嫉妬・三角関係・修羅場系総合SSスレ 二股目

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1名無しさん@ピンキー
浅いものはツンツンしたり、みたいな可愛いラブコメチックなヤキモチから
深いものは好きな人を独占して寵愛する為に周囲の邪魔者を抹殺する、
みたいなハードな修羅場まで、
醜くも美しい嫉妬を描いた修羅場のあるSS及び、
他様々な展開の修羅場プロット・妄想を扱うスレです。

前スレ
嫉妬・三角関係・修羅場系総合SSスレ
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1137914849/

■2ch 「嫉妬・三角関係・修羅場統合スレ」まとめサイト
http://dorobouneko.5gigs.com/index.html
■関連スレ
嫉妬・三角関係・修羅場統合スレ 第11章
http://idol.bbspink.com/test/read.cgi/hgame/1139807187/
■姉妹スレ
嫉妬・三角関係・修羅場統合スレinラ板
http://book3.2ch.net/test/read.cgi/magazin/1132666398/
2名無しさん@ピンキー:2006/02/18(土) 05:34:36 ID:80ZAQkTo

    _   ググッ   (⌒_
  '´  ,、`ヽ      '´^`ヽヽ
  i ,ノノ ))リ      ハ((ソ从 〉
  i l| "ワノl|  ,、,、,、,|l、Д゚ ;)リ)
  リ()允てつ=l|l___l}允(つ
 ((゙く/_lj〉))      〈|_ヽ>
    しヽ.)        しヽ.)

新スレです。楽しく使ってね。仲良く使ってね。
3名無しさん@ピンキー:2006/02/18(土) 05:42:49 ID:heiADj3r
4名無しさん@ピンキー:2006/02/18(土) 07:38:53 ID:5ZtNTgPc
5名無しさん@ピンキー:2006/02/18(土) 09:21:53 ID:jFTQeEBD
乙でございます!
6名無しさん@ピンキー:2006/02/18(土) 10:02:17 ID:FSoyXct1
おつ
7名無しさん@ピンキー:2006/02/18(土) 10:12:29 ID:6AYOXTBd
938 名前:\         . '´/ ,、ヽ キャハハハ  ../無したちの午後 [s
女の同僚か \   ___.i (ノノ"))i     ./人きりで生きてきた。
「貴方に兄の何\...{l,、,、,、,、l|l=i l| "ヮノlOi!  /
まぁ、その妹にハ.\;     リ⊂)允iソ  /全にお母さん気取り。だが
             \*  ..(( く/_lj〉)./弟が彼女を連れて来る。表情
939 名前: 名無したち...\∧∧∧∧/・ちゃぶ台の下――握った拳に
貴方が妹さんを引き受...< .の 修 .>・「明日の弁当、彼女が作った
943 名前: 名無したちの< .    .>・「もう○○ちゃんにお姉ちゃんは
いや、>>938が同僚の旦< 予 羅 .>・最近の日記は、「あの泥棒猫」
──────────<   .  >─────────────
|ヽ| | l、 レf爪| 、   | < 感 .場 .>  | | |   ::| !|: l l:..  :|:l:.  !:|::   |
ヽ_ゝ|、 Fこ|_-|、 !、  ...|< .!!!!   ..>‐:十!1「: :l:::「|`|十l―l‐!:-/-!:: :  :.l
/r->ヽy‐ィ;;;;::Tヽ \  .|/∨∨∨∨\ 示:.l:|::::::!l::l |::l示tッ〒ト/:.l/::::::: :.l
| |/个iヽ┴―┴   .../したちの午後..\l:.:l|、:::|:|:!:j/.:.`ニニ´:/:. /|::::::: .::.!
ヽ/汚| !       /に対する嫉妬に狂.\  ヽ|i    :.:.:.:.:.:.:. /ノ!:::::::.:::l
ハ.||、 i      /名無したちの午後 投稿.\ :l        /'!:::!:::::i|::::|
|  || |i ヽ   /そこにヒロインが壊れるあまり\       ..:/:::|:::|:::::l:l:::.!
|  || ! ヘ 、.../被害を出し始めて、自分に責任が...\.:.:.:/:.:.`ヽ!:::::!:!::.|


皆仲良く。修羅場は妄想の中だけにしましょう。

8名無しさん@ピンキー:2006/02/18(土) 11:20:54 ID:+hIpP0nQ
9名無しさん@ピンキー:2006/02/18(土) 11:35:38 ID:bAdsuvH0
乙!
10名無しさん@ピンキー:2006/02/18(土) 12:07:28 ID:AL1b+X6v
乙津佳麗
11名無しさん@ピンキー:2006/02/18(土) 12:12:24 ID:zp3iCPEI
なによ、この乙の数・・・
べ、別にうらやましいとかそういうんじゃないからね!
12名無しさん@ピンキー:2006/02/18(土) 12:14:26 ID:JQB5ubR1
即死回避
13名無しさん@ピンキー:2006/02/18(土) 13:05:07 ID:jFTQeEBD
いくつで即死回避だっけ?
14名無しさん@ピンキー:2006/02/18(土) 13:15:12 ID:Po12bZvA
即死回避はいくつかよくわからんので俺も乙
15名無しさん@ピンキー:2006/02/18(土) 13:27:27 ID:+hIpP0nQ
もういっちょ乙
16名無しさん@ピンキー:2006/02/18(土) 13:40:18 ID:JQB5ubR1
>>13
確か30レスだったと思う
17名無しさん@ピンキー:2006/02/18(土) 14:07:36 ID:jFTQeEBD
サンクス。じゃ、もうちょっと伸ばしておきますか。
18名無しさん@ピンキー:2006/02/18(土) 14:13:35 ID:ldbCy7fu
回避回避
19名無しさん@ピンキー:2006/02/18(土) 14:14:17 ID:am18OPxi
>>1の人気に嫉妬→憎悪→殺意。
20名無しさん@ピンキー:2006/02/18(土) 14:16:14 ID:jFTQeEBD
むしろツン→デレ→依存→包丁 今ここ!
21名無しさん@ピンキー:2006/02/18(土) 16:43:32 ID:/YaPsS4I
いやツン→デレ→依存→包丁→監禁→ずっと一緒ね 今ここ!
22名無しさん@ピンキー:2006/02/18(土) 16:46:08 ID:ze0MRSME
即死回避
23名無しさん@ピンキー:2006/02/18(土) 17:00:28 ID:Po12bZvA
つかお前ら包丁出すの速すぎじゃないか
24名無しさん@ピンキー:2006/02/18(土) 17:02:13 ID:+hIpP0nQ
回避
25名無しさん@ピンキー:2006/02/18(土) 17:19:29 ID:HSqflPoC
回避
26名無しさん@ピンキー:2006/02/18(土) 17:29:34 ID:YdaZjF6C
好き→好き→(あいつ邪魔)→大好き→殺したいほど大好き→死んでもずっと一緒だよ 今ここ!
27名無しさん@ピンキー:2006/02/18(土) 18:08:30 ID:+hIpP0nQ
27
28名無しさん@ピンキー:2006/02/18(土) 18:20:55 ID:GA7FsN5I
即死回避28
29名無しさん@ピンキー:2006/02/18(土) 18:29:50 ID:yGpp7QuJ
回避
30名無しさん@ピンキー:2006/02/18(土) 18:58:18 ID:GI2LhSGw
回避30!
31名無しさん@ピンキー:2006/02/18(土) 18:58:24 ID:+hIpP0nQ
30ゲット
3231:2006/02/18(土) 18:58:57 ID:+hIpP0nQ
orz
33名無しさん@ピンキー:2006/02/18(土) 19:02:44 ID:GI2LhSGw
(゚д゚;)

いや……俺が悪かった
34名無しさん@ピンキー:2006/02/18(土) 19:12:17 ID:xg6FKRAq
そして+hIPp0nQは嫉(ry
35名無しさん@ピンキー:2006/02/18(土) 19:19:32 ID:pFvc8cZG
rァころしてでも30をうばいとる
36名無しさん@ピンキー:2006/02/18(土) 19:54:57 ID:l48jrrgx
ええっと、ここって修羅場までは行きそうもない程度の嫉妬ものSSはダメですかね?
37名無しさん@ピンキー:2006/02/18(土) 19:58:01 ID:YdaZjF6C
>36
ばっちこーい!
38名無しさん@ピンキー:2006/02/18(土) 20:07:19 ID:75GfWSPf
>>1
39 ◆DxURwv1y8. :2006/02/18(土) 22:10:52 ID:0pvneFG5
前スレが書き込めなくなってしまったので続きをこちらに落とします。
前スレ689氏の言うとおり本当に二股SSになってしまった……


「あれ、美奈ちゃんじゃない」
 お手洗いに行く途中で、珍しい子を見つけた。
 確か、敬太の幼馴染みだ。私はたまにしか実家へ帰らないからあまり会ったことはなかったけれど、
くりくりっとした大きい瞳やどこか落ち着かない感じの小動物っぽさが強く印象に残っている。
「えっと……」
 覚えていないのかな。まあいいけど。
「敬太の叔母の高井よ。どうしたのこんな所に」
「いえ……何でもないです」
 おかしいな。前と印象が違う。暫く見ないうちに変わってしまったのか。
「そう。楽しんでってね。もっとも、こんな所で展示発表してるのに面白いのはあまりないだろうけど」
「あ、はい」
 化学準備室のことが一瞬脳裏をよぎったけど、まあ、大丈夫だろう。
 私は、彼女の後ろ姿を見送った。


 さっきの人、平野君の叔母って言ってたけど……会った記憶がない。
 もともと人の顔を覚えるのは苦手だし、友達の叔母なんてそうそう会う機会なんてないし。
 とはいえ、相手が覚えていたのに自分が忘れているのは失礼だったかな。
 ……でも、今はそんなこと気にしてる場合じゃない。平野君を見つけないと。
 もう、大体の場所は回ってしまった。その度に平野君のこと聞いてみたけど、どれもいい話ではなかった。
 綺麗な人と一緒だったとか。
 手を繋いでたとか。
 ……あの二人恋人なんでしょって逆に聞かれたりとか。
 どっちへ行ったかなんて覚えてる人は少なかったし、平野君のこと知ってる人も、普通に考えたらそう
だけど、少なかった。
 手がかりがない。
 それでこんな、人気のない所まで来ちゃったけど……。
 どこにいるの、平野君。
 メールで返事が来なかったから電話したら、電源が切れているか電波の届かないところにいるなんて
言われて。
 電源切って、何してるの?
 綺麗な人と、何してるの?
 あたしがいるのに、何してるの?
 ふと、誰もいない教室の戸が開いているのが見えた。
 いいや、ここで休もう。
 くぐった扉には、化学室、とプレートが掛けられていた。
40 ◆DxURwv1y8. :2006/02/18(土) 22:11:32 ID:0pvneFG5
「あったかい」
 北向きの窓しかない化学準備室は、六月とはいえ少し寒いくらいだった。
「洋子もあったかいよ」
 クスクスと顔を見合わせて笑う。それだけで気持ちいい。幸せになる。
 互いの身体を寄せ合って、きゅっと抱き締め合う。
「洋子、目、つむって」
「えっ……う、うん」
 ほのかに頬を染め、言われたとおりにする洋子。愛しくて、抱き締める腕に力を込めた。
「好きだよ……ん」
「あ、ん……」
 触れるだけのキス。今はこれだけ。
 顔を離すと、洋子は恥ずかしいのか目を逸らしてしまう。
「こっち見て」
「で、でも……」
「いや?」
「ええと……その、恥ずかしくて」
「なんで?」
「だって、あなたの顔を見てると……その……」
 洋子はもじもじとするだけで答えようとしない。
「僕の顔見てると、なに?」


 ぼおっとするのにも飽きてきた。
 もうあと一時間しか残っていない。
 でも、もう、いいかな。
 だってこれだけ探して見つからないってことは、きっと神様が私と平野君を別れさせようとしてるんだ。
 立ちあがって、なんとなく部屋の中を見て回る。
 戸棚にはビーカーとか試験管とかおなじみのものから、何に使うのかよく分からない変な形のガラス器具
まで色々あった。
 中学校を思い出す。
 あの時は、私と平野君は実験の時いつも一緒だった。
 中学生って子供だから、そういうのはやし立てるの大好きで。
 すごく恥ずかしくて、でも嬉しかった。
 あの頃に、帰りたいな。
 ほぼ一周して、ふと実験準備室、のプレートが目に入った。
 あの頃は、こういうところ入れてもらえなかったけれど、開いてるのかな。
 ちょっとだけ。
 そう思ってノブを回し、押すと、何の抵抗もなくドアは開いた。
41 ◆DxURwv1y8. :2006/02/18(土) 22:13:02 ID:0pvneFG5
「あなたの顔を見てると……やだ、言えない」
「ほら、言って」
「何を言うの」
 えっ!?
 そこにいる人物。いるはずのない人物。信じられない。信じたくない。だが、彼女はそこにいた。
「……み、な?」
「そうよ。ねえ、なにしてるの平野君。こんなとこで。二人っきりで。おかしいね」
 震える声。
「あ……」
 洋子は僕から身体を離し、目を伏せた。
「おかしいでしょ! なんでそんなことしてるの? その人誰? 平野君のなに?」
 声のトーンが上がっていく。震えも大きくなっている。今にも泣き出しそうなその声に、僕は何も
言えなかった。
「答えて。だれ? だれなの? ほら、早く答えてよ!!」
 それに答えたのは、洋子だった。
「私は高宮洋子というの。平野くんとは同じクラスで……」
 一度目を伏せてから、洋子は言った。
「恋人よ――」
 パンッ!
「この泥棒猫っ!! 信じられない、どうやって平野君を誑かしたの!? その顔!? その身体!?
この悪魔!! 淫売!! あんたなんか死んじゃえばいい!!!」
 口汚く罵る美奈は、今まで見たことないほど必死で……哀れだった。
「美奈、やめろよ……」
「平野君も平野君よ!! こんな悪女に騙されて、どうしてあたしのことを見てくれないの!?ずっと
メールだけで寂しかったのに、どうしてこんな女と抱きあってるの!?」
「それは……僕が、この洋子のことを好きだから」
「騙されてるの!! 騙されてるんだよ!! 嘘だって言って、ほら、やっぱりあたしのことが好きって
言ってよ!!」
「……ごめん」
「っ!! そこの女!! さっさと私の平野君から離れてよ!! あたしのいない間にちゃっかりと、
平野君の隣なんかに入り込んで!! あんたがいるから平野君だって本当の気持ちを言えないのよ!!」
 洋子はきゅっときつく唇を結んで、それから静かに言った。
「それはできないわ」
「できない!? 何言ってるの、勝手に住み着いた泥棒猫のくせに!! そこはあなたの居場所じゃない!!
私の居場所なんだから!!」
 洋子はあくまで、淡々と答える。
 だが、分かった。彼女は戦っている。美奈と、そして恐らくは自分自身と。
「ごめんなさい……でも、ここは譲れない」
「なっ……!! ちょっ、いい加減にしてよ!! 大体あんた、あたしより後に出てきたくせになんで
あたしより近くにいるの!? おかしい、そんなの絶対おかしい!!」
「おかしくはないわ。……平野くんは、美奈さんより私のことを――」
 パンッ、と再び音が響いた。
42 ◆DxURwv1y8. :2006/02/18(土) 22:13:37 ID:0pvneFG5
「思い上がらないで!! あんたなんか、私がいない間の平野君の暇つぶしでしかないのよ!!だから、
だから、もうそこからどきなさいよぉっ!!」
「美奈、もうやめろ!」
「あっ……」
 僕の怒鳴り声にそんなに驚いたのか、美奈の瞳にさっと涙が浮かんだ。
「なんでよぉ……なんで……なんで……」
 さっきまでとはうって変わって、すすり泣き始める美奈。
 僕と洋子が何も言えないでいるところへ、唐突にそれは現れた。
「何ごと!?」
 叔母だった。
「あ……叔母さん」
 美奈はすすり泣き、美奈は下を向いて何も言わなかった。
 その様子から大体の状況を察したのだろう、叔母は努めて冷静に言った。
「……今は何も聞かない。美奈ちゃん、もう青華祭は終わりよ。私と一緒に行きましょう」
「でも、でも!」
「分かって。そうでないと、沢山の人に迷惑を掛けてしまうの」
「……はい」
「二人とも。もうすぐ各クラスで点呼を取るはずだから早く行きなさい」
「あ、はい」
「分かりました」
 僕も洋子も、足どりは重かった。それでも僕は洋子を選んだことに後悔はしていない。
 そして、洋子もそうだと……信じている。


 帰り道。僕は洋子と一緒に歩いていた。彼女を家まで送るためだ。
「ごめんね」
「いいんだ。今日は、大変だったから」
 いつもは家が正反対だから送れないけれど、今日くらいは。
「あの、あれから美奈さんはどうしたの?」
「叔母が家まで連れてったらしい。その、普通の状態じゃなかったから」
「……そう」
 うつむいてしまう洋子。
 僕は黙ってその手を握った。
「あ……」
「ごめん、僕が悪いんだ。でも、はっきりさせるから。美奈にきちんと別れようって言うから」
「ええ……こんな時、なんて言えばいいのかしら」
「ありがとう、でいいんじゃないかな」
「……でも、美奈さんが」
「あまり気を遣いすぎるのは、残酷だよ」
「そう、かしら」
 西日に向かって歩く僕らは、気付かなかった。
「そうだよ。洋子は優しい。優しすぎるんだよ。美奈にしてみれば、遠慮される方が辛いと思う」
 後ろから近づく、彼女に。
「ホント、その通りだよ」
 ザシュッ、と音がした。僕と洋子の間から。
 カアッと熱くなる指先。見れば、指が、無かった。
「う、うわあぁぁ!!??」
「あ……ああ……!!」
「死んじゃえ」
 呆然と自らの手を見つめる洋子に、冗談のように包丁が沈み込んでいく。
 そして、引き抜かれたそれは、
「平野君も一緒がいいでしょ? だって、二人はコイビトなんだからね!」
 僕の腹の中へと……。
 洋子は、涙を流して、僕を見つめて。
 たすけて、と震える唇で呟いた。
43 ◆DxURwv1y8. :2006/02/18(土) 22:15:48 ID:0pvneFG5
鮮血の結末になってしまったorz
大人しい子が好きなので、私のSSに出てくる修羅場はブチキレVS冷静ばっかです(´・ω・`)
44名無しさん@ピンキー:2006/02/18(土) 22:25:36 ID:+hIpP0nQ
もはや最後が愛じゃないのが邪悪娘
45名無しさん@ピンキー:2006/02/18(土) 22:29:00 ID:l48jrrgx
>>43
GJ!
この主人公は氏んでよかったと思うよw
46名無しさん@ピンキー:2006/02/18(土) 22:31:04 ID:OAZEvJoQ
>>43

あなたは神か?
神なら失礼ですが証明を
 男女に限らず、人間関係で一番恐ろしい事とは何だろう。
 それは、拒絶されることだと思う。
 人間はひとりひとりが少しずつ違っていて、それが時として致命的な破綻を引き起こす。
 そして、零したミルクは二度と戻らない。
 
 身内の恐ろしさっていうのは要するに、そこにあるのだ。
 人間の本質を見るには、共に旅をするか生活するかしかないという。
 それこそ十数年同じ釜の飯を食い、良いところも悪いところも、
 相当プリミティヴな部分まで曝け出して、それでもなお切れない絆ってやつに
 他人は容易には立ち入れない。
 
「お、おにいちゃ、あ、ぎもぢぃ、いい、あう、もっと、ぐちゃぐちゃ、してっ」

 異常な行為だ。
 きっとそうなのだろう。
 顔を洗う。髭を剃る。風呂に入る。用を足す。
 そういう日常の動作のうちに、いずれ『これ』が組み込まれていく。
 それが当たり前になる。楓はそう、最初に言った。
 
 近親相姦は一度はまると抜けだせないという。
 微妙に違う、と思う。
 抜け出せないのではなく、やめようなんて発想に至らないだけだ。
 “そと”に漏れれば社会的な死は免れまい。
 だが、その秘密を知っているのはお互いだけだ。
 囚人のジレンマは成立しない。
 完全。完結。閉鎖。排他。
 緩慢に滅びへと向かうタナトスの円環の中、
 ただ歓喜に躯を震わせる“もうひとり”が居るだけだ。
 
 ついこの間まで穢れを知らなかったそこは、度重なる行為によって拡張され開発され、
 ただひとりの実兄のストロークを受け止められるだけの器量を持つに至った。
 おれは衝動に流されるまま、荒々しく擦り、突き、性感を高めてゆく。
 ひたすらに高みへ向かってゆく。
 
「せ、せーしほしい、せーしほしいのっ、もう、だめ、いっちゃ、いく、いく、いくのおぉ……」
 
 弛緩しきった顔で快楽に身を任せる楓。
 こいつが望んでいたのは、こういうことなのか?
 おれは、楓の想いに応えてやれているのか?
 霞が掛かった頭では、もう、まともに、
 
 ―――なにが、まともに、なんだろう?
 
 射精する。
「あ、あ、あひ、ああ、あああぁぁぁぁっ!」
 楓の膣はうねり、本人の意思とは関係なく尿道に残った一滴すらも絞り出さんとする。
 今日何度目かもわからないのに、びっくりするほどの虚脱感に見舞われる。
「……あ、すご、あったか、じわって、んっ、あはっ……」
 かえではわらう。
「楓の卵子、おにいちゃんの精子で包まれて、ぜったい受精しちゃうよ……
 あかちゃん……できちゃうよ……にんしん、しちゃうよ……」
 ……だったら、もう、いいじゃないか。
 かえでが、こんなに、うれしそう、なんだから。
 ----
 
 先輩の私に対する態度は微妙に変わってしまった。
 あまり目を合わせてくれなくなった。
 昼どきに学食に現れることがなくなった。
 常にどこか上の空の返事しかしなくなった。
 デートもどきの日の私の態度に腹を立てているのかといえば、そういうわけではないらしい。
 そして態度には出さないが、楓さんの話題を出されるのを酷く嫌がっているようだった。
 
 どうにも、おかしい。
 
 それとは対照的に、楓さんは最近花が咲いたように明るい。
 塞ぎこんでいるような印象は完全に払拭され、まるで花が咲いたようだ。
 これまでどおり自分から誰かに話しかけることはしないが、
 日常を過ごすための必要最低限の会話の中で彼女は「微笑む」。
 だが、私にはわかる。
 その笑みはどこに向けられたものでもない。
 それは何か、あるいはこの世全てに対する勝利宣言であり、
 敗北者を哀れむ強者の眼差しだ。
 ……きっとあったのだ。私が憂慮するようなことが。
 
「楓さん」
「あら、森川さん。何だかこうして話すのも久しぶりね」
「……そう、かもね」
 楓さんは僅かに興奮しているのか、頬が少し紅潮している。
「もう春ね」
 楓さんは空を仰ぐ。
「ええ」
「春は好き?」
「はい」
「どうして?」
「暑いのも寒いのも嫌いですから」
「そうね、そうかもしれないわね」
 背中まで伸びた長い黒髪がそよ風に踊る。
「楓さんは」
「?」
「春は好きですか」
「わたしね、こころがどこか壊れているの。だから実はね、わたしには好き、嫌いってあまりないの。
 でも、今年の春はきっと、ずっと、死ぬまで忘れない」
「どうして……ですか」
「貴女がそれを訊くの?」
「……」
「すべてはここから、はじまるの。ずっと停まったまま、足踏みしていた時間はもう終わり。
 もう誰にも邪魔させない。世界はきっと敵ばかり。誰もがわたしにやさしくない。誰もわたしを愛さない。
 それでもね、」
 楓さんは振り返り、私を真正面から抱きしめる。
「救いはあったわ。この狂った世界を生きていくに値するだけの確かなものを、わたしは見つけた。
 誰のものでもない、わたしだけのもの。誰にだって、渡さない」
 
 だからね、と楓さんは私の耳元で囁く。
 
「―――わたしからそれを取り上げようとする人間を、わたしは決して許さない。
 それが誰であろうとも、何の目的があろうとも。
 わたしは全力で『それ』を叩き潰す。
 それでこの身が穢れても、わたしは一向に構わない。
 命なんてはなから惜しくない。
 わたしはただひたむきに、それだけのためだけに生きてゆくわ」
 
 訣別の言葉。
 それはきっと、短い友情の終わり。
49合鍵 第十八回  ◆tTXEpFaQTE :2006/02/18(土) 23:22:36 ID:fttyh/aV
合鍵 第十八回


朝。
元也は穏やかに寝息を立てている。
いつもの藍子が起こす時間まで、あと三十分ある。
うーん、と寝返りを打つ元也。

そんな元也の様子を、ベットの横に立ち、見ている人がいる。
藍子だ。
すでに、そこに来て、二時間は経っている。
さらに、数分過ぎる。

突然、電話の子機が鳴った。
驚いて、藍子はディスプレイを見た。
そこに表示されていた人名を見て、藍子の顔が豹変する。
『サキ先輩』と、そこに表示されていた。

元也の家の電話に、あの女の名前がインプットされている。
その事に、言いようの無い程の憎悪が胸に湧き上がる。

電話が三回鳴ったところで、電話を切った。
こんな朝から電話をかけてくるなんて、モーニングコールのつもりか。
あの女、私の役目を奪うつもりか。
しんでください。

サキが電話を三回鳴らしたとこで、出る事も無く、電話を切られた。
藍子ちゃんか。
元也君から聞いた、藍子ちゃんが起こしに来る時間の十分前にモーニングコール
したのだが、起こす時間の前から、元也君の部屋にいるのか、あの娘。
元也君の寝顔を見ながら、何してるのかしら?
あんな、子供みたいな顔しといて、いやらしいこと。
そこから、消えたら?

もう一度、サキは元也の家に電話をかけた。
今度は、ちゃんと、出た。ただし、元也ではなく、藍子だった。

藍子『何か、御用ですか?』
サキ『アラ?誰、あなた?私、元也君のおうちに電話したんだけど?』
藍子『間違ってませんよ。ただ、もとくんはまだ起きる時間じゃないので、
   起こしちゃうと、かわいそうだと思って、私が出ただけです』
サキ『そう、でも、人のおうちの電話に勝手に出るの、かなり失礼じゃあない?』
藍子『いいえ。当然、他の誰かがこんなことすれば、ダメかも知れないけど、私なら良いんです』
サキ『あら、羨ましい話だこと。でも、もう元也君、起きる時間でしょう?変わって頂戴』
藍子『嫌です。まだ、寝てます』
サキ『じゃあ、丁度良いわ。私の声で起こしてあげたいわ。受話器、元也君の耳に当てて頂戴』
藍子『いま、丁度起きました。切りますね』
サキ『じゃあ、かわって。おはようを言いたいわ』
藍子『そんな暇、ありません。切りますね』
サキ『おはようを言う位よ』
藍子『切ります』
ガチャリ。
50合鍵 第十八回  ◆tTXEpFaQTE :2006/02/18(土) 23:24:02 ID:fttyh/aV
>>49の続き


いい根性してるわ、藍子ちゃん。
朝から最悪な気分になった。
やっぱり、あんな娘に遠慮する事、無いわね。

ベットサイドにおいてある、写真立てを見る。元也とサキ、二人で写っているものだ。
今日、勇気を出して、元也君に告げよう。
それで、彼が応えてくれたら、このベットで。
そう思うと、体が火照る。このままでは学校にも行けない。
体をしずめる為、と、自分で触ろうとした。
だが、止めた。このまま、昂ぶらせたままの方が、勢いに乗っていける気がした。
今日は、このまま、夜までいよう。それまで、我慢。
この火照り、元也君に触って貰って、おさめてもらおう。
その決意で、更に体が熱く疼いた。

ほんとなら、もっとゆっくり、二人の距離を縮めたかった。
だが、藍子ちゃんがいるから、早急に、ことを進めなければ。
元也君。お願い。私の想い、うけとめて。

なんて遠慮知らずな人なの、サキさん。
朝から最悪な気分になった。
やっぱり、あんな人、この世にいらない。

藍子が握り締めている子機が、ミシミシと音を立てる。
元也をみる。寝ている。起こさなくてはならない。

だが、起こせば、起こして、学校に行けば、また、あの女がいる。
嫌だ。あの女に、元也を見せたくなかった。元也に、あの女を見せたくなかった。

いっそ、このまま起きないもとくんを、永遠に、二人だけの世界で、眺められたら、どんなにか素敵だろう。
そんな世界を夢想し、陶然とする。

寝ている元也を見る。起きる気配は無い。
元也の唇を指で撫でた。何か、食べるものと勘違いしたのか、元也は藍子の指を舐めた。
指先から、くすぐったい快感が、体中に走る。
慌てて、指を離す。指先で元也の唾液が光っていた。
恐る恐る、その指を舐める。今度は、自分の唾液がつく。
その指を、再び元也の口元に持っていく。また、指先を舐める元也。
それを見ると、藍子は、いつかの様に、下半身がはしたなく熱くなる。

このまま、二人きりでいたい。
だが、起こさなくては。私の我がままで、もとくんに迷惑をかける訳にはいかない。
藍子「…起きて、もとくん。…朝、だよ……」
51 ◆kQUeECQccM :2006/02/18(土) 23:24:16 ID:jFTQeEBD
長々とお付き合いいただき、本当にありがとうございました。
これにて、「妹(わたし)は実兄(あなた)を愛してる」、第一部・完とさせていただこうと思います。
第一部から数年後の話にあたる、第二部の構想もありますが、
このあたりで一旦皆さんの反応をみて、それから書き始めようと思います。

まずお詫びしなければならないのは、前置きが長くなってしまったせいで「美味しい」修羅場が書けなかったこと。ともすればスレの趣旨から外れかねない問題だけに、ここで謝罪します。

ごめんなさい。申し訳ありませんでした。

レスして下さった方、ROMでも読んでいてくださったかた、
まとめHP管理人様、ノベル化していただいた方、
すべてのひとに最大限の感謝を。
ほんとうに、ありがとうございました。
52前スレ666:2006/02/18(土) 23:46:09 ID:1zhbNv89
>>47〜50
こんな神作品見せられちゃあ自分の駄文を投下する勇気なんざ吹っ飛んじゃうよママンorz
53名無しさん@ピンキー:2006/02/18(土) 23:49:13 ID:pFvc8cZG
>52
よし、貴様の才能に嫉妬する私が今からお前を刺してやる。
そして近所の神社に祀ってやる。これで貴様も神になれるから安心せい!!
54 ◆kQUeECQccM :2006/02/18(土) 23:53:23 ID:jFTQeEBD
>だが、起こさなくては。私の我がままで、もとくんに迷惑をかける訳にはいかない。
ここが藍子ちゃんの強さであり、同時に弱さでもあると思うのです。
ああもう、嫁に欲しいなあ、もうっ!

>52
自分も文章には自信はありません。
いつも投下する前はどきどきもんです。
ですが、そうしないでお蔵入りさせることほどもったいないことはないと思うのです。
55名無しさん@ピンキー:2006/02/18(土) 23:54:51 ID:qbBvBmk6
>>51
GJ!!
まずはお疲れ様
そして、ぜひ第二部も書いてくれ
56名無しさん@ピンキー:2006/02/18(土) 23:57:20 ID:YdaZjF6C
>52
今月の吼えよペンを読め!あれは漫画以外でも創作系の人間の心に響く漫画だ。
「駄作を出す勇気!」「三本のうち一本でも当たったら神に感謝だ!」
…まあプロじゃないけどな。
57名無しさん@ピンキー:2006/02/19(日) 00:30:28 ID:LGTj+4RT
みんな神作品つくりすぎ
本当にはずれがない

続きある方楽しみに待ってますよ!!
58名無しさん@ピンキー:2006/02/19(日) 00:35:59 ID:gu0oJN/Q
二部書いてくれ
冗談抜きで、本気で
59不義理チョコ 第6回 ◆AuUbGwIC0s :2006/02/19(日) 02:29:37 ID:CMEc8AZM
        *        *        *

 ――負けている。
 ミカちゃんにビリヤードで負けている。現在二連敗中――多分今のゲームもヤバイかもしれない。
 彼女の方からビリヤードに誘ってきたからてっきり得意かと思ったら、初めてだと言った。その為、今日ルールの説明までした。
 ビリヤードは物理だ。多分偉そうな誰かがそう言っている気がする。
 基本は入射角と反射角を考え、突く――それでいいはずなのだが球の真芯を狙っても、何故か球は明後日の方向へ飛んでいく事がある。
 そして今日はその明後日の方向へ行くのが連発している。
 ――三沢の奴からはよく四球続けて外したら一塁へ歩かなきゃいけないよとか言って笑われていた。
「シロちゃん、ビリヤードって面白いね」
 悪意はない。悪意はない無邪気な彼女の一言。でもそんな言葉がわずかばかりの男のプライドを崩す。
 彼女のビリヤードの腕前は初めてというだけあってオレから見ても明らかに下手だった。そしてそんなド下手に全力で向かっていっても負けている自分。少しだけ泣きたくなった。
「これ終ったら何処か行きたいとこあるかな?」
 そう言いつつ突いた手球は意思に反して見事ポケットに直行した――このキュー歪んでいるじゃないのか?

 結局、初心者相手に連敗という情けない記録を打ち立てた後、その場を後にした。

 外に出るなり背中に抱きつかれた。抱きつかれた途端電流でも走ったかの様に体中が一瞬ビクッっとする。
「あったかーい」人の背中で甘えた声でそんな事を言う。
「……なんだよ」
 今日は日も出ていてそれほど冷え込んでいる訳ではない。
 そしてこれは昨日の放課後を思い出す――人にしがみついて泣くだけ泣いてたあいつ。
「えっ? こうすると喜ぶってシロちゃんのお姉さんが――」
「……姉ちゃんの言っていた事は忘れてくれ」
 確かに嫌いじゃない――でも今は背中にいる彼女ではなく昨日背中で泣いていた女の子が頭の中にいた。
 ――今はデート中だ。
 そう心の中で呟き、頭を大きく振るい頭の中からその事を追い出そうとした。
60不義理チョコ 第6回 ◆AuUbGwIC0s :2006/02/19(日) 02:30:54 ID:CMEc8AZM

 遠く三沢と深井さんが並んで歩いているのが見えた。
 ――タイミング悪いな。
 何故だかわからないが、頭の中にそんな考えが頭に上った。
 それはミカと一緒にいるからか――それは違うはずだ。二人ともオレ達がそういう関係だというのは知っているから。
 それとも今背中に彼女が抱きついているからか――あまり見られたくない。恥ずかしいから――何か少し違う。……何か心が後ろめたい、そんな感じがした。
「ミカ達デート中?」半ばからかうような感じで向こうから深井さんが声をかけて来た。
「うん、そうだよ」人の背中に張り付いたまま恥ずかしげもなく言うミカ。
 三沢と目線が会うが、彼女はすぐさま視線を下に落とした
 ――何がスッキリしただよ、また逆戻りしてるじゃないか。
「どうせだから一緒に遊ぼうよ」背中から出る屈託のない声。
「いやデート邪魔しちゃ悪いから、私達は退散するよ」
 そういって深井さんは去ろうとしたが、三沢の奴は足元に視線を落としたまま聞こえていなかったらしく立ち止まったままだった。
「ほら、行くよ」
 立ち止まったままだという事に気づいた深井さんは三沢の手を掴んで引っ張られて歩き始めた。
 引っ張られて歩く三沢の背中は酷く力がなかった。
 ――重症じゃねえかよ。

「――なあミカ、そろそろ離れてくれないかな」
 二人が遠くに消え去るまで見送ってからようやくミカが背中から抱きついたままだということを思い出していた。
「あ――うん」彼女は名残惜しそう呟きながらようやく背中から離れた。

「――あのさ、三沢から何か聞いてるかな?」
 友達になら何か言っているかもしれない、そんな期待をこめて歩きながらミカに聞いてみた。
「何かって?」
 何も知らない顔。普通に雑談している時となんら変わらない愛らしい顔の彼女。
「……なんか失恋したらしい」
 言うか言うべきか迷ったが結局言う事にした。あいつとはオレ以上に長い付き合いの筈だからきっと力にはなってくれる――そう思ったから。
「……トモちゃんがそんな事になっているなんて知らなかった……」
 急に顔を曇らせる。自分の事ではないというのにまるで今自分が失恋したと言わんばかり今すぐ泣き出しそうな感じすらしていた。
 ――デート中の話題としては不適切だった。
 そう思いながらも今思っているのは目の前にいる彼女ではなくて昨日背中で泣いてたあいつだった。
「まっ、お前からも何か言っといてくれ――」
 そんな事をいいつつ、今の空気を払拭すべく、頭の中の三沢を追い出すべく何か適当な話題がないか考え始めていた。
 ――でも何故か背中は熱かった。
61不義理チョコ 第6回 ◆AuUbGwIC0s :2006/02/19(日) 02:31:38 ID:CMEc8AZM
        *        *        *

「ミカはデートだって。意外と男が出来ると付き合いの悪くなるタイプだったね」
 昨日ヨーコから電話がかかってきた。前に言ってたパーっと遊ぼうと言ってた話だ。
 そして今日はミカ抜きでヨーコと一緒に遊びに来ていた。
「中学の頃はいつも三人一緒に遊んでいたのにね」
 そんな事言いながら私自身、随分ヨーコ達と一緒に遊んでいないのを思い出していた。
 ――そうだ、いつも神崎達と一緒に遊んでいたから。
 そんな事を思い出すと、つい先週も神埼達と一緒に遊んでいたのに、その事が凄く昔みたいに感じられた。
 ――距離できちゃったのからかな。
 多分あいつはそんな事を意識していないに違いない――そしてミカも。
 昨日の時点でそれは確信に変わっていた。二人きりで居る時は私なんか見ていない――ミカが居なくなれば私だけを見てくれるかな。
 そんな事ばかり考えていて、ヨーコの話には生返事をしていて気づくのが遅れた。
 目の前に神崎がいた――そしてミカが抱きついていた。
 ――そうだよねこいつら付き合っているんだもん。
 その事は認めても見ていたくはなかった。だから視線を落とし見ないようにした。
 何であそこで抱きついているのは私じゃないんだろう。
「行くよ」
 ヨーコに手を引っ張られた。
 ――ああ、そうか。もうここに居なくていいのか。
 引っ張られるまま足を進めた。このままこの場所にいたら自分が矮小で惨めな存在に思えてくるから。

 カラオケボックスに入ったというのに私もヨーコも歌わない。
 私は歌いたい気分じゃなかった。ヨーコも何故か自分から入れようとはしなかった。
 ただ密室でお互い黙っているだけ。
 ――変なの。
「……トモ、あんたが好きだった相手って――もしかして神崎君?」長い沈黙を破ったヨーコの私を覗き込む顔は少し険しかった。
 私は何も言えなかった――いや言わなかった。何か言い繕おうかとも思ったが、どうせ口から出る見え透いた嘘なんて簡単にばれるから。
 少しの沈黙の後ヨーコは深い溜息を吐いた。
「――黙っているってことは当たりか……。
 ミカがいないのは幸いというか何と言うか……」
 ヨーコは少し困ってて少し呆れてて少し優しい顔だった。
 多分さっきの時誘えばミカはそのままついてきたに違いない――きっと何も考えていないから、何も疑っていないから。
「――いつから?」
 それだけ言ってからヨーコはまた黙った。
 その顔は言いたければ言って言いよとでもいう柔らかい感じで、じっと私の返答を待っていた。
「……気がついた時にはもう好きだった。……でもずっと言えなかった」
 また沈黙が訪れる。
 そしてヨーコの深いため息。
「あんた馬鹿だね。無理して友達だからって好きな奴との仲介役なんてやらなくていいのに。
 ミカだっていい子だからさ、あんたが先に好きな相手って一言言っとけば、それ以上どうこうしようなんて思わなかった筈だよ」
 ――そう馬鹿だよ私。あきらめるつもりで仲介したのに全然あきらめず気持ちばっかり大きくなっていった。
 そんなことばかり考えていると涙が溢れていた。
「言えないよ……もう言えるわけないよ……」
 駄目だ、もう涙が止まらない。
「……仕方ないか」
 ――そう仕方ない。
 ヨーコはもう泣くことしかできなくなった私の頭をずっと優しく撫でてくれていた。

62不義理チョコ 第6回 ◆AuUbGwIC0s :2006/02/19(日) 02:32:10 ID:CMEc8AZM

 結局今日は遊びに行くって言ってもずっと泣いててヨーコに慰めてもらっていただけだった。
「――士郎」
 誰も居ない部屋で彼の名前を呼んでみる――少し変な感じ。
 その呼びかけに答えるように突如電話がなった。まるで私の呼びかけに答えるように。
 反射的に電話に出ていた。
「トモちゃん、私だけど……」
 ――なんだミカか。
 どうせ惚気話だろう。
「ごめんね、私失恋したなんて全然気づかなくて……」
「あんたにまで心配されるなんてね――あんたは彼と適当にやっていればいいのよ」
 少しだけ無理して強がってみる。
 明日から乗る電車一本ずらそうかと思っていた。二人を見ているときっとまた悲しくなるから。
「ねえ――なんて言ったの……」少しだけ遠慮がちの声。
「ううん、言ってない。そしてもう言わない事に決めた」
 ――私あなたの為に我慢する事に決めたから。
 自分の瞳に涙が溜まっているのに気がついた――最近私泣いてばっかりだ。
「駄目だよ。ちゃんと言わなきゃ。私応援するから」
 ――応援してくれるの? じゃあ言っていいんだよね? 士郎に好きだって。
 何故かその時、私の頬は緩んでいた。

638 ◆AuUbGwIC0s :2006/02/19(日) 02:35:41 ID:CMEc8AZM
ようやく話の下り坂が見えてきた。
時事ネタだから早目にケリつけようとしているのに中々うまくいかね

他二本放置中だからさっさとどうにかしたいな
64名無しさん@ピンキー:2006/02/19(日) 03:37:56 ID:TMf/kn9Z
帰宅して更新したら連発でうれしい限り。

>>何故かその時、私の頬は緩んでいた。
当方の頬も波乱の期待でピクピクと緩みました
65名無しさん@ピンキー:2006/02/19(日) 03:42:26 ID:vLzTAkiD
みなさん本当にGJです、神に感謝しっぱなしです
66 :2006/02/19(日) 03:59:49 ID:2A+ZKOdh
>>51
GJ。乙でしたー
このままでも無論良作だけど、やはり2部が楽しみで仕方の無い人間がここにノシ
篭絡されてしまった兄がどうなっているのやら期待大です(w

>>63
>――応援してくれるの? じゃあ言っていいんだよね? 士郎に好きだって。
>何故かその時、私の頬は緩んでいた。
これまた、当人に自覚が無いとは素晴らしい心理展開ですな。
徐々に蓄積した物が最早危険な領域に……
67名無しさん@ピンキー:2006/02/19(日) 10:17:48 ID:N4xWL8k6
+   +
  ∧_∧  +
 (0゚・∀・)   ワクワクテカテカ
 (0゚∪ ∪ +        
 と__)__) +
68 ◆kQUeECQccM :2006/02/19(日) 10:20:10 ID:+/y6bKJx
期待してくださるかたが居るようなので、二章を書いてみようと思います。
ただ、弾薬をある程度溜め込むまで時間がかかりますので、気長に待っていてください。

ノシ
69◇7IWcnPZ2:2006/02/19(日) 11:12:55 ID:eWYbPlRf
「ほら・・・圭ちゃんのオ○ンチン、もうこんなに大きくなった」
「は、晴香ちゃん・・・」
「ん?どうしたの?」
「やっぱり止めようよ・・・ここ、女子トイレだし・・・」
「その割りには有り得ないくらい勃起してるんだけど。こういうシチュエーションが好きなのかな、圭ちゃんは」
「そんなこと・・・くぁっ!」
「相変わらず敏感なオ○ンチンだね・・・まだ大きくなるの?ホント、はしたないチ○ポ」
「うっ・・・くっ・・・」
「あっ・・・先っぽから出てきたよ・・・そんなに気持ちいいの?」
「・・・うっ・・・」
「圭ちゃん聞こえる?ガマン汁でチ○ポ、クチュクチュいってるよ?」
「・・・晴香・・・ちゃん・・・」
「ん?何?」
「オレ・・・今日・・・な、何か悪いこと・・・し、したのかな」
「・・・うん、したよ」
「いや、でも・・・女子とは喋ってないし・・・」
「・・・本当に分からないの?」
「うん・・・」
「・・・そうなんだ・・・」
「・・・ぐぁっ!?」
「ああ、ゴメンゴメン。強くしちゃったね・・・もう少しゆっくりしてあげる」
「うぅ・・・くっ・・・ふっ・・・」
「・・・5限が終わった後に・・・斉藤先生と・・・何だか、楽しそうだったね」
「うっ・・・でも、あれは・・・はぁっ・・・荷物を運ぶの手伝った・・・だけだし」
「断ればよかったんじゃないかな・・・先生、勘違いするかもしれないじゃない・・・」
「い、いや・・・先生だってそんなに若くないし・・・そんなことはないと・・・うぅっ・・・」
「歳の問題じゃないと思うの。確かに30過ぎてるし、子供もいるけどね・・・正直言って、美人だし」
「くっ、あっ・・・はぁ、はぁ・・・」
「圭ちゃんって、結構カッコイイから・・・食べちゃおかなって・・・私が先生だったら、そう思っちゃう・・・」
「・・・せ、先生は・・・そんな人じゃ・・・ないよ・・・」
「ふーん・・・先生のことかばうんだ・・・」
「・・・いだっ!?い、痛いよ晴香ちゃんっ!?」
「ほら・・・そんなに大きな声出したら聞こえるよ、いいの?」
「・・・ぐっ・・・んぐっ・・・」
「うんうん、良い子だね、圭ちゃんは」
70◇7IWcnPZ2:2006/02/19(日) 11:14:20 ID:eWYbPlRf
「ぐぁ・・・や、止めてよ・・・痛いよっ・・・」
「・・・チ○ポ擦るの止めてほしいの?」
「いやっ・・・ぐっ・・・そうじゃなくて・・・」
「・・・じゃあ、もっと優しいのがいいの?」
「・・・うん・・・」
「何だかんだ言って、やっぱり興奮してるんだね。・・・これぐらいがいい?」
「うっ、うん・・・」
「ゴメンね圭ちゃん、痛くして・・・ねえ、気持ち良い?」
「うん・・・くっ・・・気持ち、良いよ・・・」
「圭ちゃんの気持ち良いところ・・・全部知ってるんだから・・・こことか・・・」
「あっ!?くはっ・・・うぅっ・・・」
「ここも・・・」
「はぁっ、くぅっ・・・」
「・・・あ、チ○ポ膨らんできた・・・もうイキそうなの?」
「・・・うんっ・・・」
「・・・いつもより早いね・・・でも」
「・・・えっ、ちょ、ちょっと!?」
「圭ちゃん、勘違いしてる・・・これは罰なんだよ?他の女と仲良くした罰」
「っ、晴香ちゃん・・・」
「私、怒ってるんだから・・・このまま止めちゃおっか?」
「そ、そんな・・・酷いよ・・・」
「・・・最後までしてほしい?」
「うん・・・してほしい」
「じゃあ、約束して・・・今後一切、他の女と仲良くしないって」
「約束するよ・・・」
「本当に?」
「本当だよ・・・だから、早く・・・」
「私、忘れないからね・・・」

「晴香ちゃん・・・もう・・・止めて・・・」
「えっ?だって、して欲しいって言ったじゃない」
「もう・・・5回目だよ・・・うっ・・・出ないよ・・・」
「駄目よ?キ○タマの中の精子、全部出すまで止めないから」
「・・・もう、ゆ、許してっ・・・」
「ダメダメっ。もっと擦ってあげるね」
「うぅ・・・ぐっ・・・はぁっ・・・あっ・・・」
「グチュグチュって、いやらしいチ○ポだね・・・精液で手がふやけちゃってるよ」
「ふぁっ・・・うぐっ・・・」
「匂いもすごい・・・誰か入って来たら、一発でばれるね」
「止めて・・・うっ・・・もう止めてっ・・・」
「そんなこと言って・・・ああ、またチ○ポ膨らんできた。イクの?」
「・・・や、止めて・・・」
「ほら、ほらっ・・・また・・・いっぱい出して・・・」
「うぁっ・・・」
「あっ・・・見て、圭ちゃん。出てるよっ・・・白いお汁、また出たよ・・・」
71◇7IWcnPZ2:2006/02/19(日) 11:15:31 ID:eWYbPlRf
「うっ・・・あ・・・も、もう・・・」
「・・・圭ちゃん・・・前も同じ約束したの、覚えてる?」
「・・・えっ・・・」
「前も約束したじゃない、他の女と仲良くしないって・・・」
「・・・あ・・・」
「でもまた破った・・・だから今回は、キツくしたの・・・」
「・・・」
「自分がどれだけ悪いことしたか・・・分かる?」
「あ・・・ご・・・ごめん・・・なさい・・・」
「・・・ホントに悪いと思ってる?」
「はい・・・悪いことして・・・ごめんなさい・・・」
「もう、約束・・・破らない?」
「もう・・・破りません・・・」
「・・・じゃあ、今回は許してあげる」
「ありがとう・・・ございま・・・す・・・」
「圭ちゃん・・・私の気持ち、分かってね。圭ちゃんを誰よりも愛してるのは・・・私なんだから」
「はい・・・晴香・・・ちゃん・・・」
「今度破ったら・・・私もどうなるか・・・分からないから」
72◇7IWcnPZ2:2006/02/19(日) 11:20:39 ID:eWYbPlRf
なんか急に思いついたので投下しました。
タイトルは適当に付けて頂ければ幸いです。
まだ途中の作品もあるのに・・・浮気、ですよね?
73名無しさん@ピンキー:2006/02/19(日) 11:42:59 ID:+/y6bKJx
だがこんな浮気なら大歓迎だっ
74名無しさん@ピンキー:2006/02/19(日) 11:46:00 ID:i976FtAm
こんな責めしてくれるなら何度でも浮気したい
75名無しさん@ピンキー:2006/02/19(日) 12:34:24 ID:08ChWjIf
>>72
そんな浮気は大歓迎なんだが、名前欄が気になってしょうがない・・・
76◇7IWcnPZ2:2006/02/19(日) 13:26:22 ID:N4xWL8k6
一番最初に書いたときのIDを名前欄にずっと書いてるみたいだけど
同一人物であることを主張したいならトリップ付けた方がいいと思う。
トリップは「#」に続けてお好みの文字列ね
「◆7IWcnPZ2」って書いたのでは真似出来ますよ
(真似出来ることをわかりやすく示しているだけで私は前スレから投稿してる方とは別人です)
77『鏡』 ◆AsuynEsIqA :2006/02/19(日) 14:10:53 ID:33b0Uab5
少しですが更新
↓↓↓↓↓↓↓↓↓
真由が病室を出ていった。杉田に話があるというのが気になったが、今は真奈のそばに居る方がいいだろう。
「本当に何も覚えて無いのか?」
「うん…涼くんと別れてから……よく覚えて無い…」
「そうか…まあ無理に思い出そうとするなよ。」
そう言って真奈を抱き寄せる。
「うん…大丈夫。」
この方が都合が良いかもしれない。まだ知るのは早すぎる。
「そろそろ面会時間も終わりか…。じゃあかえるからな。」
「うん。あまり心配しないでね。本当に大丈夫だから。」
「馬鹿。心配するにきまってんだろうが。」
そう言って頭を小突いて病室を出た。
「はぁーーーー……」
地獄に届きそうな程の溜め息を吐く。これからやることを考えると仕方が無い。
「確認は、しとかないとな。」
あの事故現場。一点引っ掛かっていた所がある。それさえ確かめられれば真由が……真奈を事故に遭わしたという証拠になる。それを警察に言った所で犯罪として認められる確率はゼロに等しい。
だが、真由には償いの気持ちを持ってほしい…俺しか、言ってやれる奴は居無い。
いまさら怖いだなんていってられない。
全てを終わらすため、アパートへと歩き始めた。
78名無しさん@ピンキー:2006/02/19(日) 15:12:09 ID:pdCzCsed
>>54
遅レスで申し訳ないのだけどあなたの書く文章好きだ。
巧みな語彙を用いての文章表現やものの考え方に終始感心しっぱなし。魅せられた。
これからも応援してる。
79ゲーパロ専用 ◆0q9CaywhJ6 :2006/02/19(日) 15:22:15 ID:aRiN6fq4
<嫉妬妻・道明寺静子>

そうですか。
貴女が、主人の初恋の方ですか。
高校時代の同級生。幼馴染だったんですか。
ああ、お名前はうかがったことがありますよ。
私はもともと主人の親戚でございますから、近所に住んでおりましたもの。
え、それは知っている。
ほほ。まあ、道明寺の本家といえば、このあたりで知らない人間はおりませんものね。
主人は、その分家から婿養子に来ていただきました。
ええ、おっしゃるとおり政略結婚でございますわ。
東京の大学から戻ってから県庁につとめた主人と結婚いたしまして、もう五年になりますか。
主人には、そのうち役所のほうも辞めていただいて、
道明寺の事業を継いでいただくことになっています。

それにしても――。
主人が、貴女と浮気をしたのですか。
高校時代の同窓会で再会して、二次会でお酒を過ごして、
盛り上がったそのまま、ふらふらとホテルへ。
よくある話でございますね。
主人は、不倫するような人には思えなかったのですが……。
やはり、婿養子という立場はストレスがたまるものなのでしょうね。
私は、できるだけあの人を立てるようにしていたつもりですが、
まだまだ足りなかったみたいでございますね。今後は、気をつけますわ。
親戚筋にも釘を刺しておきます。そうね、叔父の二、三人を本社の役員から外しましょう。
もともと主人を社長に据えるのに邪魔な存在でしたから、一石二鳥です。
ご指摘ありがとうございました。
――では、これ、手切れ金です。
貴女の年収の三倍くらいはあるはずでございます。
はい。
……あらあら、不調法をいたしましたわ。
床の上にお金をばらまいてしまいました。
……拾ったらいかがですか? ――乞食のように。

それでは失礼しますわ。
え、まだ話は終わっていない?
──あの人は、私のことを本気で愛している、ですって?
──あの人と離婚してくれ、ですって?
……おかしなことをおっしゃる方ですこと。
私は、主人の妻でございますよ。
あの人が一回や二回、いいえ、百回や千回浮気しようと、本妻はこの私です。
私は、主人の子供を産む女でございますし、主人と同じ墓に入る女でもございますわ。
たとえば、もし主人が貴女と浮気をしている最中に死んでしまうようなことがあっても、
主人のお葬式の喪主は、私以外の誰にも勤められませんし、
貴女などは親戚席の端っこにも座れず、弔問客としてお焼香をするのがせいぜい。
いいえ、貴女など、入り口で追い返してしまいますがね。
卑しい雌犬に、道明寺の屋敷の敷居をまたがれるのは、御免こうむりますから。

だいたい、貴女には、離婚されたご主人との間に小さなお子さんまでいるではないですか。
どの顔下げて、私の主人といっしょになりたい、となどおっしゃるのです?
あの人は娘を引き取ってもいい、と言った、ですって?
……アルコールが入っていれば、そんなことも口走ってしまうかもしれませんね。
私の気遣いが足りずに、ずいぶんと辛い思いをさせてしまっていたようですから、
たまには女の前でそんな大きなことでも言ってみたくなったのでしょう。
それを真に受けるなんて、貴女もまるで子供ですわね。
……らちがあきませんわね。
少し場所を変えてお話いたしましょうか。
ああ、こちらのお代は結構ですわ。私がお支払いいたします。
道明寺が代々ひいきにしている料亭の特別室ですわ、
とてもとても貴女などが払える金額ではありません。
80ゲーパロ専用 ◆0q9CaywhJ6 :2006/02/19(日) 15:22:45 ID:aRiN6fq4

敷島。
港の第四事務所にまわってちょうだい。
そう、倉庫のほうの。
あそこなら、誰にも見られることなく、こちらの方とゆっくりお話が出来るわ。
さて、何をお話していたのでしたか。
ああ、そうそう。
貴女が、主人を愛しているだのなんだの、というお話でしたか。
え。
運転手の女性に聞かれるのはまずい、ですって。
心配はご無用ですわ。
この敷島は、運転手ではございません。
この敷島は、代々道明寺に仕える家のもので、私の秘書でございますの。
もちろんお抱えの運転手は何人もおりますが、
こうした秘密のお話には、敷島に骨を折ってもらうほうが万事安心ですから。
ふふ、あんなにほっそりしているのに、敷島は凄腕のSPなのですよ。
ええと、なんて言ったかしら、アメリカの格闘技。
――そうそうマーシャルアーツ、でございました。
あれの大会で優勝したこともございますのよ。
私のボディーガードとしても絶対の信用をおける人間でございます。
ですから敷島に聞かれてまずいことなどございません。
存分に、貴女のいいたいことを主張なさってください。

――ふう。
あら、失礼。
思わずため息をついてしまいましたわ。
あなたの言うことがあまりにも、わがままで子供っぽいことでございましたから。
そんなことだから、前のご主人にも愛想を尽かされたのではございませんか?
なんでも、離婚前から別な男とよろしくしていたくせに、
それをかくして慰謝料と養育料をせしめたというお話ですが。
あげく離婚してみればその男にも逃げられ、にっちもさっちも行かなくなったところで、
すっかり立派になった昔の恋人――ああ、貴女のような軽い人間は元カレ、とか呼ぶのでしたっけ?
――に再会して、娘ともども面倒見てもらおうと擦り寄ったわけでございますね。
え?
なぜそんなことまで知っているか、ですって。
この街で、道明寺が知らないことなどございません。
貴女もご存知でしょう。
市内の人間の半分は道明寺の経営する会社につとめていますし、
のこりの半分は、それを相手に商売している人間ですわ。

ほほ、女王様気取りなのね、ですって?
そんなつもりはございませんわ。
私は道明寺の本家の人間ですが、女あるじではございません。
当主はあくまで、主人。
私は、その主人を愛する本妻というだけでございます。
え? 主人を、愛しているのか、ですって?
――何をおっしゃるのですか。
私ほど主人を愛している女は世界中のどこを探してもおりませんわ。
ああ、たしかに私どもは政略結婚で結ばれましたわ。
それがなにか?
お見合いであろうが、政略結婚であろうが、
愛し合っていないということにはならないでしょう。
私にとって主人は、はじめての、そして生涯ただ一人の男性でございます。
……そうですか。
貴女のように、年端もいかない子供の頃から軽々しい恋愛もどきに浮かれていた方には
理解できないことなのかもしれませんが、名門の血筋にあっては、
結婚してからはぐくむ深い愛のほうが、むしろ普通のことなのですよ。
……ほほ。
疑りますか、私の、主人への愛を。
侮辱しますか、私の、主人への想いを……。
81ゲーパロ専用 ◆0q9CaywhJ6 :2006/02/19(日) 15:24:05 ID:aRiN6fq4

……ああ、いつの間にか到着いたしましたね。
こちらでございます。
え、立派な事務所、ですって?
一番使われていない倉庫の監理事務所ですから、立派も何もありませんわ。
まあ、お入りください。

――あら、どうなさいました。
そんなに怯えた顔をなさって。
ああ、この方たちですか。
いわゆる、やくざという人たちですね。
安心してよろしいですよ。
やくざと言っても、いわゆる指定広域暴力団、
つまり「二つの都道府県にまたがって活動する暴力団」ではございません。
この街に昔からある組の人です。
――それが、なんでここに、ですって?
先ほど言ったでございましょう。
この街の人間の半分は、道明寺相手の商売で暮らしている者だと。
この方々も、そういう人たちです。
今日のお仕事は――裏ビデオの撮影、ですわ。
もちろん主演女優は、貴女です。
頑張ってくださいね。

――まったく。
いつまで泣いているのですか。
せっかく顔にもあそこにもモザイクをかけない裏ビデオを撮ってあげているのに
泣き顔では面白くないでしょう。
貴女は美人ではないのですから、せめて愛嬌くらい振舞ったらいかがですか?
ほら、撮りなおしますわよ。

ふふ、やれば出来るではないですか。
私はアダルトビデオなどにはまったく詳しくないのですが、
傍から見ている分には、なかなかいいシーンが撮れたみたいですわね。
敷島に聞きましたが、お相手したやくざさん、貴女のフェラチオが結構よかったと言ったそうよ。
……主人にもしたのですか?
そうですか。
酔っ払って、すぐにセックスしてしまったので、主人にはしなかったのですね。
よかった。
あの人、フェラチオされるのがとても好きですから。
私がしゃぶってあげると、すぐにイってしまいますの。
私の頭をこうしてぐいぐい抑えて、最後の一滴まで私の口の中に出すのでございますよ。
私はこぼさぬように気をつけながら、尿道に残った分もちゅるちゅると吸い上げます。
その後、私は、主人の精液をくちゃくちゃと口の中で味わってから飲み込みますの。
主人は私に精液を飲んでみせると、とても喜ぶので、新婚初夜から毎日そうしていますわ。
フェラチオの後で、私の顔に精液をかけるのも好きなのでございますが、
貴女は、それもしてもらえなかったのですね。
……つまり、主人は貴女のことがそんなに好きではなかった、ということですわね?
あら、何ですございますか、その顔は。
私を睨みつけて、何か言いたいのでございますか。
ほほ。
その前に、次のシーンの撮影でございますよ。
ああ、そう言えば、このビデオのタイトルをお伝えしておりませんでしたね。
『バツイチ妻中出し輪姦祭り』だそうです。
82ゲーパロ専用 ◆0q9CaywhJ6 :2006/02/19(日) 15:25:17 ID:aRiN6fq4

まあ、まあ。
そんなに雌犬のようにさかって……。
見ている私のほうが吐き気がしてまいりましたわ。
気品とか、人間としての尊厳とか、貴女にはないのですか。
……なさそうですね。
そんなにあさましく腰を振って、卑猥なことばを自分から発して。
こんな女が、私の大事な主人と、一夜とはいえ床をともにしたかと思うと、
哀しくなってしまいますわ。
まあ、このビデオは、そのうち幼稚園に通っているあなたの娘さんにも
見せてあげることにしましょう。

そうそう、主人は貴女とセックスした時、コンドームを使ってたそうですね。
さすがは私の主人。
酔っていても、そうしたことにはちゃんと気がつくのですね。
こんな汚れた女とはじめから真剣に愛し合うつもりはなかったのでございましょう。
ちなみに、主人と私とセックスするときは、一度も使ったことはございませんわ。
夫婦の営みで避妊する必要などございませんもの。
まあ、貴女は、今、夫でもないやくざの精液を子宮に流し込まれている最中ですけどね。
そういえば、貴女、今週あたり、危ない日だったのではありませんこと?
よかったですわねえ。
娘さんに、弟か、妹かプレゼントできますわよ。
ぜひとも、やくざさんの精子で孕んで、貴女に似た下品な子供を産んでくださいな。
あら、貴女、もう聞いていないみたいですね。
白目をむいて、泡までふいて。
なんて、はしたない。
敷島、運転手に連絡してこちらに来るよう命令して。
私は、その車に乗って屋敷に帰るわ。
もうすぐ、あの人が帰ってくる時間ですもの、
夕支度の差配をしなければならないわ。
あとのことは、お願いするわね。
そうそう、この人が借りていたお金の借用書、手に入ったかしら?
そう。
さすがは敷島。手抜かりはないのね。
じゃあ、それをこのやくざさんに差し上げてちょうだい。
今日の「お仕事」の料金はもちろんお支払いしますけど、
お小遣い程度にその女から巻き上げるのもよろしいでしょう。
裏ビデオの売り上げとあわせれば、一石三鳥ですわね。
ああ、車が来たわ。
後は、よしなに。
83ゲーパロ専用 ◆0q9CaywhJ6 :2006/02/19(日) 15:25:49 ID:aRiN6fq4

あなた。
今日は一緒に帰りませんか。
久しぶりに夕御飯を外で取りましょう。
美味しいお店がありますの。
ほほ、夫婦ですもの、たまにはデートいたしましょう。
結婚している男は、他の女と深い仲になっては問題ですけれども、
自分の奥さんと仲良くする分には、どれだけ深く愛し合っても誰も文句は言いませんわよ。
あら。
どういたしまして?
なにか、ぎくりとしたような。
ほほ、私の勘違いでございましたか。
あ、敷島、そこの角を曲がって。
駅前の歓楽街を通ったほうが近道なの。
お店はこんな騒がしい場所にはありませんから、安心してください。

あら。
あなた、どうしましたの? 何を見ていらっしゃるのですか?
まあ!
あれは、いわゆる……<そーぷらんど>という風俗のお店ではありませんこと?
あなたったら、そんなところに興味があったのですか!?
え、ちがう?
今、お店に入っていった女の人が、知っている人だった?
まあ。この間、同窓会で会ったばかり、ですか……。
今の時間帯でしたら、そこにお勤めなのでございましょうかねえ。
……最近は不景気でございますから、借金のかたに、身を売る女性も多いと思います。
この街の景気を建て直すためにも、あなたに早く道明寺の事業を継いでほしいですわ。
え。
……そうですか、あの方は、あなたの初恋の人でございましたか。
申しわけございません。軽々しいことばでした。
――お食事は、やめにいたしましょうか。
……あなた。
――敷島、この道を戻って。
先ほどのラブホテルに入りましょう。
失恋には、時間とセックスが一番の薬ですわ。
ふふ。
そんなお顔をしなくても――私は、あなたの過去の女に嫉妬することなどありませんわよ。
今のあなたの女は、正妻の私ひとり。
そうでございましょう?
でも、人間ですもの。終わった恋に傷つくこともありますわ。
今日は、私がたっぷりなぐさめてあげますわ。
私はあなたの妻ですもの。
あなたの好きなフェラチオもいくらでもしてさしあげますし、
あなたが望む限り何度でも欲望のはけ口になりますわ。
あ、このラブホテルなどがよろしいかしら。
看板に、なにか張り紙がしてありますわね。
「全室カラオケ完備! 秘密裏ビデオも貸し出し上映サービス中!」ですって……。
まあ、破廉恥な。
……でも、たまにはこういうのも、……よいかもしれませんわね。
一生一緒に暮らす男と女ですもの、堅苦しいだけではいられませんわ。
たまには夫婦で裏ビデオでも見ながら激しく交わって、
苦しい過去を全部断ち切るのも、よろしいでしょう。
まあ、『バツイチ妻中出し輪姦祭り』……ですって。
一番いやらしいタイトルですわね。
これを借りてお部屋に行きましょうか。
……今夜は二人っきりで、ゆっくり過ごしましょうね。
――敷島。お屋敷に帰っていいですわよ。
今日はこちらのホテルに泊まります。
明日の朝、迎えにきてちょうだい。
84ゲーパロ専用 ◆0q9CaywhJ6 :2006/02/19(日) 15:26:20 ID:aRiN6fq4

あらあら。
まあ。
そんなにショックでございましたの、あなた……。
かわいそうに、初恋の人が裏ビデオにまで出ていたなんて……。
それも、あんなにあさましい姿で……。
ああ、泣き止んでください、あなた。
私が慰めてさしあげますから。

もう死んでしまいたい、ですって。
そんなことをおっしゃらないでください。
私と一緒に、末永く暮らしましょう。
「自分が死ぬときは、君の上で腹上死だね」って、おっしゃっていたじゃありませんか。
「では、それが百年後のことになるように、あなたの健康を管理いたします」と私もいいました。
約束をやぶっては嫌ですよ。
ほら、こちらを向いてくださいまし。
一生、あなたを裏切らない女がここにいますわ。
一生、あなたしか愛さない女がここにいますわ。
だから、ほら、泣き止んでくださいまし。
そう。
好きにしてよろしいのですよ、私の心も、身体も。
……そう、では、続きはベッドでいたしましょうね。
85ゲーパロ専用 ◆0q9CaywhJ6 :2006/02/19(日) 15:27:19 ID:aRiN6fq4

え?
来月のこの週末は、東京に?
まあ、大学時代のサークルの同窓会ですか。
ほほ、存分に楽しんできてくださいませ。
あら、この写真。
……まあ、あなたの大学時代のガールフレンドでございましたか……。



――敷島。
86ゲーパロ専用 ◆0q9CaywhJ6 :2006/02/19(日) 15:33:03 ID:aRiN6fq4
正妻キャラが好きなので、「はんにゃー」に書いてみました。
女神ヘラーとか、夫溺愛、夫の愛人に嫉妬、な正妻キャラが大好きです。
87名無しさん@ピンキー:2006/02/19(日) 16:09:00 ID:IfyyiOUi
>>79-85
・・・邪悪だなー
88名無しさん@ピンキー:2006/02/19(日) 16:49:21 ID:M3vadbON
う〜ん、面白いけどこういう強者が弱者を一方的にぶちのめすのは
どうも・・・。
修羅場といったら強者VS強者でガチンコバトルってなイメージがあるんで
89名無しさん@ピンキー:2006/02/19(日) 16:55:09 ID:2SrZQmfS
まあ俺は普通に楽しめたけどな
90名無しさん@ピンキー:2006/02/19(日) 17:23:56 ID:iuOFQsc5
>>88
ああ、物足りなかった理由がわかったよ。なるほど。
91名無しさん@ピンキー:2006/02/19(日) 17:31:19 ID:7vZdWIIE
話を切ってスマン
まとめサイトの「修羅場サウンドノベル」て
もうDL出来ないのかな?
92名無しさん@ピンキー:2006/02/19(日) 17:54:35 ID:TMf/kn9Z
面白かった

正妻ものもいいなー
93名無しさん@ピンキー:2006/02/19(日) 18:26:48 ID:+/y6bKJx
>91
確かにリンク切れ?してるな。
管理人さんがいずれ対応してくれることでしょう。

ttp://www.google.co.jp/search?hl=ja&ie=Shift_JIS&q=%8B%A4%88%CB%91%B6&lr=
耳と こころが 痛い です

言葉の意味をちょっと違えて認識してたよ…
94名無しさん@ピンキー:2006/02/19(日) 18:34:14 ID:+/y6bKJx
ついさっきまで
「一生に一度でいいから、日々の生活に支障が出るくらいの依存ちゃんに愛されたいわー」
とか思ってたから本気でびびりますた

これ心の病気やん!
95名無しさん@ピンキー:2006/02/19(日) 18:41:29 ID:XaVnktom
>>91
右クリック→対象をファイルに保存でDLできるよ
96名無しさん@ピンキー:2006/02/19(日) 18:49:49 ID:7vZdWIIE
>>93 >>95
ありがとう!m(_ _)m

これで自分も嫉妬の嵐に吹き飛ばされて来るわ!
97名無しさん@ピンキー:2006/02/19(日) 19:14:36 ID:GxMEiuyS
僕は学校へ来てすぐに剣道部へ入った。
部員は数名ほどいる。その中に学校でも有名な鈴木主将がいた。

「おはようございます、主将」
「ああ、おはよう、遠藤」

僕は鈴木主将に挨拶した後、更衣室へ行き剣道着に着替える。
僕は剣道の才能は無いのだが、鍛錬をすることで身が引き締まるような思いがするので好きだ。卒業まで続けていきたいと思う。
いつものように鍛錬をしていると試合が終わった主将が声をかけてきた。

「遠藤、今日の…その…昼飯を一緒に食べないか?」

正直、びっくりした。
鈴木主将が声をかけてくることは、叱責以外ではそうなく、ましてや僕なんかを昼に誘って貰えるなんて…。
早くなる鼓動を、抑えながらなんとか答える。

「ぼ、僕なんかで良ければ喜んで!」
「良かった…ありがとう。断られるかと思った…」
「こ、断るなんて!そんな勿体無い…それより僕なんかで本当にいいんですか?」
「あの女がいない遠藤じゃなきゃ駄目なんだ…。それより今日は購買部へ行かないでくれるか?」
「え?」
「あ…い、いや!何でもない!とにかく購買部へは行かないでくれよな!」

主将は何か慌てて念を押すように言うと、ついさっき来たばかりの部員に試合を申し込んだ。
どうしたんだろうか…?体調でも悪いのかな?

「おーい、遠藤!お前いつの間に主将と付き合ってたんだ?羨ましいぃ!クッソゥ…俺にもあんな美人の彼女がいてくれたらなぁ…」
「!? ち、違うって!そんな関係じゃないよ。ただ、誘われただけさ」

いつも試合する武田がとんでもないことを言ってきた。
いくらなんでも、剣道部のエースと才能無しのおまけじゃあ、差がありすぎだって。
それに、主将だってあれだけ美人なんだから彼氏ぐらいいるとおもうけどなぁ。
今回の誘いだって、きっとたまたま目に留まった部員が僕だっただけなんだろう。僕なんかが目に留まったことを幸運に思うべきだ。

「そういえば、思わず返事しちゃったけど明美に今日の弁当は要らないって言っておかないといけないな」

僕はその説得の難しさを思い浮かべてため息をついた。
アイツ、今日もおそらく持ってくるんだろうなぁ。
一生懸命やっているアイツには悪いのだが、味が少々濃かったり薄かったりする。それはこれからは私が作る!と言い出した一年前から変わっていない。
僕は、再びため息をつくとまた鍛錬を再開した。
98名無しさん@ピンキー:2006/02/19(日) 19:15:28 ID:GxMEiuyS
今日、勇気を昼に誘った。
いつもいつも一緒にいるあの女はいないので、思わず声をかけたら了承してくれた。
嬉しかった…。しかし、思わず本音を言いそうになってしまった。危ない危ない。

「主将、何か機嫌よさそうですね?何か良いことでもあったんですか?」

試合が終わったらしい部員がそういってきた。
やはり、顔に出ていたのだろうか?
まぁ、それもしょうがないか。
やっと、勇気を誘えた。いつも邪魔するあの女はいつも料理がうまくないくせに、勇気に食べさせて処理させている。
まったく、幼馴染といえど図々しいにもほどがある。
中学のころ見たときは、ただの幼馴染だったから歯を食いしばって耐えたのにこんなことをしているなんて…。
やはり、殺してしまうべきだろうか?
勇気も迷惑しているようだからそれがいいかもしれない。
殺るときはどうしようか?
人気のないところで殺るのは確実だとして…

「あの?しゅ・・・主将?どうしたんですか?」

っといけないいけない。
あの女の始末方法を考えていたら知らずに無視してしまったらしい。
正直、勇気以外の部員などどうでもいいのだが、これも勇気の憧れの存在であるためだ。我慢我慢…。

「ああ、すまんすまん。少しボーっとしていたらしい。それで何の話だったか?」
「いえ。な、なんでもないです。すみません!」

何故か謝られてしまった。
また、顔に出してしまったのだろうか?
こんなでは、頑張って勇気の憧れの存在になっていたのに崩れてしまう。もっと練習せねば。
大会に出た時に、対戦相手をあの女だと思いながらやっていた時だって顔に出ていなかったのに…。

いつもカバンに持っている、勇気の匂いつきタオルを嗅いで気分を直そう。
そしていつものように、勇気を思いながら練習をしよう。
うん。今日はせっかく良いことがあったのだし、あの女のことなんか思い浮かべる必要はない。
今朝早く起きて、手作り弁当を作ってきた。
自慢じゃないが料理は得意だ。自身がある。
昼休みになって、勇気に美味しい!と言って貰えるのが楽しみだ。
今度は、出来るだけ顔に出さぬようにしよう。
99名無しさん@ピンキー:2006/02/19(日) 19:15:59 ID:GxMEiuyS
駄文ですみません。
突発的に妄想が沸いたので、勢いのまま書いてみたはいいが、SSって難しいなぁと痛感。
突発的故に連載にするかも分からず。
生まれて初めて、小説を書いたけど、本当に難しいっス。
神々の作品とは比べ物にもならないか…。
嗚呼、神々の文才に嫉妬してしまう也。
ところで、SS書くときどれくらいで完成しますか?
自分はこれだけなのに、一時間以上かかってしまう。文才の無さが恨めしい…。
もっと他の神々の作品を読んで勉強をせねば。

では、スレ汚し失礼を〜。
100名無しさん@ピンキー:2006/02/19(日) 19:16:46 ID:GxMEiuyS
っとsage忘れすみませぬ。
101名無しさん@ピンキー:2006/02/19(日) 20:06:04 ID:aMN1ElXB
>大会に出た時に、対戦相手をあの女だと思いながらやっていた時だって

主将凄すぎるw
しかも殺す計画まで立ててるとはw
続きを期待!
102名無しさん@ピンキー:2006/02/19(日) 20:35:47 ID:8C7M8QLf
最初、主将がホ〇かと思ってしまった…
103名無しさん@ピンキー:2006/02/19(日) 21:08:00 ID:18Nd2BEe
>やはり、殺してしまうべきだろうか?

この一行でいきなり飛躍するところがたまりませんね。
104前スレ666:2006/02/19(日) 21:20:15 ID:29LVwoCF
私には三歳下の幼馴染がいる
いや正確に言うと結婚しているから夫と言ってもいいのかもしれない
まだ入籍できる年ではないので法的には夫婦といえないがそれは些細な問題だ
私と彼はそういう誓いを立てたのだから世間がなんと言おうと私たちは結婚した夫婦だ
そこに他人の承諾など必要としていない。少なくとも私は
だから今が誠―私の夫―と同じ布団で寝ているのも誰かに文句を言われる筋合いのことではない

「誠ちゃんはもう寝ちゃった?」

不意に後ろから呼びかけられた

「さっき寝付いたばかりだ。夫の安眠を妨げるのはやめてもらおうか、――姉上」
「え〜まだおやすみのキスもしてないのに〜」
「それなら私がもう済ませた。姉上の…「愛人」の出る幕ではない」
「愛人じゃありません〜私も誠ちゃんの奥さんです〜」
「面白い冗談だな…」

そういいながら姉―伊吹霞はさっさと私と反対側にもぐり込んだ。夫婦の寝所に入り込むとはいい度胸だ

「ん……誠ちゃんの匂いがする〜」
「夫婦の寝所に割り込むな、愛人の分際で図々しい」
「だからぁ、私も誠ちゃんの奥さんだってば〜ちゃんと"式"もあげたんだから〜」
「まだ何も知らない誠を騙してあげた式など認めん。それに最初に誓いを立てたのは私だ」
「綾ちゃんだって似たようなもんじゃないの〜幼稚園に入ったばかりの誠ちゃんを誑かして結婚するなんて…
お姉ちゃんそんなふうに綾ちゃんを育てた覚えはありません」
「姉上に育てられた覚えはありません。さっさと出て行ってもらいましょうか」
「綾ちゃんたら誠ちゃんを独り占めにする気?だめよ〜独占欲の強い女は誠ちゃんに嫌われちゃうよ〜」
105前スレ666:2006/02/19(日) 21:20:53 ID:29LVwoCF
ああいえばこう言う…口の減らない愛人だ。
大体自分の年を考えたことがあるのか

「誠と7歳も離れているくせに―14になる女が7歳になったばかりの誠の妻を名乗るとは恥を知れ
その点私は誠と3つしか離れていない。誠が18なら私は21。全然問題ない。」
「あら、それなら私は25でしょ?問題ありません〜」
「大有りだ。誠が23の時姉上はいくつになっていると思っている」
「そのときは大人の女の魅力に誠ちゃんは夢中になってる頃だわ」
「誠に熟女趣味はない。私が阻止する」

ああ何故私は自分の姉とこんな不毛な議論をしなければいけないのだろうか
そもそも誠が姉上に結婚しようなどと言うからこんなややこしいことになったのだ
…いや私もいけなかった
誠に結婚は2人でしかできないことをちゃんと教えなかったのがいけないのだ
ちゃんと説明していれば今頃私と誠2人きりの布団の中で互いの夢を見ながら眠れただろうに…

「ほらほらそんなに大きい声出したら誠ちゃん起きちゃうよ〜」

私が懊悩している間にも誠は小さな寝息を立てて眠っている
愛らしい寝顔だ。私の夢を見ているのだろうか。いやきっとそうだそうにちがいない

「かわいい寝顔…きっと私の夢を見ているのね〜」

だまれ愛人

「面白い冗談だ姉上。夢の中でまで私たち夫婦の邪魔をするか」
「邪魔なんかしないよ〜」
「いい心がけだ。できれば現実でもどうであって欲しいものだ」
「きっと私と綾ちゃんと誠ちゃん…3人一緒の楽しい夢をみているんだわ」

姉上の手が誠の髪をなでると少しむずがった様に寝息を乱したがすぐにまた規則正しい寝息に戻る

「ふふふ…かわいい〜」
「誠の安眠を邪魔するな…もう寝るぞ」
「はいはい…おやすみ〜…夢の中で3人で会いましょうね〜」
「だが断る」

そういって私は豆電球の照明を落とした
オレンジの柔らかい光が無くなると真っ暗な闇に包まれる中。誠の寝息だけがかすかに響いた

3人一緒か…
私と手をつないで楽しそうに笑う誠
その反対の手は姉上がつないでいる
優しい笑顔で誠を見るめる姉上
それを見ている私は――
きっと姉上と同じような顔をしているだろう
その想像をなぜか優しい気持ちで見守っている自分がいる
そう、こういうのも悪くないかも、と

私は自分がとびきり優しい笑顔で微笑んでいるのも気づかずに夢の扉を開いた
先に待っているであろう誠に会うために――
106前スレ666:2006/02/19(日) 21:24:28 ID:29LVwoCF
前スレでで書いた奴の続きです
修羅場というよりただのやきもちじゃんorz
どこで間違ったんだろう(・ω・`)
色々突っ込みどころがあるのでその辺は皆様脳内変換でよろしくお願いします

多分続くと思いますが何歳辺りがいいですかねぇ…
1078 ◆AuUbGwIC0s :2006/02/19(日) 21:29:43 ID:5wSmIcTN
  ∧_∧
 ( ・∀・) <性の目覚め。思春期編キボンヌ
 ( ∪っ∪
 と__)__)
108名無しさん@ピンキー:2006/02/19(日) 21:40:52 ID:gu0oJN/Q
どろどろしたのばかりの中たまにこういうの読んでると和む
こんな感じので続けばいいと思うよ
109名無しさん@ピンキー:2006/02/19(日) 21:59:22 ID:Xr8SWfC3
「だが断る」に反応した俺は
110名無しさん@ピンキー:2006/02/19(日) 22:11:59 ID:vLzTAkiD
和んだ(*´д`*)
111名無しさん@ピンキー:2006/02/19(日) 22:16:03 ID:MLnzGCYV
夢精編キボンヌ
〃〃∩  _, ,_
 ⊂⌒( `Д´) < 一緒に寝てくれなきゃヤダヤダ!
  `ヽ_つ ⊂ノ   
112名無しさん@ピンキー:2006/02/20(月) 00:34:31 ID:/fy7D4lY
姉の名前ってかすみじゃなかったか?
113名無しさん@ピンキー:2006/02/20(月) 00:43:38 ID:03jIlxaD
泥棒猫が増え出す中学生編キボンヌ
〃〃∩  _, ,_
 ⊂⌒( `Д´) < 一緒の学校じゃなきゃヤダヤダ!
  `ヽ_つ ⊂ノ   
114名無しさん@ピンキー:2006/02/20(月) 01:55:34 ID:npCwei+T
かすみ=霞じゃん。
115名無しさん@ピンキー:2006/02/20(月) 02:01:47 ID:vcz3y9Ut
いじめっ子(女、実は好きな子[誠]をいじめたくなる子供心理)を影で抹殺せんとする小学生編キボンヌ
〃〃∩  _, ,_
 ⊂⌒( `Д´) < ロリじゃなきゃヤダヤダ!
  `ヽ_つ ⊂ノ  
116優柔 第8話  ◆I3oq5KsoMI :2006/02/20(月) 10:30:10 ID:Tp8+FtbW
ありがとう・・・何でそんなこと言ってしまったんでしょうか。
椿ちゃんと別れたということは、縁が切れたということです。
つまり、今までのように親しくするわけにはいかないんです。
友達としてなら良いんですが、恋人には・・・正直、戻りたくありません。

椿ちゃんとは1年の時、同じクラスでした。
最初は、可愛いけどおとなしい子だなっていう印象しかありませんでした。
接点が無かったので喋ったりすることもありませんでした。
ただのクラスメイト――それだけの関係でした。

ある日の放課後、雨が降っていました。
天気予報を無視したせいで、傘を持って来ませんでした。
止む様子も無く、濡れて帰るのを覚悟して外に出ようとした時です。
「あ・・・愛原君・・・折り畳みの傘で良かったら、使って・・・」
それが彼女の、僕に向けられた初めての言葉でした。
恋愛小説にありがちな青春の1ページ。単純な僕は、彼女が気になり始めました。

告白して実は両想いだと分かった時、嬉しさで飛び上がりそうになりました。
一緒に通学したり、お昼を食べたり、映画に行ったり・・・本当に幸せでした。
初体験もスムーズにこなせたし、「僕達は最高のカップルだね」なんて惚気たりもしました。
本当に上手くいってたんです・・・彼女が変わるまでは。

椿ちゃんの嫉妬に歪む顔は、僕の精神を削ります。
端から見れば、彼女がヤキモチを焼いている風景にしか見えないと思います。
でも、普段の優しい笑顔を知っている僕にとっては、それが苦痛に感じられたのです。
猫の爪に怯える、籠の中の鳥。そんな心情でした。
どうして変わってしまったのか分かりません。
少なくとも僕と付き合う前から、いえ、彼女の本分が嫉妬深い女性であったとは思えないのです。
僕が変えてしまったんでしょうか。

でも、昨日だってさっきだって、椿ちゃんの表情は僕の精神を削るものではありませんでした。
それはまだ結ばれる前の、あの頃の椿ちゃんのものでした。
他の女性を抱いたと聞いて、嫉妬心をあらわにしてくれたら楽になれるのに・・
「私、変わったんだよ?前みたいにゆう君を束縛しない、もっとゆう君を信じようって」
そんなことを言われて、決心が揺るぎそうになっている僕がいます。
(もしかしたら、今度は上手くいくかもしれない)
(いや、また同じことの繰り返しだ、後ろを見ちゃいけない)
椿ちゃんのこと・・・忘れられたらどんなに楽なんだろうって思います。
いつまでも引きずるなんて、我ながら本当に女々しいです。
そうやって廊下で耽っていると、先輩がやって来ました。
「愛原・・・今日、暇?」
117優柔 第8話  ◆I3oq5KsoMI :2006/02/20(月) 10:31:06 ID:Tp8+FtbW
旧用務員室の座敷。先輩は僕を抱きしめました。
「あの・・・先輩?」
「・・・何も言わなくていい・・・辛いんだろ・・・アタシといる時は忘れて・・・」
さっきのことも今の僕の気持ちも、先輩は分かってくれている。そんな気がしました。
女性独特の仄かな香りと、胸の当たる感触。その心地よさに酔いしれました。
(先輩は何て優しいんだろうか、ただの後輩をここまで気に掛けてくれて)
僕も先輩を抱きしめ返しました。先輩・・・こうやって、甘えていいんですよね?
結局、昨日に続いて今日もセックスしました。
正直に言って、それは愛の産物ではありません。椿ちゃんを忘れるための逃避です。
だから僕は、なるべく優しく抱きました。
ただの逃避だとしても、一人よがりは虚しいだけですから。
先輩と一緒に絶頂を迎えられたことが、唯一の救いです。


身体が熱い。
まさか2回目でイクなんて思わなかった。あまりの快感で何も覚えていない。
嬌声を聞かれただろうか、崩れた顔を見られただろうか。思い返すほど恥ずかしさがこみ上げてくる。
だけど、この熱さ、この疼き・・・愛原に愛された証だと思うと、嬉しくてたまらない。
愛原の肩に頭を傾ける。その様子を察して、愛原は私に尋ねた。
「あの、先輩・・・大丈夫ですか?」
やっぱり・・・お前ならそう言ってくれると思った。
「うん・・・少しだけ、このままでいさせて・・・」
言う通りにしてくれた。本当は触れていたいだけだというのに。

「・・・先輩は、どうしてここまでしてくれるんですか」
夕日に染まる通学路を2人で歩いていると、愛原は唐突に言った。
「・・・ん、何が?」
私は知らない振りをする。
「その・・・相談に乗ってくれるだけでも良かったのに・・・エッチまでさせてくれて」
「・・・うーん、何でだろうねー」
・・・そんなのは愚問だ。愛原を誰より愛してるからに決まってるだろ。
そう言えたら良いのに。
「アタシもよく分かんないや。まあ、お前は難しいこと考えなくていいの。何度も言うけど、こんなにいい女とヤレるんだからさ、それで満足だろ?」
「でも・・・」
愛原の言葉を遮り、私は腕を絡ませた。精一杯の虚勢、それを崩されたくなくて。
「愛原って、エッチ上手いよね」
「え、えっ?」
「アタシ2回目なのにイッちゃったし。またしようよ」
悪戯っぽい表情を作って、胸を押し当てる。
愛原は照れくさそうに横を向いた。

身体を許せばいつか私を愛してくれるようになるだろうか。
早く私のものにしたい。
愛原の記憶からあの女を消し去って、私のことしか考えられないようにしたい。
でもまだだ、私を好きになるまで独占欲を見せるわけにはいかない。
嫌われてしまうから。
まだしばらく演じなければいけない。愛原にとっての、先輩を。
118 ◆I3oq5KsoMI :2006/02/20(月) 10:35:16 ID:Tp8+FtbW
ご指摘がありましたのでトリップ付けました。
管理人様、できれば変更をお願い致します。
それと、>>69は私の浮気です。
119名無しさん@ピンキー:2006/02/20(月) 14:17:52 ID:OCajWice
・・・なんだろう?この鳴海孝之・・・
なんか読んでてむかついてきた、いや修羅場にヘタレは付き物だけどさ
120名無しさん@ピンキー:2006/02/20(月) 14:20:03 ID:NN3yy8Lc
俺は大好きだぜ!!!!
121名無しさん@ピンキー:2006/02/20(月) 14:42:35 ID:e2w8sPwz
俺だってヘタレなのに何でこんな場面に遭遇しないんだ!!!
122名無しさん@ピンキー:2006/02/20(月) 14:55:00 ID:9BAgYpEs
ヒント:二次元
123名無しさん@ピンキー:2006/02/20(月) 15:33:43 ID:xMSHMHN1
>>119

嫉妬だな。ハハハ
124名無しさん@ピンキー:2006/02/20(月) 17:34:15 ID:nePx+nYx
この鈍感さにシビれる、あこがれるゥ!
125裏「姉貴と恋人」(3) ◆DxURwv1y8. :2006/02/20(月) 18:29:33 ID:z2zJ5rin
「ありがとう。ようやく分かってくれたのね」
 満面の笑みを浮かべ、縄を解いていく姉貴。
 さっき俺が言った言葉は、『姉貴のことが好きだ。姉貴とずっと一緒にいる』だった。
 身体の中ではまだ、ぐるぐると罪悪感が渦巻いている。
 胸が破れそうなくらいに、自己嫌悪が広がっている。
 さっきからドクンドクンと心拍が落ち着かない。
 こうするしかなかったんだ。
 こうしなければ、ずっとこのままで、麻妃に会える可能性はゼロのままだった。
 戒めが解かれれば、会えるかも知れない。
 もし退学したのだとしても、まだアパートにいるかも知れない。
 退学していないのだとすれば、学校で会えるはずだ。
 会いたい。その為に、姉貴に嘘を吐いて、麻妃を裏切ったんだ。
「タカ、さっそく明日買い出しに行きましょう? お祝いしなきゃ」
 これ以上ないほど明るく、姉貴は笑う。
 その姿は昔を彷彿とさせる爽やかさで、格好良さで、美しさで。
 さっきまで俺を監禁し、麻妃の不幸を喜んでいた人には見えなかった。
 どうしてこうなってしまったのか。
 どうして、俺も麻妃も苦しまなければならなかったのか。
 どうして、どうして……。
「タカ、泣いてるの……?」
 姉貴は……優しく俺を抱き締めて、背中をさすった。
「悲しいんだね……。ごめんね……。お姉ちゃんのせいなんだね……」
 見れば、姉貴も涙を流していた。
 なぜ……?
「お姉ちゃんはね、ずっとタカといたかっただけ。そのせいでタカを傷つけたのは分かってる。
そして、進藤さんにとても酷いことをしたのも分かってる。でも、それでも、タカを泣かせても、
進藤さんを苦しめても……私はタカと一緒にいたい。そのためって考えれば、どんなに酷い
ことだって当然に思えた。そして、そうしたことに後悔もしていないわ」
 姉貴は、きゅっと腕に力を込めた。
「だって、こうして……タカは私の所へ戻って来てくれたんだから」
 ポタポタと肩に落ちる感触。じんわりと冷たさが広がっていく。
「ほら……タカはここにいる。私の腕の中に……いるんだから……タカの意志で、ここにいるんだから……」
 ギュッと、心を鷲掴みにされた気がした。
 肩に落ちた涙が重かった。
126裏「姉貴と恋人」(3) ◆DxURwv1y8. :2006/02/20(月) 18:30:03 ID:z2zJ5rin
 携帯が鳴った。
 発信先は分からない。公衆電話か何かか。まあ、誰でもいい。
「はい」
「もしもし……麻妃か?」
 麻妃……って、私は麻妃だけど……そうじゃなくてこの声はまさか――!!
 たか、し……?
「麻妃? 麻妃だろ? おい麻妃っ」
 隆史がどうして、なんで、もう私のこといらなくなったんじゃ、いなくなったんじゃないの――?
「あ……う……」
「どうしたんだ麻妃? 返事してくれ、早くしないと姉貴が――!」
 たかしはもういない。たかしはもういない。たかしはもういない。そうやって言いきかせて、ようやく
落ち着いてきたところだったのに。やっぱり私は、こうして隆史の声を聞くだけで――!!
「たかしぃっ!!!!!!!!! さみしかったよぉっ!!!!!!」
 声が、隆史の声が、いなくなった隆史の声が、その息づかいまで、全部、全部、愛しい――!
「たかしっ!! どうして今まで!! 早く来て!! 淋しいの!! もう隆史がいなくちゃ駄目なのっ!!」
「麻妃、落ち着けって! 姉貴がすぐに来るから!」
 そんなこと言うんなら、隆史がすぐに来てくれればいいのよ――!!!
 そう言いたかった。だが、しかし、隆史の必死な声が……なんとか、私を止めてくれた。
「っ……ごめん、取り乱して。でも、隆史が悪い――」
「ああ、そのことは後でしっかり謝るから、すまないが、俺の話を聞いてくれ」
「……うん」
「まず、今までずっと会いに行けなかったことは謝る。そして、俺は今でも……」
 一瞬の間。
「麻妃が、好きだ」
 ああ――!!
「隆史っ!!」
「麻妃……」
 互いの名前を呼ぶだけで良かった。それだけで繋がれた。それだけですべてが満たされた。
「隆史……好きよ」
「ありがとう、麻妃。……その、すまない、話をさせてくれ」
「えっ、う、うん……ごめん」
「いや……。それで、今まで会いに行けなかった理由なんだが……」
 隆史は言葉を切った。言いにくいことなのだろうか。
「姉貴に、監禁されてた」
「……え?」
 監禁。ドラマか何かの話に思えた。
「電話すらできなかった。すまなかった」
「そんな、いいけど……監禁なんて」
「姉貴は、今、普通じゃない」
 普通じゃない……。
「だから、暫くはまだ会えないけど……麻妃のこと好きだから」
「うん……私も好きよ。隆史を信じてる」
「あ――すまない、また後で」
 ガシャン、ツーツーツー……
 切れてしまった。きっと、お姉さんが来たのだろう。
 それにしても、監禁なんて。こんな形容をしたら失礼だと思うけれど、隆史の言うとおり異常だ。
 愛情というにしては度が過ぎている。
 隆史はまだ、その檻から抜け出せていない。
 なら、私のすることは。
「隆史を、助けなくちゃ」
 恋人として。
 あの人の、ライバルとして。
127裏「姉貴と恋人」(3) ◆DxURwv1y8. :2006/02/20(月) 18:31:03 ID:z2zJ5rin
「タカ、誰に電話してたの」
 電話ボックスから出たところで、姉貴に訊ねられた。
「友達。明日の講義の代返頼んだんだ」
 これは、予め頼んでおいたから裏を取られても問題ない。時間まで問われるとボロが出るかも知れないが……。
「そう。でも、どうして明日?」
「明日、姉貴は午前で終わりだろ。だから午後どこかに遊びにでも行こうかと思って」
 不自然にならないよう、姉貴が不審に思わないよう、電話をかける日時を調整した。
 もし、姉貴に麻妃と連絡しあっていることがバレたら、今度こそ終わりだ。
「ホント!? ありがとう、タカ……お姉ちゃん本当に嬉しい――!!」
「うわっ、姉貴、ここ往来だって……」
 ぎゅうっと抱き締められて、心が苦しくなる。
「そんなの知らないっ! だって嬉しいんだもの!」
 端から見ればカップルだろう。
 いや、カップルじゃなきゃいけない。
 いい年した姉弟が、熱い抱擁を交わしていいものじゃない。
 以前なら身体が熱くなるその抱擁は、今は脳の奥を急速に冷やしていくものになっていた。


 不思議なものだ。
 あれだけ絶望したというのに、隆史のためとなれば、隆史がいてくれるとなれば、こんなに元気になれる。
 退学は撤回した。今学期の単位は、いくつか落としてしまったけれど、多めのレポートと追試で何とか進学に影響は無い程度だった。
 そして、隆史とあの人との問題――。
 正面からぶつかっていくのでは駄目だ。あの人は……その、頑固だから。
 説得しなければ。そうでなくては、きっとまた、隆史が苦しむ。そしてそれは、私と隆史の関係を壊すに充分なものになるだろう。
 もういやだ。
 もう隆史を失いたくないし、あんな辛い思いはしたくない。
 ……こうして外から見てみれば、私は良く死ななかったなと思う。
 いつ自殺してもおかしくない、というより自殺しなかったのが不思議なくらいだ。
 なんで、生きようと思ったのだろうか。
 ……今からでは思い出せない。
 アルコール漬けの頭では、記憶ができなくても仕方ない。まして、とりとめのない思考など残っている訳がない。
 なんにせよ、私は今、隆史と共にいるために生きている。生きていられる。
 それに素直に感謝しようと思った。
128名無しさん@ピンキー:2006/02/20(月) 18:48:47 ID:oZTY5t7L
GJです。
裏のほうがやっぱりこのスレには良いと思いました。
この後の修羅場が楽しみで楽しみで
129名無しさん@ピンキー:2006/02/20(月) 18:52:47 ID:l77CWNKK
GJ!!
これからの展開、楽しみにしています。
130名無しさん@ピンキー:2006/02/20(月) 18:55:41 ID:5BFnkiv4
続きをこのスレで是非、補完してください・・・
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1131520801/280-288
131名無しさん@ピンキー:2006/02/20(月) 19:50:31 ID:nePx+nYx
原作付きは当該スレで頼んだ方が全体の最大幸福に近づくと思うよ。
132合鍵 第十八回  ◆tTXEpFaQTE :2006/02/21(火) 02:02:08 ID:g1tMxei+
合鍵 第十九回

「ねえ、元也君、このまま、泊まっていってよう」
サキが甘えた口調で元也に身を寄せる。
元也「でも、明日の学校の準備もあるし、やっぱり、帰んなきゃ」
サキ「うう、ひどいっ!
   おねえさんのこと、弄んだだけだったのね!」
元也「なに言ってんですか!」
サキ「じゃあ、愛の証拠に、お別れのチュウね」

元也「うう、さむい」
外に出ると、冷気が身を刺す。コートの前を閉じる。

未だに信じられない。
サキさんから、告白された。
美人の、サキさんからだ。しかも、美人なだけでない、明るく、素敵なサキさんだ。

心が弾む。足取りも軽い。
最初、美術部の性格の悪い奴らのドッキリかと思った。
だが、サキさんから、真正面からみつめられ、サキさんの吐く息の湿り気が伝わると、
ほんとの事だと分かった。

速攻で、返事した。もちろん、OK。

まだ、体が重い。
だが、満たされた思いだ。
元也の事を想う。こんなに幸せを感じた事は、無かった。
明日、学校で会うと、どんな感じかしら?
みつめ合う二人、燃え上がる情熱。
ああ、だめっ!ここは、教室よ、誰が来るかわかんないのに。ああ、そんな、
いじわるぅ、でも、でも、やめちゃ、だめぇ!
自分の空想に頭を抱える。

もう、元也君は私のものだ。藍子ちゃんのものでは無く、私のものだ。
幼馴染ってだけで、もう元也君に近づかないでね。
あなたの場所は、もう無いの。サヨナラ、藍子ちゃん。

そうだ、電話しときましょう、元也君のおうちに。もし、用も無いのに元也君のおうちに
いるような娘がいたら、さっきまでの事、教えといてあげましょう。

サキの事を思い、ニヤニヤしながら、元也は自分の家の鍵を開け、入る。

何か、違和感を感じた。
訝りながらも、リビングへと進む。
蛍光灯のスイッチを入れる。
息を飲んだ。
テーブルの上には、焼きサンマと、煮物が乗ってあった。
藍子が、灯りも付けず、テーブルに座っていた。
133合鍵 第十八回  ◆tTXEpFaQTE :2006/02/21(火) 02:05:10 ID:g1tMxei+
>>132の続き

「おかえり、おそかったね」
笑顔でそう言うと、藍子は席を立った。
「お味噌汁、温めるから、その間、手を洗っといて。うがいも忘れないでね」
元也「…あ、藍子?」
呼びかけても、聞こえないかのように、食事の準備を進める。

藍子「さあ、冷めない内に、召し上がれ」
準備を済まし、元也に席に座るよう促す藍子。

元也「ごめん、今日は、いいよ」
藍子「食べてよ、ね?」
元也「もう、食べてきたんだ」
藍子「一口だけでも」
元也「おなか、一杯なんだ」
藍子「お願い」
元也「…だから、サキさんの
藍子「いいから!!!!!!
   食べてよ!!!!!!!!」

席を立ち、料理を手で掴み、元也の側に行く。
そして、掴んだ料理を元也の口元になすりつける。

元也「な、止めろって、藍子」
藍子の手を押さえつけ、なだめようとする。
だが、藍子に声は届かない。その表情は、元也が今まで見た事の無いものだった。
ふと気が着くと、藍子と密着している事に気がついた。
サキのかおりが残っていないか、急に気になった。

藍子の顔を伺う元也。藍子は、泣いていた。
泣いて、謝ってきた。

泣いて、謝りながら、かかとをあげ、元也の顔に、自分の顔を近づける。
そして、元也の頬につけた、御飯の汁を、舐め始めた。
丁寧に、念入りに。
藍子の吐く息の音と、頬を撫でる藍子の舌の感覚に、思考を奪われる。
 
そして、藍子の舌が元也の唇に触れた。
舌を、その口に入れようとする藍子。
しかし、元也はそれをとどめた。 それを許すのは、サキに対して、余りにも失礼だ。

藍子「…な、んで?なんで、なんで?なんで?どうして、どうして、えええ」
泣き崩れる藍子。

どうしたらいいのか、分からず、元也は藍子の側で、佇んでいた。
今の自分は、いつものように、藍子を抱きしめてやるわけにはいかないのだ。

元也が、いつものように抱きしめてくれない。
サキさんからの電話、信じていなかった。信じたくなかった。
けど、分かってしまった。
もとくんは、私のところから、離れていった。
あの女の所に、行ったのだ。あの女が、奪っていった。
返せ。返せ。返せ。返して。返して。お願い、返して。
帰ってきて。帰ってきて。お願い、帰って来て。

サキへの憎悪より、胸を占めているのは、ただ、悲しさだった。
134前431 ◆M1igzo3EW. :2006/02/21(火) 02:15:59 ID:GcHRpD1L
ちょっと小出しになるけど投下↓ パスはこれからずっと「syuraba」で行きます。
ttp://mata-ri.tk/up5/src/5M3142.zip.html
注意点として、前回のやつに上書きする場合はテキストが0、10〜とリードミだけあるようにしてください。
01,02,03,04,05 があるとエラーが発生してしまうはずです。
追加内容などは三人のリードミに聞いてくださいw
あと、まとめページの動作環境に800×600てあるけど640×480の間違いです。

>51 ◆kQUeECQccMさま
遅くなりましたが第一部お疲れ様です。で、第二部まd

>◆DxURwv1y8.さま
>39〜以降の作品
これ読む前にヘルシングのOVA見たから平野君をあいつと勘違いしましたorz
ええぇぇいめぇん!

>前スレ666さま
幼いころはやきもちでも、成長すればそりゃ立派な嫉妬になりますよ。ええ。

うちもなんか作品を書いてみているんだけど、どうみても邪悪スレの管轄な内容です。本当に(ry
ですから他の作者の皆様、これから書いてみようという方々がんばってください。
135名無しさん@ピンキー:2006/02/21(火) 02:59:50 ID:eVlACxwb
  ∧_∧
 (;・∀・) < 食っちゃったんですかセンパイ?
 ( ∪っ∪
 と__)__)
136名無しさん@ピンキー:2006/02/21(火) 09:30:29 ID:dUiOBEZZ
+   +
  ∧_∧  + アイコvsサキ シュラバシュラバシュラバ
 (0゜・∀・)   ワクワクテカテカ
 (0゜∪ ∪ +
 と__)__) +
137 ◆kQUeECQccM :2006/02/21(火) 09:53:06 ID:PpOF87np
http://mata-ri.tk/up1/src/1M1299.txt.html

ごめんなさい、ちょっと二章の開始まで時間が掛かりそうなので、書き溜めておいた
外伝をUPします。DLKeyはsyurabaです。
修羅場スレの意趣とはずれている気がするので、貼り付けずこのような形を取ることにしました。
まとめに掲載するかどうかは、中の人の判断にお任せしようと思います。
138 ◆kQUeECQccM :2006/02/21(火) 10:04:14 ID:PpOF87np
楽しみにしてくださる人がいるというのはとっても嬉しいです。
もうちょっとだけ待っていてください。

それにしても、藍子ちゃんかわいいよ藍子ちゃん。
139名無しさん@ピンキー:2006/02/21(火) 10:21:22 ID:YYKa4dqj
サキ先輩が処女だったかどうか。それだけが問題だ。
140名無しさん@ピンキー:2006/02/21(火) 11:41:26 ID:NTuuWENg
>>137
感動した
なんというかこの作品あなた次第で長編いけるんじゃないかとも思いました。

とにかく最高です!!
頑張ってください!
141『鏡』真実編 ◆AsuynEsIqA :2006/02/21(火) 13:30:00 ID:vfDKx7R+
真由の部屋
「ふふ、嬉しいわ。涼さんから部屋に来てくれるなんて。」
「ああ、まぁな…。」
出された紅茶を飲む。気持ちを落ち着かせるのには最適だった。
それから他愛ない世間話をした。その中には一度も真奈についての話は無かった。真由も、一度も俺の目を逸らさずに凝視していた。
「…ちょっと待っててね。汗かいちゃったからシャワー浴びてくる。」
着替えを持ってパタパタと早足で行く。何となく予想していた行動だ。
「今だな…」
真由が居なくなったのを見計らい、部屋を出て玄関へ。そこには本来有るはずの無い物を探す。
そして………
「あった…」
見つけてしまった。心臓の鼓動が早くなり、冷や汗が出て来る。
「くそ!」
そう悪態を吐いた瞬間…
ガン!!
後頭部を襲う鈍い衝撃。一瞬視界がスパークし、同時に真っ暗になり、そこで俺の意識が途絶えた………






「ん……うぅ」
ゆっくりと意識が戻る。視界はまだぼんやりとしている。
「あ、目が覚めた?」
少し笑ったように喋る声が聞こえた。
「ま、真由!!」
立ち上がろうとしたが、気付くと手足が紐で縛られていた。
「くそ!なんだこれ!?」
突然のことでパニックに陥り、バタバタともがいてみるが、なかなかほどけない。
「あら、駄目よ。おとなしくしてなきゃ。やっーと私の物になったんだから。涼・さ・ん。
もうこれからは私だけを見て、私だけを愛して、私だけと話して、私だけを感じてくれればいいの。他の誰とも関わっちゃ駄目。涼さんは私のことしか考えなくちゃいけないの…。私もあなただけを愛するから…。あなただけを見つめるから…。」
そう言って頬を寄せて来る。目がギラギラしている。最早尋常ではない。
「生憎だが…人の『物』になるのは勘弁だ。ましてや…人殺しの物にはな!!」
俺では真由を支えられない。治せない。そう判断するのに迷いは無かった。
「ふふ、人殺しだなんて…物騒な事言わないでよ…」
「お前が…真奈を車に突き飛ばしたんだな…」
一瞬真由の顔が引きつる。が、またほほ笑みがえす。
「何を証拠に…そんな事。」
「…傘だよ。俺の傘さ。」
142『鏡』真実編 ◆AsuynEsIqA :2006/02/21(火) 13:31:44 ID:vfDKx7R+
「傘?」
「あの事故現場で…何か違和感を感じたんだがな。さっき玄関で俺の傘を見つけて確証したよ。あの時俺は真奈に黄色い傘を渡した。
でも事故の時に落ちていたのは赤い傘だった。…あれ、真由の傘だろ?お前は真奈が持っていた俺の傘を持って帰った…だからお前は事故現場にいた!そうじゃなきゃ、あの傘はこの家にあるはずが無いんだよ!!」
真由を睨む。俯きながら小刻みに震えている。
「アハハハ、ハハハ、ふふふふ。アーッハハハハハハ。まさか、そんな事でばれるなんてね。
そうよ、私が真奈を殺そうとしたの。残念ながら失敗しちゃったけどね。…でもそんな事もう関係ないわ。真奈は記憶を忘れて、私には涼さんが手に入った。それで満足よ」
「何をしようが、俺はお前の物になる気は無い!」
「分かってるわ。アノ女が…真奈が居るからいけないのよね…だから、涼がアノ女から離れるようになれば…もう二度と見たくなくなるように汚してしまえばイイノヨ。」
真由が部屋の隅に置いてあるバックから、カメラをを取り出す。
「ふふふふ、知ってた?あの杉田って言う医者。前の病室、患者へね猥褻行為で首になってたんだって。学校の女子の噂になってたのよ。」
「なっ!」
「あの男…私のことじろじろ見てたわよね。だからこの前、姉を好きなようにしていいっていったら、何の迷いも無く喜んでたわよ。
ふふ、そうよねぇ。双子の妹から承諾を得たんだから。きっと、やりたい放題よ。」
そうほほ笑んで涼の頬に左手を添える。
「私が行ったら、真奈は凌辱されるわ…その写真を見せれば、涼も諦めがつくでしょ?でも安心して。私が癒してあげる…ずぅ〜っとね…」
パタン
そう言って真由は部屋を出ていった。
「くそ!くそ!くそ!くっそおぉぉ!!!!」
いくら暴れても紐は手首をきつく絞めたままだった。足はベットの柱に縛られたまま。
どうすることもできないのか……ただ真奈が…自分の愛する人が、汚されるのを待つだけなのか……
143名無しさん@ピンキー:2006/02/21(火) 14:58:27 ID:V+LjFlB0
>>137
こう言うのは件の小説のバックボーンとして良いね。
Text自体は修羅場と関係無いけど、こう言うキャラじゃないとスレとしては失格だからなあ(w
続き楽しみにしていますー
144名無しさん@ピンキー:2006/02/21(火) 16:06:17 ID:k1/QoJbV
ギャー!!
やっぱNTR!!!??
勘弁してーーー!!!
145名無しさん@ピンキー:2006/02/21(火) 17:46:10 ID:YVYg8R1+
嫉妬と邪悪って紙一重だよな。
146不義理チョコ 第7回 ◆AuUbGwIC0s :2006/02/21(火) 18:12:37 ID:UBgJ5qaO
        *        *        *

 義理チョコの代価としては法外な要求となったマフラーは日曜の夜に最後の一枚はとうとう終えた。
 さてミカの分、ちゃんと作ってやらないとないけない。
 『トモちゃんみたいなマフラーが欲しいです』――あれは時間がかかるから多分編み上がる頃には結構暖かくなっている気もするがプレゼントは気持ちの問題だ。
 ――前のプレゼントでは気持ち届かなかったんだよな。
 そんな事を思い出していると頭の中に元気のない顔を思い出してしまった。
 電話をかけるべきか、かけないべきか。そもそも何て話せばいいんだろうか。
 携帯電話を見つめながらどうしたらいいか考えてみるが、話したところで自分ではどうしようもない気がしていた。
 ――かかってきたら愚痴ぐらいは聞いてやるかな。
「あんたさ、彼女から電話待っているぐらいなら自分から掛けなさいよ。それとも彼女とケンカでもして掛けづらい?」
 そうだ、今部屋には姉ちゃんが人の漫画を読みに来て居座っている。こいつの居る所でそういう話が出来る訳がない。
「別に――」
 彼女とはケンカなんかしていない。相手は彼女じゃない――そう、ただの仲のいい友達だから。
「――ふうん。やるか、やらないか悩むんだったらやってしまって後悔しなさい」
 達観した顔。姉って感じがした。いや血こそ繋がらないものの名実とも自分の姉ではあるものの、もっと抽象的な意味で庇護してくれる存在――代理母とも言うべき感じの姉って感じがした。
 多分どっかの漫画で使われていた気もする言葉だが雰囲気に飲まれていた――ちょっとだけ感動している自分がいた。
 少しだけ自分の中で時間が止まっているのに気づいて慌てて時間を動かし始めた。
「じゃあさ、さっさと部屋から出て行ってくれ」
 とりあえず、いまやって欲しい事を素直に言ってみた。
「うん、わかった」
 意外にも素直に姉ちゃんは腰を上げた。
 ――確かにやってみるものだ。
「ああ、そうだ。これ上げる」
 部屋を出て行きかけた頃思い出したように振り向いて、何か小さなものを放り投げた。
「――なんだよこれ?」
 くすんだ銀色のメダル。表はデフォルメされた二頭身の仔猫、裏は――何かで削られた後があった。何処かのゲーセンのメダルかなんかだろうか。
「裏か表。二択でどうしても自分で選べないなら――コイントスで決めなさい」
 ――オレそんなにギャンブラーな生き方するつもりないから。
 そう思いながらも素直に好意として受け取ることにした。
 一人きりになった部屋でもう一度携帯を見つめる。メモリを呼び出す――やっぱり止めた。何を話していいかわからなかったから。
 少しだけ悩んだ後、ミカへのマフラーを編み始めることにした。



「それでさ士郎はどう思う?」
 三沢はいつもの様に一緒に学校へと歩きながら屈託なく笑いながら話してくる。
 今朝は電車に滑り込むように飛び込んでから、こちら側に一言も話させないとばかりにマシンガンの様に喋っていた。
 先日の元気のない顔はそこにはなかった――別に悪いことではない、むしろいい事のはずだ。
 肘が隣を歩いている三沢にぶつかった。距離が近い。別に肘や肩ぶつけたからって謝るような間柄ではない。
 でも、いつもはこんなに近くを歩いてなかった気がする――そしてこの近すぎる距離は忘れようとしていた、忘れかけていた彼女へのある感情を思い出しそうになっていた。


 『どうせ今日もサンドイッチだよ』っと。
「……なに笑っているんだ」
 ミカへのメールを返信した後、三沢はじっとこちらを見つめて笑っていた事に気がついた。
「士郎の顔見てた」
「顔になんかついてるのか」
 今朝ちゃんと顔を洗ったはずだし、さっきトイレ行った時も鏡を見た。変なものはついてなかったはずだ。
「へへー」
 何やら意味ありげな笑いで誤魔化された。
 ――なんなんだよ、その笑い方は。
147不義理チョコ 第7回 ◆AuUbGwIC0s :2006/02/21(火) 18:13:25 ID:UBgJ5qaO
 よく話す。よく笑う。客観的にみれば極々普通の元気な女の子だ。それが今日の三沢だった。
 でも少し何か変な気がする。一年間一緒に遊んだ仲だから多少はわかっているつもりだ。
 うまく人に説明する自信はないが、一言で言うと元気すぎる。無理して笑っていた空元気とも違う少し異質な感じ。
 失恋で塞ぎ込んでいた反動かもしれない――そう思うことにした。


「士郎、これ読んどいて」
 本日最後の授業が終るとともに人の机の上に折りたたまれたノートの切れ端を置いたかと思うと人が何かを言おうとする前に三沢はさっさと教室を出て行った。
 さっきの言葉で今朝からの僅かばかりの違和感の正体に気がついた。『士郎』って呼ばれている――でもそれだけじゃない気がする。
 折りたたまれたノートの切れ端を開いてみると一言、放課後屋上に来て――それだけが丁寧な字で書かれていた。
 屋上に来いと言うことはあんまり他人に聞かれたくない話か――多分失恋の話だろう。屋上に来いぐらい口で言えばいいのに。
 ――ノートの切れ端。
 差出人不明のチョコが机に何時の間にか放り込まれていた事――
 あいつからのチョコをもらっていない事――
 ノートの切れ端の手紙に屋上に来てと書いてあった事――
 何故かその日あいつが屋上にいた事――
 頭の中で勝手にピースが組み足てられようとしている。何度か頭はよぎったがその度否定するように言い聞かせてきた答え。
 そんなんじゃない――そう心で呟きながら屋上へ歩き始めた。
 体が重いのか軽いのか分らない――不思議な感覚が体を包んでいた。
148不義理チョコ 第7回 ◆AuUbGwIC0s :2006/02/21(火) 18:14:35 ID:UBgJ5qaO
        *        *        *

 朝からずっと不思議な気分だった。幽体離脱したみたいな感じで自分が誰か別人みたいな感じ。
 体が凄く軽い。気持ちいいぐらい動いている。まるで生まれ変わったみたい。
 昨日の夜はいつも以上に念入りに体を洗った。
 今日の朝はいつも以上に念入りに鏡を見つめて身だしなみを整えた。
 今日はいつも以上に笑って、いつも以上に士郎と話した。
 今日の私は誰より可愛らしく映っている自信があった。

 私は一足先に屋上にいた。先週の時と殆ど同じ状況だ。でも今日は先週言えなかったことがハッキリといえる自信があった。
 多分数分と待たなくていいはずなのに、彼がここに来るまでの時間がとても満たされた時間であると感じていた。
 待ち遠しい――足音が近づいてくるの聞こえる。
「よっ、三沢」軽く手を上げて来たことを知らせる士郎。
「――ト・モ・コ」
「は?」
 何を言っているのか分らないって顔――やっぱり鈍感。
「智子って呼んでよ」
 ちゃんと言わないと分らないみたいだから言ってあげる。
「いや、いいけどさ――なんでまた急に?」
「本当は気づいているんじゃないの、私がここに居た理由」
「……何のことだ」彼の顔色が変わったのが見て取れた。
 ――無理して隠す必要なんかないのに。
「まだわかんないの? あの手紙の子が私」
 ここまで言っても彼の顔色はさっきのままだ。やっぱりわかっていたんじゃない。
 あんたもずっと黙っているなんて悪い奴――でも好き。
「私の事嫌い?」
「そんなことない!」即答だった。
「じゃあ付き合ってよ。私はあなたの事好きだから」
 なんだ簡単に言えるじゃない。何でこんな簡単な事言うのに時間を無駄に費やしていたのだろう。
「――いまミカと付き合ってるし……」彼は首を俯けながら言った。
「じゃあ、別れればいいのに」――悪魔が囁く。
 彼は首をあげようとせず黙ったままだ。
「言いにくいなら私の方から言ってあげるよ」
 ――返事はなかった。
 相変わらず煮え切らない奴。バレンタインの日なんかいきなり抱きついてきた癖に。
 非常に不本意な事ではあるが、煮え切らない返事を待ってはいられないので仕方なく譲歩することに決めた。
「じゃあさ、学校の中だけ――二人きりの時だけでいいから恋人になろう。もちろんミカには黙っててあげるから」
 そう言って胸の中に飛び込んでみた。
 恐る恐る背中へと伸びて来る彼の手――なんだ。やっぱり私の方が好きだったんだ。
「……ありがとうね、士郎」
 彼の腕の中は暖かく、短い間隔で彼の存在を感じられる鼓動が心地よかった。
149不義理チョコ 第7回 ◆AuUbGwIC0s :2006/02/21(火) 18:15:11 ID:UBgJ5qaO
        *        *        *

 わかっていた。心のどこかで期待はしていた。でも別のどこかが否定していた。
 好きだった――だから気合入れて編んだ手編みのマフラーまで送った。
 しかし自分からハッキリ言い出せないまま友達という関係に甘えてズルズル引き伸ばしてきた。
 でもバレンタインに友達の仲介を受けたと言われて向こうからは、その気は欠片もないと無言で言われた気がして少し落ち込んだ。そして告白失敗して友達でいられなくなることだけは回避できたと少しだけ心のどこかで安心していた。
 ミカのことが好きかと問われたら好きだって言える。最初こそぎこちなかったが、今では全然そんな事はない。
 でも――
 でも――今もっと好きだった子から告白された。
 そしてその彼女は今自分の胸の中にいる。今すぐ抱きしめてくれと言わんばかりに。

「二人きりの時だけでいいから恋人になろう。もちろんミカには黙っててあげるから」
 聖者を誘惑する悪魔もこのように甘く囁くのだろうか。
 良識ある人間ならミカへの為彼女と距離を離すべきだ。しかし自分は聖人君子などではない――自然と手が彼女の背中へ回っていた。
「……ありがとうね、士郎」
 胸の中の彼女はその行為を了承と受け取っていた――そしてオレも口には出さないが答えは同じだった。


150不義理チョコ 第7回 ◆AuUbGwIC0s :2006/02/21(火) 18:16:09 ID:UBgJ5qaO
「シロちゃん、今日は遅かったね」
 ミカは駅のホームで待っていてくれた。
「えと……」
 ――あの時オレは何であんな行動をとってしまったんだろう。
 彼女の顔を見ていると途端に罪の意識を感じ始めていた。何を言っていいのかわからない。
「ちょっと帰り際に先生に雑用頼まれちゃってね。それで遅れたのよ。ね、士郎」
 智子の口から出た言葉は何でもない言葉だった。まるでさっきまで屋上で言った事なんて忘れてしまったように。
 でもその事を言った後にこちらを向いて目で何かを言った。
「――ああ」
 今のオレはそんな相槌を打つしか出来なかった。
 そして頷いた首はそのまま上がろうとはしなかった。
「どうかしたの?」
 考えている事が顔の方に出ているのに違いない。そんなオレを思ってかミカが心配そうに下からオレの顔を覗きこんでいた。
「いや――なんでもないって……」
「じゃあ、よかった」
 彼女はまるでスイッチが切り替わったかの様に明るい顔に切り替わった。
 オレが今言ったことを何の一片の迷いのことなく信じている――

「……また明日な」
 ホームに下りた二人に別れの挨拶。別にいつもと変わらないはずなのに。
 それだけのはずなのに――
「夜電話するね」
 手を振りながらミカはそういった。別に断ってまでするような関係ではないのに――
「――うん」
 その返事の時オレはミカではなくその隣、智子を見ていることに気づた。
 本当はミカに言わなければいけない事があるのに。
 電車が動き出す前に顔を背けた。

 嘘なんて今まで一度もついたことがない訳ではない――でも嘘をついてこんなにも心が痛くなったのは初めてだった。
 そして本当の事なんて言える訳がない――今日人を騙すという罪を犯した。
151不義理チョコ 第7回 ◆AuUbGwIC0s :2006/02/21(火) 18:16:40 ID:UBgJ5qaO
        *        *        *

 駅を出てミカと一緒に帰り道を歩いていた。ミカとは友達になって以来ずっとこうして一緒に歩いていた気がする。
「ねえ――ミカ」
「なに?トモちゃん」
「――あなたの言うとおりだった。言ってみるもんだね」
「え? ホント? よかったね!」
 まるで自分の事の様に喜んでいた。
 今日私達の思いは通じた。でもまだちょっと邪魔な事が一つある。
「関係ないけど、もし好きな人が別な人が好きだったりしたら、あなたはどうする?」
「シロちゃんだったらそんなことないよ」
 無邪気に少し笑い。決してそんなことは絶対ないと心の底から信じているから出来る裏表のない言葉と顔。
 ――放っておいてもいいか。
「それとね、明日……」ミカは何か言いたくて言いたくて堪らないって顔だ。
「何よ?」
「やっぱり秘密」恥ずかしそうに口を閉じた。
「もったいぶらないで言いなさいよ」
 いつもの談笑。
 まだ私とミカは――
1528 ◆AuUbGwIC0s :2006/02/21(火) 18:17:52 ID:UBgJ5qaO
下り坂に入って妄想だけは沸いてくるのに筆が全くついてこない…
153名無しさん@ピンキー:2006/02/21(火) 18:19:46 ID:NTuuWENg
この二股こそ勇者の行動ですよぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ
案外後から付き合ったほうが先にセックルしちゃうんだよね

最高ですよ!!GJ!!
154名無しさん@ピンキー:2006/02/21(火) 18:23:14 ID:WrckMsAf
GJです。
それとまとめサイト消えてません?俺だけ?
155名無しさん@ピンキー:2006/02/21(火) 18:28:12 ID:PpOF87np
>妄想だけは沸いてくるのに
あるある。それにしてもGJですよっ

まとめにアクセスできない人++;
156名無しさん@ピンキー:2006/02/21(火) 18:30:54 ID:dUiOBEZZ
>>152
GJ!!
まとめサイトにアクセスできない人 ノシ
157名無しさん@ピンキー:2006/02/21(火) 18:50:32 ID:fXeQKjqW
ノシ
158名無しさん@ピンキー:2006/02/21(火) 18:54:44 ID:k1/QoJbV
あれ?皆まとめサイト入れるんか?俺もアクセできないんだけど?
159名無しさん@ピンキー:2006/02/21(火) 18:58:18 ID:PKHcUo0C
ノシ

メンテではないみたいだが…
160名無しさん@ピンキー:2006/02/21(火) 19:19:10 ID:kbVzLS1b
エラーページが出てるみたいだね・・・
161阿修羅@本スレまとめの(ry:2006/02/21(火) 20:07:17 ID:GJqiT+o1
まとめサイトの中の者です。
ここ最近のアクセス数の伸びで心配が現実になった模様です。
ぶっちゃけ、転送量オーバーでアカウント抹消されちゃいましたorz
移転先を探しておりますが、フレームのページとかの都合上、バナー広告とかが無い
ところがが良いのですが、これがなかなかみつからないっす(涙

ご迷惑をおかけして申し訳ありません、今しばしお待ちくださいませm(_ _)m
162名無しさん@ピンキー:2006/02/21(火) 20:17:13 ID:kbVzLS1b
転送量オーバーキタコレ
ROMのひとが多いんかね?もっと感想書いておくれ。(本音)

管理人氏お疲れ様です。いやほんとに。
163名無しさん@ピンキー:2006/02/21(火) 20:44:26 ID:ONj7MMrj
管理人さん、ご苦労様です。
164名無しさん@ピンキー:2006/02/21(火) 20:53:46 ID:L8IIxuSz
>>144
「それこそ『幸福』であるッ! 独りではなく全員が未来を『覚悟』できるからだッ!
 『覚悟した者』は『幸福』であるッ!悪い出来事の未来も知る事は『絶望』と思うだろうが 逆だッ!
 明日『死ぬ』とわかっていても『覚悟』があるから幸福なんだ! 
『覚悟』は『絶望』を吹き飛ばすからだッ!
 人類はこれで変わるッ! これがわたしの求めたものッ! 『メイド・イン・ヘブン』だッ!」
165名無しさん@ピンキー:2006/02/21(火) 22:34:07 ID:l2fj3JUf
管理人さん、がんがってください!
166名無しさん@ピンキー:2006/02/21(火) 22:35:34 ID:eVlACxwb
167名無しさん@ピンキー:2006/02/22(水) 01:51:33 ID:8ubaOPBm
>>166
リンク先読んで見たけど、なるほど面白そうだね
168阿修羅@本スレまとめの(ry:2006/02/22(水) 01:54:19 ID:mLJhIiFd
突貫作業でございますが、移転しました。
今回は転送量制限はありません。
・・・ちょっと広告があり、とくにSSまとめのほうでは
投稿作品の下に表示されてしまうのが辛いところです・・・

移転作業に伴い、投稿作品の編集ができませんでした。
ほんとうにごめんなさい。。。

新アドレス
http://dorobouneko.web.fc2.com/index.html
169名無しさん@ピンキー:2006/02/22(水) 02:05:22 ID:sIi4JIoL
乙。いや、本当にお疲れ様です。
170http://dorobouneko.5gigs.com/index.html:2006/02/22(水) 02:13:22 ID:AtzhxOq6
新アドレス…………?
嘘でしょ。
あのときから今日! この時間! この瞬間まで!
ずっとずっとお気に入りだったのに!
新アドレスができたからって私の前から消えるの……?
ううん。いや。絶対にいや!
私はあなたのものだもの。あなたもいやだよね?
間違って移転しちゃっただけだよね?
安心して。そんな新アドレスすぐに削除してもらうから。
え…転送量制限?
大丈夫。私達愛しあってるんだもの。辛くないよ。

前スレのレスから拝借
難しいやっぱROMオンリーにします
管理人さん、職人さん頑張ってください!
171名無しさん@ピンキー:2006/02/22(水) 09:06:54 ID:5gaYatS4
お疲れ様でございます。
172名無しさん@ピンキー:2006/02/22(水) 09:56:15 ID:AAzOn2Hj
管理人様、お疲れ様です。

なんか読んでるうちに妄想ストーリーが溜まってきた……。
忙しいのが一段落ついたらプロット組み始めてみようかな。
173合鍵 第二十回  ◆tTXEpFaQTE :2006/02/22(水) 17:01:34 ID:AcRNHPOE
合鍵  第二十回


その日、藍子の様子がおかしい事に、クラスの友人達はすぐに気がついた。
まるで、生気が抜けたような顔をしている。
その事について、元也に尋ねても、なにやらハッキリとしない。

昼休み、元也を尋ねて、教室に一つ上の上級生が尋ねてきた。
クラスが騒然となる。学園でも美人と有名なサキだ。

どういうことかな?と思い、友人のひとりが藍子を見た。見て、ギョッとした。
藍子の顔が、怖かった。サキと、元也を睨みつけていた。
そして、理解した。藍子の様子がおかしかったのは、あのサキ先輩のせいか、と。

サキ「にゃっほ〜 おげんき〜?」
元也「はい、お元気ですよ〜
   って、なんか用ですか?」
サキ「ううっなんて冷たいセリフ!!恋人同士の会話には思えないわっ!!
   ……って、まあ、じゃれるのは置いといて、お昼、一緒にどう?」
元也「ああ、昼飯ですか、ええと」
藍子の方を見る元也。ずっと、お昼は藍子と一緒にとっていたのだ。
藍子と目が合う。藍子が、驚いて、それから微笑んだ。
それを見て、ガソリンに火がついたかのように、サキの胸に嫉妬心が燃え上がる。

元也「ねえ、サキさん、藍子も、一緒にいていいかな?」
昨日から、藍子の様子がおかしい事も、元也は気が着いていた。出来る限り、気を使ってやりたかった。

何言ってるの、元也君?嫌に決まってるじゃない。あの娘とは、一秒でもあなたと離れさせておきたいの。
とは、流石に言えない。
サキ「えーと、ちょっと、嫌だなあ。
   恋人になったばかりの二人の甘々なセリフ、人に聞かれるの、恥ずかしいわ」
そう言って、元也の腕に絡みつくサキ。
元也も、そう言われては、藍子を連れて行けない。
サキの言う甘々なセリフ、ぜひ聞きたかった。

また、もとくんとの時間を、あの女に獲られた。
ううん、それだけじゃない。あの女は、もとくんを、本当に奪っていったのだ。
あの、泥棒猫、死ね。

帰ってきて。私のところに。あの女は、もとくんの居場所じゃないのよ?

放課後。
藍子が帰ろうとしたところ、サキに呼び止められた。
174合鍵 第二十回  ◆tTXEpFaQTE :2006/02/22(水) 17:02:33 ID:AcRNHPOE
>>173の続き


屋上にいる藍子とサキ。
風が強い。

藍子「…なにか、御用ですか…」
サキ「ええ、ちょっと、私の恋人、元也についてなんだけど」
藍子「…ああ、やっぱり、そうなんですか。薄々、気がついてたけど、あなた、本当に
   私のもとくん、取って行ったんですか。どんないやらしい方法でもとくんを騙したんですか」
サキ「…だれが、誰の物ですって?」
藍子「もとくんが、私のものです」
サキ「もう、諦めなさい。あなたのもとくんは、私の元也君になったの」
藍子「……………………うるさい」
サキ「だから、あなたももう諦めて、いつまでもそんな、怖い顔しないで。
   私の元也君が気にかけちゃうから」
藍子「そうでしょう、もとくん、私にはとっても優しいから」
サキ「そんな未練がましい顔してる人がいちゃうと、気が滅入るのよ
   私の元也君のためを思うなら、恋人ができた事、祝福してあげたら?」
サキ「ハッキリ言うとね、うっとおしいの、藍子ちゃん。
   いつまでも、そんな、自分が元也君にとって特別だって顔で、私達の近くにいないで」
サキ「百歩譲って、今まであなたが元也君の一番だった事は認めてあげる。
   けどね、今、そこにいるのは私。
   あなたは、そこにいないの。おわかり?」

プルプルと、藍子の肩が震える。もうすぐ限界のようだ。
よし、あと、一押し。単純な子ね。カワイイぐらいよ。

サキ「だからね、恋人の私としては、あなたが元也君の合鍵持ってるの、すごく気に入らないのよ。
   朝起こすのも、朝ご飯作るのも、お昼一緒に食べるのも、夕御飯作るのも、全部、私のほうが相応しいでしょう?」

サキ「その合鍵、渡して」

バチン!

サキの頬を、藍子が叩いた。

サキが頬を押さえる。ジンジンと痛みがわいて来る。
頬を押さえながら、サキがクスクスと笑い始めた。

サキ「あーあ、ひどい人ねえ。嫉妬で、人の顔叩くとは」
藍子「…自分の、せい、でしょ」
サキ「まあ、そうかもね」
サキ「それはそうと、この事、元也君に言ったら、どう思うかなあ?」
藍子が、ハッと気がつく。

サキ「自分の恋人を、力一杯叩きつける幼馴染。
   さぞ、怒るでしょうねえ。おこって、あなたの事、嫌いになるんじゃないかしら?あーあ。可哀想に。
   …で、どうしてほしい?」

元也から嫌われるかもしれない。その恐怖が、身を貫く。
藍子「い、言わないで。もとくんには、お願い、黙ってて」

サキ「ええ、いいわよ。
   でも、その代わり………分かってるでしょう?」

それだけ言うと、サキはクスクスと笑いながら、屋上を後にした。
屋上には、藍子だけが、残っていた。
175合鍵  ◆tTXEpFaQTE :2006/02/22(水) 17:07:17 ID:AcRNHPOE
まとめサイトの管理人様、乙でございます。

176名無しさん@ピンキー:2006/02/22(水) 17:46:44 ID:afAbI34r
GJ。サキ先輩最高!!!
177名無しさん@ピンキー:2006/02/22(水) 17:51:48 ID:zx+apNEX
合鍵さん、GJ!!
面白いッスわぁ!
178不義理チョコ 第8回 ◆AuUbGwIC0s :2006/02/22(水) 18:37:50 ID:uKB7i1Ki
        *        *        *

「しちゃったね――」
 誰も居ない部屋で鏡を前にし唇をなぞる。
 本当はもっと先まで行ってもよかったけど煮え切らない態度だったからあのぐらいでよかったのかな。
 それとも煮え切らないからこそ最後まで行ってしまった方がよかったのかもしれない。
 ――続きはまた明日。
 そう思いながら布団に潜り込むことにした。

        *        *        *

「――じゃあ、また明日」
 ミカとの電話を切った。
 結局智子との一件は言わなかった――言えるわけがなかった。
 マフラー製作を再開しようとして気づいた。
 指先が震えている。
 ――クソ。
 行き場のない苛立ちだけがあった。



 こいつはなんでこんなにも普通にしていられるのだろう。電車に揺られながらそう思った。
 無理矢理表情を作っている自分に対して、いつもと何ら変わることなく話の輪の中にいた。
 そして彼女の手をオレの肩の上になんでもないよう置かれていた。
 ――一体何を考えているんだ。

「じゃあね、ミカ」
 なんでもない別れの挨拶。いつもの挨拶。ただの友達の挨拶。
「また放課後な」
 なるべくいつもと同じようにする別れの挨拶。いつもなら別れを惜しむはずの挨拶。
 ――でも何かがいつもと違う。
179不義理チョコ 第8回 ◆AuUbGwIC0s :2006/02/22(水) 18:38:45 ID:uKB7i1Ki
        *        *        *

 駅を出るなり士郎と腕を組んでみた。
「オイ――」
 照れてるのかな。彼は動揺している。
「――同じクラスの奴とかいたらどうするんだよ。
 ……みんなオレが付き合っている相手いるって知っているだろ」
 ――なんだ、そっちの心配か。
「大丈夫だって。
 田中なんか私達つきあっているって勘違いしてたぐらいだよ。
 これぐらいで変な噂なんて立たないって」微笑みかけてあげる。
 彼は黙って頷いた。
 学校までの距離がもっとあればいいのに――そう思った。



 昼休み、私達は肩を寄せ合って屋上にいた。
「私もっと早く士郎とこんな時間過ごしたかった。士郎もでしょ?」
「――うん」躊躇いがちな返事。
 体重を彼に預ける。
 教室に居る時はなるべくいつも通り『仲のよい友人』を演じてみせた。
 だから二人きりでいられる時間がずっと待ち遠しかった。
「キス――しようか?」
 顔を近づけ唇を重ね――舌で士郎の唇を開ける。
 士郎は抵抗はしない――そうだよね、私の事好きなんだから。士郎の口の中を味わってみる――変な感じ。不思議な感じ。
 そんなに長い時間やっていたとは思わなかったが士郎の方から顔を話された。
「……この辺にしとこうか」言い訳でもしているような顔。
 これ以上続けていると、きっと二人とも抑えきれなくなる――さすがに昼休みに学校の屋上で最後までは不味いか。
「じゃあ、続きはまたね」

        *        *        *

 ミカの為のマフラーを編んでいるはずなのに全然指先がのってこない。ぎこちない。
 ――あの時拒否するべきだったんだ。
 頭の中で理性とも倫理観とも言うべき何かが呟いてくる。
 あの時っていつの時だ。
 バレンタインにミカから告白された時――
 昨日智子から告白された時――
 そして今日の事――
 いったい、どれだよ――わからない。
 多分今の関係をズルズル続けていくと自分は最低な人間になってしまう。
 しかし、その行為は必ずどちらかを傷つけることになったしまう。
 ――どうすりゃいいんだよ。
 『二択でどうしても自分で選べないなら――コイントスで決めなさい』
 机の上においてあったメダルを手に取ってみる。表なら――心の奥で呟く。
 コインは空中に――投げることが出来ない。出来なかった。
 自分で決めるような覚悟がない奴にはそんな事で決める度胸すらあるわけがなかった。
 ――最低だな。
 口の描かれていない筈のコインの中の猫はチェシャ猫の様に嘲り笑っているように見えた。
180不義理チョコ 第8回 ◆AuUbGwIC0s :2006/02/22(水) 18:40:45 ID:uKB7i1Ki



「シロちゃん――これ」
 朝、電車内でミカからそういって手渡されたのは弁当箱だった。
「あ、ありがとう」弁当箱を受け取る。
 本当なら心の底から嬉しいはずなのに――後ろめたいものが背中にあった。
「本当は昨日から上げようとしてたんだけど上手く行かなくて……」
 彼女の恥じらいながら語る純真な言葉の一つ一つが今のオレの心には痛かった。

        *        *        *

 昼休み、私達は昨日同様に肩を寄せ合って屋上にいた。
 なんでそんなものがここにあるのだろう――私は士郎の弁当をずっと睨みつけていた。
 食べ終わった後も士郎は喋ろうとせず空を見上げていた。
「何か面白い形の雲でもあるの?」
「別に――」
 それだけで会話は終った。
 最近士郎の口数は少ない気がする、いつもなら暇さえあれば冗談でも言っていたような奴なのに――なんでだろう。
「なあ……お前はこんな関係でいいのか?」ふいに彼は口を開いた。
 どっちの意味で言っているのだろう。今の私にはその言葉は期待を呼ぶものではなく恐怖のものとしか考えらなかった。
 ――そこに空になったミカのお弁当箱があるから。
「……私はこのままでもいいよ」
 嘘をついた――そうとしか言えない。もしかしたら捨てられるかもしれないと恐怖があったから。
1818 ◆AuUbGwIC0s :2006/02/22(水) 18:42:26 ID:uKB7i1Ki
>166 こうか?こうなんだな?

「高田、ちょっといいかな。
 念のため聞くが沢木とは付き合っているのか?」
ある日の帰り道、唐突に友人からそんなことを聞かれた。
「そ、そそそ、そんな訳ないでしょ」
 言葉が上擦る。自然と顔が赤くなっていた。
 ひょっとしたら私の気持ち、アイツにも気づかれているかもしれない。

 清水は中学の頃からの付き合いだ。
 一言で言えば変な奴。具体的に言うなら言動に裏表なくストレートに伝えてくるため、人によって好き嫌いがハッキリと分かれるタイプの人間。自分が感情表現が下手だから、その分ハッキリ話すんだと昔言っていた。

「ならよかった。
 さすがに君が実は付き合っているとか言ったりしたら泣く泣くあきらめるつもりだった」
「――沢木のこと好きなの?」
 今まで誰が好きとか言ったり、誰か好きな人がいるとかいった感じはしたことはない――後者はあくまで気づけてないだけかもしれないが。
「ああ、そうだ。具体的に自覚したのはつい最近だが、だいぶ前からのはずだ。
 彼の事を考えている胸の鼓動が早くなる。自然と目で追いかけている。
 一緒に居たいと思っている。もっと知りたいと思っている。
 まだまだあるが――。彼の話をしている今、口元が緩んでいる」
 あまり人の顔を観察できる様な心理状態ではなかったが注意深く顔を覗いてみる。確かに普段の顔と比べれば笑っている気がする――あくまで注意深く見ればである。
「ふむ、では自分は明日告白するつもりだがいいな?」
「――なんで私に断るのよ」
「好きなのだろ? 行動の節々に照れ隠し以外の何者でもない部分が見て取れるからな。
 本当にいいのだな、私と彼が付き合うようなことになっても?」
 確かに好きだ。だからってそんな風にハッキリ言える訳がない。
 人の心の奥まで覗き込むように語り掛けてくる。真っ直ぐ前を向いて自分の気持ちを示せと言わんばかりに。
「私も――告白する」
 何故そんな事を言ったのかわからない。でも言ってしまった。
 少なくとも清水は言った事は必ず実行する。そういう奴だ。
「それは構わないが、順番は私からだ。私も親友とはいえ恋敵相手にそこまで御人好しにはなれないからな」
「……いいわよ」
 ――しばらくしてから自分の口から出た言葉で全身が緊張している事に気づいた。

 
1828 ◆AuUbGwIC0s :2006/02/22(水) 18:42:56 ID:uKB7i1Ki
        *        *        *

「沢木、ちょっといいかな」
 朝の教室、友達と雑談中に清水に呼びかけられた。
「いいけど、何」
 清水は真っ直ぐこちらの目の奥を見つめるようにして一呼吸してから口を開いた。
「色々考えたが着飾った言葉はやはり本質を隠してしまう気がするので本当の気持ちだけ言っておく。
 好きだ。付き合って欲しい」
 教室中に居た人間の視線がこちらに向いていた。爆弾が落ちた直後の如く教室内は静まっていた。廊下や隣の教室から聞こえてくる声にやたら現実感がなかった。
 付き合って欲しいって――遊びに付き合ってとかそっちじゃないよな。前に『好き』だと言っていたし。頭の中で何かがグルグル回り出す。
「え、と――何で」
 前々から変な奴だとは思っていたが、ここまでだとは想像の範囲外だった。
 恋愛対象とかそういうものとして考えたことはなかったが、そんな事を言われて真っ直ぐ見つめられているとドキドキしてくる。
 こうして見てる顔は結構綺麗だと思えてくる――
「君が好きになった理由なら説明できないが、好きであるという根拠なら一週間考えて抜いたから言えるぞ。長くなるがいいか?」
「――いや……いい」
 その言葉通り本当に嘘偽りなく長々と話してくれる気がしたから。
 ――衆人環視の元に。
「返事はいつでもいいぞ」
 頬をつねってみる。何故か頬の筋肉が強張っていて掴みにくかった――痛い。現実じゃねえか。
「念のため言っておくが夢などではないぞ」
 ――ツッコミありがとう。
「雪風のフェアリィ・冬ってさテーマ自体は奥深いんだけど、話の内容としては少し苦しいものがあるとは思わないかな?」
 何か訳の分らない事を言ってみる。脳が現実を上手く受け入れようとしていない。
「2001年宇宙の旅を代表とされるような古典的な機械の叛乱の変形としては面白いが――いや、こういう話ではなかった。
 私が言いたい事は終った高田、お前の番だぞ」
 教室の視線が今度は清水の離れて後ろに居た高田の方に移る。
 周りは高田の方に視線が行っていたが、自分としては、SFネタが素直に返された方がいたことの方が驚愕だった――今まで友達にはスタトレネタすら通じたことないのに。
「どうした? 言えないのなら、こちらが言ってやってもいいぞ」
「黙っててよ!なんでこんな馬鹿に好きですなんて言わなきゃいけないのよ!」
 清水に視線を向けている間に、なんか爆心地目がけてもう一発爆弾が落ちた。
 ようやく自分の言った言葉の意味を理解したのか顔を真っ赤にして俯いた。
 もう一度頬をつねってみる。頬の筋肉がさらに強張っていて掴みにくかった――痛くない。クソッ!やっぱり現実じゃねえか。
「まあ、彼女なりの感情表現の形だ。気持ちはわかる通りだ。夢でも誤解でもない」
 ひょっとしてどっかでカメラが回っているのか。それなら一発受けを狙った返事でもしなきゃいけない。
「えっと――じゃあ両方付き合うって事で」ボケとしては無難だと思う。
 その言葉を聞いた高田が真っ直ぐ目の前に走ってきた。
「沢木!」顔を真っ赤にしたまま、こちらを睨んで一喝する。
「ハイ!」反射的に背筋を伸ばし返事をしていた。
 ビンタではなく拳が頬に飛んできた。
 ――痛かった。
「大丈夫か、沢木?
 高田、愛情表現とは言え、そういう行動は誤解も招くし、少々過激ではないか?
 ああ、そうそう自分は付き合ってくれるなら別にそれでも構わないぞ」
 ――いつだ、ドッキリだと言ってくるやつが飛び込んでくるタイミングは。
 口の中には血の味がしていた。

<多分続かない>
1838 ◆AuUbGwIC0s :2006/02/22(水) 18:45:49 ID:uKB7i1Ki
ラストまでの草稿は出来ているのに出気がイマイチになっていく今日この頃

<チラシの裏>
戦闘妖精雪風は三角関係を書いた小説。
</チラシの裏>
184名無しさん@ピンキー:2006/02/23(木) 02:49:47 ID:9WrZK4eu
>>173-175
藍子大逆転期待してるよ藍子
185名無しさん@ピンキー:2006/02/23(木) 03:24:33 ID:fzuUcgay
おばあちゃんが言ってた。危険になったら空鍋を回せって
186名無しさん@ピンキー:2006/02/23(木) 03:26:02 ID:2EHQry7b
おりも藍子たんの盛り返しを期待
187名無しさん@ピンキー:2006/02/23(木) 04:24:10 ID:p7y+6e0q
このスレを読んで修羅場属性に目覚めてきた…。
何はともあれ職人様GJっす。
漏れも藍子がやられっぱなしでは終わらんと期待してます。

188名無しさん@ピンキー:2006/02/23(木) 07:29:48 ID:3X5/gf8t
藍子ガンガレ超ガンガレ
反撃期待するぞ
 東京で生活を始めてから一年。
 また、桜の季節がやってきた。
 
 おれが大学を卒業するちょっと前あたりに、家族で集まって話をした。
 あれ以来ずっとだから、楓とは結局二年近く一緒に生活していたことになる。
 それとなく察していたのだろう、
 楓のカミングアウトにも、両親はさほど驚いた様子もなかった。
 
 物心ついてからずっと抱いてきた想い、
 おれが家を出ると聞いてどれだけ悲しんだか、
 おれと共に暮らす間に感じた喜び、不安、将来のこと、
 それらを朗々と詩を読み上げるように語る楓を見て、最早どうしようもないと悟ったのだろう。
 
 もう、勝手にしろ。
 
 この世の全てに疲れたような、盛大なため息をつく親父に対して、
 
 ええ、勝手にさせていただきます。
 兄さんの妹に産んでくれてありがとう。楓は倖せです。
 
 そう言い放った楓を見るおふくろの表情が、いまだに脳裏に焼きついたまま離れない。
 
 就職は大手自動車メーカーに決まったはいいが、営業に回されてしまった。
 本当は設計や、せめて作業服を着てスパナを握っていたかったが、仕方がない。
 給料も悪くないし、待遇だってその辺の中小とは比べ物にならないということを、
 友人の近況報告から知っていた。
 部屋は学生時代と変わらない大きさ。そこに布団を二枚敷いて寝ている。
 生活は決して楽々というわけにはいかないから、楓も近くのスーパーでレジ打ちのパートをやっている。
 いくら大学中退とはいえ、もっとまともな仕事にも就けるだろうと言ったのだが、
 仕事はあくまで生活の合間、どこまでも楓はおれの嫁でいたいのだという。
 
 嬉々としておれのYシャツにアイロンを掛ける楓の後ろ姿を眺めながら、考える。
 本当に、これでよかったのだろうか。
 この先こいつを食わせていくことくらい、何とでもなるだろう。それはいい。
 だが、子供はどうする? 親戚連中にどう説明するんだ? 籍は?
 いまさら社会というものの重みを、両肩にずっしりと感じる。
 当人たちの気持ちはどうあれ、おれたちは血の繋がった兄妹だ。
 それだけは逆立ちしても変わらない。
 おれも楓も健康なおとなだから、しかるべき手順を踏めば、あるいは踏まなければいつでも子供を作れる。
                                ・・・・・・
 私生児として育てていくことも可能といえばそうだろう。
 だが、近親間に授かった子は先天的に欠陥を抱えていることが多いという。
 さらに親等が近いほど、危険性は指数関数的に増えるらしい。
 しかも、その爆弾は子々孫々まで受け継がれてしまうのだ。
 おれと楓の行為が、未来(さき)を生きるおれの子供たちに呪いを掛けてしまうのだとすると、
 一時の感情でどうこうしていい問題ではない。
 これが、禁じられた果実を齧った人間の行く先だというのなら、これほど相応しい報いはないだろうと。
 そう思う。
----
 
「倉井くん。今日これから、飲みに行かない?」
 この人は澤田さん。おれの直属の上司にあたる。
 どことなく気が弱そうな雰囲気で、良く言えば温和、悪く言えば多少日和見なところがある。
 そういうところが血の気の多い連中からすると目の上の瘤のように見えるらしいが、
 おれはこの人が好きだった。大学時代のある恩師にちょっと似ていたから。
「いいですね、お供します。ちょっと待ってください……」
 楓の携帯にことわりのメールを打っておこう。
 えーと、
 会社の上司と飲みに行くから、晩飯は先に食べててくれ。
 遅くなるかもしれないから、その時は俺を待たずに寝ること。
 ……と、こんな感じか。送信。
 
 男二人で洒落たところに行っても気が休まらないだろうということで、程近い焼き鳥屋にやってきた。
 中はおれたちと同じように、仕事帰りの一杯を楽しみに来ているおっさんらで一杯だった。
 壁や柱には長年の煙と脂が染み付き、お世辞にも綺麗とは言えないたたずまいだが、
 おれはこういう店のほうが好きだった。
「倉井くんは恋人と同棲しているんだったね」
 澤田さんは焼酎の入ったグラスを傾ける。
「ええ」
「一緒に生活を始めて……何年だっけ?」
「三年になります」
「結構長いね……吸ってもいいかい?」
 澤田さんは胸ポケットから、くちゃくちゃになったタバコの包装を取り出す。
 メンソールが好きみたいだ、ちょっと珍しいな。
「どうぞ、おかまいなく」
「ありがとう。最近の若い人は本当に吸わないよね。肩身が狭いよ」
 まるで深呼吸するように、肺の隅々まで煙を行き渡らせる。
 幸せそうだ。本当に美味そうに吸うなあ、この人。
「……余計なお節介かもしれないけど」
 前置きされると何か嫌だな。もしかしてお説教のために誘われたのかな。
「ちゃんとしてあげる気、ないの?」
「ちゃんと、って」
「身を落ち着けてみる気は……まだ、ないか。まだまだ若いもんね……」
 できるもんならとっくにやってます、と衝動的に言いそうになって堪える。
「いやね、ウチの会社もそれなりに大きくて、古いでしょ。昔からの慣わしってわけじゃないけど、
 上の立場の人間にはそれなりに色々と要求されるものがあるわけさ。単に仕事の出来の良し悪しだけじゃなくてね」
「……」
「きみは本当に良くやってる。工学部を出ると大抵は技術まわりを希望して入ってくるんだけど、
 すべての人間が希望するところにいけるわけじゃない。そうすると中には不貞腐れて辞めていっちゃう子も中にはいるんだな。
 でもきみはそうしなかった。……あんまり大きな声じゃ言えないけど、上のほうもきみを随分評価してる。
 ……僕の言いたいこと、わかるかな?」
「……なんとなく、ですが」
「このご時勢、先が見えないのは誰も一緒さ。でもね、一旦開き直ってしまって、はじめて見えるものもある。
 だから、うん。今日の話、胸に留めておいてくれるとうれしいな。
 ……ああ、何だか辛気臭くなってしまってごめんよ。今日は僕が奢るから。
 大将! 軟骨とレバー二本ずつ追加!」
 

 澤田さんと別れた後、ぼんやりとしながら夜の街を歩く。
(……ちゃんとしてあげる気ないの、か)
 楓と結婚して、子供を作って、休みの日には公園に遊びに行って……
 まるで夢のようじゃないか。
 それはきっと、楓にとっても。
 でも、その夢は叶えてやれないのだ。
 おれがおれであるかぎり。
(……今更悩むなんて、最悪だよな、おれ)
 楓が笑ってくれる。
 ただそれだけで十分だったのではなかったか?
 違うのか?
 今さら“普通”を望むのか?
 ああ、もう、どうしろって言うんだよ……ッ!





「……先輩……?」

 ひどく懐かしい声だった。
 
 それはまだ、おれが夢の中にいたころ。
 
 日々を共に過ごした、頼もしい戦友の、声だった。
193 ◆kQUeECQccM :2006/02/23(木) 11:11:18 ID:VjP+iKxP
じゅり の はんげき!
かえで は うごけない!

絶対息切れする。予言。
あと・・・がずれてしょんぼり。

気長にお付き合いください。
194名無しさん@ピンキー:2006/02/23(木) 11:34:38 ID:gNN/uZGH
きのうさくらむすびの桜シナリオで兄妹間の恋愛についての背徳感をイヤというほど味わった俺にとってはこれ以上ないほどタイムリーな投下だ
195名無しさん@ピンキー:2006/02/23(木) 12:04:59 ID:tleK7B3Y
反撃くるか!!!!
196名無しさん@ピンキー:2006/02/23(木) 12:07:48 ID:bEUT8PL8
いいよいいよー。
樹里の今までの状態が気になる
197合鍵 第二十一回 ◆tTXEpFaQTE :2006/02/23(木) 15:26:22 ID:Lj/eJoqj
合鍵  第二十一回


屋上に独り残された藍子。
敗北感と、孤独感と、寂寥感と、そして、うねる様な嫉妬感が胸にあった。

気がつくと、自分の部屋にいた。
どうやってここまで帰ってきたのか、記憶が無い。
帰宅中の藍子を見た人がいれば、藍子を夢遊病かと思っただろう。

涙が、止まらない。
止めるつもりも無かった。
もう、元也の近くにいる事さえ出来ない。あの女がいる限り、ダメなのだ。

なんで、あの女なんだろう?なんで、こんな事になっちゃったんだろう?
あの、二日間?もとくんと一緒に帰らなかった、あの二日間?
私が側にいなかったから、もとくんを、あんな女に、獲っていかれたの?
あの女は、ずっと、私がもとくんから離れるのを、狙っていたの?
たった、二回、もとくんと一緒に帰らなかっただけで、こんな事になったの?
じゃあ、ずっと、一緒にいれば、良かったのね?
他の女に、手を出せる隙を与えちゃ、ダメだったのね。
ずっと、私の目に入る所においとかなきゃ、いけなかったのね。

セーラー服を脱ぎ、下着も外した。
そして身につけたのは、いつか持って帰った、元也の寝巻きだ。
それを身に付け、彼女は、ベットに横たわる。
せめて、元也のにおいに包まれて、眠りたかった。
しかし、一度洗濯した元也の寝巻きからは、彼のにおいは消えていた。
その事がまた悲しくて、彼女は泣いた。

電話が鳴った。
寝ぼけながらも、元也は電話を取る。
誰だ?こんな朝っぱらから。
元也「…もしも、し?」
サキ『もしもーし、はにゃっほ〜
   起きた〜?』
元也「…サ、キ、さん?……どしたんです?こんな早くに」
サキ『モーニングコールだよん』 

時計を見る元也。
あれ?と思う。
藍子がいない。いつもの起こしてくれる時間は、もうすぐだ。

元也「ああ、ありがとうございました」
サキ『うん、じゃあ、遅刻しちゃ、ダメだよ。学校で会いましょう』

なんで、藍子がいないんだろう?体調、崩しちゃったのかな?
とりあえず、朝ご飯だ。

198合鍵 第二十一回 ◆tTXEpFaQTE :2006/02/23(木) 15:28:31 ID:Lj/eJoqj
>>197の続き

リビングに降りて、パンを焼く。
いつもなら、そこにはパンとサラダと目玉焼きが、用意されているのに今日は無い。
贅沢に慣れちゃったなあ、と思うと同時に、改めて、藍子への感謝の念が起きる。

顔も洗い、制服に着替え、玄関を出る。
だが、何となく力が出ない。理由は分かっている。朝ご飯が貧相だったからだ。

なんで、藍子、来てくれなかったのかな?
藍子が心配になってきた。腕時計を見る。遅刻ギリギリだ。
少し考えた後、決めた。藍子の家に言ってから、学校に行こう。
今更、遅刻を気にするのも馬鹿馬鹿しい。

藍子の家のインターホンを押すと、藍子の母が出た。
藍子の事を尋ねると、案の定、体調が悪いそうだ。昨日帰ってきてからずっと寝込んでいるらしい。
お邪魔します、と言って、家に上げてもらう。
そして、二階の藍子の部屋に向かった。

眠っていた。
悲しい夢を見ながら、眠っていたのに、玄関から元也の声が聞こえると、一気に覚醒した。
迎えに来てくれた!
心の底から、喜びが沸き起こる。
だが、それが何になるのだ。
もとくんは、もう、サキさんのものなのだ。
そう思うと、喜びが消え、再び寂寥感だけが胸に残った。

部屋のドアがノックされた。
藍子は起き上がろうとしたが、自分が元也の寝巻きを着ていることに気がつき、慌てて布団を被った。

入るぞー、と言いながら、元也が部屋に入ってきた。
元也「大丈夫か?風邪か?」
藍子「…うん、大丈夫、ちょっと、頭が痛いだけ」
元也「そっか、じゃあ、大丈夫かな。
   早く良くなって、朝ご飯作りに来てくれよ。食パンだけだから、なんか力が出てこないよ。」

その言葉に、涙が出そうになる。
けど、もうそれは出来ないのだ。あの女がいる限り。
涙を隠すため、横向きになる藍子。

元也「じゃあ、遅刻しちゃうし、もう俺いくから。
   大人しく、寝てろよ?」

…遅刻?ふと気になった。私が起こしてないのに、何で、もとくん、ちゃんと起きれているの?
藍子「…ねえ、今日、ちゃんと独りで起きれたの?」
元也「ああ、うん、けさ、サキさんがモーニングコールしてくれたんで、助かったよ」

藍子「サ、キ、さん」
元也の口から、その名前が出てくると、切れた。

199合鍵 第二十一回 ◆tTXEpFaQTE :2006/02/23(木) 15:30:25 ID:Lj/eJoqj
>>198の続き

藍子「…ねえ、もとくん、サキさんと、何なの」
元也「何なのって?え?」
藍子「とぼけないで」
元也「………
   ああ、知ってるのか。うん、そうなんだ。サキさんと俺、なんと言うか、さ」
藍子「サキさんのこと、好きなの?」
元也「当然だろう」
藍子「どこが?」
元也「どこって、言われても」
藍子「なんで?」
元也「?藍子、どうした?」
藍子「なんで、私じゃなくて、サキさんなの?
   私、今までずっと、もとくんの為に頑張ってきたじゃない!」
元也「藍子?」
藍子「それなのに、どうして、私から離れちゃうの?
   そんなの、おかしいじゃない!!!!
   そんなの、ひどすぎる!!!!!!!!!
   別に、別に、もとくんに気に入られたいから、今まで頑張ってきたわけじゃないけど、けど、
   もとくんが喜んでくれるならって、それで頑張ってきたけど、でも、でも、こんなの、ひどいよ!!!!
   私、もとくんの好きな食べ物も知ってるし、好きな事だって知ってる!!
   だって、小さい頃から、ずっと、見てきたんだもん!!!!十年以上!もとくんだけを想って
   生きてきたんだよ?
   それなのに、それなのに、それなのに!!
   見てよ!これだって、そう!このもとくんの寝巻きだって、そう!!
   もとくんが離れていって、寂しかったから、これを着て、自分を誤魔化してたんだよ!?
   こんなに想ってるのに、こんなに想い続けてきたのに、なのに、あんな、急に出て来た人のところに
   行っちゃうの!!!!???
   おかしいよ!!!!!!!!!こんなの!!!!」

藍子の迫力に驚いていた元也だったが、藍子から目を逸らし、
元也「……ごめん…」
とだけ言った。

藍子「もういい!!
   もう、こんな、ひどいもとくんなんて、いらないっ!!!消えて!!!!
   私を一番に想ってくれないなら、もう、いい!!!!
   二度と、こないで!!!!もとくんなんか、サキさんと一緒に死んじゃえ!!!!」

元也「…ごめん…」
ポツリとそう呟くと、元也はベットサイドから立ち上がった。
藍子「ま、待って!!!!!」

藍子「違う!!いまの、違う!!!
   違うから、わたし、そんな事思ってない!!!!
   違うの!!!いいの!!!いいから、私、二番でもいい!!ううん、もっと下でもいい!!
   だから、だからお願い、側に、いて。側にいさせて。お願い。
   何でも言う事、聞くから。お願い、近くにいさせて。お願い!!!!! 
   おね、がい、だから、………おね…が……い、し…ま……すから…」
最後の方は、もう、ことばにもならず、嗚咽のみが出ていた。

縋り付く様な藍子を、元也は抱きしめてやりたかった。
けど、それはもう、出来ないのだ。
サキと付き合うことになったのは、後悔してない。サキを愛していると、胸をはって言える。
それでも、元也は、自分が、間違ってしまったのかもしれないと、そう思ってしまった。
藍子も、サキと同じくらい、いや、ひょっとしたら、それ以上に、大事な人だから。

200『鏡』 真実編 ◆AsuynEsIqA :2006/02/23(木) 16:04:58 ID:X6jdVchJ
ただもがいても駄目だ。冷静に道を探し出せ。考えろ………
「そうだ…」
後ろのポケットをあさる。確かここに…
「あった!!」
家の鍵だ。ギザギザ部分を使えば何とかなるはずだ。他に方法はない。
ずりずり
「くっ!ぐぅ。イツツ!」
体が堅いため、肩の筋がつりそうになる。
ずりずり
もう少し…
ずりずり
ブチ!!
「切れた!!切れやすい紐で助かったな。」
まだ安心するのは早い。すぐさま足の紐を解き、部屋を飛び出す。まだ少し頭がクラクラするがかまってられない。急がないと…






病院
「森崎真奈の見舞いに来たんですが…」
「あ、毎日ご苦労様です。」
看護師に挨拶をし、真奈の病室に行く。もう少し。もう少しで涼は私の物に…。真奈は杉田の好きにしてもらえばいい。たとえ誰かにばれたとしても、その時は杉田を切り捨てればいい。
まさか双子の妹が姉を凌辱させるなんて誰も信じないだろう。
ガチャ
「やあ。真由さん…」
もう杉田は病室に来ていた。他にも二人男がいた。待ち切れない様子だ。本当に馬鹿な男たち……
「声を掛けたら集まってね…人が多いぶんには構わないだろ?」
「もちろんです。杉田先生。」
「真由…どうしたの……?」
「姉さん。涼さんは私が貰います。あなたは…杉田先生たちに犯されるのよ。
そうすれば、涼さんは私だけを見てくれる…。汚れたあなたに魅力なんてないでしょ?」
真奈の顔が青ざめ、目が見開く。
「な……何言ってるの?真由…冗談でしょ?」
「いいえ、本気よ。言ったでしょ?涼さんは私の物だって…先生。ではどうぞ。」
「ハアハア…ああ、やっと…ハアハア」
201『鏡』 真実編 ◆AsuynEsIqA :2006/02/23(木) 16:09:53 ID:X6jdVchJ
杉田がハンカチを真奈の口に当て、声を塞ぐ。残りの二人が真奈の服を剥いでいく。
よほど我慢していたのだろう。服を脱がすのに焦っている。
「そう慌てないでください。まだまだ時間はありますから。」
「ぐぅ!い、イヤァァァ!!!た、助け…助けてぇー!涼くん!涼くん!」
ビリビリビリ!
結局服は破かれ、真奈は下着だけになる。
「あぁ、ハアハア、もう我慢できない!!」
「いいねぇ、その顔…余計そそられるねぇ…」
男達はカチャカチャとベルトをはずし始める。なんとか抵抗しようと、真奈ももがいて必死に叫ぶ。
「無駄よ。涼さんは来ないわ。いえ…来れないわ。ましてやこんな真夜中に…誰も気付きはしないのよ!」
鞄からカメラを取り出す。『勝利』を収めるために。自分と同じ顔が犯されるのを撮るのは少し気が引けると感じた時…………
バァン!!
おもいきり開かれる病室のドア
「マナァ!!」
聞こえるはず……聞こえてはいけないはずの声が聞こえる。
愛しい声…でも今は聞きたくなかった声………
「どう…して…?」
振り向いて声を掛ける。だがすでにその声の主は自分の横を駆け抜けていた…
202名無しさん@ピンキー:2006/02/23(木) 16:15:32 ID:VjP+iKxP
「嫌い、嫌い、大ッ嫌い、でも好き、大好き」
これいいですよね!
203名無しさん@ピンキー:2006/02/23(木) 19:40:16 ID:UECra1/s
なんで修羅場とか女性化のSSスレが止まっていたのかと思ったら容量オーバーだったことに今日気が付いた
204名無しさん@ピンキー:2006/02/23(木) 21:40:13 ID:a+S3B4ym
>>201
GJ!ハラハラしたけどNTR回避でヨカタ。。。
実は真奈が記憶を失ったというのは演技で、真由の企てに気づいて
こっそり病院を抜け出し、手術用メスを片手に真由に復讐するため病院の
パジャマ姿で襲ってくるという展開を妄想していた漏れは病気ですかそうですかw
205名無しさん@ピンキー:2006/02/23(木) 22:40:08 ID:mJh7gdPj
>>193
祝、連載再開! なんか、想像していたよりも復活早くてヨカタ。
にしても序盤はシリアスな展開でこのまま行くかと思えば、いきなり再開(w
罪悪感とか郷愁とか、もうワクワクテカテカですよ?
彼を脅す材料もありそうで、スレ的に色々と楽しみだ(鬼

>>199
ああ、この泥沼感が良さげ。そろそろ元也が逃げ出しそうな気が。

>>201
もしかすると、スレでは珍しく格好良く助けに入った主人公かもしれない……
結果的には真由の大敗北かな。
206名無しさん@ピンキー:2006/02/23(木) 23:11:17 ID:Yb/yJoEM
>>199
藍子派としては何とか逆転してもらいたい・・・
俺の中の依存属性がうずいてしょうがないんだ・・・orz
ちょっと興奮してきたので走ってきます ε=ε=ε=ε=ε=(。・ω・)
207名無しさん@ピンキー:2006/02/23(木) 23:57:11 ID:DL1G9afy
漏れ的には気丈だけどいじらしいサキたんがすげぇ好みなんだよな
藍子タンに負けるな〜 フレーヾ(゚ー゚ゞ)( 尸ー゚)尸_フレー
208名無しさん@ピンキー:2006/02/24(金) 03:15:05 ID:ggVwdewV
もしかしたらサキ先輩と藍子タン派にきっぱり別れてねぇ?
そんな俺はサキ先輩派ー。

これは作者。どう落とすの見物です。
209名無しさん@ピンキー:2006/02/24(金) 05:12:40 ID:lGlGscAk
幼馴染属性持ちとしては藍たんに肩入れ…
このタイプを見捨てられない漏れはヘタレ
210名無しさん@ピンキー:2006/02/24(金) 05:31:39 ID:3SsPBNXv
漏れは藍子たんを応援します
211名無しさん@ピンキー:2006/02/24(金) 07:09:47 ID:tDbHQFV8
>>209
(・∀・)人(・∀・)ナカーマ
 樹里ちゃんに連れられてやってきたのは、さっきまで澤田さんと飲んでいた店よりちょっと上品な感じの飲み屋だった。
「心配しなくても、私がおごりますから。気にしないでください」
 今日はよく奢られる日だ。そんなにおれって素寒貧に見えるのかね。背広が安物だってばれてんのかな。
 だがさすがに、年下の女の子にご馳走してもらうわけにもいかない。
「後輩にお世話になるほど落ちぶれちゃいないつもりなんだけど」
「そういうつもりで言ったわけじゃありませんよ」
 くす、と微笑する。
「しかし樹里ちゃん、綺麗になったなあ……」
「大学にいた頃は、お化粧をしてませんでしたから。社会に出て、まさかそういうわけにもいきませんしね」
 ってことは、あれはすっぴんだったのか。もしかしなくてもこの子、物凄い美人なんじゃ。
「今は何の仕事をやってるの?」
「父が弁護士で、その秘書みたいなことをやってます」
 何だかすごいな。
「先輩は?」
「ああ、…ってあるでしょ? 車の。あそこの営業所で営業やってる」
「先輩の方が立派です。何だかんだ言っても、私の場合身内ですから」
「仕事に身内も縁故もないよ」
 燗をつけたポン酒を舐めながら、樹里ちゃんは遠い目をしている。
「それにしても意外な再会でしたね」
「もしかしたら、知らずに何回かすれ違ってたりしたかも」
「かも、しれませんね」
 そもそも、樹里ちゃんが東京に来ていることを知らなかった。
「お、このカツオのたたきはうまいな」
「ここ、前に父さんに連れてきてもらったお店なんです。ビジネス絡みで連れまわされるうちに、色んなお店を覚えちゃって。
 年のわりに趣味が渋すぎるとは自分でも思ってるんですけどね」
「いや、いいんじゃないか? おれも正直、こういう雰囲気のほうが好きだよ」

 樹里ちゃんは相変わらず頭と気が良く回る子で、以前と比べると少しだけ表情が柔らかくなった。
 彼女からすれば一番聞きたいはずの話にも、あえて触れないようにしてくれているのもありがたい。
 結局その日は新しい連絡先を交換して、駅で別れた。
 
----
 
 楓は寝ずに待っていた。
「先に食べてろって言ったのに」
「ひとりで食べても美味しくないですから」
 おれの背中に取り付いて、背広を脱がしにかかる。
「作ってもらっておいてなんなんだけど、腹いっぱいなんだ。すまん。明日の朝食べるから」
「気にしないでください。でもせめて、隣には座っていてくださいね」
「何で?」
「兄さんの顔を眺めながら食べたいんです」
「おれの顔をおかずにするんじゃねえよ」
「子供の頃から散々してきましたけど、飽きませんね」
「……」
「……」
 べしっ。
「叩かないでください、ばかになりますから」

 結局楓の対面に座って、テレビのニュースを眺めることにする。
 何が嬉しいのかわからんが、楓はやたらとにこにこしながら飯を食っている。
 気楽なもんだよな、人の気も知らないで……
 
----

 弁護士の秘書という仕事を通して、様々な人種と会ってきた。
 ワーカホリック、快楽主義者、お人よし、クスリ漬け、守銭奴……
 その中には、好意を抱くに値する人格者もいることにはいた。
 それでやっと忘れられる、前へ進めると思った矢先にこれだから、やっぱり先輩は残酷だ。
 その優しさが、暖かさが、力強さが、それらすべてが、痛い。
「……もう、諦めなくて、いいですよね。こんなに、好き、なのに、我慢、なんて」
 できないし、してやらない。誰から何を言われようとかまうものか。
 そのためにはどんな悪女にでもなってやろう。
 もう、遠慮なんて、しない。
 私は、私のやり方で、奪う。楓さんがかつて、そうしたように。
 そう決めてしまえば後は楽だった。

 これからの私は。
 ただ一人の男性を篭絡するためだけに。
 駆動する。
214 ◆kQUeECQccM :2006/02/24(金) 08:05:57 ID:6D05F/Hl
しばらく更新滞ります。
理由は今日の日付を踏まえてお察しください。多分それで合ってます。
それと、嫌がってるのをわかっていてネタバレしてくる人間は正直(自主規制)と思いました。

>205
中の人がコメディタッチ好きなので、シリアスシーンの連続に耐えられないのです。
是非別の職人さんにおねがいしてみてくださいw

もちろん藍子派ですよ。依存ちゃんすきすきー。
215名無しさん@ピンキー:2006/02/24(金) 08:40:54 ID:DETlPxrd
http://ja.wikipedia.org/wiki/2%E6%9C%8824%E6%97%A5


…いや、わかってますよ。
あれですよね、あれ。
216名無しさん@ピンキー:2006/02/24(金) 09:41:31 ID:OH9jcBKQ
>>214
GJです、3年待ったぶん結末は自身で見届けてください
自分はスケート板でネタバレ受けましたOTL
217名無しさん@ピンキー:2006/02/24(金) 10:44:15 ID:Tyfe38Mu
>>214
本当にグッジョブです。
しかし今日が何の日かわからない・・・
無理して知ろうとは思いませんけどね
218名無しさん@ピンキー:2006/02/24(金) 17:02:25 ID:d6mWiP2x
>>217
発売日が延期され続けた、某ゲームの発売日
219名無しさん@ピンキー:2006/02/24(金) 17:49:33 ID:poREoo+a
前期試験前日かとオモタ・・・orz
220名無しさん@ピンキー:2006/02/24(金) 18:36:36 ID:379JPDP1
合鍵の元也に限って、
藍子が男と喋ったりすると嫉妬するから
ヘタレ属性というものはわからないものだ
221217:2006/02/24(金) 19:08:45 ID:Tyfe38Mu
成る程・・・アージュのアレか・・・
そういや前作も延期の嵐だったなあ
スレ違いなのでsage
222名無しさん@ピンキー:2006/02/24(金) 22:10:09 ID:mOWyvHNG
>>214
GJ・・・なのに寸止めだなんて蛇の生殺しだよぉ
223名無しさん@ピンキー:2006/02/24(金) 22:50:08 ID:RoXFsjAN
>>214
私なんかよりあのゲームがいいのね!!
224 ◆M1igzo3EW. :2006/02/24(金) 23:30:58 ID:3QaCsrM3
マターリという名前のところに修羅場物をアップするのもどうかと思いながら新しいやつです↓
ttp://mata-ri.tk/up5/src/5M3158.zip.html パスはやっぱりsyuraba
特に注意することは無いと思いますが、動かないって方は報告お願いします。

>214
お疲れ様です。
そっか……あのゲームのところに行っちゃうんだ……
でも、信じてるからね。ここに帰ってくるって。帰ってこないなら……

>197-199
私も藍子派ですのでこれからにwktk
225名無しさん@ピンキー:2006/02/25(土) 01:29:45 ID:3LktLyjl
>>224
.20txt辺りでエラー発生
読み込めないってさw
226合鍵 第二十二回 ◆tTXEpFaQTE :2006/02/25(土) 01:39:09 ID:rV6qm42I
合鍵  第二十二回


私を一番に想ってくれなくてもいい。
ただ、近くにいられるだけで構わない。
私は幼馴染だから。
恋人なら、いつか別れる時が来るかもしれない。
けど、幼馴染の繋がりは、切れることは無い。
これから先、永遠に繋がっていられる。
だから、私はこのままで、いい。まんぞく、しなくちゃならない。
私は、幼馴染だから。
だから、もとくん、そばに、いさせて。もう、困らせないから。わがまま、いわないから。

土曜日、日曜日の連休の間、藍子は家から一歩も出なかった。
外に出て、元也とサキが一緒にいる所を偶然見てしまうことが怖かった。
だから、ずっと、ベットの上で、泣きながら過ごした。

休み明けの月曜日、藍子は泣きすぎて真っ赤に腫れた目を気にしながらも、学校に向かった。
いつまでも泣いているのは、サキに負けた気がした。

無意識に、学校とは逆方向、元也の家のほうに足が向いていた。最初の角を曲がったところで、もう自分が
元也を起こしに行く事はできない事を思い出した。

涙が溢れそうになったが、唇を噛んで我慢した。
もう、気にしないことにしたのだ。
私はただの幼馴染。もう、それ以上を望んでしまえば、元也の側にいる事は出来ないのだ。

元也を起こしに行かないので、いつもよりずっと早く学校についた。
自分の席に座る。窓際なので、グランドが見える。
正門を眺める。
元也が来るのを、せめて、遠くから見たかった。

その日、藍子は元也とは一言も喋らなかった。藍子の方から元也を避けた。
話せば、こらえているものが溢れ出て、止められなくなる事が分かっていた。
それでも、視線は常に元也を追ってしまう。

放課後、元也は美術室に向かう。教室を出る時、藍子の方を見た。だが、藍子の方から
目を逸らした。元也は何か言いたそうだったが、気付かない振りをした。

下駄箱の前で、上履きから、革靴になる。
今日、何とか泣かずにすんだ。このまま、この悲しさが消えていくまで、こんな風に、過ごそう。
きっと、いつか、もとくんと自然に話せる時が来るはずだ。
………………ムリ。そんなの、無理。この悲しさが、消えるはずは無い。

227合鍵 第二十二回 ◆tTXEpFaQTE :2006/02/25(土) 01:40:52 ID:rV6qm42I
>>226の続き


涙が、ぽとり、と落ちた。
慌てて目を擦っていると、後ろからクラスメートに声をかけられた。

「あ、丁度良かった。藍子、このノート、元也君に返しといてくんない?
 一昨日借りてたの、すっかり忘れちゃってさ、謝っといてね!」
それだけ言うと、そのクラスメートは走り去っていった。ジャージに着替えているので、
これから部活があるのだろう。

藍子に元也への返し物を預けるのは、当然のことだった。この二人がいつも一緒にいる事を知らない人間は、
クラスにはいないのだから。
しかし、今現在の、藍子と元也の微妙な関係を知っているクラスメートはいない。

元也のノートを渡された藍子は、立ちすくんでいた。
今、元也には会いたくない。
しかも、今、元也がいるのは美術室、サキと一緒にいるところなのだ。
絶対に、見たくなかった。

それでも、元也が困るかもしれない、そう思って、美術室に行く事にした。
美術室へと向かう間、ずっと地面が揺れている気がした。

美術室のある四階への階段を登りきった途端、美術室のドアが開いた。
思わず、隠れてしまった。
何で隠れなきゃいけないのよ、と思い直し、美術室の方を見る。

心臓がギュウっと、縮んだ。
サキに腕を引かれて、元也が歩いていた。そのまま、二人は屋上へと向かう。

思考が停止したまま、後をつける。
屋上のドアの影から、二人の様子を覗き見る。

228合鍵 第二十二回 ◆tTXEpFaQTE :2006/02/25(土) 01:41:45 ID:rV6qm42I
>>227の続き


二人は、キスをしていた。

キスをしているサキと、目があった気がした。ただの気のせいかもしれない。
それでも、その場から、逃げた。

家に帰り、自分の部屋のベットに潜り込んだ。
諦めると決心した事も頭から吹き飛び、ただひたすらに、絶望感があった。

元也から貰った合鍵を、握り締める。
これだけが、支えだった。けど、もう、これさえも、何の意味も無いように思えてきた。

……
………………
………………………
…………………………………………………ああ、そうだった、の、ね。
ああやって、私のもとくんを誑かしていたのね。あの女は。
ああやって、あの汚い女は、もとくんを騙したんだ。
救ってあげなきゃ。
わたしが。

むくり、と藍子が起き上がった。
時計を見る。夜の二時だ。
フラフラとおぼつかない足取りで、家を出た。裸足である事も気がついていない。

元也の家の前まで来ると、合鍵をさしこみ、音を立てないように回した。
ゆっくりと、足音を立てないようにしながら、道具箱を探した。
道具箱から、一つ二つ、物を取り出す。

元也の部屋のドアをあける。
電気をつけないでも、月明かりで部屋の様子が見えた。
元也はぐっすりと寝込んでいた。
その事を確認すると、元也のベットの下から、元也が隠している本を取り出す。
流石に月明かりでは読めないので、デスクスタンドを灯した。
その本で、手の縛り方を確認すると、スタンドの電気を消した。
そして藍子は、寝ている元也の方へとセーラー服のスカーフを外しながら、向かっていった。
229名無しさん@ピンキー:2006/02/25(土) 02:05:33 ID:+z8jjHbg
>>228
ちょっ、道具箱って ガクガク((((゚Д゚ ;))))ブルブル

主題である合鍵が見事に生かされ、流れるようにストーリーが展開しますね。
お見事です。
230名無しさん@ピンキー:2006/02/25(土) 02:58:50 ID:DlgI4jsJ
ついに鋸クル━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!!!!
231224 ◆M1igzo3EW. :2006/02/25(土) 06:50:35 ID:KUhWpxy6
>225
ごめんね。マジごめんね。
ttp://mata-ri.tk/up1/src/1M1347.zip.html
これ上書きしてください。自分で見直してもう一箇所やってしまってる場所ありましたのでorz

>228
藍子ぉぉぉぉぉ!
>230
ちょ、おま、鋸ってw
232名無しさん@ピンキー:2006/02/25(土) 07:24:39 ID:yCBJ4AsF
>>228
Σ( ゜Д゜;)!!!!道具箱って何をする気だよ、藍子たん
233名無しさん@ピンキー:2006/02/25(土) 07:33:31 ID:jAeC30VN
藍子たんになら何されてもいい
234名無しさん@ピンキー:2006/02/25(土) 09:43:40 ID:cko7HBZq
いいわけねーよw
だがサキがどう反撃するか楽しみ
235名無しさん@ピンキー:2006/02/25(土) 12:41:07 ID:uHGWQ8RB
藍子たんなら何してもいい
236名無しさん@ピンキー:2006/02/25(土) 15:42:31 ID:qLNnZipV
道具箱……結束バンド?! 鋸?! 
237名無しさん@ピンキー:2006/02/25(土) 17:14:46 ID:tF+gJda2
>ゆっくりと、足音を立てないようにしながら、道具箱を探した。
>道具箱から、一つ二つ、物を取り出す。


キ、キタコレwwww
238優柔 第9話  ◆I3oq5KsoMI :2006/02/25(土) 21:04:24 ID:jj+u20Xd
別れようって言われた時は、自分の耳がおかしくなったんじゃないかって思った。
だってその2、3日前にデートしたんだもの。
恋愛映画を見て、手を繋いで繁華街を歩いて買い物して、駅ビルの屋上で夜景を見ながらキスをして・・・
だから信じられなかった。ゆう君が私を置いて帰るなんてこと、今までで一度も無かったし。
きっとゆう君は、弾みで言ってしまったんだと思う。本当は別れる気なんて無いのに別れようって。
それ位怒ってたなんて全然気づかなかった。
だから私は1週間ゆう君と距離を置いて、今までの自分の行動を振り返ってみた。

ちょっとやり過ぎたかなって思う。
いくらゆう君が甘えんぼうだからって、四六時中一緒にいられたら嫌になるかもしれない。
それに、ゆう君のやることにいちいち口出しするのもいけなかったのかもしれない。
今までの私って・・・まるで教育ママみたい。
――ほら、そんなことしちゃいけないでしょ。私の言う通りにしていればいいのよ。勝手にどこかに行ったら駄目じゃない――こんな感じ。
私だって子供扱いされるのは嫌なんだから、男の子であるゆう君にしてみれば尚更嫌よね。
恋人というよりは親子みたいな関係になってたことに気付かなかったんだから、ゆう君が怒るのも無理ないか。
よし、これからはくっ付き過ぎないでやっていこう。
もっとゆう君を一人の男性として尊重して、お互いを高め合うような関係にしていこう。
そうすればゆう君は、二度と別れようなんて失言をしないはず。
私達はこれまで以上に素敵な恋人になれる。
とりあえず・・・謝りに行こうか。下校時刻はとっくに回ってるから、お家のほうに行こうかな。

ゆう君が他の女としちゃうなんて思ってもみなかった。
すごくショックで、涙が止まらなかった。
私意外の女と・・・そこまで怒ってるなんて知らなかった。
ごめんね、ゆう君。

ゆう君は泣いてる私にハンカチを貸してくれた。
私が泣き止むまで傍にいてくれた。
駅まで送ってくれた。
ゆう君は何も喋らなかったけど、態度で示してくれた。
それが全てを表してたんだと思う。
やっぱり、ゆう君は優しいな。本心では私のことを想ってくれてるんだ。
239優柔 第9話  ◆I3oq5KsoMI :2006/02/25(土) 21:05:25 ID:jj+u20Xd
今日の私の行動は、ちょっと失敗だったと思う。
ゆう君にハンカチを返すだけでそのまま帰るなんて。
なんであの時思いつかなかったんだろう・・・ゆう君としたのは誰か、確かめようって。
誰だろう、私のゆう君をたぶらかす悪い女は。どんな女か考えてみようかしら。

ゆう君って性欲強いけど、相手はちゃんと選ぶはず。
「どんなに魅力的でも、頭が悪そうな子は嫌かな。あと、遊んでそうな子もちょっと・・・」って前に言ってたぐらいだし。
それから、ゆう君ってどちらかと言えば内向的だから、自分から積極的に知らない女に話しかけたりしないはずだわ。
だから女の方から接触してきたと思う。それでいてゆう君と面識がある女。
しかもその女は・・・これは一番の懸念材料なんだけど・・・ゆう君に気がある。
別れ話を切り出されてから一週間しか経ってないのにエッチしちゃうなんて、向こうに好意があったと考えるのが妥当ね。
そう考えると相手がどんな女か分かってくるわ。
ゆう君は部活には入ってないから縦の繋がりは希薄、だから同級生の子が有力。
だとすれば・・・ゆう君のクラスの子か、1年の時に一緒のクラスだった子かな。
でもこれはただの推論だから、実際に見て確かめるしかなさそうね。
ゆう君に話しかける女は結構多いからすぐに特定できないけど、ゆう君を見張っていたらすぐに判明するわ。
明日からは気をつけなくちゃ。二度と失敗しないようにね。

・・・ああ、そういえば上級生に一人だけゆう君と仲が良い女がいたっけ。
たしか・・・杉山先輩っていったかな。
客観的に見たら美人だし、おっぱい大きいし。でも、ゆう君に気があるとは思えないな。
それに、誰とでも寝てそうだから・・・ゆう君が選んだりするわけないか。

私のゆう君が他の女に汚されると思うと我慢できない。
身体を使ってゆう君をたぶらかすなんてホント、最低な女ね。
女というよりメス犬と言ったほうが適切かもしれない。
汚くて節操が無くて人のものを取ろうとしてゆう君の優しさを逆手に取るような最低最悪のメス犬・・・
・・・ああ、駄目だわ。そいつのことを考えてる時の私の顔・・・ゆう君に見せられないくらい酷い。
机の上の鉛筆、気付かないうちに何本か折れてる。
いけないいけない・・・ゆう君のこと考えて、この苛立ちを抑えよう。

ゆう君、メス犬とそれ以上セックスしないでね。
いくらゆう君でも獣姦なんてしてほしくないから。

ゆう君が早く戻ってくるように頑張らなくちゃ。
240名無しさん@ピンキー:2006/02/25(土) 21:45:01 ID:p+HNUR/L
GJ!!!
241名無しさん@ピンキー:2006/02/25(土) 21:49:43 ID:o9yyvHr5
>机の上の鉛筆、気付かないうちに何本か折れてる。

!!!!!


GJ!
242名無しさん@ピンキー:2006/02/25(土) 21:53:55 ID:2TyqudvW
>>238
えぇぇぇぇええぇぇぇえぇぇ
まだ全然別れてないつもりだよこの子
うわああぁあぁぁぁあぁぁぁ
243名無しさん@ピンキー:2006/02/25(土) 22:19:24 ID:KgVFJILh
じゅ獣姦なんて過激な子だなぁ・・・

そんな自分は椿ちゃん派
244名無しさん@ピンキー:2006/02/25(土) 23:37:27 ID:Ytx1WE2t
日本語が通じない女キタァァァ

実際いそうでこええ…
245名無しさん@ピンキー:2006/02/26(日) 00:21:21 ID:jG3l9OHh
ぷち言葉だ
246名無しさん@ピンキー:2006/02/26(日) 00:32:37 ID:eX3P8Gdn
椿ちゃんが椿様に進化するその時を、ワクテカしながら待ってます。
247合鍵 第二十三回 ◆tTXEpFaQTE :2006/02/26(日) 01:17:18 ID:Ql3NJ7hW
合鍵  第二十三回


唇に何か当たる感触がある。
何かなと、目を開けると、月明かりの中、藍子が被さってきていた。
下着姿の藍子が自分の唇を絡みつくように元也の唇に当てる。一方的な、濃厚なキス。

なんだ、夢か。こんな夢見て、サキさんに申し訳ないなあ。
そんな事を思い、この夢を振り払うため、寝返りを打つ。

「もとくん」
藍子の声がハッキリと聞こえた。
あれ、と思っている間に、グイっと体を仰向けにされた。
そしてまた、口の中に藍子の舌を入れられた。

口の中で蠢く藍子の舌がやけに生暖かい。
藍子の荒い息がやけに大きく聞こえる。
体に乗っている藍子の体温が熱い。
頭が覚醒してくる。

元也「あ、藍子?」
何してんだよ!と、体を起こそうとしたが、出来なかった。
手首を縛られて、ベッドにくくり付けられていた。

そんな元也の様子を見ると、藍子は満足そうに微笑んだ。
そしてまた、元也の口に舌を這わせる。

止めてくれ!そう叫んだが、藍子は聞く耳をもたない。
もう一度叫ぼうとしたときに、元也は気がついた。

藍子が、泣いていた。

泣きながら元也にキスをして、泣きながら元也の首筋を舐め、泣きながら元也の顔を
撫でていた。

こんな事をしながら、ずるい、そう思う元也。
藍子に泣かれたら、元也はどうしようもないのだ。

藍子「もとくん、もとくん、もとくん、もとくん、もとくん、もとくん、もとくん、もとくん、
   もとくん、もとくん、もとくん、もとくん、もとくん、もとくん、もとくん、もとくん」
元也の名を呼び続けながら、元也の体に自分の体を擦り付ける。

藍子「もとくん、もとくん、もとくん、もとくん、もとくん、もとくん、もとくん、もとくん、
   もとくん、もとくん、もとくん、もとくん、もとくん、もとくん、もとくん、もとくん」
元也の左足を、両のふとももで挟み、腰を動かす。鼻にかかった甘い声が、藍子から漏れる。
だが、それでも元也の名を呼び続ける。

お互いが汗まみれになった頃、藍子が下着を外し、元也の腰の上に膝で立った。

248合鍵 第二十三回 ◆tTXEpFaQTE :2006/02/26(日) 01:18:14 ID:Ql3NJ7hW
>>247の続き


そして、元也を受け入れた。
初めてなのだ。快感など無く、痛みしか無い。
だが、一言もそんな事を漏らさず、腰を動かす藍子。

そんな藍子の痛々しい様子を見たくなく、目を逸らす元也。
だが、藍子に頬を持たれ、
「私を見て、お願い……」
と言われ、藍子を見る。藍子は、涙を流しながら、微笑んでいた。微笑みながら、泣いていた。

その涙を拭いてやりたいが、両手は縛られていた。
縛られていなければ、藍子を受け入れはしなかった。

事は終わり、藍子はセーラー服を着なおした。
そして、まだ縛られている元也に顔を近づけ、キスをしようとする。
だが、元也は顔をそむける。

顔を逸らしたまま、元也が、ごめん、と言った。

藍子が息を飲むのが分かった。

藍子「…………………これでも、まだ、だめなの?
   ……………サキさんと、いっしょのこと、しても、だめなの?
   ………………………なんでよう……………
   どうして、なのよう…………………」

カチカチカチ、と音がした。
カッターの刃を出す音だ。

なまぬるい液体が、元也の胸にぼとり、ぼとり、と音をたてて落ちてきた。

藍子の手首から、その液体は落ちていた。

その液体が、藍子の血だと気付くまで、数秒かかった。

血を流しながら、藍子は元也の隣に横になる。
藍子「ねえ、もとくん、もう、一緒にいてくれないなら、せめて、さいごは、
   となりにいてね。さいごの、おねがい」
正気を逸した瞳で、微笑む藍子。
血が流れている方の腕で、元也の頬を撫でる。

元也は縛られている腕を解こうとするが、よほど上手く縛ったのか、びくともしない。
焦る元也。血は、勢いを弱める事無く出続けている。

元也「藍子!しっかり、しっかりしろお!!
   眼ェ、開けろっ!!!!
   分かった、もうお前から離れない、ずっと、お前の気がすむまで一緒にいるから、
   頼む、頼むから、死ぬな!!!死なないでくれえっ!!!!!!」

力一杯で叫んだが、藍子は反応しない。
そうしている間にも、ベッドのシーツは、どんどん赤く染まっていった。 
249名無しさん@ピンキー:2006/02/26(日) 01:25:21 ID:OzKw3Wv+
・・・・((((゚Д゚ ;))))
250名無しさん@ピンキー:2006/02/26(日) 01:31:28 ID:74Dtv8X+
そっちかーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!
◆tTXEpFaQTEに上手く翻弄されてる俺ガイル
251名無しさん@ピンキー:2006/02/26(日) 01:43:33 ID:e3GYED8s
>>238
獣姦キターー
椿様への超進化も遠くないな
252名無しさん@ピンキー:2006/02/26(日) 03:05:59 ID:A+s1prAT
>>248
元也殿、我輩の最も待ち望んだ台詞「お前の気がすむまで一緒にいるから」を言うとは!
僥倖、実に僥倖である
ここまで神がかった作者殿には足を向けて寝られませぬ
253『鏡』 真実編 ◆AsuynEsIqA :2006/02/26(日) 04:12:33 ID:uwHRDWhJ
「ど、どうして?……イヤァァァ!!!」
真由は叫んで部屋を飛び出した。だが今は追っている暇は無い。
「どきやがれ!触ってんじゃねぇよ!!クソ医者どもが!!」
杉田達を引き剥がし、なぐりつける。
ただ感情に身を任せていた。理性は効かない。許せなかった。
ドカ!バキ!ゴス!
「ぐぅ!」
「ひぃ!!」
「あがぁ!や、やめてくれぇ」
反撃すらせず、うずくまる。いい年した大人が泣いてやがる。
「自業自得だ。馬鹿が。それともなにか?触診の一瞬だとでも言うか?」
バキ!
「がぁ!」
「心配すんな。運が良いことにここは病院だからな。どんなに怪我しても大丈夫だ。死なねぇ程度にしといてやるよ。」
それからはただひたすら殴っていた。隔離病棟として昔使われていた病棟のため、人は滅多こない。都合がいい。
殴りながら自分でも驚いた。ここまで怒ったのは生まれて初めてだった。



しばらくして



杉田達は気を失っていた。見た限り前歯数本と鼻の骨が折れているぐらいだ。
真奈を縛ってあったベルトで手と足を結び。人が通りそうなところへ放り出す。
べつに口止めするまでも無い。『輪姦しようとしたらやられた』なんて言うほど馬鹿じゃないだろう。
「はぁ、疲れた。」
手に付いた血を洗い落とし、一段落して息を吐き、真奈のいた病室に戻る。
が……………
「あれ?真奈?」
真奈の姿はなかった。途中で出ていったのだろうか?
殴るのに夢中で気付かなかった。
まだ無理できる体じゃないはずだ。
「ちっ。しゃあねぇな…探しに行くか。」
そうぼやいて病棟をでる。だがその時、悲しい惨劇がおこっていた事を、涼は知る由もなかった………






……『鏡の復讐編へ』
254名無しさん@ピンキー:2006/02/26(日) 13:54:53 ID:fV2W9baV
……『鏡の復讐編へ』

楽しみにしております。
255名無しさん@ピンキー:2006/02/26(日) 14:29:31 ID:Pftk5ASn
なんか主人公が一気に厨臭く…
256名無しさん@ピンキー:2006/02/26(日) 17:19:58 ID:H3vVB71+
NTRキター!?
 わりかし頻繁にメールが来るようになった。
 電話も来るようになった。
 ちょっと気まずい別れ方をしていたから、嫌われていたわけではないとわかってちょっとほっとする。
 と、噂をすればなんとやらだ。
 
 お仕事お疲れ様です。
 良かったら今夜、また会えませんか?
 美味しい焼酎を出すお店があるんです。
 お返事待ってます。
 
 焼酎ときたか。また渋い趣味だな。親父さんの影響だろうけど。
 よろこんでお供します、っと。送信。
「奥さんとメール?」
「え、ええまあ。そんなとこです」
 澤田さんが興味深げにおれの携帯を覗き込んでくる。
「ちょ、勘弁してくださいよー」
「若いってのは……いいねえ……」
 黄昏ながら自分の席に戻っていくおやじ一匹妻子有り。
 言うほど年、離れてないと思うんだけどな……
 実は結構、年いってるのかな? 係長なのに。
 
 待ち合わせに指定された駅のホームを出る。時間はまだちょっとあるな。
 楓には会社の付き合いって言ってあるが、毎回酒の匂いをさせて帰ってくるとまずいかなあ。
 最近は随分落ち着いているが、就職してすぐの頃はちょっと遅く帰るだけで半狂乱だったからな……
 罪悪感がないわけではない。ないけど……
 ま、なるようになるか。
 
 ……!
 ………!?
 
 何だか騒がしいな。痴話喧嘩ならよそでやってくれよ。公衆の面前なんだからさ。
 
 …から……たし……そんな…!
 ……でも…きみ…って……!
 
 女性のほうが微妙に優勢か? 断る女と言い寄る男って感じか。
 嫌がってんだから、やめてやりゃあいいのに。
 女性はハンドバッグを振り回し、いいすがってくる男を跳ね除ける。
 ……なんか見覚えのあるシルエットだな。嫌な予感がする。
 
「……先輩、見てないで助けてくださいよ」
「やっぱりお前か」
 事情はわからないが、とりあえずチョップを入れてから俺の背中に回してやる。
「何で私を叩くんですか」
「こんな人通りの多いところで騒ぐんじゃないよ、迷惑だろ」
「な、何なんだよ、お前!」
 神経質そうな細身の男が金切り声をあげる。
「……ナニって」
 何だか面倒な事態に巻き込まれてしまった気がする。
「恋人です」
 俺の後ろから顔だけ出して、樹里ちゃんが男と相対する。
 ますますややこしいことになりそうなので、訂正はしない。
「なあ、あんた。事情は知らんが、樹里が嫌がってるんだが。やめてやってくれないか」
 ……呼び捨てると何だか本当の恋人みたいに思えてきて、頭がくらくらする。
(……先輩、グッジョブです、頼りになる年上の彼氏って感じです)
(……後で事情は聞くから、おとなしくしてなさい)
「なあ、森川君。君のほうから誘いを掛けてきたんじゃないか。今日だって視線をたくさん向けてきて……」
「貴方の肩に乗っていた糸くずが気になってただけです」
 周囲から失笑が漏れる。
「私、この通りこころに決めた男性がいますので。勘弁してください」
「……本当に、僕の勘違いだったのか?」
「そういうことです」
(……なあ樹里ちゃん)
(……なんですか)
(……かわいそうになってきちゃったんだけど、彼が)
(……じゃあ、さっさと私を連れてここから逃げてくださいよ) 
 騒ぎを聞きつけたのか、結構な数の野次馬に囲まれていることに気づく。
 おれは樹里ちゃんの手をとり、そそくさとその場を離れた。
 
「お手数おかけしました。それと、ありがとうございます」
「いや、それはいいけど。後でフォローしておきなよ?」
 樹里ちゃんくらい素敵な女性なら、男には不自由しないんだろうなあ。
 あの男が勘違いしたくなる気持ちもわからないでもない。
「憂鬱です」
 ため息をつく樹里ちゃん。恐ろしいほどコップ酒の似合う子だなあ。ちょっと怖い。
 樹里ちゃんに連れてこられたのは、飲み屋というよりはちょっとした小料理屋のような風情の店だった。
 本当にこの子は不思議な子だ。
 大学時代からそうだったが、予想も予測もつかない。
「……私、そんなに誘ってるように見えますか」
 火照った顔で見つめてくる樹里ちゃん。
 酒の匂いと、ほのかなコロンのような甘い匂い。
 黒曜石のような深い色の瞳に、吸い込まれそうになる。
「……いや、そういう風には見えないけど」
 かっちりとしたスーツと、怜悧な顔立ちはむしろ“できる女”といった雰囲気で、
 男からすると劣等感を感じてしまって、逆に近寄りがたい気がする。
「樹里ちゃん、美人で頭もいいから。さっきの人も弁護士か何かでしょ?
 そういう人から見ると、理想の女性みたいに見えるんじゃないかな」
「……彼は父の事務所で働いてる、いわゆるイソ弁ってやつです。悪い人じゃないのはわかってるんですけど」
「そういう風には見れない?」
「……はい」
 樹里ちゃんには樹里ちゃんなりの悩みがあるらしい。当たり前か。
 それきり樹里ちゃんはおれの肩に体重を預け、黙々と手酌を繰り返した。
 おれははっきり言って色恋沙汰はさっぱりわからないから、力になれそうもないのがちょっと寂しかった。
----
 
 結局、樹里ちゃんは酔いつぶれてしまって、おれの背中で寝息を立てている。
 心配する店のおやじに見送られて何とかタクシー乗り場の近くまでやってきたのはいいものの、
 どこまで送り届ければいいのかほとほと困ってしまった。
 樹里ちゃんを近くの植え込みの近くに座らせ、しばし思案する。
 うん、悪いと思ったが緊急事態ということで許してもらおう。
 彼女のハンドバッグを漁ると、携帯と名刺ケースが出てきた。
 名刺には事務所と思われる住所しか書かれていないし、携帯もロックが掛かっていて操作を受け付けない。
 かつてこの子に指摘されたとおり、四桁の数列を思いつくままに入力してみるがそううまくはいかない。
(まいったな……)
 春とはいえ、夜はまだ冷える。風邪なんてひかせたら大変だ。
 しかたない、後でどう謗られようとおれが我慢すればいいだけの話だからな。
 おれは樹里ちゃんを背負いなおし、暇そうに煙草をふかしている運ちゃんに向かって歩き出した。
 
教師キャラに萌えたのはロケ夏のはるひ先生以来だったのに……orz
261 ◆kQUeECQccM :2006/02/26(日) 18:42:10 ID:PASGPCv4
↑の最後の一行はコメント(この書き込みの一部)です orz
 
>223-224
 俺が悪かった、悪かったよ……orz
 だからもう許してくれ……
 
 藍子ちゃんが神掛かってるんですがどうすればいいですか!
262名無しさん@ピンキー:2006/02/26(日) 18:44:54 ID:pi/Iiug0
GJっス!!!
樹里ちゃんラヴ。
263名無しさん@ピンキー:2006/02/26(日) 19:50:16 ID:8oYHjwZZ
この萌え泥棒猫め!
264名無しさん@ピンキー:2006/02/26(日) 21:18:23 ID:1VcLPUDK
樹里さんの脳内保管ビジュアルがドージンワークの露理になってるのがイヤだ。
ジャスティスとか出てきそうで…
265裏「姉貴と恋人」(4) ◆DxURwv1y8. :2006/02/26(日) 23:30:44 ID:ZM5+Bmtv
ちょっと間が開きましたが、投下します。


「さっ、行こ!」
 快晴。雲一つ無い青空。手を伸ばし誘う姉貴。その笑顔。
 全てが最高、のはずだ。
「ああ、ちょっと待ってくれよ……」
 久々のデートだと姉貴は張りきっているようで、しっかり化粧までしている。
 どうやっているのか、ほんの少しのはずなのに見違えるほど華やかというか、その美しい顔立ちが強調されるというか。とにかく、姉貴が美しいことに対して疑念の余地はない。
 対して、俺はと言うと……。
「姉貴、俺地味だったかな」
 GパンにYシャツ。組み合わせには一応気を遣ったが、別に大学生の普段着と変わりない。
 だが、姉貴はまったく気にしていないらしい。
「ん? いいんじゃないかしら。タカはそんな感じで似合ってるから」
 なんて言って微笑んでいるのだから。
 悪い気はしない。だが、申し訳ない気持ちのせいでどうしても素直には喜べないし、楽しめなかった。
「どうしたの、タカ。こういうの嫌い?」
 顔をのぞき込んでくる姉貴。ドキリとした。
「い、いや全然嫌いなんかじゃないよ、ただ……」
 今この瞬間にも、俺は姉貴を騙している。
「ただ?」
「その、姉貴が、綺麗でさ。戸惑ってる」
 嘘を吐くのはまだ慣れない。それ以前に吐きたくもない。
「あ……タカったら、可愛いんだからもうっ!」
 でも今はそうしないと。
 まだ、姉貴に知られる訳にはいかない。
「うわ、ちょっと姉貴……」
 しかし、いつになったら言えるのだろう。
 姉貴が話を聞いてくれるようになったら、だろうか。
 そんな判断、できるものではないし、第一そんな日が来るのだろうか。
「行きましょ、早く早く!」
 ぐいぐいと引っ張っていく姉貴。
 その曇り無い笑顔は、幸せに満ちていた。
266裏「姉貴と恋人」(4) ◆DxURwv1y8. :2006/02/26(日) 23:31:44 ID:ZM5+Bmtv
 見たくもない光景。
 隆史と、あの人が。
 だが、私は動けなかった。
 分かっている。今、隆史に最も近しい女性はあの人なのだと。
 分かっている。今、二人が愛を囁くのを遮ることはできないと。
 分かっている。今、私が出て行っても意味がないと。
 分かっている。
 分かっている。
 分かっているのに。
 この慟哭。
 この憤怒。
 この憎悪。
 不思議と冷静だった。冷静で、そしてはち切れんばかりの感情が渦巻いている。
 こんなことは初めてだ。
 前、本当に昔に感じるけれど、隆史とあの人の交いに遭遇したときとは全く違う。
 静かに燃える青い炎が、心の内に灯るのを、私は感じていた。


 麻妃と連絡が取れるようになってから一ヶ月あまり。
 始めの頃に比べて姉貴の監視も弱まり、僅かながら麻妃と直接会うこともできるようになった。
「おす」
「あ、隆史」
 いつもの喫茶店、いつもの席に麻妃はいた。
「今日はゆっくりできるよ。姉貴、丸一日校外実習だっていうから」
「本当? よかった」
 コーヒーとサンドイッチを注文し、一息吐く。
「最近会えなかったからな。久しぶりじゃないか」
「二週間と3日ぶりね」
「そんなになるか」
「ええ……淋しかった」
 ドキリとした。
「何びっくりしてるのよ。私が淋しいって言うのそんなに変?」
「え、いや、だって」
「はっきり言わないと隆史は分からないって、分かったから」
 麻妃は微笑んだ。
「そ、そっか」
「そうよ」
 ……麻妃はさらっと言ったが、よく考えれば、そのせいでこうなってしまったんだ。
 麻妃の気持ちに気付かないふりして姉貴を求めてしまったから、こんなことになったんだ。
「……すまない、色々」
「いい」
 短い言葉だった。
 しばしの沈黙の後、再び麻妃は口を開いた。
「私、直接話してみるわ」
「話す? 誰に何を」
「隆史のお姉さんに、私と隆史のことについて」
 一瞬、何のことだか理解できなかった。
「なっ!? ちょっと待て、そういうのは慎重にやらないと……」
「そんなこと言っても、このままじゃ埒が明かない。様子を見るって言ったって、いつになれば大丈夫かなんて隆史にだって分からないんでしょう?」
 麻妃は毅然としていた。
「そりゃ、そうだけど」
「ならもう、これ以上待っても仕方ない」
「待てって、まだ早い」
 脳裏に浮かぶのは幸せそうな姉貴の顔。麻妃の提案はつまり、それを壊すと言うことだ。
 そうすべきだとは思う。でも、嫌だった。
「どうして? お姉さんの方が、あの人の方がいいの?」
「そういうことじゃない」
 じゃあどういうこと――。
 そう言いたげに、麻妃はじっと見つめている。
 深い鳶色の瞳は、僅かに震えていた。
267裏「姉貴と恋人」(4) ◆DxURwv1y8. :2006/02/26(日) 23:33:50 ID:ZM5+Bmtv
 帰り支度を終え、人気のない廊下を歩いていると意外な人物に出会った。
「こんにちは」
「あら、進藤さん……だったわね。聞いた話によると退学したとか」
「してません。……ところで、隆史は」
 視線を巡らし、進藤は質問した。
「講師に質問してるわ。変なところで熱心だから」
「付いてなくていいんですか?」
「大丈夫。もうあなたみたいな子はいないから」
 彼女の身体がこわばった。
「いえ、私は諦めてません」
「何言ってるの。もうタカは私のことを選んだんだから、あなたの出る幕はない」
「本当にそう思ってるんですか」
「私はタカを信じてるから」
 進藤は何も言わなかった。しかし、どこか余裕がある。
 不可解だ。
「隆史は私がもらいます。タカもそれを望んでいるから」
 この子、動じない。
 どうして?
 私の方が絶対に上にいるのに。タカの愛情は全部私のものなのに。
「まだ言うの、負け犬」
 不安が広がっていく。
「私が負け犬かどうかは、隆史に聞いてみれば分かります」
 自分の頬がヒクンと引きつるのが分かった。
「聞くまでもない。タカは私のものよ」
「いいえ、違います」
「だってタカは、私が一番好きだって言ったんだから」
「監禁して、無理矢理言わせた言葉に縋るんですか」
 この――!!
「私のものだって言ってるでしょ!」
「それは違い――」
 まだ言うの――!!
 パァン!
「……っく」
 右手がジンジンする。平手なんて生まれてこの方使ったことはなかった。
「……とにかく、タカは私のものよ。あなたになんか、絶対に渡さない」
「隆史が好きなのは私なのに、ですか?」
 彼女は頬を押さえたまま、強い視線で私を射た。
「っ……そんなはずない! タカは私のことを好きだっていったのよ!
監禁して言わせたなんて――」
 待て。何で知ってる。
「進藤さん、なぜ、あなたが、私がタカを拘束してたなんて知ってるの」
 彼女は僅かに眉を動かした。
 答えはない。
「……まさか」
 タカが。それしかない。でも、そんな、タカは――
「答えなさい。いったい誰が、そんなことをあなたに教えたの!」
 タカじゃない。タカじゃない。タカは私を裏切ったりしない。だから、
別の誰かが、勝手にこの女に――!!
「隆史です」
「嘘」
「本当です」
「違う!! タカは私のこと好きなんだから、そんなこと言うはずがないの!!」
 彼女の両肩を掴み、その瞳を覗き込む。
「本当、なんです」
 パァンッ!!
「……痛い」
「この嘘つきめ。嘘つきめ。嘘つき、嘘つき嘘つき嘘つき!!!!! タカじゃない!!
タカなわけない!! タカがそんなこと、あなたに言うわけがないのよ!!!」
 ガクガクと揺さぶっても、本当のことを言おうとはしない。
 この女――!!
268裏「姉貴と恋人」(4) ◆DxURwv1y8. :2006/02/26(日) 23:34:41 ID:ZM5+Bmtv
「そうやって、私とタカの仲をひっかきまわそうっていうのね! なんて姑息な女。
そんなの、タカに聞けばすぐに分かるのに」
「隆史は優しいから、本当のことは言わないんです」
「っ!! そうやって、私を不安がらせようとしても無駄。だって、タカと私は姉弟
なんだから。タカが嘘をついているかいないかくらい、すぐに分かるもの」
 そうだ、不安になることなんてない。
「だって私はタカのお姉ちゃんなんだから。タカのことは何でも分かるのよ。何でも
知ってるのよ。それに比べてあなたなんて、ちょっとタカと一緒にいただけで何でも
分かってるつもりになって。何でも知ってるつもりになって」
 そうだ、不安になることはない。
 タカの言葉に嘘はない。タカは私のことが大好きだ。だからこの女に告げ口する
なんてありえないし、この女のことを好きだというのもやはりありえない。
「私は、あなたより隆史のことを分かってます」
「そう。せいぜい虚勢を張るがいいわ」
 なぜか、声が震えそうになった。
 でも、まあ、問題はない。いざとなれば、またタカを私の側に繋ぎ止めておけばいい。
 自分でも危険な考えだと分かっている。でも、何の問題があろう? タカが私の側にいる。
それ以上に優先すべきものはない。それだけが全て。それだけが私の全て。
「失礼します」
 進藤はそれ以上何も言わず、ぺこりと頭をさげると、私の隣を抜けて歩いていった。
 タカは私のものだ。
 もう一度、噛みしめるように呟く。
 あの女には負けない。いや、負けるはずがない。
 だというのに私は。
「姉貴、遅れてごめん――わっ!?」
 タカがこうして私の腕の中に帰ってきたことに、心から安堵してしまっていた。
269名無しさん@ピンキー:2006/02/27(月) 00:35:31 ID:5eAGKVln
平手打ちキタワァ*・゜゚・*:.。..。.:*・゜(n‘∀‘)η゚・*:.。. .。.:*・゜゚・* !!!!!
これからの展開にワクテカ
270名無しさん@ピンキー:2006/02/27(月) 13:40:23 ID:EQUJIo83
>>261
あー、まぁ何がどうなってちょいヘコんでるのかはわかります、乙

>>268
直接対決で姉貴揺らいでキタコレ!
271合鍵 第二十四回 ◆tTXEpFaQTE :2006/02/27(月) 18:06:37 ID:l0Pfra6k
合鍵  第二十四回


病院の売店で買ってきた花を、花瓶に移す。
寝ている人間を起こさないよう、音をたてないように注意する。

「あ、お花、買ってきてくれたんだ」
藍子が微笑みながら、元也に声をかけた。

元也「ああ、起こしちゃったか、ごめん」
藍子「ううん、いいの。もとくんが来てる時は、起きときたいから」

そう言う藍子の腕には、点滴の針が刺さっていた。

藍子が手首を切った後、元也は足の指を使い、藍子が使ったカッターで縛めをとき、
急いで救急車を呼んだ。
幸い、命に別状があるとのことは無かった。
しかし、リストカットの痕は、残ってしまうらしい。

元也「じゃあ、俺は帰るから、安静にしとけよ?」
元也が腰掛けていたベットから立ち上がると、
藍子「待って!!!」

藍子「行っちゃ、ヤダ」
元也「でも」
藍子「言って、くれたじゃない。
   ずっと、側にいてくれるって。
   私の側に、いてくれるって。
   聞こえてたんだよ?あのことば」

うっとりと元也を見ながら、
藍子「もとくん、やっと、正気に戻ったんだよね。
   もう、離さないから。
   もう、他の人のところに、行っちゃ、だめなんだから。
   だから、ここに、いなきゃダメ」

そう言って、元也の手を繋ぐ。

藍子の言う事を聞かないと、何をするか分からず、その怖さが元也を、藍子の言いなりに
させていた。

辺りも暗くなってきた。
看護婦さんが、元也に消灯時間だから帰るように言った。
元也がベットから立ち上がろうとすると、藍子が繋いでいた手に爪を立てた。

元也「いたたたたっ、何すんだよっ」
藍子「どこにいくの!!!!!!!」
元也「どこって、もう消灯時間だって、看護婦さんも言ってたろう」
藍子「騙されないんだからっ!!!
   そんな事言って、他の人のところに行くつもりでしょ!!!
   だれっ!!??さっきの看護婦さん!?それとも、サキさん!?
   言ったじゃない!!!!うそつきっ!!!
   私の側にいてくれるって!!!」

半狂乱と言ってもいいような様子に、元也は何もいえなくなった。

272合鍵 第二十四回 ◆tTXEpFaQTE :2006/02/27(月) 18:08:06 ID:l0Pfra6k
>>271の続き


元也「わかった、分かった、ここにいるからさ、落ち着いてくれよ。傷にも悪いよ」

そう言って、なだめると落ち着いてきた。

藍子「じゃあ、ここにいてくれるのね?どこにもいかない?側にいてくれるんだよね?
   ……じゃあ、はい、入って」
そう言って、藍子は掛け布団をめくり挙げる。
一緒に寝ようと言う事らしい。

大人しく、布団に入る元也。
藍子はいまさら、えへへ、と照れていた。

元也「はやく、寝ろよ」

何分か経った頃、藍子が起きてる?と声を出した。
起きてるよ、というと、なんか、寝付けないね、と返事をする。
藍子「ねえ、この前みたいな事、したほうが、いい?」
と囁く。

後ろで、衣擦れの音がする。

元也「バカ言うな!お前、まだ点滴うってんだぞ?無茶も大概に言えよ」
叱る元也。
叱った後、しまった、言い過ぎたか?と思っていると、
藍子「うん、そうだね。
   ここを出れば、そんな事、いつでも出来るんだもんね。
   私も我慢するから、待っててね、もとくん
   ……でも、我慢するぐらいなら、私に言ってね」
頬を染めながら、藍子は言う。

恋人のようなセリフだ。
いや、藍子はもう、元也の恋人になっていると疑う事も無い。

しばらくすると、やっと藍子が規則正しい寝息を立て始めた。

これから、どうしようか。そんな事を思い、溜息を付く。
サキさんに、なんて言おう。
きっと、呆れて、俺の事、嫌になるだろうな。振られちゃうだろうな、きっと。

そう思うと、かなり寂しいが、だが、そうなるのが一番楽なのかもしれない。
そんな事を思っているうちに、元也も眠りに引き込まれていった。
サキさんの事を思って眠りに着いたので、サキさんの夢を見るかも、サキさん、って寝言で言っちゃって、
それを藍子が聞いたらどうなちゃうだろ?
想像しただけで怖くなり、考えるのを止めた。

 さすがにそういう宿に連れ込むつもりなどさらさらなく、
 駅前のビジネスホテルに飛び込みで部屋をとる事にした。
 受付のお姉さんにダブルの部屋もありますよ、と気を利かされてしまって赤面する。
 言われてみれば、カップルでシングルの部屋っていうのは逆に生々しいな……
 樹里ちゃんを背負ったままエレベーターに乗ったはいいが、
 たまたま乗り合わせた眼鏡のエリートサラリーマン風の男性がぎょっとする。
「あ、あはは……」
 ……犯罪だと思われないことを祈っておく。
 
 樹里ちゃんをベッドに寝かせ、スーツを脱がせ、シャツのボタンを開けてやる。
 ……躊躇したが、スカートも脱がせてしまうことにした。
 たとえやましい気持ちはなくても、ここだけ写真に撮られてたら間違いなく後ろに手が回るだろうな、
 なんて馬鹿なことを考える。
 楓で女性の体は見慣れたと思っていたが、友人の裸だと思うと変な艶かしさがあるな。
 黒のストッキングに包まれた下半身はどうしようもなく蟲惑的で、思わず吸い寄せられそうになる。
 ……いかんいかん。せめて楓に履いてもらって、それで遊ぶことにしよう。
 エアコンを調節して、加湿器をセットして、ついでにアラームもセットしておこう。七時でいいだろうか?
 準備万端整えて、後はメモを残して去ろう。
 起きたら知らないホテルの部屋で半裸だった、なんて動揺させたらかわいそうだからな。
 
「……先輩」
 樹里ちゃんはベッドに横たわったまま、視線を彷徨わせている。
「ああ、起きた? えーっと……」
 どこから説明したもんかな。へまをやるとマジで犯罪者にされかねん。
 だがそこはそれ、頭の回転の速い樹里ちゃんのこと。
 アルコールでクロック数が極端に下がった大脳をフル活用すること7秒弱、現状の認知へと至った。
「……今日は本当にすみません」
「いや、いいよ」
「式は神前式がいいです」
 責任取らされるようなことやってねえ。
「冗談です」
 一瞬、目が本気だったような気がするのは忘れよう。
「のど渇いてない?」
「……はい、少し」
 買ってきておいたスポーツドリンクのペットボトルを渡す。
「……何から何まで、今日はお世話になりっぱなしですね」
「気にしないで、なじみの友達じゃないか」
「……ともだち、か……」
 樹里ちゃんはベッドの上に体育座りして、窓から夜景をぼんやりと眺めている。
 その顔を、一瞬だけひどく冷たいものが通り抜けたような気がしてぞっとする。
 おれが想像している以上に、疲れているのかもしれない。
 
「……先輩?」
「うん……?」
「どうして私が、父の秘書なんかやってるんだと思いますか?」
 ってことは、やりたくてやってるわけじゃないんだな。
「……私、近々結婚しなくちゃならないかもしれません」
「け、結婚!?」
「……父が秘書として私をそばに置くのは、私の婿探しのためです。
 弁護士は仕事上、本当に様々な人間との付き合いがあります。
 その中から前途有望な若い男性を見つけて……」
「そんなことって……」
「あるところには、あるみたいですね」
 まるで他人事のように、樹里ちゃんは淡々と言葉を紡ぐ。
「……私が文学部なんて、半ば趣味みたいなところに居られたのは父との約束があったからです。
 大学までは自由にさせてやる、その代わり卒業したらすぐに結婚して子を作れ、と。
 ……父には持病があります。一年二年でどうこうなるようなものじゃありませんが、
 それも父を焦らせているんでしょうね」
 樹里ちゃんは、自分の膝を抱きかかえるようにして、膝頭に顔を埋める。
「……ねえ、先輩……?」
「……うん」
「……なんか、もう、疲れちゃいました」
 この子は、ずっと人知れず戦っていたのだ。
 何と向き合えばいいのか、誰が敵なのかすらよくわからないまま、近づいてくる足音に怯えていたのだ。
 瞳を潤ませて、樹里ちゃんがしな垂れかかってくる。
 はねのけるのはたやすい。だがそれで失ってしまうものはあまりに大きすぎる気がする。
 彼女の重みを受け止める。優しい体温。一瞬だけ楓の顔が脳裏をよぎる。
 これは裏切りだ。いずれ楓も、樹里ちゃんすらも傷つけるだろう。
 それでも手を、差し伸べずにはいられなかった。
 
 新雪を踏んだのはこれで二度目のことになる。
 自然な行為とはいえ、女の子が顔を歪めて痛がるのを目の当たりにして愉悦を感じられるほど、
 おれはサディストではない。
 樹里ちゃんは弱りきっていた。
 それに追い討ちをかけることになりはしないかと心配したが、彼女は最後まで要求した。
 それに応えるのが正しかったかどうかは、今となってはわからない。
 ただ、おれを使った自傷でなかったことを信じたい。
 静かに穏やかな眠りを食む彼女の姿はいとおしい。
 誰に肯定されずとも、その心音だけは確かだった。
フラグ回収。

>262-263
楓の影が薄くなるほど、中の人も樹里ちゃんに入れ込んでます。
本当は楓の異常な兄への執着をメインにする作品のつもりだったんですが……

>264
ぐぐりました。
これは萌えるクールちゃんですね!
樹里ちゃんはひんぬーではないようですがw
277名無しさん@ピンキー:2006/02/27(月) 20:32:38 ID:b3Dd3k5g
黒藍子さん萌え!!

黒楓ネタにぜひ挑戦してくれw
278名無しさん@ピンキー:2006/02/27(月) 21:18:24 ID:cEauPTDX
>黒藍子

おそろしいモンスターがたんじょうした。
279名無しさん@ピンキー:2006/02/27(月) 22:29:43 ID:99DOPxl/
>>276
GJ。
兄、さっそく初めのトラップに引っかかっているヨカン(w スレ的にはベストな流され方です(笑)
でも、てっきり恋人と言うのは妹である事を公表するとかで脅すかとオモタ。
樹里タンは頑張って兄を篭絡して下さい〜
280名無しさん@ピンキー:2006/02/28(火) 01:01:21 ID:m+Mtq1nG
ビンタ合戦*2きちゃうん?
281名無しさん@ピンキー:2006/02/28(火) 01:15:13 ID:TvQ16O/g
さあ、次のサキ先輩の反撃が怖いぜ
282名無しさん@ピンキー:2006/02/28(火) 01:48:22 ID:ghQDs/SE
黒藍子さんだったら、そろそろ自分の両親に「もと君と付き合い始めた」や、
むしろ「もと君と結婚する」といっていてもおかしくない
と脳内の依存の精が言っております
283名無しさん@ピンキー:2006/02/28(火) 02:32:43 ID:59BZBK42
>>282
っていうか、すでに末期症状発生しているんですけど・・w

押し倒しとリストカットは最強w
まあ、規制事実を作った勝ちなんだけど、


ここでサキさんの実は妊娠してしまったという最強のカードを放つ!!
284名無しさん@ピンキー:2006/02/28(火) 02:35:13 ID:59BZBK42
しかし、男一人で女はここまで狂うものか・・w

これだけは何歳になってもわからない
285名無しさん@ピンキー:2006/02/28(火) 02:40:59 ID:bKo5OKLX
>>284
もとくんの神掛かった資質のお陰だと思うw
286名無しさん@ピンキー:2006/02/28(火) 17:04:00 ID:mrR5mSgg
俺も何かSS書こうかな・・
もちろん、短編一発ネタで
 兄さんとの生活はかつて思い悩んでいたよりもずっと平穏だった。
 それがたとえ、他者に極力干渉しない都会の暮らしだからこそ得られる偽りのものだったとしても。
 それこそ生まれたときからずっと一緒に暮らしてきて、今さら意見の相違で仲違いなどするわけもない。
 わたしは、かつて夢見ていた世界で生きている。
 しあわせすぎて、ふと気がつくと涙を流していることが多い。
 ―――どうにも情緒不安定。だめだこんなんじゃ。兄さんが心配する。
 
 兄さんの帰りはいつも遅い。
 本当にやりたかったこととはちょっとずれてしまっているらしいが、真面目な兄さんのことだ。
 やるべきことをきちんとこなして、それを評価された上で仕事が忙しいなら素晴らしいことだろうと思う。
 そんな兄さんに、わたしがしてあげられることは何だろう。
 それはきっと、平和な日常を守ることだ。
 仕事から帰ってくれば部屋には灯りがともり、
 栄養のバランスの考えられた食事が黙っていても出てくる。風呂は既に沸いている。
 疲れていても安心して戻ってこられる住処を保ち続けること。それがきっと、良妻の役目だ。
 時代錯誤と言われようがかまわない。
 結局のところ、しあわせは自分たちの内側にしか存在しないのだから。
 
 肉じゃがを作ることにした。
 私の作るものは何でもうまいうまいといって食べてくれる兄さんも、
 これだけは別格らしく、目の色を変えて喜んでくれる。
 じゃがいもの皮を剥きながら思う。
 兄さんは、わたしの作った料理を食べて命を繋いでいるのだ。
 まいにち、まいにち、ずっと、ずっと、ずっと、これまでも、これからも……
 背筋がぞくぞくする。
 それだけで、いってしまいそうになる。
 
 ……またやってしまった。
 多種多様なわたしの体液でどろどろになってしまった兄さんのワイシャツを前にうなだれる。
 以前にも同じことをやって、洗濯籠の中で被害者を見つけた兄さんにとても微妙な顔をされて以来、
 もうやめようと思っていたのだが。
 毎晩のようにあれだけ愛されて、まだ足りないというのだろうか。
 業の深い嫁だ。本当にそう思う。
 ……でも、まあ、兄さんが調教した躯だからね。
 暴走の責任は、開発者に取ってもらうことにしよう。うん、そうしよう。
 ……今からあらためて準備、しちゃおうかな、と指を伸ばしたとき、
 テーブル代わりに使っているコタツの上の携帯が振動した。
 濡れていない左手で何とかヒンジを開く。
 えーと……?
『会社の上司と飲みに行くから、晩飯は先に食べててくれ。
 遅くなるかもしれないから、その時は俺を待たずに寝ること。』
 ……疼きはますます、ひどくなるばかり。
 
 何だか最近、とみに帰りが遅い。
 帰ってきたらきたでいつもお酒臭いのも気になる。
 自分の仕事ぶりがきちんと理解されていて、
 昇進もそう遠くないことかもしれないというのも兄さん自身から聞いて知っているし、
 それを踏まえた人付き合いというのもきっとあるのだろう。
 それでも、こう毎度毎度酔っ払って帰ってくるのはあまり気分のいいものではない。
 わたしと部屋で飲むのでは駄目なのだろうか。駄目に決まっている。
 ……会社の人にやきもちを焼いてどうするというのだろう、わたしは。
 待つのは慣れていても、やっぱりつらいものはつらい。
 
 久しぶりに、メールが来なかった。
 決して多くはない、早上がりの日だ!
 しかもタイミングのいいことに、今日のメニューは兄さんの大ッ大好物のカレーである!
 たとえ殴られようが誰にも教えてはいけないと、母に念を押されたレシピに基づく代物だ。
 パートが休みの日なのをいいことに、朝から丁寧に作った甲斐があったというものである。
 おもむろに鍋のふたを開ける。
「……愛情、愛情、あいじょう、あいじょう、あいじょう、あいじょう、あいじょう」
 いそいで閉める。
 ……これでますますおいしくなる、はず。
 
 …
 ……
 ………
 
 ……帰ってこない。
 やることもないので部屋を掃除し、洗濯物をかたし、何故か薄く化粧までしてしまったというのに。
 最初こそ怒りもあったが、時計の短針がつり上がる頃になるとさすがに不安になる。
 連絡を入れようにも、携帯は電源を切っているのか繋がらない。
 月面にひとり、置き去りにされてしまったような感覚。
 外に出ている兄さんとわたしを繋ぐのは、この手のひらサイズの小型機器だけだ。
 昔の人は本当にえらい。
 こんなものがなくても、たとえば手紙だけで年単位の時間を耐え忍んだのだから。
 わたしには絶対できない。
(……連絡ひとつ入れてくれるだけで、ぜんぜん違うのに)
 目が覚めたら、一度お説教しよう。
 散ってしまったぬくもりをかき集めるように、
 兄さんの匂いのする毛布に包まれて眠りについた。
290 ◆kQUeECQccM :2006/02/28(火) 17:29:02 ID:2QTfyTP9
お当番回とか言わないでやってください。嫌いじゃないのよ楓のことも。

>>279
この先どう転ぶかは……お楽しみに。
291名無しさん@ピンキー:2006/02/28(火) 18:11:31 ID:R28HoBBc
GJ!!!
それと楓ガンガレ。
292名無しさん@ピンキー:2006/02/28(火) 18:41:49 ID:05LUMsIQ
妹も安定してきたのかと思ったら・・・これは修羅場の予感ですなw
293名無しさん@ピンキー:2006/02/28(火) 19:36:44 ID:85bq8dfY
GJ!! じわじわと緊迫感が。
元々やばめだったけど、早くもこうとは耐久力低めだね(w > 楓
ライバルに比べると依存率が高いからか?
294名無しさん@ピンキー:2006/02/28(火) 19:47:26 ID:qmX70Szm
依存メーターマックスですからね。
これは兄やばいかw
295名無しさん@ピンキー:2006/02/28(火) 20:30:56 ID:H+tMlVfb
>おもむろに鍋のふたを開ける。
>「……愛情、愛情、あいじょう、あいじょう、あいじょう、あいじょう、あいじょう」
>いそいで閉める。


モエスwww
296名無しさん@ピンキー:2006/02/28(火) 22:09:09 ID:m+Mtq1nG
これがそのうち空の鍋になるんですね
297名無しさん@ピンキー:2006/03/01(水) 00:26:40 ID:h10Pn9s+
>>295
それもママン秘伝のレシピのうちかな?
だとすると修羅場体質は遺伝かw
298名無しさん@ピンキー:2006/03/01(水) 01:03:36 ID:3xgYgwsM
まあ、こっちの楓は
「兄さんのお世話をするのが私の生き甲斐ですから、
 兄さんが幸せならそれでいいんです。」
なんて間違っても言いそうにないけどな。

(´・ω・`) 言わないよねぇ?
299名無しさん@ピンキー:2006/03/01(水) 01:08:53 ID:OBlOP7XB
首絞めはあるんだろうな?
300名無しさん@ピンキー:2006/03/01(水) 01:15:17 ID:GY2QSGzR
樹里っていうとむしろ腐り姫の方の妹を思い浮かべてしまう
 ―――連続する水音で一気に覚醒した。
 水道代が怖すぎる、と思って飛び起きたが、それがいつもの自分の部屋でないことに気づく。
 起き抜けに嫌な汗をかいてしまった。と同時に、昨日の夜のことをまざまざと思い出してしまう。
 そっか、おれ、樹里ちゃんと……
 ハンガーに掛けられたスーツと、シーツについた赤黒い血の跡はどちらもひりひりするくらいに現実だ。
「おはようございます、先輩」
 バスタオルを体に巻きつけた樹里ちゃんがいそいそとバスルームから出てくる。濡れた髪と白い肌が朝日を受けて眩しい。
「……ああ、おはよう。おれも浴びるわ」
 極力視線を合わせないようにして、おれも入れ替わりでシャワーを浴びる。
 熱い水流で情事の残滓を洗い流すうちに、頭も仕事の体勢に切り替わっていく。
 二人分の飯のたねをつつがなく稼ぐためにも、いつまでもめそめそ思い悩んでもいられない。
 そのあたりは同じ社会人の樹里ちゃんのことだ、きちんと理解してくれているだろう。
 後日あらためてじっくりと話をすればいい。そうしよう。
 
 近くの牛丼屋で朝飯。
 いくら樹里ちゃんが色々なことを気にしない娘さんだとしても、さすがにこれはないだろうとも思ったが、
 そこはそれ、彼女は規格外ということで納得しておく。
「……忙しければ食事もままならないときもあります。それを考えたら十分幸せですよ」
 その少女ポリアンナ的なポジティブさは、ぜひ見習いたい。
 樹里ちゃんはいつもと変わらないように見える。
 それがいいことなのか、悪いことなのかはわからない。
 ただ、昨日の樹里ちゃんはとても弱っているようにみえた。
 たとえ刹那の慰めであったとしても、かりそめの支えであっても、
 樹里ちゃんのこころの安寧に繋がるなら、それでいい。
 根本的な問題の解決はじっくりやっていこう。
 それがおれの、友人代表の役目だろうと、思う。
 
 樹里ちゃんとは駅で別れることになった。
「先輩、また、会ってくれますか?」
「……ああ」
 すっかり元の“できる女”に戻った樹里ちゃんの姿に暗いところはない。
「やくそく、ですよ」
 まるで次回の呑みの約束を取り付けるような気軽さ。
「……ああ」
 おれはそれに、ただ頷くことしかできない。
「また、連絡しますから」
 樹里ちゃんはおれの頬にそっと触れ、瞳の奥を覗き込んでくる。
 ……まるで魔性だ。誰も逆らえない。
 
 ----
 
「仕事が忙しいのは重々理解しているつもりですよ、でも泊まりになるならせめて電話の
ひとつやふたつあったっていいんじゃないんですか? わたし心配で心配で夜も一時間お
きぐらいに目を覚ましてしまって朝起きたときにも兄さんはいなくてさみしくて何かあっ
たんじゃないかと思うと気が気じゃなくってパジャマ姿にサンダルで駅の近くまで行っち
ゃって変な目で見られてパートの間は携帯を触れるわけもなくて電池もいつの間にか切れ
ちゃって何も手につかないから仕事でミスして店長に怒られて警察に電話しようかずっと
悩んでてでも変に騒ぎを大きくすると兄さんに迷惑が掛かるしカレーを温めなおしてたら
焦がしちゃうし新聞の勧誘はしつこいしあんまり寂しいものだから自分で自分を慰めてて
指じゃ全然足りなくてペンを使ったらキャップが中で外れて自分の股間を覗き込んで自己
嫌悪して試行錯誤してるうちに何だか気持ちよくなってきちゃって何が言いたいかという
と無事に帰ってきてくれてありがとう。本当にありがとう。好き。大好き。愛してます。
世界中の誰よりも愛してます。だから捨てないで。ひとりにしないで! どこにもいかない
でそばにいてッ! ずっとわたしだけを見ていてくださいッ!」
「ごめんなさい」
 言ってることは支離滅裂で意味不明だが、ものすごく心配してくれているのはわかる。
 涙と鼻水を流しながら説教らしき長台詞をがなりたてる楓を見ていると良心が痛むが、
 “あれ”は不可抗力というか人道的観点からみた緊急避難措置であって、
「聞ィてるんですか兄さんッ!!」
「は、はいっ、聞いてますッ!!」
 俺は畳に直に正座し、楓は目の前に座布団を二枚重ねて同じように正座している。
 楓は感情が高ぶるとやたらと多弁になるが、今回は輪を掛けてひどい。
 午前様を通り越して無断外泊、ほぼ丸一日連絡を入れなかったとなればこの有様である。
 しかしまあ、楓のおれに対する精神的な依存は年々強まる一方だ。
 もはや病的なほどに。
 正直、重荷に感じないこともない。
 楓は在りかたとか精神性とか決定権とか、本来自分で持っていなければいけないものをおれに丸投げしている。
 それが楓の愛情表現だというなら、おれはそれを受け入れてやるしかない。
 ……そういう甘やかしが、ますます楓をスポイルしていることには気づいているけれど……
 
「……ふう。そういうわけですから、泊まりになるときは絶対に連絡してくださいね」
「委細了解しました、楓さん」
「……よろしい。わたしもちょっと言い過ぎました、ごめんなさい」
「……風呂、入ってきていいか?」
「そうですね、せっかくなので一緒に入りましょうか」 
「なあ、楓」
「なんでしょう」
「この狭い風呂にふたりは無理があると思うんだが」
 浴槽の隣に湯沸かし器がある、昔ながらのアレである。
 一度入ってみるとわかるが、これは狭い。ものすごく狭い。
 実家の風呂が広かっただけに、なおさらそう感じる。
「二人で一度に浴槽に入るのは無理そうですね」
 アルキメデスもエウレカでびっくりだ。
 
 湯船につかりながら、体を洗う楓の姿を眺める。
 無意識に樹里ちゃんの体のラインと比較している自分が嫌になる。
 ……また会ってくれますか、か。
 それってその、そういうことだよな。
 樹里ちゃんはいずれ、親の決めた相手と結婚しなくてはならないらしい。
 それが嫌で、それを一時的に忘れるためにおれに抱かれたんだとして、
 それをずっと続けていくのが良くないことなのは火を見るより明らかだ。
 安易な解決策はある。誰でも最初に思いつきそうなやりかただ。
 自惚れかもしれないが、樹里ちゃんの態度を見る限り、それを彼女自身も望んでいるように見える。
「……兄さん?」
「あ、ああ。どうした?」
「背中、流してあげようかと思ったんですが」
「すまん、頼むよ」
 嬉々としておれの背中をスポンジでこする楓。
 もしおれがその選択肢を選んだとしたら、楓は一体どうなってしまうのだろう。
 想像もつかない。
 いつかの包丁が頭をよぎる。……あながち笑い飛ばせる話でもない。
 
「ねえ、にいさん」
「うん……?」
「にいさんは、どこにもいかないよね?」
「……ああ」
 楓がおれの背中にぴったりと身を寄せてくる。
「……夢を見たの」
「夢?」
「にいさんが、いなくなる、ゆめ。子供のころから、ずっと見続けてきた。
 姿はどんどん小さくなって、いくら呼んでも、戻ってきてはくれない。
 完全に見えなくなって、気を失ってしまうところでいつも目がさめるの」
「……夢は、夢だ」
「そうなんだけどね」
 楓は力なく笑う。
「ねえ、にいさん……?」
「うん……?」
「にいさんの背中、大きいね……」
「男だからな」
「この背中に、ずっと守られてきたんだよね……
 いじめられてた時は、かばってくれた。 
 疲れたときは、おぶってくれた。
 眠れないときは、よくしがみついてた」
「そう、だったな」
 過去の記憶。
 おれは意識して楓の前を歩いていた。
 思いがけない障害で楓を泣かせないために。
 心無い人間の仕打ちから楓を守るために。
 楓の不安を、取り除くために。
「もう、にいさんなしじゃ、かえでは、むり、だから。
 ぜったい、むりだから。
 だから、ね」
「ああ……」
 こんなに弱々しい妹を放って、一体何ができるというのだろう。
今さら何を言っても信じて貰えそうもないですが、
キャラ名を考えるときにアニシャッホーの楓は完全に頭からとんでいました。
無意識の選択ってのは怖いわ。
思わず19-21話を観なおしてNGリストを作ってしまいますた

アニシャホーの楓は消極的防衛ですよね
・自分の行為はあくまで対象を喜ばせたいがため(という意識)
・対象からの仕打ちには基本的に忍ぶ
・溜めに溜めて大爆発

それに対して、こちらの楓さんは積極的防衛と言えるかもしれません
・あくまで自分のための行動、対象への奉仕はそこから逆算した最適解
・対象からの仕打ちにに対しては全力で抗議
・沸点が極めて低い

……積極的防衛というか、もはや攻性防壁ですが。
それを踏まえて、

>296
>298
>299
やらないように気をつけます。

>300
腐り姫はやってないのでわからんのです…スマソ
305名無しさん@ピンキー:2006/03/01(水) 19:02:24 ID:OWjnq19R
>>304
エロゲで最狂の妹の一人。
兄に近づくやつは例え兄が可愛がってる犬であっても殺っちゃう子。
306名無しさん@ピンキー:2006/03/01(水) 19:04:02 ID:OWjnq19R
樹里のことね
307名無しさん@ピンキー:2006/03/01(水) 20:42:53 ID:3YsZi8DU
>>304
乙〜
樹里に片足はまりかけた所で、妹の真綿で首をしめるような精神的拘束がナイス(笑
無理矢理な結婚相手がいると言う、ある種の同情を利用している所も上手いですなー > 樹里
308名無しさん@ピンキー:2006/03/01(水) 21:12:16 ID:o0ROxmcX
楓ちゃんも樹里ちゃんも両方応援している私はこのスレの小説の主人公並のヘタレですか
そうですか・・・
309名無しさん@ピンキー:2006/03/01(水) 21:42:35 ID:rrbua0Dx
>>308
よう俺
310不義理チョコ 第9回 ◆AuUbGwIC0s :2006/03/01(水) 22:52:14 ID:+voGOpCD
        *        *        *

 空になった弁当箱を見ると彼女の顔が浮かぶ。味は殆ど分らなかった。只、胃にモノを詰め込める感覚。隣にいる女の子の視線を感じて内心気が気でなかった。
 殆ど忘れかけていた子供頃を思い出す。
 アイツはオレだって事がわからなくても好きだって言ってくれたんだよな。こっちなんて名前すら忘れかけていたのに。
 ――こいつの事好きだった筈なのに一緒にいても何で楽しくないのだろう。
 雲を見上げながらそんな事を考える。
 考えるまでもなく答えは分っている。彼女――ミカへの罪悪感。
 智子とは中途半端な関係。これなら友達のままの方がずっとよかったのかもしれない。
「なあ……お前はこんな関係でいいのか?」
「……私はこのままでもいいよ」
 もし、『そんなことない』と一言でいいから言ってくれれば、どちらか一人を選ぶ踏ん切りがついたのに――そんな事を思う。
 ミカはオレ達の事には気づいていない。智子と決別する事になっても彼女はきっと今まで通りの関係でいられる――嫌な考え、自分勝手かもしれない。
「なあ――本当にオレの事好きなのか?」
 何処かまだタチの悪い冗談か何かだと思っていたい自分がいた。
「好きだよ――世界中の誰よりも」即答だった。
 こいつは何で今頃好きだなんて言ってきたのだろう。もっと早く言ってくれればこんな事に悩む必要なかったのに。
 しかしオレも同罪だ。こんな事で悩むのだったらあの時屋上でハッキリと拒絶するべきだったんだ。いや、ミカとも付き合うべきではなかったのかも知れない。
 ごめん――誰に向けて言うべきかわからない言葉が胸の中で勝手に響いた。
 ただどうしようもない後悔だけが胸の中にあった。


311不義理チョコ 第9回 ◆AuUbGwIC0s :2006/03/01(水) 22:53:25 ID:+voGOpCD
 放課後になっても昼の弁当は胃につかえていた。弁当が悪かったのか、オレの胃の調子が悪かったのか――多分後者だろう。多分ストレス性のものだろう。
 こんな関係がいい訳がない。
 別れるべきだ――どちらと?
 どっちが好きだなんて分っている筈だ。でも行動できないでいる。決められないでいる――最低な男だ。
 どんなに迷っていても時間はただ流れ、彼女の乗っている電車は近づいてきていた。

「シロちゃん、美味しかった?」
 電車の中でこっちの考えなんて気づかないのか、いつもの無邪気な顔をして尋ねてくる。
「ああ――うん」
 ――ごめん、味なんて殆ど分らなかった。
「そう? よかった。明日も頑張るからね」
 天にも浮かび上がらないかという喜びを包み隠さず表現してくる。
 もし別れるなんて話を切り出したら彼女はどんな顔をするのだろう――言える訳がない。

 三人で電車の中でやる別に何でもない会話、昨日見たテレビや学校であった事。そのはずなのに、自然と口数が少なくなっていた。関係ない話でも話していれば話すほど嘘をついている気になってくるから。

「えとね――シロちゃん?」
「なんだよ?」
 顔を赤くして恥じらいながら何かを期待している彼女の目。
「もうすぐ駅だよね」
「――ああ」
 もうすぐ彼女達の降りる駅。減速している、もう目と鼻の先だ。
「別れのキス……」
 真っ赤にした顔を俯けながら言った。
「ごめん、さすがにちょっと人前じゃ恥ずかしいから」
 ――本当は智子からの視線が気になっていたから。

「じゃ、またな」
 軽く手を振って二人を見送る。
「士郎――えっと……やっぱり何でもない」
 智子の思わせぶりな態度。いかにも何かありますって態度。
「……なんだよ」
 ――ハッキリしてくれれば楽になるのに。
 いや、本当はオレの方がハッキリするべきなのかもしれない。

 ――お前はこんな関係でいいのか。自分に問うべき問題だった。
 わかっているさ、そのぐらい――

312不義理チョコ 第9回 ◆AuUbGwIC0s :2006/03/01(水) 22:54:24 ID:+voGOpCD
        *        *        *

 ――私は別に二番でいいとか、そういう考えとかは全くない。
 本当は私だけを見ていて欲しい。私だけを好きになって欲しい。
 あの時屋上で『学校の中だけいい』なんて言ったのは煮え切らない彼の背中を押すため。本当は私の方が好きだっていう自信があったから。私と一緒にいればミカなんて直ぐ別れようって思うように考えていたから。
 その自信が今はない。
 私と一緒に居るとき士郎は困っている顔している事が多い。
 本当は私なんかよりミカの方が好きなのかもしれない。ミカのお弁当を美味しいって言っていた。
 私はこんなに好きなのに――

 士郎が望むなら何でもしてあげる。
 ミカなんかよりずっと上手に――

 いつもより早く目覚ましをセットして、いつもより早く眠ることにした。
313名無しさん@ピンキー:2006/03/01(水) 23:26:13 ID:3xgYgwsM
GJ

智子がじわじわキター
314名無しさん@ピンキー:2006/03/01(水) 23:36:46 ID:18+IfDT4
そこまで判っていながら煮え切らない士郎モエス
315名無しさん@ピンキー:2006/03/01(水) 23:38:05 ID:5rkjs190
この雲行きGJ!
316合鍵 第二十五回 ◆tTXEpFaQTE :2006/03/02(木) 02:25:26 ID:j6OGsdSO
合鍵  第二十五回


病院前のコンビニで雑誌を買い、藍子の病室に戻るため、ロビーを通る元也。
こうやって元也が自由に行動できるのは、今のように藍子が薬で眠っている時だけだ。

ロビーの待合場を通り過ぎようとした時、後ろから声をかけられた。
その声には聞き覚えがあった。後ろを振り返りたくなかった。

「……事情は分かるけど、電話の一本ぐらい寄越してくれても良いんじゃない?」
元也「………ゴメン、サキさん」

顔を見なくても、声だけで、サキの不快感が伝わってくる。

藍子の両親から、リストカットの事は学校に言わないでくれ、と頼まれ、元也もその方が
良いと思い、誰にも言わず黙っていた。
しかし、家に服を変えに言った時、元也の家の前で待ち伏せしていたサキに捕まり、彼女だけには
本当の事を話したのだった。
ただ、藍子が手首を切るまでの状況は隠して。

サキ「で、藍子ちゃんの容態はどうなの?」
元也「命がどうこうって事は無いようです。
   ただ、手首には傷が残ってしまうらしいです」
サキ「そう、残念ね」
元也「はい、やっぱり、女の子ですから、傷が残るのは、可哀想ですよね」
サキ「…………」

エレベーターの中で、すっかり消耗しきった元也を見ながら、サキは考える。
やっぱり、あなたはいい子ねえ、元也君。
私が残念がったのは、藍子ちゃんが死ななかった事なのに。
ホント、死んじゃってくれれば良かったのに。中途半端な。

自分が、こんなに酷薄な事に驚きながらも、藍子の生存が不愉快だった。
こんな嫌な女になるとは、自分が信じられない。

元也「…本当に、お見舞うんですか?」
サキ「当然よ、元也君の幼馴染が大変なんですもの、私も当然心配だわ
   ……………それとも、私が行ったらダメなのかしら?」

今なら、藍子も薬が効いて、一時間は起きないはずだ。
その間に、ちゃちゃっと済ましてもらえば、良いだろう。

藍子の、サキへの嫉妬心は、既に嫌と言うほど見せ付けられていた。
だが、まだ、元也は気付いていなかった。
サキもまた、藍子への嫉妬心がその胸に溢れんばかりにあることを。
317合鍵 第二十五回 ◆tTXEpFaQTE :2006/03/02(木) 02:26:42 ID:j6OGsdSO
>>316の続き


サキ「ふーん、良く、眠ってるわねえ」

スヤスヤと穏やかな顔で眠っている藍子。

そういえば、藍子ちゃんが私を睨んでない状況ははじめてかしら?
こうやって見ると、本当にかわいい娘ね。

視線を、顔から腕へと移す。手首には包帯が巻かれ、逆の腕には点滴がしてあった。

何でまた、こんな事したのかしら?
理由は分かりきっている。
元也の気を引くためだろう。
なんていやらしい子。こんな幼い顔してるくせに、やる事がえげつない。
それとも、幼いからこそ、こんな直接的なことするのかしら?
でも、元也君、あなた、こんな方法で、転んだりしないでしょうね?

元也「あと、一時間は起きないと思いますよ。
   すいません、わざわざ来て貰ったのに」
ほんとは、助かったけど。

サキが買ってきた花を、花瓶に移しながら、元也はそう言った。

その元也の後姿を見ていると、急に、もう何日かキスもしていない事が思い出された。
藍子を見る。本当によく寝ている。………ここは、個室だ。うん、大丈夫。窓は……
外から見られる心配も無い。唾を飲む。

サキ「ねえ、元也君……」
後ろから元也に抱きついて、体を擦りつける。
そのまま、顔を元也の方へ向ける。後は、元也がこちらに首を回せば良いだけだ。
サキの好きな、キスの仕方だった。

だが、いくら待っても、元也は顔をサキのほうへ向けない。
更に強く、体を、密着させる。それでも、反応が無い。

元也「ごめん、サキさん……」
絞り出すような声で、元也が呟いた。

その一言で全てを悟った。
体を密着させたまま、サキは問う。

サキ「藍子ちゃんに、何言われたの?
   藍子ちゃんに、何されたの?
   ……いいえ、大体は想像つくわね
   最低ね、この子。
   こんな子の言う事、聞く事無いじゃない。
   ほっとけば良いじゃない」

元也「ごめんなさい。
   ……けど、こんな状態のこいつ、ほっとけるわけ無いじゃないですか
   それに、こいつ、俺が側にいなきゃ、また同じ事しちゃうかもしれないんです。
   おれが、側にいなきゃ、ダメらしいから…
   ゴメン、サキさん」
318合鍵 第二十五回 ◆tTXEpFaQTE :2006/03/02(木) 02:27:36 ID:j6OGsdSO
>>317の続き

………………………ふうん、そう。
元也君が、側にいなきゃ、ダメ?
そんなの、私も一緒よ。
そっか、その事が、伝えられていなかったのね。
それに、さっきの言葉、アレから察するに元也君、藍子ちゃんが好きでたまらないから、
私から乗り換えたって訳じゃあ無いみたいね。ちょっと、安心。
藍子ちゃん、元也君の優しさにつけこんで、こんなマネしたの。
上手い事したわね。さすが、幼馴染。
悔しいけど、私より元也君がどんな人間かを理解してるみたいね。
…………………それなら、どうやって取り戻せば良いのかしら?
…………………………ああ、そうか、私も、元也君がいなくっちゃ、もう生きていけない事を
分かって貰えればいいんだ。簡単じゃない。

元也から離れ、サキは出口のほうへと向かっていった。
サキが離れていくのを見るのが辛くて、窓の外を見た。
バタン、とドアの閉まる音。

ハア、と溜息を付く元也。目頭が熱くなる。

ぼんやりと元也が外を見続けること十数分、今度はカチャ、とドアの開く音。
藍子のお袋さんかな?と思い振り返ると、そこにサキさんがいた。
ガチャリ、と後ろ手で、鍵を閉める音がした。

鍵を閉めると、手に持っていた白いビニール袋から、ガサゴソと、何かを取り出した。

カッターだった。

元也が息を飲む前で、サキは左の手首を切った。
続いて、カッターを持ち替えて、右の手首を切った。

両の手首から、血を流すサキ。
サキ「ほら、元也君、藍子ちゃんは左だけでしょう?
   見て、私は両手よ」
見せ付けるように、血を流す両手を前に出した。
そして、サキはいつもの様に、クスクスと笑い始めた。
部屋に、サキの控えめな笑い声と、血が床に落ちる音だけが響いていた。

319名無しさん@ピンキー:2006/03/02(木) 02:58:53 ID:iBKMuQTl
サキたん、ダブルリスカキタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!!!!
320名無しさん@ピンキー:2006/03/02(木) 03:02:26 ID:crvNeI0K
お、恐ろしい女達だな。
何はともあれGJ!!
321名無しさん@ピンキー:2006/03/02(木) 03:04:47 ID:D/I2ta2d
先に元也が壊れるに1ペリカ
322名無しさん@ピンキー:2006/03/02(木) 03:09:12 ID:k2ImNPfp
なんだかバッドエンドしかない気がしてきた
323名無しさん@ピンキー:2006/03/02(木) 03:12:56 ID:1+1O8td2
凄い展開になってきましたwww
324名無しさん@ピンキー:2006/03/02(木) 04:24:09 ID:Bz8Yc32P
もときゅんハアハア
325名無しさん@ピンキー:2006/03/02(木) 04:57:24 ID:7W8EU21+
死人が出るな・・・
326名無しさん@ピンキー:2006/03/02(木) 06:45:34 ID:XEnNLNpy
これはやばい
やばいよ・・・
327名無しさん@ピンキー:2006/03/02(木) 07:09:31 ID:+yZbem4P
>>318
( ゜Д゜)

(つд⊂)ゴシゴシ

( ; ゜Д゜)恐ろしい女達だ
というか、ここまでさせる元也がすごいのか
この先の展開に期待
328名無しさん@ピンキー:2006/03/02(木) 08:28:12 ID:NmWSElyj
ちょっ・・・・サキさんもサキさんだよ!
329名無しさん@ピンキー:2006/03/02(木) 08:30:51 ID:Pii9RWFm
ttp://dolby.dyndns.org/upfoo2/mov/1140629910789.wmv
こ、これ見てもちつけおまいら
330名無しさん@ピンキー:2006/03/02(木) 08:47:02 ID:0oC1r26S
>>329
お前が落ち着け。w
とりあえず、これでも見て、気を静めるんだ。
ttp://www.youtube.com/w/One-hell-of-a-forehand?v=bA1rC0GPAWA&search=tezuka
331『鏡の復讐』 ◆AsuynEsIqA :2006/03/02(木) 10:07:59 ID:dAEq0289

それは世界を映す物
全てを逆さに映す物
逆さまの世界
「ハァ…ハァ…いゃ…」

まるで私達のよう
性格も
人生も
みんな逆さま
同じなのは外見だけ
「ハァ…いや、いや、イヤァァァ!!」
振り替えればそこには『私』
雨の真夜中。何度も転びながら逃げる。
「ウフフフフ…待ってよ、真由ちゃん…」
私はいくら走っても距離は開かない。イヤダイヤダ。つかまりたくない。
「いやぁ!こないで!こないで!」
いつの間にか暗い袋小路に入っていた。
まだ『私』は追って来る。手には光る刃物…。
「真奈ちゃん…逃げられないわよ…クスクス」
「あぐぅ!」
足がもつれて転んでしまった。もうダメ…起き上がる気力もない。涼に捨てられて……私にはもう頼るべき物はない。そして今…自分の姉が…
グッ!
後ろから首に腕が回される。その右手には鋭いメスが光っている。恐る恐る振り替えると、私の顔があった。自分でも見たことのない…異端染みた顔だった。
「ウフフフフ…つーかまーえたー。真由ちゃん、ひどいよ?あんな事お姉ちゃんにするなんて。お姉ちゃんすごく傷ついたなぁ…。でもね、ちゃんと涼くんが助けに来てくれたでしょ?私のために一生懸命になってくれる…
私だけを愛してくれる…。これが真由ちゃんと私の違いなのよ?わかる?アハハハ…」
頬にメスが当てられ、一筋の血が流れる。
「うぅ…ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい…お姉ちゃん…ごめんなさい…」
「だめよぉ真由ちゃん…謝るぐらいなら始めからやるなって昔から言ってたでしょ?…それにね、今回の事だけじゃないのよ?
真由ちゃん、私が風邪引いた時、私のフリして涼くんといたでしょ?
みんな知ってるんだから…その時…私の涼くんに何かした?お姉ちゃんの宝物汚しちゃダメだよ?たとえば…」下唇にメスが入る。余りの恐怖に、痛みさえ感じない…
「こことか…こことか…アハハハここもかな?」
さらに腕、足、胸……下腹部など…少しずつ傷つけていく。
「そんな悪い子には…もちろんお仕置が必要だよね…ね?ね?っヘヘヘ。そうだなぁ…どんなお仕置がいいかなぁ…」
そこで…私の意識が途絶えた…
332『鏡の復讐』 ◆AsuynEsIqA :2006/03/02(木) 10:10:45 ID:dAEq0289
「あら?クスクス…真由ちゃんたら、おねんねしちゃった…まあいっか…痛がる事無く、終われるんだから……
うーん…そうだ!お姉ちゃんと『一つ』になればいいんだよ…そうすれば、一緒に涼くんを愛せるよ?ウフフフフ…お姉ちゃん優しいでしょお?いつだって真由ちゃんの味方なんだよ?涼くんの次に、だけどね?」
そうして私達はひとつになる…
光る刃物が、自分と同じ体に食い込み、切り刻んでいく。なにひとつためらいもなく、融合は進む…
「まずは…目。これで涼くんを見れるね…」・


「次に、鼻ね。ウフフフフ…涼くんていいにおいするからね…」







そして宴は始まった…
(ウフフフフ…涼くん…待っててね…)
333名無しさん@ピンキー:2006/03/02(木) 10:15:50 ID:0xlwD27L
サキのリストカットでもガクブルだったのに
( ; ゜Д゜)真奈たんなにしてんのー!!!
334名無しさん@ピンキー:2006/03/02(木) 10:39:13 ID:1kBHLcvk
ド━(゚Д゚)━ ン !!!
335名無しさん@ピンキー:2006/03/02(木) 10:56:46 ID:d3I4nhtu
なにをするだー!!
336名無しさん@ピンキー:2006/03/02(木) 11:19:08 ID:tPiA6GJX
蟹か?蟹なのか!
337名無しさん@ピンキー:2006/03/02(木) 11:46:05 ID:TScXKpuN
両作怒涛の展開に期待age
338名無しさん@ピンキー:2006/03/02(木) 12:42:27 ID:Q3fHyEnj
これは涼が真由に流れるためのフラグだ!
そして、合鍵の怒涛の展開に((;゚Д゚)ガクガクブルブル
もと君の総受け状態に萌え
 自分のしていること、やろうとしていることが道義に反するのは承知の上だけれど、
 何かあるたびに、私のか細い決意は蝋燭の炎のように揺らめいてしまう。
 先輩が一瞬遠い目をしたり、
 私に呼びかけるときに、かえで、と言い間違ってしまったり、
 楓さんの話題を意図的に避けているのがみえみえのときだったり……
 自分で決めたことだというのに、まっすぐ前を向くことができない。
 ……しっかりしろ、森川樹里。
 最初から孤立無援なのは、わかり切っていたじゃないか……
 
 やはりというか何というか、楓さんと先輩は同棲しているらしい。
 楓さんとの最後の記憶がよみがえる。
 楓さんは、先輩だけが自分の存在価値だと云った。
 それに比べれば、私はきっと色々なものに恵まれているのだろう。
 だが、ここまできて引くわけにはいかない。
 まるで下種だが、先輩が私のからだに溺れてくれたならそれが一番楽だったと思う。
 実際は逆だ。私が先輩との行為に溺れている。
 私の体を撫で回すその技術が、恋敵によって培われたものだと思うとなかなか複雑なものがあるが、
 あくまで過去は過去だ。ふたりが兄妹を超えた関係にあったという単なる事実でしかない。
 未来はこれから変えていくんだ、きっと……
 
 ベッドサイドに置いてある先輩の携帯を手に取る。
 忠告どおり、わかりやすい暗証番号にはしていないらしい。
 だが甘い。私は今日に限って持ってきていた別のバッグから、仕事で使っているノートパソコンと、
 携帯電話とパソコンを接続するケーブルを取り出し、先輩の携帯とパソコンを接続する。
 先輩が起き出してくる様子はないが、手早く済ませよう。
 私はあらかじめ用意しておいたショートカットから、携帯電話の管理ソフトを立ち上げる。
 メニューから“暗証番号サーチ”を選択し実行。プログレスバーがゆっくりと伸びはじめる。
 

 こういうものがこの世に存在しているのを知ったのは仕事絡みでのことである。
 医者がモルヒネにはまるのと同じ理屈だ。
 医者だろうが弁護士だろうが教師だろうが、中身は人間である。
 実際に悪事に手を染めるか否かは、結局のところ個人の問題であろう。私は前者だが。
 解析開始から30分ほどして無事に暗証番号を手に入れる。
 この4桁の数列がどのような経緯によってここに収まったかは不明だが、そんなことはもはやどうでもいい。
 後はこの暗証番号を使って、取り出せるだけのデータをパソコンにコピーしてしまえばOKだ。
 全ての情報を実際に使うかどうかは別だ。私は先輩の社会的地位を脅かしたいわけではない。
 ただ、使えそうなものは全て手札として持っておこう。
 私が戦っているのは、真正面から攻めても絶対に勝てない相手だから。
 
 何事もなかったかのように元の位置に携帯を戻し、先輩の寝顔を眺める。
 なんとも締まりのない顔だ。
 だがそれが、私を無条件に信頼していることの表れだと思うと胸が熱くなる。
 このひとを手に入れてみせる。絶対に。
 決意を新たにし、私は先輩の胸元へと滑り込んだ。
 ―――反撃開始だ。
 
 ----
 
 暦の上の季節なんてものは大抵先走りすぎだと毎年思うが、五月の連休を過ぎてからやたらと暑い。
 温室効果とかコンクリートジャングルとかヒートアイランド現象とか、
 とにかくそこに生きる人間にやさしくない街だ、ここは。
 
 あれからも樹里ちゃんとの“交流”は続いていた。
 枕語りに聞いた話によると、結婚がどうこうというのは明日明後日に決着しなければならないことではないらしい。
 それとなしにおれの気持ちを聞かれたこともあったが、あいまいにごまかすことしかできなかった。
 樹里ちゃんは魅力的だ。それは動かしようのない事実だろう。
 楓のことがなければ、なけなしの勇気と根性を振り絞って奮起していたに違いない。
 だが、楓の存在がおれにそれを踏みとどまらせている。
 あいつにはおれしかいない。
 だが、楓を女として愛しているかと言われると素直に首を縦に振ることができない。
 だったら何故楓を抱ける?
 愛とセックスは別物だ、なんて都合のいい言葉に納得させられたくはない……
 
「ただいま」
 久々の定時帰宅である。
 最近は残業続きで、帰ってきても飯も食わずに泥のように眠る日が多かっただけに実にありがたい。
 思えばずっと楓とはご無沙汰だったのを思い出す。
 楓ちゃんの相手をしているのでそっちはそれほどではないのだが、多少がっつくくらいのほうが怪しまれないかもな……
 と、何故か電気が付いていない。
「……居ないのか?」
 鍵が掛かっていなかったのがちょっと気になる。
 手探りでスイッチを探り当てる。暗闇に慣れた目が一瞬眩み―――
 
「……なんだ、いるじゃないか」
 びっくりさせないでくれよ。
 楓はテーブルにうつぶせるようにして、ぼんやりとしている。
「最近は物騒だから、日中で家にいても鍵は掛けておけって言ったよな? 気を付けろよ?」

 背広をハンガーに掛け、ネクタイを緩める。
 
「……あれ? 飯まだ作ってないの? おれ腹減っちゃったよ。そうだ、たまには外に食いに行くか?
 駅前にさ、新しく蕎麦屋ができたんだよ。同じ駅で乗り降りする会社の先輩が、お勧めだって言ってたからさ。
 折角だし食べに行かないか? うちたての蕎麦粉の香りがそれはもうたまらないらしいぞ?」
 
 楓はうずくまったまま、ぴくりとも動かない。
 
「……もしかして、調子悪いのか? だったら無理せず寝ろよ。おれは適当に済ませちゃうからさ。
 食欲はあるか? 何か食べたいものあるか? ……朝のメシってまだ残ってたっけ。
 お粥くらいなら作ってやれるけど……」
 
「……」

「……楓?」

 どうにも様子がおかしい。
 額に手を当ててみるが、熱があるわけではないようだ。
 
「……一体どうしたんだ、言ってくれなきゃわからないぞ」

「……」

 楓は焦点の合っていない視線をこちらに向けてくるだけで、あとはだんまりだ。
 
 ……困った。
 長い兄妹生活、楓の機嫌を損ねることなんてそれこそ無数にあったが、こういう反応は初めてだ。
 それとも本当に具合が悪いのであれば、大事になる前に医者に連れて行かないとまずいだろう。
 もう一度体温を、今度は額を合わせて測ってみる。
 ……おれの感覚を信じるならば、楓は平熱である。おれより若干低いので、僅かにひんやりとするのだ。
 
「……ねえ、にいさん」
「……なんだ?」
「……わたしのこと、すき?」
「どうしたんだ、藪から棒に」
「いいから。……わたしのこと、すき?」
 ……ははあ。これはあれか、久々におれが早く帰ってきたもんだから、かまって欲しいんだな。
「……好きだよ」
「……あい、してる?」
「愛してる」
「……だれよりも?」
「誰よりも」
「……ほんとう?」
「本当だよ」
「……ほんとにほんとう?」
「本当の本当」
「……うそじゃない?」
「嘘じゃないってば」
 ……今日は妙に強情だな。
 
「……じゃあ、これ、うそ、ですよね?」
 楓が自分の携帯を開く。
 
「びっくりしちゃいましたよ、今、こういうのってパソコンで簡単に作れちゃうんでしょう?
 あいこら、って言うんですよね。一瞬自分の目を疑いました。すごい技術ですよね。
 ……それにしてもひどいですよね。何でわざわざ、わたしたちを標的にするのかな。
 世の中にはもっと悪いひとや、ひどいことして平気なひとがいくらでもいるのに。
 どうやって兄さんの写真を撮ったんだろう。会社の人かな。ひどいよね。盗撮だよ。
 しかもね、送信元がわたしのアドレスになってるの。わけがわからないですよね。
 どうにかして送り主を調べられないでしょうか、警察? 探偵? 興信所とか?
 ねえ兄さん、どうすればいいですか? これは立派な名誉毀損ですよ!
 ……ほんとに、もう、なんていうか、わたし、つらくて……」
 
「……」
「……兄さん?」
「……」
「……黙ってないで、何とか言ってください」
「……」
「……わたしのこと、好きだって、誰よりも愛してるって、言ってくれたばかりじゃないですか」
「……」
「……ほんとのほんとに好きだって、たった今言ったじゃないですか」
「……」
「……うそ、ついたんですか」
「……」
「うそ、ついたんですか、って訊いてるんですこっちは!!」
 
 
 
 
「……すまん」

 ―――瞬間。
 天地が逆転した。
343 ◆kQUeECQccM :2006/03/02(木) 18:13:10 ID:NmWSElyj
正味80KB近い前振りを用意しておきながら、
尻すぼみになったらどうしようと戦々恐々とする日々です。
特に今はちょうど他作品の方が佳境なだけに ω

>305-306
俄然興味が湧いてきましたよ?…たよ?

>307
>308
>309
このままだと二人とも暗黒化しそうなんですががががが。
344名無しさん@ピンキー:2006/03/02(木) 18:16:24 ID:umvVWzW8
GJ!
黒樹理らぶ。
345名無しさん@ピンキー:2006/03/02(木) 19:08:13 ID:0oC1r26S
て、天地逆舞!?
や、それはともかくGJ!さぁ死合開始ですな(わくわく
346『鏡の復讐』 ◆AsuynEsIqA :2006/03/02(木) 19:32:57 ID:dAEq0289
結局病室の周りを探し回ってみたが、真由も真奈も見つからなかった。アパートにも帰ってないようだったので、また明日探そうと部屋に戻った。
「………ん?」
部屋に入った途端、何か違和感を感じた。
どんなと聞かれても答えようのない違和感だが。
「疲れてるだけか……」
シャワーを浴びようと風呂場に向かう。



ザアアアァァァァ
「ふう」
雨に冷えた体を温め、一息つくと
ガタン!
「ん?なんの音だ?」
物音がしたので部屋を見てみると……小物が少し落ちていた。
「なんだよ…驚かせやがって。」
あんな事の後だったため、神経が敏感になっているのかもしれない。とにかく落ち着かないと…
落ちていた物を拾い上げ、風呂場に戻ろうと振り返った時……
見ていた。いや、見られていた。
わずかに開いていた寝室のドアの隙間から…二つの目が。
「あ、あぁ…あ」
余りに突然の事で体が恐怖に竦んで動けず、声も出なかった。
その顔は、微笑んでいた。とても不自然な笑い顔だった。
「真…奈か…?」
ようやく頭がまともに回り、その人物を確認する。
「うん…そうだよ、涼くん。」
そう答えると真奈はゆっくりと部屋から出て来るが…
「!!!」
真奈は病依を着たままだった。雨に濡れて、全身がグシャグシャだったが…何より驚いたのが、薄い青の病依が所々赤に染みていたのだ。
「おい!真奈!大丈夫か?どこか怪我でもしたのか?」
急いで真奈に駆け寄り、体をそっと抱き締めると、真奈は逆に俺の体を力強く抱き締めた。少し胸が苦しかったが、優しく頭を撫で、落ち着かせる。
「大丈夫…大丈夫…怪我なんてしてないよ。」
そう言って顔を上げる。
が、目が、真奈の目は曇ったガラスような目をしていた。どこかで見たことのある……これは………
「遅かったね。涼くん。」
「遅かったねって……それよりお前、どうやって入ったんだ?」
鍵は自分で持っている。開けた後閉めたはずだ。
「えへへへへぇ。これ。」
ジャラとキーホルダーの付いた鍵をみせる。
347『鏡の復讐』 ◆AsuynEsIqA :2006/03/02(木) 19:34:08 ID:dAEq0289
「合鍵だよ。」
「お、おい!いつの間にそんなの!」
「なんで?なにかマズイことでもある?私達恋人同士なんだから、持ってても不思議じゃないでしょ…?それとも涼くん…私以外の女を部屋に入れてるの?
だから勝手に入られたら……困るの?」
言う度に抱き締める力が強くなる。だが顔はまだ微笑んでいた。
あばらが痛い。「ま、待った!!そうじゃない!わかったから、持っててもいい!」
そう叫ぶと、フッと力を抜き、頭をグリグリと胸に押し当てた。
「にゅふふ〜。そうだよねー。涼くんに限ってそんな事、あるはずないよねー。もし浮気なんてしたら、『お仕置』だよ?」
そう言う真奈の目が怖かったので、目を逸らし、無言で頷いた。
多分、あんな事があったから気が荒れているんだろう。しかも双子の妹…真由にされたんだ。少し休めば落ち着くだろう。
「ほら…今日はもう休めよ…疲れただろ?」
「なぁに?私邪魔なのかな?早く出てって欲しいのかな?まさか…」
「別に他の女を呼ぶわけじゃない!お前が疲れてると思って言ってるんだ。」
真奈が言う前に遮る
一緒に寝るか?
そう言おうと思ったが、正直今の真奈とは寝れる気がしない。
怖かった。
「うん…そうだよね。涼
348『鏡の復讐』 ◆AsuynEsIqA :2006/03/02(木) 19:36:11 ID:dAEq0289
「合鍵だよ。」
「お、おい!いつの間にそんなの!」
「なんで?なにかマズイことでもある?私達恋人同士なんだから、持ってても不思議じゃないでしょ…?それとも涼くん…私以外の女を部屋に入れてるの?
だから勝手に入られたら……困るの?」
言う度に抱き締める力が強くなる。だが顔はまだ微笑んでいた。
あばらが痛い。
「ま、待った!!そうじゃない!わかったから、持っててもいい!」
そう叫ぶと、フッと力を抜き、頭をグリグリと胸に押し当てた。
「にゅふふ〜。そうだよねー。涼くんに限ってそんな事、あるはずないよねー。もし浮気なんてしたら、『お仕置』だよ?」
そう言う真奈の目が怖かったので、目を逸らし、無言で頷いた。
多分、あんな事があったから気が荒れているんだろう。しかも双子の妹…真由にされたんだ。少し休めば落ち着くだろう。
「ほら…今日はもう休めよ…疲れただろ?」
「なぁに?私邪魔なのかな?早く出てって欲しいのかな?まさか…」
「別に他の女を呼ぶわけじゃない!お前が疲れてると思って言ってるんだ。」
真奈が言う前に遮る
一緒に寝るか?
そう言おうと思ったが、正直今の真奈とは寝れる気がしない。
怖かった。
「うん…そうだよね。涼くん、私のこと好きだから心配してくれてるんだよね。…わかった。じゃあまた明日ね?」
そう言って再び微笑むと、ゆっくりと玄関へ歩いて行った。
靴を履いて出ようとした時、急に振り向き。
「裏切ったら『お仕置』だよ?」
と言い残した。
「なんだよ…お仕置って。」
ろくに食事もとらないまま俺は眠りに落ちた……
349『鏡の復讐』 ◆AsuynEsIqA :2006/03/02(木) 19:37:31 ID:dAEq0289
ミスった…真ん中は没です
すみませんm(_ _)m
350優柔 第10話  ◆I3oq5KsoMI :2006/03/02(木) 19:55:10 ID:vOzPofs3
椿ちゃんと別れてから、僕はクラスの男友達とお昼を食べています。
2人で食べていた時は「この裏切り者が!」とか「自分だけいい思いしてんじゃねー!」とか、何故だか非難されていましたが、別れたと言うと何も聞き返さずに受け入れてくれました。
こういう時に男友達のありがたさを実感じます。
いつもは購買でパンを買って教室で食べるんですが、たまには食堂に行こうという提案が出ました。
そうわけで僕達4人は食堂にいます。
予想していたほど混雑していなく、僕達は長机に2人ずつ向かい合って座ることができました。
お昼を食べながら男同士で雑談・・・こういうのも青春というのでしょうか、同性ならではの楽しさがあります。


私は親友の千尋と食堂に来ていた。授業が長引いたため、多少の混雑はあったが席は確保できた。
私はサバ味噌定食を、千尋はミートスパを食べる。
サバの身を一口、続いてご飯を一口・・・やはり、食事をしている時が生きてて良かったと思える。
それは千尋も同じようで、上機嫌にパスタを器用にフォークに絡ませ口に運んでいる。

千尋とのお喋りで気付かなかった。愛原が2時の方向、3つ先の長机にいたのだ。
男子と楽しそうに喋っている。私の視線は自然と愛原に向かっていた。
一昨日結ばれて、昨日初めて女の悦びを知った。
そのことを思い出すと胸が高鳴り、顔が熱くなっていくのが分かる。
まるで少女漫画のヒロインのような自分の態度が可笑しくて、思わずにやけてしまう。
というか愛原、私の熱い眼差しに気付け・・・

「・・・って、聞いてる?」
「え・・・あ、うん。何だっけ?」
千尋は怪訝そうな顔を浮かべている。
「だから、あんたの元カレの話。あんた達お似合いだと思ったんだけどなあ。一ヵ月も前に別れたなんて聞いてないっつーの」
「ああ・・・そんなこともあったな」
「何その忘却の彼方的な言い方は。あんなキャパの高い男、そういないよ?紹介した私が言うくらいだもん。で、別れた原因、何?」

そう、愛原に彼女ができた後、私は千尋に紹介された男と付き合った。
その人は全国でも有数の進学校に通い、その中でもトップクラスの学力があった。
それに加えて顔立ちも良く、スポーツ万能、性格も良いという正に万能人だった。
「・・・性格の不一致、かな」
私はそんな適当な答えでお茶を濁した。
正直、相性は良かった。愛原を忘れるためには十分すぎる人柄だった。
でもやはり違った。
その人とキスをした時、抱き締め合った時、罪悪感がよぎった。
――私が好きなのはやっぱり、愛原だ。この人じゃない。
ついに私は別れを告げた。わずか4ヵ月の交際だった。
「はあ?・・・まあいいけど。あいつ、あんたにフラれたってめちゃくちゃヘコんでたよ」
別れる理由を考えた。相手が股をかけていたり、性格が悪かったら別れやすかったかもしれないが、そんなことは一切なかった。
むしろ、私のことを大事にしてくれたので下手な言い訳を思いつかなかった。
だから私は、本心を伝えた。他に好きな人がいると。
相手は私を罵倒するどころか、逆に応援してくれた。
351優柔 第10話  ◆I3oq5KsoMI :2006/03/02(木) 19:55:51 ID:vOzPofs3
でも別れてから一ヶ月も経ったというのに、私はまだ自分の本当の気持ちを伝えられていない。
愛原も彼女と別れて、準備は万端だというのに。
私のした事は、処女だということを隠して身体を使って慰めたこと。
セフレのような関係を持ちかけることで愛原の関心を引いたこと。
そして、自分から告白することなく、愛原に自分を好きになってもらおうとしていること。
ズルイやり方だと思う。
現にすぐ近くに愛原がいるというのに、私は声を掛けられず遠くから眺めているだけ。
人が大勢いる前では何もできない。
何て臆病なんだろうか。

「綾乃、あんた今フリーでしょ。また新しいオトコ紹介してあげよっか?」
コーヒーを飲みながら、千尋は提案する。
「いや・・・いいよ」
千尋の交友関係は広い。それは男も女も含めて。
恋愛経験も豊富だが相手は選ぶ。
私の知る限りでは皆、資質の高い男ばかりだった。
彼女自身、魅力的で資質が高いから自分に見合う男としか付き合いたくないのだろう。
きっと私に紹介しようとしている男も例外ではないはずだ。
「恋愛よりも進路のほうが大事、だから」
私は嘘をついた。本当は他に好きな人がいる。そいつは千尋の言うところのキャパの高い男ではない。
でも、私はそいつのことを誰よりも、愛しているつもりだ。

愛原達は食事が終わったようで、食器を持って返却口に向かった。
楽しそうにお喋りをしては、笑顔を垣間見せる。
どんどんこっちに近づいてくる。ほんの数メートルの距離だ。
でも愛原は、私に気付くことなく通り過ぎていった。
空しい。私はこんなに想っているのに気付かないなんて。
ふと昨日の言葉が思い出された。
「・・・先輩は、どうしてここまでしてくれるんですか」
――それぐらい気付け、バカ。

ああ、もう・・・無性にイライラしてきた。さっきの感情とは大違いだ。
私は話の途中で席を立った。
「綾乃、どうしたの?」
「食後のデザート・・・食う」
「えっ!?ご飯山盛りだったのにまだ食べんの!?」
「甘いもんは別腹」
「もう・・・それ以上乳がでかくなっても知らないよ?」
「うるさい!大きなお世話だ!!」

352優柔 第10話  ◆I3oq5KsoMI :2006/03/02(木) 19:57:15 ID:vOzPofs3
「ごめん、お弁当忘れたから購買でパン買ってくるね。先食べてて」
さてと、ゆう君探しに行こうかな。
教室には・・・いないな。
いつもはいるのに。食堂かな?

購買でパンを選びながら食堂を見渡す。
ゆう君、ゆう君・・・あ、いた。
男友達と一緒にご飯食べてる。
・・・ちょっと安心。
でもねゆう君、食堂のメニューなんかより私の作るお弁当のほうが美味しいでしょ?
言ってくれればいつでも持ってくるからね。

朝の通学の時も休み時間もメス犬の影は見当たらなかった。
メス犬はメス犬らしく近所の野良犬と交尾してればいいのにな。そう思っちゃう。
今日はハズレみたい。まあゆっくりやっていこう。

「ごめんね、お昼混ぜてもらって」
「全然いいよ、そんなこと」
「そうそう、椿ならいつでも大歓迎だよ」
「椿ちゃん、彼氏と喧嘩中なんだってね」
「うん、ちょっと派手に喧嘩しちゃって。なかなか許してくれないのよ」
「彼氏のやつ、こんなに可愛い彼女が謝ってるんだから早く許してやればいいのに」
「だよねー。そのうち椿に愛想尽かされて泣き見るかもよ」
「早く仲直りができるといいね、椿ちゃん」
「うん!」
353 ◆I3oq5KsoMI :2006/03/02(木) 20:02:59 ID:vOzPofs3
数日経って来てみたら・・・何ですか、この怒涛の神展開は!?
死相が、出てますね・・・

管理人様へ
まとめサイトの『The Privilege』の作者が私になっておりますが、違うようです。
修正お願い致します。
354名無しさん@ピンキー:2006/03/02(木) 20:10:09 ID:NmWSElyj
>朝の通学の時も休み時間もメス犬の影は見当たらなかった。
>メス犬はメス犬らしく近所の野良犬と交尾してればいいのにな。そう思っちゃう。

これですよこれ。ゾクゾクするよー・・・
355名無しさん@ピンキー:2006/03/02(木) 21:33:18 ID:/KjnRCqh
>というか愛原、私の熱い眼差しに気付け・・・

先輩のこれもいい。
356名無しさん@ピンキー:2006/03/02(木) 23:48:50 ID:q+/OdonJ
ほぼ同時期に始まった辺りから予想してたが……。
この修羅場ラッシュはやばすぎるw
357名無しさん@ピンキー:2006/03/03(金) 00:00:22 ID:L8DlVmmQ
本当に凄い連載陣だな・・w 少年ジャンプ黄金期を思い出したよ・・w

作者に問おう

あなたは神か?
358名無しさん@ピンキー:2006/03/03(金) 00:02:58 ID:k2ImNPfp
全作品バッドエンドのような気がしてならないのは俺だけでしょうか

うん嫉妬してくれるならどんな結末でも文句ないです
359名無しさん@ピンキー:2006/03/03(金) 00:26:39 ID:FUY0+8R5
ごめん330見たらこのスレ的な気持ちが吹っ飛んじまった
とりあえず神が多いことに感動
360名無しさん@ピンキー:2006/03/03(金) 00:28:27 ID:UI+z6XyM
え?今まで見たSSは全部ハッピーエンドだと思ってた
361名無しさん@ピンキー:2006/03/03(金) 00:42:18 ID:7PwylHSY
呼ぶは包丁。望むは修羅場。
それが俺たちのジャスティス。
362名無しさん@ピンキー:2006/03/03(金) 00:44:57 ID:zQHEcr17
だったら、逆の方向でSSを書いてみるか
パロネタ満載の奴をw
363名無しさん@ピンキー:2006/03/03(金) 01:03:32 ID:S+ruJ5s+
皆さんこんなクオリティの高い文章を一気に読ませずぶつ切りで投下するので
次の展開が待ち遠しくてたまらない。
なんか新聞の小説欄で推理小説を毎日読んでいる気分だ。
364名無しさん@ピンキー:2006/03/03(金) 01:27:15 ID:8V6y6TsV
激しく同意。毎日ここに来るのがメチャクチャ楽しみw
365名無しさん@ピンキー:2006/03/03(金) 02:07:54 ID:3TG+AriS
>>363,364
ヽ(・∀・)人(・∀・)ノ
朝起きて新着レス確認、夕方帰ってきて新着レス確認、会社で隙を見て新着レス確認
寝る前に新着レス確認を毎日欠かさない俺がいる
作者様多謝
366名無しさん@ピンキー:2006/03/03(金) 02:11:47 ID:LuGmCjtV
>>365
よう俺。
367名無しさん@ピンキー:2006/03/03(金) 02:18:57 ID:mU30BChl
>>318
サキ先輩リスカッター乱舞の太刀キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!!!!
>>343
続きにwktk
>>349
姉もサイ娘と忘れた頃にやってくれる
>>353
先輩の暴走まだー?

って、ちょwwwなにこのシュツルムウントドランクな流れwwwww




368名無しさん@ピンキー:2006/03/03(金) 04:12:09 ID:58JMduls
>>365
やあ俺。
369名無しさん@ピンキー:2006/03/03(金) 04:54:52 ID:wmN0kcUJ
>>365
おっす元気か俺?
370名無しさん@ピンキー:2006/03/03(金) 07:19:38 ID:+EMDRz5j
>>365
俺がいる
371名無しさん@ピンキー:2006/03/03(金) 07:50:15 ID:4Xoyg7W5
結構人が居ますな。そして

>365
念レス成功
372名無しさん@ピンキー:2006/03/03(金) 09:57:33 ID:6j3NS4pN
ここには俺が半ダースも
373名無しさん@ピンキー:2006/03/03(金) 13:33:21 ID:dPviIegN
いつのまに分身した俺。
374名無しさん@ピンキー:2006/03/03(金) 13:49:49 ID:izUN4nsL
俺は気づかぬうちに自作自演してたらしい
375名無しさん@ピンキー:2006/03/03(金) 15:37:13 ID:tjQTib97
>>365
あれ?俺いつこんな書き込みをしたんだろ・・・
376名無しさん@ピンキー:2006/03/03(金) 16:09:08 ID:3TG+AriS
まさかこれほど同胞が居ようとは・・・
社会人の多さに感激(;つД`)
やはり嫉妬三角関係修羅場というのは紳士の嗜みですね
作者様、私と分身たちをよろしくお願いしますm( __ __ )m
なにげにRiver of Tearsの続編を待ってたりします・・・
377名無しさん@ピンキー:2006/03/03(金) 16:49:42 ID:LDthmzrb
さすがにそろそろ鮮血かな・・
合鍵
378名無しさん@ピンキー:2006/03/03(金) 17:45:46 ID:3ePX91NI
もう十分に血が流れすぎている件について
 突き飛ばされたのだと気づくのに数秒を要した。
 間髪いれず楓がのしかかってくる。
「な、なにを……むぐ」
 抗議の声を上げようとして、唇を塞がれる。
 ぬらぬらとした感触がおれの口内を這い回る。
 穿たれるかと錯覚するほどの力強い愛撫。
 それがおれの弱いところをピンポイントで攻めてくる。
 いつものような、じらされることそのものを楽しむような余裕はまったくない。
 トランクスの前を押し上げているものが、楓の冷たい手に包まれてぞくりとする。
 おれが教えた全ての技術を結集し、楓は俺を蹂躙していく
 しごくなんて生易しいもんじゃない、性器を通して直接脳髄に快感を叩き込む手技。
「あうっ……」
 楓の左手の爪が、おれの胸に食い込む。
 一瞬でもマゾヒスティックな快感を感じてしまったことに羞恥するが、
 楓はそんなことを気にも留めず、どんどんおれを追い詰めていく。
 楓はもどかしそうに下着を脱ぐと、おれのものを入り口に押し当て、一気に挿入した。
 引っかかりは全くなく、いとも簡単に最深部まで到達する。生暖かくぬめった感触。
 一旦落ち着くのを待たずに、楓は高速で腰を動かし始める。
 ぐちゃ、ぐちゃ、という音が今日はとても汚らしいものにしか聞こえない。
 体中で一番敏感な箇所をただ擦り合わせるだけの、セックスとはとても呼べないような行為。
 これはレイプだ。
 楓がおれをレイプしている。
 今まで一度だって、こんなことをしたことも、されたこともない。
 それでも否応なしに体は反応してしまう。
 楓の分泌も量を増し、滑りがよくなるにつれて動きも激しくなっていく。
 楓はおれを気持ちよくさせたいわけじゃない。
 自分のヴァギナを使って、おれを射精させたいだけだ。
「楓、やめろ、もう、ぐっ」
「嘘言わないでください、まだイかないですよね。わたしにごまかしはききませんよ」
 膣壁がぎゅっ、っと締まり、楓の内部の感触が鮮明に入力される。
 そういう意味じゃない。
 もう、こんなセックスはたくさんだ、と言おうとして声が出ない。
 楓の吐息、とろけるようなディープキス、性器全体にまとわりつく湿度と熱と圧倒的な快感、
 それらすべてを一度に受け取ってしまい、脳の処理が追いつかない。
 いつしかおれは涙を流していた。
 雫が目元に溜まるたび、楓がそれを舐めとる。
 次々と溢れて止まらない。
 猫がじゃれつくようなしぐさで、ぺろぺろと目元をくすぐられる。
 そうしているうちに、あっと言う間に射精感がこみ上げてくる。
 もうだめだ、出る、と思った瞬間、楓はペニスを膣から抜き、ぐにぐにぐに、と数回手でしごきあげた。
「くぅぅぅぅっ……」
 びゅく、びゅく、びゅ、びゅ、びゅ……
 玉袋に直接手を突っ込まれて、握りつぶされたような感覚。
 楓によって完全に統制された、完璧なタイミングでの射精。。
「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ……」
 息が完全に上がっている。思考が真っ白なペンキで塗りつぶされてしまったように何も浮かばない。
 楓は手のひらにぶちまけられた精液を眺めている。
「……薄い」
 楓はそれをぺろり、と充血した舌で舐めとる。
 頬の裏、上顎、舌裏、歯茎、前歯とまんべんなく塗りたくり、口内全体で性臭を味わっている。
 しばらくもぐもぐさせた後、じっくりと嚥下する。
「……やっぱり薄い」
「……薄い、って何が」
「精子が、ですよ」

「……おかしいですよね」
「……」
「……わたし、ここ最近、兄さんに抱いてもらった記憶がないんですけど」
「……」
「……帰ってきたらすぐ寝ちゃってたのに、オナニーなんかできませんよね?」
「……」
「……したんですね」
「……」
「したんですね! この女とッ!!」
 
「……どうして兄さんはそうやって約束を破るんですかッ!?
 わたし、前にも言いましたよね!? 兄さんの性欲はわたしが全て面倒をみるって!!
 残業だ泊まりだって言って、本当はこの女と会ってたんですね!?
 どうして、どうしてどうしてどうして!?
 兄さんはわたしを裏切るんですか!? 嘘つくんですか!?
 したくなったら会社を早退してでも帰ってきて、わたしとセックスすればいいじゃないですかッ!?」
 
 ……無茶苦茶言いやがる。
 
「……わたし、情けなくて涙が出そうですよ……
 自分でおかしいと思わないんですか?
 帰れば自分の嫁がいるのにどうして、よその女に手を出さなきゃならないんですか!?
 ……そっか、そんなはずはないですよね。
 この女が、兄さんを誑かしたんですよね。そうよ、そうに違いないわ。
 優しい兄さんが、わたしを、裏切るわけ、ない。
 ねえそうでしょう? この女に泣きつかれて、仕方なくやったんでしょう?
 ……最低。最低のクズ女。他人のものに手を出して平然としていられる、厚顔無恥なメス豚。
 最悪、最悪最悪、最低最悪の人間未満のゴミ人間。
 ――殺す。殺す殺す殺す。包丁で八つ裂きにして、内蔵を抉り出して、細切れにして、
 池の鯉の餌にしてやる。あはは、駄目か。そんなもの食べたら、鯉だって死んじゃうものね。
 ミンチにかけてハンバーグにしてやろうかしら。混ぜた先から玉ねぎとパン粉が腐りそうね。
 やっぱり駄目だわ。存在価値マイナスの犬畜生。居るだけで資源の無駄遣い。
 ――死ね。死ね。死ね死ね死ね死ね! 
 ……わたしが殺してやる!! 絶対、絶対殺してやるッ!!!」
 
「……おい、いい加減にしろよ」
 
「いい加減にしてほしいのはこっちですよ兄さん。
 わたしは被害者ですよ? にいさんも被害者。
 悪いのは全部この女じゃないですかッ!!」
 
「勝手なことばかり言いやがって!
 簡単に死ねだの殺すだの、大概にしろよッ!!」
 
「わたしが毎日、どんな思いで兄さんの帰りを待ってるか知らないから、
 こういう真似ができるんですッ!!
 心のない人間に、まっとうな人間扱いしてもらえる価値なんてありませんッ!!」
 
 カチン、ときた。
 
「お前はただここで待ってればいいんだろうよ。
 でもおれは違うッ!!
 お前との暮らしを守るために毎日必死になって働いてる!!
 それなのにお前はいつもいつも夢物語みたいなことばっかり言いやがる!!
 お前とこの先暮らしていくのだって一筋縄じゃいかないのはわかってんだろうが!!
 その上、よく知らない人間のことをさんざん悪し様に言いやがって、
 お前のほうがよっぽど―――」
 
 ……その先はさすがに自制する。
 
「―――ちょっと出てくる」
「待ってください、話はまだ終わってません!」
 
 
 
 着替えを済ませ、追いすがる声を無視して部屋を出た。
 盛大にやらかしてしまったというのに、足は何故か軽い。
 やけっぱちになって、背負った荷物も何もかも投げ捨ててしまったからか、
 全身が不思議な開放感に溢れていた。
 初夏の風が肌に気持ちいい。
 さて、今日のところはホテルにでも泊まるとして……
 ……おしおきしてやらないとな。
382 ◆kQUeECQccM :2006/03/03(金) 18:02:33 ID:S6uhk5/l
俺がいっぱいコレクション。
少しでも楽しんでいただけているのなら幸いです。

>334
じゅり は すなおクール から こあくまちゃん へ クラスチェンジ!
383名無しさん@ピンキー:2006/03/03(金) 18:03:36 ID:lK0+v5Wf
おぉ神よ
384 ◆kQUeECQccM :2006/03/03(金) 18:03:54 ID:S6uhk5/l
アンカミスったorz

>344
385名無しさん@ピンキー:2006/03/03(金) 19:30:05 ID:31d9Asjt
>……おしおきしてやらないとな。
wktk
386名無しさん@ピンキー:2006/03/03(金) 20:39:39 ID:KKeJURah
>>382
GJ!
……うわぁぃ、黒樹里の思った通りの展開に(w
妹を置いてけぼりするのもいいけど、もう片方も真っ黒ですがな。

>……おしおきしてやらないとな。
ちと性格変わっトル。荒れ気味?
387名無しさん@ピンキー:2006/03/03(金) 21:02:00 ID:8CX/iG5P
どうして、そんなに男のために女は狂って行くんだ?
どこか病気じゃないのかと言ってみるテスト
388名無しさん@ピンキー:2006/03/03(金) 22:04:05 ID:iHM5jXfp
愛という名の病気だと言ってみるテスト
389『鏡の復讐』  ◆AsuynEsIqA :2006/03/03(金) 22:17:16 ID:yK8PrBbU
真由ちゃんとひとつになった。これで真由ちゃんも悲しくない。涼くんに一緒に愛してもらえる。
だから涼くん、頑張って二人分愛さないとね。ずっと一緒。涼くんはわたしたちだけのもの。
「ウフフフフ…起こしてあげよ。」
もうそろそろ起こさないと遅刻しちゃう。鍵を使って中へ入り寝室へ。
「ふふ、涼くんの寝顔…」
私だけの特権。決して誰にもみせやしない。見たいなら命を代償にしてもらおう。
もっとも、涼くんの寝顔を見たい人なんて私以外にはいないけどね。
そんな事を考えていると、急に不安になる。誰が私以外にこの部屋に入った猫がいるかもしれない。起こすのを後にして。居間の机や引き出しを漁る。
面白いぐらい何もない。やっぱり無欲な涼くんだ。
と……机の上の携帯が目に入る。
まずはメール。暗証番号は知ってる。初期設定のままだ。
「…………なに…これ」
メールを見る度に理性が壊れていく。私とのメールはもちろん多いけど、所々別の女のメールがある。
「誰よ…これ……」
アドレス帳をひらいて、グループ分けを見る。その女は『委員会』になっていた。
でもその女とのメールは委員会とは全く関係のない雑談だった。この雌、涼くんを狙っているのか。
今度無理だと言う事を教えてやらないといけない。他にも虫がいる。みんな消さないと。
結局私以外の女からのメールとアドレス帳を消した。これでよし。駆除完了。
「涼くんのアドレスも変えた方がいいかも……」
そのとき、涼くんが起きる音が聞こえた。携帯を戻し、寝室に入る。
「おはよ!涼くん!」
涼くんはまだ少し眠そうな顔で私を見ていた。そんな表情も愛しい。
「おぅ……真奈……くぁ。どうした?」
「んーん。ちょっとお掃除してたの。ずいぶんと汚れてたから。」
「そうか?……こまめに掃除してんだけどな……」
「ふふ、大丈夫。これからは私がちゃんときれいにしてあげるから。」
身も心も、私だけにしてあげる
390名無しさん@ピンキー:2006/03/03(金) 22:59:06 ID:FUY0+8R5
ひとつになったって具体的にはどういうこと?
俺読解力なさすぎ
こんな俺でもこの作品のすばらしさを感じられます
391 ◆M1igzo3EW. :2006/03/03(金) 23:48:37 ID:brmsuFAo
>362 こうですか? わかりません!

ジョーカーを除いたトランプ52枚の中から1枚のカードを抜き出し、表を見ないで箱の中にしまった。
そして、残りのカードをよく切ってから3枚抜き出したところ、3枚ともダイアであった。
このとき、箱の中のカードがダイヤである確率はいくらか。

「簡単じゃない、1/4よ」
「ふふふ……あはははははは!」
「何がおかしいのよ」
「1/4ですって……あなたは本当にバカね」
「何が違うのよ!?」
「条件付確率って知ってるかしら? 簡単に言えば条件が追加されることで確率が変動する、てことですけど……」
「それが?」
「あなたの頭の理屈では、カードを13枚抜き出してみて、それが全てダイアでも答えは1/4なのでしょうね」
「……あ」
「もちろん、答えは10/49。分母は最初の52から三枚を引いて49、分子は13-3で10」
「……くっ!」
「やっぱりあなたのような人には彼はふさわしくないわ」
(くやしい……でも、言い返せない!)
「もっとも、あなたの頭では1+2+3+4+5+6+7+8+9×0を36とでも答えそうですけど」
「……ぷ」
「何かしら?」
「今の口ぶりだと答えは0だと言うの?」
「ええ、そうですが?」
「へぇー、あんたの中じゃ掛け算より足し算の方が優先されるんだ」
「……!」
「あんた、私に高尚なこと言っておきながら四則演算の優先順位を間違えてるじゃないの!」
「……」
「小学生でも間違えそうに無いことを間違えるなんて。さすが名家の箱入り娘だこと」
「忌々しい女。やっぱりあなたとは永遠に判り合えそうに無いですわね」
「あら、奇遇ね。私もそう思ってるの。やったね、判り合えたじゃん」
「本当に口の減らない……」
「あらあら、光り物なんて出しちゃって。良いわよ。それくらいに怖気つくような教育受けてないから」
「――!」
「――!!」
392名無しさん@ピンキー:2006/03/03(金) 23:50:32 ID:S6uhk5/l
それなんてひぐらし?w
393 ◆M1igzo3EW. :2006/03/03(金) 23:54:40 ID:brmsuFAo
いろいろと間違ってる気がするけどね。
問題の答えはあってるはずだけど理屈が上手く説明できていない辺りとか、
パロってるのが「くやしい……でも」だけしか見えないあたり。

にしても、各作品近いタイミングで黒化なり血が流れたり、シンクロニティってやつですか?w
394名無しさん@ピンキー:2006/03/04(土) 00:11:05 ID:sFXUqOk+
修羅場は修羅場を呼ぶ、みたいな。
395名無しさん@ピンキー:2006/03/04(土) 00:34:47 ID:q0z+Ttoq
死刑囚が集まるが如く
396名無しさん@ピンキー:2006/03/04(土) 00:35:38 ID:Yghmh667
>>390
真奈が真由をムシャムシャモグモグ……間違ってたらゴメン。
397名無しさん@ピンキー:2006/03/04(土) 00:53:33 ID:EObMhpnE
<!
だああああ、完全黒化完了! もう戻れねえっ
椎名林檎の無罪モラトリアムは女の感情が凝縮されていて、いいアルバムですね。
筆が進む進む。

惨事の女性の無表情は怖すぎる! 素直クールとか絶対ありえない!
やっぱり俺には虹しかないんだっっっ

>
398名無しさん@ピンキー:2006/03/04(土) 01:16:07 ID:DVE3fBZi
>>396
つ「ポタラ」
399合鍵 第二十六回 ◆tTXEpFaQTE :2006/03/04(土) 03:01:11 ID:2c4CmPbV
合鍵  第二十六回


元也「な、何やってんですか!サキさん!!」
パニックを起こしながら、サキのもとへ駆け寄る元也。
急いでサキの手首を押さえる。
だがもちろん、手で押さえただけで溢れ出す血が止まる訳も無い。

そんな元也を見ながら、サキはクスクスと笑い続ける。

快感だった。
元也が、ベットで寝ている藍子の事も忘れ、自分だけを見ている。
ああ、ダメ、癖になりそう、これ。

そうだ、と元也はナースコールの事を思い出した。
ナースコールを押せば、お医者さんやら看護婦さんがすぐに来てくれるだろう。
掴んでいた先の手首を放し、藍子の枕元にあるそれを押しに行こうとした。

だが、グイっと手首を掴まれた。
サキが、血塗れの手で元也の手首を掴んでいる。
そのまま、強い力でサキの方へと寄せられた。

サキ「ねえ、私のこと、愛してる?」
元也を抱きしめながら、サキは囁く。

元也「え、え?何、何言ってんですか?」
掴まれている手首に、どんどんとサキの血が流れてくる。
その生暖かい感触が、元也を混乱させる。

サキ「愛してる?って、聞いてるだけよ」
元也「あああ、愛してますって、だから、放して、お医者さん、呼んでくるから!!」
大声で叫ぶ元也。

それを聞き、ニッコリと微笑むサキ。
サキ「ダメ、私の事、愛してるって証明してくれなきゃ、お医者さん、呼んじゃダメよ」

元也「しょ、証拠?」
何、何、ええと、証拠?どうすればいいんだよ?
ええと、ええと、あああ、ええと、ええとええとええとええとええとええとええと

ハッと閃き、キスをした。
三秒ほど唇をつけた後、
元也「これで、これで良いでしょ!?
   お医者さん呼んでくるから、手ぇ、放してください!!」

唇を舌で舐めた後、
サキ「まだ、ダメ。信じられないわ。
   ……もっと、証明してくれなきゃ、ね」
そう言うと、サキは元也をベットに押し倒した。
400合鍵 第二十六回 ◆tTXEpFaQTE :2006/03/04(土) 03:02:01 ID:2c4CmPbV
>>399の続き


藍子の足先から、ベットの端まで、丁度、人一人分が横になれるスペースがあった。
そこにおさまる元也とサキ。

元也「な、な、サキさん!!!」
女性の力とは思えない力で、元也の腕を押さえ込む。
いくら元也がパニックで力を入れれない状態でも、異様な力だ。

片手で元也の両手首を押さえつけ、余ったほうの手で元也のベルトに手をかける。
ベルトを外すと、血を流し続けている手首を、口元へと運び、血を舐め取る。

次いで、元也にキスをした。元也の口に血を流しこむ。

唇を離し、微笑むサキ。

サキの唇に、血が付いている。
まるで、紅を差したかの様だった。

こんな状態だと言うのに、一瞬、サキの美しさに見とれてしまった元也。

シーツが、どんどん赤く染まっていく。
その中で、サキは血塗れになりながら、自分が上になって、腰を動かし続けた。

元也は、全身に血を浴びながら、愛してる、愛してるから、早くどいて下さい!
お医者さん呼びに行かなきゃ、サキさん、死んじゃいますよ!!と叫び続ける。

最終的に、サキは元也から四回も搾り取った。

サキがやっと満足したのか、倒れるように横になった。
いや、気を失ったのかもしれない。

押さえられていた手首が開放されると、急いで起き上がり、ベルトを直しながら、
藍子の枕元のナースコールへと駆け寄った。
スイッチを押そうとした。

直前で、手首をつかまれた。
そのまま、骨が砕けそうな強さで、握られる。

藍子だ。

藍子が目を見開き、唇を噛み、顔面を蒼白にしながら、サキを睨んでいた。
掴んでいる元也の手首に藍子の爪が食い込み、血が滲んで来た。

ポタリ、ポタリと、シーツが吸い切れなくなったサキの血が、床に当たる音が響いていた。

401名無しさん@ピンキー:2006/03/04(土) 03:18:41 ID:nOk42/oH
元也急いで元也ーーーー!!!!
402名無しさん@ピンキー:2006/03/04(土) 03:39:39 ID:WDYll0h1
なんてことしてくれるんだ。
漏れの息子がおっきくなってしまった。
403名無しさん@ピンキー:2006/03/04(土) 04:38:22 ID:cb8fsepC
きゃーきゃー
怖いよう、怖いよう
404名無しさん@ピンキー:2006/03/04(土) 05:35:23 ID:p23IroCA
ヤバいな、ハッピーエンドまで一直線じゃないか
405名無しさん@ピンキー:2006/03/04(土) 05:55:09 ID:GQUCmc1q
サキが4発なら、 藍子たんは400発くらい絞りとってくれます。


多分
406不義理チョコ 第10回 ◆AuUbGwIC0s :2006/03/04(土) 06:08:27 ID:S6ZaBLVB
        *        *        *

 ミカへのマフラー。全然進まない、集中できていない。別の子の事を考えている。
「シロウ、彼女とケンカでもしたの?」
 いつものように人の部屋で漫画を読みながら姉ちゃんが、まるで今日の夕飯は何かを聞くか、そんな感じそんな事を言ってきた。
 多分、顔に苦悩の色が出ているのだろう。
「別に――」
 彼女――ミカとは何もない。むしろケンカでもしている方がよかった。そっちの方はもっと単純でオレが謝ればいいだけだから。
「……どっかで完全に吹っ切って忘れた方が楽だよ――それが自分の意志ならね」
 こちら側からは何も言ってないのにまるで何かわかったような口調。
 知った風な口を言って欲しくない。
「――別にケンカなんかしていない」
 これ以上は説明する気はない。したくない。放っておいて欲しい。
「頭の中で下手な理屈捏ね上げてると本質から遠ざかるからね――」
 何処か悟った様な思わせぶりな言葉を吐いて、そのまま部屋から出て行った。
 ――人の事何もわかってないくせに。
 結局マフラーを編む手は止まっていた。
 何でこんないい加減な奴の事好きだ何て言う奴がいるんだ――



「はい、これ。昨日より頑張ってみたんだ」
 電車の中で満面の笑みでミカは昨日と同じ包みの弁当箱を渡してくれた。
「……ありがとう」
 ――頑張らなくていいのに。こんな嘘つき相手に。
 本当はもっと気の利いた感謝の言葉を出すべきなのに、それ以上言葉が続かない。
「お母さんが、久しぶりに会いたいから、また連れてきなさいって」
「あ――うん」
 なんでもない会話の筈なのに心が痛い。
 受け取った弁当箱はとても重く感じた。

 そういえばいつも一緒にいるはず智子の姿が見えない。風邪でも引いたのか――
「あのさ、神崎君」
 深井さんから話しかけられた。そういえば朝の電車ではいつも一緒にいるとはいえ殆ど話した記憶がなかった。
「なに?」
 顔を向ければそこには何か睨むような形相があった。
「……いや、やっぱり何でもない。多分気のせいだと思うから」
 彼女はミカの方へと視線を一度移してから結局口を閉じた。
 言いたいことがあるならはっきり言えよ――それはオレも同じか。



407不義理チョコ 第10回 ◆AuUbGwIC0s :2006/03/04(土) 06:09:03 ID:S6ZaBLVB
 空が高い――昼休みの屋上でそんな事を考えていた。
 日が沈むとまだまだ寒いが、風のない日中はうっすらと春の陽気すら感じさせるものがあった。
 別に友達同士が一緒に昼を過ごすなんて普通の事だ。でも今オレがやっている事は背信行為以外の何者でもない。
 今手元にある弁当箱、それが罪悪感を増大させていた。
 もうやめよう――って言えたら楽なのに。
 ――誰に言うんだ。
 本当はわかっている癖に――

「……これ」珍しく控えめな声。
 差し出されたのは弁当箱。
「どうしたんだ、それ」
 ――聞かなくても意味ぐらいわかっている。
「今日早起き作ったんだ。でも流石に遅刻しそうになってね」
 そうだこの顔、今朝のミカと同じ顔。
 手元には既に蓋のあいた弁当箱。
 今手元にある弁当箱と彼女の手の中にある弁当箱、二つの間を目は何度も往復していた。
 目を彼女の方へ向ければさっきまでの表情は小さく震えていた。
「いや――もうあるし……」
「捨ててよ!そんなもの!」
 そういうなりオレの手から強引に奪い取り中身をぶちまけた。

 ――ごめん。
 この場にいない彼女に心の中で謝った――でもこんなこと彼女には言えない。そんな勇気も覚悟もない。ただ無理にでもいつもの顔をして一緒に過ごすことしか出来ない。

 彼女は泣きながら激昂していた。
 彼女の顔――知っている顔。
 ずっと昔見たことのある顔。忘れてしまいたいぐらい昔――
 思い出したくない頃の――

「なんで!なんでよ!どうして私を見ていてくれないの!」
 変な物思いにふけっているいる時じゃない。彼女の両肩をつかみ体を揺さぶる。
「おい、おちつけって!」
 その一言で我に返ったのか今度は急に黙り込んだ。
 俯いたまま彼女は何も言わなくなっている。
「……ごめん」小さな声
 それだけ
 無理にでも引き止めるべきなのだろうか。
 ――結局出来ないまま屋上を立ち去る彼女を黙って見送った。

 一人残された屋上
 残ったものはぶちまけられた弁当とまだ手の付けられていない弁当箱。
 指先で残された弁当箱を二度叩く。
「なあ――こういう時ってどうしたらいいのかな」
 物言わぬ貯水タンクに話しかけている。
 意味のない行為――わかってる。

 ――悪いのはオレだ。
408不義理チョコ 第10回 ◆AuUbGwIC0s :2006/03/04(土) 06:09:46 ID:S6ZaBLVB

        *        *        *

 昼が終ってからも士郎からは話をしてこようとはしてこなかった。
 放課後になっても黙ったままだった。

 ミカにお弁当箱を返している――私のじゃ駄目なのかな。
 二人は何か話しているけど聞こえて来ない。
 惨めだ――

 嫌われた――かな。
 何で私あんな事しちゃったんだろう――
 困らせようとかそういう気はなかったのに――
 喜んで欲しかっただけなのに――
 一緒に話して、一緒に笑っていたかっただけなのに――

「トモちゃん」
「え、あ、うん?」
 ミカから声をかけてようやく降りなきゃいけないこと気づいた。
 慌てて電車から飛び降りる。
 士郎も別れの挨拶ぐらいしてくれもいいのに――

 ――謝ったら許してくれるかな。
「ごめん、ミカ。用事思い出したから」
 駅を出てから踵を返した。ちゃんと話そう。駄目だったらその時は――
 最後にもう一度、さっきまで隣にいたミカの方を見る。
 なんであのコが士郎の心の中にいるんだろう――
409不義理チョコ 第10回 ◆AuUbGwIC0s :2006/03/04(土) 06:10:39 ID:S6ZaBLVB

        *        *        *

 無言でベットに寝そべったまま天井を見上げる。
 何をしていいのかわからない。
 本当はやらなきゃいけない事がわかっている癖に、その覚悟がない――
 電話が鳴る。相手が誰かも確認しないまま電話に出る。
「もしもし、私メリーさん。今あなたの家の前にいるの」
「……変な冗談はやめてくれよ」
 電話は智子からだった。
 そういえばこの冗談オレが昔やった奴だった。
「――ごめん。顔見てちゃんと話したかったから……今家の前にいるけど会ってくれるかな?」
「……上がって来い」
 ――何話したらいいんだよ。
 
 玄関から上がってきた彼女は何も言わずに只ついてくるだけ。
 部屋の中で腰を下ろしても黙っているだけ。
「なあ上着ぐらい脱げよ」
「……うん」
 それだけ言ってマフラーを外して上着を脱いだだけ。それだけだった。
 オレの送ってやったマフラー。なんであの時好きだって言えなかったんだろう。
 オレもあいつも座り込んで貝のように口を閉じたまま。
「……ごめん」ようやく彼女から聞けた言葉はそれだけ。
 ――こんな関係嫌だって一言言ってくれればオレの中での決着はつくのに。
「何か飲む物淹れてくる」
 多分今日はこのまま何もないまま終る。そんな気がした。
 腰を上げようとした瞬間両肩を掴まれていた。

 しばらく何が起きているのかに時間が必要だった。
 目の前に彼女の顔があった――
 自分が仰向けに倒れていた――
 彼女が自分に馬乗りになっていた――
「ねえ――しようか?」
 彼女はなんで泣きそうな顔になりながらこんな言葉を吐くのだろう。
「……そういう気分じゃない」
 彼女の顔を見ていられず顔を背けた。
 衝動だけに任せて生きられたらどれだけ楽なのだろう。
 今その衝動に従うと大事なもの全部壊れてしまう気がした。
410不義理チョコ 第10回 ◆AuUbGwIC0s :2006/03/04(土) 06:11:44 ID:S6ZaBLVB

「私の事嫌いになっちゃった……」泣き声がした。
 ――お母さんの事嫌いになった?
 その声で顔を戻すとなやはり泣いていた。そうだ、この顔だ。
 ようやく思い出した昼間のコイツの顔。子供の頃お父さんとケンカしてた頃の母さんの顔だ。大嫌いだった顔。でも母さんは嫌いになれなかった。
 ケンカした後ボクと二人きりになった時、そう――今のこいつと同じ様な顔をしてそんな事を言っていた。
 この時の顔を見ていたら辛いことも少しは我慢できる気がしていた――
「……そんな事ない」
 こいつの事嫌いになれたら楽なのに。何のためらいもなくこの体を押しのける事が出来るのに。こんな関係止めようって言えるのに。
「じゃあさ――抱きしめてくれるかな」
 そういいながら彼女の体重は既にオレの体に預けられていた。
 自分の手は無言のまま彼女の背中にまわっていた。
 ――最後までやらなければいいって理屈か、ただの偽善だ。

 抱きしめている体が震えているのに気がついた。
 オレか震えているのかもしれない――
 それとも彼女か――
 ――どっちでも変わらない。中途半端な状態をズルズル引き摺っているオレがいるだけ。

 彼女を抱きしめたまま仰向けの状態で天井を見上げる。今抱きしめている彼女ではなく別の女の子の事を考えていた。
 ――お前はこんな関係でいいのか。
 いま心はどこか遠くにあった。

 最低だな。
411不義理チョコ 第10回 ◆AuUbGwIC0s :2006/03/04(土) 06:13:04 ID:S6ZaBLVB

        *        *        *

 視界の隅に編みかけのマフラーがあった。私のとよく似ている、ミカへのだ――
 こいつはまだミカと付き合っているから。ミカと私、どちらが好きと言う質問は出来ない。もし私じゃなくてミカを選んだら、私きっと――

 でもいい――
 今こうしていられるから。
 こうして抱きしめられていると嫌な事何も考えずに幸せな気持ちになれるから。
 こうしている間は私の事だけを考えていてくれている。私だけ見ていてくれている。
 ずっとこうしていたい――

 体が震えているのがわかった。
 ――士郎もひょっとした怖いのかな、だからさっき拒絶したのかな。
 そう思うと彼との境界線である服がとても邪魔に感じてきた。
 でもやらない――士郎を困らせたくないから。

 十分か一時間か、とにかく時間は流れていた。
 彼の手が背中を軽く二回叩いた。
「そろそろ姉ちゃん帰ってくるから――そろそろ、な……」
「……うん」
 ずっとこうしていたいのに――
 でもしかたないよね。
 士郎から体を離そうとすると不思議な感覚だった。まるで一つに溶け合っていたものを無理矢理引き剥がしていく感覚。体は一緒にいたいって言っている。
 やっぱり嫌だ――ずっとこうしていたい。
 本当はこんな中途半端で人目を忍ぶような関係じゃ嫌だ。
 いつも一緒に居たい。みんなにこいつは私の恋人だって自慢してやりたい。
 なんでもっと早く言わなかったんだろう。そうすればもっと一緒にいられた。ミカの事なんて気にする必要なかったのに。士郎をこんな風に困らせる事もなかった。
 ――馬鹿だよね。
 そんな事を考えていると自然に涙が流れていた。

「ねえ、土曜空いている?」
 今士郎の方を向いちゃいけない泣いている顔をみせる事になるから。
「ごめん――」
「……ミカと?」
 士郎の返事はなかった。返事してくれないって事はそうなんだろう。
 ――私何をしているんだろう。
4128 ◆AuUbGwIC0s :2006/03/04(土) 06:15:48 ID:S6ZaBLVB
>376
River of Tearsはもう少し待ってくらはい、今のが終るまで…
413名無しさん@ピンキー:2006/03/04(土) 09:33:57 ID:v9RC8npj
そこらの少女漫画より泣ける…
414名無しさん@ピンキー:2006/03/04(土) 10:38:12 ID:AMEsKM5n
>>413
泣ける?嬉し泣きのことかな?
415名無しさん@ピンキー:2006/03/04(土) 14:58:30 ID:PGKGWOwG
>>414
をいをいwwww
 先輩が楓さんの存在を無意識下で重荷に感じているのはわかっていた。
 そしてそれがそろそろ限界に達しようとしていたからこそ、多少手荒な方法で揺さぶりをかけてみた。
 先輩を手に入れるという最終目的を達成する上では、最大の賭けだったともいえる。
 先輩が“度を過ぎた”人格者で、かつ楓さんがただめそめそするだけの人間だったら、
 私は今こうして先輩に抱かれてはいないだろう。
「なんでっ、あんなことっ、したんだっ」
 先輩が私を抉る。
 適当に掻き回すだけの前戯ですっかりと準備を整えてしまった私が気に食わなかったのか、
 いつになく先輩のストロークは強烈。……そんなに乱暴にされたら、ますます、感じちゃいますよ。
「……正直に、んっ、言ってしまえば、っ、楓さんがっ、羨ましかった、からですっ」
「……羨ましい、って」
「……今さらですけど、私、先輩のこと、好きですから。
 いくらなんでも、気づいてなかったとは、言わせませんよ?」
「だからって、あんなっ」
 私が楓さんの携帯に送りつけたもの。
 それは、行為を終えて眠りについた先輩と、その隣に座る“女”の写真だ。
 意図的に顔は出さなかったし、私を特定できるものは一切フレームに収めなかった。
「一番端的に、言いたいことが、伝わる、写真だったと、思いませんか?
 それに―――」
「……それに?」
 先輩が動きを止めて、私の次の言葉を待つ。ただそれだけで湧き上がる歓喜……!
 キスするように、そっと頬に触れる。
「先輩、わらってます」
 呆然とする先輩。……いってしまいそう。
 

 ―――先輩の携帯が鳴っている。
 それを取ろうとしない先輩に代わって、私が“通話ボタンを押す”。
 
「……自分でも気づいているんでしょう?
 このままでいいはずがない。
 このままいられるはずがない。
 血の繋がった兄妹がいい年こいて一緒に暮らして、
 セックスまでするということ。
 それが、どれだけ、不自然か―――」
「……」
「“私なら、好きになっても、愛しても、キスしても、セックスしても、いいんですよ?”」
「……楓の代わりで、いいって言うのか?」

「……代わり? 違いますよ。そんなつもりはさらさらありません。
 “先輩は、最初から、楓さんのことなんて、好きでも何でもないんですから”」
 
 ……糖蜜のような、黒くねっとりとした悦楽が背骨を突き抜けていく。
 
「……確かに、今となっちゃ、どうだったのかなんてわからなくなっちまったよ」

「先輩は、やさしいひとですから。偶然、目の前に庇護欲をそそる存在がいて、
 それがたまたま、実の妹だったと。それだけの話です」
 
 ―――唐突に思い出す。
 子供の頃、小学校の校庭に赤とんぼが大量発生した年があった。
 そこかしこで羽を休める彼らを、クラスの男子たちはこぞって捕まえて、
 “シーチキン遊び”をしていた。
 やりかたは簡単。
 羽を両手で左右に引っ張るだけ。
 トンボのボディは意外と丈夫で、軽く引っ張るくらいじゃなんともならない。
 だが徐々に力を篭めていき、それがある一点に達した瞬間、とんぼの身が縦に真っ二つに裂けるのだ。
 そこから覗く白い身が、まるでシーチキンに見えることからその名がついた。
 最初にやりだしたのがどんな人間かは今となっては知りようがないが、なんとも残酷な話だ。
 わたしも友人らにそそのかされて、一度だけやったことがある。
 限界を超えた瞬間の虚脱、べりべりという嫌な感触とともに、ぱっくりと花開くように散っていった小さないのち。
 グロテスクな断面に吐き気を覚えすぐに亡骸を投げ捨ててしまったが、
 それに喩えようもない愉悦を覚えてしまったことを覚えている。
 
 
 
 ……なーんだ。
 私、何も変わっちゃいないじゃないか。
 
 
 

「……ほら、じっとしないで。好きに動いていいんですよ?
 気を使う必要なんてありません。好きなだけ私のカラダで気持ちよくなってください。
 その過程で、私もイかせてもらえれば最高ですが」
 
 普段の私からは考えられない、あられもない言葉遣い。思わず顔が紅潮する。
 だが、それら全てが楓さんに筒抜けだと思うとたまらない。
 
「……樹里ちゃん、おれ、本当にいいのかな」
「ええ、もちろん。ずっと楓さんに甘えられてきて、辛かったでしょう? 苦しかったでしょう?
 これからは、私には素直な気持ちで接してください。私は、そのままの先輩を愛します」
 
 このひとは本当はそんなに強くない。
 強く在る必要があったから、やせ我慢していただけ。
 楓さん、貴女の敗因はたったひとつだけ。
 貴女が先輩の妹だということでも、世間知らずで夢見がちであったことでもない。
 ……先輩の、こころの弱さを認めてあげられなかったこと。
 たったそれだけです。
 
 ……まあ、いまさら、遅いんですけど、ねっ。
 
419 ◆kQUeECQccM :2006/03/04(土) 15:22:04 ID:pQw7vnSz
こんな娘さんに篭絡されたい。

物語は終盤戦に突入です。
420名無しさん@ピンキー:2006/03/04(土) 15:28:30 ID:QGb7gVPv
きっと今頃楓さんは…












なにしてるんだろ
421名無しさん@ピンキー:2006/03/04(土) 15:32:54 ID:8cIc/J2/
オナヌー
422名無しさん@ピンキー:2006/03/04(土) 16:03:12 ID:1ohIQq2Z
実は二人のいる部屋の前にずっと…。
423名無しさん@ピンキー:2006/03/04(土) 16:03:57 ID:XjrJuFpX
イヤッフー、暗黒樹里最高!!!



楓の逆襲はまだですか?
424名無しさん@ピンキー:2006/03/04(土) 16:44:22 ID:YpspaHl9
>楓さん、貴女の敗因はたったひとつだけ。

一瞬「お前は俺を怒らせた」
って続くのかと思ったw
425名無しさん@ピンキー:2006/03/04(土) 17:57:55 ID:XauSkUhh
隣の部屋のソファーに座っているに 1ペリカ
426名無しさん@ピンキー:2006/03/04(土) 17:58:38 ID:QFz1UhtZ
>>424
つよきすみたいに依存してくるヒロインを立ちなおせる展開になったら
神神作品なんだけどねw

まあ、あの流れている曲を聞くと寒気がしてきたw
427名無しさん@ピンキー:2006/03/04(土) 19:16:12 ID:LZDa9pMs
新・風のロンドでエロパロ
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1141465401/l50

風のロンドのスレがたった・・・
428『鏡のセカイ』 ◆AsuynEsIqA :2006/03/04(土) 19:28:38 ID:S/1IobP9
今日は朝からおかしい日だった。
携帯のアドレスやメールは消されてるし(真奈がやったのだろう)、真奈はずっと腕に付いたままだし、その目は曇ったままだった。
他の女が話しかけて来ただけで睨んで追い返すし、コンビニの店員と目が合っただけで嫉妬の嵐。
なにより…真由のことをなにも意識していなかった。

「どうして私以外の女に近付くの?私がいればいいじゃない。」
「無茶言うなよ。」
ずっとこんな感じだ。
おもいきって真由のことを聞いてみた。
「なぁ…真由はどうした?帰ってきたのか?」
その言葉を聞いた途端、真奈の顔色が変わった。
「アハハハ、真由ちゃんとはね、ひとつになったんだよ」
「ひとつ?」
その言葉の意味が分からなかった。
「うん……ふふ、私の部屋に来て。」
そう言って腕をつかまれ、真奈の部屋へと連れられていく。
あの日以来、一度も入っていないが…
ガチャ
「う!」
ドアを開けた途端、強い腐臭が鼻をさす。吐き気を催すほどだった。その匂いに真奈は気にする事なく奥へと入っていく。俺もハンカチを鼻にあてついていく。
「真由ちゃんはね…ここ。」
ガチャ
真奈の部屋のドアが開けられた。そこは…地獄だった………
「う!真由!?…ぐぅ…おぇぇ…」
余りの光景に、言葉もなく、匂いと入り交じって嘔吐してしまった。
部屋中は血の海だった。壁、床、天井。全て血に染まっていた。
ベットの上には、女の体があった。だが、腐敗が進み、所々破損していた。でもわかる、これは真由だ…
「おい…真奈…うぅ。なんだよ。これ…」
激しく吐いたため、喉が切れたように痛い。枯れ切った声で真奈に聞く。
「アハハハ、真由ちゃん私にあんなひどいことするんだもん。だからお仕置してあげたの。
でもねえ、真由ちゃん、本当に涼くんのこと好きだったみたいだから、私とひとつになったの。ふふふ、優しいでしょ?私って。」
『ひとつ』
そういう意味か。余りにも常識から外れている。冗談で済まして欲しいぐらいだ。
どうしてこうなった?
いつ
どこで
だれが
なんで
なんのために
ほんの一週間前までは普通に、幸せに暮らしてきたんじゃないか。いつの間にこんな…
まるで『鏡』のように反転した世界になったんだ?
429『鏡のセカイ』 ◆AsuynEsIqA :2006/03/04(土) 19:29:55 ID:S/1IobP9
「ふふふ…だからね、涼くん。涼くんも私とひとつになろう?そうすれば、私達三人、ずぅーと一緒だよ?私、死ぬまで他の男と喋らないから。ね?」
気が動転している間に、真奈が耳元でそう囁いた。
ドス
「!!!」
気付いた時には遅かった。ゆっくりと下を見ると、包丁が深く、腹に突き刺さっていた…
「あ?…え?…」
不思議と痛みは感じない。ただ、悲しかった。
誰のせい?
なんでこうなった?
そんなの決まってる。全部俺のせいだ。
真由が死んだのも、俺のせいだ。
俺は真由が迷っていた時、なにをしてやれた?なにもせず、ただ逃げていただけだ。そのせいで今度は真奈まで壊れてしまった。守れなかったじゃないか!
思い出が走馬灯のように駆け巡る。




雨の日
真奈達の両親が事故で死んだ日。
二人は悲しみに沈み、ろくに食事もとらなかった。
だから俺は二人にこう言った。
「俺がいる。決して俺はどこにもいかない。だから俺がお前たちを守ってやる。幸せにしてやる。」
今思えば、他人を幸せにするなど、なんて無責任な言葉だろう。俺自身、もう忘れていた。
でも二人はその言葉を信じてきたからこそ、今まで生きてこれた。でも、俺がその約束から知らず知らず逃げていたから、こうなってしまった。
結局、真由も真奈も守れなかった。
俺は…最低な奴だ!!
430『鏡のセカイ』 ◆AsuynEsIqA :2006/03/04(土) 19:31:09 ID:S/1IobP9
気付けば、自分の目からは涙が流れていた。いつだろう。最後に泣いたのは。
もう記憶にない。でも、この涙は、決して忘れないだろう。
グッ!!
強く、強く。もう離さないように真奈を抱き締める。まだ、死ぬには早い。もう少しだけ保ってくれ。
死ぬ事で逃げることはできる。でも逃げる事に残る物は悔いだけ。今までだってそうだった。逃げ続けた結果がこれだ。
自分に対して。
自分の大切な人に対して。最後ぐらいは正直に…
「真奈…ごめん。」
「え?」
「今さら…昔の約束思い出した。お前達を幸せにしてやる、守ってやる…って。…あの言葉を聞いた時のお前達、笑ってくれたよな。俺を信じて…一緒に生きていけるって言ったよな?
それなのに…俺、なにもしてやれなかった。…ただ…口先だけで、ただ一緒にいただけだった…。そのせいで…こんな事になっちまった。」
「そんな…ずるいよ…涼…くん…。こんな時に…思い出すなんて…ずるい…よ…」
真奈の声は震えていた。
「あぁ…ずりぃよなぁ……。だから…さ。最後ぐらいは…お前の本当の気持ち……俺にぶつけてくれよ。
苦しいんだろ…?
つらいんだろ…?
そりゃ…そう…だよな…自分の…た、大切な…妹を…殺しちまったん……だもんな。
だから、だからさ……泣きたいなら、泣いてく、くれ…よ。。おれが全部、受け止めてやるから。俺が…できるのは、もうそれぐらい…しかないから。」
その瞬間、真奈の目からは、大量の涙が溢れていた。
「うわああぁぁん!涼くん!わたし…わたしぃ…真…由を……涼くん…まで。うあぁぁぁ!」
まるで子供のように泣き続けている。余程我慢していたのだろう。堪っていたものをすべてはきだすように泣いた。俺は真奈を抱き締め、優しく頭をなでていた。
「あー…や…べぇ…」
視界がぼやけてくる。もう限界に近いのだろう。あれだけ保てばたいしたものだ。
ドサ!
立つ力も無く、そのまま仰向けに倒れこむ。
431『鏡のセカイ』 ◆AsuynEsIqA :2006/03/04(土) 19:32:11 ID:S/1IobP9
「り、涼くん!」
真奈が顔を覗き込む。もうその目は濡れてはいたが、曇ってはいなかった。それが嬉しかった。
真奈の頬に涙を拭うように手をあてる。
「…涼くん…私……どうしたら…」
…最後に笑った顔がみたかった。嫉妬に狂ったのでは無い、本物の笑顔を。
いつも真奈は明るく笑っていた。あれは俺の分まで笑っていたんだろう。最後まで、真奈は真奈でいてほしい。だから…
「…真奈……最後、ぐら、い……………笑ってく…れない、か?」
「う…ん」
真奈は笑った。泣き顔のまま、笑顔なんていえるようなもんじゃなかったけど、
いままでで一番綺麗な顔だった。
「ありがとよ…愛してる…」
自分でつぶやいた声でさえ聞こえなかった。真奈は聞いてくれただろうか。最初で最後のこの告白を
全身の力が抜け、顔が横になる。意識は消え、睡魔に近い感覚に襲われる。真奈が何か叫んでいたが、聞こえなかった。
自分でつぶやいた声でさえ聞こえなかった。これが死ぬってことか。寝るのに近い。これなら恐怖もない。それに、自分の命の代わりに大切な物を取り戻せた。
失ったものは大きいかもしれないけど、自分にしかわからない、何にも優る、大事なものを……



世界が閉じる。
目に入るのは、机から落ちて割れていた『鏡』だけ。



……なんだよ
……………俺らしくないな
まぁ、いっか。最後ぐらいは



その鏡の世界には、微笑んでいる俺がいた
432名無しさん@ピンキー:2006/03/04(土) 19:47:15 ID:j+faur0f
>428
GJ

>427
あれだな、ついこないだの話では
人の家に上がりこんで
笑いながら人の服をチョキチョキ切断しまくって、
最愛の人がきたのを見て「やっぱり、ここに隠れていたのね」と言い
そして泥棒猫見つけるなり鋏で襲い掛かった…
433名無しさん@ピンキー:2006/03/04(土) 20:01:09 ID:3UlTTSVB
鮮血END・・・((( ;゚Д゚)))ガクガクブルブル
434名無しさん@ピンキー:2006/03/04(土) 20:21:35 ID:ySCT74HX
泣いた・・・
こういう終わり方で
来ましたか。
435434:2006/03/04(土) 20:27:44 ID:ySCT74HX
良く見たらまだ終了宣言出てないですね・・・
436名無しさん@ピンキー:2006/03/04(土) 22:45:57 ID:kl4f3aaW
>>419
GJ。
計画的に挑発しつつ、同情しつつ、最後には優しくする樹里オソロシス。
更に体で篭絡して、それを敵に筒抜けにする辺り、戦闘力はスカウターも真っ青だぜ……
437名無しさん@ピンキー:2006/03/04(土) 23:20:04 ID:FzcrU4mb
ジリリリ〜ジリリリ〜
今日も朝を知らせる目覚ましの音が部屋の中に響き渡る。
「うるさい…」
ジリリリ〜ピッ……
そういいながら弘樹は目覚ましを止め、また眠りに付こうとした。
ガチャツ!! その時ドアが開いた。
「ヒロ!!早く起きなさい!!学校遅刻するわよ!!」
大声で叫びながら由紀姉が部屋に入ってきた。


「ヒロ聞いてるの?早く起きないさい」
「起…きてる。起きて…るよ…Zzz……」


「まだ起きないつもりかしら?なら――」
由紀は弘樹の布団を掴みそのまま宙へと放り投げた。
その瞬間僕は空を飛んだ…。そののまま床へと落っこちた。
「グヘッ…。イッッテェ〜!!由紀姉何するんだよ」
床に落とされた僕は由紀姉へと抗議の声をあげる。
「ヒロが起こしても起きないからでしょ!!」
(由紀姉いっつもこうやって僕のことを起こすんだもんな……)
「早く起きて朝ごはん食べちゃいなさい!!」
「わかったよ…」
弘樹はしぶしぶ起き上がり、姉とリビングに向かった。
(由紀姉はちょっと乱暴だ…。でも、とても優しく強い姉だ…。僕はそれを知っている。)
僕たちは小さい頃に両親を事故で亡くしたんだ…。そして僕たち二人は親戚の家に預けられた。
その頃僕は小学生、由紀姉は高校生だった。
僕は両親を亡くしたこともあり、学校ではよく苛められ、よく泣いていた…。僕は弱かったから……。
そんな時にはよく由紀姉が優しく抱きしめてくれてたんだ。
「ヒロには私がいるから…だから泣かないで」
そう言って僕を慰めてくれた。そんな由紀姉のことが僕は好きだった。
年月が流れ由紀姉は高校を卒業し、就職をした。僕は中学生になった。
そして由紀姉は、高校でバイトして貯めたお金使い僕を連れて、親戚の家を出てアパートを借りた。
今はそこで二人暮らしをしている。由紀姉は一生懸命働いて僕のことを養ってくれている。
僕はそんな姉のことをとても尊敬している。今の僕があるのも由紀姉のおかげなんだ…。
なんだかんだ言って由紀姉はいつも僕のことを心配してくれている。
だから僕は、由紀姉が心配しないようにいつも笑顔でいるようにしている。
それが唯一僕が由紀姉にしてあげられることだから…。
「今日の朝ごはんもうまそうだね」
リビングにはすでに朝食の準備がしてあった。
「今日のお味噌汁は自信作なの。ヒロ、一杯食べてべね♪」
「うん。いただきます!!」
僕は由紀姉の作ったごはんを食べ始めた。少したって由紀姉が聞いてきた。
「ヒロ最近学校ではどう??」
「どうって…何が??」
「ほら、その…苛められたりとかしてない?」
「大丈夫だよ。今は友達だって沢山いるしね」
「そう?それならいいんだけど…」
「由紀姉は心配しすぎだよ」
「それはヒロのこと心配…だから」
「わかってるよ。でも本当に大丈夫だから」
(そう、僕は昔とは違うんだから…)
「ん…ごちそうさま!!」
「おそまつさま」
「それじゃあ由紀姉、僕学校行ってくるね!」
「わかったは。行ってらっしゃい」
ガチャッ!! 玄関を開け外へと出た僕。外は眩しく今日も天気がいいようだ。
「早くしないと遅刻しちゃう」
弘樹は足早に学校へと向かって言った。そしてその背中を見つめる由紀。
「友達がいっぱいいる…か。昔は私しかいない子だったのにな…」
438名無しさん@ピンキー:2006/03/04(土) 23:24:09 ID:FzcrU4mb
こういうのは初めてでうまくないとおもいますが、どうかみてやってください。
これからどんどんエスカレートしていく予定ですwww
439名無しさん@ピンキー:2006/03/04(土) 23:28:39 ID:jNbDgZaw
由紀姉が狂っていく過程が楽しみ
440名無しさん@ピンキー:2006/03/04(土) 23:57:04 ID:FzcrU4mb
すいません先ほどのSS題名入れるのを忘れていました。
題名は「絆」です。
今後ともよろしく御願いします。
441名無しさん@ピンキー:2006/03/05(日) 00:16:48 ID:H/wrdjZr
これから、ってことは連載になるのかな?
だったら次回からでいいから、トリップ付けるとまとめ管理人さんが楽になるかも。
442名無しさん@ピンキー:2006/03/05(日) 00:42:19 ID:BED2+pMm
>>412
River of Tears
楽しみに待たせていただきます
そして不義理チョコの今の展開も(*^ー゚)b グッジョブ!!
良きものを読ませていただいで感謝としか言いようがありません
自分に何が技量があれば・・・orz
443名無しさん@ピンキー:2006/03/05(日) 00:50:22 ID:sI8RVKiF
このスレは半日こなかっただけですごい展開になってるから油断できない。
もう藍子も樹里も新連載もがんばれ。
あと鏡はまだ続きがあるよな?
444『鏡』 Epilogue ◆AsuynEsIqA :2006/03/05(日) 01:14:32 ID:nAJKs2O3
○月○日
昨夜市内のアパートの住民から、「隣りの部屋から悪臭がする」という通報を受け、
警察が駆け付けた所、室内には腐乱した女性の遺体と、腹部を刺された男性を発見した。その場にいた女性に事情を聞くと、犯行を自任。即刻逮捕となった。
話しによると、腐乱した女性は犯人の双子の妹。男性は幼馴染みである事が分かった。
なお、男性の方は意識不明の重体だったが、すぐ近くの病院に運ばれたため、一命を取り留めた。
犯行の動機は……
バサ!
某刑務所の前。一人の男が新聞を広げて立っていた。よく晴れた天気で、刑務所の周りの桜も綺麗に咲いていた。
「まったく……二十年前の新聞を持ってるなんて聞いたら、笑われちまうぜ。」
そう面倒臭そうに言う。台詞とは反対に、顔は喜びと期待に満ちていた。
二十年。
ずっと待っていた、決して短くは無い時間。ただ彼女の為に生きてきた。
ガチャ。
刑務所の扉が開く。まるで少年のように胸が高鳴る。
桜の花びらが散るその先に。
彼女は優しく微笑みながら立っていた。
勝手に足が歩き出す。
とにかく嬉しかった。
なにも変わらない笑顔がまた見れたことに。
守るべき彼女が戻って来たことに。そっとまた抱き締める。
決して逃がさぬよう。逃げぬよう。
そう決めたのだから。
「…おかえり」
「ただいま…」
そしてまた始まる。彼らの日々が。
不安がある。もう取り戻せないものもある。悲しいことや辛い事も多いだろう。けれども彼らは挫けないだろう。
互いに愛し合い、支え合って生きてゆける「約束」があるから…………



The End
445 ◆AsuynEsIqA :2006/03/05(日) 01:17:56 ID:nAJKs2O3
続きと言ってもまったく嫉妬に関係ないものになってしまいました。終わり方も急だし
(つд`)
自分の技量ではこれが精一杯です。
読者の皆様、ありがとうございました
これからは自分も読者となりやす
446名無しさん@ピンキー:2006/03/05(日) 01:26:47 ID:sI8RVKiF
>>445
いやいやここまで来る過程で十分嫉妬を堪能させていただいたのでこのようなラストを見ることができて
とてもすがすがしい気分です。
ただ刑務所を出るのが二十年後というのは長すぎないかと無粋な突込みを入れてみる。
447名無しさん@ピンキー:2006/03/05(日) 01:38:35 ID:NLazcPaw
>>445
お疲れ〜!またネタを思いついたら是非書いて下さい。
448名無しさん@ピンキー:2006/03/05(日) 01:42:29 ID:1BXaIuYx
楽しく読まさして頂きました。乙
449名無しさん@ピンキー:2006/03/05(日) 02:03:25 ID:ALDYAYk7
エピローグの初めがひぐらしみたいだと思った人挙手

ノシ
450名無しさん@ピンキー:2006/03/05(日) 07:03:37 ID:xxdvNh4J
>>446
無粋にレスすると、殺人一人に未遂一人、死体遺棄・損壊なら無期懲役や懲役20年とか食らってもおかしくないと思う。
ただ、犯情を考えれば無期でも20年しないうちに仮釈放されても良さそうだし、真面目に刑を勤めそうな感じだから
懲役20年だとしても満期前に仮釈放されそうにも思えるので、確かにちょっと長すぎかも。
451名無しさん@ピンキー:2006/03/05(日) 11:09:00 ID:qcsUk5Lq
誰かサウンドノベル化よろしく・・w

マジで名作揃いだよこれはw
452名無しさん@ピンキー:2006/03/05(日) 23:09:27 ID:Sz78bAk9
エロパロなわりにエロいシーンは少ないけど嫉妬とグロのシーンは21禁の名ににふさわしい
453名無しさん@ピンキー:2006/03/05(日) 23:38:15 ID:lyrty4La
うーん、まぁ確かに修羅場スレの住人達には良作だけど・・・
修羅場属性の無い人たちも良いと思えるんかな?
454名無しさん@ピンキー:2006/03/05(日) 23:42:02 ID:mK6Ky8sq
キャラの感情の書き方とかは非常に参考にさせていただいてる。
流血とかはあまり好きではないが。
455名無しさん@ピンキー:2006/03/05(日) 23:52:02 ID:/CZrhad/
>453
昼の連ドラは基本的にドロドロの愛憎劇だ。
つまりどういう事かわかるよな?


正直今書いてるところでベットシーン入れるかどうか悩んでいたりする。
一回やっちまうと同じ状況下で同じ台詞しゃべってても印象違って感じるから。
と言うか同じ台詞喋ってくれそうにはないけど
456阿修羅:2006/03/06(月) 00:03:02 ID:GjucuM+d
>>353
>◆I3oq5KsoMI様
>◆sF7o7UcWEM様
対応が遅れて申し訳ありません、修正しました。。
457合鍵 第二十七回 ◆tTXEpFaQTE :2006/03/06(月) 00:07:32 ID:A/8gNu3m
合鍵  第二十七回


藍子「死ねッ!!
   この泥棒猫!!!
   死んじゃえっ!!!!!」

元也の手を掴んだまま、藍子はサキに枕を叩き続けた。
サキは動かない。

元也「藍子!止めろっ!!サキさん、死んじまうぞっ!!!」
藍子「良いじゃない!!こんなの、死んじゃっても良い!!
   きたない!!いやらしい!!」
元也「藍子ッ!!」

空いている手で、藍子が振り回している枕を止める。
枕を放り投げて、ナースコールを押した。

その隙を突いて、藍子がサキに近寄り、首を絞める。
藍子「死んじゃえっ!!死んじゃえッ!!
   もとくんはねぇ、私のものなんだからッ!!
   あんたなんか、死んじゃえばいいんだっ!!!!」

急に、サキが笑い出した。藍子を嘲る様な笑い声だ。
サキ「藍子ちゃん、あなた、本当に馬鹿ねえ。
   良い!?良く聞きなさいよ?
   元也君はねぇ、あなたじゃなく、私を選んだのよ?
   あなた、手首を切るような方法で、元也君の優しさにつけこんで、最低ね。
   ここから、元也君の近くから、消えなさいよ?」
藍子「うるさいっ!!
   あんたなんかがいるから、おかしくなったのよ!!
   死んでよ!!」
サキ「あははははっ!
   あなた今、すごい顔してるわよ、醜い顔。
   元也君、見てあげて、この藍子ちゃんの顔。嫌ねえ、怖いわねえ
   あははははははははははっ!」

サキが笑っている最中に、お医者さんが入ってきた。
お医者さんも、何が何だか、状況は分かっていないだろうが、サキが大出血している事に
気がつくと、急いで処置をしてくれた。

サキを担架に乗せ、運んでいく病院のスタッフさん達。
元也も付いて行こうかとすると、藍子に腕を掴まれ、後ろから抱きかかえられた。
そのまま、藍子は元也の首に腕を回し、絞め始めた。

元也「あ、藍子?」
返事が無い。その沈黙が恐ろしく、もう一度、藍子を呼んだ。
458合鍵 第二十七回 ◆tTXEpFaQTE :2006/03/06(月) 00:08:10 ID:A/8gNu3m
>>457の続き


藍子「もとくん、大丈夫、私、勘違いとか、誤解なんて、してないから」
  「うん、分かってる。安心して。
   もとくんが浮気した、だなんて、思ってないから」
  「最低よね、サキさん。手首切って、もとくんの気を引こうだなんて、まるでストーカーみたい」
  「何考えてるんだろ?
   ああいう、おかしな人の考える事って、わかんないや」
  「きっと、勘違いしちゃった、可哀想な人なのね。
   もとくん、優しいから、勘違いしちゃったんだね」
  「優しいもとくんは大好きだけど、誰彼区別無く、優しくしちゃうのも、問題だね。
   ああいう、困った人、これからも出てきちゃうんじゃないかな。嫌だな。」
  「あーあ、サキさん、このまま死んだらいいのにね。そしたら、もとくんも安心できるのにね
   あ、でも、これで死なれたりしちゃうと、気分悪いね」
  「ほんと、迷惑ね。あんな、見せ付けるみたいに手首きるなんて」
  「もとくん、さっき、サキさんに、いやらしい事されてたけど、気にしちゃだめだよ?
   ああいうの、犬に噛まれたと思って、忘れるのが一番よ」
  「自分が相手にされなくなったからって、あんな強引に、いやらしいことするなんて、
   人として最悪ね」
  「ああ、嫌。サキさんの穴、ほじくり返してやりたい。
   ほじくり返して、もとくんの、一滴残らず、掻き出してやりたい」

藍子「…でも、私、やっぱり、嫌だな。何だか、私のもとくんが汚されちゃった気がする。
   サキさんの血も一杯ついてるね」
  「そうだ、服、脱いで。
   私が、綺麗にしてあげる。私のにおい、付け直してあげるね」

元也の服のボタンを外していく藍子。

元也「藍子っ」
藍子の腕を振り解こうとする元也。

藍子「うん?どうしたの?
   拭くだけよ。私は、こんなとこでも発情しちゃう様な人とは違うわよ。
   血、気持ち悪いでしょ?サキさんの血だもんね」

元也についた血を、タオルで拭う藍子。
タオルを六枚換えたところで、やっと血を拭き終わった。
元也「ああ、ありがと、藍子」
とりあえず、礼を言っておく。立ち上がり、サキの所へ行こうとする。

藍子「ダメよ」
藍子は手を離さない。

藍子「私、やっと分かったの。
   今まで、私、気を抜きすぎてたみたい。
   これまで、ずっと、私が元也君を見守ってあげなきゃダメだったのね。
   ゴメンね、私がしっかりしてないから、あんな人に、つけこまれちゃうんだよね。
   これからはもう、大丈夫だよ。
   もとくんに近づこうとする人は、全部、私が追い払ってあげるね。
   ほんとに、ゴメン。なんて馬鹿だったんだろう、私。
   そうね、そうと決まれば、退院したら、もとくんのお家に引越さなきゃ。
   ああ、やる事、たくさん有りすぎるよ。早く退院したいなあ」

サキの所へと行きたかったが、足が動かなかった。
頭が回らない。藍子の喋り続けている話の内容も分からないまま、呆然と元也は
立ちすくんでいた。
459名無しさん@ピンキー:2006/03/06(月) 00:18:55 ID:WK+1lbLi
もう包丁だろうが飛び降りだろうが四肢切断だろうが
何来てもおかしくない状況になってきたな…
460名無しさん@ピンキー:2006/03/06(月) 00:40:48 ID:yeI56W4I
怒濤の展開wwwこれでサキさんも入院か。
二人が退院したら元也はどうなるんだろうか。
というか、元也はその時生きてるのかな・・・。
461名無しさん@ピンキー:2006/03/06(月) 00:43:17 ID:5qSMgwAi
ママーなんかここ怖い人達がいっぱいいるよー



・・・・昨日このスレを見つけて保管庫半分くらい一気読みしました。
ちょwwwww面白いwwwwwwwどうやら癖になりそうですorz
一種の苦痛とそれを上回る好奇心を同時に感じられる辺りが素晴らしいですね・・・
462名無しさん@ピンキー:2006/03/06(月) 00:43:31 ID:i7K11ZDR
良いです。
本当に清清しいまでの壊れっぷり。

>「最低よね、サキさん。手首切って、もとくんの気を引こう
>だなんて、まるでストーカーみたい」

もうこの辺りの現実認識能力が異次元だよね。
あー、俺にもこんな幼馴染がいればなぁ。
463名無しさん@ピンキー:2006/03/06(月) 01:33:22 ID:55l4BTrZ
Windのまこちゃんの気持ちが少し分かった。
あんなにまくし立てられたら反論どころか口挟むことも出来ねーよ
464名無しさん@ピンキー:2006/03/06(月) 02:06:59 ID:Iu7xPeVp
>>早く退院したいなあ
3次元なら無理だよなw
二人とも措置入院(精神科医による強制入院)決定!
465名無しさん@ピンキー:2006/03/06(月) 02:13:03 ID:8sGXERhv
((((; ゚Д゚))))ガクガクブルブル
二人ともめちゃくちゃ怖い・・・

でも、そんな二人がとても愛おしいよー
466名無しさん@ピンキー:2006/03/06(月) 02:18:54 ID:9dKwgSKc
>>458
ついにおはようからおやすみまでもとくん(アナタ)を見つめる藍子の完成ですね
作者様の脳内に藍子がいるということが羨ましくて仕方がない件
467名無しさん@ピンキー:2006/03/06(月) 03:00:06 ID:ZNwJfT4x
で、いつゲーム化してくれるんだい?

予約特典は修羅場ボイス集とかがいいな。


こんなにモテモテなもとくんははずむくんみたいにかわいいタイプだな。
468優柔 第11話  ◆I3oq5KsoMI :2006/03/06(月) 09:31:30 ID:vbtJqCES
教室の窓から覗く景色は次第に変わっていき、灰色の雲が太陽を隠してしまいました。
雨です。
昼間はあんなに晴れていたというのに、まるで僕を嫌っているかのような変わりぶりです。
そう、僕は傘を持ってきていません。
昔からの癖で、天気予報が50パーセント以上の確立をお知らせしてくれない限り持ち歩かないことにしているのです。
しかし、僕の事情などお構いなしのようで、雨は勢いよく地面を叩きつけています。
(久しぶりにズブ濡れか・・・)
そう思うと少し鬱です。
でもまだ5限目です、帰る頃にはきっと止んでるはずでしょう。

放課後になりましたがまだ止みません。
今週は掃除当番ではないので早く帰ろうと思いましたが、雨に濡れるのが嫌なので掃除を手伝いました。
20分もすれば弱まるだろう、それまで掃除をして時間を潰そう。そういう魂胆です。
ですがそれが徒になりました。むしろ勢いが増しているではありませんか。

下駄箱に着いてから僕は考えました。
走って帰るか、もう少し待つか。悩みどころです。
それにしても、どうしてこんなにタイミングが悪いのでしょうか。
僕の日頃の行いが悪いとでもいうのでしょうか。

「あ・・・愛原君・・・折り畳みの傘で良かったら、使って・・・」
久しぶりに聞いた台詞。
一瞬、デジャヴかと思いました。幻聴かとも思いました。
僕はゆっくり振り返りました。
そこには椿ちゃんがいました。

1年生のあの頃に戻ったと錯覚させられます。
だって椿ちゃんは、あの頃と同じ髪型と表情をしてたんですから。

「ゆう君と初めて話した時のことを再現してみたの。折り畳みの傘はないけどね」
僕は今、椿ちゃんと相合傘をして下校しています。
くっ付かないように距離を取ろうとすると、椿ちゃんが微笑みを浮かべて言います。
「もう、ゆう君ったら・・・恥ずかしがらなくてもいいのに。ちゃんと中に入って」
あくまで嬉しそうな椿ちゃん。僕の抱いている感情など知る由もないのでしょう。
――僕は何をやっているんだ
別れたのだから一緒に帰るのは勿論、相合傘なんてしてはいけないのに。
「久しぶりに三つ編みにしたんだけど・・・似合うかな?」
「う、うん・・・」
――まただ、また曖昧な返事をしている
469優柔 第11話  ◆I3oq5KsoMI :2006/03/06(月) 09:32:56 ID:vbtJqCES
「・・・でね・・・なのよ・・・でしょ・・・」
会話。それは自然なものでした。
僕は努めて冷めた態度を取ろうとしましたが、無理でした。
半年しか付き合ってなかったとはいえ、お互いを深く知った仲です。
椿ちゃんの言葉遣い、話すタイミング、相槌の入れ方・・・それらが分かってしまうため、椿ちゃんに合わせてしまいます。
それは椿ちゃんにとっても同じようで、まるで台本でもあるかのように会話は進みます。
ぎこちなさなんて全くありません。
本来ならこんなことは早く止めて、雨に打たれてでも1人で帰るべきなんです、僕は。
でも今は、もう少し一緒にいたいと思っています。
理由は・・・1年生の時のことを思い出したから。
同じ傘に入っている今の時間は、昔のような清らかな関係に戻っていると思えてくるからです。
今の椿ちゃんの表情には、嫉妬も怒りも憎しみもありません。
本当にあの頃に戻ったみたいで・・・

駅に到着しました。
改札口に入り傘を閉じると、僕はいつものように罪悪感に襲われました。
――別れたのに捨てることができない。
いつになったら椿ちゃんは、僕への興味を無くしてくれるのだろう・・・同時に、そんな他力本願なことも考えている自分が憎いです。
「ゆう君、久しぶりにゆっくり話せたね。ホントはもっと一緒にいたかったけど、それは今度ね」
「椿ちゃん、あの・・・」
「ん、どうしたの?」
「・・・僕達は別れたんだから、これ以上会わないほうがいい。こうやって仲良くしちゃいけないんだ」
そう告げると、椿ちゃんは表情を変えないまま言いました。
「ゆう君・・・自分の言ってること、可笑しいと思わない?」
「えっ・・・」
「さっきのゆう君、とても楽しそうだった。一昨日みたいに無理してなかったよ」
「・・・」

「ゆう君、ホントに私のこと嫌いになったの?本当に私と別れたと思ってるの?」
椿ちゃんは僕を労るように優しく、優しく言います。
「違うよ・・・ゆう君は今も、深いところで私と繋がってるの」
「・・・そんなことない」
「ううん・・・だってさっきのゆう君の瞳・・・私を愛してくれてる時と同じ瞳だったもん」
一気に鼓動が速くなるのが分かりました。
僕はやっぱり・・・椿ちゃんとやり直したいと思っているのでしょうか。

その言葉に躊躇していると、椿ちゃんは抱きついてきました。
それはまるで、恋人だった頃のように。
「ちょっ・・・椿ちゃん!?」
甘えるように僕の胸板に頭を摺り寄せてきます。
駅のホームならまだしもここは改札口です。
たくさんの乗客が僕達に注目します。
僕は恥ずかしいと言いましたが椿ちゃんは離れません。
それから何秒かして、椿ちゃんはゆっくり離れました。
470優柔 第11話  ◆I3oq5KsoMI :2006/03/06(月) 09:34:08 ID:vbtJqCES
「・・・やっぱり」
俯き加減にそう言いました。
その顔は少し赤味を帯びていました。
「ゆう君・・・私ね、もう嫉妬しない、束縛もしない。だから元通りになろう」
その言葉は、僕の心を端的に捉えました。
「私、ゆう君が戻ってくるのを待ってるからね」
椿ちゃんは反対側のホームに消えていきました。

椿ちゃんの言動の1つ1つが僕の心を揺さぶりました。
初めて話した時の再現・・・意味の成さないことだと思っていました。
しかし、今思えばあれも意図するところがあったのかもしれません。
もしかしたら椿ちゃんは、僕自身よりも僕のことを分かっているのかもしれません。

今日の出来事で僕の考えが少し変わりました、いえ、変えられたといったほうが適当かもしれません。
きっと僕は・・・あの頃の、結ばれる前の椿ちゃんが・・・今でも好きなんです。
でなければ、こんな切ない気持ちになんかなるわけありません。
束縛しないならやり直してもいい・・・そんな最低な考えが浮かんできました。
このままやり直したら、何のために先輩を抱いたのか分かりません。

突然、携帯が振動を始めました。メールが来たみたいです。
・・・先輩からです。
『愛原へ。
綾乃は少女から女になりました。きっかけを作ったのはあなたです。
だからもっと私のことを気にかけて下さい。ヤリ逃げなんて酷すぎます。』

違和感だらけのメールです。
普通なら、喋るときと同じ感じの文体なのに。
さっきの椿ちゃんのこと、そして今の先輩からのメール・・・
今の僕は少し混乱しています。

とりあえず、先輩に何て返信しましょうか。
471名無しさん@ピンキー:2006/03/06(月) 09:39:33 ID:6F6Kpt1n
怒涛の展開になってきた「合鍵」と何かが静かに進行している「優柔」

作者さんたちまじGJです
472 ◆I3oq5KsoMI :2006/03/06(月) 09:43:40 ID:vbtJqCES
管理人様、更新乙です。

なんかワケ分かんなくなってきた・・・
自分でもどう転ぶか分かんないです、はい。
>>467
近い将来フルボイスの同人修羅場ゲーを作ってくれる人が出てきそうな気がするのは私だけでしょうか?
473名無しさん@ピンキー:2006/03/06(月) 10:17:29 ID:PXTndMOT
先輩が何か微妙に壊れてるっぽいんだが・・・・・・
もしかして一緒に帰っているところを見られたのか!
474名無しさん@ピンキー:2006/03/06(月) 10:19:10 ID:WrbwFF5J
475名無しさん@ピンキー:2006/03/06(月) 10:39:06 ID:HxZdRqH5
ちょwwwwシグルイwwww
476名無しさん@ピンキー:2006/03/06(月) 10:40:22 ID:+7YhxVpg
SS投下してみたいけどこんなに職人さんがいるから怖い…
477名無しさん@ピンキー:2006/03/06(月) 11:21:51 ID:P8+Pag3G
>>476
ビビることはない。
是非、神になってください。
478名無しさん@ピンキー:2006/03/06(月) 13:10:09 ID:DL21rxZA
合鍵・・

普通に俺は藍子の方を選ぶぞw
やっぱり、最近出来た恋人よりは、付き合いの長い人物が壊れてしまった場合
どうしても、放っておくわけにはいかないからなw
479名無しさん@ピンキー:2006/03/06(月) 14:55:51 ID:55l4BTrZ
どっちに肩入れするかはサキ先輩が処女だったかどうかで決まる俺は死んでいい。
それについて回答が欲しいところだ
480名無しさん@ピンキー:2006/03/06(月) 15:10:18 ID:Tl5HCT1k
藍子とサキ、両方ともサイ娘であるのがもとくんにも明らかとなった今、
どっちを選ぶかといえばそりゃ付き合いの長い方と思われ
481名無しさん@ピンキー:2006/03/06(月) 15:25:44 ID:vbiO2pep
どっちを選んでも鮮血の結末っぽいけどねぇ…。
マルチバッドエンドストーリーw
482名無しさん@ピンキー:2006/03/06(月) 15:58:05 ID:qESQ1RjK
むしろここからハッピーエンド……は無いかww
483名無しさん@ピンキー:2006/03/06(月) 16:21:49 ID:P8+Pag3G
ここでサキが死ねばハッピーエンドじゃね?
まずありえないが
484「絆」(2)  ◆e65aP.7ZpY :2006/03/06(月) 16:42:15 ID:xEwQKHfo
「やばい!!もうこんな時間だ」

キ〜ンコ〜ンカ〜ンコ〜ン

授業始まりの予鈴が鳴った同時に弘樹は教室へと入っていった。
「ハァ〜ハァ〜…間に合った…」
「弘樹君オハヨッ♪今日はギリギリだったね」
「ご…後藤さん。お…おはよう…ハァハァ」
元気に挨拶をかわしてくれた彼女は、後藤沙耶花さん。
この学校で知り合った人で、結構仲がよかったりする。
「お疲れの様子だね弘樹君は」
「い…急いできたからね」
「そっかそっか♪早く席に着いたほうがいいよ」
「うん…そうするよ」
ガタガタッ!!   弘樹は自分の机の椅子を引き腰をおろした。
「ふぅ〜…」
その時横から声が掛かってきた。
「お疲れだな!!弘樹!!」
「あ〜彰か…」
「何だよその薄い反応…」
今話しかけたきた男は高瀬彰。こいつとも中学で知り合ったのだが、今は悪友だったりもする。
「それで何かよう??…彰」
「そうそう。弘樹コレいらないか??」
「何それ??」
「新しくできた遊園地の無料チケットだよ。明日の休みにでも行こうかとおもってたんだけど、
明日は用事ができちまって俺いけないからやるよ!!」
そう言って彰は僕に二枚のチケットを渡してきた。
「後藤でも誘って行ってこいよ」
「何で後藤さん??」
「何で…ってお前わからないのか??」
「だから何がだよ!!」
「あいつお前のこと絶対好きだぜ。好きじゃなくても好意みたいなものは抱いてるはずだ!!」
「はぁ??何言ってるんだよ」
僕にはその言葉を信じられなかった。あの後藤さんが僕を??そんなことあるなずがない。
彼女は学校でもかなり人気のある女の子だからだ。
「そんなことあるわけないだろ…」
彰は異性同士の好意などが勘でわかるらしい…。正直信じがたいが…。
「お前はそういうのに鈍感だからな。まぁ〜とりあえず誘ってみろって!!そしたらわかる」
(まぁ…誘うぐらいならいいかな)
「わかったよ。いちおう後藤さん誘ってみるよ」
「それでいいんだ!!」
彰は納得したように頷いた。
485「絆」(2)  ◆e65aP.7ZpY :2006/03/06(月) 16:44:33 ID:xEwQKHfo
そして放課後。僕は後藤さんを誘うためチケット持って近付いた。

「あのさ…後藤さん」
「ん…あっ弘樹君!!何々??」
「明日って暇かな?」
「暇だけど…何かあるの??」
「彰から遊園地のチケット貰ったんだけど、よかったら一緒にいかないかなとおもって」
「え…私と??」
「嫌だったら別にいいよ。他の人誘うからさ…」
「嫌なんてことはないよ!!でも…そのそれって二人だけだよね??」
「あ…うん。そういうことになる…かな」
(なんか困ってるっぽいかな…誘うんじゃなかったかも)
「なら行く♪」
(弘樹君と二人だけの時間だ…嬉しいな///)
「えっ!?ホント…よかった。それじゃ明日十時に遊園地の門の前でいいかな??」
「うん!!それじゃまた明日ね」
後藤さんは足早に去っていった。
(明日弘樹君と遊園地か…緊張するな///。そうだ、明日は弘樹君に…言おう――)

帰り際に彰が僕のことを追いかけてきてこう言った。
「ほら!!言ったとおりだっただろう」
「何がだよ」
「後藤がお前のこと好きって話だよ!!」
「あんなんでわかるわけないだろ!!」
「お前本気で言ってんのか??」
「彰こそ何言ってるんだよ」
僕は彰の言ってることがよくわからなっかた。ただ遊園地に誘っただけで相手が自分のこと好きか
どうかなんてわかるわけがない。
「お前さ…好きでもないやつと二人でどっか出かけたりするとおもうか??」
「えっ……」
彰に言われて気づいた。
「そうだよな…男と二人なんだもんな。普通なら行かないよな…」
「そういうことだ!!弘樹〜明日は頑張れよ!!」
彰はそう言って自分の家に向かって歩いて行った。
僕は彰に言われたことが気になりながらも家路に着いた。
486「絆」(2)  ◆e65aP.7ZpY :2006/03/06(月) 16:46:51 ID:xEwQKHfo
僕は家に着き玄関を開けた。

ガチャッ!!   

「ただいま由紀姉」
「おかえりヒロ!!」
帰ってくると由紀姉がもうご飯の準備をしていた。
「今日はヒロの好きなハンバーグよ!」
テーブルにはこんがりと焼けたハンバーグがお皿の上に乗っていった。
「おいしそうだね。みてたら余計お腹が空いてきたよ」
「それじゃあ、早く手を洗ってきなさい」
「うん。」

ジャァ〜!!  弘樹は洗面台で手を洗いながら思った。
(明日のこと由紀姉に話さなくちゃね…)

そして僕は席にもどり、由紀姉と一緒にご飯を食べた。
「由紀姉」
「何??ヒロ」
「明日なんだけど、僕友達と出かけてくるね」
「友達??」
「そうだよ!!遊園地に行くんだ」
「そう…それって…男?それとも…女?」
そう聞いてきたときの由紀姉の顔はとても恐く見えたような気がした…。
それを見た僕はなぜだか知らないけど…そう、なぜか知らないけど女の子と行くとは言えなかった…。
「男だよ男。彰っていう奴」
「ホント??」
「本当だよ。僕が由紀姉にうそついたことある??」
「そうね。なかったわね。」
この日僕は初めて由紀姉に嘘をついた…。
487 ◆e65aP.7ZpY :2006/03/06(月) 16:54:10 ID:xEwQKHfo
ちょっと長くてすみません。
前回はなかったので今回からはトリップ入れさせていただきました。
それではみなさんが楽しんでくださることを期待しています。
488名無しさん@ピンキー:2006/03/06(月) 17:17:30 ID:Gr8Nq69o
新作に期待。
主人公以上に空気のよめなさそうな悪友にも期待w
489名無しさん@ピンキー:2006/03/06(月) 17:29:14 ID:9dKwgSKc
>>487
長いことはいいことっす。
これから来るであろう姉嫉妬より、姉の逆襲に対するクラスメイトの嫉妬に(*´д`*)ハァハァ
490冷酷な主人公キボンヌw:2006/03/06(月) 21:27:36 ID:bSN0Fuqk
全く・・
つばさも珠美も
間抜けすぎる
率先して前の座席に
これではやりがいがない

「急いでください
 相手は千早だ
 何をされるか」

しかし、万が一の為に仕込んでおいた
これをこんな形で使うことになるとは
まあ
明穂だけで全てが埋まるわけでもない・・

何よりも明穂が千早を殺した今
委員長側に先に明穂と千早の名を書いた
ノートの切れ端を押さえられるのはまずい

それに委員長と約束をした以上
明穂はもう必要ない

野乃崎明穂  自殺
2006年3月6日 午後3時22分
自分の身の回りの物
書いた物を燃やし焼身自殺
491『Which Do You Love?』 ◆AsuynEsIqA :2006/03/06(月) 21:55:34 ID:uBksJ3m4
「お見合いぃ?!」
麻子の第一声はそれだった。
「まぁな。」
さらりと流す。
相澤麻子…中学からのクラスメートだ。なんとなく気が合い、腐れ縁、とでも言うのか。そんな中だ。
俺とは違って友達が多いくせに、何故か毎週土曜日は駅前の喫茶店でこうやって雑談をすする奇特なやつだ。
こんなとこで俺みたいな奴と話してるなら他の誰かと出かけた方がよっぽど有効だと思うがな。まぁ、毎週約束してるわけでもなくここに来る俺も同じか。
「なんだってまた…どうして?…あ、もういいです」
「親父の企みなんだよ…あ、俺もいらない…あつっ!」
コーヒーのおかわりを止めようとカップの上に手を出した…が遅かった。ちょっとコーヒーが手にかかる。
ウエイトレスは何食わぬ顔で立ち去る。ちきしょう。
そんなこんなで事情を話す。
始まりは昨日、親父から電話がかかってきた。
「もしも…」
「喜べ!聖!我が高嶋家にも春が来た!!」
「…毎回電話に出る度に叫ぶのはやめろ。」
「ゴホン!あぁすまん。年甲斐も無く興奮してしまったよ。」
「…で?」
「冷たいなぁ…まあいい。聞け!息子よ!お見合いだ!」
「はぁ?」
「あのな!…」
簡略するとこうだ。
親父とその働いている会社の社長が昔からの幼馴染みらしく、そのことに最近気付いたらしい。
そこで一緒に飲みへ行き、話が盛り上がって来た所で互いの子供の話になったらしい。そしたらなんと互いに同い年、恋人なしと来た。
そこへ社長の方から見合い話を出したらしい。普通に考えれば、部下の平社員の息子との見合いなど、向こうにしてみればなんのメリットも無い。
まぁ、酔っていたし、幼馴染みだったから気も緩んでいたんだろう。
当然親父は即賛成。さっき叫んだように春がくるからだ。
492『Which Do You Love?』 ◆AsuynEsIqA :2006/03/06(月) 22:00:03 ID:uBksJ3m4
「…なんだ!だから来週の土曜日。お見合いだぞ!いいな!………ってことらしい。」
一人二役で声色を変えながら演じ、麻子に伝える。周りの客はドン引きだ。こんなんだから友達少ないんかな。真剣に聞いてくれる麻子に感謝だ。
「ふーん…で?行くの?お見合い。」
「…まぁ形だけはな。なにも出たからってはい結婚、ってな訳でもないし。」
「そう…でるんだ…」
珍しく寂しそうな顔を見せる。なんて顔してんだ。別に俺とは付き合ってるっていう仲でもないし。ただ仲が良いだけ。互いに気が合うからいい話仲間。
俺だって。女として好きっていいう感情はない。だから麻子が心配することじゃないんだが。
「まぁ、金持ちの社長のお嬢さんってやつだからな。世間知らずで頭ん中お天気になってるかもな。」
窓際にあった造花を頭に付け、おどけて笑ってみせる。麻子も釣られ笑い。
なにフォローしてんだ?俺。
「ふふ、そうよねー。あんたみたいながさつな男が、社長の娘となんか釣り合うはずも無いわよねー。ま、身分の差を見せつけられるのが関の山ね。」
こっちが下手に出れば言いたい放題言いやがって。結婚するとか言ったらもっと悲しませてやれたかもしれんな。
ん?なんで悲しむんだ?……わからん。
493名無しさん@ピンキー:2006/03/06(月) 22:02:12 ID:Sn7XQ5wl
お見合いネタキター
これも期待
494不義理チョコ 第11回 ◆AuUbGwIC0s :2006/03/06(月) 22:11:01 ID:WK+1lbLi
「……じゃあ、また明日」
 それだけ――
 それだけ言って士郎の部屋を出た。
 士郎は部屋から出てこなかった。
 玄関まで見送りに来てくれたっていいのに。
 一秒でもいいから一緒にいたいのに。
 ねえ本当は私の事嫌いじゃないの?

 私が玄関のドアに触れる前に勝手開いた。
「あれ……シロウの友達?」
 玄関の前にはこの間家の前であった女の人が立っていた。
 士郎のお姉さんかな。でもあまり似ていない気がする。
 まさか他に付き合っている人なんていないよね。
 でも、ミカと付き合っているのに私を受け入れてくれた。
 だからひょっとして――
 もしそうだったら――
「あ、はい」
 返事をしてから気づいた。
 友達――そんな風にしか周りからは見られていないのかな。
「どうせ、うちの馬鹿弟はロクなもてなしもしなかったんでしょ。もうちょっとゆっくりしていってもいいのに」
 お姉さん――だよね。


 ひとりぼっちの部屋。
 私の家はいつも親の帰りが遅い。わかっていたがやはりまだ誰も家にいなかった。
 机の上に立てられた二枚の写真。
 ミカたちと中学の卒業式にとった写真。士郎と――今の学校のみんなとクリスマスにとった写真。
 ねえ、ミカ――あなたは私だけ落ちて一緒の学校にいけなくなって泣いてくれたよね。
 あの時私も辛かったけどいいんだ、もう。おかげで士郎に会えたから。
 でもなんで今あなたは士郎と付き合っているの。どうして今あなたは士郎のマフラーを巻いているの。
「ねえ、別れてくれないかな」
 知らず知らずのうちに声が出ていた。
 私と士郎は付き合っているんだよ、好き合っているんだよ。
 今の言葉言ったらミカはどうするんだろう。
 もし、私だったら――
495不義理チョコ 第11回 ◆AuUbGwIC0s :2006/03/06(月) 22:12:01 ID:WK+1lbLi
        *        *        *

 智子が去った後も自分の体には彼女を抱きしめていた感覚だけが残っていた。
 部屋には彼女が忘れていったマフラーがあった。
 もう暖かいからいらないんだよな。
 階段を上ってくる音がする――なんだ忘れたの今頃思い出したのかよ。
 ドアが開いた――なんだ姉ちゃんか。
「さっきまで友達来ていたよね」
 あいつとは入れ違いに会ったのか。
 姉ちゃんはこちらを見ずに部屋を見回した後、鼻をひくつかせながらゴミ箱を覗いていた。
「――首筋にキスマークできてるけどいいの?」こちらを横目で見ていた。
 反射的に首筋を隠していた。
 何時の間につけられたいたんだ。
「やっぱりそういうのか――」
 何かを悟って、それでいて人を突き放した雰囲気。
「……何か言ってたのか」
 極力動揺を抑えつつ言葉を発したつもりのに少し声が震えていた。
「なんにも――あんたの場合は顔見ていれば大抵考えていることわかるから。
 それからキスマークなんて出来てないから」
 感情の抑揚のない静かに流れる声。
「他に言うことないのか――」
 自分の体が震えていた。
「何を言って欲しい?
 叱って欲しい? そんな事は止めなさいって。
 それとも唆して欲しい? 二人とも頑張って幸せにしてみなさいって。
 あんたの問題でしょ――自分で考えなさい」
 そう吐き捨てた後、部屋から出て行った。

 彼女の忘れていったマフラー。
 どうしなきゃいけないなんてとっくにわかっている――でも覚悟ができないんだ。



 翌朝、寝坊した。
 最近あまり眠れていない。
 原因は――わかってる。
 ちゃんと言わなきゃいけないんだ――二人とも。

「はい、これ」
 弁当箱があった。
 彼女の顔を見ていると開きかけていた口重くなった。
「……わたしのじゃないよ――ミカから渡すように頼まれてきただけだから」
 昨日の表情はなかった。いつもの――そういつもの顔。
 お前はなんでそんな表情を浮かべていられるんだ――オレは辛い。
「日曜――」
「え?」
「……日曜なら空いているから」
「あ……うん」

 ――何をやっているんだオレは。

4968 ◆AuUbGwIC0s :2006/03/06(月) 22:14:37 ID:WK+1lbLi
ようやく身内バレまで漕ぎつけた。
でも何故か黒いの殆ど削げ落ちちゃったんですけど…
497名無しさん@ピンキー:2006/03/06(月) 22:22:16 ID:U6xRz6uf
士郎のはっきりしない性格って…
案外男からもウザがられる性格だろうなぁ
498名無しさん@ピンキー:2006/03/06(月) 22:30:18 ID:WrbwFF5J
はっきりものを言う性格だったら終っちまうだろ!
と思ったが、このスレのデフォヒロインは嫉妬深く粘着質で決してあきらめない性格だから
はっきり言ったところで終わりそうにないなw
499名無しさん@ピンキー:2006/03/06(月) 22:46:41 ID:9dKwgSKc
>>498
合鍵の藍子とか姉貴と恋人の両ヒロインとか 「妹は実兄を愛してる」の樹里とかか
((;゚Д゚)ガクガクブルブル
だがそれがいい!
500合鍵 第二十八回 ◆tTXEpFaQTE :2006/03/07(火) 00:21:13 ID:jyrekBsp
合鍵  第二十八回


ベットに横たわり、すっかり傷がふさがった両手首を見ながら、サキは考える。

さすがに、目の前で両手首切るのはやりすぎだったかしら?
しかも、その後、血塗れのまま、襲っちゃた。
手首から血出したままの女の子に襲われるの、どんな気分かしら?
うーん、微妙なトラウマになってなきゃ良いんだけど。
それとも逆に、変な性癖が付いちゃってたらどうしよう?
毎晩出血しながらやるのは、命がいくつ有っても足りない。
でもあの時、元也君が私の事心底心配してるのを見ながら強引にしちゃうの、
すごい興奮しちゃった。
あの、元也君の混乱した顔。ああ、素敵。

あの時はさすがにイっちゃてたが、ああでもしない限り、元也君は自分から離れて
行ったかもしれないのだ。
なんたって、私のはじめてを、一代決心をして、あげちゃう位、好きになった人なのだ。
そう思えば、ちょっと位のとっぴな行動も許して欲しい。

それはそうと、気になる事がある。
意識が回復してからこっち数日の間、一回も元也君がお見舞いに来てくれない。
まあ、私も凄い事しちゃったから、彼が引いちゃったのかも知れない。
とは言え、元也君の性格なら、どんなに引いちゃっても、一回は花ぐらい持って来る筈だ。
それなのに、来ないと言う事は………

わかりきってる。
藍子ちゃんだ。

藍子ちゃんがどうせ、『サキさんの所に行くなら、もう一回手首切ってやる!!』
位の事言ってるんだろう。
あの娘なら、それ位の事は言いそうだ。

ふふっ、安心していいよ、元也君。
私、貴方に対してはこれっぽっちも怒ってないから。
ちゃんと私を選んだこと、わかってるから。
流石に、幼馴染にそこまでされちゃ、仕方ないよ。
私は、藍子ちゃんと違って、そこまで道理の通らない事、言わないから。
まあ、そうね。退院してから、
『酷いわ、元也君!!私のこと、捨てちゃうのね!!』
位の事を言わせて、困らすぐらいでいいわ。
どんな顔して、オロオロするかしら?
考えるだけで、ああ、体が熱くなっちゃう。うふ。

そして、藍子ちゃん。
いいわ。せいぜい、私が退院するまでは、せいぜい元也君に我が侭言っときなさい。
それが、最後の我が侭になっちゃうんだから。
いまごろ、藍子ちゃん、あなた、どんな酷い事、元也君にしてるのかしら?
きっと、手錠をかけて、ベッドに縛り付けて、その独占欲を満足させてる頃かしら?
…………………いいわね、それ。

501合鍵 第二十八回 ◆tTXEpFaQTE :2006/03/07(火) 00:22:13 ID:jyrekBsp
>>500の続き


そうね、元也君に首輪をつけ、部屋に監禁して、食事の世話も、下の世話もしてあげる、
食事にバイアグラとか混ぜて、興奮させて、『愛してる』って百回言えたら、してあげるって、
それで百回言っても、『心がこもってなかった、もう三百!』とか言っちゃうの。
あら、これ、ほんとに素敵。

ほかには、ええと、食べ物は全部、私が噛んでから、口移しで食べさすの。
それから、そうそう、その食べ物にはぜんぶ、私の涎とか、他の物とかが入ってるの。
後は………駄目。もう思いつかない。

とにかく、元也君を快感漬けにして、私無しでは生きていけない体にしちゃうの。
……と言っても、私だって、元也君とするまで、経験なかったし、どうすればいいか分かんないし、
どっかに、
[HOW TO 快楽漬け 〜男を虜にする方法〜]
みたいな本、売ってないかしら?売ってるはずないわよね。

……ああ、何考えてんの、私。
暇だからって、バカすぎる。

………でも、手錠と首輪ぐらいなら、多分SMサイトで買えるよね。
まあ、本気じゃないけど、監禁するわけじゃないけど、まあ、ちょっと、買ってみとこう、かな。
念の為。
 
後は…元也君を藍子ちゃんから隠せる新しい家。
あの家にいる限り、元也君は、藍子ちゃんから逃げられない。
藍子ちゃんがわからない新しい家で、一緒に暮らそう。
私が今すんでる所を引き払って、アパートにでも行こう。

…………決して、監禁目的ではない。念の為。
まあ、少しぐらい、お遊びのつもりで、監禁ごっこはするかもしれないかな?
しれないかな?
まあ、その結果、ほんとに監禁してしまうかも知れないけど、まあ、いいよね、元也君
言う事聞いてくれないと、また手首切っちゃうからね?きっちゃうからね?
切って、また襲っちゃうからね?からね?うふふ。

何かもう、私、立派なサイコさんね。自覚がある分、性質悪いかしら?
まあ、愛ゆえよ、愛。LOVEよ。
愛は人を狂わせる。いい事いうなあ、昔の人。

待っててね、元也君。うふふ。
502名無しさん@ピンキー:2006/03/07(火) 00:30:36 ID:2iPLzV31
安西先生…サキタンもやっぱりホンモノでした…
503名無しさん@ピンキー:2006/03/07(火) 00:34:31 ID:v9O0vOuB
>>501
藍子派のはずだった俺が凄い勢いでサキさんに惹かれている・・・
501の序盤の監禁のあたりが凄いツボっす
主人公の受けぷりが神です
作者様本当に(TдT) アリガトウ
504名無しさん@ピンキー:2006/03/07(火) 00:54:05 ID:WTsJjst2
っていうか、デスノートの夜神月より黒いよw
505名無しさん@ピンキー:2006/03/07(火) 01:05:43 ID:NiUOC6tq
サキさん派の俺ですが今回サキさんに惚れ直しましたよw
サイ娘っぷりがたまらねえ。
506名無しさん@ピンキー:2006/03/07(火) 01:25:26 ID:bbfPN992
これが才能ってやつか…
ぞくぞくするぜ!
507名無しさん@ピンキー:2006/03/07(火) 01:28:02 ID:tUhnLObU
ゲーム化してくれないかな・・・ぬまきちよぅ・・・
508名無しさん@ピンキー:2006/03/07(火) 04:21:19 ID:2GlSHYAV
サキさんがサキさんが・・・
秘めた才能を開花させていってる
怖いよよー、怖いよー
509名無しさん@ピンキー:2006/03/07(火) 07:35:09 ID:qqo+dvvh
退院後サキさんは、元也を
拉致監禁予定か…イイね続きにwktk
510『Which Do You Love?』 ◆AsuynEsIqA :2006/03/07(火) 08:24:41 ID:hDNmMqkp
金曜日
学校
「よぉーっす!タカビ」
バン!
「ひっ!」
さっそく朝からタカビの背中に紅葉。
タカビ…本名:園崎 望(まどか)
やたらと偉そうな喋り方だから高飛車からとってタカビ。麻子が名付けた。本人がなんでそう呼ばれてるか気付いてない辺りは不憫だ。
「ひ、聖さん…お、お、おはようございますですわ。」
スタスタ
そう言い残してさっさと行ってしまった。おかしい。いつもなら「あ〜ら聖さん。あいも変わらず下品な挨拶ですわね。」なんてムカツク一言でもかますのだが……風邪でもひいたのだろうか?
結局その日はずっとおとなしかった。仲のいい麻子にもよそよそしかった。
「なぁ…いったいタカビどうしたん?」
「さぁ?聞いても曖昧な返事するだけなんだよねぇ。」
昼休み。いつもなら三人で食べるのだが、今日はタカビは机に突っ伏したままだった。いつもなら「あらあら、聖さん。コンビニのお弁当とは…見るに堪えないですわね。」とかいって目茶苦茶興味津津に見てる。
だが今日は昼飯を食べないどころか、目も合わさない。なんか嫌われる様な事でもしたか?俺。
まぁいいや。こういう時は放置するに限る。
「その方が楽だよな。坂巻涼君?」
教室を出てこうとする(自称)友人に問い掛ける。
「………」
ひと睨みしたまま教室を出てってしまった。相変わらず無愛想な奴だ。俺と同じで人付き合いが嫌いなタイプだとおもったんだがなぁ。
そのまま放課後も、タカビの調子は悪いままだった。
その夜
ブー!ブー!ブー!
バイブにしたままの携帯が鳴る。こんな時間に電話を掛けてくるのは親父ぐらいなもんだ。だから先手必勝。
ピッ!
「叫ぶな!」
「えっ!?え?」
電話の向こうには驚いた女の声。麻子の声だった。
「あ、すまん。間違えた。」
「も〜。なにをどう間違えんのよ!」
「いや、だってなぁ。こんな時間に電話してくる事なんてなかったし。で?何の用だ?」
「ずいぶんなご挨拶ね…心配してやってるってのに。」
「心配?なんの?」
「あんた明日お見合いでしょ?緊張でもしてんじゃないかな〜なんて思って…ね。」
「あぁ…心配ならいらん。やる気満々だからな。」
「そっか…心配してそん…した。」
ん?
麻子の声が僅かに掠れる。
「おい…どうした?麻子。」
「ううん。なんでもない!おやすみ!」
プツ!プープープー…
いきなり切られてしまった。麻子の奴…泣いてた?
511『Which Do You Love?』 ◆AsuynEsIqA :2006/03/07(火) 08:26:58 ID:hDNmMqkp
お見合い。
そう聞いた時はショックだった。あまりにも急な話だったからだ。自分には関係ない。そう何度も言い聞かせていた。
でも、やっぱりだめだった。聖が私以外の女と楽しそうに話したり、笑っていたりするのを想像しただけで、怒りが込み上げてきた。
何時からだろう。私が聖に恋をしていると気付いたのは。もしかしたら出会った時からかもしれない。最初は中学の時。聖は一人でいた。無口で、クラスの輪に入らないタイプだった。
私はそういう奴を放っておけない…いわゆるおせっかいだった。なんとか仲良くさせようと必死になったが、難しかった。
そんなある土曜日。買い物帰りに駅前の喫茶店。聖はそこにいた。窓際にいたので、外から座っているのが見えた。私の足は勝手に動いていた。気付けば聖の前に立っていた。
「こんにちは…」
「………」
聖は驚いたように私を見ていた。
「相変わらず無愛想な奴ねぇ。」
「…そんなとこに突っ立ってないで、座れば?」
嬉しかった。聖に少しでも近付けたことが。それから仲良くなるのに時間は掛からなかった。毎週土曜日。聖はこの喫茶店に来ていた。私たちだけの時間。
もう何年も続いていた。その中で気付いた。聖は決して深い付き合いは好まない事。ドライな関係が丁度良い距離だと言う事。
だから私もそれを守っていた。もし近付きすぎたら、せっかく築き上げたこの関係が壊れてしまう。そう思ったから、自分の本音を抑えていた。
そんな時に、お見合いの話がでた。
聖は全く気にしていなかった。結婚なんてする訳ない。そう言っていた。それでも言葉だけでは不安だった。その話を聞いてから、ずっと聖への思いは大きくなるばかりだった。
今気付けば、最近では喫茶店だけでなく、学校でも聖と一緒にいる。あぁ、恋なんだ。これが…
512『Which Do You Love?』 ◆AsuynEsIqA :2006/03/07(火) 08:30:29 ID:hDNmMqkp
かなり遅めだが、これが初恋だった。今まで男友達はいたが、全くそう言う対象として見なかった。ただ、聖は違った。どこに惚れたのだろう…
最初の印象と、話してみてのギャップかもしれない。
読書が好きなこと。猫が好きなこと。料理がうまいこと…
知れば知るほど嬉しくなり、さらに聖をしりたくなった。でももうこれ以上知るには、さらに深い関係にならなくてはいけなくなった。
聖との共通の友達、タカビにも相談した。そしたら、向こうにも脈はある。大丈夫だと言ってくれた。
だからお見合いの前夜、電話をした。気付いて欲しかった。伝えたかった。私の気持ちに。
心配したなんていうのは建前。本音はただ聖の声を聞きたかった。…そして、自分の気持ちを伝えたかった。
「緊張でもしてんじゃないかな〜なんて思って…ね」
違う。励ましたいんじゃない。行かないで。そう言いたかった。
「あぁ、心配ならいらん。やる気満々だからな。」
そんなこと、いつもの冗談だって分かってる。でも今だけは、言わないで。
「そう…心配してそん…した」
不意に涙が溢れてきた。私がいるから、行かないで。今からでも、断って。私の為に。あなたを愛してるから…
ピッ!
これ以上聖の声を聞いたら泣きそうだった。だからすぐに挨拶をして切った。
もう自分の思いは止められない。 もしお見合いが終わったら、自分の気持ちを伝えよう。だから今は願うだけ。お見合いだけで終わることを。また私の所に戻って来てくれる事を。
513名無しさん@ピンキー:2006/03/07(火) 11:02:34 ID:UQWknbVm
聖と望だから初め訳わからなかったw
514名無しさん@ピンキー:2006/03/07(火) 12:00:47 ID:0WNTGDMe
+   +
  ∧_∧  +
 (0゚・∀・)  これからの展開に激しく期待!
 (0゚∪ ∪ +
 と__)__) +
515優柔 第12話  ◆I3oq5KsoMI :2006/03/07(火) 16:56:08 ID:dqafQ+pc
昼間のことを思い返していた。
愛原が私に気づかなかったこと、それが気になっていた。
5限目になったというのにまだ苛立ちがおさまらない。
本当にムカつく。

愛原に会いに行こう。それで今日のことを言ってやる。
「私に気付け」と。
その後は一緒に帰ろうか・・・
委員会の会議で予想以上に時間を取られたが愛原はまだいるだろう。
顔を合わせておきたい。明日は土曜日だから。
昨日に続けて今日も2年の階に来た。左に曲がってすぐの2組の教室。
・・・既にいなかった。

あいつは本当に間が悪いと思う。
私が一緒に帰りたいと思う時には帰ってるし、声をかけて欲しいと思う時には素通りするし。
告白して欲しいと思ったとき時には彼女ができてた。
本当に空気が読めない。
なんで私はあんなやつを好きになったんだろう。
こんなにいい女が好意を抱いてるというのに、あいつは何で気付かないんだろう。

私は校門を抜けると走り出していた。
今日会っておかないと二度と会えない、もう会ってくれないと思ったから。
もしかしたら愛原は私に興味が無くなったんじゃないのか。
2回ヤッただけでもう要らなくなったんじゃないのか。
だから昼間わざと無視したんじゃないのか。
そんな何の根拠もないことが現われては消える。
あれ、どうして私・・・涙ぐんでるんだろう・・・
人前では泣いたことなんて無いのに。なんでこんなにナーバスになってるんだろう。
1日会話しなかっただけで、どうしてこんなに情緒不安定になってるんだろう。

・・・ああ、そうか。
私って本当はこんなに弱いんだ。
好きな男に一回気付いて貰えなかったぐらいであれこれ考えてしまう、そんな弱っちい女なんだ。
・・・それだけじゃない。私は愛原がそれだけ好きなんだ。
なんでだろう・・・あいつと知り合って1年も経たないのに。理屈じゃないのか、やっぱり。
急がないと会えなくなる。
途中で水溜まりを踏んでしまって靴の中が水浸しになった。
それでも私は走り続けた。
愛原、ここまでしてるんだから少しは私の想いに応えてよ・・・

駅に着いた・・・いた、愛原。
息を整えて涙を拭って早く行こう。
・・・あれ、なんで元カノと一緒にいるの・・・
えっ・・・なんで抱きつかれてるのに降り払わないの・・・

その光景を見た刹那、私の血液が一気に沸騰したみたいになった。
胸が潰れるような感覚に陥った。
そうか・・・これが・・・嫉妬なんだ・・・
516優柔 第12話  ◆I3oq5KsoMI :2006/03/07(火) 16:57:22 ID:dqafQ+pc
私の家は裕福でお父さんとお母さんの仲がすごく良かったから夫婦喧嘩してるところな
んか見たことがなかっただから幸せな家庭で育ったんだと思うお母さんは綺麗な人で私
はお母さん似だから小さい頃から可愛い子だねっていわれ続けてきた顔のことで悩んだ
ことなんて一度もない思春期に入ってからはクラスの男子からすごくモテて何人もの男
子に告白されたそれは今も変わらない1年の頃から3年になる今まで両手じゃ数え
切れないくらいの人に告白された下級生の女子から告白されたこともある私は運動は
普通だけど勉強はこの学校の女子の中で一番できるだから誰かの能力に嫉妬した
ことなんて一度もない千尋は美人で友達多くて私と同じくらいいいえ私より男にモテるし
運動神経もいいけど千尋に嫉妬したことなんて一度もない私達はいつまでも仲の良い
女友達でいられると思う私は幸せな人生をおくってきたと思うだって今までの人生で誰か
に嫉妬したことなんて一度もないんだもの

なのに・・・どうして好きな人にはああやって抱きしめて貰えないの?
ずっと想い続けてきて、彼女が出来たって聞かされて泣いて、他の男と付き合ったけど、
忘れられなくて別れて、勇気を出して処女をあげて、別れた彼女を忘れさせるために、
また身体を許して、声をかけてもらえなかったから不安になって、泣きながら雨に濡れて、
こんなに想い続けているのに、どうして別れた彼女に優しくするの?

ああ私・・・あの女に嫉妬してる・・・
なんて汚い感情なんだろ・・・次から次に溢れてくるよ・・・
こんな惨めな気持ちは初めて・・・
劣等感っていうのかな・・・
色々努力してるのに気付いて貰えない私・・・
あの女は別れたというのに優しくして貰える・・・
あれ・・・愛原は傘を持ってない・・・
相合傘したの・・・私は一人で雨に濡れてきたっていうのに・・・
悔しいな・・・ああ・・・もう止まらないよ・・・
私の本性ってこんななの・・・いつもは男勝りで通してるけど・・・本当はどうしようもないやきもち焼き・・・
嫉妬深くて・・・なんて弱いんだろ・・・
愛原帰っちゃった・・・私も帰ろう・・・
あれ・・・私・・・震えてるよ・・・
517優柔 第12話  ◆I3oq5KsoMI :2006/03/07(火) 16:58:49 ID:dqafQ+pc
いつの間にか玄関に立ってた
ここまで来た記憶がない
ずっとあの女のこと考えて、憎しみを抱いてたから
とりあえず、愛原に連絡しよう
あの女のことより私のこと考えて貰わなきゃ
私は玄関に腰掛けて携帯をカバンから取り出した
あれ、持った途端に携帯が震えた
ううん、違う
私が震えてるだけ
寒いからじゃない
ずっとあの女のこと考えてるから
携帯、ミシミシいってるよ
力が入り過ぎてるのかな
何回もボタンを押すとこ間違えてる
ああ、駄目
あの女、殺したいよ
どうしようもなく殺したい
いつまでも愛原のまわりをうろつくハイエナみたい
汚い
私の愛原
私だけの愛原
私のもの
あれ
送信完了になってる
なんて入力したんだろ
わかんないや

殺すとか、死ねとか、消えろとか、そんなことばっかり考えてる。
駄目だよ、こんな汚い感情見せたら。愛原君に嫌われちゃうよ。
抑えなきゃ。閉じ込めなきゃ。静めなきゃ。
気持ちいいことすればいいんじゃないかな。
愛原君に抱かれた時のことを思い出して。




518優柔 第12話  ◆I3oq5KsoMI :2006/03/07(火) 16:59:26 ID:dqafQ+pc
・・・あれ?
玄関のところに座っている自分の姿に驚いた。
パンツが脱ぎ捨てられブラジャーから胸がはみ出てる。
右手の指と乳首・・・あそこも濡れてる。
それに妙に気だるい。
(私・・・自慰してたのか?)
何も覚えていない。
覚えてるのは・・・あの女に嫉妬してたことだけ。

携帯がメロディーを奏でる。
愛原からだ。
『Re:
先輩?どうしたんですか?』
・・・返信?私がメールを送った?
私は急いで送信履歴を見た。
『愛原へ。
綾乃は少女から女になりました。きっかけを作ったのはあなたです。
だからもっと私のことを気にかけて下さい。ヤリ逃げなんて酷すぎます。』
・・・何これ?

私は恐くなってすぐに電話を掛けた。
『もしもし先輩?』
愛原の声を聞くと落ち着いた。

他愛のない会話だった。
普段通りの私だ。
それから愛原は今日の昼、本当に私に気付かなかった。
良かった・・・
電話を切ってから私は改めて思った。
やっぱり私は愛原が好きなんだと。
519名無しさん@ピンキー:2006/03/07(火) 17:06:41 ID:TxzJIcRG
サキ先輩vs綾乃先輩・・・じゃなくって
ハイエナvsメス犬の戦いになってきましたね(マテ)
520名無しさん@ピンキー:2006/03/07(火) 17:20:27 ID:d6E0ws11
俺、凛々しくて男っぽい先輩大好きだったんだけど・・・
((((; ゚Д゚))))ガクガクブルブル
戻って!かっこよかった先輩に戻って!!
521名無しさん@ピンキー:2006/03/07(火) 17:22:30 ID:hjoQkJmk
これはこれでw
嫉妬は人を狂わせますねー。
522名無しさん@ピンキー:2006/03/07(火) 17:34:41 ID:Q8ufNrNX
バーサクしてる!
先輩GJ!!
523諸君、私は〜ネタ:2006/03/07(火) 20:12:15 ID:hqHmLEE+
諸君 私は嫉妬が好きだ
諸君 私は嫉妬が大好きだ

藍子が好きだ
サキ先輩が好きだ
楓が好きだ
樹里ちゃんが好きだ
椿ちゃんが好きだ
綾乃先輩が好きだ
真奈が好きだ
真由が好きだ
姉貴が好きだ
麻妃が好きだ

教室で 屋上で 食堂で 校舎裏で 校庭で 
校門で 駅前で 公園で 街中で 自室で
この地上で行われるありとあらゆる嫉妬行動が大好きだ

エロ本を見つけた藍子が写真の女に怒りを燃やすのが好きだ
マジックで塗りつぶして切り裂いてシュレッダーにかけガソリンをつけて燃やしたいと思った時など心がおどる

サキ先輩が指きりを見て藍子を張り倒し髪の毛を引っ張って引きずりまわしてやりたくなるのが好きだ
気に入らなくてそこまで不快になる自分に驚いているところは胸がすくような気持ちだった

楓が兄のデートを目撃して恐慌に陥るのが好きだ
アニメ版SHUFFLEの楓が空の鍋を何度も何度も掻き回している様など感動すら覚える
素直クールの樹里ちゃんが静かな宣戦布告で逆襲する様などはもうたまらない

泣き止んだ椿ちゃんがライバルをメス犬扱いして殺意を覚え気付かないうちに机の上の鉛筆を何本か折ってるのも最高だ
哀れな綾乃先輩が健気にも探しにきたのを相合傘で粉砕され携帯を握り締めてハイエナ扱いした時など絶頂すら覚える

真奈に八つ当たりで滅茶苦茶にされるのが好きだ
必死に守るはずだった平穏が壊され真由が殺されて朽ちていく様はとてもとても悲しいものだ

姉貴が脅迫観念に押し潰されて弟を監禁調教するのが好きだ
麻妃が隆史と隔絶され廃人の様に絶望して酒びたりになるのは屈辱の極みだ
524諸君、私は〜ネタ:2006/03/07(火) 20:13:39 ID:hqHmLEE+


諸君 私は修羅場を地獄の様な修羅場を望んでいる
諸君 私に付き従う大隊戦友諸君
君達は一体何を望んでいる?
更なる嫉妬を望むか?
情け容赦のない糞の様な嫉妬を望むか?
鉄風雷火の限りを尽くし三千世界の鴉を殺す嵐の様な嫉妬を望むか?

『嫉妬! 嫉妬! 嫉妬!』

よろしい ならば嫉妬だ
我々は渾身の力をこめて今まさに振り降ろさんとする握り拳だ
だがこの暗い闇の底で半世紀もの間堪え続けてきた我々にただの嫉妬ではもはや足りない!!

大嫉妬を!!
一心不乱の大嫉妬を!!

我らはわずかに一個大隊 千人に満たぬスレ住人に過ぎない
だが諸君は一騎当千の古強者だと私は信仰している
ならば我らは諸君と私で総力100万と1人の軍集団となる
我々を忘却の彼方へと追いやり眠りこけている三角関係を叩き起こそう
髪の毛をつかんで引きずり降ろし眼を開けさせ思い出させよう
連中に恐怖の味を思い出させてやる
連中に我々の修羅場の威力を思い出させてやる
天と地のはざまには奴らの哲学では思いもよらない事があることを思い出させてやる
一千人の嫉妬スキーの戦闘団で
世界を燃やし尽くしてやる

「最後の大隊大隊指揮官よりスレ住人へ」
目標2ch嫉妬・三角関係・修羅場統合スレ!!
第二次2ch修羅場化作戦 作戦を開始せよ
525名無しさん@ピンキー:2006/03/07(火) 20:29:35 ID:2iPLzV31
526名無しさん@ピンキー:2006/03/07(火) 20:46:37 ID:pp7BasUa
>>523、524
3回読み返して3回笑った
5271 ◆1x9DgsyHz. :2006/03/07(火) 20:48:25 ID:Bd+bUfXP
「菜々、今日はなんか嬉しそうだね。何かあったの?」
 そんなに顔に出ていたかな。
「そう見える?」
「そう見えているから、聞いてるんじゃない。教えなさいよ。」
 
 私が今日機嫌がいい理由、それは隆太、りゅうくんがこの町に戻って
くることだ。
 私とりゅうくんは世間一般で言う幼馴染なんだけど、彼の両親が交通事
故で亡くなって親戚に引き取られてからなかなか会えなかった。だけど、
お姉さんがこの町の大学に進学することになって一緒にこの町に戻ってくる。
 嬉しくないはずがない。だって私は、りゅうくんのことが昔から好きだったから。
 

 今日は、部活が終わったら急いで家に帰った。二人が家に挨拶に来るらし
い。早くりゅうくんの顔がみたい。はやる気持ちそのままに玄関を開ける。

「お母さん、りゅうくん達きた?」
「あら、そんなに慌てちゃって、りゅうくん達はまだ来てないよ。」

 な〜んだ、まだ来てないのか。お母さんにまず着替えなさいと言われて部屋
にもどる。

 りゅうくんに会うの久しぶりだな、この間の冬休みに会って以来かな、早く来な
いかな
5282 ◆1x9DgsyHz. :2006/03/07(火) 20:50:30 ID:Bd+bUfXP
「隆太、ついたよ。」
「ん…、あれ、俺寝ちゃってた?」
「ふふっ、かわいい寝顔だったよ。」
「ったく、やめてくれよ姉さん。」

 私は須藤敦子。大学進学を機会に故郷の町に戻ってきた。やっぱり生まれ
育った町だから、弟やお父さんお母さんとの思い出のある町だから戻ってきた
かった。叔父さん叔母さんにはもっと上の大学でもいいんじゃないかと言われた
けどそんなものは関係ない。
 何より隆太が一緒について来てくれるのは嬉しかった。隆太、私の大切な弟。
お父さんお母さんが突然死んじゃって…すごく悲しくて…そんな私を隆太は一生
懸命励ましてくれた。自分も悲しかったのにお姉ちゃんを元気だしてと言ってくれ
た。そのときから私は、隆太を守らなきゃ、大切なたった一人の家族なんだから
そう思うようになった。
 だけど最近はそんな気持ちも変わりつつある。弟だけど、家族だけど…私は隆太
のことが…

「…さん…姉さん!」
「えっ、何。」
「何じゃないよ、今の話聞いてた?家に行く前に藤村さんちに行くか荷物置いてか
ら行くかどっちにするか。」
「あっ、うん…。荷物置いてから行こっか。」
 
 そのまま行ってもいいかも知れないけどもう少し二人きりでいたかった。藤村さん
ちのおじさんおばさんには、昔お世話になってたからすぐに行ってもよかったけどあ
の家には菜々ちゃんがいるから…。
 
「姉さん、大丈夫?さっきからぼけっとして。」
「うん、大丈夫だよ。相変わらず心配性ね。」
「疲れたのなら俺だけで挨拶に行ってこようか?」
「大丈夫よ!別に疲れてないし、それに…」
「姉さん?」
「ううん、なんでもないよ。ありがとね、隆太。」

 言えないよね、菜々ちゃんのいる家なんかに一人では行ってほしくないなんて。
なにより、隆太に心配かけっぱなしだ、もっとしっかりしないと!
 そう心の中で決意を新たにして駅からバス乗り場へ向かった。
 
529 ◆1x9DgsyHz. :2006/03/07(火) 20:54:58 ID:Bd+bUfXP
とりあえずここまで、新参ですがよろしくお願いします。

>>523
GJですww
530名無しさん@ピンキー:2006/03/07(火) 21:09:31 ID:ybMCswbv
ttp://curry.2ch.net/occult/kako/991/991544932.html
サイコ入ってるけどここの64なんかエネルギー源にならんかな。
愛ゆえにってわけじゃないけども
531名無しさん@ピンキー:2006/03/07(火) 21:19:17 ID:bbfPN992
こ、こえええええ…だがそれがいい

あ、楓と樹里の中の人です。続きが遅れてるのは一気に最終回まで書いてしまおうと思ってるからですが、
精神状態が極めて不安定なので遅々として進みません。ごめんなさい。

『いつだってそうさ。俺は渡りきってから、それがぼろぼろに腐った橋だったことを知るんだ。
 今更何を悔やみ、怖れても何も変わらないっていうのに。』
532名無しさん@ピンキー:2006/03/07(火) 21:57:43 ID:iZdYA5Dh
>>531
時間が掛かっても構わないから、自分で一番納得できる結末を書いてね
5338 ◆AuUbGwIC0s :2006/03/07(火) 22:07:12 ID:2iPLzV31
421 :イラストに騙された名無しさん :2006/03/07(火) 21:36:37 ID:KY4dJ82+
>>419
「弟の命は弟のものならず、姉のものなり」
姉弟とは年上のサディスト(姉)と年下のマゾヒスト(弟)によって構成されるのだ!
こんな兄弟かよ!
死ぬときは
「姉上、やさしゅうなった喃」
534不義理チョコ 第12回 ◆AuUbGwIC0s :2006/03/07(火) 22:31:54 ID:2iPLzV31
        *        *        *

 ミカと二人で美術館に来ていた。
 ミカのよく知っている画家なのだろうか、楽しそうに目を輝かせて説明しているミカに対してオレは生返事しか返せなかった。
 絵に興味がないというのもあったが、理由はもっと別の――別の女の子のことを考えているから。
 そんな中、一枚の絵に釘付けにされた。
 『無償の愛』
 母が赤子を抱いて母乳を与えている。
 それだけの絵なのにそこから動けなくなった。
 何故かその絵を見ていると涙が溢れてきた。
 顔を手で隠し絵を見ないようにしても涙は止まるどころか酷くなってきた。
 気がついたら膝で立っていた。

「大丈夫だよ」耳元で優しく囁いてくれる。
 顔を隠した手の甲で彼女の胸を感じる。そっと彼女が優しく抱きしめてくれていた。
「覚えている? 小さな頃泣いている時ずっとこうしててあげたよね」
 そう、昔泣いてた時こうやって抱きしめて慰めてくれた。
 でも止めて欲しい――こうされていると忘れたいと思っていた記憶も思い出してしまうから。
 でも、このままでいたい。
 そんな矛盾した想いがあった。


 ボクはこんな風に愛されることも優しくされる資格がありません。
 ボクはウソツキです。好きになってくれた女の子を騙しています。
 ボクは彼女と付き合っているのに、他の好きな子が告白されて、その子付き合い始めました。
 ボクは彼女がきづいていない事をいいことに隠れて別の子と関係を続けています。
 ボクは本当の事を言ったら彼女が傷つくと言い訳して、その事を黙っています。本当は彼女を前にして喋る勇気がないだけです。
 ボクは最低です。誰かに好きなってもらえるような価値もなければ誰かを好きになってもいけない様な人間のはずです。
 ボクは罰をうけるべき人間です。


「ごめん……ごめん――」
 その後に言わなきゃいけない言葉があるのに続けられない。
「泣かなくてもいいんだよ、シロちゃんは何も悪いことしていないんだから」
 彼女の顔を見ればまるで泣きじゃくる小さな子供をあやす母親のように微笑を浮かべていた。
 違う、あの時とは違う。オレは今謝らなきゃいけないことをしているのに。彼女を騙しているのに。
 女の子の胸で泣いている――ダサいなオレ。
 もし本当の事を話しても彼女はこんな風に笑って許してくれるのだろうか。

 ――なんでオレこんないい子を裏切るような真似しているんだろう。


 人目を憚らず泣き喚いた後、落ち着いたオレたちは喫茶店の中にいた。
「ごめん――オレの事嫌いになったか?」
 あれだけ恥ずかしい姿見せたんだ嫌われて当然だ。
「ううん、もっと好きになった」
 オレのことなんか好きにならないでくれ。最低の男なのに。
「シロちゃんって繊細なんだね」
 違う。只のウソツキで最低で自分のやった事の重さに耐える事のできない人間です。

「……ごめん用事思い出したから帰らなきゃ行けない」
 ――言わなきゃいけないのに。
535不義理チョコ 第12回 ◆AuUbGwIC0s :2006/03/07(火) 22:33:04 ID:2iPLzV31
        *        *        *

 折角の休みだというのに私は一人寂しく自分の部屋で天井を眺めていた。
 きっと今頃二人で――
 なんで一緒にいるのが私ではなくミカなのだろう。
 インターフォンが鳴る。一人きりの家。私しかいない家。
 誰だろう――
 無視しようとも思ったが再びインターフォンの音がした。

 玄関を開けてみるとそこにいたのは士郎だった。
 今日の士郎は元気がなかった。
 ううん――私と一緒にいる時ずっと元気がなかった。でも今泣きそうな顔をしている。
 私の部屋に来てから士郎は何かいいたそうにしているけど言えない顔をしていた。
「ねえ……ミカとケンカでもした?」
「……ちがうよ」
 ――ケンカしたのなら良かったのに。
 そうしたらミカとはもう別れて、みんなにちゃんと私達付き合っていますっていえるのに。

 そっと士郎を抱きしめる。こうすれば士郎も安らいでくれるのかな――
「ねえ――エッチしようか? 私初めてだから上手くして上げれる自信はないけど……」
 ――前に言ったよね、今度は私の胸貸してあげるって。
 士郎は何も返事をしてくれなかった。
 そしてそのまま私達は黙って抱き合っていた。
 ねえ、私って女の子と魅力がない? 変な気おこしてもいいんだよ。私は怒らないよ。全部受け入れてあげるよ。
 それともミカの方がいいの?

 抱き合っている時だけは私を見ていてくれる、私のことを考えてくれている――そう思ってた。
 でも見てはいけないものを見てしまった。今の士郎――辛そうな顔でどこか別のものを見ていた。

536不義理チョコ 第12回 ◆AuUbGwIC0s :2006/03/07(火) 22:33:50 ID:2iPLzV31
 気づいたとき私はあなたを好きになっていました。
 私はあなたにずっと言えなかった好きだという気持ちを伝えました。
 あなたは私の気持ちを受け入れてくれました。
 あなたと私は同じ気持ちだと思いました。
 でも、あなたは前のように話してくれません。
 もう、あなたは前のように笑ってくれなくなりました。
 そして、私と一緒にいる時あなたはずっと何か悩んでいる顔をしています。
 それは私のせいですか?
 私に駄目なところがあったら言ってください。
 私はすぐに直します。
 あなたは私が嫌いですか?
 私はあなたが大好きです、他の何者とも比べることが出来ないくらい。
 私はあなたが辛そうな顔をしていると辛いです。
 あなたは私といる時、ずっとミカのことを考えているのでしょうか?
 私はあなたのことだけをずっと考えています。
 私はあなたを困らせようと思って告白したのではありません。
 私はあなたともっと一緒にいたいから告白しました。
 でも、私はこんなあなたと一緒にいたいと思ったのではありません。
 もう、私とあなたとは前みたいに一緒に笑えないのですか?
 そして、私はあることに気づいてしまいました。あなたから『好き』という言葉をバレンタインのあの日――本気とも冗談ともとれる言葉以外聞いていません。私はあなたから何もしてもらっていません。
 私はあなたにしたいこと、してほしいこと、いっぱいありましたが今はもう多く望みません。たった一つだけです。
 いつものあなたに戻ってください――
 私はその望みさえかなうならもう何もいりません、もう何も望みません。
 私はあなたの為に全部あげることができます。
 私はあなたの為に全部捨てることができます。


 そっと彼の首筋に唇を当てる。
 私だけの――私の士郎である証拠をつけるために。
 そんなものをつけたからって前みたいに笑ってくれるとは思ってはいない。
 でも、そうしたかったから。

537不義理チョコ 第12回 ◆AuUbGwIC0s :2006/03/07(火) 22:35:15 ID:2iPLzV31
        *        *        *

 ボクは臆病者です。彼女に言おう言おうと思っていてもいざ目の前にすると何も言えなくなってしまいます。
 ボクは今日もとうとう言えないままでした。
 ボクは誰かに嫌われることがとても怖いです。
 ボクは誰かに嫌だということがあまりはっきり言えません。だから冗談でごまかします。
 それは小さな頃からです。
 ボクの小さな頃の記憶にはお父さんとお母さんがケンカしていた思い出が殆どです。本当は大好きだったはずなのにケンカをしている二人はただ怖いだけでした。
 小さなボクはただ泣いて「やめてよ」と言うことしかできませんでした。
 でも、そんなことを言うと二人は何故かボクのことで怒っていました。
 だからボクは嫌でも黙って何もしないことにしました。
 それでも二人のケンカは止まりませんでした。
 ボクにはもう何も出来ませんでした。本当は好きなのに、その時の二人は怖いだけでした。
 だからボクは逃げて友達の――ミーちゃんの家にずっといました。小さなボクに出来ることは二人を見ないでいることだけでした。
 結局お父さんとは別れて暮らすことになりました。お母さんはお父さんが他所の家ばかりにいるボクを嫌いになったのだと言っていました。
 それが本当だったのかはわかりません。聞こうとすればお母さんは怒りました。お母さんは好きなのに怒っているお母さんは嫌いでした。だからそれ以上お父さんの事の聞くのはあきらめました。ボクがわがままを言えばお母さんもどこかに行ってしまう気がしたから。
 ――本当はお父さんとお母さんと仲良く一緒にいたかったのに。
 ボクはこの時以来ずっと嫌な事には黙って耐えることしかできません――


 なんでオレは一日に二度も――それも別の女の子の胸で泣いているんだろう。
 結局また言えなかった。
 誰かオレを殴りつけてでもこうしろって言ってくれよ――

538不義理チョコ 第12回 ◆AuUbGwIC0s :2006/03/07(火) 22:36:21 ID:2iPLzV31
        *        *        *

 私は約束どおり士郎と遊びに来ていた。
 でも士郎の顔にはやっぱり迷いがあった。
 そして、私達は会ってしまった、ミカとヨーコと私のよく知らない子――

「シロちゃん、トモちゃん」こちらに気づいたミカは大きく手を振っていた。
 きっと彼女は何も考えていない。ただ単に偶然に街中で彼と友達に会っただけと思っているだけ。
 ――家族でもない女の子と二人きりで一緒にいるんだから少しは疑いなさいよ。
「へー、これがさっき言ってたミカの彼?」
 ――違う。私のだ。
「話に聞いてたより無愛想な顔してるじゃん」
 ――本当の士郎を知らないくせに。
「ミカってもっと奥手だと思ってたのに、しっかり彼の首筋にキスマークつけちゃって」
「――違うよ」
 私の口が勝手に開いていた。
5398 ◆AuUbGwIC0s :2006/03/07(火) 22:39:22 ID:2iPLzV31
さて、あと何回ぐらいで終るんだろうか
540名無しさん@ピンキー:2006/03/07(火) 23:04:22 ID:UQWknbVm
戦闘開始だ
541名無しさん@ピンキー:2006/03/07(火) 23:07:10 ID:vhAexegt
+   +
  ∧_∧  +
 (0゚・∀・)  三者面談
 (0゚∪ ∪ +
 と__)__) +
542名無しさん@ピンキー:2006/03/07(火) 23:14:25 ID:hqHmLEE+
SSを書きたいけどコピペ改変が精一杯。
長編書いてる職人さんすげえよ。乙!
543名無しさん@ピンキー:2006/03/08(水) 00:00:05 ID:PiG53GMS
>>530
何気に同僚からの彼女の元カレが分かれた経緯を話す場面は
脳内にひぐらしのBGMが流れた・・。
なんか、ひぐらし風で言うと画面が真っ暗になった感じだな
544名無しさん@ピンキー:2006/03/08(水) 00:12:10 ID:AFpPzfxi
士郎(`皿´)ウゼー
545名無しさん@ピンキー:2006/03/08(水) 00:13:41 ID:AFpPzfxi
こんなムカツク男は思春期の主人公以来だ
読んでてつらくなってきた…
546名無しさん@ピンキー:2006/03/08(水) 00:20:55 ID:W5apKSNP
孝之には何者も勝らない
547名無しさん@ピンキー:2006/03/08(水) 00:29:38 ID:6Nv7C8hl
〃〃∩  _, ,_
 ⊂⌒( `Д´) < DEAD ENDじゃなきゃヤダヤダ!
  `ヽ_つ ⊂ノ   
548名無しさん@ピンキー:2006/03/08(水) 01:12:30 ID:UxW22w6H
士郎をヘタレと思いつつもがんばれと応援している俺ガイル
549名無しさん@ピンキー:2006/03/08(水) 03:53:52 ID:4dv+wloK
士郎の決断をwktkして待ちつつ、実は姉ちゃんに一番萌えていたりする
姉なんかかっこいいよ姉
550名無しさん@ピンキー:2006/03/08(水) 09:05:14 ID:mHtMOYWr
>>529
wktk
がんがれ
551名無しさん@ピンキー:2006/03/08(水) 12:22:25 ID:DTfy4QpK
最終的に姉が横からかっさらってハッピーエンド。
最高じゃね?
552名無しさん@ピンキー:2006/03/08(水) 12:40:18 ID:6Nv7C8hl
不義理チョコ…これに全ての謎が隠されていたんだ。
義理、普通に考えれば義理の姉のことをさしている。
しかし…不がついている。つまり今まで義姉だと思っていたのが実は片親違いの実姉だったんだよ!

とかいう展開マダー
553名無しさん@ピンキー:2006/03/08(水) 12:46:46 ID:mCbV2H0n
な、なんだってー!

逆転サヨナラホームランか。
しかし姉が重要なポジションなのは違いないな。
姉の一言で大きく状況が動きそうだし。
あ、実は姉が影の黒幕だったのか!
554名無しさん@ピンキー:2006/03/08(水) 21:14:23 ID:S7JthpIT
こっぴどくふられた後「お姉ちゃんが慰めてあげる」でベッド直行の展開マダー?
〃〃∩  _, ,_
 ⊂⌒( `Д´) < お姉ちゃんじゃなきゃヤダヤダ!
  `ヽ_つ ⊂ノ   
555名無しさん@ピンキー:2006/03/08(水) 21:58:30 ID:nGtLgv7o
お姉ちゃんが士郎を奪って士郎は私のものよ発言マダー?
556名無しさん@ピンキー:2006/03/08(水) 23:21:51 ID:If346b5g
ちょいage
557名無しさん@ピンキー:2006/03/09(木) 01:38:52 ID:Kxqx6tO0
姉の漁夫の利展開マダー(AA略
558『Which Do You Love?』 ◆AsuynEsIqA :2006/03/09(木) 01:40:02 ID:0Pl18R2a
お見合い当日
ブルルルル…キキッ
会場近くの駐輪場に原付を止める。まったく、現地集合とは、手間の掛かる。
初めてスーツなんて着た。卒業式までは着ないとおもったんだがな。
「おぉ、来たな。聖。」
玄関では親父が待っていた。
「先方はもう待っているぞ。早く行きなさい。」
「あぁ、わかってるって。…ところでさ、相手の名前、なんつーの?」
そう。お見合いがあると聞いただけで、その詳細は聞いていなかった。まぁ聞いた所で変わるものはないが。
「あぁ、たしか…桐原…なんだったかな?」
桐原……
最悪な予感がしてきた。偶然ということならいいが。
「あぁ、この部屋だ。さ、無礼のない用にな。」
あんたがな、と言うよりも先に、親父が襖を開ける。むせ返る畳の匂いが鼻を突く。部屋にはテーブルがあるだけだった。その右手には相手の女と…父親だろう。ふさふさの髪に濃い髭を生やした、いわゆる『渋い』おじさんだ。
そしてその相手。これまた綺麗な着物に、しっかりとセットした髪。濃すぎない自然な化粧。背筋をピッと伸ばし、凛とした顔立ちだった。
…初めて見たのなら見とれていたかもしれない…でもこいつは…確かに…
「どうもはじめまして。君が聖君だね。いやぁ、いい名前じゃないか。」
「どうも、恐縮です。」
社交辞令に適当に返事をし、女の向かいに座る。目が合うと、優しくほほ笑みかけてくる。
「はじめまして。桐原奏(かなで)でです。」
そう来たか
「こちらこそはじめまして。高嶋聖です。」
ほぼ棒読み。
そのまま話は進む。
お歳は?
趣味は?
ご職業は?
まるで職務質問の様にQ&Aが続く。
そして一段落して。
「それでは後はお若い二人で…」
「おお、そうですな。」
ドラマの台本に書かれた様な台詞を残し、二人はそそくさと部屋から出て行く。そして部屋から遠ざかった頃を見計らい…
「……ちょっと歩きながら話すか。」
「ええ、そうしましょう。」
二人そろって園庭にでる。外から見ても分からなかったが、なかなか広かった。
しばらく無言で歩く。先に口を開いたのは俺だった。
559『Which Do You Love?』 ◆AsuynEsIqA :2006/03/09(木) 01:40:55 ID:0Pl18R2a
「まさか君だったとはね。驚いたよ。」
「…知らなかったんですか?」
「あぁ、もともと受ける気のない話しに、興味は無いからな。」
「相変わらず失礼な物言いですね。」
「性分さ。…それより、君は知ってたの?相手が俺だって?」
「ええ。そうじゃなかったら受けませんでしたわ。」
「そう…。相手が俺なんだから、余計に嫌だったんじゃないの?」
普通に考えれば受ける筈がない。
「いいえ。この話を聞いた時は、飛び上がるほど喜びましたわ。運命とは、分からない物ですね。」
そんなに喜んだんかい。
「………目的は?
……復讐かい?」
思い当たる理由はそれだけだ。
「確かに、あなたのことは憎んでいます。でもそれ以上に……どうしようも無い程愛してもいます。」
それは初耳だ。
「そう……難しいね。感情って」
「忘れただなんて惚けるつもりですか?」
「忘れやしないさ。ただ責任を感じて無いだけだよ。」
「責任?あなたのせいで姉さんは…!」
「おっと。確かに原因を作ったのは俺かもしれないさ。でも彼女は勝手に壊れただけだぜ?」
「勝手にって…。原因があなたにあるのなら、責任だってあなたにもあります。」
「ああいう結果に至るまでの課程は彼女自信の問題さ。全部が全部、俺のせいってわけじゃぁ無い。原因だけが全てじゃ無いだろ?」
「……確かに、姉さんにも落ち度はあります。」
「理解が速くて助かるよ。」
再び歩き出す。
560『Which Do You Love?』 ◆AsuynEsIqA :2006/03/09(木) 01:42:29 ID:0Pl18R2a
「…今はその話は置いておきます。問題はお見合いについてです。
私はあなたさえよければ結婚……いえ、まだ早いですね。婚約まで考えています。」
あなたは?という目で見つめてくる。
正直こんな事言われるとは思わなかった。
「私、ずっと黙っていましたけどあなたのことを毎日思い続けていたんですよ?遠慮して表にはしませんでしたが。それにこの事は姉さんからの許可も取ってあります。後はあなたのお気持ち次第です。
まぁ、あなたのお義父様のことを考えれば、答えは一つしかないかと…。」
「はは…それは脅迫かい?」
「まさか。提案です。」
「ふん…ずいぶんと一方的な提案もあったもんだ。」
そしてお見合いは終わった。返事は…まだしていない。
「どうだ?綺麗な娘さんだっただろ?あれほどいい相手は二度といないぞ?」
「あぁ……まだわからん」
駐輪場での帰り際。そんな話をする。この男の無知な笑顔が余計に苦しい。
「わかんないさ。」
そう呟いて走り出す。
何となく、ドライブがしたかった。海沿いの道。スピードを上げ、飛ばしていく。
なんて返事したらいいんだ。
誰に遠慮しているんだろう。
親父?
奏?
麻子?
それとも…
今は、何も考えた無くない…………
561『Which Do You Love?』 ◆AsuynEsIqA :2006/03/09(木) 01:44:02 ID:0Pl18R2a
今日はここまでです。
どうも私の書く主人公は無愛想なタイプになってしまいますな。
562名無しさん@ピンキー:2006/03/09(木) 01:48:41 ID:Sc5WXr1q
なにやら過去に色々あった悪寒
嫉妬系だと優柔不断か無愛想な主人公が迫られる展開が熱い!
というわけで作者様当方wktkしてます
563名無しさん@ピンキー:2006/03/09(木) 02:18:38 ID:Kxqx6tO0
物語の始まる前にも何かあった悪寒
wktkしながら待ってます
564合鍵 第二十九回 ◆tTXEpFaQTE :2006/03/09(木) 02:37:17 ID:oGL5M8bo
合鍵  第二十九回


藍子「んーん、もとくん」
元也「うん?何だ?」
藍子「んん、何でもないよ」
元也の膝の上に乗っている藍子は、まるで仔猫の様に元也に擦り寄る。
とろけそうなほど、幸せそうな顔をしている。

そんな藍子を抱えたまま、元也は心の内で溜息をつく。
もう、丸三日、家から出してもらっていない。

藍子は、退院すると自分の家にも帰らず、元也の家に直行した。
元也が藍子の家に帰そうとすると、手が付けられない程興奮し、喚き散らした。

「側にいてくれるって言った。アレは嘘だったの?」
「私が側にいないと、どんな人が寄ってくるか分からない。私が守らなきゃダメなの」
「それとも、私が側にいると迷惑なの?」
「そんな筈ないよね?側にいてくれるんだよね?」
「だれか、他の人を呼ぶつもり?だったら、その人教えて。話してくる」
こんな意味のことを、大泣きしながら叫び、まわりの物を投げつける。

投げられた本が顔に当たり、元也が鼻血を出すと、顔を青くして駆け寄ってきた。
元也に、ごめんなさい、ゴメンなさい、と振るえながら謝り続けた。
そして、側にいて、側にいて、側にいて、側にいて…………
と、何度も繰り返した。

そんなに、縋り付く様な様子の藍子だったが、夜、元也が
「サキさん、大丈夫かな」
と一人でつぶやくと、目を見開いて、元也を叩きつけた。
藍子の爪が元也の唇に当たり、血が出た。
「もとくんが、悪いんだからね。サキさんの事なんか考える悪いもとくんには、お仕置きが
 いるんだからね?」
そう言って、更に叩き続けた。

叩き続けるうちに再び藍子は泣き始め、叩かれて赤くなった元也の頬を撫で、
ごめんなさい、ゴメンなさい…と謝り始める。

もう、元也はどう対処すれば言いか分からなかった。ただ、藍子を刺激しないように注意する
事しか出来なかった。

二人揃って学校に行った。
久しぶりの登校なので、周りからもどうしたの?と質問攻めにあった。
藍子のリストカットの事は隠してあったし、藍子の手首にはリストバンドをはめさせてあるので
異常な状態である事はばれなかった。
565合鍵 第二十九回 ◆tTXEpFaQTE :2006/03/09(木) 02:37:55 ID:oGL5M8bo
>>564の続き


ただ、休み時間のたび、藍子は元也を責めた。
「私を見てなかった」「私が見たのに目を逸らした」「私以外の人と喋った」
元也は大人しく謝った。
謝る元也を見ると、藍子は
「これは、もとくんの為なんだから、そんな嫌そうな顔しないでっ!」
と叫ぶ。
その後、決まって、元也と体を合わせた。

学校に行き始めて数日後、藍子が学校に行かせない、と言い出した。
元也は逆らう事は無かった。

家に篭ってする事は、体を合わせる事がほとんどだった。
藍子から求める事も、元也から求める事もあった。

ある日、藍子が料理中、元也が電話に出た。
つまらない勧誘の電話だった。二言三言喋って、電話を切り、振り返ると、
藍子が包丁を持って立っていた。
誰から?と聞かれて、元也が、勧誘の電話、何でもないよ、と答えると、
藍子は電話線を引っこ抜いた。

買い物も、一緒に行っていたが、今では元也を残して藍子が一人で行っている。
元也が、他の人の目に入る事が我慢できず、逆に、元也が自分以外の人を見るのも
我慢できないらしい。
買い物の間、ずっと携帯電話で話しながら行動している。
帰ってくると、元也から携帯電話を取り上げる。誰にも連絡させないためだ。

食事が終わり、一日のやるべき事がすむと、藍子は元也に甘え出す。
後ろから抱きつき、膝に乗り、元也の胸に顔を擦り付け、元也のにおいを気が済むまで
感じ続ける。

このときの藍子の顔は、昔の、サキと会う前の顔に戻る。

そのまま、元也の膝の上で眠ってしまう事もある。
今日もそうだ。
だが、眠ったからといって、藍子から離れるわけにはいかない。
起きた時側にいないと、また暴れ出すからだ。

穏やかに眠っている藍子を見ながら、元也はサキの事を考える。
すっかり連絡が取れなくなってしまったが、大丈夫だろうか。
お見舞いに行きたい。いつ頃退院できるか知りたい。
謝りたい。
いろんな事、ひっくるめて、謝りたい。

だけど、藍子を放っていく訳にもいかない。
もう、どうしたら良いのか分からない。
泣けてきた。

藍子「……ん?どうか、したの?」
涙が当たり、藍子が目を覚ました。
元也が答えないでいると、藍子も泣き始めた。
泣きながら、元也の涙を舐め始めた。
その舌の感触がくすぐったく、元也は笑った。藍子もつられて笑い出した。
その藍子の笑顔が、昔のまま、可愛らしく、幼いものだった事が、元也を更に
混乱させていった。
566名無しさん@ピンキー:2006/03/09(木) 02:43:28 ID:iHMneVAd
藍子タン(*´Д`)ハァハァ
567名無しさん@ピンキー:2006/03/09(木) 02:46:11 ID:kxONxtR4
おはうようからおやすみまで完備(*´Д`)ハァハァ
しかし強く迫られるたびどちらにでも素早くシフトできる素晴らしき主人公だ。
568名無しさん@ピンキー:2006/03/09(木) 03:05:33 ID:mQvyLeis
野暮かもしれんが、完璧な病人と化した娘を親がどう見ているのか、
非常に気になってしまう。
569名無しさん@ピンキー:2006/03/09(木) 03:07:47 ID:TgZc+zfx
このまま逃げきりか、サキ先輩の猛反撃か……
こんな時間だってのにオラ、なんだかすげぇワクワクしてきたぞ!
570名無しさん@ピンキー:2006/03/09(木) 03:08:56 ID:xEE6CDo+
逃げ切り? 許さないよ……。地の果てまで追いかけて、血の雨を降らしてやるんだから。
571名無しさん@ピンキー:2006/03/09(木) 06:12:18 ID:tFt4cvmD
藍子モエェェェ(゚∀゚)ェ( ゚∀)ェ( ゚)ェ(  )ェ(` )ハァ(Д`)ハァ(*´Д`*)ハァハァ
572名無しさん@ピンキー:2006/03/09(木) 06:30:02 ID:mJb3ii8C
>>568
もう
死んで


とか言うオチだったら怖いな…
573名無しさん@ピンキー:2006/03/09(木) 07:15:20 ID:rS3DxUky
この状態へ、退院した後のサキ先輩が
どう絡んでくるのかが、すごく楽しみだ(・∀・)
574名無しさん@ピンキー:2006/03/09(木) 07:47:41 ID:3sXlivmd
サキ先輩は入院してても生霊とばすぐらいしてくれそう。
575沃野 Act.1 ◆1IgBlOP8QY :2006/03/09(木) 08:05:32 ID:GqTfMV4B
「でさぁ、洋平、やっぱり三組の綾瀬さんと付き合ってるんだろ?」
「……違うって言ってるじゃないか」
 何度となく繰り返されてきた質問に、いつもと同じ返事をする。
 が、信じてもらえた様子はない。
「けどさっきだって弁当一緒に食ってただろ」
「それも手作りの。しかもベタベタくっつきながら『よーくん、はい、あ〜ん』って」
「おいおい、今時バカップルでもしねぇよ、あんなの」
「……あいつは単なる世話焼きなんだよ。昔からそうだったし」
 自分でも理由になってないと分かるが、そう言って躱す。
 高校生にもなって、左手を添えながら「はい、あ〜ん」をしてくる数年来の幼馴染み……
それを「世話焼き」というだけで片付けるのは、いかにも無理があった。
「ったく、お前がそうのらくら逃げるから他の男子が無駄に希望持っちまって玉砕するんだよ」
「何人も告白しては『ごめんなさい』って断られてるんだぞ」
「ありゃどう考えたって他に好きな奴がいるからだろ」
「で、思い当たるのはお前しかいないわけで……」
 寄ってたかって強弁されるうち、否定するのが億劫になってくる。
 黙り込んだせいで勢いづいたのか、いっそう執拗に絡んできた。
「洋平、俺たちがムカつくのはな。お前が綾瀬さんとイチャイチャ仲良く話しながら登校するのとか、
睦まじく弁当をつつくところとか、たまに他人が口を挟めないふたりっきりの時空を築いたりするから
じゃなくて……いやそれも充分殺したくなるくらいムカつくが……なんと言っても、
お前の態度がはっきりしないところだっての」
 そうだそうだと、周りで聞き耳を立てていた奴らまでが同意し、
「ただの幼馴染みなんて言い訳、納得できるかよ」
「お互いの呼吸が当たるくらいの距離に顔を寄せるとかありえなくね?」
「綾瀬さんが名前で呼ぶ男子って洋平くらいじゃん」
「名前で呼ばせる男子も洋平だけだぞ」
「なのにお前ときたら……」と口々に責め立てる。

 ──針が。

 無数の針が視える。級友たちの鼻からメカジキみたいに突き出している。
「お前、綾瀬さんの好意を知っていてわざと無視してんだろ、このヘタレが」
「あーあ、なんでこんなヘタレにあんな可愛い子が……」
 責める声、嘆きの声に内心で頷く。
 知ってる。胡桃の奴が俺にどういった想いを寄せているかぐらい、誰よりも知ってる。
 それに、客観的に見て胡桃がどれだけ優れた子か──
 柔らかな顔つきに相応しい人当たりの良さと、黒くて長い髪の重さを引きずらない明るさ、
よく通る声とはきはきした口調、しなやかで細い長身は適度な丸みに帯びていて、
体育の時間は特に目を引き寄せられそうになる。
 普通に考えれば、そんな子が自分に好意を示しているなら喜んで受け入れるところだろう。
 でも、俺は、意識的に避けている。
 他でもなく、あいつの想いを知りすぎているからだ。
576沃野 Act.1 ◆1IgBlOP8QY :2006/03/09(木) 08:08:09 ID:GqTfMV4B
 俺にはちょっとだけ特異なところがある。
 普通の人間が見えないようなものが「視える」のだ。
 別に、幽霊とか妖怪とか、おどろおどろしい存在ではない。俺が「視える」のは、人の感情だ。
 例えば母親に叱られたとき。その頭に角が視えた。縁日で売っている鬼のお面みたいな黄色い円錐の角。
 今思うと間抜けな光景だが、子供心には文字通り角を生やした母の姿が異様で恐ろしかった。
 帰ってきた父に「おかあさんの頭に角があった!」と言っても笑われるだけで取り合ってもらえなかった。
 俺は当然他の人も似たようなものが視えていると思っていたし、噛み合わない会話にもどかしさを覚えていた。
 似たようなことを繰り返すうち、近所や親戚の間で「洋平は空想癖の強い子供」と言われるようになった。
 あんなにはっきりと視えているのに、空想だなんて……俺は躍起になって主張した。
 結果はいつも虚しかった。友達と思って遊んでいた子にも信じてもらえなかった。
 小二の時、夏休みの読書感想文を書くために借りた児童向けの本で、不意に悟った。
 それは周りの人間の心が読めてしまう、いわゆる「読心術」を持った少年の話だった。
 彼は常軌を逸した能力のせいで不幸になっていく。待ち受けるのは孤独な破滅……
 自分と少年とを重ね合わせ、次第に自分の視えるものが他人にはどうやっても視ることのできない
ものなんだと納得するに至った。
 秘密を明かすとろくなことにならないことも学び、以来誰にも話すことなく過ごしている。
 変なことを口にしなくなり、家族も、親類も、俺が空想癖を卒業したと思ったことだろう。

 さて。人の感情が視えるとは言ったが、実のところ、あまり便利な能力ではなかった。
 いや、そもそも能力とすら言えないのかも。
 自分の意志で使えるものではなく、勝手に視えてしまうものだから、能力というより体質に近い。
 視えるのも相手の感情がこちらに向いているときだけで、よそに逸れているときは何も視えない。
 つまり、「相手がこちらをどう思っているのか」だけが視覚イメージとして伝わってくるのだ。
 差し当たってこの現象を「隠喩」と呼ぶことにしている。
 怒りが角、やっかみが針と、意味するところは分かりやすい。
 だが、明確に喜怒哀楽が分類されるわけではなく、いちいち読み取る必要がある。
 便利ではないが、厄介でもない。
 元より相手の顔色をいちいち窺って行動するほど殊勝な性格ではなかったから、どんな隠喩が見えても
少しばかりの注意を払うだけで気にせずやりすごしてきた。
 所詮は視えるだけだ。目をつむってやりすごせばそれで済む。日常生活に支障はなかった。
 そして隠喩は隠喩に過ぎない。相手が具体的にどういったことを考えているか、までは分からない。
 抱える悩みなど、望まずとも他人の本音が聞こえる読心術者よりかは、ずっと軽かった。
577沃野 Act.1 ◆1IgBlOP8QY :2006/03/09(木) 08:13:08 ID:GqTfMV4B
 初めて綾瀬胡桃と出会ったのは十歳になる直前の夏だ。春生まれの胡桃は既に十歳になっていただろう。
 隣の家に引っ越してきた彼女は、偶然にも俺のいたクラスに転校生としてやってきた。
 おかげで顔を合わせる機会が多く、最初に対面したときはやけに意地っ張りだったあいつが仕掛けて
くる喧嘩を躱したり、あいつの作った料理をお裾分けされたりしているうちに親密になっていた。
 真性の幼馴染みではなかったけど、たまに物心ついた頃から一緒にいた気がしてくるほどだった。
 出会って間もないときから胡桃の好意は察していた。
 彼女は俺を見るたび、胸に白い花を咲かせた。
 道端に咲いているような、ありふれていて小さく質素な花だったけれど、温かみのある素朴さが心地良かった。
 折れてしまいそうな繊細さの中に、しっかりと根を下ろそうとする力強さがあった。
 どんなにあいつが生意気な言葉を口にしても、根を生やした好意ばかりは偽れなかった。
 白い花弁に徐々に赤味が差し、色が変貌していったのは小六のあたりだったか。
 ふと視線を向けると胡桃が熱っぽい目をしていたり、ぬらぬらと瞳が潤んでいることが多くなった。
 さりげなく、と見せかけて体を寄せてくる割合も高くなっていた。
 誰よりも胡桃の想いを知っているつもりだった俺は困惑した。
 そこで露骨に無視したり、冷たい言葉をかけたり、体を引き剥がしたりすると、胡桃の花は捩れた。
 針金細工みたいに捩れて、そのまま止まってしまう。
 本能的な恐怖に胸を衝かれ、それとなく謝って優しくし、機嫌を取ると捩れはゆるりと解消された。
 綺麗な花に戻ってホッと胸を撫で下ろすが、胡桃の縋るような視線とともに赤味はいっそう増している。
 中学に上がって制服を身にまとうようになると、胡桃の膨らみ始めた胸の奥にはショッキングピンクの
大輪が咲き誇った。道端なんかでは生き残れない、過剰に養分を欲する花。毒々しいまでの鮮やかさ。
俺が少しでもつれない素振りを見せると、己の茎を捻じ切らんばかりに乱れた。
 他の女子と会話をしただけで、葉が紅蓮に染まって火を噴くのだ。
 それでいて表情はといえば、平静に穏やかな微笑みを保っている。胸の花ばかりが赤い。
 胡桃の内心で荒れ狂う感情と取り繕った顔の差には、幾度となく背筋が凍りついた。
 付き合っていると明言したわけでもないのに胡桃の独占欲は日に日に強まり、花は奇形に育っていく。
 周りは誰も気づかない。俺だって、隠喩がなければ何一つ知らずにいただろう。
 知っていてわざと距離を一定に保ち続ける俺のことを、胡桃はただ鈍いだけと思っているみたいだ。
 しかし、それもいつまで続くだろうか……
「よーくん」
 驚いて振り返ると、背後に胡桃がいた。
 まただ。こいつはいつも、狙ったように現れる。放課後は図書館で過ごす俺と弓道部で部活をする胡桃。
 時刻を約束してるでもなく、携帯でも使わなきゃすれ違いかねないのに、いつもばったり出会う。
 休日でもそうだ。ストーキングを疑ったこともあるが、尾行を確認したことはないし、四六時中
俺の後を付け回していられるほどこいつも暇じゃないはずだ。
 なのに、なぜ……
「さ、一緒に帰ろ」
 俺の狼狽も知らぬげに微笑んで手を取り、ぎゅっと指を絡ませて引っ張る。
 外野で級友が揶揄の口笛を吹くが、彼女は一向に気にしなかった。
 抗わず、手を引かれながら、俺は胸を……今やだいぶ大きくなって、無造作に制服を押し上げている
隆起の向こうをそっと覗き見た。
 高校に入学して一年ちょっとだろうか。

 ──胡桃の花はもう、食虫花になっている。
578名無しさん@ピンキー:2006/03/09(木) 08:24:48 ID:7QAj/EG2
すごそうな新ばなキタ―――――
579名無しさん@ピンキー:2006/03/09(木) 08:28:35 ID:a0WPYEM8
キタコレ
580名無しさん@ピンキー:2006/03/09(木) 09:08:47 ID:L0pqC3V8
胡桃はなんて読むんですか?

それにしても、ここは次からつぎに神が降臨するな
おまいらGJだ!!!
581名無しさん@ピンキー:2006/03/09(木) 09:17:29 ID:FxG76A0I
>>580
「くるみ」だろう。

俺はぜひ食虫植物が見れるよーくんに別の話の女の子達の心も見て欲しいものだ。
582名無しさん@ピンキー:2006/03/09(木) 09:46:01 ID:qkobGg1I
特殊能力系キター
くるみちゃんの能力はどういう能力なのだろう?
583名無しさん@ピンキー:2006/03/09(木) 10:09:39 ID:kxONxtR4
ヤドリギみたいな依存っ子マダー?
584名無しさん@ピンキー:2006/03/09(木) 10:30:39 ID:v7iyiNRr
これは面白そうなアイデアですな。期待。
このヒロインの隠喩は華だけど、鬼とか針があるなら鎖とかありえそうでワクワクテカテカ(w
585名無しさん@ピンキー:2006/03/09(木) 10:56:29 ID:60OOo4kY
>>575
俺と同じ名前キタ━━━━━(゚∀゚)━━━━━ !!!!!
586名無しさん@ピンキー:2006/03/09(木) 11:04:34 ID:AG/kzNa6
よう洋平ちゃん
587名無しさん@ピンキー:2006/03/09(木) 11:25:39 ID:YXStmw+F
すげーヒロインまたキタ!

なんかゲームに出来そうなお話ですね
588『Which Do You Love?』 ◆AsuynEsIqA :2006/03/09(木) 11:56:26 ID:0Pl18R2a
日曜日 喫茶店
「で?」
麻子の第一声はそれだった。昨日の夜、土曜日の代わりとして今日喫茶店に来るよう言われた。
「で?って、なにが?主語述語が抜けとるよ。」
「ふぅ〜〜〜。昨日の、お見合いは、どうだった?!」
嫌味ったらしく強調しやがる。客が俺達だけで幸いした。
「んー。そのことね…」
「ふふ。あんたの事だから、門前払いってとこ?」
失礼極まりない奴だよ。
「それがさ、奴さん、準備万端らしい。」
「は?なにそれ?」
「だからさ、俺の返事で全ては決まるって訳。」
「え?ちょ、ちょっと待ってよ。それは奇跡だとして、受ける気はないんでしょ?ねえ?どうなの!?」
コップの水が零れる程強く迫って来る。
「ま、まぁ待て。なにをそう慌ててる?お前が決める事じゃあ無いだろ?」
「それは…そう…だけど。」
がっくりと肩を落とす麻子。正直、麻子がなんで躍起になってるかなんて想像はつく。自惚れと言われればそうかもしれないが、考えて欲しい。
なんとも思わない奴と毎週お茶など飲むだろうか?
見合い話にムキになるだろうか?
自慢…にもしたくはないが、ある事をきっかけに、人の気持ちを察する事に長けてしまった。
「それもそれで嫌なんだけどね。」
ぽつりと独り言。
「ほら。また考え事してる。」

ふっと気付くと、ウェイトレスが困ったような顔でこっちを見ている。またか。
どうやら俺は考え事をしていると、無意識に物や人を睨んでしまうらしい。そのせいで周りからの心証は最悪。とは麻子が言う。
「まさか…受けるつもり?!や、止めときなさいよ。次期社長候補だなんてあんたには似合わないって。ましてやお嬢様タイプの女の子だなんて。
あ、あんたはね、私みたいにひっぱってくれるタイプがお似合いなのよ。」
どさくさに紛れて大変な事に言っているのに気付いていないのか。それとも必死なアプローチなのか。後者だったら麻子にもかわいいところがあったもんだ。
「はは…参考にしておくさ。」
適当に相づちを打つ。そう簡単に割り切れる問題だったらいいんだがなぁ。
589『Which Do You Love?』 ◆AsuynEsIqA :2006/03/09(木) 11:57:43 ID:0Pl18R2a
同日
某レストラン
彼が私を呼んだ。彼の方から呼ぶなんて珍しい事だ。とても嬉しい。まだ捨てられていないっていうことだ。
「よお、待たせたな。『……』」
彼が私を名前で呼ぶ。二人っきりのときはいつもそうだ。彼に名前で呼ばれる度、心が跳ね上がる。
「さってと…いきなり本題に入るけど………奏との見合い話、知ってたんだろ?」
「う、うん。」
予想していた通りの話だった。
「まぁ、さ。俺が言うのもなんだけど……お前としてはどうなんだ?」
「私は……確かに嬉しい事じゃないけど……。それが奏の為になるなら反対はしないし、なによりあなたの決める事に決して逆らわないから……。」
そう。彼が全て。彼が最優先。
「でも…もし受けるとしても……私の事、捨てないでくださいね?もしそうしたら私……。」
「わかってるって。大丈夫さ。心配するな。」
彼はこれを償いと言う。私はただそれにすがるだけ。でもそれでいい。どんな手段でも、彼に見てもらえれば。
彼の一番になれなくてもいい。でもかまってもらいたい。それが今の私の位置。
「それで……今日は、一緒にいられるの?」
学校の人が今の私を見たら驚くかもしれない。でもそんなのはどうでもいいこと。
私には彼だけがいれば何もいらない。世界なんてそんな物。
「あぁ…お前が大丈夫なら構わないけど。」「うん!」
よかった。一緒にいられる。
今日は彼と一緒。だから精一杯尽くさないと。彼の望むままに。それが私の生き甲斐。私の運命。私の望み。
彼に捨てられぬよう。彼が私を忘れぬように…。
もし捨てられたら…私……
590『Which Do You Love?』 ◆AsuynEsIqA :2006/03/09(木) 12:00:31 ID:0Pl18R2a
私の名前も洋平だ…
興奮しますな(・∀・)
591たったひとりの… 二回目 1  ◆1x9DgsyHz. :2006/03/09(木) 12:14:28 ID:fhPiOaDA
「りゅうくん!」
「おう、元気そうだな。」
 ああ、久しぶりにりゅうくんに会えた。会うだけでも嬉しいのにこれからは毎日会える
なんて。まるで夢のようだ!
「久しぶりね、菜々ちゃん。」
「あっ、お久しぶりです敦子さん。」
「ふふふっ、元気そうで何よりだわ。」
 あいかわらず、りゅうくんにくっついているね。ブラコンにもほどがあるわ。
「それじゃ、早く上がってよ。私とお母さんで引っ越し祝いの料理作ったんだ!」
「おいちょっと、ひっぱんなよ。姉さんも早く上がろうぜ。」
「…うん。」
 みせつけるようにりゅうくんの手を引っ張り家に上がってもらう。あ〜あ、敦子さん
そんな顔しちゃって。りゅうくんにまた心配かけて気を引こうとしてるの?

「いや〜、写真では見ていたけど敦子も隆太もすっかり大きくなったな。」
「そうよね〜、あんなに小さかったのに立派になっちゃって。」
 嬉しそうなおじさんたちを見て、俺も嬉しくなった。それにしてもうまいな〜料理。
「料理うまいですね、特にこのから揚げ。」
「あら、それは菜々が作ってくれたのよ。良かったねりゅうくんに褒められて。」
「おかあさん!もう…。」
「姉さんもそう思うよな。…姉さん聞いてる?」
「えっ、あっうんおいしいね。でも私はから揚げよりお味噌汁の方がおいしいかな。」
 ん…また反応が鈍い。やっぱり姉さん無理してるんじゃないかな。本当は具合悪い
んじゃ…。

「それじゃ、また来ます。」
「本当にありがとうございます。わざわざおもてなししていただいて。」
「いえいえ、おそまつさまでした。それじゃ、また来てね。」
「りゅうくん、敦子さんまたね!」
 結局晩御飯を食べた後、りゅうくん達は帰ることになった。もうちょっとゆっくりして欲しかった
のにな。まあいいや、これからいくらでもすぐに会うことができるんだから!
 問題は敦子さんね…。前から弟としてりゅうくんを見ていないんじゃないかと思ってたんだけ
ど…。向こうにいた時は私がいない間のちょうどいい虫除けになったけど、はっきりいってもう
邪魔。ただのブラコンかも知れないけど一応警戒しないとね。
 それよりりゅうくん私の作ったから揚げおいしいって言ってくれた。嬉しかったな。明日も何か
作って持っていってあげようかな。そう思いながら私は後片付けの手伝いに向かった。
592たったひとりの… 二回目 2  ◆1x9DgsyHz. :2006/03/09(木) 12:15:44 ID:fhPiOaDA
「姉さん、やっぱり具合良くないんでしょ。俺に隠さなくていいよ。さっきだってあんまりしゃべら
かったし。」
「ん、ごめんね。心配かけて。でも大丈夫よ!明日は引越し業者さん来るしがんばろうね!」
「…本当に無理しないでよ。」
 ああ、やっぱり隆太は優しい。こんな優しいくていい子を手放すなんてしたくない。絶対に渡す
もんか。菜々ちゃん、やっぱり隆太を狙ってる。昔から隆太によくなついていたし…。
「ねえ隆太。」
「なに?姉さん。」
「手、つなごっか。」
 本当は隆太の腕に抱きつきたかったけどそれはできない。隆太は私のことを姉としか思ってな
いだろうから…。
「どうしたんだよ、ほんと。まっ、いいけどさ。」
「ありがとね。」
 手を通じて、隆太のぬくもりが伝わってくる。
「ふふっ、照れてる?」
「…なに言ってんだよ。もうはなすよ。」
 結局家に着くまでなんだかんだ言いながら手をつないでくれた。すれ違う人には私たちはどう見え
たかな。恋人同士に見えたかな。そう思うと少し幸せな気持ちになれる。

 今日の姉さんはやっぱりおかしい。なんかぼけっとしてる時がおおかったし、藤村さんちに行ったと
きもこっちから話題をふらないとしゃべらなかったし…。やっぱり明日の荷物整理は俺が頑張らない
と!姉さん無理することが多いからな。俺がまだ頼りないからかもしれないけど・・・。
「隆太、先にお風呂に入れてくれてありがと。はいっていいよ。」
「ああ…、って姉さん!!パジャマ着てくれよ!」
 姉さんは下着だけで風呂場から出てきた。不覚にもドキドキしてしまう自分が情けない…。
「ああ、ちょっと持っていくの忘れちゃって。」
「あ〜〜、もういいからすぐに着てくれ!!。」
 はぁ…、今日は姉さんに振り回されっぱなしだな。こんなんだから頼りないって思われるのかな…。

 う〜ん、照れてる照れてる。隆太ったらやっぱり純情ね。まあ個人的にはこのまま私を押し倒して
もらってもに構わないんだけど。もしかして隆太も姉さんのこと女として意識してくれてるのかな…そん
なわけないよね。
 藤村さんちにいたとき、そんなに不自然だったかな。普通に振舞っていたつもりだけど隆太と菜々
ちゃんが楽しそうに話してたり、隆太が菜々ちゃんの料理を褒めたりしたときはすごく嫌だった。だけ
ど露骨には出さないようにしてたのに…。
 とにかく、向こうでも隆太には悪い虫がつかないように注意してたし今回も同じように注意すればい
い。ほんと、向こうでは苦労したわ。隆太は素直な性格だからたぶらかそうとする泥棒猫がいっぱい
いるんだもん。こっちでも油断はできないわ。どうしようかしら、まず学校までは一緒に登校しようかな。
ちょうど大学に行くために電車に少し乗るから、隆太の学校は駅の通り道にあるし。うん、そうしよう!
それでお弁当も毎日作ってあげて…。学校が始まったら忙しくなりそうだな…いろんな意味で…ね。
593 ◆1x9DgsyHz. :2006/03/09(木) 12:17:45 ID:fhPiOaDA
神がいっぱい降臨して自分ももっと精進しなければと思います。
皆さんGJです。
594名無しさん@ピンキー:2006/03/09(木) 12:33:52 ID:kxONxtR4
このスレも一ヶ月待たずして食い潰さないかって勢いだな。
修羅場はげに恐ろしき
595名無しさん@ピンキー:2006/03/09(木) 13:32:19 ID:HOiWUfu9
うほっ いいアイデア!
嫉妬モノって主人公がヒロインの本質に気づかないのが普通だけど、
解り過ぎてしまう主人公ってのがいいな。
596名無しさん@ピンキー:2006/03/09(木) 13:45:53 ID:L0pqC3V8
いい流れだ。
職人の皆様GJ!!!



>>581
ありがとう
597名無しさん@ピンキー:2006/03/09(木) 16:26:27 ID:RE7pi9F1
胡桃たん……
>弓道部で部活をする胡桃
>弓道部で部活をする胡桃
>弓道部で部活をする胡桃

ということはあれだ
泥棒猫は那須与一ばりにひやうふつと
598名無しさん@ピンキー:2006/03/09(木) 17:25:51 ID:s/HUsxi+
>>588
高畑京一郎好き?
599名無しさん@ピンキー:2006/03/09(木) 17:31:41 ID:sjZ7R6Oa
>>589
その素敵な依存娘はもしや…
600名無しさん@ピンキー:2006/03/09(木) 18:29:00 ID:s3K+FiMM
ここは職人さんが多くて、羨ましいよ。
過疎スレから嫉妬されるスレ。
601優柔 第13話  ◆I3oq5KsoMI :2006/03/09(木) 19:59:01 ID:cnaV4YUI
目が覚めて目覚まし時計を見るとまだ6時だった。
最近、ううん、ゆう君と喧嘩してから目が覚めるのが早くなった。
理由はなんとなく分かる・・・ゆう君の肌が恋しいから。
だって私達、休みの日とかほぼエッチしてたんだもん。
何回も何時間も愛し合って、二人とももう動けないってところまで求め合うの。
それで、終わったらそのまま服も着ないで手を繋いで寝て・・・
だからその反動だと思う、私は早く起きてしまう。
ゆう君がいないだけで寝不足になるなんて・・・

ゆう君と相合傘したのって久しぶりだと思う。
あの傘って結構小さいから、ゆう君濡れなかったかな?
あ、でも、その分だけ近寄れたから結果オーライか。
ゆう君もまんざらじゃなかったしね。

ゆう君に抱きついた時、やっぱりって思った。
やっぱりゆう君は私のこと好きで、私と別れようって言ったのは言葉の弾みだったって。
だって、もし本当に別れたいと思ったら振りほどくはずだもんね。
むしろゆう君、嬉しそうだったし。相合傘してる時も嬉しそうだったから間違いないな。
あ、でも・・・時々切ない表情を浮かべてたね。
あれは止めて欲しかったかな・・・だって、そんなゆう君の可愛い顔見てて私、濡れてきちゃったんだもん。
恋人の顔を見ただけで感じるなんて、なんて変態なんだろう。
でもそれはゆう君がしたことだから仕方ないか。ゆう君が私をこんなにスケベな女の子にしたんだからね。
ちゃんと責任取ってもらわなくちゃ。

あれ・・・ゆう君の顔思い出したらムラムラしてきた。
そういえば、ゆう君ともう二週間ぐらいしてないかな・・・
朝からオナニーなんてホント、エッチだと思うわ。
でもしょうがないよ・・・ゆう君が意地悪するから。
ゆう君・・・いつまで放置プレイ続けるの・・・
私、自分の指で慰めるの・・・寂しいよ。
壁の向こうにはお母さんが寝てるのに・・・ごめんねお母さん・・・
椿は・・・恋人のことを考えて朝からオナニーしてしまう・・・いやらしい娘です・・・

「おはよう、椿」
「おはよう、お母さん」
「あれ、顔が赤いわね。どうしたの?」
「え、顔赤いかな?気のせいだよ」
「そうかしら・・・まあいいわ。すぐ朝ごはん作るから待っててね」
「うん、ありがとう」
やっぱりお母さんは私のことを愛してくれてる。
一目見ただけでいつもと違うってすぐに気付くから。
あ、でも、私だってゆう君の顔を一目見たら体調が悪いかどうかすぐ分かるよ。
私って絶対お母さん似だな。愛する人には尽くすところとかね。
602優柔 第13話  ◆I3oq5KsoMI :2006/03/09(木) 19:59:45 ID:cnaV4YUI
そういえば私、駅の改札でゆう君に抱きついたんだっけ。
私にしてはちょっと大胆な行動だったな。思い返すと恥ずかしい・・・
でも、愛があればこそできることよね。そう考えたらむしろ誇るべきだよね。
もしかしたら噂好きな誰かが言いふらしてるかも。
「愛原優希と水谷椿は改札口でいちゃつくようなバカップルだ」ってね。
そうなったら・・・メス犬も諦めがつくんじゃないかな。

むしろね、メス犬が私達の姿を見てくれてたら良かった。
そのメス犬、きっとゆう君に気があるから、それ見たら泣きながら尻尾を巻いて逃げたと思うの。
それでね、気が動転して赤信号で飛び出してトラックに轢かれてミンチになってたら最高だったのにな。
そうしたら私がライターとガソリン持っていって火葬してあげたのに。
それから・・・中央分離帯の植え込みに墓標を立ててあげるの。
そんなところ危なくて誰も行けないでしょ?
ね、素敵だと思わない?
あは、あはは・・・あはははははははははははははっ!!!

「つばきー、何か面白い番組やってるの?」
・・・いけない、私ったらちょっとおかしくなってた。
駄目だな、さっきの私、最低なこと考えてた。
ホント、最近の私・・・駄目だな。

やっぱり私にはゆう君がいないと・・・ね。
603名無しさん@ピンキー:2006/03/09(木) 20:22:21 ID:sJtLWYkg
黒椿テラコワス 
604名無しさん@ピンキー:2006/03/09(木) 20:55:38 ID:ASM7l+80
椿最高愛してる
てか愛して
605名無しさん@ピンキー:2006/03/09(木) 21:33:51 ID:9bw7YfNh
異能系でもこんなに嫌味なくやれるのはすげえよ。ほんと。
てか続きが楽しみでしかたがないですよ!

そして黒椿テラモエスwwww
>604
やあ俺
606名無しさん@ピンキー:2006/03/09(木) 21:54:57 ID:eENpo2Qr
      +   +
  /ヽ_________/ヽ   +   +
 ( 0゙     ・    ∀   ・  ) ワクワクデカデカ
 ( 0゙     ∪   ∪     +
 と_______)_____)
607名無しさん@ピンキー:2006/03/09(木) 22:19:25 ID:G5QeYPB3
GJ!黒椿サイコー!



>604
あれ?どうして俺がここにいるんだろう?
608名無しさん@ピンキー:2006/03/09(木) 22:44:33 ID:mRbT5P0k
GJ!!
ちょww放置プレイてwwww
609前スレ666:2006/03/10(金) 00:35:37 ID:ONd3iKjc
まとめサイトの方でタイトルを付けてくれたようなのでそのまま使わせてもらいます
管理人様ありがとう(´ω`)
まとまった時間ができそうなので再開しようかなと思うのですが何歳あたりがいいですかねぇ…
610名無しさん@ピンキー:2006/03/10(金) 00:40:43 ID:6Fw+QezU
「……上等だな、良美。久しぶりにキレちまったよ」

↑てめえはオラを怒らさせた
っていうつよきすの名言のインスパイヤまだ?
611名無しさん@ピンキー:2006/03/10(金) 01:08:39 ID:7gBCw/SE
>>609
再開楽しみにしています
前回と同じく3歳刻みだと…長くなりすぎるかな?

>>610
そもそも、それ自体インスパイ(ry
612名無しさん@ピンキー:2006/03/10(金) 01:31:24 ID:QjhHRgV7
このスレの神の作者さんたちは基本的に

世界派(寝取る女で狡猾に恋人を奪っていく泥棒猫)


言葉様派(純粋に主人公を想っているが、その想いが強すぎて嫉妬しやすいヤンデレ)

のどちら派なんだろうかな
SSを読む限りは、世界みたいな最悪な寝取り女が笑う展開ばっかりで
世界みたいな女が好みなのかと言ってみるテスト
613名無しさん@ピンキー:2006/03/10(金) 01:59:02 ID:zyIgFLjg
言葉(;´Д`)'`ァ'`ァ
614名無しさん@ピンキー:2006/03/10(金) 02:35:32 ID:INE9N5H2
言葉以外ありえない
615合鍵 第三十回 ◆tTXEpFaQTE :2006/03/10(金) 03:22:26 ID:C5dkRB6W
合鍵 第三十回


雨音が聞こえる。
今日は買い物に行かなくてはならないと言うのに億劫だ。
窓に当たる雨を見ながら、藍子はベットから起き上がり、服を着る。

ここから一番近いスーパーまで六分。買い物に十分。帰りに六分。計二十二分。
そんなに長い間、もとくんから離れていなくちゃダメなの?
想像するだけで、寂しくて不安になって、つい、もとくんをベットに縛り付けて、
襲ってしまった。三回ほど出してもらった。
お腹一杯。幸せ一杯。

脱いでしまった服を再び着なおす。
元也を縛り付けてある縄が緩んでない事を確認し、キスをすると部屋から出て行く。
出て行ったが、帰ってきて、もう一度、キスをした。

靴を履き、傘を選び、玄関のドアを開けた。
傘を開けようとした時、声をかけられた。
「にゃっほー、お久しぶり」

声の方を振り向こうとすると、体中に衝撃が走った。
そのまま、藍子の意識は遠ざかる。

独り部屋に残された元也。
絞められっぱなしの手首が痛い。鬱血しそうだ。
最近の藍子は酷過ぎる。
逃げたい。
けど、放って置くわけにはいかない。

何度も考えて、やっぱりどうする事もできない、と言う結論に至る。
はあ、と溜息を付く。
サキさんはどうしてるかな。そろそろ退院できる頃だと思うけど、大丈夫かな?

そんな事を考えていると、部屋の外から足音が聞こえてきた。
藍子?いや、買い物に行ったにしては帰りが早すぎる。
まさか、俺がサキさんの事を考えた事に気がついて、帰ってきた?
そんなとんでもない考えが浮かび、本気で元也は怖くなった。

部屋のドアが開く。
一瞬、元也は幻を見ているのかと思った。
サキさんのこと考えていたから、こんな幻を見るのかと。

サキ「うわッ!?何それ、いつの間に元也君、そんなプレイを?」
元也が手首を絞められているのを見たサキの第一声がそれだった。

元也「え?あ、いや、これは、僕が望んでやってる訳じゃあ…」
そこまで言って、元也はサキが何でここにいるのか疑問を持った。
どうやって、この家に入ったんだ?サキさんには、合鍵、渡して無かったよな?
藍子?藍子はどうしたんだろ?

色んな疑問が頭を駆け巡る。
だが、サキが「よいしょっと」と、部屋に何かを引きずり入れるのを見ると、謎が解けた。

616合鍵 第三十回 ◆tTXEpFaQTE :2006/03/10(金) 03:26:14 ID:40lBa57o
>>615の続き


サキが部屋に入れたもの、それは手首と足首に交差する様に手錠をかけられた藍子だった。
あれでは身動きが取れそうも無い。
それだけでは飽き足りないのか、サキは更に首輪を藍子にかけ、その先を部屋のシルバーラックに
括りつけた。首輪の紐の長さは30センチほどだろうか。
そんな事をされても、藍子は目を覚まさない。

元也「さ、サキさん、藍子に、なにを?」
サキ「んー?ああ、これを、カチッと、ね。」
サキが取り出したのは、おそらく、スタンガンと言う奴だろう。
サキがスイッチを入れるたび、ジジッと音がする。

元也「な、何考えてんですか!!」
サキ「何って、決まってるじゃない」

クスクス笑いながら、サキはベットに括り付けられている元也に近づく。
舌なめずりをしているサキの舌が艶かしく紅い。

その赤と対比して、唇が真っ青である事に元也は気がついた。
そう言えば、髪も服もびしょ濡れだし、体も震えている。
元也の頬を撫でるその手も、氷の様に冷たい。

元也「サキさん、どうしたんですか?そんなに冷え切って、
   今まで、何処にいたんですか?」
サキ「ん〜?ずっと、このおうちの庭にいたのよ」
元也「ずっと、てどの位?こんなびしょ濡れになるってのに?」
サキ「だってさ〜、あなた達、ちっとも外に出てこないんだもの。
   そうねえ、昨日の晩からずっと、待ち伏せしてたの」
元也「き、昨日?」
サキ「だって、藍子ちゃん、私だって分かったら、絶対入れてくれないの分かってたから。
   ちょっと強引な手で入るつもりだったしさ」

617合鍵 第三十回 ◆tTXEpFaQTE :2006/03/10(金) 03:27:05 ID:40lBa57o
>>616の続き


そのまま、サキは元也に被さってきた。ぞっとするほど冷たい。
体の芯から冷え切っているのだろう。

元也「サキさん、そのままだったら、風邪引いちゃうよ。
   体、シャワーででも暖めてきてくださいよ」
サキ「いーや。
   もっと素敵な体の温め方があるじゃない」
微笑むサキの顔に濡れた髪がしっとりと張り付いている。
ジャケットを脱いで、青いセーターも雨に濡れて体のラインを強調するように張り付いている。
スカートも、ふとももにくっついて、肌の色が透けて見える。下着の色も分かる。黒だ。

まだ気絶したままの藍子が横になっていると言うのに、元也の体は反応してしまう。
こんな状況で襲われて、最中に藍子が起きたらどうなるか。
心底恐ろしかった。

だが、腕を縛られたままの元也は逃げられない。
元也「や、止めてください!サキさん!!藍子が、藍子が」
サキ「いいじゃない。別に。
   考えてもみてよ。あなたがお見舞いにも来てくれず、私、寂しかったのよ?
   その上、ちょっと考えれば、あなたと藍子ちゃんがどうしてるかなんてすぐに
   想像ついたし、嫉妬で死にそうになったし、おかげで独り寝が寂しくて堪えたし、
   実際来て見れば予想通りでまた死にそうなぐらい腹も立つし、今までの藍子ちゃんとの
   生活を想像すれば、取り戻したくなるのは当然だし、ここは一つ、見せ付けてやろうかなって」

遠くで、何かグチョグチョとくぐもった音がする。
意識が戻るにつれ、音がクリアに聞こえてくる。
手足を伸ばそうとして、がチャリ、と金属音がする。身動きが取れない事に気がついた。
意識が覚醒する。目を開いた。

音の出所がわかった。
分かったが、何が起きているのかわからなかった。

たっぷり三分間は瞬き一つしなかった。目の前で起きていることを凝視していた。
「ああ、起きたんだ。おはよう、藍子ちゃん」
ベットの上で体を上下に動かしている人が挨拶をしてきた。
思わず、挨拶を返してしまった。
藍子「…おはよう、ご、ざい、ま、す」
618名無しさん@ピンキー:2006/03/10(金) 03:57:11 ID:UcWFrhOb
サキさん復活wwwww
619名無しさん@ピンキー:2006/03/10(金) 05:01:15 ID:b26/U7b5
刃傷沙汰確定な怒修羅場キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!!!!
620名無しさん@ピンキー:2006/03/10(金) 05:10:31 ID:ZZkATs5o
うおおおお
凄い展開きたー
この先どうなるか考えると、めちゃコワス

>>609
ロリのままが個人的にいいです
621名無しさん@ピンキー:2006/03/10(金) 08:34:15 ID:IHp01fb7
やべえ、これはやべえよ
首輪に手錠て、準備万端w
622名無しさん@ピンキー:2006/03/10(金) 08:51:38 ID:NHgv961J
>>612
言葉さえいれば世界が壊れてもかまわない。
623名無しさん@ピンキー:2006/03/10(金) 09:19:53 ID:dVfX5psu
けど、>>622
この合鍵の勝ち組はサキ=世界なのだが
624名無しさん@ピンキー:2006/03/10(金) 10:03:23 ID:PPMMSkGk
サキ先輩の妙に軽い口調が怖いwwwww
625名無しさん@ピンキー:2006/03/10(金) 11:09:59 ID:zvqNgDvX
            ヾヽ'::::::::::::::::::::::::::'',    / 展 .あ ま ヽ
             ヾゝ:::::::::::::::::::::::::::::{     |  開 .わ だ  |
             ヽ::r----―‐;:::::|    | じ て    |
             ィ:f_、 、_,..,ヽrリ    .|  ゃ る     |
              L|` "'  ' " ´bノ     |  な よ     |
              ',  、,..   ,イ    ヽ い う    /
             _ト, ‐;:-  / トr-、_   \  な   /
       ,  __. ィイ´ |:|: ヽ-- '.: 〃   `i,r-- 、_  ̄ ̄
      〃/ '" !:!  |:| :、 . .: 〃  i // `   ヽヾ
     / /     |:|  ヾ,、`  ´// ヽ !:!     '、`
      !      |:| // ヾ==' '  i  i' |:|        ',
     |   ...://   l      / __ ,   |:|::..       |
  とニとヾ_-‐'  ∨ i l  '     l |< 天  ヾ,-、_: : : .ヽ
 と二ヽ`  ヽ、_::{:! l l         ! |' 夂__ -'_,ド ヽ、_}-、_:ヽ
626名無しさん@ピンキー:2006/03/10(金) 11:55:46 ID:6PRcA5Ey
お前がナンバーワンだ
627名無しさん@ピンキー:2006/03/10(金) 12:05:30 ID:9fycb0tz
展開予想

無理矢理手足を枷から抜こうとする藍子。
藍子「それだけ知ってるお前が……わたしを……幼なじみと呼ぶのか」
びきびきびき
サキ「な……! 手足がちぎれるぞ……」
藍子「幼なじみと呼ぶのかーー!!」
藍子、手足ごとちぎって猛ダッシュ
藍子「幼なじみってのはなあ!」
がががが
藍子「こういうのを言うのよ!」
対するサキは謎の槍を掲げ――

ゴメソ
628名無しさん@ピンキー:2006/03/10(金) 13:53:13 ID:QLHTMvt1
サキさんの逆襲キター!!

>>625
仙道さん出張乙www 

629名無しさん@ピンキー:2006/03/10(金) 15:17:52 ID:V7hl1dfK
もとくんは女難の相とか言うレベルじゃないな
630名無しさん@ピンキー:2006/03/10(金) 15:20:28 ID:pNSpAZos
サキさん大逆転!
631名無しさん@ピンキー:2006/03/10(金) 16:04:16 ID:Gi6IiXZ/
可愛い系の萌えはないのかよ
632名無しさん@ピンキー:2006/03/10(金) 16:13:38 ID:WqPhI9Zr
嫉妬とかをベースにしてるからそれは難しかろう
633名無しさん@ピンキー:2006/03/10(金) 16:48:29 ID:PPMMSkGk
実際のところ>>1基準からするとハードな物しかないんだよねw
634名無しさん@ピンキー:2006/03/10(金) 16:53:51 ID:Gi6IiXZ/
別にハードじゃなくてもいいじゃん
幼馴染が主人公に妄想や思い込みするだけで萌えますよw
635男がやったら犯罪だなw:2006/03/10(金) 18:35:44 ID:86vp2Esb
一人でオナニーしてるときに「痛い修羅場っ子ごっこ」をする。

まずお隣から無断で貰って来た使用済み未洗濯のパンツを見て「ぁ・・ぁぁ・・・」と驚愕。
おそるおそるパンツを鼻先に当てる。一瞬の間があり、一気に匂いを吸い込みながらオナニーにふける。
泣きそうな声で幼馴染の名前を叫ぶ。
最後に一気に絶頂してゆっくりと目を閉じつつ寝る。
636名無しさん@ピンキー:2006/03/10(金) 19:47:51 ID:xQ/ZBLBd
>>631
そんなのは他スレ向きだろ。純愛スレとかハーレムスレとか。
637名無しさん@ピンキー:2006/03/10(金) 20:40:07 ID:CCBEUWlz
だから、ちょっと壊れた風な嫉妬がいいんだよ
638名無しさん@ピンキー:2006/03/10(金) 20:52:36 ID:X0358mt6
>>1の一行目を見る限り可愛いヤキモチ程度でもいいと思うが
作品の幅を狭めるようなことはスレ違いでもない限り言わない方がいい
639名無しさん@ピンキー:2006/03/10(金) 21:08:24 ID:dfyesWrn
>>636
おまえは小さな恋の物語の綾を否定するのか!?
640危険な男:2006/03/10(金) 21:13:04 ID:5s0J15jN
電車の中で携帯でコソコソうったのを投下してみるテスト。

 私のクラスには危険な男がいる。
 別に何か問題を起こしているわけではない。一見人畜無害などこにでもいる男だ。
 しかし危険な男だ。ただクラスのみんなは気づいていない。
 でも私だけわかる、彼のもつオーラが私の第六感を刺激する。
 あいつが近づいてくると落ち着かなくなる。話しかけられると身構えてしまい返事がうまくできない。
 私は勘がいい方だ。あいつはきっと近いうちに何かしでかす。私には分る。
 何かしでかした時すぐに対応できるよう可能な限り監視することに決めた。
 やはりあいつを見ていると落ち着かなくなる。それでも細心の注意をはらって瞬きさえ止めて監視する。
 別の女の子と話している。私の第六感を激しく刺激する。
 ――そうか、こいつのやろうとしている事は婦女暴行か。
 よし殺そう――いけない論理飛躍しすぎた。
 いくらなんでも十数年間は人畜無害に問題なく過ごしてきた人間だ、話しぐらいは普通にできるはずだ。話せばわかるかもしれない。
 しかし話す内容が内容だ。できれば二人きりで話そう、そう食事でもしながら。
 性的欲求が原因なら――まあ私でなんとかできるだろう。
 でも、それが駄目だからといって殺すというのは倫理的にはよくない。
 体を縛り付けてしてしまえばもう悪いことが出来ないだろう。
 でもそのまま放っておいたら死ぬに違いない。いくら悪人だからといって野垂れ死にさせれるほど私は非常にはなれない。
 だからきちんと面倒を見よう、最後まで、一生かけて。
6418 ◆AuUbGwIC0s :2006/03/10(金) 21:23:43 ID:5s0J15jN
なんというか姉ちゃん、姉ちゃん言ってるから、予定を無視してうっかり筆が滑ってしまいそうな今日この頃。
ちなみに先日River of Tearsの方を見直してみると放置プレイがきいたらしく
外面そのまま中身は程よく醗酵しかけておりました…
642名無しさん@ピンキー:2006/03/10(金) 22:24:02 ID:kJ2NxFPG
>>640
この話をこれっきりにしてしまうのはもったいないと思う人挙手

ノシ
643名無しさん@ピンキー:2006/03/10(金) 22:40:28 ID:7gBCw/SE
>>642

ノシ

新しい切り口って感じがする
644裏「姉貴と恋人」(5) ◆DxURwv1y8. :2006/03/10(金) 22:51:26 ID:Hv0vJsQC
最糸冬回です。


「久しぶりね」
 いつもの喫茶店。一ヶ月ぶりの再会に思わず頬が緩む。
「ああ、最近姉貴が厳しくってさ」
 麻妃は黙った。
「ん? どうしたんだ、麻妃」
 沈黙が続く。
 なんだ?
「なあ、麻妃。なにか――」
「その、何か言われた? お姉さんから」
「……どういう意味だ?」
 麻妃はじっと見つめてきて、それから目を逸らした。
「……あの、実は言わないといけないことがあって」
 彼女はうつむいた。
「あなたがされてたことを私が知ってるって、お姉さんに言ってしまったの」
「……なんでだ」
「ごめんなさい。迂闊だった」
 続く言葉はない。
「そっか……だけど、今のところ姉貴からそういう話は聞いていない。でも、
どうして何も言ってこないんだろうな」
 その問いに、麻妃はためらいがちに答えた。
「きっと、隆史のことを信じているんだと思う……」
「え?」
「言ってたの。『タカがそんなこと言うはずない』って」
 姉貴が、そう言ってたのか。
 戸惑いが顔に出たのか、麻妃は眉を寄せた。
「その、隆史がお姉さんのことを嫌いになれないのは分かる。だけど、」
「分かってる」
 麻妃はじっと見つめてきた。
「……言うの?」
「ああ。俺から言わないと、終わらない」
「本当に、それで終わるの?」
「終わらせないと」
 その言葉に対して、何か言いたげに麻妃の唇が開いたり閉じたりし、最後に
ぴったりと閉じてしまった。
 昼下がりの喫茶店は空気が重かった。
645裏「姉貴と恋人」(5) ◆DxURwv1y8. :2006/03/10(金) 22:52:22 ID:Hv0vJsQC
「あ、ねき……くっ」
「はぁっ、はぁっ、……なに、タカ……っ」
 ギシギシと鳴るベッド。
 俺の上で跳ねる姉貴。
「どうしっ、たんだよ……急、に……」
 喫茶店から帰り玄関を開けると、そのままベッドまで連行されて押し倒され
た。今までにない性急さだった。
 姉貴は答えず、逆に問いかけてくる。
「……私、はっ、タカの、ものよ……っだから、タカ、だって……わたし、の
ものっ……そう、よねっ?」
 快感が背筋を貫き、怖気を誘うほど気持ちいい。
「ああ、そう、だね……」
 熱くきつく締められ、言葉すら自由にならない。
 麻妃の顔が浮かび、消える。
「あぁ……あは……うん、そうよ……タカはっ……わたし、のものよっ」
 キュウ、と締め付けられる。
「うぁ……」
 陶然と微笑む姉貴。
 自然と両手をのばし、がっちりと組んだ。
 しっとりと柔らかい姉貴の手の平。それだけで、体中が震え立つ。
 ああ、まずいな……。
 分かっていても、止められなかった。


「私、あなたを信じていいのよね」
 唐突に、麻妃は言った。
 図書館の書架の間で、抱き合いながら。
「えっ? あ、ああ、信じてくれ。俺はもう、麻妃だけだから」
 きっと不安になったのだろう。喫茶店で「言う」と言ってから二週間も経っ
てしまったから。
「でも、抱いてるんでしょ」
「……それは、」
「いいの。分かってるから。今の状況であなたが拒んだら、ややこしくなるっ
てことくらい。……ただ」
「ただ?」
「このまま時間が経って、本気にならないか心配なのよ……あっ」
 美しい腰のラインに手を滑らせる。彼女の弱いところは分かっていた。
「……ん、ふ……あ……怒ったの?」
 上気していく顔。そのまま背中も脇腹も撫でさすり、首筋にも悪戯する。
「あ……ん、別に、隆史を信用してないっ……訳じゃ、ないの……ぁ……」
 無言で弄り続ける。
 乱暴にならないように……いや、滅茶苦茶にしてしまおうか。
「でも……あっ、う……ずっと離れていると、ぁ……やっ……心配に、なるの、分かるでしょ?」
 彼女の腰が揺れ動く。ごくりと喉が鳴った。
「こうされるの、好きだよな」
 背筋をすっとなぞり、同時にギュッと強く抱き締めつつ、うなじにキスする。
「はぁっ……あ、あ、やっ! ちょっ、それ以上は、だめ、いや、待ってっ…
…ひっ」
 荒い息を押さえず、そのまま首筋に当てる。ガクガクと足を振るわせ、麻妃
はしがみついてくる。
646名無しさん@ピンキー:2006/03/10(金) 22:52:25 ID:F+BWyAoG
>>642

あー、なんだろ・・・
なんつーか読み終わった後( ゚д゚)ポカーンでした
それが良い意味なのか悪い意味なのか自分でも判断できない
647裏「姉貴と恋人」(5) 3/5 ◆DxURwv1y8. :2006/03/10(金) 22:53:52 ID:Hv0vJsQC


「やぁ、こんな、もう止めてよ……いや、あぅ……ひゃうっ……」
 そんな彼女が愛しくて、ギュッと、更に強く抱き締める。
「うぁっ……あ、そんな、強く抱かれると……ひゃんっ!」
 秘部をジーンズ越しに撫でる。その刺激だけでも今の麻妃には充分だったよ
うだ。
「あ、やだ、もう、だめ、っ……あ……――!」
 やがて極まったのか、麻妃は俺のシャツを噛み、僅かな声と共に身体を何度
も震わせた。
「っはぁ……はぁ、はぁ、はぁっ……」
 ピンク色に染まった頬、とろんとした瞳、温かくなった身体。
 全てが愛しい。
「相変わらずだな」
 ジロッと恨みがましく睨まれる。
「はぁ、はぁ……酷い」
 ズキン、と痛みが走る。やってしまった。
「あ、その……悪かった。でも、ずっとしてなかったから、つい」
「つい、で私の身体を?」
「……悪かった、本当に」
 頭をさげる。
 沈黙。
 後悔が押し寄せる。いくらなんでも、やりすぎた――。
「……くっ、くすくす、あは、あははははっ……」
「え?」
 頭上から聞こえてくる面白そうな笑い声。顔をあげて見れば、口を手で押さ
えていた。
「ごめんごめん、ちょっと強引だったから、文句を言ってみただけ」
「……怒ってない?」
「怒ってる。でも、嫌じゃなかったから」
 どこか気だるげな口調だった。
「あ、その、ごめん」
「うん、許してあげる。その代わり……」
「その代わり?」
 麻妃は一瞬ためらい、続けた。
「私と隆史のことを、お姉さんにちゃんと言ってね」
「あ……」
「ごめんなさい、ずるいタイミングで。でも、もう私……つらくて」
 よく見れば瞳は潤み、今にも涙がこぼれそうだった。
「分かってる。ただ……」
「お姉さんを傷つけたくない?」
 頷きたかった。でも、できなかった。
「……ごめんなさい、さっきからずるいことばっかり言ってる」
「いや、俺の方こそ」
 きゅっとしがみついてくる麻妃。
 不安そうな姿に、胸が痛んだ。
「……言うよ」
 麻妃は何も言わない。
「今度こそ言う。だから、麻妃も一緒に来てくれないか」
「……一緒に?」
「ああ……。情けない話だけど、俺一人じゃまた先延ばししそうだから」
「……分かった。いつ?」
「そうだな……明日にしよう」
「早いね」
 俺の胸に直接囁くように、麻妃は言った。
「今まで待たせてきたから……それに、俺と姉貴と麻妃、三人揃って時間が取
れるのは明日が一番近いんだ」
「うん、分かった」
 麻妃の声は静かだった。
648裏「姉貴と恋人」(5) 4/5 ◆DxURwv1y8. :2006/03/10(金) 22:55:03 ID:Hv0vJsQC
 全ての話を終え、俺と麻妃はもう一度頭をさげた。
 これで認めてもらえなければ、二人でどこか遠くへ。
 様々な確執の残るこの地ではもう暮らせない。姉貴も心穏やかではいられな
いだろう。
 今のところ、そうなる公算が高そうだが――
 そこまで思ったところで、姉貴の声がした。
「分かった、そこまで言うなら……もう、私にはどうすることもできない」
 ――えっ?
「姉貴、それって」
「分からなかったの? 私が身を引くって言ったの」
「ほ、本当か?」
 信じられない。いや、ありがたいんだが、それでも信じられなかった。あの
姉貴が?
「そうよ。何度も言わせないで」
「あ……うん。ありがとう。本当にありがとう」
「本当に、ありがとうございます――」
 横目で見た麻妃は、涙を流していた。


 その夜。姉貴の提案によって麻妃は俺の家に泊まることになった。
 一度認めてからの姉貴はまるで別人のように手厚く持てなし、豪華な夕食と
なった。
 俺と麻妃は初めこそ困惑したものの、その日を終える頃にはすっかり確執は
なくなったように見えた。
 そう、見えた。
「それにしても、お姉さんには本当に感謝しないと」
 布団に入って、麻妃は言った。普段は使わない客間は少し埃っぽかったが、
仕方ない。
「そうだな。まさかあんなにあっさりいくとは思わなかった」
「うん。……いろいろあったけど、最後に幸せに終わって良かった」
「何言ってんだ。俺たちはこれからもっと幸せになるんだろ」
「ふふ……そうね」
「子供は何人がいいかな」
「もう、気が早過ぎよ」
「あはは……」
「くすくす……」
「じゃあ、おやすみ」
「ええ、おやすみ」
 一緒に寝られないのは残念だが、姉貴のことを考えれば仕方ない。
 明日からは、麻妃と普通に会える。
 それだけで充分幸せだ。
649裏「姉貴と恋人」(5) 5/5 ◆DxURwv1y8. :2006/03/10(金) 22:56:04 ID:Hv0vJsQC
 十七日午前二時二三分頃、埼玉県○○市の民家で、○○大学の学生岸本あか
ね(21)、岸本隆史(21)、進藤麻妃(20)、計三人の遺体が見つかっ
た。死因は頸動脈切断による出血多量とみられ、遺体の近くには被害者の血痕
の付いた包丁が落ちていた。凶器と見られる包丁には岸本あかねの指紋が付着
しており、また犯人自ら通報があったことなどから、県警は、岸本あかねが被
害者の二人を刺殺したのち、自ら命を絶ったものとして捜査している。しかし、
遺体に争った形跡は見られないという。岸本あかねと岸本隆史は姉弟で、二人
暮らしをしていた。


 了
650 ◆DxURwv1y8. :2006/03/10(金) 22:57:29 ID:Hv0vJsQC
ようやく終わりました。
ハッピーエンドにしようかとも思ったんですが、タカを手離せない姉貴と隆史無しでは
生きられない麻妃の間を取って、みんなで氏のうということになった次第です。

次は、>>166のネタのツンデレvs素直クールで書いてます。連載形式でなく、完成したら投下します。
651名無しさん@ピンキー:2006/03/10(金) 23:00:19 ID:t1JlhI2K
リアルタイム最終回キター!!

…お姉ちゃんとのラブラブエンディングはないのですか?
652名無しさん@ピンキー:2006/03/10(金) 23:01:11 ID:o9DTDtzE
何て言うかとても素敵なDEAD ENDですね。
653名無しさん@ピンキー:2006/03/10(金) 23:21:33 ID:s0kwQ4sA
見事な最終回にございます
やはり心中というのは日本人の心ですね
作者様お疲れ様です
次の作品も期待しておりますm( __ __ )m
654名無しさん@ピンキー:2006/03/10(金) 23:31:13 ID:DvBHmNBY
このスレは最後に
DEAD ENDしなくてはいけない法則でもあるのか
655名無しさん@ピンキー:2006/03/10(金) 23:36:20 ID:J3BzTee4
>654
こじれた関係を後腐れなく清算しようとなると殺しちまうのが手っ取り早いからな
656名無しさん@ピンキー:2006/03/10(金) 23:44:49 ID:0KDOrvTZ
>>650
GJ。
エンド的にはとても満足だけど、ちと最後があっさりしすぎたカモ。
唐突過ぎて驚いた(w
657名無しさん@ピンキー:2006/03/10(金) 23:46:00 ID:3FRBYkYU
ほら、あれだ、修羅場を綱引きに例えりゃ、終わり方が難しいのも頷ける。
綱引きに双方が納得する終わり方など無い。
DEAD ENDはさしずめ引っ張りすぎて、綱が千切れた例だろう。
658名無しさん@ピンキー:2006/03/10(金) 23:47:22 ID:DvBHmNBY
HAPPYENDとかはスレ外って感じだな
まあ、幸せに終わる修羅場はハーレムしかないからな
仕方あるまい
659名無しさん@ピンキー:2006/03/11(土) 00:08:31 ID:jX4nACfw
>>648から>>649

  /'           !   ━━┓┃┃
-‐'―ニ二二二二ニ>ヽ、    ┃   ━━━━━━━━
ァ   /,,ィ=-;;,,, , ,,_ ト-、 )    ┃               ┃┃┃
'   Y  ー==j 〈,,二,゙ !  )    。                  ┛
ゝ.  {、  - ,. ヾ "^ }  } ゚ 。
   )  ,. ‘-,,'   ≦ 三
ゞ, ∧ヾ  ゝ'゚       ≦ 三 ゚。 ゚
'=-/ ヽ゚ 。≧         三 ==-
/ |ヽ  \-ァ,          ≧=- 。
  ! \  イレ,、         >三  。゚ ・ ゚
  |   >≦`Vヾ        ヾ ≧
  〉 ,く 。゚ /。・イハ 、、     `ミ 。 ゚ 。 ・
660名無しさん@ピンキー:2006/03/11(土) 00:15:59 ID:nF85XdGV
         ,. -‐'''''""¨¨¨ヽ
         (.___,,,... -ァァフ|           あ…ありのまま 今 起こった事を話すぜ!
          |i i|  }! }} //|
         |l、{   j} /,,ィ//|          『ハッピーエンドだったのに、気が付いたら、死んでいた』
        i|:!ヾ、_ノ/ u {:}//ヘ
        |リ u' }  ,ノ _,!V,ハ |           な… 何を言ってるのか わからねーと思うが
       /´fト、_{ル{,ィ'eラ , タ人          おれも 何が起こったのか わからなかった…
     /'   ヾ|宀| {´,)⌒`/ |<ヽトiゝ         頭がどうにかなりそうだった…
    ,゙  / )ヽ iLレ  u' | | ヾlトハ〉        記事捏造だとか同姓同名だとか
     |/_/  ハ !ニ⊇ '/:}  V:::::ヽ       そんなチャチなもんじゃあ 断じてねえ
    // 二二二7'T'' /u' __ /:::::::/`ヽ     もっと恐ろしいものの 片鱗を味わったぜ…
661名無しさん@ピンキー:2006/03/11(土) 00:27:10 ID:kxVxeEh3
>>660
あんたもご苦労さんですね!!

ここでネタを一つ
  |/.:.:.:/.:.:.:.:/.:.:.:.:.:.:.:/.:.:.:.::/.:.:.:.:.:/<ヽ.:.:i.:.:|.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:|
 .|i.:.:.:/.:.:.:.:/.::.:.:.:.:.:/.:.:.:.:/.:.:.:/;;//iヘvwv| :|.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:|
 |.:.://.:.::.::/.::.:.:.:.:/.:.:.:/:.:.:/;;////   .|.:|.:.:.:i.:.:.:.:i.:.:.:|
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 |:.| .|.:.:.::.:i.:.:.:.:.:i.:.:/ー;;/ソ/ // -==、_.|:.| |.:.::i.:.:.::i.:.:::|
 .|:| .|.:.:.:.::i.:.:.::.:i.:.:ム;r-y,ネ'  // -_、,,,,__ .|:;ヘ|.:..:i.:.:.:i.::..:|
  ii |i :i.:.::i.:.:.:.:|ヤケiテうト`  ,/'´  '´,ケネデヌ;., |.:.:i.:.:/|.::.::|i
 \ ̄ ̄ ̄ ̄\|;:::::`}:| /     |{::::::f;;イソ:.i.:.イ./.:.:.::|i  
   ┐      \:,ソ        .セ_:::::ソ/.:.:/.|/.:.:.:.:|.i  
  .|i|i.. ┐      \    ,     .~ ̄ /イi.:.:|i.:.::.:.:.| .i
  .|i |:i.:.:.: .┐      \ __      ' /V::./.:.:.:.:.:|| i  
  |i .|.:i.:.:.:.:i .┐      \__丿    , r'´.:::|.:.:/.:.:..:.::|| i     
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  ノ'´ |:ハ;:;:;:;:;:;:;:;:i :|`ヽ,   ┐      \,;:;:;:;:;;:/;:/\;::|  ii
. /   |:| .ヽ,;:;:;:;:;:;:;i:|= =`=、  ┐      \;:/;::/   \  .ii
/   |:|  ヾ;:;:;:i:;:;::|-=テ=Yd .┐      \/ー-   ヽ ii
    |:|   ヾ;;;;i;;;;;;| r彡ハ:/ ハア .┐      \     | ii

泥棒猫は私が抹殺しますから、皆さんは安心して投稿してくださいね!!
662小さな恋の物語:2006/03/11(土) 02:33:21 ID:hea8Zzpz
「誠、今帰りか?」

私は努めて優しい声で校門をくぐって来た誠に声をかけた
そう、努めて優しく――

「あ、綾姉ちゃん」
「誠クンのお姉さん?」

耳に心地良く沁みる誠の声に被って耳障りなノイズが私の鼓膜を刺激する
――不愉快だ

「私もいま終わったところだ。一緒に帰ろう」

ノイズを無視して誠に声をかける
テストで午前中に終わった後、私は図書室で予習しながら時間をつぶした
中学に上がって誠と一緒に帰るのが難しくなった
部活や委員会がある私の下校時間と小学4年生の誠のそれには開きがある――
だからテスト等で何もないときはなるべく誠の下校時間に合わせるようにした
我ながら涙ぐましい努力だ

「うん、帰ろー」

努力が報われた瞬間だ
私は当然のように誠と手を繋いで家路に就く、はずだった

「誠クン今日一緒に宿題やる約束でしょ?」

誠より若干背が高く長い髪をツインテールで纏めている
傍目に見てまぁ容姿は可愛いといって良いだろう少女は誠の手を引っ張った

「おや、誠の"お友達"か?なら紹介してくれ」
 (私の誠に気安く触るな。名を名乗れ小娘が)

「初めまして"お姉さん"。佐伯奈菜です。誠クンの隣の席で仲良くしています」
 (名札が見えないの?その年で老眼とか?てーか人に聞く前にそっちから名乗れよ)

「奈菜ちゃんか良い名前だな。私は息吹綾だ。いつも"私の"誠と仲良くしてくれてありがとう」
 (小便臭い小娘に名乗るほど私の名前は安くない。いつまで誠の手を掴んでいるつもりだ、分を弁えろ泥棒猫)

「そんな…仲良くしてもらってるのは私のほうですから"お姉さん"は気にしないで下さい」
 (私のってなに?ショタ?冗談はてめーが買い漁ってるペラい本の中だけにしろよ雌豚)

なんとなく互いの本音が見え隠れする社交辞令の応酬
気に入らない
もう一人の私が囁いた
こいつは敵だ、と――
663小さな恋の物語:2006/03/11(土) 02:37:16 ID:hea8Zzpz
誠10歳編です
しばらくここで話進めようかなと思ってますのでこれはプロローグの予定です
誠のキャラがほとんど出てないなぁ(・ω・`)
次は誠の視点で書いてみようかなといってみるテスト
664名無しさん@ピンキー:2006/03/11(土) 03:15:30 ID:3ivgL9kL
乙。とりあえず興奮した。
665名無しさん@ピンキー:2006/03/11(土) 03:24:08 ID:yYiWDF5l
どう考えても10歳の子の思考じゃありません
本当に(ry
666名無しさん@ピンキー:2006/03/11(土) 06:00:34 ID:pCnzDGYD
中学生と小学生の闘い・・・
((((; ゚Д゚))))ガクガクブルブル
667名無しさん@ピンキー:2006/03/11(土) 09:34:44 ID:H1kZkAjY
凄惨なラストと驚愕のプロローグを一気に見ちゃって・・・
本当にこのスレは心臓に悪いわ・・・
668名無しさん@ピンキー:2006/03/11(土) 12:03:00 ID:a5s8RjUY
10歳で雌豚って単語を使いこなすとは前途有望ですね。
669名無しさん@ピンキー:2006/03/11(土) 12:15:38 ID:DhzkIPiU
いいぞベイベー!
泥棒猫を刺すのは実姉だ!
弟を刺すのは訓練された実姉だ!
全く修羅場スレは地獄だぜー
フゥハハァ
670『Which Do You Love?』 ◆AsuynEsIqA :2006/03/11(土) 13:19:52 ID:12IPykkp
Pipipipipipipi………
カチッ
「んん〜…あぁー。」
月曜日 朝
いつものように目覚める。全く清々しい朝だ。
違うのは……
「ん……」
……こいつが隣りにいることか。
起こさないようにそっとベッドから出る。朝飯の時間だ。
「そうだな…モヤシ炒めでいいかな。」
Withソーセージって辺りだな。
フライパンに油を敷き、炒め始めたところで……
「聖?…ひじりぃ……」
半泣きの声で名前を呼ばれる。ふぅ……
「はいはい。ここに居るよ。」
寝室に顔を出す。俺を見た途端、テテテと寄って抱き付いてくる。
「あぶね!!フライパンがあるんだよ!」
「起きる時は一緒に起こしてって言ってるでしょ!!心配なんだから!!」
「あぁ…ワリィ。」
泊まる度にこれだから困ったもんだ…



学校
いつもの朝。だけどテンションは違う。それは…
「お見合い……どうすんのよ…」
「頼むからさ、学校行ったらそれ、内緒な?」
冷やかしのネタになるだけだ。人様の注目の的になるのは勘弁だ。
「あ〜ら聖さん。お見合いしたんですって?」
「ぐっ!」
その声は…タカビ
「うっさい。望は黙っとれい。」
「!!!」
「あらあら。いきなり失礼な挨拶ですわね。」
声がでかいんだよお前は……ん?
「どーした?麻子。なに固まってんだ?」
「ん…ううん。な、なんでもない。ない。」
どもってそれはないだろと突っ込みたかったが、深入りは禁物。今日の麻子は機嫌が悪そうだ。
671『Which Do You Love?』 ◆AsuynEsIqA :2006/03/11(土) 13:21:03 ID:12IPykkp
土曜日
私は一人喫茶店にいた。聖が来ないなんてわかってる。でも家に居たくなかった。嫌な事ばかり考えてしまいそうで………
「はぁ。」
はは、ダメだ。いつでもどこでもアイツの顔が浮かんでしまう。
今頃他の女の子と楽しく話して居るんだろうか。
それともいつもみたいに無愛想でいるんだろうか?
私が知っている限りアイツが笑顔をむけるのは私以外にいないだろう。
嫌。嫌。嫌。
私以外に笑わないで欲しい。
私以外に心を開かないで欲しい。



驚いた。
いや、ショックだった。
「うっさい。望は黙っとれ。」
聖にとっては何気ない一言だったのだろう。
でも……今タカビのことを名前で呼んだ。初めて呼んだ。彼が変わってしまったのだろうか。不安だった。
私の知らないところでなにがあったのだろうか。
駄目。変わらないで。あなたを変えるのは私だけ。私の色だけに染まって欲しい。
もしそれが駄目なら…変わるのを止めるだけ………
「!!!」
「どーした?麻子。なに固まってんだ?」
「ん…ううん。な、なんでもない。ない。」
そうだ。止めてしまおう………
私の色に染めたまま………
672名無しさん@ピンキー:2006/03/11(土) 15:58:11 ID:oSQ/6dal
俺も染められたいぜこんちくしょう
673名無しさん@ピンキー:2006/03/11(土) 16:13:50 ID:8qCOjKGt
>>672
これ俺が書き込んだっけ?
674名無しさん@ピンキー:2006/03/11(土) 16:24:23 ID:gHmFNmah
>>672
あれ……俺は無意識でこれ書きこんでしまったのか?
675名無しさん@ピンキー:2006/03/11(土) 17:10:53 ID:J7rExd7A
>>672
念レス成功
676名無しさん@ピンキー:2006/03/11(土) 17:14:53 ID:cZ5b+M3H
>>672
あやうく二重カキコするとこだったぜ
677名無しさん@ピンキー:2006/03/11(土) 17:19:23 ID:Kkp85VX1
日常の些細な出来事で豹変。
一万年と二千年前からこういうのを待っていた!
678名無しさん@ピンキー:2006/03/11(土) 17:26:35 ID:y1IYHF92
俺はそこまでは待って無いな
せいぜい精子の時からだから24〜25年ってところか
679名無しさん@ピンキー:2006/03/11(土) 18:55:19 ID:IrD3a9gO
俺は前世からだから、ざっと百年ってとこか。
680名無しさん@ピンキー:2006/03/11(土) 19:05:30 ID:KcvNYDmU
>>677
八千年過ぎた頃からもっと待ち遠しかった
681名無しさん@ピンキー:2006/03/11(土) 19:36:26 ID:6cirmUJb
一億と二千年あとも俺たちはこんな馬鹿やってるんだろう。
682沃野 Act.2 ◆1IgBlOP8QY :2006/03/11(土) 19:39:00 ID:EeItmBzd
 翌朝。胡桃と連れ立って登校し、昇降口をくぐって下足場に辿り着いた。
 彼女は繋いでいた手を名残り惜しそうに離すと、三組の教室へ入っていく。
 背中を見送り、息をついた。
 さすがに朝起こしに部屋まで乗り込んでくることはないが、俺が靴を履いて玄関を出て行くと
毎度タイミングを計ったように隣の家からも胡桃が出てきて「奇遇だね」と笑いながら手を掴んでくる。
当然の行為と思っているかのように。何の躊躇いもなく、滑らかな仕草で指を絡める。
 柔らかい肌の感触に心が躍るが、制服の奥では食虫花が粘液を垂らしている──気持ちも冷める。
 手を繋いで登校するのは譲歩だった。胡桃が腕まで組みたがったのを俺が拒否したのだ。
 できることなら「手を繋ぐのもちょっと……」と断りたかった。
 頼めばたぶん、胡桃も聞き分けてくれるだろう。少し残念そうな顔をしながら。花を荒れ狂わせて。
 そんな様を見たくなかったからこそ、落としどころと弁えて子供みたいな要求に従っていた。
 別に俺も胡桃が嫌いなわけではない。彼女が俺の手を握って笑顔になるのを見ると、嬉しくなってくる。
 余計なものが視えるせいで過度に踏み込むのを躊躇しているだけに過ぎない。
 いっそ、隠喩される彼女の想いを知らずにいたらすんなりと付き合っていたのかも。
 ……それが幸せなことかどうかは、大口を開ける異形の花を見る限り断言しかねるが。
 苦笑しながら履き替えた靴を下駄箱に仕舞うと、自分の教室に向かった。
 高校に上がって一年目は同じクラスだったが、二年になって入れ替えがあり、別々になった。
 それが胡桃にとって相当なショックだったようで、一時期は部活もガタガタになったらしい。
 「家が隣同士なのは変わらんでしょーが」と友達に慰められ、二ヶ月経った今は回復している。
 離れ離れになることで他の女子に気が移ることでも心配したのだろうか。
 入学以来、時折束縛をイメージさせる鎖や檻の隠喩が胡桃に見え隠れして、戦々恐々としてる。
 おかげで「部屋に上がっていかない?」と誘われても言い訳して断ったものだ。
 今はそれも見えなくなったが、安心するには程遠い。
 教室も違っているのに特殊な情報の伝手でもあるらしく、俺がクラスの女子と口を利いたり
仕事を手伝ったりすると帰りには確実に機嫌を損なっていた。
 ひと気がないところで見知らぬ女子とふたりきりになると、どこから聞きつけたのか何食わぬ顔で
やってくる。彼女はいつも探知機でもあるみたいに俺の居場所を把握している。
 あいつの目ざとさは異常だ。小学生で会った頃から特技は失せ物探しでどんなに探し回っても
見つからなかったものを一瞬で発見しやがったし、中学生のときは俺が知恵を振り絞って隠した
エロ本の在り処をズバズバと看破しては掘り当て、にっこりしながら捨てることを強要した。
人の持ち物を捨てさせるなんて横暴だが、写真の裸体にまで嫉妬心を燃やし蠢いている赤い花を
目にして逆らえるわけもなかった。
 だからこうして胡桃のいない教室で席についていても、まだ落ち着かない。
 別段クラスの女子に疚しい気持ちなど抱いてないが、こうも行動が筒抜けになっている有り様では
おちおちと言葉を交わす気にもなれない。自然、男ばかりと話すことになる。
 が、男も男で俺が「三組の綾瀬さん」と付き合ってると信じて疑わないから言葉に揶揄が挟まれる。
 針の筵といったところだ。隠喩も正に針の山、剣山に落ち着く。気力が削げること甚だしい。
 だから、休憩時間にそいつが言葉をかけてきたときもろくな返事をする余裕に欠いていたし、
何よりそいつが女子である以上は会話も最低限に済ませたかった。
「先輩、英語の辞書を貸してもらえませんか──?」
683沃野 Act.2 ◆1IgBlOP8QY :2006/03/11(土) 19:42:28 ID:EeItmBzd
 なんと、下級生だった。あっさりと入ってきたので、肩を叩かれるまで気づかなかった。
 上級生の教室を訪ねるともなれば普通、緊張を強いられるはずなのに物怖じした気配は微塵もない。
 呆れるやら感心するやら、態度を決めかねた。が、あまり話が長引いては胡桃の耳に入る。
 知らない間柄でもなかったし、さりげなく「ほい、五時間目までには返せよ」と辞書の貸与を済ませる……
 ……つもりだったが、それは周りが許してくれなかった。
「おい、洋平、この子誰だよ! ま、まさか愛人ってやつか!?」
「むしろこっちが本命?」
「てっきり三組の綾瀬さんとくっついてると思ってたのに、まさか一年の子に手を出していたなんて!」
「神は死んだ……! 死んでなきゃ俺が殺してやる!」
 クラスの連中がギャアギャアと騒ぎ出した理由は一つ。単純に、その子が可愛かったからだろう。
 ハーフだかクォーターだか、よく知らないが日本生まれなのに緩やかに波打つ金髪と青い瞳を持った
小柄な少女。一年生というより、小学六年生といった風情。高校二年生の教室に入り込み、浮き立つこと夥しい。
「むう、あの子は……!」
「知っているのか、都電!」
「あの幼さは間違いない、一年五組の荒木麻耶!」
「荒木麻耶!? 噂に名高い『暴れロリ』か!」
 以下、解説モードに入った都電の話を要約すると、一年男子たちが好奇の目を向けてくるのに対し
最初は丁寧に応じていた彼女が「荒木さんってちっちゃいね」の一言でブチギれ、声がした方にいた
男子三人をまとめて叩き伏せたところ、三人中二人に「金髪ロリに足蹴にされることがこんなに気持ちいいなんて」
とM属性を植えつけたとか。残りの一人はもともとMだったからノーカンらしい。
「そんなキモいことがあったせいか男子をヘイトして関わろうとせず、あらゆるクラス、あらゆる学年の
アプローチを断っていたというが、まさかこんな身近に二股をかけている奴がいようとは……」
 二股って。辞書を貸しただけでえらい言われようだった。
「あー……その、荒木。気にするな。聞き流しとけ」
 他人の色恋沙汰を無理矢理にもでっち上げようとするうちのクラスのノリは、理解不能で不快だろう。
 早く退出するよう目で促した。

 別に、連中が騒いでいるほど荒木とは親密じゃない。接点と言えば荒木が図書委員を務めている縁で
何度か言葉を交わしたり、廊下で行き合って二言三言喋ったりしたくらいだ。
 他の図書委員から「男嫌い」と聞いていた評判通りにツンケンしていて取りつく島がなかったし、
高いところにある本を取ってやっても無愛想にそっぽを向き「……ぁりがとぅ」と礼を言うくらいで、
下手なことをすると鼻で笑われたりする。
 なるほど、外見を別にすれば扱いにくくて可愛げのない下級生に見えることは確か。
 彼女の隠喩は、身を守る殻のような鎧だ。年相応ではない小躯を気に病んでか、対人に際しては
舐められぬよう自分を一回り大きく見せる気概でいるのだろう。なかなかいじらしい心構えだ。
 その顔が無表情で、冷たく見えても、鎧の下からは尻尾を立てて威嚇する仔猫のような懸命さが伝わる。
 強がりであることが分かってる以上、荒木の振る舞いに腹が立つはずもなかった。
 狙って打ち解けようとも思わなかったが、胡桃以外に気軽に話しかけられる女友達がいない寂しさ
からか、ついつい構いすぎることがあった。おかげで会うたび彼女は硬化し、鎧が厚みを増していった。
 まあ、隠喩が視えるってことは感情がこちらに向いてるわけで、無視されてないだけ充分だったけど。
 ただ、どう見たって俺と荒木が仲良く映るはずもないのに、「あの子と恐れず会話できるのってお前だけ」
「これがニブチンのパワーか」「やがてデレ期が来る、未曾有のデレ期が……」と周りから感心されてしまった。
 いや、こんな微笑ましい子を恐れたりするお前らの方が鈍いんじゃないかと思うがな。
684沃野 Act.2 ◆1IgBlOP8QY :2006/03/11(土) 19:45:10 ID:EeItmBzd
 ちみっこいのに威風堂々として、しかも金髪碧眼。
 気圧されながらも興奮してしまう男子どもの心情は、分からないでもなかった。
 日本人離れした容貌と低身長に反する威圧感が醸し出す魅力が、倒錯的な欲望に火をつけるのだ。
 構いたくて、構われたくて、仕方なくなる。なのに、構う切欠も構われる切欠もないもどかしさ。
 遠巻きに騒いでいる連中からは、彼女と接点を持っている俺への滾るような妬みが感じられる。
 針──どころか、吸血鬼も殺せそうな杭を隠喩として突き出す奴までいた。
 恐らく、胡桃との関係もあって怒りが倍加されている。
 このまま荒木と会話を続けるのはヤバい。さっさと彼女を帰らせてから即座に誤解を消すのが得策だ。
 騒ぎが伝播して胡桃のところまで届いたら……って思うとゾッとする。
 既にあいつは荒木の存在を嗅ぎつけていて、しかも警戒している節がある。雑談でなんとなく「荒木って
下級生がなぁ……」と話題にした途端、顔が無反応なのに食虫花の方が暴れ出した。宥めようとして
「い、いや、実に可愛げのない奴で……」とごまかしても花の憤激は収まらなかった。
 もうあいつは見境がなくなってきている。これ以上刺激したらどうなるか、知れたことではない。
 だが、荒木は俺のアイコンタクトも、周りで騒ぐ連中も無視して突っ立ったままだった。
 頬がわずかに紅潮し、唇が小刻みに震えている。
 どうしたんだ? 訝りながら、起伏に乏しい荒木の体へ視線を下ろす。
 視える隠喩は甲冑。優美な曲線を孕んだ西洋の鎧が首から下を覆い、荒木の頑なな感情を象徴していた。
 それは初めて会ったときと同じだ。あのときも視えていた、硬い鋼。
 けれど、おかしい。いつもは艶々と光沢を放ってどんな干渉も跳ね返しているはずなのに、今は
ところどころが綻びて穴まで空いており、全身がギシギシと軋んでいる。
 一秒後にも決壊して、中から何かが溢れ出してきそうな、追い詰められた感情──
 不吉な予感が頭をよぎる。
 だいたい。そう、だいたい、なんでこいつは英語の辞書ごときで上級生のクラスにやってきた?
 「男嫌い」でも同性の友達はいる。別のクラスに行って借りれば済む話なのに、なぜ?
 分からない。だが、きっとろくなことじゃない。それだけは分かる。
「ちょっ……荒木、やめ……っ!」
 制止の声は間に合わなかった。

「好きです──先輩」

「付き合って、ください」

 一瞬の沈黙を経て迸るどよめきとともに、鎧は粉々に砕け散った。
 晒される──秘められていた植物。
 細く長い蔓と紅に色づいた葉。
 蔦だ。鎧の裏にびっしりと張り付いていたそれが宙を泳ぎ、新たな居場所を求めて俺に絡みついてくる。
 呼吸が止まる。捕縛されて、指一本まで静止した。
 いや。隠喩は隠喩に過ぎない……絡みつかれても身動きは取れる。
 俺が動けなかったのは、驚愕のせい。
 ああ……こいつ、なんてことを……。呆けた心地のままに見上げた。

 荒木は、頬を赤く染め、見たこともないような笑顔を嫣然と浮かべていた。
685沃野 Act.2 ◆1IgBlOP8QY :2006/03/11(土) 19:48:41 ID:EeItmBzd
いささか強引ですが対抗馬が登場。
波乱気味に続きます。
686名無しさん@ピンキー:2006/03/11(土) 19:54:09 ID:IV1gqlLH
ツンデレ金髪暴れロリ。蹴って。 
687名無しさん@ピンキー:2006/03/11(土) 20:15:34 ID:lyk51uCk
ウツボカズラVSビオランテかよw
688名無しさん@ピンキー:2006/03/11(土) 20:23:00 ID:XxlPgksj
>>686
待て、俺が先に。
689名無しさん@ピンキー:2006/03/11(土) 20:33:15 ID:Tc8RAah+
最近、一日一回このスレ見るのが楽しみでしょうがないw
全ての神々に感謝を
690名無しさん@ピンキー:2006/03/11(土) 20:38:47 ID:a5s8RjUY
こういう描写の文は好きだな。
胡桃の行動が怖いw
691優柔 第14話  ◆I3oq5KsoMI :2006/03/11(土) 21:27:09 ID:VgLRC/9y
昨日のこと、思い出すと恐い。あんなに暗くて汚い感情が湯水のように湧き出てき
たのだから。
自分が自分でなかったみたいだった。それ以上に恐いのは、駅から自宅の玄関まで
どうやって帰ってきたのかが分からないこと。
いくら思い出そうにも思い出せない、まるでそこの記憶だけごっそり持っていかれたみたいだ。
私は新たな自分の一面を発見した。それは悪い意味でだが。
嫉妬――絶対に愛原には見せないようにしよう。でなければ嫌われてしまうから。

今日は土曜日だ。私はリビングに行きテレビを付けた。
朝のバラエティー番組だった。
まだ8時半だというのにやけにテンションの高い若手芸人が街頭インタビューをしている。
うざい。
私はチャンネルを変えた。

次はニュース番組だった。
『23歳の女、交際相手の男性とその不倫相手の女性を刺殺』
昨日未明、東京都○○区のマンションの一室で男女が血を流して倒れているのを隣に住む住人が発見、
すぐに病院に運ばれましたが間もなく死亡が確認されました。
警察はこれを殺人事件と断定し捜査を行い、昨夜未明、男性の交際相手である○○容疑者23歳を殺人の容疑で逮捕しました。
調べに対し○○容疑者は「私がやりました」と容疑を全面的に認め、
その動機について「私に隠れて別れた女と交際を重ねていたのを知り、
問いただすと別れ話を切り出されたのでやった。女のほうだけ殺しておけば良かった」と、
涙ながらに供述したということです。

・・・笑えない。私はすぐさまテレビを消した。

私はベッドに戻って仰向けになった。そして窓から差し込む光を浴びながら愛原のことを考えた。
どうして愛原は元カノと一緒に帰ったりできるのだろうか。
別れたんだから仲良くするなんてあり得ないだろうが。
・・・優柔不断なやつ。
私はお前のことが忘れられなくて彼氏と別れた。
ちゃんと電話番号とメルアドも消して、別れてから1回も会ってないっていうのに。
何でお前は別れた女とああやって普通に、いや、まるで恋人みたいな態度を取るんだ。
そうやって中途半端な優しさを見せるから・・・何で私が惨めな思いをしなくちゃならないんだ・・・
・・・いや、違うか。あいつは元々そんなやつだ。誰にでも優しくて、誰も否定しない。
悪いのは・・・あの女だ。
愛原の性格を逆手に取って、嫌がってるのにいつまでも付き纏って・・・
最後には・・・私に見せ付けるみたいに愛原に抱きついて・・・
あっ・・・もしもあの女が・・・愛原にキスでもしてたら・・・私はどうなってたんだろう・・・
――駄目だ
言葉では表現できないような不快感を感じた。これ以上は昨日のこと、思い出さないほうが良さそうだ。
気を紛らそう。私は愛原と付き合うことになった時の妄想に耽ることにした。
692優柔 第14話  ◆I3oq5KsoMI :2006/03/11(土) 21:28:46 ID:VgLRC/9y
毎朝一緒に登校して、昼は私が作った弁当を食べさせて、放課後は手を繋いで街を
散策して、夜は毎日のように電話で愛を語り合おう。
休日は私の部屋に愛原を呼んで同棲の真似事をしようかな。一緒にご飯を食べて、一緒に昼寝して、一緒に風呂に入って、夜通し愛し合う。
一日中セックスするのもいい。お互い生まれた時の姿で、獣のように激しく貪り合うんだ。
・・・ああ、私の貧弱な思考回路ではその程度のことしか思い浮かばない。

でも、そうなるためには私と愛原の距離を縮める必要がある。
今は5月の中旬、遅くとも7月までには恋人になりたい。早くしないと卒業するはめになるからな。
私は携帯を手に取った。
愛原にメール、いや、電話しよう。
声を聞くために、声を聞かせるために。
でも昨日も電話したのに今日もするなんて、厚かましい女だと思われないだろうか。
やっぱりメールにしておこうか。でも何て送る?
あれこれ考えてると突然携帯が鳴りだした。
あまりにもびっくりしたので床に落としてしまった。
(誰だよ、おどかしやがって・・・)
私は携帯を拾い上げ液晶画面を見た。そしてその瞬間、一気に心臓が高鳴った。
あ・・・愛原だ・・・

『もしもし、ご主人様ですか?』
『えっ、ちょ、僕です、愛原ですよ!?何ですかご主人様って・・・違う人のとこ
ろに繋がったと思って一瞬ヒヤッとしたじゃないですか!?』
『ゴメンゴメン、悪ふざけ。で、どうしたの?』
『いや、あの・・・先輩、大丈夫かなって』
『えっ、何が?』
『なんか昨日、様子が変だったから』
『そ、そうだったか?』
『いえ、僕の勘違いかもしれませんけど』
『お前・・・わざわざそのために電話くれたのか?』
『はい・・・いや、すみません、こんな朝早くに。昨日のうちに折り返して電話す
れば良かったんですけど』
『いいよ。てかお前・・・』
『はい?』
『・・・優しいんだな』
『えっ・・・』
『ううん、何でもない』
693優柔 第14話  ◆I3oq5KsoMI :2006/03/11(土) 21:29:43 ID:VgLRC/9y
『えーと・・・じゃあ、そろそろ失礼しますね』
『ちょっと待って!』
『えっ、はい。何ですか?』
『あーいやー・・・あ、あのさ、愛原』
『はい』
『・・・そろそろ敬語使うの止めないか?アタシ達そんなに浅い仲じゃないんだ
し・・・もうエッチしちゃったわけだし』
『あ・・・はい』
『アタシもあんたのこと・・・優希って呼ぶからさ。いいだろ?』
『はい、勿論いいですけど・・・でもなんか、先輩にタメ口聞くなんて気が引ける
っていうか・・・』
『いいから。ほら、普通に喋ってみ?』
『はい、分かりま・・・うん、分かった』
『よしよし、良くできました』

『はあ・・・じゃあ先輩、また月曜日学校で・・・』
『それも!』
『えっ?』
『先輩じゃなくて下の名前で!』
『いや、それはさすがに・・・』
『いいから呼べ!』
『・・・本当にいいの?』
『いいの!』
『あ、あやのっ・・・さん・・・』
『・・・』
『・・・ごめん、やっぱり勘弁して・・・』
『え〜、なんで〜?』
『これはいきなりすぎるっていうか・・・やっぱり恥ずかしいっていうか・・・ごめん』
『ったく、ヘタレだな』
『ごめん・・・』
『あやまらんでいい』
『ごめ・・・んー、あー・・・じゃあ、先輩のままでいいよね?』
『ダメ』
『ええっ!?』
『うそうそ、冗談。まあ下の名前で呼ぶのはもうちょっとしてからでいいよ』
『ありがとう、先輩。じゃあまた、学校で』
『うん、バイバイ・・・あっ、それから』
『?』
『・・・ヤリ逃げ反対』
『ひ、人聞きが悪いよ!』

電話を切って数分経ったが、まだ心臓がドキドキいってるのが分かる。
私は鏡を覗いた・・・不覚にも、今の自分を可愛いと思ってしまった。

こうやって少しずつ距離を縮めていこう。そうすればあいつだって私を「綾乃」って呼んでくれる日がすぐに来るさ。
私はまだ見ぬ未来に心を踊らせてリビングへ向かった。
しかしその後、私は激しく後悔することになる。

休みが二日もあるのにどうして遊びに行こうと誘わなかったのか、と。
694名無しさん@ピンキー:2006/03/11(土) 21:34:21 ID:/c2H2IgA
先輩かわいいよかわいいよ先輩
695名無しさん@ピンキー:2006/03/11(土) 22:05:56 ID:Kkp85VX1
( ゚д゚)

(つд⊂)ゴシゴシ

(;゚д゚)

(つд⊂)ゴシゴシ

(*゚∀゚)
696名無しさん@ピンキー:2006/03/11(土) 22:11:43 ID:y1IYHF92
先輩レベル高すぎだよ先輩
そして主人公の、まさに題の通りの優柔レベルの高さにむしろ俺が嫉妬
697名無しさん@ピンキー:2006/03/11(土) 22:22:14 ID:NJ6vKVwM
このスレは植物怪人や植物怪獣もはだしで逃げ出す女の子でいっぱいだね。
698不義理チョコ 第13回 ◆AuUbGwIC0s :2006/03/11(土) 22:43:32 ID:NaGtFhHR
「違うよ――それは私がつけたもの。士郎は私が好きで士郎は私のカレ。
 士郎も本当はミカなんかより私の方が好きなんだから。
 でも士郎は優しいからミカに別れようって言えないだけで続いている関係だけで。
 最近士郎殆ど喋らないし笑わないよ。何でか知っている? 無理してミカと付き合っているからだよ。
 本当は私が好きなのにミカなんかと付き合っているからだよ。
 本当は私の事がずっと前から好きだったのに。
 本当は私だけを見て、私だけと話して、私だけを好きにならなくちゃいけないのに!
 ミカ、あんたは本当に鈍感ね! いい加減私達がそういう関係になっていることぐらい気づいて自分から身を引きなさいよ!」
 自分の意思に反して口からは勝手に言葉が流れ続けていた。本当の事、ずっと考えていた事、望んでいること混ぜこぜにして吐き出している。吐き出せば吐き出す程自分の願望と事実の境界線が曖昧になっていく。
 言い終わった後、周りの水を打ったように静まりかえっていた。
 士郎を見れば口を固く閉じ俯いていた。
「士郎からもちゃんと言ってよ、本当のこと」
 ねえ、なんで言わないのよ、「本当だ」って。そう言えば全部終るんだよ。みんなに恋人だって言えるんだよ。言いにくいから私が代わりに言ってあげたんだよ?
 凍り付いていた私達の周りの空間でようやく反応らしい反応を最初に見せたのはミカだった。
 背中を向けると嗚咽をもらしながら走っていった。
 無意識に士郎の腕を掴んでいた。
「オレ――」
 もういいじゃない。終ったことなんだから。
 でも士郎は私の手を離して追いかけ始めていた。
「行かないでよ!」
 離れていこうとする背中に言葉をぶつける。一瞬だけ動きがとまった――でも一瞬だけ。背中を向けたままミカを追いかけていく。
699不義理チョコ 第13回 ◆AuUbGwIC0s :2006/03/11(土) 22:44:14 ID:NaGtFhHR
 足が動かない。
 惨めだよ――
 惨め過ぎるよ――
 私よりミカが好きなら――
 だったら何であの時駄目だって言ってくれなかったの――

「あんた、今更二人の関係を知らなかったとかいったりしないよね――」
「わかっているよ。だから言い訳もしない。
 もう私嫌のなの!
 自分の気持ち黙っているのも嫌!
 士郎が私以外の女の子を好きになるのは嫌!
 士郎が私以外の女の子と話しているのも嫌!
 士郎が私以外の女の子を見ているのも嫌!
 士郎は私だけを見て、私だけと話して、私だけを好きになって欲しいの!
 ミカなんて関係ない!」
「……あんた最低だよ」
「士郎の為だったら最低の女になる覚悟ぐらいできているから」
 ずっと言えなかった。仲介して友達と付き合うことになった。
 そこで私が付き合おうなんて自分勝手なのはわかっている。
「……最低の人間を好きになってくれる人がいるわけないでしょ」ヨーコは決別の言葉とも思える言葉を吐き捨てていた。
 何も言い返せなかった。
 そう――今の私の隣に士郎はいない。
 ヨーコはそれ以上何も言わず背を向けて歩き始めていた。

 ――この日、私は二人の友達を失くした。

700不義理チョコ 第13回 ◆AuUbGwIC0s :2006/03/11(土) 22:46:28 ID:NaGtFhHR
        *        *        *

 ――ようやく見つけた時路地裏で彼女は吐いていた。

「ごめん……変なトコみせちゃって」
 彼女はハンカチで口元を隠しながら泣いていた。
「ウソ――だよね? 私馬鹿だからうっかり信じちゃった……」
 何も言えない。
 ――本当です。隠れて付き合っていました。
「ねえ――ウソだよね? 嘘だって言ってくれればちゃんと信じるから」
 何も言えない。
「本当の事言ってよ……私ちゃんと信じるから」
 今まで騙し続けてきたっていうのに、この場で嘘をつく度胸も本当の事を喋る度胸もない。
 嘘もつけない――
 本当のことも言えない――
 言わなきゃいけないことも分っている。
 でも、ただ口を閉じるだけ。
 なにも出来ない。
 自分から追いかけてきた癖に逃げることしかできない。
 ――最低だ。
701不義理チョコ 第13回 ◆AuUbGwIC0s :2006/03/11(土) 22:47:27 ID:NaGtFhHR
        *        *        *

 ――重症だ。
 今日帰ってきた愚弟は魂の抜け殻としか表現不可能な状態だった。
 ここ一週間程元気があるとはいえない顔をしてはいたが今日は特に酷い。
 今テレビを見ている。正確にはテレビがある方を向いて、テレビも映っているがテレビは見ていない。
 十中八九振られるかなんかしたのだろう。元々コイツは二股かけれるような器用さもなければ、一方と関係を清算してから付き合うだけの決断力があるとは思わなかったがやっぱりこうなったか。
「なんか言いたいことあるなら聞くけど」
 後ろから馬鹿の頭の上に手を置いて聞いてみるが返事はない。
 昔からそうだ。嫌な事、言いたくない事があるとすぐに黙り込む。はっきり言わない。煮え切らない。
 突き放せば少しマシになるかと思ったが逆効果にしかならなかったようだ。
 どうせあの子にだってあなたから告白した訳じゃないんでしょ、告白できなくてズルズル引き摺って何かの弾みで関係もつことになったんでしょ。
 ――助けてくれって顔してても、いくら私でも言ってくれなきゃわからない事あるんだけど。
 頭を叩いてみるが反応すらしない。やはり重症だ。
 無理せず泣きながら助けてくれとでも言ってくれば可愛げがあるのに。
 明日になってもこの様子だったら、話しやすい環境でも作ってやって、ちゃんと話を聞いてアドバイスでもしてやろう。
 口を開かなかったら――無理矢理にでも口を開かせてやるか。


 シロウはいつもより早く家を出て行った。二、三釘をさしておくべきことはあったがそそくさと家を出て行った。あいつの顔色は昨日のままだった。

 電話越しにでも釘を刺しておこうと思い昼休み中に何度かあいつの携帯にかけるが繋がらない。多分携帯を切っているんだ。
 気づいた――あの馬鹿は絶対最悪の選択しようとしている。
 近くにいるなら今すぐに怒鳴りつけてやりたかった。
「モカ、私今日早く帰らなきゃいけない用事できたから――」
 一分一秒でも早く怒鳴りつけてやりたい。

702不義理チョコ 第13回 ◆AuUbGwIC0s :2006/03/11(土) 22:48:12 ID:NaGtFhHR
        *        *        *

「田中、いいかな、今日の放課後?」
 イノから声をかけられた。この顔は――わかってる。友達以上恋人未満の関係を終らせたがっている。でも私にとってこいつは何処まで行っても友達以上でもそれ以下でもない。
 こいつは良く言えば、一途で純情。本音で言えば未練たらしい奴。
 確か何度目だろう。最初の時、中学のときにあんたに友情は持てても恋愛感情は持てないってハッキリいってやったのに。
「んー、私の言いたいことわかるよね?」
 笑いながら返答する。
「じゃあ、俺のいいたいこともわかるだろ」
「わかったよ聞いてあげるから」
 後何度聞いて、何度教えてやればこいつはわかるんだろうか。

 イノと踊り場に来てから屋上からなにか違う空気を感じる。空気が塩味のかかっているような――少し違う。酸味――そう柑橘類の匂い。
 イノはそんな事気づかないのか、そのまま屋上に行こうとしている。
「ちょっと待て」低く小さな声でイノを呼び止める。
 イノは何でって顔をしている。あんたはそういうのが分らないから駄目なんだよ。

 イノを押し止めたまま屋上をこっそり覗き見る。神崎と三沢がいた。でもなんだ? 今感じている変な空気は。
 神埼はフェンスに顔を押し当てて、三沢は少し離れてその神崎の背中を見ている。
「……もう別れよう」神崎はここからでは聞き取るのが苦しい程小さく掠れた声で呟いた。
「私の事嫌いになった?」
「そういうんじゃない……」
「ミカと付き合うの――?」
「彼女とも別れる……もうやめる……」神崎の声はもう聞き取るのやっとだった。
 二人とも泣きそうな声――。ここから顔は見えないがきっと泣いている。
 最近こいつら変だと思っていた。いつも昼は二人ともいなかった。
 ようやくわかった。そういうことか――
「オイ……」イノが私に向かって何か言いかけていた。
「……もう少し黙っていなさい」手でイノの口をふさぐ。
「そっか……」そう言った後、三沢は背を向けた。こちらに向いている――が三沢の顔は上を向いているせいかこちらに気づいた様子はない。でも頬を流れ落ちているものがあることはこの距離からでもわかった。
「あのさ――高校生活まだ二年残ってるから、その間私の事好きになったら言ってきてくれるかな。
 私ずっと好きな気持ちのまま待ってるから――
 もし言いにくいなら、来年のバレンタイン――また屋上で待っているから。
 来てくれたら――また告白するから……」
 そこまで未練たらしく言うなら素直にイヤダって言えばいいのに。待っているからじゃなくて自分から何度でも言えばいいのに。今私の隣にいる馬鹿みたいに。
「オレのこと嫌いになれよ――嫌いになって好きなだけぶん殴っていいんだぞ……」
 よくわからないが自分が代理でぶん殴ってやりたくなってきていた。
「できないよ……。こんなに好きって気持ちなったの初めてだもん……」
 だったらなんであんた別れられるんだ? あきれめようとできるんだ?
703不義理チョコ 第13回 ◆AuUbGwIC0s :2006/03/11(土) 22:48:59 ID:NaGtFhHR

 どれだけ無言の時が流れたのだろうか、三沢は声を上げて泣き出すのを必死に殺しながらこちらへ向かってきていた。
「田中……」
 ようやくこちらの存在に気づいたらしい。
「……なんていうか、さっきの話の一部始終見せてもらった。
 よくわかんないけど、あんたの代わりにあの勝手に自分の中で全部完結してるバカに一発ガツンって言っておこうか」
 ――頭の中で完結しているのはあんたも同じだけどさ。
 このぐらいの声なら向こう側の奴にも聞こえるかもしれないぐらいの声で喋っていた。
「いい……」
「ミカだっけ? その子の事は良く知らないし、細かいとこよくわかんないけど、あんたそれでいいの?」
「……いいよ、もう。これ以上嫌われたくないから」
 ――嘘いいなさい。泣きながらそんな事言っても説得力ないのに。
 そういって三沢ゆっくりと階段を下りていった。
「あんた馬鹿だね、言わなきゃわかんないのに……」
 視界から既に彼女が消えてしまってからそっと呟いた。
「あのさ俺の方なんだけど」ずっと黙っていたイノが口を開いた。
「あんたはもう少し黙っていなさい」
 ――もう一人の馬鹿にも言っておかなきゃいけないから。

 神埼は目を閉じ仰向けに寝そべっていた。
「おい、馬鹿二号」
 爪先で軽く神崎の頭を蹴って起こす。
 神崎は物憂げに目を少し開いてこちらの顔を見た後また目を閉じた。
「あんたさっきのでいいの? あんた二股かけてまで本当は何がしたかったの?」
 返事はない。
「何か言うことないの?」
 もう一度軽く爪先で頭を蹴る。
「……何も言いたくない」それだけ呟いてまた黙り込んだ。
 駄目だな、二人とも……
 もう一度頭を蹴り、屋上を後にした。

 無言のまま歩いていく私の目の前に慌ててイノが立ちふさがった。
「あのさ俺の話なんだけど……」
 こいつは別の意味で駄目だ。
704不義理チョコ 第13回 ◆AuUbGwIC0s :2006/03/11(土) 22:49:40 ID:NaGtFhHR
        *        *        *

 私は嘘をついてしました。好きな人にずっと好きだっていえませんでした。
 私は嘘をついていました。ミカに頼まれたとき笑いながら返事しました。
 私は嘘をついていました。ミカと仲良くなっていくあなたを見てても想いを押し殺していました。
 私はその事を――言えなかった自分に後悔しています。
 だからこれ以上後悔しないため、告白しました。
 でもこういう結果になってしまったのに、あなたに告白してしまった事だけは後悔していません。
 言わなかったらもっと後悔していることになるのはわかっていたから――
 でも私はまた嘘をついてしまいました。あきらめようなんて気はなかったのに、嫌われたくないから、少しでも綺麗なままの思い出にしたいからと自分に嘘をつきました。
 きっと、このことは後悔します――



 駅でミカは俯いたまま待っていた。
「私ね、ふられちゃった。ミカとも別れるからって。馬鹿だよね私」
 ミカから返事はない。こちらすら向かない。私なんかと話したくないのは分っている。朝もそうだった。
「ミカ困らせようとか思ってあんな事したんじゃないから――ただ好きだったから。
 許してとかそういうのも言うつもりはないから――」
 結局ミカは私と同じ電車に乗った。
 ――でもミカからは何も言わなかった。

705不義理チョコ 第13回 ◆AuUbGwIC0s :2006/03/11(土) 22:50:11 ID:NaGtFhHR
        *        *        *

 ――苛立っている。
 いつものならとっくに帰ってきている時間なのに、あの馬鹿はまだ帰ってきていない。一発引っ叩いてから怒鳴りつけてやろうと思っているのに。
 あいつの部屋に二つのマフラー。一方は編みかけ――
 どれだけ待ったか、階段を上ってくる音がする。ようやく帰ってきた。

 帰ってきた士郎の顔は朝よりもさらに悪くなっていた。
「遅かったわね」
「バス使って帰ってきたから……」
「今日何度電話かけても繋がらなかったんだけど――
 あんた、今日何してきた――」
 極力怒りを抑えるが声は低くなっていた。
「別に――姉ちゃんとは何も関係ない……」
 またこれだ。そんな顔してそんな事言って誰か信じるよ。
 一発ひっぱたく。
「人が聞いているんだからちゃんと返事しなさい!」
 返事を待つ。シロウの頬には綺麗に手の跡が残っていた。
「……二人とも別れようって言ってきた」こちらには向かず答えた。
 最低の選択だけは選ばなかったようだ。
 でもこの顔は最良の選択ではない――後ろから二番目の選択、かろうじて最低の選択だけは避けてきた顔。でもある意味最低よりさらに下かもしれない。
「で――あんたはそれが『そうしたい』と思ったの?」
 返事はない。
 ――やっぱり、か。
「あんた相手から嫌いだとか言われてきた?」
「――言われてない」
「じゃあ、なんで別れてきたの」
 こいつはまた黙りこむ。
「……言いなさい」
「こんな最低なの好きになってもらう――付き合う資格がないんだよ……」
「好きになってもらう、好きでいてもらう努力ってのはあっても資格なんてないよ。
 お互い好きでいられるなら付き合う理由ってのはお釣りがくるものよ」

「なあ――今から謝りにいったら許してくれるかな……」
 頭は下げたまま。でも声の調子は少しだけ変わっていた。
「知らないわよ、そんなの」少しだけ突き放してやる。
「――こういう時って嘘でも大丈夫だとかそういうの言わないか?」
「そんな無責任な事言った後に泣きながら帰ってくる奴慰める方の身にもなりなさい」
 頭を撫でてやる。少しだけ笑っていた。
「絶対笑いながら帰ってきてやるからな」
 そういいながら立ち上がっていた。

 見送りぐらいしてやろうと思ってたら、こいつはこの期に及んで玄関で深呼吸をしている。
 ――やっぱりムカついて来た。
 そう思って馬鹿のケツに思いっきりケリを入れてやる。
 そのままバランスを崩し面白いように玄関のドアに顔をぶつけていた。
「人が覚悟決めている時なにすんだよ」
「覚悟なんて決める必要ないよ。本当にやりたいことあっても、あれこれ考えるから迷う。
 本気で『そうしたい』って衝動があるなら行動しろ!」
「――行ってきます」
 そういいようやくドアを開けた。
「行ってらっしゃい」

 一つだけ最後に言い忘れた――あいつ頬に紅葉つくったままなんだよな。
 ま、いっかフッタその日に、その相手に告白しに行くっていうダサイことやろうとしているんだから、そのぐらいダサい状態で会いに行くぐらい。

706不義理チョコ 第13回 ◆AuUbGwIC0s :2006/03/11(土) 22:51:11 ID:NaGtFhHR
        *        *        *

 ミカの家の前まで来て深呼吸をしようとしたらさっき蹴られたケツが疼いた。
 ちゃんと言わなきゃいけない。

 ミカの部屋に上がってもミカからは何も話してこなかった。自分から言わなきゃいけない。
「ごめんな――ずっとあいつの事好きだった。
 だからあいつから言われた時、お前と付き合っているのにああいう事になった。
 本当はもっと早く、最初の時に言わなきゃいけなかった事なのに」
「……私より好きななの?」
 彼女は俯いたままだった。
「……うん」
「……怒らないのか?」
「――だってシロちゃんが好きな人なんでしょ」
 彼女は泣きながら笑っていた。
「お前本当にいい奴だな――」
 本心からそう思った。そしてそんな子を騙して傷つけた自分が恥ずかしくなった。
「じゃあオレ今からあいつにも言ってこなきゃいけないから」
 そういって腰を上げた。
「ねえ――」部屋を出ようとした時、呼び止められた。
「また電話してもいいよね」」
「――いいよ。後ホワイトデーまでにちゃんとお返しするから……」返事はしても振り向きはしなかった。
 家を出るとき自分の瞳から涙が今にも溢れ出さない状態になっていることに気がついた。
 涙を袖で拭う――泣きながら告白するなんてかっこ悪いから。


707不義理チョコ 第13回 ◆AuUbGwIC0s :2006/03/11(土) 22:52:09 ID:NaGtFhHR
「智子――」
 ミカの家から出た途端智子に会えた。会いたいと思っている時に会えた。
 言いたい事は山ほどある。でもありすぎてどれから話したらいいかわからない。
 胸に飛び込んでくる。本当はずっとこうして欲しかったのに素直に出来なかったこと。
「やっぱり私嫌だよ……士郎が誰か別の人好きになるなんて……」泣いていた。
「好きだよ――」えらく簡単に口から言葉が出た。何でこんな簡単な言葉今まで言えなかったんだろう。
 腹に冷たいものがのめり込んでいた。
 最初何が起きたのかがわからなかった。腹か何かが抜かれ、傷口から赤くて生暖かいものが脈打ちながら流れ出してようやく自分の身に何がおきたのか理解できた。
 ――そうか刺されたのか。
 お前の気持ち全部受け取ってやるから――たしかバレンタインの朝にオレそんな事お前に言ってやったよな。
 これがお前の気持ち――そしてオレへの罰。
 ――二人ともから許してもらおうなんて虫が良すぎる話か。
 言葉を続けようとしたら、膝から力が抜け尻餅ついて倒れこんでいた。腹部から流れ出る血液とともに体中から力が抜けていた。
 ――腹ぐらい切られても結構なんとかなりそうな気がするのにおかしいよな。ひょっとして死ぬのかな。
 死という単語は浮かんだの不思議と恐怖といった感情はなかった。不思議と安心感すらある。

「好きだよ――ずっと好きだったんだよ」
 ――オレもだよ。
 言いたいことがあるのに口からうまく言葉が出ない。呼吸乱れと混じって漏れるだけ。
 抱きしめてやりたいのに手に力が入らない。すぐそこにあるのに抱きしめてやれない彼女の体。
 ――ごめんな、お前の気持ちずっと気づいてやれなくて。今頃オレから言いたい事があるなんて都合よすぎるよな。
「馬鹿だよ。馬鹿だよね私」彼女は嗚咽を漏らしながら話し続ける。
 ――オレも同じぐらい馬鹿だから気にするなって。
 自分の左手が智子の頬まで伸びた――なんだ動くじゃないかオレの手。
 指先は痺れて感覚なんてなくなりかけているくせに彼女の流した涙だけは何故かはっきりと感じられた。智子の嗚咽が酷くなった。
 ――今度は背中じゃなくて胸貸してやるからさ好きなだけ泣けよ。
 そんな想いが通じたのか彼女はオレの胸に顔を押し付けて嗚咽を漏らし続けた。
「ごめんね士郎……でも私もちゃんと後で追いかけるから……」
 体の感覚はどんどん鈍くなってくる頭の中がボンヤリとしている。

 怖くはない。辛くはない。
 でも――こいつとはもっと遊んでいたかった。話したいことがあるのに喋れない自分の口がもどかしかった。
 でもいい、今一番言いたかった事だけはいえたから――
 ――もし生まれ変わってもオレのこと好きでいてくれたらさ、オレのほうからちゃんと告白するからさ……。あんな変な付き合い方じゃなくて、あんな回りくどいことなんてしないて、ちゃんとチョコ渡してくれよ……。

708不義理チョコ 第13回 ◆AuUbGwIC0s :2006/03/11(土) 22:52:46 ID:NaGtFhHR
        *        *        *

 ――こいつは天国へ行けた。
 冷たくなってしまった弟を迎えに行って顔を見た時、よくわからないがそんな感じ――確信に近いものを感じた。
 私は天国とかそういうものを信じていない。それでも何故かその時そう思った。



 自分と歳差のない人間の墓参りって初めてじゃないにしても、やっぱり変な感じがする。
 痴情の縺れから無理心中――近所の噂になるのは十分過ぎる内容だ。
 でも『無理』心中ではない。私にはわかる。 『そうしたい』っ思ってた事できた顔してたから。
「だからって死ぬことないでしょ。あんた後何年生きれると思ってたのよ。
 彼女と――どこかのドラマみたいに遺灰でも混ぜて一緒になってみたい?」
 答えるはずの墓石に問いかけてる。

 人の気配がしたので向いてみるとミカちゃんがいて、私の方へ深々と頭を下げていた。
「――これ返しに来ました」
 差し出されたのは折り畳まれたマフラー。あいつのだ。
 私の方からもちょうど用事があったんだ。もう葉桜になっているっていうのに。あいつが彼女へ送ろうとしていた編みかけのマフラー。
 それを渡そうとした時、彼女は少し戸惑っていた。
「続きは私が代わりに編もうかなとも思ってんだけど、私あいつと違ってそういうの苦手だから。
 ――嫌なら別に受け取らなくていいんだよ」
 別れた男、しかもずっと遠くに行ってしまった人間からのプレゼントなんて性質の悪いものだけど、彼女にはそれを受け取る権利があるから。
 彼女は少しだけ迷った後、それを受け取った。


「早く返して貰ってたら彼女の棺桶の中に忍ばせてやるぐらいできたのにね。あんたはどうしたい?」
 『別に――』、多分あいつはそんな事を言うに決まっている。本当は別に言いたいことがあるのに。
「私に頼みたい事があるんだったら枕元に立ってでも言ってきなさい」
 主のいなくなった部屋で独りむなしく喋っていた。
 少しだけ考えた後、返してもらったマフラー同様部屋に忘れ去られている彼女のマフラーに重ねておいた。

        *        *        *

 ――あの時私は事の一部始終を窓から見ていた。
 私が誰か呼べば二人とも助かったのかもしれない。
 でもしなかった。二人が嫌いになったからかもしれない。少なくとも羨ましいとは思っていた。

「ウソツキ」
 ホワイトデーのお返しするって言ってたのに。
 編みかけのマフラー。二人ともいなくなった今私はずっとこのままだ。もう乱れた編目を作ることもできない。
「十年会えなかったから、また十年ぐらいしたら会えるかな」白々しい台詞。現実から逃避しようと自分を無理矢理騙している言葉。
 『今電話していいですか?』――初めて彼にメールしたものと全く同じ内容のものを送信した。
 返信などこない。
 電話なんてかかってこない。
 そんな事なんてわかりきっていた事なのに独り部屋で彼からの電話を待ち続けた。
 ――馬鹿みたいだよ。
 心の中の誰かが囁いた。
7098 ◆AuUbGwIC0s :2006/03/11(土) 22:55:03 ID:NaGtFhHR
-おしまい-

当初の予定ではここまでヘタレになる予定はなかったのにな…
まあ皆さんお気づきの通り姉ちゃんは元々士郎のケツに蹴り入れる為に用意した存在です。
何かと便利なキャラです。背中押してよし、引っ掻き回してよしのポジションのキャラって。

危険な男については、要望があるみたいなので、気が向いたらそのうち書き込ます。
<チラシの裏>
当初から攻略対象のこの字も考えていなかったくせに
姉ちゃんルートを妄想したら少しだけ幸せになれた今日この頃。
</チラシの裏>
710名無しさん@ピンキー:2006/03/11(土) 22:55:20 ID:jUQykqI+
支援?
711名無しさん@ピンキー:2006/03/11(土) 22:56:56 ID:jUQykqI+
ぐはぁ

>>709
ここは鮮血の結末の多いインターネッツですね
gjでした
712名無しさん@ピンキー:2006/03/11(土) 22:59:11 ID:/c2H2IgA
あれ?ここ修羅場スレだよね?おかしいな、目から汗が…
713名無しさん@ピンキー:2006/03/11(土) 23:00:21 ID:NJ6vKVwM
士郎のアホ!氏んでしまえ!!って・・・もう死んだかort
まさかとは思っていたけどやっぱり今回も流血ENDか!!!

やっぱり姉ちゃんはいいキャラだったよ
714名無しさん@ピンキー:2006/03/11(土) 23:01:50 ID:nF85XdGV
         ,. -‐'''''""¨¨¨ヽ
         (.___,,,... -ァァフ|           あ…ありのまま 今 起こった事を話すぜ!
          |i i|  }! }} //|
         |l、{   j} /,,ィ//|          『過去の清算をしてから告白しにいったのに、気が付いたら、刺されていた』
        i|:!ヾ、_ノ/ u {:}//ヘ
        |リ u' }  ,ノ _,!V,ハ |           な… 何を言ってるのか わからねーと思うが
       /´fト、_{ル{,ィ'eラ , タ人          おれも 何が起こったのか わからなかった…
     /'   ヾ|宀| {´,)⌒`/ |<ヽトiゝ         頭がどうにかなりそうだった…
    ,゙  / )ヽ iLレ  u' | | ヾlトハ〉        フラグ管理ミスだとか姉ちゃん萌えだとか
     |/_/  ハ !ニ⊇ '/:}  V:::::ヽ       そんなチャチなもんじゃあ 断じてねえ
    // 二二二7'T'' /u' __ /:::::::/`ヽ     もっと恐ろしいものの 片鱗を味わったぜ…
715名無しさん@ピンキー:2006/03/11(土) 23:12:56 ID:J7rExd7A
士郎が愛原君においでおいでしてるのが見えます
716名無しさん@ピンキー:2006/03/11(土) 23:33:33 ID:yYiWDF5l
ここまでやったんだからハッピーエンドが見たかった
なんだか切なくて悲しくなった
717名無しさん@ピンキー:2006/03/11(土) 23:44:37 ID:uBVtrZZ3
>>709
お疲れ様でした
次回作も楽しみにしています

ところでソロソロ次スレ立てた方がいいかな
後20KBしかないし
718名無しさん@ピンキー:2006/03/11(土) 23:49:17 ID:nF85XdGV
>717
立てるんなら一応誘導用として下二つ追加よろ
【3P】ハーレムな小説を書くスレ【二股】
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1115014616/l50
寝取り・寝取られ総合スレ 2
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1133346643/l50
719名無しさん@ピンキー:2006/03/11(土) 23:53:36 ID:y1IYHF92
ミカを正式に振ったあたりまで完璧にハッピーエンドだと思って泣く用意をしていたら
思わぬ急転直下だった
だが、これはこれでGJです(*´д`*)
720合鍵 第三十一回 ◆tTXEpFaQTE :2006/03/12(日) 00:10:27 ID:go4zzYWn
合鍵  第三十一回


藍子「止めてっ!!止めてっ!!!もう、止めなさい!!
   止めてって言ってるでしょう!!!!!!!
   いい加減にしてよっ!!!離れなさい!!!!馬鹿ッ!!!
   もとくんから離れて!!!離れてよっ!!!!!!!!!もとくんに触るなあッ!!!
   この変態!!もとくん、もとくん、!!
   死ね!!死んじゃえっ!!!!」
あらん限りの声を振り絞り、藍子は叫び続ける。手錠がされてるにも関わらず、体を暴れさせている。
だが、それを無視して、いや、その憎悪に燃える藍子の叫びこそが目的だったのだろう、
サキは元也の上で体を動かし続ける。

一晩が過ぎた。
藍子「止めて、止めて、お願い、止めて。
   もういや、もういや、もういや、もういや。
   おねがい、お願いしますからもう止めて。
   お願いだからもとくんから離れて。離れて」
焦点の合わない瞳をしながら、藍子はつぶやき続けた。
目の前で元也が襲われ続けるのを見せられた。
その瞳からは涙が流れ続けている。
口も開きっぱなしになり、よだれが床まで、糸を引いていた。

さらに、もう一度夜がきた。
藍子「……………………………あ、あああ、あああ………
   ……やめ………あ、あ…いや…………………………
   …う、うう、あ、うううううううううううううううう
   うううううううううううああわああああうううううう
   うええううああああああああああああああああああああ」
藍子は体をまるめ、蹲っていた。
元也とサキの乗っているベットに背を向け、うめいていた。
だが、藍子の耳には元也が襲われている音が入り続ける。
手が自由なら、藍子は自分の耳を潰しているだろう。
いや、サキに飛び掛って首を絞めているだろう。

サキ「はあ、ちょっと、休憩ね」
丸一日、元也を弄び続けたサキが、やっとベットから離れた。

トイレに行く為、手首を絞めている縄を解いてくれた。
ホッとしたのも束の間、新しく取り出した手錠で後ろ手で拘束された。

トイレから出て、リビングに連れて行かれた。ソファーに座る。
途端、引きずりこまれるように、元也は眠りに落ちた。当然だろう。
比喩でなく、一晩中責められ続けたのだ。

721合鍵 第三十一回 ◆tTXEpFaQTE :2006/03/12(日) 00:11:19 ID:go4zzYWn
>>720の続き


藍子「うう、あああああああああああ、あああ、うううああ」
元也とサキが部屋から出て行ったのに、藍子はうめき続けていた。
顔に生気がない。目が死んでいる。

そんな藍子の様子を、サキが後ろから見下ろしていた。愉快そうに。
サキ「あららん、壊れちゃった?藍子ちゃん?」
サキが藍子の顔を覗き込みながら声をかける。

瞬間、藍子の瞳が怒りで見開かれる。
叫び声をあげながら、サキに飛び掛ろうとした。
だが、首輪のせいで、サキに届かない。それどころか、首が絞められ、咳き込む。

藍子「死ね死ね死ね死んじゃえ。死ね」
サキ「うわ、怖。でもね、想像してね?藍子ちゃん。
   私が入院中、あなた、こんな事してたんでしょ?想像つくわよ。
   今のあなたと同じぐらい、私も貴女が憎かったのよ。
   だから、コレは、貴女への仕返し。
   あ、だからと言って、愛が無い行為って訳じゃないから。
   あれだけしつこく、ねちっこく元也君をいじめちゃったのは、恋焦がれていたから。
   なんたって、数週間ぶりだもんね。そりゃ、もえちゃうよ」
藍子「うるさい!!サキさんなんかに、もとくんを触る権利、無いんだからっ!!
   サキさんがしてた事、あれは立派なレイプよ!!犯罪よっ!!!
   おかしいんじゃないの!?狂ってるわよ!!!」
サキ「じゃあ、藍子ちゃんがしたことは、何なの?
   手首切って元也君の気を引こうだなんて、やり方として最低じゃないの」
藍子「そんな事無いもん!!もとくんは元々、私の方がサキさんより好きだったんだから!!!
   もとくん、気が付いただけだもん!!私のところに帰ってきただけなんだからっ!!」
サキ「その割には、私がここで元也君を見たとき、手首縛られてたわよ?
   分かってたんじゃない。元也君、ああでもしなきゃ、逃げちゃうって事」
藍子「違うッ!!あれは、あれは、違うもん!!!
   もとくん、逃げたりしないもん!!!
   あれは、あれは、あれはあああ、あああああああああ、
   そうよ、そうよ、もとくんを縛ってたの、貴女みたいな人に、もとくんを取られない
   為なんだから!!」
サキ「嘘おっしゃい。それなら、何で縄で縛るのよ。あんなの、他の人が来たら、即効で解かれるじゃない。
   認めなさいよ。
   あれは、元也君を逃がさない為だって。
   そうでもしなきゃ、元也君、あなたの側から離れていっちゃうものねえ」 
藍子「違うッ!!!!違う!!!!!!」
サキ「違わないわよ」
藍子「うあ、ああああああああああああああううううあうああうああ
   ああああああ??……あ、ははは」

藍子を言い負かしてやった。
ああは言ったが、本当を言えば、元也が逃げ出すような事は無かったとサキには分かっていた。
元也が、あんな状態の藍子を放って、どこかに行くはずはない。

分かっていても、藍子を罵る事は止めれなかった。
うずくまり、泣いている藍子を見るのは、胸をすく、どす黒い勝利感があった。

藍子「………あ、ははは、ははははは、うふ、ふふっふふふふふふふ」
急に、藍子が笑い始めた。
正気を逸した、おかしな笑い方だった。
722名無しさん@ピンキー:2006/03/12(日) 00:22:40 ID:voD3AwOR
藍子タソ蛾壊れた
723名無しさん@ピンキー:2006/03/12(日) 00:28:32 ID:6iB0yTcm
やべぇ修羅場が第二段階に移行するっ!?
724名無しさん@ピンキー:2006/03/12(日) 00:29:45 ID:3LCmK+0+
>722
まるで今まで壊れていなかったみたいな言い方じゃないかw
725名無しさん@ピンキー:2006/03/12(日) 00:43:15 ID:5l7Rr3KJ
>>717
もう余裕もないし自分が立ててこようかと思っているんだが
嫉妬・三角関係・修羅場系総合SSスレ 三股目 でいいのかな?
726名無しさん@ピンキー:2006/03/12(日) 00:44:41 ID:Y4LJh+MC
>>725
よろ

しかしついに完璧に壊れたな
727名無しさん@ピンキー:2006/03/12(日) 00:45:35 ID:3LCmK+0+
三角関係でいいんじゃない?
728名無しさん@ピンキー:2006/03/12(日) 00:49:35 ID:/1slwOuC
惨劇
729名無しさん@ピンキー:2006/03/12(日) 00:50:20 ID:+ugg2yJX
藍子かわいそう
730名無しさん@ピンキー:2006/03/12(日) 00:56:05 ID:bjXV+o1q
次は藍子の再逆襲かな?
731名無しさん@ピンキー:2006/03/12(日) 00:57:14 ID:5l7Rr3KJ
嫉妬・三角関係・修羅場系総合SSスレ 三角関係
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1142092213/

立ててきました。727さんの案を使わせてもらいました。

……ゴメン、これでキミ(二股目スレ)とはお別れなんだ。
自分で立てといて悪いとは思うけど、また新スレ立てちゃったから。
だからもう、本当の気持ちを黙っていられないんだ!

では。
732名無しさん@ピンキー:2006/03/12(日) 01:03:01 ID:oDySqbMr
>>731
狂おしいほどに乙!
733名無しさん@ピンキー:2006/03/12(日) 04:37:22 ID:7de+VAq8
>>731
鮮血エンド(死亡)フラグおめ
734名無しさん@ピンキー:2006/03/12(日) 04:41:49 ID:UJkxnMxp
>731
新スレなんて立っていませんよ、だって毎晩一緒ですから…毎晩
735名無しさん@ピンキー:2006/03/12(日) 08:51:19 ID:6iB0yTcm
気が早いが、四スレ目になったら四面楚歌になるのかな>スレタイ
それはともかく乙。
736名無しさん@ピンキー:2006/03/12(日) 13:10:56 ID:CMzYnSIw
>>735が良いこと言った。
737名無しさん@ピンキー:2006/03/12(日) 13:30:58 ID:A/W2HCUN
それじゃ五スレ目は?
738名無しさん@ピンキー:2006/03/12(日) 13:34:07 ID:ktqWRRKU
五里霧中。
739名無しさん@ピンキー:2006/03/12(日) 15:20:49 ID:xWTm1sWn
5臨終
740名無しさん@ピンキー:2006/03/12(日) 15:30:18 ID:s+aqWu3B
みな五ろし
741名無しさん@ピンキー:2006/03/12(日) 15:40:41 ID:jES4DhP3
5めん…
742名無しさん@ピンキー:2006/03/12(日) 16:06:39 ID:eI/ExYd1
五解
743名無しさん@ピンキー:2006/03/12(日) 21:52:12 ID:nUk/KQYD
五体満足?
744名無しさん@ピンキー:2006/03/12(日) 22:03:02 ID:oQx7wgtM
5めん、俺、あいつのことが……
745名無しさん@ピンキー:2006/03/12(日) 23:20:46 ID:mn7OES0Q
五肢切断
746名無しさん@ピンキー:2006/03/12(日) 23:55:55 ID:v/UrB4Z9
このスレの最後に言いたいことをぶちまける

>>672-676
このような流れは個人的にうざいと思う
747名無しさん@ピンキー:2006/03/13(月) 00:02:35 ID:CQ9UVLx2
>746
ふーん、そっか。あなた私達が仲がいいのうらやましいんだ。
私達いつも心の奥底で繋がってるからね。

と脳内変換出来るようになったあたりで俺は重症患者
748名無しさん@ピンキー:2006/03/13(月) 01:20:57 ID:8O0VLHSs
埋め立てに永田テンプレ引っ張ってきますた
言葉の味方が少ないせいで、桂家がすごい一家に(((( ;゚Д゚)))ガクガクブルブル

世界「早く誠から離れなさいよ。誠は私の彼氏なの」
言葉母「・・・」
世界「早くどこかへ行って下さい」
言葉父「いや、先に告白しろよ」
世界「この告白は、最大限守ってあげたいの」
言葉母「片思いなんじゃないの」
世界「どのようにして、その先入観を打ち破る事が出来るのかな。本当に悩ましい」
言葉「誠は私に好きって言ってくれたわよ」
世界「この一方的な攻撃。この風景。こんなところで告白したらかなわないと感じるのは当然」
言葉父「だったら彼氏なんて言うなよ」
世界「一言聞いただけで片思いだと決め付ける、言論封殺、もっとも恥ずべき行為」
言葉「誠は私の彼氏なんだから、あんたがどっか行きなさいよ」
世界「どのような条件をクリアすれば、真性な彼氏と認める事ができるのか、知恵を貸してください」
言葉父「おまえが彼氏って言ってるんだろうが」


逆バージョン(※こちらはスクイズ本編とは違い、先に世界と誠がくっついた世界になってます

言葉「早く誠くんから離れて下さい。誠くんは私の彼氏なんです」
世界「・・・」
言葉「早くどこかへ行って下さい」
甘露寺「いや、先に告白しろよ」
言葉「この告白は、最大限守ってあげたいの」
黒田「片思いなんじゃないの」
言葉「どのようにして、その先入観を打ち破る事が出来るのかしら。本当に悩ましい」
刹那「誠は世界のことが好きって言ったよ」
言葉「この一方的な攻撃。この風景。こんなところで告白したらかなわないと感じるのは当然」
甘露寺「だったら彼氏なんて言うなよ」
言葉「一言聞いただけで片思いだと決め付ける、言論封殺、もっとも恥ずべき行為」
刹那「誠は世界の彼氏なんだから、あなたがどこかへ行って」
言葉「どのような条件をクリアすれば、真性な彼氏と認める事ができるのか、知恵を貸してください」
甘露寺「おまえが彼氏って言ってるんだろうが」
749名無しさん@ピンキー:2006/03/13(月) 01:25:33 ID:8O0VLHSs
修正。連投失礼
世界「早く誠から離れなさいよ。誠は私の彼氏なの」
言葉「・・・」
世界「早くどこかへ行ってよ」
言葉父「いや、先に告白しろよ」
世界「この告白は、最大限守ってあげたいの」
言葉母「片思いなんじゃないかしら?」
世界「どうしたら、その先入観を打ち破る事が出来るのかな。本当に悩ましい」
言葉母「誠くんは言葉のこと好きって言ったわよ」
世界「この一方的な攻撃。この風景。こんなところで告白したらかなわないと感じるのは当然」
言葉父「だったら彼氏なんて言うなよ」
世界「一言聞いただけで片思いだと決め付ける、言論封殺、もっとも恥ずべき行為」
言葉母「誠くんは言葉の彼氏なんだから、あなたがどこかへ行きなさいよ」
世界「どのような条件をクリアすれば、真性な彼氏と認める事ができるの? 知恵を貸してよ」
言葉父「おまえが彼氏って言ってるんだろうが」
750名無しさん@ピンキー:2006/03/13(月) 02:11:15 ID:44QlYPG+
埋めついでに
だれも>>745の五本目の肢についてツッコミを入れない件について
まぁ何かは考えるまでも無いってことか・・・((;゚Д゚)ガクガクブルブル
「私とシてくれないならこんなのいらない!」
って言う台詞が浮かんだ(*´д`*)
751名無しさん@ピンキー:2006/03/13(月) 02:42:57 ID:V3o+uDU5
>>750
素で「五本目は下じゃなくて上の方」だと思っていた俺……。
752名無しさん@ピンキー:2006/03/13(月) 13:52:51 ID:3guqvg1K
>>751
σ(゚д゚ ) オレオレモ
753名無しさん@ピンキー:2006/03/13(月) 17:51:24 ID:zYcFEnAx
>>751
σ(゚д゚ ) オレオレモ

754今スレの埋めネタ:2006/03/13(月) 21:26:35 ID:BydY03Ez
え、次スレ?
ふふ、分ってるわよ、あの新スレがイケナイんでしょう?
困った泥棒スレよね。嫌がるキミを無理矢理連れて行こうとしてるんでしょう?
心配しないで、あんなスレ、すぐに落としてあげるから。
荒らして、煽って、ギスギスさせて住人を一人残らず駆逐してあげる。
キミは何もしなくていーの。アタシが全部してあげる。
レスも、sageも、自演も、なにもかもみんな。
残り5KB、スレの隅から隅までROMし尽させてあげる。
え?dat落ち?ふふ、心配性ね。
大丈夫、例え新たにスレを立てても、必ず見つけてあげる。
この板の…、いや2chの…ううん、ネットの果て迄も一緒にいてあげる。
だから、安心して、他のスレなんかにキミ一文字さえも、カキコさせないんだから。
だって、キミはアタシのモノなんだから…っ
755不義理チョコ another end ◆AuUbGwIC0s :2006/03/14(火) 19:31:17 ID:uVJ4ZeOb
埋めに没ラストの再利用

        *        *        *

「……口ではあんな風に言ってたけど、やっぱり怒っててオレなんかと話したくない……か」
 繋がらない携帯をみつめ何度目かわからない独り言を呟く。
 今彼女の家の前にいる。何度かインターフォンを押したが家族すらいないらしく返事はない。
 カイロ代わりに持っていた缶コーヒーは随分とぬるくなっていた。
 随分暖かくなってきたと思っていたのに日が沈むと流石に冷え込んでくる。
 ひょっとしたら今日はもう帰ってこないのかもしれない。
 このまま待つか、待たないか――ポケットの中に手を突っ込むと前に姉ちゃんからもらったメダルが入っていた。
 ――投げて決める必要なんかない、やりたいことは既に決まってるから。
 溜息を吐くと白い煙になった。
 部屋に明かりは見えない。ひょっとして今日は帰ってこないのかもしれない。
 でも待つ。一秒でも早く会いたいから。流石に来年のバレンタインまでなんて待てないから。

 携帯が鳴る。姉ちゃんからだ。
「いい加減帰ってきなさい。ふられたんなら一晩かけてあんたの駄目な所指摘した後、私の友達でも紹介してあげるから」
「ちげーって!」
 それだけ言って一方的に切ってやった。
 玄関で深呼吸していただけでケツ蹴っ飛ばされたんだ。振られて帰るだけならともかく、告白も出来ないまま帰ったりしたら何されるかわからない。

 街灯の明かりの下に白い小さなものがちらほらと見え始めていた。
「雪か……」
756名無しさん@ピンキー:2006/03/14(火) 19:31:48 ID:uVJ4ZeOb
        *        *        *

 ――士郎はミカの家へ入っていった。
 私がやったみたいに、私から隠れてミカと付き合うつもりなんだ。
 それならそうとはっきり言ってくれた方がスッキリするのに……
 私以外誰もいない家で私は感覚を閉ざした。
 最低の人間を好きになってくれる人がいるわけないでしょ――
 昨日ヨーコに言われた言葉が響く。辛い。苦しい。


 目を開けると外からはうっすらと白い光が差し込んでいた。朝が近づいている。
 変なの――まだ士郎が近くにいる感じがする。
 外を見るとうっすらと雪が積もっている。
 窓から眺めると――士郎がいた。
 頭が空っぽになる訳もわからず階段を駆け下りる。なんであの馬鹿はそこいにいるんだろう。
「あんた、ここで何やってるのよ」玄関を開けた時の第一声だった。
 士郎は私の家の前で座り込んでいた。その隣には缶コーヒーで築き上げられたピラミッドが存在していた。
「告白しにきた、ついでにこれ返しに来た」
 全身を震わせながら士郎は笑いながら私のマフラーを手に持っていた。
「さすがにこの季節一晩中外ってのはきつい。いるならインターフォン押したら出てくれよ、凍死するかと思ったぞ」
 なんで笑っているのよ、こいつ。
「……なんで昨日ミカの家に行ってたのよ」
「先にきっちり別れておきたくてさ。スッパリ別れた」
「あんたみたいな馬鹿好きになる子なんてもういないよ……」
「あー、もう一人ぐらいいると思ったけど無理か」
「知っているけど……その子嫉妬深くて独占欲ばっかり強くて全然可愛くない子だよ……」
「かまわないよ」
「その子きっと他の女の子と少しでも仲良くしているだけ怒るよ」
「じゃあ、オレもお前が他の男の子と仲良くしていたら怒る」
「その子きっと、士郎が他の女の子から義理チョコでも貰ったりしてたら怒るよ」
「じゃあ、オレもお前が他の男の子にチョコ上げたりしたら怒る」
「私、他の人の事好きになるかもしれないよ?」
「じゃあ……オレも――あー、それは無理だ」
「……あんた、馬鹿でしょ。あんたみたいな馬鹿相手付き合ってくれる女の子なんてもういないよ。
 可哀想だから私が付き合ってあげる」馬鹿すぎて涙がとまらない。
「……ありがと」
757名無しさん@ピンキー:2006/03/14(火) 19:32:21 ID:uVJ4ZeOb

「徹夜明けだから、さすがに今日は学校休む。テストもう直ぐだからノートとかよろしく」
 それだけ言って帰ろうと歩いていく士郎はまっすぐ歩いていない。まるで酔っ払ったみたいに体が大きく揺れている。
 ――あ、転んだ。

「あんた正真正銘の馬鹿でしょ、一晩中家の前で待って風邪ひくなんて」
「かもしれない」
 何度目か分らない言葉を再びかける。
 今士郎は私のベッドで横になっている。
 忘れかけていた雰囲気だ。ちょっと前の私達二人にあった空気。でも決定的に違うことが一つある、私達が恋人だってこと。
「おまえ学校はいいのか?」
 確かに時計を見ればそろそろ時間だ。
「今日はずっと士郎を看病していて上げる。
 私一人学校に行ったらどうなると思う? 私、皆に士郎に散々弄ばれた挙句――」
「わかったって」少し困った顔しながらも笑って返事していた。
 ――明日学校に行ったら皆に言おう。私達付き合ってますって。
 恋人だから、ずっと一緒にいたいから。
「おかゆ作ってきてあげようか? ふーふーしながら食べさせてあげる」
「いいって」
「子守唄うたってあげようか?」
「お前恥ずかしい台詞連発しすぎだぞ。風邪で寒気しているのか、恥ずかしくて寒気しているのかわかんなくなってきたぞ」
 自分だってついさっき一緒になって人に聞かせられないような台詞連発していたくせに。
 覚悟しなさい。これから毎日恥ずかしくなる台詞きかせてあげるから。
「だってもう好きって気持ち隠さなくていいもん。ずっと一緒だもん」
 今はそっと手を握っているだけ。それなのに好きって気持ちが奥からいくらでも湧き出てくる。士郎が私を好きでいてくれる。ずっと望んでいたこと。

「そういえばミカと別れる際に、電話はまたする、ホワイトデーのお返しはちゃんとするって言っちゃったけど、嫉妬深くて独占欲の強い可愛い子は許してくれるかな?」
「許す――でも、いつも私が電話しているから私以外に電話は出来ない。
 それから私のホワイトデーのお返しは――」
「お返しは?」
「ロングマフラー。二人一緒に巻ける位長いの」
 それを一緒に巻いて歩くんだ、誰から見ても恋人同士だってわかるように。
「恥ずかしいな、それ……」

 携帯が鳴る。私のじゃない士郎のだ。
「ちがう。それも違うって。あーうん、わかった。今日はちゃんとと帰るから」
 ――誰からだろう。
「誰から?」
「はは、姉ちゃんから……告白しにいってそのまま彼女の家なんか泊まるなだってさ。それから後でちゃんと紹介しろってさ」
「うん、今度行くから」
「かなりだるくなってきたから、病院開く時間になったら起こしてくれ」
 士郎は目を閉じた。しばらくして規則正しい呼吸音だけが聞こえてきた。
 キスしてもいいよね――恋人だから。
 寝息を立てている士郎の顔の上に移動して、そっと唇を重ねる。
「風邪うつるぞ?」うっすらと士郎は目を開けていた。
 ――起きてた。
 顔に全身の血液が回っていた。
758名無しさん@ピンキー
        *        *        *

 二月十四日。
「あ、神崎先輩」
 後輩の子に呼び止められた――が、マフラーの共有者はおかまいなしに歩いていこうとするため首がグイグイ引っ張られていく。
「悪い、またあとでな」
 それだけ言って後輩とは別れた。
「士郎、あの子と最近よく話してる」
「中学の時同じ部活だっただけだって」
 人の言い訳を無視してグイグイと智子は前へと進む、
 このロングマフラーは犬の散歩時の紐の役目を果たしているのかもしれない。最近そう思うようになってきていた。
 どっちが飼い主でどっちが犬かは――やめよう、そういうの考えるのを。
「ほら、義理だ」教室つくと田中がそういってチョコを投げてきた。
 それを受け取ろうとした瞬間に智子に綺麗にカットされた。
「ミカには前もってい言ってたけど、士郎は私だけので十分だからね」没収されたチョコをしまいながら智子はオレに同意を求めてきていた。
「でもホワイトデーに三倍返しよろしくね」田中はケラケラと笑っている。こいつわかっててやってるな。
「ああ、そのことなんだけど――」今朝見た姉の意味深な笑顔を思い出しながら答える。
「なに?」
「義理なら今朝姉ちゃんから貰ったんだけど」
「――帰りにちゃんと没収しにいくから」声が少し低くなっていた。
 ――姉ちゃん、きっとわかっててハート型なんて送りやがったな。