トリップテストです。
〜血に染まる桜〜
偶然早起きして、いつもより早く学校に着くと下駄箱の中に便箋が入っていた。
周囲を見回して、誰もいないことを確認してから手紙の内容に目を通す。
『海原君へ
私は同じクラスになったときからあなたのことが好きでした。
一度でいいから、二人きりで話がしたいの。
もしこの手紙を読んで、会ってもいいと思ってくれたら、』
「『お昼休み、屋上に来て。』か・・・・・・」
苦節17年、ようやく俺にもモテ期が到来したようだ。
一ヶ月前に桜と恋人同士の関係になっているから当然返事はNOなわけだが、
誰が俺のことを好きになったのかということには興味がある。
「ちょっと話をするだけなら、いいかな。」
付き合いだしてから桜は一気に嫉妬深くなり、女子部員と話しているだけでも目に見えて不機嫌になる。
でもクラスメイトからラブレターを受け取ったのに、それを無視したらクラスの女子全員を敵に回す可能性もある。
学生生活を円満に送る秘訣はテストで赤点をとらないこと、友人を作ること、そして女子を敵に回さないことだ。
手紙をポケットに入れて教室に向けて歩き出すと、突然背中に針が突き刺さった――ような感じがした。
振り返っても誰もいない。気のせいにして、再び教室に向かって歩き出した。
昼休み。桜は用事があると言って弁当を渡すと、どこかに行ってしまった。
あいつが俺と一緒に食べないだなんて珍しい。今日は学食で食べ放題パーティーでも開催しているのだろうか。
あいつも女の子だから、俺の前でガバガバ食っているところを見られたくないのだろう。――とっくにバレバレだが。
今日のおかずは豚肉の生姜焼きだった。ハンバーグだけでなく、他の料理も上手い。
大河内母といういい教師がついているから、上達も早いのだろう。
弁当を完食してから、さっそく屋上に向かうことにした。
このとき、昼休みは20分が経過していた。
『・・・・・・ガ、・・・・・・ド、・・・・・・ドス、・・・・・・ドンッ・・・・・・』
屋上へ向かう階段を上がっていると、音が聞こえてきた。
それは一段一段上がっていくたびに近づいてくる。
何か、柔らかいものを叩いているような・・・・・・肉を叩いているときの音に似ている。
一定のリズムで聞こえてきたその音が止まると、今度はどこかで聞いたことのある声がした。
「ぁは・・・・・・こ・・・で、この泥棒・・・は動・・・・・・く、なったわ・・・・・・」
桜の声、だった。――嫌な予感がする。
俺を待っている女の子。桜。肉を叩く音。
心が警鐘を鳴らしている。鳥肌がたつ。
階段を駆け上がり、屋上へ続くドアを開けた俺が見たものは――
屋上の床一面を染める鮮血と、
制服を血に染めて、ありえない方向に体の関節を曲げて動かない女生徒と、
血に染まった木刀を持ちながら、笑い声をあげる少女の姿だった。
桜が狂った。そうとしか思えない。
いくら嫉妬深いとはいえ、まさか人に危害を加えることはないと信じていた。
だが目の前にいる少女は、俺に告白をしようとした女の子を木刀で動かなくなるまで殴った。
俺の方を振り向いた桜は、返り血を浴びたまま笑顔を浮かべていた。
「ああ、先輩。ちょうど良かった。今終わったところでした。」
「っ・・・・・・終わったって、何が・・・・・・だよ。」
「泥棒猫の退治ですよ。猫らしく逃げ足だけは速かったですけど、膝の骨を砕いたら倒れて動かなくなりました。
そこからはすぐに片がつきましたよ。もう、息の根を止めちゃいました。」
「・・・・・・さ、く、ら・・・・・・」
「ところで先輩。お弁当の生姜焼きは美味しかったですか?
今日の出来はかなり良かったからお母さんも褒めてくれたんですよ。
だ・か・らぁ、先輩も褒めてください。」
「おまえっ・・・・・・!」
今回ばかりは、俺の堪忍袋も緒が切れた。
「桜ァァッ!!」
床に置かれていたのモップを手に取り、桜めがけて突進する。
突進の勢いをのせた横薙ぎの一閃は、木刀で受け止められた。
「せ、先輩?! いきなり何するんですか!」
「何も言うな。もうお前は――寝てろ!」
モップを離し、みぞおちに向かって全力で拳を叩き込む。
桜はそのまま脱力して、床に倒れこむ――――ことなく、前かがみのまま喋りだした。
「・・・・・・そうですか。ここで、私と手合わせをしたいっていうことですね。
いいですよ。じゃあ――――死合い、開始です。」
そしてその体勢のまま左手で木刀を腰溜めに構えて、――――まずい
右手で木刀の柄を振り抜くのが見えた。――――しゃがめ!
ビヒュッ!
木刀を振る音ではなく、鋭い刃物が空気を切り裂く音が耳元で聞こえた。
床に落ちたモップを拾い、続く袈裟切りを転がって避ける。
右手には、真剣が握られていた。
「おまえ、そんなものまで・・・・・・」
「綺麗な刀でしょう?昨日道場の倉庫の中で偶然見つけたんですよ。
先輩に見せようと思って持って来たんですけど・・・・・・
まさか先輩と死会うことができるとは思いませんでした。」
「俺も、殺すつもりなのか・・・・・・」
首を傾げて考えるような仕草をしながら、正眼の構えで俺と向き合った。
「ちょっとだけ、違います。
先輩は、私と離れたくないって言いましたよね。もちろん私も同じ気持ちですよ。
でも先輩は私というものがありながら、泥棒猫のところに行こうとした。
私はずぅっとずぅぅっと欲しかった先輩を手放す気は、全くないんですよ。」
俺と正面から向き合った刀の切っ先は微動だにしなかった。
だからその凶刃が俺に向かってきても、気付くことができなかった。人と人が歩み寄るように日常的に、自然に近づいてきた。
――――気付いたときには、すでに俺の左胸から刀が生えていた。
「そのためにはどうすればいいか、必死で考えました。
先輩と一つになってしまえばいいんです。物理的な意味で。」
桜が抱きついてくる。優しい抱擁だった。俺の心臓から流れ出してくるものを全て受け止めるような。
「大丈夫です。私と一緒になれば喜びも、怒りも、哀しみも全てが楽しみに変わります。
これからは何も心配しなくていいんですよ」
――魅力的な誘惑だ。そしてこの誘いに対する拒否権は与えられていない。
じゃあもう、いいや。あきらめて、ねてしまおう。
おやすみ。さくら。
あはっ、あはっ! あはははは! あぁっははははははははははっ!
・
・
・
・
・
・
「・・・・・・という夢を見たんだ。」
「・・・・・・そうですか。」
「お前、まさかそんなことを考えてないよな?」
「・・・・・・・・・・・・」
「なぜ目をそらす。」
「・・・・・・ちっ」
「なぜ舌打ちをする。」
桜は木刀を竹刀袋の中に入れた。
血に染まる桜・終わり
『ひどいよ!おおこうちさん』のネタはあと四つほどあります。
三日、もしくは四日連続で投下する予定です。
ちょwwwwwひどいよ!おおこうちさん!
てかGJ!大河内さんテラモエス(*´д`*)ハァハァ
>>814 >床に置かれていたのモップを手に取り、桜めがけて突進する。
床に置かれていたモップを手に取り、桜めがけて突進する。
でした。
(てか、のモップってなんだよ!俺!orz)
さいこうだ!
あんた神だよ!
それ何てエロゲ?
>>819 神は死んだ!私の正体は超人めsゲフンゲフン
意外と好評らしいので続きを投下します。大河内はちょっとだけ出てきます。
↓
〜ある同級生の回想録〜
私が彼に対して想いを寄せるようになったのは、一昨年の春のことだった。
・
・
・
入学式が終わって、一年A組の教室で初めてのHRが行われた。
クラス担任の自己紹介の後は、クラスメイト全員の自己紹介が始まった。
こういうときの自己紹介というものはたいていつまらないし、平凡なものだ。
前の席に座っていた男子生徒の自己紹介も内容は平凡なものだったが――、
「宮内(くない)中学校出身、海原英一郎です。
中学校では剣道部に入っていました。これから一年間、よろしくお願いします」
含まれていた単語は無視できるようなものではなかった。
私が居た岩戸(いわと)中剣道部の先生と宮内中剣道部の先生は
姉妹の関係で、揃って勝負事が大好きだった。
その影響で、両校の剣道部は月一のペースで代表五人を選出し、練習試合を行っていた。
対戦方法は勝ち抜き方式。先鋒が一人で五人抜きをすることもできるルールだ。
両校のポイント差は、私が二年生になった時点で15まで開いていた。
しかし、三年になったときにはポイント差は3にまで縮み、
七月に行われた最後の試合で、とうとう逆転されてしまった。
弱小剣道部に脅威の16連勝をもたらした選手の名前は海原英一郎。
中学時代、一度会って話してみたいと思っていた人間が私の前には座っていた。
私の勝手なイメージでは荒々しくて粗暴な男だったが、
目の前にいる男子生徒はそのイメージとは違い、話しやすそうな相手だった。
心の準備を終えて話しかけようとした瞬間、先手を打たれた。
「えーと、違ってたら・・・・・・ごめん。
もしかして君、岩戸中の剣道部にいた?」
どこか申し訳なさそうな感じで話しかけてきた。
「え、と――うん。そうだよ。
それで、君が本当に海原君? なんだかイメージと違うなぁ。
そぼ・・・・・・じゃなくて、武士みたいな人なんだと思ってたよ」
「武士って・・・・・・俺、そんな風に思われてたの?」
「うん。部員全員がそう。だってそうでも思わないとこっちはやってらんないもん。
『宮内中の海原には合戦で無念の死を遂げた侍の霊が宿っている』っていうのが
卒業前に一番流行っていた仮説だったね。今頃は『武田信玄』とかになってるかも」
「んなあほな・・・・・・」
冗談なのに。どうやら彼は真面目な人間らしい。
「それでさ・・・・・・恨まれたりは、してなかったのかな」
「二年生の夏ごろまでは私も・・・・・・ちょっとだけ。けど、三年生になるころにはもう皆あきらめてたね。
だからそんなに気に病む必要はないよ」
「そっか・・・・・・良かったぁ。
いつか後ろから刺されるんじゃないかって内心びくびくしてたからさ」
そう言って彼は安堵したような笑顔を浮かべた。
その表情は、先刻まで彼に対して抱いていたイメージとは大きなギャップがあった。
その笑顔に不覚にもときめいてしまった私を誰が責められようか。
・
・
・
それから海原君と私は剣道部に入部した。
そのまま一年間彼と部活での仲間兼クラスメイトとして過ごして、そろそろ
次の関係にステップアップしようと思っていた四月。
入部してきた後輩にいきなり彼の隣のポジションを奪われた。
・
・
・
忌々しい。そして今まで行動しなかった自分自身が恨めしい。
あの泥棒猫は校外練習という理由で練習好きの海原君を誘惑し、
同時に一緒に帰るという約束まで取り付けてしまったようだ。
貧弱な体しか持ち合わせていないが、頭だけは回るらしい。
このままでは突き放すということを知らない彼はずるずるとあの女と親しくなっていき、
帰り道に突然振り出した雨の日なんかに、
「先輩。もう夜も遅いから泊まって行きませんか」
とかなんとか言われて無理矢理家に連れ込まれてちょうどその日は家の人が居なかったりなんかして
「先輩。まるでこの世界に二人だけしかいないみたいですね」
とかなんとか言われて本当に二人だけの世界にくぁwせdrftgyふじこlp;@:「」
まずい。それだけは防がなければいけない。
今まで海原君を満足させるために色々な本でアッチ系の勉強をしてきたというのに、
全てが水の泡になってしまう。
よし・・・・・・今日の練習が終わったあと、泥棒猫と一緒に帰る前に
明日彼とデートする約束を取り付けよう。
彼の心を先に奪ってしまえばあの女も強引なことはできないはずだ。
彼は私の数歩先を行きながら練心館へ向かっている。
私はその背中に視線で念を送りながら、歩く速度を上げた。
今日の校外練習ではくじびきで決めた相手と試合をすることになった。
私の相手は運のいいことに泥棒猫だった。
(あなたの弱点は、お見通しなのよ。)
『はじめ』の合図前から、わたしは勝利を確信していた。
しゃがんでいる泥棒猫の右膝が私の方に真っ直ぐ向けられている。この体勢は
『開始直後に突きを繰り出す』という合図だ。
そして『はじめ』の合図と同時に私も突きを繰り出せば、リーチの長い私の突きが
カウンターで泥棒猫の喉に突き刺さることになる。
「はじめ!」
きたっ!全力で私の突きを喉元に――
居ない。消えた。
いや、居た。開始の合図と同時に左へ跳躍し、私の突きをかわしていた。
体勢を崩して隙だらけの私に向かって、竹刀が走る――――
――さて、みなさんは剣道をしたことがありますか?
――そして、籠手の手首部分だけを思いきり打たれたことがありますか?
――私はあります。たった今、ポニーテール頭の後輩に打たれました。痛い。
その後は右手の握力が戻らず、一本目の籠手に次いであっさり面を打たれ、試合終了。
結局右手の痛みで海原君をデートに誘うことをすっかり忘れてしまい、
早々に帰宅してしまった。
現実は、予想通りにはいかない。
・
・
・
そして現在、私は屋上で海原君を待っている。
先月、海原君と泥棒猫と付き合いだしたということをひとづてに聞いてから、
彼を奪うために練ってきた作戦を実行するためだ。
作戦名は『寝取る』。
作戦の内容は『彼と二人きりの状況に持ち込み、強引に既成事実を作り出す』。
うふふ。残念だったわね。泥棒猫さん。
彼は強引に私のものにするわ。
あなたには無い物――自慢の体――を使って、ね。
『ガチャ』
後ろからドアを開く音が聞こえた。ターゲットが到着したようね。
「うな・・・・・・っばらくん?」
振りむいても誰も居なかった。おかしいな。風で開いたのかな?
『迷子の 迷子の 子猫ちゃん♪』
歌が、聞こえた。
『あなたの お家は どこですか♪』
あの、泥棒猫の声。
『お家を 聞いても答えない♪
名前を 聞いても答えない♪』
後ろから、聞こえる。
『だって その子 生きてないもの♪
血を流してる子猫ちゃん♪』
――作戦名変更。『逃げろ』。
『町の 保健所さん♪
困ってしまって ズンドンドドン♪ ドンズンズドン♪』
――――膝が、砕けた。
「――ハッ!ハッ、ハッ、ハッ、・・・・・・ゆ、夢・・・・・・?」
私は今、自分の部屋のベッドに寝ていた。
「・・・・・・そりゃ、そうよね。あんなの、夢に決まってるわ」
まさかあの子でもあそこまでしたりはしないでしょう。・・・・・・たぶん。
それよりも早く寝ないと。
明日は早起きして海原君の下駄箱に手紙を入れないといけないんだから。
「海原君。おやすみなさい」
写真立ての中で笑顔を浮かべる同級生を胸に抱きながら眠りについた。
ある同級生の回想録・終わり
気付いたら、朝いつも起きる時間になっていた。
正直、今日が土曜日だということにとても感謝している。
今までの書いてきたもののなかで一番時間がかかりました
キャラ設定が甘いと苦労するということを身を持って味わいました
GJ!
怖カワイイヨ大河内さん((( ;゚∀゚)))ガクブルハァハァ
結果的に振られなかったしいい人だな。>大河内さん
>>825 >先月、海原君と泥棒猫と付き合いだしたということをひとづてに聞いてから、
先月、海原君と泥棒猫が付き合いだしたということをひとづてに聞いてから、
でした。ごめんなさい。
〜一月末、海面の上昇により桜前線北上〜
八月末の土曜日。ツクツクボーシが最後の力を振り絞り、
その役目を終えようとしていたある日のことだった。
私の期待を裏切り剣道バカに育った娘の桜が、
「お母さん! 明日部活の先輩が来るから、先輩の分のお昼も用意してもらっていい?」
と言ってきた。
桜は元気な娘に育ってくれた。
夫と私は長男にだけ稽古をつけていたから、
親の愛情を知らない子供に育ってしまうかもしれないと
心配していたが、杞憂に終わってくれた。
家にもよく女の子の友達を連れてきたし、
仕事で家を空けることの多い私の代わりに家事もこなしてくれた。
桜は私にとって――こう言うと親馬鹿に聞こえるが――自慢の娘だ。
しかし、心配なこともあった。
それは、全くと言っていいほど男の話をしたことがないということ。
容姿は私に似て愛らしいし、身長も夫に似ることなく
上目遣いをしたら男のハートを射止めることができる絶妙の高さ。
男にもててもおかしくないはずだ。
もしかしたら男に興味が無いのでは、と心配したこともあるが、
家に連れてくる女の子たちを見る目は友好の眼差しだった。
とはいえ、変な男がくっついてきても困ると思い、
そのまま放っておいたある日のことだった。
・
・
・
高校の剣道部に入部してから二日経った日の夕食の席で、こんなことを言い出した。
「今日ね、練習で対戦した男子の先輩とね――」
驚いた。桜が男の子の話をし始めたのだ。絶句してしまうのも無理はない。
しかし、夫と長男の反応は一味違った。
長男は鈍器で頭を殴られたように呆然としているし、
夫にいたっては焼酎を吹いた上椅子から転げ落ちた。
嬉々として部活の話を終えた娘は、夫に向かって
「校外練習をするために練心館を使わせて欲しい」と頼んできた。
剣道バカではあるが、桜は校外練習をするほどのめり込んではいなかった。
それなのに校外練習のために道場を貸してくれと頼んできたということは、
その先輩と少しでも一緒にいたいという考えなのだろう。
しかし、それでは練習を終えて帰宅するころには夜八時を過ぎてしまう。
そう思い反対しようとしたら、また驚かされる言葉を返してきた。
「大丈夫。そんなに家から離れてないし、毎日先輩に家まで送ってもらうから」
・・・・・・どういうことだ。今まで男と縁の無かった娘がここまで積極的になるとは。
もしやその先輩とやらに惚れ薬でも飲まされたのか。・・・・・・いや、さすがにそれはないか。
娘の成長を嬉しく思った私は、校外練習をすることに賛成したが、夫と長男は反対した。
心配するのはわかる。しかし、娘の恋を成就させるため(同時に夫の娘離れと長男のシスコンを治すため)には
賛成させるしかない。
一時間の議論の末、「あんたたち、いい加減に(桜から離れ)なさい!」という私の一喝で
娘の校外練習は了承された。
・
・
・
それから四ヶ月が経ち八月になった今、ようやくその先輩を
我が家に連れてきてくれるらしい。
そういうことなら私も張り切らないわけにはいかない。
一番の得意料理である特製豚汁を用意して娘の夫――もとい恋人候補を
出迎えることにしよう。
ただ、やけにご機嫌な様子でご飯を食べる夫と長男が不気味ではあった。
翌日の日曜日。
桜が剣道部の先輩だという男の人を連れて家に帰ってきた。
もしかしたら夫のような巨漢か、長男のように痩身の男でも連れてくるかもしれないと
内心覚悟を決めていたが、拍子抜けするほど普通の男の子だった。
中肉中背。くっきりした二重まぶた。そしてなにより、若い。
じゅるり。
いやいや、37才にもなって年がいもなく興奮している場合ではない。
今日は娘と我が家に対する心象をよくするために努力しなければいけないのだから。
午前十時に家族全員が参加して、彼――海原英一郎君の実力を見ることにした。
打ち込みを見ている限りでは、桜が話にするだけあっていい筋をしている。
体の使い方も上手だ。高校生にしては、だが。
一時間ほどして一通りの基本練習を終えたので、
お茶でも飲みながら英一郎君を質問攻めにしたい気分だったが、
長男が彼と試合をしてみたいというのでやらせてみた。
正直、やらせなければ良かったと後悔した。実力差がありすぎた。
長男の放つ威圧感は、喩えるなら『壁』である。
その細身の体からは想像できないほどの広い『壁』。
前進するたびにその『壁』は押し寄せてきて、
気がついたら逃げ道を塞がれそのまま仕留められてしまう。
実力が上の人間なら壁を押し返すなり横に抜け道を見つけるなりして
自分の土俵で勝負をするのだが、高校生である彼には無理だったようだ。
『壁』に追い詰められて白線の外に出て、トイレまで誘導されてから閉じ込められた。
ちょうどその時点でお昼の時間になったので、道場から引き上げることにした。
長男は足首を縄で縛って、カロリーメイトを与えてから更衣室に閉じ込めて鍵をかけておいた。
当然、水抜きで。
お昼に私がふるまった豚汁を英一郎君は何杯もおかわりしていた。
「ものすごくおいしいです」と言いながら食べるその姿を見ていたら、
まるでもう一人の息子ができたような気分になった。
可愛い。食べてしまおうか・・・・・・
と不埒なことを考えたが、正面に座っている桜が今までに見たことのない目で睨んでいたので、
早々にごちそうさまをしてから道場へ向かうことにした。
午後の練習は一時から始めることにした。
今度は英一郎君と夫が試合を行った。
夫の実力は長男でさえ歯牙にかけないほどのものだから、
当然内容は一方的なものになる。
しかし夫よ。さすがに全力で突きを出すことはないだろう。
英一郎君は突きを受けて、腰を軸に体を4分の1ほど回転させてからそのまま落下した。
彼が機嫌を悪くして二度と家に来なくなったりしたらどうやって私――じゃなくて、
桜に謝るつもりだ。今夜の晩酌は焼酎だけ与えてつまみは無しだ。
試合を終えたあと、英一郎君はすぐ帰ることになった。
首を痛めたという理由ではなく、最初から練習をするためだけに来たらしい。
桜も晩御飯までご一緒する約束を取り付ければよかったのに。
・・・・・・まあ、異性の先輩を連れてきただけでも充分な進歩だと言えるだろう。
「じゃあ、今日は本当にありがとうございました」
そう言って英一郎君は背を向けて帰っていった。
いいえ。また来てくれたら同じ料理をごちそうしますよ。
だから今度はお義母――おばさんと試合しましょうね。
――たっぷり可愛がってあげるから。
と不埒なことを考えていたら桜が色の無い目で私を睨んでいたので、
すぐさまきびすを返して家の中に入ることにした。
・
・
・
それから英一郎君が道場へ練習に来なくなってから一月になり、
剣道協会の仕事から夫婦と長男揃って朝帰りしたら桜からこんな台詞で出迎えられた。
「おかえりなさいお父さん、お母さん、お兄ちゃん!
あのね、私海原先輩と付き合うことになったから!」
その後で私は喜んだり、桜が足に包帯を巻いていることに気づいて慌てたり、
夫が叫びだすやら、長男が気絶するやらで朝からてんやわんやの事態だった。
それから、桜は毎日花が咲いたような笑顔を浮かべるようになった。
我が家の桜には一足先に桜前線が到来したようだ。
ありがとう。海原英一郎君。
一月末、海面の上昇により桜前線北上・終わり
本当はあと二つネタがあったんですが、ボツにしました。
書いてみようとはしましたが、どうやったら結末まで持っていけるかが浮かびませんでした。
(メモ帳に『結婚』とか『桜の木の下に埋めてあげる』とか書いてどうする気だったんだろうか>俺)
『ひどいよ!おおこうちさん』はこれで終幕です。
同時に『ヤンデレ?娘』と『恥ずかしい男』のお話もおしまいです。
大河内と海原を愛してくださったみなさま。
本当にありがとうございました。
また私の埋めネタも尽きましたので、
どうぞみなさん存分に埋めてください。
↓↓↓↓↓↓↓↓
乙です。内容もGJですけど
短期間でこれだけ書けるエネルギーも尊敬。
次回作も期待しておりまつ
ほのぼのしてるなGJ
ヤンデレ部分が少なめだったけど面白かったぜ
GJ
GJでした
次回作もwktkしてお待ちしております
埋めネタで「ルートC・姉に唄えば」を投下します
「……考えとくよ」
それだけ言って――僕は如月更紗のベッドから離れた。彼女の生腕が名残惜しそうに離れる。
別に、一緒に帰ることが嫌なわけではない。
神無士乃との約束を破るのが嫌なわけでもない。
如月更紗を、嫌いなわけでもない。
それが、問題なのだ。
そう――僕はもう気付いている。ここ数日のやり取りの中で、気付かずにはいられなくなっている。
神無士乃に対してそう思ったように――如月更紗にもまた、ある種の居心地のよさを感じていることに。
一緒にいると疲れる。それには変わりはない。
けれど――
一緒にいて、楽しいのも、また事実だ。
偽ることのできない――事実だ。
だから、怖い。
楽しくて、楽しくて、楽しすぎて――姉さんのことを、忘れてしまうのが、怖い。
深く情を入れてはいけない。
自分にとって、何が一番なのか、忘れるな。
何を最も優先すべきなのか、忘れるな。
お前は――姉さんが、好きなんだろう。
お前は――姉さんの、仇が取りたいのだろう。
なら、それを一番に考えろ。
死んでいる姉さんと、生きている神無士乃や如月更紗を天秤にかけて。
いない君と、いる誰かを秤にかけて。
迷わずに――姉さんを選べなければ、ならない。
迷っては、いけない。
「なあ如月更紗」
僕はベッドを離れ、保健室のベッドを囲む白いカーテンに手をかけながら、如月更紗に話しかけた。
如月更紗は「ん?」と、枕の上で器用に首を傾げてみせた。何かを心待ちにするような、楽しそうな
表情。
そんな如月更紗に、僕は尋ねる。
「お前――いつから僕のこと好きなんだよ?」
どうして、と聞くべきだったのかもしれない。
けれど、直接的に聞くのが何となく恥かしくて、そう訊ねた。
如月更紗は――
「ああ、ああ、そんなことか」
応えて。
微笑みながら、僕の問いに、楽しそうに答えたのだった。
「勿論秘密だよ。秘密だけれども――夜にベッドの上で教えてあげなくもないわよ」
「そういう物言いが胡散臭いんだよなあ……」
答えを期待していたわけではないけれど、こうもはぐらかされるといい気分ではない。
まあ、夜を期待しておこう。
ひょっとしたらひょっとすると、何かの気まぐれで、如月更紗自身のことを話してくれるかもしれないから。
「それじゃあ――またな」
「また、ね」
挨拶をして、僕は如月更紗と別れて保健室を出る。
また、という約束は――果たされることは、なかったけれど。
太陽が遠い。
夜も夕方もまだ遠い。真昼の太陽は、かなりの高さにあって手が届きそうにもなかった。季節柄暑いけれ
ど、我慢できないほどでもない。坂道の下から吹いてくる風が制服の下に入り込んで気持ちが良かった。
誰もいない坂道を下るのは、かなり気分がいい。
「皆がサボりたがる気持ちも少し分かるな……」
独り言を呟くが、独り言を聞く人がいないというのは、中々いいものだった。教室で独り言をぶつ
ぶつと呟けば変人だが、ここでは聞く人は誰もいない。坂道をのんびりと歩いているのは僕だけだっ
た。いつもならば蟻のように行き来している中学生や高校生も、今は一人だっていやしない。
どことなく、静かな気がした。
遠くからは車の走る音や、町の声が聞こえてくる。背後にある学校からは、グラウンドの歓声が聞
こえてくる。それでも、周りには音がないように思えた。
近くに、何もないからだ。
全てが遠い――別のセカイでの、音だった。
「たまにはこんな静かなのも悪くないよな……」
いつも、賑やかだから。
登下校は、神無士乃が一緒だから。
最近は、とくに賑やかだから。
学校や家に、如月更紗がいるから。
こんなに静かなのは――姉さんといるときくらいだ。
「どこにも行きたくねえなあ……」
そんな、不健全のような、不健康のような台詞を吐きながら、
僕は歩く。
家へと、歩く。
三十分ほど歩いて家まで辿り着く。郊外まで来ると、静けさはより一層深くなっていた。住宅街に
存在するせいで、道路からの音が聞こえずらい。学校の声も聞こえない。夕方になればそこそこ賑わ
うが、この時間に家にいるのは、暇を持て余している専業主婦くらいだろう。
あるいは、家から出ることのできない事情を持つ者だけだ。
姉さんもその一例だよな――そんなことを思いながら、胸ポケットから鍵を取り出して扉を開ける。
ノブをひねると、鍵がしまっていた。
「…………」
あれ――おかしい。
もう一度鍵を差し込んで、ノブを回す。今度は抵抗なく扉が開いた。無人の玄関が、いつも通りの玄関が
目の前に広がる。
「…………」
鍵が壊れていたのではない。
最初から――開いていたのだろう。
扉の鍵が、開いていた。
「…………」
可能性は二つ。
閉め忘れたか、誰かが開けたかだ。
前者はいかにもありえそうだった。今朝はどたばたとしていたから、閉め忘れていてもおかしくはない。実際、きちんと
閉めたかどうか、記憶は曖昧だった。神無士乃や如月更紗にかき乱された朝だ、鍵を閉め忘れていてもおかしくはない。
おかしくは無いが、違和感がある。
そんなはずはないと、頭のどこかで警鐘が鳴る。
後者の可能性について考えてみる。家の中にいる人間が扉を開けた、というもの。
それは、あり得ない。
家の中には確かに姉さんがいるけれど――姉さんは、物理的にはもう何もできない。
なら。
家の外にいる人間が、扉の鍵を開けて、中に入ったことになる。
「…………」
考えられる可能性を更に考える。こういうことをしそうなのは、間違いなく如月更紗だ。僕らが家を出た後で、
タイミングを見計らって如月更紗がこの家に侵入、トランクケースを置いて学校へ向かった――そう考えれば辻褄
はあう。如月更紗は既に一度ピッキングを行っているから、実行することは可能だ。
可能なだけだ。
辻褄があうだけだ。
何かが――何か、嫌な予感がする。
蟲のしらせ、なのかもしれない。
――これ以上考えても、答えはでない。
考えすぎかもしれない――そんな甘い考えを捨て切れなかったが、それでも念のために、
足音を殺して家へと上がる。なぜ足音を殺すのか、考えもしなかった。
静かに、静かに。
家へと入って。
居間への扉を開けて――
居間では。
「雨に――唄えば――」
見知らぬ男が、小声で歌を口ずさんでいた。
「――誰だ、お前」
思わず、言葉が口を割って出てきた。
見たことのない男だった。
見たことも聞いたことも無い男だった。
上から下まで黒一色の服装。暑さを感じないのか、長袖に黒の靴下まではいているせいで、首から上まで
しか肌色が見えない。怪我でもしているのか、松葉杖を使っていた。
男が見ていたのは、居間に飾ってある、何の変哲もない写真たてだ。
姉さんの写真を――男は、見ていた。
男は、唄うことを止めることもなく、写真を見るのもやめようとしなかった。僕がきたのを、まったく意に介して
いなかった。まるでそこが自分の居場所であるかのようにくつろいでいる。
ここは。
この家は、僕と姉さんの場所だというのに――
「――誰だお前は!」
今度こそ、意志を持って怒鳴った。怒鳴られて初めて気付いたように、男はゆっくりと、振り向く。
優男にしか見えなかった。
不法侵入をするような男には見えなかった。どこにでもいる男にしか見えなかった。
ただ一点。
姉さんのように。
如月更紗のように。
変質した神無士乃のように。
あるいはそれ以上に――暗く暗く暗く暗い、何処までも沈むような、黒い瞳だった。
黒い意志を持つ、瞳だった。
「……ああ」
男は僕を見て、興味なさげにいう。
「君が弟か」
「…………!」
その言葉に、感情が沸騰しそうになる。
弟。
それは僕を主体にとらえた言葉ではなく――あくまでも、姉さんを主とした場合の呼び名だ。
つまり、こいつは、姉さんの知り合いで――
「お前は――誰だ」
僕は三度、如月更紗に対してそうしたように、誰だと、男に尋ねる。
姉さんは、学校に知り合いなどいなかった。まともな友人などいなかった。
まともでない知り合いが、まともでない方法でここにいる。
それは、つまり。
この男は――
男は、惑うこともなく、淡々と応える。
「特に誰でもないよ――先輩から貰ったウサギの名は、後輩に譲ってしまった」
ウサギ。
先輩。
後輩。
ウサギ。
三月ウサギ――
「――お前か!」
頭の中で幾つもの単語が浮かび上がり、一瞬でくもの巣のように繋がっていく。家にいた男、姉さんのことを知っている男、
ウサギ、譲られたウサギ、譲られたものを譲ったウサギ、三月ウサギの次。
五月生まれの三月ウサギ!
こいつが――姉さんを殺した男!
奇妙な確信を持って僕は松葉杖をつく男へと飛び掛り、
「あら、駄目ですよ」
後ろからかかる声と共に――止められた。
無理矢理に、脚を止められた。
止めざるを得なかった。
横薙ぎに脚を包丁で切られれば、誰だって足を止めるだろう。
右足から感覚が消え、うまく走ることができずに右半身から床に倒れこむ。受身を取ることすら
できなかった。どうにか手をついて頭を床にぶつけるのだけは防ぐ。
遅れて――痛みがくる。
脚に、痛みが。
痛い。
それ以上に――熱い。脚が熱い。熱いのに、冷えていく。
脚から血が、抜けていく。
「兄さんに乱暴しようなんて――私が許しません」
上から声がする。さっき後ろで聞こえていた声が、今度は上から聞こえてくる。高い、女の子の声。
聞いたことのない声は、笑っている。
楽しそうに、笑っている。
「兄さんに触れるなんてとんでもない。触れていいのは、私だけです」
笑い声が近づいてくる。同時に、きぃ、きぃと車輪の音が聞こえる。
何の音だ――疑問に思いながら、力を振り絞って、身体を仰向けに戻す。
車椅子に乗り、血に濡れた包丁を手にした少女が、楽しそうに笑っていた。
「男の方も、女の方も、関係ありません。兄さんの側にいていいのは私だけです。
私は兄さんだけのもので、兄さんは、私だけのものです。
そうでしょう――兄さん?」
最後の言葉は、僕ではなく、松葉杖をついた男に向けられたものだった。
男は、目の前で起きた惨劇に眉一つ動かすことなく、退屈そうに答える。
「お前が言うなら、そうなんだろ」
「ええ、その通りです。だから――貴方は、邪魔者です」
退屈そうな男と対照的に、少女はどこまでも楽しそうだった。
おかしそうに、笑っている。
犯しそうに――笑っている。
「お前、は……」
脚の傷を手で押さえる。ぬるりと、血に濡れる感触がする。それでも血が止まらない。フローリングの床に、血が
だくだくと、だくだくだくと広がっていく。的確に、これ以上ないくらいに正確に動脈を切られたのだろう。
急いで手当てをしないと、間違いなく死ぬ。
いや、手当てをしても怪しい――そして、それ以上に。
目の前の少女が、それを許すようには見えなかった。
「ごめんなさい。ここは貴方の家なんでしょうけど……今は、私と兄さんのための世界なんです」
くすくすと、車椅子の少女は笑う。血塗れの包丁にはそぐわない、純粋無垢な笑みだった。
少女は笑う。
男は笑わない。
僕は――
「は、はは」
僕は、笑った。
「はははははははははははははははははははははははははは!」
笑うしかなかった。
なんだ――これは。
一体なんで、こんなことになっている。理不尽だ。曖昧だ。唐突すぎる。伏線も前ぶれも何もなく、理由も意味もなく、
――僕は、殺されるのか。
姉さんを殺した奴にですらなく。
その妹に――邪魔だという、それだけの理由で、死ぬのか。
馬鹿げている。
狂っている。
どいつもこいつも――狂ってやがる。
「はははははははははははははははははははははははは!」
僕は笑い、笑い、笑って、
「煩い」
喉に包丁が突き刺さって――それ以上、笑うことはできなかった。
846 :
名無しさん@ピンキー:2007/01/29(月) 20:37:52 ID:3P1G75il
GJ!!
幹也生きていたんだ……
良かった。
………ん、誰だアンタ?
アナタに兄さんを心配する権利はない?
ちょ…タン……マ………
レスはここで終わっています。
少女の投げた包丁は――まっすぐに、僕の喉へと突き刺さっていた。
惑いも迷いもない、微塵の躊躇もない、真っ直ぐな一撃だった。
刺さってから、初めて投げられたことが気付くほどに。
つまりは、何をしようが、手遅れだったのだろう。
「兄さんと、私の、邪魔をしないでください」
少女が憮然とした声でいう。人を殺したばかりとは思えない、可愛らしい嫉妬めいた声だった。
態度と――やっていることが、一致していない。
それとも。
これが、彼女にとっての、日常なんだろうか。
邪魔なものを、残らず排除するのが。
「兄さんも兄さんです。こんな所、こなければいいでしょう? 二人だけでいいじゃないですか」
「思い出めぐりをしたかっただけだよ。またしばらくここから離れるんだから」
「私は――兄さんがいれば、思い出も何もいりません」
「そうかい」
兄妹の会話が、遠くで聞こえる。
彼らが遠くに行ったんじゃない――僕の意識が、遠ざかっていく。
喉に刺さった包丁を、抜く力もない。脚を押さえていた手から力が抜ける。
力が、抜ける。
血が、抜ける。
命が――抜ける。
抜け落ちる。
「…………あ、」
暗くなる視界の中で。
男も少女も見えなくなっていく視界の中で。
姉さんが、笑っているのが見えた。
ああ――姉さんが笑っている。
僕も、それだけで十分だ。
十分、なんだ。
姉さん。
僕も、今。
――そっちにいくよ。
《TYPE・C BAD END》
埋めネタ、以上で終了です
誤爆すいませんでした……
激しくGJ!
前作の主人公は生きていたのか……
本編がより楽しみになりました
更紗たんと主人公はこのヤンデレ兄妹に対抗できるのか?((( ;゚Д゚)))ガクブル
選択肢Cがトゥルーだと思ったのにw
主人公から考えればBADなんだが、妹が可愛過ぎる。
自分はB派だけど、果たしてどっちが生存ルートなのやら…。
ちょ……GJ!!
素晴らしいまでの病みっぷり…
GJ!
すげぇぜ、ウサギさん、貴女に惚れそうだ。
とにかくGJです!
Aルート派の俺としては更紗の妹を上回るヤンデレ化を期待してしまいます
生きてたのか!
文章が型月っぽいな
もしかして意識してる?
むしろ本人
むしろ当人
むしろ本人以上
これからも良い作品を期待しております(-人-)