよっ!?」

 女の子たちが、再び騒ぎ始めます。
 その時になって、私は初めて思い当たりました。
 私に、こういう疑いをフッかける心当たりのある人物……。
 彼の前で私のイメージを破壊し、おとしめようとする人物……。

――落合静香!?
 まさか、まさか、でも、でも、……あり得る! 幼馴染みを罠にハメてまで独占しようとする落合さんなら、最近、妙に柴田君と仲良くなった私を、こんな目に遭わせるくらいはやりかねない!!


「オレだよ」
「「「はぁっ!!?」」」

 声を立てたのは、私を包囲していた3人の女子。
 でも、クラス中の眼が柴田君を見ていました。

――おい、何だそりゃ!?
―― 一体、どういう事なの?
――シバ遼のヤツ、とち狂ったんか?

 そういう声なきハテナマークが、クラスメート全員の頭に浮かんでいた事でしょう。
 勿論、私も例外ではありません。
 彼が何を言いたいのか、サッパリ分からなかったのです。
 少なくとも、この時点では。

「なに言ってるんだよ遼くん!! キミがサイフなんか盗むわけ無いじゃないかっ!?」
 落合さんが、この異常事態に声を張り上げます。
 しかし、柴田君は軽く流します。
「ああ、勿論サイフなんざパクっちゃいねえさ。オレはただ、拾ったサイフをこいつの机に突っ込んだだけだ」
498やや地獄な彼女(ヤマグチ篇):2007/03/24(土) 04:02:01 ID:KTGELaUw
「あれ、ヤマグチが持ってるサイフって、それ頼ちゃんのじゃないの?」

 突然、背中から声をかけられて、振り向くと同時に私は、思わずそのサイフを背中に隠してしまいました。
「ちょっと、何隠してんのよ、見せなさいよ」
 その女の子の声で、他のクラスメートもこっちを振り向き、瞬く間に誤魔化せなくなってしまいました。

 私は仕方なく、
「あの、これ、――頼ちゃんのサイフだよね?」
 おそるおそるサイフを出すと、
「あああ、これだよぉ!! あった、あった、ありがとぉぉヤマグチっっ!!」
「……うん、よかったね」
「助かったよぉ、で、コレどこにあったの?」
「……」
 いま私にとって最も痛い質問を、彼女は無造作にしてきます。
 だからといって、もはや嘘はつけません。
 私が机からサイフを取り出したところを、クラスの女子に見られてしまっているのですから。
「私の……机の中……」

「ちょっと待ちなさいよっ、それってヤマグチ!」
「あんたがサイフ盗んだってことぉ?」
 私の周囲にいた女子たちが、一斉に騒ぎ始めます。
「おいおい、まじかよヤマグチ」
「お前、見かけによらねえなぁ〜」
 男子たちも騒ぎ始めます。

「違いますっ、違うんですっ! 私も知らないんですっ! 知らない間に机に入ってたんですっっ!!」
 たまらなくなって、周囲を見回します。
 私を見つめるクラスメートの視線、視線、視線!
 或いは疑惑の、
 或いは好奇の、
 或いは白眼の、
 或いは驚愕の。

 私も可能な限り声を張り上げます。
 もう、この場で私を庇ってくれるのは、私しかいなかったのだから。
「信じて下さいっ!! 本当なんです! 本当に私は知らないんですっ!」
「嘘つきなさいよっ!」
「予想以上に大騒ぎになって、引っ込みがつかなくなったから、こんな小芝居で誤魔化そうとしてるだけでしょう!」
「違いますっ!」

「――もうその辺にしといてやれよ」
499名無しさん@ピンキー:2007/03/24(土) 04:02:56 ID:KTGELaUw
柴田君が、そこにいました。
「何かお前ら、無理やり山口さんに罪を被せようとしてるみたいだぜ」

 その一言で、私に詰め寄ってきていた女子たちは、何も言えなくなってしまったかのようでした。
「アンタ、ハメられたんだよ山口さん。そうでなきゃあ、あんな挙動不審なうろたえ方はできないさ」
「いい加減なこといわないでよっ!!」
「だったら、一体誰が、そんな事したって言うのよっ!?」

 女の子たちが、再び騒ぎ始めます。
 その時になって、私は初めて思い当たりました。
 私に、こういう疑いをフッかける心当たりのある人物……。
 彼の前で私のイメージを破壊し、おとしめようとする人物……。

――落合静香!?
 まさか、まさか、でも、でも、……あり得る! 幼馴染みを罠にハメてまで独占しようとする落合さんなら、最近、妙に柴田君と仲良くなった私を、こんな目に遭わせるくらいはやりかねない!!


「オレだよ」
「「「はぁっ!!?」」」

 声を立てたのは、私を包囲していた3人の女子。
 でも、クラス中の眼が柴田君を見ていました。

――おい、何だそりゃ!?
―― 一体、どういう事なの?
――シバ遼のヤツ、とち狂ったんか?

 そういう声なきハテナマークが、クラスメート全員の頭に浮かんでいた事でしょう。
 勿論、私も例外ではありません。
 彼が何を言いたいのか、サッパリ分からなかったのです。
 少なくとも、この時点では。

「なに言ってるんだよ遼くん!! キミがサイフなんか盗むわけ無いじゃないかっ!?」
 落合さんが、この異常事態に声を張り上げます。
 しかし、柴田君は軽く流します。
「ああ、勿論サイフなんざパクっちゃいねえさ。オレはただ、拾ったサイフをこいつの机に突っ込んだだけだ」
500名無しさん@ピンキー:2007/03/24(土) 04:03:54 ID:KTGELaUw
500get
501やや地獄な彼女(ヤマグチ篇):2007/03/24(土) 04:05:12 ID:4VFBUCJ+

 その瞬間、教室は騒然となりました。
「おい、うるさい! 黙れ黙れ!!」
 その時になって、ようやく担任の先生が、みんなに代わって柴田君の前まで来ました。

「――柴田」
「はい」
「一応訊くが、何でそんなマネをした?」
「ん〜〜、何でって言われてもなぁ」
「理由も無く、こんなことをしたってのか」
「……オレね、アイツのことキライなんですよ」

 今度は、誰も声すら立てませんでした。
 先生の右ストレートが、柴田君の頬をとらえ、そのまま教室の後方の人垣まで、彼はフっ飛ばされてしまったからです。
「柴田……ちょっと進路指導室まで来い……!!」
 先生が怒りを無理やり抑えた声で言い捨てると、柴田君の胸倉を掴んで立たせ、そのまま二人は教室を出て行ったのです。

「ちょっと待ってよ! 先生、何かの間違いだよっ!! 遼くんがそんな事するわけ――」

 ようやく自我を取り戻した落合さんが、2人の後を追おうとして、その時初めて、私を振り返りました。
――それこそ、物凄い殺気に満ちた眼差しで。
 そして彼女は、教室を出て行きました。

 その瞬間、私はようやく分かったのです。
 柴田君が、自ら汚名を着ることで私を救ってくれたのだ、ということが。
 私を守るために、あえて先生を怒らせ、殴られて見せたのだということが。

 もう身体に力が入らない状態でした。
 私はすとん、と椅子に腰を降ろし、胸を抑えて懸命に涙を堪えようとしました。

 それは、私の中で彼への好意が、ハッキリとした“恋”に変わった瞬間でした。
502やや地獄な彼女(ヤマグチ篇):2007/03/24(土) 04:05:52 ID:KTGELaUw
投下終了
503やや地獄な彼女(ヤマグチ篇):2007/03/24(土) 04:06:49 ID:KTGELaUw
 その瞬間、教室は騒然となりました。
「おい、うるさい! 黙れ黙れ!!」
 その時になって、ようやく担任の先生が、みんなに代わって柴田君の前まで来ました。

「――柴田」
「はい」
「一応訊くが、何でそんなマネをした?」
「ん〜〜、何でって言われてもなぁ」
「理由も無く、こんなことをしたってのか」
「……オレね、アイツのことキライなんですよ」

 今度は、誰も声すら立てませんでした。
 先生の右ストレートが、柴田君の頬をとらえ、そのまま教室の後方の人垣まで、彼はフっ飛ばされてしまったからです。
「柴田……ちょっと進路指導室まで来い……!!」
 先生が怒りを無理やり抑えた声で言い捨てると、柴田君の胸倉を掴んで立たせ、そのまま二人は教室を出て行ったのです。

「ちょっと待ってよ! 先生、何かの間違いだよっ!! 遼くんがそんな事するわけ――」

 ようやく自我を取り戻した落合さんが、2人の後を追おうとして、その時初めて、私を振り返りました。
――それこそ、物凄い殺気に満ちた眼差しで。
 そして彼女は、教室を出て行きました。

 その瞬間、私はようやく分かったのです。
 柴田君が、自ら汚名を着ることで私を救ってくれたのだ、ということが。
 私を守るために、あえて先生を怒らせ、殴られて見せたのだということが。

 もう身体に力が入らない状態でした。
 私はすとん、と椅子に腰を降ろし、胸を抑えて懸命に涙を堪えようとしました。

 それは、私の中で彼への好意が、ハッキリとした“恋”に変わった瞬間でした。
504やや地獄な彼女(ヤマグチ篇):2007/03/24(土) 04:08:47 ID:KTGELaUw
投下終了
次回もヤマグチ篇です
505やや地獄な彼女(ヤマグチ篇):2007/03/24(土) 04:10:45 ID:4VFBUCJ+
以上です。
途中、やや混乱しちゃいました。
490〜493、497〜500という順番です。
506やや地獄な彼女(ヤマグチ篇):2007/03/24(土) 04:17:51 ID:4VFBUCJ+
ID:KTGELaUwさんへ。
人の投稿の邪魔をして楽しいですか?
507名無しさん@ピンキー:2007/03/24(土) 04:23:46 ID:RlxTWn2g
>>505
GJ
落合さんの超進化にwktk。
荒らしにはスルー推奨。
あとトリつけてもらえると本物が分かりやすくて助かる。
508やや地獄な彼女(ヤマグチ篇):2007/03/24(土) 04:27:12 ID:4VFBUCJ+
すいません。
ID:KTGELaUwさんに邪魔されたんで、もう一回順番書きます。
490〜493、497、501の順番です。
レスを無駄に消費する形になって申し訳ありません。
509名無しさん@ピンキー:2007/03/24(土) 04:32:12 ID:KTGELaUw
>>508
割り込みスマソw
510名無しさん@ピンキー:2007/03/24(土) 04:33:38 ID:iFv2p0Sn
依頼してきた
511名無しさん@ピンキー:2007/03/24(土) 04:38:26 ID:iFv2p0Sn
以降荒らしのネタは本スレで
ここで言ってもご覧のとおり喜ばれるだけなので
512名無しさん@ピンキー:2007/03/24(土) 05:31:13 ID:eu8CZMR+
違う板の違うスレに、ここのゴタゴタを当然のように持ち込もうとする神経が理解できない。
本スレだってSSはなくても、ここのゴミ箱じゃねーぞ?
他でやりたきゃおまいさんが掲示板でも特設しろよ
513名無しさん@ピンキー:2007/03/24(土) 06:14:28 ID:hvX5T61i
本スレ本スレ言ってる奴が拍車を掛けてに空気を悪くしている
514名無しさん@ピンキー:2007/03/24(土) 08:04:04 ID:YQU8Uaa9
>>512
>>513
確かに、本スレはゴミ箱では無いので、何でも押しつけるのではなく、
出来るだけ対処を行って、互いに上手く共存していきましょう。
>>510
速やかな対処有難う御座います。
これからもこの調子で一緒に頑張りましょう。
>>508
やっぱり私はヤマグチ派です!!
これからの展開にwktkしてますので、
荒らしにまけず頑張って下さい!!
515名無しさん@ピンキー:2007/03/24(土) 09:29:21 ID:u9MNs2co
なんかなあ。嫉妬を愛でるんじゃなくて囲うスレになったな。
516名無しさん@ピンキー:2007/03/24(土) 09:37:14 ID:aIu4xZhD
>>508
GJ!
落合さんの気合の入った手口にwktkが止まらんわ
517名無しさん@ピンキー:2007/03/24(土) 11:34:05 ID:hQM6V2+S
>>506
まあまあ、落ち着いて。スルー推奨。
少しでも反応したら荒らしがさらに調子付きますよ。
私にとってはあなたが復活してくれた事が一番嬉しいです。GJ!!

なるほど。血のヴァレンタインデーは、後で慰める為のマッチポンプだったんですな。
518名無しさん@ピンキー:2007/03/24(土) 11:53:21 ID:yzYXcsp2
で、荒らしのコメントは徹底的に削除依頼を出そうと思っているのですが
誰かやり方を教えてもらえませんか?

投稿途中の書き込みは嫌がらせとして徹底的に削除したいのですが
519名無しさん@ピンキー:2007/03/24(土) 12:14:43 ID:YQU8Uaa9
>>518
>>233のリンク先に行き、ガイドラインを良くんで行って下さい。
他人のレスを消すわけですから、
慎重かつ冷静な判断をお願いします。
520名無しさん@ピンキー:2007/03/24(土) 12:15:18 ID:bj4f8Utr
非現実的。運営はそこまで当てに出来ない。
だいたいその程度の煽りにカリカリするなよ。もっと18歳以上らしく振舞おうぜ。
どうしても許せないのなら専ブラ入れて弄ればいい。快適だぞ。
521名無しさん@ピンキー:2007/03/24(土) 12:16:55 ID:hQM6V2+S
>>519
そこは大丈夫だと思うよ。
俺も別の板で、割り込みで投稿中の作品をコピペされた事あったけど、
ちゃんと削除してもらえたし。
522名無しさん@ピンキー:2007/03/24(土) 12:39:55 ID:UZNiKahp
削除依頼出してる人レス斜め読みして判断してないかな?
安価壊れてたひとまで嵐扱いされてるし。
523名無しさん@ピンキー:2007/03/24(土) 13:31:37 ID:Z6aG/rXQ
もう荒らしもなりふり構ってないんだろうね
対策は客観的に見守ってスルーし続けること
524名無しさん@ピンキー:2007/03/24(土) 14:21:39 ID:evsI7CmO
んまぁ作者さんのIDを抽出して読めばおk
525 ◆kNPkZ2h.ro :2007/03/24(土) 14:39:37 ID:UIL5bFFq
「両手に嫉妬の華を」、投下します。
連続投稿に引っかかるかもしれませんが「投下終了」は書き込みますので。
526両手に嫉妬の華を ◆kNPkZ2h.ro :2007/03/24(土) 14:41:12 ID:UIL5bFFq
 あたしが…佐藤早苗が仲川信悟に出会ったのは中三の時だ。

 自意識過剰と思われるかもしれないが、あたしは結構モテる部類の人間らしい。
 小さい頃から親を始めとした周りの人間から「可愛い」と言われ持て囃されてきた。
 その時はまだ幼かったから、ただ漠然と褒められているという事を嬉しいと感じる位だった。
 周りの女の子より少し容姿が良いだけ、その程度に捉えていた。
 その意識に大きな変化が訪れたのは中学に入ってからだ。
 いわゆる思春期というその時期に、他の女子同様あたしの体つきは急速に発達していった。
 今まで絶壁に近かった胸が数ヶ月で山形になった時には驚きを通り越して戸惑いすら感じた。
 体だけでなく、顔からも自然と昔の幼さは綺麗さっぱり抜け落ちていった。
 中学生ながらも街中を歩いていると時々芸能プロダクションのようなものに誘われていた事を
 考えると、既にその時あたしの容貌は大人の雰囲気を醸し出すまでになっていたようだ。
 周りからの羨望の眼差しを受けていく内、あたしは段々と自信を持つようになっていった。
 傲慢にも自分は『特別』な存在なのだと思うようになっていった。
 勿論嫌な人間だと思われないようにそれを友達には隠していた。
 友達と表面上は対等目線で付き合いながらも、心の内では今思えば自分でも信じられない程
 汚い言葉を吐いていた。
 そんな風に女子を見下していたあたしが男子を見下すようになるのにそう時間は要さなかった。
 信じられないかもしれないが、あたしの通う中学にはあたしのファンクラブが存在していた。
 勿論正規のクラブではなく、有志が勝手に集まって談義する同好会のようなものだ。
 それでも、有頂天になっていたあたしの自尊心を満たすには十分過ぎる事態だった。
 何も言わないのに男子が勝手に昼飯を奢ってくれる、何も言わないのに男子が勝手に荷物持ちに
 なってくれる、そんな漫画でしか見た事のないような限りなく非日常に近い日常の連鎖は、
 あたしの心を占める唯我独尊の思いを決定付ける事になった。
 男子は全員”あたしの”虜、今聞いたら恥ずかし過ぎるような事も平気で考えていた。
 この頃からあたしは男子と積極的に付き合い始めるようにもなった。
 自分の言う事なら何でも聞いてくれる存在は、お姫様気分にしてくれる最高の玩具だったのだ。
 適当に遊んで適当に捨てる、そんな親が聞いたら泣くような事を平気で幾度となく続けてきた。
 そういった事をする事に関して罪悪感は欠片もなかった。
 だって、当時のあたしからすれば、自分はそういう事をしても許される『特別』なのだから。

 そんなあたしが自分の馬鹿さを思い知らされるようになるのは中学生最後の年だった。
 受験シーズンも乗り越え、無事志望校に受かったあたしは、当時の彼氏の下へと遊びに行った。
 しかしその彼の家の前で見たのは、彼が見知らぬ別の女と熱いキスを交わしている場面だった。
 この時あたしは腹の底から怒りが込み上げた。
 その怒りが彼氏へのものだった事から推測するに、嫉妬という感情を抱いていた訳ではない。
 多分その怒りは、自分の掌の上で踊っていなければならないはずの人間が自分以外の者に愛を
 囁いているという事実に、根底にあった自尊心を傷付けられた故のものだろう。
 その場であたしは烈火の如く怒声を上げた。
 近所迷惑なんて考えず、彼に罵声を浴びせ続けた。
 最初はあたしが一方的に攻勢態度を取っていたが、あたしが彼にその場での土下座を要求すると
 次第に彼の表情は曇り、反論してくるようになったのだ。
 自分が浮気したくせに逆ギレしている彼に憤りを感じたあたしは何度も汚い言葉を言い続けた。
 そんな近寄り難い雰囲気を発している口論の最中、彼は決定的な事を言いつけてきた。

 「お前の女王様気取りの態度うぜぇんだよっ!!!
  そのくせヤラせてくれねぇしよ! うんざりなんだよっ!!!!!」
527両手に嫉妬の華を ◆kNPkZ2h.ro :2007/03/24(土) 14:42:12 ID:UIL5bFFq
 その一言は、今まで築いてきた『自信』を粉々に打ち砕いた。
 初めて男子に裏切られたという事実、そして、”ヤラせてくれない”という一言が
 あたしの胸に悲しみの雨を降らせた。
 あたしは気付いていなかったのだ、男子の本心に。
 少し考えればすぐに分かるその真実に気付けなかったのは、あたしが慢心していたからだろう。
 つまり、男子は『あたし』ではなく、”あたしという『像』”に興味があっただけなのだ。
 あたしの『心』には毎日肩をぶつけ合う通勤者のように目を向けようともしていなかったのだ。
 思春期真っ盛りの男子が、自分とは違う体つきの女子に性的魅力を感じるなんて当然の事だ。
 それに、内心で相手を罵るような卑怯者の心を好くような者なんている訳がない。
 そんな当たり前の事にようやく気付き、更に自分の心の醜さを再認識するというダブルパンチを
 受けたあたしは、その場で今の心模様を体言化するように泣き叫ぶ事しか出来なかった。

 その後、あたしは泣いているところを数人の友達に発見された。
 カラオケボックスへと移動し、そこで泣いている理由について静かに問われた。
 その友達たちが真剣な眼差しで心配してくれている事が分かれば分かる程あたしは辛くなった。
 こんなに親身に、さも自分の事のように接してくれている友達を自分は見下していたのだ。
 自分を『特別』な存在だと妄信し、心の内で卑下し続けていたのだ。
 そんな自分が気遣いを受ける資格なんてないと自覚していたからあたしは頑なに開口を拒んだ。
 しかし、友達があたしに掛けてくる優しい言葉は残酷にあたしの心の堤防を崩していった。
 どんなに高圧的な態度を取っても文句一つ言わず心配してくれている友達を見て、
 こんな友達を裏切るような事をしてはいけないんだとやっと理解した。
 だからあたしは、嫌われるのを厭わず自分の心の内を全て話した。
 今まで自分たちが馬鹿にされてきた事を知ったらきっと皆離れていってしまう、それでも
 話さなければならない、今まで皆を騙し続けてきた事への『ツケ』なんだと言い聞かせ話した。
 軽蔑されると思った、しかし友達皆はあたしの話を遮る事なく最後まで黙って聞いてくれた。
 そして、目が腫れ上がっても尚泣き止まないあたしにそっとマイクを添えてくれた。
 この時あたしは、自分の愚かさを痛感すると共に、友達の温かみを思い出した。
 小さい頃は確認しなくても根底に『基本』として根付いていた人間としての華の手入れを、
 いつの間にか奢りで怠ってしまっていた事を深く反省した。
 そして、こんなにも優しい友達たちに心から感謝した。
 あたしの醜い心の内を知って尚あたしと付き合ってくれる意思を示してくれた事に感動した。
 あたしは忘れかけていた大切な想いを取り戻す事が出来た。
 その後、あたしたちは皆で喉が潰れるまで歌い続けた。

 その日の夜、皆と別れたあたしは駅のホームで呆然としていた。
 歌っている間は皆の温もりを感じていたし、熱中していたから他の事は考えられなかった。
 しかし、駅のホームでいざ一人になってその寂れた空気が再びあたしの心に寂寥感を齎した。
 忘れようとしても忘れられない事実、そう、あたしは今日フラれたのだ。
 先程まで感じていたのは自信の喪失感と自己嫌悪だったが、フラれた事を再確認した途端
 急に気分が悪くなった。
 別にそこまで思い入れのある男でもなかったが、やはりその事実は純粋に悲しい。
 友達の一人がこっそり持ってきたアルコールが回った事も助けて、あたしはその場で嘔吐した。
 胃の中から物が抜け落ちていく度、その状態を表すように虚しさが増大していった。
 自分が恋愛の敗北者になるなんて思っていなかったからその事実を受け入れたくなかったのだ。
 時折通勤帰りの人の見下した視線が気になったが、自暴自棄に陥っていたので気にしなかった。
 どうせあたしは姿が悪かったら人から愛されないような人間なんだと心の中で自虐した。
 もう嘔吐物の広がるこの場でそのまま寝てしまおうかとすら考えた時、視界に何かが広がった。
 吐いたショックで思考が上手く回らず、肉体的な疲労から目も虚ろになっていたあたしはそれが
 ”何なのか”を判別するのに多くの時間を要した。
 目線の先にあるものが『ハンカチ』だと理解したと同時に、

 「大丈夫ですか…?」

 見知らぬ人間の、どこか心地良い声が耳に響いた。
528両手に嫉妬の華を ◆kNPkZ2h.ro :2007/03/24(土) 14:43:17 ID:UIL5bFFq
 あたしはその時驚きのあまり動く事が出来なくなった。
 だって、あたしの周りは今あたしの嘔吐物で汚れ、その上そこから激臭が漂っているのだ。
 知人ならとも考えたが、あたしはずっと俯いたままで顔は確認出来ないからそれも違う。
 知り合いでもない汚い人間の下へと歩み寄るなんて、とても普通とは思えない。
 あたしはその人に対して奇異と共に驚愕に近い好意を感じた。
 この人は汚れる事を厭わずあたしに近付き、親切にもハンカチを渡してくれるというのだ。
 勿論それは『あたし』だからではなく、”あたしが困っている人”だからした行為だ。
 自分の自惚れを深く痛感した今では、当たり前のようにそれが理解出来る。
 それでも、この人の行為はあたしの心を温かくした。
 この人は姿形だけで人を判断するような人間ではなくしっかり相手の心の内を汲み取った上で
 優しさを向けてくれる、その事実は外見の魅力だけを求められた事に関して傷付いたあたしの心
 を癒すには十分過ぎる薬だった。
 お礼を言いたかったが、目元は赤く腫れ上がっていて尚且つ口元が嘔吐物で汚れているような
 素顔は見せたくなかったのだ、あたしは小さく「ありがとう」を呟きハンカチを受け取った。
 あたしの様子を確認して、低い視界から見えていた彼の足が踵を返そうとしているのが見えた。
 あたしは慌てて顔は下げたまま上目で彼の顔を確認した。
 その顔はどこにでもいる極々普通の学生のものだった。
 しかしあたしはその顔を見て、思わず赤面してしまった。
 この程度の事でだなんて思うかもしれないが、傷付いた時に掛けられる優しさは麻薬だ。
 どん底に陥れられた状態で、『唯一無二』の存在と出会えたと思わせる魔法だ。
 赤面したのはあたしが初めて真剣に人を愛した証………『初恋』の証だった。

 その後あたしは掛け替えのない存在となった友達との別れを惜しみ再開を誓いながら卒業した。
 手には失恋の日に渡されたハンカチを握り締めて。
 あたしは”あの思い出”を胸に秘めながら、新しい恋を求める事にした。
 中学の時に自分を見失い本当の恋の意義を理解出来なかった分の時間を取り戻す為に。
 もう道を踏み間違えないように、あたしは心意気を新たに高校へと入学した。
 相変わらず周りからの羨望な眼差しは変わらない、しかしあたしの中での意識は変わった。
 今までは自尊心を満たしてくれた男子からの視線が物凄く気持ち悪くなったのだ。
 その目線が『あたし』ではなく”あたしの『体』”を見ていると思うと全身に寒気が奔った。
 自分は『特別』なんかじゃない、ちょっと男子の目を刺激するような体をしているだけだ。
 それを改めて自分に言い聞かせながら、嫌悪感を何とか笑顔で塗り潰し無事入学式を終える。
 まだ新しい学生生活は始まったばかりだが、出だしからこんな調子で新しい恋なんて
 見つけられるのかと不安になった。
 それに、”新しい”恋という事を意識しているのは、まだあの時の光景が忘れられないからだ。
 初めてあたしの心に踏み込んできてくれた存在が心に染み付いているのだ。
 出来るなら名前も知らない彼に恋焦がれ続けていたかった。
 しかし、それは叶わぬ恋だし、そんな事をしていたって前には進めない。
 自分はあの人に感謝し、思い出を糧にあの人のような心優しい人間を見つけなければならない。
 そう言い聞かせながら、あたしは自分のクラスへと向かった。
 そして、教室に入ろうとした瞬間、驚愕した。
 「失礼」と言いながらあたしが入ろうとしたドアから体を押し込んできたのは、
 まさしくあの日あたしに初恋を教えてくれた彼本人だったのだ。
 後に、あたしは彼の名前…『仲川信悟』という名前を知った。
529両手に嫉妬の華を ◆kNPkZ2h.ro :2007/03/24(土) 14:44:21 ID:UIL5bFFq
 最初は驚きを隠せなかった。
 だって、まさか名前も知らない初恋の相手が自分と同じ高校に入学したんだ。
 こんな奇跡が起こるなんて、勝手な解釈だがこれは『運命』としか言いようがない。
 きっと神があたしと仲川は結ばれるべきだと引き合わせた因果ある偶然なんだと思った。
 しかし、やはり中学の大半を罪で潰したあたしを、神は簡単には幸せにしようとはしなかった。
 何があったかというと、つまり仲川”も”他の男子と同じだという事を思い知らされたのだ。
 時々仲川があたしを見つめているのが分かり、いざ目を合わしてみると慌てて目を逸らす。
 その行動は、あたしの外見だけを目的としている男子の視線と全く同じだったのだ。
 さすがにこれにはショックを受けた。
 自分の好きな人が自分が嫌悪している人間と同類だなんて普通誰だって信じたくはない。
 本当なら仲川の名前なんか覚える事もなく、クラスメートに位しか捉えないはずだった。
 しかし、あたしは仲川の性根に根付いている相手を労わる優しさを知ってしまった。
 仲川はあたしが傷付いている時にその傷を癒してしまった。
 見知らぬ相手に姿形を問わず心気遣うその姿勢に、惚れるなという方が無理だ。
 仲川はあたしを惚れさせた、だから仲川には責任を取ってもらわなければならない。
 そう、あたしを好きになるという形で。

 しかし、仲川にあたしだけを見てもらう為にどうすればいいのかという答えは中々出なかった。
 ”あたしの『体』”ではなく『あたし』を見てもらう為にはどうすればいいのかは分からない。
 あたしが今まで何人もの男と付き合ってきたが、全員『あたし』を見てはいなかったから。
 あたしの事をチラチラ覗いてくる事から考えて、仲川があたしを気にしているのは明白だ。
 そのまま「付き合って」と言えば仲川が了承してくれる事も期待は出来る。
 だが、その了承では何の意味もないのだ。
 仲川が『あたし』を見ていない状況で付き合いをしても何の意味もないのだ。
 どうすればいいのか思案する内、あたしは一つの結論を導き出した。
 ”仲川の『心』を手に入れる為には、あたしの『心』を示さなければならない”という結論を。
 あたしが表面上ではなく心底仲川に惚れているという事を分からせられれば、
 きっと仲川もあたしの『心』に興味を持ってくれるようになる、そう考えたのだ。
 この策は興味を『体』から『心』に移す為の強引な手段だが、順序を踏まなければ成功はない。
 あたしの『心』に興味を持たせた後は、飽きないように幾らでも尽くせばいいだけの話。
 皮肉にもあたしが毛嫌いしている男子との複数の付き合いで、男子のツボは良く心得ている。
 一度捕まえてしまえばもうこちらのものだ。
 後はどうやってあたしの『心』を示すかが問題となった。
 一番手っ取り早いものとして、失恋した日に貰ったハンカチを見せるという考えがあった。
 仲川はあたしがあの時の女とは思っていないから、多分知った時の衝撃は大きいと思う。
 しかし、それは仲川の親切を利用して振り向かせようとしているような感じがして気が引けた。
 それに、駅で吐くようなおっさん臭い事をしているような子だと思われるのも御免だったし。
 あたしだけの力で仲川を振り向かせる為にはどうしたらいいか、必死にあたしは頭を捻った。
 そうして月日はあっという間に流れ、間もなく一年が経過しようとしていた時、
 あたしはふと見上げたカレンダー上の『バレンタイン』というイベントに目をつけた。
 その考えは単純ながらもかなり有効的な策だと思った。
 想いを告げる理由を『バレンタイン』という日が勝手に作ってくれるのだ。
 その上、自分の想いを相手に示すにはこの日程絶好の機会はそうない。
 あたしは策を固めると、善は急げと言わんばかりにすぐに行動を開始した。
 そして、高一の二月十四日、あたしは初恋の人に産まれて初めての『本命チョコ』を渡した。
530両手に嫉妬の華を ◆kNPkZ2h.ro :2007/03/24(土) 14:45:23 ID:UIL5bFFq
 今まで渡してきた義理チョコや友チョコと違い、本命チョコとあってあたしは気合を入れた。
 料理はそこそこ出来るがチョコは作った事がなく、料理本と格闘しながら徹夜で孤軍奮闘した。
 出来は我ながら中々であり、何だかこのまま渡すのも勿体無く感じたあたしは、何を思ったのか
 そのチョコにと『To Singo Nakagawa』とホワイトソースで書いてしまった。
 一瞬作り直そうか迷った程恥ずかしかったが、ここまでしたら後には退けまいと覚悟を決め、
 学校内ではほとんど会話をした事のない仲川に一世一代の大勝負を嗾けた。
 何から何まで初めて尽くしで不安はあったが、結果は大成功だった。
 次の日から、仲川のあたしを見る視線が大きく変わったのだ。
 あたしと目が合うと今までなら申し訳なさそうに目を逸らすだけだったが、その日からは
 可愛いと思う位顔を真っ赤にして恥ずかしそうに目を逸らし始めたのだ。
 それは仲川が『あたし』に興味関心を示した事の何よりの証と言えた。
 あたしは心の中で勝利を確信した、後は一ヵ月後のホワイトデーを一日千秋の想いで待つだけ。
 その日に仲川はお返しと一緒に自分の想いを告げてくれるはずだと信じて疑わなかった。

 しかし、ホワイトデー当日に仲川は現れなかった。
 多分風邪だとは思ったが、何でこんな日に嫌なタイミングで重なるんだと偶然を呪った。
 その『偶然』が仲川とあたしを引き合わせる要因になったんだから文句は言えないのだけれど。
 結局その日は一日中機嫌が悪いまま、仲川一人にだけあげたらは周りから自分の気持ちに
 気付かれるのでそれの隠蔽工作の為にあげた義理チョコのお返しを貰い続けた。
 仲川以外からのお返しなんて欲しくもなかったけど、相手の気持ちを無下には出来ないので
 笑顔で受け取ってやった。
 勿論心中は仲川の事で一杯だった。
 焦らされるのは嫌なので家に乗り込もうとさえしたが、風邪だったら迷惑だと踏み止まった。
 永遠にも感じられた長い一夜の後にやってきた次の日、あたしは学校に一番に登校し
 教室内で仲川を待ち続けた。
 さながら恋人を駅前で待つ彼女のように、相手の事を想い焦がれながら待ち続けた。
 そんな妄想をしていると心が自然と温かくなるのを感じ改めて仲川が好きなんだと再確認した。
 ニヤニヤして頬の緩んだ顔を正しながら待つ事数時間、大きな挨拶と共に仲川はやってきた。
 妙に笑顔なところを見て、思わずあたしも笑顔になってしまう。
 明らかに何か”いい事”があった事を暗示しているその笑顔はあたしの心を温かく包み込んだ。
 だって、この時期で”いい事”といえば『バレンタイン』の事が絶対に絡んでいる。
 そして、『バレンタイン』の日に仲川にチョコを渡したのはあたしだけだとも確認している。
 授業中問わずずっと仲川の様子を監視していたんだから絶対に間違いない。
 つまり、”いい事”というのはあたし絡みで、間接的にあたしが仲川を笑顔にしている訳だ。
 その事実が嬉しくなり、ついついあたしは仲川に悪戯してしまう。
 でもそれは愛情の裏返しなんだよ?と言葉に出来ない事を思いながら、見上げてくる仲川の視線
 を愛しく想い、あたしは思わず強引に仲川を連れ出して二人きりにしてしまった。
 内心は死にそうな程ドキドキしていたが、自分から誘っておいて恥ずかしがっていては
 阿呆らしいので、何とか平生を装いながら『お返し』をせがんだ。
 自分から要求するのは傲慢と思われそうな気もしたけど、そんな事考えていられない程あたしは
 仲川からの愛に飢えていた。
 あたしが何とか誘導して仲川から『お返し』を貰うところまで嗅ぎ付けると、何を思ったのか
 仲川はあたしの方へと歩み寄り、徐に自分が食べていたパンをあたしの口に押し込んだのだ。
 戸惑うあたしをよそに仲川は当たり前のように去っていった。
 その背中が普段より大きく見え、あたしは自分の状況を理解したと同時に赤面してしまった。
 だって、仲川がしてきた事が、俗に言う『間接キス』だったから…。
 今時小学生でもそんな事で恥ずかしがらないと嘲たいのなら好きにすればいい。
 あたしは、仲川が”こんな事”を当然のようにしてきてくれた事に驚きと喜びを感じた。
 普通こんな事好きな相手にじゃなきゃ出来っこない、あたしの確信は確固たるものとなった。
 しかし、仲川とのやり取りの中で一つだけ気になる言葉があった。

 ―――「”綺麗な『義理チョコ』”、ありがとよ。ほれ」
531両手に嫉妬の華を ◆kNPkZ2h.ro :2007/03/24(土) 14:46:23 ID:UIL5bFFq
 仲川ははっきりと、あたしから貰ったチョコの事を『義理チョコ』と言ったのだ。
 最初は何かの冗談かと思ったが、よくよく考えれば明らかにおかしい。
 普通手作りチョコを渡されてそれを義理だなんて思う男子がいるはずがない。
 おまけにあたしはあのチョコに名前の装飾まで施してやっているのだ。
 そこまでされて『義理チョコ』だと思っているのは一体どういう事なのか非常に気になった。
 だから、あたしは考え抜いた末一緒に帰るという大義名分の下、その真意を訊く事にした。
 ところが仲川と一緒に帰れる事を喜びながら下駄箱で靴を履いていた時、急に仲川が
 校庭の間を切り裂き走り出したのだ。
 何事かと思い見上げてみると、そこには一人”浮いた『女』”がいた。
 あたしたちの高校とは違う制服を着て、妙な袋を持ちながら笑顔で手を振っているその女。
 その見据える瞳の先にいるのが仲川だと分かった瞬間胸に重い不快感が波のように押し寄せた。
 かつて味わった事のない感覚に戸惑う中、仲川とその女が見ている方が恥ずかしくなるような
 夫婦漫才に近い光景を繰り広げているのを見て、あたしの中に負の感情が渦巻いた。
 だって、仲川が好きなのはあたしで、あたしが好きなのも仲川。
 相思相愛の二人の間に割って入るように仲川に汚い笑顔を媚びるあの女が猛烈に憎くなった。
 下駄箱で一人取り残されているあたしをよそに、あの女は持っていた袋の中身を取り出した。
 そしてあろう事か、何とそれを仲川に差し出そうとしているではないか。
 相手がフリーならともかく、仲川には既に『あたし』という想い人がいるのだ。
 そんな相手に物を差し出すだなんて、あたしたちの仲を壊そうとしているとしか思えない。
 だからこれからする事は”悪い事”じゃないんだと自分に言い聞かせ、あたしは疾走した。
 校庭の真ん中を自分でも信じられない程の速さで駆け抜け、仲川の背中に飛びつく。
 これで仲川の手に持っている汚らわしい物は落ちると思ったが、予想に反してその汚い物は
 仲川の手から縋るように離れようとしなかった。
 その事に腹の底から怒りが込み上げた。
 仲川も仲川だ、あたしという彼女がいながら他の女の物なんて貰わないで欲しい。
 まぁ嫌でも他の人からの好意を無下に出来ないところにあたしは惚れた訳だけどね。
 でも…やっぱり『駄目』。
 その優しさは”あたしにだけ”向けてくれないと、恋人という関係が根底から覆されちゃう。
 その僅かな隙間を縫うようにして、道端の蝿に集られるのがお似合いな雌豚が付け狙うんだよ?
 だから、あたしはあたし”たち”の為に仲川の持っているその袋を力の限り蹴飛ばしてやった。
 その時一緒に仲川の右手まで蹴ってしまう事になってしまう事に罪悪感を感じている中、
 信じられない事に仲川はその袋を瞬間的に拾った。
 思わず「触らないで!」と叫びそうになる口を何とか閉じつつ、仲川の顔を見つめる。
 その顔を見てあたしは反射的に目を逸らしてしまった。
 だって、その顔に満ちている感情は明らかな『怒り』、しかもそれはあたしに向けられている。
 あたしは一年間仲川を見続けてきたが、一度だってこんな顔をした仲川を見た事はない。
 戸惑うあたしをよそに、仲川は袋を蹴った事に関して遠回しに謝罪を要求する発言をしてきた。
 その口ぶりがやけに落ち着いていたものだったから、あたしは安心し切ってしまった。
 仲川が怒っているのは”手を蹴られた”事に関してだと勘違いしてしまった。
 だからあたしは”『仲川』に”謝った。
 あたしが自分の勘違いに気付いたのは次の瞬間………

 「ふざけるなっ!!!」

 かつてない程の大きな怒声をあたしに向かって浴びせた時だった。
 あまりの迫力に思わず後退りしてしまう。
 こんなに凄い剣幕を相手に向ける事が出来る事に驚いた。
 普段おとなしい人が怒ると恐いというが、仲川の今の状況は正にそれだ。
 信じたくない現実を突き付けて来る仲川があたしに近付き、目線を離さないまま声を荒げる。
 そしてあたしたちの仲を引き裂こうとしていた魔性の女を指差し、その女への謝罪を要求した。
 その時理解した、仲川が怒っているのは”自分が蹴られた”事なんかじゃない。
 仲川が自分本意の怒りで相手を罵る訳がないという考えに至らなかった事が不思議だった。
 仲川が怒っているのは”その女の気持ちを踏み躙られた”と感じているからなのだ。
532両手に嫉妬の華を ◆kNPkZ2h.ro :2007/03/24(土) 14:47:25 ID:UIL5bFFq
 そうだ、仲川は優し過ぎる。
 たとえあたしたちの仲を壊そうとしている女といえどその気持ちを無駄になんか出来ないのだ。
 いや、そもそも仲川はその女の本性にすら気付いていないんだと思う、純粋だから。
 そういったあたしの好いている『理由』が、今はあたしに対して牙を向いている。
 本当ならすぐにここで仲川の言う通りにするべきだったのかもしれない。
 でも出来なかったのは、今なら認識出来るがあの女に嫉妬していたからだろう。
 あたしが一年掛けてやっと手に入れた仲川の笑顔を、平然と掻っ攫おうとしていたからだろう。
 「何であたしたちの仲を壊そうとしている女に謝らなきゃならないの!?」と、言葉にならない
 想いが口から溢れそうになる。
 口篭っているあたしへの厳しい視線をより強くしながら、仲川はもう一度謝罪を求めてきた。
 それでもあたしは頑なに口を開けなかった。
 悔しかったのだ、あの女が。
 狂おしい程妬ましいあの女に謝ったらそれは『敗北』だと思ったからあたしは謝罪しなかった。
 そんなあたしを見かねて、仲川は背を向けてきた。
 その背中があたしに『諦め』の念を告げてきて、あたしは慌てて制止する事を求めた。
 そんなあたしの叫び声も無視して、仲川はあの女の肩を押しながら去っていこうとした。
 何度も何度も言葉を繋げ続けるあたしに、仲川は視線を合わせずあの女に言い放った。

 「いいんです、”あんな奴”放っておいて行きましょう!」

 冗談にしてはキツ過ぎるその内容、いや冗談だとしたらあたしは仲川に幻滅している。
 相手を傷付けるような事を言うような人だったらあたしは始めから仲川を好きにならなかった。
 だからこそ、この言葉は仲川の『真意』であり、同時にその言葉の重みをも感じ取った。
 去っていく仲川を呆然と見据えながらあたしは足の震えを堪えられないまま立ち尽くしていた。

 二人の背中が遠く彼方へと移行し確認出来なくなりそうになる寸前であたしは我に返った。
 このままではいけない、このままでは仲川に嫌われてしまう。
 その恐怖があたしの背筋を冷たく冷やし、その悲しい想像に目から涙も零れた。
 その涙を拭おうとしたところで、右手が触れた所からぬめっとした気持ち悪い感覚を覚えた。
 涙を拭った手を確認してみると、その右手には深い爪痕と底から流れる血で赤く染まっていた。
 どうやらあたしは呆然と悲嘆に明け暮れながらも、尚あの女に嫉妬していたようだ。
 自分の嫉妬深さに驚きながら、あたしは急いで二人の後を追い掛けた。
 このままではなし崩し的に関係が壊れてしまう気がしたから。
 そして何より、あの女の思う壺のような気がしたから。

 二人との距離はかなり開いていたようで、走っても中々追いつかず、息を切らしながらようやく
 見慣れない土手に辿り着いところで二人に追いついた。
 そこに仲川とあの女はいた、あたかも恋人同士のように談笑しながら楽しい空気を作って。
 さっきから痛んでいた右手を再び握り締めようとしたところで慌てて踏み止まる。
 だが、眉間に皺が寄るのを感じるのはどうしようもなかった。
 彼女であるあたしが苦しんでいる間に、あの女は仲川の彼女気分を一人満喫しているのだ。
 もし仲川がその場にいなかったら、あたしは周りの目も気にせず罵声を浴びせているだろう。
 しかし、仲川のあの態度からして今あの女に突っ掛かったらまた怒られてしまう。
 だからあたしは必死に堪えた。
 あの女が、”あたしだけ”があげていいはずの『チョコ』を図々しくも仲川に渡しても、
 そのチョコを仲川が嫌々食べていてもしっかり我慢した。
 だって、仲川は優しいから今はあの女の妄言に惑わされてを労わりたいだけなんだ。
 自分の心に言い聞かせながら、あたしはあの女が満足気に去っていくまでちゃんと我慢した。
 だから、これからは”あたしたちの時間”だ。
 まずはあの女についてしっかり言い聞かせてあげないといけない。
 いつ仲川の優しさを突く卑しい雌豚が現れるとも限らない、だからしっかり忠告してあげないと。
 それに、まだ『義理チョコ』という発言に関しては疑問があるしね…。

          ―――――――――――――――――――――――――         
533両手に嫉妬の華を ◆kNPkZ2h.ro :2007/03/24(土) 14:48:45 ID:UIL5bFFq
 仄かに広がる甘い風味をたっぷり堪能しながら爽やかな風を感じて俺はその場を去ろうとした。
 すると後ろから突如誰かの声がした。
「仲川ァ〜!」
 振り向いてみると、遠くの方から佐藤早苗がこちらに向かって走って来ているではないか。
 一瞬驚きながらも自分の事だけを考えて佐藤早苗を罵ってしまった事に改めて罪悪感を感じた。
 視線を逸らしたくなるのを堪えながら佐藤早苗がこちらへと向かう様子を見守る。
 必死の形相で走ってくる佐藤早苗の表情は固まっていた。
 いつも皆に元気を振り撒いていた笑顔は欠片も感じ取れず、その表情をさせているのが自分だと
 理解すればする程、俺は”しなければならない”事で頭が一杯になる。
 息を切らせながら佐藤早苗が俺と胸一個分まで近付いてくる。
 この『距離』では”しなければならない”事が出来ないので一歩下がる。
 そして俺はすぐさま頭を下げて佐藤早苗に叫び掛ける。
「「さっきはごめんっ!!!」」
 ん…?
 何だか今、別の誰かの声が重なったような気がした…と思ったのも束の間、『ゴツン』という
 聞くからにいたそうな擬音と共に、俺は頭に猛烈な痛みを感じた。
「痛ゥ………ッ」
 頭を両手で抱えながら涙目で前方に目をやると、おかしな事に佐藤早苗も同じ動作をしていた。
 まるで写し鏡のように俺とそっくりそのままの動作をする佐藤早苗を見て、ようやく重なった声
 の主が目の前にいる佐藤早苗自身のものである事を悟った。
 上辺の状況しか呑み込めていない俺をよそに、佐藤早苗は頭を抱えながらもう一度頭を下げた。
 頭を抱えながらだから、物凄く不恰好に見えた。
「本当にさっきはごめん! 勿論これはあの人の物を蹴っちゃった事に関してのあれだから…。
 悪ふざけにしちゃ度が過ぎてた、本当にごめん。
 仲川にも謝るけど、あたしが謝っている事をさっきの人にも伝えて欲しいの」
 ようやく痛みから解放されたらしく手を頭から離した佐藤早苗は、低い姿勢を保持したまま
 俺に涙目で懇願してきた。
 女の子にそんな仕草を取られたんじゃ男が勝てる見込みはゼロである。
 それに俺の方にもかなり負い目があるから、俺ももう一度素直に謝罪した。
「俺の方こそ悪かった。あんな言い方なかったよな…。もう気にしてないからいいよ」
 そう言ってやると、涙目のまま佐藤早苗は花のような笑顔で微笑んできた。
 その笑顔を一人の奴にだけ向けてやれよと未だに相手を少しだけ皮肉る事の出来る自分の
 根性に心底呆れながら、俺は鞄を持ってもう一度この場を去ろうとする。
「そんじゃ、行こうぜ?」
「あっ、ちょっと待って」
 背を向けた俺の腕を佐藤早苗が控え目に掴んできた。
 そういえば今日下駄箱で何か話があるといって呼び止められた事を思い出した。
 その事についてなんだろうなと思いながら、俺は振り返る。
「一つ訊きたいんだけど…”あの女の人”って誰なの?」
 ”あの女”…佐藤早苗と俺の間で代名詞で十分理解出来る存在といえば佑子さんしかいない。
 まぁ佑子さんとの間で生じたトラブルなんだから誰か位は知りたいはずだ。
 しかし妙な気がした、何かおかしい。
 だって今佐藤早苗が訊きたがっている事と下駄箱で訊きたがっていた事は一致しないのだ。
 何故なら、下駄箱で俺に訊いてきた時点では佐藤早苗は佑子さんの事を知らない。
 だから訊いてくる訳がない、じゃあ下駄箱で訊きたがっていた事って一体何なんだ…?
 数秒考え込んですぐに思考をストップさせた。
 そんな事考えても埒が明かないと判断した、それより今は佐藤早苗に素直に真実を言うべきだ。
 それが、俺が佐藤早苗を一時的に傷付けてしまった事へのせめてもの贖罪。
 だから、俺は佐藤早苗に言い放った。
「俺の…”好きな”人だ」
「え…?」
 腑抜けた声を漏らす佐藤早苗をよそに、風は既にに止んでいた。
534 ◆kNPkZ2h.ro :2007/03/24(土) 14:51:29 ID:UIL5bFFq
投下終了です、続きます。

それと、>>264-265>>273-274のプロットを書き出しだけ書いてみました。
かなりツボにはまるプロットでしたので。
では、投下します。
535あなたと笑顔で…(仮題) ◆kNPkZ2h.ro :2007/03/24(土) 14:52:51 ID:UIL5bFFq
 今の心境を一言で表すなら、それは『緊張』だろう。
 勿論”純粋な”意味での『緊張』かと問われれば、すぐさま「NO」と答えるだろう。
 『期待』と『不安』が憎らしい程絶妙なバランスで融合し、中性的な立場を取る感情。
 重さの殆ど変わらない錘を乗せられた天秤のように不安定に横幅大きく揺れ動く”それ”は、
私の心を掻き回すだけに止まらず行動にまで大きな影響を与えている。
 さっきから意味もなく部屋の中を縦横無尽に歩き回りながら唸っているのが何よりの証拠だ。
 誰の目から見ても分かるように、私は今かなり落ち着きを失っている。
 ”誰の目から”と言ってもこの部屋の中には自分一人しかいない、他に人がいる訳がない。
 それなのに誰かに監視されているような気がして、背筋を気持ち悪く冷す不快感が伝わった。
 そんな被害妄想に入り浸りそうになる程、今の私は未来の『来訪者』の事で頭が一杯なのだ。
 その未来の『来訪者』のせいで、先程ソースと醤油を間違えてしまいひどく和食風味の豚カツを
食べてしまったり、心を落ち着かせようと思って飲もうとした茶の入ったコップを持つ手が震えて
しまい盛大に床にぶちまけてしまったりと、とにかく散々な目に合っている。
 人が来る位でと笑うかもしれないが、決して『普通』の人が来る訳ではない。
 これからの生活を左右する、言わば『特別』と断言して良いキーマンがやって来るのだ。
 だから、私は非常にそわそわしている。
 こんな中途半端極まりない、釈然としない感情を抱き続けるのが嫌だから早く来て欲しいと思う
反面、未来の生活模様が決定されるのが怖くて来て欲しくないという矛盾した気分に支配される。
 人並程度はある…と思う胸に手を押し当てるとそこからかなり速い周期で鼓動が伝わってくる。
 こんなにも胸が高鳴るのは、親に”あの事”を頼み込んだ時以来だ。
「何をそんなに緊張してんだか…」
 声にならない程の大きさでそっと呟き、それが時計の音しか聞こえない不気味な静寂を演出して
いた部屋に僅かに響き、改めてこの部屋には自分一人しかいない事を再確認する。
 こんな事をしなければ平生を装えない今の自分に半ば呆れながら、尿意を催したのでトイレへと
向かおうと腰を上げた瞬間、
 『ピーン…ポーン…』
 ようやく聞き慣れてきたインターホンの音が部屋の静寂を切り裂くように鳴り響いた。
 この音を聞いた途端、私の頭は先程までの慌て様が嘘のように、一気に冷静になっていった。
 心の片隅ではその『来訪者』が来た事を告げる音が鳴ったら自分は緊張で卒倒してしまうのでは
とさえ思っていたが、逆にそれが私の心に諦めに近い『決心』をつけさせたようだ。
 そう、もう”来てしまった”のだ。
 今更慌ててみたところで時間は止まってはくれない。
 それと同じように、『来訪者』が目前に迫っているという事実も否定する事など出来ないのだ。
 何かの漫画のキャラが言っていた、「現実は受け入れる以外ないわ……」という素敵な台詞の
有難味をひしひしと感じながら、私は覚悟を決め玄関へと向かう。
 一度決心を固めてしまうと不思議なもので、足取りは物凄く軽くなっていた。
 まるで早く会いたいのかと思わせる位、私は早足でフローリングの上を闊歩していく。
 気分はさながら単身赴任で何年も会えなかった夫の帰宅を喜ぶ妻のように爽やかだった。
 さっきまでの慌て様は一体何だったんだと思いながら、私は玄関の前へと立つ。
 そして扉のドアノブに手を掛けようとした時、一瞬落ち着こうと胸に手を当てたその部位から、
さっきまでと変わらず心臓の鼓動音が連続しているのを感じ取って悟った。
 インターホンが鳴ってから今までの『空元気』に近い感情は、今朝から内在していた『緊張』を
振り払おうとする為の無意識下の手段に過ぎないという事を。
 それはそうだ、人間頭で理解したって簡単には心がついていかないのが常だ。
 自分の滑稽さに笑いそうになるのを堪えながら、私はもう一度身形を確認してみる。
 着ているのはまだ真新しい制服だ。
 部屋で制服というのも変だが誰の目にも簡単に受け入れ安い服と言えばこれ以上の物はない。
 自分の選択の正当性を再三再四確認しながら、扉の前で大きく深呼吸をする。
 これからの生活を楽しく過ごす為には『来訪者』からの第一印象は重要な役割を担っている。
 どこにもおかしなところはないとしつこく念を押した上で、私はドアノブを静かに捻った―――
536あなたと笑顔で…(仮題) ◆kNPkZ2h.ro :2007/03/24(土) 14:53:46 ID:UIL5bFFq

 私の名前は、卜部愛子(うらべ あいこ)という。
 田舎の地方に住んでいた極々普通の女の子だ。
 まだ染めた事のない黒髪を背中に掛かるまで伸ばしている事以外は本当に平凡な存在だ。
 そのおかげと言って良いのかは分からないが、目立ったトラブルに遭遇する事もなく、田舎の町
で田舎の友達と遊ぶという『普通』の生活を送り続けてきた。
 それ自体には何の不満もなかった。
 傍目から見れば同じ事の繰り返しに過ぎない日常も、私にとっては大切な一時だったから。
 幼いながらもこんな生意気な事を思えたのは、自分が多くを望まない人間だからと思っていた。
 実際両親や友達に対する態度も謙虚とまではいかなくても反感を買うような事は絶対にしない、
良い意味でも悪い意味でも主体性のない人間だった。
 そんな私を大きく変えたのは、中学二年最後の修学旅行の時だ。
 初めて田舎から離れて、初めて『都会』の空気を味わった。
 行くまでは未知なる場所への興味程度の感情だったが、都会に一歩足を踏み入れて思った。
 ”ここは凄い所だ”と。
 稚拙な表現だが、それ以外の言葉が浮かんではこなかった。
 それ程都会の色鮮やかな模様は田舎しか知らない私にとっては衝撃的過ぎた。
 勿論煙い排気ガスや息苦しい人口密度のように不快にしか感じないものもなかった訳ではない。
 肩が触れただけで柄の悪そうな男に睨まれた時は冷汗が流れる程怖くてどうしようかと思った、
その後私の姿を見て露骨にニヤついていたのは気持ち悪いながらも栄誉ある体験だったが。
 しかし、そんな不快感を凌いで私が感じた事、それは”道行く人皆輝いている”という事だ。
 同じ学生にしたって、私たちが着ているような膝より下以上の長くてダサいスカートではなく、
自分の足を誇示しているかのような短いスカートを綺麗に着こなしていた。
 中にはパンツが見えてしまいそうな程の、最早役割を果たしていないようなミニスカを穿いて、
堂々と我が物顔で友達と一緒に談笑し道を独占する集団までいた。
 さすがにそれには引いたけど、その他にも派手な私服を着て路上パフォーマンスする男子集団、
綺麗に化粧を固め悠々と男をあしらっている女の人、夜消灯時間になってもホテルから覗く景色は
明るいままの街中………何もかもが私の想像の範疇を遥かに越えていたのだ。
 都会での僅かな日数の体験は、私に一つの感情を抱かせた…『憧れ』だ。
 眩いばかりの都会の風景は、田舎っ子の地味を体言化したような私にとって羨望の対象だった。
 ”あの場所に住みたい”、その想いは日に日に増していった。
 自分でも抑え切れない程にまで増長した気持ちを感じた時、私は初めて理解した。
 私は多くを望まなかった訳ではない、その多くの『範囲』を”知らなかった”だけなのだ。
 しかし、私は都会の波に一瞬でも揉まれる事で今の現状以上の幸せの可能性を知ってしまった。
 確かに田舎での生活も楽しい。
 田舎の空気は排気ガスまみれの都会の空気の数百倍はおいしい。
 昔馴染みの友達との日々から離れなければならないのは本当に辛い。
 そして何より、今まで育ててくれた両親との別れが最も障害になってくる。
 今まで大きな要求はしてこなかった、その代わりに身の回りの事の全てを親に委託してきた。
 親あってこその今の自分、そんな私がいきなり都会に行って一人暮らしなんて出来るだろうか?
 それは家事は其れなりには出来るが、一日三食全てを料理出来る程の実力と言えるのだろうか?
 洗濯物だって、億劫がらずに毎日毎日洗濯する事が果たして出来るのだろうか?
 その他にも不安要素を挙げればキリがない、それ程私は今まで親に依存し切っていたのだ。
 そんな自分を不甲斐なく思いつつも、それでも都会への想いは止められなかった。
 その想いの中には、一種の『焦燥感』も含まれていたんだと思う。
 都会の人と違って自分は地味な服を着て、化粧もせず、世間知らずのレッテルを貼られるのだ。
 その事に関して周りから”置いて行かれたくない”という想いが強かったんだと思う。

 だから私は都会の方に一つの全寮制の高校を見つけると、想いに同調するように足早に頼んだ。
 「お父さん、お母さん、私…都会の高校に行きたいっ!」
 前置きもなく、食卓でいつもの食後の穏やかな雰囲気を満喫している両親に言った。
 私の一大決心を受けて、一瞬驚いた素振りを見せた二人だったが、すぐに答えてくれた。
 「愛子の…好きにするといい」
537あなたと笑顔で…(仮題) ◆kNPkZ2h.ro :2007/03/24(土) 14:54:46 ID:UIL5bFFq
 正直、肩透かしを食らった気分だった。
 即答してくれた事は確かに嬉しかったが、こんなにも簡単に承諾してくれるとは思わなかった。
 両親を説得する為の文句を多く考え、頭の中でそれらを何度も構築してイメージしてきたのに、
これでは無駄な努力だったと言わざるを得ない、勿論いい意味で。
 一瞬信じられなかったからだと思うが、私は思わず両親に尋ねてしまった。
 「本当にいいの? 私一人でやっていけるかなとか不安じゃないの?」
 こんな訊き方では否定して欲しかったと思われるかもしれないが、訊かずにはいられなかった。
 いや、実際少し位は否定して欲しかったのかもしれない。
 否定してくれなかったという事は、私が遠くへと行ってもそこまで悲しくないので勝手にどうぞ
と思っている心の表れなのかもしれないと悲観的に考えてしまったから。
 自分から頼んでおいてある程度は否定して欲しいだなんて、「教えない」と言いながら心中では
周りから注目される事を喜び秘密を教えたいと思っている小学生みたいだなと思い苦笑が零れる。
 私が自分の幼稚さに呆れていると、父親は淡々と語り始めた。
 「確かに不安さ。愛子は昔から私たちにベッタリだったからな」
 真顔で自分の幼稚さを指摘されて恥ずかしさで顔面が紅潮してしまったが、それ以上にちゃんと
両親が自分を心配してくれていた事に安心感を覚えホッと胸を撫で下ろす。
 一息つくと、また新たな疑問が速攻で思い浮かぶ。
 …”私の事を心配しているなら、何故両親は私と離れるという決断を下せたのか?”
 言っている事としている事が矛盾しているではないか、と思ったがそれは私の勘違いだった。
 その矛盾を解く鍵は、私が既に自覚していた状況の奥底にひっそりと埋まっていたのだ。
 「しかしな、今まで私たちに従ってきただけのお前が自ら何かを”したい”と言い出したんだ。
  私たちは、それを応援したいんだよ。なぁ、母さん?」
 父親と父親の問い掛けに笑顔で頷く母親を見て、両親が承諾してくれた理由が分かった。
 つまり両親”も”、私の主体性のなさを心配していたのだ。
 私は今まで両親の前で半ば『いい子』を演じようとしていたが、それは逆効果だったようだ。
 私の今までの態度が両親の心配の種になっていた事を悟り罪悪感を感じる一方で、二人がずっと
私の事を心配してくれていた事を素直に嬉しいと思い笑顔になる。
 二人にこれ以上心配はかけたくない、そう思ったから…
 「勿論一人暮らししようって事は、それ相応の『目的』と『覚悟』はあっての事だな?」
 「はい。二人共、ありがとう!」
 いつになく真剣にこちらを見つめてきた両親に、私も真剣に返事をした。

 それから、私は猛勉強に励んだ。
 私が見つけた都内の全寮制の高校は思った以上に偏差値が高く、それまでは田舎の適当な高校に
適当に進学しようとしていた私にとっては遠く及ばないレベルだった。
 この時は今までの自分の不勉強さをとことん呪った。
 自分が”何となく”日々を過ごして来た事を改めて痛感しながら死に物狂いで問題と格闘した。
 そのあまりの変貌振りは、周りから異状視される程のものだったらしい。
 まぁ中三という時期だから、周りも勉強に勤しんでいたので特別何かを言われはしなかったが。
 そうやって私の今までの一生の内で最も勉強…最も努力した一年の後、私はその『成果』得た。
 そう、私の第一志望校…あの全寮制の高校に見事受かったのだ。
 合格者掲示板に受験番号が載っていた時の感動は言葉ではとても言い表せない程のものだった。
 あまりの嬉しさに私は一緒に来てくれた両親の前で大声で泣きながら喜んだものだ。
 父親の胸の中で抱かれながら感じていたのは産まれて初めて感じた感情…『達成感』だった。
 初めて明確な『目標』の下最大限の努力をし、最高の結果が返ってきたのだから当然だろう。
 実のところ合格しているという確信は殆どなかった為、自分の努力が最高の形で報われたという
事実は私の中で感動の嵐を巻き起こした。
 良く努力は必ず報われるというが、報われるか分からないから報われた時の感動が新鮮なものに
なるんだなと、柄にもない事を悟ってしまった程嬉しかった。
 そして、私は別れを惜しみながら最高の笑顔で送り出してくれた友達、そして両親に感謝しつつ
その想いを胸の内に大切にしまっておき、憧れの土地への第一歩を歩み出した。
538あなたと笑顔で…(仮題) ◆kNPkZ2h.ro :2007/03/24(土) 14:55:41 ID:UIL5bFFq
 しかし、意気揚々と高校へと足を踏み入れた私に、思わぬ『落とし穴』が待ち受けていた。
 そう、本当に『落とし穴』と呼ぶに相応しい、予期出来ない理不尽な仕打ちだった。
 何があったかというと、高校へ行った日私は寮生活について詳しく知る為理事長室へと行った。
 そこでの第一声はなんと、「申し訳ありません」だった。
 深く刻み込まれた皺が年の功を感じさせる初老の理事長が深々と頭を下げてくるのに驚きながら
私は何事かと訊ねた。
 すると、その理事長が低い姿勢のまま言い放ったのだ。
 「実は………卜部さん、あなたは定員漏れで…部屋がないんですよ…」
 その言葉を聞いて、一瞬絶望しそうになった。
 だって、今まであれだけの努力をしてきて、最後の最後でこんな掌返しは辛過ぎる。
 折角憧れの都会へと来れたのにまた逆戻りさせられてしまうのかという不安に駆られた。
 暗闇の中で見つけた僅かばかりの光を手が届きそうな所で失うような恐ろしい寒気に襲われた。
 しかし、とりあえず私の過度な恐怖はいらぬ心配だったようだ。
 定員漏れになったのは私の当時の住所があまりにも遠い場所だった為、学校側の役員が悪戯だと
勘違いして私を人数に数えていなかった事が原因らしい。
 つまり学校側の過失、だから学校側はなるべく事態が丸く収まるような処置をし始めた。
 具体的に言うと、金銭面に関して全て学校側が保障する代わりに、寮ではなく別のアパートから
同じ高校に通う”他の『人物』”との共同生活を要求してきたのだ。
 全寮制なのにわざわざアパートを借りる物好きがいるのかと結構不思議に思ったが訊いてみると
諸々の事情で寮で生活しない者は結構いるらしい。
 無論、全寮制なのにそんな我を通すのが許されているのは一部の優等生だけらしい。
 まぁそんな事は正直どうでもよかった。
 当初の予定は狂ったが、学校側が金銭面を全て負担してくれるというのはかなりおいしい話だ。
 両親には金銭的な事であまり迷惑はかけたくなかったし、結果オーライというやつだ。
 だから、私はその要求をほぼ二つ返事で了承した。

 そして、候補の中で該当者が見つかったらすぐに連絡を入れると言われ、私は一時的に学校側が
手配してくれたアパートに住む事になった。
 その翌日、すぐに連絡は入った。
 何でもその『該当者』に生活費を一部負担すると言ったところ、快く引き受けてくれたらしい。
 一つのミスで二人の生徒の金銭的世話をしなければならなくなった学校側を可哀相に想いつつ、
私はその知らせを聞いてかなりそわそわしてしまった。
 だって、これから生活を共にする『同居人』だ。
 もし馬が合わなかったりしたら憧れの都会生活に皹が入ってしまう。
 しかも、その『同居人』は学校側からアパートからの登校を許されている秀才、私みたいな馬鹿
を相手にしないような高飛車な人だったらどうしようかと不安になった。
 趣味が合わないだけでも気まずい空気が出来てしまうだろう。
 その一方で、その不安を払拭しようとするかの如く、もし”その人”がとても優しい人で、常に
相手を気遣うような人だったらいいなとかいう期待感を募らせていた。
 まだ見ぬ『相手』への不安と期待、これが連絡が来た直後の私を支配したのだ。
 生活拠点は『相手』の要望で今私が住んでいるアパートがいいという事なので、私は『相手』が
来たら迎え上げてくれと言われた。
 もう少しでその『相手』が来る………その事実に私は慌てふてめいていた。
 しかし心の奥底ではさっきのような自分が理想とするような人物像の者が来る事を望んでいた。


 ―――だからなのだろう。
「え?」
 私がドアノブを捻って扉を開けた先に、昼間の明るい陽気に照らされ逆光で良く見えない物影を
見て、あまりに期待した光景とは”ずれている”事に驚いたのは。
 そう、決して”期待外れだった”のではなく、”期待とずれていた”だけなのだ。
「あの〜………椿薫(つばき かおる)さん、じゃないですよね…?」
「椿薫は、僕の事ですけど」
 困ったような表情を浮かべながら頭を掻く目の前の人物…私の『同居人』として理事長から名前
を聞かされていた『椿薫』が着ている真っ黒い私の高校の制服…それは紛れもなく『男性服』。
 そう、私の目の前にいる人物は、私の同居人である椿薫は、完璧に『男』だったのだ。
539 ◆kNPkZ2h.ro :2007/03/24(土) 15:00:02 ID:UIL5bFFq
投下終了です。
このプロットの発案者である>>264氏が他にして欲しいタイトルがあればそちらにしますので。
現時点では仮題です。
神じゃない上に全寮制について殆ど知らない新参者ですが、よろしくお願いします。
ちなみに「両手に嫉妬の華を」を書いているのでペースは遅くなると思います。
540名無しさん@ピンキー:2007/03/24(土) 15:01:22 ID:PZ5aytb7
>>539 
GJ!!!!!
あなたは十分神ですよ!
どっちも楽しみにしています。
541名無しさん@ピンキー:2007/03/24(土) 15:04:41 ID:YQU8Uaa9
>>534
なんという文章量。この人は間違い無く神!!

大量投下お疲れ様です。
仲川の発言に早苗がどうするのか、wktkしてまってます!
プロットの方も是非作品化して下さい!
542名無しさん@ピンキー:2007/03/24(土) 16:01:07 ID:hQM6V2+S
すごいですなぁ・・・。あなたの文章はまるで文学小説なみの緻密さがある。
543名無しさん@ピンキー:2007/03/24(土) 16:35:31 ID:r2iS1vaR
>>539
    ∩
    ( ⌒)     ∩_ _
   /,. ノ      i .,,E)
  ./ /"      / /"
  ./ / _、_   / ノ'
 / / ,_ノ` )/ /
(       /  good job!
 ヽ     |
  \    \
あなたは本物の神ですな!描写が丁寧で面白い!次回も期待してます!
544名無しさん@ピンキー:2007/03/24(土) 16:41:51 ID:EeEzvDVH
この文章力は凄い。正に修羅場SSを書くために生まれてきた神だよ
545名無しさん@ピンキー:2007/03/24(土) 17:47:15 ID:EJWgby2V
地獄な彼女の落合静香の名前の由来って
声優の"落合"祐里香と長谷川"静香"から来てる?
ちなみにこの二人のつながりはある作品で双子を一緒に演じてた

それと赤いパパ氏の「魔女の記憶」の燕尾色って結局何色?
臙脂色の勘違いなのか、それとも本当にそういう色が存在するのか
是非とも赤いパパ氏本人に答えていただきたい
連載中もこれが気になって作品を読むのに没頭できなかった
546名無しさん@ピンキー:2007/03/24(土) 17:55:19 ID:Z6aG/rXQ
>>545
ちょっとした間違いだってことくらい分かるだろ、常識的に考えて……
そんな話の内容にはほぼ影響ない極々細かい部分が気になって没頭できないとかどんだけ神経質の過敏症なんだよ
分かっててやってるんだろうし、ネチネチして気持ち悪い奴だな
547名無しさん@ピンキー:2007/03/24(土) 17:58:24 ID:hQM6V2+S
>>546
わかったから黙っていいよ。気に食わなければスルー。
一々気に食わないスレに突っかからないと気がすまないのなら、
お前は2ちゃんねるに向いていない。
548名無しさん@ピンキー:2007/03/24(土) 17:59:51 ID:bj4f8Utr
>>546
横から口を挟むで悪いが、燕尾色という名前は存在するぞ。
549名無しさん@ピンキー:2007/03/24(土) 18:19:50 ID:0uJ+HdVP
空気悪
550名無しさん@ピンキー:2007/03/24(土) 18:19:51 ID:EJWgby2V
神経質といわれればそれまでかもしれないが
実際気になって仕方なかったのですよ
作中で「りぃん」となる度に鈴のビジョンを思い描こうとしてしまう
だけど燕尾色という色がわからないためどうしても中途半端にしか想像できず
それが気持ち悪くて、奥歯に小骨が引っかかってるみたいで気になって仕方なかった
だからもし詳しく知ってる人がいるななら教えてほしい
赤いパパ氏に答えて欲しかったのだがご存知ならどなたでもいい
548氏も知ってるのなら教えてください
お願いします
551名無しさん@ピンキー:2007/03/24(土) 18:24:22 ID:lAJyzLbW
つ 日本の伝統色 和色大辞典
ttp://www.colordic.org/w/

日本の伝統色
ttp://www.asahi-net.or.jp/~xn6t-ogr/colors/tradcolors.html


552名無しさん@ピンキー:2007/03/24(土) 18:26:15 ID:0uJ+HdVP
>>550
長文うぜーしググれ


つーかどこ縦読みするんだ?
553燕尾色:2007/03/24(土) 18:27:04 ID:aIu4xZhD
>>546>>547ももうやめてくれ!
俺なんかのために二人が争うことないじゃないか!
554名無しさん@ピンキー:2007/03/24(土) 18:30:25 ID:EJWgby2V
ごめん先ずタイトル間違えていた
魔女の記憶じゃなくて魔女の逆襲でした
本当にごめんなさい
>551さんありがとう
でも確か自分そのページ見たことありました
>552
グーグルもヤフーでも調べられる限り調べました
でも納得がいかなかったので訊かせて頂きました
555名無しさん@ピンキー:2007/03/24(土) 18:32:26 ID:0uJ+HdVP
もう分かったからROMっとけ
大体色なんてスレ違いなんだから察し(ry

以下燕尾色の話題は禁止
556名無しさん@ピンキー:2007/03/24(土) 18:41:54 ID:M3sWgCwF
>>539
ヤベェマジ神だ
震えが止まらん程興奮する文章だぜGJ!
557名無しさん@ピンキー:2007/03/24(土) 18:52:14 ID:z2pcYbFb
だから雑談嫌なんだよ、スレの雰囲気がおかしくなるからさ
もうお前ら感想だけしといてくれよ
558名無しさん@ピンキー:2007/03/24(土) 18:54:16 ID:mCPu8cP+
>>547
>>550
>>552
>>554

どう見ても荒らしが自作自演で話題を出して煽っているようにしか
思えないんですが
559名無しさん@ピンキー:2007/03/24(土) 19:03:14 ID:YQU8Uaa9
>>557
>>558
そう目くじらを立てず、冷静に対処していきましょう。
560名無しさん@ピンキー:2007/03/24(土) 19:17:02 ID:wzvViDlm
わざわざ、アンカー打って削除依頼対策ですか?
561名無しさん@ピンキー:2007/03/24(土) 19:23:42 ID:0dGO42H1
お前ら疑心暗鬼になりすぎだお
562名無しさん@ピンキー:2007/03/24(土) 19:33:22 ID:iFv2p0Sn
色ぐらい別にいいじゃねーかよ、作品の話題の一つだろ
文句でもいちゃもんつけてるわけじゃないじゃん
563名無しさん@ピンキー:2007/03/24(土) 19:36:15 ID:DyiZBWph
564名無しさん@ピンキー:2007/03/24(土) 19:37:24 ID:DyiZBWph
565名無しさん@ピンキー:2007/03/24(土) 19:38:16 ID:DyiZBWph
>>500>>502>>503>>504>>562

これ荒らし
566名無しさん@ピンキー:2007/03/24(土) 19:45:49 ID:YQU8Uaa9
>>562
最近のスレの雰囲気が悪かった事と、
長文で関係の無い事だったという事が原因だと思われます。
>>565
忠告有り難うございます。
出来れば削除依頼スレに書いて頂けないでしょうか?
567名無しさん@ピンキー:2007/03/24(土) 19:58:26 ID:IOWsXFSO
荒らしのレスは専ブラであぼーんかスルーしろよ…

一々削除依頼したり云々言ってるから、荒らしが喜ぶんだよ
568名無しさん@ピンキー:2007/03/24(土) 19:59:07 ID:CPl1ikyC
>>566
フォローd
569名無しさん@ピンキー:2007/03/24(土) 20:01:17 ID:PZ5aytb7
ID:YQU8Uaa9

↑荒らしはスルーしろよ。しかも何だよその口調。気持ち悪い。
570名無しさん@ピンキー:2007/03/24(土) 20:27:18 ID:hQM6V2+S
熱くなりなさんな。マターリマターリと。
修羅場は小説のシチュエーションで十分ですわ。
折角戻ってきてくれた人だっているんだから・・・。
571名無しさん@ピンキー:2007/03/24(土) 20:30:00 ID:X24cWO+K
つ旦
茶を飲め。話はそれからだ。
572569:2007/03/24(土) 21:00:21 ID:iFv2p0Sn
ホント住人のレベル下がったな、これは荒らしも出るわけだ
何処が荒らしだよ、これぐらい別にいいじゃないかって言っただけだろ
それで有無も言わさず荒らし扱い、ふざけるなよ
あぁ、なるほど荒らし荒らしわめいてる奴が荒らしなのか
だとしたらそれに憤ってこう反応してる俺はバカを見ただけだったな
573569:2007/03/24(土) 21:02:22 ID:iFv2p0Sn
>>566
ご丁寧な返答どうもです
納得
574名無しさん@ピンキー:2007/03/24(土) 21:03:13 ID:Yyu4ipOo
うん
575名無しさん@ピンキー:2007/03/24(土) 21:03:33 ID:wzvViDlm
その反応が荒らしにとって最高の肴だと言っておこうかな
576569改め562:2007/03/24(土) 21:04:15 ID:iFv2p0Sn
うわ、何度もスマソ
表示ミスってた
577名無しさん@ピンキー:2007/03/24(土) 21:09:11 ID:hQM6V2+S
とりあえず、過剰反応して、切れて、長文書いて、ほぼ荒らし紛いの書き込みして、
それで荒らし扱いだって憤っても説得力皆無だよ。
頭をアイスノンで冷やしてからよく自分の書き込みを見直したほうがいい。
578名無しさん@ピンキー:2007/03/24(土) 21:13:15 ID:y0Cu2guM
もう春だねぇ。
俺の地元では今日オオシマサクラが咲いたよ。
579569:2007/03/24(土) 21:13:45 ID:PZ5aytb7
>>569は俺だろwwwwwwww
ほんとお前荒らしたいんだなwwwwwwwwwwww
580名無しさん@ピンキー:2007/03/24(土) 21:14:14 ID:YQU8Uaa9
>>576
いえいえこちらこそ。
皆さん嫉妬好き同士仲良くマッタリと行きましょう。
581名無しさん@ピンキー:2007/03/24(土) 21:27:51 ID:YQU8Uaa9
>>578
そういえば桜の根元には死体が埋まっているという都市伝説がありますが、
あれをネタにSSとか書けませんかねぇ…
582名無しさん@ピンキー:2007/03/24(土) 21:33:38 ID:uNjN9LbW
>>572
SSスレでSS以外の長文はどうやってもうざがられるもんだ
583名無しさん@ピンキー:2007/03/24(土) 21:34:02 ID:iFv2p0Sn
桜単品だとキツイと思う
もう少しなんか欲しいところだな
584名無しさん@ピンキー:2007/03/24(土) 21:45:24 ID:y0Cu2guM
「桜の木の下には……」ってやつか。
あの小説の中では何の死体かは明言されてないんだよな、確か。
そこから考えるに、主人公に色目を使った女とか主人公が可愛がる猫とか
そういうのを次々と殺しては埋めていくヒロインが居ると面白いかも……。


って、それなんてアメリカの連続殺人鬼?
585燕尾色:2007/03/24(土) 21:51:08 ID:aIu4xZhD
主人公は子供のころ男1女2の幼馴染トリオでよく遊んでいたが
ある日女Aが原因の事故で女Bが桜の木から落ちるとかして死亡
女Bに惚れていた男はひどく落ち込んで抜け殻のようになるが女Aの必死の呼びかけで自分を取り戻す。
そしてひそかに男を好いており、それゆえにまた彼を好きだった(両思いだった)女Bをあのような事故に巻き込んだ女Aは
自責の念と女Bへの嫉妬、そして生きている彼を独占できるという優越感を持ってこれからも男の面倒を見ることにした
そして高校生活最後の春、他愛無い会話を交わしながらあの桜の木の下を通りかかる二人の前に
二人と同じくらいの年齢に成長した女Bが姿を見せた―。
586トライデント ◆J7GMgIOEyA :2007/03/24(土) 22:13:59 ID:UjTC5ZWf
では投下致します

587水澄の蒼い空 ◆J7GMgIOEyA :2007/03/24(土) 22:17:15 ID:UjTC5ZWf
第33話『血の雨が降るパーティ?』

 *水澄虹葉視点

 お父さんとお母さんは私が当てた温泉旅行の福引き券をプレゼントしたおかげで帰りの飛行機が墜落して亡くなってしまった。
決して見つかることがなかった遺体は棺に収まることはなかった。
誰もが私たちの両親の死を悲しんでいる人間はいない。
泣いていたのは、私たちの家族だけ。
遠縁の親戚は私たちのことを良く言っている記憶はない。
特に酷かったのは私たちの月君に対する中傷誹謗が耳に入ってくることだ。
通夜や葬式でも月君の悪口が飛び散っている。本当に歪んでいた。何もかも。

 月君にもう一つだけ嘘をついていたことがある。
 私と紗桜ちゃんが精神的な病と偽っていた理由は月君といるためだった。
もう一つは、月君を水澄家という居場所に居させることだったんだよ……。
 親戚の連中は私たちの両親の遺産を狙っていたからね。
私たちに甘い口調で囁き、引き取ろうと必死だったんだよ。
遺産の管理人になれば私たちの知らない所で多額のお金を消費して毟り取ろうとする。
それが目的だったために赤の他人の月君まで引き取るのはさすがに嫌だったの。

 だから、私と紗桜ちゃんと冬子さんで共謀して……。
 両親の死がショックで精神的におかしくなったことを偽った。
本当に姉妹揃って精神病の患者になったのは金の亡者どもにとっては予想外だったらしい。

さすがに精神患者を養うのを躊躇っている間に
冬子さんと祖母が私たちの保護者を引き受けて。その醜い騒動は幕を閉じた。
 一度始めた、嘘を最後までやり遂げる必要があった。
思春期で離れていた月君が私たちの面倒を見てくれるのは好都合だった。嬉しい誤算だよ。
 そこまでして、私と紗桜ちゃんは。

 月君に居場所を与えてやりたかったの。
 水澄家という私や紗桜ちゃんがいる温かな揺りかごを。

 お姉ちゃんは知っているんだよ。
 月君が独りぼっちになることを恐がっている。
彼のおじさまとおばさまが亡くなった夜の日のことをお父さんとお母さんに聞いているから。
誕生日が来る度に思い出す、孤独と暗闇の時間。私はその過去も癒してあげたかった。



 ごめんなさい。お姉ちゃんはもう……限界。
 正気を保っている時間はあと少しだけ。
 心の奥から溢れてくる月君を独占する想いと裏腹に生まれてくる、紗桜ちゃんの憎悪が湧いてくるのだ。
大切な妹。
可愛いくてたまらない妹の首を絞めたくなる。
その衝動に駆られる私は自分自身を嫌悪する。でも、もうダメだ抑えきれないよぉ……。

 えへへっっっ……。
 紗桜ちゃん。お姉ちゃんの幸福のために死んでね。
切れ味のあるナイフでいっぱいいっぱい切り裂いてやるんだからね。
月君の前で刺してあげよう。

月君。

喜ぶかな。
588水澄の蒼い空 ◆J7GMgIOEyA :2007/03/24(土) 22:19:55 ID:UjTC5ZWf
*水澄紗桜視点

 私は自分で大切な物を粉々に壊してしまった。
兄さんがお姉ちゃんが守ろうとした『家族』の絆を修正修復できないぐらいに破壊してしまった。
想いを伝えること。わかっていたのに想いが溢れて止めることができなかった。
 お姉ちゃんが告白した時に怒鳴った理由がよくわかるよぉ。
兄さんが欲しかったのは失ったはずの家族の温かさ欲しかったんだよね? 
私とお姉ちゃんが家族になろうとしても、世間は私たちを別々に切り分けてしまう。
私がお姉ちゃんが天草月を『兄』として『弟』と慕っていても。
外から見ると家族を亡くした天涯孤独の可哀想な男の子を養っている家のお嬢さんとなる。
それが兄さんの心をどれだけ傷つけているか……私はよく知っている。
 引き取られてすぐの頃に独りぼっちの兄さんが自分の部屋で泣いている所を何度だって見たことがある。

当たり前だ。
誰だってお父さんやお母さんを亡くして間もない頃にこれまで当然だった環境から
 遠く離れた場所に居ている自分の将来と不安と寂しさに悲しみを覚えるのは無理はないだろう。

 私なら間違いなく立ち直ることはできない。
 同居している姉妹の私たちから避けられている兄さん。
 私は男性恐怖症で兄さんが恐くてたまらなかった。

 でも、兄さんは。
 こんな私たちを強く励ましていつも守ってくれた。

 私たちの前ではどんなに心が引き裂かれそうな痛みを抱えても、笑顔を絶やさない人だった。
 そんな人だから。彼の唯一の願いを叶えてあげたいと思ったんだよ。
 だから、私は兄想いの妹で在り続けた。

 例え、この心が私の知らない所で蝕まれているとしても。大切な物を見失いたくはないと思う。
 内気で引っ込み思案な私をお姉ちゃんと兄さんがいつも支えてくれた。
 未だに男性恐怖症で犬の人形を通して話すことができない自分には友達はあんまりいない。

  兄さんの孤独に苦しむ気持ちは少しだけ理解できているつもり。

 ありがとう。
 そして、さようなら。

 取り戻せない家族の絆を壊した私は大切な人を殺してしまう。
 溢れだす想いは尋常なく取り戻しができない道へと走る。

 もう、止めることなんかできない。
 ごめんなさい。

 私はお姉ちゃんをこの手で殺して。兄さんとの愛に生きます。
 大切な姉の存在が私の中でどんどんと邪魔者以下の存在に書き換えられる。

 だって、仕方ないじゃない。

 この世の中でたった一人だけ兄さんの恋人になれるんだよ。
 だから、お姉ちゃんはもういらない。

 今まで研いでいた包丁の刃の輝きに私は満足していた。これなら、欝陶しい姉の腹部を容赦なく突き刺さるよ。楽しみだよね。
 兄さんもお姉ちゃんが私に殺される瞬間を見ると喜ぶはずだよ
 絶対に。
589水澄の蒼い空 ◆J7GMgIOEyA :2007/03/24(土) 22:22:08 ID:UjTC5ZWf
 俺が帰ってきたのは夕日が真っ赤に沈む頃になっていた。
 食材を買うはめに2〜3店ぐらい駆け回って今回のホームパーティのために使う物を仕入れてきた。
 虹葉姉と紗桜は部屋の中に閉じ篭もっているようだが、声を掛ける暇はない。

 今から夕食のために豪勢な食事を作ることだけに俺の神経を集中させる。
 台所で買ってきた食材を切り刻み、料理として形成するために数時間も所要した。
 出来上がった料理を三人分に盛り合わせる頃には外は真っ暗になっていた。

 ケーキや二人が大好きなドラやきも用意した。
 後は、虹葉姉と紗桜を呼ぶだけ。
 俺は自分用のエプロンを元の場所に戻すと、胸一杯に呼吸をする。
 そして、少し震えた大きな声で愛しい家族の名前を呼んだ。

「虹葉姉。紗桜。晩飯だよぉぉぉぉーーー!!」

 だが、反応は全く返ってくることがなかった。
 俺は仕方なく二人が降りて来るのを待つために暇つぶしにテレビのスイッチを入れた。
 時刻は午後6時を過ぎており、やっているのはニュ−スの報道番組ばかりであった。
 今日も恋する乙女が泥棒猫を刺した事件など珍事件満載である。

「そういや……今日は夜7時から政府からの重大発表があるって言っていたったけ?」
 ぼんやりとテレビを眺めていると階段の方から足音が聞こえてきた。俺はそちらの方向に振り向くと思わず絶句した。

「虹葉姉……何やってんの?」
 壊れた表情を浮かべ虚ろな瞳で俺の方を見つめている。
 その手にしっかりと握られているのは切れ味が良さそうなナイフであった。

「うふふっっ……月君月君」
 虹葉姉の異常的な行動には見覚えがある。
 あれは音羽がヤンデレ症候群の症状が最悪な方向へと走った時と同じ展開なのでは? 
 俺の不安が顕現されたかのように、その場に紗桜も現われた。

「に、に、兄さん……兄さん」

 やはり、紗桜も凶器を所持しており、彼女の場合は俺が普段から使っている愛用の包丁を手にしてこの場にやってきた。
 二人の姉妹が揃うとその場の雰囲気は重苦しい物へと変わってゆく。

 いかにも、これからホームパーティを楽しもうという雰囲気ではない。
 正にこれから始まるのは、真の修羅場であろう。
590水澄の蒼い空 ◆J7GMgIOEyA :2007/03/24(土) 22:24:15 ID:UjTC5ZWf
「お姉ちゃん。私のために死んでよ。兄さんとこれから誰にも邪魔されずに二人きりで暮らすんだからね」
「私だって紗桜ちゃんを殺して、月君と永遠に幸せになるんだから」
「おいおい、二人ともバカな真似はよせ……本気なのか?」
「兄さん月君は口出ししないでください。これは私たちの戦いなんだからっっ!!」
 二人の呼吸の合った罵声と迫力に圧されて俺はその場でおじけついた。
「紗桜ちゃん……」
「お姉ちゃん……」
 二人は距離を取って、お互いの得物を構える。
 こうして、俺が止めようとした……
 恋のオウガバトル最終決戦が始まった。

 恋する乙女の戦闘能力は常人以下で箸より重たい物を持ったこともないかよわい腕の
 虹葉姉と紗桜が戦うならば、どこぞのボランティアでその青春を過ごした方がいいんじゃないかと思うぐらいに盛り下がっていた。
 ヤンデレ症候群感染者による身体能力の修正があったとしても、俺を苦しめたヤンデレ音羽の能力に遥かに劣る。
 家族の名誉のために言っておくさ。
 二人はこれでも真剣なんです。

「にゃあっっつ〜〜」
「あうぅぅぅ〜〜〜」
 迫り来る包丁とナイフの刃が重なり金属音が鳴るには数分ぐらいかかりそうな、
 虹葉姉と紗桜はゆっくりとゆっくりと慎重に凶器を動かしていた。

 俺は呆れてソファーに座り込んでテレビを視聴しながら、ポテトをぱくぱくと食べていた。
 後ろを振り返っても、二人の凶器はまだお互いの刃に到着することなく超スローモーションで動作は実行されている。

 誰か倍速ボタンを押してやれと不謹慎な事を思いながら、

 ようやく二人の刃は重なり、鈍い金属音を鳴らす。

 そして、間合いから離れるときは俺の目に移らない速さで戻して。攻撃するときはゆっくりとゆっくりと凶器を振り下ろす。
 これはとんでもない道化だと俺は思う。
591水澄の蒼い空 ◆J7GMgIOEyA :2007/03/24(土) 22:27:13 ID:UjTC5ZWf
 姉を、妹を、殺すと宣言して寒気がするような
 確かな殺意をお互いに向きながらも、実際は不器用な殺し合いをやっているのだ。

 虹葉姉は顔を真っ青になって刃が重なるたびに怯えた表情を浮かべてるし、
 紗桜はほとんど涙目になっている。
 ヤンデレ症状症候群を発症した場合は恋敵の泥棒猫なんかに容赦するはずがなく、躊躇なく殺してしまうというのに。
 虹葉姉と紗桜は必死に抗っているのだ。

 己れの中に巣くう悪魔と。
 大好きな姉と大切に想っている妹を傷つけたくないという二人の想いが今の状況を作り出しているのだ。
 見ているこちらとしては動きが鈍い。まるでアス○ロンがかかっている状態だよと口が裂けても言えない。

「にゃうぅぅううう!!」
「わぅぅぅぅぅぅ!!」

 虎の雄叫びと狼の咆哮が重なり戦いは少しだけ盛り下がっていた。
 更に振り落とされる速度が遅くなる凶器は互いに打ち合うまでの時間はさっきの倍以上だ。
 俺は再びニュ−ス番組に没頭し、ポテトを口の中に加えながら観戦モードに入っていた。
 止めるつもりがなくなった戦いは……油断していたところで悲劇が舞い降りた。
「いたっ!!」
 たまたまであった。
 ナイフと包丁の刃が重なる瞬間、少し刃を滑らせた勢いで紗桜の手の甲を少しだけ突き当たった。
「紗桜っっ!!」
「紗桜ちゃんっっっ!!」
 ぼんやりと傍観していた俺はソファーから飛び降り、虹葉姉は持っていたナイフをその場に捨てて。慌てて紗桜の元に近付いた。
「ぐすっ。……痛い。痛いよぉ……」
「ごめんね。紗桜ちゃん。私のせいで……私が」
 顔を真っ青になっていた虹葉姉が今までない以上に動揺していた。
 実の妹を傷つけたことに何からのショックを受けているようだ。

 紗桜も怪我の痛みと大好きな姉から傷つけられたことで涙を零していた。
 俺は紗桜の怪我の確認をして、嘆息を吐きながら応急箱を急いで持ってきた。
「とりあえず、消毒液を付けた後に傷の箇所に包帯を巻くからな」 
 実際に紗桜の怪我は本当に大したことはない。
 大袈裟なのだ。

 手の甲にミリミリ単位程度の小さな傷の箇所からほんのちょっっぴとだけ赤い血が流れているだけなのだ。
 虹葉姉や紗桜は気が弱くて臆病だから。少しだけ血が流れるだけで騒動を大きくしてしまう癖がある。

「い、いたいのいたいの飛んでゆけ〜〜」

 紗桜をあやすように虹葉姉が必死に怪我した箇所を優しく手で抑えて、震えた口で喋っていた。
 虹葉姉は昔から紗桜と俺にだけとことん甘かった。俺や紗桜が怪我した時はこうやって痛みを紛らわしてくれたさ。
「お兄ちゃんお兄ちゃんお兄ちゃん!!」
「はいはい。お兄ちゃんはここにいるからねぇ」

 ツインテールの髪を優しく撫でてと泣き叫んでいる紗桜は甘えるように俺を求める。
 小さな頃から紗桜は男の子からよく苛められて泣いて帰って来た時は髪を撫でてあげて、一緒に手持ちの人形で遊んだったけ?

 昔を懐かしく思いながら、俺と虹葉姉と紗桜はしばらく身を寄せ合うようにしがみ付いていた。
 お互いの温もりを確かめ合うように。

 付けっ放しにしていたテレビの画面がニュース番組が終わって、
 新たな画面が移り変わってくる。時刻は午後7時のテロップをお報せしていた。
592水澄の蒼い空 ◆J7GMgIOEyA :2007/03/24(土) 22:29:43 ID:UjTC5ZWf
「神聖日本帝国 第98代皇帝陛下よりお言葉を」
 皇帝を即位した若い壮年の男が王座に座り込んで、その重い口を開いた。

「今私の中にも、皆様と同様の脅え、恐怖が渦巻いています。
 何故こんなことになってしまったのか? 
 考えても既に意味のないことと知りながら、私は愛する臣民達の犠牲に心が悼まれるばかりです。

 私たちは、つい数年前にも大きな事件を経験しました。
 そして、その時にも誓ったはずでした。こんなことはもう二度と繰り返さないと。
 にもかかわらず、ヤンデレ症候群発症者は増え。

 努力も虚しくまたも犠牲者の数は増え。抑えきれない嫉妬は否応なく拡大して。
 私たちはまたも同じ悲しみ、苦しみを得ることとなってしまいました。
 本当にこれはどういう事なのでしょうか。愚かとも言える、この悪夢の繰り返しは。

 一つには、先にも申し上げた通り、間違いなくヤンデレ症候群の存在所以です。
 想い人に嫉妬し、修羅場を煽り立て、泥棒猫を殺してきた者たち。
 長い歴史の裏側に蔓延る彼女達の理解できない激しい独占欲。

 我々はようやくそれを防衛する手段を身に付けることができました。
 だからこそ、今あえて私は申し上げたい。我々は今度こそ、

 もう一つの最大の困難と戦っていかねばならないと。
 そして、我々はそれにも打ち勝ち、最大の幸福を得られなければならないのです。

 みなさんにも、すでにお判りのことでしょう。

 有史以来、人類の歴史から修羅場の無くならぬ訳を。

 常に存在する最大の恋敵。それは、いつになっても結ばれる相手が一人という、我ら自身の常識概念と法律だということを。


 恋を知り、愛を知り、その想いを相手に届けることで、様々な交際と結婚を繰り返した
 今でも。人は未だに想い人を争い、想い人に嫉妬し、三角関係の修羅場で想い人を寝取られるその不安。

 同等に、いやより多く、より沢山に、飽くなき泥棒猫の奪還に限りなく延ばされる手。
 それが、今の私達です。争いの種は、修羅場による三角関係の争奪戦、全てはそこにある。

 だがそれももう、終わりにする時が来ました。終わりにできる時が。

 我々はもはや、その全てを、克服する方法を得たのです。

 それによって泥棒猫と争わず、想い人を一緒に独占、恋敵との共存。

 これこそが、繰り返される悲劇を止める、唯一の方法です。

 私は、人類存亡を賭けた最後の防衛策として、一夫多妻制の導入実行を、今ここに宣言いたします」


 どうするよおい

 俺は茫然と二人の頭を撫でながら開いた口が塞がらなかった。

593トライデント ◆J7GMgIOEyA :2007/03/24(土) 22:32:29 ID:UjTC5ZWf
というわけで第33話の投下終了。
残り3話で完結予定です。


では失礼致します
594名無しさん@ピンキー:2007/03/24(土) 23:02:07 ID:wRBymfE9
その法律は諸刃の剣
595名無しさん@ピンキー:2007/03/24(土) 23:08:53 ID:uQ8+nB3m
暗いエンドより俺は好き
なんにしろGJ
596名無しさん@ピンキー:2007/03/24(土) 23:13:12 ID:gXGxJtH8
それってもてない男はもっとモテナクなっちゃうんじゃあないですか?
597名無しさん@ピンキー:2007/03/24(土) 23:19:37 ID:uQ8+nB3m
もてない男が超もてない男になろうと大差なし
598名無しさん@ピンキー:2007/03/24(土) 23:29:24 ID:zf6k/fU6
ちょwwwwディスティニープラン
599名無しさん@ピンキー:2007/03/25(日) 00:23:50 ID:Knw5BDeX
そうきたかw
600名無しさん@ピンキー:2007/03/25(日) 00:30:21 ID:8hWRYMs5
GJ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
601名無しさん@ピンキー:2007/03/25(日) 00:37:48 ID:p4GDVNcv
>>585
おお、まさかプロットまで書いて頂けるとは…
そのまま連載化を切に希望します。

>>593
超GJ!!
しかし次は正室か側室かで修羅場になりそうですね。
602名無しさん@ピンキー:2007/03/25(日) 01:03:22 ID:fBWfx+lN
169 :名無しさん@ピンキー:2007/03/24(土) 21:27:44 ID:9RuQKwEh0
さらに上記に追加です569.579

さりげに>>569,>>579が荒らし扱いされてるな
603赤いパパ ◆oEsZ2QR/bg :2007/03/25(日) 01:42:44 ID:PYJGeQ9U
投下以外の書き込みは一切しないと決めていましたが、アンビエイトダンスの投下がまだ先なのと、荒れの原因となってましたので今回だけ失礼します。
燕尾色というものですが、私のイメージで古い錆びついた鈴の色……ということで、赤茶色系統の色として使っていました。

自分でも調べてみると、以外にもHIT数が少なくて驚愕。しかも場所によっては系統がいろいろ変わるみたいで…。
私の勉強不足を痛感しました。申し訳ございません。

アンビエイト・ダンスはできるだけ早く投下しようと思いますが、少し間が開くかもしれません。これからもよろしくおねがいします。
604名無しさん@ピンキー:2007/03/25(日) 02:10:11 ID:p4GDVNcv
>>603
そこまで気になさらなくても良いと思いますよ。
どんなSSでもミスはあるのですし、
次の投下で更に面白くなっている事を期待していますね。
605名無しさん@ピンキー:2007/03/25(日) 02:49:13 ID:EOFYDEAf
>>603
みんなスルーしてたのに作者が反応していてはどうしようもないよorz
606名無しさん@ピンキー:2007/03/25(日) 03:19:43 ID:Knw5BDeX
>>605
これで後腐れなく決着がついたからそれでよしとしておけ
607名無しさん@ピンキー:2007/03/25(日) 03:33:01 ID:8hWRYMs5
まあ、今回はこれが決着のしどころだな。
608名無しさん@ピンキー:2007/03/25(日) 09:20:46 ID:vpEzz4A3
24時間で約100レスは多すぎ。もっと控えてくれ
609名無しさん@ピンキー:2007/03/25(日) 12:42:46 ID:2gXPYQpJ
やはり、キモアネとキモウトがエロ本を見つけて嫉妬する展開が一番萌えると思うんだがどうよ?
610名無しさん@ピンキー:2007/03/25(日) 12:46:41 ID:LHg0vcsg
そり本スレ向けな話題でよに
611名無しさん@ピンキー:2007/03/25(日) 14:02:29 ID:nwpUgqv7
>>609

エロ本に嫉妬する姉妹・・癒されるぜ。
誰か書いてみてくれw
612名無しさん@ピンキー:2007/03/25(日) 14:44:37 ID:p4GDVNcv
>>609
>>611
エロ本を買おうとした時に、
レジでばったりと出会す展開なんてのも良いですねぇ。
613名無しさん@ピンキー:2007/03/25(日) 15:14:30 ID:SljuAeFm
ブツが巨乳本で姉妹が貧乳だとなおよろし
614名無しさん@ピンキー:2007/03/25(日) 16:15:07 ID:4ORcrRNd
悪友から借りた、姉モノのエロ本を姉妹がハッケン
勝ち誇る姉病む妹ってのが俺の理想

いや、逆でもいいけどさ
615名無しさん@ピンキー:2007/03/25(日) 16:39:22 ID:Nm3+o/11
つまり主人公の理想とするものが、姉妹とは正反対だということか
616リボンの剣士 38話C  ◆YH6IINt2zM :2007/03/25(日) 17:19:35 ID:zLn59+jT
Cルート投下します。Bと同じく、38話から。
617リボンの剣士 38話C  ◆YH6IINt2zM :2007/03/25(日) 17:20:10 ID:zLn59+jT
――――う……ん……。

……暗いな。真っ暗だ。

周り一面、何も見えない。

俺は仰向けの姿勢になっているようだが、その地面も、視覚ではわからない。
触覚と上下感覚を頼りに立ち上がる。
そこで、自分の体だけは目に見えることに気付いた。
変な状況だ。ん、状況?
俺はさっきまで、何をしていたんだったか。こんな真っ暗なところで一人篭っていたのか?
おぼろげな記憶を探り始めたとき、甘い匂いが鼻を突いた。花の蜜のような香りだ。
そういえば、こんな匂いの香水があったような……。

「人志」
真後ろから声がした。この声は間違いなく、毎日聞いている明日香のもの。
振り向けば、案の定明日香が両手を後ろに組み立っていた。
俺と同じように、暗闇の中でも姿だけはっきり見える。

「待っててね」
「待っててね?」
意味がよく分からないが、明日香は俺に微笑みかけて、両手を前に運ぶ。

――その手には、刀が握られていた。

「すぐに仕留めるから」
……仕留める?

じゅる。
刀の柄から、太く湿った蔓――触手が、数本生えてきた。
それらは、明日香の手、腕に絡みつく。
触手の本数はどんどん増え、明日香の右腕を肩まで覆い尽くした。
「よし」
よしじゃないだろ。これはいったい何なんだ!?
明日香の右腕が、不気味な青色をした筋肉で膨れ上がっているように見える。

――化け物……!?

ま、まさか、そんなことがあるわけない。
だが明日香はさも当然のように刀を振る。俺の右の空間を。縦に斬った。
斬る瞬間、刀に何かが当たり、金属音が響いた。
足元に、落ちたそれが転がってくる。……ダーツだ。
しかしそのダーツは出刃包丁ほどの大きさで、先が針ではなく両刃の……。
……いや、羽がついているだけで、実質的にはナイフ、短剣と言ったほうがいい。
どこからか飛んで来たのを、明日香が今の一振りで落としたらしい。

また、甘い匂いがした。
618リボンの剣士 38話C  ◆YH6IINt2zM :2007/03/25(日) 17:20:47 ID:zLn59+jT
そうだ。この匂い、木場がつけている香水と同じだ。
「人志に当てる気?」
明日香が見据えている方を見ると、さっき飛んできたものと同じ短剣を持つ木場の姿が、少し離れたところ
にあった。
木場もまた、背中から蝙蝠のような翼が生えていて、異形な部分がある。
「……」

気付けば、俺は二人から二、三メートルくらい離れていた。
本能的に、拒絶したのかもしれない。二人は、得物を握りしめ、始めからその色で塗ったかのような紅い眼
でにらみ合っている。
明日香が仕留めると言ったのは――つまり、木場を殺す、という事。
そして木場も、明日香に対する殺意がある。

異形同士の殺し合い。
身体が、震えた。

さらに二人の様相が変化する。
明日香の腕を覆う触手は右半身まで侵食し、顔から血管が浮かび上がる。
木場は頭からも小さい蝙蝠の羽が、そして赤黒い尻尾が生えた。

「外道に堕ちた下種女が――」
「悪魔に魂売った屑女が――」

……何かの冗談だろう。あれが明日香? あっちが木場?
青い触手の隙間から汁が漏れている。短剣を持つ手の爪が。紫色をして指と同じ長さまで伸びている。

「地獄に落ちろ!!」
「屍を晒せ!!」

明日香が駆け出し、木場が翼を動かして上に飛ぼうとした瞬間、遠くから強い光が放たれた。
二人の姿が見えないくらい……まぶ、しい……。

――
――――
――――――
619リボンの剣士 38話C  ◆YH6IINt2zM :2007/03/25(日) 17:21:47 ID:zLn59+jT
「(――!?)」
また俺は横に倒れていた。だが今度の地面は、家のカーペットになっている。
ちゃんと明かりも点いてるし、壁も天井も……。
「死ね!」
刀を振る明日香の姿も……。
「そっちが死ね!」
ダーツを投げる木場の姿も見える……。
「……くっ」
頭が強く痛む。その痛みで、何が起きたのか思い出させられた。

木場が家に来て。それからしばらくして、日本刀を持った明日香が来て。
明日香は、木場の命を貰うと言った。
俺は止めようとしたが、明日香に何かされて今まで倒れていたんだ。
頭が痛むから、きっと意識を失くすくらい殴られて……。
気を失っている間に、あんな悪夢を見て、目を覚ましてみれば――夢となんら変わらない状況が目の前にあ
る。
あの夢は、誰かが現実とつなげたのか? 現実そっくりの夢を何故見た? 見せられた?
……そんなのわかるか。
ともかく、俺はあの殺し合いの決着がつく前に目を覚ました。
寝てる場合じゃない、早く現実に戻って来い、と夢に叱られたのならば。

逃げては、いけない。

「待てええぇぇっ!!」
全力で声を上げて、身体を起こす。
二人はぴたりと止まり、こっちを振り向いた。
が、またすぐにターゲットと向き合う。
「人志こそ、そこで待っててよ。すぐにこの女仕留めるから」
夢とほぼ同じ台詞を、明日香は冷たさを感じさせる声で返した。
……このまま、二人の殺し合いを現実にしてはならない。また、始めのように間に身を入れる。

「駄目だ! 二人とも、そんな武器は使うな!!」
「素手ならいいの? あたしなら、それでも十分だけど」
「違うっ!! そんな、こんな、殺すことをするな!!」
何故だ。何故殺すことを主目的にしているんだ。
殺して解決と言う理がどこにある!?
620リボンの剣士 38話C  ◆YH6IINt2zM :2007/03/25(日) 17:22:58 ID:zLn59+jT
「人殺しになんてなるな! そんなことをして何になる!!」
「人志のためになる」
「私と、人志くんの為になるよ」

俺の言葉は、一瞬で挟み撃ちにあい、砕かれた。
「自分の欲望のために平気で他人を陥れる女が、人志に永遠に近付かないように」
明日香は、殺気を放ちながら刀を構える。
……それなら、一個人のために平気で人を斬るのは、どうなんだ?
「その女が死ぬのは辛いかもしれないけど、私は、それ以上に、忘れさせるくらい、愛するから」
「木場……さっき言ったが、俺は木場の気持ちに応えられる器じゃない……」
俺には、明日香を無視して他の女に走ることは出来ないから。
「だから」
まるで場違いなくらいに軽いトーンで、木場は続ける。
「新城明日香がいなくなれば、その分、器のスペースは空くよね?」

――戦慄した。
相手を殺すことを第一とする理が……できている!?
「何、あんた振られたの?」
おかしい。間違っているはずだ。そんな解決方法など……。
「一度振られたくらいで、私は諦めない」
「みっともない。負けを認めなさいよ。振られ女が」



どうして俺は、さも自分が正しいかのように考えているんだ?
「振られ女! 振られ女!! ふ・ら・れ・お・ん・なぁ〜!」
「うるさいッ!!!」
あの二人の言っている事が筋が通っていて、俺のはただの感情論?
殺して欲しくない。明日香……木場にも、そんなのとは無縁の、明るい道を進んで欲しいのに。
「何年も好きで近くに居ながら、告白の一つも出来ない臆病者が」
明確な理由があって殺そうとしている? 殺しをやったら、もう真っ当には生きていけないのを分かってい
て、それでも自分の身を惜しまない?

なら、俺は……。
「……何だって? その軽い口、心臓と一緒に止まる?」
俺は――。

「止めろ!!」

俺の身だって――。

「明日香! 俺を斬れ!」

惜しんでいられるか。


(39話Cに続く)
621リボンの剣士 38話C  ◆YH6IINt2zM :2007/03/25(日) 17:24:27 ID:zLn59+jT
投下終了です。人志が殴られて気絶するまでのシーンはカットしました。
622名無しさん@ピンキー:2007/03/25(日) 17:30:33 ID:vfGzuZVj
GJ。今回のルートではきちんと三人が救いに至って欲しい……
623名無しさん@ピンキー:2007/03/25(日) 17:33:00 ID:Nm3+o/11
>>621
キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!!!!
久々のリボンの剣士、超GJです!!
しかし、レイプまでされた明日香は納得するのか、次回にwktk!!
624名無しさん@ピンキー:2007/03/25(日) 19:26:33 ID:uH7AwTG5
(n‘∀‘)ηキタ━━━━━━!!
作者さんGJですっ!!39話Cが楽しみだ・・・
625名無しさん@ピンキー:2007/03/25(日) 20:20:14 ID:civdoHm5
キタワァ*・゜゜・*:.。..。.:*・゜(n‘∀‘)η゜・*:.。..。.:*・゜゜・* !!!!!
GJ!せめて今度こそ人志の望みが叶いますように・・・
626名無しさん@ピンキー:2007/03/25(日) 23:55:09 ID:YgJYMLPj
ねえ赤色マダ?
627名無しさん@ピンキー:2007/03/26(月) 00:38:04 ID:bVd6lVqC
>>609
>>611-615
つまり纏めると、

主人公がエロ本を買いに行く。

何故かレジで幼馴染みと鉢合わせ。

更に持っていたエロ本を奪われ、幼馴染みから違うエロ本を渡される。

早速、家で自家発電中に姉妹に見つかる。

主人公家、家族会議に。

そこでエロ本が幼馴染み系の物と発覚。

主人公家、幼なじみと姉妹の修羅場が勃発。

という話に成るわけか。
………やべぇ、メチャクチャ読みたい。
628名無しさん@ピンキー:2007/03/26(月) 01:01:39 ID:F/CqLUfm
>>627
いや、幼馴染みはお前の趣味だろw
629名無しさん@ピンキー:2007/03/26(月) 02:02:27 ID:bVd6lVqC
>>628
まあそこはどんな属性を入れても応用が利くので勘弁してください。
630名無しさん@ピンキー:2007/03/26(月) 02:26:19 ID:F/CqLUfm
>>629
俺も幼馴染み大好きだから良いさw

じゃあお前さん書いてくださいよろしくおねがいします
631 ◆y5NFvYuES6 :2007/03/26(月) 02:58:45 ID:9kwZMQ7H
久々の投下いきます。
632赤い瞳と栗色の髪 ◆y5NFvYuES6 :2007/03/26(月) 02:59:19 ID:9kwZMQ7H
女の子が泣いている。

綺麗な黒髪をおかっぱにした女の子。

普段はとても可愛いのに、泣いたら可愛い顔が台無しだ。
泣いて欲しくない、悲しんで欲しくない、笑ってもらいたい。

ああ…やっと泣き止んでくれた。
いつものように綺麗で、可愛い笑顔。

もうこの子の泣いてる姿は見たくない。
ずっと一緒にいて悲しい事から守ってあげないと。

この綺麗な赤い瞳をずっと……。


―――――ピピピ―――ピピピ―――

なんの…音だ…。
音…………目覚まし…………目覚まし!?
「うわぁーー!!」
俺は寝起きだという事も忘れて飛び起きた。
慌てて時計を見る。
…6時半…。どうやら寝坊は避けられたみたいだ。
「よかった…。」
ほっと胸を撫で下ろす。

すっかり目が覚めた俺は身支度を済ませ、階段を下りていく。
居間には昨日と同じように若菜がちょこんと座っていた。
「おはよぉ、ちーちゃん。」
にっこり微笑む姿は昨日とは別人だ。
「ああ…おはよう。」
やっぱりもう大丈夫なんだよな。
そう納得する程、若菜の笑顔は穏やかだった。
633赤い瞳と栗色の髪 ◆y5NFvYuES6 :2007/03/26(月) 03:00:48 ID:9kwZMQ7H
おばさんは仕事があるからと、朝食を取るとすぐに出かけて行った。
「ちーちゃんちーちゃん!」
「どうした?」
「今日のご飯どうだったぁ?」
「どうって…美味しかったけど?」
「どんな風に!」
「えー…うーん……。」
美味しいものは美味しいとしか言いようがないんだがなぁ…。
笑顔の若菜にそんな事言える筈もなく、俺は黙り込んでしまった。
そんな俺を見て若菜は笑顔を崩す。
「…美味しくなかったのかな…。」
「いやそうじゃないって!」
「じゃあどこが美味しかったのか言って!」
「…………あー……あれだ、今日の玉子焼きは絶妙な味加減だったぞ!」
「えへへ、ホントぉ?」
「ああ、ホントだって。」
「じゃあ明日も食べたい?」
「ああ、こんな美味しい飯ならいつでも食べたいに決まってるだろ。」
「やったぁ!ちーちゃんに褒められちゃったぁ〜♪」
そう言うと、初めて会った時のように幼い外見とは裏腹な豊満な身体を押し付け、抱きついてきた。
やっぱ胸でかいよなぁ………って、そんな事考えてる場合じゃない!
俺は顔を赤く染めながら若菜を引き剥がす。
「は、離れろ!なにしてんだ!」
「や〜だ♪」
ぎゅっと、更にきつく抱きしめてきた。
「やめろって!」
これ以上この感触に理性が耐えられるか自信がない。
俺は腕に力を入れ、力任せに引き離す。
引き離された若菜は不満そうに頬を膨らませる。
「もー、そんなに嫌なのぉ?」
「そういう問題じゃないだろ!」
「ちーちゃん照れてるのぉ?」
「う゛……。」
図星をつかれ、更に顔を赤く染める。
「あはっ、ちーちゃんかわい〜♪」
「う、うるさい!」
若菜に弄ばれるとは…不覚だ。
これ以上心を見透かされないよう目を逸らす。
――と、時計が目に付く。
時刻は7時45分。
7時45分……………!!?!?!
若菜と遊んでる場合じゃない!!
俺は急いで立ち上がり、鞄をとり、玄関へと駆け出そうとする。
634赤い瞳と栗色の髪 ◆y5NFvYuES6 :2007/03/26(月) 03:01:55 ID:9kwZMQ7H
「待って!!」
突然、若菜が声を張り上げ、俺の足を止める。
「若菜…?どうした?」
ぐいっ。
強い力がかかり、俺の腕が若菜の腕に収まる。
「ちーちゃん、昨日ね、私少しだけ髪切ったんだよ。わかる?」
ぎゅ。
「ちーちゃん、昨日のテレビ見た?ちーちゃんはどんなの見るのかな?」
ぎゅぅ
「ちーちゃん、私の学校の英語の先生ってカツラなんだよぉ。ホントにカツラつける人っているんだねぇ。」
ぎゅぅぅぅ。
「ちーちゃん、カキ氷食べたいと思わない?私の家カキ氷機あるんだ、今度持ってこようかぁ?」
ぎゅぅぅぅぅっ。

「ちーちゃん明日何食べたい?ちーちゃん勉強得意?ちーちゃん都会って何か面白いものあるの?ちーちゃん芸能人とかに会った事あるの?ちーちゃん普段どんな所で遊んでるの?
ちーちゃんちーちゃんちーちゃんちーちゃんちーちゃんちーちゃんちーちゃんちーちゃんちーちゃん。」
ぎゅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅっっっ。

いつものように微笑んでいるが、瞳は決して笑っていない。
痛む腕とその表情が、昨日の若菜を彷彿とさせる。
だが今の俺にはそんな事を考えている余裕がない、時間は刻一刻と時を刻む。
段々俺の心に焦りと苛立ちが広がっていく。
「若菜ごめん…。俺行かないといけないんだ!」
強引に若菜の腕を振り解き、俺は振り返らず玄関に駆け出す。
早く行かないと!葵さんが待っている…!
若菜の事なんか全く構わず、そのまま玄関を出る。

「行かないで!!!!いやぁ!!ちーちゃん!!!」

熱い夏の風と共に聴こえてくる若菜の叫びを無視し、足を速める。
罪悪感で胸が痛む。
だが今それに構っていられる余裕の無い俺は、その罪悪感を無視し続け、全速力で駈けていく。





誰も居なくなった玄関。
栗色の髪の少女がぽつんと座り込んでいる。
その瞳は何も映さず、ただ小さな呟きが漏れるだけだった。

「許さないよ…、私からちーちゃんを取るなんて許さない…。絶対…近づけさせない…。」

少女は口元をにやりと歪め、小さな狂気を宿したかのような暗い瞳で玄関を見つめ続けていた――――
635 ◆y5NFvYuES6 :2007/03/26(月) 03:04:04 ID:9kwZMQ7H
短いですけど今回はこれで終了です。
もう少し投下のペースを速めるられるよう努力します…。
636名無しさん@ピンキー:2007/03/26(月) 03:50:08 ID:AOwcUCL3
>>635
若菜がまじツボだハァハァ(;´Д`)。GJ!
ご自分のペースで、完結めざしてがんばってください。
637名無しさん@ピンキー:2007/03/26(月) 03:54:55 ID:1LUUKOHb
幼い外見に似合わないえっちなからだ 

つまりそれはいいものだ。
638名無しさん@ピンキー:2007/03/26(月) 07:28:43 ID:00gKYNv/
>>635
俺・・・、若菜たんのファンなんだ・・・。
最後にハッピーになってくれないかな・・・。
639名無しさん@ピンキー:2007/03/26(月) 08:45:16 ID:5bLzvYID
>>635
GJ!
若菜がこれからどうなって行くのやら…

>>638
まさにMe Too.
640名無しさん@ピンキー:2007/03/26(月) 09:12:27 ID:kI5ZJ9Wp
>>638-639
つチラシの裏
641名無しさん@ピンキー:2007/03/26(月) 10:08:45 ID:bVd6lVqC
>>635
こ、これは滅茶苦茶続きが気になる…
楽しみにしてますので、頑張って下さい!
642名無しさん@ピンキー:2007/03/26(月) 14:49:07 ID:qC9IOqcP
自演GJが入ってねーか?
643名無しさん@ピンキー:2007/03/26(月) 14:51:51 ID:bof0jOoH
>>627

ツッコミを入れるとこれが姉妹モノだった場合は

デレモードに入るのか


思い切り拒絶反応を示すのか

どちらなんだろうねww
644名無しさん@ピンキー:2007/03/26(月) 15:09:09 ID:dVyn9Tli
赤い瞳と栗色の髪は今連載しているもの中では1、2番を争うくらい上手な作品
文と世界観がとてもいいです
645名無しさん@ピンキー:2007/03/26(月) 17:06:08 ID:HwVhhpa+
>>643 
もちろんデレデレだろw
646名無しさん@ピンキー:2007/03/26(月) 18:10:09 ID:98FPgvnv
自演GJ多くてうぜー
647名無しさん@ピンキー:2007/03/26(月) 18:17:07 ID:fHWhYVUK
>>646
禿同
648名無しさん@ピンキー:2007/03/26(月) 18:24:20 ID:TNyRK2Ik
それにしても、ヤンデレスレで話題になっている
吉村達也著作「初恋」はゾクゾクしたぜ・・・

キスしただけで永遠と付きまとわれるプロットネタだって浮かんでしまう
649名無しさん@ピンキー:2007/03/26(月) 18:26:36 ID:TNyRK2Ik
内気で人見知り激しい女の子の黒化は人類の財産・・。
言葉様の域に達する女の子は一体何人いることなんだろうか・・。
リアルで鮮血とか起きないかな・・
650名無しさん@ピンキー:2007/03/26(月) 18:52:44 ID:HwVhhpa+
>>646 
どこを見て誰を自演と言ってるのかが分からない。
IDが同じな訳でもないし。
証拠が無いのに自演GJとか言う人の方がうざいよ。
651名無しさん@ピンキー:2007/03/26(月) 18:54:30 ID:bVd6lVqC
>>648
ほう、そんなものが…
今月ヤバいのに…(´;ω;`)
652名無しさん@ピンキー:2007/03/26(月) 18:58:41 ID:bVd6lVqC
>>650
まあまあ、そう怒らずに。
無視するなり削除依頼するなり冷静にいきましょう。
653名無しさん@ピンキー:2007/03/26(月) 19:11:42 ID:5GPQpqOE
>>648
延々と、じゃね?
654名無しさん@ピンキー:2007/03/26(月) 19:47:29 ID:EHAU5z/y
>>650
>>652

こいつらアホですか?
>>648-649
がスルーして話題を振っているのにいちいち突っ込むな!!


スルーもできない人間は書き込むな

↑これテンプレに追加よキョン!!
655名無しさん@ピンキー:2007/03/26(月) 20:26:28 ID:HwVhhpa+
>>654
自治厨うぜぇよ。

>>スルーもできない人間は書き込むな
じゃあお前も黙ってろ。
656名無しさん@ピンキー:2007/03/26(月) 20:31:34 ID:bJ/ZsiHk
〜〜〜〜〜以下荒らしと馬鹿の罵り合い〜〜〜〜〜〜〜
657名無しさん@ピンキー:2007/03/26(月) 20:54:36 ID:FC4ua5ct
〜〜〜〜〜ここまで荒らしの自演〜〜〜〜〜〜〜
658トライデント ◆J7GMgIOEyA :2007/03/26(月) 21:22:43 ID:oKeAUP3O
では投下致します
659名無しさん@ピンキー:2007/03/26(月) 21:23:29 ID:ddQYbUov
>>654
このスレに自治厨はいらね
俺とSS作家がいればいいんだよ
>>656=>>657
ハイハイ、ワロスワロス
660水澄の蒼い空 ◆J7GMgIOEyA :2007/03/26(月) 21:25:32 ID:oKeAUP3O
 第34話『僕達の絆』

 一夫多妻制とは我が人類がこれまで築き上げた対ヤンデレ症候群の防衛救済策です。
もし、大好きな相手の他に嫌いな泥棒猫と交戦する過程でヤンデレ症候群を発症したとしても、
殺し合う必要性がないのです。結ばれるべき相手は一人じゃなくて、その他多数なのですから

 皇帝陛下の映像から移り変わって、女性の機械声がアニメのような絵と共に今回の一夫多妻制の仕組みについて詳しい説明している。
 俺達は茫然とその政府が提案した新しい法律の内容を夢中になって見ていた。
結ばれる相手が一人というこれまでの常識概念がこの法案によって木っ端微塵に破壊されて、
人は新世界へと旅立って行くというのだろうか。ヤンデレ症候群の発症者に殺される危険もなくなった。
そう、ストーカーのように寄ってくる女の子たち全てと結婚してしまえば、何の問題ない。
 ただ……。
「これで紗桜ちゃんと殺し合わないで済むし。月君と皆で一緒に幸せになれるね」
「兄さん。お姉ちゃん……」
 この法案が強制的に可決されるのは国民の大多数の支持と政府の圧力で何の問題もない。
虹葉姉と紗桜も虚ろな瞳から正気を取り戻したかのように目に輝きが戻ってきた。
お互いを抱き締めながら良かったよと泣き叫びながら歓喜の声をあげている。
 その中で俺は一人だけとてつもない不安を抱いていた。

 一体、何が解決したんだ?

 ヤンデレ症候群の防衛救済策、『一夫多妻制』を導入実行がされる。
その法案の導入と実行に文句を言うつもりはない。
ただ、相手の気持ちを無視して容赦なく自分の思い通りに相手を強制的に結婚させる法律は
一体どこに幸せを見いだすことができるのであろうか? 
自分以外その他多数と結婚できるとしても、別に好きでもない人と結婚なんかしたくないだろう。

 そう、今日起きた関連の出来事を思い出すと……。

 虹葉姉と紗桜が凶器を持ち、俺の目の前で殺しあおうとしていた。
その光景を目撃して、殺人未遂行為をなかったことにしてはしゃいでいる二人に少しだけムカついていた。
 冬子さんとの約束通りに虹葉姉と紗桜を幸せにしようと思って、今回のホームパーティを企画して腕を奮った料理。
自分こそが彼女たちのヤンデレ症候群を救える人間だと信じて命懸けで頑張ろうとしていたのに……。
 バカげた法案に全てを台無しにされた俺の怒り。

「認めない」
「月君?」
「兄さん?」
「認めない。こんな法案が通っても通らなくても……。
今日、起きた出来事がなくなるはずがないじゃないか。
虹葉姉が紗桜が、今まで仲良くしていた家族があんな風に殺しあって……。

法案が可決された途端にそう簡単に和解できても。その想いを受け入れる側の俺が納得すると思うか? 
どんな理由があっても、自分勝手な私利私欲のために殺しあったのは確かなんだ。
そ、そ、そんな人たちとは一緒にはいられないよぉぉ!!」

「えっ……月君」
「兄さん」

 二人の体を乱暴に引き離して俺は感情に任せた言葉の撤回もしないまま、
その足で自分の部屋に逃げ込んだ。ベットの中に入り込んで、
声が出ぬように口を手で抑えて、ただ泣いていた。子供のように。
661水澄の蒼い空 ◆J7GMgIOEyA :2007/03/26(月) 21:28:27 ID:oKeAUP3O
 何時間ぐらいベットの中で寝ていたことであろうか。
流れる涙腺は止まる気配が全然見えなくて、目蓋から頬に涙の雫が零れる感触が残ったまま感じている。
目は鏡で確認しないが、兎のように目が真っ赤になっていることであろう。
部屋を真っ暗にして半ひきこもり生活を送るような精神的なショックを受けると人間は
何事も気弱になってしまうのだろうか。胸の奥が引っ掛かる倦怠感から抜け出すことがなく、
俺は大事な姉と妹の事を想い涙を流していることを何度も何度も繰り返している。

いい加減に立ち直れと自分を自分で叱ってやりたいが、その気力はなかった。
 単純な話。俺は姉妹が自分を取り合って死闘を繰り広げていた光景を前にして、
後々に心の傷が塵に積もって痛んでしまったのだ。冷静に考えれば、虹葉姉と紗桜の殺意は本物であった。

だから、俺は二人を止めることができなかった。
臆病な自分、大切な居場所『水澄家』を壊す姉妹。
大切にしていた家族という檻。失った暖かな居場所は虚偽だと思い知らされたのだ。

 今更、その事に思い知らされた自分に腹が立っていた。
俺はこの家の一員じゃあなくて、ただの居候。それ以上もそれ以下もない。わかっていたのに。
 虹葉姉と紗桜が俺に告白した時点で家族ってのは粉々になくなっていたんだよ。

 終わりのない悩みを思考しているとドアからノックする音が聞こえてきた。
この時間帯に尋ねてくるのは俺を心配している虹葉姉か紗桜の両方だろう。俺は涙の跡を拭き取ってドアを開いた。
 そこにいたのは、顔が青ざめている虹葉姉だった。

「紗桜ちゃんが紗桜ちゃんが……」
「紗桜がどうしたんだ?」
「紗桜ちゃんが凄い熱でうなされているんだよ」
「何だって……」
「一緒に寝ていたら、紗桜ちゃんのうなり声で起こされて。

おでこに手を当てたら、凄い熱なんだよ。だから、月君も私たちの部屋に来て」
 虹葉姉に無理矢理手を引っ張られて、二人の部屋まで連れてこさせると
ダブルベットの上で顔色が悪くてうなされている紗桜が苦しそうにしていた。

「大丈夫か!! 紗桜」
 おでこに手を当てると物凄い高熱で、紗桜の容態が楽観視できるものではない。
俺は動揺しながら、虹葉姉にテキパキに指示を出した。
「体温計で熱計ったか?」
「う、ううん。すぐに持ってくる」
「ついでに浴場に行って洗面器を取ってきて。とりあえず、ひ、冷やさないと」
「うん。わかったよ月君」

 虹葉姉が急いだ駆け足で階段を下りる音が聞こえて、更に大袈裟なハデにコケる音が耳に入ってきても。
俺はとりあえず、紗桜の手を優しく握って声をかける。

「紗桜? 大丈夫? お兄ちゃんはここにいるよぉ」
「う……ん……おにいちゃん。おねえちゃん」

「ここにいるよ。何か食べたい物ない? すぐに買ってきてやるよ」

「わたし、つ、つ、冷たいアイスクリームが食べたいよぉ」

「わかった。すぐに買いに行ってやるよ」
662水澄の蒼い空 ◆J7GMgIOEyA :2007/03/26(月) 21:31:07 ID:oKeAUP3O
「わ〜い」
 と、元気のない声で紗桜は自嘲気味に笑みを浮かべた。
「月君月君。はい。体温計と冷たい水をたくさん入れてきたよ」
「よし、早速に熱を測ってみるか」

 紗桜の脇に体温計を差し込んで、数分ぐらい時間を待つ。
その間に虹葉姉が持ってきたタオルを冷水で濡らして握る。
紗桜のおでこに冷たいタオルを置くと体温計が電子音を鳴らした。その体温計の温度を見ると俺は少し絶句した。

「39度7分。タチの悪い風邪だな」
「病院なんてこんな時間じゃあやってないよぉ。どうする、救急車でも呼ぶ?」
「今日の皇帝陛下の演説のおかげでどの施設も機能していると思えないけどな。まあ、明日朝早くに紗桜を病院に連れて行こう」
「そうだね。紗桜ちゃん。

昨日ね。タオルに纏った姿でこの部屋で髪も体を拭かずに動揺していたからね。
どこかの誰かさんが清き乙女の裸体を覗いたおかげで」

「この風邪は俺のせいか。後で紗桜に好きな物をおごってやるからそれで許してくれよ」
「紗桜ちゃん。月君以外に男に裸体を見られたら倒れていたかもしれないけどね」
 確かに男性恐怖症の紗桜なら大いにありえるケースだな。
話し掛けられただけで人形の腹話術でオドオドと会話できない内気な女の子だからな。
「さてと今晩は徹夜で交替して看病しましょう」
「それなら、俺が紗桜を一晩中に看てあげるから。虹葉姉は寝ててもいいけど」
「にゃあ。そんなのダメです。私だって大切な妹が苦しんでいるのに呑気に寝ていられません。
私が最初に看るから。月君はここにお布団を持ってきて寝てちょうだい」
「いや。俺が……」
「お姉ちゃん命令です。いいですね。月君は後半戦をお願いしますねっっ!!」

 虹葉のとてつもない覇気のある声に圧されて、俺はしぶしぶと従った。
 自分の部屋に布団を取りに戻ると二人が寝るダブルベットの隣にマットレスを置いて。
枕と布団をちゃんと整えてから俺は無言に布団に入る。

「お姉ちゃん……お姉ちゃん」
「はい。お姉ちゃんはここにいますからね。紗桜ちゃん」
 仲のいい姉妹のやり取りが聞こえてきて、自然と胸の中が幸せな気分になってきた。
 今日の色んな出来事があり体が疲労していたのであろう。布団に入って、
目を瞑ってしまうとすぐに睡魔が襲ってきて。しばしの仮眠を取るのであった。


 朝日の日光で目が覚めると俺は重い頭と見慣れない天井にいつもとは違う部屋の雰囲気に少しだけ戸惑ってしまった。
鈍い頭が回転を取り戻すと俺は大事な事を思い出した。
 紗桜が高熱を出してしまい、虹葉姉と交代で看病を看ると決めていたのに。
寝過ごしてしまった。慌てて起きて、二人の様子を確かめた。
 虹葉姉が何度か洗面器にタオルを入れて余計な水分を絞ってから、紗桜のおでこに乗せていた。

「虹葉姉。すまなかった。あんな風に偉そうに言っていたのに寝過ごしてしまった。本当にすまない」
「月君は全然悪くないよ。だって、私。月君を起こす気はなかったんだもん」
「えっ!?」
「昨日の月君。目が真っ赤だったでしょう。一人で泣いていたのは丸分かりだし。
私たちのせいで色んな事を抱えてしまって。精神も肉体も限界だろうと思って。
起こさなかったよ。私なら紗桜ちゃんや月君のためなら一睡や二睡しなくても大丈夫です」
「でも、俺は……」
「年下の男の子が年上の女の子に気を遣うなんて生意気だぞぉ。
ここはお姉ちゃんの言うことをちゃんと聞きなさい」
 虹葉姉は優しく微笑すると俺の寝癖になっている頭を愛しそうに撫でた。子供扱いじゃなくて、弟扱いだな。
「さてと、病院を開く時間になると紗桜ちゃんを連れて行きましょうか!!:
663水澄の蒼い空 ◆J7GMgIOEyA :2007/03/26(月) 21:34:03 ID:oKeAUP3O
 紗桜を病院に連れて行って医者に診てもらった。最近の流行の風邪に感染したらしく、
痛い注射と点滴を受けただけで2〜3日を安静に寝ていればすぐに治るらしい。
俺と虹葉姉が紗桜が元気になるまで一緒に看病していた。
ようやく、紗桜の熱が下がってくると水澄家に新たな問題が発生していた。
 二睡もしていない虹葉姉が急に体の急変を訴えだした。

身体全体に寒気がして、足がちょっと痛いと舌を出しててへへと俺と紗桜を心配そうに無理矢理元気そうな笑みを浮かべていた。
俺は虹葉姉が紗桜の風邪が感染したと安直に考えていたが、足がちょっと痛いというのに違和感を感じて、
嫌がる虹葉姉の左右の足のズボンの裾をめくってみると。
 俺は紗桜がおでこを手に当てた時と同じぐらいに絶句していた。

「なに。その足は?」

 虹葉姉の膝から下の足が紫色の不気味な色にあらゆる箇所で染まっていた。
いわゆる、内出血だと思われるらしいが。いつ、どこで虹葉姉が怪我をしていたのか全くわからなかった。
「そのね。月君から体温計と洗面器を頼まれた時。ほらっ。
私、ちょっとだけ慌ててガサつに階段を降りようとしたら、少しだけ踏み外してこけたの。
まあ、痛いのは少しだけ我慢できたから大したことがないと思ったから」
「大したことがないはずないだろ。そんな足で……」
 そんな足で紗桜の看病していたのか……。と先の言葉を言えなかった。
泣きそうになってダブルベットの上で起き上がって虹葉姉の痛々しい足を強張って見ている紗桜の前では。尚更だ。
「お姉ちゃん……私が高熱を出したおかげで……あぅあぅ。ごめんなさいぅぅ」
「もう、紗桜ちゃんったら。もう、泣かないの。お姉ちゃんは大丈夫なんだから」
 俺は無言で青痣ができている箇所を優しく撫でるように触ってみた。
 ズキン。
 そんなありえない音が聞こえるわけはないが、虹葉姉の表情がやせ我慢で脆く崩れ去ろうとしているので相当痛いものだと思われる。
「い、い、痛くないんだからねぇぇ」
「うわっっんおねえちゃぇぇぇんん」
「もう、虹葉姉は大人しく安静で寝ておきなさい。これは流行している風邪の症状の前触れなんだから」 

俺はダブルベットの角で体を支えている虹葉姉の首と腰を支えて、
いわゆるお姫さま抱っこの状態にして背負うとベットの上に寝かせてやった。
虹葉姉は風邪のせいなのか、顔から火が出たように真っ赤になっていた。
「つ、つ、つ、月君にお姫さま抱っこしてもらった。てへぇ」
「あぅっ。お姉ちゃんばかりいいなぁ」
「後で紗桜ちゃんも月君にお願いしてもらえば。もう、天国行きの特急券の切符を買ったような気分になっちゃうんだから」

 と、病人同士が仲良く楽しい会話で盛り上がっていた。
俺もあえて反論したい箇所が多数あったが、虹葉姉の足の負傷を少しでもやわらげるために下へ戻って湿布でも取りに行ってやろう。
 適当な応急箱の中から数枚の湿布を抱えてまた上に戻る。
虹葉姉の足の具合は素人が見ても腫れた青痣に目を伏せたくなるが、俺の指示で慌てて階段から滑り落ちたのだ。
この怪我の責任は俺にあるのだから最後まで付き合ってやるさ。

「い、痛いよぉ……うにゃ、しみやがるぜぇぇ」
「打撲か打ち身程度の傷かはよくわからんが。ここまで徹底的に放置すれば、腫れている箇所を冷やしたらさぞかし痛いだろうね」
「お姉ちゃん……本当に大丈夫?」
「あはっはっは……たぶん」
 俺は容赦なく虹葉姉の青痣になっているところに湿布を張ってゆく。白くて細い足が痣のせいで台無しになっているよこれ。
「虹葉姉と紗桜は安静に今日は寝ていること。明日は虹葉姉は整形外科と内科の両方の病院に連れていくからな」
「ありがと。月君。いつも月君は私と紗桜ちゃんに優しい」
「お世辞を言っても何もないよ」
「兄さんったら。もう、素直に私たちの好意を受け取っていればいいのに」

 その好意は充分に受け取っているつもりだが、恥ずかしいからこの姉妹の前では顔を出すつもりはなかった。
 虹葉姉と紗桜を寝かせた後に、俺は明日の事を考えてさっさと寝ることにした。
664水澄の蒼い空 ◆J7GMgIOEyA :2007/03/26(月) 21:36:29 ID:oKeAUP3O
 明日になると予想どおりに風邪を悪化させて高熱が出ている虹葉姉を病院に連れて行った。
今回は足の怪我のこともあり、面倒臭い事に二つの病院をタクシーで走らせた。
体から寒気がする虹葉姉の震える手を握り締めて長い診察時間を待って治療が終了する頃にはすでに時刻は昼頃となっていた。
 注射を打ってもらった虹葉姉は紗桜の看病していた疲労などで家に帰るとご飯も食べずにベットに入ってすぐに寝てしまった。
俺はしばらくリビングで遅い昼食を食べながら、悠長に疲れた体を休ませる。
 上から階段が降りる音が聞こえて、リビングに顔を出したのはお気にいりの犬のパジャマを身に纏っている病み上がりの紗桜であった。

「もう、大丈夫なのか紗桜?」
「熱も下がってるし。もう、大丈夫だよ」
 冷蔵庫に仕舞っている栄養スポーツドリンクをコップに注いで紗桜は俺の隣の席に座って、真剣な眼差しで俺を見つめる。
「兄さん。お願いがあるんですぅ!!」
「どうしたんだ」
「わ、私に今日のお姉ちゃんの夕食を作らせてください。お願いします」
「駄目だ。紗桜はまだ病み上がりだろう。もう少しだけ安静にしないと。
それに自分の手料理が相手にどれだけの猛毒かは紗桜がよ〜く理解しているはずだろ?」
「それでも作ってあげたいの。お姉ちゃんは階段で転んで足がとても痛かったはずなのに。
そんな素振りを見せずに私のために二日も寝ないで看病してくれんだよ。
冷やしたタオルが生温くなったら、取り替えてくれたし。それにお姉ちゃんはあの時のことを後悔していると思うの」
「あの時って……」
「お姉ちゃんと私が兄さんを巡って殺し合ったこと。あの時は私とお姉ちゃんは狂気に犯されていたけど……。
本当に兄さんのことを愛しているのならば、あんな事をしたらいけないのにね。
お姉ちゃんは私のために精一杯の罪滅ぼしだったんだよ。それだけ、兄さんの言葉が胸の奥に響いていたの」
「俺の言葉?」
「ほら、兄さんが部屋を飛び出した時に言ったこと」


(認めない。こんな法案が通っても通らなくても……。
今日、起きた出来事がなくなるはずがないじゃないか。
虹葉姉が紗桜が、今まで仲良くしていた家族があんな風に殺しあって……。
法案が可決された途端にそう簡単に和解できても。その想いを受け入れる側の俺が納得すると思うか? 
どんな理由があっても、自分勝手な私利私欲のために殺しあったのは確かなんだ。
そ、そ、そんな人たちとは一緒にはいられないよぉぉ!!)

「あんな法律が可決されても、お姉ちゃんと私が殺し合った事実は消えない。
それは悠久の彼方まで過ぎ去っても変わることがない事実。
兄さんが言いたかったのは、その事実から逃げずに真っ正面に受け取って欲しかったんでしょう」

「さあ。どうでしょうか……」

 紗桜や虹葉姉もヤンデレ症候群の症状は既に消え去っている。
言動や行動も本当に家族を想っていることは紗桜の話から聞いていれば充分にわかる。

「私もお姉ちゃんのために作る料理が罪滅ぼしになるの。だから、教えて」
「高熱で唸っている虹葉姉が食べれる料理は限られてくる。
紗桜がどんな料理下手でも俺の指導さえあれば誰でも作れる料理、お粥ぐらいは作れるだろう」
「ありがとうっっ!! 兄さん!!」
 と、紗桜が嬉しそうに俺に抱きついてくる。
「後、お粥を美味しく作れるコツを伝授してやるよ」
「何ですか? 美味しい作れるコツって」


「それは……相手の気持ちを想って作ること」

665水澄の蒼い空 ◆J7GMgIOEyA :2007/03/26(月) 21:38:34 ID:oKeAUP3O
 紗桜が精一杯想いを込めて作ったお粥は虹葉姉は美味しいと絶賛してくれた。
誉められたことが嬉しかったのか、紗桜は照れ恥ずかしい笑みを浮かべていた。
 一度、壊れたはずの家族の絆が再び堅い結束を取り戻した。
俺の危惧する家族の居場所はここにあると再認識せねばならないだろう。
姉妹は互いを想い、一夫多妻制など頼らずにヤンデレ症候群を乗り越えた。
そんな二人の気持ちに応えるために俺も頑張らないと行けない。
 早朝。
 俺は体に重たい怠さを感じながらも気合いで起き上がってキッチンに立つ。
あの夜にするはずだったホームパーティを……二人に気持ちを伝えるはずだった日をもう一度やり直そう。
 そう。
 今度こそ俺達はやり直すんだ。誰も悲しまずに笑っていられるように。
「あれ……!?」
 目の前の光景が左右に揺れるに歪む。
頭に鉛を付けられたように重く、気持ち悪さと同時に俺の体はぱたんと倒れだす。
頭部を激しく打つ音が他人ごとのように聞こえる。
 体全体に寒気が走る。全身が寒くて寒くて震えていた。

(こんなとこで倒れている場合じゃないのに)

 意識が消失をする間。ずっと、俺は虹葉姉と紗桜のことを想っていた。
666トライデント ◆J7GMgIOEyA :2007/03/26(月) 21:41:13 ID:oKeAUP3O
以上 投下終了です

残り2話でこの作品もついに終了です。
次回は性描写を含んだ文章がありますのでご注意ください。

では。
失礼致します
667名無しさん@ピンキー:2007/03/26(月) 21:47:08 ID:LzUkeQKW
もう荒らしは名スレの有名税と考えよう
良スレだからこそ荒らしが蛆のように沸く、そう考えれば悪くない気分にならないか?
668名無しさん@ピンキー:2007/03/26(月) 21:56:12 ID:5GPQpqOE
あー。大多数の人は>>667の書き込みを良識に則って無視すると思う。
けれど、俺はあえて言おう。

つ【荒れそうな話題はスルーしましょう】
669名無しさん@ピンキー:2007/03/26(月) 22:00:26 ID:+1KFi0RA
このスレが良スレだったのも今は昔
670名無しさん@ピンキー:2007/03/26(月) 22:03:21 ID:bVd6lVqC
>>654
すいません。フォローのつもりだったんですが…

>>666
あと二話で終わりなんて…
次の話も心待ちにしてます。
671名無しさん@ピンキー:2007/03/26(月) 22:09:49 ID:ddQYbUov
>>666
>次回は性描写を含んだ文章がありますのでご注意ください。

ここピンクだよね?w
672名無しさん@ピンキー:2007/03/26(月) 22:11:34 ID:Zrvz8ZLL
ここ20歳以下禁止なんだぜ
673名無しさん@ピンキー:2007/03/26(月) 22:12:01 ID:ccgqvXR0
トライデント氏GJ!完結に向けて全裸で待機しております。
後ここはエロパロ板だから性描写にかんして断らなくてもおkかと。

しかし久しぶりに単発が沸いてるな。ご苦労なことで。
674名無しさん@ピンキー:2007/03/26(月) 23:15:18 ID:00gKYNv/
GJ。なんか落ち着いてきましたなぁ。最後まで見てまっせ。

しかし、元々一夫多妻制だった日本が一夫一妻制になったのは
やはり愛を独占したがる女同士の確執が原因かもしれないのに、
再び一夫一妻制に戻すとはこれいかにw
675名無しさん@ピンキー:2007/03/26(月) 23:27:12 ID:IHiFR5sg
>>673
お前も単発だぞ?
まぁ煽りなんでしょうけどねw
676名無しさん@ピンキー:2007/03/26(月) 23:28:26 ID:bJ/ZsiHk
見事に単発同士が煽りあってますね
677名無しさん@ピンキー:2007/03/26(月) 23:51:27 ID:IHiFR5sg
>656 :名無しさん@ピンキー:2007/03/26(月) 20:31:34 ID:bJ/ZsiHk
>〜〜〜〜〜以下荒らしと馬鹿の罵り合い〜〜〜〜〜〜〜

ハイハイ、煽り煽り
678名無しさん@ピンキー:2007/03/27(火) 00:14:55 ID:DinkyrSg
>>675-677
まあ、皆さんだいぶ落ち着いてきたことですし、ノンビリいきましょう。
679名無しさん@ピンキー:2007/03/27(火) 00:33:05 ID:XecEJMhk
投下して良い?
680名無しさん@ピンキー:2007/03/27(火) 00:37:45 ID:xKDzs6rh
もちろんおk。ドンと来い
681僕と姉さんの日常ごっこ@ ◆8WEVcVrsT6 :2007/03/27(火) 00:38:30 ID:XecEJMhk
「そーちゃん、ただいまぁ」
玄関の方から聞きなれた声がする。時計を見て、もうこんな時間かと思った。
「おかえり。姉さん」
玄関まで行くと、両手にスーパーの袋を抱えて重そうにしている姉さんに手を貸す。いいよ、と遠慮する声を無視
して奪い取るように袋を持つと、姉さんは「もうっ」と言って頬を膨らませる。いつものこと、と台所まで歩くと
案の定、姉さんは後ろからトコトコとついてきた。
「ふふ」
「なに?」
「んー? そーちゃんも大きくなったんだなーって」
「そう」
適当な相槌に不満を憶えたのか、えいっという掛け声と共にそのまま背中に何やら柔らかいものがくっつく。やめ
てよ、という間もなく姉さんは続ける。
「ちょっと前までお姉ちゃんの傍をずっと離れないでベソかいてたのに、こーんなに大きくなっちゃって。そーち
 ゃんも大人になっちゃったのかなー」
「僕はまだまだ子供だよ」
姉の言葉に少しだけ頭がぼんやりとする。ぼんやりとして、いつのまにか台所についてしまった。姉さんは未だに
ひっついている。
「姉さん」
「もうちょっとこのままでいさせて。そしたらお姉ちゃん。またいつものそーちゃんのお姉ちゃんになれるから」
最後に、ね? と付け加えてそのまま固まる僕と姉さん。真っ赤に部屋を照らす夕日が少し目に眩しかった。
682名無しさん@ピンキー:2007/03/27(火) 00:39:41 ID:uU8exq4h
>679
sage進行でどうぞ!
683僕と姉さんの日常ごっこ@の2 ◆8WEVcVrsT6 :2007/03/27(火) 00:39:49 ID:XecEJMhk
「それじゃあご飯作るから待っててね、そーちゃん」
いつものようにヒヨコのエプロンを着けた姉さんが台所へと消えていく。ここで手伝いでもするのが弟としての務
めなんだろうけれど、姉さんと生活を始めてからこの方、手伝うという僕の言葉は姉さんの前で幾度も玉砕してき
たわけで。なんでも弟の僕には健康的な食生活を送って欲しいらしく、たまにコンビニ弁当でも買ってこようもの
ならそれはもう酷いものだ。

ねえ、そーちゃん。こういうのって体に悪いものが一杯入ってるんだよ? そーちゃん、それ分かってるの? お姉
ちゃんがせっかくそーちゃんの体を考えてご飯作ってるのに、こんなの食べちゃ全然意味ないんだよ? それとも
お姉ちゃんのご飯不味い? 不味かったら遠慮なく言っていいんだよ? 何も言わずにゴミ箱に捨てて、そしたらお
姉ちゃん何度でも作り直してあげるからこのお鍋の中にあるもの全部ひっくり返してお姉ちゃんにかけていいから
そーちゃんのお口に合うように何度でも何度でも作ってあげるからだからこういうのはもう買ってきちゃダメだし
食べるなんてもっての外だからね……分かった? 分かったそーちゃん?

というわけで一般庶民にも関わらずコンビニ弁当の味をここしばらく知らない僕は、今夜もまた姉さんの奮う料理
を胃に収めるのだ。別に姉さんの料理が不味いわけでは全くない。毎朝、渡される弁当一つとっても、クラスメー
トの中には羨望の眼差しを送る奴もいれば、料理を教えて欲しいと頼み込む女子生徒までいる始末だ。

だから、でも、なんだかなあと思ってしまうのが最近の僕だ。

台所から姉さんのリズムの良い鼻歌が聞こえる。どうやら今夜の料理は殊更上手くいってるようだ。
話を戻そう。発端など些細なもので、そんな誰にでも自慢できる姉の事をクラスメートに話した時だった。
684僕と姉さんの日常ごっこ@の3 ◆8WEVcVrsT6 :2007/03/27(火) 00:41:14 ID:XecEJMhk
それ、ブラコンだよ。
ブラコン。公園によくある遊具でもなければ、最近売れている少女漫画でもない。
確かに、姉さんは悪く言えば過保護だ。毎朝、僕の部屋に来ては起こしに来るし、食事の用意は勿論のこと、洗濯
も僕の下着まで洗ってくれる始末だ。このマンションにしたって姉さん名義のものだし、云わば衣食住全てを姉さ
んに任せてるといって過言ではない。
だからといって、それだけでブラコンと決め付けるのはちょっと判断が甘いとも思う。朝起こされることにしたっ
て、目覚ましに全く反応しない自分が悪いわけだし、洗濯だって後ろ暗いようなことをしてるわけでもない。一人
暮らしをしたいはずなのに私立の高校に通うことになった僕と両親を慮って、自分のマンションに愚弟を住まわせ
てくれる姉さんは、出来た姉と言われはするのが筋であって、ブラコンなどという言葉は姉さんを貶めているだけ
に過ぎない。
そうだ、きっとそうだ。うん。
「出来たよ。そーちゃん」
「ああ、うん」
台所と居間の境からひょいっと顔だけを出して姉さんが僕を呼ぶ。ついついぼぉっと考える癖があるのは数少ない
姉弟共通のものらしい。
予想通り、姉さんの料理は素晴らしかった。僕が食べている間も姉さんは、おかわりいる? 美味しい? とひっき
りなしに聞いてくる。食べている僕の顔を見れば分かるのに、姉さんは心配しすぎだ。
「心配しすぎだよ」
「そう? だって、そーちゃんが美味しいって言ってくれるの嬉しいから」
「うん。美味しいよ」
「ふふ。ありがとう」
ああそうそう。クラスメートの呆れ顔でさっきの話は終わるわけなんだけど、僕だけの中でこの話は続きがある。
「まだ一杯あるから。もっと食べてね。そーちゃん」
でもまあ、それはまた後にしよう。


つづく
685僕と姉さんの日常ごっこ ◆8WEVcVrsT6 :2007/03/27(火) 00:43:52 ID:XecEJMhk
とりあえず今日の分はここまでで。
686名無しさん@ピンキー:2007/03/27(火) 00:48:33 ID:DinkyrSg
>>685
リアルタイムGJ!!
久しぶりの新作、かつキモアネなんて最高です!
次も期待してますので頑張って下さい 。
687名無しさん@ピンキー:2007/03/27(火) 00:51:28 ID:uU8exq4h
割り込んでごめん。
キモアネとややシスコン気味の弟・・・・どんな子が間に入ってくるのかな。
楽しみにしてますよ。
688名無しさん@ピンキー:2007/03/27(火) 00:52:39 ID:MU/Zztzw
キモ姉は人類の至宝です。
689 ◆8WEVcVrsT6 :2007/03/27(火) 00:55:32 ID:XecEJMhk
感想ありがとう

あと30分ぐらい待ってくれれば続きを投下できるんで待ってくれたら幸いです。
690名無しさん@ピンキー:2007/03/27(火) 01:05:34 ID:ZNR9pV26
えむえむっ!の作者は絶対このスレの住人だと思
691 ◆8WEVcVrsT6 :2007/03/27(火) 01:10:40 ID:XecEJMhk
それじゃ続き投下します。
692僕と姉さんの日常ごっこA ◆8WEVcVrsT6 :2007/03/27(火) 01:12:02 ID:XecEJMhk
「―――というわけだから、寄り道せずに早く帰ること。それじゃあ日直」
先生の声に日直が号令を出す。緩々と帰る準備をする生徒達の中、僕もご多分に漏れず、鞄を手に教室を出た。
騒々しい放課後の廊下を、ぼんやりと今晩の姉さんの料理でも考えていると背後から呼び止められた。
「皆川くん、ちょっと良い?」
振り返ると、うちのクラスの委員長である如月さんがこちらに近づいてくる途中だった。世間一般で言う友人とい
う間柄にしては少々近いのではないか、という距離で彼女は止まると、いつものようにこちらを見上げてくる。
クールビューティとは彼女のことを言うのだろう。あまり感情の振幅を感じさせない瞳は相変わらず慣れそうにな
い。そんな僕に構うことなく彼女は続ける。
「少し手伝って欲しいことがあるの。気づいたら副委員長も帰っちゃってたし、どちらかといえば男手が必要だか
 ら。それとも忙しい?」
淀みなく出てくる言葉に僕は首を横に振る。僕の返答に彼女はそう、とだけ言うとクルリと踵を返してスタスタと
歩いていってしまう。どうやらついて来いということらしい。
僕も承諾した以上、ついていくほかに選択肢はない。いつ見ても背筋をピンと伸ばしている彼女と猫背気味の僕と
では、こうして歩いている世界もどこかずれているのだろうなんて思ってしまう。
その背中に、思えば如月さんとは長い付き合いなんだなと、準備室までの道のりでハタと思う。いや、付き合いと
いうほど親密であったわけではないが小学校に中学校、おまけに幼稚園とクラスは違えど同じだったと、初めて同
じクラスになった最近になって彼女の方から教えられた。もちろん、ずっと地元の学校を選んできたわけだからた
いした偶然ではないかもしれないけど、年を経るにつれて共有した時間を持った友人が少なくなっていく中、それ
でも彼女の存在は僕の中で嬉しいものだった。
そのことを正直に伝えた時の彼女の笑顔は、今の所、僕の確認した中の彼女の一番の笑顔だと思う。
準備室についた如月さんと僕は、一人でも頑張れば持てそうな荷物を二つに分けて運んだ。大丈夫? とあんまり心
配してなさそうな彼女に、僕はうん、とだけ答えた。
693僕と姉さんの日常ごっこA ◆8WEVcVrsT6 :2007/03/27(火) 01:12:58 ID:XecEJMhk
「今日はありがとうね。今度、なにかお礼するわ」
「いや、そこまでしなくていいよ」
校舎から出て校門へと続く道を如月さんと僕は歩いていた。校庭からは部活動の生徒達が元気に活動している。僕
は言わずもがなだけど、如月さんも帰宅部だったことには驚いた。
「無趣味なのよ。休日もあまり出かけたりしないし」
確かに活発な印象ではないけれど、ストイックに何かに打ち込む彼女の姿を思い浮かべていただけに、無趣味とい
う言葉まで出てくると彼女のイメージを少しばかり変えなければいけないのかしれない。だからといって印象が悪
くなった、というわけでは全くないことは付け足しておく。
「でも、一度熱中すると周りが見えなくなることもあるわね」
あんまり喋ったことがないせいか、簡単に引き出しを開けてくれる彼女に少し戸惑いを感じながらも、どんなこと
に? と続けようとする僕の言葉はあっけなく次の瞬間には締め出されることになった。
「あ、そーちゃん来た来た」
校門を出てすぐ、姉さんが校門に寄りかかって待っていた。仕事帰りから直接来たのだろう。朝に見かけたのと同
じスーツ姿に僕は慌てる。
「姉さん。今日、何か約束してたっけ?」
ブラコンと言われている姉さんでも流石に僕の学校まで来る事は滅多にない。もしや約束の一つでもすっぽかして
しまったのではないだろうかと思ったのだが、姉さんはううん、と首を横に振った。
「仕事が早く終わったから。何となく来ただけだよ、そーちゃん」
ニコニコと浮かべる笑みにそうなんだ、と僕はホッとする。

一度、放課後に買い物の約束をしていたのだがどうも間が悪く大遅刻してしまった時、姉さんは雨の中、傘もささ
ずに待っていたことがある。
「だってそーちゃんがここに来るって言ったから、待ってないといけないから。だよね? そーちゃん」
寒さで震え、それでも微笑む姉さんを見て以来、約束事は必ず守ろうと人間として当然のことを学んだわけで。

「で、そーちゃん。その隣の子、だれ?」
694僕と姉さんの日常ごっこAの3 ◆8WEVcVrsT6 :2007/03/27(火) 01:13:47 ID:XecEJMhk
いつのまにか飛んでしまった思考が急に戻される。またやってしまったと密かに戒めていると、如月さんが一歩前
に出る。
「申し遅れました。私、皆川くんと一緒のクラスの如月千鶴と申します。皆川くんのお姉さんですね? いつも皆川
くんにはお世話になっております」
「いえいえ。いつも弟がお世話になっています」
深々とお辞儀をする二人。僕はそのまま見ていることにした。
「それじゃあ皆川くん。私、先に帰るわね」
「ああ、うん。さよなら」
顔を上げた如月さんはそう言うと、最後にまたお辞儀をしてスタスタといつものように行ってしまった。どこかで
あっけなさを感じたけれど、普段の彼女を考えれば別段、気にすることでもないだろう。
「それじゃ帰ろうね。そーちゃん」
出された右手に戸惑いながらも、僕は姉さんの手をしっかりと握り返す。
「うん」
最後に、一度だけ後ろを振り返った姉さんは僕の手を引いて一歩を踏み出した。
695僕と姉さんの日常ごっこAの4 ◆8WEVcVrsT6 :2007/03/27(火) 01:14:23 ID:XecEJMhk
「ねえ、そーちゃん。お節介かもしれないけど、良い?」
それはスーパーでの買い物も済んで商店街から家に帰る道の途中だった。こう言う時の姉さんは大抵、僕に対して不
満のある時だ。

「あのねそーちゃん。今日、クラスの女の子と出てきたじゃない? ……でもね、ああいうのってお姉ちゃん、あんま
り関心しないな。だって、そーちゃんとあの子、別に恋人でもなければそんなに親しい関係でもないでしょ? それな
のにああいう風に一緒に帰ると、その、あの子が迷惑しちゃうんじゃない? 周りから付き合ってるかもって噂される
かもしれないし、やっぱりそういうのってどうしてもあの子ぐらいの年齢の女の子には重荷になっちゃうし。あの子
と仲良くしちゃダメってことじゃないよ? でも、あの子のことを考えれば、もうちょっと距離を取ってあげた方が良
いんじゃないかな。ね? そーちゃん?」

さきほどよりも左手は強く握られている。こちらを見上げてくる姉さんの瞳はどこまでも真っ直ぐだ。
この瞳にいつも支えられてきた。守られてきた。だから僕の答えも決まっている。
「……うん。分かったよ、姉さん」
「そっか。そーちゃんは偉いね。帰ったらそーちゃんの好きなもの作ってあげる」
姉さんは手を放すと、袋の中の卵も気にせずに大手を振って先に行ってしまう。僕はその背中を夕日に目を細めながら
ずっと眺めていた。


つづく
696 ◆8WEVcVrsT6 :2007/03/27(火) 01:15:06 ID:XecEJMhk
今日はもうこれで終わりです。
697名無しさん@ピンキー:2007/03/27(火) 01:40:11 ID:DinkyrSg
>>696
>「でも、一度熱中すると周りが見えなくなることもあるわね」
そーちゃん逃げてーー!!

それにしても、キモアネの問い詰めは良いものだ(*´д`*)
698名無しさん@ピンキー:2007/03/27(火) 01:58:28 ID:ZmwOhN7z
早速の二話投下GJ!!やはりキモ姉は人類の至宝ですなwww
どんな修羅場が展開されるのか期待して待ってます
699名無しさん@ピンキー:2007/03/27(火) 02:01:45 ID:pZGAp4w/
このキモアネは妖気アンテナでも装備してるのですかw
素晴らしいキモさですねハアハア
700名無しさん@ピンキー:2007/03/27(火) 02:36:22 ID:Tnw4RxII
これは良い姉ですね。
たたみかけるような台詞にすでに狂気の色がw
701名無しさん@ピンキー:2007/03/27(火) 02:50:00 ID:Aa+CQHiz
問い詰めに素晴らしいキモ姉の片鱗を感じますね。もっともっとキモくなってくれることを望みますw
702名無しさん@ピンキー:2007/03/27(火) 03:05:12 ID:R8A5GB60
姉ちゃんもうキモ姉化してるなw
如月さんがどう対抗してくか楽しみだ
703名無しさん@ピンキー:2007/03/27(火) 03:05:38 ID:sfbL8Z/1
>>696
ただただキモアネGJ!
>>699
素晴らしいキモさwwww
704名無しさん@ピンキー:2007/03/27(火) 06:49:24 ID:q48iHeu9
さりげに主人公もシスコンだなぁwww
705名無しさん@ピンキー:2007/03/27(火) 07:18:54 ID:siiAT4PO
おもしろかった!
書くペースが速いのかな?それとも書き溜めてたのかな?
なんにせよ続き楽しみにしてるよー
706名無しさん@ピンキー:2007/03/27(火) 09:04:17 ID:WRCFP3Ay
嘘くせー
707名無しさん@ピンキー:2007/03/27(火) 09:12:07 ID:zcvSjqG3
なんだwこのわざとらしい感想はw
708名無しさん@ピンキー:2007/03/27(火) 09:14:14 ID:frhnV2Pg
>>706>>707
ageてるし自演荒らしだろ
ホントに迷惑な香具師だよ
709名無しさん@ピンキー:2007/03/27(火) 09:50:48 ID:AuNUm0zw
キモ姉が弟の彼女に買収した不良を差し向ける展開は心地良くていいです
710名無しさん@ピンキー:2007/03/27(火) 10:03:13 ID:blQEEmKt
キモ姉のムチャクチャな論理を受け入れる主人公がスゲェw
711名無しさん@ピンキー:2007/03/27(火) 11:58:09 ID:q48iHeu9
亀だが、トラ氏GJ
でも、ここはエロパロ板だから、エロ有りという注意は要らないと思う。


でも、嫉妬スレじゃ禁忌だろうハーレムHだったら、ある意味注意が必要だろうな・・・。
712名無しさん@ピンキー:2007/03/27(火) 13:45:47 ID:ndul2qFP
禁忌って…。
713名無しさん@ピンキー:2007/03/27(火) 14:03:11 ID:q48iHeu9
いやぁ、でも一応禁止事項っぽくない?
嫉妬とは対極にあるんだし。・・・そうでもないのか?失礼。
714名無しさん@ピンキー:2007/03/27(火) 14:17:13 ID:arS/oLGR
>>713
自治厨が自分ルールを作るなよ
715名無しさん@ピンキー:2007/03/27(火) 14:41:49 ID:/hBUppfh
話が斜め横の方向に走ってきたな・・その書き込みを見てトライデント氏が躊躇することがならないように
ちゃんと白黒を決めようじゃないか

嫉妬スレでエロシーンは合法かアウトか

どっちなんだ?
716名無しさん@ピンキー:2007/03/27(火) 14:51:20 ID:81nJPhsS
板名考えてからもの言え
717名無しさん@ピンキー:2007/03/27(火) 14:54:25 ID:UdQN0HnB
セーフに決まってんだろ
718名無しさん@ピンキー:2007/03/27(火) 14:56:06 ID:OAGij1//
>>715
池沼か?なんでわざわざここに立ててるのか、分かってる?
719名無しさん@ピンキー:2007/03/27(火) 14:57:04 ID:2u008abW
>>715
ここは21歳未満禁止だぞw
720名無しさん@ピンキー:2007/03/27(火) 14:57:21 ID:q48iHeu9
>>714
そりゃ失礼。じゃ、もしここでハーレムHシーンが出ても、荒れないと思うか?
721名無しさん@ピンキー:2007/03/27(火) 14:59:42 ID:LHIjC/bX
>>720
NTRじゃなかったら大体は荒れない


マジレスするとトライデント氏というのが荒れるがw
722名無しさん@ピンキー:2007/03/27(火) 15:01:16 ID:ebs17AV1
>>721
まぁ、本人の責任では無いからね
723名無しさん@ピンキー:2007/03/27(火) 15:19:36 ID:DinkyrSg
>>720
修羅場の末にハーレムにたどり着く話はよくあるので有りだと思いますよ。

>>722
確かに注意されるべきは作家さんではなく、
作家さんを非難中傷する人ですね。
724名無しさん@ピンキー:2007/03/27(火) 15:23:32 ID:xkASSIPV
>>720
ここではハーレムエンドがあんまり無かったから、
どうなるのか良く分からんが、
最近じゃあ何を投下しても自演だ自治厨だって荒れるからなw
725名無しさん@ピンキー:2007/03/27(火) 15:29:26 ID:Ju99H3o2
また敬語君がきたよor2

とりあえずSS楽しみたい人はこれ登録で
DinkyrSg
726名無しさん@ピンキー:2007/03/27(火) 15:40:12 ID:Ll7sNF1N
単発じゃないだけで登録するの楽だね
727名無しさん@ピンキー:2007/03/27(火) 15:53:39 ID:DinkyrSg
>>725
>>726
すいません。敬語は当然だと思ってたんですが…


あと誤解しないで頂きたいのですが、私は作家さんを非難したことはありませんし、
このスレが平穏であることを望んでいます。
それだけです。
728名無しさん@ピンキー:2007/03/27(火) 15:57:32 ID:5iYK7YHU
>>727
たのむから、黙っててくれ。
729名無しさん@ピンキー:2007/03/27(火) 16:19:02 ID:xkASSIPV
>>727
>>このスレが平穏であることを望んでいます。
ほんとにROMってろよ・・・。
730名無しさん@ピンキー:2007/03/27(火) 17:50:02 ID:Ju99H3o2
>>727が何故かみれない
>>728-729
煽ってる時点でお前らも同罪、ROMっとけよ
731名無しさん@ピンキー:2007/03/27(火) 18:03:38 ID:UqwS5tdJ
最初みたいに見て見ぬふりしてりゃいいんだよ、いちいち個人攻撃をしなきゃ場を収められないわけでもないだろ
みんなピリピリしすぎだ
もう少し柔らかい雰囲気を保とうぜ、なー
732名無しさん@ピンキー:2007/03/27(火) 18:39:15 ID:mKz+A7Dx
と、単発がほざいてます
733名無しさん@ピンキー:2007/03/27(火) 18:54:23 ID:xkASSIPV
>>730 
自分も煽ってんじゃねぇか。
てめえこそ黙ってろ。
734名無しさん@ピンキー:2007/03/27(火) 19:00:04 ID:k/jWFLUN
ここで流れを断って投下した人は英雄。

作品が無理ならプロットか妄想でもひねり出そうぜ。
735名無しさん@ピンキー:2007/03/27(火) 19:00:46 ID:K6AKksJZ
>>729>>733が見れなくなったな
皆もどぞ
つxkASSIPV
736名無しさん@ピンキー:2007/03/27(火) 19:03:20 ID:UdQN0HnB
>>733
なかなか良いIDをお持ちで
もうすぐでkASSVIPだったねぇ
737トライデント ◆J7GMgIOEyA :2007/03/27(火) 19:03:34 ID:CgKMAqsc
では投下させて頂きます

*性描写を含んだ表現がありますので
 嫌悪感を感じる方はスルーの方をお願い致します
738水澄の蒼い空 ◆J7GMgIOEyA :2007/03/27(火) 19:06:01 ID:CgKMAqsc
 第35話『愛するということ』

 よくよく考えてみれば紗桜が最近流行している風邪に感染して、
ずっと看病していた虹葉姉がその菌をもらったことは俺にもその風邪に移る可能性があるってことで。
B級ホラーの怪物に襲われたような派手な気絶をしていた俺は発見された
紗桜や虹葉姉の壮大なる悲鳴が水澄家全体に響き渡るまで目を覚まさなかったらしい。
病み上がりの紗桜の手厚い看病と少し動けるようになった虹葉姉のテキパキな処置により、
姉妹の部屋で俺は風邪が治るまで寝かされていた。
 寂しがり屋の紗桜が俺の布団に入り込んだり、甘えん坊の虹葉姉が後ろから抱き付いたりと
おいしい場面があったりと何だか幸せな病人生活であった。

 数日も経つと虹葉姉や紗桜も完全に復活し、俺もさっさと熱が下がり。
いつも通りの生活を送られるようになった。
ただ、世間では政府が提案した一夫多妻制制度の導入後もヤンデレ症候群感染者による殺人事件は決してなくなったわけもないが、
随分と犠牲者は減ってゆく傾向にある。

女の子による監禁事件やストーカーなどは全く減ってはいない。
交通事故に遭う確立並みに誰かが監禁されたりストーカーされていると考えると少しは笑えないことではないが。
世界は格段にいい方向へと変わってゆく。

 いつもの日常を取り戻した水澄家。
 そんな唯一の俺の悩みは……。

「いつ、虹葉姉と紗桜に告白すればいいんだぁ?」
 二人が告白した時から結構経っている気もしなくはないが、紗桜や虹葉姉が風邪をひいたり、
足を怪我したりといろんな出来事が重なり告白の返事をするタイミングが全く掴めずにいたりする。

特に虹葉姉と紗桜がちらちらと俺を意識する視線がちょっと胸を痛ませる。

ほんの少しだけ待ってくれと言いたいが。しみじみと思う。
 俺の下着が少しなくなっているのは気のせいか?
739水澄の蒼い空 ◆J7GMgIOEyA :2007/03/27(火) 19:08:28 ID:CgKMAqsc
 今日も不自然に大人しい虹葉姉と紗桜の何かを期待しているだろうと
奇異な視線に耐えた後に俺は水澄家の主夫の務めを果たして、一日の疲れをお風呂に入っていた。
風邪をひいたおかげで数日間ぐらいは入らなかったが、入浴という行為は本当に命の洗濯だなぁと力を抜いて手足を延ばしていた。
 何故か一番風呂に入れた俺は少し疑問に思うべきだったと後にちょっとだけ後悔する。

「に〜い〜さ〜ん」
 お風呂と浴場を挟む透き通ったガラス制のドアから女性の体らしき姿が映っていた。
安からな一息の時間は見事に粉々に壊れてゆく。
俺の返事を待たずに禁断のドアは開かれて、紗桜が入ってきた。
当然、風呂に入るのに衣服を身に付けているはずもないので、生まれたままの姿でやってきやがった。

「えへへ……一緒に入っていいでしょ」
「あ、あの……紗桜さん」
「どうかしたんですか、兄さん」
「俺と紗桜はもう一緒に入っていい年頃じゃあないと思うが」
「兄妹だからいいんですよぉ」

 目の前に紗桜の裸体が、妹の裸体がある。
その姿は最後に入った時は小学生の時だったと思うが、それ以来は一緒に入るはずもなく。
立派に成長した紗桜の裸体を俺は紳士として目を瞑って煩悩を取り払おうとしたが。
紗桜は俺の手を自分の胸に押しつけた。

「んんっ……兄さんは私の裸を見たくないんですか?」
「男として兄として義理の妹を欲望の対象に見たらダメだろう。絶対に」
 それは兄の威厳を失わないための精一杯の抵抗。理性が壊れるのは俺達の関係が兄妹じゃあなくなってからだろうね。
「ううっ……兄さんの頑固者。私とお姉ちゃんが勇気を振り絞って告白したのに。たくさんたくさん想っているのに」
「いやぁ。待て待て。物事をマイナス思考に持ってゆくんじゃない」
「だったら、目を開けて私の裸を見てください」
 と、俺の手を更に柔らかで弾力のある奥へと誘い込む。
「わかった。わかったから」
 目隠しのプレイは想像豊かな俺には過激な妄想に飲み込まれるので堂々と目を開けて。
紗桜の裸を見る。思わず驚愕したのは紗桜の顔が真っ赤に染めて潤んだ瞳でこちらを見ているのだ。
妹と兄と関係ではなくて、一人の女として紗桜が俺に欲情している。

「そ、そ、そのおっぱいばかり見ないでください。恥ずかしいから」
「す、すまない」
「いいの。兄さんなら裸を見られても平気。初めてをあげられるもん」
 それは誘っているのか、紗桜よ……。
 理性を吹き飛ばす紗桜の一世一代の殺し文句は俺の頭の芯を震わせるが。
ふと、一人大切な存在を忘れていたので尋ねてみた。
「それで虹葉姉はここに乱入してこないんだ?」
「お姉ちゃんは酷いんだよ。そこに脱衣室にいるんだけどね。
兄さんに裸を見られるのが恥ずかしいから私に兄さんを誘惑してさっさと規制事実を作るように誘いなさいと」
「全く。虹葉姉は……。どうせ、そこにいるんだろう?」
「うにゃ〜だって、恥ずかしかったんだもん」
 ガチャガチャとドアが開かれて、バスタオルを巻いた虹葉姉が恥ずかしそうに顔を朱に染めて現われた。
「だからって俺に紗桜を押し付けなくても……」
「月君が悪いんじゃない。私たちの告白を保留にして。いつまでも答えてくれないからぁ」
「その件についてはお風呂を上がってから答えるよ。さっさと頭を洗うから大人しく自分たちの部屋で待ってろ」
「うにゃ」
「あぅ」

 虹葉姉と紗桜は珍しく俺の言う事を聞いて黙ってお風呂から上がってゆく。
俺はさっさと頭を洗うためにシャンプーを付けた。
740トップ ◆4ncgZ68GDk :2007/03/27(火) 19:09:48 ID:K6AKksJZ
>*性描写を含んだ表現がありますので
だからここはピンクだろーが頭悪いというかレス読んでねーの?

741水澄の蒼い空 ◆J7GMgIOEyA :2007/03/27(火) 19:10:36 ID:CgKMAqsc
 ついにこの瞬間がやってきた。
 胸の鼓動が鳴り止むことなく、ドキドキと息の呼吸ができない程に苦しくてたまらなかった。
思っている以上に緊張しているのか、ドアのノックがいつまで経ってもできない。 
覚悟を決めよう。天草月。もう、自分の気持ちを偽る必要がないのだから。
 姉妹の部屋のドアにノックしてから、虹葉姉が『どうぞ』と答えたので俺は遠慮なく入った。

「ちょっと待たせたな」
「月君」
「兄さん」
「虹葉姉と紗桜が俺の事を好きだって言ってくれたとき。
本当に涙が出るぐらいに嬉しかったんだ。大切に想っていた姉と妹から好きって言われるのは誰だって嬉しいと思う。
でも、どちらかを選ぶなんて考えられなかったんだ」

 だから、悩んだ。
 虹葉姉と紗桜がヤンデレ症候群の感染者だと知ったからではなくて。二人とも俺にとって魅力で素敵な女の子だったから。

 お姉さんぶっていながら甘えん坊の虹葉姉。

 寂しがり屋でお兄ちゃん子の紗桜。
 二人を幼少の頃から一緒に家族として育った。唯一、心を許せる間柄は知らない内に
女の子として成長して、その気持ちを伝える勇気を持っていた。

 冬子さんは、女の子の気持ちを受け止めてあげてと言った。

 親友の花山田は、俺なら姉妹丼を選ぶ。そして、食べてしまえと。

 二人の相談のおかげで俺は長い間考えていたことに答えを出す。

「虹葉姉と紗桜が二人とも好きなんだ。愛している。
例え、一夫多妻制制度がなくても、俺は虹葉姉と紗桜を選んでいた。三人なら幸せになれる!!
 これが俺の真摯なる気持ちだ」
「月君っっ!!」
「兄さんっっ!!
 パジャマ姿の二人が俺に抱きついて離そうとしない。
愛しい人から離れぬように俺の腰の方に手を回して強い力を込められている。
「私も月君と紗桜ちゃんと一緒ならずっとずっと幸せでいられると思うよ」
「うん。兄さんとお姉ちゃんと三人で幸せになれるよ」
 俺も負けないようにしっかりと二人を抱き締めて力強く込める。その暖かな体温に安らぎすら覚えてしまう。
「ねえ……」

「三人で幸せになりましょう」

742水澄の蒼い空 ◆J7GMgIOEyA :2007/03/27(火) 19:13:00 ID:CgKMAqsc
 ズボンが姉妹の手によって躊躇なく下ろされた。
そこから現われたのは我が分身。もちろん、この状況で二人を意識して勃起している。

「これが月ちゃんの……」
「兄さんの……ピクピク言ってますねこれ」
「うっ。ジロジロ見るなぁ〜」
「大丈夫…んんっ。私たちが気持ち良くするから」
「あっんん、ん、ん、ちゅ。に、兄さん」
 虹葉姉と紗桜のぎこつきない舌使いが俺に快楽を与えてくれる。
ほ、本当に初めてなのかと問い詰めたいぐらいに二人は熱心に肉棒を舐め回す。
「あっんんんっちゅちゅ」
「はぁはぁ……兄さんの堅くて太くなってきたよぉ」
 虹葉姉と紗桜は先端部分を優しく舐めると奪い合うように口に含んでくる。唾液が潤滑剤となり滑るように二人は舐め合う。
「月君の先っぽからちょっと濡れてきたよ。感じているの?」
「ああ……とてもいい」
「兄さんが感じているところって、とても可愛い。食べてしまいたいぐらいに」
「うふふ。私たちが舐めているだけで感じてるんだよ。あっ……ちゅんんちゅちゅ。私も変な気分になっちゃった」

 二人とも激しく頭を上下にして動かす。口唇愛撫による快感が俺の理性を遥かに狂わせる。
すでに我慢しようとした射精の絶頂は近い。だが、俺は最初の初めては二人の中に出してあげたかったのだ。

「もういいよ。これ以上やっちゃうと出ちゃうから」
「うにゃ?」
「あぅぅ」

二人は名残欲しそうに肉棒から唇を離すと彼女たちの唾液が糸を引いた。
それを見て、俺は虹葉姉と紗桜の独占欲が溢れだす。二人を抱き締めると……彼女たちの耳に優しく囁いた。

「二人の処女をどっちから貰えばいい? その前にたっぷりと愛撫しなくちゃならないけど」
「うんっ……んんっ。紗桜ちゃんから貰ってあげてぇぇ……」
「いいの。お姉ちゃん? 私から先に貰っても」
「うふふ。お姉ちゃんだから可愛い妹から先に譲ってやります。
んんんっ。その前にしっかりと愛撫してあげるから」
「お姉ちゃん。んんふっ」

 虹葉姉と紗桜の女の子同士のディープキスが繰り広げられている。
さすがの俺だってこんな光景を見たことがなくて、二人は互いの唾液を交換しながらキスを続ける。
 とろんとした欲情を求める紗桜の犬柄のパジャマが虹葉姉によって脱がされる。
風呂場ではしっかりと見ていなかった豊満な胸が現われた。

「は、恥ずかしいよぉ」
「気にしない気にしない」
 更に虹葉姉の容赦のない下のショ−ツまで脱がされるとそこには愛液でしっかりと染みが出来ていた。
「紗桜ちゃん。月君のあそこを舐めていただけで感じてたの? もう、Hな女の子さんだね」
「ち、違うもん。違うもん」
「うにゃ〜……体は正直だよね」

 大きなじっくりと揉みながら、乳首を舐め回す。虹葉姉の大胆な行為に紗桜は羞恥を隠せずに荒い呼吸を漏らす。
743水澄の蒼い空 ◆J7GMgIOEyA :2007/03/27(火) 19:15:02 ID:CgKMAqsc
「あんっっんんっ……」
「ほらっ。月君も黙って見ないで。紗桜ちゃんのおっぱいを舐めてあげて」
「あっ……うん」
「に、兄さん。お願い。私の体をしゃぶって」
 二人の行為に圧倒されながら、俺は心苦しい立場になっていたが、
紗桜の胸を優しく揉んでから虹葉姉と同時に乳首を舐め回す。
マシュマロのように柔らかいそれに俺は無我夢中で吸い付く。
舌を転がして、唾液たっぷりに粘着する乳首攻めに、紗桜は悲鳴のような喘ぎ声を上げる。

「き、気持ちいいよぉ……」

 顔を真っ赤にして感じている紗桜が愛しい。虹葉姉も妹の乱れている姿に刺激されてか、猫柄のパジャマを脱ぎだす。

「し、下の方は?」
「お、お、お願いします。に、兄さん」
 勇気を振り絞って紗桜は顔を両手に伏せて言った。その仕草が可愛らしくてたまらない。
「じゃあ、私は紗桜ちゃんの胸の方を担当っと。月君。紗桜ちゃんのクリストスを徹底的に攻めたら喜ぶよぉ」
「お、お、お姉ちゃん。兄さんにそんな嘘を教えないでよぉ。本気にしたら、あんっつ」「どうやら、かなり感じているらしいな」
「ち、ちがうわん」

 と、否定の声を出しても、紗桜の膣口からは愛液が溢れだしてくる。
俺は夢中になって紗桜のクリストスを攻めると敏感に反応を示す。
充分に濡れてきたので、俺は勇気を持って言った。

「もうそろそろ入れていいか?」
「えっ!?」
「紗桜ちゃんの。これだけ濡れていたら多分大丈夫だと思うけど」
「わ、わ、私。兄さんと一つになれるんだよね……」
「そうだ。これで俺と紗桜は一つになるんだ」
「うんっ……」
「私は紗桜ちゃんの痛みを出来る限り減らすために愛撫をたっぷりとしてあげるよぉ」

 と、虹葉姉は優しく紗桜にキスをするとまた胸の方にいやらしく舌使いで舐め始めた。
俺は慎重に紗桜の未開の入り口を探し当てて、自分の股間の分身をゆっくりと膣へ押し込めて行く。

「んぐっ……。 んんんんっっ!!」
 全身が強張り、紗桜は押し殺した苦痛の声を上げた。
狭く窮屈な膣肉が抉じ開けられ、処女たる証のたる先を拒む障害を打ち破れて。

「あっ、あっ、ああ……んっくぅぅぅ……っはああああっっっ!!」
 紗桜は絶叫の声を高らかに叫んだ。
744水澄の蒼い空 ◆J7GMgIOEyA :2007/03/27(火) 19:17:03 ID:CgKMAqsc
「おめでとう。紗桜ちゃん……」
 虹葉姉は自分の事のように嬉しがって紗桜に深い深いキスで唾液と唾液を交換する。
絡め合う舌と舌を見ているだけで俺の股間は更に膨張する。

「んんっ……あっはぁぁぁ……わ、わたし。兄さんと……んっつ。つ、つながってる?」「ああ。繋がってるよ」
 灼熱の肉棒が吸い取られるように紗桜の膣口が加え込み、紗桜の秘裂から赤い雫が滴った。
「んんっっ……痛いけど、平気だよ……兄さんの……好きな風に動いていいよ……わんわん……だよ」

 俺は紗桜の健気な言葉に従いながら少しだけ腰をゆっくりと動かす。
下半身だけで動かすと紗桜の苦痛を犠牲してこれまで感じたことがない快感を得る。
虹葉姉も紗桜が喘ぎ請えを聞いて感じているのか、自分の指で箇所を責めていた。

「に、にいさん……あんっつ……んんっつ……はぁはあぁん……いいよ」
「紗桜……紗桜……」
 苦痛の声よりも紗桜は快楽を感じているのか色っぽい喘ぎ声が溢れだしている。
俺は初めての性交と二人に乱れた姿ですでに射精するのを我慢していたが、もう限界だ。

「中で出していいのか?」
「あんっつ……。んんんっつ……えっ?」

「月君。出してあげて……紗桜ちゃんなら月君の子供を孕ませても本望だよ」

 いや、ダメだろ……とツッコミを入れようと瞬間。
 紗桜の足がしっかりと俺の腰を掴み離れさせないように締めてくる。
急激な締め上げで俺は……紗桜の中へと男の精を吐き出せた。

「はあ、はあ……お腹のなかに兄さんのが出てる……熱いんっ……ヤダ……溢れちゃうよ……」
「良かったね紗桜ちゃん」
 虹葉姉は紗桜の頭を優しく撫でると気持ち良さそうに目を瞑った。
「今度は……お姉ちゃんの処女を貰ってくれる?」
745水澄の蒼い空 ◆J7GMgIOEyA :2007/03/27(火) 19:19:28 ID:CgKMAqsc
 性行為に疲れ果てた紗桜を隣で休ませて俺は虹葉姉との行為に没頭する。
普段からお姉さんぶっている虹葉姉は俺に乳房を掴むだけで甘い喘ぎ声で俺を誘惑する。

「つ、つ、月君。よろしくお、お、おねがいね……」
「紗桜の時と違って、マグロ状態じゃないか……」
 虹葉姉は仰向けに寝かせて、乳首を舐めて揉みながら。虹葉姉は紗桜の時とは別人のように大人しかった。
「あ……んっ……だって、私はお姉ちゃんなんだよ……」
「だから?」
「わ、私は月君と紗桜ちゃんからお姉ちゃんぶらないと恥ずかしくて生きていけないよぉ」

 顔を火山が爆発するように顔をこれまで真っ赤にしている姉の姿を俺に無性に可愛らしく思えて仕方なかった。

「虹葉姉の裸。とっても綺麗だよ……」
「う、うにゃ……言わないでよぉぉ」

 と、虹葉姉を徹底的に言葉責めをする。紗桜と虹葉姉もM属性をお持ちのようで。音羽がとんでもないSの持ち主だったので逆に新鮮だ。

「下も触るよ」
「ダメぇぇ……」
「やっぱり、俺と紗桜のヤッている姿を見て興奮したの? もう、虹葉姉はムッツリスケベだな。最近、俺の下着がなくなっているのは虹葉姉と紗桜のせいなんでしょ?」
「あ〜ん。ダメぇ……聞かないで。は、恥ずかしいから」
「俺の下着でなにやってたの?」
「そ…れ…は…月君の下着で……温もりを感じてたの……」
 予想外の答えに俺は少しだけ戸惑った。
思わず、人の下着でてっきり性欲を処理していたと思い込んでいただけだが。
「月君の下着をぎゅぅぅって抱き締めると月君の……匂いがするの。
月君が着ていた時の温もりを感じて……幸せな気分になれるんだよ」
「虹葉姉……」
「私と紗桜ちゃんはとても寂しがり屋なんだよ。これからはもっともっと大切にしてね」
「ああ。大切にする」
「じゃあ、甘い甘い優しいキスをして……」
 そのキスはとても甘く気持ち良かった。虹葉姉と俺の唇が重なり唾液を交換する。
べったりと粘着するそれは解け合うように絡み合う。
 今まで遮られていた姉と弟の関係。
それは取り除かれて、二人はどこまでも依存していい、どこまでも独占していい関係となった。
激情を物理的に本能的に表現しても許される関係。
「んぅっぅう。ん、……んぅぅぅ……」
 足りない。もっともっと欲しい。もっと、愛を、愛情を虹葉姉にぶつけたい。
その俺の心理を読み取ったかのように虹葉姉は優しく微笑した。
「いいよ。月君。私の中で気持ち良くなって……」
「でも、まだ、全然。虹葉姉に愛撫を……」
 虹葉姉は無言に俺の手を自分の股間のところに持って行く。驚くことに虹葉姉の秘所は洪水のようによく濡れていた。
「女の子にとってはね……愛する人にキスしてもらうだけで何よりの愛撫なんだよ」
「虹葉姉……」

「私の中に来て、月君」
 俺は閉じこもっている虹葉姉の股を抉じ開けて、愛液が濡れている秘所を確認する。
先端の入り口を押し当てると虹葉姉はギクっと全身を震わせ、俺は更に膣口を無理矢理引き裂くように押し込んだ。
要領は先程の紗桜と同じだが、処女の証たる場所を貫くには神経を使ってしまう。

「あっつ……んんっ……くっ……」

 虹葉姉は声にならない悲鳴を上げ、目尻に涙を浮かべていた。
繋がっている俺の肉棒と虹葉姉の膣口の間には赤い雫が絡み付いていた。

「やったぁ……月君と……はぁはぁ……繋がってるよぉ」
「おめでとう。お姉ちゃん」
「紗桜ちゃん」

 隣で寝ていた紗桜が起き上がるぐらいに体力が回復して俺と虹葉姉の行為を見つめている。
746水澄の蒼い空 ◆J7GMgIOEyA :2007/03/27(火) 19:21:44 ID:CgKMAqsc
「これで私たちは兄さんと結ばれたんだよ」
「うん。私たち。これからはずっと一緒だよ」

 紗桜が虹葉姉に唇を奪うとお互いに唾液を貪っている。
いつ見ても女の子同士のキスは甘美で禁断の恋愛というものを感じてしまう。
欲情した瞳で紗桜は虹葉姉の頬を犬ようにペロペロと舐めだした。これも親愛を表現する行為だろう。

「やだぁ〜。紗桜ちゃん。くすぐったい。あ〜んっ」
 俺は容赦なく虹葉姉の奥深くを突き刺す。こっちはこっちで楽しませてもらおう。

「だ……めぇ……月君……あんんっつ……好きぃぃい」
 紗桜の唾液でベトベトになっている虹葉姉の姿も可愛らしくてたまらない。
性欲を抑え切れずに腰を振って、虹葉姉の奥と外を何度も交互に行き来している。

「あ…んんっつ……つ、つきくん……激しいよぉぉ……感じちゃう……」
「虹葉姉……き、気持ちいいぞぉぉ」
「つ、あ……あんっつ……月君に喜んでもらって……うれ……しいぉぉ」
 いやらしく乳首を勃起させて、涎や愛液をたっぷりと流して
快楽に沈む虹葉姉を更に絶頂に突き進むために俺は必死に動く。絶頂はもうすぐだ。
「虹葉姉ぇぇ……もうすぐイクぞぞぉぉ」
「出して……月君の精子を、んっんっつ……お姉ちゃんんっっつ……の中に出してっっ!! 
私を孕ませるぐらいに……た、た、たっぷりんとんんんっつ……
あんっ……精液をお姉ちゃんに……だしてぇぇぇぇぇぇっっっっ!!」

 虹葉姉の甲高い絶叫と共に、俺は物凄い勢いで中へと精液を放出する。

「あっんんっ……つ、月君の……な、中で、出てるぅぅ……。熱いよ」
 満足そうに虹葉姉は意識を失うと、俺は虹葉姉の膣から抜くと膣口から出した精液がたっぷりと出てきた。

「兄さん。今度は私を……お姉ちゃんみたいにして」

 甘えるように抱きついてきた紗桜に、俺は今晩は寝れそうにないと断言する。
 二人を満足させながら、性に溺れる堕落な日々が始まる予感が脳裏をよぎる。

 だが、俺は全くそれを嫌がってはいない。

 だって、虹葉姉と紗桜を愛しているからな。

 これからもずっと一緒に幸せに暮らしていけるさ。
747トライデント ◆J7GMgIOEyA :2007/03/27(火) 19:24:16 ID:CgKMAqsc
投下終了です。

初めて性描写の含んだ文章を書いてみましたが
こんな感じで良かったのかとちょっとドキドキですw

さて、次回はついに最終回です。
748名無しさん@ピンキー:2007/03/27(火) 19:36:57 ID:J7MUk7q5
>>747トライデント氏に最初にGJを言うのはこの俺だっ!

この作品もいよいよグランドフィナーレを残すだけか……
少し癖のある文体が味になって良い文描く人だなぁと思う。
749名無しさん@ピンキー:2007/03/27(火) 19:37:10 ID:mxhdgCDs
>>747
後一回我慢すればいいのか
さっさと投下してくれ
750名無しさん@ピンキー:2007/03/27(火) 19:40:59 ID:icWYuFQR
そうか、おかしい日本語を”少し癖のある文章”だと思えるトライデント脳があれば楽しめるんだなw
751名無しさん@ピンキー:2007/03/27(火) 19:44:33 ID:GybB9UmQ
>少し癖のある文体が味になって良い文描く人だなぁと思う。

単に日本語がおかしいだけなのでは?
エロシーンもそんなにエロくないしwwwww
752名無しさん@ピンキー:2007/03/27(火) 19:44:43 ID:f/rpAD6c
普通→何これ、日本語おかしくね?
スレ住人→つまらない作品はスルー
トラ信者→少し癖のある文章

こういことね、トラは作者もイ言者も燃料投下するな〜www
753名無しさん@ピンキー:2007/03/27(火) 19:46:59 ID:g7lxqr/z
>>750>>751>>752
ゲテモノ好きな香具師もいるだろw
754名無しさん@ピンキー:2007/03/27(火) 19:48:31 ID:u9jkPvt2
トライデントは日本語がおかしいとこの嫉妬スレでは言われるが
どの辺がおかしいのか具体的な指摘を誰かしてくれ・・マジでわからん
755名無しさん@ピンキー:2007/03/27(火) 19:53:35 ID:M0sE4tpB
信者まで遠まわしに日本語おかしいて認めたよw
756名無しさん@ピンキー:2007/03/27(火) 19:55:47 ID:u9jkPvt2
>>755
だから、どう日本語がおかしいのか説明してくれ・・
読んでみると違和感を感じるのだがそれがさっぱりとわからない
757名無しさん@ピンキー:2007/03/27(火) 19:55:47 ID:zJ7UQghK
>>748
まさにあばたもえくぼだね
758名無しさん@ピンキー:2007/03/27(火) 19:56:50 ID:zJ7UQghK
>>756
違和感感じるってことは正常なんじゃない?
まぁ俺は読んでないから
759名無しさん@ピンキー:2007/03/27(火) 20:00:52 ID:u9jkPvt2
>>758
いや、作品自体誰も読んでないから・・
俺も↑のレスで日本語がおかしいからと書き込みを見たので
目を通しただけだよ・・

まあ、>>749の言う通りに

>>後一回我慢すればいいのか


早く、面白い作品とか来ないかな
760名無しさん@ピンキー:2007/03/27(火) 20:03:39 ID:Ll7sNF1N
トライデント氏をスルーすることもできないで面白い作品を求めるお前らが間違ってる
761名無しさん@ピンキー:2007/03/27(火) 20:04:55 ID:u9jkPvt2
トライデント信者の擁護レスに言っておくけど・・擁護できる所はないと思うよ
煽っている人間でさえ本当の事を言っているんだし・・
下手に遠回しで日本語おかしいと比喩するよりも

ちゃんとおかしな文章を指摘や批評してさ・・

トライデントの天狗の鼻を叩いた方がいいと思うんですが?
762名無しさん@ピンキー:2007/03/27(火) 20:06:14 ID:kVGFhQ0J
またこの展開
つーか避難所とか作って徹底的にスレを合わないレス返してる奴を規制した方が早いんじゃない?
763名無しさん@ピンキー:2007/03/27(火) 20:06:44 ID:kVGFhQ0J
×スレを合わない
〇スレに合わない
764名無しさん@ピンキー:2007/03/27(火) 20:06:57 ID:u9jkPvt2
この嫉妬スレの神達は嫉妬スレ住人がチヤホヤしたおかげで
自分の実力を勘違いしているところがあるから・・ちゃんとおかしな文章は
訂正して教えてあげるべきですよ。
765名無しさん@ピンキー:2007/03/27(火) 20:09:23 ID:ugCBFwvK
日本語がおかしくてもどうでもいいよ。

大切なのは、面白いかどうかだ。
766名無しさん@ピンキー:2007/03/27(火) 20:13:07 ID:VnvuMPkH
ここって作家のレベルはそれなりに高いけど住人のレベルは最低ランクだよなw
767名無しさん@ピンキー:2007/03/27(火) 20:13:41 ID:yrJpffx6
>>766
てめーもな
768名無しさん@ピンキー:2007/03/27(火) 20:14:32 ID:UdQN0HnB
あなたって本当に最低の屑だわ!
769名無しさん@ピンキー:2007/03/27(火) 20:22:24 ID:7QZEfGtd
日本語がおかしいからつまらなく感じるのでは?
トラ氏は半島出身かと思われ
770名無しさん@ピンキー:2007/03/27(火) 20:23:26 ID:q48iHeu9
文章はどうでもいい。
一夫多妻制で女の嫉妬を解決しようとするのに白けた。
嫉妬という言葉の由来であるスセリヒメは一夫多妻で嫉妬しまくったんだぞ。

しかも、姉妹は元より結婚できないからどの道内縁の夫婦になるんだろうし、
それなら多妻だろうが一妻だろうが何も変わらんだろが。
771名無しさん@ピンキー:2007/03/27(火) 20:42:01 ID:MU/Zztzw
>>768
アンジェリカスレへ帰れ
772名無しさん@ピンキー:2007/03/27(火) 20:42:06 ID:u9jkPvt2
>>765
日本語がおかしくて話も面白くなくて
大物気取りをしているから、トライデントが投下した後に荒れるんじゃないの?

しかし、トライデント批判している奴らが単発IDなのは
いつもの煽っている変な人は確定ですか

こんなことで嫉妬スレの全盛期の流れを取り戻せると思っているのかな?
773名無しさん@ピンキー:2007/03/27(火) 20:44:09 ID:9pRz89p5
>>770
それ、SHUFFLEを完全否定だよなぁ・・wwwwwww
774名無しさん@ピンキー:2007/03/27(火) 20:52:11 ID:UqwS5tdJ
只今絶賛粘着自演中
775名無しさん@ピンキー:2007/03/27(火) 20:54:42 ID:q48iHeu9
>>773
そのSHUFFLEっての全然知らないんだけど。
776名無しさん@ピンキー:2007/03/27(火) 21:06:01 ID:UqwS5tdJ
空鍋も知らずにここにいるのか!モグリめ!ちくわめ!
777名無しさん@ピンキー:2007/03/27(火) 21:07:42 ID:Nj5fgXLZ
UqwS5tdJ

こいつ煽りだから登録推奨
778名無しさん@ピンキー:2007/03/27(火) 21:15:33 ID:xG6b+cct
単発IDばっかりw
トライデント氏に嫉妬してる馬鹿の自演だってバレバレw
ばれないとでも思ってんの?wチョーウケるwww
779名無しさん@ピンキー:2007/03/27(火) 21:16:41 ID:9pRz89p5
>>770
何だって・・SHUFFLEを知らないとはさすがにモグリとしか・・
今すぐyoutubeで今週の最終回を見るんだ・・
楓の空鍋の次に新しいウエポン・・包丁でニヤリ・・ww
先輩、稟君の居場所知っているんでしょ(包丁を持ちながら、ドアを叩く)

さすがにあの空鍋を知らないと・・

トラ氏の一夫多妻制導入は鈍感すぎて修羅場フラグを立ちまくるため人の救済策ですよw

780名無しさん@ピンキー:2007/03/27(火) 21:18:28 ID:UdQN0HnB
ハーレム嫌いな奴が駄駄こねてるとしか思えない件
781名無しさん@ピンキー:2007/03/27(火) 21:21:32 ID:id31TNna
荒らしたい奴の間違いじゃね?
782名無しさん@ピンキー:2007/03/27(火) 21:32:59 ID:xkASSIPV
以下雑談・批評禁止
↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓
783名無しさん@ピンキー:2007/03/27(火) 21:34:21 ID:Nj5fgXLZ
UdQN0HnB←こいつ普通に煽り

>>779以外は全部単発荒らし
今度は住人にもぐり込んだか

784名無しさん@ピンキー:2007/03/27(火) 21:44:07 ID:q48iHeu9
>>779
それもハーレムで嫉妬を解決するのか?

スクデイはそこらへん、嫉妬ルートとハーレムルートは別こにしてたからよかったなぁ。
785名無しさん@ピンキー:2007/03/27(火) 22:29:10 ID:UqwS5tdJ
・ハーレムで最終的に解決させるモノ
・スクデイみたく42564でオチ付けるモノ
前者なら「妹は実兄〜」、後者なら「不義理チョコ」とかが当てはまる
で、ID:q48iHeu9は後者にこだわってるわけか
両作品とも好きな俺にはあんまり理解できんな
786名無しさん@ピンキー:2007/03/27(火) 22:34:14 ID:MUyr8RUK
>ハーレムエンド
補完庫に収録されてる合鍵のアナザーエンドを忘れちゃ駄目だぜ
ブラザー?
787 ◆8WEVcVrsT6 :2007/03/27(火) 22:36:39 ID:oQFJyqFB
昨日の続き、投下するけど良い?
788名無しさん@ピンキー:2007/03/27(火) 22:37:45 ID:KIIoSCps
>ハーレム
血塗れ竜外伝みたいな、仲良く対立っていうのも好みだぜ
789名無しさん@ピンキー:2007/03/27(火) 22:38:11 ID:Ll7sNF1N
どうぞどうぞ
790僕と姉さんの日常ごっこBの1 ◆8WEVcVrsT6 :2007/03/27(火) 22:39:21 ID:oQFJyqFB

如月さんが僕にチョコをくれたのは放課後の教室だった。
「はい。この前のお礼も込めて」
生徒もまばらになった教室で、それでもでもその残った数人にバッチリと見られて少々恥ずかしい。おまけに僕は甘い
ものが苦手だ。よくモテない奴が肉親にしかもらえないと自嘲しているが、僕はその肉親にすら貰わないほどだ。もち
ろん、学校の女の子なんて論外だ。
だから、といっては何だけれど、正直に嬉しかった。
「うん。ありがとう」
本当に久しぶりにチョコを貰った僕は、同時に浮かぶ姉さんの笑顔がちょっとだけ煩く感じた。
791僕と姉さんの日常ごっこBの1 ◆8WEVcVrsT6 :2007/03/27(火) 22:40:20 ID:oQFJyqFB

家に帰り、リビングに入ると僕の背後に姉さんが抱きついてきた。そして、早速耳元で呟くのだ。
「ねえ、そーちゃん。チョコ、貰ったでしょ?」
まるでエスパーのように言い当てる姉さん。いや、これはまだ僕と姉さんが実家で暮らしていた時に毎年繰り返してい
たこと。つまり僕を試す言葉。
「うん。貰ったよ」
首を回し片目だけを合わせる。姉さんは少しだけ目を見開くと、背中からパッと離れる。そうして右の掌を僕に差し出
した。
「そう。じゃあ、そーちゃん。そのチョコちょうだい」
これも珍しくチョコを貰った時にいつも言ってくること。当然、僕は首を横に振る。

「どうして、そーちゃん? だってそーちゃん、甘いもの苦手でしょ? だからお姉ちゃんが美味しく食べてあげる。そ
ーちゃんが苦しい思いをして食べるより、お姉ちゃんが美味しくオイシク食べてあげた方がそのチョコも喜ぶでしょ?
それともその子の気持ちを考えてるの? そしたらお姉ちゃんの方がそーちゃんのことをずっとずっと考えてるよ。だっ
て、そーちゃん甘いもの苦手だからそーちゃんにわざわざ食べさせるよりあげたいけどそーちゃんの為を思って作らな
いほうがずっとずっとずっとそーちゃんのこと考えてるでしょそもそもそーちゃんの好みも知らずにそーちゃんの重荷
になるような子なんてそーちゃんの為にならないよだからほらお姉ちゃんにちょうだい。ね? ほら、今すぐちょうだい
そーちゃん?」


見上げる姉さんの顔はいつまでも笑みを浮かべている。でも、僕は首を横に振る。
「ダメだよ。それでも、チョコをくれた気持ちは受け取らないと」
言い切る。姉さんは笑みを保っている。
ずっと同じ笑み。
「……そう。分かった。そーちゃんは偉いね。でも、辛かったら言ってね? そーちゃん」
そうして姉さんは自室へと引っ込んだ。直後にどこかで大きい音がしたけれど、特に気に留めなかった。
792僕と姉さんの日常ごっこBの3 ◆8WEVcVrsT6 :2007/03/27(火) 22:40:53 ID:oQFJyqFB

風呂上りの僕の鼻腔をくすぐったのは甘ったるいチョコの匂いだ。
髪を乾かすのもほどほどに台所を覗くと、夕食も終わったのに姉さんがサッシに立っていた。
「どうしたの? ねえさん?」
「あ、そーちゃん。もうあがったの?」
僕の質問を置いて、姉さんは僕に近づくと「ちゃんと髪乾かさないとダメだよ、そーちゃん」と洗面所へ押し戻そうと
する。僕は体重を入れて無理やり立ち止まると、姉さんに向き直る。
「すごいチョコの匂いがするけど、どうしたの?」
流石に今度はスルー出来ないと思ったのか、フフ、と笑みを浮かべるとガスコンロを指差す。
指差す先には鍋が見えた。鍋の中のお湯には、浮かんだボールが茶色い何かを茹でている。
「チョコ?」
「当たりぃ。フフ、そーちゃんの為にチョコを作ってるの」
やんちゃな子供を思わせる笑みに僕は怪訝な顔でしか返せない。言わずとも僕の疑問は通じたのか、姉さんは続ける。
「うん。そーちゃん、チョコ苦手だよね。でも、お姉ちゃんもチョコあげたいの。ダメかな? そーちゃん」
「いや、ダメじゃないけど」
「良かった。でも、そーちゃんはこれ以上、チョコが増えちゃったら困るでしょ? だから、お姉ちゃん考えたの」
やんちゃな笑み。
いつだったか、高校の教師が言っていた気がする。

「今日、貰ってきたチョコを溶かして作ってるの。そしたらこれ以上チョコが増えないし、お姉ちゃんの気持ちも伝わ
るでしょ? だから出来るまで待っててね、そーちゃん」

悪意がないからこそ、最大の悪だと。


つづく
793 ◆8WEVcVrsT6 :2007/03/27(火) 22:41:55 ID:oQFJyqFB
微妙にタイトルの番号付け失敗しててスマン

今日はここまでで
794名無しさん@ピンキー:2007/03/27(火) 22:49:16 ID:DinkyrSg
795名無しさん@ピンキー:2007/03/27(火) 22:50:50 ID:R8A5GB60
GJ
やっぱ姉ちゃんつええええ
796名無しさん@ピンキー:2007/03/27(火) 22:53:05 ID:DinkyrSg
>>793
連日投稿GJ!!
あげたチョコを作り替えられたと如月が知ったらどうなるのかwktk!
797名無しさん@ピンキー:2007/03/27(火) 23:06:02 ID:XiOAeB1s
>>793
GJ!
姉ちゃん、予想の斜め上を行ってくれるw
798名無しさん@ピンキー:2007/03/27(火) 23:09:33 ID:Nj5fgXLZ
>>793
スレ違い
ヤンデレスレに池
799名無しさん@ピンキー:2007/03/27(火) 23:13:09 ID:xG6b+cct
GJ!
しかしなんつーキモ姉だこれはw
800名無しさん@ピンキー:2007/03/27(火) 23:15:11 ID:q48iHeu9
>>785
妹は実兄を〜の場合は子供ができたからやむなくってのがいいんだ。
二人と結婚後も争いが続くかと思うと結構萌える。

>>793
なんつーかGJです!
801名無しさん@ピンキー:2007/03/27(火) 23:17:21 ID:RCba0IoA
つーか>>793のSSは銀玉スレで見た気がする
802名無しさん@ピンキー:2007/03/27(火) 23:20:23 ID:KIIoSCps
>>793
GJ!
キモ姉の長台詞に興奮している俺がいる
803名無しさん@ピンキー:2007/03/27(火) 23:45:23 ID:EHNMx8HB
ここまであからさまな自演GJはまたひさしぶり
804名無しさん@ピンキー:2007/03/27(火) 23:51:43 ID:MoOcW/2o
またこのパターンかよwwww
次はどうせ禿同だろ?wwwwwww
805名無しさん@ピンキー:2007/03/28(水) 00:14:22 ID:BKj0ul7v
キモォォォォォいッ 説明不要! キモ姉!! 問い詰め!!!
ねーさんだ!!!!

>>◆8WEVcVrsT6氏
続きを非常に期待しているですよ。頑張ってください
806名無しさん@ピンキー:2007/03/28(水) 00:15:41 ID:TrsQqKLa
他人のレスに惑わされずにこのスレを楽しんでる俺は勝ち組
807名無しさん@ピンキー:2007/03/28(水) 01:23:19 ID:qvj/aG7S
俺も俺も
なにしろGJ
808転帰予報 ◆JyN1LsaiM2 :2007/03/28(水) 01:32:51 ID:L82ZzH71
投下します。
809転帰予報 ◆JyN1LsaiM2 :2007/03/28(水) 01:34:09 ID:L82ZzH71
 あいつが兄さんになった日。
 あの日をきっかけに私は壁を取り壊す作業を始めました。

 長きに渡って私と兄さんを隔ててきた歪んだ鏡の壁。
 そこに映っていたのは醜く歪んだ私の姿。
 私は目を背けないように注意して、思い切りそれを叩き壊します。

 きっとそれは殻に閉じこもっていた弱虫な私。
 そんな私を救ってくれた兄さんに、私の心は否応無く兄さんに惹かれてゆきます。

 姉さんが眠りについた後、
 私はこっそり部屋を抜け出して今ではあまり使われていないお父さんの書斎へ向かいます。
 毎晩兄さんはお茶と軽食を用意してそこで待っていてくれるのです。
 私達はお茶を淹れて、つまらない話、取り留めの無い話を重ねてゆきました。
 今までの溝を埋めるように、失った時間を取り戻すように、自分の恋心を悟られないように、
 私は兄さんと親しくなってゆきます。
 それでも最初の頃はまだ素直に兄さんと呼べません。
 まだ甘え方すらわからなくて、私はついついそっけない態度を取ってしまいます。
 素直に伝えたいことに「ついで」とか「しょうがなく」なんて余計な言葉をくっつけて、
 本心を誤魔化して伝えてしまうのです。
 それでも兄さんはそんな私に笑顔で応えてくれます。その笑顔に昔のような悲しげな面影はありません。
 陽だまりのような暖かな笑顔。

 オレンジ色のスタンドライトの明かりに包まれて、数多の本に囲まれて、お互いのキモチを寄せ合ってゆく。
 たった二人だけの秘密の時間。
 まるで、悪いことをしているような興奮がそこにはありました。

 しかし、それも長くは続きません。

 三人しかいない家。
 そう長く隠し通せるわけがありません。
 私達の秘密のお茶会が姉さんにばれてしまうまでにあまり時間はかかりませんでした。
810転帰予報 ◆JyN1LsaiM2 :2007/03/28(水) 01:34:48 ID:L82ZzH71
「ねぇ―――いったい何しているの?」

 夜に隠されていたはずの書斎の扉が怒りに震える姉さんの手によって開かれていました。

「やっぱり、そういう事だったんだ―――表向きは従順な振りして、本当は二人して私の事を馬鹿にしてたんだ」
「姉さん、違うの!」
「何が違うの? 私の聞き違いじゃなければ、雨音ちゃんはそいつのこと『兄さん』って呼んでるんでしょう?」
 後ろめたさと、ほんの少しの恥ずかしさ。
 私は何も言い返せません。
 私が黙り込んでしまうと、その矛先は兄さんに向けられます。
「あんたが来てから、家はめちゃくちゃ。ねぇ、いったいどう責任とってくれるの?」
 兄さんは何も言わずに、ただ押し黙って姉さんの圧力に耐えています。
「へぇ、雨音ちゃんとは喋るのに、私には口も開いてくれないんだ」
 姉さんはティーカップを手に取ると、まだ中身の入ったままのそれを兄さんの頭に投げつけました。
 兄さんは避けようともせず、直撃を受けて頭を押さえます。
 傷口を押さえている指の隙間、
 茶色の液体と赤色の液体が混ざり合いながら兄さんの頬を伝いました。
「姉さん、もう止めて!」
 私は姉さんにしがみつきました。
 これ以上兄さんの血なんて見たくありません。
「放しなさい雨音ちゃん、今ならまだ許してあげる」
 首筋に氷柱を押し当てられたような言葉の鋭さに私は思わず手を放してしまいそうになります。
「姉さんもう止めようよ! 本当は姉さんだって、もうこんなことしたくないんでしょ!!」

 姉さんは一瞬驚いたような顔をした後、それを振り払うように私を強く突き飛ばします。
 横殴りの衝撃。
 本棚に私の身体が衝突する寸前―――兄さんが私の身体を受け止めていました。

 姉さんは私達が寄り添って立っているのを澄んだ丸い瞳で捉えると、
 今まで氷を思わせる程冷たい様子だった姉さんが燃えるような眼差しを私達にぶつけてきます。

「何? 二人で仲良く兄妹ごっこ? バカじゃない!!
 そいつが来てから私達のお父さんは帰ってこなくなったんだよ!
 そいつさえいなければ、私達は家族仲良く三人で暮らせたんだよ!
 それなのに雨音ちゃんはそいつの味方をするの!? お姉ちゃんを見捨ててそいつの選ぶの!?
 おかしいよ! 笑っちゃう!
 今までずっといっしょだったのに、掌を返すようにお姉ちゃんを裏切って!
 そいつのことが憎いんじゃなかったの! 嫌いなはずじゃなかったの!
 ついこの前だって階段からそいつを突き落としたの雨音ちゃんなんでしょ!
 その雨音ちゃんがどうしてそっちにいるの!? どうしてそこにいられるの!?
 許せない! 許したくない! 許してやるもんか!
 自分だけ良い子の振りして、そいつに取り入って幸せそうな顔して! 私だけ除け者にして!!」
811転帰予報 ◆JyN1LsaiM2 :2007/03/28(水) 01:35:21 ID:L82ZzH71
 まるで悲鳴のような怒声。ノイズのように端々の見え隠れする本心。
 姉さんはそれに気が付いていません。

「もうウンザリ!! 雨音なんか死―――」

 快音が響いて姉さんが止まった。

「―――いい加減にしてください」

 兄さんが姉さんの頬を張っていた。
 今にも泣いてしまいそうな顔で―――

「僕に言うのはかまいません。でも、雨音ちゃんにだけは、その言葉は使わないで………」

 姉さんにその言葉は届いていたのでしょうか?
 呆けた顔のまま姉さんはただ立ち尽くしています。

 いくらかの静寂。

 兄さんは戸惑うことなく、血に濡れてしまった手を姉さんの赤く腫れた頬に添えます。
 そして、姉さんはその手を拒んだりはしませんでした。
「ごめんなさい、痛かったよね。
 でも、こうしてでも止めないといけないと思いました。
 たった二人の血の繋がった姉妹が憎みあうなんて悲しいですよ。
 僕には兄弟がいませんけど―――そう思います」

「………」

「晴香さんの言うとおり、僕がここにいるせいで二人が辛い思いをしているのは知っていました。
 冬彦おじさんがいなくて淋しい思いをしていることも、その原因を作った僕のことを怨んでいることも……。
 だから僕は………出来るだけ早くこの家を出ようと考えていました。
 二人に迷惑のかからない場所へ行こう、二人の目が届かないくらい遠くに行こう。
 そしたら、お互いを傷つけあうことも無くなるだろう、って」

 そこまで言い終わると、兄さんの表情が真剣なものから柔らかなものへと変わります。

「でもね―――それは嘘。
 本当は二人ともっと仲良くなりたい。二人の家族になりたい。って、ずっと思ってた」

「――――――もういいよ、わかったから」

 姉さんはたったそれだけしか言いませんでした。
 けれど、それで十分だったのでしょう。
 姉さんはきっと泣いていただろうから、それ以上は何も言えなかったはずです。


812転帰予報 ◆JyN1LsaiM2 :2007/03/28(水) 01:36:04 ID:L82ZzH71
 兄さんと姉さんが和解して、私達家族三人の新しい生活が始まりました。
 兄さんが私に求めたのは妹としての私。
 それも、家族としての妹。
 既に兄さんに恋心を抱いていた私には不満もあるのだけれど、私は兄さんの意向に従うことにした。
 今まで散々兄さんに酷いことをしてきた。
 これはその罪滅ぼし。
 ならば今は兄さんの思うようにすればいい。
 そしていつの日か、兄さんが私を女性として求めてくれる日がやってくる。
 そんな淡い期待を胸に秘め隠して、私は妹としての日々を積み重ねてゆく。

 これでも最初は妹らしく振舞おうとして努力してきたつもりでした。
 ぎこちない日常の繰り返し。
 罪悪感で始めた家族ごっこ。
 それが当たり前になるにつれて、私は兄さんの手を強く握り締めるようになってゆきます。
 兄さんの手はお父さんの手のように温かくて、後ろめたい私の手をぎゅっと握り返してくれました。

 けれど私はそれで満足しなければいけない。
 それ以上は求めてはならない。

 それだけひどい仕打ちをしてきたのだ。
 私にはその資格が無い。
 いまでも残る傷跡を付けたのだ。
 兄さんが私を腹の底から許すことは無い。
 私は兄さんの妹でいられるだけ幸運。

 それでも日を追う毎に想いを増してゆく恋心を止められなくなってゆき、
 私は自分の感情を持て余してしまう。
 姉さんや他の女が兄さんに擦り寄るたびに私の対抗心は強くなり。
 自分の身体が大人になるにつれてその傾向は徐々に強まってゆく。
 
 私は矛盾しているとは思いつつも、兄さんに寄り添い私を女として意識させることに努めた。
 妹の素晴らしさをさりげなく語ったり、
 風呂上りにバスタオルのままで兄さんの周りを歩き回ったり、
 何かと理由を付けては兄さんに密着して胸を押し付けて誘ってみたり、
 まだ脱ぎたての下着を兄さんの洗濯物に混ぜておいたり、
 朝起こされた時に寝間着の下に下着を着けずに待っていたり、とかなり過激な事もやってみた。

 けれども兄さんの守りは鉄壁だった。
 いいところまで攻め込むことは出来ても兄さんは絶対に一線を超えてこない。
 同じように兄さんにアピールしている姉さんにしたって同じ事だったと思う。

 結局どこまで行っても兄さんにとって私は妹なのだろう。
 本当の家族がいなかった兄さんは私達を本当の家族以上に大切にしてくれる。

 それがうれしくて、少し切ない。

 私は実ること無い恋を抱えて生きてゆく。
 それが私の贖罪だと、積み重ねてゆく日々の片隅で私は覚悟しているつもりになっていた。


813転帰予報 ◆JyN1LsaiM2 :2007/03/28(水) 01:36:42 ID:L82ZzH71
 高校生になったある日の昼休み、私の胸に言いようの無い予感を感じました。

 兄さんが私を置いてどこかへ行ってしまう。

 あまりにも漠然としすぎて、それが何かすらわからないけれど―――ずっと抱えてきた、確かにある不安。
 兄さんを奪われる、と警鐘を鳴らす女の感。
 私は本能の赴くまま、昼食を抱えて兄さんの元へと向かいます。
 階段と廊下を早足で抜けると、兄さんの教室が何故か慌しい雰囲気に包まれていました。
「あの、天野八雲はいますか?」
 私が恐る恐る教室のドアから顔を覗かせると、そこには兄さんと山積みのパンと姉さんが並んでいました。
「雨音ちゃん! こっち、こっちだよ〜」
 姉さんはまるで私が来ることがわかっていたかのようにこちらへ手を振ります。
 周囲の状況から事態を察知し、自然と兄さんの隣に陣取ると兄さんは嬉しいような困ったような顔をしました。
 そんな顔をされると思わず抱きしめてしまいたくなってしまいますよ、兄さん。
 隣から聞こえる兄さんの息遣い。それだけで私の心は穏やかさを取り戻せるのです。

 もちろん、兄さんにきちんと釘を刺しておくことも忘れません。
 典型的なイイヒト星人の兄さんは困っている人を見逃せないのです。
 兄さんは助けを求められれば必ず応えてしまいます。
 それは兄さんが、苦しい人の気持ちがわかってしまうから。
 きっとそんな兄さんにしてしまったのは私達だけれど、兄さんのそんなところに惹かれている。
 だから一番良い手段は巡り合わせないこと。
 どこの誰とも知れない困ったさんを兄さんに近づけない。
 救われた女性が兄さんに恋してしまうなんてことがあってはならない。
 兄さんはそういう方向にはかなり疎いのですが、万が一ということもあります。
 だから兄さんにはこう伝えておきます。
『兄さんは今日一日私たち以外の女性に注意して過ごしてください』
 私は報われない恋を覚悟しているからといって、決してあきらめたわけではないのです。

 こちらからは求められないから、待っている。

 それが今の私の状況。
 けれど、もしも兄さんが私を求めてくれるなら、私はどんな要求にでも応える自信がある。
 どんなに恥ずかしいことでも、どんなに淫らなことでも、兄さんのためなら私は何でもする。
 兄さんの全て受け止めて、その結果、汚らしい雌犬のように扱われてもそれは苦でもなんでもない。
 兄さんに隷従する。むしろそれは―――喜ばしい。

 兄さんなら私を穢してくれてかまわないよ。
 欲望の全てを私にぶつけて私の事をめちゃくちゃにしてください。
 本心に嘘ばかり吐いてしまう私の生意気な身体に兄さんが罰を与えてください。

 そう、私は待っているの。
 飢えを、渇きを、満たせぬまま待っているんです。
 兄さんが犯してくれるのを―――
 兄さんが堕してくれるのを―――
 兄さんが壊してくれるのを―――

 兄さんだけを待っているんですよ。

814転帰予報 ◆JyN1LsaiM2 :2007/03/28(水) 01:37:27 ID:L82ZzH71
 放課後の教室。
 急いで迎えに来た私を兄さんの代わりに待っていたのは姉さんでした。
「八雲ちゃんは今日は早めにバイトに行ったみたい。さっき玄関で一人で帰るのを見たって人がいたよ」
 きっと兄さんは私達の忠告を受け入れて早めにアルバイトに向かったのでしょう。
 アルバイトに行ったのならそれほど危険は無いはずです。
 バイト仲間のウエイトレス達には日頃から兄さんに近づかないように親切丁寧に言い含めてありますし、
 困っている客を助けてもそれは店員ならば当たり前のこと、相手も勘違いを起こしたりはしないでしょう。
 第一、兄さんは仕事をほおりだして女に現を抜かすような性格ではありません。
 私達はとりあえず胸を撫で下ろし、
 家で必要最低限の用事だけ済ませて兄さんのアルバイト先の喫茶店へと向かいます。
 意気揚々と私達が店の窓から店内を覗いてみると、
 ほんの僅かの間に生じた隙を見計らって『悪い女』は狙い済ましたかのようにそこにいた。

 学制服姿の兄さんと正面に向かい合って、顔色を窺いながら媚を売るあの女には見覚えがある。
 今日教室にいた女の一人だ。
 兄さんはアルバイトをしている事を学校では話していないはずだから、
 きっと教室から黙って後を追けてきたのだろう。
 ストーカーなんて性質が悪い。
 いつか家にまで上がりこんでくるに違いないし、そんな事は断じて許されない。
 あの女は兄さんが迷惑していることに気が付いていないのでしょうか?
 兄さんはお人好しだから表情には出さないけれど内心酷く迷惑しているに違いありません。
 あんな女さっさと追い払って兄さんの事を救ってあげなければならない。
 それが妹である私の務め。
 私達が店内に踏み込もうとしたそのとき―――兄さんがあの女に笑顔をみせた。

 たったそれだけ。
 それだけで私達は動けなくなってしまった。
 あの女はコーヒーカップを持ったまま変な顔をしている。
 兄さんがそれを見て微笑んでいる。
 まるで―――デートの一コマを見ているような光景。
 それを、私ではない誰かと兄さんが演じている。

 その瞬間、私を押さえ込んでいた理論武装は粉々に吹き飛んで、
 脳味噌で組み立てた覚悟なんてものが甘ったれたものだと思い知らされた。
 その光景は私の感情が許せるものでは到底なかった。
 全身の血液が沸騰して噴出しそうになる。
 腹の奥底でマグマのように熱いナニカが燻っている。
 今すぐにでも出て行って私の兄さんに媚を売る女を引き剥がしてやりたい。
 兄さんを強く抱きしめて、私のモノだと宣言したい。

 頭ではわかっていた。
 いつかこんな日が来るんじゃないかと。
 でも、心が見過ごしてくれなかった。
 私の恋心はもう愛情に変わってる。

 でも、私の足は動いてくれない。
 足にはしっかりと枷が付いていて、地面と足首を強く縛った。
 私にはその資格がないと、他でもない私が自身を縛り付けます。

 窓越しの二人からは次第に遠慮が消えてゆき、まるで二人は友人のように語らいます。
 友人はいつか恋人になれるかもしれない。
 けれど、妹はどこまで行っても妹のまま。

 苦しい。

 どうして兄さんと向かい合っているのが私ではないのでしょう。
 本来あの場所にいるべきなのは私のはずです。
 私のいるべき場所に違う女がいるのに兄さんはどうして笑顔でいられるの?
 理解できない。
815転帰予報 ◆JyN1LsaiM2 :2007/03/28(水) 01:38:06 ID:L82ZzH71
 ようやくあの女が立ち上がる。
 地獄のような責め苦の終わり。
 兄さんはあの女を見送るときに客にするように頭を下げる。
 まだ、その程度。けれど、これ以上先に進ませるわけには行かない。
 あの二人が笑顔で別れるようになったら私はあの女を殺さなければならなくなる。
 むしろ、今すぐにでも殺してやりたい。
 あの女が屍を晒す姿を想像するだけで心が躍る。早くあの女の血が見たい。
 こんな気持ち初めてだ。
 あの顔、二度と忘れない。

 兄さんの姿がいったん消えると、私の身体は糸でもついているかのように勝手に動き出し
 気が付けば店の席に着いていた。
 私の頭はぐちゃぐちゃ。
 私達を心配してくれる兄さんの声もどこか遠くから聞こえてくる。
 私の胸を広く覆う影。
 その正体が何であるかにわたしはもう気付いている。
 ただ兄さんにだけはそれを見せたくない。
 それなのに私は兄さんに気付いて欲しくて、私は兄さんが困るような行動を取ってしまいます。

 兄さん、ごめんなさい。
 でも、いつまでも手を出さないでいる兄さんが悪いんですよ。
 早く私に気付いてくださいね。

816転帰予報 ◆JyN1LsaiM2 :2007/03/28(水) 01:38:51 ID:L82ZzH71
 喫茶店で散々騒いでしまった明日から兄さんは急に忙しくなった。
 昼休みや放課後に教室を訪ねても居ないことが多く、
 居たとしても忙しそうでとても声をかけれる雰囲気ではありません。
 そして、兄さんの傍らには学園祭の準備という名目を盾にいつも張り付くようにあの女が付き纏っている。
 本当なら今すぐにでもあの女を兄さんから引き剥がしてやりたい。
 しかし、兄さんの立場を考えるとそんな強気な態度に出ること控えなくてはならない。
 兄さんは自発的に学園祭に協力していることになっているし、
 名目上とはいえあの女は学園祭の準備をしているのだけなのだから。

 そんな兄さんのお人好しな性格が裏目に出てしまっている状況の中、
 せめてアルバイトの日ぐらいは兄さんと過ごそうと楽しみにしていたのに姉さんがなかなか帰ってこない。
 ただでさえ二人でやる家事を一人でやって時間も押してしまっているのに、
 これ以上待っていたら兄さんのアルバイトが終わってしまいます。
 私が待つことをあきらめて玄関で靴の紐を結び始めた頃、リビングの電話が鳴り出しました。
 家の電話番号に電話してくるのは基本的には兄さんか姉さん、お父さんの三人だけ。
 消去法と確率論で考えると必然的に姉さんということになります。
 今頃電話してきて、先に店に行ったなんてことを言ったらただじゃおきません。
「はい、こちら天野です」
『もしもし、雨音ちゃん? 僕だけど』

 ………
 ……………
 …………………

 ガチャン。
 恥ずかしい事を言ってしまったので、思わず電話を切ってしまいました。
 話の前半部分はよく覚えていませんが、後半部分は忘れもしません。
 何でも、兄さんは私に大事な話があるそうです。
 これはつまり………

 ついに、ついにその時がやってきたようです!!
 兄さんが私にする大事な話といえば一つしかありません。
 プロポーズ。
 これしかありません。
 兄さんが決心したきっかけはわかりませんが、私にとってそれはどうでもいいことです。
 あのまじめな兄さんがアルバイトを早引けしてまでする大事な話なんてそれしか考えられません。
 そういえば私ももう結婚できる年齢になりました。
 兄さんはまだですけど、予約をしておこうという事なのでしょう。
 そんなものは必要ないのに………。
 いえ、流石にそこまで一足飛びに物事考えてしまうのも考え物です。
 一応、物事には順序というものがあります。
 ならば………告白。
 こちらのほうが可能性としては高いかもしれません。
 それでも私は十分です。
 むしろ、その後にプロポーズが待っているとすれば二度美味しいです。
 いったい兄さんは私にどんな告白をしてくれるのでしょうか。
『愛してる』『好きだ』『僕は雨音ちゃんをもう妹としては見られないよ』etc……
 そして愛し合う若い二人は………。
 私はすぐにお風呂で身を隅々まで清め、兄さんの帰りをリビングで待ちます。
 今日まで礼儀正しいクールな妹で通してきたのです。突然玄関で待ち構えるようながっついた真似は出来ません。
 それでも………じっと座ってもいられません。
 コソコソと玄関で様子を窺いながら、物音がするたびに急いでリビングに戻る動きを繰り返してしまいます。
817転帰予報 ◆JyN1LsaiM2 :2007/03/28(水) 01:40:01 ID:L82ZzH71
 リビングと玄関の間を20往復した頃、玄関の鍵が差し込まれる音がしました。
 もう何度も聞いている音、聴き間違えるはずがありません。
 私は足音を忍ばせ跳ぶようにリビングへ戻ると何食わぬ顔してソファーに腰を下ろしました。
 玄関の閉まる音がして、足音がこちらへ近づいてくるたびに私の心音は跳ね上がります。
「お、おかえりなさぃ」
 緊張で声の調子がおかしい。
 兄さんに変な妹だと思われなかったでしょうか?
「ただいま」
 返ってきた声は姉さんの声、私の緊張は一気に抜け落ちます。
 こちらの緊張が伝染してしまったのでしょうか? 姉さんの声色も少しおかしい様子です。
 いつもならもっと無駄に元気なはずなのですが、なんというか機嫌がすごく悪そうです。
 姉さんはどこか怪しい足取りでリビングに入ってくると、私に近づき両肩をきつく握ります。
 姉さんの大きめの瞳が昏く冷たいものに変わっていました。
「ねぇ、雨音ちゃん。八雲ちゃんがね、私達と距離を取りたいって言ってきたの―――信じられる?」
 それは予期せぬ一言。
 私が兄さんから聞きたいのはそんな言葉ではありません。
「嘘……でしょう?」
 私の言葉を聴いて姉さんの口元が釣りあがります。
「嘘かどうか自分で確かめてみたら? お姉ちゃんはお部屋で待ってるから確認が済んだらすぐに来てね。
 ―――二人でいっしょに八雲ちゃんを救ってあげようよ」
 姉さんはそう言い残すと足音を響かせながらゆっくりと階段を上ってゆきます。
 誰も居なくなったリビング、まだ上手く頭が働きません。
 兄さんの大事な話は私への告白だったはずです。
 だから姉さんの話は信じられませんし、信じたくありません。
 けれど、あの状態の姉さんが嘘を吐くとも思えません。
 先ほどの姉さんの口調から予測すると、もうすぐ兄さんが帰ってきます。


 兄さん。
 兄さんは私を捨てたりしませんよね?


 ――side 雨音 End――
818転帰予報 ◆JyN1LsaiM2 :2007/03/28(水) 01:40:32 ID:L82ZzH71
ここまでです。

思った以上に回想が長くなってしまいました。
次回からまた本編に戻ります。
819名無しさん@ピンキー:2007/03/28(水) 01:47:15 ID:qvj/aG7S
キモウトはいいものだ
たとう義妹であってもだ
820名無しさん@ピンキー:2007/03/28(水) 01:49:16 ID:bKCa+m64
ナイスキモウト
姉との和解シーンもよかった
821名無しさん@ピンキー:2007/03/28(水) 01:57:46 ID:PIMIK+fe
GJ!!!
転帰予報は自分が今一番楽しみにしている作品なんだ
次回にwktk,wktk
822名無しさん@ピンキー:2007/03/28(水) 02:26:12 ID:xjxm+Z8Y
フジテレビ・・・・
823名無しさん@ピンキー:2007/03/28(水) 02:27:23 ID:hPUBGVYt
どうでもいいがageてる香具師死ね
824名無しさん@ピンキー:2007/03/28(水) 02:44:27 ID:Ej+/izBp
GJ!
姉との和解シーンに何か含むものを感じる私はおかしいのでしょうか?
何か一悶着二悶着ありそうですな・・・。
825名無しさん@ピンキー:2007/03/28(水) 02:55:58 ID:ihmgh/Om
GJ!
姉イイ!!!
826名無しさん@ピンキー:2007/03/28(水) 02:57:35 ID:e+JQoCCB
GJ!
姉サイコーー!!!!!!
827名無しさん@ピンキー:2007/03/28(水) 03:35:23 ID:Sj6xiQtl
>>818
最高すぎる。
これからのキモアネとキモウトの行動に猛烈に期待している。
828名無しさん@ピンキー:2007/03/28(水) 04:10:58 ID:mIaXMCJK
姉のほうはまだなにか含んでそうだな・・
次回にも期待なんだぜ!
829名無しさん@ピンキー:2007/03/28(水) 06:06:30 ID:3XLr38Yv
主人公には期待してる 姉妹をばっさりと切り捨てて
さらに嫉妬キモ化させて欲しい 泥棒猫といちゃいちゃしてw
830名無しさん@ピンキー:2007/03/28(水) 08:10:41 ID:ze8whDje
>>818
転帰予報キテタ━!GJ!
健気で独占欲満載の雨音が可愛い
そして本心の読めない姉はオソロシス…
つまりこの先も楽しみだ!
831名無しさん@ピンキー:2007/03/28(水) 08:20:57 ID:+E2Z04/4
GJ!
姉は本当は妹の方が好きなのでは? と勘ぐってしまう……あっ、その場合三角関係に(ry
832名無しさん@ピンキー:2007/03/28(水) 10:36:30 ID:Ej+/izBp
>>831
そういう方向での嫉妬・三角関係かよ!なんか嫌だなwww
833名無しさん@ピンキー:2007/03/28(水) 12:22:04 ID:wPlml3kl
とりあえず、姉に死亡フラグが立ちました
834名無しさん@ピンキー:2007/03/28(水) 12:41:20 ID:DM6BDM37
>>818
つまんね
835名無しさん@ピンキー:2007/03/28(水) 12:58:42 ID:pB/OWjBE
つまんね、でレス抽出すると以前のスレと合わせて相当な数になる件
836名無しさん@ピンキー:2007/03/28(水) 13:00:37 ID:zKv7rpfQ
このままでいくとまた1000いきそうだな
837名無しさん@ピンキー:2007/03/28(水) 13:31:10 ID:o15qCbGA
トライデント氏の姉妹モノに比べると断然と
描写関連が上手く書けているのでこちらの方が好きだが・・

なんせ、あっちは

>>おかしい日本語を”少し癖のある文章”だと思えるトライデント脳があれば楽しめる

ですからね。

これからは転帰予報が嫉妬スレの頂点に立つwww
838名無しさん@ピンキー:2007/03/28(水) 13:44:31 ID:+RhSPCx6
バレバレですよピエロ君w
839名無しさん@ピンキー:2007/03/28(水) 14:10:24 ID:BxjCUQI1
いい加減にトライデント氏と転帰予報の作者に粘着する荒らしが
うざいと思うのは俺だけか? 純粋に作品を楽しめよ
840名無しさん@ピンキー:2007/03/28(水) 14:14:29 ID:bKCa+m64
つ本文のトライデントをNG
841名無しさん@ピンキー:2007/03/28(水) 14:17:40 ID:rtAUNwnN
>>840
それはいい名案だね・・彼のおかげで嫉妬スレは荒らされてしまったし
いい加減に責任を取ってもらわないと
842名無しさん@ピンキー:2007/03/28(水) 14:31:24 ID:WyJ28JB1
>>841
荒らしてんのはてめーらだろうが。
843名無しさん@ピンキー:2007/03/28(水) 14:44:23 ID:zKv7rpfQ
つ旦
これではまた悪循環になる。本当の住人ならこの茶が飲めるはずだ。
844名無しさん@ピンキー:2007/03/28(水) 14:51:25 ID:xjxm+Z8Y
七誌君?
こんな誰だかわからないような人が淹れたお茶なんて飲んじゃだめ。
七誌君は私の淹れたお茶だけを飲んでいればいいんだからね、ずーっとずーっと。
845名無しさん@ピンキー:2007/03/28(水) 14:55:27 ID:bKCa+m64
なんか勘違いされてる?
トライデント氏は名前欄でしか『トライデント』と名乗らないわけで、
本文の『トライデント』をNG登録すればトライデントがどうとかいう奴らを一掃できる
>>840で言いたかった訳だが伝わらなかったな
846名無しさん@ピンキー:2007/03/28(水) 14:59:09 ID:jgjX/5nr
いい加減に飽きたからスルーしろっての

嫉妬スレ住人の劣化が激しいって余所スレで言われるぞ
847名無しさん@ピンキー:2007/03/28(水) 15:04:44 ID:oOz3QH0/
天気予報は一部のファンが自演GJしてるだけだとばっちゃが言ってた
848名無しさん@ピンキー:2007/03/28(水) 15:07:51 ID:St4JlCCK
スクイズアニメ化・・・
wktk
849名無しさん@ピンキー:2007/03/28(水) 15:08:54 ID:r52gI7qg
>>848
つチラシの裏or本スレ
850名無しさん@ピンキー:2007/03/28(水) 15:13:20 ID:Os0rrqnH
確かに今の流れはチラシの裏にも劣るね
851名無しさん@ピンキー:2007/03/28(水) 16:01:49 ID:e51OY91N
トライデント粘着は就職して世の中に揉まれてから書き込め。
何処がおかしいのか指摘出来ずに文句だけ喋るんなら幼稚園児でも出来る。
明確に何処が変か言ってみろ、勿論自分の言葉でな?
852名無しさん@ピンキー:2007/03/28(水) 16:12:33 ID:wjQDxLl2
実際、おちスレがあるぞw
そこからの特派員はバレバレのピエロ君だがw
853名無しさん@ピンキー:2007/03/28(水) 16:40:06 ID:gQoayZut
ピエロとか書いてる香具師は同一人物の煽りなのでスルー推奨

854名無しさん@ピンキー:2007/03/28(水) 16:56:48 ID:ZVHGdUZT
つまんねをNGに指定するだけで神スレに生まれ変われますねwww

>>852
どこにオチスレがあるの?
855名無しさん@ピンキー:2007/03/28(水) 16:59:22 ID:z3fQfzEz
つまんないw
856名無しさん@ピンキー:2007/03/28(水) 17:16:34 ID:VYci8RNJ
>>854
普通にまとめサイトだけ見てれば解決
857名無しさん@ピンキー:2007/03/28(水) 18:23:46 ID:+RhSPCx6
>>853
なんか言った?単発IDのピエロ君w
858名無しさん@ピンキー:2007/03/28(水) 19:05:39 ID:6QF4FaO9
スレをまたーりと楽しみたい人は「ピエロ」をNG登録しとけ
859名無しさん@ピンキー:2007/03/28(水) 19:22:23 ID:+RhSPCx6
単発だとなに言っても説得力ないよね
一々ID変えなきゃいいのに
860名無しさん@ピンキー:2007/03/28(水) 19:27:01 ID:6QF4FaO9
>>859がみれないんだけど

むしろ煽りの方が説得力ないよね
感想一つ書かず煽ってるだけなんだもんwww
861名無しさん@ピンキー:2007/03/28(水) 20:16:49 ID:7TK3UU1z
見えないんなら返事すんな、スルーしろ馬鹿
862名無しさん@ピンキー:2007/03/28(水) 20:27:36 ID:6QF4FaO9
華麗にスルー
863名無しさん@ピンキー:2007/03/28(水) 20:45:01 ID:+RhSPCx6
俺が単発単発言ったから荒らし方を変えたか
864名無しさん@ピンキー:2007/03/28(水) 20:53:34 ID:TpCbwOvx
いい感じで荒れてるな。
荒れが収まるまで星金スレ逝って来る。
865名無しさん@ピンキー:2007/03/28(水) 20:59:30 ID:+RhSPCx6
>>864
他スレの名前出さん方がいい
荒らしが延焼するから
866名無しさん@ピンキー:2007/03/28(水) 21:07:45 ID:pB/OWjBE
荒らしを話題にしなきゃいい
「荒らし」って単語自体NGに追加しちまえ
867名無しさん@ピンキー:2007/03/28(水) 21:14:32 ID:XSqLkyri
「荒らし」って単語をNGに登録しても
荒らしそのものを見えなくするわけじゃないんだよなぁ。残念なことに
868名無しさん@ピンキー:2007/03/28(水) 21:18:20 ID:WyJ28JB1
以下神降臨まで沈黙
↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓
869名無しさん@ピンキー:2007/03/28(水) 21:26:18 ID:VBugv+sn
とりあえず煽りをやめたらいいんじゃね?
870名無しさん@ピンキー:2007/03/28(水) 21:29:31 ID:PQIa4SRl
このスレって今こんな感じにループしてるよな。



       職人投稿
         ↓
       感想orGJ
         ↓
       つまんねw、文章おかしい、自演乙etc
         ↓
       荒らしはカエレ、NG登録しますた、単発ウゼー
         ↓
       反応すんなヴォケ
         ↓
       オマエモナー
         ↓
       以下ループ


しかしこんな状況でも投稿してくれる方がいるなんてありがたいとしか言いようがない。


そしてまた自演乙と返してくるやつがいる。
871名無しさん@ピンキー:2007/03/28(水) 21:35:27 ID:xGHgqvpG
煽り荒らしが粘着してる今煽るなって言っても無駄
ひとまず荒れそうだと思ったら違う話題振るか我慢して無視するしかないよ
ムカつくレスも専ブラならあぼーんできるからみんな専ブラ使えばマターリ


ひとまず俺は熱血でカラッとした修羅場話が読みたい
全体的に陰湿な話が多いしスレ自体ヤンデレ傾向強いけど

男 ←(嫉妬)→ 男
 \       /
  女(両天秤)

こんな感じとかこのスレ的にはどうなんでしょう><
872名無しさん@ピンキー:2007/03/28(水) 21:49:41 ID:Os0rrqnH
>>871
男同士の嫉妬はいただけない


女 ←(嫉妬)→ 男
 \       /
  男(両天秤)


アッー!
873名無しさん@ピンキー:2007/03/28(水) 21:54:07 ID:qigtXYHx
男の嫉妬は醜いだけで、美しさが感じられん。
874名無しさん@ピンキー:2007/03/28(水) 21:57:52 ID:oAF6hJTF
男2・女2の四角関係ならどう?
875名無しさん@ピンキー:2007/03/28(水) 22:00:39 ID:h5syMFS9
新井素子先生は仰った。
男が狂うのはいただけない、と。

つまり。
男は低く、暗く、心の奥底に燻ってるようなKOOLな嫉妬が似合う。
876名無しさん@ピンキー:2007/03/28(水) 22:05:13 ID:WyJ28JB1
いや、男はどんな嫉妬もいかんだろ。
877 ◆8WEVcVrsT6 :2007/03/28(水) 22:16:04 ID:9HU+309H
昨日の続き投下するけど良い?
878名無しさん@ピンキー:2007/03/28(水) 22:19:02 ID:4v4ByNXD
ok
879僕と姉さんの日常ごっこCの1 ◆8WEVcVrsT6 :2007/03/28(水) 22:20:01 ID:9HU+309H

「姉さん、今日は手つだ」
「そーちゃんはなーんにもしなくていいの。はい、あっちで座ってて」
今日もまた申し出は見事玉砕され、僕は一人、姉さんの料理が出来るまで待っていることになった。大抵、雑誌かテ
レビでも見て時間を潰しているのだが、今日はなぜだか何にも手がつかなかった。
だから、と言ってはなんだけれど。
「もうっ、どうしたの、そーちゃん。お姉ちゃんのことジロジロ見て」
姉さんは恥ずかしそうに言いながら、ヒヨコのエプロンを僅かに揺らして台所を動き回る。その手際は良く、素人の
自分でも姉さんの料理の腕がどれほどのものか、普段食べている実績からも窺い知ることが出来る。
もう姉さんはこちらが気にならないのか、こちらを振り返ることなく料理に集中している。元々、僕とは違いここぞ
という時の集中力がずば抜けている姉さんは、学業もずば抜けていたらしく某有名難関大に一発合格。就職難の時代
にすんなりと大手企業に就職してしまうなど、“出がらし”の僕にとってはお月様のような存在だ。おまけにそのス
ッポンまで養うとまで言い出すのだから、姉弟の愛云々以前に尊敬の念すら湧いている。
そのことをクラスの連中に話したら、案の定、シスコンという称号を貰ったわけで。
「きゃっ」
「え?」
姉さんの声に戻される。その時になってやっと、床が不自然に揺れているのを感じた。トラックが傍を通るのとはま
た違う、人の根源的な不安を煽る振動。
「地震だよっ、そーちゃん! 大丈夫っ!? お姉ちゃんすぐそっちに」
姉さんの声に反応してそちらに顔を向ける。
姉さんの頭上の棚も揺れていた。
そして見てしまう。半身を乗り出している空の鍋が揺れて、バランスを崩しているところを。
真下には、姉さん。
「危ないっ」
声が先か、僕は渾身の力で姉さんに飛び掛る。
耳に響くのはガラスか何かが割れるような大きな音。僕の意識も同時に暗転した。

880僕と姉さんの日常ごっこCの2 ◆8WEVcVrsT6 :2007/03/28(水) 22:20:32 ID:9HU+309H
そーちゃん! そーちゃん!
そうたいして気を失っていなかったのだろう。壁に掛けてある時計の針が三つに見えてまだぶれているのかと思った
けれど、最後の一つが秒針だと思い直した時には意識はハッキリとしていた。
大丈夫だよ、姉さん。そう開こうとした口が、ふいの頭痛に止まる。
「あ……ああ……」
目の前には、きっと僕以上に血の気の失せた顔をしている姉さん。
まずい。頭に血を流していたからなのかは、今となっては判別できそうにない。
「ごめんなさい……ごめんなさいそーちゃん……おねえ……わた、わたしをかばって……かばって」
「姉さんのせいじゃないから。落ち着いて」
「だって……そーちゃん……頭、ケガして……血……血が……いっぱい……」
「姉さん」
「ごめんねそーちゃんっ、許して。ねえっ」
「大丈夫だから」
「ごめんなさいそーちゃん。許して、許し……ごめんなさい……ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさ
い」
「姉さん」
「ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめん
なさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいご
めんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさ
いごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめん
ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんな
さいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめ
んごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめん
なさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい」
「姉さん……」
姉さんの謝罪はその後もずっと続いていた。
881僕と姉さんの日常ごっこCの3 ◆8WEVcVrsT6 :2007/03/28(水) 22:21:09 ID:9HU+309H

結局、夜間の病院に無理やり連れて行かれた僕は包帯を巻かれただけで済む事になった。姉さんの勧めで、あと少し
で入院するハメになりそうだったけれど、こうして家に帰ることが出来たから良しとしよう。
自室のベッドに寝転ぶ。随分、久しぶりのような気がした。未だに頭部の痛みは治まっていないが、医者も苦笑いす
るほどだったから一日眠れば大丈夫だろう。もう時計の針も0時を回っていることもあって、すぐ眠ることも出来そ
うだった。

ぼんやりとした意識で目を開くと、窓から見える月が綺麗だった。
月明かりを眩しいと思ったのか、寝返りを打とうと体を捩るものの押し返されてしまった。誰かがいる。分かってい
たはずなのに僕はそのまま黙っていた。
「そーちゃん……お姉ちゃんだけのそーちゃん……」
いつの間に脱がされたのか、裸の背中にぴったりとくっついている所は既に熱を帯びていた。それだけずっとそこに
いたのだろう。
「誰にも渡さない……お姉ちゃんだけのそーちゃん……苦しい思いなんてさせない。ずっとお姉ちゃんが傍にいてあ
げるから。ぜんぶお姉ちゃんが面倒を見てあげるからね……そーちゃん、フフ……」
指先が背中をなぞる感触に、思わず体が固まる。そのままお尻の方まで伸びて、そしてまた上に戻る。それのずっと
繰り返し。
「痛い事も苦しい事も辛い事もぜーんぶお姉ちゃんが背負ってあげる、ぜーんぶそーちゃんの代わりに受け止めてあ
げる……だってそーちゃんはもうお姉ちゃんの分を、ぜんぶぜーんぶ受け止めてくれたもんねー……」
「痛い痛いはもうお姉ちゃんがぜんぶしてあげるからね。だからそーちゃんはなんにもしなくていいんだよー……」
「フフ……お姉ちゃんだけのそーちゃん……お姉ちゃんのイタイイタイしてくれたそーちゃん……」
僕の背中を、見るに耐えないその部分をなぞる姉さん。
その行為は、また僕が意識を落とすまで続けられた。

「お姉ちゃんの分イタイイタイしてくれたそーちゃん……今度はそーちゃんの分のイタイイタイ、ぜーんぶどかして
あげるからね?」


つづく
882 ◆8WEVcVrsT6 :2007/03/28(水) 22:22:52 ID:9HU+309H
今日はここまでで。明日はバイト長いんで休みで。

あといつも感想ありがとう。このキモ姉にこうして欲しいってのがあったら考えとくわ。
883名無しさん@ピンキー:2007/03/28(水) 22:38:50 ID:orTg2NnF
(´・ω・`)お姉ちゃん、このお姉ちゃん怖いよぅ

あんちゃん、良い仕事してんな!
884名無しさん@ピンキー:2007/03/28(水) 22:47:56 ID:PQIa4SRl
>>882
キモ姉(;´Д`)ハァハァ
お姉ちゃんに限らず女の子がこっちの話も聞かず謝り続けたり問い詰めたりしてくるのって萌えるね。あとGJ
885 ◆6xSmO/z5xE :2007/03/28(水) 22:59:10 ID:a2IEocnK
投下いきます
886ブラッド・フォース ◆6xSmO/z5xE :2007/03/28(水) 23:01:26 ID:a2IEocnK
 少女が『智ちゃん』と言葉を発した時、エルは自然と微笑を浮かべていた。
 やっと見つけた、と思った。
 そして―――長く苦しかった旅は今度こそ終わり、新しい時間が始まるのだ・・・とも。

                         ・
                         ・
                         ・
                         ・
                         ・

「見つけたわ・・・」

 自然と独り言が漏れる。
 夜の街を彷徨い歩くこと数時間、ようやくたどり着いた一軒家は智の気配に満ちていた。
 17年間で彼が最も長い時間を過ごした場所、つまり自宅に違いなかった。

 エルは智の家の場所は勿論、千早の居場所も知っていたわけではない。それでも、何となく分かってしまった。
 乙女の勘か、吸血鬼の感覚か、狂った者だけに宿る純粋すぎる想い故か。
 エルに聞いたならば、『私とサトシの運命が導いた必然の結果よ』とでも答えるだろう。
 実際、今や世界を『智』と『智以外のもの』とで定義しているエルにすれば、この程度の問題を解決することは必然かもしれない。


 出来ることならゆっくりと見て回りたいとエルは思う。
 ここには自分の知らない智のことが一杯詰まっているから。
 毎年背を測った柱の傷とかあるのだろうか。他には、どうしても捨てられない思い出の玩具とか、子供の頃の服とか。
 アルバムは外せないだろう。『余計なもの』も映っていたら塗り潰さないといけないから、見る時は黒マジックを用意しておかなければ。
 智のベッドに潜り込んで、少しだけ眠ってみるのも良いかもしれない。
 きっといい夢が見られるだろう。現実の智をそう待たせるわけにはいかないから、あまりゆっくりはできないけれど。


 しかし、何よりも先にすべきことがある。
 愛しい空気に包まれたこの空間で唯一の異質なモノを排除しなければならない。
 靴を脱ぐのが礼儀だと知ってはいたが、それさえもまどろっこしくて土足のまま玄関を上がる。



「智ちゃんの匂いがする・・・!」
(サトシの匂いがする・・・)

 階段に座り込んでいる千早を見下ろす位置まで近づく。
 そこでエルが感じたことはは、図らずも千早から発せられた台詞と同じ内容だった。
 更に言うなら、その声と『智ちゃん』という呼称にも覚えがあった。
 笑顔のまま凍りついた仮面の裏で、煮え繰り返るような憎悪が燃え上がる。
 以前智の携帯に電話して別の女が出た時に感じたのと同じ感情―――同族嫌悪だ。

887ブラッド・フォース ◆6xSmO/z5xE :2007/03/28(水) 23:03:45 ID:a2IEocnK
(あの電話の女・・・。あれがサトシが言っていた『チハヤ』だったんだ・・・)

 いっそ吐き気がするほどに智の気配を身に纏った女だった。
 愛されることを当然のこととして甘受し生きてきたのだろう。
 そんなこの女に分かるだろうか。
 すぐ戻ると言った智が戻って来なかった間の、孤独に震える心の寒さが。
 電話越しの勝ち誇った嘲笑により突き落とされた、絶望という闇の深さが。

 だが、今なら少しは分かるだろう。
 様子を見る限り、智に去られたらしい。
 あの優しい智が、自分を思ってこんな風になってしまう相手を見捨てていなくなるなど、並大抵のことではない。

(きっとこの女も、サトシの吸血鬼としての部分を認めなかったんだわ。あの銀刀の小娘と同じように)

 だとしたら去って当然だ。自分の存在を否定してくる相手とどうして一緒に居る必要があるというのか。
 しかし、それでも智は見捨てきれず、未だこの女を思って魘されている。それもよりによって、エルの目の前でその名前を呼んで。
 つまり千早は、それほどまでに智の愛情――異性としてのものではないとしても――を一身に受けてきた存在ということだ。


 ―――羨ましい。悔しい。妬ましい。憎い。・・・殺したい。
 嫉妬が胸を焼き焦がし、エルの中ではちきれんばかりに荒れ狂う。
 綸音と相対した時の激情さえ、今の殺意の前には子供騙しのように霞んでしまいそうだった。
 それでも、智を縛るこの小娘を断罪するには足りないとさえ思える。
 もっと強い憎しみを、苦しみを、怨みを与えたいと思う。

 だが、もう我慢の限界だった。
 いきなり気が触れたように笑い出した千早を気にも留めず、その幼い顔を正面から見つめる。
 もう笑顔は保てなかった。




「やっと会えたね」

 殺さないよう――即死させたいのを懸命に堪えて――手加減した手刀で、軽く薙ぎ払って壁に叩きつける。
 身体が床にずり落ちる前に首に手を掛けると、千早の身体は中空で停止した。
 それはまさに、磔にされた咎人が死神の鎌を振るわれようとしている、という光景。


 ――さあ、思い知らせてあげる。

 牙を光らせ、エルは酷薄に口元を吊り上げた。

                         ・
                         ・
                         ・
                         ・
                         ・
888ブラッド・フォース ◆6xSmO/z5xE :2007/03/28(水) 23:05:12 ID:a2IEocnK
「苦しい? 苦しいわよね。呼吸が出来なきゃ生物は死んじゃうもの。『私たち』だってそうだしね」

 首に掛かった手に壁へ押し付けられて浮いたままの千早に、エルは悠然と話しかける。
 千早の身体は拍子抜けするほど軽く、右手一本でも支えるのは容易い。
 千早は苦しげに呻きながら足をばたつかせて暴れるが、エルはビクともしなかった。
 身体が持ち上げられている分、視線はエルの方が若干下だが、彼女は見下した瞳で千早を見つめる。

「離してあげてもいいわよ。私だって何の意味も無くこんなことはしない。
 ・・・でもね、一つだけ条件があるの。聞いてくれたら命だけは助けてあげる。
 あっと、心配しなくて良いわ。とっても簡単なことだから。この態勢からでも出来ることよ」

 一方的に告げるエルを、千早は憤怒の瞳で睨みつける。
 その口元に先程までの歪んだ三日月型は無く、噛み千切るほどに食いしばった様子が彼女の心情を映している。
 だがエルは、そんな千早の視線など何処吹く風。元よりこの程度で怯む性格ではない。
 真っ向から睨み返し、千早の瞳を間近で覗き込んで、一言一句ゆっくりと告げた。




「サトシのことを、嫌いだと、言いなさい」


889ブラッド・フォース ◆6xSmO/z5xE :2007/03/28(水) 23:07:27 ID:a2IEocnK
 刹那、千早の抵抗が止む。何を言われたのか理解できなかった。

(智ちゃんのことを、嫌い? 私が?)

 在り得ない――『存在し得ない』言葉に思わず混乱してしまうが、その意味はすぐさま脳に浸透する。
 そして次の瞬間、千早は火が付いたように暴れ出した。

「ああああああああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」

 冗談でも言ってはならない言葉を受け、千早が激昂した。
 どこにそんな力が残っていたのかと思わせる暴れぶりに、首を掴まえるエルの腕が僅かに揺れる。

 幼少時から周囲に仲の良さを冷やかされることの多かった智と千早だが、意地を張ってでも冗談ででも、相手を嫌いだと言ったことは無い。
 近い距離を維持し離れたことも無いまま恋を愛に昇華させた千早にとって、その言葉は未知にして禁忌だった。
 たとえ嘘でも、耐えることは勿論、聞き流すことも出来ないブロックワード。
 まして他の女、それも智を奪おうとする泥棒猫から発せられたのなら尚更だった。


 しかしエルは動じない。外れ掛けた腕に改めて力をこめ直し、今度こそ千早の抵抗を封殺した。
 必然的に千早の首がより強く絞められることになり、怒りの叫びも苦悶の掠れ声へと変わっていく。

「怒っても無駄。かえって苦しさが増すだけよ。・・・そろそろ呼吸も苦しくなってきたんじゃない?
 さっさと認めなさい。首を一つ縦に振るだけで命が助かるのよ?」

 声に少量の凄みを加えてエルが言う。彼女の言うとおり、喉への圧迫は千早の呼吸を困難にしていた。
 それでも千早は頷かない。手足は届かず、もう喋ることも叶わないが、瞳だけはエルへの抵抗を諦めていない。
 千早のその様子に、エルは段々と内心のいらつきを抑えられなくなっていく。

890ブラッド・フォース ◆6xSmO/z5xE :2007/03/28(水) 23:09:41 ID:a2IEocnK
「言いなさい、言いなさいよ! 智のことが嫌いだって! 死にたくないって! 
 智への気持ちに命までは掛けられないって、言いなさいよっ!!」

 業を煮やしたエルは、とうとう落ち着いた態度をかなぐり捨てて叫んだ。
 見くびっていたつもりはない。相手は綸音に負けず劣らずの狂った女だという自覚はあった。
 だが、生殺し状態で己の無力さを見せつけ続ければ、すぐに折れて屈すると思っていた。



 エルの目的は、ただ千早を殺すことではない。
 千早に智への想いを否定させ、裏切らせ、その上で殺すのだ。
 智にはエルしかいないということを、その手で実証するために。

 どんなに智が想っても応えてはくれない。短い人生にしがみつく人間は、自らの全てを誰かのために賭することなど出来ない。
 綸音は智を奪うために命を掛けて挑んできたが、吸血鬼としての智を否定した時点で彼のためとは言えなかった。
 唯一の例外は智。あの初めて逢った日の自らの身を省みない優しさは、人か化物かなど関係ない、彼自身のものだったとエルは思う。

 そして、そんな彼に応えられるのは自分だけ。
 千早を身も心も打ちのめせば、もう智は他の人間に余計な情は割かなくなる。
 名実共に、エルだけのものになる。



(なのに・・・!)

 エルの表情が歪み、首を絞める力が強まり、千早の顔色が見る見る悪くなっていく。
 しかし千早の様子は変わらない。エルを睨む瞳の鋭さは些かも鈍らない。

 いつしか、物理的な優劣はそのままに精神的な優劣が逆転していた。
 折れるはずの無い想いを必死に否定させようとするエルの姿に、千早は憎しみを通り越して哀れみさえ覚える。
 意識が朦朧とし出した中で、その感情は酷く自然に表情へ現れた。
 とても小さく、だがはっきりと、千早の口元が釣り上がる。

891ブラッド・フォース ◆6xSmO/z5xE :2007/03/28(水) 23:11:59 ID:a2IEocnK
「・・・っ!?」

 嘲笑。それも、追い詰められた立場にいるはずの者から。


 喉から引き攣った音が漏れた。憎悪と恐怖の入り混じった強迫観念がエルを苛む。
 首を絞めている自分の方が首を絞められている感覚。上手く呼吸が出来ない。
 解放されるには目の前の女を殺すしかないように思えてくる。


「死んで、死んで、死んで、死んで、死んで、死んで、死んで、死んで、死んで、死んで、死んで、死んで・・・。
 死んで死んで死んで死んで死んで死んで死んで死んで死んで死んで死んで死んで死んで死んで死んで死んで死んで
 死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね!」


 一気に力を込めてひと思いに殺そうとするが、気が動転したエルには上手く出来ない。
 それでもエルの右手は徐々に首に食い込んでいき、千早を確実に死へといざなっていく。

 手足が弛緩し、だらんと下がった。
 呼吸が完全に止まった口元からは涎が垂れ、顔色は土気色に変化していた。
 そして、最後に残った瞳からも光が消えようとした時。

 開け放たれたままの玄関に、月が長い人影を映していた。








「サトシ・・・?」

 予想外の人物の登場に、エルの動きが止まる。
 そこには、顔色悪く息も荒い智が立っていた。
 鎖に繋いだはずの左手は中途な長さで、血で真っ赤に染まった布が端部に丸まっている。当然だが、鎖は見当たらない。
 そして右手には、白光りする細長い棒のようなものを握っている。
 月明かりに煌くその光は、エルの肌をチリチリと焦がすような不快感を放っていた。
 生気のない、けれど決然とした表情で、智は口を開く。



「エルさん・・・。千早を、離して下さい」

 そう言って、見覚えのある銀刀の切っ先をエルに向けた。
892名無しさん@ピンキー:2007/03/28(水) 23:13:33 ID:Sj6xiQtl
>>882
毎度GJ!
ここでキモアネの本性にそーちゃんは気付いてしまった……のか?
どっちにしろこれからのそーちゃんの行動が異常に気になるwwwww
893ブラッド・フォース ◆6xSmO/z5xE :2007/03/28(水) 23:14:31 ID:a2IEocnK
今回はここまで。
前回のと2回に分けたのにえらい長くなってしまいました・・・。

完結まであと1〜2回です。
894名無しさん@ピンキー:2007/03/28(水) 23:17:41 ID:h5syMFS9
もう取り返しのつかないところまで逝きましたねwwww
このキャラ達が最後にどのように決着をつけるのかが気になります。
895892:2007/03/28(水) 23:18:51 ID:Sj6xiQtl
エルと千早のやり取りはいいっすなw
GJ!
あと、割り込み、非常に申し訳ないorz
896名無しさん@ピンキー:2007/03/28(水) 23:20:39 ID:helXpvKn
リアルタイムGJ!!
一体何回F5押しただろうw
首しめられながらも見下す千早に激萌えッス!!!
エルなんぞに負けるな!ガンガレ千早!!
あ〜もう!相変らず続きが気になってしょうがない良い所で終わってくれる!
この焦らせ上手めw
897名無しさん@ピンキー:2007/03/28(水) 23:28:14 ID:ze8whDje
お姉ちゃん可愛いよお姉ちゃん(*´Д`)ハァハァ
そしてある意味最大のピンチになってしまったエルガンガレ!
898名無しさん@ピンキー:2007/03/28(水) 23:30:22 ID:2+i2J5rQ
>>893
智もちょっと黒魔法に巻き込まれて先輩とアヤシイ放課後が〜ってところからえらく遠くまで来たもんだ。
完結楽しみにしてます。
899名無しさん@ピンキー:2007/03/28(水) 23:43:20 ID:hPUBGVYt
「ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめん
なさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいご
めんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさ
いごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめん
ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんな
さいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめ
んごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめん
なさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい」

りぃん(ry以来のウザ投下きたな

ブラッドフォースGJ
900名無しさん@ピンキー:2007/03/28(水) 23:48:03 ID:oAF6hJTF
今回もキモ姉GJ
そしてブラッドフォースも来てる!GJです
智は随分と運命にいじめられた主人公だったなぁ
901名無しさん@ピンキー:2007/03/28(水) 23:49:17 ID:RxmH2HFS
次スレ

嫉妬・三角関係・修羅場系総合SSスレ その33
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1175093159/
902名無しさん@ピンキー:2007/03/29(木) 00:00:33 ID:ccjIKQbq
>>882
やっぱりキモ姉は最高ですなぁ。このまま頑張って下さいな。

>>893
千、千早が……。
残り二回も楽しみにしてますぜ!
903名無しさん@ピンキー:2007/03/29(木) 00:18:55 ID:Cg2djXOB
キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!!!!
904赤いパパ ◆oEsZ2QR/bg :2007/03/29(木) 00:33:33 ID:u+TUf6bV
幕間、投下します。
905アンビエイト・ダンス 幕間 ◆oEsZ2QR/bg :2007/03/29(木) 00:35:11 ID:u+TUf6bV
 りりりりりん。りりりりりん。
 ちょうど、廊下に居たあたしの目の前でアンティークの電話機が昔特有の甲高いベルを鳴らした。
 いま現在この家にはあたしと直やんしか居ない。家事をすべて済ませるあのあたしの先輩メイドエリィは今は居ない。必然的に受話器を取るのはあたしである。
 受話器をあげる。いつも、エリィとあたしが全ての家事をやっちゃうから、直やんが受話器取るチャンスはめったに無い。
「はい、紅行院です」
 受話器を耳元まで持ってくると、声のトーンを上げてあたしは格調高く応対する。いわゆるあたしのヨソ向けの声だ。
『ラッテですか?』
「エリィさん?」
 電話の主はエリィだ。
 このお小言メイド(ひろってもらった手前こんなこと言うのは酷いけどね)は許婚を迎えに朝早くに空港まで車を走らせている。
メイド服のまま、空港のロビーで許婚を迎えるらしい。コスプレと間違われないかな。どうなることやら。まあそれ故、今家にはあたしと直やんだけの二人っきりなのだ。
 エリィは許婚のことを快く思っていない。そんな彼女がどうして迎えなんて面倒くさい真似をするのかと思ったけど、よく聞けば今日は許婚の付き添いとして、直やんの姉であるしずるお嬢様も今日はこちらに来るよう。
 そのしずるお嬢様の命により、エリィはしぶしぶながら自分の車に乗って、あたしと直やん二人を置いて隣の駅まで走ってたのだ。
 その間、あたしは新たの追加されたしずるお嬢様の分の料理の下ごしらえの準備をしていた。ちょうどたった今、すべての準備が終わったところで受話器を取ったわけだ。
「なに。電話してきて」
『直さまに手は出していないでしょうね?』
「してないわよ」
 開口一番でそれかい。あたしの声のトーンをすぐにいつもの状態に戻した。エリィにヨソ向けの声はもったいない。あたしは自分のこのヨソ向けの声が嫌いなのだ。やらなきゃいけないときにはやるけど。
『やるべきことはすべて終わりました?』
 エリィの声は受話器の向こうのエリィの声がこのアンティーク電話特有のノイズ音にまじって聞こえづらい。しかし、言ってることは理解できるわ。
「たった今終わったわ」
『遅いですね。もう一時間はやく済ませるようにしなさい』
 むかりとした。電話してまで小言を言いたいのかとあたしは文句をたれそうになる。ご主人様である直やんにはとてつもなく甘いくせに。例えるならザッハトルテに生クリームを添えるぐらい甘い。ザッハトルテに生クリームを添えるのは本場ウィーン風の食べ方だけど。
 でも、主人に甘いのは当然だよね。でも、あたしとしてはあまりに甘すぎないかと思う。それはやっぱり彼女の境遇のせいなんだろうけどさ。まあ、あたしには関係ない。
 しかしこういった小言は全て日常茶飯事なので、一言返すことは今はしない。あたしは普通に流して電話越しのエリィに用件を聞く。
「で、何さ?」
 エリィから電話するときは、大抵面倒くさい仕事の命令が常だわ。
『私達が帰るまでにわらび餅を作っておきなさい』
「はぁ?」
 なんでわざわざそんな手間かかるもん作らなきゃならないのよ!
 わらび餅といえば蕨粉(甘藷澱粉っていうヤツね。かんしょでんぷんって読む)を水で溶かして、かなり手間かけて混ぜ込み煮込んで冷やして作る、日本の茶菓子だ。スーパーにでも売ってる春の和菓子で黄な粉をかけて食べるのが一般的。
 あたし日本人じゃないくせに、よく知ってたな作り方。前にウィキペディアで見てたので覚えていたのね。
『作り方はわかりますね』
そんな断定口調で言わないでよさ。あんたのその口調じゃ「メイドの常識です」って言っているみたいに聞こえるわよ。すべてのメイドはわらび餅の作り方を熟知しているわけじゃないでしょ?
「わかるけど……。でも、なんでいきなりわらび餅?」
 アレ、作るの結構体力居るんだけど。あと冷えるのに時間かかるし、確実に帰ってくるまでに間に合わないし。
それだったら、あんたが近くのセブンイレブンにでも寄って買ってくるのが一番じゃない。買ったほうが手間少ないしね。
 あたしがそう言うと、エリィは淡々と返す。
『しずるお嬢様が所望しているのです。あなたが作りなさい』
 いやいやいや、確実に買ったほうが手間少ないわよ!
 しかし、あたしがもういちど反論しようとすると、
『あ、信号が青になりました。切ります』
「切るな! いや、というか運転中に電話を……」
 がちゃん。つーつーつー。
 むぅ、あたしは突然命じられた無理難題に頭を抱えた。
906アンビエイト・ダンス 幕間 ◆oEsZ2QR/bg :2007/03/29(木) 00:36:15 ID:u+TUf6bV
 ふと、時計を見ると時刻は午前八時。そろそろ直やんを起こす時刻である。
 直やんを起こすのはいつもエリィの一番の仕事だったわ。朝起きて直やんが最初に見るのは必ずエリィの顔で、夜眠るときに直やんが最後に見るのがエリィの顔。そんな生活をずっと続けていたよう。
 だから、あたしがメイドとしてここへ来たときも、頑固としてその仕事はあたしにやらせなかった。料理を作っていても直やんを起こす時間になれば全てほっぽりだして二階の部屋へと駆け上がっていく。
 あれは一種の刷り込みだよ。絶対……。直やんはまったく、エリィ漬けである。ごはんには合わないほど甘い。ザッハトルテに生クリームを添えるぐらい甘い。それが本場ウィーンの食べ方なんだけど。
 しかし、今日だけはその大役をあたしに譲った。
 あたしは直やんに呼ばれた場合でしか昇ることの許されない、二階への階段を一歩一歩踏みしめて昇る。
 なんか聖域に向かっている気分がする。エリィは直やんには自分以外誰者も近づけないという独善的なヤツだから、なんかその空間を私が犯している感じかな。
 直やんのドアの前までやって来た。ここから先は未知の領域。入るのは初めてだ。直やんの寝るだけの部屋だからこの半年間はいる用事も無かったし、エリィが絶対踏み入れさせてくれないし。
 どんな部屋なのか。あたしはちょっと楽しみだった。
 ドアノブを掴んでゆっくりと回す。軽く引くとすこしドアが開き、聖域の中心地である直やんの部屋が覗けた。落ち着いた印象を受ける薄青の壁紙、エリィが選んだと思われる間接照明が部屋の隅を柔らかく照らしている。
 さらにドアを開くと、部屋の奥にはあたしの使っている煎餅布団とはかけ離れたほどの豪華な木目調のアンティークベッドが備え付けられていた。天蓋付きとまではいかないけど、高級感漂うベッド。ここで寝たらさぞかし気持ちいいんでしょうね。
 あとで、エリィの部屋にも侵入してベッドを見てみよう。もしあたしと同じ煎餅布団で寝ていたら、すこしエリィのことを見直すわ。
 部屋を見渡すと、しかし質素な部屋ね。あるものといえば、ベッドと本棚と勉強机。本棚はいろいろとライトノベルや新書がシリーズごとにならべてしまってある。
 高さ順や色順ではなく、ブックオフの本棚のように作者の名前のあいうえお順にして左上から右下までぎっしり綺麗に収まっている。この仕舞いかたは確実にエリィだね。
 机の上はノートが数冊、分類わけして置かれていた。あとは和英辞典や国語字典がいくつか。教科書やテキストといったものは一切無いので机の上はすっきりとしている。
 そりゃそうか、直やん学校行ってないしな。
 ここぞとばかり部屋を見渡していて、ふとあたしはノックをしてなかったことに気付いた。あちゃ、ノックもなしなんて失礼全般だわね。エリィはこれだけでも鬼のようにキレるから徹底してたけれど……。
 その鬼が居ないから油断してた。思春期の直やんの部屋にノック無しではいるなんてまるで空気の読めない母親だわね。
 もし、直やんがエロ本読んでいた時だったら気まずかったなぁ。その時はあたしは全力で直やんと笑いながら一緒に見るけどね! エロ本なんてエリィがいるから絶対持ち込めないけどさ。
 まあいいや。どうせ、この時間は直やん寝てるし。
 あたしはエプロンドレスを翻して、ベッドに近づいた。
 ベッドの羽毛布団はこんもりと丘を作っていて、直やんの顔はあったかそうな布団に包まれ埋まっていた。
 そこで初めて、あたしは直やんの寝顔というものは見た。
 白い糸で編みこんだように決め細やかな肌の少年。くしゃくしゃとしたねぐせと半開きですぅすぅと静かに呼吸を繰り返し、十四歳のくせに年齢よりもずっと童顔な顔つきで幸せそうに無防備で眠る顔。
 あの可愛い天使が成長してクラスチェンジしたらこんな感じになるのかしら……。
「か、可愛い……」
 あたしの心臓がどきんと鳴った。いやいやいや、あたしにショタ属性は無いぞ。
しかし、あのエリィは何年もの間、この寝顔をずっと独占していたのか……。確かに独占したくなる寝顔だわ。エリィがあたしを目覚ましの任に任せなかったのが少し理解できる。
もうすこしの間、眺めてみようかと思ったが、あんまり眺めすぎて本格的にショタ属性に目覚めたら取り返しの付かないことになるわ。エリィと一緒になってしまう。
 それにしてもすやすやと眠っているわね……。直後、あたしの頭の中に、なぜか直やんのほっぺたをつんつんしてみたいという欲求がこみあがってきた。ぷにぷにほっぺをつんつんしたらどうなるか、メチャクチャ興味がある。
いけないいけない。あたしはふるふると頭を振って、頭の中の煩悩を振り払う。
907アンビエイト・ダンス 幕間 ◆oEsZ2QR/bg :2007/03/29(木) 00:36:53 ID:u+TUf6bV
 しかし、一度こみ上げた欲求は簡単には収まらない。
「よし、じゃあほっぺをつんつんさせて起こすことにしようっ」
 誰も聞いていないのに、あたしは口でそう宣言するように理由づける。エリィが居ない今のうちに、鬼の居ぬ間に普段できないことをやってみたいの!
「直やん、起きてる?」
 念のため、直やんの耳元で小声で確認してみる。しかし直やんは平和そうな顔で静かに寝息を立てたままだ。
 あたしは期待に胸膨らませながら、直やんのほっぺたに人差し指を伸ばしていく。エリィめ、こんな起こし方、試したこと無いでしょうと、今居ないお小言メイドにあたしはすこし優越感をもってにやりと笑う。
 あたしの人差し指が、ぷにんと直やんのほっぺたに触れた。
 そのまま圧力をかけて、ぷにんぷにんとほっぺたの上を人差し指で弄っていく。これってある意味夜這いなのかしら。朝だけど。
 二十秒ほど、ほっぺをぷにぷにして、あたしはふと我に返った。
「……なにやってんの、あたし」
 あたしのショタ属性ブームは2分で終了した。
 普通に起こしましょ。あたしは直やんの包まっている羽毛布団をひっぺがした。ここで下が全裸だったら酷いが、普通に直やんは灰色のスウェット姿で寝息を立てていた。
 いきなり布団がはがされ、暖かさを失った体が寒さにううんとよがる。体育座りのように体を丸めようとした直やんの耳元に、あたしは用意していたフライパンとお玉杓子を近づけて、
「おっき! おっき! おっきしなさい!」
 そう大声で叫びながら、カンカンカンカンカンカンとフライパンにお玉杓子を打ち付けて音を鳴らした。古典的。この起こしかた、実は結構憧れてたのよねぇ。
 ちなみに、この「おっき!」は「起きる」の意味。別に意味に聞こえたら……変態っ! あ、でも朝だからおっきはしてるね。あたしはオヤジか。
「う、ううん……」
「おっき! おっき! おっきなさい!」
 直やんの目が薄く開いた。
「……あれ? ラッテ?」
 薄めのまま戸惑ったように声をあげた。
 そうか、あたしが初めて直やんの寝顔を見たように、直やんも起きて最初に見る顔がエリィ以外なのは初めてなのね。
「おはろぅー」
 あたしはいつもの笑顔で直やんに笑いかけて朝の挨拶をした。
「お、おはよう」
 寝癖の付いた髪の毛をぼりぼり掻きながら、寝ぼけ眼のまま直やんはあたしに向けて挨拶の言葉を返した。
 とんとんと耳元を押さえて、なにか納得でき無そうな顔であたしを見る。
「なんか、物凄い耳鳴りがするんだけど……」
「気のせいじゃない?」
「えっと、上手くいえないけど……なんだか、漫画的な耳鳴り……」
 それは多分、あたしがフライパンお玉杓子カンカン起こしをやったせいだと思う。ちなみにフライパンとお玉杓子は直やんにバレないように、背中のリボンに挿している。今後ろ向いたらフライパンが丸見えだったりする。
「なにそれ。漫画的って」
 とぼけるあたし。直やんは頭をひねっていろいろと考えてたけど、答えは上手く出ないよう。
「え、いや……。よくわからないけど……」
 いろいろと説明しづらそうに直やんは首をかしげながら、ベッドから立ち上がる。ふあぁと小さな欠伸をして伸びをした。
 その横であたしは剥ぎ取った布団を元のベッドに戻す。
「そういえば、エリィは?」
「お客さんの迎え。朝から空港まで車を走らせてったわ」
「そっか。だからラッテが起こしに来たんだ」
 直やんは合点が言ったように頷く。
「そ。じゃあ朝食作るから着替えて下来てね」
 あたしがそう言うと、直やんはもう一度うんと頷いた。素直な子だ。
 その直後、直やんがあたしに構わず上着に手をかけてスウェットを脱ぎだした。スウェットの下はシャツを着ておらず、細くて綺麗な上半身が露わになる。
ちょ、あんたいくらあたしがメイドだからって、女の子の前で躊躇なく脱ぐなよ!
「直やん。普通、男の子は女の子の前で脱ぐもんじゃないわよ?」
 あたしがやんわりと注意すると、直やんはきょとんとした様子であたしを見つめた。
「そうなの?」
「そうよ。直やんもあたしがここでいきなり脱ぎ出したら困るでしょ?」
「え、あ……………う、うん。困るね」
 顔が一気にもみじのように赤くなった。一瞬だけあたしが脱ぎだしたところを想像したかしらね。思春期だからたぶんナイスバディに想像したようだけど実際はあたしのは結構貧相よん。Bだし。
 そんなところがガキっぽくて可愛いとでもかしらね。世の中のおねーさんたちは。特にエリィとか。
「まったく。こういうところに無頓着だと今日来るお客さんにも嫌われるわよ」
 あたしの言葉に直やんは「え」と声を上げた。
908アンビエイト・ダンス 幕間 ◆oEsZ2QR/bg :2007/03/29(木) 00:37:39 ID:u+TUf6bV
「今日、来る人。やっぱり女の子……?」
 へ。あたしは眉をひそめる。
 やっぱりエリィは直やんに対して、来たる訪問者に関する説明はほとんどしていないようだ。今日来る子が許婚なんて、絶対知らないんでしょうね。
「そーよ。女の子、今日から女の子と暮らすことになるんだからしっかりしなきゃ」
「……やっぱり今日から住み込むの? エリィは一週間泊まるだけって言ってたけど……」
 エリィ……まさか許婚を一週間で追い出すつもりだったのか? 嫁姑問題のごとく、もしかしたらいびっていびっていびり散らして追い込むつもりだったのかもしれないわ。
 と、いうか。
「なんか、直やん。あまり驚いてないわね」
 あたしは直やんの態度が少し気になっていた。なんというか、あたしの言う真実を聞いて、驚くというよりまるで予想通りといいたそうな表情なの。
やっぱりとか言ってるし。あたしが疑問に感じてストレートに訊くと直やんはゆっくりと頷いた。
「うん。なんか、ほら。予想、できてたから」
「予想?」
「うん」
 直やんは脱いだスウェットの上着を律儀にもう一度着込みながらさらに頷く。
「どういうことかしら?」
「エリィの口ぶりとか、表情とかからさ。なんとなく女の子が来るんだって、わかる」
 あたしには鉄仮面を被っているようにしか見えないエリィでも、幼い頃から一緒に暮らしている直やんには、エリィの表情や態度から内面の思惑が読み取れたとしても不思議じゃない。
「エリィ。僕が女の人と話してるの好きじゃないんだ。舞子先生と喋っているだけでも、エリィすっごくピリピリしてるし」
 舞子先生……、あの清楚な女医か。しずるお嬢様以外で唯一エリィが敬語で話している本家のかかりつけの医者ね。隔週に一度の診察の時のエリィはあたしから見ても分かるほどめちゃくちゃ機嫌わるいわねぇ。
直やんには隠してるんだろうケド……でも、きちんと気付いてる。
「最近のエリィってさ。舞子先生が来るときとかみたいに、イライラしてることが多いんだ」
「そうね。あたしから見てもムカつくぐらいイライラしてるわ。そのせいかあたしに当たってくるしぃ」
「ラッテに当たるのはサボってるからじゃないの?」
「あたしの仕事は直やんと遊ぶことだからいいのっ」
「でも、たまに洗濯機の陰でアイス食べてたりするよね?」
 ちっ。あたしが隠れて本気でサボってることも気付いてのね。
「そ、それは……ともかく」
「でさ、エリィのイライラがずっと続いてたそんな時、いきなりお客さんが来るって言うんだ」
 ……ほぉ。
「エリィのイライラはお客さんが原因なんだろうなって気付いたよ。だから、お客さんって女の子だろうなって……」
「そう」
 そこまで言って、直やんは部屋の中をふらりふらりと歩く。歩きながら、なにか言いづらそうに口をもごもごさせていた。表情が硬い。
「まだ、なにか……?」
 うん、直やんが頷く。直やんは「これは多分の話だよ?」と念を押して、続けた。
「僕ももうすぐ十五歳だし……、そろそろ本家からなにか縁談が来ると思うんだ。だから……、だから。今日来る女の子って……もしかしたら……」
 直やんは一旦息を整え、核心を突いた。
「もしかしたら。僕の許婚……」
「いいなずけ……?」
「うん。本家にとって僕はただの駒だから……。たぶん、その子もどこかの大きな会社の偉い人の女の子なのかもしれないね」
 それでも、いきなり一緒にすむことになるとは思わなかったけど……と自嘲気味に言う直やんの姿。あたしはすこしこの子のことを見直していた。
なんだ、エリィにLIONのごとく超絶に甘く甘く甘く甘く甘く甘やかされているから、あんまり深く考えない単純なお坊ちゃん……と思っていた。けど、実は違う。
 甘やかされているからこそ、その甘やかしているエリィの態度の裏を如実に感じるようになったみたい。そのせいか、勘も鋭くなったよう。
 あ、関係ないけどLIONはフランスで食べたチョコバーの中で一番美味しかったから、もしフランスに行ってみたら買ってみてね。自販機の単品売りのほかにスーパーで4本(たまに5本)ぐらいのお得パックもあるから。
 それはともかく。
 それに、直やんは隔離されつつも紅行院家の直系の息子だ。本家(あたしにはさっぱりわかんないけど)のやり方というものを熟知している。
909アンビエイト・ダンス 幕間 ◆oEsZ2QR/bg :2007/03/29(木) 00:38:55 ID:u+TUf6bV

 あたしは口元がさらにニヤ付くのを抑え切れなかった。
 可笑しい、可笑しい。いつもニヤ付くような笑顔で居るのはこのため、いつも不快に笑っていれば、こうやって本当に滑稽なものを見た時に、薄笑いを浮かべても誤魔化せるから。
 本当に本当に、笑いたくなる。あのお小言鉄仮面エリィの隠していることなんて、直やんにとっては全てお見通しだということに。
 エリィ、あんたが囲った大事な大事な坊ちゃんは、どうやらあんたが思っている以上に優秀に成長しているわよ?
 さて、どうするのかね? エリィ。あなた、このまま直やんを無知だと思って、嘘を突き通していくと……、
 いつか絶対直やんの信頼を無くすことになるわよ。
 それでもいいのかしら?
 今、車の中で許婚と一緒にこちらへ向かっているだろうエリィ。
 あいつは開口一番に、許婚のことをどう紹介するのかしら? 許婚だと正直に紹介するのかしら? それとも……嘘をついて誤魔化す?
 ふふふふふふふ。さぁて、どうするのかしらね。

「でも、ひとつわからないんだ」
「なにが?」
 あたしがくすりくすりと音を忍ばせて笑っているところに、直やんは腑に落ちない顔で呟いた。
「なんで、エリィが僕が女の子と話していると嫌がるんだろう……」
 ………。
 本当にわからないといった風な顔ではぁとため息をつく直やんを見て、

――いや、そこは悟れよ……。
 
 あたしは大幅にプラス修正していた直やんの評価を半分ぐらいマイナス補正したのであった。
(続く)
910赤いパパ ◆oEsZ2QR/bg :2007/03/29(木) 00:41:45 ID:u+TUf6bV
ラッテ視点で幕間でした。

四月からどうやらニート脱却しそうです。自由にパソコンを弄れる時間はかなり少なくなりそうです。
次回以降、投下に対しては確実に遅くなります。それでも、絶対に作品は完結させますのでよろしくお願いします。
911名無しさん@ピンキー:2007/03/29(木) 02:40:37 ID:wb2t1I3u
GJ!!!
912名無しさん@ピンキー:2007/03/29(木) 03:10:02 ID:h1QM623b
パパさんGJ!!
ついに姉上が登場するか
913名無しさん@ピンキー:2007/03/29(木) 03:11:46 ID:EdslZOoM
NEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEETだったんすか
脱却おめでとさんです
914名無しさん@ピンキー:2007/03/29(木) 07:11:18 ID:c2eimxX3
>>910
GJ!でも
>四月からどうやらニート脱却しそうです
これは完全に蛇足、SS以外のことを書き込むつもりはないと言ってたのに
こんな荒らしの食いつきそうなこと書かなくてもおkだよ
下手なコメントはスレが荒れるから気を付けて
915名無しさん@ピンキー:2007/03/29(木) 07:30:14 ID:SHnGxVm2
大学生がわざと自分のことニートつってる類の発言じゃないのか
916名無しさん@ピンキー:2007/03/29(木) 07:37:42 ID:eMhYs5eA
>>910 「おっき!おっき!」
萌えた(*´∇`*)
GJ!
917名無しさん@ピンキー:2007/03/29(木) 07:50:04 ID:c2eimxX3
>>915
どっちにしろ格好の的にはなる
918名無しさん@ピンキー:2007/03/29(木) 07:53:57 ID:wQYbsROM
作者の近況報告くらいいいだろ……
いちいちピリピリしすぎでせっかくの投下にまで無闇に制限押し付けるようになったら神減少の一途だぜオイ
919名無しさん@ピンキー:2007/03/29(木) 09:51:47 ID:iJbMsn7P
フルーツバスケットの主題歌を聞くと涙が出るのはどうしてだ?
920名無しさん@ピンキー
ニートだったらもう少し執筆速度は速いはずなんですが・・