嫉妬・三角関係・修羅場系総合SSスレ 13日の金曜日

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1名無しさん@ピンキー
浅いものはツンツンしたり、みたいな可愛いラブコメチックなヤキモチから
深いものは好きな人を独占して寵愛する為に周囲の邪魔者を抹殺する、
みたいなハードな修羅場まで、
醜くも美しい嫉妬を描いた修羅場のあるSS及び、
他様々な展開の修羅場プロット・妄想を扱うスレです。

■前スレ
嫉妬・三角関係・修羅場系総合SSスレ 十二因縁
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1152367165/
■過去スレ
嫉妬・三角関係・修羅場系総合SSスレ 墓標11基
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1150625025/
嫉妬・三角関係・修羅場系総合SSスレ 十戒
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1150625025/
嫉妬・三角関係・修羅場系総合SSスレ 九死に一生
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1149764666/
嫉妬・三角関係・修羅場系総合SSスレ 監禁八日目
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1148998078/
嫉妬・三角関係・修羅場系総合SSスレ 監禁七日目
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1148113935/
嫉妬・三角関係・修羅場系総合SSスレ 泥棒猫六匹目
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1147003471/
嫉妬・三角関係・修羅場系総合SSスレ 五里霧中
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1145036205/
嫉妬・三角関係・修羅場系総合SSスレ 四面楚歌
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1143547426/
嫉妬・三角関係・修羅場系総合SSスレ 三角関係
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1142092213/
嫉妬・三角関係・修羅場系総合SSスレ 二股目
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1140208433/
嫉妬・三角関係・修羅場系総合SSスレ
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1137914849/

2ch 「嫉妬・三角関係・修羅場統合スレ」まとめサイト
http://dorobouneko.web.fc2.com/index.html
■関連スレ
嫉妬・三角関係・修羅場統合スレ 第13章
http://idol.bbspink.com/test/read.cgi/hgame/1152011761/
■姉妹スレ
嫉妬・三角関係・修羅場統合スレinラ板
http://book3.2ch.net/test/read.cgi/magazin/1132666398/
2名無しさん@ピンキー:2006/07/18(火) 23:38:44 ID:cdaSKXu3
誘導用
【3P】ハーレムな小説を書くスレ【二股】 2
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1144805092/l50
寝取り・寝取られ総合スレ 2
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1133346643/l50
ヤンデレの小説を書こう!
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1148704799/l50

11スレ目リンク訂正
嫉妬・三角関係・修羅場系総合SSスレ 墓標11基
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1151452702/


また間違えた…ごめんなさいOTL
11スレたんに侘びに言ってきm O.....TL
3名無しさん@ピンキー:2006/07/18(火) 23:48:16 ID:bQ8S/FFC
>>1
乙。
ついに本スレに追いついたか。
4名無しさん@ピンキー:2006/07/18(火) 23:56:11 ID:chginbaW
.:.:.:.: |: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : \
.:.:.:.: |:/: : ; :: /V: : ヽ: ヽ: : : : : : :\\
.:.:.:.: | : : : : :i:|'~'`'|:ト;: : ::\ : :i: : :i : i:: ヽ
.:.:.:.: |: : : : i:.|.   |i |i:ヽ,: : :i: : :i: : :i: : i :ヽ
.:.:.:.: |:: i: : i:|    |i, .|ト :ヽ :ト,: ::i:: : i: : i:: i|
.:.:.:.: | :i:: ハ:|   _,,.ii, ヾ\;:::|ヾ i: : :i: : ト;::i|
.:.:.:.: | i :|_,,irーニ´  \, \ミ;,;| |:.i:: : i: ::|.|:.|
.:.:.:.: | i´|,r{チテト`.    ヽ、,ェュト、i:i: : i:: :| |:.|  >>1さん乙です
.:.:.:.: | トイ{::}:::ト;}      ケチ;}ト|リ : :i:: :| |:/ 
.:.:.:.: | :| i`ャ;;;:ソ,      {;;;;ソ`i/::: ノ::/ '   
.:.:.:.: | iヽ::: ̄        ~^'ノ::イノイ
.:.:.:.: | :ト、      .,_, '  :::: /ノ'´~:|
.:.:.:.: |i :i i .、        ィ':i : /:: : |
.:.:.:.: | i i:|  ` 、 _ , r i´::i i:: / : : |
.:.:.:.: |ヾ:.:|     |、: : : :i i:: i:/:: : : ト
.:.:.:.: | :i`;|     ト|`-、:.i i レ: : : : :||i
.:.:.:.: ト;;:i.i:|     `i  ~`/: : : : :イi |i
.:.:.:.: | ` i i:| ̄`' '´~|  i; |: : : : /|;| |i
5名無しさん@ピンキー:2006/07/19(水) 00:00:42 ID:qOSrCR0H

※投下の邪魔にならぬよう、次スレタイの話題・次スレ立て
  は当スレ容量が480KBを超えてから始めてください。
6名無しさん@ピンキー:2006/07/19(水) 00:08:34 ID:R584g7if
::::;::::::::::/--ー|:::::;/─ーー|::::::,:;;:::::.:.:!::::....|
:::i::::::::/:..;:.._/:::/_ _ .:..|:::::::i:::::::.:::i::::.....|
::l:::::/:..:..'´/::;/-ー- 、_ ..:|::::::i:::::::::::i::::::::..|
::l:::/.:..: /://.:´::ヽヽ、ヾ,::/l::::::::::i:::::::...|
::l/:..: /'´  i.:i:::::::::i:.:.i '/ l::::::::/i:::::::.iヽ
::|:..:      つ::::::::i.:.:i ;/ i::::::/`l::::::/:..ヽ え・・・?
ヾ、.:..:..    ト,;_.;..:'..;/  /::/=く:.i:::/::::;;:..ヽ
.:..: .:.:..:..:..::.:::...` ゙̄`  /:/) ノ /:/::::::::il;:..ヽ
..::i           /i、´' ,/;/::::::::::;:::|i::::ヽ
           / /ー:'~:::::::l::::::::::i!::l l;::::l
´ ``          /::::::::::::::::::l:::::::::::i!:::l l::::l
           イヽ、::::::::::::::::i|:::::::::::i!:::l ト-i
        ,. イ":.:.:.:.:.:.ヽ;::;;:::_| |-ーー''~~ r-i
    , イ":.:.:.:.:.:.:.:.    ヽヽ ` \-ーi i~i |::::|
 






       _         
      '´/ ,、ヽ          _ (⌒
      i (ノノ"))i        ,´/´^`ヽ
      li l||"ワノl|  ___ ノ〈 从ソ)ハ .'  , ..
      リ./)允iつ =l|l,、,、,、,、l} )`Д´ノリ.∴ 
     ((゙く/_lj〉))        / つ⊃
        じフ          )ノ `-'  

新スレです。楽しく使ってね。仲良く使ってね。
7名無しさん@ピンキー:2006/07/19(水) 00:11:29 ID:R584g7if
>>1くん乙だよっ!

できれば恒例なので
>>6もテンプレとして入れてくれるとありがたいっす・・・
AAはどちらかから持ってきてくださいm( __ __ )m
8名無しさん@ピンキー:2006/07/19(水) 00:53:23 ID:QpNZELSi
>>1
9名無しさん@ピンキー:2006/07/19(水) 01:06:38 ID:IzTLabgK
           _, ._
        ⊂( ゚ Д゚)つ-、
        ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
       ______                       _
      ///   /_/:::::/           _____    '´/ ,、ヽ
      |:::|/⊂ヽノ|:::| /」          {l,、,、,、,、,、,、,、,、l|l=とエi (ノノ"))i斬艦鋸稲妻斬りで>>1乙!
    / ̄ ̄旦 ̄ ̄ ̄/|                      `(i '"ワノii
  /______/ | |                     l⌒l允{ヾ)
  | |-----------|                        〈坐〉人ヽつ
10名無しさん@ピンキー:2006/07/19(水) 07:10:56 ID:XFs7uuFz
11アビス  ◆1nYO.dfrdM :2006/07/19(水) 20:17:23 ID:bGwUAt7b
投下します
 お兄ちゃんが私以外の女とデートするとお姉ちゃんから聞いたとき目の前が真っ暗になった
 大丈夫、お兄ちゃんが泥棒猫なんかに惑わされたりしない、強引に迫られて仕方なくデートするんだ
 そうだって自分に言い聞かせても、心の中の嫉妬心には勝てず私はお兄ちゃんを尾行することにした
 なにさ、腕なんか組んじゃったりして・・・・
 そんなことしたってお兄ちゃんは・・・・・
 頬を染めるお兄ちゃんを確認し私は足元をぐらつかせ倒れそうになってしまった
 けど、こんなところでよろめいてなんていられない
 私は脚を踏ん張って気合を入れ尾行を再開した・・・・
 あ〜もう!イライラする・・・・
 なんでそんなにくっ付くの!
 お兄ちゃんもデレデレして、だらしない・・・・
 でも・・・・
 私は改めて、お兄ちゃんの隣で満面に笑む南条秋乃を見つめた
 引き締まった身体、線もすごく細い
 俗に言うモデル体系っていうのかな?
 胸も・・・・あれ?前に学校で見たときはもう少し大きかったような・・・・
 そんなことどうでもいいか・・・・
 顔も人形のようでまるで人が作ったかのように整っている
 それに加えあのプロポーション・・・・
 私は自分の身体を見下ろしてため息をついた・・・・
 ようやく私の地獄のような時間は終わりを迎えようとしていた・・・・
 二人は手を振り合って別々の道を歩みだした・・・・
 私はお兄ちゃんの方ではなく南条秋乃の方を尾行した・・・・
 どうしても南条秋乃の弱みを握りたかったから・・・・
 でも、私の期待とは裏腹に何事もなく家まで来てしまった
 噂どおり誰とでも寝る女だったら・・・・男の一人や二人呼び出すと思ったけど
 どうやら噂はただの噂でしかなかったらしい
 落胆する私の少し先で南条秋乃が叫んだ
「ただいま〜」
 声と共にドアが開き誰かが出てきた
 その人物はそわそわしながら南条秋乃に近づき何事かを聞いている・・・・
「え・・・・・」
 その人物の姿を確認した私は驚愕し、目を丸くし食い入るように先の人物を見つめた
「ただいま、秋乃・・・・」
「お、お帰り・・・・それで・・・・どうだった春乃?」
「ああ、もうばっちし・・・・うまくやったよ」
 春乃?初めて聞く名に私はまた驚いた・・・・
 双子・・・・?
 同じ髪型・・・・同じ顔
 ただ違うといえるのは胸の大きさだけ
 さっき思った違和感は勘違いじゃなかったらしい
 南条秋乃の方が少し大きな胸をしている・・・・
 でも、なんで・・・・?
 小さな疑問が浮かんだけど・・・・
 私は当初の目的の弱みを見つけ、拳を握り震わせ歓喜した
 やった!やったよ!お兄ちゃん・・・・私
 ついにやったよ!あの女お兄ちゃんを騙してたんだよ!
 ふふ・・・・やったよ!
 これで、これで・・・・・
 翌日・・・・私は南条秋乃を屋上に呼び出した
「あの・・・・涼さんの、妹の冬香さんですよね?初めまして!?」
 まったく、どうして何食わぬ顔していられるのかな?
 お兄ちゃんを騙してるっていうのに
「それで御用とはなんですか?」
 こんな女と話すなんて時間の無駄、だから簡潔に言った
「あんた、お兄ちゃんを騙してるでしょ?」
「え・・・・・」
 あ、動揺した・・・・
 南条秋乃は罰の悪そうにたじろぐぎ瞳を揺らめかせた
「騙してるって・・・・なにを?」
「言い逃れするの?まぁ、いいわ・・・・これ以上お兄ちゃんに近づくんならそのこと・・・・バラすから」
 私は格闘技で勝利を収めた勝者のような気分を味わいながら微笑み
 敗者を見下した
「じゃあね・・・・南条秋乃さん」
15名無しさん@ピンキー:2006/07/19(水) 20:24:08 ID:VFCrS6wS
【社会】 ひきこもり姉、結婚目前の妹(アニメーター)を牛刀で数十回刺し殺害→懲役10年判決
http://news19.2ch.net/test/read.cgi/newsplus/1153303732/

どんな修羅場があったのか知りたい
すいません二話ではなく三話です
ほんとすいません
管理人様・・・・すいません・・・・
17姉妹日記 17話 Aルート  ◆1nYO.dfrdM :2006/07/19(水) 20:25:27 ID:bGwUAt7b
 細い指が私の首に食い込んでいく
 まずい・・・・意識が・・・薄れていく
 私は病室のドアの前に立つ夏美さんと居場所を代わるようにしてドアに背を向けた
 その瞬間ものすごい勢いでドアに押し付けられた
「死ね!死ね!死ね死ね死ね!死んじゃえーーーーーーっ!!!!!!」
 私をこれ幸いとドアの横のボタンを押した
 ドアが開き私は背もたれを失い、病室に倒れこんだ
 そしてようやく私は愛しい人と再会した
 涼さん・・・・・
 かすれる視界で私は静かに寝息を立てて胸を上下させる涼さんを見つめた
 胸と背中には痛々しく包帯が巻かれている
 私は酸素不足で痙攣を始めた腕をなんとか伸ばして涼さんに向けた
「う・・・・ぅ・・・・ぅ」
 小さくうめき声が出るか確認した
 涼さんと呼びかけたのに「ぅ」という声しか出来ず私は「ぅ・・・ぅ」
 と、苦しくうめき声を出し涼さんに少しでも近づこうと手を伸ばした
 助けて・・・・涼さん・・・・・涼さん・・・・
「ムダよ、涼ちゃんは・・・・あんたなんか助けない」
 止めとばかりにさら力を込めてきた
「あ・・・・ぅ」
 口の端から唾がたれ頬を伝っていく
「あんた殺して、私が涼ちゃんと・・・・もう邪魔させない、冬香にも!春乃にも!あんたにも!!!!!」
「りょ・・・・・さ・・・・・」
 声が出た・・・・
 けど、もう限界・・・・
 そのときだった
「あ・・・・・・・・ん」
 涼さんのまぶたがかすかに動いた
「あ・・・・・の・・・・さ・・・・・」
 静かに瞳が開かれ彼の瞳に私の姿が映し出された
「秋乃・・・・さん」
 そして彼は微笑んだ
「涼・・・・さん」
18姉妹日記 17話 Aルート  ◆1nYO.dfrdM :2006/07/19(水) 20:26:22 ID:bGwUAt7b
 やっと・・・・逢えた・・・・涼さん・・・・
「どうして・・・・涼ちゃん?」
 その光景に夏美さんは呆然として見つめ絶望の声を上げた
「嫌・・・・どうして、この女をそんな目で見るの!!!!」
 私の首から手が離れた
 私は酸素を求めながら激しく息を吸い
 むせたように咳き込んだ
 その間、夏美さんはベットに横たわる涼さんに馬乗りになり激しく揺すった
「どうして!どうしてなの!ずっと一緒だったじゃない!それなのになんでパッと出のあんな女に・・・・・心奪われるのよ!バカ!バカ!!!!!」
 叫ぶが木霊す病室にまた一つ影が生まれた
「どうしたの、お姉ちゃん?」
 冬香さんだ・・・・
「冬香・・・・夏姉ちゃん・・・・ごめん・・・・僕・・・・」
 痛みに顔を歪め、涼さんはそれを言った
「秋乃さんが・・・・好きなんだ」
 私を見つめ二人にとって一番残酷なその言葉を言った
「嫌・・・・嫌ぁぁぁぁ!!!!!!」
 顔を真っ青にして夏美さんはその場を走り去っていく
「嘘だよね・・・・お兄ちゃん、嘘だって言ってよ!!!!!!」
 今度は冬香さんが涼さんに駆け寄り問い詰める
「二人のことは好きだよ・・・・でも」
 家族の愛情・・・・・なんだ
 その瞳が語るものを悟った冬香さんもまた顔を青ざめ瞳を閉じた
「・・・・・う・・・・・く」
 静かな泣き声が一瞬聞こえ冬香さんはその場を去って入った
19アビス  ◆1nYO.dfrdM :2006/07/19(水) 20:28:11 ID:bGwUAt7b
ここまで読んでくださった方、お疲れ様です

なんか自分で書いてて秋乃贔屓がひどく感じる・・・・
そして日々増大していく夏冬姉妹への罪悪感・・・・
ごめん、冬香・・・・夏美・・・・
夏冬姉妹のファンの方すいません
でも「もう一つ」は夏冬姉妹のためのシナリオです
20名無しさん@ピンキー:2006/07/19(水) 20:57:23 ID:jbk1MrgI
贔屓が過ぎるとそのうちディスプレイから出てきて嫉妬されるなw
21名無しさん@ピンキー:2006/07/19(水) 21:14:01 ID:zUlLFaIe
夏冬姉妹の俺にはつらい展開だが、常に次の投下を心待ちにさせるクオリティの高さに脱帽
22血塗れ竜と食人姫 ◆gPbPvQ478E :2006/07/19(水) 21:58:11 ID:v/23wQEh
投下します
23血塗れ竜と食人姫 ◆gPbPvQ478E :2006/07/19(水) 21:58:51 ID:v/23wQEh

 あは。
 あははは。
 あはははははははははははははははははははっっっ!!!
 
 やった。
 やったぞ。
 
 たとえ一時の気まぐれだとしても。
 優しさを利用しただけなのだとしても。
 
 ユウキの心を、掴んだ。
 
 暖かいなあ。
 やっぱり、ユウキは暖かい。
 彼の心配する気持ちが、胸にじんじんと伝わってくる。
 ユウキの胸の内は、暖かい。
 ここに比べれば、外は極寒の地以外の何物でもない。
 もう出たくない。ずっと、ユウキに抱きしめられていたい。
 一度暖かさを知ってしまったら。
 もう、外の寒さには耐えられない。
 ここが私の居場所なんだ。
 
 学院生時代から切望していた。
 身体だけでも、と思って重ね合わせていたのが遙か過去のようだ。
 今、この瞬間、ユウキの心は間違いなく私を包んでいる。
 こんなに気持ちいいところだとは思わなかった。
 知っていれば、もっと早くに手に入れようとしていただろう。
 ああ、今までの私は馬鹿だった。こんなに近くに、こんなに良いものがあったのに。
 ああ、学院生時代の私は究極の愚か者だ。出会った瞬間拉致監禁して飼っていたら、きっと薔薇色の学院生活だったろうに。
 
 
 そして。
 こんなに素晴らしいものを、ずっと独り占めしていた。
 
 ――血塗れ竜が、憎かった。
 
 
 今も尚、ユウキの心を捉えて離さない最強の小娘。
 ユウキを満足させられる体も持たないくせに、ただ可哀相な境遇というだけでユウキの寵愛を受けていた大罪人。
 許せるはずがない。
 あんな小娘に、この場所は相応しくない。
 ここには、私がいるべきだ。
 
 掴んだユウキの心を、永遠のものにしなければ。

24血塗れ竜と食人姫 ◆gPbPvQ478E :2006/07/19(水) 21:59:36 ID:v/23wQEh

 しかし、どうすればいいのだろうか?
 なんだかんだ言いつつも、ユウキは誠実な人間だ。
 生半可な理由で、大事な人間を見捨てたりはしない。
 今回の一件は、公爵が直接手を回すなんて反則技だったから、為す術もなく血塗れ竜から引き剥がされただけに過ぎない。
 心は未だ血塗れ竜から離れていない。それは痛いほどわかっている。
 
 ユウキが血塗れ竜を構う理由は簡単だ。
 可哀相だから。それだけだ。
 
 シンプルであるが故に、引き剥がす理由も思いつかない。
 くそ、こんなところでも直球勝負か、あの小娘は。
 
 
 ――あれ?
 まてよ。
 ということは、つまり――
 
 
 私が、血塗れ竜より、可哀相になればいいんだ。
 
 
 もっと可哀相な子になって、ユウキに優しくしてもらう。
 ……いい。すごく、いい。
 血塗れ竜なんか目じゃないくらい、ユウキが放っておけないくらい、可哀相な子になればいいんだ!
 周りの目なんて気にしない。
 実家の爵位も知ったことか。
 ユウキさえ手に入れば、それでいい。
 
 じゃあ、もっと可哀相になるには、どうするべきか。
 
 
 …………。
 ……あ。
 …………ふ、ふふ。
 
 いいこと、おもいついた。
 
 血塗れ竜を、殺せばいいんだ。
 昨夜は、半ば直情的に仕掛けてしまったが、冷静に考えてみても、奴を殺すのは悪くない。
 
 
 不本意な喧嘩の末、仲の良かった少女を殺してしまった私。
 
 
 これだ。
 これなら、きっとユウキは放っておかない。
 血塗れ竜の強さはユウキもよく知っている。自分の身を守るため、やむなく、と言えばきっと信じてくれる。

25血塗れ竜と食人姫 ◆gPbPvQ478E :2006/07/19(水) 22:00:32 ID:v/23wQEh

 そうだ、それがいい。殺そう。殺そう。死ね。死ね。今までユウキを独り占めしやがって。
 こんな素敵な場所に居座りやがって。
 憎い。ただ殺すだけしか能のない小娘のくせに、私がずっと欲しかったものを独占していた糞餓鬼め。
 憎い。憎い。憎い。憎い。憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い!
 あんな奴、いらない。
 家族もなく生まれたときの名前もなく薄っぺらい人生しかない小娘なんて死ねばいい。
 死ね! 死ね! 死ね、死ね、死ね、死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね!
 殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す――殺してやる!
 
 
 殺してやる! 今度こそ。確実に!!!
 
 
 ……少し、興奮しすぎたようだ。
 だが、この高ぶりも、ユウキによるものだと思うと心地良い。
 ああ、少しだけ待っててくれ、ユウキ。
 すぐに、あの小娘を殺すから。お前の一番になってみせるから。
 もう、誰にも渡さないんだから。
 
 
 だから、口づけをせがんでも、いいよな。
 
 
 ゆっくりと、顔を上げる。
 悔しさで滲んだ涙は、きっと瞳を潤ませている。
 ユウキは、拒まないよな?
 先約の印として、唇に、優しく口づけて欲しい。
 
 そう思って必死に上を向いているユウキに、
 今までずっと我慢し続けてきたご褒美を貰おうと、口を開いて――
 
 
 
 
「――ユウキさんから離れろ」
 
 
 
 瞬間。
 肩に閃光のような痛みを覚えた。
 
 
 
 
 
 
26血塗れ竜と食人姫 ◆gPbPvQ478E :2006/07/19(水) 22:01:11 ID:v/23wQEh
 
 
 正直、喰い殺してやりたかった。
 人が心躍らせて、愛しい相手を迎えに行こうと思ってたのに。
 その相手に抱きしめられて、嬉しそうに身を震わせていやがった。
 ああもう、ムカつく。
 試合だったら容赦なく、原形を留めないくらい囓ってやるんだけど。
 誰だかわからないし、監獄の中ということもあるので、服と皮を囓り取る程度にしておいた。
 この程度なら、変態公爵がもみ消してくれるだろうしね。
 
 さて。
 囓っただけで気が済んだかと訊かれたら、答えは否だ。
 誰だかわからないが、この雌豚をユウキさんから引き剥がさなければ。
 
 そう思って腕を強引に掴もうとして。
 
 ちゃき、と。
 目の前に、小剣の切っ先を突きつけられた。
 
 
「……誰かと思えば“食人姫”ですか。独房を抜け出すのは重罪ですよ。
 このまま、ここで緊急措置として斬られてもおかしくないくらいです」
 
 この声。聞き覚えがある。
 甲冑越しのくもぐった声ではないが、こいつは間違いなく――
 
「……へえ。あんた、女だったんだ。
 今日はあの悪趣味な甲冑は付けてないの?」
「貴女には関係ありません。それより、独房を抜け出した罰として、少々制裁を加えさせていただきます」
「罰? ユウキさんにひっついてたのを邪魔された腹いせじゃなくて?」
「……片目でも、今後に問題はないでしょう」
 
 ぐい、と切っ先を近づけられる。
 これで、脅してるつもりなのだろうか。
 
 ユウキさんにくっついてたことは気に食わないし。
 何より――私を見つめるその目。
 あんた、ユウキさんを、どうにかしようと思ってたでしょ。
 これでも、他人の心情を推し量るのは得意なんだから。
 
 ユウキさんは、私の付き人なのに。
 こいつ、手を出そうとしてたみたい。

27血塗れ竜と食人姫 ◆gPbPvQ478E :2006/07/19(水) 22:01:56 ID:v/23wQEh

 目が気に入らない。
 あんた、どう見ても、その目は。
 
 男を、落とそうとしてる、目じゃないか。
 
 他の誰でもないユウキさんを。
 汚らわしい身体で籠絡するつもりだったのか。
 わざとらしいくらい湿った瞳で、ユウキさんの気持ちを掠め取ろうとしたのだろうか。
 
 邪魔されて、怒りに震えてるみたいだけど。
 
 ああ、こいつ、喰い殺そうかな。
 
 
 
 そう、思ったが。
 
 
 
「――そこまでです」
 
 横合いから、冷たい声が投げかけられた。
 そのタイミングはあまりにも絶妙で、食い気が散ってしまっていた。
 憮然とした面持ちで横を見やる。
 
 そこには、ひとりのメイドがいた。
 
 デザインに見覚えがある。
 確か――変態公爵のところのメイド服だ。
 顔に見覚えは……あるようなないような。というか、メイドの顔なんていちいち覚えてない。
 
 しかし、銀の甲冑の中身はそうでもなかったようで。
 
「……暗殺侍女の片割れが何の用ですか、ミシア。
 負傷した私を始末するよう命じられたのですか?」
「いえ。私がこうやって姿を見せている時点で、そのつもりがないのは明白でしょう?」
「……今、私は忙しいのですが」
「囚人に私刑を加えることが、ですか?」
「…………」
「私はお呼びに参っただけです。
 ――アマツ・コミナト。昨晩の件で出頭命令が出ています」
 
 出頭? こいつ、騎士のくせに悪さでもしでかしたのだろうか。
 と、首を傾げていたら。
 
「――“食人姫”。貴女には私個人から少々お話があります。部屋でお待ちください」
 
 そう、言われた。


28血塗れ竜と食人姫 ◆gPbPvQ478E :2006/07/19(水) 22:02:37 ID:v/23wQEh

 
 
 
 
 
 獣のように。
 白は、暗い部屋で独り、うずくまっていた。
 昨日の夜、アマツに削られた傷がじくじくと痛む。
 
 でも、そんなことより。
 
 
 ――愛されたことのないお前には、わからないかもしれないけどな。
 
 
 この言葉が。
 棘のように、胸に残っていた。
 
 愛される、ってどういうことだろう。
 優しく抱きしめてもらうのは違うのかな。
 腕を絡ませるのとは、違うのかな。
 わからない。
 わからないが。
 
 きっと、ユウキは、自分を愛してくれる。
 
 それだけは、信じている。
 ユウキは私のものなのだから。
 お願いすれば、きっと何でもしてくれる。
 こちらが「愛して」と頼んでみれば、きっとユウキは二つ返事で“愛して”くれる。
 
 でも、ユウキはそばにいなくて。
 お願いすら、できなかった。
 
 
 もう、我慢できない。
 
 
 最後の理性に、亀裂が入り始めていた。
 今の今まで、耐えていたこと。
 ユウキに嫌われるかもしれない、と恐れていたこと。

29血塗れ竜と食人姫 ◆gPbPvQ478E :2006/07/19(水) 22:03:19 ID:v/23wQEh

 ――こちらから、ユウキに会いに行く。
 
 囚人が勝手に外を歩くのは厳禁だ。
 ユウキが自分の付き人だった頃、そう言っていたのを覚えている。
 ひょっとしたら、怒られるかもしれない。嫌われちゃうかもしれない。
 そう思って、今まで我慢し続けてきた。
 
 でも、もう駄目だ。
 
 これ以上ユウキの顔を見られないと。
 これ以上ユウキの声を聞けないと。
 これ以上ユウキに頭を撫でてもらえないと。
 
 自分は、きっと死んでしまう。
 
 だから、怒られるのを覚悟で、会いに行こう。
 怒られて、いっぱいいっぱいごめんなさいして。
 
 そして、こうお願いするのだ。
 
 
「……ユウキ。私のこと、愛して」
 
 
 願いは、滑らかに口から漏れていた
 ユウキを目の前にしたら、止める間もなくこぼれてしまうかもしれない。
 でも、これは、偽らざる思いだった。
 
 ユウキに愛してもらえるなら。
 自分はきっと、何でもできる。
 だから、ユウキに会いに行こう。
 
 誰かが途中で邪魔するかもしれない。
 それは、アマツかもしれない。
 でも、大丈夫。
 
 
 もう、躊躇わない。
 自分にはユウキだけ。
 それ以外は、要らない。
 
 ――だから、全部殺せばいい。

30血塗れ竜と食人姫 ◆gPbPvQ478E :2006/07/19(水) 22:03:55 ID:v/23wQEh

 そう思い、うずくまるのを止めて、立ち上がった。
 
 そのとき。
 
 こんこん、と。
 ノックの音が、響いた。
 
「――ユウキ!」
 
 瞳を輝かせて、扉の方に向き直る。
 今度こそ、今度こそ会いに来てくれたんだ――
 
 そう信じて、扉を見つめる。
 しかし。
 
「失礼します」
 
 入ってきたのは、知らない女。
「…………」
 即座に無表情となり、女を意識の外に追いやる。
 
 やはり、ここには来てくれない。
 自分から、会いに行かなければ。
 扉の前に立つ女は、邪魔だからついでに引き千切っていこうかな。
 
 そう思い、一歩前に進んだところで。
 
「お初にお目にかかります、血塗れ竜。
 ――私、トゥシア・キッコラと申します。気軽にティーって呼んでくれると嬉しいです」
 
 無視。
 
「今日付で、私が貴女の付き人となりました。以後よろしくお願いします」
 
 無視。
 
「付き人となったからには、貴女の希望を最大限叶えたいと思います。
 ――そうですね、まずは。
 ユウキ・メイラーのところへ、一緒に行きませんか?」
 
 無視――できなかった。


31 ◆gPbPvQ478E :2006/07/19(水) 22:05:04 ID:v/23wQEh
作戦名:みんながんばれ


>>1
32名無しさん@ピンキー:2006/07/19(水) 22:10:59 ID:Mgg7msPB
がんばれ、超がんばれ

作者の方も無理せずがんがってください!!(*´Д`)
33名無しさん@ピンキー:2006/07/19(水) 22:22:00 ID:+hvSO0Ke
>学院生時代の私は究極の愚か者だ。出会った瞬間拉致監禁して飼っていたら、きっと薔薇色の学院生活だったろうに。

作者様GJ!アマツ姐さんとユウキの学院生時代をぜひ!!
34名無しさん@ピンキー:2006/07/19(水) 22:25:18 ID:R584g7if
いつもながら見事な作品GJっす
女性3人をうまく動かすのだけでも大変そうなのに
それをうまく動かしてバランスも取るなんて・・・
作者殿はいったいどれほどの技量をお持ちなのかと((;゚Д゚)ガクガクブルブル
35名無しさん@ピンキー:2006/07/19(水) 22:35:27 ID:pxpGgNFw
白かわいいよ白
作者さん超GJです!!
36名無しさん@ピンキー:2006/07/19(水) 22:40:56 ID:oGCrN7Jq
白をとられちまうのか
37名無しさん@ピンキー:2006/07/19(水) 22:52:21 ID:GoeedDlQ
相変わらず面白れ〜
この作品だけは感想を書かずにはいられないw
38名無しさん@ピンキー:2006/07/19(水) 22:57:49 ID:jbk1MrgI
相変わらずいい仕事してるぜ
39名無しさん@ピンキー:2006/07/19(水) 23:00:38 ID:/jAybQ29
     ,.ィ , - 、._     、
.      ,イ/ l/       ̄ ̄`ヽ!__
     ト/ |' {              `ヽ.            ,ヘ
    N│ ヽ. `                 ヽ         /ヽ /  ∨
   N.ヽ.ヽ、            ,        }    l\/  `′
.  ヽヽ.\         ,.ィイハ       |   _|
   ヾニー __ _ -=_彡ソノ u_\ヽ、   |  \ 実は◆gPbPvQ478Eこそ  
.      ゙̄r=<‐モミ、ニr;==ェ;ュ<_ゞ-=7´ヽ   >ユウキ・メイラーだったん
.       l    ̄リーh ` ー‐‐' l‐''´冫)'./ ∠__だよ!!  
       ゙iー- イ'__ ヽ、..___ノ   トr‐'    /   >>34 
       l   `___,.、     u ./│    /_ 
.        ヽ.  }z‐r--|     /  ト,        |  ,、
           >、`ー-- '  ./  / |ヽ     l/ ヽ   ,ヘ
      _,./| ヽ`ー--‐ _´.. ‐''´   ./  \、       \/ ヽ/
-‐ '''"  ̄ /  :|   ,ゝ=<      /    | `'''‐- 、.._
     /   !./l;';';';';';';\    ./    │   _
      _,> '´|l. ミ:ゝ、;';';_/,´\  ./|._ , --、 | i´!⌒!l  r:,=i   
.     |     |:.l. /';';';';';|=  ヽ/:.| .|l⌒l lニ._ | ゙ー=':| |. L._」 ))
      l.    |:.:.l./';';';';';';'!    /:.:.| i´|.ー‐' | / |    |. !   l
.     l.   |:.:.:.!';';';';';';';'|  /:.:.:.:!.|"'|.   l'  │-==:|. ! ==l   ,. -‐;
     l   |:.:.:.:l;';';';';';';';| /:.:.:.:.:| i=!ー=;: l   |    l. |   | /   //
       l  |:.:.:.:.:l;';';';';';';'|/:.:.:.:.:.:.!│ l    l、 :|    | } _|,.{::  7 ))
        l  |:.:.:.:.:.:l;';';';';'/:.:.:.:.:.:.:.:| |__,.ヽ、__,. ヽ._」 ー=:::レ'  ::::::|;   7
.      l |:.:.:.:.:.:.l;';';'/:.:.:.:.:.:.:.:.:.|. \:::::\::::: ヽ  ::::::!′ :::|   .:/
.       l |:.:.:.:.:.:.:∨:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.!   /ヽ::: `:::    ::::  ....::..../ 
40名無しさん@ピンキー:2006/07/19(水) 23:32:28 ID:J07IGi/K
>>39
何だっt(ry
41名無しさん@ピンキー:2006/07/19(水) 23:36:03 ID:I2mCZUqu
>>39
なあ、貼ると思うかよ?なんだっ(ryAAをよ・・・ええ?
そう簡単にノるとと思ったら・・・・










         ナ ゝ   ナ ゝ /    十_"    ー;=‐         |! |!
          cト    cト /^、_ノ  | 、.__ つ  (.__    ̄ ̄ ̄ ̄   ・ ・
ミミ:::;,!      u       `゙"~´   ヾ彡::l/VvVw、 ,yvヾNヽ  ゞヾ  ,. ,. ,. 、、ヾゝヽr=ヾ
ミ::::;/   ゙̄`ー-.、     u  ;,,;   j   ヾk'! ' l / 'レ ^ヽヘ\   ,r゙ゞ゙-"、ノ / l! !ヽ 、、 |
ミ/    J   ゙`ー、   " ;, ;;; ,;; ゙  u ヾi    ,,./ , ,、ヾヾ   | '-- 、..,,ヽ  j  ! | Nヾ|
'"       _,,.. -─ゝ.、   ;, " ;;   _,,..._ゞイ__//〃 i.! ilヾゞヽ  | 、  .r. ヾ-、;;ノ,.:-一'"i
  j    /   ,.- 、  ヾヽ、 ;; ;; _,-<  //_,,\' "' !| :l ゙i !_,,ヽ.l `ー─--  エィ' (. 7 /
      :    ' ・丿   ̄≠Ξイ´,-、 ヽ /イ´ r. `ー-'メ ,.-´、  i     u  ヾ``ー' イ
       \_    _,,......::   ´゙i、 `¨ / i ヽ.__,,... '  u ゙l´.i・j.冫,イ゙l  / ``-、..- ノ :u l
   u      ̄ ̄  彡"   、ヾ ̄``ミ::.l  u   j  i、`ー' .i / /、._    `'y   /
              u      `ヽ  ゙:l   ,.::- 、,, ,. ノ ゙ u ! /_   ̄ ー/ u /
           _,,..,,_    ,.ィ、  /   |  /__   ``- 、_    l l  ``ーt、_ /  /
  ゙   u  ,./´ "  ``- 、_J r'´  u 丿 .l,... `ー一''/   ノ  ト 、,,_____ ゙/ /
        ./__        ー7    /、 l   '゙ ヽ/  ,. '"  \`ー--- ",.::く、
       /;;;''"  ̄ ̄ ───/  ゙  ,::'  \ヾニ==='"/ `- 、   ゙ー┬ '´ / \..,,__
、      .i:⌒`─-、_,....    l   /     `ー┬一'      ヽ    :l  /  , ' `ソヽ
ヾヽ     l      `  `ヽ、 l  ./  ヽ      l         )  ,; /   ,'    '^i




42名無しさん@ピンキー:2006/07/19(水) 23:38:29 ID:R584g7if
>>39
作者様がユウキだったとすると「みんながんばれ」って言うのはまずいんじゃないか・・・
血塗れの予感((;゚Д゚)ガクガクブルブル
43名無しさん@ピンキー:2006/07/19(水) 23:39:06 ID:I2mCZUqu
とと(´・ω・`)
まあ、それはともかく職人様方GJ
44名無しさん@ピンキー:2006/07/20(木) 00:10:02 ID:44842TJh
じゃあ、「命を大事にしつつ、ガンガンいろいろ頑張って、呪文は節約しようぜ」で。
45名無しさん@ピンキー:2006/07/20(木) 00:17:02 ID:OrRnyJcG
「じゅもんをつかうな」は?
46名無しさん@ピンキー:2006/07/20(木) 00:21:16 ID:bxGgJ5sl
つ修羅場使うな
47名無しさん@ピンキー:2006/07/20(木) 00:23:30 ID:44842TJh
……!!
48名無しさん@ピンキー:2006/07/20(木) 00:53:44 ID:4yudCQvj
>>46
しゅらばつかうな を はつどうした
いちげきひっさつ!  
スレじゅうにん は ぜんめつした
49名無しさん@ピンキー:2006/07/20(木) 01:04:33 ID:BonArcLc
(´・ω・`)

(´・ω::...

(::.....

(

50名無しさん@ピンキー:2006/07/20(木) 06:08:24 ID:nNinLqZU
   | \
   |Д`) ダレモイナイ・・彼女ニ別レ話振ルナライマノウチ
   |⊂
   |
51名無しさん@ピンキー:2006/07/20(木) 06:09:23 ID:9dFYVqIu
あん?
52 ◆wGJXSLA5ys :2006/07/20(木) 08:23:27 ID:FTEEI3Mw
「妹?」
「そうそう…あーっと…生き別れで……昨日、そう、昨日!!いやぁ、この島に来たわけですよ。」
「いや、っていうか……妹なんているわけないじゃん、私達……」
どーしてそーやってリアリティな方へと持ってくかなぁ。
「んー…じゃあ、姉妹機?」
「そりゃあんたのストーカー女でしょ?」
「いやぁー!やめてぇ!あれは俺の人生の汚点なのぉ!!」
「うわ!キモいから止めてよ!くっつくなぁ!」
げへへ……こうなったら俺は止まらないぜ……
「うりうり!」
もみっ
「きゃぁん!?む、胸をもむ……なぁ…」
「ほっほぉ、普段は強気なのにこういう事されるとそんなかわいい声で泣くのかい?……さては精神的処女だな?」
「そ、んな…かわいいなんて…んぁ…」
そこしか聞こえてねぇのかよ!
「さぁって、こっちも濡れてきたかなぁ?」
そういって紅のズボンのベルトに手を掛けると……
「そ、う、や、さ、ん?」
ブンッ!ガッ!
いやぁ……弁当箱の角って痛い………
「うわ、な、殴った?」
海ちゃんが驚きの声を上げたのが最後に聞いた声だった………
53 ◆wGJXSLA5ys :2006/07/20(木) 08:24:30 ID:FTEEI3Mw
「う、うーん……」
目を覚ます。意識が覚醒する。
「ここは……?」
真っ暗で何も見えない。は!?まさか後ろから殴られて気絶している間に拉致監禁された?
「きゃー!助けてぇ!操が、操がぁ!………あ。」
ただたんに夜で周りが真っ暗なだけだった。当然学校の電気も落ちていたのだ。っていうか、こんなに暗くなるまで放置ってひどくない?
もはや死後と化し、化石にまでなりそうなほど古い、語尾の音程を上げた疑問型で考えてみる。
「夜の学校……めざすはあの娘のリコーダー!」
とはいえ、誰もリコーダーなんて持ってるわけがなく、とても虚しくなってきたのでとぼとぼかえる。くすん。







夜の帰り道。こんなに遅くなって帰るのはとても久しぶりかもしれない。時計を見ると十一時……いや、気絶しすぎっしょ?
五十メートル間隔で設置してある薄暗い街灯の下を歩く。やばいなぁ……やばいやばい。さっきから後ろに居るよ。自他ともに認めるストーカーの彼女じゃなくて……
この時間帯によく現れる浮浪者が……まったく、金目の物なんて無いっての。
54 ◆wGJXSLA5ys :2006/07/20(木) 08:25:34 ID:FTEEI3Mw
「女かな?……男は勘弁して欲しいなぁ。」
襲い返す意味が無くなる。女でもおばさんも止めてほしいけどな。どっちにしろ襲われるのは確定のようだ。背中にビシビシと殺気が当たる。
「1…2の…3!」
タイミングをみて走り出す。いきなりの行動に慌てたらしく、すぐに追うように向こうも走り出す。はは……滑稽だな。
そのまま距離を開けず詰められずのスピードで走る。と、ちょうどいい裏路地を発見。そこに入り込む。それと同時に180°振り向く。……来たっ!
見切り発車で、勘を頼りに拳を振り出す。タイミングは……
バキッ
ジャストだ。見事、浮浪者の顎に直撃。一発で気絶する。
「さーて……なんだよ…男かい。」
しかもおっさんだ。ああ、興ざめだな。しかしナイフを持っていたとはなぁ。作戦勝ちってやつかな。
そのナイフを没収し、再度帰り道に戻ろうとすると………
「蒼也、危なかった。」
また…彼女かよ………
「なに?何か用?帰りたいんだけど。」
振り替えると、真っ暗な裏路地に、まるで猫のような瞳だけが、うっすらと見えていた。相変わらず不気味だ。
55 ◆wGJXSLA5ys :2006/07/20(木) 08:27:39 ID:FTEEI3Mw
「この浮浪者どうするの?……殺しとく?」
「いや、そんなにまでしなくていいよ……てか、殺すのはやりすぎだって。」
「でもあなたを傷つけようとした。殺されてとうぜん。だから……」
「殺すな。」
「わかった…あなたが言うなら…」
やれやれ、ただでさえこの浮浪者が男だっていうだけでやる気ダウンなのに、その上彼女まで現れるとは……今日は厄日かな?
「じゃあ俺は帰……」
「また家に、女を飼ってる。」
なんの脈絡もなく、話題をふられる。
「は?」
「今日学校に弁当を届に来た女……あれ、新しい女………」
監視してたのか。やだねぇ、いつも周りにいるなんて。ストーカーなんて甘いもんじゃない。
「殺したい……あの女………あなたに馴々しくして…」
「止めてくれよ。彼女はもしかしたら初めての大物かもしれない。忠誠心といい、行動力といい、文句なしだ。」
「わかった。あなたがやめろって言うなら止める。」
「……俺が死ねって言ったら死ぬの?」
「それはやだ。あなたに会えなくなる。」
「はは……中途半端だよ、それ。」
「あなたが一番…あなたが私の世界だから…」
56『疾走』 第十五話 ◆/wR0eG5/sc :2006/07/20(木) 11:45:38 ID:dkfNVbM6
 真っ先に教室を抜け出す放課後は、初めてかもしれない。
 理由など……考えたくなかった。とにかく、すぐに帰りたかったんだ。
 走り出したい衝動は抑えて、努めて早足に。
 そのままさっさと校門を通り抜けようとして――っ。
「エー兄っ」
 という叫びと同時に、抱きつかれる。
 抱きつかれる……捕縛される――っ? あ、ああ……っ。
「ひ、ひいっ」
「きゃうっ」
 無意識に腕を振り払った。
 視線を下げる。
 ――有華が、尻餅の姿勢で、そこにいた。
「あ、ああ……有華」
 そうだよ。
 エー兄という愛称で俺を呼ぶのは……有華だけじゃないか。
 俺は……じゃあ、誰に抱きつかれるのが、悲鳴を漏らすほど恐ろしいのか。
「い、痛いなあ、エー兄……っ」
「ご、ごご、ごめんっ! すまん、ちょっと驚いて、それで……っ」
 あの反応がちょっととは、言っている自分でもおかしいと自覚できるのだが……有華には関係がない。
 要らぬ心配なら、教える必要はなかった。
「だ、大丈夫か。どこか怪我はっ……!?」
「ん……そんな、気負わないでよ。大丈夫だよ」
「そ、そうか」
 ほっと、安堵の吐息。俺の不注意で有華が怪我でもしてしまったら……っ。
 とにかく謝る。
「ほんとに、悪かったっ。ごめん、許して」
「――エー兄」
 両手を合わせて頭を垂らす俺を見上げながら、有華が呟く。
「……ほんとに、可愛いなあ、エー兄は」
「は、はあっ……?」
 可愛いって――俺がっ!?
「なんだよそれっ……。意味がわからん」
「だって――必死に謝ってる姿が、もう、ねえ……」
 笑いを堪えながら立ち上がり。
「その必死さが、こう……飼い主の後ろをちょこちょこ必死に追いかけてる、子犬に、通じる部分があったの」
「俺が子犬か――っ!?」
 いまだかつて味わったことが皆無である、その比喩はっ!
「なんだよ、なんでお前が顔赤くするんだよっ」
「え、ええっ……ちょっと、エー兄に鎖を繋いで散歩する自分を想像しちゃって……えへっ」
「えへっ♪ じゃあねえよっ!」
 いつからそんなはしたない妄想に開眼したんだ、有華よ。
 お前の彼氏として――猛烈に悲哀を抱くぞ。
「冗談だよぉ、冗談」
「本当だろうな……とりあえず、お前の嗜好はどうにも侮れない」
「さ、待っててあげたんだから。一緒にかえろっ」
 言って、手を伸ばされる。
 なんだ――今朝の有華とは、大違いじゃないか。
 そうだよ。俺が好きな有華は……この有華だ。
「うん」
 ――手を、握り合う。
 いたり先輩のことなど忘れてしまうくらいに、幸せだった。
57『疾走』 第十五話 ◆/wR0eG5/sc :2006/07/20(木) 11:46:53 ID:dkfNVbM6
 二人で夕飯の買出しとして、今日は少しの寄り道をする。
 その間の有華は、本当に普通の様子だった。
 手の甲の、絆創膏を眺める。傷は、すでに塞がっていた。
 ならばと考えるのは。今朝の、あの誓い――。
「今日はあたしがご飯作っちゃうからねっ。家も今日独りだから、いいよね」
「あ、そうなのか」
 話しかけれて、一旦思考が中断される。
 いや……中断されて正解だろう。
 もうあれこれと、他人の言葉の意図を、まるで疑うように深く黙考するのはやめるべきだ。
 ましてや、俺が好きな女の子と、こうして帰途を一緒に歩いている最中なのだから。
 夕暮れの公園にさしかかる。人影は、まばらだった。
「今度はちゃんと人間の味覚を意識して味付けしないとねっ。えへっ」
「えへっ♪ じゃあないよエー兄っ――! それはあまりにも酷過ぎるコメントだよぉっ」
「さっきのお返しだよ」
 人差し指で有華の額を弾いてやる。
「あうっ。っう……痛いなあ」
「あははっ。悪い、やり過ぎた」
 ここ数日は久しぶりだった、有華との、こんな会話。
 ひどく充実しているのが自分でもわかる。
「うぅ……っ――?」
 片手で額を押さえながら、可愛く呻いていた有華が、突然しゃがみこんだ。
 俺も立ち止まり、振り返る。
 ――何かを拾ってる……っ?
「どした、有華。小銭でも見つけ……」
「――エー兄」
 瞬間。
 その一声で――今朝の、玄関での雰囲気が……よみがえった。
58『疾走』 第十五話 ◆/wR0eG5/sc :2006/07/20(木) 11:48:10 ID:dkfNVbM6
 ゆらぁ――り。
 緩慢に立ち上がって、有華は、指で摘んだそれを俺の眼前に晒した。
「なに、これ」
 生方先輩から渡された――メールの、アドレス。
 俺は、首を傾げながら。
「何って……メールの、アドレスだよ」
「あははっ。エー兄……あたしも馬鹿じゃないんだから、そんなこと、わかってるよ」
 真っ直ぐに、睨まれる。
 そこでようやく気付いた。
 有華の視線には……非難の意思が、ありありと込められていることを。
「い、いや、だって、なにこれって聞かれたから」
「ねえ……これ、女の子の、アドレスだよね」
 確かに、男なのか女なのかと問われれば、そうなるけど。
「そうだけど……へえ、有華、よくわかったな」
「こんなに丸っこい字を見たら、誰だってわかっちゃうと思うよ……うん。それでね」
 紙片を、片手で弄びながら。
「エー兄さあ、まさかこれ登録なんか、しちゃったりしてないよね」
「――はあっ?」
 ……何が、言いたいんだろう。
 大体そんなメモを持っていること自体が、有華の質問の明確な答えだと思うのだが。
「えっと……登録したけど」
 頬を掻きながら言ってみる。
 有華は俯いて、「ふうん」と納得した感じに呟いてから。
 片手の紙片を握り潰した。
59『疾走』 第十五話 ◆/wR0eG5/sc :2006/07/20(木) 11:49:43 ID:dkfNVbM6
 握った拳が、震えている。
 有華は数秒――まるでその震えを俺に見せ付けるかのように、しばし待ってから……紙片を、地面に投げ捨てた。
 俺は……とまどいながら、それをぼうぜんと眺めている。
「ゆ、有華……っ?」
「――携帯」
 ……えっ。
「携帯、あたしに渡して」
 手が伸びる。
 俺は思わず後退りがなら、ポケットの感触を確かめた。
「ど、どうしたんだよ。お前、さっきから様子がおかし――っ」
「いいからさっさと渡せっ!」
 罵声――いや、怒声か。
 とにかく俺はすくみあがって、言い返す言葉を見失った。
 有華が……俺に、命令を、する……っ?
「わ、わかったから、落ち着け」
 元の有華に戻ってくれよ……その一心で、ポケットからそれを取り出し、有華に手渡す。
 指を颯爽と滑らせて、有華は尖った視線で問い質す。
「名前は、なに」
「あ、その……生方、先輩」
「先輩……っ。また年上から狙われてるね、エー兄」
 ね、狙われてるって……っ?
「他には――女性のアドレスは、入って、ないよね……っ!?」
「は、入ってない。うん」
 これは本当だ。他には男ばっかりの、むさ苦しいアドレスである。
 唯一の華だった生方先輩のアドレスも――今、有華の指で以て、消去された。
「名字だけじゃ判断できないけど……いいよ、はい。エー兄を信じてあげる」
 両手で、しっかりと俺の片手に携帯をおさめる有華。
 力が入り過ぎている。
 それじゃあ……今朝みたいに、また、爪で皮膚が――っ。
「ごめんね。いきなり怒鳴っちゃって」
「あ、いや……その」
 叱るべきなのか……俺には、わからない。
 大体が――生方先輩に頼ろうとした負い目が、俺には在る。
 けれど、心の何処かで……これは、『やり過ぎじゃないのか』という疑問も、もちろんあった。
 結局返答を迷う内に、有華が喋り続けてしまう。
「嫌なんだ……だってエー兄には、もうあたしがいるのにさっ……だったら、他の女は、いいでしょ、近付かなくて」
「お前――それは、極論じゃあ」
「ねえ、エー兄」
 ぱっと離れると、有華は弾むように歩き出す。
 やがて立ち止まり――地面を、指差す。
60『疾走』 第十五話 ◆/wR0eG5/sc :2006/07/20(木) 11:51:33 ID:dkfNVbM6
「これが、あたしだとすると」
 俺も倣って、地面を見る。
 蟻が――何か、餌を咥えて……歩いていた。必死に。
「他の、エー兄に近付く女の存在はね――っえい」
 有華は躊躇わずに……それを、踏み殺した。
 圧倒的な死と理不尽。
「この、蟻の視点からは巨大過ぎる足――みたいな、モノなの」
「――っ……? ゆ、有華っ?」
 点みたいな死体を数秒眺めた後で……有華が、俺を見据える。
「エー兄は……もしも、巨人に踏み潰されそうになったら、もちろん逃げるよね。回避を、行うよね」
「……そりゃ、死にたくなかったら……誰だって、逃げるだろ」
「そう。だからね、さっきのあたしの、携帯のアドレスを消去した行為は――結局、それなの。あたしと、エー兄との幸せの為の……危険からの回避」
 なにを……。
 お前は――さっきから、なにを。
「もちろんエー兄を、信じてる。けれど絶対なんて、ありえないから」
 じろりと……睨まれる。
「エー兄。――ごめんなさい、は」
「……あ、えっ」
「だから――これ、今朝の誓いを間接的に裏切ってるんだよ……っ?」
 心底不思議そうに、有華が首を傾げる。
 ――裏切った……っ?
 俺が、有華を。
「いや……えっと、あの」
「――エー兄。ちゃんと謝ってくれないと……叩くよ、あたし」
 濁った……眼球。
 誰かに、似ていた。
 怖かった。
「ご……ご、ごめんなさい」
「もう、しないよねっ?」
「う、うん……しない」
「その言葉――信じたからね」
 言い捨てて……有華が、隣を通り過ぎた。
「ほら、はやく帰ろう。……もう怒ってないから」
 手を握られる。
 校門で繋いだときは――とても、とても温かかったのに。




 今、繋いでいる手は。
 ひどく、無機質な冷たさを、俺に伝えてきている――。



61 ◆/wR0eG5/sc :2006/07/20(木) 11:57:20 ID:dkfNVbM6
やたら長いですが、どうかご勘弁を。
十五話はここまでです。
62名無しさん@ピンキー:2006/07/20(木) 12:15:49 ID:VWcVBiob
健気ストーカーのいたり先輩とは
逆のタイプのサイ娘…怖えー!((( ;゚Д゚)))ガクガクブルブル
63名無しさん@ピンキー:2006/07/20(木) 12:44:58 ID:Sj0z9bi2
>ちょっと、エー兄に鎖を繋いで散歩する自分を想像しちゃって……えへっ
+   +
  ∧_∧  +
 (0゚・∀・)   ワクワクテカテカ
 (0゚∪ ∪ +
 と__)__) +
64名無しさん@ピンキー:2006/07/20(木) 12:57:18 ID:fWrd9b4m
いたり先輩による鮮血はまだぁ?
65名無しさん@ピンキー:2006/07/20(木) 13:07:35 ID:kk+jIyHx
yp!ypじゃないか!
66名無しさん@ピンキー:2006/07/20(木) 14:05:54 ID:38gafsKt
ちょwwwwwwwwwwwwwwwwいたり先輩のほうがマシかいwwwwww
67名無しさん@ピンキー:2006/07/20(木) 14:31:33 ID:DfRd5w95
>>55
主人公のこのエロノリに乾杯、こういう主人公のタイプ好きだw
68名無しさん@ピンキー:2006/07/20(木) 14:38:19 ID:bxGgJ5sl
イクカタ先輩に走るんだ、えーにい!!
69名無しさん@ピンキー:2006/07/20(木) 15:02:13 ID:K5gIIElt
あれはうぶかたではないのか?
70名無しさん@ピンキー:2006/07/20(木) 15:04:30 ID:bxGgJ5sl
>>69
まじで?すまん、生方…あーへんかんできた、納得納得
さーえーにい生き延びてくれ
71名無しさん@ピンキー:2006/07/20(木) 15:04:47 ID:38gafsKt
なりかた先輩?
72名無しさん@ピンキー:2006/07/20(木) 16:35:38 ID:JZHQGffv
なんかみんなサイ娘ばかりでガクブルなんだが……GJだな
73名無しさん@ピンキー:2006/07/20(木) 17:35:37 ID:Hkng0eh4
>>72
そのガクブル感を悦び楽しめ
74名無しさん@ピンキー:2006/07/20(木) 18:03:34 ID:KOeMBfxA
彼の女運の悪さ…いや良さに乾杯
75名無しさん@ピンキー:2006/07/20(木) 18:05:47 ID:jyvcLYGG
このスレの主人公に女運の良い……悪いやつなんていたっけ?
76名無しさん@ピンキー:2006/07/20(木) 18:16:00 ID:JdaZ5afj
修羅場よいとこ、一度はおいで
77名無しさん@ピンキー:2006/07/20(木) 18:46:59 ID:SJWXg2Gd
というか大団円で終わってる作品自体が少数な気がス
78名無しさん@ピンキー:2006/07/20(木) 18:53:02 ID:+Na0G/Zh
一応、言っとくが主人公に罪はないぞ。
ただ、抜群に修羅場っ子を惹きつける才能を持ってるだけで。
79名無しさん@ピンキー:2006/07/20(木) 19:20:59 ID:QOZNwVGb
Lvいくつでそのスキルを入手できますか?
80名無しさん@ピンキー:2006/07/20(木) 19:32:49 ID:hFLLUSGE
>>79
固有のスキルだから生まれた時に運が良ければ覚えれるよ
81名無しさん@ピンキー:2006/07/20(木) 19:57:21 ID:ZMKLBZQQ
>>55
「初めての大物」と余裕だった主人公がガクブルする時はくるのか・・・
期待|ー゚)一見受けだけど攻めの奴隷萌え(*´д`*)
82名無しさん@ピンキー:2006/07/20(木) 20:04:04 ID:1v5ruC4u
>>78
つ「ゆう君」
83名無しさん@ピンキー:2006/07/20(木) 20:55:31 ID:VOCyRDOa
投下しますよ
84『睡眠倶楽部』祐二:2006/07/20(木) 20:56:29 ID:VOCyRDOa
 今日も一日疲れた。
 大きな音をたてながら布団に倒れ込むと枕を抱き寄せ、そこに顔を埋めた。それだけで
一気に疲れが体から抜けていくような、そんな感触が心地良い。一日の内で最大の幸福の
時間だ。軽く目を閉じると、それだけで他には何も要らないと思えてくる。
「「お兄ちゃん、もう寝るの?」」
 わざとタイミングを合わせているのではないかと疑いたくなる程に揃った声で、華祈と
華折が話しかけてきた。これはいつものこと、ここから先もいつも通り。
「「あたしたちも」」
 軽い音をたてて、僕の左右に二人が寝そべってきた。そのまま腕に抱きついて小さく笑
い、肩に顎を乗せて甘えてくる。少しうっとおしいけれども慣れてしまえばあまり気にな
らないもので、今は平均よりやや低めの体温が快い。
「「今日はどんなことがあったの?」」
 左右からかかる吐息をくすぐったいと思いながら回想し、話し始めた。外出を極端に嫌
う癖がある二人は、こうしないと身近な話題からどんどん離れていく。本当は外に出るの
が一番だけれども、どうも強要出来ないのは身内の弱さだろうか。
「「面白かった。おやすみ、お兄ちゃん」」
 その言葉を合図に、僕は眠りに落ちた。
85『睡眠倶楽部』華折:2006/07/20(木) 20:57:18 ID:VOCyRDOa
 お兄ちゃんも、カオリちゃんもよく眠っている。本当に気持ち良さそうで、最近の不眠
症が悩みのあたしとしては少し羨ましい。特にカオリちゃんなんかとは全く同じ生活をし
ているのに、どうしてこんな風になっているんだろう。
 まぁ、お兄ちゃんの寝顔を見れるのは幸せだけど。
 本当に、可愛い寝顔。普段の凛々しくて格好良い顔も好きだけど、あたしはこの無防備
な表情が一番好き。本当に、あたしたちを心の底から信用してくれてるって感じがするか
ら。そうでもないと、こんな風に隣で寝ていることなんて出来はしない。
 幸せだなあ。
 このまま、お兄ちゃんも学校に行かずに家の中に居れば良いのに。ずっとずっと三人だ
けで、楽しく遊んで寝て暮らす。それはどんなに楽しいんだろう。想像しただけで、笑い
が喉の奥からどんどん湧き出てくる。
 あ、笑った。お兄ちゃん、どんな夢を見てるんだろう。
「華祈」
 何で、カオリちゃんの名前が出てくるんだろうな。
「華折、華折」
 あ、今度はあたしの名前。しかも二回も。
 嬉しいなぁ。
 もう、我慢できない。
 気が付いたら、あたしは腕を掴んでいる両手をほどいて、お兄ちゃんの顔へと手を伸ばしていた。
86『睡眠倶楽部』華祈:2006/07/20(木) 21:00:26 ID:VOCyRDOa
 最初は自分の目を疑った。
 カオルちゃんが、お兄ちゃんにキスをしていた。潤んだ目をして、舌を絡めて、昨日や
今日に始めたことじゃないのは、見ていれば分かる。一体、いつからこんなことをしてい
たんだろう。
「カオルちゃん」
 冷たい声に、自分自身が一番驚いた。お兄ちゃんを起こさないように小さい声を出した
つもりだったけど、結構大きな声だったみたい。耳に強く響いて、少し頭がくらくらした。
 それでも、カオルちゃんはキスを止めない。
「カオルちゃん!!」
 さっきよりも大きな声を出すと、やっとカオルちゃんはキスを止めてあたしを見た。
「起きてたの?」
「偶然目が覚めたの」
「見た?」
「もう、あんなことしないで」
 少し考えた様子で天井を向いたあと、カオルちゃんはこっちを向いた。
 口の端をいやらしく釣り上げると、唇の形だけで発音する。
 い・や・だ
 頭を強く殴られたような衝撃が来た。
「何でいうこと聞かなきゃいけないの?」
 仲良しだと思っていたのに。
「大体、昔からカオリちゃんのことは嫌いだったの」
 仲良しだと思っていたのに。
「だから、止めない」
 仲良しだと思っていたのに。
「我慢も、しない」
 仲良しだと思っていたのに。
 だから、あたしは今まで我慢していたのに。
 渡さない。
 お兄ちゃんは、あたしのものなの。
87『睡眠倶楽部』祐二:2006/07/20(木) 21:01:21 ID:VOCyRDOa
「お兄ちゃん、起きて」
 目が覚めて、ふと違和感を覚えた。
「朝御飯、もう出来てるよ」
 声を聞いて、その違和感に気が付いた。普段はいつも重なっている筈の声なのに、今は
華祈の声しか聞こえない。どうしたんだろうと思って声の方向を見てみると、やはり華祈
だけが立っていた。喧嘩の後でさえ、いつも二人揃って立っていたから妙な感じはするけ
れど、一般的はこれが普通のことなんだし、特に気にしないことにした。たまにはこんな
日も、あるんだろう。
 腹が鳴る。
 少し恥ずかしくなって、逃げるように洗面所に向かった。立派な兄貴でいるように心が
けているつもりなのに、毎回しょぼいところばかり見せてしまうのは何でだろうね。
 顔を洗ってテーブルに着くと、いつもより少し豪華な朝食が並んでいた。
「何か良いことでもあったの?」
「うん」
 それ以上は何も言わなかったけれども、深く追求しないことにした。
「ねぇ、お兄ちゃん」
「ん?」
「今日は、お散歩に行こ。休みだし、晴れてるし」
 少し感動した。
 外出をあんなに嫌っていたのに、まさか自分から言い出すなんて。限りなく普通の一言
だけど、僕にはそれがとても嬉しかった。
 だけど、気になることが一つ。
「華折はどうだって? 除け者は駄目だろ」
 一瞬僕を睨んだ後で、すぐに笑みを浮かべると、
「知らない」
 いつものように小さく笑った。
88ロボ ◆JypZpjo0ig :2006/07/20(木) 21:02:36 ID:VOCyRDOa
これは続きません

今回も二本立て
続けてどうぞ
89『とらとらシスター』9虎:2006/07/20(木) 21:05:48 ID:VOCyRDOa
 水っぽい音が聞こえる。
「何だ?」
 この感触は、何なのだろう。柔らかいものが口に押し付けられ、そこから延びるぬめっ
た物体が唇の間から口内へと侵入して動いている。触手のようなそれは、僕の舌を絡めと
り、暴れて奥へ奥へと進んでいく。
 これは、夢か。
 違う。
 温かいそれの感触や、何か鋭いものが肩に食い込む痛みが、これは夢ではなく現実だと
伝えてくる。だったら何が起こっているのだろうか。
 手元の携帯をいじって時間を表示させると時刻は12時丁度、シンデレラの魔法が解ける
時間。彼女は元の姿に戻ったけれど、僕はどうなったのだろう。
 ぼんやりとした頭で視線を回してみれば、視界に入ってくるのは緩やかにウェーブのか
かった虎毛色の長い髪の毛。あんなことがあった後でも、姉さんはやっぱり僕の隣で寝て
いるらしい。やっぱり、姉さんは姉さんだ。いや、もしかしたらあんなことがあった後だ
からこそ、僕の隣で寝ているのかもしれない。辛いときには家族の温もりが一番の薬にな
ることを、僕はよく知っている。
 それにしても、さっきから続いているこの音は何だろう。
 寝ているところを起こすのは悪いと思うけれど、姉さんは基本は夜型だ。起きているか
もしれないという可能性の方が高いし、この音や感触を何とかしてくれるかもしれないと
声をかけようと思い、口を開く。
 だが、声が、出ない。
 それはそうかもしれない、口の中に物が詰まっているんだから。
90『とらとらシスター』9虎:2006/07/20(木) 21:06:38 ID:VOCyRDOa
 それをまずどかそうと思って唇を動かしながら舌で押し返そうとすると、それはより積
極的に動いてきた。先程よりも激しい動きで僕の舌に絡み、跳ね回る。更にはくぐもった
ような声も付いてきた。
 声が表すのは、
「…………ほれ、ふ、ひゃん」
 
 多分虎徹ちゃんと言っているんだろう、それは僕の名前。
 何故、僕の名前を呼ぶんだ。僕をそう呼ぶのは、姉さんだけの筈だ。
 待てよ。以前にも、と言うか昨日も同じようなことがあった気がする。昨日は夜中に姉
さんが、僕の隣で自分を慰めていて、破廉痴具合いを確認した筈だ。何度も同じようなこ
とがあるとは思いたくないけれど、そのパターンで行くと、
「姉さん?」
「なぁに?」
 違っていてほしいという願いを込めて目を開いてみれば、僕と顔を重ねた姉さんの笑み
が広がっていた。無理矢理に顔を引き剥がすと、僕と姉さんの唇の間に透明な糸の橋が携
帯の光に照らしだされた。その光景で、嫌な予感が的中したことが分かる。
 それと同時に湧き上がってくるのは、激しい後悔と、青海への申し訳の無さ。
「キス、を、した?」
 喉が酷く渇く。
 現実を受け入れるために一言ずつを絞り出すように言うと、一層増してきた。
「美味しかったぁ、もう一回」
 唇の端から唾液を垂らしながら淫らに微笑んで、姉さんが柔らかい両手で僕の頭を包ん
だ。そして、再び唇を重ねてくる。
91『とらとらシスター』9虎:2006/07/20(木) 21:09:44 ID:VOCyRDOa
 何が起こっているんだ、僕と姉さんは姉弟同士で、こんなことはしないし許されない筈。
いくら姉さんが破廉痴でも、こんなことは異常すぎる。普通は考えもしないようなことな
のに、どうして現実に起きているんだ。姉さんが僕に依存をしたり好きだと言っているの
は分かるけれども、それは家族としてのものじゃなかったのか。
「好きだよ、虎徹ちゃん」
 僕から唇を離すと、いやらしく微笑む。
 これは、そういうことなのか?
「触って、虎徹ちゃん」
 姉さんが体を起こしたことで、どんな状態なのかが一瞬で伝わってきた。
 裸。
 白い肌が月の灯りを反射して、夜の闇の中にぼんやりと浮かんでいる。視る者を吸い込
んでしまいそうなほどに妖しく光るその肌はただひたすらに淫猥で、恐怖すら湧き上がっ
てくる。半裸は昨日も見たけれど、それとは比較にならない程の魅力が、そこにあった。
濡れた秘所も口元も、昨日と殆んど同じような筈なのに全く違って見える。
「早くぅ、ね。虎徹ちゃん」
 甘い声が脳髄の中にまで染み込んで、思考の奥底までもを侵蝕してくる。姉さんは僕の
腹の上にただ座っているだけなのに、肌が重なる感触が快くて、声と共に体の自由を削っ
ていく。普段なら軽く身を捻れば脱出出来る状態なのに、拒否しようとしても、声も力も
出ない。それどころか、逃げようという気力も、殆んど無い。
92『とらとらシスター』9虎:2006/07/20(木) 21:10:33 ID:VOCyRDOa
「虎徹ちゃん」
 気が付いたら、両手は自然と姉さんの乳へと伸びていた。僅かな力でも簡単に形を変え
るけれども、弾力で掌を押し返してくる。指の間から溢れる乳房が、何ともいやらしい光
景を作り出していた。僕の掌の中心に当たっている固くなった部分と、口の端から糸を引
いて垂れている唾液、それと一緒に僅かに漏れるかすれたような声で姉さんが酷く興奮し
ているのが分かる。
 目が会うと、姉さんは三日月型に口の端を歪ませた。
「虎、徹ちゃ、んに、触っても、らえて、お姉ちゃ、ん、とって、も、気持ち良、い」
 姉弟。
 途切れ途切れではあるけれども、発せられた『お姉ちゃん』という単語に、意識が引き
戻される。更に、冷静になって頭に浮かんでくるのは、多分僕以外は皆知らない、青海の
はにかんだような、だけれども彼女らしい笑顔。
 僕と好き合っているではないけれど、
 僕を好いてくれている、
 付き合っているという証の表情。
 姉妹を僕離れさせるために付き合い始めたのがきっかけだけど、それでも、それなのに
好きになり始めている女の子を裏切ることになる。
 これでは、けじめがつかない。
「姉さ…」
 三度目の、キス。
 駄目だ。
 頭の中に強く思い浮かべていた青海の笑顔が、もやがかかったかのように霞んで、薄れ
ていく。代わりに密度を高めていくのは、唇や掌、姉さんの肌から伝わってくる温い感触。
甘く妖しく艶めいた姉さんの声が、更に思考の器を溶かしていく。
93『とらとらシスター』9虎:2006/07/20(木) 21:13:05 ID:VOCyRDOa
「虎徹ちゃん」
 何だろう。
「手、止まってる」
 動かすべきじゃない、今が止め時だ。
 僅かに残る理性で歯止めをかけようとしても、手の動きは止まらない。それどころか、
どんどん激しくなってきている。限界が大分近いのか、姉さんの舌の動きや呼吸、声も荒
さを増してくる。激しく聞こえる水音は、股間をいじっているからだろうか。
 やがて姉さんは乳に僕の頭を埋めるようにして抱き込み、
「も、だめ」
 体を一瞬だけ硬直させて、ゆっくりと力を抜いた。
 肩で息をしていながらも、恐ろしく強い力で僕の頭を抱えている。いや、もしかしたら
そうではなくて僕の力が足りないせいかもしれない。顔を柔らかな感触で包まれ、僅かな
汗の匂いと女性特有の甘い匂いを吸っていると力が入らなくなる。
 数分。
 小さく姉さんが体を動かすと、密着していた肌が少し離れた。
 体温が消えるのを、もったいないと思うのと同時、
「もう良いよね」
 という声が聞こえてくる。
 何が良いのだろうか。
 もう今日はお開きなのだろうか。
「姉さん、それは」
 どんな意味で、と言おうとする前に言葉が途切れる。
 股間から今までに感じたことがない程の快感が伝わってきた。視線をそちらに向けてみ
れば、姉さんが白く細い指で擦りあげていた。
「虎徹ちゃんも、こんなになってるし」
 優しい声が鼓膜を震わせるのと同時、姉さんは体を起こすと僕の先端を股間に当てがい、
ゆっくりと腰を沈めてきた。少し奥へと進むと、僅かな抵抗がある。
94『とらとらシスター』9虎:2006/07/20(木) 21:13:49 ID:VOCyRDOa
「んっ、痛っ」
 だが一瞬。
 一気に姉さんが腰を落とすと、根本まで飲み込まれた。
「姉さ…」
「大丈夫だから」
 月の光を反射するのは、一雫の涙。
「やっと、一つになれたね」
 待て待て待て待て待て待て待て待て。
 青海のことを思い出したときの比ではないくらいに意識が引き戻されたが、それも短い
間だった。姉さんが腰を動かし始め、その度に思考がえぐられていく。目が覚めてから何
度こんなやりとりをしたのだろう、ブレーキをかけるチャンスなどは幾らでもあった。そ
れなのに引き擦られていくのは、何故なんだろうか。
 いや、そんなことはどうでも良い。
 そんな考えすら薄れていった。
「気持ち、良い? 虎徹ちゃ、ん」
 答えようにも、快感が強すぎて言葉が出ない。姉さんが腰を浮かせ、沈める度に言いよ
うのない感触が伝わってくる。姉さんの膣内は熱くぬめり、全体を包んで絞りあげ、摩擦
の度にヒダが絡みついてくる。気持ち良いと聞いていたけれど、これはそんな生易しいも
のじゃない。頭がおかしくなりそうな、それこそ甘い毒薬のようなものだ。
「お姉ちゃんね、辛かったの」
 鈍痛。
 胸に置いた手の爪を立てながら、姉さんは微笑む。
「虎徹ちゃんがよそ見ばっかりして、青海ちゃんやサクラちゃんばっかり見て。特に、青
海ちゃん。昨日会ったばっかりの女の子に、あんなにデレデレして」
 聞こえている筈なのに、意味が分からない。
 快感以外の感覚が、無い。
95『とらとらシスター』9虎:2006/07/20(木) 21:15:29 ID:VOCyRDOa
「だから、もう我慢出来なくなっちゃった」
 言い終えると僕にキスをして、姉さんの腰の動きが激しくなった。強いうねりと締め付
けに、我慢が出来なくなってきた。絶頂が近いのが、感覚で分かる。
「も、出る」
 抜こうとして腰を引くが、それをさせまいと余計に押し付けてきた。
 不味い、このままでは本当に中に出してしまう。
「姉さ、ん、駄、目だって」
「今日は、大丈夫な日だから」
 限界が近い。
「それに、虎徹ちゃんの子供だったら産みたいし」
 もう、無理だ。
「我慢、しなくて良いよ。虎徹ちゃんの尊敬する殺虎さんの、パパやママも兄妹だったみ
たいだし、大丈夫」
 舌を絡める激しいキスと、押し付けられる乳の感触、熱い膣内。のせいで思考力が一気
に削られていく。
「あはッ、出てる出てるッ」
 出して、しまった。
「ね、もう一回」
 呟きながら、もう何度目か分からないが唇を重ねてくる。
「大好きだよ、虎徹ちゃん」
96ロボ ◆JypZpjo0ig :2006/07/20(木) 21:16:50 ID:VOCyRDOa
今回はこれで終わりです

虎徹ちゃんはダメな子ですね


つまらないネタを一つ
とらとらの名前候補はこんなのがありました

とらとら:『助けて、殺虎さん!!』『黄巾同盟』
 姉虎 :『包衣網』『爪』
 妹虎 :『蝕卓』『牙』
97名無しさん@ピンキー:2006/07/20(木) 21:19:41 ID:EommhhdN
いや虎徹ちゃんはしょうがないよ
こんな魅力的な変態姉妹いたら手を出さないほうがおかしいですよ。

ロボ神GJ!!
とらとらはペレな俺の息子が反応するほど素晴らしい
姉が先制ゴールしたが妹と青梅さんにも期待!!!
98名無しさん@ピンキー:2006/07/20(木) 21:21:41 ID:BonArcLc
女の子の「今日は大丈夫な日だから」ほど信じられないものはないぜ
99名無しさん@ピンキー:2006/07/20(木) 21:38:30 ID:KOeMBfxA
>>81
大物といえば晋也くんですよ
数々の修羅場を乗り越え結婚、子供までつくり
自分だけじゃ飽き足らず修羅場属性を次の世代にバトンタッチしたんだから
100名無しさん@ピンキー:2006/07/20(木) 21:55:16 ID:YlNol2vj
ヒャッホウ!ロボ神最高!!
あぁ、俺にもこんな姉がいたら・・・いたら・・・うーん・・・・
ああでも羨ましいなぁチクショウ!
101名無しさん@ピンキー:2006/07/20(木) 22:22:13 ID:Szkz3CDx
晋也で思い出したが。
そういや「一掴み」どうしたんだろ?
102名無しさん@ピンキー:2006/07/20(木) 22:48:46 ID:ZMKLBZQQ
いつもながらロボ先生GJ!
あぁ、もう変態姉がエロ過ぎてエロ過ぎて・・・
堪らん、こんな姉がいる虎徹ちゃん、羨ましくもありある意味不憫でもある・・・
虎徹ちゃん、このままだと搾り取られて枯れてしまう((;゚Д゚)ガクガクブルブル
103 ◆eOod7XM/js :2006/07/20(木) 23:46:23 ID:NDtq7ZrJ
投下します。
104『二等辺な三角関係』 ◆eOod7XM/js :2006/07/20(木) 23:48:56 ID:NDtq7ZrJ

 清涼感のある真っ白なシーツ。衛生的な消毒薬の匂い。
 薄いブルーのカーテンに仕切られた一台のベット。
 その上で、先輩は穏やかに寝息を立てています。
 先輩の目元にはどす黒いクマ。あの人の縛り。
 先程まで常駐していた保険医の話によりますと、肉体的なものだけでなく、精神的な疲れもあ
ったのではないかとのことです。
 やはり、専門家はその手の勘も鋭いのでしょう。
 まさに先輩はあの人によって心身ともに衰弱させられていったのですから。
 睡眠不足はあくまで引き金に過ぎません。
 根本の問題は別のところにあるんです。

 ベットのバネを軋ませながら、眠っている先輩の隣に腰を下ろします。
 現在保険医はいません。
 ここ保健室の三つ隣にある給湯室で統括部の青木先生とくつろいでいます。
 お二人はどちらも三十過ぎで、気楽な同年代とやらの男女ペアです。
 それでお昼前は何時も、給油室にある専用のポットで入れた紅茶でお茶会をしているんです。
 ご丁寧に居場所を印した小型のホワイトボードが入り口の扉にかけてありますから、急患や怪
我人が来ても気付きますしね。
 先輩の症状も十分な睡眠を取れば改善されるそうですし、本場の英国人のごとく大事なティー
タイムをなくしたくはないんでしょう。その他の色恋沙汰について私は感知していませんが。

 さて、

 だから、この部屋にいるのは私と先輩の二人だけです。
 しかも、先輩は意識がありません。
 ですから、私は思ったままに動けます。
 よって、私はそっと先輩の横に添い寝します。
105『二等辺な三角関係』 ◆eOod7XM/js :2006/07/20(木) 23:50:07 ID:NDtq7ZrJ

 シーツを捲り上げ、靴を脱ぎ、足から体を滑り込ませます。
 私は小柄ではありませんので、先輩に触れないように横になるのはなかなか難しいです。
 ベットから落ちないように、フレームに手足をかけ、重心を固定します。
 待ちきれずに胸を躍らせながらすっと横を向きました。
 先輩の寝顔がすぐ側にあります。シーツ越しに胸部が規則正しく上下しています。
 やや釣り上がった眼も、苦笑してばかりの唇も、この瞬間だけは幼く、愛らしく変わる。
 私が願って止まない理想の先輩がここにいるように思えます。
 私を必要としてくれる先輩が。
 ……じんわりと唾液が溜まってきています。唾を飲み込む喉が生々しい音を立てます。
 好きな人の無防備な姿はこれほど愛しさをそそられるものなんでしょうか?
 私はただ先輩に惹きつけられていきます。
 色素が薄い唇に、滅多に見れない先輩の微笑を作るそれに、抗いようのない魔力を感じます。
 あの人がいくら先輩に甘えようと、決して冒されることのなかった場所。
 卑怯者と罵られようが、今こうして奪っておかなければ先輩は……。
 私は伸ばした右手で先輩の顎を上げようと、私との距離をなくそうと――

 突如、視界の先輩が消えてしまいました。

 左肩に衝撃。木刀で殴られたかのような鈍い痛みが広がります。
 右手をフレームから離したせいで、一気に力のかかった左手が滑ってしまったようです。
 私はベットから転がるように落ちていました。
 床との激突時に呼吸が一瞬止まったのが効いたのか、私は我に返ります。

 ……何を……、……しようとしていたのでしょうか。

 ――決まってます。キスです。

 クスリと、地べたに寝そべっている現状と合わせて自嘲してしまいます。

 策士策に溺れる。
 前々から軽度の禁断症状は出ていましたが、まさか我知らず先輩に手を出そうとは……。
 論理の飛躍どころではなく、意識さえも超越してます。
 ……ここ最近は特に危険です。決定的に先輩とのふれあいが不足しています。
 やはり、卒業アルバム実行委員からくすねてきた先輩の生写真だけで、先輩のいない空洞を
埋めるのには無理がありました。
 ……いや、校内水泳大会の水着姿とかかなりくらくらさせられたですけどね……。
 幅広の肩とか小麦色をした腰のラインとか柔らかそうなふくらはぎとか……。
 その効能の分だけ、実物の先輩に触りたくて仕方なくなるという重度の後遺症がありまして、
最終的にマイナスになってしまったので失敗だったんですが。
106『二等辺な三角関係』 ◆eOod7XM/js :2006/07/20(木) 23:51:49 ID:NDtq7ZrJ

 でも……これから先気付いたら先輩を押し倒していたとかないですよね?
 もし受け入れてくれるのならばそのまま全身全霊を先輩に捧げますが、拒絶された場合私は自
分がどうなってしまうのか想像もつきません。
 拒絶されるってことは二度と必要とされないってことと同義です。
 そんなことになったら……多分、恐らく……間違いなく、……私は壊れてしまうのでしょうね。
 それくらい私は先輩と切り離せなくなっています。
 だからこんなまだるっこしい策を取っているんです。
 先輩が私から離れていかないように……。
 静観する計画を覆して、傲慢不遜のお飾り役員、あの吐き気がするほど嫌悪感のある利己主
義者を煽ってまで、先輩を追い詰めたんです。
 わざわざ教室まで先輩に会いに行ってあの人への挑発に及んだんです。

 ……だって、……だってしょうがないじゃないですかっ!

 ……先輩が私を放っておくから。
 喜び勇んで帰ったあの日からもう一週間になるのに先輩はまだ粘ってて……。
 あの人を見捨てようとしなくて……。
 それなのに私との約束は忘れてるし、私に相談どころかそれらしい態度すら見せてくれない。
 あんまりじゃないですかぁ……。
 私が今週をどれだけ惨めな気持ちで過ごしたかわかりますか?
 先輩に忘れられ、それこそ見捨てられたような気持ちであのガラスから絶望的な光景を眺め続
けるしかなかった、そんな苦痛を知っていますか?
 先輩があの人の頭を撫でる度に、先輩があの人に抱き付かれる度に、むなしくそれを倣って自
分の頭に手をかざしたり腕を体に巻きつけた、そんな愚かしさを理解してくれますか?
 間接的とはいえ、先輩に策を講じるしかなかったそんな弱さを認めてくれますか?
 あの人を私に置き換えた妄想をして体を火照らせた、そんないやらしさを許してくれますか?
 ……疼くんです。じくじくと。それはもう身じろぎしたくなるくらい。
 呼吸のリズムが短く、早くなって、そんな荒々しい獣のような息継ぎをみっともないやら情けな
いやらと思いながらも、だんだんそのことしか考えられなくなって……。
 ……全身の感度が些細な快楽も逃すまいと限界まで鋭敏になっているんです。
 指でその緩んだラインをなぞるだけだって、切ない切ない刺激となって溢れた愛液は氾濫どころ
か洪水にまで至ってしまうでしょう。
 昨日なんか熱を持った下半身を鎮めようと足を動かしたら、下着で軽く擦れてしまって……。
 ――喘ぎ声は歯を食い縛って出しませんでした。
 ですがその後数分は完全に腰が砕けて動けなくなってしまいました。
 くてっと扉に背中を預けながら、余程自分で慰めたい衝動に駆られたのですが……。
 先輩のため、先輩にそれをしてもらうためだけに私は……。
107『二等辺な三角関係』 ◆eOod7XM/js :2006/07/20(木) 23:53:36 ID:NDtq7ZrJ

 ねっとりと湿り、ぬちゃぬちゃとした感触。ギリギリ嗅ぎ取れるくらいに微かに漂う隠微な香り。
 今現在だって私は理性と愛欲の瀬戸際に立ってます。
 私には、先輩と手を繋いだり、撫でてもらったり、抱きついたり、言うまでもなくキスした記憶な
んてありません。ですから、先輩との密着はさっき肩を貸したのが初めてだったんです。
 妄想のフラッシュバックが実体験を伴って、いよいよ効果が桁違いに跳ね上がってます。
 脳内麻薬の分泌が抑えられず、心地よい欲望に身を委ねたくなります。
 ――キスしたら最後、私は暴走してしまいかねません。
 そんなことになれば先輩に嫌われてしまいます。
 先輩に淫乱だなんて思われたら死にます。
 即、表の道路に飛び出して走行中のトラックにタックルします。
 先輩に嫌われる私なんて死ねばいいんです。
 そう、先輩を不快にさせる人間なんてみんな死ねばいいんですよ。

 あなたもそう思いませんか? ――竹沢先輩。

 理性が先輩の拒絶とセットになっている愛欲に競り勝ったことで、大分落ち着いてきました。
 落ち着けば自分が抱いていた不安の正体も見えてきます。
 予想以上の先輩の竹沢先輩への入れ込み、なかなか私に頼ろうとしない先輩、それでも沈黙
を守ろうとした自分、焦り、渇望、動揺、我慢、不満、エトセトラエトセトラ。
 ――要するに、私は幸平先輩を竹沢先輩に奪われるのが恐かったんです。
 杞憂も杞憂。あり得るはずがないんですけどね、そんなこと。
 だって先輩は同情であの哀れな小娘(年上ですけど精神がバグを起こして幼児化したようなあ
の人にはお似合いです)に付き合っていてあげただけなんですから。
 あの人がしたことと言えば泣いて、喚いて、甘えて、駄々こねたくらいです。
 微塵も先輩の役に立ってなんかいません。ただ迷惑をかけていただけです。
 そんなんで先輩に好かれようだなんて図々しいにもほどがありますよ。

 ――だけどそれももうすぐ終わりです。

 跳ね起きて、制服の汚れを払いました。
 先輩からのSOS信号、うわ言でですが先輩は確かに私の名前を呼んでくれました。
 そこに縋るような想いが篭められているのを感じ取れました。
 後一押し、いえ押すまでもないかもしれません。
 きっと先輩は起き次第私に全てを打ち明けてくれます。私に全てを委ねてくれます。
 それで幕引きです。ふざけた喜劇の終幕です。
 私は傷付き、苦しみの渦中にある先輩を女神のごとき慈愛を持って迎え入れ、励まし、支え、
あの寄生虫から引き剥がせばいいんです。
 弱っている時の気遣いがどれほど心に染み入るか、推し量るまでもなくそのまま先輩は私にべ
ったりになるでしょう。ついでに邪魔者も遠慮なく排除できて一石二鳥です。
 そう、まるで私に寄りかかるように先輩は――寄りかかる?
 ……違いますね。それじゃあ先輩が私に依存するみたいじゃないですか。
 私と先輩は健全かつ社会的かつ清く正しいパートナーとしての形を求めているんです。
 そんなどこぞのハリガネムシと同じことを先輩がして嬉しいわけがありません。
108『二等辺な三角関係』 ◆eOod7XM/js :2006/07/20(木) 23:55:27 ID:NDtq7ZrJ

 依存は愛じゃありません。私はただ愛されようとしているだけなんです。

 ですからね、幸平先輩……?
 先払いで手を握るくらいは、許してくれますよね……?


 「こ〜ちゃんっ! こ〜ちゃんっ! こ〜ちゃんっ!どこっ!?」


 けれど私のささやかな望みはあっさりと踏み潰され、鬱陶しい舌足らずな口調、眼ざわりこの上
ない元凶が喚きながら乱入してきました。

 ――私は神様に嫌われているみたいです。
 自分では我慢のできるイイ子だと思っているんですが一体何がいけないのか。
 予想していたこととはいえ、少々早過ぎます。
 せっかく先輩と好きなだけべたべたするチャンスだったのに……。

 勢いよく開けられたらしい扉は、レールを滑って壁にぶつかり派手に振動しました。
 ここまで間が悪いことはそうはないに違いありません。
 音に驚いた先輩の眼がパチリと開き、左右に慌ただしく首を振って状況の確認をしています。
 ……先輩が起きるまで手を握り続けるつもりだったのが……、残念でなりません。
 「……んっ? 何だ……、あれ? 麻衣実ちゃんどうしたの?」
 「私は先輩の付き添いです。ここは保健室、先輩は寝不足で倒れたんです」
 「……ああ思い出してきた。そうだったな。……まあそれはともかく今すごい音しなかった?」
 「……しましたよ。……先輩の身体を思い遣ることすらできないなんてどれほど身勝手な――」
 しかし、不満を述べようとした私の余裕は、次の瞬間には跡形もなく消し飛んでしまいました。

 何故なら――

 「こ〜ちゃんっ!!!」

 その人物と私達を遮っていたカーテンに黒い手形が付いたと思うと一気に引き放たれ、

 「ごめんなさい。ごめんなさい……。ごめん、なさい。……ごめんな、さい。ごめっ……んなさい。
ごめんなっ……さい。ごめんっ、なさい。ごめっ……んなさい。ごっ……、ごめんなっ……さい。ご
めんなさい。……ごめんなさい。ごめんな、さい。ごめんっ、……なさい。ごめんな……、っさい。
ご……めっ、めんな、さいっ。ごめん……、なさい。ごめんなっ……、……ご、ごめっ、んなさい。ご
めっ……ごめんなっ、……さい。ごめっ……ごめんなさい。ごめん……っなさい。ごめんな――」


 ――――――――壊れた懺悔と共に、血だらけの竹沢先輩がそこにいたからです。

109名無しさん@ピンキー:2006/07/20(木) 23:57:52 ID:DfRd5w95
麻衣実タソエロ可愛いよ麻衣実タソ(*´д`*)ハァハァ
110『二等辺な三角関係』 ◆eOod7XM/js :2006/07/20(木) 23:58:34 ID:NDtq7ZrJ
ここまでです。
レベルアップに必要な経験値までようやく書けました。
111名無しさん@ピンキー:2006/07/21(金) 00:04:34 ID:+RvzbjXD
麻衣実タソキタァ(゚∀゚)ァァ( ゚∀)アァ( ゚)ァア( )ァァ(` )アア(Д` )ァア(*´Д`)アァン

無表情の下に業火を隠す麻衣実タソがツボすぎます
112名無しさん@ピンキー:2006/07/21(金) 01:01:27 ID:vMNin36l
麻衣実タンも凄いがそれ以上にラストに飛び込んできた竹沢の格好が((;゚Д゚)ガクガクブルブル
あぁ、早くも必殺技を炸裂させてしまいのか・・・(*´д`*)
113名無しさん@ピンキー:2006/07/21(金) 02:27:15 ID:sysvrgqh
>壊れた懺悔と共に、血だらけの竹沢先輩がそこにいたからです。

何があったんだ・・・
114名無しさん@ピンキー:2006/07/21(金) 06:20:04 ID:x6sitFfm
>>651
俺の妹ので良ければうpしようか?
115名無しさん@ピンキー:2006/07/21(金) 06:20:34 ID:c/JBPjpl
お願いします
116名無しさん@ピンキー:2006/07/21(金) 07:08:20 ID:x6sitFfm
わあここどこ?









誤爆すいません
117名無しさん@ピンキー:2006/07/21(金) 12:41:27 ID:uKDKBG8D
>>114
とにかくうp汁
118名無しさん@ピンキー:2006/07/21(金) 12:59:52 ID:NuGCuL8R
竹沢さんあんたかわええよ
119名無しさん@ピンキー:2006/07/21(金) 13:02:40 ID:NuGCuL8R
有華ちゃんてうちの嫁がだぶって見える
120名無しさん@ピンキー:2006/07/21(金) 13:07:44 ID:NuGCuL8R
有華ちゃんてうちの嫁がだぶって見える
121名無しさん@ピンキー:2006/07/21(金) 15:32:46 ID:TqM2+bVx
男が嫉妬に狂うパターンはないの?
122名無しさん@ピンキー:2006/07/21(金) 15:42:01 ID:UqOK0Xqf
>>121
前からその話はあるがそれはネトラレの領分に入ってくるからなぁ。
嫌がる人も多いのですよ。
123名無しさん@ピンキー:2006/07/21(金) 15:47:22 ID:4k/q8wWl
>>121
俺は個人的に結構好きなんだけど、やっぱ好みは別れる。
まあ、前もっていっとけば問題ないとは思うよ。
124名無しさん@ピンキー:2006/07/21(金) 16:23:19 ID:m9mzpHGc
男の嫉妬は醜いだけだ
125名無しさん@ピンキー:2006/07/21(金) 16:31:14 ID:57MlR0Yi
こっちでいいだろ
寝取り・寝取られ総合スレ 2
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1133346643/
126名無しさん@ピンキー:2006/07/21(金) 16:57:45 ID:hcMRpV5W
男の嫉妬=寝取り・寝取られと安直に結ぶ、その短絡思考はどうにかならんか
127名無しさん@ピンキー:2006/07/21(金) 17:14:39 ID:hpwTadpH
男が監禁とかしても普通に犯罪だから困る
128名無しさん@ピンキー:2006/07/21(金) 17:15:28 ID:sysvrgqh
>>126
それ以外に何かあるか?
129名無しさん@ピンキー:2006/07/21(金) 17:22:30 ID:OllDO0Fi
まぁ>>124でFAだろ
130名無しさん@ピンキー:2006/07/21(金) 17:23:55 ID:rDmZYdjD
んー、でも女装少年の嫉妬ものが受け入れられていた前例があるから
投下前に注意書きあれば良いと思うけどなぁ。寝取られ駄目な人は勝手に
スルーすればいいし。
131名無しさん@ピンキー:2006/07/21(金) 17:29:41 ID:uiHKW5Ot
OK
女→男
男→男

NG
男→女

と思うんだけど
132名無しさん@ピンキー:2006/07/21(金) 17:32:29 ID:+ofe3bQj
124が真理
133名無しさん@ピンキー:2006/07/21(金) 17:36:20 ID:IzFP+sj4
>>130
寝取られはなんで専用スレが立ってるのか考えてみ。
俺はいくらか耐性があるが、ない奴にはシャレになんないぐらいのダメージなんだよ。
それがあること事態嫌だという奴もいる。
そんぐらい、デリケートなもんだと分かってくれ。
それに、男の嫉妬になると男、女、男の三角関係又は多角関係になるわけだから、必然的にNTRになる。
134名無しさん@ピンキー:2006/07/21(金) 17:43:08 ID:rDmZYdjD
寝取られスレは寝取られて無力感に苛まれる所にカタルシスを
感じてるっぽいから男の嫉妬ものとは微妙に違うんだよな。

あっちのスレに行ったら「嫉妬スレ行け」って言われたりして。
135名無しさん@ピンキー:2006/07/21(金) 17:59:43 ID:hcMRpV5W
>>128
最近読んだもので言えば、
大切な妹が他人と接するのを嫌う過保護な兄が、クラスからイジメを受けるように仕向けて
妹を不登校に陥らせ自宅で幸せに暮らしたり、
愛する幼馴染といつも一緒にいる女友達に嫉妬して、その女友達に気があるフリをして
三角関係形成。2人の友情を完膚なきまでに破壊したりしてたな。

主人公以外に男出さずともやりようはあると思うし、
「必然的にNTRになる」とか言われても想像力の欠如にしか見えません。
136名無しさん@ピンキー:2006/07/21(金) 18:00:00 ID:kAkuJgy2
>>124
そこは同意、レズは美しい(ヌける)から許すがホモは醜いから許さないのと同じだな。ちょっと違うか

137名無しさん@ピンキー:2006/07/21(金) 18:05:20 ID:m9mzpHGc
異性同士の絡みがみたいんだ。
138名無しさん@ピンキー:2006/07/21(金) 18:11:50 ID:uKDKBG8D
別に男の嫉妬も面白ければかまわないけど
正直さじ加減が難しいと思う
やりすぎると「何この犯罪妄想録」だし

それに、女の場合はヒステリーの行き過ぎとも取れる行動ですら
男がやると「女々しい」「陰湿」なんて罵倒を喰らう恐れもある
139名無しさん@ピンキー:2006/07/21(金) 18:16:14 ID:IzFP+sj4
>>135
あんまり噛み付きなさんな。
少し、NTRにならない男の嫉妬あり修羅場プロット考えてみた。

登場人物
主人公 幼馴染(男(D)一人と女二人(AとB)) 泥棒猫の部活の同級生(C) 

主人公とAは両思いだが素直になれない典型的な幼馴染。関係がなかなか進まない。
AはBとDに相談する。そこで、BがAとDが仲良くしている様を見て、主人公が嫉妬するように仕向ける。
んで、嫉妬はするんだけど、主人公はそれが色々マイナスな方向にはたらき、Aとギクシャクしてしまう。
こんなはずじゃなかったのに、と後悔するAと、やり場のない気持ちを部活にぶつける主人公。
そこで、Cが主人公が辛そうにしてると話しかけて相談に乗り、高感度アップ。
仲良くなっていく。
Aは主人公とCが仲良くなっていくのを見て、胸のうちに嫉妬のマグマをためていく。
そして、Cが部室で主人公に告白、いきなりキスのコンボ。
主人公に避けられて、今日こそ一緒に帰ろうとしたAがそれを見てしまう。
A、覚醒。

こんな感じでもいいわけ?
140名無しさん@ピンキー:2006/07/21(金) 18:23:21 ID:L6mQmvmy
NTR好きはこのスレにはあんまり興味ないと思ってたよ
結構相反するだろ
141名無しさん@ピンキー:2006/07/21(金) 18:24:16 ID:uiHKW5Ot
主人公が嫉妬する分には問題ないかと

山本君も誤解とはいえそんな感じだったし
142名無しさん@ピンキー:2006/07/21(金) 18:32:26 ID:hRPb2C/z
>>137
同意。同性愛の修羅場はなんとなくハマれないな。
143名無しさん@ピンキー:2006/07/21(金) 19:01:22 ID:4k/q8wWl
そろそろ、議論はこの辺にしといたほうがよくないか?
マターリ仲良くしながら神を待とうよ。
144名無しさん@ピンキー:2006/07/21(金) 19:23:51 ID:WAK+eT1X
ん、そうだな。まぁこの辺にしとくのが賢明。
145名無しさん@ピンキー:2006/07/21(金) 19:25:05 ID:TL2aFQc4
>>143
同意。
投下すらされていないシチュエーションのことを議論するのは不毛だと思
146血塗れ竜と食人姫 ◆gPbPvQ478E :2006/07/21(金) 19:33:43 ID:8L7C9Yqx
投下します
147血塗れ竜と食人姫 ◆gPbPvQ478E :2006/07/21(金) 19:34:33 ID:8L7C9Yqx

 とりあえず、思いっきり混乱中。
 白とアマツさんが喧嘩したと聞いた。
 落ち込んでるアマツさんを慰めようとした。
 そこへアトリが現れたと思ったらアマツさんに噛み付いていて。
 アマツさんがアトリに小剣を突きつけて。
 殺し合いが始まるかと思ったら、今度はメイドさんが現れた。
 そしてメイドさんはアマツさんに出頭指令を伝えた後、アトリには部屋で待っているように指示。
 そしてアマツさんを連れて行き、僕とアトリは通路に残された。
 
 僕はどうすればいいのかわからずに、ただオロオロしていただけだ。
 情けない。
 思わず項垂れてしまう。
 
 ――と。
 アトリが僕の脇にくっついてきた。
「ユウキさん、いこ?」
「……えっと」
 さて、どうするか。
 アマツさんのことは心配だったが、僕がどうこうできる問題でもない。
 おそらく、出頭は白との件についてだろう。
 近日中に公表されるだろうから、それを待つしかない。
「とりあえず、部屋に行きましょうか」
 そういえば、先程のメイドさんはアトリに「個人的な話がある」と言っていた。
 部屋で持っているようにとも言っていたので、アトリの部屋に行っておいた方がいいだろう。
 
 
「そういえばさ、ユウキさん。あのメイド」
 通路をアトリと並んで歩いていたら。
 先程のメイドさんが話題に出てきた。
 そういえば、アマツさんも妙に警戒していた気がする。
 ビビス公爵のところのメイドらしいので何か曰く付きなのかもしれない。
 わざわざ話に出すということは、アトリにも何か思うところがあったのだろうか。
 纏っていた空気も妙に冷たかったし、ただ者ではないのかもしれない。
 
「おっぱい大きかったよね」
「ただ者ではありませんよね――って、ええ!?」
 
 いやまあ、確かにそれなりに大きかったが。
「ユウキさん、ちらちらとおっぱい見てたでしょ」
「いやいやいや、何でそんな話になるんですか!?」

148血塗れ竜と食人姫 ◆gPbPvQ478E :2006/07/21(金) 19:35:10 ID:8L7C9Yqx

「むう。誤魔化そうとしてるってことは図星なんだ。
 ユウキさんも、やっぱり、大きいおっぱいをむにむにと揉みたいの?」
「話を聞いてください」
「私だってね、成長――は無理だけど、感度には自信があるんだからね!」
「い、意味がわかりません!」
「あーもう、照れちゃって可愛いなあ!
 こうなったらいっそ、ユウキさんが私のを揉んで大きくしてー。
 刺激を与え続ければひょっとしたら細胞が勘違いして増えてくれるかもしれないし!」
 
 よくわからないことをまくし立てながら、アトリは僕の腕を掴んで――って、うわあっ!?
「ほらほら、大きくはないけどちゃんと柔らかいでしょ? ……んっ」
「ちょ、止めてくださいってば!」
「もー。ユウキさんノリ悪いー。先っちょくらい摘んでくれてもいいじゃない」
「……っ!」
 赤面した顔を隠すため、慌ててそっぽを向いた。
 おそらくはニヤニヤしているであろうアトリに、脇腹をグリグリと指で突かれる。
 
 しかし。
 今、少しだけ、気になる言葉があった。
 
 
 ――成長は、無理?
 
 
 ちなみに。
 アトリと部屋に行った後。
 しばらく適当な雑談をして、メイドさんがやってきたかと思ったら。
 
 部屋を追い出されました。
 
 一体、どんな話をするつもりなのやら。
 
 
 
 
 
 
 ユウキさんを追い出した後。
「――ユウキ・メイラーが欲しくはありませんか?」
 メイドは、そんなことを言ってきた。
「欲しいに決まってるじゃない」
 それに、即答する。
 ビビスに私の要求を伝えた時点で、私がユウキさんを欲しているということはバレバレだろう。
 だから、隠す必要なんてない。むしろ堂々と主張してやる。
 ユウキさんが欲しい。
 あの人が、私の一番欲しいもの。

149血塗れ竜と食人姫 ◆gPbPvQ478E :2006/07/21(金) 19:36:03 ID:8L7C9Yqx

「欲しいのでしたら、お手伝いいたします」
 
 そう言って、メイドは小瓶を手渡してきた。
 手のひらに収まるような硝子の中には、私の髪と同じ色、亜麻色の液体が揺れていた。
 
 目的は何だと訊ねたが、メイドは無言で無表情。
 それが、妙に気に食わなくて。
 
「これが毒じゃないって保証はあるの?」
 と、意地悪な質問を投げかけてみた。
「……私たちには、それをするメリットがありません」
 貴女にはまだまだ活躍していただきたいのですから、とメイドは淡々と返してくる。
 ああもう。
 だから、その顔が気に食わないんだってば。
 
「じゃあ、あんたで試すね」
 
 そう言って、押さえ込んだ。
「なっ!?」
「毒じゃないんでしょ? じゃあ別にいいじゃない」
 じたばた暴れるメイドにのしかかりながら、小瓶の蓋を開けた。
 
 ――暴れる動作の中で、メイドの右手が、袖に隠れた。
 
 銀光。
 ばきり、と硬いものの砕ける音。
 
「――ふん。殺すつもりがないくせに、隠しモノを振るうのは躊躇わないんだね」
 言いながら、バキバキとナイフを噛み砕く。
 握りがなく、代わりに円環が付いている。どう見ても、こっそり持ち歩くための武器だった。
 それを、容赦なく私の側頭部――耳孔に向かって振るってきた。殺すつもり満々じゃないか。
「み、身の危険を感じたのですから、このくらいは当ぜ――むぐっ!?」
 何やら言い訳を吐こうとした口に、瓶をおもむろに突っ込んだ。
 液体が半分ほど入ったのを見て、引き抜く。
 
 さて――効果の程はいかがなものか。
 
 
 
 
 
150血塗れ竜と食人姫 ◆gPbPvQ478E :2006/07/21(金) 19:36:59 ID:8L7C9Yqx
 
 
 追い出されてから。
 することもないので、監視員の詰め所で業務連絡紙を適当に眺めていたら。
 先程のメイドさんが、やってきた。
 
「……もう、入っても、大丈夫ですよ」
 
 口調がたどたどしい。
 足下も覚束ない模様。なんだかふらふらしている。
 
「あの、大丈夫ですか?」
 そう言って、手を差し伸べようとしたら。
 ぱちん、と引っぱたかれた。
「――あ! す、すみません。……ですが、お気遣いなく。少々疲れているだけですので」
 そう言って、離れようとする。
 確かに、近づいてみれば、汗のような匂いが鼻についた。
 激しい運動でもしてきたのだろうか。
 見るからに弱っていて、手助けしたいと思ったが。
「と、とにかく近づかないでください! ……い、いまは敏感になってますから……」
 後半は妙に小声だったのでよく聞こえなかったが、どうやら近付かれたくないようである。
 汗をかいて、その匂いを気にしているのだろうか。
 女性って、そういうのは気を付けるみたいだし。
 ……でも、僕は女囚棟の監視員である。女の汗や垢の匂いなど嗅ぎ慣れていて、どうとも思わなかったりするのだが。
 
 ――って、危ない!
 
 足下に落ちていた雑誌を踏み、そのまま滑って転びそうになるメイドさん。
 咄嗟に身体が動いていた。
 駆け出し、手を伸ばし、何とかメイドさんを腕に収める。
 
「きゃっ……!?」
 
 冷たい印象の人だったけど、悲鳴は可愛いんだなあ、と思った。
 まあそれはそれとして。
 こんなにふらついていて、無事に帰れるのだろうか。
 なんだか震えている気がするし、驚いたのか僕の顔をとろんとした瞳で見上げている。
「あの……本当に大丈夫ですか?」
「ひゃ、ひゃいっ! だ、大丈夫でしゅ!」
 噛んでる噛んでる。
「ま、まだ薬が抜けきってないだけですから、少し経てば治ります。
 ……あんなにイかされたのに、まだ治まらないあたり、強力すぎますね、あの薬は……」
 小声でよくわからないことを呟いて、メイドさんが僕から離れる。
 ふと、僕に向けられた目に憐れみのようなものが混じっていた気がするが、気のせいだろうか。

151血塗れ竜と食人姫 ◆gPbPvQ478E :2006/07/21(金) 19:37:45 ID:8L7C9Yqx

「と、とにかく!」
 僕と十分に距離を取ってから、メイドさんは声を張り上げた。
「私の用事は終わりました。――食人姫が待っています。
 彼女が不機嫌になると困りますので、直ちに向かってください」
 そう言って、ふらふらした足取りで、メイドさんは詰め所を後にした。
 大丈夫かなあ。
 あ、壁にぶつかった。
 
「そんなんじゃ、表に出るのも難しいですよ。
 出口まで肩を貸しますから、そこから馬車でも使ってください」
 
 そう言いながら駆け寄った。
 アトリのところへ向かうのは後でもいいだろう。
 とにかく、今はこの危なっかしい人を放っておけなかった。
 
「だ、駄目です……!」
 しかし、メイドさんは頑なである。
 はあ。こうなったら強引に連れて行こうかな、と。考え込みつつ下を見たら。
 
 ぽたり、と雫が糸を引いていた。
 
 どこかでスカートでも濡らしちゃったのかな、と首を傾げる。
「――!?」
 そのしぐさにメイドさんも下を向き、何故か唐突に顔を上気させた。
 それはもう凄い勢いで。湯気が出てもおかしくなさそうだ。
 
「し、しっ、失礼しみゃすっ!」
 
 また噛んだ。
 と思ったら、メイドさんはどんでもない勢いで駆けだした。
「?」
 こちらは、首を傾げるしかない。何か恥ずかしいことでもあったのだろうか。
 
 
 って、ああっ!?
 ――すってーん、と。
 メイドさんが見事に転んでしまった。
 しかし今度は即座に立ち上がり、とにかく脇目も振らず走っていった。
 
 
 ……えっと。
 目の錯覚だとは思うが。
 今、はいてなかったような……。

152 ◆gPbPvQ478E :2006/07/21(金) 19:39:17 ID:8L7C9Yqx
どなたか
この、フラグ立てすぎな主人公を
どうにかしてやってください。
153名無しさん@ピンキー:2006/07/21(金) 19:44:28 ID:uiHKW5Ot
俺には見てるだけしか出来ない…!
154名無しさん@ピンキー:2006/07/21(金) 19:56:19 ID:4ld4n/mX
ユウキ……君というやつは……君に落ち度がないと分かっているが……どれだけフラグを立てれば……

君という存在はっ!!!!!!!!!
155名無しさん@ピンキー:2006/07/21(金) 20:07:24 ID:sysvrgqh
>>152

某ライトノベルのフラグ立て逃げボーイに勝るとも劣らないフラグの立てっぷりですな
156名無しさん@ピンキー:2006/07/21(金) 20:21:34 ID:4k/q8wWl
このスレではフラグを立てるのと死亡率は比例するので無問題。
さて、奴は生き残れるのかなあ。
157名無しさん@ピンキー:2006/07/21(金) 20:22:41 ID:L6mQmvmy
>>155
kwsk
158名無しさん@ピンキー:2006/07/21(金) 20:46:45 ID:5byrV09z
その幻想をぶち殺・・・・せねぇ!!
こんなドリーム壊せねえでありますよ!!
159名無しさん@ピンキー:2006/07/21(金) 20:54:28 ID:g6QlwuFT
ヤベェ、ヤベェよ兄貴……死亡フラグにしか思えねぇ!!
160名無しさん@ピンキー:2006/07/21(金) 20:59:00 ID:b2Bziek7
またなんか新しいフラグキタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━!!!!!
161名無しさん@ピンキー:2006/07/21(金) 21:02:54 ID:mL88nzIh
もちろんここでのフラグってのは死亡フラグの事ですよね? 
162名無しさん@ピンキー:2006/07/21(金) 21:05:38 ID:uiHKW5Ot
好かれるフラグと死亡フラグは違うよ

相乗関係にあるだけで
163名無しさん@ピンキー:2006/07/21(金) 21:47:25 ID:oZqZoot9
絶望した!ユウキ君という存在そのものに絶望した!!
164名無しさん@ピンキー:2006/07/21(金) 22:03:30 ID:Nok9eZbC
「おまえは今まで立てたフラグの本数を覚えているのか?」
165名無しさん@ピンキー:2006/07/21(金) 23:17:23 ID:7RefSmhp
でも見たい!!
色々活躍するユウキが私達は見たいんだ!!!!!!!!!!!!!
166名無しさん@ピンキー:2006/07/21(金) 23:31:28 ID:AYhsIu29
ユウキがフラグを立てれば立てるほど彼への好感度が増していく俺ガイル


あれ?もしかして俺がフラグ立てられた?
167名無しさん@ピンキー:2006/07/21(金) 23:33:32 ID:LWQp7+Gh
うろたえんじゃねぇーッ!!


落ち着け…素数をを数ええて落ち着くんんだだだ…
168名無しさん@ピンキー:2006/07/21(金) 23:49:31 ID:4xQVOB27
>>168
神父様落ち着いて!素数は2の倍数ですよ!
169名無しさん@ピンキー:2006/07/21(金) 23:50:01 ID:8OuO16al
ttp://bbs9.fc2.com/bbs/img/_166100/166037/full/166037_1153493042.jpg
並べて書いてみた。
エロゲのパッケージ風?

執念深い子が大好きです。(聞いてない)
170名無しさん@ピンキー:2006/07/21(金) 23:52:40 ID:Fxpy+9Y1
キタコレ!!
171名無しさん@ピンキー:2006/07/21(金) 23:54:27 ID:jIdu6vzN
沃野キター
神さまGJすぎ!
172名無しさん@ピンキー:2006/07/22(土) 00:01:32 ID:Q1Y6t50O
>>169
こんなエロゲを待っていた!
発売マダー
173名無しさん@ピンキー:2006/07/22(土) 00:02:48 ID:61dj2GDk
はいはい……スゲーーーーーーー!!!
174名無しさん@ピンキー:2006/07/22(土) 00:03:34 ID:uiHKW5Ot
   , ノ)
  ノ)ノ,(ノi
  (    (ノし
┐) ∧,∧  ノ  ほほう嫉妬ブームか
..|( ( ....:::::::) (
 ̄⊂/ ̄ ̄7 )   lヽ,,lヽ
 (/ ぬま /ノ   (    ) やめて
   ̄TT ̄    と、  ゙i
175名無しさん@ピンキー:2006/07/22(土) 00:16:03 ID:v7L6L4dt
ktkr!
176名無しさん@ピンキー:2006/07/22(土) 00:27:37 ID:ZNotCc1P
>>169
エロゲ製作フラグktkr!!
金出すから作ってくれええ!!
177名無しさん@ピンキー:2006/07/22(土) 00:38:56 ID:uhIzxPOh
作ってみたいのに作れないジレンマを抱えた俺が居る('A`)
178 ◆XAsJoDwS3o :2006/07/22(土) 00:40:10 ID:4ZWNBhzF
>>169
サウンドノベル版のタイトル画面、これに差し替えたくなった…
お借りしてもいいですか?
179名無しさん@ピンキー:2006/07/22(土) 01:49:38 ID:8/mhnOpl
>>169
貴方にGJを捧げたい。
次は沃野神の降臨に期待したいゼ。
180名無しさん@ピンキー:2006/07/22(土) 01:58:46 ID:/pgq3aka
夢のコラボktkr!!
181アビス  ◆1nYO.dfrdM :2006/07/22(土) 02:01:15 ID:Gv0hqg/o
投下します
 私は目の前に広がる光景に唇を噛み締めた
 あの女、南条秋乃が馴れ馴れしく涼ちゃんの腕を取り、仲良さげに歩いている
 私は見るに見かねずに二人に近づき涼ちゃんに馴れ馴れしく涼ちゃんに触れる汚れた手を払った
 女は私を睨み威嚇する、牽制を無視し私は涼ちゃんに笑いかけた
「涼ちゃん、騙されちゃダメよ・・・・」
 私が目線で女にメッセージを送った
 意図を理解した女の顔が恐怖で青ざめるのを見て私は口元を緩め涼ちゃんの手を取った
「さ、帰りましょうか・・・・涼ちゃん」
「え・・・・あ・・・・・でも」
 涼ちゃんはあの女を見て少し戸惑った
 その瞳に映るあの女の不安な顔・・・・
 あの女が吐いた息を吸う涼ちゃんの呼吸・・・・
 涼ちゃんと同じ地面にあの女が立っている・・・・
 私はそれすら許せずにいる・・・・
 何時からだろう・・・・こんなにも嫉妬深くなったのは
 何時からだろう・・・・こんなにも涼ちゃんを愛してしまったのは
 そんなことどうでもいいか・・・・
 いま許せないのはあの女の存在そのものだ
 道端の石ころのくせして私の涼ちゃんに近づくなんて許せない・・・・
 ましてや私が何年も秘め暖めた想いを踏みにじるようなことなどさせない
 涼ちゃんは私の物、私だけの物・・・・・誰にも渡せない
「あんた、涼ちゃん騙しといてまだ・・・・近づく気?」
 私は嫉妬と怒りに任せ、冬香から聞いたあの女の弱みを口に出した
 たったそれだけのことなのに血が騒ぎ、恍惚感は身体を巡る
 それに凄まじく上出来に言えた、さりげなく会話が途切れないような抜群のタイミングで
 私は冷静な声で・・・・
「わ、私・・・・・は!」
「騙す?騙すってなに?」
 当然食いついてくる涼ちゃん、だから私はこう言った
「この子ね、双子の姉妹がいるのよ?それでね・・・・時々入れ替わってたんだよ?」
「え・・・・・」
 あらかじめ決めていた言葉を今思いついたかのように言い、涼ちゃんに微笑みかけた
「涼ちゃんに告白したのはどっちなのかな?デートしたのは?いまももしかしたら双子の姉妹さんかもしれないわよ」
 涼ちゃんの手からカバンが落ち、呆然とあの女を見つめた
 ふ、ふはははは!やったわ!これでもう涼ちゃんはこの女を信じることなんてできない!
「ほんと・・・・なの?」
 確認しなくたってわかるわよね?
 あんな顔して俯いた、否定の言葉も吐かない南条秋乃を見れば
「あれ?どうして違うって言えないの?涼ちゃん、やっぱりあの噂ほんとかもよ?だって大嘘付だもんこの子」
 涼ちゃんは裏切られた悔しさで拳を握り、目元を引きつらせた
 涼ちゃんは昔から嘘が大嫌いだったもんね?
 ほらほら、はやくこの子にとどめ刺しちゃって!
「僕、キミのこと好きだった・・・・・でも、もう信じられないよ!」
「ま、待って!これには理由が!!!」
 なにを今更、私がこんな子無視して行こう
 そう言おうと思った瞬間、涼ちゃんは物凄い形相であの女を睨んだ
「離して!」
 いつの間にか涼ちゃんの腕を掴んでいた手を払うと涼ちゃんは、微笑み涙した
「りょ、涼・・・・・さん?」
 少しの間のあと涼ちゃんは重い口を開き言葉を発した
「僕の好きだった、南条秋乃は・・・・どっちの南条秋乃だったの?」
 このさい、涼ちゃんの初恋を奪われたのは大目にみてあげよう
 そんなことどうでもよくなるほどに涼ちゃんは南条秋乃を拒絶したのだから
「ごめん、噂もそうじゃないって信じてる・・・・キミはそんな軽い子だなんて思ってないし」
 少し優しい言葉を掛ける涼ちゃん
 でも私には次の言葉があの女にとどめを刺す
「でも、信じられないよ・・・・キミの言葉・・・・全て・・・・・今は・・・・・全部」
 それを知っていた
 私は涼ちゃんの涙を拭って、優しく微笑む
「夏・・・・・姉ちゃん」
 私を見て涼ちゃんは空を見上げ涙を見せないようにした
「涼ちゃん・・・・・」
 私は涼ちゃんの頬に手を重ね、自分の方に向かせた
 そしてゆっくりと唇を寄せ、口付けた
「・・・・・ん」
 涼ちゃんの肩の向こうで嫉妬に塗れ絶望する南条秋乃を見て私はニッと笑んだ
「夏・・・・姉ちゃん?」
「好きよ、涼ちゃん・・・・・あの女のような偽りの想いじゃないわ・・・・本気で好きよ」
 私が笑むと今度は涼ちゃんから私を求めてきた
 もう、涼ちゃんったら・・・・・これ一様、私のファーストキスなんですけど?
 でも良いわ・・・・
 私は見せ付けるようにあの女に私と涼ちゃんが舌を絡める様子を見せつけ
 これ以上ない位の優越感を味わい、それに加え涼ちゃんとの情熱的な口付けに幸せのあまり肉体的に絶頂しそうになるのを必死で堪えた
184アビス  ◆1nYO.dfrdM :2006/07/22(土) 02:08:23 ID:Gv0hqg/o
>>169
最高です、胡桃は妖艶で、麻耶はちっさくて可愛い
しかし、凄まじく絵が綺麗ですね・・・・
GJです!!!!
それと私も嫉妬深い子大好きですよ
女の子は嫉妬しヤキモチを妬く姿が一番魅力的ですからね

月曜日に本編のラストと間に合えば「もう一つ」の四話を投下します
185アビス  ◆1nYO.dfrdM :2006/07/22(土) 02:09:26 ID:Gv0hqg/o
すいません、執念深い子ですしたね・・・・orz
186名無しさん@ピンキー:2006/07/22(土) 02:47:13 ID:UsJqinum
それで田代どこ就職するの?
187名無しさん@ピンキー:2006/07/22(土) 02:59:57 ID:1bpTmjoj
>>183

最後から5行目の
「もう、涼ちゃんったら・・・・・これ一様、私のファーストキスなんですけど?」
の「一様」って「一応」じゃない?
188名無しさん@ピンキー:2006/07/22(土) 03:13:26 ID:bFrXXd0M
>>152
二回読み返して今気付いた。
瓶半分できょぬーメイドにあのダメージ…果たして本当に恐ろしいのは薬かアトリか。
アトリがメイドをむにむにしちゃうとこはガッツリ濃厚に見たかったけどそこは自家発電しますハイ
>>169
まさか…まさかまた麻耶たんが拝めるなんて……!!!!
よし!!医者から止められてるけど今日は呑む!!
189名無しさん@ピンキー:2006/07/22(土) 03:29:15 ID:QqW1wVKQ
>>184
作者様GJっす
こちらでも姉が勝つの・・・かな?
やはり最後に勝つのは年が上の人間なのか・・・妹、不憫な子(;つД`)
190名無しさん@ピンキー:2006/07/22(土) 08:33:49 ID:71dkCbcd
>>169
sugeeeeee!11!!!!!11
191169:2006/07/22(土) 08:45:03 ID:IF2JOGJN
>>179
てけとーにきったりはったりして使ってやってください。
192名無しさん@ピンキー:2006/07/22(土) 09:52:54 ID:pkEV5AUH
>>188
深夜の深酒なんて駄目だよ!もしそんなことで>>188君が死んじゃったら・・・・・・

私、後を追うよ?
私、電車に飛び込んで自殺するよ?血がたくさん出るよ?
私の体、バラバラになって、内臓や手足がホームに飛び散ったりするんだよ?
自分の彼女がそんな風になったら、>>188君は悲しいでしょ?何で深酒なんてするの!?



・・・そう、わかっちゃったよ。
>>169のせいね。あの子が>>188君を誑かしたせいね?
それで>>188君、深酒なんかしちゃったんだね?
>>169、絵がすっごく上手だから、彼女とはいいお友達でいたかったけど・・・・・・





もう、無理だね。>>169には、いなく、なって、もらうしか、無く、なっちゃった、ね。ふ、うふふふふ・・・
あはははははははははははははh

>>191
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・みつ、けた。
193名無しさん@ピンキー:2006/07/22(土) 10:41:30 ID:td8Myh1O
うーん、なんだか盛り上がってるな。投下します。
194教授の狂詩曲、ロリコンの二重奏 ◆n6LQPM.CMA :2006/07/22(土) 10:46:04 ID:td8Myh1O
「さーーて、お待たせ致しました。本日のメインイベント!!今一番輝いている
カップルはだれだ?そう!それはあなた!誰が見ても輝き、そして熱いカップル
を決める大会!!それがこの「ラブラブカップルの部」!!!予選の
ペーパーテストと体力検査を勝ち抜いた兵どもの未来は夢の跡か!それとも熱海で
の愛の語らいか!さあ!!そんな愛の戦士十組の紹介をしまーす!!
まずは最初の組から……」

ステージ裏で待機しているカップルは一様に皆緊張した面持ちであった。
その中である一組のカップルは緊張というよりも疲労困憊の様子であった。
「まさか砂浜で走らされるとは思わなかったよ……」
もう一歩も動けない、って感じの樹に対して
「体力ないですよ樹さん。しっかりして下さい。」
一億馬力は伊達ではないのか、まだまだ大丈夫って感じの晴香は体力が有り余っ
ているようだ。
テンションが上がりっぱなしの晴香は、じっとしていられないのか辺りを
キョロキョロしたりステージの様子を見ていたが、やがて飽きたのか
地面に体育座りしていた樹の隣に座り、体を密着させてきた。

「ああ……、やっぱり樹さんの隣は落ち着きますね。樹さんの体温、息づかい、
匂い…いーっぱい樹さんを感じることが出来て嬉しいです。」
「そういうもんなの?よく分からないけど…」
「そういうもんです!……まあ本当ならこの雰囲気に乗ってエッチに
持ち込みたい所なんですが、ちょっとギャラリーが多いのであ・と・で・……ね。」
「その元気があればね……」
そろそろ順番だな、と考えていたらふと晴香が
「そういえば樹さん、あの生意気なチビは見かけませんがどうしたんですか?」
(ギクッ!!)
「……ああ、夕子ちゃんね。ちょっと野暮用で町の方に行ってるはず……かな?」
それを聞いた晴香は顔を輝かせて
「そうなんですか?なんか見かけないなと思ったら……そう……いないの……
これで邪魔者はいないな、うふふ」
195教授の狂詩曲、ロリコンの二重奏 ◆n6LQPM.CMA :2006/07/22(土) 10:48:01 ID:td8Myh1O
「さーーて、最後のカップルはーー、高校生からのお付き合い、そして大学に
入っても冷めることなく続いてきたとっても熱いカップル、
佐藤樹、五十嵐晴香のペアだーーーー!」
司会者に呼ばれて、二人はステージに上がってきた。
若干緊張の面持ちの樹に対して、晴香は樹に寄り添って手を振
ったり、ジャンプしたりとアピール全開だった。
晴香にとってはこのイベントで二人の絆をより強い物にしたかったし、なにより肝心の
樹が中々積極的に来てくれないので、このイベントを通して少しでも意識、
もしくは自覚などを持って欲しいと思っていた。


「さーて、最後のカップルは、おっと、晴香さんは先ほどの「イリュージョンの部」
でも出てましたね。ということは先ほど出てたのは……」
司会者が言い切る前に晴香は眉を顰めながら激高した。
「冗談じゃないわよ!!さっきのは麻奈美が思っていたカップルで、
私的にはこっちが本当のカップルよ!!」
そう叫んで晴香は樹に胸を押し当てながら抱きついた。
「はあ……うーん、まあいいでしょう!可愛ければもうなんで
もあり!!それでは幾つか質問します。お二人の出会いはどう
いったかんじでしたか?」
まさしく待ってましたと言わんばかりに晴香は得意満面に
「出会いは正に運命でした。樹さんがサッカー部で、私がマネ
ージャーをしていたのですが、樹さんのカッコ良さに私は一目
惚れで……すぐ告白し、それからは近づく泥棒猫をやっつけな
がら今現在まで愛を育んできました。」
196教授の狂詩曲、ロリコンの二重奏 ◆n6LQPM.CMA :2006/07/22(土) 10:49:47 ID:td8Myh1O
自分に酔っているのかやや演説口調だったが、その堂々とした
口調にギャラリーも驚いていた。今晴香は「このステージは私
が主役よ」状態だった。
「いやー、堂々としたしゃべりで感動しました。では彼氏にも
聞きましょう。ずばり彼女のここだけは直して欲しいとこは!!」
「え?う〜ん、えっと……」
正直いっていっぱいありすぎてなにを言えばいいか迷っていた
。かといって下手なことを言えばステージ上で大暴れするかも
しれないし…ふと晴香を見れば
「なに迷ってるんですか?直して欲しいとこなんてあるわけないでしょ。」
その根拠の無い自信はどこからくるんですか?
「あ……あ、そうですね、しいてあげれば晴香ちゃんのフェロモンが強すぎて
悪い虫がついちゃうから、出来ればもう少しフェロモンを弱めてほしいな……なんて」
我ながら少しクサすぎたかな、と思ったけどどうやらそうでもなさそうだ。
会場からは口笛や囃し立てる声など会場は大フィーバーだ。
そんな中会場のどこからか突き刺さる視線を樹は感じた。
恨みや憎悪、嫉妬を含んでいるような視線に樹は鳥肌がたち、寒気を感じた。
(な、なんか冷たい視線を感じるけど、一体誰が……)
「あー、熱い!熱すぎます!確かにこんなに可愛い彼女だったら彼氏としては
心配ですよね〜!!はい、有難うございます。後ろの列に並んで下さい。」
ステージ後方では横一列に出場者が並んでいるので樹たちもそれに並んだ。
やっと一息つけたところで晴香が肘でつついてきた。
「樹さん……うれしい……今夜は大サービスしちゃうから。」
樹は「はは……ありがとう。」と笑ったが顔は脂汗で一杯だった。
(さっきの視線といい、この胸騒ぎといい、なにかが起きるのか?……)

「さーて、いよいよ一番のカップルを決める「ラブラブカップルの部」の順位を
発表しまーす。私個人といたしましては全員一番なのですが、まあそれでは大会を
開く意味が無いので、うらみっこなし!で行きたいと思います。それでは第三位は………」

もう順位なんてどうでもいいから早く終わってほしい。でないとなんか怖い。
片や晴香ちゃんは第二位まで自分じゃなかったので、固唾を飲んで聞き入っていた。
「さてお待たせ致しました。ついに第一位の発表です!!今審査委員から結果発表が
書いている手紙が渡されました。それでは読み上げます。第一位は…………
佐藤、五十嵐ペアだーーー!!!」

その瞬間会場、ステージ共に大歓声が起こり、二人も信じられないといった顔をしていた。
ステージ前方に歩いて行き、ステージ上に紙ふぶきが舞う中、
司会者が祝福の言葉を言おうとした時、ありえないものが晴香めがけてステージに飛んできた。
197教授の狂詩曲、ロリコンの二重奏 ◆n6LQPM.CMA :2006/07/22(土) 10:52:23 ID:td8Myh1O
え?本当??夢じゃない??やったーーーー!!嬉しい!!これで熱海で
だれにも邪魔されないで樹さんと

べちゃ

ん?なにか当たったわね。なにこれ気持ち悪いわね。………熱


「あちちちちちちちちち!!!!あつーーーーーーい!!!!」

顔に当たった「物体」のあまりの熱さに晴香は床を転げ回った。
「晴香ちゃんどうしたの!!……は?」
樹はわが目を疑った。本来此処には無いものが晴香にくっ付いている。
「なんで顔に……お好み焼きが……」
会場にいる全員が呆気にとられているその時

「ちょっとまったーーー!!」

「……は!おーっとちょっとまったコールだーー!!ってそんなルールはないですよ。
だれですか?」
ステージ上に誰かが乱入してきた。
その堂々とした態度、モデル並の身長に見事なスタイル……
「あ、弥生さん!!!」
そう、氷室弥生がこともあろうにステージへ乱入してきたのだ!
「あ!あなたは「セイレーンの部」優勝者の氷室弥生さんではないですか?いきなり
乱入とは穏やかじゃないですね。」
よく喋る司会者を弥生は無視して、お好み焼きのソースで黒くなった晴香に近づいた。
「はんっ!惨めなものね……五十嵐晴香。」
「はあはあ……なんですって!」
挑戦的な目をした弥生に対して、まだ事態が飲み込めない晴香は混乱していた。
「あ、あんた!樹さんの店にいたウェイトレス!!なんでここに……」
「んー、まあ簡単に言えば、あんたの邪魔しに来たんだけど、……まさか
冗談で投げたお好み焼きが綺麗にクリーンヒットするとは思わなかったわ。ぷぷ。」
「な!」
晴香はなにがなんだかわからなかった。なんでこの女は邪魔するの?なんでお好み焼きを
投げるの?なんでここにいるの?なんで……なんで……なんで……
「あら、だいぶ混乱しているわね。じゃあ分かりやすく説明してあげる。」
そう言った弥生はゆっくりと樹に近づき、体を密着させてきた。
「私、樹のこと、愛してるの。」
晴香に対して挑戦的な笑みを浮かべて、弥生は樹と唇を合わせた。

「ん?………ん、ん。」
「!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」



あは、あは、今何をしたの?
この私の目の前でキスするなんていい度胸じゃない。
しかも「愛してる」だぁ?
初めて会った時にあの瞳の中で燃えていた嫉妬の炎……
チビといいこの女といい、どいつもこいつも本気のようね……分かったわ。
あはははははははははは…………

……す、……す、……す、……す、……す、……す、
コロスコロスコロスコロスコロスコロスコロス


全部殺してやる!!!!!!!
198教授の狂詩曲、ロリコンの二重奏 ◆n6LQPM.CMA :2006/07/22(土) 10:54:21 ID:td8Myh1O
「はい、そこまで!」
火花を散らせていた二人の間に司会者が割り込んできた。
「まったく……司会者の私を差し置いて勝手に話を進めないで欲しいですね。」
「「あんたは関係ないでしょ!!」」
二人のプレッシャーに押されて司会者はたじろいだが、そこは
司会者。なんとか場を仕切ろうと必死だった。
「何を言ってんですか!このステージは私が仕切ってんですよ!その私を
差し置いて話を進めようとしても駄目です!!」
司会者の頑とした態度に二人して冷たい視線を浴びせていたが、ギャラリーは
「いいぞー、もっとやれ」など煽り立てていたので、会場はちょっとした混乱状態だった。
「みなさんお静かに!!……不測の事態が起こってしまいました!!なんとこの
佐藤樹さんの彼女はこちらにいる五十嵐晴香さんだと思っていましたが、な、なんとー!
今乱入してきた「セイレーンの部」優勝の氷室弥生さんも彼女だと主張していま
す!!そこでどうでしょう!!どちらが本当の彼女なのか勝負して決めようと
思うのですが如何でしょうか!!!!」
もちろんギャラリーも反対するわけなく、「いいぞーやれやれ!!」や
「彼女対泥棒猫の対決だ!!」などなど勝手に盛り上がってきた。
しかし当の本人の樹はまるで魂が抜けたような顔をしていた。
(弥生さんが……愛してるって……キス……)
そんな惚けている樹を我が物にしようと、二人……晴香と弥生は
今まさに互いに飛び掛ろうとしていた。

(殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す!!!!)
(ふふっ、あんなに顔真っ赤にして…怒ってる怒ってる。)

「さて、勝負の前に氷室さんにお聞きします。まずいきなり乱入してきましたけど、
何でまたそんな方法をとったのですか?」

そのように司会者が質問してくるのは想定内だったのか、弥生は涼しい顔をして

「んー、そうね、色々あるけど晴香の邪魔をしたかった、っていうのが一番かしら。
なにしろ樹は晴香とエントリーしちゃったから私とはエントリー出来なくなったし、
だからといって指くわえているのもね。で、ちょっと強引だけどこんな方法を取った、ってわけ」
「うーん、なるほど。よくわかりました。でもやっぱり乱入は……」
司会者が言いかけた時、弥生が司会者を指差し
「なに言ってるの!あんた言ったでしょ!!「可愛ければもうなんでもあり!!」って!!
それとも私が可愛くないっていうの?」
司会者は困った顔をしているが、会場のギャラリーは「認めろ
ーー!」とか「可愛いに決まってるだろ!」とブーイングが起きていた。

(乱入なんて認められないけど…けどこの「彼女対泥棒猫」のバトルは見物かも)

暫く考えたあと、司会者は顔を上げて
「分かりました!!特別に認めましょう!!それでは佐藤樹を
掛けて五十嵐晴香対氷室弥生の対決を始めたいと思います!!」
うおーーーー!!
一気に会場はヒートアップし、狂喜乱舞して喜んでいるようだ。
199教授の狂詩曲、ロリコンの二重奏 ◆n6LQPM.CMA :2006/07/22(土) 10:55:55 ID:td8Myh1O
「さて、まずはお二人に討論してもらいます!!やはり彼女で
したら泥棒猫を言い負かせる位は簡単なはずです!!それではスターーーート!!」
いきなり討論っていわれてもね……それにしても会場はすごい盛り上がってるわね。
でもこの空気は嫌いじゃないわ。自然と私のテンションも上がるってもんよ。
樹は…っとうん、後ろに下がったわね。そこなら安全だわ。
さて暴走娘は…うーん、こっちを睨んでいるわね…まあ当然か。
あ、口をあけたわ。開口一番なに言うのかしら。

「殺してやる!!!」
「あら、随分物騒ね。こわいこわい。」
「ふざけないで!!」
「ふざけてないわよ。私はいつも真剣……自分自身も恋も……」

「おーーっとまずは二人とも鍔迫り合いといった所か――!!」

「大体なんで私にお好み焼き投げるのよ!!」
「あ、あれ?ただのい・や・が・ら・せ♪まさか当たるとは思わなかったけど」
「なんですってーーーーー!!」
晴香は怒りに我を忘れて弥生に掴み掛かろうとしたが、司会者に体を張って止め
られてしまった。しかし晴香の突進力は凄まじく、司会者は吹き飛ばされてしま
い、晴香は弥生の首に掴み掛かり、締め上げた。
「あんたのせいでせっかくのイベントが台無しよ!!樹さんと優勝して、熱海い
って、楽しんで……全部あんたのせいで!!!」
晴香の腕力は人並みではあるけれど、本気で弥生の首をへし折るつもりなのか、
力を緩めるつもりはないようだ。
余裕の風を吹かしていた弥生もさすがにここにきて顔に苦悶の表情を浮かべ始めていた。

「あ……くっ……がはっ……いい加減に……」

弥生は掴み掛かっていた晴香の顔を逆に掴み

「しなさいっ!!!」

そう言って掴んだ顔を押して、晴香の手を首から離した。
「ごほっごほっ……全くなんて馬鹿力なのかしら。恋する女の力は偉大ね。」
弥生は一気に掌に力を込めた。親指と人差し指がこめかみに食い込んでいった。
と同時に少しだけ晴香をそのまま持ち上げた。
身長の差もさることながらリーチもあったため、掴まれた晴香はどうすることも
できず、ただ叫び声を上げるだけだった。
200教授の狂詩曲、ロリコンの二重奏 ◆n6LQPM.CMA :2006/07/22(土) 10:59:18 ID:td8Myh1O
「おーーっと氷室選手、顔を掴んでアイアンクローだーーーー!!」
「痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛いーーーーーー!!!!あーーーーー!!」
「ふんっ!!」

晴香のこめかみから血が滲み出てきた時、弥生は掴んだまま司会者に投げつけた。
司会者はなんとか受け止めたが、晴香はあまりの痛さに
血が滲み出てきたこめかみを押さえていた。

不敵な笑いを浮かべながら、ゆっくりと弥生が近づいてきて
「私ね……時々インターネットやるのよ。」
「…………」
「それでね、お気に入りのサイトに、三角関係や修羅場をネタにしている
サイトがあるんだけど、そこで、ある統計があったのよね。」
「な、なにを言って……」
戸惑う晴香を無視して弥生は続けた
「それによるとね……彼氏を巡って「彼女」と「泥棒猫」が争
った場合、殆どが彼女の勝利ってパターンが多いのよね……」
「あったりまえよ!!彼女が泥棒猫に負けるわけないわ!!」
「それで貴方が樹の彼女で、私は泥棒猫……統計で見れば貴方が有利ってことよね。」
「その統計は知らないけど、彼女が有利ってのは一緒に過ごした時間が泥棒猫よ
り多いし、絆を深められる時間だってあるんだから当然よ!!」
いつのまにか弥生のペースにはまっていたが、言っていることには興味津々だった。
「でも私は違うわ!!」
床に座ったまま喋っていた晴香に対して指差し
「泥棒猫がヤラレ役の時代は終わったのよ!!!!」



「え〜、どうやら決着がつきそうにないので、討論対決は引き分けです!!!で
は次の対決は……これだーー!!!」
「ちょっと何よこれ!」
201教授の狂詩曲、ロリコンの二重奏 ◆n6LQPM.CMA :2006/07/22(土) 11:01:00 ID:td8Myh1O
晴香と弥生の二人の頭と腹に紙風船が付けられ、手にはグローブがはめられた。
しかも互いの腕は紐で結ばれていた。
「さーて次の対決は、格闘対決だーーー!!お二人の体に付いている紙風船を先
に全部割った方が勝ちです。しかもお互いが紐で結ばれているため逃げ回ること
も無理です。それでは………」
(ウェイト差がありすぎるわね…なら)
(ふっ、あいつの考えることなんてお見透しよ。たぶん…)

「ファイト!!!!」

(先制攻撃よ!!)
(先制攻撃ね!!)

「あーーーっと、二人同時に飛び出したーーー!!そしてーーー!!あ、クロスカウンターだ!!」
二人の拳が互いの顔に命中した!だが……
「い、いや違う!当たったのは氷室選手だーー!!」
弥生の方がリーチがあったので、晴香の拳は届かず、弥生の拳が晴香の顔面にめり込んだ!
「ぐはっ!」
吹き飛んだ晴香を弥生は返す刀で腕に縛られた紐を強く引っ張った。
「う、うわっ!!」
強く引っ張られた晴香はバランスを取ることもできず、弥生の方に飛ばされ……
(悪いけど、格闘術なら負けないわ)
「あーーっと!!氷室選手!!飛んできた五十嵐選手の腹にクリーンヒット!!まずは風船一個目!!」
もろに腹に入ったので晴香は動けないでいた。
(くっ……くそっ……)

「あ!ここで氷室選手!トドメとばかりに五十嵐選手に向かって走ったーー!!」
「悪いけどこれで終わりよ!!」
「!!!!!!」

これで終わりと晴香が覚悟を決めたその時、異変が起きた。弥生の動きが止まったのだ!!

「ん?どうした氷室選手!動きが止まったーー!!」

「あ……あ……あ……こんな……ときに……」
弥生は胸に手を当てて蹲ってしまった。
「もらったーーー!!」
チャンス!と判断し、晴香が弥生に突撃をかけた!!
「そこだー!」
狙いすました一撃が弥生の頭に乗っていた風船を貫いた。
「ここで五十嵐選手、氷室選手の風船を割ったーーー!!これで五分五分だ!!」
「なんだか分からないけど、動きが鈍い今がチャンス!」
続けざまに腹に一撃を加えようとしたが、弥生はなんとかかわした。
(だ、駄目だ。全く動かない。このままではここにいる全員に……そんなことになるくらいなら)

「え?」
202教授の狂詩曲、ロリコンの二重奏 ◆n6LQPM.CMA :2006/07/22(土) 11:02:16 ID:td8Myh1O
「あ、あーー!!」

弥生は自らの拳で腹にあった風船を割った。
「氷室選手!!自らの拳で腹にあった風船を割ったーー!!この勝負五十嵐選手の勝ちーーーーー!!」
唖然呆然とした晴香と観客を無視して、紐を解いた弥生はふらつきながら樹の元に近づいた。
「樹、どうやら時間が来たようだ。すまないが運んでくれ……」
それだけ言って弥生は樹に凭れ掛かった。
「弥生さん、しっかり!!」
どうやらあまり時間はないようだ。
「あ、すいません、急患なのでここで失礼します、晴香ちゃん、あとは宜しくね。」
晴香や司会者にそれだけ言って樹は弥生を背中に乗せ、会場を後にした。




「弥生さん、着替えもってきました。ここに置いておきますね。」
「あ、ありがとう。そこにいてね。」
会場を飛び出してから背中がどんどん軽くなるのを感じて、このままではお店に戻れず、
途方にくれていたらちょっと離れた所に岩場があったので、ひとまずそこに身を隠した。
人気も無いようなので弥生をそこに残し、樹はお店に戻って着替えを取り、また戻ってきたのだ。
(まさかコンテスト中に起きるなんて……でも危機一髪だったな。でも、
コンテストすっぽかしてきたから後で晴香ちゃんに謝らないと……)
でも樹は晴香に悪いことをしたと思っていると同時に、ほっとしてもいた。
(あのままではどちらにとっても遺恨を残しそうだし、何より二人の勢いを見たら
どちらかが大怪我でもしそうだったしな……)
「樹、いいよ。」
後ろから声を掛けられたので振り返るとそこには……

岩場に立つ、ちっちゃい弥生さん

(魔法……解けちゃったな……)

「どうしたの樹?今にも泣きそうな顔をして。私なら大丈夫だから。さ、お店に帰ろ。」
弥生はそう言うが、樹はなんて言えば分からなかった。
そんな樹の迷いを感じたのか弥生が
「正直に言うとさ……小さい私も結構気に入ってきたのよね。だから平気。さ、行こ。」
弥生は樹の手を取って、お店に歩き出した。

第六話「愛とユウキ」完
次回第七話「思い出が終わるトキ」
203名無しさん@ピンキー:2006/07/22(土) 11:04:59 ID:td8Myh1O
次回で海の話は終わりの予定
ここまでで予定の半分は越えたかな?
204名無しさん@ピンキー:2006/07/22(土) 13:54:16 ID:uhIzxPOh
投下しますよ
205『とらとらシスター』10虎:2006/07/22(土) 13:55:15 ID:uhIzxPOh
「眠い」
 声に出してみると少しは眠気も覚めるかと思ったけれど、やはりどうにもならずに眠い
ままだった。眠くない、と言った方が良いのかと思って発音してみても結果は同じ。眠気
が覚めないまま、僕は居間へと向かった。
 一人で。
 目が覚めたら、珍しく隣に姉さんは居なかった。ここ数年続いていたことだけに、僕を
起こしにきたサクラは驚いていた。しかし何よりも、朝になって姉さんの体温が無かった
ことに僕自信が一番驚いていた。
 だから、もしかしたら昨日の夜のことは夢かもしれないと、そう思っていたのに。
 シーツに付いた血の跡と、情事があった証のむせかえるような男女の匂い。そして何よ
り、体に染み付いた焼ける程の姉さんの匂いが狂わせる程に意識を吹き飛ばした。決して
許されない行為が、僕に起きたという事実だけで自殺をしたくなる。
「兄さん、どうしたんですか?」
 どうやら、もう着いていたらしい。
「虎徹ちゃん、おはよ」
 視線を向けると、姉さんが笑顔で僕を見ていた。
「お、はよう。サクラも……姉さんも」
 昨日のことが無かったかのように、いつもと変わりない笑顔。何もなかったのなら、普
段と同じ朝だったのならどれだけ安心を出来たのだろう。それなのに、今はその表情が堪
らなく辛い。見ているだけで、心が痛くて張り裂けそうになる。
 つい目を反らしてしまったけれど、寧ろ不自然な気がして見返した。
206『とらとらシスター』10虎:2006/07/22(土) 13:55:57 ID:uhIzxPOh
 こんなところで、負けてはいけない。昨日のことは反省すべきことだけど、だからと言
って後悔ばかりしては前には進むことなんか出来ない。諦めるのは僕の専売特許だけど、
責任は必ず果たしてみせる。
 殺虎さんの格言もある。
 曰く、『大切なのは諦めることではない、何を諦めるのか選ぶことだ』
 無理に笑みを作る。
「珍しいね、姉さんが一人で起きるなんて」
「私も、最初は自分の正気を疑いました」
「そうね、虎百合が自分で起きるなんて」
 言い出しッぺは僕だとしても、家族皆で起きれない人扱いはあんまりだと思った。事実
だけれども、少しかわいそうな気がする。
「ん?」
 いけない、このままいつものペースで進んでいるとまた目的を忘れてしまう。
「どうしたの、虎徹ちゃん? そんな難しい顔して」
「どうもしないよ、少し寝不足なだけ」
 言いながら座ると、横からサクラが茶碗を差し出してきた。盛ってあるのは、好物の炊
き込み御飯。一足先に座っていた姉さんは、丼で山盛りだというのに既に半分程を掻き込
んでいた。いつも以上のペースのせいか喉に詰まったらしく、慌ててサクラから受け取っ
たお茶を流し込んでいる。
「あれ?」
 今気が付いたけれど、いつもの朝の様子に戻っている。姉さんは今は考えの外に出すと
しても、サクラも普段の強い娘に戻っている。いや、強く見える娘に戻っていると言った
方が正しいけれど、そんなことを相手に考えさせないような表情だ。
207『とらとらシスター』10虎:2006/07/22(土) 13:58:16 ID:uhIzxPOh
「元気になったね」
 言うと、サクラははにかんだように笑った。
「妻の、務めですから」
 心臓が、高く跳ねる。
 今、サクラは何て言った?
 今まで何度も聞いていた言葉だけれども、昨日の後だと嫌な現実感が帯びてくる。脳裏
に浮かぶのは、僕の上で裸体を晒していた姉さんの姿と青海の笑顔。限界まで絞り取られ
枯れきった後でも尚も僕を求め続ける姉さんの相手をしている内に完全に消え去っていた
筈なのに、再び蘇ってくる。後悔と裏切った気持ちが一緒に浮かび、激しい痛みが心臓を
襲った。止めようと思っても止まらずに、ひたすら恐怖が沸き上がってくる。
 こいつも、そうなのか?
 距離を取るように一歩下がると、背中に当たるのは軽い感触。
「どうしたの?」
 振り向くと、近さのせいで大きく見える姉さんの顔があった。僕がよっぽど酷い表情を
していたのか、除き込んでくる瞳に浮かんでいるのは純粋な心配の色。だが近く過ぎたの
か恐怖のせいか、両方だろう。こんな時に、こんな場所で、こんな表情をしていてキスな
んかしてくる筈はないのに、それでも反射的に顔を遠避けてしまう。
 しかし、今度見えるのは、サクラの顔。
 怖い。
 今更になって、二人を僕の隣に座らせて食事をしていることを後悔した。体をずらして
避けることも出来なければ、逃げることも出来ない。喩えるのなら、まるで檻。飢えて餌
を欲している肉食動物と檻の中に放り込まれているような気分だ。
208『とらとらシスター』10虎:2006/07/22(土) 13:59:13 ID:uhIzxPOh
 何で、こうなる。
 ついさっきに、それどころか青海と付き合うと決めたときから何度も前に進むと決めた
のに、踏み出そうとした瞬間に足を掴まれ引き戻される。何度も何度もそうなって、未だ
に一歩も前に進んでいない。それどころか、どんどん泥沼に嵌って今は歩くのさえ不可能
な状況だ。動くのさえも、ままならない。
 進むしか、ないのに。
「美味しいですか? これからも暑くなってくるので、濃い目で行こうと思うんですが」
「あ、うん。さすがはサクラだね」
 よく分からないことを言いながら、ご飯を口に運ぶ。大好物の筈なのに、濃い目に作っ
てあるらしいのに、味がしない。口の中の異物は昨日のキスを想像させるだけで、ひたす
ら気分が悪くなってくる。吐気を堪えながら飲み込んでも不快な感触は消えず、まとわり
つくように口内全体に絡み付いてくる。
「虎徹ちゃん、あたしも誉めて。お洗濯とか頑張ってるの」
「姉さん、洗濯はボタン一つでしょう?」
「違うもん、手揉み洗いだもん。手荒れとかも気にしながら頑張ってるもん」
「まさか、ボタンの順番がよく分からないとか?」
「絶対に違うもん、こだわりなの」
「はいはい、どっちも良い娘。偉い偉い」
 二人の頭を撫でる、それだけなのに腫れ物を触る気分だ。今の会話だって、我が家の中
でよく交される愛すべき日常の一コマの筈なのに逃げ出したくなるのは何故だろう。昨日
の朝までは普通に聞いていた言葉も、違う意味で聞こえてくる。
209『とらとらシスター』10虎:2006/07/22(土) 14:01:32 ID:uhIzxPOh
 いつからこんなに歪んでしまったのかは明白だ、夜中に目が覚めてしまったときからに
決まっている。心が悲鳴をあげながら震えているのは僕の弱さだけれど、異常の原因は、
きっとそれだけではない。
「虎徹、本当に顔色悪いわよ? 学校休む?」
「なら、あたしが看病するぅ」
「姉さんは受験生でしょう、黙って学校に行きなさい。私が看ます」
「サクラちゃんこそ赤点大王じゃん」
 家に誰も居ない状態で、姉さんやサクラと一緒に居る。
 その光景が浮かび上がった瞬間に、僕は立ち上がっていた。昨日の今日でもしそうなっ
てしまったら、多分歯止めが効かずに壊れてしまう。今は少しでも安全な場所、なるべく
人目の多い場所へと向かいたい。さすがに姉さんでも、他人が居る場所では暴走はしない
と信じているから。
「そろそろ時間だから、学校に行こう」
「あ、待ってよ虎徹ちゃん」
「待って下さい、兄さん。お母さん、すみません。かたすのお願いします」
「はいはい、行ってらっしゃい。虎徹、倒れそうになったら無理せず体を休めるのよ」
 温かい言葉を耳に、歩き出す。本当は今にも倒れそうだけど、無理をして、逃げ出すよ
うに少しだけ早足で。
「おはよう、最愛の恋人の虎徹君。と、その姉妹」
 玄関を出ると昨日と同じようにリムジンが停まっていた。昨日と少し違うのは、満面の笑みで両手を広げた青
海が立っているところだけだ。それを見て浮かんでくるのは、嬉しさと辛さが半々で混じ
った複雑な感情。最愛の恋人という言葉は嬉しいのに、僕の姉妹という単語はそれを打ち
消してしまう。青海の顔を見てしまって浮かんでくる感情は、さっきまでの比にならない。
家族を抱いたという意味と、青海とその笑顔を裏切ったという事実は際限無く心を切り刻
み、崩し、溶かし、跡形もなく壊していく。
「……大丈夫か、虎徹君?」
 今にも、ブッ倒れそうだ。
210ロボ ◆JypZpjo0ig :2006/07/22(土) 14:06:52 ID:uhIzxPOh
今回はこれで終わりです

虎徹ちゃん、ダメな子進行中
伸人も誠もやられながらでも頑張っていたのに、この子はヘタレですね


俺の書いたキャラの中では、誰が一番人気かと思ったり
皆好きだけれど、個人的にはジグザグのラストの方の水がお気に入り
211名無しさん@ピンキー:2006/07/22(土) 16:26:02 ID:t0cZnjk+
ロリコンと虎虎続けてキタワァ*・゜゚・*:.。..。.:*・゜(n‘∀‘)η゚・*:.。..。.:*・゜゚・* !!!!!
>>203
彼女vs泥棒猫の対決ktkr!
これからは泥棒猫の時代か!?
>>210
手揉み洗いテラエロス(*´д`*)ハァハァ
212名無しさん@ピンキー:2006/07/22(土) 19:53:37 ID:w4WDdcK2
コテツちゃんに惚れた。
そのへたれっぷりにラブ。
213名無しさん@ピンキー:2006/07/22(土) 21:02:07 ID:aRbNch1U
まあへたれに悪いやつはいないもんな。
214名無しさん@ピンキー:2006/07/22(土) 21:14:14 ID:+baQUxh2
でも虎徹ちゃん、他の主人公に比べると
はっきりと自分の意志表明してると思うんだけどねえ。
…ただ、周りが変態すぎて(ry
215名無しさん@ピンキー:2006/07/22(土) 22:13:03 ID:QqW1wVKQ
>>210
作者殿、そこはかとないエロさGJです(*´д`*)
お気に入りだと
ヒロインだと、とらとらの姉妹、華さん
主人公だと、誠殿のラストの男らしさかしら
216名無しさん@ピンキー:2006/07/22(土) 22:28:48 ID:kyYw/Uxk
サクラが好きです。
でも箸でアナルオナは勘弁してください。
ウンコはばい菌の塊なので食べると毒です。
217名無しさん@ピンキー:2006/07/22(土) 23:30:21 ID:lp1oqUDu
朝起きてすぐの口の中ってうんこ並みに菌が繁殖してるらしいよ
つーことで、モーニングディープキスしてると思えば、かえって免疫力が(ry
218名無しさん@ピンキー:2006/07/23(日) 00:44:49 ID:VCujqRZU
山本君とお姉さんの続きマダー?
219振り向けばそこに… ◆tVzTTTyvm. :2006/07/23(日) 00:53:28 ID:2oogDSUJ
※前回投下した17.5の続きです


 奥歯がギリギリと軋む。 握り締めた掌の中で爪が食い込む。
 痛みに我に帰り掌を開いてみれば爪は朱に染まってた。まるで塗りそこなったマニキュアみたい。
 煮えくり返るはらわたを必死で押さえながら私は屋上から立ち去り教室に帰る。
 本当はあの女が何者なのか問い詰めたかった。
 でも済んでの所で思いとどまる。 若しそんな事をして去年の二の舞になってしまったら、
そしたら今度こそもう本当に取り返しのつかないことになるから。

 それにしても! それにしても本当に何なのよ! あの女は!! 
 端岬クンにあんな風に微笑みかけてもらって、抱きしめてもらって……!!!
 端岬クンも! あんな女のドコが良いって言うのよぉ!! あんな目付きの悪い!
 胸だって私よりも小さいあんな女のドコが!!
 その時口の中でバキっと何かが折れる音がした。気付かぬうちにお箸を噛み砕いてしまったみたい。
苛々した気持でご飯なんか食べてたからだ。
……とりあえず、少し冷静になろう。 端岬クンが帰って来たら色々訊きたいけど。
でもあんまし問い詰める様な真似は駄目だ。
 返って逆効果になりかねない。 落ち着け。 落ち着くのよ私。 兎に角……待とう。
 端岬クンが帰ってくるのを。
 それまでにお腹の底で獣のように暴れまわるこの気持を落ち着かせなきゃ。



……遅い……。
 時計を見ればもう昼休み終了まで五分も無い。 時計の針が無機質な音を刻みながら進んでいき、
残りを一分を切り、更に残りあと二十秒を切ろうかと言う時になって
やっと端岬クンは教室に帰ってきた。
「あ、端岬クンお帰りなさ……」
 だが端岬クンは私の横を素通りして自分の席へ向かって――無視された?!
いや違う、気付いていない?!
 端岬クンの顔には今まで見たことが無いほどの幸せで満たされてるかのような笑顔が浮かんでいる。

「あ、あの端岬クン……」
「ん? ああ伊藤さん何?」
 言われて始めて気付いたような表情。……本当にさっき声かけたのに気づいてなかったんだ……。
 そう思うと悲しいやら腹ただしいやら……!
 何、ですって! そ、そんなの決まってるじゃない!
 去年一年間毎日私のデザート食べてくれるの日課にしてくれてたじゃない!
 いや、それも勿論だけど屋上で逢ってたあの女の事……! でも焦ってまくし立てちゃ駄目。
 落ちついて聞かなきゃ……。
「あ、あ、あの……」
 その時授業の開始を告げるチャイムが鳴った。
「お、チャイムが鳴ったぜ。 時授業始まるから席に付いたら?」
「あ……う、うん」

 な、な、何なの!? 一体何がどうなってるわけなの!? あの女! 端岬クンの一体何なのよ!
 腹の中の黒い獣は益々暴れ狂い必死で押さえ込もうとするけどなかなか荷立ちが収まらない。
 お陰でノートは破れるわ、シャーペンのペン先は潰れるわ……!
220振り向けばそこに… ◆tVzTTTyvm. :2006/07/23(日) 00:56:37 ID:2oogDSUJ

 そしてやっと授業終了を継げるチャイムが鳴る。
 私は席を立ち端岬クンの元へと向かった。 私に気付いた端岬クンが口を開く。
「ん? 何か用、伊藤さ……」
 だが言いかけて端岬クンは私の顔を見て口をつぐんでしまった。
「ちょっとイイかしら? お聞きしたい事が有るんですけど?」
「な、何……?」
 心なしか端岬クンの表情がこわばっている。 苛立ちが私の顔に出てしまってるためだろうか。
「お昼休み、屋上で一緒に居た女の子……誰?」
 私がそう言うと端岬クンは照れ臭そうな笑みを浮かべる。 大好きな人の顔に笑顔がともる。
 本来なら見とれそうなものなのだけど、今の私には其の笑顔が何故か無性に癇に障った。
「見てたのか?」
「誰なの? 私の見たことのない顔だったけど?」
「知らないか? 一コ下だから昨年度もいたけどな。
まぁ、とある事情で昨年度はあまり俺と一緒に居なかったしな。
それにあいつ自身が結構人見知りするし人付き合いも少なかったし」
「誰なの?」

 そして次に端岬クンの口から発せられた言葉は私にとって最も聞きたくないものだった。
「え、え〜っと。 ……俺のカノジョ♪ へへっ、中々可愛かったろ?」
 其の言葉に私は思わず声を上げる。
「な、何よカノジョって!! 去年言ってたじゃない!? 付き合ってるコなんかいないって!!
それに昨年度もずっと同じクラスで端岬クンの事ずっと見てたけどそんな様子……!」
 私が声を荒げると端岬クンは慌てて私をなだめようと声をひそめ話し掛けてきた。
「ちょ、チョット待てよ……。 何をそんなに興奮してるんだ?」
「何をですって?!! 端岬クン! アナタ本気でそれ訊いてるの?!」
「こ、声が大きいよ伊藤さん……。 お、落ち着いて……。 と、とりあえず場所変えよう?」
221振り向けばそこに… ◆tVzTTTyvm. :2006/07/23(日) 00:58:50 ID:2oogDSUJ

 そして私は端岬クンと連れだって屋上に来た。
「あ、あの何をそんなに怒ってるわけ?」
 端岬クンの声に私は思わず声を上げる。
「何を、ですって?! 本当にわからないの?! そんなの……!」

――好きだから……、端岬クンが好きだからに決まってるでしょうが!!
 そう言おうと思ったが済んでの所で言葉を呑み込んだ。
 私の中の何かが――それは本能、或いは女の勘? 分からないが、兎に角心の中から叫んでくる。
――言っては駄目だと。 其の言葉を吐いては駄目だと。

「い、伊藤さん……? だ、大丈夫?」
 さっきまで物凄い剣幕だった私が突然黙りこくってしまったので、
端岬クンはより一層困惑の表情を深めてる。
 私は尚も言葉を発せられずに居た。 言葉の代わりに涙だけがボロボロ溢れ出てくる。

 その時端岬クンの手が目の前に差し出された。 そして其の手にはハンカチがのせられてた。
 見上げて其の顔を仰ぎ見れば心配そうに私を気遣う端岬クンの優しい顔があった。 でも……
そこにはそれ以上のモノは無かった。 それ以上の――クラスメイト以上の。
 ハンカチなんかじゃなく抱きしめて、慰めて欲しいのに……。
 だけど見て取れしまう。優しく心配してくれてもある程度以上踏み込ませてくれない空気が……

「お願い……。 一人にさせて……」
「え、でもこんな状態の伊藤さんを一人残してなんて……」
 端岬クンは心配して私を気遣う優しい言葉を掛けてくれるけど、でも今は其の言葉も辛いだけ。
「あとで……ちゃんと教室に戻りますから……」

 今の私のこの状況、最悪ではないがそれにかなり近い状況。
 私――バカみたいだ……。
 ずっと春になれば願いは叶うって勝手に一人で思い込んで信じて……。

 そう、確かに私は付き合ってる人はいるのかと訊きはしたが、好きな人はいるのかとは訊かなかった。
――怖かったから。若しそこで居ると言われてしまえばそこで完全に終えてしまうのが怖かったから。
 結果私の其の臆病さが今日の悲劇を招いた。

 でも……諦めきれない。 ココで諦め切れるくらいだったらとっくの昔に吹っ切ってるから

 To be continued.....
222名無しさん@ピンキー:2006/07/23(日) 03:44:53 ID:Zj9Gq8TE
俺の弟の名前がユウキだということに嫉妬
223 ◆wGJXSLA5ys :2006/07/23(日) 08:55:38 ID:XO687cai
「ただいまかえりましたよっと。」

無事帰宅。既に時刻は九時をまわっていた。…おろ?おかしいな。今日はなにも言っていかなかったから迎えにきてもいいはずなのに……
いかんなぁ。最近彼女は生意気になってきた。あろうことか俺に対して謀反を起こす気ですか。
バンッ
「HEY×3シスター!最近生意気になってき……」
部屋のドアを開けたと同時に叫びながら入った……が、言葉は途中で切れた……何故なら彼女は……
「ひゃい!?」
物凄く驚いた様子でポケットに手を突っ込んだ。なにやら怪しげな物を持っていたような………
「さて、Mrs.。持物検査の時間だ。まずはそのポケットに入れた物、見せてもらおうか。」
方向転換。今日はなんだか鬼畜になりきれない。こいつを弄って遊ぶとしよう。
「はは……い、いや、なにもも……」
「ダメッ!見せなさい!今日弁当箱で殴った罰!」
「あれは……蒼也様が他の女の子と楽しそうにするから……」
「楽しくしなきゃ学校行く意味ないでしょーが。さ、見せなさい。」
「ううぅ……これだけはぁ……没収しないでぇ……」
224 ◆wGJXSLA5ys :2006/07/23(日) 08:56:25 ID:XO687cai
没収されるような物なのか。彼女はおずおずとポケットから「ブツ」を取り出す。その正体は……お、俺の……
「キサマァ……それでかぁ…」
俺のパンツだった。どうりで洗濯物が増えてると思った。いや、洗濯物はパンツだけじゃない、シャツやズボンも……
「お前はさぁ……俺が居ない間なにやってんの?」
「ええ…と…お、お、…」
「オ?」
「…ナニー」
「……………」
「う、上着から下着まで全部蒼也さんの着てやると……その、あったかくて、抱かれてる感じがして……あ、ちゃんと洗っておきましたよ?」
「あ、た、り、ま、え、だ!」
「きゃうぁ!?」
グググとおもいきり胸を鷲掴みにする。レッツ凌辱!
「あ、あ……ふぁ…」
「ん?…ちょ、おま、また大きくなったか?」
「は、はいぃ……この前、Eになったばかりで…」
「へぇ、…このまま揉み続けりゃ、搾乳出来るんじゃねぇの?」
更に力を込めて揉む。おぉー。こんなに柔らかい女の子ははじめてだ。
「紅よかでかいな…」
そんなことを呟いた途端、急に右の爪先に激痛が走った!つまり踏まれたわけだ。
225 ◆wGJXSLA5ys :2006/07/23(日) 08:57:08 ID:XO687cai
「どうしてそういうことを言うんですかねぇ!」
グリグリッ!
「ふ、ふふ……そ、そんな攻撃で揉むのをやめる、とでも?」
そんな悪ふざけをしていたのだが……ふと足にこもっていた力が抜け、同時に彼女が悲しそうな……というより、涙を流していた。
「前にも…ひっく…いいましたけど……わだし以外の女の子を見つけようなんてしないでください。」
「あ?なんでよ?」
「お願いですっ!なんでもしますから!喜ばれる事も、気持ちいい事も、言えば何でもしますから!だから……」
「おいおい、なにそんなに必死に……」
「だって、今日初めて蒼也様が行ってる学校へ行ったら……あんなに周りの女の子と楽しそうにしてて……」
それで不安になったと……まぁ、学校で会ってる奴等はまだ対象外なわけだから心配の必要はないんだが……
「生まれてすぐにこの島に流されて……右も左もわからなかった私に声を掛けてくれたのは蒼也様でした。それからこの家で一緒に暮らさしてもらって……感謝し切れないほどなんですよ?」
「でも俺優しくないぜ?酷い事ばっかしてるしさ。」
226 ◆wGJXSLA5ys :2006/07/23(日) 08:58:36 ID:XO687cai
「いいえ、そんなことありません。それ以上に優しいです。」
参ったな……こんな娘は本当に初めてだ。だいたいこの島でキョロキョロしてる女の子は来島して間もない証拠だ。そんな彼女達はちょっと優しく言葉をかければ簡単に墜ちる。
まあその後家での俺の性欲処理の相手をした後は、壊れるまでまるで親の敵を見るような目で睨まれていた。
だが、今の彼女は違う。ここまで懐かれるのは初めてなため、正直戸惑っている。
「それと……」
「ん?」
「私も……が、学校に行きたいです!」
「……そっか……まぁいいよ、来ても。」
「ええ!?ほ、本当ですか!?」
「ああ、本当も本当。今日はもう眠いや。誰かさんに殴られて気絶してて遅くなっちゃったからね!」
「あーん、そうやって意地悪をいうー。あれは蒼也様が八割悪いんですって。」
「二割は認めるんだな。」
「うっ!」
「っはは!やーいやーい!暴行少女!」
そうやって戯れあって、夜は過ぎていく。女の子とそんな夜を暮すのは初めてだ。なんだろう、この感じ。感情の欠如し、偽装している俺には理解しにくいものだった。
227リボンの剣士 24話 ◆YH6IINt2zM :2006/07/23(日) 11:10:24 ID:6VbSNyz/
投下します。
228リボンの剣士 24話 ◆YH6IINt2zM :2006/07/23(日) 11:11:36 ID:6VbSNyz/
この勝負、あたしがもらったも同然ね。
昨日、恵のツテから、日野山さんと話をして、木場さんが、男を漁っては捨てる悪女だって言う確証を得た。
このことを人志に話せば、あの女の計画も作戦も、すべて水の泡。
人志なら、そんな女、二度と信用しないわよ。
「ネギだくに〜、ギョクのせて〜」
「最高の牛丼の完成だ」
木場さんは食堂で、人志と同じ牛丼ネギだくギョクを、媚び全開のアホ面で食べている。
……ま、せいぜい楽しんでればいいわ。
すぐにあんたの急所を突いて、息の根を止めてやるから。

「人志、ちょっといい?」
「ん?」
放課後、いよいよ例の話をする時が来た。
朝一緒に登校するときでも良かったんだけど、そこは武士の情けよ。
「来て」
あたしは人志を引っぱって、上り階段へ向かう。
「あ、伊星く――――」
「ちょっと待ったぁ! 木場、掃除サボるんじゃねえよ」
木場さんが妨害に入ってくるのは、薄々勘付いていた。だから、あたしはあらかじめ桐絵に頼んで、木場さんの
動きを封じてもらう作戦を立てている。
ふふん。味方の少ないあんたに特に有効な戦法よ。
あたしは後ろを振り向かず、人志を連れて上へ行く。

屋上の入り口前の踊り場、あたしはここで足を止めた。
屋上は、特別なことが無い限り閉まってて、出ることはできない。
ここでも人気が無いから、十分だけどね。
「明日香?」
まだ何も知らない人志。大丈夫、あたしが目を覚まさしてあげるから。
「聞いて、真剣な話なの」
「……」
人志は黙って鞄を置いた。
「木場さんの、ことなんだけどね」
あたしも、目をまっすぐに見つめる。
「ここしばらく前から、よく人志と話をするようになったじゃない?」
「そうだな」
「何でだか、わかる?」
「ん……。それは、考えたことはあるが、よく分からなかった」
やっぱり、わからないわよね。それで騙された男がどれだけいるんだか。
人志には、同じように騙されて欲しくない。木場さんの被害者に、なっちゃいけない。
「その理由はね、人志が、狙われているからよ」
「ねら、われて、いる……?」
「そう。木場さんはね、前に、彼女がいる男を、その彼女から奪い取ったのよ」
もう、人志があれこれ悩むのは、おしまい。
「しかも、その男とは一ヶ月もしないうちに別れた」
「……」
「どういうことか、わかるでしょ? 木場さんは、彼女がいるいないお構いなく、男を食い荒らしているのよ」
「……」
「だから人志。木場さんにはあんまり、ううん、今後一切、近づかないほうがいいわ」
229リボンの剣士 24話 ◆YH6IINt2zM :2006/07/23(日) 11:12:18 ID:6VbSNyz/
言った。言ってやった。木場春奈の急所を、そして人志の迷ってる部分を、斬ってやった。
これでもう大丈夫。人志は、木場さんを相手にせず、これまで通り、あたしと一緒の生活に戻る。
「その話……本当なのか?」
「本当よ。木場さんに彼氏を盗られた人と、あたし会ったから。名前も学校も知ってるわ。何なら、自分で会っ
て確認してみる?」
「いや……」
そうよね、わざわざ確認する必要なんてない。あたしの言葉だけで、十分信じられるもの。
「……」
いいのよ人志。あの女のことなんか考えなくて。
「……どうしたの?」
人志の様子が、なんかおかしい。迷って、考えている表情になってる。
迷うことなんて全くないのに。
「その話は……」
「だから本当だって言ってるじゃない」
「……」
何よ。何よその煮え切らないって感じの顔は。人志だったら、そんな顔をするはずがない。
「あたしの言うことが信じられないの!?」
「いや……それは……」
一歩近寄ると、人志も一歩さがる。
『信じられる』って断言できないなら、どこかで疑ってるってことじゃないの。
何で? 何でよ? どうしてあたしを疑うの?
あたしは、人志に悪意で嘘をついたことなんて無い。
人志を騙して、笑ってやろうとしたことも無い。
あたしが、人志を裏切ったことなんて無い!
人志だって、ずっとあたしのことを信じてる、信じていいのに、どうして……?

……一つ、思い当たる理由が見つかった。
「人志……木場さんに、なんて言われたの?」
その可能性は、無いと思いたい。あたしが気付かないうちに、木場さんが、人志の信用を、あたしより得ている
なんて。
「特に、何も、言われてないが……」
少し震えた声で否定してる。けど、あたしにはわかる。
「嘘よ」
木場さんに何も言われなければ、何もされなければ、あたしの言うことを疑うはずがない。
信じないということは、人志の心の中には、木場春奈がいる。
人志の心の中に、汚いモノが混じっている!!
「ほ、本当だ」
竹刀をしっかり握り締める。人志は、他の女に気を許して、汚いものに染められた。

許さない。
230リボンの剣士 24話 ◆YH6IINt2zM :2006/07/23(日) 11:12:59 ID:6VbSNyz/
型から外れた、ケンカ用の一撃。顔を強く打つと、人志は尻餅をついた。
人志は……あたしを疑った。あたしを裏切った!!
手加減なんかしてやんない。何度も、人志の身体を竹刀で打つ。
「明日香……やめ……」
何回殴っても、まだ口答えする。
木場の言うことに仄めかされて、あたしを蔑ろにしておいて……!!
「人志は、あたしの言う事だけ聞いてればいいのよ!!」
まだまだ、五十も打ってない。人志が木場のことを忘れるまで、千でも二千でも叩いてやる。
「っ……くぅ……うあっ……」
だんだんと、人志の口からはうめき声しか出てこなくなる。
その口から、木場に汚された部分を吐き出せ!
一際強く鳩尾を突く。
「おぐっ……うっ……お゛えぇぇっ……」
びちゃびちゃと音を立て、人志から汚いモノが吐き出された。
ふん、これで少しは反省して――――。

――!?

頭が、ゆっくり冷えていく。
あたしの目の前で起きていること。それは、人志が、お腹に一発喰らって、吐いている。
「あ……」
あたしが前から、何より嫌っていること。
「あ……」
人志を虐めたヤツらが、笑ってやっていたこと……。
あ、あたし……あいつらがやっていたのと、同じことをしてたの?
人志を……傷つけたの?
「あ……あ……」
違う! あたしは、あたしは……。

違わない。

まるで別の所からのように、あたしの声がする。

傷つけた。人志を、傷つけた。
231リボンの剣士 24話 ◆YH6IINt2zM :2006/07/23(日) 11:13:40 ID:6VbSNyz/
「ひと、し……」
あたしが、人志に暴力を振るって、傷つけた。怒鳴りつけて、竹刀で何回も叩いて。
目の前の人志を残して、周りが真っ白になった。
あ……あ……そうよ……傷つけたんだから……せめて、謝らなくちゃ……。
「ごめん……ごめんなさい……」

『全く、あいつら何考えてるのよ』
かつて、人志を虐めたヤツらに吐き捨てた言葉。
『一方的に殴りつけてくるなんて、最低なヤツらね』
それをやったあたしは、最低だ。
「ごめんなさい……ごめんなさい……ごめんなさい……」
真っ白だった視界が、真っ黒になって、さらに涙で歪む。

「明日香……」
人志の声。これからあたしに、罰を与える声。
「ここは俺が片付けるから、明日香は、先に帰れ」
”帰れ”――――。
人志からの罰は、覚悟していたとはいえ、とてつもなく重い。
だけど、あたしは拒否してはいけない。
「うん……」
あたしは、ここに居てはならない。今すぐ、人志の前から消えないと――――。

家に帰る間の記憶は残ってなかった。
ベッドに寝転がると、身体は布団の柔らかさに包まれる。
でも手には、竹刀を握って、人志を殴った感触がまだ……。
「うぅ……っ……ああああぁぁっ!!」
あたし、どうしたらいいの? 嫌……人志から嫌われたら、憎まれたら……。
怖い。怖い。怖い。怖いよ……。

誰か、助けて……。


(25話に続く)
232名無しさん@ピンキー:2006/07/23(日) 11:30:44 ID:yByhLSjw
黒明日香たんデター(;゚∀゚)
233名無しさん@ピンキー:2006/07/23(日) 11:44:41 ID:n/Q30/zz
おお明日香よ 自爆するとは なさけない
234名無しさん@ピンキー:2006/07/23(日) 12:04:27 ID:Fvod7E+u
だがそれがいい
235名無しさん@ピンキー:2006/07/23(日) 12:28:19 ID:Zj9Gq8TE
始めは関係を否定していてしかも付き合ってもいないのに
もうなんだか必死な明日香ちゃん



いい…(*´Д`)
236名無しさん@ピンキー:2006/07/23(日) 14:35:33 ID:+Luro6K7
阿修羅氏更新乙です。
宇宙からのメールよりもIDにワロスwwww
リボンの剣士も>>226氏の作品もおもしろすぎる。
明日香の健気な心にもう惚れそう。
237名無しさん@ピンキー:2006/07/23(日) 17:51:15 ID:TxSZdP9C
>>226
調教している裏で、着々と嫉妬の心が育っている事に気づかない蒼也の未来は……
238名無しさん@ピンキー:2006/07/23(日) 20:14:54 ID:kdjqB4DJ
阿修羅氏のYahooIDのセンスに脱帽。
239名無しさん@ピンキー:2006/07/23(日) 21:21:16 ID:inbDvkZf
>>221
もしかしたら……祥ちゃんがこのスレの中で……トップランクの……ダメ主人公かも……
240チラシの裏! ◆IOEDU1a3Bg :2006/07/23(日) 22:29:53 ID:O3BCn/aE
待っていてくださった方々、お待たせいたしました。
待っていなかった方々、石を投げないでください……
不撓家第12話が完成しました。

ttp://www4.axfc.net/uploader/16/so/N16_2889.zip.html

今回のキーワードは「bigbody」です。
感想をいただけると非常にうれしいです。
ちゃんとチェックしますので、メル欄にでもちょこっと書いておいてください。
241名無しさん@ピンキー:2006/07/23(日) 23:11:00 ID:31Gesge5
投下しますよ
242『とらとらシスター』Side青海:2006/07/23(日) 23:12:26 ID:31Gesge5
 体の具合いが悪いのか、寝不足なのか、車に乗り込んだ途端に虎徹君は倒れるように座
って眠り始めてしまった。結構無理をしていたらしく寝顔は少し辛そうで、何か酷いこと
があったのが簡単に想像できる。原因は分からないけれど、側に居てあげられなかったこ
とが悔やまれた。昨日のデートの後、お互いに帰る家があるから仕方ないけれど、普通に
分かれて帰宅したのがいけなかったんだろうか。ずっと、と言っても短い期間だけれども
その間中、虎徹君には気遣いばかりしてもらっているのに、わたしからは何もしてあげら
れない。それが一番辛い。何をしてあげれるのだろうか、と虎徹君を見る。
 あぁ、口の端からおつゆが。
 起こしてしまわないように、なるべく軽く、しかし丁寧に拭う。よし、綺麗になった。
この程度のことしかしてあげられないのが惜しいけれども、少しでも気を使ってあげよう。
そして、このハンカチは洗濯をせずにわたしの虎徹君コレクションに加えよう。直で採取
したものだから特別に大事にしないといけない、今すぐにむしゃぶりつくのは愚の骨頂。
その上のことなんて、もっての他だ。
 でも、少しくらいは良いだろうか。
 と小さな葛藤をしている内に、再びおつゆが垂れていた。少しだらしないのかもしれな
いと思ったけれども、注意をして見てみれば違う。余程の悪夢を見ているのか、苦痛にあ
えいで口元が半開きになっているせいだ。
 何てエロい光景だ。こう、中で生々しく動く舌や、溢れる唾液が何とも。
243『とらとらシスター』Side青海:2006/07/23(日) 23:13:17 ID:31Gesge5
 もう少し眺めていたかったけれども、今はそんな場合ではないと軽く頭を振って冷静に
なる。あと少しで完全に落ちそうなおつゆを軽く手を伸ばして拭っていると、一つ幸せな
ことに気が付いた。
 今、わたしと虎徹君は隣り合って座っている。
 何故、そのことにずっと気が付かなかったのだろうか。少し考えてみれば、簡単に理由
に辿り着くことが出来た。今までは邪魔虎が二匹、ずっとくっついていたからだ。無意識
の方にまで擦り込まれるくらいに、一緒に居た光景ばかりだった。
 そう考えてみると次に出てくるのは、今までそんな幸せを独占してきた彼女らに対する
羨みや嫉妬。今の虎徹君はわたしの隣に居るという愉悦や優越感。様々なものがあるけれ
ど、一番大きいのは怒り。何故こんなになるまで、こんなになっているのに彼女達は助け
てあげないのか、助けてあげられないのか。わたしの兄弟はずっと年上の、年に一度会う
か会わないかの姉が一人いるだけだから一般の兄弟のことは分からない。けれども、姉も
含めて家族を愛しているし、どこの家庭でもそうなんだろうと思う。長く一緒に居たのな
らば、その思いも強い筈なのに。それに、あまり認めたくないけれども彼女達の方が虎徹
君の助け方を知っている筈なのに。
 いや、もしかして逆に彼女達が原因なのかもしれない。だから、助けようがなかった、
助けを求めなかったのかもしれない。そう考えると、余計に怒りが湧いてきた。
244『とらとらシスター』Side青海:2006/07/23(日) 23:16:26 ID:31Gesge5
 飽くまでも笑顔を崩さないようにしながら、姉妹を睨む。偶然に虎徹君が起きたときに
怒りの表情を見られるのは嫌だし、何より嫌われたくないから。
 二人の表情を簡単に言ってしまえば、怒りと嫉妬。逃げ出したくなるくらいに恐ろしい
迫力で睨んできている。昨日デート中に聞いた話だと虎徹君の先祖は虎をも殺したらしい
が、成程、そんなことをするような人間の子孫だというのも頷ける。
 今にも殴りかかってきそうな雰囲気だけれど、それでも虎徹君を起こさないように気遣
ってか座っているだけ。姉の方は睨みつけてきているだけだが、妹は何かを呟いている。
どちらにせようっとおしくて、もしそれが原因で虎徹君が起きたのならわたしは彼女達を
きっと許せないだろう。今でさえ腹腸が煮えくりかえっているのに、これ以上のことが起
きたのならば理性を保っていられる自信がない。
 いかんいかん。
 今はそんなことよりも虎徹君に気持ち良く眠ってもらうのが先だ。わたしとしたことが
何たる失態、他人に構って大事な時間を無駄に浪費してしまうなんて。学校に着くまでは
あと三十分強、その間に出来る虎徹君への償いといえば何があるだろうか。
 そうだ、辛いときといえば。
 幼い頃にとても悲しかった出来事があり、そのときに姉さんに頭を撫でてもらって楽に
なったことを思い出した。姉さん程の優しさがあるかは自信が無いけれど、それでも精一
杯の愛情を込めて虎徹君の髪を撫でてみる。
245『とらとらシスター』Side青海:2006/07/23(日) 23:17:11 ID:31Gesge5
 柔らかいな。
 染めてはいないらしいが綺麗な虎毛色の髪は、繊細で触り心地が良い。少し長めの髪の
毛がふわりと手指に絡まるのをくすぐったいと思いつつ顔を見てみると、険しかった表情
が少し和らいだような気がする。迷惑ではない、と言うより少しは安心をしてくれている
らしい様子に安堵の吐息をし、撫でるのを続けた。
 僅かでも、気遣いが出来ているんだろうか。
 落ち着いてきた表情に、嬉しさが湧く。昨日はまだ好きになりかけだと言っていたけれ
ども、それでも姉妹ではなくわたしの隣に来てこうした表情を浮かべているのを見ると、
少しは彼の心の中に存在しているのだなという実感が湧く。
 このまま流れに乗って、膝枕でもしてしまおうか。
 口には出さずに、彼に心の中で問掛けてみる。返事は当然来ないけれど、そのままして
しまおうか。いや、それとも止めておいた方が良いだろうか。手を繋ぐのも遠慮する彼だ、
性急にことを運ぶのは悪いかもしれない。ここで虎徹君の意思を無視してがっついて、嫌
われたら元も子もない。こんなときにまで冷静に考える自分が少し嫌いだけれど、今だけ
はそのことに感謝もした。
 寝顔を眺めていると、不意に体が揺れた。カーブの勢いをそのままにわたしにもたれか
かってきて、肩の上に彼の頭が乗る。驚いて見てみると、異常に近い位置に寝顔があった。
吐息が首筋にかかり、ぞくりとした快感が広がっていく。
246『とらとらシスター』Side青海:2006/07/23(日) 23:19:17 ID:31Gesge5
 不味い。
 今まで予想もしていなかった刺激に、下着が湿っていくのが分かる。人形を相手にして
いたときには存在しなかったものだから耐性もある筈がなく、その軽い、しかし生々しい
寝息は絶妙に体を高ぶらせてくる。
 膝枕は、止めておいて良かった。
 想像するだけでも、蜜が溢れてくる。もし本当に膝枕をして、彼の吐息が足や股間にか
かったらもう駄目になってしまうかもしれない。いや、きっと駄目になってしまったに違
いない。そんな痴態を彼に見られたら、きっと嫌われてしまうだろう。本当に危ないとこ
ろだった、理性に感謝。
 ん、何だろう。
 突然、苦しそうな表情になった。どうやら撫でるのを止めていたのが悪かったらしい。
重箱を必要異常に強く持ったり奥歯を噛み締めたりしているのか、妹さんの方から聞こえ
る音も悪いのかもしれない。その意外な弱さと可愛らしさに壊れてしまいそうな意識を無
理に保ちながら、再び髪を撫で始める。そうすると表情は、元の穏やかなものに戻った。
 ずっと、こうしていたい。
 昨日も喫茶店で同じ願いを持ったけれども、今のものは強さや密度が全然違う。昨日は
普通にさよならをしたけれども、今日は二人でずっと居るのも良いかもしれない。無理を
して登校するよりも、ゆっくりと体を休める方が良いのかもしれない。
 もう学校も近い。どちらにせよ、まずは起こさないと。
 体を軽く揺すると、薄い笑みと共に目を開く。
「何か、良い夢を見た気がする」
 少しでも彼を幸せに出来たことに、心が震えた。
 わたしの幸せはここにある。
247ロボ ◆JypZpjo0ig :2006/07/23(日) 23:22:03 ID:31Gesge5
今回はこれで終わりです

虎徹ちゃんがどんどんダメな子へ
青海や虎徹ちゃんで新しい萌えに目覚めそうです
248名無しさん@ピンキー:2006/07/23(日) 23:33:26 ID:Smf0qMm4
青海タンセツナス(つω;`)
ロボ神GJ!
249黒鐘:2006/07/24(月) 01:23:37 ID:D0LbIb9j
黒鐘といいます。
まだまだ初心者ですが、このスレに刺激されて投下をしよーと思います。
よろしくお願いします!
250華ノ歌ヲ:2006/07/24(月) 01:26:17 ID:D0LbIb9j
・・・むく・・・「PIPIP」、バチン。
目覚まし時計が催促の連絡をする前に、その動きは既に止まっていた。
習慣といえば習慣なのだが、いかんせん爺くさいなあと我ながら思う。
時間は朝6時、どちらかといえば街の大半はまだ活動をしておらず
その静けさがなんとも心地よい気もする・・・。

カチャ・・・
少し控えめに部屋のドアがあいた。
「・・・・・メイくん、おはようございます」
更に控えめな声で挨拶が聞こえてきた。
「はい、おはよう」
そう言ってのほほんと挨拶を返す。ある程度この家では決まった朝の風景だ。
「・・・朝ごはん、できてますから・・・」
そして挨拶よりもまた更に控えめに茉莉(まつり)はドアを閉めた。
パタパタと茉莉特有の足音が遠ざかっていく。

「よっこいしょっと」
そういって光命(こうめい)は体を起こした。まだ学校に行くまでには時間がある。
のんびり新聞でも読みながらお茶でもすすろう・・・と考えながら茉莉に呼ばれた
リビングへと向かっていった。
251華ノ歌ヲ:2006/07/24(月) 01:27:33 ID:D0LbIb9j
《華ノ歌ヲ》

「ずず・・・」
リビングにお茶をすする音が響く。光命はぼーっと縁側の花壇を見ていた。
ああ、今日もいい天気だなあ・・・。と爺まるだしの思考経路は相変わらずのようだ。
「・・・メイくん、ご飯・・・」
ずっと食べるのを待っていたのだろうか?茉莉はじーっと光命を見つめていた。
「あ、うん。でもまだ茜(あかね)が起きてきてないでしょ??少し待とう・・・」
「私と二人は嫌・・・?」
「あ、いや、そういうわけではなくt」
「嫌なの・・・?」
「そうではなくてだね、せっかくなんだしね」
「・・・・私はメイくんと二人でも良い・・・ずっと」
茉莉がさらりとバクダン発言をした瞬間。トタタタタとこれまた独特の足音が響いた。
「おはよ、お兄ちゃん・・・と茉莉」
そういって寝ぼけ眼を擦りながら降りてきたのは光命の妹、茜だ。

彼、六波羅(ろくはら)光命には2人の妹がいる。
一人目は茜。肩まで伸ばした髪、深い黒色の瞳、まさに大和撫子を思わせるような
凛とした美しさのある少女だ。性格は兄の影響かややのんびりする帰来があるが
行動はテキパキと効率よく行うタイプだ。普段はものすごく喋る方ではないが、
キレた時と兄が絡んでくるとものすごく喋る。光命の「本当」の妹

二人目は茉莉。腰まで伸ばした髪にゆったりとウェーブがかかっており、目はやや蒼い。
どこか儚さを思わせる可憐で美しい少女だ。しかし胸は可憐とは程遠くダイナミックに育っていたが。
性格は寡黙で内気、引っ込み思案なタイプだが考えていることは結構派手らしい。
茜とは対照的にキレルと眼が据わって無言のプレッシャーをかけてくる。怖い。
こちらは光命と茜の父親が再婚したとき義理の母がつれていた娘。光命の「義理」の妹。
252華ノ歌ヲ:2006/07/24(月) 01:28:54 ID:D0LbIb9j
そんな2人と暮らしているのが彼女らの兄、光命となるのである。ついでに、彼等の
父と母は仕事の関係で海外に移り住んでいるため滅多のことではかえってこない。

「・・・なあ茜。お前朝に弱いんだから無理して起きてこなくても良いんだぞ?いっつも眠そうだし・・・」
たくあんを齧りながら光命がつぶやく。
「いやだ、絶対起きる。起きなきゃ大変なの。色々大変なの。だから嫌なの。嫌なのです。」
まだ半分寝ぼけているのか、途切れ途切れの言葉が返ってきた。よく判らないが大変なのは判る。
「なあ茉莉、俺起こしに来るならなんで茜も起こしてあげないの??」
寝ぼけてる妹は置いといて、恐らく寝ぼけてないであろう妹に聞いてみた
「・・・メイくんとの時間が減っちゃう・・・それは取り決めで許されないことなの・・・」
こちらも「寝ぼけてるのかな?」と思いたくなるような解答が返ってきた。
しかしこんなやり取りがほぼ毎朝行われている。
これが普通、これが六波羅家の一日の始まりなのだ。

朝食も終わり、それぞれが学校に向かう準備を始めていた。
準備といっても妹二人は既に玄関で待機して、兄が来るのを待っているだけなのだが。
最初は二人して部屋の前で待っていたのだが、さすがに勘弁してとの兄からの要望(懇願?)
でしぶしぶ玄関での待機と相成った。
「お待たせしました・・・っていうか先に行ってても良いのに。」
確かに学校に行くには少し早い時間だが、毎回待機(待ち伏せ)してくれている2人に申し訳ないと思ってしまう。
「「いいの、お兄ちゃん(メイくん)といたいの」」
そういってがっちりと両側をホールドする。
「じゃあ、行こう?」
「・・・行きましょう」
「・・・ねえ、恥ずかしいから5分だけにしてね」
そういって学校に向かう。これも六波羅家のよくある登校風景なのだった。
253華ノ歌ヲ:2006/07/24(月) 01:30:06 ID:D0LbIb9j
茜と茉莉なのだが2人とも光命を呼ぶ時の呼び方が異なっている。
昔、茉莉は六波羅家に来たときに光命を「お兄ちゃん」と呼んでいたことがあった。
生まれる前に父親を亡くした茉莉にとって光命は初めてできた異性の家族であった。
暮らし始めた頃はひどく警戒心をあらわにしていたが、光命ののほほんとした性格と、穏やかな優しさに
次第に心を開いていった。気付けば茉莉はいつも光命の傍にいるようになったのである。
茉莉にとって光命は父親であり、兄であり、愛する人になっていたのであった。

しかし、その仲が深まってゆくたびに反比例して不機嫌になっていったのがもう一人の妹、茜だった。
光命の傍は生まれた時、いや生まれる前から自分の場所だと思っている茜にとって、その場所を
脅かす茉莉の存在は邪魔でしかなかった。茜は兄の傍を守るように立ち回り、行動し続けた。
時には兄の布団に潜り込み、時には風呂に乱入し、時には自分と兄を縛りつけようともした。
兄は自分のものである。兄は自分だけのものである。それを脅かすものは許さない許さない・・・。
その信念、いや執念で行動し続けたのだった。
しかし、ついにその執念が「兄の傍を守る」事から「兄の傍を脅かすものを排除する」事へとベクトルが変化する
事件がおきてしまったのだ。
254華ノ歌ヲ:2006/07/24(月) 01:31:18 ID:D0LbIb9j


それは茉莉が初めて「お兄ちゃん」と光命を呼んだ日の事だった。


「・・・・おにいちゃん・・・」
今まで一度もその名で光命を呼んだ事がなかった茉莉が躊躇いながら、しかしちょっと嬉しそうにその名を呼んだ。
「・・・・・!!」
光命は驚きと共にこれまた嬉しそうな顔でその名に答えた。
「何?茉莉。」
「・・・・・ううん、何でもないの・・・」
照れ隠しなのだろう。茉莉はそう言ってパタパタと急ぎ足で部屋に戻っていった。
光命はのほほんとしながらも嬉しそうに湯のみに残ったお茶を啜り始めた。

そんな雰囲気とは裏腹に、修羅のごとき表情でそれを見ている人物がいた。
茜だ。
「あの子おにいちゃんって言った私のお兄ちゃんにおにいちゃんって言ったその名で呼んで良いのは私だけなのに
その名で呼んだこの世でその名は私だけのものなのに私だけわたしだけにゆるされたことなのにわたしのばしょに
はいってきたわたしのばしょにわたしのばしょにワタシノバショワタシノバショ・・・・ゆるさないゆるさないゆるさない
ゆるさないユルサナイユルサナイ・・・・」
目は紅く充血し、強く握った拳と硬く閉じた唇からはうっすらと血が流れていた。
その姿は嫉妬に狂った「女」であり、純粋な想いゆえその姿もひどく官能的であった。

255華ノ歌ヲ:2006/07/24(月) 01:32:27 ID:D0LbIb9j
そして次の日、事件は起きた。
普段から早起きが信条の光命は普段聞きなれない激しい喧騒で目が覚めた。
まだ朝は早い、テレビも昨日は消して寝たはず。ではこの喧騒は・・・?
耳を澄ますと音の出所は隣の部屋。つまり茉莉の部屋からであった。
若干の胸騒ぎを感じた光命がその部屋に踏み込んだ時、あまりの惨状に自分の目を疑った。

既に原型を留めていない人形達、割れた花瓶、千切られたカーテン。
そして何より部屋の中央で対峙する2人の少女の有り様だった。
茜は手に包丁を携え、鋭い眼差しと表情にうっすら美しい笑みを貼り付けたまま佇んでいた。
「ユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイワタシノバショワタシダケノバショ二ハイッテキタ
ドウシテドウシテドウシテイヤダイヤダイヤダオニイチャントヨブノハワタシダケソノナヲコノヨデヨンデ
イイノハワタシダケユルサナイユルサナイユルサナイ・・・・」
一体いつ呼吸をしているのだろう?そう思うくらいに言葉を紡ぎ、茜は茉莉を見据えていた。
256華ノ歌ヲ:2006/07/24(月) 01:33:09 ID:D0LbIb9j
一方茉莉も部屋の中央で割れて尖った花瓶を両手に携え佇んでいた。
表情は茜とは違い無表情。まるで感情が見られないほど冷徹で落ち着き払っており
しかし目は紅く充血し、普段の蒼い眼と相まってうっすらと紫の眼になっていた。
「・・・おにいちゃん・・・おにいちゃん・・・。」
ゆっくりとかみ締めるかのように茉莉がその言葉を口にした。

「ソノナデ・・・ソノナデオニイチャンヲヨバナイデーーーー!!!!!!!!!!!!!」

咆哮のような怒号で光命は我に返った。あまりの惨状に意識が遠のいていたが、それ処ではない。
このままでは大事な家族が傷ついてしまう、死んでしまうかもしれない。
「やめろよ!!何やってるんだよ二人とも!!どうしたんだよ!!!なあ!!」
原因が自分にあることなど予想がつかない光命は、どうすれば良いのかわからず
おろおろと2人の名を叫ぶだけだった。
「茜!!茉莉!!やめろ!!やめてくれ!!!」
そういいながらも部屋の中央では人間の反射速度を凌駕するほどの攻防が繰り広げられている。
息もつかせぬ連撃で茉莉に迫る茜と、その連撃を冷静に受け流し一撃必殺を目論む茉莉。
2人の眼には自分を脅かすモノしか眼に入っていないようだった。
257華ノ歌ヲ:2006/07/24(月) 01:33:52 ID:D0LbIb9j
「やめろよ・・・・やめてくれよ・・・・」
力なく光命は呟いた。普段幸せそうな笑顔を見せる彼の顔からは予想できないほど憔悴した顔だった。
しかしうつむき、うな垂れた彼の顔はいつしか憔悴した表情さえも消え、次第に眼が据わってきていた。

頭の奥がじりじりする。目の前の喧騒がだんだん遠ざかっていく気がする。先程まで持て余していた
動揺が嘘のように身体から引いてゆくのがわかる。
光命はゆっくりとうな垂れていた顔をあげた。
そして

「いい加減にしやがれえええええええ!!!!!!てめえらああああああああああ!!!!!!!!!!」

まさに激昂。普段のほほんとしている光命からは全く想像もできない怒号が響いた。
これには渦中の二人も動きを止め、眼をパチクリさせ彼を見た。
「「ひっ・・・・!!」」
期せずして2人の声がハモッた。
怖い。いや、そんな生半可なものではない。身体の芯が震えあがる程の恐怖がそこにはあった。

そこからのことを光命は殆ど覚えていない。ただ、意識がはっきりした時に眼にしたのは
涙を流しながら震えて、正座をしている少女2人の姿だった。
その後、光命、茜、茉莉の3名は寝込んでしまい、その日の学校は欠席する羽目になった。
ただ光命だけは何故か7日間寝込んだのだが・・・・。
258華ノ歌ヲ:2006/07/24(月) 01:34:39 ID:D0LbIb9j
それから茉莉は光命を「メイくん」と呼ぶようになった。どうやら茜となんらかの取り決めごとをしたらしく
「お兄ちゃん」と呼ぶのは茜だけとして、茉莉はほかの名前で呼ぶ事になったそうだ。
しかし、「お兄ちゃん」という妹にのみ許される唯一の呼び名を奪われ、新しい名を模索するのは時間がかかった。
当初は「ご主人様」と呼ぼうとしたが、兄、茜が頑なに拒否。「こうくん」は在り来たりすぎると茉莉が拒否。
結局今まで誰も呼んだことがなかった「メイくん(光命のめい)」を自分唯一の呼び名とすることに収まった。

それからは目立った喧嘩も無く、むしろ茜、茉莉両名で一緒に行動をするようになった。
食事、睡眠、買い物・・・。一緒に行動し、共に光命の傍にいた。
取り決め事は名前の呼び名だけでなく、細部にわたって執行されているようだった。
ただ、その日から2人の部屋の壁には「16歳まで」という意味不明な書置きが残されるのだが・・・。
それはまた、別の話。
259黒鐘:2006/07/24(月) 01:36:31 ID:D0LbIb9j
とりあえずはここまでとさせていただきます。
・・・やはり文章書くのは難しいですね・・。

この続編は書きあがり次第UPしたいと思います。
260名無しさん@ピンキー:2006/07/24(月) 01:41:32 ID:c1TfkGqH
良いですぞ、中々に、いや実に良い!
イキナリこの殺伐としたエピソード これぞ修羅場
続き期待してます

でも次からはsageて下さいませ
261名無しさん@ピンキー:2006/07/24(月) 01:45:38 ID:svVgnilN
久しぶりに顔を出したら、やっぱりいいなこのスレ。
続き、期待してます。
ここで書くことでもないかもしれないけど、sageの仕方は半角でメル欄にsageと半角で書くだけ。
これでオッケーです。
あと、できればトリップも付けてください。
まとめサイトにやり方がのってるので。
262名無しさん@ピンキー:2006/07/24(月) 01:50:15 ID:2Yoqq5Wn
久々の新作ですな。期待してます、頑張って下さいね!!
263名無しさん@ピンキー:2006/07/24(月) 01:51:19 ID:b+ogC/ev
新作(*´д`*)
続き期待してます

>>247
青海タンかわいいよ青海タン
それにしても虎徹殿の周りには変態ばっかりで
とても羨ましい(;つД`)
264名無しさん@ピンキー:2006/07/24(月) 01:53:08 ID:fJmp2b2e
確かに新作久しぶりだなぁ。期待。
265名無しさん@ピンキー:2006/07/24(月) 01:55:01 ID:KCEVsymK
……そろそろモカさん分が不足してきたゼ。
266名無しさん@ピンキー:2006/07/24(月) 02:09:51 ID:1iboHg3E
山本くんマダー?
267名無しさん@ピンキー:2006/07/24(月) 02:22:30 ID:jtO5rAP2
>>259 GJ
新作の第1話が長めの投下ってのは世界観がわかりやすくていいね
268名無しさん@ピンキー:2006/07/24(月) 03:03:17 ID:zwhvn83D
>>259
素晴らしくステキな妹達ですね。
イイね!!実にイイ!!GJ!!
269名無しさん@ピンキー:2006/07/24(月) 03:16:55 ID:kIZvSIBt
新作キタ━━(゚∀゚)━━( ゚∀)━━( ゚)━━( )━━(゚ )━━(∀゚ )━━(゚∀゚)━━!!!!!
270絆4-1 ◆e65aP.7ZpY :2006/07/24(月) 03:32:19 ID:LMrlU15g
「ふぁぁ〜もう朝か・・・」
弘樹は朝になって目を覚ました。
「なんか昨日のこと考えてたらなかなか眠れなかったんだよね・・・なんか顔合わせずらいな」
そんなことを呟きながらリビングへ向かう。
「おはようヒロ」
そこには朝食の準備をすまして座っている由紀の姿があった。
「あぁおはよう由紀姉。昨日は結構遅かったみたいだけど、どうしたの??」
「ちょっと仕事が溜まっててね」
「そうなんだ。ごめんね由紀姉は僕のために一生懸命働いてくれてるのに、
僕は由紀姉に何もできなくて・・・」
「そんなことは気にしなくていいのよ。私はヒロが元気にしていてくれればそれだけで十分なんだから」
「ありがとう・・・由紀姉」
「やぁね朝からシリアスな雰囲気つくちゃって。ところで、昨日は楽しかった??
たしか彰君だったけ一緒にいったのは??」
「えっう・・・うん、そうそう彰だよ!!まぁ結構楽しかったかな」
(今更女の子と行ったなんて言えないよね・・・)
「そう、それはよかったわね」
(やっぱりまだ嘘をつくのねヒロ・・・)
二人は心に各々の思いを抱いていた。

そして朝食も終わり、弘樹は学校へと向かう。
「それじゃ行って来ます」
「行ってらっしゃい」

一方そのころ・・・。
沙耶花side
登校中の沙耶花。
「ふぅ〜どうしよう、昨日は勢いで名前で呼んで欲しいなんて言っちゃったけど・・・
これってすごい恥ずかしいことだよね///うわぁ〜なんか考えてたら余計に恥ずかしくなってきたよ〜
やっぱ言わなきゃよかったかもなんてちょっと後悔。でも、これで二人の距離は縮むこと
間違いなしだよね!!えへへへへっ」
周りから見たら多少危ない人にも見えなくもない沙耶花だった・・・。

視点は戻り。
弘樹side
「学校が近づくにつれてなんかドキドキしてきたな・・・こういうときは深呼吸深呼吸、
スゥーハァー」
「お前何してんだ??」
「うわぁ!?な、何だ彰か・・・びっくりさせないでよ」
「いや、お前が道のど真ん中で突っ立てるのがいけないんだろう」
「ま、まぁそれは確かに・・・」
「でだ、昨日はどうだった??」
「何が??」
「何がってお前・・・昨日は後藤と行って来たんだろう??」
「おかげさまでね」
「それでどうなったんだ??はっ!?まさか最後まで・・・」
「それはないから・・・ハァ〜彰と話してると本当に疲れる」
「そこまで言うことないだろ」
そんなやりとりをしている間に校門前に付いてしまった二人。

校門の前には沙耶花の姿があった。
「あっ」
声を上げる沙耶花。
「お、おはよう弘樹君」
そしてぎこちなく弘樹にあいさつをする。
「おはよう。さ、沙耶花」
「沙耶花!?」
その言葉を聴いて驚愕の声を上げる彰。
271絆4-2 ◆e65aP.7ZpY :2006/07/24(月) 03:33:10 ID:LMrlU15g
「まて弘樹」
「な、何だよ」
「まさかとは思っていたが、お前らもうそういった関係だったのか??」
「そういったってどんな関係だよ」
「そりゃお前ちちくり合う仲だろ」
「ちちくりって・・・お前いつの時代の人間だよ」
「そんなことはどうでもいい!!お前に聞いても話が進まないな」
そう言って沙耶花のもとへと近づく彰。そうして耳元で・・・。
「なぁ、さっきのは冗談として、実際のところはどうなんだ??
もう付き合ってたりするのかよ??」
「ううん、付き合ってはいないよ。ただ私のこと名前で呼んでってお願いしたの」
「そうか。でもこれで後一押しだぞ後藤。あいつはもうお前の手中にあると言っても過言じゃない!!」
「えっいや、私は別に・・・」
「ねぇ、二人ともさっきから何を話して・・・」
「ちょっと静かにしろ!!今後藤と大事な話中だ!!」
「は、はい・・・」
彰の威圧に負ける弘樹だった。
「後藤お前は本当にそれでいいのか??何を隠そうもうすぐ夏休み。それを一人で寂しく過ごすのか??」
「もう夏休みだったけ??」
「あぁ、そうだ。作者の季節に合わせるからな。もう夏休みでもおかしくない!!」
「あ、あの・・・作者って」
「細かいことは気にするな!!それでだ、今ならもうすぐで彼氏ができるとこまできているんだぞ。
このチャンスを逃すのか??いや、そんなことはお前にはできないはずだそうだろう??」
「確かにそんなような気も・・・」
彰に洗脳されつつある沙耶花。
「ならどうする、それは只一つ。すぐにでも告白しなさい」
「うん・・・って告白!?」
「今のお前なら、弘樹はすぐにでもOKを出す。俺を信じろ」
「でも私そんな勇気ないよ」
「今しなければきっと後で後悔するぞ」
そう言われ沙耶花は悩んだ。
(そうだよね後で後悔するなら、ダメでも今するしかないよね)
「わかったよ。彰君を信じるわけじゃないけど私頑張ってみるよ!!」
「そうだ!!途中気になる言葉が入っていたけどそこはあえて気にしないでおこう」
「あのですね、お二人とも・・・」
何故か敬語になりつつも話しかける弘樹。
「弘樹後少しだ!!もう少し待て!!・・・それでだな今日の放課後なんてどうだ??」
「それは早すぎじゃ・・・」
「いや、早いに越したことはない!!」
「なんか今日の彰君恐いよ・・・」
「友のためなら修羅にもなれる男がこの俺さ。ってことで今日の放課後に決定だ」
「私の意見は無視なのね・・・」
「セッティングは俺に任せとけよ!!後は後藤・・・お前次第だ」
「頑張ってはみるけど・・・」
「よし!!・・・話は終わったぞ弘樹。早く行こうぜ!!」
「もうかなり遅刻だけどね・・・」
「何!?」
「うそ!?」
彰と沙耶花は驚いた。
「何んでもっと早くに言わなかったんだよ!!」
「言おうとおもったけど、最後まで話させてくれなかったじゃんか!!」
言い争う二人に沙耶花が言う。
「そんなことはいいから早く早く!!ダッシュだよ」

こうして遅刻という代償を得て決意を固めた沙耶花だった。


272絆4-3 ◆e65aP.7ZpY :2006/07/24(月) 03:38:36 ID:LMrlU15g
そして時は過ぎ、放課後・・・。

「よし後藤勝負の放課後だ!!」
「うん。わかってるよ・・・」
「もうすぐ人がいなくなっるだろ??そこで俺が弘樹に残ってるように言うから、
そこにお前が入っていってそこでお前は告白するんだ。な、完璧だろ??」
「完璧かどうかはわからないけど、やってみるよ」
こうして二人が動き始めた。
「おい、弘樹〜」
「何だよ??」
「ちょっとこの後教室に残ってて欲しいんだどさ」
「え〜何でだよ」
「そこはほら、男同士の大事な話し合いってやつがあるんだよ」
「しょうがないな・・・」
「とりあえず先に職員室に呼ばれてるからさ、少しだけ待っててくれよ」
「早くしろよな」
「おう、わかってるよ」
そして教室に一人残る弘樹。

待つこと10分。
「彰のやつ遅いな・・・帰っちゃおうかな」
彰が来るのが遅いため帰ろうかと考えている弘樹。その時教室のドアが静かに開いた。

「遅いよあき・・・あれ沙耶花??」
弘樹の前に現れたのは彰ではなく沙耶花だった。
「どうしたのこんな時間に??」
「ちょっと用事があって・・・」
(よし、ここまでは彰君の計画通りにいった。問題はこの後だよね・・・
どうやって話を切り出そうかな・・・)
「そうなんだ。僕は彰を待ってるんだ。あいつ来るの遅くてさ、
もう帰っちゃおうかなっておもってるんだ。ハハ」
「あ、あの・・・帰らないんで欲しいんだけど」
「えっ!?」
「私が用事あるのは弘樹君になんだ」
「僕に用事??」
「うん。それで彰君に手伝ってもらって、弘樹君に残ってもらったの」
「そうなんだ。それはわかったけど、用事って何かな??」
「あ、あのね・・・わ、わたしね・・・」
その言葉を最後に沈黙が続く。
「・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・」
そうして暫くして沙耶花が意を決したように言葉を放った。
「・・・ずっと弘樹君が好きでした!!私と付き合ってください!!」
「えっ!?」
急な告白にあせる弘樹。しかし弘樹の心はすでに決まっていた。
「僕でいいなら・・・よろこんで」
「嘘・・・夢見たいだよ・・・ウゥゥ」
弘樹の答えを聞いて、嬉しくて泣き出してしまう沙耶花だった。

こうしては付き合うことになった弘樹と沙耶花。しかし、これから二人に起こるであろう
出来事はまだ誰も知らなかった・・・。








273 ◆e65aP.7ZpY :2006/07/24(月) 03:40:43 ID:LMrlU15g
お待たせしました絆の続き載せさせていただきました。

今回は多少ボケなどをはさんでみました。
みなさんに楽しく読んでいただければ幸いです。
274名無しさん@ピンキー:2006/07/24(月) 14:28:28 ID:SxHl1OVZ

やきもち、嫉妬心が強い妻(夫)
http://life7.2ch.net/test/read.cgi/live/1143016604/
275名無しさん@ピンキー:2006/07/24(月) 17:19:02 ID:Mb3SiBdX
おっさんとおばさんしか想像できない
ごめんよ…俺はもうダメだ
276名無しさん@ピンキー:2006/07/24(月) 17:41:04 ID:2XpWEdPe
旦那って呼んでるのがなあ…
人に相談する時でも名前で呼ぶのが基本だな。

むしろ相談などせずにどんどん溜め込んでほしい。
277『疾走』 第十六話 ◆/wR0eG5/sc :2006/07/24(月) 18:03:16 ID:or9Mv6gj
 とある休日。
 あまりにも汚濁に包まれている俺の部屋に我慢できなくなったらしい、有華が掃除しちゃうもんね宣言を発令させる。
 俺の、面倒臭いという非常に説得力が満載である却下の理由は即座に撤回された。
 そして――もちろんと、言ってしまえば当然か。
「この、本棚の隅っこに何気なく置いてあったいかがわしい書物はあたしの主導で処分します。……文句とか、ある?」
「ありません、ありません」
 かつての相棒たちは、今や有華の手中に収められてしまった。
 というか有華よ。怖いから、そんな、ぎらついた眼球で俺を凝視しないで……っ。
 俺は母親に叱られている子供の心境だった。
「だいたいね、もうこんなのいらないし、エー兄には」
「うえっ……?」
 どさりと、それらを床にこぼす。
 俺は正座した姿勢のまま、有華を見上げた。
 びくりと……背筋に、悪寒が迸る。
「ゆ、有華、どうした……なんか、怖いぞ」
 俺を見下す視線には、いつか繋いで帰った手を想起させる、冷淡さが垣間見える。
 おいおい。
 まさか……ほ、本気で、その、エロイ本くらいで……怒ってるっ?
 嘘だろ。ははっ……まっさか。
「あたし、怖いかなっ……? そう見えたのなら、そうだね――あたしが怒ってるって、理解してるの、エー兄は」
「い、いやでも、俺くらいの年頃のやつは持ってて当然って、感じで」
「うるさい」
 パンと、渇いた響きが――俺の頬から、発せられる。
 有華に平手を浴びせられたと気付けたのは、自分で数秒叩かれた箇所を撫でてから、だった。
「い、つゥ……っ」
「前は叩かないで、許してあげたけど……今日は駄目」
 しばしぼうぜんとしながら……しかし、段々とこの理不尽に、怒りを覚える。
 なんだよ。
 確かに、お前は俺の彼女なのかもしれないけど……そこまで、干渉してくるか、普通。
 あまつさえ――この体罰。
「――いたかったよね、ごめんね、エー兄」
 などと、有華の指先が頬に触れる。
 見れば――有華は、俺に目線を重ねるためか、屈んでいた。
 もう片方の手も伸ばしてきて……両手で、顔を固定される。
 有華に……この瞬間、束縛されていた。
「ゆ、有華――っう、ぁ」
「――っん」
 気付けば……俺の意思を無視して。
 有華から、強制的なキスを……されてしまっていた。
278『疾走』 第十六話 ◆/wR0eG5/sc :2006/07/24(月) 18:03:50 ID:or9Mv6gj
 貪るみたいに、口内で舌を蠢かす。
 あたしは、初めてのキス。
 エー兄にとってもそうであったら――あたしは、嬉しい。
「あむ……っ、んっ……ぷぁ」
「ぅあっ」
 一旦舌を抜いて……唾液だけで、エー兄の口内と繋がってみる。
 透明な糸が、エー兄の舌と、あたしの舌に。
 顔を離すと――熱に浮かされたように、ぼうっと、あたしを見据えるエー兄。
 可愛いよ。
 あたしだけの、エー兄。
「エー兄ぃ……っ、可愛いんだぁ」
「ゆ、か……ぁ、んっ」
 口を塞ぐように――また、唇を重ね合わせる。
 一心に、エー兄の舌にあたしのそれを絡めて――っ。
「んっ……あ、むぅ」
 ああ。
 エー兄も……戸惑うように、ゆっくりと、舌を動かしてきた。
 真実――混ざり合っている。
 自然に、あたし達は、お互いを抱き合っていた。
 続いて……ズボンに手が伸びる。
 ゆっくりと、優しく――盛り上がっている部分だけ、手の平でさすってあげる。
「あ、ぅあ……んっ」
「ぷぁ……っ。エー兄ぃ、気持ち、よかったの……っ?」
 キスを中断して、問いかける。
 あたしの手の平が触れている部分は……ひどく、熱くて、かたかった。
 潤んだ瞳で、エー兄があたしを見据える。よだれが垂れているのも、また、幼さが垣間見えて、愛らしかった。
「あ……ぅ、ん」
 赤面して頷かれると、抱き締めたくなっちゃうよ。
 同時に嗜虐の心も生まれる。
「あたしに、なにを、して、ほしいの……っ? エー兄が、ベッドの下の件を謝って、ちゃんとお願いしてくれたら……なんでも、してあげちゃうよ、あたし」
 ぞくりと。
 弄る快感が、背筋を疾走する。
「あ、謝る……っ?」
「そう――悪いことをしちゃったら、ちゃんと、ごめんなさいって、言わないとね」
 切なそうに、目尻にためた雫を――唇ですくう。
 エー兄の涙なら……あたしには、非常に美味だと思えたのだ。
「んっ……。ほら、言わないと……して、あげないよ……っ?」
「く――ぅ、う」
 火照った表情で俯く。
 恥ずかしいんだよね、きっと。今まで妹みたいな存在だった幼馴染みに、こんな、主導権を握られて……でも、快感には抗えなくて。
 だから、理解させないと。
 あたしこそが――エー兄の、女なのだと。
 先日の、メールのアドレス。
 あれで思い知ったんだ。……エー兄には、決定的に理解力が欠損してるって。
 だからこの方法を選んだ。
 最も安易で、確実で――何より、あたしも、肉体の重なりを、強く望んでいたから。
「ご、めん、なさい……っ。許して、ゆ、か」
 元々中性的な顔立ちのエー兄が、こうやって赤面して謝罪すると、女の子じゃないかと錯覚してしまう。
 本当に――可愛いよぅ。
「じゃあ次は……お願い、するっ?」
「あ、ぅ……っ」
 流石に躊躇してみるみたい。
 でもあからさまに拒絶しないのは――何でかな、エー兄。
「どう、するの……っ? あたしは」
 とまどうエー兄の片手を掴んで……あたしの秘所に、指を這わせた。
 びくりとして、エー兄の呼吸が――さらに、荒くなる。
 理性がとけるまで……あと、僅かだよ。
「こんなに、濡れてるけど」
 首を伸ばす。
 エー兄の耳たぶを――舌で転がしてから、甘く、噛んだ。
279『疾走』 第十六話 ◆/wR0eG5/sc :2006/07/24(月) 18:04:36 ID:or9Mv6gj
 もう、俺のモノを撫でられた時点で――こうなることは、決定していたのかもしれない。
 気付いたら……有華を、ベッドに押し倒していた。
 俺が、上で。
 有華が――下。
 さっきまでの構図とは……まるで、逆だった。
 呼吸も上手に整えられない俺とは違って、有華は、母性を感じさせる笑みで、俺を見上げてきている。
「ゆ、か……ぁ」
 休日の、昼下がり。
 なれど――外の雨足は、激しく。
「いいんだよ、遠慮しなくても」
 だらんと、四肢をベッドに投げ出しながら。
「エー兄は優しいって、知ってるし。あたしは――エー兄の、モノだから」
 あ、うぅ。
 熱い。
「滅茶苦茶に、扱ったって――構わない。大好きだから」
 本当に。
 さっきまでは、怖いと感じていたのに。
 今では……こんなにも、愛しいと、思える。
 俺は――っ。
「んぅっ……あ、ぅ」
 今度は自分から、有華の唇を貪る。
 それが――答えだった。
280『疾走』 第十六話 ◆/wR0eG5/sc :2006/07/24(月) 18:05:53 ID:or9Mv6gj
 髪から香る、シャンプーの、女の子の、匂い。
 それを意識しながら――濡れた茂みへと指先を蠢かす。
「あ、やぅ……っ、いい、よ……ぉ」
 初めてなので、わからないけれど。
 有華の嬌声を耳朶が受け止めるたび、ちゃんと、感じてくれているのだと、勝手に納得する。
 動作を速めると、喘ぐのも速まる。
「エー兄ぃ、あ、きもちぃ……っ、して、ぐちゃぐちゃって……し、てェっ」
 駄目だとは、どこかで思っている。
 それでも――この、動く己の肉体を抑制する理性が、有華のキスで、溶解されてしまったのか。
 指を、眼前に持ってくる。
 ぬめっている……生唾を、ごくりと、飲み込んだ。
 潤んだ両目で、有華が、両手をだらんと投げ出したまま。
「やだぁ……っ。もっと、してよぉ、エー、兄ぃ」
 もう。
 俺は、駄目だと、思う。
281『疾走』 第十六話 ◆/wR0eG5/sc :2006/07/24(月) 18:06:22 ID:or9Mv6gj
 無垢な領域を、俺のモノが、破壊する。
 ――血が。
「んっ、ぅ」
 有華が呻く。
 だが俺は――未知の、快楽に、溺れてしまっていて。
 動くばかりだった。




「あ、あんっ、うあ、あっ」




 欲望に流されるまま、同じ動作を繰り返す。
 有華の嬌声も――聞き慣れた。




「いいの、ぉっ、あはっ、あぉっ……すきぃ、エー兄ぃ、すきぃ」




 有華は――痛がったのは最初だけで、さっきから、快楽に沈んでいる様子だった。
 ごめん。
 あんまり、今は、構って、やれなくて。




「あ、ぅ……ゆ、か」
「いいよぉ、びゅって、してェ……っ。せいしぃ、せいし、ほしい、よぉ」




 俺は。
 流されるまま、そうして。




「あ、あひぃ、やあ、ああぁあぁああっ……!」




 有華を抱き締めたまま。
 果てる。
282『疾走』 第十六話 ◆/wR0eG5/sc :2006/07/24(月) 18:07:21 ID:or9Mv6gj
 上方からの物音が停止する。
 しばし荒い呼吸が耳朶をつつく――それから、数十分。
 すうすうと、寝息。
 二人の意識が睡眠に埋没しているのだと判断。
 ――待機していた場所から、這って、出る。
 見下ろす。
 ほぼ裸体で抱き合う……阿良川瑛丞と。
 谷川、有華。
 穏やかに。
 幸福を撒き散らしながら――穏やかに、眠る。
 見下ろす眼球が、ぎょろりと、収斂され。
 拳は握り締められる。
 爪が肉に食い込み、流血する。
 構わない。
 苦痛でしか、この現実のざんこくを、薄めることは、きっとできないだろうから。
 こんなに大きな歯軋りは、初めてだった。
283『疾走』 第十六話 ◆/wR0eG5/sc :2006/07/24(月) 18:08:35 ID:or9Mv6gj
 発声すると二人が起きる可能性があるので、口だけを動かすことに。
 部屋には三人。
 一人が、呪文を詠唱するように――口元を素早く動かした。










 死ね。
 死ね、死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ねくたばれ心臓を握り潰したいひひひひひ
 その罪悪はあらゆる手段での償いで以ても決して許容はされないそれを理解しろ汚濁の豚が
 幼馴染みの分際で生意気だと気付けそして是正しろ自らの巨悪を認識してさっさと自殺しや
 がれ今度転生するときは是非に蟻という存在を選択しろこの私が思い切りに踏み潰して生前
 の清算しきれない過ちを僅かでも減少させてやるというか何回もお前を殺してやりたいんだ
 よ私はそう何回も何回もお前という存在を苦痛の海に沈ませてやる死んでも覚悟しろこの糞
 女がお前が蟻に生まれ変わるならならば踏み潰し犬ならば蹴り殺し猫ならば絞め殺しとにか
 くあらゆる殺しを実践して後悔にむせび泣けよ私のエースケくんをエースケくんをエースケ
 くんをよくもよくもよくも奪い取ったなこの外道がくたばれ消えろ呼吸を停止しろお前の位
 置を私に譲れ糞糞糞糞エースケくんのとなりとなりとなり私はそこがいいのだからお前は死
 ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死んでよ死んでよおおおおおおおおおおおおおおおお
 あはははははははははぐひゃげははははは絶対に死ぬ死ね死ね死ねお願いだから消え失せろ
 おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお――っ!










 そして。
 ドアが閉まる。




 部屋には二人。
 一人――いなくなった。
284 ◆/wR0eG5/sc :2006/07/24(月) 18:12:43 ID:or9Mv6gj
未来日記を読みました。
由乃に癒されました。うへへへっ……!
285名無しさん@ピンキー:2006/07/24(月) 18:33:26 ID:5hTYpxW8
いたり先輩ベッドの下に潜んで…?(*´Д`)ハァハァ
286名無しさん@ピンキー:2006/07/24(月) 18:59:05 ID:kIZvSIBt
ベットの下に潜りこんでいるいたり先輩可愛いよいたり先輩

>>273
由紀姉の嫉妬が爆発する時は近いかな(*´д`*)ハァハァ
287名無しさん@ピンキー:2006/07/24(月) 19:11:23 ID:T4ubr5MU
いたり先輩救済ENDは必要だなと心から思いましたまる
288名無しさん@ピンキー:2006/07/24(月) 19:25:07 ID:LWxNDoLZ
部屋の掃除&エロ本探しなのにベッド下は無視
てことは有華タンはきずいてたのでは
悪女な有華タンに(*´д`*)ハァハァ
289名無しさん@ピンキー:2006/07/24(月) 19:30:00 ID:wDCvg6ty
都市伝説?
290名無しさん@ピンキー:2006/07/24(月) 20:12:44 ID:On7dEQmE
正直、生方先輩に逃げて癒されたいと思った俺は少数派ではないと思う。

だが、その生方先輩こそが実は最強の修羅場ラーと思った俺も少数派ではないと思う。
291名無しさん@ピンキー:2006/07/24(月) 20:18:16 ID:Mb3SiBdX
エースケくん…(´・ω・`)
あ、よかったら一週間くらいなら代わりますよ
元に戻った後どうなっていても責任はとりませんが
292アビス  ◆1nYO.dfrdM :2006/07/24(月) 20:43:39 ID:8iZRC9Kt
投下します
 なんだろう?今日のお姉ちゃんは何時になく上機嫌だ・・・・
 鼻歌なんて歌いながら料理するお姉ちゃんなんて初めて見たよ・・・・
 お花畑をバックにスキップしそうな勢いのお姉ちゃんとは対照的に今日のお兄ちゃんは顔を俯けたり元気がなかったりと沈んでいる
 声を掛けても「なんともないよ」そう言っていつものお兄ちゃんに戻り笑顔を作る
 でもすぐに表情は曇り悲しげに俯く、その繰り返しだった
「熱でもあるの」
 おでことおでこをくっ付けた、驚くほど冷たいお兄ちゃんの肌に一瞬驚いてしまった
 でもそれ以上にお兄ちゃんからしたシャンプーの香りに私は違和感を覚えた
 いつもはツンと鼻をつくようなお兄ちゃんのシャンプーの香りに混じってお姉ちゃんのシャンプーの香りがした
 私は髪が痛みやすいのでお姉ちゃんとは違うシャンプーを使っている
 だから、私のシャンプーの香りではない、私は頭を巡った光景にハッとし息を飲んだ
 上機嫌なお姉ちゃん、どこか沈んだ様子のお兄ちゃん・・・・お兄ちゃんから漂うお姉ちゃんのシャンプーの香り
 点と点とが繋がり私は驚愕した、お兄ちゃんがお姉ちゃんのシャンプーを使った可能性もあるけど・・・・
 考えないように、気づかないように・・・・二人の様子が違うのを・・・・
 二人の間に漂う、空気を見ないように・・・・
 けど・・・・できなかった
 私はお兄ちゃんが大好きだから、愛しているから
 小さい頃病弱で家の外に出れないで退屈していた私を外に連れ出し、楽しいという感情を教えてくれた
 そのあと、両親に怒られそうになった私を庇い、自分が勝手に連れ出したと言ってくれた
 後で来たおじさんがお兄ちゃんの頭を殴って大声で怒鳴ってもお兄ちゃんは泣かなかった
 私に心配を掛けたくないから
 涙を溜め、私を安心させようと微笑むお兄ちゃんを見て私は思った
 この人とずっと一緒に居たいって
 深夜、遠くで聞こえる車の音以外しない中で私はお兄ちゃんの部屋にこっそり忍び込んだ
 驚いたことにお兄ちゃんはこんな時間でも起きていて、一人か考え事をしているようだった
「冬香?」
 暗闇の中でお兄ちゃんは私の姿を捉えて「なんでこんな時間に?」と目で語った
 私はなにも言わずお兄ちゃんの横に腰掛た
「失恋でもした?」
 そう問うとお兄ちゃんは目線を反らした、そして窓の外を見てため息をついた
 肯定なのか否定なのか解らない、でも・・・・
「私が慰めてあげようか?」
「え・・・・・」
 声と共に視線が私に戻ってきた
 この機を逃さずに私はお兄ちゃんに思い切り抱きついた
「どう、前はあるかないかって言ってた胸・・・・結構大きくなったでしょ?」
「そんな小さな胸で誘惑してるのか?」
 どうやらからかっていると思ったらしいお兄ちゃんはおどけてそう言うと私を離そうとした
 私はそれを許さずにさらに強く抱きつき、離すもんかとお兄ちゃんに訴えた
 上目で見つめ、「こら・・・・」と言うお兄ちゃんの唇に口付け言葉を止める
「ん・・・・・ん・・・・・ん」
 私の人生初となるキスは数秒で終わり、初めてにしてはねちっこく舌を絡めた
「冬香?」
 ようやく私の意図を知ったお兄ちゃんがなにをしているんだという表情で私を見た
「本気だよ、私・・・・・」
「・・・・・・」
「いいよ、お兄ちゃん・・・・」
 お兄ちゃんの服をつたない手つきで脱がして、私も一枚一枚服を脱いでいく
「ふ、冬香!!!!」
「あん、お兄ちゃんあんまりがっつかないでよ」
 獣のように私に飛び掛かりお兄ちゃんはまるでなにを忘れたいかのように私を激しく抱いた
 もう、初めてだったのに・・・・お兄ちゃんの鬼
 でもいいの・・・・これでやっと・・・・お兄ちゃんは私もモノだもの・・・・
 少し気になることはあったけど・・・・
 そう、お姉ちゃんだ・・・・けど、失恋したお兄ちゃんの心の隙間に無理やり入り込んだだけだと思う
 気にすることもない、今はこの幸せを胸いっぱいに感じていればいいんだ・・・・
 お兄ちゃんの腕に抱かれ私は今までで一番安らかな眠りについた
「あ、ん・・・・く・・・・あん!」
 一人涼さんのことを思って私は一人自分を慰めていた
 まさか、あんなことになるなんて・・・・
 どうしても自分に自信がなかった、そして勇気もなかった
 だから、告白のとき妹の春乃に頼み込んで私に成り代わって告白してもらった・・・・
 デートの時も私は地味だから嫌われたらどうしよう・・・・
 嫌われたくなくて私はまた春乃に私のふりをして涼さんとデートして頼んだ
 春乃は「もうコレで最後だよ」そう言って承諾してくれた
 たった二度・・・・それだけのに・・・・私は全てを失った
 やるせなさがこみ上げ、私は一人で自分を慰めることしか出来なかった・・・・
 
「おわ、どうしたの?目にクマさんがあるよ?」
 挨拶も早々に春乃がそう言った・・・・私は軽く解釈してイスに腰掛けた
「それで、どうなのよ?あの彼とは?」
 心にナイフが刺されたように胸の中が跳ね心が騒いだ
「・・・・・・」
「もう、内気なんだから・・・・せっかく私が手を貸してあげたのに」
 また心が痛んだ・・・・

 やってしまった・・・・僕は頭を抱え苦悩した
 勢いとは言え、夏姉ちゃんとキスし冬香とやってしまった
 どうすればいいんだ?もう取り返しがつかないのは解っている・・・・
「・・・・・・」
 なにかごまかす様にケータイに手を伸ばした・・・・
 メールBOXを見るとほぼ全てが秋乃さんからだった・・・・
『秋乃:逢いたいです・・・・』
『秋乃:返事ください、涼さん』
 最初のだけ見て僕はケータイをベットに置いた
 少ししてケータイが鳴った、また秋乃さんからだ
『秋乃:いま、涼さんの家の前まで来ています・・・・お話、聞いてくれませんか?』
 窓を光を閉じるカーテンを開き外の様子を見る・・・・
 居ると解ってたのにそこに居た秋乃さんを見て僕は驚いてしまった
 僕と目が合うとニコッと笑んだ
 僕は慌ててカーテンを閉じて秋乃さんから目を背けた
 自分の存在をアピールするかのようにケータイが鳴った
 ゆっくりとした動作で僕はケータイの電源を切るとベットに置いた
「・・・・・・」
 コンコン、ドアを誰かが叩いた
 まさか・・・・秋乃・・・・さん
「涼ちゃん?お姉ちゃんよ〜開けて〜」
 夏姉ちゃんか・・・・僕はホッとしてドアを開いた
「あら、浮かない顔ね?」
 ・・・・・・・
 開けた瞬間唇が触れ合い、そして夏姉ちゃんはいつものように笑んだ
 その瞬間、僕の逃げたいという思いが弾け夏姉ちゃんをその場に押し倒していた
「あん、もう・・・抱いてくれるなら、ベットで・・・・ね?」
 僕は何度かうなずくと夏姉ちゃんの身体をベットに運びその大きな胸に顔を埋めた
296アビス  ◆1nYO.dfrdM :2006/07/24(月) 20:48:21 ID:8iZRC9Kt
すいません、五話です・・・・最初のは四話になっていますが五話です
ごめんなさい、特に管理人様

本編と一緒じゃつまらないのでこっちの涼くんはヘタレです
ヘタレ度低くてすいません
297姉妹日記 最終話 Aルート  ◆1nYO.dfrdM :2006/07/24(月) 20:49:01 ID:8iZRC9Kt
 数ヵ月後・・・・
 僕は意識を取り戻せこそできたけど・・・・腰からしたからが動かなくなってしまった
 これからの僕の人生は車椅子と・・・・
「あ、涼さん・・・・おはよう」
 秋乃さんと共に生きていくことになる・・・・
 でもその前に僕にはきちんと話をつけなきゃいけない人が居た
 無理を言って一時退院をした僕は秋乃さんに車椅子を押してもらってあの家・・・・
 以前僕と夏姉ちゃんと冬香が暮らしていた家にやって来た
 静か過ぎるほどに静かな家をしばし見つめたあと僕は秋乃さんの方を見て頷いてみせた
 二人で決意を固め家の中に入る
 外と同じように驚くほど静かな室内、台所のテーブルに一枚の置手紙が置いてあった
(お帰りなさい・・・・・)
 ただそれだけだった
 一階に居なかったの僕は秋乃さんに肩を持ってもらってやっと二階まで来ると二人の部屋を確認した
 居ない・・・・じゃあ、僕の部屋かな?
 自分の部屋に脚を踏み入れた瞬間だった・・・・・
「夏・・・・姉ちゃん?・・・・・冬香・・・・・・」
 二人の脚は床から離れていて浮いている・・・・
 その後ろにあったのは小さなイス・・・・
 青ざめた肌にと事どころ浮かぶ血の点・・・・
 這わすように視線を上に上げていくと真っ青な顔をした夏姉ちゃんと冬香の顔がそこにあった
 首には縄が巻かれ痛々しいほどに細い首に食い込んでいたそこだけ赤く染めていた・・・・・
「あ・・・・・あぁぁぁぁ!!!!!!」
 僕は己の今までの行為に激しい後悔と二人への懺悔への気持ちでいっぱいになった・・・・・
 僕は・・・・僕は・・・・取り返しのつかない事をしてしまった
 ごめん・・・・なさい・・・・・
298姉妹日記 最終話 Aルート  ◆1nYO.dfrdM :2006/07/24(月) 20:50:30 ID:8iZRC9Kt
 数年後・・・・
 ゆっくりと私は彼の椅子を押した
 ゆらゆらと手を伸ばし彼は私に催促する・・・・
 手を伸ばし彼の手を掴むと彼は指の先で文字を書いた
『いつもありがとう・・・・春乃さん』
 今度は私が彼の手のひらに文字を書いた
『気にしなくて良いよ』
 すると彼は微笑んで前を見た
 正確には前を向いたのだ、彼の目は見えず耳も聞こえない・・・・
 それは突然だった、なんの前触れもなしに耳が聞こえなくなり目が見えなくなった
 お医者さんの話では心的な大きなショックを受けたかららしい
 それから毎日私は彼の車椅子を押し身の回りの世話をしている
 回想している間に彼はあるヒトを感じたのかにっこりと笑んだ
 その先には同じく目と耳が見えなくなった秋乃の姿があった
 秋乃も涼くんの後を追うかのように目と耳に障害だ出た
 原因は涼くんと同じものらしい
 直らないかもしれないし直るかもしれない
 秋乃も第六感で彼の存在に気づいたのかつたない足つきで私たちの方へやって来る
 触れ合う秋乃と涼くんの手
 この瞬間二人はこれでもかというほどさ幸せな顔する・・・・
 この先私は秋乃と涼さんを護って見守っていく・・・・
 自分のワガママで秋乃を追い込み・・・・涼くんを傷つけた・・・・・
 それが私の業・・・・背負わなくてはならない、私の罪・・・・・
 私はいつか二人の障害が完治するまで・・・・・
 懺悔の時間を生きていく・・・・
 でも、二人が生きていてくれるだけで、私はそれでいい・・・・・
 双子の姉と初恋の彼が・・・・生きていてさえくれれば
 私は蒼穹の空を見上げ涙を流した・・・・・














THE END『いつかきっと・・・・その日まで』
299名無しさん@ピンキー:2006/07/24(月) 20:53:18 ID:p9xP0pU/
投下しますよ
300『とらとらシスター』11虎:2006/07/24(月) 20:55:03 ID:p9xP0pU/
 結局学校を休んでしまった。皆勤賞を目指していた訳でも無いけれどそれなりに頑張っ
ていたし、何より家に帰るのが辛かったから必死で拒否をした。だが僕の顔色が相当悪か
ったのだろう、青海は少し辛そうな表情をして僕を説得してくれた。一度休むと決めてし
まえばそこからの展開はお決まりのもので、既に仕事に出ていた母さんの代わりに僕を家
まで送り届けてくれたり、ユキさんが昼食用にとレンジで温めるだけの簡単な雑炊を作っ
てくれたりした。そして青海は僕が寝るまで、頭を撫でてくれた。やや恥ずかしいという
気持ちはあったものの、何故かとても安心ができた。聞けば登校中に寝ているときもそう
していたらしく、目が覚めたときに気分が少し良くなっていたのも、もしかしたらそのお
陰なのかもしれない。
 本当に頭が下がる。
 僕なんかのために、根気良く休むことを勧めてきたり、寝るまで付き添ってくれたり。
もったいないくらいだ、もったいないお化けでも出てきて罰を与えてくれたら少しは楽に
なるんだろうか。その質問に答えを出してくれる人は居ない、目が覚めたら一人だったと
いうのはこんなに辛いものなのかと思う。
 時計を見た。
 針はもう午後の五時を指していて、かなり長い時間眠っていたことを教えてくれた。今
くらいになれば授業も委員会も終わっている筈で、もしかしたら青海が来てくれるのかも
しれない時間帯だ。そんな淡い期待を持ちながら部屋の入口を見て、自分の変わった部分
に気が付いた。
301『とらとらシスター』11虎:2006/07/24(月) 20:56:19 ID:p9xP0pU/
 青海を、待っている。
 弱っているところに優しくされたから勘違いしたのかもしれないし、更に質が悪いこと
を考えれば、ただ青海の元へと逃げているだけなのかもしれない。そうだとすれば青海に
失礼だけど、それでも僕は青海を求めていた。多分、好きになっている。
 会いたい。
 暫く見た後で、そう上手い話は無いかと諦め布団に潜る。寝過ぎたせいなのか心も体も
かなり楽になったけれども、眠気は全く無いが目を閉じた。
 軽音。
 足音がして、誰かが部屋に近付いてくるのが分かる。
「青海?」
 祈りが届いたのかもしれないと、体を起こして再び入口を見た。鍵は僕が持っているか
ら玄関の錠は青海がかけている筈がないので、会おうと思って来てくれれば簡単に入るこ
とが出来る筈だ。だから青海が会いに来ている可能性は否定できないし、また来るという
ことも言っていたから期待をして良いのかもしれない。
 青海にしてみれば僕がまだ寝ている可能性もあるから、そのことを気遣ってか、ゆっく
りとした速度で歩いてきている。その優しさに、ますます青海を好きになりそうだ。
 電子音。
 こんなときに誰だろう、無粋な奴め。
 携帯を開いてメールの確認してみると、送り主は青海だった。嫌な予感がして内容を見
る。そこに書かれているのは、委員会が長引いて今日は来れないということとそのことを
詫びる旨。そして、僕への愛の言葉。絵文字も顔文字も無い彼女らしい文章や、ストレー
トな表現に青海という存在を感じる。
302アビス  ◆1nYO.dfrdM :2006/07/24(月) 20:56:22 ID:8iZRC9Kt
ここまで読んでくださった方、お疲れ様です

なんか唐突かんがいなめませんがAルートはこれで終了です
「もう一つ」と本編、同じ名前のキャラなので頭がこんがらがると思いますが・・・・
すいません・・・・

それと一週間ほどかな?もっと長くなりません・・・・投下できません
それも、すいません・・・・

303『とらとらシスター』11虎:2006/07/24(月) 20:59:24 ID:p9xP0pU/
 軽音。
 余韻に浸っていた僕を現実に引き戻したのは、少しづつ大きくなってくる誰かの足音。
青海でなければ、誰だろう。ユキさんに何か頼んで来てもらったのだろうか、それとも母
さんが仕事を早退して帰ってきたのだろうか、それとも父さんか。
 違う。
 必死に否定材料を探していたけれど、メールを見てからずっと頭に浮かんでいる答えが
多分正解だ。時間はもう午後の五時、部活や委員会に入っている生徒でももう帰宅をして
いてもおかしくない、そんな時間。ついさっきにそう思ったのは僕自身だ。
 戸が、開く。
 見えたのは、一番会いたくなかった相手。
「虎徹ちゃん、ただいまぁ」
 姉さんが笑顔で、ゆっくりと部屋に入ってくる。帰宅してすぐに着替えたらしく、私服
姿だがそれ自体は問題じゃない。いつものことだ、何も変わりない。
 問題なのは、
「姉さん、何を、着てるんだ」
 僕のシャツと半パンを着ていることだ。
「あ、ごめんねぇ。ちょっと借りてるよぉ」
 珍しいことじゃない、どこの家庭でもあることだ。
 必死に自分に言い聞かせるが、湧き上がってきた恐怖は簡単に治まってくれない。普通
の男なら例え身内でも色っぽいと思ってしまうような格好も、今では恐怖の対象にしか見
えず、思わず後退した。肉感的な脚も細くて綺麗な腕も、下着を着けていないのか僅かに
浮き出た胸の先端も、ただの凶器だ。
「大丈夫? 虎徹ちゃん、まだ顔色が悪いよ」
304『とらとらシスター』11虎:2006/07/24(月) 21:00:12 ID:p9xP0pU/
「気にしないで、だいじょ」
 大丈夫、と言いかけて布団に倒れこんだ。もちろん自分の意思なんかではなく、
「まだ、寝てなきゃ」
 濃い笑みを浮かべた姉さんが、押し倒すようにしたからだ。体を重ねて肌や乳を擦りつ
けるようにして顔を近付け、耳元で囁くように言ってくる。甘い匂いの息が首筋を通り、
耳の側をかすめて口や鼻孔へと侵入し、心を溶かしていく。
「本当に、大丈夫だか…」
 それに抵抗し、朦朧としてくる思考の中からやっと絞りだした言葉も、唇を重ねたこと
で強制的に途切れさせられた。次の言葉を発しようにも舌が絡めとられて喋ることが出来
ない。呼吸をするのも、辛い。
「辛いときには、体を重ねるのが一番だよ」
 言葉の意味を理解する前に、直接視界に答えが来た。昨日のように騎乗位姿勢で上体を
起こすと、半パンのジッパーを下げていく。見えてくるのは下着を履いていない局部で、
そこはいつから濡れていたのか洪水と言って良い程に濡れていた。
「な、に、を」
「あはっ」
 腰を上げると割れ目を開くように指で拡げ、見せつけるように掻き回した。粘着質な水
の音が響き、姉さんの指を濡らしていく。
「見て、虎徹ちゃんが居るだけでこんなになるんだよ。それに」
 姉さんの手が寝間着代わりのジャージとパンツを下ろし、
「虎徹ちゃんもこんなに苦しそう」
 伝わってくるのは、激しい快感。どこで覚えたのか繊細な手付きで竿をしごかれ、口の
端から唾液が出るのも気にせずに荒い呼吸を吐いた。
305『とらとらシスター』11虎:2006/07/24(月) 21:03:18 ID:p9xP0pU/
「だから、ね?」
 微笑むとしごくのを止めて腰を上げ、
「姉さん、待っ…」
「だぁめ、あはっ」
 笑い声と一緒に腰を下ろしてくる。
「どう、気持ち良いでしょ? 楽になるでしょ?」
 擦るように激しく腰を動かし、攻めたててくる。初めてではないとはいえ昨日に初体験
をしたばかり、獰猛な刺激に耐えられずに射精感は簡単に昇り上がってくる。寧ろ姉さん
も同じ筈なのに、何故こんなにも順応しているのかが不思議なくらいだ。
 限界が近い。
「も、出そう」
「う、ん。中、に出し、て。今日、も大丈、夫、だ、から」
 出したくない、それどころか逃げだしたい。なのに体はいうことを聞かずにどんどん快
楽を与えてきて、姉さんも腰の動きの勢いを増す。
 軽音。
 何だろうか、今の音は。
 老化の方から聞こえてきた音に、心臓が高く跳ね上がる。
 まさか、誰か居る?
「姉さん、今」
「よ、そ見し、ちゃ、駄目」
 腰を大きく引き、締め付けを強くして一気に下ろしてきた。今まで以上に強い締め付け
と長いストロークに、これまでで一番の快感が襲ってきた。心配が霞み、思考が白くなっ
て姉さんとの繋がりに埋めつくされる。
「あた、しが見、張る、から、虎徹ちゃ、んはお、姉ちゃんだ、け、見てて」
「う、ん」
 姉さんが繋がったまま体を半回転させ、背中を向けた。そのせいで僕を包んでいた膣壁
が大きくうねり、元に戻る勢いで強く擦りあげられる。
 僕に背を向けたまま姉さんは、今まで以上に激しく腰を動かしてきた。絶頂が近いのか
中の壁が小さく痙攣をしていて、それのせいでヒダがより複雑にうごめいている。我慢を
していなければ、すぐにでも射精をしてしまいそいになる。姉さんは僕が必死に耐えてい
るのが面白いのか、快感のせいでハイになっているのか、小さな笑い声を出して腰を振っ
ている。我慢をすればする程により淫靡に動き、悪循環に陥った。
 もう、限界だ。
「出、る」
「あはっ、中に、出、して」
 姉さんが一際大きく腰を動かし、
 中に、出してしまった。
306名無しさん@ピンキー:2006/07/24(月) 21:04:29 ID:p9xP0pU/
今回は二本立て、お次はお楽しみサクラちゃん

虎徹ちゃん!
ダメな子!!
ダメな子!!!!
307アビス  ◆1nYO.dfrdM :2006/07/24(月) 21:04:58 ID:8iZRC9Kt
わりこんですいません

308『とらとらシスター』Side妹虎:2006/07/24(月) 21:07:52 ID:p9xP0pU/
 兄さんが姉さんと絡み合っている。
 この光景を見たときに、最初は自分の正気を疑った。現実であってほしくない、そんな
私の意思を完全に無視して行為は続けられていく。
 目撃してしまったのは只の偶然。理由は分からないけれど兄さんは体調が悪そうで、今
日は学校を休んでしまった。口では大丈夫だの心配するなだの言っていたけれども、明ら
かにフラフラだった兄さんがとても心配だったから、寄り道もせずに早めに帰宅した。泥
棒猫ごときにあまり感謝はしたくないけれど、変な部分で頑固者の兄さんを説得して家に返してくれたことだけ
は評価してやらないこともない。だけれどもやはり昼に兄さん成分コテツミンの補給が出
来なかったことは事実で、帰宅して早々に兄さんの顔が見たくてたまらなくなった。つい
でにもし食欲があるのなら夕食に何が食べたいのかを訊きに部屋に向かうと僅かに開いた
戸の隙間から兄さんと姉さんの声が聞こえてきて、ついつい覗いてしまった。そうしたら
眼前にあの光景が広がっていた。
 もし、普通に夕食の支度をしに台所へ向かっていたのなら。
 もし、放課後の掃除がなくてバスが一本早かったのなら。
 逆に、姉さんの帰宅がもう少し遅かったのなら。
 もし、兄さんが寝ていたままだったら。
 もし、戸が閉まったままで声も只の寝言だと部屋の前を通り過ぎていたら。
309『とらとらシスター』Side妹虎:2006/07/24(月) 21:08:44 ID:p9xP0pU/
 様々な可能性があるけれども現実は残酷に他の道を切り捨てて、辛い景色を私の脳髄に
何度も何度も刻みつける。視覚だけじゃない、鼓膜を震わせる声や水っぽい音、僅かに漂
ってくる男と女の匂い。全てが私を絡めとるようにまとわりつき、思考を埋めつくす。
 何故ですか。
 心の中の兄さんに問掛けても、答えが返ってこない。それどころか、いつもなら簡単に
浮かんでくる筈の微笑すら靄がかかったようにぼやけている。昼に兄さんとお弁当を食べ
ることが出来なかったからだろうか、それとも朝に泥棒猫が兄さんを独占していたからか。
考えても、結局答えは出てこない。
 早く、立ち去らないと。
 これ以上見ていたくなくて、部屋から離れようとした。
 何で、ですか。
 足が全く動かない。膝が震えて力が入らないのに、姿勢だけは直立不動という不思議な
状態になっている。せめて視線だけは反らそうと思ってみても、視界は二人の行為に釘付
けになっていて反らせない。瞬きすら忘れたように目が開き、擦り合わせる肌を見ること
に夢中になってしまっている。
 水音。
 足元から聞こえた音が気になったが、何なのだろうか。
 濡れて、きたんですね。
 顎や喉を伝う唾液の感触や、下着から溢れて太股を伝う愛液の感触はくすぐったいと言
うよりも、ただひたすらに気持ちが良い。普段なら不快だとさえ思ってしまう雫が滑り落
ちる感覚が、体を熱くさせていく。
310『とらとらシスター』Side妹虎:2006/07/24(月) 21:11:01 ID:p9xP0pU/
 様々な可能性があるけれども現実は残酷に他の道を切り捨てて、辛い景色を私の脳髄に
何度も何度も刻みつける。視覚だけじゃない、鼓膜を震わせる声や水っぽい音、僅かに漂
ってくる男と女の匂い。全てが私を絡めとるようにまとわりつき、思考を埋めつくす。
 何故ですか。
 心の中の兄さんに問掛けても、答えが返ってこない。それどころか、いつもなら簡単に
浮かんでくる筈の微笑すら靄がかかったようにぼやけている。昼に兄さんとお弁当を食べ
ることが出来なかったからだろうか、それとも朝に泥棒猫が兄さんを独占していたからか。
考えても、結局答えは出てこない。
 早く、立ち去らないと。
 これ以上見ていたくなくて、部屋から離れようとした。
 何で、ですか。
 足が全く動かない。膝が震えて力が入らないのに、姿勢だけは直立不動という不思議な
状態になっている。せめて視線だけは反らそうと思ても、結局答えは出てこない。
 早く、立ち去らないと。
 これ以上見ていたくなくて、部屋から離れようとした。
 何で、ですか。
 足が全く動かない。膝が震えて力が入らないのに、姿勢だけは直立不動という不思議な
状態になっている。せめて視線だけは反らそうと思ってみても、視界は二人の行為に釘付
けになっていて反らせない。瞬きすら忘れたように目が開き、擦り合わせる肌を見ること
に夢中になってしまっている。
 水音。
 足元から聞こえた音が気になったが、何なのだろうか。
 濡れて、きたんですね。
 顎や喉を伝う唾液の感触や、下着から溢れて太股を伝う愛液の感触はくすぐったいと言
うよりも、ただひたすらに気持ちが良い。普段なら不快だとさえ思ってしまう雫が滑り落
ちる感覚が、体を熱くさせていく。
311『とらとらシスター』Side妹虎:2006/07/24(月) 21:11:55 ID:p9xP0pU/
 気が付いたら、指が下着の上をなぞっていた。私のこんな光景を見られたくなくて必死
に声を出すのを堪えているのに、指はそれを邪魔するかのように動きに激しさを増して、
淫らな音をかきたてる。ただでさえ多い蜜の量は加速度的に増してきて、もはや指先だけ
でなく掌をも濡らして手首にまで到達していた。
 浮遊感。
 一度限界に達し、膝から崩れて床に座り込む。冷たい感触を快いと思いながら、もたれ
るように壁に頭を乗せた。しかし体勢が変わっても視線は兄さんの部屋の中から外れてく
れない、まるで天命のように釘付けのままだ。
 駄目です、ここから離れないと。
 立ち上がろうとしても足は言うことを聞かないままで、僅かに体をよじらせるだけの状
態になってしまう。それだけのことならまだましだったかもしれないけれど、唾液と愛液
の水溜まりにまだ熱い股間を擦りつけることになってしまった。ぬめる感触が気持ち良く、
指は再び股間へと伸びていく。もう、止まらない。瓶に入れずに床に広がる蜜をもったいないと思ったけれども、
容器を取りに行くとそこで終わってしまう気がして続けてしまう。
 少し続けて布越しに触るのももどかしくなり、下着の中に指を入れ直で割れ目をなぞり
始めた。途端にそれまでとは比べものにならない程の刺激が来て、それだけで絶頂を向か
えてしまいそうになる。押し殺しているけれども、声も少し出てしまったかもしれない。
312『とらとらシスター』Side妹虎:2006/07/24(月) 21:14:42 ID:p9xP0pU/
 吐息と膣を掻き混ぜる音が脳の中で響いて、それが私と兄さん達のどちらのものかも分
からなくなってくる。いや、どちらのものでも良いのかもしれない。
 大きく息を吐いたとき、視界の中に変化が起きた。
 バレて、しまいましたか。
 対面から背面へ姉さんが向きを変え、こちらを見てきた。いや、多分思い過ごしだろう。
正確にはこちらを向いているのではなく、部屋の入口に目を向けているだけだ。気付かれ
ていない筈だし、気配も消しているからここに居ることにも気が付いていない筈だ。普段
はもう台所で夕食の準備をしている時間だし、向こうもそう思っているに違いない。
 だから、大丈夫な筈です。サクラ、逃げてはいけません。
 無理に言い聞かせるようにしながら、思考の途中も動かし続けていた指を加速させる。
秘所の周辺をなぞり、撫であげ、膣の中を擦って掻き混ぜて、豆を摘み捻りあげる。尻の
穴の周りを撫でて、軽く爪を立てるようにひっかいた。前と後ろの穴に指を差し込んで同
時に責めると、思わず声が漏れそうになった。空いている指を喰え、必死に声を出すのを
我慢する。指先に軽い痛みが走り、見てみると薄く血がにじんでいた。
 そんなこちらのことを知りもせず、兄さん達の行為はどんどん激しくなっていく。姉さ
んが腰を突き出すように後ろに上体を傾け、割れ目に兄さんが出たり入ったりしているの
がはっきりと見える。
313『とらとらシスター』Side妹虎:2006/07/24(月) 21:17:48 ID:p9xP0pU/
 結合部から潤沢に蜜が溢れ出してきていて、小さな滝のようにな
っている部分の下にはいやらしい液で出来た水溜まりがあった。それを作る音が大きくな
り、二人とも限界が近いことをはっきりと表している。
 不意に、目が合った気がした。
 それも一瞬のことで、すぐに私と姉さんとの視線がずれる。最初にこちらを向いたとき
と同じで、もしかしたらただの勘違いかもしれない。行為を止める訳でもなければ、特に
何をしてくる訳でもないし、そもそも顔を動かしたときに偶然こちらを通過したと考える
のが普通だろう。
 本当にそうでしょうか。
 僅かに残っている理性の部分が、何度も問掛けてくる。
 大丈夫ですよ。
 そう、大丈夫。ストロークが更に短くなり、それに反比例するように激しさを増したの
も絶頂が近いからだ。同じ女だから、小さく割れ目が痙攣しているのを見れば分かる。目
が合ったと思ったたときから何度もこちらを見ているような気がするのもきっと偶然、体を
大きく動かしているから視線の揺れが激しくて、その途中でこちらを通過しているだけだ。
 全てが偶然、それだけ。
 だから、ここで見ていても構わない。
 自分を慰めていても、問題無い。
 狂っように股間をいじっていると、やがて向こうに終わりが見えた。姉さんの体が大
きく痙攣し、それに僅かに遅れるようにして兄さんの体が小さく震えた。それに呼応する
ように、私にも絶頂が訪れる。
 股間の割れ目から指を抜いて、脱力した体を支えるように壁に手を着いた。
 目が、合った。
 今回ばかりは勘違いじゃない、しっかりと戸の隙間を見つめている。
 姉さんは膝立ちになると、私に見せつけるように腰を前に押し出して割れ目を指で開き、
妖しい笑みを浮かべた。やけに紅く見える唇から囁くような笑い声が漏れるのと同時に、
割れ目から兄さんの精液がごぽりと溢れてくる。
「羨ましい?」
 小さな声で呟いた筈の姉さんの声が、やけに大きく聞こえた。
314ロボ ◆JypZpjo0ig :2006/07/24(月) 21:19:53 ID:p9xP0pU/
今回はここで終わりです

少しアンケートです

A.シスターじゃないし、泥棒猫なんか大嫌いだ!
B.テコ入れしたいし良い娘だから、青海は殺してはいけないよ!

今のところAルートの予定ですが、人気のある方を使います
不採用の方は多分お蔵入り
315名無しさん@ピンキー:2006/07/24(月) 21:23:31 ID:b+ogC/ev
たくさんの作品キタワァ*:.。..。.:*・゚(n‘∀‘)η゚・*:.。..。.:* ミ ☆
「疾走」「姉妹日記」「とらとら」と主人公ヤられすぎ、だがそれがいい(*´д`*)
やはり主人公は受けじゃないと!
>>314
Aのほうで(゚ー゚*)
てかAだと泥棒猫死んじゃうのか((;゚Д゚)ガクガクブルブル
316名無しさん@ピンキー:2006/07/24(月) 21:24:19 ID:c1TfkGqH
本音を言えば両ルート書いて欲しい
でもどちらかしか読めないなら
Aで姉妹同士の一騎打ちですな
317ロボ ◆JypZpjo0ig :2006/07/24(月) 21:26:55 ID:p9xP0pU/
連投な凡ミス('A`)

アビスさん、割り込みは気にしないで下さい
318名無しさん@ピンキー:2006/07/24(月) 21:27:10 ID:NZZRwpVH
Bは……Bはいないのか!!
青海好きの俺としては彼女に生き残って欲しい(´・ω・`)
319名無しさん@ピンキー:2006/07/24(月) 21:44:05 ID:5hTYpxW8
ノシ
Bキボン。
青海タン可愛いよ青海タン
320過保護 ◆IOEDU1a3Bg :2006/07/24(月) 21:52:07 ID:1sVa5QJ8
「起立、気をつけ、礼」
……放課後になった。
さて、これからどうしよう?
朝に聞いたあの会長の助言について、僕は結局考えをまとめきれなかった。
と言うよりも……ある一つの結論に達したって意味では考えはまとまった、と言うべきかもしれない。
それは『実は会長って当たり障りの無い事しか言ってないんじゃ……』という疑問に近い結論……
当然、今後の僕がどうするかは何一つわからないまま。
会長の言っている事は確かに的を得てるとは思った、けどその助言はどんな人にでも通用するような気がする。
僕が悪い面もある、よく考えたら僕は会長に今の状況を話した覚えは無い。
そんな中でああも的確なアドバイスを言える会長は大物だとも思う。
だけどやっぱり僕の現状を打破するには不十分だっただけだ。
さて、これからどうしよう?
昨日までの僕は黒崎先輩とも最上とも一度縁を切ってそれからゆっくりと一人で考える、と決めていた。
けれどさっきの会長の言葉『目標は一つでも手段は無数』と聞いた事で迷いが生じてしまった。
本当にこれで良いのかな?と考えてしまった。
そういう意味では、会長の助言は的確で逆効果な物だったと言えるかもしれない。
……会長が悪い訳じゃ無いけどね。
さて、これからどうしよう?
僕にはもう時間が無い。
後数分、もしかしたら後数秒もしたら……
「倉田君、一緒に帰ろう」
……こんな風に最上が参上してくるから。
「また難しい顔してる。駄目だよ、人生は楽しまなくちゃ」
しかたないか……続きは家に帰ってから考えよう。
「ああ、ごめん。じゃあ帰ろうか」
無理矢理笑顔を作る。
あんまり最上に嫌な顔は見せたくない、これはきっと僕のエゴなんだと思う。
 ガララララッ
二人で教室を出る。
最初の頃は周りから怪異の視線を感じたものだけど、今はもうそうでもない。
最近では僕が最上に乗り換えただとか、最上が僕に色目を使っただとか思われてるらしい。
僕はそれに対して……否定も肯定もできなかった。
「それで、今日はどこに行こっか?」
「最上にまかせるよ」
二人でデートのような寄り道に……いや、寄り道のようなデートに行くのも日常の一部になってきた。
「だったら今日は神社に行かない?天秤神社。この間大きな狐が……」
 ……がぁんっ!
「最上……前見て歩きな」
こうやって最上のドジを見るのも日常の一部になったとも思う。
少し前までは何事もそつ無くこなす事で有名だったんだけど、今ではもうドジで通ってしまってるらしい。
けどそれで最上に失望した人は全体のごく一部で、残りの大半はむしろ好意的に見てくれるようになった。
僕は昔の最上を知ってるから、ちょっと前の最上がなんだか無理してるような気がしていた。
だから今の最上はとても自然に感じてる。
「……由江が言ってたんだけどね……真理ちゃんって呼びかけながら魚肉ソーセージをあげると喜ぶんだって……」
看板にぶつけて赤くなった額を押さえながら涙目になる最上。
ああ、なんだ……会長の助言なんて関係無いじゃないか。
僕はただ単に、今の最上を最高に可愛いと思ってるだけなんだ。
321過保護 ◆IOEDU1a3Bg :2006/07/24(月) 21:52:57 ID:1sVa5QJ8
天秤神社は、長い石段を上った先……黄道町を一望できる小高い丘の上に建っている。
ただ辿り着くためには長くて急な石段を上る必要があるためか、神社に人の気配は無かった。
しいて言うなら社務所に神主さんらしき人が居るだけだ。
この石段を逆立ちをしながらだとかタイヤを引きずりながらだとか、そんな格好で往復している人が時々目撃されるらしい。
鳥居をくぐると、そこには野球が出来るんじゃないかって位に広い敷地が広がっている。
ここで真剣だとか槍だとかを振り回している人が時々目撃されるらしい。
でも……悲しいかな、黄道町ではその位は驚くに値しない出来事だったりもする。
この町の人達は『銃刀法』って言葉を知ってるのかなぁ……?
もっとも、世の中には刀の携帯を特別に許可される職業もあるらしいけど、僕は詳しく知らない。
「倉田君、また難しい顔してるよ」
「ごめん……」
「ほら、狐さんは居なかったけど良い見晴らしだよ」
最上に示されるまま、僕は景色を眺めた。
高い所にあるだけあって、見晴らしは本当に良かった。
ここに来るのは初めてじゃない筈なのに、僕は目を大きく見開いていた。
「本当にそうだね」
すぐ近くに銭湯の煙突、そこから少し離れた場所に昇龍高校、人馬遊園地の観覧車も見える。
パノラマのように広がる僕が生まれ育った町、そしてすぐ隣に最上可奈。
……このままで良いんじゃないかな、とも思う。
このまま最上といろんな場所に行って、いろんな経験を共有して、きっといろんな景色も見る。
……それでも良いんじゃないかな、とも思う。
黒崎先輩とは別れたんだ、もう僕は責められたりはしない。
だから……このままで良いんじゃないかな、と思っていた。
いつの間にか僕は、最上だけを見つめていた。
「やっと直った、そのしかめっ面」
「そう……かな?」
自分では良くわからない、でも最上がそう言うのならそうなんだろう……
 ……ちゅっ……
「……っ!!?」
唇と唇が触れ合っていた、静かに目を閉じる最上が視界いっぱいに広がっていた。
完全な不意打ちをもらっていた。
「ちょっ……最上!?」
「ちょっとだけ素直になってみました」
最上は悪びれもせずに笑っていた。
それが酷く恥ずかしくて、いたたまれなくなって、僕は最上とは逆方向を向いた……
……心臓が……止まるかと思った……
本来病院に居なくてはいけない人物が……黒崎先輩が……
唖然とした顔をしながら、鳥居の影に立っていた。
322シベリア! ◆IOEDU1a3Bg :2006/07/24(月) 21:54:02 ID:1sVa5QJ8
童守町や三咲町並の特異点、それが黄道町クオリティー。

先日、黒崎栞よりも会長の方が身長もスタイルも良い事が発覚。
今まで散々『小さい』とか『小さな』とか書き続けてますが……
323名無しさん@ピンキー:2006/07/24(月) 22:03:32 ID:t/0NknDf
>>314
Bでお願いします
もうおれは誰も傷つけたくないし
実は俺さぁ無事にこのスレがdat落ちするの見届けたら次スレといっしょに暮らすんだ
324名無しさん@ピンキー:2006/07/24(月) 22:06:50 ID:Rj77L1Mj
Aがいいな。
正直青海の存在意義を感じない。
325名無しさん@ピンキー:2006/07/24(月) 22:15:27 ID:b+ogC/ev
>>323
黒崎先輩(*´д`*)
あぁ、ふとした瞬間に昔の女の影アリ
これは何か来る((;゚Д゚)ガクガクブルブル
326名無しさん@ピンキー:2006/07/24(月) 22:40:35 ID:5OxHMCSF
>>322
乙。
とうとう過保護も動きだしたか、修羅場щ(°Д°щ)カマーン!!
327名無しさん@ピンキー:2006/07/24(月) 22:53:08 ID:8ZIIdgPR
Aかな。
このスレにいる以上さらなる修羅場に期待する。
328名無しさん@ピンキー:2006/07/24(月) 23:09:37 ID:NZZRwpVH
>>322
このまま、終わる先輩などではなかろう。
これからの展開にwktkだが、最上かわいいよ最上。
329名無しさん@ピンキー:2006/07/24(月) 23:32:03 ID:ubbQFCdW
>>314
Aですな



でもエロエロ変態作品を書いてくれれば実はどっちでも(ry
330名無しさん@ピンキー:2006/07/25(火) 00:09:11 ID:lKI6x8ph
なんか気がついたら本スレを追い越してるし!
全ての作者様GJ!!
正直、1ヶ月くらい更新がとまってしまうと、「ああ、作者さん、いなくなったのかな」
と諦めてしまうこともあるんだけど、続きが投下されると最初から読み返したりして
改めて癒されたり。

>>314
可能であれば両h(ry
331名無しさん@ピンキー:2006/07/25(火) 00:09:59 ID:IcgkuQFQ
ただひたすら二等辺三角形を待ち続ける日々(*´д`*)
332名無しさん@ピンキー:2006/07/25(火) 00:37:10 ID:hEo44cYK
ただひたすらスクールサバイバル、小恋、Whichを待ち続ける日々(゚ω゚)
333名無しさん@ピンキー:2006/07/25(火) 00:48:47 ID:b9he2c0n
>>314
Bで。
姉妹ウザス
334名無しさん@ピンキー:2006/07/25(火) 00:53:38 ID:uclh/BJ2
お・・・お・・・おれ・・・おれもび・・・びびびBで・・・
で・・・できれば両ほ・・・・・・うわなにをすらsd7あヴぃwgの
335名無しさん@ピンキー:2006/07/25(火) 00:54:48 ID:KctwKP8A
>>314
(´-`).。oO(Bがいいなぁ)

ただひたすらしゅらばとる、たぬきなべを待ち続ける日々
特にたぬきなべはあんなにもwktkする場面で投下が止まるなんて。・゚・(ノД`)・゚・。 
336名無しさん@ピンキー:2006/07/25(火) 01:06:38 ID:QtXtM+zs
Bで、そして絶望を味わう姉妹を鑑賞したい俺ガイル。
337名無しさん@ピンキー:2006/07/25(火) 01:11:14 ID:EAXPgp+8
ただひたすらわたあな外伝を待ち続ける日々……orz

そういやモカさんはまだですかね?
338名無しさん@ピンキー:2006/07/25(火) 02:14:59 ID:uvEUGg9S
せっかくだから俺はBを選ぶぜ!
339名無しさん@ピンキー:2006/07/25(火) 02:18:55 ID:1U1COzSU
むぅ……Bが優勢?
なんの負けてなるか!
あくまでも俺はA
A!A!A!
340名無しさん@ピンキー:2006/07/25(火) 02:28:19 ID:4lZ/Ihfj
AがGOODだ
341名無しさん@ピンキー:2006/07/25(火) 02:34:52 ID:9B1z385/
修羅場を好む性質上鮮血エンドが多いから、たまには違うのがいい気がする
342鮮血エンド:2006/07/25(火) 03:03:15 ID:kEoN7CeZ
ふふっ、>>341君はわかってるわよね?
他のエンドに浮気したらどうなるか……
343名無しさん@ピンキー:2006/07/25(火) 03:06:09 ID:nThOvDNF
じゃあ間を取って殲滅エンドで
344名無しさん@ピンキー:2006/07/25(火) 04:22:03 ID:PXr5BBu+
age
345名無しさん@ピンキー:2006/07/25(火) 06:42:01 ID:Eyqyoone
わたあな 沃野外伝二等辺を待続けている俺にAルートで
346名無しさん@ピンキー:2006/07/25(火) 07:57:28 ID:ykPB5VDD
つB
347名無しさん@ピンキー:2006/07/25(火) 08:23:18 ID:B+ggIuYW
you両方ともやっちゃいなよっ!
348『Which Do You Love?』 ◆AsuynEsIqA :2006/07/25(火) 11:14:29 ID:bZtROvRJ
「はぁ……あんた、やってくれたな。それ、立派な偽造行為なんじゃねぇの?」
「何を言われようと構いません。あなたが犯した罪とくらべればちっぽけなものですから。」
よくまぁ口が回りやがる。とりあえず……いまはその場しのぎだ。
「かせよ。」
そう言って奏でから偽造紙を奪うようにぶんどる。こんな事をしても意味が無いと分かってはいたが、気が済まない。
ビリビリ……
何度も細かく破り、結婚なんかの意思がないことを教えてやる。
「あら……それを作るの、結構なお金がかかってるんですよ?」
「ふん……桐原グループからすればそんなの痛くも痒くもないだろ。そんなことだったら、あんたの姉さんの記憶でも戻してみたらどうだ?」
今の一言で奏の顔色が変わるのがわかった。大人びたふりをしていても、やはり子供であることには変わりはない。感情を面に出すのを抑えられないのだ。
「姉さんだなんて……気安く呼ばないで!」
自分の気持ちを落ち着かせようとしているのか、一度深呼吸をしたあと、またいつもの無表情な顔に戻る。いつ見てもこの顔はいやな感覚だ。
「でもまあ、あなたが姉さんにしたことを麻子さんが知ったら、きっとあなたのことを軽蔑するでしょうね。」
「……好きにしな…もう、麻子とは…もどれないさ…。」
何故か、心がイタイ。なんでだろう。
349『Which Do You Love?』 ◆AsuynEsIqA :2006/07/25(火) 11:15:27 ID:bZtROvRJ
土曜日。私はいつも喫茶店に向かった。……正直心も体もぼろぼろ。まともに聖に顔を見せられない。ドアを開け、いつもの席へ。マスターも少し驚いた顔してる。
でも、席には聖は居なくて……何故か……何故か…
「なんで…いるのよ……」
あの女…奏がいた。
「ふふふ…そんな状態でもここに来るなんて、よっぽど聖さんに会いたいのかしら?」
「ウルサイ!なんであんたがここに居るのよ!ここにまで……私と聖の、二人だけの場所でさえ、あなたは奪うっていうの!?」
「あら?喫茶店はみんなが使うものでしょ?」
「くっ…」
この女、ぬけぬけと…!
「それより、今日はあなたに話があってここに来ました…。」
「私にはない!帰って!聖が…来るのを待たなくちゃいけないんだから……」
「あはは……聖さんは来ませんよ。あなたは、負けたんですから。彼に会う権利なんてありません。」
「う、嘘よ……聖は来るわ。絶対に来るわ!」
こない筈が無い。いままで毎週来てたんだから…。
「それじゃあ、その大切な聖さんが来る前に、彼について、話しておきたい事があります。」
「聖の……こと?」
「ええ…あの方の過去を……。私の姉さんに犯した罪を、教えてあげますわ。それでも、彼を好きだと言えますかね?ふふふ……」
聖の過去、罪……それに興味引かれて、私は奏と同じテーブルに座った…
350名無しさん@ピンキー:2006/07/25(火) 12:14:04 ID:QGWyVxbh
>>348
うおおおお!!久々の登場にGJ!!
なるほど、9話でタカビといた聖は間違いかと思ったら今回ので謎が解けた!!
351名無しさん@ピンキー:2006/07/25(火) 12:26:23 ID:6AElRBKi
昨日から今日にかけて神々がもどって来てらっしゃる・・・こんなに嬉しい事は無い・・・
352名無しさん@ピンキー:2006/07/25(火) 12:47:38 ID:Eyqyoone
このスレに依存してしまった者どもに神のご加護を。
353名無しさん@ピンキー:2006/07/25(火) 13:20:53 ID:hEo44cYK
Whichキタ━━━ヽ(∀゚ )人(゚∀゚)人( ゚∀)ノ━━━ !!!

作者さんGJですっ!過去wktk
354名無しさん@ピンキー:2006/07/25(火) 13:57:41 ID:hgmNnQ2O
>>314
rァA
355名無しさん@ピンキー:2006/07/25(火) 14:28:52 ID:XvOnBGJS
>>314
これはBだな。
356名無しさん@ピンキー:2006/07/25(火) 15:22:24 ID:Np/vunqq
>>314

あおうめちゃんしなないで
357名無しさん@ピンキー:2006/07/25(火) 16:24:51 ID:rk5eT/Ww
>>314
B
ここで退場となると出てきた理由がわからないので
358名無しさん@ピンキー:2006/07/25(火) 17:34:24 ID:P5pqRuwm
幼馴染と転校生。この二人の性能は互角。
だが、転校生が幼馴染と並ぶためには一つ欠けているものがある。
名無しくんを追い詰める過去の負い目(例:お医者さんごっこ)だ。
勝てるかどうかは本人次第。


転校生「名無し君は良い、想像を絶する・・・・」

幼馴染「邪魔だァっ!!」
359名無しさん@ピンキー:2006/07/25(火) 17:42:03 ID:yhnAXXD4
はいだらー!
360名無しさん@ピンキー:2006/07/25(火) 17:56:20 ID:BoDGd9q0
投下しますよ
361『とらとらシスター』Another:2006/07/25(火) 17:58:45 ID:BoDGd9q0
「あれ、懐かしい」
 押し入れの中を整理していると、小型の箱を見付けた。深い藍色のそれに入っているの
は麻雀牌、昔はこれでよく遊んだものだ。最後に麻雀をしたのはいつだっただろうかと思
い返してみれば、それは本当に昔。確か二年程前にしたのを最後にしまいこみ、それから
は手を触れた記憶が無い。結構好きだったのに、何で止めたのかがさっぱり思い出せない
けれど人の趣味や記憶というものはそんなものなんだろう。
 どうしようかな。
 姉さん達を誘ってみるのも良いかもしれないけれど、役が簡単に出来るので三人でする
のはあまり好きではない。父さんも母さんも今日は仕事で家に居ないし、面子が揃わない
ことにはいかんともしがたい状況だ。
 諦めよう。
「あ、麻雀だぁ」
「懐かしいですね」
 いつの間にか部屋に入ってきていたらしい姉さんとサクラが、後ろから声をかけてくる。
姉さんは思わず距離を取る僕を不思議そうな目で見つめながら小首を傾げ、
「久し振りにするの?」
「昔は皆でよく遊んだものですね」
 そうだ、まだ姉さんもサクラも奇抜な行動が少なかった頃には楽しく遊んでいたものだ。
チョコや飴などその日のおやつの取り分を決めたり、お遣いの当番を決めたり、今になっ
て考えると微笑ましくも愛おしい生活だった。
 今となっては、そんなことは只の懐古に過ぎないけれど。
362『とらとらシスター』Another:2006/07/25(火) 17:59:39 ID:BoDGd9q0
「やろうよ」
「そうですね」
 本当にしても良いのかもしれない。三人なのは不満だけれども、少なくとも他に人が居
れば姉さんも襲ってくることは無いだろうし、もしかしたら姉さんを昔に戻すことが出来
るかもしれない。まだ姉さんが姉さんとして、家族であった頃の目に戻っているから可能
性の否定は出来ない。
「でも、三人でかぁ」
 やろうと決めても愚痴が溢れるのは仕方のないこと、昔も三人のときはよくこんな文句
を誰に当てるでもなく呟いていたものだ。
 不意に、快音。
 続いてやってくるのは、
「心配ない、わたしが入れば丁度四人だ!!」
 引き戸になっている僕の部屋の戸を勢い良く開き、青海が入ってきた。何で皆、全力で
引き戸を動かすんだろう。レールが歪んだりフレームが傷んだりするのに。
 青海はそのまま、ずかずかと部屋に入ってきた。何故皆して、他人の部屋なのに堂々と
入ってくるのだろう。まぁ、姉さんやサクラの場合は今に始まったことではないし、青海
は恋人なのだから問題無いと言えばそうなのだろうけど。
「そういえば遅れたな。虎徹君、おはよう」
 笑顔で挨拶をしてくる青海とは対照的に、姉さんとサクラは睨みつけるようにして青海
を見ている。今ならはっきりと分かる、その瞳の中で渦を巻いているのは、家族ではなく、
純粋に女としての嫉妬だ。普通では有り得ない筈のそれは、重く、そしてとても冷たい。
363『とらとらシスター』Another:2006/07/25(火) 18:02:42 ID:BoDGd9q0
「青海ちゃん、勝手に人のお家に入らないで。か、かて……かと?」
「不法家宅侵入罪です、今すぐ出ていって下さい」
「それだもん!」
 発言内容は少し間抜けだけれども恐ろしい迫力の二人に、青海は不適に笑い返した。僕
と言えば、こをな表情もするのだなとひたすらに横顔を見つめているだけ。この部屋を外
から見れば、どこまでもふざけているようにしか見えないだろう。
「愛する人のところに行くのに法もクソも関係無い。それより虎徹君、元気になったよう
で何よりだ。君が元気だとわたしも嬉しい」
 微笑みかけてくる青海の顔は、とても綺麗だ。
「ありが…」
 とうと言い切る前に、
「ほら虎徹ちゃん、やりにいくよ」
 姉さんに手を掴まれ、引っ張られていく。最近はいつも最後まで喋らせてもらえない気
がする。主に、姉さんに。
「どこに行くんだ?」
「道場ですよ。これ以上兄さんの部屋に居てもらいたくないですし、それにこの部屋で麻
雀をやると隣家からうるさいと苦情が来るので」
 目を合わせないでもきちんと説明をしているのは少しは気を許したからなのか、久し振
りに麻雀をするからなのか。前者だと嬉しいけれど、絶対に違うんだろうなと思うと少し
悲しくなる。もう少し打ち解けてくれたら、どんなに良いことだろうか。
 数分。
 青海と姉さん、サクラが喧嘩をしながらだったせいで手間取ったけれども道場に着いた。
家の中なのにどうしてこんなに時間がかかるんだろうか。
364『とらとらシスター』Another:2006/07/25(火) 18:03:33 ID:BoDGd9q0
「武家とは聞いていたけれど、なかなか立派な道場なんだな。いや、凄い凄い」
「門下生は身内以外は居ないけどね」
 珍しそうに中を眺める青海を無視して、姉さんとサクラは既に牌を混ぜていた。高い音
が板張りの空間に響く独特の雰囲気が懐かしく、耳と心に快い。
 四人とも座って牌を積むと、ゲームの開始。
 久し振りに触る牌はよく手に馴染んで……
「リーチ」
 早いですよ、青海さん!!
 まだ3順程しかしていないのに、青海は嬉しそうに点棒を置いて姉さんとサクラを鼻で
笑った。真剣に切る牌を悩んでいるサクラを見て、楽しそうに鼻唄まで歌っている。結局
無難なものを切って通しだったことに、青海は舌打ちを一つ。少しキャラが違うような気
がするけれど、突っ込まないことにした。これも、青海の心の一部だ。僕は新しい一面が
全て素晴らしいものではないということに溜息を吐きながら、サクラと同じ牌を切った。
姉さんは牌をきちんと見ていないのか、ツモ切り。
「うぁ、外れか」
 続いて青海が牌を切り、
「あはっ、それロン」
 姉さんは親で、点数は倍満。
 リーチに出していた千点棒を含めて、
「いきなりトンだ!?」
 何て残酷なことをするんだ、酷すぎる。我が家では誰かがトンだ瞬間に試合終了だから
一回目はこれで終わりになる。楽しみも何もあったもんじゃない、試合自体が意味がない。
「仕方ないな」
 青海はどうやら諦めてしまったらしい。
365『とらとらシスター』Another:2006/07/25(火) 18:07:48 ID:BoDGd9q0
 不意に立ち上がると服に手をかけて…
「何してんの!?」
「わたしの家では、一枚一万点だ。恥ずかしいが、負けるよりはまだましだ!!」
 始める前に上着を脱いでいたせいで、身に付けているのはスカート部分の長い、白いワ
ンピースが一枚。それなのに青海は躊躇う様子もなく、勢い良くそれを脱ぎ捨てた。僕も
男だから目の前で下着姿になられたら自然と視線が釘付けになるし、血液も当然のように
海の綿の体に集まってくる。それが恋人であり、美人である青海なら尚更だ。
「お、わたしなんかでも反応してくれているのか。嬉しいな」
 言わないで下さい!!
「虎徹ちゃん?」
「兄さん?」
 二人が、ゆらりと立ち上がる。
 姉さんは僕を羽交い締めにし、サクラは何故か神棚の方へ。
 何だろう、この感覚。既視感とでも言うのだろうか、以前にもこれと同じようなことが
あったような気がするのだけれども全く思い出せない。
 必死に思い出そうとしている間にも、サクラはふらふらと神棚の方へと歩いていく。動
きは人間身を失っており、まるで機械が淡々と仕事をこなすように。辿り着いて奥の方へ
と手を伸ばし、取ったものは、
「何をする気だ!!」
 家宝である、殺虎さんが三匹の虎を殺したときに使用したと言われている小刀。
「大丈夫よ、虎徹ちゃん。ちょっとチクッとするだけだから」
 嘘だ! 絶対にグサッとなる!!
「泥棒猫に心奪われるくらいの悪い棒なんて、必要ありません」
 これは洒落にならん。
366『とらとらシスター』Another:2006/07/25(火) 18:08:34 ID:BoDGd9q0
 男の勲章を守るべく必死に姉さんの拘束から逃げようとするけれども乳が背中に当たっ
て力があまり入らない上に、細い腕からは想像も出来ないような万力のような力で固定さ
れていて、全力で腕を動かしているつもりでもびくともしない。下着姿で姉さんの腕を引
っ張っている青海の姿をシュールだと思いながら、もう終わりだと溜息を吐いた。
 さよならだ。
 視界が、白くなる。
 数秒も経っただろうか、眩い光が消えて眼前には舟乗り場のような光景が広がっていた。
ここはどこだろうと思いながら、暇そうにベンチに座っている女性に話しかけてみる。
 え? 久し振り?
 名前は何なのだろう、会った記憶がないけれど聞いてみたら思い出すかもしれない。
 はぁ、阿部さんですか。失礼ですが下の名前は、あ、定さん。いや、何かすみません、
分かんないです。
 彼女は笑いながらどこかへ歩いていった。
 横を見るとうちの制服を来た女の子が居た。何だか大きくて頑丈そうな靴を履いた娘と、
足元に何故か鉄パイプを置いてある娘だ。どちらも個性が強すぎるので他を見るが、何故
かあまり人が居ない。仕方なく彼女たちに声をかけようとするが、今やっている石積みが
よほど楽しいのか、邪魔をされたくなかったらしい。まるで人を殺したことがあるような
目つきで睨まれたので、一目散に逃げ出した。
 どうなっているんだ。
 疲れて立ち止まると、背中を軽く叩かれた。
 振り向いてみれば、そこに立っているのは2m程もある大男。
367『とらとらシスター』Another:2006/07/25(火) 18:11:23 ID:BoDGd9q0
 え? 久し振り?
 この人にも会った記憶がない。そもそもこんな個性的な人だったら忘れる筈が無いのに。
 あの、名前は…殺虎さん!? 尊敬してます!! 二年前も同じことを言ったって?
 二年前。
 思い出した、二年前にも同じことがあった。中の良かった娘が家に遊びに来て、青海と
同じことをやって、僕のアレが切られそうになって。もう二度とこんなことが起こらない
ように封印したんだった。
 直後、視界が再び閃光に包まれた。
 数秒。
「やっぱり、良いです」
「そうだね」
 視力が回復すると同時に、体が床に落ちる。
 何故かと思ったけれど、立ち上がるときに視線が下を向いたことで気が付いた。
 元の大きさに、戻っている。
「た、すかっ、た」
 切り落とされてもいない。
 僕は、男のままだ。
「大丈夫か、虎徹君」
「うん、多分」
 弊害が起きなければ良いなと思いながら、溜息を吐く。
 あと青海、早く服を着なさい。
368ロボ ◆JypZpjo0ig :2006/07/25(火) 18:12:12 ID:BoDGd9q0
今回はこれで終わりです
初期のノリで書いたつもりが、悪ノリしすぎましたね

男の独り暮らしは貯金と有給ばかり溜って困る
そして使った有給に呑んだくれているとこんなの書いてしまうから更に困る


真面目な話はここまでで、次は軽い話を

たくさんのレス嬉しいです、ありがとうございます
Bが多いですが、取り敢えず最初はA(変態虎姉妹)ルート
ですがB(青海)ルートも書くことにしました
青海の存在意義は進んでいく内に分かると思いますので、待ってて下さい


ひねくれ者だったりするくせに頑張ってしまうから困る('A`)
369名無しさん@ピンキー:2006/07/25(火) 18:23:42 ID:KctwKP8A
両方か!?両方なのか!?
キ…(−_−)キ(_− )キ!(−  )キッ!(   )キタ(  ゚)キタ!( ゚∀)キタ!!( ゚∀゚ )キタ━━!
370名無しさん@ピンキー:2006/07/25(火) 18:28:47 ID:5M+L3P4M
ふぅ〜ん…そうやって、お姉ちゃん以外の女の子に優しくしてるんだぁ〜
371名無しさん@ピンキー:2006/07/25(火) 18:28:48 ID:NumGEJ0B
>>348
おかえりなさい。
372名無しさん@ピンキー:2006/07/25(火) 19:41:30 ID:+rb68DLQ
>>368
キタ━━(゚∀゚)━━!!
両方書いてくれるんですか!
373 ◆kZWZvdLsog :2006/07/25(火) 20:33:44 ID:c2vrBvYs
投下します。
374うじひめっ! Vol.1 ◆kZWZvdLsog :2006/07/25(火) 20:35:49 ID:c2vrBvYs
 真夏にコンポストを開けて覗いたことがあるだろうか。
 ほら、庭なんかにあって、生ゴミを放り込んで堆肥にするっていうあの箱だ。
 真夏。
 生ゴミ。
 この二単語から連想されるものを想像してほしい。
 じっくり。とっくり。脳の襞までねぶるように。
 ……想像していただけたかな?
 
 なら、我が悪友のバカこと梨本良治がうっかりコンポストを蹴り倒してしまったとき何が起こったか、
詳しく説明するまでもないことだろうと判断する――

「うひぃやああああ」
 悲鳴が挙がった。その主が良治のバカだったか俺だったか、記憶が混乱していてよく覚えていない。
 エアコンレスの気が狂うような暑さの中で『餓狼伝』と『獅子の門』を立て続けに読みまくった良治の
クソ野郎は瞬間的に錯乱を生じ、あたかも己がいっぱしの格闘家であると思い込んだ末、顔を板垣画風に
歪めつつ「おきゃあ!」と謎奇声を発してへなちょこ右ミドルキック(恐らくハイを放とうとして腰まで
しか上がらなかったものと推測)を繰り出し、家庭農園脇に安置されていたコンポストを痛打した。
 そのとき俺は真上からギラギラ光と熱を降り注がさせる太陽を何の気の迷いでかつい直視してしまい、
「うおっ、まぶしっ」とちょうど顔を背けたところで。
 つまり反応している暇がなかった。
 足元へ生ゴミと蛆虫をふんだんに盛り込んだ堆積物が浜辺の波みたいに押し寄せると、為す術もなく倒れた。
 はっきりしているのはそこまでだ。そこからは記憶が半ば定かじゃなくなっている。
 魔軍の侵攻……と、ファンタジー小説ならそんな章題を付けるに違いない阿鼻叫喚がしばし続いた。
 近所迷惑も甚だしく、もちろん後で文句を言われてたっぷり謝ることになった。
「おおおっ」
 俺みたいにゴミと蛆にまみれることはなかったが、余波なのかほんの一匹だけ良治のボケカスんところまで
辿り着いた蛆虫がいた。
 他と比べてひと際小さく、弱々しげで、のろのろと儚げに蠢いていたことが妙に記憶に焼きついている。
 反射行動だろう。即座に梨本“バリューレス”良治は足を振り上げ、そのまま踏み潰そうとした。
「―――!」
 あのとき自分が何を考えていたのかよく分からない。咄嗟の勢いで手を伸ばし、ドーム状に指を曲げて蛆を
包み、ぐっと土を掻く形で保護してしまった。そこに良治マストダイ男の靴裏が来た。
「ギャバアアァッ」
 悲鳴が挙がった。我ながらハリウッドのアクション映画に登場して一分でやられる悪党にも似た太い叫び。
「うおっ、ちょっ、なにしとん和彦!?」
 良治が目を丸くしたのも、もっともだ。わざわざ手を伸ばして奴の足に踏まれにいったのだ。
 普通に考えればまずやらない行為。
 良治はその腐った思考回路から「こいつ実はMじゃね?」とかマジで疑ったはずだ。
 繰り返しになるが、本当に何を考えてあんなことをしたんだかまったく分からない。
 俺は「虫も殺さぬような」というより、事件を起こしたらワイドショーで「あいつはいつかやると思った」と
好き勝手に言われそうな、至って根が暗くて戦争映画やB級バイオレンスの悲惨かつ悪趣味な情景を何度も
再生して鑑賞するタイプの思春期少年である。若気の至りが当年でさえ痛々しく思えるダメオタである。
 蛆虫一匹を見殺しにしたところで心が痛む道理もない。
 なのに。なぜか――手が動いていたのだ。
 激痛に喘ぐ掌の下、無事に守り抜かれた蛆は、悶え回る俺も知らぬげにのそのそと這っていった。
 良治と飽かず口喧嘩しながら元に直したコンポストへそいつが戻ったかどうか、蛆を見分ける能力のない俺には
どうにも知りようがないというか、たとえ知ることが出来たとして、どうでもいいことだった。
375うじひめっ! Vol.1 ◆kZWZvdLsog :2006/07/25(火) 20:38:18 ID:c2vrBvYs
 どうでもいいことだった、はずなんだが……。
 翌朝、宅配便が届いた。両親が不在の折で、夏休みだからと惰眠を貪っていた俺はチャイムに叩き起こされ
不機嫌になりながら受領のサインを汚い字で書いて、俺の字よりも小汚いダンボールを受け取った。
 中元シーズンだ。何か通販を頼んだ覚えもないし、父か母の知り合いが贈ったものだろう、と思いながら中身が
気になる俺は宛名を見てたまげた。
 「木更津和彦 様」――俺宛だった。
 訝りながら差出人と品名を確認するが、どちらも空欄。
 怪しい。怪しすぎる。
 いかにもそこらへんで拾ってきた感じのダンボールが、覚えのない時期に送りつけられる――
 事件の予感がした。前夜に切断された手足が箱詰めで届くという推理小説を読んでいた分、箱を開けた途端に
勢い良くぼろりと死体の一部が転がり出たりするんじゃないかって想像し、不謹慎にもドキドキした。
 小学生の頃、通信簿に「危機管理意識が薄いです」と書かれたくらい迂闊な人間ゆえ、迷いもせず爪を立てて
ガムテープの端を浮かせ、べりべり剥がして速攻で開封しちゃったわけで。
 中に入っていたのは。
 その、なんというか。
「……女の子?」
 だったのである。
 真っ先に目に飛び込んできたのは銀の髪。光の具合によっては白く透けそうなほど、濁りのない色合いをしていた。
 昔、従妹に借りて読んだ少女マンガか少女小説に雨のことを「銀糸」と喩えた作品があったが、それに合わせて
表現すると、か細く静かにしとしとと降る雨のような髪――だった。
 自分で言っていてさぶいぼが立ちそうだけど、まあそんなテイスト。
 箱を埋め尽くすほど長い銀髪を戴く頭部には、黄金に輝く冠が乗っていた。
 ティアラ、とかいうんだっけ。やたらと繊細な造型をしていて、触ったらぽっきり折れるのではないかと不安になった。
 全体を覆う髪の下には服がある。服というか、ドレス? 白くて薄くてヒラヒラのフリルが我が物顔でのさばっている、
恐ろしいくらい少女趣味のデザイン。イメージは正に「王女様」のノリ。こんなの、描くのが面倒臭くてマンガにだって
出てこないだろう、と確信できる気合の入った代物だった。
 最後に。
 そっと視線を上げて顔を窺う。
 寝ているのだろうか。目を閉じ、すうすう微かな呼吸音を立てている。睫毛が長く、すっと鼻梁の通った顔立ちは、
あどけないながらも綺麗に整っていて、今まで肉眼で見てきた女子たちのどれとも似ていない。
 外人さんだ。初めて、生で見る、モノホンの外人ロリータだ……!
 と、感激しかけたが。これが本物なわけ、ないじゃん。思わず苦笑が漏れた。
 何で銀髪ロリがダンボールに押し込まれてうちに来るんだよ。そんなのありえないでしょ。
 これはきっとあれだ、うん、あれ。
 何かの手違いか、それとも悪質な目論見で業者が勝手に発送した超リアルでやや大きめのドールなんだ。
 最近もそんなアニメがあったじゃないか。引きこもりの眼鏡少年のところに本物ロリよりちょっと小さいサイズの
少女人形が届いて……っていう。きっとそれの真似なんだ。クーリングオフの期間が過ぎたらガンガン請求が来るんだ。
まいったなぁ。早めに連絡入れて変なトラブルに発展する前に片付けないと。
 差出人は書いてなかったけど、きっと中にこっそり納品書を紛れ込ませているんだよ。それを見つけなきゃ。
「こいつの下か……?」
 恐る恐る手を伸ばす。造り物とはいえ、こうも精巧だと、彼女いない歴がそのまま人生の長さに直結する童貞にゃ
刺激が強すぎる。なんだか指先が震えてくるのも制御できず、さらさらの銀髪に触れる。
376うじひめっ! Vol.1 ◆kZWZvdLsog :2006/07/25(火) 20:40:13 ID:c2vrBvYs
 柔らかい。ふわっと手が沈み、こちらの産毛を淡く撫でてくる感触に背筋がぞくっとなる。
 バカップルの男の方がキモいほどに女にくっついて髪を撫でたり頬ずりしたりキスしたりする気持ち――
それが一瞬で理解できてしまって、おののいた。
 おいおい……髪は女の命とかほざくけど、心理的にはむしろ凶器じゃないか、これ……
 あまりの手触りの良さに当初抱いていた目的を失念し、なでなでさわさわすること約三分。
 はっとなって髪いじりを中断し、指を引っ込める。
 野郎、なんてことだ……知れず、歯噛みした。俺は職人芸ってものを甘く見ていた。
 改めて見直し、確信する。こいつはきっとレディメイドの量産品なんかじゃねえ。
 スイスで時計職人をやっていた盲目の老人が一本一本、ウィーン乙女の髪を手探りで植えていったとかなんとか、
NHKのドキュメンタリィ班がやってきてインタビューするアレなんだよきっと。
 「なぜ目が不自由なのにこんな作業を?」と訊かれるのにやれやれって首を振って、「私はね、目で見て小手先で
植える髪は偽物だと思うんだよ。髪は乙女の命。乙女の命は、職人の魂で植えるものだ。たとえ私は目が不自由でも、
魂は――空を舞う鳥のように自由だからね」なんてしたり顔でうまいこと言ったつもりのコメントを字幕表示するわけ。
 ダメだ、混乱して変な連想してきた。NHKはどうでもいい。
 問題はこの緻密すぎる造型のドールだ。ヤバい、だんだん欲しくなってきた。
 今までフィギュア狂いのオタ友をフレンチ風の鼻に抜ける呼吸でせせら笑っていたのに。
 現在、その地獄へ落ちる瀬戸際。
 金銭的に見てフィギュア道は修羅の道。ここで引き返すためにも、早く返送作業を進めねばならない。
 心を鬼にし、くわっと目を見開いて手を伸ばす。魔性の髪を掻き分ける。指紋の渦が滑らかな感触に浸される。
服のところまで来たのだろう。なかなか心地良い手触りだったが、心を奪われるほどではなかった。
 どうやら俺は髪フェチの傾向は強くとも着衣フェチに関してはそれほど大した属性じゃないらしい。
 箱と少女の隙間に指を潜り込ませ、よっと持ち上げる。
「!?」
 え、えっと……
 な、な……なぁんかとっても温かい気がするのですがっ!?
 ひ、人肌? 最近のドールは人肌の温度を再現する領域まで歩を進めているのかっ?
 科学の進化っていうか、欲望に忠実な人間の熱意って恐ろしいねー。
 ホント。ねー。
 ……そういえば。箱を開けたとき、これの顔を見て「寝ているのだろうか」って自然と思ったけど。
 すうすう、寝息が聞こえた……というより現に今も聞こえてくる気がするけど。
 き、気のせいですよなあ? これも何かの機能だよね? ね?
 俺の「彼女ほしい願望」が投射されてドールに魂が吹き込まれたとか、そんなことはないよね?
「あの……」
 と少し掠れ気味の声が囁いたりしてるけど。
「こ、これもボイス再生機能とか……」
「もしもし……?」
 見詰める先で。唇が動き、眉根は寄り、目は開かぬままながら「訊ねの表情」を形成していた。
 手には依然として温もりが伝わってくる。
 これも……表情をつくる機能?
 って、いくらなんでも機能高すぎるだろ。これが出来るならなんでホンダがあの程度なんだ。
 そろそろ現実逃避はやめた方がいい。認めねばならない。現実とは思えない事態を。
 これは――この子は――よく出来た、精巧極まりないドールなんかじゃなくて。
「お訊ねしてもよろしいですか……?」
 と伺われ。
「ハイ」
 反射で生返事。すると女の子は――ダンボールで箱詰めにされた、真実「生きている」少女は!――
俺の腕の中で、くてんと首を横に寝かせた。
「いつになったらキスをなさるんですの……?」
377うじひめっ! Vol.1 ◆kZWZvdLsog :2006/07/25(火) 20:42:52 ID:c2vrBvYs
 何かに焦れた女の子がキスをせがんできたら、そりゃ俺だって歯が当たるのも構わず鼻息荒らげて
ぶちゅうっと行くことは請け合いですよ。あくまで、理解の及ぶ日常範囲での出来事だったなら。
 さすがにこの状況では戸惑うより他ない。
「はあ……キス、ですか……?」
 と疑問文に疑問文を返してしまう。
「ええ。だって、こういう場合、殿方が接吻で起こしてくれるのがロマンスというものなんでしょう?」
 こういう場合ってどういう場合なのか、きっちり説明して欲しかった。
 だけどもそれをうまく口に出すほどは頭が回らなかった。「はあ……」と答えるのみ。
「私、爺やにそう習いましたわ」
 言い切って、少女はやけに自信ありげな笑みを浮かべた。
 目を閉じたまま、猫口で「ふふん」と勝ち誇ってみせる。何でそんなに得意げなのだろう。
 綺麗で可愛い子を抱き上げた状態で、ちょっぴり胸が高鳴らないでもないシチュエーションだったが。
 疑問点が多すぎる。純粋に「ふにふにしたおにゃのこだー、わーい」と楽しんでる場合ではない。
「アノ、チョトイイデスカ?」
「はい? ……なんで急に片言なんですの?」
 しまった、改まった口調で質問しようとして、相手が外人さんっぽいからつい怪しげな日本語を発音してしまった。
 さっきから流暢に喋っているし、普通でいいのだろう。よく分からんが。
「一つ、いえ二つ……いっそいくつかお聞きしたいんですが、よろしいでしょうか?」
「ええ、なんなりと」
 どんとこい、とばかりに胸を張る女の子。背筋を利用したからか、手に背中の筋肉が撓る感触。
「まず知りたいのは、えっと……」
「ああ! 私の名前ですのね? ごめんなさい、申し遅れましたわ。私は……」
「いや名前は後回しで良くて」
 言葉を遮り、さっきから気になっていたことをガツンとぶつける。
 髪で覆われていたこともあるし、てっきりドールだと思い込んでたからスルーしたけれど――
 さっきまで箱の中にきっちりと詰まっていた彼女の肩、それに腰をじっと眺め。
 勇気を振り絞り、口にする。
「なんで――手足がないんですか?」

 少女の四肢は欠落していた。

 肩から先の布地はひらりと重力方向に垂れ。腰の下はスカートも何もなかった。服の裾が股間を隠していた。
 だからこそ宅配できるようなダンボールに収まったし、モヤシの俺にも軽く持ち上げられた。
 切断された手足が送りつけられる、昨日読んだ推理小説の逆。
 両手両足のない女の子が、俺宛で送られてきたのだ。
 震える声で訊く俺に対し、銀の髪と金の宝冠とフリフリドレスで装飾された美肌少女はきょとんとした表情で。
「生まれつきですわ」
 何の屈託もなく返答した。
「ああ、そう……生まれつき、ですか……」
「そうですの。あと、」
 目も見えませんの――って。
 瞼を下げた顔をにこやかに綻ばせ、ころころと笑った。
378うじひめっ! Vol.1 ◆kZWZvdLsog :2006/07/25(火) 20:44:31 ID:c2vrBvYs
 少女は「フォイレ」と名乗った。名前だけ。姓はないらしい。
 なぜかと問えば。
「私、蛆界の王女ですから」
 さらりと意味不明なこと言われた。
「……租界の王女?」
「『蛆』の『そ』ですわ。蛆の世界では今も王政が続いておりますの」
「いや、待てよ、ストップ」
「はい?」
「なんでここで蛆が出てくるんだ?」
「なんで、も何も……私は蛆虫ですわ」
 またもやさらりと言い切った。
「え? 文脈無視していきなり自己卑下?」
「し、失敬ですわ! なんで卑下とか言われるんです!? う、蛆虫が蛆虫と名乗って何が悪いんですの!?」
 突如激昂した。肩を震わせ、陶磁のように白い頬へさっと朱を昇らせる。
「だ、だいたいですねえ!!」
「は、はい!?」
「あなた、どういう謂れがあって蛆虫を愚弄の対象になされるのですか? お、おかしいでしょ!?
世の中他にも種々様々な虫が存在するうちで、どうして私たちだけ名指しで罵倒なさるんですか!?」
 首を振り、髪を乱してまくし立てる。何かに憑かれた様子で、延々と。
 やべー。この子……電波? ダンボールに詰まってる時点でまともじゃないとは分かり切ってたが。
「死体に湧かれるのがそんなにお嫌なんですかっ!? しょ、食物連鎖って概念、知らないんですかあなた!?」
「どうどうどう、落ち着いて落ち着いて」
「私は……っ! 悔しくて悔しくて……っ!」
 開かぬ瞼の下からぼろぼろと大粒の涙をこぼした。
 それは薄紅色に染まった頬に筋を引き、顎の先で溜まって雫となった。
 んー、あー。いくら電波でも、可愛い子を泣かすとなーんか罪悪感が……。
「あー、よしよしよし。分かった、分かったからほら、もう蛆虫バカにしないから。泣き止めよ、な?」
 小さい子にするみたいに懸命に頭を撫でて言い聞かせる。
 ぐすっ、ぐすっ、と鼻を鳴らし、涙が止まるまで五分ほど。腕も疲れてきたが、離すわけにもいかず我慢した。
「ごめん、なさい……つい……カッとなってしまって……」
 犯罪者の自供じみたことを言いながら、鼻の鳴り方も「すん、すん」程度に収まってきた。
 ホッとしつつも、彼女――フォイレという名乗りも果たして本名なのか――の電波発言に内心首を傾げる。
 思春期の女の子が「今のわたしは本物じゃないの。本物のわたしは○○よ」とか言い出すのは中年男性が
オヤジギャグを飛ばすようなものでどうにもならない宿痾だという話は聞いたことがある。
 しかし、その場合○○に当てはまる単語は大抵理想の高さを象徴して聞く者を失笑させるチョイスになる
そうで、いくらなんでも生まれつき手足がなくて盲目だからって蛆虫とか言い出すのは――
 うーむ。どうなんだろう。身近に肢体不自由者はいないし、判断不能の問題だ。
「というか、この子がうちに来た理由って……?」
 思わず口ずさんでいた言葉を、フォイレ(便宜上こう呼ぶ)は耳ざとく拾い上げた。
「和彦さんを伺った理由ですか?」
 和彦さん和彦さん和彦さん和彦さん和彦さん和彦さん和彦さん……
 こんな状況下とはいえ、生まれてこの方、年頃の婦女子に事務的な呼び出し以外で発音されたことのない
名前をいともたやすく口にされ、不覚にも涙ぐみかけた。
「それはですね、」
 目が見えないからか俺のそんな様子に気づく素振りもなく、フォイレは満面の笑顔。
「もちろん――恩返しです!」
379 ◆kZWZvdLsog :2006/07/25(火) 20:45:10 ID:c2vrBvYs
最近は四字ひらがなタイトルがはやっているらしいので、流行におもねってみました。
ハートフルラブコメを修羅場のどん底に突き落としてやりたい、という欲望が執筆衝動になっています。

作者の頭がおかしいのは仕様です。
380名無しさん@ピンキー:2006/07/25(火) 21:09:46 ID:IcgkuQFQ
(´▽`*)アハハ  その欲望は普通だよ
それを具現化してくれるのは頭がおかしいのではなくて
むしろ天才だと(*´д`*)
期待しておりますm( __ __ )m
381名無しさん@ピンキー:2006/07/25(火) 21:16:36 ID:BjJ+/wKo
GJ!
四肢欠損のおにゃごがどういう演出を見せるのか……見物だ
382名無しさん@ピンキー:2006/07/25(火) 21:54:14 ID:QGWyVxbh
>>379
新  感  覚!!
383名無しさん@ピンキー:2006/07/25(火) 22:07:24 ID:zEf9Z0yr
GJ!
だるま姫様かぁ…新しいね


とりあえずザ・ムーン思い出した
384名無しさん@ピンキー:2006/07/25(火) 23:05:18 ID:QtXtM+zs
>>393
お互い年がばれるようなネタはやめようぜ。
ちなみにあれは糞虫ではなかったか?
……なにげに平均年齢高そうだがな、このスレ。
385名無しさん@ピンキー:2006/07/25(火) 23:29:48 ID:3JIvCere
「人外ヒロインにゃ萌えねえよ」

そう思ってた時期が俺にもありました
386名無しさん@ピンキー:2006/07/25(火) 23:41:06 ID:uclh/BJ2
ナウなヤングの俺からしてみれば人外ものといえば沙耶の唄だな
まあそれはそうと

「人外ヒロインにゃ萌えねえよ」

そう思ってた時期が俺にもありました
387黒鐘 ◆8z1A4K.yYU :2006/07/25(火) 23:43:44 ID:KEpwJBIB
第2話を投下させて頂きます。
前回、様々なアドバイスや感想を下さった方本当にありがとうございました。
人間って暖かいですね。
388華ノ歌ヲ2 ◆8z1A4K.yYU :2006/07/25(火) 23:45:51 ID:KEpwJBIB
「おはよーっす」「おはよー」「うーす」
そんな声の響く教室。この2年A組の窓際の席が光命の座席だ。
「よっ、コーメーおはよっす」
「はい、おはよう」
「コーメー君おはよー」
「はい、おはよう」
男女問わずして、光命に挨拶をするクラスメイト。光命ものほほんとしながらも挨拶を返していた。

六波羅光命はぼーっとするのが好きな人間だ。容姿も悪くは無いがずば抜けてよい訳でもない。
頭も悪くはないが天才ではない。お茶をすする事を何よりも好む普通(?)の高校生だ。
如何せん名前だけは六波羅光命という派手な井手達になってはいたが・・・。

光命は自分から率先して話題をふるタイプではないし、目立とうとするタイプでもない。
しかし、人の話には常に耳を傾け、相手のことを重んじるその穏やかな性格と
マイナスイオンが年中出てそうな人柄にクラスでの人望は厚かった。
389華ノ歌ヲ2 ◆8z1A4K.yYU :2006/07/25(火) 23:46:50 ID:KEpwJBIB
そんな彼だが一つ、たった一つ他の人にはない「モノ」を持っていた。
ただそれは誰でも持っている「モノ」である。しかし光命にしかない「モノ」でもある。
その「モノ」とは・・・。

「なあ、コーメーお前数学の宿題やってきた?」
後ろの席の男子が話しかけてきた
「おお、一応やってきたよ。まあ合ってるかどうかは解らないけどね。」
本当に自信が無いのか後半部分はなぜか小声になる光命。ふうっとため息もついている。
「・・・・数学、苦手だからさー」
「あー、お前確か前回のテストで追試受ける羽目になったたもんな・・・。」
「まあね」
そういって苦笑する光命。目の前にある教科書を恨めしそうに見ていたりもする。
「でもさ、お前追試は満点だったらしいじゃん。先生が間違って出した超難解問題も解いたって・・・」
「んー、まぐれだろ?」
「・・・・数学にあんまりまぐれは無えと思うぞ・・・」
今度は男子が苦笑して、光命を見る。光命はのほほんと受け答えをしている。
「コーメーは追い込まれると強いからな〜。逆境に強いってやつか?」
「うーん、そうかもしれないなあ・・・」
「でもすぐ寝込むから身体は弱いのかもな」
「ほっときなさい」
そういって笑いあう。ほかの人も聞いていたらしくクスっと笑い声も聞こえた。
「でさ、その宿題を・・・」
「貸さんよ。お前のためにならん」
なんですとー!!などと貸せ貸さないの押し問答が始まり、朝のHRが過ぎてゆく。
390華ノ歌ヲ2 ◆8z1A4K.yYU :2006/07/25(火) 23:47:39 ID:KEpwJBIB
彼、六波羅光命は逆境に強いと言われる。
確かに追い込まれてから強いのだが・・・しかしそれだけではない。
彼のもつ「モノ」、それは

「集中力」

である。

集中力は言わずもがな、人間が誰しも持っている能力である。
対象としている事に対して能力をフル稼働させ、通常以上の結果を残す。
人間に備わったすばらしい機能だ。

しかし、光命のもつ集中力は常人のそれとは比べ物にならないくらい凄い。
実際に人は集中しているとき、脳は他の感覚や機能を必要最低限に抑え込み対象への行動を
活性化させている。しかし、光命は必要最低限どころかその感覚、機能を全てシャットダウンして
対象とする先への爆発的な集中力を発揮するのである。
391華ノ歌ヲ2 ◆8z1A4K.yYU :2006/07/25(火) 23:48:40 ID:KEpwJBIB
数学の追試の時もこの集中を使った。「追試に受かる」事だけに集中したため、通常では考えられない
高得点と、常人ではありえない計算スピードを可能にしたのである。
また、脳だけではなく身体的にも、この集中の力は発揮される。
昨年の球技大会ではバスケの試合で「点を取ること」に集中した結果。170センチちょいの光命がフリースローラインから
ダンクを決めるわ、バスケ部相手にダブルクラッチならぬトリプルクラッチをかますなどをやってのけた。
ただ、「点を取ること」だけに集中をまわしたので、ディフェンスはザルだったが。
所謂、ある意味「無敵状態」になることができるのだ。

しかし、良いことだけでは決して無い。集中力を極限状態まで高めている状態は脳と身体に恐ろしい程の負荷を
かける事となるのだ。
つまり精神が身体を凌駕している、いや、し過ぎているのだ。完全に能力以上のことを行うため集中が
切れた後にはそれに相応したダメージが返ってくる。そのダメージは集中の度合いよってまた異なってくるのである。

集中が深ければ深いほど、返ってくるダメージも強大だ。実際、この集中を使った後、光命は何日が寝込んでいる。
392華ノ歌ヲ2 ◆8z1A4K.yYU :2006/07/25(火) 23:49:56 ID:KEpwJBIB
ここ最近での一番の集中は、例の茜、茉莉の血戦の最中に使ったものだ。
あの時、軽いパニックだった光命はあまりの惨状に「喧嘩を止める」事に集中せずに「怒ること」に集中してしまった。
それがいけなかった。「怒ること」に人生最高の集中力を発揮したため、正に鬼。悪鬼羅刹の様相を呈してしまったのだ。
あのトランス状態の両名を止める程だ、生半可な怒りかたではなかったのだろう・・・正座で涙流すくらいだし。

しかし、その後は散々だった。集中力を使いすぎた結果、光命は頭痛と倦怠感、吐き気etc・・・で7日間寝込んだ。
光命だけ寝込んだ時間が長かったのはそういう理由である。

ともあれ、光命は本当にここぞという時にしか「集中」を使わないようにしている。
一番よいのはこの力を使わずに、楽しく、幸せに生きていく事だと思っているからだ。(寝込むのが嫌と言うのも少しある)

閑話休載

こうして毎日を友人達とのほほんと暮らしていた光命だが、最近はだいぶ周りが騒がしくなってきた。
理由は・・・・

「おにいちゃん!」「・・・・メイくん・・・」

この2人の高校入学によるところが大きいのだろう・・・。
393名無しさん@ピンキー:2006/07/25(火) 23:53:11 ID:KctwKP8A
光命はこれから修羅場を起こすこと集中するんだな(*゚∀゚)=3ハァハァ
394黒鐘 ◆8z1A4K.yYU :2006/07/25(火) 23:58:07 ID:KEpwJBIB
今回は以上です。
今回は光命くんの身の上話っぽくなってしまいました・・・。
ただ、次回から話の風呂敷をザザッと広げていくつもりです。
茜と茉莉の攻防とそして・・・といった感じに。。
うまくまとまるかな・・・(汗)
395名無しさん@ピンキー:2006/07/26(水) 01:06:30 ID:2QGSY1mI
蛆姫(・∀・)イイ!!
卑下のくだりに爆笑した
396名無しさん@ピンキー:2006/07/26(水) 01:12:46 ID:cNMpepih
蝶期待。…蝿期待?
397名無しさん@ピンキー:2006/07/26(水) 01:13:31 ID:/OA6XVM6
30分以内にレスが無かったら阿修羅氏は俺のもの・・・
398名無しさん@ピンキー:2006/07/26(水) 01:19:34 ID:66T8gMiN
それは有り得ないわね>>397さん
なぜなら阿修羅氏はすでに私のモノだもの。
399名無しさん@ピンキー:2006/07/26(水) 01:36:08 ID:yMbFneXq
>>397
>>398
うふふ、あなた達何を言っているのかしら?
阿修羅氏は私の隣に居るっていうのに。
400名無しさん@ピンキー:2006/07/26(水) 01:40:55 ID:nOJtcLWC
>>397-399
私のお兄ちゃんを返して!この泥棒猫!!
401名無しさん@ピンキー:2006/07/26(水) 01:56:14 ID:jvbS3x4R
泥棒猫や雌豚というワードがでてきたのに
いまだに女狐がでてきてない気がする
402血塗れ竜と食人姫 ◆gPbPvQ478E :2006/07/26(水) 02:15:24 ID:TJF4K4NT
投下します
403血塗れ竜と食人姫 ◆gPbPvQ478E :2006/07/26(水) 02:16:09 ID:TJF4K4NT

 さて。案は2つある。
 ひとつは、飲み物に混ぜる。ユウキさんは農園の兎のような人だから、上手くいく可能性は高い。
 しかし、基本的に頭は良いので、ひょっとしたら勘付かれるおそれがある。
 よって、確実な策とは言い難い。
 もうひとつは、無理矢理飲ませる。身体能力は大差ないが、私の方が荒事は得意なので何とかなる。
 こちらは実力をもとにした案なので、実行すれば確実に成功するだろう。
 問題は、コトを終えた後、はたしてユウキさんの心を繋ぎ止められるかどうかである。
 ユウキさんが被虐趣味だったらよかったんだけどなあ。
 まあそれはそれとして。
 
 メイドが持ってきたこの薬。
 試したところ、やはりというか何というか、媚薬だった。
 
 これでユウキさんを手に入れろということらしい。
 身体だけ手に入れても仕方ないんだけどなあ、とは思うが、それはそれとして、身体だけでも欲しいと思う自分もいた。
 だって、ねえ。
 ユウキさんが私の付き人になってから、これでもかというくらい露骨に誘っているのにもかかわらず。
 ユウキさんは、頑なに、一線を越えようとはしなかった。
 
 不能の線も疑った。
 しかし、くっついたりしたとき、腰が引けるところを見ると、反応してないわけではなさそうだ。
 血塗れ竜に操を立てているのだろうか。
 しかし、以前囚人闘技場で見た2人の様子や、ユウキさんから聞く血塗れ竜の話などの印象から考えると、その線は薄そうである。
 
 強引な姿勢と、徐々に深く攻めることで、口づけ程度なら違和感なく受け入れられるようになってはいる。
 この関係のまま、ゆっくり、ゆっくり侵攻していくのも有効な手だとは思う。
 しかし、ビビスの側から薬まで出してくるとなると話は違う。
 あの変態公爵は、自分に得のないことは一切しないタイプだろう。
 私に“ユウキさんを落とせ”と指示してきた以上、何らかの裏があると思っていい。
 それがどんな狙いによるものかはわからないが――少なくとも、時間がたっぷりあるというわけではなさそうだ。
 
 ――やっぱり、使うしかないか。
 嫌われないよう、しかし身体は手に入れる方針で。
 
 
 
404血塗れ竜と食人姫 ◆gPbPvQ478E :2006/07/26(水) 02:16:56 ID:TJF4K4NT

 
 
 結局、最終案としては。
 飲み物に混ぜて、そのまま飲めばそれで良し、飲まなかったら強引に、という折衷案でいくことにした。
 
 メイドを追い出してからしばらくして。
 ユウキさんがやってきた。
 始まるのはいつもの会話。
 適当な雑談に始まって、気付けば互いの距離を測り合っている。
 私は近付こうとして、ユウキさんは離れようとしている。
 これはこれで緊張感があって楽しいのだが――やっぱり、もっと近付きたいよ。
 
 私は、ユウキさんがいれば、あとは何も要らない。
 こんなに誰かを欲しいと思ったことなんて――母国にいた頃ですら一度もない。
 
 
 ああ、そういえば。
 ユウキさんに、私の昔話をしたことは、なかったっけ。
 
 
 単に思い至らなかったのか、それとも気を遣ってくれたのか。
 ユウキさんが私の過去に触れようとしたことは一度もなかった。
 正直、思い出したくないこともたくさんあるし、助かっていたといえばそうである。
 でも――知って欲しいという想いも、少なからず、あった。
 ユウキさんには、私の全てを知っておいてほしい。
 だって、これから私のものに、なるんだし。
 
 正直、退かれるかもしれない。
 帝国の一般的な女の子がどのような生活をしているのかは知らないが、それとはかけ離れていると断言できる。
 でも、血塗れ竜みたいな変わった娘を受け入れられるのだから。
 きっと、私のことも、受け入れてくれるよね?
 
 
 
 
 
 私には、名前がなかった。
 一番古い記憶の頃から、私の呼び名は番号だった。
 大人はいつも、私のことを番号で呼んだ。それが当たり前だったので、疑問に思うことなどまず無かった。
 起床し、食事を取り、日課をこなし、就寝する。
 その中には名前の必然性はなく、個体の識別できる番号さえあれば、それで充分だった。
 
 帝国に比べると人口や国土は劣るものの、抜群の技術力を誇る王国。それが私の母国である。
 その技術力は、ある時期から特殊な方向に突き進み、私の所属していた研究所は、その最先端だったそうな。
 
 
 ――私は、そこの被験体だった。


405血塗れ竜と食人姫 ◆gPbPvQ478E :2006/07/26(水) 02:17:46 ID:TJF4K4NT

 色々な薬を投与され、様々な手術を施された。
 私が生き残ったのは運でしかなかった。
 5歳の頃にはたくさんいた友達も、10歳のときには片手にも満たなかった。
 
 
 そんな環境で育ったにもかかわらず、私が自我を保てたのは、投与された薬の相性としか言えないだろう。
 他の子ども達は、廃人か植物人間か無我人間のどれかだった。
 そのみんなが、少しずつ、少しずつ数を減らしていって。
 そんな中でも、私は着実に、生き延びていた。
 13歳くらいからは、耐久実験と咀嚼訓練の繰りかえしだった。
 身体もだいぶできてきて、あらかたの刺激には耐えられるようになって。
 私は、数少ない“成功例”として、より高次の完成を目指すことになった。
 
 そこで出会った存在のせいで、色々、本当に色々あったのだけど――今は、思い出したくなかった。
 
 そんなこんなで、毎日身体を切り刻まれて、毎日色々なものを噛まされて、私の少女時代は過ぎていった。
 あ、今でも充分に少女だから、そこらへんは誤解しないでね。
 
 外見の成長が止まったのは14のとき。
 飢餓状態で脂肪が多少は増減するものの、筋肉や骨格が変化することはなくなった。
 身体が完全に“生き延びること”に特化されたおかげで、それ以外の機能は残らなかった。
 成長することや――子供を産むことは、私が生き延びる上では不必要なものだったらしい。
 それから2年間、変わらない身体のまま、ひたすらに身体を虐められた。
 感覚は鈍麻し、全てがどうでもよくなって。
 
 そして、ちょっぴり、嫌なことがあって。
 
 私は、国を出ることにした。
 
 研究所の所員や警備員を全員喰い殺し。
 妹分も喰い殺し。
 立ちふさがる連中全員、喰い殺して。
 私は、母国を後にした。
 
 とにかく――あの国で死にたくなくて。
 せめて、他の国で死にたいと思い。
 帝国に、密入国した。
 技術力こそ劣るものの、豊富な人口と資源を誇る帝国なら。
 私を殺せる人間が、いると思ったから。
 だから、囚人闘技場に来ることに抵抗はなかったし。
 自分から、それを望みもした。
 
 そう。私は死ぬつもりだったのだ。
 実験段階で、自殺することができない身体にされてしまい、自分じゃどう頑張っても死ぬことができなくて。
 燃費の悪い特殊な身体は、常に空腹を訴え続けて。
 
 囚人闘技場に来て、さあこれから、というところで。
 
 ――ユウキさんと、出会った。
 
 
 
 
406血塗れ竜と食人姫 ◆gPbPvQ478E :2006/07/26(水) 02:18:47 ID:TJF4K4NT

「あ、でも、別に研究所で育ったことが不幸だったとか、そんな風には思ってないよ?
 あそこのおかげで、少なからず恩恵も受けられたし。
 美味しいものをたくさん食べてもお腹一杯にならないし。
 妹分も喰い殺しちゃったから、それこそ何を食べても大丈夫になることができたし。
 体も丈夫になったから、病気とも無縁だしね!
 ……それに、妊娠しない身体だから、ユウキさんも気兼ねなく中出しできるよ?」
 
 そう言って、向かいに座るユウキさんを見上げようとしたら。
 
 肩を掴まれ、半ば強引に抱きしめられた。
 
 え?
 
「……もう、いいです。それ以上は、言わなくても」
 ユウキさんの声は、何故か絞り出すような感じで。
 ……あれ? おっかしいなあ。退かれるかもしれないかとは思ったけど、こんな反応は予想外というか。
 そりゃあ、ユウキさんは優しいし、表向き、嫌な表情はしないとは思ってたけど。
「あ、あのさ、ユウキさん? 私、別に悲しくなんてないよ?
 だから、こう、抱きしめるのは場違いというか、えっと、その」
「……アトリ。貴女にとってはそうかもしれません。
 でも、僕がこうしたいんです。だから――許してください。
 こうすることを。――それと、貴女の決意を消してしまったことを」
 
 あ。
 そうか。
 つまり、ユウキさんは。
 
 私に、謝りたいのかな。
 
 私が、本当は死にたかったことに気付いて。
 それを、ユウキさんを求める気持ちへとすり替えてしまったことに対して。
 罪悪感を覚えているのかな。
 ……ユウキさんはお人好しだなあ。
 私が、勝手に、貴方のことを好きになっただけなのに。
 それに対しても、自分の責任にしちゃうなんて。
 
 そして、抱きしめることで、私のその想いを強くさせて。
 ――二度と、死にたいと思わせないようにするなんて。
 
 この優しさは、毒だ。
 心を甘く殺す毒。
 ユウキさんの毒に、私はもう殺されている。ああ、だから死にたい気持ちが無くなったのか。


407血塗れ竜と食人姫 ◆gPbPvQ478E :2006/07/26(水) 02:19:20 ID:TJF4K4NT

「え、えへへ。ちょっと変な話しちゃったよね!
 ご、ごめんね、ユウキさん!」
 
 半ば強引にユウキさんの腕を振り払い、椅子から逃げるように立ち上がる。
 そしてそのまま壁際へ。
 
「な、長話して喉が乾いちゃったから、水でも飲むね。ユウキさんにも注いであげるよ!」
 そう言って、棚の上の水差しに手を伸ばす。
 
 やばい。
 もう、我慢できない。
 身体が甘く痺れている。
 
 はじめて。
 ユウキさんの方から、抱きしめてくれた。
 
 かちゃかちゃと、水差しの口が震えている。
 コップに水を入れるのが難しい。
 うああああああ。頬が緩むのを制御できない。胸の奥が熱く燃えさかっている。頬はきっと真っ赤なんだろうなあ。
 欲しいよ。欲しいよ。ユウキさんが、欲しいよ。
 
 ユウキさんに背を向けながら。
 懐から小瓶を取り出して、蓋を開ける。
 本当は、もっと準備を整えてから、飲ませるつもりだった。
 薬を入れた方のコップは、薄れた亜麻色が浮かんでいる。注視すればおかしいと気付かれてしまうだろう。
 でも、もう、我慢できない。
 多少不自然でも気にしない。
 とにかく、一刻も早く、ユウキさんにこの薬を飲ませたい。
 そして、さっきみたいに、抱きしめてほしい。
 
 
「はい、ど、どうぞ」
 目を合わせられない。視線を背けたまま、ユウキさんにコップを差し出し、自分はコップの中身を一気飲みする。
「ありがとうございます。……ん?」
 ユウキさんが、コップの中身を見た、やや眉をひそめる。
 ただの水のはずなのに色づいていることに疑問を覚えたようだ、。
 やっぱり、強引すぎるかもしれない。
 だけど、今更、引き返せない。
「ほ、ほら、ユウキさんもぐいっといっちゃってよ!」
 今更のように緊張してきた。上手く言葉を紡げずに、少々たどたどしく水を勧める。
 ユウキさんはこちらのコップに視線を送ったが、それは既に空である。中身の確認はしようがない。
 
 そして、こちらが慌てているのも、嫌な話をした直後だからと好意的に解釈してくれたのか。
 ユウキさんは、結局、何も異を唱えることなく。
 
 水をそのまま、飲んでくれた。


408血塗れ竜と食人姫 ◆gPbPvQ478E :2006/07/26(水) 02:19:57 ID:TJF4K4NT
 
 
 
 
 
 
 この扉の向こうに、ユウキがいる。
 いままでずっと会えなかったユウキ。
 でも、もうすぐ、会える。
 
「それでは、入りましょうか」
 
 血塗れ竜をここまで連れてきたトゥシアが、そう言ってきた。
 ここまで来て引き返す気なんて、少女には欠片も存在しなかった。故に、無言で頷きを返す。
 もうすぐユウキに会える。
 期待と興奮で、頭に血が上っていた。轟々と耳鳴りがする。気を抜けば気絶してしまいそうだ。
 そして、トゥシアがゆっくりノックをし、扉を開けた。
 
 
「ユウキっ!」
 
 
 我慢できずに、扉に体当たりするように、部屋の中へと駆け込んだ。
 扉の正面にユウキはいない。
 直ぐさま視線を巡らせて、ユウキの姿を探した。
 
 ――いた。
 ユウキだ。
 会いたかった。
 そして、愛して欲しかった。
 ずっと会えなかった鬱積が、ようやく晴れようと――
 
 
「――え?」
 
 
 ふと、素朴な疑問が、浮かんだ。
 
 ユウキは、どうして、裸なの?
 
 ベッドの上で。
 こちらに見向きもせずに。
 誰かを、裸で、抱きしめていた。


409血塗れ竜と食人姫 ◆gPbPvQ478E :2006/07/26(水) 02:20:33 ID:TJF4K4NT

「……ユウキ?」
 
 声をかける。しかし、返事はない。
 ユウキはひたすら、誰かを抱きしめて、身体を上下に揺らしていた。
 
 興奮で麻痺していた聴覚が、だんだんと元に戻り始める。
 聞こえてくるのは、湿った音と、女の声。
 
 あれ、この声、聞き覚え、ある。
 
 どこで聞いたんだっけ。
 頭が上手く働かず、ただ呆然と、ユウキが動く様を見る。
 
 ユウキ。ねえ、なにしてるの?
 抱きしめてるのは誰? どうして、私じゃないの?
 ずっと会いたかったのに。
 どうして、私の方を、向いてくれないの?
 
 
 よく見れば。
 ユウキ・メイラーの目は血走り、通常の状態ではないことは明らかだったが。
 それに気付けず、血塗れ竜は、目の前の睦み事を、ただ呆然と眺めていた。
 
 
 そして。
 ユウキと“誰か”が行っている現在の行為が。
“愛し合う”ことなのだと、本能的に、理解した。
 
 
 思い出した。
 こいつ、闘技場で会ったあの女だ。
 自分に向かって“貴女は、ユウキさんに見捨てられたんですよ”と妄言を吐いた女だ。
 
 こいつが。
 こいつが、ユウキを、奪ったのか。
 
 
 
 
 ――殺してやる。
 
 
 
 
 
 
410血塗れ竜と食人姫 ◆gPbPvQ478E :2006/07/26(水) 02:21:13 ID:TJF4K4NT
 
 
 ユウキさんの肉棒が、私の肉壺を犯していた。
 粘膜が擦れ合い、死んでしまいそうな快感が響いている。
 きもちいい。
 すっと、こうしていたい。
 ユウキさんの腕が、力強く私のことを抱きしめている。
 これだけで、心臓が止まってしまいそうなくらい、嬉しかった。
 
 
 と。
 
 
 こんこん、とノックの音がしたかと思ったら。
 返事をする間もなく、扉が開いた。
 
 否。開くだなんて生やさしいものではなく。
 ぶち破らんとするかのように、勢いよく、扉が開け放たれた。
 
 入ってきたのは、2人。
 ひとりは、先程のメイドと同じ衣装のメイド。
 そして、我先にと突入してきたもう一人は。
 
「ユウキッ!」
 
 血塗れ竜だった。
 
 こちらを見て、信じられないものを目の当たりにしたかのように目を見開いている。
 浮かぶ表情は驚愕以外の何物でもなくて。
 それには少なからず、羨望も含まれていて。
 
 突然入ってきた連中への驚きや、
 情事を見られたことによる羞恥はこの際どうでもいい。
 何より。
 ひとつ、大事なことを確信できた。 
 
 
 私は、血塗れ竜より先に、ユウキさんの身体を“手に入れた”のだ。
 
 
 血塗れ竜が殺気を隠さず睨み付けてくる。
 それすらも、今は、心地よかった。
 
 私のことを殺したいの、血塗れ竜?
 でもね、私も、あんたのことを殺してやりたいの。
 身体は手に入れたけど、心はきっと、あんたに向いたままだから。
 
 
 ――だから、喰い殺してあげる。

411血塗れ竜と食人姫 ◆gPbPvQ478E :2006/07/26(水) 02:23:15 ID:TJF4K4NT
お待たせしました。
終わりが見えてきました。
秒読み段階です。


>>379
蛆娘というそのセンスに感動しました。先が凄い気になります。
王女様に惚れました

>>394
光明がんばれ。修羅場に集中だ
というか、私の方もアトリの身の上話になってしまいましたorz
お互い次で頑張りましょう!
412名無しさん@ピンキー:2006/07/26(水) 02:28:43 ID:TA5V8lA+
アッ―――――――!!!!!!!白が不憫でならんぜぇえええ!!!!!!!!
なんて可哀想な子なんだぁぁあッ!!!!!!!!!お姉ちゃんはどうなったんだッ―――!!!!!!!
あああああああああああアああああああ―――――――ァッッッ

まったく、アトリは可愛いな
413 ◆gPbPvQ478E :2006/07/26(水) 02:32:55 ID:TJF4K4NT
光明って誰だろうorz
光命でしたね。名前を間違えてすみませんでした。
お詫びといってはなんですが、うちのヒロイン好きなの差し上げます……orz
414名無しさん@ピンキー:2006/07/26(水) 03:09:23 ID:jvbS3x4R
この時間まで起きてた自分に現人神はご褒美を下さった!
アトリ可愛すぎる!
キャラに焦点が変わるたびに好きなヒロインが変わってしまう

全員攻略したいなんて初めてだ

とエロゲやってる気分で書いてみる
415名無しさん@ピンキー:2006/07/26(水) 05:19:42 ID:uEdtG/Tm
>>414
というか全員を攻略するつもりでやらないと修羅場らないよ?
416名無しさん@ピンキー:2006/07/26(水) 07:10:33 ID:L8xT3fxm
分かってはいるんだ……だがもう一度……言わせてもらわないと気が済まない……

ユウキ!!!君という存在は!!!!!!!
417名無しさん@ピンキー:2006/07/26(水) 08:12:42 ID:f6/03/xq
くそっハーレムエンドは
ハーレムエンドは存在しないのか!
418名無しさん@ピンキー:2006/07/26(水) 08:48:43 ID:XzlXs3MW
修羅場になったヒロイン達は死んだ! なぜだ!












望まれたからさ……
419名無しさん@ピンキー:2006/07/26(水) 10:41:27 ID:24zs6hBR
たぬきなべチン
先輩の嫉妬をずっと待ってる・・
420名無しさん@ピンキー:2006/07/26(水) 13:37:11 ID:8G5B9lFn
じゃあおれも。ゆう君マダー?チンチン
421名無しさん@ピンキー:2006/07/26(水) 17:11:25 ID:iDcvjTtI
暇つぶしにプロットを書いてみる

中学の卒業式の時に想いを寄せていた幼馴染に主人公が告白するが
他に好きな人がいるのと言われて、あっさりとフラれる。
高校の合格発表日には落ちて、二次の高校の募集の試験も落ちて
晴れて高校浪人するはめになった主人公。
フラれたショックでその後はひきこもりになる。
ひきこもりになった後、ひきこもり脱出スクール強制的に送られて
故郷を離れて、施設で暮らすことに。
それから、数年後。主人公は19才。
見事にひきこもりを卒業して、フリータとして働いている。
無事、彼女も出来て幸せな街道を爆走している主人公に一通の手紙が送られる

両親から家に戻って来いという手紙であった。
数年ぶりに里帰りすることを決心した主人公。
家に帰った時、両親が真っ先に主人公を連行する
小さなアパートを経営している両親が主人公に見せようとしたのは


ひきこもりになった幼馴染の憐れな姿だった。

両親や彼女の両親の強い説得と脅しで幼馴染をヒキコモリを脱出するために
主人公は強制的に幼馴染の隣部屋へと住まわせることとなる。

果たして、主人公は無事に幼馴染をひきこもりを脱出することができるのか?



何か思いつきで書いていたら、どこぞのライトノベル新人賞に出しそうなプロットになっているスマソw
それどころか、嫉妬や修羅場の関する部分が完全に抜けてるしww
うーん。NHKへようこその永享を受けているのはまるわかりですね・・。

今度こそ、嫉妬や修羅場スレプロットを考えてやる
422名無しさん@ピンキー:2006/07/26(水) 17:13:17 ID:XzlXs3MW
セレナたんと葵たんまだ〜?
423名無しさん@ピンキー:2006/07/26(水) 17:23:34 ID:DFFLNce4
ひっどい親だな〜出てって良かったよ本当に
424名無しさん@ピンキー:2006/07/26(水) 17:24:32 ID:XzlXs3MW
そういえば、ここって百合はいいんだろか?

一人の女の子を取り合う姉妹。だがそのこはノンケで別に好きな男がいた。
かなわない恋をはかなんで、姉妹のどちらかが、その男から好きな女の子を遠ざけるために、心中する話が浮かんだんだが。
425名無しさん@ピンキー:2006/07/26(水) 17:26:25 ID:DFFLNce4
異性同士の絡みが見たいんだってば
426名無しさん@ピンキー:2006/07/26(水) 17:38:22 ID:y1LS/OeB
絶対、ダメってわけじゃないけどある程度は
>>425みたいな意見もでるから覚悟はしといたほうがいい。
後、>>425はsageをしとこうな。
427名無しさん@ピンキー:2006/07/26(水) 17:41:39 ID:BUdKznvI
個人的にはアリアリOKですよ百合修羅場
428名無しさん@ピンキー:2006/07/26(水) 18:04:40 ID:1u0cTBEs
俺も百合は全然ok
429名無しさん@ピンキー:2006/07/26(水) 18:10:29 ID:frYhA8fc
このスレの作品を見るとき、自分はいつも『阿修羅姫』か中島みゆきを聞いている
目と耳両方から流れてくる情報が心地よい
430名無しさん@ピンキー:2006/07/26(水) 19:06:10 ID:l0Ldnd+O
俺は百合とかNTRとかはいやだなぁ。
そういう作品は回避したいから、
メル欄にでも注を入れておいて欲しいと思ってしまう俺はわがままですね・・・
431名無しさん@ピンキー:2006/07/26(水) 19:30:54 ID:9HYmBIQx
いやそういうひともかなり多いだろうから
もし書くなら最初に一言注意みたいなのを書いておくくらいは当然の配慮だと思うよ

俺は百合とかNTRはだめじゃないけどココでは純粋な異性間の嫉妬をもとめてる
432『疾走』 第十七話 ◆/wR0eG5/sc :2006/07/26(水) 19:33:31 ID:9BtRGFln
 帰宅してから――日記をしたためる。
 上質なクロス素材の表紙。
 指先で丁寧に頁を繰り、今日の日付。
 まだ白紙であるそことはひどく対照的に、昨日の頁には細かい文字の羅列が跋扈している。
 彼女はペンを片手に、持った。
 さておき、今日の出来事を紡いでいる間の暇潰しとして、過去を振り返る。




 初日。
 まだ名前を呼んでくれない。
 私は信じていますよ、エースケくん。
 待ってますから、早く私の名前を――。




 初日から一週間目。
 今日も呼んでくれない。
 宿題に悩むエースケくんは、とても可愛かった。
 思わず飛び出しかけた。危ない。驚かせるところだった。
 それはそうと、久しぶりにお母さんが帰ってきた。
 相変わらずの問答には辟易する。
 なにやら仕事は順調らしい。当然のように、また長期で帰れないらしい。
 孤独。
 慣れている。
 お父さんと離れてからは、日常なのだから。これは。
433『疾走』 第十七話 ◆/wR0eG5/sc :2006/07/26(水) 19:34:23 ID:9BtRGFln
 二週間目。
 私の名前は呼ばれない。
 エースケくんは、私を忘れてしまったのだろうか。
 とても、怖い。
 彼の愛らしい寝顔を眺める度に、違うと、自分に言い聞かせている。
 もう色々と限界だった。
 寂しいよ。
 孤独には慣れていたのに――エースケくんのせいで、今までの経験は、全て白紙になってしまった。
 寂しい。
 エースケくんのベッドに忍び込もうかと考える。
 駄目だ。
 とにかく――エースケくんが、私の名前を呼んでくれるまで、待たないと。




 三週間目。
 リビングから楽しそうな話し声。
 十中八九、あいつだ。
 一緒に夕食。
 ――空腹だった。
 物理的にも、精神的にも……飢えている。
 なんで。
 あの、あの忌々しい女が居座っている位置に、私は、存在しないんだろう。
 死ねよ。
 消えろ、消えろ、死ね、死ね死ね死ね死ね死ね――。(以下、延々と呪詛の言葉が荒々しい文字で綴られる)
434『疾走』 第十七話 ◆/wR0eG5/sc :2006/07/26(水) 19:35:10 ID:9BtRGFln
 今日。(頁のあちこちは濡れている)
 一ヶ月が、経過しました。
 エースケくんは、とっても可愛いです。
 椅子の上で背筋を伸ばしていたらバランスを崩して転げかけたり、苦手な教科の宿題に、うんうん唸りながら苦戦する様子とか。
 欠伸のときの声なんか、もう……駄目です。とにかく大好きです。
 けれど、近くて、遠い。
 名前を――呼んでください。
 寂しい。
 寂しいです、死にそうなくらい寂しいです。
 いやだ、いやだいやだいやだ――。(数行、駄々っ子のように続いている)
 いやだから。
 もう、ベッドの下から這い出そうという衝動は、抑えられません。
 そうです。
 いっそのこと、占領しましょうか。
 エースケくんの四肢を封じます。
 鍵は全部閉めます。カーテンも。電話も邪魔です、断絶させましょう。
 あの女がたずねてきたら――はは、そうです。
 殺す。
 そして。
 エースケくんと、私の、二人だけの空間が。
 エースケくん。待っててくださいね。
 ちょっと、この頃体調悪いですけど……これしき、軽いです。
 エースケくん。
 待ってて、エースケくん、エースケくんエースケくんエースケくんエースケくんエースケくん――。(以下、延々と彼の名前が白紙に刻まれる)




 パタンと。
 泣き腫らした瞳で見下ろしながら、日記を閉ざす。
「うぇっ……ひく、ぅ……っ」
 涙がどうしても、あれを見てから、止まらなくて。
 熱っぽいからだ。
 風邪かもしれない。
「ひぅっ……ぇ……ぅうっ、ふ、ふふ、っ」
 やがて。
「ふ、はは、あはは、はははっ」
 泣き声は――。




「あはは、ははは、はははうはは、ははぁ、ははははははははははは――っ!」




 哄笑に、変貌する。
435名無しさん@ピンキー:2006/07/26(水) 19:36:18 ID:y1LS/OeB
まあ、人それぞれってことだね。
それはさておき俺はWhy Can't this be Love?の続きが気になってしょうがない。
泥棒猫な幼馴染みとか完全なツボなんだが。
436名無しさん@ピンキー:2006/07/26(水) 19:47:19 ID:NNA3jliQ
いたり先輩せつないよいたり先輩(*´Д`)ハァハァ
いたり先輩は最高の健気ストーカーですね
437名無しさん@ピンキー:2006/07/26(水) 19:57:08 ID:uEdtG/Tm
いいのか?俺は注意書きさえあれば、
NTRにTS、百合凌辱異種姦その他何でも食っちまう男だぜ?

ともかく、スレのテーマさえ満たせば、
後は注意書きと作品名を名欄につけるだけの事じゃね?
438名無しさん@ピンキー:2006/07/26(水) 20:12:40 ID:9oeu05YX
>>424
作品の属性を明記しておけば大丈夫だろう。
苦手な人は自己扶助でスルー汁。
439過保護 ◆IOEDU1a3Bg :2006/07/26(水) 20:31:12 ID:cRxOLqTU
全く……困ったものだ。
女は三人集まると姦しいという言葉はあるが、たった二人だけでこうも扱いづらくなるとは思いもよらなかった。
「……………………」
方やとてつもなく暗い女。
見ているこっちの心臓まで止まりそうになる。
病は気からとも言う、こんな事では傷の治りも遅くなる。
もっとも、無理のない話ではある。
悪いとは思ったが昨日の恋人とやらとの会話を聞いていたのだが、この黒崎栞はそこで恋人に別れを告げられたのだ。
今日はなんとか気分を変えれないかと思い、助っ人を呼んできたのだが……
「不屈、最近『Phantom Evil Spirits』に居ないと思ったらこんな所に来てたんだね……」
その助っ人の機嫌が妙に悪い。
「ジェンティーレ、何かあったのか?」
「君はコーヒー一杯で8時間粘る事の苦しさを知らないんだ」
「知りたくもない。迷惑行為だろう、それは」
むっ……何故か空気がさらに重くなった。
「「………………」」
ついに二人して黙り始めた。
方や遠くを見つめて、方や俺を睨んで。
「何が不満なのかは知らんが協力してくれ」
「そりゃあ怪我人を元気付けるだけなら喜んで協力もするさ。迂闊だったよ……相手が年頃の女の子だって可能性も十二分にあったというのにね」
「……何の話だ?」
「不屈にはわからないだろうけどね。だいたい不屈は無意識無自覚でそんな行動する所が一番怖いよ」
「……だから何の話なんだ?」
ジェンティーレの言葉は徐々に独り言に近くなっていき、それに伴い機嫌も悪くなっていく。
仮にも女性である黒崎栞の気持ちなら俺よりもジェンティーレの方が詳しいだろうと思って連れて来たが、見通しが甘かったかもしれん。
「……不撓」
……などと考えていると今度は黒崎栞より話しかけられる。
「痴話喧嘩なら他でやっててくれ、正直に言って見ていてイライラする」
……至極もっともな意見だった。
どうやらジェンティーレを連れて来たのは良くなかったらしいな。
「ジェンティーレ、すまないがしばらくロビーで待っていてくれ」
「私もここに居る」
即答された。
「年長者は年長者らしく聞き訳を良くしたらどうなんだ」
「こんな時だけ年齢の話をしないでくれないかい」
「ふ・と・う……」
とうとう黒埼栞が殺気を発し始めた。
いい加減に限界だろう。
「ジェンティーレ、お前は子供か?否定する気があるのなら今すぐにロビーで待っていろ」
「………………」
「………………」
二方向より睨まれる。
黒崎栞はともかくジェンティーレよ、俺が何をしたと言うのだ?
「……わかったよ」
ジェンティーレはそれだけ言い残すとすぐに病室から去って行った。
440過保護 ◆IOEDU1a3Bg :2006/07/26(水) 20:32:02 ID:cRxOLqTU
「それで、恋人自慢でもしに来たのか?」
「恋人か……そうなれば良いとは思うが、今の所は違う」
「恋愛相談なら他の人に聞いてくれ。こっちはそんな余裕なんて無い」
相変わらず黒埼栞は不機嫌そうである。
「不撓は残酷だな……」
そんな独り言めいた言葉を聞いた。
「何の話だ?」
「好きな人が今どうしてるかってのは気になる。ましてや会える状況じゃなかったり連絡がつかなかったりすると尚更に」
「ほぅ……ならば直接確認すれば良かろう」
「それが無理だと言っているんだろう」
「なら試してみるか?元より今日はそれを確認するために来たのだからな」
「……えっ?」
黒崎栞に着けられたギブスを素早く破壊していく。
「不撓!?何をやってるんだ?」
「伊達や酔狂で毎日通っていた訳ではない。これを見ろ」
ギブスの裏に貼り付けておいた札を見せる。
「これは?……難しくて読めない」
「当然だ、読めたら俺は陰陽師を辞めている」
「おん……みょうじ?」
「文字に見えるだろうが、これは治癒方術の術式だ。生物が本来持つ治癒能力を高める効果がある札でな、傷が治るまでの時間を短縮できる」
「いつの間に……」
「とは言え使い捨てカイロのような物だからな、毎日取り替える必要があった訳だ。歩けるか?」
黒崎栞は恐る恐るベットから降り……
「凄い……痛くない」
しっかりと両足でもって立ち上がった。
見た限り両腕の経過も順調のようだ。戦闘はまだ控えた方が良いだろうが、日常生活にはおそらく支障は出ないだろう。
「初めて不撓を凄いと思ったかもしれない……」
「片手間で作れるような精度の低い治癒符だ。本腰を入れていればもう何日かは短縮できた」
「ありがと……」
「かまわんよ、元々俺が負わせた傷だ」
「でも……ありがとう」
黒崎栞が笑う顔は初めて見た。
これが見れただけでも良しとしておこう。
「不機嫌の原因は昨日来ていた恋人とやらなのだろう?」
「ああ、健斗があんな事を言うなんて今でも信じられない」
「仲直りをするのなら早めに行った方が良かろう」
「ああ、行ってくる」
それだけ言うと黒崎栞は軽く両足を動かし……
 ガチャン……
「不撓、その……本当にありがとう」
今までの元気の無さがまるで嘘だったかのように走って行った。
さて……これでとりあえず半分は片付いた。
後はジェンティーレか……
441名無しさん@ピンキー:2006/07/26(水) 20:32:37 ID:mkgOkrBd
いたり先輩健気で可愛いくてせつないよいたり先輩
こんな素晴らしい思考回路に乾杯
442過保護 ◆IOEDU1a3Bg :2006/07/26(水) 20:32:50 ID:cRxOLqTU
「……と、言う訳だ。他に何か質問はあるか?」
「そんな事があったんだね……」
ロビーにたどり着いた俺を待っていたのは、ジェンティーレからの質問責めであった。
もっとも、元より隠す必要は無い。
俺は簡単にではあったものの、ジェンティーレに今までの経緯を話した。
「それであの子……栞さんだったかい?」
「ああ」
「今はどうしているんだい?」
「さあな。おそらく恋人との仲直りの算段でもしている事だろう」
そう言うとジェンティーレは露骨に眉を顰めた。
「どうした?」
「さっき占ったんだけどね……あの子の運気はあまり良くないから、今下手に行動を起こすと悲惨な事になるかもしれない……」
……俺まで眉を顰める事になった。
「探してくる。黒崎栞の退院手続きは任せる」
「えっ!?ちょっと……不屈っ!」
俺は黒崎栞の姿を求めて走り出した……
443シベリア! ◆IOEDU1a3Bg :2006/07/26(水) 20:33:38 ID:cRxOLqTU
嫉妬するジェンティーレを書いてみるテスト。
やればやるほど本編から離れて行く……

以下チラシの裏

>>328
お呼びとあらば即執筆!

不撓家外伝、今回はifストーリーです。
例にもよって今回も見たい方だけどうぞ。
感想はメル欄にお願いします。

ttp://www4.axfc.net/uploader/16/so/N16_2946.zip.html

キーワードは「soldier」です。
444名無しさん@ピンキー:2006/07/26(水) 22:32:30 ID:kJybnbVT
投下しますよ
445『とらとらシスター』Side妹虎:2006/07/26(水) 22:34:06 ID:kJybnbVT
 部屋で篭って思うのは、一昨日兄さんと姉さんが行っていた情事のこと。それについて
沢山の疑問が浮かんできては私を苦しめ、それなのに答えを出そうとすると足早に逃げて
いく。まるで答えを出してはいけないとでも言うように。
 どうして、姉さんとなんでしょう。
 今まで私が兄さんを慕っていながらもそういうことを持ち出さなかった理由は至極簡単、
あの人はふざけているときが多いから普通の人はあまり気が付かないけれども、驚く程の
モラリストであるからだ。身内には多少甘くするけれども、それが他人、更には自分自身
のことになると途端に厳しくなる。原因も憶測だけれど分かっている、私と姉さんが昔、
兄さんと付き合う一歩手前だった女の子を病院送りにしたことがあった。そのときの事件
から兄さんはその手のことに対して厳しくなり、狂信とも言えるくらいにモラルを重んじ
るようになった。二年経った今でもそれは変わっていないし、自分を責め続けているのは
たまに寝言であの人の名前を苦しそうに呟くから知っている。
 だからこそ、分からない。
 何故そんな兄さんが人と肌を重ねるようになって、しかもその相手が身内である姉さん
だったのかが。今までの兄さんの行動からすれば、異常。その一言に尽きる。
 でも。
 絶望だけじゃない。 姉さんから仕掛けてきた可能性もある、と言うかその可能性の方がずっと高い。薄汚い
あの淫売ならば、充分に考えられる。無理に襲ったのか、それとも別の方法を使ったのか。
446『とらとらシスター』Side妹虎:2006/07/26(水) 22:35:07 ID:kJybnbVT
 どちらにせよ許すことは出来ない、兄さんの純潔を奪った罪は三度死んでも尚足りない。
私の使命だったそれを横から取ることは、それだけ重い。
 だからこそ私が助けたときには、これまで以上に私を愛してくれるだろう。その瞬間の
ことを考えるだけで、股間が熱くなってくる。今すぐにでも自分を慰めたいと思ったけれ
ども、これからのことを考えると少しもったいないような気がして指が止まる。
 でも、熱いです。
 まだ兄さんは起きてないようだから今から少しだけしても構わないだろうか、それでも
やはり濡らす役目は是非とも兄さんにしてほしい。私の小さな葛藤が心の天秤を大きく揺
らし、不規則なリズムで思考を揺らしていく。日曜日は昼まで起きることのない兄さんの
性格がこれ程までに恨めしいと思ったことはない。あの淫売のせいで疲れているみたいだ
から、もしかしたらもう少し遅くなるのだろうか。全く、姉さんは最悪だ。
 呼吸が乱れてくる。
 不意に、物音。
 姉さんは今進路のことで学校に居る筈だから、兄さんの部屋から聞こえてきたこの音は
間違いなく兄さん自身が起こしたもの。それは兄さんが一日の行動を開始したことを示す
ものであり、私にとっては夢への第一歩を祝福する幸せな幻想曲の一節だ。
447『とらとらシスター』Side妹虎:2006/07/26(水) 22:38:13 ID:kJybnbVT
 胸が高鳴り、下着へと伸びていた指が止まる。危なかった、危うく自分でするところだ
ったけれど何たるタイミング。これは神様からの掲示か、それとも私と兄さんの絆が起こ
した奇跡なのか。どちらでも良い、これはつまり私と兄さんに愛を育めということを示し
ているのだから結果的には何の変わりもない。
 体が尋常じゃない程に熱い、指先が震えて思考が朦朧とし、何も考えることが出来ない。
これでこれからの交渉が上手くいくのだろうか、いや多分無理だろう。こんな状態で話を
出来る程に私は強くない。大きく深呼吸をしても動悸息切れ不整脈、どれも巧い具合いに
収まってはくれない。それどころか秒単位で強く激しくなっていき、とうとう目眛さえも
してくる。兄さんとの繋がりが現実味を帯びるというのはこんなに甘美なものだったのか、
今なら納得はいかないけれど少し理解は出来る。あの頭の足りない雌豚は、この誘惑に耐
えることが出来なかったのだろう。だから兄さんが犠牲になってしまった。
 理不尽ですね。
 姉さんの勝手なことのせいで清らかだった兄さんは汚れてしまい、そして少しおかしく
なってしまったんだろう。本当の兄さんは、あんな馬鹿を相手に腰を振ったりなんかしな
い、もっと高潔な人間の筈だ。妹として毎日毎日飽きることなく見続けてきたのだから、
間違いは絶対に無い。
 そうですよね、兄さん。
448『とらとらシスター』Side妹虎:2006/07/26(水) 22:39:24 ID:kJybnbVT
 何故か心の中に兄さんの笑顔が浮かんでこない。どうも最近コテツミンが不足している、
いつからだろうと思い返してみれば答えは簡単で単純なものだ。あの泥棒猫が兄さんを横
からかっ拐ってからだ。全く忌々しい、あんなクズはさっさと死んでしまえば良いのに。
兄さんは青海さんを悪く言うと怒るけれども、きっと何か洗脳をされているに違いない。
だから、私が兄さんを助けてあげないと。
 大丈夫です、もうすぐですから。
 目を瞑っても、やはり兄さんの顔は浮かんでこない。
 会いたい、今すぐ会いたい。
 指は、自然と下着に伸びていく。さっき兄さんに触ってもらうまでは自分で触らないと
決めた筈なのに、自然に動いてしまう。でもこれで良いのかもしれない、どうせこのまま
だと上手く話も出来ないかもしれないし、そうなったら全てがおじゃんだ。ガス抜きをし
てから行った方が冷静に交渉が出来る。
 言い訳を少しみっともないと思いながらも、指の動きは止まらない。
 兄さん、サクラは悪い娘です。
 誓いを破ったことよりも、兄さんの元へ行くことが遅くなることに申し訳がない。救い
が今すぐにでも必要なのに、すぐに駆け付けてあげることが出来ないのは心苦しいけれど
これもきっと必要なことだと諦めた。
 だって、兄さんの為ですから。
449『とらとらシスター』Side妹虎:2006/07/26(水) 22:41:16 ID:kJybnbVT
 目を閉じて、三度目になってようやく兄さんの顔が浮かんできた。それで、やっと調子
が戻ってきたことを確認する。顔が浮かんでくればもうすぐだ、指の動きは自然と早く激
しくなり、快感もより強くなっていく。
 もう一度兄さんの部屋から物音がしたことで隣に居ることが伝わり、一気に絶頂が来た。
今まで何度も一人でしていたけれど、それらとは比較にならない程の、これまでで一番の
波がやってきた。
 意識が真っ白になり、強い脱力感が体を襲う。
 数秒。
 幾分冷静になった思考の中に浮かんでくるのは、強い使命感。今の兄さんを救うことが
出来るのは、私だけだという強い気持ちだ。姉さんなんかは、あてにならない。寧ろ、私
の邪魔にしかならない。泥棒猫と同様に兄さんをたぶらかす端女は居なくても良いと言う
より、居ない方が良い。兄さんの肌に触れて良いのは私だけだから例え家族でも許さない。
 姉さんは兄さんに触れすぎた。
 でも、それも今日まで。
 少し荒療治になるかもしれないけれど、それも兄さんの為を思えばこそ。最初こそ辛い
思いをするかもしれないけれど、それも仕方のないこと。泥棒猫の毒牙にかかったり、乳
ばかりの雌豚に抱かれているよりはずっと良いと思う。良い薬は口
に苦いと言うけれど、ちゃんと体も心も治してくれる。その後に待っているのは甘く楽し
い生活だ。未来の妻として、そのために頑張ろう。
 気合いは十分。
 深く、深呼吸。
 よし、大丈夫です。
 まだ幾分荒い気もするけれど、それでも呼吸などは大分落ち着いてきた。ギリギリだが
話をする分には殆んど支障はないだろう。
「待ってて、下さい」
 私は立ち上がると、兄さんの部屋に向かうべく歩き出した。
450名無しさん@ピンキー:2006/07/26(水) 22:42:25 ID:kJybnbVT
二本立て!
451『とらとらシスター』12虎:2006/07/26(水) 22:45:39 ID:kJybnbVT
 メールの着信音で目が覚めて、ゆっくりと体を起こす。内容の確認をしてみると青海か
らのもので、今日は遊びに来れないという旨が書かれていた。昨日遊びに来たときの帰り
に来れないかもしれないと言っていたから予想はしていたものの、やはりそうなってしま
うと寂しさが込み上げてくる。今日は日曜日だから明日の朝になれば会えるけれども、僕
の存在を日常に留めてくれる青海が居ないと不安になそうだ。
 でも居ないものは仕方がない、青海のことは諦めて今日はどう過ごそうかと考える。
 ノック音。
 誰だろうかと思ってみたが、消去法ですぐに答えは出る。母さんと姉さんは進路相談で
学校に行くということを昨日の夕飯のときに言っていたし、父さんは急な出張で隣の県で
僕らのご飯を食べさせるために頑張ってくれている。青海はついさっきメールで来れない
ことを伝えてきたばかりだから、残っているのは、
「サクラ?」
「はい」
 体調でも悪いのか、少し上擦ったような声で返事が来た。
「失礼します」
 紅潮したような顔でゆっくりと戸を開き、ふらふらとしながら入ってきた。顔を伏せて
いるので長めの前髪が表情を隠していて詳しいことは分からないけれど、いつもとは明ら
かに様子が違う。
 もしかして本当に体調が悪いのだろうか。
452『とらとらシスター』12虎:2006/07/26(水) 22:46:24 ID:kJybnbVT
 最初は姉さんに対するような恐怖の気持ちがあったが、純粋に心配になってきた。僕の
部屋にわざわざ来たということは、何かあったんだろうか。家族が今は僕しか居ないから
来たのかもしれないけれど、それにしてはどうも様子がおかしい。
「大丈夫か?」
「だ、い、じょう、ぶで、す」
 呼吸も荒く、途切れ途切れに言葉を繋ぐ。誰が見ても大丈夫だとは思えない。この調子
では何をするのも大変だろう、僕も去年酷い風邪を引いたときに体験したからよく分かる。
 成程。
 言いに来たのは、
「あ、昼御飯か。心配するな、代わりに僕が作るから」
 家事が出来ないことを言いに来たのか。
「それは大丈夫です、素麺を茹でておきましたから。病み上がりの兄さんでも食べやすい
でしょう。足りないなら後でおにぎりでも作ります」
 こんな状態でもしっかりと家事をするのは、僕には真似が出来ない。サクラは、確かに
勉強も苦手だし運動もあまり得意ではないけれど、料理も美味いしいし性格も素直だし、
とても良い娘だと思う。身内の贔屓目を抜いても、きっとそうだ。
「それよりも」
「ん?」
「お話があります」
 何だろう。
「一昨日、見て、しまったんですよ」
 まさか。
「兄さんと、姉さんが」
 その先を言うな。
「セックス、してるのを」
 思考が一瞬で白く染めあげられていく。
 ついに来たか、と思った。
453『とらとらシスター』12虎:2006/07/26(水) 22:49:20 ID:kJybnbVT
 それはあんな時間からしてしまっていたから、誰かに見られるかもしれないとも思った。
心辺りもある、きっと廊下から物音がしたときだ。それは多分、サクラが僕と姉さんが絡
むのを覗いていたときにたててしまった音なのだろう。
「それは」
「兄さんは、姉妹でも、抱けるんですね」
 反論しようとしても、口の中がからからになって声が出ない。
「姉妹でも、抱くんですね」
 怖い。
 ついさっきまでは普通の兄妹だった筈なのに、今はどこかがずれている。何年も使って
馴染んだ僕の部屋もまるで初めて来た場所のように思えるし、目の前に立っているサクラ
も別人のように思えてくる。部屋に入ってきたときの姿勢のまま、棒立ちで下を向いて、
肩だけを震わせながら小さな笑い声を漏らしているその姿は人間かどうかも怪しく見える。
こいつは、本当にサクラなのだろうか。
「そんなに怯えないで下さい、誰にも言いませんから」
 サクラはゆっくりと顔を上げ。
「その代わりと言ってはアレですが」
 表情が見えてくる。
「私を」
 赤く染まったその表情は。
「抱いて下さい」
 にやり、と笑っていた。
「兄さん」
 スカートの中から粘度の高い蜜が糸を引き、軽い音をたててフローリングの床にぽたり
と落ちる。それが引き金となって、ここは完全に異世界になった。
「さあ、早く」
「サクラ、お前は言っていることの意味が分かってるのか」
454『とらとらシスター』12虎:2006/07/26(水) 22:50:22 ID:kJybnbVT
 今更だと思うけれども、きっとまだ引き返すことが出来る。まだ相手をしているのは、
姉さんだけだ。だからサクラの相手をしなければ日常の世界に止まり続けることが出来る。
それに姉さんの場合は逆レイプのようなものだったけれど、この瞬間に手を出したら完全
に青海を裏切ることになる。
 言い訳がましく脳内で呟く間にも、サクラはにじり寄ってくる。
「愛して、います」
 そう言うサクラの目は、完全に獲物を狙う虎の目だ。
「お前は、抱けない」
 更に一歩。
 距離を取り続けるように僕もベッドの上で後退するが、すぐに限界はやってきた。壁が
背中に当たる感触で、もう後ろに下がれないことを知る。
 尚もサクラは寄ってきて、もうお互いの顔の距離は5cmもない。
「絶対に、抱けない」
 残っているのは、言葉だけ。
「仕方ないですね」
 諦めてくれたのか。
 だけど何だろう、この胸に残っている不安は。
「兄さんが姉さんとセックスをしていると知ったら、青海さんはどう思うでしょうか」
「それは、ちが」
「兄さんも、腰を振っていたのにですか?」
 浮かんでくるのは青海の笑顔、僕の好きな恋人の僕の好きな表情だ。サクラに姉さんと
僕のことを告げられたら、彼女はどんな表情をするのだろうか。侮蔑、嘲り、嫌悪、害悪、
きっと嫌われるに違いない。それだけは間違いないだろう。
「更に」
 僕が一瞬動きを止めたのを見計らって、サクラが唇を重ねてくる。
「これも、ですね」
 言い終わって、再びキス。
455『とらとらシスター』12虎:2006/07/26(水) 22:53:11 ID:kJybnbVT
 今度は先程のものとは違い舌を絡める激しいもの、まるで口の中を味わい尽くすように
縦横無人にむさぼってくる。いつの間にか、サクラに応えるように僕も舌を動かしていた。
「ふはぁ…兄さんも満更じゃないみたいですね」
 透明な糸が引き、唇の間に橋を作った。
「どうします?」
 僕はサクラの肩を掴むと、強引に押し倒した。唇を重ねて強引に舌を割り込ませ、手は
シャツのボタンを外していく。ブラは着けていなかったらしく、前面を開くと肌が表れて
くる。きめの細かい表面は、なぞるだけでも指先に心地良い。サクラはそれだけで快感な
のか、緩急をつけて下へと向かっていくと長い声を漏らした。
 十分な時間をかけて、下着へと辿り着く。クロッチ部分は布越しでも分かる程に濡れ、
洪水のようになっていた。割れ目の辺りを指で擦り、下着を降ろして密壺を軽くなぞる。
浅く指を入れて指を動かすと、水っぽい音が部屋に響いた。
「に、いさ、ん。むね、と、おし、り、も」
 サクラは顔を赤くしたまま、両手で表情を隠すように覆った状態で懇願してくる。唇の
端から垂れている唾液が、年不相応に妖しく飾りたてていた。
 注文に応えるように桜色の胸の先端の突起を吸い、舌で転がし、時には歯を軽く立てて
噛んだり、逆に唇を使って柔らかく甘噛みをしたりもする。股間に這わせているのとは逆
の手でもう片方の突起を軽く摘み、押し潰し、指の腹で転がすように擦りあげると甘えた
声を出し始めた。
456『とらとらシスター』12虎:2006/07/26(水) 22:54:22 ID:kJybnbVT
「は、やく、し、たを」
 急かすように言ってくるサクラは余裕が無いのか、体を小さく震わせている。
 割れ目の上の方にある突起を親指の腹で擦りながら前と後ろの穴の周辺を同時になぞり、
ゆっくりと指を侵入させると処女特有の締め付けが襲ってきた。軽く掻き混ぜると、それ
だけで達してしまったのかサクラの体が大きく痙攣し、指にかかる圧力が強くなった。
 そろそろだろうか。
「入れるぞ」
「は、やく、くださ、い」
 一度達して脱力したサクラの太股を掴み、軽く上げる。まだ痙攣している割れ目に先端
を当てると、処女幕の抵抗を破り、一気に突き入れた。
「繋がっ、たん、ですね」
 痛みのせいか、目尻に大粒の涙を浮かべながら、絞り出すようにサクラは呟く。確かに
この小さな体では辛いだろう、両手でシーツを掴んで堪えている姿が痛々しい。
「動くぞ」
 念のために告げてから動きだす。
 姉さんの場合はねっとりと絡み付いてくる感じだったが、サクラの場合はひたすら強く
圧迫してくる感じだ。未発達な体の上、根本まで埋まらないような幼い性器だから無理は
ないのかもしれない。
 それでも粘膜が擦れる感触は気持ち良く、暫く動かしていると射精感が込み上げてきた。
「サクラ、出そう」
「中、に、下さ、い」
 抜こうとしたが腰にサクラの脚が絡み付きて、引き抜くことが出来ない。普段弱い筈の
力がとても強く、振りほどくことも出来なかった。
「出し、て」
 言葉と共に膣が更に締め付けてきて、
 僕は中にぶちまけた。
457ロボ ◆JypZpjo0ig :2006/07/26(水) 22:56:56 ID:kJybnbVT
今回はこれで終わりです

ますますへたれでダメな子へ


兄さん成分コテツミン
これからの話のキィワード!
すみません嘘です
458名無しさん@ピンキー:2006/07/26(水) 23:21:41 ID:IKfkp6ou
ちきしょう、一日見なかっただけでなんでこんなに良作が沢山なんだ・・・
どのヒロインも健気で一途で本当に・・・(;つД`)
作者様ただの一読者でありますが大変楽しませてもらってます
459名無しさん@ピンキー:2006/07/26(水) 23:24:21 ID:UNNVG9Ca
やべー
俺も一日一回はコテツミン(とらとら)が必要になってきたかも
460名無しさん@ピンキー:2006/07/26(水) 23:49:58 ID:JnH5VaYT
虎徹ちゃん…('A`)
この間まではまだ言い訳の余地があったのに…
461名無しさん@ピンキー:2006/07/26(水) 23:52:13 ID:mkgOkrBd
コテツミンでとらとら成分の不足が補給されまつた
462名無しさん@ピンキー:2006/07/27(木) 00:28:40 ID:2udNA5gu
ああぁ虎徹ちゃんとうとう切れちゃった・・・・
彼はこのまま酒池肉林に落ちてしまうのか?
むしろ落ちてくれ!
463 ◆eOod7XM/js :2006/07/27(木) 00:31:01 ID:wPMlZ6kZ
投下します。
長いです。嫌になるくらい長いです。
464名無しさん@ピンキー:2006/07/27(木) 00:31:03 ID:L7wZzszk
コテツミンが補給された今必要なのはモカさん分ではないか。
465 ◆eOod7XM/js :2006/07/27(木) 00:33:19 ID:wPMlZ6kZ
 驚愕で私も先輩も完全にフリーズし、彼女から眼を逸らすことさえできずにいます。
 まさかこんなことになろうとはとは思いもしなかったんです。
 「……あっ、……あ、……ああっ、……、おい……、たけ、ざ……」
 起き抜けの先輩が受けたショックは私の何倍か、とても察することはできそうにありません。
 息も絶え絶えに喋るのがやっとの様子からはそれだけの動揺が伝わってきます。
 程度の差こそあれ私も似たようなものです。
 心臓を鷲掴みにされたかのように身動きがどれません。
 ――これは狂気です。
 純然たる狂った気質です。
 どうして……どうしてあなたはそこまでしてしまえるんですか……?

 竹沢先輩は暫らく奇怪な宗教の狂信者のように謝罪の言葉を繰り返していましたが、先輩が無
意識にベットの上で後ずさったのを見ると、一際大きく叫んで先輩の上に飛び込みました。

 血に染まった身を躍らせて。

 出血部位は左手首。
 滴る血液が真紅のインクとなり、手の平をなんともおぞましいスタンプにしています。
 その身の毛もよだつ負の感情が押し当てられたカーテンは、恐らくもう二度と使えないでしょう。
 ブラウスやスカートの赤黒く染め上げられた箇所も、それで触れたに違いありません。
 しかし、床に点々と垂れている赤い液体を見る限り、さらに出血量が増すことはなさそうです。
 所謂リストカット。致命傷に至ることはまずないと見ていいでしょう。
 傷口もあまり開いておらず、カッターナイフでも使ったと思われます。
 それにより早急に処置を施すまでもなく、その周囲の血液がドロドロに固まりつつあるようで、
後は簡単に止血して病院に行けば、入院する必要もないでしょう。
 ――ですがまだ体温を保っている命の一部が切り裂かれた肉体から地に流れ落ちていき、汚
れた床の不純物と交じり合って汚染されていく。取り戻せなくなっていく。
 そんな生命への冒涜に対する畏怖と興奮がいやでも胸を昂ぶらせます。
 硬質の粒子を鼻の粘膜に直接吸い付かせるような鉄の臭いに気分が悪くなってきます。
 胃の内容物が逆流してしまいそうな不快感。胃酸の酸い味を舌が感じ取りました。
 吐き気を抑えようと無意識に食道の辺りに手が伸びます。
 ……自傷とはそのスケールの小ささに反して、ここまで凄惨なものなのだったのでしょうか。
466『二等辺な三角関係』 ◆eOod7XM/js :2006/07/27(木) 00:35:08 ID:wPMlZ6kZ

 先輩も私と同じ気持ちだったようです。
 それらの要素に凄まじい嫌悪感を丸出しにし、まだ乾ききっていない血を擦り付けるように先輩
に抱き付く竹沢先輩を力付くで振り払いました。
 宙を舞った竹沢先輩は、今さっき私が落ちた時よりもずっと速くで床に叩き付けられます。
 背中から肺に強い衝撃を受けたことにより、彼女はくぐもった呻き声を上げてそこに蹲りました。
 さらに傷に響いたのか、左手を強く握り締めて『痛いよぉ……』と声にならない声で訴えます。
 同情を誘うものがありますが当然の流れでしょう。まるで返り血を浴びた殺人鬼のような様相を
見せる人間に、慄かない者はいないと思われます。

 私はそこでようやく失いかけた冷静さを取り戻すことができました。
 それから床に転げたリストカッターに抱いた憐憫が嘲りに変換されていきます。
 率直に言って、私はろくでもない方法で先輩を横取りしようとしているこの人が大嫌いですし、こ
んなことを仕出かして先輩の心労を加算させる人間に共感なんて不可能なんですよ。

 しかしまあ、まったくもってあっけないフィナーレ。進んで自らに引導を渡してくれました。
 ここまで馬鹿だとその猟奇的な姿も滑稽に思えてくるから不思議です。
 滑稽すぎて可哀想です。さらにその上をいって惨めです。
 今の彼女は不良に蹴られる遊園地の気ぐるみの中の人よりも哀れで無様に思えます。

 「何で……手首なんか切ってんだよっ!」

 竹沢先輩が何をしたか、遅れて理解が追いついた先輩の怒声。
 続く責め苦はいかなるものか。頑張ってこの人を再起不能にしてくださいね。
 もともと病んでいるみたいですから多少やりすぎても許されますよ。
 
 ――そう、竹沢先輩は越えてはならない一線を越えてしまったんです。
 先輩への想いのために自傷までできてしまったことは、決してアドバンテージではありません。
 その反対の最たるところにあるものです。
 彼女は間違いなく先輩に愛想を尽かされます。拒絶されます。嫌われます。
 常識的に考えましょう。こんな厄介を引き受ける人間なんて普通いません。
 依存が許されないのと同じです。
 その愛情はあまりにも歪。
 世界の規格外。社会の許容範囲外。人格の認識外。
 倫理が否定し、道徳が諫め、理性が忌避する人間の堕落。
 外れ者は破滅の運命を辿るのみ。
 何のために今まで私が我慢を続けてきたと思ってるんですか。
 先輩に嫌われないために決まっているでしょうに。
467名無しさん@ピンキー:2006/07/27(木) 00:37:05 ID:qfaOp/fK
プッツンキレて陵辱ゲーの主人公みたいにならないかなw
468『二等辺な三角関係』 ◆eOod7XM/js :2006/07/27(木) 00:37:15 ID:wPMlZ6kZ

 竹沢先輩は喘息の発作でも起こしたかのようにぜいぜいと息をしながらゆっくりと上半身を起こ
し、先輩に涙と血の不足でおぼろげになっている視線を向けました。
 「ごめんよぉ……こ〜ちゃん、ゆるしてよぉ……。わたしイイ子になるから……、こ〜ちゃんの言う
ことちゃんと聞くから……。こ〜ちゃんと誰か女の子が一緒にいても我慢するから、笑ってるから、
……だから見捨てないでよぉ……。……反省してます。すごくすごく反省してます。その印にこれ
切ったんだよ……? 痛くて痛くて痛いんだけどこ〜ちゃんに謝るためだから我慢してるんだぁ…
…、ねっ? わたしはちゃんと我慢できるよ。できるから……、ねぇ、こ〜ちゃん……、わたしを嫌
いにならないでください。放っておかないでください。無視しないでください。好きになってくれなく
ても、愛してくれなくてもいいです。でも、わたしがこ〜ちゃんを好きでいることだけはゆるしてくだ
さい。それでほんのちょっとでいいから優しくしてください。……それだけ……、わたしはそれだけ
でいいんだよ……。お願い……お願いだよこ〜ちゃん……。お願いないなんだよぉ……」
 ――ある意味で、憎悪より怨念より鬼気迫るものがありました。
 気合の入り過ぎた長口上を苦にもしていません。ただ泣き、懇願するのに懸命のようです。
 この人は、先輩に手を振り払われただけでここまで狂ってしまうのですか?
 今でこそ先輩に拒絶(どう考えても大げさですがこの人にすればそうなんでしょう)されたショック
で私のことなど眼中から消滅しているようですが、もし先輩が彼女を優しく扱ったとしても、私と先
輩が二人きりでいるところを見てこうして狂わないでいてくれたかのでしょうか?
 この人の言う我慢なんて当てにできるわけもありません。
 我慢できるならまず刃物を手首に押し当てる前に我慢してくださいよ。
 不発弾では済みません、一度爆発すれば終わりのただの爆弾なら御の字です。
 そうではなく、何時、何度爆発するか知れない危険物の所持者を買って出るなんてありえない
と、いい加減この人も気付いてもよさそうですが。

 「竹沢……」
 先輩がその重くなっていた口を開きました。
 さあ今こそ裁きを下しましょう。先輩の鉄槌でもってこの愚かな罪人を滅しましょう。
 それが唯一の真理なのですから。
 お別れです。竹沢先輩。
 恐らくショックで自殺なさるでしょうから同情くらいはしてあげます。でもどうせ死ぬならあまり迷
惑のかからない首吊りにしておいて下さいね。くれぐれも線路に飛び込んで電車をストップさせた
り、樹海に行って失踪扱いになったりしないで下さいよ。

 「……わかった。そんなに恐がらなくても大丈夫だよ。許してやるさ。……だから落ち着けよ」
469『二等辺な三角関係』 ◆eOod7XM/js :2006/07/27(木) 00:39:02 ID:wPMlZ6kZ

 「……えっ?」
 唐突な先輩の許しに思わず驚きの声を上げてしまいましたが、小さかったためか誰も反応しま
せんでした。
 竹沢先輩がその胡乱な眼を見開いて先輩を凝視します。
 溢れた涙が彼女自身の希望を、先輩を映し出しています。
 先輩は――先程まで恐れ慄き、竹沢先輩に拒絶という止めを刺すはずだった先輩は、何故だ
か疲れきった顔にいつもの苦笑を浮かべ、何かを悟ったかのように悠然としていました。
 ――そう悠然としているように見えるんです。
 全てを受け入れる覚悟を決めた、そんな強い意志を感じさせる迫力があるのに。
 少しこけた頬を伝う一滴。あるいは雫。

 どうして先輩が泣いているんでしょう?

 竹沢先輩を刺激しないための演技には見えません。むしろ逆効果です。
 嬉し涙? そんな馬鹿な……?
 ……違和感が、決定的な違和感があります。
 どこか……どこかがズレていませんか……?
 悟りを開いて涙を流す僧の話なんて聞いたことありません。
 それはまるで人類滅亡の瞬間を予知してしまった預言者の厭世に似ています。
 先輩は一体何が『わかった』んですか……?

 「俺のためにそこまでしてくれたんだもんな……」

 諦観と喜悦と悲哀が入り混じった複雑な呟き。
 先輩は溜息を吐くと、酷く優しい動きで竹沢先輩を撫でました。
 彼女は滅多に会わない親戚に可愛がられる幼子よろしく、おどおどと先輩の成すがままにされ
ますが、悲愴だった面持ちにみるみる生気がみなぎっていきます。
 先輩は今自分が撫でている相手の血液がワイシャツやシーツに染み付いているというのに、そ
れを気にする気配さえもありません。
 そんな二人を眺める私は展開に着いて行けるはずもありません。
 百発百中だったはずの予言が予期せぬ方向に向かってます。
 絶対の確信が崩壊していく様に、ただ混乱を深めていくしかありません。
 くるくるくるくると思考が大回転をする最中、ふいに漠然としたイメージが見えました。
 それは並行に立った長さの等しい二本の柱。その内の一本が、もう一本へと傾きます。
 傾かれた方は真っ直ぐ立てなくなった柱を自分も傾いて押すことによって何とか元通りにしよう
としますが、なかなか上手くいかずにくっ付いた二本は不安定に揺れ動きます。
 そうこうする内に傾かれた方がとうとう支えきれなくなり倒れそうになりましたが、そこで倒れそ
うな相手に驚いて傾いていた柱が反対側に反り返りました。
 どちらも倒れる直前だった二本はその動きによって再び揺れ動き、やがて頂点を重なり合わせ
て双方から等しい距離で止まります。
 お互いがお互いを支え合い、のめり込む。整然とした美しさのある逆V字型の完成。
470『二等辺な三角関係』 ◆eOod7XM/js :2006/07/27(木) 00:41:00 ID:wPMlZ6kZ

 閃光が私を貫きました。

 ここに至ってようやく気付いたのです。その恐ろしい可能性に。
 映像を言葉にするなら――共依存――依存される内に依存者を支える側もその関係に依存す
ることで安定してしまった歪な形。
 先輩の精神の限界を遥かに凌駕してしまった竹沢先輩の狂気。強過ぎる責任感の暴挙。
 もう先輩の頭に共倒れ以外の選択肢は浮かんでいません。
 私に救いを求めていた弱気な心は完全に霧散してしまいました。
 竹沢先輩を見捨てるなんて以ての外、例え死の危機に瀕しようともそれはありえません。
 何故なら二人は一蓮托生、表裏一体、離れられない己の分身同士だから。

 ――先輩が竹沢先輩にとり込まれてしまっています。

 呆然とする私に、いえ私ではなく竹沢先輩に、先輩は続けます。

 「そうさ……見捨てるなんてありえない。嫌いになるなんてありえない。どれだけお前が厄介だ
ろうとそれは全部俺を想ってなんだ……、俺を想ってくれているんだ……。……お前ほど俺を愛し
てくれるヤツがこの世にどれだけいるだろう? 誰か別の女の子といるだけで不安になって泣い
てくれるヤツが、自我の境界を放り出してまで俺に頼ってくれるヤツが、ちょっと冷たくしただけで
手首を切ってくれるヤツが。……それら全部が――不安定な自己を他人に依拠することで安定さ
せようとする利己的な行為――だなんて思えるはずがないじゃないか……。そんなのお前の存
在を認めたくない奴らがお前を自分勝手な人間だと思い込もうとしているだけだ。……だから俺も
お前の気持ちに答えなきゃいけない。答えられるのは俺だけなんだ。俺だけがお前にそうして好
きになってもらえたんだ。俺だけがお前を救えるんだ。ならそれは義務以外の何物でもない、…
…何物にもなれない。……本当はずっと不思議だった。どうして俺はお前を見捨てる選択肢に選
ぼうとしないのかって。でもわかったよ。あるいはお前に告白されたときからわかっていたのかも
しれないな……。誰かにケチを付けられようと、世間に疎まれようと、心理学辺りに非難されよう
と構わない。俺は、俺は確かにこう思うよ――」

 深呼吸してはっきりと、



 「――――――依存は愛だと。そしてそこまで愛されたなら責任を取らなければならないと」


471『二等辺な三角関係』 ◆eOod7XM/js :2006/07/27(木) 00:42:53 ID:wPMlZ6kZ
 滑り落ちた雫はしかしなくなりはしませんでした。
 同じ名を持つ人物がそこに抱き寄せられていたからです。
 無言の抱擁。
 右腕を掴んで引っ張りあげた竹沢先輩は次の瞬間には先輩の胸の中にいました。
 そして背中に腕を回され、きつくその小柄を締められています。
 あるいはその首を絞めるような力強さは、代わりに私が悲しさで胸が締め付けられるくらいに慈
しみに溢れていました。
 リストカット直後で痛みも引いていないだろうに、竹沢先輩は日本晴れのごとき清々しい笑顔に
なっていきます。頬に涙を溜めつつ、文字通り血の気が引いているにも関わらずの喜色満面。
 嬉しそうです。とてもとても嬉しそうです。

 ――対して私は顔面蒼白もいいところ。
 擬似的な有毒鉱山。血。血。血。
 身体は隅々まで毒され、その鉄の臭いに吐き気が止まりません。
 何より私を蝕むのはそんなところで愛を語り合おうとしている先輩。
 狂気の沙汰で愛を獲得してしまった竹沢先輩。
 そして歪んだ関係を受け入れようとしている二人。
 信じられません。信じたくもありません。
 どうしてどうしてどうしてこんなことになってしまったんでしょう……?
 このままじゃわたしは……わたしは……。

 「だって俺はな――」

 ――やめてください……まってください……そのさきをいわないでください。
 ……私はずっとそれをのぞんでがまんにがまんをかさねてきたんですよ……。
 そんな……、そんなのひどすぎますよ……。ひどすぎますよぉ……。

 ――しかし私の心は蹂躙され、先輩の宣告で完膚なきまでに打ち砕かれました。


 「雫のことが好きだから」
 身を乗り出し、その狂った小娘に口付けを。



 だめです……、わたしももう……――――――――――――――――――――壊れました。


472『二等辺な三角関係』 ◆eOod7XM/js :2006/07/27(木) 00:46:30 ID:wPMlZ6kZ
 「あはははっ、あははははははっ、あはははははははははっ、あははははっ、あはははははは
はははっっっ、あはははははははははははははははははっっっっ、あははははははははははは
はははははははははははっっっっ、あはははははははははははははははははははっっっっっ、
あははははははははははははははははははははははははははははははははははははははは
ははははははははははははははははははははははははっっっっっっっっっっ!!!!!!!」
 天にも届く高笑い。
 まるで絶叫。まるで咆哮。いいんです。それでいいんです。
 最後の勝者に狂気が要るというのなら、私も狂ってみせましょうっ!
 溜めに溜め、耐えに耐えた想いの丈はどれほどか。
 先輩がその長さを測ると言うのであれば、ここで明かして差し上げますっ!

 「こーへいせんぱい」
 短く呼んで、一、二、三歩。助走を付けて迷いなく。脇目も振らずに加速します。
 背後で遠ざかる先輩が振り返る気配がしました。私の豹変への驚嘆は何故か上擦った声。
 ――ああそうか……、私がいることを忘れてキスしたんですか。……それはなんていうかもう…
…、……あまりの切なさにそれこそ死にたくなりますよ……。
 ――でもいいです。今にもう二度と私を忘れられなくなる思い出を作ってあげます。
 私だって十分先輩に愛される資格があるんだってことを実践して見せますから。
 両手両足を振れるだけ振ったがむしゃらな短距離走。
 最高速までにはまだ至りませんが、速度はすでに初速の何倍にも跳ね上がっています。
 順番に前に来る腕のうち、引き戻されて後ろへ振られようとする左腕の肘を曲げて、慣性の赴く
ままに左の上半身ごと大きく後ろに逸らしました。
 固く拳を作ります。必殺の一撃を放つ準備の完了です。
 時間にして数秒ほど、私は目的地である保健室の端のほうへと辿り着きました。
 迫り来るのは残暑に炙られた砂塵舞うグラウンド――ではなくその前にある透明の壁。
 ――リストカットとはレベルが違いますよ。……ただ、願わくば腱が切れないでくれるといいなな
んて、それぐらいは思ってしまうんです。……でも、先輩に好きになってもらえない苦しみよりは、
狂ってしまうほうが断然痛みが少ないんですよっ!
 「いいぃぃぃぃぃぁやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあああああああああっっ!!!」
 激突直前に、痺れるくらい勢いよく右足を床に叩きつけ、全力で踏み切りました。合わせて振り
絞っていた拳を正面へと突き出します。
 行き場を失ったエネルギーが半身をしなった弓のように弾き、拳が空気を切り裂きながら全身を
持っていかれそうな速力でガラスを――

 貫きました。
473『二等辺な三角関係』 ◆eOod7XM/js :2006/07/27(木) 00:48:33 ID:wPMlZ6kZ
 高くひび割れた破砕音。
 呆気ないほど簡単にガラスを突き破った左腕は、しかしその反撃であちこちを深々と透けた刃
に噛まれる結果になってしまいました。ですが千切れていないだけ儲け物です。
 何だかんだで恐がって踏み切りを早くし過ぎたのかもしれません。それとも短い距離ですし、や
はり速度が足らなかったか。――まあどちらにせよ、これでも及第点は付けてもらえますよね?
 だって鮮血の蚯蚓腫れが無数に走る腕に、砕けた破片が剣山のごとく突き刺さる拳。噛み付
かれたままで今尚その鋭い牙が突き立てられている肩口なんか肉がズタズタに裂けてエグイこ
とになっていますよ。
 ――痛いイタイイタイ――……ああ激痛が――痛い痛い痛い――痛覚が神経を焼いて――痛
いイタイイタイ痛い――腕が八つ裂きになっちゃいますよぉ……――イタイイタイイタイイタイ――
……意識が飛んで、でも逃れられない鎖に繋ぎとめられて、地獄の釜茹でにしたってもっと穏や
かな苛み方ではないでしょうか?――痛い痛い痛い――痛いですよぉぉぉぉぉぉおおおお……―
―痛い痛い痛い痛い――あぐぅぅぅぅぅぅぅぅぅ……せんぱぁい、痛いです……、痛いんです……、
たすけてくださいよぉぉぉぉおおおおおお、あいしてくださいよぉぉぉぉぉぉおおおおおおお、私を見
てくださいよぉぉぉおぉぉぉおぉおおおぉぉぉおおぉぉぉおぉおお――イタイイタイ痛い痛い痛い痛い
イタイイタイイタイイタイ痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛いイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイ
タイイタイイタイイタイ――せんぱいせんぱいせんぱいせんぱいせんぱいせんぱいせんぱいせん
ぱいせんぱいせんぱいせんぱいせんぱいせんぱいせんぱいせんぱいせんぱいせんぱいせんぱ
いせんぱいせんぱいせんぱいせんぱいせんぱい―――――――これしきの痛みが何ですか。

 死力を振り絞って取って置きの狂気を先輩に。歪んだ愛の告白を先輩に。
 苦痛を抱え、平静を装い、憎悪に耐え、嫉妬を募らせ、殺意を肯定し、しかし最後まで冷静さを
失わずにそれらを爆発させる。そんな私にお似合いの静かな狂気で先輩を虜にしてみせます。
 私は絶対に負けません。他の全てを投げ打ってでも私は先輩が一番なんです。
 だから竹沢先輩、私は徹底的にやりますよ。
 先輩に愛されるために、あなたを必ず排除します。私の先輩を奪うのならば、その身でもって罪
を償っていただきます。今あなたが得ている幸せは私の念願なんです。この抑圧し過ぎて狂って
しまった愛情の向かう矛先はそこ以外に存在しないんです。先輩がその切っ先を受け止めてくれ
るというのなら、私はもう我慢なんてできません。
 必要とされたかったのは、自分から先輩を求めることができなかった葛藤の裏返し。
 拒絶を恐れるあまり理性で自分を縛ってしまった愚考。
474『二等辺な三角関係』 ◆eOod7XM/js :2006/07/27(木) 00:50:31 ID:wPMlZ6kZ

 ――それに終止符を打ちましょう。今こそ先輩の愛を手に入れるんです。
 左腕の惨状はあえて気にせず、私は首と右半身だけで先輩に振り返ります。
 この短時間に二度ですからさすがに脳が麻痺してしまって事態の飲み込みに時間がかかるの
か、先輩はまるで白昼の公園で殺人の目撃者になってしまったかのように瞬きすらせずに唖然と
していました。
 先輩の拒絶の恐怖がまだ残っているのか、それとも私の凶行に怯えているのか、あるいは対
抗意識でも燃やしているのか、竹沢先輩が先輩に抱き付きを通り越してしがみ付きます。
 そのことに小さくも鋭い苛立ちを覚えますが、腕の痛みに比べたら些細なものです。
 条件反射で人を不安にさせる高音。
 竹沢先輩が自傷するときに誰かに見られでもしたのか、近付いてくる救急車のサイレンが近付
いてくるのが聞こえます。しかし、事後処理も今考えるべきことではありません。
 肝心なのは一つだけ。
 私は努めて無感動に、しかし真摯に先輩に言葉を紡ぎました。


 「せんぱいせんぱい幸平先輩。私はあなたを愛してますよ。ここまでやれるくらい愛してますよ。
――だからせんぱいもわたしを愛してくれますね?」

475『二等辺な三角関係』 ◆eOod7XM/js :2006/07/27(木) 00:56:19 ID:wPMlZ6kZ
ヤンデレの大特価セール。お一人様一点限り、お早めにどうぞ。

長すぎて誤字が脱字や投稿ミスがないか不安ですね……。
とりあえず、最初のタイトルが抜けていますのでそこを訂正。

お話は恐らく次回で第一章の区切りになると思われます。
主人公までイイ感じにとんじゃっていますし、直接対決も
まだやってない拙作ですが、お楽しみいただければ光栄です。

追記
現在わりと急がしめなので次回の投下は未定です。申し訳ありません。
476名無しさん@ピンキー:2006/07/27(木) 00:58:42 ID:uR8bLNmg
リアルタイムGJ
後輩はもらった!
477名無しさん@ピンキー:2006/07/27(木) 01:00:37 ID:9ckKFNe9
麻衣実タン壊レタ━(;´Д`);´Д`);´Д`);´Д`);´Д`)━!!

作者様GJです!
第一章ということはまだ先は長い!?
wktkして待ちます!

麻衣実タン可愛いよ麻衣実タン(;´Д`)ハァハァ
478名無しさん@ピンキー:2006/07/27(木) 01:02:41 ID:9ckKFNe9
>>476
だが全力で阻止。
479名無しさん@ピンキー:2006/07/27(木) 01:04:55 ID:uR8bLNmg
>>478
こんなところじゃなきゃ戦友になれたかもしれないな…
だが渡さん!
480名無しさん@ピンキー:2006/07/27(木) 01:49:09 ID:kmXkZgmE
>雫のことが好きだから

ジブリを思い出してしまった・・・
481名無しさん@ピンキー:2006/07/27(木) 02:02:48 ID:wzKzNUm9
>>478-479
出遅れた!?だがおまいらが争っている内に雫タソも麻衣実タンも両方もらった!
482名無しさん@ピンキー:2006/07/27(木) 02:26:05 ID:cA+3HReX
不屈の到着は遅かったのか……栞さんのこれからに激しくwktk
しかし、泥棒猫な幼馴染みも捨てがたいよ。
483名無しさん@ピンキー:2006/07/27(木) 06:37:45 ID:yjxjEjTu
さて、投下しますか
484教授の狂詩曲、ロリコンの二重奏 ◆n6LQPM.CMA :2006/07/27(木) 06:40:12 ID:yjxjEjTu
まだ夜が明けきる前、辺りには人の気配は無く、漣の音だけがこの砂浜で
存在をアピールしていた。あと数時間で朝日が昇り、今日もまた夏休みを
利用しての家族連れやカップルで賑わうことだろう。
そんな静寂がこの砂浜を支配している時間に、唯1人目的地に向かって走って
いる者がいた。
月明かりを頼りに、ただひたすら走っていた。
数十分後目的地に到着し、看板を見た。

「海の家 深海魚」

暗闇でも分かるぐらい満面の笑みを浮かべて、その者は軽々と二階の窓まで登り、
窓に鍵が掛かっていないことを確認し、静かに開けて部屋へ侵入した。
部屋の中は真っ暗だったが、暗闇に目が慣れていたのでさほど問題ではなかった。
右の方に目標物を発見したが、まず左に注意を払った。

「・・・・・・・・」

左からは寝息しか聞こえないので、安心したのかゆっくりと右へ移動した。
右からも寝息しか聞こえないが、侵入者はまず寝ている者にキスをした。

「ん……………。」

舌を絡ませ、口内を蹂躙したらそのまま相手のズボンを下げ始めた。

「わぁ………おっきい……」

生理現象の賜物か、既に発射準備完了状態なのを見て、あまりにも嬉しかったのか
「ソレ」を頬ずりしはじめた。

「あ……あったかい……待ってね、いま出してあげるから」

そう言って侵入者は跨いで、自分の秘部を曝け出し、ゆっくりと腰を落としていった。
(うふふ……今挿れるわ)
この悪巧みが成功しようとしていたその時、左から何かが飛んできた!
猛スピードで飛んできてそのまま体当たりされ、侵入者は吹き飛ばされて壁に激突した。

「いたた……な、なに?……」

よく見ると暗闇の部屋で、何者かが立っていた。
「何してんのよ!樹に夜這いかけてんじゃないわよ、晴香!!」
侵入者こと五十嵐晴香は妨害した者がチビこと朝日夕子と知って、驚きを隠せなかった。
「あ、あんた!!なんで起きてんの!!」
「やっぱり、あれはあんたの仕業だったのね?」
485教授の狂詩曲、ロリコンの二重奏 ◆n6LQPM.CMA :2006/07/27(木) 06:42:06 ID:yjxjEjTu
―――数時間前―――

「夕子ちゃん本当に大丈夫?無理しなくても良いよ。」
「ご心配をおかけして申し訳ございませんでした。持病の発作でしたが薬を飲んだので
もう大丈夫です。」
今日の営業も終わり、店仕舞いの準備をしていたらふとオーナーが聞いてきたようだが、
夕子(弥生)は笑顔で答えていた。
オーナーは夕子が戻って来たことを純粋に喜んでいるようだ。
片付けも終わり、一息ついた時やはりというかお約束というか「ヤツ」が現れた。

「樹さーん、お疲れさまです。私からのささやかな差し入れです。」
「何しに来たのよ。今日はもう店仕舞いよ。」

明らかに不愉快そうな顔をした夕子(弥生)に対して晴香は
「そんなこと見れば分かるわよ。なによせっかく差し入れ持ってきたのに。」
そんな押し問答をしていたら入り口から樹が入ってきた。
「親父さん、昇り片付けました……ってあれ?晴香ちゃんいらっしゃい。どうしたの?」
樹の声を聞いた晴香は夕子なんか無視して樹に飛び付いた。
「あ〜ん、樹さん聞いてくださいよ〜。このチビがせっかく訪ねた私を追い返そうと
するんですよ〜。くすん」
「もう閉店だから帰れ!あとくっつくな!」



「そういえば晴香ちゃん、コンテストはごめんね。途中で抜け出したりして」
そう、樹は弥生のためにコンテストを抜け出したのだ。
それを聞いた晴香は思い出したのか、渋い顔をしたが、すぐ笑顔になり
「ちょっと残念でしたけど、仕方ありませんね。樹さん優しいからあんな「クズ」で
「淫乱」で「雌豚」以下の人間でも助けちゃうんですから。でもそんな優しい樹さんも
好きですよ♪」
怒っているかと思っていたが、どうやら樹に会えてご機嫌のようだ。
それとは対象に夕子(弥生)は……

「あら、私弥生さんに会ったけれど女性として「綺麗」で「優しい」し、とても素敵な
女性だとおもうけど?ねえ「単細胞」の晴香さん。」

樹を両脇で挟んで睨み合う二人のせいで、樹は身動きが取れなかった。
「そ、それにしても晴香ちゃんの差し入れのこのスイカ、とってもおいしいね。」
なんとか話題を変えようと頑張った樹だが、火に油を注いだようだ。
「お口に合いました?あ、ほっぺに種が。今取ってあげますね。んー、」
種を取ろうと口を近づけた晴香だったが

グシャ

「あんたはスイカとキスしてな!!」
哀れ、晴香は夕子(弥生)の手に持っていたスイカをもろに顔面に受けてしまった。
「………ふ、ふ、ふふふふ。やってくれるじゃないの。………こんのくそチビがーーー!!」
「チビいうな!!つるぺた星人がーー!!」
「結局喧嘩かよ……」
486教授の狂詩曲、ロリコンの二重奏 ◆n6LQPM.CMA :2006/07/27(木) 06:43:30 ID:yjxjEjTu



「それでは樹さん、また明日。あ、そうそうスイカと一緒に持ってきたビ
ール、開けちゃったのですぐ飲んじゃってくださいね。」
「うん、わかった。寝る前にでも飲むよ。」
そう言って帰ろうとした晴香だったが、急に振り返り、

「そうそう、樹さん、あいつ……弥生でしたっけ?会ったら伝
えておいて下さい。「月の無い日の夜道に気をつけな」って。じゃ。」

全速力で晴香は走っていった。
「ふん、気を付けるのはお前のほうだ!……ってね。」
「や……夕子さん?」
樹の後ろに弥生が立っていた。
「全く……暴れるだけ暴れて……まるで台風ね。さて、夜も更けてきたし寝ましょ。」
「そうですね。」
いつものように二階へ上がり、布団を敷いて後は寝るだけとなった。
(あ、そうだ。晴香ちゃんに貰ったビールでも飲むか)
一階に戻り、周りを見るとテーブルに、幾つか栓が開いたビールが置いてあった。
「ごくっ…ごくっ…ぷはぁ、うん、美味い。」
「なんだ?樹、寝る前に水分取るとトイレが近くなるぞ。」
二階から弥生がパジャマ姿で降り、樹が晴香が持ってきたビールを飲んでいる姿
を見て、眉を潜めた。
「全く…こんな夜に何飲んでんだか。飲んだら早く寝てよ。」
弥生はやれやれといった感じで二階に戻ろうとしたその時、何かが倒れた音がした。
「樹?」
覗いて見ると樹が床に倒れていた。
「樹!大丈夫?」
「あ、ああ……なんか急に眠気が来て……もう寝るか」
覚束ない足取りで二階に上がっていく姿を見て、弥生も上がろうとした時ちょっとした胸騒ぎがした。
(……晴香が持ってきた……か)
少し気になり樹が飲んだビールを見て、少しだけ舐めてみた。
(この僅かに残る味は、確かあのアホ教授が持ってたアレと同じ!まさか……。)




「子供はもう寝る時間なのになんで起きてんのよ!」
明らかに晴香は動揺していた。普通なら子供はとっくに寝ている時間なのに夕子(弥生)が起きてて、
しかも自分が来ることも知っていたのだ。
「遅効性の睡眠薬を飲ませて、その間にエッチしようだなんて浅はかなのよ!!」
「ちっ!これぐらいじゃ諦めないから!!」
捨て台詞を吐いて晴香は入ってきた窓から飛び出し、一目散に走っていった。
「あっ、待ちなさい!!……色んな意味で無駄に行動力は有るわね。」
静かになった部屋で弥生は酷い有様になっていた樹を元に戻し、また眠りについた。
(もう……今日でバイトも終わりか)
487教授の狂詩曲、ロリコンの二重奏 ◆n6LQPM.CMA :2006/07/27(木) 06:44:55 ID:yjxjEjTu
「お二人さん、今まで有難う。今日でアルバイトは終わりだね。それじゃ最後まで頑張ってね。」
「「はい。」」
本当は夏休みはまだまだあるのだけど、大学のレポートの提出もあるし、あまり部屋を
空けっぱなしにするのもまずい、ということで今日でアルバイトを辞めて帰ることにした。
少し名残惜しいが、オーナーは「いいよいいよ」と言ってくれるのでその言葉に甘えることにした。
今日は隣町で夜に花火大会があるということで、やはり海もお店も大混雑していたが、
最後ということで、樹と弥生はいつも以上にウェイターや調理を頑張っていた中、懲りずに
またあの女がやってきた。
「樹さーん、今夜の花火大会行きましょー!!」
もう弥生はこの女の声を聞くだけで頭が痛くなるようだった。
(よくもまあ毎日毎日朝も夜も来ること。大体花火大会が始まる頃には私たちは帰っているわよ。
あんた1人で見てな)
そんな弥生の思いとは裏腹に樹の答えは意外だった。
「花火大会?うーん、直接会場に行くのは時間的に無理だけどここからでも見れるからそうしない?」
ちょっとちょっと樹!!なに言ってんのよ。私たちは今日帰るんでしょ?なにこの女の
誘いを受けんのよ。しかも何そんなに嬉しそうなの!……もしかしてその女と花火が見たいの?
駄目!駄目よ!樹は私と一緒に帰るんだから。花火が見たいなら私とだけ見ればいいのよ。
そんな女と見ないで!!
「ここから?まあ樹さんがそう言うなら。」
何照れながら言ってんのよ!あんたの魂胆なんてお見通しなんだから!!どうせ二人っきりで
色々しようと考えてんでしょう?そうはさせないわよ!
晴香はまた夜にくると言い残して去っていったが、お店では怒声が飛んでいた。

「樹!!どういうつもりなの?あの女の誘いを受けて花火を見るなんて!!今日帰るんでしょ!!」
樹を睨みながら、ここがお店だということを忘れて弥生は叫んでいた。しかし樹は
「いや、帰りますけど、電車の終電だったら花火を見れるかな?って思ったんでいだだだ」
弥生は頭にきたのか樹の足を踏みにじった。
「この鈍感!無神経!何でよりにもよってあの女と花火を見るのよ!!
私だって花火は見たいわよ!でも絶対あの女が誘いに来ると思ったから今日帰ろうって言ったのよ!
それなのに……それなのに……」
「弥生さん……」





夜、浜は花火の見物客で一杯だった。それでも現場で見るよりもゆっくり見れるということで
ちょっとした人気スポットだった。夕子(弥生)は思ったより多い見物客が晴香の牽制になったので
安心したのかご機嫌だったが、晴香は……

何でこんなに見物客がいるのよ!もう……これじゃ何も出来ないじゃない!!樹さんも樹さんよ!
何のんびり花火なんて見てんのよ!花火はあくまで口実で、本当は人気の無い所に連れ込んで、
愛を語らい、確かめ合おうと思っていたのにーー!かといって引っ張り込もうとしてもたぶん
あのチビが邪魔するだろうし…ん?何チビ見てんのよ?何その勝ち誇ったような顔は!
キーーー!!むかつく!!今に見てらっしゃい!!
「このままじゃ終わらないんだからーーーーー!!!」
晴香は周りに人がいるのも忘れて叫んでいた。
488教授の狂詩曲、ロリコンの二重奏 ◆n6LQPM.CMA :2006/07/27(木) 06:46:55 ID:yjxjEjTu
「それじゃ樹さん、先に帰りますね。」
「うん、こっちも電車で帰るよ。」
晴香たちは一足先に帰路につこうとしていた。
「ごめんなさい……出来れば樹さんも乗せたかったんですけど、この車運転手以外は
「男子禁制」だって言うんで……」
「だめだよ晴香ちゃん、男の子乗せたら私がパパに怒られるんだから〜。」
「うっ……分かってるわよ!」
バスが動き出したその時、夕子(弥生)が現れ、
「晴香さ〜ん、さようなら〜。私たちは「なかよく」電車で帰りますから〜。」
挑発的な笑みを浮かべながらバスに向かって手を振ったら、気付いたのか晴香が車の窓を開けて
「あ!こら!手を握るな!くっつくな!帰ったら覚えてろ………」
「最後の最後まで騒がしい奴ね。あ、そうそう樹、オーナーが呼んでたけど」
「親父さんが?何だろ」



「はい樹くん、夕子ちゃん、給料。」
「ありがとうございます。」
「オーナー、ありがとう!!」
「礼を言うのはこっちだよ。君たちのおかげで売り上げ倍増、店の評判も上がって
至れり尽くせりだよ!!ぜひ来年もよろしくね!!あ、そうそうこれは弥生さんに渡して、
また宜しくって伝えておいて。」

終電の電車はまるで貸切かのように静まり返っていた。
電車の揺れる音だけが響く車内で、弥生は―――
ねえ樹、あなた晴香とは高校生の頃から付き合っている、って言ってたわね。
私の知らない樹を晴香は知ってて……そして体の関係も持ってて……
それで樹、あなたは晴香が好きなの?それとも………
……いや、この問いは止めましょう。昔はどうであれこれからなんだから。
それにしても、よく寝てるわ。……確かにこの可愛い寝顔は独占したいわね。
……渡さない、絶対に渡さないわ。他の誰にも……樹の全ては私の物よ。

壁に寄りかかって寝ている樹に、寄り添うようにして弥生も静かに目を閉じた。
489教授の狂詩曲、ロリコンの二重奏 ◆n6LQPM.CMA :2006/07/27(木) 06:49:02 ID:yjxjEjTu
―――数日後―――

「ねえねえ晴香ちゃん、海面白かったね〜。」
「どこがよ!!全く……散々だったわ。それもこれもあのチビと巨人のせいで…」
晴香と麻奈美は課題の仕上げのために大学の構内を歩いていた。
終始ご機嫌な麻奈美に対して晴香はご機嫌斜めだった。
「よし、ちょっと樹さん宅へ遊びに行こう!」
そう晴香が言った時
「あ、いたいた。晴香ちゃーん。」
「う〜ん、樹さんの声がどこからか聞こえてくる……これも愛ね。」
「なにをぶつぶつ言ってるの?」
「え?………きゃう!い、樹さん!いつの間に?」
「今来たとこだけど……それよりちょっと話があるんだけど、いい?」
(え?え?樹さんが話?もしかしてプロポーズ?いやぁ〜ん)

「……それじゃ晴香ちゃん、私先に帰るね。」
二人を気遣って去る麻奈美だったが、人知れず目には殺気が宿っていた。

「ごめんね麻奈美ちゃん。……で話っていうほどのものじゃないけど……」
この時、晴香の頭はスパークした!

「わかってます!わかってますよ!やっと樹さんも決心してくれたんですね。いえいえ
遅いってことはないですよ。むしろ世間的には早いぐらいです。でもそんなことを樹さんが
考えていたとは思いませんでした。もう少し遅かったら私がプロポーズしていた所ですよ。
でも弱りましたね。今日は婚姻届は持ってこなかったんですよ。あ!いえ!問題ありません!
今から区役所へ行き、サインと判子をパパッとしちゃえば後はもう……」

「晴香ちゃん大丈夫?頭から煙が出てるよ!とりあえず今晴香ちゃんが言ったことは違うから。」
「え?そうなんですか?なーんだ……はぁ。」
がっかりした晴香の前に樹が包みを出した。
「はい。プレゼント。」
見るとそれは小さな包みだった

「プレゼント?ま、まさか!指輪!!きゃーー!きゃーー!!いやぁ〜〜ん。そんな…
樹さんったら……こんな所でプロポーズだなんて……あ、でも学生結婚だったら大学ってのも
ありかも。樹さんって以外にロ・マ・ン・チ・ス・ト♪」

「どう言ってもそっちの方に話を持っていくんだね……ともかく開けてみて。」
晴香が包みを開けるとそこには
「わぁ……綺麗……これ、腕輪?」
中には簡単な模様が彫りこまれたシルバーの腕輪が入っていた。
「海の家のアルバイトのお金で作った手作りの腕輪なんだ。裏を見てごらん。」
見るとそこには―――
「え?H・I?まさか……」
「そう、晴香ちゃんの頭文字を入れてみたんだ。お誕生日おめでとう。気に入ってもらえたかな?」
「……………………」
晴香は喋れないでいた。今口を開けたらあまりの嬉しさに発狂しそうだったから。
「い、いつきさんありがとう」
違う!違うわ!!そんなことを言いたいんじゃないわ!もっと気の利いた言葉を言わなきゃ。
で、でも頭がぐるぐる回って上手く喋れない……そうだ!言葉より行動よ!
「晴香ちゃんどうしたの?何か様子が…んん?」
何か喋ろうとした樹の口を晴香はキスをして塞いだ。
しかしいつもの強引なキスではなく、とても優しい……柔らかなキスだった。
(晴香ちゃん……)
体を離して、晴香は猛ダッシュして樹から離れた。ある程度離れた所で振り向き、樹に向かって
「樹さーーーん!ありがとーーー!私大事にするーー!!……えへへへ。惚れ直しちゃった。」

第六話「思い出が終わるトキ」
次回第七話「とある日常@」
490名無しさん@ピンキー:2006/07/27(木) 06:52:41 ID:yjxjEjTu
もう晴香のセリフはチンピラなんかの捨て台詞みたいだな
次回晴香が主役
491名無しさん@ピンキー:2006/07/27(木) 06:59:34 ID:g0B8LCxI
晴香さんが麻奈美さんに盗られませんように。かなり遅れた七夕
492 ◆JfoDS60Gas :2006/07/27(木) 08:41:36 ID:skz1H5I4
おひさしぶりです。
第7話を投下します。
短いですが、伏線や引きを詰め込んだつもりです。
493永遠の願い 第7話  ◆JfoDS60Gas :2006/07/27(木) 08:42:26 ID:skz1H5I4
俺はとんでもないことをしてはいないだろうか?
そう考えるのは何も榊さんの約束を受け入れたという事実だけで語れるものじゃない。
別に、本当に後ろめたいことをしているわけじゃない。
榊さんを知らずに、答えを出すわけにいかないだろう。
もっとも、無理に榊さんなんかを知らずに晴海と本当に付き合う、などという選択肢は、ずっと昔に考えたことのある妄想だ。
いざ、晴海と恋愛関係になる、という展開が、どうも頭の中にシミュレートされない。
いつもの俺たちの間柄が単に延長されるだけ、ではないか。
晴海はただ俺を案じて、俺のためにがんばるだけ。
そう、今日もまた、朝の弱い俺の目覚ましに、枕元に立つのだ。
「孝人ーっ、おきろーっ」
ばさっと、何かが捲れあがる音がする。
外は夜明けを通りすぎた明るい陽射しに照らされていた。
俺の上に通る冷ややかな風、それが晴海によって奪い取られた、俺の毛布たちと入れ代わりに吹き込んだもの。
また今日も一日が始まる。苦手な朝の一風景と共に。
「っ……」
「孝人ー起きてよ、ねぇ〜」
今日は昨日よりは暖かい。だが、毛布を奪われて対応しきれない体は冷えた空気に体温を奪われる。
すぐそばに感じる気配は、とてもなじんだ人のもの。
「ぅぅ〜」
「早く起きようよ〜ね〜え〜」
手が俺の肩に当てられて、耳元に呼びかける声はけして大きなものじゃない。
だが、奪われた体温は俺の眠りを軽く妨げてくれて、意識はぼんやりと声の主を確認しようと覚醒に向かいだす。
声の主は俺のことを覗き込みながら、しきりに俺の覚醒を確実なものにしようと肩を揺すった。
「おきたかなぁ?」
「ん、あぁ」
俺が目を覚まして、今日もまた普段と、いや、ちょっといつもと違う一日が始まる。
晴海のやつのテンションもいつもどおり。俺もいつもどおり着替えて、焼いたパンを受け取って登校する。
時間はどうしても遅くなってしまい、晴海はまたぼやいて俺に早起きをうながす。
最近は晴海も無駄を知ってか朝食を作りおかなくなった。昔は俺が起きて一緒に食べられるものと信じて作って待っていたようだが、ここのところはそれもない。
あたりまえといえばあたりまえか。
単純に食費がもったいないんだからな。
そういうところは申し訳ない気持ちがあるのだが、どうしても朝は早起きできない。
まったく、余計なところまで気を回すんだからな……
着替えと、今日はおにぎりか。
「今日こそはと思ってたのに。どうしてもだめなのかな」
制服を差し出して、そう申し出る晴海。
別に何か違うことがあるとかないとかいうわけではないが、どこか力の入り具合がいつもと違う気がする。
制服を受けとり、ラップに包まれたおにぎりを適当にベッドにほうると、おもむろに着替え始める。
衣類をベッドに投げ出しながら、下に手をかける。
「んー?」
「ぁ……」
あえて、突っ込まないでいるつもりだったが。
晴海はじっと俺を見つめたまま硬直してしまっていた。
「俺の生着替え見て楽しいか?」
「た、っ、ち、違うのっ! 何も言わずに脱ぎだすから、その」
「じゃあ見てていいぜ」
「そ、そんな、見てるのだめっ!」
と、晴海はあわてて俺の部屋を飛び出した。
見て減ったりするものでもないんだけどな。
そんないつものやりとりは、いつもの晴海がそこにいる、という事実だけを残していた。
494永遠の願い 第7話  ◆JfoDS60Gas :2006/07/27(木) 08:43:11 ID:skz1H5I4
なんの変化もない。
いつもの晴海だった。
俺はそんな晴海のテンションに、一切の厄介ごとを放り投げて彼女との登校に望む。
「よう、今日もラブラブだな」
「ああ、おまえらもさっさと落ち着けよ。一生童貞は寂しいぞ?」
「ちょ、ちょっとぉっ」
まあ、からかう男のひとりやふたりはいる。
晴海はそんなふうにからかっていくやつらに対していちいち赤面して真剣に答える。
そんないつもの風景が通り過ぎていく。
本当にのんびりとした歩みだ。
それだけは、いつもと全く変わらない成り行き。
俺は、そっと晴海を横目で見て、完全に茹であがってしまった頬を見つめながら、今日起こり得るあらゆる可能性についてのことを考えていた。
そのひとつ。
ふと見かけた、小柄で華奢な少女の後姿。
昨日真正面に俺を見据えて、振り絞った勇気をぶつけてきた当事者である。
「おはよう」
何気に俺たちのほうが歩くのが速いのか、それとも、わざと遅く歩いていたのか。
同じ方向に学校に向かっていた。
昨日のあの告白がなければ、見過ごしていたであろう目立たない存在。
「おはようございます、孝人さん」
振り返って彼女は答えた。
「ああ、いつもこっちからなんだ?」
「はい、孝人さんはいつもこの時間なんですね」
榊さんの姿を見かけるなり、なんとなく声がうわずっているように思えたのは、気のせいだろう。
いつの間にか、榊さんが自分の左隣、つまり晴海のいる右隣とは反対側に肩を寄せていたのには、割とすぐに気づいたが、あえてそれを咎める気にはなれなかった。
「ああ、あんまり朝は得意じゃないから、朝飯はパン1枚かおにぎり1個だ」
「お腹すきませんか?」
「そりゃ、すくさ。でも朝の甘いひとときに比べればそんなの小さい問題だって」
「朝の、甘い……」
「孝人……っ」
別に意識していないで口走った一言によって、榊さんも晴海も、とんだ勘違いをしているような。
何がどういけなかったのかを噛みしめるように思い出すが、そんなエロトークに発展するようなことを言った覚えはなかった。
晴海が、ずっと俺の袖を掴んでいた。
くいくいと、ひっぱりながら。
ちょっと気まずくなってきた気がする。というか、今は晴海と一緒にいるときだろう、孝人。
IHHHを恐れるとかそういうわけではないが、晴海と二人でいる手前、長いこと榊さんを留めておくのは気分がよくない。
「っと、これについてはまた後でな。急ぐぞ晴海」
「え、あ、うん、じゃあまた後でね榊さん」
「はい……」
晴海の手を引っ張り、俺は榊さんからはるか前方へ晴海とともに前進するために、駆け足気味に歩みを進める。
榊さんの視線がやや気になるが、晴海の手前、八方美人でいることはできなかった。
495永遠の願い 第7話  ◆JfoDS60Gas :2006/07/27(木) 08:44:03 ID:skz1H5I4
昔から、晴海は俺が他の女の子と話すと不機嫌になった。
何の事はない、行事やなんかの必要事項を申し出られるにしても、女の子からの話は大抵は晴海を介して俺に通達される。
何もそこまでやることはないんじゃないかと思ったのだが、晴海は「いつも冗談ぶってるくせに、相方のヤキモチは考えないんですかー?」と、嫌味半分に突っ返してくる。
最初はむすっとした晴海がかわいくて遊び半分に女の子に話し掛けまくったことがあったが、ジョークと受け止めてもらえずにその日の夕食が地獄絵図になったことは、今でも忘れない。
あれから晴海も少しは俺が別の女の子と話すことも許容してくれてはいるようだが、世話になっている手前、あまり晴海の目の前で浮かれた感情に正直になるのも気が引けた。
教室で、隣同士の席に座った俺と晴海。
1時間目は確か古文だったか。
実は、榊さんに声をかけたあと、教室に入ってくるまで、俺は晴海との会話を完全に途切れさせてしまっていた。
しばらく、正面を向いたままぼうっと黒板を見ていた俺。
晴海はそのときどんなことを考えていたのかわからないままだったが。
授業の始まる本当に直前に、晴海が声をかけてきた。
「ねえ、孝人」
「なんだ?」
「今日のお昼……榊さんを呼んでいい?」
唐突だった。
晴海からの申し出だった。
明らかにそれは、今までの晴海からは考えにくい思い切りだった。
「ああ、俺はかまわないけど。3Pの相談?」
「……孝人、今日のご飯を炭にしちゃうよ?」
「悪い、笑えない冗談だな」
榊さんもまじえてのジョークに、晴海の青筋が見えた気がした。
言葉自体は、いつもの晴海のおっとり感のある口調なのだが、その奥の闇は底知れず深く暗く恐ろしかった。
「そういうんじゃなくて。榊さんにちゃんとご挨拶して、いろいろ話しておきたいことがあるの」
「はいはい、それなら榊さんに俺が話し掛けたときに言えばよかっただろ?」
「その前に孝人先いっちゃったじゃない」
「あ、そうか……」
「ね、連絡とってもらえないかな?」
その闇がだんだんと遠のいていく。
晴海のいつもの穏やかさが戻ってくる気がした。
いつもながら、晴海に頼まれごとされるのは嫌な気がしない。
それは、なんだかんだで晴海のことを可愛いと思うからなのかもしれない。
恋愛とかそういうんじゃない、気に入っているという言葉が一番近い用法だと思われる。
俺は授業が始まる本当にぎりぎりのタイミングで、榊さんにメールを送信した。
送信ボタンを、押す。
すぐ横に、人の気配。
「桧木、授業始まるから、携帯しまえ」
「……っ」
古文の担当、宿題狂。睡眠電波発生装置。
その、容姿はというと。

長身、メガネ、セミロング。
胸は晴海のほうがあるだろうが、プロポーションなら負けていないだろう。
その容赦のない成績付けから、白夜叉と呼ばれてもいるこの学校の名物教諭。
広川州麻(ひろかわ すま)先生だった。
496永遠の願い 第7話  ◆JfoDS60Gas :2006/07/27(木) 08:44:46 ID:skz1H5I4
容姿から、彼女に気のある男性教諭のうわさは耐えない。
もっとも、州麻先生自身は潔癖気丈な人らしく、そのガードの固さを崩せた男の話は聞いたことがない。
実際その授業に望む姿勢はさまざまに新しい教育方針を取り入れるなど斬新を狙っているが、逆に本腰を入れるべき授業内容の退屈さには一切触れない。
単調な口調で淡々と黒板を埋めていくため、眠気に負ける戦死者は後をたたない。
それについて、州麻先生はひとことも咎めずに授業を進める。
それが生徒たちに休眠の時間を与えているのかと誰もが推測するのだが、戦死する回数が多い人間の成績が3を上回る話を聞かない。
テストで90点台を取りながらも眠りの常習犯なやつが、容赦なく3を食らった話がある。
つまり……静かな先生ほど恐ろしいものはないということだ。
それについては、俺は無縁だと思う。
州麻先生の熱心さを無碍にするわけにはいかないから。

そんなこんなの名物教諭の授業も滞りなく終了し、1時間目から眠りに落ちた多くの戦死者たちに哀悼の意を表した。
授業はひとつひとつ予定通りに行なわれて、お昼休みに入る。
晴海の要請による、榊さんの呼び出しについては。
「こちらこそ、喜んで承ります。場所は孝人さんが決めてください」
と二つ返事で了解を得ることが出来た。
木を隠すなら森の中ということわざにならい、俺と晴海は榊さんを屋上に呼んで、昼食タイムに入ることにした。
497 ◆JfoDS60Gas :2006/07/27(木) 08:45:32 ID:skz1H5I4
以上です。
最近孝人が本当に誠実なのか非常に悩むときがある……
498名無しさん@ピンキー:2006/07/27(木) 16:51:32 ID:wzKzNUm9
>>497
エロに誠実でこういうノリの主人公が大好きな俺ガイル
499名無しさん@ピンキー:2006/07/27(木) 19:02:53 ID:LDBtenUy
二等辺な彼女が好きだーァってことで神様GJ
500名無しさん@ピンキー:2006/07/27(木) 19:11:13 ID:U/bfPjnG
作品に対するレスの比率が低すぎるね……
501名無しさん@ピンキー:2006/07/27(木) 19:17:33 ID:pH/F6gX2
感謝の気持ちはレスなんかでは表しきれない
どうしてくれる この気持ち
502名無しさん@ピンキー:2006/07/27(木) 19:37:09 ID:EX/C8Psw
というより投下数が多すぎてレスが間に合わん。 
とりあえず全ての神にGJ!
503名無しさん@ピンキー:2006/07/27(木) 19:39:34 ID:cA+3HReX
作品が多すぎてレスが追いつかないんだよ。
504名無しさん@ピンキー:2006/07/27(木) 20:16:45 ID:0SWzRBHa
>>501
そういう時はそっと抱きしめて耳元で「愛している」とささやくんだよ。

着実にポイント稼いでいい感じになってきた子にやる予定だったのに
うっかり間違えて年上の彼がいるという噂を聞いて一度はあきらめた憧れの人にやるとなおよし!

505名無しさん@ピンキー:2006/07/27(木) 21:43:41 ID:c+Lt1zwH
投下しますよ
506『とらとらシスター』Side妹虎:2006/07/27(木) 21:44:55 ID:c+Lt1zwH
 兄さんは私の中に出したあと倒れ込み、一緒にベッドに横になった。ゆっくりと膣内か
ら竿を引き抜くと、精液や愛液、処女でなくなった証の血が混ざった液体が垂れてシーツ
に染みを作っていく。それをもったいないと思ったけれども、未だに割れ目に残っている
痛みや絶頂に達した脱力感のせいで体が動かない。止める方法もなくてひたすらに垂れ流
しているのがとても悔しい。
 ま、良いでしょう。
 そう、それ以上に幸せな気持ちが心に満ちていて、そんなことすらどうでも良くなって
くる。痛みも何も関係ない、今は繋がることを出来たのをひたすらに喜ぶだけだ。甘い余
韻を楽しむように軽く目を閉じると、すぐに兄さんの顔が浮かび上がってきた。コテツミ
ンも十分に補給できて、文句の付けようもない。
 いや、少しはある。
 これは多分麻薬のようなもので、ある程度持たされると次から次へと欲しくなり、中毒
のようになってくる。器の容量は無限大、いやもっと大きいのかもしれない。それを更に、
もっと、少しでも多く満たすべく荒い息のままで倒れている兄さんに抱きついた。きっと
私も同じような状態だろうけれども、男の人は回数に限界があるからその分一回ごとの疲
れも激しいんだろう。逆に女は殆んど無制限だし、私は普段から何回も達するように一人
でしていたから妙な体力が付いていたのかもしれない。それでも、普段よりずっと疲れた
けれど。
507『とらとらシスター』Side妹虎:2006/07/27(木) 21:45:59 ID:c+Lt1zwH
 それでも、腕にちゃんと力が入ったことはありがたい。まるで玩具を誰にも渡したがら
ない幼い子供のように、全力で抱き締める。私はそんなタイプの子供ではなかったけれど、
今ならその子の気持ちが分かる気がした。
 誰にも渡したくない、
 これは私のものだ、
 渡したらどこかへ行ってしまう、
 壊れてしまう。
 いくつもの不安が心を襲ってきて、その分力が強くなる。それは独占欲と言うよりも、
恐怖に近いものがある。自分の存在を支えているものが消えるということは、それだけで
大きな恐怖になってしまう。
 だけれども、逆に抱き締めている間は安心感が心を包み、それらの不安から守ってくれ
るし、支えに対する愛情も深まっていく。そうすればする程に失うときの辛さが増すとい
うのに、愚かにも人間は常にそうして生きてしまう生き物だから。人だけが持つ愛という
ものは、そうして流れに身を置いていて、幼子はそれを無意識に理解し、行動をしている
んだろう。
 兄さんがたまに言っている、
『誰かの側に居たいと思うことは、その人が隣に居ないことを覚悟すること』
 という言葉がある。
 割り切りも愛には必要だという意味だけれども、私はそうは思わない。それが大人へと
向かうのに必要ならば大人になんかなりたくないし、兄さんの隣から離れるつもりも、例
えどんな用事でも兄さんに離れてもらうつもりもない。今は例え無理だとしても、いつか
邪魔者を全て消して完全に結ばれたときにはそうしたい、しなければならない。
508『とらとらシスター』Side妹虎:2006/07/27(木) 21:48:50 ID:c+Lt1zwH
 二人だけの完全世界がそこに存在するためには、そうすることが必要だ。
 そのために、少し意地の悪い方法も使ったのだから。
 最初は酷く思われるかもしれない、それこそ少し恨まれるかもしれない。そうなること
は辛いけれども、結果的に救われて真実を知ったら絶対に私だけを見てくれる。一時的に
でもそんな感情を持たれることは辛いけれども、未来の妻として耐えながらも頑張ってい
こうと思う。
 今は、小さな愛情を向けてくれているだけで幸せです。
 口には出さないけれども、心の中で囁くように呟く。
 兄さんも、少し怒ってはいるけれども、私を嫌ってはいない筈だ。自分でも酷い方法だ
と思ったことなのに、初めて経験する私を気遣ってか丁寧に体をほぐしてくれた。怒りも
恐怖も混ざっていただろうに、それでも一度私を絶頂に導いてから入れてくれた。正直な
話、私にも多少の恐怖心というものはあった。兄さんに嫌われることは絶対にないと分か
っているからそのことに不安はなかったものの、物理的な痛みにどうにも弱い私はそのこ
とだけが不安だった。私の口が悪いのは元々の素質や兄さんが素直な私を誉めてくれたの
もあるけれど、一番の理由はその弱さを隠すはったりだ。まぁそれは別の話、今は関係な
いこと。それは兎も角として、その兄さんの気遣いで少しは痛みが減ったし抱かれている
間は痛みよりも幸せが勝っていた。友達に聞いていた話よりもずっときつい痛みにも、耐
えることが出来た。
509『とらとらシスター』Side妹虎:2006/07/27(木) 21:50:21 ID:c+Lt1zwH
 ボタンを外す手際の良さや愛撫などは多分姉さんに教わったもので、そのことは少し悔
しいけれども気にしない。大切なのは未来、前を見ることだ。そこに立っているのは兄さ
んと私だけ、他には誰も居ない。
 兄さんもそれが良いですよね。
 答えは先程から腕にじんわりと伝わってくる、少し高めの体温で分かる。
 良い匂い。
 擦り付けるように額を胸板に付け、ボタンのとまっていない胸をお腹に当てる。腕だけ
だった体温が沢山伝わってくるのが何とも心地良く、まるで揺り篭のような感覚に思わず
眠りたくなってくる。
 不意に、圧迫感。
 少し驚いたものの、それが兄さんの腕だと分かると途端に嬉しさが込み上げてきた。膣
内に出してくれた後は何も話さずに一緒に横になっているだけだったから、追い出しはし
ないものの私を少しは怒っているかもしれないと思っていた。けれど、それだけではない
らしい。前戯のときもそうだったけれども、現に今、私の小さな体を包むこの感触はそれ
だけではないことを言葉以外で伝えてくれる。
 そんな兄さんだから、誰にも渡したくない。
 今は何を考えているのだろうか、突然私を抱き締めていた力が強くなり、体が小さく震
えていた。閉じていた瞼を開くと悩んでいるような顔の兄さんが、私の顔を見つめている。
言葉に出してくれないのは、私に言えないことなのか、言いたくないことなのか。
 せめて少しでも心の支えになれるようにと、
 私はここに居ると、
 唇を差し出した。
510『とらとらシスター』Side妹虎:2006/07/27(木) 21:53:02 ID:c+Lt1zwH
 兄さんの唇の感触は、返ってこない。
 だけれども、もはや痛いまでになった力で考えていることは分かった。
 迷って、いるんですね。
 唇の動きだけで問掛けると、兄さんは悲しそうに目を反らした。
 これはもう答えを言っているのも同じだ、今の兄さんの頭の中に渦巻いているのは青海
さんのことだろう。私を抱く決意をしたのも青海さんの名前を出したから、青海さんに嫌
われるのを恐れたからなのだろう。怒っていても私を気遣い、反抗しながら優しく抱いた。
それも全て青海さんのためなのか、この場に居ない泥棒猫に嫉妬の気持ちが沸き上がる。
辛い、と言うよりは悔しいという感情が強い。
 鈍い痛みが胸の辺りに溜り、少し息が苦しくなる。
 何故、こんな気持ちになるのだろうか。ついさっきまでは兄さんのことで頭が一杯で、
心の器は幸せで満ち溢れていたというのに。言葉では表現できない澱が底の方に不気味に
溜って、こちらを扇っている。
 兄さんが悩む理由は何だろう。
 酷いことをしてしまったから?
 兄さんとセックスをしたから?
 今の表情を見てしまったから?
 答えは分かっている筈なのに、それは思考の片隅にこびり付いているだけで前に出てこ
ようとしない。淀みと一緒にこちらを眺めているだけだ。
 それが、堪らなく辛い。
「兄さん、愛しています」
 言葉の重みの分だけ、腕に力を込め直した。
511ロボ ◆JypZpjo0ig :2006/07/27(木) 21:54:06 ID:c+Lt1zwH
今回はこれで終わりです

最近サクラばっかり?
貧乳キャラだからテコ入れしてる?
お前はいつもそうだ?

気のせいですよ
512名無しさん@ピンキー:2006/07/27(木) 22:05:15 ID:KDYqpGTu
早く青海ちゃんを出してあげて…
(つд`)
513名無しさん@ピンキー:2006/07/27(木) 22:06:36 ID:KDYqpGTu
早く青海ちゃんを出してあげて…
(つд`)
514名無しさん@ピンキー:2006/07/27(木) 22:07:54 ID:KDYqpGTu
早く青海ちゃんを出してあげて…
(つд`)
515名無しさん@ピンキー:2006/07/27(木) 22:14:00 ID:jOUJ825H
サクラの 出番が 多くて 嬉しい です。 
516リボンの剣士 25話 ◆YH6IINt2zM :2006/07/27(木) 22:25:22 ID:Ehk4ROrx
投下します。
517リボンの剣士 25話 ◆YH6IINt2zM :2006/07/27(木) 22:26:20 ID:Ehk4ROrx
静まり返った踊り場。しかしそこには嘔吐物が広がり、なんとも嫌な臭いが満ち始めている。
自分で出したものとはいえ、これを処理しなければならないと思うと憂鬱だ。
「明日香……」
身体のあちこちから痛みの訴えが来る。立ち上がるのも一苦労だ。
こうなったのは、ついさっき起きた、明日香の暴走によるものである。
突然伝えられた信じがたい話。それに疑問を持ったら、明日香は激怒し、俺を竹刀で滅多打ちにしたかと思うと
、また急に我に返って、泣き出した。
なぜ、明日香はこんなことをしたのか。

今でこそ少し落ち着いてきたが、竹刀の一撃が来たときは、一瞬で恐怖に支配された。立て続けに来る竹刀に、
俺は怯え震えることしかできなかった。
俺に因縁を付けて来る奴相手に向けられていた剣が、自分に襲い掛かってくる。
怖かった。
身体に受ける痛みと、明日香までとうとう俺に愛想を尽かして、敵になってしまったのかという衝撃と、二重の
意味で。
ただ、最後に明日香は、それまでのが嘘のように消沈し、怒りから一転して哀しみの一色に染まっていた。
元々、明日香は頭より手の方が早く、感情的で突っ走りやすい性格だ。だが裏表は無く、根が明るい。
それが今は裏目に出た。笑うときは笑い、怒るときは怒る。俺の態度が、明日香の怒りの引き金を引いた、とい
うことは間違いなさそうだ。
……考えろ。頭を冷やせ。感情に振り回されるな。
明日香は感情が表に出しやすい分、冷静さにはやや欠ける。別にそれはそれでいい。だからこそ俺は、明日香に
欠けている部分を持っていなければならない。
人より長けているところを持っていたい、というのは、俺の男の意地だ。
――――薄っぺらであることは自覚している。

そもそも、明日香が言い出した大元の話、これについて、疑問が多い。
明日香は、木場のことを『男を喰い荒らす女』と言っていたが、俺にはそうと思える根拠が無い。
気まぐれで木場と買い物にいったあの日、俺が中学の同級生に絡まれたとき時、木場は俺の味方をした。
相手は四人、こっちは俺だけ、と言う状況でだ。
奴らの一人をひっぱたくなど、非常に危険だった。あれでもし乱闘にでもなったら――――情けない話だが、俺
ではどうすることもできなかっただろう。
ただの『男を喰い荒らす女』なら、そのまま奴等の方にふらりと行ってしまっても不思議ではない。
そんな理由で、俺は明日香の話に頷けなかった。それで明日香は怒った。

”あたしの言うことが信じられないの!?”

……俺は明日香を信じていないわけじゃない。
明日香の得た情報が、素直に信じられなかったんだ。
おそらく明日香は、その信憑性の薄い話を真に受け、思い込んでしまったのだろう。
そうなると、情報の出所も気になる。木場に彼氏を盗られた人……か。
518リボンの剣士 25話 ◆YH6IINt2zM :2006/07/27(木) 22:27:20 ID:Ehk4ROrx
「……うぷ」
いい加減ゲ○の臭いがきつくなってきた。早く片付けよう。
近くの掃除道具入れからモップと雑巾を出す。まずは雑巾で拭い取り、その後、モップで丁寧に擦る。
擦っては洗い、を二度繰り返して、床は見た目は綺麗になった。
……見た目だけなのは、まだ臭いが残っているからである。
構うものか。どうせこんな所、滅多に人は来ないんだ。

道具を戻し、階段を下りた所で、ちょうど四階の廊下から来た人と鉢合わせした。
「伊星?」
互いに足が止まる。後ろで一つに束ねた黒髪が、少し跳ね上がったのを見た。
「……部長さんじゃないですか」
ここは四階。三年生のクラスがある階だ。しかし、今は放課後。部活の時間だ。
今日、剣道部は休みだったか?
「何故お前がここに居る」
当たり前に来る質問だが、話すと長くなりそうで、答え辛い。
別に敵意を感じるわけではないのだが、部長さんの声が、俺の神経を押し縮めてくる。
「部長さんこそ、どうしたんですか」
「今日は部長会議だったのでな」
ああ部長会議か。と思って部長さんの後ろの方を見たが、誰もいない。
出てきたという事は、会議が終わったのだろうが、部長さん以外の姿が見えないのは……?
ん、今、少し遠くの教室から先生が出てきて、こっちとは反対の方向に歩いていった。

「伊星、お前に聞きたいことがある」
「はい?」
部長さんに聞きたいことが、とは初めて言われる。
「最近、新城の様子がおかしいんだ」
「!!」
思わず肩が強張った。明日香の様子……俺がついさっき、おかしい状態を目の前で見て、直後にその話か。
なんてタイミングだ。
「どのように、でしょうか」
「練習の時、己の感情を剥き出しにして剣を振ることが、矢鱈と多くなった」
部長さんの言葉から、言い知れぬ緊張感を引きずり出される。
「その己の感情というのが、主に怒り、憎しみ、憤り、そんなものばかりだ」
怒り、憎しみ、憤り……俗に言う、負の感情というやつだ。
さらにそれらは、さっき俺にぶつけて来たものと一致している……。
「練習以外のどこかで、何かあったのだろう」
その通りだと思う。思い起こせば、明日香の様子がおかしくなったのは、しばらく前の負け試合からだ。
「伊星。お前は新城とは親しい仲だろう。何か、心当たりは無いか?」
「……」

明日香は、俺が『木場は男を喰い荒らす女』説を信じなかったことで怒りを露にした。
くどいようだが、俺が疑ったのは、明日香自身ではなく、明日香の聞いた話そのものの方だ。
もしかしたら、何者かが明日香に余計なことを吹き込んだ可能性がある。
「……無いか?」
「……」
部長さんと目を合わせられない。有るか、無いか、はっきり言えなかった。
「……そうか。いや、仕方のないことだ。だが、もし後になって心当たりが見つかったら、その時は、
新城の力に、なって貰えないだろうか」
……その言葉でひらめいた。光明を見た。
俺は、部長さんに、明日香の力になることを求められている。
明日香に助けられていた俺がすべき事とは、正にそれではないか。
「善処します」
「頼む。苦しくなったら、私に話せ」
部長さんの肩が下がる。俺のほうも、張り詰めた糸が、だいぶ緩んだ気がした。
519リボンの剣士 25話 ◆YH6IINt2zM :2006/07/27(木) 22:28:09 ID:Ehk4ROrx
明日香の帰っていく時の様子だと、怒りよりも哀しみの方が出ているだろう。
なに。『ついカッとなってやった。今は反省している』なら、それ以上責めるつもりはない。
先に返したのも、単に明日香の苦しそうな姿が見ていられなかったからだ。
あんな魂の抜けかけたような明日香は、俺の知っている明日香ではない。
明日香は、俺よりも、そこらの奴よりも、ずっと強いのだから。

「ところで伊星」
部長さんは懐を探って、一枚の紙を取り出した。
ポケットではなく懐に入れるあたりが、部長さんらしい。
「ちょうど都合よく、ここに入部希望の用紙があるのだが……」
「……はい?」
なんだ、悪寒がする。
「まねーじゃー や ら な い か 」

それは云わば、用意ドンの合図。
俺は即行で背を向け、階段を駆け降りた。
「あ、こら、待て!」
待てません。部長さん、それだけは勘弁を。

三階に降りて、すぐ側にあるトイレ(男子)に駆け込んだ。
入って行くところは、部長さんからは見えなかったはずだ。
しばらくここで、身を潜めることにした。
鏡を見ると、左目の下の辺りに痣ができているのがわかった。

……十五分くらい経っただろうか。そろそろ部長さんも諦めただろうと思い、トイレから出る。
ざっざっ。
自分の足音と揃った、もう一つの足音。
トイレの出入り口から二歩。そこで止まって横を見ると――。
「ひえぇぇぁぁぁっ!?」
なぜか屋聞がいた。
「な、な、何ですか伊星先輩! 急に出てくるなんて、何考えてんですか!」
俺を指差して、割と失礼なことを言ってくる。
急に出てくる……その台詞、俺がそのままお前に言いたいくらいなんだが。
ん? 男子トイレには俺一人しかいなかった。屋聞は全く同じ歩調で、少し離れた横から、
並列して出てきた……。
ん……んん?
「神出鬼没って、悪くないと思わないか」
「悪いですよ! 主に心臓に!」
自分のことは棚に上げて、唾を飛ばしかねない勢いで言う。
しかし、いきなり出てきただけなのに、何をそんなに焦っているのだろうか。
……そうだ。屋聞なら、何か知っているかもしれない。というか、こいつが明日香に吹き込んだんじゃないか?
思いがけない遭遇だが、どちらかといえば、運がいいと言える。
520リボンの剣士 25話 ◆YH6IINt2zM :2006/07/27(木) 22:29:16 ID:Ehk4ROrx
「……はー、はー」
屋聞が落ち着くまで、黙って待つ。これから、少し話をしたくなった。
「ふー……。で、先輩、その目の下にある痣はどうしたんですか?」
深呼吸の後、声も普通に戻っていた。
「この前のバーゲンのとき、押し合いになって、どこぞのおばさんに肘鉄を喰らってな」
「はぁ、それは災難でしたね」
まさか、明日香に殴られてできた、とは言えない。
「それはそうと屋聞。ちょっと話があるんだが」
「……名前で呼ばれたのは初めてのような気がしますね……。 ああ話でしたね、聞きましょう。自分は誰かと
違って、話すことが無くてもちゃんと合わせてあげますから」
いちいち余計なことばかり言いやがる。だが、いつもの余裕振りは戻っているように見える。
俺は、明日香から聞いた話をそのまま伝えた。ただし、明日香から、と言う部分と、俺の身に起こったことは伏
せておく。

話し終わってみるとどうだろう。屋聞の目は丸くなり、口はだらしなく半開きになっている。
「どうした、土偶みたいな顔をして」
「どっ……土偶って、失礼ですね! お……ゴホン、人に向かって言う言葉ではないでしょう!」
またもや屋聞は慌てふためく。声が上ずって、高くなっている。
……この様子だと、明日香に吹き込んだのはこいつではなさそうだ。
それにしても、今日に限って屋聞は妙に取り乱しやすくなっているな。
「すまなかった。俺が聞きたいのは、その話が本当かどうか、なんだが」
「あ、謝るくらいなら最初から! ……あー、その話は初耳です。なので、本当かどうかは、今ここではお答え
できません」
「そうか」
要らんことはやるくせに、肝心なところで役に立たないな。
待てよ。今わからなくても、時間があればわかるんじゃないか?
「それなら一つ、その話の真偽について調べてくれないか?」
噂と言えば情報、情報と言えば新聞部だ。
「は? 何故自分が……。いえ、やります。調べて来ましょう」
はっきり言って駄目で元々、くらいの頼みだったのだが、屋聞は了承した。
初めは嫌そうな顔だったのが、ほんの少しの時間でやる気の顔に変わっていた。
本音ではやりたくないが、何か別の思惑があってやることにした、といった所か。
それでもいい。話の真偽がはっきりすれば、明日香の異変も、良くなるかもしれない。

「話はそれだけだ。じゃあな」
「あ、待って下さい」
背を向けた直後、足を踏み出す前に屋聞に止められた。
「何だ」
「今伺った話ですが、空白の部分が多いです」
「空白の部分?」
「はい。話を聞く限りでは、その木場先輩が奪ったという彼氏さんの心境について、全く明かされていません」
「ん……」
確かにそうだ。彼氏を盗られた、というのは、あくまで盗られた彼女の見方だ。
「木場先輩と彼氏さんが別れた理由も不明です。木場先輩か捨てたとは限らないんじゃないでしょうか」
「……」
なるほど、だんだん怪しくなってきた。彼氏がたどった経緯は、まず、初めの彼女と付き合う→木場が現れる。
そして、”木場が彼氏を奪った”
ここ、彼氏から見れば、”木場に乗り換えた”と言うこともできるんじゃないか?
「その辺りは、疑う余地があります。それでは」
屋聞は、駆け足で下へ降りて行った。

……調査のほうは、屋聞に任せよう。俺は明日香を、悲痛に苦しむ明日香を何とかしなければ……。


(26話に続く)
521名無しさん@ピンキー:2006/07/27(木) 22:48:09 ID:U6siql53
この学校の生徒は、みんなちゃねら〜なのかw
522名無しさん@ピンキー:2006/07/27(木) 22:58:14 ID:k6PI+uSq
あれ、もしかして

人志ってダメなほう?
523名無しさん@ピンキー:2006/07/27(木) 23:05:50 ID:kmXkZgmE
>頼む。苦しくなったら、私に話せ

これは部長にフラグが立ったとみておk?
なんか木場に彼氏取られた子にもフラグが立ちそうな悪寒・・・
524名無しさん@ピンキー:2006/07/27(木) 23:12:34 ID:uR8bLNmg
リボンktkr!

部長にもフラグがたってそうだw
女子トイレに入った屋聞は本当は女の子というルートはありませんkうわなにをsやm
525名無しさん@ピンキー:2006/07/27(木) 23:32:17 ID:kmXkZgmE
    _ _
   ( ゚∀゚ ) 部長と女化屋聞のフラグはまだですか?
   し  J
   |   |  
   し ⌒J


526名無しさん@ピンキー:2006/07/27(木) 23:52:21 ID:wzKzNUm9
部長フラグがじわじわと立ってきたなw
そしてウザキャラだった屋聞も実は……
527名無しさん@ピンキー:2006/07/27(木) 23:55:15 ID:tqm7NCln
流れは女性化か……

俺は血塗れ竜のビビス女性化希望
528名無しさん@ピンキー:2006/07/28(金) 01:51:57 ID:1ALFfBwU
>>527
やべえな、それは。
ビビスが女性化したら細木みたいななりのババアになりそうだw
529名無しさん@ピンキー:2006/07/28(金) 08:11:59 ID:BQ44jvUA
>>528
ビビスが細木なんて言い過ぎだろ
引越しおばさんがいいとこ
530名無しさん@ピンキー:2006/07/28(金) 11:49:43 ID:0mZfpG8+
>>529
どちらの方がマシなんだ?
531名無しさん@ピンキー:2006/07/28(金) 12:07:22 ID:GUUIJ5dg
どっちもゲス
532名無しさん@ピンキー:2006/07/28(金) 14:08:13 ID:HqNGaBa3
騒音公害なのが特に
533名無しさん@ピンキー:2006/07/28(金) 16:47:33 ID:tABDFDvU
そんなどうしようもない豚みたいな女に前立腺を刺激されながらイキまくるユウキきゅんにハァハァするぜ!
534名無しさん@ピンキー:2006/07/28(金) 16:50:42 ID:8+4gNlEv
女の子達も魅力的だが、ユウキ可愛いよユウキ
535 ◆vMA/uMzVK6 :2006/07/28(金) 20:13:15 ID:MciY9FWk
投下します。
536 ◆kZWZvdLsog :2006/07/28(金) 20:14:55 ID:MciY9FWk
あれ? トリップって大文字か小文字かでも変わるんですか……
失敗しました。すみません、気を取り直して投下します。
537名無しさん@ピンキー:2006/07/28(金) 20:15:14 ID:FlMWcxtO
ユウキって胸キュン?
538うじひめっ! Vol.2 ◆kZWZvdLsog :2006/07/28(金) 20:17:14 ID:MciY9FWk
「恩返しとな?」
「はい。先日、私が危ないところを助けていただいて……」
「んー?」
「ほら、和彦さんがしきりに『アホバカボケカス』と呼んでいらした方が私を踏み潰そうとしたときに」
 あ。もしかして、あれのことを言っているのか?
 といった次第で、ようやくこの時点で俺は前後の脈絡を把握した。
 良治が反射的に踏み潰そうとした蛆を、自分でもよく分からないままに守った昨日のこと――
 手を押さえて悶絶する俺を「大丈夫か!?」と助け起こしたあいつに、「なんだってんなことを……」と
不思議そうな顔をされても説明できなかった。俺自身、自分の気持ちがよく分かってなかったし、結果だけ取って
「蛆虫を助けたかった」と言うのは、かなり恥ずかしい気がした。たとえあいつの内部で俺のM疑惑が高まると
しても、ただ「なんでもねえよ」とはぐらかして押し通すしかなかった。
 もう、自分でも忘れかけていたことだ。まさかあれが掘り返されるとは、予想だにしなかった。
 考える――俺以外で、あの場に居合わせていたのは良治だけだった。
 仮にあいつが「和彦が蛆虫を助けようとして俺に踏まれた」とかいう話を漏らしたとしても、範囲はたかが
知れる。期間も一日しかないし、悪戯だとしてそれを実行に移すにはタイトすぎる。こんな子を見つけ出して、
こんな服着せて、こんなダンボールに詰め込んで宅配便に出すなんて。下手するとお縄につく。
 だとすれば、この子は本当に……?
 鶴の恩返しを始めとして、助けたモノが人間になって恩を報いに来る話はひとつの類型ではある。
 が、それはあくまで伝承――フィクションとしてなら、だ。
 ここであっさり現実と信じてしまうのは、あまりにも、そう、業界用語で言えば「御都合主義」だろう?
 当然、俺もまだ信じてなくて、「誰がこんな手の込んだ悪戯を仕組むんだろう」と疑惑に駆られつつも早く
問題を解決したくて「アー、ソレハドモアリガトネー」と超テキトーな返事を脊髄でかましていた。
「なんだまた片言になっているんですの?」
「気にしないでくれ。で、恩返しって具体的に何するわけ?」
 未だに状況が把握できないでいたが、とりあえず彼女の言う「恩返し」とやらが済んだらもう用事は終わり
ってことでさっさと帰ってくれるだろう。ぐだぐだ文句をつけるより満足させてしまった方が早い。
 しかし、この子、どうやって帰るつもりだ? まさか、またダンボールで郵送しろと?
 法律には詳しくないが、生きてる人間(本人曰く蛆だが)を宅配便に出すのはやっぱりまずくないか?
 そもそもどっからやってきたんだと――
「あの……」
 物思いに耽っていた俺に、フォイレが声を掛ける。
「あー、すまん、ボーッとしてた。で?」
 先を促すが、フォイレはもじもじと恥ずかしそうに蠢いている。
 やがて「決心しました」とばかりにぐっと顎を引いて、眉をきりりとさせる。

「すみません――おなかが空きました」

「……は?」
 くきゅるる〜、と短い胴体の真ん中あたりで音が鳴る。
 フォイレは耳まで真っ赤にした。
「何か食べさせてください……」
「………」
 消え入りそうな声で懇願する少女を、まさか放り出すわけにもいかなかった。
539うじひめっ! Vol.2 ◆kZWZvdLsog :2006/07/28(金) 20:20:24 ID:MciY9FWk
 冷蔵庫を開けてごそごそ「残り物でもいいかー?」と訊ねてみた。
「別に、なんでも構いませんよ」
 背後、クッションを敷いた椅子の上に安置したフォイレが答える。
「――腐っているならなんでも」
「ぶっ」
 自分は蛆虫だから――か? いくらなんでもそのジョークはきつくね?
 引きつる頬を持て余しながらめぼしい品はないかと漁っていたところ、提案が来た。
「良ければそこにあるものをいただけますか?」
 振り返り、彼女の顔が向いた先を確認する。シンクの脇の三角ポスト。まだコンポストに捨てに行く前で、
そこそこに生ゴミが溜まっていて、軽く臭気を発していた。
「いや、さすがにこれは――」
「お願いします……!」
 押し問答は十分に及び、ひもじさのあまりふたたび泣き始めたフォイレを見て、俺も忍耐がブチ切れた。
 ええい、どうにでもなれよ、とヤケクソ気味に皿に生ゴミを盛り付けた。
 目の前に置いてやったら臭気のひどさに負けて演技もやめるだろうという俺の期待も裏腹に、フォイレは
喜色満面。口を綻ばせ、「いただきますっ!」と叫ぶや否や、椅子の背もたれに体重を掛けてぎしっと軋ませ、
反動でテーブルに向かう。
 ごんっ
 天板へ突き刺すように顎をぶつけ、衝撃で浮き上がった皿の淵を鮫の勢いでがっと咥える。
 そのまま身を捻り、慣性に乗って椅子からダイブ。体の前面を床にびたーんと叩きつけて着地した。
 咥えていた皿を離すと、犬食いというかなんというか、まあ手がないんだから当然口だけでわっしわっしと
頬張りに行くわけで。ぶっちゃけおぞましい。
 破竹の速度でイーティングする彼女を止める暇もなく、俺は呆然とただ見ているしかなかった。
 く、食ってやがる……生ゴミを……演技なんかじゃなく、マジで美味そうに……!
 目の前で進行する生理的ホラーにひたすら震撼させられた。口元を押さえて吐き気を堪えた。
 そんな俺を尻目に食欲の鬼と化したフォイレは口と言わず鼻と言わず顔全体を汚しながら生ゴミを貪り食う。
 幼少期、気になっていた女の子のつくった泥団子を「うめえ、うめえよ!」とパーフェクトなつくり笑顔で
がつがつ食ってみせて逆に嫌われた栄光なき片想いの旗手・良治が脳裏をよぎり、目頭が変に熱くなった。
「いよう、和彦! にーちゃんの友達から無修正のエロDVD借りてきたから見――」
 メチャクチャにタイミング良く、当の良治がチャイムも鳴らさずにうちへ上がり込み、ダイニングで
繰り広げられている光景を目にするや絶句した。その手から女体の乱舞するトールケースがこぼれ落ちた。
 むべなるかな。このとき良治が遭遇した状況を整理してみよう。
 銀髪で外人っぽい顔つきの女の子が床に這いつくばって物凄い勢いで皿に盛られた生ゴミを貪っていて。
 どう見てもその子には手とか足とかいった器官がなくてダルマさんみたいな塩梅で。
 なぜかヒラヒラのドレスを着て頭には高価そうなティアレが乗っていて。
 それを、長年の腐れ縁である幼馴染みの男がぼんやりと見下ろしていて。
 うん、客観的に見て、どういう犯罪に該当するのか判断に困る状況だ。
「な、なんて言っていいのかわかんねーがとにかく鬼畜プレイー!?」
 良治の語彙も突破してしまった模様で。残念だな、奴の如き変態なら一言ですぱっと事態を言い表すような、
俺の知らない別に知りたくもない世界の知識を解放して秩序回復の一助を担ってくれるものと期待してたのに。
 がっかり。
540うじひめっ! Vol.2 ◆kZWZvdLsog :2006/07/28(金) 20:22:51 ID:MciY9FWk
 非常にうろたえている人間を目撃すると、なぜか直前まで同じようにうろたえていた奴が冷静さを取り戻す
のは人間心理の深みを実感させる。俺は良治を落ち着かせにかかった。
「待て、慌てるな。俺が今からたった一言で真実を説明するから耳をかっぽじってよく聞け」
「な、なんだ? 新手のドッキリとか、そういうオチか?」
 そうであってくれ、と祈るような顔で呻く良治。震える彼の肩に手を置き、優しく微笑んで言い聞かす。
「心配ない――彼女は蛆虫だから」
「説明になってねー!? つーか二言ー!?」
 なんだ細かい奴だな。彼女が自分で蛆虫っつってんだから、いいだろもう、議論とかは。
 そういう前提で進めてなるべく早く話を終わらせる方針で行こうや、な?
 俺の理性もいっぱいいっぱいで、もう限界なんだよ。
 化け物でも見るみたいに恐怖の視線を向けてくる良治は、そっと俺ん家の固定電話の受話器を上げながら呟く。
「い、いつかはやると思ってたんだ……和彦が好きな女子に告白して付き合うとか、そういうのは絶対ないだろうけど、
いつかは道を歩いているちっちゃな子を拉致ってきてニュース沙汰になるんじゃないかと……!」
 奇遇だな。似たような所感はお前に対しても抱いたことがあるぞ。
「け、けど、たった一日でここまでやるなんて……『このメス豚が!』みたいな罵りでSMプレイするのは
想定のうちだったが、まさか四肢切断して『蛆虫』とか言い出す危険ゾーンに躊躇いなく踏み込むなんて!」
「勘違いだよ、良治クン。ふふふ……話し合おうじゃないか。ひとまずはその受話器を置きたまえ」
「く、口調も変だ! どうした、遂に狂ったか!?」
 と押し問答をやること数分、後ろでフォイレが食い終わって「ごちそうさまでした」を口にした。

 錯乱から回復した良治に話の一部始終を説明した。
 第一に、フォイレが略取されたのではなく自らの意志でもってうちに訪問してきたこと。
 第二に、フォイレの四肢欠落は生まれつきのものであって切断したわけではないこと。
 以上の二点に関しては了解が得られたが、第三として「フォイレは蛆虫であり、生ゴミ大好き」を付与すると
異議が持ち上がり、「アホかお前ふざけるのもいい加減にしろ」と一蹴されるはめになった。
 そりゃ俺だって信じてないんだから仕方がない。
 でも、さ、ああやって目の前で生ゴミをたらふく食われちゃうと反論する気とかなくなっちゃわないか?
 もう真偽の別はともかくとして「フォイレ=蛆虫」の前提を受け入れて進めないと心が壊れちゃいそうですよ?
「ええい、虚ろな目をして遠くを見るんじゃねえ! 現実を直視しろよ和彦!」
 精神的な疲労困憊で敗北主義の諦念に至っている俺とは違って、まだまだ現実と戦えそうな良治は俺の肩を
力強くがたがた揺さぶって思い直しを迫る。常識に満ち溢れた行動が、やけに眩しくて、俺は目を細めた。
 そこにくちばしを挟む声が一つ。
「あの、私は本当に蛆虫なんですけど……」
 口ぶりに困惑をたたえ、気弱げに自己主張するフォイレ。態度にどことなく怯えが覗くのは、昨日自分を
踏み潰しそうになった良治がそばに佇んでいるからか。
 ……ダメだ、だんだん本気で彼女の話を受け入れてきている自分がいる。
「なあ良治、ここはガツンと一発殴ってくれないか? もしかしたらこの悪い夢が覚め――」
 喋っている最中に衝撃。鼻に鋭い痛みが炸裂した。
 温かいものが鼻腔の奥から噴き出し、人中を濡らす。痛い。痛すぎる。これは過つことなく現実だ。
「ってめえ、本気で殴りやがったな!」
「てめえが殴れっつったんだろーが!?」
541うじひめっ! Vol.2 ◆kZWZvdLsog :2006/07/28(金) 20:24:57 ID:MciY9FWk
 現実逃避的に掴み合いのボコスカウォーズを開幕させた俺ら。
「や、やめてください! どうか私のために争うのはやめてください……!」
 哀しげで切実な音色を伴った叫びをフォイレが放つ。
 他人が聞けばドロドロの三角関係と判断しそうなセリフだった。
 が、沸騰したらノンストップでトラブルと遊ぶ血気盛んなヤンチャボーイズは黙殺。聞いちゃいなかった。
「分かりました、分かりましたから! ちゃんと証拠をお見せしますの! だから喧嘩はやめてください!」
 ずるずると床を尺取虫の要領で這ってきてまで制止する少女の必死な姿に、さしもの俺たちも拳を潜める。
 ド素人ならではの見苦しいセメント格闘ごっこは中断となった。
「……証拠?」
「……って何?」
 荒い息を吐きつつ、訊く。
「あの、よろしければしゃがんでもらえますか?」
 縋るような目で懇願。戸惑ったが、断る理由もないので「あ、ああ」と従う。隣で良治も胡坐をかいた。
「立たれていますと、その、怖じる気持ちが強くなりますので……」
 言い訳らしきことを呟きながらもぞもぞとする。フリルが床に擦れ、微かな音が鳴った。
「一つ、お願いをします。これから起こることを、驚かずに受け止めてください」
 お互い状況を把握できてなかったが、良治と目を交わし、合意して「……分かった」と口を揃えてみる。
「では、よく見ていてくださいね? ほんの一瞬でございますから」
 注意してからすぅっと息を吸い込み、可愛らしい唇を躍らせて。

「まごっと まごっと う゛ぇるみす わ〜む♪ ステキな蛆虫に、な〜れ♪」

 全世界の魔女っ子を愚弄するような呪文が唱え終わった刹那。ドロンと煙が巻き上がった。
 大量の煙だ。視界の確保がまったく行えない。驚くなとは言われていたが、ぎょっとする。
 顔を背けた。噎せて咳を一つ二つ漏らす。目が痛み、涙が滲んだ。
 やがて噴き出した際の唐突さと同じく煙幕は急速に薄れ、視界が戻ってきた。
「いったい、なん――」
 半ば立ち上がりかけていた良治が半端な姿勢のまま息を呑んで固まった。
 彼の視線を追い、首を動かす。
「――え?」
 目を疑った。
 煙の晴れた向こう。さっきまでフォイレが腹這いになっていた場所に。
「う、じ?」
 ――そう。一匹の小さな蛆虫が転がっていた。
 蠕動し、非常に低速でよちよちと這っている。
(どうです、これで納得していただけましたか?)
 頭に直接響いてくる、いわゆるテレパシー系の声。それは紛れもなくフォイレのもので。
(ん……人間の方の前で変身するのは、ちょっと恥ずかしいですの……)
 羞恥を帯びた響きから、白い頬を紅潮させた彼女の顔が容易に浮かんでくる。
 呆然として呟いた。
「……煙幕を張って人体消失トリック?」
(……だったらこのテレパシーはどうやって説明をつけますの……?)
542 ◆kZWZvdLsog :2006/07/28(金) 20:25:50 ID:MciY9FWk
バカな主人公とアホな友人は書きやすいけど全然ラブコメにならなくて困惑。
次回は修羅場の布石としてもうちょっとラブコメっぽくするべく努力します。
543名無しさん@ピンキー:2006/07/28(金) 20:32:36 ID:AUoGkuFo
たまにはこういうコメディ系の作品も良いな
しかし俺が人外でもOKだとは知らなかったぜ……
544名無しさん@ピンキー:2006/07/28(金) 20:34:05 ID:X4lX5ebP
うーん…新たな趣味に目覚めてしまうかもしれない…。
545名無しさん@ピンキー:2006/07/28(金) 20:35:58 ID:aCT2Ly9t
ktkr!

ここんところ作品が投下されてなくて寂しかったぜ
546名無しさん@ピンキー:2006/07/28(金) 21:04:43 ID:SuPZtoH0
バカ野郎ッ!!蛆虫になんか萌えるわけ……そんな訳……
変な趣味になんか……走っちゃうかもしれないよ(´・ω・`)
547名無しさん@ピンキー:2006/07/28(金) 21:24:09 ID:2w9uCeur
しんじらねん
正体が蛆虫だとわかってもまだ萌えている俺が居る
548名無しさん@ピンキー:2006/07/28(金) 21:46:41 ID:Z/wVRxJ9
投下しますよ
549『とらとらシスター』13虎:2006/07/28(金) 21:47:52 ID:Z/wVRxJ9
 心の痛みは罪の重さ、だからいつまでも回復しない。今が楽しい放課後デート中だとし
ても霧は晴れずに濃くなるばかり、いつも美味しいと思って飲んでいるここの珈琲も何故
だか味がしていない。
「大丈夫か、虎徹君」
 心配そうな表情で見つめてくる青海は、僕がこんな状態になっている理由を聞いたら、
どんな感想を抱くのだろうか。どうしようもないくらいに歪んだ意識が、思考の片隅から
笑い声と共に語りかけてくる。
「虎徹君?」
「大丈夫、少し寝不足なだけ」
 これは本当、ただ理由が青海にだけはいえないけれど。
「もうすぐテストだからさ、少し頑張ろうと思って。僕はあんまり頭が良い方じゃないか
ら、努力するしかないし」
「む、しかし睡眠時間が減るのは良くないな」
「ほら、青海が少しでも誇れる彼氏になりたいと思ってさ。私の恋人はこんなに凄いんだ、
って皆に胸を張って言えるように」
 口ばかり、良く回る。
 だからこその『詞食い』なんだろうけれども。
 僕のあだ名は理由を知る人があまり多くないけれど、きちんとした理由を知っている人
からすればこれ以上の表現はないと思うだろう。姉さんやサクラの奇抜な行動を、言葉で
制しているからではない。相手の発言をどこまでも食い潰して無意味なものにしてしまう
から付いた、僕のどうしようもない性質が原因だ。普段はなりを潜めているそれが、今の
ように辛いときになると顔を出してくる。僕はそれが一番嫌いだ。
550『とらとらシスター』13虎:2006/07/28(金) 21:48:59 ID:Z/wVRxJ9
 今だって、
「気持ちは嬉しいが、それで虎徹君が体を壊したら余計に悲しいんだ。でも、ありがとう」
 相手を誤魔化して、時間を過ごしている。青海のそんな笑顔なんて、僕には不釣り合い
も良いところだ。彼女を裏切って姉妹を抱いた男なんて、害悪にしかならない。
「ほら、これも食べてくれ。疲れには甘いものだ」
 青海が勧めてくるのは『極楽日記』の名物であるパンプキンタルト、前回食べてよほど
気に入ったのか店に入るなり注文していたけれど、全く手を付けていない状態だった。今
の僕はかなり酷い表情みたいだ、僕を心配してくれて好物にも手を付けないなんてよほど
酷い状態なんだろう。彼女の見えている部分で心配をかけて、見えない部分では裏切って。
あまりの情けなさに、もし分身の術が出来るのなら自分で自分を殴り倒しているところだ。
 僕がタルトに手を付けていないのが不満なのか、青海は眉根を寄せ、
「大分酷いな。虎徹君、口を開けてくれ」
 素直に従って唇を軽く開く。
「何を」
「良いから」
 言いながら青海はフォークで軽く身を崩すと、タルトを口の中に突っ込んできた。僕は
甘いものはあまり好きではない、と言うよりも食べると具合いが悪くなるのだけれど今回
はそうならなかった。それどころか、口の中に広がる甘さが心地良い。
「どうだ?」
「うん。うま、い」
551『とらとらシスター』13虎:2006/07/28(金) 21:53:10 ID:Z/wVRxJ9
 そうだろう、と笑顔で軽く頷き、二口目を僕に食べさせるべく丁寧な仕草で切り分けて
いる。上下に動く手は本当に楽しそうで、僕のためにしてくれていると実感できる。青海
が楽しく出来るのなら悪くないと、僕はまた口を開いた。
「はい、あーん」
 今時、この言葉で食べさせるのはないだろうと思ったけれども、普段はクールな青海が
やると新鮮で、つい釣られてぱくついてしまう。僕がそれを飲み込むのを見て小さく笑う
顔も、可愛らしい。どちらかと言えば、かわいいと表現するよりも美人と言う方が合って
いる彼女だけれど、今のような表情をしているのもこれはこれで良いと思った。
「元気、少しは出てきたかな?」
「え?」
「鏡で見てみるといい、笑っているぞ?」
 手渡された手鏡を見てみると、まだ硬さは残っているものの確かに口元が綻んでいた。
まだこんな表情が出来るのか、と少し安心をする。
「だろう?」
「本当だ」
 気が付けば、心も少し軽くなっているような気がした。思考も悪い方から抜け出してい
る気がするし、青海の笑顔を見ても辛さが今までより少ない。それどころか純粋に良いと
思うことが出来ているし、食べ物の味もきちんと分かっている。
 不思議なことに、あっという間に心が晴れやかになっていた。ほんの少し前まで悩んで
いたのが、まるで嘘のようだ。自覚すると、その気持ちはより強くなってくる。
 そうすれば口も自然に回る。勿論さっきとは違う、相手を潰すのとは逆の方向で。
552『とらとらシスター』13虎:2006/07/28(金) 21:53:56 ID:Z/wVRxJ9
「ありがとう」
「これくらいしか出来んがね」
 照れ臭そうに笑う青海を見て、不意に悪戯心が沸いてきた。
「ただ一つ問題が」
「ん?」
「僕は甘いものが苦手なんだ」
「あ、そう言えば今回も前回も甘くなさそうなものを注文していたな」
「食べると具合いが悪くなる」
「え?」
 青海さん、面白い顔になってますよ!!
「実は今にも吐きそうだ」
「うわ、あ。すまん、虎徹君、吐くなら是非わたしの胸で!!」
 このくらいで限界だろうか、青海も混乱しているのか良く分からないことを言っている
しこれ以上は気の毒だ。意外に許容量が少ないのかもしれない、と言うか素での発言だと
思いたくはない。そもそも、僕にはそんな趣味は無い。
「冗談だよ」
 何故かは分からないけれど、口の中に甘さが残っているのに不快な感じはしない。これ
は多分、青海が食べさせてくれたからだろうか。愛情で食べ物が美味しくなるのは、多分
成分変化ではなくて味覚が変わってくるからだ。舌だけではなく心でも味わうから、料理
がいくらでも上等なものになる。
「酷いな、虎徹君」
「ごめん、でも具合いが悪くなるのは本当。今は平気だけど」
 青海のお陰で。
「いや、本当にすまなかった。知らなかったとはいえ」
「いや、言わなかった僕の方こそ」
「いやいや」
「いやいや」
「いあ いあ」
「はすたー?」
 数秒。
 どちらともなく笑いが漏れてきた。
553『とらとらシスター』13虎:2006/07/28(金) 21:55:53 ID:Z/wVRxJ9
 楽しい。
 こうしていると普通の日常を過ごしている、という感じがする。昨日サクラを抱いてし
まったことや、初めて姉さんとセックスをした日から毎晩続けていることなどは現実感の
伴わない、まるでどこか遠い国の物語のように思えてくる。今が唯一の現実で、夜のこと
なんかは夢の中で起きている架空のお話であるような。
 ずっと、こうしていたい。
 何だ、そうか。
 こんなに簡単な話だったんだ。
 当たり前のことで、疑問にすらしていなかったから答えが出てこなかった。昨日サクラ
を抱いたことも原因は一つ、青海のことがもう完全に好きになっていたから、それを壊し
たくなくて選んだことだ。
 不意に、心の中に壁が降りてきた。
 あちらとこちらを遮断する壁は、透明だけれども決して壊れることはない。向こう側は
よく見えるけれども確実に隔離をされていて、反対側に移るには唯一つしか存在しない扉
をくぐらなければいけない。鍵の管理は簡単なもので、踏み越えるのも楽なものだ。
「ありがとう、青海」
「ん?」
 目尻に浮いた涙を拭いながら小首を傾げ、上目遣いでこちらを見てきた。この表情も、
また堪らない。僕の恋人は沢山の一面を見せてくれて、それら全てが愛おしい。
 それを守るためなら、外道にもなれる。
 人を好きになるのは、きっとそういうことだ。
「ありがとう、恋人になってくれて」
「どういたしまして」
 向こう側の僕が何かを叫んでいるみたいだけれど、気にしない。
 壁は防音だ。
554ロボ ◆JypZpjo0ig :2006/07/28(金) 21:58:28 ID:Z/wVRxJ9
今回はこれで終わりです

いちゃいちゃと見せかけつつ、虎徹ちゃんはどんどんダメな子へ
555名無しさん@ピンキー:2006/07/28(金) 21:59:40 ID:kiAKJScU
あおうめちゃんいいこだなあ
556名無しさん@ピンキー:2006/07/28(金) 22:01:15 ID:++oaXufU
生ごみってことはキスとかしたら・・・
557ロボ ◆JypZpjo0ig :2006/07/28(金) 22:08:28 ID:Z/wVRxJ9
>>555
すいません、青海(あおみ)だったりします

ついでに俺自体忘れかけだった名前
姉さん:虎百合(こゆり)
サクラ:虎桜(こざくら)
558名無しさん@ピンキー:2006/07/28(金) 22:19:08 ID:kiAKJScU
>>557
ああ、ほんとだ。すまそ
559名無しさん@ピンキー:2006/07/28(金) 22:25:14 ID:YCJh5qEL
青海タン可愛いのにこの先…(つω;`)
560名無しさん@ピンキー:2006/07/28(金) 23:07:03 ID:2GIfL1yE
561名無しさん@ピンキー:2006/07/28(金) 23:15:55 ID:TNQ6rIoE
>「まごっと まごっと う゛ぇるみす わ〜む♪ ステキな蛆虫に、な〜れ♪」
ちょwwwwwwww
562名無しさん@ピンキー:2006/07/29(土) 01:04:30 ID:aFy0H3wd
今週のエアギアにこのスレの面影を見た
563名無しさん@ピンキー:2006/07/29(土) 02:29:25 ID:MzEAJBEo
>>560
の詳細はなんですか?
564名無しさん@ピンキー:2006/07/29(土) 03:32:06 ID:j7ZTA1mL
>>563
私以外の女の子に興味持つなんてどういうこと!?

ってこんなやり取り前にもやった気がするわね・・・
565名無しさん@ピンキー:2006/07/29(土) 12:41:40 ID:gtm5dmS0
   _ _
   ( ゚∀゚ ) ・・・誰も居ない・・・
   し  J
   |   |  
   し ⌒J
566名無しさん@ピンキー:2006/07/29(土) 12:52:58 ID:YZm40mJs
友人の妹にキモウトの資質がある様子。
いや、ターゲットは俺じゃないでつけどね。
567名無しさん@ピンキー:2006/07/29(土) 12:54:23 ID:97JnXZgd
てか嫉妬狂いの女って結構いるよ
問題は顔と動機が汚れている・・・・
568名無しさん@ピンキー:2006/07/29(土) 13:03:53 ID:Tsudae3H
某所から転載(ちょっとだけ編集してる)

481 06/02/07 23:34:46 ID:pO9xRXMg
こんばんは。
おれはおれだってば
昨日の続き。
かなり前に付き合ってた彼女は看護学生だった。
彼女はちょっと変わってて、甘えたいときには体当たりしてきたり、チューするとき目を開けてたりした。
ある日おれのアパートに泊まりに来てて、布団に入りうとうとしていると
彼女がむくっと起き上がり
「Mさん事故で半身不随になればいいのに」
「…え?」←寝惚けてる
「そうしたらわたしが一生世話してあげられるのに」
「ありがと…」←寝惚けてる
当時はバイクしか乗ってなかったんだけど、今、思い返すとなんか怖いかも
でも変わってるけどいい子だったよ。
あと、彼女いつも課題やレポートに追われてて、うちに来ても夜まで勉強してた。
で、おれはヒマだから部屋に転がってたぬいぐるみいじってると
「ダメ!」
って取り上げて壁に投げつけてから、おれに抱きついてきたり。


こんな実体験の人もいるみたい
569名無しさん@ピンキー:2006/07/29(土) 14:29:40 ID:CvM20aXn
素敵な彼女ですね
570名無しさん@ピンキー:2006/07/29(土) 15:39:35 ID:huy9hz/f
理想の彼女ですね
571名無しさん@ピンキー:2006/07/29(土) 16:20:48 ID:cNqFM4qn
従姉と義妹と幼なじみの取り合いを、漁夫の利した姫様がいるスレはここですか?
572名無しさん@ピンキー:2006/07/29(土) 16:22:01 ID:gYDsR3qQ
こないだ4年間付き合ってる彼女に別れ話切り出したら目の前で手首切られた。
「別れたら死んでやるから!」なんだとか。
刺されなかったけどその時の表情は正直純粋に怖かった。

…やっぱ依存されたり修羅場るのは第三者でいるのが一番だと思った。誰か助けてorz
573名無しさん@ピンキー:2006/07/29(土) 16:23:40 ID:gYDsR3qQ
sage忘れた…スマソ
574名無しさん@ピンキー:2006/07/29(土) 16:27:46 ID:DLszQ3ZT
>>572
リアル修羅場、キター!!
う、うらやましくなんか、ないからな!!!11!!
575名無しさん@ピンキー:2006/07/29(土) 16:28:55 ID:51lNs3LX
>>572
これはいいノロケですね
576名無しさん@ピンキー:2006/07/29(土) 16:30:23 ID:aFy0H3wd
ちっ、見せ付けやがって…
577名無しさん@ピンキー:2006/07/29(土) 16:52:28 ID:CvM20aXn
こいつ正確悪いな>>572
578名無しさん@ピンキー:2006/07/29(土) 17:05:32 ID:j7ZTA1mL
このスレに居るんだから>>572はそのシーンを作り出すために
4年間じっくりと彼女を育成してきたと推測・・・
>>572よ、依存っ娘の作り方、教えてもらおうか



いや、教えてください、お願いします
579名無しさん@ピンキー:2006/07/29(土) 17:15:20 ID:sdxjqKBW
>>572にスレ住人が嫉妬。
新たな修羅場が形成されたな・
580名無しさん@ピンキー:2006/07/29(土) 17:24:53 ID:97JnXZgd
・・・・・やっぱ男の嫉妬は醜いな
581名無しさん@ピンキー:2006/07/29(土) 17:44:28 ID:xlIenIMc
まぁ修羅場は眺めるからこそ楽しいよ
自分が巻き込まれたら正直嫌だね
582『疾走』 第十八話 ◆/wR0eG5/sc :2006/07/29(土) 17:52:54 ID:dfEb2qQa
 何事も順風で進む道理など、なかった。
 いたり先輩との接触は、ほとんど――というか、全くなくなっている。
 これは喜ぶべき事項だろう。
 先輩は俺なんか忘れてしまうべきだし、俺もこれからは意識しないのが好ましい。
 変わってしまったのは――有華だった。
 今のあいつからは、束縛という単語が容易に想起される。
 あの、有華と繋がった日から……おかしくなった。
 毎日の、携帯のメールのチェックは当然。
 一緒に外出すれば、俺が他の女性を見ていたと突然言い出して機嫌を損ねる。
 有華の過剰な反応だ。
 とにかく――最近は、疲れる。
 俺の好きだった有華は……消えてしまった。
 こうしてお互い中学と高校に登校していても、頻繁に携帯は震える。
 いっそ――電源切ろうか。
 そんな事を考えていた昼休み。
 ぼんやりと、窓の外を眺めながら友人らと昼食中に。
「あ――らかわくぅ――ん」
「ぶっ」
 また無駄にでっかく間延びした音声。
 誰かは、即座に理解できる。
「おおっ。生方先輩から二度目の指名とは――羨ましいね、エースケ」
「し、指名って……っ」
 ひらひらと、手を振っておられる。
 俺は友人達の詮索するような視線を一身に浴びながら、立ち上がった。
583『疾走』 第十八話 ◆/wR0eG5/sc :2006/07/29(土) 17:55:17 ID:dfEb2qQa
「ほい、これ」
「……っ? ノート、ですか」
 廊下で手渡されたのは、三冊のノートだった。
 丸っこい文字はいまだにおぼえている。生方先輩の文字。
「そうっ。いたりさあ、もう三日も風邪で休んでるからさ、テスト近いし必要だと思って」
「――っあ」
 ぼんやりとしていた意識が、定まった。
 何故生方先輩が、学年の違う俺なんかに自分のノートをと、さっきから疑問ばかりだったが。
 つまり――。
「わたしが渡すより、ほら、彼氏の君がどうせ見舞うんだろうし、一緒に持ってってよ」
「お、れが」
 どうせ見舞う。
 当然だ――彼女が風邪の一つでもこじらせたら、心配するのは当然じゃないか。
 生方先輩は……何も、間違っていない。
 むしろ俺に口実を作ってあげている――やっぱり、友達を大事にしている、善い人だと、思う。
 悪いのは。
 のらりくらりと……っ!
 親友に彼氏が出来たと聞いて、太陽みたいに微笑んだ、生方先輩の笑顔を――壊したくないなあと、勝手に思いやがった。
 この俺が、悪いっ……?
 違うぞ。
 俺が、悪いんだよ。
 生方先輩への嘘だけではなく――いたり先輩のことも心配だった。
 俺が原因で――もしも、体調を悪くしていたら。
 色々と、繊細そうだったし。
「うん……っ? どしたい、エースケくん」
「いえ、あの――その」
 心配そうに、覗き込まれる。
「前々から思ってたけど、君って、結構中性的な顔立ちだよね――っ。女装とかできそうっ? あははっ!」
「は、ははっ……。そ、そうですか……っ?」
 阿良川瑛丞。
 生方先輩の冗談に、へらへらと笑っている場合ではない。
 俺は――。




 A.いたり先輩が心配だ。ノートを受け取り、生方先輩にいたり先輩の住所を聞いてみる。


 B.一人でお見舞いなんて、おそろしい。さっさと教室に戻る。


 C.もう色々と限界だ。……生方先輩に嘘を謝り、これまでの事情を全て話す。
584名無しさん@ピンキー:2006/07/29(土) 18:03:03 ID:PiEcl+Wo
選択肢キター!
男らしい選択肢はCだと思うが
一番素敵な展開が期待できるのはAだな

まぁぶちゃけ

全 部 読 み た い わ け だ が
585名無しさん@ピンキー:2006/07/29(土) 18:05:36 ID:jwSPyZwa
Cは生方フラグでしょ。乱戦でしょ。

だからC。
586名無しさん@ピンキー:2006/07/29(土) 18:06:31 ID:51lNs3LX
ルート分岐キタ━━(゚∀゚)━━!!

全部書いて頂ける事を期待しつつ
いたり先輩派としては当然

rァA
587名無しさん@ピンキー:2006/07/29(土) 18:08:48 ID:JRNT89mc
どの選択肢で誰が酷い目に会うかわかるwww
588名無しさん@ピンキー:2006/07/29(土) 18:15:11 ID:sdxjqKBW
いや、俺はAだね。
いたり先輩にぜひともがんばっちゃって欲しい。
589名無しさん@ピンキー:2006/07/29(土) 18:38:25 ID:gtm5dmS0
           _, ._    
        ⊂( ゚ Д゚)つ-、  はあ?ルート分岐?どうせ全ルート書いてくれるんだろ?
      ///   /_/:::::/   
      |:::|/⊂ヽノ|:::| /」   
    / ̄ ̄旦 ̄ ̄ ̄/|   
  /______/ | |   
  | |-----------|


590名無しさん@ピンキー:2006/07/29(土) 18:40:11 ID:XfbeiP1x
Cは生方先輩参戦フラグと見た。
という訳でC。
591名無しさん@ピンキー:2006/07/29(土) 18:42:38 ID:XfbeiP1x
>>589
うわあ何様w
592sage:2006/07/29(土) 18:46:32 ID:pgCfgypM
迷わずC
593名無しさん@ピンキー:2006/07/29(土) 19:07:49 ID:3pr7Kb7H
個人的に好きな展開になりそうなAで…でも、できれば全ルート読みたいな
594名無しさん@ピンキー:2006/07/29(土) 19:23:00 ID:eIPOBRXK
生方先輩でドロドロっぽいCだな。
595名無しさん@ピンキー:2006/07/29(土) 19:24:18 ID:I0Y84fTN
最近分岐多いなぁ
できれば初期プロットの展開が見たい
596名無しさん@ピンキー:2006/07/29(土) 19:38:20 ID:PO7dCfK2
有華人気ないな、誰もB選ばねぇw

俺はもちろんC
597名無しさん@ピンキー:2006/07/29(土) 20:00:26 ID:Ej/MBkx0
Cしかありえねぇw
598名無しさん@ピンキー:2006/07/29(土) 20:04:38 ID:Ro5W4lRC
D.KOOLになる
とかがないのがこのスレの主人公のいいとこだよな
599名無しさん@ピンキー:2006/07/29(土) 21:31:24 ID:j7ZTA1mL
|ω・`) いたり先輩がんばれのA
というか生方先輩はスレ住人が勝手にヒロインにしてる件
600名無しさん@ピンキー:2006/07/29(土) 21:33:30 ID:8mCWVXgL
結局全部書くのなら分岐の意味ないんじゃない?
601名無しさん@ピンキー:2006/07/29(土) 21:37:46 ID:sdxjqKBW
いろんな話しを読めるという意味ならあるよ。
だって、分岐して一つしか書かなかったら絶対他も書いてくれって
要望が来る希ガス。俺もその口wwww
602名無しさん@ピンキー:2006/07/29(土) 21:38:05 ID:L6ykjepQ
どのルートを一番最初に見られるか?
という点では意味はある。
603名無しさん@ピンキー:2006/07/29(土) 21:43:35 ID:BSWi/s26
俺はCも捨てがたいが、いたり先輩派の俺はAだな

神々の優しさに付けこんで、なんだか調子に乗っている一部住人の暴言をお許し下さい神様
(´-`).。oO(まあ、ぶっちゃけ俺も全部を期待している者の一人だがな)
604名無しさん@ピンキー:2006/07/29(土) 21:46:53 ID:PEwm3kRU
Aが見たいから最初はCで いたり先輩・・・(ノ-o-)ノ
605名無しさん@ピンキー:2006/07/29(土) 21:47:37 ID:c5rtXhME
Bルートでしばらく無視して、
やっぱり心配…ってことでAルート行って、
監禁か逆レイプか修羅か何かひどい目に会ってから、やっと打ち明けてCルート

なんだ、全部一度に普通に通れるじゃないかw
606名無しさん@ピンキー:2006/07/29(土) 21:57:31 ID:L6ykjepQ
5体満足で通れればな。
607名無しさん@ピンキー:2006/07/29(土) 22:23:49 ID:r3PZ3rQ8
>>589
ぬまきちさんあなたはユーザーにデバックさせないでください
608名無しさん@ピンキー:2006/07/29(土) 22:41:59 ID:5xDFhWaY
Cでひとつ
609名無しさん@ピンキー:2006/07/29(土) 22:51:32 ID:cDI4BsvT
いや、ここはBを選んでいたり先輩にはもっともっとため込んでもらって
さらなる進化を遂げてもらうべき
610名無しさん@ピンキー:2006/07/30(日) 00:24:11 ID:sq6tdXDk
TEST
611名無しさん@ピンキー:2006/07/30(日) 00:25:46 ID:sq6tdXDk
今日はあまり作品の投下が無いな。
一部住人の暴言で神々が怒ったのか・・・
612名無しさん@ピンキー:2006/07/30(日) 00:29:01 ID:JYV0UOXC
神よ申し訳ない
みんなの代わりに謝るから見捨てないでください







あの…C…をお願いできませんかねぇ?
613名無しさん@ピンキー:2006/07/30(日) 00:32:15 ID:486KZjU9
>>611
それは違う。
より上質な作品を作るためにリアルで追っかけられていると考えるんだ。
614名無しさん@ピンキー:2006/07/30(日) 00:49:44 ID:59VuhaE8
おじいちゃんは言ってた…
男は刺される回数分、男っぷりが上がる、ってな…
615 ◆pmLYRh7rmU :2006/07/30(日) 00:54:48 ID:9ilIH8Tf
皆様お久しぶりです。
再び一話完結の読み切りです。
酔った勢いで書いたので物凄い電波&ありがちで被っていそうな設定ですが、ご容赦ください。




「ユースケ!!あさだよっ!!」
ようやく空が白み始めたころ、俺の布団を引っぺがしたのは幼馴染のポチだった。
コイツにとって朝とは午前四時のことを言うのだろうか?
俺の認識で四時はまだ、『夜中』だ。
それなのにいきなり六速に入ってしまったギアのような唐突さでいつも彼女はやってくる。
「ユースケ!!あさあさあさあさあさあさ朝だよ〜っ!!」
轟々とうなりを上げる改造車のような剣幕で、俺の耳元に叫ぶ。何度もいうな、解ってる。
「わーってるよ・・・・だからもう少し静かにしてくれ・・・朝からキャンキャンキャンキャン五月蝿いぞ」
「むぅ〜〜いつもユースケが起きないのがいけないんだから!!ボクの散歩は何時もの日課でしょ??寝不足だからって怠けちゃダメだぞ!!」
文字通り、“尻尾”をぶんぶんと振りながら、黒目がちで大きな瞳をキラキラと輝かせてポチが吠えた。
そう、俺の幼馴染、“ポチ”こと黒田千穂には四足獣特有の“尻尾”が生えているのだ。
俺が暮らす社会には、何種類かの“人間”が存在する。
たとえば俺のように猿をルーツとする、“ヒト”や、ポチのように狼をルーツとする“犬人”。
ほかにも数え切れないほどの哺乳類をルーツとした人間が存在し、お互い仲良く暮らしているのだ。
彼彼女等はルーツの違いこそあれ、長年にわたって積み上げてきたヒューマン・シビルイゼーションを共有している。
元はまったく違う生き物なのに、差別や偏見は存在せずに仲良く手を取り合っているこの社会。
習慣や動物であったことの本能的な面ではヒトが一番社会に適合しやすい“人間”であるが、誰もそれを気にしたり攻撃しようとはしない。
ただ個性として受け入れられるこの世界が俺は大好きだった。
だから俺とポチのような間柄が世界中にあふれていても不思議ではない、視界をちらつくポチの尻尾をみながら思う。
ふさふさとした黒毛で先端だけ白く染まったそれは、色を逆転させた毛筆を思わせた。
そして同じく獣には必需の、髪の毛に溶け込んでいる黒い三角形の耳はすこし垂れていた。
いかん、コレは拗ねている証だ。
「最近ユースケはちょっとボクに冷たくないかぃ?・・・クラス替えで別になったからって他の女の子に手を出したらダメなんだからね!! 」
「はいはいはい・・・」
本当にポチはわかりやすいことこの上ない。尻尾をぶんぶんと振ってみれば喜んだり嬉しがったりしている証。
耳を頭に張り付かせたり、尻尾を股に挟んで小さくなっていれば恐がっている。
そして耳をぴんと張ってかすかに喉を鳴らしている今、可愛い尻尾ちゃんは怒っていることを必死にアピールしているのだ。
616 ◆pmLYRh7rmU :2006/07/30(日) 00:56:23 ID:9ilIH8Tf

「お〜それは悪かったな〜ポチポチ、よ〜しよし」
俺は半ば習慣化したその行為を恥ずかしげもなく行う。
肩口で切りそろえられた艶々の髪をゆっくりと梳きながら、耳の裏から顎の辺りまでを軽く擽ってやる。
まるで小動物をあしらうような行為なのだが当のポチは偉く気に入っているようで、大きな瞳を細めて俺の腕を甘噛みしている。
「んん〜ず、ずるいよ、ユースケ!!はぐらかさないでよ〜」
それでも気持ちいいのか、はぐはぐと犬歯を俺の腕にこすり付けている。
「はいはい〜ポチちゃん〜」
今度は耳の中に指を入れて擽りながら、程よく肉がついたお腹をさすってやる。
「あぁあ・・・・ゆ、ゆーすけぇ・・・・」
くぅ〜んと鼻を鳴らしながら、小さな体を寄せてくる。小柄なくせに出るところは出て、引っ込むところは引っ込んでいるために
女の子特有の体の柔らかさで朝から俺はコンディションレッド発令中だ。
「はい、今日はここまで。さっさと散歩行くぞ〜」
ポチの声が湿りを帯び、陶器のような白い頬が危険に熱を持ち始めたころにぴたりと手を止める。
「あん・・・。やっぱりユースケはずるいよ〜」
ポチは少し寂しそうな声を上げるが気にしないでおく。
「ホレ、さっさとコレつけな」
ポチの前に赤い革製の首輪を放り出す。ところどころ丁寧な装飾が施された凝ったものである。
コレは誕生日にポチ本人にせがまれて買ってやったものだ。
もっと他にアクセサリーはいっぱいあるのだが、これが一番俺を近くに感じられてイイらしい。
そしてポチと散歩するときは何故かコレをつけるのが習慣となっていた。
「ユースケがつけてくれなきゃヤダ!!」
「じゃあいいよ。先に行ってるからな」
踵を返してそのまま歩き去ろうとする。
「待って、待って、置いてかないで、お願い!!」
ポチは急いで首輪をつけると、物凄いスピードで俺の横に並んだ。
ホントにポチは寂しがり屋だ。少しでも目を離せば拗ねるし、冷たいそぶりを見せれば今みたいに必死に尻尾を振って甘えてくる。
その溌剌さと、人懐っこさが彼女の魅力でもあるのだが・・・
俺は優しく頭をなでてやりながら、ポチと一緒に歩き出した。




617 ◆pmLYRh7rmU :2006/07/30(日) 00:57:47 ID:9ilIH8Tf

ポチの散歩が終って一緒に朝食をとり、並んで学校に向かう。
彼女と血縁関係はないがお互いの両親が海外に出張しているため、自然と朝夕と一緒に食べるのが習慣化していた。
ポチは学校指定のセーラー服に着替え、黒いストッキングをきゅっと締まったしなやかな足に通している。
特別グラマラスとかいうわけではないが、すっきりとした体は健康的な色気を放っていた。
コレに加えて持ち前の愛想で、ポチはみんなの人気者である。
始業時間が近くなると、通学路には生徒の数も増えてくる。
ポチは顔見知りの生徒全員に挨拶しながらも、元気よく俺の腕にしがみついている。
付き合っているわけではないのだから、コレはさすがに勘弁してもらいたい。
「ポチ・・・・?人前でコレは・・・・」
「むぅ〜〜〜ユースケはボクと腕組みするのがイヤなの?もしかしてボクのこと嫌いになったの?」
「いや・・・・嫌いではないんだが・・・・公衆の面前だとイロイロ誤解を招くだろ?いらん噂が立つと健全な高校生活に支障が・・・」
「ヤダ!!!!!!!ユースケはボクのなの!!!!!だから腕を組んでもいいの!!!!
それにボクもユースケのものなんだから。だから首輪を贈ってくれたんでしょ?ねぇ、違うの?」
「いや・・・・その・・・・なぁ・・・・」
「それにちゃんとこうやって見張ってないとあの女が来てユースケのこと誑かそうとするでしょ。あの薄汚い泥棒猫が・・・・」
ポチは犬歯を剥き出しにして、鼻面に皺を寄せた。
単なる威嚇とは比べ物にならないほど喉を鳴らし、やや前かがみになる。
感情の振り子である尻尾は大きく立ち上がり、正に怒髪天を突いていた。

突然、雰囲気にそぐわない流麗な鈴の音が響き渡った。
ポチは反射的に振り返り、更に剣幕を強める。
近寄ってきたのは一つの影だった。
「あ〜ら黒田さん。朝からぐるぐると喉を鳴らして・・・・下品ですわねぇ〜
それではいくら優しいユースケさんもドン引いてしまいますわよ」
ポチが暫くそうしていると背後から鈴の鳴る音と一緒に、一人の長身美女が姿を現した。
うなじを強調するようにそろえられたショートボブにやや吊りあがったアーモンド形の瞳。
灰色の髪とあふれ出す自信を封じ込めたような翡翠色の瞳は、吸い込まれそうなほど澄んでいる。
彼女は小川玉緒さん。公立校には珍しい所謂お嬢様だ。
そして猫をルーツとした“猫人”の一人でもある。しなやかな肢体は猫人特有のものであろう。
猫人は大変気まぐれで滅多なことがない限り心を開かないと言うが、俺には結構なついてきてくれている。
男でもでかい部類に入る俺と並んでも違和感のない長身に、タイトなセーラー服を押し上げているたわわな胸。
豊かな胸を更に引き立てるように引き締まったウエストライン。背中から臀部にかけての完璧な曲線は女性の羨望と、
男の欲望を掻き立てて止まない。
更に俺的フィニッシュブローは黒いニーハイソックスに包まれた脚線美。
生足も良いが薄布一枚の神秘で色気倍増だ。
シャープな肉付きだが細すぎず太すぎない腿と、良質の筋肉に包まれたふくらはぎと膝裏にかけての括れは、何度見てもドキドキする。
膝上二十五センチの超ミニスカートとニーハイの作る絶対領域は正に不可侵。
初号機のATフィールドやロンギヌスの投擲をも通さない神秘の扉。
すらりとした長身と相まってシンクロ率400パーセント超だ。
そして彼女の片手で通りそうなほど細い首筋には革製の首輪。中央に嫌味にならない黄金の鈴が鎮座している。
ポチと同様、彼女のトレードマークの一つだ。
618 ◆pmLYRh7rmU :2006/07/30(日) 00:59:57 ID:9ilIH8Tf

「で、出たな〜泥棒猫〜!!!今日こそ地獄に落としてやる〜」
ポチはますます大きく喉を鳴らして、四つんばいになる。
桜色の唇から覗く犬歯は、もはや歯というよりは牙に近いほど鋭い。
鼻筋に寄った皺と吊りあがった眉。
地面すれすれまで体を落として臨戦態勢一歩手前といったところだ。
「あ〜ら泥棒猫とは言ってくれますわね。拾い喰いでもしたんですの?
何時もにまして頭の中がステキなようで。コレだから牝犬は大変ですわ〜」
玉緒さんは長い足を見せ付けるようにモデルポーズを取ると、頬に手の甲を当てて典型的お嬢様笑いをする。
もともと注目を集める二人なのだが、興味の目線の数はうなぎのぼりで上昇中だ。
い、いかん・・・早くとめなくては収拾がつかなくなる・・・それにあの人までやってきたら・・・・
あぁ・・・・頭が痛い・・・
「ユースケさん。どうしたんですの?額に手をおやりになって・・・・ご気分が優れないのかしら・・・
まぁ朝からワンワン五月蝿い万年発情期の牝犬のお世話は堪えますわよねぇ〜」
玉緒さんはちらりとポチを流し見て、薄ら笑いを浮かべた。
「かぁ〜〜〜〜〜っ!!!!!本当に腹が立つなぁこの泥棒猫わぁ!!!!!!
絶対に食い殺してやるから覚悟しろよ!!!」
今にもとびかからん勢いで、ポチが吠える。
「本当にお下品ですわね〜野良犬はバケツでも漁ってればいいものを。
わたくしのユースケさんに朝から尻尾をぶんぶんと振って媚びまくって・・・・
恥ずかしくないんですの?貴犬は!!!」
「うるさいうるさいうるさい!!!ぜぇ〜たい、今日こそ地獄見せてやるんだから!!」
「やって御覧なさい〜尻尾振ることしか能のないすっからかんの貴犬にできたら、ですけどね〜」
玉緒さんも指を丸め、長い爪を剥き出しで臨戦態勢だ。
ふしゃーっ、といわんばかりに目を細め、形のいいお尻から生えた長い尻尾をゆらゆらと揺らしている。
「ふ、二人とも・・・・朝から勘弁してくれよ!!!学校間に合わなくなるよ!!」
「問題ありませんわ!!!」「関係ないよぉ!!!」
二人で同時に叫ぶ。
いったいいつになったらこの二人は打ち解けるのだろうか・・・
かれこれ高校に入って一年になるが毎朝コレでは俺の胃腸が持たない。
それに俺はもう一つの爆弾の投下を懸念していた。
朝から人生に絶望した浪人生のような気分でうなだれていると、後ろからワイシャツの袖を引っ張られて後ろのめりになる。
「ユウスケ・・・」
悪い予感ってのは当たるものなんですね、ゴッド。
振り返ると玉緒さんほどではないが、すっきりとした体つきの長身の女性が立っていた。
そろえられた前髪と腰まで伸びたストレートヘアが朝日にまぶしい。
繊細な面と滲み出す理知のオーラを掻き立てるような細い眼鏡。
生徒会のセンパイで、混沌としたこの二人を更にかき乱す闇の勢力・・・・
ルアーにアクションを与えるアングラーのように袖をクイクイと引っ張るのは、俺が最も登場を恐れていたお方、
今(こん)先輩その人であった。
あぁ・・・神様はこの俺にひと時たりとも安らぎを与えては下さらないのか・・・

619 ◆pmLYRh7rmU :2006/07/30(日) 01:00:57 ID:9ilIH8Tf

「「あっ、あなたは女狐センパイ!!」」

そう、今先輩は狐をルーツとする・・・・ってもうお分かりだろう?

「む・・・女狐とは聞き捨てならないが、今日は勘弁してやろう。
私はユウスケと一緒に登校して煩わしい子犬や色狂いの化け猫が近づけないほどの甘い空間を構築しなければいけないのでな」

俺のワイシャツを引っつかむその手で、女狐センパイこと今先輩はすたすたと歩き出した。
頭から生えた長い耳がキュートだ。
「ちょ、ちょっと待ってよぉ〜」
「ま、待ちなさい!!」
普通に歩いているようにしか見えないのに、恐ろしいほどの素早さを誇る今先輩の速歩。
男の俺でも着いていくのがやっとだ。
脚力が強いポチならまだしも、体力面では大きく劣る玉緒さんがついてこられると思えなかった。

「さぁ、ユウスケ。二人でこのままどこか遠くまで逃げないか?」

真顔で意味不明なことを言う先輩に呆れながら、俺は朝から降りかかる災難に後頭部を痛めていた。

誰か、俺と代わりま鮮花?

620 ◆pmLYRh7rmU :2006/07/30(日) 01:05:31 ID:9ilIH8Tf
冷静に良く見るとスレ違いな気がしてきましたが、勘弁してください・・・・

>阿修羅様
毎度拙作をまとめサイトに収録していただいて感謝しております。
前回の読みきりに素晴らしいタイトルをつけてくださり、本当に感謝しております。
正直あそこまで掘り下げたタイトルは自分では浮かびません。
今回も是非よろしくお願いいたしますw

自分的にはAで。
どうすればいたり先輩のように可愛いキャラを生み出せるんだろ・・・
621名無しさん@ピンキー:2006/07/30(日) 01:07:05 ID:59VuhaE8
わんことくらそう!みたいな亜人種系のは大好きだ!
グッド
622名無しさん@ピンキー:2006/07/30(日) 01:12:14 ID:JYV0UOXC
>>619
やべぇ続きが気になって仕方がないぜ
犬、猫、狐これをいっぺんにそろえちゃうなんてすごいとしか言えねぇよ


>誰か、俺と変わりま鮮花?
ノシ
623名無しさん@ピンキー:2006/07/30(日) 01:16:56 ID:s6GE4kwA
>>620
冒頭から判りやすい導入と展開ですっかりのめり込んでしまいました
個人的に好きなケモノ属性もありで、読み切りなのが心底残念でならないッ…!
624名無しさん@ピンキー:2006/07/30(日) 01:22:38 ID:MSZFXa0t
おとーさんボクにもポチほしぃぃぃー!!!!
625名無しさん@ピンキー:2006/07/30(日) 01:55:41 ID:TRoaIngP
これはエロい予感!!!!!!!!

読みきりにするのはもったいないぜい
626名無しさん@ピンキー:2006/07/30(日) 03:24:52 ID:6KbhCeGD
ケモノ娘(*´Д`)ハァハァ
本当に読み切りにするのが惜しいほどイイ作品だなb
627赤色 第二回 ◆tTXEpFaQTE :2006/07/30(日) 03:30:13 ID:ly1m57gS
「はあ、疲れた・・・」
そう呟くと、シンはドッとベッドに倒れこんだ。
そのベッドが、また大きい。
その事で、また自分が屋敷に帰って来た事を実感する。

本当に、この家は大きい。お金持ちの家だ。
こんな所で、自分が七歳まで育っていた事が不思議でならない。
どうしても、自分がここにいることが不釣合いな気がしてならない。
……十年間、一般階級で育ったせいだな。
この広さが、落ち着かない。


そんな自分に比べて、セリは驚くほど、この屋敷と調和している。
…お嬢様って単語が、しっくり来る。
なんというか、自分の実の妹がお嬢様であることがどうにも納得いかない。

「十年、だものな。お互い、変わるはずだよなあ」
一抹の寂しさが、胸をよぎる。
それと同時に、もうひとつの寂しさの理由も。
もう一人の妹、鈴音のこと。
「どうしてるかな、鈴音のやつ…
 ちゃんと、飯食ってるかな」


「ふう、ちょっと、疲れたわね」
そういうと、セリはベッドに倒れこんだ。
すこし、目を閉じる。
頭がくらくらしていた。
理由は解っている。興奮しすぎた。
でも、しょうがない。
なんといっても、今日は十年来の夢がかなった日なのだ。
お兄様と、一緒に暮らせる日々の始まりなのだ。

十年前、母とシンが屋敷を出て行った。
その事を知らされたとき、セリはショックのあまり、寝込んでしまった。
父やメイドたちがどんなに手を尽くしても、セリはうつろな目を変えなかった。
屋敷の住人すべてが、このままセリは死んでいくのではないかと慄いた。

母とシンが屋敷を出て行った三週間後、セリの元にシンから最初の手紙が来た。
手紙が来た事をメイドが知らせると、セリは跳ね起き、どこにそんな力が残っていたのかと
思わせる程の速さで、メイドの手から手紙を奪い取った。

食い入るように手紙を読むと、セリは急いで返事を書き始めた。

その日から、セリにとって、シンからの手紙を待つことが何よりの楽しみになった。
たまに添えられる、シンの写真が宝物になった。

628赤色 第二回 ◆tTXEpFaQTE :2006/07/30(日) 03:31:24 ID:ly1m57gS
だが、ある時から、その手紙は喜びだけを運んでくるだけの物ではなくなってしまった。
手紙の中で、頻繁にある人物の事が書かれるようになったのだ。

シンの新しい妹、鈴音。

その女は、腹立たしいことに、送られてくる写真の中で、常にシンと一緒にいた。
さらに、シンの手紙から、どれほど新しい妹を大切に思っているのか、愛しているのか、
嫌になるほど伝わってきた。
悔しさのせいで、何度泣いたか数え切れない。
シンの事を、どんなに恨んだかも、忘れられない。

セリにとって、会ったこともない、鈴音というシンの妹が、世界で一番嫌いになった。

眩暈も治まってきたので、セリはベッドサイドのモニターをつけた。
そして、パスワードをうち、画面が切り替わるのを待つ。
五秒もたたないうちに、シンの部屋が映し出された。
シンはベッドで横になっていた。

心の底から安堵感がわいてくる。お兄様は、やっと私のところに
帰ってきた。
もう、ほかの女のお兄様ではない。
私だけの、お兄様になったんだ。

私だけのお兄様。
なんて心地よい言葉。
これから、ずっと、この生活が続いていくのね。

ウットリとした心地のまま、セリは眠りにつく。
十年ぶりに、幸せな夢が見れそうだった。


629名無しさん@ピンキー:2006/07/30(日) 04:00:02 ID:lW6PsyVX
赤色キタ━━━━━━━━!!!!
合鍵の興奮よ、再びw
630名無しさん@ピンキー:2006/07/30(日) 05:02:59 ID:F+49fMFW
あなたが来てくれなくて寂しかったんだから
631名無しさん@ピンキー:2006/07/30(日) 08:15:45 ID:EjwIJcK7
赤色キターーーー!!!
鈴音の登場をいまかいまかと待ちわびてます
632名無しさん@ピンキー:2006/07/30(日) 08:16:17 ID:C9Qkck4N
赤色が……赤色が、投下されてる!
633名無しさん@ピンキー:2006/07/30(日) 09:59:19 ID:JYV0UOXC
ハァハァハァ…ウッ…
634名無しさん@ピンキー:2006/07/30(日) 10:07:38 ID:hEvllv5J
ちょっとあんた達テンション高すぎだろ・・・

















赤色キタ━━━━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━━━━━━━!!
635名無しさん@ピンキー:2006/07/30(日) 10:22:17 ID:x47lqGBG
盗撮ktkr
636名無しさん@ピンキー:2006/07/30(日) 10:42:36 ID:sq6tdXDk
>>620
読みきりにするのはもったいなさ過ぎる。ぜひ続編を!!
637名無しさん@ピンキー:2006/07/30(日) 11:17:39 ID:6KbhCeGD
r'⌒X⌒X⌒X⌒X⌒X⌒X⌒X⌒X⌒X⌒X⌒X⌒X⌒X⌒X⌒ヽ ⊂゙⌒゙、∩
ヽ__乂__乂__乂__乂__乂__乂__乂__乂__乂__乂__乂__乂__乂__乂__ノ  ⊂(。A。)赤色キタ━━━━━━━━!!!!!!

この日何度待ちわびたことか……ゥゥゥ
638名無しさん@ピンキー:2006/07/30(日) 11:37:11 ID:jDMn022Z
キモウトの必須アイテム盗撮を既に使いこなすとは……
セリ……恐ろしい子

>>620
こんな、ラブコメちっくな修羅場もすばらしいです。
おいしく、いただかせていただきました。
639名無しさん@ピンキー:2006/07/30(日) 13:06:25 ID:F+49fMFW
スレの伸びが遅いな
640名無しさん@ピンキー:2006/07/30(日) 13:07:58 ID:gCB5HAX2
641名無しさん@ピンキー:2006/07/30(日) 13:43:04 ID:sq6tdXDk
                 マテー ルパーン
     (゚д゚ )          ヽ(゚д゚ )ノ
     | V | ミ         | 銭 | ミ



  ;y=ー(゚д゚ )・∵. ターン     ヽ(゚д゚ )ノ
  \/| V |)            | 銭 |

    アバヨ- トッツァ-ン
     △
    (゚д゚ )
     ( V )           ヽ(゚д゚ )ノ
      )ノ ミ           | 銭 |


     △
    (゚д゚ )
     ( V )           ;y=- (゚д゚ )・∵ターン
      )ノ ミ          \/| 銭 |


     △             マタンカー
    (・゚Д゚)             △
     ( V )           ヽ(゚д゚・)ノ
      )ノ ミ           ( 銭 )
                     )ノ ミ
642名無しさん@ピンキー:2006/07/30(日) 14:38:28 ID:++XiOZT1
>>640
詳細を聞こうか
643Why Can't this be Love?  ◆tVzTTTyvm. :2006/07/30(日) 15:00:03 ID:yWJcCflP


   X    X    X    X


「なぁ、美嬉」
「なあに、紅司クン」
 ある日の休み時間紅司クンが人目を避け囁くようにそっと話し掛けてきた。
「美嬉はさぁ今のままで別に良い訳?」
「今のままって?」
「いや、夕子のことなんだけど。 若し邪魔なら俺からあいつに言っとくけど……」
「ううん、邪魔だ何てそんなことないよ。
むしろ紅司クンを通じて白波さんとお友達になれてとっても嬉しいくらいよ。 それにね……」
「それに?」
「うん、紅司クンって一人っ子でしょ?」
「ああ、それが?」
「あのね、友達が彼氏のお姉さんや妹さんと仲良しなのチョット羨ましいな、って憧れがあったの。
 だからね紅司クンのお姉さんや妹さんじゃないけど、
まるで姉妹みたいに仲良しな幼馴染の白波さんともお友達になれて嬉しいんだ。
白波さんを通じて紅司クンの知らない側面を知れるのも嬉しいし」
「そうなの?」
 紅司クンは意外そうな顔で問い返してきた。
「うん。 だから今の状況とっても楽しいんだ」
「そうか。 うん、まぁお前が不満が無いならそれでいいんだ」
 そう、白波さんを通じて紅司クンと普通に付き合ってただけでは見えない色んな側面も見れて。
 お陰でとっても楽しくて充実してる。

 でも幸せで楽しいだけかと聞かれればチョット違うかも。時々思うときもある。羨ましいな、って。
 白波さんは私の知らない紅司クンを知っている。 私には無い紅司クンとの思い出を持ってる。
 幼馴染と言う、私と紅司クンとの間には無い沢山のもの……。
 そんな白波さんが羨ましくて思わず嫉妬しそうに、そして時に劣等感を感じそうになる。
 もし白波さんが紅司クンを好いていたらきっと私なんか敵わないんだろうな、って。
 でもそんな感情抱くなんて間違っているし、白波さんに申し訳ないものね。
 白波さんはあくまでも紅司クンの幼馴染。 それを証拠に私ともとても仲良く接してくれる。
 だから私は彼女の事も大好きなのだ。
 白波さんの事も含めて紅司クンとの幸せな日々を私は噛締めている。

644名無しさん@ピンキー:2006/07/30(日) 15:01:00 ID:a+keObH7
645Why Can't this be Love?  ◆tVzTTTyvm. :2006/07/30(日) 15:01:45 ID:yWJcCflP

 ある日の事、いつものように三人でお昼ご飯を食べてると白波さんが切り出してきた。
「ねぇ、隣町にあるテーマパークなんだけど、実はチケットが手に入ったから今度遊びに行かない?」
「わぁ、楽しそう」
 私が声を上げると続いて紅司クンも口を開く。
「良いね。 何時にしようか?」
「今度の日曜日なんてどう? 実は丁度其の日イベントもあるんだ」
「え? 日曜日?」
「何だ美嬉 今度の日曜だと都合が悪いのか?」
「う、うん実は用事があって……」
「そうか、じゃぁ別の日に……」
 紅司クンがそう言おうとしたのを私は慌てて遮る。
「待って。 そんな、折角其の日限りのイベントもあるみたいだから勿体無いよ」
「でも……」
「私の用事も丸一日じゃないから、用事が済み次第駆けつけるから、ね?」
 私がそう言っても未だ紅司クンは未だ決心がつかないみたい。
 私を気遣ってくれる優しさは嬉しいけど、でもそのせいで縛ったりとかしたくないから。

「ほら紅司。 藤村さんもああ言ってるんだし。 じゃぁ藤村さん、チケット渡しておくね。
遅れても良いから出来るだけ来てね」
 そう言って白波さんは私にチケットを差し出す。
「ありがとう。なるべく早く駆けつけれる様にするから二人共気にしないで先に行って楽しんでてね」

 当日、二人と遊びたかった私は用事をほんの少しだけど早く切り上げる事が出来た。
 そして二人を見つけた私は駆け寄ろうとしたのだが思わず足が止まってしまった。
 二人の間の距離があまりにも近すぎて……。
 ううん、幼馴染なんだから、兄弟姉妹みたいな仲なんだからそんなの何もおかしくない。
 其のはずなのに……。
 私の足はまるで地面に張り付いたみたいに動いてくれなかった。
 私がまるで石像のように動く事も喋る事も出来ずにいると白波さんが紅司クンの腕に抱きつき
腕を絡め、そして顔を近づけ……。

 私は思わず駆け出していた。 まるでその場から逃げるように。
 その時私の目には二人の距離がまるで恋人同士みたいに見えて……。
 そんなわけ無いと分かっているのに、分かっているはずなのに……。

 次の日の朝、私は憂鬱な気分で朝を迎えた。 結局昨日は二人の下へ行けなかった。
 そして、その日を境に私は白波さんに対し今までのように接する事が出来なくなってしまった。
 白波さんの様子は今までと何一つ変わりない。
 だけど、私の中の白波さんに対する気持が、意識が変わってしまったから。
 白波さんの紅司君に対する気持は本当に幼馴染としてのものだけなのだろうか。
 やっぱり白波さんも紅司君の事を異性として好きなんじゃないのだろうか。
 そんな疑いの念が浮かんでしまう。
 そんな疑いの気持ちがお腹の底で渦巻いてしまって白波さんの顔がまともに見れなかった。
 白波さんに対してだけじゃない、若しかしたら、まさか紅司クンも白波さんを……。
 若しかしたらこの二人は私が思ってるような単なる幼馴染なんかじゃ……。

 違う、そんな訳ない。 そんな風に考えるのは白波さんに対しても紅司クンに対しても失礼だ。
 そう思っても私の心は……。

 イヤでたまらなかった。 私のこの醜い気持が、疑心暗鬼が。
 こんな気持のままでは白波さんには勿論、何よりも紅司君にも顔向けする事が出来なかったから。

To be continued...
646名無しさん@ピンキー:2006/07/30(日) 15:18:32 ID:a+keObH7
>>643
GJです。
割り込んですいません orz
647名無しさん@ピンキー:2006/07/30(日) 16:11:46 ID:oX5FXzhK
>>642
俺のキモ姉レーダーによると
楓牙 姉と弟と 収録
「明日からの僕達」(全4話)
泥棒猫は出てこないがエロ本にまで嫉妬する
弟思いの姉の話。弟が夜寝てる隙にガムテで口を塞いで
犯しにくるという素晴らしい姉です
他にもう1作品収録してあるがそっちは全くオススメできない・・
648名無しさん@ピンキー:2006/07/30(日) 16:19:54 ID:jyKwUqUF
何そのハイクラスなレーダー

俺にもキモ姉レーダーおくれ!(神龍に向かって)
649名無しさん@ピンキー:2006/07/30(日) 17:04:21 ID:jyKwUqUF
投下しますよ
650『とらとらシスター』Side姉虎:2006/07/30(日) 17:05:55 ID:jyKwUqUF
 最近毎日続けているお楽しみの時間、いつもは消極的な虎徹ちゃんだけれども今日は少
し様子が違った。それも悪い意味ではなく、良い意味に。いつもの嫌々しながらもあたし
の体を楽しんでいる虎徹ちゃんも悪くはないと思うけれど、やっぱり積極的に絡んでくる
今の状態の方があたしは好きだ。
 何かあったのかな、なんて野暮なことは訊かない。だって理由は分かっているから。
 良心とモラルが壊れかけてきているのは簡単に想像出来る。いつかはそうなってくると
思っていたし、そもそもそうなるように仕向けたのはあたし自身だから。もう少し先だと
思っていたけれど、これは嬉しい誤算だった。夜を楽しむ時間は、長ければ長い程良いに
決まっている。少しだけ不満なのは、サクラちゃんのせいで精液が薄くなっていること、
それだけだ。虎徹ちゃんはあたしが毎晩絞り取るからだと言っていたけれども、それだけ
じゃないのは分かっている。原因はあたしの愛すべき妹、サクラちゃんだ。限界知らずな
あの娘は、覚えたての猿みたいに際限なく絞り取ってしまったんだろう。これは憶測だけ
れども、昨日だけじゃなく今日もやったんだろう。せっかく虎徹ちゃんを一時的に貸して
あげたのに、持ち主のことを考えないなんて少し浅はかなんじゃないだろうかと思う。
 まぁ、そんな貪欲なサクラちゃんだからこそ、今の計画が成り立つんだけれども。
651『とらとらシスター』Side姉虎:2006/07/30(日) 17:07:10 ID:jyKwUqUF
 あたしがやったことはとても単純、嫉妬に燃えるあの娘の背中を軽く押してあげただけ。
昔の経験からあの娘がそういうタイプだと分かっていたし、今の姿を見ても根っこの部分
が変わってないのはよく分かる。だから軽く後押しをすれば、必死に策を廻らそうとする
のは目に見えていた。二年前はあたしもまだ馬鹿だったから、サクラちゃんと一緒に手を
出してしまったけれど、そのせいで暫く虎徹ちゃんと話を出来なかったのが辛かった。今
はもうそんなことにはなりたくない、だから一生懸命考えた。
 どうすれば、あの娘を走らせることが出来るのか。
 考え抜いた末、結論は驚く程にシンプルなものになった。それがさっき言った嫉妬を扇
るというもの、但しいつもの何倍もの密度と何十倍もの量で。結果は上々、簡単にサクラ
ちゃんは引っ掛かってくれた。副産物として手に入れたのは気に食わないけれど、あたし
が虎徹ちゃんの初めてを貰うことが出来たのも喜ぶべきことだ。
 そう、あたしがやったことは、計画という言葉にするのももったいない程に単純なもの。
虎徹ちゃんの初めてを貰って、毎日セックスを続けるだけ。そうすれば青海ちゃんの出現
でカリカリしているサクラちゃんが動き始めるのは予想できた。あとは虎徹ちゃんとあた
しがセックスをしているのを見せ付けて暴走させるだけ、何の他愛もない。
 それは余程だったらしく、昨日にはもう虎徹ちゃんとしてしまっていた。
652『とらとらシスター』Side姉虎:2006/07/30(日) 17:09:39 ID:jyKwUqUF
 始まりの部分はとても簡単、現に虎徹ちゃんは少しずつ壊れてきているから。青海ちゃ
んといちゃいちゃとしているのは少し腹が立つけれど、それもあと少しだと思うとあまり
苦にもならない。計画が進んでいけばあたしにべったりになってくるのは、完全に見えて
きているから。初期症状は自覚がしにくいと言うけれど、気付いているんだろうか。
 気付いていないんだろうなぁ。
 でも、あたしにはきちんと分かる。体をまさぐってくる手付きや、荒くなっている呼吸、
ことの最中にあたしの体を眺める目付き。嫌そうに、昨日までは受動的だったキスも自分
からしてくるようにもなった。わたしの膣内を擦りあげる腰の動きも、敏感な部分を弄ぶ
激しさも、何もかもが。
 そして何よりも、表情から罪悪感が消えている。
 青海ちゃんへの義理立てや、あたしの体を好きにすることへの恐怖、そして近親での性
行為への嫌悪感などの今まで邪魔だったもの全てが抜け落ちていた。そこに浮かんでいる
のは、肌と肌を擦り合わせることを純粋に楽しんでいるという色。快楽に染まりきった、
一人の男の人だという証がそこにある。
 これで良い。
 これが良い。
 最近になって急に出てきた泥棒猫などに、この愛しい人を渡したくなんかない。今まで
だってずっと一緒に居たから、これからもずっと一緒に居たい。物心が付く前からずっと
虎徹ちゃんを想い続けてきたあたしにはその資格がある。
653『とらとらシスター』Side姉虎:2006/07/30(日) 17:11:49 ID:jyKwUqUF
 ほら、今も。
 軽く手を伸ばして、虎徹ちゃんの髪を優しく撫でる。三日前に青海ちゃんに撫でられて
気持ち良さそうにしていたけれど、今の方がずっと安らいだ表情をしている。それだけで
嬉しさが込み上げてきて、また一つ幸せになった。相子相愛、何て素晴らしいんだろう。
 思わずキスをすると、虎徹ちゃんは微笑んであたしの髪を撫でた。
 あはっ、可愛い。
 大分落ち着いてきたと思ったのに、また体が熱くなってきた。それでも構わない、先程
までのは只の休憩時間ということにしてしまえば良い。体を重ねることに回数制限も時間
制限も関係ない。少し前までは呼吸が荒っぽかったけれど、今はもう落ち着いているみた
いだし、多分大丈夫。
 虎徹ちゃんもまだやる気はあるみたいで、あたしが竿を撫でるとすぐに元気になった。
軽く指で割れ目を掻き混ぜて少しほぐしてから、ゆっくりと虎徹ちゃんの上に腰を据えた。
休憩に入る前は虎徹ちゃんが上になっていたけれども個人的にはこの体位の方が好きだっ
たりする。今まではずっとこれだったからこっちの方が落ち着く気がするし、何よりあた
しが今この瞬間虎徹ちゃんと二人きりで、しかも繋がっていると実感出来るからだ。
 虎徹ちゃんは動かずに、あたしの意思で降ろしていく。少し恥ずかしそうな表情を見な
がら擦り合わせるように下げると、固く太く熱くなった先端があたしの中を割って進んで
くる感覚がとても気持ちが良くて、つい声が漏れてきてしまう。
654『とらとらシスター』Side姉虎:2006/07/30(日) 17:14:50 ID:jyKwUqUF
 あはっ、挿入った挿入った。
 根本まで収まった虎徹ちゃんのものを、うねるようにして擦りあげる。粘膜が擦られる
快感が股間から全体に伝わってきて、それだけで達してしまいそうになる程気持ちが良い。
続けて何度も腰を動かすと、それに合わせるように虎徹ちゃんも激しい動きで腰を突き上
げてきた。子宮の入口がこじられるように圧迫され、衝撃と快感でもう何も考えることが
出来なくなってくる。虎徹ちゃんがあたしの胸を揉んで、吸い、幾つものマークを付けて
いく。自他共に認める白い肌に桜色の模様が出来ていくのは、自分でもいやらしく見える
光景だ。乳房に付いた唾液が月の光に照らされるのを見ていると、行為の後で拭き取るの
さえ惜しくなってくる。あたしはナルシストじゃないけれど、淫靡な光景は、それだけで
価値があるように思えた。
 そして、この模様が虎徹ちゃんのマーキングのように思えて、ついキスをしてしまう。
口の中をむさぼるように舌を絡めて、唾液の交換をする。天上の甘露のような虎徹ちゃん
の唾液と、あたしの唾液を呑むのは同時。身体中に浸透していく気がするのはきっと虎徹
ちゃんも同じだろう。何度もそれを繰り返す、虎徹ちゃんがあたしのものだという事実を
全身に伝わらせていくように。
 もう、大丈夫かな?
 一旦口を離して顔を見つめる。あたしの唇と虎徹ちゃんの唇の間に繋がった透明な橋が
切れるのを惜しいと思いながら、それでも唇を動かした。
 青海ちゃん。
 声で伝えずに唇の動きだけでこの単語を伝えると、軽く笑ってあたしの喉を舐めあげて
きた。喉から口の端にかけて、溢れ出た唾液を拭うように舐めて、最後にはキスをする。
それでまた唾液が溢れたけれど、気にしない。
 数秒。
 舌の動きが一瞬止まり、熱いものがお腹の中にぶちまけられる。それからワンテンポ遅
れる形であたしも絶頂に達した。
 虎徹ちゃんのものを引き抜きながら胸の上に倒れ込み、体温が消えるのを少しでも防ぐ
ように抱き締める。このままほどかずに、いつまでもこうしていたい。
「もう、離さない」
 小さく囁いた言葉は、聴こえただろうか。
655ロボ ◆JypZpjo0ig :2006/07/30(日) 17:16:49 ID:jyKwUqUF
今回はこれで終わりです

久し振りの姉虎!
黒幕!
やっと書きたかった部分が書けました!
656名無しさん@ピンキー:2006/07/30(日) 17:54:51 ID:184njg6K
能ある鷹は爪を隠す、すごすぎるぜ姉虎。
だがあんたは、青海がまだイレギュラー要素なのを失念しているぞ。
657名無しさん@ピンキー:2006/07/30(日) 18:07:49 ID:EjwIJcK7
>>643
着々と自体は進行してますね。
これで三人の間がどうなるのか。

>>650
やっぱり姉はえろい。自分もこんな姉がほしい
はたして虎姉妹のエロスに対抗できるのだろうか青海。

作者さんGJです
658名無しさん@ピンキー:2006/07/30(日) 18:12:52 ID:ef8B15ev
すげぇ、虎姉ちゃんって只の色ボケじゃなかったのか。
659名無しさん@ピンキー:2006/07/30(日) 19:06:58 ID:/NfXT8Tb
>660は「俺もこんな姉ちゃんが欲しい!!」と言う!!
660名無しさん@ピンキー:2006/07/30(日) 19:08:52 ID:kpmvs9Nb
俺もこんな姉ちゃんが欲しい!!


……ハッ!?
661 ◆kZWZvdLsog :2006/07/30(日) 19:59:02 ID:3eh+sTZ4
投下します。
662うじひめっ! Vol.3 ◆kZWZvdLsog :2006/07/30(日) 20:01:37 ID:3eh+sTZ4
 この日をもって俺たちの現実は一部損壊した。
 ぎゅっとズボンの膝の生地を掴み、沈痛な面持ちで蛆化したフォイレを見遣る良治。
 ゆらゆらと、瞳の色が揺れている。
 もはや言葉もなかった。
「良治……」
 彼の内部で荒れ狂っているだろう感情は、きっと俺と同じ――
「まさしく……蛆っ娘萌え?」
 ――ものでは全然なかった。
「貴様……よりによって今更『萌え』とか言い腐りやがって……!」
 激昂した俺は意識せず立ち上がった。
(や、やめてください! 立ち上がらないで!)
「うっ……」
 悲痛な念がこめかみを突き刺し、あまりの不快感に呻いた。
(お、お願いです……こ……怖いんですの……!)
 ぷるぷると、縮こまって身を震わせる蛆虫。
 脳裏を「しゃがんでもらえますか?」という最前の声がよぎっていく。
 信じられないけれど、やっぱり彼女は昨日良治が踏み潰そうとして俺が咄嗟に助けてしまったアレで。
 だからそのことがトラウマになっていて、直立されると恐怖を覚えると。そういうことなのか?
「あ、ああ……ごめん……」
 ゆっくり、風を起こしたりしないようソフトな着地を心がけて腰を下ろした。
 ほっ、と息をつく念波が届き、こちらもなんだか最低限の余裕を取り戻すことができた。
(どうやら納得していただけたようですね)
「理解したくないが、理解せざるをえない複雑な心境だ……」
 溜息は止められなかった。先ほどまで電波と信じて疑わなかった彼女の言い分を、本当のこととして
咀嚼せねばならないと痛感させられてしまった。
 ――んー、まー、あれだ。
 別に「この恨み晴らさでおくべきか」とか「くらわせてやらねばならん、然るべき報いを」とか、
そういう復讐に来たんじゃなくて、命を助けて恩返しに来てくれたんだから深く悩むこともないよな。
 昔話を参考としてケース・スタディを試みようではないか。
 最初に正体を明かしている時点で、これは「鶴の恩返し」というよりも「浦島太郎」の亀に近い。
 だとすれば、彼女はお礼として腐肉と蛆と蝿が舞い踊る「蛆宮城」に連れてってくれるわけだ。
 なるほど、そりゃあ、めでたいなあ。あっはっはっ。
(では早速、本題のお礼を、)

「謹んで辞退させていただきたく……!」

(即答でノー!? まだ詳しい説明もしてませんのに!?)
 おっと、先走ってしまった。何も本当に「浦島太郎」のパターンを踏襲すると決まったわけじゃないんだ。
そもそもからして「蛆宮城」なんて存在するのかも不明だしな……是非今後も不明であってほしい。
「そ、そうだな。ま、その、なんだ。話だけでも聞いてやろうかな」
(内容次第で断る気満々ですのね……)
 はぁ、と溜息に似た波動が脳をくすぐった。
663うじひめっ! Vol.3 ◆kZWZvdLsog :2006/07/30(日) 20:04:05 ID:3eh+sTZ4
(その様子では私たちにとってのごちそうとかも召し上がってくれそうにありませんね?)
「絶対にノゥでございます」
(分かりました。では……あの……)
 もじもじくねくねと身を捩じらせる。蛆だから普通にキモいな。
「代替案があるなら言ってくれ」
(体で、とか……いかがです……?)
 肉体一括支払ときたか。
「ごめん、俺、蛆の餌だけじゃなくて蛆虫自体も食べる趣味がなくて……」
(そ、そういう意味で賞味していただきたいわけではありませんの!)
 全身全霊で上げる抗議の叫びがわんわんと頭蓋骨の内部に響き渡った。うわーテレパシーって結構うぜえ。
 もちろん、こんなこともあろうかと(ってのは嘘だが)日頃からエロマンガやエロ小説やエロゲーを嗜んで
いる俺にしてみればフォイレの真意は言わずもがな分かっている。
 「お礼に抱けッ」ってことだろう。エロマンガだったらだいたい4ページ目あたりだ。
 なんですか、俺も年頃の男子ですから、万が一そんな奇怪事に遭遇したらどうするかとか、それなりに
イメージトレーニングは積んできてますよ。想定問答集だって百項はありますよ。脳内では完璧ですよ。
 けどさ。
 蛆化する前の、四肢と視力はないけど豊かな銀髪とふにふにした胴体、端整な顔立ちの頭部を有していた
フォイレに直接言われていたら、まあ、少しはくらっとよろめいていたかもしれんよ。
 あくまであのときだったなら、な。
 今こうして本来の姿である蛆に戻った奴に誘われても、男子のロマンは疼かないというか。
 目の前で生ゴミ食われちゃってショックを受けたというか。端的に言って勃たないというか。
 いくら性的妄想で頭がパンパンの俺でも、蛆虫で筆下ろしをするのはどうかと真剣に迷ってしまうわけで。
 真剣に迷う時点でどうにもダメ極まりないんだが。
「遠慮させてもらいます」
 とりあえず、きっぱりと断っておいた。
(左様でございますか……)
 ほっとしたような、残念がっているような、ちょっと判別のつけがたい響きが届いて、すぐに散った。
(で、でしたら、何かお役に立てることを申しつけてください! きっとなにかのご助力に、)
「いやー、感謝の気持ちだけでもう充分にありがたいので、できたら早く帰ってほしいんですけど……」
 あっ、うっかり本音言っちまった。
 ショックを受けたのか、床を這っていたフォイレがぴきーんと固まる。
(そんな……! 蛆界の王女たるものが、命の恩人に何の返礼もせずに帰るだなんて! 爺やに叱られますの!)
 イヤイヤをするように右に転がり左に転がる。だから普通にキモいって。
「もーいーじゃん、和彦。初めての相手が蛆虫でもさー」
 話題に加わる必要のない良治は暇を持て余して耳をほじりながらテキトーなことを抜かした。お前、黙れ。
(爺やが言ってました! 命を救われた王女が殿方とロマンスを繰り広げるのは人間界でもお約束です、って!)
 お約束だけどさー、蛆はねーだろ、蛆は。人間と蛆がくっついてどうするんだよ。
 緊張感がなくなってすっかりダレてきた、二人と一匹のダイニング。
「――姫様はここか」
 そこに一人の闖入者が割り込んできて。
 事態はますます混迷の度を深めるのであった。
664 ◆kZWZvdLsog :2006/07/30(日) 20:04:47 ID:3eh+sTZ4
これでやっと前フリにあたる第一部が終了です。
第二部はおしまいにチラッと出た新キャラを交えつつ進む予定。
次回も「うじひめっ!〜maggot princess〜」をお楽しみに。
665名無しさん@ピンキー:2006/07/30(日) 20:23:51 ID:+EfM4HXn
新キャラktkr!
早くも次回に期待
666名無しさん@ピンキー:2006/07/30(日) 20:59:46 ID:jDMn022Z
>>643
ちょwwww敵に塩を送るとは。
君のやってることは泥棒猫にかつおぶしだぜ。
激しくGJ!!です

>>650
恐るべし姉虎。
天然っ娘をここまでの腹黒にするとは。
これぞ修羅場の力というものなのか。

>>661
何故かわかんないけど、以上に萌える。
後、激しくワロスwwww。
新キャラにも期待しつつwktk

しばらく、見ない間にこんなに投下されてる。
これじゃあ、レスが追いつかないもの無理はないよ。
667名無しさん@ピンキー:2006/07/30(日) 21:12:41 ID:59VuhaE8
新キャラはエリート蝿娘かな?(゚∀゚)

次回も期待してるぜ
668名無しさん@ピンキー:2006/07/30(日) 21:21:17 ID:sq6tdXDk
いや、ここは姫を守る護衛の女兵士で一!!
669名無しさん@ピンキー:2006/07/30(日) 21:30:31 ID:rwg+aagU
メガテンのドゥルジとか連想してる俺は負け組 orz

そういえばEVER17の茜ヶ崎空も嫉妬で主人公を殺しかける修羅場っ子だったな
つぐみのほうはそうでもないが
670 ◆pmLYRh7rmU :2006/07/30(日) 22:00:45 ID:9ilIH8Tf
調子乗って続き書いてみましたww全四話完結です。


二匹目

今先輩に連れられているうちに、気がつけば学校に到着していた。
携帯で時計をチェックするとギリギリ五分前には到着したようだ。
朝四時に起きている割に登校時間が遅いのは、偏にポチの散歩時間の長さ原因であろう。
今日なんて調子付いたポチは隣町までの耐久マラソンを敢行した。
興奮して四足歩行にならなかったのが唯一の救いだが、桜色をした長い舌をちろちろしながら尻尾をぶんぶん振り回すのは勘弁して欲しい。
犬人には文字通り朝飯前の運動でも、ただのヒトで身体的な特徴が何もない俺にはきつ過ぎる。
帰り道貧血で半ばふらつく足元を自分の胸程度の身長しかないポチに支えてもらいながら帰ったのは、どれほど俺の自尊心を傷つけたか・・・
朝食のときハイビスカスのような笑顔で

『きにしなくていいよっ!!ユースケはボクのご主人様で同時にボクの所有物なんだから!
支えてあげるのは当然でしょ!』

と納得してよいのか悪いのか解らない言葉で慰めてくれなければ今の俺はいないだろう。
小さな体で朝から丼二杯まるまる平らげるポチに朝ごはんを作るのは若干骨の折れる作業であるが、口元にご飯粒をつけながらの笑顔で
『お代わり!』
には勝てない。
俺はそんなことを思いながら今日も波乱の日常に身を投じていくのだ。

「時にユウスケ。今あの駄犬のことを考えていなかったか?」

ポチの笑顔を回想して癒されていた俺を現実に引き戻す冷たい声。
あぁそうだ、俺は先輩に引っ張られて学校に着いたんだけっけ。
俺の目線のすこし低い位置から据えた視線をたっぷりと注ぎ込んでくれる。
眼鏡の奥で剣呑に輝く切れ長の瞳に若干たじろぎながら、俺はやっとのことで言い訳を吐き出した。
きょ、今日もステキにクールです。今先輩。

「い、いや〜ポチのやつ、ちゃんと体操着を持ってきたかな〜なんて・・・
 ホラ、ウチの学年は二限が体育でしょ?」

先輩は俺のワイシャツの裾をギュっと握り締めながら・・・

「・・・・・・私の前で別の女のことを考えては駄目だとつい先日言ったばかりだぞ・・・」

俺の胸にクリティカルヒット!!
しょ、正直、たまりません。
その恥ずかしげにそらされた視線が、控えめに染まった頬が・・・
人前では絶対に見せない先輩の姿に心臓は16ビート。ノリノリで踊りだす。
素直な仕草と、クールビューティーさで生徒の人気を三分している先輩にそんなことをいわれて、そんな表情をされたら・・・

「それに犬は犬らしく裸足で駆け回っていればいいだろう?別に全裸でも構わんか」

甘い雰囲気を雷雲でかき乱すように、バタバタと遠くから近づいてくる足音。

671 ◆pmLYRh7rmU :2006/07/30(日) 22:02:33 ID:9ilIH8Tf
ほら・・・

「やっと見つけたぞ〜この妖狐めぇ!!今ボクの悪口を言っただろ〜
陰口なんて卑怯者のすることだぞ〜狐は大人しく油揚げでも食べててよっ!!
 ボクのユースケを盗らないで〜〜〜っ!!」

コイツがやってきちゃうじゃありませんか・・・
四つんばいになって威嚇体制をとり、犬歯を剥き出しにして敵意を発散させている。
元気なのはいいが、そのスカートの長さでそんなポーズをとると・・・

「ポチくん。スカートの中身が見えているぞ。淑女にあってはならぬ痴態だな。
 それに狐人である以上油揚げは至高の食べ物なのだが、今はユウスケのほうが貴重な栄養源だ。
 所謂大好物というヤツだな」

先輩は俺の体を一際強く抱きしめ、ポチを見下ろすように言った。
当のポチは口の端から舌を覗かせて荒い息をつきながらも、目が点になっていた。

「ユウスケ・・・・昨夜は激しかったぞ・・・私たちの間に種族の壁という大きな関門があっても
愛の力で乗り切って見せよう!!
さぁ今夜もきつねうどんの出汁より千倍濃いキミの子種を一杯私の中に注ぎこんでおくれ・・・・」

クールな先輩としては珍しい熱弁で、俺の胸に顔をうずめた。
お、お願いだからこの状態のポチを逆撫でしないでぇ・・・

「ぐるるるるるるるるるるるぅぅぅぅぅ・・・・うぉぉぉあん!!」

ポチは大きな瞳に涙をため、全身のバネを使った素晴らしいプレスを繰り出した。
だからなんで俺?
ポチの体重と、勢いと共に押し倒された俺はなすすべもなく組み敷かれる。
怒りと悲しみで俺の胸に爪を立て、抑えきれなくなって決壊しかけている黒い瞳で吠えた。

「なんでなんでなんでなんでなんでなんでなんで・・・!!!???
何でボクにはいつも手出ししないくせにその女狐にはするの??
なんでなんでなんで??ボクのどこが不満なのさ!?お散歩が長すぎるから?
ううん、あれはユースケのためを思ってやってるんじゃないか!ねぇなんで、なんでよぉおおお・・・
ユースケはボクのものなのに、ボクはユースケのものなのに・・・
どうして溜まってるなら言ってくれないのさ〜っ。頼まれれば後ろからだって前からだって!!
ホントは後ろからが一番落ち着くけど・・・ううん!!ユースケがお座りって言えばちゃんと腰だって振るよ!○ん○んって言えば自分で広げてみせるよ!
あぁもう〜本当は春だからボクだってもてあまし気味なのに〜
早くボクに命令してよ。『可愛い可愛い俺のポチ、早く俺のモノに下品にむしゃぶりつけ!!』ってさぁ!!
早くユースケの濃い雄の匂いを胸いっぱいに吸い込みたいよ〜ボクのはしたない匂いをその体に擦り付けたいよ!!
ねぇ、ユースケ、お願い、お願い!!しよ〜〜交尾しよっ、ねぇ〜〜!!交尾交尾ぃ〜」

おいおいおいおいおい???
話が飛躍してるぞ、頼むから俺をおいて別次元に飛び出さないでくれよ!!
それに今先輩の話を真に受けるんじゃねぇ!!

朝から擬似修羅場が発生してしてしまった県立ケモノ高校の校門。
俺は服をばりばりと脱ぎ始めるポチに、何故か迫られている。
この超時空を作り出した先輩はとっくに立ち去っていた。作り逃げですか?先輩!!

集まる好奇の視線。男子からは嫉妬、そして女子からは嫌悪。
俺は無常にも鳴り響く始業ベルを耳朶に納め、飽きずに俺の顔を舐めまわしているポチに組み敷かれながら、
ため息を一つついた。

「世界は平和だ」

672 ◆pmLYRh7rmU :2006/07/30(日) 22:05:42 ID:9ilIH8Tf

一応このノリで四話まで書き上げました。
果てしなく下品な内容なので嫌悪感を抱く方はスルーしてください。
スレの流れをぶった切って申し訳ありません。
673名無しさん@ピンキー:2006/07/30(日) 22:09:18 ID:59VuhaE8
キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!!!!
674名無しさん@ピンキー:2006/07/30(日) 22:17:38 ID:6KbhCeGD
ポチエロ可愛いよ千穂(*´д`*)ハァハァ
675名無しさん@ピンキー:2006/07/30(日) 22:46:09 ID:Pl6+ec/z
短編なら多少ぶっ飛んでいてもOKでしょ。俺は面白いと思うし。
なんか読んでてGS美神を思い出した。
676名無しさん@ピンキー:2006/07/30(日) 23:09:32 ID:RYfujg1v
蛆虫とか犬とか人外まで嫉妬するようになりましたか・・・・・・

たまりませんな(*´д`*)
677名無しさん@ピンキー:2006/07/30(日) 23:11:00 ID:sq6tdXDk
俺、この世界に住んでたら犬を2・3匹飼って
わざと修羅場を作ってるな・・・
678名無しさん@ピンキー:2006/07/30(日) 23:12:48 ID:axAmwu47
>>677
君ごときにこのような神修羅場が作れるとでも思ったか。

だから、飼うのは私一匹にしなさい。
679『さよならを言えたなら』 ◆jSNxKO6uRM :2006/07/30(日) 23:14:15 ID:b3A9DWMi
「俺は……俺はぁ!」
葵か…セレナか……どっちを選べだって?いまここで?観衆のど真ん中で?
あこがれを抱いていたセレナ……ほんの数日だけど、よく一緒にいた葵……その二人が、勇気ふり絞って告白してくれたんだ。俺も……答えを出さないと……
「俺が好きなのは…!」
「んん……」
「っ……」
二人が息を飲むのがわかる……期待と不安が入り交じってるんだろう。そのどちらかを……傷付けないといけない……断った方も、今後仲良くしてくれっか?
いや、考えるな……俺が思ったままに、素直に……叫ぶんだ!大きく、気持ちを伝えるんだ!
「俺は、葵が好きだ!」
一瞬周りが水を打った様に静まる。そりゃそうか……生徒会長兼ミス浅野を振ったんだ……こりゃ、一大事ってこったな。
「「「うおおぉぁぁぁぁ!!!」」」
喜びとも悲しみとも聞こえる男の叫び声が響く。後から聞いたことだが、葵あ次期、ミス浅野として名高かったらしい。(本人は全く自覚なし)
そんな葵を狙ってた奴等も多かったのだろう。泣いているのも見掛ける。
……当の葵も……泣いていた。
680『さよならを言えたなら』 ◆jSNxKO6uRM :2006/07/30(日) 23:15:03 ID:b3A9DWMi
急いで葵のそばに寄り、手を引っ張り連れ出す。もうこれ以上ここにいられない。人込みを掻き分け、ガンガン進む。
周りの奴等が顔を覗こうとしてくる。アーッもう、じゃまだぁ!
逃げながら後ろを振り向くと、セレナは呆然としたように立っていた………と思ったらいきなりマイクを掴み、腰に手をあてて………叫んだ。
「はーるー!!私をフった事!!!後悔させてあげるからなぁ!!!!!」
そんなことを叫んでいたのが聞こえた。後悔、か。実際していない。今こうやって葵の手を握っているだけで自然と嬉しくなる。好き……なんだろうな。
「は、晴也さん、もう少しゆっくり……」
「後ろを見てみろ!」
「え?……えぇ!?」
驚くのも無理は無い。大勢の人が俺達を追っかけて来るんだ。恐らく大半は葵のファンだろう。まさに殺気立っている。掴まったら……命は無いな。
「とにかく走れ!俺の家まで逃げるぞ!」
「は、はぁい!」
それから二十分に渡る鬼ごっこは、浅野学園祭の伝説となった。無事に逃げきり、俺の家までたどり着いたのは言うまでも無いだろう。
681『さよならを言えたなら』 ◆jSNxKO6uRM :2006/07/30(日) 23:16:11 ID:b3A9DWMi
俺の部屋………
「はぁ、はぁ、はぁ、大変なめに……あいましたねぇ。」
「ふぅーー……一体誰のせいだと……おもってんだよ……」
「えぇー、私のせいですか?」
「それ以外に考えられるのか?」
「うぅ……」
一息つき、落ち着いて話し始める。さっきはどやどやと騒がしかったが、こうなってみるとかなり互いに恥ずかしくなってきた。葵は顔を真っ赤にしてうつむいている。
「あ、あのっ!晴也さん!?」
「ん……」
「そのぉ……こんなことになって言うのもなんですけど……わ、私でよかったんですか……か?」
こいつは…あれだけ大勢の前で宣言したっつーのに、まだ信じられないのかよ。しかたねぇなぁ……
ぽん、と頭に手を乗せ、撫でてやる。
「ああ、絶対に後悔なんてしてねぇ。確かにセレナには憧れてはいたさ。でもな……好きだって言う感情は、お前に対してだけだ。」
「は、晴也さぁん……うぐ……」
泣きそうな顔をして抱き付いてくる。
「お前こそ……なんで俺なんかがいいんだか………」
「いいんですよーだ。」
よっくよく考えれば、俺を好きになるところなんてないんじゃないか?
682『さよならを言えたなら』 ◆jSNxKO6uRM :2006/07/30(日) 23:17:13 ID:b3A9DWMi
「いや、なぁ……俺、無愛想だし。」
「はい……」
「非社交的だし……」
「はい………」
「怒りっぽいし。」
「ふふ………」
「好きになれる要素なんて無いだろう?」
「……他の女の子にとったらそうかもしれませんけど………私は好きです。…大好きです!」
まいった……惚れた弱みか。骨抜きになっちまいそうなほど気が抜ける。
「それに、私以外の女の子に評判のいい性格だったら困ります。私だけの晴也さんなんだから、私だけが好きになっていいんです。」
「ま、俺を好きになる物好きなんざいないさ。」
「物好きですよーだ。晴也さんも、私以外の女の子に気を向けたらだめですよ?」
「ああ、約束しよう。」
「本当に?もし浮気したら、末代まで祟りますよ?」
「その第一子孫は、誰が生むんだ?」
「うぅっ………」
言い返されたためか、トマトのように顔を真っ赤にして黙ってしまった。どうやらこういう話しには弱いのだろうか。
「も、もちろん……」
「んー?もちろんなんだ?」
「もちろん私が生むんです!他の人なんかは有り得ません!」
また……恥ずかしいことを言う………
683名無しさん@ピンキー:2006/07/30(日) 23:32:26 ID:4iS++tJt
>>682
ハァ・・・ハァ・・・
胸を小人がたたいているようだ 何なんだこの気持ち
684名無しさん@ピンキー:2006/07/30(日) 23:36:59 ID:tBQtMznc
そろそろ次スレを考える頃合かな
685名無しさん@ピンキー:2006/07/31(月) 00:00:33 ID:0F6JDLOh
>「本当に?もし浮気したら、末代まで祟りますよ?」
このフレーズがなんかキタ


嫉妬・三角関係・修羅場系総合SSスレ 無言電話14回
686名無しさん@ピンキー:2006/07/31(月) 00:15:40 ID:GV3pVfkU
>>672
                   /\        /\
                   /:::::::ヽ____/::::::::ヽ、
                  丿 ::.__  .:::::::::::::  __  ::::ヽ_
も う              / /。 ヽ_ヽv /: /。ヽ  :::::ヽ
  -┼-  丿~~~|     / / ̄ ̄√___丶 ̄ ̄\  :::|             ■ ■
  -┼-  /~~~~/ ━━━ | .:::::::::: / / tーーー|ヽ     ..::::::|━━━━━━  ▼ ▼
   .|      丿      | .:::::.  ..: |    |ヽ       ::|            ● ●
                | :::    | |⊂ニヽ| |      :::::| \
              / /| :    | |  |:::T::::| !      .::| \ \ \
         / //  \:    ト--^^^^^┤      丿 \ \ \ \\\

超期待している! 短期と言わず長編でひとついかがですか?
687名無しさん@ピンキー:2006/07/31(月) 00:17:48 ID:xsM0iJfW
葵キタ━━━(゚∀゚)━( ゚∀)━(  ゚)━(  )━(゚  )━(∀゚ )━(゚∀゚)━━━!!!!
688血塗れ竜と食人姫 ◆gPbPvQ478E :2006/07/31(月) 00:37:55 ID:wmtpz+Zx
投下しようと思ったのですが、
ちと分量が多くなってしまい、このスレに多大なダメージを与えてしまいそうです
案としては2つ。
 
A:半分だけ投下する
B:次スレを大人しく待つ
 
どちらの方がよろしいでしょうか
……というか、この質問のせいで埋まったらゴメンナサイorz
689名無しさん@ピンキー:2006/07/31(月) 00:41:57 ID:KNYUy1SC
C:今から新スレ立てるからそこに投下
690名無しさん@ピンキー:2006/07/31(月) 00:42:24 ID:k6j9q/aI
>>688
神の為に立ててくるぜ
スレタイは>>685で立ててみます
691名無しさん@ピンキー:2006/07/31(月) 00:44:53 ID:k6j9q/aI
嫉妬・三角関係・修羅場系総合SSスレ 無言電話14回
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1154274190/

立てましたが1のテンプレミスしましたorz
ごめんなさい皆様。
692名無しさん@ピンキー:2006/07/31(月) 00:55:43 ID:KNYUy1SC
では、今スレが埋まるまでの間、言葉様が管理しておきます。

              /::_,. .......:::::::::::::゛`ー 、
             /::/::::::::::::::::_,,.:::::::::::y:::::\
         /:://::/".メ.//|::}丶::::::::\
         ///::,イ::./ ノ/  |/   i::::::::::::ヽ
          ///::::/::::|/ ⊂⊃   丿 \|::::::::::::::|
       /::::':::::/::::::|        ⊂⊃イ |::::|y'
       /::::,::::/:::::::|   i`ー 、       | |::リ  ここが、あの女のハウスね。
      ,|::::/::/::::::::|   |   `ー.、    リ::|   
      | /::/:::::::::::| .   |      7   /|::|  
     ,イ/::::|:|::::::::::|   t     /"   ノ"|::::|
      |'/:::::::|::|i::::::::|::`-..,,_\,..../"__,./::::l:|::::|
      ./::::::::::||:::l:::::::::l::/\~7::::゛~ ̄::::::::::::::|/|:ノ
    /::::::::::::|::::::i:::/   \|\.:::::::::::::::::::::::|/|
    /:::::/:::::i::::::::/ゝ、!- 「 ̄y ̄j::::::::::::::::::::'‖|
    /::::/:::::::j:::::::/  /`  / ∧ t;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;|;;}
  ./::::::|:::::::丿::/  /    ̄∨ ̄|\::::::::::::::::|::|l
.. /::::::::|:::::::/:::/  /      `i  | \:::::::::::| |i
 /::;イ |:::::::|:::/  /    o  o|  |\. \:::/  ||
, '::/ |. ||:::::/:::ミゝ'         |  |::::\r'\  jj 
   |. | L::/iノー-ー‐-ー-ー‐ -ー-::::::: ~`"
   k tメ/|i i ‖ i ‖ i | i  ‖ハ:::::ノ
  /|7ゝ't::::|丶ー-ー-ー-ー‐-ーー ' ̄
/  |   `し:::::::/〜〜/:::::::::::|〜〜|
693 ◆gPbPvQ478E :2006/07/31(月) 01:09:23 ID:wmtpz+Zx
>>691
最大限の感謝を。
本編ももうすぐ終わりますし、貴方のために外伝書きます。
というか書かせてください。
お望みのシチュでもあれば、是非。
694名無しさん@ピンキー:2006/07/31(月) 01:19:20 ID:k6j9q/aI
>>693
神よ・・・いいのですか?
許されるならば双子姉とユウキさんのラブラブなエッティ外伝を・・・・

みんな・・・・スマン!!
でも双子姉が本編でああいう状況なのを黙って見過ごせないんだ!!

神も無理なら無理で却下してくださいね。
本編かいてくれるだけで幸せなので。
695名無しさん@ピンキー:2006/07/31(月) 01:20:49 ID:k6j9q/aI
双子姉じゃなくて怪物姉の間違いでした。

4回死んできますorz
696 ◆gPbPvQ478E :2006/07/31(月) 01:26:56 ID:wmtpz+Zx
>>694
了解しました
では本編の作風を壊してしまいそうで書けなかった
ラブコメ風甘々えっちなものをひとつ
(注:セツノも出てきます)

しかし……ユメカはどうしてここまで支持されたのだろうか
いやまあユメカ好きですが
でも、あとりんの方がもっと好きです
697名無しさん@ピンキー:2006/07/31(月) 01:27:52 ID:bWSBzPRn
>>691
ずるいッ……ずるいよう!あ、あたしが、あたしだって、ほんとは、あたしが!彼の為にスレ立てしてあげたかったのに!違うあたしがすべきだった!あたしがするはずだった!
それを……奪い取って……、か、彼に、感謝までされてっ!

だめ!そんなのだめ!許さない!だって、彼はあたしんだ!あんたのじゃないっ!やだよ、ぜったいやだ、彼の心の百分の一も億分の一もあげたくないんだもん!

だから!

あたしが!

こんなスレ、あんたもろとも埋めてやるんだからっっっ!



つーことでスレ立て投下乙!萌えたぜ。
698名無しさん@ピンキー:2006/07/31(月) 01:33:32 ID:olp0lNyc
>>697
久々のナイス返し。
699名無しさん@ピンキー:2006/07/31(月) 01:40:12 ID:ljfhMU5G
>>696
キターーー―!!!
しかもお姉ちゃんだけじゃなくセッちゃんまで登場だなんて

あぁ嬉しすぎて涙零れそう
700埋めネタ  ◆JfoDS60Gas :2006/07/31(月) 19:58:43 ID:utLzgzj1
やっと13スレになって、あなたとずっとずっと一緒にいられると思っていたのに。
14スレが現れてから、何もかもが変わってしまったわ……
私、あなたのことが好き、愛してる。
あんな、降って湧いたような14スレなんかにこの気持ち負けない。

小さい頃からずっと見てきたんだ。
あなたががんばっている姿を見るのが大好きだったんだよ。
あなたが、「好きなんだ」って告白してくれたときはすごくすごくうれしくて。
こんな幸せは他に、他になかったの。

それなのに。
あなたはその14スレのほうがいいの?
新しくできる彼女のことがいいっていうの?
そんなの認めない、許さない。だから……
え……ちょ、やめ、やめてっ、私がいらなくなったから埋めるなんて、そんなこと言わないで!
お願い、お願いだから、私のこと、埋めないで!!


※永遠の願いの内容とは関係ありません。
※あちらはもうちょっとで次をアプできそうなのでお待ちください。
701名無しさん@ピンキー:2006/07/31(月) 23:29:33 ID:hbSKXW/7
>>700
作者様期待しております(゚ー゚*)
やっぱり幼馴染は依存嫉妬にいい属性だなぁ
ナイス埋めネタっす(*´д`*)
702名無しさん@ピンキー:2006/08/01(火) 01:26:23 ID:7lwZeLDM
さっさと埋めるべ

  ノ  ヘ
(● ´ ひ ` ● )
   '∀'
703 ◆gPbPvQ478E :2006/08/01(火) 02:36:30 ID:9lF0EAag
埋めネタ投下します
704 ◆gPbPvQ478E :2006/08/01(火) 02:43:50 ID:9lF0EAag

〈注意〉
 この作品は、本編「血塗れ竜と食人姫」の雰囲気をぶち壊しにする恐れがあります。
 ・本編での怪物姉の扱いに不満を抱いている方
 ・怪物姉に異常な興味を抱いている方
 ・怪物姉を愛している方
 上記のどれにも該当しない方は、読後に頭痛・目眩・脱力感などに襲われる可能性があります。
 お気を付けください。

〈設定〉
 このお話は、以下のifを含めています。
 ・ユウキが中央監獄監視員になっていない
 ・イナヴァ村が普通に存続している
 そのせいで本編と設定が食い違うこともありますが、基本的な設定はあくまで本編準拠とさせていただきます。
 
〈注意その2〉
 ユウキはヒロインではありません。主人公です。

705怪物姉開戦記 ◆gPbPvQ478E :2006/08/01(火) 02:44:58 ID:9lF0EAag

 ごくり、と緊張を飲み下すために喉を鳴らす。
 己の服装に問題はないか、川面を覗き込み何度もチェック。
 宮仕え初日として、失礼のない格好で向かわなければならないため、その目はいつにも増して真剣である。
 見学や研修、挨拶などでは執政省に入ったことは何度もあるが、その一員として入るのは今日が初めて。
 
 ユウキ・メイラー18歳。
 執政官秘書として、初出勤。
 
 心の中で何度も突撃の雄叫びを上げる。
 気合いのノリは最高潮。
 あとは顔を上げ、出撃するのみ!
 さあ行け、ユウキ・メイラー! 職場がお前を待っている!
 
 
「……緊張するなあ」
 
 
 心の中はどんなに強気でも、表に出るのはヘタレだった。
「……まあ、どれだけ緊張したところで、今日が初出勤だってことには変わりないしな」
 半ば諦めつつ顔を上げる。
 それに、緊張感があった方が、間の抜けた失敗をしないで済むかもしれない。
 学院生時代はそんな失敗を大量にしてしまい、仲の良かった先輩に幾度となくからかわれてしまった。
 これからは、そうならないようにしなければ。
 それに、同期の少女も確か今日が初出勤だったし、2人で助け合えばどうにでもなるはず。
 そうだ、無駄に気負う必要なんてない。
 どうせ自分は新人も新人、仕事なんて知識としてしか覚えてない半人前だ。
 失敗を恐れるのではなく、成長することを考えなければ。
「――よし、行くか!」
 気合いを入れて、川に背中を向けた。
 ありがとう川さん。貴方のおかげで、私は自分を見つめ直すことができました。
 
 そんな清々しい気持ちで街道に目を向けると。
 
 
 お尻が見えた。
 
 
「――んなっ!?」
 慌ててそっぽを向こうとして、足がもつれる。
 そしてそのままバランスを崩し――
 
 どぼん、と。
 
 早朝の運河に、大きな水音が響いた。


706怪物姉開戦記 ◆gPbPvQ478E :2006/08/01(火) 02:45:35 ID:9lF0EAag

 
 
 
 ――私は様々な秘書を付けてきたが、初日にしわくちゃの官服で出勤してきたのは君が初めてだよ。
 
 ユウキが付くことになった初老の高官――クロス・ケレブは、溜息混じりにそう言った。
 これでも一生懸命絞ったんですよ、と言い訳したかったが、何の意味もないので止めておいた。
 綺麗に糊付けされていた襟は今や見るに耐えない代物になっていて。
 本来なら挨拶回りをすべき初日に、ユウキは机仕事を大量に押しつけられていた。
 無様な姿の秘書を連れて歩くわけにいかないのは当たり前である。
 悪いのはあくまで自分。
 今はとにかく、この大量の書類仕事を黙々とこなさなければ。
 書類仕事に関しては、学院生時代に勉強していたことが殆どなので、特に違和感なく進められた。
 クロス執政官には多大な迷惑をかけてしまったので、せめてこの仕事だけでもしっかりとやらなければ。
 
 
 しっかし。
 女性のお尻を偶然見てしまっただけであそこまでうろたえてしまうとは。
 自分のそういった方面への免疫の無さには涙が出る。
 学院生時代は無茶苦茶美人の先輩と、よく一緒にいたので、そういうのには慣れていてもおかしくないのだが……。
「……アマツさんに相談してみようかなあ」
 でも、相談したら豪快に笑われそうな気がする。いや、笑われるだけでは済まないか。
 
「――なにを相談するって?」
「うわあっ!?」
 
 いきなり背後から声をかけられて、ユウキは情けない悲鳴を上げた。
 慌てて振り向くと、そこには見慣れた顔がひとつ。
「なんだ、サラか。脅かさないでください」
「うっさいわね。貧相な格好で出勤した馬鹿が生意気な口きいてんじゃねーわよ」
「はいはい、それは失礼いたしました」
 
 いきなり声をかけてきたのは、女性用の官服に身を包んだ顔馴染みだった。
 名前はサラ・フルムーン。ユウキと同い年の少女で、他の高官の秘書となった学院同期である。

707怪物姉開戦記 ◆gPbPvQ478E :2006/08/01(火) 02:46:20 ID:9lF0EAag

「で、何の用ですか? サラはベボユ様付きでしたよね。ここはクロス様のお部屋ですけど」
「んなこたーわかってるわよ。
 ボクはね、初日に情けない失敗をして落ち込んでるだろう同期を笑いに――って、あれ?」
「? どうかしました? 泥魚みたいな変な顔をして」
「誰が泥魚よ! じゃなくて、ユウキ、なにやってるの?」
「普通の書類仕事ですけど……。水路管理のやつは講義で扱ったのと同じ形式ですね」
「いや、それは私もわかってるけど……ちょ、これ全部ユウキがやったの?」
「そうですけど……まだ半分も終わってませんよ?」
「早すぎだって! っていうか、私なんてまだ書類触らせてすらもらえないのに!」
「……罰みたいなものですから」
「で、でも、水量計算とか、普通もっと時間かかるよね?」
「そうでしょうか……?」
 
 ひょっとしたら、長期休暇のときに色々な書類整理の練習をやっていたのが良かったのかもしれない。
 遊びに行くお金なんてなかったため、ひたすら寮に籠もって勉強していた記憶がある。
 まあそれはそれとして。
 
「で、人を笑いに来たのなら、好きなだけ笑っていってくださいな」
 反論できる余地は皆無なので、嘲笑は甘んじて受けなければならない。
 これをバネに、明日以降頑張ることにすればいいのだ。
「あー、うん。笑いに来たんだけど、えっと、そろそろお昼じゃない?」
「……そういえばそうですね」
 窓の外に目を向けると、さんさんと照った太陽がちょうど真上でのんびりしていた。
「ボク、ちょうどお昼休み入ったとこなんだ。折角だから、一緒に食堂行かない?」
「んー。ですけど、クロス様はまだ戻ってきませんし、勝手にここを離れるわけには……」
「……むー」
「申し訳ありませんが、サラは先に食堂へ向かってくれませんか?
 僕の方も終わり次第向かいますから、良い場所を取っておいていただけると助かります」
「……仕方ないわねー。お昼休みいただいたら、すぐに来るのよ!」
「善処します」
 
 何故か少しだけ上機嫌なサラは、軽い足取りで部屋から出て行った。
「……って、そういえばサラ、ノックしてませんでしたよね」
 アレでいいのか秘書一年目。あとで注意しておかなければ。


708怪物姉開戦記 ◆gPbPvQ478E :2006/08/01(火) 02:47:03 ID:9lF0EAag
 
 
 
 その後。
 戻ってきたクロスは、ユウキが7割ほど済ませた書類の束を見て、かなり驚いていた。
 さっぱりわからずに泣きつくか、できてもせいぜい2割程度だと思っていたそうな。
 ユウキは官服の件を許され、新しい制服を渡された。
 これに着替えて昼休みを取ってきなさい、とはクロスの言葉。
 どうやら、ユウキのために新しい官服を一色揃えてきてくれた模様。
 しきりに恐縮したユウキに対し、初老の執政官は、
「今はそれほど忙しくはないからな。雑務官の娘の尻を撫でるついでだ」と笑って言った。
 
 
 そんなこんなで昼休みをいただき、サラが待っているであろう食堂へ向かう途中で――
 
 再び、お尻を発見した。
 
「って、ええっ!?」
 朝に見たのと同じお尻のような気もするが、別にそこまで凝視していたわけではないので不確定である。
 ではなくて。
 よく見ると、お尻の主は、四つんばいになって何やら拾い集めている模様。
 小さく細かいもののようで、床に口づけしそうなくらい、顔を寄せて探している。
 
「あの、拾うの手伝いましょうか?」
 足下に気を付けながら女性に近付く。
 それに気付いた女性は、長い黒髪を静かに揺らし、ユウキの方へと振り向いた。
 
 その顔を見た瞬間。
 ユウキの胸は、内側から強く叩かれた。
 
「あ、えっと、その、お、落とし物拾うの、て、手伝いましょうか?」
 何故か上手く言葉を紡げず、つっかえつっかえで声をかける。
 ユウキは女性に不慣れな方ではあるが、ここまで話すのに手間取るほどではない。
 一体何が原因なのか。
 下着越しでも肉付きの良さがわかるような、形の良いお尻を見てしまったからか。
 振り返った女性の顔が、とんでもなく整っていたからか。
 流れる黒髪の美しさに目を奪われたからか。
 理由はわからない。でも、間違いなく、今この瞬間、ユウキはこの女性に心を奪われていた。
 
「あっ! 川に落ちた人じゃないですか!」
 
 鈴を転がすような明るい声色で、
 四つんばいのまま、女性はそんなことを言ってきた。

709怪物姉開戦記 ◆gPbPvQ478E :2006/08/01(火) 02:47:43 ID:9lF0EAag

 女性と一緒に四つんばいになりながら、ユウキは床に散らばる小さな欠片を拾い集めていた。
 落とし物は、柔らかい軽石のようなもので、強く擦るとさらさらと崩れてしまう。
 なるほど、これなら四つんばいになって慎重に拾うのが確実である。
 
「どうもすみません……わざわざ手伝っていただいて……」
「気にしないでください。ちょうど昼休みですし。……ひょっとして朝も同じように?」
「み、見られてたんですか!? うう……お恥ずかしいところを」
「えっと……」
「こっちに来てから失敗ばかりで……このままでは、帰ったときにセっちゃんに怒られちゃいます」
「セっちゃん?」
「ああ、妹です。故郷でお留守番中なんですけど、いっつも私のこと馬鹿にするんですよ!」
「は、はあ」
「この前だって、セっちゃんが怪我したから手当てしてあげたのに、あとでぷんすか怒るんですよー。
 理由を聞いてみたら、包帯と下着を間違えたからですって。清潔な布には変わりないのにー……」
「…………」
 
 会話をしながらふと思った。
 この女性、相当天然ではなかろうか。
 
 よく見ると、鞄の底に大きく穴が空いている。
 確かにこれなら、通路のど真ん中で荷物をぶちまけてもおかしくない。
 拾い終わったら、指摘してあげなければ……。
 
 現在、ユウキと黒髪の女性が作業しているこの通路は、どうやら人通りが滅多にないところのようで、
 2人揃って四つんばいになっているところを見とがめられた様子はない。
 というか、見つかったらとんでもなく恥ずかしい気もするが。
 
「そういえば、自己紹介がまだでしたね。
 ――私、ユメカっていいます。ユメカ・ヒトヒラです。
 田舎者でご迷惑おかけしました」
 
 迷惑云々は田舎者とかそういう問題ではない気もするが、まあそれはそれとして。
 ユウキも自校紹介を返し、そのまま2人で雑談しながら作業を続けた。

710怪物姉開戦記 ◆gPbPvQ478E :2006/08/01(火) 02:48:25 ID:9lF0EAag

 
 
 
 そして、あらかた拾い終わったところで。
 
「そういえば、これ、何なんですか?」
 
 ふと気になったことを訊いてみた。
 黒髪の女性――セツノさんは、ぱちくりと目を瞬かせて。
 
「えっと、媚薬です。粉末状のを固めてあるんですよ。
 吸ったら効果が出ちゃいますから気を付けてくださいね?」
 
 
 は?
 
 
「って、いけない!
 これ、機密事項でした! どうしましょうユウキさん!?」
「え? ちょ、その」
「あああ、とにかく口封じしなくちゃ! まだ任務終わってないし――ていっ!」
 
 がつん、と。
 後頭部に手刀を叩き込まれて。
 ユウキの意識は、そのまま暗闇の中へ落ちていった。
 
 
 
 
 
 目が覚めたら、身動きが取れなかった。
 暗くて狭い部屋の中、どうやら縛られている模様。
「ここは……?」
 ぼんやりとした頭で辺りを見回すと、聞き覚えのある声がかけられた。
「――今は使われていない倉庫です。離れの方にありますから、近くを人が通りかかることもありません」
「……ユメカ、さん?」
 先程までの明るい雰囲気はどこへやら。
 冷たい視線を突き刺すユメカが、そこにいた。
 
「ユウキさんは、知ってはならないことを知ってしまいました。
 親切で手助けしていただいた手前、抵抗はあるのですが、仕方ありません」
 完全にユメカのせいだと思うのだが、ユウキはユメカの雰囲気に呑まれて何も言えなかった。
「本来ならお亡くなりになっていただくところですが……場所も場所ですし、死体の処理が面倒です」
 言っていることは物騒なのだが、あまりに物騒すぎるので、逆に現実味がないなあ、とユウキは思った。


711名無しさん@ピンキー:2006/08/01(火) 02:48:56 ID:1/XYxOOh
>>55は渡さないわよ!この泥棒猫!!
712怪物姉開戦記 ◆gPbPvQ478E :2006/08/01(火) 02:49:31 ID:9lF0EAag

「……き、今日のことは誰にも言いません」
 だから解放してほしい、と。駄目で元々、提案してみた。
「すみませんが、その言葉には何の確証もありません。
 ですから、このまま解放というわけにはいきません」
 
 では一体どうするつもりなのだろうか。
 まさか、記憶がなくなるまで殴るとか言わないだろうな……?
 
 と、ユウキがビクビクしていると。
 
「――ユウキさんには、共犯者になってもらいます」
 そう言って、ユメカは着ている服を脱ぎ始めた。
 
「へ?
 って、ちょ、ユメカさん、なにを!?」
「都合のいいことに、手元に媚薬もあります。完璧ですね!」
「いやちょっと待ってください! 全然完璧じゃありませんよ!?」
「だってー……ユウキさん、凄くいい人みたいですし、乱暴な真似はしたくないので……」
「だからって何で裸!?」
「一緒に気持ちいいことして、ついでに私の仕事も手伝ってください☆」
「わけわかりません! と、とにかく服を着てください! あと☆ってなんですか☆って!?」
「え? 着たままの方がいいんですか」
「そうじゃなくて! ああもう!」
 
 じたばたと暴れるユウキ。
 それを微笑ましく眺めながら、ユメカは怪しい笑みを浮かべる。
 
「もう、ユウキさんってば可愛いですね。いっぱい、ご奉仕しちゃいます」
 ぺろり、と下唇を舐めるユメカ。
 ユウキは身の危険を感じ、とにかくこの場を逃れようと必死に思考を巡らせる。
 縛られて身動きの取れない状況。
 ユメカは何やら非合法な任務の最中。
 物理的な口封じも手段のひとつとして存在する。
 そして何より、ユメカのぶっとんだ思考回路。
 
 ――結論。
 
「あ、あの……ユメカさん」
「何ですかあ。もう観念しちゃってくださいよう」
「いえ、ひとつだけお願いが」
「?」
 
「ふ、服だけは脱がせてください。
 これ汚しちゃったら、換えがありませんので……」
 
 こうして、ユウキは屈することになった。

713怪物姉開戦記 ◆gPbPvQ478E :2006/08/01(火) 02:50:10 ID:9lF0EAag

 
 
 
 
 
「……遅い!」
 
 執政省の食堂にて。
 窓際の席を確保していたサラは、不満の叫びをおもむろに上げる。
 与えられた昼休みは、もうじき終わろうとしていた。
 そろそろベボユ執政官のところに戻らないと、雷が落ちる恐れがある。
 きゅるるる、と可愛くお腹が鳴ってしまう。
 同期の青年を待っていたせいで、結局昼食にはありつけなさそうだ。
 
 重い溜息を吐いて、サラは立ち上がる。
 そしてそのまま、食堂をあとにした。
 2人分のランチが、机の上に残される。
 
「――ユウキ、何やってるのよう」
 
 
 
 強姦されてるだなんて、一体誰が想像しようか。



714 ◆gPbPvQ478E :2006/08/01(火) 02:51:42 ID:9lF0EAag
ヒロインはユメカです。ええもう。
たぶん続きます。
ただ、こちらの外伝は一話一話で独立した話になるのでご注意を。
『怪物姉○○記』というタイトルで、今後出すことになるかと思います。
まあ、基本的には埋めネタ扱いで。

それでは本編共々、これからもよろしくお願いします。

715名無しさん@ピンキー:2006/08/01(火) 02:56:23 ID:64CSJ2E0
>>714
怪物姉ラブ。
716名無しさん@ピンキー:2006/08/01(火) 02:57:21 ID:eqDvZSMj
前スレなんて見てなかったけど、これからはログ消せないなー
とりあえずGJです
717名無しさん@ピンキー:2006/08/01(火) 03:00:37 ID:9O3bnYeN
キキキキキキターーーーーーーーーーーーー!!!!!!

次元は変わっても天然さとエロさは健在!!!
はげしくGJっす!!!

あぁ続きが楽しみでならない


でも一箇所だけ誤字ハケーン
>>710
>黒髪の女性――セツノさんは
何時の間にセッちゃんに入れ替わったんだろ
718 ◆gPbPvQ478E :2006/08/01(火) 03:02:06 ID:9lF0EAag
>>717
うああああああああああ!?
亡霊が出た!!!

ごめんなさい誤字ですorz
セツノは次回登場予定
719名無しさん@ピンキー:2006/08/01(火) 03:21:31 ID:Zz0XLj5p
超GJだ、 や っ ぱ り 怪 物 姉 は エ ロ い な !!11!
720名無しさん@ピンキー:2006/08/01(火) 05:28:10 ID:kpn1hWB5
逆レイプサイコーーーーーーーーーーーーーーー!
721名無しさん@ピンキー:2006/08/01(火) 08:15:42 ID:wRANdvQ6
こ、こんなレベルの高いssが梅ネタとして扱われていいものか・・・
722名無しさん@ピンキー:2006/08/01(火) 11:38:54 ID:KwySGAdg
( ・ω・)∩ゲスト扱いと思われるサラに心惹かれるおいらはどうすれば?
723名無しさん@ピンキー:2006/08/01(火) 14:23:12 ID:Tdnch12G
ッッしゃああああぁぁぁああああああ!!!!!!!!!

エロ姉大好きィィイイイィィ!!!!!!!!
724名無しさん@ピンキー:2006/08/02(水) 18:04:30 ID:7wUUsc7c
キタキタ━━━━━━(゚∀゚≡゚∀゚)━━━━━━!!!!!!!!
725名無しさん@ピンキー:2006/08/02(水) 18:23:22 ID:kk5SKnbT
(*´Д`*)エロ姉ハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァウッ
726名無しさん@ピンキー:2006/08/02(水) 19:11:56 ID:JX/Ldr/T
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727名無しさん@ピンキー:2006/08/02(水) 19:16:35 ID:JX/Ldr/T
しくじった再挑戦
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728名無しさん@ピンキー:2006/08/03(木) 01:52:21 ID:sM0w0SPr
阿修羅殿更新乙です
その心意気に惚れた
そして阿修羅殿の嫁との壮絶な取り合いに参戦
729名無しさん@ピンキー:2006/08/03(木) 08:12:53 ID:hGkcEpzo
>>728
後ろ・・・!!って遅かったか・・・・・
730名無しさん@ピンキー:2006/08/03(木) 11:37:53 ID:yKBERGTm
                      _r‐.、
               ___       〈:..\}\   ,r==、_r‐..、_
           /三 \    ,|:ト、:.:.:::::ヘ 〃 / ̄`ー‐ヘ、
          /´ __  ヾ\/:.|:|_ハ::.:.:. ::ヘ{__//´゙>、:::::::::::.:.:.丶
         / /:/´ ̄`>、_入;」/´ヘ::.:.:.:ヘ厶i∠_ `ヽ、:::::::::::.:..\
       /  /.::/  //〉杉′/ / ∧: :.::}ヽ`ヽ `ヽ、  `''ー- ::;;__ヽ
.      /  /:.:/ / /:.:/IW  / / /! l\_j  ` ヽ ` ヘ  ーつ    `
     /  /:.:/ /  /;:.:.:| {ミ{  i /i´丁゙メ{     } ri  j |  っ
.     /  /:.:/l. /  //:.:.:/ {ミ| lト|_ォ=ミ、|`ヽ、 /レメ /:リ
    /  /:.:.l l|/  //レ'´  {゙ヘ `ヾ{いJハ  ィ心ムイ ′   ` o
.   /  /:.:./|/ ..:.//    _ヽ≧、_ヾ‐┘  {rソ厶ノ
   i :l i:.:.:l:.:|...:.:ル′ _rヘ_/´r:::::´\`  rァ  丿    あが〜〜〜〜〜〜〜
    V:| :l:.:.:|:.:l:.::/  ,r仁>仏::;!:::::::::::::ノ辷ァ7´
    V!.:|:.:.|\::{  /:::| ̄\l!:::`ー‐匕::::::/つ>っ
    V:.ト、:i ヾ⊂|::::::\__人:::::::::::rイ\廴人;;/
     ヾ.! `ヽ  `ヘ::::::::/廴/^lー小{
        ヽ       \::{::i、:\ト〜ハ
          `       ̄`ヽ:::::::::::::::|
                 `'ー'じ′
        ー=ニ二三三三三三三三三二ニ=
731名無しさん@ピンキー:2006/08/03(木) 17:13:05 ID:vxCaaEy3
13人目が誰にも見つからないよう埋め
732名無しさん@ピンキー
     .;;ヽ,;.;.,、    うめ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
     /./^`、                   ',
    .lし( ,,.---]_                   ヽ
     k,,,,"l   〈ヾ。                 ヽ
     /-^]r  ^ ヽ                   ヽ
       l /^ヽ 7                   ヽ
       lr゜   "                     ヽ
                             ,,,,_  ヽ  /゚l-、
                            //^ヽ_.ヽ,l/_/ l、\
                 lt         .//,/'''゛'゛'''゚ ゛ |  \
                  ] ヽ__ _,,.。    7 /"  r、   、  |   ヽ
                 |.ヽ  ;゜    l ,/ ,,/へ , ./゜\ ,|    ヽ 
                ./,,.;、  .ヽ   ,, |/ /__.ハ__ヽ/__ハ__\|    ) 
               ^゜'  ]  .;,,_ ヽ  [゚l]^ヽl. ̄'!.l´'' ̄`!.l´ ̄ |    l.
                  .l ,/゜'^.\ _l l;;./l  __,,..-- --、 ./゚l、  lヽl
                  .lv゛      t、.ヽ(  l      1x'イ.l  l ̄  ̄  ̄.7
                          .\ .\''_l.      .lイ^ヽl ./     ./
                           ,,k./ /('l、,__ ___,,.]!  ゚l./     ./
                        ,, '"  ]゜ /  lヽ_ヽ /__l.f[ ./^|._ __ __.ノ
                       (。    V)l.、__l.(ニ。^"゚。ニ))、.;/\.  `、
                        '゙ ヽ-、___....,-^ ! ./> く\ !l\__/ヽ.  \
                            /   l /| |\  l| '゙、。,,゙'  '\