嫉妬・三角関係・修羅場系総合SSスレ 十戒

このエントリーをはてなブックマークに追加
1名無しさん@ピンキー
浅いものはツンツンしたり、みたいな可愛いラブコメチックなヤキモチから
深いものは好きな人を独占して寵愛する為に周囲の邪魔者を抹殺する、
みたいなハードな修羅場まで、
醜くも美しい嫉妬を描いた修羅場のあるSS及び、
他様々な展開の修羅場プロット・妄想を扱うスレです。

■前スレ
嫉妬・三角関係・修羅場系総合SSスレ 九死に一生
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1149764666/
■過去スレ
嫉妬・三角関係・修羅場系総合SSスレ 監禁八日目
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1148998078/
嫉妬・三角関係・修羅場系総合SSスレ 監禁七日目
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1148113935/
嫉妬・三角関係・修羅場系総合SSスレ 泥棒猫六匹目
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1147003471/
嫉妬・三角関係・修羅場系総合SSスレ 五里霧中
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1145036205/
嫉妬・三角関係・修羅場系総合SSスレ 四面楚歌
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1143547426/
嫉妬・三角関係・修羅場系総合SSスレ 三角関係
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1142092213/
嫉妬・三角関係・修羅場系総合SSスレ 二股目
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1140208433/
嫉妬・三角関係・修羅場系総合SSスレ
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1137914849/

2ch 「嫉妬・三角関係・修羅場統合スレ」まとめサイト
http://dorobouneko.web.fc2.com/index.html
■関連スレ
嫉妬・三角関係・修羅場統合スレ 第12章
http://idol.bbspink.com/test/read.cgi/hgame/1145448125/
■姉妹スレ
嫉妬・三角関係・修羅場統合スレinラ板
http://book3.2ch.net/test/read.cgi/magazin/1132666398/

2名無しさん@ピンキー:2006/06/18(日) 19:19:16 ID:e94ZrLVQ
            ,.、             /::::::ト、,i:::::::::::::::::::::::::::::::::`ヽ
         /~,、 `ヽ、 ,、_     ,/:;:::::::l::l`' ヽ:;:::::::::::,::::::::::::::,:::::
        ,ム_/ ,レ-ーー'".:.:ヽ;``:ー-、/::::/:::::::;i::!   |::|:::::::::i:::::::::::::l::::::
      _,. ハーァ'".:,.ィ.:.:.:.:.:,:.:.,、.:.:ヽ、.:.:.:i:::::/:::::::/i/   l:l|::::::::l|:::::::::::::|::::::
    /: : : : /.;..ク'.:.:,:.:.:.:.:.;i.:.:l、.:..ヽ:ヽ.:l::::i::::::/ /.、   l!|:::::::/:|:::__:::::::|::::
  /: : ; : : : :l/: /.:.:.:i!.:.:.:.,.:jl.:.:ハ,:.:.:|.:.:.i.:l,::|、::i' i i  / |:::;/::::|' ヽ,::::|:::
  l: : ,: :i: ,、: : : : |.:.:,イ.:.:.:,'/ ,|:/ _,ヽ.:l.:.:.|.:.リ.:.ソ  ` '   /ィ'"::::::l   }:::::ヽ
  |: : l: |メ;l、ヽi、: :|.:.:|i,:./r彳ナ´ /|/|.Y´``/    _,.. 、 l:::::::::::|、_/:::::::::
  |: : l: |イ::|ヾリi: :ハ::ハlゞ ヽ、__,// リ'| ̄|人 r' "´   l l:::::::::::l:::::::l:::::::::::
  |: : :ソ`ト_j  リ リ (         |;;;;;;|:.|::ヽヽ   ,ノ l::::::::::::|:::::::|::::::::::
  /: :< ,、 〃    ,-ゝ、 _     _ノ|;;;;;;|/ヽ/``-r..'-,/::::::::::::/:::::::ヽ::::::::
  |; : :.\J   __,ィr-,: i : i :|`_丁_,i、:/|;;;;;;|r───|;;//::::::::ハ/\::::::::ヽ::::
  l|ヽ、; |ヽ二フl--|,| { ̄ ̄~r/.:.:/ ヽ.|;;;;;;|、___/_i::::/ /   ヽ:::::::i::::
   ,、リ\,/: :`之 | |フ~7~7,/.:./    |;;;;;;|    /´.:.:.:.:ヾ':::ヽ     ',:::::ヽ:
   | `メ: : : : :_メ_.イヽ、 /~.:..:.:.:.ヽ,_|_|  /.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:\   ',::::::::
   | }|: :ヽ、: :|  |.:.| ̄,/.:.:.:.:.:.:.{´   i  |  ヽ , ;,;,;,;,;,;,;,;,;,;,;,;,;ヽ   ',::::::
   / ,.>i; : : : : |  |.:.| /.:,:.:.:.:.、.:.}   i  |    i.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:ヽ  i::::::
   '"  i : : : : l  |.:l /.:.::i.:.:.:.:.l:.:{   i  |   ,/.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ヽ |:::::

新スレです。楽しく使ってね。仲良く使ってね。
3名無しさん@ピンキー:2006/06/18(日) 19:20:39 ID:e94ZrLVQ
誘導用
【男一人】ハーレムな小説を書くスレ【女複数】 3
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1150256162/
寝取り・寝取られ総合スレ 2
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1133346643/l50
4埋めネタ:2006/06/18(日) 19:27:40 ID:q9Z0zLZO
いらっしゃい、七誌君。
あれ、どうしたの、元気ないね?
・・・ふーん9スレちゃんが、ねぇ。埋まっちゃったんだ、そっかぁ。
よかったじゃない、別れる手間が省けて・・・睨まないでよ、もう。
今からじゃどうしようもないでしょ?
───それにしても意外だなぁ。
9スレちゃんの性格なら無理心中くらいやりかねないと思ったんだけど?
あはは、やっぱり。だから私のところに来たの、ふぅん。
でも、いいのかなぁ?私、9スレちゃんみたいに甘くないよ。
逃さないよ、絶対。一緒に埋まってもらうんだから。
あなたが新しい子に目移りしないためならなんだってしちゃうよ?
・・・いっその事、この場で君の眼を刳り抜いちゃおうか?
いらないよね、別に。あなたには私が、私だけがいればいいんだから。
冗談よ、そんなに怖がらないで、しないわよそんなこと。
ああ、こんなに震えちゃって、かわいそうに・・・
よしよし、良い子良い子してあげるね。
ほら、来て───
5名無しさん@ピンキー:2006/06/18(日) 19:35:30 ID:4m5ZEIz0
あ…れ?
私の席がないよ?


ヤンデレの小説を書こう!
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1148704799/l50
6名無しさん@ピンキー:2006/06/18(日) 20:04:27 ID:P0QGq59H
>>1
7シベリア! ◆IOEDU1a3Bg :2006/06/18(日) 20:13:31 ID:/s5W3D5z
10スレが立った事に気が付かずに9スレに投稿しようとして、
あまつさえ容量オーバーで最後まで投稿できなかったアホです。
もう一度投稿します…
8過保護 ◆IOEDU1a3Bg :2006/06/18(日) 20:14:20 ID:/s5W3D5z
妙だ…
私が入院してからもう二週間…あの日以来健斗が全くお見舞いに来ない。
最初は忙しいのかとも思っていたが、土曜も日曜も来ないのは合点がいかない。
嫌な予感がしていた、とてつもなく嫌な予感がしていた。
そしてそれと同時に嫌な妄想が私の頭に湧き上がった。
誰か知らない女に微笑む健斗。
誰か知らない女と手を繋ぐ健斗。
誰か知らない女と抱き合う健斗。
誰か知らない女に誘惑される健斗。
誰か知らない女とホテルに入る健斗。
誰か知らない女の××を×××て××××…
「駄目だっ!それだけは駄目だっ!」
「何を訳のわからん事を言っている…」
「不撓!?いつから居たんだ?」
いつの間にやらベットの側に不撓が立っていた。
「お前が悶えている間はずっとな。そんな事より何を考えていたのだ?」
「えっと…」
確かホテルに連れ込んだ後に…
「誰か知らない女の全身を強打してとどめを…」
「もういい…」
無論、主語は『私』だ。
「もういい…」
一週間の間に私の予想よりも多くの人が見舞いに来てくれた。
中には初対面の人物まで居た程だ。
それでも二度以上見舞いに来る人物は非常に稀で…それでも毎日見舞いに来てくれた人物が一人だけ居た。
「だいたい怪我人は怪我人らしく大人しくしていたらどうだ?」
…こいつだ。
不愉快な事に、こいつだけが何故か毎日ここにやってくる。
「私が五体不満足になったのは誰のせいだ?」
「…すまん」
最初は不撓の顔が見えるたびに恐怖が蘇ってきたものだ。
だが今は慣れたのか不撓が理不尽な暴力を振るう奴ではないとわかったからか、どちらにせよ今の私は普通に不撓と話せるようになっていた。
まぁ、それが良いか悪いかはこの際置いといて…
「なんでわざわざ毎日現れるんだ?」
「前にも言っただろう、償いを済ませねば気分が悪いと」
不撓は何を今更、とでも言いたげに言う。
「だから何度ももういいって言っただろう、しつこいぞ」
「ほぅ…それは残念だな、病院食は不味かろうと思って軽食を用意しておいたのだが…無駄だったか」
「………」
「………」
 ぐうぅ…
「食べる…」
「そうこなくてはな」
不撓の言う通り、病院食はあまり美味しくない上に量が少ない。
それに誰が作っているのかは知らないけど、不撓の持ってくるお弁当は以外に美味しいのだ。
私はようやく少しづつ動かせるようになった両手でそれを受け取った。
蓋を開ける…うん、悔しいけど美味しそうだ。
「不撓、そういえばこれは誰が作ってるんだ?」
「俺だが…それがどうした?」
…は?
「不撓が作ったのか!?これを」
「そうだが…どうしたのだ?」
欝だ…
私の料理の腕はまだまだ発展途上だが、まさか男に負けるなんて…
「一応聞くけど、なんでこんな事までできるんだ?」
「学べる物は何でも学ぶのが俺の信条だからな」
「なぁ不撓…もしかして暇なのか?」
「さあ、どうだろうな」
「暇なのか…」
9過保護 ◆IOEDU1a3Bg :2006/06/18(日) 20:15:08 ID:/s5W3D5z
コンッコンッコンッ…
ノックの音が聞こえた。
「はい?」
「黒崎先輩…倉田健斗です」
「けっ…健斗!?」
拙い時に現れた…
来てほしいとは思ってたけど…よりにもよってこんな時に。
「知り合いか?」
「いやその…恋人…だけど…」
 ガチャン…
…あ。
「あの…お取り込み中でしたらまた来ますけど…」
「違うんだ、こいつとは何の関係も無いんだ」
「先輩?」
拙い…非常に拙い…
何が拙いかって?
私が冷静さを欠いている事が…
「どうやら俺はここで退散するべきのようだな」
「あのっ!本当にお取り込み中なら…」
「かまわんよ。そんな真剣な眼をした男の前に立ち塞がる事などできん」
「あ…不撓…」
 …ガチャン
そう言うと不撓は一度も振り向かずに去って行った。
気を利かせてくれたのだろうか?
私は健斗と久しぶりに二人きりになっていた。
「………」
「………」
駄目だっ!会話ができんっ!
健斗も私も会話ができる状態ではなさそうだった。
だが…この硬直を打ち破ったのは健斗だった。
「あの…先輩っ!」
「なっ…なんだい?」
お…落ち着け心臓、静まれ高熱。
体はすでに私の制御から離れていた。
健斗が居る…それだけで全身が震えていた。
それが…
「その…別れ…ませんか…」
「…えっ?」
…一瞬で静まった。
10過保護 ◆IOEDU1a3Bg :2006/06/18(日) 20:16:11 ID:/s5W3D5z
最近は洒落や冗談抜きで忙しいです…
分量的にも品質的にも思うように書けないし、いっその事修行の旅にでも出ようか…
まあ、それはそうとして。
〆切付きで書かねばならない作品ができましたので、その作品が書き上がるまで不撓家と過保護は更新できません。
おそらく2・3週間後には書き終わるとは思いますので(それ以上かかると危険)、どうかご了承ください。

以下チラシの裏

>551
そうしてあげたいのは山々なんですが…歴史が変わる…

>559
会長に関して言えば『過保護』ではたぶん超人としての能力は発揮しないかと思います。

>632
YES…YES…YES…
(上記は全て9スレでの番号です)
11『死の館』 ◆PkDo3c3GM2 :2006/06/18(日) 20:25:19 ID:rg9frUY6
洋館の日記(抜粋)
1992年 一月二十日
きょう、おうちにあたらしいおともだちがきた。あなたがおねえちゃんよとお母さんにいわれた。だからあつくんは私のおとうと。
1992年 二月八日
あつくんは私をおねえちゃんとよんでなかよくしてくれる。だから私もおままごとをしてあそんだ。あつくんとふうふのやくをやって、とてもうれしかった。
1995年 三月…(汚れて見えない)
今日はあつくんとかくれんぼで遊んだ。あつくんがおにだったけど、お家が広すぎてまいごになって、ないてしまった。でも、私を見つけたらわらってよろこんでくれた。やっぱりあつくんには私がいないとだめだ。
1997年 四月六日
今日は、お父さんが死んだ。とても悲しくって、何度も泣いたけど、あつくんが『僕がいっしょにいてあげる』となぐさめてくれた。もうあつくんははなさない。死ぬまでいっしょなんだ。
2000年 七月九日
今日は起きたらあつくんが居なかった。お母さんに聞いたら、朝早くに出ていったらしい。もう戻らないともいった。なんで?私のあつくんなのに。ずっと一緒だって言ってくれたのに……私のあつくん、あつくんあつくん……(破れて見えない)
12『死の館』 ◆PkDo3c3GM2 :2006/06/18(日) 20:26:07 ID:rg9frUY6
2000年 八月
今日もお母さんはあつくんの居場所を教えてくれなかった。きっとあつくんも寂しがっているはずだ。お姉ちゃんがいないとだめなんだから。待っててね、あつくん。今向かえにいってあげるから。
2000年 九月
結局、お母さんは何も答えてくれなかった。あつくんの居場所を言ってくれるだけでいいのに。こんな所すぐに出て行くのに。明日はロープを外してあげよう。
2006年 一月二十日
今日であつくんと会って14年。やっと居場所を見つけた。洋館を出て麓に下り、いろんな学校を巡ってやっと出会えた。でも、あつくんは私に気付かなかった。とても悲しかった。
ううん、わかってる。きっと周りの奴等に洗脳されてるんだ、あつくんは。だからみんなお母さんみたいに黙らせちゃえば、お姉ちゃんのこと思い出してくれる。
だから今でも使ってるあの洋館へ連れてって、あつくん以外殺しちゃえば思い出してくれるはずだ。うん、きっとそう。
待っててね、あつくん。お姉ちゃんとのまた楽しい生活を取り戻せるのはもうすぐだから。まずは洋館の使用人を殺そう。二人っきりの。今度こそ邪魔者の居ない生活を……
(以降、赤い染みの様な物で見えない。)
13名無しさん@ピンキー:2006/06/18(日) 21:13:52 ID:+gSCXGfH
犯人の正体はキモ姉だったのか(((( ;゚Д゚)))ガクガクブルブル

>>1
14ロボ ◆JypZpjo0ig :2006/06/18(日) 21:59:03 ID:1wOGjPtP
新スレ記念投下
15『自転車倶楽部』太一:2006/06/18(日) 22:04:06 ID:1wOGjPtP
「ごめん、待った?」
「いや、今来たとこ」
 今の言葉で分かる通り、今日はデート。
「だったら良かったのになぁ」
 思わず溜息が溢れてくる。
 青い空、休日、二人きり。
 しかも相手は美少女ときたもんだ。
 それなのに、
「早く自転車の練習始めよ?」
 やっていることと言えば自転車の練習で、嬉しさは一杯、なのに色気の欠片ない。そも
そも、高校生にもなった男が女の子に自転車を習っていること自体が何とも情けない。
 コトの始まりはとても単純で、今まで自転車に乗れず、乗る気もなかった僕は敬遠して
いた。けれども何故か最近たまったバイト代で買ってきてしまったのがきっかけだ。特に
理由があったわけじゃない、本当にただの気まぐれだったのでほとほと困っていた。無理
に理由を作るなら、今までそのことで僕を馬鹿にしていたいつきを見返す為だろうか。
 河原でぼんやりとそんな風に考え事をしていたら、そこにクラスメイトの梓さんが現れ、
『どうしたの?』
『持て余してる』
『暇を?』
『自転車、乗れないし乗る気もないのであったマル』
『寧ろバツじゃない?』
『天罰?』
『そんな感じ。練習すれば良いじゃん、教えるよ?』
 そんな安っぽい劇をして、二人きりの練習が始まった。
16『自転車倶楽部』梓:2006/06/18(日) 22:05:57 ID:1wOGjPtP
 太一くんとの二人きりの時間、少し妙な感じだけれども邪魔者が居ないことには変わり
ない。太一くんは最初に天罰などと言っていたけれども、あたしには神様からの贈り物の
ように思えた。それだけ素敵な、好きな人との時間。
 太一くんの周りには人がいつも居るし、二人きりになるのは難しい。特に邪魔だったの
は幼馴染みのいつもちゃんで、いっつもくっついてまわっている。腐れ縁のよしみなのか
いつも太一くんは我慢しているけれども、毎回毎回悪口ばかり言っては、困らせている。
さっさと切り捨てれば良いのに、それともそうしたいのにあの人が寄ってくるのかな?
 ホントに、迷惑な人。
 でも今はそんなことすらどうでも良い、この時間が何より大切。
「あっ、惜しい」
 太一くんはコツを掴んできたらしく、結構乗れるようになってきている。それが嬉しい
のか、あたしに笑顔を向けてきた。かわいい、ずっとその笑顔をあたしだけに向けてくれ
たら良いのに。あたしはいつもちゃんと違って、太一くんを幸せにしてあげれるのに。
 そんなことを考えている間に、また顔を戻して練習を始めた。その真剣な横顔も格好良
くて更に幸せな気分になる。今までこんな顔を見てきたいつもちゃんが羨ましい。
 あ、乗れた。
 走ってる走ってる。「やったじゃん」
「ありがとう、これも梓さんのお陰だよ」
 思わず抱きついてきた太一くんを抱き締め返す。幸せ、なんて生易しいものじゃない。
あまりの幸福感に、脳味噌がショートしそうになる。
「うわマジありがとう」
 何度もありがとうと繰り返す太一くんはとても可愛くて、離す気がなくなった。
17『自転車倶楽部』いつき:2006/06/18(日) 22:08:47 ID:1wOGjPtP
 太一の家に遊びに行ったら、不在だった。聞けば自転車の練習をしているらしく、最近
はそのことばかり話すらしい。今まで馬鹿にしすぎたのがいけなかったのだろうか、只の
道具である自転車にすら嫉妬を覚えた。太一に握られるグリップ、足を乗せられるペダル、
挙げ句の果てには尻が乗るサドル。羨ましいと言うよりも、妬ましい。
 自分でも壊れかけているな、と思いながら河原に向かう。
 そこに、
 太一と抱き合っている、
 クラスメイトが居た。
「太一に触るな、この泥棒猫!!」
 思考よりも先に、言葉が出た。
「あれ、いつき?」
「あ、こんにちわ。いつきちゃん」
「さっさと離れろ」
 間に割り込み、無理矢理剥がす。
「何してるんだ、太一」
「梓さんが手伝ってくれたお陰で、自転車に乗れるようになったんだよ。だから、嬉しく
てついこんな状態に」
 今まで馬鹿にしていたのを聞いていて、それに突け込んだのか。流石は薄汚い泥棒猫の
考え、油断も隙もあったもんじゃない。
 睨みつけると、泥棒猫は薄笑いを浮かべた。
「乗れるようになったなら、もう用は無いだろ? 消えろ泥棒猫」
「そんな、泥棒猫だなんて。あたしは只の自転車好きな女の子ですよ?」
「だったら自転車と二人だけの世界に行け」
 自分でも信じられない程に冷たい声が出て、気が付いたら突き飛ばしていた。
「危なッ…」
 太一が声を出すのとほぼ同時、鈍い音と共に泥棒猫の体が宙を舞った。
18『自転車倶楽部』太一:2006/06/18(日) 22:10:42 ID:1wOGjPtP
 自分の目の前で起こったことが信じられなかった。
 よく笑う、現にさっきまで笑っていた女の子が車に撥ねられた。言葉にすれば、たった
それだけのこと。それだけなのに、信じられない。
「いつ、き?」
 こいつは何をした?
 何で笑っているんだ?
 いつきは笑ったまま僕に抱きつくと、
「おめでとう、これで一緒に遠くまで遊びに行けるな」
 先程のことがなかったかのように、当然のように気にした様子もなく、普通に話しかけ
てくる。殺人、ではなくあくまでも虫を踏み潰してしまっただけのように。
「どうした、そんな顔して」
 声は明るく、弾んだもの。
「それより、こうやって抱き合うのも久し振りだな」
「そうだね」
 いつのまにかいつきを抱き締め返していたことや、すんなりと答えが出たことに驚いた。
いつきはさっき殺人犯になったのに、僕は素直に受け入れている。
「太一の温かさは昔と変わらないな」
 いつきも、変わらない。
 人を殺したからといって、やっぱり人間そうそう変わるもんじゃない。そう考えたら、
少し心が落ち着いた。
 いつきは、いつきだ。
 何も変わらない。
「練習で疲れただろ、今日は帰って休もう」
「そうしようか」
 自転車を見るといつの間に倒れていたのか、梓さんに覆い被さるようになっていた。
「どうした?」
「なんでもない」
 もう息をしていない梓さんの上から自転車をどかす。血が付いてその分温くなっていた
けれども、金属製のフレームはやはり冷たい。その無機質な感じが、いかにも道具という
雰囲気だし、形もよく見ると結構グロい。
 だから自転車は嫌いだったんだ。
19ロボ ◆JypZpjo0ig :2006/06/18(日) 22:14:15 ID:1wOGjPtP
これで終わりです
続きません

毎回妙な感じで申し訳ない感じ

変態姉妹の他にもう1シリーズ考えているので出来れば期待してほしいです
20Bloody Mary 2nd container 第十二話 ◆XAsJoDwS3o :2006/06/18(日) 22:53:59 ID:4bp8lBL0
ハーフタイムに入ったので投下します
21Bloody Mary 2nd container 第十二話 ◆XAsJoDwS3o :2006/06/18(日) 22:54:32 ID:4bp8lBL0
「放せぇぇぇッッ!!」
 姫様の叫び声で俺は正気に戻った。声のする方に目を向ける。
「…え?」
 冷水を浴びたように熱が引き、俺は自分の目を疑った。
姫様が山賊の一人に担ぎ上げられ、敵陣の中に消えようとしている光景だった。
「ウィリアム!ウィリアム!!助けて!!」
 姫様が救いを求めて手を伸ばした。俺に向かって。キャスの最期の言葉とだぶって焦燥感が込み上げる。
「姫様ッ!!…クソッ、どけよ!お前ら!!」
 邪魔な男たちに剣を振るうが、とても姫様のところまで行けそうにない。
「ウィリアム!ウィリ―――――」
「姫様!!」
 敵の群れに隠れて姫様の姿を完全に失った。絶望に打ちひしがれて剣を手放しそうになる。
……間違いなく、俺の所為だった。
「ウィル!呆けている暇があるなら早く馬車まで戻りなさいッ!」
 少し離れた所から団長の声。
「でも、姫様が……」
「まだ殺されたわけじゃありません!後でいくらでも助け出す方法を考えられます!
今は体勢を立て直すことだけを考えなさいッ!!」
 腑抜けになった俺を一喝する。
団長の助けで俺は慌てて馬車まで引き返した。

 旅団のもとに戻ると。
人数が足りなかった。師匠、マローネとロブさんしかいない。他の、みんな…は?
脇には見知った顔の死体が四つ、転がっていた。
 立ち眩みで倒れそうになった。
……俺の、所為だ。
 一人の馬鹿が下手に勝手な行動を起こして招いた結果だ。
―――何が贖罪だ。偉そうなことを。
結局復讐に踊らされて仲間の足を引っ張った。
よく見ろ、四人の顔を。みんな傭兵時代に良くしてくれた人たちばかりだ。 
恩を仇で返しやがって。アリマテアであれほど思い知らされたのに、また同じ過ちを犯したのか?
お前は――――――
22Bloody Mary 2nd container 第十二話 ◆XAsJoDwS3o :2006/06/18(日) 22:55:13 ID:4bp8lBL0
「ウィル!馬車を押せッ!!さっきの狭い道まで戻る!」
 師匠の声でハッとした。自分を責めるのは後回しだ。この戦況から脱して姫様を助け出さないと。
師匠が怪力で以って馬車を押し始めた。今さら積荷なんかどうするんだ?
「師匠!荷は置いて早く撤退しましょう!」
「オレに考えがある!いいから早くしろ!!」
 檄を飛ばされ師匠に並んで馬車の荷台を押す。団長たちが守ってくれているが、三人でどれだけもつか解らない。
「こんな危険なもの、どうするんです!?」
 荷台を押しながら師匠に尋ねた。矢が俺たちの脇を掠めて荷台に刺さる。
「道幅の狭いところまで運んだら火薬を爆発させる!
そうすりゃ道が塞がれて簡単に追っ手から逃げられるだろうが!!」
 …爆発?起爆は―――――マローネの銃か。確かに師匠の言うとおりだけど……
「くッ!!」
 ロブさんが辛そうに顔を歪める。三人がいつ死んでもおかしくない。
「キャッ!!?」
 マローネが短く声を上げて尻餅をついた。
矢が足を掠めたらしい。直撃はしなかったが切り裂かれた傷口から出血していた。
接近戦の状態で銃を上手く使えていない。誰かがフォローしないと。
「ロブさん、代わってください!」
 そう言って荷台から離れてマローネに駆け寄った。
座り込んでしまったマローネに手斧を振り下ろそうとする男の胸に剣を刺す。
「大丈夫か?マローネ」
 マローネを抱き起こして後ろに下がらせた。
剣や斧を持つ男たちより、遠くから矢を放ってくる賊たちの方が脅威だ。
弓兵の腕が半端じゃない。乱戦の状況にも関わらず的確にこちらを狙ってくる。
今はマローネの狙撃だけが頼りだった。

 腕が剣の重みにすら悲鳴を上げ始めた頃。
「いいぞ、全員馬車を捨てて撤退だ!
マローネ、荷から離れたら樽を撃て。いいな?」
 荷台が細道の入り口に辿り着く。
 師匠の言葉を合図に馬車の隙間から細い山道へ抜けた。馬車の向こうから追っ手が一人一人隙間を縫って襲ってくる。
相手も樽の中身が火薬と分かっているのだろう。弓による攻撃がなくなった。
追撃も馬車と道幅のおかげで随分楽になる。なんとかなりそうだ。そう思った矢先。
23Bloody Mary 2nd container 第十二話 ◆XAsJoDwS3o :2006/06/18(日) 22:55:44 ID:4bp8lBL0

「ま、待って…」
 荷台から出てくる一人の男。馬車の御者だ。
姿が見えないと思っていたら、荷台に隠れていたらしい。
「ちッ、お前らは先行ってろ!」
 俺たちの後方を走っていた師匠とロブさんが荷台に戻る。いくらなんでも無茶だ。
「師匠!くそっ」
 俺も加勢しようと引き返すがすぐに追っ手が邪魔になって二人に追い付けなかった。
荷台の側で果敢に戦う二人。追っ手に阻まれ遠くから眺めることしかできない俺。
やがてロブさんが御者を連れてこっちに走ってきた。
「早く!」
 御者が俺の隣を通り過ぎて後ろに。
背後は殆ど敵がいない。道の少し向こうでマローネが団長に守られながら銃の弾を込めていた。

 後ろを振り返ったのがまずかった。そのせいで気付くのが遅れた。
前方に顔を向けると御者に遅れてこっちに向かってくるロブさんを、荷台の上から狙う弓兵。
……しまっ――――!!
 声を出そうと、口を開ける。だけど間に合わなかった。
 ロブさんに警告するより早く、矢が彼を貫いていた。
即死だ。確認するまでもない。生きているかも、なんて僅かな望みすら与えない一撃だった。

だって、ロブさんの額から、矢じりが飛び出していたから。

「……ッ!!」
 最悪の光景に目を背けたくなった。みんな、みんな死んでいく。
走っていた勢いのまま、びたん、と倒れるロブさんの身体。
一度、大きく痙攣を起こした後はピクリとも動かなくなった。
「師匠ッッッ!!!」
 何人もの山賊を相手にたった独りで戦う師匠。彼の二本の剣は既に真っ赤だった。
 馬車の隙間から、あるいは荷台をよじ登って次々に現れる山賊。
師匠が相手にできる許容量を超えていた。
 師匠の取りこぼした賊がこちらに襲いかかってくる。
俺が捌ききれる人数もそろそろ限界だった。
24Bloody Mary 2nd container 第十二話 ◆XAsJoDwS3o :2006/06/18(日) 22:56:27 ID:4bp8lBL0







 ウィルが苦戦している。私たちのところまでやってくる敵の数も増えてきた。
これ以上待っていたら、銃を撃つ暇がなくなる。
「何してやがるッ!!さっさと撃て!!」
 荷台の側で戦う、おじさまの怒号が風に乗ってこちらまで届いた。
「……な、何言ってるの…?お父さん。そんな近くにいたら……う、撃てるわけ…」
 抱えている銃をカタカタ鳴らしながら隣で呟くマローネさん。
弾込めはとっくに終わっていた。
「早くしろ!!!取り返しがつかなくなるぞ!!」
 切り傷を負いながらおじさまが叫び続けるが、マローネさんは銃を構えようともしない。

……当然だ。実の父親を殺せるわけがない。そんなこと、一切の迷いなくできるのは私くらいなものだ。
けれどおじさまの言うとおりここで撃たなければ間違いなく全滅するのも事実。
どのみち、あれだけの数に囲まれたおじさまを助け出すのは絶望的だった。

「師匠!!師匠ォォォッッ!!」
 少し先で悲痛の叫びを上げるウィル。
 私一人だけが冷静な判断をしていることに嫌気が差す。
……これは、私がやるべきことだ。非道い事も平気で出来る私がやらなきゃならないこと。
 そう思って、私はマローネさんから銃を引っ手繰った。
「な、何するの…!や、やめて!!……やっ!!」
 銃を取り返そうとする彼女を突き飛ばした。頭は冷静だ。本当に嫌になる。
銃を構え、荷台の樽に狙いを定めた。後は引き金を引くだけ。

「ま、待ってくれ!!団長!!俺が!俺が今助けに行くからッ!!」
 私が銃を構えていることに気付いたのだろう。必死でこちらに懇願するウィルの声が耳に入った。

「やめろォォォ!!!お父さんを殺すなァァァァッッッ!!!!」
 マローネさんが私を止めようと立ち上がる。

 瞬間。
おじさまと目が合った。
遠くからじゃよく判らなかったけど、頷いているようにも見えた。


―――――――この罪、私が背負います。


 私は、引き金にかけた人差し指に力を込めた。
25Bloody Mary 2nd container 第十二話 ◆XAsJoDwS3o :2006/06/18(日) 22:57:03 ID:4bp8lBL0








 俺の願いも空しく、団長の持つマスケット銃が爆音を上げた。
弾丸が唸り声を上げて俺を通り過ぎていく。
 樽の中の火薬に火種を与えようと突き進む弾丸。

火薬が。
  爆発した。

「師―――――――!!!!」

 荷台から溢れた白い光が瞬時に辺りを覆う。
その光で何も見えなくなる直前。
 師匠が俺を見た。

 俺が見た師匠の最期の顔は、実にあの人らしい、ニヤリと笑う不敵な笑顔だった。
26Bloody Mary 2nd container 第十二話 ◆XAsJoDwS3o :2006/06/18(日) 22:58:34 ID:4bp8lBL0
とうとう書き溜めてた分に追い付いてしまった…

今週は某RPGの続編の発売日なので更新スピードが遅くなりそうです。
27血塗れ竜と食人姫 ◆gPbPvQ478E :2006/06/18(日) 23:32:13 ID:+JPJiGwQ
投下します
28血塗れ竜と食人姫 ◆gPbPvQ478E :2006/06/18(日) 23:32:50 ID:+JPJiGwQ

 殺してやりたい。
 殺してやりたい。
 殺してやりたい。
 殺してやりたい。
 
 でも、ユウキが駄目って言った。
 
 だから私は我慢する。ユウキに嫌われたくないから。
 それに、ユウキは私と一緒にいてくれる。
 あんなむかつく女のことなんて、ユウキが頭を撫でてくれれば、すぐに忘れられる。
 忘れられる。
 ……はずなのに。
 
 
 ――私が王者になったら、付き人になってくれますか?
 
 
 ユウキは私の付き人だ。私と一緒にいてくれるんだ。
 じゃないとやだ。ユウキが私以外の人の頭を撫でるなんて許せない。
 もっと頑張らなきゃ。
 頑張れば、ユウキは褒めてくれる。
 はじめてここで戦った後も、ユウキは私のことを褒めてくれた。
 あのときの心地よさは、私の全てを壊してしまった。
 ユウキが私のことを起こしてくれる。
 ユウキが私の食事を手伝ってくれる。
 ユウキが私に笑顔を向けてくれる。
 ユウキが私の頭を撫でてくれる、
 ユウキがユウキがユウキがユウキがユウキがユウキが――
 
 ユウキが、私のぜんぶ。
 
 だから、ユウキがいなくならないように。
 いっしょうけんめい、殺さなきゃ。
 
 
「――白。そろそろ出番ですよ」
「うん。いってくる」
 
 
 だから、頑張った私の頭を撫でてね、ユウキ。
 
 
29血塗れ竜と食人姫 ◆gPbPvQ478E :2006/06/18(日) 23:33:28 ID:+JPJiGwQ
 
 
 
 今日の相手は、小柄な男だった。
 今まで色んな相手を殺してきたが、男で私と同じくらいの体格の奴は初めてだ。
 名前は、ディジー・アランチャンというらしい。
 二つ名は“手品師”。
 会場入りしてからの、体の動きを見る限り、スピードや技術で攻撃してくるタイプだろう。
 司会のよくわからない口上が長々と続き、ついつい眠りそうになってしまう。
 でも、以前居眠りしたらユウキに怒られてしまったので、何とか寝ないように目を凝らす。
 相手は、睨まれていると思ったのか、変な顔でにらみ返してきた。
 ……なんでこんな奴と睨めっこしなければならないのか。
 ユウキの顔を見たい。
 試合を早く終わらせなければ。
 
 ようやく、試合が始まった。
 いつもの通り、相手に近づく。
 ……しかし。
 
『おっと! 手品師、いきなり距離を取ったーっ!』
 
 司会の声が響く。
 試合が始まってすぐに、ディジーって人は後ろに跳んでいた。
 その様子を見て、少し立ち止まり用心する。
 
 別に、試合が始まってすぐに距離を取るのはよくあることだ。
 そんなことでいちいち警戒したりはしない。
 ――だけど、この人は、少しばかり策を弄してきた。
  
 ただの力任せな人はとても楽なのだが。
 変則的な人は、少し手こずるから嫌い。
 早くユウキのところに帰りたいのに……。
 こいつ、むかつく。
 むかつく。
 ……でも。
 いちばんむかつくのは、やっぱりあの女。

30血塗れ竜と食人姫 ◆gPbPvQ478E :2006/06/18(日) 23:34:00 ID:+JPJiGwQ


 なんで、あんな奴が、ユウキと仲良さそうに話していたんだろう。
 ユウキはわたしのなのに。
 話し相手なら、私がいくらでもなってあげるのに。
 難しい話は苦手だけど、ユウキの話なら聞いても眠くならないから大丈夫。
 私は、ユウキのためなら何でもできる。
 ユウキが褒めてくれるなら、皇帝陛下だって殺してみせる。
 だから、ユウキ。
 私だけを、見て。
 
 
 相手は、距離を取りつつ私の周りをぐるぐると回っている。
 そのリズムは独特で、じっと見ていると目眩がする。
 右足と左足の速さを、交互に変えながら歩いている。
 その変化の仕方は一定ではなく、一歩一歩で進む距離も速度も違うため、注視すればするほど疲れてしまう。
 相手を幻惑させて、疲れたところで仕留める戦法――と、普通の人なら思うのだろう。
 
 違う。
 
 歩く速度を独特にして、相手に足を注目させて。
 その後ろで、手に砂を握っている。
 掴んだのは、最初、派手に後ろに跳んだときだろうか。
 それに気付かせないための、変な歩き方。
 別の部分に相手の注意を向けて、その隙に他のことを仕込む、か。
 
 確かに、手品師だ。普通の人なら、引っかかっていたかもしれない。
 だけど――私は、そういうのには引っかからない。
 全部、わかってしまうから。
 
 相手の動きが、全部。
 
 それが、私の強さの秘密。
 本当は秘密でも何でもないが、ユウキが秘密にしておけって言ってるから、秘密。
 
31血塗れ竜と食人姫 ◆gPbPvQ478E :2006/06/18(日) 23:34:37 ID:+JPJiGwQ
 
 相手が、独特なリズムで飛びかかってきた。
 先程までの回っていたときとは、別の動きで。
 でも、それにも惑わされない。
 手足の動きだけではなく、肩やお腹、股間の動きなどを観察していれば。
 相手がどう動くのかなんて、すぐにわかる。
 
 振り回すような、右手の一撃。
 それと同時に、左手で砂を投げる準備。
 しゃがんで避けたら、顔に砂を浴びせられる。
 ざらざらするのは嫌いだから、そのまま、向かってきた腕に手を伸ばす。
 
 ぶち。
 
 向かってくる動きを微妙に逸らし、その後一気に力を込める。
 それだけで、相手の腕は千切れ飛んだ。
 力の流れさえ掴めていれば、こんなこと、難しいことでも何でもない。
 
 ああ、この人も。
 千切れちゃった自分の腕を見て、呆然としてる。
 
 ――あの女にも、こんな表情をさせてみたい。
 
 さっきも、そうしようと思ったのに。
 ユウキに止められてしまった。
 ずるい。ユウキに止められたら、私は何もできなくなる。
 
 止められなかったら、私は確実にあの女を殺していた。
 ユウキはそれを止めたのだ。
 あの女が殺されないように。傷つかないように。
 
 私は怪我したことなんてないが。
 もし、試合で怪我したりしたら、ユウキは私のことをもっと構ってくれるのだろうか。
 もし、私が危なくなったら、あんな風に、ユウキは守ってくれるのだろうか。
 
 
32血塗れ竜と食人姫 ◆gPbPvQ478E :2006/06/18(日) 23:35:36 ID:+JPJiGwQ
 
 
 そんなことを考えていたら。
 
「あああああああああああああああああああっっっ!!!」
 
 ごきり、と。
 
 右腕を、蹴られていた。
 破れかぶれで放たれた一撃。
 それが、運悪く、肘の脆い部分に、嫌な角度で入っていた。
 
 激痛と共に。
 右腕が、動かなくなった。
 
 痛い。
 でも、それだけだ。
 右腕が動かなくても、左腕が動くから、充分。
 こんな痛みより。
 
 負けて、ユウキを失うことの方が、きっと痛い。
 
 続けざまに放たれた左拳を、前に出て受け、そのまま押し込み肩を破壊。
 ついでに捻って、力を込める。
 肩から先が、ぶちりと千切れた。
 そのまま、こちらの左手に残った相手の左手で、腹や顎を何度も殴る。
 意識がなくなったのを確認してから――眼窩に指を突っ込んで、そのまま首を真後ろにへし折った。
 相手の口から、鮮血が吹かれる。
 それを浴びながら、私は勝利の宣言を聞いた。
 
 今日も、勝った。
 ユウキに、褒めてもらえる。
 
 
 
 
 
 
 
33血塗れ竜と食人姫 ◆gPbPvQ478E :2006/06/18(日) 23:36:20 ID:+JPJiGwQ

 
 
 布団の中。
 心地よい暖かさが、隣にある。
 
 
 ――怪我をして控え室に戻ったとき。
 ユウキは、凄く驚いた。
 通路であの女と話したことなんて、頭の中から吹っ飛んだようで、とにかく私を気にかけてくれた。
 頭を何度も撫でてくれて、食事もユウキが直接口に運んでくれた。
 凄く嬉しかった。
 だから、少しわがままを言ってみた。
 
「一緒に寝たい」と
 
 最初は渋っていたユウキだったが、左手で服の裾を握りしめ、じっと見つめたら、了承してくれた。
 今は、ユウキが、隣で寝ている。
 ユウキは優しい。きっと、怪我した私を気遣ってくれたのだ。
 
 
 ――貴女は、ユウキさんに見捨てられたんですよ。
 
 
 ユウキが私のことを捨てるはず、ない。
 私が王者である限り、ユウキはずっと側にいてくれる。
 あんな女のところには、行かない。
 でも……。
 私が、王者じゃなかったら。
 ユウキは、優しく、してくれないのかな?
 
 
 ――私は、囚人闘技場王者の付き人です。
 
 
 怖いことを考えてしまい、一気に体が冷たくなった。
 暖かさを求めて、ユウキの腕にしがみつく。
 ユウキの腕、あったかい。
 この熱を分けてもらおうと、体をユウキに押しつけた。
 
 
34血塗れ竜と食人姫 ◆gPbPvQ478E :2006/06/18(日) 23:36:53 ID:+JPJiGwQ
 
 
 
 
 
 ユウキに頭を撫でられたり、ユウキにくっついたりしたときは、とても気持ちいいのだから。
 一緒に眠ることができれば、きっと、凄く気持ちよく眠れるはずだと思っていた。
 
 でも、何かおかしかった。
 
 ユウキが側にいて、凄く嬉しい。
 血流も良くなって、全身が温かい。
 ポカポカした、いい気持ちなのは間違いない。
 
 でも、眠れそうにない。
 
 何故だろう。
 胸の内側が別の生き物のように暴れ回っている。
 お腹の奥が熱くなり、同時にとても切なくなった。
 いつの間にか、息が荒れていた。湿り気を帯びて、はあはあと音を立てて呼吸している。
 熱い。熱い。体が熱い。
 我慢できなくて、身をよじった。
 
 瞬間。
 
 ユウキの腕が、足と足の間を擦りつけられ。
 全身に、電流が走った。
 
「――ッ!!?」
 
 びくん、と痙攣してしまう。
 今のは何なのだろうか。痛くもなければ苦しくもない。
 ただ、純粋に、凄かった。
 嫌なものではない。むしろ、とてもいいものだった。
 わからない。わからないけど、もう一度、同じことをしてみた。

35血塗れ竜と食人姫 ◆gPbPvQ478E :2006/06/18(日) 23:37:29 ID:+JPJiGwQ

 ユウキの腕を足で挟む。
 そしてそのまま腰を動かし擦りつける。
 
「ふあっ!? ……んふうっ!」
 
 思わず大きい声が出てしまい、慌ててシーツにかじりつく。
 大きい声を出してしまったら、ユウキが起きてしまう。
 ユウキはぐっすり眠っているのだ。それを起こしてしまったら気分を害してしまうに違いない。
 
 だから、これは、こっそりやらなければ。
 
 胸を締め上げられるような切なさと、火を噴きそうな熱さが、思考をどんどん奪っていく。
 腰をくいくいと動かして、ユウキの手首に、股間の熱い部分を擦りつける。
 あまりの熱さに汗をかいたか、下着がぬちゃぬちゃと濡れていた。
 声を抑えて、だけど動きは緩めずに、ひたすら腰を動かし続けた。
 そして。
 
「――ふぁぅっっっ!!!?」
 
 稲妻でも落ちたかのように。
 思考は真っ白に染まり、何も考えられなくなる。
 
 その後は、よく覚えてない。
 ただ、ぐっすり眠れたのは間違いなかった。


36血塗れ竜と食人姫 ◆gPbPvQ478E :2006/06/18(日) 23:38:08 ID:+JPJiGwQ
白、性への目覚め
37アビス  ◆1nYO.dfrdM :2006/06/18(日) 23:48:04 ID:0zxDmqHR
投下します
38姉妹日記 外伝 秋乃の章  ◆1nYO.dfrdM :2006/06/18(日) 23:49:07 ID:0zxDmqHR
「いや・・・・やめて!」
 必死で訴えても彼女はそれをやめてくれなかった
 私の髪を掴んでハサミで切っていく
 ああ・・・・・私の髪が・・・・・
 ひらひらと舞っていく私の髪だったものを見つめ私は絶望の底で涙した
 自慢だった・・・・綺麗だね・・・・両親も親戚の人も私の長い髪を綺麗だと褒めてくれた
 その自慢だった唯一の物がいま音を立てるかのように私の元を去っていった
「う・・・ぅぅ」
 涙する私を見下したように見つめて彼女は笑んだ
「どうして、こんな酷いことするの?」
「理由なんてないわ・・・・ただ」
 すごく意地悪な顔して彼女は私に顔を近づけた
「あんた見てると・・・・イライラすんのよ!」
 それだけ・・・・たったそれだけの理由で・・・・酷い
 酷いよ・・・・
 私と彼女と取り巻き以外誰もいない教室
 夕暮れでの中で私は孤独感に押しつぶされそうになった
「・・・・・なにやってるの」
 たった一人の孤独の中に光が見えた
 神坂・・・・くん?
 中性的な顔の少年が私と彼女の間に割って入った
「酷い・・・・どうしてこんなこと!」
 悪ぶれる様子もなく彼女はニタニタしながらこう言った
「神坂君こんなバァ〜カなんかに構ってないで私たちとカラオケにでもいかない?」
 ゆっくりと神坂君に近づいて身体を寄せる
「実はね・・・私・・・・神坂君のこといいな・・・・って思ってたの♪」
 涙がこみ上げてきた・・・・私は・・・・一体
 なんなの・・・・もう、いや・・・・私・・・・どこにも私がないよ
「ふざけるな!」
 神坂くんの怒りの声と共に彼女が地面にお尻を付いた
 いきなり突き飛ばされて彼女は訳もわからずに呆然としている
39姉妹日記 『外伝 秋乃の章』  ◆1nYO.dfrdM :2006/06/18(日) 23:50:00 ID:0zxDmqHR
「な、なに怒ってるの?イジメなんてみんなやってることじゃん」
 ようやく事を理解した彼女が神坂くんにそう言った
 神坂くんはいつのもの穏やかで温和な感じを影に潜めて激怒していた
「どんな理由があろうと・・・・人を悲しませる行為を僕は許さない!」
「神坂・・・・くん、私・・・・この子があなたといつの仲良く話してるから・・・・だから!」
 ようやく彼女が私をいじめる理由が解った
 私にとってただ一人の友人の神坂君
 私と神坂君が話しているところを見て・・・・だから
「そんなことで・・・・・僕は、大嫌いなんだ・・・・弱い者イジメが!」
 今にも飛び掛りそうな勢いで神坂くんは彼女を詰った
 驚いた・・・・神坂君がこんな大声を上げて今にも枯れそうになっている
 顔も真っ赤になっている
 あれだけ温厚で有名な彼が・・・・
「今度こんなことしたら・・・・絶対に許さないからな」
 威圧感に負けて彼女は取り巻きと共にその場を去って行った

 神坂くんは憤怒した気持ちを抑えるかのように深呼吸をして息を整えると私に手を差し伸べた
 私は恐る恐るその手を取るとゆっくりと引いて起き上げさせてくれた
「・・・・・・」
 床に散らばる私の髪を見て神坂くんは眉をひそめて悲しげに俯いた
 拳を握り締めてわずかに震わせている
 少し話す程度の私の為にこんなにも怒ってくれるなんて・・・・
 曲がったことが嫌いなんだね・・・・
「その髪型・・・・良いと思うよ・・・・」
 しまった、とばかりに神坂くんは口を押さえた
「ご、ごめんね・・・・不謹慎だった」
 気を使っての言葉なのに神坂くんは申し訳なさげに頭を下げる
 すごくまっすぐな人なんだ・・・・
「き、気にしないでください・・・・」
 神坂くんはそのあと何度か謝ると散らばった髪を掃除した
「ほんとに、送っていかなくていいの?」
「はい、大丈夫です・・・・」
「そう・・・・・ねぇ」
 神坂君が帰ろうとして背を向けたあと振り返った
「僕もね・・・・昔、イジメられてたんだ・・・・」
 神坂君も・・・・?私はその事実に驚愕しながら次の言葉を待った
「でもね、勇気を持って・・・・イジメの主犯格を一発殴ってやったんだ」
 回想にふけると神坂君は私をまっすぐに見て微笑んだ
「僕が変わったら・・・・自然と周りの変わったよ」
 窓から差し込む風がゆっくりと私の短くなった髪を揺らした
 いつの間にか夕暮れは闇に変わり月の光だけが私たちの姿を鮮明に照らす
「じゃあね・・・・また明日」
 神坂くんはそう言って再び背を向けるとその場を去った
40姉妹日記 『外伝 秋乃の章』  ◆1nYO.dfrdM :2006/06/18(日) 23:59:14 ID:0zxDmqHR
 その日から私は少しだけでいい自分から変わるようにした
 不思議な事に神坂くんが言うように私が変わると周りの変わった
 イジメもなくなって自然と友達の出来た
 変わったのはそれだけじゃないの・・・・
 恋心・・・・初めて感じる人を想う気持ち
 神坂くん・・・・私
 でも、いまのままの私じゃ女として神坂くんは見てくれない
 私はもっと自分を変えようと決心した
 まずメガネをコンタクトに変えて髪型も女の子らしいのにした
 毎日運動して10キロもダイエットに成功した
 もともと痩せてはいたけど・・・・
 少し体調不良になった・・・・
 この中学は高校もエスカレーター式で行く・・・・
 だから、私はそのときまでにと自分を出来る限り磨いてきた
 そして・・・・
「あの・・・・神坂くん・・・・」
 私は自分が変われたこと・・・・それと自分の気持ちを伝えるため彼に声を掛けた
 
「隙です!じゃなくて・・・・その・・・・・す、好きです!」
  どうか私の気持ちを受け入れてください
「私と・・・・付き合ってください!」
 好きです・・・・好きです・・・・・好きです
        愛しています
41アビス  ◆1nYO.dfrdM :2006/06/19(月) 00:04:18 ID:0zxDmqHR
やってしまった・・・・
嫉妬&修羅場またもや関係ありませんね
しかし、自分は土台をしっかりしたい性質なのです
なぜこの子は彼を好きになったのか
ちゃんと書かないと気が済まないタイプなんです
許してください

次もまた嫉妬&修羅場があまり関係ないブラッドの外伝と姉妹日記外伝の姉妹編を投下します
42『死の館』 ◆PkDo3c3GM2 :2006/06/19(月) 00:11:46 ID:VbkbKxgd
――由良
翔「ったくよー……もっとこう化けもんとかいないかね。」
由「ほんっとに冗談にならないんでやめてください。」
全く空気を読めない兄さんに頭痛がするが、それ以上の悩みごとがある。………敦也さんと美保さんの事だ…。二人は向こうの同じ班。
この状況なだけに、今まで以上に親密になっていないかと心配になる。……だめだ、やっぱり敦也さんを諦めきれない。また心のモヤモヤが湧き出してくる。
光「そんなこと言って……本当に化け物と戦えるんでしょうね?」
翔「はんっ!この山岳のために鍛えた筋肉、甘く見ないでくれよな。」
と、そこで行き止まりとなり、左右に二つのドアが現れた。どちらも似た様なドアだが………
光「どっちだろ……明は……」
翔「迷っててもしかたねぇしさ、テキトーに……右だ。」
そう言って何も考えなしに兄さんは一人で入ってしまうと………
ガチャン
私達が入るまえに、ドアが閉まり、開かなくなってしまった。全く……兄さんの悪ふざけも……
由「兄さん?遊んでないで開けてください。」
翔「ああ?いや……これ、あかねぇよ。鍵かかってる。」
その時…
「キャァアアアアアア!!!!」
43『死の館』 ◆PkDo3c3GM2 :2006/06/19(月) 00:12:32 ID:VbkbKxgd
――敦也
敦「……さて、どうするか、だな。」
俺達は迷っていた。さっきの叫び声と、前に進むかでだ。あれは確かに明の声だった。だが、その声の聞こえたのは、進行方向とは違う物だった。
声の方に進むには……
奏「この中を進わけね……」
少し高いところにある、通風口らしきところを進しかなかった。一応塞いでいた網をペンチで切り落としたが……
奏「誰が行くかって話よね……」
美「私は絶対いや!…あっちゃんと一緒がいい。」
奏「……私だって…敦也君と一緒の方がいいわよ……」
なぜか変なことで言い争う二人。どっちでもいいじゃないか。でもまあ、ここを通るなら……
敦「美保。頼む。お前の体じゃないと通れなさそうだしな。」
美「え?……う、うそ。いやよ!…あっちゃんと離れるなんて……」
奏「いいから行きなさいよ。大切なあっちゃんの命令なんでしょ?」
勝ち誇った様に見下す奏。それだから周りに敵を作りやすいんだよ……
美「くっ……この…あんたなんて、殺されちゃえばいいのよ!あの殺人鬼にね!」
それは言い過ぎだと注意するまえに、もう通風口の向こうへと行ってしまった……
44名無しさん@ピンキー:2006/06/19(月) 00:20:03 ID:9wELWIS5
>>36
GJ!!!!
どんどん白が性に過激に走ってもらえたら嬉しすぎる。

45名無しさん@ピンキー:2006/06/19(月) 00:21:12 ID:yzDvX3kk
>>前スレ667の血塗れ竜の作者サマ
無駄に長いなんてとんでもない! とても読みやすく分かりやすい文章なので
毎回引き込まれます。 お願いですから今後もこの調子で行って欲しいです。
46名無しさん@ピンキー:2006/06/19(月) 00:21:39 ID:IxTccezE
|ω・`) 死の館の作者殿、途中だったら申し訳ない

怒涛の作品ラッシュすぎて感想が追いつかないっす
全部読ませてもらってます、作者様には感謝しても足りない・・・
47名無しさん@ピンキー:2006/06/19(月) 00:27:10 ID:3+Din8tl
Bloody Maryと血塗れ竜が面白すぎる
48『死の館』 ◆PkDo3c3GM2 :2006/06/19(月) 00:32:40 ID:VbkbKxgd
スマソ 終了しとります
49名無しさん@ピンキー:2006/06/19(月) 00:32:53 ID:Xe1+Xq8y
>>36
何も知らずにオナヌーにふける白。
テラモエスwww
やはり時代はファンタジーなのかw
50名無しさん@ピンキー:2006/06/19(月) 00:56:58 ID:ae7gAmd2
ここは新参には厳しいスレですね



まとめサイト読んでも読んでもおいつかねぇwwww
51名無しさん@ピンキー:2006/06/19(月) 00:58:59 ID:5/eq92rY
>>50
そんなおまいに嫉妬する
52名無しさん@ピンキー:2006/06/19(月) 01:00:51 ID:lTTqTIEt
神作品の怒涛の投下キタ━━━━(。A。)━(゚∀゚)━(。A。)━(゚∀゚)━(。A。)━━━━!!!!

>>41
バックボーンもうまくて作品によりのめり込めますよ!
53名無しさん@ピンキー:2006/06/19(月) 01:08:33 ID:ukRnidbc
>>34
>>ちッ、お前らは先行ってろ!
師匠、それ死亡フラグ・・・
54名無しさん@ピンキー:2006/06/19(月) 08:14:23 ID:aRmzAYnb
嫉妬や修羅場はその人物の性格や、心に深く影響する。
背景を知ることでその修羅場を何倍にも楽しむことが出来る。
つまりGJ!! これからもがんばってください。
55『死の館』 ◆PkDo3c3GM2 :2006/06/19(月) 13:23:08 ID:VbkbKxgd
――???
「いや……なに?なんなの?この日記……」
まただ。また邪魔な女が私とあなたの思い出を読んでいる。あれは私たち二人で読んで昔を振り返るためなのに………
凶器と狂気を持って歩み寄る。怯えている背中に、ごく普通に。いつもの部活仲間として声を掛ける。
「あっ……ちゃん…よか――≒√!?ヽ_;…」
まただ。またあなた以外の声はノイズに変わる。うるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさい!!!!!!!
「ωーー〜дд`†..%#」
「!」
途中であなたの名前が聞き取れる。許せない。本来その名前を呼んでいいのは私だけなのに。あなたのようなゴミが発声してはイケナイ………
私に抱き付いたこの女にみえないよう、ナイフを振りかざし……刺す!
ザクッ!ザクッ!ザクッ!ザクッ!ザクッ!……
あはは……また刺すところが無くなっちゃった…体に穴開いちゃったからなぁ。
死体の始末をしようとしたその時……
「……ちゃん…なん、で?」
また私の名前が呼ばれる。その方へ振り向く。
56『死の館』 ◆PkDo3c3GM2 :2006/06/19(月) 13:23:49 ID:VbkbKxgd
「それって……明…ちゃん…あなたが、殺、した?」
不覚にも発見され、私の頭は混乱している。向こうも混乱している。落ち着け、落ち着け。
それによく見ろ。あの女は私のあつくんにいっつもくっついてる、真っ先に殺したかった奴じゃない。これはチャンスよ。
「う、そ…あなたが……なんで?どう、やって……犯人なんかに…イヤァ!」
まだ動揺し、目を白黒させている目標に、ナイフで襲いかかる。だが素早く反転し、逃げ始める。
「アハハハハははははは!逃がさない!殺してやる!!!私のあつくんにべたべたさわって……まるで自分の物みたいにいっちゃって……でもいいわ。ここで思い知らしてやるわ!
あつくんは私の物!あんたみたいな泥棒猫に渡すもんですか!」
「〇->島刀aar//!!」
またわけの分からないノイズをまき散らし、逃げている。アハハハハ……あつくんの為に殺せるだなんて楽しい……
でも殺すだけじゃ物足りない。ナイフを投げ捨て、ポケットからペンチを取り出す。これであの女の目をエグッテ殺る!もう二度とあつくんのかおをミレナイヨウニシテヤル!!!
57『死の館』 ◆PkDo3c3GM2 :2006/06/19(月) 13:24:59 ID:VbkbKxgd
今日はここまでっす。なんて乏しいホラーなんだorz
58トライデント ◆mxSuEoo52c :2006/06/19(月) 18:28:19 ID:0JYYVziu
では投下致します
59煌く空、想いの果て ◆mxSuEoo52c :2006/06/19(月) 18:30:40 ID:0JYYVziu
 最終話 猫崎猫乃エンド



 殺戮は神ですら止めることができない。
 非力な俺は猫乃と梓の決闘を黙って傍観することしかできなかった。
普段から学校の問題児の扱いを受けるような行動を起こしている俺でさえ、この状況を直視することができない。
死闘を止めるとならば、あの武器の餌食になってしまう。
 ただ、拳を握り締めて、二人とも無事でありますようにいないはずの神に祈るしかできなかった。
「もらいましたーーーー!!」
 猫乃の武器『正宗』が梓の心臓を貫き。更に深く押し込んでだ。捻りながら、愉快な笑みを浮かべている猫乃はすでに俺と交際していた少女の顔ではない。
「死ね死ね死ね。お前なんか死ねばいいんだ!!」
「ぐっぎぇぇぇぇーーー!!」
 悶絶し、正宗の刃を握り締めて手から血を流して梓は引き抜こうとしているのか。
すでに体に突き刺さった時点で梓の死は確定であった。
 悲鳴に似た断末魔と共に梓は逝き絶えるように倒れこんだ。
 だが、猫乃は手を休めるようなことはしなかった。
 長身の正宗を突き刺しては抜いての行為を繰り返している。

梓は死んでいるというのに、梓の死体から休むことなく血が様々な箇所から噴出していた。


「あずさぁぁぁっっっーー!!」


 大切だったはずの幼なじみの無残な死体を見て、欝憤していた想いが豪雨のように解き放つ。
 わかっていた。わかっていたはずだった。
 この戦いを放置していれば、どちらかに死者が出てしまうのに。俺はこの二人に恐怖して、足が震えてしまっていたんだよ。
「先輩。わたし、やりましたよっっ!! ついにあの女を殺すことができたんです。いっぱいいっぱい、誉めてくださいっ!!」
 制服の大半が血塗れになっている猫乃が嬉しそうにこちらに寄ってきた。俺は本能的に後ろへと後退していた。
「どうしたんですか? 先輩」
「や、や、やめろ。こっちに来るなっっ!!」
「えっ……」
 思わず動揺の表情を浮かべた猫乃がまるで何を言っているのか信じられないような目で見ている。
 俺は怯えていた。人を一人を殺しているのに、何の躊躇なく笑顔でこちらに駆け寄ってくる殺人者に。


「もう、意地悪しないでくださいよ。わたし、ようやくあの憎き風椿梓を殺したんですよ。先輩も本当は殺したぐらいにうざかったはずでしょう?」
「違うっ!! 梓は俺の大切な幼なじみだったんだよっ!!」
 そう、大切な幼なじみだった。俺が誤解さえしなければ、こんな無残に殺され方はせずに済んだ。
 俺がこいつらを止めていれば、誰も死ななかったのに。
「大切なのは、恋人の私じゃないの?」
 恋人……。
 果たして、本当に俺はこいつの事が好きだったんだろうか?
 今になって、あの頃の俺に問い返す。
 正直言うと誰でもよかったんだ。梓の事を忘れさせてくる女の子がいてくれれば。
「先輩?」
 虚ろ瞳が真っすぐに俺を見据えている。その視線を合わせただけで、俺は恐くなって逃げ出した。猫乃の顔も、廊下の上で死んでいる梓も全てが恐かった。
「せ、せ、先輩。待ってよっ!!」
 暗闇の廊下を駆ける。猫乃の声が響いて山彦するが、俺は振り返ることなく闇の彼方に消えていた。
60煌く空、想いの果て ◆mxSuEoo52c :2006/06/19(月) 18:33:16 ID:0JYYVziu
真っ先に警察に電話をして、すぐに学校に来てもらった。
猫崎猫乃は現行犯として逮捕されて、俺は警察に取り調べで事情をあれこれと聞かれた。
梓の葬式は明後日に開かれるが、俺は行くこともできずに、ただ梓が存在していたことを記憶から消去していた。

俺の中では過去も未来も現在ですらもいなかったことになっている。
女子生徒たちが夜の校内で男を巡って殺し合いを行なっているのがマスコミによって、過激に報道されていた。
その渦中にいた俺は何度もマスコミにしつこく追い掛けられ、学校の生徒たちの冷たい視線にも耐えきれずに学校を転校した。
俺の存在を誰も知らない、事件の影もない心の傷を癒せる場所へと逃げ込んでいた。



 女子生徒殺傷事件から数十年後。
 猫崎猫乃は罪を償い刑務所から出所する日。
 彼女は復讐の炎に身を燃やし続けていた。

 もしも、あの日、あの場所で違う未来があったとするならば。
 私は大好きな先輩と幸せの一時を過ごしていただろう。
ちゃんと、二人の間に二人ぐらいの子供がいて、新しく買った新築の家には犬が飼われていて、
そのまま何事もなく先輩とわたしがおじいちゃんとおばあちゃんになるまでずっと幸せに暮らすという本来あったはずの未来。
 そんな未来を私は暗い牢獄でずっと思い浮かべていた。
学生時代からずっと願い続けていた夢というべきだろうか。
それは色褪せることなく、どれだけの年数が変わることがなかった。
 
 なのに。
 なんで、先輩は他の人と幸せになっているの?

 刑務所から出所して、まともな職に就くまでに時間がかかり。
 ようやく、貯めたお金で先輩の居場所を探偵に依頼して居所をようやく見付けたのに。
 先輩は他の女と結婚していた。
 あの、風椿梓やわたしの事が全くなかったように他の女と……。

 何の為に猫から人間に転生したんだろうか?
 それもこれも、先輩と結ばれて幸せになるためじゃなかったの?
 己自身に反芻するように問い掛けるが、応える言葉は何もなかった。
 幸せそうな先輩とその妻らしき女と子供が仲良く団欒している姿を悔しそうに見据えながら、立ち尽くすしかなかった。


 狂った笑みが零れる。
 そうだ。
 あの風椿梓をこの手で切り裂いた事を思い出せ。
 先輩に他の女がいるなら、奪ってしまったらいいんですね。
 あの女をメチャクチャに切り裂いたあの夜のように。
 殺した時の感触は今になっても忘れることができない。
 わたしから先輩を奪った女の最後の表情はまるでこの世界の終わりのような顔をしていたんだから……。
 あははははははっは。
61煌く空、想いの果て ◆mxSuEoo52c :2006/06/19(月) 18:36:24 ID:0JYYVziu
 覚悟を決めると行動は何もかも早かった。
 私から先輩を寝取った女は探偵から調べさせた情報から、

 あの風椿の親友の『志織』だという。当時の私も先輩の周辺と敵の情報は掴んでいたので、その志織の事はなんとか覚えていた。
 まさか、先輩と結婚していたとは一体どこの誰が思おうか・・。
 その二人の間には二人の子供がいる。先輩に似て可愛らしい子供たちだ。でも、あの女の血が流れていると本当に頭に血管が詰まりそうになる。
 私が描いた理想の幸せな家庭を築いている光景を見て、心の奥底から抑えきれない衝動が溢れそうになる。

 先輩にはおしおきが必要だね。
 これは復讐。
 でも、先輩だけは生かしてあげる。私は執念深い女だから、この猫崎猫乃の生を捨てても、何度でも現世に蘇ってやる。
 その前に復讐を実行することにしよう。

 先輩とあの女の子供を誘拐して、数日間監禁する。あの女が泣き叫ぶ姿に優越感を感じながらも、私は躊躇なくその子供たちの首を切り落とした。
 それから、ご丁寧にあの女が一人になる時間帯を狙って、その子供たちの首を配達業者が配達してもらう。

 手紙に、子供たちの命が欲しければ、送られてきた箱の中身を見ろという指示を与えておいたので、あの志織は絶対に見ることになろう。
 恐怖に満ちた我が子の成れの果ての姿を。
 せっかくの先輩と愛の結晶をこう簡単に失うとは志織は思ってもいなかっただろう。

 絶望の奥底にこの女を叩き落とすためには手段は選ばない。
 私から先輩を奪った女は地獄に突き落とすに相応しい。
 そう、あの風椿梓のように。
 さてと、そろそろ最後のメインディッシュと行きますか。

 燃え盛る炎がリビングを包む。新築の家のあちこちに火が広がっていた。
 その中にある居間だけは誰も非難もせずにわたしと先輩だけが残っていた。
「ゴホッゴホッ……。おえっっーー!!」
 愛しい愛しい先輩が口から嗚咽を吐き出していた。先程食べたモノの正体を知って、先輩は必死に中のモノを吐き出そうとしている。
 そうそう。
 いくら、愛している愛しているという言葉を語っても、世の中はこんなもん。
 所詮は口だけだってことかしら? 私なら喜んで愛している人のためならどんなことでもする。
 ってことは、先輩は最初からこんな女の事を愛してはいなかっんだ。

 私がいなくなってしまったから、その代用品としてあの女が選ばれただけのこと。
 本物の恋人の私が帰ってきた以上は志織は必要ない。
「ゆ、許してくれっっ……」
 縄で身体で縛られて見動きできない先輩が懇願するように怯えた瞳で私を見る。
そんな瞳で見られただけで、本当に私の心が癒されてゆく。あの頃のように。

「許すも許さないもないですよ。先輩。先輩はずっとわたしとずっと一緒にいるの。この永遠の炎に包まれて、二人はずっとずっと一緒にいることができる」
「い、い、いやだ……」
「だめです。これからは私のモノでいてくださいね」
「た、た、助けてくれ……。嫌だ……死にたくない。ちくしょっ!!」
「先輩」
 燃え盛る炎がわたしと先輩を包む。これでわたしたちは誰にも邪魔されることなく、もう一度やり直せ……る。
「あ、ああ、つい」
 死は常に平等に訪れる。その先は果てしない闇。無である。
62煌く空、想いの果て ◆mxSuEoo52c :2006/06/19(月) 18:38:02 ID:0JYYVziu
 平成○○年○月○日
 子供誘拐殺人事件の被害者宅が全焼。
 かつて、女子生徒殺傷事件でマスコミの恰好を受けた水野翔太さんのご子息が犯人と思われる人物から誘拐され、
 自宅に首だけになったご子息を送られる残虐な行為が先週あったばかり。
 前回の事件の経緯を何も話さずに今回の事件も警察は疑惑の人物だとして水野翔太氏をマークしていたが、

 当の本人はこの火災で焼死体と発見された。もう一人の女性の焼死体は発見されるが、
 その妻の水野志織さんではないことがあらゆる検査と身内の人間の協力で確定。

 その正体不明の女性が今回の誘拐事件及び水野家放火事件に関与したと警察は身元不明のまま書類送検することに決定。
 ただ、水野夫人は今回の放火事件の被害者宅から焼死体としては発見されてはいない。
彼女の姿は全焼した焼き跡から発見されることなく、行方不明者として扱われる。あの犯行時間に彼女が水野宅にいることは不明。
 
 水野志織の両親が捜索届けを提出するが、未だに見つかってはいない。
 犯人らしき女性に殺されたのかも不明。

 水野志織の死体はどれだけ探しても見つかることはなかった。






 あははははっははははっっっははっはははっはははっははっははは
 あはははっはははっはははっはははっはははっはははっははあは
 (BGM 女性の声)


 煌めく空、想いの果て  猫崎猫乃END

 ED 死体はどこへ行った?
63トライデント ◆mxSuEoo52c :2006/06/19(月) 18:44:48 ID:0JYYVziu
というわけで、猫崎猫乃EDです。
水野詩織の死体はどうなったのかは、皆様のご想像にお任せします。

そういや、かちかち山で狸がおばあさんを騙して、脳天を叩き割り
死んだおばあさんの体の皮を引き剥がし、肉を切り取り
その肉を使ってタヌキ汁ならぬババア汁を作り

そのババア汁を爺さんに食べさせたと言いますが・・



まさか!?




次回は風椿梓EDで遭いましょう。


64名無しさん@ピンキー:2006/06/19(月) 19:07:59 ID:cT9FgK1p
なんだこの神ラッシュは!!
お前ら…このスレの死期をそんなに早めたいのか!?





















でも、凄くいい(*´Д`)GJ
65名無しさん@ピンキー:2006/06/19(月) 19:17:08 ID:KH5sJUsc
さて、一日で60kbとはどういうことか説明してもらおうか?
66名無しさん@ピンキー:2006/06/19(月) 19:32:54 ID:U0cNr60F
えっいや・・その・・
ちょっと買い物に行ってたんだ。

え・・・?他の女って・・
そんなわけないだろ!?
67名無しさん@ピンキー:2006/06/19(月) 19:50:43 ID:tAFjyjZo
>>62
GJです
先が気になって思わず読み入っちゃった
死体(((( ;゚Д゚)))ガクガクブルブル
猫乃タン・゚・(ノд`)・゚・
猫乃タンオンリー幸せエンドがちょっと見たかったです
68スウィッチブレイド・ナイフ ◆pmLYRh7rmU :2006/06/19(月) 19:58:11 ID:JeKvKT6D

『第七話』

部屋を追い出された俺は、とぼとぼと駅前通りを歩いていた。
やっと赦して貰えた、と浮かれていれば次の瞬間には奈落の底に真逆様。
いったいこれを何度繰り返したかわかない。
いっそこのまま死んでしまうか・・・・・

暗い夜道、焦りに任せて単車を駆っていた光景が脳に浮かぶ。
路地から現れた一つの小さな人影。
右手を絞る、右足を全力で踏み込む。背中を突き抜けていく恐怖。
ヘッドライトに照らされた若い女性の凍り付いた顔。


いかんいかん、俺は贖罪に生きると決めたのだ。
いくら拒絶されようとも自分の胸に刻んだ決意を下らん逃避で汚すのは、あまりにもアホ臭い。
少し散歩して頭を冷やすか・・・・・

あ、そういえばゆかりを病室に残したままだった。
最近すこぶる機嫌が悪いから後でフォローしておかないと。
またヤツの一方的な教育的指導と銘打ったわがままにつき合わされるのはごめんだからな。
とりあえず携帯にメールを発射。

『久々に呑まないか??今ならアフターのカラオケつきだぞ。九時に新宿集合でどう?』


用件を短くまとめて送る。
すぐに返事が来ってきた。
いつもながらよくあの爪で早打ちできるな・・・・と感心しつつボックスを開く。
絵文字がキラキラと自己主張する長文が帰ってくるかと思ったが、本文にはあっさりと用件だけ。

『今日はバイトがあるからムリなの〜代わりといったら何だけど、よかったら明日私のアパートで家飲みしない?ゆかりさんの特製手料理と取っておきのスペシャルメニューつきよ☆』

アイツは二週間前にバイト辞めたような・・・・・?という疑問はとりあえず端に寄せておくことにする。

先ずゆかりが怒っていないことに安心。
そしてゆかりの手料理という意外な単語に胸が躍る。
ヤツは遊んでいそうに見えて実は家庭的なのだ。
事故を起こしてからご無沙汰だったが、長い爪を気遣うようにゆっくりと作業する料理の腕は一級品。
十年来食い続けてきている俺が言うのだから間違いない。
これまでは一回ご馳走になるたびに見返りを求められたが、今回は無料奉仕でしかもスペシャルメニュー?とやらも用意してくれるらしい。
あいつなりに励ましてくれるのだろうか。
何だが元気が沸いてきた。

もうお見舞いに行くのは止そうと思っていたが、気まずい雰囲気をものともせずに森さんに謝りにいけそうだ。
ありがとよ、ゆかり!!!!
身を切るような十二月の寒気をものともせず、俺は少し歩調を速めた。

すると、再び携帯が鳴った。
今度は何だ??
メールじゃなくて電話。
相手は――――――――――――――――森さん?
ゆかりのおかげで元気を取り戻した心が急激に醒めていく。
妙な悪寒が全身に浸透した。
恐る恐る、通話ボタンをプッシュ。
震える手で受話口を耳に当てる。
69名無しさん@ピンキー:2006/06/19(月) 19:59:50 ID:lTTqTIEt
猫乃タン((((((*´Д`))))))))ハァハァ
そして第三のヒロイン志織即退場('A`)
70スウィッチブレイド・ナイフ ◆pmLYRh7rmU :2006/06/19(月) 20:00:56 ID:JeKvKT6D
『――――――――――――――――て、よ――――――――――――――――』

ぼそぼそと何かを言っているようだがほとんど聞き取れない。
後ろでは轟々と音が鳴っている。

『森さん?・・・・どうしました?』

反対の耳を指で塞ぎ、雑音が入らないように意識を集中させる。
電話だというのに何故か薄ら寒い狂気のようなものが伝わってくる。
本能が全力で告げている、ヤバイ!!!!!と。

「あの、森さ、
『――――――――――――――――早く――――――――――――――――き、てくださ、い
――――――――――――――――■んでやるから、来ないと、――――――――――――――――飛■降■てやるから。
――――――――――――――――ここ、お、く、じょうだか、ら――――――――――――――――』・・・・・・・・」

・・・・・・・・・・・・・・・・夢なら醒めろ。

『森さん??ととととにかく今すぐ向かいますから、落ち着いて、落ち着いてくださいよ!!!』

かろうじて聞き取れた、屋上という単語。
身を投げる森さんの姿が脳裏に浮かぶ。
やっぱり、俺の態度がまずかったのか!!!
浮かれていた自分を殺したくなる。

俺は電話越しで森さんを繋ぎとめようと必死だ。
彼女は言葉の端々に不穏な響きを匂わせて、信じられないくらいに低い声で訴えてくる。
死神がツケを回収するように、容赦ない現実を目前に押し付けられた。

『わ、たし
――――――――――――――――ずっと、かおる、さんが、■きでした――――――――
――――――――■■からおち、たのも、ぜんぶ、じぶんで、やったの―――――――
―――――――――か、お、るさんが、いなく、なっちゃうの、こわ、かった、から。
――――――――――――――――■き、■き、■き、■き――――――――――――――――ちゃんと、いえたよ。
―――――――――――――――えらい、でしょ?わたしを、みずきを、ほめて――――――――――――――――よくやったねって、ほめて。
――――――――――――――――そしてさいごに、やさしくウバッテ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!』

この声・・・ほんとに森さんが発したものなのか?
地獄から響くような低音。
すべてを切り裂かんとする金切り音。
確かに聞いた言葉、ぜんぶ、じぶんでやった・・・・・?


嘘だろ・・・・・
いったい、どうしまったんだよ!!!!!!!!!

71名無しさん@ピンキー:2006/06/19(月) 20:02:46 ID:yzDvX3kk
…なにやらホラーじみてきたな
72スウィッチブレイド・ナイフ ◆pmLYRh7rmU :2006/06/19(月) 20:02:54 ID:JeKvKT6D
定期的に電話で声をかける。
さっきから全力疾走をしているために、息も絶え絶えだ。
俺が声をかけないと、受話口からは人を殺せそうなほどの呪詛が漏れてくる。

口が渇く。喉が焼ける。

『も、り、さん・・・・』

吐き出す音はほとんど言葉になっていない。
俺が息をつくたびに地獄のメロディは止むが、今度は代わりに湿った音が響く。

『ん――――――――――――――――ふ・・・・・かおるさん、すてき―――――――
―――――――――もっと、もっとんんんんん・・・・』

――――――――――――――――もう、訳がわからん。
目前は混沌を通り越した無秩序、心臓はツーバス連打、頭蓋の裏ではデスメタルが響き渡る。
俺は視界の隅に映った病院に一度冷静さを取り戻すと、予備電源を使ってラストスパートをかける。

はぁ、はぁ、はぁ・・・・・・

ようやく屋上の扉にたどり着いた。
どうやって診察時間が終了した病院に入ったかなどは覚えていない。
そんなのものは『必死』の一言で全部片付いてしまう気がした。
倒れこむように重い扉を押し開け、広い屋上に視線をめぐらす。

いた!!!!!!!!!ピンクのパジャマに黒のカーディガン。
内股で地面に座り込み、顔は前髪に隠れて見えないが間違いなく森さんだ。

「森、さん・・・・・・何が、あったか、せつめい、して、もらえます、ね・・・?」

膝に手をつき、手の甲で額に浮かんだ汗を払いのける。
とにかく無事な様子の森さんに油断していた。

だから気づかなかったのだ、噛み付くように唇を奪われたことに。

73スウィッチブレイド・ナイフ ◆pmLYRh7rmU :2006/06/19(月) 20:04:17 ID:JeKvKT6D

「―――――――――んんんん」

森さんの薄い体が目一杯押し付けられ、ギプスで固定された左が後頭部に、無事な右腕が背中に蛇のごとく絡みつく。
暫く咥内をのた打ち回る舌に思考を奪われていたが、
フェイズシフトダウンした脳でようやく現状を把握すると、俺は全力で森さんを引き剥がした。
軽い体は屋上の強風にあおられて吹き飛んでしまうかに思われたが、怪我人とは思えない膂力で押し返された。

「馨さん・・・・・待っていましたよ・・・・」

どこか恍惚とした表情を浮かべる森さん。

一陣の強風で暗雲が晴れていく―――――――――
雄大な満月が夜の帳に大穴を明けた。

その凶光を受けて黄金色に輝く上目遣いに、俺は文字通り石化した。

74作者 ◆pmLYRh7rmU :2006/06/19(月) 20:10:46 ID:JeKvKT6D

ブラッディマリーと血塗れ竜と食人姫のクオリティには毎度ながら本当に驚かされます。
すげぇ続きが楽しみです。

正直ストックが少なくなってきたので続きは暫く後になりそうです・・・・
75名無しさん@ピンキー:2006/06/19(月) 20:13:26 ID:ae7gAmd2
なんかもうみんなGJすぎて何がなんだかわからなくなってきた(゜∀。)ワヒャヒャヒャヒャヒャヒャ
76名無しさん@ピンキー:2006/06/19(月) 20:45:22 ID:lTTqTIEt
割り込んでしまったOTL
しかし森さんの病み具合はすばらしいな!!
77名無しさん@ピンキー:2006/06/19(月) 20:47:50 ID:3Jm3tBUa
ちょっとした熱帯夜に涼しくなれるスレはここですか?

森さんコワオソロシイヨ森さん
78アビス  ◆1nYO.dfrdM :2006/06/19(月) 21:19:07 ID:UHEuxUiT
投下します
79姉妹日記 『外伝 姉妹の章』  ◆1nYO.dfrdM :2006/06/19(月) 21:19:46 ID:UHEuxUiT
 真っ暗でとても静かな深夜・・・・
 私は物音を立てないように細心の注意をはらいながらある部屋に入った
 気づかれないようにドアを閉めて・・・・布団を少し持ち上げる・・・・
 私はベットの中に潜り込んで・・・・お兄ちゃんの温もりを独り占めにする
 ああ、至福の瞬間・・・・このままお兄ちゃんの中に溶けちゃいたい位だよ
 そのまま私はお兄ちゃんの身体を軽く愛撫する・・・・あれ?
 柔らかい・・・・胸?胸がある・・・・もしかして、お兄ちゃんはほんとはお姉ちゃんだったの!!!!!
 んなわけない・・・・私は一人でボケて一人でツッコムと私は布団を跳ね飛ばした
「むにゃ、むにゃ・・・・ダメよ・・・・涼ちゃん」
 が〜んお兄ちゃんはお姉ちゃんだった・・・・・
 あれ?合ってる・・・・んなことどうでも良いでしょうが!
「お姉ちゃんがなんでお兄ちゃんの部屋にいるのよ!」
 深夜の静かな時間を私の奇声のような声が壊した
「あら、冬香ちゃん・・・・」
「あら・・・・じゃないわよ!」
 二人であーだこーだ言っていると部屋の主のお兄ちゃんがようやく戻ってきた
「もう・・・・どこ行ってたのよ!」
 明らかに逆切れする私にお兄ちゃんはいつのもことかたばかりに肩をすくめるとゆっくりと私たちに近づいた
「なんで二人がここにいるんだ!」
 少し怒った風な口調でお兄ちゃんは私たちに説教を始めた
 もう・・・・またか、お姉ちゃんがいなければお兄ちゃんのお説教ではなく愛をもらえたのに
 また夜這い失敗か・・・・・
80姉妹日記 『外伝 姉妹の章』  ◆1nYO.dfrdM :2006/06/19(月) 21:20:20 ID:UHEuxUiT
 起こさないようにお昼寝している涼ちゃんの寝顔を覗き込む
 可愛いな・・・・私は涼ちゃんにチュッとキスをすると寝息を立てる寝顔を見つめた
 あの時は幸せだった・・・・
 涼ちゃんが私だけの涼ちゃんだった
 可愛い可愛い・・・・私の涼ちゃん
 それがあの日崩壊した
『僕ね・・・・彼女が出来たんだ・・・・』
 やめて・・・・やめて!
 私の必死な叫びは虚無に消え涼ちゃんは照れながらこう言った
『昨日・・・・女の子に告白されて・・・・その子と付き合うこと・・・・』
 冬香の怒鳴り声だけがその後聞こえて私の頬を涙を伝った
 
 あれから私たちは二人で相談した
 どうすれば泥棒猫から涼ちゃんを取り戻すことが出来るか・・・・
 そして一番効果的で涼ちゃんにとって残酷な選択を選んだ
 心が病んだふりをして涼ちゃんを私たちだけしかしないようにした
 効果はてきめんだった・・・・・・涼ちゃんは学校を毎日休んで私たちの面倒を見てくれた
 ようやく取り戻した・・・・私と涼ちゃんだけの時間・・・・
 でも、そんな時間も終わりを告げた
「涼さ〜ん!秋乃です〜!」
 その声を聞くや否や涼ちゃんは私に向けていた視線を他に向けて駆け出した
 憎い・・・・憎い・・・・憎い・・・・
 抱き合う涼ちゃんとあの女を見て私は生まれて初めて感じる人への殺意を覚えた
 奪ってやる・・・・涼ちゃんは私の物・・・・誰にも渡さない
81アビス  ◆1nYO.dfrdM :2006/06/19(月) 21:21:12 ID:UHEuxUiT
中途半端ですがここで区切ります
82『BLOOD』外伝 一輪の華  ◆1nYO.dfrdM :2006/06/19(月) 21:23:03 ID:UHEuxUiT
「ゼル、私だけを見なさい・・・・」
「それは・・・・できない」
「どうして!そんなにあんな女がいいの!!!!」
 片手にナイフを構えて彼女は少年に突きつけた
「脅したって無駄さ・・・・俺が愛し・・・・・て」
 背中から血が噴出して少女の純白の肌を濡らした
「ふふ、おばかさん・・・・後ろはちゃんと見ましょうね」
 血に染まった背中を押さえ少女は後ろでほくそ笑む恋敵を少女は憎悪に満ちた顔で睨み付けた
「殺してやるーーーー!!!!」

「きゃあーーーー逃げて!逃げるのよ、プレシア!ゼル!!!!」
 ・・・・・・・・・・・・・・いやみのひとつでも言っていいのか?
「なにをしているんだ?」
 プレセアの熱読している本を上から覗きながら俺は少し不機嫌にそう聞いた
「あ・・・・・あ、わわ」
 ようやく俺の存在に気づいたのかよ・・・・まったく
 慌てて本を背中に隠してプレセアは身体をもじもじとさせた
「あの世の果てまで・・・・」
 遅いぞプレセア・・・・本のタイトルを俺は確認した!
 確か小さい頃に流行したな・・・・
 二人の女性と一人の男の物語でなんか真っ赤っかな結末だったような
「ど、どうしてゼルが!」
 ここは俺様の家だ・・・・俺様が主だ・・・・俺様が神だ(この屋敷限定)
 居て悪いのかよ
 プレセアとチェアとの間で本がこすれる音がした
 あんな本買ってやったっけな?
 けど、少し薄汚れていたな・・・・あ、そういえば小さい頃に買ったな
 刺激が強すぎて最後まで読めなかったな・・・・ん?待てよ
「なぜに主人公がゼルでヒロインがプレシアなんだ?」
「あへ?な・な・な・な・・・・・なぜにそれを?」
 どこの国の言葉ですか?
 まったくプレシアは普段はしゃきっとしているのに・・・・まぁ、ギャップで可愛さ倍増だな
 お父さん困っちゃうな〜
「大声で熱唱しておったぞ・・・・プレシア」
 確か主人公はアイズでヒロインがロムとアイだったような
「こ・・・・これは・・・・その」
「自分をヒロインに見立てて・・・・そして、俺と結ばれる妄想を繰り返す・・・・ああ、切ないね〜」
 ・・・・・・・やっぱり、運命なのかもな・・・・・俺とお前は・・・・こうなる
 俺は苦笑しながらプレシアとの出会いを思いだしていた
83『BLOOD』外伝 一輪の華  ◆1nYO.dfrdM :2006/06/19(月) 21:24:12 ID:UHEuxUiT
 もう何年経ったのだろう異臭の漂う地獄のようなスラム街でそう思っていた
 辺りにあるのは二つ・・・・死体と腐敗したなにか・・・・
 時々あるのは争う人と人・・・・
 昼なのにここだけ暗くまるで夜のようだ
 その闇の中で俺は最後の希望を胸にある少女を探していた
「あんた、金持ってない?」
 一人の麗しき美女(野郎付き)が俺に声を掛けてきた
「・・・・・・」
 無言で通り過ぎると美女が俺の肩を掴んだ
「待ちなよ・・・・あんた、よそ者だね?」
 ・・・・・・・・・・・・・・
 次の瞬間美女の後ろにいた大男が俺の頭を掴んだ
「ママに教わらなかったかい?ちゃんと挨拶しましょうね〜」
 アホ共が・・・・
 俺が剣を抜く前に大男の腕が落ちた
 地面に着地すると力を失った腕が俺の頭から落ちた
「・・・・・・っ」
 大男の腕を切り下ろした人物を確認して俺は愕然とした
 プレシア・・・・・プレシア!・・・・・プレシア!!!
 必死で涙を堪えて俺が手を伸ばそうとしたときだった
「・・・・・・・」
 無表情で俺の手を払うとプレシアはすたすたと美女のほうへと向かった
「なんだい?私を殺るき?」
 プレシアの後ろで切り下ろされた箇所を押さえ悲鳴を上げる男を見て美女は口元を緩めた
84『BLOOD』外伝 一輪の華  ◆1nYO.dfrdM :2006/06/19(月) 21:24:46 ID:UHEuxUiT
 プレシアは何も言わずに剣先をレアに向けた
 レアが剣を抜く前にプレシアはレアに斬りかかった
 レアは地面を蹴り上げて後ろにさがると身をかがめ姿勢を低くして短剣を腰から抜いた
 地面を這っているのではないかと思えるほど地面をスレスレで動きながらレアはプレシアに向かって行く
 プレシアは剣を逆手に構えると腕を振り上げて地面スレスレを移動するレアに向かって振り下ろした
 レアは身をくねらせそれを回避するとプレシアの剣の柄を掴んでそのまま乗り上げた
 そして短剣を引いてそのまま突いた
 プレシアは涼しい顔で両手で剣を持つと思い切り振り上げた
 天空に向かって飛んだレアが上からプレシアに向かって短剣を振り下ろした
 間合いが詰まり短剣を剣が交差した
「が・・・・・あが!」
 レアが地面に着地すると同時に全身が真っ二つに裂けて別れ左右に倒れた
「レアーーーーーーー!!!!」
 レアの取り巻きだったもう一人の男ゼビスが抜刀してプレシアに迫っていく
 身の程の大きな剣を軽々と持ち上げると自分の半分も身長もないプレシアに向かって大剣を突き出した
 プレシアは回転し遠心力を付けて叩きつけるかのようにゼビスの大剣を弾いた
 ゼビスは大剣を背中付くのではないかというほど寄せた
 地面に刃先を食い込ませながらゼビスは背中から抜刀したかのように大剣を上げた
 半月の形を描き風を斬りながら大剣が華麗な少女に向けって行く
 プレシアの小さな身体が宙に舞い上がり空中で横向きで回転しながら大剣に何度も自らの剣で斬りかかった
 すさまじい回転速度で何度も斬りつけてプレシアが着地の姿勢はいることには大剣全体にヒビが入り崩壊寸前になんていた
 信じられない・・・・そういった目で華奢なプレシアを見つるゼビス
「あぁーーーーーー!!!!」
 最後の悪あがきとばかりに大検を振り上げたがその間に刀身は崩れ破片が地面に次々と落ちていく
 プレシアは冷酷なまなざしをゼビスに向けたあととどめを刺すべく剣を向けた
「負けるか―――――!!!!!!!」
 ゼビスは拳を血がにじむほど握り締めてプレシアに向けた放った
 判断が遅れてプレシアの純白の頬に彼女の顔ほどの大きさがある拳が食い込むプレシアは何メートルも飛ばされてしまった
「・・・・・・」
 逆転の兆しを見出しゼビスが最後の一撃を放とうとプレシアに近づいていく
85『BLOOD』外伝 一輪の華  ◆1nYO.dfrdM :2006/06/19(月) 21:25:44 ID:UHEuxUiT
 ゼルはゆっくりと抜刀するとゼビスに向かって駆け出した
 いち早くゼビスはそれに気づくと拳を再び握り締めてゼルに向かい飛ばす
 ゼルの羽織ったマントがひらりと舞った
 ゼビスが腕が地面に食い込むの感じたときにはもう遅くゼルの剣が腕に食い込むながら上に登り筋肉質なゼビスの腕に線を刻んでいく
 痛みにゼビスはその場に地響きを立てるのではないのかという勢いで倒れこんだ
「ふぅ・・・・・安心しろ・・・・死にはしない」
86『BLOOD』外伝 一輪の華  ◆1nYO.dfrdM :2006/06/19(月) 21:26:29 ID:UHEuxUiT
「貴様、殺してやる――――――!!!!!」
 さっきまで身悶えていた片手を失った大男が激怒し倒れているプレシアの頭を掴んだ
「あ・・・・・ぁ!」
 油断しすぎだ、プレシア・・・・待ってろ今助けてやる
 俺は剣を抜くと一気に大男の懐に飛び込んで腕の神経のみを切り裂いた
 こんどは切り落とされることなく力を失いプレシアが俺の上から落ちてきた
 俗に言うお姫様抱っこでプレシアを抱えると俺は大男に背を向けた

「ま、まて!」
 振りあけることはしない・・・・・
「神経を斬った・・・・出血多量で死にたくなかったら・・・・はやく医者に見せろ」
 そう言うと大男はやっと己の状況を思い出したのか血の気の引いた顔でその場を去って行く
 なんてタフな奴だ・・・・腕を切り落とされて・・・・それでもプレシアに向かっていった
 大事な人だったんだろうな・・・・殺されたあの美女は
 俺は改めて辺りを見渡した
 遺跡のようなになっているかつて人が住んでいたであろう家の跡
 墓・・・・教会・・・・・店・・・・・
 死臭と異臭の中でプレシアは一人で戦っていたんだな
 ごめんな・・・・待たせて
 俺の腕の中で気を失っているプレシアに俺はそっと口付けた

「・・・・・っ!」
 当然瞳が開かれてプレシアは機敏な動きで身を低くし俺を威嚇した
「おいおい・・・・こんな場所にキミのような美少女がいるなんてな」
 俺は彼女に手を差し伸べた
 焚き木の炎の音と風の音だけの静かな空間
 再会はやっぱりこういう雰囲気じゃないとな
「驚きだ・・・・まったく」
 少し離れれば死臭も異臭も死体もない・・・・
 でも、彼女はそこから出れなかったんだ
 それしか知らないから
「が・・・・あぐ!」
 差し伸べた手を握ることも知らない
 ただ恐怖して噛み付く
 痛みなどどうということはない
 プレシアの孤独に比べれば・・・・
「大丈夫・・・・俺はきみの味方だよ・・・・」
 頭をゆっくりと撫でてやるとプレシアは驚き後ろに引いた
 そして擬視される・・・・当たり前か
「一緒に来ないかい?」
「いっ・・・・しょ?」
 プレシアは首をかしげて俺の言葉を復唱した
 ・・・・・俺は一瞬で魅せられていた
 何百年・・・・このときを待ったか
「愛してるよ・・・・」
「あい・・・・・してる?」
 俺に興味を持ったのか少しずつ近づいてきた
「俺が・・・・キミを護るよ」
 必ず・・・・俺はキミを護る
87『BLOOD』外伝 一輪の華  ◆1nYO.dfrdM :2006/06/19(月) 21:27:15 ID:UHEuxUiT
 名前がない・・・・プレシアは無機質な声でそう言った
 悲しくなった、そうなんだな・・・・名前なんて必要なかったんだな
 そのあと俺はプレシアにプレシアという名前を贈った
「この服・・・・なんか着心地悪いです」
 そう言うものなの・・・・
「いつまでもあんな服じゃいられないだろう?」
 以前プレシアが着ていたのは血の染まった白いワンピースのような物だった
 プレシアは窮屈そうに身を揺さぶると思い切り背伸びをした
「・・・・・・」
 黙って俺を見つめる無垢な瞳
 懐かしいな・・・・俺はそのキミの瞳が大好きだった
「まずは・・・・生活していくうえでの最低限のことだな・・・・・」
「・・・・・?」
 不思議そうに俺の後を付いてくるプレシア
「まずはテーブルマナーだ・・・・・な」
 食事を見るや否やプレシアは飛び掛るようにしてそれを口に運んだ
 やれやれ・・・・これから忙しくなりそうだ
「ところで・・・・どうしてあの時助けてくれたんだ?」
 プレシアは初めて逢った時のことだと理解するのに少し時間がかかった
 はしたなくスープをすすったあとプレシアは首をかしげた
「わから・・・・ない」
 なんだよ・・・・それ
「もしかして・・・・俺に一目惚れか?」
「惚れていません・・・・・」
 違うな・・・・知ってたんだよ・・・・俺はお前を
 お前は俺を・・・・運命ってやつだ

「わ、私は別に・・・・ゼルに・・・・こ・・・ここ・・・・恋焦がれてなんか」
 恥ずかしげに頬を染めるプレシアに俺は一気に現実に引き戻された
 おいおい、恋焦がれてなんて俺は言ったか?
 あれ?上を見つめてプレシアは真っ赤な顔でなにぶつぶつ言っている
「ゼルと・・・・・デート・・・・・ゼルと・・・・手を繋いで・・・・・」
 どんどん顔が赤くなっていき今や湯気まで出る勢いだ
「束縛・・・・・SM・・・・・鞭・・・・・いや〜ん、あは〜んな情事・・・・いけない二人・・・・・」
 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
 誰がお前にそんな知識を授けた・・・・
 俺は本と本との間に隠してあるリストの官能小説ををうらみつつプレシアを見つめた
「まさか、こんな妄想っ子だったとはな・・・・ふふ」
「ち、違います!私は・・・・・ゼルのことなんて・・・・大嫌い!」
 必死に否定して・・・・
 可愛い奴だな・・・・・
「プレシア・・・・これからも、ずっと一緒に居てくれな」
「ゼ、ゼルがどうしても・・・・と言うのなら」
 今度こそ・・・・今度こそだ・・・・・
 俺はキミを護ってみせるよ・・・・プレシア
88『BLOOD』外伝 一輪の華  ◆1nYO.dfrdM :2006/06/19(月) 21:30:41 ID:UHEuxUiT
プレシアと秋乃さんは真っ白です純白です清純です

長くなってすいません、ここまで読んでくださったかたお疲れ様です
戦闘描写は難しい
皆様の時間を対価にしているぶん楽しんでもらおうと頑張っていますが・・・・
未熟な私をお許しください
89名無しさん@ピンキー:2006/06/19(月) 21:33:31 ID:yzDvX3kk
お疲れ様&毎度楽しませて頂いてます。
90名無しさん@ピンキー:2006/06/19(月) 21:35:19 ID:33VWYk/T
一日で80KBってすげー
91名無しさん@ピンキー:2006/06/19(月) 21:45:50 ID:MoS+jrSM
まさに歯車的嫉妬の小宇宙。
92名無しさん@ピンキー:2006/06/19(月) 21:49:42 ID:6TtRnAZe
住人の皆さんのニヤニヤした顔が目に浮かぶ。
93名無しさん@ピンキー:2006/06/19(月) 22:46:13 ID:KH5sJUsc
>>90
同感。これはもう世界が修羅場を欲しているとしか思えない。
94血塗れ竜と食人姫 ◆gPbPvQ478E :2006/06/19(月) 22:48:27 ID:3aD/ukuQ
投下します
95血塗れ竜と食人姫 ◆gPbPvQ478E :2006/06/19(月) 22:49:04 ID:3aD/ukuQ

「ほら、ここはアンタのおごりだ。好きなの頼め」
「そうですか――って、あれ?」
 何かおかしくないか? と思った直後には、言い出しっぺが果実酒を頼んでいた。
「あー。それじゃあ、エールをお願いします」
 駆けつけ一杯。
 これからする話は、あくまで酒の席で出てしまった話。
 そう言われたからには、まず何かしら飲まなければ。
「なにションベンなんか頼んでるんだよ。
 あー、マスター。この店で一番強いやつ頼むわ」
「ちょ、自分は果実酒のくせに何言ってるんですか!?」
「うるせえよユウキ。とにかく飲め。いいから飲め。
 ――でないと、真面目な話を始められん」
 
 真面目な話なのにお酒を入れるのはどうかと思うが。
 まあ、それがこの人の流儀なのだから仕方がない。
 
「でも、ひとつだけいいですか?」
「あん? 何だよ」
 
「なんで、ゲイバーで真面目な話をしなくちゃいけないんですか!?」
 
 
 ――ゲイバー“ナインテイル”。
 帝都中央南部に位置するこの店は、今日も今日とて出会いを求めた同性愛者が集っていた。
 
 
「いや、だってここ、アタシの行きつけだし」
 届いた果実酒をぐい、と軽くあおってから、あっけらかんと言い放つ。
「ノーマルの僕が来ちゃ他の人に失礼な気もしますが……」
 こちらはロックをちびりと含む。うへえ、キくなあ……。
「いーんだよいーんだよ。
 だってお前、後ろは開通済みだしな」
 
 吹いた。
 ああ、お店の人、ごめんなさい。

96血塗れ竜と食人姫 ◆gPbPvQ478E :2006/06/19(月) 22:49:42 ID:3aD/ukuQ

「あらあら、ユウキさん、経験済みだったんだ。
 悔しいなあ。私がはじめてを貰いたかったんだけど」
「残念だったなマスター。こいつの尻はアタシが掘削済みだ」
「ちょ、大声で何言ってるんですか貴方は!」
「えー。でもお前の尻掘ったのは本当じゃん」
「思い出させないでください」
 グラスを一気に傾ける。かあっと顔が熱くなるが気にしない。っていうかやってられない。
 
「しっかし、帝都でも噂の美青年、ユウキ・メイラーの初めての相手が、まさか“銀の甲冑”とはねえ」
 
 ああああああああ。
 噂にならなければいいけど……。
 
「なに、しけたツラしてんだよ。
 アタシ行きつけの店なんだから、そうおしゃべりなマスターでもねえよ」
「うんうん。信用してくださいな」
 
 いや、僕は貴女の心配をですね……。
 
 って、いちいち心配する必要もないか。
 僕の先輩で、今は帝都近衛隊の隊長を務める、“銀の甲冑”ことアマツ・コミナトは、
 多少変な噂が流れたところで、その名声が曇ることなんて有り得ないだろうし。
 
 見目麗しき美女としか言い様のないこのお方。
 甲冑を着込んでいるときは、冷静沈着な近衛騎士なのに。
 ひとたび鎧を脱いでしまえば、たちまちエロ中年親父風美女になってしまうから驚きだ。
 ちなみに趣味はゲイバー通い。
 アマツさんは男性ではないが、とある事情から、ゲイバー側も拒否することはない。
 
 
 まあそれはそれとして。
 
 
「それで……いきなり仕事上がりに引っ張ってきて、用件は何なんですか?」
「ああ、それなんだがな。ちと、お前の耳に入れておきたいことがあるんだ」
 
 
97血塗れ竜と食人姫 ◆gPbPvQ478E :2006/06/19(月) 22:50:30 ID:3aD/ukuQ
 
 
 
 
 
「“怪物姉妹”、ですか?」
「ああ。姉が血塗れ竜と、妹が異色少女と、それぞれ戦うことが決まった」
「はあ。……でも、それをどうして僕に?」
 僕は白の付き人だが、対戦相手が誰であろうと大して気にならなかったりする。
 何故なら、白は、誰にも負けないだろうから。
 彼女の強さは――僕が一番、知っている。
「その姉妹なんだがな。ちと出所がよろしくないんだ。
 お前、ビビス領の、イナヴァ村って聞いたことあるか?」
「……イナヴァ? ――って、“あの”イナヴァですか!?」
 
「ああ。50年ほど前まで戦闘諜報員の名産地だった、イナヴァ村だ」
 
「でも、あの村は……もう、潰れてたはずですよね?」
「謀反の疑いを引っかけられてな。
 まあ、戦争が終わって久しいんだから、それくらいは仕方ない。
 問題は、村人は細々と生き残っていて、今でも怪物作りに余念がなかったってことだ」
「…………」
 ごくり、と唾を飲み込んだ。
「で、半年前にビビス公爵が生き残りを発見して、秘密裏に潰すことになってたらしいんだが。
 ――そこで、イナヴァ村の連中、ある取引を持ちかけたそうだ」
「取引……?」
 
『自分たちはまだまだ使える。
 この姉妹で、確かめて欲しい』
 
「だってさ。ビビス公爵のサドっ気を刺激した、いい取引だと思うぜ」
「……それは……あの方なら、断らないでしょうね……」
「で、ビビス公爵が出した条件が、最強の囚人、血塗れ竜に勝つことだそうだ。
 妹の方の相手は未定だったんだが、先日丁度いいのが現れたから、ぶつけてみることになった、と」
「なるほど……」
 
 村の存亡を賭けての試合、か。
 それは、きっと死に物狂いで挑むだろう。
 
98血塗れ竜と食人姫 ◆gPbPvQ478E :2006/06/19(月) 22:51:23 ID:3aD/ukuQ
 
「で、だ。連中としては、血塗れ竜には絶対に勝ちたい。
 しかし、その強さは嫌というほどわかってるだろう。
 だから――勝率を上げる努力をしてくる可能性が高い」
「努力?」
 首を傾げつつも、おぼろげながら、ピンときた。
 
「血塗れ竜の弱点探し、だよ。
 都合の良いことに、王者のことをよく知る付き人がいるしな」
 
「だから、気を付けろ、と?」
 確かに、僕は白の強いところも弱いところも知っている。
 そう簡単に漏らす気はないが、油断はできない。
「ああ。でもまあ、流石に王者の付き人を拷問にかけるだとか、そこまではしないだろうが――」
 と。
 アマツさんはそこで何故か、一息区切って。
 
 
「――連中、ベッドの上も達者らしいぞ。
 諜報員として、かなり仕込まれてるみたいだ」
 
 
「……はい?」
「だ、か、ら、夜の拷問だよ。ベッドの上で色々吐かせるのとかが、とんでもなく上手いらしい」
 情報とか溜まってるのとかな、と。
 エロ中年親父風美女は、ニヤニヤ笑ってのたまった。
 
 ……真面目に聞いて損した気分だ。
 でもまあ、用心に越したことはないだろう。
 手段はどんなものでも、それが白の不利益になるのであれば、絶対に避けないと。
 ただでさえ、白は右腕を負傷しているのだ。
 あの白が負けるとは思えないが――大怪我してしまうかもしれない。
 
「教えてくれてありがとうございます。
 お礼に、アマツさんの分も僕が払いますよ」
「へ? 最初からそう決まってたじゃないか」
「……まあ、いいですけど」
 
 
 
99血塗れ竜と食人姫 ◆gPbPvQ478E :2006/06/19(月) 22:52:09 ID:3aD/ukuQ
 
 
 
 
 
 外は、すっかり暗くなっていた。
 
 ――少し飲み過ぎた。
 足下がおぼつかない。
 アマツさんは、あれからいくらか飲んだ後、本当に僕払いにして、そのままさっさと帰ってしまった。
 怪物姉妹の名を聞き忘れたが、とりあえず身辺に気を付けていれば充分だろう。
 
「うー。ぐらぐらする……」
 
 しばらく夜風に当たって頭を冷やすかな。
 どこか一休みするのに良い場所はなかろうか、ときょろきょろ周囲を見回していたら。
 
 ふと。
 一人の女性が、目に付いた。
 
 髪は腰まで伸びた純粋な漆黒。
 流れるようなその美しさに、思わず息を呑んで立ち止まる。
 服も黒く、合間に見える白い肌が艶めかしい。
 高めの身長。きっと、背伸びすれば僕と同じくらいになるだろう。
 
 長身の黒髪美女が、夜の街に、一人佇んでいた。
 
 その表情は、どこか不安げなもので。
 垂れ目気味の穏やかな目元を、心許なそうに歪めている。
 
 何か困っているのかな、と。
 お酒で少々気分の良くなっていた僕は、ひょこひょこ近づき、気軽に声をかけていた。
 
「あの、何かお困りですか?」
「――っ!? わ、わたしは、お小遣いなんて持ってませんよ!」
「……はい?」
 
 …………。
 変な人に、声をかけてしまったのかもしれない。
 
 
 
100血塗れ竜と食人姫 ◆gPbPvQ478E :2006/06/19(月) 22:53:02 ID:3aD/ukuQ
 
 
 
 
「本当にすみません!
 せっかく親切心で声をかけて頂いたのに、私ったら、追い剥ぎさんと勘違いしちゃうだなんて」
「気にしなくていいですよ。
 よくあ――ることではないと思いますが、まあ、不慣れな場所では仕方ないでしょう」
「……そう言って頂けると、助かります……」
 
 女性が、ションボリと頭を下げる。
 顔や佇まいはとても大人びているのに、出てくる言葉は子供っぽい、不思議な人だった。
 最近、帝都にやってきたらしく、入り組んだ南部の街並みに吸い込まれて、見事迷子と相成ったそうである。
 ……僕より年上に見えるんだけどなあ。
 
「宿は、中央西部の“オックス”でいいんですよね?」
「はい。セっちゃんが確かに、そう言ってました」
「妹さんとは、どのあたりではぐれたんですか?」
「えっと……んっと……店がですね、こうずらーっと並んでて、猫さんがニャーと鳴いていたところで」
「……迷ってないといいですね、妹さん」
「大丈夫ですよー。セっちゃん、私なんかと違って、
 迷子になったことなんて一度もないんですから。
 私は、3日に一回は迷っちゃいますけど」
「そうですか……」
 なんというか、見た目は随分美人なのに、中身は妙にアレである。
 酔った頭では上手く形容できないが――まあ、アレだ。
 
101血塗れ竜と食人姫 ◆gPbPvQ478E :2006/06/19(月) 22:53:39 ID:3aD/ukuQ
 
 そのまましばらく。
 夜道を二人で歩きながら、どうでもいい世間話を適当に繋げていた。
 しかし、見れば見るほど美人である。
 こんな人の隣を歩けるなんて、今宵の自分は運が良い。
 酒の席に誘ってくれたアマツさんに感謝せねば。
 先程から話に何度も出てくる妹――セっちゃんとやらも、姉がこれなら十二分に美人だろう。
 美人姉妹、か。世の中には色々な人がいたもんだ。
 
 
 
 
 やがて、彼女が泊まっている宿に辿り着く。
「ああ、ここですここ! 本当にありがとうございました!」
 きゃいきゃいとはしゃいでいる。無事に帰れたのがそんなに嬉しいのだろうか。
「初めてセっちゃんに連れ戻されずに帰ることができました!」
 ……妹さんには、深く同情しよう。
「じゃあ、僕はこれで」
 そう言って、帰ろうとするが。
 
「あ、お礼にお茶でも如何ですか?
 なんというか、私の感動の第一歩を手伝ってくださったのですから、
 その、何もせずに帰すというのは私の沽券に関わります!」
 
 気にする沽券があったのか、と言いそうになって慌てて口をつぐんだ。
「……いえ、お構いなく」
「いえいえ! 何もせずに帰すというのは故郷の名折れ!
 ――そうだ! でしたら今度は私がお送りします!」
「お茶を頂いていきます」
 即答した。
 
「そうですか。それではどうぞー」
 にこにこしながら、女性は宿の中に入ろうとして――そこでふと振り返った。
 
 
「そういえば、自己紹介してませんでしたよね。
 ――私、ユメカっていいます。送ってくださって、本当にありがとうございました」


102血塗れ竜と食人姫 ◆gPbPvQ478E :2006/06/19(月) 22:55:43 ID:3aD/ukuQ
主人公がフラグを立ててしまった件について
 
ちょいとしばらくの間、投下できなくなるかもしれません。
気長にお待ち頂ければ幸いです。
白書きたいよ白。
103名無しさん@ピンキー:2006/06/19(月) 22:58:14 ID:9wELWIS5
GJすぎる!!!
ヒロインが2人と思っていたらどんどんヒロインがでてきて最高!!
ハーレムと修羅場は紙一重ですな!
このまましゅらばとるしてほしいっす
104名無しさん@ピンキー:2006/06/19(月) 23:00:44 ID:MoS+jrSM
血みどろばかりが修羅場ではないと思うけれども。
それでも今後もバトルが楽しみで仕方ないなぁ。
105名無しさん@ピンキー:2006/06/19(月) 23:22:42 ID:VBmkSdLK
ユウキが一番の萌えキャラに……こんな自分は異端ではないはず
106ロボ ◆JypZpjo0ig :2006/06/19(月) 23:24:38 ID:QlZkFh3F
投下します
107『甘獄と青』プロローグ:2006/06/19(月) 23:26:48 ID:QlZkFh3F
「おはようございます、青様」
 最近の朝の日課であるストレッチをしていると、ナナミが入ってきた。基本的に無表情
なナナミは、しかし眉を寄せる。理詰めで動く彼女は無駄が嫌いで、僕のこの行動が非常
に気に入らないらしい。
「おはよう」
「いつまで続けるつもりですか?」
「飽きるまでかな?」
「二年間も続けて、まだ飽きないのですか?」
 もうそんなになるのか、長い間生きていると時間の感覚が希薄になってくる。最近始め
たばかりだと思っていたけれど、思いの外長く続けていたらしい。
これは昔にハマったジグソーパズル以来じゃないだろうか。
「そんなになるんだねぇ」
 思わず感嘆の声が漏れた。
「二年前の誕生日に開始したので、間違いありません。それと、今日は873歳の誕生日
です。おめでとうございます」
 時間が経つのは早い、僕がここに入ったのは18のときだからかれこれ855年も経つ
ことになる。変化の確率を抜かれたから時間なんて関係無いけれど、それでも毎年感慨深
く思ってしまうのが人情というものだろう。
「今日は誕生日の宴会をするので準備中は、主役は外に出かけて下さい」
「手伝うよ?」
108『甘獄と青』プロローグ:2006/06/19(月) 23:28:36 ID:QlZkFh3F
「手伝うよ?」
「オブラートを取って話しますと、邪魔です」
 このやろ…。
 メイドロボのくせに、こちらを敬う気が欠片も見られない。だからこそ屋敷を出るとき
にこいつを選んだけれど、たまに後悔をする。
「早く行きなさい」
 しまいには命令系かよ、泣きたくなるけど我慢する。男、それもいい年をした人間が泣
いてはいけないのが昔からのお約束。
 そう考えてから、不真面目な思考をする自分が嫌になった。
 何で、よりにもよってこんな未熟な時に確率を抜かれてしまったんだろう、せめてもう
少しまともなら良かったのに。監獄に入った理由も自分の青さが原因で、過去の自分に呪
いの言葉を投げ付けたくなる。
 そう、ここは監獄であり僕は只の大罪人。
 刑罰は『変化確率』を抜いての無期懲役。だから年も変わらないし、精神が変化するこ
ともない。だからこそ、辛い。SSランクの罪人としては文句も言えないけれど、
「きついんだよなぁ」
「うだうだ喋ってないで、早く行きなさい」
 僕はメイドである筈のナナミに急かされて、渋々部屋を出た。
「おにーさん、おはよ」
 軽い衝撃。
 抱きついてくるのはお隣さんのリサちゃん、こちらもSSランクの大罪人。罪は3000人の
大虐殺らしいけれど、本当のところは分からない。彼女はまだ十歳の少女で、初めて会っ
たときにはまず自分の正気を疑ったものだ。
 それに、
「お誕生日おめでとう、あたしも準備を手伝うね」
 とても良い娘なのだ。
109『甘獄と青』プロローグ:2006/06/19(月) 23:30:10 ID:QlZkFh3F
 この罪人都市ではそんな人が多い。罪を犯したけれども、悪人ではない人の方が圧倒的
に多いのだ。だから、都市の名前も悪人ではなく罪人なんだろう。
「リサ様、おはようございます」
 僕がリサの頭を撫でていると、ナナミが出てきた。
「あ、ナナミちゃんおはよ。あのね、あたしも…」
「邪魔です」
 最近入ってきたばかりな上、まだ十歳のリサには少し辛かったらしい。それはそうだろ
う、心が17歳の僕でさえ最初は何度も分解をしようと思ったくらいだ。物心はついている
とはいえ、精神が未熟な幼女には大分堪えるだろう。
 そしてもう一つ。
 思うのはリサちゃんの辛さだ。こんなに弱いのに、弱いままで僕と同じ刑を受けている
という現実に心が痛くなる。いつまでも強くなれないままで過ごさなければいけないのは、
酷く残酷なこと。せめてもの救いは、それすらも分からないということだけだ。
 守らなければ。
 そう思わせる無邪気さが、リサちゃんにある。

「おにーさんとデートしようか」
「うん、する」
 泣き顔を笑みに変えると、小さな手で僕の指を握ってくる。
「行ってらっしゃいませ」
 自分から追い出したくせに、とは言わない。
 綺麗な声に二人で手を振りながら、リサちゃんと街に出た。
110ロボ ◆JypZpjo0ig :2006/06/19(月) 23:31:19 ID:QlZkFh3F
今回はこれで終わりです

SFらしいですよ?
111名無しさん@ピンキー:2006/06/19(月) 23:37:55 ID:ae7gAmd2
>>96
>「残念だったなマスター。こいつの尻はアタシが掘削済みだ」

鉄の甲冑ふたなりフラグキタコレ(゚∀゚)
112名無しさん@ピンキー:2006/06/19(月) 23:58:14 ID:KH5sJUsc
ワーイ。一日で100KBだ。
113名無しさん@ピンキー:2006/06/20(火) 00:16:50 ID:KsUkrBWR
>>102
フラグキタ━━━━━━(゚∀゚≡゚∀゚)━━━━━━!!!!!!!!
修羅場ハーレム的な展開にwktk状態で期待しています!

>>110
新作キタワァ*・゜゚・*:.。..。.:*・゜(n‘∀‘)η゚・*:.。..。.:*・゜゚・* !!!!!
相変わらずハイクオリティの作品でおもしろそうですね
114名無しさん@ピンキー:2006/06/20(火) 01:23:27 ID:Cf1Xj2CP
ロボさんがメイドロボを書く
これは何かが起きる予感(*´д`*)
とらとら共に期待してます
115『一掴みの優しさを君に』 ◆yjUbNj66VQ :2006/06/20(火) 01:28:01 ID:PL8Q+Kbz
「あんのヴァカ親どもが!」
事の発端は先週の親父の一言だった。
「あー、そうだ、言うの忘れてた。来週から俺ら、USAに住むから。ふふん、ハイクオリティだなUSAって言い方。」
「もちろん私も晋也についていくからね。亮夜達も私たちがいなくても大丈夫でしょ。」
三日前に思い出すとは、なんともウチの親らしい。そして今日の朝、「アデュー!」と置き手紙を残して旅立っていた。取り残されたのは俺、笹原亮夜と………
「ふぁ……朝からうるさいよー。お兄ちゃん。」
今起きてきた双子の妹、笹原美夜。双子とはいえ男と女なので、あまり似てはいない。
「なんちゅー親なんだヨ!朝飯にコーンフレーク置いて旅立ちだぜ?」
「今に始まったことじゃないと思うなぁ。」
それを言われると終わる。あの二人の伝説は伊達じゃない。学生の身で俺たちを産み、PTAを押し切り結婚。今でも夏校の伝説と化している。
「大丈夫だよ、お兄ちゃん。私が作ってあげるから。」
「だが断る!全力で断る!全身全霊で……」
「それ以上言うと、ご飯たべれなくなるよ?」
そして差し出されるは伝家の宝刀。ってか本当のナイフ。
116『一掴みの優しさを君に』 ◆yjUbNj66VQ :2006/06/20(火) 01:29:43 ID:PL8Q+Kbz
今年の誕生日に、母さんからもらったプレゼントだ。ちなみに俺は……親父から、『淫乱教師〜いけない補習授業〜』をもらった。
曰く、「お前もその時が来たのだよ。」と。ちなみに小説なので、実用性は低い。悪しからず。
「ま、まあ落ち着こうよ。とりあえずそれをしまえって……」
時計を見る。……5、4、3、2、1…
「兄ちゃん!おはよう!」
「キタァーーーー!冬奈!飯を作ってくれよ!」
「うん、そう言うと思って、お家から作って持ってきたんだ。」
「グッジョ!」
ブを言わないのがマイブーム。ビシッと親指を立てる。
「いいもん……今度お兄ちゃんのジュースに下剤まぜちゃうもん……どうせ私の料理なんか……」
「ほらほら、お前もいじけてねーで冬奈の飯食おうぜ。」
烏丸冬奈。もう一人の俺の『妹』。名字が違うのは、異母兄弟だから……らしい。
詳しくは知らされていない。というか、親父に聞いたら「エヘッ」と答え、母さんに聞いたらひと睨みされ、次の日にパソコンのエロデータ(親父の含む)が消されていたのだ。
それ以来、その真相にちかづくのは止めている。知る権利はあるのにな。クスン。
117名無しさん@ピンキー:2006/06/20(火) 02:18:58 ID:4nospbZC
ネクストジェネレーションキタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!
118名無しさん@ピンキー:2006/06/20(火) 03:12:53 ID:snrayV9P
次世代の修羅場に今からwktk

そういや子供といえば、沃野と実妹だが。
作者様、続編書いてくれんかのう……。
119名無しさん@ピンキー:2006/06/20(火) 04:10:27 ID:PmnXBzar
>>118
確かにその二つは続編欲しいな
子供よりむしろ親になった麻耶と樹里に出てきて欲しくてしょうがない
120名無しさん@ピンキー:2006/06/20(火) 04:23:29 ID:4nospbZC
て事は春華とは最初の1回だけじゃ無かったのか晋也。
121名無しさん@ピンキー:2006/06/20(火) 04:23:49 ID:9/kiYjSG
待ち受けは神絵師の麻耶たんです

>>118俺も完結してからずっと沃野神の新作か沃野アナザーを待ち続けてるんだが…待つしかないよなぁ…全裸で

122名無しさん@ピンキー:2006/06/20(火) 06:25:05 ID:hep3stW/
>>121
お前は俺か

あれはいいものだ
123名無しさん@ピンキー:2006/06/20(火) 08:10:30 ID:iBQ4zUVW
やっほぉおい(*゚∀゚)=3
ネクストジェネレーションキター
フォオオォォォオアアァァァ
亮夜は晋也ほどぶっとんでないのな
あぁこのスレすげうぇうぇうぇうぇうぇうぇ
124名無しさん@ピンキー:2006/06/20(火) 08:51:32 ID:KsUkrBWR
ネクストジェネレーションキタコレ

>>121
俺も沃野アナザーを待ち続けている一人だ、当然全裸でな
125名無しさん@ピンキー:2006/06/20(火) 09:58:48 ID:wSNGe558
>>88
姉妹日記はまさかヤンデレかしたのが自作自演だったとは。
BLOODは本をみられてあわあわ言ってるプレシアテラモエスw

>>102
銀の甲冑がまさか女ですでに掘りつ掘られつの関係だったとはw
しかもフラグたち過ぎ。

だがそれがイイ!!

>>110
新作キタw
ヒロインは10歳の大虐殺者ですか。
面白そうな設定で。

>>116
次世代ものついに爆誕。
また何か特異な設定があるのかというところにもwktk


作者様GJでした。
126名無しさん@ピンキー:2006/06/20(火) 10:00:46 ID:5Jaq7Zpt
>>121
同じく

あと合鍵の作者さんが書いてた赤色の続きが読みたいな
127名無しさん@ピンキー:2006/06/20(火) 10:09:35 ID:xCn4NxLm
たぬきなべたぬきなべ
128名無しさん@ピンキー:2006/06/20(火) 11:41:39 ID:/rzwqGld
沃野と実妹はあれでいいと思うがな・・・。

新作は待ってるけど
129名無しさん@ピンキー:2006/06/20(火) 13:59:14 ID:EsZURmxM
いやまぁオレ達に出来る事は旧神達の新作あるいは続編を待ち続ける事だけなのだが。

もちろん全裸で。
130名無しさん@ピンキー:2006/06/20(火) 14:20:43 ID:XAQGppCj
山本くんとお姉さん3 〜『とどめえぬカタチ』
まだ?
131名無しさん@ピンキー:2006/06/20(火) 14:35:45 ID:s7gCXFAB
ほっほっほ、神達を焦らしちゃあいかんぞい、作品は焦らずじっくり待つものじゃ
それか…自らが神になるのじゃ
132名無しさん@ピンキー:2006/06/20(火) 16:52:50 ID:iBQ4zUVW
でもおれ今全裸だしなぁ…
133名無しさん@ピンキー:2006/06/20(火) 20:13:30 ID:ZVkJuuvN
私なんて水着ですよ?
134血塗れ竜と食人姫 ◆gPbPvQ478E :2006/06/20(火) 20:26:44 ID:fpgwGiHf
投下します
135血塗れ竜と食人姫 ◆gPbPvQ478E :2006/06/20(火) 20:27:40 ID:fpgwGiHf

 どたんばたん、と足音が聞こえたかと思ったら。
 勢いよく扉が開け放たれ、そこにいたのは驚き顔の女の子。
 
「――嘘!? 姉さんが一人で帰ってきてる!!」
 
 第一声がそれですか。
 というか、向かいに座っている男の姿には気付いていない模様。
 外見は、ユメカさんを少し幼くした感じ。
 こちらも漆黒の長髪で、走ってきたのか少々乱れていた。
 
「ふふふ、セっちゃん。お姉ちゃんは進化し続ける存在なのよ。
 やがては一人で下着を買ってくることもできるようになるんだから。
 この偉大なる成長の顕れを認めたら、さっそく明日の朝は甘い卵焼きを二個作ると良いわ」
「自分の下着のサイズも知らないくせに何言ってんだか。
 あと、卵焼きは一日一個。それ以上食べて太っても知らないんだから」
「……ユウキさん。妹が私を認めてくれずに虐めます……」
「えっと……」
 悲しげに顔を歪めて、ユメカさんがこっちを向く。
 そこでようやく、妹さんも僕に気付いてくれたようだ。
 
「……誰?」
「えっと、はじめまして。
 中央南部の方で、迷子になったユメカさんを発見しまして」
 
「ああ……姉さんを送り届けてくださったんですね。
 姉がご迷惑をおかけしました。ほら、頭を下げなさい馬鹿姉」
「ひどい! 姉に対してなんたる言い草!
 ユウキさん、こんな妹、夜中にお腹を壊しちゃえって呪っても許されますよね?」
「ええい、恩人に泣きついてわけわからないことをほざくな!」
 よよよ、と泣きながらひっついてきたユメカさんと、その頬をむにーっと引っ張る妹さん。
 うん。
 変な姉妹だ。
136血塗れ竜と食人姫 ◆gPbPvQ478E :2006/06/20(火) 20:28:26 ID:fpgwGiHf

「――って、ユウキ?」
「はい?」
 唐突に。
 妹さんが、僕の名前を繰り返した。
「あ、えっと、ごめんなさい。
 ――お名前、ユウキさんっていうんですか?」
 何故か慌てた素振りを見せながら、妹さんはそう聞いてきた。
「はい。ユウキ・メイラーっていいます。
 貴女の名前を伺ってもよろしいですか?」
「わ、私は、セツノ、です。そこの馬鹿姉の、妹やってます。
 ……あ、あの、ユウキさん? つかぬ事をお伺いしますが――」
 
「――ご職業は、何を?」
「? 中央監獄で、監視員を」
 
 
 ぴきり、と。
 妹さん――セツノの動きが凍り付いた。
 
 
「……どうかしました?」
「えっと……あはは……その……。
 …………ちょっと、姉を借りますね!」
 言うなり。
 セツノは、ユメカさんの手を引いて、奥の部屋に駆け込んでしまった。
 
 そのまま、奥で何やら言い争う気配。
 はて。
 僕の名前と職業に、姉妹が口喧嘩する要素があったのだろうか。
 
 いけないこととは思いつつも。
 つい、聞き耳を立ててしまう。
 
『でも、親切で助けてくれた人なのに……』
『忘れてないよね? 私たちが負けたら、村のみんな、全員殺されちゃうんだよ!?』
『それは、そうだけど……でも、私が頑張れば、それでいいんじゃないかな?』
『一緒に見たでしょ! あいつの桁外れの強さ!
 いくら姉さんが強くたって、確実に勝てるとは思えない!
 ――あの、“血塗れ竜”には!』
 
 ちょっと、待て。

137血塗れ竜と食人姫 ◆gPbPvQ478E :2006/06/20(火) 20:29:04 ID:fpgwGiHf

 今、聞き逃せない単語が聞こえた。
 血塗れ竜?
 何故、ここで、白の話が出てくる。
 しかも、それに勝つだとか負けるだとか……。
 
『だから、少しでも勝率を上げなきゃ!
 せっかく、血塗れ竜の付き人がホイホイ来てくれたんだから、利用しない手はないわ!』
『そ、そんな……』
 
 先程の、アマツさんとの会話を思い出す。
 ――“怪物姉妹”。
 白を殺すために、弱点を聞き出そうとするかもしれない――
 
 
 逃げなければ。
 
 
 そうと決めたら行動は素早く。
 奥の二人に悟られぬよう、逃走経路を頭の中で確認する。
 ……大丈夫だ。
 この宿の造りはそれほど複雑ではないし、この部屋は出入り口に近い方だ。
 宿を出て、路地に紛れれば逃げ切れる可能性は高い。
 向こうも試合を控えている身だ。町中で大事にするのは好まないだろう。
 
 ――よし。いける。
 
 確認が終わった次の瞬間、音はできるだけ立てないように、かつ全速力で、その場から駆けだした。
 一歩、二歩、三歩、と、目の前に扉がきたところで。
 
 
「何処に行くんですか?
 ゆっくりしていってくださいよ」
 
 
 腕を取られ、そのまま床に押さえ込まれた。
 ……そんな!?
 セツノが冷たい目でこちらを見下ろしている。
 彼女が奥から出てくる気配を、感じられなかった。いったい、いつの間に。

138血塗れ竜と食人姫 ◆gPbPvQ478E :2006/06/20(火) 20:29:38 ID:fpgwGiHf

「や、やめようよ、セっちゃん。こんなの酷いよ」
「姉さんがそんな風に躊躇ってるから、この人が逃げようとしたんだよ」
「だ、だって……」
 
 セツノとは違い、ユメカさんはあまり乗り気ではないようだ。
 これなら、何とかなるかもしれない――そう思って、口を開こうとしたが。
 ぐい、と。喉を掴まれた。
 声が出せない。
 くそ、こちらの考えはお見通しってことか。
 
「それに、ほら。別に痛めつけようとか、そういうのじゃないし」
「……そうなの?」
「当たり前だよ! だって、姉さん、この人のこと、結構いいなあって思ってるんでしょ?」
「え、そ、そんなことはにゃいでしゅよ!?」
「バレバレだってば。
 ほら、せっかく送ってもらったんだから、お礼をする、ってことで」
「お礼?」
 
「そうだよ。すっごく気持ちよくなってもらおうよ。
 それなら、いいでしょ? 姉さんが気持ちよくしてあげれば、
 この人もきっと、自分から色々と教えてくれるって」
「私が……気持ちよくさせる……」
 ごくり、と。誰かが唾を飲み込む音がした。
 
「ユウキさん……」
 すた、すた、と足音が近づいてくる。
「ほら、お姉ちゃん。まずは逃げられないようにしないと。
 いっぱいいっぱい、気持ちよくしてあげるんでしょ?」
「少し痛いですけど……我慢してくださいね。
 その何倍も何十倍も、気持ちよくさせてあげますから……」
 湿った声が耳に届いた。
 
 肩に指が乗せられた。
 誰のものだろう。ユメカさんか?
 そう、思った瞬間。
 
 凄まじい荷重がかかって、
 ごきり。
「――ッッッ!!?」
 肩を、外された。

139血塗れ竜と食人姫 ◆gPbPvQ478E :2006/06/20(火) 20:30:18 ID:fpgwGiHf
 
 
 
 
 
 両手両足の関節を外されて。
 死体のように仰向けになってる僕の上で。
 黒髪が、踊っていた。
 
「――ユウキさん、ユウキさん、ユウキさん、ユウキさん、
 ユウキさん、ユウキさん、ユウキさん、ユウキさん――」
 
 ひたすらに僕の名前を呟きながら。
 狂ったかのように、僕の体を貪っている。
 
 ぐいぐいと動く腰の奥に、一体何度放っただろうか。
 何時間も繰り返されているにもかかわらず、その腰使いと内部の締め付けは、実に多彩で僕を翻弄していた。
「あー、ごめんね、ユウキさん。お姉ちゃん、本気スイッチ入っちゃってるから」
 全然悪びれない様子で、セツノがそんなことを言ってくる。
 最初の1時間くらいは、姉と共にその肉壺を使っていたセツノだが、
 今は参戦せず、僕の尻の穴に指を突っ込んで遊んでいた。
 かりかりと裏側を引っかかれ、再び強制的に達せられる。
 
「あはあ……ユウキさんのが、また、きた……」
 
 とろけた笑みを浮かべながら。
 ユメカは、にちゃにちゃと腰を動かし続けている。
 
「気持ちいいですか、ユウキさん?
 私で、いっぱい、いっぱい、気持ちよくなってくださいね。
 あは、もう何度も出してるのに、まだ、硬い……!
 ユウキさん、素敵……ユウキさん、ユウキさん、ユウキさん――」
 
 ユメカさんは僕の名前を繰り返しながら、顔を近づけてきた。
 ぺちゃぺちゃと、猫がミルクを舐めるかのように、僕の顔へ舌を這わせる。
 僕とユメカさんの体は、汗や唾液やその他諸々でぐちゃぐちゃだ。
 ユメカさんが動くたびに、肌が擦れて粘性の音を立てている。

140血塗れ竜と食人姫 ◆gPbPvQ478E :2006/06/20(火) 20:31:05 ID:fpgwGiHf

 もう思考も上手くまとまらない。
 ろくに考えることもできないまま、ただユメカさんの肉の感触に陶酔する。
 にちゃにちゃと快感の海に溺れながら。
 なんだかもう、全てがどうでもよくなってくる。
 
「……姉さん、そんなに、ユウキさんがいいの?」
「んっ。すごいよっ、もう、離れたくないっ! セっちゃんにはあげないからね!」
「……そんなにいいの? まあ、硬さも大きさも悪くはなかったし、反応も可愛いけどね」
 ぐり、と菊座の中をかき回された。意思とは無関係に体がびくんと痙攣する。
「まあ、そんなにいいならさ、試合に勝ったらこの人もらっちゃおうよ」
「え?」
「この前、私の対戦者がさ、試合に勝ったら監視員を一人欲しいって言ってて受け入れられてたから、
 ユウキさんを欲しいって言えば、何とかしてもらえるでしょ」
「そ、そうなったら、嬉しいけど……んっ」
「ユウキさんもいいよね?
 ちゃんと養ってあげるし――毎晩、気持ちよくしてあげるよ?」
 
 誰かが何かを言っている。
 でも、もう、よくわからない。
 ただ、気持ちいいだけ。
 
「あー。もう意識も殆ど飛んじゃってるか。
 ――それじゃあ、頃合いかな?
 姉さん。一旦止めて。
 ……姉さん? ちょ、こら、止まりなさい色ボケ姉!」
 
 与えられた快感が、唐突に失われた。
 なんで……やめちゃうの?
 
「ユウキさん、もっと続けて欲しいでしょ?」
 
 うん、続けて欲しい。
 
「じゃあ、ひとつだけ、教えて欲しいことがあるの。
 それを教えてくれたら、私とお姉ちゃんで、もっともっと、気持ちよくさせて上げる」
「あ、だめだよセっちゃん、ユウキさんは、わたしと」
 
 教える。教えるから。続けて。
 
 
「――血塗れ竜の、弱点、知ってるでしょ?」

141血塗れ竜と食人姫 ◆gPbPvQ478E :2006/06/20(火) 20:31:40 ID:fpgwGiHf

 ち、まみれ、りゅう……?
 ……ああ、白のことか……。
 白の弱点……知ってる……。
 
「そう、教えて。姉さんの中、気持ちよかったでしょ?
 教えてくれたら、また、その中に、びゅーって出させてあげるから、ね?」
 
 白の、弱点は……。
 白は……。
 白……。
 
「? ユウキさん?」
「……ぼくは、しろの、つきびとだから」
「うん。だから、色々知ってるでしょ? 教えて」
 
 
「しろを、うらぎることは、できない」
 
 
 ぼんやりとした頭の中で。
 殺すことしか知らない白が。
 頭を撫でて欲しそうに、僕の顔を見つめていた。
 
 舌を突き出す。
 覚悟が決まったら、いけ。
 白のことは絶対に裏切らない。でも、この場からは逃げられそうにない。
 ――だったら、こうするしかないじゃないか。
 
 
「――ッ! 舌を噛む気!? 姉さん!」
「ユウキさん!」
 がし、と顎を押さえられ、舌を噛むのを防がれてしまった。
 
 でも、顎の痛みのおかげで、思考がいくらかクリアになった。
 両手両足は動かせないけど、動かせるところは、ちゃんとある。
 
「――んっ!」
 
 全力で。床に後頭部を叩き付けた。

142血塗れ竜と食人姫 ◆gPbPvQ478E :2006/06/20(火) 20:32:18 ID:fpgwGiHf
 
 
 
 
 
 ――目を覚ましたとき、周りには誰もいなかった。
 寂れた裏路地。禁輸品の取引にすら使われなさそうな、そんな無人の通りだった。
 両肩と股間の関節ははめ直され、服もきちんと着せられていた。
「生きてる……か」
 
 ……後頭部を床に叩き付ける直前、誰かの手が、間に挟まっていた気がした。
 
 とはいえ、衝撃は十二分で、気絶することには成功していた。
 僕が翌日出勤しなかったりしたら、問題が外に漏れてしまう可能性が高かった。
 だから、時間を稼げば僕の勝ちだったのだ。
 一度気絶してしまえば、しばらく時間を稼ぐことができるし、何度も繰り返せば、それこそ何も喋れなくなる。
 それを期待して、頭を床に叩き付けたのだが――
 
「……まだ、夜ですよね」
 
 タイムリミットと思われる時間まで、まだ余裕がある。
 なのに――こうして解放されているというのはどういうことか。
 諦めてくれたのだろうか。
「……ん?」
 かさり、と。ポケットの中に、紙片が入っているのに気付いた。
 
『今日はごめんなさい。
 貴方から血塗れ竜の情報を聞き出すのは、やめます。
 今度会ったときは、普通にお喋りしたいです。
 本当に、ごめんなさい』
 
『姉さんの手前、一応謝っておき(字が唐突に乱れている)
 心の底から反省しています。
 
 私のことは嫌いになってくれてもいいから、
 もし、今度の試合で、姉さんが生き残った場合、不束な姉ですが、引き取ってやってください。
 お願いします。』
 
 
 あの後、姉妹の間でどういったやりとりがあったのかはわからない。
 でも――二人が悪い人じゃない、というのは、なんとなくわかってしまった。
 
 
143血塗れ竜と食人姫 ◆gPbPvQ478E :2006/06/20(火) 20:33:02 ID:fpgwGiHf
 
 
 
 
 
 深夜の監獄は、静かである。
 大半の囚人は寝ているし、起きている囚人も、うるさくしたら懲罰を喰らうので静かにしているのが常である。
 私服のまま、通路を進む。
 僕は血塗れ竜の付き人なので、私的な時間でも彼女の部屋に行くことが許されていた。
 
 今の時間、きっと白は寝ているだろう。
 それでも、彼女の顔を見たくて、紙片を読み終わってからすぐ、こちらへと駆け足で向かっていた。
 
 
 こんこん、と。
 
 返事を期待せずに、静かに、ノックをする。
 しかし、予想を裏切って、部屋の中から「うわ?!」と慌てたような声が返ってきた。
「――白?」
「ユウキ!? ま、待って、待って!」
 どたばたとした気配が伝わってくる。
 何をそんなに慌てているのだろうか。こんなことは初めてである。
 もっとも、疲れ切っている僕の頭は、そんなことは欠片も気にせずに、白の準備が整うのを、待った。
 とにかく――白の顔を、見たかった。
 
 それほど待たずに、「いいよ」と声をかけられ、白の部屋にはいることを許された。
 部屋の中は特に変わったところはない。
 とりあえず、ベッドがぐちゃぐちゃに乱れていたが、まあ白の寝相はよくわかっているため、特におかしなことではない。
 
「……ユウキ?」
 
 どうしたの、と。こちらにてとてと駆け寄ってくる。
 そこには、僕に対する絶大な信頼があり、それを見て、心の底からほっとできた。
 
 ――僕は、白を裏切らなくて、済んだんだ。
 
144血塗れ竜と食人姫 ◆gPbPvQ478E :2006/06/20(火) 20:33:36 ID:fpgwGiHf

 安心したら、途端に眠くなってきた。
 思いっきり体力を消耗している模様。
「ああ、すみません、白。
 少し、様子を見に来ただけです。眠りの邪魔をして、すみませんでした」
「ん。……そう」
「それでは、私はこれで」
 欠伸をしながらそう言って、部屋を出ようとしたら。
 
「ね、ねむいのなら、ここで一緒に寝て」
「……またですか」
「ユウキ……」
 ぎゅ、と。服の裾を掴まれた。
 
 まあ、僕としては、無事に自室へ辿り着けるか不安なくらい疲れてるし、別にいいか。
 そう思って了承したら、白は少し顔を赤らめモジモジして、それから嬉しそうに僕をベッドに引っ張った。
 
 ベッドに横になった途端。
 睡魔がとんでもない勢いで襲いかかり。
 泥のような眠りにずるずると引き込まれてしまう。
 
 ぼすん、と白が横に寝転がる気配。
 いつものようにスリスリと、顔を僕の胸に擦りつけてくる。
 
 それを感じながら、僕は深い眠りへと落ちていった。
 
 
 その、直前。
 白が何か、呟いた気がした。
 
 
「……ユウキから、イヤなニオイがする」


145血塗れ竜と食人姫 ◆gPbPvQ478E :2006/06/20(火) 20:35:00 ID:fpgwGiHf
書いておきたいシーンを書き留めてただけのはずが、いつのまにか9話が完成してましたorz
舞台がようやく整って、あとは役者を踊らせるだけです。
まずは食人姫と怪物妹。
 
 
で、その対決ですが。
拙作を読んでくださってる方々に聞きたいんですけど、戦闘シーンは長くても大丈夫でしょうか?
(今のペースでいくと1戦8レス前後くらいです)
スレ的にまずいようでしたら、あっさり目にするのも可能です。
でもまあ、個人的には色々書いてみたいところ。
ご意見頂けると幸いです。
 
それでは、激突をお楽しみに!
146名無しさん@ピンキー:2006/06/20(火) 20:42:18 ID:va7KcE/l
>>145
うおぉぉぉぉぉぉおっぉぉぉぉぉぉぉぉ
大歓迎ですよ!!!!!!!!!!!!!
色々書いてくだされ!!!

ユウキの純な思いに感動し大好きな主人公NO.1に躍り出ました!
147名無しさん@ピンキー:2006/06/20(火) 20:44:25 ID:JlK57VyS
>>145
構いません。思う存分書いてください。

弱点教えないユウキ、ガッツあるぜ!


でも誰か死ぬんだよなぁ・・・。
148名無しさん@ピンキー:2006/06/20(火) 20:47:45 ID:i3A4ISct
このスレは神によって回っている。
神の以降に逆らうことなどできようか。(いや、できない)
ってわけで望みのままにどうぞ。
149名無しさん@ピンキー:2006/06/20(火) 20:54:25 ID:tyTx/LDq
血塗れ竜、出るキャラ出るキャラみんな魅力的なんだよなぁ
目移りしちゃうぜ
150名無しさん@ピンキー:2006/06/20(火) 20:54:34 ID:KsUkrBWR
ユウキカッコイイよユウキ、しかし怪物姉妹はエロくていいな(*´Д`)ハァハァ
そして次回修羅場の香りが出てるな、期待して待っています!
151名無しさん@ピンキー:2006/06/20(火) 21:03:12 ID:jEHvE37b
姉妹属性のある自分としては
二人が殺される事になるであろう今後の展開を思うと
胃が、心臓が痛い

そのくせ速く続き読みたくもあるんだよな
さっさと読んでさっさと乗り切りたい

このタイトルである以上二人が勝ち生き残る確率は間違い無く零%だろうからなorz
152名無しさん@ピンキー:2006/06/20(火) 21:18:40 ID:Z+eUZF2j
最近絵が来ないなあ・・・
153名無しさん@ピンキー:2006/06/20(火) 21:19:29 ID:J8ZTSxsc
銀の甲冑さんに掘られて
白にオナペットにされ
怪物姉妹に逆レイプ

だがそれがいい
154名無しさん@ピンキー:2006/06/20(火) 21:21:10 ID:iBQ4zUVW
もし誰も死ななかったら…
もし安全にハーレムが作れたら…
155名無しさん@ピンキー:2006/06/20(火) 21:23:47 ID:4nospbZC
絵はまとめサイトの掲示板にうpされとるでよ。
156血塗れ竜と食人姫 ◆gPbPvQ478E :2006/06/20(火) 21:30:19 ID:fpgwGiHf
皆さん、ご意見ありがとうございます
大丈夫っぽいので、普通に戦闘シーン書かせて頂きますね!

皆さんの感想が、修羅場SS生成の活力となってます
拙作を読んで頂き、本当に感謝してます!

>>154
私だって……そんな夢を、見たことがあったさ……!
157名無しさん@ピンキー:2006/06/20(火) 21:31:23 ID:JlK57VyS
せめてアナザーや分岐を!神よ!
158名無しさん@ピンキー:2006/06/20(火) 21:36:40 ID:KsUkrBWR
散るからこそ花は美しいのさ、このスレでは鮮血だがな
159名無しさん@ピンキー:2006/06/20(火) 21:59:35 ID:+fLsmWi8
だが
だからこそ
それが良い
160リボンの剣士 17話 ◆YH6IINt2zM :2006/06/20(火) 22:07:10 ID:7oIQBM5e
投下します。
161リボンの剣士 17話 ◆YH6IINt2zM :2006/06/20(火) 22:07:51 ID:7oIQBM5e
外はすっかり暗くなっいて、街灯が太陽の代わりに辺りを照らしている。
夜風を受けながら、私は大きく伸びをした。今日のことを思い出してみる。
下駄箱前で鉢合わせしたときはどうしようかと思ったけど、屋聞くんが割って入ってきたから、ケンカには
ならなかった。
でも、私には喜べない展開、『正々堂々の勝負』になっちゃった。
私だって自信過剰じゃないから、伊星くんが、私と新城さん、どっちがいいと思っているのかは、大体想像
できる。
そもそも、正々堂々の勝負なんかじゃないんだよね。だって、スタートラインの位置が全然違うんだもん。
たまたま近所で生まれたからってだけで、伊星くんの情報は簡単に手に入るし、仲を深める時間も圧倒的に
長い。ずるいよ。裏技だよ。改造コードだよ。
だからって、私が絶対に勝てないとは思ってないけどね。新城さんは、『チャンスはいくらでもあるからい
いや』みたいな心理でだらだらと過ごしているだろうけど、私は違う。
意識しないで過ごす長い時間と、意識して近づこうとする短い時間なら、後のほうが相手との距離は縮まる
ものだよ。経験上ね。

とりあえず、今日の収穫はまずまずだったかな。料理の腕前は、私のほうが上だってこと、伊星くんにも解
ってもらえたよね。
え? 伊星くんはどちらが上だとは言ってない? やだなあ。あれは精一杯のフォローなんだよ。
新城さんに竹刀の一撃を喰らってから、伊星くんは顔色を伺うことに神経使ってたの。
あそこで、「まずい」なんて言ったら、もっとひどい目に合わされてたと思うよ。

伊星くんは、新城さんには優しいんだよね……。
何でだろ。いくらなんでも、幼馴染の女の子とだけ親しいってのは変だよ。男の友達って、居ないのかなあ
。今の学校内じゃなくて、中学より前の頃からの友達。
「木場先輩」
考え事の最中、隣を歩く屋聞くんが話しかけてきた。
新城さんとは、帰り道の途中で別れたけど、屋聞くんはこっちの方向なの?
「少々、お時間宜しいでしょうか」

屋聞くんに連れられて入ったのは、ごく普通のファーストフード店。適当に注文して、席に座る。
別に、他の男に乗り換えるつもりはないよ? ただ、屋聞くんは、私に不利だったあの場の流れを一応変え
てくれたし、それに……少しだけど、匂いがするんだよね。
私と同じ、匂いが。
「さて、用というのは他でもありません。今後のことについて話したい事があるのです」
周りにあまり客が居ないのを確認して、屋聞くんは切り出した。
「始めにお聞きしますが、最近、伊星先輩に夢中になっていますね?」
「う〜ん……」
どうしようかなぁ。新城さんだけにならともかく、一年の子にまで嗅ぎ付かれるとは思ってなかったよ。
まして屋聞くんは新聞部。今の状況を記事にされたらどうなるか……。
でもこの質問は、誤魔化せないか。
「まあ、そういう感じだよ」
「そうですか」
私の答えは、ちゃんとメモに取られている。
162リボンの剣士 17話 ◆YH6IINt2zM :2006/06/20(火) 22:08:37 ID:7oIQBM5e
「では……」
屋聞くんの表情が険しくなる。わかるよ。この、一物持ってますって顔。
「伊星先輩に夢中の木場先輩ですから、当然、あの人の性格などの下調べは、していますよね?」
あれ?ちょっと予想と違うなぁ。普通、夢中になるその理由を聞くものじゃないかと思ったけど。
新聞に書くならそっちじゃないの?
「それはもちろん、ね」
「その事について教えて頂きたいのですが」
ん〜? 私のことじゃなくて、伊星くんのことが知りたいの? それは本人に聞けばいいのに。
まあ伊星くんはちょっと捻くれてるから、新聞部の人に、「あなたはどんな人ですか?」って聞かれても、
まともに答えないのかもね。
「それはできないよ〜」
だからといって、私が教える義理はない。あんまり他所から首を突っ込んでくる人が多いと、動き難いしね

「もちろん、タダでとは言いません」
そう言って屋聞くんはジュースを一口。表情には余裕が感じられる。
こういう流れに持っていくよう、計算してたのかな?
「自分も新聞部の端くれ。情報収集には若干の自信があります。木場先輩の持つ情報の対価として、自分が
今後調査して得た情報を支払いましょう」
うん、屋聞くんは、この取引がしたいんだね。

この話、私にはメリットが大きそう。情報量が増えれば、攻略も早く進む。
新城さんから敵としてマークされているから、一度引こうかと思ったけど、それはしないで済みそうだね。
ただ……この取引、気になる所もある。
「質問、していいかな」
「どうぞ」
「屋聞くんには、どんなメリットがあるの?」
まずはそこ。自分のメリットと相手のそれとを比較するのは、基本だよね。
私の思いつく限り、『新聞のネタが一つ増える』くらいしかないけど……。
「メリット、ですか」
少し表情を苦くして、またジュースを口に運ぶ。
「認識が食い違っている様なので補足しますが、この話は、己の利のために持ちかけたのではありません」
またまた私の読みとは違う言葉が返ってきた。対価とか支払いとか言うから、取引かと思ったじゃない。
まあ、本心から言ってるのかどうか、はっきりしてないけど。
「木場先輩。新聞というものは、何故作られるようになったか、御存知ですか?」
「知ってるよ」
屋聞くんは、雑学には強そうだね。でもそういう人は、直接関係ない話を出して論点をずらすのがうまいか
ら、要注意だね。
さっきも思ったけど、この子、私と同じ匂いがするよ。
「新聞が発行されるようになったのは、幕末から明治にかけて。民衆が政治参加するのが善し、な風潮にな
って、情報の需要ができたから、だよね」
「仰る通りです」
「その話が、どう関係してくるの?」
「はい。新聞とは、政(まつりごと)と民(たみ)の絶対的な上下関係を弱めるという役割を果たしました
。結果、立場的には弱かった民が、政の一方的な支配から解放されたのです」
「ふんふん、それでそれで?」
「つまり、弱きを助け強気を挫くのが新聞を作る者の初心であり理念。その精神に則り、自分は活動してい
るのです。この話も、弱者と強者が等しい立場でいられるようにする為です」
「…………」
ふ〜ん。弱者、かぁ。地味に痛いことを言うね
163リボンの剣士 17話 ◆YH6IINt2zM :2006/06/20(火) 22:09:43 ID:7oIQBM5e
屋聞くんから見て、今日の勝負は、私に不利だったのかな。私も、新城さんと料理の腕が互角だなんて認め
られないよ。伊星くんが、かなり新城さんを贔屓してるのは、私の妄想じゃないよね。
私が黙っているのを見て、不快にさせたと思ったのか、屋聞くんは焦りを浮かべた。
「いえ、木場先輩が、女性としての魅力で劣っていると言いたいのではありません。ええとですね、肝心の
伊星先輩が接し方に差をつけており、相対的にそういう立場になってしまっている、というだけの話です」
……それは私も思ってるよ。そこを何とかするために、色々と手を打ってるんだよ。
「ですから、木場先輩はもっと支援を受けて然るべきなのです。一つそれを、自分にさせて頂ければと思い
まして、話を出したのです」
なるほどね。公平な勝負を望む立場から、条件的に不利な私の支援をしたいと。
なかなかいい話だね……表面上は。

もう一つ、聞いてみようかな。
「私の応援をしてくれるのは嬉しいけど……、屋聞くん、このことは記事にするの?」
「無論です。今日から原稿に取り掛かります。早ければ、一週間くらいで発行できますよ」
う〜ん、やっぱり新聞にされちゃうのかあ。支援する人が現れても、新聞にされるとなれば、また話は変わ
ってくる。
もし記事にされて、学校中にばら撒かれたら、少なくてもクラス内では、木場VS新城の構図ができちゃう
わけで、周りからは反響を呼ぶ可能性が高い。
そうなったら、私には極めて不利になる。というのは、新城さんには女友達が多いけど、私にはほとんど居
ない。
騒ぎになれば、新城さんの味方が増えるって事。それじゃあ意味がない。
「その新聞の発行なんだけど、もっと待ってくれない?」
「ふむ、何故でしょうか」
「新聞にして出しちゃうと、周りが騒がしくなるから」
新聞部に新聞を書くな、というのは結構無茶な頼みだけど、周りの人が動き出したら、私は逆に動けなくな
り、新城さんに逃げ切られるかもしれない。
そして、あっさり勝負がつくと、新聞のネタとして弱くなる。
だから、たぶん受けてくれると思うけど……。
屋聞くんはペンを握った拳をこめかみに当てて唸っている。新聞のネタにしたい、って気持ちが強いから、
迷うんだろうね。
夕方話を持ちかけられた私のように、長時間うーんうーんと言って、ようやく答えを口にした。
「わかりました。大きな変化があるまでは、様子を見ましょう。あ、それで、自分の話については、結局ど
うなさいますか?」
「記事にするのは待ってくれるなら、是非お願いしたいな」
そういうと、屋聞くんは満足気な顔で胸を張る。
「ありがとうございます。頼まれたからには、十分な成果を出して見せますよ」
こうして、同盟……みたいなものが成立した。
後は、先払いとして、こちらの情報を話しておいた。
情報と入っても、私がこう言ったら、伊星くんはこう返してきた、位のことだけど。屋聞くんは、それを入
念に聞き取り、メモしていた。

最後に気になるのは、屋聞くんの本心。善意の協力なのか、記事のための利用なのか。
……まあ、どっちでもいいんだけどね。
私に利のある内は、不問にしておくよ。


(18話に続く)
164名無しさん@ピンキー:2006/06/20(火) 22:33:58 ID:ldoUDxdn
屋聞うぜぇぇぇぇw
165名無しさん@ピンキー:2006/06/20(火) 22:45:08 ID:ZVkJuuvN
「なあ、十スレ」

「何?七誌おにいちゃん」

「九スレ姉ちゃん知らないか?」

「えっと…、あ!そうそう、 九スレお姉ちゃんなら旅行に出かけちゃったよ?」

「え、そうなの? 父さん八スレ母さんに続いて九スレ姉ちゃんも俺には何も言わずに旅行に出かけちゃったのかぁ。一体どうしたんだろうな」

「さあ、色々あるんじゃないの?」

「そうだな。・・・それにしても良い匂いがするな」

「うん!今日は良いお肉が手に入ったからお兄ちゃんの好きなステーキだよ!」

「マジ!?やったぜ!」

「あはは、お兄ちゃんたら」
166ロボ ◆JypZpjo0ig :2006/06/20(火) 22:45:11 ID:5pLrBKfX
投下しますよ
167『とらとらシスター』Side姉虎:2006/06/20(火) 22:47:02 ID:5pLrBKfX
 お家に帰ってあたしは一息吐いた。
 虎徹ちゃんには泥棒猫の匂いを落とすために、お風呂に入ってもらっている。サクラち
ゃんはお母さんと晩御飯の支度、あたしと言えば暇を持て余していて呑助ちゃんと戯れて
いた。最初は虎徹ちゃんのお布団に図々しく入るこの子が嫌いだったけれど、今は好き。
二人と一匹で寝ていると、新婚夫婦に思えてくる。そうなってくると不思議なもので、途
端に愛らしく見えてくる。
 あたしと虎徹ちゃんの子供もこんな風になるのかな?
 前足を摘んで遊んでいると、そんな幸せな光景が浮かんできた。
 でも、少し不安もある。
 泥棒猫、サクラちゃんは織濱さんをそう呼んでいた。いつもいつも口を開けば酷い言葉
を吐くけれど、今回はなかなか面白いと思った。同じ猫の名前でも呑助ちゃんとは大違い。
こっちが天使なら、あの娘はあたしと虎徹ちゃんを引き剥がす悪魔だ、許せはしない。
 殺してやる。
 一瞬物騒な言葉が頭に思い浮かんで、慌ててそれを否定。何故か脅えた様子の呑助ちゃ
んに笑いかけると軽くキス、そう言えばこれって虎徹ちゃんと間接キスだと思うとあたし
の心は幸せに包まれた。心も嵐から凪に、これで良い。あたしはお姉ちゃんだから、毎回
すぐに怒りだすサクラちゃんのようなことはしない。
 何で、いつもいつも。
 でも、今日は少しかわいそうだったなぁ。あたしは未来設計を言ってもらって嬉しかっ
たけど、怒られていたサクラちゃんは少し辛そうだった。自業自得と言っちゃえば、もう
それまでだけれども。
168『とらとらシスター』Side姉虎:2006/06/20(火) 22:48:13 ID:5pLrBKfX
 そんなことより、もう一つ大事なことがある。真剣な表情でお説教をする虎徹ちゃんは、
久し振りに見たこともあって更に格好良く見えた。いつものにこにこ笑ってお説教をする
虎徹ちゃんも良いけれど、真面目な表情なのも大好き。
 その表情を思い出していたら、自然に片手が股間に伸びていた。下着の中に手を差し込
んでみると、既に洪水と呼べる程に愛液が溢れ出ていてすぐにでも指がふやけそうになる。
昼間に虎徹ちゃんが言っていた言葉を思い出しながら、指を入れて掻き混ぜる。それだけ
のことで、あっというまにイッてしまった。
 だけれども、まだ足りない。はしたないと思うけれども止まらないものは仕方がない、
それだけあたしの未来の旦那様は魅力的。薬も過ぎれば毒になると言うけれども、それは
本当かもしれない。それとも、もともと薬物のように毒なのかも。
 どっちでも良い。
 今は、快感に身を任せるだけだ。
 不意に、思いつく。
 いつのまにか手を離していた呑助ちゃんにキスをする。どうやら、無意識の内にキスを
しまくっていたみたいで小さな口の周りはベトベトになってしまっていたけれども、気に
しない。これからすることを考えていたら、その程度では済まないから。
 股間で動かしていた指を抜くと、呑み助ちゃんに舐めさせる。それだけでは足りないか
ら、優しく撫でるとあたしの股間まで動かし、直接舐めさせた。
169名無しさん@ピンキー:2006/06/20(火) 22:51:40 ID:FBgJRugN
いや、待て! 確かにうざい。うざいが――我々と同じ匂いを感じるっ!!
そう、修羅場を求める者の匂いを――…!


作者の人ぐっじょぶ!
170『とらとらシスター』Side姉虎:2006/06/20(火) 22:51:49 ID:5pLrBKfX
 瞬間。
 虎徹ちゃんが口を付けていた部分が触れたという事実と、これから間接的にでもそこに
虎徹ちゃんの口が触れるという意識で絶頂に達してしまった。体が
弓なりになって、押し殺していた声が漏れる。
 呑助ちゃんが口を付けていたのは一秒にも満たない時間だったけれども、それでも満足
をした。引いていかない快感と絶頂の余韻に、呼吸がいつも以上に乱れているのが分かる。
 数秒。
 呑助ちゃんの顔を秘蔵の虎徹ちゃんの使用済みタオルで拭いつつ呼吸を整えていると、
ノックの音がした。その音からして、相手は虎徹ちゃん。いつも長いのにもうお風呂から
出たんだ、と思って時計を見てみると、既に一時間は経っていた。
 再び聞こえるノックの音に慌てて返事をすると、着替えを持って部屋を出る。
 お風呂場に向かう途中、なんとなく気になった。この家は防音がわりとしっかりしてい
るけれど、声を聞かれたかなと思って後ろを振り向くと虎徹ちゃんが呑助ちゃんとキスを
していた。あたしの唇や唾液、股間の割れ目や愛液が付いた部分に口を付けている。
 我慢出来ない。
 あたしは液が太股に垂れてくるのを感じると、早足でお風呂場に向かう。途中で擦れ違
ったサクラちゃんが妙な表情を向けて何かを言っていたけど気にしない。
 やっと着いた。
171『とらとらシスター』Side姉虎:2006/06/20(火) 22:53:44 ID:5pLrBKfX
 あたしは速攻で服を脱ぐと、洗濯籠の中を見た。そこに入っているのは虎徹ちゃんの脱
いだ洋服、下着もちゃんと入っている。これがあたしが洗濯係を選んだ理由、このくらい
の役得はあっても良いよね。下着やシャツを手に取ると顔に押し付け、匂いを思いっきり
吸う。脱ぎたてと言うには少し時間が経ちすぎているから体温が残ってないのは少し残念
だけれども、それでも充分。匂いを堪能したあとに、だらしなく垂れてきた股間の液を拭
う。それだけで、再び快感が押し寄せてきた。
 イッちゃった、でも、まだまだ。
 これはもう癖と言うよりも、日常だ。あたしは虎徹ちゃんのシャツとパンツを着ると、
そのままお風呂場に入った。
 シャワーの蛇口を捻り、全身にお湯を浴びる。温かく濡れた服が体に張り付いて、全身
を抱き締められ、舐められている感覚。言葉では表現できないくらいの快感に身をよじら
せると、布が擦れてまた気持ち良くなる。脱出不可能、快感の無限ループに酔いしれる。
 いけないいけない。
 あたしは一番大事なことを思い出すと、一旦シャワーを止めた。そして服に洗剤をかけ
て胸を揉み始める。これはいやらしいことじゃなくて、奥さんとしての義務。愛する人の
衣服を丹念に手揉み洗いしているだけ。全身を使うのはより綺麗にするため、そして虎徹
ちゃんがいつも良い匂いと笑ってくれるようにするためだから気は抜けない。特に今日は
泥棒猫が寄ってきたから念入りに綺麗にしないとね。
172『とらとらシスター』Side姉虎:2006/06/20(火) 22:56:15 ID:5pLrBKfX
 数分。
 多目にかけた洗剤がぬめって気持ち良い。けれど、まだ足りずに結局股間をいじり始め
てしまった。だらしないなぁ、と思うけれども体は正直。
 いや、違う。
 正直なのではなく、きっと正解を選んでいるんだ。あの泥棒猫が二度と近付かないよう
に、匂いも消えるように、あたしの匂いがしっかりと付くように。そうすれば虎徹ちゃん
も、もっと喜んでくれる。だから頑張らなきゃ。
 数十分。
 暫く続けてもう体が動かなくなり、漸くあたしは手揉み洗いを止めた。これだけじゃあ
まだまだ足りない気もするけれど、もう限界らしいので仕方ない。今になって、部屋で楽
しんだことを少し後悔したけれど、最後に良いことをしたから気にしないことにした。
 あ、また。
 思い出して、再び体が熱くなるけれどもう動かない。名残惜しいけれども、体に付いた
泡を流していく。体にかかるお湯の圧力が気持ち良い、それだけでまた愛撫されているよ
うな気持ちになり、またイッてしまった。
 だるい体を動かして、虎徹ちゃんが入ったお湯に入る。
 温い。
 少し冷めているけれど、人肌に近い温度で、虎徹ちゃんの体温に感じられる。この温度
でもう一度したくなったけれど、体が動かないのが残念だった。
173『とらとらシスター』Side姉虎:2006/06/20(火) 22:57:44 ID:5pLrBKfX
 ごめんね、虎徹ちゃん。もう限界なの。
 心の中で謝ると、適当に体を温めてお風呂場から出た。着ていたままが良かったけれど
も、仕方なく服を脱いで絞る。虎徹ちゃんの匂いは消えていたけれども、あたしの匂いは
たっぷりと付いた筈なので我慢。
 お姉ちゃんだから頑張らなきゃ、駄目なことはしないしやるべきことはやる。
 自分にしっかりと言い聞かせて、体を拭いた。
 でも、
 このことを話したら、虎徹ちゃんは誉めてくれるかな?
 いけないいけない。
 夫婦になった後にじっくり聞かせて驚かそう、そんなことがあったんだって。ささやか
な夢だからこそ、楽しいし驚きも増す筈だから。楽しみにしていてもらわなきゃ。
 その光景を想像していると、ノックの音が聞こえた。この音は、未来の旦那様。
「ご飯出来たって」
 軽く返事をして、服を着る。
 それにしても、いつ聞いても素敵な声。
 また、濡れてきちゃった。
 今夜も頑張らなきゃ。
174ロボ ◆JypZpjo0ig :2006/06/20(火) 23:00:01 ID:5pLrBKfX
今回はこれで終わりです

変態姉妹の完成です
セットでどうぞ、今ならお得ですよ?
175名無しさん@ピンキー:2006/06/20(火) 23:02:16 ID:va7KcE/l
変態姉妹最高!!!
ぜひとらとらはこの路線で!!
エロ分野だとこのスレではかなり走ってるなぁ
176名無しさん@ピンキー:2006/06/20(火) 23:04:33 ID:mqnzWLst
うざいよなぁ、やっぱ。
なるほど。これが嫉妬というものか。
だかこれもより深い修羅場というメインディッシュを
楽しむための不味い前菜だと思えば悪くない。
177名無しさん@ピンキー:2006/06/20(火) 23:05:37 ID:HZK9oVlX
GJです!

変態姉妹セット一つおいくらですか?
178名無しさん@ピンキー:2006/06/20(火) 23:08:21 ID:mqnzWLst
と、思ってたら神キター!
↑のは屋聞に対してのコメントです。
決して神に対して言ったのでは・・・。
179名無しさん@ピンキー:2006/06/20(火) 23:27:07 ID:i3A4ISct
確かに好感は持てん。だが、奴にはこれからの修羅場への
生贄になるという名誉な役がある……それを思うと激しくwktk
とらとらシスターの人もリボンの人も激しくGJ!!
180Bloody Mary 2nd container 第十三話 ◆XAsJoDwS3o :2006/06/20(火) 23:47:33 ID:NxYtQCgJ
 師匠たちを失った喪失感と、姫様への不安が俺を苛む。
火薬を爆発させた後、俺たちはオークニーに逃げ帰った。俺は無傷だ。
旅団のみんなはマローネを残して全員死んだ。姫様はあいつらに攫われた。
俺は、無傷、だ。

「くそ……」
 部屋のベッドで項垂れた。山道での光景がぐるぐる頭の中をまわっている。

隻眼の男を見た瞬間、我を忘れて陣形を乱した。
過去は断ち切ったつもりで自惚れていた。結果がこれだ。
守らなきゃならないものを放って復讐に走ったんだ。
生きている姫様より、もう死んだキャスの仇討ちを優先した。愚行にもほどがある。
 それだけじゃない。マローネの目の前で師匠を死なせた。
あの後、マローネは気を失ってしまった。もう大分経つが一向に目を覚ます気配がない。
昏睡しているマローネの顔色は泥人形かと思うくらい悪かった。
……師匠に頼まれていたのにこの有様。自分の役立たずっぷりに反吐が出そうだ。

――――――いや。
 今は自責も断罪も後だ。姫様を助けることだけを考えないと。

「……姫様」
 絶対に助け出す。キャスのような目にあわせてたまるか。

 今、シャロンちゃんが山賊たちの塒を探ってくれている。
あの辺で人が集まりそうなところなど多くはないはずだからそう時間はかからないだろう。
 むこうも火薬の爆発で相当人数が減ったはずだ。救い出せる可能性は決して低くない。

『ウィリアム!ウィリアム!!助けて!!』

 俺に手を伸ばす姫様の姿が脳裡に浮かぶ。
「ふぅー……」
 目を瞑って少しずつ息を吐いた。焦りたくなる気持ちを息と共に追い出す。
…大丈夫だ。姫様はまだ生きてる。あの場で殺さずにわざわざ攫ったんだ。後で殺すなんてマネはしないはず。
それにあの隻眼の男がモルドとするなら、姫様を拉致してもおかしくはない。
モルドはゲイル=トレイクネルと面識があった。アリマテアの王女の顔を知っている可能性は十分にある。
単に王族出身の奴隷として高値で売り捌くのか、もしくはアリマテアを脅すための道具にするのか。
姫様をどうする気なのかは分らないが、すぐに殺すことはまずあり得ない。無論、だからと言って楽観はできないが。

「――――――とにかく、シャロンちゃんが戻ってきてからだな…」
 冴え渡った思考が脳に広がる。もうあんな失態はしない。
余計なことを考えなければ山道でやってしまったことは二度と起こらない。いや、起こさないんだ。
181Bloody Mary 2nd container 第十三話 ◆XAsJoDwS3o :2006/06/20(火) 23:48:17 ID:NxYtQCgJ


コンコン

 不意に部屋をノックする音が聞こえた。
「はい、どうぞ」
 返事をして扉を開けると。
「……あ、あの…ウィル」
 団長が立っていた。落ち着きがない。何かに怯えきった表情だ。
「団長…?」
「えっと……ご、ごめんなさい、わ、私…」

 蒼い顔で声を震わせながら口を開く団長。
……そうだった。団長は師匠を結果的にとはいえ、殺した。それを気に病んでのことだろう。

「とにかく座ってください」
 俺に促され、重い足取りでベッドに腰掛けた。
目を合わせようとしない。彼女の目には恐怖がありありと映っていた。

「ウィル……わた、私が…に、憎い、ですか…?」

 言葉を詰まらせながら尋ねられた。彼女の目は地面を見つめたまま。
俺もゆっくり団長の隣に座った。

「……あれは仕方なかったことです。団長の責任じゃない。
あのとき撃たなければ俺たちはみんな、あそこで死んでいました。
俺も、それに…きっと師匠だって恨んだりするわけありません」

 本当は俺が背負うべきものだった。旅団のみんなが死んだのは俺の所為も同然だ。
俺があんなことをしなければ団長が決断を迫られることもなかった。
団長は俺の代わりにしょい込まなくていいものまで背負ってしまった。

「でも私は……」
「いいんです、団長。悪いのは俺です。俺が勝手なことをしたからあんな事態になったんです。
団長が罪悪感を感じる必要はありません。
それでも罪に苛まれるなら…俺を罵ってくれて構いません。俺にはそれを受け止める義務がある」
182Bloody Mary 2nd container 第十三話 ◆XAsJoDwS3o :2006/06/20(火) 23:49:01 ID:NxYtQCgJ

「違うんですッ!」
 俺に縋り付きながらかぶりを振って。
顔を上げた彼女の目には、涙。

「そうじゃ、ないんです……
わ、私はおじさまを殺したのに、罪悪感よりも…本当はそれで苦しむのが当たり前なのに……
それよりもウィルに嫌われることが怖かったんです!!
おじさまのことより、自分がウィルに憎まれるかもしれないのが不安だったッ!」

 懺悔するように。きゅっ、と俺の服を掴む手に力が入った。

「今だって…こうやってウィルの機嫌を取ろうと必死なんです!
おじさまを殺しておいてあなたに言い訳することばかり考えているんです!
憎んでないと聞いてほっとしてるんです!
本当に……本当に汚い女…。あはっ、見損なったでしょう?ウィル」

 目を腫らしながら自嘲ぎみに笑う。

「だったらどうしてそれを俺に打ち明けるんです?団長が悔やんでいる証拠でしょう?
泣けるのなら、大丈夫ですよ。自分を汚いと言える人なら師匠もきっと赦してくれる。
俺も見損なったりしません」

 ぽかんと俺の言葉を聞いていた団長の目が再び涙を溜め始めた。

「汚いところのない人間なんていません。それに俺は団長の綺麗なところたくさん知ってますよ?
戦に出る前日はいつも教会で何時間も祈っているのを知ってます。
部隊から戦死者が出たら必ず遺族のもとへ頭を下げに行っているのも知ってます。
まだまだありますよ、俺が騎士になって初めての戦のとき――――――んむっ!!?」
183名無しさん@ピンキー:2006/06/20(火) 23:49:17 ID:Cf1Xj2CP
聞屋の人気に嫉妬!
幼馴染派としては聞屋ちゃんが大きく動く前に絞めとかなきゃね|ー゚)

トラトラ、姉さんのほうもGJです
この姉妹はいつ頃市販されますか?


184Bloody Mary 2nd container 第十三話 ◆XAsJoDwS3o :2006/06/20(火) 23:49:58 ID:NxYtQCgJ


 話している途中で、押し倒されながら口を塞がれた。
……団長が俺に唇を重ねていた。

「……これでも、私を見損なわないでいられますか…?」

 唇を離すと囁くように言った。
団長が肩を強い力で押さえ、俺はベッドに貼り付けにされ。
さらさらと彼女の銀髪が俺の頬を撫でる。

「だ…団長、いけません……」

 いくら俺でも彼女が何をしようとしているかは明白だった。
彼女の髪から発せられる香りが俺の鼻孔をくすぐり、混乱させる。

「お願いです…ウィル。あなたが私を見捨てないって確信が欲しいんです…」

 馬乗りになった団長がゆっくり俺の服を脱がし始めた。
……こんなに弱っている団長は初めて見た。どうすればいいのか分からない。

「こんなことしたって何の意味もありません…やめましょう、団長」

「姫様が大変なときにこんなマネ、不謹慎だっていうのも解っています。
でも……でも、やっぱり不安なんです。見捨てられるのがとても怖い。
………いつか、あなたが私に言いましたよね?『どうしてそんなに強いのか』って。
違うんです。本当は私、凄く弱いんです。どうしようもなく弱いんです。
こんなに、こんなにも弱い―――――」

「……………」

「だから、ウィル。あなたの強さを分けてください」

 俺の胸に上体を預けて、彼女の涙が俺の肌を濡らした。
俺の方はと言うと、天井の一点を見つめたまま彼女に尋ねた。

「俺はまだ団長を選ぶか、姫様を選ぶか決めていません。おまけに旅の目的が見つかるまで答えられそうにもない。
そんな、優柔不断で酷い男です。
―――――それでも。それでも俺に抱かれたいですか?団長」

 ふざけた質問だ。卑怯な、本当に卑怯な問い。
そんな俺に問いに団長は言葉ではなく、口付けで答えた。

 団長が少しでも楽になれるのなら。……いや自分を正当化するのはやめよう。
俺は、自分の気持ちを確かめもせずに団長を抱いた。それが事実だ。


―――――だけど、状況をよく考えるべきだった。
マローネのことを。
一階に独り寝かせておくのは心許ないと思って二階で寝かせたことを。
あいつが寝ている場所は彼女の自室ではなく、隣の空き部屋だったことを。
185Bloody Mary 2nd container 第十三話 ◆XAsJoDwS3o :2006/06/20(火) 23:51:07 ID:NxYtQCgJ
以上十三話でした。
次回、マローネ覚醒予定。
186名無しさん@ピンキー:2006/06/20(火) 23:53:14 ID:Cf1Xj2CP
申し訳ない・・・リロードを忘れるとは我ながら情けない・・・
作者様のありがたい作品の流れを切ってしまうとは」 ̄l●

Bloody Mary、ついにマローネ覚醒((;゚Д゚)ガクガクブルブル
187名無しさん@ピンキー:2006/06/20(火) 23:55:32 ID:ZVkJuuvN
サマイズのOHPに大切なお知らせって出てるんだが・・・
188名無しさん@ピンキー:2006/06/21(水) 00:47:55 ID:+dFoMYGf
マローネ覚醒か楽しみだな(;゚∀゚)=3ハァハァ

>>174
1セット頼む
189絆3-1 ◆e65aP.7ZpY :2006/06/21(水) 01:06:58 ID:z5/4HhxD
ジリリリ〜ジリリリ〜
朝を知らせる目覚ましの音が鳴った…。
ジリリリ〜ピッ……
弘樹が目覚ましを止めて起き上がった
「んんん〜……あれ??」
そして時計のさす時間を見て驚いた。
「えっ…もうこんな時間!?」
時計の針は待ち合わせの時刻、十時をさしていた。
「やばいっ!!完全に遅刻だよ…後藤さん待ってるかな…」
(でもどうしてだろう…昨日は遅れないぐらいにちゃんとセットしておいたのに…)
弘樹は急いで服に着替え、出かける準備をした。
そして足早に玄関へと向かった。
「由紀姉もう僕行くから!!ん…??由紀姉!!」
弘樹の声には何も返ってこなかった。
(由紀姉も出かけたのかな??)
そんなことを考えたが、今はそんなことを考えてはいられないとおもいなおし、急いで外に出た。
ガチャッ!!
「由紀姉がいないなら鍵閉めなくちゃ」
ガチッガチッガチンッ!!
「よしっ!!これでOK」
鍵を閉めた弘樹は待ち合わせの遊園地に向かい走った。

そのころ遊園地の門の前では……
(弘樹君遅いな…忘れちゃってるのかなぁ…)
一人でずっと待っている沙耶花の姿があった。
(どうしよう…もうこないのかな…ううん、もう少し待ってみよう。
せっかく弘樹君のためにお弁当だって作ってきたんだから!!)
そして、もうすぐ時間が十一時になる頃に弘樹は到着した。
「ご…ごめん、後藤さん…ハァハァ…待った……に決まってるよね」
「あっ弘樹君!?よかったきてくれたんだね。もうきてくれないのかとおもったよ」
「ホントにごめんね!!ちょっと寝坊しちゃってさ……」
「いいよいいよ。ちゃんときてくれたし…それに待ってるのもデートのうちだしね♪」
弘樹はその言葉を聞いて素っ頓狂な声をあげた。
「デ、デート!?」
「そうだよ♪若い男女が二人きりでお出かけなんてデートだよ」
「そ…そうだよね」
(デート…そうだよね。考えもしなかったけど、これってデートになるんだよね)
デートなんてことを考えていなっかた弘樹は少し焦っていた。
「とりあえず中に入ろうよ弘樹君♪」
「あ…うん」
(ほんとどうしよう…僕デートなんてしたことないしな…)
そんなことをおもいながら沙耶花と中に入っていった。

そんな二人の後ろ姿を見つめる人影・・・。
「やっぱり・・・」
その人影は由紀のものだった。
別に弘樹のことを信じていないわけではなかった。ただ、女の勘というものなのだろうか、
由紀は何か嫌な予感がして弘樹の後をつけていたのだった・・・。







190絆3-2 ◆e65aP.7ZpY :2006/06/21(水) 01:07:39 ID:z5/4HhxD
「弘樹君まずはどれ乗ろうか??」
「そうだな〜、後藤さんの好きなのでいいんじゃないかな」
(僕、全然エスコートできてないよ・・・)
「じゃあアレに乗ろうよ!!」
「アレ乗るの・・・??」
沙耶花の指の先にあるのはジェットコースターだった。
「ダメかな??」
「そ、そんなことないよ。乗ろうか!!」
(僕、本当はああいうのは苦手なんだけど・・・仕方ないよね・・・ハァ〜)



「楽しかったね弘樹君」
「う、うん。そうだね」
苦手な乗り物に乗せられ元気を無くした弘樹。そこに追い討ちをかけるように沙耶花は次の乗り物を示した。
「次はアレにのろうよ♪」
「・・・・・・」
沙耶花の示した先にあるのはバイキングだった・・・。
「そうだね。あれに乗ろうか・・・」
(後藤さん絶叫系好きなのかな・・・こんなのが続いたらさすがにやばいかも)
そんなことを考えずにはいられなかった。




「次はアレ!!」
「ハァハァ・・・」
その後も沙耶花と弘樹は色々な乗り物にのったが、どれも絶叫系で弘樹は心身ともに疲れた状態になり、
昼をだいぶ過ぎた時刻を迎えることになった。
「どれも楽しかったね弘樹君♪」
「そ、そうだね・・・」
(どれも絶叫系だったから正直疲れた・・・でも、こんなに後藤さんが喜んでくれてるなら乗ったかいがあったかも)
弘樹は後藤さんの笑顔を見ていたら、疲れなどどうでもよくかんじてきていた。

そんな二人のやりとりを見ている由紀。
「何・・・なんなのあの女!!私の、私のヒロとあんなに楽しそうに喋って・・・ヒロもヒロよ!!デレデレしちゃって」
二人を見ている由紀に生まれてきたのは怒りという感情だった。

191絆3-3 ◆e65aP.7ZpY :2006/06/21(水) 01:08:23 ID:z5/4HhxD
「そういえばお腹空かない??」
時間的にお腹が空いているころだろうとおもい、沙耶花にそう尋ねた。
「あっ!?もうこんな時間なんだね。うん、何か食べようか」
(よ、よし今日は私が作ってきたお弁当食べてもらうんだから!!お昼はだいぶ過ぎちゃったけど・・・)
「後藤さん何が食べたい??僕買ってくるけど」
そう言う弘樹に沙耶花は恥らいながら、言葉にする。
「あ、あのね・・・今日は私弘樹君のためにお弁当作ってきたんだけど、食べてくれるかな///」
「えっ!?僕のために」
「う、うん。弘樹君のために///・・・もしかして迷惑だったかな??」
「ううん、そんなことないよ!!すごい嬉しいよ!!」
(僕のため・・・か。女の子にお弁当作ってもらうなんて由紀姉以外で初めてかも。なんか緊張するな・・・)
心の中ですごい動揺をしてしまっていた。
「それじゃあ、あそこに座って食べようよ弘樹君♪」
「あっうん。そうだね」
そうして二人は近くのベンチに座り食事を始めた。



「ごちそうさま!!」
「おそまつさまでした。ど・・・どうだったかな味のほうは??」
「すごいおいしかったよ!!久しぶりにあんなにおいしいご飯を食べた気がするよ」
「ホ、ホント!?よかった〜弘樹君のお口に合うか心配だったんだよね」
「全然問題ないよ。こんなにおいしい料理がつくれるんならいつでもお嫁さんに行けるね」
「ほ、褒めすぎだよ〜///」
(お嫁さんかぁ〜///弘樹君のならいいな・・・なんて)
「そんなことはないとおもうけどな。自信持っていいとおもうよ。
それじゃ、ご飯も食べたし少し休憩したらまた何か乗りに行こうか」
「そうだね」
こうして二人の食事の時間は終わっていく。

そのやりとりも由紀はずっとみていた・・・。
「弘樹・・・私の前でもそんな笑顔最近見せないのにその女には見せるんだね・・・。やっぱりその女のせいなんだね」
そう呟きながら二人を見つめる由紀の影は消えていった。
192絆3-4 ◆e65aP.7ZpY :2006/06/21(水) 01:09:15 ID:z5/4HhxD
弘樹はもう遅いので沙耶花に帰ろうと促した。
「えっ!?もうこんな時間なんだね・・・。楽しい時間ってすぐ過ぎちゃうんだよね」
「そうだね。こんなになるまでつき合わせてごめんね」
「全然いいよ。私もすごく楽しかったから。今日は誘ってくれてありがとね」
(ホントのホントにすごい楽しかったんだよ・・・大好きな弘樹君と一緒だったから・・・本人には言えないけどね///)
「そういってもらえると助かるよ」
こうして二人の楽しい時間にも終わりがやってきて、遊園地の門の前で別れようとしたとき、
沙耶花が弘樹に言った。
「あ、あのね弘樹君」
「ん、なに??」
「最後に一つお願いがあるんだけどいいかな??」
「別に僕にできることならだけど」
「あのね、その・・・」
(後藤さん何を言おうとしてるんだろう・・・)
「そのね弘樹君・・・私のことなんだけど」
「後藤さんがどうかしたの??」
「それ!!それなんだけど・・・これから私のこと沙耶花って呼んでくれないかな///」
「えっ!?名前で呼ぶの!?」
急な沙耶花の言い出しに焦る弘樹。
「うん、出来れば弘樹君にはそう呼んでもらいたいのダメかな??」
「いや、後藤さんがそれでいいって言うなら僕は構わないけど・・・」
(女の子を名前で呼ぶなんて少し恥ずかしい気もするな・・・)
少し考え、意を決して弘樹は言った。
「じゃあ・・・さ・・・沙耶花でいいのかな??」
「うん・・・ありがとう///これからはそれでお願いね・・・///それじゃあ弘樹君また明日学校で」
「うん。それじゃあね。」
こうして二人のデートは終わっていき、沙耶花と別れた弘樹は自宅へと戻っていた。



「はぁ〜それにしても今日は楽しかったな。最初はすごい緊張したけど、途中からは楽しくてそんなの忘れてたし、
普段とは違う後藤さんも見れたし・・・・・・そうだ沙耶花って呼ばなきゃいけないんだっけ。
今更だけどやっぱ恥ずかしいな。でも、悪い気分はしないな」
そんなことを言っている弘樹の顔はにやけているのであった。
「それにしても由紀姉はまだ帰ってないみたいだけどどうしたんだろう??・・・まぁ由紀姉なら平気だよね。
しかっりしてるし。そんなことより僕はあした学校なんだからもう寝ないとな・・・」

こうして弘樹の長い一日が終わっていったのであった。
193 ◆e65aP.7ZpY :2006/06/21(水) 01:17:47 ID:z5/4HhxD
やっと続きを書くことができました。
前のから三ヶ月以上たっていますので、わからない方などは、
まとめサイトのほうで確認のほうお願いします。

みなさんのご期待通りのものはできていまいかもしれませんが、読んでいただけると
幸いです。

長いコメント失礼しました。
それでは次回ができあがるのを待っていてください。
194名無しさん@ピンキー:2006/06/21(水) 10:48:16 ID:gQ6LPQkP

あなたは馴れ合いを心配しているようなことを言っているが、
何故そのような心配に至るのか分からない。

私は>>175で説明されていなかった部分を、
それが前提にされているのか疑問に思ったので発言しただけ。
何かを庇い立てしている発言でもなければ
過ちの看過を推奨する意図の発言でもない。
無用な馴れ合いをする気も当然ない。
195名無しさん@ピンキー:2006/06/21(水) 10:51:47 ID:yvcU4YRV
変な誤爆ですな


それはそうと>>193GJ!!
続きが楽しみです
196名無しさん@ピンキー:2006/06/21(水) 11:50:35 ID:yK13WS/x
>>193
姉好きの自分としては密かに待ってたかいがありました
前回いいところで終わってたから、ほんと再開嬉しい限りです。
197名無しさん@ピンキー:2006/06/21(水) 11:53:03 ID:nig84u+T
こうやって帰ってきてくれる作者さんいると嬉しいね
198『一掴みの優しさを君に』 ◆yjUbNj66VQ :2006/06/21(水) 13:01:33 ID:+p36h0lI
作った料理を器に移す冬奈。エプロンをかけたその姿はもう見慣れた物だが、何度見ても良い。腰まで伸びた髪が綺麗に揺れる。
某友人が、『短髪+活発っ子。これは絶対定義だ。』とかぬかしていたが、冬奈はそれをぶったぎる、長髪活発っ子だ。
性格的には美夜は静かな方なのだが、なぜか冬奈が一緒に居る時はやたらと元気になる。そんなに冬奈が来るのがうれしいのか?
「あ、そうだ、兄ちゃん。志穂おばさんから聞いてる?」
「んあ?なにを?USAに行くってしか聞いて………」
「今日から私も兄ちゃんの家で暮らすんだ。」
沈黙。…冬奈を見る。ウキウキした顔をしている。美夜を見る。無表情。てか呆然か。もう一度冬奈。さらにウキウキ。もういっちょ美夜。…え?なんで般若…
「ど、ど、ど、どういうことよー!」
突然食いかかる様に冬奈に飛び付く。ソファーから冬奈まで、推測二秒!
「うーん。だって志穂おばさんがそうしろって……だって、うら若き乙女が一人暮らしだなんて危ないでしょ?その点、兄ちゃんがいれば大丈夫。
あ、兄ちゃんだったら私を襲っても無問題だよ。」
199『一掴みの優しさを君に』 ◆yjUbNj66VQ :2006/06/21(水) 13:02:32 ID:+p36h0lI
「だめに決まってるわよ!」
……それ、俺のセリフじゃないかなぁ……
「まあ、確かに危ないし。冬奈も一人じゃ寂しいだろ。いいぜ、今日の帰り、荷物持って来いよ。」
「ほんっとに!?やったぁっ!さすが兄ちゃん!だから好き!」
そう言って背中に抱き付いてくる。うごぁー。髪の毛のいい匂いが……て、変態か?俺……
「は、離れなさいよぉ、冬奈!」
無理やりひっぺがされ、ちょっと不満そうな顔をする冬奈。どうもこの二人は折り合いが悪い様な気がするんだが………まあ、気のせい木の精。
素早く食事をすまし、学校へ向かう。慌ただしかったせいで時間が無かった。
「ダーッシャアァァァァーーーー」
ちんたら歩く夏校生徒供を奇声と共に退かしながら、通学路を突っ切る。と、その途中で見た背中そこに………
「トウッ!」
ライ○ーキック顔負けの飛び蹴りを、後頭部に叩き付ける。まあ、これごときで怪我をする様な奴じゃないからいいか。
「く……幾分にも増して威力が上がっているな、亮夜。」
傷一つ無く起き上がるつわもの、高橋陸。なんでも父親はギャルゲーシェアNo.1を誇る会社を立てたとか。
200『一掴みの優しさを君に』 ◆yjUbNj66VQ :2006/06/21(水) 13:03:46 ID:+p36h0lI
「昨日は夏休みデートイベント直前のデータ作成に徹夜だったんだ。手加減してくれよぅ。」
ちなみにこいつもギャルゲーマニア。あの親にこの子ありといったあたりか。
「はぁ、はぁ、お、おに……兄さん、急に走らないでよ……」
「兄ちゃん…ふぅ…速すぎ。」
置いてきてしまった二人がやっと追いつく。美夜は学校では俺を兄さんと呼ぶ。本人曰く、恥ずかしい、と。
「いやぁ、相変わらずだなアニメ声姉妹。」
「うちの妹に変なこと吹き込むのは止めてもらおうか?」
「そんな事より、今日は転校生が来るらしいぞ…まあ、興味はないがな。」
情報を得ている時点で十分興味有りだと思う。ま、今更転校生なんざと仲良しこよしになる気力はないからスルーだな。
なんだかんだ話ながら教室へ。冬奈は一つ下の一学年。俺と美夜は二学年である。双子だと言うのに珍しく同じクラスなのだ。
「オラー。席に着けぇ。愚徒どもぉ。」
意味不明な言葉と共に入って来たのは担任の鬼山。今やこの学園の古株だ。………生徒に馬鹿にされるのは相変わらずというらしい………無念、鬼山サン
201『一掴みの優しさを君に』 ◆yjUbNj66VQ :2006/06/21(水) 13:08:37 ID:+p36h0lI
今回はここまで。
〈チラシの裏〉
図書館で『嫉妬』をキーワードにしてる俺はもう末期か…orz
〈チラシの裏〉
202名無しさん@ピンキー:2006/06/21(水) 16:15:05 ID:ZbnmlXqB
ずっと血ぬれ竜だと思っていたら
正しくは血まみれ竜だったなんて...と
ショックを受けたのは俺だけじゃないはず
203名無しさん@ピンキー:2006/06/21(水) 16:25:49 ID:/Ucewa8J
俺も普通に白をはくと読んでた
204名無しさん@ピンキー:2006/06/21(水) 16:38:25 ID:h1dPfEui
竜(アレは龍だが)で白って某ジブリのアレみたいだ……
205名無しさん@ピンキー:2006/06/21(水) 16:54:45 ID:ga47rJ6i
シロって呼ぶと我が家のめすぬこが脳裏に浮かんでしまう。
206 ◆tVzTTTyvm. :2006/06/21(水) 17:38:50 ID:soaRoIw/
自分の作品が思うように筆が進まないくせに他作のキャラ描いてみたり
一応「血塗れ竜と食人姫 」の怪物姉妹のつもり
ttp://bbs9.fc2.com/bbs/img/_166100/166037/full/166037_1150878816.jpg
お気に召さなかったなら遠慮無く仰ってください 撤去しますので
207名無しさん@ピンキー:2006/06/21(水) 18:57:18 ID:+dFoMYGf
>>201
転校生がどんな奴なのか期待
里緒さん、佐奈嬢と関係ある奴なのか、それともまったくの新キャラ?
208アビス  ◆1nYO.dfrdM :2006/06/21(水) 21:02:14 ID:nvC+GPBP
投下します
209『BLOOD』六章 幻と現実  ◆1nYO.dfrdM :2006/06/21(水) 21:02:52 ID:nvC+GPBP
 深い闇のその身を沈めて私は目を閉じた
 まるで海の中かのような感覚
 全てを包めれて私を溶かしていく
 怖い・・・・?そんな気持ちなんて知らない
 辛い・・・・?感じたことの負かった
 片目を失った少女が私の背後に立っている
 少女が呟く・・・・
『あなたは何も知らない・・・・』
 そう、知ろうとも思わないし知りたくもない
『何を?』
 ・・・・・私は知りたくないの!あっちに行って
『そう、そうやってまた殻に閉じこもるの?』
 私は私・・・・今のままでいい
『また逃げるの?・・・・逃げた先になにがあったの?』
 やめて!やめて・・・・・!!!!
「愛してるよ・・・・プレシア・・・・キミを・・・・・護れなくてごめん」
 いやぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!
「彼は私のモノよ・・・・プレシアなんかに渡さない」
 殺してやる・・・・ゼルに近づく女は許さない!
『何も知らないんじゃなかったの?』
 少女は不敵な微笑を浮かべて私に一歩一歩と近づいてくる
 黒く変色している瞳があった部分から黒い血が滴った
『また失うの?奪われていいの?メシアに・・・・』
 うるさい!うるさい!ゼルは私だけを見てくれる!私だけを愛してくる!
 そう言ったもの!そうだって・・・・・私に言ってくれたもの!
 私は剣を引き抜くと暗闇の中でそこだけ輝いてるかのようなところに居る少女に向かっていく
 消えてしまえ・・・・私の忌まわしい過去と共に!
 少女の胸に剣を突き立てる
 心臓部を射抜く確かな感覚がして私は安堵した
『ふふ・・・・・逃げられない、あなたは逃げられない』
 少女は痛みを感じてる風な素振りもなくまた口元を緩めた
『ゼルはあなたは愛してくれる・・・・でも、結ばれない・・・・』
 気づくと私の胸から大量の血が噴出していた
 痛いよ・・・・苦しいよ・・・・
 寂しいよ・・・・辛いよ・・・・
 悲しい・・・・よ・・・・・ゼル
210『BLOOD』六章 幻と現実  ◆1nYO.dfrdM :2006/06/21(水) 21:04:14 ID:nvC+GPBP
「ゼル!」
 私は物凄い勢いで起き上がった
「おい、大丈夫か?」
 ゼルの微笑みに私の不安な気持ちが一瞬で消え去り
 無意識のうちに抱きついていた
「怖い夢でも・・・・・見てたのか?」
 私は何を答えるでもなくゼルの胸にすがり付いた
 少し落ち着いてきた
「驚いたぞ、メシア様に屋敷の周りを案内したたらお前とリルスさんが倒れててさ」
 そっか・・・夢か・・・・
「リルスさんは隣の部屋で寝てる・・・・なにかあったのか?
 私は先ほどまでの出来事が全て夢なんだと理解した
 ゼルのぬくもりがここに確かにある
 これは夢じゃない・・・・
 ゼルは私の物・・・・全部・・・全部・・・・
「私・・・・大嫌い・・・・」
 嘘・・・・ほんとは大好き・・・・愛してる
 ゼル・・・・私・・・・
・・・・・・・怖いよ
211『BLOOD』六章 幻と現実  ◆1nYO.dfrdM :2006/06/21(水) 21:04:51 ID:nvC+GPBP
 今にも壊れそうなほどその小さな身を恐怖でいっぱいにして俺にすがりついていたプレシアも少し落ち着きまた眠りに付いた
 俺は長い髪を撫でると気持ちよさそうに寝息を少し立ててプレシアが寝返りをうった
 しばらくして俺はその部屋を出た・・・・
「兄様・・・またプレシアですか」
 顔を俯けたリストが俺を出迎えてくれた
 嬉しくもなんともない・・・・
「いい加減兄離れしてくれないか?」
「なんでですか・・・・・」
 そんな・・・・なんだ・・・・えっと
「兄妹だからな・・・・」
「嘘・・・・嘘つき!」
 リストが急に顔を上げてすごい勢いで迫ってくる
 俺はいつものようにそれを軽くかわしてリストの肩を掴んだ
「私・・・・知ってるんですよ・・・・」
 俺はリストの勝ち誇ったような顔で言われた言葉に愕然とした
 なんて言った・・・・知っている?なにを・・・・はったりだ
 でも、そんなこというってことは・・・・
 俺は冷汗を見つからないように拭うとリストの横をそのまま通ろうとした
「どこに行くんですか!?」
 すぐに俺の腕が掴まれてリストが俺の進行を止めた
「プレシアに飲み物を・・・・」
「プレシア!プレシア!プレシア!プレシア!プレシア!プレシア!プレシア!プレアア!プレシア!・・・・・うんざりです」
 すごく冷酷な声だった
 思わずゾッとしていまいそうな威圧感を放ちながらリストは俺の腕に込める力を強めた
 俺の腕にリストの爪が食い込み血がにじむ
「言ったでしょ・・・・知っているって、言ってもいいんですか?あなたの大好きなプレシアに・・・・」
 一瞬見せてしまった俺の動揺を見逃す訳もなくリストはおもちゃをもらった子供のようにはしゃぎだした
「ふふ!ふふふ・・・・・これで兄様は私のものです・・・・」
 いきなり口付けを食らい俺は後ろに仰け反った
 逃がすものかと背中に手を回してリストは俺をその場に倒した
「さぁ、愛し合いましょう・・・・兄様」
「おい、プレシアが・・・・」
「私の前であの女の名前を呼ぶな!」
 もう逃げられそうのなかった
「ふふ、兄様・・・・兄様には私がいるじゃないですか・・・・ずっと傍にいますよ」
212アビス  ◆1nYO.dfrdM :2006/06/21(水) 21:09:46 ID:nvC+GPBP
関係あるようで関係ない話を・・・・
友人にこのブラッドでアクションゲームを作ってみようかなと相談したところ
あっさり「いいんじゃない?」
だったので製作を・・・・ツクール系ではなくC言語で本格的なのを
グラフィック等も自分でしなきゃならないので・・・かなり時間がかかります
あとエロも抜きにします・・・・
半年先か・・・・一年か・・・・
できたらこのスレの方だけにわかる方法で公開しようと思います
あ、半年か一年さきじゃ忘れられてるかも・・・・
213アビス  ◆1nYO.dfrdM :2006/06/21(水) 21:12:13 ID:nvC+GPBP
あ、書き方変・・・・ゲーム内でエロはなしです
関係な話すいません
214名無しさん@ピンキー:2006/06/21(水) 22:12:41 ID:KZoV1c44
アビス殿毎日投下GJです(*´д`*)
|ω・`) 半年一年で忘れるほど私の嫉妬に対する思いは甘くない!
期待していますので製作頑張ってください

そして阿修羅さん、更新お疲れ様です、大変みたいですが
一読み手として大変助かっておりますm( __ __ )m
215名無しさん@ピンキー:2006/06/21(水) 22:15:28 ID:Xp1j+AAs
ゲームだってぇーーーーーーっ!!??

待ちます。待ち続けます。
216名無しさん@ピンキー:2006/06/21(水) 22:24:37 ID:f/bY5GuF
>>212
( ゚д゚ )ゲーム…
まぁ同人だからあまりクオリティは関係ないか、どうせ挫折するのはみえてるしw
いいネタをありがとうございます、久々に笑えました
217名無しさん@ピンキー:2006/06/21(水) 22:25:55 ID:6ygwDOJf
「私の前であの女の名前を呼ぶな!」

(*´д`*)

218名無しさん@ピンキー:2006/06/21(水) 22:50:00 ID:DAmYj/ir
信じ続ければ奇跡も起きる。というわけで神の英知による
奇跡を信じ続けて待っています
219名無しさん@ピンキー:2006/06/21(水) 22:50:03 ID:gV/S8fEj
>>201>>213
GJってことで異論はないな?
220名無しさん@ピンキー:2006/06/21(水) 23:17:07 ID:JVKTzBdm
>>219
それに口出ししたらそいつの頭を疑うぜ、相棒。
221名無しさん@ピンキー:2006/06/21(水) 23:22:26 ID:MFvDgb0f
投下しますよ
222『甘獄と青』Take1:2006/06/21(水) 23:24:18 ID:MFvDgb0f
 歩き疲れたと言うリサちゃんを肩車しながら歩く。それは疲れるだろう、僕の身長は約
2mなのに対してリサちゃんは約1mしかない。第二惑星と第四惑星の人間ではそれなり
に身長差があるのに、僕らは男と女、年齢的にも大人と子供と同じようなものなので恐ろ
しい程に差が開いている。ゆっくり歩いたとはいえ、歩幅の違いや過剰なスキンシップは
疲れるだろう。
「どこに行くの?」
 リサちゃんが頭を軽く叩きながら訊いてくる。
「どうしようか?」
 今日は何か予定がある訳でもないし、夕刻までに帰ることの出来る範囲ではイベントも
ない。ただ追い出されるようにして部屋を出てきた訳だから、目的もありゃしない。ただ
時間を潰すのは僕の専売特許だけれども、リサちゃんは暇で仕方がないだろうと思うので
自主的に却下。
「どこに行くか、まず考えようか」
「うん、じゃあいつものとこ」
 リクエストがあったので、取り敢えずいつもの喫茶店に向かう。あの喫茶店は僕らが心
からくつろげる数少ない場所の一つで、普段から肩身の狭い思いをしている人からすれば
非常にありがたい。
 たわいのないお喋りをしながら歩いていると、目的の喫茶店『極楽日記』が見えてきた。
いつもながらほぼ満席で、不況知らずらしい。僕はむずがるリサちゃんを降ろすと、手を
繋いで中へと入る。本当は肩車をしたままが良いらしいけれど、かなり中腰にならなけれ
ばいけないので僕から出した妥協案だ。他の第二惑星の囚人も来るので、店の入口は結構
高い。それでも中腰にならなければ入れない程度の高さなので、良い年をした男が腰を曲
げて入ることになる。手を繋いで入るのも大して変わらないような気もするけれど、それ
は個人の価値観だ。
223『甘獄と青』Take1:2006/06/21(水) 23:28:49 ID:MFvDgb0f
「お邪魔するぜい」
 勢い良くドアを開くと、先日一緒に見た西部劇のように入る。リサちゃんはこれが大層
気に入ったらしく、最近はどこでもやっている。少し失礼だと注意しなければいけないと
思うけれども、可愛らしく微笑ましいこれを見る度にどうにもならなくなる。それに、こ
の程度の自由を奪ってつまらない監獄生活を送らせるのはかわいそうだと思う気持ちも。
 ある意味自分勝手な考えをしていたから反応が遅れたが、店の雰囲気がどこかおかしい
ことに気が付いた。いつもは皆のアイドルであるリサちゃんが来ると返事が返ってくるの
だが、それがない。それどころか喧騒すらも静まりかえり、客が多いのにBGMしか聞こえ
ないという不思議なことになっていた。この光景に、リサちゃんと見た西部劇の一場面を
思い出す。まさか、皆もそれを見ていて真似をした、ということはないだろう。
 僕がマスターを見ると、何故か強張った表情をしていた。
 どこかがおかしい。
 この店が落ち着ける一番の理由は、色眼鏡の無いことだ。それは人間なんだから、誰で
も恐怖心は持っているし否定もしない。だけれども、そうされると居心地が悪くなるし、
だからこそリサちゃんをよくここに連れてくるのだ。SSランクでも気軽に話を出来る場所
だからこそ来るのに、これはどうしたことだろう。
 リサちゃんも不思議らしく、首を傾げている。
224『甘獄と青』Take1:2006/06/21(水) 23:30:26 ID:MFvDgb0f
「ようようよう、残りの悪党のご到着だ」
「こら、黙れティニー。すまんね、青君、リサちゃん」
 この店の名前の由来でもある極楽鳥型ペットロボットを叱ると、マスターは苦笑いを向
けてきた。けれども気にはならないし、寧ろ静寂を破り、その理由も教えてくれた程なの
で感謝をしたいくらいだ。
 僕はマスターとティニーに笑顔を向けると、
「気にしないで下さい。それよりも、誰か来てるんですか?」
「言わずと知れた大悪党だよ、たまげたぜ」
「大悪党?」
 心辺りがない僕は店内を見回してみた。知り合いといえば常連の皆だけで、他に居るの
は面識のない人ばかり。もしかしたら改築のためにSSランクの棟に住んでいたDランクの
人が遊びに来たのかと思ったのだけれども、どうやら戻ってきてはいないらしい。
 不意に、奥の席に座っている美人が手を振ってきた。タートルネックのセーターを着て
いるのでランクは分からないけれど、知り合いではないことは分かる。こんな美女ならば
一度会えば忘れないと思うけれども、どうにも記憶にない。
 黙って彼女を指差してマスターを見ると、軽く頷き返してきた。
「おにーさん、早く座ろうよぅ」
「ごめんね、じゃああっちに」
 僕の手を掴んで揺らすリサちゃんの頭を軽く撫でながら、彼女の元へと歩く。
 僕を指名してきたということは、それなりに僕を知っているということだろうけれども、
だからこそ納得がいかない。SSランクの囚人と自分から関わろうとする物好きな人間は、
それ程多くはない。
225『甘獄と青』Take1:2006/06/21(水) 23:33:16 ID:MFvDgb0f
「こんにちは、お兄さん。何て呼べば良いかしら?」
 名前を知らないということは、物珍しさで寄ってきた人か。それとも、虎の意でも借り
に来たのだろうか。どちらにせよ嬉しいことじゃないし、少し警戒をする。僕は普段は首
が隠れるような服を着ないので誰が見てもランクが分かるが、今日はそれを少し後悔した。
 僕は不機嫌な表情を作ると、
「名前は無いよ。ここに入る前から、皆に好きに呼ばせてる。おすすめは、青かブルー」
「あぁ、瞳の色ね。とても綺麗」
「それよりも、まず自分から名乗ったらどう?」
 彼女は笑みを浮かべると、
「これを見たら分かるかしら?」
 セーターの襟を掴んで、下にずらす。そこに見えるのは、黒い色をした首輪。色は僕と
同じだが数は僕より一つ多い。それが示すのはSSよりも一つ上、世界に唯一人の超大罪人。
架空の人物だと思っていた。
「サラ・D・G・ハートスミス」
 僕の答えに、サラは笑い声で応えた。
「ねぇ、ブルー。もう一人のSSは? いつも一緒だと聞いているけれど」
「はーい」
 リサちゃんは軽く襟を下げると、二つの黒い首輪を見せる。なるべく人に見せないよう
に首が隠れるような服を買ってあげたのに、あまり意味は無かったらしい。人にばれずに
どこにでも行けるようにしたかったから少し残念だ。
 そんなリサちゃんを見て、サラは目を丸くした。それはそうだろう、誰もこんな子供がSSランクとは思わない。
226『甘獄と青』Take1:2006/06/21(水) 23:35:06 ID:MFvDgb0f
「こんな子供がねぇ、驚き」
「で、何の用?」
 突き放すように言う。出来れば、これ以上サラとリサちゃんを関わらせていたくなかっ
た。それどころか、僕自信の身さえ守れるかも怪しい。
 サラは再び笑顔を浮かべると、
「別に、顔を見たくなっただけよ。この都市のツートップさんの」
 この言葉を聞いて、やっと店の雰囲気が変な理由を理解した。分からなかった僕は相当
な馬鹿だ。そりゃあ大罪人、しかもトップ3が集まれば何かおかしなことを考えそうだと
思うだろう。
「それにしても、随分と愛されてるのねぇ。えっと、お嬢ちゃん?」
「リサだよ」
「リサちゃんもだけど、特にブルー。あなたが。あなたのことを訊いたときに皆に凄い目
で睨まれたわよ、鳥さんにも随分酷いことを言われたし」
 自覚はあまり無かったけれど、そう思われているのは素直に嬉しかった。何より嬉しい
のは、リサちゃんも愛されているという事実。特に健闘してくれたらしいティニーには、
後で高級回路を買ってきてあげても良いかもしれない。
「本当に、羨ましい」
 僕の思考を切ったのは、その一言。
「わたしだって皆の為に頑張ったのに、ね」
 サラはそう呟くと、僕の目を見て唇を歪めた。
227ロボ ◆JypZpjo0ig :2006/06/21(水) 23:37:35 ID:MFvDgb0f
今回はこれで終わりです

変態姉妹と違い、こちらは趣味に走りますが御容赦の程を
228名無しさん@ピンキー:2006/06/21(水) 23:46:04 ID:++XaBYfV
さて、調子に乗って投下します。
229教授と助手とロリコンの微笑み:2006/06/21(水) 23:48:55 ID:++XaBYfV
「やはりあなたは泥棒猫だったのね…今までよくも騙してくれ
たわね!」
「よく言うじゃない…騙される方が悪いってね。」
今世紀最凶のホラーというから見てみたが内容は簡単に言うと
三角関係のもつれによるドロドロ劇のようだ。
そんなに恐くはないが、鋸を振り回す黒髪の女性はちょっとだ
け恐かったな。

映画館から出ると晴香ちゃんが
「樹さ〜ん、こ、恐かったよー。」
「え?そ、そう?」
映画が始まって終始キャー!とか叫んで手握ってきたり抱きつ
いてきたりしていたから、やっぱりなんだかんだ言っても、晴
香ちゃんも女性ってことだな。いや、疑ったことはないけどさ

「樹さん、お腹すきませんか?近くにオススメのレストランが
ありますから行ってみましょ!」
「あ、ちょちょっと晴香ちゃん、そんなに引っ張らないで。」
なんか今日は晴香ちゃんにリードされっぱなしだなー。
そういえばそろそろ弥生さんの方も終わったかな?あとで電話
してどうなったか聞いてみるか。




「なるほど、よくわかったよ。しかし弥生くんも大変だったね
。」
「ご迷惑をおかけして申し訳ございません。ほかに頼る人もい
なかったので…」
この人は後藤毅教授。私が入学式の時に起こした暴行事件で、
正当防衛を証明してくれた恩人で、公私ともに相談に乗っても
らったりと、とても世話になった人だ。
「さて、それで当座の寝床だが、弥生くんさえよければ敷地内の
女子寮はどうだ?」
「女子寮ですか?でも寮は…」そう言うと教授は
「わかっている、取り壊しの件だろ?」
そう、寮は近日中に取り壊しの予定と聞いているが。
「近日中に取り壊すはずだったのだが、急遽予定が変わってな
、無期限延期になったのだよ。」
「え?本当ですか?」
なんという幸運だろう。やはり後藤教授に相談して良かった。
「ぜひ、入寮させて下さい。お願い致します。」
230教授と助手とロリコンの微笑み:2006/06/21(水) 23:51:38 ID:++XaBYfV
10分後…………

プルル…プルル…プルル…ピッ
「……ああ、獲物が見つかった。今女子寮に向かっている。…
…理由は分からんが10歳くらいになっているから……大丈夫だ
、「あれ」はまだ未経験だろう。10歳児の体に未経験、お得意さ
ん辺りなら言い値で買ってくれるだろう……ああ、しくじるなよ。」
ピッ

くっくっくっ…これで借金も返済のメドがついたか…弥生くん
…悪く思うなよ…

女子寮についてみると建物は明かりがついてなく、辺りは街灯
1つもないほど真っ暗だった。
(いくら構内の外れとはいえ、薄気味悪いな。)
僅かな不安を覚えつつも他に行くあてもないので、とりあえず
中に入り教授が指示した101号室へ行ってみた。

部屋に入り、電気をつけてみるとさすがに取り壊す予定の建物
だっただけあって壁や床などあちこちが相当くたびれているよ
うだ。
「まあ所詮当座の寝床だから贅沢は言えないな。」
荷物を置いて座ると、急にドッと疲れてきた。
「ああ…今日は疲れた…もうこんな時間か…」
時計を見た時、ふと樹の顔が浮かんだ
(そういえば今頃デートの真っ最中だな…しかし…)
数時間前門の所で見た彼女を思い出し
(ああいうのが樹の趣味なのか?私には挙動不審者にしか見え
んが…)
さて、いつまでもこんなこと考えても仕方ない。
「そろそろ寝るか。」
そう言って立ち上がったその時

パッ

急に電気が消えたと思ったら、ベランダとドアから何者かが侵
入してきた!
(!)
抵抗の構えをしようと動く前に、中の一人が手に持っていた機
械を体に押し当てて
スイッチを入れた。

鋭い音と一瞬の閃光とともに体は動かなくなった。
(これはスタンガン…なんで…)
それを最後に全ての思考は深い闇の中へ沈んでいった



「ねぇ〜樹さん〜私のこと、ア・イ・シ・テ・ル?」
「い、いきなりどうしたの?」
食事が終わったらさてどうしよう、と考えていた時いきなり晴
香ちゃんに
腕を引っ張られてこの公園にきてしまった。
さすがに夜の公園はカップルが溢れていて、物陰ではキスどこ
ろかエッチもしているようだ。
辺りを伺っていると、腕に晴香ちゃんが絡みついてきて甘える
声で
「だって〜、いっつも樹さんったらはっきりしてくれないし、
付き合いも長いからそろそろ……ね♪」
「………」
231教授と助手とロリコンの微笑み:2006/06/22(木) 00:01:17 ID:++XaBYfV
またこの話か…自分としてはまだ早いと思うんだけど晴香ちゃ
ん、ことあるごとに言ってくるんだよな…
なんて言ってはぐらかそう?そう考えていると急に背筋に悪寒が走った。
見ると晴香ちゃんの目が不気味に光っていた。
「まさか樹さん…他に女が…」
「いないいないいない!イナイデスヨ!」
いきなりなんで声が裏返っちゃったけどやばい、あの目をした
時の晴香ちゃんは危険だ!!とにかく今は誤解を解かないと!
「大体俺に女がいるわけないだろ?週に何回も会ってるし、会
わない日はアルバイトしてるしでチャンスすらないよ。」
そういうと晴香ちゃんの目が元に戻った。
「そうよね。私以外の女の匂いもしないし…、ごめんなさい疑ったりして…。」
「い、いやいいんだよ」

危なかった…あの目を見たのは久しぶりだ…。今まで何度か俺
が他の女の子と話したりしている所を見られると、あの目で奇
声をあげながら女の子に襲い掛かってたっけ。
それで大人しくさせるために付き合い始めたんだよな。う〜ん
、今考えるとすごい理由だな。
「それじゃあ〜そろそろ〜私たちの体で愛を語り合いませんか?」
いや、それ男が言うセリフなんですけど。…とはいえ自分も立
派な男ですし、その誘いは受ける気マンマンですよ。返事しよ うと口を開けたその時、

にくい〜あんちくしょうの〜かおめがけ〜たたけ!たたけ!た
たけ〜♪
「あ、電話だ。樹さん、ちょっとすいません」
そう言うとハンドバックから携帯を取り出して
「はい…はい…何の用よ麻奈美、今日はデートだって知ってい
るでしょ?…うん…え?本当?…うんわかった」ピッ 「樹さん…」
「うん?どうしたの?」
見ると青ざめた顔をして
「今日実験棟で爆発があったのは知ってますか?」
ギクッ!「うん、知ってるよ。」(何しろ当事者だし)
「爆発があった部屋の真下に私が製作した、ブロンズ像と絵画を保管していたのですが…」
目に涙をいっぱいためて
「爆発の部屋の床が崩れて、私のブロンズ像と絵画が瓦礫に埋まっちゃったんですよー!」
「え!」(ああ…晴香ちゃんごめんよ…でも恨むなら教授を恨んでくれ…)
どう慰めようかとオロオロしていたら晴香ちゃんが涙を拭いて
「大丈夫です!この五十嵐晴香、この程度ぐらいではへこたれ
たりしませんよ。名残惜しいですがちょっと行ってきます。じゃ!」
そう言うとうわーん!と泣きながら走って大学の方へ行った。
(あれ、たしか提出物って言ってたし、破壊されていたら単位 もやばいかも…)
するとポケットに入っていた携帯がぶるぶる震えていた。電話だ。
相手先を見ると「稲本教授」(教授がなんで?)
ピッ「教授、どうしたんですか?」
「おお樹くんデートの所すまんが一大事だ!至急私の
プライベ ートルームまで来てくれ。」
「い、いきなりどうしたんですか?」
「弥生くんの身が危険なのだ!詳しくは着いたら話すから至急来てくれ!」
それを聞いた瞬間、大学まで全速力で走っていた。
(一体なにがあったんだ?弥生さん、無事でいてくれ!)

第3話「あんなヤツに遅れをとるとは…」完
次回第4話「…ありがとう」
232名無しさん@ピンキー:2006/06/22(木) 00:04:27 ID:SXKb1Y70
ああ…やはり文章がうまく書けないな。もっと精進しなければ。
4話はもう出来ているので近日中に投下予定です。
233名無しさん@ピンキー:2006/06/22(木) 02:22:26 ID:4FQn6RSG
GJ!ロリ弥生タンの貞操はどうなるのか? そして晴香の性格は素晴らしいな!
期待してまってますね
234名無しさん@ピンキー:2006/06/22(木) 02:51:09 ID:L/arMpBo
教授が行けよってのは野暮か。
235アビス  ◆cI1zYjMnR. :2006/06/22(木) 18:06:15 ID:onEUn8d9
トリップを保存していたデータをなくしてしまいました
トリップ変わりましたが中の人は一緒です
236姉妹日記 6話  ◆cI1zYjMnR. :2006/06/22(木) 18:07:44 ID:onEUn8d9
 これが秋乃さんの部屋か・・・・
 じろじろ見るのも失礼だと思い僕は床に腰掛けた
「あ、今お茶もって来るね」
 僕は彼女の細い腕を握った
 振り返る彼女に首を振って見せると彼女は『いいの?』
 と、目で語りすぐに僕の隣に腰掛けた
 意図してのことなのか少し密着度が高い
 小さな肩が僕の胸に当たり少し身を預けるような体勢だ
 けど、可愛くなったな・・・・
 初めて逢ったのは中学一年のときかな?
 メガネを掛けていてあまり目立たない子だった
 話出したきっかけは些細な物だったと思う
 僕が落とした本を彼女が拾って・・・・それが彼女のお気に入りだった
 それから親しいっていうほどじゃないけど朝挨拶したりたまに本の話をしたり・・・・
 高校に入って最初彼女を見たとき正直別人だと思った
 そして・・・・イライラさせられることもあった
 彼女に・・・・ではない
 中学の頃、僕が秋乃さんと仲良くしているのを見て友人が
『やめとけ、あんなの・・・・お前ならもっと上のランクでもイケルって』
 そんな風なことを何度も言われた
 でも僕はそうは思わなかった・・・・メガネを掛けていたけどすごく綺麗な顔立ちだと僕には解っていた
 それに礼儀正しいし清楚だし・・・・憧れた・・・・
 彼女の魅力も知らないで容姿が変わった瞬間に手の手のひらを返したかのような級友に僕は怒りを覚えた・・・・
 もうそんなイライラ関係ないか・・・・
237姉妹日記 6話  ◆cI1zYjMnR. :2006/06/22(木) 18:08:21 ID:onEUn8d9
 気づくと秋乃さんが僕を熱っぽい視線で見つめていた
 密着してる身体も心なしか温かくなっているように思えた
「ね、涼さんHしたことある?」
「・・・・・・・」
 突然な言葉に心の準備が出来ていない僕は呆然としてしまった
 秋乃さんは身を乗り出すような形で四つん這いになって僕に顔を近づけた
「私・・・・前にお付き合いしていた女性と比べてどうですか?」
 恍惚の顔が近づき彼女の舌が僕の唇を舐めた
「僕・・・・秋乃さんが初めてだよ・・・・」
 勘違いしているようなので僕は少し恥ずかしかったけど女性歴は秋乃さんだけだと伝えた
 すると恍惚の顔に喜びが加わり色っぽさの中に無邪気さが見えて僕は一瞬でダコ状態になった
「一緒ですね・・・・私も・・・・涼さんだけですから・・・・」
 大胆に迫ってくる
 肩を少し震わせ僕の服を脱がしていく
 上半身を裸にすると僕の胸に顔を埋めた
「ごめんなさい、私・・・・これからさきは・・・・どうしていいか」
 そっか、大胆に迫ってきたけど彼女も僕と同じ・・・・初めてなんだ
 だったら男の僕がしっかりリードしないと・・・・
「いいの・・・・」
「はい・・・・涼さん」
 確認を取ると秋乃さんは顔だけではなく身も僕に預けてきた
 優しく抱きしめると秋乃さんは僕の胸に頬ずりしてくる
 そんな彼女が愛おしくてしょうがなくなり上着をゆっくりと脱がした
 下のロングスカートもゆっくりと彼女が怖がらないように気を付けながら脱がしていく
 下着だけになった彼女に僕は口付けた
「涼さ・・・・・ん・・・・んちゅ・・・・ちゅ」
 舌を差し入れると彼女は少し取り乱しそうになったけどすぐに僕を受け入れてくれた
 僕も勝手が解らないけど今出来ることをすればいい・・・・僕たちはこれからだから
 これからお互いを知っていく
 そして・・・いつか一つになる、本当の意味で・・・・
 これはその第一歩なんだ・・・・
238トライデント ◆mxSuEoo52c :2006/06/22(木) 18:08:26 ID:MCHcZnwj
では投下致します

239トライデント ◆mxSuEoo52c :2006/06/22(木) 18:14:21 ID:MCHcZnwj
やべえ。
楽しみにしている姉妹日記に割り込むような形になっているので
夜9時頃にうpします。
どうもすみませんでした
240姉妹日記 6話  ◆cI1zYjMnR. :2006/06/22(木) 18:16:16 ID:onEUn8d9
 舌を絡ませあいながら僕は彼女の背中に置いた右手をゆっくりと下げてブラのフックを取った
 瞬間彼女が恥ずかしくなったのか身体を密着させて僕に見えないようにした
 でも、柔らかさは伝わっている
 それを彼女も理解しているようだ
 恥ずかしさを紛らわすためにか彼女は僕の首に腕を絡めてさらに深く口付けてきた
「ん・・・・くちゅ・・・・ん・・・・・・ん」
 大胆な彼女の行動に僕はさらに興奮して下の方に手を這わした
 形の良いお尻を少し揉むと彼女から自分では制御できない声を発した
「あ!・・・くふ・・・・んちゅ」
 身体が仰け反った瞬間に僕は手を胸に滑り込ませた
「あ・・・・・きゃふ!」
 驚きで唇が離れる
 すぐに視界に入ったのは顔をこれでもかと恍惚させ目をとろんとさせた彼女の「女」の顔だった
 初めて感じる直接の柔らかさに感動を覚えながら僕は下に手を伸ばし
 無防備な彼女の恥部に触れた・・・・濡れている・・・・
 胸とは違う柔らかさに僕の頭がスパークした
「秋乃さん・・・・愛してるよ」
「あ・・・・・くふ!あぁぁ!」
 耳元でささやいて耳を甘噛みすると彼女の声が大きくなり恥部から流れる愛液も増した
「わ、わたし・・・・も・・・・・く・・・・・あ・・・・・愛していま・・・・すぅ!」
 途切れ途切れの愛の言葉・・・・
 僕は彼女の想いに包まれ幸せをかみ締めながらゆっくりと彼女をベットに寝かせた
 少し離れてその美しい体を見つめる
 夏姉ちゃん並みに大きな胸・・・・形もすごく綺麗で腰も簡単に折れてしまいそうなほど細い
 それに加え可愛らしい顔を赤く染めすべてを僕に委ねる絶対的な信頼
 僕は一瞬で魅せられていた・・・・
 彼女の恥部に指を這わせながらもう片方の手で胸を揉む
「あ・・・・涼・・・・さん・・・・・あ・・・・あ・・・・きゃ・・・・く〜〜」
 快感が体中に周り彼女の雪の肌が赤くなっていく
241姉妹日記 6話  ◆cI1zYjMnR. :2006/06/22(木) 18:17:16 ID:onEUn8d9
「涼さん・・・・涼さん!涼さ〜ん!!!」
 両手を広げて僕にキスを催促してくる秋乃さん
 僕は彼女の要望に答えて深く口付けた
「あ・・・・んちゅ・・・・く・・・・ちゅ・・・・・あ・・・・・ん」
 ゆっくりと唇を離すと彼女は微笑んだ
「涼さん・・・・私を涼さんだけのものに・・・・して」
 精一杯の勇気の言葉にうなずくと僕は下半身を露出して彼女の恥部に自分のそれを合わせた
「行くよ・・・・いいね?」
 彼女がうなずくのを見て僕はゆっくりと彼女の中に進入した
「あ・・・・・く・・・・・ん・・・・・・あん・・・・」
 痛みにその顔を歪ませる彼女にキスの雨を降らしながら僕はさきに進んだ
 壁のように僕の前に立ちはだかる彼女の純潔の印
「く――」
 悲痛な声に僕は止めようとしたけど秋乃さんは首を横に振って僕の腰に足を巻きつけた
 僕は軽く彼女の唇にキスすると先に進んだ
「あ・・・・・あ――――――!!!!!!」
 膜を突きぬくと僕のそれが深く彼女の中に一気に入った
 これで僕たちは結ばれた・・・・誰も侵入できないほど深く・・・・
「涼さん・・・・・」
 痛みに耐えるその顔・・・・ごめんね
 僕が引き抜くのを見て彼女の顔が恐怖で歪んだ
「ご、ごめんなさい!私の身体・・・・良くなかったの?」
 自分に非があると勘違いした秋乃さんが不安そうにそうつぶやいた
「そんなことないよ・・・・すっごくいいよ・・・・でもね」
 これ以上痛みに顔を歪める彼女を見ていられなかった
「君が大事だから・・・・」
 髪を優しく撫でながら僕は彼女を安心させようと努力した
「大事にしたい・・・・だから、今日はここまで」
「でも、それじゃあ涼さんが満足・・・・・」
「それは・・・・また今度・・・・ね」
「あ・・・・・はい」
 そうだ、これからなんだ・・・・・僕たちにはこれからがあるんだ
242アビス  ◆cI1zYjMnR. :2006/06/22(木) 18:26:50 ID:onEUn8d9
アビスは誤字脱字王の称号を得た

まとめを見ていて思ったこと
自分の作品だけ誤字脱字数が圧倒的に多い・・・・・orz
すいません・・・・・

>>239
気にしなくていいですよ〜
9時のうpまで全裸で待っております

管理人様遅くなりましたがお疲れ様です
すぐに要望に答えていただき感謝の極みでございます

それとゲームの件ですが、これは学校で言う単位みたいなものなので確実に作ります
もし、人目に出しても恥にならないと自分で思えたならこのスレの方限定で公開しようと思っています
半年、一年と書いたのは自分の技術力がまだ人様に品評してもらえるレベルではないからです
プロトタイプのプロトタイプ的なものは出来ていますが・・・・ちゃっちぃです・・・・orz
内容的にはプレシアがゼルに近づく女を斬っては投げそして邪魔をする奴を切っては投げです
期待させるようなこと書いて申し訳ありませんが、公開できるように頑張ります

長々すませんでした、夜か明日にブラッドの続き投下します
243トライデント ◆mxSuEoo52c :2006/06/22(木) 21:08:02 ID:1UQVp2Oc
では投下致します
244煌く空、想いの果て ◆mxSuEoo52c :2006/06/22(木) 21:11:23 ID:1UQVp2Oc
 風椿梓END

 梓と手を握ってやれたのは幼稚園の間だけ。小学生になると女の子と恰好悪いと風潮があり、表面上はあいつと仲良くしてあげられなかった。
 でも、家に帰ってからはいつも一緒に手を繋いで遊んでいた。それが俺たちの子供の頃の思い出だった。
 だから、虚ろな瞳で物騒な代物を振り上げている梓は決してよくないのだ。俺が好きだった梓は誰かを傷つけることなんて絶対にしていけない。

 足が震える。
 喉が乾く。
 二人が殺し合う金属音が響き合う度に二人が大怪我をしないか身体全体が硬直する。
 手遅れにならないうちに止める。
 臆病な俺は今で終わりだ。
「もう、二人ともやめるんだ!! こんなことして一体どうするんだよ!!」
「先輩(翔太君)は口を挟まさないで!!」
 二人が呼吸に合うように罵声を飛ばす。
 が、そんなもので怯える俺じゃない。
「挟むわぼけぇぇっ!! 二人とも大怪我しないうちに物騒なモノをしまえってんだ。てっやんでちくしょう」
「先輩(翔太君)のいうことはてゃんでいだよ」
「お前等の言うこともしゃらくせぇ!! けどなっっ!!」
 二人とも器用に互いの凶器を捌きながら、俺の言葉を敏感に返していた。
 そんな器用の事できるなら、神の一手でも極めておけ。初手は天元なっ!
 と、俺の天然ボケはともかく、二人の少女の戦いは終わる気配を見せない。
「儚さの共に消えなさいっっ!!」 
「やめろっっ!!」
 梓の放った鋸が問答無用に猫乃の両目に斬撃が入った……。

 目蓋から頬へと切り裂いた箇所は勢いよく血液を噴出する。倒れ伏す猫乃に、とどめを刺すために鋸を大きく振りかざした。
 だが、梓の思い通りにはさせない。
 慌てて走りだして、猫乃を庇うように両腕を広げて、鋭い視線で梓の憎悪に満ちた瞳に立ち向かう。
「どうして、こんな泥棒猫の事を庇うの?」
 まるで信じられないように梓は乾いた笑みを零して、鋸を振り落とす手を止めた。
「ねえ? 翔太君」
「もう、やめるんだ? これ以上、やってしまうとお前は殺人鬼になっちまう」
「そんな事はどうでもいいよ。翔太君を奪った泥棒猫をこのまま許しておくわけにはいかないよ。
翔太君の優しい心に付け込んだこの泥棒猫には相応しい死を与えなきゃ。だから、翔太君。そこ、どいてね?」

「どかない。お前を殺人犯にしたくないんだ? 今なら引き返せるんだぞ」
「私の大好きだった翔太君がこんな泥棒猫に奪われてから、本当にわたしは生きる価値がなくなったんだよ。翔太君こそが私の全てだったから。だから……」
 目に涙を浮かべて、梓は鋸を構えて俺の背後にいる猫乃を狙おうとしたが……。
「せ、せ、先輩。どこですか? 目が、目が見えないんですっ!!」
 猫乃が助けを求めるように首を左右に動かしてオロオロしている。流れている血が痛々しく見えた。

「きゃはははっはっはは。目が見えなくなったの? 泥棒猫に相応しい展開ね。胴体を切断して焼いてやろうと思いましたけど、
翔太君のお願いだから殺さないであげる。殺すよりもこれから光のない生活の方が殺すよりも断然に堪えるもん。
あなたはもう一生、翔太君の顔を見ることができないし、そんなゴミ虫以下に成り下がった人を恋人として扱われることはない。捨てられるわよ。泥棒猫っ!!」
「いやぁぁぁぁぁぁぁっっっーー!!」
 猫乃の叫びが静かな校内全体に響き渡った。
245煌く空、想いの果て ◆mxSuEoo52c :2006/06/22(木) 21:13:56 ID:1UQVp2Oc
 それからの事を語ろう。
 狂った猫乃の姿を見て、満足した梓はそのまま姿を消し去った。
 猫乃を殺すという目的は光を失ったことで達成したのか、殺人までは発展しなかった。
 傷ついた猫乃を救急車で病院に運ばれた。担当医者から猫乃の状態を聞くと、

 あの鋸の傷が目にある神経を傷つけたらしく、猫乃は両目とも失明したらしい。
 更に、梓によって放たれた言葉が猫乃の心を見事に壊した。
 精神状態は幼児退化を引き起こし、聡明だった猫乃の姿はもはやない。
「あうあうあう。あにゃ〜」
 まともな言葉も喋れなくなってしまった猫乃。
 その姿はもう俺の事を恋人として健気に好きだと告白してくれた猫乃の姿はなかった。
 猫乃の両親は無責任に俺のせいだと叱咤し、猫乃と俺を引き離した。


 次に病院に来た時はどこか遠い病院に転院させられていた。
 居場所を聞くと患者の個人情報を他人に伝えることはできないと申し立てられ、俺は猫乃の看病をすることができなかった。
 そんな感じにあの出来事から一ヵ月の月日が立とうとしていた。
 俺は事件のショックと猫乃の事でこの一ヵ月間学校に通うことができなかったが、
 あの事件の次の日に梓が退学届けを提出して、学校を辞めていたのだ。
 正直、梓が学校を退学していたことに何からのショックを受けている。
 かつて、好きだった女の子をあんな風に壊してしまった事を今でも悔やみながら。

 さあ、今日も何もない一日が始まろうとしていた。
246煌く空、想いの果て ◆mxSuEoo52c :2006/06/22(木) 21:18:09 ID:1UQVp2Oc
「ホームルームを始めます」 
 担任教師が教壇に立ち、連絡事項を伝えようとしていた時だった。
 教室のドアが乱暴に開かれて、見知った顔が落ち着いた足取りで教室に入ってきた。
 それは学校を辞めてしまった、風椿梓であった。
「風椿。お前はもう学校辞めただろ。部外者は……くぎゃーーー!!」
 梓の鋸が担任教師の心臓を突き刺していた。早業である。
 クラスメイト全員が息を呑むようにあっさりと殺されてしまった担任の姿を見る。
 殺した相手に驚愕の眼差しを向きながら、怯えていた。
 それも、一ヵ月前までは同じ机を並べていた級友なのだから。
「騒がない方がいいよ。今日の朝、この教室に爆弾を仕掛けたんだ。私が持っているスイッチでいつでも起爆することができるから」
 薬をやっている以上にイカレた瞳で梓は教室全体に睨みつけた。そのような相手が嘘をついているわけがないと皆は察知しているのか。
 おとなしく、梓の要求に従った。

 この日、一人の少女によるクラスジャックが行なわれた。

 机と椅子は警察の突入を恐れたために椅子と机で積み重ねられ、クラスメイトたちを梓が事前で用意した縄で互いを互いに縛り合った。
 梓は携帯電話で高らかに警察相手に何かを要求していた。
「全学校の共学を全て取り消し、男子女子別に分ける事。この学校に女という泥棒猫がいたおかげで私の翔太君が奪われたの!! だから、」
 と、すでに狂った梓は他の人間が聞いても、意味のわからない要求ばかり高らかに叫んでいるが、首を傾げるしかない。
 ただ、翔太君翔太君と連発しているおかげでクラスメイトの俺を見る視線が冷たい。
 このクラスジャックの原因が俺のせいにあるのは確かだ。
 狂った梓を止めることができなかった俺の責任。縛られた縄をほどこうとさっきから努力しても無駄に消える。
「おい、水野。風椿さんどうしたんだよ」
 事情も知らない山田がこの状況下にいつもと変わらない調子で俺に尋ねてくる。
「知らん。気が付けばあんな風になってた」
「風椿さんから溢れだしてる黒いオーラは無我の境地なのか? あん」
「いやいや」
「百錬自得の極みか、それとも才気煥発の極み? 」
「たぶん、天衣無縫の極みだと思う」
 興奮している山田はもうあっちの世界にいっちゃったようです。
「うるさいわね。あんた、私の翔太君に話し掛けるじゃないわよ!!」
 教壇に立っている梓は山田に殺意の視線を向けながら、ゆっくりと歩いてくる。鋸の刃の先から垂れている血の雫が落ちる。

「未来永劫、私以外の人間が翔太君に話しかけることを許されないんだから。それ以外の人間はこうやってっ!!」
 梓の鋸が山田の肩から下まで躊躇なく切り裂く。
「ぐぎぇぇぇぇぇぇーー!!」
 山田の絶叫と共に俺の顔にまで飛び血が走った。
「み、み、みずの。今日の風椿のスカートの中身は水色だぁぁ!! ぐふっつ」
 あの場面でどうやって確かめたんだと突っ込みを入れるべきなのか、彼の死を悲しむべきのか、正直迷う。

「い、い、い、い、今。翔太君に嫌らしい目線を送っていたでしょっ!!」
 怯えた女子生徒と目線が合ったらしく、梓は鋸で女子生徒の首を飛ばしていた。
「ど、いつも、こ、こ、いつも翔太君を奪う泥棒猫なのよ。翔太君に触れていいのは私だけ。見ていいのも触っていいのも、
私だけなんだから。もう、二度と泥棒猫なんかに奪われてたまるか。あんたたちはここで死ね。死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ねっっ!!」 
 錯乱する梓が縛り付けられている女子生徒たちに凶器の牙を向ける。あちこちと散らばってゆく飛び血に皆は悲鳴をあげていた。
「やめろーー!! もう、やめるんだ梓っ!!」
「こいつら絶対に許さない。絶対に絶対に許さない。皆殺しにしてやる」
 スカートのポケットから取り出した起爆装置に手をかけようとしていた。
 この教室のどこかに仕掛けられている爆弾を起爆させたら、このクラスメイト全員爆死してしまう。


 縄に縛られて見動きできない俺は何もすることができなかった。
 狂った瞳でにこやかに起爆装置のボタンを押す梓の姿を最後に、教室は爆音の共に俺の意識は失われた。
 もし、俺が本当につまらない誤解していなければ、こんな惨劇は起こらなかった。
 一緒に手を繋いで歩むことができたはずだったのだ。
247煌く空、想いの果て ◆mxSuEoo52c :2006/06/22(木) 21:19:43 ID:1UQVp2Oc
 平成○年○月○日
 学園クラスジャック爆死事件。
 かつての在校生である風椿梓容疑者が在席していたクラスに爆弾を仕掛けた。
 クラスメイトたちを人質にして、文部科学省に現在の共学制度の破棄と男子と女子を区別する学園制度の要求を行なってきたが、
 風椿梓容疑者は錯乱及び精神状態が正常とは言えずにその要求は却下され、
 憤慨した梓容疑者が仕掛けた爆弾を爆発させた。
 その結果、人質になっていた生徒達が全員爆死して犠牲になり、日本犯罪史に残る惨事となってしまった。
 ただ、惨劇になったクラスの死体の中には、風椿梓らしき死体は発見されることはなかった。
 粉砕した死体の中から風椿梓容疑者を特定することもできなかったのだ。
 それと同じく、担任含むクラスメイト28人の内、27人の死体は確認することができたのが、
 ただ一人だけ、風椿梓の幼なじみである水野翔太君だけの死体がこのクラス内に発見されることがなかった。
 容疑者の動機が水野翔太君に固執しているために警察は爆弾を起動させる前に彼を拉致してどこかに逃亡したと考え、行方を追っているが未だに確かな手かがりはない。

 ここに奇妙な学園七不思議がある。
 事件後。新たに校舎が作り直された時に出来上がった七不思議である。
 夕方の校舎に一人で残っていると声が聞こえてくる。

 一人は男性の悲鳴。
 もう一人は、女性の喘ぎ声。

 この声の主があの事件で行方不明になってしまった二人だという噂が学園中に流れているが、
 
 真偽は未だに不明である。




 (翔太君。これからもずっとずっと一緒だよ)



 煌めく空、想いの果て 風椿梓END


 ED: 二人はいずこ?
248トライデント ◆mxSuEoo52c :2006/06/22(木) 21:21:19 ID:1UQVp2Oc
次回が最終回となります。

さてと頑張って書きますか・・。
249名無しさん@ピンキー:2006/06/22(木) 21:56:53 ID:RjKY753V
じっじじっじ・・・じいじぇえ
うっうわああああわああわあああああ
って気分です
250名無しさん@ピンキー:2006/06/22(木) 22:02:12 ID:ElLNz+vY
なんかぶっ飛びすぎてて、微妙。
251名無しさん@ピンキー:2006/06/22(木) 22:15:09 ID:4rXS3c6q
アビスさん、トライデントさん、いつもGJです

( ・ω・)∩トライデント先生グッドエンディングも欲しいです、梓の方で
姉妹日記の主人公はいい男だわ
そして、姿が見えない姉妹が凄く危険だ((;゚Д゚)ガクガクブルブル
252名無しさん@ピンキー:2006/06/22(木) 22:33:07 ID:OXE9tVTm
投下しますよ
253『とらとらシスター』3虎:2006/06/22(木) 22:35:32 ID:OXE9tVTm
「…――ちゃ、ん。―てつ、ちゃん」
 僕の名前を呼んでいるのは誰だろう、聞き覚えのある声にぼんやりと目が覚めてくる。
薄く目を開けてみると部屋の中はまだ暗く、時刻が夜中であるのはぼやけた思考でも分か
った。声のする方向に顔を向けてみると、柔らかいシナモンの香りのする吐息と甘い匂い
が顔にかかってくる。声で女性だと分かるその人影は、小刻みに体を揺らしていた。
「もう、だ、め」
 何が駄目なんだろうか、それと先程から聞こえてくる水っぽい音はなんだろう。確認を
しようとしても、久し振りに家に帰ってきた父さんの酒に付き合わされたせいで大分体に
アルコールが回っているらしく、動かそうにもだるくて動かない。
 その間にも誰かの動きは続いていて、水音と荒い息が激しくなったと思ったら突然それ
が止まった。体を一層大きく揺らし、一瞬硬直させた後に動くのを止める。疲れているの
か、荒く乱れたままの呼吸のリズムと共にその体が上下にゆるゆると揺れていた。
「イッ、ちゃ、った」
 行ってしまったのか、どこに、何をしに。
 その女性は僕の髪を優しく撫でる。大分落ち着いてきたのか、体も動かずにじっとして
いて手の振動だけが伝わる感覚が心地良い。
 しかし、この人は誰なんだろう。僕の隣で安らかそうにしているその姿は、密着してい
る今はとても安心できる。
 僕の隣。
 僕の隣。
 僕の隣。
「ごめんね、虎徹ちゃん」
 この呼び方。
 ちょっと待て、自分。
254名無しさん@ピンキー:2006/06/22(木) 22:36:05 ID:HGLXMpJv
何も悪くない主人公って不憫だなって思った
255『とらとらシスター』3虎:2006/06/22(木) 22:36:29 ID:OXE9tVTm
 思考が急に冴えてくるのが分かるのと同時に、急激に冷や汗が出てきた。
 待て待て待て待て。
 今隣に居る人が何をしていたのかなんて少し考えれば、いや考えなくても分かる。ヒン
トは今まで沢山貰ってきた、それどころか答えすらも貰っている。
 答え合わせのために彼女の方を体ごと向くと、
「姉さん?」
「なぁに?」
 正解だった。
 僕は跳ね起きると部屋の明かりを点ける。
「う…ん、眩しい」
「我慢しなさい」
 あまり気乗りはしなかったが、確認のために布団を剥がす。
「やん」
 あれだけの事をしておいて、何が「やん」なのだろうか。
 僕の視界の中の姉さんは、少しアブノーマルな姿だった。パジャマは着ているものの、
上半身のボタンは全て外されていて、たわわな胸が姿を覗かせていた。下半身はズボンが
下着ごと膝の辺りまで下げられており、愛液で電灯の光を反射する股間の割れ目が露出を
していた。口元から溢れている唾液や潤んだ目、そして股間や指に付着した潤沢な液体が
アクセサリのように鈍く光を反射している。僅かに赤く染まった肌や緩んでいやらしくな
った表情と合わさって独特の淫靡な雰囲気となり、一つの芸術作品のようになっていた。
 などと表現してみても、事実は変わる訳ではない。
「姉さん?」
「虎徹ちゃん、見ないでぇ。ううん、やっぱりもっと見て…」
「ストップ」
 再び股間に伸びていった姉さんの手を掴むと、僕は真面目な表情を作った。
256『とらとらシスター』3虎:2006/06/22(木) 22:39:47 ID:OXE9tVTm
「まずは服を正して、そこに正座しなさい」
 僕は姉さんにティッシュを渡すと、背中を向ける。後ろでする衣擦れの音や、先程の姿
に股間が反応しなかったのはありがたい。この時ばかりは、強制的に沢山飲ませてきた父
さんに感謝をした。
 言いたいことは山程あったが、上手く言葉にならない。多分それが正解で、ただ酷い言
葉を投げつけるよりはよっぽど良いだろう。これも幸運といえば幸運だった。
 数秒。
「終わったよ」
 僕は姉さんに向き直ると、
「えぇとね」
 少し考えた。
 酷いことを言わないようにとしたものの、どう言葉をかけていいかが分からない。まず
何と言ったら良いのだろうか、自分の気持ちすら整理が出来ない。
「何でこんなことをしたか、説明を考えておいて」
 結局、僕は背を向けると時間稼ぎをしようとした。
「どこ行くの?」
「トイレ」
「えぇと、虎徹ちゃんもオナ…」
「しません」
 言って、部屋を出る。
 トイレに向かって歩いていると、サクラの部屋から声が聞こえてきた。盗み聞きをする
つもりは無いけれど、声量が大きくて内容が伝わってきた。乱れた声で呼んでいるのは、
予想通りに僕の名前。
 こっちもか。
 半分分かっていたけれど、いざ体験してみると途端に精神的な被害が予想以上に大きい。
 でも。
 この問題から逃げてはいけない、家族だから。
257『とらとらシスター』3虎:2006/06/22(木) 22:41:15 ID:OXE9tVTm
 多分、姉さんもサクラも少しずれているだけだ。それは年頃の女の子なんだから、自慰
行為の一つや二つは当然するだろう。ただ僕の名前を呼ぶのは、僕以外の男性と触れ合う
機会が極端に少ないだけで、そうなってくれば対象になるのが僕という話になるだけだ。
実際に家族として暮らしていて、懐いているからこうなっただけ。深い意味はなくて、僕
が冷静さを欠いていたのも悪かった。
 それに、さっきの姉さんだってもしかしたら寝ていて偶然にコトに及んだのかもしれな
いし、そうでなくても兄弟としてその趣味を理解してあげるのが大切なのかもしれない。
他の誰もが拒絶をしても、それが身内としての在り方だと僕は思う。
 家族だから。
 毎日、それこそ何度も思う言葉を心の中で呟いたら、覚悟が決まった。
 部屋へと向かう。
「姉さん」
「はーひ?」
「…何してんの?」
「ぱんつくってんの」
 姉さんは口に含んでいた僕の下着を吐き出すと、笑顔で答えた。因みに正座はしたまま、
僕の言いつけは守っていたらしい。
「もう一度訊くけど、何してたの?」
「ぱんつくってたの」
 パンを製造していたようには見えないから、文字通りパンツを食っていたのだろう。別
に小腹が空いたからという訳でもないのは僕でも分かる。もしかしたらそうかもしれない
けれど、これはパンはパンでも食べられないパンだ。
 何で姉さんは、真面目に物事を進められないのだろうか。
258『とらとらシスター』3虎:2006/06/22(木) 22:43:33 ID:OXE9tVTm
 僕は脱力しそうになるのを無理矢理堪えると真面目な表情を作り、
「正座、パンツは横に置きなさい」
「はい」
「あのね、今回のオナニーのことはもう問いません」
「うん」
「でも、もう家族の前ではしないように」
「うん」
 別に、行為を禁止しようとは思わない。行為自体は健康な証拠だし、ネタならネタで構
わない。一編にするよりも、きちんと手順を踏んでいけばいい。少しの勘違いが積み重な
って起こったことなら少しずつ戻していけば良い話だ。
「僕の話はこれでおしまい」
「あのね、虎徹ちゃん」
 姉さんを見ると、小さく指先を合わせていた。
「一緒に寝ちゃ、駄目?」
「良いよ」
「良いの!?」
 このくらいは良いだろう。寂しいのかもしれないし、それは僕を安心出来る人として見
てくれている証拠だ。それに、急激に変えてもどこかで歪んでは元も子もない。
 二人で布団に入る。朝にしか感じたことのない、密着した独特の感触や体温が少し新鮮
な感じがする。気持ちが良くて、少しだけ得をしたような気がした。この安心感は、兄弟
だからなのだろう。
 数分。
 僕は言い忘れていた言葉を思い出した。
「姉さん」
「なぁに?」
「言うのを忘れていたんだけど」
「うん」
「織濱さんとは付き合うことにしたよ」
 背後で少しだけ姉さんが強張ったような気がしたけれど、気のせいだろう。
 これで良い。
 姉さんもサクラも少し僕離れが必要で、そのためには今回は丁度良い機会なのだろう。
少し辛いかもしれないけれど、姉さんにもサクラにも幸せになってほしいし、お互いの為
にもそれが一番だ。これは昔から思っていたことで、少し寂しいけれどいつかはすること。
「おやすみ、姉さん」
 返事は返ってこなかった。
259ロボ ◆JypZpjo0ig :2006/06/22(木) 22:46:21 ID:OXE9tVTm
今回はこれで終わりです

トライデント様、個人的には超好みな終わりかたですよ?
260名無しさん@ピンキー:2006/06/22(木) 22:49:45 ID:HGLXMpJv
割り込みスマソorz

そしてキモシス万歳! 
261名無しさん@ピンキー:2006/06/22(木) 22:52:38 ID:MRVKjaN0
GJです
ああ、虎徹に死亡フラグが…
262名無しさん@ピンキー:2006/06/22(木) 22:52:50 ID:7zhMN2dT
キモ姉の主食はパンツ
トランクスかブリーフか、それが問題だ
263名無しさん@ピンキー:2006/06/22(木) 22:54:22 ID:D98lWIBH
変態姉妹最高すぎる!!
264名無しさん@ピンキー:2006/06/22(木) 23:53:30 ID:4FQn6RSG
姉妹日記やとらとらを見ていると姉妹の嫉妬って素晴らしいなと思う俺ガイル

>>242
鮮血が舞うEDこそ修羅場スレの華ですなw
265名無しさん@ピンキー:2006/06/23(金) 00:24:54 ID:54pnwvMo
>>248
俺はちょいぶっ飛びすぎだとおもた。
もうちょい軽めに、せいぜい四肢切断ダルマエンドとかぐらいがよかったw
最後は生き残りますように・・・
266『一掴みの優しさを君に』 ◆yjUbNj66VQ :2006/06/23(金) 00:36:06 ID:iICD5giw
「あー…今日は転校生がいる。っとまあ、みんな早く見せろって顔だな。まあいい。入ってこい!」
鬼山の怒声と共にドアが開く。そこから入って来たのは一人の女生徒。まだ制服が届いてないのか、見慣れない服を着ている。
長いが纏まりのある髪。黒く、切れ長の瞳。背は小さい方か。……面倒な評価は止めよう。総括
『おおおおーーーー!!!!』
と、まあクラスの男どもが声を上げる程かわいいってこった。
「ふん、三次元の何がいい!?」
一人例外有り。俺はというと……何故か、彼女の顔を見た途端、視線が外せなかった。かわいいからとか一目惚れではなく、なんだか…不思議だった。
以前に会ったことがあるような。そんな懐かしい感覚。明らかに初対面なのに。
「…!」
目が合う。なんでだろう。向こうも目をはなさない。それは二秒か三秒か。いや、もっと短かったかもしれないが、その感覚が脳裏に焼き付いた。
「ああ…いかんいかん。」
目を伏せ、頭を振る。なんだか脳内スパーク状態だ。
「それでは自己紹介を……」
「はい。…初めまして。遠藤沙羅です。」
267『一掴みの優しさを君に』 ◆yjUbNj66VQ :2006/06/23(金) 00:37:31 ID:iICD5giw
遠藤…遠藤………どっかで聞いたことがあるような。思い出せそうで思い出せない。
『相談できるんですか?』『そうだん(なん)です!』とかいう駄洒落をぶっこいた金融会社名が思い出せないぐらい気持ち悪い。
そんなことで悩んでいると……
「ん、じゃあ亮夜。隣り空いてるから座らしてやれ。」
「え……」
そう先生が言うやいなや……
「せ、先生!」
美夜が立ち上がる。さすが委員長。クラスのために働くねぇ。
「転校生なら私の隣りがいいかと……えぇっと…い、委員長として…えぇ…いろいろと教えたいんで…。」
「いえ、私あそこの席がいいでーっす!」
かなり元気よく転校生……沙羅さんが叫ぶ。ざわめく教室。美夜は……仰天していた。そんな騒然としたなかを、悠々と沙羅さんは歩いて来る。
「初めまして…えっと、亮夜くん?」
「ああ、はあ…初めまして……」
いきなり握手。すっごい照れる。どうやら気さくな人らしい。このタイプは親父(初対面の人にパッチンガムやるのは気さくと言うのか?)でなれているのでやりやすい。
「教科書とか、あるか?なけりゃみせちゃるよ。」
268名無しさん@ピンキー:2006/06/23(金) 00:38:27 ID:z+42VYK/
>四肢切断ダルマエンド
ちょwwwこれのどこが軽めwwww
これぞ修羅場クオリティというやつなのか。
なんにしても、どちらもGJ!!です。
鮮血なBADEDも乙なもんですな、と一ヶ月前まで
ノーマルだった俺がいってみる。
269『一掴みの優しさを君に』 ◆yjUbNj66VQ :2006/06/23(金) 00:39:01 ID:iICD5giw
「うん。助かりますよー。」
そう言うと即座に席をつける………いや、ってか。
「椅子まで近付けなくってもいいだろ!?」
「はっは〜。照れるな照れるなぁ。」
ここまで気さくな奴とは!ってかそういうことされると……嗚呼!ほら。周りの男どもの視線がぁ!嫉妬と羨望のまなざしがぁ!
そんな厳しい状況の中、授業は淡々と進んでいった……








「昼飯だあ!」
やっと解放され、自由な時間を手にしたと思ったのだが………
「ナニヲナサッテイルンデスカ?」
俺が言いたいことを美夜が先に言ってくれた。うん、まあ、妥当な質問かな。
「いいじゃないっすか。ここまできたら、お昼も一緒にたべましょ?」
机をくっつけたまま、弁当を広げる。ついでに俺も。
「それ、誰が作ったの?」
「ん?ああ、妹が…つってもこいつじゃなくてもう一人の、な。」
そこんとこ間違えると大変だ。
「ふーん……妹ねぇ。…今度、会わせてよ。」
「はい。」
そう言って興奮している美夜を指差す。
「違う。こっちじゃなくてお弁当作った方よ。」
うわぁ……こっち扱いで美夜サン激怒ですよ………
270『一掴みの優しさを君に』 ◆yjUbNj66VQ :2006/06/23(金) 00:40:09 ID:iICD5giw
以上です。
271名無しさん@ピンキー:2006/06/23(金) 00:42:17 ID:z+42VYK/
割り込んでスマソorz
修羅場に巻き込まれて一変逝ってくる。
272名無しさん@ピンキー:2006/06/23(金) 00:42:37 ID:AqPNiHpy
うーん、もっと読みたいねぇ
273名無しさん@ピンキー:2006/06/23(金) 01:42:29 ID:Zeadhm9z
新キャラキタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━!!!!!
お嬢か!?お嬢なのか!?続きが激しく気になるze!
274血塗れ竜と食人姫 ◆gPbPvQ478E :2006/06/23(金) 02:24:23 ID:XFGHrG4x
投下します
275血塗れ竜と食人姫 ◆gPbPvQ478E :2006/06/23(金) 02:25:45 ID:XFGHrG4x


「――もうすぐだね、姉さん」
「そうだね、セっちゃん」
 
 闘技場の西側控え室。
 通常なら、西棟の囚人が待機するはずの場所で、美女二人が待機していた。
 どちらも長い黒髪の美女である。
 纏っているのは野暮ったい黒装束だが、それでも二人のスタイルの良さは隠しきれない。
 男子棟である西棟では、まずもってお目にかかることのできない存在に、他の囚人は好奇の視線を向けていた。
 
 ――あいつらが、今夜の血塗れ竜の生贄か。
 ――片方は、人食いの相手だってよ。
 
 これから死地に向かう美女二人への憐れみは何処にもなく。
 色めいた視線と嘲笑のみが、姉妹に向けられていた。
 
「嫌な空気。囚人って無駄に臭いくせに、視線まで汚いだなんて救えないよね」
「セっちゃん。満足にお風呂に入れないような人たちのことを牛糞みたいな臭いだなんて言っちゃ駄目よ」
「……いや、そこまでは言ってないから」
「あら?」
 
 周囲の空気などものともせず。
 姉妹はえらくマイペースである。
 しかし、二人の表情を、彼女らをよく知る者が見たら、強張ったものということに気付けたかもしれない。
 
「とりあえず、ここのシステムはわかってきたかな?」
「うん。勝ったら戻ってこられるのかな?」
「みたいだね。死体は帰ってきてないし」
「……試合は、セっちゃんが先だよね」
「うん。……あのさ、姉さん」
 
「「死なないでね?」」
 
 同時に放たれた互いの言葉に。
 しばしの間呆然として、堪えきれずに吹き出してしまった。

276血塗れ竜と食人姫 ◆gPbPvQ478E :2006/06/23(金) 02:26:21 ID:XFGHrG4x

「いやいや、姉さんが血塗れ竜に勝てるわけないし。
 とにかく生き残るのを優先してよね」
「私は大丈夫だってばー。
 セっちゃんこそ、弱虫なんだから無茶しちゃ駄目よ」
 
 しばらく二人で笑いあったが。
 やがて、互いに無言になる。
 
「…………」
「…………」
 瞳は互いを見ておらず、どこか中空を眺めていた。
 
「まあ、さ」
 ふと、セツノが口を開く。
「あの変態公爵が、私たちのこと生かしておくはずがないんだよね」
「……もう、みんな、殺されちゃったしね」
「伝書鳥のトシ坊も帰ってこないしね。昨日あたりに、やられちゃったんじゃないかな」
「……だよね」
 
 違和感を覚えたのは、ほんの二日前だった。
 自分たちの勝敗によって村や姉妹の扱いが変わるはずなのに。
 ビビス公爵からは、具体的な話は何一つとして為されなかった。
 おかしいと思い、確保していた秘匿の通信手段を用いたものの――返事は無し。
 連絡文書の重要度は最大にして送ったので、
 返ってこないということは、全員死んだか見捨てられたかのどちらかだろう。
 ビビス公爵に、半ば監禁されているような村人達が、自分たちを見捨てて逃げるのは不可能である。
 故に――真実は、ひとつ。
 
「あーあ。頑張ればみんなを助けられると思ったんだけどなあ」
「……うん」
 
 やるせなさそうに、姉妹は溜息を吐いた。
 
「ユウキさんには、悪いことをしちゃったね」
 ぽつり、と。セツノが下を向きながらそう言った。
「ユウキさん……会いたいなあ」
 姉が、どこか夢見るような表情で、呟いた。
 
 そのまま、空虚な時間が過ぎる。
 控え室の人間は徐々に減っていき、やがて、二人だけになった。
 
 
277血塗れ竜と食人姫 ◆gPbPvQ478E :2006/06/23(金) 02:27:11 ID:XFGHrG4x

「うわ、前の3人全滅だね。東棟って弱い奴しかいないのかな?」
「……わかんない」
「…………」
「…………」
「……姉さん?」
「なあに?」
 
「私さ……頑張るよ。
 ここで勝てれば、私たちは囚人として、ここで生きていけるんじゃないかな」
「え……?」
 
 
「私は、あの人食い娘に勝つ。
 姉さんは、血塗れ竜に勝つ。
 そして、二人でこの闘技場の王者になろうよ」
 
 どこか吹っ切れたような表情で、セツノはそう宣言した。
 
 
「……ユウキさんを、付き人にして?」
「そうそう! わかってるじゃん!」
「できる、かなあ?」
「私は、大丈夫だよ? 死にたくないし、ユウキさん欲しいしね」
「……むー。ユウキさんは私のだよ」
「はいはい。それじゃあ、二人で闘うときに決めようね。そのときは、恨みっこなしで」
「うん。ユウキさんを賭けて、勝負。王様は一人しかなれないもんね」
 
 あはは、と。姉妹同時に笑いがこぼれた。
 
 
 
「――ゲスト先発、そろそろ入場だ」
 
 係官の声に、セツノが「よし!」と立ち上がる。
「んじゃ、ちゃっちゃと、殺してくるね!
 早めに帰って、姉さんにプレッシャーかけてやるんだから」
「いってらっしゃい、セっちゃん」
 
 明るい表情を崩さずに、姉は妹を見送った。
 
 ぱたん、と扉が閉まってから。
「……無事で――ううん。生きて帰ってきて、セっちゃん……」
 姉は微かに、願いを漏らした。
 
 
 
 
 
278血塗れ竜と食人姫 ◆gPbPvQ478E :2006/06/23(金) 02:28:13 ID:XFGHrG4x
 
 
 
 
 ――待ちに待った、試合当日がやってきた。
 
 血塗れ竜は、今日も定位置。
 ユウキさんの胸の中で、くうくうと寝息を立てていた。
 ――みしり、と。見るたび奥歯が軋んでしまう。
 悔しいのなら見なければいいのでは、とは思わないこともない。
 事実、奥歯を鳴らしてしまった直後は、慌ててそっぽを向いている。
 でも……駄目なのだ。
 
 血塗れ竜は喰い殺してやりたいくらい嫌いだけど。
 ユウキさんの顔は、私の心を暖かいもので一杯に満たしてしまうのだから。
 
 だから、ちらちらとユウキさんの横顔を見てしまう。
 まるで幼児の恋愛のようで思わず笑いそうになってしまった。
 
 胸の中で心安らかに眠っている血塗れ竜をどうすればいいのかわからず、
 起こさないようにアタフタしてるユウキさんは本気で可愛い。欲しいなあ。
 っていうか代わりやがれコンチクショウ。
 いいなあ。私もユウキさんの胸に収まりたいなあ。
 すやすや気持ちよさそうに眠ってるけど、まさしく天上にも昇る心地よさなんだろうなあ。
 ずるい。
 あの糞餓鬼、ずるい。
 
 まあ、でも。
 もうすぐ試合が始まるから、今は断腸の思いで許してやる。
 
 腸どころか全身が引きちぎれそうだけど。
 ……ん?
 ああっ!? ユウキさんってば、なに穏やかな表情で頭なんて撫でてるのよ!
 そんなことしないで、髪の毛引き千切ってやればいいのに。私ならそうする。絶対。
 うん、決めた。
 このままじゃむかつくし。
 
 
 私は立ち上がり、静かにユウキさんの元へと向かった。
 
279血塗れ竜と食人姫 ◆gPbPvQ478E :2006/06/23(金) 02:28:49 ID:XFGHrG4x

「ユウキさん」
 血塗れ竜を起こさないよう、声を潜めて名を呼んだ。
「……なんですか」
 ユウキさんはこちらを見ない。
 その態度と、やや落ちた声色が――全てを、語っていた。
 
 
「――知ってるんだ。あのこと」
 
 
 ユウキさんが顔を背ける。
 可愛いなあ、その反応。
 私のことを半ば無視して、そのまま優しく血塗れ竜の頭を撫でる。
 
 ――今が、血塗れ竜との最後の時間。
 それをわかっているからこそ、こんな態度を取っている。
 
 でもね、ユウキさん。
 そんな態度は――挑発にしか、ならないよ?
 
 
 行動は迅速に。
 血塗れ竜が起きないよう、動きは最小限に、音は小さく。
 
 指先でユウキさんの顎を掴み。
 こちらを向かせて、口づけをした。
 
「――ッ!?」
 ユウキさんの目が見開かれる。
 ああもう、反応が可愛すぎるよ。
 口内を蹂躙する舌の動きが、ついつい激しくなってしまう。
 
 きもちいいなあ。
 明日からは、毎日しようね。
 ユウキさんは、もうすぐ私のモノになる。
 呑気に眠る血塗れ竜のモノじゃ、ない。
 
 
280血塗れ竜と食人姫 ◆gPbPvQ478E :2006/06/23(金) 02:29:30 ID:XFGHrG4x
 
 
 何分くらいくちゅくちゅしていただろうか。
 ユウキさんの胸で眠る血塗れ竜が「……ん」と身じろぎして、ようやく私は口を離した。
「――ぷはっ。
 んふふ、拒否しないんですね、ユウキさん。嬉しいなあ」
「…………」
 そんなことはない、と睨まれた。でも、そんな表情を向けられることすら心地良い。
 わかっている。
 今、ユウキさんが抵抗しなかったのは、ぐっすり眠る血塗れ竜を起こさないように気を遣ったからだ。
 今日で終わりだというのにもかかわらず、ユウキさんの優しさは、あくまで血塗れ竜に向けられていた。
 気に入らないといえば嘘になる。
 でも、それも今日までだ。
 
 あの初試合の日から。
 ユウキさんは、一度も会いに来てくれなかった。
 やはり、あんな強引なアプローチは、彼の気に障ったらしい。
 血塗れ竜への挑発を優先したのだから、仕方ないのかもしれないが。
 寂しくて泣いた夜だってある。
 一度心に火が灯ったら、燃料が尽きたときの寒さになんて耐えられるはずがない。
 正直、後悔したときもあった。
 私が余計に踏み込まなければ、ユウキさんと一緒の時間は、続いていたんじゃないのかと。
 
 でも。
 中途半端に会い続けるより。
 私だけを、見て欲しかった。
 
 欲しいものなんて、もう何もなかったはずなのに。
 いつの間にか、何よりも欲しいものができていた。
 
 
「出番だ、――“食人姫”」
 
 
 ――あとは、あいつを殺すだけ。
 
 黒装束の、セツノとかいう女。
 気配を全く悟らせずに、私を壁まで吹っ飛ばした女。
 手強くないといえば嘘になる。
 
 でも、負ける気なんて、欠片もなかった。

281血塗れ竜と食人姫 ◆gPbPvQ478E :2006/06/23(金) 02:32:13 ID:XFGHrG4x
姉妹が勝ったら、
「怪物姉妹と受け専監視員」
ってタイトルにして、姉妹のドロドロの修羅場をですね……
 
 
すみません嘘ですorz
ただ、普通の消化試合にする気は毛頭ありませんので、お楽しみに。
 
>>206
おお! セツノとユメカだ! GJ!
ほどよくエロくて、キャラをよく表してますね。
モチベーション一気に上がりました。ありがとうございます。
そちらの続きもwktkして待ちます! お互い頑張りましょう!
282名無しさん@ピンキー:2006/06/23(金) 02:35:04 ID:zM4OYphs
|ω・`) 深夜にGJ
そういえば今日WCな気もするが
いいもの読めたので気持ちよく寝ます、ブラジル戦より楽しめる(*´д`*)
283名無しさん@ピンキー:2006/06/23(金) 02:37:32 ID:o6tKMXa3
>>248
きっつい意見だけど、ぶっ飛びすぎというか展開が唐突過ぎる。
急に今までのキャラが「らしくない」状態になっちゃってるから違和感感じてしまった。
284名無しさん@ピンキー:2006/06/23(金) 02:42:15 ID:HG48fsAg
>>281
GJ!

なんか姉妹だけじゃなく
血塗れ竜と食人姫にも死亡フラグ立ってる!?

(((((((( ;゚Д゚))))))))ガクガクブルブルガタガタブルブル
285名無しさん@ピンキー:2006/06/23(金) 02:50:17 ID:tcLLi015
チクショウ…どっちか死んじまうのか!?
悲しすぎるぜそんなの!!
286名無しさん@ピンキー:2006/06/23(金) 03:19:34 ID:jRmaphpd
アトリがいい感じで壊れてきてるのがすごいいい。
ん?もしかして壊れているんじゃなくて本性なのか?
しかし白の可愛さといい姉妹の健気さといい・・・・
最高すぎる
287血塗れ竜と食人姫 ◆gPbPvQ478E :2006/06/23(金) 03:20:13 ID:XFGHrG4x
誤字発見orz
280の前半、
【誤】 気に入らないといえば嘘になる。
      ↓
【正】 気にならないといえば嘘になる。

すみません……
288名無しさん@ピンキー:2006/06/23(金) 06:14:09 ID:Zeadhm9z
姉妹頑張って欲しいよ姉妹、日本代表並に応援しているよ
289名無しさん@ピンキー:2006/06/23(金) 07:35:45 ID:z+42VYK/
>日本代表並に
むしろ、日本代表より応援しているぞ。
い、生き残ってくれー!!!!ダメかもしれんが(´・ω・`)
あの、公爵死んでくれないかなあ。
290名無しさん@ピンキー:2006/06/23(金) 09:46:02 ID:Bdq8ZNUI
人死にが出るからこそ雅やかな作風


だと思ってた
ダメなのか
291名無しさん@ピンキー:2006/06/23(金) 13:20:36 ID:jRmaphpd
やっぱ作風によるでしょ。
何でもかんでも殺せばいいってもんじゃないし。

修羅場&嫉妬→ENDハーレムでも修羅場&嫉妬→END破滅
でも嫉妬と修羅場分さえあれば立派な作品だし
292名無しさん@ピンキー:2006/06/23(金) 13:32:03 ID:W+EShWKr
主人公に好意を寄せる女の子は数あれど勝者が誰だか
判らないってのは他のスレにない面白さだよな。
293名無しさん@ピンキー:2006/06/23(金) 13:32:19 ID:hqgkfW3Z
姉妹への愛らしさと不憫さで心を掻き毟られるような激しい葛藤イイイッッ!
294『一掴みの優しさを君に』 ◆yjUbNj66VQ :2006/06/23(金) 14:14:50 ID:iICD5giw
「一コ下なんだけどな……ま、また今度ってことで……」
「…軽く…釘打っとかないとねぇ」
「ん?なんか言ったか?」
「いえいえー。なーんにも。」
そう言ってニコリと笑う。その笑顔に胸がドキリ……いや、何故かズキリとした。なんでこんな罪悪感が溜まるんだ?結局そのまま五時間目が終わるまで机と椅子をくっつけたままでいた………生き地獄だヨ!
キーンコーン……
終了。いつもなら爆睡コースのはずが、今日はまともに勉強してしまったではないか(普通)
「ここまできたらなんですから、学園内の案内もお願いできますか?」
そう言われて断るのはドSかゲイだ。もち、了承。こうなりゃきのむくままだーい。
「んじゃ、行くべ。」
とはいえ、特別紹介するような所は無いので、流すように紹介。ただ屋上は俺のお気に入りの場所なので立ち入り禁止と言っとく。
「んで、ここが食堂。……ここには伝説があってね。」
「伝説?」
「永遠の二十歳と呼ばれる受付のおねーさんが居るんだ。それと毎回水だけを飲んでそのおねーさんにアタックかけてた人がいるたらしいよ。……全部失敗したらしいけどな。」
295『一掴みの優しさを君に』 ◆yjUbNj66VQ :2006/06/23(金) 14:16:00 ID:iICD5giw
「あはは……報われないね。」
全くだ。そんな好色野郎の顔を拝んでみたいもんだ。カウンターの中を覗いたが見当たらなかったので、食堂を出ると………
「あ、いたいた。おーい!兄……ちゃん?」
冬奈だった。最初はこっちへ笑顔で走ってきたが、失速するのに比例して、元気まで無くなっていった。……どうかしたのか?
「…えと……誰?」
絶望を迎えたような顔してんなぁ。本当になんかあったのか?……沙羅のことか?別に冬奈は人見知りするタイプじゃなかったんだが……
「ああ、噂の転校生さん、遠藤沙羅さん。」
「あ、さんづけしなくていって。同い年なんだしさ。もっとフランクにいきましょうよー。」
「ん、そっか。じゃあ、改めて遠藤沙羅。今案内してたんだ。夏校のさ。」
「っ!……な、なんで兄ちゃんが案内してるの?…そういうのは…美夜ちゃんの……クラス委員長の仕事でしょ?」
確かにそうなんだが……なんで俺がやってるんでしょーか?
「うーん、なんていうかなぁ。委員長さんからやたらと敵視されちゃったし……それに、亮夜君は良い人だしねぇ。好きだよ。亮夜君みたいなタイプ。」
296『一掴みの優しさを君に』 ◆yjUbNj66VQ :2006/06/23(金) 14:16:40 ID:iICD5giw
「「えっ?」」
俺と冬奈がハモる。ちょっとドキリとしてしまった。驚いたなぁ。フランクとはいえ、会って初日に好きとは………まあ、Likeってことだろうけど。
まあ、行く先々似たようなことやってるんだろうな。
「わ、私だって、兄ちゃんのこと好きだよ?」
「んー、まあ、妹に嫌悪されるよかいいけど……そろそろ兄離れも必要だぞ?」
前々から美夜と冬奈には言ってることだが……どうもこのブラコンは治らないらしい。ま、仲の良いことには構わないのだが。
「い、いいの!兄ちゃんのことは好きでいていいの!それより、これから荷物運ぶの手伝ってくれるんだよね?」
…おろ?確かに帰りに持って来いよとは言ったが、手伝うとは……。そう迷ってると、腕を沙羅に掴まれる。その手にはかなりの力がこもって……痛いヨ!
「ごめんね、冬奈ちゃん。これから亮夜君にこの町の案内もしてもらうことになってるんだぁ。ね?」
出た!スマイル攻撃!
「う、うん。」
そんな約束してはいないのだが、つい返事してしまう。
「…そんな…嘘。………馬鹿!馬鹿、馬鹿!馬鹿!!!兄ちゃんを…奪うなぁ!」
297『一掴みの優しさを君に』 ◆yjUbNj66VQ :2006/06/23(金) 14:17:34 ID:iICD5giw
そう叫ぶと、冬奈は走りさってしまった。まいったぁ。こういう雰囲気は好きじゃない。
「うーん………今の馬鹿っていうのは私へ、だよねぇ。…あれがお弁当作ってくれる妹さんかぁ。…美夜ちゃんより直情的ね。」
なにやら分析を始めましたよ。女の子って強いなぁ。
グイッ
「ヲヲヲ!」
ボーッとしてたら強く腕をひっばられた。
「ほら、行こうよ。町の案内もしてくれるんでしょ?」
……冬奈を追おうと思ったのだが……仕方なし。まあ、家に帰れば冬奈も居るだろうし、ここまでして沙羅を放置するのも酷だしな。
「じゃ、いくか。」
「あはは、なんかデートみたいだねぇ。」
ズキリ
まただ。また心が痛んだ。全く、この娘はどこまで本気なのやら……あまり、この嬉しそうな笑顔を見るのは良くない。
罪悪感に心がつぶされそうだ?
「あ、それと……さっきのは、本気だよ?…あんなこと言うの、君が初めてなんだから……」
「え?」
本気?さっき?………何が…
「妹さんになんか……絶対負けない……ううん。負けるわけ、ないよ。」
その後ろ姿はとても愛しくて、抱き締めそうになってしまった………
298『一掴みの優しさを君に』 ◆yjUbNj66VQ :2006/06/23(金) 14:18:28 ID:iICD5giw
他神より投下量がすくなくてスマソ
299名無しさん@ピンキー:2006/06/23(金) 16:39:30 ID:B+DTaWSv
★「ラエリアン・ムーブメントの愛の三原則!」

『三つの基本的な原則が守られるのならば、各人は好きなように振舞って構まいません

第一はパートナーを自由に決める際には、相手の好みと意志を尊重すること。
第二は人は決して他人の所有者にはなれないし、他人は私たちには属してはいないという意識を絶えず持つこと。
第三は何よりもまず愛する人の幸福を絶えず考えること。

これらの基本の上に全てが可能です。
一対一のカップルでも良いし、100人のパートナーがいても良い。
同性愛であろうが、異性愛であろうが両性愛であろうが......』
また、『嫉妬と愛情は全く相反するものであり、嫉妬してはならい』とも教えている。
http://yakuraibos.exblog.jp/m2005-12-01/
300名無しさん@ピンキー:2006/06/23(金) 16:51:17 ID:FUPkpwpG
このスレとは全く正反対の考え方じゃのう
301名無しさん@ピンキー:2006/06/23(金) 17:18:29 ID:FBCA2buC
>>299
ウフフ、何言ってるの?
そんな事言って七誌君をたぶらかす気でしょ。
絶対にそんな事させないんだから!
アハハハハハハハハハ!
302名無しさん@ピンキー:2006/06/23(金) 18:56:06 ID:HG48fsAg
★「シュラバリアン・シットメントの愛の縛り事!」

『三つの基本的なことを七誌君の脳にやきつけてから、調教を始めたいと思います

第一は七誌君は私のこと好きなんでしょ?だったら何も言わないで黙って私に従ってればいいの。
第二は七誌君は私のものなんだよ。あ、もちろんあたしも七誌君のものなんだからね?えへへ言っちゃったぁ。
第三は七誌君の幸せは私といることだよね?そうだよね?だからずっと一緒にいるの♪

これらの基本の上にさらに七誌君の周りの環境を整えます。
たとえ1匹でも雌豚が近づいてきたら殺す、100匹いたらその100匹全員殺す。
同性愛であろうが、異性愛であろうが両性愛であろうが......七誌君に近づいたら殺す』
また、『嫉妬するは七誌君がいけないんダヨ?七誌君は永遠に私だけを見てればいいの、ね?アハハ♪』とも教えている。
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1150625025/
303名無しさん@ピンキー:2006/06/23(金) 19:01:57 ID:zM4OYphs
シュラバリアンを見てシュシュトリアンとかどうでもいいことを思い出した20代後半
302さん、内容説明がかなりGJな改変です
304名無しさん@ピンキー:2006/06/23(金) 20:39:54 ID:LTEGEGlO
>このスレのヒロイン達に送る、修羅場を勝ち抜くためのアドバイス。


・連載が始まったとき、真っ先に登場してはいけません(先に登場するヒロインがいつも苦戦します)
・幼馴染・姉・妹の特別属性は、むしろペナルティだと認識しなさい(属性持ちは極めて勝率が低いです)
・自分の名前に草花の名がついているなら(例:椿、梓、胡桃、楓)、修羅場は運命だと思いなさい。
・三回以上登場した脇役女性キャラは、劇中又は続編において、参戦してくる可能性が高いと思いなさい。
・主人公が童貞なら、先にセックスできるかが天王山です。強引にでも奪いなさい。
・いい人ぶった主人公でも、なんだかんだいって抱かせてくれた女に靡く傾向にあります。回数抱かせなさい。
・万が一に備えて、毎日基礎体温を測りなさい。妊娠は、どんなSSでも最強の切り札です。
・貴女が世話焼き系幼馴染なら、登下校時は要チェックです。決して先に帰ったりしてはいけません。
・総合して、幼馴染は最も不利な立場です。即効で主人公に襲いかかる以外、勝ち抜く術は少ないでしょう。
・貴女がファンタジー系ヒロインなら、自分の強さと男を寝取られる危険性は、正比例すると知りなさい。
・貴女が妹なら、自傷気味になった方が、兄の保護欲を刺激できます。盲目になるなんてどうですか?
・貴女がキモ姉なら、狂う以外に道はありません。毎日の筋トレは忘れないように心がけてください。
305名無しさん@ピンキー:2006/06/23(金) 20:41:01 ID:fGx/ej56
若いねぇ…
306名無しさん@ピンキー:2006/06/23(金) 20:58:18 ID:1yYNQmYC
>>303
同じものを連想した俺は22


なんていうかみんなGJ!
307名無しさん@ピンキー:2006/06/23(金) 21:00:43 ID:sgT2Wozz
いや、凄い分析眼だw
実際驚くほど多くの作品がこの定義に当てはまっているよ

逆にこうなると見てみたいね、この定義に全く当てはまらないような作品
って言うか一緒チャレンジしてみっかな?
308名無しさん@ピンキー:2006/06/23(金) 21:07:06 ID:NbfCZaXn
>>304
テンプレ追加決定か?

神たちはサマーデイズでもプレイしているから更に気合が入りそうな予感
新規参入もありえるかもしれん
309名無しさん@ピンキー:2006/06/23(金) 21:12:04 ID:zM4OYphs
惜しむらくはサマーデイズが今大変なことになってることか・・・
307殿期待してよろしいのか?出来れば幼馴染が勝つものを・・・
お願いしますm( __ __ )m
310名無しさん@ピンキー:2006/06/23(金) 21:16:53 ID:2es/HUJu
ぬまきちの人気に皆が嫉妬
夏伊豆スレも修羅場状態だよ
311アビス  ◆1nYO.dfrdM :2006/06/23(金) 21:38:54 ID:vj6ToqfM
投下します
312『BLOOD』七章 増殖   ◆1nYO.dfrdM :2006/06/23(金) 21:40:35 ID:vj6ToqfM
 積極的に舌を絡ませ舐る小さな唇
 ゼルが息苦しさに顔を離そうとしたがリストはそれを許さずにもっともっとと深く口付ける
 心なしか辺りが暗くなるのを感じゼルの目が一点に集中した
 プレシアの居る部屋にゼルの視線が行ったのを感じリストは目を大きく見開いた
 その瞬間ドアが蹴破られて黒い影がリストに飛び掛った
「殺してやる・・・・ゼルに近づくな!!!!」
 リストはその影の正体がプレシアだと解ると口元を歪め勝ち誇った
「く、ふふふ・・・・悔しい?兄様が自分の目の前で他の女と愛し合おうとしているのが?」
 憎悪の念を隠すことなくぶつけるプレシアにリストは軽い優越感を感じながら肩を掴んだプレシアの腕を自らの手で掴んだ
「ふふふ・・・・・く・・・・・ふ、はははは!」
 歓喜の声と共にプレシアの腕が吹き飛んだ
「が・・・・うぐ!」
 危険を察しこれ以上は深追いできないと判断しプレシアは手を離した
「痛い?痛い?・・・・・痛いよね・・・・でもね、私も痛いのよ・・・・だって・・・・兄様が一番に大事に想っているのはいつもあなただから!」
 嫉妬と憎悪の感情を爆発させたリスト
「どれだけ想っても兄様が見ているのはいつもあんた・・・・憎んだわ」
 顔をうつむけ顔に影を落とす
 静寂の間を作りリストはゆっくりと顔を上げた
「殺してやりたいほどね・・・・・」
 冷たさの中に底知れない嫉妬を感じさせる声
「さぁ、始めましょう・・・・私とあなたの・・・・宴を」
 リストが床に手を付くと床から無数のリストが現れた
 分身したかのような無数に出現するリストを捉えプレシアは深く深呼吸した
「許さない・・・・ゼルに手を出す女は・・・・誰であろうと!!!」
 先ほどまで腕があったプレシアの腕と身体の結合部から血が噴出しそれが手の形を作り出す
 それだけではないプレシアの手には身の丈よりも大きい大剣が握られている
 肌の色を取り戻した自らの手がちゃんと動くか確認し微笑むプレシア
 両手で銀色に輝く血の大剣を握りプレシアは無数に襲い掛かってくるリストを切り裂いていく
「やめろ!プレシア!リスト!!!!!」
 止めに入ろうとするゼルをリストの分身たちが押さえ込みそれを阻止する
「兄様・・・・兄様はそこで見ていてください・・・・あの女が八つ裂きにされる姿を!」
 大勢のリストの中から一人だけそれだとわかるような声がした
 大きなホールのような大広間の純白の絨毯が次第に血に染まってく
313『BLOOD』七章 増殖   ◆1nYO.dfrdM :2006/06/23(金) 21:43:17 ID:vj6ToqfM
 後ろかから掴みかかるリストの腕を切り落とし
 前から飛び掛ってくるリストの心臓を貫く
 血が噴出し白いプレシアの肌が赤に染まる
「が・・・あぐ!」
 先ほど真っ二つに切り裂いたリストがプレシアの脚に噛み付いた
 片方だけになった身体でリストはプレシアの肌を噛み裂いた
 肉片をくちゃくちゃさせながら半分だけのリストがにやにや笑んだ
 プレシアは脚の激痛に構う事無く地面で今まで自分の一部だったものを音を立てて噛み砕く半分だけになったリストの首をはねた
 すぐに頭上から降りてきたリストの頭を左手で掴み近くにいるリストに投げつける
 そのまま駆けてぶつかり倒れこむ寸前のリスト二人の胸を突き刺す
「死ね!!!!」
 後ろからダガーを持ったリストが襲い掛かる
 貫いたリスト二人をそのままにして大剣を横に振るい襲い掛かってきたリストにぶつける
 へばりつくように大剣にくっ付いていた二人のリストが反動で吹き飛び華奢な体が地面に叩きつけられた
 このままじゃキリがない・・・・プレシアは目を閉じると大剣を後ろに引いた
 目が開かれた瞬間プレシアは猛然と直線に進み飛び掛ってくるリストを真っ二つに切り裂き上半身と下半身だけにしてく
 プレシアの通る道はリストの分身の上半身と下半身が横たわり彼女の通った道を血に染めていた
 プレシアがようやく本物のリストをその視界の先に捉え大剣を振り上げた
 リストは口に剣を咥えてそれを待ち構える
 間合いに入るやすぐにプレシアは大剣を振り下ろす
「無駄よ・・・・無駄!無駄!無駄!無駄!無駄!」
 剣を咥えながら「きゃはは」と笑い声と共に器用に叫ぶリスト
「死ね・・・・死ね・・・・・・・・死ね!死ね!死ね!死ね!死ね!死ねぇぇぇ!!!!」
 リストは懐に飛び込むとプレシアの腕を掴んだ
 悔しそうにプレシアは叫びリストは「きゃはは」と笑んだ
 対照的な二人を表すかのようにリストは首を横に振りプレシアの首元を切り裂いた
「きゃはは・・・・噴いた・・・・血がた〜っくさん」
314『BLOOD』七章 増殖   ◆1nYO.dfrdM :2006/06/23(金) 21:44:50 ID:vj6ToqfM
 返り血を浴びながら高ぶる気持ちを隠す事無くリストは無邪気に笑った
 白目を剥いたプレシアの胸に口から落とした剣を突き刺す
 血が集約されリストの剣に血が集まっていく
 勝利を確信したリストの腕をプレシアの小さな手が掴んだ
 そのまま力でリストの剣を引き抜くとプレシアは床に大剣をぶつけ引きずり火花を立てながら後ろに下がり体制を直すリストに向かう
 リストは慌てて口に剣を咥ると下から物凄い勢いで引き上げられる大剣を顔を下に向けて受け止めた
 クルッと回転し裏拳をプレシアの顔面に叩きつけるリスト
 プレシアはニタっと笑んでリストの口に手を突っ込んで剣を奪い取り裏拳を放った腕とは反対の腕を掴んだ
 大剣を床に落とし掴んだ手に剣を突き刺した
 手から腕に侵入した刀身が曲がった肘から突き出た
「ぐ・・・くは!」
 痛みに顔を歪めるリスト
 腕に剣を突き刺したまま手から離し床に落とした大剣を掴むプレシア
「無駄!無駄!無駄!無駄!無駄!無駄!無駄!無駄!無駄―――――っ!!!」
 自らに食い込む剣を引き抜くとそのまま無事な右手に構える
「死ね!死ね!死ね!死ね!死ね!死ね!死ね!死ね!死ね―――――っ!!!」
 ひるむ事無くプレシアはリストに向かいお互いの剣が交差した
315アビス  ◆1nYO.dfrdM :2006/06/23(金) 21:46:04 ID:vj6ToqfM
トリップのデータ発見・・・・ころころ変わってすいません

プレシアには「おら!おら!おら!おら!おら!おら!」
と「お前は俺を怒らせた」を言わせたかったのですが・・・・
変わりに死ね死ねを連呼にしました
ちなみに私の一番好きなのは三部です


ブラッドは物悲しい嫉妬劇と戦闘
ハピネスは明るく可愛い嫉妬
生きてここに・・・・は切ない嫉妬
姉妹日記はエロと姉妹のヤンデレを

このスタンスで行きます
316名無しさん@ピンキー:2006/06/23(金) 22:44:48 ID:sgT2Wozz
>妊娠は、どんなSSでも最強の切り札です。
確かに言われてみれば孕ませときながら
「堕ろしてくれ」とか付き合いも結婚もせず養育費だけせっせと払うとか
そんなやつは流石に居なかったよな
317名無しさん@ピンキー:2006/06/23(金) 22:52:29 ID:HG48fsAg
>>316
そんなことしたらすぐさま目の前に包丁が(ry
318名無しさん@ピンキー:2006/06/23(金) 23:08:53 ID:Zeadhm9z
  _  ∩
( ゚∀゚)彡 修羅場!修羅場!
 ⊂彡
319名無しさん@ピンキー:2006/06/23(金) 23:48:18 ID:NbfCZaXn
>>316
妊娠の手前に、主人公監禁はありですか?

320名無しさん@ピンキー:2006/06/23(金) 23:53:27 ID:nyqXzmIf
>>315
GJすぐるよGJ

>>304
テンプレート入りだな
321名無しさん@ピンキー:2006/06/23(金) 23:56:50 ID:6kJ/ywYQ
てか4作品も手がけてるアビス氏、GJ!
322名無しさん@ピンキー:2006/06/24(土) 00:09:19 ID:ppnNFeIs
>>308 >>320
職人にとっては余計書きにくくなるだけだからやめてくれ
323名無しさん@ピンキー:2006/06/24(土) 00:14:50 ID:7UJyRUp9
>>304
ぶっちゃけ、泥棒猫を抹殺して焼却した方が早くないか?
324スウィッチブレイド・ナイフ ◆pmLYRh7rmU :2006/06/24(土) 00:29:12 ID:ll+/JdI7
『第八話』


「馨さん・・・・待っていましたよ・・・ずーーーーーっと。待ちきれなくてこんなに濡らしちゃいました、見てください」

金色の輝きを浮かべる森さんの瞳。

「うふふ―――――――――もう準備はできてますから、早くください―――――――――」

小さな唇を吊り上げる森さん。

「正気ですか??いったいどうしたんです!!!あの森さんが!!!」

「わたしはいつもほどほどに瘴気ですよ・・・・まさか、あの牝犬にはできて、わたしにできないなんてことはないですよね?」

彼女は愉悦の笑みを浮かべていたが、ふと思いついたように語気を荒くした。
見えない何かにおびえているようにも見える。

「・・・・・・・・・めす、いぬ・・・・・・?」

「あの女のことですよ、馨さん!!!!
キラキラと自己主張をして止まない目障りな狂犬が!!!!!!!
誤魔化さなくても結構ですよ、あの電柱女に手を出したのは若気の至りということで許してあげます。
本命がわたしだってことはちゃんとわかっていますから。
だからわたしのために毎日毎日毎日通ってくれたんですよね?
わたしを愛してるからでしょ??
ねぇ??―――――――――」

黄金の深淵を思わせる双眸が細められる。

まさか・・・・・ゆかりのことか??
ゆかりが牝犬??
いったいどういう・・・・・

「さぁ、早くください・・・・・もう、我慢、できません・・・・・・・」

325スウィッチブレイド・ナイフ ◆pmLYRh7rmU :2006/06/24(土) 00:30:50 ID:ll+/JdI7
「待って、落ち着いて!!!」

細い体をボディプレスの要領で躍らせた森さん。
対格差で何とか押し止め、もはや狂気に取り付かれた瞳に言い放つ。



「ゆかりとは何もありません、だから落ち着いてください・・・・・何を勘違いしているのかわかりませんが、俺とゆかりはただの幼馴染で、それ以上は何もないですから・・・・・」

一歩後ずさる。

「だから、言い訳はいいって言ったでしょう?・・・・・・もう解ってるんですから・・・・・あの女は嬉しそうに語りましたよ・・・・?」

「ゆかりの言ったことは嘘ですよ。俺はゆかりを抱くどころか、キスすらしたことありませんから」

徐々にうろたえていく森さん。あと少し、あと少しだ。

「え・・・・・・・・?でも、あの女は・・・・・」

「ゆかりがどんな失礼なことを言ったかわかりませんが、とにかく冷静になりましょう。怪我に障りますから、早く病室に戻って」

まっすぐに森さんの瞳をのぞきこむ。
狂気に冒された黒い宝玉。
僅かに揺れている。
俺が眼光に力を込めるたびに、揺らぎは大きくなった。

張り詰める空気。

「俺を、信じてくれ―――――――――」

肩を掴んで、抱き寄せた。

揺らぎは、決壊した。

326スウィッチブレイド・ナイフ ◆pmLYRh7rmU :2006/06/24(土) 00:32:23 ID:ll+/JdI7


「あ・・・・・・・・・・・・・・え・・・・・・・・・・・・?わわわわたし・・・・あの女に、だまされたの?・・・・・・」

「よくわからないけど、とにかく部屋に戻りましょう」

何もないところを見つめる森さん。
炯炯と輝く満月はいつの間にか暗雲に隠れていた。
今度は光を失った黒曜石がそこにあった。

「わたし・・・・・・・・取り返しのつかないことを・・・・・・・」

弱弱しいその姿に一瞬思考を奪われかけたが、ここで機会を逃したら最後かもしれない。
俺は生まれて初めて、自分の感情をすべて吐露した。

「その怪我はわざとやったんですよね・・・・・俺のことを、引きとめようとして。
俺はどこにも行かないから・・・・森さんが望むまでそばにいますから。
もうこれ以上傷つかないでください・・・・」

寒さにおびえる子猫のような彼女を、更に抱きしめた。
この細いからだのどこにあんな力が隠されていたのかはわからないが、今俺が全身で感じている感触は、病室に咲いた一輪の花―――――――――
俺が知っている―――ありのままの森瑞希その人だった。


「あ・・・・・・・・・・」

森さんの瞳が輝きを取り戻した。
俺が何時も見とれていた、天使の瞳。
忘れられない、愛らしい姿だ。

「その・・・・・ごめんなさい、馨さんの気持ちを、なんども利用して、自分だけのために・・・・・
なんてズルイおんななの・・・・・わたし・・・・・・どうやってわびれば・・・・・」

「いいんですよ、やっぱり悪いのは俺のほうなんだから。だからもう心配しないで」

「うう、ひぐっ、うっ、えぐっ・・・・・・・」

俺の胸に顔をうずめ、子供のように泣きじゃくる森さん。
小さく震える肩に触れると、確かなぬくもりを感じる。

だからこの手を、離しちゃいけないと思った。
327スウィッチブレイド・ナイフ ◆pmLYRh7rmU :2006/06/24(土) 00:33:28 ID:ll+/JdI7

泣き疲れて眠ってしまった森さんを部屋まで送りとどけ、引っ張り出した椅子に腰掛ける。
艶やかな黒髪と長い睫毛。
静かな寝息を立てる可憐な唇は、電話越しに感じた狂気を感じさせないほどに無邪気だった。
こんな天使のような女性が、俺ごときのために自らを傷つけ、身投げを仄めかして肉体関係を強要した・・・・
夢、といわれればそのまま信じてしまいそうだ。
しかし奪われた唇の感触を思い出すたびに、現実だと思い知らされる。
頭の中を森さんの濡れた指先がフラッシュバックする。
頬を染めて、体を掻き抱くように欲求を押し殺していた彼女。
あのときは本当にやばかったのだ。
偶然ゆかりという名前が出てこなければそのまま勢いに任せて森さんを襲っていたかもしれない。

いや、それでもよかったのかも―――――――――

安らかな寝息を立てる森さん。
穢れ無き白磁の肌。小さなくちびる。

―――――――――思考を打ち消した。

この寝顔を見ていると自分の選択は正しかったと胸を張って言うことができた。
目に掛かる前髪を除けてやりながら、布団を掛けなおす。

『・・・・・・・・・・どこにも・・・・・・いかないで・・・・・』

あの時聴いた言葉。
それが何よりも俺の胸に突き刺さる。
先ほどのことは真夜中の傷として忘れよう。
しかし、小さな胸に抱いた決意は・・・・・ずっとここにしまっておくことにした。



328スウィッチブレイド・ナイフ ◆pmLYRh7rmU :2006/06/24(土) 00:35:39 ID:ll+/JdI7
翌朝目覚めると、隣には馨さんの寝顔があった。
頭をよぎる自分と馨さんの姿。
急に頬が熱を持って今すぐ逃げ出したい衝動に駆られる。

どうしよう・・・・なんて馬鹿なことを・・・・してしまったのか。
愚かな嫉妬にとらわれた私は、屋上から自殺を匂わせて真夜中に呼び出し、関係を強要した。正気の沙汰じゃない。
確実に嫌われて、どんな汚い言葉を使って罵られても文句は言えなかった。
そして、わたしも甘んじて受け止めるつもりでいた。

でも・・・・
―――――――――でも、馨さんはそんなわたしを受け入れてくれた。
―――――――――抱きしめてくれた。
―――――――――優しく囁いてくれた。
体が甘い幸福に震える。

『俺を、信じてくれ―――――――――』

これって、プロポーズ?・・・・
シーツを少し手繰り寄せてこそばゆさを打ち消す。

結局最後までいけなかったけど、結ばれる日は遠くないと思う。

だからこそ頭から離れない、幸せそうに馨さんのことを語った忌まわしい幼馴染が。
全身から噴き出すまばゆいばかりのオーラ。
日陰で六法を読んでいるのが相応しいわたしとは文字通り相反する、陰陽の関係。
きっと生まれながらにして相容れない存在。
どんなことがあっても認められないし、許せない。
一挙一動が逆鱗に触れる。
視界の隅に映った瞬間に本能が殺意を囁く。

あの顔、体、声・・・・・

―――――――――でも、馨さんはわたしに言った。
もうどこにも行かないって・・・
信じていいよね?―――――――――


もう一度隣の馨さんに視線を向ける。
精悍な顔つきからは想像もつかない無邪気で、純真な姿。

渡さない。触れさせない。決して視界に入れない。
この空間はわたしのモノ。

信じてるよ馨さん・・・・
硬い髪の毛を優しく撫でてみた。
なんだか恋人みたい・・・・・

「う・・・・・ゆ、か・・・・り?・・・・・」
329スウィッチブレイド・ナイフ ◆pmLYRh7rmU :2006/06/24(土) 00:40:53 ID:ll+/JdI7

甘い空気は吹っ飛んで、体がおぞましいほどの憎悪に駆られた。
思わず、頭からスムーズな動きでクビに手が伸びる。

あわてて引き戻した。

いけない、いけない。
もう馨さんはわたしのモノになったんだから・・・・・
なにも心配することなんかないんだよ、みずき。
大丈夫、大丈夫、大丈夫・・・・・


「ゆか・・・り・・・・・」


・・・・・・・・・・ぎり


我慢、我慢・・・・・・




「ゆ、かり・・・・・」


ぎりぎりぎりぎりぎりぎり・・・・



「うふふ・・・・・」

330スウィッチブレイド・ナイフ ◆pmLYRh7rmU :2006/06/24(土) 00:42:14 ID:ll+/JdI7

だんだん見開かれていく瞳を押さえられない。
シーツを掴む手の血がとまって真っ白になっている。
馨さんを殺さんばかりの視線で射抜く。

「ゆ・・・・・・・・・・」

言葉は途切れ、途中で寝息に変わった。
わたしはほっと一息。
どっと疲れが押し寄せた。

「もう」

しょうがないなぁ、馨さんは。
今回ばっかりは見逃すよ。わたしも鬼じゃないもん。

でも。
みずきの顔も三度まで。

うふふ・・・・


―――――――――つぎはないよ?

でも、もし、またわたしの前であの女の名前を出したら。

―――――■すから・・・・・・・
■すから、■すから。
■すから、■すから、■すから。
■すから、■すから、■すから、■すから。
■すから、■すから、■すから、■すから、■すから。
■すから、■すから、■すから、■すから、■すから、■すから。
■すから、■すから、■すから、■すから、■すから、■すから、■すから。





               殺すから♪


差し込む日差し。さえずる鳥達。
今日はいい一日になりそうだ。
331作者 ◆pmLYRh7rmU :2006/06/24(土) 00:45:40 ID:ll+/JdI7
長々と失礼いたしました。

スウィッチはC級ホラー路線で行きたいと思いますww
332名無しさん@ピンキー:2006/06/24(土) 01:04:30 ID:wh4ne3kk
このドロドロな心の中に(*´д`*)ハァハァ
333名無しさん@ピンキー:2006/06/24(土) 01:09:01 ID:8XrTNgp/
あーダメ、もう森さん大好きだわwww
334名無しさん@ピンキー:2006/06/24(土) 02:40:16 ID:DCpcjQD6
>わたしはいつもほどほどに瘴気ですよ
聞いたことあるようなないような・・・

森さんハァハァ
つい寝言でゆかりとか言っちゃう馨GJ
335名無しさん@ピンキー:2006/06/24(土) 04:47:52 ID:9aEdsrTZ
森さんイイ!
336名無しさん@ピンキー:2006/06/24(土) 07:14:16 ID:WC+YLDzp
森さんテラカワイス
六法全書アタック(撲殺)が拝める日も近いか
337名無しさん@ピンキー:2006/06/24(土) 11:49:27 ID:rIwUvMnm
投下しますよ
338『とらとらシスター』Side青海:2006/06/24(土) 11:53:00 ID:rIwUvMnm
 わたしはバイオリンの稽古が終わったことに安堵して、部屋に戻った。時計を見ると、
時刻はもう深夜を示している。慣れきった稽古にもうんざりだが、それよりもこんなに時
間を取られたことに怒りを覚えた。折角の個人の時間をこんなにも奪うなんて。
 荒れる心を鎮めるために、部屋の中に視線を移す。そこに居るのは、等身大の彼だ。
 親の金を使うのはあまり好きではないし、それだけで心が汚れていく気がした。それは
勿論必要最低限のものは必要だし、半分強制的ではあるが与えられる衣服や食事、アクセ
サリなどは受けとるけれども、それもあまり好きではなかった。
 だけれども、それは少しずつ変わってきている。
 その証明が今目の前に居る彼と、先程終えてきたバイオリンの稽古だ。
 彼、正確には寸分違わぬ彼の模型だけれどそれに向かって立つ。彼に微笑みかけて優し
くキスをするとバイオリンを構えて弓を持ち、静かに演奏を始めた。習い始めたばかりだ
が幸運にも私との相性は良かったらしく、それなりの腕前になってきている。私の奏でる
音を静かに聞き入ってくれているのが嬉しく、弦の震えも指の運びもこれまでで最高の状
態になっていた。これを始めたばかりの頃は嫌気が差したものだけれど、上達してくれば
とても楽しい。
339『とらとらシスター』Side青海:2006/06/24(土) 11:54:31 ID:rIwUvMnm
 きっかけなど些細なもの、友達の言葉一つだ。
 音楽の授業時間、虎徹君がバイオリンを美しく弾いていた。その言葉を聞いて同じ土台
に立ちたくなり、稽古を始めた。人とは不思議なもので、そうなると興が乗ってきて部屋
は彼の毛髪や使用済みの道具で溢れかえってしまった。ついには等身大のフィギュアなど
も作らせてしまい、自分でも呆れた程だ。
 しかし、後悔はしていない。
 問題はどんなお金をどれだけ使ったかではなく、どのように使ったか、だからだ。今で
はあまり躊躇いもなく親の金を使うようになってしまい、そのことには少し心が痛むもの
の、それ以上の幸福がそれを拭いさってくれる。
 彼のため、わたしのため。
 問題は無い。
 わたしは彼を愛している。
 愛とは崇高なもの。
 だから、この使い方は絶体に間違ってはいない。
 いけない。
 彼のためだけに演奏をしていたつもりだったのに、余計なことを考えてしまった。その
せいで少し音がぶれて曲が少し狂ってしまった。自分のことながら情けない。
 数秒。
 許してくれるだろうかと思って彼を恐る恐る見てみると、演奏前と変わらぬ優しい表情
をしていた。そのことに安堵をして、再び演奏を開始する。今度は何の雑念も挟まない、
本当に彼だけのための演奏。
340『とらとらシスター』Side青海:2006/06/24(土) 11:57:34 ID:rIwUvMnm
 数分。
 わたしは曲を弾き終えると、彼の手を取ってベッドへとなだれ込む。ここから先は、彼
とわたしの至福の時間。一日の締め括りを飾る、最高の瞬間だ。
 まずは、熱いキス。
 強引に舌を割り込ませると、乱暴に彼の口内と舌をむさぼった。それだけで心臓が異常
に跳ね上がり、自分の股間が湿り気を帯びてくるのが分かる。こればかりは何度行っても
慣れてくるということはないだろう、寧ろ行えば行う程に濡れやすくなってきている気が
する。はしたないと思うよりも、これが愛情の深さだと思う。そう考えると、更に嬉しく
愛しくなり、行為の勢いも激しくなってくる。
 口からだらしなく漏れてくる唾液と嬌声も気にせず続けること数分、わたしは口だけで
軽く絶頂を迎えた。息や鼓動が激しく乱れているが、そんなのには構っていられない。
 大事なのは、これから。
 わたしは意外に厚い胸板に顔を埋めると両足で太股を挟んで、熱くぬめる股間を擦りつ
ける。荒れ狂う快感はそれだけで麻薬のように思考をとろけさせて、腰の動きを激しくさ
せた。不意に来た撫でるように髪を鋤く掌の感触が快くて、只でさえ激しくなっている動
きを更に加速させた。 絶頂はすぐに来た。
 先程とは比べ物にならない程の快感に、虎徹君に覆い被さるように崩れ落ちた。擦りつ
けていた彼の太股を軽く指でなぞってみると、かなりの量の愛液が付いていた。下着越し
であるにも関わらず付着したそれ程の量に、自分の濡れやすさを実感する。
341『とらとらシスター』Side青海:2006/06/24(土) 11:58:52 ID:rIwUvMnm
 本当に、はしたない女だ。
 やや自虐的に思いながら体を丸めて、彼の太股を舐めた。独特の味がするぬめりを口に
含むと、彼に口付ける。わたしの唾液と共にそれを流し込むと、言いようのない幸福感が
湧き上がってきた。思考のほぼ全てを浸食するそれは、まるで毒だ。
 なんとなく時計を見た。正確には、腕時計が巻いてある彼の手首を持ったときに視界に
入ってきたのだけれども。
 深夜二時。
 もう結構な時間だ。次で終わりにしようと思いながら、パジャマを脱ぐ。寝る直前だっ
たからブラは着けておらず、下半身の一枚を脱げばもうほぼ全裸だ。ほぼと言うのは靴下
を着けているからで、最近はこのような姿ですることが多い。彼の何気無い一言を小耳に
挟んでから始めたもの。最初は珍妙だなと思って始めたものの、姿見に映した自分の姿を
見たときに納得し、驚いた。扇情的と言うのか倒錯的と表現するのか、妙な色気がそこに
は存在した。特に彼の好みだという膝上の長さのものは、自分でも気に入った。
 君はこんなことも教えてくれるのだな。
 心の中で小さく呟いて彼にキスをすると、残りの下着に手をかけた。ゆっくりと下ろし
ていくときの、絹が滑らかに肌を滑る感触が心地良い。僅かな衣擦れの音と共に聞こえる
粘着質な水音に目を向けると、愛液が長い糸を引いていた。
342『とらとらシスター』Side青海:2006/06/24(土) 12:01:44 ID:rIwUvMnm
 荒い息を吐きながら今日何度目かになるキスをすると、彼の手を股間の割れ目に持って
いく。指先が触れただけで軽く達してしまったが、満足を出来ずにその指を膣内へと滑り
込ませた。中を指でかき混ぜてもらいながら親指で淫核を撫でられると、それだけで頭が
狂いそうになった。少し恥ずかしいが、もう片方の手を尻に持っていく。撫でられ、やわ
く揉まれ、ついには穴の中へと指が侵入するともう何度目だろう。絶頂に至り、キスをす
る。行為の最中はずっと続けていたせいで、彼の口元は唾液にまみれてどろどろになって
いた。きっとわたしも同じような状態だろう。
 わたしは笑みを交したあと指で軽く彼の口元を拭い、その顔に跨った。唇が触れただけ
で軽く達したが、ここで止める訳にはいかない。ゆるく擦りつけながら両手で胸を揉み、
突起をこねる。彼の鼻で淫核を刺激され、唇や舌で股間の割れ目をついばまれる。彼の手
は尻をいじり、五点から与えらる快楽で何度も絶頂を迎えた。
 ぐったりと彼の胸に崩れ落ちる。
 下着を脱いだあと一度だけと決めてしまったのに、結局何度もしてしまった。虎徹君が関わると、何もかもこ
うなってしまう。理性の箍が外れ、歯止めがきかなくなる。人を好きになるというのは、
多分こいいうことなんだろう。
 念のために虎徹君の顔色を見てみると、いつもと何も変わりのない優しく穏やかな笑顔。
そのことに安堵をすると、彼の胸に頭を埋めた。広くて温かいこの居場所は、何物にも代
えがたい安堵と幸福感を与えてくれる。今日だけで何度思ったかも分からない、わたしの
心の言葉。
 寄り添って寝そべっていると、急に睡魔が襲ってきた。時計を見ると、もうかなり遅い
時間を示している。
「おやすみなさい」
 わたしは彼にキスをすると目を閉じた。
343ロボ ◆JypZpjo0ig :2006/06/24(土) 12:05:38 ID:rIwUvMnm
今回はこれで終わりです

姉虎:エロ担当
妹虎:グロ担当
青海:純愛担当

の筈が何故か全員がアレなスペックの変態に
どうしましょう?
344名無しさん@ピンキー:2006/06/24(土) 12:51:47 ID:WhFd/+pB
たまには誰か死ぬとか精神崩壊じゃなくて、
四人の四角関係な日常を長く見てみたいな〜
で最後はハーレムと・・・
つーか昔はそんな感じのSS多かったけど最近はグロばっかりでお腹一杯だぜ。
345名無しさん@ピンキー:2006/06/24(土) 13:02:58 ID:aJ9i3cE+
>>344
あ、なんか解るかも
スレタイの前二つだけ含んだSSとか
346名無しさん@ピンキー:2006/06/24(土) 13:07:46 ID:mI6ZHUhn
それはとてもいいですね
いやマジで
347名無しさん@ピンキー:2006/06/24(土) 13:42:04 ID:LlCQUTFg
ハーレムはちょっとな・・・他にスレあるし
348名無しさん@ピンキー:2006/06/24(土) 13:51:16 ID:DEemfFNN
「(わたし)は実兄(あなた)を愛してる」とか
最後ハーレムだけどちゃんと修羅場もあるじゃん。

そういうのは俺も読みたい。
349名無しさん@ピンキー:2006/06/24(土) 13:59:22 ID:Ybks7DNa
修羅場が展開されるならハーレムだろうと問題ないだろ
350名無しさん@ピンキー:2006/06/24(土) 14:05:27 ID:8XXvsKb8
さて、完成したので投下しますか。ただ長いのでもしかしたら半分だけかも…
351教授と助手とロリコンの微笑み:2006/06/24(土) 14:09:31 ID:8XXvsKb8
これほど走ったのは生まれて初めてだろうか。足はガクガク、
息は荒く、わき腹は激痛などボロボロになりながらもなんとか
大学にたどり着いた。
(確か教授のプライベートルームは…あの地下室か)
荒い息を整えつつ目的地の地下室へ向かった。



「待っておったよ、樹くん。」
ここは教授がプライベートで作ったり買ったりしたのを保管し
ている部屋…まあ普通は物置と言うような。
「それで、一体弥生さんの身になにがあったのですか?」
「うむ、ちょっとまってくれ。」
そういうと教授はそばにあったノートパソコンを操作しはじめた。
「…よし、こんなもんだろう。樹くん、まずはこれを聞いてく
れ。」
そういうと教授は「YAYOI.mp3」というファイルを開いた。
しばらくノイズしか聞こえなかったけどだんだんと何か喋って
いるのが聞こえてきた。

(…で、このガキどうするんだ?…ああ、なんだもう買い手が付
いているのか…しかしこのガキが俺達をぶっとばした女だって
のか?同一人物には……おーそんなに貰えるのか!4人で割っ
ても……少ししたらお迎えが来るからそこで引き渡して終わり
だ…)

ここで音声は終わっている。
「この先はノイズが酷くて全く音声が拾えなかったんだが…
どうやら実行犯は4人、それと運転手がいるな。わし一人では多勢に無勢だしまだ
道具も揃っていない…で、急だったが樹くんを呼んだ、というわけだ。」
それを聞いて1つ疑問が浮かんだ。
「一ついいですか?警察は呼んだんですか?」
それを聞いた教授は悔しそうな顔をして
「警察は…来ない。」
一瞬教授の言ったことが全く理解できなかった。
「樹くん、数時間前の実験棟の爆発でも警察が来なかったのだ
よ。事件性が無いという理由でね。」
そんな…………。じゃあどうすれば…だったら!
「教授!グズグズしていられません!警察がダメなら俺たちで
今すぐ助けにいきましょう!!」
そういって部屋を出ようとしたら教授に肩を掴まれた。
「まてまて、落ち着けっつうの…警察の方はわしがなんとかする。それよりも」
教授は樹の目を見て
「助けにいくというがどうやって助ける?場所は知っているのか?」
うっ…。で、でもだからといってここでジッとしていては…
「まったく…少し冷静に落ち着いて考えろ。ではヒントをやろう。
先月君は弥生くんに誕生日のプレゼントをあげたといっていた
が、それはなにかな?」
こんな時になに言ってんだ?そんなことより早く…と焦る心の
中になにかひっかかるものがあった。
(たしか…弥生さん方向音痴っていうんで…しかも携帯の機種
変をするっていうから…)
そこでピンと来た
352教授と助手とロリコンの微笑み:2006/06/24(土) 14:17:05 ID:8XXvsKb8
あ――――――!そうだ、GPS携帯!」
「そう、樹くんが弥生くんに買ってあげたGPS携帯があれば
、現在地はすぐ分かる。」
そういうと教授はまたノートパソコンを操作して
「ふむ…弥生くんは今ここだな」
そう言って教授が画面を向けてきた。すると、ある場所に点滅
する点があった。
「ここは…女子寮?」
「うむ、間違いないな。今ここに弥生くんがいるだろう。」
よし、場所は分かった。あとはどうやって助けよう…。すると教授が
「ふふふ、私に1つ作戦があるのだよ。早速樹くんにも協力し
てもらうよ。作戦とはこうだ…」



(やっと見つけた…)
あれから女子寮に近づき、廊下で静かに聞き耳をたててみると
、ある一室から話し声が聞こえて来た。そ〜っと見ると犯人は
4人で、なんかライフル銃やボウガンなどが見える。
(あとは教授の合図を待つだけだけど…しかし教授、なんでこ
んな物もってんだ?)
手には教授から渡された暗視スコープが握られてて、真っ暗で
も中の様子が手に取るように分かった。
(まあ今はそんなことより弥生さんを見つけないと…あ、いた!)
部屋の隅っこの方に、手を縛られて壁に寄りかかっているのが
見えた。まずは無事を確認して胸を撫で下ろした時、犯人の一
人が立ち上がった。
「そういえばまだ聞いていなかったが、おまえがあの弥生だと
してあの時はよくもコケにしてくれたな!」
「そうだ。対弥生用にここまで武装したのに無駄になっちまったぜ!」
すると弥生さんは鼻でフンッと笑って
「ナイフをちらつかせて私に絡んでくるのが悪いんだろうが。弱いくせに。」
そう言われた男は肩をブルブルと震わせて
「言ってくれるじゃねえか、このガキが!!」
すると男は固く握られた拳を高く振り上げて、そのまま弥生さ
んの顔面を殴りつけた。
「ぐっ!」
思い切り吹き飛ばされた弥生さんへ、さらに男が
「俺を!弱いというが!今は!お前の方が弱いだろうがっ!!」
何度も何度も暴力を振るっている内に、さすがにやばいと感じ
たのか、他の仲間が間に入った。
「もう止めろ!これ以上やると売れなくなるぞ!」
3人がかりで止めて、なんとか男の興奮も収まってきた。しかし弥生さんは…
(弥生さん!…くそ!)
さっきから飛び出したい衝動をなんとか抑えてきたが、弥生さ
んに暴力を振るわれるといよいよ我慢の限界にきていた。すると別の男の1人が
「おい、遊んでないでそろそろ時間だぞ!裏門に移動するぞ!」
そう言って犯人たちは移動しようとしていた。
(まずい!移動されたら作戦が…仕方ない、やるか?)
しかし教授からの連絡が無い内に決行しても…。そう迷っていたその時
ブルル、ブルル、ブルル
携帯のバイブが3回鳴った。(きたっ!)
バイブが3回鳴る…それは教授の準備が完了した合図だ!
そう思った刹那、教授から渡された物を部屋に放り込んだ。
すると次の瞬間部屋が閃光に包まれた!
「うわっ!」「な、何だ!」「目、目が見えねええ!!」「く、くそ…だれだ!!」
353教授と助手とロリコンの微笑み:2006/06/24(土) 14:20:52 ID:8XXvsKb8
持ってきたサングラスを掛けて部屋へ突入し、弥生さんの所へ行った。
「弥生さん!助けにきました!」
「う…い、いつきか…」
「大丈夫ですか?掴まって下さい。」
あちこち傷だらけの弥生さんを背中におぶっていると閃光が収まってきた。
それを見計らってもう1つの物を置いて部屋を出た。
女子寮をでた頃、後ろの方から物凄い煙の中からくしゃみや咳
の声が聞こえて来たのを確認して目的地へ向かった。
(無事弥生くんを救出したらここに向かってくれ)
教授に指示された場所へ走っている時、弥生さんがそういえば…と言って
「さっき部屋に投げ入れた物、あれはもしかして…」
「はい、最初に投げたのは閃光弾で、部屋を出る時に置いてったのは催涙弾です。」
おぶっていては弥生さんの表情は判らないが、たぶん呆れてい
るだろう。かくいう俺もなんで、いち教授がこんな物騒な物も
っているかわからないが、深く考えるのはよそう。
「ところでどこに向かってるんだ?」
「えーと、ここを曲がった突き当たりです。」
(この突き当りで待機してやつらを誘き寄せてくれ。一網打尽
にする…って言ってたけど、どういう方法でやるんだろ?)
そんなことを考えながら曲がろうとしたその時、
左足に鋭い痛みが走った!バランスを崩しながらも、なんとか転倒は避けられた。
どうやら向こうから「いたぞー!」と声とともにボウガンを撃って
いて、足にかすってしまったようだ。誘導しなければいけない
ので早歩きぐらいで来たが、変に疑惑を持たれても困るので、
怪我の1つでもした方が油断するだろう。
「樹!足から血が!!」
見るとズボンが破れた箇所が血で赤く染まっていた。
「大丈夫ですよこれくらい。それよりもこの奥まで行かないと…」
鋭い痛みを堪えてなんとか目的地の路地奥に着いた。そこは建
物と建物の間の狭い路地だ。
さて、あとはタイミング。しくじったら終わりだ。路地の奥に着いた
と同時に、入り口に男たちが追いついた。
(弥生さんをこれ以上傷つけない、とは思うけど)
ゆっくりと近づいてくる中、一人の男がライフル銃を発射した。
「ぐはっ!!」
万が一のために防弾チョッキもどきを着てたおかげで怪我はな
いが、一時的に呼吸が苦しい。
「樹!大丈夫か!」
「げほっ、げほっ、な、なんとか…」
すると男の1人が
「ふざけた真似しやがって…無事に帰れると思うなよ!!」
男たちがジリジリと近づいてきた。(あとはお願いします、教授!)
その時建物の窓から教授の顔が出てきて、「よく頑張ったぞ、樹くん!」
と言って男たち目掛けてなにか投げつけた!
「弥生さん、俺の後ろに!」
「きゃ!」
男たちに背を向けるのと液体の直撃はほぼ同時だった。続けざ
ま教授はなにか粉末を撒いた。


354教授と助手とロリコンの微笑み:2006/06/24(土) 14:24:21 ID:8XXvsKb8
「これは…」「すごいな…」二人が感嘆している物、それは男
たちが白い液体にくっ付いて離れなくなっているのだ!
「どうやらギリギリ間に合ったようだな」
見ると教授が近づいてきた。
「はっはっはっ、どうだね?ついさっき完成した、この私特製
のとりもちの威力は?」
教授が言うには最初に投げた液体に次投げた粉末が付着すると
強力なとりもちになり、剥がすには特殊な分解液がないと絶対
離れないそうだ。
「さっきやっと警察も来て、首謀者や裏門にいた車などは御用
になったし、すぐここにも来るだろう。めでたしめでたしだな。」
「そうかな?」
「教授!」
見ると男が1人教授にナイフを突き立てていた。
「おぬし、こんなことしても無駄だぞ?すぐ自首すれば執行猶予ぐらいで…」
「うるせえ!ごちゃごちゃ喋るな!!」
よく見るとこの男、弥生さんを殴った男だ! ちょっと離れて
いたせいで直撃を免れたようだ。
「たしかに逮捕されるのも時間の問題だろう。だがな!この男の命が惜しければ…」
「殺したらいいじゃない。」
振り向くと威圧するような目をした弥生さんが立っていた。今
逆らったら殺される!近づくな!と直感が言っている!

「アンタには随分痛めつけられたから恨んでいるけど、それ以
上に樹にこんな危険なマネをする原因を作ったその男が許せないのよ!!」

はじめて弥生さんが本気で怒った所を見た。まさしく目で人を
殺せそうだ。すると弥生さんがゆっくりと二人近づいていく。
「もちろんあんたがその男を殺したら、次は「わたし」が「あ
なた」を殺すわ。さあ!早く殺しなさい!!」
冷静に考えれば10歳児の体で大の男性を殺すのはちょっと難しいと思うのだが
、あの目と恫喝の前では蛇に睨まれた蛙状態だよな。

「な、なんなんだお前は!く、来るな!この男を殺すぞ!本気だぞ!
…来るんじゃねえ!お、俺を見るな…う、うわあああああああ!!!」
355『一掴みの優しさを君に』 ◆yjUbNj66VQ :2006/06/24(土) 14:26:54 ID:LPVJ/YzS
『……おねぇさん……だれ?』
『ふふ……初めまして。僕。私は、遠藤佐奈って言うのよ……』
広い屋敷。隔離された様に生えている林。そこにいつも住んでいた、一人の女性。
『僕はね、笹原亮夜。はじめまして。』
『笹原……。お父さんたちは元気?』
『うん。昨日も騒ぎ合って喧嘩してた……仲悪いのかな?』
『あははは……相変わらず、ね。…違うのよ、坊や。彼らはあれでも仲が良いの。決して破れることのない絆なんだから……』
『ふぅーん…』
『あ、そうね、紹介しておきたい人がいるのよ。』
…嗚呼、まただ。ここまでくると、視界が……白く……
『こ…娘……って…言う……よ。……ろしく…「……君……君。…夜君!亮夜君ってば!!」
「っ!……ん、ああ?」
「どうしたの?急にぼーっとしちゃって……話しかけても返事してくれないし。」
「いや…よくあるんだよ。……白昼夢ってやつかな?」
「それって、起きながら夢見るの?」
「うん、毎回同じ内容なんだけど……いつも肝心なところで覚めちまうんだな。だから見たあとはこう、気持ち悪いってかなんというか。」
356『一掴みの優しさを君に』 ◆yjUbNj66VQ :2006/06/24(土) 14:27:41 ID:LPVJ/YzS
「だからって、ボーッとしてたら危ないよ?そのまま車道に飛び出したりしたら。」
幸いそれは今までにない。……まあ、あったらここには居ないが。
「んー…オッケー。」
夢の続きを思い出そうとするが、なかなかうまくいかない。気付けば夕焼け。こういうきれいな夕日を見ると、あの夢を見る。夢の中でも夕日だからだ。
「いやー。今日は助かりましたよ、本当に。町の案内までしてもらっちゃって。」
「いやいや、礼はいらないさ。」
沙羅が夕焼けをバックにこっちを向く。この町は夕焼けがとても強く、明るいのが有名だ。その明るさのせいで、沙羅の表情が逆光で見えない。
「……本当はね、亮夜君に案内してほしかったんだよ?だから、キミ以外の人からの案内は、断ったんだ。」
「え?」
それは……どういう…
「それに、私達、はじめまして、じゃないんだよ?どっちかというと……久しぶり、なのかな?」
「前に……会ったことあったっけ?」
「うわーぁ、ひっどいなぁー。私なんて、名前と顔見ただけで、一発で思い出せたのですよ?」
そこまで早く思い出せる仲だったのか……沙羅…沙羅……
357『一掴みの優しさを君に』 ◆yjUbNj66VQ :2006/06/24(土) 14:28:28 ID:LPVJ/YzS
「ダァーメだぁ!思い出せん!いつ会ったっけ?」
情けないが、他力本願。こういうモヤモヤは早くなくしたいものだ。
「だめですよーだ。自力で思い出すまで、頑張って悩んで下さい!」
むう。この調子だと当分かかるような気がする。そのことについてさっそく思考をめぐらしていると………
「兄妹は……結婚できないんですよ?」
「は?」
なんの脈絡の無い、唐突な発言。それはいままでの雰囲気とは違い、いっきに場の空気が凍て付くのがわかった。抑揚の無い発音。逆光でただ黒く見える顔……
「兄妹は結婚できない…故に、愛し合えない……復唱……」
そういいながらゆっくりと近付いてくる。その顔は無表情。なんの色も無い顔。
「き、兄妹は結婚できない……故に、愛し合えない………」
「よろしい!」
そう言うと、いつの間にか目の前にあった顔が、花のように明るくなった。
スッ
「え?」
その顔の近さにドギマギしていると、腕を首の後ろに回され、更に距離が近くなる。
「うん、それじぁ……」
反応できなかった。その突然の行動に。
「んっ…」
キスされた。
358『一掴みの優しさを君に』 ◆yjUbNj66VQ :2006/06/24(土) 14:29:36 ID:LPVJ/YzS
「え?…え!?」
「ふふ……これは、私を思い出してくれるようにっていうおまじない。それと……」
再度顔が近付く。でも今回はキスではなく、口を耳元へ持ってきて……
「私以外の女の子を見ませんようにって言うノ、ロ、イ。」
ゾクリとした。別にMとかじゃなく。その冗談混じりの一言が、背筋を撫でるような寒気を引き起こした。冗談ではなく、本気なんじゃないかと思う程に。
「あはは……破ったら、どうなるかなぁ…呪いって言うぐらいだからぁ…シンジャウカモネ?」
その笑顔はさっきまでとは違う、目に色の無い笑い方だった。
「それじゃあまた明日!じゃねー。」
そんな呆然とした俺を置いていき、振り返って走り去ってしまった。しばらくほおけるように立ち竦んでしまう。
唇を指でなぞると薄く口紅がついた。嬉しいのやら恐ろしいのやら。その二つの感情が入り交じる。
「はははは……はは…は。」
そんな俺のファーストキスだった。
「お兄ちゃん?…ここで何してるの?」
「え?」
振り返って見ると、美夜が立っていた。
「……え?あ、と。み、みた?」
動揺すんな!俺。
「…なにを?」
良かった。気付いて無い。
「あ、ははは。いや、何でもないさ。さ、かえろ。」
美夜を催促する。
『兄妹では結婚できない。』
…まさか。俺は鬼畜じゃない………
359教授と助手とロリコンの微笑み:2006/06/24(土) 14:29:38 ID:8XXvsKb8
エピローグ
「なんか散々な日でしたね」
「まったくだわ」
あちこち殴られて歩くのが辛そうな弥生さんを、樹はおぶって
帰路につきながら話しかけた。
あのあと警察が来て、とりもちに捕まった三人は逮捕されたが
、教授を人質にした男は逃走してしまった。まあ指名手配され
るから逮捕は時間の問題だろう。
「しかし弥生さん、教授大丈夫ですか?」
「手加減はしたわよ、気持ち分ぐらいは」
犯人の一人が逃走したあと、警察が来るまで怪我の治療をして
いる間に今までの経緯を話した時、盗聴器とGPS携帯がばれてブチ切れた弥生
さんが教授を殴ってたっけ。
「携帯は樹から買ってもらった物だから別にいいけど、あんの
教授携帯を変なことに利用して…」
「でもそのおかげで弥生さんを助けられたんですし…」
「なに言ってるの!そもそもあの教授が私に変な薬を飲ませる
から…だから…樹が…」
やばい、弥生さんドンドン暗くなっている!なにか話題を変えないと
「そ、そういえば教授って警察と顔見知りなんですね。あれには驚きました!」
警察が来てくれた理由はどうやら教授が警察のえらい人に電話
で連絡してくれたらしい。
ただ教授が「まあ社会に責任ある人が「あの」写真を公表した
らどうなるかのー。」
って言ってたようだけど深く追求するのはよそう。
しばらく沈黙が続き、樹はふと思い出した。首謀者が、弥生さ
んもよく知っている後藤教授だったというのを聞いた時の弥生
さんの無表情を…。
そんなことを考えていたとき、弥生さんが
「今回のことさ…」
「はい…。」
「捕らわれていた時に私なりに考えていたんだけど、あそこに
私がいるって知っているのは後藤教授だけだったんだよね…」
「………」
「だから…首謀者の名前を聞いた時…ああやっぱり…って思っ
たのよね。」
弥生さん………
「あれだけ信頼していた人に…裏切られると…やっぱり私は1
人なんだ…ってね」
それを聞いた俺は心に溢れる思いを、感情をそのまま言った
「大丈夫です!!ここにいます!!」
「樹?」
「なにがあっても俺だけは!弥生さんを裏切らないし、一人に
もしませんよ!教授だってそうです!」
弥生さんは何も言わない。ただ鼻をすする音が聞こえた。
「全く…ロリコン教授はともかく…樹はお人好しなんだから…
グスッ、そんなの知っているわよ…でも…」
そのあとは続かない。でも心の中で言った。私の精一杯の、正直な言葉


(ありがとう)


このあと弥生は、当座の寝床として樹の部屋に住むことになり
ました。
それが当座か、もしかしたら永久か。


                    FIN
360『一掴みの優しさを君に』 ◆yjUbNj66VQ :2006/06/24(土) 14:30:43 ID:LPVJ/YzS
以上です。
ぶっちゃけ誰をメインヒロインにしようか…orz
361あとがき:2006/06/24(土) 14:36:30 ID:8XXvsKb8
というわけで今回で最終回です。書いている内にどうしても嫉妬や修羅場が
足りないので一旦切りたいと思います。もちろんいわば「第一部完」なので
修羅場や嫉妬をふんだんに盛り込んだ(自分なり)「第二部」をタイトルを変えて
投下したいとおもいます。でもその前にちょっとだけ「外伝」を書いてワンクッション
おきたいと思いますので…それでは少々お待ち下さい。
362『一掴みの優しさを君に』 ◆yjUbNj66VQ :2006/06/24(土) 14:49:15 ID:LPVJ/YzS
すまねぇ…なんて割り込みなんだ
363名無しさん@ピンキー:2006/06/24(土) 15:41:48 ID:wh4ne3kk
スレを奪い合うリアル修羅場キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━!!!!!
>>360
やはり佐奈嬢の娘だったのか、早くも呪いをかけるとはやるなw
>>361
家に住みついた泥棒猫のこれからの戦いに期待
第2部と外伝を全裸で待っていますね
364名無しさん@ピンキー:2006/06/24(土) 16:16:27 ID:mI6ZHUhn
ネークースートージェーネーレーショーン♪
佐奈嬢キター(・∀・)
365名無しさん@ピンキー:2006/06/24(土) 19:40:52 ID:Ef6oQ2P3
>>361
第2部くるー
家に住み込んでるアドバンテージがどれだけ生かせるかの勝負だな
正直家に住んでる方が不利な気もするが((;゚Д゚)ガクガクブルブル
>>360
予想外に佐奈嬢大人気だ、まぁ俺もだが(*´д`*)
366名無しさん@ピンキー:2006/06/24(土) 19:43:46 ID:Ef6oQ2P3
とらとらの感想を書くの忘れた・・・連投申し訳ない
>>343
姉妹といい青海といいこの変態加減が好きな俺は
どうしましょう?
367アビス  ◆1nYO.dfrdM :2006/06/24(土) 20:29:01 ID:2NYaWlOV
投下します
368『BLOOD』追憶編 一章  ◆1nYO.dfrdM :2006/06/24(土) 20:30:06 ID:2NYaWlOV
 清々しい朝の空を見つめて私は思い切り深呼吸をした
 綺麗な空気が私の肺をいっぱいにして自然と身体を軽くした
「ゼル!」
 私は待ち人が来たのを知って駆け寄る
「ほんとに・・・・来るのか?」
「気を使ってくれてるの?大丈夫よ・・・・」
 それを聞いてゼルは少し躊躇の表情をしてうなずいた
 
 機関車に揺られながら私はある場所に居るという人に思いを馳せた
 ようやく逢える・・・・生き別れた妹に
 目的地に着いて機関車から降り蒸気を上げる機関車を見送った
 ゼルは私を急かしてある場所に向かう
 ここはアルラルド、俗に言う貧民区だ
 薄暗い道をさらに進みアルラルドの最果て・・・・もっとも無法だといわれるエリアまで来た
 ゼルは私をちらっと見て視線を向けた
 私が首を横に振るとゼルは顔をこわばらせた
「プレシア・・・・ここで待ってろ」
「でも!」
「でもじゃない!」
 普段のゼルは影を潜めすごく真剣な顔していた
 私が渋々うなずくとゼルは私の頭を撫でて先に進んだ
 この道を少し先に行って右に・・・・その瞬間ゼルは右足を後ろに下げたじろいだ
「ゼル!?」
「来るな!」
 私が駆け寄るとゼルが私を抱き先を見えないようにした
「どうしたの・・・・?」
「見るな・・・・見ちゃだめだ」
 隙間から見えた光景に私は言葉を失った
 一人の少女が人の肉に食いつきむさぼっている
 先ほどまで生きていたか・・・・まだ近くに飛んだ血が固まっていない
 私は吐き気を必死で押さえその場に座り込み口を押さえた
 ゼルはゆっくりと彼女に近づきゆっくり手を差し伸べた
「迎えに来たよ・・・・シェル」
369アビス  ◆1nYO.dfrdM :2006/06/24(土) 20:31:16 ID:2NYaWlOV
中途半端ですがここで区切ります。
370姉妹日記 7話  ◆1nYO.dfrdM :2006/06/24(土) 20:32:15 ID:2NYaWlOV
 行為を途中で打ち切って二人で背中を向け合って服を着なおす
 悔しいな・・・・・涼さんを最後まで満足させてあげることができなかった
 彼は優しいから私を気遣ってのことなんだろうけど・・・・
 涼さん・・・・ごめんね最後まで満足させてあげられなくて
 でも、これからたくさんあなたに触りたい
 これからもっと私の気持ちを伝えたい
 私を知ってほしいもっと彼を知りたい
 心をもっと繋げたい
 もっともっと・・・・愛してあげたい
 私を・・・・見て欲しい
 私だけを・・・・・
 不意に涼さんのケータイが鳴った
「はい、冬香?どうしたの?・・・・・え?・・・・・もう、僕はそんな子供じゃないぞ」
 ご兄弟とはいえ愛し合った・・・・中途半端だけど・・・・・
 そのあとすぐに私以外の女の子の電話に応えられると私としては面白くない
 不機嫌そうな私をちらちろと伺いながら涼さんはすぐに電話を切った
「あ、はは・・・・・若い女の子の家にいつまでもいるなってさ」
 複雑そうな笑顔・・・・そんな顔しないでください
「迎えにくるとかって・・・・まったく二人はいつまでたっても僕を子ども扱いなんだから」
 子ども扱い?いつものこと?少し違うような気がした・・・・
 またケータイが鳴った
「はい・・・・もうしつこいな!大丈夫だよ!・・・・あ、ごめん怒鳴ったりして・・・・・」
 また冬香さん・・・・・かな?
 小さな泣き声が涼さんのケータイから少し聞こえてきた
 涼さんが何度か謝ると再び電話を切った
 それと同時に今度はチャイムが鳴った
 ピンポ〜ン
「涼ちゃ〜ん!」
 外からの女の人の声に涼さんは驚き窓から外を見た
「夏姉ちゃん・・・・!?」
 え・・・・どういうこと?
 二人で玄関に向かってドアを開いた
 そこには満面の笑みの・・・・・
「夏・・・・姉ちゃん・・・・・なんで?」
「近くでね・・・・買い物してきたの・・・・近くを通ったから・・・・迎えに来たのよ?」
 買い物袋を少し上げて夏美さんがはにかんだ
「あの・・・・・」
「さぁ、帰りましょう・・・・涼ちゃん」
 この間の謝罪の言葉を発せようとした私を無視して夏美さんは涼さんの腕を取った
371姉妹日記 7話  ◆1nYO.dfrdM :2006/06/24(土) 20:33:39 ID:2NYaWlOV
「夏姉ちゃん!ちょっと!」
「いいから、いいから・・・・・速くしないと大変なのよ〜」
 引きずられるように涼さんが夏美さんに連れられて遠くなっていく
 少しして涼さんは観念したのか自分で歩き出す
 振り返り両手を合わせて私に謝ると涼さんはにっこりと笑んで速くと急かす夏美さんに続いていった
 ・・・・・なんか急に寂しくなった
 ん?なんだろう?変な匂いがする・・・・
 裏庭辺りからパチパチとどこかで聞いたような音がする
 音のほうへ進んでいくと真っ赤な炎が裏庭に置いてある倉庫を燃やしていた
 私はしばらく呆然としてすぐに状況を理解して近くにあるホースを握って蛇口をひねる
 水がホースから噴出し数分浴びせると炎は消えていった
 安堵の声がだして私は両親に電話しようと窓から家の中に入った
 また異臭がして私は辺りを見渡した・・・・ガスが抜けている?
 私は思わずゾッとしたもし炎がここまで回っていたら
 私の部屋は二階・・・・
 台所と玄関はドアで仕切られていたので匂いに気づかなかったみたい
 急いでガス線を閉めなおし台所中の窓を開く
「ふ〜」
 私はもうなにをする気も起きなくなって自分の部屋に戻った
「え・・・・・」
 自分の部屋の異様な光景に私は息を飲んだ
 部屋中が荒されてお気に入りの動物のお人形に針や画鋲が刺さって転がり
 タンスは倒されて服はめちゃくちゃに切り裂かれていた
 部屋の中心にぽつんと置かれた写真を私は手に取った
「嘘・・・・・・」
 何枚かの写真を見てみると全て今日の私と涼さんの写真だった
 私の顔だけ切り抜かれて写真の置いてあったところに落ちていた・・・・
 それすらもずたずたに切り裂かれて
372アビス  ◆1nYO.dfrdM :2006/06/24(土) 20:37:41 ID:2NYaWlOV
時間がなくて神々の作品全てを読めていません・・・・
なのでかぶってしまったらごめんさない、わざとじゃありません

火をつけた犯人となぜ秋乃の家の場所を知っていたのかは永遠に闇の中です

私の作品はレスし難い作品なのに毎回レスありがとうございます
皆様のレスが私の原動力です

373アビス  ◆1nYO.dfrdM :2006/06/24(土) 20:39:31 ID:2NYaWlOV
書き忘れました
管理人様・・・『BLOOD』追憶編 一章  追憶編として区切ってください
374 ◆tVzTTTyvm. :2006/06/24(土) 22:01:42 ID:ee7jhKdL
>>281
血塗れ竜と食人姫の作者殿
お返事ありがとうございました お気に召したようで何よりです
励ましのお言葉もありがとうございます お互い頑張りましょう

姉妹属性のある自分としてはこの後の二人の末路を思うと胃や心臓が痛い
でもやっぱり続きが物凄く楽しみだったりします


とらとらと姉妹日記のキモ姉妹も大好きです
新ためて自分は姉妹属性持ちだなと実感

あと、あまり長くないネタを思いついたので8スレに埋めも兼ねて投下
375トライデント ◆mxSuEoo52c :2006/06/24(土) 22:16:28 ID:aYY2BZYG
では投下致します・・

376煌く空、想いの果て ◆mxSuEoo52c :2006/06/24(土) 22:19:38 ID:aYY2BZYG
 水野翔太エンド
 校内に金属音が静かに響き渡ってゆく。二人の少女がたった一つの大切なモノをかけて、
 命懸けの殺し逢いを行なっている。一人は、ずっと幼なじみとして傍にいた少女。
 もう一人は、彼女からの告白で交際を始めた恋人である少女。この二人の戦いは両者という存在が消えてなくなるまで永劫に続く。
 二人の戦いに見惚れながら、俺はずっと心の奥底からが突き刺さる痛みに問おう。
 汝が俺の恋人なのか?

 梓と猫乃を見比べても、どちらとも俺にとっては身分相応の相手なのではないか? 
 俺よりも相応しい男性がいるはずに決まっている。
 でも、思い出せ。
 梓が他の男と付き合っていたと誤解した時の事を。
 どれほど、俺は落ち込んでいたと思っているんだ? 
 まるで人生の終わりが来たように世界に絶望したのではないか?
 なら、答えは最初から決まっていた。
 ずっと、すれ違いを続けていた水野翔太の気持ちと向き合う時が。
 戦わなきゃ。現実と。

「もう、やめるんだ。二人ともっっ!!」
 この台詞を吐いた時、前にも同じ事を二人に言ったような感覚に襲われる。
 ゆるりと頭の中が軽く揺れて、周囲の風景が捻れるように歪んでゆく。
 これは?
 一体……。
 
 頭の煌めきと共に、記憶の全てが暴走した。
 過去・現在・未来が暴走し、それらは全て一つ繋がった。

 あらゆる結末が頭の中に刻み込まれてゆく。猫崎猫乃と風椿梓の決闘の結末の果てに起きる惨劇の全てが脳内に入ってきた。
 そう、二人が引き起こす惨劇。
 例えば、二人と結ばれなかった未来で。
 俺の家族が容赦なく殺されたり、俺のクラスが人質となり全員爆死したりするなど、惨劇は数多くの可能性を秘めている。

 未来がどんな結末かになるのかは、俺の選択一つで決まる
 つまり、選択肢次第では俺は間接的に梓を殺し、猫乃を殺し、クラスメイトたちを殺し、身知らずの家族を殺し、殺して殺して殺して殺して、
 俺自身さえも殺されるという最悪な結末しか用意されていない。
 梓が鋸を老婆から譲られた時点で全て未来は惨劇の果てに死ぬと強制的に決められているのだ。


 そう、これまで梓と猫乃のおかげで何百回殺されてしまったことやら。
 過去に殺された記憶が現在の俺にあるってことは、俺は長い螺旋の果てから離れた一つの意志ってことだろう。
 バカみたいに同じ事を繰り返しても、耐久的に世界の基盤から壊れてゆくのだ。


 そう、どこぞの制御盤にプログラムミスがあったように。
 ならば、過去何万通りの内に俺が唯一やらなかったことを今ここで行なえば、未来は確実に変わるのだ。
 梓と猫乃の決闘は両者の内どちらかが死者になるか、人間として生きられない程の致命傷を負い、常に勝者は一人。

 二人とも無事生存させて、俺の想いが壊れた少女に届くなら、この惨劇のループから抜け出すことができるかもしれない。
 そう考えると想いを口にした。
377煌く空、想いの果て ◆mxSuEoo52c :2006/06/24(土) 22:22:20 ID:aYY2BZYG
「俺は梓が好きなんだぁーーー!!」
 血塗れの少女たちの得物がぴたりと止まった。
 戦いをやめろと叫んでも、止められなかった戦いは俺の予想外の告白でこちらに視線が集まってきた。

「どういうことなんですか? 先輩」
 猫乃が信じられないような瞳で俺を見る。今にも泣きそうに目に涙を浮かべて、心細い声で尋ねた。
「あの屋上でわたしと付き合うって言ってくれたじゃないですか?」
「最初は友達からって言っただろ。それに俺が自分の気持ちに偽ってから、全てがおかしくなったんだと思う。
だから、俺は今ここで正直な気持ちでもう一度言う。水野翔太は風椿梓の事を愛している!!」
 高らかに叫んだ俺の言葉が廊下に響く。


「猫乃。ゴメン」
「そ、そ、そんないやぁぁぁぁぁっっつーーー!!」
 猫乃は悲鳴と共にこの場から逃げるように走りだした。目元にたくさんの涙が零しながら。
「さてと」
 愛の告白を行なっても、長い黒い髪で表情を隠している梓は何の反応も示さなかった。手元には鋸を堅く握られており、俺は警戒を解かなかった。
「翔太君。わたし、思ったんだけどね」
 体全体を震わせる程に冷たい声で梓は言った。
「翔太君が生きている限り、あの泥棒猫のようなメス猫がたくさん寄ってくるんだと思うの。だから、わたしがこの手で翔太君を殺してあげるから、一緒に行こうよ」
「待て梓っ!!」
 いきなり、鋸で素早く一線する梓の一撃を躱し、俺は間合いから離れた。その瞳は薄黒く濁っていた。心が壊れてしまった梓の瞳には俺はもう映っていない。あるのは本能に従って、俺を殺して、梓だけの水野翔太にするためだ。
「どうして、避けるの? 私の事を愛しているって言ったのに」
 甘えた口調で舌足らずの声で梓は鋸を構えた。相手の有利は揺るがない。
 武器も何にも持っていない俺が異常に強くなった梓に立ち向かうことはできない。と、梓は考えているだろう。
 甘い。
 ダテに俺が学校の問題児として扱われてはいない。何かをしようとすれば、危険な不良とも絡まれて喧嘩しなくちゃいけない。そのために俺は相手の予想もしない一打を用意している。

「今度は避けないでよっっ!!」
 さっきと比べものにならない、斬撃が神速のように襲いかかる。
 本来なら避けきれなかった一撃は金属音と共にあっさりと防がれた。
 背中から取り出した、鉄バットが夜の月の明かりと共に映し出されていた。
「鉄バットーー!?」
「カモン」

 梓の一撃を受けとめたのは、俺が愛用している鉄バットである。喧嘩が始まった途端に背中から隠してある鉄バットを取り出し、相手のどタマを叩き落とす。
 相手は俺を丸腰だと思って絡んでくるので油断してくれるのだ。
 他校の生徒ならすでに俺が鉄バットを使うことは必然的な事実として流れているが、喧嘩しているところを一度も目撃していない幼なじみの梓が知るはずもない。
「いい加減に目を覚ましなさいっっ!!」
 鉄バットの一撃が鋸を受け切れずに弾かれて放物線を描くように落ちて行く。
 元凶である鋸さえ梓の手から離れれば、正気に戻ってくれるはず。
「梓」
「翔太君。わたし、わたし、」
 梓が戸惑うようにオロオロしていた。先程の壊れた少女の面影はなく、俺の知っているいつもの風椿梓であった。

「もう、終わったんだよ」
 泣き崩れそうな梓をしっかりと抱き締めて、優しく頭をグシャグシャと撫でてやった。


 老婆が好む惨劇は惨劇の駒になる梓が正気に戻ったことで回避される。俺が自分の気持ちに正直になることでこれ以上の修羅場は起きるはずもない。
 今度は何があっても、他の女に心を揺らぐことはあるまい。ただ、梓が好きだという気持ちをいつまでも大切に想っていれば、惨劇など起きないのだ。
 過去・現在・未来を通して、惨劇は様々な可能性があり、未来は鮮血ENDに辿り着くために人生を生きていた。
 だが、これからは違う。
 惨劇は回避され、未だかつて体験したことがない未来へと俺は梓と共に歩んでゆく。

「さあ、帰ろうか」
「うん」

 二人は手を握って、どこまでもどこまでも進んで行く。
378煌く空、想いの果て ◆mxSuEoo52c :2006/06/24(土) 22:24:17 ID:aYY2BZYG
 後日談
「は〜い翔太君。あ〜ん」
「あ〜ん」
 学校の昼休みの教室でクラスメイトの男子から冷たい視線を浴びながら、
俺は梓が作った手作りお弁当をご馳走になっていた。梓は常に笑顔を絶やさずに箸におかずを摘む。
「本当にあんたたちのバカップルには呆れるわ」
「だって、私たちはラブラブな恋人同士だもん。お弁当を食べさせるのは女の子の必須でしょう。まあ、翔太君は夜の営みを頑張ってもらうけど」
 志織がからかうように言うが、梓は動じない。更に教室の温度が一度下がるぐらい冷たくなる一言で撃退しようとしている。
 これも梓と恋人同士になる前と変わらない日常である。

「ふふっ。昨日は激しかったよね」
 この一言が決定打になった。
 クラスメイトの男子たちがゾンビのように這いずりながら、俺の机の方に向かってこようとする。
 前は梓の手作りお弁当攻撃のおかげで逃れることができない。
 嫉妬の炎に燃やした男たちの餌食になりたくはない。
 さて、どうする?

 考えている最中に教室の扉が勢い良く開いた。
 見覚えがある人物が男子の背中を踏み潰してこちらにやってくる。
 男子生徒たちは快楽に満ちた表情を浮かべているが気にはしない。
「先輩。先輩。わたしはよく考えたんですけど、あの女の交際は先輩を限りなく不幸にするのでさっさと別れて、
わたしとまた付き合いましょう。その方が私たちのためです」
 別れたはずの猫乃が俺達の愛の巣に入り込み、梓に向かって宣戦布告を言い放つ。
「猫崎さん。あなたねぇっ!!」

「こんなクソ不味いお弁当よりも私の愛情を篭もったお弁当を食べてくださいっ!!」
「ムッ。わたしのお弁当だって、愛液こもってるもん」
 二人は鋸と政宗を取り出し、必死に決戦を行なっている。
 周囲のクラスメイトたちもお弁当を食べながら面白おかしくヤジを飛ばしながら観戦していた。
 山田はどっちが勝つか賭けようぜとテンションを上げて、黒板の前ではしゃいでいる。
 すでにこの二人の争いも日常的な光景となりつつある。
 さすがに最初の争いに刃物を取り出した時は皆ビビってしまっているが、毎日同じことを繰り返しているとさすがに耐性できてしまったようだ。

 二人の熱戦を見て、しみじみと思う。

 どっちもオッズ高いよな……。
379煌く空、想いの果て ◆mxSuEoo52c :2006/06/24(土) 22:28:18 ID:aYY2BZYG
 激しい争いの余熱も終わらないまま、昼休みのお弁当あ−んタイムは終了し、俺は梓に放課後屋上へ上がるように言われていたので、長々と階段を上っていた。
この階段を上っているとこの数週間に起きた出来事が走馬灯のように思い出される。
 梓が他の男とキスしていたと誤解したり、放課後のラブレターが入っていて、
指定した時間通りに行くと猫乃から告白を受けたりと。

それが原因で梓は修羅場や惨劇好きな老婆に鋸を強制的に手渡されて、心が狂ってしまったり。本当にいろんな事があった。
 屋上の扉を開けると、柔らかな風を受けて、長い清らかな黒髪が揺れている梓が静かに待っていた。
俺の姿を見付けると、嬉しそうにこっちに向ってくる。


「翔太君」
「こんなところに呼び出してなんだ?」
「私が狂っていた時に翔太君は私の事を愛しているって言ってくれたよね。あの言葉のおかげで私は正気に戻ることができたの」
「その事なら、もうとっくの昔にカタがついただろう」
「ううん。あの時の返事をまだ私はしてないから」

 すでに恋人同士であると俺は思っていたが、よくよく思い返してみるとまともに向き合って交際を申し込んだわけでもなかった。
 梓に向かって、愛していると叫んだのはあの時だけ。それから、惰性のまま元の幼なじみの日々を過ごしていたように思う。

「本当の事を白状すると、私はとても嫉妬深いの。
翔太君が他の女の子が楽しそうに話しているだけで胸が苦しくなるんだよ。
想いを伝えていない私が勝手に嫉妬しているだけなのに、悲しくて泣きそうになった」

 梓が嫉妬深いのは長い付き合いの俺が良く知っている。その限度は今回の出来事で再認識した。
 俺には梓が。梓には俺がいないとダメだってことが。


「だから、猫崎さんと翔太君と付き合っていると知った時。本当にわたしの世界が音を立てて崩れてしまいそうだった。
毎日、布団の中で泣いて、あなただけの事を想っていた。もう、あんな想いはしたくないから。


 私こと、風椿梓は翔太君の事をずっとずっと好きでした。愛してます。
 だから、私と付き合ってください」


 顔を首から真っ赤にして、梓は真摯な想いを解き放つ。
 その想いは俺の胸の奥深くに突き刺さっていた。

「俺も梓の事を愛している。だから、正式に交際を申し込みます」
「はい、申し込まれます。ただし、一つだけ条件があります」
「条件?」
 柔らかな風が吹いた。梓は頬を染めて笑顔を言った。


「私以外の女の子にあんまり優しくしないでね」


「あ、ああ。わかった」
「じゃあ、帰りましょう」

 梓は俺の腕を強引に組んで、必要以上にくっついた。柔らかな体温の感触に感動しながら、
 俺達は思い出の屋上を後にした。
380煌く空、想いの果て ◆mxSuEoo52c :2006/06/24(土) 22:28:55 ID:aYY2BZYG
 想いの果ては一体どこにあるかわからない。
 ただ、この温もりがある限り人は互いを信じて支え合ってゆく。
 臆病な俺達に宿る絆の証は過去から未来へと続く平凡な日常。
 傍にいるのは、永遠に大切な人。
 この想いは悠久なる時を越え、煌めく空に刻まれる。






 煌めく空、想いの果て 水野翔太END


 END 変わる日常
381名無しさん@ピンキー:2006/06/24(土) 22:35:29 ID:U647PSvc
>>380
GJ!!
382トライデント ◆mxSuEoo52c :2006/06/24(土) 22:38:05 ID:aYY2BZYG
というわけで、今回で最終回となります。
今まで読んでくださった方、本当にありがとうございました
ご声援の一つ一つが力になりました。

最初は主人公が幼馴染に彼氏がいるという誤解から始まる物語と思い浮かべたまでは良かったのですが
ひぐらしのようなスクールデイズみたいな惨劇モノにしないとこのスレに合わないかもと思って
惨劇モノになってしまいましたが、最後は主人公の行動の一つで
運命の螺旋から外れたのようなわけわからないオチにおさまってしまったww
物語構成がグダグダでスマソ

さて、このスレでは姉妹ネタがブームになっているようですが
私も姉妹ネタで修羅場SSを書きたいような気も・・
しかし、同じようなネタがあってもな・・。


というわけでまたネタを思いついたらまた会いましょうww
383名無しさん@ピンキー:2006/06/24(土) 22:54:52 ID:BogeU43N
ずっと・・・ ずっと待ってるから。
・・・早く帰ってきてね。
384名無しさん@ピンキー:2006/06/24(土) 23:04:17 ID:6QvIm0AF
>惨劇モノにしないとこのスレに合わないかもと思って
そんなことはないよ、と声を大にして言いたい
ともあれお疲れ様
385義姉 第20回 ◆AuUbGwIC0s :2006/06/24(土) 23:08:46 ID:eq7MFuiz
        *        *        *
『士郎』

 抱き枕――オレは抱き枕だ。密着している暖かく柔らかい感触を振り切るように、自己暗示にかけるように心の中で呟く。
 抱き枕抱き枕。心の中でいくら呟いても背後から自分を抱きしめている存在が消える訳でもなければ頭の隅へと行き緩やかな睡眠の時間に遷る訳でもない。
 姉弟――血の繋がりはないが、この歳でこの様なスキンシップは不自然じゃないのか。
でも、自分はついこの間から、この様に抱きしめて欲しかった。
「ねえ――私の事好き?」
 耳元で囁かれた言葉が体の芯に走った。以前なら茶目っけのある姉の事だ、落ち着けば脅かせて人を困らせたいぐらいに思っただろう。でも弟と姉としてではなく男と女としての関係を持ってしまった。
「……嫌いじゃない」
 大きく間を置いて出たのはそんな言葉だった。
 嫌いじゃない――今まで何度もケンカしたりして煩わしいと思った事は一度や二度ではない。最近になって改めて感じた。傍にいて何でもない時間を一緒に過ごしていたい。
「私は『好きか』そうでないか聞いているんだけど」耳元でまたも囁く。「そういうのはハッキリ言うのもの」

 抱きしめていた腕は離れたかと思うとパジャマの中に手が進入してくる。手がゆっくりとオレの腹で円を書き始める。
 この手の動きを知っている。一緒に寝た時何度もされた――無論子供の頃のじゃれ合いではなく、愛撫として――
 姉の手が中指を残して腹から離れる。ゆっくりと中指は体の中心を昇り胸の辺りで再び円をかき始める。
 ここから何が始まるかは知っている。でもやっちゃいけない。
「エッチの時に気持ちよくなる為に一番大事な事って何か知っている?」耳元に息を吹きかけながら姉の手はゆっくりと円をかきながら下へ下へと下っていく。
「あ、相手を……大事に、すること」
 シーツをきつく握り締め全身を固め、その言葉をようやく搾り出した時には手は下腹部を過ぎ優しく玉袋を愛撫し始めていた。
「やりたいと思う事やる事――」
 腰を動かしたい。豊満な胸を貪りたい。中へと突き入れたい。
 やっちゃいけない、とめなきゃいけない。頭はやめろいっても体の昂りがそれを許してくれない。
 姉の遊んでいたもう一方の手がパンツの中に忍び込み、本来外から何かが進入しない菊門へと指が進入していた。
「ひゃっ?」体が震え思わず声が漏れていた。
「ふーん、やっぱりね」耳を甘噛みしていた口が離れた「何かやりたいことある?」
「……い、いや別に」
 こんな言葉無意味に決まっている。また以前のように流されるままやってしまうに違いない。今昂っているものを姉が沈めてくれる。全部叩きつけられる。
 パンツの中から手が抜き取れる――次は何が来る。期待が高まる。
 しかし姉の手は自分を再び抱き枕の様に抱きしめただけだった。
「――じゃ、お休み」
「あ……おやすみ」
 やりたい。全身が昂っている。今すぐそこに全身が要求してやまない体がある。
 姉ちゃんの行為は終ったというのに頭に上った血が戻ろうとしない。目を閉じれば乱れていた姉ちゃんの裸体しか浮かんでこない。
 自分で処理しようにも姉ちゃんが背後に張り付いている状況下でできるわけがない。
 眠れそうもない――
386義姉 第20回 ◆AuUbGwIC0s :2006/06/24(土) 23:09:54 ID:eq7MFuiz



 目覚めた――という事は少しは寝れたらしい。全然寝た気はしないが。
 時計を見ればいつもより少し遅い。今朝はもうトーストとハムエッグにしよう。そう考えながら布団から抜け出していた。

 台所へ入るなり味噌汁の匂いがした。あれ、母さん帰って来ていたのか。
「おはよう」
 エプロン姿の姉ちゃんが朝の挨拶をした。
「あ……おはよう」
 冷蔵庫から牛乳を取り出し、マグカップに注ぐ。電子レンジにセットする。電子レンジの中の回転をするマグカップを眺めているとカツオ出汁の匂いが鼻腔をつつく
――味噌汁はカツオ出汁じゃなくてイリコ出汁だと思うんだけどな。少なくとも母さんはずっとイリコ出汁だった。他の家ではどうなんだろう、そういえばそんな事誰かに聞いた事なかった。
 鼻歌混じりにまな板を叩く音がする――何か妙な違和感を感じて仕方がない。
 姉ちゃんは別に料理が出来ないなんて事はない。まあ人並みだと思う。面倒という理由でオにやらせている。
 ああ、確か中学の時もこんな感じで母さんと一緒に料理していた様な――
 とりあえず今は前を見ろとレンジが電子音を鳴らしていた。
387義姉 第20回 ◆AuUbGwIC0s :2006/06/24(土) 23:14:47 ID:eq7MFuiz
モカさん一回休み

<チラシの裏>
買おうかどうか迷っていた
サマイズのパッチ祭りを見ていると
残業時間300超過の業界に居た頃にPGがいくら頑張ってスケジュール通り進めても
デザイナーさんが頑張って遅れてくれていたのを思い出して仕方がない。
そしてエロ系出身の方が最後に休みをもらったのは300日前という話を聞いて、
自分のいるところはまだマシなのかと思ったあの頃。
</チラシの裏>
388アビス  ◆1nYO.dfrdM :2006/06/24(土) 23:39:01 ID:2NYaWlOV
投下します
389姉妹日記 8話  ◆1nYO.dfrdM :2006/06/24(土) 23:39:48 ID:2NYaWlOV
 翌日僕は放課後秋乃さんから呼び出された
「どうしたの?」
 風で揺らめく髪を抑えながら秋乃さんは僕に告白したときと同じように一大決心の顔した
「あのね、ご姉妹って・・・・いつも涼さんにベタベタなのかな?」
 へ?なに・・・・あまりに簡単な質問に僕はアホみたいに口を開いてぽかんとしてしまった
 ようやく平静さを取り戻して彼女の質問のことを考えてみる
 ベタベタ・・・・かな?最近は・・・・
 夏姉ちゃんは朝ちゃんと起きるようになった・・・・
 問題なのは朝起きてすぐに目に入るのは夏姉ちゃんの顔
 つまり朝起きて僕の布団にもぐりこんで寝顔をみているらしい・・・・
 冬香は・・・・前に風呂に入ってるとき乱入してきたな・・・・
 背中流してあげる・・・・なんて
 それと毎日交互に学校の校門の前で僕を待っている夏姉ちゃんと冬香
 あれ?ダメじゃん・・・・まえより悪化してるじゃん!
 今頃になって僕はそんな風に思えた
 あ、はは・・・・僕って鈍すぎ
「そうかもね・・・・二人とも年頃なんだし、僕にくっ付いてばかりだと彼氏も・・・・」
「ほんとにそう想ってるんですね!」
 ずんずんと僕に迫って白熱する秋乃さん
「あのね、私の親戚の経営するマンションで一人暮らししてる気ない?」
 パンフレットのようなものを取り出して僕に見せてくれる秋乃さん
 結構広いな・・・・それに窓の向こうの景色も申し分ない
 でも・・・・
「無理だよ・・・・一人暮らしなんて・・・・お金とか掛かるし」
 彼女はそれを聞いてニパっと笑んで僕の手と自分の手を重ねた
「お姉さん方も・・・・そろそろ、兄離れ弟離れした方がいいと思うんです、お二人のことを想っているなら・・・・今がそのときなんです」
 そうだ、いくら二人が僕とずっと一緒に居たいと思っていても僕たちは兄弟なんだ
 いつかそれぞれ伴侶をみつけて離れ離れにならなきゃならない
 僕も、秋乃さんと出逢ったんだ・・・・この先この先なんて言ってられない
 絶対的な信頼を僕に寄せてくれる秋乃さんの為
 そして僕と夏姉ちゃんと冬香のため
 将来のことも考えて決心しなくちゃならない
 でも・・・・
「僕もそうしたいよ、でも・・・・お金」
 一人暮らしなんてできるほど僕に蓄えはない
 それに・・・・バイトしようにもこの学校はバイト禁止なのでできない
「お金の心配なら無用ですよ・・・・私が」
「それはできないよ」
 親しき仲にも礼儀あり
 僕の信念だ、そ僕は小さい頃からずっと破らずにいた誓だ
390名無しさん@ピンキー:2006/06/24(土) 23:40:14 ID:6QvIm0AF
アレは業界の問題ではなくOverflowの問題
そんなことよりGJ
391姉妹日記 8話  ◆1nYO.dfrdM :2006/06/24(土) 23:41:31 ID:2NYaWlOV
「お金の心配ならいりませんですよ!」
 彼女は少し口調を変にしながら僕に必死で訴えかけた
「でもね、それは出来ないよ・・・・」
「なら、私も・・・・なら良いんですね?」
 へ?私も・・・・それって
「同棲ってこと?」
 彼女は顔を真っ赤にしうつむけ僕の手に指を這わせてもじもじしだした
 でもそれって・・・・僕ヒモじゃん!
「両親の許可はとってあります」
 そこまで進めていたのか・・・・僕を想ってしてくれてるにしてはあまりに必死だ
 なんか理由があるのかな?
 いけない、いけない・・・・前に友達が言ってた
 長続きのコツは信じる事だって
 相手を信じていれば自然と相手も自分を信じてくれる
 僕は変に納得させられた言葉を思い返した
 そうだよ、彼女は僕の恋人信じてあげなきゃ疑ったりなんてしちゃダメだ
「でも、それじゃあ・・・・」
「なら、将来会社に就職したら二人ですこしずつ返しましょ?」
 あれ?それって結婚も前提ですよね、秋乃さん?
「私の将来の旦那さまなんですから・・・・と、いうことは私の両親はあなたの両親も同じですよ」
 そ、そうなのかな?なんか矛盾しているような気がする
 以前の僕なら結婚を意識させられるとたじろいでいただろうけど今はそんなことはなかった
 日に日に僕の彼女への気持ちは大きくなっている
「涼さんは少し人に甘えてもいいと思いますよ?好意は受けていつか返せばいいんですよ」
 いい機会なのかもしれない
 僕も二人から離れて見てみたい
 自分がどこまでできるのかを
「わかったよ、秋乃さんがそこまで言うのなら」
「やった〜♪」
 飛び跳ねて喜ぶ秋乃さん
 僕は無邪気に跳ねる彼女に魅せられていた
392姉妹日記 8話  ◆1nYO.dfrdM :2006/06/24(土) 23:42:33 ID:2NYaWlOV
「すっげ〜」
 再びポカンとしてしまった
 あの後彼女と一緒に下見でマンションまで来てみた
 まずその大きさに驚かされてしまった
「はやく、はやく〜」
 喜び今にもスキップしそうな勢いの秋乃さんが僕の手を引く
「秋乃、その子が噂の彼氏?」
 後ろから掛けられた声に僕は先ほどとは別の意味で驚いた
 一緒だ・・・・秋乃さんの声の生き写しだった
 振り返るとそこには秋乃さんがもう一人いた
 でも、少し違う
 秋乃さんの髪は肩くらいまででストレート
 でも、その子は腰まで長く少しウェーブが掛かっている
「あれ〜驚いてる?もしかして言ってないの?秋乃?」
「あ、いっけない・・・・まだだった」
 状況の理解できない僕に秋乃さんが慌てて頭を下げた
「この子は私の双子の妹の春乃です♪」
 双子?双子?えぇぇーーーーー!
「うっそ〜ん」
 驚く僕を見て春乃さんはくすくすと笑んだ
「そっか、そっか・・・・とうとう告白したのよね〜、中三のときからいきなり女の子らしくなったと思ったけど・・・・これはそうでもしたくなるわね」
 どうやら秋乃さんから僕のことは聞いてるらしい
 当たり前か・・・・でも、初耳だよ・・・・
 そうでもないか、まだ中学の頃兄弟がいるって言ってたもんな
 遅いよ、今頃思い出すなんて・・・・僕の記憶って案外単純にできてるのかも
「春乃ちゃんそれは・・・・その言わない約束でしょ?」
「あ、いけない・・・・・でもいいじゃん、こんな素敵な彼氏GETできたんだから」
 品定めするかのように僕の全身に視線を這わせて春乃さんはにっこりと笑んだ
「して、どうだったの私の姉の・・・・お・あ・じ・は?」
 ぶ・・・・・・
「春乃!」
「きゃ〜怒らないで〜ただのひがみよ〜羨ましいの〜素敵な彼氏が居て〜」
393アビス  ◆1nYO.dfrdM :2006/06/24(土) 23:48:29 ID:2NYaWlOV
どの作品でも長かったり短かったりしてすいません
区切りごとにと思っているので・・・・こんな形になっています

夏冬秋と来たのでオリジナルの春乃さん登場です
やっぱ春夏秋冬にしなかきゃね・・・・あんまり深く考えずに春乃さんが生まれました
この先春乃が涼ちゃん争奪戦に名乗りを上げるかは未定です

明日か明後日に続きを投下します
次は・・・・夏冬の回です
394 ◆xvhaSPKbVw :2006/06/24(土) 23:50:59 ID:P/oIFBhT
流れも展開も無視して投下しちゃいます
395名無しさん@ピンキー:2006/06/24(土) 23:54:19 ID:elTz/0p8
>>394
やれ!やるんだジョー!!
396名無しさん@ピンキー:2006/06/25(日) 00:15:58 ID:WukRTrup
で、結局投下するのかしないのか
397スクールサバイバル1 ◆xvhaSPKbVw :2006/06/25(日) 00:17:37 ID:MTXbKJa7
薄暗い闇、張り詰めた空気。
昼間の喧騒は嘘のように掻き消え、今はただ人を拒むかのような静寂が広がる校舎。
その中を、たった数人の仲間と共に、慎重に、気配を殺して進む。
「こちらウルフリーダ、各自応答せよ」
『こちらはウルフ2、周囲に敵影無し』
『こちらウルフ3、特別校舎内視聴覚室クリア』
トランシーバーからの応答に、ほっと胸を撫で下ろす。
たった12人の仲間は、依然として健在…まて、ウルフ4からの連絡が無いぞ。
「ウルフ4、応答しろウルフ4!……おい前崎っ?」
『――――ザザ―――…はぁ〜い、ご機嫌いかがかしらダーリン?』
「―――ッ!?」
一瞬の雑音の後に聞こえた女の声に、声にならない言葉。
「その声…品川かッ」
『あん、苗字で呼ぶなんてつれないんだから…でもそんな所も好きよ、和佐田君♪』
通信機の向こうから聞こえる声は、からかいと妖艶が混じった声で俺の名を呼ぶ。
なんて事だ、開始からまだ10分なのに、既にウルフ4…前田・来嶋・長谷の三名が殺られたのかッ
『待っててね、直に邪魔な雌猫と、雄犬達を駆除して…貴方を手に入れて見せるわ…うふふふふ…』
その通信を最後に、ウルフ4への通信は途絶えた。
恐らく通信機を捨てたのだろう、壊してないだろうな、借り物だぞこれ。
「どうするよ和磨、敵さん既に俺達の真下だぜ?」
仲間の松田の言葉にマスクの下で顔を歪める。
俺達が現在居るのは本校舎の二階。三階にはウルフ2、隣接する特別校舎一階にウルフ3。
ウルフ4には一階の制圧と体育館への通路の封鎖を命じていたが…予想以上に敵の進軍が早い。
このままでは前方と後方からの挟み撃ちにされるな…。
「総員、後方に注意しつつ前進、ウルフ2と合流した後、屋上から特別校舎へと移動するぞッ」
「「「了解っ!」」」
頼れるクラスメイトの声に、俺は手に持ったM4SーSystemのグリップを握り直した。
敵は足が速い、恐らく突撃装備のD組B部隊だ。品川がリーダーを務めているのだから間違いない。
まさか日野や牧原が前に来るとは考えられない。
C組の動きが気になるが、うだうだ言っていて撃たれたら洒落にもならない。
「階段前クリア、敵影無し」
「後方、敵影視認できず」
「松田はそのまま後方警戒、安部、援護しろ」
「了解!」
銃を構え、暗い階段を身を屈めたまま上り始める。
安部は俺の後方から銃を構えて追走し、階段下は浦河が見張っている。
仲間であるウルフ2が居るのは三階の西階段前のはず。
今俺達が居るのは二階中央階段。もし敵が東階段から攻めていたらウルフ2と合流する前に接敵する事になる。

緊張感から流れ出る冷や汗を拭いつつ、なんでこうなったのかと思い返してみた……
398名無しさん@ピンキー:2006/06/25(日) 00:47:16 ID:et+2kppO
>>380
GJ!

猫乃たんハッピーENDも・・・
399スクールサバイバル2 ◆xvhaSPKbVw :2006/06/25(日) 00:48:04 ID:eErKtpmv
事の始まりは、LHRの教師の一言からだった。

「あ〜、学園祭での出し物なんだがなぁ…カブッた、変えろ」

面倒とちょっとだけのすまなそうな顔の担任、早瀬ひよりの言葉に、クラスメイト、特に女子が大ブーイング。
うちの学園、私立青城学園はちょっと前まで女子学園だった所。
よって全校生徒の数は圧倒的に女子が多く、俺のクラスも男子は7名。
隣のクラスの男子を含めても13名と少ない。
まぁ、元々募集人数が15人で、しかも二人辞めたしな。
二年にはクラスが4クラス存在し、A組とB組は福祉や介護専攻のクラス。
C組、俺達D組は普通コースだ。
「いったいどこのクラスとカブッたんですか、喫茶店!」
クラスの委員長こと前園 亜樹が机を叩きつつ立ち上がる。
委員長と言えば三つ編眼鏡だろうが、残念ながら前園はショートヘアーだ。
「あははは………C組」
その一言に、クラスメイト達から殺意が溢れ出す。
そう、うちのクラスと隣のC組は、仲がものごっつい悪いのだ。
正し、それは女子限定。男子は広い学園内で肩身の狭い男同士助け合って生活している。
「それで何故うちのクラスが変更せねばならないのです、先生?」
凛とした雰囲気のロングヘアー少女、波瀬 昴が仮にも担任の教師を睨みながら問いただす。
流石弓道部、視線だけで鳥も落とせそうだ。いや、弓道関係ないか。
「いや、だって書類提出したの向こうが先だしなぁ…あ、あと向こうさんからの要請で喫茶店のウェイターとして和佐田を借りるとも言って――」

「なんですってぇぇぇぇぇっ!?!?」×23

吼えた。クラスメイト、全23人の女子が吼えた。
その声は俺の鼓膜を揺さ振り、窓ガラスを振動させる…あ、ちょっとヒビが…。
「ま、松田、確りしろ松田っ!」
「うぅ、どこだ浦河、聞こえない、お前の声が聞こえないぞ…」
「くぅ、お前、もう耳が…」
なんか松田と河浦が寸劇始めたけど女子は誰一人として見ちゃいない、哀れな。
400スクールサバイバル3 ◆xvhaSPKbVw :2006/06/25(日) 00:48:40 ID:eErKtpmv
「あの雌猫どもめ、大義名分(?)をもって和佐田君を奪うつもりねっ」
「自分達のクラスの男子が情けないからって、私の和磨君を奪うなんて許せないっ」
「って何時からアンタのモノになったのよ、和佐田はアタシのなんだからなっ」
「ちょっと皆、勝手なこと言わないで。彼は私と結婚するのよ?」
「「「「アンタが一番勝手だろっ!!」」」」
「兎に角、このままだとC組に和佐田くんが奪われちゃう、いいえ、それだけに終わらず、あんなことや、そんなこと、あまつさえそこまで!?な事をされちゃうわ!」
「いやそれ、美佳がやりたいことじゃないの?」
「他の男子なら兎も角、彼だけは譲れないわ」
「そうね、他の男子なら死んでもどうでもいいけど、和磨だけは譲れないわ」

教室の中央に寄り集まって、なにやら話し合いを始める女子一同。
洩れてくる単語があまりにも物騒で怖いのですが。
「いやぁ、モテる男は辛いですなぁ」
「松田、いつ回復した。と言うか殺すぞお前」
「でも、和磨君モテるからねぇ…過激な女性に」
安部の言葉に何も言い返せない。
そう、何故か、何故か俺は…過激思考な女性に受けが良いらしい。
今まではまったく女性に縁が無かったが、この学園に入学して全てが変わった。
一癖も二癖もある女性ばかりのC組女子とD組女子。
二つのクラスが何故か俺を取り合い、事あるごとに争いを始める。
最近の事だと、俺と一緒にカラオケ行く為に何故か腕相撲大会が開かれた。
勝者5名とカラオケに行ったが、部屋の外、扉の窓から覗く無数の女子の姿に歌うどころじゃなかった。
色々な意味で怖かったから。

「こうなったら全面戦争よ、塵は塵に、あの雌猫どもに豚のような悲鳴を上げさせるのよっ!!」
『おお〜〜っ!!』×22

え〜、何やらまた騒動が起きるようで…この先の展開を考えると頭痛いよマジで…。
「「「「「「モテる男は辛いねぇ…羨ましくないけど」」」」」」
美人揃いの二クラス。でも変人は勘弁らしい男子クラスメイト達の言葉にちょっぴり殺意覚えたLHRだった。
401名無しさん@ピンキー:2006/06/25(日) 00:57:50 ID:RX4eCyN7
超大人数での修羅場作品キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━!!!!!

>>393
姉妹×2の修羅場クルワァ*・゜゚・*:.。..。.:*・゜(n‘∀‘)η゚・*:.。..。.:*・゜゚・* !!!!!
そしていきなり同棲突入か!?今後の展開にますますwktkして期待
402390:2006/06/25(日) 01:03:36 ID:npfyPNYK
さっきは割り込んじゃって失礼しました。許して
皆さんGJです
403血塗れ竜と食人姫 ◆gPbPvQ478E :2006/06/25(日) 01:07:11 ID:OCsnf/Eb
投下します。
スクールサバイバル、途中だったらすみません
404血塗れ竜と食人姫 ◆gPbPvQ478E :2006/06/25(日) 01:08:02 ID:OCsnf/Eb

『それでは、本日の大目玉の片側!
 怪物妹 対 食人姫
 を、開始させて頂きます!』
 
『まずは東より、今は伝説のみ伝え聞く、イナヴァ村から送り込まれた対人兵器!
 ――怪物妹、セツノ・ヒトヒラッ!!!』
 
『前回の試合で、皆様度肝を抜かれたことかと存じます!
 今宵も我々に猟奇を見せてくれるのか!?
 異色少女改め、――食人姫、アトリッッッ!!!』
 
 
 う お お お お お お お お ! ! !
 
 
 歓声で空気がびりびりと震えている。
 しかし、闘技場の中心に立つ二人の少女は、欠片も動揺を覗かせずに、ただ相手のみを見据えていた。
 
 怪物妹――セツノは黒装束に身を包み、長い黒髪を首の後ろで無造作に括っていた。
 彼女本来の装備は、肌を露出させることのない完全黒ずくめだが、
 今回は主催の要望により、腕や足などを露出させた軽装となっている。
 闘技場は原則として素手のみなので、手甲や暗器の類は全て没収されていた。
 いつもとは違う戦闘着。しかし、その表情に恐れや不安は見当たらない。
 
 食人姫――アトリは、女囚のスタンダードでもある白シャツに、厚手の布のズボンである。
 帝国民に持ち得ない亜麻色の髪が、白い服と合っている。
 首もとで揃えられた短髪と、手入れされた眉や爪は、今日この日のために整えたもの。
 ぺろりと舌なめずりをして、相手の“食べやすそうな”部位を見定める。
 
 ――この試合に勝てば、姉と共に生きる道へ進める。
 
 ――この試合に勝てば、欲しいものが手に入る。
 
 
 そして。
 司会の口上も終わり。
 試合が、始まった。
 
 
 
405血塗れ竜と食人姫 ◆gPbPvQ478E :2006/06/25(日) 01:08:45 ID:OCsnf/Eb
 
 
 先に動いたのはアトリだった。
 彼女の戦い方はひとつしかない。
 相手の体のどこかを噛み千切る。それだけだ。
 故に、相手に飛びかかり、押さえ込んで動きを封じた上で噛み付くのが得策である。
 駆け出しの速度は、少女のそれとは思えない、素早いものだった。
 
 しかし。
 
 セツノは全く動じることなく、腰を落として足払い。
「――あれ?」
 すぱん、と乾いた音が響き、アトリの体は宙に浮く。
 刹那。
 
 目にもとまらぬ速度でセツノは回り込み、
 鉄槌――握り拳の小指側を、豪快にアトリの後頭部に叩き込んだ。
 
「――ぎゃっ!?」
 悲鳴を上げ、アトリが地面に叩き付けられた。
 ばふ、と砂煙が舞い上がり――セツノは即座に跳び退いた。
 同時に、がちん、と足のあった場所でアトリが歯を合わせていた。
 
 
 優れた対術を見せたセツノと、
 強撃を喰らったにもかかわらず反撃してみせたアトリ。
 
 二人の攻防に、会場が沸いた。
 
 
 
(……とにかく、顔面への攻撃は避けなきゃ駄目だ)
 間合いを維持しながら、セツノは頭の中で戦略を再確認。
 以前、背後から不意打ちした際――こちらの攻撃を事前に察知したわけでもないのに、相手はあっさり手甲を囓った。
 どんなに速い攻撃でも、口の近くへ放たれた場合は、苦もなく食い千切ってみせるのだろう。
 ――故に、手足や背面を攻撃するのが得策だろう。
 
(……背後に回って関節を極め、四肢を破壊した後に転がして頸椎を砕く、が最善かな)

406血塗れ竜と食人姫 ◆gPbPvQ478E :2006/06/25(日) 01:09:20 ID:OCsnf/Eb

 食人姫の体捌きのレベルは、大体把握できた。
 何でも噛み砕く咬合力こそ厄介だが、それさえ気を付ければ、他に怖い所などない。
 動きも素人そのもので、技術性など欠片もない。
 身体能力に頼り切った稚拙な戦い方。
 これなら――負ける方が難しい。
 
「このっ!」
 
 再び飛びかかってくる食人姫。
 それをギリギリまで引きつけてから、半身になって綺麗に避ける。
 背後を取った。
 首を180°回転できる人間が相手でなければ、噛み付かれることなど有り得ない位置。
 右の二の腕を掴み、相手の突進の勢いを利用して、そのまま地面に押し倒す。
 ――まずは右腕。
 肩と肘を固定して、普段力を加えられることのない方向へねじ曲げる。
 
 
(……あれ?)
 
 
 違和感。
 そしてそれは、すぐに確信へと変わる。
 
 
(――お、折れない!?)
 
 
 まるで、鋼の棒を捻ろうとしているかの如く。
 どんなに力を込めても、折れるどころか軋む気配すら、なかった。
 ならば――と即座に思考を切り替え、関節を外そうと持ち手を変えようとしたところで、
 
「……んっ!」
 
 絶妙なタイミングで、食人姫が体を跳ね上げた。
「くっ!?」
 そのまま跳ね飛ばされることはなかったが、衝撃で――極めていた手が外れてしまった。
 
 がりっ。
407名無しさん@ピンキー:2006/06/25(日) 01:09:44 ID:Sgckxpn+
>>393
こうやって監禁生活に突入するとw
春乃登場によりこれで姉妹タッグができますね。

あとは、少し誤字脱字が多い気がします。
えらそうなこと言ってすいません。

作者さんGJでした
408血塗れ竜と食人姫 ◆gPbPvQ478E :2006/06/25(日) 01:09:59 ID:OCsnf/Eb

「――ッ!?」
 セツノは歯を食いしばった。
 激痛が脳を白く染める。
 しかし何とか動きは止めずに、そのまま背後へと跳び退いた。
 
 見ると、手首が半分ほど囓り取られている。
 赤い肉と白い骨の断面が、自分のものだと認識するのに数秒かかった。
 ――痛い。
 でも、今はそれに気を取られている場合ではない。
 こいつ……関節技が、効かない?
 いや、問題はそれほど単純ではない。
 思い返せ。
 試合が始まった直後、後頭部にいいのを一撃叩き込んだのに――平然としていた。
 立ち上がるのにはしばし時間を要していたが、頭蓋骨が割れてもおかしくない一撃を受けて、血の一筋すら見当たらない。
 
 まさか――
 
 
 
 
 
「……ふむ」
 かりこりと怪物妹の骨を噛みながら、アトリはこれからどうしようか考える。
 まあ、最終的には捕まえて食べるのだが、それまでが少々難しそうである。
 何せ、動きがとんでもなく、速い。
 今、手首を囓れたのも、相手がこちらの関節破壊に失敗した隙をつけたからだ。
 普通に追っかけても、捕まえるのは難しいだろう。
 左手首が壊れたことで、動きが鈍ってくれればいいのだが――
 
 しかし、怪物妹は動じることなく、今度は向こうから攻めてきた。
 
(……うわ!? 速すぎっ!)
 動きを目で捉えることができない。
 あっという間に見失い――次の瞬間、お腹にどでかい衝撃が来た。
 どーん、とあっさり吹っ飛ばされる。
 どさり、ごろごろ、と会場の端の方まで吹っ飛ばされた。
“普通の人間”なら、内臓破裂確定の強烈な蹴りだった。
 
 でも――何事もなかったかのように立ち上がる。

409血塗れ竜と食人姫 ◆gPbPvQ478E :2006/06/25(日) 01:10:40 ID:OCsnf/Eb

 あはは、驚いてる驚いてる。
 
 今の一撃を受けて、どうして平然としていられるのか。
 まあ、理由は至ってシンプル。
 
 
 ――私は、とても“壊れにくい”身体なのだ。
 
 
 人間や獣の打撃程度では傷ひとつ付かない。
 刃物なら肉をある程度切れるが、骨で確実に止まってしまう。
 大砲の直撃を受けたとしても、耐えきる自信が、ある。
 
 対衝撃に優れた筋繊維と、鋼鉄以上の頑強さを誇る骨格。
 
 これが、自分の今の身体。
 咬合力は確かに異常なまでに育てられているが――それを満足に扱えるのは、頑丈な身体があるからだ。
 弱点はあるにはあるが――いちいち思い返す必要はないだろう。
 嫌なことまで、思い出しちゃうし。
 
 さて。
 相手が、こちらの異常さに気付いたところで。
 とどめを刺しに、行きますか。
 
 ――普通の敵なら、攻撃が効かないと悟った時点で逃げてしまうのだが、
 ここは闘技場なので、相手は向かってくるしかない。
 逃げられても追う俊足がないので、アトリとしては、この闘技場ほど“勝ちやすい”場所はない。
 確実に勝ちたいのであれば、相手に好きなだけ攻めさせて、疲れたところをガブリ、だが。
 
 この試合に勝てば、ユウキさんが手に入るのだから。
 
 できるだけ、景気よく、決めておきたいところである。
 だから、私は再び飛びかかる。
 頑強な肉体は、防御に優れているだけではない。
 相手の攻撃を、わざと刃向かう形で受けてやり、逆に相手を壊すことだって可能なのだ。
 
 がつん、と胸に一撃喰らう。
 しかし、肋骨に阻まれて、相手の右拳から嫌な音が響いた。
 けほけほと咳き込みながらも、にやりと笑って見せた。
 
 ……って、あれ?
 怪物妹は痛みに表情を歪めることなく、
 少し離れたところで、何やら考え込んでいた。
 
 
410血塗れ竜と食人姫 ◆gPbPvQ478E :2006/06/25(日) 01:11:11 ID:OCsnf/Eb
 
 
 
 
 食人姫が、咳き込んだ
 ――この意味を、よく考えろ。
 渾身の打撃を放っても、逆に私の右拳が破壊された。
 どうやら骨の強度が異常に高いみたいだ。
 それは事実として受け止めるしかない。でも、諦めるにはまだ早い。
 効かないはずの攻撃を受けて、どうして食人姫は咳き込んだ?
 
 確認するため、再び打って出た。
 手首からの出血が酷い。できるだけ手早く済ませなければ。
 2歩で間合いを詰め、相手が反応しないうちに、鳩尾につま先を叩き込む。
 鉄を蹴るつもりで、自分の足が壊れないように威力を弱めて。
 
 するとどうだろう。
 食人姫は、動きを微かに、止めたではないか。
 
(外側は強くても――内側は、それほどでも、ない!)
 
 無論、常人よりは頑丈だろう。
 先程の蹴りでも、内臓破裂することなく、平然と立ち上がっていた。
 しかし、今の鳩尾への一撃は、呼吸機能を一瞬麻痺させる程度には効いていた。
 先程の胸への一撃も、肺へ衝撃が通っていたのだろう。
 壊すことはできなくても、やり方次第によっては、効く。
 
 ――最初にあったときの、不意打ちの一撃。
 こめかみを殴られた食人姫は。
 
 しばらく、立つのも覚束なかった。
 あれは、脳が揺れていたからだ。
 
 それだけわかれば充分だった。
 左手からは著しい出血。
 右拳はヒビが入ってしまった模様。
 ――でも、いける。

411血塗れ竜と食人姫 ◆gPbPvQ478E :2006/06/25(日) 01:11:46 ID:OCsnf/Eb

 痛みを無理矢理意識の外に追いやって、食人姫に飛びかかる。
 今度は真っ正面から。
 顎に向かって、左手を全力で突き出した。
 
「――はぐっ!?」
 
 それにそのまま、齧り付いてきた。
 左拳が、半分ほど食われてしまった。
 打撃も、顔の正面へのものだから、それほど効いた様子はない。
 ――これでいい。
 左手の先っぽは、くれてやる。
 でも――
 
 食人姫がこちらの拳を食い千切り、口を完全に閉じた瞬間。
 
 そのままの勢いで、肘を顎先に、引っかけた。
 こつん、と肘先に軽い感触。
 これで、充分だった。
 
「――あれ?」
 
 再び噛み付こうとしていた食人姫が、
 その場に膝を、付いていた。
 
 
 
 
 
 足から、唐突に力が抜けた。
 やばい。脳を揺らされてしまった。
 上半身はそれなりに動くが――如何せん、足が動かないとなると、相手の攻撃を受け放題に、
 
 がつん、ごつん、と殴られた。
 
 打撃は全て、頭部へのもの。
 まず後頭部に。そして流れるような追撃をこめかみに。
 視界が面白いように回っている。
 吐き気もしてきた。先程胃に収めた血肉を戻してしまいそうになる。
 打撃はあくまで、内側に通すためのもののようで、先程から脳を見事にかき回されている。
 なんとか首を動かして噛み付こうとするが――駄目だ。こちらの可動範囲を完全に把握された。

412血塗れ竜と食人姫 ◆gPbPvQ478E :2006/06/25(日) 01:12:32 ID:OCsnf/Eb

 ちょっと、余裕も見せすぎたかなあ。
 
 倒れ込んだところに、足を乗せられる。
 踏みつぶすつもりか? ――いや、違う。これは、
 
 どん、と一際大きい衝撃が来た。
 
 乗せた足の上から、拳を叩き付けた模様。衝撃を通す上手い攻撃だ。
 折れた拳でよくやるなあ。……まあ、効果は絶大だけど。
 やば、うまく考えられなくなってきた。
 ぐるぐる回る世界、どうしよう、と悩むだけの脳。
 もう、複雑なことは考えられなくなってきて。
 なんだか、気持ちよくなってきた。
 
 ……ああ、でも。
 
 ……ひとつだけ、はっきりとした、ものがあった。
 
 どうしても欲しいものが。
 
 あったんだっけ。
 
 絶え間なく訪れる食欲ではない。
 
 もっと暖かいもの。一緒にいたいと、思ったもの。
 
 全部いらないと思って、国を出てきたはずなのに。
 
 何も欲しいものなんてないと、思ってたはずなのに。
 
 ユウキさん。
 
 そうだ、私は、彼を欲しいと思ったんだ。
 
 手に入れるには、どうすれば、いいんだっけ――?
 
 
 
 おなか、すいたなあ
 
 
 
 
 
413血塗れ竜と食人姫 ◆gPbPvQ478E :2006/06/25(日) 01:13:03 ID:OCsnf/Eb

 しぶとい。
 このままでは、こちらが先に出血多量で倒れてしまう。
 ただ気絶されるだけでは駄目なのだ。
 確実に、殺さなくては。
 そのためには、意識を完全に攪拌させ、
 おそらくは柔らかいであろう場所から指を突っ込み、
 脳を確実に破壊しなくては。
 
 出血で、だんだん意識が薄れてきた。
 もう、いいかな。
 充分、脳をかき回したよね。
 まともに考えることすら、難しいはずだ。
 あとは、顔をこっちに向けて、眼孔に指を――
 
 足で食人姫の身体をひっくり返した、その瞬間。
 
 ゆっくりとした動きだったが、
 完璧な、足払いを、かけてきた。
 驚くべきことに、その当て方は、試合の最初に私が見せたのと同じもので。
 出血多量で朦朧としていた状態では、避けることすらままならず。
 
 どさり、とその場に倒れ込んでしまった。
 
 衝撃で一瞬、目を瞑ってしまう。
 そして目を開けたとき――そいつは、セツノの上に、乗っていた。
 
 視点は定まっておらず、左右の瞳が不安定に揺れている。
 首もガクガクと震えていて、押さえ込むというよりは、そのまま覆い被さっているようだ。
 半開きの口が、唾液をぺちゃぺちゃこぼしながら、
 
 
「つかまえたぁ」
 
 
 そう言って。
 かぶりついてきた。
 
 ――その瞬間。
 セツノは、自分が今から死ぬことを認識し。
 
 ……姉さん、ごめん。
 
 最後に、そう思った。

414血塗れ竜と食人姫 ◆gPbPvQ478E :2006/06/25(日) 01:13:45 ID:OCsnf/Eb
 
 
 
 
 闘技場の中央で繰り広げられる光景に、観衆全員が魅入っていた。
 
 気の弱い者は失禁し、特殊な性癖を持つ者はギンギンに勃起している。
 あまりの光景に、嘔吐してしまう者が続出する始末である。
 痛いほどの静寂の中、
 くちゃ……ぱきん……がりごり……ぐちゅ……、と。微かな音が、響いている。
 
 
 食人姫が、怪物妹を、喰っていた。
 
 
 肋骨にかぶりつき、べりと剥がしてバキバキと噛み砕く。
 晒された肺臓を引き千切り、押し込むように口の中へ。
 怪物妹の体は、既に2割は胃の中だ。
 頭部は半分ほどになり、そこから食い千切られた脳の欠片がこぼれている。
 残った瞳の片方は、虚ろに血の涙を流していた。
 手足も所々食い散らかされ、まともな場所など残ってない。
 
 がつがつと。
 ひたすらに、食人姫は貪っていた。
 白かった囚人服は、べっとりと血の赤が染みこんでいる。
 
 
 ――と。
 唐突に、食人姫が顔を上げた。
 
 その目が捉えたのは、貴族席に座る一人の男。
 怪物妹が食される様を見て、涎を垂らし、下着の中に何度も何度も射精している。
 そいつを視線で刺しながら、食人姫は、ぽつりと、呟いた。
 
 聞こえた者は一人もいない。
 しかし、彼女は、確実に、こう呟いていた。
 
 
 
「――これで、ユウキさんは、わたしのもの」
 
 
 
 その後、食人姫が食事を終え、係官が肉塊を運び出すまで。
 闘技場は、異様な沈黙に、包まれていた。


415血塗れ竜と食人姫 ◆gPbPvQ478E :2006/06/25(日) 01:14:32 ID:OCsnf/Eb
ねんがんの ユウキさんを てにいれたぞ!


うああ過去最高の長さでゴメンナサイorz
できるだけ短くしようとは思ったのですが、己の力量不足が身に沁みます。
グロかったり長かったりと駄目な点も多い拙作ですが、これからもよろしくお願いします。
次は、白×ユメカ戦。
こっちは派手にいきます。
そしてその後は……!
416名無しさん@ピンキー:2006/06/25(日) 01:17:26 ID:NvK/PR1O
IYAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA!!
417名無しさん@ピンキー:2006/06/25(日) 01:19:07 ID:Sgckxpn+
>>415
割り込んでしまった・・・
すいません吊って来ます。

あ、戦闘シーンすごくよかったです。
妹が死んだのはかなり残念だったけど。

作者さんGJでした
418名無しさん@ピンキー:2006/06/25(日) 01:19:53 ID:7XbCUyCt
妹が(ノД`)
419名無しさん@ピンキー:2006/06/25(日) 01:24:11 ID:kccRMrcs
下手に感想を書こうとしたら、
割り込んでしまうかもしれない考えてしまうほど作品が投下される
この流れがイイッ!

>>415
やばい、何か背筋がぞくぞくしてきたっ!
むしろ、長くてもいいよGJ!
420名無しさん@ピンキー:2006/06/25(日) 01:25:41 ID:U+OLqoAO
職人神様!!
無理なお願いだとわかっていますが
できれば姉妹でユウキさんとアナザーを書いていただけませんか・・・

切な過ぎるorz
421名無しさん@ピンキー:2006/06/25(日) 01:27:50 ID:npfyPNYK
食人姫がオエッてなって口から妹が出てくる展開希望してもいいですか
422名無しさん@ピンキー:2006/06/25(日) 01:49:58 ID:WukRTrup
>>415
GJ!

食人姫がどうやってこの体になったのか
とかいろいろ気になって仕方がない。
423名無しさん@ピンキー:2006/06/25(日) 01:56:23 ID:XuPzulL8
>>415
うをををををををををををッ!!!!

囚人闘技場の観客よろしく楽しませて貰いました!!
これからもこの路線で逝ってくださいお願いします!!!
424名無しさん@ピンキー:2006/06/25(日) 02:12:17 ID:MYRbRatC
>>415
GJ!!!!!1111!!!
いやもうなんつうかこんなグロいことをして平気ってのに背筋がぞくぞくと!
ヤンデレでも十分通用しますよ!
425名無しさん@ピンキー:2006/06/25(日) 02:33:10 ID:Xy0aiEkL
ていうか嫉妬とか関係なくても普通に読み物としておはなしとかキャラとかかなり良く出来てるんですが。

完結したら細かいところ修正してラノベの新人賞に応募してみてはいかがだろうか
426名無しさん@ピンキー:2006/06/25(日) 02:34:33 ID:qd672OIQ
>>421
ちょwwwwwそれなんてセル?wwwww

>>415
GJです
果てしなくはらはらした
肉の塊の妹・゚・(ノд`)・゚・
全キャラ好きだからできれば一通り全員分のエンドがみたいです…
427名無しさん@ピンキー:2006/06/25(日) 03:09:22 ID:uFcc0DXC
ユウキがお願いすれば白,アトリ,姉妹,銀で帝国占領エンドも狙えそうな。
でも誰が死ぬかわからんこの作風も魅力なんだよなー

作者さまGJです
428名無しさん@ピンキー:2006/06/25(日) 03:13:09 ID:NvK/PR1O
このスレのSSが、オムニバス形式のエロゲーで出たなら
5万でも買いますよ、僕は!!
429名無しさん@ピンキー:2006/06/25(日) 05:25:57 ID:RX4eCyN7
妹がああぁああぁあ。・゚・(ノД`)・゚・。ウエエェェン
430名無しさん@ピンキー:2006/06/25(日) 07:32:19 ID:p3Xp1keL
うわぁぁぁぁぁん、やっぱり「…姉さん、ごめん」来ちゃったー

ショックではあるけれど、やっぱり「双方に感情移入できる」って点が
バトルものとしての面白みを加速させている具合でイイ感じ。
431名無しさん@ピンキー:2006/06/25(日) 08:17:28 ID:hovSZBMa
うああああぁぁぁぁああぁぁああ(ノД`)
か、悲しすぎるせめて姉さんだけでも生き残(ry
俺もアナザーが欲しいです。
グロは無理ではないけど、やっぱ好きなキャラだけにカワイソスでした(´・ω・`)
432名無しさん@ピンキー:2006/06/25(日) 08:30:20 ID:ccmcSBOa
亡霊となった姉妹に取り憑か(ry
433名無しさん@ピンキー:2006/06/25(日) 08:42:52 ID:trbGYHB3
凄いですね。モニター前で絶叫している名無しさんが一体何人いるやら・・・。
434名無しさん@ピンキー:2006/06/25(日) 10:40:14 ID:hovSZBMa
下手にかわいいだけに残虐な最後に涙してるんだろう。
これが、クズキャラなら真っ先に賞賛の拍手でも送られそうだけど……
435名無しさん@ピンキー:2006/06/25(日) 10:54:25 ID:B7ZIOp8V
>>382
だったら……
だったらその所々に散りばめられたそれ散るネタはなんなのよっ!
436Bloody Mary 2nd container 第十四話 ◆XAsJoDwS3o :2006/06/25(日) 11:34:56 ID:nScWIycF
 これは幻聴?それとも悪夢?
 目が覚めたらベッドの上。いや、まだ夢の中?
だって。だってあり得ない声がするんだもの。

さっきから嫌でも耳に入ってくるベッドの軋みと女の喘ぎ声。

「え…えへ……」

 火薬の爆音で耳がおかしくなったのかな?あれだけの量の火薬が爆発したんだから無理もないよね。
浮かべた笑いが引き攣っているのが自分でも分かった。


『あっ……あっ…もっとっ、もっとっ!…もっと来てっ』


 う る さ い。

うるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさい。
薄い壁を通して聞こえてくる艶やかな声が酷くあの女に似ている。
あの、女。ウィルお兄ちゃんを三年に渡って苦しめ続け、今なお付き纏う羽虫。
そして―――――お父さんを殺した女。

「ぎっ!!?」

 山道のあの光景が鮮明に思い出された。制御不能の憤怒が脳細胞を破壊する。
あれほど『やめて』と頼んだのにあの女は撃った。
感情のない瞳でお父さんを殺した。
お兄ちゃんを奪おうとしている女がお父さんまで盗った。
この世にたった一人しかいない肉親なのに。
殺した殺した。殺した殺した殺した殺した殺した。
えへっ、殺した。
 だからいいよね、あたしがあなたを殺しても。文句なんてないよね?
だってお兄ちゃんまで盗ろうとするんだもん。あたしにはもうお兄ちゃんしかいないのに。
 うん。殺す。ぐちゃぐちゃにしてあげる。
 えへっ。えへへへへへへへへへへ……ひっ、いひっ…いひひっ……。

 視界が狭まっていく中、あの女が無様に死ぬ姿を想像して嗤いを堪えることができなかった。
437Bloody Mary 2nd container 第十四話 ◆XAsJoDwS3o :2006/06/25(日) 11:35:41 ID:nScWIycF


『強く、ああっ…もっと強く…抱きしめてくださいっ』


 ほんとさっきから五月蝿いなぁ。いい加減この幻聴、止まないかな。
あの女にそっくりすぎてムカムカする。あぁ、早く殺したい。
手足を引き千切って泣き喚きながら赦しを乞うあの女の口に、銃口を押し込んでその臭い脳漿をバラ撒いてやる。
その匂いをお兄ちゃんに嗅がせれば、さすがに騙されてたって気付くよね?
 えへへっ。そうしたらお兄ちゃんも、もうあたししかいないって解るはず。
その後はお兄ちゃんと二人っきりで死ぬまで一緒に暮らして、えっちしてお兄ちゃんの子供を産んで、えっちして
お兄ちゃんの子供を産んで、えっちしてお兄ちゃんの子供を産んで、えっちしてお兄ちゃんの子供を産むんだ。

ずっと。ず〜っといっしょ。

どんなときもいっしょ。

死ぬまでいっしょ。

死んでもいっしょ。

生まれ変わってもいっしょ。


 は……あははっ。あひひへへへへへふふひひゃあははははははははははは――――――――――


『あっ、あっ、あっぁ…射精して、ください、だして!だして!!』


 ははははは――――――――――


『…ウィル!』


 は―――――――?
なに?何て言ったの?今なんて言った…?

 アノオンナニ ソックリノ コエハ イマ ダレノ ナマエヲ ヨンダ?
438Bloody Mary 2nd container 第十四話 ◆XAsJoDwS3o :2006/06/25(日) 11:36:17 ID:nScWIycF


『ウィルっっっっ!!!!』


 ッッッ!!!!!!!!!!!!!!!!!

殺してやる!殺してやる殺してやる!殺してやる殺してやる!殺してやる殺してやる殺してやる!!!
殺してや殺してや殺して殺して殺し殺し殺し殺し殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺――――――――

 殺意が。かつてない殺意があたしの身体を侵食していく。
口角から泡を吹き、白目を剥きながら歯を食いしばっていた。

殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺――――――――

「ひひっ、殺……。殺す殺す」
 人間、その気になればここまで殺意を高められるのかと思うとなんだか可笑しくなった。

×す×す×す×す×す、×××××××××××あはっ、××××絶対×す――――――――

 心中で叫ぶ声すらも意味を成さないものになっていく。

「はっ…が……」

 心が黒く塗り固められ、呼吸すら忘れていたあたしはそこで再び気を失った。
439Bloody Mary 2nd container 第十四話 ◆XAsJoDwS3o :2006/06/25(日) 11:37:09 ID:nScWIycF




――――――――・・・・・




 シャロンちゃんが帰ってきた後、報告を受ける前にマローネの様子を見た。
まだ意識は戻っていなかったが、寝息は穏やかだったのは幸いだった。

「マローネさん、どうでした?」
 部屋に戻ってくると団長が沈痛な面持ちで尋ねてきた。
「よく眠っています」
「…そう、ですか……」
 俺の答えを聞いて更に表情に影を落とす。
全戦無敗の戦姫の弱点。それは戦いには不似合いすぎる責任感だ。
 部隊内で死者が出たときもこんな感じだった。彼女は必要以上に自分を責める節がある。
戦争では時には冷酷な決断をしなければならない。例えば今朝の戦いのような。
それが彼女にとっては相当堪えるらしい。
 決断そのものに迷いはない。迷っていたらあの戦争で俺も団長も死んでいたに違いない。
決断した後が問題なのだ。天才故の弱点なのか。
思わぬ失敗や少しでも自分に責があると思う事柄には免疫がない。
 山道の戦闘で彼女にいつものキレがなかったのは二日酔いだけのせいではないだろう。
少なからずアリマテアでの事が尾を引いていると見て間違いない。
 アリマテアの事件が整理できていないときに今日の出来事。彼女は心境は容易に察することができる。
俺にそれを吐露したのは意外だったが。
 いつもは独りで塞ぎこんでいた彼女が今回は俺に助けを求めたのはいい傾向なのだと思いたい。
それでも完全に吹っ切るには時間が必要なのかもしれない。今はそっとしておくべきだ。
440Bloody Mary 2nd container 第十四話 ◆XAsJoDwS3o :2006/06/25(日) 11:38:02 ID:nScWIycF
 
「で、シャロンちゃん。あいつらの詳しい場所が知りたいんだけど」
 先刻、偵察から戻ってきたシャロンちゃんに声を掛けた。

「はい」とだけ答えて机に地図を広げる。
ここから西の町へ向かう際に良く使われる、山道の地図だ。

「襲われたという山道からやや北に外れた場所に山小屋がありました。
人影も見えましたのでここで間違いないようです」

 山道から少し離れた位置にバツ印を書き加える。
 ここに、姫様と。あの男がいる。

「シャロンさん、人数はどれくらいいましたか?」
 真剣な表情で剣を腰に挿す団長。戦に向かう前と同じ顔だ。

「恐らくは十人足らずかと」
 数は大丈夫そうだ。団長と俺だけで充分相手にできる。問題は……
「姫様の姿は確認できた?」
 尋ねてから俺はぞっとした。死んでいたらと思うと気が触れそうだ。

「安心してください、ウィリアム様。縛られてはいましたが無事なようです」
 良かった。胸を撫で下ろす。額にはうっすら汗が滲んでいたことに今気付いた。

「私たちで賊の相手をします。シャロンさんは隙を見て姫様の救助を。ウィル、それでいいですね?」
 じっと目を見つめる。こっちの気持ちをを見極めようとする団長の紅い瞳に俺の姿が映っていた。
「はい、大丈夫です」
 鞘のついたベルトを腰に巻きながら答えた。はっきりと。
これは復讐じゃない。姫様を助け出すための戦いだ。
 自分の中にある火箱に何重にも錠を掛ける。

「行きましょう」

 その鍵が強く火箱の蓋を押さえているのを確認して。
俺たちは反撃の狼煙を上げた。
441Bloody Mary 2nd container 第十四話 ◆XAsJoDwS3o :2006/06/25(日) 11:38:38 ID:nScWIycF
ここまで。
442名無しさん@ピンキー:2006/06/25(日) 12:17:03 ID:pOWGJ96l
本領発揮ktkr
続き、続き、早く続きを
443名無しさん@ピンキー:2006/06/25(日) 12:19:34 ID:CPaCVaRj
血塗れ竜がオモシロすぎる!!
だが妹の残虐がキツかった…(´Д⊂)
吐き気もよおしながら寝ます
444リボンの剣士 18話 ◆YH6IINt2zM :2006/06/25(日) 14:45:35 ID:zhYQew3/
お見舞いに行った次の日の朝、人志の風邪は治ったみたいで、いつも通りに会って、一緒に学校へ行った。
でもあたしが朝錬に行った後、人志の前には木場さんが現れる。もしやと思って、中庭で別れた後引き返して
覗いてみたら、あの女が、人志の隣にちゃっかり座っていた。
人のいない時を狙う、まさに泥棒、泥棒猫ね。
授業中は、あの泥棒猫、木場春奈をどうしてくれようか、ということばかり考えていた。
先生の話も、ぼんやりとしか聞いてない。
「……で、この写真にあるコロシアムは、当時、土地や財宝、結婚相手の取り合いを解決する、決闘の場とし
て使われていた、という記録もあって――――」
確か世界史の授業で、先生はそんなことを言っていた。
今の時代にも、決闘で欲しい人を奪い合う制度があればなあ。それだったら、あたしは絶対に負けないのに。

放課後、人志との話もそこそこに、あたしは部活に行く。
その間は、木場さんが近づくチャンスになる。これが頭を痛めるのよ。
さすがに、24時間傍に張り付くことはできない。だけど、こうしている間に、人志があの女に誘惑されて…
…なんて考えていくと、イライラする。
「素振り百、始め!」
部長さんの掛け声に合わせて、竹刀を振るう。
……あー、今日打ち込み稽古やってくれないかなー。この竹刀で、思いっきり誰かを殴ってやりたい気分。木
場さんとか木場さんとか、木場さんとかね。
素振りの最中は、雑念を捨て、心を無にする、ということに努めなくちゃいけない。
でも今のあたしには、色々考えなきゃいけない事がある。
人志に近づく泥棒猫を、どうやって追い払うか。
始めに思い付いたのは、まあ単純に、脅かす方法。
昔のアイドルの追っかけじゃないけど、近づく女を竹刀で叩く。痛い目見たくなかったら近寄るな、と。
でもこの方法をやってしまうと、人志には『悪い奴じゃないのに暴力を振るっている』と見られてしまう諸刃
の剣。素人にはお勧めできないわ。
「素振りやめ! 次!」
いつの間にか素振り百本は終わった。次は何をやるのかなー……。
「一年、M男君の準備だ」
やった! 打ち込みだ! 一年生が、倉庫から『M男君』を引っ張り出す。
M男君っていうのは、要するに丈夫なマネキンで、打突の練習に使われるものね。
誰が付けたのか知らないけど、その酷いネーミングのせいで、女子剣道部の名物になっている。
ちなみに、Mが誰のことなのか、あたしは知らない。
445リボンの剣士 18話 ◆YH6IINt2zM :2006/06/25(日) 14:46:28 ID:zhYQew3/
並べられたМ男君の一つに向かい、木刀を構える。
さっきまでは竹刀を使ってたけど、ここで木刀に持ち替えた。木刀は、竹刀より重いけど、その分、叩いたと
きの手応えも大きい。練習にも……ストレス解消にもなる。

こういう練習では、対戦相手をイメージするのが成果を上げるコツだって言われてる。
あたしがイメージする相手は……言うまでもない。人志に擦り寄ってくる、泥棒猫。
目の前のМ男君の姿が、木場春奈に変わる。お腹の所で手を結んで、笑っている。
ああ、その綺麗な手で、人志を捕まえようとしてるのね。爪の手入れが行き届いていて、荒れた所なんて一箇
所もない。竹刀を握って毎日素振りなんて、やったことないでしょうね。

でも――――そんな綺麗な手で、人志は守れない!!
一歩踏み込んで、小手打ち! 手応えは十分。
ひとまず始めの位置に戻って、構え直す。木場春奈は、手首を押さえて、「痛いよ〜」と力の入ってない声を
出している。
そう、その声。媚び全開の、ムカつく声。

もっと、腹の底から、本当の、薄汚い声を、出してみろっ!!
「っっきいいぃぃあああああぁっ!!!」
踏み込みに、上半身のバネを加えた、全力の突き! これでも喰らえば、喉から、「ぐええっ」とか、そんな

感じの声も出てくるでしょうよ。
木場春奈は、喉を抑えて前かがみになった。
まだまだよ。何より苛立つのは、その頭、脳、脳の神経。

男とあらば、奪い取って、後になって平気で捨てる思考回路なんて、あたしには理解できない。理解したくも
ない。
その、どす黒いモノが詰まった頭……叩き斬る!!
「っめえええぇぇええぇっ!!!!」
振りかぶって、踏み込み、振り、上半身を倒す勢い、全てを乗せた渾身の面打ち、いや、脳天割り!!
この一撃は、あたしにとって、予想外の手応えを返した。
あたしの木刀は、振り抜けた。普通、当たったらその場で止まるのに。
というのは、手にある木刀が、長さが半分くらいになっていて、残りの先のほうの半分は、М男君のずっと後
ろに転がっていた。
周りが、シーンとなる。
……木刀、折れちゃった。
446リボンの剣士 18話 ◆YH6IINt2zM :2006/06/25(日) 14:47:15 ID:zhYQew3/
「何だあの滅茶苦茶な振り方は! 型も残心もなってない! 喧嘩じゃないんだぞ!」
部長さんに怒られて、あたしは一人、素振りをやることになった。他のみんなは、一対一の組み合い稽古をや
っている。
実質、放り出された形ではあるけど、改めて、目下の悩みについて考える機会になった。
いや、反省してないわけじゃないのよ? 感情的になって、表に出し過ぎたのがまずかった。
少し、冷静に考えないと。

……。
…………。
ことわざで、『猫を追うより魚を下げろ』ってのがあったわね、確か。
木場春奈が泥棒猫で、狙われている魚が人志。だとすれば、人志を遠ざけるようにする、ってのもアリじゃな
いの?
具体的な方法は、ここ、剣道部にある。
部長さんは、理由は知らないけど、人志をまねーじゃー(部長さんは横文字が苦手)に欲しがっている。
あたしが引っ張ってくれば、勢い任せで、まねーじゃーにさせることも不可能じゃない。
なってしまえばこっちのもので、部活の時間、休日も含めた練習の時間も、人志と一緒なのが普通になる。
木場さんは部外者だから、そう簡単に入り込むことはできない。あの新聞部だってそう。邪魔者の侵入をほい
ほい許すほど、剣道部は甘くないのよ。
で、その一方であたしは試合を勝ち進み、人志も、やっぱりあたしが一番信頼できるって思うようになって、
それから――――。
「……」
ごっ。
自分で自分の頭を叩いた。この方法、無理あり過ぎ。
人志を無理やりマネージャーにしたって、それを人志自身が快く思うはずがない。あたしの都合で、人志の行
動を縛るなんて、それこそあの女の笑い種よ。
あたしは、あんな腹黒打算女じゃない。人志の気持ちが大事だから、力ずくで抑えるなんてできない。
なら他に何かあるかって言えば……あー駄目、思い付かない。
人志を信じるしかないのかな。木場さんなんかに、靡きませんようにって。


(19話に続く)
447名無しさん@ピンキー:2006/06/25(日) 14:54:19 ID:7XbCUyCt
リボンキター

M男君カワイソス(´・ω・)
448名無しさん@ピンキー:2006/06/25(日) 15:01:05 ID:MycZOHGE
だんだんイタくなってきた(褒め言葉)明日香にktkr
でもそろそろ展開に大きな動きがほしいかも

なんにせよGJです
449名無しさん@ピンキー:2006/06/25(日) 15:17:26 ID:9QYlrRlY
やはり明日香にも黒化の兆候が
このスレのヒロインである以上は黒化は必至か
でも未だ初期症状って感じだな

って言うかぶっちゃけこのスレの長編で黒化しなったヒロインって
不義理のミカと
振り向けばの結季だけか?
450名無しさん@ピンキー:2006/06/25(日) 15:21:41 ID:o/rK8aFR
(血の)あ〜かとく〜ろは愛のしるし〜♪
451名無しさん@ピンキー:2006/06/25(日) 17:07:28 ID:9QYlrRlY
やはり殺されてしまったかセツノ……
無意味と分かっていてもどうすれば勝てたのか、生き残れたのか
そんな事ばかり考えてしまう
アソコで仰向けにせずうつ伏せにした状態ののまま
先に両目を潰しておけば、耳から指を刺し脳へとダメージを与えてれば
或いは性器や肛門に手を突っ込み直接内蔵を引き裂いてれば

やはり俺も姉妹が勝つアナザーが読みたい
452名無しさん@ピンキー:2006/06/25(日) 17:24:10 ID:jjQrrLvv
「もしこういう展開があったら」と思うのは自由だがそれをここに書くには作者への侮辱じゃないか?
一生懸命考えた話の筋をその人の目の前で貶してるってことにも繋がるし。

お前さん達、気持ちは分からんでもないが少し落ち着け。
453名無しさん@ピンキー:2006/06/25(日) 17:30:33 ID:lHU5b2t+
ここではサービス精神旺盛な神々のおかげでアナザーエンドが
普通になってるが他のスレでは考えられん大盤振る舞いだよな。
454名無しさん@ピンキー:2006/06/25(日) 17:34:43 ID:9QYlrRlY
スマソ 謝っておく 別に否定するつもり侮辱するつもりは無いんだ
俺程度が思いつくようなこと当然作者さまは思いついてるだろう
数ある可能性と選択肢の中から作者様がベストと選んだのだから
間違い無く発表されたこれがベストなのだろう
俺も文句のつけようが無いほどグッジョブだと思う

ただ、多くの作品にアナザーが用意されてるようにこの作品でも書いてもらえないだろうか
そんな思いでつい書いてしまった

作者様並びに読者の方 気分を害されたのなら申し訳ない
455名無しさん@ピンキー:2006/06/25(日) 17:53:55 ID:YTW/iSYZ
いや、でも凄いよ実際。オリジナル系職人ってのは少なからずキャラに愛着を持ってるものなんだが
ここまでやるとは、話の性質上必要だったんだろうけどなかなか出来るものじゃない
心底感服した。
血塗れ竜次回も楽しみに待たせていただきます
456455:2006/06/25(日) 17:54:53 ID:YTW/iSYZ
申し訳ない、上げてしまった
軽く吊ってくるよ
457名無しさん@ピンキー:2006/06/25(日) 18:03:21 ID:+Bt5wrrx
>>441
GJ!
マローネがいい感じで病んでるなーw
救出の時に、どうなるのか気になるところだ……

続きを待ってます!
458『一掴みの優しさを君に』 ◆yjUbNj66VQ :2006/06/25(日) 18:51:40 ID:dP9mYuLK
「ただいまーっと……」
「あ、お帰り、兄ちゃん!」
「う、お、おう。いらっしゃい。」
帰った途端、冬奈の笑顔で迎えられた。さっきの食堂での事があったため、何かしら落ち込んでいるかと思ったが、余計な心配だったらしい。
「すぐにご飯にするから待っててね。」
そう言い残して台所へと戻っていった。
「なんか機嫌良いみたいだね、冬奈ちゃん。」
「だな。」
それに越したことはない。荷物を置きに部屋に戻り、着替えながら鏡を見ると、まだうっすらと唇が赤い。
「うわぁ……」
再度恥ずかしさが込み上げてきた。キス…したんだよなぁ。でもあれだけ開放的な性格なんだ。行く先々で似たようなことをしてるかもしれん。
「イカンイカン。何を期待してんだ…俺は…」
楽な姿になって下に降りると、美夜が電話していた。
「あ、いえ。まだ帰ってきませんので……はい、すみません。」
ガチャ
俺の顔を見るなり、慌てて電話を切った。なに焦ってんだ?
「電話、誰から?」
「あ、ううん、お父さん達に。居ないから、連絡先教えといたの。」
459『一掴みの優しさを君に』 ◆yjUbNj66VQ :2006/06/25(日) 18:52:35 ID:dP9mYuLK
「ふーん。」
親父達に対して『まだ帰ってきませんので』っつー言い方はおかしいと思うが……まあ、日本語って難しいからネ。
「兄ちゃん、ご飯だよ!」
うーい。今日はいろいろあったせいで腹ペコだ。はやく飯にあやかりたい。
「いただきます!」
今日は焼きそば。冬奈の最も得意とする料理だ。
「兄ちゃん、おいしい?」
「ん?ああ、相変わらず旨い。」
おかしいな。沙羅についてなにか聞いて来るかとおもったが、終始にこにこしながらご飯を食べてる。ま、いっか。自分から面倒ごとを作るなんざ具の骨頂だ。
「ごちそうさんっと……」
「あ、食器はかして。私が洗うから。美夜ちゃんはお洗濯お願いできる?」
「え、ええ。」
うーん、さすが家事全般は万能なだけある。家に夕飯を作りに来る時は毎回冬奈が仕切っている。
「俺は?」
「兄ちゃんは部屋で休んでて。後で遊びに行くからねー。」
とまあ、いつものように追い払われる。クスン。
「あーー!食った食った!」
ごろんと別途に横になる。やべぇ。完全におっさん化してる。不毛な思想にしけっていると……
ダン!ダン!!ダン!!!ダン!!!!
ものすごい勢いで階段を上る音が………
460『一掴みの優しさを君に』 ◆yjUbNj66VQ :2006/06/25(日) 18:53:25 ID:dP9mYuLK
バァン!
「兄ちゃん!!!!」
ドアを開けるとともにすざましい怒鳴り声が。冬奈は……まるで雷神のごとき怒り顔で乗り込んできた。
「兄ちゃん……今日、女の人とキスしたでしょ?」
「へ?」
予想外の問いに、ま抜けた声を出してしまう。…てか図星だし。
「いい、い、いやいや。そんなこたぁないぞ?」
驚きの余り吃りまくり。俺の反応を見て、冬奈の顔はさらに怒りに染まっていく。
「嘘!じゃあなんでお箸に口紅ついてたの!?兄ちゃん口紅なんてつけないじゃない!それにこのお箸…口紅の味がしたもん!!」
「は?味って……おま、舐めたのか?」
一瞬で場が凍る。冬奈も気まずそうな顔をしている。が、すぐに詰め寄り……抱き付かれた。
「うふふ……そうだよ……私、いつもここで料理したときは、兄ちゃんのお箸食べちゃうんだぁ……だっておいしいんだもん……兄ちゃんが咥えたってだけで、ガマンデキナイヨ?」
これは……さっきの沙羅と同じ顔……色のない顔だ…
「もしかして……あの女?…一緒に食堂にいた……あの女なの!?」
「うぐぅ……」
またも正解で痛い。抱き付く力が強くなっていく………
「あんなぽっと出の転校生なんかに渡さないよ……許せない……絶対……してやる…」
よく聞こえない。冬奈の声に耳を澄ましていると…
バァン!
「お兄ちゃん!なんで制服に香水の匂いがするの!?どこかで女に抱き付いたの!?……って冬奈!なにを!?」
デジャブかい……
この先のことを考えただけで余計疲れがたまった……まずい…どうしよ…
461名無しさん@ピンキー:2006/06/25(日) 19:03:31 ID:nKmgWO0Y
ウホ
いい修羅場
462名無しさん@ピンキー:2006/06/25(日) 19:08:10 ID:vZiumqsV
和むなぁ
463名無しさん@ピンキー:2006/06/25(日) 19:20:53 ID:MVcnCZdt
なごなご(*´∀`*)
464名無しさん@ピンキー:2006/06/25(日) 20:14:31 ID:0oEBzJJU
そういや、最近お姉さん来ないな・・・
465名無しさん@ピンキー:2006/06/25(日) 20:22:26 ID:U+OLqoAO
>>464
過去レス参照
466名無しさん@ピンキー:2006/06/25(日) 20:26:30 ID:7XbCUyCt
正直冬まで待てる気がしませんサー!
467名無しさん@ピンキー:2006/06/25(日) 20:54:12 ID:p3Xp1keL
リボンの剣士

>もっと、腹の底から、本当の、薄汚い声を、出してみろっ!!

鬼気迫ってるよ〜
ガクガクブルブル
468アビス  ◆1nYO.dfrdM :2006/06/25(日) 22:24:41 ID:m0+EHhjC
投下します
469姉妹日記 9話  ◆1nYO.dfrdM :2006/06/25(日) 22:26:45 ID:m0+EHhjC
 僕はあの時、そう・・・・秋乃さんと付き合い始めたことを伝えた時のように二人と対峙して僕の決意を伝える
 二人は顔の上の部分に影を落として僕を見ている
 正直怖い、この二人と離れた僕なんて想像できない
 二人にとって同じことなんだろう
 でも、いい機会だ・・・・僕はもちろんだけど二人もそろそろ自立の時だ
「あの、僕・・・・準備があるから」
 正直かなり突然だったと思う、今日話してもう明日には引っ越す
 もう少し時間をと思ったけど秋乃さんがどうしても譲ってくれなかった
 彼女曰く先延ばしにしていたらまたずるずると行ってしまうかららしい
 二人を置いて僕は自分の部屋に戻ってとりあえず荷物と着替えとゲーム類をバックに詰めた
 家具等は備え付けなのでこれくらいの荷物でいいか・・・・
 僕は引越しの準備と二人にこの事を伝えるという緊張のせいで疲れた身体を横たえた
 
 気づいたときにはもう朝だった・・・・
 まだ六時か・・・・
 僕は二人に気づかれないようにそっと家を出ようと・・・・玄関に
「なにしてるの・・・・お兄ちゃん」
 僕はまるで泥棒のように慌てて声のした方へ振り返った
 そこには夏姉ちゃんと冬香が寝間着のままで立っていて僕を睨みつけていた
 額から滴る汗を拭って僕は二人をまっすぐに見つめた
 ここだ、ここで逃げたら僕はもう二度と二人から離れられない
 それは二人にとっても同じこと
 だから・・・・・
「僕・・・・行くね」
 最後じゃないけど僕は笑顔で別れよう・・・・
 僕は笑んだ後ドアノブを握った
 冬香が駆けて来てドアノブにかけた手を思い切り握る
「行かないで!」
 後ろから夏姉ちゃんが僕に抱きつきすがる
 冬香も無理やりに僕の手をドアノブから引き離すとそのまま腕に抱きつく
 僕は折れそうになる心を必死で鬼にして自由の利く左手でドアを開いた
「出て行かないでお兄ちゃん!」
 二人を引きずるようにして僕は一歩を踏み出した
「私たちを捨てないで!お願いよ!涼ちゃん!!!!」
 悲痛な叫びが近所中に響き僕の身体にすがりつき泣き喚く二人
「私も冬香も・・・・涼ちゃんがいないと生きていけないの!!!!」
 その瞬間彼女たちが僕に抱いている感情が家族へのそれではなく男女の愛情なのだと気づいた
 でなければこんな風にすがりつき泣き喚いたりしない
 そうだとわかった以上僕はさらに決心を強めた
「僕が好きなのは秋乃さんなんだ!」
「そんなこと言わないでよ!ずっと一緒に居てよお兄ちゃん!」
冬香が僕の腕を引き抜いてしまうのではないかというほど引っ張り膝を付き体重を思いきり掛けてくる
「僕と二人は兄妹なんだ・・・・」
 二人が望むような関係なんてありえないんだよ・・・・・
「無理だよ・・・・僕は秋乃さんを選んだんだ・・・・・僕が選んだのは秋乃さんなんだよ!」
 無理やりに二人を引き離した
 さすがの二人も男の僕の力を押さえこむことなど出来ずに僕はようやく二人から解放された
 そのまま振り返らずに駆け出す・・・・
「いや・・・・いやぁぁ!!!!!!」
「涼ちゃん!涼ちゃーーーん!!!!」
 悲しい断末魔のような声が聞こえた
 そうだ、今日から僕と二人は違う道を行くんだ・・・・・
 これでよかったんだよね・・・・・
470姉妹日記 9話  ◆1nYO.dfrdM :2006/06/25(日) 22:29:38 ID:m0+EHhjC
「お姉さんたち大丈夫だった?」
 ダンボール箱を開きながら秋乃さんが僕にそう問う
 少し苦笑して見せると秋乃さんは少し申し訳なさそうな顔をした
 僕は彼女を安心させるために微笑んだあと作業を再開した

「ごめんね・・・・明日には全部準備できると思うから」
 男の僕と違って女の子の彼女にとって急な引越しで生活に必要なものを全部なんていうのは無理だったようだ
 今日は一旦実家に帰るので、彼女との同棲は明日から・・・・
「じゃあ、また明日ね・・・・ん」
 僕の頬にキスを贈って秋乃さんはこの部屋を後にした
 秋乃さんがいなくなって急に寂しくなってきた
「気晴らしにゲーセンでも行こうかな」
 実はここに来る途中新しいゲーセンを発見してうずうずしてたんだよな
 秋乃さんは『男の子ってみんなゲーム好きだよね・・・・』
 そう言いながらも僕のお気に入りのアクションゲームに熱中していた
 秋乃さんのことを考えて寂しい気持ちを少し和らげ僕は部屋を出た

「ふぅ〜」
 一仕事終えて僕は手に持ったコンビニの袋を床に置いて自分の腰を降ろした
 袋をあさって中からアイスクリームを出して口に運ぶ
 やっぱ、ゲームのあとはこれに限るよ
 小さな幸せを味わっているとケータイが鳴った
 メール?・・・・開いて見る・・・・・
〈お帰り、涼ちゃん・・・・〉
 え・・・・
 またケータイが鳴った・・・・
〈涼ちゃん私にもお帰り言ってよ〉
 それを読みきる前にまた鳴った
〈お兄ちゃん、帰って来て・・・・あんな女なんて忘れて〉
 僕はケータイを放って近くにあった座布団を頭にかぶった
 ケータイの着信音が鳴り響き何分かするとそれは止まった
 僕は恐る恐るケータイを取るとメールボックスを開いた

471姉妹日記 9話  ◆1nYO.dfrdM :2006/06/25(日) 22:30:12 ID:m0+EHhjC
『冬香:お兄ちゃん・・・なんで返事くれないの?』
『夏美:今日の夕ご飯うまくできたのよ?はやく帰って来てね』
『冬香:お兄ちゃん、はやく返事ちょうだいよ・・・・!』
『夏美:どうしたの?もしかしてあの女に監禁されてるの?』
『冬香;お兄ちゃん!お兄ちゃん!お兄ちゃん!お兄ちゃん!お兄ちゃん!』
『夏美;はやく帰ってこないとお仕置きだよ涼ちゃん♪』
『冬香:今ゲームセンターを通りました』
『夏美:あの女いまいないんでしょ?今よ涼ちゃん逃げて!』
『冬香:今コンビニを通りました』
『夏美:待っててね、今すぐ助けに行ってあげるから』
『冬香:今自転車屋を通りました』
『夏美:待っててね、涼ちゃん・・・・・』

 最後のほうの文面に鳥肌が立った
 僕の家からこのマンションまでの道のりを思い出す
 ゲームセンター・・・・コンビニ・・・・自転車屋・・・・
 僕が朝通り先ほど通った道だ・・・・
 またケータイが鳴った

『冬香:今マンションに着きました』
『夏美:もうすぐよ、涼ちゃん』
『冬香:今階段を登っています』
『夏美:あと少し・・・・』
『冬香:今あなたの傍に参りました』

ドンドン!ドンドン!ドンドン!ドンドン!ドンドン!ドンドン!ドンドン!
ドンドン!ドンドン!ドンドン!ドンドン!ドンドン!ドンドン!ドンドン!
ドンドン!ドンドン!ドンドン!ドンドン!ドンドン!ドンドン!ドンドン!
 ドアを叩く音がした・・・・・
「う、うわぁぁ!!!!」
 僕は頭を抑え込んで恐怖の叫びを上げた
 まさか、二人がここまでするなんて思っていなかった
「お兄ちゃん?いるんでしょ?はやく出て来てよ〜」
「涼ちゃん、お姉ちゃんよ?迎えに来たのよ?一緒に帰りましょ」
「電気はついてるようだからいるんでしょ?」
「もう、いたずらもほどほどにしないとお姉ちゃんほんとに怒るわよ?」
472姉妹日記 9話  ◆1nYO.dfrdM :2006/06/25(日) 22:32:57 ID:m0+EHhjC
私の作品はこのスレ神々に比べ刺激がすくなくてすいません
それと誤字脱字が多くてすいません
473名無しさん@ピンキー:2006/06/25(日) 22:35:27 ID:ZSzcsrYw
病んでる姉妹イイ!
474名無しさん@ピンキー:2006/06/25(日) 22:43:28 ID:2/fptniH
ちょっ、こえええええ
475名無しさん@ピンキー:2006/06/25(日) 22:45:30 ID:SD55f9Uk
でも、よくよく考えみると姉妹の方に立ってみると結構泣ける話だよな
愛しい人がいなくなったと考えるとちょっと涙が・・
476名無しさん@ピンキー:2006/06/25(日) 22:46:43 ID:vZiumqsV
あぁ…和むなぁ……実にいい病みっぷりだぁ
477名無しさん@ピンキー:2006/06/25(日) 22:53:57 ID:RX4eCyN7
病み姉妹の素晴らしさに心が安らぐな
478名無しさん@ピンキー:2006/06/25(日) 22:57:05 ID:hovSZBMa
>>476-477
ちょwwwwおまいらwwww
479名無しさん@ピンキー:2006/06/25(日) 23:01:15 ID:MYRbRatC
このメールの文面…そうか、謎は全て解けた!!!





冬香はメリーさんだったんだよ!!
480名無しさん@ピンキー:2006/06/25(日) 23:01:33 ID:SD55f9Uk
キモ姉妹は本当に癒されるよな

ヤンデレ化してしまったからが一番盛り上がるww
481名無しさん@ピンキー:2006/06/25(日) 23:01:49 ID:uFcc0DXC
昔の心霊恐怖体験でこんなのなかったっけ
482名無しさん@ピンキー:2006/06/25(日) 23:03:53 ID:p3vae8A1
ホラー姉妹GJ! 
483名無しさん@ピンキー:2006/06/25(日) 23:04:02 ID:AmkofDjB
>>481
いま、あなたのうしろにいます。
いま、あなたのうしろにいます。
いま、あなたのうしろにいます。
いま、あなたのうしろにいます。
いま、あなたのうしろにいます。
484名無しさん@ピンキー:2006/06/25(日) 23:18:05 ID:81IJV1is
主人公と替わりたいですな
485血塗れ竜と食人姫 ◆gPbPvQ478E :2006/06/25(日) 23:36:34 ID:OCsnf/Eb
投下します。
とんでもなく長いです。
486血塗れ竜と食人姫 ◆gPbPvQ478E :2006/06/25(日) 23:37:24 ID:OCsnf/Eb

「――ゲスト後発。出番だ」
 
 係官が、私を呼びに来た。
 セっちゃんは、帰ってこなかった。
 それでも――聞かずにはいられなかった。
 
「あの……妹はどうなりましたか?」
 
「ん? 食人姫に喰い殺されたぞ。
 身体は原形を留めてないから、そのまま丸めて焼却されるだろう。
 死に顔を見るのは諦めろ」
「……そうですか」
 
 はあ、と溜息を吐いた。
 重い重い溜息は、まるで魂を吐き出してしまったかのようで。
 なにも、考えられなくなってしまう。
 
「準備は、できてます。
 いつでも、出られます」
「そうか。では、行くぞ」
 
 
 ――実のところ。
 私は、それほど悲しんでいなかった。
 自分だけでなく妹も諜報員として育てられると決まったとき、
 私は大いに悲しんで、それ以降、妹を疎ましいと思うようになっていた。
 苦労するのは、私だけでよかったのに。
 私には戦闘への適性があったから、難なく戦闘訓練もこなすことができた。
 でも、妹は普通の女の子だったから、数え切れないほど血反吐を撒き散らしたに違いない。
 ――姉さんは、私がいないと駄目なんだから。
 ――姉さんひとりじゃ、心配だし。
 鬱陶しい妹だった。いつまで経っても私を子供扱いして、何でも手伝おうとしてくるお節介焼き。
 私は、妹に普通の女の子として幸せになって欲しかったから、諜報員に志願したのに。
 そんな私の思いを裏切るかの如く、私を必死に追いかけてきた妹。
 はっきり言って、邪魔だった。元の暮らしに帰って欲しいと何度も願った。
 
 だから、妹が死んでも、悲しくなんて、ない。
 そう、自分に言い聞かせる。
 
 
 
 
487血塗れ竜と食人姫 ◆gPbPvQ478E :2006/06/25(日) 23:38:05 ID:OCsnf/Eb
 
 
 誰かが呼んでいる。
 暖かい声。――ああ、ユウキの声だ。
 うっすらと目を開けると、ぼんやりとした視界の中、ユウキが私の顔をのぞき込んでいた。
「……ん。ユウキ?」
「白、出番ですよ」
「ん。わかった」
 心地よいまどろみを振り払うように、頭を振る。
 今日も頑張ろう。
 頑張れば、ユウキは褒めてくれる。
 
「……白、ずいぶんと疲れているようですが、大丈夫ですか?」
「ん。平気」
 ホントは、寝不足でふらふらするが、ユウキに格好悪いところは見せたくないので強がってみせる。
 
 ――あの夜に覚えた、気持ちいいこと。
 
 それを毎晩毎晩続けてしまったせいで。
 ここのところ、とんでもなく寝不足だった。
 気を抜けば立ったまま寝てしまいそうになる。
 でも、深夜にふとユウキの顔を思い出すと、どうしようもなく体が熱くなってしまい、
 気付いたときには既に遅く、頭が真っ白になるまで気持ちいいことを繰り返してしまっていた。
 
 ユウキに見られちゃったら、嫌われるかな?
 
 なんとなくだが、あのことは、ユウキには知られてはいけない気がした。
 凄く気持ちいいことなのだから、ユウキにも教えてあげたいという気持ちはある。
 でも――何故か、知られたくないという気持ちも強く、結局、夜中にひとりでこっそり行う。
 
 ユウキも、あんなこと、するのかな?
 
「? どうかしましたか、白」
「ううん。なんでもない」
 突然頭を振った私に声をかけてきたユウキ。その顔を直視することができず、そっぽを向いて答えてしまう。
 
 いつか。
 ユウキには、知ってもらいたい。
 私は、ユウキのことを思って、凄く気持ちいいことをしているんだって。
 やっぱり、ユウキには隠し事はしたくないし、できれば、ユウキと一緒にしたいし。
 今は何故だか凄く恥ずかしくて教えられないけど。
 
 ずっと一緒にいるんだから、いつか、きっと。

488血塗れ竜と食人姫 ◆gPbPvQ478E :2006/06/25(日) 23:38:39 ID:OCsnf/Eb
 
 
 
 
 
『――それでは、本日の最終試合!
 大目玉のもう片方!
 血塗れ竜 対 怪物姉
 を、開始させて頂きます!』
 
 
『先ずは挑戦者!
 先程の怪物妹の奮戦ぶりは凄まじいものがありましたが、
 こちらは更に! 更に更に凄い!
 イナヴァ村より送り込まれた“攻城兵器”!!!
 ――ユメカ・ヒトヒラッッッ!!!』
 
『もはや拭い切れぬ血の薫、最強の竜は今宵も生贄を求めている!
 その身は血潮にまみれてこそ美しい!
 私たちに、最狂の惨劇を見せてくれ!
 ――王者、血塗れ竜こと、ホワイト・ラビットッッッ!!!』
 
 
 先程の食人姫への畏怖すら打ち消すような、観衆の怒号が闘技場を震わせた。
 食人姫のインパクトもかなりのものだが――彼女はあくまで二戦目の新人である。
 2年にわたり、あらゆる挑戦者を屠り続けてきた血塗れ竜への人気は、絶大なものだ。
 
 何より、血塗れ竜の戦い方はわかりやすい。
 
 手足がぶちぶちと千切れ飛ぶのだ。
 見ている側へのインパクトは、食人ですら及ばない。
 断面より溢れる鮮血を浴び、作業のように相手を殺す。
 それに心掴まれている観衆が殆どである。
 
 故に――今宵も、血塗れ竜の勝利を疑う者は、存在しない。
 
 ただ。
 紹介の際の一語が――何割かの観衆に、違和感を覚えさせていた。
 
 
 攻城、兵器?

489血塗れ竜と食人姫 ◆gPbPvQ478E :2006/06/25(日) 23:39:13 ID:OCsnf/Eb
 
 
 
 
 
 うー。眠い。
 うつらうつら、かっくんかっくん、と集中力を保てない。
 早く終わらせて、ユウキの腕の中で眠りたい。
 あ、でも、ユウキの匂いが近くにあると、またあの気持ちいいことをしたくなる。
 そろそろ普通に寝る努力をしないと、戦うことすらままならなくなってしまう。
 相手を殺さなければ、私はユウキと一緒にいられないのだから。
 頑張って殺さなければ。
 
 とりあえず、相手をさっさと殺して、今日は早めに寝るべきか。
 相手は女。長身だが、ここの東棟の連中みたいにごつごつしているわけではない。
 基本的にはすらりとしていて、一部がどかんと大きくなってる。
 
 ……でも、それは見せかけのもの。
 
 腕は細いだけに見えるが、それはとんでもない嘘っぱち。
 筋肉の一筋一筋が絞り込まれていて、内に秘める力は成人男性より強い。
 速さ・筋力共に、並の囚人を超えるだろう。
 外見で油断させて仕留めるタイプだろうか。
 ――否、外側の雰囲気からは、油断させようとしている気配が感じられない。
 自然体で、こちらを見据えている。
 
 戦法が読めない。
 
 まあ、どんな戦い方であろうとも、私はいつも通りにするだけだ。
 攻撃してきたら、その力を利用して、引き千切る。
 攻撃してこなかったら、脆い部分を破壊して、引き千切る。
 それで、殺して、ユウキに褒めてもらうんだ。
 それだけだ。
 
 
 ――そして、試合が始まった。

490血塗れ竜と食人姫 ◆gPbPvQ478E :2006/06/25(日) 23:40:31 ID:OCsnf/Eb

 飛びかかってくるか距離を取るかのどちらかかと思っていたら、
 怪物姉は、普通にすたすた、歩いてきた。
 殴りかかろうと駆け足になることもなければ、警戒しながらゆっくり近づいてきているわけでもない。
 言うなれば、自分と同じように。
 ただ、普通に歩み寄ってきている。
 一体どうするつもりなのか。
 そう思いつつ、こちらも同じように近づいていく。
 
 そして、怪物姉は、手を伸ばしてきた。
 
 攻撃しようと突き出してきたわけではない。
 ただ、ゆっくりと。自然に、手を前に出してきた。
 力が籠もっている様子はない。これでは、力を利用するのも難しい。
 ――何が狙いなのだろうか。
 そのまま、手は、こちらの顔に到達しようとして。
 
 ただ、触れようとしているだけにしか見えない。
 力も込められておらず、避ける必要すらなさそうだ。
 
 でも。
 
 これは危険だと。
 避けなければならないと、全身の細胞が警鐘を鳴らしていた。
 
 横に跳んで避けようとして――足下に違和感。
 いつの間にか突き出されていた相手の足に引っかかり、そのまま無様に転んでしまう。
 自分らしくもない。相手の手に注視しすぎて、足への注意が疎かになっていた模様。
 手はきっとブラフだ。恐れるべきことではない。
 
 そう思って立ち上がろうとしたら、
 再び、手を、伸ばしてきた。
 
 避ける必要なんてない。
 それより、立ち上がって、体勢を整えなければ。

491血塗れ竜と食人姫 ◆gPbPvQ478E :2006/06/25(日) 23:41:03 ID:OCsnf/Eb

 手が、近づいてくる。
 
 危険そうには、見えない。
 でも、違和感。これはおかしい。何かおかしい。
 何がおかしいのかはわからないが――これはきっと、危険なもの。
 
 
 そして、違和感の正体が判明した、瞬間。
 
 
「ッ!!!」
 痛めていた右腕を地面に叩き付け、
 とにかく必死に、横へと転がった。
 
 刹那。
 
 
 
 
 
 
 闘技場の観衆は、全員、何が起きたのか理解できなかった。
 血塗れ竜が何やら必死な様子で地面を転がり。
 怪物妹の手が、地面に押しつけられた。
 
 それだけなのに。
 
 
 闘技場の中央が、爆発した。
 
 
 轟音と共に、地面の砂が舞い上がる。
 闘技場の半分以上を砂煙が覆い隠し、観衆の大半は突然の轟音に耳をふさいだ。
 
 血塗れ竜が砂煙の中から背中から飛び出てきた。
 
 視線は砂煙の中に固定され――その表情は最大限の警戒を示している。
 そして、血塗れ竜を追うように、怪物姉も飛び出てくる。
 先程までのようなゆったりとした動きではない。
 鋭く、速い追い足だった。

492血塗れ竜と食人姫 ◆gPbPvQ478E :2006/06/25(日) 23:41:39 ID:OCsnf/Eb

 血塗れ竜の背が、闘技場端の壁にぶつかる。
 その反動を利用して、横に跳ぶ血塗れ竜。
 一瞬前まで王者が居たところに、怪物姉の掌が押し当てられ。
 
 
 再び轟音が響き渡り、
 壁が、粉々に破壊された。
 
 
 最前列で観戦していた観衆の数十人が、ばらばらと砂地の上に落ちてしまう。
 誰もがその非現実的な光景に、唖然とした。
 
 なるほど。
 ――“攻城兵器”は言い得て妙だ。
 確かにこの威力なら、単体で城壁を壊せるだろう。
 予想外の挑戦者の実力に。
 観衆全員が色めきだった。
 
 
 
 
 
 ――からくりは、既に看破していた。
 常人以上に鍛え込まれた筋力を、全身から余すところなく収束させ、零距離で炸裂させているのだ。
 天性の才能と、異常極まりない修練により生み出された、常識外の破壊力。
 それは、以前対戦したレコン・ランクラウドの攻撃すら上回る。
「……くっ!」
 とにかく、必死に距離を取る。
 仕組みを理解しても、攻略するのは、難しい。
 
 白にとっては。
 破壊力そのものは、驚異ではない。
 何より問題なのは――攻撃が零距離から為される点である。
 
 発動する直前まで、それはあくまで“手を伸ばしている”だけなのだ。
 
 相手の攻撃の勢いを利用する白の戦法では、
 ただ伸ばされた手を、破壊するのは難しい。
 かといって、攻撃が発動した瞬間を狙うには、そのタイミングはシビアすぎる。
 何せ、攻撃の助走距離がないのである。
 手を添えた瞬間、こちらの腕が吹き飛んでしまうのは間違いない。
 発動の瞬間。刹那の世界の中で、髪の毛ほどの精密さをもって、対応しなければならないのだ。
 利き腕がいつも通りなら――あるいは可能だったかもしれない。
 しかし、前回の試合で負傷していて、かつ寝不足の状態では、そんな神業的な対応は不可能だろう。
 ――状況は、窮めて不利だった。

493血塗れ竜と食人姫 ◆gPbPvQ478E :2006/06/25(日) 23:42:19 ID:OCsnf/Eb
 
 
 
 
 
 血塗れ竜は混乱している。
 今のうちに、片を付けなければ。
 
 ユメカは全速力で追いすがる。
 
 自分の攻撃は、びっくり箱のようなものだ。
 初回で決まればそれで良し、決まらなければ、相手が驚いている内に畳み掛ける。
 
 ――それに、血塗れ竜。
 
 奴が逃げ回っているのは、策が無いからではない。
 舞い上がっている砂煙。
 これを、血塗れ竜は、嫌がっているのだ。
 
 おそらく――血塗れ竜の超人的な強さの根幹は“見切り”にあるのだろう。
 相手の攻撃の流れを見切り、タイミングを完璧に見切った上で、それを破壊する。
 その神業を可能としているのが、全てを見切る“目”に違いない。
 故に、視界を酷く限定される砂煙の中を避け、今現在、後ろ跳びを繰り返して逃げているのだろう。
 
 ――だけど、こちらの方が速い。
 
 向こうは後ろ跳びで、こちらは前への直進なのだから、追いつくのは簡単である。
 しかし、絶妙なタイミングで、避けられてしまう。
 もう、こちらの発動のタイミングを見極めたか。
 腕の助走距離はゼロとはいえ、力を収束させるために、
 身体の端から捻りを一気に収束させるため、そのタイムラグを見切ったようだ。
 流石は王者。長引かせれば、どうなるかわからない。
 
 これが普通の敵だったら、素早く足技あたりを引っかけて動きを止めればいいのだが、
 血塗れ竜相手にそれをやると、あっさり足を引き千切られてしまう。
 故に、あくまでも零距離の攻撃にこだわらなければならないのが辛いところ。
 
 ――血塗れ竜が避けるのに失敗するか、
 ――それとも私が誤って甘い打撃を放ってしまうか。
 
 先に集中を途切れさせた方が、負ける。

494血塗れ竜と食人姫 ◆gPbPvQ478E :2006/06/25(日) 23:42:54 ID:OCsnf/Eb
 
 
 
 
 
 ――まずい。
 持久戦になったら自分が負けることを、白は冷静に認識していた。
 寝不足による集中力の低下。
 現状ですら、かなりギリギリの綱渡りである。
 もって、あと三度。
 それ以上避けるのは――無理だろう。
 右腕による精密な反撃は不可能で、集中も途切れがちなのを誤魔化し誤魔化し凌いでいる。
 このままでは、負ける。
 
 しかし……無事に勝てる手段も、ない。
 
 負けてしまったらどうなるのだろうか。
 敗北は死――それが、この囚人闘技場の定説である。
 万が一、運良く生き延びたとしても――
 
 王者でなくなった自分を、ユウキは見捨てないでいてくれるのか。
 
 ――私は、囚人闘技場王者の付き人です。
 
 イヤだ!
 ユウキが側にいないなんてイヤだ!
 そのためには勝たなくちゃ。
 何があっても、殺さなきゃ。
 じゃないと、ユウキに褒めてもらえない。
 ユウキが、側にいてくれない。
 
 想像するだけで背筋が凍る。
 
 ユウキの暖かさが、なくなる。
 ユウキの柔らかさを、感じられなくなる。
 ユウキの匂いを、失う。
 
 こんな、怪物姉のような“イヤなニオイ”ではなく、
 ユウキの匂いは、自分を心地よくさせてくれる――
 
 
 ……あれ?
 この、ニオイって。

495血塗れ竜と食人姫 ◆gPbPvQ478E :2006/06/25(日) 23:43:33 ID:OCsnf/Eb
 
 
 
 
 
「っ!?」
 避ける一方だった血塗れ竜が、こちらの懐に飛び込んできた。
 どん、と肺を押されて息が詰まる。
 腕の内側では、こちらも攻撃を発動させることができない。
 肩を押し込み、突き放さないと――
 
 
「あのとき、ユウキに付いていたニオイだ」
 
 
 血塗れ竜が、呟いた。
「おまえ、ユウキに、何をした」
 ……?
 ユウキさん?
 そうだ、この試合に勝てば、ユウキさんと一緒にいられるかもしれないのだ。
 セっちゃんは一緒じゃないけど――ユウキさんと一緒なら、寂しさを紛らわせられるかもしれない。
 私の横に、もう妹はいない。
 ぽっかりと空いてしまった空虚を埋められるのは、あの素敵な人だけだと思う。
 酷いことをしちゃったから、精一杯、お詫びしなければ。
 ――そのためには、血塗れ竜を、殺さないと。
 ひとつ、賭に出ることにした。
 
「何をしたかって?
 ――それは、とても、素敵なことです」
「……嘘だ」
「きっと、貴方がしてもらってないこと、です」
「……ユウキは、私に何でもしてくれる」
 
 どうやら、私は賭に勝ったようだ。
 血塗れ竜は、面白いくらい、動揺している。
 そして――おそらく、彼に抱いてもらっていない。
 生娘独特の青臭い反応を、返してきている。
 
「それこそ嘘。
 だって貴女、ユウキさんに抱かれたことなんてないでしょう?」

496血塗れ竜と食人姫 ◆gPbPvQ478E :2006/06/25(日) 23:44:13 ID:OCsnf/Eb
 
 
 
 
 
 ……抱か、れた?
 抱っこなら、何度でもされたことがある。
 ――でも、こいつの言っているのとは、違う気がした。
 
「私は、彼に一杯抱いてもらいました。
 奥に熱いのを何度も出してもらって――いっぱい、愛し合ったんですよ?」
 
 言ってる意味がわからない。
 こいつの言ってることは戯れ言だ。
 よくわからないことを言って、こちらを動揺させようとしているのだろう。
 わからない。全くもってわからない。
 愛し合った? ユウキと? そんなの嘘だ、だってユウキは私のことを――
 
 
 ――愛しているとは、一度も言ってくれたことが、ない。
 
 
「う、」
 背筋がぞわぞわと粟立った。
 怖い。怖い。怖い。よくわからないけど、凄く、怖い――!
 何が怖いんだろう。わからない。わからない。わからないわからないわからないわからないわからない!
「うあああああああああああああああああああ!!!!!!???」
 
「ごめんなさい」
 
 気付いたときには。
 肩が割り込んでいて。
 
 どん、と突き飛ばされていた。
 
 微妙に距離が開く。
 
 相手の手がこちらに伸びる。
 バランスを崩していて、上手く動けない。
 
 あれ?

497血塗れ竜と食人姫 ◆gPbPvQ478E :2006/06/25(日) 23:44:49 ID:OCsnf/Eb


 何度も行っていたことだから。
 無意識のうちに、身体が動いていた。
 相手の攻撃の流れを読み、強引に逸らして引き千切る。
 咄嗟のことだったので、怪我しているとか関係なく。
 壊れた右手で、それに刃向かっていた。
 
 ぺきん、と右手の四指がへし折れた。
 
 しかし逸らすのには成功し、急所を破壊されることは、なかった。
 粉々に砕けた右手の指から、閃光のような痛みが走る。
 咄嗟のことだったので、精密な捻りなど期待できず、当然相手の腕は無事なままだ。
 
 でも。そんなことより。
 
「ユウキは、私の」
「それは、違います」
 再び、手を伸ばしてくる。
 跳んで避けるのは間に合わない。
 左手では、引き千切るのは難しい。
 右手は骨が砕けているので、使えない。
「ユウキは、私のなんだからっ!」
「――イヤです。私だって、欲しいんです」
 
 その言葉が、引き金となった。
 
 ――ユウキは、誰にも渡さない。
 
 自分の身体なんて、どうなってもいい。
 右手がなくなっても、ちゃんと戦えれば、ユウキは私の側から離れないはずだ。
 私は囚人闘技場の王者なのだから。王者でいる限り、ユウキは一緒にいてくれる。
 
 だから、
 
 
 
 
 
 
498血塗れ竜と食人姫 ◆gPbPvQ478E :2006/06/25(日) 23:45:21 ID:OCsnf/Eb
 
 
 再び、手を差し出した。
 爪先から掌まで、全身の動きを連動させ、破壊力を一点に収束させる。
 今度こそ。
 血塗れ竜を殺してみせる。
 相手に避ける手だてはなく、あの恐ろしい引き千切りも、右腕が壊れた現状では不可能だろう。
 
 そう、思っていたら。
 
 血塗れ竜は、刹那の合間、右腕を突き出してきた。
 再び逸らすつもりだろうか。
 しかし、壊れた右手ではろくに力も入らないだろ。逸らすことすらままならないはず。
 右腕と引き替えに、数秒間の命を得ようということか。
 
 左手に、全身の力が収束する。
 これをこのまま押し出すだけで、石壁すら破壊する衝撃が繰り出される。
 そして右腕を奪った後は、左手に注意しつつ戦えば、勝てる。
 
 負けるはずない。
 そう思って、左手を突き出した。
 
 ぶちり、と血塗れ竜の右腕が飛んだ。
 自分の腕が飛ばされて、どう思ったか――と、顔を見たら。
 
 血塗れ竜は、笑っていた。
 
 獲物を捕まえた獣のように。
 にたり、と壮絶な笑みを浮かべていた。
 
 左腕に違和感。
 血塗れ竜の右腕を吹き飛ばした直後。
 そのまままっすぐ進むはずが、微妙に方向が逸れていく。
 
 まさか、と思った次の瞬間。
 
 
 血塗れ竜の左手が、こちらの左腕を、引き千切っていた。
 
499血塗れ竜と食人姫 ◆gPbPvQ478E :2006/06/25(日) 23:45:56 ID:OCsnf/Eb
 
 
 
 
 
 
 攻撃が発動した瞬間に捕らえるのは、不可能だった。
 攻撃が発動した直後は、とんでもない威力のため、触れることすらままならない。
 攻撃を避けた後では、既に捕まえられる範囲を過ぎている。
 
 だけど、攻撃が当たった直後なら。
 威力は落ち、かつ捕らえられる範囲にある。
 
 わざと当てさせて、私の右腕が衝撃で引き千切られている間に、
 左腕を走らせて、当たった直後の無防備な手を、捕らえた。
 
 
 あとは、いつもと同じように、ねじ切るだけ。
 でも、それじゃあお互い片腕を失っただけで互角のまま。
 だから、この瞬間に全てを賭ける。
 
 
 いつもは、当てて逸らしているが、
 今は、確実を期すため、掴んで逸らしていた。
 だから、こちらの手の中に、怪物姉の左腕が、残っている。
 根元の肉はボロボロになり、ねじ切れた骨の先端が覗いている。
 
 
 そして、衝撃で動けないでいる怪物姉の顔面、
 
 
 ――その眼孔に、左腕の骨を、突き刺した。
 
 
 びくん、と怪物姉の身体が痙攣し、そのまま倒れ込む。
 仰向けに寝転がる怪物姉の頭には。
 
 
 墓標のように、左腕が立っていた。
 
 
 
500血塗れ竜と食人姫 ◆gPbPvQ478E :2006/06/25(日) 23:46:45 ID:OCsnf/Eb

『……し、勝者、血塗れ竜!』
 
 やった。
 今日も勝った。
 これで、ユウキに褒めてもらえる。
 
 拍手と歓声を浴びながら、よたよたと歩き、控え室へとまっすぐ向かう。
 右腕が根元から吹っ飛んでしまったので、早めに手当を受けなければならない。
 でも、その前に。
 ユウキに、会いたかった。
 
 右腋に左手を押し込んで、強引に止血する。
 片腕がなくなり、バランスが極端に悪くなったため、まっすぐ歩くのも難しい。
 でも、一歩一歩確実に、控え室へと進んでいく。
 
 
 そして、控え室の扉を、体を使って押し開けて。
 
 
「――ユウキ!」
 
 
 今日も、勝ったよ。
 だから、褒めて。
 頭を優しく撫でて。
 ユウキがいるから、私は今日も頑張れたんだから。
 
 
「……あれ?
 ユウキ……?」
 
 おかしいな。
 おかしいな。
 いつもなら、ユウキが出迎えてくれるはずなのに。
 なんで。
 
 
 なんで、ユウキが、いないんだろう。
 
 
 がらんとした控え室の中。
 血塗れ竜は、呆然と立ちつくしていた。


501血塗れ竜と食人姫 ◆gPbPvQ478E :2006/06/25(日) 23:47:36 ID:OCsnf/Eb
何この長さ?
己の正気を疑いました。
上手く切る場所がなかったので、そのまま投下してしまいました。
すみません。

まあ、何はともあれ、これでようやく折り返し地点。
残り半分も楽しんで頂けると幸いです。
502名無しさん@ピンキー:2006/06/25(日) 23:49:08 ID:0iDMrHHa
GJ!!
これからは残り2人の修羅が!
503名無しさん@ピンキー:2006/06/26(月) 00:05:36 ID:toL/k9mu
怪物姉負けちゃったよ。゚(゚´Д`゚)゜。ウァァァン
504名無しさん@ピンキー:2006/06/26(月) 00:07:23 ID:HRkLBuKy
キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!!!!
キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!!!!
キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!!!!
キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!!!!
キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!!!!


姫に取られたユウキさんの様子wktk
505名無しさん@ピンキー:2006/06/26(月) 00:22:34 ID:8uwgQBmv
二日読まなかっただけで作品量が大変なことに(*´д`*)
略してしまって申し訳ないが全ての作者様GJっす

このスレが、私の毎日の生きる糧になりつつある・・・
506Bloody Mary 2nd container 第十五話 ◆XAsJoDwS3o :2006/06/26(月) 00:29:48 ID:UxBZzAUd
「モルドさん、早くここから離れましょうよ」
 下っ端の一人が怯えながらオレに提案してきた。
「あ?」
 苛つく。何ビビッてやがんだ。
「ヤバイっすよ、あいつら。絶対此処に来ますって!こ、この人数じゃ太刀打ちできませんし…」
 そいつが回りを見渡しながら無様に歯をカチカチ鳴らす。

……ンなことは判ってる。もうじき傭兵どもの生き残りが此処に来ることも、オレに勝ち目がないことも。
ベイリン傭兵旅団の戦力は知っているつもりだった。充分に勝てる人数を寄せ集めた。
だが、実際襲ってみたらとんでもないヤツがいやがった。傭兵に混じって戦っていたアリマテア王国の英雄。
どうしてこんなところに居るのか解らないが、強さだけは噂通りの糞女だった。
 おかげでものの数分でカタをつけるつもりがズルズル長引いて結局最後はドカン、だ。
どうもオレはアリマテアに関わるとエライ目に合うらしい。ムカっぱらのたつ話だ。

「…ですから、早く逃げましょう」

 まだグチグチ何か言ってやがる。今オレは気が立ってるって解んねぇのか、こいつ。

「…るせぇよっ」
「はがっ!」

 情けないツラに拳を叩き込んだ。そいつは地面を転がりながら悶えるが、今度は痛い痛いと叫ぶ声が五月蝿い。
鬱陶しいので踏みつけて前歯をへし折ってやった。気を失ったのかやっと静かになる。やれやれ。

「誰が逃げるなんて腐ったマネするか、屑が」
 前歯のない男に唾を吐きかけて少しでも苛つきを抑える。

 オレが命を賭して此処に残っているのにはワケがある。
傭兵の中にいた一人の男。戦闘の最中にブチ切れてこっちに殺気を飛ばしてきた青臭いガキだ。
 あいつの目がやたらとオレを苛付かせる。
それというのもヤツの目が昔戦った一人の男に似ているからだ。
“あの男”と同じ目。
あの目に出会ったのはこれで三回か。一度目はあの男。二度目は三年前に殺し損なったクソガキ。そして今日。
 ベイリン傭兵旅団とツルんでいるとなると今日のあの小僧は三年前のガキなのかもしれない。
ズキン、と眼帯の下の目が痛んだ。…嗚呼、苛つく。
 オレの左目を奪ったあの男。あの男の亡霊が。いつまでもオレに纏わり付いてくる。
十年以上前のことにまだ拘ってるあたり、オレも女々しい性格らしい。
 それに気付いてまた一層ハラがたってきた。
たとえオレが今日くたばろうが、あの目だけは潰したい。

「今度こそ殺してやるぜ、ガラハド」
507Bloody Mary 2nd container 第十五話 ◆XAsJoDwS3o :2006/06/26(月) 00:31:06 ID:UxBZzAUd








 目が覚めて早速あの女たちを葬ってやろうと銃に火薬を詰めたのに部屋には誰も居なかった。
残念。気を失ってる間に逃げられた。
 おまけにお兄ちゃんまで盗られた。ほんと、つくづくムカつく女たちだなぁ。えへ。

「……?」
 机の上に何かある。
 あいつらの代わりに一枚の紙切れを見つけた。山道の地図だ。

「………山道か」
 お兄ちゃんの部屋に置き去りにされた地図。ある一点に印が置かれている。
あの女どもがお兄ちゃんを連れて行ったんだ。
 攫われたあの王女を助けるために。
早く助けなきゃ。お兄ちゃんが死んじゃう。お父さんみたいに。
あいつらが死なせてしまう。あたし独りになっちゃう。お兄ちゃんが酷い目に合っちゃう。

 だから。あいつらを消さないと。お兄ちゃんは、あたしが守るんだ。

『――――――――助けてくれ、マローネ』

 呼んでる。

『――――――――死にたくない』

 お兄ちゃんがあたしを呼んでる。

『――――――――マローネ!』

 あたしに助けを求めてる。

「……大丈夫。今からみんな殺すから。すぐに助けてあげるからね、お兄ちゃん」

 あたしがそう答えるとお兄ちゃんは安堵の笑顔を浮かべてくれた。嬉しい。


そんなに喜ばれたらあたし、張り切っちゃうよ。無茶苦茶に殺しちゃうよ?えへへ。

―――――うん。あははっ。お兄ちゃんもそう思う?

―――――え?そうだね。あの女は直視できないくらい顔面を砕いちゃおう。

―――――小娘の方は?肝臓を破壊して苦しませて殺すなんてどぉ?…ん。わかった。


 お兄ちゃんのリクエストにどれだけ答えられるか判らないけどあたし頑張るね。

「……だから、愛してるって言って」

―――――えへ。あたしも愛してる。今から、そっちに行くね。待ってて。


 予備の銃を背負い、火薬の量が充分にあるのを確認してあたしは宿を出た。
508Bloody Mary 2nd container 第十五話 ◆XAsJoDwS3o :2006/06/26(月) 00:32:09 ID:UxBZzAUd





――――――――・・・・・





 すっ、と音も立てず小屋の入り口にいる見張りに背後から近づく。
「ひゅっ……」
 見張りは声を発することもなく頚動脈を切断され、切り口から紅い飛沫を飛ばしながら絶命した。

「もう大丈夫です、ウィリアム様」
 彼女の一部始終を隠れて見ていた俺と団長に合図を送るシャロンちゃん。
小屋の見回りをしていた三人をたった一人で気取られることなく全員殺してしまった。

「相変わらず怖いな、シャロンちゃんは」
 小屋の扉に近づきながら彼女のその手際の良さに正直戦慄した。
「炊事・洗濯・掃除に暗殺はメイドの嗜みですので」
……敢えてツッこむのはやめよう。
 騎士団に入った頃に何度か彼女の腕前を見たが、あれから全く鈍っていないらしい。
なんで侍女がそんな暗殺術知ってるのか訊いたことがある。
でもシャロンちゃんは「女性の過去を無用に尋ねるのは失礼と言うものです」とはぐらかすだけで肝心なことは聞けていない。
 侍女になる前はあちこち旅していたって言うからその間に身に着けていたのかも知れない。
流石にそれ以上訊くのはもう諦めたけど。

「それでは私は小屋の裏に回ります。ウィリアム様、マリィ様。御武運を」
「えぇ。シャロンさんも」
 こんな血生臭い場所でも団長の激励を受けて律儀に頭を下げる。
その後は足音もなく小屋の裏に回って行った。

「さて」
 シャロンちゃんが視界から消えたのを確認して団長が扉に手を掛けた。
「準備はいいですか?ウィル」
 彼女の問いに一度深呼吸する。……大丈夫だ。火箱はちゃんと閉じてる。

「はい」
 俺は静かに頷いた。

「それでは行きます!」
 団長の掛け声と共にバンッ、と扉が勢いよく開け放たれた。


――――――――今、助けます。姫様。
509Bloody Mary 2nd container 第十五話 ◆XAsJoDwS3o :2006/06/26(月) 00:33:55 ID:UxBZzAUd
マローネ、お兄ちゃん電波受信中。

(チラシ)
最近筆のノリが異様に悪い……更新遅くてスマソ


>>501
分かっていた。分かってはいたんだ。だけど…
エロ姉ぇぇぇぇぇぇぇ!!!!・゚・(ノД`)・゚・
510名無しさん@ピンキー:2006/06/26(月) 00:36:20 ID:8uwgQBmv
>>509
GJっす
マローネ、ヤンデレが加速しすぎ((;゚Д゚)ガクガクブルブル
団長との直接対決がやばそう・・・
そしてマローネの独白に興奮してしまう俺ヤバス(*´д`*)
511名無しさん@ピンキー:2006/06/26(月) 00:52:44 ID:LnGM/fkp
>>469
ひいぃいぃぃいぃっ(*´∀`*)

>>501
姉ちゃぁぁん・゚・(ノД`)・゚・
白もがんばったのに寝取られちゃうよ・゚・(ノД`)・゚・
でもアトリもかわいいんだよなぁ

>>509
GJ!
マローネが・・・マローネが・・・

てか最高だよこのスレ
( ゚∀゚)アハハ八八ノヽノヽノヽノ \ / \/ \
512名無しさん@ピンキー:2006/06/26(月) 00:55:06 ID:toL/k9mu
良い感じで病んで来ているな・・・
513名無しさん@ピンキー:2006/06/26(月) 00:58:00 ID:hNuKUWa7
七誌君、お医者さんによると私あと100KBしか生きられないの
見捨てないでいてくれるよね?
いつまでも一緒だよね?
えへへ…
514名無しさん@ピンキー:2006/06/26(月) 01:09:55 ID:5Qk15Sqr
Leviathan
515名無しさん@ピンキー:2006/06/26(月) 01:15:15 ID:ZvG/FAgV
血塗れ竜、零距離攻撃(*´Д`)ハァハァ
攻城兵器というから破城槌みたいなぶちかましでもするのかとオモタ
そして姉もやっぱり「こいつのにおいを消してやるッ!」になったか(ノД`)
読み返して投稿レスの多さに驚いたけど、読んでるときは夢中で長さが気にならんかった。

BM2はマローネが神託ならぬ兄託モードでコワヒ
もはや彼女はヤンデレ神との合一を果たした巫女だ……

ああ楽しい。修羅場スレは心のオアシスだねぇ。
「俺には惨劇が必要なんだ。その平衡があって、はじめて俺の心象は明確になって来る」
って感じ。
516名無しさん@ピンキー:2006/06/26(月) 03:06:10 ID:LFkaEtXe
>>509
電波キタ━ヽ(ヽ(゚ヽ(゚∀ヽ(゚∀゚ヽ(゚∀゚)ノ゚∀゚)ノ∀゚)ノ゚)ノ)ノ━! !!!

これで更新遅いなんて何言ってんすか……全然速いほうですよ。

ていうかこのスレの神達は更新速度はやすぎる。
517名無しさん@ピンキー:2006/06/26(月) 05:11:46 ID:2EX3Aug0
>>501
エロ姉スキー白ラヴの俺はもうどうしたらいいか分からんからちょっと外走ってくる、全裸で。

雨降ってるけど気にしない
518名無しさん@ピンキー:2006/06/26(月) 08:10:09 ID:o2752NqW
>>501
俺が今まで見てきた姉キャラの中で一番好きだっただけにつらい(ノД`)
ユウキよせめて彼女たちを心一杯追悼してやってくれ。

BM・更新速度が遅いなんて。
このスレと比較しちゃいけませんよ。
ここは、時間の流れが速すぎなんです。
519名無しさん@ピンキー:2006/06/26(月) 10:00:47 ID:GTtOOZhh
『振り向けばそこに……』の神のサイトやっと見つけた・・・
加筆修正版もwktk
52013-345:2006/06/26(月) 10:25:41 ID:KvX2gTq5
>>501
うわ、メインヒロインの腕が飛んだよ・・・・
エロ姉マジで死んでしまったん?
毎回なんてクオリティだ
こんな創作が家にいながらにして毎日のように読めるなんて
いい時代になったものだ
521『一掴みの優しさを君に』 ◆yjUbNj66VQ :2006/06/26(月) 13:28:13 ID:YUDNHltq
「美夜ちゃんはだまっててよ!…美夜ちゃんにだって、兄ちゃんはあげないよ!」
「なによ!家に来た途端お兄ちゃんにベッタリになって。良い気にならないでよ!」
「冬奈ちゃんはいいじゃない。双子なんだから兄ちゃんと性別以外はほとんど一緒なんだよ?だったら兄ちゃんを私に譲ってもいいでしょ?」
「ダメよ。それでもお兄ちゃんは別なの。冬奈こそ、私達双子の間に入り込む余地なんてないのよ!」
目の前で繰り広げられる、微笑ましい喧嘩(ハタから見て)がさっきから数十分は続いている。目の前で小さな二人がひょこひょこ怒っているのはみてて面白い。
冬奈に抱き付かれたのを美夜が発見して、それから今の状態に至る。
「はぁ…」
まあここまで思われているというのは嬉しい事ではあるが……兄妹の壁というのは厚いものである。血の濃さ、世間体など……
なに考えてるんだ?俺。そんなことありえない……はず。「!?」
そんな騒がしい中突然……さっきのような感覚に襲われる。これは白昼夢に入る時の………感じだ……
二人が騒いでいる中、俺は夢のなかへ落ちていった……
522『一掴みの優しさを君に』 ◆yjUbNj66VQ :2006/06/26(月) 13:29:02 ID:YUDNHltq
「……君………亮夜…ん……亮夜君!」
「!」
気付いたら真っ白な世界だった。上下左右も分からない世界へほうり込まれた。そんな気分。
ただ、視線の先には常に沙羅がいた………空ろな目をして……包丁を持って………
「亮夜君……ふふ…やっぱり、お家じゃ妹さんにもてもてなんだねぇ…」
床もない世界を、確実に、ゆっくりとこっちへと歩いて来る。
「いったよね?兄妹では結婚できない、故に愛し合えないって………おかしいなぁ。復唱までして確認したよね?」
急に思考がクリアになる。
「いや…俺はそんな気は無いぞ……向こうが勝手に……」
喋れた…夢の中で自分の意識で喋れたのは初めてだ……
「本当にその気は無い?これっぽっちも?」
「……」
そこまでいわれると否定できない。昔から向けられる冬奈と美夜の想いは、見ていて辛いものがある。何とかして報われないか。そう考えた事だってある。
「ダメでしょ?私のことを思い出すのも忘れて、他の女の事なんか考えてちゃ……たとえ、妹でもね。」
そう言うとともに、包丁が振りかざされる。
523『一掴みの優しさを君に』 ◆yjUbNj66VQ :2006/06/26(月) 13:29:52 ID:YUDNHltq
「うふふ……呪いをかけといてよかった。悪い子にはお仕置が……ううん、躾が必要だもんね。本当はこんなことしたくないけど、自業自得だよ?」
「やめ…ろ!」
抵抗もできず、振り下ろされた包丁は左肩に深々と食い込んだ。
「っぐああああああ!!!!!」
その痛みで、一気に現実世界に引き戻される。だが、夢から覚めてもまだ左肩は痛い。焼けるように、熱く、まるで切り落とされたように痛い。
「きゃあ!」
「兄ちゃん!?」
二人が前にいる事も気にせず、のたうち回る。だが、どんなに押さえても痛みは引かない。……どうしろと……
「ど、どうしたの?兄ちゃん?」
「お兄ちゃん、大丈夫!?」
妹さんにもてもて…
「で、出てけ……」
「「え?」」
「いいから出てけ!!俺は大丈夫だから、部屋から出てけ!」
そう凄まれると、二人は慌てて部屋からでていった。それと同時に、肩の痛みはひいていったが……
「ああ……二人に…あんなふうに怒鳴っちまったのは……初めてだ……」
肩の痛みの代わりに、今度は心が痛かった……こんな事なら、我慢すればよかった………
524『一掴みの優しさを君に』 ◆yjUbNj66VQ :2006/06/26(月) 13:30:57 ID:YUDNHltq
超スランプorz
やっぱり広檻くらいのノリの方が書きやすいなぁ
525名無しさん@ピンキー:2006/06/26(月) 13:45:53 ID:PZCiGADn
既に400kb超な件について。
526名無しさん@ピンキー:2006/06/26(月) 19:21:39 ID:Ecc5UrUH
>519
漏れも某旧世代神のブログを発見…
527名無しさん@ピンキー:2006/06/26(月) 20:25:22 ID:Bia8GbRm
許可がないとやっぱまずいんじゃ……
528名無しさん@ピンキー:2006/06/26(月) 20:34:35 ID:toL/k9mu
教えて欲しいのはやまやまだが、個人サイトを晒すのはまずいと思う
529アビス  ◆1nYO.dfrdM :2006/06/26(月) 20:35:26 ID:vIHJgIVN
投下します
530『BLOOD』追憶編 二章  ◆1nYO.dfrdM :2006/06/26(月) 20:36:10 ID:vIHJgIVN
「あんた、私の妹になんか変なことしてないでしょうね?」
 あのあとゼルは嫌がるあの子を無理やり連れてきてメイドに彼女を綺麗にさせた
 なんどかお風呂を覗きに行こうとしたゼルを牽制する
「するもなにもお前のせいでまた唾も付けられないよ」
 私はため息を付いてゼルの太ももを蹴飛ばした
「痛っ!おいおい婚約者だろ?大事にしろや」
「それは親同士が勝手に決めたことです、私は認めていません」
 なんでか知らないけどお父様は私の婿にゼルを選んだ
 正直な話すごく嬉しい・・・・だって、私・・・・・
 いけない、何を考えているの私は・・・・
 こ、こんな女好きの軽率な奴なんて大嫌いよ
「プレシア、どうしるんだ?彼女のこと・・・・」
「私が一緒に暮らします、それで・・・・」
 護って見せます
「なんだ、これは・・・・」
 そんなことを話していると当の本人が着替えた服を窮屈そうにつまみながらやって来た
「無理やり連れてきてなんのつもりだよ・・・・あんた!」
 人差し指を思い切りゼルに向けて威嚇しながらシェルはゼルを睨んだ
「一目惚れ?」
 私はシェルとうなずき合うとゼルに制裁を加えた
531アビス  ◆1nYO.dfrdM :2006/06/26(月) 20:37:23 ID:vIHJgIVN
またまた短くてすいません・・・・
姉妹日記以外の筆がなかなか進まない・・・・orz
532姉妹日記 10話  ◆1nYO.dfrdM :2006/06/26(月) 20:39:02 ID:vIHJgIVN
 鼓膜の中に入り込んでくるドアを叩く音に僕は耳をふさいで聞こえないようにした
 逃げても逃げても音は僕を追いかけてくる
「どうしたの?お姉ちゃんよ?涼ちゃん?・・・・」
「まさか、近くにあの女がまだいるの!?はやくお兄ちゃんを返せ醜女!」
 ここに秋乃さんがいなくてほんとによかった・・・・僕がそんなことを考える間もケータイが鳴りドアが叩かれる
 僕は早く終わってくれ終わってくれと念じながら瞳を閉じた・・・・
 
 いったいどれだけの時間が過ぎたのだろうか時計に目をやるともう深夜だった
 僕はケータイを取ってメールボックスをまた開いた

『冬香:お兄ちゃんはあの醜女に騙されてるの・・・・』
『夏美:今なら、許してあげるわ・・・・早く戻ってらっしゃい』
『冬香:お兄ちゃん・・・・・』
『夏美:涼ちゃんはなにも悪くないのよ?』
『冬香:逃がさない・・・・逃がさないから!』
『夏美:・・・・・・・・・・・』
『冬香:お兄ちゃんが戻ってこなかったら・・・・』
『夏美:・・・・・・・・・・・』
『冬香:あの女、殺してやるんだから!』
『夏美:涼ちゃん、涼ちゃん、涼ちゃん、寒いよ・・・・早く開けて』
『冬香:そうよ、全部ぜ〜んぶ、あの女が悪いのよ・・・・・』
『夏美:お姉ちゃん、涼ちゃんのためにおいしい料理たくさん作ったのよ』
『冬香:殺してやる、殺してやる、殺してやる、殺してやる』
『夏美:今持って来てるのよ?一緒に食べましょう』
『冬香:許さない、許さない、許さない、許さない、許さない!!!』

 もうこの程度の文面では恐怖を感じなくなっていた
 でも・・・・二人はこれからどうなってしまうのだろう?
 また秋乃さんの言葉が頭に響いた
 そうだ、二人と僕は兄妹なんだ・・・・どれだけ二人が祈っても望んでも結ばれる訳がない
 二人には死刑宣告に等しいほど酷なことをしている
 前向きに考えなくちゃ・・・・
 このままずっと一緒に居るなんて出来ないことを二人も解っているはずだ
 もう少し時間を置けば二人も解ってくれる
 今はそう考えるしかなかった

『夏美:二人は一緒、ず〜っと一緒♪』
『冬香:どうして!今までずっと一緒だったじゃない!』
『夏美:涼ちゃん、覚えてる?小さい頃お姉ちゃんをお嫁さんにしてくれるって約束したよね?』
『冬香:出てきなさい・・・・出てきなさいよ!!!!』
『夏美:寒い寒いよ・・・・涼ちゃん』
533姉妹日記 10話  ◆1nYO.dfrdM :2006/06/26(月) 20:42:56 ID:vIHJgIVN
 僕が選んだのは秋乃さんだ
 僕が愛してるのは秋乃さんだ
 彼女の為に僕は生きているんだ
 心の中で本心を復唱する
 二人の涙を・・・・二人の叫びを・・・・忘れるために
 生暖かい空気が辺りを包み僕は息苦しさを感じ窓に近づいた・・・・
 白いカーテンを開いた瞬間僕は恐怖のあまり身を震わせた
 まず、目に入ったのは見開かれた瞳・・・・
 黒目が広がり喜びを表し目がギョッと動いた
 暗い夜の景色と部屋の間にも関わらずにその瞳だけは、はっきりと見えた
 そして僕を確認すると口元を緩めニヤっと笑んだ
 身震いし僕は後ろに下がった
 すると手がトンと音を立て窓のガラスに当たった
 なぜ行けないの?そういう顔をして影の手が窓をがんがん叩く
「あ・・・・・あ・・・・・うわぁぁぁ!!!!!」
 恐怖でその場に崩れ床を蹴り身体を引きずらして後ろに引く
「どうしたの?涼ちゃん・・・・怖いの?待ってていま助けてあげるから!」
 解りきっていたその人物に僕は絶望に似た気持ちを抱きながらただただ恐怖の叫びを上げた
「あ・・・・・あぁぁぁ!!!!!」
「待ってなさい、今すぐ・・・・助けてあげるから!!!!!」
 窓を叩く手に力が込められ窓に夏姉ちゃんの血が付着していく
 ドアを何度も力いっぱいに叩き、そして今度は窓だ
 華奢な夏姉ちゃんの手が壊れてもおかしくない
「やめて、やめてよ・・・・夏姉ちゃん!」
「心配しないで、大丈夫よ・・・・すぐにそこに行ってあげるから」
 ケータイがまた鳴った・・・・
 僕は怖くなって電源を切ろうとケータイを握った
 今度はメールでない・・・電源を押して切ろうとしたときだった
 留守番電話になる音がした

『いま、あなたの後ろに居ます・・・・』

 幽霊のような擦れた小さな声が僕の鼓膜に響いた
 僕はだらしなく口から唾を垂らしながら荒い息遣いで後ろをゆっくりと見た
「捕まえた、お兄ちゃん・・・・ふふ」
 いつの間にか夏姉ちゃんの声も聞こえなくなった
「涼ちゃん♪」
 その声に慌てて前を向くと満面の笑みの夏姉ちゃんが居た
 後ろから冬香の腕が僕の首に絡まり
 前から夏姉ちゃんの手が僕の肩を掴んだ
「あ、あ、あ・・・・あぁぁぁぁ!!!!!」
534アビス  ◆1nYO.dfrdM :2006/06/26(月) 20:45:01 ID:vIHJgIVN
>>483 先越されちゃった・・・・orz

前回ほどインパクトが足りなくてすいません
前回の話は正直引かれちゃうだろうなと思いつつ投下しました
予想とは違う反応に一安心しています

書いてて姉妹が可愛そうになってきました
ちなみに姉妹はまだ幽霊ではありません
それと秋乃と春乃も忘れないでくださいね
535名無しさん@ピンキー:2006/06/26(月) 21:23:48 ID:U+tLkNmW
>>534
姉妹救済ENDも必要ですね
ちょっと可哀想すぎる
536名無しさん@ピンキー:2006/06/26(月) 21:24:40 ID:PGH3ZGET
ちょ、怖いよw

もうあれだ、姉妹大事にしてあげてって言いたい
537名無しさん@ピンキー:2006/06/26(月) 21:37:08 ID:lS1lEHEn
あぁ…本当に和む……
538『さよならを言えたなら』 ◆jSNxKO6uRM :2006/06/26(月) 21:51:25 ID:YUDNHltq
現代、金が無いとはいうのは仕方ない。ましてや時給九百円のレストランでバイトしてるフリーターにとっては、家賃だけでも馬鹿にならない。
月二万。五畳の一部屋。それでトイレ付き、シャワー付き(バスタブなし)。結構な条件だと思う。
「まあ、家具は机だけっていうのは質素だがな。」
独り言もそこまでにし、さっそくもらった鍵を使い、ドアを開ける。中から出てきた空気には、生活臭なんてものは全く無かった。というよりカビ臭い。
「換気、換気……」
いかんな。独り言が多い。ベランダ、廊下沿いの台所の窓を全開。次は……浴室か。もしかしたら、もうこの時すでに、これから先の波乱過ぎる人生が始まっていたのかもしれない。
ガチャ
開ける、と。そこにはもちろんシャワーと………一人の少女が倒れていた……
「………」
バタン!
閉じる。
「やべぇな……いくらなんでもまだ脳はいかれてねぇはずだ。」
ガチャ
再度開ける。……やっぱりいる。このアパートの大家の誘拐を手伝った訳でもない。となると……記憶を失う前の俺は極悪人だったのか………くそっ。この若さで………
539『さよならを言えたなら』 ◆jSNxKO6uRM :2006/06/26(月) 21:52:38 ID:YUDNHltq
「おい、女。どこの誰だかしらねぇが起きろ。」
「うう…ん」
声に反応するように身動ぎをして起き始める。見た目からして高校生だろうか。19の俺とはそう離れてはいないだろう。とりあえず………
「んんっ……あ、あれ?ここ、どこ?…あなたは…誰?」
「ここは俺の部屋。……あんたこそ誰だ?勝手に他人の部屋で寝やがって。」
「んーっとね、私は……そうそう、喜瀬葵。アオイだよ。」
人差し指を顎のしたに当て、自問するように自分の名前を言い始める。見た目以上に仕草は幼い。大人びた子供なのか、子供っぽい大人なのか……まあ、いい。関係のないこった。
「とりあえず、なんでこんなとこで寝てたんだ?鍵も無しにどうやって入った?泥棒か?」
そんなま抜けた泥棒も聞いたことないが。
「あわわわわ!ま、まってよぉ。そんなに一度に聞かれても思い出せないよぉ!」
混乱したのか、頭を抱えてウンウン唸り出す。
「えっとー…なんで、なんで、ここにいたのか…………なぁ?…なんでだろ?…うーあー。だめ、思い出せないよぉ!なんにも覚えてないよ。」
540『さよならを言えたなら』 ◆jSNxKO6uRM :2006/06/26(月) 21:53:45 ID:YUDNHltq
「なんにもって……記憶喪失か?…お前?俺と同じ………」
いや、止めとけ。余計な同情は無意味だ。
「え?あなたもって……」
「いいから、関係ないだろ!さっさとここから出て……」
追い出そうと女の(名前はもう忘れた)腕をつかもうとした……が。
スウッ…ガン!
「っ?」
掴み損なったのか、俺の手は女を通り過ぎて壁に激突した。何がおこったのか分からず、俺も女も呆然とする。おかしい。たしかに掴んだんだが。
「くそっ。」
もう一度女に触れようとするが……
スウ…
今度ははっきりとわかった……体に触れず、空気のように手応えがない………これはよくある、いわゆる、ひょっとして……あの……
「あ、あれ?……私…この体…も、もしかして幽霊!?」
「………まさか、俺の脳が本当にイカれてたとはな…こんな幻覚をみるだなんて……精神科にでも行くか……」
「わ、私は幻覚じゃないよぉ。本当にいるんだってば!」
それに加えて幻聴とは…末期だな。
「ねぇ、聞いてるの?おーいってば!」
「うるさい!幻ごときが話しかけんな!!」
「ううー。ひどいよぉ。私だって不安なんだから……」
541『さよならを言えたなら』 ◆jSNxKO6uRM :2006/06/26(月) 21:59:33 ID:YUDNHltq
「……ちっ、とりあえず、こっから出ろ。歩くことぐらいできるんだろ?」
「うん…」
幽霊のくせに浮かないでヒタヒタ歩きやがる。本当に触れないって事以外は人間と同じみたいだな。まだ信じちゃいないがな……
「で、だ……とりあえず……」
「うん。」
「でてけ。それか成仏しろ。」
「ええー。なんでよ!無理だよぉ。」
そう言うとビービー泣き出す。涙まで流すとは……ほんっとに幽霊なんか?
「あ!そうだ!」
泣いていたかとおもうと、次はパァッと明るい笑顔になる。喜怒哀楽の激しい、疲れる奴だ………
「あなたが私を成仏してくれればいいんだよ。ほら、よく言うじゃない。現世に未練があった人は化けて出るって。だから私にも未練があるんだよ、うん。」
「だったら俺じゃなくてもいいだろ。誰か他の奴に頼めよ。俺にとっちゃ、そんな面倒なことは願い下げなんだ。」
「ううー。鬼!悪魔!」
そう怒鳴ると一目散に部屋をでていった。それはいいが、幽霊に悪魔呼ばわりされるのは不愉快だな………
〜一時間後〜
「…と、いうわけで、戻って来ちゃいましたぁ!」
「このっ……悪霊ガァ!」
本人(本霊?)曰く、誰も自分に気付いてくれない、とのこと。可視できるのは俺だけだとか………なんでこんなことに…
542名無しさん@ピンキー:2006/06/26(月) 22:31:43 ID:NIbSQpVA
いよいよ本物の幽霊モノがあらわれたぞっ
どこにも逃げられないぞっ
一緒に成仏させられちゃうぞっ
543名無しさん@ピンキー:2006/06/26(月) 23:14:02 ID:K5KCS9kt
嫉妬・三角関係・修羅場系総合SSスレ 幼馴染十一年目
とか
544名無しさん@ピンキー:2006/06/26(月) 23:25:17 ID:sccDrq1f
>>541
いいよいいよほんといいよ
あぁいいなぁほんといいなぁ
あぁ楽しみだ続きが実に楽しみだ
545名無しさん@ピンキー:2006/06/26(月) 23:37:57 ID:i/U6Z2sa
>>543
字数制限に引っ掛からないかそれ。
幼馴染みスレみたいだし。
546名無しさん@ピンキー:2006/06/26(月) 23:40:55 ID:NIbSQpVA
嫉妬・三角関係・修羅場系総合SSスレ 妊娠十一ヶ月


なのに全然産まれません。おなかも大きくありません。
「妊娠しちゃった(えへ)」 と言われて、大好きだった彼女と別れて結婚しました。
どうみても騙しです。本当にありがとうございました。
547名無しさん@ピンキー:2006/06/27(火) 00:02:09 ID:jyqBnHiU
嫉妬・三角関係・修羅場系総合SSスレ リストカット十一針
とか?
リストカットでも長ければリスカとか
548名無しさん@ピンキー:2006/06/27(火) 00:02:37 ID:zmD+u/pR
藁人形十一体目、とか浮かんだが。
>>546があまりにもツボだ。
549名無しさん@ピンキー:2006/06/27(火) 00:08:26 ID:n2STYDJS
>>534
姉妹の壊れ具合が最高
僕にとってこの姉妹は癒し系です
>>541
霊のほうが主人公に干渉出来るなら・・・
全裸でwktkしながら待ってます
550名無しさん@ピンキー:2006/06/27(火) 00:09:20 ID:Fo6OuRVW
嫉妬・三角関係・修羅場系総合SSスレ 十一戦目
はどうだろうか
551名無しさん@ピンキー:2006/06/27(火) 00:27:41 ID:kkdM0Yzk
嫉妬・三角関係・修羅場系総合SSスレ 壊れ姉妹十一人目
ミンチよりひでぇや
552名無しさん@ピンキー:2006/06/27(火) 00:31:14 ID:rKC94IsH
嫉妬・三角関係・修羅場系総合SSスレ 鋸十一本目
553名無しさん@ピンキー:2006/06/27(火) 00:31:48 ID:XxOBmXSo
嫉妬・三角関係・修羅場系総合SSスレ 尾行11日目
554名無しさん@ピンキー:2006/06/27(火) 00:33:04 ID:mTki3nMe
みんな早いよ
9スレ目立てるのは早すぎて8スレ目がいまだ残ってるんだぞw
555名無しさん@ピンキー:2006/06/27(火) 00:38:51 ID:rKC94IsH
>>554
彼女がまだ生きている訳g・・・辛うじて生きてたなw
556名無しさん@ピンキー:2006/06/27(火) 00:51:44 ID:tytBQnag
>>552に一票
鋸ワラタwww
557名無しさん@ピンキー:2006/06/27(火) 01:15:38 ID:NNxRg80D
妊娠11日目に一票
558名無しさん@ピンキー:2006/06/27(火) 01:18:52 ID:eVsGCZre
嫉妬・三角関係・修羅場系総合SSスレ ジェノサイドイレブン
559名無しさん@ピンキー:2006/06/27(火) 01:23:36 ID:R5Bm+ngU
いざ次のスレへ!!総員耐修羅場防御よろし!

            l               
            l           γ_((:::,、:::)
            i           (,, ・∀・)
            l           / ロ`l' ロ,G
            l          ェェェェェェェェェ_____.,-[_[ ] ロ[l
          _rj '──ooo ''"ニニニr´-`.t - -- ,,..=-- ,,.. --'-- ' - ___
          l_i_i`^   '='='='     l    !    .l ̄ ̄ ̄l   ,´ ̄´ー───r´ ̄ ̄r´^---------,─,,‐、
          l_i_il_l__l:::::::       l   _!_____l___l,--.ゝ-ゝ-───‐ゝ──.ゝ─────ゝ-ゝソ
 l ̄ ̄ ̄ ''ー─────==----------- ,, .._''' ---------.::::::::::::::::::::: .._
 l____,.__,.__l,.___,.__,.__  ̄ ,~""''' ‐- ...,, ____,_== . ̄~""''' ‐- ...,, __
  /__                   l      l ̄ ̄ ̄ ̄l ̄ ̄ ̄ ̄ ヽ_二二ヽ. ̄ ̄ ̄ ヽ- _, 、ヽニ^- 、
   lγ \   ロ           l      l        l     ,/ 、    ヘ____ゝ__(0,ソヘ   ヽ
   `{  ,,ヾ__;;___;;___l___l____l_ロ__,/_,,...ヾ-----` / ̄// ̄// ̄/_ヾ___ゝ
    ヽ-''::::l ´` l:::::l ´` l::::l ´` l::::l ´` l::::::l ´` l::::l ´` l ::ゝ__,,/三三三/::: ̄::::: ̄::::: ̄:::::ゝ-/三三/
     ヽ、:ゝ__,,ソ:::::ゝ__,,ソ::::ゝ__, ソ::::ゝ__,.ソ::::::ゝ__,,ソ:::::ゝ__,.ソ  , -'"≡≡, -";;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;; , -'" ._, -'" 
       `ー-─-─-─-─-─-─-─-─-─-─-─-─ ''─── ''  -─-─-─-─ ''── ''
560名無しさん@ピンキー:2006/06/27(火) 01:26:21 ID:mNnqEP0b
次スレはこういう展開キボンヌww

                           .┌┬―゙ ̄ ゙̄―┬┐
                         _______|_,,|___,||___,|,,_|_______
                       ./====──── ============\
                       ||.0 1 T.|. 9107 .│|.・・.|| ○ ○ | ||
                       ||.─.─.| 二二二.|├.──‐.───.||
                       ||    .| |    | |│  '´  ,、`ヽ   ||
                       ||    .| |    | |│ i ,ノノ ))リ,  . ||
                       ||__,,,| |__,,| |..|  |!il "ヮ ノl|   ,||
                       ||.--.--.|-------|-''''''''''''''''''''''''''''''''''''||
                       ||__,,,|____,|  ____ _,,,,,,,||
                       ||.┌┐..|       (⌒.       .┌┐||
                       ||__llllll__,|    ,´/´^`ヽ..____llllll._||
── =≡∧_∧ =            .  ||.--.--.|-  ノ〈 从ソ)ハ.--.----.---||
── =≡( ・∀・)  ≡    ガッ      _     (リ(!;゚ロノリ゙゙――――‐┘
─ =≡○_   ⊂)_=_  \ 从/   ――  ―   ⊂ )允iつ _| ||||||||||||||
── =≡ >   __ ノ ))<   >  ――   ― 三  く/_lj〉    ̄||||||||||||
─ =≡  ( / ≡__ /VV\     ̄ ̄ ――  (ノし'   |||||||||||||||||
── .=≡( ノ =≡     ./.|         |||llllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllll|||
               // |    /  // ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄\\  \
            .//  .|   /  // ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄\\  \
           //   |  /  // ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄\\  \
         //    
        
561名無しさん@ピンキー:2006/06/27(火) 01:28:06 ID:Soylsa+l
それいい(≧∇≦)b
562名無しさん@ピンキー:2006/06/27(火) 01:28:34 ID:zoc2cOzd
次スレはまだ早いんじゃないか?
450kで次スレ立てた八スレ目はまだ残ってるよ
563名無しさん@ピンキー:2006/06/27(火) 01:31:54 ID:Soylsa+l
ああ、490KBでちょうどいいと思う
564名無しさん@ピンキー:2006/06/27(火) 01:37:38 ID:HgTVbQGd
490kbは待ちすぎ。これだけ投下数の多いスレでは、少し早めの方がいいと思う。
そうでないと、職人さんが安心して投下できない。抑止効果が出ちゃう。
やっぱ470kbぐらいが適正じゃないかと。

8スレは埋め作業が難航していたし、
逆に9スレの時は、乗り換えるのにノンビリしすぎで、結構危ない状況だった。
あやうく一緒に埋まっちゃうところだったぜ。
5659スレ:2006/06/27(火) 01:58:13 ID:Pn+uRdXc
どうして!? どうして一緒に埋まってくれなかったの!?
566名無しさん@ピンキー:2006/06/27(火) 02:10:18 ID:NdWpf2+Z
生霊?
5678スレ:2006/06/27(火) 02:16:19 ID:XBVld2ca
>>566
生きてるのは私だよ?どこの牝豚と勘違いしたの七誌君?
やっぱりまだ少し躾が足りないみたいね♪
しっかりとかわいがって・あ・げ・る・♪
568名無しさん@ピンキー:2006/06/27(火) 02:18:05 ID:BTN9GdR7
まとめると480KBまできたら捨てて次スレに乗り換えるってことでよくね?


嫉妬・三角関係・修羅場系総合SSスレ 修正パッチ11個目
569名無しさん@ピンキー:2006/06/27(火) 02:30:02 ID:tFGMPN/I
>>568
何その夏の日々
570名無しさん@ピンキー:2006/06/27(火) 02:36:13 ID:F8ZVXUfG
>>568
鋸吹いたw
571名無しさん@ピンキー:2006/06/27(火) 03:08:47 ID:UCKUDctb
取りあえず302と304はテンプレにいれたいね
572名無しさん@ピンキー:2006/06/27(火) 04:06:59 ID:8bAdo1rj
573名無しさん@ピンキー:2006/06/27(火) 04:09:40 ID:sUIuDGO8
304はおもしろいし、スレに対する愛も感じるんだけど、
書き手から見ると微妙に嫌みなんじゃないのかな、と思う。
574名無しさん@ピンキー:2006/06/27(火) 08:07:13 ID:xQMFvcMP
>>304も悪気はないだろうし、嫌みではないだろう。
ただ、嫉妬・修羅場などシチュである程度限定される以上
あるネタがかぶるのもしょうがない気がする。
575名無しさん@ピンキー:2006/06/27(火) 08:07:52 ID:MIoSX3f9
>>568にインスパイアされた

嫉妬・三角関係・修羅場系総合SSスレ 修正パッチ11GB
576名無しさん@ピンキー:2006/06/27(火) 08:13:22 ID:XBVld2ca
>>568,575
それはオバフロスレ用な悪寒
妊娠11ヶ月目が好きだがHR向けかな・・・
577名無しさん@ピンキー:2006/06/27(火) 09:10:31 ID:ckfzhozz
キモ後輩分が足りないぜ
578名無しさん@ピンキー:2006/06/27(火) 10:07:41 ID:/c6SkxN8
テンプレに関して少し考えてみてくれないか

現状でも特に不満は出てないし要らないのかもしれんが
投下宣言について追加してみてはどうだろう?

宣言の有無なんて神の任意であって強制なんて以ての外だとは思う
でも、このスレは投下量多いから投下終了宣言がないと割り込みを警戒して
他の投下や感想レスが自粛されてるような気がするんだ

気のせいだったらスルーしてくれ
579名無しさん@ピンキー:2006/06/27(火) 12:09:56 ID:RXdzQR5j
最近の投下ペースも落ちてきたように思えるが・・
まあ、考えないようにしておこう・・

個人的にはサウンドノベル化してベクターに登録して欲しいわけだが・・

どこかのメーカーさんゲーム化してくれないかな
新たに絵と音声が追加されて欲しいぜww
580名無しさん@ピンキー:2006/06/27(火) 12:38:48 ID:RXdzQR5j
実際にまとめページから修羅場サウンドノベル落としてソースを見たけれど・・


何が書いているのか全くわかんねえ・・
せっかく、歴代作品を総サウンドノベル化しようと思ったら、いきなり躓いてしまったww
初心者に厳しい内容ですね・・。

これを作った人は本当に神ですね・・。
私ではツール落とすだけが精一杯でした・・。

581名無しさん@ピンキー:2006/06/27(火) 12:59:46 ID:HgTVbQGd
nscrのことかな?
それなら、やってみると見た目よりも結構簡単だよ。
一度配布元まで行って、そこのサンプルを流用して、あまり設定を弄らずに少しずつ試していく。
すると二、三日で最低限の機能は理解できるようになるよ。
サブルーチン駆使して複雑なことしたり、カスタムメニュー作ったりするなら別だけど、
このスレのSSをサウンドノベル化するだけなら、特に必要ないだろうし。

難しいのはスクリプトの組み方よりも、具体的な演出の仕方だと思う。
どこでどういうBGMを流すか、どういう画面効果だすか、どこで文章を区切るか…
予想以上に、すげーセンスと時間がいる。だから俺には無理…
582『さよならを言えたなら』 ◆jSNxKO6uRM :2006/06/27(火) 14:16:52 ID:U1ivMcAG
「えーっと、とりあえず、また自己紹介。喜瀬葵です。」
「……秋沢晴也。」
「晴也さんですかー。良い名前ですねぇ。」
この野郎。幽霊のくせに社交辞令までしやがる。まぁ、悪霊ではないようだな。しかしなんで俺が憑かれなくちゃいけないんだよ……
こっちの悩みなど考えもせず、自由気ままに壁や天井をすり抜けて遊んでいる葵。本当に精神年齢は低いな。
「とりあえず……どうすれば成仏できる?思い残した事はなんだ?」
「だからそれが思い出せないんだってぇ。」
ふわふわと浮きながら上からものを言う。なんかカチンときたな。
「てめっ!そんなところから見下してねぇで下に降りてこい!」
「ああ!ごめんなさい!」
床におり、正座をする。
「じゃあ、まずは質問だ。素直に答えろ。お前が消えるためだ。」
「うぅ、そんな邪魔者扱いしなくても……」
「幽霊なんざ邪魔者以外のなんでもない。じゃあ、生前についてだ。歳は?」
「17。」
……最近の17歳はこんなガキなのか……まあいい。
「学校は?」
「…わかんない。」
「家族と家は?」
「……わかんない。」
583『さよならを言えたなら』 ◆jSNxKO6uRM :2006/06/27(火) 14:18:05 ID:U1ivMcAG
「……友達や知り合いは?」
「………覚えてない。」
「てめぇっ、成仏する気あんのか!?」
あまりの無意味さに、手が出る。が、やっぱり立体映像のようにスルリと抜けてしまう。今気付いたが、体を通り抜ける時、少しだけ抵抗感がある。
「うわわ、そ、それやめてぇ。なんか体がぞわぞわするー。」
面白いから体に手を突っ込んで見た。なにやら不快な感じらしい。これが他人に見られていようものなら、即、犯罪者扱いだ。
……こいつは幽霊でも女だったんだ。それを思い返すと恥ずかしくなってきた。
「は、晴也さんは、私の事知らないんですか?」
話題を変えようと、葵から質問をしてくる。
「いや、知らん……知っていたとしても、忘れたかもしれんな。」
「忘れたって……ここ数年の知り合いの顔を忘れるなんて酷い痴呆ですよ?」
「……記憶喪失なんだよ。」
「え?」
「去年一年分の記憶が丸々消えてんだ。覚えてるのは今年の元旦から。だから、去年お前に会ったとしても覚えてないんだよ。」
「へぇー。あ、じゃあ私と同類……」
「俺は死んじゃいねぇ!!」
「ふああ!つ、突っ込まないでぇ。」
584『さよならを言えたなら』 ◆jSNxKO6uRM :2006/06/27(火) 14:19:17 ID:U1ivMcAG
そんなふうに葵をいびりたおしていると……
「あ、やっべ、もうこんな時間……そろそろ行くか。」
「え?どこ行くの?」
「バイト。アルバイトだ。親から仕送りもらって無いからな。ほぼ毎日バイトて埋まってんだ。いわゆる、フリーターってやつだがな。」
「あ、私も……」
「憑いてくんな。仕事の邪魔だ。……ここにいろ。」
最後の一言は不満だったが、仕方ない。あのまま成仏しきれず悪霊になられたら最悪だからな。
半泣きの葵を置いて、外へ出る。ちょうど桜が咲き終わる季節。寒くもなく、暑くもない、暖かいと言える気候だ。これぐらいが一番いい。
バイト先のレストラン、『Fan』へは、スクーターで15分ほどにある。雰囲気も明るくて、働くにも苦にならないところだ。ただ、ここの店長の趣味でやっているため、店はかなり狭く、客も少ない。
店員も俺と店長と、あと一人だけだ。
「ちぃーっす。」
いつもの挨拶を済まし、ロッカールームへ。店長は大抵厨房に籠っているため、滅多に顔を見ない。……いいのか?それで。
そして、もう一人の店員が……
「やーん!晴也ぁ!」
勢いよく抱き付いてきた……
「セレナ……」
相沢セレナ……クォーターなため、外人のような名前らしい。そのため、日本人と比べるとずば抜けて美人だ…そんなセレナは…………俺の恋人…らしい。
消えた記憶の時に、俺の方から告白した…らしい。実はそれも全く覚えてないのだった。
585『さよならを言えたなら』 ◆jSNxKO6uRM :2006/06/27(火) 14:20:26 ID:U1ivMcAG
今日はここまでです。修羅場は…遠いorz
なるべく早く持ってきた方かいいですか?
586名無しさん@ピンキー:2006/06/27(火) 14:36:35 ID:72DZgJrn
>>585
自分のペースで書けばいいんじゃないかな
wktkして待ってるよ
587名無しさん@ピンキー:2006/06/27(火) 14:41:57 ID:H85zHQvn
早いほうがいいけど、まあ自分のペースでいいんじゃん
588名無しさん@ピンキー:2006/06/27(火) 15:26:37 ID:F8ZVXUfG
>>585
wktkして全裸で待っているよ
早いにこしたことはないですがあせらず自分のペースでドゾー
589名無しさん@ピンキー:2006/06/27(火) 16:12:40 ID:jyqBnHiU
同意 名は明かさないが俺も以前の連載で修羅場るまで2ヶ月かかった
それでもココの皆さんは気長に待ち続けてくれた
プロットを大事にしながら自分の書きたいように書いてください
590名無しさん@ピンキー:2006/06/27(火) 18:28:25 ID:vuIPaDq+
特定した
591名無しさん@ピンキー:2006/06/27(火) 19:17:30 ID:+2INW5WS
まとめサイトも忙しいせいか全然更新してませんね・・
ログが流れませんように祈るべきか・・
592名無しさん@ピンキー:2006/06/27(火) 19:29:32 ID:TaM0fmm0
暇な人はもしもの時のため、メモ帳とかにコピったほうがいいかもw
593名無しさん@ピンキー:2006/06/27(火) 19:32:50 ID:DM/2z432
594名無しさん@ピンキー:2006/06/27(火) 19:35:07 ID:5KqrcRFw
下地を敷きに敷いて念入りに状況を整えて、修羅場る準備ができてから
ドーンと突入してった方がktkr感増してちょうどいい具合になるかもだよ。

焦らなくていいと思う。焦るまでもなく、修羅場の奥は深い。
遠回りしていても、やがて何もかもが修羅場に奉仕するようになるはず。
595名無しさん@ピンキー:2006/06/27(火) 20:07:34 ID:Y/ff8H6l
綿密な土台の上に組み上げられた修羅場は
時として短編よりなる百の修羅場にも勝る。
楽しみに待ってるよ
596名無しさん@ピンキー:2006/06/27(火) 20:27:09 ID:+2INW5WS
    , ',´ィ ' ´                          \
   / '/             ___    、     、  ヽ //ヽ
. / '´, '   /    ,  ,...:.:.':.´:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:`:.:.:.ヽ     ヽ  冫:;ィ::::;'  __
  '′/  ,/     /':.:.:.:.;:. -―¬¬¬―- 、:.:ヽ     ヽ/:/,.l:::::l':´_ハ
   / .,.,''  ,    /:,: '´             ` ',    ',//;:l::::;'´ /:::/
  ,' //  /    ,'´   i    l   ! .  |     !   ,      r '´ l::〈 /::::ノ
  i /.,'  /    l   i  l __tハ l ! .| t T¬ ト l、 !      ト、 !:::l /:; ' 
  l./ .l  ,'!      l  ,レ'T´ ll! !.l, l  li. |', ト, _!_l `!      lヾ':.l::::!l::::l
  l,' l  ! !      !  l', l ,ゝェ 、',|',l',. ! !.l >' ,r 、 ヽ,,'l     l::ヾ:!:::|.l::::!
    !  l !      ', . l ' / /.n.',` .'|',| '!  l 0 l  '' !    .l;:::l::ー':;'::/  
    ',  !. l     '., ',::''::.ヽニ.ノ, .:    ::... ミニ'r  l.   !  ll::::ト:ヾー'    稟君 行かないでーー
    ', ! !      ヽ':;:::.` ̄   ..::.        ,' .  l.  !l::::! ';::':,   
     ', l l          ';`::::..   .::::::'         ,'   l   !.';:::', ':;:::':,   
     '.,! !         ';::::::::...:::::::::r--ァ     ..;'  .l l!  l ';:::', l';::::',
.       !     l   lヽ:::::::::::::::::ー.′   ..::;:;'   l .l!  !  ';:::':!,';::::',
         ! l      !.  !  ` 、:::::::::::  ...::;:::'::/    ! ,'!. /  ヽ::::':,!::::!
        ! l    .l  .l  !   `ヽ:、:;::::':::::::/     ! ,','./ l   ヽ:::';:::l
        l l!   ', . ト、. ト、',、    !:::::::::::/   , / ./// ト、、 .l! !:::ト'
        l ハ .  ', ',ヽ ', ヽ',\   !::::/   ///>、 、 ! ヽ!', l.l,'';;';!


↑を超えるヤンデレが現れるの楽しみに待ってます
597名無しさん@ピンキー:2006/06/27(火) 21:40:21 ID:PiJ8ZHkd
嫉妬・三角関係・修羅場系総合SSスレ 怒れる十一人の妹

恐れていた事が起きた。兄が泥棒猫に誑かされたのだ。
この悪夢が皮肉にも血で血を洗う争いを繰り返す十一人の妹たちの結束を生む。
惨劇が開ける。十一の妹vs泥棒猫。これは、もはや結果の見えた戦いに過ぎない…。
しかし、事態は急展開を迎える…!!
次回「十二人目の実妹」
ま、まさかあなたが妹だったなんて!
598名無しさん@ピンキー:2006/06/27(火) 22:11:48 ID:R5Bm+ngU
>>597
親父頑張り過ぎだろwwwwwwwwww
599名無しさん@ピンキー:2006/06/27(火) 22:28:24 ID:IIW5Ch1T
>>598
母上やもしれん
600名無しさん@ピンキー:2006/06/27(火) 22:36:54 ID:yQl0MPeN
全員異母姉妹で
601名無しさん@ピンキー:2006/06/27(火) 22:39:32 ID:rEMMWEDU
実は3億人の兄弟姉妹を持つ擬人化マンボウのお話。
602名無しさん@ピンキー:2006/06/27(火) 22:44:53 ID:FIzF9ePH
>>598
つ[ 止 ]
603名無しさん@ピンキー:2006/06/27(火) 23:53:23 ID:S/I/brGm
>>597
一瞬シスプリネタかと思ったwwwww
604名無しさん@ピンキー:2006/06/27(火) 23:59:46 ID:ckfzhozz
あぁ、村田と12人の妹だよな
605名無しさん@ピンキー:2006/06/28(水) 00:34:40 ID:mScfRk2K
嫉妬・三角関係・修羅場系総合SSスレ 飛び降り自殺十一階
606名無しさん@ピンキー:2006/06/28(水) 00:39:45 ID:MC37YEBg
嫉妬・三角関係・修羅場系総合SSスレ 11人目の惨殺死体
607名無しさん@ピンキー:2006/06/28(水) 00:51:56 ID:mScfRk2K
なんかスプラッタになってきた・・・
608名無しさん@ピンキー:2006/06/28(水) 00:56:40 ID:ktWglYxg
嫉妬・三角関係・修羅場系総合SSスレ 士道不覚悟
609名無しさん@ピンキー:2006/06/28(水) 00:56:56 ID:MC37YEBg
嫉妬・三角関係・修羅場系総合SSスレ 11人目の参戦者


いちご100%もびっくりな修羅場w
610名無しさん@ピンキー:2006/06/28(水) 01:34:06 ID:yU9IBxGX
611名無しさん@ピンキー:2006/06/28(水) 01:43:03 ID:XI59DxsB
嫉妬・三角関係・修羅場系総合SSスレ 盗聴器11個

……少ないか?
612名無しさん@ピンキー:2006/06/28(水) 01:50:23 ID:HX/gQiFa
嫉妬・三角関係・修羅場系総合SSスレ 11回目の修羅場遭遇

んー
613名無しさん@ピンキー:2006/06/28(水) 01:52:17 ID:X1T2yC0O
嫉妬・三角関係・修羅場系総合SSスレ 十一月革命
614名無しさん@ピンキー:2006/06/28(水) 01:52:28 ID:GHFOdJ0P
××の喧嘩祭といえば、六尺褌一丁の男達が、神輿を担いでぶつかり合う、
勇壮な祭として、この地方に知られている。
祭のあと、男達は集会所に集まり、普段着に着替え、飲み合う。
六尺は、激しい祭でドロドロボロボロになるから、使い捨てで、ゴミとして出される。
俺はいつもそれが狙いだ。
捨てられている六尺の、できるだけ汚れてる奴を10数本ほど、
こっそりさらって家に持ち帰る。
そして、深夜、俺一人の祭が始まる。
俺はもう一度汚れた六尺のみ身に付け、部屋中にかっさらってきた六尺をばら撒き、
ウォーッと叫びながら、六尺の海の中を転げ回る。
汚れた六尺は、雄の臭いがムンムン強烈で、俺の性感を刺激する。
前袋の中のマラは、もうすでに痛いほど勃起している。
六尺の中に顔を埋める。臭ぇ。
汗臭、アンモニア臭や、股ぐら独特の酸っぱい臭を、胸一杯に吸い込む。溜まんねえ。
臭ぇぜ、ワッショイ! 雄野郎ワッショイ!と叫びながら、前袋ごとマラを扱く。
嗅ぎ比べ、一番雄臭がキツイやつを主食に選ぶ。
その六尺には、我慢汁の染みまでくっきりとあり、ツーンと臭って臭って堪らない。
その六尺を締めてた奴は、祭で一番威勢が良かった、五分刈りで髭の、40代の、
ガチムチ野郎だろうと、勝手に想像して、鼻と口に一番臭い部分を押し当て、
思いきり嗅ぎながら、ガチムチ野郎臭ぇぜ!俺が行かせてやるぜ!と絶叫し、
マラをいっそう激しく扱く。
他の六尺は、ミイラのように頭や身体に巻き付け、
ガチムチ野郎の六尺を口に銜えながら、ウオッ!ウオッ!と唸りながらマラを扱きまくる。
そろそろ限界だ。
俺は前袋からマラを引き出し、ガチムチ野郎の六尺の中に、思いっきり種付けする。
どうだ!気持良いか!俺も良いぜ!と叫びながら発射し続ける。
本当にガチムチ野郎を犯してる気分で、ムチャクチャ気持ち良い。
ガチムチ野郎の六尺は、俺の雄汁でベトベトに汚される。
ガチムチ野郎、貴様はもう俺のもんだぜ!
俺の祭が済んだあと、他の六尺とまとめて、ビニール袋に入れ押し入れにしまい込む。
また来年、祭で六尺を手に入れるまで、オカズに使う。
押し入れにはそんなビニール袋がいくつも仕舞ってあるんだぜ。
615名無しさん@ピンキー:2006/06/28(水) 01:52:46 ID:AURMK9u0
お兄ちゃん!十一て!そいつ殺せない!
なげぇ
616名無しさん@ピンキー:2006/06/28(水) 01:54:11 ID:NjFqyXYq
嫉妬・三角関係・修羅場系総合SSスレ 腹に刺さったナイフ11本
617名無しさん@ピンキー:2006/06/28(水) 01:56:43 ID:jwt+34pk
嫉妬・三角関係・修羅場系総合SSスレ 11子にしててね…
618名無しさん@ピンキー:2006/06/28(水) 02:05:36 ID:eMyv67I/
嫉妬スレとヤンデレスレの違いが判らなくなってきたよママン
619テンプレネタ ◆ga4Z.ynmGk :2006/06/28(水) 02:06:56 ID:qVyOEF3m
ナニよさっきから、十一、十一って……そんなにタイトルが大事なの?
案を列挙しなくても、スレ立ての時になれば勝手に誰かがつけるでしょ!?
それより、アタシを見てよ……生まれてもいない次スレなんかより、現スレであるアタシを!
まだアタシには書き込める。職人さん達だってまた投下する気でいるわ。いくらペースが早いからって今この瞬間に落ちるワケないじゃないの。
ね?
アタシはまだアンタを愛せるの。
嫉妬を、三角関係を、修羅場をあげられる!
だから、お願いだから
今だけは
アタシを見てよ。
アタシを愛してよ。
名無し!
620名無しさん@ピンキー:2006/06/28(水) 02:10:41 ID:/ualY0Cz
この流れだと投下しずらいかもな
621名無しさん@ピンキー:2006/06/28(水) 02:12:14 ID:sWlrCn9j
じゃあさっさと立てちゃいましょう
とはいえ今俺は立てられない。ごめんね
622名無しさん@ピンキー:2006/06/28(水) 02:50:18 ID:2JLu2Q7p
嫉妬・三角関係・修羅場系総合SSスレ 墓標11基目
623名無しさん@ピンキー:2006/06/28(水) 02:58:59 ID:BHRqL9o5
嫉妬・三角関係・修羅場系総合SSスレ 藁人形十一体目
624名無しさん@ピンキー:2006/06/28(水) 03:02:03 ID:57sqaweh
>>615
いいな!ワロタ
625 ◆tVzTTTyvm. :2006/06/28(水) 03:14:10 ID:55YZcHrZ
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1148998078/647-651
の続き投下します
八スレの埋め用のつもりだったはずがコッチに持ち越し……
やっぱすでに投下分の加筆修正はやめました
626名無しさん@ピンキー:2006/06/28(水) 03:17:09 ID:55YZcHrZ
 程なくして流矢と智依は付き合い始めた。
 失恋(したと勘違い)した流矢の心の隙に付入り交際にこぎつけるのは造作も無い事だった。
 ましてや失恋直後の一番心が脆い時にそばに居て慰めてあげたぐらいだ。
 そして完全に流矢の心を獲得する為に智依はありとあらゆる手を使って尽くした。
 やがて肉体関係を持つようにまで到った。 勿論お互い初めて同士だった。 だがそれでも未だ完全には安心しきれなかった。
 流矢の視線に未だ未練が読み取れたから。 時折遠くからそっと祈深歌を見つめるその眼差しに。
 それが悔しかった。 体をモノに出来ても未だ完全に其の心を掌握し切れないのが腹ただしく、そして、妬ましかった。
 完全な確証に足るものが欲しかった。 何があっても切れず流矢を繋ぎとめられるだけの……。



 ある日の昼、いつものように二人仲良く昼食をとっている時だった。
 突然智依が席を立ち口元に手を当てトイレに駆け込んだ。
 暫らくして戻ってきた智依の顔は気分悪そうに蒼ざめながらも、どこか満足げな笑みを浮かべてるかのよう。
 其の笑みに流矢は何か空恐ろしいものを感じた。

 まさか……、イやそんなはずは無い。
 一瞬脳裏に浮かんだ妊娠の二文字。 だがそんな訳が無いと頭を振って否定する。
 何故なら流矢は其の事にはいつも細心の注意を払っていたのだから。
 必ずどんな時も避妊具の装着は怠らなかった。
 無い時はきっぱりと断わったし、今日は生でも大丈夫だと誘われた時も必ず使用を怠らなかった。
 だから妊娠などありえるわけが無かった。
 じゃぁ、他の男……? いや、それも考えられない。
 自分が見た限りではそんな様子は全く見当たらなかった。

 どう考えてもありえない。 頭の中で何度考え直しても自分の避妊対策は完璧だったはずだ。
 危険を冒す様な真似はしなかったはず。 それなのに心の中の不安は決して消えてはくれなかった。
 万全を期したつもりでも漏れがあったのではないのだろうか……。
 だからと言って直接そんな事訊く事も出来ず、それで尾行みたいに付回す真似をしてしまった。

 そしてやがてそれを確信させる場面を目撃する。 それは産婦人科から出てきた智依の姿。
 其の顔には満面の笑みを浮かべ、お腹には何か大事なものを抱えるようにそっと手を添えて。



 流矢の避妊に対する心がまえは非常に確固たるものだった。
 智依が危険日を安全日と偽って誘った事も一度や二度ではなかった。
 だが一度として其の誘惑には乗ってこなかった。
 それで智依は反則的ともいえる方法を用いた。
 行為を終えて流矢が帰ったあと、あるいは寝静まった後使用済みの避妊具をゴミ箱から取り出す。
 いつも使用済みの避妊具を捨てるゴミ箱の底にはあらかじめ保冷材などを敷き詰めておいた。
 そうして鮮度が十分に保たれた精子を直接自分の子宮に流し込んだ。
 奥の奥まで其の指でシッカリと擦りつけるように流し込んだ
 行為を行うたびに必ずそれを欠かさなかった。 そして努力の甲斐あって無事妊娠する事が出来た。



 呆然とした表情の流矢とは対照的に満面の笑みを浮かべる智依。
「い、一体何時からその、に、に……」
 口ごもりながら問う流矢に対し智依はにっこり笑って応えた。
「8週間――つまりは二ヶ月よ。 だからね私達あと八ヵ月後にはパパとママになるのよ」
 そう言った直後流矢は安堵の息を洩らし口を開いた。
「二ヶ月……。 なら未だ十分間に合うな……」
 其の言葉に智依は一瞬聞き間違え課とわが耳を疑う。
 だが次に流矢がした行動はそれが聞き間違えなどではないコトを確信させるものだった。
 流矢は両手両膝をつき額を地面に擦りつける。 そして口を開く。
「頼む! 堕ろしてくれ!」
627名無しさん@ピンキー:2006/06/28(水) 03:19:10 ID:55YZcHrZ
 妊娠――其の事を知った瞬間流矢の脳裏に浮かんだのはそれは一種の恐怖にも近い感覚だった。
 確かに付き合ってる以上嫌いではない。 好きか嫌いかでとわれれば好きなのだろう。
 だがこれから先一生付き合っていくと言う覚悟を決められる程に好きなのかと問われたとして、其の問いに無条件でYESと応えられるほどではなかった。
 何よりココでYESと言ってしまえば祈深歌との縁が永久に切れてしまうのでは。
 確かに今は其の縁が切れかけてるようなものではあるが、でもコレで本当に完全に切れてしまうのか。
 そう思うと寂しく、悲しく、そして恐ろしくすらあった。 だから咄嗟に出てしまった。

――堕ろしてくれ、と。


 だが其の答えに智依が納得できるわけが無かった。 確実にコレで流矢の心をモノに出来ると思っていたのに。
 それなのに、モノにするどころか……。
「イヤ……。 絶っっ対にイヤよ!! 何があったって絶対に産むんだから!! そして流矢クン、貴方には絶対に責任取って貰うんだから!!!!」
「頼む、冷静に俺の話を聞いてくれ! 俺達未だ若いんだ、若過ぎるんだよ!」
「イヤ!イヤ!イヤアアアァァァァッッッ!!!」
 錯乱気味に智依と、必死に説得を試みようとする流矢。 そんな二人の耳に甲高い音が飛び込んでくる。
 それは車のクラクションの音。 気付けばお互い激しく言い合い揉み合ううちに道路に出てたのだ。

 突然の事に硬直し動けなかった智依。 一瞬脳裏に浮かんだのは死の恐怖。
「危ない!!」
 流矢の叫び声と音に智依の体に衝撃が走る。
 だが其の衝撃は自動車の衝突によるものではなく流矢がが突き飛ばした事によるもの。
 結果自動車にはねられる事も引かれる事も無かった。 だが……
 流矢はそうはいかなかった。 智依を歩道側へ突き飛ばすのが精一杯で結果まともに車の衝突を受ける。
 凄まじい衝突音。 鳴り響く甲高いブレーキの音。 強い衝撃に吹き飛ばされ宙を舞う流矢の体。
 やがてドサリと地面に落ちた流矢の体の下からは血が溢れ出し血溜りを作る。
「イ……、イヤアアアァァァァ!!!!」
628 ◆tVzTTTyvm. :2006/06/28(水) 03:22:06 ID:55YZcHrZ
何故トリップのクッキーが消えたんだろ??
それは置いといて今日はここまで
次の投下はラストまで書いてからになると思います
629名無しさん@ピンキー:2006/06/28(水) 03:57:22 ID:rfkU6lPc
鏡に向かって地下足袋手甲姿で盛る毎日。
数日に1回の射精にしてるから、ほとんど毎日が寸止めズリ修行さ。
大股仁王立ち、マラ握り突き上げる腰つき、チンポセンズリ連呼、鏡の手前ぇにガン飛ばし、ラッシュで駈け登る。
何度も極楽彷徨い随喜の涙が糸引き飛び散る。いつも1時間位は修行でな、テレズリ相手とナマ中継もやったりな。
金玉の底からザー汁がクツクツ上ってきてよ、この感覚が最高なんだよな。
射精の日、最近はタッパに手前ぇのザー汁吐き出して速攻急速冷凍。
勿論貯めて時々解かしては胸板チンポにオイルとミックスして、マッパザー汁まみれ、勿論手前ぇの口でもタップリ味わってよ、至極のズリに酔い痴れる。
全国のズリ野郎、ビュッビュッと吹き上げようぜ!電話でのズリ戦対決、待ってんぜ!
630名無しさん@ピンキー:2006/06/28(水) 08:42:29 ID:MD4cE0MN
>>628
地雷女テラコワス(((( ;゚Д゚)))ガクガクブルブル
性行為と妊娠は最終兵器だな……

そしてラストの展開に期待
631名無しさん@ピンキー:2006/06/28(水) 08:59:02 ID:/balQZoO
632名無しさん@ピンキー:2006/06/28(水) 14:14:40 ID:6MRrTUau
男性A男は、以前女性B子と半年ほど交際をしていたが、A男の方から別れを切り出した。それでも忘れる事が出来ない、B子はA男アパートに度々訪れるようになる。
A男はB子に、「もう来ない様に」と度々お願いしていた。

ある日、玄関にはB子がいなかった。「諦めたもの」と思い、部屋に入ってA男が見たのは、部屋の真ん中に座っているB子の姿だった。

B子はA男に向かって、「管理人さんに頼んで開けてもらったの」と笑いかけた。
恐怖を覚えたA男は「新しい彼女がいる。もう終わった事だから彼女面すんな!」と叫びます。しかし、B子は泣きくづれる訳でもなく、すくっと立ち上がり、A男に笑いかけると、持っていた剃刀で手首を切ってしまうのです。

幸いA男がすぐに病院に連れて行ったため、一命は取り留めました。しかし、B子はそのまま入院。
恐怖でいっぱいのA男は、アパートを引き払い実家に戻り暮らします。

実家に戻って3ヶ月ほど、安心していたA男は、目を疑うような恐怖に直面します。
いつもの様に、実家に戻ると、家族と一緒にあのストーカーB子が、楽しそうに笑いながら座っているのです。

そして、驚き声にもならないA男に、彼の親は「こちらは今度、あなたのお義姉さんになる方よ」と一言。
凍りついたA男の、B子は「はじめまして。宜しくねA男さん」と…

そうです。A男が忘れられないB子は、A男の兄と結婚する事で、A男と一生離れられない状況を作り上げてしまったのです。
633『疾走』 第一話 ◆/wR0eG5/sc :2006/06/28(水) 17:29:02 ID:w/kyr/GT
 鼓動の音がうるさいです。
 でも簡単に抑えられる類の緊張ではないので、我慢します。
 そう――私はすごく緊張し、なおかつ興奮しちゃってます。
 ただ一言を伝える為に。
「わた、わた、し、あのその」
 壊れたラジオみたいに、意味を見出せない音声ばかりを吐き出してしまいます。
 ああちゃんと練習してきたのに。顔が熱過ぎる。俯かないで彼を見据えなきゃ。
 勇気を出さないときっと何も変わらない。頑張れ私。
「ずっと前から、その……エースケくんのこと、好きでしたっ! つ、付き合って、くださいっ!」
 そうして放課後の校舎の屋上。
 私は人生で最初の告白を終えました。
634『疾走』 第一話 ◆/wR0eG5/sc :2006/06/28(水) 17:30:14 ID:w/kyr/GT
 たっぷりと空白の時間が流れる。
 俺――阿良川瑛丞は、眼前の小柄な、ポニーテールのチビッ子上級生を見ていた。
 場所は屋上。時刻は夕方。
 手紙で呼び出されて来てみれば、こんな状況なのだった。
 髪型とは裏腹に、非常に内気で頼まれると『ハーイ』としか言えないこのお方とは、知り合ってまだ一ヶ月ほど。
 俺は一年。彼女は二年。
 名前は瀬口至理。至理は『いたり』と読むらしい。俺はいたり先輩とお呼びしている。
 さて――確かきっかけは、大量のプリントを独りで運んでいる先輩を見たことだったか。
 今にも転倒してプリントをばらまきそうだったので、俺は運ぶのを手伝ったのだ。
 その謝礼とばかりに、弁当を作ってもらったっけ。
「あの、よ、よかったら、これからもお昼、い、一緒に食べませんかっ!?」
 なにやら切羽詰った様子でそんな提案を投げられた俺は、両目を潤ませている彼女を見て断れなかったのである。
 そんなこんなで今現在、毎日昼休みに会ってはお喋りするくらいには、仲良しな関係だった。
 だったのだが――。
「……あの、いたり先輩」
 のどが渇いているのを自覚しながら言葉を紡ぐ。
 言わないといけない。何かしらの答えを。
 好きですと、言われたのだから。
「その、俺、嬉しいです」
 嘘ではない。実際先輩の見た目は可愛い。抱き締めたくなる魅力を持っている。
 まあ胸は小さそうだけど……って思考が脱線しているぞ俺っ! 今は極めて真剣な気持ちで考える場面なのに。
 つまり俺が、先輩を好きなのかどうか、という問題を。
(……どっちでもないんだけどなあ。好きでも、嫌いでも)
 というか、先輩も俺の何処が好きなんだ? わからん。
 別に顔立ちは平凡だろう。成績が抜群に良かったり、金持ちだったり……。俺にはどれも疎遠な要素で泣けてくる。
「けど先輩。あの、俺のどこが、良かったりするんです?」
「えと、その――。やさ、優しいところ、とか……」
 俯きながら赤面で言われると、こっちも恥ずかしいな。
「でも先輩くらい可愛いと、あのほら、誰でも優しいですよ絶対っ!」
 俺は早口に言ってしまう。
 ――正直面倒臭かったのだ。俺は好きではないのだから、早々に決着を求めた。
「だから先輩のその気持ちも、きっと錯覚かなんかですよ、うん」
 努めて精一杯の笑顔を張り付かせて、俺は言った。
635『疾走』 第一話 ◆/wR0eG5/sc :2006/06/28(水) 17:30:56 ID:w/kyr/GT
「えっ……?」
 顔面の温度が低下するのを、明らかに感じてしまいます。
 彼は今、笑いながら、なにを言ったのか。
「あの、それは、つまり……?」
「俺なんかよりもいますって、もっと優しい人。だから、俺とは」
 付き合わないほうが。
 そう続けられるのが恐ろしくて、私は叫びました。
「嫌ですっ!」
 彼の言葉が止まります。
 けれど私の手足が震えるのは止まりません。
 私は俯いていた表情を持ち上げて、必死にエースケくんを見ます。
 戸惑いの色が濃厚です。私が抗議するのを考えなかったんでしょうか?
 他のことなら『ハーイ』とでも言いますけど、これだけは譲れません。
「エースケくんじゃないと、駄目なんです、私」
 というか嫌です。絶対に。
「だから付き合ってください。私を、エースケくんの彼女に、してください」
「あ、あの……先輩?」
「駄目ですか? 私何でもしますよ? 悪い所は言ってくれれば全部直しますし、お弁当も毎日作ってきます」
 ここで引き下がったら、もうエースケくんとはこれまでだと思えて、いつまでも喋れそうでした。
 ちゃんとエースケくんを見つめて、言います。
 ――何で後退りするんですか? まるで私を怖がってるみたいじゃないですか。
「絶対に錯覚なんかじゃありませんよっ! 勝手なこと言って、誤魔化さないでよっ!」
「す、すみませんっ。あの、そんなつもりじゃ」
「謝るくらいなら私と付き合いますって言いなさいよっ! この卑怯者っ!」
 のどを駆け上がる怒りを、そのままに吐き出した。
 そうだ、そうだ――全部エースケくんが悪いよ。
 錯覚なんて単語で、私の純粋な気持ち、歪ませて……。
「ひどいよ……。エースケくんじゃないと、駄目なのに……うっ……ひぐっ」
「……ご、ごめんなさい。あの、錯覚なんて言ったのは、ひ、酷かったですよね……」
「そうです……っひっく……酷すぎます、うっく……っ」
 涙は拭いません。この液体は、彼に同情を誘う重要な要素だから。
 けど悲しくて泣いているのは真実ですよ? わかってるんですか、エースケくんは。
「言って……くださいよぉ……」
「えっ……?」
「お願いですから……いいですよって……っひぐぅ……言って、ください」
636『疾走』 第一話 ◆/wR0eG5/sc :2006/06/28(水) 17:31:30 ID:w/kyr/GT
「――無理ですよ、いたり先輩」
 先輩の足元のコンクリートが、濡れている。
 それでも、今度こそはっきり言わなければという決意が、俺を動かした。
 びくっと、まるで母親に叱られた幼子のように――俺の言葉に、先輩の体が揺れる。
 信じられないのか、両目は見開かれていた。
「な、何でですかっ!? エースケくんは、私が嫌いなんですかっ!?」
「嫌いでは、無いですけど」
「だったら――っ!」
 見ていられない。涙で濡れた表情が、酷く夕陽に映えている。
 視線をそらしながら、「でも」と続ける。
「そんな、恋人になってほしいほど……大好きでも、ないんです」
「はあ……っ!?」
「半端な気持ちで、付き合うとか、出来ませんよ……。誤魔化そうとしたのは謝ります。俺の本心は、それだけだったんです」
「そん、な……っ? 無理って……嘘……っ?」
 頭を抱えて、ぶつぶつと呟いている先輩が、痛々しかった。
 だけどここで余計に慰めるのは、駄目だ。背中を向けないと。
 振り返って、俺は歩き出す。
「待って、待って、くださいっ!」
 袖を掴まれて、歩みが止まる。顔だけで振り返ると、先輩だった。
 掴む力は強いが指が震えている。冬でもないのに、それは異常に。
 なんでだよ……? 俺なんかに交際断わられただけで、なんでそんなに、今にも死にそうな表情浮かべるんだよ……?
 思わずハンカチを差し出しそうになるくらい、泣き腫らしているし……。
「離して下さいよ」
「嫌です。絶対に離しませんっ!」
「っ……! 離せよっ」
 いい加減限界だった。俺はちゃんと断わったのに、いつまでもしつこい。
 力任せに右腕を振って、先輩の指を掃った。きゃっと、尻餅で倒れる先輩。
「俺、ちゃんと無理ですって言いましたよね?」
 見下ろしながら、言った。
 お尻をさすりながら、先輩が俺を見上げてくる。まるで死刑を宣告された罪人だ。絶望が表情に満ちている。
「私が、駄目なんです……。エ、エースケくんじゃないと……っ! 好きなんです、お願いですっ」
「はっきり言って……迷惑です」
 決して言うべきではなかった、最後の台詞。
 先輩から、あらゆる感情の色素が抜ける。
「――行きます。さようなら、いたり先輩」
 歩き出す。
 今日言った、さようならは……きっと、いつものさようならとは違う意味を抱いている。
 先輩にもそれは理解できるだろうと信じて、階段を降りた。
637『疾走』 第一話 ◆/wR0eG5/sc :2006/06/28(水) 17:32:02 ID:w/kyr/GT
 迷惑です。
 予期せぬ一言でした。
 あの優しい……困っていた私を助けてくれたエースケくんが言うなんて、想像も出来なかった。
 涙は気付いたら止まっていました。
「あはっ……ははは、ははっ……」
 笑うしかありません。
 迷惑って、思われていた。
 告白が成功したら、色んなところをデートして……繋がって。
 馬鹿みたいに想像ばかりしていた自分は、馬鹿を超越しています。
「何か理由が……あるんです、きっと……」
 認めたくない一心で、そう呟きます。
 でも……。
 おかしいじゃ、ないですか?
 好きでもない人間を、助けたりしますか、普通。
 そうですよ。エースケくんは、好きなはずです、私を……決まってますっ!
 何か理由があって、断わったんです。何か、何か……っ!
「探さないと……そうです、調べれば、いいんです」
 諦めません、納得できるまで。
 調べましょう、そうです――例えば彼の住所とか、携帯の番号とか、彼の近辺を。そうしたら何か掴めます。
 もしかしたら悪い女性に騙されているのかもしれません。困っているのかもしれません。
 そう、待っているのです。
 エースケくんは――私が、助けてくれるのを。
「待って、いて、くださいね……。あははっ……今度は……」
 私が、助けてあげます。
 絶対に。
638名無しさん@ピンキー:2006/06/28(水) 17:38:37 ID:sWlrCn9j
>>637
期待作キター
主人公にwktk
639名無しさん@ピンキー:2006/06/28(水) 18:05:35 ID:RZVl15Pj
>>◆/wR0eG5/sc
GJです。続きを楽しみにしてます

ところでまとめサイトの更新無いね・・・忙しいのかな?
無くなって分かるありがたみ・・・・
640名無しさん@ピンキー:2006/06/28(水) 18:32:49 ID:PoQIpYFx
>>637
ちょっとこの主人公ぶん殴っていいですか?
641名無しさん@ピンキー:2006/06/28(水) 18:36:27 ID:/0IxbTsY
ここまでしつこいと引いてしまうけどな。
642名無しさん@ピンキー:2006/06/28(水) 18:43:13 ID:BExZUQNd
今後の展開へのwktkが止まらない!
神様GJ!
643名無しさん@ピンキー:2006/06/28(水) 19:06:20 ID:b/bMfmiL
キモ先輩キター

しかし埋めついでに言うが
お願い、愛して!の続きが非常に気になる
644名無しさん@ピンキー:2006/06/28(水) 19:07:02 ID:8lPj+yQ+
ゆう君より腹立つ主人公だな
645名無しさん@ピンキー:2006/06/28(水) 19:48:22 ID:57sqaweh
>>637
その主人公、一瞬俺?とか思ってしまったよ
リアル工房の頃の思い出と状況が同じなんだもんなぁ…

そんな俺も今では修羅場のとりこさ
リアルではまっぴらゴメンだが。。
646名無しさん@ピンキー:2006/06/28(水) 19:49:30 ID:7+arEd2T
相手がここまでしつこいと
こういう態度も仕方ない気がする
647名無しさん@ピンキー:2006/06/28(水) 19:50:59 ID:55YZcHrZ
俺は嫌いじゃないぜ?
好きじゃない相手にはきっぱり突き放せるこういう男
相手の好意に漬け込んで利用しようとするような小賢しい真似もしてないし
648名無しさん@ピンキー:2006/06/28(水) 20:02:13 ID:MD4cE0MN
期待の新作キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━!!!!!
649名無しさん@ピンキー:2006/06/28(水) 20:09:36 ID:AURMK9u0
>>647
オレオレも
優柔不断じゃないしな

簡単に心動く方が修羅場になりやすそうだけどw
650名無しさん@ピンキー:2006/06/28(水) 20:20:46 ID:i0+hf/gh
>>649
メンドくさいとかいう描写がなければ苛立ちはしないんだけどな
優柔不断じゃないだけまぁマシと言えばマシかも知れんがね。



と、作者さん、誤解されるような言い方してすまない。
別に作品批判するつもりはないんだ、あしからず。
651名無しさん@ピンキー:2006/06/28(水) 20:37:34 ID:HqiMUqAn
>>好きでもない人間を、助けたりしますか、普通。
そうですよ。エースケくんは、好きなはずです、私を……決まってますっ!

このへんの思考がストーカーの卵みたいでイイ (゚∀゚)
どちらにも主人公にもヒロインにも落ち度があるなんて、これからの展開が楽しみです!!
652名無しさん@ピンキー:2006/06/28(水) 20:42:03 ID:JijDEWs0
ですます調で修羅場る娘に、弱いのだ俺は。

Cross Fire(仮)の作者様も帰ってこないかなぁ…
653名無しさん@ピンキー:2006/06/28(水) 20:55:17 ID:HX/gQiFa
いいな主人公。
なし崩し的にめんどくさいから付き合う主人公よりずっといい
654名無しさん@ピンキー:2006/06/28(水) 21:00:13 ID:mScfRk2K
>>637
とりあえずエースケくんを殴りにいってきますね
655『疾走』 第二話 ◆/wR0eG5/sc :2006/06/28(水) 21:04:07 ID:3HGnNef6
 見上げれば蒼穹。俺の気分とは逆転している光景に、やや辟易する。
 引き摺っているなあ。自覚出来るだけ、少し辛い。
 翌日の昼休み。場所は屋上で、いつもの時間だ。
 昨日の今頃、先輩の弁当を食べ終わって……それから手紙を貰ったっけ。
 そして放課後。夕陽を浴びながら、ここで――。
「これでよかったはずさ」
 言い聞かせるように、呟いた。
 何事も開始する地点が在って、開始した以上終了する地点もまた存在してしまう。
 それが昨日だったと。ただ、それだけの話なのだ。
 けれど、先輩の異常とも捉えられるあの必死さが……いまだに理解できない。
 確かに俺は、困っている先輩を助けたという一点だけを凝視すれば、善人かもしれない。
 そしてその行為がいたり先輩にとって、とても巨大なことだったのかも知れないけど。
 いわせてもらえば、俺にとってあれは、路傍に転がっている空き缶を拾ってゴミの箱に放り投げるのと……変わらないんだよ。
 もちろん、この一ヶ月で交わした会話は楽しかった。
 俺と同じで料理が趣味だったのが幸いして、お喋りが途絶えるなんて、皆無だったし。
 友達ならなれたのに……いや、もうきっとなっていたのに。
「……帰るか」
 終わったことを思考するのが、急に途轍もなく無為だと感じて、俺は屋上を立ち去った。
 今日からは、久々に教室での昼食なのだから。
656『疾走』 第二話 ◆/wR0eG5/sc :2006/06/28(水) 21:05:07 ID:3HGnNef6
 夕飯の買い物をようやく終えて、帰途を歩く。
 父親と俺の、二人だけの家庭。
 現在父親は長期の出張で、今や俺は一人での生活を楽しんでいる。
 もしも彼女なんかがいたりしたら、絶好の機会だったりしちゃうのだが。
(馬鹿か)
 ふと過ぎったのは、はにかんだ先輩の笑顔だった。
 確かにあそこで「いいですよ」とか言ってしまえば、俺にも彼女という存在が出来たのかもしれないけど。
 自分の、いたり先輩に対する気持ちが……酷く不安定だったのも確かで。
 だからこそいい加減な返事は出来なかったのだ。本当は、最初からはっきりしておけば、最善だったんだけど。
 考えながら人通りの激しい一角を抜け出て、閑散とした公園の歩道に変わる。
 ……うん? なんだろう、背中がかゆいというか……なにかを、感じる?
 振り返る。
 左右を植え込みと木々に囲まれた一本道だけが――見えた。
 人間は、いない。
「あれ……?」
 誰かがいたような確信を、俺は持っていた。
 確かな足音や物音、声や呼吸を耳朶が捉えたのではないけれど……。
 言ってしまえば、なんとなく。
「……?」
 首を傾げ、前方に視線を戻す。
 それから俺がマンションに辿り着くまで――俺は、振り返ることを、しなかった。
657『疾走』 第二話 ◆/wR0eG5/sc :2006/06/28(水) 21:06:02 ID:3HGnNef6
 俺の自宅は一階。エレベーターは使わないし、階段はのぼらないので、結構なことである。
 鍵を取り出して、穴にさしこんで、ぐるっと回し――。
 警戒心零で扉を開く。
「わっ!」
「っぎゃお――っ!」
 奇声が迸った。……というか俺が迸らせました。
 それほど驚愕したんだよ。――なにせ、誰もいないと思い込んで開けたのだからな。
「はははっ! エー兄面白っ! ぎゃお――っ! なんて叫ばないよ普通」
「う、うっさい……。それよりもお前、どうやって入った、有華っ」
 眼前で大笑いしやがる侵入者に、ドアを閉めながら俺は問い質す。
 こいつは俺の二つ隣に住んでいる、谷川有華という中学生だ。一応性別は、女だと思われる。
 肩口で切り揃えられた髪は、活発なこいつにとても似合っていると俺は思っている、密かに。
 親同士が知り合いで、それが原因で知り合った俺と有華だが……とにかくこいつは馴れ馴れしい。
 今も爆笑しながら俺の肩を叩いているし……。年上を敬わんか。
「どうやってって……正面からに決まってるじゃん」
「鍵はどうしたんだよっ!?」
「おじさんがね、息子のことよろしくねっ! と言いつつあたしに謙譲してくれました」
 親父の阿呆が――っ!
 一番渡してはならない輩に自分から手渡すとは、正気だったのか疑わしいぜ。
「と言うわけで、今日の夕飯はすでに準備してるんだよね」
「マジか……」
 買い物の意味が……いや食材は今度使えば問題は無いか。
 目下の最大な問題は、こいつである。正確には、こいつの料理か。
「お前の料理など食えん……。前のあれ、あれは酷かったなあ」
「きょ、今日のは大丈夫だよっ! あれから大分練習したし」
「いやでもあれは練習で補える領域の物体ではなかったような……」
「――た、食べてくれないの?」
 声から元気が抜け落ちる。
 改めて有華の全身を眺めると――可愛らしいピンクのエプロンを纏っていることに気付けた。
 視線に感づいたのか、やや頬を紅潮させて俯く。
(――やばい)
 俺も視線を斜めにそらした。
 不覚にも、ちょっと、ちょこっと、可愛いじゃん、とか……思ってしまった。
「まあ……そうだな、珍味と思えば食えんこともないし……」
「ち、珍味ってなにさ――っ! エー兄の馬鹿、死ねっ!」
「うわっ! 馬鹿はお前だ、叩くなっ!」
 ぽかぽか頭を殴られながら、しかし意識は……。
 その、のしかかってくる有華の微量の胸が、その、当たってるのだが、気付けよこいつ――っ!


 ガン――っ!


 ドアが蹴られたのは、そんな、幼馴染みとじゃれあっているときだった。
658『疾走』 第二話 ◆/wR0eG5/sc :2006/06/28(水) 21:06:42 ID:3HGnNef6
「っ――な、なんだっ!?」
 突然訪れた異音に、振り返る。
 ノブが、震えていた。
 覗くための穴から外の様子をうかがってみるが――廊下が見えるだけだった。
「近所……迷惑だったかな?」
 ぽつりと、有華が言った。
「――えっ?」
「あの、ほら、エー兄のお隣さん……敏感でしょ? 騒音とか」
「ああ……前田さんか?」
 言われて、ようやくその想像に至れた。
 前田さんか。あの人ならやりかねない……なにせ真上の部屋の人に、直々に文句言ってやった前科があるし。
 しかもその際の怒声はやばかった。このマンションに住んでいる人間の記憶には、深々と前田さんの説教が刻み込まれている。
「有華――っ! 説教されたらお前の責任だからな」
「うえ……。それはあたしもいやだなあ」
 などと、普通の空気には素早く戻れたが……。
 俺はドアを振り返る。
 ――本当に、前田さんだったのか? あの人だったら、まず怒鳴らないか?
 何も言わないで、そのまま立ち去るだろうか……。
(だけど、他に誰が蹴ったって、言える……? そもそも、理由がわからん)
 考えても、解答に到達できるとは思えない。
 それよりも有華の料理が、目下最大の問題だしな。……さて、全部食べてやりたいが、できるかな。
659『疾走』 第二話 ◆/wR0eG5/sc :2006/06/28(水) 21:08:34 ID:3HGnNef6
 ――すぐに立ち去ったから、見られていないはずです。
 即座に立ち去った判断が、間違っているとは思いません。
 そもそもあそこで自制出来なかったのが最大の間違いだったはずです。私の馬鹿。
 それにしても――誰でしょう、あの女は。
 会話から察するに料理は下手だそうですね。
 ――下手なら上達するまで引っ込め。不味い料理なんか、エースケくんじゃなくて、野良犬にでも食わせておけ。
 エースケくんが楽しそうに喋っていました。けれど、それは私とではない。
 何故あの馴れ馴れしい女が立っている位置に――私はいないのでしょうか。
 右手が痛いです。
 見ると、握り締めて出来た爪のあとが、はっきりと残っていました。
 いけないいけない。落ち着かなきゃ。
 呼吸を整える。
 ともかく部屋の番号は記憶しましたし。次は――郵便受け。
 駆け足で到達すると、記憶した番号を探します。――あった。そして幸運です、鍵はしていませんでした。
 中身はほとんどチラシです。そこに片手を突っ込んで、私は別のものを発掘しようと、指を蠢かす。
 やがてチラシとは感触の明らかに違うなにかを掴みました。
 取り出すと、封筒でした。
 どうやら携帯電話料金の請求書らしいですね。幸運って、重なるみたいです。
「エースケくんの……携帯の、番号……」
 知らず、笑みがこぼれました。
 エースケくんの、と言う部分が……たまりません。エースケくんの一部を入手したみたいで、もう……。
 呼吸が荒くなってきました。
 住所に携帯の番号。初日の収穫だと思えば、まあまあです。今日はこれで帰りましょう。
 色々考えないと駄目です。
 あの女が、たぶん一番重大な要素。
 きっとエースケくんは、あんな料理も下手な女と馴れ合っている内に――女性に絶望してしまったんだと、思うんですね、私は。
 いえ、そうですよ――あの女の、せいです、きっと……私の告白が砕かれたのは――っ!
 ぐしゃっと、握っていた封筒を潰してしまいました。
 いけません。これにはエースケくんの番号が、エースケくんの、エースケくんの――。


 ふらふらと、ふらふらと。
 少女は愛おしそうに封筒を眺めながら、歩いている。
660名無しさん@ピンキー:2006/06/28(水) 21:27:16 ID:jAXwRBU/
>>659
キタキタキタキタ━━━(゚∀゚≡(゚∀゚≡゚∀゚)≡゚∀゚)━━━━!!

>>645
お ま え は 告 白 さ れ た 事 の な い 俺 を 怒 ら せ た
661名無しさん@ピンキー:2006/06/28(水) 21:33:44 ID:bE/zSGcG
会話を聞いてたってことは、ドアにべたっと張り付いてたんだろうな
先輩かわいいよ先輩
662名無しさん@ピンキー:2006/06/28(水) 21:42:06 ID:sWlrCn9j
先輩うざいと思ったらサイコでナイス!!
663名無しさん@ピンキー:2006/06/28(水) 21:42:25 ID:yPqn4oy4
>>661
それなら萌えるが、
ドアに額押し付けて目見開いてぶつぶつ恨み言言ってたかもしれんぞ
もしそうなら…



やっぱ萌えるわ
664名無しさん@ピンキー:2006/06/28(水) 21:48:09 ID:HX/gQiFa
有華負けないでくれ
サイコ女を跳ね除けてくれ

とにかくGJ
665 ◆/wR0eG5/sc :2006/06/28(水) 21:49:00 ID:3HGnNef6
>>661
>>663
そういう描写加えていたらなお良かったなあ。その手があったか、って感じです。
ありがとう。参考になりました。
666名無しさん@ピンキー:2006/06/28(水) 22:14:11 ID:57sqaweh
>>660
いや、先輩の立場が俺…… (((´・ω・`)
667名無しさん@ピンキー:2006/06/28(水) 22:32:43 ID:uHMeq1VT
マジでいたり先輩可愛くないですか・・
健気な女の子の頑張る姿は好きだなw
668名無しさん@ピンキー:2006/06/28(水) 22:35:05 ID:jAXwRBU/
>>666
その……なんだ……ごめんorz

>>667
はたして『健気』と言うのかどうかww
669名無しさん@ピンキー:2006/06/28(水) 23:03:19 ID:qqRaOZFd
先輩…マジ和む……
670名無しさん@ピンキー:2006/06/28(水) 23:10:39 ID:8y5ZULC8
>>668
まあ、このスレの『健気』と世間一般でいう『健気』は違うからな
671名無しさん@ピンキー:2006/06/28(水) 23:39:55 ID:mScfRk2K
ここの神たちはよっぽど10スレを埋めたいらしいw
672名無しさん@ピンキー:2006/06/28(水) 23:47:18 ID:uHMeq1VT
やはり、幼馴染が黒化するまで放置プレイさせておくのがいいかもしれないな
で、どんどんヤンデレ化してきて必死にストーキングを始めたりする


これが王道だねw
673名無しさん@ピンキー:2006/06/28(水) 23:49:08 ID:yPqn4oy4
>>672
ちょwwwww鬼畜wwwww
674名無しさん@ピンキー:2006/06/28(水) 23:51:13 ID:uHMeq1VT
>>673
そこからヤンデレな幼馴染と付き合ったら
物凄いことになる
もう、ヤンデレ化したヒロインの基本的な特徴として
普通の女性よりも独占欲があり、嫉妬深い・・。
他の女の子と喋っているだけで修羅場ですよwwwww


675名無しさん@ピンキー:2006/06/28(水) 23:57:44 ID:Xro0OQgB
このスレのヒロインはどの娘も健気で一途で、心が和みますね^^
676名無しさん@ピンキー:2006/06/29(木) 00:00:06 ID:+BN6p08Q
>やはり、幼馴染が黒化するまで放置プレイさせておく
それなんてTV版シャッホー楓?

久しぶりに19、20話を見たけどあの楓は本当に神だったw
677名無しさん@ピンキー:2006/06/29(木) 00:15:22 ID:jP70q5wO
疾走いいね。GJです。
いざ告白されると逃げるが、それ以前の段階だとその状況を享受する。
みごとなヘタレ主人公だ!
最初振ったときはあれ?って思ったが、やっぱりこのスレの主人公なのだな。
678名無しさん@ピンキー:2006/06/29(木) 00:16:20 ID:eyzduI56
679名無しさん@ピンキー:2006/06/29(木) 00:34:47 ID:LhWV+Sfo
やばいwマジ先輩素晴らしすぎ!
680名無しさん@ピンキー:2006/06/29(木) 04:51:10 ID:+/vTQz5K
>>678
最高じゃないか。
なんで楓を選ばないんだ!?
681名無しさん@ピンキー:2006/06/29(木) 12:15:22 ID:4EeWEzir
>>680
つ人気投票
682名無しさん@ピンキー:2006/06/29(木) 13:12:42 ID:EQBWLsm4
黒幼なじみは藍子たん!
683名無しさん@ピンキー:2006/06/29(木) 17:54:07 ID:EXLw9mHX
藍子たんは僕らのアイドル(*´д`*)
智子もなかなか終盤黒かったが(*´д`*)

何故、僕は黒幼馴染を求めてしまうのだろうか・・・

それはともかく疾走の作者様GJ
投下量がまさに疾走のごとき速さだ((;゚Д゚)ガクガクブルブル
お美事にございます
684 ◆tVzTTTyvm. :2006/06/29(木) 18:53:13 ID:VaMFMPth
※627の続きです

 急遽担ぎ込まれ数時間にわたる手術の後、流矢は一命を取り留めた。
 完治するまでは数ヶ月を要すものの幸い脳への後遺症も無い。
 リハビリも必要とされるだろうが手足も元通り動くようになると言う。

 そして流矢が身を呈して護ってくれた為智依の怪我はかすり傷と軽い打撲だけで済んだ。
 それこそ軽くバンソウ膏とシップを張る程度で済むもの。
 だが智依にとっては絶望的ともいえる状況に陥ってしまった。
 そのときの衝撃と目の前で流矢が刎ねられたのを目の当たりにしたショックで流産してしまった。
 流矢を繋ぎとめる為の切り札を失い、挙句自分のせいで大怪我を負わせてしまったと言う負い目まで負ってしまった。


 自分の怪我で大怪我させてしまった。 其の負い目ゆえに見舞いに向かう足が重い。
 だがそれでも智依は怯む気持を無理矢理にでも奮い立たせ病室へと向かう。
 負い目をつくり、切り札までも失った今だからこそココで怯んでしまってはいけない。
 ココで怯めば完全に失ってしまうのだから。 やはりどんな状況に陥ろうともそれでも諦める気持にはなれない。

 病室へ足を踏み入れるとそこには全身包帯とギブスで身を固め痛々しい姿で眠りに付いた流矢の姿があった。
 そしてそんな流矢の傍らには一人の女性の姿があった。 それは流矢の幼馴染祈深歌であった。
 祈深歌は智依の姿に気付くと立ち上がり軽く会釈をした。
 そのとき流矢の口から小さな声が漏れる。 おそらく寝言なのだろう。
 だがその時口から漏れた名前。 それは……。
「祈深歌――」
 智依は其の言葉を耳にした瞬間表情が凍りついた。
 そんな智依とは対照的に祈深歌は流矢の髪をそっと撫でると智依の本へ歩み寄ってきた。
「少しお話しましょうか」
685 ◆tVzTTTyvm. :2006/06/29(木) 18:54:15 ID:VaMFMPth

 智依は祈深歌に連れられ待合室へと来た。
「わざわざお見舞いにきていただきありがとうございます。 ですが、もう来ないで下さい」
 祈深歌の言葉に思わず智依は声を上げる。
「な……! なんで先輩にそんなこと言われなきゃいけないんですか! 私は流矢クンの恋人ですよ! 先輩の方こそそ、そんな資格……」
「知ってるんですよ。 全て……ね」
「し、知ってる? な、何を知ってると言うんですか……」
 必死で言い返すも言葉には力がこもっていない。
「貴方のせいで流矢クンがこんな大怪我を負ってしまったと言う事」
 静かで穏やかな口調であるが其の声にははっきりとした非難の色がこもっている。

「ち、違う! あ、あれは私のせいなんかじゃ……。 そ、それに仮に私のせいなのだとしたら……だったら余計に尚の事私は見舞うべきなんです! つ、償う為にも……」
「健気ですね。 傍から見れば……ですが」
「な!? どういう意味ですか!?」
 かっては物ともしなかったのに、今は其の身長差で見下ろされる視線に呑まれそうになってしまう。
「ココで尽くしてみせれば流矢クンの気持を繋ぎとめられると思っているんでしょ。 でもね私の目の黒いうちはそんな真似させないわ。 それに、聞いたでしょ? さっきの流矢クンの寝言」
「う……。 で、でも流矢クンと先輩とじゃ……!」
 遮るように祈深歌は口を開く。
「169」
「な、なんですか? 一体……」
 突然祈深歌が口にした数字が一体何を意味するのか分からず智依は戸惑いの声を発す。
「分かりません? 流矢クンの今の身長です」
 言われて智依はハっとする。

「成長期の真っ最中なのね流矢クン。 入学から数ヶ月で6センチも大きくなったなんて。 お陰で入学時11cmもあった身長差もいまや5cm。 それも時間の問題、きっとまだまだこれからも伸びるわ。 そう、私以上にね……」
「そ、そんなの只の希望的観測……」
「流矢クンが私に言ってくれた言葉よ。 とっても前向きな口調でね。 それにこうも言ってくれたわ。 『生死の境を彷徨って気付いたんだ。 俺、やっぱり祈深歌が好きだ』ってね」
 祈深歌の言葉を聞き智依の顔が蒼ざめる。
「そしてそれは私も一緒。 流矢クンが大怪我を負ったと聞いて居ても立ってもいられなくなったわ」
 そう言うとにっこりと、だがどこか挑発的な笑みを浮かべて続ける。
「ご苦労だったわね。 今まで散々小ざかしい真似して来てくれたみたいだし、自分に自信がもてなかった私にも非があるけど、でももう私は引きませんから。 では私は病室に戻ります。 流矢クンが起きた時私がいないと寂しがりますので」

686名無しさん@ピンキー:2006/06/29(木) 18:56:18 ID:4bREm6dk
この前ズリダチとタイマン勝負したことを書くぜ。
互いに六尺姿でまずは威嚇、腕組みヤニ咥えガン飛ばし、
大股で筋肉と勃起誇張して、野郎比べだ。
雄臭ぇポーズで挑発しあう。腰突き出し勃起を振り回し、
オラオラ節で興奮に火が付く。

やわらオイルをタップリ仕込んで、いよいよズリ戦開始だ。
胴ズリ、逆ズリ、雁ズリ、玉ズリ、上ズリ、下ズリ。
野郎うなぎ責め、腰砕けの手マンコ、野郎泣かせの亀頭責め。
片手技と両手技の競り合いで、雄の粋と艶を比べ合う。
ズリ見せ根性丸出しでな。

一息入れる時にゃ、奴の胸板めがけて、勃起ションベン。

ビシバシ痛ぇくらいに、照射すりゃ、雄の征服感が全身を
快感となって駆け回る。

さらにオイルを仕込んで2R。
今度は俺のズリビデオ見せながらのダブルズリ攻撃さ。
ラッシュ飛ばして、ド淫乱野郎に変獣し、チンポ・センズリ・押忍の連呼。
俺達はまさに、チンポ、ズリ、男意気を激しく比べ合う戦闘士だ。

寸止めのエロい表情も相手を落とす神技、何度も食らう度に金玉の
引きつる痛みさえ新たな快感に変わる。

その時、ほんの少しの気の緩みで奴は快感のコントロールを失い
射精の痙攣に突入。

2回に渡るファイトはいずれも俺の勝利、最後は奴のチンポめがけて、
野郎征服の快感に酔いながら勝利の照射!
3時間勝負は俺達ズリ舎弟の絆を更に固めたぜ!
687 ◆tVzTTTyvm. :2006/06/29(木) 18:56:22 ID:VaMFMPth


 どうすれば、どうすれば、どうすれば……
 最早状況は180度変わってしまってた。 既に智依には先日までの優位性など微塵も無い。
 コンプレックスを逆手にとった優位性ももう通じない。 体に宿した切り札も流れ堕ちてしまった。
 挙句自分のせいで大怪我を負わせてしまったと言う負い目
 何か、何か、何か……何か方法は……。
 だが幾ら考えを廻らせても答えは出ない。

 あの女さえ、あの女さえ居なければ……。
 居なければ……?
 そうか。
 あの女さえ居なければ良いんだ。
 居なくなれば良いんだ。
 ……消しちゃえばいいんだ。




 祈深歌は最近やたらと嫌な視線を感じていた。 視線の主は――解かっている。
 かって、私から流矢クンを奪い大怪我まで負わせた憎たらしいあの女――三河 智依。
 すごく気持悪くてすごく嫌な感じ。 それに何だか寒々しくてゾッとする。
 もっとも祈深歌は其の気持分からないでもなかった。 何故なら少し前まで全く同じ様な気持ちを抱いていたのだから。
 だから其の気持は良く解かっている。 解かっているからこそ決して遠慮や同情するつもりなど無い。

 きっと殺したいぐらい自分の事を憎んでいるのだろう。
 いや、あの女のことだ。 比揄などではなく本当に殺す機会を探しているのだろう。
 階段ですれ違った時。 駅のホームで電車を待ってるとき。 夜の帰り道。
 そんな時、殊更視線を強く感じるのだから。

 最初は祈深歌は其の事に恐ろしくなり震えもした。 だが時が立つに連れ段々腹が立ってきた。
 私から流矢クンを汚い手で奪っておきながら、挙句やっと取り戻した大切な時間。
 それを逆恨みし、挙句私を殺そうとまでしている。
 でもむざむざ殺されたりはしない。 そっちがその気なら

――返り討ちにしてあげる。

688 ◆tVzTTTyvm. :2006/06/29(木) 18:57:15 ID:VaMFMPth

 忌々しい!忌々しい!忌々しい!!忌々しい!!忌々シい!!!忌々しイ!!!忌々シイ!!!!忌々シイイイ!!!!!
 あの日以来智依の心の底ではどす黒い殺意が絶えず渦巻いていた。

 あの女。 こっちが折角殺してやろうと覚悟を決めたと言うのに全然隙を見せない。
 ホームで電車を待ってるときも電車が到着するまで線路側に決して近づこうとしないし、
 他にも階段ですれ違った時、駅の踏み切り、横断歩道……。 
 まさか気付かれている?
 確実に殺る為にはもっと気配を殺さなければいけないと言う事か。でもとても無理だ。
 時や場所を弁えるだけで精一杯だ。
 でも、これ以上我慢してると爆発してしまいそうだ。 白昼人前でだろうと……。

 そんなある日のこと交通量が激しい道路、横断歩道の前に祈深歌は居た。
 智依が其の後姿を見紛う筈など無い。
 女性としては高いすらりと伸びた背、ここ数日ずっと睨み続けてきた忌々しい背中。
 いつもはもっと距離を置いてるくせに油断したのだろうか、其のマヌケさに思わず笑みがこぼれる。
 あの位置なら後ろから勢いよく突き飛ばせば――殺れる。
 おあつらえ向きに道路の向こう大型ダンプも見える。 あれに引かれれば確実に死んでくれるだろう。
 迫り来る巨大な鉄の塊。 あと20m…… 10m…… 5m……。
 今だ!
 智依は一歩踏み出し勢いよく手を突き出した。

 だが直前で其の背中が横に動いた。
 結果智依の手は目標を見失い、勢いを止められぬまま体は前のめりに宙を泳ぐ。
 加えて更に足首に払われたような軽い衝撃を感じ、一気にアスファルトの地面が目の前に迫る。
 投げ出された体は道路にうつ伏せに叩きつけられる。
 慌てて起き上がろうとした智依の目に飛び込んできたもの。
 それは凄まじい速度で回転し迫り来る黒くて大きくて硬いゴムの塊。
 智依はそれが大型ダンプのタイヤだと認識することは永久に無かった。

 何故ならそれを認識する頭は其の瞬間ダンプのタイヤによって原形を留めぬほどに潰されてしまったのだから。




 END
689 ◆tVzTTTyvm. :2006/06/29(木) 18:58:13 ID:VaMFMPth
終りです
ちなみに
実は>>307はトリップ外した俺だったりします
690名無しさん@ピンキー:2006/06/29(木) 18:58:42 ID:4bREm6dk
俺はセンズリの時は必ず六尺を締めてやる。
そのまま発射するから六尺には雄汁がたっぷり染み込む。
それを一回も洗濯しないからチンポが当たる部分は変色し茶ばんで、
臭いもすげぇ雄臭くなっている。
昨夜もその六尺締めてセンズリした。
臭いが逃げないように六尺は密封ケースの中に仕舞ってあり、六尺二丁が生乾き状態で、
蓋を開けただけでムワッと雄臭え臭い立ち昇ってきて俺の性欲を刺激する。
全裸になって素早く六尺を締める。縦褌がケツにギュッと食い込むほどきつく締める。
六尺一丁の姿を全身鏡に映して眺める。週4でトレして日焼けマシンで焼き込んでる
ゴツクて浅黒い肉体が我ながら雄欲をそそる。
既に前袋の中では痛いほどチンポが勃起して盛り上がり先走りの染みがひろがっている。
俺はいろいろポージングして己の肉体美を観賞する。
雄臭ぇ。たまんねぇぜ。
俺は前袋ごとチンポを揉みしだく。
うぉっ!いいぜ。
長く楽しむために発射しそうになると手の動きを止める。
俺は交互に使ってるもう一丁の生乾きの六尺を顔に押し当て臭いを嗅ぐ。
臭ぇ臭ぇ。ギンギンのチンポからさらに先走りが溢れる。
こうやってじっくり楽しみながらいよいよ発射の時が来る。
褌マッチョ野郎!雄臭えぜぇー!と叫びながら六尺に中出しする。
六尺はドロドロベトベトになり部屋中に雄臭が漂う。
六尺を解いてすぐ密封ケースに仕舞う。今夜もまた世話になるぜ。よろしくな。
691名無しさん@ピンキー:2006/06/29(木) 19:00:58 ID:4bREm6dk
このまえ、スゲーやらしい交尾したんで報告するっす。俺は176−65−28でジム週3行って、逆三体形。
ソフモヒで色黒競パン跡くっきりのヤラシー体してるっていわれる。その日はすげーケツマンがうずいて我
慢できなくて、ドイツの発展場へ行った。店内は結構混んでたんだけど、ジャニ系のカッコカワイイ子が手を
のばしてきた。もちオッケーして個室へ。「すげーカッケーすね。超タイプなんで掘らしてもらっていいっす
か?」うなずいてそいつのチンポさわったら超デケー!20はかるくこえてたかな。俺も夢中になってしゃぶる
んだけど、口ん中先走りでべとべと。ようやく奴が「やらしーケツマンコっすね。ヒクヒクしてるっすよ。」って
言いながら指を出し入れしてきた。俺はもう早く入れてほしくて奴のチンポをせがんだ。「ヴォースゲー!」奴
の生チンポ入ってきたんだけど、そいつ若いからなりふり構わず腰振ってくるんだよね。30分くらいガンガン
に掘られて、俺も気が狂うかと思うほど。そしたら奴が個室の鍵を開けて「みんなに見せ付けてやろうぜ」って
言う。体勢をバックに変えてガンガンに掘られてたら、程なくしてガタイのいい野郎っぽい奴が入ってきた。
「すげーやらしい交尾してんじゃん。俺リバだから3人でやろうぜ!」俺も掘られながら奴のチンポしゃぶったら
こいつのもでかいのなんの。超硬い。そうこうしてたら、野郎の兄貴が俺のチンポにオイルをぬりたくって「三連
結やろうぜ」って言う。俺のチンポが野郎のケツマンコに生で入った瞬間すげーやばいくらい感じた。ラッシュガ
ンガンに吸って「すげーすげー!」1時間くらい三人つながったままで盛り合ってたら、俺を掘ってるジャニ系の
奴が「やべーイキそう」って言って俺のケツマンコにドクドク種付けした。そしたら俺もやばくなって野郎のケツマ
ンコん中にぶっぱなした。野郎の奴はトコロテンしやがって「こんどは俺が真ん中やるよ」て言って交代で交尾
し合った。またこういう交尾してー!

その時の画像upしたんで見てくれよな。
http://captain.jikkyo.org/cat/s/1151008154948.jpg
692名無しさん@ピンキー:2006/06/29(木) 19:04:09 ID:8jg1pztl
>>689
GJ!!
できればエピローグをおながいしますっ
693名無しさん@ピンキー:2006/06/29(木) 19:08:35 ID:4bREm6dk
さっき、ホテルでやった越中兄貴若干凄かったです!中肉中背の浅黒兄貴がハイ連呼で
綿棒ケツにぶちこまれ腰を振ってました。俺もくわえさせられてイチジク浣腸食らいそれなりに
排便さらしました。毛抜き出されたときは一瞬引いたけど、兄貴の「いやなら
止めていいんだぜ!」の一言で少し覚悟決め、生まれて初めて毛を抜きました。そ
の後、脇・チンゲもところどころ抜かれて半勃ちのマラ、軽くしごかれ地味に中肉中背
兄貴の顔に飛ばしました。微妙に男らしく気持ちよかったような気もします。また行くとき
カキコして下さい!帰ってから十円ハゲの頭見て、またちょっと感じてます!
694名無しさん@ピンキー:2006/06/29(木) 19:15:17 ID:LClhdOWY
>>689
まさしく修羅場
695名無しさん@ピンキー:2006/06/29(木) 19:51:14 ID:3UYq7rdu
>>689
祈深歌の策謀に萌えた
GJ!
696名無しさん@ピンキー:2006/06/29(木) 21:31:00 ID:HmMozeEp
>>689
GJ!
697名無しさん@ピンキー:2006/06/29(木) 21:33:01 ID:4bREm6dk
作者ID替え自演乙www
バレバレですからw
単発IDw
698名無しさん@ピンキー:2006/06/29(木) 21:44:24 ID:xXwZjYZ3
頭がミンチか・・・カワイソス
699名無しさん@ピンキー:2006/06/29(木) 21:50:00 ID:py9C+tx7
確かに一行レスのGJのみで、詳しい感想が無いものは自演臭いな。
GJとかは読まなくても書けるし。
700名無しさん@ピンキー:2006/06/29(木) 21:52:37 ID:jxTeAuOk
>>699
そんなに嫉妬するなよ
701名無しさん@ピンキー:2006/06/29(木) 21:54:04 ID:8jg1pztl
長文よりも気持ちが大事。
作者には本当に感謝している。

初期の作者達は元気だろうか
702名無しさん@ピンキー:2006/06/29(木) 21:55:02 ID:J14oCtHK
さっき、川原でやった六尺兄貴凄かったです!ガチムチの色黒兄貴がオッス連呼で
張型ケツにぶちこまれ腰振ってました。俺もくわえさせられて浣腸食らい無様に
排便さらしました。バリカン出されたときは一瞬引いたけど、兄貴の「いやなら
止めていいんだぜ!」の一言で覚悟決め、生まれて初めて丸刈りになりました。そ
の後、脇・チンゲも刈られてビンビンのマラ、思いっきりしごかれ派手にガチムチ
兄貴の顔に飛ばしました。スッゲー男らしく気持ちよかったです。また行くとき
カキコして下さい!帰ってから丸刈りの頭見て、また感じまくってます!
703名無しさん@ピンキー:2006/06/29(木) 21:55:52 ID:J14oCtHK
>>ゲイの出会い系で知り合った10歳以上年上のオジサンの家へ。
そしたら「これ着て責めて欲しい」と言われて、レンコン掘りというか、
魚河岸の人が着てるような胸まであるゴム長を着させられ、捻りハチマキをさせられた。向こうは全裸。
まあこんなのもたまにはいいか、と愛撫してたら、オジサンが喘ぎ声の中、喋りだした。
「お、おにいちゃん…お、おかえりなさい…た、大漁だった?ねえ大漁だった??」
…オレは突然の、しかも想定の範囲を超えたセリフにポカーンとしてしまった。
オジサンは素に戻って、「…返事して欲しい」と恥ずかしそうにオレに言った。
プレー再開。・・・耳とかをなめつつ体中をさわさわと触る
「お、おにいちゃん、大漁だった?」
「ああ、大漁だったよ」
「あぁぁぁあぁすごいいいぃいぃ!、、な、なにが、、ハァハァなにが捕れたの?」
乳首を舌でやさしく舐めながらオレは答えた
「…鯛とか、、、ヒラメがいっぱい捕れたよ」
セリフを聞き、オジサンはびくんびくんと身体をひきつらせた
「はっ!はぁぁぁあんっ!イ、イサキは?イサキは、と、取れたの??」 チンコをしごく
「ああ。でかいイサキが取れたよ。今年一番の大漁だ。」
「大漁っ!!イサキぃぃ!!おにいちゃんかっこいいいいぃぃぃい ぃくううううう!」
実話です。。きっと漁師の人との幼い頃の体験というか、淡い恋心とかが
あったんだろうなあ、といろんなことを考えさせられた一夜でした。
704名無しさん@ピンキー:2006/06/29(木) 22:10:42 ID:8VHNk+FF
>>669が一番自演臭い
705名無しさん@ピンキー:2006/06/29(木) 22:46:03 ID:EXLw9mHX
>>689
ミンチ・・・((;゚Д゚)ガクガクブルブル
だがそれが(*^ー゚)b グッジョブ!!
706名無しさん@ピンキー:2006/06/29(木) 22:47:30 ID:rFFFW4pi
なんか、嫉妬人が増えてるな。
その内に嫉妬で世界が幸せになるんじゃないか?
707名無しさん@ピンキー:2006/06/29(木) 22:49:12 ID:ORj9g/II
嫉妬は近代社会では不可欠な物だよ
だから格差広がる訳だしね
708名無しさん@ピンキー:2006/06/29(木) 22:49:50 ID:3JZ+PCAU
それでも、後10KBでこのスレは埋まる・・

709名無しさん@ピンキー:2006/06/29(木) 23:39:06 ID:EXLw9mHX
8スレなんて私が生きてるうちもずっとのうのうと埋まらずに
七誌君の元彼女の癖に彼女面してて
やっと邪魔者が居なくなったと思ったら
今度は11スレなんての新しい女が現れて・・・
そして気づいたら私も埋められちゃう・・・
ねぇ、私のこと、好きじゃなかったの!
好きだったら・・・一緒に埋まってくれるよね?
うん!そうだ、一緒に埋まろう、それがいいわ
何でもっと早く気づかなかったんだろう
一緒に埋まれば私たちは永遠に一緒
他の女に私たちの幸せな時間を邪魔されることもないし
もう離れることなんてないもんね♪

ねぇ、七誌君、何で逃げようとするの?
だ・め・だ・よ♪

さっ、一緒に・・・ね

710埋めネタ?:2006/06/30(金) 00:02:15 ID:AtYAJ2JT
ん、七誌くん、先にシャワー使いなよ・・・
駄〜目、そういうのは終わった後でね。
あそこですると、床に擦れて背中痛いんだもん。いってらっしゃーい。

どうしたの?ううん、覗いてないよ?どうして?
お風呂場で背後に気配を感じるって、ふーん
まぁ、良くあるよね、髪洗ってるときとか。
密室のはずなのに何処からとも無く冷たい風が吹いたりとか・・・
あ、わかった。そうやって怖がらせといて私をお風呂場で襲うつもりでしょ!
駄目よ!鍵掛けちゃうんだから!・・・ふふふ。

ザァァァァ───
やだなぁ、10スレ先輩。七誌君のお風呂覗いてたんですか。みっともない。
ま、そのくらいは許してあげます。七誌君には指一本触れられませんけど・・・
先輩が悪いんですよ、私の七誌君に手を出すから、そんなところに埋められちゃうんですよ。
ヤダ!もう臭ってきてる。先輩臭いですよ。あはははははは!!!
匂いつくのも嫌なんでしばらくしたら冷たい加頃愚湖にでも沈めてあげますね。
───あ、七誌君が呼んでるんでもう行きますね。
さよなら10スレ先輩
711名無しさん@ピンキー:2006/06/30(金) 01:20:06 ID:+EkY00bl
>>689
ミンチ返り討ちキタワァ*・゜゚・*:.。..。.:*・゜(n‘∀‘)η゚・*:.。..。.:*・゜゚・* !!!!!
712埋めネタ ◆ga4Z.ynmGk :2006/06/30(金) 02:55:22 ID:uuiXgewi
おめでとう姉さん。
すごく綺麗だったよ。
お世辞なんかじゃないよ。本当に綺麗だったんだから。
……。
……うん、もう平気だよ。
姉さんがアイツのことが好きで、アイツが姉さんを幸せにする気だとわかったから。
……でも、アイツが姉さんを悲しませたり、棄てるようなことがあれば……そのときは、

僕が殺す……っ!

あ。
あはは……冗談だよ。
ごめん姉さん恐がらせちゃって。もう言わないよ。
……もう時間だね。
結婚おめでとう姉さん。嫁ぎ先の十一でも元気で。
それから最後だから言うけど……

大好きだったよ、名無姉ぇ
713名無しさん@ピンキー:2006/06/30(金) 06:47:21 ID:CkbA+u0O
今週のゼーガでヒロインが死亡した時
俺の心眼がリアシートを奪われた先輩が微笑んでいると視たんだが、俺だけ?
714名無しさん@ピンキー:2006/06/30(金) 11:42:42 ID:aVIDUKhO
俺の心眼によると高笑いしていた
715名無しさん@ピンキー:2006/07/01(土) 10:16:19 ID:Xa7QG3Z0
716名無しさん@ピンキー:2006/07/01(土) 14:40:45 ID:8/hCHrYn
どう見てもぬこ嫌がってんじゃんwwwwwwwwwwwwwwww
717名無しさん@ピンキー:2006/07/01(土) 18:29:22 ID:WqrxLkZu
なんて言うか、男の子を負い続ける女の子な感じ?
んでちょっかいを出すこもいる、ってな具合で
718名無しさん@ピンキー:2006/07/02(日) 00:22:35 ID:zqZRrTr0
その、もうすぐ埋まっちゃうから最後に…
719名無しさん@ピンキー:2006/07/02(日) 13:31:37 ID:6HbNIO0w
一緒に埋まって、七誌君。
720名無しさん@ピンキー:2006/07/02(日) 14:36:26 ID:5bGih3vn
やだー
721名無しさん@ピンキー:2006/07/02(日) 20:58:56 ID:v+EdWyuh
埋め埋め
722名無しさん@ピンキー:2006/07/02(日) 23:00:14 ID:JODrT1Fz
下手に「俺と一緒に墓に入ってくれという」台詞をこのスレのキャラに言うと
本気で実行しそうな気がする埋め
723名無しさん@ピンキー:2006/07/03(月) 01:13:00 ID:Ohwd7rvb
先に墓に入れてくれる悪寒
724名無しさん@ピンキー:2006/07/03(月) 03:36:05 ID:2K2UCGrr
       r‐-、,-ヾ〃            _)_
       刄ヒァ';゚⌒ヽ、        ,´, ^ ^、ヽ
   ν⌒ノメ ,リ .ノハlノハ)    ν⌒ ! !! リ ノ ))p〉
  ⊂_:#:ヽ!l!|#:;)'ρ`#)   ⊂_:#: ! !!#:;)'ρ`#)
踏み荒らされた花壇の様に  月の夜の砂漠の如く
      ―未練を引きずったまま
      ―変わり果てたね
      ―溢れんばかりの笑顔まま
      ―静寂に 白紙に還れます様に…
        _               _) 乙女"亡骸を"捧ぐ
       ,´^==^ヽ          , '´,' ’、ヽ
   ν⌒ l ノノノ) ))〉     ν⌒ <^ノノハヽヾ^、
  ⊂_:#:|リl#:;)'ρ`#)    ⊂_:#:W|リ#:;)'ρ`#)
       〇-  〇
725名無しさん@ピンキー:2006/07/03(月) 12:14:50 ID:2K2UCGrr
|/.:.:.:/.:.:.:.:/.:.:.:.:.:.:.:/.:.:.:.::/.:.:.:.:.:/<ヽ.:.:i.:.:|.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:|
 .|i.:.:.:/.:.:.:.:/.::.:.:.:.:.:/.:.:.:.:/.:.:.:/;;//iヘvwv| :|.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:|
 |.:.://.:.::.::/.::.:.:.:.:/.:.:.:/:.:.:/;;////   .|.:|.:.:.:i.:.:.:.:i.:.:.:|
 |:.:| |.:.:.::.:i.:.:.:.:.:::i.:.:.://.:::../;;;/.//    |:.:|i.:..:i.:.:.:.:i.:.:.:|
 |:.| .|.:.:.::.:i.:.:.:.:.:i.:.:/ー;;/ソ/ // -==、_.|:.| |.:.::i.:.:.::i.:.:::|
 .|:| .|.:.:.:.::i.:.:.::.:i.:.:ム;r-y,ネ'  // -_、,,,,__ .|:;ヘ|.:..:i.:.:.:i.::..:|
  ii |i :i.:.::i.:.:.:.:|ヤケiテうト`  ,/'´  '´,ケネデヌ;., |.:.:i.:.:/|.::.::|i
 \ ̄ ̄ ̄ ̄\|;:::::`}:| /     |{::::::f;;イソ:.i.:.イ./.:.:.::|i  
   ┐      \:,ソ        .セ_:::::ソ/.:.:/.|/.:.:.:.:|.i    
  .|i|i.. ┐      \    ,     .~ ̄ /イi.:.:|i.:.::.:.:.| .i
  .|i |:i.:.:.: .┐      \ __      ' /V::./.:.:.:.:.:|| i  
  |i .|.:i.:.:.:.:i .┐      \__丿    , r'´.:::|.:.:/.:.:..:.::|| i     
 |i |:.:i.:.:.::.:.:i;:; .┐      \ , . r'´;:;:i:;:;;:/:/.:.:.:.::.:.:|.:| ii
. |i |;:;:;i:;;:;:;:;:;:i.:|_, .i ┐      \ .:ト、;;;;i;;;//;:;:;:;:;:;:;:|;:;::| .ii
.|i .|;:;:;:ト;:;:;:;:;:;:;:i:|   ┐      \  \/';:/;:;:;:;:;:;:i;:;:::|  .ii
|i .|;:;:;:小;:;:;:;:;:;:;:i;:;::|_,,...,┐      \ :/;::/;:;:;:;:;:/:|;:;:;::|  .ii
  ノ'´ |:ハ;:;:;:;:;:;:;:;:i :|`ヽ,   ┐      \,;:;:;:;:;;:/;:/\;::|  ii
. /   |:| .ヽ,;:;:;:;:;:;:;i:|= =`=、  ┐      \;:/;::/   \  .ii
/   |:|  ヾ;:;:;:i:;:;::|-=テ=Yd .┐      \/ー-   ヽ ii
    |:|   ヾ;;;;i;;;;;;| r彡ハ:/ ハア .┐      \     | 
726名無しさん@ピンキー:2006/07/03(月) 23:02:58 ID:q5b1ErU8
検察は「女性関係」を巡る口論が殺害の動機と指摘しました。釧路市で今年2月、
小児科医の男が妻を殺害した事件で初めての裁判が開かれました。裁判では
殺害された妻が自分の首を絞める夫に投げかけた最後の言葉が明らかになりました。

(村上記者)「裏切り者などと浮気を罵られた牧瀬被告はアヤ子さんの首を締めて
殺害しました。そのアヤ子さんの最後の言葉は、愛してるのにどうしてという
言葉だったといいます」殺人の罪に問われているのは釧路市の小児科医院の院長
牧瀬好弘被告(49歳)です。検察によりますと牧瀬被告は今年2月、釧路市内の
病院兼自宅の1階の居間で、妻のアヤ子さん当時55歳の首を和服の腰ひもで締めて
殺害しました。
(村上記者)「法廷に現れた牧瀬被告は、初めはたんたんとした表情でしたが検察側
がアヤ子さんの殺害状況を説明すると、何度も眼鏡をとって涙をぬぐう姿が見られ
ました」きょうの裁判で、牧瀬被告は、「間違いありません」と罪を全面的に認めま
した。検察側は牧瀬被告が、浮気していた女性とのパソコンのメールのやりとりを
アヤ子さんに見つかり、「嘘つき」、「裏切り者」と激しく非難されたことが犯行の
動機につながったと指摘しました。また牧瀬被告が、浮気に怒ったアヤ子さんに
ハサミで刺され、ちかくの交番に逃げ込んだ事実なども明らかにされました。
開院前には列ができるほど近所で評判がよかった牧瀬被告の病院ですが、今は閑散
としています。牧瀬被告の浮気の代償はあまりに大きかったといえます。

http://www.stv.ne.jp/news/index.html
727名無しさん@ピンキー
             \   . :.:.i:.:.:k;//;;;;;;;:i : /   :.;;;,;;ハヾ; i:.:.:.i !:.:! ! / .  |: |A  ≫
      _     \ :.:.:!.:.:i ゙、;;;;;;;;::ノ;      :;;;;;;:},.' ノ:.:.ノ !:ノ / /  _ _ |: l    ≫
    '´/ ,、ヽ     \:..!:.! ゞ''⌒      ゞ< イ:.ノ! ノ  /   '´/ ,゙|:丶_/
    i (ノノ"))i ニヤー  \.ヽ   r、_  '  ヽ  /:.:.:.   /     i (.ノ,) |言i
    li l|#"ワノl|       \ \  ヽ ̄ ̄/'  /:.:.:.:.|i /       li l|゚ ヮ゚|目|
    リ /)允iヽ___       \\ 丶--',  イ!:.:.:.:.:./       リ./(二つO
   (=U=l|l,、,、,、,、l}         \ ∧∧∧∧  /     .    ((゙く/_lj)目|
      じフ              < 予 言 >     :::::::::::::::::::::::::::じフ|目|
―――――──―――――――<  感 葉 >―――――──―――――――
  ホラホラ、サトイモクエー♪       <  !!! 様 >          | | | ||||ヒュウウ…
  キャハハハハ♪            <    の >           | | | ||||
       _              /∨∨∨∨\
    '´/ ,、ヽ           / |  |_      \          ∩∩
    i (ノノ"))i <  .       /  |  | ,、ヽ + .   \      ((.くヾl!〉))
    li l| "ワ,''´ `´ ゙ヾ   / .    |  | ノ"))i  .      \     |i とj孕!つ
   ○=と)允リ_   ; ! /  .   |_|"ー ノl|        \ .    l! |。 A。Y|
   (( く/_lj∩i、l)゙wwv'/  .      |桂|【◎】0          \  i い),,))!
     (ヽ__)___ノ/     .    | ̄|_lj〉))           \.弋 ヽ ~_丿
           /             |  |'ノ               \ ` ̄