嫉妬・三角関係・修羅場系総合SSスレ 31テーな女
魔王を倒した事で世界から魔物の脅威が去り、世界の様相は平和なものへと変わっていた。
人々の顔には笑顔が戻り、復興した町並み等が時の流れを感じさせる。
そして、気が付けばあれから十ヶ月近い時間が流れていた。
そんなある穏やかな昼下がり。
「セツナ。 調子はどうです?」
「えぇ、とっても良好よ。 私も、そしてお腹の子も」
私は大きくなったお腹を愛しげに撫でながら応えた。
「触ってみる?」
私が声を掛けるとリオはそっと私のおなかに手を触れる。
私の体に新たな命は宿ってたのに気付いたのは魔王を倒した其の直後の事だった。
「あ、今動きました?」
リオが驚きと嬉しさを含んだような声を発した。
「分かる? うん。 この子とっても元気で今みたいにしょっちゅう動き回るの」
私は微笑んで答えた。
臨月を向かえお腹の子は順調に育ち数日中にも生まれてくるだろう。
「そう言えば名前は決まりましたか?」
リオが顔を上げ私に問い開けてくる。
そう。 私は産まれてくる子の名前は自分に付けせてくれと頼んでいたのだ。
「ええ。 実はね、ずっと前から決めてたの。 この子がおなかに宿ったのが分かった時から……。
この子の名前は――」
あの日耳に届いた声――
『また逢えるよ』
そして直後分かった懐妊。
だから私には思えてならないのだ。
この子は私にとって誰よりもかけがえの無かったあのコの。
いつも私を支えてくれてたあのコの生まれ変わりだと。
そして私は其の名前を口にする。
「――クリス。 それが生まれてくるこの子の名前よ」
the end