懐かしYAWARAのエロパロ 3

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1女子柔道部マネージャー


1 名前: 男子柔道部員代理 [age] 投稿日: 02/12/04 12:54 ID:lmnAoURf
懐かしYAWARAのエロパロ 第3弾です


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懐かしYAWARAのエロパロ
http://www2.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1020005505/l50
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懐かしYAWARAのエロパロ 2
http://www2.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1038791719/l50
広告のせいで短命。7レスしかなかった(泣)

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懐かしYAWARAのエロパロ 2 .1
http://pie.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1038974096/l50

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縮刷版
http://www2.gol.com/users/kyr01354/yawara/index.html
2名無しさん@ピンキー:04/06/19 03:27 ID:SfTXwQVu
おつ
3名無しさん@ピンキー:04/06/19 07:27 ID:foHKsLel
1さん
4名無しさん@ピンキー:04/06/19 09:29 ID:zTVIzal9
あたしもずっと好きだった・・・
5名無しさん@ピンキー:04/06/19 12:07 ID:1NeNFrcs

6江戸家化け猫:04/06/19 12:09 ID:1NeNFrcs
この前の続き初めてもいいかな・・・・・
7名無しさん@ピンキー:04/06/19 20:25 ID:M62IlkCN
>江戸家化け猫タソ
期待sage
8「某バニラ娘とその彼氏」の投稿者:04/06/19 20:31 ID:LISLUORQ
>1
 スレ立て、お疲れ様です。

>6

 ぜひともお願いします。
 松っちゃんよ、女の歓びを、教えてやってくれ。

K:で、アンタは?
投:………(ぎく)
K:どうなの?「還るべき処」の進行は?
投:緊急脱出!(射出座席で飛びあがる!!)
Y:あっ! 逃げた!
S:こんな事もあろうかと…(スチャッ! と、どこからともなく取り出した
対空ミサイルを肩に構える)
Y:そんなものどこから取り出したんだ〜っ!?
S:ポケットです、発射っ♪(ポチっとな)

 あぼーん!!

(残骸の中から)え、鋭意執筆中です、どうかご勘弁を・・・(がくっ)
9名無しさん@ピンキー:04/06/19 20:59 ID:Zdc0r+Wm
>>8
「還るべき処」を読んでみたくてぐぐったら某「E○A」の作品が出たんですが
この作品の事ですか?
いーえ、違います!
…題名変更だぁ!!
11江戸家化け猫:04/06/19 23:42 ID:Cj41YhV7
エー、おだてともっこに乗るのが好きな江戸家化け猫でございます。

おじゃまにもならないようですのでポチポチ続きに入りたいと思います。
とは言いますものの、スレも新しくなりましたし、私自身のひねくれた好みにより
私以外の人にはストライクゾーンにはいるかどうかわからない、というよりも
投げた当人にもどうなるかわからないナックルボールのような話になるかと思いますので
せめて前回から引き続く前提だけもう一度確認させていただきたいと思います。
もっとも今後の展開には何の関係もないかもしれません。

@ 原作終了後から概ね12年後(要は今年)、ただし話の都合私の勘違い等により1〜3年(年齢含む)の誤差あり
A 松田と柔は婚約している(たぶんアメリカ出張中に)が、未だ結婚していない
B ただしする事(わかりますね)は、オリンピックの年に1回ぐらいしかしていない
C 松田は、酔っぱらった柔によけいなちょっかいを出して両腕骨折で入院中
なお合理的に妄想を追求する上で
D 猪熊家の他の人から考えると柔は純粋な日本人体型である。
お願い事として
E 富士子さんは文庫本の表紙程度のきれいさである。
まあ、私の思いこみなんですけどね・・・・・・


 
12江戸家化け猫:04/06/19 23:48 ID:Cj41YhV7
>> 「某バニラ娘とその彼氏」の投稿者 様
>  松っちゃんよ、女の歓びを、教えてやってくれ
たとえお天道様が許してもこの化け猫が許せない!
女の悦びなんて・・・(考えすぎ?)

あ、ポチポチ始めますね。なんせ取り留めのない性格してるものですから、まとまりがつかなくって・・・・
13江戸家化け猫:04/06/19 23:58 ID:Cj41YhV7
☆☆12年後Part2☆☆

 5月下旬の土曜日、柔はせんべいをかじりながら昨日電気屋が設置したばかりのテレビを眺めていた。
「ふーん、これが稲妻テレビって言うの。きれいに映るもんね。」
家政科出身の柔の頭の中では稲妻とプラズマの区別が付いていない。
”しかし最近やけに電気製品が新しくなるわねえ。食器洗い機は本当に助かるわ。でもいったい、お金どうなっているのかしら。”
自分自身の収入については考えが及ばない柔であった。CM業界でも、結構な人気がある。
が、自分のことは完全にアマチュアの柔道選手と思っている柔にはギャランティーについての興味はなかった。
一応いくらかの謝礼は出ているらしい。滋悟郎と玉緒が結婚式のためにちゃんとあなたの名前で貯金しておくから
と言っているが実体はよくわからない。”まあ、どうせたいした額じゃないし、鶴亀トラベルの給料だけでも十分生活
していけるから良いわ。”と割り切っていた。ちなみに、滋悟郎の名刺の肩書きに、”猪熊芸能エージェンシー代表取締役社長”が
加わっていたことは言うまでもない。付言すれば副社長が玉緒になっているということも柔には知るすべもない。
高額納税者番付で柔の収入が明らかになったとき、猪熊家の乱といわれる大げんかが起きるのだが
それは1年後のことである。
14名無しさん@ピンキー:04/06/20 00:04 ID:8DphE8v8
☆☆12年後Part2☆☆

「柔おばちゃーん。今日練習しないの?」すらっとした少女が居間に駆け込んでくる。
「お・ね・え・さ・ん!」柔の目がつり上がる。
「はいはい、おねえさん」
花園薫、富士子夫妻の一人娘富薫子である。週に2,3日滋悟郎の道場に練習に来ている。

今をさかのぼること10年前、花園夫妻と柔は道場に集められていた。
”柔の道は1日にしてならずじゃ”の額が押しつけがましい。
「集まってもらったのは他でもない。ふくちゃんをわしに預けんか?」
滋悟郎が花園に切り出す。
「保育園には困っておりませんが?」
花園が不思議そうな顔で聞き返す。
「そうではない!柔道をやらせんかと言っておるんじゃ」
「どうして、そうやって人を巻き込むの!」柔が抗議する。
滋悟郎は急に咳き込み始めたかと思うとぶつぶつ言い始めた。
「わしももう年老いた。げほげほ」
柔は冷たい視線を投げかける。だいたい滋悟郎が仮病を使うときはろくな事がない。
「大丈夫ですか、先生!」
が、真に受けた花園が滋悟郎の背をさする。
15江戸家化け猫:04/06/20 00:11 ID:8DphE8v8
☆☆12年後Part2☆☆
「かね子と築きあげてきた猪熊流柔道を伝えていかなければならんのだが、この不良娘と来たら
どこぞの文屋と遊んでいるばっかで身を固めようともせん。」
”もうすぐかためるもん” と柔は思った。が、その後10年独身を守ることになるとは神ならぬ身知るよしもなかった。
「ルーテーズでもヘイスタックカルホーンでも亭主にして頑丈な子をばんばん作ってもらう気でおったのだが・・・」
「何で私が人間空母と結婚しなきゃいけないのよ!」
滋伍郎の言った古くさいプロレスラーの名前に反応する。力道山をあがめ奉る松田に仕込まれてプロレスに
関する知識はちょっとしたマニア並みと言える。ただし力道山時代のみに偏っているのだが。
「だいたい外人さんの子をばんばん作ろうとしたら壊れちゃうわ!」
松田との数少ない体験を思い出し余計なことを口走る。
「壊れる?」滋悟郎と、花園夫妻が顔を見合わせる。柔は、恥ずかしさで顔に血が上る。
「そんなことどうでも良いのよ。だいたいフクちゃんが柔道にむいてるかどうかなんて、まだわからないじゃないの。」
「なーにを言うか。数度にわたりオリンピック代表候補となる父を持ち、たった4年間の練習で五輪のメダルを取る母を
もっているフクちゃんが天分を持っていないわけは無かろう。おしめを替える時の逃げ足の早さはただ者ではなかった。」
確かに柔も富薫子のおしめ交換には苦労させられた。しかしそれとこれとは話が・・・
16江戸家化け猫:04/06/20 00:15 ID:8DphE8v8
☆☆12年後Part2☆☆
「一点をのぞいておまえなんぞよりよっぽど”さらぶれっと”じゃ」
滋悟郎は腕組みをして言い放つ。
「一点て何よ。」
「おじいちゃんがわしでないことじゃ。」
”それだけが救いの間違いじゃないの”抗議の口を開こうとした時、花園が滋伍郎ににじり寄って手を取った。
「不祥花園薫。富薫子を一流の柔道家にするために一身投げ打つ覚悟を決めました!」
神と信奉している滋伍郎から自分の娘が柔に匹敵すると評されたのだ。感激のあまり滂沱と涙を流している。
 ”話にならないわ” とさじを投げた。
「富士子さん、いいの?」
柔は助けを富士子に求める。が、富士子もにこにこしているだけで不満げな様子はない。
「だって猪熊さんと柔道できるんでしょ。きっとこの子のためになるもの。」
こうなっては柔に抗するすべはない。
「将来ふくちゃんに恨まれたって知らないから。」
愚痴をこぼすしかなかった。滋伍郎が柔にだけに見えるように舌を出した。

それから10年、富薫子も中学2年生になった。身長190cm近い花園と175cmの富士子の間に生まれた
子供だけあって、身長の伸びは柔があっけにとられるほどであった。小学校4年生で柔を追い抜き、今は170cmを越えている。
中学校ではすぐさまバレーボール部にスカウトされベンチ入りは固いと自分では言っている。
物心ついたころから滋伍郎に鍛えられた富薫子にとって、バレーボールの技術はさておき、中学校のクラブなど
片手間のような物にすぎない。幸か不幸かあまりクラブ活動に熱心な学校でなかったため、柔道の練習に支障が
出ることはなかった。赤ん坊の時、周囲を心配させた容姿も、幸い花園に似ず、十人並みになっている。
「これなら、園遊会に招かれてもちゃんと見栄えがするじゃろーて。あの類人猿に似たらどうしようと思ったわい。」
滋悟郎の頭の中ではすでに国民栄誉賞を取っている。
>富薫子

まあ、その、何だ。
「一等賞になれない」事だけは遺伝してないよう心から祈るのだが…
ちょっと無理っぽいかなぁ…。
18江戸家化け猫:04/06/20 21:04 ID:BfnKL75m
>17
まあ、富士子だって世界一の花園をゲットしたことだし。
どこが世界一ってのはおいといて・・・・
フクちゃんはホームドラマのステレオタイプな現代っ子として動いてもらおうと思っています。

Part2のコンセプトはエッチシーンを減らした”時間ですよ!”  
あ、お客さんがまた減ったかな。

いやあ、でも良かった。書き込みがあって。さすがにわがままな私でも十も二十も
連張りにするのはつらいもんで・・・
19江戸家化け猫:04/06/20 21:12 ID:BfnKL75m
☆☆12年後Part2☆☆
 富薫子は部屋に駆け込んでくるなり、座りながら柔の前の皿からせんべいを取り上げる。柔がはっしと手をたたいた。
「女の子がそんな行儀の悪い事するんじゃありません!」
おしめを替えるころから見ていたせいか富薫子と話す時は保護者の口調になる。富薫子の方は、保護者というより
気のいい姉貴分と思っているようだ。
「いいじゃない別に。」口をとがらす。
「私が中学生のころはそんなことはしなかったわよ。あれはちょうどフォークランド紛争が火蓋を切られようかという頃・・・」
「可憐な柔お・ね・え・さ・んの姿に感動した”官崎隼夫”が『風の谷の噺家』というアニメを書いて大ヒットしたんでしょう。
もう10回以上聞いたわ。」「・・・・・・・・・・・・・」
富薫子の鋭いつっこみに思わず押し黙る。そんな事実があったかどうかはとりあえずここでは関係のないことだ。
「本当におじいちゃんによく似てきたこと。」
独り言を言いながら、となりの部屋で玉緒は旅行鞄をひょいと持ち上げ部屋を出る。旅慣れているせいか荷物は少ない。
廊下からふすまを開け、柔に声をかける。
「またちょっと出かけてくるから・・・」
「ちょっとって今度はどこに?」柔は聞き返した。
20名無しさん@ピンキー:04/06/20 21:15 ID:miQKhZGl
リアルタイムできたー
21江戸家化け猫:04/06/20 21:23 ID:BfnKL75m
☆☆12年後Part2☆☆

「イギリスのボーリー牧師館で幽霊に袈裟固めしてるお父さんを見たって人がいるのよ。」
玉緒が説明する。ボーリー牧師館とは世界でもっとも有名といわれている幽霊屋敷である。
「だってお父さんフランスじゃないの?」失踪したという話は聞いていない。
「でも、見たって人がいるからね、行ってみないと。」
「だいたい幽霊に袈裟固めなんて話ができすぎよ!」柔が不審感を表した。
「やっぱりわかる?」あっさり認める玉緒。
「その前が雪男に巴投げ、で、その前がチュパカプラに腕がため、ヒバゴン、ネッシー、
クッシー、かっぱ。まったく、うちのお父さんは地球防衛軍なの!」
ずっと虎滋郎を捜して旅をしている間に世界7不思議巡りが趣味になったらしい。玉緒のおみやげ物だけで
ムーの特集号が作れるだろう。柔が旅行会社に勤めているおかげで格安旅行ができることを心から喜んでいる。
「まあいいじゃない。おじいちゃんの面倒頼んだわよ。」
いかにもうきうきという形容詞がつくような後ろ姿で出ていった。
「行っちゃったね。」
富薫子があっけにとられたように言う。
22江戸家化け猫:04/06/20 21:39 ID:BfnKL75m
☆☆12年後Part2☆☆

「で、今日は練習しないの?」富薫子が尋ねる。
「今日、子川さんが何とかってプロレスに出るんだって。それ見たいの。」
子川とは同じ柔道選手として2度オリンピックに一緒に行っている。歳も近いので気になるのだ。
「それってプロレスじゃなくて総合格闘技って言うのよ。」
富薫子が訂正する。柔は首をひねる。
「ふーん、で、プロレスとどう違うの?」
「よくわかんない・・・・」富薫子もそう詳しいわけではなかった。
やがて、子川の試合が始まった。
柔道の試合を見ているときのように、テレビに向かってアドバイスが思わず口をつく。
「あ、今なら投げられる。」「手首を返さないと逃げられちゃう。」
「うら投げねらってる!」「次に腕ひしぎに入れば試合が決まる!」
次々とあたる柔の予言に富薫子が目を丸くする。
「すごーい、あの人に柔さん勝てるんじゃないの?出てみない?」
富薫子は半分本気だ。
「死んじゃうわよ、冗談じゃないわ!」
「でも何で次の動きがわかるの?」やはり富薫子も柔道をしているだけに興味はあるらしい。
「永年の感かしら」小首をかしげる。
「つまり年の甲・・・」
言い終わる前に富薫子の顔めがけて新聞が飛んでいった。柔の前で歳の話は禁句だった。
23名無しさん@ピンキー:04/06/20 21:53 ID:J5N8KcOo
玉緒の旅行の費用は柔のCMのギャラを使ってるのですか?
猪熊家の乱が楽しみだw
24駄文浪人:04/06/21 20:05 ID:sSY9wLCw
(=゚ω゚)ノいよぅ お久しぶりです。台風凄かった・・・。(;´Д`)
>>1さん、スレ立て乙です。( ̄− ̄)ゞ
また、江戸家化け猫さんが続編書いてますね。面白そう。
最近夏風邪気味なので、メモ帳にゆっくり執筆(そんな大層なもんでもない
ですが)しつつ、化け猫さんがひと段落したらまたアップします。
25名無しさん@ピンキー:04/06/21 22:49 ID:HdH/fv/N
>駄文浪人さん
気長にお待ちしております。
台風凄かったんだ。
俺んちは12時ごろ雨が30分くらい凄かったけど
そのあと風も吹いたけど全体的には拍子抜けですた。
夕方すんげー虹がきれいだったよ。
26江戸家化け猫:04/06/21 23:18 ID:+R+tkBYc
えー、言い訳とご託の多い江戸家化け猫でございます。
>23
実に鋭い。私の中でもよくわからない部分です。柔の稼ぎをおそらく使い込んでるとは思うんですが、
滋悟郎を手玉に取る玉緒さんですからねえ、鶴亀トラベルの社長ぐらいだまくらかしてただで
旅行してる気もするんですけどね。きっとあの社長さん玉緒さんにめろめろになってると思いますよ。
亭主とずっと別居している人妻、しかも柔にそっくり・・・・・まあ、この先何の影響もないとは思いますが・・・・
>24
方向性はずれてしまったかもしれませんが、私の妄想の重要な土台と思ってますのではやく読みたい。
27江戸家化け猫:04/06/21 23:57 ID:+R+tkBYc
☆☆12年後Part2☆☆

柔の予想どおり子川が関節技を決め、試合は終了した。子川は最近すっかり流行となったハッスルポーズを行い
勝利をアピールする。
「あれどういう意味があるのかしら。」富薫子は小首を傾げる。
「さあ。」判っていても、子供相手に説明できずしらないふりをする。
「知ってるくせに。」富薫子がにまっと笑って柔の脇腹をつついた。
「こら!子供が生意気なこと言うんじゃないの!」からかわれたことに気付いた柔は富薫子を捕まえようとする。
「ごめんなさい!」
トムとジェリーを彷彿とさせる鬼ごっこが始まった。ただ違うのは、追いかけられる方が追いかける方より
遙かに大きいと言うことぐらい。
”まったく近頃の子は耳年増なんだから。”  ひとしきり追いかけ回すと柔は思う。
富薫子が柔の機嫌が直ったのを見計らってすり寄ってくる
「ねえ、柔お姉さま。」
「なによ?」柔は警戒する。”おじいちゃんと一緒で下手で出てくる時はろくな話じゃないんだから”
「今日から始まったあの映画見に行こう。」
「だってあの映画15歳未満だめなんじゃないの?」
「だから保護者できてほしいの。お母さんやお父さんとはいけないじゃない?」
謹厳実直を絵に描いたような花園にすっかり教育ママとなった富士子相手では確かに頼めなさそうだ。
「しょうがないわね。」
「じゃあすぐ行こう!」富薫子が手を引っ張って外に行こうとする。
「ちょっと待ちなさい、お化粧もしてないし着替えも・・・・」柔があわてる。
「もう始まっちゃうの!鬼ごっこしてたせいで遅くなっちゃったんだから!お化粧なんかしなくても十分きれいよ。」
28江戸家化け猫:04/06/22 00:05 ID:FoEJJh5L
☆☆12年後Part2☆☆

4時間後、二人は松田の病室にいた。
「でね、松田さん、R−15の映画だからわざわざ保護者としてきてもらったのにね、私じゃなくて、
柔さんが止められちゃったのよ。」富薫子が身振り手振りを加えながら松田に話しかけている。
柔はまんざらでもないのかにこにこ笑って話を聞いている。確かに化粧もせず地味な格好をしていると
とても30を越えているようには見えない。
「でもいくら何でも15・・・・・」思わず松田は口が滑る。
「いくら何でも?」にこやかな笑顔のまま柔がプレッシャーをかける。
「いや、あの、柔さん若く見えるから。」あわてて言い直す。
「見える?」にこやかな笑顔のまま、声のトーンが少し落ちる。
「ごほごほ・・・」 ”しまった、フォローの仕方間違えた。” とっさに咳き込んで誤魔化そうとする。
「ふーん、そう。で怪我の具合はどう?まだ痛いですか?」
やはり自分が負わせた怪我だけに気にかかる。
「大丈夫。だけどめしがまずくって・・・」
「今度なにか作ってもってきます。」
松田はふと思う。 ”これだけつきあっているのにまだですます調で話すときがあるんだよなあ。”
29名無しさん@ピンキー:04/06/22 06:25 ID:ripeO4zB
おっ!松田登場。
やっぱ個人的には松田出てきてなんぼなもんで。
なんか面白くなってきた。
30江戸家化け猫:04/06/22 22:10 ID:FoEJJh5L
☆☆12年後Part2☆☆

松田の枕元にふと目をやると色紙の山が築かれている。
「どうしたの、その色紙」
柔が訊ねる。松田は言いにくそうに答える。
「この間の騒ぎでね、柔さんが来てるのが看護婦さんたちにばれちゃったんだ。でサインがほしいって・・・」
「名前書けば良いんでしょ。でも苦手なんだけどな。」
テレビで顔が知られている割にサインを求められることはほとんど無い。柔道着を着ていないと、
単なる小柄な女性にしか見えないからだろう。
渋々色紙に向かいきっちりと楷書で名前を書く。が、なれない人間にとって色紙のような真四角の紙に
大きな字を書くのは意外に難しい。元々それほど字がうまいわけでもない。
「これ・・ほんとに配る?」
できあがった色紙を見ながらおずおずと松田に尋ねる。
「うーん」
松田も口ごもる。
「なんか柔道選手らしい言葉でも付け足したら味わいが出るんじゃないかな?」
できが悪いと言っているに等しい。
「たとえば?」
「ほら村田英雄の歌があったじゃないか。えーと、”吹けば飛ぶような・・・・”」
「それは王将でしょ」
「月がわびしい・・・・」
「それは南春夫。まじめに考えてよ。さんざんあたしの記事書いてきたんでしょ。たまには、
あたしのためになんか書いてくれたっていいじゃない!」
松田に筋が通っているような、いないような八つ当たりをする。
31江戸家化け猫:04/06/22 22:16 ID:FoEJJh5L
☆☆12年後Part2☆☆

自分の判らない懐メロの話でもめている2人に富薫子はすっかり退屈していた。
”柔道に関係のある言葉か。”
少しゆがんだ柔の名前の横にさらさらと書き込む。『柔の道は一日にしてならずじゃ。』横に小さく
フクと付け足す。この色紙が新旧柔道女王のサインとして好事家の間で高値を呼ぶのは10年以上後のことである。
「フクちゃん上手!」柔が手放しでほめる。
「書道2段!」富薫子が2人にVサイン。意外な特技に松田と柔は感心する。教育ママ富士子のおかげだ。
とはいうものの本当は書道2段を取るのはそれほど難しいことではない。
「フクちゃん・・あのね。」今度は、柔がすり寄る。
「だーめ。あたしが書いても意味無いじゃない。」
極めて正論で中学生に諭される。柔はあきらめて渋々書き始めた。
「柔の道は一日にしてならず・・・」
で筆が止まる。じゃ、と付けるのは抵抗があるらしい。しばらく悩んだ末、『です』と付け足した。
「無理して付けなくたっていいんじゃないの?」
「味わいが無いじゃない。」
発想は滋伍郎とそんなに変わらない。30分ほどかけて何とか色紙を仕上げる。
「でも、柔さんて人気あったのね。」物心ついたころから接している富薫子にはありがたみがない。
「見直した?」無い胸を張る柔。
「でも、もうじきオリンピックなんだからサインの練習した方がいいんじゃない?」
柔はもう一度色紙を見て落ち込んだ。
蛍の光の放送が始まる。面会時間終了の時間だ。
「また来週くるからね。」富薫子が手を振った。柔は思う。”本当は二人で会いたかったんだけど・・・・・・。”
32名無しさん@ピンキー:04/06/23 01:19 ID:TkhOJlRU
33名無しさん@ピンキー:04/06/23 01:48 ID:A6s07cS4
フクちゃんは可愛いのかなあ。そこらへんで萌え度が変わってくるんだが
34江戸家化け猫:04/06/23 06:05 ID:IKS4RpV0
>33
11,16を根拠に、きれいとまでは行かなくても標準以上は確保しているものと
考えていただきたいなと。誰でも良いですから小生意気そうな好みのおねーさんの顔を
イメージしていただければ・・・・
>新旧柔道女王
 おお、一等賞になったか!!

>フクちゃんの容姿

 基本的にはお母さん似、ただし唇はちょっと厚めというところでしょうか
…。

>柔

 貧乳、寸胴、年増か…、これで偽善者と来ればどっかの鬼女うわはな
せやめろなにをすr……
(ざしゅっ!! ばきっ!! ぐきっ!! げしっ!!)

Y:口は災いの元…。
K:あたしには、投稿者なんていう知り合いはいないわ。
36名無しさん@ピンキー:04/06/23 21:42 ID:gjn20hAH
化け猫さんは、柔とかのキャラを
変えているけど、実は分かってやってる
コアなYAWARAファンと見た
37名無しさん@ピンキー:04/06/23 22:06 ID:LtovPitx
>>36
同意
YAWARAを知り尽くしてるとみた
38江戸家化け猫:04/06/23 22:48 ID:IKS4RpV0
えー、演芸番組をこよなく愛する江戸家化け猫でございます。
私、空想科学読本のシリーズが結構好きでありまして、妄想にも合理性を追求したいという
ポリシーがございます。柔のキャラクターを考える上で誰と接している時を主体に考えるか
という問題を考えたのです。虎滋郎・玉緒はデータが少なすぎる。富士子はじめとして
柔道部関係者(男子含む)では保護者としての色合いが濃すぎる。風祭、松田となると
好きな相手に本性を見せるとは考えがたい。さやかさんとは接点がありそうでない。
そうです、滋悟郎と接しているときの柔こそが本来の姿なのです。そこに保護者色
(母性本能といっても良いかもしれません、何せ玉緒さんの娘ですから)を加えたものが
彼女の行動パターンとなるはずだ、と考えました。これが”実はわかってやっている”か
どうかは怪しいですがそれほど無茶はしてないつもりなんですよね。

”貧乳、寸胴、年増”・・・・・。合理的にはこうなるはずだと思うんですよ。絶対・・・・
でも、こう改めて3つそろえて突きつけられると科学万能主義は行き過ぎだったかと
思わないでもないですね。

え?よけいな説明が多い?荒れるもとだ?わかっちゃいるんですよ。
でも、人間手不安な時って口数が多くなるじゃないですか・・・・ねえ?
荒らす柄の悪いお客さんもいないようですし。もっとも柄の悪くないお客さんも
どれだけいるのやら見当もつきませんが・・・・・・
>江戸家化け猫様。

 いや。あなたは正しい。

 猪熊柔の、「普通の女の子」という「縛り」を解いたのが、松田耕作です。
 そして彼女は、松田耕作に最高の記事を書いて貰う為に努力を重ねる
のは確実でしょう。ボディラインを崩す事には抵抗はあるでしょうが、人
生そのものを救ってくれた相手への愛情以上のものではない、優先度が
違います。
 
 ただ、まあ、その、何ですな。バストサイズと歳を過剰に気にする
女性を見ると茶化したくなるようでして…ん?

K:で? 江戸家化け猫さんを傷つけたわけね?
S:そんな事する人大っ嫌いです。
Y:覚悟はいいな? 舞、頼むっ!
投:ちょ、ちょっと待って俺は胸は別にサイズではなく誰の胸かに興味があr…

どしゅっ!!

M:……任務完了。
40名無しさん@ピンキー:04/06/23 23:19 ID:LtovPitx
>江戸家化け猫 さん
別に不安がる必要ないと思うよ
少なくとも俺は普通に読んでて面白いし、普通に続きが読みたいと思ってる
お世辞とかじゃなくてね

ただ、2ちゃんでこういうことを続ける以上、色々突っ込まれるのは覚悟した方がいいかと。
41江戸家化け猫:04/06/23 23:21 ID:IKS4RpV0
☆☆12年後Part2☆☆

次の土曜日、いつものように2人ならんで道場で柔道着に着替え始める。柔も上衣を脱ぎ、
白いTシャツに着替える。スカートを脱いで簡単に畳むと、籠に放り込む。下着も脱ぎ小さく丸めて
スカートの隙間に隠した。道着の下をとり下着をつけないまま足を通し、ひもを結ぶ。
富薫子はその様子をまじまじと見る。
「恥ずかしいじゃない。そんなに見ないの。」軽くたしなめる。
「いつも下着つけないよね。」
「みんなあんまりはいてないのよ。Tバックの人も最近増えてるみたいだけど、あたしはははさまる感じがいやなの。」
「でも、Tシャツとブラはするんだよね。」富薫子は、少し不思議そうに訊ねる。
「だって、ぽろりとなったら困るじゃないの」いかにも当然というように柔が答える。
「つるりじゃないの?」
「つるり?」柔が怪訝そうな顔をする。
「ポロリというにはそれなりにボリュームがないとね。」富薫子が舌を出した。
柔の前で胸の話も禁句であった。道場の中で、いつもの鬼ごっこがまた始まる。自分の3分の1ぐらいの
歳の子供に大人げないこと甚だしい。ようやく追いつめ、富薫子の肩に手を伸ばした。次の瞬間、
柔は体が宙に浮くのを感じた。条件反射で富薫子が内股をうったのだ。柔は一瞬で畳にたたきつけられた。
 ”投げられちゃった。すごい切れ・・・・” 富薫子の上達を喜ぶ反面少し寂しい気持ちがよぎる。あるいは
自分のピークが過ぎていることを感じたためかもしれない。
「大丈夫?」少し考え込んでいる柔の様子を見て不安になった富薫子が声をかける。
「当然でしょ、走ってるバイクから放り出されたことだってあるのよ。この程度で怪我をするわけないでしょ。
練習始めるわよ。」気持ちを切り替えたように練習が始まった。
42江戸家化け猫:04/06/23 23:47 ID:IKS4RpV0
>39,40
あ、ご心配かけてすみません。決して中身について言われることで
めげたりすることはございませんので大丈夫です。

私の心配はお客を呼べないことと、自分の理性の維持。
今日も、提出文書に危うくこの文章が混ざるとこだった。セーフ・・・・
 おおっ、一子相伝の奥義「くるみ割り人形」!
 秘技「白鳥の湖」と併せて世界に羽ばたく日が楽しみぢゃわい!
44名無しさん@ピンキー:04/06/24 23:15 ID:54z3bYFD
今日は猫さんこないのかな?
毎日が朝の連ドラにはまったときのように楽しみ。
45江戸家化け猫:04/06/24 23:43 ID:hUtJMxn7
えーおだてにすぐ乗る江戸家化け猫でございます。
江戸家化け猫といえば本スレでは・・・・・・・・・・・私一人でございます・・・・・・・・・・・

あ、意味がわからない?これは、春風亭柳昇師匠の枕で・・・。え、いよいよわからない?
あの超人Rの校長先生も使っているギャグで・・・・・そんな古い漫画知らない?
ごもっともです。    


では、ぽちぽち・・・・・・
46江戸家化け猫:04/06/24 23:50 ID:hUtJMxn7
☆☆12年後Part2☆☆

「もう終わりにしようか。」
「助かったー。」冨薫子がほっとしたように声を上げる。練習は滋悟郎とするときよりも柔とする方が
遙かにきつい。新入部員数十人を1日で退部に追い込んでしまった実績のある柔。冨薫子に
要求することも厳しい。おじいちゃんの方が楽でいいんだけどな。と冨薫子は薄々思っている。
滋悟郎も冨薫子には少し甘いようだ。時々おこずかいを巻き上げられているらしい。
二人は道場に一礼すると新しく建てられたジャグジーに向かう。たまにはおじいちゃんも
いいことするじゃない。柔は思う。が、それが自分の稼いだ金で作られたものであることをまだ知らない。
柔道着を脱ぎ体脂肪率計のついた体重計にあがる。富薫子が柔の背中やおなかをつまむ。
「そんなさわんないの。計れないじゃない。」
富薫子は少し寂しげな表情を浮かべる。
「いいな。本当に無駄なあぶらが付いてないのね。」
柔は体重計を確認しながら答える。
「好きでしてるんじゃないわ。48kgを維持するの大変なんだから。」
”必要な脂肪だって落ちちゃうし・・・”心の中で付け加える。
体重計を確認した柔の表情が曇る。”ここからがきついのよね。”
その様子を見た富薫子がメーターをのぞき込もうとする。
「何kgあった?」
「47.5」
「ふーん。」冨薫子は、腹に一物ありげな生返事をする。
「さっさとお風呂に入りなさい。」
47江戸家化け猫:04/06/24 23:54 ID:hUtJMxn7
☆☆12年後Part2☆☆

富薫子は柔にうらやましいと言っていたが、むしろ柔の方が羨望のまなざしで眺めている。
まだ減量の必要の無い富薫子は鍛えているとはいえ、やはり柔より丸みの帯びた体型になる。
胸もすでに柔より大きい。といってもBカップだから人並みなのだが。純粋な日本人体型の
柔には、モデル並に長い手足はうらやましくてしかたがない。松田にこぼしたこともある。
 ”ふくちゃんのお尻、私のおへそより上にあるの・・・・”

「お風呂上がったら。松田さん所へ持っていくお料理作るの手伝って。」
富薫子に声をかける。
「お風呂上がりに料理と言うことはやっぱり裸にエプロンよね?」
富薫子が混ぜ返す。柔は、一瞬自分がエプロンだけをした姿を想像する。その横によだれを
垂らした松田の顔が浮かぶ。柔は、あわててそのイメージを振り払った。
「なに中年のおじさんみたいなこと言ってるの。」
冨薫子は小声でつぶやく。
「きっと松田さん好きだと思うんだけどな。」
48名無しさん@ピンキー:04/06/25 06:01 ID:N4HEQiDX
>江戸屋化け猫様
>私の心配はお客を呼べないことと、自分の理性の維持。

理性の維持はともかくとしてそんな心配は無用だと思いますよ。
現に投稿のない砂漠時代に比べたら明らかにレスが多く
活気付いていると思います。
ご負担にならない程度に続き楽しみにしています。
49江戸家化け猫:04/06/25 22:28 ID:RGwFE6ms
えー、青木さやかよりだいたひかるの方がおもしろいと思っている江戸家化け猫でございます。

すっかりこのスレを私物化してしまったようで少々気が引ける今日この頃でございます。

そろそろストレートを放れるピッチャーが現れないもんだろうかと思いつつ、
今日もナックルボールを投げ続けたいと思います。単なる暴投だったりして・・・・・・・
50江戸家化け猫:04/06/25 22:32 ID:RGwFE6ms
☆☆12年後Part2☆☆

二人はエプロンをつけ(当然、服の上から)、決して広いとは言い難い台所で料理を始める。
「エビフライ作るからそのエビに衣をつけて」
柔道の練習前から準備していたのだろう、解凍の終わった海老を指さす。家では台所に
入ろうともしない富薫子だが猪熊家では玉緒や柔と料理を楽しんでいる。富薫子は卵を
かき混ぜるとエビにまぶそうとする。
「だめよ、ちゃんと海老の背わたとらないと。体に悪いんだから。」
「へー、そういうもんなの?」
富薫子は感心する。
「それから、エビは反対にそらせて筋切っとかないと揚げたとき曲がっちゃうからね。」
「へーーー。」
テーブルのはしをパシパシ叩く。
「家政科出身よ。」
小鼻をうごめかす。
「ねえ、もうちょっとおしゃれなものは作らない?」
料理を覚えたい富薫子が注文を出す。
「そんなもん作ったってあの人わからないもの。あの人にかかったら、ラピオリが餃子、
ビーフストロガノフがストロング金剛よ。」
「・・そうなの・・・」
51江戸家化け猫:04/06/25 22:35 ID:RGwFE6ms
☆☆12年後Part2☆☆

その夕方。
「冷えちゃったけど」といいながら病室のサイドテーブルにランチボックスを並べた。
松田の目には殺風景な病室に花が咲いた様に見える。うさぎ型にカットしたリンゴが
目にまぶしい。左右の耳の長さが違うのは、富薫子の苦闘の後だ。それも愛嬌というもの
だろう。
いまだギプスのとれない松田は、柔に口まで運んでもらう。
「まったく、新婚さんみたいに・・・」
富薫子が冷やかす。
「フィアンセだもの。うらやましい?」
柔もやり返す。が少し頬を赤い。
松田は食べることに夢中だ。
「んまい!この・・・・」
タルタルソースが松田に迷いを生じさせる。 ”これはエビフライだ・・と思う。しかし今まで
料理の名前一度も当たったこと無いぞ。でもたぶんこれはエビフライ・・・・。ただ、この
かかってるのはマヨネネーズじゃない。ここで間違えるとまた冷たい視線が待っている・・・”
「・・・エビフライ・・」
柔が付け足した。”まさかエビフライで悩むなんて・・・” さすがに柔も脱力感にさいなまれる。
松田の料理音痴を聞かされていた富薫子の肩がふるえる。と同時に入り込めない世界があるのを
感じさせられていた。
52江戸家化け猫:04/06/25 22:44 ID:RGwFE6ms
☆☆12年後Part2☆☆

「着替えたいんだけど手伝ってもらえる?」
久しぶりの柔の料理を満喫した松田が柔に頼む。
「いいわよ。フクちゃん外で待っててくれる?」
いくらつき合いの長い富薫子でも、中学生の目の前で裸にするのは問題があると思ったようだ。
「邪魔者は先に帰れば良いんでしょ」
富薫子は、むくれた振りをする。松田も柔も決して態度には出さないが、富薫子自身も
二人の邪魔をしていることに気がついている。しかし、この二人といる心地よさに甘えてしまう。
「はいはい、すねないの。」
柔はなだめるように相手をする。
「じゃあ、先にうちに帰るわ。ごゆっくり。」
富薫子は少し名残惜しそうに病室を出ていった。
「かわいそうな事したかな?」
少し気が咎めるのか柔に訊ねる。
「だいじょうぶよ、もう子供じゃないから。それともフクちゃんに裸見てもらいたかった?」
悪戯っぽく松田の頬をつつく。
「冗談じゃない。」
年甲斐もなく赤くなる。
「ついでに体を拭いてあげるわ。ちょっと待っててね。」
黄色いプラスチックの洗面器を持って15mほど先の洗面所に行く。年代物の円筒型の湯沸器が置いてある。
「身体拭くんだから少し熱めにしなきゃ。」
はねるしぶきの熱さに手を焼きながらも洗面器を満たし、病室まで運ぶ。
「もう暗くなったわね。ここ普通のカーテン付いてないの?」
といいながらレースのカーテンを閉める。
「今日洗濯するって持っていったんだけど。忘れられたかなあ。」
気にもとめない様子で松田が答える。
「あち!」少しお湯の温度を熱くしすぎたようだ。手を赤くしながらお湯に浸したタオルを絞る。
53名無しさん@ピンキー:04/06/25 22:46 ID:xNq30srP
>>45
光画部?
54名無しさん@ピンキー:04/06/25 23:10 ID:DVLBh2vh
>>53
光で作る絵、つまり写真部のこと。
55名無しさん@ピンキー:04/06/25 23:22 ID:RGwFE6ms
さんご可愛かったですね。そういえばさんごもぺったんこ・・・・・・
56名無しさん@ピンキー:04/06/25 23:34 ID:b90xb1iz
縮刷版見たいけど見れない・・・。
57名無しさん@ピンキー:04/06/26 01:48 ID:/CDsm49d
>>56
直リンだと何故かみれないですね。アドレスコピペして飛べば見れますよ。
凝縮版自体の鯖が飛んでいるのではない模様。
58江戸家化け猫:04/06/26 06:17 ID:b/aOf+Sn
前半分、縮刷版に混ぜてもらえないかな
5956:04/06/26 12:32 ID:M5PN8SxZ
>>57
ありがとう
60名無しさん@ピンキー:04/06/26 12:40 ID:GGnc9daR

>59
ギコナビ使えばなんの抵抗もなくいける。    様な気がする。
61名無しさん@ピンキー:04/06/26 14:31 ID:isDcAYQ4
age
62名無しさん@ピンキー:04/06/26 14:39 ID:dRc8POO3
↑すみません。
ギコナビでこのスレ見ようとしたらなぜかこのスレが出てこなかったので
思わず落ちたかと思いあわてて携帯でカキコして無意味に上げてしまいました。
63名無しさん@ピンキー:04/06/26 15:39 ID:a7rKwgBI
64名無しさん@ピンキー:04/06/26 16:24 ID:GGnc9daR
とうとう現れたか・・・・・ここだけは大丈夫かと思っていたのだが・・・・・・
65名無しさん@ピンキー:04/06/26 17:09 ID:M5PN8SxZ
>63
関係ない画像は・・・・・・
辞めてもらえませんかね・・・・・・
お願いします
>63

既に私はかちゅ〜しゃのログから消去……

>料理の名前覚えない松田
毎日食べればきっと覚えられる……と思う。

>富薫子の料理
料理の道も一日にしてならずぢゃ。がんばれ!
67江戸家化け猫:04/06/27 00:01 ID:5rgHtAox
えー本日蛍見物に行って来た江戸家化け猫でございます。
それでも清められることのない邪念が憎い・・・

>66
>>毎日食べればきっと覚えられる……と思う。
きっと覚えないと思いますよ。おじいちゃんも覚えてないし。ほら女の人って
結局父親と似た人とくっつくことが多いって言うじゃないですか。あの、うちの場合
滋悟郎さんが半分父親みたいなもんですし・・・・・

それはそうと63みたいなのが来たと言うことは、ここも順調に成長してきたと言うことですかね。

それではまたぼちぼち。
68江戸家化け猫:04/06/27 00:03 ID:5rgHtAox
☆☆12年後Part2☆☆

「はい立って」
松田を発たせると、手早く寝間着を脱がす。
「これ持って帰るからね。」
脱がした寝間着を丸めて紙袋に押し込んだ
うしろを向かせると背中をこする。タオルの熱さの心地よさに松田がほっとため息をつく。
タオルをもう一度絞りなおして、脇腹をこする。松田は感じやすいのか身をよじらせた。
「いて。」
腕に響いた。
「ごめんなさい。くすぐったかった?・・・次、前拭くからこっち向いて」
うでから胸、おなかとを丁寧にふきあげる。肌に僅かに残った水分が涼を感じさせる。
「パンツおろすから後ろむいてくれる?」
さすがに真っ正面から脱がすのは抵抗がある。後ろを向かせるとトランクスをそっとおろした。
「あのう、あそこふくからね。」
後ろから手を回し、松田の陰部をタオルで包むように清める。その刺激で・・・・・
「松田さん、またエッチなこと考えてるでしょう。」
それを責めるのは酷というものだろう。松田が抗議する。
「健・・・」
「・・全な男だったらこうなるって言うんでしょ。」
松田の言うことぐらい百も承知だ。
69江戸家化け猫:04/06/27 00:11 ID:5rgHtAox
☆☆12年後Part2☆☆

「・・・・あのう、柔さん・・・・」少しおもねるように切り出す。
「え?」
「その・・・・、この間みたいに。」
柔は押し黙る。
「だめだよね・・・はは、は、・・・はあ」
松田がうつろな笑いが沈黙に吸い込まれる。
柔は黙って松田の頭を抱き自分の左胸に耳を当てさせた。とっとっとっとという鼓動が
薄いワンピースを通して松田の耳に響く。
「早い・・・」 
松田は柔の顔を見る。
柔はにこっと笑みを見せていう。
「結構大変なんだから・・・」
柔は部屋のすみですっと下着だけをおろした。たとえ狭い部屋の中でも真ん中で脱ぐのは落ち着かない。
ひょっとすると、と言う気持ちがあったのだろう。レース地の愛らしいだけではない水色の下着をつけていた。 
”でもきっと気づいてくれないだろうな” と考えていた。自分の脱いだ下着を見てどきっとする。
”シミが付いてる!あたしも感じてたんだ・・・・” あわてて松田の洗濯物のすき間に隠す。
”気づいてもらうひま無かったな。せっかく可愛いの選んできたのに・・・・・・”
70名無しさん@ピンキー:04/06/27 00:13 ID:fru9hZla
(;´Д`)ハァハァ
71江戸家化け猫:04/06/27 00:23 ID:5rgHtAox
一人でいい気分になっている現状が不安だ。

すぐ投下されても挟まってもなんも他意は持たないので
書き手が増えて欲しい。 
他の人が投下しづらい雰囲気作っちゃったかな。

そういえばよそでヒョードル対柔を書きに来るって言ってた人がいたけど
早く来ないかな。


打たれ強いけど根っから気が弱い江戸家化け猫でした。
72名無しさん@ピンキー:04/06/27 08:28 ID:5kayE/B9
>猫さん
気にせずにどんどんやってもかまわないと思いますけど。
俺個人的には間に挟まるのあまり好きじゃない。
俺の以前行っていた他スレでもはじめは間に挟まって
みんな書いていたんだけど読みづらい等々の理由で
誰かが執筆中は間にははさまないというローカルルールができたくらいだし。
そう言っても職人さんが執筆を途中で放棄してしまったりすると停滞したり
いろいろ問題も出て結局一括投下というルールになったのですが、
猫さんの場合は毎日まめに書いているのでみんな我慢できていると思いますよ。
あくまで個人的見解ですが。

73名無しさん@ピンキー:04/06/27 16:05 ID:Fh3Pdb8T
>>71
思案中です。
しばらく待たれてください。
全くの素人ですがそれなりに読めるものにするべくがんがりたいです。
74江戸家化け猫:04/06/27 21:22 ID:vxiJPZRE
えー、最近カンニングが少し気に入っている江戸家化け猫でございます。

この土日の書き込みを見るに、”書き込み1件ROM100人”の法則も
あながち嘘でもないのかなあと思う今日この頃でございます。

>72
もうちょいまとめて投下間隔を開けた方が無難ですかねえ?

>73
お待ちしております。この先私の気力がつきなければひょっとしたら
部分的にかぶるかもしれませんが許してね。


では、ぼちぼち・・・・
75江戸家化け猫:04/06/27 21:25 ID:vxiJPZRE
☆☆12年後Part2☆☆

先だってと同じようにベッドに登り、腰をまたぐように膝立ちになった。松田にかかった
ワンピースの裾から手を入れ、松田のペニスを確認する。腰を少しずつ下ろしながら、
松田のペニスを導く。
”自分でするのってほんとうにはずかし・・んっ・・・”
松田と目が合う。
「松田さん、目をつぶってて。あたしだって恥ずかしいんだから・」
少しむくれたように言う。
「ごめん。」
松田は謝ると目を閉じた。が、こっそり薄目で様子をうかがう。
「松田さん!ちゃんと閉じて!。」
それに気づかない柔ではない。松田は不承不承あきらめる。
腰を下ろすにつれ、亀頭が秘所を押し破る感触が下腹部に広がる。
”また、痛いのかな・・・”
気が重い。少し力みながらも心を決めてぐっと腰を落とす。
「うっ」松田が息をもらす。少し勢いを付けすぎた。
”あ、全部入った。・・・痛・・くない・・・”柔の緊張が少しとける。
柔は松田に身体を預け、耳元でささやく。
「今日は、痛くなかった・・・」松田の顔に少し安堵の色が浮かぶ。
「気持ちいい?」
「わかんない・・・でも、なんか、いっぱい・・・」
一つになった影はずっと動かなかった。

76江戸家化け猫:04/06/27 21:35 ID:vxiJPZRE
☆☆12年後Part2☆☆

「面会時間すぎちゃった。そろそろ帰らなきゃ。えーと洗濯物は・・・・また来ます。」
松田に別れを告げると病室を出る。やはり病院は就寝時刻が早いのかすでに
廊下は常夜灯になっている。洗濯物の袋を抱えて、古い蛍光灯に照らされた階段を
下りる。もう入り口は閉まっているだろう。通用門を抜け薄暗い通路を抜けて
病院の前に出る。そこには、タクシー待ちの人のためにベンチがいくつか設置されていた。
ベンチに座っている人影がふと目に入る。
「フクちゃん!どうしたの?」
とっくに帰ったはずの富薫子だった。
「お財布忘れて来ちゃったみたい。」
日頃にない力無い声で答える。もう九時を回っている。暗くなる中一人で何時間も待たされ
不安だったに違いない。
「病室に来れば良かったのに。」
「邪魔したら悪いと思って・・・」
足元を見つめながら答える。いつにないいじらしさに思わず抱きしめる。端から見れば
柔が抱きついているように見えただろう。
「ごめんね、待たしちゃって。」
富薫子は柔の肩に顔を埋めた。
「あたし今から、松田さんの家に行くんだけど一人で帰れる?」
「一緒に行ってもいい?」
冨薫子は聞き返した。
「遅くなるわよ。」
「うん。」
少し表情に明るさが戻ってきた。
7772:04/06/27 22:37 ID:5kayE/B9
>猫さん乙です。
いや、今は毎日ここに来るのが日課になっているから
間隔空けられると余計悲しいかも。
毎日楽しく拝見しております。
78江戸家化け猫:04/06/29 00:43 ID:h4hvALGo
えー旦那と見に行ったマギー史郎(しんじでなく)にすっかり萌えている
江戸家化け猫でございます。

ご厚意に甘えてがんばっちゃおうかなと言う気持ちと読み手の待合室を見て
やってしまったかなという気持ちが戦っている今日この頃・・・・・・

とりあえず、ぼちぼち・・・・・・
79江戸家化け猫:04/06/29 00:46 ID:h4hvALGo
「松田さんてこんなとこに住んでたの?」
6畳一間の昭和の薫りを留める部屋に目が点になる。
「かれこれ20年ぐらい住んでるんじゃないかしら。アメリカ行ってた時を抜きにして」
「でも松田さん偉くなったんじゃないの?」
肩書きはあくまでもスポーツ部記者にすぎないが次長待遇になっている・・・・らしい。
柔のおかげも相当あることは否めない。収入も同世代の中ではかなり多い方だろう。
「引っ越すのがめんどくさいのよ。だいたい、あの人一人じゃ引っ越しの荷物なんかまとめられないわ。」
柔が説明する。松田がどうやってアメリカに引っ越したのかいまだになぞだ。もっともアメリカで
引っ越しの荷物を片付けたのも柔だった。それも引っ越しがすんでから何ヶ月も経った後・・・・。
当然アメリカから松田が帰ってくるときもすべて柔が取り仕切った。
「でもきれいに片付けてる。松田さん意外にこまめなのね。」
先日柔が片付けたままで松田が散らかす間もなく入院したからだ。しかし、この部屋の
惨状を見たことのない富薫子は感心する。
「あたし以外誰が片付けると思う?」
この20年間この部屋をかたづけたことのある人間は柔しかいない。
「やっぱり。」
日頃の松田のイメージと一致した。話をしながらも手は休まず、洗濯機を回す。洗濯も自分の
うちでやった方が手間はかからないだろう。しかし、いくら半ば公認の仲とは言え、家族の前で
男物のパンツを干すのは気が引ける。
「フクちゃん、ちょっと雑巾がけしてくれる?」
「人使い荒いんだから、お小遣いでも貰わなきゃ割に合わないわ。」
「松田さんに言いなさい。」
柔は取り合わない。板の間からふき始めた富薫子に柔は注意する。
「掃除はちゃんと上からやるのよ」
「いいお姑さんになれるわよ。」
富薫子がこぼす。
「これからお嫁さんに行く人間になんてこと言うの。」
脱水の終わった洗濯物を干し始めたとき、水色の布が目にはいる。”あ、さっき洗濯物の間に隠したままだ。” 
冷たい物が背を走る。富薫子が唐突に柔に声をかける。
「ねえ、松田さんこんなの隠してたよ。」
 さあ、何を隠していたかで松田の運命が決まるっ!(わくわく)

 いつものエロ本→笑って許す。
 使ったコンドームのパッケージ→地獄攻め決定! 合掌。
81名無しさん@ピンキー:04/06/29 21:38 ID:h4hvALGo
今日の放送で滋悟郎がモリアオガエルを煎じた薬って言ってたけど、
あれ天然記念物じゃなかったかなあ?
82名無しさん@ピンキー:04/07/01 20:12 ID:XVpAZFqj
まだー
83江戸家化け猫:04/07/01 21:58 ID:CYYQeU4x
お仕事がたまっちゃった・・・・・
84名無しさん@ピンキー:04/07/01 22:33 ID:xQyjfV8e
>>83
乙です。マターリいきましょう
でもIDがUFO
85名無しさん@ピンキー:04/07/03 00:29 ID:bS+fpa08
あたしもずっと読みたかった・・・
86江戸家化け猫:04/07/03 03:42 ID:8FaOTFw4
すっかりお仕事で寝不足の江戸家化け猫でございます。
なんですけど、自分の楽しみのためにはこんな時間まで、
起きてられるんですねえ。

え、そんなの話聞きたくない?ごもっともでございます。

それではぼちぼち・・・・・・・
87江戸家化け猫:04/07/03 03:47 ID:8FaOTFw4
☆☆12年後Part2☆☆
 この数週間の騒ぎの元となった、アダルトグッズの詰め合わせを見つけだす。
”もっと奥に隠しておけば良かった!”柔の顔が引きつる。
松田のけがは単に階段から落ちただけとしか富薫子には説明していない。
さすがに酔っぱらってアダルトビデオを見たあげく、松田をて二階から放り投げた
とは言えるわけがない。
「そんな物見るんじゃありません。」
が、富薫子は気にもとめずビデオを広げる。
「ちゃんと柔さんがいるのにひどいわよね。」
少し憤慨した様に言う。
「男の人なんてそんなものよ。」
少し後ろめたいところのある柔は奥歯にものが挟まった様な言いかたになる。
「ものわかりいいのね。」
探るような目つきで柔をのぞき込む。 
”この娘、鋭い。”
「この男の人のあそこの模型なんに使うのかしら?」
ペニスバンドと柔を見比べる。
「ばかなこといってないでよこしなさい。」
どきまぎしながら取り上げる。珍しく減らず口をたたくこともなく富薫子が素直に従った。
「もう遅いしここに泊まっていっちゃだめ?」
富薫子が尋ねる。既に11時を回っていた。
「そうね、バスもなくなっちゃたしね。」
柔も頷く。
「うちに電話してくれない?柔さんがしてくれた方が信用あるんだもん。」
「本当にしょうがないわねえ。」
富士子に電話をかける。猪熊家に泊まることは決して珍しいことではなかったし、
柔と一緒であれば富士子も心配はない。二つ返事で了承した。
88江戸家化け猫:04/07/03 03:59 ID:8FaOTFw4
☆☆12年後Part2☆☆
「これに着替えなさい。ちゃんと洗濯してあるから。」
松田の薄手のスウェットを富薫子に手渡す。もちろん洗濯したのは柔だ。
富薫子は躊躇無くTシャツとデニムのパンツをを脱ぎ捨てるとスウェットに袖を通す。
男物だが、長身の富薫子には、それでもやや袖や裾が寸足らずになる。 
”本当に足が長い、半分ぐらい分けてくれないかしら。せめて四分の一でいいから” 
柔もスウェットに着替えようとする。が、下着を付けていなかったことを思い出す。とりあえず、
スウェットの下だけはワンピースを脱ぐ前に身につける。富薫子はちょっと不審気な顔をしたが
何も言わない。柔は上下着替えると袖と脚を20cmほど折り返す。
「布団引くわよ。」
押入を開けた。この家に布団など一組しかない。
「狭いけどがまんしてね。一緒に寝ましょ。」
富薫子はうなずく。いつになくおとなしい。布団を押入からだそうとした瞬間、
折り畳んだスウェットの裾を踏みつけ10cmほどずり下がる。 
”下着付けて無いのばれたかしら?”
富薫子の様子をうかがうが気がついた様子はない。少し安心して、服を整えると布団を敷く。
「電気消すわよ。」蛍光灯の豆球が切れているため、明かりは窓のカーテンの隙間から
入ってくる月明かりだけになる。二人の間に沈黙が流れる。いつになく静かな富薫子の様子が
気にかかる。何か言いたいことを抑えているようだ。
どれほどの時が過ぎただろうか、、富薫子が問いかけるともなくつぶやいた。
「柔さんもう結婚しちゃう?」
「どうしたの急に。」
「松田さん入院してからなんか変わった・・・」
”この子なんて勘がいいのかしら”
柔は舌を巻く。
「会える機会が増えたからかな。」
当たり障りのない答えを返す。再び沈黙がのしかかる。
89江戸家化け猫:04/07/03 04:04 ID:8FaOTFw4
☆☆12年後Part2☆☆
「さっき病院で・・・」
「病院で?」
松田とのことが脳裏をよぎり、柔の鼓動が高まる。 
”まさか・・・”
「歩道橋から見えた・・・・」
心臓を鷲掴みにされたような衝撃を覚える。柔はつぶやく。
「そう・・・・、見ちゃったんだ・・・・」
カーテンをちゃんと閉められなかったことを思い出す。
”ずっと様子がおかしかったのはそれで・・・”
「柔さん結婚したらどこか行っちゃう?もう一緒に柔道したり遊んだりできないの?」
少しふるえる声で柔にたずねる。冷静に考えれば単に身近な人間の結婚、
それも10年来の婚約が果たされるだけだ。しかし初めてみた身近な人間の性行為、
年上の同性へのあこがれが絡み合い、富薫子の精神を不安定にさせたのだろう。
いやむしろ思春期にありがちな自分の言ったことへの陶酔による軽いヒステリー状態
なのかもしれない。一方柔も衝撃から立ち直れずにいた。普通であれば自らの行為を
見られた恥ずかしさに捕らわれたことだろう。が、恥ずかしさだけを感じるには富薫子は
あまりに近い存在だった。富薫子にショックを与えてしまった自分自身の不注意を責めていた。
「あたしは・・・」
なにを、そしてどう答えればいいのだろう。
富薫子がか細い声で尋ねる。
「キスしても・・・・いい?」
拒絶しなければいけない。いや拒絶ではなくその行為の無意味さを教え諭すべきなのかもしれない。
でもきっとやめさせれば傷つく・・・・・。富薫子が柔の瞳をのぞき込む。月明かりの所為か
富薫子の顔が青白い。富薫子にショックを与えたという自責の念が柔に拒否する言葉を
発せさせるのをためらわせた。
「・・・・・・・・・。」
沈黙を承諾と受け取ったのだろう。富薫子の大柄な体が柔の上にのしかかる。唇と唇が触れる。
柔はふと数年前流れていた清涼飲料水のテレビCMを思い出す。女学生が担任らしい女教師に
口づけを求めていた。一体その教師はなんて答えたのだろう。そもそもなんで教師と生徒の関係で
キスをしたかったのだろう?
90江戸家化け猫:04/07/03 04:09 ID:8FaOTFw4
☆☆12年後Part2☆☆
そのとき上衣の裾から手が入ってくるのを感じる。
「だめ。」
冨薫子の手を押さえる。
「お願い。見たいの・・・」  
「今までだって見てるじゃない・・・・」
かすれた声で思いとどまらせようとする。
「違うの、いまは柔さんの全部が見たいの・・」
そういうと胸の上までスウェットをまくり上げた。
”やめさせなきゃ。富士子さんにどう謝ったら・・・・。でもこれでフクちゃんが落ち着くなら・・・・。でも・・・・”
何一つ考えのまとまらない柔は目を閉じうつむくことしかできない。柔の完璧なまでに
シェイプアップされた肉体に月明かりが陰影を作る。
「きれい。」
富薫子はそう漏らすと柔の乳首に唇を寄せた。柔の背筋に電流が走る。歯を食いしばり
声を出すことだけは必死に耐える。
富薫子の手がそろそろと柔の下腹部に延びる
「やっぱり下着つけてなかったんだ。」
富薫子は柔への憧憬、離れていこうとする恨み、そして松田との関係に対するねたみに
とらわれ、自分の行動を抑制することができなくなっていた。その富薫子に言わずもがなの
言い訳をする。
「洗濯しているときにぬらしちゃって・・・」
「うそつき。」
”やっぱり気づかれてた・・・”
91江戸家化け猫:04/07/03 04:12 ID:8FaOTFw4
☆☆12年後Part2☆☆

富薫子の手が柔の秘毛に触れる。柔が身震いをする。それに驚いたのか
一瞬富薫子の動きが止まる。 
”今なら逃げられる。”
おそらく振り落とせる。 しかし、松田を怪我させた記憶がそれを躊躇させる。
すでに富薫子を小手先であしらえる自信はない。力だけならおそらくもう
かなわなくなっている。もし富薫子がむきになったら、怪我をさせずに振り払えるかどうか・・・・
そんな柔の迷いを知ってか知らずか、柔の秘所をこする。とても愛撫といえるものでは
なかった。何の技術も情愛なくただ闇雲にこするとしか例えようがなかった。
おそらく普段同じ目にあったとしても感じることはないだろう。しかし、自分がずっと
面倒を見てきた親友の娘にふれられるという背徳感、そして久しぶりに松田と関係をもった
興奮から躰が冷め切っていなかったことが、柔の欲情を高める。富薫子の指が
偶然クリトリスをかすめる。
「あ・・う。」
背筋がアーチを描き、足がつる寸前までふくらはぎに力が入る。思考がすべてとぎれる。
”どうしたらいいの、松田さん!”
心の中で助けを求める。が、松田の顔を思い浮かべることもできない。躯を富薫子に
預けてしまった罪悪感が松田から遠ざけてしまったのだろうか。
”どうして肝心な時はいつもいないの?”
92名無しさん@ピンキー:04/07/03 19:00 ID:k7t9eBjH
柔×フクちゃん
魔球キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!
93名無しさん@ピンキー:04/07/04 00:15 ID:Qix6lGCj
そう来たか・・・
94江戸家化け猫:04/07/04 01:57 ID:Qix6lGCj
やっちゃったかなあ。まあ、いいか。

☆☆12年後Part2☆☆

そのとき脳裏を横切った顔はいつも自然体でいる玉緒の笑顔だった。
”あっ、おかあさん・・・”
その瞬間緊張しきっていた柔の躰からふっと力がぬける。富薫子と距離を取ろうとした気持ちがすっと遠のく。
”逃げなくても良かったんだ。フクちゃんなんだもの・・・”
富薫子を柔らかく抱きしめると髪をなでた。それまで力任せに動いていた富薫子の動きが止まる。
柔の様子が変わったのを感じ取ったのだろう。富薫子は、しばらくの間嗚咽を漏らすと、顔を柔の胸に
埋めたままつぶやいた。
「ごめん・・なさい。」
柔はたずねる
「いいわ。・・・・あたしのこと・・・嫌いになった?」
富薫子は涙を柔の胸になすりつけるように首を横に振る。
「松田さんは?」
再び首を横に振る。
「良かった・・・・・。私・・・・、結婚してもどこも行かないわ。」
富薫子は救いを求めるような目で柔を見つめる。
「だって松田さんの家ここじゃない。」
富薫子の目が点になる。
「あっ・・・・・そうだ・・・・」
憑き物が落ちたような顔になる。
「あたし馬鹿みたいじゃない。最初に言ってくれればいいのに・・・・」
柔の胸の中で涙を一つ二つこぼしながら恨み言を言う。
95江戸家化け猫:04/07/04 02:00 ID:Qix6lGCj
☆☆12年後Part2☆☆

柔は、フフっと笑いを含みながら語りかける。
「赤ちゃんの頃、富士子さんと間違って私の胸に良く吸いついていたのよ。」
「だからこんなに小さくなっちゃったのかしら。」
富薫子が憎まれ口をたたく。
「その分フクちゃんがこんなに大きく育ったでしょ。私の子供はフクちゃんに子守してもらうからね。」
「子守ってもう赤ちゃんできちゃったの?私の見てないところで、そんなことしてたの?」
富薫子がびっくりしたように聞き返す。
”見てたじゃないの・・・・”
とはさすがに言えなかった。
「まだこれからよ。フクのおばかさん。」
クリストファー・ロビンのようにつぶやいた。 


「ねえ、フクちゃん、誰かとこんな事したこと有るの?」
先ほどから気になっていたことを尋ねる。
「ないわ。本で読んだだけ。」
当然というように答える。
「でもね、あたし、けっこうもてるのよ。」
「そうなの?」
「下駄箱に男の子や女の子からのラブレターがいっぱい入ってるんだから。」
得意げに話す。
「そんなこと今まで言ったこと無いじゃない?」
「だって柔さんや松田さんに恋愛の相談なんてするだけ無駄じゃない。」
柔は今日最大の衝撃を受けた。
”あの、鈍感男と一緒にされた!”
96名無しさん@ピンキー:04/07/04 07:44 ID:Dsf6CxPt
ほんとに何度も変化する魔球ですね。
普段はレズものとか苦手なんだけど、嫌味なく読めていたので(というかおもしろかったので)
覚悟はできていたんだけど、やっぱりそう簡単にはいかないんですね。w
毎夜、夜遅くまでご苦労様です!
97名無しさん@ピンキー:04/07/04 12:29 ID:rHKD5Mis
鈍感男(童貞?)=松田 純真奥手処女=柔たん
>”あの、鈍感男と一緒にされた!”

突っ込み入れさせて頂きます。

 違うのか? 柔さん?
 あーただって鈍感という点では負けてないような(ズドーン!!)

Y:“必殺の”一本背負い…か(合掌)。
S:でも、柔さんがコクれなかったのは邦子さんの虚言のせいですし、
  鈍感というのとは違いますよね。
K:ま、鈍感、ね…(鈍感という点ではここにも居るわよね……)
Y:ん?
K:何でも、ないわ。

S:(お姉ちゃんが動き出したら……危険です!)
99江戸家化け猫:04/07/04 22:58 ID:u4N++CGf
えー江戸家化け猫でございます。
>97,98
やっぱり二人とも鈍感でくくって良いですよね、そうでなければYAWARA全五巻となっていたはず。
>96
落ちは見え見えだったかもしれませんが玉緒オチというのは結構な変化球だったのでは・・・・
え、危険球?そりゃまあそうですね。

では、起承転結で言えば転へぼちぼち・・・・・
100江戸家化け猫:04/07/04 23:03 ID:u4N++CGf
☆☆12年後Part2☆☆
 滋伍郎の方針で富薫子の練習は、柔と滋伍郎以外にはいっさい伏せられている。
たまに遊びに来るジョディが楽しみがてら相手にするだけだ。さすがの松田も柔に
しっかりとくぎを刺されているため記事にできない。今日もいつものように二人で練習をしている。
「休憩しようか。」
柔はタオルで汗をぬぐう。その横で富薫子が大の字になってひっくり返り、ぶつぶつ文句を言っている。
「絶対児童虐待で訴える!」
しかし涼しげな顔をしている柔の方が疲労度は大きいかもしれない。自分より遙かに体格のいい中学生を
相手にしているのだ。それも4歳から滋伍郎の英才教育を受けている。おそらく大学時代の富士子と
対戦しても楽に勝てるところまで技術・体力とも到達しているだろう。現にいくら引退して間があいたとはいえ
遙かにウェートのあるジョディを振り回している。柔自身も、1日に1本以上取られる事が増えてきている。
富士子の時にはなかったことだ。殊に先日の騒動以来いっそう切れ味があがった気がする。そのせいか、
いつも、練習が終わると口も聞きたくないほど消耗しきっている。おそらくそこに富薫子がいなければ
柔自身が大の字になっていることだろう。その柔から見ると、稽古が終わった瞬間から
遊びに行く事に気が向く富薫子の様子は、手を抜いているのではないかと疑いたくなる。
むろん手抜きなど許していないことは自分自身がよく承知している。

 富薫子の文句を聞き流しながら一息ついていると、あまり背は高くないがいい体つきを
した男が滋伍郎と一緒に道場に入って来るのが見えた。やや足を引きずっている。
柔と富薫子は不審なまなざしで二人を見る。
「おう、ひさしぶりだな。」
柔に話しかけてくる。誰だっけ?でもこの声聞いたことがある。
「鹿取しのぶだァ」
富薫子が素っ頓狂な声を挙げる。プロレスの域を超えたキャラクターが受けバラエティーでも
かなりの人気を誇ってる。ミスター女子プロレスとしてもっとも世間に名の売れたレスラーと
言っていいだろう。男と間違えたのも無理はない。確か柔より2歳ほど年上だったはずだ。
15年ほど前に大学の対抗戦で対戦したことがある。もっとも柔道では柔の敵ではなく2戦2敗だった。
101江戸家化け猫:04/07/04 23:08 ID:u4N++CGf
☆☆12年後Part2☆☆

「鹿取さん、お久しぶりですね。今日はどうしたんですか・・」
鹿取は黙ったまま目を滋伍郎に走らす。いやな予感がする。滋伍郎がおもむろに口を開いた。
「週末、鹿取の代わりに試合に出なさい。」
今でも柔道の試合やってるのかしら。柔は首をひねる。
「鹿取さん、試合って?」
「総合格闘技じゃ」
柔の目が点になる。
「それってプロレスみたいなもんでしょ。無茶言わないで!」
柔の大声に道場の窓がふるえる。その剣幕に富薫子は思わず身をすくめた。
「そこにすわりなさい。」
滋伍郎は、柔の怒りを予期していたかのように動じない。
「もうすわってます。」
ここの家族はこれをやらないと話が始まらないらしい。
「まあ、聴きなさい。今、鹿取の会社は、経営が非常に苦しい。そこで社運をかけて異種格闘技の
一大イベントを計画した。が、先日の試合で怪我をしっおったのじゃ。まあ、それも自分の
不注意としか言いようがないが。」
鹿取がうなだれる。
「もし試合が流れれば興業自体が中止となり即座に倒産する事じゃろう。そこでわしに
泣きついてきたわけじゃ。それを見捨てることもできまい。」
滋伍郎は自らの正しさを確認するかのように大きくうなずいた。そういわれると無碍に断るのがつらくなる。
「そんなこといったって、4の字固めとかできないし・・・・」
柔の頭にあるプロレス技は4の字固めしかないらしい。が、それ以前に断り方を間違っている。
鹿取が握り拳で目をこする。
「そうだな。レスラーがたかが骨折ぐらいで人に頼もうとしたのが間違ってるんだ。自分で尻拭いぐらい・・・」
まさに鬼の目に涙。が、Mr女子プロレスの涙にほだされたのか、富薫子が興奮したように言う。
「あたしじゃだめですか!」
>鹿取しのぶ

 懐かしいキャラだなぁ…。
 おやおやいけませんなぁ、故障ですかな?
 ここの治療薬は効き目は抜群だ。
 ただし、レシピは聞いちゃならねぇ(爆)。
103江戸家化け猫:04/07/06 00:16 ID:X5boX0f5
えー、江戸家化け猫でございます。
本当にこのままわがまま放題で良いんだろうかと思いつつ、ぼちぼち・・・・
104江戸家化け猫:04/07/06 00:20 ID:X5boX0f5
☆☆12年後Part2☆☆

「こののっぽは?」
鹿取が滋伍郎に尋ねる。175cm近い富薫子は鹿取よりも背は高い。
「わしの弟子じゃ。花園富士子の娘と言った方がいいかもしれんの。柔道だけならおまえより
強いぞ。最近はジョデーも投げ飛ばしとるからの。ほっほっほっ・・・」
鹿取の目が光る。
「やってくれるか」
鹿取が富薫子の手を取る。
「きっと勝ちます。」
富薫子らしくもない殊勝なことを言う。その様子を見ていた柔はあわてる。 
”本当に直情家なんだから、ここの家族は!”
自分のことは棚に上げている。
「ばかいってんじゃないの!怪我したら富士子さんにも花園君にも謝りようが無いじゃないの。」
「だって会社が潰れちゃうって。」
富薫子が少しおろおろしたように柔に訴える。
「それぐらいならあたしがやります。」
思わず口をついた言葉に後悔の念がよぎる。
「ありがとう!、恩に着るよ」
鹿取が柔に飛びついた。
「いや、あの、必ずしも、えーと・・・」
柔は、鹿取に抱きかれ、言葉を取り消すタイミングを失った。そしてその背中で、滋悟郎と富薫子に
鹿取がVサインを出した事には気づかない。滋悟郎の懐に、『柔の道は1日にしてならずじゃ』千冊買い上げの領収書、
そして富薫子の携帯がテレビ付きの最新型に換わっていたことは闇の中に葬むられるだろう。
「鹿取、このことは我々しか知らんはずじゃ。2日間何があっても漏らしたらいかんぞ。
どこぞの三流紙がかぎつけるかもしらんからの。」ちらりと柔を見ると、口ひげをねじり上げながら
道場を出ていった。
105江戸家化け猫:04/07/06 00:25 ID:X5boX0f5
☆☆12年後Part2☆☆

その日の晩、重い気分を引きずりながら、松田の病室を訊ねた。
「柔さん、なにかあったのか?」
いつもと違う柔の雰囲気に不安を感じる。
「あのね、鹿取さんの代わりに格闘技戦の試合に出ることになっちゃった。」
「ヴェpryshjッ!」
松田は奥歯が飛び出していきそうな顔をする。
「いったい何で格闘技戦なんかに・・・?」
ベッドに二人並んで腰掛ける。窓の外はもう暗い。
「それがね・・・」
事の顛末を説明する。最後まで説明すると柔はため息をついた。
「会社に電話しなくていい?たいした記事にならない?」
松田に尋ねる。
「記者になって最大のスクープかもしれないさ。だけど・・・・・、もし俺が電話したら、もうやめられなくなるんだぞ。」
松田の声が1オクターブ揚がる。
「でもね、私でないと鹿取さんの会社つぶれちゃうんだって・・・」
「そりゃ、そうだろうけど」
もう0.5オクターブ上がる。  
”だからって何で君が背負わなきゃいけないんだ”
口からはき出されようとしたとき、それを封じるように松田の胸に顔を埋めた。
「それにスクープとると金一封出るんでしょう、夏用のスーツ買ってね。アテネに着ていくの無いの・・・」
と冗談めかしていうと松田の膝をポンとたたいた。が少しふるえている。
”今まで一度もプレゼントなんかねだったこと無いのに。俺も動揺してる場合じゃないぞ。気持ちを切り替えなきゃ”
自分に活を入れる。
「よ−し、社長賞とってスーツでも何でも買ってやるぞ!」
「がんばってね。」
松田がはたと当惑する。
「一つ問題があるんだけど・・・。」
「どうしたの?」
「電話かけてくれる?・・・」両手のギブスをみせた。
106江戸家化け猫:04/07/06 00:30 ID:X5boX0f5
☆☆12年後Part2☆☆

「日刊エブリーの編集部さんでしょうか、松田の代理の者でございますが・・」
「松田の代理?」
「松田がいつもおせわになっております。松田からの言付けをお願いしたいのですが、編集長様は
おいでになりますでしょうか?」
営業も担当することがある柔は手慣れた様子だ。
”松田がお世話になってますなんて、なんかホントの奥さんみたい”
松田の頬がゆるむ。アメリカンコミックなら暖められたチーズのように溶けて流れたところだろう。
緊迫感のないことこの上ない。
「ちょっと待ってください、・・・編集長。松田さんの代理って言う女の人から電話でーす。」
電話の向こうで編集長に代わったのを確認して松田の耳に受話器を当てる。
「今度の週末の総合格闘技に、柔さ・・・いや猪熊が出るそうです。」
「そんな馬鹿なことあるわけないだろう。入院してるおまえがどっから聞いたんだ、そんな与太話。」
「いや、まあ、その・・・」
口ごもる。
「ひょっとして、・・・・」
編集長の頭に10年前の柔が国民栄誉賞に輝いたときの騒動がよみがえる。まさかあれからずっと・・・・・

107江戸家化け猫:04/07/06 00:31 ID:X5boX0f5
☆☆12年後Part2☆☆

「さっき電話してきた代理の女って、猪熊か!」
電話を通した編集長の剣幕に二人して首をすくめる。二人で聞くために、受話器の音量を
最大にしていたのが災いした。
「えーと、そういえばそんな名前だったっけ・・・・・」
思わず柔を振り返る。一緒になって受話器に耳を当てていた柔もとっさにうなずく。
「そうみたいです・・・。」
松田が編集長に答える。
「馬鹿野郎。当人がいるのにおまえから聞かんでもいい。さっさとかわれ!」
やむなく柔が自分で説明を始める。
「あのう、えーと、松田が申しますにはですね、鹿取さんの会社が怪我をしましてですね、
そのう、替わりに私が格闘技戦で倒産するといううわさが・・・」
自分で説明することなど考えてもいなかった柔は、先ほどまでとはうってかわって、
しどろもどろになりながら説明する。30分近い電話が終わるとすっかり疲れ切っていた。
「ねえ、松田さん。」
げんなりした顔で松田に話しかける。
「うん?」
「自分で電話して自分で説明してるんだから金一封私が貰ってもいいんじゃないかしら?」

108名無しさん@ピンキー:04/07/06 18:06 ID:bD+YVAh5
ガメつい柔たんに乾杯
109名無しさん@ピンキー:04/07/06 22:12 ID:X5boX0f5
がめついかなあ?
110名無しさん@ピンキー:04/07/08 11:35 ID:C+3HH4Yp
あげ
111名無しさん@ピンキー:04/07/08 22:55 ID:98+ayaMi
あげとsageの同時とはどういう意味なんだろう。

初心者にはわからん。教えてくれーーー
112名無しさん@ピンキー:04/07/09 06:04 ID:FuhEm4BD
sage進行でも書きこみがある限りは落ちない。
でも、何も書きこまなかったらいずれは落ちる。
そういう意味でageなのでは?
113江戸家化け猫:04/07/10 00:03 ID:sVZ14pOQ
☆☆12年後Part2☆☆

そのころ猪熊家の居間でも滋悟郎と富薫子が額を付き合わせていた。
「ねえ、おじいちゃん。柔さんの相手ってどんな人なの?」
自分も陥れるのに一枚かんだだけに気にかかる。
「なんたらかんたらという元柔道の選手じゃ。」
あいかわらず滋悟郎はカタカナに弱い。
富薫子がだめだといわんばかりに頭を振る。
「全然わかんないじゃない。で、その人強いの?」
「アトランタの72kg超級で準優勝しとる。」
「じゃあ、たいしたこと無いのね。柔さん前優勝したことあるもんね。」
少し安心した顔になる。
「しかし、あのあんみつを食わせてやってるテレ何とかに勝っておる。」
「へー、テレシコワさんて柔道やってたんだ。」
柔と戦っている姿、ジョディに重傷を負わせたことなど知らない富薫子にとっては、
たまにあんみつを食べに来る暗い外人のおばさんという認識しかない。
「プロフィールと鹿取さんとの試合のビデオ持って来てたわよね。えーと、
ゴンダレンコ身長198cm、体重140kg!・・・・プロレスラーだってこんな大きい人いないよ!」
柔が無差別級で試合するのを見たことがない富薫子はそれだけで怖じ気づく。
「ジョデーより少し大きいだけじゃ。」
「少しじゃないでしょう!それに柔さん47.5kgしかないのよ。本当は49だけどさ。」
こっそり体重計を確認していた。が、いままでそれに触れなかったのは女の友情というものだろう。
「わしの柔道に体重など関係ない!熊だって投げたもんじゃ。」
誰も確かめた人間はいない。
「それに感動した梶原三騎が柔道バカ一代って漫画を書いたんでしょ。もう何回も聞いたわよ、
柔さんと同じようなこと言うんだから」
”みんな妙なことばっかり言って、この家でまともな人って玉緒おばちゃんだけなんだから。”
まだ人を見る目が磨かれるのには人生経験がなさすぎた。
114江戸家化け猫:04/07/10 00:04 ID:sVZ14pOQ
☆☆12年後Part2☆☆

「・・・・まあ、ともかくわしの柔道が負けるわけはない。」
相変わらずふんぞり返ったように言う。しかし不安げに富薫子がつぶやいた
「でも、松田さん応援にこないんだよ・・・」
「むっ・・・・・・・・・・あの三流記者か・・・」
苦虫をかみつぶしたような顔になる
「とりあえずビデオ見ない?」
富薫子が鹿取の持ってきたビデオをデッキに入れる。
そして30分後。
「・・・鹿取さんよく生きてたわね。」
ラフファイトの連続で流血に追い込まれる凄惨な試合に富薫子の口が重くなる。
「やっぱり異種格闘技戦て柔道と違うよ。やめさせた方がいいんじゃない・・・」
「ふん。もう遅い。もうとっくにあの三流紙に電話でしらせとるじゃろう。」
115江戸家化け猫:04/07/10 00:11 ID:sVZ14pOQ
☆☆12年後Part2☆☆

「ねえ、松田さん。ここの病室って泊まっても大丈夫かしら?」
「付添の人用のエキストラベットぐらい有るだろうけど・・・・」
少し口ごもりながら答える。
「松田さん、エッチなこと考えたでしょう。」
松田に顔を近づけると少し咎める様に言った。
「え、なんで・・・」
ハンドバッグからハンカチを取り出すと松田のよだれを拭いた。
「でもだ−め。アテネいけなくなっちゃう。」
「だけど、このあいだは、・・」
松田は未練たらしく訴える。
「今日は危険日なの」
きっぱりはねつけた。
「そんなァ、コンドー・・・」
「私にそんな物を持って歩けって言うの?」
最後まで言わせず、松田の頬をつねる
「ごめんなひゃい」
松田の目に涙がにじむ。
「あ、そんなに痛かった。大丈夫?」
あわてて手を離すとお詫び代わりに頬ずりをする。現金なもので松田はそれで機嫌を直した。
116江戸家化け猫:04/07/10 00:12 ID:sVZ14pOQ
☆☆12年後Part2☆☆

「明日新聞にでたら、家は大騒ぎになるな。」
松田は、少し気がかりな様子だ。
「だからここに泊めてって言ったの。出勤できなくて遅刻しちゃうもん」
まるで普通の会社員のようなことを言う。自分がその騒ぎの張本人という自覚すら薄いようだ。
いまだにスポーツマスコミにおける自分の価値というものを理解していない。
「富薫ちゃんが生まれた時もすごかったね。あの時の富士子さん格好良かったなあ。」
懐かしそうに言うとあくびを一つ。
「横になってもいい?」
「いいよ」
「いろんな事があって疲れちゃった。」
そういうといきなり下着姿になり、松田の隣に潜り込んできた。よほど疲れていたのか、
それとも松田と一緒にいることで安心しているのか、声をかけるまもなく寝息を立てていた。
もう夜の検温も終わったし部屋に人が来ることはない、とは思うが時折見せる柔の大胆な
行動に驚かされる。

そして松田は下着姿の柔を横に、悶々とした一夜を過ごすこととなる。
117名無しさん@ピンキー:04/07/10 22:48 ID:QZskMe6X
柔タソ松田を生殺し。
残酷でつ。
118江戸家化け猫:04/07/11 02:06 ID:LDuRwRwd
いやはやどうも・・・・・・江戸家化け猫でございます。
そのまあ、ぼちぼち・・・・・・・

☆☆12年後Part2☆☆


夜も更けたころ柔は松田の寝付かれない様子に目を覚ます。
「まだ寝てないの?」
心配と劣情でまんじりともすることのできない松田にむごい言葉を投げかける。もっとも柔にその自覚はない。
「ああ。」
目の下にクマを作った松田は、短く答える。
「ひょっとして怒ってる?」
不安げな表情で松田の顔をのぞき込む。
「怒る?」
「勝手に話し決めちゃって・・・・。本当にごめんなさい。」
”怒ってもよかったんだよな。でもな・・・”
「怒ってなんか無い、心配なだけだ。」
松田は少しぶっきらぼうに答える。柔は常夜灯の光の中で、少しほっとした表情を浮かべる。
「よかった。・・・ねえ、松田さん、あの、あたし・・負けると思ってる?」
言葉に詰まる・・・・。
「そんなことはないけど・・・・。まだ勝ち負けなんて・・・・・・・」
松田自身が、不安にとらわれていることを言うのはためらわれた。
「スポーツ記者として自覚が足りないんじゃないんですか。」
含み笑いを浮かべながら少しからかう様に言う。
「そんなこと言ったって・・・」
「あたし、勝負をする前から負ける事なんか考えたことないわ。」
意外に力強い言葉に松田は驚く。誰か似たようなことを言っていた・・・・・。
”・・・・そうだ猪木だ。”
確かロシアの選手と異種格闘技戦をする前だ。松田は少し複雑な気分になる。
”確かに頼もしい気もするけど、社会人としては問題のある人だからなあ。そういえば柔さんも怪しいところがあるよな・・・”
119江戸家化け猫:04/07/11 02:11 ID:LDuRwRwd
☆☆12年後Part2☆☆

「でも、初めて藤堂さんとした試合は負ける気だったんじゃないの?」
松田が軽くつっこみをいれる。
「あれは特別よ。松田さんが負ければ柔道やめれるって言ったんじゃない。もっとも、
誰かさんのせいで結局やめられなかったけど。」
「ごめん・・・」
「ううん。感謝してます。柔道してなかったらきっとジョディとも富士子さんとも友達になってなかったと思うし、
フクちゃんなんか生まれてなかったんじゃないかしら。」
”少々いたずらの過ぎる子だけどね。”柔は思う  
「あれから20年近くたったんだな。」
松田は感慨深げだ。
「朝まで一緒にいたことって何回あったかな」
ぽつりと柔がつぶやいた。松田は思い起こす。 
”アメリカに派遣された時とアトランタの後、それからシドニーの・・・”
「片手で余るぐらいかな・・・」
「アテネ終わったら、子供つくろうね。」
あまりにストレートな表現に思わずたじろぎ、心にもないことを言う。
「北京は?」
「いくつになると思ってるの。高齢出産になったら大変なのよ、子供もお母さんも。」
「そうか、いつまでも若く見えるから気が付かなかったなあ。」
心の底からそう思う。はじめてあった頃からまるで変わらない・・・・・・・・
といったら嘘になるが。
「持ち上げたって何もでないわよ。」
と言いながらも少しはうれしいのか、松田に躰をすり寄せ、もたれかかる。
”あれ、・・・・この異物感は・・”
松田の顔をのぞき込む。松田はちょっと気まずそうな表情を浮かべ目をそらす。
120江戸家化け猫:04/07/11 02:25 ID:LDuRwRwd
☆☆12年後Part2☆☆
「松田さん、またこんなにして。」
寝間着の上から股間を小突く。
「そんなこと言ったって・・・」
下着姿の柔と狭いシングルベッドで過ごしているのだ、理性を失わなかったことを
誉められこそすれ、文句を言われるのはあまりに酷というものだろう。
「ひどいわ、昔は、記事書くことばかり。今はエッチすることしか考えていないんでしょ。
あたしをなんだと思っているのよ。」
松田を責める言葉を投げ付ける。松田には返す言葉はない。額に冷や汗が浮かぶ。
「だから、その、つまり、なんだ・・・・」
意味のない接続詞をひたすら繰り返す。
その時、松田の下腹部にひやりとした感覚が走る。不審に思った松田が視線を移した。
「あっ」
”柔さんが握ってる!”
視線がぶつかる。
「つらい?どうしても・・」
「いや、その・・・・・・・」
天使の顔をした松田と、悪魔の顔をした松田が二人の上で激闘を繰り広げる。
どう見ても悪魔の方が優勢だ。こめかみが痛くなるほど動悸が高まる。
”女の人の手って意外と冷たかったんだな。”
柔が息を吸うたびに握り方が微妙に変化する。松田の男性自身が限界までたかぶる。
”もう少しで・・・”
121江戸家化け猫:04/07/11 02:41 ID:qg52hoQR
☆☆12年後Part2☆☆

「そんなにつらかったら、手でよければ・・・うまくできないかもしれないけど。」
心配そうな目で、もう一度ささやくようにたずねる。松田と柔の視線が絡み合う・・・・・
しかし、その不安を帯びたような目にお願いできるだけの図々しさは松田にはなかった。
「・・・・大丈夫だよ。それぐらい我慢できる。」
「寝不足にならない・・・・?」
「柔さんこそ早く寝ないと。明日仕事行くんだろう?」
”しまった!俺は何を言ってるんだ。こんなところで見栄張ったって・・・”
後悔のあまり涙目になる。頭の上の悪魔も松田に殴るけるの暴行を加えている。
「ありがと」
そう言うと松田の頬にキスをして、また眠りに落ちていく。
”意地悪しちゃった。本当に不器用な人なんだから。だから・・・・・”
松田より一枚役者が上手だった。
あきらめきれない松田は、もう一度柔に話しかける。
「あのー、柔さん?やっぱりその・・・。」
しかし返ってきたのは寝息だけだった。

結局、松田は一睡もすることなく雀の鳴き声を聞いた。



122江戸家化け猫:04/07/11 16:13 ID:8KnmucGZ



・・・大丈夫かな?
123名無しさん@そうだ選挙に行こう:04/07/11 17:12 ID:gO83GJ5E
大丈夫です!
124名無しさん@そうだ選挙に行こう:04/07/11 18:47 ID:8dlgiZXi
大丈夫もなにも毎回楽しみに読んでいます。長年連れ添った夫婦みたいな恋人関係がイイ(・∀・)!
>122

 ふぁいと、だよっ。

 正式に交際始めてから12年…重ねた時の重みを感じますな。

 とはいえ、翌日の日刊エヴリーの一面が試合の話じゃなく、
柔と松田の交際話になってそうな?
126江戸家化け猫:04/07/12 00:07 ID:CcdqWwfq
>123,124,125
ありがとうございます。
レスくれと思われるのが嫌で(そりゃ欲しいんですけどね)あの1行書くの勇気が
結構いったんですが、どうしても土日は不安になるもんですから。
もう少しがんばれそうな気になってきました。
127江戸家化け猫:04/07/12 23:19 ID:8pusBQ+J
江戸家化け猫でございます。
では、がんばらしていただきます。といったところで何も変わりはしませんが・・・・・

☆☆12年後Part2☆☆
 翌日、さすがに松田の入院している病院までマークされることもなく、無事会社に
出社することができた。しかし、すでに会社に試合のことは知れ渡っており、とても仕事どころの
状態ではなかった。そもそも、この時期鶴亀トラベルとしても会社に来るよりオリンピックの
準備をしてもらいたいところだ。が、柔のたっての希望で通常業務をとらせてきた。
しかしながら、これだけマスコミを騒がせてしまうとさすがに受付に座らせて
おくわけにもいかず、押しつけるように有給休暇を取らせた。 とはいえ、
柔の方は休みをもらってもあわてて何かするわけでもない。まして外出するにも
マスコミの餌食になりに行くようなものだ。
”プロレスのビデオでも見て勉強しよう。”
居間に腰を落ち着けると、松田の部屋からもってきたプロレスのビデオを見始める。
それもよりによって20年以上前のジャイアント馬場の試合だ。
「やっぱり16文キックはできないわ。あの大股開きはちょっとねえ。」
未だに勘違いが正されていない。おもむろに傍らにあるイチゴ大福に手を伸ばす。
「もうちょっとイチゴは酸っぱい方がおいしいのに。やっぱり春先じゃないとだめね。」
イチゴ大福にもうるさい。というよりもどうしたわけか猪熊家の人間は、和菓子全般に目が厳しい。 
128江戸家化け猫:04/07/12 23:24 ID:8pusBQ+J
☆☆12年後Part2☆☆

「柔さん、いるー?」
富薫子が居間に駆け込んで来ると、滑り込むように柔の脇に座る。
柔の手にある食べかけのイチゴ大福を見つけると、
「減量の邪魔でしょ。食べてあげる。」
と言うやいなや、一瞬の隙をついて奪い取った。
「返しなさい!」
鳶に油揚げ。柔は怒り心頭だ。
「大福なんか食べてる場合じゃないでしょ、あと1Kg以上落とさなきゃいけないんだから。」
富薫子は減らず口をたたいたあと、あわてて口を押さえ柔の方を盗み見る。
「体重計、見・た・わ・ね。」
柔の目が青く光る。一番触れてほしくなかったところに触れてしまったらしい。
”しまった。” 柔の怒りの炎を感じた富薫子は必死で逃げ出す。
「何にも見てません!体重計なんて14年間生きてきて一度も見たことが・・・・」
「待ちなさい!」  
富薫子必死の逃走劇も玄関に追いつめられる。富薫子の運命やいかに。また来週・・・・・・・
というところで玄関が開く。
「ただいま。」
4つの瞳が玄関の引き戸に注がれる。
「おばさん、助けて!」
海外旅行から帰ってきた玉緒があっけにとられたように立っている。玄関に入る暇もあらばこそ、
玉緒の後ろに富薫子が隠れる。
「柔おばちゃんがいじめるの。」
身の安全を確保した安心感か、富薫子は玉緒の後ろで舌を出す。
「お・ね・え・さ・ん!」
一文字ずつ区切り、最後の”ん”にアクセントを置いて富薫子に言葉をたたきつける。
もしオーラが見えたら半径5mが怒りの赤い光で埋め尽くされているのが判っただろう。
129江戸家化け猫:04/07/12 23:26 ID:8pusBQ+J
☆☆12年後Part2☆☆
「はいはい、けんかしないの。お土産買ってきたから、部屋に入りましょ。」
そう言われるととりあえずは柔も矛を収めざるを得ない。納得できないのか
ぶつぶつ言いながらも居間に入る。富薫子は既にデューティーフリーの
手提げ袋から土産物を引っ張り出していた。
「なに、このネッシーまんじゅうって?どこがイギリス土産なの?」
富薫子の目が点になる。
「ネッシーってイギリスにいるのよ。知らない?」
何の不思議があるのだろうといった表情で玉緒が答える。
「あの、ネッシーが問題なんじゃなくてね・・・・」
玉緒の自信を持った表情に富薫子も口ごもる。
「凱旋門おこしって何よ。イギリスいったんでしょ!」
理不尽なお土産になれている柔もさすがに不審感をぶつける。が、パリにおこしがある
不思議には気づいていないらしい。
「ついでだからパリでお父さんに会ってきたの。」
「イギリスとフランスのどこがついでなの!それにお父さん探しにイギリスに行ったんじゃなかったの?」
「あら、そんなこと言ったかしら?」
玉緒は涼しい顔をしている。
”玉緒おばちゃんもやっぱり猪熊家の人だったんだ・・・・”
富薫子は人生を一つ学んだ。
130名無しさん@ピンキー:04/07/13 23:21 ID:Vb6gUxnN
猫さんがんがって!
131江戸家化け猫:04/07/15 20:50 ID:b4QN1ag5
えー江戸家化け猫でございます。
ガンガリます。が、家事と仕事が・・・・・

☆☆12年後Part2☆☆

玉緒がはたと思いだしたように
「そういえば何か試合やるんだって?」
と、柔に訊ねた。柔の表情が曇る。
「うん、鹿取さんの代わりにプロレスしなきゃいけないんだって。」
”プロレスじゃない!”
富薫子は思ったが言うだけ無駄なことも世の中にはあるということが判りかけていた。
「ちゃんと着るものあるの?」
「柔道着じゃだめかしら?」
少し不安げに玉緒に尋ねる。もっとも玉緒に訊いても、何の役にも立たない
「プロレスの女の子達ってみんな可愛いの着てるじゃないの。」
やはり娘にはおしゃれをしてもらいたいのは親心。
「でも、あの手のって身体のラインがでちゃうでしょ。あたしそんなプロポーション良くないし。」
「そうねえ。フクちゃんぐらいスタイル良ければ見栄えするのにねえ。」
玉緒は、ちょっと考え込むように小首を傾げた。
「どうせ純粋な日本人体系ですよ、あたしは・・・・。」
すっかりいじける。一応玉緒が取りなす。
「蓼食う虫も好きずきって言うじゃない。とりあえず、鹿取さんに電話してきいてみたら?」
慰めになっていない。それはさておき、先日もらった名刺を確認し、鹿取の会社に電話をかける。
「もしもし、猪熊と申しますが・・はい、あの今度試合をする・・・あの試合の服装は・・ウリが・・・
はあ・・なるほど・・・そうですか」
少し残念そうな表情を浮かべながら電話を切った。
「柔道着でいいんだって。」
132江戸家化け猫:04/07/15 20:57 ID:b4QN1ag5
☆☆12年後Part2☆☆
すっかり毒気を抜かれた富薫子は、ポソポソつぶやく。
「あの、練習したほうが・・」
「そうね、16文キックはできそうもないけど、4の字固めぐらいなら練習すれば・・・」
さっそく先ほど見たビデオを思い起こす。
「だからプロレスじゃないってば。格闘技戦でそんなのだれもつかいません!」
あまりにピントはずれな発言に思わず声が高くなる。
「良かった。じゃあ、別に新しいこと覚えなくて良いのね。」
「だいたい戦う相手知ってる?」
「知らない。」
玉緒と二人で首を振る
「ゴンダレンコって言う人。 140kgもある人と試合するのよ!」
さすがに玉緒が心配そうな顔をする。
「そんな大きい人なの?じゃあ、お米買ってこないと」
「泊まりに来るわけじゃないのよ。」
「あら、来ないの。残念ね。」
いかにもがっかりしたというように玉緒がこぼす。あまりといえばあまりの緊迫感のなさに脱力する。
「アトランタで準優勝したんだって。覚えてないの?」
「あのときはもう48kg級しか出てなかったから。階級違う人まで覚えてない・・・」
申し訳なさそうに柔が答えた。
「そういえばテレシコワさんに勝ったことがあるって言ってたけど。テレシコワさんて強かったの?」
柔の目に一瞬力がこもる。が、富薫子の問いかけには答えなかった。
「フクちゃん、試合まで、毎日練習付き合ってね。」
”げっ、勘弁してよ・・・” 
柔の様子が変わったことを感じ取った富薫子は、それを口に出すことはできなかった。
最後は横四方でしっかりフォールぢゃぞ!!

……アトランタで無差別は無しですか…さすがに無理だわな。
134江戸家化け猫:04/07/16 23:56 ID:+jqH2y+8
☆☆12年後Part2☆☆
そして翌日から特別メニューの猛練習が始まる・・・・こともなくいつもどおりのメニューをこなしている。
むしろ、富薫子の方が不安を隠せない。
「試合用の特別な練習はしないの?」
「やっぱり四の字固め覚えた方がいい?」
やはりプロレスと区別が付いていない。
「いい加減、そこから離れてよ。柔道と総合格闘技って動き方違うでしょ?」
「だってできないもの。」
柔があっさりと答える。
「そりゃそうかもしれないけど・・・」
いたずらっぽく笑いながら柔が続ける。
「あたしをだますのに一役買ったから心配なんでしょう?」
ぎょっとした顔で視線を返す。
「えっ 気づいてたの?」
「始めは気づかなかったけどね。考えてみればあの程度のけがならおじいちゃんの薬で
治ったはずだもの。それにフクちゃんのせりふも棒読みだったわよ。まあ、こんな時期に
妙な試合やれっていうんだからおじいちゃんもなんか考えがあるんでしょう。人間性はともかく
コーチとしては一流な人だから。」
富薫子は再びぎくりとする。物置を整理するため、つまり返品の山と化している滋悟郎の著書の
引き取り手を捜す必要があって鹿取と交渉していた、とは言えなかった。ましてそれは物置を
つぶしてサウナを新しくつくるため、それも自分が滋悟郎にねだったからとはいよいよ以て言うわけには行かなかった。
「試合まであと四,五日しかないでしょ、つけ焼刃よりいいのよ。」
「ビデオ見たりとか・・・・」
「そんなこと今まで1回もしたこと無いもの。」
振り返ってみれば対戦相手の情報を事前に検討したことなど一度もない。短大時代ですら、
キョンキョンが言い出すまで気が付かなかったほどだ。考えてみればこれほど傲慢な態度もないだろう。
結局いつもと同じメニューを二人でこなしていく。道場に富薫子の悲鳴が響いていた。
135江戸家化け猫:04/07/17 00:02 ID:O9ZOsFhm
☆☆12年後Part2☆☆
いよいよ試合の前日。富薫子との軽い練習の後、一人で松田の見舞いに出かける。
「けがの具合どう?なんかやつれてるけど。」
「明日の午前中にギブスをとって、で、あさってレントゲン調べるんだって。」
「長かったわね。」
「いろいろあったからね。・・・・・あの」
松田が思いきったように切り出す。フィアンセとして明日の試合に触れたくない気持ちと、
そして記者として聞かなければならないと言う気持ち。その二つが争い口がやや重くなる。
が、やはり試合について柔に聞くことが記者としてだけではなく20年見守ってきた自分の責任と心を決める。
「あの、明日・・・」
しかし、柔が遮った。
「明日は、フクちゃんと一緒にここにいて。」
「なんでっ!」
松田の目が血走る。
「松田さんすぐそんな風に興奮するもの。ギブスはずした外した日に怪我する人も結構多いんですって。
思っているとおり動かないから。それに、もしも試合が荒れたら・・・・・フクちゃんには見せられないし。」
柔の覚悟を改めて聞かされ、松田は言葉が出ない。その沈黙を振り払うように柔は笑みを浮かべながら続けた。
「あの子一人で留守番するような子じゃないでしょ。しっかりつかまえといてくださいね。
さっき明日来ちゃだめだって言ったら、すごく怒っていたから大変よ。」
「うん。」
松田が短く答えた。が、松田自身がそれを守るつもりは、端から無かった。記者用IDは
既に鴨田に確保させてある。
「じゃあ、今日は早めに帰ります。洗濯物もっていくからね。」
そういうと、洗濯物と一緒に、外出できそうな服も袋に一緒に詰め込んだ。それを持って
行かれたら病院から抜け出せない、そう思った松田はあわてて柔に言った。
「明日試合なのに悪いよ。フクちゃんに頼むから・・・・」
「フクちゃんにパンツ洗わせる気?最近の女の子はお父さんの下着だって割り箸でつまむのよ。」 
ようやく松田も気が付く。
”完全に読まれてる・・・・・・”

136江戸家化け猫:04/07/17 06:45 ID:hFnQ8Kt5
☆☆12年後Part2☆☆

そして土曜日、試合当日を迎えた。立て付けの悪い雨戸を開けると、梅雨の合間だというのに
珍しく晴れ上がっている。
”なんでせっかくのウイークエンドにこんな試合しなきゃいけないんだろう。たまには松田さんと
どこか遊びに行きたいな。”
しかし、柔道がまったく絡まないデートなど一度もしたことに気づく。ひょっとして一生こうなんだろうか、
少し憂鬱な気分にとらわれる。パジャマの上にエプロンを付け、台所に行く。既に玉緒の包丁の音が響いている。
「あら、まだ、寝ててよかったのに。」
「でも習慣だから・・・」
「ねえ、松田さんに応援に来てもらわなくても良いの?」
少し心配そうに玉緒が尋ねる。松田とフクに病院にいるよう言ったのを聞いていた。
「だってまた怪我されたら困るもの。」
”すぐ意地を張るんだから。いったい誰に似たのかしら”
玉緒は考えようと思ったが、考えるまでもなく思い当たる節はいくらでもある。
”要は猪熊家の人間ということね。”

玉緒と二人で居間で何をするともなくたたずんでいると、鹿取の会社からハイヤーが迎えに来る。
「行って来ます。」
スポーツバック一つをぶら下げて、ハイヤーに乗り込む。
「あの、下北沢駅まで、お願いします。」
「会場までお連れするように言われておりますが。」
「あ、そうなんですか。あの、じゃそれで。」
”貧乏人だって思われたかしら。だってハイヤーなんて乗ったこと無いんだもの。
でもいくらかかるのかしら?きっとただよね・・・・”
少し赤くなりながら会場に向かう。
137名無しさん@ピンキー:04/07/17 11:29 ID:NqF0zVYl
猫たん乙。
松田とフクちゃんが病室に二人きり…(;´Д`)ハァハァ
138名無しさん@ピンキー:04/07/17 19:54 ID:wroh1i91
猫タソの家事代わりにやってあげてー。
>>137

ふっ、甘いな。
あの松田耕作が試みにも病室で大人しくしているとは思えん。
次の連載時には既に逐電している確率は8割超えてるな。
140江戸家化け猫:04/07/18 05:46 ID:Kt6yUHh7
えー江戸家化け猫でございます。
>137,139
やはり、お約束こそ日本の美学。ほっほっほ。
>138
そうだ!うちの旦那に言ってくれ!

ではぼちぼち・・・・・
141江戸家化け猫:04/07/18 05:49 ID:Kt6yUHh7
☆☆12年後Part2☆☆
会場の入り口で付き添い、いやセコンドを頼んだ富士子と待ち合わせる。気の置けない親友の
顔を見るとさすがにほっとする。控え室は、他の選手と共同の大部屋だった。打ちっ放しの
コンクリートがむき出しになっている部屋は、会場準備のために若手選手が駆け回っており、
落ち着いた雰囲気はまるでなかった。しかしながらアマチュアの柔道大会ではいつもの風景であり、
富士子ですら取り立てて緊張している様子はない。伊達にオリンピックのメダリストではないといったところだろうか。
富士子が少しでも柔の緊張を和らげようと話しかける。
「試合って何分ぐらいやるの?」
「5分を3回だって。」
「結構長いのね。」 
「普段の練習より楽よ。」 
「相手の人大きいの?」 
本当は富士子も鹿取がもってきたビデオを見てすべて承知している。鹿取がゴンダレンコの突進の前に
為すすべもなく粉砕される姿を見て2回ほど貧血を起こしていた。恐らく柔より相手を知っているといえるかもしれない。
「百何十kgもあるんだって。そういえば、フクちゃんの肩、怪我させてごめんね。」
「しょうがないわよ。柔道していれば怪我は付き物だもの。でも最近ずいぶんへたばってたけど。」
「うん、フクちゃんじゃなかったら何回入院したかわからないわ。」
さらりと言ったが、柔道に関してはあまり冗談を言わない柔だ。相当危険なことをしているのは
間違いない。親としてはそれを心配したらいいのか、娘の上達を喜べばいいのか、親としては複雑な心境だ。
相変わらず人の出入りが激しい。ドアが開閉されるたびに柔は振り返る。まるで親の迎えを待つ保育園児のよう。
”意地を張らないで、松田さんに来てもらえばいいのに。”
富士子は思ったが言うことはできなかった。言えば余計に柔の集中力をそいでしまうような気がする。
142江戸家化け猫:04/07/18 06:38 ID:UO6Jq+ks
☆☆12年後Part2☆☆
 一方、富薫子は午前中の部活を終わらせ、学校から直接松田の病室に向かう。気持ちとしては
そのまま試合を見に行きたいところだ。が、本気で柔を怒らしたらただではすまないことを
十分承知している。しかし、富薫子も一筋縄でいく子供ではない。松田をそそのかして
一緒に逃げれば、松田のせいにできる。松田もそれに乗ってくるはずだという目算を立てていた。
「ギブスとれたんだ。良かったね」
「ありがとう。さっき取ったばかりなんだ。」
しかし、元気がない。肝心な松田が、その様子では富薫子の計算が狂う。
「そんなしょぼくれた顔してないで、さっさと抜けだそう!」
何を悩むことがあるのかというような顔をして富薫子がせかす。
「でも服とお金を、みんな柔さんに持って行かれたんだ。」
松田がなさけなさそうに言う。
「そんなことだろうと思ったわ。」  
柔とは物心ついて以来のつきあいだ。富薫子も柔の行動は十分わかっている。
持ってきたバックからジャージをとりだす。
「部活で着てたやつだけど我慢してね。たぶんサイズそんなにかわんないから。」
「何で俺のサイズ知ってるの?」
松田の部屋の掃除に行った時に寝間着代わりに松田のスウェットを着たからわかっている、
と口にするのはためらわれた。柔とのことも頭にちらつく。
「身長がそんなに変わらないじゃない。」
無難な答えを選択する。
「そうか、フクちゃん頭良いね。着替えるからちょっと後ろむいててくれる?」
いくら富薫子とはいえ、やはり女の子に見られながら着替えるのは抵抗があった。
「平気よ。あたし気にしないから。」
「違う!気にするのは俺だ!」
「ケチ。柔さんには見せれて、あたしには見せられないって言うのね。」
富薫子はふくれてみせる。女の子にふくれられると思わずとりつくろおうとするのは、松田の条件反射。
「いや、そんな訳じゃな・・・・・・」
”待てよ、柔さんは仮にも婚約者なんだから・・・・”、
「・・くない。あたりまえじゃないか!」
「わかってるわよ、そんなこと。後ろむいてるから早く着替えて。」
ひとしきり松田をからかうと、満足したのか着替えをせかした。
143江戸家化け猫:04/07/18 06:51 ID:UO6Jq+ks
☆☆12年後Part2☆☆
着替えが終わると、すぐに二人で部屋を出る。が、部屋から出た途端、看護士に後ろから声をかけられた。
「どうしましたあ?」
ぎくりとしてふりかえる松田と富薫子。
「いや、ちょっと外の空気でも吸おうかなあなんて・・・」 
看護士がにこやかにほほえむ。
「今日は部屋にいてくださいね。」
「へ?」
「猪熊さんから、絶対に逃げ出すから注意してくださいって言われてるものですから。」
「はあ。」
二人してすごすごと病室に帰らざるを得なかった。
「柔さんの方が一枚上手だったなあ。」
それを聞いて富薫子がにまっと笑う。
「この部屋の窓の外にガス管が通ってるの知ってる?あれ伝って 降りられるよ。」
「ガス管なんて、何で知ってるの?」 
さすがに窓の外に有る歩道橋から二人のすることを覗いてたとは言えない。
「乙女の直感よ!」
としか答えようがない。
「でも、ギブスはとれたけど、まだ手に力が入らないんだ。」
「こんなこともあろうかと」
冨薫子はバッグをひとしきりごそごそ漁ると、太めのひもを取り出した。
「おんぶしてあげる。これで松田さんを縛り付けていけば降りられるでしょ。」 
「真田さんみたいに何でも出てくるなあ。」
松田は感心する。
「真田さんて誰?」
富薫子は宇宙戦艦ヤマトなど知らなかった。
「昔の漫画の登場人物。なんかトラブルが起きると、いろんなものを作って解決するんだ。」
この説明は正しいのか・・・
「ふーん、ドラえもんみたいなもんね。」
松田の頭の中でタケコプターを付けた真田さんが飛んでいく。
”なんか違うんだけどなあ。まあいいか。”
144名無しさん@ピンキー:04/07/18 07:16 ID:31zqNpiH
145名無しさん@ピンキー:04/07/18 10:32 ID:TnFMmPMr
あっ、2.1が・・・・・・
146江戸家化け猫:04/07/19 12:00 ID:YI2YkfYa
えー江戸家化け猫でございます。
それでは、常春の国へむけてぼちぼち・・・・

☆☆12年後Part2☆☆

「大丈夫?俺、そんな軽くないよ。」
いくら体格の良い富薫子とはいえ男の自分を持ち上げることが出来るのだろうか。少々不安だ。
高いところから落とされるのは勘弁して欲しい。
「松田さん何kg?」 
「60そこそこだけど。」
「だったら楽勝よ。ジョディに比べれば屁みたいなもんよ。」
「ジョディとも練習してたの?」
練習の中身については何も聞かされていなかった松田は目を丸くする。
「そうよ、はい、早くして。」
そう言うと富薫子は松田に背中を向けた。暑い中を歩いてきたせいだろう。制服のブラウスが汗で透けている。
白いブラジャーの線が肌から浮き上がっていた。それを見て年甲斐もなくときめく。
「じゃあ、乗っかるよ。」
富薫子の背に身体を預ける。想像もしていなかった筋肉の張りつめた背中に松田は驚く。 
「痛いかもしれないけど我慢して。」
そう言うと松田が肩から回した手を軽く交差させると、自分の身体に縛り付けた。
「よいしょっと。」
かけ声をかけて立ち上がる。口では楽勝といたものの男一人持ち上げるのはそう軽いものではない。
立ち上がった拍子に胸元の違和感域が付く。
「松田さん、あたしの胸に手があたってるんだけど。」 
「そんなこと言ったって縛ったのフクちゃんじゃないか。」
不可抗力であることを主張する。確かに意識してさわろうとしたわけではない。 
「しょうがないね。中学生の胸を触る事なんて2度と無いから感謝してね。」
富薫子には、不思議と嫌悪感がは無かった。松田もそれなりには特別な存在なのだろう。
147江戸家化け猫:04/07/19 12:03 ID:YI2YkfYa
☆☆12年後Part2☆☆

「子供のくせに感謝しろなんて生意気だぞ。」
松田は照れを隠して少し乱暴な口調になる。
「でも松田さん、女子高生に手を出すような人だからね。」
「そんなことしたことない。」
少しばかりムキになる。
「へえ、はじめて柔さんと会った時いくつだったっけ。」
公私混同して柔を追いかけ回していたのは今でも語りぐさだ。松田は返す言葉がない。
”今思えば、高校生に手を出そうとしてたんだよな。あのころの柔さんの方がフクちゃんより
よっぽど子供っぽかったな。今はさすがに・・・・・どうだろう?” 
確かに、大人の色気にはかけるかもしれない。背負われて富薫子の匂いに包まれているうちに
微妙な心境になってくる。
”なんか柔さんと同じような匂いがするなあ。”
柔の化粧品を失敬して使っている。 
”女の子のジャージ借りておんぶまでしてもらって、そういう趣味の人だったらうれしいんだろうな。
そう言えば中学生の胸に触れるなんて確かにラッキーかも。柔らかさが気持ちいい。子供だと
思ってたけど柔さんより・・・・・・・・・・・・・あ、まずい。”
たとえ富薫子とはいえども、女の子に密着し、しかも胸に触れている。柔にお預けを食らったままの
松田の下半身におとなしいままでいてもらうことは困難だった。
”まずいぞ・・・。いままでは柔さんだからなんだかんだ言って洒落で済んだけど。どうか、
気がつかれませんように・・・”
松田が着ているのはよりにもよってジャージだ。気が付かないわけがない。恐らく松田以外の男なら
その場で放り出されたに違いない。不潔感を感じても不思議のない状況ではある。しかし、
柔の婚約者であるという安心感、両親から聞いている、そして自分自身が見てきた松田の姿が、
富薫子の信頼感を損なわせずにいた。むしろ松田が自分の背中で困っている姿を想像して笑いが浮かぶ。
148江戸家化け猫:04/07/19 12:07 ID:YI2YkfYa
☆☆12年後Part2☆☆

「松田さん」
少し低い声で話しかける。  
「えっ」
「子供が生意気だって?」
”やっぱり気がつかれた。きっと怒ってるよな。”
「ごめん。」
「でも、松田さんだから許してあげる。」
松田はほっとする。   
「本当にごめん。そう言うつもりは全く無いから。本当に、あの全然。」
なんとかごまかそうと必死だ。
「そこまで言われると、まるであたしに魅力がないみたいなんだけど。」
冨薫子は少しすねたそぶりをする。
「そんなこと無いぞ。かわいいし、スタイル良いし、オッパイ柔らかいし・・・じゃなかった、えーととりあえずごめん。」
思わず本音が混ざる。
「ホント?じゃあお詫びに洋服買ってくれる?」
「なんで・・・」
強く抗議できる立場にはなかった。
「じゃあ、柔さんに言いつけちゃおうかな。」
思わせぶりに松田をからかう。
「そんなことで柔さんは、怒らないよ。」
松田の口調に自信はない。
「ホントにそう思う?」
「・・・・・」
柔の焼き餅が激しいのはさんざん経験済みだ。絶対に疑いをかけられるような事態は
避ける必要がある。よ−く考えてみると怒らないとはとても思えない。 
「やっぱり、内緒に・・・・」
「明日、渋谷行こうね。」
”やっぱり女は怖い。”
  
149江戸家化け猫:04/07/19 12:14 ID:YI2YkfYa
☆☆12年後Part2☆☆  
松田を背負った富薫子が窓から忍び出る。窓の横を走るガス管に掴まるとゆっくりと滑り降りる。
もし見ている人がいたらさぞかし異様な光景だっただろう。
「松田さん、それ何とかならないの。」
なんだかんだ言っても松田の股間の感触がが気になる。
「ごめん・・・」
身を小さくするが肝心なところは小さくならない。
”ひょっとして松田さんあたしのことも好きだったりして。”
そんな考えがよぎった瞬間、気が散ったのか、動揺したのか、痛めた肩に余計な力がかかる。
”痛!”手の力が抜けて一気に転落し、生け垣に落ちた。
「大丈夫だった?」 
ロープをほどきながら松田に尋ねる。 
「大丈夫だよ。フクちゃんは?」   
「だいじょうぶ・・・・・なんだけどね。」 
「ん?」 
「いつまで私の胸をつかんでるの?苦しいんだけど。」 
落ちる恐怖のあまり思わず富薫子の胸をわしづかみしてしまったらしい。
「ごめん。」松田は、あわてて離す。
「柔さんとどっちが大きい?」
「そりゃあ、フクちゃ・・・いや、どうだろう・・・」
さすがに子供相手に、柔の胸の大きさを知ってる、それも小さいとはっきり言うことはためらいがある。
「バッグも買ってよね?」
とってつけたように富薫子が言った。 
富薫子の顔が少し赤らんでいたことに松田は気がつかない。富薫子が感じた胸の苦しみは
捕まれたためだけでは無かったのかもしれない。
二人はタクシーを拾うと試合会場へ向かった。
「もう試合に間に合わないかもしれないね。」富薫子がぽつりとつぶやいた。

☆☆☆次回KO・JI・RO・U『玉緒からのプロポーズ』見ないと上四方固めをお見舞いするわよ☆☆☆と言う予定はまるでございません
150名無しさん@ピンキー:04/07/19 17:55 ID:3HPnX2HH
化け猫師匠乙です。
連休中ちょっと出かけていてこのスレみていなかったらから
一挙に堪能させていただきました。
無理のない範囲で続き楽しみにしておりす。
S:柔さんにとっての、永遠の春の到来は、
  フクちゃんにとっての、初恋の終わりって事になるんでしょうか。
Y:だろうな。
K:それにしても彼女、彼氏作るのは苦労するわよ。
Y:なぜ?
K:彼女にとっては、男の基準が、“松田耕作”になるからよ。
S:あ……。
Y:そ、それは厳しい。
152名無しさん@ピンキー:04/07/20 07:34 ID:pL+HwvPB
お、今回は次回予告までついてますなw
153江戸家化け猫:04/07/21 00:03 ID:N3TvY46J
えー江戸家化け猫でございます。
>151
何も考えておりませんが、意外と終わらなかったりして
>152
この予告編まがいの組み合わせで誰か書いてくれないかなあって思うんですが、この人たちに興味持つなんて
きっと私ぐらいですよね。
ではぼちぼち・・・・

☆☆12年後Part2☆☆
人気の減った控え室で柔と富士子はアップを終え、一時の休息を取る。やがて会場から歓声が上がる。
試合が始まったらしい。 
「試合、見に行く?」
富士子が尋ねる。 
「自分のすることがわからなくなると困るからやめとく。」
再び会場から歓声が上がる。試合が終わったのだろう。若手選手が駆けだし控え室は、再び喧噪とした
ムードに包まれる。試合の終わった選手が担ぎ込まれてくる。血こそ流れていないが、顔があざで変形している。 
「ヒイっ」
やっぱり伊達でメダリストになったのか。気の小さい富士子が失神する。柔があわてて介抱する。
濡れたタオルを額に当てられ富士子が気を取り戻す。
「ごめんなさい。私の方が落ち着いてなきゃいけないのに。」
申し訳なさそうに長身を縮めた。 
「ううん。富士子さん、大丈夫?」  
「私は大丈夫だけど、あんな風になるって知ってたの?」 
「男の人の試合はテレビで見たことあったから。だからフクちゃんかわいそうだけど来てもらうわけに行かないなって。
教育上良くないでしょ?」
富士子に笑いかけるがその笑顔が寂しげだ。よほど松田がいないのがこたえているらしい。
若手の選手が駆け込んでくる。
「あと1試合です。待機お願いします。」
柔の顔が引き締まる。帯をを一度ほどいて服装を正す。
「富士子さん。行こう。」
花道へ向かい歩き出した。
>153

 来たれ! 救いの神よっ!
155江戸家化け猫:04/07/24 00:10 ID:DlWcnuzF
☆☆12年後Part2☆☆

 いよいよメインイベントを迎えた。対戦相手のゴンダレンコが先に入場する。今まで登場した
どのレスラーと比べても二周り以上大きい巨体に会場が息をのむ。柔道界に於いて約15年の
無敗を誇り、半ば伝説的存在となっている柔が、100kg近い体重差のある無謀な勝負を挑んでいることに、
圧倒的な緊迫感、むしろ恐怖感が観客を捉える。日本女子柔道界の象徴とも言える猪熊柔は
勝つことができるのか。否、無事にリングを降りることができるのか。会場からの歓声は出ない。
ひたすら重苦しい雰囲気が会場を支配する。
 柔入場のアナウンスがかかり、入場曲が流れはじめた。唐突に流れるジャイアント馬場でおなじみの
某TV局のスポーツテーマ。脳天気な曲に会場の緊迫感が崩れ落ちる。
富士子もあっけにとられる。
「何だってこんな曲を選んだの?」
「プロレスのビデオではこれがよくかかってたんだけど・・・いけなかった?」
不安げに訊ねる。
「いけなくはないけど。」
富士子が言葉をにごす。確かに悪いことはない。が・・・・。
 柔も薄々失敗したことに気が付く。これ以降、天然ぼけキャラとしてバラエティー番組からのオファーが
増えた事は言うまでもない。
 選曲を後悔しながら、とぼとぼと花道を歩いていく柔。その後ろから富士子が緊張のあまり手足を同時に
出して歩いていく。勇壮な雰囲気のかけらもない。
既に、ゴンダレンコはリング上、仁王立ちで柔を待ちかまえている。遙か上から見下ろされる感覚に富士子は固まる。
「いってくるね。」
富士子に小さく手を振ると、ロープの間からリングへ滑り込んだ。
156江戸家化け猫:04/07/24 00:17 ID:DlWcnuzF
☆☆12年後Part2☆☆

 リング上に立ち、初めて見るテレビ用のライトの明るさに驚き、試合に関係ない感慨を抱く。
”ライトが明るいときれいに写るって言うけど可愛く映っているかしら?”
コーナーポスト近くで軽くはね、マットの感覚を確かめる。女子プロレスのマットは男子プロレスより柔らかい。
まして畳とは比較にならない。 
”ずいぶん、やわらかい。投げ技、効くかな”
少し不安がよぎる。 
  ゴンダレンコがコールされる。オープングローブとレガースを付け、青い柔道着に包まれた巨体が
リング中央で身じろぎ一つしない。ゴンダレンコとの体格差を改めて確認し、一度柔の入場で崩れた
会場の緊迫感が再び高まる。
”グローブとかつけてるってことは、殴ったり蹴ったりするってことよね。いやだな。”
一応ルールは覚えているらしい。 
 ついで柔がコールされる。所在なさげにコーナー前に立っていた柔はぺこりと頭を下げる。ゴンダレンコと
比べるとちびっ子柔道大会の参加者のようだ。どうも柔道とは勝手が違い居心地が悪い。頭を下げた瞬間に
ストロボが一斉に焚かれる。あまりの光に何が起きたかわからず呆気にとられていた。
  レフリーに中央に集められ、最後のルール確認が英語で始まる。が、柔はまるで判らない。
英語は根っから苦手なのだ。現に日本語の怪しいジョディもテレシコワも、柔相手に英語で話すことはない。
勢いで、履歴書に英語が得意と書いたことが今となっては恥ずかしい。
柔は思う。  
”日本で試合するんだから、日本語でやるべきよ。”
が、きっとアメリカでやっても日本語でやるべきと思うことだろう。
157江戸家化け猫:04/07/24 00:31 ID:DlWcnuzF
えー江戸家化け猫でございます。
エロパロにいるにもかかわらず一向にエロくならないじゃないかと
お怒りの節もあるかと思いますが、えー・・・・あの、あきらめてください。
私自身もあきらめました。もう少しばかり、ダラダラ行かせて・・・
158名無しさん@ピンキー:04/07/24 01:25 ID:Pjs7MCP9
>>157
俺は平気、全っ然平気!
159名無しさん@ピンキー:04/07/24 08:53 ID:0Baqv3b4
むしろエロがない方がイイ!!
160名無しさん@ピンキー:04/07/24 09:11 ID:NuqlVs1l
まあ、たまにはあっても・・・・
>江戸家化け猫様

まあ、その、何だ。

(砂地に大きく)「 が ん ば れ 」!!

>158様

雨の中、肩肘張って、背中向けて言う台詞のような……ああ、違うかな?

K:あなたも、ちゃんとしなさいよ!
投:へ、俺?
K:ちゃんとしなさいよ…「還るべき処(>8)」も「(仮称)ENDLESS RAIN」もちゃんと・・・、
  二つとも、書けたらちゃんとしなさいよ!
S:無理ですよお姉ちゃん。だって、SSって、書けないから、SSって言うんですよ。
投:ぐはあっ、あの名台詞が俺の心を切り裂いていくっ……
162江戸家化け猫:04/07/24 23:01 ID:cxzCymCE
えー江戸家化け猫でございます。

>161
>>あの代名詞が俺の心を切り裂いていくっ……

英語の試験でも失敗しましたか・・・・・あ、代名詞じゃなくて名台詞だったのね。

未だに英語で赤点の山を築いたトラウマから解放されない・・・・・・
163江戸家化け猫:04/07/24 23:07 ID:cxzCymCE
☆☆12年後Part2☆☆

 試合開始のゴングが鳴る。甲高い金属音に顔をしかめる。
”ゴングってこんないやな音だったんだ”
試合開始直後にもかかわらず、柔は少しうんざりした表情になる。
最前列コーナー近くに滋悟郎と祐天寺が陣取っている。
「大丈夫でしょうか?もし怪我でもされたらアテネはどうなりますか。」 
心配そうな顔で滋悟郎に尋ねる。
「相変わらず、図体の割に気の小さい男だ。煎餅でも食え。」
滋悟郎がばりっとせんべいをかじる。
「しかし、また悪い癖が出おった。」
滋伍郎が愚痴る。
「悪い癖と言いますと・・・」
祐天寺が一層不安の高まった顔で滋悟郎を見る。
「試合に全く集中しておらん。」
「怪我さえしなければいいのですが・・」
「どうなるか、わからん。」

164江戸家化け猫:04/07/24 23:14 ID:cxzCymCE
☆☆12年後Part2☆☆

 柔は無意識のうちにも松田を捜し、つい客席の様子に気を取られている。
”みんなカップルで楽しそう。あたしばっかり、何でこんな試合してなきゃいけないの。”
もともとひがみっぽい柔が心の内で愚痴る。
 その様子に隙を見いだしたのかゴンダレンコがタックルを仕掛ける。が、いくら客席に気が
引かれていても、そうそう油断しているわけではなかった。機先を制する出足払いで
ゴンダレンコの巨体をリングに倒す。先ほどまでの心配が嘘のように祐天寺が喜んだ。
「さすがに柔さんですな。」
滋伍郎は渋い顔を崩さない。
「一回で決めねば。中途半端な技で用心させたらチャンスが減ってしまうだけぢゃ。」
柔が少し猫背気味に構える。再度突進してくるかと思われたゴンダレンコだが、仕掛ける気配を
見せない。開始早々の出足払いにすっかり用心している。柔が一歩出ると一歩下がる。
まるで三分の一ほどしかない柔が、追いつめているように見える。柔が一本背負いをねらって
懐に踏み込む。が、柔の得意技を完璧にマークしているゴンダレンコは組むことさえ嫌い、
手を振り払って逃げる。何とか捕まえようと懐へ幾度と無く飛び込みを試みる。が、組むことさえ
できずにあしらわれる。
「いつもより動きのキレが悪いようですな。」
再び祐天寺の顔を不安の色が覆う。
「マットが柔らかい分、蹴りが吸収されて、踏み込みが遅れておる。それに・・・・・」
「それに?」
祐天寺の顔に冷や汗が浮かぶ。
「いや、なんでもない・・・。」
滋悟郎が再び渋い顔をしたところで1ラウンド終了ののゴングが鳴る。
165江戸家化け猫:04/07/24 23:32 ID:h0u/BqBX
☆☆12年後Part2☆☆

「富士子さん。リングの上って暑いのね。」 
柔は既に汗だくだ。富士子はそこまで汗をかいた柔を見たことがない。緊張による力みも
あるのだろう。富士子相手の愚痴が始まる。
「松田さん、病院抜けだして来てくれたって良いと思わない?」
「そんなこと言ったって、自分で、富薫子まで見張りに付けたんじゃないの。」
「そうだけど・・・」
柔は不満げだ。
「相手はどう?」
柔の調子が今ひとつな事は、富士子には既にわかっている。
「何であんなに逃げるのかしら?追いかけるだけで疲れちゃうわ。」
その息づかいが荒い。リング上の暑さにスタミナが回復しきれない。

ゴングが鳴って2Rが始まる。相変わらずゴンダレンコは組もうとすらしない。
「あやつ持久戦をねらっておるな。」
滋伍郎がつぶやく。
「でもスタミナなら柔さんも決して劣らないでしょう?」
祐天寺が怪訝な顔をする。
「あの温度、あのやわらかいマットであれだけ踏み込めば、体力なんぞいくらあっても保ちはせん。」
「と言うことはゴンダレンコは、そこまでこの試合を研究し尽くしていると言うことですか?」
祐天寺の大きな顔がまた青くなる。
「うむ。」
滋悟郎が煎餅をかじる音だけが響く。
166江戸家化け猫:04/07/24 23:39 ID:h0u/BqBX
☆☆12年後Part2☆☆

 一方リング上では、柔のいら立ちが募る。そのいらだちが富薫子に向かう。
”フクちゃんもいつも言うこと聞かない癖して、こういう時だけ逆らわないんだから。
人のこと、さんざんおばちゃん扱いして。全く親の顔が見たいわ。”
たった今見たばかり。冨薫子のことが頭に浮かんだせいか、つい強引に内股を仕掛ける。
「大バカ者が!」
滋伍郎立ち上がる。ここ数年48kg級の小柄な相手との試合しか行っていない柔は
大型の選手との距離感が狂っていた。間合いが感覚より遠く、掛かりが浅い。
柔が足を跳ね上げる前に、ブロックされる。
「いけない。逃げなきゃ。」
が、後から体をとらえられ圧倒的な体格差の前に為すすべもなく軽々と持ち上げられ
裏投げが決まる。肩口からマットにたたきつけられた。必死になって身をよじって
受け身を取る。柔道の試合なら技ありは堅かったろう。あわてて立ち上がるが
その柔めがけて再びゴンダレンコがタックルを仕掛ける。
「もうだめ。」
思わず富士子が目をつぶる。
167名無しさん@ピンキー:04/07/25 02:30 ID:HlWEJImu
猫さん乙です。
遅レスだがエロくなくても気にせずやってくれ!

でも
>>159   むしろエロがない方がイイ!!
ってのはここがエロパロ板である限りありえねぇ。
168名無しさん@ピンキー:04/07/25 02:33 ID:1yqmcFUJ
このスレがエロナシ大人気なのは昔っからw

いや、板的にはありえないんだけど、ホント。
169名無しさん@ピンキー:04/07/25 10:33 ID:PLhfo7AL
やばい・・・普通に続きが気になる
170名無しさん@ピンキー:04/07/25 13:54 ID:PD0Ap8zT
松田 早く来〜い!
171江戸家化け猫:04/07/25 18:58 ID:nwnop8Wl
えー江戸家化け猫でございます。
結構書き込みが多くて少々うれしい気分の土日でありました。では、ぼちぼち・・・・

☆☆12年後Part2☆☆

 が、その瞬間、体勢の変化を柔の本能は待っていた。前進してくるゴンダレンコの力を流して
巴投げをうち、ゴンダレンコの躯できれいな弧を描いた。そしてその躯がマットに着くか着かないかのうちに
止まるところ無く、十字固めを決めにかかる。いつもの試合であれば、間違いなく一本勝ちであったろう。
投げから寝技への連携で、かつてさやかに苦しめられた経験が、無意識に体を動かした。
この試合、初めて柔の攻勢らしい攻勢が始まったことに会場が盛り上がる。
「いやあ、さすが柔さん、鮮やかなものですな。」
祐天寺はまた節操もなく喜ぶ。
「だめぢゃ、効くわけがない。柔はまだ巴投げへの迷いが吹っ切れておらん。だから1発で決めようとせず
すぐに寝技に入ろうとするんじゃ。そんな技で決まるわけがない。」
ゴンダレンコは手をフックし、腕が伸びるのを耐えている。柔は、必死に伸ばそうとするが
力比べになればとてもかなわない。ゴンダレンコの腕に体重をかけ一気に手を外させようとした。
が、そのバランスの乱れをゴンダレンコは見逃さなかった。腕を決めかけた柔を手にぶら下げたまま
立ちあがると、一気に肩の上まで担ぎ上げる。柔の攻勢に一度盛り上がった会場が、
その圧倒的なパワーを見て静まりかえる。柔の心に、持ち上げられた高さに恐怖感が走る。  
「うそ・・・」
3m近い視線の高さから真後ろに落とされる。辛うじて受け身は取ったもののマットに後頭部を打ち付け、
意識が遠のく。致命的なダメージを負わないだけで精一杯だった。何とか立ち上がろうと
四つんばいの姿勢になる。その一瞬動きが止まった柔の後ろから、ゴンダレンコが裸締めを仕掛ける。
辛うじて右手をねじ込み完全に決まることだけは防いだ。が血管を抑え付けられ、全身が酸素不足を訴える。
こめかみに痛みが走る。視界に黒い星が飛び回るのを感じる。140kgに後ろから包まれ、マットを蹴って
体勢を変えることすらできない。
172江戸家化け猫:04/07/25 19:12 ID:nwnop8Wl
☆☆12年後Part2☆☆

「せ、先生、あ、あ、あれをはずすには・・・」
祐天寺の唇が震える。
「祐天寺、何年柔道をやっているんじゃ。」
「と申しますと・・・・?」
「あーなったらわしでも無理ぢゃ。」
祐天寺はもう言葉も出ない。柔の抵抗も限界に近づく。
”手がしびれてきちゃった。もう、落ちちゃう。・・ま・・つ・・・”
技をはずそうと必死にもがいていた柔の動きが小さくなる。その様子に思わず富士子が下を向く。


そのころ、会場入り口で騒ぎを起こしている二人連れがいた。言わずとしれた松田と富薫子である。
「だから記者だって言ってるだろう!ほらID」
富薫子を連れて通り抜けようとする。が、ガードマンはだまされない。中学校の制服を着ている女の子が
記者のはずはない。そもそも松田自体が富薫子のジャージだ。『2年b組花園富薫子』と名前入りの
ジャージを着ている中年男が記者であること自体が十分に怪しい。

投:ヒ82船団(大戦中、潜水艦に囲まれ壊滅したタンカー船団)の乗組員の
気分だ。
S:して、その心は?
投:援軍はまだかっ!? 松田はまだなのかっ!?
174江戸家化け猫:04/07/25 19:17 ID:nwnop8Wl
☆☆12年後Part2☆☆

不信感の固まりのような目をしてガードマンが尋ねる。
「そっちの女の人の分は?」
「忘れたって言ってるだろう!」
言い訳の仕様のない松田は強引に押し通ろうとする。
「待ちなさい!」
190cmはあろうかというガードマンが富薫子の肩をつかむ。
「さわらないで!」
屈強なガードマンの姿が空中で回転する。条件反射でだした富薫子の大内刈りが完璧に決まった。
二人の足元に泡を吹いたガードマンの姿が転がる。
「すっげー!フクちゃん、ガードマン投げちゃったよ。」
松田が呆然とする。
「そうでしょ、大内刈りだけだったら、柔さんよりうまいっておじいちゃんも言ってるのよ。」
富薫子がのんきに自慢している間にも異変を察知したガードマンたちが集まってくる。
「全部投げ飛ばしちゃおうか?」
松田は思う。
”冗談に聞こえないところが怖い”
「格さんじゃないんだから。逃げろ!」
集まってくるガードマンから二人は必死に逃げ、会場の中に紛れ込んだ。
 その富薫子を見て追っかけの記者ができたかどうかは定かでない。
 いずれにしろ、まだリングサイドには着かない。

175名無しさん@ピンキー:04/07/25 20:28 ID:pHQiTxhz
大内決めても「空中で回転」はしないだろうから、内股だと思って読むことにします
176江戸家化け猫:04/07/25 20:59 ID:au8Nh6co
>175
確かにそうですね。重心が後ろに飛ぶ感覚をオーバーに言ってみたかったんですが、
やっぱり空中で回転とは違いますよね。確かに最初は内股と書いていたんですよねえ。
でもあんまり大技が決まるのも不自然だし大内の方が痛そうだったからつい・・・・・・
ちょっといじりすぎちゃったな。
177名無しさん@ピンキー:04/07/27 22:09 ID:KSkKOAE5
178名無しさん@ピンキー:04/07/27 22:43 ID:HxVTj6+/
さすがにフクちゃんを追っかける記者がいたら犯罪だろうw
179名無しさん@ピンキー:04/07/28 05:57 ID:kL+mc44k
フクちゃんじゃなくてもストーカー防止条例に・・・・・
180名無しさん@ピンキー:04/07/28 21:09 ID:kL+mc44k
今日シドニーのダイジェスト見ました。
結構今見てもどきどきするもんですね。
TAWARAと馬鹿にしたことを少し反省。
181名無しさん@ピンキー:04/07/29 18:55 ID:3LiqhUZw
猫タン期待age
182江戸家化け猫:04/07/30 21:04 ID:rizzDQjK
約1週間のご無沙汰でした。江戸家化け猫でございます。

いったい何時になったらキリが付くんだと、お嘆きの紳士淑女のみなさまもおいでだと思いますが、
現在82〜3%程度まで到達したものと思われます。まあ、あと15%程度と言うことで
おつきあいいただきたいと思います。ぬかるみにはまっちゃった気分の人も少なくないと思いますけど・・・・

ではまあぼちぼち・・・・・
183江戸家化け猫:04/07/30 21:06 ID:rizzDQjK
☆☆12年後Part2☆☆

 富士子があきらめかけたそのとき、かろうじて2ラウンド終了のゴングがなり、時間にすくわれる。
残り時間のチェックもできないようではセコンドの仕事を果たしているとは言えないだろう。
もっともそのようなことを柔が求めているとは思えない。
 ゴンダレンコは、裸締めを解き悠然と自分のコーナーに帰っていく。が、マットに倒れ込んだ柔は
息苦しさと手足のしびれに、動くことができない。その様子に会場は騒然となる。慌ててリング内に
入ってきた富士子に抱きかかえられるようにして、やっとの思いでコーナーに帰ってくる。
「富士子さん、勝てないかも。足が思うように前に出ない・・・・」
いつにない弱気な柔に富士子は驚く。テレビ中継のための強烈なライト、柔らかいマットが想像以上に
柔からスタミナとスピードを奪っていた。常に自分の柔道をするだけ、という柔の考え方がこの試合では
通じなかった。
「やっぱり応援に来てもらいたかったな・・・」
力無い声でつぶやく。あまりにうつろな様子に思わず富士子が柔の頬を軽くはたく。
「しっかりしなさい。松田さんのせいにしたらかわいそうでしょ。」
「うん。でも・・・・・」
柔の肩は落ちたままだった。
184江戸家化け猫:04/07/30 21:10 ID:rizzDQjK
☆☆12年後Part2☆☆

 3ラウンド開始のゴングが鳴る。そのやや不協和音の入った金属音を聞きため息をつく。
「いやな音。」
「がんばって。」
柔を信じて疑わない富士子も、今は怪我をしないことを祈るだけだった。疲労感を漂わせて柔が立ち上がる。
「うん。」

「柔さーーん!」
どう警備をくぐり抜けたか、件の二人組がIDを印籠代わりにリングサイド、滋悟郎の横まで走り寄る。
「遅いじゃないの!」
自分で来るなと言ったことも忘れて富士子が文句を言う。
「だって看護婦さんが見張ってるし、ガードマンにとめられるし、2階から落ちるしで大変だったんだから。」
富薫子が口をとがらす。
「絶対勝つんだぞ!」
松田の声が響く。その声を聞いた、柔の顔にに生気が戻る。
「がんばって!」
富士子はもう一度繰り返し、Vサインを出した。柔も振り返り頷きながらVサインを返す。富士子は若干の安心感を感じる。
”猪熊さんて、本当にわかりやすいんだから。”
185江戸家化け猫:04/07/30 21:13 ID:rizzDQjK
☆☆12年後Part2☆☆

 既に柔の動きを止めたと確信したゴンダレンコが自ら組もうと前へ出る。その瞬間に柔は、再度出足払いで
その巨体を揺るがす。
「また調子を取り戻してきたのでは・・・」
祐天寺が滋悟郎の様子をうかがう。
「あんなのなんぼやっても意味がないわ。」
滋悟郎が吐き捨てる。松田は気が気ではない。
「じゃあどうすれば勝てるんですか!」
「あそこまで体力を使いきれば自分の得意技を、受け身を取らせずバーンと決めねばこの勝負、
勝つ事なんぞできん。ほれ。」
富薫子の制服をめくる。背中一面に広がるあざが松田の目にはいる。
「エッチ!」
富薫子はあわててブラウスを下ろした。
「このあざは・・」
「同じ技でも投げ方は何とおりもある。これを読んで勉強せい。」
おもむろに『柔の道は・・・・』を取り出す。
「この一週間普段どおり練習しているようだったが、受け身を取りづらい投げ方を試していたんじゃろう。
これだけ受け身がとれないように投げられ続ければ大抵の人間なら入院しておる。ジョデーや角刈りの姉ちゃんでも、
もう無理じゃろう。引退してずいぶんたつからのう。」
非情な技を試していた柔に驚くとともに、それに耐えきった富薫子を見直す。
「ホントよ。14年間生きてきて一番つらかったわ。昨日まで肩がまるで動かなかったのよ。おじいちゃんの薬が
なかったらお箸も持てなかったもの・・・」
よくあの怪我で自分を背負うことが出来たものだと、今更ながら二階から落ちた恐怖感がよみがえる。
「よく効くじゃろう、アフリカツメガエルとスベスベマンジュウガニのうんこを煎じて、12ヶ月寝かした秘薬だからの。」
富薫子の動きがぴたりと止まる。
「ウコンをお煎じたっていったじゃないの!」
「ウコンもうんこも似たようなものぢゃ。」
「嘘つき!」
滋悟郎の頬に真っ赤な紅葉が広がる。バレーボール部仕込みのびんたの威力は強烈だった。
「フクちゃんが試合に出たほうが良かったかのう・・。」
>アフリカツメガエルとスベスベマンジュウガニのうんこを煎じて、12ヶ月寝かした秘薬

出たぁ、レシピは絶対聞きたくない秘伝の薬!
187名無しさん@ピンキー:04/07/31 07:18 ID:uLADDTEa
猫さん降臨!
週末が待ち遠しかったよ。
188名無しさん@ピンキー:04/07/31 15:52 ID:sup6VdV2
スベスベマンジュウガニというのがなかなか・・・・

しかし地道なんだか寂れてるんだか微妙な流れだな。
189名無しさん@ピンキー:04/07/31 19:50 ID:drT/QG9O
実際何人住んでるんだろうね
190江戸家化け猫:04/08/01 04:52 ID:Wm2Kyxys
えー江戸家化け猫でございます。

科学的にただしいSSを目指しておりますがこのあたりから
話の都合上、怪しいところ、いや演出が出てくることをご了承いただきたいなと・・・・・

☆☆12年後Part2☆☆
 試合に関係ない諍いを富薫子達が繰り広げているちょうどその時、リング上では巨体をもてあましたか、
柔がふと攻めあぐんだ表情を見せた。その瞬間に、押さえ込まれかかっていたゴンダレンコは、
十字固めをねらって下から柔の右腕を取る。一方柔も上から体重をかけるとともに両手を組んで
必死に耐える。松田の頭にさやかとの最後の試合が悪夢のようによみがえる。
「離しちゃダメ!」
富薫子が叫ぶ。しかし、筋力の差は補うべくもない。ゴンダレンコが力を入れた途端、軽量級の悲しさ、
なんとか押さえ込もうとしていた柔の身体は、はじき飛ばされるようにリングに倒され、腕が伸びきった。
「ああっ」
柔の悲鳴が響く。今まで試合中に柔の悲鳴など聞いたことのない富士子は目をつぶって震えていること
しかできない。それを責めることは出来ないだろう。祐天寺はもちろん、富薫子も、松田ですら下を向いた。
しかし、汗をかいていたためか、あるいは、あまりの体格差が幸いしたのか、すぐに捕まれた手が滑って
はずれる。転がるように離れると必死に間合いを取った。が、腕を押さえてうずくまる。
「先生!あれでは腕に力が・・・。背負い投げはもう使えないのでは・・・」
祐天寺の顔は青いを通り越して土気色になっている。
「うーーむ、左手一本でも投げれんことはないが、よほどバランスを崩さねば・・・」
滋悟郎も言葉をにごす。
191江戸家化け猫:04/08/01 04:57 ID:Wm2Kyxys
☆☆12年後Part2☆☆

 腕を押さえ込んでいる様子を見たゴンダレンコは、試合を終わらすチャンスと、その剛腕で柔の顔をねらう。
鹿取を一発で流血KOに追い込んだ拳がこの日初めて柔にせまる。勝利を確信したのかそれまでこわばって
いたゴンダレンコの頬が少しゆるむ。
 が、次の瞬間、拳の前から柔が消えた。パンチが空を切り、重心が前に流れたゴンダレンコ。
次に気が付いた時にはすでにその懐に柔は踏み込んでいた。
「一本背負いだ!」
松田が叫び声が響く。柔の背負い投げを、いやと言うほど見ている松田ですら見たことのないスピードで
ゴンダレンコが巻き込まれていく。そして鈍い音が響いた・・・・・・
一瞬の静寂のあと、会場がどよめく。ゴンダレンコの巨体がぴくりとも動かない。レフェリーは状態を確認すると
カウントも数えず、リングサイドに手を振ってゴングを要請した。勝利を確認した会場が歓声に包まれる。
が、勝利を喜ぶ気力も体力も使い果たした柔はその場で右腕を押さえへたり込んだ。
 試合後のセレモニーが始まりテレビカメラがリング上に上がってくる。リングサイドには新聞社、週刊誌のカメラが
殺到する。なぜか滋悟郎が、動けない柔の代わりに、試合後のセレモニーやインタビューに答え始める。
「時あたかも日華事変が・・・」
おそらく疲れ切った柔の躯を気遣ってのこと・・・・ではない気がする。
 ようやく我に返ってきた柔の目に、リングサイドで富薫子と抱き合って喜ぶ松田の姿が目に映る。ふとバルセロナ
でのマルソーの事を思い出した。恋人に抱きつき勝利の悦びを分かち合っていたその姿、あの時は
それをどれぐらいうらやましく思ったことか。
”柔道の試合じゃないんだもん、少し恥ずかしいけど、それぐらいしても良いわよね”
「松田さーーーん!」
最後の気力を振り絞りロープ際まで駆け寄ると、リングサイドにいる松田めがけて、リング上から飛びついた。
 柔の目には全てがスローモーションに見える。音が消え、松田以外すべてモノクロになり、ぼやける。
柔の脳と神経が松田を見つめることに全力を尽くしている。松田の姿が徐々に大きくなってくる。柔はその首に
しがみつき、そして松田がしかと抱きとめる。
192江戸家化け猫:04/08/01 05:07 ID:Wm2Kyxys
☆☆12年後Part2☆☆

・・・・・・はずだった。が、受ける松田は、入院中で運動不足の42歳。高いリングの上から助走を
付けて飛びついた自称47.5kg実態49kgの柔の勢いを止めるだけの体力はなかった。柔の
飛び込んできたそのままのスピードでアリーナの床にたたきつけられた。柔自身も、客席との仕切りの
フェンスに頭をぶつける。痛みから立ち直った柔の涙目に飛び込んできたのは、白目をむいて
失神している松田の姿だった。
「またやっちゃった・・・・。」

 翌朝、各社朝刊に「猪熊逆転勝ち」「柔熱愛発覚」等のありきたりな大見出しが踊る中、
日刊エヴリーだけは、「本紙記者もついに昇天」と気絶した松田の写真がのせられていた。

 閑話休題、このようなトラブルには、慣れているのであろう。おろおろしている柔ともども、
手早く控え室に運び込まれる。リングドクターが、駆け込んでくると、松田を診察する。
「単なる脳震盪と・・・この目の隈は、たぶん寝不足ですね。頭を冷やして寝かしておけば十分でしょう。」
それを聞いて、柔は、ようやくほっとした表情を浮かべる。
「猪熊さんの方はすりむいたところに絆創膏を貼っておけば十分ですね。はい。」
そう言うと柔の額を消毒すると、白い絆創膏を×に貼り付けた。
ようやく人心地付いた富士子が、その顔を見て笑う。
「どこかのいたずら小僧みたいね。」
「そのいたずら小僧には結構つらい1日だったのよ。」
柔はため息を付いた。
193江戸家化け猫:04/08/01 05:12 ID:Wm2Kyxys
☆☆12年後Part2☆☆

 目を覚まさない松田は、猪熊家に運び込まれる。松田のアパートに運んだところで誰も面倒を見る人は居ない。
 玉緒が、有無を言わせぬ表情で言う。
「あなたのへやで寝かしてあげなさい。」
それを聞いた滋悟郎が激怒する。
「結婚前の娘が部屋に男を連れ込むなんぞ・・・・・・・・・」
玉緒が目配せをする。
「いいから、私に任せて早く部屋に行きなさい。」
その言葉に甘え、松田を富薫子に背負わせてその場を退散する。
「とめてくれるな玉緒さん。かねこは決してそんなことはせんかった!そんなことでは嫁のもらい手が・・・」
「心配しなくたって、あんな強情な娘、松田さんぐらいしかもらってくれませんよ。」
なだめるように玉緒が言うが、憤懣やるかたないのか2.26事件がどうのと口走っている。
「ちゃんと恐山も準備してありますし、みんなでお祝いしましょ。豚の角煮もできてますから。
ほら寿司清さんも来たようですよ・・・」
「うーむ、玉緒さんがそこまで言うならやむを得まい。」
滋悟郎もしぶしぶ玉緒に従った。
194名無しさん@ピンキー:04/08/01 20:48 ID:TlmbuaAu
猫さん乙。

でも投稿時間が・・・・。
まさか寝ずに創作していたんじゃあ・・・。

も、申し訳ない!
 最後に詰めを誤ったなゴンダレンコ。

>>192

「柔熱愛発覚」
今まで発覚していなかった方が驚きですな!

>>193

恐山……って?
196江戸家化け猫:04/08/02 02:58 ID:TejSbkPz
>>194
さすがに徹夜はつらくって・・・・って事ではなく、子供寝かしつけようとして
つい一緒に8時に寝ちゃって、あさはやくおきただけ・・・・・・今日もなんですけどね。
>>195
滋悟郎さん愛用に日本酒・・・・・じゃなかったっけ?確認してないんですけど・・・・
197江戸家化け猫:04/08/02 21:33 ID:1aLQ6aiU
☆☆12年後Part2☆☆

 富薫子が松田を柔のベッドにおろす。
「用があったら呼んでね。」
とだけ言うと、珍しく減らず口も叩かず出ていった。さすがの富薫子も今日だけは二人のじゃまをするわけには
行かないと感じていた。これだけ動かされても、松田は数日分の睡眠を取り戻そうとするかのように、起きる気配を
見せない。居間で滋伍郎達の宴会が始まったのだろう。閉めたドアの向こうから滋悟郎の黒田節が響く。
”いい気なもんね、人苦労も知らないで。”
松田の額をタオルで冷やす。
”本当に疲れちゃった。”
Tシャツとショートパンツに着替えベッドの横に座る。その掛け布団にもたれかかっているうちにうたた寝を始めた。
 どれくらい時間がたったのか、松田が目を覚ます。見たことのない風景に少し不安を覚える。
”どこだろう、ここは。あれ、この布団の匂いは・・・・。”
周りを見回すと、ベッドに寄りかかるようにうたた寝をしている柔の姿があった。
「柔さん、ここどこ?」 
柔は、眠そうに目をこすりながら答える。
「あ、起きたんだ。あたしの部屋よ。」 
「え、なんで・・・」
どうしても自分が柔の部屋にいる理由がわからない。
「試合のあとね、ほらマルソーさんが・・・」
松田が気を失うまでに至る経緯を説明する。
「ごめんなさい。でも、一度やってみたかったんだもの。」
少しばかり申し訳なさそうな顔をする。
198江戸家化け猫:04/08/02 21:35 ID:1aLQ6aiU
☆☆12年後Part2☆☆

「俺は大丈夫だけど、腕はどう?」
松田には自分の怪我よりも、十字固めに痛めつけられた腕の状態が気になる。
「油断させるだけのつもりだったんだけど、一瞬きまっちゃって。あんまり痛くて声が出ちゃった。
あれだけ身長が違えばきまらないかなと思ったんだけど・・・・・」
「じゃあ、わざと取らせたのか?!」
「うん。油断してくれないと投げれないし、背負い投げでしか決められないと思ったの。」
滋悟郎と同じ事を考えていたことに驚かされる。
「もし十字固めがまともにきまってたら?」
柔は考えたくもないといった顔をする。
「今頃病院行きよ、あんな人に決められたら。一瞬つかまっただけで、まだ右腕まともに曲がらないんだから。
無理して投げたのが良くなかったかな。」
内出血をしている右腕をさすりながら答える。
「病院て言えば、あたし病院に居て頂戴って言わなかった?」 
柔が、軽くにらむ。
「それはその・・・」
松田が口ごもる様子を内心面白がって見ていた。
「ありがとう!本当に怖かった。」
言い訳が思いつかずに困っていた松田に抱きつき、感情をぶつけるように頬ずりをする。
松田も、体育館の分もとり返そうとするかのように抱きしめた。
199江戸家化け猫:04/08/02 21:38 ID:1aLQ6aiU
☆☆12年後Part2☆☆

「痛い!」
柔が叫ぶ。
「ごめん 強かった?」
「そうじゃないけど、やっぱり腕が・・・・腕だけじゃないけど。」
右腕がひどく熱を持っている。うたた寝をしたことで熱を持ったようだ。身体が火照って全身の痛みが増してくる。
「全然手当てして無いじゃないか!」
「だって松田さんが気を失っちゃったからあわてちゃって・・・。薬塗ってくれる?」
「いいよ。シャツを脱いで」
松田の前で肌をさらすことに少し躊躇するが、思い切ったようにシャツを脱ぐ。ギリシャ彫刻の少年のように
研ぎ澄まされた躯が、豆球の橙色をした弱い明かりに照らされる。松田がその姿をじっと見つめる。その視線に
もの恥ずかしさを覚え、慌ててシャツで胸を隠した。
「恥ずかしいじゃない。そんな見ないで。えーと、別にスタイルがいいわけじゃないんだし・・・・そのう、珍しいものが
ついてるわけじゃないし・・・・・。」
松田の視線に落ち着かない。何かしゃべっていないと身体が浮いてしまいそうな気持ちにとらわれる。
「傷だらけでしょ。」
全身あざと擦り傷だらけだ。肌が白いだけに一層痛々しい。
「横になって。」
先ほどまで松田が寝ていたベッドにうつぶせになる。柔に渡された薬を肌に伸ばす。擦り傷に触れるたびに
痛いのか柔がふるえる。
「凍みる?」
「少し。でも気持ちいい。」
ようやく一日続いた緊張から解き放たれた気持ちにひたっていた。

「私の方がひどい怪我してるんだけどな。」
様子を見に来た富薫子は柔の部屋の前で寂しげにつぶやいた。しばらくドアの前で立ちつくしていたが、
結局、開けることができずに居間へと戻っていった。
200名無しさん@ピンキー:04/08/03 18:22 ID:1u5MlQc/
いつもながら猫様乙です。
薬塗ってるシーンがしっとり色っぽくて(*´Д`)ハァハァ
>>199

 フクちゃん。まあ、その、何だ。
 そのうち、いい人現れるから……
202江戸家化け猫:04/08/04 00:56 ID:V//TBUj/
☆☆12年後Part2☆☆

「上を向いて。」
脱いだシャツでむねを隠しながら、仰向けになる。ベッドの横で見下ろしている松田と目が合う。
「さっきからずっと見てばっかり。」
恥ずかしさのあまり目をそらす。が、松田はそう受け取らなかった。いきなり柔に顔を寄せると唇を合わせる。
「んむ・・」
予期していなかった口づけに、柔の目が大きく見開かれる。柔の意外な反応に松田が唇を離した。柔が、不満げに訴える。
「そんな急にされたら、びっくりするじゃない。」
「だって、柔さんが見てるだけって言うから・・・・」
「違うわよ、恥ずかしいって言いたかったの!」
松田が気まずそうに言う。
「日本語って難しいなあ。」
「そうね・・・・」
二人でまじまじと見つめ合う。
「・・・・」
「・・・・」
「お、俺が言いたいのはそんな事じゃ・・・・」
「じゃあ、どんなこと?」
思わず吹き出しながら松田に尋ねる。
「その、なんだ、えーと・・・」
言葉にすることが出来ずに四苦八苦する松田。しばらくその悪戦苦闘ぶりを見ていた。いつまでたっても
言い出せなさそうな様子を見た柔は松田を引き寄せ、みずから口づけを交わした。しばしの間をおいて離れると
松田は勿体ぶったように言う。
「まあ、そういうことだ。」
柔が苦笑する。
”そういうことだ、じゃないわよ、人任せで。不器用にもほどってものがあるでしょう。だから病院でだって・・・”
203江戸家化け猫:04/08/04 01:02 ID:V//TBUj/
☆☆12年後Part2☆☆

「この間は、我慢させてごめんなさい。」
「この間って何だっけ?」
「病院に泊まったとき。」
松田は睡眠不足が始まった日を思い出す。
「アテネ行くためだからな。しょうがないよ。」
と松田の理性が返事をするが、本能はそう思っていない。
「あのね、・・が有るの・・・・。」
奥歯に物が挟まったような言い方をする。
「何が?」
松田は悩む。有るのと言われてもどうしたらいいのだろう。無いのと言われるとさすがに大騒ぎだが。
「あのコ・・・・」
「え?」
松田は何がなんだかわからず聞き返す。
「だからコンドーム!」
思わず自分が口走った言葉に頬が熱くなる。
「買ってきたの?」
松田は、風邪薬の間にコンドーム挟み込み、うつむきながらレジに差し出す柔の姿を想像する。
「ううん。前のオリンピックの時、選手村で配ってたのを、もらってきたの。」
「へー、柔さんがそんな物貰ってきてたんだ?」
柔の意外な行動に少し驚く。
「だってみんな貰ってたし、私だって別に興味がない訳じゃないもの・・・・・」
言ってしまったあとで、朱をさしていた頬がいっそう赤くなる。気恥ずかしさに何とか話をすり替えようとする。


204名無しさん@ピンキー:04/08/04 02:02 ID:e5nHUp6x
もうでちゃいそうです
205名無しさん@ピンキー:04/08/04 06:03 ID:V//TBUj/
『出る』ところではないだろう。
ドキドキドキドキ。
207江戸家化け猫:04/08/04 22:49 ID:V//TBUj/
☆☆12年後Part2☆☆

「そう言えばひどいの、週刊誌にね、あたしのこと、男に興味がない男性恐怖症って書いてあるのよ。
中には女の人が好きなんじゃないかって。いくら独身だからってあんまりだと思わない?」
「週刊誌はでっち上げの記事が多いからな。」
日刊エヴリーは既に棚の最上段に上げてある。
「フクちゃんと練習しているのが記事になったら、年下の恋人発覚って事になるんじゃないか?」
柔は、松田の部屋でのことを思い出し、少し、いや、かなり動揺する。
「ば、馬鹿なこと言わないで。」
再び話を必死にそらす。
「どうやってフクちゃんと病院から抜け出したの?」
「フクちゃんにおぶって貰って窓から逃げたんだ。」
「ふーん。フクちゃんに抱きつけてうれしかった?赤ちゃんの頃から相性良かったものね。」
今度は松田が冷や汗を流す。
「そ、そんなことあるわけないだろう!自分だっていつも抱きつかれてたじゃないか。」
「じょ、冗談よ。」
お互いに胸の動揺を抑えつつ同じ事を考える。これからも、きっとあの娘に振り回され続けるのだろう。
「俺たち何の話をしているんだろう?」
「自分で考えてください。」
少しすねたように横を向く。
208江戸家化け猫:04/08/04 22:56 ID:V//TBUj/
☆☆12年後Part2☆☆

「じゃあ、あの、今日は、その、・・・良いの?」
おずおずと尋ねる松田にこくりとうなずいた。
「シャツとってもいい?」
「うん。」
胸を隠していたTシャツを除けると、ほとんどふくらみを感じさせない胸があらわになる。
コンプレックスのある柔は腕を体に押しつけ少しでも胸が大きく見えるように試みる。
その様子を見た松田は、自分の目一杯の気持ちを伝えようとする。
「胸なんか小さくたって、柔さんがずっとすきなんだ。」
が、柔は複雑な心境になる。
”本当に女心ってものがわからない人なんだから。小さい小さいって。努力しているのをわかってほしいわ。”
松田は首筋にキスをする。そのこそばゆい感じに柔はぴくりと体を震わせた。
”キスマーク、ついたら恥ずかしいな。”
松田の唇は徐々に下へと移る。そして、あるかないかのふくらみの頂点にたどり着く。松田はその先端を
転がすように愛撫する。その瞬間に小さく柔はのけぞった。辛かった一日が快感を高めているのか。
「柔さん、胸堅くなってきたよ。」
いたずらっぽく話しかける。
「いちいちそんなこと言わないで。」
少し怒ったような口調で言うが、顔は恥ずかしさに真っ赤になっている。
「ごめん。」
そういうと松田の舌は体の横におりていく。脇腹をなめられる感覚に身をよじらせる。
”あ、試合終わったままだ、あたしシャワーもまだ浴びてない!”
209江戸家化け猫:04/08/04 22:59 ID:V//TBUj/
☆☆12年後Part2☆☆

松田がそろそろと柔のショートパンツをおろす。飾り気のないスポーツショーツがあらわになる。
”せめて下着くらい可愛いの、はいとけば良かったな。”
そのすべてが自分を引き立たせていることにまだ気がついていない。松田の手が柔の秘所に伸びる。
松田は想像より熱く潤っていることに驚く。
「熱いよ。」
「もう。言わないでって言ってるのに、意地が悪いんだから」
柔がむくれたようにいっている間に、松田は下着をおろす。
かろうじて割れ目を隠すか隠さないかの淡い毛に覆われた下腹部が現れる。松田は、その子供を
思わすような姿に悦びよりも罪を犯している気分にとらわれる。脚を広げさせると淡い毛に彩られた
割れ目にキスをする。
「だめ、まだお風呂にもはいってない。」
あわてて、手で隠そうとするが、松田は気にもとめず舌をはわす。下腹部から広がる、快感に躯が反り返る。
その躰を支えるために思わず右腕をベッドに突いた。
「痛い!」
右腕に痛みが走る。松田が心配そうな顔をする。
「やっぱり今日はやめた方が、いいんじゃないか。」
「大丈夫よ。今日はするって決めたんだもの。それに松田さんにまた寝不足で倒れられたらそっちの方がつらいもの。」
屈託のない笑顔を向ける。
「そうだ、あれださなきゃ。」
そういうと机の中をごそごそ漁る。
「あ、あった。はい、これ。」
松田にゴムのパッケージを手渡した。
210江戸家化け猫:04/08/04 23:03 ID:V//TBUj/
☆☆12年後Part2☆☆

「へー、こんなの配ってたのか。」
噂に聞いてはいたものの、実物を初めて目にし少し興味をそそられる。お宝になるのじゃないかと
思いつつも封を切った。柔に背を向け、ゴムをつけ始める。
「ん?」
横からのぞきこんでいる柔と目が合う。
「見るなあ!」
松田はあわてて下腹部を両手で隠す。
「良いじゃない、今まで一回も付けるところ見たこと無いんだもの。」
むろん今までも松田は使っていた。が、行為に及ぶ度に緊張しきっていた柔は気付かなかった。
このところ自分が主導で交わりを持ったために、松田の様子に注意を払える程度のゆとりができたのだろう。
「だめ、見せるものじゃない。」
再び柔に背を向ける。
「けち。」
あきらめた柔はベッドに座り松田の準備が終わるのを待つ。
松田が柔に向き合う。
「ちゃんとするの久しぶりだね・・・・・・」
「うん。」
座っている柔の躯を抱きしめ口づけをする。そしてベッドに押し倒す。
「いいね」
小さくうなずく。松田の男性自身が押し当てられるのを感じた。そして、柔の小さな躯が押し広げられていく。
211江戸家化け猫:04/08/04 23:18 ID:V//TBUj/
☆☆12年後Part2☆☆

「うっ。」
痛みとは違うものの圧迫感に声を抑えられない。松田の背に回した手がその背中をつかむ。
「痛かった?」
今まで関係を持つたびに痛みを訴えていたことを松田は思い出す。
「大丈夫。痛くない。」
閏年ごとに1回ぐらいしか関係を持ってこなかった二人にしては、この数週間比較的関係を
多く持ったことが身体の抵抗感を減らしたのだろう。
「動いても良い?」
返事をする変わりに松田の頬にキスをする。
強引に押し広げられている感覚が少しずつなめらかになっていくのを感じる。
自分自身が満たされていく感覚に吐息が漏れる。切ない感覚が下腹部から背筋を貫く
”これが感じるって事なのかな?”
今まで痛みを我慢するだけだったことに、少し損をした気持ちになる。
松田の動きが少しずつ早くなる。摩擦感の高まりに先ほど感じた切なさが強まる。
「あ、うっ。」
柔の体が限界まで反り返る。思わずつかんだ松田の背中に爪が食い込む。
その痛みが松田を刺激したのか動きがいっそう早まる。その速度が高まった後その身体が
声もなくこわばった。そして、松田の身体から力が抜け自分にかかる重みがずしりと増したことを感じる。
”松田さん、いったんだ・・・・”
松田の頭を無意識のうちに胸元に抱え込む。
柔は、今まで感じたことのない、松田を包み込むような、そして見守っているような感覚を味わっていた。
212名無しさん@ピンキー:04/08/06 07:52 ID:6PUxnVFO
ここの前スレってもう見ることができないの?
213名無しさん@ピンキー:04/08/06 17:21 ID:20hxXwyT
214名無しさん@ピンキー:04/08/07 14:59 ID:KKZmBE9O
age
215江戸家化け猫:04/08/07 20:40 ID:YL2ZQjqp
えー、江戸家化け猫でございます。いやと言うほど長く続いて参りましたこのお話も、
かなり終わりに近づいて参りました。世界名作劇場で言えば来週の予告編よりも
来年の予告編の方が長くなってくる時期といったところでしょうか・・・・・・・・では、ぼちぼち・・・
216江戸家化け猫:04/08/07 20:42 ID:YL2ZQjqp
☆☆12年後Part2☆☆

 1ヶ月近く入院した身体で、今日一日の出来事はさすがにきつかったのであろう、疲れ切ったように
松田は横になっている。松田の横でむくっと起きあがる。
「ふーん、終わるとこんな風になるんだ。」
すっかりこわばりも収まった股間にへばりついたようになっているコンドームをはずそうとする。
「自分でするからいい!」
松田は逃げようとするが、柔は逃がさない。
「なんかぺたぺたするのね。」
「だって柔さんの・・・・」
「私の?・・・・・あっ!」
そのべたつきの原因が自分であることに気付き耳まで赤くする。
217江戸家化け猫:04/08/07 20:43 ID:YL2ZQjqp
☆☆12年後Part2☆☆

「そう言えばこれ、前のオリンピックで貰ったって言ったよね。4年も前のって、使えるのかな?・・・」
松田に若干の不安がかすめる。
「前の前かも・・・・」
より不安を高めるようなことを柔が言う。
「そんなにしょっちゅう貰ってきてたのか?」
「そんなことないわ。4年に1回ぐらいよ。」
少なくともオリンピックは毎年やっていない。
「こんなものにも賞味期限、有るの?」
「わからないけど、スタッドレスタイヤだって3年で交換するだろう。」
「人の大事なところをタイヤ扱いするの!」
柔はむっとした顔をする。その気配に松田は恐れを成す。
「そ、そうじゃないけど、もし子供ができてアテネ行けなくなったら・・・」
「しょうがないじゃない、赤ちゃんの方が大事よ。」
意外にさっぱりとしている。
「しょうがなくない!柔さんの活躍を書くのが生き甲斐なんだ!」
「ふーん、また記事書きたいから?」
ジトっとした視線に一瞬たじろぐ。
218江戸家化け猫:04/08/07 20:46 ID:YL2ZQjqp
☆☆12年後Part2☆☆

が、ここで負けじと跳ね返す。
「そうじゃない!!」
「うそよ、わかってるわ。」
松田の胸に顔を埋める。ほっとした松田は、講釈をたれはじめる。
「金メダルを取って、この不況に苦しむ中高年の希望の星となって日本を元気づけるんだ!」
柔の視線がみるみる険しくなる。
「中高年の?四捨五入してまだ30のあたしが?」
言ってはいけないことを口走った事に気が付いた松田は、必死に言い訳を考える。
「だって、十二月には四捨五入して4・・・」
”じゃない、これじゃ火に油だ!”
誤りに気が付いた時にはすでに遅かった。最後まで言い終わることもできずに松田の身体が
宙を飛んだ。すさまじい物音に玉緒と富薫子が、様子を見に跳んで来る。
「松田さんたら、またベッドから落ちちゃって・・・ハハ、ハ・・ハ・」
と、引きつった笑いを浮かべた。床で痛みにもだえ苦しんでいる松田を玉緒と富薫子が
同情の目で見る。理由はともかく何が起きたかはわかったようだ。
「まだこの先長いから、ずっとがんばってくださいね。」
玉緒は松田にそう言うと富薫子を連れて帰っていった。富薫子が帰りすがら玉緒に話しかける。
「松田さん、一生あんな目に遭わされるのかしら?かわいそう・・・」
「そうねえ、でも、人それぞれ好みがあるから。フクちゃん、ああなっちゃダメよ。
お嫁に行けなくなっちゃうから。松田さんみたいな人そうはいないわよ。」
219江戸家化け猫:04/08/07 20:51 ID:YL2ZQjqp
☆☆12年後Part2☆☆

二人が帰っていったのを見て、柔はあわてて介抱する。
「松田さん、大丈夫?」
「大丈夫に見える?」
松田の問いに首を横に振る。
「だって松田さんが悪いのよ。人のこと40なんて言うから・・・・ごめんなさい。」
小さな体を一層小さくして謝る。
「なんか体が慣れてきた気がする。」
人生に於いてこれだけ打撲傷を負い続けた日々はなかった。柔が机の中をあさり、打ち身の薬を取り出す。
「薬塗ってあげるからうつぶせになって。すぐ痛くなくなるから。」
そう言って松田を寝かせると腰を中心に背中に塗り込んだ。
「何の薬?結構臭いが強いけど。」
「メキシコサンショウウオとコモドドラゴンの・・・・ううん、なんでもない。」
猪熊家以外の人間に言うのは刺激が強すぎる。

 薬を塗り終わるのを待って、松田は思い切ったように切り出した。
「さっき玉緒さんがね、ずっと頑張ってって。」
「・・・ずっと・・。」
考え込むようにつぶやいた。
「明日退院できると思うんだ。病院から帰ってきたら、滋悟郎さんと玉緒さんに・・・」
「・・・うん。」

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
恐らくあした大団円、て言うのは大げさだから、中団円、そんな言葉無いか・・・・・・・
220名無しさん@ピンキー:04/08/07 23:41 ID:Ave1WKx7
age
221名無しさん@ピンキー:04/08/07 23:42 ID:Ave1WKx7
おてんば柔たんと日本代表に萌え
>「だって、十二月には四捨五入して4・・・」
>”じゃない、これじゃ火に油だ!”
口は災いの元…合掌。

>これから先

松ちゃんよ、受身だけでも滋悟郎さんに教えて貰おう。

大団円 楽しみにしています。
223江戸家化け猫:04/08/08 17:37 ID:UPlBh3FY
☆☆12年後Part2☆☆

 その翌日、退院の手続き済ませて帰宅した松田と柔がちゃぶ台を挟んで、滋悟郎、玉緒と向かい合う。
いつもはにこやかな玉緒がまるで試合に挑む柔のような目をして松田と柔を見つめる。
”やっぱりお母さん似なんだな。お父さんに似て無くて本当に良かった・・・・なんて考えてる場合じゃないか。”
性格は間違いなく父系であることを思い知らされるのは、これからのことである。横に目をやると、
滋悟郎が口をへの字に曲げ、腕組みをして松田をにらみつけている。滋悟郎の恐ろしさを知っている
松田の背筋に、冷たいものが走る。
「えーと、本日はお日柄もよく・・・・・痛い!」
舞い上がった松田のとんちんかんな挨拶に柔は怒り尻をつねる。
「よけいな挨拶はいいから。早く本題に行って!」
柔が小声でささやく。
「あの、えーと柔さんと結婚することを許してください!お願いします!」
柔の言う事に従い、細かい挨拶を一切省略し、柔との結婚の許しを求めた。
 重苦しい沈黙が続く。松田の神経が耐えきれなくなろうかという時、ようやく玉緒が口を開いた。
「ずいぶん長いことかかったわね。ねえ、お義父さん。」
滋悟郎がなにも言わず、口をへの時に曲げたままに立ち上がる。くるりとちゃぶ台に背を向けると
「玉緒さんや、あとでよく冷やした地獄車をわしの部屋に持ってきてくれんか。」
そう言い、振り向きもせずぴしゃりとふすまを閉め、部屋を出ていった。
「許してもらえなかったか・・・・」
松田が肩を落とす。
224江戸家化け猫:04/08/08 17:38 ID:UPlBh3FY
☆☆12年後Part2☆☆

「いいえ、喜んでいるんですよ。ねえ、柔。」
玉緒がほほえみかける。柔が少しうつむく。
「あの、えーと、その、つまり・・・」
松田は、状況を把握しきれない。地獄車が猪熊家における祝い酒であることを知らない。
「どうせ二人とも準備してないでしょう。あなた達に任せたらいつになるかわからないから。」
そう言うと文箪笥から封筒を持ち出した。封筒の中には薄い紙が入っている。二人の目に婚姻届の文字が飛び込む。
「自分の名前は書きなさいね。保証人の所は書いておいたから。」
玉緒の名前に並んで、いつもながらの押しつけがましい字で滋悟郎の名前が書いてある。
「おじいちゃん・・・・・」
「本当は松田さんのご両親にも書いて貰った方がいいとも思ったんだけど、早いほうがいいでしょ。
明日にでも出していらっしゃい。」
「あの、おとうさんには・・・」
いくら物心付いてから一緒に暮らしていないとはいえ、父親にも祝福して貰いたい。
「お父さんの考えていることぐらい、いちいち聞かなくてもわかっています。あなたもそうならないとね。」
笑顔のままで答える。
「ありがとう。」
柔は玉緒に抱きつき、そして玉緒の胸元を濡らす。
「花嫁さんが泣いてたらおかしいでしょう。ほら、涙ふいて。おじいちゃんにお酒持っていってちょうだい。」

225江戸家化け猫:04/08/08 17:39 ID:UPlBh3FY
☆☆12年後Part2☆☆
 柔が酒の準備に台所へ出ていったあと、居間に残された玉緒がしみじみと松田に話しかける。
「あの婚姻届、無駄になったらどうしようかと思っていたんですよ。ずいぶん長いこと温めておきましたからね。」
「すみません。」
感謝しながら、頭を下げる。
「あんな強情な子だから苦労すると思うけどよろしくお願いしますね。」
「はい。」
玉緒がぐっと乗り出してくる。
「それで新婚旅行はどこへ行くの?」
「いやまだ考えていないんですけど。」
何か怪しい気配を感じる。
「ビッグフット見に行かない?」
玉緒の言動が松田の理解の外にはみ出す。
「ビッグフットってあの雪男みたいな?一緒に行くんですか?」
「ダメかしら?」
松田には承諾する勇気も、拒絶する気力もなかった。
「柔さんに聞いてくれます・・・か?」

226江戸家化け猫:04/08/08 17:41 ID:UPlBh3FY
☆☆12年後Part2☆☆

滋悟郎の部屋のふすまを開ける。滋悟郎が入り口に背を向け背筋を伸ばして座っている姿が目にはいる。。
「あの、お酒・・・」
「そこに置いておけ。」
仏壇のそばに1升ビンとガラスのコップをのせたお盆をそっと置く。
「あのう・・・・。」
滋悟郎に声をかける。
「明日からも練習をさぼるでないぞ。」
「・・・はい。」
「絶対金メダルを取れ。招待客を喜ばせねばならんからの。」
こみ上げる思いに、耐えきれず滋悟郎の背中にすがりつく。次の瞬間、宙を飛んだと思う間もなく、
一回転し畳にたたきつけられた。
「修行が足りん!そんなことではフクちゃんどころかのっぽの姉ちゃんにもにも勝てん!」
「・・・はい。」
「子供をバンバン作って、柔道をやらせるのぢゃぞ。」
柔に、背を向けたまま言った。
「・・・・」
天井板の木目を見ながら柔は思う。
”柔道はともかく、バンバンはどうかな?”
227江戸家化け猫:04/08/08 17:43 ID:UPlBh3FY
☆☆12年後Part2☆☆

 そして数週間後、選手団出発の日。
「あたし先にアテネ行っちゃうけど、絶対にオリンピック来るよね!」
悪戯っぽく舌を出す。
”あのまま行かれちゃったらどうしようかと思ったわ。”
と、10年以上たった今でも松田の取り乱した告白は、冗談のねたにされる。松田は肩をすくめるしかない。
「じゃあ松田さん、行ってきます。アテネで待ってるからね。」
「あなたも、もう松田さんでしょ。」
富士子にからかわれる。
「急には直らないもの。アテネ来たら独占インタビュー受けてあげるわ!あ・な・た!」
これほど晴れ晴れとした顔をして試合に向かう柔を富士子は初めて見た。これまで何度こうして
見送ってきただろう。そして、恐らくそれが今回最後になるということをその表情から感じていた。
 柔は、手を振ってエスカレーターを降りていく。小さくなっていく姿を松田は見送った。ひょっとしたら
柔も駆け上がってくるのではないか。そんな想いにとらわれ、姿が見えなくなったあとも、立ち尽くしていた。
「屋上いきましょう。」
富士子に即され、松田は後ろ髪を引かれる思いで見送りロビーをあとにした。

228江戸家化け猫:04/08/08 17:51 ID:UPlBh3FY
☆☆12年後Part2☆☆

 フェンスからゆっくりと行き交う旅客機の群れを見つめる。
「1700発のJALだからあの飛行機。」
ゆっくりと滑走路に向かうジャンボ機を富薫子が指さす。一度停止した後、エンジン音が高まる。
機体は再び動き始めると見る見る加速し、ふわりと浮かび上がった。灯油のにおいがするうっすらとした煙を残し、
あっという間に小さくなっていく。少し黄色みがかった空の遠くに積乱雲が浮かぶ。
「行っちまったな。」
松田がさびしげにつぶやく。
「私がいるじゃない。そんないじけた顔しないの。」
富薫子が松田の肩を叩く。
「フクちゃんかあ。」
少し不満げな口振りをしてみせるが、富薫子なりの精一杯の気遣いに感謝する。
「なによ、その言い方は。」
富薫子が、耳元によってささやく。
「この間のこと全部言っちゃうわよ。」
思わず咳き込んだ。
「すぐアテネに行くんでしょ。ちゃんとした記事書かないと柔さんに怒られるわよ。」
富士子も励ます。松田が顔を上げる。
「そうだよな、アテネですぐ会える・・・」

「アテネに行かなくても・・・・」
か細い声がみんなの後ろから聞こえた。
「ん?」
一斉に振り返ると所在なさげに選手団のユニフォームを着た柔が立っている。
「パスポートの名前直すの忘れてた・・・・」

                               お  わ  り                 できたらここで『少女時代』を流して欲しい・・・・あ、あれ秋の歌だ・・・・
229江戸家化け猫:04/08/08 17:54 ID:UPlBh3FY
 えー永らくお騒がせいたしました、江戸家化け猫でございます。
以前も書きましたが、12年後、性格は滋悟郎さんと話しているときベースというわがまま放題の
設定のため生理的に受け入れがたいと言う人、ちっともエロくないじゃないか、エロパロをなめるなと
言う人もきっと多かったことでしょう。深くお詫び申し上げます。だって松田さんと柔があんな事や
こんな事をしてあんなになっちゃうなんて考えたくなかったんです。それでもってフクちゃんに
あんな事やこんな事をして貰ってと考えていたら、オリキャラ(まあ、元々いたキャラという考え方も
ありますが)と主人公を接触させるのはタブーってどっかに書いてあったので、そこをはしょったら
すっかり健全になってしまいました。ということで少し欲求不満・・・・・
 なお、「某バニラ娘とその彼氏」の投稿者様をはじめとするレスをくださった方本当にありがとうございました。
これを持ちまして江戸家化け猫を休業いたします・・・・・・。

とか言いながら、あっさり『江戸家化け猫セブン』なんて言って来週には、投下してたりなんかして。
 きっと煽り文句は「猪熊でも金 松田でも金」……いかん、これじゃ谷亮子じゃn…
(検閲削除)

S:江戸家化け猫様。
Y:『☆☆12年後Part2☆☆』完結、おめでとうございます。
K:ところで投稿者はどうしたのかしら?
S:しーっ! まだSSが出来ていない上に先ほどの不穏当な発言で、
Aさんにジャムのじっけ…味見させられているなんて言っちゃ拙いですよ!
(遠くから柔に似た声と、「ぐええ〜っ!」という悲鳴)
Y:俺達も、あの二人のように、なれるかな。
S:ええ、私達も、きっと…。
Y:俺は松田ほどには待たせないぜ。
K:清いつきあいを期待するわね。
Y:(既に頂いちゃっているのがばれたらどうしよう…
K:声に出てたわよ。
Y:!!!!

 へごっ

K:いい加減にしなさいよこの外道。
Y:い……いまどきの普通の付き合いじゃ…ないか…(どさっ)

俺も、オリンピック終わるまではSSちゃんとしたいなぁ…

お疲れ様でした! GJです!!
231名無しさん@ピンキー:04/08/09 05:28 ID:hfG7wDOl
おつかれさまー
おもしろかったです
232名無しさん@ピンキー:04/08/09 13:06 ID:eUKX3L1M
乙!!
面白かったよ〜
2339巻までしか知らん:04/08/10 18:41 ID:7B+jBoqS
あのなー、今日び エロなしのエロパロなんて
はやんねーだよw
あと、柔と玉緒のキャラ変わってんのに
なんでジゴローはそのままなの?
フクちゃんって誰よ?w
勝手に新キャラ入れんな!!
一人でスレを消化しまくるな!私物化すんな!!
まだまだ言い足りないから
あとは、メール欄に書いといた!!
234名無しさん@ピンキー:04/08/10 20:27 ID:fBA141QN
ごめんなさい。
でもメール欄ってどうやってみたらいいのかな?
235名無しさん@ピンキー:04/08/11 01:22 ID:bvmxtjZ7
名前の部分をダブルクリックすれば見れるよ
236234:04/08/11 06:22 ID:xM4v/jJ5
やっぱりわからない。メッセージ作成画面になっちゃう
237名無しさん@ピンキー:04/08/11 14:37 ID:rLpAI8QQ
>>236
そのメッセージ作成画面の宛先の所にあるでしょ?
238名無しさん@ピンキー:04/08/12 05:55 ID:FyUp15yw
送ればせながら猫さん乙です。
おもしろかったです。
また気が向いたら書いてください。
(脱力感でそんな気になれんかもしれんが)
239名無しさん@ピンキー:04/08/13 17:37 ID:qg4siOyr
猫さんガンガレ〜。
応援してまつ。
240名無しさん@ピンキー:04/08/15 03:20 ID:TTxeDBQu
こんなところで何ですが



祝・谷亮子&野村忠宏金メダル獲得!!



やっぱ強えよ、あいつら…


ちなみに当方女ですが、野村選手カコイイ!!
前々回の金メダルの時から好きダァァァァァァ
241名無しさん@ピンキー:04/08/15 05:55 ID:cOXSW089
野村選手の奥さんも美人だったよな。
野村選手の3大会連続金メダルほんとに凄いと思う。
谷もよくがんばったし強いと思うが、谷の方が話題になるのが気の毒だ。
242名無しさん@ピンキー:04/08/15 16:58 ID:dRk8cXHa
決勝の谷嫁よりも3決のギリシャ娘の試合のほうが感動したのは秘密だ
243名無しさん@ピンキー:04/08/16 00:24 ID:J7BJo1nT
で、世間的にも盛り上がってきたところで次の人は・・・・・・
244名無しさん@ピンキー:04/08/17 17:56 ID:iGI6Ppvr
職人降臨期待age
245名無しさん@ピンキー:04/08/18 22:32 ID:LJxEeUxV
vsヒョードルはまだか?
246名無しさん@ピンキー:04/08/19 23:51 ID:evR7Gebc
「某バニラ娘とその彼氏」の投稿者 さーん、まだ?
「あなたの言っている事はウソばかりです」
 柔が、怒る。
「だから言ったでしょ、絶対に無理だって」
 邦子が、投げる。
「柔道選手としての生命そのものを賭けます」
 さやかが、賭ける。
「そんなところにいても聞こえやしない」
 松田が、諭す。

『還るべき所』近日公開。

「ですからそれは!」
 進之介は、地獄を見る。
248名無しさん@ピンキー:04/08/22 21:26 ID:CRRDhQaC
SSが絶えて早2週間・・・・・
249還るべき処:04/08/23 04:54 ID:oo2J/3N4

 プロローグ

 仮にも首都を走っているはずなのに、建設
当初の国内の自動車の台数予測を誤ったとし
か思えないような渋滞が名物になっている高
速道路で、ご多分に漏れず渋滞に捕まってい
る軽自動車がいた。
 まったく動かない車列や、ちっとも入れな
い危険な合流、複雑な経路などに対するイラ
イラで、車内の空気は高熱蒸気と化していて
もおかしくないのだが……。
「で、松田さんは好きって言ってくれた
ぁ?」
「あ、ええと、そのですねぇ」
 車内にいつもより半オクターブほど高い
柔の声が響いた。ちなみに顔は真っ赤。
 カマボコ目の鴨田に追及されて、柔道の
試合に例えるならばもはや25秒押さえ込
まれているなモノ。
250還るべき処:04/08/23 04:58 ID:oo2J/3N4
「ま、ルージュがはげてたから何があった
か想像つくけどね」
「ええ!? あたしキスまではしてな……
…あー!」
 猪熊柔、一本負け。
「記事にはしないから安心して♪ なんに
せよ良かったよ〜。これでようやく邦
ちゃんのイライラが解消される……」
「解消……ですか?」
 解消どころか、さらに募らせるであろう
行為をやらかしていると柔は自覚している
のだが。
「なにせ、松田さんがアメリカ行き受けた
直後から『柔ちゃんの事どうすんのよ!』
って松田さんに食って掛かっていたからね。
48kg以下級の試合の晩以来ヤケ酒には
付き合わされるわ、絡まれるわ……」
 バルセロナで散々飲まされ、翌日後れを
とった悪夢がよみがえる。もっとも満更で
もないが。
251還るべき処:04/08/23 05:19 ID:oo2J/3N4
「あの夜カラオケで唄おうとしていた曲が
『別れても好きな人』だからね〜。何か
あったのかな……」
 ああっ、邦子さんごめんなさい……小さい
体をさらに小さくする柔であった。
「この6年間……そう、柔ちゃんに出会ってか
らずっと……松田さんは柔ちゃんの事が、
好きだったとしか思えないけどね」
「そんな……だっていつも二人きりになっても
お仕事の話ばっかりだったのに……」
「記者として、柔道選手としての栄達を望む心と、
 男性として、柔ちゃんの幸福を望む心が、
入り混じっていたけどね。
 何にせよ、柔ちゃんの事に関しては一所懸命
だからね。松田さんは。ただ、いつも何気に空
回りするから」
「そう、ですね…」
 今から考えれば、思い当たる節は山ほどあった。
 でも……。
 何のことは無い、柔が鈍感に過ぎていただけ
だったのだ。
252還るべき処:04/08/23 05:32 ID:oo2J/3N4
「お仕事よりも柔ちゃんの幸福は常に上位に
あったんだ。その証拠にバルセロナでもね〜。
柔ちゃんが風祭に連れて行かれたと知ったら、
途端に松田さん仕事放り出してバルセロナ中
探し回ろうとしちゃうしね」
「取って食われるわけじゃなし、心配する事は
ないのですが……」
「取って食べちゃうの。何せ彼は有名な女った
らしだもの。正直僕も心配だったよ」
「女ったらしなんて……それ本当ですか?」
 1オクターブほど声が低くなる。気温が、三度
ほど下がったように感じた。
「ああ、ほ、本当だよ」
 後ろから漂ってくる瘴気に気圧され、声がうわ
ずる鴨田。
「詳しい話を教えて頂けますか?」
「い、いえっ、ブン屋たるもの守秘義務は……」
「お・し・え・て・い・た・だ・け・ま・す・か?」
「は、はひっ、僕が聞いた話ですが、風祭氏が
成田に帰ってきますと……」
253還るべき処:04/08/23 05:35 ID:oo2J/3N4
 身の安全と職業倫理を秤にかけ、身の安
全を選ぶ鴨田。誰しも、一本背負い食らい
たくはない。
 
「う〜………は、は、ハックション!!」
「あら、進ちゃん、風邪でもひきました?」
「い、いえ、いきなり鼻がムズムズとして
……う〜」
 高校での初戦敗退を喫したデビュー戦
で感じて以来の、嫌な予感に包まれる進
之介と……。
「先ほどから唸ってばかりですけど、どう
なさいましたの? 猪熊柔さんが松田“三
流”記者と仲良くされようと関係ないじゃあ
りませんの」
「う〜」
(先ほどの行動といい、今の態度といい…
露骨に怪しいのですが、埒があきませんわ
ね……)
 旦那への疑惑に包まれているさやかであった。
254還るべき処:04/08/23 05:39 ID:oo2J/3N4

「行く先々で女の人を……さやかさんもいる
というのに、信じらんない」
 現代っ子ぶってはいるが、根本的には柔は、
古風な箱入り娘。聞いたような軽薄な男が、
この世に存在すること自体信じ難い。
「柔道界じゃ結構有名らしいよ」
「呆れた、さやかさんにいい顔しながらナンパ
に入れあげるなんて」
 人間社会としての柔道界というものにはとこ
とん疎い、柔である。
「さすがに、お嬢様に首根っこ押さえられたか
ら、大人しくなると思うけど」
「おとなしくしていて欲しいです、普通では誰も
望めないような良縁なのに」

 柔の脳裏にある人事録の、“風祭進之介”の
項の一番下に、新たな文字が刻み込まれた。
 もちろん、太いゴシック体の大きな文字で。

『女ったらし、スケベ、調子のいいだけの男。
何が“あなただけ”よ!』
255還るべき処:04/08/23 05:43 ID:oo2J/3N4
>>248

 オリンピックネタではこれ以上スレッドは支えきれないでしょうしね。

 ヘタッピではございますが、『還るべき処』始めさせていただきます。
256名無しさん@ピンキー:04/08/23 06:44 ID:mbOjCE5J
「某バニラ娘とその彼氏」の投稿者 さんキター!!
257名無しさん@ピンキー:04/08/23 20:34 ID:8GYEf7dd
ぱちぱちぱち!よっ大統領!
258名無しさん@ピンキー:04/08/23 21:20 ID:Iy7NLu3m
応援してまっせ!
259駄文浪人:04/08/25 16:36 ID:Io262dAA
(=゚ω゚)ノいよぅ 久しぶり。江戸家さんの想像力に脱帽
もう続編の続きいらないよね・・・。つまらないけど、
完結させたかった・・・。。。_| ̄|〇
260名無しさん@ピンキー:04/08/25 17:31 ID:Fd7R/bGF
>259
いる!
261名無しさん@ピンキー:04/08/25 17:43 ID:0iU+Bzq2
>259
あたしもずっと好きだった
262駄文浪人:04/08/25 19:11 ID:Io262dAA
>>260-261
ありがとうでやんす。・゚・(ノД`)・゚・。 ・゚・(ノД`)・゚・。  ・゚・(ノД`)・゚・。
体調が思わしくなく、超遅筆ですみません。つーか、熱烈なYAWARA!
ファンなので、あまり捻りはないですが、近々カキコしたいと思います。
基本コンセプトは原作と離れず、でも妄想的にって感じですね。
悲しい時は、28巻を読んでます・・・。。。
263名無しさん@ピンキー:04/08/25 22:44 ID:GWWafxVe
ここのSS保管庫ってもう更新されないのかしら?
264名無しさん@ピンキー:04/08/27 07:09 ID:MFz9Fbed
保守age

遅れ馳せながら駄文浪人さんの降臨俺も待ってたよ!
265名無しさん@ピンキー:04/08/27 23:17 ID:NmuMFm/e
還るべきところもそろそろ続きが来ても良い頃じゃないですか?ねえ?


ついでに前スレノ職人さんたちも復活せんもんかねえ・・・
266名無しさん@ピンキー:04/08/28 08:34 ID:59o2dEHL
昔の職人さんはもうROMもしてないのかな。
267名無しさん@ピンキー:04/08/28 14:51 ID:RZuQwTxE
化け猫セブンはどうした!
>256 様
>257 様
>258 様

 がんばりますっ!

>駄文浪人様

私も待っていました。

>265様

 申し訳ありません。すべては私の無能の故でございます。
 戦艦『クニャージ・スウォーロフ』に乗って対馬海峡に沈んできます…。

 やはり週一になりそうですねぇ……。

 では 還るべき処 第一章 進之介無惨 投稿させて頂きます。
269還るべき処:04/08/29 08:02 ID:FoTvyIcH
第一章 進之介無惨

 それは、ほんの好奇心だったのかもしれな
い。
 式典の会場で変な事言っていた進之介へ
の、胸騒ぎだったのかも知れない。
 柔の後を追ってパーティ会場から抜け出し
た進之介の後を、つけてみたのだった。

 首相官邸のある永田町からも程近い、有
楽町にあるホテル。
 そこで、首相主催のパーティーが行われ
ていたのであった。
 主賓は、昼間国民栄誉賞を授与された…
…実際に受け取ったのは滋悟郎だが……
猪熊柔。

270還るべき処:04/08/29 08:02 ID:FoTvyIcH
(ウチで稽古していた方が、よほど疲れな
いわね……)
 記者たちの取材に、「おじいちゃんに聞
いてください」だの、「ノーコメントです」だ
のを言い続け、さらに、パーティ会場では
人いきれに酔った柔は、疲れた体と心を
休ませる為にベンチに座り込んでいた。
(しばらくは、取材ばっかりなのかしらね
……)
 後の処理の煩雑さにうんざりして、柔は
俯き加減に頭に手を当てて、ため息を
ついた。
 と、俯いている柔の視界の中に、仕立
てのよいスラックスと革靴に包まれた、
男の足が入ってきた。
 頭の上からは、聞き覚えがある、(か
つ、至極上品に表現するならば)あまり
サシで話したくない男の声が聞こえて
きた。
「柔さん、お疲れの様ですが……」
271還るべき処:04/08/29 08:03 ID:FoTvyIcH
 顔をあげると、バルセロナでプロポー
ズをし、返事の約束の夜に別の女性と
ケーキにナイフを入れた男の姿が視
界に入ってきた。もっとも、彼は来ない
柔を待ち続けていた事を銘記しなければ
公正さを欠くだろう。
「ええ、ご心配なく。こんばんわ、風
まつ…、あ、失礼、進之介さん」
 瞬間、進之介の顔が、うっ!とゆがん
だ。呼ばれた本人にしてみれば、風祭
姓で呼んで欲しいのだ。
 しかし気を取り直すと、「お隣、よろし
いですか?」と、ベンチに座ろうとする。

272還るべき処:04/08/29 08:04 ID:FoTvyIcH
 やはりあの小娘、進ちゃんと!……いや、
しかし様子がおかしい。
 進ちゃんは気がついていないようだが、
猪熊柔は、表情と、態度で、はっきりと嫌
がっている。
 逃げを打とうとして、腕をつかまれ、しぶ
しぶ座っている。
 さやかは、ついたて越しに背中あわせの
ベンチに座って、さらに様子をうかがう事に
した。

「どのような、お話でしょう」
「僕は、バルセロナで行った、プロポーズの
返事を、まだ伺っておりません」

(プロポーズですって!?)
 さやかは凍りついた。
(このワタクシがいながらっ!!)
273還るべき処:04/08/29 08:05 ID:FoTvyIcH
「進之介さん、こうおっしゃいましたよね。
『もしOKならば来て欲しい……』……と。
 だから、行かなかったんです……。ごめん
なさい」
 言った、言ってしまった。
 でも、いつか言わなければならない事
だったんだ。

 進之介は、柔の返事を聞いた瞬間、足元の
床が大きく揺れたように感じた。 秋の東京か
ら、どしゃ降りのバルセロナに放り出された気
分だった。 
 顔から、血の気が引いていくのがわかる。
「つまり、断るつもりで、来なかったと…?」
「はい……」
 口の中が、カラカラに乾いていく。思考が、
混沌の中でのたうっているようだ。
「ど、どうしてですか? さやかさんとの縁
談はあくまで…」
274還るべき処:04/08/29 08:06 ID:FoTvyIcH
「さやかさんとの縁談が、お断りする理由の
中に全くなかったとまでは申しません。です
が……」
「ですが?……」
「でもそれ以上に、あの時あたしには、好
きな人がいたから……」
 『好きな人』……思い当たる節は、一つし
かない。
 さえない風体の、三流新聞記者。
 いつの間にか、彼女の隣にいたあの男。
 柔が、ユーゴスラビアで、顔を見た瞬間に
調子を取り戻したあの男。
 そして、授与式から柔をさらっていったあの男。
 松田耕作!!
 まさか、あんな三流記者に!!
「柔さん、まさか、あんな三流新聞記者を……」
「はい、あたしたち、おつきあい、しています」

 おつきあい……両想いじゃないか!!
 うわー!! やっぱり二人を行かせちゃいけ
なかったんだー!!
275還るべき処:04/08/29 08:08 ID:FoTvyIcH
 さやかさんの圧力に屈せずに柔さんをさらって
いけば良かったんだーー!!
 進之介のバカバカーーー!!

「あくまで……何なんですの……あくまで……」
 壊れたレコードのように、うわごとのようにつぶ
やくさやかであった。

 しかし、進之介はある事情を思い出す。
「お付き合いとおっしゃっても、松田さん
には邦子さんがいて…」 
 一瞬の何分の一かの間に、柔の中で、
雨の中、涙ながらに松田の真意を伝えた
邦子の姿が、正確にリプレイされる。ご
めんなさい、本当にごめんなさい……。
「邦子さん本人によると、“全部作り話”
だったそうで、結局何もなかったと」
「な、なんて事だ……」
 邦子さん、何故余計な事を。
276還るべき処:04/08/29 08:09 ID:FoTvyIcH
「しかし、彼は貴女を置いて、アメリカに行
ける男ですよ。 夢の為に、貴女を犠牲に
する男ですよ。仕事しか頭にないような男
に、姿を現さないお父さんとの、孤独な闘
いを強いられる貴女を守れる筈がありま
せん!」
「あたしはもう、ひとりじゃありません。
 それに進之介さん。
 今度お母さん、パリに行くそうです。シャ
ンゼリゼ通りをお父さんと散策するんだっ
て、楽しみにしています。国際電話でも、
実に嬉しそうに話ししています。どうして
連絡取れたかご存知でしたか?」
「それはご自宅に電話でも……」
 掴まれていた手を、冷たく振り解く。
「−48kg級の試合の後試合場で、連絡
先を書いたメモをお父さんに渡されていた
からですよ。テレビにも出た筈ですから、
ご存知かとは思いましたが」
「うっ……!」
277還るべき処:04/08/29 08:13 ID:FoTvyIcH
 進之介は失言を悔いた。柔は極端な話、
こう言っているのだ。
 テレビも視ていなかった癖に、と。
「エスカルゴの美味しい店があるそうです。
ほんと猪熊家って、食べ物にうるさい一家
なんですね」
 祖父も父も健舌家である。ちなみに、
柔のストレス解消法も、ヤケ食いである。
「とにかく……ごめんなさい。
 この事はもうなかった事にしてください。
 さやかさんとお幸せに」
 席を立つ柔。
「待ってください柔さん!
 あなたには人をみる目はある筈だ」
 進之介も必死で食い下がる。
 いま引いたらさやかに縛られたまま一生を
すごす事は確定的なのだ。
278還るべき処:04/08/29 08:13 ID:FoTvyIcH
「五輪二階級制覇をなしとげ、国民栄誉賞を
授与され、現役選手としての位人臣を極め
たといってもいいあなたが、なぜ好きこのん
であんな三流新聞記者にとらわれる必要が
あるのですか。
 あなたには、幸せになる権利があるはずだ!
 そうだ、あなたはあの男の事を何も知らない!
 あなたは騙されているんです!
 あの男は、行く先々で女の子を引っかける、
種馬みたいな男なんです!
 あんな男に騙されてはいけません!」
 進之介が悪口を言っている間に、柔は衝立の
方を向いた。平板な声を紡ぐ。
「行く先々で女の子引っかけている男とつき
あってはならないと?」
「そうです」
「『誰が一番なのか』女の子にやきもきさせる
ような男の人と付き合ってはならないと?」
「そうです、そうです!」
「あたしだけを好きだと思わせがら、二股
かけるような男と付き合ってはならぬと?」
279還るべき処:04/08/29 08:15 ID:FoTvyIcH
「そうです、そうです! そうです!!」
「じゃ、風祭さんの言うとおりにしますね」
(勝った!!)
 進之介はガッツポーズを決めた。これで
ようやく真の愛の生活が……
「もう二度と、あたしの前に現れないでくだ
さい」
 漆黒の闇の底から湧きあがるような低い声。
「え?」
 進之介は、天国の寸前で地獄に突き落と
された。
「だって、行く先々で女の子を引っかけるような
男の人と付き合っちゃいけないんですよね?」
「えっと、あの?」
「それ、あなたですよね?」
「な、何をおっしゃいます柔さんっ!?」
 進之介の方を向き直る柔。
 それこそ、ソウル五輪もかくやの、鬼も逃げ
出しそうな顔をしていた。
280還るべき処:04/08/29 08:16 ID:FoTvyIcH
「何を適当な事言っているんですか!?
 松田さんはそんな事する人じゃありません!
 第一行く先々で女の子引っかけるような人なら、
それこそあの邦子さんが黙っていないでしょう!?」
「柔さんそれは誤解で……」
「大体風祭さん、あなたこそ帰ってくるといつも
女の子が『誰が一番なのよ!?』って駆け
寄ってくるって有名ですよ?」
「成田での事はあくまで……!」
「成田だと何でわかったんですか?」
 慌てて両手で口を塞ぐ。
「つまりお付き合いがあった事は認めると」
「ですからそれは!」
「遊びだったとでも言うんですか?
 女の子をもてあそんでいて平気なんですか?」
「いやあの柔さんっ!?
 過去よりも未来を考えましょう僕を信じて……」
281還るべき処:04/08/29 08:17 ID:FoTvyIcH
「あたしだけを好きだと思わせる態度もウソ。
 松田さんに関する話もウソ。
 あなたの言っている事はウソばかりです。
 あなたの一体何を信じろと言うのですか?
 あたしあなたみたいな男の人は大嫌いです!
 失礼します!!」
 柔は席を蹴った。もはや一秒でもこんな男の
そばにいる事など耐えがたい。
「柔さん、落ち着いてください。それは誤解です!
 もう一度話し合いましょ……」
 進之介は肩を掴もうとし……最後まで言い
終える事もできずに宙を舞い、背中から床に
叩きつけられた。
 柔のとどめの一言。
「もう二度とあたしに近寄らないで!!」
 それっきり、一顧だにせずに立ち去って行った。
S:やっぱり二股かけようなんてするから、天誅が降るんですよ。いい
気味ですね、ざまーみろですね……。
Y:いささかやりすぎかなぁ……。

投:ではまた来週。
283名無しさん@ピンキー:04/08/29 09:56 ID:d021Pu2G
しんちゃんは、このままやられキャラへと墜ちていくんですかねえ、ハカイダーみたいに。
そもそも柔の優柔不断が、あるいは人を見る目がないのが原因なのに。可哀想・・・・・・

日曜日の8時なんてすごい時間にお疲れさんです。押忍!
284名無しさん@ピンキー:04/08/29 13:47 ID:d9wqv6Ka
>柔の優柔不断が、あるいは人を見る目がないのが
たしかにふらふらしてた。
ユーゴのときに自分の気持ちに気付いたはずなのに、卒業記念試合の後の松田の発言で
脆くもそれが薄れ、しんちゃんに唇奪われる流れ。あの流れはイヤだった・・。

スレ汚しスマソ。来週も期待してまつ。
285名無しさん@ピンキー:04/08/29 17:04 ID:9qAG7XDE
「某バニラ娘とその彼氏」のもとネタって何なんでしょう。新参者なんで。

頭文字の意味がよくわからないんですけど
286名無しさん@ピンキー:04/08/29 20:31 ID:QwW6kBaB
柔たんもだまされすぎだがw、
しんちゃんもひどい奴だったなw

でも上の流れは、ちょっと
かわいそうだけど
287名無しさん@ピンキー:04/08/30 18:33 ID:cVWUZ3WF
風祭の実態(行く先々で女の子を引っかけるような男)を
知ったらこれくらい嫌われそうな気もする。
288名無しさん@ピンキー:04/08/30 22:46 ID:63lEn0gB
でもさ、女ったらしと言うこと以外はそんな悪い人じゃないんじゃないかな。
他に女の人がいるの承知でつきあってる人もいたし・・・
289名無しさん@ピンキー:04/08/31 01:09 ID:AMRQYhz6
自分に好きだ、みたいな態度とっていたのが大きいんじゃないかな。
騙したのね、って感じで。
少し潔癖なところがあるし、今まで信じていたのと多分逆の人物像になったから、
余計に嫌悪感が強いんだと思う。
これが自分に対して何もなくて、もともと知っていたら、こんなにならなかったと思う。
290名無しさん@ピンキー:04/09/01 14:33 ID:VA1sf/4n
でもさ、ちょっと優しくされたら、まただまされそうな気がしない?

「やっぱりいい人じゃない。」とか言ってさ。

だまされやすいところがまた良いんだけどさ。
291名無しさん@ピンキー:04/09/03 21:27 ID:4QPkbHiv
まだかな?
292名無しさん@ピンキー:04/09/04 15:08 ID:AnaX9B9w
そういやあ、 駄文浪人さんは・・・・・・・
293名無しさん@ピンキー:04/09/04 17:47 ID:yZ980lpZ
バニラ娘さん来ませんね。よもや装甲巡洋艦『ドミトリー・ドンスコイ』で日本海に沈んだんじゃあ・・・
                                                              化
294名無しさん@ピンキー:04/09/04 18:14 ID:liKX/JSr
何の関係もないけど昨日銅メダルさわっちゃった。柔道のじゃないけど・・・・・
投稿前に、まずは一週間分のレスから!
>283様
ま、永遠に堕とすつもりは無いですが、今のところは下降線一本
でしょうね。
>284様
風見鶏と邦子の奸計にかかっていたし、
風見鶏は柔の事だけが好きだって明言していたことにも
注意しなければ。
>285様
「うぐぅ」で有名な、とある有名な18禁(後に全年齢対象も出る)ゲーム
が元ねたです。真冬でも食べるんですこの人。もっとも、春まで待てな
かった特殊な事情があるからですが。
>286様
自業自得ではあります。そして、最悪のタイミングだったわけです。
>287様
当然ですな。
>288様
>289様
 レスは次の投稿の予告にて、後で。
>290様
 今回のタイトルをお読みください。
>291様
 もうすぐです。
>292様。
いえ、私も待っているのですが。挟まろうが私は構わんのですが。
>293様。
ま、あの無能極まりないロジェストヴェンスキーの元じゃ、
日本海軍率いても勝てないでしょうな。
>294様。
今度は、自分で掴み取らないと。

では、還るべき処 第二章 絶対に無理! 投稿させて頂きます。
297還るべき処:04/09/04 21:28 ID:s1cfJxdq
第二章 絶対に無理!

 世界の全てが壊れて、無意味な何かに、変化していくように、
彼女は思えた。
 
「あいたたたた………」
 進之介は情けなくも全く平衡感覚がつかめない三半規管を
叱咤して立ちあがった。床に打ちつけられた腰がひどく痛む。
 松田を階段の下に投げ飛ばしたときには、柔は後で様子を
見に来た事を知れば、彼はさぞ落胆するだろう。
「ふらふらしちゃってどうしたの?」
 様子を見に来たのは松田の現在の恋人ではなく、過去の
恋人であった……少なくとも進之介の目から見ての。

 進之介を問い詰めようと席を立とうとしたさやかは、マスコミ
関係者の接近にまた座った。

「邦子さんこそどうしたんですか、松田さん、柔さんと出て行っ
ちゃいましたよ?」
「ん。鴨ちゃんから聞いたけど、どうやら二人ともちゃんとした
みたいね、結構結構」
298還るべき処:04/09/04 21:30 ID:s1cfJxdq
「何そんな太平楽並べているんですか! 柔さんに取られちゃうん
ですよ、松田さんを。あんなにラブラブだったのに」
「ラブラブ? 何言っているの」
 フンッと鼻の先で笑う。
「アタシはフォークダンスを独りで踊ってたようなもんよ。耕作が
見てたのは柔ちゃんだけ。アタシなぞ最初から視界にも入って
ないの」
「眼中に無いだなんて……腕組んだりしていたじゃないですか」
「だって、耕作にとってアタシは単なる同僚だもん。女の子じゃな
いんだもん。女の子じゃないんだから腕組もうが喧嘩をするわけ
にはいかないって事なんじゃないかな」
「妙に達観しているようですが松田さんと喧嘩でもしたんです
か?」
「ケンカなんて生易しいものじゃないの! 振られたのよ、完膚
無きまでに!」
 そんな邦子さん。あなたがしっかりと三流記者抑えないでどう
するんですか?
「何とかしましょうよ。お互いの幸せの為に。松田さん、家業継ぐ
とか言っていませんでしたか?」
「ああ、あのアタシの話ね? あれ、全部ウソ」
299還るべき処:04/09/04 21:30 ID:s1cfJxdq
「うへ?」
「ええ、そうよ作り話よ! 全部作り話!!」
 ジェリコの砦の城壁が、一瞬に倒壊したようだった。 
「バルセロナくんだりまで追いかけていって、散々危ない目に
あって、せっか-48キロ級で優勝した柔ちゃんをだまくらかして
追い返し、裸で耕作に迫ったってのにあの朴念仁ときたら…!
 大体あんたが体重別の後、柔ちゃん攫って逃げないのが
いけないのよ!」
「あの時は僕にもいろいろとしがらみが・・・って、柔さんが
なんとおっしゃいました!?」
 邦子さん、今ものすごく聞き捨てならない一言を聞いたよう
な……?
「やめてよあの時の話もう一度させるのは。 -48キロ級で
優勝し、耕作の腕の中に飛び込もうとホテルを訪ねてきた
柔ちゃんを、ガセネタ掴ませて追い返し、裸で耕作に迫ったら
完膚無きまでに振られたの!
 自棄になったあたしは、柔ちゃんに事の真相全部ばらし
ちゃったの!」
「や、柔さんが松田さんのホテルに?」
 まさに衝撃の事実!
300還るべき処:04/09/04 21:31 ID:s1cfJxdq
「うん、来てたわよ。富士子さんが徴発したIDカード返しに、
私服でおしゃれしてやってきたわよ。ろくにインタビュー受けて
ないみたいね、そういえばあの晩って。
 …あら、どうしたの顔真っ青」
「ぼ、僕のプロポーズの返事を蹴っ飛ばし、インタビューを無
視し、松田さんの部屋に……」
 へなへなとベンチに座り込む。
「プロポーズ? ふーん、頑張ったじゃない。ま、無駄な努力、
ご苦労様というところかしら?」
「無駄な努力なんて言わないでください。一世一代の大勝負
だったんですから」
「アタシが思うにねぇ……柔道に復帰した時に何かあったんだと
思うんだ。去年のイブに決定的な何かがあったのよ。お父さんと
永い別れをする事になっても、耕作に惚れ込んじゃう何かが」
「ああ、去年のクリスマスイブのデートをドタキャンされて以来、
柔さんは連絡一つ寄越さなくなってしまった……」

 多少のお付き合いはあったと……。
301還るべき処:04/09/04 21:32 ID:s1cfJxdq
「それはフ・ら・れ・た・のよ、完全に。イブのデートよ?
 ドタキャンするわけ無いじゃない、その気があったら」
「何か誤解があるんですよ。柔さんには」
「誤解? 別段あんたの事を悪人とは思ってなかったと思うけ
ど?」
「それが……僕が愛と自由の人生を謳歌していた頃の話が
どこからか柔さんの耳に入ったらしく、その怒りたるやそれは
もう……」
 思わず自分の体を抱く進之介。とことん格好悪い。
「それは自業自得でしょ」
「ああ、愛と自由の人生を謳歌していたのが、こんな所で足枷に
なろうとは…僕の真の愛の生活はどこに行ってしまうんだ…」

 私との生活は、偽りだったんですの?

「ふぅん……アンタの真の愛の生活ねぇ……」
 胡乱な目で見る、邦子。
「あんたが、耕作に負けた根本が見えたかも知れない」
「え? それは一体?」
302還るべき処:04/09/04 21:33 ID:s1cfJxdq
「聞いちゃえば答えは簡単だから、少しは自分で考えたら?
 ああ、そろそろアタシもお仕事に戻らなくちゃ。じゃね!」
「ちょ、ちょっと待ってください、邦子さん、良いんですか?」
 肩越しに、邦子は返事をする。
「この前オリンピックの会場で、アタシが言ったのに聞こえな
かっただろう台詞をもう一度言っちゃうよ。
 あんたは柔ちゃんが好き、アタシは耕作が好き…。
 でも、耕作は柔ちゃんが好き。柔ちゃんは耕作が好き。
 だから、絶対に、無理」
「邦子さん、それでも平気なんですか?」
 肩をそびやかし、腕を突っ張って、進之介に背を向けたまま
……。
「ええ、アタシは平気よ。全っ然平気!」
 邦子は、大股で歩きながら去っていった。

 さやかはそっと立ち上がると、邦子に気を取られている
進之介に気取られぬようにその場を離れた。

 猪熊柔にも、幾つか聞かなければならないだろう。
 さてと、来週投稿分纏めるか……。

 BLAM!

投:ぐふっ……な、何ゆえ……。
K:まだ次回予告終わってないでしょ!
投:だってよ〜眠いんだよ〜。もうゴールしてもいいよね……。
k:まだゴールしちゃだめよ。(Boka! BLAM!)
投:ぐはあっ!

「でも、彼はあたしのタブーに触れたから……」

S:ではまた来週ですっ♪
304名無しさん@ピンキー:04/09/05 08:37 ID:8EcUldMm
あがり症だけが唯一の弱点だったはずのしんちゃんがくずれていく
305名無しさん@ピンキー:04/09/05 11:26 ID:YOeV5WNc
ロジェストヴェンスキーは、絶対無能じゃないよ。
あのオンぼろ船の集団を1万5千余里回航させたんだから。
谷だって42km走ってから試合しろと言われたらきっと負けるだろう。
306名無しさん@ピンキー:04/09/05 21:33 ID:JgD7mgws
過去スレ2.1どうやったら見れるのでしょう?
307名無しさん@ピンキー:04/09/05 22:07 ID:79dokho8
>306
http://f53.aaacafe.ne.jp/~musique/
でみれると思います。あのころの作家さんもう帰ってこないかな?
308306:04/09/06 00:03 ID:3U+wXvY/
>>307
ありがとうございます。やっと読むことが出来ました。



地震が…
309名無しさん@ピンキー:04/09/06 10:41 ID:Mm6uOoDz
今週も乙です。楽しみにしてます。
310306:04/09/07 23:10 ID:YsYZ47zM
過去スレの職人様の投稿を一通り読みました。
YAWARA!の世界観を壊していないところがいいですね。
自分もSSの構想が浮かんできたので、一度文章に起こして見ようかと思います。
投稿するかはわかりませんが…。
311名無しさん@ピンキー:04/09/08 00:27 ID:Um2L5fTB
>306
とりあえずできたら投下しちゃいましょう。そんな混みあってるわけでもないし・・・・って無責任かな。
312名無しさん@ピンキー:04/09/09 21:39 ID:k38KcNyn
1週間長いねえ。
313名無しさん@ピンキー:04/09/10 00:18 ID:BE7e7OX9
今思えば化け猫さんてすごいペースで書いてたのね。
314名無しさん@ピンキー:04/09/10 01:20 ID:M5LZ8wS9
過去スレ一読したけどアメリカ旅情編とか書いた職人さんとか凄いなぁ・・。
なんかエロパロを通り越して感動しちゃいました。

折れじゃ文才ないからあの辺りの話を投下してくれる職人さんに期待して・・(;´Д`)

315名無しさん@ピンキー:04/09/10 06:06 ID:wKXMFd7V
俺の中では「first time」が最強だ。
キャラの性格が崩れておらす、凄くうまくまとめられていると思う。
316名無しさん@ピンキー:04/09/10 19:52:16 ID:Cv5524UF
?
317306@誠意執筆中:04/09/10 21:20:16 ID:Y+tDnCM1
只今進捗度20%程度。エロ未だ無し、ギャグ自信無しの状態です。
実際文章にしてみると、あまりの自分の頭の堅さに_| ̄|◯

>>311
なんとか完成させてから考えてみます
318名無しさん@ピンキー:04/09/10 21:47:43 ID:tM8zqymw
(=゚ω゚)ノいよぅ なんか新作が一杯あって、ムホムホ読んでました。みなさん
凄いですのう。なんか気づいたら、もう半年以上たっているんですが・・・。
実は、1月にYAWARA!を読破して、妄想炸裂させてたので、あの頃は
一気に書けたのですが、今は落ち着いて読み直して、色々アラがあり、恥ずかしい
限りです・・・。でも、ゲリラ的におまけ編は完結させたいと思います。お邪魔
かもしれないですが・・・。もう、自己満足の世界です。。。
_| ̄|〇

>>314
そう言われると、嬉しいやらこっぱずかしいやら。。。でもサントスです。

>>315
>俺の中では「first time」が最強だ。
濃縮版にあるのかな?早速見に行きます。

>>317
文章化するの難しいですよね。特にエロ・パロは本当に難しいです。でも
ここの住人さんはみんな優しいので、投下しないのはもったいないです。
319駄文浪人:04/09/10 21:48:49 ID:tM8zqymw
あれ?上げてしまった。。。_| ̄|〇
あと>>318は、おいらです。
320駄文浪人:04/09/10 23:45:15 ID:tM8zqymw
今、このスレ全部読み終わりました。江戸屋化け猫さんは想像力が凄いなぁ。
フクちゃんを絡ませるあたり、もう完全に脱帽です。
バニラ氏の成田その直後の話は、おいらも考えていました。かなり近いので
今後の展開に期待。
というか、ここ、アナザーストーリーとかやってもいいのかな?誰かエロにも
寛容なWEBドラマサイト作ってくれないかなぁ。
いやぁ、しかし堪能した。おいらもがんがらなければ。
どうでもいいけど、最近のスピリッツで、どきゅもがYAWARA!を広告に
使ったらしいですね。買いたかった・・・。
321名無しさん@ピンキー:04/09/11 08:35:13 ID:qwZtALFa
>313
質より量よ。       

私の信念    
   量の重視 速度の重視 全縦・・・・・・・・

                       化け猫
322名無しさん@ピンキー:04/09/12 16:18:44 ID:A8E9Yftu
今週は遅いね。
323名無しさん@ピンキー:04/09/12 17:37:41 ID:A8E9Yftu
アナザーストーリーをやっても良い。何ならレイープ物をやったって文句はいわん(あくまでも、私は)。
でもその前に早く続きを・・・・・・。中野予備校の6巻じゃないんだぞー!
324306@性意執筆中:04/09/13 21:02:59 ID:/LEUMdQ9
只今進捗度85%程度。やっとエロに突入します。でも淡白です。恐らく今週中には完成するかと。
でも、エロゲーで最後の最後にやっと目当ての娘と結ばれるかの様な展開で
楽しんでもらえるのでしょうか?心配です。

>>318 駄文浪人様
なんとか自分の中ではいい感じに仕上がってきたので、完成したら発表したいと思います。

今週は某バニラ氏現れませんでしたね。実は私が制作中の物も成田の後話なので、
発表は某バニラ氏の投稿が終了するまで待った方がいいですかね。
325名無しさん@ピンキー:04/09/13 22:10:07 ID:H1KM/7w+
某バニラ氏も週一ペースみたいだし、少しぐらい挟まっても良いんじゃないですかね、個人的には。

1週間何もないのって寂しいじゃないですか。
326柔たん 好きだー:04/09/14 18:11:47 ID:3p8hHkIN
個人的には、ぷちさんの柔たんが
松田さんの部屋を勝手に片付けて
飯食わす話が好き
(筆が止まってそれきりですが 泣)

エロはまったくないが、二人のキャラが
そのままってのがすごい!(あくまで主観ですけど)
実際、二人が付き合ったら
あんな雰囲気になりそう。

二人とも奥手だから初Hの時は、
おたがいに緊張してそうw
松田さんは、ずっと雲の上の存在として
(柔たんを)とらえてたし、
柔たんは、柔道は無敵で国民栄誉賞も取っちゃう
すごい人なのに、
恋愛に関しては自信なさそうっていうか
控えめっていうか、
奥手なのが萌え

いけいけで自信まんまんの柔たんは
萎えですよ!
不敗神話の回とか好きー 萌えー
327名無しさん@ピンキー:04/09/14 23:29:59 ID:2j4g8+s2
高校時代はともかく、柔道で忙しいだけでそう奥手とは思えないんだけどなあ。
だってさあ、松田さんのうちに自分から泊まりに行っちゃうんだよ。邦子さんがこなかったらさあ・・・・・・ねえ?
328柔たん 好きだー:04/09/14 23:44:32 ID:3p8hHkIN
あれは、柔たんから積極的にいった
唯一の発言だったねw

ただ、最初は飯を置いて帰ろうとしてたわけだし、
最終回とかももー松田さん大好きなハズなのに
柔たんからはいけなかったしねw
329名無しさん@ピンキー:04/09/15 00:02:49 ID:YSaxf19z
>>326
>松田さんの部屋を勝手に片付けて飯食わす話
それはポチさん作ではなかろうか?
自分も続き待ってます

306さんもがんばって下さいー楽しみにしてます
330名無しさん@ピンキー:04/09/15 00:19:27 ID:6U39knP5
そういえば風祭って金回りが最初のうちから良いけど親は何やってるんだろう?
331名無しさん@ピンキー:04/09/15 00:23:12 ID:MQe2+ik7
風祭酒造
ってどこかに書いてあったな
332名無しさん@ピンキー:04/09/15 00:33:29 ID:6U39knP5
風祭の部屋にも行ってたよなあ。
あれだってさやかが来なけりゃあ、危なかった。
けっこうする事しかけてるじゃん。未遂なだけで・・・

あ、あの、別に悪いとか嫌というわけじゃないんです。


333名無しさん@ピンキー:04/09/15 00:55:38 ID:rANirK9x
TAWARA?
334名無しさん@ピンキー:04/09/15 01:08:10 ID:OEMO5yj7
NO! YAWARA! YAWARA!
335名無しさん@ピンキー:04/09/15 01:12:24 ID:O4ayoIe1
ジョディーキタ━━━━(゜∀゜)━━━━!!!!! 
336名無しさん@ピンキー:04/09/15 02:31:23 ID:oQ8kQg1u
ハアハア
いいだわさ 
もっとくるだわさ
GOGO COMECOME
337名無しさん@ピンキー:04/09/15 04:51:29 ID:TD4vgdHa
>>336
萌えない。
というか萎え〜。
338名無しさん@ピンキー:04/09/15 09:40:32 ID:Ig7S9r2o
風祭も最初は可愛かった側面もあったのだが・・・
339名無しさん@ピンキー:04/09/15 15:42:43 ID:uaOMupDV
あの、エロパロじゃなくて連載のその後って感じで書いてみたいんですけど、
どこかにそういう感じの場所を知りませんか?ここはエロ専門ですよね。
でも、感じのいい文章もあるし、好きなんだけど。
340さやか:04/09/15 17:21:41 ID:oQ8kQg1u
>332
あれは風祭が誘惑したんじゃなかったっけ。
341名無しさん@ピンキー:04/09/15 21:25:04 ID:6U39knP5
>340
誘惑したって言ったってまんざらでもなかったわけだし。結構柔の方も乗り気だったような。

>339
1〜3を読んでおわかりのようにここでエロがないぐらいでたたかれることはほとんど無い     

と思いますよ、たぶん。 まあ、あるに越したことはないかもしれませんが・・・・・・・
342名無しさん@ピンキー:04/09/15 23:54:54 ID:6U39knP5
今日も松田は来ないは、バニラさんも来てないは全くもう・・・・・ブツブツブツ
343名無しさん@ピンキー:04/09/16 00:53:47 ID:n6fGQObk
>>326
>松田さんの部屋を勝手に片付けて
折れもこの話好き。実話に沿ってターニングポイントをうまく書き替えてるところが(・∀・)イイ!!
連載では渡米の準備を済ませて引きはらった部屋に柔登場だったな。
授与式(渡米日)前日は鴨田の部屋に泊まってたんだろーか。

ホント最後の最後まですれ違いすぎだよなぁ・・。・゚・(ノД`)・゚・と思ってたシーンだったから
松田が部屋にいて二人きりでまったり再会できたことだけでも感動。

てか、もうエロパロのレスじゃないやね、これw
344名無しさん@ピンキー:04/09/16 23:39:39 ID:72S9QowJ
ようやく松田さんが体育館に着いたね。
345名無しさん@ピンキー:04/09/17 20:16:43 ID:McDQZZPw
>>336
激ワラタw
346三佐衛門@306:04/09/17 21:45:05 ID:m6yO80Wj
えー、エロに突入と言いながら、エチシーン後回しにしてラストを仕上げてしまったヘタレの306です。
おいおい完成すると思うので、そろそろ投稿したいと思います。
投稿するに於いてHN付けました。今後ともよろしく。

投稿のタイミングですが、週末の某バニラ氏と被らない様に、月〜金に毎日1〜2個ずつ投下しようと思います。
今日はプロローグです。仮のタイトルですが「確かなもの」としておきます。
自分が読んでも、先の展開を期待できる内容では無いので、まあ誰が読んでいるのかと思う様な新聞の連載小説程度に考えてください。

さして速くもない直球しか投げられませんが、完投できたら幸いです。
347三佐衛門:04/09/17 21:46:04 ID:m6yO80Wj
「俺……、俺…、君が好きだ」
「あたしも………、ずっと好きだった!!」


どれぐらいの間そうしていたのだろう。一瞬とも永遠ともつかない時間。やがて松田は名残惜しそうに柔から離れる。
「それじゃ、行って来るよ」
「うん…、行ってらっしゃい」
柔も涙を拭いながら、やっとそれだけを言った。
(『行ってらっしゃい』か…。告白したからこその言葉なんだろうな…)
バルセロナから帰ってきたあと、松田は柔に会おうとしなかった。柔は本当に世界のスーパースターになったのだ。
『…俺の出る幕じゃ無い』
そう思ってきたのだが、成り行きとはいえ国民栄誉賞授与式の会場から連れ去っておいて、自分の気持ちを伝えないまま
アメリカへ行ってしまっては悔いが残っただろう。しばらく逢えないのは残念だが、一応スッキリとした気持ちで旅立てそうだ。
松田は大きく手を振りながらエスカレーターを降りて行った。
348名無しさん@ピンキー:04/09/17 21:46:10 ID:8uKlRnH1
みんな予告ばっかりでちっとも書かないじゃない!
349三佐衛門:04/09/17 21:46:44 ID:m6yO80Wj
「行っちゃいましたね」
うしろで鴨田の声がした。柔はなにも答えず、涙を流しながら松田の消えて行った先を見つめていた。
「………」
それっきり鴨田は何も言わない。落ち着くのを待ってくれてるのだろう。柔はハンカチを取り出し涙を拭くと、うしろを振り返り
無理な笑顔を作りながら
「帰りましょうか」
と言った。
「え?展望デッキに行かなくていいの?」
「うん」小さく頷いた。松田の乗った飛行機を見送っていたら、また泣いてしまいそうだったからだ。
そして駐車場に向かって歩き出した鴨田の後に付いて行く。
空港ロビーを出ようとしたとき
「あの、や、柔さん…」
聞き覚えのある声に驚いて振り向くと、そこには照れ笑いをしながらうつむき加減で頭を掻いている松田が立っていた。
「飛行機…、乗り遅れちまった…。はは…」
唖然とする柔。
「ふふ…、ふふふふふ…」
堪えきれなくなったらしく、目に涙をためながら笑い出した。
「あははははは…」
「ふふふふふふ…」
笑いの止まらなくなった二人を呆れた様な、しかしホッとした表情で鴨田は見つめていた。


350名無しさん@ピンキー:04/09/17 21:47:09 ID:8uKlRnH1
と思ったらぶつかった。
351名無しさん@ピンキー:04/09/17 22:15:09 ID:Q6JHS21l
プロローグ、イイ!!です。
実はあんなにひしっと抱き合ってて、
搭乗には間に合ったんかな〜とずっと思ってたんだよな…
補完してもらって嬉しいw
352名無しさん@ピンキー:04/09/17 23:47:30 ID:9V1jU8jd
三佐衛門さんイイ!
期待してるよ〜。
353名無しさん@ピンキー:04/09/18 05:44:00 ID:CZYcK2eY
ウルウルする柔。
王道ですね。
化け猫さんの言葉を借りれば久しぶりの直球派だ。
それはそうとストになっちゃいましたね。
354名無しさん@ピンキー:04/09/18 19:20:50 ID:BE00lr2j
でね、バニラさん、駄文さん。

そろそろ続きのお仕事しません?ず−−−−−−−−−−−と待ってるのよ、私たちは。
まあ、社会人がお忙しいのは重々承知してますが。
355名無しさん@ピンキー:04/09/18 20:53:19 ID:2Gg2bwhd
>>354
化け猫さんに新作を期待してはダメですか?
356名無しさん@ピンキー:04/09/19 09:13:50 ID:G7Pw5dxZ
>355
今3人もいますし。
それにダラダラ続く方だし、書く物はそれほどエロくない人なので(人間的には
エロイ人かもしれませんが)、秋も深まってやっても許されそうな雰囲気だったら
もう一回やらしてもらえるかなあ、と思ってROMしている今日この頃です。

あ、自演じゃないっすよ。                    化け猫
357三佐衛門@306:04/09/19 22:22:46 ID:a+yXOvR7
えー、地元球団のファンになって14シーズン目の三佐衛門です。
かなり醒めてしまったので、楽天の作る新球団に乗り換えようかと思っている今日この頃。
それはともかく、拙いプロローグでしたが、多少なりとも期待もらえて嬉しいです。

某バニラ氏現れませんねぇ。お忙しいのかな?
明日からのつもりでしたが、書き込みが少ないので、一つ投下しようと思います。
化け猫さんにも期待しています。それでは。
358三佐衛門:04/09/19 22:23:17 ID:a+yXOvR7
「まったくアイツは最後までなにか騒ぎを起こさないと気が済まねぇのか」
部屋の一番奥にあるデスクの、大きめの椅子に腰掛けた男が言い放つ。ここは日刊エヴリースポーツ新聞社編集部。松田の
勤める会社である。
この机の主たる編集長は、さっきまで局長に呼ばれて状況の説明を求められていた。とはいえ
(状況も何も、本人がいないのに解るわけないだろう。邦ちゃんの話も的を射ていないし)
適当に言い繕って、局長室を早々に退散してきた所だった。
プルルル…プルルル…
デスクの上の電話が音を立てる。
カチャ
「はい日刊エヴリ…、松田か!!」
編集部内の全員が注目する。
「テメェ、なんて騒ぎを…、何でおまえが電話してきてるんだ?……飛行機に乗り遅れただと!!………いっぺん戻ってこい!」
ガッチャン
フゥー
乱暴に受話器を置くと怒りのため息を吐く。
「えー、耕作、飛行機乗り遅れたのー?」
邦ちゃんが寄ってくる。なんだか嬉しそうだ。気を落ち着かせるため、自分でコーヒーを入れる。
「まったくアイツは最後まで…」
気付かない内に、さっきと同じ愚痴を繰り返していた。

359名無しさん@ピンキー:04/09/20 07:22:34 ID:lohWMVWh
ふむ、邦ちゃんがコーヒーを入れなければならないほど、うれしそう・・・・
360「某バニラ娘とその彼氏」の投稿者:04/09/20 07:34:51 ID:LRPLBtqL
合戦準備、昼戦に備え。

>304様
あがり性というより、「守勢に弱い」と判断していますので。

>305様
偵察巡洋艦「和泉」を黙らせなかっただけでもダメ提督かと。

>309様。
お待たせして申し訳ありません

>三佐衛門様
どうぞ、存分にやっちゃってください。

>312様。>322様。>342様。>354様。
カチャ;y=ー( ゚д゚)・∵. ターン  

>駄文浪人様
頑張りましょう。
我、期待ニ背カザルベシ。
361「某バニラ娘とその彼氏」の投稿者:04/09/20 07:36:14 ID:LRPLBtqL
>江戸家化け猫様。
>速度の重視
すいません、逝ってきます。

    ||
∧||∧
 ( / ⌒ヽ
 | |   |    
  ∪ / ノ
   | ||
   ∪∪

>もう一回
存分にどうぞ。

>359様。
で、鼻歌が『別れても好きな人』なのでしょうか?

以上、レス終わります。十分後から投下開始します。
362還るべき処:04/09/20 07:55:54 ID:XexJxiQj
第三章 泥棒猫の憂うつ、奥様の憂うつ

「松田さんとうまく行ったの?」
「鴨田さんにはカマをかけられ、おじいちゃんには怪しまれ、記者
さん達には囲まれ、今度は富士子さん? みんなそれ聞く……」
 うんざりと言う表情で、テーブルに突っ伏す柔。パーティもお開
きになり、二次会に行く前にホテル内の喫茶店で時間を潰す
二人であった。ん?花園薫はどうしたのだと?
『ウス、自分はフクちゃんを迎えに、お義父さまの所に行くで
あります!!』
えーまあ、つまりはそういう訳です。

 あの、泥棒猫が……居た。
 一言言ってやらなければ!
 さやかは一歩踏み出し……

「どうしたお嬢様よ。いや、今では奥様というべきかの?」
「!!」
 後ろからかけられた声に、さやかはその場で3センチ程飛び上
がった。
363還るべき処:04/09/20 07:56:56 ID:XexJxiQj
「何血相変えておる。まるで上官暗殺しようとしている少壮士官
どものような御面相じゃ。旦那と喧嘩でもしたのか?」
「なんて時代がかっている例え…って、それ所ではありません
わ! 国民栄誉賞どころかワタクシの夫に手を出そうとはなんと
あなたの孫娘はさもしいのですの!? こうなったらギタギタに
……うぐっ……」
 滋悟郎につかみ掛ろうとし…瞬時に肘関節を固められるさやか。
「甘い物でも食いながら話を聞こうか?」
「そんな悠長な事していては進ちゃんが…いたっ……」
「柔の事なら心配はいらん。旦那に手を出す事も、旦那の誘いに
乗る事も金輪際ないわ」
 力が抜けるさやか。ようやく離す滋悟郎。
「信じられませんわ……」
「信じる信じないはともかく、ワシが珍しくも奢ってやるわい。あん
みつでも食うか?」
 近くの(柔たちが居る所ではない)甘味処に引っ張っていかれる
さやかだった。
364還るべき処:04/09/20 07:58:03 ID:XexJxiQj
「実はうまくいったんだ、ようやく」
 突っ伏しているテーブルからようやく頭を起こす柔。
「良かったじゃない」
「ホントあたし達ってすれ違いばっかり…昨日会いに行ったら部屋
引き払っちゃって、もう……」
「まったく、挨拶も無し?」
「うん、でも、もう大丈夫……うん、もう大丈夫」
 背中に残っている松田の掌のぬくもりを思い出す柔だった。
「あたしの夢叶えてくれたのが松田さんだから、あたしも、松田
さんの夢をかなえてあげるの」
「ふーん…でも会いに行きたいんでしょ?」
「四年間も待てないわ、今すぐに会いたいの」
「まーご馳走様♪」
「えへへっ……」
 この様子なら聞いちゃっても大丈夫かな?
「さっき苦虫噛み潰していたの見て、まさか松田さんと喧嘩別れ
したかとでも思ったわ」
「うん……ちょっと嫌な事もあってね……人を見る目の無さも実感
しちゃったから」
「何があったかは、教えてくれないかな?」
 直接は柔は答えない。
365還るべき処:04/09/20 07:59:39 ID:XexJxiQj
「以前、フクちゃんが産まれてくる前に、言っていたよね…末は
柔道チャンピオンだって」
「う、うん……」
「でも、柔道漬けにしちゃダメ」
「ええっ!?」
 いつぞやの悪夢が蘇る。富士子の背筋を、氷より冷たい
何かが駆け下りる。
「まさかその猪熊さんあの……」
「あ、別に柔道止めるつもりはないから。あくまで…」
「あくまで?」
「柔道ばっかりで、人の見方とか、接し方とかを教えないのは
ダメって事。
 柔道漬けにしちゃうと、そのうちフクちゃんにライバルが現れ
るの。 そしてそのライバルのコーチが格好良い人で、女の
人の扱いも巧いから、つい夢中になっちゃうの。
 でも、その人は実は女ったらしで、フクちゃんは騙されちゃう
の。そして、本当に好きな人が誰だか分からなくなっちゃうの。
 だから、柔道漬けにしちゃダメ……というか、バランスをとって
おいた方が良いというか、柔道をやるのが悪いんじゃなくて何と
言うか……」
366還るべき処:04/09/20 08:00:18 ID:XexJxiQj
 言いたい事は良くわかった。
「風祭さんと、そういう仲だったの?」
「結局の所、ご飯を一緒に食べに行く程度だったかな?」

「フム…風見鶏が柔にプロポーズとな? それもわざわざバル
セロナで。ここ一年は完全に縁が切れておったぞ?」
「じゃあ、その前は?」
「その前の付き合いか? 一緒にメシを食うぐらいの間柄では
あったようぢゃがの」
「ワタクシがいながら何でそんな……」
「柔が交際していた事か? おぬしの事を柔に対し風見鶏が
言い抜ける方法は幾らでもあるわ。例えば親同士の政略とでも
あの馬鹿娘に吹けばすむ話ぢゃ」
「親同士の、政略ですってぇ……」
「だから、例えばの話じゃ。本当はどうかは知らん。恋と戦は
道を選ばずと言うしな」
367還るべき処:04/09/20 08:01:22 ID:XexJxiQj

「本阿弥さんもいるのにどうして……」
「だって、さやかさんとの話は親同士の政略で、あたしだけを
好きだと言われていたんだもん……あたしって人を見る目無
かったみたい」
「まあまあ、無かったと言うより育ったんだと思わなきゃ」
 ズーンと暗くなってしまう柔をなだめる冨士子。
「まったく、松田さんもなかなかはっきりしないから……」
「あたしはあたしで松田さんへの想いがはっきりしたのが去年の
イブで、全部の誤解が解けたのがこの前のオリンピックだもん…」
「それで柔道に復帰したと……」

「昨年のイブに決定的な何かがあったという事ですが…」
「うむ、またまた風見鶏に誘われておったようでな。夜遊びばかり
考える不良娘めが……その時までは結局柔道する気は全く無
かったのぢゃ」
「ワタクシとの勝負はどうなりますの!?」
「そんなの知るかい! ワシもそう思ってお主との争覇戦も
含めた過去の記事全部のスクラップブック読ませたんじゃが…
ほとんどの新聞社はロクに目も通して無かったようだが、一社
だけきちんと目を通したどころか、翌朝から自分でスクラップ
纏め始め、ワシの所にも戻さん奇跡のような新聞社がある。
 どこか判るかの?」
368還るべき処:04/09/20 08:02:08 ID:XexJxiQj
「東西、帝都、それとも極亜とでもおっしゃいますの?」
「日刊エヴリーぢゃ」
「まさかあんな三流新聞が……」
「柔がらみの記事書いておるのは誰ぢゃ?」
「ワタクシはゴシップ新聞読む趣味はありませんの」
「柔道のネタは割合まともだったがな。ただししばらくは面白く
なくなるぞ……って話を戻すわい」
 あまり興味のなさそうなさやかの表情に、話を戻す滋悟郎。
「出発直前にいきなり電話をかけてどこかに断りの電話を入れ
て、その後別な場所に血相変えて出て行ったのぢゃ。全く
お主は刻一刻と強くなっているというのに……」
「ワタクシはもともと最も強いのですわ!……断りの電話を入
れた相手は進ちゃんでしょうが、どちらに行ったのでしょうか?」
「“どこか”ではなく“誰のところか”ならわかるわ。翌日の
エヴリーがアレだ。誰に会って何を話したかは予想がつこう?」
「それは決定的ですわね」
369還るべき処:04/09/20 08:03:04 ID:XexJxiQj

「イブにドタキャンじゃ、誤解の余地無いわね」
「うん…で、結局その後はあたしも一切連絡しなくなったの」
「それ、普通諦めると思う」
「でも、バルセロナでいきなり練習中に車で乗り付けてきて……」
「非常識にも程があるわね」
「で、一生のお願いですってレストランに引っ張ってかれて……」
「減量中の人間の前にご馳走を? 最悪じゃないの」
「そこでプロポーズ。返事は−48kg級の試合の後で、OKだった
ら待ち合わせの場所に……って言われたの」
「普通そんなタイミングで求婚なんてしないと思う」
「そう言われれば、TPO心得ている風祭さんだし、それこそ無差
別級の後にすると思うわ。何でだろう?」

「バルセロナでと聞いたが、何でそんな本阿弥家の目の光っ
ている敵地で勝負に出なければならん? 日本に帰るまで
待てない事情でも……そうか、披露宴か!」
「披露宴が何だとおっしゃいますの?」
「率直に聞くが、披露宴を決めたのはいつぢゃ?」
「…三日前ですわ」
370還るべき処:04/09/20 08:04:13 ID:XexJxiQj
「決めたのはお主か? それとも二人でか?」
「ワタクシです……」
「いきなり三日後に人生決めろ? さすがにそれは勝手に過ぎん
か?」
「だって嫌だとは一言も……」
「直接的に嫌だとは言わなくても、例えば何やかやと理由を
述べたてて延期しようとか控えめに言ってはおらんかったか?」
 無言で肯くさやか。
「そして風見鶏は全ての面倒を吹き飛ばすべく、暴挙に出たと」

「で、まさか、受けたの?……それ……」
「ううん。 返事しにも行かなかった……酷いかな、あたしって」
「字義通り判断するなら良いんじゃない? OKならば来てくれっ
て言うんだし」
「詫びいれなくちゃと思っていたんだけど、その必要性もなくなっ
ちゃったな……大喧嘩しちゃって」
371還るべき処:04/09/20 08:07:50 ID:XexJxiQj
「大喧嘩……それでさっき機嫌悪くしてたのね…」
「うん……別に女ったらしはどうでも良かったんだけど、ただ、彼は
あたしのタブーに触れたから…」
「タブー?」
「だって、自分のこと棚に上げて松田さんを種馬呼ばわりだもの。
 あたしが好きだと思っていた人は、競争相手を適当なウソ吐いて
陥れるような人だったのかと、自分の人を見る目の無さを追い知ら
されて……ついカッとなっちゃって、最後は、こう」
 右手で何かを抱え上げ、左で何かを引っ張る仕草。
「ま、嫌な事忘れて今夜はパーっと呑もう!」
「うん、そうする!!」
「じゃ、そろそろ行こうか!」
372還るべき処:04/09/20 08:08:35 ID:XexJxiQj

「結局、大喧嘩して投げ飛ばしたというんぢゃろ? しかも松田
ともうまく行った。風見鶏にはもう出る幕はないわ。あの強情
娘は一度こうと決めたら梃子でも動かん。一体誰に似たのやら
……」
 それはあなただと言わないのが良識と言うモノでしょうか?
「柔の腹は、自分でも知らないうちに最初から決まっておった
のかも知れん。
 もう時効だと思うので……」

 さやかは、店を出た。
 先程居た喫茶店の柔の席は、もう空になっている。
 まあ、いいだろう。
 決着はついた。
 進之介と、そして運命と対峙する時だ。
373「某バニラ娘とその彼氏」の投稿者:04/09/20 08:20:57 ID:XexJxiQj
では、また来週。

K:で?先週落とした理由は?
投:しょーがねーだろー。SS書いている最中にPCが凍って、
  よりにもよって今回分の投稿をえいえんのせかい(冥府、あの世、
  天国と思いねぇ)に引っ張って行っちゃったんだ…orz
S:いっそ不関旗あげたら……
投:「ナヒモフ」みたいに、何とか着いて行くさ。魚雷でも食らわない限り
  はな。
374名無しさん@ピンキー:04/09/20 08:37:00 ID:lohWMVWh
朝から乙です。

しかし前の人と良い、バニラさんと言い早朝に投下するなんて、実に健康的。
逆に徹夜ばっかの超不健全なのかな?

二場面同時進行という喜劇特有の進行をシリアスの中でやるとは渋い。
375名無しさん@ピンキー:04/09/20 12:06:49 ID:XETxYWhU
>368
東西新聞。山岡さんの記事なら・・・・・仕事は適当だからダメか。
376三佐衛門@306:04/09/20 18:43:00 ID:MeaGg10D
えー、今日も23日も出勤で、普通の一週間と変わらない三佐衛門です。
某バニラ氏のデータはご愁傷様です。私のPCのHDDも、たまに変な音がするので逝っちゃったら諦めます。
投稿がないと、なんか不安になってきて結局昨日一つ投下しました。

それでは本日分です。
377三佐衛門:04/09/20 18:43:25 ID:MeaGg10D
ボバン ボババン
まるでコロンボ警部の愛車のごとく、いかにもヤバそうな音を立てながら、鴨田の運転する軽四は猪熊邸前に到着した。夜に
受賞記念パーティーがあるので、その準備をするという柔を送って来たのだ。
『松田さんもパーティーに行きますか?』なんて事を柔が言ったが、授賞式をメチャクチャにした男がパーティーなんぞに行ったら、
どんな騒ぎになるか知れない。松田は大慌てで首を振った。そんな松田の様子を見て笑っていたので、冗談だったのだろう。
車が止まると二人は、狭いリアシートから降り立った。
「それじゃ柔さん、今から編集部に行って来るよ。あとで電話するから。もしかしたら『アメリカ行きは中止だ!』とか『おまえなんか
クビだ!』とか言われるかも知れないけど」
「はい。期待して待ってます」
そう言って小さく手を振りながら家の中へ入っていった。
「おいおい…」(冗談か本気か解らねえな)
そして車の助手席へ乗り込むと、鴨田がいきなり
「よかったですね」
と言った。
「な、なにがだよ」
そうとぼけると、鴨田は松田の心を見透かした様なニヤついた目で顔をのぞき込んでくる。なんか前にもこんな顔をされた事が
あった様な…。
「さ、さあ運ちゃん、編集部までひとっ走り頼むヨ」
「へいへい」
ボババババ
鴨田の軽四が勢い無く、編集部へ向けて走り出した。
378駄文浪人:04/09/20 23:28:27 ID:94q67YEU
>>354様はじめ、読んでくださっていた方
申し訳ございません。色々環境的にも精神的にも波がありまして。脳内での
整理は大体ついているのですが、もう非常にあっさりで、今更の悪寒です・・・。
新作目白押しで、ROMってすみません・・・。
吊ってきます。 カチャ;y=ー( ゚д゚)・∵. ターン
379名無しさん@ピンキー:04/09/21 12:14:06 ID:y+36w5ix
で、明日の各紙の見出しは何になるんでしょう?

「エヴリー猪熊を誘拐?」   「YAWARA熱愛発覚」
380名無しさん@ピンキー:04/09/21 18:12:00 ID:17ejDkdW
>378
あっさりがいかんと言われたら”エロどあっさり”をポリシーにしている私の立つ瀬が・・・・・

待ってるわ。うっふん。  
         
                                          化
381三佐衛門@306:04/09/21 20:37:48 ID:J25jjVhk
コッテリなエロを書けと言われたら吊るしかありませんw

>>379
滋悟郎が記者会見で大風呂敷広げて、見出しを持っていくんじゃないですかね?
とはいえ、どうやって誤魔化したのだろう?
382三佐衛門:04/09/21 20:38:20 ID:J25jjVhk
編集部前に着くと『一緒に行きましょうか?』と言う鴨田の申し出を断り、昨日から世話になった礼を言って、単身編集部へ乗り
込んだ。そして今、部屋の一番奥にあるデスクの前に直立不動の状態で、編集長からのお達しを待っているところである。
「………」
「………」
「………」
編集長は黙って封筒を一つ差し出した。
「?」
受け取って中を見てみる。
「明日の11時の便だ。今日はホテルに泊まれ」
松田が電話してきたあと、編集長の『明日の飛行機と、ホテルも手配してやらんといかんな』という言葉を受けて、邦ちゃんが
手配してきたものだった。その時の邦ちゃんの妙なハリキリ様に一抹の不安を感じつつ
「いいか!今度乗り遅れやがったら、今日の分も含めてオマエの自腹だからな!!」
と言って椅子を回転させ、松田に背中を向けた。
「はい!」
返事をしながら、頭の中で飛行機代を計算する(ヤバイ。今度乗り遅れたらマジでヤバイ)。
「それから…」
「えっ?」
「局長には見つかるなよ」
首だけを振り返らせて編集長が言った。
背中にイヤな汗をかきつつ、編集部を出て行こうとする。その時、邦子が自分の席から、ニコニコしながら松田に向かって手を
振っているのが見えた。
「?」
そんな邦子のニコニコに違和感を感じたが
(まあいいや)
邦子に向かって軽く手を挙げると部屋を出た。
(早く柔さんに電話しよう)
松田には邦子の表情が、なにか企んでいる時の顔だとは気が付かなかった。
383名無しさん@ピンキー:04/09/21 22:27:34 ID:CG2nmCOT
邦ちゃん何をたくらんでいるんだ!
ドキワク
384名無しさん@ピンキー:04/09/22 06:39:18 ID:M2fyweWq
やっぱり松田は鈍感だと言うことですね。
385ルル:04/09/22 12:22:51 ID:Wxed0A4p
いつもロム専門なのですが、この頃脳内妄想たまっちゃって・・・。
あの・・・、拙い文章ですが、書かせていただいてもよろしいでしょうか。
趣旨に合わなかったらすみません・・・。


〜プロローグ〜
「ま・つ・だ・さ・ん」
振り向くと、そこには懐かしい顔が笑っていた。
「や・・・やあ、久しぶり。」
「私、来ちゃいました・・・。その・・・会いたくて。」
柔の頬が桃色にポッと染まる。「ごめんなさい・・・。忙しいのに。」
渡米前に日程は相談していたが、記者の仕事は忙しいようだ。本当に会って
一緒に過ごせるのか、柔はとても心配だった。
「あ・・・いや、大丈夫だよ。X'masはOFFだから。」「ほんと、久しぶりだなあ。
みんなも元気か?」「とにかくホテルに送るよ。晩飯でも食いながら色々話そう。」
テレを隠すように喋る松田。
「はい。」ニコッと笑うと柔は松田の腕に自分の腕を絡ませた。
「お・・・おい・・・。」
柔の思いがけない行動に松田は言葉が出ない。
「早く行きましょ。」積極的な柔であった。
386ルル:04/09/22 12:32:19 ID:Wxed0A4p
〜日本にて〜
話は一週間前に戻る。
「来週アメリカでしょ?」富士子さんがニヤニヤしながら言う。
「うん・・・、でも不安で。」
「大丈夫よ〜、松田さんも会いたくてウズウズしてるわ。」
「そうじゃなくて私・・・。」「なに???」
「会社の先輩が、久しぶりだから燃えるわね〜!ってヒヤかすんだもん。」
柔は嬉しいような、困ったような表情をしている。
「猪熊さん・・・その・・・まだ・・・」
「えっ・・・・・・・」
「まだ・・・・よね。」
「う・・・うん・・・・」「私、柔道ばっかりで・・・そんな・・・」
「大丈夫よ。松田さんだもん。」
「うん。」
「素直な気持ちでね・・・。楽しんでらっしゃいな。」
「ありがとう。」
387ルル:04/09/22 14:26:20 ID:Wxed0A4p
〜アメリカの空〜
松田の腕に手をからませながら、富士子との会話を思い出していた。
「柔さん、柔さん?」
「は・・・はい。」
「着いたよ。この車、オンボロだけどさ。」
「あ・・・バイクじゃ・・車にしたんですね。」
お世辞にもカッコいいとか素敵と言える車じゃなかったが、”二人でドライブ”
に柔はドキドキしていた。
「さあ、行こう」柔を助手席に乗せると、松田はサングラスをつけた。
《ドキッ!》柔は松田のサングラス姿が結構似合っているので、ポーッとしてしまった。
もちろん、松田はそんなことには気付くこともなくホテルへ向かって運転している。
《少し日焼けしたみたいだし、私、久しぶりでドキドキしちゃうわ》
カリフォルニアの日差しが照りつける中、車は走る。
388名無しさん@ピンキー:04/09/22 14:30:45 ID:xiBsINqI
久々にエロを期待してもいいですか。(;´Д`)ハァハァ
389ルル:04/09/22 14:47:15 ID:Wxed0A4p
〜プレゼント〜
ホテルにチェックインすると、
「少し部屋で休むか?」松田がふと言った。
「えっ・・・」
「あ・・・あの、違う。柔さんが休んでる間、俺はロビーで新聞を読んだりしてるから。」
あせる松田。「えっと、大丈夫です。」顔を赤くして柔が答える。
《やだ・・私ったら変なこと考えちゃった・・・》
「じゃ、観光して、飯でも食うか。
「えっと、私買い物したいな。頼まれた物もあるし。」
「OK、行こう。」

街はX'mas一色。景色もさることながら、バーゲンの時期でもある。
「柔さん。もう両手いっぱいも買い物したんだし、飯でも食いに行かないか?」
「そうですね。」
「おっと、そうだ。ちょっと一件、ここ、いいかな。」「はい??」
松田がどんどん店内に入っていく。
「せっかく日本から来てくれたし、X'masだしな。一つプレゼントするよ。
 好きなのを選んでいいぞ。」
思いがけない言葉に戸惑う柔。
「こ、こ、これなんか、どうだ?」上擦った声で松田が指輪を指す。
ルビーの石がキラキラしている。
「かわいいですね・・・。」「どれでもいいぞ。」
「じゃあ、これなんかどうですか。」
「どれ・・・。それ、マリッジリングだぞ。」
柔が指した指輪を見てあせる松田。
「ふふふ・・・。冗談です。」あせる松田をみて微笑む柔。
「やっぱり、これにしようかな。」さっき、松田が指差したルビーの指輪だ。
「本当にいいんですか?」「いいよ。」
「ありがとうございます。大切にしますね。」
《本当は、マリッジリングが欲しいんだけどな》
390ルル:04/09/22 15:07:11 ID:Wxed0A4p
〜二人の夜・1〜
ハードロックカフェで夕食。
「ふふふ・・・かわいい・・」左手の中指には買ってもらった指輪が光っている。
「あ・・あれ、もうつけてるのか。」
「丁度サイズが合ってよかったです。ありがとうございます。」
「ははははは・・・・」
「前にいただいた手袋も大切にしています。
「そ・・・そうか。」嬉しそうな松田。
「私も松田さんにプレゼントがあるんです。」
「えっ!?いいよ。」
「えっと・・・あれ・・あー!ごめんなさい!部屋に忘れて来ちゃったみたい。
 明日渡してもいいですか?」《最悪だわ!!》
「気にしなくていいって。柔さんとこうやって会えただけで最高なんだからさ。」
あの松田さんがこんなことを言ってくれるなんて・・・私嬉しいです・・・。
「さ、食おう、食おう。」「はい・・・」

391ルル:04/09/22 15:12:20 ID:Wxed0A4p
どんどん書き込んですいません。
今夜来れたらまた来ます。来れなかったら、金曜日に・・・・・。
って、もう来なくていいなんて言わないで下さいね。
392名無しさん@ピンキー:04/09/22 15:34:50 ID:u0HgsjBZ
松田さん、かっこよすぎるぞ、このー
393名無しさん@ピンキー:04/09/22 15:36:19 ID:u0HgsjBZ
昔を思わせる盛況だ・・・・・・
394名無しさん@ピンキー:04/09/22 18:11:53 ID:kIe3n3Xs
ルルタソ待ってるよ〜
395三佐衛門@306:04/09/22 20:08:08 ID:5NOn9oit
盛況ですねぇ。でも陰が薄くなりそう。
今日は遠慮しようかな。
396ルル:04/09/22 20:17:15 ID:Wxed0A4p
書けそうなので来ました。

〜二人の夜・2〜
「今日はありがとうございました。」柔はお酒を飲んだせいか顔が赤い。
と言っても、ワインを一杯飲んだだけだから、酔っているというほどではない。
「じゃ、また明日10時にここのロビーで待ってるから。」《え〜、本当に帰っちゃうの?》
「えっ?」「あの、プレゼントを・・・。」「ああ、明日でいいよ。」
「でも、今取って来ますから・・・、待っててください。」柔はエレベーターに乗る。
『柔さん、今日は疲れてるだろうな。さすがに今日はせまれないよ。って、俺ってスケベだなあ〜』

「松田さん、松田さん?」「や、柔さん!」
「どうしよう・・・。」「どうしたの?」
「スーツケースの鍵を忘れてきたみたい。」「よくさがしたのか?」「はい・・。」
「とにかくトランクをみせてくれるかな。」「はい。」
柔のスーツケースは鍵と数字あわせが組み合わさっていて、壊さないと無理みたいだった。
仕方なく、ホテルで借りた工具でこじ開けた。



397ルル:04/09/22 20:32:33 ID:Wxed0A4p
〜二人の夜・3〜
「ふ〜、開いたぞ。」「ありがとうございます。」「えっ・・きゃあ!」
スーツケースの中に下着が見える。「あ・・ごめん!!」松田はくるりと背を向けた。
「えっと、ありました。」「ネクタイ・・・、ありがとう。どうかな?」
「私、よく分からなくて、富士子さんに選ぶのを手伝ってもらったんです。」
「俺、大切にするよ。ありがとう。」「よかった・・・。」
気付くとホテルの一室に二人きり。『やばい!!帰るぞ!』心が叫ぶ。
『理性があるうちに帰らなきゃ。』
「それじゃ・・・。」「あの・・・。」『駄目だ!俺はこの目に弱いんだ。』
松田は自分でも無意識に柔を抱き寄せていた。『駄目だ!!』
見つめ合う二人。柔の目は心なしか潤んでいるように見える。
『かわいいなあ・・・・。我慢の限界だ!!』松田は耐えられず口づけをした。
「柔さん・・・、好きだよ。」「私も好きです。」
二人は長い長い口づけを交わした。
398名無しさん@ピンキー:04/09/22 20:42:39 ID:8p7vhmgK
インコースへのストレート?
399ルル:04/09/22 20:47:27 ID:Wxed0A4p
えっと、続きはまた今度にします。面白くなくてすみません・・・。
柔ちゃんのイメージをあんまり崩したくなくて・・・。
400名無しさん@ピンキー:04/09/22 21:13:48 ID:CNVjdSNR
>395
そう言わんと、邦ちゃんがどんな罠を仕掛けてるか気になるやないの・・・・
401名無しさん@ピンキー:04/09/22 21:20:26 ID:CNVjdSNR
それはそうと、ルルというのは、風邪薬かそれとも核爆雷か?
なーんていったらバニラさんよってこないか?
402名無しさん@ピンキー:04/09/22 22:12:27 ID:13QNEqEH
奥手な柔萌えー
403ルル:04/09/22 22:17:23 ID:Wxed0A4p
待ち人来ず。もう少し、書きたい・・・。

〜2年後〜
「いっつも仲良しですよね。猪熊さんのところ。」「そうか?」花園に言われて
苦笑する松田だった。
結局、二人は次の年、結婚した。世界に轟く猪熊柔の名を変えないことが条件だったが、
松田にはどうでもいいことだった。山形の両親も少し渋ったが、「世界一の金メダリスト
と結婚するんだもんな・・・。」と結婚を祝福してくれた。ここまではよかったのだ。

しかし・・・、世界でもトップクラスの体力を持つ彼女を甘く見ていたようだ。
404名無しさん@ピンキー:04/09/22 22:26:15 ID:K44ie0uS
待ち人って誰?
405ルル:04/09/22 22:30:11 ID:Wxed0A4p
〜夫婦の絆〜
アメリカで再会した夜、柔のことを松田は抱いた。
処女だった柔は、痛みをこらえて必死に俺につかまってたっけ。
かわいくて、2回もしたんだよな。今でも、もちろん可愛いけどさ。
次の日もその次の日もしちゃったんだよな。5日間の滞在が終わったら、当分
会えないと思うと燃えたよ。柔も段々、感じてくるし、頑張っちゃったんだよね。

で、彼女、エッチって毎日二回するもんだと思っちゃったわけ。
初めてなんだから仕方ないよな。でも、毎日二回は正直シンドイ。
この頃は、2〜3日に一回で許してもらってるが、一晩に3回はしないと寝かせてくれない。
結構・・・いやかなりキツイ。でも、愛してるからな。
406ルル:04/09/22 22:44:28 ID:Wxed0A4p
〜いつまでも〜
柔は今でも俺を立ててくれる・・・って夜のことじゃない。
料理もうまい。家事もこなす。来月には男の子が生まれる。楽しみだ。
俺もできるだけの事をしている。子供が生まれたら、もっと協力するつもりだ。

しかし・・・、彼女、夜は何を要求しても応じる。これが愛を感じる最大の事だ。
俺が最初で最後の男だからなんだろうけど、「いや・・・。」「だめ・・・。」
なんていいながら、何でもしてくれるしやらせてくれる。可愛いよ。俺の我儘だけは
聞いてくれるんだからな。「俺だけだぞ。わかってるな。」「はい・・・。」って。
可愛いな〜。今夜も頑張る・・・頑張れるのかな・・・。
407ルル:04/09/22 22:46:39 ID:Wxed0A4p
すいません。また来ます。待ち人まだ来ず。
そろそろ来るでしょ。おやすみなさい。
408名無しさん@ピンキー:04/09/22 23:00:24 ID:Puw6OQv3
懐かし漫画板に現れてた人ですか。滋悟郎が猪熊姓に拘るとは思えないがね。まあ妄想は自由だが。
409「某バニラ娘とその彼氏」の投稿者:04/09/22 23:41:11 ID:A1tqxSez
 ESMアンテナ上げ、周囲確認、浮上。

 ここしばらく、ROMる事もせず、家に帰ってからキーを叩く昨今。
 久方ぶりに来たら新作が出現…ここはひとつ。

 ルルさん 懐かしYAWARAのエロパロスレッドにようこそ。

>夫婦生活 
 まあ、柔さんはタフだから。
410名無しさん@ピンキー:04/09/23 09:07:52 ID:HL3kl/wX
ルルさん乙です。


少しだけリクエストを言わせて貰えば前半ののりで話を広げて欲しいなあ。

  後半ののりで行くなら、あんな事やこんな事しちゃってもう彼ったらいけないんです(ちょっと宇野こういちろう風)
の部分をもうちょっと詳しく書いて欲しいな。あ、宇野こういちろう風に書いて欲しいという事じゃないですよ。
411名無しさん@ピンキー:04/09/23 16:08:08 ID:l8ovh+Qa
>>410に同意
俺も前半のペースで行ってほしかった。
>>397あたりまでは良かったと思うけどそれ以降はちょっと期待はずれでした。

辛口で御免よ。
俺の中でも結婚しても猪熊姓ってのは柔的にはありえない。
万が一滋伍郎がそんなこと言ったとしても柔は聞き入れないでしょう。
まあ、妄想は自由なんですけどね。

でも、また続き禿げしくキボン!
412ルル:04/09/23 17:25:46 ID:C5NGKHaB
皆さん、宜しくお願いします。
色々、ご意見いただけて感謝です!

今回のは前半を正統派で行き過ぎて、退かれてしまったかと思って、後半は崩しました。
前半の感じでもここに書いてもいいのでしょうか?

猪熊姓については、個人的には、続編があるなら、「浦沢」がこだわるかなっておもうのと、
もし、エピソードが書けたら書きたいんですが、松田さんがこだわるんじゃないかと
考えるんです。で、松田さんに逆に説得される柔。この辺も書きたいのですが、
レスの感じを見ると書かないほうがいいかも・・・。

とにかく、時々来ますが、よろしくです。
413名無しさん@ピンキー:04/09/23 18:56:55 ID:U7lnRfIn
滋悟郎がこだわるんじゃなくて、松田がこだわるんならぎりぎりセーフな気がするな。

婚姻届を書く二人・・・・
「これで猪熊柔の記事が書けなくなりますね。」
ほほえみかける柔。そのことに初めて気が付き、頭を抱え込む松田。
「うう、気が付かなかった。どうすれば・・・・・。そうだ、俺が猪熊耕作になれば良いんだ!」
「ちょっ、ちょっと待ってください!そんないい加減に・・・」
松田の唐突な思いつきに柔はあわてふためいた。
「いいかげんなんかじゃない!それとも猪熊という苗字がいやなのか?」
「そんなことないけど・・・・。」
とまどうように答える柔。
「じゃあきまりだ。」
「そんな、山形のお父さんとお母さんにも・・・」
「役所に行くぞ!」
こうして猪熊耕作が誕生しましたとさ、おしまい。
414三佐衛門@306:04/09/23 19:56:38 ID:gD3U5+W9
ルルさんの投稿の間に挟まってしまうと、一つぐらいの投稿は埋没してしまうので昨日は遠慮しました。

>>384
松田さんが鈍感じゃなかったら、邦ちゃんはとっくにフラれていたでしょうね。
>>400
邦ちゃんの罠?は、もうちょっと後で。
415三佐衛門:04/09/23 19:58:07 ID:gD3U5+W9
編集部の入っているビルの一階の公衆電話から猪熊邸に電話をかける。
プルルルル…プ
カチャ
「もしもし!」
ずいぶん慌てた感じで柔が出た。
「もしもし、柔さん」
「松田さん!あの…、で、どうでした?」
「明日の11時の飛行機で行くことになったよ」
「11時ですか…。ちょっ、ちょっと待って下さい」
「?」
不意に声が遠くなった感じで
『おじいちゃん、あっち行ってて!……いいから、…邪魔しないでよ!!』
そんな声が聞こえてくる。
「ごめんなさい。おじいちゃんが『電話代われ』ってうるさくって」
「う…、やっぱり授与式の件で怒ってるのか?」
「いえ、口ほどには怒ってないと思います。たぶん」
「そうか。ちょっと安心した」
416三佐衛門:04/09/23 19:58:23 ID:gD3U5+W9
「ふふ…。ところで明日、見送りに行っていいですか?」
『いいですか?』と言われても、断る理由は無い。
「もちろん!是非来てほしいな」
「よかった。また黙って行かれたらどうしようかと思いました」
「ははは…」(まあ今日の事を思えば仕方ないか)
「9時頃には行きますね。……松田さん、今日は…、あの…」
「えっ?何?」
「今日は…、どこに……、あっ」
「えっ?どうしたの?」
「ごめんなさい。迎えの車が来たみたい」
「そうか…。じゃあまた明日。9時に空港で待ってるよ」
「はい、また明日…」
カチャン
(なにか言いたそうだったけど…)
ふう
ため息をひとつ吐くと、近くの駅に向かって歩き出した。

417パンチラは最初だけじゃん:04/09/23 22:44:47 ID:yqgIAz25
ルルさん、乙です。
俺は前半のようなキャラの崩れてない
柔が好きですよ。
ROMる立場から言わせて貰えば
とにかく書いてくれる人がいるのが
有難いことなんで
また、気が向いたら
ぜひ投稿して下さいね。
418名無しさん@ピンキー:04/09/24 00:13:56 ID:cBnRqZly
419名無しさん@ピンキー:04/09/24 00:20:54 ID:cBnRqZly
松田「や、柔さん。君のいま考えてることを
   当てたら、セックスしてもいいかな?」
柔「は、はい。」(ドキドキ)
松田「柔さんは、いま、俺とはセックスしたくないって考えてるね」

柔「はい」
松田「よし、当たったからセックスしよー。
   バーンと一発やろー。」

柔「いいえ」
松田「や、柔さん、それはセックスしてもいいってことだね。」
   
   
420ルル:04/09/24 07:35:38 ID:bZE4BjBe
おはようございます。朝からすいません。
三佐衛門さん、先日はスミマセンでした!妄想が脳内でたまってしまって、
連続で投稿してしまい、ご迷惑をかけました。

書き込みですが、皆さんのご意見も聞けて、二人が初キスをした夜から
仕切り直しで書いてみます。
421ルル:04/09/24 07:51:10 ID:bZE4BjBe
〜長い夜1〜
長い長いキス・・・。二人はどのくらい抱き合っていただろう。ただ、抱き合う
だけで安心できて、とても満足だった。
とはいえ、松田のあそこは反応していたし、このままで一晩を過ごすなど無理な注文だ。
「柔さん・・・、泊まっていってもいいかな?」「あ・・・・はい・・・。」
耳まで真っ赤にしながら柔はうなづく。もう、まともに松田の顔なんて見られない。
うつむく柔に優しく口づけをして・・・首筋にもキス・・・。
「あ・・・待って・・。」「私、こちらに来てから、シャワーも浴びてない・・。」
「大丈夫だよ。」「でも・・・恥ずかしい・・。」「もう・・・待てないよ。」
「あ・・・・。」まだ何か言おうとする柔の唇を唇でふさぐ。
「大丈夫だから。」松田は言うと、頬にキスをした。
と・・・、次の瞬間、強く抱きしめられて柔は声をもらした。「あ・・・。」
その口にキス。柔の舌にやわらかい物が触れる。松田の舌が柔の舌を絡めようとする。
柔がおずおずとそれに応じる。すると、今までより強く舌を絡めてくる。強く口を吸われる。
初めてのことばかりで、柔は自分でも気付かぬうちに、松田のシャツを強く握っていた。
422ルル:04/09/24 08:11:40 ID:bZE4BjBe
〜長い夜2〜
さらに行為は加速する。
柔の背中にあった手が、太ももをなでる。優しく、優しく。段々スカートはまくられ、
太ももからお尻に手は動く。スカートはほとんどウエストのところで輪になってしまったが、
柔には気付く余裕もない。
手は胸に伸びる。胸を触られ柔は声を出してしまった。男の人に胸を触られたことなどない。
松田の手の動きをとめるかのように、自分の手を重ねる。松田には、柔の緊張が
体を通して伝わってくる。
「柔さん、大好きだよ。」そっと体を抱くと、「私も・・。」柔が身をあずけてくる。
柔に優しく口づけして、ブラウスのボタンをはずす・・・、
『って、うまくはずせねーぞ!』焦る松田。ブラウスの下から手を入れる。
ブラジャーを上にずらすと、柔のおっぱいが松田の手に包まれた。
《あったかい・・・・》柔は思う。と、、、胸の突起物を指でなぞられる。
《キャッ・・・・》初めての事とはいえ、不快さはなく、くすぐったいような
変な感じ・・・。声が出ちゃいそう。柔は松田のシャツを強く握って声をこらえた。
423ルル:04/09/24 10:02:44 ID:bZE4BjBe
〜長い夜3〜
柔を優しく抱き起こすと、ブラウスのボタンを両手ではずして脱がせた。
スカートのサイドのホックはずして脱がせる。松田も服を脱いで、トランクス一枚になった。
柔を抱きしめると、ブラのホックを外す。首筋から胸にキス・・・キス・・・。
乳首をくわえて先をなめると、柔の体がビクッとした。もう一度。また反応する。
『すげー、かわいいなあ。』胸にキス、お腹にも、おへその周りも・・・。
まだつけていた、ストッキングとパンティを一緒に下ろす。
「やん・・・。」太ももにキスされて柔が声をあげる。『初めてだもんな。あんまり、やめとくか』
424ルル:04/09/24 10:13:09 ID:bZE4BjBe
〜長い夜4〜
おっぱいを責める。「あ・・・あん・・。」
声を出さないようにしていても、我慢できずに声が漏れる。
『え〜、いつまでこんなことされちゃうの?変になっちゃう・・・』
松田の手が割れ目に触れた。「きゃあ・・・。」驚いて足を閉じる柔。
「少し・・少しだけ濡れてる・・。」おっぱいを愛撫しながら、片手を秘部の
中へすべりこませる。
「そんな・・・・あ・・いや・・。」柔が声をだすが、松田の手は止まらない。
指先でクリを優しくなでる。「はあ・・・。」柔の体の力が少し抜ける。
初めての経験に柔は、松田に身を任せるしかなかった。









425ルル:04/09/24 10:47:48 ID:bZE4BjBe
〜長い夜5〜
膝のところで止まっていたパンティとストッキングを全部脱がせると、再度割れ目に指を滑らせた。
今度は膣の周りに触れる。少しだけ指を入れてみる。
「痛くない?」「・・・・・はい。・・」かろうじて答える。
「ああ・・・。」松田がもっと深く指を入れてくる。もう、行為を受け入れる
だけでいっぱいいっぱいの柔。「大丈夫?」かろうじてうなずく柔。『かわいいな〜』
「好きだよ・・・。」「あ・・・私も・・。」「入れてもいい?」「・・・・・」
太ももをさすりながら、柔の足を開く。
「最初は痛いと思うけど、ごめんね・・・。」あそこに先のほうを押し当てる。
「あ・・・。」柔が足に力を入れる。中に入れようとしても、少し固い。『痛いよな』
それでも、入れようと力を込めた。「っつう・・・い・・いたっ・・・」声がもれる。
《痛い・・・!!どうしちゃったの》感じたことのない痛みを感じたことのない場所に感じる。
「大丈夫か?」松田が心配そうに聞く。「痛いだろ。」「・・・はい。」
返事をするのがやっと。でも・・・痛いけど・・・松田さんが私の中に・・・。
《嬉しい・・・》急に涙がにじむ。
426ルル:04/09/24 11:18:24 ID:bZE4BjBe
〜愛してる〜
「柔・・・、愛してるよ・・」囁きが、今も耳に残る。
ふと、目を開けると松田さんの顔。私を見つめている。自分でも信じられない
くらい顔が赤くなっていくのが分かる。きっと耳たぶまで真っ赤。
「起こしちゃったかな。」「いえ・・・私、朝はいつも稽古のせいで早いから。」
「早いって時間じゃないけどな。」松田が笑顔で言う。《あ〜、大好き》
「もう8時廻ってるよ。」「や・・・やだ」昨日はフライトの疲れと初めての
夜に体力的にも精神的にも疲れていたのだろう。《ぐっすり寝ちゃったんだわ》
「飯でも食いにいこうか。」「はい。」
起き上がろうとすると、昨夜の痛みがよみがえった。《い・・・痛〜い》
「??どうかした?」「あ・・・あの支度するのに・・・恥ずかしい・・。」
「そ、そうか?遠慮することも・・・。まあ、おれ、先に行ってロビーで新聞読んでるよ」
松田はそういうと部屋を出て行った。《それにしても痛いわ・・。》
トイレでみるとパンティに血がついている。《痛いはずだわ。でも嬉しい・・》
相手は他の誰でもなく松田なのだ。柔はひしひしと喜びが湧き上がるのを感じていた。
「柔、愛してる・・・。」昨夜のことを思い浮かべると、目が潤んでくる。
《私も愛しています・・・。》
さ、彼が待ってるわ、行かなくちゃ。
427三佐衛門@306:04/09/24 21:24:20 ID:Zqh4W8E1
>>ルルさん
こちらでタイミング計りますので、どんどんいっちゃって下さい。
428三佐衛門:04/09/24 21:25:06 ID:Zqh4W8E1
特急に乗って成田空港までやって来た松田は、駅からタクシーに乗ってホテルへと向かった。タクシーが立派な車寄せに停
車したとき
(あれっ)
一瞬、ホテルを間違えたのかと思った。
(ビジネスホテルじゃないのか?)
精算を済ませタクシーから降りると、ベルボーイが寄ってきて「お荷物をお預かりいたします」と言った。
荷物と言ってもショルダーバッグしか無い。スーツケースは主人を置いて先にアメリカへ旅立っている。柔さんが航空会社に連
絡してくれたので、おそらく向こうで確保してくれているだろう。
ベルボーイの案内でホテルの中へと入って行く。
広めのロビーにはシャンデリア。一階奥にはそこそこ高級そうなレストラン。フロントでチェックインしているいかにも新婚さんと
いった感じのカップル。
(飛行機に乗る前に、嫁さんに乗るのかぁ?)
三十にもなると、発想が既にオヤジである。
単なるビジネスホテルに泊まるのだと思っていた松田は、豪華な雰囲気に居心地の悪さを感じていた。
429三佐衛門:04/09/24 21:25:37 ID:Zqh4W8E1
ベルボーイに先導されてやって来たのは11階。結構上の方だ。部屋の中に案内されると
(あれっ?ベッドが二つある…、ツインじゃないか)
ベルボーイは部屋の中を簡単に説明すると、部屋を出ていった。
(シングルは空いて無かったのだろうか?)
部屋の中とバスルームを確認し、カーテンの隙間から外を覗くと
「へえ、なかなかいい景色だな」
思わず呟いた。眼下には成田空港の灯りが広がっている。
(一人で泊まるのが、もったいない)
風祭とは違うので、一緒に泊まりたい相手は一人しかいない。
「………」
カーテンを閉じると時計を見た。もう午後7時過ぎだ。
「さてメシでも食いに行くか」
そう思った時
プルルルル…プルルルル…
部屋の電話が鳴り出した。
「はいはい、なんだよ」
カチャ
電話を取るとフロントからだった。
「加賀様からお電話が入っておりますが」
(え?加賀君から?なんだろう?)
「あ、つないで下さい」
電話が一瞬途切れたのち
「はーい、耕作ぅ。あたし邦ちゃーん」
「や、やあ、どうしたんだ?」
「耕作、何号室に泊まってるのー?」
「え?ああ、1122号室だけど…」
「1122ね。わかったわ。じゃーねー」
ガチャ
「???」
(なんだったんだ、今のは?)
430三佐衛門@306:04/09/24 21:26:06 ID:Zqh4W8E1
一週間投稿続けましたが、内容とか、毎日少しずつの投下とか、どうでしょうか?
内容が盛り上がりに欠けるのは自覚しているのですが…。
431名無しさん@ピンキー :04/09/24 22:10:48 ID:cz2HSwNH
>三佐衛門さん
毎日続き楽しみにしてますよ、私の中では充分盛り上がってます。
松田さんの台詞が一々大人で好きです。
私は少しずつの方が長く楽しめるんで嬉しいですが、皆さんはどうなんでしょうか。
432名無しさん@ピンキー:04/09/24 23:49:26 ID:oypQb+7x
>425
松田さん、妙に手慣れてるじゃないの。どこかですることしてたな!
433名無しさん@ピンキー:04/09/25 00:13:35 ID:hwwzAl/U
私も少しずつの方がいいです。
他の人のレスを見ることでここが活動していることが確認出来るし。
NHKの連ドラみたいで良いんじゃないですか。

書く方は大変だと思いますけどね。レスがいっぱいつく日ばっかでもないし。
434名無しさん@ピンキー:04/09/25 02:43:23 ID:xsL9Sj46
ルルさんも三左衛門さんも続きが気になるな〜
毎日ここチェックするのが楽しみだよ
435名無しさん@ピンキー:04/09/25 17:30:21 ID:9iJblbBN
あれ、今日は誰もいないのかな?
436三佐衛門@306:04/09/25 17:58:03 ID:vvV63w2S
えー、皆さんありがとうございます。
どかーんと一気にいかんかい!と思われていないか心配だったのですが、
後から修正したくなる事が多々あるので、少しずつ投下するほうが安心できます。

>>431
台詞はキャラのイメージを壊さない様、かなり意識しているので
松田さんの台詞を大人に感じてもらえるのは、成功しているのかなと思います。
>>433
確かにレスがあまり無いと投下しにくいですが、要求するわけにもいきませんし…、なんとか頑張ります。
>>434
期待に応えられないかも知れませんが頑張ります。
437三佐衛門@306:04/09/25 17:58:28 ID:vvV63w2S
今日の投稿は、化け猫さんの「12年後」を読んでいて、自分なりの現在の柔たちが浮かんできたので、作ってみたものです。
化け猫さんのフクちゃんのキャラが面白かったので、使わせて貰いました。すいません。
それから、決して化け猫さんの「12年後」の内容を否定する意図はありません。もしも気を悪くされたら御免なさい。

それでは一気にいきたいとおもいます。
438三佐衛門「2004年の女たち」:04/09/25 17:59:09 ID:vvV63w2S
「いやー、綺麗なお月さんだわ」
「ほんと、まん丸ね」
「晴れて良かったですね」

9月下旬のある日、猪熊家において観月会が催されていた。縁側にお団子やお茶、お菓子などを持ち出し、会話に花を咲か
せている。話題の中心はやはりこの前のアテネオリンピックである。

「あーあ、あたしもアテネに行きたかったな」
柔が大きなお腹をさすりながら言った。耕作は取材で、虎滋郎は日本柔道強化コーチとして、滋悟郎はただの観戦、のはず
がちゃっかりテレビの解説として、アテネで柔道を見て来ていた。
「えっ、柔おばちゃん、まだ試合に出る気なの?そのお腹で」
富薫子が驚いた顔をする。
「おばちゃん?!」
柔が眉を吊り上げる。
「何言ってんの。そのうち近所の子供らが『おばちゃーん、おばちゃーん』て寄ってくる様になるんだから。子供ができたら『お
ばちゃん』なの!」
「まだ産まれてないわよ!」
「じゃあ来月には『おば…』」
「フクちゃん!」
ぺしっ
「いたっ」
柔が富薫子をはたく。
(あっ、富士子さんの前で、いつもの調子でやっちゃった)
週に何度か柔道の稽古にやってくる富薫子なので、妹(娘?)の様な感覚で接してしまう。気を悪くしていないか富士子の様
子を窺うが、特に気にした様子も無い。富士子は猪熊家の人たちが、富薫子を家族のように扱ってくれている事が嬉しいのだ。
439三佐衛門「2004年の女たち」:04/09/25 17:59:45 ID:vvV63w2S
「それにしても日本の女子柔道、凄かったわねー」南田が口を挟む。彼女は後輩がアテネで金メダルを獲れた事を、とても喜
んでいた。南田は未だ独身である。姉御肌でけっこうモテるらしいが、警察官だと知ると男がみんな逃げていくらしい。『やまし
い考えの男なんて要らないわ』昔ほどの悲壮感は無いようだ。
「48kg以下級は、バルセロナから日本人4連覇だしね」
「柔さんが現役続けていたら、きっと一人で4連覇よ」
「富士子さん、それはちょっと無理よ」
「そんな事ないわよぉ」
柔はアトランタで48kg以下級と無差別級の二階級制覇したのち、耕作と結婚した。惜しむ声は多かったが柔道は引退してし
まった。耕作さえ理解してくれれば、周りが言う事など気にならない。
「無差別も5連覇出来たと思うけどなぁ」
「無理無理」
無差別級は今大会から無くなってしまった。柔が出場しなかった前回のシドニー大会でのエントリーが、重量級の選手ばかり
だった事と、IOCの会長が替わった事が影響しているようだ。
「赤ちゃん、予定日はいつですか?」今日子が聞いてくる。
「来月の下旬なの」
「だめ!ちゃんと10月10日に産んでよ!」
富薫子は自分と同じ誕生日にしたくて仕方ないようだ。
「それにしてもキョンキョンは凄いわねぇ。三人も子供がいるんだから」
初産の不安でいっぱいの柔からすると『このちっちゃな体で』と感心してしまう。
「でも大変ですよ。一番下の子が来年小学校で…」
みんな『あーそりゃ大変だ』という顔になる。

440三佐衛門「2004年の女たち」:04/09/25 18:00:13 ID:vvV63w2S
「お父さん、まだ帰ってこないのかな?」
虎滋郎は用事があると言って、アテネから直接パリへと向かっていた。玉緒にわざわざ聞かなくても、10月には帰ると聞いて
いたが、出産の時には日本にいてほしい。
「心配しなくても、産まれるまでには帰ってくるわよ」
そう言って立ち上がる。「お茶、入れ直してくるわね」
「柔さんの子供が16の時に、わたしは…29か。うん、なんとか2020年には一緒にオリンピックに行けそうね。ちゃんと女の子
産んでよ」
「さあそれはどうかしら?」柔はとぼける。
「もういい加減どっちかおしえてくれてもいいじゃない」
「ここまで来たらもうあと1ヶ月待ちなさい。耕作さんにもおしえてないのに」
「え?松田さんにおしえてないの?」南田が驚く。
「だって楽しみにしてるから聞きたくないって言うの」
「ジョディはいつ来るの?」
ジョディの名前を聞いたときに、テレシコワの顔が一瞬曇る。テレシコワはジョディに対して負い目を感じているようだ。
「え?ええ、子供が産まれたら日本に来るって言っていたから、今年中には来るんじゃないかしら」
柔はジョディが来日したら、テレシコワと引き合わせようと思った。
「テレシコワさんは子供は?」
富薫子が無邪気に聞いている。テレシコワは実業団でコーチをしたあと、ロシア人の貿易商と結婚し、東京に住んでいる。たま
に猪熊家に来て富薫子の稽古の相手をしていた。特に柔が妊娠してからはよく顔を出すようになり、柔としては大助かりである。
黙々と月見団子を食べていたテレシコワだったが
「子供は、授かるものだ。そのうち、できる」
と、表情を変えずに言った。相変わらず口数は少ないが、以前と比べると表情が豊かになったし、なによりあのテレシコワが幸
せそうにしている姿は、実に微笑ましかった。
441三佐衛門「2004年の女たち」:04/09/25 18:00:39 ID:vvV63w2S
チャチャーチャーチャー チャッチャーチャー チャーチャチャー
携帯の着メロが鳴り響く。富薫子が慌てたように、着メロと共に部屋を出ていった。
「えっ、あの子に携帯持たせてるの?」南田が富士子に聞いてくる。「ダメよ。携帯持ってる中高生が犯罪に巻き込まれる率、
高いんだから」いかにも警察官らしい。
「大丈夫よ。学校行くときは持たせてないし、稽古から帰ってくるとき、遅くなる事もあるしね」
もしも富薫子を襲うような痴漢がいたら、痴漢の身を心配しないといけないかも知れない。
やがてお茶を持った玉緒と共に、富薫子が戻ってくる。
「フクちゃんは、彼氏と電話してたの?」
お茶の乗ったお盆を置きながら、玉緒が聞いた。
「へへー、内緒」
「どうせ女友達でしょ」
「柔おばちゃん!ウルサイ!」
「フクちゃん!ワザと言ってるでしょ!!」
柔が手を伸ばして、富薫子を捕まえようとする。
「きゃっ!」
ドン
柔の手から逃れようとして身をよじった富薫子が、テレシコワの背中にぶつかった。その拍子に、月見団子がテレシコワの手か
ら転がり落ちる。
「あっ、ごめんなさい」
団子は縁の下の暗がりへと消えて行った。

442三佐衛門「2004年の女たち」:04/09/25 18:01:22 ID:vvV63w2S
「………」
「………」
「フクコーッ!!!」
「キャーッ、ごめんなさーい」
広い庭を、富薫子が縦横無尽に逃げ回る。テレシコワは追いかけるが、小回りの利く富薫子を、なかなか捕まえられない。
「ハア、ハア、ハア」
テレシコワは荒い息をつきながら、縁側に座り込んでしまった。富薫子は富士子の陰に隠れている。
やがて落ち着いてくると、テレシコワは微笑みながら富薫子に握手を求めてきた。
富薫子は恐る恐る手を出す。
二人がガッチリ握手をした次の瞬間、テレシコワは思いきり富薫子の腕を引っ張った。
「きゃっ」
そのまま十字固めに入る。
「キャーッ、痛い痛い!まいった、ギブ!ギブ!助けてー!!」
家中に富薫子の悲鳴が響き渡る。
「あのぅ、そろそろ止めた方が…」
「気が済むまでやらせとけば?食べ物の恨みは恐ろしいわよ」


こうして、女ばかりの満月の夜は更けていった。
443三佐衛門@306:04/09/25 18:02:28 ID:vvV63w2S
エロも無いようなものですが、どうでしょう?
444名無しさん@ピンキー:04/09/25 18:09:05 ID:pLS5aWE0
ぜんぜん大丈夫です
445スルーしてね!:04/09/25 18:59:03 ID:oUX341/E
>437
非常にうれしいです。世間から袋叩きを覚悟していれたフクちゃんを受け入れてくれる人が
いたことが。生みの親としては(別に私は富士子さんではありませんし、元々いたキャラだろうと
言うご意見が大多数とは思いますが)、喜びのあまり涙がもう鮫々と(光画部風)。

 そしてあのキャラクターと合わせると柔の行動が、こう言う傾向になるという事が
否定されなかったことが実にまたうれしいです、はい。あの言い訳をするようですが、
先回書いたときに性格換えたつもり、私としてはないんですよ。どこが!とご不満の方は
いたとおもいますが・・・・・・・・

それはさておき、毎日書くのは大変と思いますが(私は途中で挫折しました)、がんばってください。



                ROMだけのつもりが名前が出るとすぐ出てきてしまう
                江戸家化け猫でした
446名無しさん@ピンキー:04/09/25 19:21:41 ID:EBMcvB2B
>ルルさん
戸惑っている
柔ちゃんかわいいね。
原作のイメージだと俺の中でも
そんな感じですw
また書いて下され。

>三佐衛門さん
続き楽しみですなー。
期待してます。
447名無しさん@ピンキー:04/09/26 13:29:29 ID:X0geGsmt
ルルさん、三佐衛門さん乙です。
なかなかレス付ける時間がなくていつもROM専なんだけども
いつも楽しく読ませてもらっています。
このごろこのスレが活気づいて良いですね。
448名無しさん@ピンキー:04/09/26 16:15:12 ID:r9zk/QKH
ルルさん、後半の方も話をふくらましていけば結構おもしろくなると思いますよ。
がんばってね。
449名無しさん@ピンキー:04/09/26 17:22:57 ID:hVodLjvk
還るべき処遅いな。
また、バニラさんのPCフリーズしたんじゃ・・・・
450名無しさん@ピンキー:04/09/26 21:04:13 ID:Zu0fo1ME
「ベドーウィ」で船ごと捕虜になったんちゃうか
451三佐衛門@306:04/09/26 22:33:13 ID:t/2bO8up
>>化け猫さん
スルーなんてとんでも無い。オリジナルキャラ設定を生きた物にするのはかなり労力が必要なので、
流用という安易な手を使ってしまいました。すいません。柔の行動もフクちゃんに振り回されている
感じがいかにもありそうな気がします。それにしても化け猫さんの話はノリの良さとか、勢いとか、
すごいですね。自分のは毎日といっても少しずつなので、案外楽です。化け猫さんのペースは到底
真似できません。

>>446,447
楽しみにしてもらえて嬉しいです。
>>448
俺もなにかアドバイスが欲しいな…。ウソですスイマセン。

某バニラ氏の話は先読みが出来ないですね。続きが気になるんですが、今日はどうだろう?
452ルル:04/09/27 07:51:45 ID:RrHzYJ2s
〜パリにて〜
「この煮物、うまい・・・。」虎次郎が呟く。
「さっき、柔から電話がありました。」玉緒が言う。「そうか・・・。」
「来月末にアメリカに行くそうです。」「そうか・・・。」
「柔も大きくなりましたね。」「・・・・そうだな。」
「私、お義父さんも心配ですし、一度日本に帰ろうと思いますの。」「そうか。」
「あなたはこちらで・・・。」「ああ・・。」「そうですね、また帰ってきますから。」

「松田耕作か・・・・。」「えっ・・。」玉緒が不意のことに驚いたように虎次郎を見返した。
「柔はアメリカに行くんだろ。」「あら、ご存知でしたのね。」玉緒は微笑みながら続ける。
「多分・・・。柔も年頃ですし。あなたは柔の事なら、何でもご存知なんですね。」
「あと3年半か・・・・。」「えっ?なにかおっしゃいました?」「いや・・・・。」
「もうすぐ、孫を抱くことになるかも知れませんね。」
「・・・・・この煮付けもうまい・・・・・。」「そうですか・・・・。」
453ルル:04/09/27 11:04:01 ID:RrHzYJ2s
アメリカ2日目〜
「待たせちゃってごめんなさい。」ロビーで新聞を読んでいた松田に声を掛ける。
「お、行くか。」

「でさあ、ホッケーの選手がさぁ・・」松田は昨日と変わらない。
《なんで、そんなに平気なの?》柔は恥ずかしさもさることながら、断続的な痛みに
気もそぞろだ。
「どうした?」松田の声。「あ・・いえ・・・。」「そうか?」
「松田さん、あの・・。」「んっ?」「あ・・いえ。」見つめられるのも恥ずかしい。
「今日は何処に行きましょうか?」「・・・・・耕作でいいよ。」「えっ?」
「あ・・・嫌ならいいんだけどな、ははは。」
「嫌だなんて・・。ちょっとビックリしちゃって・・・。呼んだことないし、わたし・・・。」
「そうか、そうだよな。」『戸惑わせちゃったかな』
「じゃ、今日はユニバーサルスタジオでも行こうか。」「はい。」
《耕作さん・・・、心の中では何回も呼んでるんだけどな》
454ルル:04/09/27 11:14:34 ID:RrHzYJ2s
〜アメリカ2日目・2〜
「今日は俺んちに泊まって行かないか?」「あ・・・はい。」
「じゃ、私、ご飯作りますね。」「いいよ〜。」「いいですから・・。」

「ここだよ。」松田の部屋に入る。日本のときと違って、1LDKだ。部屋も広い。
以前はってあったポスターはもうない。部屋も結構片付いている。
「きれいですね。」意外そうに柔が言う。「部屋には、ほとんど帰ってないからな。」
「他に掃除してくれる人がいたりして・・・。」
「ば・・・ばかっ・・何言って・・・そんなのいないよ。」
「ふふふ・・。冗談です。」『信じてます』
455ルル:04/09/27 11:35:25 ID:RrHzYJ2s
〜アメリカ2日目・3〜
「ごちそうさま。ほんと、柔さんの飯はうまいよ。」
「ありがとうございます。褒めてもらって嬉しいです。」
「さてと、飯も食ったし、シャワーでも浴びようかな。」《ドキッ!》
「柔さん、先にいいよ。」「えっ・・私片付けてからにしますから、松田さんから・・。
『まだ、松田さんか〜』苦笑する松田。「そうか〜、じゃ、先に。」「はい。」
柔は、急に泊まる事になったので、途中のスーパーで買った下着を取り出す。
《また、するのかな〜、もっとかわいい下着がいいな。それにしても緊張するわ》

松田と入れ替わりに柔がシャワーを浴びて出てくると、松田はベッドで寝ているようだった。
柔がベッドルームのドアを開けると、「こっちにおいでよ。」
松田が呼ぶ。ベッドの中に入ると、キスをされた。柔も応じる。
松田から借りたTシャツの中に手が滑り込む。胸を触られる。また、変な気持ち。
「あ・・・。」でも、昨夜より感じちゃってるかも・・・。《耕作さん・・・》
すると「寝ようか。」予想外の松田の言葉。「えっ・・・?」
「あそこさ・・・、痛いだろ。」「あ・・はい・・・。」「だろ・・。」
「今日は寝よ、寝よ、なっ。」そういうと、柔を抱きしめ、軽くキスした。
《痛くても、耕作さんならいいんだけどな・・・》

456ルル:04/09/27 13:25:03 ID:RrHzYJ2s
皆さん、すみません。私生活、少し忙しいため、書き込み量に波が出てしまいます。
どんどん書き込んですみません!!
457ルル:04/09/27 13:37:29 ID:RrHzYJ2s
〜日本に帰る前に・1〜
「おはようございます。」「おはよう。」
2日前から、柔はホテルを引き払って、松田のアパートに来ていた。
柔の作る食事はおいしい。今朝も作ってくれた和食を食べながら松田が言った。
「柔さんの料理は本当にうまいな〜。毎日食べたいよ。」「えっ・・・。」
「い・・・いや、明日は日本に帰るんだね。」「私・・・帰りたくないな。」
《こんなことを言われても、耕作さん、困っちゃうわよね》
「じゃ、こっちで一緒に住むか?」思いがけない言葉に柔の目が大きく開く。
「ははは・・・、稽古もあるし、無理だよな。」
「わたし・・、ずっと此処に、松田さんと一緒にいたいです。」
「しかし・・・・。」「わたし、松田さんが好きです。」
「柔さん・・・、結婚しようか・・・。」
「俺、仕事で国内を飛びまわってるし、女一人じゃ、こっちは治安も悪い。
 どうやって暮らすか、柔さんが帰った後、考えてみるよ。」松田は続ける。
「愛してる。結婚しよう・・。」「あ・・・あの、私。はい。」
柔は松田に抱きついた。
458ルル:04/09/27 13:46:29 ID:RrHzYJ2s
〜日本に帰る前に・2〜
「ベッド行こうよ。」「え・・・。」「駄目?」
ベッドに柔を寝かせると、松田はカーテンを閉めた。とはいっても、朝なので
部屋は明るい。二人は最初の夜以降、体を触ることはあっても、最後まではしていなかった。
松田が柔の体を気遣っていたのだ。
松田が胸触れると、「あ・・・あん」こらえられず声が出る。
前回のときとは違い、感じるのだ。パンティの中に手を入れて触ると、もう濡れている。
「前より、濡れてるよ・・。」「いや・・・。」柔は恥ずかしさで身をよじる。
「だーめ。」太ももにキスしてクリを優しく擦る。柔の足の力が抜けていく。
459ルル:04/09/27 14:03:36 ID:RrHzYJ2s
〜日本に帰る前に・3〜
足を開かされて、クリを・・・な・・なあに?指じゃない。目を開けると、松田の顔が
柔の足の間にあった。「え・・いやっ!いや・・・。」「大丈夫だから。」
「だって・・恥ずかしいもん・・・。や、やめ・・・。」柔の声もむなしく、
体は反応する。秘部の中に舌が這っている。「はあああ・・。」もう抵抗できない。
「ああ・・・あ・・。」恥ずかしいのに感じる。
「いれるよ。」「はい・・。」消え入りそうな声。「あ〜ん、もう・・・。」
松田が入ってきても前回ほどの痛みはない。むしろ、体の奥に疼きを感じる。
「痛くない・・・だろ?」「あ・・あん。」柔のあそこが自分のペニスを締め付けてくる。
もちろん、わずかだ。でも、感じているようだ。
松田はそのまま柔の両足を肩まであげる。「えっ・・い、いや・・・。」
足をつかまれて、動けない。足を肩に乗せたまま、キスをされる。胸をもまれて、乳首を
つままれると、もう柔はどうしたらいいか分からなかった。
部屋は明るく、自分が恥ずかしい格好をしているのが見える。
「恥ずかしい・・・やめて。」「駄目。」「耕作さん・・・。」
「初めて呼んでくれたね。」「耕作さん・・・おかしくなっちゃうよ。」
460ルル:04/09/27 20:33:47 ID:RrHzYJ2s
〜初めての経験〜
そんな姿勢でどのくらいキスしていただろう。柔のあそこが少しだが締め付けて
くることで、反応は分かる。『もう、いいかな・・・』
「柔さん・・、少し動くよ。」そういうと耕作は腰をゆっくりと動かし始めた。
「あ・・・あん、あああ・・。」柔の声が途切れなく漏れるようになる。
痛みもあるけど、それと同じくらいの、言いようのない快感が走る。《どうなっちゃうの・・》
前回は痛くて、涙がこぼれてしまった。それに気付いた松田は、途中でやめてホテルの
バスルームで一人でしてしまったのだ。だから、これから先は柔には、実は初体験だったのだ。

快感の波がやってくる。快感と言うにはまだ、遠い域だが柔には充分なものだった。
「もう、いきそうだよ・・。」松田も苦しそうに言った。「いくよ・・。」
「あ・・・ああ。」柔の中に何かが広がる。「はああ〜」松田が柔に体重をかけてくる。
「耕作さん・・・。」「ごめんね。俺だけ気持ちいい思いしちゃったよ・・。」
「ううん。私も感じちゃったもん。」「そうだよな。」松田がニヤッとする。「や・・・やだ。」
「でもね、もっと感じるようになるから・・。」「やだ・・・。」これ以上って・・・。
でも・・・幸せ。「来年・・・、2月ぐらいに日本に行くよ。」「待っててくれる?」
「はい。耕作さん・・・・、大好き・・。愛してます。」
461ルル:04/09/27 20:47:21 ID:RrHzYJ2s
最後の1ブッロクは蛇足だったような・・・。
お目汚しすいません。本人は書いてすっきりなんですが。
皆さんにもご意見いただけて嬉しいです・・。

次回はテレちゃんのエピソードとか書いてみたいです。
ではでは、お騒がせしました。
462名無しさん@ピンキー:04/09/27 22:43:28 ID:MFtENq1N
>461
当人がすっきりできないようじゃ誰もすっきりしませんからね。
テレちゃん編もがんばってください。誰と何をするんでしょうね?
463三佐衛門@306:04/09/27 22:51:07 ID:2BiP095F
えー、三佐衛門です。
今日、仕事帰りに野球を観てきました。話題の球団同士の最終戦で、スタンドにはカメラを持った
記者さんがウヨウヨ、松田さんがいっぱいな感じでした。

それでは本日分です。
464三佐衛門:04/09/27 22:51:42 ID:2BiP095F
食事はホテル1階のレストランでとった。いつもなら遠慮しそうな高級な雰囲気だったが、幸い編集部のみんなから餞別を貰って
いたので、懐には余裕がある。食事のあと自動販売機で缶ビールを買って部屋に戻り、冷蔵庫に入れておいてからシャワー
を浴びた。着替えがないので、下着を洗って干しておく。そして全裸の上から浴衣を羽織った。
「さて、ビール、ビール」
冷蔵庫からビールを取り出すと、口をつける。
「ふぅー、うまい」
ふと見ると、はだけた浴衣から自分のモノが顔を出している。部屋には自分一人しか居ないとは言え、かなりマヌケな格好だ。
黙って浴衣の前を合わせると、照れ隠しにテレビを点けた。
時刻は午後9時になったところで、ニュースをやっている。国内情勢、世界情勢のあと
「…バルセロナオリンピック女子柔道二階級金メダリストの猪熊柔選手に、本日、国民栄誉賞が授与されました…」
(んっ、あのあと、どうなったんだ?まさか俺、指名手配されてるなんて事は無いよな)
思わずテレビに注目した時
コッコッ
ノックの音がした。
(誰だ?)
松田がこの部屋に泊まっているのを知っているのは…
(まさか…、まさか加賀君って事は無いよな…?)
松田は(なぜか)忍び足でドアに近寄り
「…はい」
恐る恐る返事をした。
465三佐衛門@306:04/09/27 22:52:59 ID:2BiP095F
約半分の投下が終了しましたが、ここまでどうでしょうか?
感想をもらえたら嬉しく思います。
466名無しさん@ピンキー:04/09/27 23:37:26 ID:yRY5SNeL
>三佐衛門さん
やー、面白いです。
最終回後のパロでは、アメリカへ柔が行ってそこで二人が結ばれる、
という展開が基本(それはそれで好きなんですが)でしたが、松田さんが
飛行機に乗り遅れてその日に、という展開が新鮮でドキドキです。続き楽しみです。
467名無しさん@ピンキー:04/09/27 23:59:30 ID:MFtENq1N
フェイントをかけて邦ちゃんがそのまま来たりして・・・・ないか。

でも一晩だけの逢瀬というのもかわいそうですね。
お弁当作っってたとこ見ると一人でアメリカには行っちゃうんでしょうね。
468名無しさん@ピンキー:04/09/28 09:43:50 ID:JQclDdG0
>ルルさん
精力的執筆活動乙です。
面白かったです。
柔の姓が結婚後も猪熊になるまでのエピソード
松田がこだわるんだったらOKだと思いますのでもしよかったら書いてください。

>三佐衛門さん
続きが楽しみ!
次回も期待します。
469三佐衛門@306:04/09/28 20:26:32 ID:tT6JWZHg
松田さんがアメリカから帰ってきたときの話の構想を練っていたのですが、
よく考えたら山形弁がわからない…。
こうなったらスウィングガールズでも見て勉強するか。(無理)

>>466
ありがとうございます。後半もっと気合い入れないとダメですね。
>>467
成田以降に邪魔する人間は、あの男ぐらい?
>>468
期待に応えられるよう頑張ります。
470三佐衛門:04/09/28 20:26:58 ID:tT6JWZHg
柔は滋悟郎と玉緒の三人で、受賞記念パーティー会場のホテルへとやって来た。玉緒は『パーティーなんて…』とたいそう遠
慮したのだが、『たまにはみんなで外食するつもりでいいじゃない。立食パーティーだし気を遣う事なんて無いわよ』と無理矢
理連れてきたのだ。しかし、いざパーティーが始まると、お祝いと称する人たちが柔の前に列を成したのだった。顔見知りはと
もかく、面識のない人への応対にはいい加減ウンザリしていた。ろくに食事も出来ない。仕方なく合間にワインをちびちびやっ
ていたが、空きっ腹にアルコールは結構堪える。
(あーあ、疲れたな。松田さん今日はどこに泊まるんだろう。また鴨田さんの所かな?やっぱりさっきの電話で聞いておけばよ
かった)聞こうとしたけど結局言い出せなかったのだが…。
お祝いの列が途切れたので、少し食べ物を口にする。
(編集部に電話すれば、松田さんの居場所、わかるかな)
食事をしながらそんな事を考えていると
「柔ちゃん!柔ちゃん!」
柔を呼ぶ声がした。
「邦子さん…?」
声のする方を見ると、邦子が会場の隅で柔を手招きしている。取材陣は会場内立ち入り禁止なのに、どこから入ったのだろう。
(いくらなんでも、邦子さんには松田さんの事、聞き難いな)
柔が邦子の側に行くと
「はい、これ」
一枚のメモを渡された。
「耕作が今日泊まってるホテル」
「えっ」
知りたかった松田の居場所を、まさか邦子に教えて貰うとは…。
「今晩しかチャンスが無いのよ。ガンバッテね」
そう言うと、邦子は会場から出て行った。
「邦子さん…」
柔は複雑な思いで邦子の姿を見送っていた。
471名無しさん@ピンキー:04/09/28 21:48:28 ID:9HotDuiF
三佐衛門さん大丈夫ですよ。他の人も山形弁きっと分からないから。
私も3年間いたけどなーんも覚えてないもん。

そういえばよく、んだずーとか言ってたけど、どんな意味だったかな?
472「某バニラ娘とその彼氏」の投稿者:04/09/28 22:26:27 ID:mIgpr+o7
合戦準備、夜戦に備え。

「ボードルイ」よろしく燃料切れ起こしてまして投稿に遅れて
申し訳ありません。

>450様
 うわ、あのペテルブルクの海軍省での政治的遭遇戦にのみ
造詣の深い(←実戦経験のない事に対する婉曲的表現)
提督と一緒にされては堪らない……
 筆の速度を速めなければ!

>ルル様。
 
 ようやく、快感の尻尾を掴んだ感のある柔ちゃんですね、
GJ!!

>三佐衛門様。

 邦子の内心は、嵐が吹き荒れているんでしょうね。
「全っ然、平気!!」

では、還るべき処 第四章 Bad End 投稿させて頂きます。
473還るべき処:04/09/28 22:28:24 ID:mIgpr+o7
第四章 Bad End

 さやかに引っ張られて本阿弥邸に帰るまでの車中、進之介の
視線は宙をさまよい、思考は混沌の海を漂い、希望は絶望の
底なし沼に沈んでいた。
『もう二度とあたしに近寄らないで!』
(ああ、何故バレてしまったのか、どうなってしまうのか……
あの頃の情報が一体どこから柔さんに流れたんだ……)
 彼は、マーフィの法則の一説を思い出していた。

“The hidden flaw never remains hidden”
“隠れた欠陥は必ず表面化する”

(ああ、全くその通りだ)
 身から出た錆の苦さを、とことん味わってしまった進之介で
あった。
 しかし彼は、マーフィの法則の別な一節も思い出すべき
だったろう。

“Badness comes in waves”
“悪い状態は、波状攻撃をする”
474還るべき処:04/09/28 22:29:29 ID:mIgpr+o7
 さやかは、本阿弥邸に帰りつくと、直ちに書斎(以前テレビで
放映された部屋とは違う、最近に増築した実用本位の部屋だ)
に引っ込み、30分ほど誰一人入れぬまま何やら調べ物をして
いた。そして、卓上のベルを鳴らし、執事の徳永を呼ぶと、
「進ちゃんをお呼びなさい」

 進之介が書斎に入ると、異端審問官が、異端者を問い詰める
ような目で、さやかは進之介を睨みつける。
「弁明があれば伺いましょうか?」
「べ、弁明だなんて、そんな…それよりも夕食の支度が……」
「あまり食欲はありませんの。浮気な夫への怒りでお腹がはち
きれそうですので」
「い?」
 進之介は、凍りついた。身に覚えとか心当たりやら思い当たる
節だのがありすぎる。
「ワタクシを散々その気にさせて置きながら、いざ披露宴開こうと
いうときに、いい加減関係も冷めていた猪熊柔さんを、ご迷惑も
考えずに一方的に求婚して披露宴潰しにかかるとは、…随分な
まねじゃありません?」
475還るべき処:04/09/28 22:30:50 ID:mIgpr+o7
「な、な……」
「な? ああ、何を証拠にと? 猪熊柔さんに声を掛けてから
一本背負い食らって、さらに日刊エヴリーの加賀さんとお話
する所を聞いて、さらにお爺さまにお話を聞いた事では証拠に
なりませんの?」
「いい!?」
 最悪だ。この上なく最悪だ。
 柔にはフられ、さやかにも怒りを買うなんて、それこそ人生の
破滅だ。
(進ちゃん、人生最大のピーンチ!!)
「区役所に提出した婚姻届の、インクも乾かないうちに、猪熊柔
さん相手にその話を蒸し返すとは、猪熊柔さんに対しても、
ワタクシに対しても、不実さ加減にも程がありません?」
「不実だなんて言われたくない!」
「松田耕作さんに三タテ食らった人が今更何寝言仰ってますの? 
昨年のイブ以来完全に連絡途絶えていたクセして」
「それはあなたの事で柔さんが誤解しているからだ」
「でも、私との婚約以降も浅くともお付き合いされていたんで
しょう? だったら振られる理由に婚約は関係ありませんわよ」
「だったら何故?」
476還るべき処:04/09/28 22:32:45 ID:mIgpr+o7
「松田さんに進ちゃんが負けただけの事ではありませんの?」

「もう時効だと思うのでバラしてしまうのぢゃが、トドの姉ちゃんとの
公開試合を覚えておらんか?」
「トドの姉ちゃん……ええと、藤堂さんですわね? 日刊エヴリー
主催の?」
「今のお主ぢゃったら、何秒で仕留めた?」
「ええと……」
 試合運びを思い出す。あそこでこんな風に仕掛けてそれから
……一本勝ちだ。
「8秒ですわね」
「柔も大体同じ辺りで仕留めたぢゃろう」
「でも時間かかっていますわね、結構」
「勝つつもりが元々なければそんな感じぢゃろうな」
「勝つつもりが無いんじゃあ、負けてしまいますわよ?」
「だから負けるつもりだったんぢゃ!!」
「え?! そんな!?」
「記者たちに囲まれるのが嫌になったらしくてな。自分は弱い
ですって示すつもりぢゃったようじゃ、見抜けなかったワシにも
問題ありぢゃがな。当然お主との勝負も無しじゃ」
「でも勝ってますわよ?」
「玉緒さん……ああ、柔の母親ぢゃ……が帰ってきて、驚いて
一本背負い掛けたらしいな。正直後ろめたかったんぢゃ無いか
の?」
477還るべき処:04/09/28 22:34:01 ID:mIgpr+o7
「全く……ワタクシとの試合が怖いからってそんな手の込んだ
真似しなくとも……」
「ただ、この推理には良くできておる様で決定的な穴がある」
「穴?」
「簡単な話ぢゃ。柔の思考の中に、マスコミの前に好きこのんで
顔を出すという発想はない」
「え? あんなにインタビュー受けていたのに……あ」
 喋っていたのは大概滋悟郎だ。
「あ奴のマスコミ対処法を要約すると、”ほとぼりが冷めるまで
逃げる”ぢゃ。現在に至るまで散々インタビュー受けている筈な
のにちっとも進化しておらん」
「そうなると脚本書いた方が必要になる……花園冨士子さん?」
「ノッポの姉ちゃんとの付き合いはミーハー女子短大に入って
からぢゃ。あの頃はお互いを知る立場にないわ」
「じゃあ誰が?」
「今から考えると、絵図面引いた奴は一人しかおらん。
 記者達が柔を囲む事に対しては抵抗がある人間。
 発表の前の前の日に柔をさらっていった人間。
 マスコミを使うことに抵抗が無い人間。
 すべての条件に合致する奴は、松田ただ一人なんぢゃ」
478還るべき処:04/09/28 22:34:51 ID:mIgpr+o7
「そんな事したらおおごとなんじゃありませんの?」
「ああ、とことんおおごとじゃ。松田のクビが飛んだぢゃろうな」
「でも、何でそこまで……」
「元来から、横で苦境に陥っている奴を見過ごしに出来ない性分
らしいな」
「その頃からずっと、柔さんの事を…?」
「そうとしか思えんな」
「で、お認めになりますの? 二人の仲を」
「男子禁制の戒厳令は国民栄誉賞頂くまでだと公言して
いただけに、今更賞を貰ってもダメとは言えんし、柔道
やる原動力になっている以上別れろと言う訳にもいかんし
な……。
 とりあえずは黙認という事になるかのぅ……。
 どの道日本とアメリカぢゃ。チャラチャラ遊びたくても距離が
邪魔をするわい」

「そんな、あの仕事人間が……」
「いつぞや、進ちゃんが猪熊柔さんの事をこう仰いましたわね。
『あなたには勝てませんよ』と。
 そっくりそのまま返させてもらいます。
 松田さんにはあなたは勝てませんわよ」
「馬鹿に松田さんの肩を持ちますね」
479還るべき処:04/09/28 22:35:30 ID:mIgpr+o7
「別に……猪熊柔さんは少なくとも、自分だけを好きだと思わせ
ておいて他の方と後ろ手で実際にお付き合いする人嫌いです
よね? それをしないだけでも随分違いますわよ」
「あ、あなたは……あなたはどうなんですか?」
「ワタクシは寛大ですから。目の前で同窓生相手にアドレス帳
引っ張り出していたり、修行から帰ってきたらアパートに…」
「わーわーわー!!!」
 どどどどこまでバレてるんだー!?
「結婚する前ですから、最終勝者になれればと我慢していた
だけですが、さすがに今回ばかりはいささか限度を越えて
ますわね。だから真意を伺いたいんです。
 単刀直入に伺います。
 あなたが愛しているのはワタクシ? それとも猪熊柔さん?」
480還るべき処:04/09/28 22:36:17 ID:mIgpr+o7
 永遠の半分に等しい3秒間の間に、進之介の思考は脳の
中を駆け巡った。
「僕はあなただけを愛します」
「僕が愛しているのは、あくまで柔さんです」
 どちらを選ぶかで、進之介の命運は定まる。
(何を迷っているんだ。さやかさんは自分を愛されていると思えば
安心するんだ。莫大な財産と地位と名誉も思うままだぞ……)
(何を言う、柔さんはどうなる。燦然と輝くあの人こそ、お前の愛し
ている人だろう! 地位や名誉や財産に今更恋々としていいの
か? あの三流記者に取られていいのか?)
(馬鹿な事を言うな、あそこまで散々柔さんにふられて今更、
逆転の目は無いだろう)
(人生そのものを押さえられてしまうんだぞ)
 そして、進之介は口を開く。

「ごめん、さやかさん、僕はもう、あなたと偽りの生活を続ける
ことは出来ない」

 さやかの、顔から、表情が消えていく。
 それは、精神そのものが焼ききれたかのような無表情。
481還るべき処:04/09/28 22:36:55 ID:mIgpr+o7
「偽り……だったんですか?」
「ごめん、もう、あなたに一生首根っこ掴まれたまま生きる事は
出来ない」
「もう、ダメなんですか?」
「ごめん」
「ワタクシでは、柔さんの代わりにはなりませんか?」
「ごめん」
「じゃあ、どうしたいんですの?」
「僕はもう、ここにはいたくありません」
 さやかは、窓の方を向きながら言う。 
「じゃあ、出てお行きなさい」
 進之介は、きびすを反す。
「さようなら、さやかさん」
「あと一つ」
「何ですか、さやかさん」
「部屋を片付けて、籍を抜くのは、3ヶ月後にしますわ」
「すぐ処理してください。僕はもう、ここには帰りません」
 敷居を跨ごうとする進之介を、もう一度呼び止める。
「もう一つ、進ちゃん」
「何ですか今更」
482還るべき処:04/09/28 22:37:36 ID:mIgpr+o7
「猪熊柔さんを本当に怒らせたのは、ワタクシとの縁談ではなく、
他の女性をもてあそんで、進ちゃんへの猪熊さんの信頼を貶め、
松田さんを侮辱して地雷を踏んだ、進ちゃん自身の弱さでは
ありませんの?」
「あなたに、弱さを指摘される筋合いはありません。
 相手の強さを、率直に認める事の出来る、真の強者に、なって
ください。
 それが、コーチとしての最後のお願いです。
 さようなら、さやかさん」
483還るべき処:04/09/28 22:38:57 ID:mIgpr+o7
 本阿弥家の館を出ると、進之介は短からぬ間を過ごした、
本阿弥邸を振り返った。
 先程、進之介が運命と向き合った部屋のカーテンには、
もう人影は無い。

 ちくりと、何かが胸を刺したような気がする。

 いや、気のせいだろう。彼は、そう結論付ける事にした。
 風祭進之介は、地位も、名声も、財産も、そして真実の愛も、
……全てを失ってしまったのだった。

 さやかは、いつの間に、床に座り込んで、手を前に着いていた。
 床面を捉えていた視界が、大きく歪む。
 どこからともなく低い嗚咽が聞こえてくる……。
 それが、自分の咽喉から発せられている事に気がついたとき、
さやかは、希望が失われてしまった事を悟ったのだった……。
484「某バニラ娘とその彼氏」の投稿者:04/09/28 22:49:51 ID:mIgpr+o7
 以上、還るべき処は終わりです。あとは、皆さんご自由に
お考えくだS・・・・・・

ボカッ!!

投:い、痛い……な、何も『ツシマ』で殴らなくても……
K:どーすんのよ! あんなにとっ散らかして!
投:た、単なる冗談でふ……
K:いい? ちゃんと(ピー!)と(ピー!)の(ピー!)なシーン
までちゃんと書くのよ!!
投:ま、前向きに善処します……。
S:お姉ちゃん、この人台詞が滅茶苦茶棒読みです……
485名無しさん@ピンキー:04/09/28 23:00:47 ID:9HotDuiF
END?
486名無しさん@ピンキー:04/09/28 23:02:44 ID:9HotDuiF
>484
何なら、マハンの海軍戦略もありますが・・・・・
487「某バニラ娘とその彼氏」の投稿者:04/09/28 23:08:09 ID:mIgpr+o7
>485様
>486様

だから冗談ですって!

ちゃんとこの後のお話ももう途中まで書いています!!
488名無しさん@ピンキー:04/09/28 23:39:38 ID:XwbfESOC
また偉く自己主張の激しい作者さんですね
489名無しさん@ピンキー:04/09/28 23:55:59 ID:9HotDuiF
>488
いろんな人がのんびり共存しているのがこのスレのすごいところ
490名無しさん@ピンキー:04/09/29 02:10:02 ID:ugIVi/pp
寝技で 柔とサヤカが イカせ勝負になってるやつ つくってください
491名無しさん@ピンキー:04/09/29 16:44:51 ID:5oUTKTLz
>三佐衛門さん
早く柔と松田を会わせてやってください。
492三佐衛門@306:04/09/29 18:47:49 ID:SOLRB0/B
また台風ですね。折角「2004年の女たち」を中秋の名月に合わせた話にしたのに、
昨日は全国的に天気が悪かった様で残念。

>>471
でも松田さんの両親が標準語喋るのは変かも。別のラインを攻めてみます。
>>某バニラ氏
案外邦ちゃんは立ち直り早そう。
>>491
大丈夫、もうすぐです。投下時期は…、あ、来週だ。
493三佐衛門:04/09/29 18:48:15 ID:SOLRB0/B
富士子は花園と一緒に来ていた。
「富士子さん」声をかけると
「あら、猪熊さん。なんか有名人ばっかりねー。緊張しちゃうわー」
富士子は昼間と同じ様な事を言っている。言葉とは裏腹に結構楽しんでいる様だ。しかも富士子自身が有名人という事を自
覚していないらしい。
「富士子さん、あたし今から松田さんの所へ行ってこようと思って」
「へ?松田さんの所へ?」
「うん」
「三度目の正直ね」
「うん…」
「猪熊さん!がんばって!ファイト!!」
「うん!」
「応援してるわよー」
立ち去ろうとした柔の背中にも声をかけてくる。大きな声なので周りの人が柔たちに注目する。
(富士子さんたら…)
思わず早足でその場を離れてしまう。
(猪熊さんたら、そんなに早く松田さんに逢いたいのね)
早足で行ってしまう柔を見ながら、富士子はそんな風に考えていた。
494三佐衛門:04/09/29 18:48:35 ID:SOLRB0/B
「おかあさん」
「あら柔、どうしたの?」
パーティーに来るのを遠慮していた玉緒だが、今は他の出席者と会話が弾んでいるみたいだ。
「ちょっと疲れたから、先に帰るね」
心配するかも知れないと思っていたのだが、玉緒はやけにあっさり
「あらそう。気を付けてね」
と言った。そして
「柔、頑張ってね」
(松田さんの所へ行くつもりだって気付いてるんだ…)
柔は顔を赤くした。
(それにしてもみんなに『頑張って』って言われちゃった。そんなに頑張ってない様に見えるのかな)
少なくとも、二人の仲の進展具合を知っている者には、頑張っている様には見えないだろう。
495名無しさん@ピンキー:04/09/29 22:15:50 ID:o5sBGaAF
3度目の正直ってーと?
496ルル:04/09/30 12:59:43 ID:lTv8McMm
>>462
遅レスですみません。マイペースで書き込んで、申し訳ないです。
妄想って急に湧いてくるもんで・・・。

>>468
読んでいただいてありがとうございます。
松田&柔のエピソードも、もう少し書いてみたいです。

>>バニラ様
激しく続きをきぼん。読み入ってしまいました。展開が楽しみです。

>>三佐衛門様
こちらも、早く二人が会えないものかとワクワクしてます。どうなるんでしょ?


497三佐衛門@306:04/09/30 20:17:27 ID:8aevJ3MQ
>>495
つまり、一度目がバルセロナの夜、二度目が授与式前日の松田さんのアパート、
そして今回三度目と言う事です。すべて富士子さんが絡んでいるので、富士子さんの
台詞で問題ないかと思います。
>>ルルさん
この展開でバッドエンドだったら、生きていられないでしょうねw
498三佐衛門:04/09/30 20:18:05 ID:8aevJ3MQ
「さて、おじいちゃんは…」
滋悟郎の姿を探すと、会場の中央で首から三つの金メダルをぶら下げて、いつもの自慢話をしているみたいだ。誇張しまくり
の話も、初めて聞く人には面白いらしい。
「あれなら大丈夫ね」
主賓の柔が居なくなるのは本当はまずいのだろうが、滋悟郎が居れば大丈夫だろう。柔は目立たない様、そっと会場から抜け
出した。
(抜け出し癖が付いたのかしら)
よく考えれば、今日の授与式に限らず、ゴルフ接待の途中で試合に行ったり、自分の試合の表彰式に出ずに武蔵山高校柔
道部の応援に駆けつけたこともあった。
(今に始まった事じゃないわ)
変な納得の仕方をしながら控え室でドレスを着替えると、ホテルの前に停まっていたタクシーに乗り込んだ。
499三佐衛門:04/09/30 20:18:40 ID:8aevJ3MQ
そんな柔の様子をじっと窺っている男が居た。風祭改め本阿弥進之介である。
(柔さん…、僕は本当にあなたにフラれたのですか?いや、フラれただけならまだしも、あの三流新聞記者を選んだのですか?)
未だそんな事を考えていた。
(ん?邦子さんだ。柔さんになにか渡している…)
柔は富士子と玉緒とに話をすると
(会場を出ていった…。まさかあの男の所に!………跡をつけるか)
進之介はそっとさやかの様子を窺った。相変わらず主賓より派手な格好をしたさやかと目が合う。
(こっちを見てるー!!!)
いくら婿養子とはいえ、圧倒的上位から進之介を見下ろすさやかを見て、今後の人生(少なくとも柔ほか女性関係)が暗闇に
閉ざされている事にやっと気付いた。これではまるで座敷牢に転がされた中村主水である。

500名無しさん@ピンキー:04/09/30 22:36:14 ID:vf31lzG/
お月見の話は続かないの?
せっかくテレちゃんがいるんだから、フクちゃんに柔道の怖さを教えてやって欲しい。
501ルル:04/10/01 12:35:43 ID:Nt6MEAwo
三佐衛門様>もっと続きが読みたい・・・。

さやかさん、夜は進ちゃんの言いなりかな〜なんて思ってるのは
私だけでしょうかね・・・。
「そ・・・そんな事、できませんわ・・・。」
「何を言ってるんですか、みんなしてるんですよ。さあ・・・。」
とか・・・。妄想か・・・・・。
502TAWARA:04/10/01 18:35:03 ID:k3H+NyTF
谷く〜ん
もっと〜〜〜
503名無しさん@ピンキー:04/10/01 21:35:55 ID:HLRTdaK5
>501
きっとねえ、しんちゃんはお仕事一つと割り切って、それなりに悦ばせて終わりじゃないですかね。

さやかはしんちゃんしか知らないわけだし、朝飯前でしょう。
504名無しさん@ピンキー:04/10/01 21:52:09 ID:HLRTdaK5
バニラさんていかにも軍オタだけどさ(ごめんね、悪気はないよ。でも確信犯でしょ)、
486って、きっと本職だよね。
505三佐衛門@306:04/10/01 22:37:47 ID:x2+eo3Mf
>>500,ルルさん
「2004年の女たち」は、あれで終わりです。続きを作る予定はありません。
あの話は、今現在の柔たちを考えて、時期的なネタを組み合わせてストーリーにしたもので(投下も仮題
「確かなもの」の投下完了後にしたかったのですが、月見の話なので先週投下しました)、フクちゃんを
登場させる必要は特には無いのですが、話しに面白味を出すために化け猫さんのフクちゃんを勝手に
使わせて貰いました。化け猫さんのフクちゃんを使うと、柔の感じも変わって、かなり良くなったと思います。
しかしあくまで化け猫さんのオリキャラなので、あれ以上登場させると、化け猫さんの考えているフクちゃんと
違う物になってしまうかも知れません(「2004年の女たち」でも心配でした)。
今後フクちゃんを登場させる話は、たぶん書かないと思います。だから化け猫さんにフクちゃんが出てくる
話を書いてもらえたら…。どうですか?化け猫さん。
506三佐衛門:04/10/01 22:38:17 ID:x2+eo3Mf
柔は特急に乗って成田空港へとやって来た。白と赤に塗られた電車から、真新しいホームに降りる。
「へえ、こんな風になってるんだ」
空港の地下に駅が出来ていた。バルセロナの時はバスで来たので知らなかったのだ。
一旦空港から出るとタクシーに乗って、松田が泊まっているホテルへと向かった。ホテルに着くと中に入り、直接エレベーター
に乗り込んで11階のボタンを押す。
ヴィーン
低いうなり声をあげてエレベーターが上昇していく。
チン
11階に降り立つと、エレベーターホールに設置してある案内板で部屋の場所を確認する。
「1122号室か…。なんかいい番号」
足音がしない様にひかれている毛足の長い絨毯の上を歩いていると、なんだか地に足が付いていないみたいだ。
(まだワインが残っているのかな)
頬が熱く、鼓動も早い。そしてとうとう1122号室の前までやって来た。
ノックしようとして、ふとバルセロナの夜を思い出し躊躇する。あの時は、部屋の中から邦子が現れたのだった。
(邦子さんに教えて貰ったのに、まさかそんな事があるわけ無い)
意を決してノックする。
コッコッ
(………、まさか、居ないのかな)
昨日の夜、がらんどうの松田の部屋を見たときの喪失感が蘇ってくる。その時
「はい」
松田の声だ!一気に鼓動が早くなる。
「あの、あたしです」

507三佐衛門@306:04/10/01 22:41:12 ID:x2+eo3Mf
>>505に追加
「2004年の男たち」という話を作りました。これも短編、エロ無しですが、そのうち投稿したいと思います。
508名無しさん@ピンキー:04/10/02 03:45:10 ID:E/qIPQpS
やわらのモデルがたわらってことは脳内フィルターでスルーですよ
509名無しさん@ピンキー:04/10/02 07:17:34 ID:UWCwgrG8
>508
うー、釣られてしまう・・・・けど書かずにいられない。

YAWARAのが先だ!
510江戸家化け猫:04/10/02 08:07:30 ID:+pyzu5f1
>505
つい呼ばれると出てきてしまう。わたしゃ先祖の霊か・・・・
そう言えば昔TVタックルでノストラダムスの霊をいたこが呼んだって知ってます?

閑話休題 フクちゃんキャラは結構思い入れがあるんですけどね(いかにも昔風の現代っ子って感じで。
変な日本語ですね)、世間の大半に受け入れられるかどうかあまりに不確定なんでどうかなあ。
511名無しさん@ピンキー:04/10/02 15:18:02 ID:E/qIPQpS
おまいらいつもこんな妄想でオナニーしてんのか・・・・
512名無しさん@ピンキー:04/10/02 15:34:19 ID:akgMbk9c
>>511
キモッ
513名無しさん@ピンキー:04/10/02 15:36:34 ID:E/qIPQpS
キモいっていわれました。

居心地いいので住み着きます。
514名無しさん@ピンキー:04/10/02 15:37:22 ID:E/qIPQpS
おまえらネタを書いてくれる人を神って言っておだてて
自分のためにオナニーのネタをゲットしようとしてんじゃねーぞ!!

まったくもう
515名無しさん@ピンキー:04/10/02 16:37:37 ID:vx7cMq0d
なんか誤爆してないか?
ネタはゲットしたいけど、ここでは神なんて誰も言ってないよ。

住み着いてくれるのは、客が少ないからかまわないけど。
516名無しさん@ピンキー:04/10/02 17:03:50 ID:E/qIPQpS
TAWARAは谷を押し倒すと
荒い声でつぶやいた
「ええやろ、ええやろ」
517名無しさん@ピンキー:04/10/02 17:15:12 ID:bDji8KDq
なんだ結局>>502の人か
518名無しさん@ピンキー:04/10/03 11:27:27 ID:SQ8V8SSh
そうか、九州でもええやろと言うんか。しらんかった。
519名無しさん@ピンキー:04/10/03 11:40:23 ID:SQ8V8SSh
意外に土日の投下が少ないんだよな。
520名無しさん@ピンキー:04/10/03 13:56:20 ID:7Gi2/3lJ
>514
ここでネタなんか手にはいらないよ。
実質、ここは、『懐かしYAWARAのエロ”抜き”パロ3』だよ。
521名無しさん@ピンキー:04/10/03 14:11:48 ID:SW2Zqou2
あの…こちらは画像投稿も可なのでしょうか。
色々勢い余って描いてしまったのですが。
一応主役カップルの絵(のつもり)です。
522名無しさん@ピンキー:04/10/03 14:16:20 ID:7Gi2/3lJ
来る物拒まず、去る者はちょっとだけ追う
というのがここの基本姿勢じゃないかな?  と個人的には思っているのだが・・・・・・
523名無しさん@ピンキー:04/10/03 17:27:19 ID:YU4cxSPW
ミツバの柔、富士子、マリリン、南田でお茶。
マ「ごめ〜ん、撮影で遅れちゃった〜。」
皆「ううん、いいよ。」
マ「今日もセックスの撮影・・・」
南「ちょっと!柔ちゃんがいるんだから!」
柔「あ・・大丈夫よ。私も松田さんとやってるもん。」
皆「えっ!!??」
マ「今日は、しつこい奴でね〜。クンニとかフェラとか〜」
富士「ちょっと!猪熊さんがいるんだから。」
柔「あ・・・大丈夫よ。それもやってるもん。」
皆「なに!?」
柔「バイブは使って欲しくないよね。」
皆「・・・・・。」

松田「遅くなってごめん!柔さん、待った?」柔「ううん。」
皆「・・・・・」
二人「じゃ、これから産婦人科に行ってくるね。」
524名無しさん@ピンキー:04/10/03 18:15:23 ID:1gZfCKj/
これはつっこみをいれてもらいたいのか・・・・・・それとも・・・・・
525名無しさん@ピンキー:04/10/03 22:33:37 ID:XBiIo4Hs
次回作に期待という事で
526名無しさん@ピンキー:04/10/04 04:36:18 ID:S/0TV9vv
>>523
ちょいワロタ。経験したら、三葉のみんなには、これくらいサラッと暴露
しちゃいそう>柔
527三佐衛門@306:04/10/04 20:55:27 ID:hzk9R/+U
>>化け猫さん
また気が向いたら書いてくださいね

えー、お待ちかね?の話です。まあ期待されるほど感動的ではありませんが…。
528三佐衛門:04/10/04 20:56:15 ID:hzk9R/+U
「柔さん?!」
慌ててドアを引き開ける。そこには頬を紅く染めた柔が立っていた。
「こんばんわ」
「柔さん…、どうして…?」
「9時頃に行くって言ったじゃないですか」
「え?それは明日の朝じゃ…」
「ふふ…、実は邦子さんが教えてくれたんです」
(加賀君が?そうかあの電話はこういう事だったのか)ホテルに着いたあとに邦子がかけてきた、おかしな電話の意味が解った。
ツインルームは邦子が勝手に取ったものである。『ホントにあの二人は、放って置いたら全然進まないんだから』でもダブルで
無いのは邦子の最後のささやかな抵抗か。ちなみに編集長の不安は、経理からのクレームでツインルームの経費が落ちず、
編集長が自腹を切ることになって的中する。
「ま、まあ、入りなよ」
「それじゃ、お邪魔します」柔は部屋の中に入ってきた。
「へえ、結構広いんですね」
「そうなんだ。シングルが空いて無かったのかな」
「松田さんのアパートより広いかも」
「し、失礼だなぁ。…パーティーはどうしたの?」
「抜け出して来ちゃいました」
「え!そんな、大丈夫かい?」
「はい。おじいちゃんが居るから大丈夫だと思います」
「そういえば、授賞式の方は…」今日一番気になっていた事を聞いてみた。
「はい、それもおじいちゃんが、うまい具合にまとめてくれたみたいです」
「そうか、あーよかった」
「ふふ」
「…そういえば柔さん、メシ食った?」
「いえ、それがあまり食べられなくて…」
「そんな事だろうと思った。ルームサービスでも取ろうか」

529名無しさん@ピンキー:04/10/04 22:13:37 ID:JUNoi+9W
きっちりと押さえてますね
530名無しさん@ピンキー:04/10/04 23:49:50 ID:JUNoi+9W
画像投下はどうなったんだろう?
531521:04/10/05 00:54:44 ID:q2FkX29S
>>530
すみません、小心者故にレス頂きつつも躊躇してたのですが…
投稿させて頂きます。そんなにエロくなくてすみません。

ttp://akm.cx/2d/img/6703.jpg
532名無しさん@ピンキー:04/10/05 00:59:37 ID:rFeBiJkv
キキキキキキター
533名無しさん@ピンキー:04/10/05 01:34:45 ID:+uysg0Wz
絵が高橋しん先生っぽい。
本当に上手い!
534名無しさん@ピンキー:04/10/05 05:58:22 ID:bFBr5X/D
わけのわからんろり絵だったら文句のひとつも言いたくなるところだったけど、
いい!特に髪留めを降ろしてるかんじなんかが、すごくいい!
535名無しさん@ピンキー:04/10/05 12:49:16 ID:Zv/TTt2j
536名無しさん@ピンキー:04/10/05 12:51:10 ID:Zv/TTt2j
間違えた

537名無しさん@ピンキー:04/10/05 12:57:16 ID:Zv/TTt2j
http://yumi.akm.cx/2d/img/6703.jpg
これでYAWARA!の掲示板探してください:http://yumi.akm.cx/2d/joyful.cgi
538名無しさん@ピンキー:04/10/05 12:59:18 ID:Zv/TTt2j
すいません・・・俺には無理でした。
自分でURLをコピーしてアドレスしてください・・・。そうしたらみえると思います
539名無しさん@ピンキー:04/10/05 13:28:25 ID:pvqwTPQE
こんにちわ
暇つぶしに荒らそうと思ったけど
あまりのさびれっぷりにあきらめたスレはここですか?
540名無しさん@ピンキー:04/10/05 16:03:37 ID:xt5RUxEx
http--akm.cx-2d-img-6703.jpg
541三佐衛門@306:04/10/05 20:31:36 ID:jKU9WFyy
絵や文章が上手い人はいいですね。小学校の時の読書感想文もロクに書かなかったのに
なぜ自分は苦手な事をしているのかと、ふと思ってしまった。
542三佐衛門:04/10/05 20:32:50 ID:jKU9WFyy
柔がルームサービスの軽い食事を食べている間に、缶ビールを買ってきた。食事が終わると柔をベッドに座らせ、松田もその
向かい側に座った。
「乾杯!国民栄誉賞おめでとう」
「もう!あたしにはそんな事よりもずっと嬉しいことがあったのに」
「え?なに?」
「松田さんがあたしの事を好きだって言ってくれました」
「う、あ、ははは…」
改めて思い出すとメチャクチャ恥ずかしい。
「いつから、あたしの事が好きだったんですか…?」
いつからだろう。ソウルの時には一応告白もしたんだが。
「5年…は前かな」
「じゃあ、あたしが高校生の時から?」
「そ、そうかもしれない」恥ずかしさで顔が真っ赤になる。
「や、柔さんはいつから俺のことを…?」
矛先を柔に向けてみた。
「あたし…ですか。そうですね、意識したのはユーゴスラビアの世界選手権の時ですね。だから、その前から好きだったと思い
ます」
ユーゴの時か。なら3年以上前から俺のこと…。
「なんだ。それならもっと早く告白しておけばよかったな」
「そうですよ。もっと早く告白してくれればよかったのに」
柔の発言でさらに顔が赤くなるのを感じた。案外、柔の方は平気な顔をしている様に見える。今の柔は昼間とは別のフォーマ
ルな服装で、童顔の彼女が着ると『小学校の入学式の様な』(おっと、ヘタな事を言わない様にしないと)。何にせよ、いつも以
上に可愛く感じられて、落ち着かない気分になってくる。
543三佐衛門:04/10/05 20:34:00 ID:jKU9WFyy
「………」
会話が途切れる。(泊まっていくか聞いてみようかな)すると
「今日、ここに泊まっていってもいいですか?」
(うっ!)
思わずビールを吹き出しそうになるが、必死に堪えて
「まっ、また俺に部屋の外で寝ろって言うのか?」
本心を隠して冗談で返してみる。
「あたりまえじゃないですか」
「おいおい、ホテルの廊下なんかで寝ていられないよ」
「……冗談ですよ」
「ははは…」(やっぱり冗談か。残念)
「…でも、泊まっていくのは冗談じゃありません」
ブーッ
今度こそビールを吹き出した。
「えっ、えっ?柔さん?」
「………シャワー浴びてきてもいいですか?」
「あ、ああ」
柔はバスルームへと入っていった。

544名無しさん@ピンキー:04/10/05 20:52:25 ID:bFBr5X/D
>531
また、投下してくださいね。いろんなシチュエーションで見たいな。
545名無しさん@ピンキー:04/10/05 20:56:44 ID:bFBr5X/D
この状況でさびれってるっていわれた日にゃ、普段はどうなるんだ・・・・
546名無しさん@ピンキー:04/10/05 23:32:33 ID:9I8KfyLZ


547名無しさん@ピンキー:04/10/05 23:35:22 ID:9I8KfyLZ
>543
松田さんはじっと待っていられるのかな、ねえ?
柔にもちょいとビールの残りをのましてやって欲しいな。
548名無しさん@ピンキー:04/10/05 23:48:03 ID:9I8KfyLZ
”妄想か”の人来なくなりましたね。テレちゃん編はどうなったんでしょう?
549名無しさん@ピンキー:04/10/06 01:51:02 ID:e0/RB7tG
ビールの残りもいいけど松田さんの(ry
550ルル:04/10/06 11:17:11 ID:1p0HNhZ9
どなたか、呼びました?
テレちゃん編、勝手に登場人物を創ったらマズイでしょうか?
やはり・・・・ナバコフさんかな?う〜〜〜ん。
551名無しさん@ピンキー:04/10/06 20:57:19 ID:gvp1Bo6U
>550
とりあえず行けるだけ行ってみましょうよ。
受ける受けないは、投下してみないと分からないし・・・
まあ、さすがにテレシコワ以外は、全員創作キャラと言われると
さすがに辛いかもしれませんが。
552三佐衛門@306:04/10/06 21:08:56 ID:sT9XHg7P
>>547
据え膳喰わない松田さんだからねえ

だんだんと創作が難しくなってきました
553三佐衛門:04/10/06 21:09:25 ID:sT9XHg7P
柔がシャワーを浴びている間、どうにも落ち着かない松田は、また缶ビールを買ってきて飲んでいた。
カチャ
バスルームのドアが開いて柔が出てきた。松田と同じ備え付けの浴衣を着て、胸にさっきまで着ていた服を抱えている。服を
ハンガーに掛けると、今度は松田の横に座った。ビールを勧めると
「松田さんのアメリカでの仕事がうまくいく様に、乾杯」
柔の方から缶をあわせてきた。
「うん、大丈夫。アメリカはスポーツのネタには困らないからな。やっぱりまずは大リーグだよ。日本じゃ…」
松田は熱く語り出す。柔はバルセロナの無差別準決勝の前に、偶然松田と出会った時の事を思い出した。
(あの時、いろいろ思い出して泣いちゃったんだ。ダメだ、また泣いちゃいそう)
だんだん伏し目がちになっていく。
「柔さん?」(俺の話がつまらなかったのかな)
照明を少し落とした部屋の中で、髪をアップにし、シャワーのせいかあるいはアルコールのせいか、頬だけで無く耳やうなじま
で紅くして浴衣姿で座っている柔の姿は、この上なく色っぽい(服を着ているときは可愛いと思ったのに)。松田は自分の股間
に血が流れ込むのを意識していた。
「俺、仕事頑張って、それで、アトランタで待ってるから、だから柔さんも…」
「松田さん…、あたし…」
言いながら視線を上げようとした柔は、急に
「きゃっ!」
両手で口元を押さえて、悲鳴を上げた。
「?」
554三佐衛門:04/10/06 21:10:22 ID:sT9XHg7P
柔の視線をたどっていくと
「うわぁ!」
はだけた浴衣から自分の巨大化したモノが顔を出している。浴衣の下が全裸なのをすっかり失念していた。あわてて浴衣の
前を合わせて柔の様子を窺うと、さっき以上に真っ赤になった顔をそむけていた。
(あー、どうすればいいんだっ)混乱して考えがまとまらない。
所在なく目を泳がせていると、窓のカーテンが目に入った。
(そうだ!)
松田は立ち上がり、照明を落とすと窓際へ行き、カーテンの隙間から外を確認する。
「柔さん」
柔を呼ぶと、カーテンを一気に引き開けた。
「わぁ、綺麗」
窓の外には成田空港の灯りが広がっていた。既に飛行機の離発着は終わっている時間だったが、滑走路の誘導灯がまるで
川の流れの様だ。
「……素敵ですね」
「……そうだな」
しばらく外を眺めていたが、ふと柔が自分を見ている事に気付く。
「………」
何も言わず松田のことを見つめていた柔だったが、すっと瞳を閉じた。
松田は吸い込まれる様に柔に近づいていき、そして
「…んっ」
キスをした。
555名無しさん@ピンキー:04/10/06 21:26:14 ID:gvp1Bo6U
そうか、巨大だったのか。裏切り者・・・・・・
556名無しさん@ピンキー:04/10/07 15:03:47 ID:lUajCV1f
「あっ、柔さんと・・・松田さん!?」風祭は二人の後をつける。
楽しそうに会話して、歩く二人。
「なんで松田さんなんかと〜!!」
気付くとホテル街。「どういうことだよ?」
「柔さん!!どうして・・・・・。」
「風祭!!」「風祭さん!!」二人が同時に叫ぶ。
「ば、ばかいってんじゃねえ!道に迷ったんだよ!」
「はーん、そういって柔さんを連れ込むつもりだったんじゃありませんか。」
「ば、ばかやろ!」「風祭さん・・・・。」
「とにかく風祭!柔さんを送っていくから。」「ちょ、ちょっと・・。」
風祭を尻目に足早に立ち去る二人。

「あー、ビックリした!」「おれも・・・。」
「でも、柔さん、ホテル行けなかったね。そうだ!!」「何?」
「今日はアオカンでもしようよ。」「いい考えね!!興味あるもん!」
557三佐衛門@306:04/10/07 20:53:41 ID:RHThxJLY
>>555
巨大じゃなくて巨大化ですよ。普段より大きくなっているって事で。
558三佐衛門:04/10/07 20:54:50 ID:RHThxJLY
唇が離れると、柔が抱きついてきた。が、松田の股間の堅いモノが下腹部に当たって、思わず腰を引く。
(うわっ、またやっちまった)鎮めようとするが、そう簡単に鎮まれば苦労しない。
じっと松田の股間の膨らみを見ていた柔は、顔をあげ
「あたしを抱いてください」
と言った。
「いや、だけど…」
「嫌ですか?」
「そうじゃなくて!」松田だって柔を抱きたい。しかし
「コンドームが無いから…」
松田は避妊具を常時携帯するような生活はしていない。
「構いません」
「そうはいかないだろ」
「構いません!…富士子さんはフクちゃんを産んでから、オリンピックに行ったんですよ」
「それはそうだけど…」しかし、口に出した事は無いが、バルセロナでクリスティン・アダムスと互角の勝負をして銅メダルだった
富士子である。もしも出産のブランクが無ければ、金メダルをとれたのではないか。そう考えると、柔を妊娠させるわけにはいか
ない。
「………」(とてもじゃないが、こんな事言えない)
559名無しさん@ピンキー:04/10/07 21:54:10 ID:JF0gslBL
ずいぶんと思い切りが良いなあ。
560名無しさん@ピンキー:04/10/07 22:31:53 ID:lp8Sb479
松田さん、抱いてやれよ。
柔って松田さん>柔道だろうし。
561名無しさん@ピンキー:04/10/07 22:33:38 ID:mmgXf+9u
自分から「抱いてください」かぁ・・。
562名無しさん@ピンキー:04/10/07 23:36:43 ID:N1CZ0AEU
初めての晩にいきなりコンドーム無いっていう断り方も率直というか・・・
松田さんらしいのかな。
563三佐衛門@306:04/10/08 20:22:57 ID:qBRwm+u0
言い訳ですが、前日に松田さんのアパートに行った時には、松田さんと関係を持つ覚悟があったと思うのです。
しかしその時に逢えなくて、翌日にはアメリカへ行ってしまう松田さんの泊まっているホテルへやって来た時は、
『今日しかチャンスがない』と考えていたと思うのです。積極的に出る柔と、この期に及んで躊躇する松田さん、
あり得そうな気がするのですが。

こんな解釈ではダメですか?
564三佐衛門:04/10/08 20:23:19 ID:qBRwm+u0
「あたしの今の夢、わかりますか?」
唐突にそんなことを聞いてきた。
(昔は『柔道をやめて、普通の女の子になりたい』だったな。今はなんだろう?)
「あたしの今の夢は、結婚して、素敵な旦那様と、可愛い子供達に囲まれて、幸せに暮らす事です」
「つまり『普通の奥さんになりたい』と」
柔は頷く。
(でも『柔道をやめて』とは言わなかったな)
「松田さんは、あたしが普通の女の子になりたかったとき、いつも手を貸してくれました。『試合でわざと負けろ』って言ったり、
受験の時も鉛筆持てる様にしてくれたり…。松田さんがいてくれたから、柔道をしていない時は普通の女の子でいられた。柔
道を一度はやめてしまったけど、松田さんの記事を読んで、松田さんがいつも見守って、手を貸してくれていた事に気が付い
て、また柔道を始めたんです。なのに、普通の奥さんになりたいときは、手を貸してくれないのですか!」
やっと柔の話の本意が解った。柔は松田の夢(柔の活躍を記事にする)と、柔の夢(普通の奥さんになる)は両立出来ると言っ
ているのだ。
(柔さんの事を考えているつもりで、自分の事しか考えていなかったんだな。情けない)
「………」
黙ってしまった松田の顔を、ちょっと心配そうに見てから
「あたし、以前は柔道のせいで家族がバラバラになったと思ってました。だけどお父さんが居なくても、お母さんはひとつも怒ら
なかった。お母さんはお父さんを理解していました。それはお母さんとお父さんの間に確かなものがあったからです」
柔はもう一度松田に抱きつくと
「松田さんがアメリカへ行ってしまうから…、だから、あたしと松田さんとの間に確かなものが欲しいんです」
自分を見つめる柔の目が『本気の目』だと気付いたとき、松田は覚悟を決めた。

565三佐衛門@306:04/10/08 20:25:19 ID:qBRwm+u0
かなり柔が理屈っぽいですが、結局のところ『松田さんとセックスがしたい』が本音です。

歪んだ解釈かな
566名無しさん@ピンキー:04/10/08 21:55:49 ID:PWK/XopM
いや、全然歪んでないです。好きな人に抱かれたいのは当然だし
元々好きな人のお嫁さんになって幸せに暮らすのが夢だった訳だし。
でも可愛い子供達っていうのは…どんどん産むつもりですか…w
567名無しさん@ピンキー:04/10/08 23:42:20 ID:yHVgw64F

俺的には柔タンは
ケッコンしたらあっさり柔道引退して
家事に専念しそうなイメージがあるけど、
三佐さんの柔タンも、いいねー。かわいいw

続き楽しみにしてます。
568名無しさん@ピンキー:04/10/09 04:27:41 ID:4JBtdO2q
解釈は王道だと思いますし、歪んでもいないと思います。
ただ、もう少しオブラートに包んだ会話になるんじゃないかなあとは思います。
何せあの人たちですから。
569名無しさん@ピンキー:04/10/09 06:48:04 ID:yD7S3qTZ
ご好評に応え”画像の投下第2弾”はないのかな?
570名無しさん@ピンキー:04/10/09 07:16:16 ID:yD7S3qTZ
全く関係のない話なんですけれどね、ここのSS読んでると、昔の朝岡実嶺が
イメージされてくるんです。

ま、関係ない話なんですけどね。
571名無しさん@ピンキー:04/10/09 16:35:02 ID:EwxUHphJ


572名無しさん@ピンキー:04/10/09 17:32:31 ID:Acj8eMUn
てめー関係ない話をした代償をはらってもらおうか
573名無しさん@ピンキー:04/10/09 18:05:31 ID:/BVNqQxm
いやいや、意外に良いセンスしてるかも。歳がしれる・・・・・
574名無しさん@ピンキー:04/10/09 18:57:19 ID:vMOVOpD5
>572
そんな急に求められても。
泊まっていこうかな・・・・ポッ
575三佐衛門@306:04/10/09 21:52:58 ID:+znQ4v37
地元の祭りで、かなり酒が入ってます。

>>566
柔の子供が三人ぐらいいたら面白い話が出来るかも。
>>567
自分の考えも>>439のように引退するかなと思うのですが、どうでしょうね。
>>568
あえて柔を積極的に、松田さんを消極的にしてみました。

エロ話は苦手なので、続きがちょっとツライです。ではまた来週。
576名無しさん@ピンキー:04/10/10 06:36:47 ID:05nf6oPo
>三佐衛門様
俺の地元と同じ(近い)香りがします。
577江戸家化け猫セブン:04/10/10 07:02:05 ID:Rjotb6WL
秋も深まって参りましてえろくなくても許される季節じゃないかなあ、
なんて勝手に思って始めちゃったりなんかしようかなあ、なんて思いますです。はい。

時期内容は、時あたかも2.26事件の、じゃなかった、原作が終わってから、
先回書きました『12年後』の間に挟まる物と思っていただければ。

今回はど真ん中の剛速球とは言わないまでも、シュート回転のストレートと
自分では思っているんですけどね。

またエロくないけど今度はそんなに長くならないから許してね。
578江戸家化け猫セブン:04/10/10 07:07:21 ID:Rjotb6WL
☆☆4年後☆☆

 アトランタオリンピックの決勝戦、かろうじて有効一つのポイント差で勝利を収めた柔が
マルソーとだきあう。滋伍郎は一本勝ちできなかったことに不満げな顔をしているが、
柔は充実した柔道を楽しませてくれたことに感謝を言いたかった。小さくほほえむと
マルソーの耳元に話しかける。短大を卒業し、時間がたったことで柔の英語力には
一層の磨きがかかっていた。
「アゲイン・・・・シドニー。」
中学生でももう少しまともな英語を話すだろう。が、言いたいことは伝わったらしい。
そして英語で返事をしても、ましてやフランス語で言っても通じないことも伝わったようだ。
マルソーは首を横に振りながら、
「つぎ・・・ない。」
たどたどしいながらも日本語で答えた。柔は驚く。恐らく虎滋郎に教わったのだろう。
「え、どうして?」
既に日本語に戻っていた。”why”すら出てこない。
「ぺとんじゅる。」
柔の耳にはこう聞こえた。柔が変な顔をしながら首をひねっているのを見て、マルソーも
自分の言葉が通じていないことに気がついたようだ。
「マリッジ。」
マルソーはそういいながらコーチを振り返った。さすがの柔もこの程度ならすぐにわかる。
「あ、”結婚する”ね。おめでとう。」
祝福する気持ちとうらやましい気持ちが交錯する。
”あたしはいつになったら・・・”
記者席で興奮している松田を見ながら、ため息をついた。
「ありがと」
マルソーは、片言の日本語で礼を言うとにこりと笑った。
 審判により柔の勝利が告げられ、そして二人は青畳を後にした。
579521:04/10/10 10:02:03 ID:JBlPojvv
レスありがとうございました。(遅くなってすみません
この二人は大好きなんで、また時間が出来たら何か投稿させて頂けると嬉しいです。

職人さんのSSも楽しみに読ませて頂いてます。
化け猫さんの新作開始でまた楽しみが増えました。がんばって下さい。
580江戸家化け猫セブン:04/10/11 08:15:01 ID:iHkF2tpu
☆☆4年後☆☆

 それから後は、深夜に至るまでテレビ局、新聞のインタビューで休む暇も
与えられなかった。それはメダリストの宿命というものだろう。
”まったくどうしてどこも同じ事を聞くのかしら。どうせ同じこと答えるんだから
まとめて聞いてくれればいいのに”
内心不満たらたらではあるが、仮にも鶴亀トラベルの顔。にこやかに応対していた。
「一番最初にどなたに伝えたいですか。」
「東京で応援してくれているお母さんに。」  
「日本に帰ったらすぐに会いたいボーイフレンドとか?」
『はい、日刊エヴリーの松田さんです。』
とはさすがに答えられないな、と柔は思う。
「ええ?、そんな人居ません。」
とにこっと笑って恥ずかしそうに答えた。富士子をはじめ事情を知っている人間は
”よく言うわ。”と一斉にテレビにつっこみを入れていた。もっとも後日この件を
からかわれると
”日本に帰ってからじゃなくて、帰る前に会いたかったんだもの。”
とすましかえっていたが。
581名無しさん@ピンキー:04/10/11 08:16:46 ID:iHkF2tpu
☆☆4年後☆☆

  12時も回った頃、ようやく取材合戦から開放されると、猛烈な空腹を覚えた。
”遅くなっちゃったけど、松田さんと晩ご飯食べに行けないかな?こっちに来てからも
取材で2回あっただけだし・・・”
そう考えはじめると、居ても立っても居られず、教わっていた松田の連絡先に
電話を入れた。
「あの、松田さんですか?」
「あ、柔さん!、おめでとう。どうなるかと思ってどきどきしちまったよ。」
電話口からも松田の興奮している様子が伝わってくる。
「ありがとうございます。あの、今から二人でご飯食べに行きません?」
「助かったぁ!」
「助かった?」
柔は、電話口で怪訝な表情を浮かべる。
”なんで助かるんだろう?お金使いすぎてご飯食べれなかったのかしら?”
「いくら取材申し込んでも協会の方が時間取ってくれなくて困ってたんだ。それでなんとか・・・」
脳天気に話続ける松田の声に見る見る柔の表情が険しくなる。
「あれどうしたの?」
しばらくして、電話口の異変に気がついた松田が訊ねる。
「松田さんは一人で仕事していてください!」
そういうと受話器をたたきつけるように電話を切った。
582職人さん応援age:04/10/11 11:20:28 ID:1Bf5rJfT
最近
活気があるなーw
583三佐衛門@306:04/10/11 22:23:52 ID:uJyO7hE4
>>576
知り合いだったらどうしようw
>>江戸家化け猫セブンさん
続きが気になる展開、見習いたいです。
584江戸家化け猫セブン:04/10/11 22:59:44 ID:kjZr6BFN
☆☆4年後☆☆

「何で柔さん怒っているんだろう?」
一瞬とまどった。が、考えてみれば柔と食事に行けるのも何ヶ月ぶりのことだったろう。
せっかく柔から誘いの電話があったのに取材の話ばかりしていれば怒りを買うのも
当然のこと、とようやく気がついた。
”どうしたらいいんだ?”
松田は頭を抱え込んだ。
”ううっ、そうだ。富士子さんに助けて貰おう!”
今回富士子は代表選手としては参加していない。が、滋伍郎が無理矢理コンディショニングコーチと
称して引っ張ってきていた。

 時は柔道チーム発表の前日、柔と、花園一家、それに珍しく玉緒が柔道場に集められていた。
「のっぽの姉ちゃんや、おまえもアトランタに行きたかろう。」
滋悟郎が口ひげをひねりながらおもむろに切り出す。
「そりゃあ、まあ。でも予選も出てないんですよ。」
人並みはずれて元気の良い富薫子を育てるだけで手一杯。柔道どころではなかった。
「裏方としてチームを支えて欲しいんじゃ。」
本音を言えばチームではなくへそを曲げた柔をなだめることが出来るのは富士子しかいない
と言うことなのだが。
585江戸家化け猫セブン:04/10/11 23:04:37 ID:kjZr6BFN
☆☆4年後☆☆
「でも、コーチと言ってもそんな強いわけじゃないし。」
自信なさげに言う。なまじ柔を見ているために、銅メダルのありがたみというものが
分かっていない。子供の頃から練習を積んでもオリンピックに行けなかった人間が
聞けば激怒するだろう。
「選手の面倒をいろいろ見るコーチがおるじゃろう、コンパニオンコーチとか言うのが。」
富士子は悩む。
”コンパニオンコーチ?レオタード着たりしなきゃいけないのかしら?”
「私、バレーのレオタードぐらいしか持ってないですけど。」
花園も同じようなことを考えていたらしい。
「いくら先生の言われることとはいえそれだけは納得しがたく・・・」
「?」
滋悟郎も悩む。レオタードと何の関係があるのだろう?
「おじいちゃん、それコンディショニングコーチじゃないの?」
柔がぼそっとつぶやく。
「そう言ったじゃろうが。」
カタカナが苦手なのは今に始まったわけではない。花園夫妻がほっと安心する。
586江戸家化け猫セブン:04/10/11 23:10:22 ID:kjZr6BFN
☆☆4年後☆☆

「でもフクちゃんが・・・」
道場を駆け回っている富薫子を振り返る。
「玉緒さんに預ければば良かろう?」
玉緒は”良いですよ”というような笑顔を浮かべている。
「でも富薫子、半端じゃないおてんばだから・・・。」
富士子は少し心配そうに玉緒を見る。が、玉緒がこともなげに言った。
「大丈夫よ、柔の子供の頃に比べれば、お姫様みたいなものよ。」
「え?」
”フクちゃんがお姫様?”
一同の視線が柔に集まる。
「な、なによ。」
柔は少し身を縮めた。
「こんな頑固な娘が一日二日で出来るわけないでしょう。」
一同がうなずく。柔は言い返すことも出来ず下を向いて何事かぶつぶつ言っている。
しかしまだ富士子の心配の種は尽きない。
「でも薫さんが・・・」
「花園くんも一緒にうちにいらっしゃい。柔がいない間の用心棒にちょうど良いわ。」
玉緒がにこやかに言う。花園も曲がりなりにも滋悟郎の弟子の端くれ、知らない仲ではない。
しかし、いよいよ柔がむくれる。
「か弱い乙女が何で用心棒扱いされなきゃいけないのよ。」
が、誰も聞いていない。
「これで決まりじゃな、かっかっか。」
滋悟郎の高笑いとともに富士子のアトランタ行きが決まった。

587江戸家化け猫:04/10/13 21:28:54 ID:N1dixQul
☆4年後☆

”ノッポのねーちゃんだって夜食にラーメンぐらい作れるじゃろう。”
としか滋伍郎は考えていなかったのだが、元銅メダリストで子育て経験あり、
しかも家政科出身で料理もできる。偏屈者の扱いは滋伍郎と柔でお手の物
ということもあり、意外や意外、柔道チームには欠かせない存在となっていた。
柔道をしているときは柔に頼り切っていた富士子だが、今では逆に柔の方が
富士子に甘えている。失踪した父親、留守がちな母親という家庭に育った柔に
とって心おきなく甘えられる相手は富士子が初めてだった。
 その富士子にとりあえず泣きついてみるしかない、と松田はあわてて電話をかける。
「あのう、富士子さん。」
「あ、松田さんじゃないの。よかったわねえ。もう猪熊さんにおめでとうって言ってあげた?」
「そのことなんだけど・・・・」
柔の怒りを買ったことを説明した。
「それで富士子さんから柔さんに謝って貰いたいんだけど。」
「当然よ、猪熊さんが怒るのも。松田さん、柔道の取材になると周りのことが何にも
見えなくなっちゃうんだもの。いい大人なんだから、しっかりしてください。」
こと男女の仲に関しては、富士子に頭が上がらない。
「ごめん。」
松田が電話に向かって頭を下げる。
「あたしに謝ってもしょうがないでしょ。いいわ、あたしがあやまっといてあげる。」
588江戸家化け猫:04/10/13 21:31:56 ID:N1dixQul
☆4年後☆

 富士子は柔の部屋のドアをノックした。まるでそれを待っていたかのような
勢いでドアが開いた。あまりの勢いに富士子は気圧される。
「あ、あの、猪熊さん、あのま・・・。」
ひっくり返った声で話しかけようとするが柔の方が早かった。
「富士子さん、良いとこに来てくれたわ。晩ご飯食べに行きましょう!」
少し不機嫌そうにまくし立てた。こんな顔をしているときは、何を言っても
無駄なことは経験上わかっている。松田の件はなにも言わず柔について
近くのレストランまで食事に行った。

「やっぱりアメリカに来たらステーキよね。」
1kg以上あろうかという牛肉のかたまりを前にして、先ほどまでの不機嫌さが
嘘のようににこやかになっている。
「そんなに食べて大丈夫?」
富士子は少し心配そうな顔をする。
「だってもう計量もないし・・・」
柔はそういうと、肉のかたまりに挑みかかった。その巨大なかたまりが見る見る
小さくなっていく。
”この小さな身体のどこに入っていくのかしら?”
柔の食事に付き合うたびに富士子は不思議に思う。
やがて、皿の上がからになったとき柔は満足げに小さくため息をついた。
Tシャツの上からも、おなかが膨れているのがわかる。もっともそれは幼児体系の
せいかもしれないが。
589江戸家化け猫:04/10/13 21:34:34 ID:N1dixQul
☆4年後☆

”そろそろ大丈夫ね。”
富士子が切り出した。
「あの、松田さんがね・・・。」
すると、怒りがまたわいてきたのか富士子に不満を訴える。
「そうだ、松田さんたら、あったまに来ちゃう。人がご飯も食べないで、
ずっと取材受けてて、おなかぺこぺこなのにまだ仕事の話しようとするのよ!」
”おなかぺこぺこ?”
富士子の頭に?マークがともる。
「ちょっと待って。じゃあ、ひょっとして、おなかがすいた八つ当たりを松田さんに
しただけなの!」
富士子の声が高くなる。
「八つ当たりって言われたら身も蓋もないけど。」
富士子の口調に、”何かいけないことをしたのだろうか?”というように、気まずそうな
表情を浮かべ上目遣いで富士子を見る。富士子は思わず頭を抱え込んだ。
”この二人のことをまじめに考えたあたしがバカだった。”
「猪熊さん、ちょっとそこに座りなさい。」
「もう座っています。」
「怒るところが違うでしょう。たまには、仕事の話ばかりじゃなくてロマンティックな話を
して欲しいとか・・。」
「そんなこと言ったら松田さんとおつきあいなんかできないわ。」
富士子はめまいで倒れそうになる。
「もういいわ、松田さんに電話してあげて頂戴。猪熊さんに怒られたってしょげてるから。」

590三佐衛門@306:04/10/13 23:05:19 ID:zFvYdWSz
化け猫さんの投稿しか無いですね。みんなどっか行っちゃったのかな。
591三佐衛門:04/10/13 23:05:47 ID:zFvYdWSz
柔に後ろを向かせると、浴衣の上から胸に手を添えた。そして小振りな胸を優しく揉む。
「あぁ…」
柔が声を漏らす。だんだんと肩の力が抜け、背中からもたれ掛かってきた。胸元から手を離し顔を振り向かせる。窓の外の灯
りが、柔の顔を青白く染めていた。そしてもう一度キスをする。
「んっ…」
柔の目はまるで酔ってしまったかの様に、焦点が定まっていない。柔の手を取りベッドへと導くと、そこに横たわらせる。緊張を
ほぐすために髪を撫でると、柔は気持ちよさそうに目を閉じた。松田はまたキスをすると、今度は舌を割り込ませる。
「んっ!」
瞬間、柔の身体に緊張が走った。さらに浴衣の合わせから右手を差し入れ、胸の頂点の突起を指で挟んで力を入れる。
「んんっ!」
立て続けに訪れる経験した事のない状況に、柔は対処できないでいた。松田は唇を離し微笑むと、もう一度キスをして舌を割
り込ませる。今度は柔も遠慮がちに舌を絡めてきた。
「はぁっ…んっ」
胸を揉みしだくと、柔の息づかいがだんだん荒くなってきた。
『ちゅっ』
何度目かのキスをして、柔の大事な場所へと手を潜り込ませる。しかし柔は条件反射で足を閉じてしまった。
「柔さん、大丈夫だから」
そう言うと、不安そうな表情の柔だったが、太股に込めた力を徐々に抜いていった。しかし柔の股間へ手をやると、また足を閉
じてしまう。
(仕方ないな)
柔の足元へ回ると、浴衣の帯を解き前をはだける。浴衣に袖を通しただけのほぼ全裸になった柔は、柔道選手らしい引き締
まった、いかにも健康的な体をしていた。
「恥ずかしい…」
胸を手で隠し、消え入りそうな声で柔は呟いた。
「綺麗だよ」
「そんな事…」
否定しようとする柔の膝に両手を回すと、一気に引き上げ、M字に開脚させる。毛の薄く生えた綺麗な色の陰部が目に飛び
込んできた。
「きゃあ!!」
柔は思わず膝を閉じようとするが、手に力を込めて阻止する。しかし右手で隠されてしまった。
592三佐衛門:04/10/13 23:06:08 ID:zFvYdWSz
「見せて欲しいな」
「………」
真っ赤な顔をそむけながら、右手をそろそろと退けていく。再び柔の陰部が露わになった。松田は柔の秘所を指で撫でる。
「ああっ!」
「あっ、んんっ!」
陰核から陰唇まで指を這わせる度、柔は敏感に反応した。
「ま、松田さん…、あたし…」
柔が荒い息で哀願する。
松田は帯を解くと、浴衣を脱ぎ捨てる。柔は既に目も口も堅く閉じていた。かなり緊張しているみたいだ。
「柔さん、大丈夫だから。力を抜いて…」
髪を撫でると、幾分緊張も解けていく。松田は既に怒張した自分の分身を柔にあてがうと、ゆっくり侵入を開始した。
「ぅ…ぅ…」
声にならない声をあげている柔の奥まで到達した。
「柔さん、痛い?」
柔は大きく首を振る。
「動いていい?」
柔は小さく頷く。松田はゆっくりと出し入れを開始した。
「んっ……んぅ……んぅ……んっ!」
松田の動きに合わせて柔の口から声が漏れる。声が出ない様、必死で耐えている柔の姿に松田は、嗜虐的な衝動が芽生え
てきた。一気に動きを加速させる。
「んっ、んっ、あっ、ああっ!」
柔から腕を松田の首に回し、腰を浮かせて動きを合わせる。
「んあっ、ああっ、ああああっ!!」
柔の膣が松田を力一杯締め付けてきた。
「柔さん!!」
瞬間、松田は柔の中から分身を引き抜く。
どくっ、どくどくっ、どくどくどくっ
柔のお腹の上に、溜まったモノを弾けさせた。

593江戸家化け猫:04/10/13 23:08:33 ID:N1dixQul
すこーし寂しいね。
594三佐衛門@306:04/10/13 23:08:52 ID:zFvYdWSz
本日分に対するツッコミはご遠慮下さい。


日が空いたのは作り直ししてました。
短いのは承知の上です。ゴメンナサイ。
595三佐衛門@306:04/10/13 23:13:18 ID:zFvYdWSz
>>593
ちょっと寂しいですね。
それではおやすみなさい。
596名無しさん@ピンキー:04/10/14 00:05:58 ID:dmwYn53D
>>三佐衛門さん、江戸家化け猫さん
毎回投稿されるの楽しみにしています。
ROMっていることが多いのですが、この先の展開がとても気になり、書き込みました。
ちょっと偏屈者(ちょっとじゃないかも…)の柔も、積極的な柔にも、私的にはとても好みです。

続きを楽しみに待ってます。
597ルル:04/10/14 13:29:05 ID:kgyG9qEI
〜本阿弥家にて〜
机の向こうの義父を見ながら、風祭は意外な話に驚いていた。
「では、私の女癖の悪さを知っていながら、お嬢さんとの事を・・・」
「ああ。婿になる人間の素行くらい調べるだろう。しかし、さやかは君を
 望んでいるしね。実際、私もね、男だからさ。」
「はあ・・・。」
「とにかく、結婚後は浮気は多少控えたまえ。くれぐれも、さやかには知られ
 ぬように。それと、これが一番重要なんだが、外に子供だけは作らんでもらい
 たい。本阿弥家は財産もある。無用な騒動は避けたい。娘が悲しむのも、
 どうにもやり切れんからな。早く孫をみせてくれたまえ。」
そういうと、彼は部屋を出て行った。
進之助は、机の上の素行調査書に目を通しながら、さやかのみではなく、義父にも
一生頭は上がらない事を確信した。女癖の悪さが、さやかに露呈すれば・・・。
かんがえただけで、身震いするのだった。
598ルル:04/10/14 13:42:36 ID:kgyG9qEI
すいません!進之助→進之介です!

〜新婚の二人〜
「進ちゃん、はやく〜」さやかがベッドで呼ぶ。
「あっ、ハイハイ」進之介が半ば義務のように側による。
結婚して半年、夜はさやかが誘い、進之介が応じる。ほとんどこのパターン
であった。
しかし・・・と進之介は思う。
《さやかさんは、僕が初めてだったよな。それに案外かわいいところも
 あるしな。》
傲慢だが、顔も体も美しい女を手にいれたのだ。それに、ここのところ、
さやかと徳永の監視がきつくて、浮気もままならず、欲求不満ぎみだ。
《よし、今夜は少し頑張ってあげますよ、サーヤ》
599ルル:04/10/14 13:52:39 ID:kgyG9qEI
〜さやかの戸惑い〜
「サーヤ、だいぶ僕達も体が馴染んできたと思いませんか?」
「あら、嫌ですわ。そんなことを、そんなにはっきりおっしゃるなんて・・。」
さやかが頬を染める。こんなところは、正直かわいいと思う。
「今日は僕がもう少し、感じさせてあげますからね。」
「まあ・・・、楽しみですわ。」この反応が、進之介を萎えさせるのだ。
《もう少し、恥らうほうが好みなんだよな。柔さんだったら〜》
「進ちゃん?どうしましたの?」
「い、いや、さあ、サーヤ。」
あくまで優しくキスをすると胸を愛撫し始めた。
600ルル:04/10/14 14:08:47 ID:kgyG9qEI
〜さやかの戸惑い〜
いつものように愛撫され、挿入されて、終わる。いつもの営みをたどると
思っていたさやかは、正直驚いていた。
既に30分は愛撫され、さやかの息も荒れていた。
「進ちゃん、もう・・・。どうしたのですか?お入れになって・・・。」
「まだですよ。どうしたのですか、サーヤ。」
「でも・・くっ、ああ・・。」クリを指先でつまむ。もう、さやかは体が
震えている。《さて、そろそろかな》
指でクリを優しく擦り始めると、さやかの体の震えが小刻みになって、足を突っ張る。
「いっていいのですよ。」もう、さやかは耐えられないだろう。
「ほら。」さらに擦り続けると、「あ、ああ・・・嫌・・。」さやかは、
到達してしまった。「なぜ、入れてくれませんの?」さやかがあえぎながら聞く。
「まだですよ。今日はゆっくり愛してあげますからね。」そう言いながら、
「指でいってしまうなんて、恥ずかしいですね。」続ける。
「恥ずかしい・・・。」さやかには、初めてのことで分からない。
しかし進之介に、そう言われて「恥ずかしいこと」なのだと思った。


601三佐衛門@306:04/10/14 21:04:26 ID:utrTH73f
>>596
レスを強要したみたいでスイマセン
602三佐衛門:04/10/14 21:06:08 ID:utrTH73f
しばらく放心状態だった柔だが、松田がティッシュで柔のお腹を拭いている感触で我に返った。
(松田さん、中に出さなかったんだ…)
ちょっと残念な様な…。だけど『妊娠しても構わない』と思ったものの、もしも出産育児となるとジョディやマルソーなど世界中の
強豪達と、もう試合が出来ないかも知れない。それはそれで残念だろう。
(やっぱり松田さんは、あたしの事を考えてくれている)
「大丈夫?」
松田が顔をのぞき込んでくる。
「松田さん!大好き!!」
柔は、松田の首筋に思いっきり抱きついた。
「ぅぐぇー」
「きゃあ!松田さん!大丈夫ですか!!」
危うく絞め落とす所だった。
「げへっ、うへっ、や…、柔さん、ちょっと…は、手加減してよ…」
「ごめんなさい!!」
「……あは…ははははは…」
「……ふふ…ふふふふふ…」
顔を見合わせ、どちらからともなく笑い出す。
ひとしきり笑ったあと
「この部屋の番号って、いい番号ですね」
思っていた事を口にした。
「え?1122号室が?なんで?」
案の定、気付いていない。
「1122で、『いい夫婦』って読むんですよ」
まさに『なるほど』といった顔をしている松田を見ながら(いい夫婦になれたらいいな)と柔は思っていた。
きっと松田は柔の夢を叶えるために、手を貸してくれる事だろう。


603三佐衛門@306:04/10/14 21:06:53 ID:utrTH73f
明日でラストになります
604名無しさん@ピンキー:04/10/14 22:15:37 ID:W8d/aVJ5
邦ちゃんも地味にいい仕事をするじゃないか。
部屋番号まで気を遣っていたとは・・・普段の仕事からは想像できん
605名無しさん@ピンキー:04/10/14 22:23:57 ID:W8d/aVJ5
>600
ここからどうテレシコワが出てくるんだろう?
606ルル:04/10/14 22:54:57 ID:kgyG9qEI
>>605
長くなりそうですが、ボチボチ書かせていただこうかと・・。
607三佐衛門@306:04/10/15 21:43:38 ID:TsOb2mX9
>>604
いや、さすがにそれは偶然ということで。
608三佐衛門:04/10/15 21:44:10 ID:TsOb2mX9
翌日、成田空港には早朝に連絡したにもかかわらず、花園一家と鴨田が見送りに来てくれていた。既に花園は号泣している。
「猪熊さん、昨日はどうだったの?」
松田と花園が話をしている時、富士子が聞いてきた。柔は昨日の夜の事を思い出して真っ赤になる。
「そっか、よかったー。これで長年の懸案が解決したわ」
富士子は柔の様子を見て、満足そうに頷いた。
「もう!富士子さんたら」
松田は花園、フクちゃん、富士子、鴨田と別れの挨拶をして、最後に柔の前に向き直った。
「それじゃ、柔さ…」
「松田さん!」
松田の言葉を途中で遮る。
「え、何?」
「松田さん、あたし松田さんに『好きだ』とは言って貰いましたけど『つきあってくれ』とは言って貰ってません」
「おおー」
おとなしい柔から発せられた大胆な言葉に、みんながどよめく。
「あ、えー、そうだな、それじゃ…」
少し考えたあと
「柔さん!」
「はい!」
「アメリカから帰ってきたら、俺と結婚してください!」
「ええーっ」
松田は恥ずかしそうにしながら、柔から目を逸らしていた。
柔はどうしていいかわからず
「松田さん!」
松田の首筋に思いっきり抱きついた。
「いい夫婦になりましょうねっ」

後日、松田の元に鴨田が『最高のショット』と豪語する写真が送られてきた。
そこに写っていたのは、松田を今まさに絞め落とさんとする柔の最高の笑顔だった。

お わ り
609三佐衛門@306:04/10/15 21:45:14 ID:TsOb2mX9
これにて「確かなもの」終了です。仮題のままでしたが、正式なタイトルにしたいと思います。

制作上のコンセプトは
・原作をいじらない
 成田のあとが原作で語られていないので、ちょっと考えてみました。
・現実をいじらない
 成田空港近くに11階以上あるホテルが実在するか、92年に成田エクスプレスが運転していたかなど、確認しました。
・キャラの喋り方に注意する
 こんな喋り方しないだろうと言われないように注意しました。

柔の積極さに違和感を感じた人もいたようですが、黙ってアメリカへ行こうとした松田さんに対して、自ら松田さんのアパートを
訪ねた柔という点から、松田さんを消極的、柔を積極的に設定しました。松田さんは柔を大事にしたいからこそ関係を急が
ない、柔は松田さんと離ればなれになってしまうからこそ今のうちに関係を持ちたい、のではないかいうのが自分の考えです。

今後に生かしたいと思いますので、いい所、悪い所、指摘してもらえれば嬉しく思います。何はともあれ、一ヶ月もの間、私
の稚拙な文章にお付き合いいただきありがとうございました。
610名無しさん@ピンキー:04/10/15 22:28:32 ID:ioTQccgo
>>三佐衛門さん
面白かったです、日々の楽しみをありがとうございました。オチもイイっすね!
特に柔の大好き!のあとの松田さんのうぐえーと成田で号泣する花園の絵が
まんま目に浮かんで好きです。欲を言えば最後に邦ちゃんも出して欲しかったかな。
次回(?)の2004年の男達も楽しみにしてます。

化け猫さん、ルルさん、バニラさんの続きもそれぞれ楽しみに待っておりますです。
611名無しさん@ピンキー:04/10/16 05:41:08 ID:6jICMDt8
締めおとされてもういっぺん乗り遅れる松田さんて言うのも見てみたい
ですねえ。

ぐるないのエンディングみたいに、みんなの財布集めて何とか切符
買ったりして大騒ぎ、みたいな。
一晩ぐらいなら猪熊家に泊めてあげても良いなあ、滋悟郎さんに
内緒で・・・・  妄想か・・・あ、これ他人のせりふだった。 

                                        化  

                                              
612名無しさん@ピンキー:04/10/16 06:47:59 ID:6jICMDt8
>松田さんを消極的、柔を積極的に設定
これは基本だと思いますね。全編を通じて柔道という
言い訳なしに松田さんが柔にアクションをかけた記憶
ないですもんね。逆ならそれなりにある気がするけど・・・・
613江戸家化け猫セブン:04/10/16 09:15:01 ID:kjanBo4b
☆☆4年後☆☆

自室に帰ると柔は、すぐに電話をかけた。
「あの、松田さん?」
「あっ、柔さん。」
二人とも気まずそうに口が重い。
「さっきはごめんなさい、ついそのう・・・」
おなかがすいていたからとは、さすがに言いにくい。
「こっちこそいきなり仕事の話をしてごめんな。これから会う時間取るの難しいよな。」
「ずっと取材ばっかりでいつ空くんだか自分でもわからないんです。」
そういうとため息をついた。
「俺の方も、夜寝る暇もないくらいだよ。」
「もし今で良ければ答えられることは答えますけど。」
「ありがとう。恩に着るよ。」
電話に向かって平身低頭する。日刊エヴリーの単独インタビューが始まった。
松田もこれで会社に顔が立つというものだろう。お互い電話を切りたくなかったのか
1時間近くも話しこんでいた。某国営放送でもそんなに長い取材をしていない。
「松田さんもうオリンピックで出張終わりですよね。いつまでアメリカに居るんですか?」
「閉会式の4日後ぐらいだったかな。閉会式の記事を送ったらアメリカでの仕事も終わりだ。」
「東京で待ってます。」
そういうと名残惜しそうに電話を切った。
614江戸家化け猫セブン:04/10/16 09:18:54 ID:kjanBo4b
☆☆4年後☆☆

 閉会式の2日後、柔はNYの松田のアパートの前に立っていた。松田と一緒に
日本に帰りたかった柔は、会社に頼んでオリンピック終了後に休暇を貰った。
ニューヨークを観光して帰りたいというと、社長も柔の金メダルに気が大きくなったのか、
ホテルのスイートルームまで準備してくれていた。
”ひょっとしたら今度こそ・・・”
考えてみればこの4年間幾度か松田の部屋を訪れたが、進展らしい進展といえば
ようやくキスをするようになったぐらいだった。それも、帰国後、その様子をたまたま
見ていた富士子が鶏のけんかと評したようなごく軽い・・・。いつも1日は部屋の掃除、
1日は観光、ようやく部屋で落ち着こうかと言うときには照れ隠しで酒を飲み過ぎ、
気が付けば朝を迎える。ということを繰り返してきた。
”いっつも松田さん酔っぱらっちゃうんだもん。”
少し不満に思っている。が、自分では覚えていないだけで、7割方柔の方が
先に酔いつぶれている。もっとも、ビールを2,3杯飲む程度だが。
”別にエッチをしたい訳じゃないけど・・・”
と自分に言い訳をする。
”あたしやっぱり魅力無いのかな。前に邦子さんにもスタイル悪いって言われたし・・・。
合宿の時見たさやかさんも本当にきれいだった。”
少々自信喪失気味だ。
”でも。”
柔は思う。
”せっかく社長がスイートまで取ってくれたんだもん。このまま日本に帰っちゃうなんて
もったいないじゃない。”
自分自身に対しはすっぱに言って、肩をすくめてみる。少し鼓動が早まった。
もっとも社長はそのようなことのために部屋を取ってくれたのではない事は判っているが。
615名無しさん@ピンキー:04/10/16 15:02:07 ID:Dd/0VdaO

【キンちゃん】YAWARA!7【タマちゃん】
http://comic6.2ch.net/test/read.cgi/rcomic/1097905670/l50
616名無しさん@ピンキー:04/10/16 22:16:21 ID:FlDUFsTl
あのー、あれかもしれませんが、そのう少しはあれするんで
まあ、最後までやらせてください。

☆☆4年後☆☆

 松田の部屋の呼び鈴に手を伸ばす。松田にはアメリカ滞在を延ばしたことは、
告げていなかった。自分を見たときの、驚いた顔を想像して笑みが浮かぶ。
”でも、まさか松田さん、引っ越しの日、間違えてないわよね。”
ひょっとして4年前のように既に何もかも運び出されて空になっているのではないか、
という不安が心をよぎった。ブーといういつもの安っぽい呼び出し音が響く。
がちゃがちゃという音とともにドアが開いた。
「あ、やっ、柔さん、と、東京に居るんじゃ・・・」
予想もしていなかった柔の訪問に喜ぶと言うよりも呆然とする松田。
「あら、来ちゃいけませんでした?」
驚いて口がふさがらない松田を尻目にすました顔で部屋にはいる。この4年間
見てきたのと何ら変わらない雑然とした部屋に少し安らいだ気持ちになる。何ら変わらない?
「松田さん!出発あさってでしょ!荷物はどうするの?」
「明日発送なんだけど、荷物をまとめるのがどうも苦手で・・・。」
頭をかきながら答える。
”松田さんが、一人で引っ越しの準備なんか出来るわけないわね。”
「いいわ、あたしがやってあげる。あたしが来なかったらどうする気だったんですか?」
「何とかなるかなと思ってたんだけど。ハハハ・・・」
松田の返事を待たず、シャツの袖をまくりあげると荷物を段ボールに詰め始めた。
松田もせめて手伝いをしようと手を出すが右往左往するばかりで何の役にも立っていない。
「松田さん、邪魔するぐらいならそっちの部屋で、おとなしくしていてください。」
すごすごと隣室に引き下がった。
617江戸家化け猫セブン:04/10/16 22:27:32 ID:3uD7l29e
☆☆4年後☆☆

”柔さん、本当に片付けるの上手だよな。やっぱり玉緒さんにしつけられたんだろうなあ。
そういえば、東京にいたときは柔さんが部屋に来るたびにエロ本隠したっけ。”
少し懐かしい気持ちで思い出す。
”エロ本・・・。やばい、となりの部屋のクローゼットの中だ!”
あわてて柔が片づけている部屋に飛び込むと、すでにそのクローゼットは
開けられた後だった。本場アメリカのエロ本を1冊1冊、松田の目の前で積み上げる。
「これはなんですか?」
柔の笑顔が松田の恐怖心をそそる。
「いや、あの、鴨田が置いて・・・」
「ふーん、鴨田さん遊びに来たの?」
冷たい視線を投げかける。
「その、つまり、お土産に持って帰ってきて欲しいって・・・」
いよいよ、しどろもどろになる。その松田の前でこれ見よがしに広げてみせる。
「胸の大きい人ばっかり。どうせ男の人は胸が大きい人がいいんでしょ。」
からかい半分、本音半分ですねて見せた。いや、本音8割ぐらいはあるかもしれない。
「そ、そんなことないよ、榊原郁恵よりも岡田奈々の方が好きだったし、えーと河合奈保子より、
松田聖子の方が・・・」
「そんなこと言ってるんじゃありません!」
柔の剣幕に首をすくめる。好きだったアイドルの名前を並べられていい気のする女は
居ない。まして自分と同様、というには若干問題があるがよりにもよって胸の小さい
芸能人を並べられればバカにされたような気持ちになってくる。松田のあまりといえば
あまりの言い訳に少しばかり感情が高ぶる。
618江戸家化け猫セブン:04/10/16 22:34:03 ID:3uD7l29e
☆☆4年後☆☆

「芸能人のことなんかどうでもいいの!たまにはあたしのこと好きとか
愛してるとか言ってくれたって良いじゃないですか!」
「そんなこと言わなくたって分かってるじゃな・・・」
どう見ても松田の方が分が悪い。
「それでも言ってほしいの!あれからあと、一回だって言ってくれないじゃない。
松田さんのこと信用してるけど、でも、あたしだって・・・あたしだって、4年間も
遠距離なんて不安なんだから・・・」
五輪が終わって気がゆるんでいたこともあるだろう。久しぶりに松田と仕事抜きで
あえるという安堵感もあったろう。そして今回こそは何かという気持ち。それらが
心の中で絡み合い感情に抑えが効かなくなっていた。見る見る瞳に涙がふくれあがってくる。
「な、泣く様なこと何も言ってないじゃないか。そんなエロ本の1冊や2冊で・・・」
本当は1冊や2冊ではないが、柔の涙にあわてふためく。
「知りません!」
松田に背を向けた。その肩がふるえている。
「頼むからこっちを向いてくれよ。」
619江戸家化け猫セブン:04/10/16 22:36:50 ID:3uD7l29e
☆☆4年後☆☆

肩に手を置くが、振り払われる。
やむなく、自分から前に回り込む。が、柔は下を向いたまま目を合わそうとしない。
松田は、もう一度柔の両肩に手を置き、熱く語りかける。
「俺は、初めて高校生の柔さんにあってから、君が柔道をしているときもしていないときも、
柔さんのことしか見ていない!」
今までずっと下を向いていた柔が、ようやく顔を上げる。
「そして、これからも俺の前には、君しかいない!」
壁に相変わらずはってある、少し黄ばんだ、高校生の柔がひったくり犯に巴投げを
している写真が柔の目に入る。
「本当?」
松田は、返事をするかわりに柔と唇を重ねた。
二人は目を閉じることもせず、そして瞬きひとつせず口付けを交わし続けた。やがて、
柔の目尻から一筋の涙が流れた。
「今、君が欲しいんだ。」
柔は、小さくうなずいた。
620三佐衛門@306:04/10/17 08:18:06 ID:hS4J57OH
>>610
ありがとうございます。楽しんでもらえてよかった。
邦ちゃんか…、そうだな…、じゃあ邦ちゃんは鴨田と一緒に成田まで来たけど
結局松田と会わずに車の中で待ってた。って事でどうでしょう。
>>化け猫さん
ゴチになります!(違
奥手な二人だからどちらが先に切り出すか、なかなか難しいですね。
あれがあれでもあまり気にせず最後まで行っちゃってください(あれ?

「2004年の男たち」は、また来週にでもいきたいと思います。
621江戸家化け猫:04/10/17 17:23:26 ID:EVENQuiN
>620
2004の男たち楽しみにしています。出来たら続女たちも読みたいです。
622江戸家化け猫セブン:04/10/17 17:24:16 ID:EVENQuiN
☆☆4年後☆☆

  松田が柔のシャツのボタンを不器用に一つ一つ外すのを、うつむきながら待っていた。
柔がシャツを脱ぐと、その肌には試合でついたあざや擦り傷がそこかしこに残っている。
そして控えめな刺繍で彩られた水色のブラジャーが肌を飾っていた。松田がデニムの
パンツのボタンをはずしおろそうとする。それに併せて、横座りしていた柔は少し腰を浮かせる。
「いいね。」
松田はもう一度念を押すように尋ねた。柔は松田の背に手を回し、肩に顔を埋める。
  松田はブラジャーをはずそうと背中のホックに手を伸ばす。が、経験に乏しい松田は、
焦って背中の肉をつかんだ。
「痛い。」
思わず柔が漏らす。
「ごめん。」
松田にははずせないと思ったのか、柔は手を自分の背に回しホックを外す。すっと
締め付けがゆるんだ。はずれそうになったブラを両手で胸を抱えるようにして抑える。
松田は、肩のストラップをおとし、そしてブラジャーをはずさせた。ふくらみのない胸の上に、
小学生のように、淡い褐色のほとんど隆起を感じさせないバストトップがあらわになる。
初めて松田に躰をさらした恥ずかしさで、真っ赤になった。自分の肢体にコンプレックスの
ある柔は少し不安になる。
”松田さんがっかりしてないかしら。背も小さいし、胸もないし、ウエストないし・・・”
松田を見ることも出来ず、少し横を向きながら
「あたし、あのスタイル良くないし、魅力もないけど、あたしで良いの?」
とつぶやくように言った。松田は、何も言わず、柔が積み上げた段ボール箱の隙間に
押し倒し、そしてくちびるをかさねる。その唇は胸へと降りていった
623江戸家化け猫セブン:04/10/17 17:28:21 ID:EVENQuiN
☆☆4年後☆☆

少し見ただけでは存在を感じさせない乳首も松田の刺激に堅さを増す。ブラジャーと
揃いの水色のパンティーをおろす。スポーツタイプの下着を付けることが多い柔としては、
可愛い物を選んできたつもりだった。が、松田の目には入らない。柔の乳白色の下腹部を
彩る秘毛がさらされる。脚を閉じているのに割れ目を隠しきれないほど薄い。完全に全裸に
なった緊張か、雨に濡れた子犬のように小さく震えている。松田の手が軽く秘所に触れた。
初めて人にさわられ、恥ずかしさのあまりぶるっと大きく身震いする。 
「震えてるね。怖い?」
「少し、でも松田さんも・・・」
「え?」
自分も震えている事に気づく。
「俺だってそんなに経験があるわけじゃない。」
そう言って肩をすくめる。その様子を見て小さく笑った。しかしそれは、おかしかったわけ
ではなく怖い気持ちを少しでも忘れたいがための無理な笑いだった。
「本当にいいね?」
柔は、うなずく。
624江戸家化け猫セブン:04/10/17 17:35:10 ID:EVENQuiN
☆☆4年後☆☆

松田は脚を少し広げさせるとその間に身体を割り込ませる。緊張しきっている柔の肢体は
まだ受入られるだけ和らいでいなかった。もっと十分な時間を掛けて、気持ちと身体を
なだめなければいけなかったのだろう。しかし、緊張しきっている松田にそれを求めるのも
酷というものだった。まして、初めての柔にはそれがわかるわけもない。
   松田の男性自身が柔に触れた。柔はまたぶるっと震えた。緊張で全身に力が入る。
少しでも頼りたい気持ちからか、遠慮がちに松田の脇腹に手を添えた。怖さのためだろう、
思わず目をつぶる。
  松田が身体を沈めた。
「痛い!」
柔は、思わず叫んだ。潤いが不十分だったのだろう、下腹部に引きつられるような痛みが走る。
身体が引き裂かれる思いに涙がこぼれた。無意識のうちに力の限り、松田の脇腹を握りしめる。
その痛みに松田が一瞬動いた。が、それすら柔は耐えられない。 
「お願い、動かないで!」
悲鳴を上げる。両腕を松田の背中に回し力一杯抱きしめ、いたみにたえる。
松田はもう動かなかった。やがて柔の腕の力がゆるむ。松田は射精することなく柔から身を離した。

柔の女性自身から一筋の鮮血が伝っていた



−−−−あのう前段がもうじき終わりますので、はい−−−−−−−
625名無しさん@ピンキー:04/10/18 06:25:19 ID:aYhnXXxY
>三佐衛門さん
亀ですが、お疲れ様です。
楽しく読ませていただきました。
2004年の男たちも楽しみにしています。

>化け猫さん
精力的投下、お疲れ様です。
また来週末が楽しみでなりません。
626三佐衛門@306:04/10/18 21:43:04 ID:DxvzQ12P
>>化け猫さん
続「女たち」ですか…。あの話は困った事に柔が出産間近の設定なので、
続きを作ると子供が生まれてしまうので…、逆にさかのぼってみようかな。
>>625
楽しんでもらえてよかったです。
627江戸家化け猫:04/10/18 22:56:18 ID:iDSH3o/H
>625
来週末と思いきや一気に今日勝負をつけちゃいます。今週末は忙しそうなので・・・
え、仕事を先にやればって。うーーん・・・・

☆4年後☆
「痛かったか?」
松田の問いにこくりとうなずく。雑誌で読んでいたような快感などまるでなかった。
それどころか、初めて関係を持つ悦びを味わうゆとりもなかった。ただ、下腹部から
伝わる疼痛に耐えていた。
「カーペットに血が付いちゃった。」
ぽつりと言った。
「大丈夫だよ、荷物片付けたら掃除するから。」
松田が何気なく言う。柔は何も答えなかった。痛みで返事をするのがけだるかった。
”でも、きっと掃除するの、あたしなんだろうな。”
と絨毯の上に横たわりながら思っていた。
「初めてが、こんな荷物のすき間でごめんな。」
松田が謝る。きっと松田は松田なりに、初めての情景を描いていたのだろう。
「ほこりだらけになっちゃった。」
そういうと髪留めを外し、頭についた綿埃を取りながら笑みを浮かべた。髪を下ろすと、
ただでさえ童顔の柔は一層子供じみた表情になる。笑顔が浮かんだところを見ると、
痛みは去らないものの、ようやく人心地ついてきたらしい。
「ほんとはね、空港の横のホテルのスイートルーム取って貰ってあったんです。」
「え、あそこって何千ドルもするだろう?見るだけでもいいから行ってみたかったんだよ。」
松田が浮き足立つ。
「だめ。荷物の整理終わらないわ。あさって出発できなくなっちゃう。」
「でも、滅多に泊まれないぞ。」
628江戸家化け猫:04/10/18 22:59:48 ID:iDSH3o/H
☆4年後☆

松田は、あきらめられないらしい。柔はシャツを羽織りながら、起きあがる。
「新婚旅行で泊まればいいでしょ。」
「新婚旅行って言ったって、そんなに高いところは・・・。え、新婚旅行?」
少し驚いて柔を見ると、背筋を伸ばし松田の目をじっとみつめていた。髪を下ろし、
いつもより幼く見えることが柔の張りつめた表情を強調しているように感じさせる。
松田は先ほどの柔の言葉を思い出す。
”確かに、4年間好きとも愛してるとも一度も言わなかった。俺は、柔さんの強さに
甘えすぎていたのかもしれない・・・。”
松田は積み上げた段ボール箱のすき間で姿勢をただした。
「柔さん。」
「はい。」
同じく荷物のすき間で正座していた柔が、少し震える声で返事をする。
629江戸家化け猫:04/10/18 23:01:47 ID:iDSH3o/H
☆4年後☆

「金もそんなにないし、新婚旅行では、あんな部屋に泊まれないかもしれない。
絶対幸せにできると約束もできない。でも。」
柔はじっと松田の次の言葉を待った。
「でも、俺にとって柔さん抜きの人生なんてもう考えられないんだ!何時って
はっきりは言えないけど、結婚してくれ!」
そういうと松田は頭を下げた。
柔は、しばらくの間返事をせずに、そして、すっとうつむいた。その沈黙に、
松田は不安を隠せない。
「やっぱり、俺じゃ・・・・。」
「あたし、ずーっと一人で待ってました。」
つぶやくように言った。
「ごめん。」
「あたしのこと、たまには好きって言ってくれる?」
「え?」
松田が顔を上げる。
「私も松田さんのいない生活なんていや!」
そう言うと松田の首にしがみついた。
 差しこむ日が赤みを帯びてきた部屋の中でいつまでも抱き合っていた。
630江戸家化け猫:04/10/18 23:04:30 ID:iDSH3o/H
☆4年後☆
「コーヒー入れてきます。」
柔はそういうとキッチンに入っていった。歩き方が少しぎこちない。
”痛いんだろうな”
と心配する一方で、長めのシャツの裾からお尻がはみ出した後ろ姿に思わず見とれる。
数分後、コーヒーカップをのせたトレイを持ってリビングに帰ってきた。インスタントコーヒー
でもそれなりに薫りがする。
「お湯沸かしてたら遅くなっちゃった。」
そういいながら絨毯の上にトレイを置いた。
「マルソーさん、結婚して引退するんです。」
「ぇ、本当か!」
松田は、一瞬飛び上がり、記者の顔に戻りかける。が、自分がたった今初めて肌を交わし
そして、求婚したばかりであったことを思い出す。
「ごめんな、つい・・・。」
「ううん、そうでなかったら松田さんじゃないもの。そう言えば、知ってる?結婚のお祝いの時に
コングラッチュレーションて言っちゃいけないの。」
「そうなんだ?」
「努力したかいが有って良かったねってニュアンスがあるんですって。」
「ふーん。」
松田が興味なさげに相づちを打った。
「でも、あたしはそう言って貰いたいわ。ずいぶん苦労させられたもの。」
松田がむせる。ようやく約束を交わしたことで、柔にも受け入れられるゆとりが出てきたのだろう。
しかし、その後、柔は小首を傾げながら何事か考えていた。
「なに考え込んでいるんだ?」
少し不安を覚えた松田が訊ねた。
「あのね、私の婚約って記事の価値ある?」
松田は、思わずコーヒーを吹き出した。そして、しばらく考え込んでいたが、
「俺、休暇中だから・・・。」
背を丸めながら、コーヒーをすすった。
631スルーしてね!化け猫:04/10/18 23:26:35 ID:iDSH3o/H
えー、ここまでで☆4年後☆第1部が終わりです。
あのうまず言い訳から入りますが、4年間何もないなんて事があるかと・・・

性格の問題か、星回りのせいかあの二人が良いムードになったときは
絶対と言っていいほど進展しないと言っていいでしょう。
何ヶ月にいっぺんかのアメリカでの逢瀬、良いムードになるでしょう。
手と手が触れる、目と目が合う、うーん俺は長命だ、などと言うと古典落語に
なるのですが、恐らくそうならずにぱっと離れる。松田さんが照れ隠しに
そっぽを向きながらビールを飲む(私の妄想としてはバドワイザーではなく
ビンのミラーであって欲しい)。柔が赤くなりながら首をすくめ同じように
コップからビール(これは松田さんが口を付ける前にビンから移したもので
あって欲しい)を飲む。これを2,3回繰り返すと酒の弱い柔が既に
眠くなりうつらうつらしながら松田さんに寄りかかる。…・・・あ、朝だ。
普通の人たちならいっぺんやれば学習するものですが、恋愛に
関しては学習能力のない二人、こうして進展しないまま4年が
過ぎそうな気がするわけです。

それはさておき、これから第2部に移行したいのですが、次は露骨な危険球。
最後までやらしてもらえるか、ちょっと、いやかなり不安。
632名無しさん@ピンキー:04/10/19 00:18:07 ID:rGmmJ6mG
>>631
遠慮なく最後までやってください。
633名無しさん@ピンキー :04/10/19 00:46:44 ID:6PPsEdtA
どんどんやっちゃってください。面白いです。
妄想も面白いです。
634名無しさん@ピンキー:04/10/19 23:46:17 ID:NDrGVYrV
よかった。読んでくれてる人がいた・・・・・・

                         化
635三佐衛門@306:04/10/19 23:53:25 ID:7WWIkKWZ
ちゃんと読んでますよ。危険球ぐらいで退場にさせませんからねw
636三佐衛門@306:04/10/20 21:32:42 ID:zXk7TZIZ
「確かなもの」が終わってしまうとなんか物足りない今日この頃
637三佐衛門@306:04/10/20 21:38:01 ID:zXk7TZIZ
某バニラ氏は忙しいんでしょうか?自分が暇なのがバレバレだなw
638名無しさん@ピンキー:04/10/20 21:39:46 ID:zsVOrpJW
>636
それであれば、がんばって続きを書きましょう!
639名無しさん@ピンキー:04/10/20 21:55:19 ID:zsVOrpJW
あ、別の話でも良いけど。
640名無しさん@ピンキー:04/10/20 22:06:39 ID:zsVOrpJW
男達ってまさか801じゃないですよね・・・・・・
641名無しさん@ピンキー:04/10/21 20:08:06 ID:SWeiKMXN
>637
バニラさんは艦ごと沈みましたかねえ。
642三佐衛門@306:04/10/21 21:38:07 ID:j8YMPbCj
>>638,639
「女たち」の半年前の話を作ったんですが、雑なのでもうちょっと手を加えてから投下します。
>>640
柔×富薫子に対抗して、松田×花(ry
>>641
なんとかサルベージしましょうw
643江戸家化け猫:04/10/21 23:06:48 ID:SWeiKMXN
あのー、あれですから一つおおらかな気持ちでお願いしますね。

☆4年後Part2☆

   アトランタオリンピックが終わりアメリカへの4年間の長期出張から帰ってきた松田に
編集長が声をかける。
「ちょっと保育園に取材行ってきてくれ。たまには社会面もいいだろう。時差ぼけの解消がてら行って来い。」
「何で俺が保育園なんかに?」
少しばかり不満げだ。
「体育で柔道やってるのが話題になってるんだ、オリンピックのあとだしな。未来の猪熊が居るかもしれんぞ。」
編集長が松田をからかう。が、よりにもよって、二人が付き合っているとはさすがに気付いていなかった。
国民栄誉賞の授賞式で騒ぎを起こしたのは4年も前のこと。松田は4年間日本には一度も帰国していない。
普通で有れば何か関係が続いていると考える方が不自然という物だろう。
「分かりましたよ。」
不承不承取材を引き受ける。
”そうだ、柔さんを誘ってみようか、帰ってきてからまだ会ってないし。オリンピックも終わった今なら
時間にゆとりもあるんじゃないかな?”
柔の職場に電話をかける。取材でかけるのとは勝手が違い少し緊張する。
「はい、鶴亀トラベルです。」
いつもより少し取り澄ました柔の声が伝わってくる。
644江戸家化け猫:04/10/21 23:09:55 ID:SWeiKMXN
☆4年後Part2☆

「えーと、・・・。」
「松田さん!こんな時間にどうしたんですか?あ、引っ越しの荷物の整理はちゃんと
明日いきますから。どうせまだ片づけてないんでしょう?」
松田が名乗る前に、受話器に柔の声が弾む。
「うん、ありがとう。せっかくの土曜なのに悪いな。片づけるのはどうも苦手で・・・・。
そうじゃなくて、あのう、今から抜け出せるか?そのう、ちょっとのんびりした取材があるんだ。
あの、もしよかったら一緒に・・・・」
「ちょっとまって・・・」
電話口から離れる気配がする。その沈黙に緊張が高まる。しばらくしてまた近づいて来る音がする。
「いけそうです。」
柔の声も少しうれしげである。
「じゃあ、10時頃駅前な。」
電話を切り、緊張から開放された松田は大きくため息をついた。
”取材でかけるときは何でもないんだけどなあ。”
645江戸家化け猫:04/10/21 23:14:40 ID:SWeiKMXN
☆4年後Part2☆

 松田のバイクが駅前に着くと、既に柔が待っていた。
「悪いな、待った?」
松田が、お約束の質問をする。
「ううん。今来たところ。」
柔もお約束の返事を返す。が、30分も前から待っている。
「忙しかったんじゃないか?」
「お得意さま回り行ってきますってごまかして来ちゃった。」
舌を出す。
「じゃあ、いこうか?」
半キャップ型のヘルメットを手渡すとバイクにまたがった。
「ブレーキ壊れてないですよね。もうバイクから受け身取るのなんかいやよ。」
「ひどいなあ!」
「ハハハ、ごめんなさい。」
笑いながらタンデムシートに乗り込む。柔が腰に回した手が温かい。
「安全運転してね。」
柔は、もう一度念を押した。やはり松田のバイクに乗るのは、少し怖いらしい。
646三佐衛門@306:04/10/22 23:39:55 ID:EHMbC0z8
「2004年の男たち」ですが、特別盛り上がる話でもないので
さらっと流してください。
647三佐衛門「2004年の男たち」:04/10/22 23:40:36 ID:EHMbC0z8
「まったく暇で仕方ないわい」
秋晴れの空の下、滋悟郎はぶつぶつ言いながら目的も無く歩いていた。玉緒は買い物に出かけてしまい留守。お腹の大きな
柔はあまり動けない。休日なので富薫子は朝稽古が終わると遊びに行ってしまった。要するに誰も滋悟郎の相手をしてくれな
いのだ。もう90歳になる滋悟郎だが、まだまだ健啖、健脚で一向に衰えを見せない。(健康の秘訣を本にでもしてみるか)
家でする事がないので、仕方なく外をウロウロとしていたのだが
「いい加減、腹が減ったわい。そろそろ玉緒さんが帰って来ているかもしれんの」
昼近くになり滋悟郎は家に帰る事にした。
(まったく最近の柔はろくにメシも作らん)臨月の柔に作らせる気は無いのだが、腹が減っているので思わず八つ当たりしてし
まう。松田と結婚してからというもの、柔の料理は玉緒並に上手くなっていた。最近作ってくれないので、柔の料理を食べたく
なってきている滋悟郎であった。
商店街を家に向かって歩いていると
「ん?」
「むっ」
ラーメン屋の前で、男と鉢合わせした。
「………」
「………」
店からラーメンのいい香りが漂ってくる。しばらくじっと顔を見合わせていた二人は、やがて向きを変えるとラーメン屋の中に入
っていった。

648三佐衛門「2004年の男たち」:04/10/22 23:41:39 ID:EHMbC0z8
「まあ食え」
「ウス」
松田はラーメンを花園に勧めると、箸を割った。
「で、何だ、話って?富士子さんとケンカでもしたのか?」
「それが…」
大きな体を丸め、花園の声はだんだん小さくなっていく。
「どうした?」松田は努めて明るく聞いてみた。
「それが…、富薫子の事で…」
「フクちゃんがどうした?」
「富薫子が最近あまり会話をしてくれなくて…」
「あー、フクちゃん中学生になったからな、そういう歳だよ」
「最近一緒に遊んでくれなくて…」
「そ、そりゃフクちゃん中学生になったからな、そういう歳だよ」
「最近一緒に風呂に入ってくれなくて…」
「おまえなあ、教師だろ、教師がそんな事で悩んでどうすんだよ!」
「し、しかし自分の子供となるとなかなか…、なんとか、人生の先輩である松田さんに御教授願いたく…」
「人生は先輩でも、育児は後輩なんだよ!」
「………」
「花園、ちょっとそこに座れ」
「も…もう座ってます」
「おまえ弟や妹がいるじゃないか。小さいとき世話をしただろ。それと自分の娘と何が違うって言うんだよ。そんな事言ってて学
校で生徒の相手が…」
ガラガラガラ
「らっしゃい!」
その時、店に客が入ってきた。
649三佐衛門「2004年の男たち」:04/10/22 23:42:12 ID:EHMbC0z8
「あっ」
入ってきたのは、なんと滋悟郎と虎滋郎だった。虎滋郎は日本柔道強化コーチとしてアテネオリンピックに参加したあと、用事
があると言って、アテネから直接パリへ行っていたのだが、どうやら帰ってきたらしい。
「お義父さん、おかえりなさい」
虎滋郎は松田に頷くと、隣に座った。滋悟郎も花園の隣に座る。しばらく黙ってメニューを眺めていた二人だったが
「大盛りチャーシュー麺をもらおうか」
二人とも同じ物を注文した。
「………」
「………」
「………」
「………」
まったく喋らない。家でもこの親子が会話をしているところを、ほとんど見た事がない。仲が悪いわけでは無いようだが、松田は
そんな二人の間に、まったく入り込めないでいた。
「へい、大盛りチャーシュー麺ね」
ラーメンが二人の前に置かれた。
フー フー
ズッ ズッ
ハフ ハフ
ズッ ズッ
ズルジュルズル
ゴックン
二人同時に食べ終わると、それぞれ会計を済ませ、店を出ていく。
「ありあとございましたー」

店の外で二人は立ち止まる。
「今日あたりかも知れんの」
滋悟郎がそう言うと、お互い反対の方向へ歩いていった。

650三佐衛門「2004年の男たち」:04/10/22 23:42:43 ID:EHMbC0z8
店の中では二人の雰囲気に圧倒された松田と花園が、未だに硬直していた。
ピリリリリリ…ピリリリリリ…
携帯電話の着信音で硬直から解放される。
「家からだ…」
松田は携帯の通話ボタンを押した。
「もしもし…、あ、お義母さん、えっ、陣痛が!わかりました、すぐ病院に向かいます!」
「松田さん!」
「早くしないと!!オヤジさん病院!じゃねえや、タクシー!じゃなくて、お勘定!!」
「どわ!!」
慌てて店を出ようとした二人は、椅子に足を引っかけて派手にすっ転ぶ。
「柔さん!待ってろよ!!」
(でも男ってこんな時、何の役にも立たないよな…)

  お わ り
651名無しさん@ピンキー:04/10/23 00:24:22 ID:msZEdzOC
それで病院に着くと月見団子の食べ過ぎだったりして
と考える私は歪んでる?

それはそうと、あの人うかんできませんねえ・・・・・



                                化
652名無しさん@ピンキー:04/10/23 02:02:45 ID:Hd0MNEMr
虎滋郎の帰国タイミングは流石・・・っていうか玉緒さんが連絡したんだろうけど。
653名無しさん@ピンキー:04/10/23 03:13:11 ID:msZEdzOC
でも花園と松田さんの怪しい話じゃなくて良かった。
654名無しさん@ピンキー:04/10/23 07:02:45 ID:s5/cBc84
産まれるとこまで続きが読みたい。とか言っては駄目ですか。
655名無しさん@ピンキー:04/10/23 20:28:44 ID:msZEdzOC
地震は大丈夫かな?
656三佐衛門@306:04/10/23 21:20:28 ID:AMxochcL
今日は台風23号で床上浸水した友人宅の片づけを手伝ってきましたが、
今度は新潟で地震ですか…。地震も洪水も他人事では済まないですね。

>>651
便秘という可能性もあるかもw
怪しい話は想像の限界を超えているので無理です
>>652
玉緒さんはソツがないですからね
>>654
さすがにオリキャラは勘弁してください
657「某バニラ娘とその彼氏」の投稿者:04/10/24 07:06:46 ID:or4cYWH4
合戦準備 昼戦に備え。

『イズムルード』よろしく暗礁に乗り上げてましてなんともはや。
ようやく離礁しましたのでご安心を。

>☆☆4年後☆☆
……それから8年も待たせるとは、罪作りな男よ<松田

>2004年の男達
親父とジジイがいい味出してますな。

では、『還るべき処』第五章 間奏曲 投稿させて頂きます。
658「某バニラ娘とその彼氏」の投稿者:04/10/24 07:10:01 ID:or4cYWH4
 彼との連絡は完全に途絶え、彼女の動静はいつものように
鉄のカーテンの向こう側に追いやられた。
 本阿弥家の歴史上『十月危機』と呼ばれるような危機的な
事態は、当時の私達の目からは何一つ窺い知る事は出来な
かったのだ。

       日刊エヴリー新聞社 刊 『ある柔道家の回想』より抜粋

第五章 間奏曲

「あれからもう二ヶ月か……」
 風祭進之介は、有為転変の激しさを実感していた。
 基本的には自由であった筈なのだが、幾つかの理由から、愛と
自由を謳歌していた彼の人生においては珍しく、『女日照り』
とでも言うべき日々が続いている。
 まずは他動的な理由、さやかとの披露宴は致命的であったのだ。
当然と言うべきか、披露宴の会場には報道各社のカメラが砲列を
敷いていた訳で、朝のニュースで流され、お昼のワイドショーで
話題となり、スポーツ新聞の芸能面を飾った、さやかと進之介の
ケーキにナイフを入れるシーンは、女の子達を幻滅させるに十分
過ぎた。本阿弥邸から追い出されたあと、久方ぶりにアパートに
戻った進之介を待っていたのは、別れ話で一杯になった留守番電
話であったのだ。
659還るべき処:04/10/24 07:11:07 ID:or4cYWH4
 そして彼自身の問題。
 現在のところ、進之介はまだ、(そう、まだだ)本阿弥トラベルの
社長であったが、株主総会なり、取締役会などで社長の椅子から
蹴り落とされるのは、遠からぬ未来における確定的な事実であると
言えた。
 そうなると、進之介は行き場が無い。
 どこにも行きようがない以上、風祭酒造をいずれ継ぐしかない。
 現在は役員会の末席に名を連ねる身だが、本阿弥家との仲を
悪化させた、進之介に対する社内の風当たりは強い。
 箔を付ける意味もあってMBAを取得すべく、進之介は久方ぶりに
受験生の気分を味わっていたのであった……。

 そんな、街にクリスマスキャロルが響きはじめる、ある日の事。
660還るべき処:04/10/24 07:11:48 ID:or4cYWH4
 新聞を開いていると、『さやか謎の訪英 将来への布石か?』と
いう見出しが目に止まった。内容の不確かさを表すかのように
扱いは小さい。

『……全く動静の掴めなかった本阿弥さやか選手ではあるが、
先日極秘に訪英していたことが明らかになった。昨日帰国し
たおり、成田で本紙記者が取材を試みたが、珍しく一言も口を
開かずに迎えの車に乗り込んだ……』

 ロクに取材できなかったせいか、柔との勝負がどうの、今度の
勝算はこうのとイロイロ書いてあるが、進之介の視線はそれより
さやかの写真に釘付けになった。
 その……違いすぎるのだ。日頃の風貌と。行動と。
 常日頃ならばゴージャスなドレスに身を包み、それこそ新聞
紙の上半分を埋め尽くしても足らないくらいきちんと取材に応じ、
ついでにアクセサリーの自慢でもし、柔に挑戦状を叩きつける
のが、さやかが帰国した際の標準的対応というやつだ。
 だというのに、さやかは仕立も生地も上等であるが地味な
スーツに身を包み、表情を読まれないようにサングラスを掛け、
柔もかくやという風に口を閉ざし、足早に立ち去ったという。
(いったい、さやかさんはどうしたんだ?)

661還るべき処:04/10/24 07:12:26 ID:or4cYWH4
 実力者に権威を与え続ける事で生き残ってきた一族の末裔が
留学していた大学への、留学の話を具体化させてきたさやかは、
柔道連盟から届いた書状の内容を、あの書斎で徳永に確認して
いた。
「……間違いないのですわね?」
「はい、猪熊柔様は間違いなく、48kg以下級に参加するという
事です」
「ふん、柔道連盟も安全策をとったという事ですわね?」
「理由は判りかねますが……」
「とにかく、決着をつけるときですわね」
「は、はい……」
 奥歯に何かが挟まったような返答を、さやかは聞き逃さなかった。
「どうしたの徳永、何か心配でもあるの?」
「い、いえ、その、こうも勝負を急ぐ必要があるのかと疑問が……」
「何を寝ぼけた事言っていますの? 英国に留学する話は大学に
入学した当初から決まっていた話ではありませんの? もう、
変更は効かないんですわよ」
「英国から帰った後でも……」
「バルセロナで白手袋投げつけた後ですのよ? ワタクシに約束
破りさせようというの?」
662還るべき処:04/10/24 07:13:15 ID:or4cYWH4
「め、めっそうもございません」
「では、明日の会見の用意をなさい」
「かしこまりました」

 徳永が退出した後、さやかは肘掛け椅子に背中を預けると、
「ふぅー!」と大きく息をついた。
 徳永の本当に言いたい事はわかっている。
 さやかにとって、情勢は著しく不利だ。
 稽古台がおらず、策を立てる人間がいない。
「…進ちゃん……」
 そして、心にあいた穴は、未だに黒い深淵をさらしていた。
 練習は、全くはかばかしくない。
 集中力の存在など、考えるだけ無駄だ。
 だが。
 今までの人生、さやかは言った事は必ず行ってきたのだ。
 バルセロナで挑戦状を柔に叩きつけている以上、さやかに対決を
避けるという選択肢は有り得ない。
 そう、例え進之介を欠いて、集中を欠いている状態であったとしても、
例え、体重を維持するのがやっとだったとしても、だ。
 世界一の座も守り得ぬその時は……精々ブザマに畳に大の字に
なり、惨めな敗残の姿を晒すまでの事だ。それが、一人の男の
本心も見抜けぬ女の、似合いの姿というやつだろう!
663還るべき処:04/10/24 07:14:04 ID:or4cYWH4
「はあ……」
 さやかの部屋を退出して、扉を閉めたその後で徳永は大きく溜息を
ついた。
 進之介が去った後のさやかの姿は、徳永にとって実に痛々しく
映っていた。あえて例えるならば、大規模な浸水を起こして沈みつつ
ある船を、ポンプを全力で回して水を掻きだして、やっと浮いている
状態だからだ。だが、ポンプの動力が切れ、石のように沈んでいく
日も、そう遠からぬ未来であるように、徳永には思われるのだった。
(何とかしなければ……何とか……)
 策は確かにあった。いや、策というよりは、賭けと言っていいだ
ろうが。だが徳永には、今ひとつ成算がなかったのだ。

 翌々日、進之介は新聞の紙面に踊るタイトルに仰天させられる
事となる。

『さやか引退か!?』
『長年の因縁に終止符を』
『福岡が最後の決戦!』

 まあ随分センセーショナルなタイトルである。
 目を通す。
664還るべき処:04/10/24 07:15:00 ID:or4cYWH4

―では、今回が最後と言う事ですか?―
『最後と言うより、今まで通りと行かないと言う事ですわ。先程も
申し上げたように、英国に留学しなければなりませんの。ただ…』
―ただ?―
『今回が試金石になるのも確かですわね。
 柔道を続けるべきか否か、それとも本阿弥グループの総帥と
しての立場に立ち戻るべきなのかの、試金石でもありますの』
―しかし、猪熊柔さんとの因縁の対決はまだ続くのでは?―
『永遠に続けてよい縁でもなし、いずれ就職しなければなりま
せんもの』

 進之介は、黒い雲が心の中に湧き上がるのを感じた……彼は
それを無視した。はは、何を心配する必要がある、さやかさんが
僕との離婚を発表する。そうすれば柔さんも今度こそ誤解を……
捕らぬどころか、罠から逃げだした狸の皮算用をしている進之介
であった。
665「某バニラ娘とその彼氏」の投稿者:04/10/24 07:27:01 ID:or4cYWH4
投:名前欄 変えるの忘れてたー!?
K:これはもう、アレね。
投:アレ? まさかアレなのかっ!?
Y:秋子さんから預かってきたんだが……。
投:そ、その広口瓶の中の、オレンジ色のゲル状の物体はやめ…!

(残虐シーンにつきしばらくお待ちください)

S:ふっ、もうゴールしたみたいですね。たあいもない……。
Y:冒頭に述べてた通り、どうも詰まっていたみたいだな。
K:『鍵系のギャルゲーやっているような気分だ』なんてこぼしていた
わね。
Y:選択肢がクリティカルだって? 自業自得だ……
666名無しさん@ピンキー:04/10/24 07:48:17 ID:u0EDUfdf
661は、どういう意味だ。答えによっては・・・・。
667名無しさん@ピンキー:04/10/24 14:25:11 ID:kysfrHrd


668江戸家化け猫:04/10/24 14:28:40 ID:kysfrHrd
☆4年後Part2☆

  柔のリクエストに応え、スピード違反、信号無視をせずにいっても15分ほどの距離にその保育園はあった。
都内にしては意外に広々としている。インターホンに松田が呼びかける。
「日刊エヴリーの・・・」
「はーい。」
聞こえるか聞こえないかのかすかな返事とともに、中から柔道着を着た小柄な女性が出てきた。
「あっ、キョンキョン!」
「猪熊さん!」
  意外なところでの久しぶりの再会に手を取り合ってよろこぶ。
「この保育園の先生になっていたんだ。」
「叔父さんが園長をしていて・・・」
キョンキョンの柔道着姿に思わず訊ねる。
「ひょっとして柔道を教えてるのってキョンキョン?」
確かに柔道を一緒にやっていたが、短大卒業後も柔道に関わるとはとても思えなかった。
「冗談で・・・授業に柔道やりま・・・言ったら本当にやる・・ちゃって」
相変わらずの小さな声に松田にはとぎれとぎれにしか聞こえない。
「短大・・に猪熊さ・・・日本一になったっ・・たら、私が教え・・とに・・・」
今日子に果たして教えることができるのだろうか?不思議に思った松田が近くの部屋で
練習している子供の様子をうかがう。
「結構上手じゃないか。」
周りの子供達は意外と様になっている。
「どう・・・いいか分からなくって滋伍・・・と猪・・んに教わった・・そのまま・・だけなんですけど・・・」
そう言うと短大時代にメモしたらしいノートを取りだした。松田がそれを見ると南田が振られた
男の名前から、マリリンが胸をはだけた回数、松田が柔に見とれていたことまで書いてある。
それはさておき、これ以上ないという二人に教えられたレッスンを再現すれば上達が早いのも
さもありなんと言うところだろう。
669江戸家化け猫:04/10/24 14:35:16 ID:TwJaIxRx
☆4年後Part2☆

「猪熊さん、もしよかっ・・この子達に教え・・てくれ・せんか?」
「あたしはかまわないわ。でも、記事にされると困るんだけどな・・・・。」
そう言うと松田を振り返った。
「なんで?」
松田は不満そうな顔をする。
「だって、お得意さま周りできてるんだもん。」
「たまたま保育園の遠足の注文取りに来ることだって・・・」
仮にもスポーツ記者、そう簡単にはあきらめない。
「そう言えば、遠足をもうじき決めなきゃ行けないなんて話を、この間園長先生が・・・。」
かすかな声で笑いを浮かべながら今日子が言った。
「ほら。」
松田は鬼の首を取ったよう
「もう、きょんきょんたら。」
松田の加勢をした今日子をふざけ半分ににらむ。
「どこで着替えたらいい?」
「職員の更衣室があるからそこで・・・」
教えられた部屋に行きそこに置いてあった柔道着に着替える。
”本当にどこ行っても柔道が付いてくる。まあ、こういうのは気分転換にいいけど。”
670江戸家化け猫:04/10/24 14:46:48 ID:Z+5/fXaf
☆4年後Part2☆

今日子が園児を集める。見慣れない柔の姿に子供達が不審がる。
「先生、このおばちゃんだれ?」
「おば・・・ちゃん・・・」
幼児にとって20代、しかも先生と同い年の女性がおばちゃん扱いになるのはやむを得ないことだろう。
が、その現実を受け入れるのは大いに抵抗があった。”ククッ”と後ろで吹き出す声がする。
振り返ると松田が必死に笑いをこらえている。が柔の怒りを帯びた目に気が付くと急にまじめな顔に戻り、
右斜め上方に目をそらす。
「今日は特別な先生に来て貰いました。アトランタで金メダル・・・」
「柔ちゃんだ!」
おばちゃんから柔ちゃんへの昇格?に思わず笑みがこぼれる。が、まだ幼児の怖さをわかっていなかった。
園児の集団は蜂の巣をつついたような騒ぎになる。ただでさえ、愛情に飢えている保育園児。
その前に、テレビに出てくる有名人、しかも意外に親しみやすい雰囲気がある小柄な女性がたっている。
柔が、この集団に言うことを聞かせることは、不可能だった。
「あの並んでくださ・・・・、お尻さわっちゃいけません、あっ、帯ひっぱらないで。きゃっ、胸つかんじゃだめ!」
逃げるに逃げられずパニックに陥る。
「俺だってまだ2回しかさわってないのに・・・・」
松田が少しうらやましそうに言う。
「馬鹿なこと言ってないで早く助けて!」
「そんなこと言ったって。」
二人とも途方に暮れる。そのとき
「はい、静かにしてください。」
いつもより少しだけ大きな声で、といっても普通の人よりも小さいのだが今日子が子供達に注意をした。
すると、それまでの騒ぎが嘘のように静まりかえった。あまりの効果にあっけにとられる松田と柔。
「ちゃんと猪熊先生の言うことを聞きなさい。」
すっかり良い子の集まりと化した園児相手に、何とか柔の柔道教室が始まった。
671名無しさん@ピンキー:04/10/24 14:56:37 ID:Z+5/fXaf
うーん、661はちょっとひっかかっちゃったかもしれませんね。
でもこのスレでとは意外だ・・・・・・。

                                    化
672三佐衛門@306:04/10/25 21:56:05 ID:O6IOAYMP
某バニラ氏が帰ってきてくれてよかった。

「女たち」の半年前の話です。エロ無しですがご容赦下さい。3日ぐらいで終わると思います。
>>化け猫さんに業務連絡
またフクちゃん使わせてもらってます。もしキャラに違和感があれば修正、あるいは無かった事にしますのでご一報下さい。
それから化け猫さんの十二年後を読み返すと、フクちゃんは中学二年生だったんですね。自分は一年生の設定にしてしま
ってました。読んでる人が混乱しなければいいのですが。
673三佐衛門「富薫子12歳、柔34歳」:04/10/25 21:56:44 ID:O6IOAYMP
「そろそろかしら」
「そろそろじゃない?」
「一応、ケーキを用意したんだけど」
「別にそこまでしなくても…」
がらがらがら
「こんにちわー!」
玄関が開く音がして、女の子の元気な声が家中に響き渡った。
「来たわ」
玉緒は立ち上がると、台所へと向かった。
てってってっ
廊下を走る足音がして
「こんにちわっ」
富薫子が顔を出した。
「いらっしゃい。あら、制服で来たの」
「うん!どう?」
真新しい中学校の制服に身を包んだ富薫子がバレエのポーズで一回転すると、紺色のスカートがふわっと広がった。
「かわいい『制服』じゃない」
「制服ぅ?!」
柔が『制服』を強調すると、富薫子が不満そうに頬をふくらます。
「フクちゃん、いらっしゃい。ケーキ食べる?」
「やったぁ。ねえおばさん、どう?」
富薫子が玉緒に向かって、両手でスカートの裾を広げて見せる。
「いいじゃない、よく似合ってるわよ。より一層かわいくなったんじゃない?」
「でしょ?さすがおばさんだわ。『柔おばちゃん』とは大違い…」
ぺしっ
柔が富薫子の、スカートから伸びたスラッとした足のふくらはぎをはたく。
「いたっ」
富薫子は柔の隣に座って、ふくらはぎをさすりながら、玉緒がテーブルの上に紅茶とケーキを並べていくのを手伝った。
674三佐衛門「富薫子12歳、柔34歳」:04/10/25 21:57:12 ID:O6IOAYMP
「そうそう、バレーボール部にスカウトされちゃった」
「へえ。でも柔道とバレエとバレーボールなんて、全部は出来ないでしょ?」
富薫子は滋悟郎の勧めで、柔道を始めた頃から平行してクラシックバレエを習っていた。富士子と同じく体の柔軟性を身につ
ける為である。
「うん。でももうそろそろバレエは終わりかなって。背も伸びちゃったしね」
富薫子がすこし寂しそうに言った。すでに170cm近い富薫子の身長は、クラスの一番背の高い男子とほとんど変わらないらし
い。小さい頃から富士子に『背が伸びる』と言われ続けていたので、覚悟はしていたようだが…。
「これ入学のお祝い」
「おばさん、ありがとう!」
玉緒からのし袋を受け取ると、富薫子は嬉しそうに礼を言った。
「図書券だけれど」
「なんだ図書券か」
「コラ!フクちゃん!」
柔がおもわず富薫子をたしなめる。
「あっ、ごめんなさい。でもCDが欲しいんだけど…」
富薫子が上目遣いで柔を見る。
「……しょうがないわねぇ」
柔は財布から五千円札を取り出す。
「ごっちゃんです」
富薫子は、相撲取りが懸賞を貰うようなポーズでお札に手を伸ばすが…
「あっ」
柔がお札を引っ込めた。
「無駄遣いしちゃ駄目よ」
「わかってるって。柔おねーちゃん、ありがとう」
富薫子はお札を受け取ると、柔に礼を言った。
「調子良いんだから」
柔はあきれてしまう。
玉緒はそれこそ(別にそこまでしなくても…)と思いつつ、友達か、姉妹か、親子か、よくわからない二人のやりとりを見て笑っ
ていた。
675三佐衛門「富薫子12歳、柔34歳」:04/10/25 21:57:36 ID:O6IOAYMP
「さあ柔さん、道場に行こ」
富薫子はケーキを食べ終わったあと、立ち上がりながら柔の腕をひっぱった。立ち上がろうとした柔だったが、不意にめまい
がして座り込んでしまう。
「ごめん。今日はなんか体調悪くて…」
「最近ずっと体調悪いって言ってるじゃない。大丈夫?」
富薫子が心配そうに柔の顔をのぞき込んできた。
「うん、ごめん。おじいちゃんが道場にいると思うから…」
「わかった。トシなんだから無理しちゃダメよ」
「なんですって〜!!」
「きゃー!!」
柔が手を振り上げると、富薫子は逃げるように居間を出ていった。ふと気が付くと、玉緒が柔をじっと見ている。
「柔、明日お医者さんに行きましょう」
「…お母さん、わかる?」
「わかるわよ。わたしだって母親ですもの」
玉緒は嬉しそうに言った。

676名無しさん@ピンキー:04/10/25 22:22:03 ID:MQ7FSBV5
>672
今日テレビではフクちゃんが生まれましたね。
この新生児が、中学生になったかと思うと感無量・・・・

                             化
677名無しさん@ピンキー:04/10/26 07:16:42 ID:AD+BOZls
三佐さんの女たち呼んでいたら、柔が妊娠した旨を
松田に報告するシーンを読みたくなりました。

職人さん、もしよろしければおながいします。
678江戸家化け猫:04/10/26 23:08:47 ID:DCLquZ/5
>672
ちなみに、2年生にしたのは、当初下級生の男の子に告白されてあわてふためく冨薫子
と言った話を混ぜようと思っていたためです。がさすがに収拾がつかなくなって”12年後”に
混ぜるのはやめてしまいました。もう一つちなみに、じゃあなぜ3年にしなかったのかと
言いますと女子バレー部の先輩と危険な関係というのを考えていたのですが、やっぱり
あんまり長くなりすぎると言うことで・・・・
679ルル:04/10/27 13:43:31 ID:W3at/535
久しぶりに来ました。
皆さん、素晴らしいですね。

近頃、妄想が蒼天ばかりに逝ってしまいます。イカン・・。
またロム専に戻ります・・・・・。
680三佐衛門@306:04/10/27 21:03:00 ID:RE59rrjL
>>676,678
普段見ていないのですが、今日はビデオに録ります。
フクちゃんが下級生の男の子に告白される話は、是非読みたいなあ。
>>677
あーと、それはちょっと待って下さい…。
681三佐衛門「富薫子12歳、柔34歳」:04/10/27 21:04:31 ID:RE59rrjL
練習のあと、みんなと夕食をとった富薫子は、柔とともに二階へ上がってきた。松田家が居間として使っている和室へ入る。
「早く帰らないと富士子さんたち心配するわよ」
「いいのいいの。たまには二人っきりにさせてあげないと」
(まったく、どこまでわかってて言ってるのかしら)
耕作は今日は仕事で遅くなるらしい。夫婦水入らずな富士子たちがうらやましかった。
「そうだ、柔さんの中学校の制服見せて」
「ええっ、押入の奥なのに!」
「いいからいいから」
「よくない!」
でも結局、押し切られてしまった。

「あの中だと思うんだけど」
柔は押入を開け、上の方に押し込んである衣装ケースを指さした。柔には届かないので富薫子に取ってもらう。
「あれ、無いなぁ」
ふたを開けて中を探るが見あたらない。
「あっ」
「あった?」
それらしい紺色の服を見つけて引っ張り出す。
「あれっ、高校の制服だ」
「へえ、見せて」
立ち上がって柔のブレザーを自分の体に合わせてみる。が、かなり小さそうだ。
「ウエストは柔さんのほうが太いのにね」
ばしっ
柔が富薫子の、スカートから伸びたスラッとした足のふくらはぎを思いっきりはたく。
「痛っ」
富薫子はふくらはぎをさすりながら
「そうだ、ちょっと着てみてよ」
とんでもない事を言いだした。
682三佐衛門「富薫子12歳、柔34歳」:04/10/27 21:05:30 ID:RE59rrjL
「ええっ!な、なに言ってんのよ!」
いまさら高校の制服なんて、恥ずかしくて着られるわけがない。
「柔さん若く見えるから大丈夫だって」
「………」
「きっと似合うから」
「…ダメよ。似合うわけないじゃない。34にもなって高校の制服なんて…」
「じゃあ今度ジーンズ履いてよ」
「イヤ!それだけは絶対イヤ」
ウエストが太く、足が太く短い柔は、普段からスカートを履いて腰回りの目立たない服を着るようにしていた。
「制服着るのとどっちがいい?」
「……制服」
渋々着替えだした柔に見えないように、富薫子は舌を出した。柔道だけでなく、こんなところまで滋悟郎譲りである。

「うーん、なんかもの足りないな」
中学校の制服を着て、腰に手を当てた12歳の富薫子が、高校の制服を着て、恥ずかしそうに小さくなっている34歳の柔を値
踏みする。
「そうだ!」
富薫子は居間を出ていった。どうやら寝室の方に入っていったようだが、手に櫛を持ってすぐ戻ってきた。
「ちょっと座って」
柔を座らせると、柔の髪を櫛でとき始める。
「これでどうかな?」
柔の髪は、真ん中で分けて左右で束ねられていた。
「うん、似合う。十分高校生で通用するわ」
「ねえ、もういいでしょ」
鏡で自分の姿を見せられた柔は、顔を真っ赤にしている。
「えー、まだ着たばっかりじゃない」
その時
「ただいま」
突然耕作が帰ってきた。
683三佐衛門「富薫子12歳、柔34歳」:04/10/27 21:17:02 ID:luy7HWYq
「きゃあ!!」
ガッ
ズデェン
慌てて隠れようとした柔は、衣装ケースに足を引っかけ、派手に転んでしまった。富薫子がすかさず、めくれ上がった柔のスカ
ートを直す。
「な、なにしてんの?」
「ちょっとね。どう?」
富薫子が両腕を広げて、松田にも制服姿を見せる。
「ああ、似合ってるよ」
「かわいいでしょ?」
「うん。かわいいよ」
「どっちが?」
「えっ?」
富薫子は『自分』か『制服』のどっちか聞いたつもりだったが
(それは…)
松田はしゃがみ込んで小さくなっている柔と、富薫子とを比べる。
「ど…、どっちも」
しかし富薫子はその返事で満足したようだった。
「それ、カメラ?」
富薫子が松田が肩にかけているアルミのケースを指さした。
「そうだけど?」
「柔さんと一緒に写真撮ってよ」
「だめー!!!」
柔はしゃがみ込んだまま、髪の結び目を両手で隠して、思いっきり嫌がる。
「しょうがないなぁ、じゃあ私だけでも撮って」
「いいけど…」
684三佐衛門「富薫子12歳、柔34歳」:04/10/27 21:17:32 ID:luy7HWYq
「はい、柔さん。邪魔だから」
富薫子は柔の腕を取って無理矢理立たせる。
「うわっ」
松田は思わず声を上げた。高校の制服を着た柔は、初めて出会った頃とほとんど変わらなかった。スッピンなうえに髪型のせ
いで、34歳にはとても見えない。
「や、柔さん、写真撮っても…」
じろっ
柔は泣きべそをかきながら、松田を睨みつける。
「…ごめん」
「はいはい。じゃあ撮って」
二人に割って入る。松田はケースの中からデジタル一眼レフカメラを取り出すと、レンズを富薫子に向けた。
「いくよ、はいっチーズ」
ピッ
「どう?綺麗に撮れた?」
(いまさらチーズは無いんじゃないかな)と思いつつ、カメラの液晶モニタをのぞき込む。
「いい感じ。印刷できる?」
松田は頷くとノートパソコンを取り出し、部屋に置いてあったプリンタと接続する。ものの5分もしないうちに、A4サイズに印刷さ
れた制服姿の富薫子の写真が出来上がった。
「はい」
「ありがとう。うん、かわいいかわいい」
富薫子は自分で自分を褒めている。そのとき
チャララララー チャラーララー
携帯が鳴り出した。
「あっ、お母さんからメールだ」
携帯の画面を確認する。
「帰ってこいだって。じゃあ帰るね」
「ちょ、ちょっと、あたしはほったらかし?」
「あとは松田さんに任せた。じゃあね」
685三佐衛門「富薫子12歳、柔34歳」:04/10/27 21:18:05 ID:luy7HWYq
富薫子は手を振りながら部屋を出ていった。
「♪愛し合う 二人 幸せの空…」
富薫子の歌声が聞こえなくなると、部屋の中に気まずい空気が漂う。
「…思ったより早かったんですね」
「あ、ああ。結構早く仕事が片づいたから」
「そうだったんですか…」
(おかげでとんでもない所見られちゃった)
「あ、あの、柔さん…。今日は…どう?」
「?」
松田が何を言いたいのかわからなかったが、すぐ思い至る。
「…制服着てるから?」
「違う、違う!」
松田は慌てて否定する。柔は松田に抱きついて、胸に顔をうずめた。
「ごめんなさい…。今日は体調が悪くて…」
「そうなのか?大丈夫?」
「うん。……耕作さん、子供欲しい?」
「そりゃ…、でも焦らなくていいよ。今まで出来なかったからって、これからも出来ないとは限らないじゃないか」
「うん」
柔は松田の胸の中で頷く。
(耕作さんで本当によかった…)

686三佐衛門@306:04/10/27 21:20:15 ID:luy7HWYq
PCの調子がいまいちです。データがdだらどうしよう…。
687江戸家化け猫:04/10/27 23:31:41 ID:q116go75
まだ、安定期になってないのにひっくり返って大丈夫なのだろうか、心配だ・・・・。

しかし制服きてるから欲情すると思われる松田さんて、
きっとかの名作、翌師丸あそ子の”セーラー服と一晩中”でも隠しているのを
見つかったんじゃないだろうか。
688江戸家化け猫:04/10/27 23:35:14 ID:q116go75
☆4年後Part2☆

「ありがとうございました。」
職員室で臨時柔道教室を終わらせた柔と取材に来たはずが付添のようになってしまった
松田に今日子がお茶を出す。
「こうして二人とも柔道着を来ていると、短大の頃に戻ったみたいね。」
柔の言葉を聞いて心の底からうれしそうに笑みを浮かべる。
「でもやっぱり先生ってすごいのね。みんな静かになっちゃうんだもん。」
感心したように今日子に尋ねる。
「相当厳しくしてるの?」
「ううん、前に言うことを聞いてくれなくて思わず泣いちゃったら、みんなびっくりしたらしくて。
それから言うことを聞いてくれるようになったんです。」
「でもみんな元気がいいね。オリンピックのメダリストをもみくちゃにしちゃうんだから。」
柔の困惑した姿を思い出し松田は思い出し笑いする。
「助けてって言ったのに・・・・」
恨みがましい目で松田をにらんだ。
「だって子供を押しのけるわけには行かないじゃないか。」
「でも柔道着まで脱がされそうだったのよ!」
「仲がよくて良いですね。」
口げんかをはじめた二人に今日子が心からうらやましそうに言う。人前でくだらない口論を
したことが恥ずかしかったのか柔が少し頬を赤らめる。
「そういえば、ずっと付き合ってた彼がいたじゃない?」
「うまくいきませんでした。」
松田と柔が気まずそうに顔を見合わせる。
「ごめんね。」
「大丈夫です。もう・・・・」
いつもの幸薄そうな笑顔を浮かべた。
「キョンキョンかわいいから彼氏ぐらいすぐできるさ。子供もなついてるし、仕事も順調じゃないか。」
松田が少し沈んだ空気を吹き払おうとするかのように明るく言った。
「そうだといいんですけど・・・」
689江戸家化け猫:04/10/27 23:40:37 ID:q116go75
☆4年後Part2☆

「この保育園、借地なんです。それで立ち退きをせまられていて。園長も心労で入院してしまいました。」
「今時地上げなんてそんな金の余っているところがあるのか。」
松田が少し悔しそうにつぶやいた。
「何でも世界一高いホテルだかマンションだかを建設すると言っているそうです。今日その会社の
オーナーという人が交渉に来るとか言ってたんですが・・・。」
今日子が言ったそのとき、園庭から車のクラクションが響いた。3人がそちらを見ると赤い外車が
止まっていた。その車を見て松田が固まる。
「ひょっとしてこの赤いロールスロイスは・・・・」
初老のドライバーが後部ドアを開けるために降りてきた。
「徳永さん!」
思わず松田が声をかける。
「あ、猪熊様と松田様、お久しぶりでございます。」
人の良さそうな笑顔を浮かべ深々と頭を下げた。そのとき
「徳永、何をしてますの。早く開けなさい。」
という高飛車な声がロールスロイスの中から響いた。
「この声は間違いなく・・・」
柔と松田はまじまじと見つめ合う。あわてた徳永が開けたドアから、保育園とは場違いなドレスを
着た女が降りてくる。
「本阿弥さやか!」「さやかさん!」
柔と松田が同時に叫んだ。その声を聞いたさやかはたじろいだ表情を浮かべる。
「い、猪熊柔・・。なぜこんな所に。」
690江戸家化け猫:04/10/27 23:43:29 ID:q116go75
☆4年後Part2☆

「そんなことどうでも良い。何で保育園をつぶそうとするんだ。どれだけの人が迷惑を受けると思ってるんだ!」
居丈高にわめき立てる松田に冷たい視線を投げかける。
「私の名を冠したシンボルタワーを建てた方が世のため人のため・・・」
と言いかけたところで、柔の姿が再び目にはいると見るからに不機嫌そうな表情になった。
「こんな小娘と3流紙の記者がいるところでビジネスの話など出来ませんわ。徳永、帰ります!」
「徳永さん、お嬢さんやけに機嫌斜めですね?」
松田が小声で話しかける。
「実は、このところ若旦那様が出張がちでして、それでお嬢様、いえ若奥様のご機嫌麗しくなく・・・」
徳永も小声で返す。要は浮気に悩まされているらしい。
「徳永何をしているのです。さっさとなさい!」
さやかの怒声に徳永は、飛び跳ねるように車に戻ると、ロールスロイスを走り去らせた。
「徳永さんも大変だなあ」
松田が気の毒そうにつぶやいたが返事はない。振り返ると今日子がすっかり肩を落とし、地面を見つめている。
「何とかなるわよ。キョンキョン、元気出して。」
「そうでしょうか・・・・。」
いつもに増して力のない今日子の声。それを見た松田は、黙っていられなかった。
「俺に任せてくれ。なあに、あんなお嬢さんの一人や二人、俺が説得してやる。」
「なんとかなりますか?」
すがるように松田を見つめる。
「新聞記者の力を見せてやる。」
今日子の顔に少しだけ明るさが戻った。
691江戸家化け猫:04/10/27 23:46:08 ID:q116go75
☆4年後Part2☆

帰り道バイクを運転する松田の背中に柔が尋ねる。
「松田さん、あんな事言って見込みはあるんですか?」
「ない・・・。」
松田が短く答える。
「そんな無責任な!」
少し怒ったように柔が言う。
「他になんて言えば良かったんだ!」
「・・・ごめんなさい。」
つらい気持ちは松田も一緒なのだ。重苦しい沈黙が二人にのしかかる。
 やがてバイクが猪熊家の玄関前に着く。
バイクを降り、ヘルメットをはずしながら
「お茶でも飲んでいきませんか?」
と松田を誘った。
「いや、やめとこう。滋悟郎さんが怖いから。」
取材では傍若無人に上がり込んでくる松田だが、プライベートでは一度も猪熊家の敷居をまたいだことはない。
「なんか憂鬱な一日になっちまったな。」
松田もバイクを降り、少しのびをしながらつぶやいた。下を向いて立っていた柔は松田に抱きつき、
そして胸に顔を埋めた。しばらく押し黙っていたが、
「・・・・キョンキョンを助けてあげて。」
と、つぶやいた。
「そんなこと言ったって・・・」
とまどう松田。
「今までだって私を・・・・。きっと今度だって・・・・」
そう言うと胸の中から松田の顔を見上げた。
「・・・俺に任せとけ。」
結局見込みもないまま、今日子に言ったことと同じ事を言わざるを得なかった。
692江戸家化け猫:04/10/27 23:48:02 ID:q116go75
あと、放送もわずかですね・・・・・・
693名無しさん@ピンキー:04/10/28 12:18:37 ID:ze5OoChi
お疲れ様です。

ヒトスクネ編集部だから社会ネタの経験もあるんだろうな
694三佐衛門@306:04/10/28 21:25:38 ID:5RQT4rsp
>>687
やっぱりつっこまれてしまった。修正しようと思ってて、そのまま忘れて投下してしまいました。
柔が上手い具合に受け身をとったと言う事で。でもスクラップブックにつまづいた時のコケっぷりは…。
松田さんはあのパンチラ写真をずっと貼っておくほどですからねぇ。実はマニアかもw

進ちゃんは浮気ですか。あのタイプは束縛したらよけいにダメでしょう。
695三佐衛門「富薫子12歳、柔34歳」:04/10/28 21:26:12 ID:5RQT4rsp
翌日
プルルルル…プルルルル…
カチャ
「もしもし」
柔が電話に出ると
「あっ、柔さん」
松田だ。
「耕作さん、あの…」
「実は、今日ちょっと飲み会で遅くなりそうなんだ」
「えっ…、そうなんですか…」
柔の声のトーンが低くなる。
「えっ、な、なに?」
松田は焦って聞き返した。
「今日はごちそうのつもりだったんですけど…」
(ごちそう?今日は何の日だ?誰かの誕生日じゃないよな。何かの記念日だったっけ?)
「お付き合いじゃ仕方ないですね」
「…いや、帰る。大丈夫、帰るから!」
「でも、いいんですか?」
「いい!今すぐ帰るから!」
松田は電話を切ると同僚たちに謝って、駅へと走り出した。
(何の日だっけ???わからねえ。…ケーキでも買って帰ろう)

696三佐衛門「富薫子12歳、柔34歳」:04/10/28 21:27:31 ID:FbbxdGlo
「ただいま」
「おかえりなさい」
柔が玄関まで出迎える。
「これ」
松田はケーキの箱を柔に差し出した。
「あら、どうしたんです?」
「あ、いや、なんとなく…」
「耕作さん、もしかして何のお祝いか、わかってないんですか?」
「えっ、あっ、あの、…ごめん」
「おしえてあげましょうか?実は…、フクちゃん?!」
「あ、気付いた?」
いつの間にかそばで聞き耳を立てていた富薫子を、居間まで押し返す。
(まず最初に耕作さんに報告してから!)
そして玄関に戻ってきた。
「どうしたの?」
「実はですね…」
松田の耳元で小声で言った。
「わたしたちに赤ちゃんが出来たんです」
柔の表情は、とても幸せそうだった。

  お わ り
697三佐衛門@306:04/10/28 21:28:02 ID:FbbxdGlo
というわけで、フクちゃん暴走編…ではなく、柔妊娠報告編でした。
677さんにはどう答えたらいいか困ってしまいました。

もうネタが無くなりましたが、松田さんが帰国してからの話の構想は出来上がってます。
またその話は追々…。
698名無しさん@ピンキー:04/10/28 23:12:51 ID:3rLNke2q
>696  勝手にちょっとだけ続き ごめんなさい。  

「えっ、赤ちゃんができたの!ねっ、いつ生まれるの、ねえ!」
いつの間にか忍び寄っていた冨薫子が素っ頓狂な声を上げる。
「人の話に聞き耳を立てるんじゃないの。」
冨薫子の頭をこづく。
「いいじゃない、ねえ、いつ?」
「10月の25日。」
それを聞いた冨薫子が指を折って何か計算を始める。
「だいたい10ヶ月前だから1月のはじめかな。」
なにやらつぶやく。
「10ヶ月前?1月のはじめ?」
松田と柔が顔を見合わせる。
「あっ。」
二人の顔が同時に赤くなる。
「フクちゃん!」
はたこうとする柔の手をすり抜け玄関から逃げていく。
「妊婦さんは、おとなしくしてなきゃだめよ!バイバーイ」
飛び出していく冨薫子を身ながら、松田は
「俺たちの子供もあんな元気な子だったらいいな。」
と、柔に語りかけた。
「冗談じゃないわ!面倒みれません。」
言っていることとは裏腹に、松田と同じ事を望んでいるようだった。
699名無しさん@ピンキー:04/10/28 23:36:24 ID:VZhjZrUA
三佐衛門さんGJでした、面白かったです
698さんの続きもGJ!
デジカメにノーパソにプリンタを弄る松田さんを思うと感慨深かったです
やっぱりパンチラ写真も取り込んで大切に保存とかしてるんでしょうね
700五右衛門21:04/10/29 00:25:03 ID:1c6kF1hv
職人さんたちが作った作品誰かまとめてくれないかな。
701五右衛門:04/10/29 00:25:49 ID:1c6kF1hv
700ゲットだべ
702名無しさん@ピンキー:04/10/29 05:57:36 ID:fP8bPTVo
古めの奴はまとまってるのに・・・。
703三佐衛門@306:04/10/29 19:59:15 ID:HHYK9jF/
>>698
やっぱりフクちゃん暴走編?w
フクちゃんがお姫様に思えてしまう程の柔だから、子供もたぶんお転婆(←女の子の場合)でしょうね。
>>699
最近の新聞記者はパソコン、デジカメぐらい駆使するでしょう。松田さんは苦手そうだけど。
当然壁紙はパンチラ写真ですよw
704名無しさん@ピンキー:04/10/29 21:56:49 ID:4o4uVQPr
自分の彼女のパンチラ写真を壁紙にするかなあ。
あれ、パンチラってよりパンモロかなあ。
705江戸家化け猫セブン:04/10/30 06:09:45 ID:yPQf+jz8
>703
このスレ内でフクちゃんが、JIGOROのかねこさんなみに
認知されたらうれしいな。と、ひとりごと・・・・・・
706江戸家化け猫セブン:04/10/30 06:13:52 ID:yPQf+jz8
☆☆4年後Part2☆☆

 その晩、松田は本阿弥邸の前に立っていた。幾度となくさやかに電話でアポイントを
取ろうとしたが、当然のごとく取り次いで貰うことはできなかった。が、松田にとって
本阿弥邸は幾度か忍び込んだなじみのある場所だ。直接乗り込んで説得してやろう。
「よーし。」
 そびえ立つフェンスによじ登りだした。てっぺんに着くとかつて眺めた景色が広がる。
”何年ぶりかな?”
それで油断したか、まだ時差ぼけが解消されていなかったか。
「お、おっ、ああーーーー」
悲鳴とともに真っ逆様に転落した。
 落下した衝撃で朦朧としている松田は、頬になにやらこそばゆい物を感じた。
ふと目をやると、リボンを巻いた大トカゲがのしかかっている。
「よお、ジョセフィーヌ。ご主人様はどうした?」
松田は、どこかで聞いたようなせりふを言いながら大トカゲをなでた。大トカゲの
ジョセフィーヌも久しぶりの再会がうれしいのか一層松田をなめる。ふと松田の頭に
取材の時に聞いた話がよぎる。ワニは永年餌を与えて飼っていても、隙を見せると
飼い主を飲み込もうとするという。改めてジョセフィーヌを見ると親愛の情と言うより、
お食事を前にした喜びといった表情を浮かべているように見える。もっとも本当は、
は虫類に表情はない。じっと視線を交わす松田とジョセフィーヌ。
「助けてくれー。」
悲鳴を上げて逃げ出した。が、少し走ったところで池にはまる。意外に暖かい水の中で
憮然とした表情を浮かべていると、やや赤みを帯びた熱帯魚がすり寄ってきた。
「さすが金持ちの家は、庭で熱帯魚を飼ってるのか。こいつら人間になれていやがる。」
松田が感心しているとチクチクした感触が伝わってくる。
「そんなに突っつくなよ、俺は餌じゃないんだから。ん、餌・・・?ピラニアだぁ!」
上着の裾に3匹ほどピラニアをぶら下げながら、必死になって池をはい上がった
707江戸家化け猫セブン:04/10/30 06:18:48 ID:yPQf+jz8
☆☆4年後Part2☆☆
 さすがに疲労感にとらわれ、息をついていると目の前に二つの人影が現れる。
「人の家の庭で何をしていらっしゃるの?」
「本阿弥さやか!」
さやかと徳永だった。徳永の驚いたような表情とは対照的に、さやかは冷たい視線を
投げかけていた。
「話があるんだ!」
「私は有りませんわ。」
そう言うとくるりと背を向け歩き出した。その背中に松田は叫んだ。
「あの保育園のことだ。あの保育園で柔さんと一緒に柔道をしていたキョンキョンが働いているんだ。」
去りかけていたさやかが、柔という言葉を聞くとぴたりと動きが止まった。しばらく何事かを
考えていたかと思うと、
「徳永。警察に突き出すとしてもそのような汚い物を本阿弥家から出したら恥というもの。
その汚れを落とさせなさい。」
振り返りもせずに言うと、再び歩み去っていった。
「松田様、大丈夫ですか?」
擦り傷だらけの松田を徳永が心配する。
「すいません、徳永さん。」
「お風呂までご案内します。」
そう言うと、中世の城もかくやというような本阿弥邸内に案内された。あまりの広さと調度の豪華さに
度肝を抜かれる松田。
「あ、あれはゴッホの・・・。本物?」
「はい、確か2年ほど前若奥様が気に入られ、30億ほどでご購入なさいました。」
「あの彫刻はロダンの・・・?」
「ええ、あれは安くてほんの10億ほど。」
お金の単位の違いに言葉がない。
「よくそんな買い物が・・・。」
「虎滋郎様にお渡しした金額に比べれば・・・」
目が点になった松田は、延々とあるいた後、浴場にたどり着いた。
708江戸家化け猫セブン:04/10/30 06:27:43 ID:yPQf+jz8
☆☆4年後Part2☆☆
「お召し物を洗濯致しますので、乾きますまではこれを・・・」
そう言うとバスローブを置き、去っていった。金と大理石でしつらえられた豪華絢爛以外の
形容詞がない浴場が松田の目にはいる。
「すげー風呂場だ、この間取材に行ったラブホテルみたいだ。おっ、ライオンの口がある。」
松田に物を見る目がないのか、本阿弥家のセンスが悪いのか。

 シャワーから上がりバスローブに袖を通していると、再び徳永が現れた。
「若奥様がお部屋でお待ちです。」
「お待ちって言ったって、バスロープ一枚ですよ。」
松田がとまどう。
「申し訳有りません、肌着までは準備しておりませんでしたので。」
それは泥棒並みに忍び込んでくる人間の着替えを準備してある家はないだろう。
徳永に案内されて、さやかの部屋までついていく。その道すがらにもさまざまな芸術品が
飾られているが、既に一つ一つ値段を聞く気力は無くなっていた。

 高さ3mは有ろうかというドアを開け、アールデコ調の広大な部屋に通される。
「寺の本堂みたいだ。」
その評価が正しいものとは思えないが、松田にとって飾り立てられた広い部屋はそれしか
思い浮かばないらしい。
  居心地悪げにきょろきょろしている松田に、窓際のソファーに座ったさやかが一瞥をくれる。
「何かご用ですの?」
声をかけられて我を取り戻した松田がいきり立ってさやかに詰め寄ろうとする。
「あんたなぁ、一体・・・」
それをさやかが遮った。
709名無しさん@ピンキー:04/10/30 06:32:44 ID:yPQf+jz8
☆☆4年後Part2☆☆

「松田さん。あなたは私に何かお願い事があっていらしたんじゃありませんの?
それをあんた呼ばわりなんてあまりに非礼ではありませんこと?」
「じゃあ、さやか女王様とでも呼べというのか?」
怒鳴る松田の剣幕に徳永が狼狽の色を見せる。
「松田様、あまり興奮なさらずに・・・」
「徳永、下がりなさい。用が有ればまた呼びます。」
徳永に向かいそう言うと松田に向き直った。
「本阿弥さんでもさやかさんでも結構ですわ。その程度のことも日刊エヴリーは
教えませんの?だから3流紙は困りますわ。ほーほっほ。」
さやかが冷たく言い放つ。
「うっ。」
あまりにまっとうなことを言われ松田はぐうの音も出ない。その間に徳永は音もなく部屋から出ていった。
「それで何の御用?」
若干気圧されながらも松田は、さやかを問いつめようとする。
「なぜ保育園をつぶそうとするんだ。一つ保育園が無くなると、どれだけの家族が・・・」
「ちょっとお待ちになって。」
さやかはそれを遮ると、松田に背を向けて立ちあがった。
710江戸家化け猫セブン:04/10/30 06:38:23 ID:yPQf+jz8
私が言うのも何ですが、このスレそのうち「懐かしYAWARAのエロ”なし”パロ 3」
になっちゃいそう・・・・・。責任は感じてるんですけどね。
人間、能力の限界という物が・・・・・・
711名無しさん@ピンキー:04/10/30 11:39:05 ID:f/6MphJ0
エロなしでもわりとありなエロパロスレ、ということでもいいんじゃないでしょうか…
別にエロが投下しにくい空気なわけでもないですし(空気も何もエロパロ板なわけですが
勝手な意見すみません。化け猫さんの話、普通に続きが気になります。
712名無しさん@ピンキー:04/10/30 13:25:12 ID:h92n24ZE
>700
あのSS倉庫復活しませんかねえ。
SE3さんかな?、もういないのかなあ。今年のはじめぐらいまでいたのに・・・・
誰か倉庫をつくる技術と気力のある人っていないもんですかねえ。
713三佐衛門@306:04/10/30 13:55:35 ID:dTGGg7Sl
>>704
冗談ですからさらっと流してください
>>710
あまりエロエロになってしまうと、限界の低い自分は投下不能になってしまいます。
化け猫さんの投稿はまだ「ちょいエロパロ」だけど、自分は完全に「エロなしパロ」ですからねえ。
714名無しさん@ピンキー:04/10/30 22:29:35 ID:tb+Bugq7
ここってレイプはOK?OKなら考えていた妄想があるので公表したいのだが。
715名無しさん@ピンキー:04/10/31 00:26:50 ID:4r6S6vud
>>714
過去ログによると、かなり批判されていた模様。
無理に投下されても俺は読まないと思う。
716名無しさん@ピンキー:04/10/31 03:52:47 ID:HQ/mK28l
個人的には読むと思うし、叩く気もないけど、前スレでの荒れ方を思うと微妙だなあ。

あのころの熱い人たちがどれほど残っているか知らないけど。

ここって作家のとぎれる瞬間が必ずあるからそのタイミングをねらうとか。
717名無しさん@ピンキー:04/10/31 13:13:57 ID:tcJRcCWz
でも、レイプものやオリキャラを
書いてみたいという誘惑は
断ちがたいものがありますよね。
袋だたきが怖いからやらないだけで・・・・
                       化
718名無しさん@ピンキー:04/10/31 20:34:39 ID:tcJRcCWz
そういやあ、駄文浪人さんがすっかり現れなくなりましたが。

どう決着をつけるんだ!待ってるんだぞ!

お願い、早く何とかして・・・・・くしゃみが途中で止まった気分。
719江戸家化け猫:04/10/31 21:46:50 ID:8+8xmaHS
☆4年後Part2☆

「私、疲れておりますの。このドレス脱ぐの手伝ってくださるかしら」
「俺は、あんたの使用人じゃない。」
むっとした気持ちを隠す気もないように吐き捨てた。
「別に私は、あなたに何の用もございませんの。いつでも不法侵入で警察をお呼びしても
よろしいのですけれど」
柔らかな口調ながらも、直接的な脅しにさすがの松田も断ることはできない。嫌々ながらも
さやかの後ろに近づく。
「この首の所のホックを外せば良いんだな?」
と聞きながら首筋のホックを外す。髪を持ち上げたさやかのうなじの美しさに松田の手元が
おろそかになり、あまりの滑らかさに抵抗感のない布地がぱさりと松田の手から滑り落ちた。
ワインレッドの地に金刺繍を施した下着だけを身につけた後ろ姿が松田の前にさらされた。
持ち上げていた髪を落ろした。真っ白な背中にぬれた様に真っ黒な髪がさらりと広がる。 
”けつが半分出てるじゃないか”
後ろ姿だけからもスタイルの良さが見て取れる。ハイヒールをはいているものの、遙かに
背が高い松田と脚の長さは変わらない。上背こそ無いがスーパーモデルのようなシルエット、
幼児体系で見ようによってはややずんぐりした印象すら与える柔とはとても同一階級とは
思えない。もっともそれほどはっきりと柔の身体を眺めたことがあるわけではない。
「亭主以外の人間に下着姿を晒すなんてどういうつもりだ。」
松田は、下着姿に、いや、さやかそのものに目が引かれる誘惑と必死に戦っていた。
「庶民の目まで気にしていられませんの。」
そういうとくるりと松田の方へ振り返った。その姿を見た松田はまるで腰が抜けたかのように
へたり込んだ。
720名無しさん@ピンキー:04/11/01 13:13:02 ID:AnZP1Oci
>>714
YAWARAのエロパロは女性も参加しているので、
女性の敵!レイプは相応しくありません。
721名無しさん@ピンキー:04/11/01 15:25:21 ID:AJbvC4/D
酷く独りよがりな意見ですね。
俺もレイプ物は苦手だけど。
722名無しさん@ピンキー:04/11/01 16:24:14 ID:SO626bnj
>721
はげどー。
私も女で松田&柔萌えなのでレイープ物は悲しいのであんまりだけど、
書きたい人は書いて良いと思うし、読みたくないのなら読まなければいいとおもう。
ただ全ての人が嫌だと言うなら空気よんで書かないほうが良いと思う。
でも、少なくとも>720のような独断的な意見に仕切られる必要はないと思う。
723「某バニラ娘とその彼氏」の投稿者:04/11/01 17:55:11 ID:GNK3Dysv
>714様。

 正直な話、自分は読みたくないです。絶対に!
 
 ただ、読みたい方もいるらしいのであくまで妥協案として。
(そう、あくまで渋々ながら。本当はそんなのあっちでも書いて欲しくない)
 陵辱物専用スレッドなる物もあるようなので、そちらを利用されれば良いかと。
 んで、読みたい人向けに、こっちにアンカーを貼っておくと。(本当は嫌だが)

今のところここらしい(ううっ、嫌だ貼り付けるのも気持ち悪い・・・)

【レイプ】鬼畜陵辱投下専用スレ【スカトロ】
http://idol.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1083240192/

 正直、女を(男もだが)いたぶるのは好かん。

 連載を滞らせて何を言うかという向きもありましょうが、
スレッドの急を要する話にて、あえて通信します。

 ではまた急速潜航・・・。
724「某バニラ娘とその彼氏」の投稿者:04/11/01 18:27:56 ID:GNK3Dysv
714様。

もし上記の勧告を無視し、ここのスレッドに投稿されるような事があった場合、
必要と思われるあらゆる手段を直ちに行使する覚悟にて、その点良く留意
されたい。

署名 「某バニラ娘とその彼氏」の投稿者

副署 美坂栞
   相沢祐一
   美坂香里
725名無しさん@ピンキー:04/11/01 19:06:25 ID:2EvIzfGk
お前アホか
726「某バニラ娘とその彼氏」の投稿者:04/11/01 19:19:29 ID:GNK3Dysv
少々言い過ぎたかも。すみません。
727名無しさん@ピンキー:04/11/01 20:47:47 ID:sQM/9irU
>>某バニラ娘とその彼氏さん
副署 三坂栞・相沢祐一・三坂香里って
誰っすか?
728名無しさん@ピンキー:04/11/01 21:06:53 ID:/HLEGrKU
俺はそもそも某バニラ娘とその彼氏の作者さんが
いったい何を書きたいのかわからない時がある。
(イニシャル入りの会話形式の書きこみとか・・・・。)
俺ってかなりバカかな?
729名無しさん@ピンキー:04/11/01 22:01:35 ID:FJEJ4oz3
いつまでも嬉々としてしょうもないネタを引っ張る方がおかしい
730名無しさん@ピンキー:04/11/01 22:06:58 ID:SCIrFN6q
で、結局このスレには何人ぐらい常駐してるんだ?
731名無しさん@ピンキー:04/11/01 23:39:20 ID:GNTCQfVK
ROMですが松田×柔以外はイヤ
732名無しさん@ピンキー:04/11/02 07:52:10 ID:nedV4X6z
>>728
会話形式のところを読むと、ロンブーに出てきたカップルを思い出す・・・・。
もしやバニラさん・・・・・。
733江戸家化け猫:04/11/03 21:30:16 ID:sRZs7P53
意外と人がいるんですね。しかしレイプ物を書くかもと言うだけでこれだけの
反響があるんですね。

☆4年後Part2☆
「む、む、胸、でっでっ出てる・・・」
言葉が文章にならない。さやかが身につけていたブラジャーは、バストを支えるだけの
1/4カップ、豊かなふくらみの上にやや赤みを帯びた薄い色のバストトップが露出している。進之介なら
初めて見たとしても、瞬時にスリーサイズを見抜き、胸の美しさに感嘆したことだろう。
が、動揺しきった松田には、柔より大きいと言うことしかわからない。誘惑に負けて視線が
滑らかな腹部を通り抜け、下腹部に吸い寄せられる。
「けっけっけ・・・」
別に笑っているわけではない。尻が半分出てると思った小さな下着の前面はレース地が大半を
占めていた。そのレースを通してさやかの真っ白な下腹部を陰毛が彩っているのが目に映る。
興奮しきった松田は酸欠になった魚のようにあえぐだけだ。実際に酸欠になっていたかもしれない。
「あの小娘と比べてあまりの神々しさに感動なさっているのね。まあ、もっとも私とあのちんけな小娘と
比較するというのも可哀相という物、ほーほっほほ。」
「そんな目で柔さんを見たことは無い!」
松田はやっとの思いでそれだけを言い返すが、腰が抜けたままであることに変わりがない。さやかは、
その様子をさげすんだ様子で眺める
「もし、どうしても私が欲しいというなら、土下座してお願いしてご覧なさい。考えてあげてもよくってよ。」
そこまで言われ、ようやく我に返り、その場に立ち上がった。
「ふざけるな、俺には柔さんがいるんだ。柔さんに比べればあんたなんか、ただのわがまま娘だ。
あんたこそ俺に抱いて貰いたければ頭を下げて頼んで見ろ。」
沈黙が流れる。歯を食いしばったさやかの顔が目に入る
734江戸家化け猫:04/11/03 21:35:58 ID:sRZs7P53
☆4年後Part2☆

”やばい言い過ぎた。肝心の頼み事すらまだ言ってない。”
松田がそう思った瞬間、さやかはテーブルの上にあったビデオテープの山を床の上に突き崩し、
そして崩れ落ちるように座り込んだ。
「これは?」
松田が遠慮がちに訊ねる。
「進之介さんが撮った、猪熊柔の試合やテレビ出演を集めたテープ・・・」
「ちっ、風祭のバカよけいなことをしやがって。」
松田が吐き捨てた。その時、やや下を向いたさやかの頬を涙がつたい、そして、
ぽたりとビデオの上に落ちた。
「だれもかれも猪熊柔、猪熊柔。私は本阿弥という名前だけの、何の価値もない女だというの?」
絨毯の上に身を投げ出し泣き崩れる。ただでさえ女に弱い松田のこと、まして涙を見せられると
何とか慰めたいという気持ちが強くなる。
 おずおずと傍らに寄り添い、そして震えている肩に手を置く。
「泣くな。なんて言って良いか分からないけど、とにかく泣くな。」
しかし、さやかの嗚咽は止まらない
「あの、あんたに価値がないなんて事はない。いまだって、苦しいぐらいどきどきしているし・・・」
当然の事ながら、反応はない。
「その、風祭が忘れられないのも、あんたが、いや、さやかさんが柔さんにこだわっているからじゃないか。」
さやかが顔を上げ松田を見つめる。思わず松田は目をそらす。松田なりの不器用な嘘だった。
進之介が柔に惹かれていることにさやかは関係ない。純粋に柔という人間そのものにひかれて
いるのだろう。しかし何かさやかの力になるようなことを言ってやりたかった。
  さやかにもそれが嘘だと言うことは分かっている。いつも周りを取り巻いている人間なら
もっと上手なうそをつくだろう。何より自分自身が柔に対するこだわりを捨てることなどできるはずが
無かった。普段のさやかなら、くだらないと一言の元にはねつけただろう。しかし心が折れかけたいま、
松田の不器用な思いやり、不器用だからこそ伝わるあたたかさにすがりつきたかった。傍らに寄り添う
松田の肩に顔を埋める
735江戸家化け猫:04/11/03 21:39:32 ID:sRZs7P53
☆4年後Part2☆

「さきほど・・」
「えっ、さっき?」
「抱いてほしければ、頼めと言いましたね。私を・・・私を抱いてくださる・・・・?」
再び松田があわてふためく。
「ば、ば、馬鹿なこと言うんじゃない、君には風祭が居るじゃないか。俺にだって柔さんが・・
そんな裏切ることなんか・・」
さやかの肢体をあわてて引き離す。松田を見つめるさやかの目に涙が溢れる。
「今まで言ったことは嘘だったと?やっぱり私は・・・。」
「うそなんかじゃ・・・」
「裏切らなくてもいいの。ただ、猪熊柔を忘れさせて。」
そういうとさやかは松田を押し倒し、唇を求める。いつもは、巧みな進之輔にリードに任せきりで
自らが求めることなど無かった。しかし、自分から燃えたい、我を忘れて乱れたい、そんな想いに
とらわれていた。さやかの舌が松田の唇を割り、そして舌を捜す。松田は、経験したことのない
濃厚なキスにとまどう。よもやさやかがそのような行動を取ろうとは考えもしていなかった。
半ば呆然としてなすがままに任せていた。
  が、ようやく我に返ってきた松田の、その脳裏に柔の顔がちらつく。
「だめだ。」
身体をもう一度引き離した。松田の瞳をさやかがのぞき込む。その目に涙がよみがえる。女性遍歴を
重ねた進之介ですら心を動かしたさやかの涙。松田にあがらうすべはなかった。もう、拒むことも
突き放すこともできない。松田の腕から力が抜ける。   
”今日だけはさやかのために。”
松田は思う。しかし、欲望に負けたのではない、といいきる自信はなかった。
736江戸家化け猫:04/11/03 22:04:48 ID:sRZs7P53
あの、ごたごたしてる最中にこそこそっとお願いなんですが・・・・
>678でもちょろっと書いてるんですけど、前書きそびれたフクちゃん話を書いちゃだめかな?
もしスルーで許してもらえるんなら、ちょっとだけ欲求不満を解消したいんですけど・・・・・・
737三佐衛門@306:04/11/03 22:52:31 ID:t+eQmFUz
>>化け猫さん
ぜひぜひお願いします
738三佐衛門:04/11/03 22:53:13 ID:t+eQmFUz
「これでよしっ」
夏休みの朝、洗濯して綺麗になった柔道部の柔道着を干し終わった柔は、大きく伸びをした。
「さて、勉強しなきゃ」
全国の大学進学を目指す高校三年生たちと同じように、柔の夏休みは勉強漬けで、既に一週間が過ぎている。
二階への階段を上がりかけたとき
プルルルル…プルルルル…
「あ、電話だわ」
柔は電話の置いてある玄関へと向かう。
カチャ
「もしもし」
「あっ、柔さん?」
「あら、安井君。どうしたの?練習は?」
「練習はやってますよ。実は、道着をあと3着ばかり洗濯してもらえないかと思いまして…」
「ええっ!」
(さっき洗濯したばかりなのに!)
「ダメですか?」
「…いいわ。今から取りに行ってあげる」
「ありがとうございます!お手数かけます」
「じゃあ、今から行くから、練習しとくのよ」
カチャ
「ふう」
受話器を置くと、思わずため息をついた。
(しかたないわね)
柔は制服に着替えるため、二階の自分の部屋へと向かった。
739三佐衛門:04/11/03 22:53:45 ID:t+eQmFUz
「みんなちゃんと練習してる?」
学校の道場へとやって来た柔だったが、二年生4人の気の入っていない練習風景を見て、思わずそんな風に声をかけた。
「ちゃんとしてますよ。あ、この道着をおねがいします」
柔は柔道着を受け取ると、用意してきた紙袋に入れる。
「暑かったでしょ。お茶でもどうです?」
みんな集まってきて休憩となる。柔は安井からお茶の入ったコップを受け取ると、一気に飲み干した。
「ホント、暑かったわ。今日は花園くんは?」
「花園さんは、進路指導で今日は来ません」
「じゃあ、須藤くんは?」
「須藤は補習です」
「あら、みんなは大丈夫?」
「大丈夫ですよ。なあ?」
他の3人も「うんうん」と頷く。
「よかった。じゃあそろそろ帰るわね」
「もう帰るんですか?」
「うん。帰って洗濯して、勉強しなきゃ」
立ち上がろうとした柔だったが
「うっ…」
激しいめまいに襲われ、手を畳についてしまう。
「どうしたんですか、柔さん?」
安井が心配そうに聞いてくるが、顔がにやけている事に柔は気が付かない。
「ちょっと…めまいが…」
「大丈夫ですか?」
畑山が心配そうに聞いてくるが、やはり顔がにやけている事に柔は気が付かない。
「大…丈……」
ばたっ
気を失って倒れてしまった柔を、4人がにやけた顔で取り囲んでいた。
740三佐衛門@306:04/11/03 22:54:06 ID:t+eQmFUz
試しに作ってみました。続きはまだ作ってません。
自分としては嫌な内容なら読まなければ済むと思うのですが。
741名無しさん@ピンキー:04/11/04 01:52:24 ID:YY4PdxTz
>自分としては嫌な内容なら読まなければ済むと思うのですが。
自分も同意見ですが前置きくらいはしっかりした方がいいかと思います。
前置きレス→投下という流れ、といった具合に。

スレ汚しですがどの人の作品も楽しみに読んでますから。
742三佐衛門@306:04/11/04 20:22:41 ID:dSX606tb
>>741
今回は読んで貰おうと思って、あえて前置きを入れていません。

ところで聞きたいのですが、738-739の続きを
@ぜひ読みたい
A投下されたら読む
B投下されても読まない
あるいは
C投下して欲しくない
D投下しやがったら荒らす
どれでしょうか?

自分的にはBです。レイプものって面白いと思った事、無いんですよね。
743名無しさん@ピンキー:04/11/04 20:38:28 ID:5w4pCBj5
自分もBですね。読まないというか読めないです。
744名無しさん@ピンキー:04/11/04 22:38:26 ID:eeDOyJzM
Aかな
前スレのあれだって読んだもの・・・・・

しかし、すごい反響。こんなに人いたのね。
745江戸家化け猫:04/11/05 00:12:02 ID:wjZK9cl+
☆4年後Part2☆

さやかは、再び松田を抱きしめると後ろに倒れ込んだ。下からバスローブのひもをゆるめ、
はだけさせる。吸血鬼のように首筋に吸い付く。そして松田の耳にささやく。
「胸を吸って。」
「ああ。」
松田はうなずくとさやかの豊かな胸に顔を埋めた。ぎこちない松田の愛撫に、風祭以外の
男性経験がないさやかにすら、経験に乏しいことが感じられる。しかし、今のさやかにとって、
技巧を感じさせないことがむしろうれしい。
「そんなことであの小娘は、悦ぶの。」
松田に一瞬の不快感がよぎる。しかし、背徳感をうち消したいが為に憎まれ口を叩いている
ことぐらいは松田でもわかる。 
さやかが松田の頭を抑えながらずり上がる。
「あそこを・・・」
松田は、ワインレッドの下着を巻き込むようにおろした。下着に使用していたのかふわりと香水の
香りが漂った。かなり濃く豊かな恥毛があらわになる。手入れが行き届いているのだろう、
その範囲は狭い。請われるままに舌をさやかの女性自身に走らす。が、どこに何があるかも
わからずただ闇雲になめている。さやかの濃い毛が口の中にざらついた。
一方さやかは、松田のぎこちない舌によって、下腹部から広がる柔らかな快感に浸っていた。しかし、
”もっと深く”快感の要求にさやかは、松田の頭を下腹部に押しつけた。強まった感触に一層の
興奮が巻き起こる。気持ちが高ぶったさやかは思わず身体を回転させ松田を組み伏せる。 
首筋から胸元に舌をはわす。無意識のうちに進之介の行動をなぞっている。胸から腹そして
下腹部までさやかの唾液が光の筋を描く。
746名無しさん@ピンキー:04/11/05 00:13:45 ID:z/q1k7/8
6.機種依存文字使いやがって!荒らす!

嘘ごめん。2.5。苦手だから読まないけど投下されてもいいんじゃないかな。
747江戸家化け猫:04/11/05 00:16:09 ID:wjZK9cl+
☆4年後Part2☆

風祭以外では初めて見る男性自身に若干動揺を覚える。
”唇に含みたい。”
かつて無い欲望が心をしめた。無意識に手が伸び松田のペニスに手を添える。知らず知らずの
うちに顔を寄せていく。
 が、触れるか触れないかで動きが止まる。進之介にもしたことがない行為を他の男にしてしまったら。
進之介との間に残ったつながりが消え去る気がする。松田も同じ様なことを考えていた。
柔と関係を持ったとはいえそのようなことは未経験、さやかとそのようなことをすることは許されない。
「やっぱりやめよう。さやかさんには風祭、俺には・・」
”猪熊柔が居るというの”
その想いがさやかの心に火を付けた。
「大きなお世話・・これぐらいのことなんて事はありませんわ。」
目をつぶるようにして口に含む。さやかにとって無論初めての経験だった。上手なはずがない。
吸い付いているだけだった。さやかは匂いも感触も感じなかった。興奮が五感を鈍らせていた。しかし
その一方で、一抹の後悔が胸をよぎっていた。
 松田とて、風俗での経験がないわけではない。しかし、あのさやかが、自分の局部を口で愛撫している
という事実に脳髄を刺激された。松田は、悲鳴を上げるように
「さやかさん、やめてくれ、とても耐えられない。」
と腰を浮かせる。さやかとの行為で射精に至ること、ましてさやかの口にということは松田の倫理感が
許さないところではあったろう。
 さやかは、自分のしたことが松田に悦びを与えている、そして、それ以上に恐らく柔とは交わしていないで
あろう行為を自分が先にしていることがうれしかった。いまは、一刻も早く松田を受け入れたかった。
しかし素直にそれを言えるさやかではなかった。
「なんてだらしない。たかがこれぐらいのことも耐えられないなんて。もう良いわ、おいでなさい」
そういうと、松田の傍らに胸と秘部を手で隠すように、横たわった 。今さらながら羞恥心がよみがえる。
 上になり、自ら迎え入れたいという欲望もあった。でもそれ以上に、松田から求めて貰いたかった。
さやかは、口調と裏腹に不安にさいなまれていた。やはり自分は何の魅力もないわがままなだけの娘、
いや、人妻なのではないか、松田は来てくれるのだろうか。目を閉じて待った。
748名無しさん@ピンキー:04/11/05 00:38:52 ID:ALhraFGK
意見を求めるための試作品ということでしたか・・。
自分としては1.5・・、純なエロパロ、ちょっと醜いエロパロ、
エロパロになってないエロパロ、どれも読みたいです。
まぁここにいると獣扱いされそうですし、
本人が嫌いということですので続きは諦めます。
749職人さん応援age:04/11/05 00:40:01 ID:PiXhtKvi
俺は、か2か3ですね。
(最初に感情移入とかできれば読ませてもらいますw)

ただ、職人さんは無償で書いてくれてるわけなんだから、
ROMの人は自分が気に食わないからって
”書くな、うざい”みたいなのはどうかと思う。
書いてくれてる人がいるから、
成り立ってる分けだし、
わざわざ書いてくれるだけでも有難いことだと思う。
750名無しさん@ピンキー:04/11/05 00:53:46 ID:wjZK9cl+
間違いなく読むんですけど、柔道部の後輩にというのは寂しい。
751名無しさん@ピンキー:04/11/05 05:58:40 ID:A9izYwe7
俺は>>749さんとほぼ同意見なんだけどな。
レイプモノでも内容による。
もしそのようなことがあっても松田の包容力で
最終的に愛と絆が深まるような内容のモノなら読んでみたい。
752江戸家化け猫:04/11/05 20:35:31 ID:b97CjI+w
☆☆4年後☆☆

 内股にひやりとした空気が流れる。そして、松田の脚が割り込んでくるのを感じた。
”来てくれた。”
ほっとした、いやむしろ弾んだ気持ちで目を開ける。暗くなってきた部屋の中でじっと
松田が見つめているのが目にはいる。
「本当に良いのか。」
松田がぶっきらぼうな口調で訊ねる。
”後悔するのはあなたの方ではなくって?”
という憎まれ口がのどまででかかった。しかし、もしそれを言えばきっと松田は
思いとどまってしまうだろう。
「よけいな心配はしてくださらなくて結構。」
その返事を待っていたかのように、松田の男性自身がぐっと押し込まれる。
そしてさやかの中に滑らかに滑り込む。十分に潤っていたのだろう。
 松田は、たたきつけてくるように腰を往復させる。その不器用な行為がいつも進之介と
交わす以上に快感をたかめる。自分の意志とは関係なく、いや欲望のとおりに松田を
締め付けていくのを感じる。そして締め付ければ締め付けるほど快感を高めていく。 
753江戸家化け猫:04/11/05 20:38:18 ID:b97CjI+w
☆☆4年後Part2☆☆

「もっと!」
さやかは自分が自分が口走っていることに気づかない。松田の背に立てた爪が8条のすじを描く。
 松田もさやかのぬくもりを感じ、そしてその薫りに包まれることにより既に自制することは
できなくなかった。松田の腰の動きがスピードを増す。からみついてくるようなさやかの女性自身に
まるで吸い込まれるような感覚を抱いていた。時折強くなる締め付けに、快感が背筋を走る。
限界を迎えつつあることを感じた。
「もうだめだ、がまんできない。」
身体を離し、抜き去ろうとした。
「だめ、このまま。」
思わずさやかが口走る。体の中まで、松田のあたたかさを感じたかった。このまま外に出されたら、
ただ快楽のためだけに肌を交わしたことになるという思いがさやかの心を占めた。
「このままで居て。お願い。」
ようやく素直な気持ちから言えた言葉だった。さやかはそういうと力の限り松田を抱きしめた。
下からとはいえ、さやかにつかまれば動くことはできなかった。新たな密着感の高まりとともに、
全身で感じたさやかの肌の柔らかさにその快感は既に限界を超えていた。
「うっ。」
一瞬松田の身体がこわばったかと思うと、さやかの上に重さがかかる。
”きっと進ちゃんなら、こんなことはしない。最後までスマートに・・・。”
やがて硬さを失った松田の男性自身がさやかから押し出される。それと同時に松田の精液が
こぼれ落ち、尻までつたっていくのを感じた。でも、不快に感じることは無かった。それが、
全力で自分に接してくれた証なのだ。
754三佐衛門@306:04/11/05 21:29:48 ID:L810cvxE
たくさんのレスありがとうございます。
なんか平均すると2.5ってとこですね。判断に困ってしまいます。しかも皆さん難しい事をおっしゃるw
話の続きは考えていますが、柔は救われてないです。ヤられっぱなしでも無いですが。
正直、どんな内容なら救われた事になるのか、難しいです。PTSDなんてのもあまり理解できてないですし。
少なくとも投稿を否定されるような事は無いようなので、もうちょっと様子を見てから判断したいと思います。
>>714さんの参考になったでしょうか?

化け猫さんの話はなにげにすごい事になってますね
755名無しさん@ピンキー:04/11/06 07:27:58 ID:EkH1+SYV
>754
たぶんこのスレでは1までさかのぼっても初めての組み合わせと思います。
初のチャレンジという事で大目に見てください。

松田さんの人の良さと弱さを浮き上がらせるにはこの組み合わせが、
と思ったものですから・・・・
                                             化
756名無しさん@ピンキー:04/11/06 12:12:09 ID:Vhbv9ROs
>737
三佐衛門さん、本当に大丈夫かなあ?
このところのレイプ談義を見てると少し不安。
オリキャラ主体の話しだし、柔は完璧ちょい役だし・・・・・・

                        化け猫
757714:04/11/06 15:05:26 ID:7w9u2bGg
否定的な意見が多いようなので、ここでの公開やめておきます。
お騒がせしました。
758714:04/11/06 15:08:20 ID:7w9u2bGg
>>724
くだらない脅しだな(w
そのあらゆる手段とやらを是非実行してもらいたい。
なんか、一期に興ざめした。こういうバカがいるスレなのか・・・
しかも、鍵のキャラ使っているとは。
イタイ鍵ヲタの典型的なパターンだな、こりゃ。
759名無しさん@ピンキー:04/11/06 15:19:11 ID:5zFuwJdf
>758
お気を悪くなさらず。2chですから。
レイプ物以外でも(わたしはレイプ物でもいいんですけど)upしてください。
760三佐衛門@306:04/11/06 18:22:26 ID:d2IiErks
>>755
柔以外と松田さんが関係する話はなかなか難しいと思いますが、頑張って下さい。
>>756
「12年後」のフクちゃんは、完全に化け猫さんのオリキャラだけど、読んだ人は特に否定しなかったと思うので
大丈夫ですよ。自分は楽しみにしてます。
>>714
また気が向いたらお願いします。
761江戸家化け猫:04/11/07 01:20:27 ID:/De8EG1I
☆☆4年後Part2☆☆

 進之輔との不確かな関係の中で不安と戦っていたさやかは、熱い思いで接してくれた
松田といつまでもこうしていたいという気持ちに囚われていた。そして、その心地よい重さを
感じていたかった。
”でも、これ以上こうしていたらあの小娘に返すのが辛くなる。今でも・・・”
いっそこのまま柔から取り上げてしまえばと言う気持ちが湧き上がるのを抑えるのは
難しかった。いまだ進之輔の心を捉えているあの小娘のおもちゃを取り上げ、失意の底に
落としたい、という嫉妬心、そして進之輔の浮気に対する怒りから松田を誘惑した。しかし、
どう手を尽くしても柔から自分に振り向くことはないだろう事は、もうわかっていた。
 さやかは後悔していた。それは、軽率に関係を持った事に対してではない。柔に対する
嫉妬心が一層強まった自分に気がついたからだった。松田の身体を押しのけ立ち上がる。
「そろそろ洗濯物が乾いた頃、お帰りの時間よ。」
そういいながら、先ほど脱ぎ捨てた下着と同色のガウンを羽織る。朦朧としていた松田だが、
声をかけられて我に返った。今日来た目的はこんなことをするためじゃない。
「さやかさん、あの保・・」
「そんな話は今聞きたくありませんわ。明日またあの保育園に伺います。」
そういうとインターフォンで松田を送るよう徳永に指示をした。やがて徳永が部屋に来ると
さきほどと同様連れ添われて部屋を後にした。
  部屋に一人残されたさやかは自分と松田が作った絨毯のシミの傍らに座り込み、それが
徐々に冷えていくのをその手で感じていた。

 翌日、松田と柔は今日子が働いている保育園を再び訪れた。今日子はやはり元気がない。
まるで柔道部に入部する前に戻ってしまったようだ。その様子に松田も柔も口が重い。
「昨日話し合いはうまくいったんですか?」
柔は不安げに訊ねるが、本当のことを言えるわけもない。
「努力はしたんだけど・・・」
芳しくない返事に、空気がいよいよ重くなる。
762名無しさん@ピンキー:04/11/07 12:25:24 ID:P8ncQqmj
>760
お言葉に甘えて今回のが終わったら様子を見ながら、
こそーと始めたいと思います。
                               化
763名無しさん@ピンキー:04/11/09 11:04:12 ID:V/htYIw6
(´・ω・`)
764江戸家化け猫:04/11/09 21:15:04 ID:/xGTQSXj
☆4年後Part2☆

 その空気がよどみきったところに本阿弥家のロールスロイスが乗り付けてくる。
3人が立ちつくしている前に乗り付けると、昨日同様場違いなドレスを着込んだ
さやかが降り立った。並んで立っている柔と松田に複雑な感情のこもったまなざしを
投げかけた。が、他の人間が気がつく前に、いつもの表情に戻った。そして、
いつもどおりの口調で声高に語りはじめた。
「私どもの土地にこのような小汚い建物が建っているなど本阿弥グループの不名誉というもの。」
「なに!」
松田がにらみつける横で、キョンキョンの頬から涙がぽたりと垂れた。
「とはいえ、建物つぶすためだけにお金をかけるほど酔狂じゃございませんの。」
それだけ言うと振り向かずに去っていった。
「つまり・・・」
柔が首をひねる。
「保育園は無くならないって事よね?良かったのよね?本当に良かったね!」
今日子の手を取って小躍りする。今日子の目から涙があふれ出す。
「松田さん、ありがとうございました。」
震える声で言うと松田に抱きついた。松田は、嗚咽でふるえている今日子を
なだめるようにその背をなでた。その様子を見ていた柔の瞳が少しかげりを帯びた。
「・・・」
今日子が何か言ったようだが、松田にも柔にも聞き取ることができなかった。
765江戸家化け猫:04/11/09 21:16:03 ID:/xGTQSXj
☆4年後Part2☆

「もう大丈夫です。」
今日子は、そういうと見慣れた幸薄そうな笑顔を浮かべた。
「あのお嬢さんが絡んでくると、話がやっかいになるからがんばれよ!」
そういうと柔を振り返った。
「さあ、帰ろうか。」
松田がバイクにまたがった。柔も、松田の後ろに乗り込むと
「また遊びに来るから。頑張ってね。」
そう言って小さく手を振った。

その帰り道・・・
「さっきキョンキョン、なんて言ってたの?」
松田の背中に話しかける。
「いや、聞こえなかった。」
「そう。」
何か思うところがあるような口振りで生返事をする。
バイクのエンジン音だけが響く。
「ねえ、松田さん。」
「なんだ?」
「もう他の人をあんな風に抱きしめたりしないで。」
少し思い詰めたような口調で柔が言った。松田が誰に対しても見せる優しさに、
不安を感じたのかもしれない。胸にとげが刺さるような思いをしながら松田が言い訳をする。
「だってキョンキョンじゃないか。それに抱きしめるってほどの・・」
「でもいやなの。」
そういうと、松田の気持ちを確かめるかのようにいつまでもその背中に顔を押しつけていた。
766江戸家化け猫:04/11/09 21:22:20 ID:/xGTQSXj
エーと、とりあえず今回のはこれで終わりです。

みんな弱い人だったのね、と言うのを昼メロタッチに書いてみたかったんですけど、
そうそううまくいきませんね。

人間だんだんわがままになっていくのを感じる今日この頃ですが
また次もよろしくお願いします。
767名無しさん@ピンキー:04/11/09 21:51:27 ID:uq5YkDqu
面白かったです。サンクス!
768名無しさん@ピンキー:04/11/09 22:20:27 ID:A6KBPL/z
お疲れ様でした、面白かったです。
松田さんは色々無意識なのがいいところでたちが悪いところですね。
769三佐衛門@306:04/11/09 22:32:55 ID:kiougKag
>>化け猫さん
弱さを出した話はあまり無いので、新鮮に思えますね。

実は、いつも明るいフクちゃんの弱い面を出した話を作ろうかと思っていたのですが、
上手くまとまらなかったので諦めてしまいました。また柔メインででも考えてみようと
思います。
770名無しさん@ピンキー:04/11/11 20:30:08 ID:zF30rZYo
>767,768
最近はここでおもしろいと言ってもらることが至上の幸せ。多謝。

>769
やはり松田・柔有っての変化球。待ってます。
フクちゃん話は近々やらせてもらいたいと思ってます。
771名無しさん@ピンキー:04/11/11 23:05:17 ID:zF30rZYo
妄想かの人は・・・・・・?
772名無しさん@ピンキー:04/11/11 23:09:21 ID:aEvDBzX8
773柔オタク:04/11/11 23:33:42 ID:aEvDBzX8
柔タン萌え〜
柔道強くてすごいのに
恋愛になると控えめっていうか臆病っていうか
鈍感っていうか自信なさげっぽいとこが萌え〜
ギャップに萌え〜

風祭から松田に心が移るところも萌え〜
最初は外見のカッコヨサで風祭に惹かれるも
その後ホントに自分を見守ってくれてるのは
松田って気づくところに萌え〜
最初から松田の人間性を見抜くようだと萎え〜
共感もできないよー

受験日の手をしばるとことか、不敗神話、
泊まっていくか、萌えー
松田さんがいなくて不調になる柔タン萌え〜
とまっていこうかなっていう柔タン萌え〜
いつも”松田さん、あたし・・・”で
セリフがとぎれる柔タン萌え〜
774773:04/11/11 23:38:57 ID:aEvDBzX8
あたしと松田さんなんて全然かんけいないもんって
むきになって否定する柔タン萌え〜
好きなんだね・・・柔道がって羽衣課長にいわれて
勘違いして赤面する柔タン萌え〜

最高のプレゼント、松田さんにばったりあって
安堵感からか泣いちゃう柔タン萌え〜
21巻の表紙、22巻の第1話の扉絵の
足伸ばしてる柔タン萌え〜

最終回の抱き合う所も萌え〜
あたしも”ずっと”好きだったのセリフ萌え〜
”ずっと”っていうのが二人の6年間を
表してる感じで萌え〜
775773:04/11/11 23:44:30 ID:aEvDBzX8
松田さんも萌え〜
一生懸命っていうかいつも走っているっていうか
落ち着きのないところ萌え〜
ずっと柔タン一筋なのに萌え〜

奥手で不器用なところも萌え〜
本心と違って、うっかり記事のためっていっちゃって
後から後悔する松田さん萌え〜

いつも服装一緒なの萌え〜
鴨田に麻雀の負け分払ってないのに萌え〜

とまっていくかでお茶を噴出すのに萌え〜
パンチラ写真を部屋に飾るのに萌え〜

でも、最終回の告白は一番の萌え〜
あと、柔タンと松田さんのお母さん二人も萌え〜
タイプは違えどいい味を出してる母親だねー
776名無しさん@ピンキー:04/11/12 00:18:04 ID:MMmedpW6
以降何事もなかったかのように再開
777名無しさん@ピンキー:04/11/12 00:22:00 ID:zRZAjT2m
もうええ〜
778名無しさん@ピンキー:04/11/12 00:28:20 ID:0BZFlLVl
うーん、なんて平和だ・・・・・・
779名無しさん@ピンキー:04/11/12 21:34:08 ID:8w6mt2Lo
意外と大長編のプロローグだったりして・・・・・
780名無しさん@ピンキー:04/11/13 06:27:14 ID:pou+i9Wy
連張はちょっと気まずいな・・・

       イ         ヒ
781三佐衛門@306:04/11/13 18:30:32 ID:+V8dxaqM
>>780
そろそろ新ネタをお願いします。


…人の事は言えないですねw
782江戸家化け猫:04/11/13 22:51:26 ID:5uVZfBj7
 エーと、今度は、ほぼオリキャラ物です。いつもどおりほぼエロ無しです。私のわがままです。
本来はよそのスレに落とすべきだと分かってはいるんです。『気の強い・・』とか、
『エロくない・・・』とか。でも、どうしてもこのスレに愛着があるものですから、ひとつ
お許しねがいます。許せなくてもせめてスルーしていただければ・・・。

 ただ、もし保守ついでに読んでやろうと思う奇特な方がいらっしゃるならば、このスレの
前の方にある、三佐衛門さんの『2004年の女たち』、『富薫子12歳、柔34歳(続き含む)』
および私がupしました『12年後』を見てフクちゃんが成長するとこんな女の子になるんだと
洗脳されてから読んでいただければ幾らかは、耐えられるのではないかと思います。

 話としては、時は今年、猪熊家の柔道場を舞台にした昔の少女漫画風ラブコメまがい
(言ってみればご都合主義の嵐)と言うところを書けたらいいな、と思っています。
このスレにそぐわないかもしれませんが。実は私はこれを一番書きたかった(つまり、
読んでくれる人のことをあんまり考えてないかもしれません)。
 あ、長い前ふり申し訳有りません。それでは「FUKUKO!(続12年後)」を始めさせて
いただきます。


わがままな割に弱気な江戸家化け猫でした。

783江戸家化け猫:04/11/13 22:54:02 ID:5uVZfBj7
★★FUKUKO!★★(続12年後)」

「あー、きつかった。」
バレーボール部の練習が終わり、冨薫子とチームメートの一人がロッカールームに
入る。2年生でレギュラーになっているのは彼女と富薫子と二人きりだ。セッターとして
アタッカーの富薫子とコンビを組むことが多い。セッターという役柄のせいか、普段から
直感で行動する富薫子の尻ぬぐいをさせられることも珍しくない。が、それでも
気が合うのか、一緒に遊びに行くことも多いようだ。お互い格闘技好きと言うこともあり
女だてらに、二人で後楽園ホールに行くことも少なくない。

 靴を履き替えようと体育館の下駄箱を開けた。ぱらぱら、と封筒が落ちる。
「またラブレター?」
少しうらやましそうに冨薫子に問いかける。
「たぶんね。でもこれだけラブレターが来るのに一度も面と向かって告白されたことって
ないのよ。どうしてかしら?」
数多く来るラブレターもほとんど読まれずにゴミ箱行きとなる運命だ。
「そりゃあ、冨薫子が怖いからでしょう。」
「私のどこが怖いって言うのよ?」
冨薫子が口をとがらす。
「昨日だってクラブの1年生の男の子をけっ飛ばして泣かしたでしょう。」
「だってあんまりぐずぐずしてるから。それに蹴っ飛ばすって言ったって、ちょっと突っついた
だけじゃない。」
冨薫子は正当性を主張した。が、
「あんたのちょっとは普通の人と違うんだから。この間の筋力測定だって、高校男子の
トップクラスと変わらないって驚かれてたじゃない?」
あっさり却下される。
「たまには誰か告白してくれないかなあ。こう苦み走ったナイスミドルなんか・・・。」
松田や滋伍郎ですら手玉に取る富薫子にとって、同級生は子供に見えるのだろう。
784江戸家化け猫:04/11/13 22:56:43 ID:5uVZfBj7
★★FUKUKO!★★

「花園先輩!」
いきなり後から呼び止められる。
「ああ、びっくりした。いきなり後から呼ばないでよ。」
ぶつぶつ言いながら振り返ると、初めて見る浅黒い小柄な男子生徒が立っている。
もっとも、自分のクラスの生徒以外ほとんど覚えていない。
「何の用?」
「つ、つきあってもらえないでしょうか?」
寒気を感じているかのように、震えている。
「どこに?保健室?」
冨薫子の後頭部がはたかれ、ポニーテールがはねる。
「痛いじゃない、なにするのよ!」
富薫子が傍らのチームメートに文句を言う。
「なに言ってるの!告白されてるのよ!」
「だれが?」
言わずもがなのことを聞き返す。
「富薫子が。」
「どこで?」
「ここで。」
「なんで?」
「好きだからでしょ。」
「誰を?」
「富薫子をって、私は文法の試験してるんじゃないの!」
「す、好き?私を?そんなこと急に言われたって。」
予告つき告白など有るわけがない。が、冨薫子が急にあわて出す。
「わ、私じゃなくたって良いでしょう。えーと、ほらこの子のほうがかわいいわよ。」
横のチームメートを押しだそうとする。が、
「馬鹿なこと言ってんじゃないの。せっかく待ち望んでいた告白でしょ、ちゃんとするのよ。」
日頃の言動から、この少年が富薫子の好みとは違うと思ったのだろう。からかうように言うと
あっさり冨薫子を見捨てて体育館の外に出ていった。
785江戸家化け猫:04/11/13 22:58:56 ID:5uVZfBj7
★★FUKUKO!★★

「ちょっと待ってよー。」
2,3歩追いかけるが、その少年を見捨てていくのも気が引け、結局相手をするはめになる。
「だいたい、あんた誰よ?!」
驚かされた腹いせに口調がきつくなる。
「1年b組の野々村忠裕です。」
冨薫子の剣幕に少しおどおどしながら答える。
「1年生なら同級生にいい子いっぱいいるでしょう?」
「やっぱり年下だからだめなんですか?」
悲しそうな目で冨薫子を見つめる。
「いや、だめとかそういう事じゃないんだけど・・・・」
「じゃあ・・」
少し表情が明るくなる。
「ほら、こんな図体の大きい女より小柄なかわいい子だっていっぱい・・・」
違う理由を考える。
「やっぱり僕がちびだから嫌なんですか・・・」
また、意気消沈した表情に変わる。170cm以上ある冨薫子と比べて頭一つ小さい。
「だから嫌とか、そういう話じゃなくて・・・」
口は悪いが、根は気のいい富薫子のこと、出来たら後輩を傷つけたくはない。
「だったら・・・」
すがるような目をして冨薫子を見る。
「だってあんた、私のこと何にも知らないでしょ。昨日だって1年生の子を泣かしてるのよ?」
相手が気に入るいらない以前に考えもしていなかった場面での告白に動揺している富薫子は、
逃げ出したい気持ちでいっぱいだった。
786三佐衛門@306:04/11/14 12:21:33 ID:zWa6/ezl
ずいぶん気の弱い彼だなぁw

どんな関係になっていくんだろう

まさか…、まさか、まさか!!
787江戸家化け猫:04/11/14 20:23:45 ID:IpmYaUU1
>786
今回は何のひねりもありません。まあ、じゃあ他は、と言われると困るんですが・・・

★★FUKUKO!★★

「知ってます、道場の入口からいつも見えますから。バレーをしている花園先輩がとても
颯爽としていて・・・」
冨薫子が遮る。
「道場って、あんたクラブは・・・」
「柔道部です。」
「ふーん。」
冨薫子にいたずら心が芽生えてくる。たまには柔や滋伍郎以外の人とも柔道をしてみたい。
「柔道部じゃいけませんか?それならクラブを辞めたって・・・」
「そんな事言ってないでしょう。じゃあ、判ったわ、柔道部なんでしょ?柔道で私から
一本とれたらつきあってあげる。」
冨薫子の言葉に忠裕はむっとする。
「いくら先輩がバレーボールで鍛えているって言ったって、僕は男です。柔道部です。
負けるわけないじゃないですか。」
知らぬが仏。馬鹿にされたと思って少しふくれた表情を浮かべた。
「そんなの判らないじゃない。身長だって私のが高いじゃない。それともバレーボールで勝負する?」
バレーボールでは勝ち目がないことは言うまでもない。
「道場空いてるんでしょ?私の着れそうな柔道着準備してよ。」
忠裕は自分が告白したことも忘れ仏頂面をしていたが、これで勝つことができればつきあって
もらえると言うことに気が付く。
「じゃあ、道場に行きましょう。」
柔道場へ先に立って歩き出した。
788江戸家化け猫:04/11/14 20:28:14 ID:IpmYaUU1
★★FUKUKO!★★

道場に着くと予備の柔道着を冨薫子に渡す。
「ちゃんと洗濯してある?」
冨薫子は軽口をたたきながらバレーボールのユニホームの上から柔道着を着る。
その手際の良さに、素人でないことに気が付くべきであったろう。が、色々な意味で
頭に血が上っている忠裕は気が付かなかった。
「じゃあ、勝負ね。」
「手加減しませんよ。」
威勢よく言っって組み手をはじめる。が、滋伍郎仕込みで、体格、体力も遙かにまさる
富薫子にかなうわけがない。手加減しないと威勢よく言ったは良かったが、手加減している
富薫子に良いようにもてあそばれている。
「どうしたの?手加減しないんじゃなかったの?」
”こんなはずじゃあ。”
手も足も出ないことに、忠裕の焦りが高まり、疲労感がふくれあがる。
富薫子もしばらくからかっていたが、飽きっぽい性格だけに、すぐに終わらしたくなって
きたようだ。すっかりスタミナの切れた忠裕に富薫子が笑いかける。
「じゃあ、内股を教えてあげるね。」
そう言ったかと思うと、内股を仕掛ける。忠裕は予告つきの技を防ぐこともできずに
一瞬で一回転させられる。富薫子の技のあまりのスピードに受け身をとることもできず
青畳にたたきつけられた。
「どう?・・・あ、失神してる!」
柔や、滋伍郎相手に使っている技を中学生相手に使えば怪我の一つもしなかったことの方が
奇跡だ。あわてて頬をたたいて起こそうとする。忠裕がもうろうとした表情を浮かべながら
目を開ける。
「あ、先輩。ぼくどうしたんでしょう。」
「ごめんね、つい本気出しちゃって。」
初心者に毛が生えた程度の下級生に得意技を出してしまったことを後悔する。
789名無しさん@ピンキー:04/11/14 20:31:36 ID:IpmYaUU1
★★FUKUKO!★★

「わかったでしょ?こういう人なの、私は。他にきっといい人いるから・・・ね。」
気絶までさせてしまったことに気が咎め、何とか逃げだそうとする。忠裕は下を向いて
押し黙った。そして思い詰めたように富薫子に詰め寄る。
「先輩。柔道教えてください。強くなって告白したいんです。」
富薫子の眉がぴくりと動く。
「今度は誰に告白する気なの?」
少しばかり言葉に刺がある。たった今逃げようとした割に、浮気されたような気分に
なっているようだ。
「あの、花園先輩に・・・。」
また自分の名前を出され複雑な気持ちになる。
「馬鹿じゃないの。なんで私が私をやっつけようとしてる奴に柔道教えなきゃいけないのよ!」
「だめですか。」
先ほどと同様うるうるとした瞳で富薫子を見つめる。今にも涙がこぼれそうだ。親分肌な
ところもある富薫子は、泣き付かれるとめっきり弱い。
「わ、わかったわよ。教えてあげるからそんな目で見ないでよ。私がいじめてるみたいじゃない。」
忠裕の顔に喜びが溢れる。
「がんばります!」
「頑張りますって、頑張って私に勝とうって言うんでしょ・・・。」
気乗りしない顔でつぶやく。
「その代わりね、私に勝つまでパシリだからね。後悔したって知らないわよ」
「焼きそばパンでも牛乳でも買いに行ってきます。」
嬉々として返事をする。一体日頃どんな生活をしているのだろう。
「はあ。いいわよ、別にそんな事してくれなくたって。」
冨薫子は思わずため息をつく。
「じゃあ、コロッケパン?」
「何もしなくて良いっていってるでしょ!今度の土曜日、北下沢の駅に来なさい。」
790名無しさん@ピンキー:04/11/16 00:57:31 ID:g8xiqtmQ
男のモデルは五輪三連覇のお方ですか。
791江戸家化け猫:04/11/16 22:56:57 ID:u/VCtuP6
>790
(3連覇+初代いいとも青年隊)÷2に水泳夫婦をちょっとシーズニングといったところですね。。
792江戸家化け猫:04/11/16 22:59:29 ID:u/VCtuP6
★★FUKUKO!★★

そして土曜日、待ち合わせの時間に少し遅れて富薫子が駅に着く。
「花園先ぱーい!」
先に来ていた忠裕が少し離れた改札口近くから富薫子を呼ぶ。
「大きい声出さないの、みんなが見るじゃない。」
「ごめんなさい。」
身を縮める。
「どれくらい前から来てたの?」
「たいしたこと無いです。」
が、その応対で相当前から来ていたことぐらいは富薫子もわかる。遅れたことに少し気が咎める。
「時間どおり来ればいいからね。」
「すみません。」
「いちいち謝らないでいいの!」
「ごめんなさい。」
「はあ、疲れる・・・。いいわ、ついてきなさい。」
富薫子が仏頂面をして歩き出す。忠裕がおそるおそる後ろから声をかける。
「花園先輩・・・。」
「なあに?」
ぶすっとした口調で答える。
「何か怒ってます?」
「当たり前でしょう!せっかくの土曜日をあんたのために潰さなきゃいけないんだから。」
振り返って当たり散らす。
「すみません。」
申し訳なさそうに謝る。
「だから謝らなくっていいって言ってるでしょ。私が決めたんだから・・・」
793江戸家化け猫:04/11/16 23:03:18 ID:u/VCtuP6
★★FUKUKO!★★

 しばらく歩いた後、結構な構えの門をくぐり抜ける。かすれてよく読めない
『なにやら整骨院』という看板と、真新しい松田という表札がかかっている。
おなじみの猪熊家兼ねて松田家だ。富薫子は滋伍郎の道場を借りて練習
させようと思っていた。学校の道場で下手に噂になることは避けたいのだろう。
「道場借りるわよ!」
富薫子が母屋の方に声をかけて道場に入っていく。
「さっさと着替えなさいよ。」
「どこで?」
富薫子の前で着替えるのは恥ずかしいようだ。
「ここで着替えれば良いで・・・」
富薫子は言いかけたが、自分も着替えなければいけないことに気づいたのだろう。
「あんたは外。覗かないでよ。」
そういうと忠裕を外に追い出し道場の入り口をぴしゃりと閉めた。

「おや、珍しい。友達と来たのかしら。」
居間で、テレビを見ながら柔がつぶやいた。
  しばらくすると、道場からズバン、ズバンという投げをうっている音、そして男の子の
ものとおぼしい悲鳴が響いてきた。1時間ほどたった後、急に道場が静かになった。
「一体どうしたのかしら、ちょっと様子を見てこないと。」
タオルと飲み物を持って道場を覗く。
「一息ついたら?」
見ると肩で息をついている富薫子の足元に少年が大の字になって倒れている。
794江戸家化け猫:04/11/16 23:05:39 ID:u/VCtuP6
★★FUKUKO!★★

「大丈夫?」
柔が忠裕の様子を確認する。
「大丈夫です、先ぱ・・・。あっ。」
自分をのぞき込んでいるのが富薫子ではなく柔であることに気が付くと飛び起きた。
「ぁ、ぁ、あの、い、猪、猪く、熊、柔さんですか?」
忠裕は入り口の表札がかすれていたためにここが猪熊道場であることに気づいていなかった。
「ええ。猪熊じゃなくて松田だけどね。」
微笑みかける。忠裕はあわてて道場の隅に置いていたばんからノートとマジックを取り出す。
「僕、猪熊さんの試合見て柔道始めたんです。あの、サインください!」
柔道をやっている人間にとって柔はアイドルそのもの。いや、むしろ伝説の存在に近い。
「サイン・・・。」
柔は少し困った顔をして富薫子を見た。が、冨薫子は、イタズラっぽい笑いを浮かべそっぽを
向いている。渋々ノートに楷書で松田柔と書き込む。
「貴重品よ、本当の直筆サインは。スポーツ新聞とかテレビ番組でのサインプレゼントって、
ほとんど私が書いた物なんだから。」
「それは内緒の約束でしょ!」
秘密をバラした富薫子をにらむ。しかし忠裕は、お世辞にも上手とは言い難い柔のサイン、
というより署名を眺めてうれしそうだ。字のうまい下手は感激に影響を及ぼさないらしい。
  が、その表情を見ていた富薫子は徐々に面白くなさそうな顔つきになる。
「練習はじめるわよ。」
忠裕の襟首をつかみ道場の中央まで引きずっていく。
「助けてー」
忠裕が悲鳴を上げる。
「怪我しないように気を付けなさい。」
笑いながら言うと道場を出ていった。
795三佐衛門@306:04/11/17 21:54:42 ID:UFoIErFd
『2004年の女たち』のなかで、フクちゃんの携帯にかかってくる電話の相手が
野々村君という可能性はあるのかな?
796江戸家化け猫:04/11/17 22:32:24 ID:PfN1zYLO
>795
>「どうせ女友達でしょ」 
>「柔おばちゃん!ウルサイ!」 
と言うやりとりを見ると柔の言うことは図星だった、という可能性が高いと思います。
きっと相方のバレー部員じゃないかな?
797三佐衛門@306:04/11/18 21:18:58 ID:3fDtt1xK
>>796
なるほど。
って、自分の作った話なんだけど、特に電話の相手は考えてなかったので…。
798江戸家化け猫:04/11/18 21:50:40 ID:bk3X4NhM
>797
前読んだときに誰からかかってきたのかなあって考えたんです。

796に書いたように女の子からかかってきたんだろう。でも、あわてて部屋から出てった
ところを見ると親に言えない話ができる相当仲のいい友達なんだろう。
柔の発言に対してかなり感情的に返しているところを見ると、男の子からかかってくるのを
本当は期待してたんだろう。にもかかわらず月見をする時間になってもかかってきてない
と言うことは、彼氏はきっと気が弱い男の子なのかな?

ざっと、こう考えたわけです。これがまあ今回の登場人物の基本コンセプトになった訳で・・・・・。
799江戸家化け猫:04/11/18 22:02:07 ID:bk3X4NhM
★★FUKUKO!★★

 土曜日毎の練習が2ヶ月も過ぎた。近頃は待ち合わせ場所も松田家
(猪熊家と言った方がいいのかもしれないが)の居間になっていた。時間に
ルーズな富薫子にいつも駅で待たされることに柔が同情してのことだった。
が、今日は珍しく、富薫子の方が先に来ている。忠裕はクラブの練習が長引いて
いるらしい。30分ほど遅れて、忠裕が駆け込んできた。
「来週の対抗戦の選手に選ばれました!花園先輩のおかげです。」
息堰を切って富薫子に報告する。
「すごいじゃない。がんばったわね。」
柔は手放しで誉める。が、富薫子は
「あんな弱い柔道部の代表になったってめでたくも何ともないわよ。」
と面白くもなさそうに言う。
「なに言ってるの。あなただってレギュラーになったのは2年生になってからでしょ。
どんなクラブだって1年生で代表に選ばれるのは大変なのよ、ねえ。」
一度落ち込みかけた忠裕が、柔の一言でまた元気を取り戻す。その様子が富薫子には
また面白くない。
「忠裕!練習はじめるわよ、来なさい。」
また襟首をつかむとひきづる様に部屋を出ていく。
「助けてー」
「怪我しないようにね。」
柔が笑いながら手を振る。土曜日毎に繰り返される風景だった。

800江戸家化け猫:04/11/18 22:03:33 ID:bk3X4NhM
★★FUKUKO!★★

「おにぎり3つ作るぐらいで、いつまで台所に入っているのかしら。」
1時間たっても台所からでて来ない冨薫子に、心配になった柔が
台所を覗く。台所のテーブルの上におにぎりが15コほど、皮をむいた
リンゴが5コテーブルの上に並んでいる。その、さまざまな大きさと形が、
あまり器用ではない富薫子の悪戦苦闘ぶりを表している。
「こんなにいっぱいおにぎり作ってどうするの?」
「ねえ柔さん、どれが形整ってると思う?3つ選んで。」
富薫子が並んだおにぎりをにらみつけている。
「気持ちの問題なんだから、形なんかどうだっていいのよ。」
「コーチとしての威厳の問題よ。おにぎりも作れないって言ったらかっこわるい
じゃない。」

忠裕が11時近くに顔を出す。冨薫子は、もったいぶって弁当の包みを渡す。
「片手間で作ったからちょっと形悪いかもしれないけど、わざわざ作って
あげたんだから感謝しなさい。」
横で、意味ありげに含み笑いをしている柔の足を踏みつける。
「試合が終わったら、ちゃんと電話よこすのよ。」
少しだけ不安げな目をした。
「しっかりね。必ず勝てるわ。」
柔も励ます。
「ありがとうございます。がんばれそうな気になってきました。」
そういうと忠裕は、おにぎりの包みを大事そうに抱えて試合に出かけていった。
801江戸家化け猫:04/11/18 22:06:36 ID:bk3X4NhM
★★FUKUKO!★★

忠裕が出ていった途端、富薫子は急にそわそわと落ち着かないそぶりを示す。
「そんなに気になるんなら応援に行ってあげれば?こっちが落ち着かないわ。」
「別に気になんかしてないわ。それに私が行ったからって勝つ訳じゃないもの。」
そんな会話をしているときに電話が鳴った。富薫子が電話に飛びつく。
「もしもし。・・・え、松田さん?今忙しいの。かけて来ないで!」
電話を叩き付けるようにして切る。
「松田さんも本当に迷惑なんだから・・・。」
冨薫子は、腹立たしげに口走る。そのふくれっ面に柔が遠慮がちに話しかける。
「あのう、フクちゃん。それうちの電話なんだけど・・・・。」

4時間ほどたった頃、ようやくお目当ての電話がかかってきた。とりあえず1回は
勝てたらしい。
「まあまあって所ね。」
電話を切ると、それまでの落ち着きのなさはどこへやら、さも当然といった風をよそおう。
「この間まで素人だった子が勝ったんだからたいしたものよ。お弁当作った甲斐が
あったわね。」
富薫子は返事をしなかった。が、鼻歌交じりに帰っていったところを見ると、
満足しきっていることは間違いない。

  その日、猪熊家の夕食はおにぎりだった。
「なーんじゃ、晩ご飯がおにぎりか?」
滋悟郎が少し不満そうをこぼす。
「フクちゃんの為よ。我慢して。ちゃんと豚の角煮もつくったじゃない。」
802名無しさん@ピンキー:04/11/19 06:32:39 ID:Ksy/8mW8
松田さんからの電話を速攻切るフクちゃんワラタ
803三佐衛門@306:04/11/19 19:52:54 ID:rH9PhQHP
>>798
自分の作った話が、化け猫さんの物語の下地になっているとは、嬉しいです。

なんか姉弟みたいな関係だけど、フクちゃんの彼氏に昇格する日は来るのかな?
804江戸家化け猫:04/11/19 20:37:06 ID:EA8lTOTb
>803
いっさいひねりませんから・・・・・・
805江戸家化け猫:04/11/20 03:35:17 ID:bt1TlpUG
★★FUKUKO!★★

 練習を初めて半年も過ぎようかという土曜日、いつもどおり居間に顔をだした忠裕に
柔が声をかける。
「あ、忠裕君。フクちゃんね、後1時間ぐらい遅れるから先にトレーニングしててって。」
「そうですか。」
ほっとしたように、しかし少し寂しそうに言うと道場に歩いていった。
 15分ほどたった頃、トレーナー姿の柔が道場を覗く
「どう?少しは強くなった気がする?」
「僕センス無いんでしょうか、こんなに練習してもまだ花園先輩から一本もとれないんです。」
ただでさえ気弱そうな忠裕がいよいよ自信なさげに言う。
「それはしょうがないわよ、あの子本当に強いもの。お母さんよりは間違いなく強いわ。」
「お母さん?」
首を傾げる。
「知らないと思うけど、バルセロナオリンピックの銅メダリストよ。」
「銅メダリストより強い・・・」
呆然とする。
「お父さんだって柔道の選手よ。」
「ひょっとして去年の全日本4位の・・・」
「そう、花園薫。私の同級生。」
忠裕は崩れ落ちる。
「そんな強かったなんて。言ってくれればいいのに・・・・。」
「何でフクちゃんに柔道習おうと思ったの?」
常々思っていた疑問を口にする。柔道をしていることは秘密にしておけと滋悟郎から
言われているはずだ。
「1本でもとれたら付き合ってくれるって。」
動機が不純と思われたくなかったのだろう、少し言いづらそうに答える。
”もう付き合ってるみたいなもんじゃないの、他人の家を使って毎週デートして。
かなり歪んだデートかもしれないけど。あの子もつまらない意地張るんだから。”
自分のことは棚に上げ苦笑する。
806江戸家化け猫:04/11/20 03:45:25 ID:bt1TlpUG
★★FUKUKO!★★

”じゃあ、フクちゃんの恋のお手伝いでもしようかな。”
「普通にやっても勝てないわよ。いいこと教えてあげる。あの子内股が得意なの。でもね、
癖で少し沈みながらこうやって入って来るの。その時、こーんな感じで右手を巻き込みながら、
こう腰を入れて一気に一本背負いに行くの。」
身振り手振りで実演してみせる。
「やってみて、私がフクちゃんの役やってあげるから。」
「でもいいんですか?道着も着ていないのに。」
「心配いらないわ。行くわよ。」
奥襟を取りに来る柔の手を取り一本背負いを決める。
「そう、そのタイミング。」
あまりにきれいに決まった技に忠裕は自分で感動する。
「こんなきれいに投げれたのはじめて・・・」
「上達してるのよ、自信持ちなさい。」
無論、柔の投げられ方が上手なせいだ。
「もう、ちょっとやってみようか。」
3回ほど技をかけたときだろうか。すっぽ抜けた感じになり忠裕が前につんのめった。
「あれ?」
手元を見ると柔のトレーナーが手の中にある。柔は、と見るとこちらも何が
起きたんだろうと言う顔をしてきょとんとしている。どうも投げたふしにトレーナーだけを
引っ張ってしまったらしい。が、トレーナーが忠裕の手の中と言うことは、柔の上半身は
ブラジャーだけ、そのブラも胸の抵抗がないのが災いしたのか、かなり上までずり上がっている。
「あの、柔さん、胸が出て・・・。」
「胸・・・?きゃっ」
あわてて後ろを向いて下着を直す。
807江戸家化け猫:04/11/20 03:55:56 ID:bt1TlpUG
★★FUKUKO!★★

「わかった?今のタイミングで技をかけるのよ。チャンスは1回だからね。」
恥ずかしさを隠すように柔道の話をする。
「はい。」
富薫子以上にあこがれ存在である柔の胸を見てしまった興奮と言うより焦り。
柔にしてみれば、たとえ子供とは言え見られてしまった恥ずかしさ。二人とも
真っ赤になって下を向いたまま目を合わすことができない。
「富薫子に私が教えたって言っちゃだめよ。焼き餅妬くから。」
「僕にですか?」
信じられないと言うように首を横に振る。
「生まれたその日から見てる私が言うんだから間違いないわよ。」
「そうでしょうか?」
柔は思う。
”みんな鈍感なんだから。”
みんなのうちに自分は入っていない。
「あとね、うちの夫にも内緒よ。」

「ごめん、遅くなっちゃって。」
1時間ほど遅れて富薫子が来る。見ると道場の隅に真っ赤になった忠裕が座り込んでいる。
「熱有るんじゃないの?」
前髪をあげ額を合わせる。一瞬の後、目が合い、間近に顔をつきあわせていることに気づく。
「なによ、熱なんか無いじゃない。心配させて。」
忠裕に合わせたように富薫子も赤くなっていた。
808江戸家化け猫:04/11/20 04:03:36 ID:bt1TlpUG
★★FUKUKO!★★

「さあ、練習はじめるわよ。」
きっと照れくさかったのだろう、少しぶっきらぼうに言うと、練習を始めた。
いつものように、忠裕の悲鳴が道場にこだまする。
 しかし、富薫子は思う。
”今日は妙にしぶといわね。”
それはそうだろう。柔に必殺技を伝授されたと思っているのだ。いつもとは心の張りが違う。
”じゃあ、久しぶりに。”
最初に失神させてから内股は使わないようにしてきた。が、富薫子も、忠裕が相当上達した
と感じているのだろう。遠慮なしに内股を仕掛ける。富士子の姿勢が一瞬沈んだ。
”き、来た!”
えーと沈み込んできたから右手を取って、と忠裕が思った瞬間、既に身体が宙に浮いていた。
そしていつものごとく畳にたたきつけられる。
 道場の入り口で盗み見をしていた柔があまりの技のキレに思わず目を覆う。
”やっぱり漫画みたいにはうまくはいかないわね。まあ、私でも逃げられないときが
あるんだから、しょうがないわ。さて、フクちゃんのために次の技を考えなきゃ。”
つぶやきながら母屋に帰っていった。

”あ、やりすぎた。”
富薫子があわてる。当初に比べれば見違えるように上達していたとはいえ、手加減無しの
富薫子の技を受けられる域には達していなかった。柔を相手しているのと同じ感覚で
やれば大抵の人間は失神するだろう。
「ちょっと、だいじょうぶ?」
「大丈夫れす・・・。」
ヨロっと立ち上がる。失神せずに立ち上がれたのは、練習の成果だろう。が、目の焦点が合っていない。
809江戸家化け猫:04/11/20 04:11:48 ID:bt1TlpUG
★★FUKUKO!★★
「ちょっと一休みしましょ、ね。」
「平気です。」
少しよろめきながら富薫子に近づく。富薫子は気が気ではない。
「怪我するってば。危ないの!」
忠裕の足がもつれ、前に倒れ込む。
「だから危ないって、言ってるで・・・。」
その時何かにつかまろうとした忠裕は、たまたま目の前にあった冨薫子の
胸を無意識のうちにわしづかみにした。
「きゃっ」
さすがの冨薫子も思わず後ろにのけぞる。富薫子に逃げられ一層バランスを
崩した忠裕は思わず富薫子の足にしがみついた。
のけぞっていた富薫子は足を押さえ込まれたため、身動きがとれずそのまま
真後ろに倒れ込む。後頭部と背中をかなり激しく打ち付けた。
「痛ー」
富薫子が痛みから我に返ると富薫子の足を抱え込み、下腹部を枕のようにして
頭を乗せてきょとんとしている忠裕の姿が目にはいる。
「あのー、これって諸手刈りで一本・・・ですよね。」
ぶすっとした表情を浮かべた富薫子は返事をしない。
「やっぱりだめですか・・・。」
すこし残念そうに言う。
「一本でいいわよ。」
相変わらず面白くなさそうな顔つきのままで言う。
「えっ」
「一本でいいって言ってるの!」
半ばおこった様な口調で繰り返した。
「じゃあ・・・・・付き合ってもらえるんですね!」
「約束は守ればいいんでしょ!」
そう言うと、そっぽを向いた。忠裕はこの日が来たら真っ先に頼みたかったことを口にする。
「先輩、あの、キスしても・・・」
「嫌。」
810名無しさん@ピンキー:04/11/20 12:53:56 ID:m87YxhbB
わがまま放題してすみません。
あと2回ぐらいでけりをつけますので・・・・・

次書くときは普通のにしますので許してください。

                           イヒ
811名無しさん@ピンキー:04/11/20 16:59:52 ID:vCiNMJaC
猫様

正直はじめは???と思ったのですが(スミマセン)
楽しみに読ませて頂いております。
がんがってください。
812江戸家化け猫:04/11/21 02:48:37 ID:iVK/4C7B
>>811
>???と思ったのですが(スミマセン)
?と言うよりボケ・カス・間抜けとののしられてもしょうがない行為だと自覚はしているのですが・・・
わがまましてスミマセン。 
813江戸家化け猫:04/11/21 02:54:49 ID:iVK/4C7B
★★FUKUKO!★★

 富薫子は皆まで言わせなかった。
「そうですよね。いきなりなんてダメですよね。やっぱり本当は僕なんかじゃ・・・・。」
忠裕は、心底落ち込んだ表情で下を向く。感情の起伏が実にわかりやすい。
「私の彼氏になるつもりなんでしょ。だったら、二人の時は先輩って言わないで!」
怒ったような口調で言う富薫子に忠裕は少し動揺しながら尋ねる。
「じゃあ、なんて呼べば・・・」
「富薫子でいいわ。」
「でも、呼びつけなんて・・・」
「じゃあ、フクちゃん。」
忠裕は”フクちゃんフクちゃん”と口の中で繰り返す。
「あのー、じゃ、フクちゃん、キスしても良い?」
「うん。」
硬い表情で頷いた。横になったままでいる富薫子に寄り添う。忠裕はおそるおそる
唇を重ねる。勝ち気な富薫子でも目を開けている事はできなかった。
 コツッと前歯がぶつかった。それを合図にしたかのように唇を離した。恐らく接していた
時間はほんの一瞬だったろう。その一瞬のためにどれほど二人とも苦労したことか。
富薫子がまぶたを開ける。
「もっと早く勝って欲しかったのに。」
「すみません。」
くせになっているのかまた忠裕が謝る。しかしそれは、無い物ねだりというものだろう。
腕の差を考えれば忠裕が勝てるわけがない。今日の勝ちも富薫子がいいと言っただけで
とても一本と言える物ではないだろう。
「私、何度もわざと負けようと思った・・・・。もう意地を張りたくない。何も隠したくない。」
起きあがり座ると柔道着の帯をほどいた。
「せっ先輩、そっそんな何を・・・」
「先輩じゃない!」
「あ、あのフクちゃん、だって今日初めてつき合い出すわけだし・・・そんな無茶な
・・・その、あっあっ!」
忠裕がおたおたしている間にも、冨薫子はTシャツを脱ぎ捨て上半身裸になる。
814江戸家化け猫:04/11/21 03:00:49 ID:iVK/4C7B
★★FUKUKO!★★
「私、前から決めてたの。今日とは思ってなかったけど。私ずっと不安だった。
年上だし、おおざっぱだし、わがままだし、ごついし。きっと、本当の私のこと
知らないで好きになってるんじゃないかなって。だから・・・・・・・、変だってわかってるの。
でも、私の気持ち判って貰うのにこうするのが一番良いと思ったから・・・・・。」
そう言うと、少しためらいながらも柔道着の下と下着をを一緒に脱ぎ捨てた。バレーと
柔道に打ち込みほとんど日焼けしていない真っ白な身体が、ほのかに朱く染まっている。
思いこみの激しい行動は、花園と富士子の遺伝だろうか。忠裕は目を上げることが出来ない。
「お願い、私のこと、見て・・・。」
富薫子が少しうつむいて言う。忠裕はおそるおそる顔を上げる。既に富薫子は何も身に
つけていなかった。
「おかしくない?」
富薫子ががらにもなく不安げに尋ねる。物心ついたころから滋悟郎と柔に鍛えられ、そして
バレー部でもしごかれたせいで脚が筋肉質で太いのが悩みの種だった。中学生としては
少し毛深いのもコンプレックスだった。子供の頃から同級生の男の子にからかわれたい
身長も嫌だった。しかし、同性の柔ですらうらやむようなバランスのとれた肉体に忠裕の目は
釘付けになっていた。というよりも、この半年間あこがれ続けていた先輩の裸体を見てすべての
思考が停止していたと言った方がいいのかもしれない。
「きれいです。」
それだけ言うので精一杯だった。
「ありがとう。」
富薫子の緊張が少しだけとけたようだった。
「あのう、先ぱ・・・じゃなくてフクちゃん。僕も脱いだ方が・・・?」
富薫子は首を横に振る
「私がどうしても見て貰いたかっただけだから。私の気持ちをわかって貰いたかっただけだから。
そのうち、もし決心できたら・・・・そのとき。」
815江戸家化け猫:04/11/21 03:03:03 ID:iVK/4C7B
★★FUKUKO!★★

「ぼ、僕、半年前初めて先輩を見たときから僕のことを知って貰いたいって・・・。」
そう言うと帯をほどき、しかしこちらは少し躊躇しながら柔道着を脱いだ。まだ鍛え上げられたとは
言い難い身体を富薫子の前にさらした。富薫子は、まだ細い手足、薄い胸板にこれまでくわえた
しごきを少し後悔する。後悔する気持ちが富薫子に憎まれ口を叩かせる。
「そんな貧弱な身体でよく私に勝とうなんて思ったもんね。」
「だってフクちゃんがそんなに強いって知らなかったし。」
下を向いた。まだ毛も生えそろっていない、子供の形をしたペニスが、それでもめいっぱい自己主張
している。家族以外の異性の裸を初めてみたのだ。咎めることは出来ないだろう。
「忠裕、私のこと本当に好き?」
忠裕はだまってうなづく。
「私も!」
富薫子は力の限り忠裕を抱きしめた。

そのとき道場の入り口では柔がおろおろしていた。
”静かだから心配になって見に来れば、まったくもう最近の子供は。富士子さんに怒られちゃう。
でも途中ではいるわけにも行かないし。どうしよう・・・?”
忠裕が遠慮がちにたずねる。
「胸、さわっても良い?」
富薫子がうなずく。
「うん。でも胸だけじゃなくて、全部・・・。」
”全部ってどういう事よ!”
様子をうかがっていた柔が胸を押さえる。

816江戸家化け猫:04/11/21 03:07:52 ID:iVK/4C7B
★★FUKUKO!★★

 まだ幼さの残る胸をそっと手のひらで包む。富薫子の体がぴくりと震えた。
「どう?」
「ドキドキしてる。」
「当たり前でしょ。あたしだって男に人に見られるの初めてなんだから・・・。」
まだ張りと言うよりも堅さの感じさせる乳房だった。が、まだ何の経験もない忠裕には
何ものにも代え難いやわらかさに感じられた。その手が脇に流れ、そして下半身へ流れていく。
「あっ。」
こそばゆさだけではない何かに思わず声が出る。
 手が富薫子の肌の柔らかさを感じ取ろうとするように徐々にさがっていった。、もし他の女性と
関係を持っていたら、その張りつめた筋肉に驚いていたのかもしれない。しかし初めて接する
異性の肌のなめらかさと、練習後の清潔な汗のかおりに酔っていた。
  忠裕の手が下腹部に伸びる。が、富薫子の年齢のわりには濃くそして広く生えた秘毛に触れると
少し驚いたように動きを止め、そして方向を変えた。濃く生えていることにコンプレックスを
持っている富薫子はその動きに羞恥心を刺激される。しかしその気持ちが彼女にもう一つの決断を口にさせる。
「もし、嫌じゃなかったら・・・。」
二人の視線がぶつかる。
「一緒になりたい。」
「先輩、本当に・・・・?」
先輩と呼ばないでくれと言われたことをすっかり忘れていた。富薫子ももう咎めなかった。
 忠裕の問いに富薫子は小さく頷いた。経験のない忠裕は自分より大柄な富薫子に身を預けてしまう。
鍛えあげている富薫子でなければそれを我慢することが出来なかったかもしれない。
 脚を少し開いて忠裕の身体を誘った。それまで夢中で行動していた富薫子は、初めて富薫子は
不安にとらわれる。
”最初のときは、痛いって言うけど・・・、私、我慢できるかな。でも、私が不安そうな顔したら
忠裕は、もっと・・・。”
817江戸家化け猫:04/11/21 03:10:38 ID:iVK/4C7B
★★FUKUKO!★★

「忠裕、お願い。」
という言葉が思わず口をついてでる。来てほしいという願いなのか、それとも優しくしてほしいのか、
あるいは待ってほしいのか自分でも分からなかった。
忠裕は、幾度か挿入を試みる。が、その周囲をこするばかりで探り当てることが出来なかった。
「ちょっと待って。」
手伝ってあげなければ差し入れることはできないだろう、そう富薫子は感じた。自分自身も初めての
富薫子が恥ずかしさを押さえ、ペニスを導こうと手を添えた。が、それだけのことが引き金となって
しまったのだろう。
「あっ、先輩!」
「えっ。」
二人同時に声を発した。一瞬震えた後動きが止まる。冨薫子は太股と下腹部に暖かさを感じた。
肉体的な刺激より、ずっとあこがれていた富薫子と肌を接しているという喜びに絶頂に至ってしまった
のだろう。富薫子は忠裕の華奢な小刻みに震えている身体がいとおしく、思わず抱きしめていた。
「ごめんなさい。我慢できなくて・・・。」
消え入りそうな声で忠裕がまた謝る。
「しょうがないよ。二人とも初めてだったんだから。それに忠裕がよければ私それで・・・・。」
落ち込んでいる忠裕に頬をよせ慰める。
「でも、今度は先輩って言わないで・・・ね。」

”本当にどうしようかと思った。”
柔もほっとする。
二人が落ち着いたのを見計らって、柔が道場に入った。そのことに気が付いた富薫子と忠裕は
慌てて柔道着を羽織った。
818江戸家化け猫:04/11/21 03:17:29 ID:iVK/4C7B
★★FUKUKO!★★
「二人ともそこに座りなさい。」
柔が、少し厳しい目をして話しかける。
「別にあれしちゃダメこれしちゃダメとか言うつもりはありません。でもね、そういう事するときは
ちゃんと準備してからにしなさい。」
「準備って何よ。」
富薫子が気が付かれていた気恥ずかしさから、むくれた顔をして聞き返す。
「だから、その、コ、コン、コンド・・・・。」
30もとうにすぎているにもかかわらず、いまだにはっきりと言うのに抵抗がある。
「コンドームしなさいって言えばいいでしょ。」
富薫子がふてくされたように言う。
「そんな顔しないの、富士子さん達だって・・・」
「お母さんがどうしたの?」
”あ、言っちゃった!”
柔の顔に焦りが浮かぶ。まさか富薫子にできちゃった結婚と言うことをばらすわけには行かない。
「どうもしないわよ。えーとだから、富士子さん達だって心配するって言いたかったの。」
しどろもどろになった柔を疑わしげに見つめる。柔は思わず目をそらす。
「ふーん、で柔さん達最初の時はどうだったの?」
冨薫子の反撃に、動揺していた柔は思わず松田と関係を持ったときのことを漏らす。
「そ、それは、その、私たちだって初めてで緊張してたから、忘れ・・・。なに言わせるの!
関係ないでしょ!」
身を乗り出して聞いていた富薫子をはたこうとする。が、富薫子は身を翻して避けると
忠裕の手を引っ張って駆け出す。
「忠裕、逃げるわよ。」
「はいっ。」
手に手を取って道場から逃げ出した。
道場に残された柔はつぶやく。
「いいな、あんな中学生活送りたかったな。」
滋悟郎にしごかれた暗黒時代を思い出していた。
819江戸家化け猫:04/11/21 03:19:26 ID:iVK/4C7B
★★FUKUKO!★★

 クラブの練習を終えた富薫子が下駄箱を開けるとまたはらりと封筒が落ちる。
「こんながさつな女のどこが良いのかしら。」
いつもの相方があきれたように言う。
「ま、私の美貌かしら。」
富薫子はそう言いながら封筒を丸めてぽんと投げ捨てた。
「フクちゃん!」
振り返ると忠裕が立っている。
「あ、ただ・・・。」
返事をしかけるが、横にいる相方の不審そうな目に気がつく。
「フク・・・ちゃん?」
相方に二人の関係を知られるのは気恥ずかしい。
「先輩にフクちゃんとはなによ。出直して来なさい。」
目で謝りながら忠裕の尻を蹴り上げる。心は勧進帳の弁慶か。もっとも富薫子が
そんな物を知っているとは思えない。忠裕が涙目で逃げ出した。
後ろから低い押し殺した声で問いかけられる。
「富薫子、何があったの?」
「え、なにも・・・。」
富薫子が固まる。
「そう。」
次の瞬間コブラツイストががっちりと富薫子に極まる。
「私に隠し事できると思ってるの!さっさと白状しなさい!」
富薫子が悲鳴を上げる。
「わかったわよ。言うから許して!お願い。」
820江戸家化け猫:04/11/21 03:22:42 ID:iVK/4C7B
★★FUKUKO!★★
 富士子から柔に電話がかかる。
「ねえ、猪熊さん。富薫子に彼氏ができたみたいなの。」
いまだに富士子は柔のことを旧姓で呼ぶ。
「良かったじゃない。」
無責任に柔は言うが中学生の親としてはのんきに喜ぶわけにも行かないだろう。
「良くないわよ。猪熊さん何か知ってる?」
「フクちゃんはなんて言ってるの?」
「なんにも。」
「じゃあ、私も内緒。」
「猪熊さん!」
母親としては声を荒げたくなるだろう。
「ごめんなさい。でもね、悪い子じゃないから大丈夫よ。」
危うく初体験の現場に立ち会いそうになったことは内緒にしてあげるのが柔道の
師匠としての仁義というものだろう。
「猪熊さんがそう言うなら・・・・。だけど変なの。」
「なにが?」
少しばかり柔も不安になる。
”やっぱりあのあと経験しちゃったのかしら。やっぱり駄目と言っておくべきだったのかも・・・。”
富士子が続ける。
「あの子、電話口でどなってばかりいるのよ。打ち込み1万本やれとか、毎日50km走れとか。」
柔は頭を抱えた。
”何が彼氏よ。何にも変わってないじゃない!”

 そして12年後・・・・
「まさか、あのフクちゃんにしごかれてた子がこんなことするようになるとはね。」
柔が日刊エヴリーを見ながらお茶をすする。
「でも関係はあんまり変わってないみたい。」
初めて五輪で金メダルを取った富薫子の大きな写真の下に、押しつぶされるように
『野々村2連覇』と忠裕の記事が小さく掲載されていた。
                                             F i n
821スルーしてね。化け猫:04/11/21 03:42:37 ID:iVK/4C7B
  わがまましてどうもすいませんでした。

エーと毎度毎度の言い訳なんですが、どうしても書きたかったんです。
3ヶ月前うpした話の一部としてラフスケッチだけ作ったのですが、
煮詰められなかったのと話の都合上闇に消えていく運命でした。
話としては非常に愛着があったのですが・・・・・・
  が、三佐衛門さんが、一回限りの予定で出したオリキャラを復活させてくださった
ご厚意に甘えて、また登場と言うより主役にしてしまいました。
  3ヶ月前のプロットとしては、チームメイトとして出てきた子は、先輩でもっと
危険な関係にしようと思っていたのですがバランスの取りようがないのでやめました。 

  大きなイメージとしては寅さんが脇役風になった末期の”男はつらいよ”。
むろん柔が寅さんです。

  もう二度とこんなわがままな事しないので許してください。

                                             江戸家化け猫
822名無しさん@ピンキー:04/11/21 11:37:19 ID:06wJ0Pr0
お疲れ様でした。そんなに卑屈になるようなもんでもないと思うけど。
何度も何度もスルーしてとかすみませんとか繰り返す方がかえっていやらしいよ。
823名無しさん@ピンキー:04/11/21 16:27:32 ID:AlhcWw+z
フクちゃんのキャラ好きですし、面白かったですよ。
ほんとそんな恐縮されることもないと思うのですが…
主役の寅さんとリリィさんの方のお話もまた機会があればお願いします。
824名無しさん@ピンキー:04/11/21 21:48:50 ID:iVK/4C7B
>822
そのとおりだと思います。今後気をつけます。
とは言うものの、根がわがままな割に小心者なんでつい・・・・。
                                  化け猫
                     
825三佐衛門@306:04/11/21 22:28:58 ID:9/x2F53y
化け猫さん面白かったです。普通に続きが気になってました。
たしかにもっと自信を持って投稿されてもいいと思います。でも投稿する側になると、
かなり不安になりますよね。ぜんぜんわがままだとは思わないので、またフクちゃんの
話が出来たらお願いします。


前に予告していた、松田さんが帰ってきた時の話を、投稿しようと思います。
しかし、まだ完成していないので、間があく事があるかもしれませんがご容赦願います。
826三佐衛門:04/11/21 22:29:46 ID:9/x2F53y
「柔さん、もっと力を抜いて…」
「はい」
柔は返事をするが、力が抜けた様には見えない。
「…大丈夫?休憩する?」
「大丈夫です。慣れないと…、きゃっ」
「ひっ」
柔の悲鳴に松田の顔が引きつる。
「ま、周りをよく見て」
「はい」
4年間のアメリカ駐在生活を終え日本に帰国した松田は、成田から都心へと向かっていた。柔の運転する車で…。
「やっぱりちょっと大きすぎない?この車」
柔は成田まで迎えに来てくれたのだが、乗ってきた車は国産の超高級車だった。とても二十代の女の子が初心者マークを付けて運転する車には見えない。
「あたしも『小さな車でいい』って言ったんですけど、社長が…」
アトランタオリンピックの金メダルのお祝いに、会社に貰ったらしいのだが
(鶴亀の社長のヤツ、太っ腹な所を見せようと思って…)
で、免許をとって一ヶ月。初の長距離ドライブ且つ、高速道路走行に松田がつきあう羽目になった。
(でも実際、運転して慣れないとな。またどこかドライブに行くのもいいかも)
楽しみが出来たという点で、鶴亀の社長に感謝してもいいと思った。
真剣な表情(余裕が無いだけかも知れないが)で運転している柔の横顔を眺める。相変わらずの童顔だが
(すこし大人っぽくなったかな?)
「まもなく、左方向、出口です」
カーナビが高速の出口を案内するが
「………」
「…柔さん?」
「はい?」
「あの、出口…」
言っている間に通り過ぎてしまった。
「えっ、えっ?」
「大丈夫。次の出口で降りよう」
「ごめんなさい…」
(柔道してない時は、ちょっとボーっとしてるんだよな)
827名無しさん@ピンキー:04/11/21 23:14:23 ID:iVK/4C7B
話とは何の関係もないですが、柔にはとんでもない中古車に乗って貰いたいですね。

中古の小さな車だと安いだろうと思って値段も価値も判らず、バンプラを買ってしまうとか、
60年代のクーパーを買ってしまうとか・・・。それを見た松田が絶句して固まるなんてシーンも
おもしろそうですね。

国産高級車は、北海道へ一緒にゴルフ行った会社からせしめてそうなきがする。
828名無しさん@ピンキー:04/11/22 06:55:02 ID:CbR7p/by
>「柔さん、もっと力を抜いて…」
>「はい」
>柔は返事をするが、力が抜けた様には見えない。
>「…大丈夫?休憩する?」
>「大丈夫です。慣れないと…、きゃっ」
>「ひっ」

すみません。
ここまで読んだ時点で、変なことを考えてしまいますた。
車の運転中だったのね・・・。
829名無しさん@ピンキー:04/11/22 16:18:12 ID:h4mJVU7n
ノシ
自分も変なこと考えますた
830三佐衛門@306:04/11/22 21:38:26 ID:E6vLvsIs
>>827
バンプラいいっすね。確かにヨーロッパのコンパクトカーなんか似合いそう。
>>828,829
狙ってますたw

柔は自分の意志で運転免許を取りそうに無いけど、車を貰ったら取るかな?と思って書きました。
車はたぶんトヨ産自動車のセルシーマでしょうw
831三佐衛門:04/11/22 21:39:18 ID:E6vLvsIs
次の出口で高速を降りたあと、一般道を少し戻って日刊エヴリースポーツ編集部の前へとやって来た。会社が日本で生活す
るための部屋を用意してくれているはずだった。
「ちょっと行って来るから、柔さんは下の喫茶店で待っててよ」
「はい。早く戻ってきて下さいね」
柔に頷くと、ビルの中へ入っていった。

「おつかれさん。どうだった?」
編集部に入ると、編集長が労いの言葉をかけてきた。
「いやぁ、日本人メジャーリーガーには現地も大興奮でしたよ!」
「そうかそうか。お前の記事のおかげで我が紙も部数が伸びたよ。ありがとう。本当は帰ってこなくてもよかったんだがな」
「ちょ、ちょっと、編集長!」
「まあ明日、明後日と休みだから、ゆっくりしとけ」
(やっと日本に帰ってきたのに、二日しか休みをくれないのか。相変わらず人使い荒いな)
「ところで、部屋の方は?」
「あ…、それなんだがな…」
編集長は言葉を濁しつつ、松田のうしろを見る。
「耕作、お帰りー」
松田のうしろには、いつのまにか邦子が立っていた。
832三佐衛門:04/11/22 21:39:47 ID:E6vLvsIs
「やあ、加賀君、ただいま」
「耕作の部屋なんだけど、前に耕作が住んでたアパート手配したのよね」
「いや、別に今更あんなボロアパートで無くても…」
「だけどねー、手違いで部屋が空くのが来月なのよ」
「えっ!それじゃ、今日寝る部屋は?」
「ごめん、無いの」
「……ホテルを手配してくれるとか?」
「手配します?」
邦子の言葉に編集長は大慌てで首を振る。また変な部屋を手配されて自腹を切らされたら堪らない。
「じゃあどうすれば…、鴨田は?!」
編集部内を見渡すが、鴨田の姿は無い。
「鴨ちゃんは秋季キャンプの取材でいないわよ」
「ええっ!」
「悪いが、自分でなんとかしてくれ」
「………」
833名無しさん@ピンキー:04/11/22 22:07:54 ID:p49wpKqt
だからといってそう簡単には・・・・・
834名無しさん@ピンキー:04/11/23 00:56:18 ID:XvWx8EXD
いやー続きが楽しみ楽しみ・・





って、まさか・・(((( ;゚Д゚)))
835名無しさん@ピンキー:04/11/23 04:28:13 ID:cvX+9MKa
職人さん応援あげ
ここの人たちは柔は
童顔でスタイルもイマイチっていう設定だけど
俺は最も萌えるキャラだけどなー

836名無しさん@ピンキー:04/11/23 11:20:55 ID:B1G2gG23
童顔でイマイチだから萌えるんだよ。
完璧にきれいなヒロインならいくらでもいるじゃない?
837名無しさん@ピンキー:04/11/23 15:45:00 ID:cvX+9MKa
いや普通にカワイイじゃん。
性格も萌えだしー。
838名無しさん@ピンキー:04/11/23 20:12:45 ID:B1G2gG23
そりゃあ、普通よりかわいいし性格もいいけどどこか抜けてるって方が
親しみが湧くっつーもんじゃないっすか、ねえ。
839名無しさん@ピンキー:04/11/23 21:12:45 ID:W3qDi72M
柔のイメージ

童顔で可愛い(声も可愛い)
色白
小柄(身長150cm前後?)
筋肉質(体重48kg程度)
貧乳
腰太
足太
あそこ綺麗
毛も薄い

こんな感じ?
840名無しさん@ピンキー:04/11/23 21:20:08 ID:B1G2gG23
>839
個人的には、ピンポーン
841三佐衛門@306:04/11/23 21:49:53 ID:TDpdPdcJ
この話は一応、以前投稿した「確かなもの」の続きです。二部構成になる予定ですが、
まだ完成していないのでタイトルも決まっていません。
土曜日がずっと忙しかったうえに今日も仕事ですた。あぁ休みがほすぃ…。
842三佐衛門:04/11/23 21:50:21 ID:TDpdPdcJ
柔は喫茶店に入ると、紅茶を注文して窓の外を眺めていた。通りを歩く人達は、寒そうにコートの襟を立てている。
「♪気付かぬうちに心は あなたを求めてた…」
ふと、松田と出会ってからの出来事を思い出す。
(いつから松田さんの事を好きになってたんだろう?)
正直、覚えていない。いつも松田が側にいる事が当たり前になっていた。
(松田さんがアメリカに行ってしまってから四年…、長かったな…)
しかし、とうとう松田は帰ってきた。そして、帰ってきたら…
『アメリカから帰ってきたら、俺と結婚してください!』
(…当然、覚えてくれているわよね)
でも自分から切り出すのは、少し怖かった。しかし松田の事だ、放って置いたら何時になるか…。
「お待たせいたしました」
ウエイトレスの声で、現実に引き戻される。
「あの、猪熊柔さんですよね?」
「えっ?」
(サインだろうか?どうしよう)
どう答えようか迷っていると
「これ、よかったらどうぞ」
と、テーブルにケーキを置いた。
「えっ、あ、ありがとう」
ウエイトレスはニコッと笑うと戻っていった。
(やっぱりお返しにサインぐらいしなきゃダメかしら…?)
843三佐衛門:04/11/23 21:50:56 ID:TDpdPdcJ
「なんちゅう無責任な」
ブツブツと文句を言いながら、編集部下の喫茶店の中に入って馴染みのマスターと挨拶を交わし、柔のもとへと向かう。柔の
前のテーブルには紅茶とケーキが置いてあり、柔はニコニコしながらそのケーキを頬張っていた。
「どうしたの?ずいぶんと嬉しそうだね」
「ケーキをサービスして貰いました。…どうしたんですか?」
自分とは対照的に、機嫌の悪そうな松田に気付いたらしい。
「それが…」
部屋の事を柔に話す。
「もう、今日は実家に帰っちまうかな。どうせ荷物を取りに行かないと…。鴨田が帰ってきたら世話になるかな」
「………」
柔は何か考えていた様子だったが
「よかったら、ウチに来ませんか?」
と言った。
「柔さんの所へ?…迷惑じゃないかな」
「そんな事ないですよ。きっとおじいちゃんも喜びます」
久しく忘れていた滋悟郎の顔を思い出す。
(ジイさんが喜ぶかぁ?)
「ねっ、そうしましょう」
「…それじゃ、お願いしようかな」
柔はニッコリ微笑むと携帯電話を取り出して、自宅に電話をかけだした。
(そうだ、携帯電話だ)
松田は編集部を出がけに渡された携帯電話の箱を取り出した。分厚い説明書をパラパラとめくるが、ロクに読まずに箱に戻す。
(なんか会社に縛られてるみたいで嫌だな)
携帯電話の方は上着のポケットに突っ込む。
「ウチに電話したら、お母さんが『ぜひいらっしゃい』って」
柔は立ち上がり
「行きましょうか」
松田を促した。
844名無しさん@ピンキー:04/11/23 22:13:29 ID:B1G2gG23
だからといって同じ部屋には・・・・・ 
845名無しさん@ピンキー:04/11/23 22:19:38 ID:jHcBWqcD
(;´Д`)フラグが・・・
846名無しさん@ピンキー:04/11/24 00:38:47 ID:s/ON05ce
>>844
普通に考えたらあの滋悟郎がいるしありえないわけだが・・


と、どんな展開で萌え展開になるのかひたすら妄想しつづけるのもまたいい。
847名無しさん@ピンキー:04/11/24 10:34:55 ID:b9QUfS/f
>>839
小柄(身長150cm前後?)
筋肉質(体重48kg程度)
貧乳
腰太 ?

このあたり想像すると谷某を思い出してしまいます。








848名無しさん@ピンキー:04/11/24 15:16:03 ID:R2qF/+TV
柔の胸は小さいと言っても、邦ちゃんに比べて小さいだけで、
浦沢の絵から見てもBカップくらいだと思う。
たぶん富士子よりは大きいと思う。


849三佐衛門@306:04/11/24 21:01:10 ID:i4/VKYwT
タイトル付けました
850三佐衛門「お疲れさま」:04/11/24 21:01:46 ID:i4/VKYwT
猪熊家近くの月極駐車場に車を停め、スーツケースを押しながら猪熊邸の門をくぐる。
「ただいま」
「お邪魔します…」
奥からパタパタとスリッパの音をさせて玉緒が出迎えに来た。
「まあ、松田さん、お帰りなさい」
玉緒は玄関にわざわざ正座して、松田を出迎える。
「えっ、あっ、只今戻りました!」
そんな玉緒の姿に思わず恐縮してしまう。
「さあ、どうぞ、お上がりになって」
「はいっ、それじゃ、お邪魔します!」
柔は松田の反応を見てクスクスと笑っていた。
851三佐衛門「お疲れさま」:04/11/24 21:02:19 ID:i4/VKYwT
居間に通されると
「あっ、虎滋郎さん…」
フランスにいたはずの虎滋郎があぐらをかいて座っていた。オリンピックのあと帰ってきたのだろうか。
「さあ、どうぞ」
玉緒に座布団を勧められ、正座して座る。
(ん?このシチュエーションは…)
コタツを挟み松田の正面で滋悟郎が腕を組んでいる。左側では虎滋郎がお茶をすすっている。右側では玉緒がニコニコして
座っている。そして柔は松田の斜めうしろに座った。
(もしかして…、やっぱり…)
松田は緊張して固まってしまった。
「どうした日刊エブリー。何か言いたい事があるのではないのか?」
滋悟郎が沈黙を破る。
(ええい!なるようになれ!)
松田は覚悟を決めた。正座をしたまま少し下がって、頭を下げる。
「きょ、今日は、柔さんとの結婚を、ゆっ、許して頂きたくっ、お願いに上がりました!」
「……ほう、三流紙の三流記者の分際で柔と結婚したいとな?」
「おじいちゃん!!」
「………」
松田は頭を下げたまま動かない。滋悟郎は立ち上がり
「道着に着替えて道場へと来るがいい」
と言い、居間を出ていった。
852名無しさん@ピンキー:04/11/24 22:15:40 ID:vdfLfqSy
>847
言ってはいけないことを・・・・・。同じ人種が同じ様な生活を送ればしょうがないじゃないか!
>851
弱い奴には教えないよね・・・・・・・。
853名無しさん@ピンキー:04/11/24 23:00:52 ID:vdfLfqSy
「お疲れさま」なんて言ってもっと疲れさそうなんて
不埒なことを・・・・・
854名無しさん@ピンキー:04/11/25 00:18:50 ID:uEjFHc6E
とりあえず、なしくずしに縁談の挨拶をしてしまう場の状況に笑いました。
続きを期待しております。
855名無しさん@ピンキー:04/11/25 21:15:44 ID:SR5d8MjZ
松田さん、かっこえ〜・・・
856三佐衛門@306:04/11/25 22:12:22 ID:LblYvSiU
>>852
まさか稽古をつける訳じゃないですよ
>>853
久しぶりだし、30分7Rぐらいは(ry
>>854
これぐらいしないと、いつまでたっても結婚しないですよ。たぶん。
>>855
松田さんはダサカッコイイのです。トータス松本みたいなもの。か?
857三佐衛門「お疲れさま」:04/11/25 22:12:52 ID:LblYvSiU
十分後、柔道着に着替えた松田と滋悟郎は、道場で向かい合わせに立っていた。隅の方では虎滋郎が腕を組み、柔と玉緒
は正座をして二人の様子を見ている。
「わしに勝てたら、柔との結婚を認めよう」
「えっ…」
(無理だ!)
叫びそうになった。滋悟郎はもう80を過ぎているはずだが、この老人に勝てる気はまったくしない。思わず柔のほうを見る。期
待と不安が入り交じった表情の柔と目が合った。
(勝たないと柔さんと結婚できないなら…、勝つしかない!)
技ならよく知っている松田だが、実戦の経験は無い。全くの素人が猪熊滋悟郎に勝つには…
(先手必勝!出会い頭だっ)
「おりゃっ!」
気合いを入れて組み合おうとしたが
バッ
ダァン
そんな間もなく一本背負いで投げられた。大の字になって天井を仰ぐ。
(勝てるわけないよな。やっぱり許して貰えないのか…)
858三佐衛門「お疲れさま」:04/11/25 22:13:34 ID:LblYvSiU
しかし滋悟郎は松田の顔をのぞき込みながら
「どうした?もう終わりか?」
と言った。松田は慌てて飛び起きる。
「まだまだっ!うりゃっ!」
バァン
ダァン
ドォン
松田は何度も何度も投げられた。三十回、いや五十回ぐらい投げられたかも知れない。
「はぁっ、はぁっ、はぁっ」
道場の真ん中で大の字になって荒い息をつく。目を開ける気力も無かった。
「ふん、ワシに勝てるわけが無かろう」
滋悟郎は松田に一瞥をくれると、道場から出ていった。代わりに誰かが近づいてくる。
「松田君」
虎滋郎の声だ。
「ちょっと柔を貰いに来るのが遅いのでは無いかね?」
そう言うと松田の腕を取り、肩を貸して立ち上がらせた。
「玉緒さん」
道場の外で滋悟郎の声が聞こえた。
「寿司清に電話ぢゃ。特上にぎり十人前大至急とな!」
859名無しさん@ピンキー:04/11/25 22:39:05 ID:AQX/eNFK
>わしに勝てたら、柔との結婚を認めよう
勝てたらなんですよね・・・・・・・?
860三佐衛門@306:04/11/25 23:09:23 ID:FsqezQdf
>>859
>ふん、ワシに勝てるわけが無かろう
勝てないんですよ
861三佐衛門@306:04/11/25 23:16:30 ID:FsqezQdf
「ワシ」は平仮名だったな。失敗した。
862名無しさん@ピンキー:04/11/25 23:35:59 ID:AQX/eNFK
祝いとしたら10人分じゃ少なすぎる・・・・・・・
863名無しさん@ピンキー:04/11/26 00:54:50 ID:peWnf4bD
虎滋郎の最後のセリフ、なんか意表つかれたかんじだなぁ。
実は誰よりも二人の関係を見守ってきた人、という気がしてならないよ。
864名無しさん@ピンキー:04/11/26 05:50:10 ID:xRTrRsZW
そうかなあ、いかにも言いそうだと思うんだけど?
865三佐衛門@306:04/11/26 20:14:58 ID:sQ1VHT+A
>>859
解りづらかったですかね。松田さんが勝てるわけ無いのに、あえて滋悟郎が「わしに勝てたら…」と言ったのは
松田さんを試すためで、もしも「無理だ」なんて事を言ったら結婚を認めなかったわけです。そして滋悟郎から
すると最愛の孫娘を黙って渡すのは気が済まないのではないかと。花園のところに乗り込んだ時の心境ですね。
>>862
気になってた所はやっぱりツッコまれますね。よく読んで頂いているということなので嬉しいですがw
さすがに二十人前では多いかと思って十人前にしました。柔と玉緒さんの手料理もあるので大丈夫ですよ。
>>863,864
虎滋郎は松田さんの柔への想いとか、柔のなかの松田さんの存在の大きさに、早くから気付いていたのでは
ないかと思ってあの台詞にしました。

煮詰め不足でアラが目立ってきたので、今日はお休みします。んでは
866名無しさん@ピンキー:04/11/26 22:21:19 ID:xRTrRsZW
>865
柔道で勝てたらと言わないところに引っかけがあるのかと思ってた。
我ながら性格が歪んできた気がする・・・・・
867名無しさん@ピンキー:04/11/27 10:07:18 ID:M+dMlUnq
そういえば、バニラさんやルルさんの姿をとんと見ませんね。
あと駄文浪人さんも・・・・・・・・。
868名無しさん@ピンキー:04/11/27 11:09:42 ID:M+dMlUnq
滋悟郎  5人前
虎滋郎  5人前
松田    1人前
柔      3人前
花園    4人前
富士子  1人前
冨薫子  1人前

玉緒   残り物
−−−−−−−−
計    20人前ってとこでしょうねえ。

やっぱり花園一家も呼ぶでしょう?

祐天寺さんも呼ぶともう2人前追加かな?シドニーの48kg級がとか
悩みながら食べて欲しいな。
869名無しさん@ピンキー:04/11/27 17:18:14 ID:zAfYAtIk
>>867
ホントどうしちゃったんでしょうね・・。。忙しいのかな。
あとプチさん等前スレでご活躍の皆さんとか。もうここ見てないのかなー


続き気になってまーーーーす!
870三佐衛門@306:04/11/27 18:56:28 ID:yWBmyCW/
>>868
話の都合上、内輪だけのつもりだったので大宴会にはならないんです。
871三佐衛門「お疲れさま」:04/11/27 18:57:35 ID:yWBmyCW/
食事のあと風呂に入り、二階に用意された部屋へやってきた。その和室には布団が敷いてあり、他にはタンスとストーブが置
いてあるだけだった。普段は使われていないのだろう。
「えーと、030…」
布団の上に座って、説明書を見ながら携帯電話に番号を登録していく。しかしこういったモノの操作が苦手な松田の事、30分
たってもまだ柔の番号しか登録できていなかった。
「手帳があれば登録しなくてもいいか」
結局、電話番号の登録を諦めてしまった。携帯電話を電話としてしか使えないでいる。布団に寝転がり、今後の事に考えを巡らす。
(あのボロアパートに二人で暮らすのは無理だよな。どこに部屋借りよう?会社から近い方がいいな。…柔さんは仕事は続ける
んだろうか?辞めてしまっても柔道部には出入り出来るだろうけど。いざとなればここの道場もあるし…。今度聞いてみよう)
トットッ
ふすまがノックされた。
「松田さん、入っていいですか?」
柔の声だ。
「いいよ。どうぞ」
言いながら起きあがる。ふすまを開けて部屋の中に入ってきた柔は、パジャマにカーデガンを羽織っていて、手にはワインの
ボトルとお盆にグラスを二つ乗せていた。
「お酒は大丈夫ですか?」
「ああ、大丈夫。それより食べ過ぎたかも」
酒は滋悟郎秘蔵の『地獄車』を少し飲んだ程度だったが、食事は滋悟郎と虎滋郎のペースに合わせてしまったので、食べ過
ぎて当然である。柔は隣に座り、畳の上にお盆を置いた。
「寒くないですか?」
「そうだな、ちょっと冷えてきたかな」
「ストーブ点けますか?」
「いや、それより…」
松田は掛け布団の中から毛布を引っ張り出すと、柔と自分の肩に掛けた。柔は嬉しそうに寄り添ってくる。
872三佐衛門「お疲れさま」:04/11/27 18:58:39 ID:yWBmyCW/
「乾杯しましょう」
柔はコルクに栓抜きをねじ込み始めた。
「貸して」
苦労している様子の柔からボトルを受け取ると、栓を抜く。
ポンッ
小気味よい音を立てて栓が抜けると、グラスにワインを注いだ。
「それじゃ、乾杯」
「乾杯。お仕事、お疲れさまでした」
二人でワインを口にする。
「いやホント疲れたよ。でも有意義だった」
「あのまま帰ってこないのかと思いました」
「そんな事無いよ。柔さんが待ってるのに」
柔は頬を染める。松田もテレを隠すために、またワインを口に運んだ。
「…今日のアレは最初からそのつもりだったの?」
『今日のアレ』とは結婚の許しの事である。
「いえ、違いますよ。昼間お母さんに『松田さんを連れて行く』って電話した時『ぜひいらしゃい。みんなで待ってるから』って言
ってましたけど、あたしはそんなつもりじゃ…」
「はは…、みんな勘違いしたのかな?いつかはしなければならない事だから、構わないけどね」
「ごめんなさい…」
「あやまる事は無いよ」
「はい。そういえば、身体は大丈夫ですか?」
「身体?ああ、平気平気。まだまだ若いから」
「ふふ…、そんな事言って、あした身体中が痛くて動けなくなるんじゃ無いですか?」
「大丈夫だって」
「ふふふ…」
柔はワインを飲み干すと、グラスを置いた。
「……松田さん」
「なんだい?」
「あたし…、柔道をやめようと思うんです」
小さい声だが、はっきりと柔が言った。
873名無しさん@ピンキー:04/11/27 22:03:16 ID:V44olpQp
俺的、柔タンのイメージ
結婚後、柔道引退
理由、松田さんとの時間を大事にしたい

キター!!
それともフェイクか??
松田さん、説得するのかな??
874名無しさん@ピンキー:04/11/27 23:33:00 ID:HNtiJOzI
>>869
>続き気になってまーーーーす!
って、中途の話ってあったっけ!?
駄文浪人さんの米旅情編などは秀逸でした。もうエロパロを超えてるってかんじで。
自分も過去ログの職人さんを密かに待望してます。今いる職人さんとともにもっと盛り上げてほしいなぁ。
書いてはみたいけど多忙なうえ想像力文章力ともに自信のない自分はやっぱりROM専門、
毎晩ここの話の続きを読むのがひとつの楽しみなんで。
875名無しさん@ピンキー:04/11/28 05:41:06 ID:dAnS4OiS
>874
駄文浪人さんのやつの帰国後の話が微妙なところで止まってるよ。
たぶん、滋悟郎さんに許可もらいに行くところが話の最後になりそうな・・・・
前スレの最後で一時的に復活したんだけどねえ。
876三佐衛門@306:04/11/28 09:54:11 ID:3r3yI5A7
朝から一気に行きますね
877三佐衛門「お疲れさま」:04/11/28 09:54:36 ID:3r3yI5A7
(えっ?)
思わず絶句する。
「……それは、結婚を期にと言う事?」
「はい…。どうでしょうか?」
柔の口調からすると、松田が『続けてほしい』と言えば柔道を続けるつもりなのだろう。4年後のシドニーの年に柔は31歳。ま
だまだ金メダルを狙うのは可能な歳だ。もしも子供が出来ても富士子の例があるだけに、周囲が期待するのは目に見えてい
る。だが、出産後にオリンピックを目指す事の大変さは、なにより松田自身が知っている。
「………」
「………」
柔は何も言わず、松田の返事を待っている。松田は柔のグラスにワインを注ぐと、柔に手渡す。
「お疲れさま」
そう言ってグラスを合わせると、残っていたワインを飲み干した。
「………」
柔の目からみるみる涙が溢れだしてくる。
「松田さん!!」
柔が抱きついてきた。
「おっと、ワインがこぼれるよ」
柔のグラスをお盆の上に置くと、柔の髪を撫でる。
「いい夫婦になろうな」
「…はい」
柔は松田の胸の中で大きく頷いた。そして顔を上げると、自分の唇を松田のそれに重ねた。
「んっっ」
その勢い答えるように、柔の唇を強く吸う。
「はぁっ」
一旦離れると、柔の口から吐息が漏れた。今度は松田のほうから柔にキスをする。
「んんっ」
舌を差し入れると、柔からも絡めてきた。そのまま柔の胸の膨らみに手を添える。そのとき
878三佐衛門「お疲れさま」:04/11/28 09:54:56 ID:3r3yI5A7
トントン
「松田さん、ちょっといいかしら?」
玉緒がふすまをノックした。
「はっ、はいっ、ちょっと…、どうぞ!」
一瞬にして密着していた二人の間が30cmぐらいに開く。
「あら、お邪魔だった?」
入ってきた玉緒は、二人の様子を見て言った。
「そ、そんなことないですよ」
松田は慌てて口を拭う。柔は化粧をしていなかったので口紅が付いていた訳では無いのだが、これではキスをしていたのを
肯定したようなものだ。柔は真っ赤になってうつむいてしまった。
玉緒は松田と向かい合わせに座ると
「松田さん、今日は本当にありがとうございました」
そう言って頭を下げた。
「柔の事、よろしくお願いします」
「こちらこそ、よろしくお願いします」
松田も頭を下げる。
「松田さん、アパートの事なんですけど」
「はい?」
「もしよかったら今日からここに住んだらどうかしら?お父さんもいいって言ってるし。もちろん結婚してからも」
「え?でもおじいちゃんは?」
柔が当然の疑問を口にする。
「大丈夫。ちゃんと説得したから」

以下、説得内容
玉:「松田さんにこのままウチにいてもらったらどうかしら?」
滋:「た、玉緒さん、結婚前の二人を同じ屋根の下で…」
玉:「お義父さん、いまさら何を言ってるんですか。もう手遅れですよ」
滋:「な゛…」ショックで固まる
玉:「あなた、構わないかしら?」
虎:「ああ」
玉:「じゃあ、松田さんに伝えてくるわね」
879三佐衛門「お疲れさま」:04/11/28 09:55:27 ID:3r3yI5A7
(いいのかな?)
柔の顔を窺うと、とても嬉しそうな表情をしていたので
「それじゃあ、お世話になります」
ここで暮らす事に決めた。
「これからもよろしくお願いします」
そう言うと玉緒は部屋を出ていった。
「ははは…、なんかいろいろ急に決まったなあ」
「そうですね。でもやっと一緒に暮らせるんですね」
「…柔さん、あした俺と一緒に山形に行ってくれないか?」
「え……、はい!」
二人の唇が自然と重なり合う。その夜、二人は遅くまでいろいろな事を語り合った。

「いてててて。やっぱりトシなのかな」
そろそろと一歩ずつ階段を下りていく。きのうの柔道のせいだろう、身体中が痛みに襲われていた。
「あっ」
階段を下りたところで、滋悟郎と出くわした。
「滋悟郎さん、おはようござ…でぇぇっ」
いきなり一本背負いをかけられた。
ドォォォォン
家中に衝撃音が響き渡る。
「ふん、これで勘弁してやるわい」
滋悟郎は松田に一瞥をくれると、食堂へと去っていった。
松田は仰向けになったまま
(俺も柔道を引退しよう)
本気でそう思った。

  お わ り
880三佐衛門@306:04/11/28 09:56:20 ID:3r3yI5A7
これで帰国婚約編第一部「お疲れさま」終了です。
やっぱり執筆しながらの投下は無理があるので、第二部は完成してから投稿したいと思います。

感想も下さいね
881名無しさん@ピンキー:04/11/28 11:13:26 ID:Povij9Or
面白かったです、表題が互いに向けられた言葉なのがいいですね。
何気に滋悟郎さんに可愛げがあって好きです。
二部も楽しみにしてます。
882名無しさん@ピンキー:04/11/28 20:00:39 ID:o9SzLFlf
三佐衛門さんイイよぉ・・・。・゚・(ノД`)・゚・。
柔ちゃん柔道やめちゃうのはちょっとショックだったけど
松ちゃんの「お疲れさま」のセリフにジンときました
続き楽しみにしてます!
883名無しさん@ピンキー:04/11/28 20:07:16 ID:o9SzLFlf
>>874
>>875
あとポチさん、プチさんの話が未完。
裏方さんのはどうだったかな。
縮刷版のほうは更新しないのかなー
884名無しさん@ピンキー:04/11/28 21:34:34 ID:dAnS4OiS
2部が始まるまでは冬になりそうだなあ・・・・・・・
早く初めてね。
885名無しさん@ピンキー:04/11/28 22:35:15 ID:k0l3G91F
>三佐さん
オツです。
松田さんの優しさにジーンときた。
エロはキスだけだったけど、
YAWARAらしいねw
(抱き合っただけで、おわちゃったし)
886名無しさん@ピンキー:04/11/29 16:20:46 ID://2QFPnh
サイズが496KBを超えています。512KBを超えると表示できなくなるよ。

↑いつから出てる?
早めに新しいスレ立てるべき?
887名無しさん@ピンキー:04/11/29 21:08:46 ID:QbfptXLx
やばいんなら早く立てた方が良いんでしょうねえ
888三佐衛門@306:04/11/29 21:34:08 ID:2K2VI97C
>>881,882,885
ありがとうございます。喜んでもらえると、松田さんの応援を背に試合に臨む柔みたいに「頑張ろう」と思えます。いやホントに。
>>884
第二部が始まるのが先か、新スレが始まるのが先か、新年が始まるのが先か…。
>>886
と思っていたら、新スレが始まるのが先になりそう。せめてこのスレで第二部を終わらせたかったです。
889名無しさん@ピンキー:04/11/29 21:42:49 ID:QbfptXLx
とりあえず後先考えず立てちゃった。
Part4!
http://idol.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1101731964/l50
890名無しさん@ピンキー:04/11/30 23:35:55 ID:22l3KQff
このまま落とすのかな?と言いつつカキコ
891u:04/12/03 01:01:51 ID:8Ja/SZRx
me
892名無しさん@ピンキー:04/12/04 09:49:02 ID:QBcU8eT7
うめ
893松&橘姉妹より愛を込めて:04/12/04 20:57:02 ID:moUsIuWX
梅 早梅 飛梅 白梅 初梅
894ume:04/12/04 23:57:22 ID:bgVh247c
895ume:04/12/04 23:58:34 ID:bgVh247c
896ume:04/12/04 23:59:12 ID:bgVh247c
897名無しさん@ピンキー:04/12/05 00:33:05 ID:caTpcbtO
ウンコ
898matsuda:04/12/05 13:22:00 ID:0xzWZoRk
ウンコ?
899matsuda:04/12/05 13:23:35 ID:0xzWZoRk
ソンナコト
900matsuda:04/12/05 13:25:03 ID:0xzWZoRk
イウナ!
9011:04/12/05 13:54:23 ID:0xzWZoRk
1
902名無しさん@ピンキー:04/12/05 15:16:32 ID:c8gmBIu8
フンフンフン鹿の糞
903um:04/12/07 04:54:20 ID:eB6gKgUd
e
904um:04/12/07 04:55:03 ID:eB6gKgUd
e
905名無しさん@ピンキー:04/12/07 10:53:13 ID:3cnUIqS7
一日一梅
906名無しさん@ピンキー:04/12/08 12:31:34 ID:Sx+XQzLd
いかん。なんか脳内でYAWARAが亮子、相手が谷に変換されて
気持ち悪くなってしまった。
907:04/12/10 00:11:37 ID:Ny064zKX
908名無しさん@ピンキー:04/12/13 23:53:59 ID:u+Ljb57l
績め
909名無しさん@ピンキー:04/12/14 01:22:52 ID:9YE0xgyl
910:04/12/15 03:06:45 ID:OvImyr22
ウメトクカ
911ume:04/12/16 12:28:53 ID:84XnwGov
ネミー
912名無しさん@ピンキー:04/12/16 13:27:55 ID:tbjpoUG8
ウメ
913名無しさん@ピンキー:04/12/18 11:06:30 ID:NRDvH2AX
うめ
914名無しさん@ピンキー:04/12/18 18:30:01 ID:9FlwO745
なかなかこう、芳しい結果という物は・・・・・・
915ウメ:04/12/21 18:30:12 ID:MFhVJ+PS
ウメ
916名無しさん@ピンキー:04/12/24 23:50:52 ID:xZhvMO2T
917名無しさん@ピンキー:04/12/27 13:11:22 ID:lO2OJU+7
埋めるかな。
918名無しさん@ピンキー:04/12/28 21:31:39 ID:lFL4xwwZ
うめざわとみおかな。
919名無しさん@ピンキー:04/12/30 00:48:58 ID:64hKNTQ1
たけ梅まつかな。
920名無しさん@ピンキー:05/01/04 19:34:31 ID:9blwgmiP
うめ
921ウメ:05/01/10 05:41:55 ID:SvNFfi8d
ウメ
922名無しさん@ピンキー:05/01/12 11:25:38 ID:iHbbF0cb
ume
923名無しさん@ピンキー:05/01/12 22:22:51 ID:/iPR8t9m
梅、もいいが肝心の4はどうなる・・・・・・・
924名無しさん@ピンキー:05/01/17 12:31:24 ID:z4NoqU+1
ume
925名無しさん@ピンキー
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