ガールズサイドでエロ萌え 2

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1庶民
素敵なエロ話でスカーッとしましょう♪
エロエロハッピーエロハッピー!!
前スレ
http://www2.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1025465341

○SSの神のご光臨お待ちしております。
○sage進行でおねがいします
○雑談OK!
2庶民:02/07/09 02:20 ID:jTyZ83Ch
有志ページ
SS保管庫
http://easter.ne.jp/gssshokan/index.html

ノーマルSSはコチラ
【おいらと一緒にTALK】
http://www.geocities.co.jp/Playtown-Rook/7163/
3名無しさん@ピンキー:02/07/09 02:24 ID:EUqRA9T9
|  |        ______         
|  |        \|        (___
|  |      ♪   |\            `ヽ、
|  |           |  \            ..\
|  |乙カレ☆ ∧_∧|   \             〉
|  |     ( ´∀`.| ♪   \          /
|  |   ‖( つ| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ノ
|  |   ‖( 匚______ζ--ー―ーrー´
|  |    〓〓) ) ‖    ||       .||
|  |   ‖  (__)‖)   ◎      .||
|  |         ◎            .◎
4名無しさん@ピンキー:02/07/09 02:28 ID:rWuUKI+9
>1
オツー。

>3
て、てんてー?(*´Д`)
5名無しさん@ピンキー:02/07/09 02:29 ID:XkLLbP6u
>1-2
乙です。
6先生萌え:02/07/09 02:30 ID:oiDOpIGd
すみません、モタモタしていたらプロバイダの
工事が始まってしまいました…(;´Д`)
今は携帯からです。うpは朝になるかと。
ホントにごめんなさい…(T_T)
7名無しさん@ピンキー:02/07/09 02:32 ID:XkLLbP6u
>6
お気になさらずに。
朝起きたら、てんてーSSが読めるとは…(・∀・)イイ…
1日がてんてーから始まり、てんてーで終わる…ヽ(´∀`)ノ
8庶民:02/07/09 02:35 ID:jTyZ83Ch
3.4.5>さんきゅー

>6(゚ε゚)キニシナイ!!でね。楽しみにしてますよ〜>先生萌えさん

では名無しに戻ります。
9名無しさん@ピンキー:02/07/09 03:01 ID:WmJR1FOo
>>1-2


これからも楽しみしています。
SS職人のみんな、頑張ろう。
私ももっと書きたいです。
10インデックス職人:02/07/09 03:05 ID:ipwTTHEA
>1さん乙です。
前スレのインデックスも全て貼り終えました。
ご利用頂ければ幸いです。

>6
また早朝を楽しみにしてまつ(w
11名無しさん@ピンキー:02/07/09 06:58 ID:sOh+nfvl
おはようございます。新スレ勃ったんすね。
乙です>1。

誰かも言ってたけど、確かにこのスレ、この板の中でも
カナーリ勢いある気がする(w。参加者のひいき目?
保管庫もできたし、さあどんどんいきましょう!
12名無しさん@ピンキー:02/07/09 07:06 ID:t6br66vN
おはようございます
ああ、てんてーの続きを下さる神よ お待ちしております
そして、出来ればバイトの保健室の続きも・・・
ああ、神々の降臨
13先生萌え:02/07/09 08:45 ID:09l1BS0p
おはようございます。昨夜は失礼しますた。(;´Д`)
今から7話分、とりあえず中編をお送りします。
後編は……一応できてるんですが、続けてだとアレなんで
お昼か夜ぐらいに隙を見て上げたいと思います。
14先生萌え中編1/7:02/07/09 08:47 ID:09l1BS0p
『私も、君の前ではただの男になる……―――』
先生の声が頭の中でリフレインする。何度も。何度も。

あれから先生も私も無言で、日も暮れた頃に別荘に着いた。
トランクを開けて荷物を取出す。その時、不意に肩に先生の手が触れた。
「……っ!!」
昼間の恐怖が蘇って、ビクンと肩が震える。そんな私を、彼は辛そうな瞳で見下ろして言った。
「荷物を部屋まで運ぼう。貸しなさい」
私は、頷くのがやっとだった。
“知人の別荘”はとても広くて、定期的に掃除もしてあるらしくきれいだった。見た感じ、
必要な電気機器も一通り揃っているみたい。
1階は広くダイニング・リビング・キッチンに使ってあって、2階は個室が4部屋。バス
ルームとトイレは各部屋に1つずつ設置してある。
私の荷物を2階の廊下まで運んだ先生は、1番奥の部屋の前にそれらを置いた。
ドアノブには触れない。
「君の部屋だ。好きに使いなさい。……中から、鍵をかけられるから」
心配なら、と低く付加え、1階へ戻って行く。そんな先生の後姿をただ見送るしかできなくて。
私が……悪いんですよね、多分。2人の「好き」が違うんですよね。
15先生萌え中編2/7:02/07/09 08:48 ID:09l1BS0p
哀しい。切ないよ、先生。
胸が、抉られるように痛くて……私は部屋に入るなり、灯りもつけずにベッドに倒れ込んだ。
鍵なんて、閉めるわけがない。……ないじゃないですか……―――。



目が、覚めた。
部屋は相変らず真っ暗で、今が夜中だと言うことを理解する。
(たしか、この辺に……)
手探りで電気のスイッチを探し、ドアの近くにその感触を見つけて指先で押した。パッと
周囲が明るくなる。
広い部屋で、家具もある程度揃っている。壁の時計を見上げたら、午前3時を差していた。
「私、寝てたんだ……」
車に揺られて疲れたのかもしれない。それから……ううん、今は考えるのをよそう。
ふと喉の乾きを感じて、私は部屋のドアを開けた。建物の造りが洋風なので、靴を履いて
廊下に出る。
1階まで下りて水でも飲もうと階段にさしかかった時、小さな声がした。
……先生の声だ。リビングからぼそぼそと聞こえる。
(誰かと話してる……―――?)
でも、ここには誰もいるはずがない。電話、してるみたい。
16先生萌え中編3/7:02/07/09 08:48 ID:09l1BS0p
口調からして、あのお店のマスターさんかな。一人称が“俺”になってる。
「馬鹿とはなんだ、馬鹿とは。……いや、そうなんだが。……が、……で……―――」
声が遠くて、よく聞こえない。もしかして、私のことを話してるのかな。昼間のこと、
相談してるのかな……―――。
私が聞き耳を立てていると、ふっと先生の声が途切れた。
それから。
「少し、離れてみた方が良いのかもしれない」
疲れきった、声。溜息まで聞き取れた。
“離れる”。私と、先生が? 先生はもう、私のことなんか好きじゃないの……?
一緒に、居たくないの……―――?
嫌ですと言ってしまいそうになる口元を押さえる。
ピッと音がして、電話を切った気配がした。足音が、近付く。
気が付くと、私は靴音を立てないように部屋に駆け戻っていた。
胸が痛い。胸が、痛い…………――――――。
朝まで、一睡もできなかった。

「朝食の用意をしておく。気が向いたら食べなさい」
「はい……」
8時ごろ。ドアをノックして先生がこう言った。返事はしたものの、食欲はない。
(それに、ライ麦パンとセロリとチーズじゃ……)
17先生萌え中編4/7:02/07/09 08:48 ID:09l1BS0p
考えたら、自然と口元が緩む。まだ笑えるんだと思ったら、少し心が軽くなった気がした。
明るくなった外を見るためにカーテンを開けると、林に囲まれた大きな湖が見える。
木々は紅葉しかけのグラデーションで、湖から立ち上る薄い霧のベールに覆われてとても綺麗。
外に、出てみようと思った。
ワイシャツにプリーツスカートを合わせてショールを羽織ると、フルートのハードケースを
手に取る。少し、寒いかもしれない。
階段を下りてリビングを通り抜けようとすると、先生がいた。
「どこか、行くのか」
心配そうな表情で訊かれる。
「あの、その、お散歩に……―――。すぐ帰って来ますから」
先生は私の目をじっと見て、それから手に持っているケースに目をやった。
ふっと笑みを浮かべる。
「分かった。気を付けるように」
「はい、行ってきます」
ぺこんと頭を下げて、ドアを開ける。外気はひんやりと涼しい。
……行くなって、言ってくれた方が良かった。あんなに辛そうな笑顔を見るぐらいなら……。
来るまで着たのとは反対の方に伸びる小道を、ゆっくりと歩く。ケースが少し重い。
5分も歩かない内に、小さな桟橋が見えた。木が腐っていないか確かめてから
足を踏み出す。大丈夫そう。
18先生萌え中編5/7:02/07/09 08:49 ID:09l1BS0p
桟橋は浅瀬から一段ほど深くなっている辺りまであって、小さなボートが支柱に2艘
括り付けてあった。
先まで行って立ってみると、まるで湖の上にいるみたいで気持ちが良い。
ふと振り返ったら、少し離れたところに別荘が見えた。
あの大きな窓は、リビングの窓かな。人影……先生もいる……―――。
ケースを足下に置いて、フルートを取出す。組み立てて、演奏開始。曲目は“ため息”。
先生に無理にお願いして付けてもらったフルートパート。もう暗譜で吹けるようになった。
高い音が湖に響く。澄んだ空気が震動する。
8小節目にさしかかった辺りで、どこからかピアノの音が聞こえた。
別荘の方から……“ため息”。ピアノ、あったんだ。
小さいけれど、私のフルートをリードする旋律。ちゃんと、私に合わせてくれてる。
離れていても、こんなに通じ合っていると……思っていたのに。錯覚してただけ。
こんな筈じゃなかったのにと思ったら、涙が一粒こぼれた。それはフルートを扱う私の
右手に流れ落ちる。
指が、滑った。フルートが逃げる。
このままでは湖に落としてしまう。そう思って手を伸ばした。
「あ……―――」
バランスが、崩れた。
大木は飛沫と水音を立てて、私の身体は冷たい水の中に吸い込まれた。
突然のことに慌てて呼吸をした拍子に、大量の水を飲む。
19先生萌え中編6/7:02/07/09 08:49 ID:09l1BS0p
苦しい。ショールが纏わりついて、上手く泳げない。
助けて……先生。先生……――――――!!
暗い水の中から見上げた明るい湖面に、ふっと影が落ちる。私は反射的に手を伸ばした。
「掴まりなさい!」
大きな、声。
先生が来てくれた……。
差し伸べられた手を掴む。長くてきれいで、器用そうな指。大きな手。先生の手。
ぐっとすごい力で、私は桟橋の上に引き上げられた。
フルートは、左手に。
「何をしている! 私が気付かなかったらどうなっていたか……」
ずぶ濡れの身体を抱き締める腕。先生の腕。
初めて、怒鳴られた。
「私、泳げます……」
泳げなかったくせに、ぼんやりとそんなセリフが出てきたりして。
怒られるかと思ったら、私を抱く手にぎゅっと力がこもった。
「馬鹿者」
そう言われて、なぜだか涙が止まらなかった。

別荘に戻ってバスタオルで私を拭いてくれる先生がしきりに左手を隠すから、無理矢理に
手首を引寄せた。手の平に、すごい傷。
20先生萌え中編7/7:02/07/09 08:49 ID:09l1BS0p
無数の小さな切傷に、たくさんの木の棘が刺さっている。
「どうしたんですか、これ!」
声を上げる私から、先生が目を逸らす。
「何でもない」
「何でもないわけないでしょう。……私を、助けた時ですね?」
片手で、桟橋の支柱を掴んだんですね、先生。あのボロボロの木の杭を。いつも冷静な
先生が、咄嗟に。
「ピアノ、弾けなくなったらどうするんですか」
私がそう言ったら、彼はそっと目を伏せた。
「そんなことより、君の方が大事だ……―――」
好きすぎて、愛(かな)しい。
今度は私が先生の身体に腕を回す。温かい、先生の体温。
「先生、バカです」
「君に言われたくない」
少しの間、時が止まる。トクトクと、互いの心臓の音が混ざり合う。
先に口を開いたのは先生の方だった。
「早く着替えなさい。私は傷口を洗ってくるから」
私も、頷いた。

《続》
21名無しさん@ピンキー:02/07/09 08:59 ID:IMCrvapY
>14ー20
(・∀・)イイ!!続き楽しみにしてまつ
せんせぇ萌え〜(*´Д`)
22先生萌え:02/07/09 09:01 ID:09l1BS0p
ああ……誤字が。誤字が。・゚・(ノД`)・゚・

あとほかのSSの神様、どうか私のことなんか気にすることなく
どんどん作品上げちゃって下さい。
私のSSはただシチュエーションを詰め込んだだけです。
だからこんな長いんです。気を使わせちゃってすみません。すみません。

あと、遅ればせながら>>1さんお疲れさまです。ご苦労様でした。
23名無しさん@ピンキー:02/07/09 09:05 ID:Cd9pAZYm
ああ。後編楽しみです。
先生萌えの神様。

続きお待ちしています。
24先生萌え:02/07/09 09:05 ID:09l1BS0p
>>21
き、君はこんな時間にこんなところで何をしている。

ありがとうございます。とりあえず続きは
ほかの作品が2〜3上がってからと思っております。
……上げてくださる方がいらっしゃったらですけど・゚・(ノД`)・゚・
でも、でも、ちゃんと今日中には……。うぅ。
25名無しさん@ピンキー:02/07/09 09:50 ID:wjycdru+
( ´∀`)ホワワワワーン…
やっぱり先生萌えさんのSSは(・∀・)イイ!
シチュエーションだけじゃないでつよ!
主人公の名前を出さないように文を書くのって難しくないんでしょうか。
他の神様にも言えることだけど、読み手が違和感なく作品に引き込まれて、
ドキドキしながら読むことができるのは書き手さんの力量のおかげだと
思います。後編もすごく楽しみにしています。

長々と書いてしまった…スマソ。
今後感想は保管庫の掲示板に書くようにした方がいいのかな?
26名無しさん@ピンキー:02/07/09 09:55 ID:keZZ4Yj7
先生キター!!!

先生萌えさま乙です…禿壺SS(・∀・)イイ!
27先生萌え:02/07/09 10:13 ID:09l1BS0p
すみません、皆さんありがとうございます。
とりあえず>>25さんの疑問にお答えをw

名前出さないで書くのはやっぱりちょっと難しいです。
ホントはもっと、先生に主人公の名前を連呼させたい……w
↑はまぁともかく、遠くから呼びかけるときなんかは厳しいです。
それに代わる台詞を必死こいて考えます。
て言うか、そもそも主人公の一人称で書いてるのは、主人公のことを
客観的に名前で指せなくて、「少女」とかになるのが嫌だからです。
私の小さい頭ではこんな感じですが、ほかのSS神様は平気なのかも…。

なんかレス多くてすみません。後編まで控えます。
目が覚めるとそこにはいつもの笑顔がある。
「おはよーさん」
「ん、おはよ。」
私はこうやって日常の挨拶を交わす幸せが好き。
「今日は自分めっちゃ幸せそうな寝顔やったな。どんな夢みたん?」
「うんとね、うーん、・・・内緒。」
「ケチやな。」
そう言って笑いながら私の頬をペチペチと叩く。
「あーっ、もう叩くなら教えてあげないもんっ。」
「そう言うて拗ねるんやったらこうしたるわ。」
口で言うのと同時に唇が重なってたりして。
「・・・んっ、・・・もう・・・。まどかったら髭がくすぐったいよぉ」
「朝やしなぁ。あー、それにしても自分朝から意地悪やな。」
「意地悪なのはまどかでしょ。もう起きる。」
「まだええやん。時間早いで。」
ちょっと拗ねながら私の腕を掴んでいたりして。
「ダメだよ。今日は日直だから遅刻出来ない。」
「しゃぁないなぁ。続きは夜やで。堪忍しいや。」
「ハイハイ。んじゃ、夜は宜しくね。」
そうやって朝が始まる。永遠にこういうのが続くといいな。
3028:02/07/09 11:20 ID:BpxRLZvH
仕事中だめだめだったので内容もだめだめですみませぬ。 
しかも串弾かれて哀喪からっす。こんな糞駄文分割して重ね重ねすみませぬ。
但単に関西弁の男を書きたかっただけっす。
31先生萌え:02/07/09 13:37 ID:09l1BS0p
>>28-29さん、私はそういうのすごく好きです。
短い文章でこんなに雰囲気を出せるのが逆に羨ましい限りです。
ほんとに、バイトと主人公ってこんな感じっぽいですよね。


さて、出掛ける予定ができてしまったので後編も上げちゃおうと思います。
40分から開始します。
32名無しさん@ピンキー:02/07/09 13:39 ID:hl8YCxLj
先生萌えの神様
後編楽しみです。お待ちしています。

28の神様も続きがあるとウレシイかもです。
33先生萌え:後編1/7:02/07/09 13:40 ID:09l1BS0p
「早く着替えなさい。私は傷口を洗ってくるから」
言われるままに、私は2階へと上がった。
着替えながら、ぐるぐると考えが巡り始める。
(助けに、来てくれた……―――)
あんな怪我までして、助けてくれた。そう思ったら不安が幾分か和らぐ。それでも、
昨日の出来事と電話の内容は暗く渦巻いて。
「ワケ、わかんない」
大事だと言ってくれたのはきっと本心だろうけど……。
パーカーとナイロンスカートに着替えた私は、もう一度1階に戻って、棚から救急箱を
見つけ出した。先生の手当てをしないといけない。
先生、どこにいるんだろう。
「先生っ」
「ここにいる」
洗面所から出てきた先生は、右手で左手首を押さえて。あぁ、私が抱き付いたせいで、
ワイシャツが濡れてる……。
リビングにある大きなソファに腰掛けて、先生の手を取った。きれいに洗われた傷口には、
けれどまだ赤い血がじんわり滲んでいる。
「ちょっと、痛いかもしれないです」
「問題ない」
34先生萌え:後編2/7:02/07/09 13:41 ID:09l1BS0p
脱脂綿に消毒液を含ませて傷を軽くトントンと叩くと、先生が顔を顰めた。指先が
ひくっと震える。……痛そう……。
「ごめんなさい」
謝っても、しばらく返事がなかった。ややあって、包帯を巻き始めた頃に
「君のせいではない」
なんて返事が返ってくる。私が冷静さを欠いていたからだ……なんて。
先生が優しすぎて、甘えたくなる。
……今なら、聞ける。
「先生、昨日……どうして、あんなことしたんですか?」
「君が……―――」
包帯を、巻き終わった。
「君があんなことをして、私を煽るからだ。
 普段は理性で抑えているが、私にも……コホン。その、許容量と言うものがある」
言いにくそうに、返ってくる答え。
「煽った?」
私が? いつ?? ……キスが? あの指先が? もしかして、膝枕も!?
「うそっ!!」
「嘘ではない」
それから、呆れたような溜息。やはり無意識だったか、と呟く声。赤い頬。
せ、先生は……私に欲情してくれたわけで……。私が、させちゃったわけで。
35先生萌え:後編3/7:02/07/09 13:41 ID:09l1BS0p
「あの、“普段は”ってことは……しょっちゅう?」
「そうだ。……―――大変、困っている」
なんだか信じられない思いで先生の方を見つめていたら、声のトーンが落ちた。
「昨日は、悪かったと思っている。君を傷つけてしまった……―――」
眉を寄せて、視線を左下にずらす。
先生……。
「先生」
包帯の上から、手の平にキスをする。すぐに何か言いかけた先生に、私は笑って言った。
「次から気をつけます、先生。……でも、今は煽られてください」
照れた、彼の顔。膝の上に乗って、その首に両腕を絡める。
初めに触れるだけのキスをして、それから深く口付けた。ゆっくりとソファに倒れる先生の体。
「こらっ、私は……手を……―――」
「私がしますから。させてください、先生」
観念した、これは諦めの溜息。好きにして良いと言うこと。
今までで一番、先生が好き。大きくなる気持ちが止められない。どんどん好きになる……。
ワイシャツのボタンを外してキスの雨を降らせる。覗いた鎖骨に舌を這わせる。
「……っく……」
薄い皮膚に私の跡を残して行く。紅い、シルシ。私が口付ける度、先生は眉を寄せて耐えた。
次第に乱れていく呼吸。じわりと汗ばむ肌。
36先生萌え:後編4/7:02/07/09 13:41 ID:09l1BS0p
ベルトを抜きとってスラックスの前を開け、中から先生のものを引き出す。ゆるゆると
指を絡ませて愛撫をくわえる。私からするのなんて初めてでどうすれば良いかなんて
分からないけれど、ただ先生を感じさせたくて、懸命に手を動かした。
「もう、よろしい……っ。……―――来なさい」
手を止められる。耳の後ろにキスをされた。先生にしていただけで、私の中も
溶け出しそうなぐらいに解れている。
私は先生の首にしっかりと抱き付いたまま、その熱い楔の上へゆっくりと腰を落として
いった。内壁を割る、灼熱。
「……んっ、あ……せんせぇっ」
熱さに徐々に意識を侵略される。熱い。あつい。アツイ……―――。
下から突き上げられ、体中に痺れが走り抜ける。粘着質な音に聴覚を犯される。目の前が
赤く染まった。白に。黒に。それから、深い青緑。
これは、湖の色? ……違う、先生の瞳の色だ……――――――。
そう、気が付いた瞬間に。私の中で、先生がドクンと震えた。最後に彼の背中に爪を
立てたことしか、もう……覚えていない。
先生が好き。
先生が……好き……――――――。


37先生萌え:後編5/7:02/07/09 13:42 ID:09l1BS0p
意識を取り戻したのは、夕暮れ時。リビングの窓からオレンジ色の光が差し込んでいる。
ソファから体を起こしたら、先生はいなかった。
(早く慣れないと、毎回失神するわけにはいかないなぁ……)
スカートと下着を引寄せ、身に付ける。少し、フラフラした。
と、そこへ先生登場。嬉しそうな顔で、息を切らせて階段から下りてくる。
「車に乗りなさい!」
腕を引かれ、外へ連れ出される。急ぎなさいと言われたので、靴もちゃんと履けていないまま
助手席に乗りこんだ。
車は、山道を走る。高いところに向ってるみたいだけど……。
「どこに行くんですか?」
「秘密だ」
あれ? この会話、どこかで……―――?
埋もれた記憶を引きずり出そうとしている内に、車は目的地に着いたみたいだった。
展望台? 別荘がよく見え……―――あっ。
「これを、見せたかった」
車から降りてそこから見渡した湖は、オレンジ色の景色の中でそこだけエメラルドグリーンに
輝いていた。キラキラと、眩い光。
38先生萌え:後編6/7:02/07/09 13:42 ID:09l1BS0p
「この地域でとれる鉱物が湖の底に沈んで、
 この時期これぐらいの時刻になると見られる現象なんだ」
(あぁ、課外授業の返りに息抜きに連れてってくれた時だ……―――)
何度目かに、先生の優しさに触れた時。ようやく思い出した。
「だから、昨日も時間……気にして?」
「ああ。それにこうして少し離れて見た方が綺麗だから、さっきも少し焦って……―――」
「えっ!?」
今! 今!! 今ーっ!!!
「“少し離れてみた方が良いかも”って、これだったんですか!?」
口をパクパクさせている私に、先生は怪訝そうにこちらを見てから肩を竦めた。
「なんだ、聞いていたのか。そう、このために早く誤解を解いて、どうにか君に
 この景色を……、っ!?」
安心感がドッと押し寄せてきて、私は先生に抱き付いていた。ぎゅーっと抱き締める。
「……どうした?」
ふるふると首を左右に振ると、頭の上で、先生がふっと笑った。優しく頭を撫でられる。
「戻るか」
「はい……」
今日の晩御飯は、久しぶりにブッフ・ブルギニヨンでも作ろう。
2人で車に乗りこんだ。
39先生萌え:後編7/7(最後):02/07/09 13:45 ID:09l1BS0p
翌日。帰りの車の中で全部話したら、先生はしばらく笑っていた。声を出して笑うなんて、
滅多にないのに。
「君は器用だな」
なんて、誉め言葉になってませんよ、先生!
怪我をした左手も使って運転してる先生の方が、よっぽど器用。
「先生だって、左手使えないくせにエッチできるぐらい器用じゃないですか」
ボソッと言ったらハンドルが大きく左にきられて、直後に急ブレーキがかけられた。
人気のない住宅地に、大きなタイヤの悲鳴が響き渡る。
「う、運転中はやめなさいっ!」
顔を真っ赤にして言うものだから、ついつい無理に体を伸ばして唇にキスをしてしまった。
「……っ!!」
「お疲れ様でした、楽しかったです!」
荷物を持ってさっさと車を降りる。手を振りながら、運転席で困り顔の先生を見送った。
のろのろと、車が走り出す。
一度だけ、控えめなクラクション。別れの挨拶。私はもう一度、走り去る車に手を振った。
先生の車が、次の角を曲がって見えなくなるまで。


《完》
40名無しさん@ピンキー:02/07/09 13:48 ID:hl8YCxLj
先生萌えの神様!!!!

ありがとうございます。
凄くイイ!です。

次回作をお作りになるのを楽しみにしております。
41先生萌え:02/07/09 13:53 ID:09l1BS0p
>>40
ありがとうございます。次も頑張ります。
私からしたら、そうやってお声をかけてくださる方のほうが神様です。

ここは神様がイパーイ。オリンポスの神殿かどこかですか?ヽ(´ー`)ノ
さて、用事を済ませてきます。長々と場所取っちゃってすみません。
42名無しさん@ピンキー:02/07/09 18:26 ID:tMH+zYij
天然誘い受け小悪魔主人公マンセー(藁
先生(;´Д`)ハァハァ
43名無しさん@ピンキー:02/07/09 20:25 ID:NO2aD5UU
ところで、昼ドラのGS愛の劇場(勝手に命名)を書いていらした、神はどうなさったのでしょうか…
44名無しさん@ピンキー:02/07/09 20:26 ID:LV+4w9zY
良かったです。
先生萌えさん。
4528@関西弁萌え:02/07/09 21:12 ID:Ct6xlWgm
先生萌えさん凄く良かったです!
仕事中に読んで萌えてしまいました。
昨日調度先生攻略した所なので昼間から(;´Д`)ハァハァしちゃったYO!
自分の駄文が神様の間に有るのが申し訳ないです。
私も先生萌えさんくらい書ければよいのですが・・・。
46前スレ891:02/07/09 23:05 ID:keZZ4Yj7
>先生萌えさん
……きゅう。(ぱたり)
47名無しさん@ピンキー:02/07/09 23:06 ID:vbFrEdJq
先生SSがいっぱいで嬉しい〜!!
先生萌えさんの小説、面白かったです。

他の神さま(名前なんて呼べばいいのかな?)の新しいSSも
熱烈きぼーーーん!!
48名無しさん@ピンキー :02/07/10 00:04 ID:L7OLWMxO
遅くなりましたが、1さん乙です!
これからもバカ×主人公、がんがります。
他の神様もがんがって下さい!
もう毎日通い詰めでつ・・・
49渉SS職人:02/07/10 00:10 ID:veLGAsAv
17〜18歳の彼ららしいギャグSSを書いたのですが。
エロなしですが、男子高校生的会話をさせています。
ピュアな方々が多いサイトではUPはためらわれます。
こちらでいいですか?
50名無しさん@ピンキー:02/07/10 00:15 ID:KFLiaXkQ
もう、いつ神様が降臨するのかリロードの手が
毎晩止まらない私は、逝って良しでつか?

神様お待ち申し上げております。
(;´Д`)ハァハァハァハァ
51名無しさん@ピンキー:02/07/10 00:36 ID:01yQw+7B
なんだか今夜はサミスイなー。
神様降臨してくれー(´Д⊂
52王子×主人公(エロなし)その1:02/07/10 00:47 ID:ka77Jwvx
今日は珪とデートの日。
臨海公園に行く予定で、待ち合わせ時間より1時間前につくように家を出た。
最近気がついたのだけど、珪は待ち合わせの時間より大分前から待っているみたいだ。
先日15分ぐらい前に待ち合わせ場所についたのだけど、すでに珪はぼんやりと私の事を事を待っていた。
聞いてみたら、微笑みながら「おまえ待ってるの、嫌いじゃないから」って。
気になってデートのたびに、20分、25分、30分前にいったのだけど、いつもすでに珪は先にきていた。
ちょっと負けた気分。
だから今日は12時新はばたき駅待ち合わせだったけど11時につくように家を出てみた。
それに今日は臨海公園に大観覧車が出来たっていうので、ワクワクして家でじっとしてられなかったから。

待ち合わせの駅が見えて・・・すでに珪が壁に寄りかかり待っているのが見えた。
今日も珪に先を越された。
くやしいような嬉しいようなヘンな気持ち。
珪は一時間も早く来て、何を考えながら待っているのだろう。
駅に近づいて見ると、珪の横には2人の女の子が立っているのに気がついた。
何か話をしているようだ。
女の子達は嬉しそうにニコニコしながら珪を見ている。
珪はいつものように無愛想な顔をしていたが、女の子の一人がバックから何かプレゼントらしきものを取りだし手渡すと、微笑みそれを受け取っていた。
珪はモデルだし、最近は特に雑誌などでも騒がれて人気がでてきている。
ファンが沢山いるのはわかっていたけど。
でも、実際こういったシーンを見ると淋しい気持ちになる。
もし声をかけてきた子に珪のタイプの子がいて、すごく仲良くなったりしたら・・・。
そんな事を気にしても仕方ないことなのに。
慌てて私は頭を振る。
今から珪とデートなのに、何を考えているのだろう。

53王子×主人公(エロなし)その2:02/07/10 00:50 ID:ka77Jwvx
「珪!!」
「ん・・? 早いな、お前」
「早いって、珪がでしょ! まだ待ち合わせ時間より1時間も前だよ」
「あぁ・・そうだな」
「そうだな・・って。一体何時から待ってたの?」
「・・今日は特別。大観覧車できたっていうから楽しみで・・・」
「あ、実は私も! 昨夜もワクワクドキドキでなかなか寝れなかったよ!」
「…ガキ」
「あぁ〜、ひどい! でも、珪もじゃない?」

いつもと変わらない珪にほっとして先ほどの事を忘れて彼の腕を取ろうとしたら、手にプレゼントを持っているのに気がついた。
白い包み紙に淡いグリーンのリボン。
珪の瞳の色みたいに綺麗だ。
私の視線に気がつき、珪はちょっと困った様子。
「・・・さっき手渡されて・・・」
「ファンの子と話してるとこちょっと見えた。そんなに気にしなくていいよ」
私をみながら、すまなそうな表情をする珪が可愛くて私は背伸びをして彼の頬に素早くキスをした。
一瞬だったけど、珪は頬に手をやり顔を赤くして私を睨むから、私まで赤くなってしまった。
「・・・さっきの子、お前にちょっと似てた」
「え?」
「笑い方とか。 だからつい受け取った」
珪は顔を赤くしたまま早口でいった。
「何、それ。やだ・・・もう珪ったら・・・」
「お前が嫌ならもう受け取らない」
「そんな事ないよ。 そりゃ、全然嫉妬してないっていったら嘘だけど、でも、私は大丈夫。 珪が人気でるの嬉しいもん」
「……」
「それより、行こう。大観覧車乗りに!」
「あぁ・・・」

珪はまだ考えているような顔をしていたけれど、そのまま彼の腕を取り公園に向った。



すいません、エロなしで。
そのうちエロ続き書いてもOKでしょか?(苦笑)
王子って一体どのくらい前からまってるんでしょうね・・・と疑問に思って書いて見たけど、ただのバカップリに・・・。
ゲンコー〆切りまで2日、白紙11Pも抱えて何をしているんでしょう、私。
54名無しさん@ピンキー:02/07/10 00:51 ID:Szqgx+3T
>>51は、神降ろしのできる巫女
55王子萌えらー:02/07/10 00:52 ID:ka77Jwvx
文字制限あったの忘れ取った・・・
ウガァ〜
まぁ、後はコメントのみなんで良しとすっか
56名無しさん@ピンキー:02/07/10 00:54 ID:Szqgx+3T
>>53
全然おっけーですよ! 待ってまーす。
むしろエロすれなんで、ばりばりエロを・・・・(w
そして萌えさせてください。
57名無しさん@ピンキー:02/07/10 00:57 ID:KFLiaXkQ
>53の神!!
激しく続きをお待ちしています。
58名無しさん@ピンキー:02/07/10 00:57 ID:7BAYdTvH
>52-53
エロ続き、是非キボーン!
…原稿がんがってください(w

なんだか今夜は静かだねぇ…。
59名無しさん@ピンキー:02/07/10 00:58 ID:JQtgHEqE
>53 ステキな作品です!ヽ(´∀`)ノ ワーイ アリカトゥー
ぜひ書いてください。エロがあればもちろん嬉しいし、なかったり少し
エロの香りがするのでも何でも萌えられるので読みたいです。
そして(*´Д`)ハァハァさせてください。今日は神が少ないです…。
60名無しさん@ピンキー:02/07/10 01:04 ID:c0LJuDQ0
高天原も時々神は居なくなるからね。
61名無しさん@ピンキー:02/07/10 01:04 ID:KFLiaXkQ
アヒャ─wwヘ√レvv〜(゚∀゚)─wwヘ√レvv〜─ !!!

神がもっと降臨しないが念を送ってみる。
6261:02/07/10 01:06 ID:KFLiaXkQ
ああ、が、ってなんだ。
神がもっと降臨しないか、なのに。ヽ(`Д´)ノ ウワァァン マチガエタヨー
63名無しさん@ピンキー:02/07/10 01:16 ID:RH9hRseb
ガンガレ、61タソ
自分は、どーしてもバイトの保健室の続きが読みたいでつ∠(゚-゚)
64名無しさん@ピンキー:02/07/10 01:19 ID:Szqgx+3T
出だしだけでよければ落とせるんですが……。(それしか書いてない)

最近忙しくて書く暇無いんで、続きはいつになるかは解らないです。
やっぱ、出来てから一気にあげたほうがいいっかな・・・?
65名無しさん@ピンキー:02/07/10 01:22 ID:JQtgHEqE
>>64神さま
ぜひ途中でもアップしてください。この乾いた心を潤してくだ
さい……。
66名無しさん@ピンキー:02/07/10 01:25 ID:iwLkuzO/
>>49
OKでつ。
67名無しさん@ピンキー:02/07/10 01:25 ID:Szqgx+3T
>>65
ほじゃいきやす。
68出だし 1/2:02/07/10 01:25 ID:Szqgx+3T
陽が短くなり始めたが、まだまだ外は暑い。
映画を見るはずだったが思わぬ行列に予定を諦め、私は家にまどかを誘った。
「はーい、お茶。入ったよ〜」
コーヒーを2つ乗せたトレイを持って、自分の部屋のドアを空けると、
まどかは所在なさげに部屋の中央に座っていた。
本人が言うに、ジブンの家はなんか落ち着かん……らしい。
「おお。ありがとさーん」
ベットを背もたれにして、私たちは並んで座った。
「今日は、ジブンの弟はおらんの? いつもならちゃちゃ入れに……いやいや、挨拶に来るけど」
「中学校の友達と遊びに行ってるよ。最近いろんな付き合いで忙しいみたい。……女の子ばっかりだけど」
「ジブンの弟モテそうやもんなぁ。あいつ絶対将来タラシになんで。昔のオレみ……っとと」
「……は? 昔のオレみたいに……?」
「いやいや。オレみたいに女の子に優しいと、モテて大変やろうなぁーと」
「あぁ、そうだね〜。女の子に、ホントにっ、優しかったもんね」
ちょこっと棘を含めて言うと、まどかは慌てて話題を逸らす。
「そういやオレ、まだジブンのおとんに挨拶してへんな〜。しといた方がいいんとちゃうか?」
「ゴルフに行ってていないよ」
「あぁ、そうなんや。……おかんは?」
「さっき下で会ったとき、買物行くって言ってたじゃない」
「……せやったなぁ……」
まどかの口調が変わったような気がした。恐る恐る顔を見ると、まどかの視線とぶつかる。
イ ヤ な 予 感 ・ ・ ・。
69出だし 2/2:02/07/10 01:26 ID:Szqgx+3T
「……んっと。お茶受け、あったほうがいいよね?」
「別にいれへんよ。他に食べたいもんあるし」
「…………」
いつの間にか距離が詰められている。本当にいつの間にか。
「とりあえず、何か取ってくるっ」
慌てて立つと、まどかも立ちあがった。小走りでドアに向かいノブに手をかけると、
まどかが後ろから、左手でドアを押さえた。右手を私の肩におき、髪にキスをする。
(うわ……っ)
ぞくぞくっとした震えが、一瞬体内を走る。
「なぁなぁ」
呼びかける声は明るい。顔は見えないが、きっとまた嬉しそうな顔をしているんだろう。
まどかの腕をすり抜けて、私は横の壁に逃げた。
「だ、だめっ!」
まどかはゆっくりと近づいてくる。
「いつ誰が帰ってくるかわからないし」
私はじりじりと逃げるが、
「まだ明るいし…」
やがて壁に追い詰められて、
「お母さんもすぐに帰ってくると思……んんっ」
壁に両手をついたまどかに、唇をふさがれてしまった。
70名無しさん@ピンキー:02/07/10 01:27 ID:Szqgx+3T
以上、出だしでした(w

ご、ごめんなさいー・・・・・・・・!!
71名無しさん@ピンキー:02/07/10 01:31 ID:KFLiaXkQ
64の神さま!キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!!

続きお待ちしています。
マッテタカイガアッタヨ ( ´Д⊂
72名無しさん@ピンキー:02/07/10 01:38 ID:JQtgHEqE
>64
バイト(・∀・)イイ!すごく(・∀・)イイ です。
名作の予感……。
73名無しさん@ピンキー:02/07/10 01:45 ID:ihRkTCUA
>>68ハァハァハァハァ
74名無しさん@ピンキー:02/07/10 01:51 ID:FHtmhhcO
>68
>イ ヤ な 予 感 ・ ・ ・。

読んでいる我々は、  萌 え の 予 感 ・ ・ ・。
神の続きをお待ちしてます。
75バカ×主人公1:02/07/10 01:57 ID:L7OLWMxO
プラネタリウムか・・・。俺寝ちまうかも。」
カズくんはそう言うと、ひとつ大きく伸びをして館内に入って行った。
ああ。やっぱりプラネタリウムは失敗だったかなぁ。
近所のひとに2枚チケットを貰って、行かないのも勿体ないからカズくんを誘ってみたんだけど・・・。
「ここでいいか?」
「うん。いいよ」
館内は人がまばらで、私たちは一番端の席に座った。
座ってから間もなく、照明が落とされてだんだんと薄暗くなっていく。
アナウンスと静かな音楽が流れながらプラネタリウムが始まる。
それとほとんど同時くらいに、隣りから規則正しい寝息が聞こえてきた。
ああ、やっぱり寝ちゃってる・・・。
昨日の練習ハードだったし、やっぱりプラネタリウムは失敗だったかな。
やだ。私もなんだか眠くなってきちゃった・・・。
どんどん重くなる瞼に逆らえず、私もすぐに眠りについた。
76バカ×主人公2:02/07/10 01:57 ID:L7OLWMxO
どのくらい寝たのかな。
多分すごく一瞬だと思う。
ちょっと夢とか見ちゃったし。
瞼は閉じていても、まだ館内が暗いことが分かる。
・・・?
・・・なんか、息苦しい。
「・・・?」
ふと目をあけると、そこにはカズくんの顔。
私はびっくりして、キスされていることにも気づかなかった。
「あ。起きちまったか?」
唇だけ離されて、まだ目の前にはカズくんがいて。
「な、なにしてるの・・・」
「いや、起きたらおまえ寝てるしよ・・・。」
「だ、だからって・・・!」
まだプラネタリウムは続いていて、私とカズくんはコソコソと言い争う。
「これ見てても俺星の名前なんてわかんねぇし・・・。だから、な?」
そう言いながら楽しそうにまた口づけてくる。
「ちょっ・・・、カズくっ・・・」
周りには少しだけど、他のひとがいるのに。
大きい声を出せば、すぐにばれてしまいそうで。
大人しくしていると、カズくんはキスをしながら、足を撫でてきた。
私は慌ててカズくんを押しやる。
「やだ、もう。何考えてんのっ?」
「ばか、でかい声出すんじゃねぇよ」
しーっと言いながらカズくんは周りを見渡す。
私も思わず両手で口を塞ぐ。
どうやら周りは気づいていないみたいで。
「な。ちっとだけ。」
安心したのもつかの間、今度はスカートの中に手を入れてくる。
私はもうどういたらいいか分からなくて、ただ声を抑えることに必死になっていた。
けど、触れてくるのは私の好きなカズくんの手で。
こんなところでこんなことされてるのに、逆らうこともできないでいる。
「・・・あっ・・・」
我慢出来ずに声が漏れてしまう。
私は指を噛んで必死に声が出てしまうのを耐えた。
「・・・指噛むなよ。」
カズくんが噛んでいた指を引っ張る。
「だ、だって・・・声が・・・」
77バカ×主人公3:02/07/10 01:59 ID:L7OLWMxO
その時、終了のアナウンスが入る。
だんだん明るくなっていく館内に私は慌てて身支度を整えた。
「もう・・・最悪。」
張りつめていた緊張の糸が切れて、思わず涙がこぼれた。
「ご、ごめん・・・」
「カズくんなんて嫌い。」
「!!いや、だから、俺はっ・・・」
「だから、何よっ」
「お、おまえの寝顔が・・・っ、その・・・かわい、かった、から・・・」
「は?」
プラネタリウムも終わっていて、がらんとした館内に二人の声はよく響いた。
けど、カズくんの最後の一言だけ、小さすぎて聞こえない。
「なに・・・?」
「な、なんでもねぇよ!」
「なんでもねぇ、じゃないでしょ!」
「だ、だから悪かったって。な、なんでも言うこと聞いてやるよ。それでいいだろ!」
私はいまいち釈然としなくて、しばらくぶすっとしていたけど。
「じゃあ責任とって」
「あ?」
「立てないの。責任とってよね!」
中途半端に触れられて、身体はまだ熱をもっている。
「あ・・・。あ、う、うん・・・。」
カズくんは驚いてからすぐ照れて、申し訳なさそうにして。
そんな顔見せられたら、怒りたいものも怒れないじゃないの。
私はカズくんに支えられるようにして館内を出た。
多分行き先はカズくんの家。
・・・こんなことなら最初からカズくんの家に行けばよかったなと思いながら私たちは
プラネタリウムを後にした。
78バカ×主人公:02/07/10 02:01 ID:L7OLWMxO
ご、ごめんなさい〜。
中途半端過ぎました。何もかも。
エロを書こうとするのに、またもや中途半端
申し訳ない!!
精進しまつ・・・。
79名無しさん@ピンキー:02/07/10 02:04 ID:LJLgT8EM
>78
ううん、良いYO!
…でも続きが…さ…(藁
8051:02/07/10 02:05 ID:dxhzSA4o
巫女でーす(ワラ
あれ書いたあと自分でSS書きに逝って戻ってきたら、ホントに
神達が降臨してるよ。(゜Д゜)
81バカ×主人公:02/07/10 02:08 ID:L7OLWMxO
続き書くべきでつか?(ワラ
ちょっとがんがってみまつ!
82名無しさん@ピンキー:02/07/10 02:10 ID:LJLgT8EM
>81
あら!続き書いてくださいますか!?
うぬぁー!!(;゚Д゚)ハァッハァッ
83名無しさん@ピンキー:02/07/10 02:25 ID:dxhzSA4o
神の皆様、続きお待ちしております。
巫女より
84バイト×主人公 1/2:02/07/10 02:33 ID:CzyFIAGr
浴衣、というのはその見た目に違わず脱がしやすい。
年に一度の花火大会で人が溢れ返っている海岸にある海の家――のかげで、ある一人の
少女がこの日の為にせっかく新調した浴衣を脱がされ嬌声を紡がされていた。
ねえ、今日は花火を見に来たんじゃないの? と少女が訊ねると彼は、
「花火より自分の方が大切や。それにこっからでも十分見れるて」
と言って胸に触れてその頂を甘噛みする。
その快感に少女は裸身を仰け反らせ、まどかにばっかり気がいって花火に集中なんて
できないよぉ!と頬を紅潮させて抗議した。
「なんや自分、嬉しいこと言うてくれるやん」
少女の抗議も虚しく、まどかはこの上なく嬉しそうに目を細めると空に向かって
屹立した自分のモノを夜露に濡れた少女の蕾へとあてがった。
少女は苦しげに喘ぎを漏らしつつ、
「ひぁっ……立ったまま、じゃ無理っ……、それに声が…人に……」
とめげずに再び抗議する。
だがその程度の言い分で止めるような男ではもちろんなく、
「大丈夫、俺がしっかり支えとるし、花火の音にみんな気ぃいってるから自分の声
きいてんのは俺だけ。せ・や・か・ら、安心して声あげてええんやで?」
少女の腰に回していた手の片方で、愛おしげに栗色の髪を撫でた。
「……まどかの、馬鹿ぁ」
少女は拗ねたように呟いて彼の褐色の体躯にしがみついた。
85バイト×主人公 2/2:02/07/10 02:34 ID:CzyFIAGr
「また来年も来たらええやん」
まどかは少女をなだめるように額に唇を落とす。
「……去年もそっくりそのまま同じ台詞きいたんだけどなぁ?」
「そんな細かいこと気にしてたらあかんて」
まどかはこれ以上反論させないように、その愛らしい唇を塞ぎ、口腔を刺激する。
まどかってば自分が答えられなくなるといつもすぐコレだよ、と内心苦笑する少女。
「いつか俺の手でこんなんよりもっとでっかい花火上げさすから、待っててや」
「うん、期待しないで待ってる」
「嘘でも“期待してる”って言うてくれんのかい!?」
「じゃあ、期待してる」
「“じゃあ”てなんや“じゃあ”て……」
「だってまどか甲斐性無しなんだもん」
「あのなぁ……」
顔を引きつらせているまどかの背後でひゅるるるるるるっ、と花火があがる。
「あ、花火!」
「ん?」
夜空に大きな金色の華を咲かせ、それはきらきらと煌いて一瞬で散っていってしまう。
「綺麗……」
「――もう、見たやろ?」
「何が?」
「花火」
一つ見れれば十分やな、まどかは何かを含んだ笑顔を浮かべた。
瞬時に何かを察した少女は、「ちょっ、ちょっと待って!?」と静止の声を飛ばすが、
無残にもそれは2発目の花火があがる音によってかき消された。
もっとも、まどかの耳にだけはその声は届いていたけれども。
8684:02/07/10 02:37 ID:CzyFIAGr
似非な関西弁だったらスマソ
おまけにエチ淡白すぎやぁ…
花火もろとも打ち上げられて逝ってきまつ
87インデックス職人:02/07/10 02:39 ID:OHwIjw3z
新スレではミスの無いように頑張りたいと思います…

先生
http://www2.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1025465341/829-837の続き
>14>15>16>17>18>19>20(>>14-20)
>33>34>35>36>37>38>39(>>33-39)
バイト
>28>29(>>28-29)
>68>69(>>68-69)
>84>85(>>84-85)
王子
>52>53(>>52-53)
バカ
>75>76>77(>>75-77)

最近は続きものも多くてなかなか続きが読めないのがうらめしくもあり、
次を待つまでの間が楽しみでもあり。萌えのヨカーンに狂ってます(w
続き物抱えた神の皆様頑張ってくだちぃ。
88名無しさん@ピンキー:02/07/10 02:41 ID:+o2a9Y2/
先生萌え神も、バイト神も、王子神もバカ神も最高でつ!!!
ハァハァハァ……このままじゃ萌え死にそう。
続き、続きを早くおながいします!!!!!!!
ウギャー 気になって眠れないよ、ママン!

今夜神の降臨が少な目なのは、みなさん入稿作業では…?(藁
89名無しさん@ピンキー:02/07/10 02:46 ID:z0cPOIlv
前スレ保健室の神様… お待ちしておりまつ…
90名無しさん@ピンキー:02/07/10 03:01 ID:6miWs3sI
私も気になって仕方ないんですよね、バイト保健室
そして、さらなる待ちのバイト神が現れました(*´Д`*)ハァハァ

プラネタリウムの鈴鹿くん神も、花火を美しく咲かせたバイト神も
ありがd!!顔が熱くなるくらい萌えました
91名無しさん@ピンキー:02/07/10 03:03 ID:mA8mAH8W
王子には、ゲームでも苦労し、SS書くのにも苦労するなぁ・・
エロにもってけねーよヽ(`Д´)ノウワワァァァァァン
92名無しさん@ピンキー:02/07/10 03:43 ID:+o2a9Y2/
プラネタリウムでエチーな悪戯をしてしまうバカに ハァハァハァハァ(;´д`)
死にそうなぐらいの萌えをありがとうございます。神!
そして続きをおながいします!!!!!!

GS愛の劇場の続きが激しく気になる今日この頃。
<プロローグ〜嵐の中で>

嵐が来る――――――
東から西へと、真っ黒な雲が速度を早めながら流れてゆく

「・・・まだ、いたのか。何をしている、早く帰りなさい。」
日曜日の夕方、吹奏楽部の練習が終わってから、もう1時間近くも経っているのに、
私はまだ音楽室にいた。
戸締りの確認に来るであろう先生を、ずっと待っていたから・・・。
「すみません。今日教えてもらったパート、ちょっと難しかったので、練習していました。」
「練習もいいが、空を見なさい。今日は台風が来るから早く帰るよう、言ったはずだぞ。
聞いていなかったのか?」
窓の外を見上げるとそこには今にも降り出しそうな空・・・そんなことは、わかっていた。
(だって、だから、待っていたんだもの・・・。)
・・・やっぱり嘘はつけない。どんなにごまかしたって、先生はすぐ見抜いてしまう。
あの鋭い眼差しで、私の心にメスを入れる・・・。
「・・・ごめんなさい。あの・・・本当は、先生を待っていたんです。」
「そうか・・・、待っていてくれたのはうれしいが、いや・・・コホン・・・
今日はこの空模様だ。早く帰らないと、もうすぐ降り出すぞ。」
「あの・・・一緒に・・・」
「わ、わかっている。私は戸締りを確認していくから、先にいつものところで待っていなさい、
車をまわすから。」
「はい!お願いします!」
私は少しだけ笑顔を作って、音楽室を後にした。

先生の車で送ってもらうのは、これが何回目だろう。
私にとっては、学校内では見られない、先生の素顔を知ることのできる大切な時間、
そして大好きな時間・・・だった。
この状況に何の不満があるというの?何の不満もないはず。
なのに、この満たされないような気持ちは何?

(コノサキヘススミタイ・・・)

少しずつわがままになっていく自分に気づきはじめたのは、何時頃からだったろう

校門を出て坂を少し下ったところにあるバス停のそばで、先生を待った。
生暖かい風が吹き抜けていく
空を見上げる
今にも泣き出しそうな空
(ワタシも泣きたい・・・)
なぜこんな気持ちになるの?
以前は先生が車で送ってくれるだけで、すごく嬉しかったのに・・・
初めてデー・・・社会見学に誘ってくれた日なんか、嬉しくて眠れなかったっけ・・・

先生が目の前に車を止めた。
そして、ドアが開く。
「乗りなさい。」

いつものように、私の家へと向かう。いつもと同じ道を・・・。
「次週日曜だが、予定は空いているか?」
「はい。空いてます。」
「ドライブをしようと思う。」
「はい、喜んで。よろしくお願いします。」
(あぁ・・・、また同じ)
いつもの会話、いつものシチュエーション
いつも同じ言葉と同じ風景が、ただ繰り返され続け、半年が経った。
そして、次の日曜の社会見学が終われば、またこの場面に戻ってくる。
まるでドラマのワンシーンを巻き戻して繰り返し見ているよう・・・
「どうした?今日は口数が少ないようだが。」
「いいえ、なんでもありません。ちょっと疲れているだけです。」

雨が降り出してきた。ひとつ、ふたつ、フロントガラスに雨粒が落ちてくる。

「とうとう降り出してきたな。今夜は嵐になるだろう。」
どんよりとした空は、私の心にまで黒い雲をかけているようだ
・・・私の心にも、嵐がやってきそうだった

(コノママドコカヘツレテッテ・・・)

「先生・・・、私、まだ帰りたくありません。」
思考能力を失っているかのように、何も考えず、言葉だけが独り歩きした。
「何を言っている。ダメだ。この天気で、ご両親も心配するだろう。
私には吹奏楽部の顧問として、君を無事、送り届ける責任がある。」
「・・・・・・・・・・・・・。」
わかっている。私にだって、そのくらい、わかりすぎるくらいわかっている。

だからこそ、つらい

先生はなぜ先生なの?なぜ私は先生の生徒なの?
でも、そうでなければ、出会うことのなかった二人・・・。
越えてきてほしい、この壁を・・・。
壊してきて!この大きくて高い、“先生と生徒”という壁を・・・。
次第に雨音が大きくなってきた
さっきの会話が途切れてから、私はずっと黙り込んだまま、
窓に映る、雨に濡れゆく街を見ていた
すると、車はいつからか、私の家とは違う方向へ走っていることに気づいた
気づくのとほぼ同時に、先生が沈黙を破った
「少しだけ、遠回りをしていこう。・・・それで、いいな?」
さっきより、声が優しい。
『先生』としての声ではなく、『氷室零一』としての声。
この声がとても好き。私だけが知っている優しくて、甘い声・・・。

あぁ・・・この道、なんとなく覚えてる
いつか、課外授業の後、息抜きに連れて行ってくれた場所へ向かっているの・・かな?
先生の優しさにほんの少し触れた気がしてすごく嬉しかったっけ、あの頃が懐かしい・・・。
あの頃よりも、先生との距離は近くなったはずなのに、なぜかあの頃の自分が羨ましかった。
先生を見つめるだけで精一杯だった頃の、あどけない私、
愛することの本当の辛さを知らない、まだ幼かった私・・・

車が止まった。
そこは強い雨と、土砂降りの心のせいで、あの日とは全く違う場所に見えた。
・・・沈黙に雨音だけが響く

同じ景色なのに、あの日と同じ気持ちで見ることはできなかった。
積み重ねてきた時間が、どれ程残酷なものだったのか、わかってしまった・・・。
過去の日の想いが、あの頃の自分が、とたんに恨めしく思えて、
決して口にしてはいけなかった言葉が涙と共に零れてしまった。
「先生は、なぜ先生なの・・・?どうして私は、生徒なの・・・」
先生を困らせるつもりはないのに
「どうしたんだ?君らしくないぞ。」
「私らしいって何?先生、そんなに私の事、知ってるの?
何も知らないじゃない、私の気持ちなんて、こんなに苦しくて・・・もう・・・」
想いがあふれ出た
・・・泣いていた

(――――――ダキシメテホシイノニ)

「苦しんでいるのは、君だけじゃない。
・・・・・・私だって、苦しんでいる。わかってほしい・・・。」
真っ直ぐ前を向いたまま、瞳を閉じて、先生が言った。
その言葉と表情に、息を呑んだ
あ・・・、先生・・・
先生は私よりずっとオトナなんだと、改めて感じた
こんなクールな仮面の下に、激情を隠し持っているんだ
私、気づかなかった・・・。
ごめんなさい、先生・・・。わがままな私・・・。
でも、でも・・・。
不安だった
『愛している』という言葉が欲しかった
『愛されている』という確証が欲しかった
『愛されている』自身がなくても先生の側にいられる程、私は強くもないし、子供でもなかった
胸の内から迫りくる思いを、もう告げずにはいられない
そして、先生の口から答えが欲しい、どんな答えでもかまわないから・・・
涙交じりの、消え入りそうな声で呟く。
「わた・・し・・、せんせぇ・・の事が・・・、ずっと、好・・」
「それ以上、言ってはいけない!」
「いや、だめ、もう、言いたいです!!」
(お願いです。せめて、この想いを、吐き出させて・・・!)
「・・・・・・その言葉は、私から伝えなければならない。」
「え・・・?」

「君を・・・、愛している。」
真っ直ぐな眼差しが、私の胸を貫く
私の全てを見透かしてしまう、鋭い眼差し
あぁ、やっぱりこの人は誤魔化せない
そして、自分の気持ちにも、これ以上嘘はつけない
触れて欲しい
もう止められない
「先生・・・、私も・・・、先生を、愛しています。」
二人の間に引力を感じた
先生の大きくて綺麗な手が、私の髪に、耳に、そして頬に触れる
初めての感触なのに、なぜか懐かしさを感じた・・・
そう・・・、ずっと昔から探していたものをやっと見つけた、切ない、暖かい感じ・・・
そっと瞳を閉じる
先生の吐息が近づいてくる
そして―――――
唇から愛が伝わる
先生の気持ちが、今、わかった・・・

こんなにも愛していた
こんなにも愛されていた
いとおしさと狂おしさで、また涙があふれた

車のボンネットに当たる激しい雨音が、崩れ行く壁の音に聞こえた
101名無しさん@ピンキー:02/07/10 05:46 ID:iJrzxEsW
SS楽しみにしていた皆様、ごめんなさい。
こんなのうpしてしまいました。
尊敬している先生萌え様の足元にも及ばず、はずかしーです。
エチーもないし、長文だし・・・
・・・逝きます!
102名無しさん@ピンキー:02/07/10 06:13 ID:0ohNgoQm
あ、あ、あ、愛してるー! 萌えー!!(;´Д`)ハァハァ
てんてーが…てんてーが…あわわ(瀕死)
もう切なくて愛しくて甘々でこういうの大好きです。
エロがなくてもしっとりした雰囲気。ウラヤマスィです。ヽ(´ー`)ノ

でも>>101タン……尊敬なんてそんな……勿体無い。(*´∀`)ヾ
私なんかよりよっぽど良い文章書いてます。自信持ってください。

あぁ、でもやっぱり先生には雨が似合うわぁ。
103名無しさん@ピンキー:02/07/10 06:44 ID:wzxABfl2
ありがとうございまつ!!!
萌えていただけてうれしいでつ!
台風が接近しているのをネタに書いてみました。
SS書いたの、これが初めてで、よくわかんないのですが、
こんな感じでいいんでしょうか???
エチー書くのって、やっぱり難しいですね・・・結局、書けませんでした。

102=先生萌え様ですか?
尊敬している神にシロウトの身で直接レスいただけるなんて、アアア・・・感激です!
104名無しさん@ピンキー:02/07/10 14:40 ID:ipcTNlxN
えと、思い付きで先生体育祭イベントSSできました。
SS書くのも初めてなもんでヘボヘボなんですけど、
こんなの読みたい方はいらっしゃるでしょうか?
いらっしゃればうpしようと思います。
エロなしなんですが…。
ではでは。
105名無しさん@ピンキー:02/07/10 14:44 ID:S2KApbgX
104の神様。ぜひ、UPお願いしまつ。

お待ち申し上げてます。
106渉SS職人:02/07/10 15:52 ID:7Omc0sp0
次からエロなしだけど青春を送る彼らのSSをお送りします。
107青春を過ごす少年たち1/5:02/07/10 15:55 ID:7Omc0sp0
 とある夏休みのこと。
 守村桜弥がはばたき市で一番大きいと言われる電気店に入る。
 彼は、キョロキョロと周りを見渡すと、すっと目指す棚に一直線に歩いていき、
そしてひとつのパソコンゲームを手にした。
 そして、レジに向かおうとしたときだった。
「あれ、守村やないか」
「!」
 聞き覚えのある声に振り向くと、やはり彼は姫条まどかだった。
「ん、なんや、ゲーム買いに来たんかいな」
「え、ええ……」
 歯切れの悪い桜弥。それにピンと来たまどかは、周りの棚を見ながら言った。
「ほう……。ジブンもそういうことに目覚めたわけや。やっと男になった
っちゅうわけや」
「ぼ、僕だって十八歳になりましたから! こういったゲームのひとつやふたつ、
これからは堂々と買ったっていいと思います!」
 強気そうな顔で反論する桜弥に、まどかは目尻を下げて言った。
「俺はそこまで細かくは言ってないで。それに、『これからは堂々と』ってことは……。
へえ……」
「う……」
 言葉に詰まる桜弥。
108青春を過ごす少年たち2/5:02/07/10 15:55 ID:7Omc0sp0
 そこに通りかかったのは日比谷渉。彼らの一年後輩である。
「あ、やっぱり守村先輩に姫条先輩。こんなところで何やってんスか?」
「聞いてや。こいつな、エロゲー買うのにこそこそしとんのや。
もっと堂々としててもええのにな」
「ぼ、僕は見た目より若く見られてしまうんです!」
 意地悪そうに言うまどかに、赤面しつつムッとしながら言う桜弥。
「はは、一応、高校生ですしね」
「ところで、ジブンは何買うんや?」
「アニメッス」
 そうきっぱり言い切る渉に少しびっくりするまどか。だが、その持っている
DVDのタイトルにもまたびっくりする。
「『シスターティーチャー』? こりゃまた、マニアックそうなもんを……」
「ええ、そうなんスけど、結構イケルッスよ……」
 少し声を低くする渉。
「ど、どういうこと?」
 ふたりも耳を傾ける。
「コスチュームも際どいし、なんと言っても、パンチラが……」
「ふむ。やはり、実写ではできない表現ができるのがアニメやゲームのいいところ
ですよね」
 真面目そうに言う桜弥。さっきの赤面はどこへ行ったのやら。
109青春を過ごす少年たち3/5:02/07/10 15:57 ID:7Omc0sp0
「うわっ。すまねえ」
「なんだね、キミは。ボクが怪我でもしたらどうするつもりだい?」
「ほんと、わりい」
 三人は会話の聞こえてきた方向を見た。
 それは、鈴鹿和馬と三原色だった。
「どうしたんスか?」
 渉が尋ねる。
「まったく、カレがボクにぶつかってきたんだよ。こんな物が多いところで
ぼんやりしているなんて、どういうことなんだろうね」
 色が言う。
 それに、和馬が申しわけなさそうに言う。
「だ、だってよう。店先にあるDVDのポップ見たくなくて、目ぇつぶって
入ってきたら、ちょうどこいつがいて……。ほんと、すまねえ」
「え? ポップ?」
 店先の方に振り向く桜弥。
 思い出したのは、まどかだ。
「ああ、『今夜のディナーは君のはらわた』っていう、今売り出し中の
ホラー映画のDVDやな」
「うわあ、タイトルを言うなあ!」
 耳をふさぐ和馬。
「ホラー映画にしては、ボクも認めるほど美しかったね。音楽もまた……」
 色が言う。
「思い出させるなあ!」
 青くなる和馬。
110青春を過ごす少年たち4/5:02/07/10 15:57 ID:7Omc0sp0
 話の方向を変えたのは渉。
「そういえば、鈴鹿先輩がそこまでして買いたい物って何スか?」
「あ、ああ……。プロレスのビデオ。最近発売になったやつ」
「そうなんですか。スポーツの棚はあっちですね」
 桜弥がその方向を向く。
「ああ。ちっと歩きすぎたみたいだな。こんな奥まで来ちまった。じゃ、
ちっと行ってくるわ。おまえらも買いたいもん、買うんだろ?」
 和馬の言葉に、一同頷く。
 買いたい物が決まった渉と桜弥も和馬と共に棚に向かう。
「それ……。女子プロ……」
「い、いいだろ、別に」
「え、ええ。構いませんが」
 桜弥の言葉を遮る和馬と、そこで話題を止める桜弥。桜弥は言うだけ無駄
だと知っていた。
「そういえば、姫条先輩と三原先輩は何を買うんでしょうね?」
「ちっと、様子見に行くか」
 彼らが見たのは、真剣に語り合うまどかと色。
「やっぱり、洋モノが一番やんな」
「うん。西洋の女性は身体のラインが美しいからね。いろいろ参考になるよ」
「あは、は……。アダルトッスか……」
「やっぱり……」
「何をクソ真面目にそんな物を話題にしてるんだか」
 呆れる三人だった。
111青春を過ごす少年たち5/5:02/07/10 15:58 ID:7Omc0sp0
 そんな彼らに気配を消して近づいた者は。
「君たち。一体何を騒いでいる」
「うっ。氷室先生」
 氷室零一、彼らの通うはばたき学園の教師だった。
 零一の目は、桜弥のゲーム、まどかと色のDVDに向けられた。
「ん? それは、どういった物かわかっているのかね? どうなんだ?
守村、姫条、三原」
「……」
「あ、はは……」
「絵のモチーフです」
 うなだれる三人からこっそり離れようとする和馬と渉。彼らをも見逃さない
のが零一だ。
「鈴鹿、日比谷、待ちなさい。店内で騒いでいたことは連帯責任だ。
一緒に来なさい」
「はい……」
「わかりました……」
 一旦手に取った品物はそれぞれ棚に戻され、六人で店を出る。
 この後、学校でこってり絞られた学生たちだった。
 残された者もいた。
 彼は、桜弥が来る前から店内にいた。
 彼は、ゆっくりと動物のDVDの棚の前に立った。
「これで、ゆっくりと物色できる……」
 葉月珪である。
 彼の目には動物しか映っていなかった。

終了。
112渉SS職人:02/07/10 16:02 ID:7Omc0sp0
おそまつさまでした。
ピュアなユーザーはこういうネタも嫌かな、と思いまして、
ここでUPさせていただきました。
113名無しさん@ピンキー:02/07/10 16:05 ID:qXgyvrTQ
>107-111
ワラタ!(・∀・)イイ!!
それぞれに特長とか良く出てておもしろかったです。
しかし、女子プロマンセーなバカって一体・・・。
114名無しさん@ピンキー:02/07/10 16:17 ID:QWR/9fZf
Σ(´Д`;)お、王子…
おもしろかったです。
115名無しさん@ピンキー:02/07/10 16:24 ID:CeeNZCaq
もりりんの買ったエロゲが木になる(藁
妻み○ぐいとか?(藁
116先生×主人公(体育祭イベント):02/07/10 16:29 ID:FXoiEQGs
…なぜ、あんなことになってしまったのか………。


体育祭の最中、1人保健室の方へ向かう女子生徒を見た。
片足を、少し引き摺っている。
今日は必然的に怪我人も多い。
保険医が出払っているかもしれないということに彼女は気付かないのだろうか。
私は職員席を立ち、保健室へ向かった。

案の定、保険医の姿は無く、彼女だけが薬品棚の前で困惑していた。
消毒薬の場所を教えてやると、ワンテンポ遅れて私の存在に驚く。
今では期末考査の学年1位が定席となり、吹奏楽部でも中心となって活躍していたというのに、こういう所は入学当時からあまり変わっていない。
今も、傷の手当てに苦戦しているように…。
思わず笑みが零れそうになるのを抑えて、手当てを代わった。

そう、その頃から、何かが、おかしかった…。
口からは説教が次々と出るのに、心拍数が異常な程に上がっている。

手当てを終えた時、彼女は少しの間俯いていたが、顔を上げると、
「氷室先生、ありがとうございました。」
…そう言って、笑った。
笑ってくれたのだ。
…少し、頬を紅潮させて………。

その時だ。
私の中で、何かが…。

気が付いた時には…口付けていた。
突然のことで、彼女も抵抗できないでいるようだったが、身体は硬直し…震えていた………。
それでも私は止められず、噛み付くように、深く、深く………。
きつく、きつく、抱き締めた。


今でも、あの感触を思い出すことが出来る。
だが、それは、暗闇のような苦痛を伴って…。

悲鳴が…聞こえる………。


「ぃやっ…やめっ……やめてくださいっ………!」
彼女の手が私を押し退け、
彼女の瞳は、涙で濡れていた…。
足音が、急速に、遠くなっていく………。


私は、許されざる罪を犯した。
彼女を…傷付けてしまった…。

あれが…最後だったのだ。
あの、笑顔が………。


終わり。
117渉SS職人:02/07/10 16:31 ID:7Omc0sp0
はっ!間違い発見!
しくしく。
脳内変換して読んでください…。

>>113
ありがとう。
女子プロって、欲情するに足りるらしいです。
118渉SS職人:02/07/10 16:36 ID:7Omc0sp0
>>114
私のことととらえていい?
王子が動物のどんなビデオを見たかったのか、は
この話のテーマを考えてからだと想像つきます。
動物たちのアレの映像もあるらしいです。

>>115
モリリンのエロゲー。
私も詳しくはないのですが。
結局高校生もののような気がします。

>>116
てんてー、失恋?!
でもでも、主人公タン、そこまでときめかせといて、本命でないの?
この、天然小悪魔ちゃん!
119先生×主人公(体育祭イベント):02/07/10 16:37 ID:FXoiEQGs
うpし終わった後で…
「いいのか!?こんなんでいいのか!?」
と震えるほど緊張しております。
なんせここにカキコするのも初めても同然だからな。
あ、もう少し改行しておくべきだった!失敗!(>_<)
読んでくれた方ありがとう!
ではでは、失礼いたしました。m(__)m
120名無しさん@ピンキー:02/07/10 16:42 ID:FXoiEQGs
>>118
いや〜、きっとびっくりしちゃったんですよ、主人公ちゃん。
先生のことは好きなのです。
実は続き考えてあるけど、書いてないっす。
感想ありがとうっ!(T_T)
121渉SS職人:02/07/10 16:44 ID:7Omc0sp0
>>120
頑張って書いてみては?
ここに集うみなさんは、たくさん読みたいと思いますよ。
122名無しさん@ピンキー:02/07/10 16:57 ID:1RcELKRH
>>121
そう言って下さると嬉しいです。(*^_^*)
頑張って書いてみます!
んで、出来たらまたここに持ってきます!
123前スレの919〜922:02/07/10 17:14 ID:qXgyvrTQ
>116
先生、切ない・・・゚・(ノД`)・゚・
ぜひ続きを書いて先生を幸せにしてあげてください。おながいします。

>117
欲情するに足りる・・・!((( ;゚Д゚))ガクガクブルブルとかいいつつも
(;´Д`)ハァハァしてしまう罠(鬱

前スレの919〜922 です。叱り飛ばされるんじゃないかとビクビク
してたんですが皆さん寛大で、号泣です(´Д⊂
お礼といっちゃお粗末なんですが、モリリンSSを書いてみたんでどうぞ
うけっとってください!無駄に長い&稚拙でスマソ・・・。(;´Д`)
124モリリン恋の歌(エロなし):02/07/10 17:16 ID:qXgyvrTQ

(・・・あぁ、いいきもち。うふふ。)
私は、窓辺に置かれたロッキングチェアに揺られながら、綺麗に
剪定されたお庭を眺めていた。
(さすがは桜弥くん家だよね。あ、もうひまわりのつぼみが膨れて
る。かわいいなぁ。)
黄色い大輪のひまわりと草いきれ。響くセミの声。夏の日差しを
気にしながら麦藁帽子をかぶって、一生懸命水やりや草むしりを
する桜弥君を想像して、私はちょっと笑ってしまった。
桜弥君が私のクラスに訪ねてきたのは、数学の試験が終わってから
直ぐの事だった。
「あ、あの、よかったら今度の土曜日、試験が終わったら僕の家に
遊びに来ませんかっ?もっもちろんあなたの都合がよかったら。
庭のルバーブでジャムを作ってみたんですけど、その、美味しく
出来たんです。」
頬を赤くしながら、桜弥君はお家へ誘ってくれたのは。
「わぁ、ステキ、一度食べてみたいって思ってたの!ぜひお邪魔
させて。」
私がそう答えると桜弥君は胸の前辺りできゅっと手を握って
本当ですか?!あぁ、よかった!なんて言っている。そんなに
嬉しそうな顔されたら、なんだかこっちまで嬉しくなってきちゃう。
(・・・桜弥君って、そういう魅力があるよね。見てる方にも
幸せな気分を分けてくれるような・・・)
そうして楽しい事を考えたり思い出しているうちに、昨日遅くまで
試験勉強していたせいか、しっくりとなじむロッキングチェアーと
か、畳の匂いとか、窓から吹き込んでくる風がとっても心地よくて、
私はいつの間にか、ぐっすりと眠り込んでしまった。

125モリリン恋の歌2(エロなし):02/07/10 17:17 ID:qXgyvrTQ
(えーっと、クロワッサンはこのバスケットでいいかな?)
僕は頬が緩んでいくのをとめることが出来なかった。彼女が僕の
家にいる。それがこんなにも嬉しい。紅茶を淹れるために沸かして
いるやかんの音だって、僕には弾んでいるように聞こえる。
この前蔵を片付けた時に出てきた、お祖父さまが愛用していた
ロッキングチェアを磨いて僕の部屋に置いたのだって、きっと彼女
も喜んでくれると思ったから。
僕がいいと思ったものを、彼女もまた同じように思ってくれる。
どんな小さなことでも、僕は彼女と同じ「すき」を、共有したい。
そう、はじめは本当に嬉しいだけだった。同じ価値観を持った人
と出会えたことが。
でも、いつからだろう?僕のことも「すき」になってもらいたい
なんて、考え出したのは・・・。
またいつもの終わらない自問自答をはじめていることに気がついて、
僕は止まっていた手を動かしはじめた。
(だめだな、僕は。・・・今は、彼女にもこのジャムと昨日焼いた
クロワッサンを好きになってもらうことを考えよう)
気持ちを切り替えてティーカップを取り出そうとした時、母が
キッチンへ入ってきた。
「桜弥さん、ちょっといいかしら?」
すっきりした夏物の訪問着に着替えた母が、残念そうな顔で
話しかけてきた。
126モリリン恋の歌3(エロなし):02/07/10 17:18 ID:qXgyvrTQ
「せっかく桜弥さんが女の子の友達を連れてきて下さったんだけど、
どうしても出かけなくてはならない用事が出来てしまって・・・。
夕方までには戻れると思うんだけど、もし間に合わなかったら
お父様の夕食の支度、お願いできるかしら?」
母さんの頼みはいつだって断れない。
「はい。分かりました。気をつけて行って来てくださいね。」
母はほっとしたように一息ついて
「あぁ、よかった!じゃぁお願いね。
ねぇ桜弥さん、ところで、あのかわいらしいお嬢さんにその壷谷
焼きのお湯のみは似合わないんじゃないかしら?」
フフフと含み笑いを残して玄関へ向かった。小柄な背中には、
あからさまに『好奇心満々・あぁ無念』と書いてある。扉を閉める
時わざと聞こえるような声で「青春っていいわねぇ」と言い残して
いくのも忘れない。
赤面して、湯飲みを持ったまま玄関で固まっていた僕は、はっと
してキッチンへ駆け込んだ。そうしている内にもお湯が沸いている。
奥のほうにあった来客用のカップを取り出して紅茶を淹れた。まだ
少し顔が熱いけど、これ以上彼女を待たせるわけにはいかない。
ふぅ、と一度深呼吸してからカトラリーを準備して部屋へ向かった。

127モリリン恋の歌4(エロなし):02/07/10 17:20 ID:qXgyvrTQ
引き戸を開けると、窓辺においてあったロッキングチェアーに
かけている彼女が見えた。
「ごめんなさい、ずいぶん待たせてしまっ・・・・て・・・?」
向こうを向いたまま、動かない彼女に気がついてトレーをテーブル
に置いて、近づいてみると、すうすうと規則正しい寝息がきこえて
くる。
(きっと試験勉強で疲れていたんですね・・・。ご苦労さま。
ゆっくり休んでくださいね。)
うっとりと閉じられた瞳は本当に気持ちよさそうで、窓から差し
込む木漏れ日がゆらゆらと彼女の愛らしい寝顔を照らしている。
まるで一枚の絵画を抜き取ったように綺麗な姿は、いつまでも
見ていたい気分にさせる。きっと僕の頬は締まりなく緩んで
いんるだろう。
木漏れ日が揺れる。肌理細やかな桜色の頬。ふさふさの睫。
かわいらしい鼻。柔らかそうな唇。そしてゆったりとした胸の
膨らみや、オットマンに乗るすらりと伸びた華奢な足。
一瞬、ゆらめく光の粒たちが、まるで彼女を優しく愛撫している
ように映る。
(ぼ、ぼぼ僕は今何をっ・・・?!そ、そうだ、まっ眩しいと
いけないから、カーテンを閉めよう)
彼女から目を引き離すようにして身を起こし、窓を閉めてカーテン
を引く。高揚したせいか、手が少し震えてしまった。胸の前で両手
をぎゅっぎゅっと握りなおして震えを沈め、エアコンのスイッチを
入れてから、彼女にかけてあげるタオルケットを取り出して、再び
そばへ寄った。
薄暗くなったせいか、陰影で微笑んでいるように見える彼女に、
そっとタオルケットを掛けると顔の方に視線を移す。胸が苦しい。
締め付けられるような、それでいて甘くしびれるような感覚が、
体中を駆け巡る。長い影を作る睫は、動く気配がない。いけない、
と思いながらも、緩く開いた唇から目が離せない。
(・・・くちびる、やわらかそう。きっと甘いんでしょうね・・・)
触れてみたい、そう思った時にはもう、僕の唇は彼女の甘く
柔らかい唇に触れていた。
128モリリン恋の歌5(エロなし):02/07/10 17:21 ID:qXgyvrTQ
(ぅ・・・・ん・・・くすぐったい・・・)
何か暖かいものが唇に触れていてくすぐったい。なーに??重い瞼
を押し上げると、霞む視界いっぱいに綺麗な緑色が広がった。
半分寝ぼけてまだ正常に動かない頭をがんばって回転させて考えて
みる。
(この色知ってる。・・・えーっと・・・?あぁ、桜弥君の髪の色だ。
・・・んっ?ええーーーー!!)
「ぁ」
思わず声が出てしまった。すると重なるようにして私の唇に触れて
いた桜弥君はビクッと跳ね上がったかと思うとすごい勢いで離れて
いった。
「ぼ、僕っ、どうしてこんなっ?!ご、ごごめんなさいっ!
僕、そんなつもりじゃっ」
桜弥君はうろたえたようにしどろもどろになって唇に手をあて
ながら後退っていく。
私はとにかくびっくりしながら目を丸くしていたんだけど、その間
にも桜弥君はどんどん後ろに下がっていって、もう本棚のところ
まで進んでいる。
「桜弥君!危ない!」
そう叫んだのとほぼ同じタイミングで桜弥君は本棚にぶつかって
しまった。
ドコン!という派手な音の後で「あぁ!いたぃ・・・」という桜弥君の
声が聞こえた。頭をぶつけてしまったのか、うっすら涙を浮かべて、
後頭部に手をあてている。
「だっ大丈夫?!」
私は急いで彼の側に寄っていった。
「どこぶつけたの?見せて。」
そういって彼の手をとってぶつけたところを調べようとすると、
桜弥君はすっと身を引いた。
129モリリン恋の歌6(エロなし):02/07/10 17:22 ID:qXgyvrTQ
「だ、大丈夫です。たいした事ありません。ちょっとぶつけただけ
ですから。それに自業自得です。」
それだけ言うとすっと目線を落としてしまった。
「・・・ごめんなさい。僕、あんな事するつもりじゃなかったんです。
信じてもらえないかもしれないけど、本当なんです。
ただ、あなたの寝顔を見ていたら、いつの間にか・・・。
あなたは僕なんかにはもったいない人だって、分かってました。
だけど僕は、僕はどうしてもあなたへの思いを断ち切れなかった。
謝ってすむ問題じゃないって事ぐらい分かっています。
軽蔑しますよね、僕のこと。・・・当然です。
僕はそれだけの事をしたんですから・・・。本当にごめんなさい。」
私は話を聞いているうちに涙があふれ、頬を伝って彼の手に零れて
しまった。
桜弥君はびっくりしたようにこちらを見た後、手を引き抜こうと
したけど、私は力を入れてそれを許さなかった。すると桜弥君は
観念したように、うつむきながらじっと呵責に耐えているようだった。
「・・・ファーストキスだったんだから・・・。」
そういうと、桜弥君の体がぐっと強張るのが分かる。
「ほ、んとうに、ごめんなさい。」
私は桜弥君の手を握る手に力を込めて言った。
「・・・私、私ね、桜弥君の事ずっと好きだったの。
だけど、桜弥君はどうなんだろうって思ってた。だから嬉しかったの。
桜弥君がキスしてくれたって分かったとき。そりゃ、びっくりした
けど、すごくうれしかった。だけどね分からないの。
どうして私にキスしてくれたの?なぜ謝ったりするの?
私、少し鈍いからちゃんと言ってくれなきゃわかんないよ。
桜弥君、お願いちゃんと答えて。」
130モリリン恋の歌7(エロなし):02/07/10 17:22 ID:qXgyvrTQ
やっとの思いでそう伝えると、しばらくの沈黙の後、桜弥君は
ようやく顔を上げてくれた。
そして私を見つめて、ゆっくりと話しはじめた。
「・・・きっとこんな僕じゃ、あなたに迷惑を掛けるだけだと
思っていました。
あなたに否定されるのが怖いから、いつも親切な友達のふりを
したり、他の人と仲良くしているのを見かけてもあなたは魅力的で
僕のような弱い人間とは違うんだからって、そう思い込ませてきました。
だけど、僕は今のあなたの言葉を聞いてやっと分かったんです。
自分が傷つくのが怖いだけだったのかもしれないって。
逃げていたって解決しないって事が・・・。
僕の気持ちを聞いてください。・・・僕は、あなたが好きです。」
桜弥君はもう片方の手で今度は私の包み込んでくれた。
「・・・きっと僕はこれからも立ち止まったり口ごもったりして
時々あなたを困らせてしまうかも知れないけど・・・。
その時は少しだけ待っていて下さいね。必ず前に進んでいきます。
あなたさえ、そばにいてくれるなら・・・。」
そういうと桜弥君はコツンとおでこを合わせてきた。
「もう一度、チャンスをくれませんか?僕に」
私は何のことだか分からずに桜弥君の琥珀色の瞳を見つめていると
「あなたのファーストキスを、そ、その、もう一度・・・」
真っ赤になりながら真剣に見つめ返してくる。
「うん。さっきのキスだって、おとぎ話みたいで素敵だったけど・・・」
やだ、私きっと顔真っ赤だよ。
「は、はい。」
桜弥君の顔も同じように真っ赤。ふふ、私たち同じだね。
「愛しています。ずっと、これからも・・・あなただけを。」
そう言った後、彼の琥珀の瞳が閉じるの見てから、私も目を閉じた。

おしまい
131前スレの919〜922 :02/07/10 17:31 ID:qXgyvrTQ
神々が光臨した後に投稿するのは気が引けたのですがそろそろ同居人が
帰ってくるのでさっさとすませたかったです。自分勝手で申し訳ない(;´Д`)
しかもSS初書きなのでヘタレです。エロを書きたかったですが
時間がないー!(´Д⊂
いつかモリリンで(;´Д`)ハァハァしたいです。では!シュタ!!

132渉SS職人:02/07/10 17:44 ID:JPnXwAcn
>>131
よかったですよ。
桜弥くんらしいファーストキスで。
133名無しさん@ピンキー:02/07/10 17:57 ID:PbYcllwI
93 :先生×主人公さん
せつね〜〜先生!!(・∀・)イイ!!
心理描写におもわずほろりとしたよ!!
また書いて下され〜。

先生萌えさんといい、先生のSS書きの人には上手い人多いなー。
134名無しさん@ピンキー:02/07/10 17:57 ID:S2KApbgX
嗚呼!!今日も神キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!!

いつもありがとうございます。
ドキドキしながら読んでまつ。
135名無しさん@ピンキー:02/07/10 18:01 ID:8Z2Ajxe/
>>124-130
モリリン…!
可愛い…どうしよう取り合えず(;´Д`)ハァハァしとこう

ハァハァついでに王子一人称とか書いちゃったんですけど
うpしてよろしいでつか?
エロはとんとないですが、おつまみがわりにでも…
136名無しさん@ピンキー:02/07/10 18:02 ID:wKPYfFss
>112
お、おもろい(w。いいですね〜、こういうの。
王子はここでもボケ担当ですか・・・。(・∀・)イイ!!
137名無しさん@ピンキー:02/07/10 18:11 ID:v1AjMUiN
>135
禿しく見たいでつ!!
うpお願いします(;´Д`)ハァハァ
138王子×主人公(1/3):02/07/10 18:13 ID:8Z2Ajxe/
『 ―――本当に、好きなんだ』

溢れ出した気持ちを、そうすることでしか伝えられなかった。
きつく抱きしめた後ひやりとした床に組み敷くと、君は少し怯えたよう
だったが、すぐに俺にしがみ付く。
左手の薬指にくちびるを付けて、そのままいたるところに舌を這わせる。
…神様の、前で。

今までの俺たちからすれば、そこだけ狂っていたかのような時間の後。
荒い息を繰り返す君を見ていられなくなって、背を向けた。
はだけた制服の隙間からのぞく白い胸や、気だるそうに投げ出された足に、
さっきまでの行為の跡が残っている。
思っていたよりもずっと柔らかくて熱かった肌の感触が蘇る。
それとともにつのるのは、酷いことをしてしまったのではないかという
罪悪感だった。
君はどこまでも優しくて、痛いはずなのに何も言わなかった。我慢して
いることなんか判りきっていたのに、俺は止めなかった。…止めたくなかった。
涙を堪える姿に煽られて、馬鹿みたいに君を求めた。

シャツのボタンをわざとゆっくり留めながら、視線をさまよわせる。
ステンドグラスから差し込むオレンジの光が、胸を締め付けた。
139王子×主人公(2/3):02/07/10 18:14 ID:8Z2Ajxe/
これから、俺たちは何か変わるのだろうか。
無邪気だった時のように触れ合えるのだろうか。
大好きな君のすべてを知ったというのに。
何もかもが俺のものになったはずなのに。
―――それでも、不安でたまらなくなるのは何故なんだろう。

背後で、君が起き上がる気配がする。振り返るのが怖かった。
しばらくほどけたままのネクタイをいじって座り込んでいると、君が
目の前に立つ。乱れていた痕跡は、もうどこにもない。

…何て、言ったらいいのか判らない。こんなとき、どういう風に
ふるまえばいかなんて、俺は知らない。
じっと、見つめた。夕陽を背にして立っているせいか、表情は
はっきりと見えない。
君は今、どんな顔をしているんだろう。
何を考えているんだろう。
―――息が出来ない。…ドキドキ、する。顔が熱い。

「珪くん」
140王子×主人公(3/3):02/07/10 18:15 ID:8Z2Ajxe/
沈黙の後、差し伸べられた手が一瞬理解できなくて、きょとんと
していた俺の手を君が優しく取る。

…温かかった。

『本当に、好きなんだ。誰よりも、大切なんだ』―――そう伝える術を
俺は、やっぱり知らなかったから。…ただ君の手を強く握り返した。
君は、俺のことなんか何でも判ってる、って顔で微笑んでる。
立ち上がりながら、あくまで平静を装って言った。
「…帰るか」
「うん。…私、お腹すいちゃった」
どこまでも自然な君の言葉に、口元が緩んだ。

ああ、今。本当に俺が欲しかったものがこの手の中にある。

教会の扉を開けると、辺りを夕陽が染め上げていた。見慣れた風景が
一瞬だけ、俺の知らない世界に見えた。
隣をそっとうかがうと、君は照れくさそうに笑う。
欠けていると思っていたものが、1つ、また1つと満たされていくのを
感じながら、俺たちは夕焼けの家路をたどった。
影はどこまでも伸びていく。2人の手は、しっかりと繋がったまま。


おわる。
141138-140:02/07/10 18:16 ID:8Z2Ajxe/
萌え狂った挙句の初SSがこんなに粗末ですみません。
一応エンディング後の王子×主人公です。
王子のイメージ壊れたらスマソ…それにしてもハズカスィ…
やけに乙女ティックで失礼しますた。
142渉SS職人:02/07/10 18:17 ID:JPnXwAcn
>>141
王子…。
愛を感じます。
143名無しさん@ピンキー:02/07/10 18:19 ID:NH3fhwea
>135
今すぐにでもおながいします!!!!!王子、王子……

>124-130
なんか主人公がとても羨ましくナタヨ…モリリン、イイ!
144名無しさん@ピンキー:02/07/10 18:31 ID:QWR/9fZf
>>141
王子(・∀・)イイ! 
私も王子の愛を感じました。
145143:02/07/10 18:32 ID:NH3fhwea
>141神
ありゃ、書き込んでる間にうpされてた……王子、イイ!!
乙女チック、マンセー!愛ですね〜
146141:02/07/10 18:42 ID:8Z2Ajxe/
ぎゃ!ありがとうございます。
何も考えてなくて気付いたらこんなことに…。

いつか王子でドエロ書いてやると心に誓いつつ、
他キャラ攻略の旅に逝ってきます。
147143:02/07/10 18:57 ID:NH3fhwea
>141
また王子を書きに戻ってきてくださいね。
逝ってらっしゃい〜
148名無しさん@ピンキー:02/07/10 19:26 ID:ZpiTyftz
純愛ものが続いてスレがいい具合に盛り上がってきたところで、
今までの作品とは、まったく傾向の違う怪作を貼り逃げします。
デキの悪い喜劇は、その場の雰囲気を悪くするだけですから、
最初の辺りを読んで、「こいつは荒らしだな」と思った方は、
遠慮なくスルーしてやって下さい。

では、吉本新喜劇を見に行ったと思って、笑う準備をしてからお読み下さい。
149究極と至高 (1/12):02/07/10 19:28 ID:ZpiTyftz
もう何度目になるのかな、色くんの部屋に行くのは?
色くんは、いつものように顔を少し赤くしてわたしを誘ってくれた。
この間買った夏物のカーディガンを着て行こう。
ボレロ風でちょっとかわいいやつ。色くん気に入ってくれるかな?
色くんに出会ってから、わたしの趣味もずいぶん変わったな。
前はこういうの着なかったもの。
でも、変われることが嬉しい。色くんのために変われることが、本当に嬉しい。

色くんの部屋に通され楽しくおしゃべり。
最初は少し驚かされた色くんの話も、今はとても楽しい。
色くんはいつものように優しいキスをして、わたしに優しいキスをいっぱいしてくれて、
少しぎこちない手つきでわたしの服を脱がせて、色くんが用意したものを着せて……
…………着せて!?
気がつくと、わたしは女王様になっていた……
胸を強調する黒革のボディースーツ。二の腕まであるエナメルの手袋。
そして、これもエナメル製の太ももまであるロングブーツ……
ちなみにブーツは10cmピンヒールだ。
150究極と至高 (2/12):02/07/10 19:29 ID:ZpiTyftz
「いいかい、たしかにキミは美しい。いや、正確には美しくなる可能性を秘めている。
 その可能性は、神の被造物の中でも最上の一つだろうね。
 ……だが、言いかえればキミは完全じゃない。
 神のマテリアルに天才が手を加えて、そこに初めて芸術が完成する。
 神に挑戦するために、ボクにはキミが必要なんだ。分かってくれるね」
嬉しそうな笑顔で、わたしに優しく革の首輪をはめてくる色くん。
手首はすでに革製の手錠で留められている。
な、何とか反撃しないと! このままだと何されるか分かんない!
でも、どうしたらいいの? えっとえっと……。あ、そうだ!
「し、色くん間違ってる! これは女王さまの格好だから、鞭持って責める方だよ!」
「うん、分かってるよ。でもね、本来支配者であるものが受ける嗜虐。
 そこに倒錯した美を感じないかい?」
目がマジだ……。に、に、に、逃げないと! ここから逃げないと!
「ほ、ほら、色くん、前に姫条くんに言ってたよね、バラはそのままで美しいって。
 あれと同じだよ。別に変に手を加えなくたって……」
「それは違うよ。薔薇は自分で美しくなろうとはしない。
 でも、ボクたちはそれを手折って、もっと美しく飾る方法を模索している。
 美しいものを、ただ美しく感じるだけでなく、もっと美しく表現する方法を探している。
 これは、そういうことなんだ」
……ヤ…バイ。いつものことだけど、こういう時は妙に口が達者だ。
「キミの愛らしい唇も、もっと美しく飾らなくてはね」
色くんは、その手にピンポン球くらい大きさの穴のあいたボールを持っていて……
……それは俗に言う「ボールギャグ」というやつですか?
151究極と至高 (3/12):02/07/10 19:29 ID:ZpiTyftz
パチン! と音を立てて革のベルトが留められる。
いろんな感情を込めて見上げるわたしを、色くんは、いつもの天使の笑顔でニッコリと
見下ろした。
こ、これからどうなるの? これから何がおこるの?
不安に震えるわたしの後ろで、部屋のドアが音を立てて開いた。

「ふ…、私が来る前に始めてしまうなんて、気の早い坊やネ」
「遅いですよ、花椿さん。それに悪いのはボクじゃない……
 彼女の中のミューズが、自分を早く解放しろとボクを急かしてやまないのですよ。
 罪は彼女にある……」
なに訳のわかんないこと言ってやがりますか!!
それより、花椿せんせいまで来ちゃったの!?
花椿せんせいは、いつもの怪しい動きで、息がかかるくらいまでわたしに近づいて。
「安心して、今日は三原くんのアドバイザーとして呼ばれたの。アナタに手を出すつもり
 はないワ。だって、アタシには一鶴がいるもの……」
一鶴!? 花椿せんせい! 頬を染めて何を言ってるんですか!?
「このコにはアタシも目をつけてたのヨ。最高の素材になるってネ。
 さすがは三原色。目の付け所がいいワ」
「芸術は芸術を知る…、ボクの魂が彼女にひかれたのは、決して偶然じゃない……」
また、浸ってるよぉ! 色くん、お願いだから、こっちの世界に戻ってきて!
「確かにアナタの才能は認めるワ。でも、この方法じゃ、彼女の美しさは引き出せない」
「花椿さんの言葉とはいえ、聞き捨てなりませんね。
 緊縛以上の美がこの世界に存在するとでも?」
「アナタはまだ若いワ。アナタの知らない世界がまだ多くあること…、
 そのことすら知らないほどにネ……」
「そこまで言うのなら教えてもらえるのでしょうね、ボクのまだ知らない美の世界を」
視線が絡み合い、火花を散らす。
ダメ! ダメ! ダメ!! そんなことで張り合わなくていい!!
二人で張り合ったら、もっと凄いことになりそうな気がする!
「そうネ。いい機会だから教えてあげるワ。アナタに…アナタ達に本当の美の世界を、
 本当の芸術、    女   体   盛   り   を   ね   ! !   」
152究極と至高 (4/12):02/07/10 19:30 ID:ZpiTyftz
裸に剥かれて、テーブルに括り付けられました……
「しかし、花椿さん。今はマミーも出かけているし、彼女に盛り付けるものがありませんよ」
お願いだから、マミーに作らせたものを盛り付けるのだけはやめて……
「アタシに抜かりはないワ。こんなこともあろうかと用意しておいたのヨ」
花椿せんせいは魔法のように舟盛りのお刺身を取り出して……
いったい、どこに隠してたんですか!?
数分後、わたしは綺麗に盛り付けられてしまいました……

「こうして、キミの白い肌に淡紅色の切り身が並べられていると、
 まるで無数の傷痕に陵辱されているようだね……
 これは…、この光景は、まるで殉教を物した宗教画のような面持ちがある。
 被虐をこうした形で表現する方法があったとは……
 何よりも、血を象徴する赤身が彼女に並べられたさま……
 花椿さん、ボクは分かりましたよ。女体盛りは、カインの弟殺しを象徴している!」
「そうヨ、創世記3.4:10-12。
 4:10 主は言われた。「何ということをしたのか。お前の弟の血が土の中からわたしに
 向かって叫んでいる。
 4:11 今、お前は呪われる者となった。お前が流した弟の血を、口を開けて飲み込んだ
 土よりもなお、呪われる。
 4:12 土を耕しても、土はもはやお前のために作物を産み出すことはない。
 お前は地上をさまよい、さすらう者となる。」

 大地を象徴する女性に血を象徴する赤身が並べられたコト。
 これはカインの弟殺し、人類の原罪を象徴しているワ」
いや、それは違うでしょう……
「なるほど、こうして原罪を顕わにすることで儀式的な神殺しを行っているのですね」
何故、そういうふうに思いますか……? 
「全てを知ったつもりでいたボクは、なんて思い上がっていたんだろう……
 この世界には、まだこんなに美しいものが残っていたのに……」
ガッチリと固い握手を交わす二人。
もう、好きなようにしてください……
153究極と至高 (5/12):02/07/10 19:30 ID:ZpiTyftz
お互いの美術論を楽しく語らいながら、わたしに盛られたお刺身を賞味する二人。
でもね、あなたたちは楽しいかもしれないけど、わたしは凄く生臭いのよ!
何でもいいから、早く食べちゃって!
う〜〜〜〜〜! お風呂入りたいよ〜〜〜〜〜!
「……若さっていいワね。ほら、仰向けに寝ても形を崩さないオッパイ。
 張りのある肌。……うらやましいワ」
そう言いながら花椿せんせいはわたしの先端をお箸で挟んで、ギューッて引っ張って。
い、たい…。花椿せんせい…それ、ちょっと痛い。
わたしの辛そうな顔を見た花椿せんせいはお箸を開いて、わたしを解放する。
元の位置にもどった乳首、そのちょっと痛む辺りを、今度はお箸でコリコリッて優しく……
う…まい……。この人こういうの慣れてるよ〜〜!
こ、こここ、こら、勃つな! 乳首勃っちゃダメ〜〜〜〜!
「このフォルム…、美しい……。まるで母性を象徴するかのようだ……
 古来数多の先人が女性を至高の芸術としてきた訳が、今ならボクにもわかる……」
…そ…れは、いいから、色くん、あんまり胸揉まないで。切なくなってくるから……

「美しい…君の汗も、また美しい……。まるで月の雫のようだ……
 君を独占しようとするボクは、アフロディテの沐浴を覗き見たアクタイオーンのように、
 罰を受けてしまうのだろうね……
 いや、罰はもう下っているのかもしれない……
 アクタイオーンが手足を引き裂かれたように、ボクの心も、君のために千々に裂かれて
 しまったのだから……」
真顔で言いながら、飽きずに揉み続ける色くん。
そうしている間にも、花椿せんせいのお箸が段々下の方に下がってくる。
おへそを通りすぎて、その下……
や…やだ! ダメ! 花椿せんせい! そっちはダメ!
「あらヤダ、こんなところにアワビが。誰が置いたのかしラ?」
花椿せんせい…、オヤジ過ぎます……
154究極と至高 (6/12):02/07/10 19:32 ID:ZpiTyftz
「アワビ? アワビは用意していなかったはずですが……
 うん、それは興味があるね。ボクも鑑賞させてもらおうか」
ダメ〜〜〜〜〜! こんな明るいとこで、絶対ダメ!!
あ、ダメ! ダメ! そんなに覗きこまないで!!
「花椿さん、ボクは初めて神に嫉妬しましたよ…
 この世に、こんな美しいものがあっただなんて……」
み〜〜〜な〜〜〜〜い〜〜〜〜で〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!
「まるで薔薇の花弁のような…、咲き誇る一瞬を待ちわびる花の綻び。美しい……」
「あら、まだ見たことなかったの?」
「ええ、何度も体は合わせましたが、こうした明るい場所では。 
 ……おや、ここが少しヒクついているような」
ウソ! わたし、見られて反応しちゃってるの!?
あ、いや、いや、いや! 色くん、広げて見ないで!!
そんなことしたら、奥の方まで見えちゃうよ〜〜!!
「ふふふ、その程度で感動しているようでは、まだまだ甘いワね。
 三原くん、アナタが本当の美を知るのは
    こ    れ   か   ら   な   の    よ  ・ ・ ・ ・    」
花椿せんせい…、その言葉は死神の死刑宣告に聞こえます……
155究極と至高 (7/12):02/07/10 19:33 ID:ZpiTyftz
「まずは、いつも二人でしているようにやってごらんなさい」
色くんの指が、わたしにそっと当てられる。
色くんの綺麗な指。わたしの大好きな指。
それで触れられるだけで、わたしは切なくなっちゃって……
ダ、ダメ! 今はダメ! 普通じゃないもん! 今は絶対に感じちゃダメ!!
でも、そんなふうに触られるうちにやっぱり熱くなっちゃって……
こら! 鎮まれ、わたし! こんなとこで、こんなことで反応しちゃダメ!!
「花椿さん、これは……」
見せ付けるように広げられた色くんの親指と人差し指の間には、
銀色に光るネバついた橋がかかっていて……
「……彼女にも素質があったようネ」
……なんで反応してるの!? バカ! わたしの体のバカ!!

その後も、色くんは、ずっとわたしを攻めたてて……
花椿せんせいの指導を受けた色くんの指も舌も、いつもよりずっとずっと気持ちよくて……
口で乳首を攻めながら、クリトリスを転がしてもらったり……
Gスポットとクリトリスを同時にいじめてもらったり……
最後には、…その…おしりの方まで……
何回イかされたんだろ……。わたしの意識は朦朧として……

「三原くん、そろそろ、このコをアナタのいきり勃ったモノで楽にしてあげなさい」
ンッ!!
色くんが、わたしを押し分けて入りこんでくる。
最初は強い力で一気に奥まで。そして、何かを確かめるようにゆっくりと抜いていって……
その後、いつものような単調な出し入れが始まった。
色くんの強引な腰使いは、まだ慣れてないわたしには、ちょっと辛い。
156究極と至高 (8/12):02/07/10 19:33 ID:ZpiTyftz
「ダメダメダメ! なに、その腰の使い方は!? それじゃダメなのよぅ!
 さっきの前技でGスポットの位置は分かってるワね。そこを重点的に攻めるの!」
色くんの腰の動きが変わる。初めての時から今までずっとそうしてきたような強引な動き
じゃなくなって、何か目的を持った動きになってる。
気持ちよくしてくれるのは嬉しいんだけど、こんなとこでは、やっぱり……イヤ。
「基本は三浅一深ヨ。ほら、浅く浅く浅く。これで相手を焦らすの」
色くんの動きの参考になるように、嬉しそうにタイミングよく手を叩く花椿せんせい。
花椿せんせい、手拍子まで使って講義しないで!
「浅く突く時にもカリを使ってGスポットを刺激するのよ。
 そう、上側を押す感じでね」
色くんのが、わたしの中で押し付けられる。
ふ…あ……や…、そこ本当に感じるんだから…。や…めて、色く…ん……
「ほら、浅く、浅く、浅く……、そこで   深    く   ! ! 」
パン!!
一際大きく打ち鳴らした手の音と同時に、色くんがわたしの中に思い切り突き込んでくる。
か…………、そ…こ……。おく…そこ……いちばん…お…く……
「ほらほら、抜く時にも気を抜いちゃダメよ。ここが一番肝心なんだから。
 今までの浅い突きは愛撫。それでたかめておいて、抜く時に……
 そう、カリ裏でGスポットを引っ掛けるような感じで」
く……ん…ん〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!
そ…れ……、よ…すぎ……
知らない…、こんなの知らないよぉ……
157究極と至高 (9/12):02/07/10 19:34 ID:ZpiTyftz
「女の子の中は案外無感覚なものなの。まあ、赤ちゃんが出てくるとこなんだから、
 あんまり敏感でも困るのでしょうね。
 でも、Gスポットとボルチオ、子宮頸部だけは別。ここを上手く攻められるようになれば
 一人前だワ。
 三原くん、早く膣逝きさせられるようないい男になるのよ。一鶴みたいな……」
一鶴!?
最後の不気味な言葉を確かめるヒマもなく、色くんが、もう一度動き始める。
ん…あ……いい…、い…いけど…これ、な…んか、ち…がうよぉ……
「まだまだ慣れてないワね。ほら、アタシの手拍子に合わせて動きなさい!
 はい、浅く、浅く、浅く、深く! 浅く、浅く、浅く、深く!」
花椿せんせいの指揮で色くんの動きは、どんどんスムーズになっていって……
どんどん上手くなる色くん…、どんどん気持ち良くなるわたし……
「慣れてきたら、動きに変化をつけるのヨ。
 腰を回すようにしてローリング! そう! 8の字を描くようにネ!
 そうやって、Gスポットへの刺激を増やすの!」
花椿せんせいの腰が、見本を示すようにクイックイッと切れのある動きで左右に揺れる。
花椿せんせい! いつもの怪しい腰の振りは、そういうことだったんですか!?
「三浅一深も続くと飽きられるワよ。浅い方を増やして焦らしてあげるの。
 焦らして焦らして焦らして、相手が欲しくてたまらなくなった時に、
 思いっきり突いてあげるのヨ!」
そんな…わたし、そんなふうに欲しいと思ったことなんて……
んッ……………………くぅ……
その瞬間、色くんのストレートが思いっきりわたしの奥に突き刺さった。
一瞬意識が遠くなる。
……わたし、軽くイっちゃた。
「……やるわね、三原くん。一度お手合わせ願いたいワ」
それは堪忍してください……。色くん、絶対に誘いにのっちゃダメだよ!
158究極と至高 (10/12):02/07/10 19:34 ID:ZpiTyftz
色くんの動きがどんどん早くなる。今までみたいなテクニックは使ってない。
強く強く、奥を目指して、ただ突くだけの動き。
でも、今はそれがいい! 今は、わたしもこの強い刺激が欲しい!
花椿せんせいは、まだ隣で何か言ってたけど、二人ともそんなこと全然耳に入ってなかった。
もう周りなんかどうでもいい!
どんな場所でも、どんな格好でも、誰が側にいたってかまわない!
好き! 色くん好き! 色くんが大好き!!
色くんの動きはますます大きく早くなる。
最後に一際強く突いて、色くんがわたしの一番奥で果てた時、
わたしの意識は白い闇に飲まれた……
159究極と至高 (11/12):02/07/10 19:35 ID:ZpiTyftz
ひどい目に…あった……
あの後、何回イかされたんだろう…、記憶がとんでいて、全然わからない。
ただ、花椿せんせいに車で送ってもらって、なんとか家に帰りついたことだけは覚えてる。
……でも、今日の色くん凄かった。
アレって、こんなに気持ちよかったんだ。
これからも、あんなふうに色くんと二人で……。ううん、これからは、もっと…ずっと……
色くんにだけガンバらせちゃダメだよね。わたしも、もっと積極的にならないと。
色くんに気持ちよくなってもらいたい。色くんに気持ちよくしてもらいたい。
そのきっかけになったのなら、今日のだって、そんなに悪くないような気がする。
そりゃ、もう一回やれって言われたらヤだけどね。
色くん、これからも二人で、いっぱい気持ちよくなろうね。
160究極と至高 (12/12):02/07/10 19:35 ID:ZpiTyftz
次の日、わたしはフラつく足で学校に向かった。
かすむ目、痛む腰。
いてて、足、筋肉痛だよ。イく時にふんばりすぎたかなぁ。
教室までたどり着いたものの、疲れはとれない。
机に突っ伏して疲労の回復をはかっていると、教室の扉が勢いよく開けられた。
「話は聞いたわよ! ミズキを差し置いて、色サマの器に使われたなんて許せない!」
   な  ん  で  す  と  ! ?
急いで顔を上げると、予想通りの人がこちらを恐い顔で睨んでいた。
「一度くらい器に使われたからって、いい気にならないことね!
 次は絶対ミズキが使ってもらうんだから!」
血の気が引いていく…、音を立てて引いていく。……こいつ、どこで聞いてきたんだ?
「……須藤さん、それを一体どこで?」
「どこでじゃないわよ! 学校中でうわさなんだから!」
助けを求めるように、隣で気まずそうに見つめている友達に視線を向ける。
タマちゃんは、いつもの気弱そうな顔で逃げるように視線を泳がせて、
そして観念したように小さな声で呟いた。
「……うん…わたしもね、聞いてたの。でも、こういうのは本人に言わない方が
 いいかなって思って……ごめんね……」
学校中でうわさというのは、うそじゃなさそうだ……
パン!
小気味よい音を立てて、白iい手袋が投げつけられる。
「それは挑戦状よ! あなたとの器勝負に勝って、今度こそミズキが一番だって
 色サマに分かってもらうんだから!」
……やっかいなのが、また一人増えた。
それより、器勝負って、もうやることになってるの!?

どうやら、わたしの受難はまだまだ終わりそうにない……
                                        <おわり>
161名無しさん@ピンキー:02/07/10 19:42 ID:oUhthRfC
>160様
思わず笑ってしまいました(w
こういう明るいエロコメディ大好きでつ。
162名無しさん@ピンキー:02/07/10 19:44 ID:sFTp3cWT
すっげーワラタ!こういうの初めて読んだよ、私。
面白い!

SS倉庫に収めさせて頂く時には、どの分類なんでしょうか。
ワカメでいいのかな…
163名無しさん@ピンキー:02/07/10 19:48 ID:S2KApbgX
149-160神さま
す、凄いです。

誰が噂の発信源なのか、気になります。
色くんでしょうかねぇ…それとも花椿先生?
164名無しさん@ピンキー:02/07/10 20:32 ID:ru6JC3lW
>160様
さ、最高でつ…禿げ上がるほど笑いましたYO!!
花椿てんてーお墨付きのダンディと是非とも
一度手合わせ願いたいです(w 上手いのね…ダンディ(;´Д`)ハァハァ
165名無しさん@ピンキー:02/07/10 20:45 ID:CBfRYXBm
す、すげー!!
次はミズキとの女体盛り勝負だな!

リーマンギャンブラー・マウスを思い出して悶絶なり!
166名無しさん@ピンキー:02/07/10 20:48 ID:qXgyvrTQ
>160神
爆笑!!ゴローのセクスィダンスには何かあると思ってたけど
まさか一鶴タソが出てくるなんて!衝撃です(w
ワカメとゴローの逝きっぷりに爽快感さえ覚えました。
160神といい、111神といい今日はギャグの神が降臨しやすい日なのか?!
167名無しさん@ピンキー:02/07/10 21:07 ID:qXgyvrTQ
>132渉SS職人神
か、神に褒められたー・・・゚・(ノД`)・゚・
幸せすぎでつ!神マンセー!!

>135王子神
ありがd!!(・∀・)
愛のある王子SSに激萌えしますた。ぶきっちょな王子タソ可愛い・・・。ポッ
またの降臨を激しく切望します。

>143タソ
ありがd!!そう言って貰えると(;´Д`)ハァハァしてしまいます(w
168名無しさん@ピンキー:02/07/10 21:26 ID:wKPYfFss
>148神
腹が痛くなりました・・・(w。
今日は私も趣向を変えて、エロなしSSをウpするつもりだったけど、
この勢いあるSSに、今夜は酔いしれたい気分です・・・(w。

でも後でコソーリ貼り付けにくるケロYO・・・。
169渉SS職人:02/07/10 21:47 ID:1hTVoewE
>>149-160
思いっきり笑いました。
こういうのも好きです。

みなさんは、ときメモ2で出た、
ブルーミングストーリーズシリーズをご存知でしょうか。
それは、2トラック目と4トラック目に独白みたいなのが入っているのですが。
2トラックは出会いの頃編。
4トラックは気持ちを自覚したときとか、両想いになったあととかのこと。

私は、出会い編の王子と渉のを書いてみました。
皆さんも、こういうこと考えたことないですか?
そして、皆でいろんなバージョンを生み出してみませんか?

なお、それらはエロなしですので、そのうちに
私自身のサイトにUPしますが(w

で。ここでもUPしますか?
170148:02/07/10 22:22 ID:ZpiTyftz
みなさん、感想ありがとうございます。
今まで書いてきたシリアスと違って、ギャグは笑えるかツマらないかの2択で
評価がシンプルになり逃げが効かないので、非常に不安だったのですが、
受け入れてもらえたようで、一安心です。

>>162
SS保管所の管理人さんでしょうか?
「究極と至高」はGORO話、もしくは、お嬢話でしょうね。
この2人に比べれば、ワカメも主人公も影が薄すぎます(w
いくつか間違いも見つけたので、今までに書いたバイト話とモリリン話の
改稿と合わせて、後ほど、そちらに送りたいと思います。
171名無しさん@ピンキー:02/07/10 22:30 ID:JQtgHEqE
>169神
うpお願いします。(*´Д`)ハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァ。


172名無しさん@ピンキー:02/07/10 22:34 ID:x4U+u6Pl
>>170
はい、そうです。混乱させてスマソ。
とりあえず、その他の区分の中に入れさせていただきます。
改稿の方も了解です。

>>169
禿しく読みたいです。うpお願いします
ご自身のサイトにうpとのことですが、
ならば、倉庫には入れないほうがいいですよね?

私信ばっかりでスマソ。
173名無しさん@ピンキー:02/07/10 23:04 ID:MaCyVJI0
オ初デス!

ここのスレ全部読み終えて、ウズウズと書きたくなってしまい、
書いてしまった王子×主をうpしたいと思います。

つたないのですが…(;´Д`)
174名無しさん@ピンキー:02/07/10 23:06 ID:Zxgadoyp
>173
カマーン!!!!
17528@関西弁萌え:02/07/10 23:07 ID:4s6xHdTW
昨日中途半端に書き逃げしたのですが今日取り合えず書きましたので
宜しければ173さんが終わったら次に挙げても宜しいでしょうか?

>>173
是非。
176【思ヒ】(1/7):02/07/10 23:07 ID:MaCyVJI0
「俺んち…来いよ」
「え、あ…うん―――」

ソレ ッテ ドウ イウ イミ ?

訪れてからすぐに、彼が一人暮らし同然であることに気がついて。
来たことを激しく後悔した。
けれど、自分が彼を好きなのだから、逆らえるはずもなく―――期待も、していた。

ソファに座った二人は何故か緊張していたような気がする。
それとも私だけ緊張していたのか、よくはわからない。
ただ、肩に触れた手がいつもより熱かったことだけは、覚えてる。

とさり、と倒されて、ソファが少しだけ軋んだ。

「珪、…?」
「…―――したい」

浮かされたように呼ぶ声に、胸の中の感情が弾けて―――戸惑いながら手を延ばした。

「私のこと好きなの―――?」

彼が私の質問に答えることは、―――なく。
ただ、泣きそうに顔が歪んだだけだった。

それから、ぎこちない指先で脱がされていく。
一つ一つ外されていくボタンに、一体、彼にとって私はどういう存在なんだろう―――と考えが巡って。
浮かびそうになる涙をこぼさないように天井をぼんやりと見あげた。
177【思ヒ】(2/7):02/07/10 23:08 ID:MaCyVJI0
ぱさりとはだけられ、フロントホックのブラが外された胸の中心に、彼の冷たい指先が触れて。
つつ―――…と下へ辿る。
唇を避けるように身体に落とされるキスが辛い。
けれど、それは確かめるように落とされているようにも感じられて―――じわじわと身体の熱が煽られていく。

「どうして、キス、してくれないの…」

呟きもまた、答えられることはなく。
彼の手のひらが雛の乳房を柔らかく掴んで、その中心にキスをした。

「…ぁ、っ…」

声にならない熱さがそこから身体に広がって。
あまりふくよかではない乳房が彼の指先で弄ばれる。
初めて他人から与えられる快感にどうにもならなくて、両手の平で口を覆った。

「……ぁ、……ふ…ぅッ…」

珪はそれが気に食わないのか、今度はその中心から左の胸へと唇を移動させ。
固く尖った胸の突起を口の中に含んで、その先端を軽く甘咬みした。
刹那―――雛の身体に電流のような快感が背中からつま先まで駆け抜けて。

「―――、あッ!」

漏れた声に満足そうに口の端に笑みを浮かべた珪は、快感に慣らすようにじわりじわりと舌先で突起を弄び。
代わりに雛の耳には珪が自分の乳房を舌先で弄ぶ濡れた音だけが届き。
それが更に羞恥を煽る。

けれど。
そこから右の乳房を弄んでいた手のひらがスカートをまくり上げ。
雛の秘部を閉じ込めた薄い布きれに手を延ばす。

「え…?…あっ!」

反射的に閉じられた内股の間には既に彼の身体が入り込み。
指先は薄布の間をこじ開けるように中に入り込んでくる。
くちゅ…と音を立てると、それを掬い上げるように入口をなぞる。

「あっ、やっ…」

自然にくねる腰を珪の左手が支えて、腹にちゅ、とキスをする音がする。
それだけでもびくりと震える自分の腰がイヤらしく感じて、雛は強く目を閉じた。
178【思ヒ】(3/7):02/07/10 23:09 ID:MaCyVJI0
逸れた雛の意識に便乗するように、珪の手のひらが腰に周り、少しだけ上げられる。
雛は外気に晒された秘部がきゅうっと緊張するのが自分でも判った。
薄布が取り除かれた秘部はもう湿り気を帯びていて。
それが雛の身体の感度と火照り具合を示しているかのようにも思えた。

秘部に一筋、ヒヤリとしたものが触れて、もう一度だけ入口の縁をぐるりと撫でられて。
それが珪の指だと知ったのは、彼の左手が再び乳房に戻った時だった。
先ほどとは違い、優しいものではなく、ただ身体の熱を煽るように揉みしだかれる。

「ふ、……ぁッ…」

焦れた同じような行為がひなたの花の奥から蜜を零し。
入れられてもいない珪の指先を濡らしていく。

「お前、感度良すぎ」

ぽつりと漏らされた声と同時に身体が震え。
ぬるりと珪の指先が溢れそうになる蜜を絡め取って、奥に戻すようにつぷりと挿入された。
緩い圧迫感が内部へと入り込み。
指先一本だけで探るように中で指がくねる。
その度に十分に濡れてしまった秘部がきゅっと締め付けて。
秘部の中にある裏の筋を擦り当てられた瞬間に、今度は雛の腰に力がこもる。

「ここ?」
「あッ!!」

カリ、と襞を爪先で軽く引っかかれて。
痛みに似た快感に雛は声を上げた。

「ここ、か」

独り言のように呟いた珪は、ぬるりと指を抜くと。
今度はもう一本増やした指で再び雛の中を蹂躙していく。
意図的に雛の性感帯を擦り上げるようにしながら、彼女の身体中にキスを与えていく。
ただ、唇を除いては―――。
雛にはそれが、もどかしかった。

もどかしさとは裏腹に、襞のような内壁を擦られる度に腰は震え、指をくわえ込まされた入口は切なく締め付ける。
否応なく与えられる快感と唇以外に与えられるキスに身体全体が発光しそうに熱くなる。
けれど、一方で心の何処かが欠けていった―――。
179【思ヒ】(4/7):02/07/10 23:10 ID:MaCyVJI0
そこからもう一本程指が増やされて。
すっかりとそれさえ咥え込む程にとろけた雛の内部からソファへ蜜が伝う。
口を塞いでいた雛の腕も、すっかりと投げ出されて、彼女の視線は部屋の何処かを彷徨っているだけだった。

「十分…だな」

確認するように珪から呟かれた言葉に、中に入り込んだ指が抜かれる感触がした。
上着がぱさりと目線の何処かで落ちる。
そして、ベルトを外す音がした。
雛の声が反応するように投げかけられて―――その少しだけ投げやりな声に珪は黙って声に耳を傾ける。

「―――早く、…やること、…やっちゃえば?」
「お前…」
「いいよ、もう。初めてじゃないし、好きなようにすれば?」
「雛…ッ」
「キスもしてくれない、し、好きだとも―――言わないし」

期待した私が莫迦だった、と声が涙でにじんで。
視界が歪んだ。
だけど、涙だけはどんなに悔しくても流したくなくて、瞳を閉じた。
瞬間、柔らかいものが唇に触れる。
―――珪の唇だった。

優しいものではなく。
かといって乱暴にこじ開けるものでもなく。
ペロリと獣のそれのように唇を舐められて、開いた瞳が彼の目線と合う。

「雛………俺は、……」

戸惑ったような、縋るような―――そんな捨て猫のような目が向けられて、弱々しい声が綺麗な唇から至近距離で紡がれる。
胸が潰れる程にきゅうっと締め付けられて。
衝動のままに珪の身体を抱きしめた。
180【思ヒ】(5/7):02/07/10 23:11 ID:MaCyVJI0
「もう、いいよ…御免、冗談」
「でも…ッ」

珪の唇を今度は雛が塞ぐ。
やんわりとした感触に、珪の目が見開かれ―――数秒で離れていく雛の唇に魅入った。

「待つ、から」
「え…?」

本当は今聞きたいのに。
あんな目で見られてしまえば…切なくて。
無理に悲しませてまで、辛い想いをさせてまで言わせなければならないものなのかという思いがして。

彼が自分を欲しがってくれていることは事実で。
今の今まで忘れていたけれど―――彼はとても不器用で、愛し方を知らなくて。
そして、誰よりも―――愛すること、愛されることに脅えていて。

何がそこまで彼を不安にさせるのかはわからない。
わからないけれど―――護ることは出来る。
だから、彼の不安が全て取り除かれては、その存在全てを抱きしめて。
何もかもを自分に吐露してくれるまで―――待とう。
―――そう、決めた。

「珪が、何もかも、言ってくれるまで、待つから」

雛はそれだけ言うと、珪をありったけの力で抱きしめた。
自分というちっぽけな存在全部で彼を包み込んであげようと、必死で腕を伸ばす。

「雛…ッ……雛、雛っ…雛ッ!」

珪はそれに答えるように雛の身体を抱きしめる。
肌と肌が今、初めて、触れ合って。
その暖かさが酷く安心感を誘う。
その旨に切ない思いを抱えて、お互いが一つに解け合う程に抱きしめ合った。
181【思ヒ】(6/7):02/07/10 23:12 ID:MaCyVJI0
暫くして、ゆっくりと離された身体を雛は開いて。
珪はその中に入り込んでいく。
くぷ、と入口から入り込む音に、じんわりと腰に圧迫感が広がって、雛の中を珪を珪が浸食していく。

「……ッは……っ…ん、ん……」

開かれた身体が珪を飲み込んで、中で波打つ内壁が珪をきゅうっと締め付ける。
初めてじゃない、と告げたにもかかわらず、珪は雛を気遣いながら、ゆっくりと腰を動かし始めた。
しっかりと解されて濡れたそこは、動く度にイヤらしい音を立てる。
その度に、雛の身体が腰が艶めかしくくねっては珪を誘って。

「あっ、あ、ぅっ、―――んんっ、…はぁッ…あ、…ッ珪…っ…」

漏れる高く甘い喘ぎ声とその中で必死に快感に流されぬように自分を求める声が愛おしくて。
珪の律動が速まり。
高鳴る鼓動と吐息が絡まり合い。
揺れる乳房を揉みしだきながら、首筋に舌を這わせ、唇で所有印を刻んだ。
前戯でつけた身体中の所有印が雛の身体の熱が増す程に赤く色付いて、珪の独占欲を満たしていく。

「も…、他の、奴に…ッ触らせ―――ない…ッ…!」
「ふ、あ…ッん、ぅッ、あっ…な、に……?―――んぅ、…ッ聞こえ、な…ッ…あッ、ぁ…っ…」

答えることはせずに、代わりに動きを早めていく。
182【思ヒ】(7/7):02/07/10 23:13 ID:MaCyVJI0
雛は翻弄されるように甘くさえずるように乱れ。
珪はその身体の温かさに溺れ狂っていく。

「あ、ぁ、ッぅ…、…け、い…?…ッ…も、ダメ…ぇッ…!」
「雛…ッ」

雛を煽るように耳の中に舌を差し込んで、中を掻き回すように舐めて。
その度に響くくちゅ、という水音に雛の身体が震えたかと思うと―――強く深い楔が打ち込まれて。

「あ、ぁ―――――ッ…!」

雛の身体が、先ほどよりもより一層大きく跳ねて強張った。
それと同時に雛が切なそうに眉を寄せたかと思うと、びくんっと震え。
珪を咥えたままの中がきゅうっと内壁を縮めた。
まるで締め付けられるような圧迫感の中、珪はもう一度その中に打ち付け―――体を震わせて、雛の中に吐精した。

中からはとろり…と収まりきらなかった二人の合わさった愛液が溢れ出して、再びソファを濡らした。
珪は雛を抱きしめ、熱い溜息のような吐息を漏らす。
腕の中では雛の胸が上下して。
こくんっと唾を飲み込む音がした。

「雛…」

誘われるように虚ろなままの彼女の瞼にキスをして。
彼女が意識を手放していくのを見ていた。

そして、完全に彼女の瞳が閉じた時―――珪の瞳からは涙が一雫だけ落ち、彼女の眠る頬を濡らし。

「雛、思い出してくれ…お願いだ」

最後に呟かれた言葉は彼女の耳には届かなかった…
183173:02/07/10 23:15 ID:MaCyVJI0
終わりました!

こんなでスミマセソ!!

>>175
お願いしまソvv<関西弁
184名無しさん@ピンキー:02/07/10 23:18 ID:Ibouolm/
>183
王子以外の誰か、とは誰なのか気になりつつも
切なくて素敵でつ( ´Д⊂

185名無しさん@ピンキー:02/07/10 23:27 ID:FR3+okvN
>183
切ないねぇ…良いっすよー
また書いて下さいねー
186バカ×主人公:02/07/10 23:28 ID:9eeHpC7/
昨日のプラネタリウムの続き書いたんですがうpしちゃって
いいでしょうかー?
18728@関西弁萌え:02/07/10 23:32 ID:4s6xHdTW
>>183
では、お言葉に甘えまして。

>>186
おながいします。
188名無しさん@ピンキー:02/07/10 23:32 ID:43Rdzonv
щ(゚Д゚щ) カモーン
189バイト×主人公 1/8:02/07/10 23:33 ID:4s6xHdTW
「きゃーっ、今日雨降るなんて言ってなかったじゃない!」
こんな日に限って家には誰も居ない。
珪も仕事で先に帰ってしまったし。
鞄を傘変わりに使っても土砂降りなので意味も持たない。
ふと通りかかった公園。前に珪と一緒に雨宿りをしたのを思い出した。
(あの時は尽に邪魔されちゃったけど・・・。)
取り合えず公園で雨宿りをする事にした。
空はますます暗くなっていく。
雨音は次第に強くなり私の中に妙な不安だけがこみ上げてきた。
「・・・制服がクサイ。かなりこれって最強よね。」
不安を消すようにボソッとつぶやいてみた。
つぶやきさえも雨音にかき消されていく。
すっかり全身ずぶ濡れになり制服が纏わり付くのが気持ち悪い。
「ふぅ・・・。せめて誰か居てくれたらなぁ・・・。」
「さっきからここに1人おるんやけど?何で気付かれへんの?」
「!!」
声は隅の柱の方からした。慌てて振り返ると声の主がニコニコと
笑いながらこちらを見ている。
「お、やっと気付いてくれたんか。めっちゃ嬉しいわぁ。」
「まっ、まどかっ!?」
190バイト×主人公 2/8:02/07/10 23:35 ID:4s6xHdTW
「自分がブツブツ言ってるの見てるのえらい楽しかったで。」
「・・・悪趣味だわ。一体いつから居たの?」
「自分が来る5分くらい前やったような?しっかし、えらい雨やな。」
「そうだね。止みそうにも無いし。天気予報も嘘吐きだよね。」
「そうやな。ま、でも雨のお陰でエエコトも有ったし。」
「いい事?私は何もないよ。かなりげんなり。」
「そんなげんなりしたってしゃぁないやろ?何か楽しい話でもしよか。」
「えー、楽しい話?うーん、最近いい事ないからなぁ。」
「そうなん?あー、もうすぐテストやしなぁ。確かに無いかも。」
「でしょ?先生ったらどんどん問題難しくしていくし。」
「氷室もなー、もうちょっとアイツも柔軟性欲しいと思われへんか?」
「だよね。何やってもいつでも『問題ない』の一言だもん。」
「あ、でもアイツこの間おもろかったで。」
「何?何?」
「この間バーガー屋でスマイル注文する事教えたら早速注文してんでー。」
「マジで!?今のカナリ受けるんだけど!」
「そうやろ?アイツ只の天然としか思えへんな。」
「アハハ、確かに!」
何だか何時の間にかまどかのテンポに引き寄せられてた。
雨で憂鬱って思ってた事さえも忘れていた。
191バイト×主人公 3/8:02/07/10 23:36 ID:4s6xHdTW
珪とは普段こんなバカ話は出来ない。まどかはその正反対。
いつでもバカ話ばかりしていて何となく私本来が出てきているかな。
だから珪との付き合いも私には特別だけどまどかとの付き合いも特別。
さっきまで珪の事を考えてたりもしたけど今、それを考える事に対して
罪悪感に感じてしまった。まどかを友達以上に思った事はないのに。
誰かと居てもいつも珪の事だけを考えていたのに。
今までもまどかと喋っていても珪の事だけ考えていたのに。
雨がどんどん強くなる。雨音が私の不安を煽っているかのようだった。
「自分、急に大人しくなってどないしたん?」
「あ、うん、考え事しちゃって。」
「そっかぁ。オレに話して解決出来る事なら何でも聞くからゆうてなぁ。」
「ありがと。悩みとかじゃないから、気にしないで。」
「ならええんやけど。自分、今めっちゃ苦しそうな顔しててんよ。」
「やだ、そんな事ないよ。いつもと同じだよ。」
192バイト×主人公 4/8:02/07/10 23:36 ID:4s6xHdTW
「ふぅん。なぁ、話変えて悪いんやけど自分タオルか何か持ってへんの?」
「持ってないよぉ。持ってたら使ってるって。」
「あ、あんなぁ、非常に言い辛いんやけど・・・。」
「え?何?言ってよ。私とまどかの仲じゃん。」
まどかが急に顔を赤らめて視線をそらしてもにょっている。
「そ、その、自分、制服が、その・・・。」
「制服?」
自分の制服に目をやってみる。上から下まで何度も確認してみてやっと分かった。
「やだっ。まどか、どこ見てるのよっ!?」
慌てて鞄で隠してみたけどもうあまり意味が無いようにも思えた。
今まで気付かなかったけど(気付くのが遅すぎ?)そう言えばまどかも
シャツが雨に濡れて張り付いて褐色の肌が透けて見えていた。
いきなり声を掛けられて気が動転してバカ話なんかしていたし、
普段異性とか意識してなかったから何だか急に恥ずかしくなってきた。
それに雨に濡れていていつもと雰囲気も違う。
急にまどかに『異性』を意識してしまって鼓動が早鐘を打ち出した。
何だろう。珪へのドキドキとはもっと違うドキドキ。
鼓動の音に気付かれたくない。
そして都合がよく雨音が更に激しくなってくる。
193バイト×主人公 5/8:02/07/10 23:37 ID:4s6xHdTW
「雨、止みそうにも無いな。自分どないするん?」
今まで聞いた事も無いような低い声がした。
その声にまたドキッとした。
「止みそうにもないし、弱くなったら帰る、かな。」
「そか。じゃぁ、もう暫くこのままやな。何か話するか。」
「・・・。」
「何やねん?自分やっぱり変やで?」
「ごめん。確かに変かも。雨に濡れて風邪でも引いたかも。」
「そらあかんわ。自分に風邪引かせたらオレが葉月と氷室にしばかれる。」
まどかの『葉月』の一言にはっとした。
珪への罪悪感が一気にこみ上げてきた。
「まどか、ごめん、私帰る。」
この場にはもう居られないと思った。
走り出そうとした瞬間まどかに腕を掴まれた。
振り解く事も出来ずただその場に立ち尽くす事しか出来なかった。
「帰らんといて。まだ一緒に居たいねん。」
「・・・。ダメだよ。」
「まだ側におって。」
「ダメ。側に居られない。」
ううん、そんな事本当は思ってない。
本当はもっと引き止めて欲しいって思ってる。
194バイト×主人公 6/8:02/07/10 23:38 ID:4s6xHdTW
まどかが後ろから抱きしめてきた。
お互いすっかり雨で体が冷えているのに、
それなのに布越しでも触れ合っている部分は妙に熱い。
「おまえの事好きやねん。」
さっきよりももっと低い声で耳元で囁かれた。
「そんな事言わないで・・・。私おかしくなっちゃうよ。」
「もっとおかしくさせたい。オレの事だけ考えさせたる。」
言い終わると同時に私の耳を甘噛みしてきた。
「・・・ん、あぁんっ。」
たったそれだけの事なのに思わず言葉にならない声と息が同時も漏れてしまった。
珪、ごめんなさい。でも私、今抑えられない。
まどかの唇が耳から段々首へと動いてゆく。
時々噛んだり吸ったり舌を這わせたり。
その度に何度も息と言葉にならない言葉が私の口からこぼれてゆく。
「ん・・・はぁ・・・まど・・かぁ。」
私を包んでくれていた腕が次第に位置を変えてゆく。
シャツの裾を少したくし上げ直に肌に触れてゆく。
雨ですっかり冷え切った体には心地良い暖かさのまどかの手。
ただ首筋に刺激を与えられただけなのにこんなにも感じるなんて。
195バイト×主人公 7/8:02/07/10 23:39 ID:4s6xHdTW
すっかり息もあがってしまいもう自力では立って居られない程だった。
体の重心をまどかに預けまどかを見上げる格好になる。
普段は気にしなかったけど頭1コ分は余裕で身長差があるから
まどかの胸に頭を乗せる形になって、その胸板の広さを感じられて。
まどかの手が私の胸に到達する。ブラの上から優しく包み込んでくれて。
でも段々とその手に力が入ってくるのが分かった。
そしてブラをずらして敏感な先端に指先が触れてくる。
「・・・ふ・・・ん・・・あぁぁん・・・。」
さっきから少ししか触れられなくても凄く感じてしまって、
状態が思わずのけぞってしまい体制が崩れそうになってしまった時に
すかさずまどかは顔を近づけてきた。
まどかの唇が私の唇を包み込む。
すっかり息もあがってしまって私の唇は容易にまどかの侵入を許す。
舌を絡めるのに合わせて私も絡めたり。
しかしまどかの指先は私の敏感な部分を弄びながらだから
上手く呼吸も出来る筈もなく上手くまどかの調子に合わせられない。
196バイト×主人公 8/8:02/07/10 23:40 ID:4s6xHdTW
まどかの唇が私の唇から離れてゆく。
激しく唇を重ね合わせた証しの糸が二人の間を紡いでゆく。
同時に今まで動かしていた手も動きを止める。
「ごめん。おまえの事見てたら理性が効かなくなってしもうた。」
さっきまでの激しさとは裏腹に影を落とした表情のまどかが居る。
「気に・・・しない・・・で。」
まだ上手く呼吸が出来ないのできちんと言葉にならない。
『違うの。まどかは悪くない。珪が居るのにちゃんと拒めなかった私が悪いの。』
そう言いたいのに言葉が出て来ない。私って卑怯だ。
心の底で自分は悪くないって、まどかに責任転換しようとしている。
「・・・もう少し、雨が弱くなるまでこのままで居たい。」
「そんなんゆわれたらどこまで行くかわからへんで?ええのか?」
「うん。」
『珪、ごめんね』心の中で呟いて罪悪感を拭い去ろうとした。
197関西弁萌え:02/07/10 23:43 ID:4s6xHdTW
一応続くです。要望があれば明日にでも書きます。
本当に何度書いても全然ダメだ。
前回に続き中途半端&お目汚しスマソ。
愛情と脳内と表現力が一致してくれない・・・。
198名無しさん@ピンキー:02/07/10 23:47 ID:S2KApbgX
関西弁萌えの神キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!!
(;´Д`)ハァハァハァハァ

つ、続きを楽しみにしています。
199バカ×主人公続き:02/07/10 23:53 ID:9eeHpC7/
「カズくんて、外であんなことできるひとだったんだね。」
私は敷きっぱなしのカズくんの布団の上に寝転んだ。
今日のデートはプラネタリウム。
まさか、あんなところであんなことされるとは思わなかったよ。
「だ、だから悪かったって言ってんだろ・・・」
相変わらず不機嫌な私に覆い被さってきたカズくんはばつの悪そうな顔をする。
「うん。だから責任とってね。」
そう言ってにっこりと笑ってみせると、ますます困った顔をして、はぁ、と息を吐いた。
「・・・おまえっていい性格してるよな」
「なんか言った?」
私はぱちんと、両手でカズくんの両頬を軽く叩く。
「いてぇなぁ」
カズくんは困った顔のまま笑って、そのまま私に口付けてきた。
優しくて軽い口付けを何度もして。
シャツに手が滑り込んできて、思わずびくりと肩を揺らした。
カズくんはそのまま私の背中に手を回してきてブラのホックに手をかけた。
「・・・・・」
「・・・・・?」
「は、外れねぇ」
「は?」
カズくんは何度もホックを外そうとしたけど、どうにも上手くいかない。
あ。そういえば、私カズくんに脱がしてもらったことって無かった。
200バカ×主人公続き2:02/07/10 23:54 ID:9eeHpC7/
だんだんムキになってきたカズくんに私は思わず吹き出してしまった。
「あ!笑うんじゃねぇよ!」
「だ、だって・・・。くくっ・・・あははは!」
「ばかやろう!大体、男の俺がこんなもん外せるわけねぇんだよ!」
最後はなんだか逆ギレしてるし。
こうゆう不器用なところも可愛くてすごく好き。
「しょうがないなぁ」
そう言って私は起き上がってシャツを脱ぐと、カズくんに背を向けた。
「はい。」
「へ?」
「これで外せるでしょ?」
「お・・・、おう・・・。」
カズくんの手はやっぱりどこかたどたどしくて、こんなに外しやすくしているのに、
ホックはなかなか外れない。
ようやく、ぱちん、という音と一緒にホックが外れて、私がカズくんの方を向こうとした時。
ふいに強い力で後ろから抱きしめられた。
「カ、カズくん?」
「・・・ほんっといい性格してるぜ、おまえはよ」

201バカ×主人公続き3:02/07/10 23:57 ID:9eeHpC7/
カズくんは私の腰に両腕を回して、首筋に口付けてくる。
「・・・んっ」
私は思わず回された腕を掴んだ。
カズくんは首筋や肩口に何度も口付けながら胸に手を這わせる。
カズくんの大きな手。
私の好きな手。
その手は、私の気持ちいいところをちゃんと分かっていて。
次に触って欲しいと思うところを確実に探り当てる。
「あっ・・・」
ふいに敏感な場所に触れられて、一気に力が抜ける。
くたっとカズくんの胸に頭を預けると頭を撫でられて、そのまま布団の上に寝かされた。
目線を上げるとカズくんのちょっと赤くなった顔。
なんだ、私だけじゃなかった。
そう思ってくすくすと笑うとカズくんはむっとした顔をする。
「なんだよ。」
「カズくん顔赤いよ」
「ばーか。おまえだって」
笑い合って、またキスをして。
胸から腰へ手が下がっていって今一番に触れてほしいところにカズくんの手が触れる。
まだ一度も触れられていないのに、そこはもう十分過ぎるほどに潤っていて。
私はすごく恥ずかしくなった。
指を入れられると、私の耳元にまで届く水音に耳を塞ぎたくなる。
「あ、・・・っや・・・」
無意識に足を閉じようとしてしまった私にカズくんは足を割り込ませて、それを許さなかった。
わざとその音を聞かせるみたいに中の指を激しく動かされて私は意識が追いつかない。
ただ、声を漏らすことしかできなくて。
202バカ×主人公続き4:02/07/10 23:59 ID:9eeHpC7/
「カ・・・ズくん」
我慢ができなくなった私はカズくんの首に腕を回して抱きつく。
カズくんは私の耳に軽く口付けてから足を抱え込んだ。
押し当てられて、私はぞくり、と震えた。
「あっ、ああっ」
それから間をおくこともなく、私の中に一気に押し入ってくる。
思わずあげてしまった大きな喘ぎに慌てて口をカズくんの肩口に押し付ける。
うー、うー、と唸っていると、
「ばか、なにやってんだよ」
「だ、だって・・・。んっ、声が・・・」
「誰もいねぇから大丈夫だって」
そう言って緩く腰を動かしてくる。
「あ、ん・・・。だ、けど・・・」
「ここはプラネタリウムじゃねぇんだし」
悪戯っぽく笑われて、耳元で囁かれる。

もっと声、聞かせろよ

ぞくぞくと快感が背中を這い上がって、カズくんの動きも早くなる。
私はいつの間にかカズくんの腰に足を絡ませていて。
カズくんの与えてくれる愛撫すべてに、私はただ震えて鳴いた。

203バカ×主人公続き5:02/07/11 00:01 ID:P9Y3+s8j
「あ。いやらしい本、発見」
「うわ、ばか。勝手にそのへんのもんいじんなよ」
一度目の行為を終えて、しばらくゴロゴロしていた私は何気なくカズくんの部屋を歩き回った。
「こんなの買って、何してるの?」
雑誌をパラパラめくりながら言うと腕を掴まれて、また布団に引き戻された。
「もう、おまえも寝ろ!」
「カズくん、くるしいよ」
「おまえが余計なことなことなことすっからだよ」
後ろから羽交い締めにされて、私は暴れた。
「ね。またプラネタリウム行こっか。」
「お、俺は行かねぇ」
「なんで?また今日みたいなことしちゃうかもしれないから?」
からかうように言うと、カズくんはそれに子供みたいに反応する。
「ば、ばか!そうじゃねぇよ」
「ふーん?本当?それ・・・」
「し、知らねぇ!おら、もう寝ろ!」
ばさっと布団を被さられて、ああ、また誤魔化されちゃった。
でもね。
私がまた行こうって言えば、カズくんは絶対に断れないこと知ってるから。
私は「今度はいつ誘おうかな」とカズくんの寝顔を見ながらそんなことを考えていた。

204バカ×主人公続き5:02/07/11 00:04 ID:P9Y3+s8j
昨日のプラネタリウムの続きでつ・・・。
有り難いことに続きをと言って下さった方々がいましたので
図々しくも書かせて頂きました。エロがやっぱりぬるくてすいませ・・・。
切ない系バイト×主人公タンの小説の後がこんなんで申し訳ないでつ!
205名無しさん@ピンキー:02/07/11 00:11 ID:PoQzESxy
>204
続きおまちしていました。
とっても、イイ!!

今日は、神がいっぱい降臨してくれてウレシイ。
(;´Д`)ハァハァ
206渉SS職人:02/07/11 00:11 ID:qZiRvL13
>>171
じゃ、タイミングを見て投入します。

>>172
いえ、来客層が違うので大丈夫でしょう。
でも、HNが違うんですよ。

>>176-182
切ないですね。王子……。

>>189-196
主人公タンも切ないですね。

>>199-203
カズくんかわいーvv
207173:02/07/11 00:12 ID:0LHWa1y3
ウワァァァァイ(;´Д`)ハァハァハァハァ
一気に二つも読めちゃった!

関西弁の神様、続き、楽しみにしてまつ〜!!
バカ×主、楽しかったでつ!!!
208名無しさん@ピンキー:02/07/11 00:15 ID:ESnIvbBS
SS内で2ch用語ってちょっと……ナエ。スマソ。
209名無しさん@ピンキー:02/07/11 00:24 ID:mb1vqbo/
>>204
バカ×主人公の続きありがとうございまつ。
ぶきっちょなバカに(;´Д`)ハァハァ

あぁ…ここ見てるとGSでエロ同人誌作りたくなってくるでつ… =■●_パタリ
21092:02/07/11 00:25 ID:9RcNLmCx
>199-203
やった〜マジでお待ちしてました、神〜
ブラがうまくはずせないバカに ハァハァハァ(;´Д`)カズクン…
アナタ様のバカ×主人公、もうツボにハイリマクリでつよ……

関西弁萌えの神様〜、続きおながいします〜
211インデックス職人:02/07/11 00:35 ID:mr58dvpt
この前のインデックスは>>87です。

先生
>93>94>95>96>97>98>99>100(>>93-100)
>>116
6人(青春?)
>107>108>109>110>111(>107-111)
モリリン
>124>125>126>127>128>129>130(>>124-130)
王子
>138>139>140(>>138-140)
>176>177>178>179>180>181>182(>>176-182)
ワカメ&GORO
>149>150>151>152>153>154>155>156>157>158>159>160(>>149-160)
バイト
>189>190>191>192>193>194>195>196(>>189-196)
バカ
>75>76>77>199>200>201>202>203(>>75-77>>199-203)

今日は男キャラ集合からGOROたんまで加わってバラエティ豊かでつね(w

ところで、こちらのスレの書き込み規制に引っかかって、感想はもちろん
SSできているのにあげられない神まで出てきているようです。
せっかくのSS、HDD内に眠らせるにはあまりに勿体無い!
誰かが代理うpするとか倉庫神様にお送り頂くとか18禁妄想スレ利用とか、
何か考えた方が良いかもしれませぬ。
あと、書き込みできない方。とりあえず他の適当なpink鯖内の板に
何でも良いから(スペースとかでも)書き込みしたら、次から
通るようになることもあります。良ければお試しを。
212渉SS職人:02/07/11 00:37 ID:qZiRvL13
>>211
乙です。
今日は(も)とても楽しかったですね。
213渉SS職人:02/07/11 00:54 ID:qZiRvL13
誰もいない?
予告していたブルーミングストーリーズ風味のやつ、
UPしようかなあ?
あと数分後にまたきまつ。
214名無しさん@ピンキー:02/07/11 00:56 ID:za/264u4
んー、倉庫の神様にお願いするのは、チョト負担大きいのでは?
代理ウpが一番望ましい気もします。
代理でできる人を募集してみてはどうかしら?
私もできますよ。大量じゃなければ。
215渉SS職人:02/07/11 01:02 ID:qZiRvL13
>>214
倉庫の神様は今かなり忙しいようです。
すぐにUpするなら、代理のほうがいいような?

そろそろ投入していいッスか?
216出会い〜渉1/2:02/07/11 01:05 ID:qZiRvL13
(テレビから音楽が流れている。その音楽がCMに切り変わったとき、
電源が落とされる)
 はあ。面白かった。
 どくろクマちゃんって、今すごく流行ってるけど、なんでだろ、
ジブンが好きだって言うと笑う人がいるんスよねえ。
 やっぱり、アニメ観てるヤツってオタクって思われてるのかな?
 それとも、コドモって思われてるのかな?
 まあ、いいや。ジブンが好きなのを観ればいいんス。そんなの、
個人の好みの問題だし。
 そういえば、残念だったなあ。
 葉月先輩に弟子入り、断られちゃったッス。入学したら絶対弟子に
してもらおうと思っていたのになあ。
 今度またお願いしてみようかなあ。
 あ、そうそう。
 葉月先輩と仲がいいって言われていた女の先輩もマークしてたんだけど、
気づかれちゃったッス。
『ストーカーじゃない』
 って言ったけど、あのときのジブンはどう見ても怪しかったッス。
 でも、それによって知り合いになれたんだから、ま、いっか。
217出会い〜渉2/2:02/07/11 01:06 ID:qZiRvL13
 それにしても、あの人、可愛い人だったッス。
 葉月先輩にお似合い……。
 あれ? なんだろ? この感じは。
 そ、それに、理想のお姉さんって思える人。
 ……理想のお姉さん?
 まただ。どうしたんだろ、ジブン。
 素直に葉月先輩と並んでいるところを想像できないし、お姉さんだと
思うこともできない。
 なんだろう、この気持ち……。
 ジブン、あの人ともっと仲良くなりたい。
 あの人のことをもっと知りたい。
 ジブンのことを知ってほしい。
 ジブン、あの人のことがすごく気になる。
 あれ?
 ジブン、あの人のこと……。
 で、でも、あの人はきっとジブンのことただの後輩としか思って
ないッス。
 きっと……。
 いや、諦めちゃダメッス。
 努力して、あの人に相応しい男になるッス。
 そして、いつかきっと……。
 さてと。
 明日からは野球部の練習が始まるッス。
 それに備えて、早く寝よう。
 ジブンがかっこよくいられる野球。
 まずは、野球から頑張るッス。

終了。
218出会い〜珪1/3:02/07/11 01:09 ID:qZiRvL13
「ほら、待たせたな。食べ物、買ってきたぞ」
 今日から、ここに堂々と出入りできる。
 今までは中等部だったからここにはこっそりとしか来れなかったけど。
 今日からはこの敷地にいてもおかしくない。
 俺もはば学高等部の生徒だ。
「ニャア」
 どうした? なんだかご機嫌だな。
 あ、そうか。俺の気持ちがわかるのか。
 今朝、入学式の前に教会に寄ってみた。
 小さい頃の思い出の場所。
 俺の……大切な思い出を封印していた場所。
 その教会で、その思い出が蘇ってきた。
 あの子。
 あの、絵本を読んであげた子が立っていた。
 俺が外国へ行くって言ったときに涙を流してくれた子が……。
 俺は、思わず足を速めた。
 俺が声をかけようとした時、チャイムが鳴った。
 あいつは、慌てて振り向いた。俺がいることに気づかずに。
 俺は思わず手を差し出していた。
 あいつはキョトンとしていたな。
219出会い〜珪2/3:02/07/11 01:09 ID:qZiRvL13
 その理由は、あいつの言葉でわかった。
 先輩、だって。
 あいつ、俺のことを先輩だと思ったらしい。
 つまり、俺のことを知らなかったんだ。
 一応、俺はモデルをやっている。
 うぬぼれるわけじゃないけど、一部で有名になっていることは
自覚している。
 そんな俺を知らないらしい。
 そんなことより。
 俺のこと、憶えてなかった。
 あのときのこと、忘れてしまったのだろうか。
 それとも、俺はあのときと変わりすぎていたから、思い出せなかった
のだろうか。
 寂しい。
 そんな言葉が頭をよぎる。
 今までだって、友だちと呼べる人間はいなかったし、両親も海外で
働いているから、そんなことはいつものことだ。
 でも、今日ばかりは堪えたな。
220出会い〜珪3/3:02/07/11 01:10 ID:qZiRvL13
 そして、入学式のあとも。
 あいつは、すぐに友だちができたようだ。
 あいつは、俺のことを質問していたようだ。
 その友だちは、俺のことを良くは思っていないようだ。顔をしかめている。
 そんなこともいつものことだけど、あいつにはそうは思われたくない。
 そう、あいつにだけは……。
「ニャア」
「ははっ。わかってる。おまえたちがいるもんな」
 寂しいのなんて、今に始まったことじゃない。
 でも……。
 あいつがいるから、少しはましになるだろうか。
 あいつに癒されるだろうか。
 期待してしまう俺自身に、少し戸惑う。

終了。
221渉SS職人:02/07/11 01:15 ID:qZiRvL13
以上、二本お送りしました。

読み方としては、テーマ曲を脳内BGMにして、
だいたい2〜3分かけて読み終えるようなしゃべりになるような長さにしました。

渉のやつは、ほむらのやつを参考にしました。
222バイトモエー:02/07/11 02:38 ID:5Raz6Fs7
えらく、番号が飛びましたが、やっと書き上げました。
>>68 >>69 の続きです。
223バイトモエー 自分の部屋3/6:02/07/11 02:39 ID:5Raz6Fs7
まどかのキスはひどく官能的で、いつもすぐさま陶酔の世界に引きこまれる。
胸が、せつないような感じがして、とくとくと鼓動を刻み始めるのだ。
まどかは全身で、ぎゅむって感じに私の身体を壁に押しつぶした。
「……重いよ」 まどかの背中に手を回しながら、少し笑って言うと、
「せやろな」 と、まどかも優しい声で笑って言った。
まどかはきつく抱きしめたり、強く身体を押しつけたりするのが好きで、
私はその行動にまどかの寂しがりなところを感じることがある。
だからその時は、私がまどかをぎゅっと抱きしめるのだ。私がいるよ……って意味を込めて。
まどかは私の顎に手を添えて上を向かせ、逆の手で私の髪を漉きながら数種類のキスを繰り返している。
甘くて激しくて、そして優しいキス。
「ま……どか……」
そのキスが私は大好きで、思わずキスの合間に吐息とともにまどかの名前を呼んでしまった。
私の首や背中や肩を撫でていた腕が、胸に向かった。
キスを繰り返しながら、その手は胸を包み込むように動く。
「ん……ふ……っ」
私の胸元に唇と落として、シャツのボタンを上から外しながら唇の位置を下げていく。
ボタンを外し終わった後フロントホックを外して、私の胸を口に含んだ。
ついばんだり軽く噛みついたり、吸いついたりして私の胸を攻めてくる。
「は……っ。やぁ、んっ」
そしてまどかの手がスカートの中に入ってきた。
224自分の部屋4/6:02/07/11 02:40 ID:5Raz6Fs7
「やっ、ちょっ、ちょっと待って!」
「ん? なんや?」
「あの……さ、あっちに移動しない?」
私はベットを指差した。するとまどかはにっこりと笑う。
「あー。まぁ、ええやんええやん」
ちょっとだけ、まぁいいかな? と思わせてしまうあたり、その笑顔は凶悪だ。
「ええやんって、ちょ、ちょっ!……あぁっ」
まどかは私に構わず下着をするりと落とし、支えながら私の足を自分の肩に掲げた。
そして、私の秘部に口づける。なぞるように舐め上げられ、敏感に所に吸いついてくる。
「んぁっ、ん……ん」
背筋を快感が駆け上っていく。私はまどかの頭を掴んでそれに耐えた。
目の前には、いつもの私の部屋の風景が広がっていて……。
こんなところで、こんな風にされて……っ。
どうしよ。私次からまどかを思いだして、この部屋で平気でいられないかも。
その時、まどかの部屋の情景を思い出した。
まどかも、あの部屋でこんな風に思ってくれてるのかな? そうだといいなぁ……。
225自分の部屋5/6:02/07/11 02:40 ID:5Raz6Fs7
「あぁ……ん。は、あ……」
ぴちゃぴちゃと音を立てて、まどかは私を攻める。その音はひどく私を淫靡な気分にさせる。
「ね、まどか……」 私は催促した。
「ん? どないしたん?」
「…………」
「どないしてほしいん? 言うてぇや」
──ついでに言うと、まどかは言わせるのも好きだ。
「ほら」
その極上の笑顔がこういう時ちょっとだけムカつく。んも〜っっ!!
「い、入れて…………ょ」
「……まぁ、ええやろ」
ちょっと笑って、まどかは立ちあがって私にキスをした。
その間にジーンズのチャックを開けて自分の隆起したモノを取り出す。
私の片足を抱え上げて、まどかはそれをあてがった。
そしてゆっくりと、私の中に侵入させる。
奥まで入れると身長差がありすぎるので、私は宙に浮いてしまう。
まどかの首に手を回して自分の身体のバランスをとる。
「時間もないし、一気にいくで」
囁いた瞬間にまどかは一気に突き上げた。
「きゃぁっ。あっ、あっ、あぁっ!」
嬌声を上げる私の口を、まどかの唇が塞ぐ。
深い口付けを交わして、上と下の両方でお互いの身体を繋いだ。
背中が壁で擦れて痛いような気がする。でも今はそんなのどうでもいいことだ。
耳が聞こえにくくなり、まわりの景色がぼやけてきて、感じれるのはまどかの感触だけになった。
「ふぁ……、はっ、は……」
繋がれた場所が熱くて、頭がスパークしはじめる。
「まどか、まどか……っ。あーっ、あーーっ!」
226自分の部屋6/6:02/07/11 02:44 ID:5Raz6Fs7
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
「ところでオレごっつ心配やねんけどな」
「何が?」
「ジブン今晩この部屋で寝れんの? オレのこと思い出して寝られへんのとちゃうん?」
自信たっぷりって感じでまどかは言う。もーっ! もーっ! もぉーっ!!
「どーしていちいちそういう事を言うのー!? 思い出しちゃったじゃないのーっ!」
ニヤニヤ笑ってるまどかに向かって振り上げたクッションと、私の怒声を中断したのは、
尽の「ただいまー」という声だった。

運 の い い ヤ ツ め っ 

────────────────────────────
途中で日を空けるとダメっすね。今度から一気に書き上げます。

明るいエチーを書くはずだったのに、他の方のSSを読んでたらせつなーくなってきて、
その気分のまま書いたら中途半端な雰囲気になってしまいました。
我ながら い ま い ち だ。バイトのセリフ少ないし。
もっと精進したいと思います。
227バイトモエー:02/07/11 02:46 ID:5Raz6Fs7
>>71-74
ご期待に応えられなかったかも…。すいません……。
228116の続き(先生×主人公)1:02/07/11 06:22 ID:/IerLTOf
散々悩んだあげくに主人公の手紙になりました。
こんなものですが、よろしければお読み下さい。


氷室先生へ
 先生へ突然こんなお手紙を書いてしまって迷惑だとは思いますが、どうしても
伝えたいことがあるので、最後まで読んでくれたら嬉しいです。

 あの時は、ごめんなさい。
 突然のことでびっくりしたし、実は、ちょっと怖かったのです。
 先生に、あんなふうにされるなんて、思ってもみなかったから。
 
 私、ずっと先生のこと、好きでした。
 きっかけは、1年生の補習の時かな。
 あと、先生がピアノを弾いているのと見た時とか。
 いつもの厳しい顔じゃない先生を知って、もっと先生のことを知りたくなりま
した。
 あ、話がずれてしまいました。本題に戻します。

 でも、それが現実になったら逃げ出しちゃう、なんて、変ですよね。
 本当に、私、変なんです。
 好きなのに、怖くて。
 怖いのに、寂しくて。
 逃げ出してしまったのは私なのに、「寂しい」なんて、おかしいですよね。
 でも、寂しいんです。
 学校でも、ずっと、卒業まで、先生と目も合わせられないなんて、
 寂しくて、悲しくて、死にそうです。
 なんて、大袈裟でしょうか?
229116の続き(先生×主人公)2:02/07/11 06:33 ID:/IerLTOf
 先生、私、一生懸命考えました。
 それで、気付いたんです。
 あの時の先生も、私の知らない先生の顔の1つなんじゃないかって。
 補習で寝てた時の顔、ピアノを弾いていた時のとっても優しい顔、
 期末考査で1位になれて、誉めてくれた時の顔、少し照れてる時の顔、
 そんな中の、1つなんじゃないかって、思ったんです。

 それに、私は「こんなはずじゃない」とも思ったんです。
 でも、思っていた事と違うからって裏切られた、傷付いたなんて思うのは、変
ですよね。
 だって、先生は先生だもの。
 私が好きになったのは、氷室零一という人だもの。

 えっと、つまり、私は今でも氷室先生のことが大好きなんです。
 先生は、私のこと嫌いかもしれないけれど、もしよかったら、
 また、ドライブにでも、社会見学でも、連れて行って下さい。

 長々とすいません。
 少し恥ずかしい所もあったけど、でも、氷室先生だから、全部話そうと思いま
した。
 不快な気持ちにさせてしまったら、ごめんなさい。

 読んでくれて、ありがとうございました。
230116の続き(先生×主人公)3:02/07/11 06:37 ID:/IerLTOf



今日、彼女のノートを添削していたら出てきたものだ。
もう何度も読み返している。


そう…電話でなら………。

終わり。

なんか消化不良もいいとこっすねぇ〜。
こんなものですいません。(-_-;)
読んで下さった方、ありがとうございました。
ではでは、失礼しました。m(__)m
231名無しさん@ピンキー:02/07/11 13:31 ID:iAy52t0t
116の神キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!!
続きありがとうございます。

ADSLの調子が悪くてなかなか繋がんなかったよ…
これは、ハッピーエンドでいいんですよね。

てんてーに幸いあれ…

てんてー(;´Д`)ハァハァ
232228-230:02/07/11 14:18 ID:KtgA1svC
>>231
喜んでいただけて良かったです。(*^_^*)
このあと、ドライブの帰り際or先生のお部屋で主人公ちゃんに
「…今度は優しくして下さいね。」
な〜んて言わせてみたい私。
もう頭の中先生一色ですよ!

いいなぁ〜ADSL…。
ウチなんか田舎すぎてISDNも来てない…。(泣)
233ID:IbqWNTTe:02/07/11 14:44 ID:yFZNFM8I
インデックス職人氏の言うとおり、他の板でちまちまやってみたら呪いが解けた!
なんて、有用な方なんだ、インデックス職人氏。ありがとうです。
で。前の続きをうpろうかと思ったら前ログにアクセスできない罠。
何番か忘れちゃったよ。だめじゃん!

手紙ネタいいですなぁ。趣があって。
先生絡むとどうしても反道徳な甘さがあってたまらぬですね。
ちょっと目を離したすきに、感想書ききれないほどSSがうpされてて幸せ。
234名無しさん@ピンキー:02/07/11 14:59 ID:44pEBhUm
>232
か、神様。ぜひ、そのお話を…
てんてー。(;´Д`)ハァハァ

私も、つねに頭の中がてんてーばかり。
突然、思いだし笑いをする事もあるので、はたから見たら変な人かも…

でも、それでもてんてー(;´Д`)ハァハァは止められない。(w
235ID:IbqWNTTe:02/07/11 15:48 ID:yFZNFM8I
せっかく呪いが解除できたので、再び呪われる前に前の続きをうpろうと思うのですが
前の番号が解りません。それでもうpっていいすかね?
バイトの保健室のやつです。結局エロないです。しょぼーん。エロ保健室を誰か…。

あっちとこっちで、読みたいって言ってくれた天使に神の祝福を?
つうか誰か保健室エロ書いて下さい。人頼み。
236228-230:02/07/11 15:57 ID:RXR1NHXy
>>233
感想ありがとうございます!(T_T)
禁断の恋ですな、フフ。
あの手紙のまとまらなさは、私の頭の中と一緒です。(笑)

>>234
その話っていうと、つ、ついにエロ話を書く時が!?
初めての体験ですが、頑張ってみます〜。
もう、ちょっと何かある毎に、先生のこと考えちゃいます。
私も変な人になってるかも…。(笑)
237名無しさん@ピンキー:02/07/11 16:02 ID:44pEBhUm
>バイト保健室の神様
前スレ
>871-878
でございます。
前スレあぼ〜んのようですので。

ぜひ、続きを(;´Д`)ハァハァ
238名無しさん@ピンキー:02/07/11 16:08 ID:n9Q5qDMB
>235
バイト保健室神さま
過去ログを保存してあったので調べてみました!
タイトルは「バイトエロ無 1/8〜8/8」は 871- 878でしたyo!
再降臨を首を長くして(;´Д`)ハァハァ してまつ(w
239ID:IbqWNTTe:02/07/11 16:10 ID:yFZNFM8I
ぬぬ。こっちにも天使タンが…!>237タマ
倉庫落ちの続きだけ今更で申し訳ナカですが、うpらして貰います。
つか、ずっと前のID名前にいれたまま書き込んでる。ださ。ぷ。(…。)

えっと、前のスレ871-878の続きです。
さっさとうpらなくて、訳解らないことこの上ないと思いますが。すまぬ。
240バイトネタ(保健室)後1/4:02/07/11 16:13 ID:yFZNFM8I
しばらくぼんやりと眺めてから、そっとカーテンの中へ入り身を屈め、
枕元に腕を起き顎を乗せて、まじまじと寝顔を見る。
少し顔が青ざめているような気もする。色素の薄い赤茶げた
癖のない柔らかい髪が、少しの動きに反応してさらりと動いた。
枕元に所在なく投げ出された腕と手が、なんだかひどく無防備に見えて、
ぐらりと世界が揺れた。

触ってみたい。

軽く握られた手が、すこし曲がった指先が。
まるで別の生き物のように、なまめかしく、扇情的で。
耳の奥と咽の奥の、なんだかそこら辺に分厚い膜ができて、
それがグワングワンと音を消す。ひどい耳鳴りに似ていた。

実はまだ一度も触れたことがない。
意識しないで触った事はあっても、もう何度も二人で会っているのに
手さえ握れない、握らない。
触りたいなんて、思わなかった。思えなかった?
とにかく、なにもかも巧くいかない。今までのいろいろが通用しない。
ずっとその衝動を忘れてきた。
今までとは違うんだと、解り易い言い訳に触れない事を選んだ。

241バイトネタ(保健室)後2/4:02/07/11 16:14 ID:yFZNFM8I

  少し手を伸ばす。
  指先に触れるか触れないか。
  ギリギリのところで持て余す。
  熱を感じるほど近づける。
  それでも触れない。
  この生暖かさなんだろう。
  自分の体温が跳ね返っているだけな気がした。
  浮かされているのは自分だけなのかもしれない。


本音で言えば、女の子に触るのは大好きだ。
触れているだけで気持ちがいい。暖かさも柔らかさも、自分に無いものだし。
なにより、男にはない生臭い性を感じるとき。
その腹でヒトを育てる逞しさに。
「俺のこと、産んでくれへんかなぁ…」
いつからこんなパラノイアめいた事を嘯く様になったのか。
自分の口を借りて出たドロリとした言葉で、どうしようもなく弱ってる事に気づかされた。
もっとしつこくていやらしい男だと思っていたのに。
やっぱり今日は体調が悪かったんだ。
この耳鳴りも、熱も、きっとそのせいだ。
だから弱気になる。淋しくなる。
242バイトネタ(保健室)後3/4:02/07/11 16:15 ID:yFZNFM8I
そこへもう一度、手を伸ばす。丸い指先、細い爪。
そこで彷徨う、洗っても落ちないオイルが染みがついた手が厭になった。

指先からすうっと熱が引いた気がした。
結局、自分が臆病者だと解らせられただけで。
こんな状況でさえ触れられなかった。
それでも名残惜しそうにしている指を引こうとした。
今の自分はどんなに情けない顔をしているんだろう。


  不意に眠る指先が触れた。
  つめたく冷えた指は自分だと気づかされる程に熱い。
  少し汗ばんだ丸い指が汚れた指を絡め取る。
  熱い。熱い。熱い。


熱が血液を伝わって体中に蔓延する。
気がつけば乱暴に手を引いていた。
耳鳴りに頭が割れそうになる。ひどい吐き気のような、
胃から迫り上がる何かを押さえようと口元を強く押さえた。
それから逃げるように、部屋から飛び出す。
きっと、今の乱暴な動きで起きてしまっただろう。
243バイトネタ(保健室)後4/4:02/07/11 16:17 ID:yFZNFM8I
ガタガタと部屋から飛び出した、誰かいたことも気がつくだろうし
そうだ、隣には自分の上着も置きっぱなしだ。荷物も置いてある。
ドアに凭れて一息つく。
「ジブンが悪いねんで。せっかくもう暫く、臆病モンでいてやろうっ
て思うてたんになぁ」
もう一度大きく息をつく。耳鳴りは止んで吐き気も収まった。
中に戻ろうとドアにかけた手の──さっきはあんなに汚くて厭だった──それも
案外悪くな、そんな気がする。

廊下に射す西日の暑さが、もう春は終わりだと告げていた。

244ID:IbqWNTTe:02/07/11 16:21 ID:yFZNFM8I
さんざん引き延ばしてコレかよ、ってツッコミは自分で入れておきます。
もうちょっとつうか、主人公が出てきてもっと会話があって
これにプラス10パーくらい変態度の高いのを、今度また晒しにきます。
てか、きてもいいでしょうか?

呼んでくれた皆様、感謝。愛。
245名無しさん@ピンキー:02/07/11 16:23 ID:44pEBhUm
>244神様!!
ありがとうごさいます。
いつまでも続きをお待ち申し上げております。

あー、続き、気になります。
246238:02/07/11 16:27 ID:n9Q5qDMB
>>240-243
神様ありがとうございました!バイトタソ切ない・・・。弱気なバイトタソに(;´Д`)ハァハァ
続きをまってマス!

>237
時差があるのにダブってしまいました。スマソ・・・(´・ω・`)ショボーン
247名無しさん@ピンキー:02/07/11 16:56 ID:lmIiG5pV
>227神
降臨をお待ち申し上げてました。
笑顔で攻めるバイトに禿げ萌え〜ハァハァ

>244神
触れないエロスを感じました。
このもどかしさがたまりませぬ…ハァハァ
248名無しさん@ピンキー:02/07/11 17:06 ID:a8vTGBXJ
携帯から神に感謝を…!ムネキュンでつ…。
249-unrequited love-(1/11):02/07/11 20:28 ID:WxnSxSRV
どうしようもなく吐き出したくなってしまったSSです。
主役は奈津実、エロ無し、重い暗い長文と三重苦のイイトコ無しです(泣
てかバイトラブな方々には大変申し訳ナイことに、奈津実も片思いのままですが
バイトも片思いのままエンドを迎えます。
なっちんが激しく嫌いな方、バイトが幸せじゃないと泣く方には全然向きませんので
ダメな方は本当に本当にスミマセヌが、例のごとくスルーでヨロシコでつ…(つД`;)

----------------------------------------------------------------

今日は、あたしの親友の結婚式だ。
すっごいカワイくて、アタマよくて、何でもひょいひょいっと出来ちゃって、
でもそーゆーの全然鼻にかけて自慢とかしたりしなくて、でもってちょっと
そそっかしいところもあったりしてそれがまたカワイくて、誰にでも優しくて、
困ってる人がいたら絶対放っておけなくて、間違ったことが大キライで、
いっつも真っ直ぐな目をして真っ直ぐに前を向いてる、そんなコ。
大事な、ホントウに大事な、あたしの親友。
そのコが今日結婚する。相手は、あのコがずっとずっと大スキだったひと。
ずっとずっと見つめ、想い続けてきた、あのコが選んだひと。
あのコのことをとっても大切に想って、慈しんでいる、優しいひと。
──でもそれは、あのコをずっとずっと一途に想い見つめ続けた姫条じゃない、
別のひとだった。
250-unrequited love-(2/11):02/07/11 20:29 ID:WxnSxSRV
あたしは姫条のことが、ずっと好きだった。
一目惚れだったのかもしれないし、仲良くしてるうちに、かもしれない。
気付いた時には、もうものすごく姫条のことが大好きになっていた。

──でも姫条は、あたしじゃない、別のコのことが好きだった。
あたしの親友。入学式の日にちょっとした事がきっかけで知り合って、すぐに仲良くなった。
明るくてカワイくて、でもすっごいマジメ。何でもいっしょうけんめいに頑張っちゃうコで、
そこはあたしとは全然違うトコロだったんだけど、でもすごく気が合った。
いっぱい遊んだ。楽しくてバカな話もちょっとだけ痛い想い出も、何でも話せた。大好きだった。

そんなあたしの親友のことを、あたしの大好きなヤツが好きになった。
理由なんて訊かなくてもわかる。簡単。だって彼女はとっても魅力的だった。
実際、彼女に憧れてる男のコ達は多くって、ラブレターとか貰ってるのも
何度も見たことがあった。そんな時も彼女は優しくて真っ直ぐで、誠実に断り謝っていた。

姫条の気持ちにあたしが気付いたのと、あのコの交際申し込みを断る理由が
「今はそういう気持ちになれなくて」から「今、好きなひとがいるから」に変わったのは、
ほとんど同じ時期だった。学年が変わって、校舎の横の桜の花が散って、全部濃い緑の
葉っぱになった、2年の4月も終わりのこと。
姫条をずっと見つめてたから、アイツの想いにはすぐに気付いた。
ずっとあのコの近くにいたから、あのコの変化にもすぐに気付いた。

その時のあたしは、あのコの好きなのは、きっと姫条だと思った。
251-unrequited love-(3/11):02/07/11 20:31 ID:WxnSxSRV
姫条があのコを見つめる。話しかける。笑いかける。楽しげに会話と笑顔を交わし合う。
あのコの一挙一動を、ちょっとした仕草ひとつすら見落とさないように見つめ、
愛おしげに眩しげに微笑む。あのコの反応に喜んだり照れたりちょっと拗ねたりする。
姫条は、変わった。変えられてしまった。変えたのはあのコ。
そしてあたしは、そんな以前とは違う姫条を見つめた。見つめ続けた。

あのコが、あのコを好きな姫条が、やけに眩しく、憎たらしく思えた。

姫条といっしょにあたしの視線に入るあのコの顔を、あたしは一生懸命見ないようにした。
そんなの、見たくなかった。

あのコを呼び出して、一方的にライバル宣言をして、絶交状態にしたのは、6月の始め。
ちょうど夏服に変わった頃だった。暑くて、空がやけに青かった。
あのコが何か言いたげなのには気付いていたけど、何も聞きたくなかったから、
振り切るようにして走り去った。
「絶対負けない」と宣言しながら、あたしは、あのコから逃げた。
姫条があのコを好きなことを、あたしはあのコには勝てないことを、知っていたから。
252-unrequited love-(4/11):02/07/11 20:33 ID:WxnSxSRV
あのコが羨ましくて妬ましくて、憎らしかった。
姫条と遊びに行くのは勿論のこと、ちょっと話をするのだって許せなく思えた。
見ないでよ。話さないで笑わないで何もあげないで貰わないで。触らないで。盗らないで。
あたしから、姫条を持っていってしまわないで。

だからあのコから話しかけられてもとことん無視したり、見下したり。
何かことあるごとに、イヤミを、傷付けるコトバを投げつけた。
あのコは驚き傷つき、やっぱりちょっと怒ったカオをしたけれど。
それでもあのコはあたしに近付き、何度も話しかけてきた。
けれど、それもあたしには疎ましかった。
傷付けたかった。嫌われたかった。正々堂々と言ったくせに、あたしは卑怯だった。
意地悪な気持ちは止めることが出来なくて、自分でもどうしたらいいのかわからないくらい、
制御出来なかった。あのコの前ではいくらでも残酷になれた。

どんどんあのコを嫌いになって、でもそれ以上にあたしは自分をイチバン嫌いになった。

いっそ、姫条のことも嫌いになれたらよかったのに。そうしたら全部よかったのに。


急にあのコから呼び出された。一方的な絶交からちょうど一年たった、3年の6月。
どんより曇っていて、今にも雨が降りそうだった。あたしの心の中みたいな空。
253-unrequited love-(5/11):02/07/11 20:34 ID:WxnSxSRV
行きたくないアンタなんかと話すことなんてあたしには全然ないよと逃げようと、
そう、目をそらして逃げようとしたあたしを、あのコは許さなかった。
今まででイチバン強くて真っ直ぐな目であたしを見て、その白く細くやわらかい手で
あたしの手を引いて。「私にはあるの。だからお願い。いっしょに来て。」
と、あたしを近所の公園へ連れて行った。一年前に私が一方的にライバル宣言した、あの公園へ。

「……なによ話って。あたしはアンタと話なんかしたくないってば。迷惑。さっさと言いなよ。」
あぁまた傷つけるキタナイ言葉。キタナイあたしのココロ。歪んで醜い。きっと顔も。
あのコが辛そうな顔をした。…だからってなんであたしが胸痛くならなくちゃいけないのよ。
なによその顔お優しいココロで同情してるの憐れんでるの。てかツライなら帰ればいいじゃん。

「…あのね、奈津実、勘違いしてるみたいだし、今みたいな状態すっごくツライから、
 私もはっきり言わせてもらうよ。」
「ハイハイ。ナンデスカー。」
「…真面目に聞いてね。私、好きなひとがいる。でもそれは姫条くんじゃないよ。」
「ふーん。そんなコト言ってさぁー。安心させて油断させといて、あたしと仲直りしたとたん、
 すーぐラブラブになっちゃったりするんじゃないのー?あたしそんなバッカみたいなの、
 絶ッ対にゴメンだわー。」
「!!!…そんなんじゃないよ!!私、奈津実にウソなんかついた事ないよ!!
 それに本当に姫条くんの事が好きなら、ちゃんと奈津実に話してるし、正々堂々、私は戦うよ。」

そんな事知ってるよわざわざ言われなくたって。…そう、このコならそうする絶対。あたしと違って。
…………あれ?それってどういうことよ。

「だからね、本当に。あたしは姫条くんを好きじゃないの。姫条くんはすごく素敵で優しくて
 いい人だけど。楽しいから誘われればいっしょに遊びに行きもするけど。でも恋じゃないよ。
 私が好きなのは別のひとなの。…それは今は誰かは言えないけど。誰にも言えないけど。
 でもいつか奈津実には言う。いつか、必ず話したいと思ってる。」
「……なによそれ。譲ってくれるとでもいいたいワケ?ねぇ?アタシ信じないよそんなの。」
「信じてくれなくても。本当なの。私は、姫条くんを、好きじゃないの。」
254-unrequited love-(6/11):02/07/11 20:36 ID:WxnSxSRV
ワタシハ、キジョウクンヲ、スキジャナイノ。
……それが本当だって言うんなら。……なによソレなによソレなによソレ!!
「ねぇナニソレ!!じゃあどーなっちゃうのよ!!」
あたしの今日までのアンタへの憎たらしいこの思いは。アンタに投げつけたキタナイ言葉は。
アンタだけを一生懸命想って、一途に見つめてる姫条の気持ちは。
──どこにいけばいいの。

「それに、そうよ!!アンタが誰を好きだろうと関係ない!!だって!!」
だって姫条が。姫条が、アンタを好きなんだよ。

言いたいけど言えない。これだけは絶対に言えない。姫条が言わない限りは絶対に。
出かかった言葉を必死に飲み込む。
どーしてよ。あんなにイイヤツの姫条が、あんなにアンタのことを想ってるのに。
ねぇ何であんなにあからさまなのに気付かないの気付いてあげないの。
何が不満なのどうして他のヤツの方がいいっていうの何で想いを返してあげないの。
あたしから姫条を盗らないで。それはウソじゃない。今でもそう思ってるけど。だけど。
姫条が好きなのは、姫条を幸せに出来るのはアンタだけなのに。

いやだ。こんなコに負けたくない。悔しい。許せない。

「…だって!!あたし、アンタなんか大ッキライなんだからっ!!!」

また、あたしは走って逃げた。一年前と同じように。

大粒の雨が降り出した。だんだん激しくなるけど、あたしは構わず走り続けた。
雨に打たれてずぶぬれになれば、この涙も、自分でも見分けがつかなくなる。きっとなる。

ねー神様。いるんだかどうだか知らないけど。
どっかにいるならたまには働いてよあたしの願いを叶えてよ一度でいいから他は何もいらないから。

──姫条に、つらい思いをさせないであげて──
255-unrequited love-(7/11):02/07/11 20:37 ID:WxnSxSRV
気付いたら、あたしの足は姫条の家に向かっていた。
どうしていいかわからなくて、さびしくて、ただただ姫条に会いたかった。

玄関のドアを開けた姫条は、あたしの姿を見るなり驚いて絶句した。
「………なんやその格好。びたびたやんか。みっともないなぁ。」
みっともない、か。そうだよね。ミジメで、みっともないあたし。乾いた笑いが込み上げる。
「あはは、ちょっと雨に降られちゃってさ。雨宿りさせてよ。」
「ア・カ・ン。この部屋にはホンマに好きな女しか入れたれへんのや。
 悪ィけど、どっか別の所にしてくれへんか。」
「ひっどーい。ホントに薄情なオトコねアンタって。こんな濡れねずみになってる
 オンナのコをまた外に放っぽり出そうっていうの?いいじゃん減るもんじゃないし、ね。
 …それにさぁ、あたし、アンタに話があるの。大事な話。だから入れてよ中。」
「………中には、絶対に入れとうない。話なら、ここか、別の所でなら聞いたるわ。」
「タオルぐらい貸してくれたっていいじゃん。それに、話ってあのコのことなの。
 あのコの事で、相談、したいことがあるの。…アンタにも関係ある、大事な話なの。」
ずるいあたしは、ちゃんとわかっててあのコの名前を出した。そうすれば、姫条は反応するから。

「…30分だけ。そしたらそっこー追い返す。茶も出さん。わかったな。」
「うん。わかった。さんきゅー姫条。」
ほら、やっぱり。姫条はあのコのためにあたしを中に招き入れる。あのコのためだけに。

─誰か、あたしを殴り殺して。
256-unrequited love-(8/11):02/07/11 20:40 ID:WxnSxSRV
簡素な部屋に通されて、まぁそのヘン適当に座れやと言われる。
姫条があたしにタオルを一本放り投げて寄こした。姫条の匂いがするタオル。
髪を、服を拭き、顔をうずめる。少し、泣きそうになった。必死に堪える。
「ありがとね、タオル。今度洗って返すよ。」
「いいわそんなん別に。そのまま置いて帰ってくれ。…で?話って何や。」
「……………………」
「ふん。まぁええわ。そんなら、いい機会やから、俺から言わしてもらうわ。
 ……アイツの事、あんまりいじめんといてやってほしい。頼むわ。」
「…ナニよソレ。別にあたしあのコの事いじめてなんかないよ。ただ喧嘩してるだけだよ。」
「でも、アイツはオマエの事で心痛めてツライ思いしとる。そんなん見ててツラなるんや。」

それを、あたしに言うわけねアンタは。本当にあのコの事しか考えてない、残酷なオトコ。

「だってしょうがないじゃん。あたし今あのコの事キライだもん。だって…」
「俺のせい。そうやな。」
「!!!」
知ってる!コイツは、あたしの気持ちを知ってるんだ!!知ってて、ずっと無視してた。
「…へーえ。知ってて、そーゆーコト言うの。」
「ああ言う。アイツが泣いとるのに放っておけんからな。俺はアイツしか大事やない。
 でも、悪いと思ってへんから、俺はオマエには謝らん。」
ムカツク。あたしの気持ちを知ってても平気で無視できる、あのコしか見えないこのオトコが。
こんなに姫条に想われてるのにそれに応えないあのコが。ムカツク。傷つけたい。
「ふーん。でもアンタがいくらあのコのことを想ってても、あのコはアンタには絶対に
 振り向かないよ。無駄じゃないの。だってあのコ、好きなヒトがいるんだってよ。」

どうよ。ショックでしょ。傷ついたでしょ。ああこんなこと言いたいんじゃないのに。
こんなこと、絶対に姫条には知らせたくなかったのに。でもいやだ謝りたくない。

「…知っとる。だてに、ずっと見とったわけやないからな。誰かも、知っとる。
 アイツのあのオトコを見つめとる横顔が、イチバン綺麗やったからな。」
今までむっつりしていた姫条が、初めてちょっと泣きそうな顔で、苦笑いした。
257-unrequited love-(9/11):02/07/11 20:41 ID:WxnSxSRV
こんな顔、させるつもりじゃなかった。姫条は、知ってたんだ。あたしバカだ。
あたしだってずっと姫条見てたのに。あのコの事見てたのに。姫条の本当の苦しさも、
あのコの本当に好きなひとの事も、嫉妬で曇ったあたしの目には全然見えていなかった。
あたし、バカだ。

怒りと悲しさと申し訳なさと愛おしさと後悔に一気に襲われて混乱したあたしは、
姫条ににじり寄って、その勢いで思いっきり押し倒した。

姫条にのしかかる。上から押さえつける。姫条は、抵抗しない。全く無反応。
その無反応さに、あたしへの興味の無さが明らかに表れていて、それが更にムカツク。
あたしは、こんなにアンタのことが好きなのに。
無表情に冷たくあたしを見る姫条の冷たい口唇に、むりやりキスをした。
こんなに好きなのに。こんなに、欲しいのに。
口唇を強く強く押し付けるけど、このひとには伝わらない。なにひとつ。
このひとは、決してあたしのものにはなってくれない。

それがわかるから、むなしくて悲しくて苦しくて、どうしようもなく涙がこぼれた。
「どーしてよぉ!!ねぇ!!どーしてぇっ!!!」
どうしてあたしの気持ちを受け止めてくれないの。あのコを諦めてくれないの。
どうしてあのコとふたりで、幸せになってくれないの。
大声で泣きながら、姫条の胸を拳で何度も叩きつけた。姫条を何度もなじった。
泣いて泣いてひたすら泣きわめいて。
それでも姫条は終始無言で無反応だった。
258-unrequited love-(10/11):02/07/11 20:44 ID:WxnSxSRV
数分後、少し泣きやんでしゃくりあげながら、あたしは姫条に訊いた。
「…ねぇ、いっぺんでいいからあたしを抱いてよ。そしたらもう付きまとわない。
 アンタのことはもう諦める。ダメ?」
「俺が今どうしょうもなく抱きたいのも、抱けないのもアイツだけや。
 その他のオンナは正直どーでもええ。
 カラダがどうしょうもなくなったら誰でも抱けると思うけど、今はいらん。
 オマエもどーでもいいオンナやから、多分いくらでも抱けるし何でも出来る。
 ……でもオマエは、アイツが大事に思っとるトモダチやから、一生抱いてやらん。」

はは。すっごい容赦ない最後通告。本当に、コイツは残酷なオトコだ。
「そっか。」
あんまり可笑しくて悲しいから、泣きながら笑った。

「姫条、バイバイ。」
姫条から離れて、身繕いをして、家を出た。
雨はまだ止んでいなかったけど、構わなかった。また濡れて帰ろう。
全部、全部、洗い流すんだ。

結局、姫条から奪えたのは、冷たいキスと、こっそり持って帰ってきたタオルだけだった。


その後4日間、あたしは高い熱を出して寝込んだ。
失恋のショックだったらいいのに、とか思ったりもしたけど、まぁあれだけ雨に打たれれば当然か。
熱は高いけれど、食欲は全然減らなかった。こんなサイテーな気分の時でもお構いなしに
減るオナカを不思議だと思い、可笑しくて悲しくて、また笑って泣いた。
正直、学校へ行かなくて済むことが、とてもありがたかった。
259-unrequited love-(11-1/11):02/07/11 20:53 ID:WxnSxSRV
結局、あのコとちゃんと仲直り出来たのは、卒業間近だった。
あの出来事のあと、あのコとは時々話すようになった。少しずつ、普通の会話になっていった。
あのコがあんな事の後でも、今までと同じように話し掛け続けてくれたおかげだった。
あたしはやっぱりあんまり素直になれなくて、ものすごく時間が掛かってしまったけど。
壊れたものは、元のカタチには戻らなかったけれど。
でももっとイビツで傷ダラケですごくステキなものになった。
─あたしはあのコのことを、前よりずっと大事に思うようになった。

あのコは、あの後姫条の気持ちに気付いたらしい。
それを姫条も気付いてたようだったが、結局何もあのコには告げないまま、
今までと変わらずに接していた。深く優しく想い見つめ続けて。

そして、卒業式の日。
あたしはあのコにあらためて謝った。
何言ってるの今更前はすごい怒ってたけどもういいよ。少しだけキモチがわかるからもういいよ。
わたしたちは多分一生友達だよ。とかって一気に泣きながらあのコが言うもんだから、
あたしも泣いてしまった。恥ずかしくもふたりで皆の前でわんわん大泣きしてしまった。
あのコはずっと想い続けたそのひとと教会で想いを交わし、結ばれた。
姫条はこの街を出て行った。
260-unrequited love-(11-2/11):02/07/11 20:54 ID:WxnSxSRV
─それから4年。大学を卒業したあのコが結婚する。姫条じゃない別のひとと。

姫条は、その後の消息が掴めない。沖縄で見かけたとか、海外に渡ったとか、何処かで
事業を起こしたとか。いろんな噂が流れたけれど、どれが嘘で本当なのかはわからなかった。

あたしは…相変わらずフリーターだ。OLの制服も着てみたいしきっと似合うだろううけど
やっぱり会社勤めは性に合わないだろう。無理っぽい。あのコもそう言って笑う。
あの後何人かのヒトとオツキアイとやらもして、それなりにカレシカノジョだったことも
あったけど、とりあえず今はひとりでいる。
今でも…姫条のことは好きだ。多分一生。もしかしたら死ぬまでいちばん好きなひとかもしれない。
でも、恋人になりたいとは思わない。ただ好きな気持ちを忘れないから想い続けるだけ。
もしかしたらもう逢えないかもね。逢いたい。けれど逢えなくてもいいと思う。
次にもっと好きになれるひとに出会えるその時まで、いちばん好きな、あたしの好きだったひと。
苦くてつらくてすごく醜くてみっともない恋だったけど、一生懸命好きだったから、
あたしは絶対に忘れない。悔やんでも、恥ずかしくても、ずっと覚えていると決めた。

─この恋は、お墓の中まで持って行こう。
                               (end)
261名無しさん@ピンキー:02/07/11 20:59 ID:WT6tcqx2
キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!!
す、好きだ、こんな話。
奈津実タンが好きになったよ。
最後の8行が自分の今思っていることと
ちょうどいっしょで、泣けてきたよ。
262名無しさん@ピンキー:02/07/11 21:00 ID:WxnSxSRV
すんません長文エラーで一回増えました…。・゚・(つД`)・゚・。
またスレ食い潰ししちまったぃ…(泣 申し訳ございませぬ。
バイトファンの方のお怒りにはちょっとビビっているものの、
やっと吐き出すことが出来て少しすっきりしております。皆様スマソ。
勿論うっかり読んじゃった方のお怒りお叱り何でも受けますので
18禁スレでも倉庫BBSでも叫んでくださいませ…。
あーでもこれでやっと、またエロ物に専念できます(ワラ
263バイトモエー:02/07/11 21:00 ID:5Raz6Fs7
>>260
いや、いままで正直、なつみん嫌いだったけど、かなり嫌いだったけど……。
泣けますた。
ていうか、なつみんのこと見なおしたね。もう許すよ全部。あたしこそごめんよー……。
とまで思ったよ!!! むしろ好きになったかも。

すごいっす! すてきです! せつない〜っっ!!
264名無しさん@ピンキー:02/07/11 21:03 ID:hZRp0WmG
>260
…ものすごく(・∀・)イイ!!
自分の本命バイトで、悲恋モノなのにもう悶えまくるほどハゲシク(・∀・)イイ!!
グッときて(・∀・)イイ!!
藤井タンの心情がリアルで(・∀・)イイ!!
プリントアウトして手元に保存しておきたいです…(;´Д`)ハァハァ
265名無しさん@ピンキー:02/07/11 21:09 ID:0wp8A2gX
もう、言葉が出ないぐらい・・・・(・∀・)イイっす・・・・
266名無しさん@ピンキー:02/07/11 21:13 ID:SlU8h2RP
>260
うわあ、やばい、ウルっときまちた…
なつみん可愛いー! もともとけっこう好きなので、うれすぃ!!
267渉SS職人:02/07/11 21:28 ID:xjAlrLFx
なっちん、キミはイイヤツだ。イイオンナだ。
オンナって、ホントのこと言えないよね。
バイトもスジが通っててイイオトコだ。
268関西弁萌え:02/07/11 21:50 ID:i2eSedjH
おおっ、なっちんめっちゃ可愛い。萌えた。
実はまだ藤井をちゃんと登場させた事ないのでちょっと明日にでも
藤井ED頑張ってみます。
一応昨日の続き書いたのですがこんなええ話の後に貼り付けるのは
非常にこっぱずかしいしみっともないっす。
しかも会社で半分書いたから前半意味不明・゚・(つД`)・゚・。
でもイキオイが大切なので貼ってとっとと寝ます。
269バイト×主人公 1/7:02/07/11 21:59 ID:i2eSedjH
>>189-196の続き。

「でも自分えらく困った顔してはるからここじゃなんやからオレの家にこーへん?」
「え、でも雨が凄いし・・・。雨宿りにならないよ。」
「雨なんかどうでもええよ。自分葉月の事気にしてるんやろ?」
「!!」
「・・・やっぱりな。まぁええわ。ほら、とっとと服直して、行くで。」
「うん。」
呆れた顔をしながら私の頭をポンポンと叩く。
手早く制服を整えて一気に公園から駆け出した。
来た時よりも激しく雨が降り続く。
靴の中まで雨が進入してきて妙な感触が気持ち悪い。
雨と風の抵抗で上手く走れない。
「ほら、持ってやるから。」
言葉と同時に手が出て急に手元が軽くなった。
「ありがとう。」
「あと少しやから頑張れや。」
コクン、と頷いてまた走り出した。
270バイト×主人公 2/7:02/07/11 22:00 ID:i2eSedjH
公園から10分くらいの所にまどかの家は有った。
来るのは今日初めてじゃないけどいつもとは違う道のりだったので
こんなに近いと言う事を私は知らなかった。
「今タオル持ってくるからそこでまっててな。」
「うん。早くしてね。」
「ハイハイ。」
パタパタと足音が妙に響く部屋。
夏の誰も居なかった部屋は立ってるだけでも汗ばんでくる。
「ハイ、タオル。しっかり拭いてな。」
「有難う。」
「風邪引かんようにシャワーでも浴びてきぃや。その間に制服乾燥機かけとくし。」
「う、うん。ありがと。それじゃ、おじゃまします。」
サラリとまどかの口から出た一言にドキドキが止まらなくなった。
他意のある言葉でないのはわかってるけど。
これから行為をする為にここへ来たっていう流れなんだけど。
そう言うことを考えれば当たり前なんだけど走ってる間に忘れてたみたい。
「シャワーここやから。シャツ出しておくから乾くまでそれでも着といてな。」
「気を使わせちゃってごめんね。」
「せやなー。気ぃつかわんとええんやったらそのまま出てきても一向に構わへんけどな。」
「・・・エッチ。」
「あはは。これからやるんやから服要らんやろ?」
「・・・ったくぅ。何言ってるのよっ。バカな事言ってないで。」
「人に向かってバカゆうなんて自分めっちゃキツイなぁ。せめてアホにしといて。」
「うんじゃぁ、アホ。これでいい?」
「はいはい。上出来。」
「んじゃ、ゆっくりつこうてな。」
「お言葉に甘えてゆっくり使わせて頂きます。」
パタン。と、洗面所のドアを閉める。
何だかバカ話してるうちに緊張が解けたみたい。
これがまどかの優しさなんだよなって実感した。
271バイト×主人公 3/7:02/07/11 22:01 ID:i2eSedjH
シャワーから出ると大きいシャツが1枚と大きいバスタオルが1枚
きちんと畳んでおいてあった。
そして私の脱いだ服が跡形も無く1枚も無い。
・・・。下着ごと片付けられてしまった模様。
慌ててシャツを羽織ってタオルを腰に巻きつけて血相を抱えて部屋へと飛び込んだ。
「おっ。男モノのシャツ着てる女の子ってやっぱりええなぁ。」
「何言ってるのよ!ちょっと、それより全部洗っちゃったの!?」
「あー、ごめん。あかんかった?」
「だって、その・・・あの・・・下着まで・・・?」
「あ、スマン。よく見ないでそのまま洗濯機に放ってしもうたわ。」
「別に謝られる事じゃないからいいよ。こっちこそ折角やって貰ってるのにごめん。」
「まぁええって。オレは見てへんから、自分で干しといて。」
「うん。そうする。」
「そろそろ出てくる思ったから暖かい飲み物作っといたから飲んで休んどいて。」
「ありがとー。凄く嬉しい。流石まどか。」
「当たり前やん。ほな、オレもシャワー浴びてくるわ。」
「うん。それじゃ、頂きます。」
「どうぞ。何なら飲み終わったらベッドで待っててもええよ。ベットは上やから。」
「バッ、バカ!」
「またバカゆうたな。ま、ええけど。」
さっきから同じ事の繰り返しだ。
こうやって軽口をお互いに叩いている間は安心出来る。
でもここまでくるとそう思ってるのは私だけかもって思えてきた。
ソファーにゆっくりと腰を下ろした。もう何度このソファーに座っただろう。
パタン、とドアの閉まる音がした。そして水音。
この部屋ってこんなにもひとつひとつの音が響くんだ。
まどかはこうやって私の出していた音を聞いていたのかな。
高い天井を仰ってみる。目を瞑って音に意識を集中させた。
すっかりまどかの呼吸に合ってる私が居るのに気付いた。
水音が妙に心地良い。このまま眠りについてしまいたい。
雨音とシャワーの音が心地良いリズムを延々奏でてゆく。
さっきまでの不安感がなくなってきていた。
272バイト×主人公 4/7:02/07/11 22:02 ID:i2eSedjH
「落着いた?」
目をあけると目の前に髪の毛を拭きながらまどかが立ってた。
「うん、落着いた。まどかのお陰だよ。」
「そうゆうてくれると男冥利に尽きるわ。」
いつも通りのニコニコの笑顔。ゆっくりと私の隣に腰を下ろしてきた。
まどかの素肌が直ぐ目の前に有る。ただそれだけで鼓動が早くなってきた。
「まどかはいつでも優しいよ。私・・・。」
「ん?なんやねん。」
「私、正直今どうしたいのか分からない。」
「今はオレの事だけ考えていてくれたらええねん。」
「本当にそれでいいの?」
まどかは『Yes』と返事するのと同じようなタイミングで軽く唇を重ねてきた。
「なぁ、やっぱりここじゃ何やから上にいこか。」
「分かったよ。」
ゆっくりと立ち上がり頭上のロフトに昇る。
まどかが先に上がって私の手を引いて昇りやすいように先導してくれた。
もうここまできたら後には引けない。
一瞬珪の顔が頭をよぎった。
やっぱり私にはまどかだけを考えるなんて出来ないのかも。
273バイト×主人公 5/7:02/07/11 22:03 ID:i2eSedjH
寝そべる私の視界には天上とまどかの切なそうな顔が。
片手で自分のバランスを取り片手で私の頬や髪を何度も撫でる。
目を閉じるとまどかのやわらかい唇の感触が私の唇に感じる事が出来た。
最初は軽く。そしてじょじょに私の唇を裂いて激しくなってゆく。
舌を絡められ、絡め返して。まどかの唇はじょじょに下へと流れてゆく。
私の頬や髪を撫でていた手も自然と下へと流れてゆく。
シャツの上から胸を包み込む。シャツと胸が軽く摩擦されて
先端の敏感な部分はまどかを十分に感じ始めた。
「・・・まど・・・かぁ・・・。」
私の声に応えるように今度は先端にのみ刺激を与える。
刺激を与えられる度に言葉にならない声ばかりが口からこぼれてゆく。
襟元を何度も唇を這わせて慣れた手付きでシャツのボタンを外してゆく。
開かれたシャツからこぼれた胸を何度も唇を這わせてゆく。
私は狂った様にまどかを感じてしまっていた。
唇が、手がどんどん下腹部へと、降りてゆく。
卑猥な音と雨音とまどかの息遣いがが私の耳に届く度
どんどん地獄へ落ちてゆくような気がしてきた。
「なぁ、ええか。」
「う・・・ん・・・。」
耳元でまどかが囁く。私は躰を全てまどかに委ねた。
私の中にまどかが入ってくる。
今までに感じた事の無い悦び。
まどかが私の中に入って来る度どんどんおかしくなってきた。
そして、今までにない快楽を手に入れたような気がした。
274バイト×主人公 6/7:02/07/11 22:03 ID:i2eSedjH
外はまだ雨が止まない。さっきまではあんなに狂うほど
全てに感じてしまっていたのにその快感が強かったから、
その分罪悪感が急に重くのしかかってきた。
胸が急に締め付けられてまた今までに無い感情に襲われた。
「・・・泣いてるん?」
まどかの一言にはっとした。
「泣いてないよ、泣く訳無いじゃん。」
「そっか、その、・・・ごめんな。」
「何で謝るの?泣いてないし、平気だし。」
「その、な、どうしても泣いてるように見えるんよ。」
「まどか・・・。」
きっとまどかには私の気持ちが全部見えているんだ。
ハズカシイ。
「もう帰る、今日はどうも有難う。」
ベットから起き上がろうとした瞬間まどかが腕を掴んだ。
「お願い、2度も引き止めないで。私そんな資格ないよ。」
「雨もまだ降ってるしもう遅いから送ってく。」
「1人でも大丈夫だよ。それに1人になりたいし、家近いし。」
まどかが掴んだ腕への力をやわらげた。
「分かった。その代わりっちゅうたらなんやけど、何か有ったら速攻電話掛けて来いよな?」
「約束する。それじゃ・・・。」
「ああ・・・。あ、傘適当に持っていってな。今度濡れたら完璧風邪ひくで。」
コクン、と頷いた、するり、とまどかの腕から離れる。
何事も無かったかのように着替えて傘立てから適当に傘を借りた。
雨に濡れて帰りたい気分だったけどまどかの優しさだから
風邪を引くわけにもいかないと思って大人しく傘を差した。
275バイト×主人公 7/7:02/07/11 22:04 ID:i2eSedjH
雨が自分の側に誰も居ない不安感を掻き立てて
そして、都合良く目の前に現れた人を利用して心の穴を埋めたって事を
ようやく分かったような気がして1人になりたかった。
結局私は都合のいいようにまどかを利用して
まどかの事も珪の事も傷つけてしまった。
まどかに珪を重ねて見てしまっていたのかもしれない。
明日からどんな顔して2人に会えばいいのか分からない。
聞き慣れた軽快な着メロが響き渡った。
(メール着信だ。誰だろう?)
『オレは後悔してへんし、おまえの事ホンマに好きやから抱いただけやから
余計な事考えずに明日もちゃんといつも通りバカ話しような。約束やで。姫条』
「まどか・・・。」
まどかの優しさがズシンと胸にのしかかってきた。
『分かったよ。また明日もバカな話しようね。』
そう一言だけ返信した。
凄く胸が苦しいけどまた明日は普通にまどかと話せると思った。
珪とは・・・。どうなるんだろう。
罪悪感がこみ上げてくる。ちゃんと嘘が吐けるよう頑張ろう。
それが私の珪への思いかもしれない。
珪、ごめんね。もう不安だからとか、寂しいからとかで
誰かに求めたりしないから。約束。
276関西弁萌え:02/07/11 22:08 ID:i2eSedjH
普段文章書かないからやはりどこか逝っちゃった内容でスマソ。
暫く神々の作品を読みまくって感性を磨き再びチャレンジします。
やはりいい作品の後の駄文はつらひ・・・・゚・(つД`)・゚・。
ここまで引っ張ってエロも淡白というか誤魔化してるし。
叱咤・罵声その他諸々覚悟して受け付けますので。
277名無しさん@ピンキー:02/07/11 22:19 ID:JmRpSro2
関西弁萌えの神!!いやいや、とても切ないバイトに
むしろ萌えてしまいます‥  こういう関係、いがいと
好きなのです〜

そして、なっちんの神〜!!!!なっちん、ええコや!
もともとキライじゃないせいもあって、感動しました!
女の子って、誰でもこういう感情あるもんね‥シミジミ

渉SS職人さま!わたぽんのSS、楽しみにお待ちしてまつ
わたぽんのモノローグ イイ!
278名無しさん@ピンキー:02/07/11 22:41 ID:Z91i6heW
>なつみんの神
片思いする女の子の残酷で醜くて、けれど一途な一生懸命さが切なくて
胸を打ちました。
279名無しさん@ピンキー:02/07/11 23:07 ID:L2DH1bv0
私なんて、バイト萌えだから今までなつみん大嫌いだったのに…
神のSS読んだら好きになっちまったー。
そうだよなー素直になれないだけなんだよなー・゚・(ノД`)・゚・

バイトもなつみんも片思いなのに男前でつ…
神アリガd
280名無しさん@ピンキー:02/07/11 23:20 ID:uxo3H6EP
(ノ〜 ̄、)ぐすん 
なつみんが好きになりました。
すごく高尚なSSです。こういうのもすごくイイです。
281名無しさん@ピンキー:02/07/11 23:20 ID:/RahKrwB
>260の神様
今までバイトスキーな事もあってなっちんが苦手でした。
正直、嫌いの部類に入っていたと思います。
でも、神様のSSを読ませていただいて印象が変わりました。
なっちんが好きになり、バイトがより一層好きになりました。
今も涙が止まらないでつ…切ない、でも(・∀・)イイ!
もう、言葉で語りつくせないくらい(・∀・)イイ!

幸せになるだけが物語じゃないんだなと思い、そんな事すら忘れていた自分に目を覚まさせてくれた神様、本当に感謝しております。
素敵なSSをありがとうございました。
282名無しさん@ピンキー:02/07/12 00:15 ID:Yi52DhMC
なっちんの話に胸を打たれました。
素直になれない、なっちん。
バイトにつらい思いをさせたくない、とか思っててけなげです。
うまくいかないのも恋なのですよね。
そして、主人公がいいヤツで泣けます・・。
久々に感動なSSを読ませていただきました。
283インデックス職人:02/07/12 00:54 ID:JLIK0Z8v
この前のインデックスは>>211です。
続き物はなるべく連続して読めるようにしているのですが、
レスが長くなる傾向にあるので…別にした方が良いのかな?
前スレあぼーんになってますが、前スレ続きは一応専用ブラウザなら
直接ジャンプできる形式にしてます。通常のブラウザの方申し訳無い。

わたぽん
>216>217(>>216-217)
王子
>218>219>220(>218-220)
バイト
>68>69>223>224>225>226(>>68-69>>223-226)
(前スレ)http://www2.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1025465341/871-878
>240>241>242>243(>>240-243)
>189>190>191>192>193>194>195>196
>269>270>271>272>273>274>275(>>189-196>>269-275)
先生
>116>228>229>230(>>116>>228-230)
なっちん→バイト
>249>250>251>252>253>254>255>256>257>258>259>260(>>249-260)

最近はごく普通のもの以外にも、今まであまり登場してなかった
他キャラ視点やら、独白・手紙やら、表現もバラエティに富んでいて
面白いですね。
284インデックス職人:02/07/12 00:54 ID:JLIK0Z8v
レスを少々。2レスも消費して申し訳無い。
>ID:IbqWNTTeさん
無事投稿規制を突破できたようで良かったでつ。
自分も以前別板で似たような事になった時、あちこち調べたら
そういう解決?法があると知ったので…お役に立てて良かった。

もし同様に書き込みできない方いらっしゃいましたら、
手前味噌で失礼いたしますが、>>211の方法を試してみてください。
あと、一時的にブラウザのセキュリティレベルを下げて書き込みして
直ぐに戻す…というのも割と有効だったはずです(一度書き込み
すれば次からは規制かかりにくいはず)。ただし確実にレベルを
元に戻すのをお忘れにならないように。特に2ch等をうろつかれる方は。

>代理投稿等についてレス下さった方々
遅レスになってしまいましたが、倉庫神様経由はやはり
負担になってしまうのですね…。有志でここなり18禁スレなりで
「もし書き込みできない人いたら(今なら)代理できます」と
捨てアドを晒す…という形式が良いっぽいでしょうか。
また書き込みできない神には18禁スレでその旨表明して頂くと。

それにしてもスレの進みが速いですね。有り難いことです(w
285名無しさん@ピンキー:02/07/12 00:54 ID:eKLs14NE
なっちんSS神様。
いいっすよ。泣ける話ですね。
奈津美好感度かなりアップしました。
286名無しさん@ピンキー :02/07/12 02:16 ID:vpT5T+XC
な、なっち神、スゴイ!!
うるうるしちゃったYO!!
切ない・・・。なっちもバイトもカコイー!
素敵な小説見れて幸せでつ。

287名無しさん@ピンキー:02/07/12 02:20 ID:vpT5T+XC
連続カキコ、スマソ。
昨日バカ×主人公書いた者でつ。
205,206,207,209,210の皆様、感想ありがとでつ!
すごいウレスィでつ・・・。
次も頑張ろうと思いますた!

明日の夜、またここ来るの、楽しみでつ。
日課になてるよー(w
288名無しさん@ピンキー:02/07/12 04:18 ID:uKMkpFZ5
なっち好きになったよ
ちょっとウルウルしますた。
289先生? 1/3:02/07/12 06:42 ID:s/FY861R
 初めまして〜
 付け焼き刃でなおかつここに置いてええんかぁ? 
 な、お目汚しですけど、よろしければ読んでやってください。

  *****

「ベーゼンドルファー」
 気難しいピアノ。
 弾き込んでやらなければ、ただの飾と化してしまう。

鍵盤に軽く触れて挨拶を兼ねた音階をなぞる。 
指先に触れるひんやりとした硬質な感触。
だが、すぐに私の指のぬくもりを移して象牙の肌は
ゆるやかに呼吸をはじめる。

やはりお前にはフランツが似合う。
・・・そうだな、まずは練習曲S.139-5「鬼火」
さぁ、私についてこい。

 探るように指を鍵盤に滑らす。
   なめらかな音階がついてくる。

そうだ、かろく、伸びやかにうたえ。
 お前はまだ生まれたばかり。
   だが、私は知っている、お前に潜む魔性を・・・

敬虔な神への信仰心、悪魔的な性格
アンビヴァレンスな、かのフランツ・リストに愛でられし名器。
お前はその血をひいている。

うたえ、無垢なるうたを
  ヒバリのごとく空にうたえ
290先生? 2/3:02/07/12 06:44 ID:s/FY861R
一曲弾き終わる頃には、私は指と鍵盤の温度差を感じなくなる。
 そして次は、パガニーニによる練習曲S.141−3 ラ・カンネラ

 私の指でうたえ
   私の指を求めてうたえ
    求めて得られぬもどかしさに震えろ

触れる象牙の肌、熱を持ち指先に吸い付いてくる。
      肉欲に溺れ、自ら股を開く女のように

 私が欲しいのなら、もっと強く求めろ
   ならば私も応えよう
   導いてやる、あの高みへ

強く、激しく
   私の指をとらえろ

強く、激しく
    私の指についてこい

 駆け上がれ、蒼白き焔のごとく
   私の身を焦がして、昇りつめろ

プレスト・フリオーソ
  (急速に、火と燃えて)

・・・あぁ・・・
   この感覚、たまらなく好きだ
音と完全なる合一
     音が私を包み込む

音が溶ける、共に私も無へと帰る。
その後のかるい酩酊を伴う虚脱感。
291先生? 3/3:02/07/12 06:46 ID:s/FY861R
第三番、変ニ長調 コンソレーション(慰め)
  埋め火のごとく体に残る高揚を、
         なだめるための今日の最後の曲

私の気持ちを、鍵盤を、慰めるように
   柔らかく、ピアニッシモ(非常に弱く)
   思わず漏れる甘やかな吐息
   あまたの演奏家たちを虜にしたその響
 
お前にとって私は、ひとときの相手
 私が朽ちた後も、お前は長き時を生き続けていく
 だが、忘れるな
   お前を最初にうたわせたのは私だということを


  
292名無しさん@ピンキー:02/07/12 07:46 ID:x4Q2o6e5
>289-291 さん凄い!
エ、エロチック!。
(;´Д`)ハァハァしてしまいます。
詩人ですねー。
293名無しさん@ピンキー:02/07/12 12:16 ID:r+SRG97A
>291
て……てんてぇ……。
>292タンも言ってるけどすげぇエロチック。うわー。
こういうのも良いなぁ。


それからなっちんの神様!!
私も正直なっちん苦手でしたが、大好きになりました。
ホントはすごい良い子なんだよね。うぅ…。・゚・(ノД`)・゚・。
あぁ、でも先を越されたかもしれないw
294名無しさん@ピンキー:02/07/12 16:10 ID:f78ynxK5
>289
ロ、ロマンチリクル・・・!!!
295名無しさん@ピンキー:02/07/12 19:02 ID:+OUO+Yp7
>289
すげぇ……まさにエロだ……シビレますた。
296名無しさん@ピンキー:02/07/12 19:28 ID:taFMjk4j
なっちんの神様!
モニターの前でなっちんとシンクロして涙してしまいますた。
悲しいのに(T∀T)イイ!! 嗚咽付き。ヤバー
297名無しさん@ピンキー:02/07/12 22:59 ID:CUI6HOtB
パクリはヤメれ。先に元ネタ紹介しなきゃフェアじゃないんじゃないでつか?
298名無しさん@ピンキー:02/07/12 23:16 ID:g5Jv+fX9
>297
詳しくキボンヌ
299名無しさん@ピンキー:02/07/12 23:19 ID:8F3o9IxN
>297さん

私も情報きぼん
300名無しさん@ピンキー:02/07/12 23:25 ID:CUI6HOtB
某SS書きさんのSSを踏まえたうえで、って内容だなぁと。
ついでに、他のSSでもそこのSSの影響?つか格好良く言えばオマージュ?インスパイア?つうの?
301名無しさん@ピンキー:02/07/12 23:28 ID:lPuIH61G
>300
いやもともと二次創作だし(w
その辺は度を過ぎてなきゃいいんじゃねー?
インスパイアされて結果いいものが出来上がるんならそれでいいと
思うがなあ。相乗効果っての?
明らかにパクリは興ざめだけどね。
302名無しさん@ピンキー:02/07/12 23:30 ID:CUI6HOtB
元のSS書きさんの作品が好きだとなんか悔しいんだもん。心狭い。<301
303名無しさん@ピンキー:02/07/12 23:32 ID:iiU9xOgY
まずその元のSS書きの作品が分からない。
ぼかして書いたほうがいいのは分かるけどぼかしすぎで分からない。
304名無しさん@ピンキー:02/07/12 23:40 ID:g5Jv+fX9
うーん、どのSSがどのSSを元にしてるかわかんないけど、
もしそういうのだったら最初に言ってもらえれば読み手もより楽しめると思う。
○○さんの設定がイイと思ったから使わせてもらいました!みたいに言われて
悪い気するSS作家さんもいないと思うし。

>300
所で某SS書きさんってここで作品うpしてる方のどなたかの事・・だよね。
305名無しさん@ピンキー:02/07/12 23:46 ID:CUI6HOtB
ここで書いてるのかなぁ?最初の方でそれぽなのはあったけど。
自サイト持ってる人でつよ。<304
306名無しさん@ピンキー:02/07/12 23:48 ID:vxk/b3so
なんだ、どっかのマンガとか小説のパクリとかかと思った。
そうじゃなければ(?)、わたしはセーフだと思います。
でも、やっぱり>>304さんの意見に賛成ダナ。

私もいませっせとSS書いてるけど、他の神様の文章読んで
「いいなぁ私も書いてみようかな」と思って駄文を書いてるんで、
こういうのがあった後は、なんか出しづらいかも・・・。

わたしもてんてーに「愛してる」と言わせたーい (爆
307名無しさん@ピンキー:02/07/12 23:50 ID:CUI6HOtB
そうじゃなくて、そのままそのSSを踏まえた上で書いてるんだよ。
308名無しさん@ピンキー:02/07/12 23:55 ID:YJ29fJnq
えーと、できればどれが元でどれがそれをオマージュにしたSSか
教えてほしいのですが・・・サッパリワカラナイカライイヨウガナイ…
309名無しさん@ピンキー:02/07/12 23:56 ID:iiU9xOgY
そこってここにいる誰もが見る場所なの?
じゃなかったらただの似ているものじゃないの?
310名無しさん@ピンキー:02/07/13 00:02 ID:ITVlu6ym
余程の文才がない限り似たり寄ったりは仕方無いと思われ。
311名無しさん@ピンキー:02/07/13 00:25 ID:C/uWdFPH
>297
そうまで言うのであれば、やっぱちゃんと教えてほしいなあ。
じゃないといちゃもんにも思えて来ちゃうかもよ。
自分で探せ(゚Д゚)ゴルァ!!ってことかもしれないけど、
1こ1こ回るわけにもいかないし、探す手だてもありゃしない。

ところで、新しいものを書いてみたのですが、
この問題が解決してからウpしたほうがいいのかな?
長い上に、まだ半分しかできてないんだけど(w。
312名無しさん@ピンキー:02/07/13 00:26 ID:0QbXJkNA
ひとまずこの話題はここまででいいかなあ。
よっぽど同じだったら他の人も気付くだろうしさ。
同じキャラを好きなら影響受けるのも仕方ないし、誰かのSSと
被って見えるのも仕方ないし。
次に行きませんか。
313名無しさん@ピンキー:02/07/13 00:29 ID:AnXbJlSH
スルーで了解っちゅうか、漏れは誰だか解ったけど
書いた本人が、影響受けまちたって言うてるやんー。
ちゅうわけで終わりでしょ。
311神の降臨願いまふ。
314名無しさん@ピンキー:02/07/13 00:29 ID:mawHhCVW
さんせー!

自分もうぷしてみたいし、なにより神の作品が読めないのが
悲スィーです。
315名無しさん@ピンキー:02/07/13 00:35 ID:C/uWdFPH
んじゃスルーってコトで。
も一回推敲してからウpします。1時半くらいをめどに。
316名無しさん@ピンキー:02/07/13 00:37 ID:AnXbJlSH
楽しみにしてますぞ〜!

元の作品もかなりーイイ!つかめちゃくちゃイイ!ので紹介したい気満々だけど
作家さんに迷惑かかりそうだから紹介できないの。
317名無しさん@ピンキー:02/07/13 00:51 ID:ITVlu6ym
おお、平和が戻ってよかった。

>>311の神、楽しみにしてます。ガ、もう寝るので明日読ませていただきます。

話は変わりますがバイトに「関東の女って関西弁喋る男に弱い」と言わせたいのですが
誰か文才の有る神様、宜しければバイト書く際に言わせてください。
主人公が関東住みかは知らないが、この台詞を関西の男に言われた時
凄くクラクラしてメロったので。よろしこ。
318名無しさん@ピンキー:02/07/13 01:10 ID:4le4Jhc1
うわ泣きそう…。ごめんヘコみました。

折角平和に終わった話をまたリフさせちゃって申し訳ないのですが、でもここでしか
お伝え出来ないと思うので、最初で最後にします。だから一度だけスミマセンが
私信させて下さい。
関係無い方、こんな事でレス使ってしまって、本当に大変申し訳ないのですが
どうぞ生ぬるくスルーで宜しく頼みます。

>297
多分あたしかなー。てかそうですね多分。勘違いだったら申し訳ありません。
貴女を不快にさせてしまった事は大変申し訳ないと思います。
あの方のファンの方にとって、正直自分はウザかったでしょう。
もうそれに関しては平謝りするしかないです。本当にゴメンナサイ。
ただ、これまで自分が今までココに吐き出してきたSSについては、
誰かをパクったりした事は一度だって無いです。神かけて。
今まで書いたものは全部、自分の中に蓄積したものです。
文体だってモチーフだって。それで似てるからダメだってんなら、
もう正直どうしようも無いです。これが自分の今までで持ってたものなので。
今回のSSについては、触発された事、ちゃんとご本人様にもお話しして
お許し戴いてますが、そのへんのいきさつなんてわざわざここで言うものじゃ
ないと思ってた私がいけなかったのですね。
こっちにもしっかり明記しなくちゃいけなかったんでしょうねきっと。
心配りが足りず、申し訳なかったです。
本当に、ごめんなさい。

あぁもう2chでナニやってんだ漏れ。本気で悲しんで弁解とかしてるよ。カコワルー。
禿鬱。しばらく書くの辞めてロム専になりまつ。
皆様にも空気悪くして大変申し訳なかったです。ゴメンナサイ。
319名無しさん@ピンキー:02/07/13 01:20 ID:mawHhCVW
正直、一連の騒動には興味がない。うぷしづらいなぁ位です。
それに、>>289さんの作品は楽しく読ませてもらった。
ただ、ただ、その元ネタ(?)SSを、読んでみたいんじゃぁぁぁ〜〜〜〜。
320名無しさん@ピンキー:02/07/13 01:24 ID:cdmN8CpI
そんなに著名なSS書きさんなのに、まったく思い当たらない私。
神々の降臨を願う
321名無しさん@ピンキー:02/07/13 01:29 ID:/CxNaIn+
>318
あまり気になさらないで。元のSS書きさんに了解を得てるのなら
それでいいんじゃないでしょうか。
完全オリジナルと違って、原作があるものはある程度設定や
台詞、登場人物の行動思考が似た作品が重複してしまうのは
仕方ないと個人的に思いますんで。
322318:02/07/13 01:30 ID:4le4Jhc1
ゴメソ出戻り。ウザくてスマソ。
……あれ?パクリうんぬん言われてるのって>289なの?
>249じゃないの?漏れのSSの事じゃないんでつか?

…ひょっとして勘違いで泣いてるのかしら自分は……
でもすごい心当たりがありすぎてもう全然自信ないよ(泣 
323名無しさん@ピンキー:02/07/13 01:31 ID:C/uWdFPH
わしも319と320に同じくですー。
そして318、気にせずマターリいきまっしょ。ね!
324名無しさん@ピンキー:02/07/13 01:31 ID:PQu90a+k
カミ、キテ─wwヘ√レvv〜(゚∀゚)─wwヘ√レvv〜─ !!!

電波を飛ばして見る。
325王子萌えヘタレ:02/07/13 01:33 ID:C/uWdFPH
いろいろあるようですが、一応予告したんで、貼って逃げます(w。
前スレ720番サンの「芸能人王子」に萌えてしまい、
ついこんなものを書き始めてしまいました。スマソです>前スレ720神。
しかも、これで多分半分折り返しくらい・・・。
ナゲーよオイっつう方は適宜スルーしてください・・・。
続きは、明日深夜くらいにウpできればと思ってます。
なお、後半エロは皆無の予定です(w。
326名無しさん@ピンキー:02/07/13 01:33 ID:OsB59+xr
弁解よりも経緯をはっきり聞きたい・・・
327王子×主人公・標的 1:02/07/13 01:34 ID:C/uWdFPH
午後11時。
夜のカフェにはいろんな人々が集っていて、不思議な雰囲気が漂う。
その中の、ガラス張りの壁に沿った椅子に座り、私はひとりでコーヒーを飲む。
彼から来た携帯のメールには「あと30分で着く」と書いてある。
それからもう、40分が過ぎている。
バイトの帰り、こうして彼のいる場所から少し離れた店で
彼が来るのを待つようになって、どのくらいになるだろう。
メールの予告と、実際に彼がここに着くまでの時間のズレは、
日を追う事に確実に開き始めている。
今日は、どのくらいかかるのか。そう考えながら外を眺めていると、
向こうの通りから、銀色に鈍く光る単気筒のバイクに乗って、
彼が近づいてくるのが見えた。
歩道にバイクを停めた彼が、ハーフメットを取るのを確認すると、
私は窓際の椅子を立ち、奥の目立たない席へと移り座る。
少しして、コーヒーの入った紙コップを手にした彼が、私の前に腰を下ろした。
「…悪い。遅れた」
淡緑の瞳の光を隠すサングラスを外し、仕事帰りの彼…珪はふっ、とため息を付いた。
「お疲れ様。今日も大変だったみたいだね」
珪が、予定より遅れてここに着いた理由を、私はだいたい察している。
「…ああ。ちょっとしつこいのがいて…、撒くのに少し、手間取った」
「事務所の車で送ってもらえばいいのに」
「…車じゃ、お前と待ち合わせできないだろ」
「私、ひとりで先に家に行ってても大丈夫だよ?」
「俺が、そうしたいんだ。…いろいろ、心配だから」
「心配性だなあ、珪は」
珪のする心配は、少し分からないでもなかったけど、
私は少しでも珪の心を軽くできたらと、わざと軽く言う。
「私に何かしようなんて人、いないって絶対」
珪は曖昧に薄く笑い、熱いコーヒーをひと口含む。
「…あいつら、何で俺なんか待ってるんだろうな。こんな遅くまで」
「それは…珪が好きだから…」
「…そう…なんだろうな。でも…」
顔を上に向けてもう一度ため息を付くと、珪はその先の言葉を飲み込む。
「あいつら」のことを、あまり悪く言いたくないのだと、私は思った。
「…さ、そろそろ帰るぞ」
328王子×主人公・標的 2:02/07/13 01:34 ID:C/uWdFPH
店を出てヘルメットを被ると、珪の後ろに座り込み、彼の体に手を回す。
少し高めのトルク音を響かせて、2人を乗せたバイクが走り出した。

最近の珪の人気は、ものすごい。
大学に入ってからも続けていたモデルの仕事が、ここに来て一気に花開いた感がある。
元々「高校生モデル」と言われ、アイドル的な扱いを受けていた珪だが、
最近では、服をきれいに魅せることができる、と評価され、
様々な媒体に引く手あまたの、トップモデルとなり始めている。
少し前には、アパレル会社のイメージキャラクターに抜擢され、
それは雑誌の他、テレビなどのメディアにも展開され、珪の顔を広く知らしめた。
そのおかげか、最近珪の周囲を、たくさんのファンが取り囲むようになった。
そしてそれは、珪を悩ませる理由にもなっている。
ほとんどのファンは、仕事先で出待ちをし、プレゼントを渡す程度で終わるが、
中には珪の行く先々に付きまとい、プライベートに近づこうとする輩もいる。
珪が私との待ち合わせに遅れるのは、彼女たちのその行動が原因だ。
仕事が終わり、帰途に着く珪を、彼女たちはタクシーで執拗に追いかける。
だから珪は、帰宅の足にバイクを使うことにした。
車の彼女たちが追えないよう、バイクで細かい道を走り抜け、逃げるのだ。
正直、珪はそんな状況に少しずつ疲れ始めている。
けれど、自分のファンなのだと思うと、邪険にすることもできず、困っている。
そして、そばにいる私は、何もできずにただ、見守っていた…。

オートロックの入り口に暗証番号を打ち込み、マンションの自動ドアを開ける。
少し前から、珪はひとり暮らしをし始めた。
行きすぎたファンに自宅の場所を知られ、急遽出ることになったのだ。
珪は、どんな気持ちで、ここにひとり住んでいるのだろう。
「…どうした、入れよ」
足を止め、そんな思いにふけっていた私に、部屋のドアを開けた珪が声をかける。
「あ、ごめん、今行く」
私はあわてて、彼の城の中に入っていった。
329王子×主人公・標的 3:02/07/13 01:35 ID:C/uWdFPH
薄灯りだけがともる部屋の中に、ベッドのスプリングのきしむ音が響く。
私を下に組み敷いた珪が、支配するように攻めてくる。
彼の指と舌は、私の感じるところをすべて知り尽くしていて、
ときにやさしく、ときに強く、そしてときに痛いほどに、私に刺激を与える。
「はぁっ…っく…ヤぁ」
抗えない快感に、頭の中がどんどんとかすんでいく。
「…ヤ、じゃないだろ」
珪は意地悪に囁きながら、後ろから私を抱えるように両の腕を回し、
首筋に舌をはわせて、汗を舐め取る。
その手が、片方で私の胸を、そして片方で私の中心を捕らえた。
固くなった胸の先と、ぬるりとした中心の感触が私にも分かって、一層の刺激に変わる。
「…こんなになって…お前、ヤラしいやつだな」
「ち、違う…珪が悪…あぅ!」
「ウソつけ…」
私の中をかき回すように、珪の指が動く。湿った音がシーツの上に広がっていく。
「あっ…ふ、っん…も…う…」
まともな言葉を口にできないほどに、私は乱れている。
「もう、何?」
分かっているくせに、珪は聞いてくる。
「…ちゃんと言えよ、俺、分からないから」
「…意地…悪…」
どんなに珪におぼれても、最後のひと言は、いつだって恥ずかしい。
「…じゃあ、もう、やめるか?」
言いよどむ私に、珪はひどいことを言う。
「やっ……して…珪ので…お願い」
快感とは別のところで、顔が赤く火照る。
「…上出来。じゃあ…こっち向いて」
珪の重みが、私の躰にのしかかる。私は、このスタイルが好きだ。
私が珪に感じているように、私に感じている珪の顔を、ちゃんと見られるから。
大きな手で腰を持ち上げられ、次の瞬間、私は珪に貫かれる。
「…っ」
声にならない、声が漏れる。私からも、珪からも。
満たされる悦びと、包まれる悦び、感じる想いは別のものだけど、
それを与えてくれるのは、目の前にいる愛する人だけ。
幸福にとろけそうになりながら、珪の刻むリズムに身を任せる。
躰の奥が波打って、限界が近いことを知らせている。
「…ダメ、も…私…」
「…俺…も」
「あ…ああっ」
背中に回していた腕が、珪の躰を、跡が付くほどきつく抱きしめる。
そして刹那、私の視界のすべてが、白く染まった…。
330王子×主人公・標的 4:02/07/13 01:36 ID:C/uWdFPH

シャワーを浴びて部屋に戻ると、すうすうと規則正しい、珪の寝息が聞こてきえた。
ベッドの橋に腰掛けて、珪の乱れた前髪の流れを手ですっとなぞる。
彼は「んっ」と小さく唸り、無意識に私の方へ躰の向きを変える。
冷えないように、上掛けを珪の肩までかけ直す。
目が冴えてしまった私は、パジャマ代わりの珪のシャツを羽織ると、
ベランダの窓辺に足を向けた。
後数日もあれば満ちる、まだいびつな形の月が、夜を明るく照らしている。
外の風を浴びたくなって、ロックを外し、窓を少しだけ開けた。
「…?」
一瞬、どこからか視線を感じたような気がして、私は窓の外を見回す。
それが気のせいじゃないと気付いたのは、マンションの前のビルに目を移したときだった。
ビルの脇の非常階段の、ちょうどこの部屋と同じ高さの踊り場に、人の影があった。
細いシルエットは、女性であることを物語る。長い髪と、はっきりとは見えないが、少し尖った顔。
その視線が、まっすぐこちらに注がれているのが、私にも分かった。
この部屋…この部屋を見てる? 人影の方へ顔を向けたまま、私は動けなくなった。
そんな私に気が付いたのか、人影はあわててその場を走って去っていった。
「キャア!」
得体の知れない恐怖を感じ、私は大きな声で叫んだ。
「…どうした?」
その声に反応して珪が目を覚まし、ベッドを起き出してきた。
「何か…あったのか?」
「…え…、あ…」
誰かが覗いていた、そう言おうとして、瞬間ためらう。
まだ、この部屋を覗いていたと決まったわけじゃない。
何か別のものを見ていただけかもしれない。
疲れている珪を、さらに不安にさせたくない…。
「あ…ね、ネコ、そう! ネコがいたの! ベランダに!」
とっさに、嘘を付いてしまう。
「…ネコ? ああ、隣の部屋で飼ってるヤツ、ときどきベランダに来るな」
「そ、そうなんだ。じゃあきっと、そのネコだね」
うまい具合に勘違いしてくれた珪に、私はほっとして話を合わせる。
「…ったく、驚かすなよ。ほら、もう寝るぞ」
はふ、と眠そうにあくびをして、珪はベッドに戻っていく。
「おやすみ…」
珪の隣にもぐり込み、一抹の不安を抱えながら、やがて私も眠りに落ちていった。
331王子×主人公・標的 5:02/07/13 01:36 ID:C/uWdFPH
部屋に漂うよい香りに鼻をくすぐられて、目が覚めた。
「…起きたか」
まだ眠い目をこすりながら体を起こすと、珪が新聞を読みながらコーヒーを飲んでいた。
「おはよ、珪。早いね起きるの」
「ああ、俺、今日朝から講義、あるから。…お前は?」
「私は、午後からバイトだけ。あー、いい匂い!」
「…コーヒー、飲むか?」
「うん。自分でやるから、いいよ」
シャツ1枚だけの姿で起き出して、キッチンの方に向かい、マグカップにコーヒーを注ぐ。
カップを片手に部屋に戻ろうとしたとき、廊下に1通の封筒が落ちているのを見つけた。
「珪、なんか手紙、落ちてたよ」
拾って、珪に手渡した。
「…手紙?」
珪は封筒を受け取ると、いぶかしげにそれを見て、顔をしかめる。
「…昨日は、手紙なんか来てなかったけど…」
「そうなの? 気が付かなかったんじゃない? で、新聞に挟まって持ってきた、とか」
「かもな…」
ペーパーナイフで封を開け、珪は中に入っていた便せんを読む。
「なんだった?」
「…なんでもない…ただのDM」
珪はそう言って便せんを封筒に入れ直すと、レターラックの中に放り込んだ。
「…お前、これからどうする?」
「うーん、とりあえずバイトの前に、家に帰るよ」
「…分かった。送ってく」
「いいよ、ひとりで帰れるよ。講義に遅れちゃうよ?」
「心配すんな。俺が送りたいんだよ」
珍しく強い珪の物言いに、私は少しとまどいを感じつつ、うなずいた。
「…じゃ、送ってもらおうっと」
「ああ、そうしろ。…それにしても、お前」
「ん?」
「朝からシャツ1枚だけで、あんまり動き回るな…」
「…あら、感じちゃう?」
「ああ…目の毒」
そう言って、珪は私に軽くキスをした。
332王子×主人公・標的 6:02/07/13 01:37 ID:C/uWdFPH
彼女たちが店にやって来たのは、それから少したったある日の午後だった。
「いらっしゃいませ。ご注文はお決まりですか?」
奥のテーブル席へ座った女性3人のグループに、メニューを渡してたずねる。
「……」
長い髪の女性が、私をじろりとに睨む。少し感じが悪いその目つきに、
私は少し嫌悪を抱いたけれど、もちろんそれは顔に出さない。
「モカ」
「私も」
「私もモカ」
私がカウンターに戻ると、彼女たちはひそひそと話しながら、こっちの方に視線を送る。
妙な雰囲気だなと思いつつ、私はモカを3つ、テーブルに届けた。
「お待たせいたしました。モカ3つですね…あっ」
テーブルにカップを置こうとした瞬間、ひとりの手がすっと受け皿の下に伸びた。
カップはバランスを崩し、テーブルの上に倒れる。濃い茶色の液体が流れ出し、広がっていく。
「きゃあ! あっつーい!!」
手を出した女性が甲高い声で叫ぶ。
「す、すみません!」
私はとりあえずおしぼりでコーヒーを拭き取り、女性に声を掛ける。
「申しわけございません! 手の方は大丈夫ですか? ちょっと失礼します」
熱いと叫んだ割に、女性の手にはコーヒーはこぼれておらず、やけどをした様子もない。
騒ぎに驚いた店長が、クロスを持ってテーブルにやって来た。
「ちょっと! 何すんのよあんた! もう少しで大けがするとこだったじゃん!」
長い髪の女性が、大きな声で私に噛み付く。
「申しわけございません!」
私はただ、頭を深く下げ、そしてテーブルの上をきれいに片づけた。
「信じらんなーい。こんな粗忽な店員がいるなんてー」
3人の女性は、口々に私の失態をなじる。見かねた店長も、頭を下げてくれる。
「本当に申しわけありません。すぐ代わりをお持ちします。もちろんお代は結構です」
「あったりまえじゃん、ねえ?」
「この店、サイッテー」
「もー帰ろ! 飲む気しなくなっちゃった」
大きな声で怒鳴りながら、3人は席を乱暴に立ち、音を立ててドアを開け、出て行った。
「どうした? 君らしくない失敗だね」
カウンターに戻り、後片づけをする私に、店長が声を掛ける。
「…すみません。気を付けます」
コーヒーがこぼれた本当の原因を、私は言わず、ただ頭を下げるだけだった。
333王子×主人公・標的 7:02/07/13 01:37 ID:C/uWdFPH
「申しわけございません。お代はいただきませんので、今日はお納めいただけませんか?」
見かねた店長が、私の前に立ってそう言ってくれるのを見ながら、私は考える。
もうこれで何度、このセリフを彼女たちに言っただろう。
あの日、3人の女性はあれだけ文句を言いながら帰ったというのに、
それから毎日のようにこの喫茶店に現れた。
バイトが、私しかいない時間を狙うように席に着き、注文をしては、
そのたびに何かしらのトラブルを起こす。
コーヒーに髪の毛が入っていた、器が汚い、オーダーのときの態度が悪い…。
そして甲高い声で私と店長をなじり、結局代金を払わずに出て行く。
この人たちは自作自演をして、私に難癖を付けている。それどう見ても明らかだった。
「店長!」
私は我慢できなくなって声を荒げ、彼女たちに今日こそ真意を聞こうとした。
「黙りなさい!」
店長が、私に向かって怒鳴りつける。
「もういい! 君は裏に行っていなさい!」
そう言うと店長は、私をカウンターの奥の事務所へと押しやった…。

「さっきは、すまなかったね」
彼女たちをなんとか収めて店から出した後、店長は事務所から私を出し、そう言って謝った。
「…どういうことですか?」
あれだけ私を怒ったはずの店長の、それとは全く逆の言葉に、私は驚く。
「あの場はああ言って納めないと、あの子たち、君にもっとひどいことを言うと思ったから、
悪いけど僕の判断でさせてもらったんだ。君が悪くないのは、僕も、他のスタッフや
お客さんも分かっているよ」
「…そう、だったんですね。ありがとうございます」
店長の真意が分かって、私は安心し、そして感謝した。
店長は、少し押し黙ると、小さな声で話し出す。
「ねえ、僕思うんだけど…彼女たち、葉月くんのファンじゃないのかな」
「…え?」
「あの子たち、葉月くんがスタジオで仕事してる日に、ここに来てる気がするんだよね。
まあ最近は、毎日のようにだけど」
そうして店長は、ひと呼吸置くと、さらに小さな声で私に言った。
「その、君は葉月くんと、付き合っているんだろ?
334王子×主人公・標的 8:02/07/13 01:38 ID:C/uWdFPH
「え、あ、あの…」
とまどいを隠せない私の様子に、店長はやさしく、諭すように言う。
「安心しなさい、僕は誰にも言わないよ」
「…店長」
「これは僕の勝手な想像なんだけど…彼女たち、君が葉月くんの彼女だってこと、
知ってるんじゃないのかな」
思いもしなかったことを店長に言われ、私は愕然とする。だけどそう考えれば、
彼女たちが私に嫌がらせをしてくる理由が、分かるような気がする。
「…そう…なんでしょうか…」
「うん。それで、あんな風に嫌がらせをしているんじゃないかな」
店長は深くため息をつくと、言いにくそうに、さらに続ける。
「最近、葉月くんものすごい人気だからね。にわかファンの追っかけまがいもいるようだし」
追っかけ…まがい…。
そのとき、私は思い出す。あの日、珪の部屋に注ぎ込まれていた視線の主の姿を。
長い髪、少し尖った顔、すらりとした姿。
それは、彼女たちのリーダー格の女性と、あまりにも酷似しているように、私には思えた。
「あ…」
背中を、冷たい汗が伝う。動悸が速くなり、血の気がすうっと引いた。
「…とりあえず、今日は帰りなさい。顔色もよくないし。
もし何か思い当たることがあるなら、葉月くんに相談した方が、いいと思うよ僕は」
「はい…。ご心配おかけします。今日はそうさせてもらいます」
店長の言葉に甘え、私はその日、バイトを早退した。

葉月くんから電話よ。
母のその声に、私はベッドからのそのそと起き出し、子機を受け取る。
「珪、珍しいね、家に電話してくるなんて」
「…お前の携帯、つながらない」
あわてて携帯を見てみると、無意識のうちに、私は電源を切っていたらしい。
「…ごめん。電源入ってないや」
「…バイト、早退したんだってな。店長に教えてもらった」
335王子×主人公・標的 9:02/07/13 01:38 ID:C/uWdFPH
「…具合、悪いのか?」
珪はいたわるような声を、受話器の向こうからかけてくれる。
「少し、貧血でね…。もう大丈夫だから」
「…ウソつけ」
私の声に潜む暗さを見抜いて、珪の声にやさしさが増す。
「…そんな声で、大丈夫なわけ、ないだろ」
いつもは心地いい珪の声が、今はただ、責め句のように心にのしかかる。
「平気だよ! うるさいなあもお!」
訳の分からないいらだちが募り、私は珪に声を上げてしまう。
「…悪い」
なにも悪くないのに、珪はすまなそうな声で、小さくつぶやいた。
「…これから、そっちに行ってもいいか」
「…ごめん、今日は…逢いたくない」
「…お前…」
「ひとりで、いたいの」
お願い、今日だけはこのままそっとしておいてほしい。
そう思えば思うほど、珪にひどいことを言ってしまう自分がイヤだ。
「…どうしたんだよ…理由、理由をちゃんと言えよ!」
珪の声にも、だんだんといらだちが混ざっていく。
「理由なんてないよ! 逢いたくないの! 放っておいて!」
しばらくの間、ただ無言の思い時間が流れた。
「…分かった。じゃあ、行かない」
沈黙を破って、珪が低い、とても低い声で言った。
「…あ…の…珪…私」
「しばらく、連絡しない。…頭、冷やせ」
プツリ、と、電話が切れた。

本当は逢いたい。逢って抱きしめてもらいたい。
唇をやさしく押し当てられて、私のこの重荷を消してもらいたい。
だけど、今珪に逢ったら、私は言ってしまう。
珪のファンが、私を標的にしているということを。
だから、逢いたくない。このまま離れていたい。
言ってしまえば珪が辛くなる。珪の苦しみが増えてしまう。
店長は言った。−葉月くんに相談した方が、いいと思うよ−。
だけど。

「言えない…よ…」
切れた電話をぎゅっと抱きしめて、私はその夜、眠れずに、泣いた。
336王子萌えヘタレ:02/07/13 01:39 ID:C/uWdFPH
では、また明日(w。
337名無しさん@ピンキー:02/07/13 01:42 ID:PQu90a+k
>336神さま
火サスみたいで、ドキドキです!!
ああ、うまい言葉が見つからない。

明日の夜を楽しみにしております。
338 :02/07/13 01:43 ID:kr7W1SeF
うああああ!先が!気になるぅぅうぅ…

王子萌え様めちゃファンなんですが…
なんつーか、明日まで待てるだろうか(w
339名無しさん@ピンキー:02/07/13 01:47 ID:cdmN8CpI
ああ、潤いの神が降臨し去っていくぅ〜 ありがとう!!(;д;) 
こういうの大好きです。もどかしさが胸をくすぐってくれます!
どっちが悪いわけでもないのにすれ違い・・・うぅ、ツボ!!
明日でつか。明日まで・・・眠れずにお待ちしてます!
340名無しさん@ピンキー:02/07/13 01:53 ID:WIfNK5pJ
>317さんの提示してくださった台詞が個人的にめっちゃツボに
はまったのでそれを元に勢いだけで書いてしまいました。
技量は未熟ですが、うpさせていただきますね。
関西弁変だったらスマソ
「なぁ、ジブン知っとる?」
吐息を感じられるほど近くで、彼は訊ねた。
少女は今壁際に追いやられていた。どうしてこんな状況に陥ってしまったかを
思い出す余裕は今の少女には無い。
背中に触れるコンクリートの壁がひどく冷たく、その感覚だけが唯一少女の
理性を繋ぎとめていた。
どんっ! と頭のすぐ隣の壁に置かれた手が彼女から逃げ道を絶つ。
「関東の女のコて関西弁喋る男に弱いんやて」
俺こっちの女のコとは付き合うたこと無いから知らんけど、実際どうなん?
唇が耳に触れるか触れないかすれすれの所で、まどかは囁く。
媚薬以上の効果を持つその声は、少女の中の女を揺さぶり、膝を微かにだが
震えさせ甘い吐息を紡がせる。
少女のその様子を見、
「その反応やと、関西弁喋る男に弱いのか、それとも俺に弱いのか……どっちかやな」
嬉しそうに、だがどこか含みのある笑みをうかべ、「ま、俺としては後者の方がメッチャ
嬉しいんやけど」と付け加える。
「どっちなのかジブンの口から聞かせて欲しいんやけどなぁ。
 ……あ、そういえば両方っちゅう選択肢もあるか」
いつ唇がふれてもおかしくない距離にもかかわらず、まどかは平時と変わらぬ口調。
それが少女の羞恥心を掻き立て、赤く染まった顔を背けさせる。
が、すぐにおとがいを掴まれ――決して強引ではなく、かえってそれが心地良い
くらいの強さで――まどかの方を向けさせられた。
「喋らんのやったら、その唇、別の使い方してまうけど?」
少女が答えを発しようと薄く唇を開いた瞬間、それを見計らっていたかのような
絶妙のタイミングでまどかの唇が押し当てられる。
たっぷりと時間をかけて口腔内を愛撫され、少女の理性は最早髪の毛の一筋程度
しか残ってはいなかった。
「……ジブンが、いけないんやからな」
目線を少し逸らし、頬を紅潮させたまどかがぽつりと呟く。
まどかが赤くなるなんてはじめて見たかも、と少女はちょっとした感動を覚えたが、
今の彼女には空気を求めて喘ぐことしか出来なかった。
「――今日は、もう帰さへん」

……ぷつんっ。
少女はそのとき確かに、理性の糸が切れる音をはっきりと感じた。
342バイトモエー:02/07/13 02:09 ID:Dx7xG2vX
>>341
きゃーっ!!!! きゃー!!
たまらんす、バイト……。うっとり……。

また、少女が主人公とは限ってなくて、そのへんの女に軽く手を出してるのかもしれない
というシチュが萌えますわぁ〜。
343名無しさん@ピンキー:02/07/13 02:14 ID:P/tP89o6
>336
あー辛いねぇ本当辛いねぇ…
てか336神は芸能人とかアーティストのおっかけの事
うまーく説明しますね(w 私の身近にも実際そーゆう事してる子いて
怖いんだよね…私は関係無いんだけど。
理想と現実が割り切れない人間って怖いわね。
何か話ズレてすみません。
続き楽しみにしてます。
344バカ×主人公(1/7):02/07/13 02:17 ID:kr7W1SeF
バカ×主人公でつ。
珠ちゃんVS解消後という状態なのでバカ×珠ちゃんスキーさんが
もしいたら辛い内容かも…あと、主人公がちょっと悩みます。
その辺イヤーンな人はスルーしてくだちぃ。


#コンプレックスQ

うちの学校のシャワー室は何かと壊れることが多いんだ。
創立50年だったっけ。もちろん創立当時からあった訳ではないんだろうけど、
私立だけに他校に比べて設置が早かったのかも。
少々年代物のそれは、水が出なかったり、逆に勢いよく噴出し過ぎたり。
今日も女子用シャワー室は使用禁止になっていて、
用務員さんが「明日には修理に来てもらうから、今日は我慢するか
男子用の方にいつもの札をかけて使ってください」と
『女子使用中』の札を放ってよこした。
これも良くあることなのですっかり慣れっこだったり。

施設自体が古くってしょっちゅう壊れることもあって、あんまり利用者がいない
シャワー室を私は愛用している。今日みたいに女子用が使用できなかったり
逆に男子が女子用を使用することもたびたびなんだけど、この札を扉につけておけば
とりあえず不幸なニアミスが起こることも無いしね。
そもそも利用者が殆どいないから、遅くまで残っての自主トレ後でも気楽に使えるから。
…和馬の組む自主トレメニューってハードなんだもんなあ…
加えて、夏が近いこともあり、汗の量も凄いし、匂いも気になる。
今日もぱっと浴びて気持ちよく帰ろう―――
後から思い返すと、やっぱりどこか上の空だったんだろうな。
男子用シャワー室の扉に女子用札をかけて中に入った後、
その札がひっかかりそこねて床に落ちてたことなんて、全然気がつかなかったんだ。
345(2/7):02/07/13 02:17 ID:kr7W1SeF
熱いお湯が勢い良く身体に注がれ、練習の疲れと汗を流してゆく。
床に跳ね返る水音を聞きながら、ふとさっきまでの自主トレの相手のことを思い浮かべる。
お互い名前を呼び合う仲の彼とは『共にインターハイ出場を目指す仲間』
というのみでは割り切れない関係――――と思う。
だけど、その関係に1人の女の子がストップをかけた。
私の友達で、ちょっと小柄で、でも言動も可愛らしい、男バス部のマネージャー。
彼女が彼に想いを寄せていたことを知ってしまった後、
彼女が身を引くと言ってくるまで、2人の間はずっとぎくしゃくしたままだった。

あきらめると言った時の顔。その後私のパソコンに届いたメール。
……逆の立場だったら、私はどうなっていただろう?
彼女とは仲直りし、遠慮するなと言ってくれたけど。
彼女の視界に入る場所で彼に近づくのは、私にも彼女にも辛すぎる。

仲違いしている間も、仲直りの後も、私は和馬に以前のように接することが出来なかった。
和馬の方も、彼女と私の間に流れる不穏な空気に気づいてたのか、
はたまた、私が彼女に遠慮しているのが何となく伝わっているのか、
クラブで練習していても、声をかけてくる機会は確実に減っていった。
彼女と仲違いする前からの習慣だった自主トレだけは
インターハイを目指す名目でどうにか2人で続けているけど、
最近は必要以上の会話を交わすことも無い。
帰りも……私がシャワーを浴びてから帰るから、一緒になることも無い。
以前はいつも「腹、減ったしよ。な、何か喰って帰らねぇか?」と
声をかけてくれてた彼のことだから、すぐに着替えて学校を出てるんだろうな。
いつものラーメン屋にでも寄ってるのかも。
ちょっとどもるような彼の口癖を思い返して、ちょっと思い出し笑い。
……あの頃のことが、今はもうずっと遠すぎて。
目の端から、シャワーの水滴とは違う熱いものがこぼれ落ちた。
346(3/7):02/07/13 02:18 ID:kr7W1SeF
…カチャリ。

「あれ?」
思わぬ物音に振り返る。私が使っている時にシャワー室の扉が開くのは
ひょっとして初めてなんじゃないかな?
こんな遅くまで残っててシャワー室使おうと考えるもの好きが
私以外にもいたんだ…どこの部の娘だろ?
好奇心から、シャワーカーテンを少し開いて入ってきた人の顔を確かめる。

「おい、誰か残ってんのかよ?もうこっち閉めてえんだけど」
「…へ?」

そこには、ついさっきまでの自主トレのパートナーがいた。

「……きっ、きゃあああああああああああっ!!」
「わあっ!!な、なっ、何で、おっ、おまっ」
「和馬っ!?どどどうして入ってくるのよ!女子用札かかってたでしょ!?」
「そっ、そんなのかかってなかったぞ!?本当にちゃんとかけたのかよお前!!」
ひとしきり罵倒してみたものの、ほとんどヤケに近い。
カーテン全開にはしてなかったけど……見られちゃったよぉ。もう最悪。
クラブで鍛えられた私の体は少し筋肉質で、女の子らしい、可愛い感じとは程遠い。
それをよりによって、大好きな人に。
大好きな―――――

「な、何にせよ悪ぃ。…俺、また嫌われちまうな」
「え……」

裸を見られたという羞恥心以上にひっかかる言葉が耳に飛び込んできて、
パニック状態だったのが一転、酷く冷静になる。
347(4/7):02/07/13 02:18 ID:kr7W1SeF
「もう、他の部の奴残ってねぇから、バスケ部でここ閉めるからよ。
シャワー終わったら閉めといてくれ。それじゃ…」
「―――嫌いな人と、自主トレなんてしないよ!」
「え?」
「嫌いな人の名前呼び捨てになんてしないし、自分も呼び捨てされたくないよ?」
「お前…」
言った瞬間あっ、と思ったけどもう遅い。
殆ど告白に近いセリフが飛び出したのを聞いて、背中を向けていた和馬がこちらへ振り向く。
「あっ、やだっ」
自分の今の姿を思い出して、慌ててシャワーカーテンを身体に巻きつけた。

「だってよ…お前、最近付き合い悪ぃし、顔合わせても目そらすし。
俺のこと避けてるみたいで、話だってほとんどできなくってよー…」
「それは…」
あの娘に悪いから、と言おうとして口ごもる。

………たぶん、違う。

この場にあの娘の名前を出して、和馬に彼女のことを連想させたくない。
そんなくだらない理由で、本音の1つも言えない。

私より背が低くて、中学時代に水泳をしていたという割には華奢で、
それでいて胸も結構大きかったりする、「女の子らしい女の子」な彼女。
自分とは正反対の彼女の存在は、いつも私のコンプレックスを刺激する。
気立てが良くて、優しくて、周りを和ませるマネージャー。
…そんな彼女には勝てないと思っているのは私のほうなのに。

こんな状況になってまで嫉妬している自分が嫌で。
「彼女に遠慮」なんて言葉で自分すらごまかしている自分が嫌で。
卑怯な自分への自己嫌悪で、和馬に顔を合わせられなかっただけなんだ。
348(5/7):02/07/13 02:19 ID:kr7W1SeF
「私、自分のことが嫌いだから…」
「ああ?」
「だって、その…私あんまりスタイル良くないっていうか…普通の女の子と違って
あんまり女の子らしくなくって可愛くないし」
「――――そんなことねえよ!」
何を言って良いのかわからなくって、微妙にズレたセリフしか吐けなかったのに
思わぬところで和馬が反応した。
「どういうのが可愛いなんて知らねーよ。けど俺お前の体、け、結構
いいと思うぜ?きちんと鍛えてあって」
「え…」
「お前が…自分のこと嫌いって言ってもよー…
お、俺にとってキレイだったら、それで…いいじゃねぇか、別に」
「…ホント…?」
ホントに、そう思ってくれる…?
…どうしよう。うれしい。他の誰に言われるより、和馬が誉めてくれたことが。
彼女へのコンプレックスでがんじがらめの私だったのに、和馬のその
たった一言でほどけていくのが分かる。
――――あ、ヤバい。
うれしすぎてなんだか泣きそうだ。
手がゆるみ、身体に巻きついてたシャワーカーテンがはらりと落ちた。
「―――あっ、ご、ごめん」
シャワーカーテンで再び自分の身体を包もうとしたその腕をぎゅっとつかまれる。
「あっ、その…き、キレイだと、思うぜ?お前の…身体」
349(6/7):02/07/13 02:20 ID:kr7W1SeF
どくん、どくんと心臓が早鐘を打ってるのが分かる。
つかまれた腕が脈打ってるみたい。
和馬は、そのまましばらくとまどうような表情をしてたけど、
そのまま私を引き寄せて、ちょっと痛いくらいに強く抱きしめた。
和馬の顔は今、きっと赤い。私も耳まで赤いかも。
ぴったりと触れ合っているところから体温が上がっていく感じ…それはたぶん
シャワーの蒸気のせいばかりではなくて。
私は和馬の制服が濡れるのも気にせず、そっと背中に腕をまわした。


その後の事は断片的に覚えている。
出しっぱなしのシャワーのせいで、個室内はむせかえるような蒸気と温度。
そんな中で互いの口唇と身体にたくさんのキスをふらせる。
狭いシャワー室に響くのは、声にならない声とシャワーの水音。
水滴とは違う雫が私達の身体から流れていったこと。
そして甘美な痛みと…その後に訪れた、どこか遠くに行ってしまいそうな感覚。
350(7/7):02/07/13 02:21 ID:kr7W1SeF
制服のシャツをびしょびしょにしてしまった和馬が、予備のTシャツに着替えてくると
開口一番「あ、は、腹、減らねぇ?な、何か喰って帰らねぇか?」と言った。
ちょっとどもりがちの懐かしい響き。
ちょっと泣きそうになっちゃうのをこらえて
「うん、行きたい」と答える。
「それじゃ、ラーメン屋行くか!なんか久しぶりだな」
「うん!私久しぶりにネギラーメン食べたいな」

ねえ、和馬。
私は今でもやっぱり自信なんて無いけど、和馬のことを信じることはできる。
たまにはコンプレックスにつぶされそうになっちゃうかもしれないけど…
でも、頑張るよ。
彼女に気持ちで負けてしまわないように。
和馬にとっていつも一番魅力的な女の子でいられるように。
「ね、これから毎日自主トレの後は、2人でシャワー浴びよっか?」
「なっ!?ばっ、バカなこと言ってんじゃねぇよ!」
冗談半分の一言に瞬間で耳まで赤くなった和馬を見て
悪いとは思いつつも、私はお腹をかかえて笑った。
351名無しさん@ピンキー:02/07/13 02:24 ID:kr7W1SeF
今宵は数こそ少ないですが技巧的にも優れた作品が多くて
ちょっと気後れしてしまうのでつが(´д`;)
とりあえず書き捨てて逝きまつ。

ちなみに、バカはあまり魅力パラにこだわらないよなーとか
思い返しながら書きました(w
352名無しさん@ピンキー:02/07/13 02:35 ID:IPRVoPik
>351
あれ? バカって1に運動、2に気配りと魅力じゃなかったっけ?
ゴメソ、思い違いかも。(;´Д`)

最後の照れまくりバカがカワイーです。萌えー。
353名無しさん@ピンキー:02/07/13 02:42 ID:kr7W1SeF
この前のインデックスは>>283です。

先生
>289>290>291(>>289-291)
王子
>327>328>329>330>331>332>333>334>335(>>327-335)
バイト
>>341
バカ
>344>345>346>347>348>349>350(>>344-350)
354先生?:02/07/13 06:04 ID:eo2fhPiZ

289,290,291の「先生?」です。 
 場違いだたかもぉ? とドキドキしていたのですが、
 読んでくださった方、感想をくださった方、ありがとうございました。

 蛇足と思いつつ「補足説明」させてくださいませ。

ベーゼンドルファー
 1828年操業のウィーンのピアノメーカーです。
 ゲーム中で奏でられる
 「三つの演奏会用練習曲 S144−第3曲・ため息」
 の作曲家フランツ・リストの演奏に耐ええた最初のピアノです。

 現在でも職人気質で量産をせず、とても丁寧なピアノを作っている
 メーカーさんです。
 少し癖があり扱いづらいとも言われるピアノですが、
 柔らかく優しい音色、ピアニッシモの美しさは比類ないと思います。

 
355先生×主人公(3/1) :02/07/13 09:18 ID:WweNuxpO
多々おわします神々に尊敬の意味で、自分も職人してみました。
前スレ403です。

初パロかつ初エロチックパロです。あくまでチック。
続き書きたいですが、今の自分にはこれで限界です。
中途半端のをうぷしてスマソです〜〜〜〜〜。


------------------------
先生が、初めて私を名前で呼んだ日のお話。


卒業式の告白の後、私は初めて先生…零一さんの
部屋に通された。今まで、二人きりの空間と言えば
せ…零一さんの車の中だけだった。

だから、沢山の意味で、あの日緊張したんだ。

…零一さんは、私を名前で呼び…、そう、いつもの照れ隠しのせき払いの後、
初めて名字じゃなくて名前で呼んでくれて、「私の側に来なさい」と、言ったんだ。
356先生×主人公(3/2) :02/07/13 09:20 ID:WweNuxpO
白いソファ。向かい側に座っていた私は
3人掛けのそのゆったりしたソファの端に座っている零一さんの横に
座り直した。隣に座るのはいつも車の中。運転しているから零一さんは
いつも横顔だった。でも今日は違う。今日からは違う。隣に座っていても、
零一さんは私をまっすぐ見てくれるんだ。見つめてくれるんだ。

名前を呼ぶのは嬉しいが正直まだ照れが残る、と先生は前置きした後に、
またあの愛しい「コホン」を言った。
「君と出会って、俺はまた新たな俺を知って…、最初は混乱したが、
君と想いが通じて、改めてこんな自分も悪くないと、思ったんだ」

私の目を見て、零一さんは言ってくれた。それを聞いた私は
幸せでクラクラした。今までの零一さんの優しさ繊細さは
知っていたけど、それよりも厳しさを全面に出す人だったから。
もちろん、そんな零一さんも大好きなんだけど。
でも、今日という日は卒業式で、2人で教会を出てからずっと
そういう愛しい会話をしていたんだ。
私の顔は真っ赤になっていただろう。

「−−−−−君を、愛している。」
俺の言っている事がわかるか? 続けて彼は言った。
357先生×主人公(3/3) :02/07/13 09:21 ID:WweNuxpO
「はい、先生。ううん、……零一さん。」

「君は僕の虜だ。もう、逃れる事はできない。
               さぁ、僕の膝に、おいで」

私は、喜んで彼の望むようにした。私もそうしたかったからだ。
お姫さまだっこみたいにして身体を寄せた私に、零一さんは
不器用にキスした。ファーストキスの味なんて、憶えていない。
ただ、ただ、幸福感があふれてきて。
私は、彼のシャツをきゅっとつかんだ。布の下には彼の
腕があり、そのとき私は、初めて肌で彼がすぐ近くにいることを
知ったんだ。
零一さんは何度も何度も優しくキスしてくれた。
零一さんの腕をつかんだ私の手は、うっすら汗をかいていた。

ああ、私達は、今日、越えるんだ。
私はそう、予感した。ううん、そうじゃない、私達がそれを望んだから
そうなったんだ。

愛しい男(ひと)。初めての、愛される実感。自分の愛する男に
愛される喜び。キス。

-------------
根性があれば続く。


あえて、子安さんのメッセージを活かしてみました(自分を「僕」と言った所)。
せんせぇが自分を「私」「俺」と公私で分けるのはわかるけど、
ちょっと「僕」というのは自分的にはしっくりいかないNAと思ったり。
358渉SS職人:02/07/13 10:12 ID:VKxXFMsU
皆さん、イイです。
ここまで読んだ印のカキコ。
私も新作できましたんで、今日中にUPできればなあ、と思っています。
もともとワープロ派なもので、パソコンに打ちなおさなければいけないんです。
しばしお待ちを。
ちなみに、今回もわたぽんモノです。
359渉SS職人:02/07/13 11:56 ID:IOvWVCd+
パソコン入力終了しました。
UPいいですか?
数分後にまた来ます
360名無しさん@ピンキー:02/07/13 12:24 ID:41ooChJT
こんないいスレの存在、昨日気がついたよ!みなさんうまくていいっす!
参加したけどパロとか女は主人公じゃなくてもいい?
教えてチャンスマソ・・・
361名無しさん@ピンキー:02/07/13 12:29 ID:hmIB+OJm
前スレ403神様。…

こ、このままでは、生殺しですぅ。
ぜ、ぜひ続きを…お願いします…

渉SS職人神様

楽しみにお待ちしています。
362名無しさん@ピンキー:02/07/13 12:29 ID:N4hHdHt/
>>360
前の方で、やっぱりそれは女友達の相手のファンがつらいだろうから
控えよう、ってことになったような。
363渉SS職人:02/07/13 12:35 ID:IOvWVCd+
戻ってきました。
では、いいですか?
364名無しさん@ピンキー:02/07/13 12:36 ID:Dx7xG2vX
>>360
女友達×主人公なら問題ないと思うけどね(w
365二人きりの台所1/8:02/07/13 12:37 ID:IOvWVCd+
「もうすぐ三学期が始まりますね……」
 温水プールで遊んだ後に寄った近所の公園。
 渉が、ぽつりと言った。
「そうだね。もうすぐだね」
「そう、もうすぐッス……。そして、すぐに二月になって、卒業式が来るんス」
「うーん。でも、まだ八週間あるじゃない?」
「いえ」
 渉が私の腕をつかんだ。
 そして、寂しそうに言葉を続けた。
「もう、残り八週間しかないんスよ……」
「そういう言い方もできるけど……」
「先輩、ジブン、ジブン……」
 それから、言葉が続かない渉。
 私も何か言おうと思ったけれど、どう言っていいのかわからない。
 私の思いは、言葉は、渉が期待しているものなのだろうか、驚かせてしまいは
しないだろうか。
 そう思ってしまうのだ。
「渉……」
 渉が顔を上げた。そして、私の瞳を見つめる。
 彼の頬が染まっているように見えるのは、夕日のせいだけとは思えない。
366名無し、、、好きだ。。。 :02/07/13 12:37 ID:CqAfvnGc
>360
主人公以外の女性が結ばれるものも、先に一言添えてもらえば、
それを読みたくない人はスルーできますから、
そういう気遣いがあれば、UPしてかまわないのではないでしょうか?

パロについては、このスレの148さんの作品を呼んでもらえば、
答えは明らかでしょう(w
笑える作品お待ちしています。
367二人きりの台所2/8:02/07/13 12:37 ID:IOvWVCd+
「先輩!」
 ふいに、渉が私を抱きしめた。
「!」
 私はびっくりして中途半端に手を泳がせたまま。
「先輩、ジブン、先輩を誰にも渡したくないッス」
「えっ?」
「ジブン、先輩を誰かに獲られることを考えたら、夜も眠れなくて、練習にも
身が入らなくて、イイ男になる修行もうまくいかなくて……」
「渉? それって……」
「先輩。先輩はいつもジブンのことを気遣ってくれるし、ジブンと会うときは
ジブン好みの服を着てくれたり、今日だってジブン好みの水着を着てくれたり……。
先輩自身は無意識かもしれません。でも、ジブンとしては、心を揺さぶられる
んスよ」
「渉……」
「先輩、ジブンだって男ッス。好きな人が好みの水着を着ているのに、平常心
でいろってほうが無理ッス」
「渉……」
「あ……。言っちゃった……」
 渉は少し身体を離し、恥ずかしそうに斜め下を見ている。
 私は、渉を抱きしめ返した。
「ありがとう! 渉の気持ち、受け取ったよ。私だってねえ、あんたが後輩に
モテモテってことにヤキモキしてたんだからね」
368二人きりの台所3/8:02/07/13 12:38 ID:IOvWVCd+
「先輩……」
「渉……」
 私たちは顔を寄せた。
 そして、唇が触れるか触れないかというときに。
 チャチャチャチャチャチャチャチャーン……。
 私の携帯電話の着メロ。
 渉が身体を離す。出ていいよ、ということだろう。
 私は仕方なく電話に出た。
「もしもし」
『あ、ねえちゃん。オレ。あのさ、今日、とうちゃんとかあちゃんと一緒に
おじさん家に行くって言ってたじゃん?』
「うん。そうだったね。で、どうだった? お年玉いっぱいもらって
嬉しいんじゃない?」
『うん。まあね。でさ。そのまま夕飯もごちそうになることになったんだよ。
だから、ねえちゃんは外で食べてくるようにってさ。ま、別にねえちゃん自身が
料理してもいいんだけどさ』
「う、うん。わかった。私は私でなんとかするから。楽しんでおいで」
『うん。でさ』
「何?」
『日比谷の腹、壊させるんじゃないぞ』
「なっ!」
369二人きりの台所4/8:02/07/13 12:39 ID:IOvWVCd+
『一応、妹もオレの彼女候補だしね』
「なんであんたが、今日のデートの相手が誰か知ってんのよ」
『いいじゃん別に。あ、そうそう。オレ、まだ甥はいらないから。あ、姪かなー?』
「尽!」
『あはは、じゃね』
 と、電話が切れる。
 こいつは……。いくらもう十二歳とはいえ、そうはっきり言わんでも。でも、
こいつだって親の居ないところだからそういうことも言えるのだろう。もし、
側に親が居たら、あとでしばくしか……。
「先輩。尽くんッスか?」
 渉が問う。
「あ、うん。みんな外で食事してくるからって」
「そうッスか……」
「ねえ。今からスーパー寄らない? うちで夕食食べようよ。私が作るから」
「え……。先輩……」
 渉は少し顔を赤くしている。
 そう。
 お互い、考えていることは一緒……。
「ね……。カレーにする? パスタにする?」
 私の顔も赤いだろう。
 渉は、笑顔で応えた。
「じゃ、パスタで!」
370二人きりの台所5/8:02/07/13 12:39 ID:IOvWVCd+
「ごちそうさまでした」
「おそまつさまでした」
「いえ、本当に美味しかったッス」
「そう?」
「はい」
 それから、言葉が続かなくなった。
 テレビだけが騒いでいる。
「あ、食器洗わなくちゃ。ゆっくりしていって」
 私は立ちあがった。無言のときに耐えられなくなったから。
「先輩」
 背を向けた私を渉が後ろから強く抱きしめた。
 渉は私の耳元で言った。
「今更逃げないでくださいよ。先輩のほうから誘ったんじゃないッスか?
 ジブンは、その誘い、受けてたつ気でここまで来たんスよ。今更そんなつもりじゃ
なかった、なんて言わせないッス」
 そう言うと、渉はぐいと私の顔を引き寄せてキスをした。深い、深いキスを……。
 私は足の力が抜けるのを感じた。
 私がふらついているのに気がついた渉は、そっと私の身体を床に寝かせた。
「渉……。そうだったね。今更、だよね。いいよ。……しよ……」
「先輩……」
 渉の表情が柔らかくなる。でも、いつものようなコドモらしいものではなく、
オトコを感じさせるもの。
371二人きりの台所6/8:02/07/13 12:40 ID:IOvWVCd+
 渉は、私の服に手をかけた。それだけで、私の身体が反応する。
 これは、好きな人だからだろうか? これから起こることに期待している
からだろうか?
 そうだよね。日常でそんなことになっていたら大変だよ。
 気がつくと、ふたりとも全裸。
 ふと、目が渉のモノにいく。
「……」
 ちょっと恥ずかしくなって目を逸らしてしまった。
「せ、先輩。そんな顔されたら、こっちまで恥ずかしくなっちゃいますよ」
 渉の顔はまた赤くなる。
「そ、そうだよね。……これから、もっとすごいことするんだし……」
「は、はい……。じゃ、続けますよ」
 渉は私の身体のあちこちにキスをする。たまに舐めたりしながら。
 私は、渉の背中に指を立てている。キモチイイときはグッと力を入れる。
そうすると、渉はそこで舌の移動を止めて、そこを重点的に攻める。
 アソコでは、指が数本遊んでいる。
「先輩、キモチイイッスか?」
「うん。すごく……。すごくイイよ。渉」
「先輩」
372二人きりの台所7/8:02/07/13 12:40 ID:IOvWVCd+
 渉は私と向き合う。そして、私の両足を広げた。
「あんまり見ないでよ」
「いえ。先輩のココ、キレイッスよ」
「バカ……」
「今だけはバカでいいッス」
 そう言うと、渉は腰を沈めた。
「あっ」
 私はソコに意識が集まるのを自覚した。
 渉が動くその度にゾクゾクする感じがする。
「くっ、先輩!」
「わ、渉!」
 渉が果てたようだ。
 私のほうもイッたみたい。
 しばらく、床に寝転ぶ私たち。
 息を整えながら天井を見つめた。
 私、オンナになっちゃったんだ……。
 そういえば、尽に甥できるかも。ま、いっか。でも、渉はそれじゃ困る
かなあ……。なんて、私って冷めてるなあ……。
 ……あ、もうだいぶ遅い時間だ。
「あ、ねえ。そろそろ片付けなきゃ。遅くなっちゃうからね。渉も着替えてね」
 私が立ち上がった。
 すると、渉も立ち上がった。
373二人きりの台所8/8:02/07/13 12:41 ID:IOvWVCd+
 渉は、私を後ろ向きにしてシンクにつかまらせた。
「わ、渉?」
「これがしたかったんス」
 渉はそう言うと、後ろから侵入した。
「あうっ!」
 さっきとは少し違った感覚。でも、嫌じゃない。すごくイイ。
 渉は激しく動く。
 私もそれに任せる。
「先輩、せんぱいぃぃ!」
「うん、いいよ、きて」
 渉の分身が私の中に入ってきた。
 渉は少し私に体重をかける。
 でも、すぐに私を抱き起こした。
「先輩。わがまま言っちゃってすみません」
「いいよ。私の好きな渉だから」
「先輩……。嬉しいッス」
 渉の笑顔。
 あれ? オトコらしいっていより、コドモっぽい、かな? それだけ、
満足したってこと? 私が満足させてあげられたってこと?
 私たちは、もういちど深いキスをした。
 たまに笑顔を見つめ合いながら。


 数分後、私たちは慌てて服を着ることとなる。
 尽から駅に着いたという電話を受け取ったからだ。
 でも、私たちは後悔してない。
 気持ちに偽りはないから。

終了。
374渉SS職人:02/07/13 12:43 ID:IOvWVCd+
おそまつさまでした。
今回は渉攻め主人公誘い受けと呼ばれる形式だと思います。
初めての癖にいろいろ知っているわたぽんでした(^^;
375366:02/07/13 12:43 ID:CqAfvnGc
割り込みスマソ……
吊るより先に、何か作品仕上げることで贖罪にします。
376前スレ720:02/07/13 12:50 ID:YpGm9qfN
王子萌えヘタレ様に萌えていただいたなんて。
嬉しすぎて涙ちょちょぎれそう。
王子萌えヘタレ様の作品とても好きなので続き楽しみにしてます。

私ももしもよければあの続き書いても宜しいでしょうか?
あんな中途半端なままだと自分が消化不良なもので。
書いててカブったらスマソ>王子萌えヘタレ様
377渉SS職人:02/07/13 12:54 ID:IOvWVCd+
>>366
お待ちしています。

女キャラの話なら、注釈つければ問題ないと思います。
私はむしろ読んでみたいほうなんで。
378名無しさん@ピンキー:02/07/13 15:17 ID:WIfNK5pJ
神様神様お願いです。
ナンパ男やロンゲのキャッチセールス野郎の
目線のSSが読んでみとうございます。
後生ですので何卒、何卒……!!


と、ちょと無理な神頼みをしてみるテスト。
379名無し、、、好きだ。。。 :02/07/13 15:33 ID:CqAfvnGc
>378
アイデア無いわけじゃないけど、エロくできないので漏れはパス。
挑戦してみようという勇者の出現を待とう!
380名無しさん@ピンキー:02/07/13 17:14 ID:Ks0Viuxl
会社でSS書き、家に持って帰ったらファイル
壊れてたよ。さぼった罰か?重すぎるね。
381名無しさん@ピンキー:02/07/13 17:21 ID:C/uWdFPH
みんな、会社で書いてるんだね。私もだが(w。
382名無しさん@ピンキー:02/07/13 19:08 ID:XIwN0Q58
話題自体を蒸し返す気はさらさらないけど
>>305の言うサイトがどうにも見てみたい。
ヒントだけでもくれ。バイトサイトか?
383名無しさん@ピンキー:02/07/13 20:37 ID:EwxjELys
会社で書きますよ、もちろん!(w
メールで自宅に送ってます。会社は林檎で自宅は窓だからさ。
もうすぐ400ですね。早い。一晩目離すとSS地獄に落とせてもらえるので幸せです。
今夜も八百万の神々降臨を願いまくれ。ヤー!(気)
384名無しさん@ピンキー:02/07/13 21:01 ID:vclKIXAK
ああ、ここは出雲でございますね。
神の降臨お待ちしています。

カミサマ─wwヘ√レvv~(゚∀゚)─wwヘ√レvv~─ !!!

電波発信。
385名無しさん@ピンキー:02/07/13 21:06 ID:FqgudX7h
>382
てんてーサイト様ですよ。
ラ●●ール(一応伏せとく)
っていうタイトルのSSが、なつみん話の元ネタだと思いまつ。

元ネタも最高ですが、>318さんのも最高だったので
パクリとか思わず、どちらのお話も読めて良かったと思ってます。
386バイトモエー:02/07/13 23:07 ID:Dx7xG2vX
とりあえず、新作書きましたが……。
エチの手順が前のとほとんど同じな上に、なつみんのSSとなんだか似てしまいました。
最悪です……。
なるべくかぶってる部分は削除したんすけど……、
さらにちょっと暗いという三重苦……。
こんなんですまんすけど、うpします。
387亀裂 1/6:02/07/13 23:07 ID:Dx7xG2vX
まどかは最近私に触れない。

少し前、私がまどかの行為に文句をつけたからだ。
まどかに不満があるわけじゃない。むしろ求められることは嬉しいくらいだ。
ただその日は体調が悪くて、いらいらしてて……。
そのイライラを、場所に構わずいつものように求めてくるまどかに対して
「最近こんなのばかっり。いい加減にして!」
とぶつけてしまったのだ。
まどかは少しだけ黙って、その後「すまんかったな」と言って私から離れた。
それから二人の関係は変わってない。
今までと同じように会い続けているし、まどかも前と変わらず優しい。
ただ、私に触れなくなっただけ……。
季節はもう肌寒く、同時に寒さを和らげるように人肌が恋しい。
いつもと変わらぬ態度で接してくれるまどかに、私は何も言えないでいた。
まどかが優しいほど、私はまどかに対して申し訳なくなる。
388亀裂 2/6:02/07/13 23:08 ID:Dx7xG2vX
まどかの家の扉を開けるとまどかはギターを抱えて床に座っていた。
「おお、来たな。入りぃや」
まどかがギターを脇に置こうとしたので、そのまま続けてと言って私はまどかの正面に腰を下ろす。
「ギター弾いてたんだ」
「せや。たまには弾ぃたらんと、腕もなまるし、こいつの音も悪なるからな」
まどかがゆっくりと奏でる音は、なんだか切ないように響く。でも優しい曲……。
「ね、それ何て曲? 優しい音色だね」
「これか? 知らんねん。……オフクロがよく聞かせてくれた曲や」
言いながらまどかは、ひどく優しい目でギターを見つめた。
まどかは黙ってギターを弾き続けている。私も黙ってその音を聞いていた。
まどかの指が愛おしそうに弦を弾く。まどかの思いに応えるように弦はその身を震わせる。
あの指が……。
(あの指が、いつも私の身体に触れていたんだ……)
そう思った瞬間、全身にカッと血が上った。何考えてるの私!!
私は自分を恥じた。顔を見られたくなくて、まどかの隣に移動する。
まどかに寄りそうと、ギターを奏でる手を止めてまどかはこっちを向いた。
目があって、見つめあって……キスを求めて私は目を閉じる。
少し間を置いて、まどかは唇を重ねた。長いキス。
まどか……まどか……。 私はまどかの唇の感触だけで、身体に震えを感じる。
しかしまどかは、ギターを置いて私から離れた。
389亀裂 3/6:02/07/13 23:08 ID:Dx7xG2vX
(…………!!)
「今日はどうする? とりあえず繁華街のほうにでも出よか?」
私じゃない方向を向いてまどかは言う。
私の中に、自分でもよくわからない感情が沸きあがってきた。
悲しいのか怒ってるのか、よくわからない。たぶん両方。
自分を恥じる心と、そして悲しさと寂しさと怒りとかの全ての感情が私を襲った。
自分でも、その感情をどうしていいのか解らなくて……、そうしたら何故か涙が溢れてきた。
「…………」
「それか、海側のほうにでも行くか?  ……っって、ジブンどないしてん! な、泣いてんのかっ!?」
「う〜……っ、ふ……」
泣くな、泣くなって涙を押し留めようとするけど、次から次へと溢れてくる。
「な、なんで泣いんねん。どないしたんやっ」
どうして前みたいに抱いてくれないの。お願い、私に触れて。触って。抱きしめて。
いわれない寂しさが、胸に溢れてくる。
「……どないしてん……?」
まどかに触れたいの。好きなの。好きなの。
まどかはうろたえている。その理由に気づかないまどかに私は怒りが沸いてくる。
悪いのは自分で、思いを上手くまどかに伝えられてないことも解ってて、
でもその怒りをまどかに転嫁している、そんな自分にも腹が立った。
「うわっ」
慌てて近づいてきたまどかを、私は後ろにあるベッドに向かって突き倒した。
390亀裂 4/6:02/07/13 23:08 ID:Dx7xG2vX
そしてまどかの上に乗って、まどかを押し倒す。
まどかの肩を押さえつけた。嗚咽が止まらない。
まどかは優しい手つきで私の涙を拭った。
「おい……どうしたんや、ジブン変やで?」
「黙ってて!!」
私はまどかに口付けた。舌を荒々しくまどかの中に侵入させる。
「ん……ぐっ! やめろって。落ち着けやっ」
私の身体を引き剥がしてまどかが言った。拒否されたことが私の感情をさらに揺さぶる。
まどかに触れたいの。抱かれたいの。大好きなの。
まどかの手を振り払って、彼のシャツのボタンを急いで外す。
「お、おいっ!」
まどかに構わず、彼の口や上半身にキスの嵐を降らせた。この広い胸が好き。
絡ませた脚を擦りつけると、まどかが熱くなってきているのが解った。
一旦上体を起こし、私は自分の服を脱ぐ。ブラも外してほうり投げる。
まどかは感動したように溜息を吐いた。
下も全部脱いでから、まどかのベルトを外して服をズボンを下げる。
そしてまどかを口に含んだ。まどかは観念したのか私のされるがままになっている。
掴んだ右手を動かしながら、舌を這わせて、吸い上げて、音を立てて上下する。
今まで彼が悦んだことを全部して、まどかを愛しんだ。いたずらもののこれだって大好き。
「うあ……あ、あ……」
まどかが苦しそうな声をあげた。どうして男の人って声を我慢するのかな?
擦りつけをより激しくすると、まどかは声を上げながら、私の口の中に放出した。
苦しさが襲ってきたが、私は無理矢理それを飲み込んだ。
上がってきた嘔吐感をおさえて、思いっきり咳き込む。
「だ、大丈夫か?」
上体を起こそうとするまどかを私は制した。
だめよ、まだ。まだ足りない。もっと、もっとまどかが欲しいの。
391亀裂 5/6:02/07/13 23:09 ID:Dx7xG2vX
まどか自身を再び手で立ち上がらせ、私は彼の上に跨った。
そして自分の中に、まどかを入れる。
「あ……あぁ……」
身体中に満たされるような感覚が来た。
私は腰を動かし始める。自分の中がきゅうきゅうと締まってるのが分かった。
「ああっ、んっ。……ふ……っっく」
嬌声と嗚咽が混じった声を上げる。きっと変な声に違いない。
でも今はもっとまどかを感じたくて、私は腰を振りつづけた。
「……あぁ、……う……っ」
まどかは頭をよじらせて苦しむ。あたしだってまどかの声が好き。
ねぇ、もっと聞かせて。あたしで感じてるその声。
「まどか…、まどか……。好き、好きなの……」
泣きながら私は訴えた。まどかは、はっとしたように目を見開いた。
「大好き……。あたしだってまどかが欲しいよ。だからいつだってあたしのこと求めてて」
「……おまえ……」
動き続けながら、まどかに口付けた。私の頭をやさしく抱えて、まどかはそのキスに応えてくれた。
お互いの息の荒さを感じながら、まどかは私の中で達した。
392亀裂 6/6:02/07/13 23:09 ID:Dx7xG2vX
まどかは私を抱きしめて、優しく頭を撫でてくれていた。
「オレかて、おまえが好きなんや。いつだっておまえが欲しくてしょうがないんやで」
「だったら何で……」
「不安やったんや。求めてるんはオレだけなんちゃうかって。いつもオレが勝手に進めてるやんか。オレは求められてないんやろかって思てな」
「……ごめんね、不安にさせてたみたいだね」
「それはオレのほうやろやろ。すまんかったな」
心が、震えたような気がした。
「だからもう、泣かんといてくれ。オレおまえのこと泣かす男は許さんて言うてもうたからな。自分のこと許されへんなってまうわ」
その言葉に、私は嬉しくて涙が溢れてきた。
「うん……。うん……」
「うわっ、だから泣くなて!!」
まどかは慌てて、私の涙を唇で吸い取った。そして私に口付ける。
「大好きや……」
今はもう、満たされた気持ちでいっぱいになっていた。

・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・

「じゃ、今からもっかいやろか〜」
「えぇっ!!??」
まどかはニヤッと笑った。
「いつだっていいんやろ? 今まで我慢してた分、出してまわんとな〜」
「えっ、えっ、えっ。……ちょ、ちょっと間っっ。……やっ、ああんっっ」

まどかの部屋は、私の声でいっぱいになっていた。
393バイトモエー:02/07/13 23:11 ID:Dx7xG2vX
以上でした。
どうも私の書くSSにはラブが足りないので、ラブを足してはみたんですが……。
もっといろいろ甘い言葉を吐かせたかったけど、テレて書けん!!
これが私の限界ですた。

萌えへの道は遠い……
394名無しさん@ピンキー:02/07/13 23:20 ID:EwxjELys
バイトモエー神のエロ大好きです(拝)
ハレルヤーハレルヤー
395バイトモエー:02/07/13 23:32 ID:Dx7xG2vX
>>247(あう、レス遅くてごめんなさい。)
>>394

ありがとう!!! その一言が励みになります。
うれしい……。
396317:02/07/13 23:50 ID:rUVbp8Gb
>>341
亀レススマソ。
採用してもらって話し作っていただけて感謝感激雨霰。
かなりキタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!!
萌えマシタ。また次回作ありましたらがんがってください。
397ライバル宣言:02/07/14 00:32 ID:Z9XbDYZE
放課後の教室。
今日は期末テストの補習授業が行われている。
下から数えた方が早い和馬とまどかは補習組の中でも最後まで
氷室の出した補習問題に頭を抱えていた。
「あー。休憩、休憩。」
2人きりになってしまった補習授業。
最初にペンを投げ出したのはまどかだった。
もちろん回答欄は真っ白だ。
「おい、おまえ10分前に休憩したばっかだろうが。」
和馬は髪をくしゃりとすると机に足をのせてすでに休憩体勢のまどかを注意する。
「なんや。おまえ真面目に解いて・・・。熱でもあるんか?」
「うるせぇな。おまえこそ、ちっとは真面目にやれよ。」
俺は早く部活に行きてぇんだよ、と付け加えながら和馬は再び問題に目をやる。
「・・・・・」
なんか、おかしい。
まどかはふと、いつもと少し違う。
いつもなら、こんな難解な問題、二人で投げ出しているというのに。
まどかは和馬を見るとふいに目線を反らして一言放つ。
「なぁ。おまえ好きな子おるん?」
「!!!な、ななな何だよ、いきなり」
焦ってドモるのは分かり易い和馬の癖で。それを見たまどかは続けて言う。
「俺、今むっちゃくちゃ夢中な子がおんねん」
「へ、へぇ・・。」
「こうなぁ。目がおっきくてな。ぱっちりしてて。笑顔が眩しくって、ほんま可愛い子やねん。
そんでよく気がつくし、優しいし、面倒見もよくて、非の打ち所がないっちゅうか。」
ペラペラとよく喋る男が更によく喋る。
まるで絵に描いたような完璧な少女像が浮かび上がる。
和馬はその少女像にぴたりとはまる人物を一人だけ知っていた。
和馬は解答するふりをして、まどかの話に真剣に耳を傾けていた。
嫌な予感がする。
398ライバル宣言2:02/07/14 00:33 ID:Z9XbDYZE
「勉強も出来るし、運動もばっちりなんやで。しかも女バスのエース!」
「なっ・・・!」
和馬はまどかの決めの一言で思い切り動揺した。
まどかの言う「むっちゃくちゃ夢中な子」は確認しなくてもよく分かる。
自分がもう1年も想いを寄せている少女だ。
「んー?なんや?どないしたん?そんな慌てて」
まどかはしめたとばかりに話を切り返す。
・・・俺はほんまに勘がええなぁ。などと思いながら。
「な、なんでもねぇ!!」
「鈴鹿くん。隠し事はいかんなぁ。親友同士、腹割って話そうや」
「俺がいつおまえの親友になった!?」
「おう、親友っちゅうかライバルやな。この場合」
さっきまでヘラヘラとしていたまどかは急に真面目な顔になった。
「俺もあのこが好きや。ほんまに好きや。」
真っ白な解答用紙と鞄を持ち、席を立ちながら和馬に言う。
「・・・ちゅうわけで。抜け駆けなしやで。正々堂々と戦おうや。」
解答用紙をひらひらさせながら教室を出ていくまどかを和馬は呆然と見送った。
しばらくして廊下を歩くまどかの鼻歌が聞こえてきて和馬は慌てて廊下に飛び出る。
「てめぇにゃ負けねぇよ!!」
しん、とした廊下に和馬の声が響く。
振り返ったまどかは満足そうに笑うと。
「上等!」
まどかの声も放課後の誰もいない廊下にはとてもよく響いた。

399ライバル宣言:02/07/14 00:36 ID:Z9XbDYZE
エロもないし、主人公出てきてないし、関西弁はエセだしで、
すいませ…!この二人がカンペを作ったりしているシーンが出てくると
いうのを聞きまして、仲いいのかなーと思いつつ書きました。
今度はバカ×主人公書きに逝ってきます。
400名無しさん@ピンキー:02/07/14 00:38 ID:SAOTM3ye
カミサマ━━━━(゚∀゚)━━━━コウリン!!!
>397の神様。
ありそうな話ですね。イイ!

その後の展開も気になるところですが、これはここでおしまいなのも
色々想像できて萌えますね。

続きも読みたい気もするし。

ああ、ジレンマ。
401名無しさん@ピンキー:02/07/14 00:41 ID:+NL+CeMj
>>397->>398
ヨカタです。
男の子同士の会話ってゲーム内では殆どないからこういうの
楽しくっていいです。
実は、主人公の知らないところで、皆で主人公の取り合いーってのが
萌えです。(;´Д`)
402名無しさん@ピンキー:02/07/14 00:48 ID:nT/A+yHB
>主人公の知らないところで、皆で主人公の取り合いー
私も萌えです。
普段モテモテ女設定は萎えなのですが、ガールズの主人公は
何もしないでモテてるわけじゃなく、猛烈に努力している
結果(w なので好感が持てまつ
403名無しさん@ピンキー:02/07/14 00:53 ID:eUknhX2g
さらに言うなら主人公に気が向いていない場合、男どもが
ライバルと仲良くしてる可能性が高いので(w
それならばモテモテになっていてくれ主人公(w
404名無しさん@ピンキー:02/07/14 00:57 ID:kMwmC10i
渉SS職人様>いつもいつもわたぽんにときめかせていただいてます
アリガタヤ、アリガタヤ‥ いがいと耳年増なわたぽんにモエー

>397の神様
こういうの大好きです!最後のバカとバイトのセリフにときめいたッス
>401さんと同じく、主人公の取り合い萌えです(W
でも、主人公は鈍いから気づかないってのが、さらに萌え
405渉SS職人:02/07/14 01:15 ID:EvUkyjt7
>>387-392
バイトモエー様
良かったです。バイトも恋をしたら不安になる。
いいところで躊躇する、というところにソレが出てますね。

>>397-398
こういうの、待ってました。
私は1や2で女の子同士のライバル宣言というネタをいくつかやっているので、
いつか自分でもやってみたいと思っていたのです。

>>404
こちらこそ、ありがとうございます。

ところで、今日、『出会い』シリーズの新作を書きました。
推敲が終わったら自サイトにUPする予定ですが、
こちらでもUPしますか?
他のキャラを手がけるのは、
他のキャラ萌えの方々の前では気後れしてしまいますが。
406みーな:02/07/14 01:19 ID:31lz2VOG
407名無しさん@ピンキー:02/07/14 01:21 ID:kMwmC10i
>405 渉SS職人神様
おながいしまッス!!!!!!!!
408名無しさん@ピンキー:02/07/14 01:23 ID:SAOTM3ye
前から気になっていたのですけど、サイト持ちの神様のサイトに
激しく行って見たい。

ヒントだけでも欲しいかも…
409名無しさん@ピンキー:02/07/14 01:30 ID:YUVNpzST
>408
したらばの各キャラの萌えスレのところ見れば分かると思うよ。
410名無しさん@ピンキー:02/07/14 01:32 ID:SAOTM3ye
>409
ありがとう!早速探して見ます。
411渉SS職人:02/07/14 01:34 ID:EvUkyjt7
常連さんたちにリア工が多いかもしれないうえに、
ときメモシリーズ全部取り扱い、
そして携帯向けサイト(某らんど)なので、
発表することがためらわれるのです。
荒らしが来た場合、対応が遅れると携帯のみのアクセスの方々が困りますし。
ヒントですか?
夏まつりにときメモ系文章で参加予定です。
カタログまだ未確認ですが、それでだいたいわかるかと。
412名無しさん@ピンキー:02/07/14 02:10 ID:fYXYdifN
ひそかに王子×主人公の「標的」の続きを待っています、神よ。
今日は降臨なされないのでしょうか・・・ヽ(`Д´;)ノウワアアァン!!
413名無しさん@ピンキー:02/07/14 02:17 ID:XCZEnBrL
こことか、とにかく2ch内でガールズサイドのことは満足してたもんだから、
いつのまにか100以上ものサイトが稼動していることに、今日はじめて
気づいた・・・(;д;)エーンエーン!! 
414名無しさん@ピンキー:02/07/14 02:31 ID:kMwmC10i
>413 禿ドゥ‥ここがあまりにも素敵なので、毎日入り浸ってたら
世間は今大変なコトに‥‥!サイト回るのも一苦労だー
もう何年もヲタク業界からは離れていたつもりだったのに
夏まつり、行きたくなってしまってる自分がココに‥

「標的」の続き、私もとっても楽しみにしてます。
神、よろしくおながいします!
415王子萌えヘタレ:02/07/14 02:33 ID:RRhVibqJ
へ、ヘタレです・・・。
終われません(w。なんかどんどん話があらぬ方向に進み、
ドツボに陥り始めております(w。
王子が、王子のキャラじゃなくなってきた気がします(w。
とりあえず、終わったとこまでウpしておきます。
後編じゃなくて、中編ということで・・・。
416王子×主人公・標的 10:02/07/14 02:34 ID:RRhVibqJ
王子×主人公・標的 10

「ご迷惑をおかけしました。今日から復帰します」
珪との最後の電話の後、私は軽い夏風邪を患ってしまった。
学校もバイトも休み、家の中で寝たり起きたりしながら、ぼうっと過ごした。
1週間が経ち、微熱も引いた私は、1週間ぶりに喫茶店へと出勤し、店長に頭を下げた。
「おう、体の方はもう大丈夫なのかい?」
「はい、ご心配おかけしました」
「じゃ、今日からまた、よろしく。ガンガン働いてもらうよ」
店長は私の肩をポン、と叩いた。

私が休んでいた間、喫茶店の方は、少し状況が変わっていた。
店長が、あの3人組を出入り禁止にしたのだという。
なんでも、彼女たちが店に入ってきたら、店長を初めとする従業員全員で、
どんなに席が空いていても「予約が入っている」の一点張りで追い返す、
ということを繰り返したらしい。
最初は文句を言っていた彼女たちも、強固に入店を拒否され続け、
3日ほど前から姿を現さなくなったのだそうだ。
「ああいう輩に来られちゃ、ウチのイメージも台無しだからね」
店長もバイト仲間も、そう言って笑った。そのやさしさが、私にはうれしかった。

「そうだ、君が休んでいる間、葉月くんが何回かここに来たよ」
休憩時間、事務所で一息付いていた私に、店長が言った。
「風邪で休んでるって言ったら、心配そうにしていたよ。連絡は取ってないのかい?」
「…ちょっと」
「ケンカでもしたのかい?」
店長はそう言った後、それは以上何も聞かなかった。
「まあ、僕が口出しする立場でもないけど、早く仲直りした方がいいよ」
「…はい」
あれから、珪から電話がかかってくることはなく、私もかけることをしなかった。
こんなに長い間、珪と言葉を交わさないのは、初めてかもしれない。
心にぽっかりと、穴が空いたような、そんな気がした。
その隙間を、くたくたになるまで働くことで、私は強引に埋めて過ごした。
417王子×主人公・標的 11:02/07/14 02:36 ID:RRhVibqJ
「それじゃ、Aスタにアイスコーヒーお届けに行ってきます」
私はデリバリー用のバッグを取り出し、ポットとカップを詰め込む。
「…俺が行こうか?」
店長が、小さな声で言った。
「今日は葉月くん、入ってるみたいだよ。スタジオの前、ファンが待ってる」
「でも店長に出前なんてさせられませんよ」
私は努めて明るい声で答え、バッグを肩にかける。
「分かった…気を付けてな」
店長の言葉に、私は笑って店を後にした。

店長が言う通り、スタジオの出入り口には若い女の子たちが出待ちをしていた。
周囲を見回すと、案の定入り口の一番近くで、あの3人がタバコを吸いながら立っていた。
気にするな。そう心に言い聞かせ、私は出入り口へと向かう。
私に気が付いた彼女たちは、ニヤニヤと笑うと、吸いかけのタバコを私の目の前に放り投げた。
「きゃっ!」
驚いて足を止める私に、あの、髪の長い彼女が声をかけた。
「最近珪と会ってないみたいねぇ。振られちゃったのかしらぁ〜」
相手にするな。私はもう一度心に言い聞かせ、彼女を無視して歩き出す。
「…気取ってんじゃねえよ。たいした女でもないくせに」
「教えてよ〜、どうやって珪に取り入ったの〜。やっぱカラダぁ?」
「やっだー、ちょっと言い過ぎよ〜。たいしたカラダじゃないじゃん」
下衆な言葉で、彼女たちは私を煽ると、アハハと大きな声で嗤う。
「…そうやっていつも、あの部屋を覗いてるんですか? 悪趣味ですね」
耐えられなくなって、私は彼女たちの挑発に乗ってしまう。
「…どういう意味よ」
「それは、自分が一番よく、分かってるんじゃないですか?」
いけないと、頭では分かっていても、もう私は止まらない。
「あんなことして、け…彼がどう思うか、考えてみた方がいいと思いますけど」
「あんた…珪に告げ口したの?」
髪の長い彼女の顔から、血の気がさっと引くのが分かった。
「…やっぱり、あなただったんだ、あの日あそこで、覗いてたのは」
すべてがつながったような気がして、思わず私はクスリと嗤ってしまった。
「あっ…」
「私は言わない。彼に辛い思い、させたくないから。でもいつかばれるよ。
やめるなら、今のうち…」
そう私が言い終わらないうちに、髪の長い彼女の手が、私に伸びた。
418王子×主人公・標的 12:02/07/14 02:36 ID:RRhVibqJ
強い力で押され、私はバランスを崩し、地面に倒れた。
デリバリーのバッグがコンクリートの上に落ち、ポットとカップが転がり出る。
「うるせーんだよ、このクソ女!」
見境をなくした彼女は、ポットを拾うと、そのふたを開ける。
「やめなよ! ヤバいって!」
止める仲間の言うことを聞かず、彼女はポットの中身を、私にぶちまけた。
冷たく茶色い液体が、私の頭から足までをぐっしょりと濡らす。
「いい気になってんじゃねーよ! てめえなんか珪に似合わねえんだよ!」
口汚い言葉で、髪の長い彼女が、私をののしる。
「こらー! 何やってるんだー!」
スタジオの警備員が、騒ぎを聞きつけて駆けつけてきた。
「マズイ! 逃げるよ!」
彼女たちはポットを投げ捨てると、脱兎の勢いでその場から立ち去った。
「うわ、君どうしたの! 大丈夫? ひどいなあこりゃ」
ずぶ濡れの私に、警備員が手を貸して起こしてくれる。
「…大丈夫です」
立ち上がった私は、心配そうな警備員にそう言うと、スカートとエプロンを
ギュッと握り、したたるコーヒーを絞り落とすと、出入り口へと歩き出した。
膝がガクガクと笑っていた。気を入れないと歩くことすらできない。
それでも私は、スタジオへと向かった。

スタジオに入った私の姿に、応対に出たカメラアシスタントが声を上げる。
「どどどどうしたのその格好!」
「外でで転んでしまって、お持ちしたコーヒーをこぼしてしまいました」
感情が口に伝わらず、抑揚のない声で、私は答えた。
「すぐ代わりをお持ちしますので、少しお待ちいただけますか?」
「それはいいけど、こぼしたって…そう言う風には見えないけど…」
「…本当です。私のミスです。すみませんでした」
そう言って、私はアシスタントに頭を下げた。そのときだった。
「…お…前」
聞き慣れた低い声が、耳に入る。
頭を上げた私の視線の先に、唖然とした表情で私を見つめる、珪がいた。
「…失礼します!」
珪に見られてしまった。どうしていいか分からなくなって、私は逃げるように走り出す。
「…待てよ!」
珪が、私の手をつかんだ。
419王子×主人公・標的 13:02/07/14 02:37 ID:RRhVibqJ
「ヤ…! 放して!」
私の言葉を、珪は無視する。
「…すいません、すぐ戻ります…5分、いや10分、休憩ください!」
珪はスタッフにそう告げ、返事も聞かずに私の手を引いてスタジオを離れた。
連れて行かれた先は、珪の控え室だった。
珪はドアの横の簡易シャワールームへと、私を押し込んだ。
「…とりあえず、それ、流せ」
部屋の奥に置いてあった部屋着を取ると、私に手渡す。
「…シャワー浴びたら、それ着て待ってろ…。後で服、用意するから」
「店に…戻らなくちゃ」
「…ダメだ。今日はもう行くな」
「だって!」
「…そんな格好で戻ったら、店長だって心配するだろ…!」
確かにそうかもしれない。そう思ったら、私の抵抗も消えた。
「…店には、俺が連絡するから。だから、待ってろ…頼むから」
険しい表情で、だけど珪は懇願するような声で言った。
「…仕事、2時間くらいで終わると思う…多分」
そして、珪はスタジオに戻っていった。

シャワーを浴びて着替えると、珪を待った。
体の芯から震えが湧き出る。私は無意識のうちに、自分の腕で自分の体を抱きしめていた。
「…俺。入るぞ」
しばらくして、仕事を終えた珪が戻ってきた。
「…メンズだから、大きいかもしれないけど」
撮影用の服を買い取ったのだろうか。シャツと細身のノータックパンツを手渡された。
ダブダブのシャツとパンツに、体を通す。
着替えが終わると、珪はその手で私の肩を、強く抱き寄せた。
420王子×主人公・標的 14:02/07/14 02:38 ID:RRhVibqJ
珪に抱え込まれるように、私は控え室から連れ出され、スタジオの出入り口へと向かった。
「ダメだよ珪、外には、みんながいるよ…」
珪は私の言葉を無視して、出入り口へ向かう。
「見られちゃうよ…ねえ珪!」
「…構うな」
出入り口の自動ドアが音を立てて開く。外にはやっぱりファンが待っていて、
珪の姿を確認すると、キャアキャアと黄色い声を上げた。その中に、彼女たちもいた。
私はとっさに、両手で顔を覆う。前が見えなくて、ちょっとした段差に足を取られ、よろける。
そのたびに珪は、腕に力を入れて私を支える。それははたから見れば、恋人同士の抱擁にも見える。
「いやぁ! 珪、そんなことしないでぇ」
「何なのよぉ、その女ぁ」
嬌声に混じって、そんな叫びが聞こえる。寄ってくるファンをすべて無視して、珪は通りへと出ると、
タクシーを拾って私を押し込み、そして自分も乗り込んだ。
「…みんな追ってきちゃうよ…珪」
「…気にするな」
「バイクは…珪の」
「…後で取りに行く」
「珪…ダメだよ…ねえ!」
「いいから、黙ってろ!」
戻りはじめた感情がセーブできない私に、珪が怒鳴る。
けれどその手は、ずっと私の手を握って放さない。
捕まれた手の温かさに、私の心は少しずつ落ち着きを取り戻し、震えもだんだんと消えていく。
「…少し、走るぞ」
マンションよりもかなり手前でタクシーを降りると、珪はそう言って手をつないだまま、
夜の街を駆け出した。
跡を付けてきた数台のタクシーも同様に停まり、降りてきた人影が私たちを追う。
珪は細い筋を巧みに廻って彼女たちを撒き、私たちが帰り着く頃、後ろには誰もいなくなっていた。
「…悪かったな、思いっきり走らせた」
息を切らせて部屋に入ると、珪はそう言って、私をソファに座らせた。
そして珪はその横に座り、私の顔を自分の方に向かせると、静かな声で言った。
「…教えてくれ。何が…あったのか」
421王子萌えヘタレ:02/07/14 02:39 ID:RRhVibqJ
今日はこの辺で・・・。明日ガム張ります。
何やってるんだろう、漏れ(w。
422先生萌え:02/07/14 02:41 ID:Biz8s87Q
……やっぱ、サイトって知りたいものですか?

(((( ;゚Д゚)))ドウシヨウ…
さ、サーチで見つけて。(登録するな)
423名無しさん@ピンキー:02/07/14 02:42 ID:oQFSIcOQ
>421
そ、そんな(;´Д`)
生殺しです・・・神様、明日まで待てとおっしゃるのですね・・?
もう待ちきれない・・・(;´Д`)ハァハァハァッ
424インデックス職人:02/07/14 02:43 ID:rIaelKap
この前のインデックスは>>353です。

先生
>355>356>357(>>355-357)
わたぽん
>365>367>368>369>370>371>372>373(>>365-373)
バイト
>387>388>389>390>391>392(>>387-392)
バカVSバイト
>397>398(>>397-398)
王子
>327>328>329>330>331>332>333>334>335
>416>417>418>419>420(>>327-335>>416-420)

>413さんもおっしゃってますが、とにかくココやら2chと
派生のしたらば等だけでなく、素敵サイト様が増殖してるので
追いかけるのが大変ですね…幸せな悩みですが。
425名無しさん@ピンキー:02/07/14 02:43 ID:XCZEnBrL
神よ、ありがとう!!去っていかれる前にこの思いが届きますように。
とっても切ないし、胸がキュってなりますた 
この主人公カワ(・∀・)イイ! 助けてあげたい! 
おっかけの子達の悪者ぶりも萌えましたv

続きがとっても気になりますが、
明日への希望を戴けたと感謝していまつ!!
426名無しさん@ピンキー:02/07/14 02:58 ID:kMwmC10i
>王子萌えヘタレ様
明日までいい子で待ってますので、よろしくおながいします!
どうでもいいですが、ヘタレを変換したら屁垂れと出てしまい
萎えた‥‥
427名無しさん@ピンキー:02/07/14 05:24 ID:xd/u1uTY
>>王子萌えヘタレ様
かなりよかったですyo!
追っかけがリアルちっくでドキドキしますた。
続き、楽しみにしてます。
428名無しさん@ピンキー:02/07/14 07:52 ID:YMPKnPDk
>422
し、しししししし知りたいですyo!とっても!(;´Д`)ハァハァ
血眼になって探すのは必死です(w
429428:02/07/14 07:53 ID:YMPKnPDk
必死じゃなくて必至だった…鬱。
430渉SS職人:02/07/14 08:13 ID:+hbwny5W
>>王子萌えヘタレ様
毎回楽しみです。
すごくドラマチックですよ。
431渉SS職人:02/07/14 11:00 ID:TsE69ysD
今だれもいない?
“出会い”シリーズ書きますよ。
いいですか?
432出会い〜桜弥1/2:02/07/14 11:01 ID:TsE69ysD
 ゲームでもしようかなあ。
 今日はどれにしよう……。
 あ……。
 これ……、中学生になったばかりの頃に買った恋愛シミュレーションだ。
 懐かしいなあ。あの頃は夢中になってやったっけ。恋愛というものに、
言葉に憧れて……。
 僕も、その設定の年齢になっちゃったんだよね。そういえば……。
 出会いのシーンに毎回どきどきしたりして。
 出会い、か……。
 今日、図書室で出会った子。
 氷室先生の宿題が解けなくて、すごく困っていた様子だった。
 僕はちょうど解いたばかりだったから、手を貸してあげた。そうしたら、
すごく驚かれちゃった。氷室先生が作られた問題は難しいって評判だったから……。
僕には良い力試しのつもりだったのだけれど……。
 こんな出会い、ずっと憧れていた。
 僕のほうから女の子の友だちを作る、なんてこと、今までの僕では考えられな
かったこと。
 でも、今日の僕はちょっと違っていた。
 困っている彼女を見て、声をかけずにはいられなかったんだ。
 ううん、違う。
 きっと、彼女だったからだと思う。
 彼女には、そんな雰囲気があるんだと思う。
 これから、彼女とちゃんとした友だちづきあいができるだろうか。
 できれば、そう望む。
433渉SS職人:02/07/14 11:02 ID:TsE69ysD
ああっ。
間違えて途中からカキコしちゃった。(泣)
上のはあぼーんして、次から改めて読んでください。
スマソ。
434出会い〜桜弥1/2:02/07/14 11:03 ID:TsE69ysD
 ふう。
 宿題も終わった。明日の予習も終わった。入試対策の今日のノルマも
終わった。
 ゲームでもしようかなあ。
 今日はどれにしよう……。
 あ……。
 これ……、中学生になったばかりの頃に買った恋愛シミュレーションだ。
 懐かしいなあ。あの頃は夢中になってやったっけ。恋愛というものに、
言葉に憧れて……。
 僕も、その設定の年齢になっちゃったんだよね。そういえば……。
 出会いのシーンに毎回どきどきしたりして。
 出会い、か……。
 今日、図書室で出会った子。
 氷室先生の宿題が解けなくて、すごく困っていた様子だった。
 僕はちょうど解いたばかりだったから、手を貸してあげた。そうしたら、
すごく驚かれちゃった。氷室先生が作られた問題は難しいって評判だったから……。
僕には良い力試しのつもりだったのだけれど……。
 こんな出会い、ずっと憧れていた。
 僕のほうから女の子の友だちを作る、なんてこと、今までの僕では考えられな
かったこと。
 でも、今日の僕はちょっと違っていた。
 困っている彼女を見て、声をかけずにはいられなかったんだ。
 ううん、違う。
 きっと、彼女だったからだと思う。
 彼女には、そんな雰囲気があるんだと思う。
 これから、彼女とちゃんとした友だちづきあいができるだろうか。
 できれば、そう望む。
435出会い〜桜弥2/2:02/07/14 11:04 ID:TsE69ysD
 でも、父さんは僕に女の子の友だちができることを好ましく思わない
だろうな。
 今までだって、数少ない友だちを家に招待したら、すごく怒ったもの。
 父さん……。
 僕だって、もう高校生です。
 自分の人生の指針を自分で決めたっていいじゃありませんか。
 どうして、そんなに怒るのですか?
 わかってる。
 たった一人の息子ですものね。跡を継がせたい気持ちはわかります。
 でも、僕は。僕は……。
 あ……。
 ごめんね、お花さんたち。
 僕がこんなふうにいらいらしていたら、あなたたちまで元気をなくしちゃい
ますね。
 しっかりしなくちゃ。
 もっと楽しいこと考えなくちゃ。
 楽しいこと……。
 あれ?
 彼女の顔が浮かぶ……。
 僕、ひょっとして……。

終了。
436出会い〜和馬1/2:02/07/14 11:05 ID:TsE69ysD
 あー、いい風呂だった。今日の疲れも汗もさっぱり流したし、さて、寝るか。
 あん?
 何か忘れてるような……。
 あ、宿題だ。
 めんどくせえなあ。あんな難しいモン、俺みたいなバカにわかるかっての。
 ま、いっか。明日の朝、誰かのノート借りて写させてもらうとすっか。
 でも、朝は自主トレするって決めてるしなあ。
 俺にとっちゃバスケのほうが大事だけどよ、せっかく高等部に上がれたのに、
年度末になって留年、なんてことになったら、さすがに親も泣くだろうしな。
 仕方ねえ、明日だけは我慢すっか、練習。
 あ。練習で思い出した。
 今日、会ったあいつ。
 今日から女バスに入部したって言ってたっけ。
 今日から入ったってわりには根性もすじもありそうな感じだったな。
 まあ、うちのレベルじゃアレだけど、頑張ってくれって感じだな。
 もちろん、男バスは俺が全国大会に引っ張っていくけどよ。
 そう、俺は一年でレギュラーに抜てきされた。
 とは言っても、あのメンバーの中じゃ、当然だよな。俺、強ええもん。
点取れるもん。
 みんな、俺についてこい、ってもんだぜ。
437出会い〜和馬2/2:02/07/14 11:05 ID:TsE69ysD
 にしてもだ。
 あんの監督(ヤロー)、いつもいつもうるせえんだよ。俺が何したってんだ。
何かとつけては俺を怒鳴るしよ。俺にどうしろってんだ、全く。
 俺、バカだから、はっきり言ってくれなきゃわかんねえっての。
 俺にはオブラートは通用しねえよ。察してくれ、なんて無茶言うなよな。
 言いたいことがあるなら、はっきり言え。
 ……。
 そうだよ、はっきり言ってくれ。
 俺のためになることなら。
 俺自身が気づいてないことが原因でバスケがダメになるんだったら……。
 俺からバスケを取ったら何も残らないから……。
 あいつは、バスケ以外にもいろいろ知ってそうだな。なんかそんな気がする。
 ……ってぇ、何で今日会ったばかりのあの女のこと考えてんだよ、俺は。
 どうかしちまったのか、俺は?
 こんなもどかしい気持ち、初めてだせ。
 まあ、考えても今日解決するわけでもねえしな。
 今日もさっさと寝るか。

終了。
438出会い〜まどか1/2:02/07/14 11:06 ID:TsE69ysD
 やっぱり、オレに合ってるみたいやな、ガソリンスタンド。
 あそこでバイトすることが決まって、ホンマ、よかったわ。
 これから、しっかり働いて、しっかり稼がんとな。生活費がかかってる
んやし。
 せや。オレは、オヤジの力なんていらん。
 オレひとりの力で生きていくんや。
 それには、オフクロが残してくれた貯金だけじゃ足りん。自分でも稼がんと。
 そんでもって、将来はオレ自身の手で会社を起こしたる。
 オヤジ、キッチリ見とけや。
 あ、あかん。
 またオヤジのこと考えてしもた。
 まだ親離れしとらんようやな。
 あんなに決意固くしたはずやのに……。
 ま、ええわ。別のこと考えよ。
 そうそう、女の子のこと。それにしよ。
 この学校には、かわいい女の子がぎょーさんおる。
 毎日、新しい出会いが待ってる。
 今日、声をかけた子は、前から男子どものあいだでウワサになってた子や。
 オレは、今日初めてちゃんと顔を見たけど、ホンマ、ウワサどおりかわい
かったな。
 これからもっと仲良くなれたらええな。
439出会い〜まどか2/2:02/07/14 11:07 ID:TsE69ysD
 でも、あんだけかわいかったら、もう他の男の手がかかってるかもしれん
なあ。
 いや、そうでないとあかん、女の子は。
 いつでも輝いてるからこそ、かわいいんや。だからこそ、男どもがほっとか
んのや。
 でも、まだあの子は原石や。
 ホンマのかわいらしさを自覚しとらん。
 その手伝いを、このオレがしてやる、っちゅうのはどうやろ。
 きっと、ええオンナになるやろな。誰もが振り向くええオンナに……。
 あ、あかん。
 それじゃ、ライバルが増えるやんか。
 あかんあかん。
 とりあえず、様子見とくか。
 あの子自身が、どんなふうにしてええオンナになるか……。
 そして、オレ好みのオンナになったら、アタック開始しよか。
 あ、でも、その前に他の男に獲られたらどないしょ。オレ、後悔するかも
しれんなあ。
 とりあえず、オトモダチから始めておこう。
 おう、それがええ。
 よっしゃ、まずは、帰りに会うたら声かけてみよ。
 明日、会えたらええなあ。

終了。
440出会い〜色1/2:02/07/14 11:08 ID:TsE69ysD
 マミー。
 今日のディナー、とても美味しかったよ。
 お弁当も美味しかったよ。
 もちろん、朝ご飯も美味しかったよ。
 マミーの息子に生まれて幸せだよ、ボクは。
 だって、こんなに美味しい料理を毎日食べることができるんだもの。
 マミーがいるからこそ、ボクは安心して芸術活動に取り組めるんだ。
 ありがとう、マミー。
 あ、そうだ、マミー。
 今日ね、とても素晴らしいことがあったんだよ。
 美を解する女の子に出会ったんだ。
 彼女はもしかしたら、美の申し子かもしれないよ。
 ボクの勘だけどね。
 でも、きっとそう。
 彼女には、才能がある。
 だって、あんなに素晴らしい絵を描く子だもの。あんなに素晴らしい色遣い
をする子だもの。
 きっと、素晴らしいセンスの持ち主なんだ。
 ボクのことを見てもあまり驚いた様子を見せなかったけれど……。
 わかるよ。
 きっと、心の内では驚いてた。
 あの、三原色に会えた、ってね。
 今日のこの出会いのことは、ボクの心の引き出しに閉まっておくとしよう。
 いつか、宝物になるかもしれない……。
 そんな気がするんだ。
441出会い〜色2/2:02/07/14 11:08 ID:TsE69ysD
 予感だよ。
 せっかくの予感を無駄にしたくない。
 ボクの貴重な時間の隙間に起きた、予期しなかった出来事だもの。
 きっと意味があるはず。
 だから、いつか宝物になる日のために、そっと閉まっておくよ。
 その日が、少し楽しみだよ。
 あっ。
 ごめんね。
 美のミューズたち。
 キミたちのことを無視してしまって。
 忘れていたわけじゃないんだよ。
 待ってて。
 今すぐ始めるよ。
 昨日の続きを。
 ……いやだな。
 どうしたんだい?
 あれだけボクを急かしていたくせに、ボクがその気になった途端にそっぽを
向くのかい?
 しょうがないね。
 キミたちを嫉妬させてしまったようだね。
 今日のボクは少しおかしいみたいだ。
 そういえば、もう時間も遅い。
 お肌にもよくないから、もう寝るとするよ。
 おやすみ、ミューズたち。
 おやすみ、マミー。
 そして、おやすみ。今日会ったレディー。

終了。
442渉SS職人:02/07/14 11:10 ID:TsE69ysD
うわあ、突っ走ってます。
他の真面目なキャラ萌えさんたちがいるのに、
このような作品出してしまってよいのでしょうか。
とりあえず、これで“出会い”シリーズ六人っと…。
443名無しさん@ピンキー:02/07/14 12:08 ID:+NL+CeMj
すいません、なんか突然失恋ものが書きたくなったので、ウPしても
よろしいでしょうか・・・。
初めに断っておきますが、モリリン不幸話です。
幸せじゃない、純情じゃないモリリンが厭な方いらっしゃると思うので、
お手数ですが、ずずいと飛ばしちゃってください。
ごめんなさい・・・(;´Д`)
444散花:02/07/14 12:09 ID:+NL+CeMj
それは、まるで、花、だった。


「・・・・・っ!」
手の平に吐き出された自らの欲望の液を僕はぼんやりと見た。
それなりの年頃になって、自らの身体を慰めることを覚え、その行為に対しての後ろめたさは
殆ど、消えていた。
行為自体は男としてある種の生理現象だということを知っていたから。
けれど・・・最近、行為によって生まれるのは決まって多大な、嫌悪感と羞恥心だった。
そして、絶望にも似た罪悪感。それは行為自体ではなく、その行為の中で繋がるある人物の
姿に、対して。
彼女のことを、僕の中で単なる友人として見れなくなってしまったその瞬間から、僕はこんな風
に何度彼女を汚したことだろう。
可憐で優しくて、その笑顔はまるで、花のようだった。
大切にしたい。大事にしたい。そう想っているのに。
僕の妄想という醜い世界の中では、彼女は僕の思いのままだった。
けれども、行為が終われば僕に降りかかるのは、泣きたくなる程の虚しさだけだ。思い通りになる
のは、僕の妄想の世界の中だけで、刹那の後の現実には、何も無い。
それが彼女に対しての冒涜でしかないことは判り切っていたけれど。
けれど、僕は他に慰め方を知らない。彼女を思うことで自らの身体を抱きしめることくらいでしか、
この僕の感情を抑える術が無かった。
行為後の始末を終えると、僕はベットに寝転んだ。
全身に漂う気だるさに、深く溜息を吐くと目を閉じる。
夢の中で、彼女の花のような笑顔に逢えるように、祈りながら。
445散花:02/07/14 12:10 ID:+NL+CeMj
いっそ気付かないほうが幸せだった。

彼女との初めての出逢いは何とも自分らしいといおうか、図書室だった。
宿題に頭を悩ませていた彼女は、自分では無意識らしく愚痴を零して、子供のようにノートと
睨めっこをしていた。
そんな彼女の様子が、可笑しくも、可愛らしくもあり、僕はつい声を掛けてしまった。
それから僕は彼女のことをいろいろ知った。
勉強もスポーツも何に対してもいつも一生懸命で。
大人しそうな外見なのに、実は案外気が強いところもあって。真面目かと思えば、偶に突然
思わず笑ってしまいそうになる程不思議なことを云い出したりする。
けれど、本当は人の気持ちを思いやることの出来る、とても優しい人で。
どんな時でも曇ることのない、その笑顔は、まるで花、みたいだと思った。
他人のことには無関心でいることの多い僕な筈なのに、彼女の前だけでは別だった。
彼女のことが知りたい。そう切に感じて、実際に知ることが出来た。・・・だからいちばん
知りたくもないことまで気付いてしまった。


・・・彼女が、僕ではない他の男を見ていることを。
446散花3/5:02/07/14 12:13 ID:+NL+CeMj
「守村くん、何読んでるの?」
突然降りかかった声に、慌てて顔を上げると、目の前には彼女がいた。
「・・・あ、これですか?只の参考書ですよ」
僕は慌てて本を閉じると鞄に仕舞った。
「一緒に帰らない?」
そう云っていつものように笑う彼女と、昨晩の行為でのことが重なって、僕は胸に痛みを覚えた。

「もうすぐ・・・卒業だね」
帰り道、彼女は少し寂しそうに呟く。
「そうですね・・・3年間いろいろなことがありましたね」
「うん・・・あっというだね。でも楽しかった」
「ええ・・・僕も」
あなたのおかげで、という言葉は呑み込んだ。もしも実際に言葉にしても、あなたはいつもみたい
笑ってくれるだろうか?
ゆっくりだった彼女の歩調が突然、止まった。
「ねえ・・・守村くん、少し公園に寄って行かない?聞いてほしいことが・・・あるの」
今まで見た覚えがない彼女の真摯で、それでいて切なげな表情。
・・・彼女が何を云いたいのか、僕はなんとなく判っていたけれど。
こんな時でさえ、彼女に嫌われたくないと切に願う自分はその申し出を断ることなど出切る筈が
無かった。
447散花4/5:02/07/14 12:14 ID:+NL+CeMj
夕暮れの小さな公園には、僕達以外の影は無かった。
公園という本来なら子供達が騒ぐ場所に、そのざわめきが無いだけで、まるで別の空間のようだ
と錯覚さえ覚えてしまう。
僕達は、大分古くなったベンチに腰掛ける。
「・・・何ですか?僕に聞いてほしてことって・・・」
似つかわしくない沈んだ表情のままの彼女を僕はそう云って促した。
その先は、もう知っていたけれど。
「・・・あのね、守村くん、私、好きな人が、いるの」
「・・・・・」
知っていた。知っていたけれど。
狂おしい程に痛み出す心を抑えることは、出来なかった。
「・・・そう、なんですか・・・」
僕は今、普通に話せているのだろうか。そう思いながらもそれだけを言葉にするので精一杯だった。
「・・・うん。その人ね、凄く優しくて一緒にいると楽しくて、女の子にも凄くもてるんだ」
そう云いながら、照れ臭そうに彼女が紡いだ男の名前は、僕が思っていた通りの人物だった。
「もうすぐ卒業でしょ。だから今までみたいには彼と会えなくなっちゃう。本当は告白したいんだけど・・・
怖くて」
今、彼女はその男のことを考えているのだろう。静かに言葉を続ける彼女は切なげで・・・綺麗だった。
448散花5/5:02/07/14 12:16 ID:+NL+CeMj
「怖い?何故ですか?」
僕は何を。
「だって!もし断れたりしたら、もう彼とは友達でもいられなくなっちゃうかもしれないんだよ!?
そう思ったら怖くて!だったらこのまま何も云わず友達のままでいた方がいいのかなって・・・」
溜めていたものが爆発したかのように彼女は早口に言葉を続ける。
「あなたはそんなに弱い人だったんですか?・・・違いますよね。僕の知っているあなたは誰より優しくて
・・・強い人です」
何を、云っているのだろう。
「・・・守村くん・・・」
頭が、痛い。
「怖がっていては何も出来ませんよ。このまま何も云わず卒業してしまえばあなたはきっとずっと後悔
することでしょう」
舌が、腐りそうだ。
「大丈夫。あなたならきっと。・・・勇気を出してください」
あまりに、自分が滑稽過ぎて、僕は今にも笑いだしそうだった。
「そう、だよね・・・守村くん、なんか私頑張れそうな気がしてきた!」
吹っ切れたように彼女は、いつものように明るい声を上げ、それから気がついたように携帯電話を
取り出してそれに目を落とした。
「やだ!もうこんな時間!急いで帰らなきゃ」
そう云って立ち上がった彼女は、迷いの表情は消えていた。
「ごめんね・・・守村くん、こんな時間まで。でも、ありがとう」
「いえ・・・お役に立てて・・・僕も嬉しいです」
「ほんとにありがと。また明日ね」
ひらひらと手を振る彼女。
・・・いつもと同じ、花のような笑顔で。
「はい・・・それでは」
永遠の花はありえない。いつかは散って消えていく。
そしてまた、僕ではない別の男の為に美しい花となるのだろう。
「バイバイ、守村くん」
あなたは。
「・・・さようなら」
あなた、は。






完。
449渉SS職人:02/07/14 12:36 ID:3W9/kP1B
>>444-448
私はいいと思いますよ。
もりりん、切ないです。
450長いレスでスマソ。保管人:02/07/14 15:47 ID:52YsEtQP
なが━━━━━(゚∀゚)━━━━━━いことお待たせしました。
やっと、保管庫にエロスレ1のSSをうp終わりました。オワッタハズデツ…

感想掲示板とかも付けましたんで、
あの時の神SSに感想言いたいぞ( ゚Д゚)ゴルァ
神様に感謝をお伝えしたいぞ( ゚Д゚)ゴルァ

と、言う方はご利用ください。

SSを執筆してくださっている神様たちと
最後に私の犯したミスの数々を指摘してくださった方にお礼を申し上げます。
これからもよろしくお願いしまつ!   
451名無しさん@ピンキー:02/07/14 16:00 ID:RRhVibqJ
倉庫の神様! 乙です! 本当にご苦労さまでした。
感謝の念を込めて…愛してるわ(゚Д゚)ゴルァ!!
452名無しさん@ピンキー:02/07/14 16:49 ID:eUknhX2g
お疲れ様ですーっ!!
ああこれで落ち着いてスレ1の時のSSたちに逢いにいけるのね。
大感謝。
453てんてー萌え(;´Д`)ハァハァ:02/07/14 18:07 ID:ya6JhENO
倉庫の神様、お疲れ様です!
神様のおかげでまとめて読めて嬉しいです。


相手はご自分のお好きなキャラを当てはめてください、
って感じの、妙な駄文を書いてしまいました。
アプさせてください。
454痛み。:02/07/14 18:07 ID:ya6JhENO
あなたの事を想うと、胸の奥のやわらかい所が
締めつけられるように、痛い。

私たちの関係はひどく不安定で、不確定のまま。

何度目かのデートでカラダの関係になってから、もう随分とたつのに、
あなたの本当の気持ちが、まだわからずにいる。

抱き合っている時でさえ「好き」とか、
まして「愛してる」なんて、言葉に出せない。
本気なのは私だけだと笑われてしまいそうで。


……怖い。


あなたはとても魅力的だから、
私だけじゃなく、他の人ともこんな関係なのかもしれない。
そんなの嫌なの。

私だけを見て。
夢中になって私なしでは生きられないなんて陳腐なセリフを
真顔で言うくらい私に狂って学校でも家でも私を想って頭が
おかしくなるくらい全てを私に捧げて私があなたにそうするみたいに。


あなたにも、この痛みを。
455てんてー萌え(;´Д`)ハァハァ:02/07/14 18:08 ID:ya6JhENO
SSというのを1度書いてみたくてアプしてしましました。
ワケワカラナクテすみません・゚・(ノд`)・゚・
今度はキャラ名出るようなのを書いてみたいでつ。
456名無しさん@ピンキー:02/07/14 18:09 ID:Mtqf6TSm
>倉庫神様
お疲れ様でした!
倉庫の神様のおかげでSSの神様方の輝かしいお宝を
いつでもゆっくり読めるようになって大感謝です。
それでは(;´Д`)ハァハァいってきまつ。
457名無しさん@ピンキー:02/07/14 18:10 ID:/qCwp1zl
倉庫の神様、心から乙!ですー!!!
コレでいつでもハァハァできるのでつね‥‥(;´Д`)

渉SS職人様>出会いシリーズ、良かった!でつ。特にバカ編が‥‥
458渉SS職人:02/07/14 20:20 ID:zRrhpmUQ
>>457
わーい。誉められた(^o^)
ありがとうございます。

倉庫の神様、お疲れ様ッス。
もうすでに2スレ目も半分来ちゃいましたが、
これからも頑張ってください。
459名無しさん@ピンキー:02/07/14 20:29 ID:No7/mBNs
あっちの18禁的妄想スレの方で、ここの事?について話し合い中?
お暇な方見て意見下さい。
460名無しさん@ピンキー:02/07/14 21:31 ID:/qCwp1zl
>459タン
力いっぱいヒマなんで意見いいにいったYO!
461名無しさん@ピンキー:02/07/14 22:49 ID:GLirtZpK
倉庫の神様本当にありがとうございます。おかげで好きなときに神たちの
SSがみれて毎日(;´Д`)ハァハァできます!!
462バカ子:02/07/14 22:55 ID:R68H/Eua
倉庫神!乙です!
これで神達の素敵小説がいつでもゆっくり見れると思うと(;´Д`)ハァハァ

昨日のバカとバイトのお話書いた者なんでつが、続きっぽいの書いたので
うpしまつ。
感想下さった方、ありがとうございまつ!
463いちごミルク1:02/07/14 23:00 ID:R68H/Eua

「それでね?この問題はこの公式を使って・・・」

ライバル宣言から約3ヶ月。
またやってきた期末テスト。
補習はなんとしてでも免れたい和馬とまどかは彼女に勉強を教えてくれと
頼み込んだ。
誘ったのはまどかだったのだが。
「今日の放課後あのことふたりっきりで勉強なんや。」
「てめっ、抜け駆けすんなっつったのはてめぇの方だろ!」
「おう、だからおまえに言いにきたんや。一緒にくるか?」
「当たり前だ!!」
ふたりきりなんかにするものか。
放課後、和馬はノートとテキストとペンケースを持って、彼女のクラスに行く。
「あ。鈴鹿くんもなんだよね。私教えるの下手だけど、よろしくね。」
そう言って彼女は笑う。
「お、おう・・・」
彼女の笑顔は反則だ。
胸の鼓動がなかなかやまない。
「は〜〜〜い。そろそろ席についてくださ〜〜い」
彼女の前にまどかが出てきて、ニヤニヤと笑いながらそう言ってくる。
一気に気分が悪くなる。
やっぱりふたりきりなんかにさせなくて良かったと和馬は心底そう思うのだった。
464いちごミルク2:02/07/14 23:02 ID:R68H/Eua
放課後の教室で3人はテストの中でも一番難解とされる、氷室の問題対策をしていた。
「氷室先生は応用問題出すの好きだから、このへんとかやっておいた方がいいかもね。」
テキストに大きく丸印をしながら、彼女は二人に説明をする。
だが、当の二人は問題よりも、初めて近くで見る彼女の顔に夢中だ。
遠くからでもぱっちりして見えるほどの大きな目、長い睫毛、桜色の頬。小さくてぷくっとしている桃色の唇。
ほのかに香る甘い女の子特有の匂い。
説明を聞くふりをしながらちらちら盗み見ている和馬。
問題などには見向きもせずにただじっと見つめているまどか。
今の彼たちに勉強などは到底無理である。
「・・・?ね。聞いてる?二人とも」
ふっと顔を上げて彼女が二人に聞く。
「へ!?あっ、き、き聞いてるぜ。」
「き、聞いてる、聞いてる。めっちゃ分かり易いで!」
二人はだらしなくぼけっとした顔を慌てて引き締めて作り笑いで彼女に言う。
「本当〜?飽きちゃったんじゃないの?」
彼女はそう言いながら紙パックのいちごミルクをストローですする。
「飽きないって、全然。自分、教え方、ほんと上手いわ〜」
まどかは、テキストをまじまじと見つめながらふんふんと頷く。
「ならいいけど・・・。あ。いけない!ごめん。ちょっと職員室行ってくるね。」
プリント提出するの忘れたと言いながらぱたぱたと彼女は教室を出て行った。
「・・・駄目だ。俺。勉強なんかできねぇ!!」
頭を机に押しつけながら和馬はう〜と唸る。
「俺もや・・・。ほんま、むっちゃ可愛いわ・・・。」
ばさっとテキストを机に置きながら二人は改めて自分たちがどれほど重症なのかを知る。
まどかはふと机を見るとそこには彼女の飲みかけのいちごミルク。
いけない考えが頭をよぎる。
465いちごミルク3:02/07/14 23:03 ID:R68H/Eua
「なぁ・・・」
「あ?」
「あれ飲んだら、間接チューになるよなぁ・・・」
「!!!」
にんまり笑いながらいちごミルクに手をかけようとするまどか。
「ばっ、ばかやろう!!変なことするんじゃねぇよ!!」
和馬は慌ててそれを阻止しようとする。
「ええやん。ちょっとくらい。あ。俺の後なら飲んでもええで。」
「ふざけるな!!」
いちごミルクを片手に二人は暴れる。
「ちょっと、二人とも何してるの!?」
その時、職員室から帰ってきた彼女は、暴れている二人を慌てて止める。
「あ、いや・・・。これは、その、なぁ?」
「お、おう・・・・。ち、ちっと・・・な。」
「ん?それって私のいちごミルク・・・」
必死に言い訳を考えていた二人の手に握られているのは彼女の飲みかけのいちごミルク。
「ち、違うんだ、これはっ・・・」
「・・・そんな喉乾いてたの?二人とも。」
ふふっと笑って後ろから両手を出す。
「はいっ。牛乳とカフェオレ!途中で気が付いて買ってきたの。」
買ってきてよかったと言いながら二人に渡す。
466いちごミルク4:02/07/14 23:04 ID:R68H/Eua
「あ・・・ありがとさん・・・」
「サ、サンキュ・・・」
二人は呆気に取られながらそれらを受け取った。
にこにこしながら彼女は二人の持っていたいちごミルクを取り飲み干す。
「さ。残りの問題やっちゃおう。」
席に戻った彼女を見た後二人は目を合わせて苦笑した。
「あ。それともいちごミルクがよかった?あんな暴れるほど好きだったんだもんね?」
彼女は、気が利かなくてごめんねと言いながら、またテキストに目を戻す。
「ああ・・・。せやな・・・。めっちゃ大好きや。」
「・・・俺も…すっげぇ好きだ。」


((おまえが))





それから真面目に勉強した二人は奇跡的に補習を免れた。
同点同位だった二人はいちごミルクをすすりながらテストの結果発表の掲示を見ていた。
「ま。今回は引き分けやな。」
「おう。次は負けねぇ。」
笑い合いながら、次なる勝負に闘志を燃やす、恋する男児二人であった。
467バカ子:02/07/14 23:07 ID:R68H/Eua
関西弁を理解してなくてすいませ・・・!
バイトは王子とライバルっぽいですが(それも大好きでつが!)
バカとライバルってのもモエでつ。
また続編書けたら書きたいでつ!
おそまつさまですた。
468渉SS職人:02/07/14 23:14 ID:4pyWSLaj
面白かったですよ。
絵が浮かびました。
主人公タンの天然っぷりも好きです。

さっき“出会い”のてんてー編考えてみたんですが。
うう。難しい。
てんてーSS職人のみなさま、すごいです。
469名無しさん@ピンキー:02/07/14 23:15 ID:K9s0vxSl
また神がキタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━!!
ありがとうございます!
牛乳好き男とコーヒー好き男にいちごミルク攻撃とは!

そういえばゲーム中の買い物帰りイベントで
バカとバイトが補習帰りの気晴らしにカラオケ行く・・っていうのがあるんですよね。
バカってばカラオケ下手なのに・・とちょっと心配してみたり
ビミョウにスレ違いスマソ・・
470469:02/07/14 23:16 ID:K9s0vxSl
上げてしまいました・・
チョーカーで首吊って逝って来ます・・
471名無しさん@ピンキー:02/07/14 23:36 ID:5+qF5NGh
おお、ライバル宣言の続きが。
カミサマ カン━━━━(゚∀゚)━━━━シャー!!!

渉SS職人神様。
てんてーの出会い編、読みたいでつ。
UPを……UPを…(;´Д`)ハァハァハァハァ …ガクリ。
472渉SS職人:02/07/14 23:47 ID:4pyWSLaj
>>471
では、自信は今までより落ちますが。
明日あたりUPしようと思います。
473376:02/07/15 00:07 ID:Nrve6gIB
>>376ですがそこで予告したとおり前作の手直ししていて
それで続編考えてたのでうpさせて頂いても宜しいでしょうか?
微妙に被ってるので王子萌えヘタレ様がまだ途中なので
うpしたいと言うのは申し訳ないのですが一気に書いたら
続きが浮かばなくなったので取り合えずうpしたいだけなのですが。
反対と言う方がいらっしゃれば差し控えさせていただきます。
474名無しさん@ピンキー:02/07/15 00:16 ID:FACIS2uJ
>>376
そんな遠慮なさらずアップしてください!!
475箱の中の狂気1:02/07/15 00:20 ID:Nrve6gIB
>>474様暖かいお言葉有難う御座います。
取り合えずうpして逃げます。
王子萌えヘタレ様すみませぬ。
王子萌えヘタレ様の作品が好きな方は読まないでスルーしてください。
では、どうぞ。



「ねーねーアンタさー、最近ヤバイ事になってんじゃないの?」
「へ?なっちん、いきなりどうしたの?」
イキオイ良くなっちんが教室に駆け込んだ。
静まり返った教室が急に慌しくなった。
「て言うかさー、アンタインターネット見てるんでしょ?」
「うん、たまに。はばたきネットと花椿先生のコラムくらいしか見ないけど。」
「〜〜〜〜〜っ!もー、何やってんだか。ま、アンタらしいけど。」
なっちんが溜息をつきながら苛つきを見せている。
こんななっちんも珍しいなぁって思いつつぼーっと見てしまっていた。
「まぁいいや。ちょっと何か書くもの貸して。」
「うん?いいけど。」
手帳の切れ端とペンを渡すと一気に何かを書き始めた。
「友達としてさ、出来る事は何でもするからさ。あんたも頑張りなよ。」
「うん。よく分からないけど、ありがと、なっちん。」
「ほら、このHP後で見てみなよ。こんな事教えるのも酷かと思うけど。
でも知ってた方がいいと思うからさ。」
ズキン・・・とした。もしかして・・・。
「なっちん、珪くん・・・の事?」
「まーねー。言っておくけど私はいつでもアンタの味方だからさ。」
「なっちんが味方じゃ俄然勇気が湧いてくるよ。」
「でしょ?アタシとアンタの仲だしね。じゃ、そろそろ時間だから!」
「うん、また後でね。」
476箱の中の狂気2:02/07/15 00:22 ID:Nrve6gIB
バイトの環境も段々劣化してきているのは私も気付いてた。
店長が理解者だから私のやり易い環境をいつでも作ってくれるけど
やはり聞こえよがしにごちゃごちゃ言われるのはね。
『ほら、アレが珪の・・・。』
『全然ブスじゃん。どうやって珪を丸め込んだの?』
『珪も趣味悪いよね。』
ああ、またか。この人達他にボキャブラリー無いの?といい加減突っ込みたくもなる。
珪くんがこの茶店を使って待つ事を禁止にしてくれたらしいけど
勿論そんなの無視って子も多いのは事実だし。
実際ここに来る珪くんのファンが全員追っかけやってる子ではないから
それが伝わるとかって事は100%有り得ない話だったりもする。
この間、珪くんに愛してもらったから。
何となくアレ以来自信が持てたって言うか、何て言うか。
まぁ、この程度ではだいぶ凹まなくなったって言うか。
心と体がひとつになれた安堵感を感じる事が出来たので頑張れるって思える。
柱の時計が軽快な音を奏でバイト終了の時刻を告げた。
「お疲れ様。今日のコーヒー凄い好評だったよ。明後日も宜しくね。」
「ハイ、有難う御座いました。また明後日も頑張ります!お先に失礼します。」
控え室に上がり制服を着替える。制服に袖を通した時に何か紙が落ちた。
(何だろう?)
拾い上げて見ると見慣れたなっちんの文字。
(そう言えばネットがなんちゃらって言ってたっけ。)
珪くん・・・。思い出したら居た堪れなくなった。
早く帰って確認しなくちゃ。
477箱の中の狂気3:02/07/15 00:23 ID:Nrve6gIB
足早に裏口から出て表通りに差しかかろうとした時何やら集団の声が聞こえた。
「ここまでだから、じゃ。」
「葉月くん、お疲れ様でした。」
「お疲れ様、また来るからね。」
(珪くんと追っかけの子だ!このまま表に出られない!!)
危険を察知して速攻店の裏口へと逃げ込んだ。
(う〜ん、暫く帰れなくなっちゃった。どうしよう。)
珪くんはストーカー防止と言って追っかけの子と別れた後は
最低でも10分は追っかけの子はその場に残ると言ってたし。
その後もたむろってるからここから今出たらわざわざ火の中へと
自ら入る事になるしなぁ・・・。足りない頭で考えてみた。
堂々としているのがいいのか、それともこのまま居なくなるのを待つか。
478箱の中の狂気4:02/07/15 00:24 ID:Nrve6gIB
鞄の中から急に振動が伝わって電子音が鳴り響いた。
「はっ、ハイ!」
『葉月だけど。』
「珪くん!?仕事終わったの?お疲れ様でした。」
『おまえさ、まだ店の奥に居るよな?』
「何で知ってるの?珪くんってエスパー!?」
『・・・バカ。走っていくのが見えたんだよ。』
「あははー、見られてた?て、言う訳でまだ帰れてないんだ。」
『うん、見てた。』
「きゃー、恥ずかしいなぁ。」
カチャっとドアの開く音がした。ビクッとして振り返ると
見慣れた顔が立っていた。慌てて携帯を切ってしまった。
「珪くん・・・。どうやってここに?確か帰ったんじゃ?」
「おまえの姿見て大人しく帰れるかよ。まだ店にファンの子居たから
マスターに事情話してトイレに行くフリしてここに入らせてもらった。」
「珪くん、嬉しいよ。あはは、私ってバカだよね。」
「おまえの所為じゃないよ。仕方無い。」
「私、全然考えて無かったよ。今度はちゃんとシフト組むから。」
「気にするなって。マスターにお願いしてファンの子に帰るように言って貰ったから。」
「そんな事して平気なの?」
「ああ、マスターも事務所とかに前から再三苦情出してるから心配するな。」
「そうだったんだ。知らなかった。」
「特に最近は度を越えたものが多いからな。事務所側もファンには手を焼いてるらしい。」
「そんなに凄いの?」
「ああ、特にネットとか・・・あ、何でもない。」
「ネットって、インターネット?そう言えば昼間なっちんにも言われたけど。」
「・・・藤井に言われたのか。もう、忘れろ。」
「・・・分かったよ。」
それ以上は突っ込めない雰囲気を出していたので言葉が出なかった。
「オレ、そろそろ行くから。長居するとあいつらに怪しまれるし。」
「うん、分かった。じゃ、また。私も少ししたら出る。」
「出る時に電話しろよ。角の公園で待ってるから。送っていく。」
「うん。」
「・・・。不安そうな顔するなよ。」
言うのと同時にオデコに珪くんの唇の感触が当たった。
「珪くん・・・。分かったよ。」
小さく手を振って珪くんは休息室から出て行った。
オデコに手を当ててみる。そこだけ妙に熱を帯びている。
珪くんの優しさ。凄く幸せ・・・。
479箱の中の狂気5:02/07/15 00:25 ID:Nrve6gIB
「あ、そう言えば今日はまだメールチェックしてなかった。」
PCを立上げディスプレーをぼーっと眺める。
珪くんの事を思い出してにやけてみたり。傍から見れば可笑しい人かも。
メール1件のアイコンが点滅。なっちんからだ。
『昼間はゴメンネ〜。葉月の事だから手は打ってあると思うから気にするなよ。
しかしアンタが羨ましい!アタシも早く誰かいい人見つけなくちゃ。じゃねー。』
すっかり幸せ気分に浸ってて忘れていたけどそう言えばネットで何に書いてあるって
珪くんもなっちんも言ってたよね。慌てて制服のポケットから昼間のメモを取り出し
URLを入力していく。指先が震えだした。見ない方がいいのかな?
珪くんのあの調子だと知らないなら見ないで欲しいって感じだったし。
でも凄く気になる。うーん・・・。
(珪くんごめん!!)
心で謝ってエンターキーを叩いた。
目の前にはどこにでもある普通の掲示板が出てきた。
あの2人はコレが何だって言うのだろう?
確かに尋常じゃない文字の多さと言えばそれまでだけど。
読むのが怖いと言う気もするけど怖い物見たさも加算される。
「よ・・・よし、見るぞ。私、見ても凹むなよ。」
大きい独り言を言って不安を拭い去った。
1つ1つ、文字を読む。頭の中で足りないピースを探しながら
ジグソーパズルを作り上げていく。
最初は笑って、段々怒って、そして泣けてきて。
フクザツな感情が一気に押し寄せてきた。
『私彼女の方今日ストったけど書いてある事と違うよ』
・・・ストったって事は付けられてたって事だよね?
『あの女が珪に無理矢理言って店での待ち禁止にしたんだよ』
『自分じゃ珪狙いであそこで働いてるクセにむかつくよ』
『今日も撮影が終わった後一緒に帰ってたじゃん』
『珪にあの女の話したバカが居たけど物凄く顔色変えて睨まれてたよ』
『最近手紙以外の受けも断るしあの女何か珪に吹き込んでない?』
『仕切りが事務所から何か言われてたよね。やっぱりあの事務所珪に弱いし。』
延々こんな事が繰り広げられている内容だった。
・・・。なっちんの言葉や珪くんの言いたい事が良く分かった気がした。
480箱の中の狂気6:02/07/15 00:27 ID:Nrve6gIB
「おはよう。おまえ、寝てないの?顔色悪い。」
「あ、珪くんおはよう。ちゃんと寝たよ!ホラ、このとおり。」
ガッツポーズを作って笑ってみたけどちょっと無理みたいだった。
夕べはあの後眠れず1人考えていた。
自分って珪くんに似合ってない女なんだろうな。
あの書き込みも全部が全部否定的なものばかりじゃなかったけど
やはりそう言うのよりも悪く書かれてる方が胸を突く。
「保健室で寝てろ。オレ、先生にうまく言っておくから。」
「やだな、ちょっと体調悪いだけだから気にしないでよ。」
「体調悪いなら余計。ちゃんと寝ろ。オレ付き合うから。」
「自分もそのまま寝るつもりでしょ?」
「正解。昨日の仕事かなりハードだったからまだ疲れ抜けなくて。」
「珪くんには敵わないや。OK。宜しくお願いします。」
「いい子、いい子。先に行ってて。オレ先生に言ってくる。」
「うん。」
昇降口で別れた後保健室へ向かった。
余程青白い顔をしていたらしく保健の先生には帰りなさいと言われたが
珪くんも来るし授業も受けないとって思ったから頑張って適当に理由付けて説得して
とりあえずベッドを借りる事が出来た。無機質な保健室のベッド。
制服がシワにならないように気をつけながらベッドに横たわる。
アスベストの天井を眺めて穴の数を数えてみたりもして。
ゆっくり目を閉じる。朝の所為と蛍光灯の明かりで部屋が明るい。
校庭の音や廊下の音。誰かが居るんだと安心が出来た。
481箱の中の狂気7:02/07/15 00:29 ID:Nrve6gIB
「失礼します。」
「あら、葉月くん、どうしたの?」
ドキン、とした。珪くんが来た。ドキ、ドキと心臓の音が大きい。
保健の先生と珪くんのやり取りは心臓の音でうまく聞き取れない。
「先生ちょっと会議だから大人しく寝てなさい。
隣に人が居るから迷惑かけないようにね。不在になるから鍵は掛けておくわよ。」
「ありがとうございます。」
シャッっと隣のカーテンを開く音がした。
そして制服を脱いでいるであろう布の音。
そして保健の先生が出て行く音。
今、この空間にカーテン越しに珪くんと2人きりなんだ・・・。
「寝てるのか?」
「・・・起きてるよ。」
「カーテン、開けてもいい?」
「・・・うん。」
視界には天井でなく珪くんの顔が広がった。心配そうな顔をして私を見る。
「本当に大丈夫か?」
「うん。横になって少し落ち着いたから平気。」
珪くんが手を伸ばしてきて私の髪を何度も掬った。
「夕べ見たんだろ?」
「えっ!?」
「ネット。見たんだろ?」
「・・・うん。・・・ごめんなさい。」
「おまえが謝る事じゃないよ。オレこそ、ゴメン。」
「イヤ・・・。珪くんこそ謝らないで。」
「気にするなって無責任な事言えないけどそれしか言えない。」
「大丈夫だよ。本当の事なんて私と珪くんが一番良く知ってるじゃない。」
「分かってる。」
482箱の中の狂気8:02/07/15 00:29 ID:Nrve6gIB
「コレ、身に付けてろよ。」
「ん?何?」
無造作にポケットから何やら取り出してきた。
ボールチェーンに細身のデザインされた銀の指輪が通してあった。
「珪くん・・・。これ・・・。」
「オレがいつも付けてるヤツ。いつも傍には居られないから。」
自然と涙が溢れてきた。嬉しすぎて言葉が出て来ない。
「泣くなよ。オレだと思って身に付けてて。」
「・・・う・・・ん。嬉しい。有難う。」
「付けてやるから、起き上がって。」
コクンと頷いて起き上がる。
起き上がった所為でちょっと視界が狭くなってフラっときた。
「オレにもたれかかっていいよ。その方がオレも付け易い。」
何も言わず珪くんの胸に伏した。
珪くんの甘い匂いがする。私が安心出来る匂い。
この胸を永遠に独り占めしていたい。
「出来た。」
そのままゆっくりと珪くんの腕が背中に回ってきた。心地よい束縛。
「おまえに何か有ったらオレ黙っていないから。」
「うん・・・。その言葉だけで十分だよ。」
「隣に居るから、ゆっくり寝てろ。」
「眠るまでずっと傍に居て。」
「ああ、居てやるよ。手、握っててやるから。」
ゆっくりと珪くんの胸から離れて横になった。
目を閉じて手から珪くんの温もりを感じる。
手から安心が溢れ出てそのまま深い眠りにつく事が出来た。
483箱の中の狂気9:02/07/15 00:30 ID:Nrve6gIB
「あ、もう具合良くなったの?ねーねーお茶して帰ろうよ。」
「あ、なっちん。うん、モチ行くよー。」
いつもの茶店のいつもの席でなっちんといつもの様にお茶を飲む。
ただ、少し違うのはなっちんの面持ちがちょっと暗い所。
さっきまでの明るさとは
「アタシのさー、友達に葉月の親衛隊の子が居るんだよね。」
なっちんの言葉に少しドキッとした。
「うん。で?」
「それでさ、アタシも最初アンタの事根掘り葉掘り聞かれたのよ。」
「うん。」
「何だか変だって思って問い詰めたら親衛隊での話をしだしたの。」
「うん。」
「アタシの友達はただ単に葉月の女がどんな子か気になったから聞いたんだって。
アンタの事言ったら『珪が選んだのがそう言う人で良かった』って安心してたよ。」
「え?そうなんだ。」
「まぁね、全部が全部アンタの敵ではないんだけど、ただねぇ・・・。」
「ただ?」
ゴクリと息を飲み込んだ。一体どんな事が続くのだろう・・・。
「友達は親衛隊仕切り集とも仲いいらしくて流石に仕切り集は大人だから
『珪にはどんどん良い恋愛してイイオトコになって欲しい』って言ってるらしいんだけど
でも下っ端の雑魚がどうにもアンタの事やっかんでるらしいのよ。」
「そっか・・・。」
「幾ら頭で分かっていてもやはり現場で見ちゃうとみんなピリピリしちゃうから
なるべくなら葉月の仕事とはずらしてシフト組んで欲しいって言ってるって。」
「そうだよね。なっちん、隠さずに教えてくれて有難う。」
「アタシがアンタの立場なら知りたいって思う事だからさ。
それともし何か雑魚からの実害が有ったら言ってって言ってたから気軽に言ってね。」
「ありがと。何か有ったら言うから。」
「ただ、ネットでの事は止められないからって言ってた。それだけはごめんねって。」
「うん。それは何とか耐えるから。頑張る。」
見えない敵は確かに怖い。昨日は全てが敵に見えたけど
本当は違うんだなって何となく思えてきた。

続く。
484名無しさん@ピンキー:02/07/15 00:34 ID:Dvvu9e0h
>475-483さんすげー良かったぁ。
主人公ちゃんには頑張って行って欲しいです。・゚・(ノД`)・゚・。グスン

神様も無理されない程度に頑張って下さいね。
続き、楽しみにしてます。
485a proclamation of war 1:02/07/15 00:59 ID:j6O/Izot
会わないでいるときの方が自分が平静なのだと気付いたのは、
彼女が俺の彼女になってから半年も過ぎた頃のことだった。
週に二三度会い、時間が取れれば二人で金のかからない
デートをし、たまに体を重ねて。
実家住まいの彼女が頻繁に俺の部屋に泊まることはもとより
無理な話で、ついでに言うならば昼間会ったときにホテルに
誘うなどという荒業は、彼女に対してだけはどうしても行使
出来ない俺がいる。だから、姫条まどかとしては清純きわまる
お付き合いをしているわけだが。
会いたい会いたいと俺が我儘を散らさなくても彼女はよく
大学の帰りに家に寄ってくれる。合鍵を渡してあるのに毎回
インターホンを鳴らすのが、彼女なりの気遣いというか、妙に
よそよそしいというか。ずかずか上がりこんでくる女よりは
ずっと好きだが。いやしかし、彼女なら上がりこんできても悪い
気はしないか? しないかも知れない。
世間が夏休みの間、俺は目一杯の仕事をこなした。この夏の目標額
の貯金をして、ひたすら慌しかった夏を思い返して気付いたことがある。
そう言えば二週間も顔を見ていないなとおもむろに携帯電話を手に
しかけて、ふと。
ふと自分の心境というものに気付いたのだ。
会わずにいる時のほうが、ずっと彼女を大事にしているような、
気が、する。
486a proclamation of war 2:02/07/15 01:00 ID:j6O/Izot
目の前に彼女がいて笑ったり怒ったりしているのを見ると、
確かにそれだけで幸せな気分にもなるのだけれど、同時にその
体を抱き寄せて自分の腕の外に出さないように押さえ込みたくも
なってしまう。
自分は彼女を幸せにしたいのであって、彼女から自分以外の全てを
奪ってしまいたいわけではないはずなのに。
確かに離れているときには、彼女が語る日々の生活や俺とは違う日常を
穏やかに聞いている。けれど目の前の彼女がそれを綴るとき、俺は
妙な焦燥に襲われて、よく彼女の話を中断させて引き寄せてしまう。
「……姫条くんって、スキンシップ好きよね」
「なんや。またガキやとか思っとるやろ」
「違うよ。何だか……猫にでもなった気分だとおもって」
彼女は不思議な感想を漏らして、くすくすと笑う。
形あるぬくもりだけが欲しくて触れるわけではないのに。そんな反応に
ぱっと手を離すと、彼女は今度は自分から肩を寄せてきたりするのだ。
小さな生物に触れているときのような、優しい柔らかな感情ばかりでは
ないのに。むしろ、その逆だ。
面と向かって会っているときの俺は少しおかしい。
想いあっている事への自信が揺らぐ。
離れる時間がやってくることを怖がっている。
やがてこの関係自体が終わるかもしれないのだと、そんなことまで考える。
そうならない為の努力を惜しんだことはないし、そんな徴候もありはしない。
俺の心の中にだけ、その仮定は根を張っている。
487a proclamation of war 3:02/07/15 01:01 ID:j6O/Izot
「今日は、はよ帰らなあかん日?」
「ううん」
「何やこう……しゃあないけど結構まだるっこしいなあ……」
「私もお父さんやお母さんが心配しなければいいんだけど…でも何より
弟の教育に悪いから」
「ああ、あの」
「そうそう」
こまっしゃくれた彼女の弟の顔を思い出して少し笑いあう。
彼は俺のことを『未来のにーちゃん』と言ってのけたことがある。そして
その直後スナップを効かせた見事な拳が彼の上に降り注いだ。
「自分、弟に厳しいからなあ」
「そんなことない。三日一緒に住んだらわかるわよ」
そのうち一緒に住むことに、と言いかけた言葉を飲み込んだ。
彼女は弟の日々の所業についてとうとうと語っている。その横顔を見ながら、
俺は少し思いを巡らせた。
臆病者は克服したものだとばかり思っていた。
そうか、でも。
彼女を想う心とは別に、彼女を前にすると途端に首をもたげる感情は
まぎれもなく臆病者のそれだ。
彼女の笑みも怒った顔も俺を幸せにして、だから、それが俺から覚悟と
自信を奪う。

俺が何人もの女にしてきたように、彼女も俺のことをいつか捨てるかも
知れないと考えるのだ。

恐ろしく女々しい思考回路に我ながら滅入る。
確かに想いあっている。体を重ねた時に彼女が見せる俺への信頼感は
いつでも俺を強くする。
だが俺は同時に頭の隅で響く警告を無視することが出来ない。
488a proclamation of war 4:02/07/15 01:02 ID:j6O/Izot
彼女を想い始めたときから知っていたことだ。
運命の王子が他に居る彼女を手に入れようと決めたときから。
彼女自身より俺はそれを良く知っているのだろう。気がついてしまった
自分の鋭さを少しばかり呪う。
この関係は一時的なもので、やがては落ち着くべき場所へすべてが
落ち着いていくのではないかと、俺は俺を好きだと言う彼女を前にしてまで
疑うのだ。
そんなことは考えるべきじゃない。不吉な予言はそれ自体が自己成就への
道を孕んでいると誰かが言っていた。
「難しい顔、してるよ」
「………そお?」
「うん。ちょっと寂しい」
「………すまん」
「そこで謝るし」
「そら自分のこと寂しがらせたら……」
「そうじゃないよ」
珍しく彼女が強く言葉を綴って、俺は口をつぐんだ。
彼女はしばらく俺の顔を見つめ、それからおずおずと俺に唇を重ねた。
「どうしたら安心するのかな、姫条くんは」
触れるだけのキスが離れたあと、吐息のかかる距離で彼女が呟く。
ぐっと喉の奥が詰まった。
笑って話を流そうと思ったが俺の表情筋は俺を裏切り、それなら押し倒そう
かと思ったが体はぴくりとも動かなかった。
489a proclamation of war 5:02/07/15 01:03 ID:j6O/Izot
安物のソファの上のロフトベッドの底を眺めながら、俺は息を一つついた。
「俺なあ」
口をついて出たのは思いのほか真面目なトーンで、俺は自分の声にわずかに
面食らう。真面目な話をして、彼女にひかれるのは何よりも怖いことでもあるのに。
「俺ホンマにお前が好きなんや。せやから時々、どないしたらええかわからん
ようになるんやな」
「………」
ほら、黙り込んだ。
「他所で誰かとそんな顔でわろとるんやろなとか思うと、落ちつかへん。
せやけどこればっかりは俺の問題やし、まさか首に縄つけてくくりつけるわけに
いかんしな」
「………」
「はよ、返さんでええようになりたいな」
呆れた顔をされているかもしれない。言ったそばから後悔しながら彼女を見やると、
俯いていた。
「……どないした?」
「き、姫条くんにお前って言われると緊張する…」
「は?」
赤茶色の髪の間から覗いた耳が、真っ赤になっている。俺は二三度瞬いて、その
髪を指でそっと梳いた。
「嫌やった?」
彼女は首を横に振る。
俺はそっと彼女を抱き寄せて、俯いたままの彼女の髪に口付ける。
「他所の男にはやらん」
「……行かないって言ってるのに」
拗ねたような声。
490a proclamation of war 6:02/07/15 01:05 ID:j6O/Izot
いつかこれが誰かのものになるのかも知れないと考えれば俺はいつでも奈落の淵を見る。
まだ顔の赤い彼女の目元に、それから唇にキスを落として、俺は余裕なく言葉を綴った。
「ええけどな。奪うのは一度も二度も一緒や」
「またわからないこと言う…」
いっそのこと、もう一度奪い取りに行くほうがすっきりするのかも知れない。
彼女が気付かぬうちに俺は彼女を連れ去ったから、だから不安を覚えるのだろうから。
いつかのその時は、彼女にもう一度俺を選んで欲しいのだ。
遠くから彼女の日々を伝え聞くだけでも、多分俺は穏やかな落ち着きを得られるだろう。
だがそれでは、結局何にもならない。
この焦燥を飼いならし、俺はいつかのその時にもう一度、彼女に想いを告げればいい。
勝負は怖くない。
勝負になるのなら。
「離さへんよて言うてんねや。わからん?」
「どうして真顔でそう言うことが言えるんだろうこの人は……」
「なんや照れんでもええやん」
「照れるよ!!」
ムードぶち壊しに言い立てた彼女の顔がまた、可愛い。いかん、俺も末期だ。

来なければいい。そんな決着の日は。
本当にそんな日が訪れれば勝ち目はそれほど濃くない、気がする。
けれどそれを恐れて過ごすのはやめだ。やめにしなければいけない。
俺は今度こそ彼女に笑って見せ、そのままソファーに彼女を押し倒す。
軽く抗議の声があがったが、まあまあと宥めると彼女のほうが折れた。
困った顔をしてみせる彼女ににんまりと笑うと彼女は諦めたように息をついた。
「そのうちもっと俺に惚れさせたるから安心せえ」
「なんなのよ…」
半分強がりの半分本気で、俺は彼女と、そしてここには居ない俺のライバルとに
宣戦を布告する。

「離さへんよて言うてんの」


<終>
491名無しさん@ピンキー:02/07/15 01:12 ID:BF9ZgdUE
>485-490の神様キタキタキタキタ━━━(゚∀゚≡(゚∀゚≡゚∀゚)≡゚∀゚)━━━━!!!!!!!!!!

ドキドキしました。
バイトの気持ちが伝わって来てイイ!

ああ、感想さえうまく表せない自分がウラメシイ。

492名無しさん@ピンキー:02/07/15 01:18 ID:zyWZcCsP
箱の中の狂気を下さった神よありがとう!
葉月くんの優しさに萌えました。
そして、追っかけの子達の怖さがとても楽しかったです(^^ゞ
続きがとっても気になります。

a proclamation of warを下さった神よありがとう! 
ヒロインちゃん愛しさゆえに不安にゆれる姫条くんステキでした!
ヒロインちゃんのために決意新たに頑張る姿が萌えです。
493名無しさん@ピンキー:02/07/15 01:20 ID:zyWZcCsP
そして、王子萌えヘタレ様「標的」の続きを寝不足になってお待ちしてまつv
今日はご降臨あらせられないのでしょうか(;д;)エーンエーン!! 
494名無しさん@ピンキー:02/07/15 01:21 ID:wizAPtNk
>485-490の神
恋する男の焦燥感がたまりませんでつ!
ラストの言葉がまたイイ…
495バカ子:02/07/15 01:32 ID:wcuzSwj8
468タン,469タン,471タン感想ありがとうでつ!
ウレスィYO!!
相変わらずヘタレな文でつが、楽しんで頂けたみたいでヨカタでつ。

王子×主人公タン、王子がすごい優しくて、カコイイ!!
続きが楽しみでつ。がんがって下さい!
バイト×主人公タン、バイトの心情が細かく描かれてて
すごくヨカタでつ。さ、最後の言葉が・・・(;´Д`)ハァハァ
496名無しさん@ピンキー:02/07/15 01:39 ID:0v8chcv8
>485-490神!
貴方様のバイトは漏れのバイト像とピターリ一致してまつ。
自分の独占欲に悩むバイトに萌え死にまつた。
素敵なSSアリガd

もっかい読み直しに行くぞー(;´Д`) ハァハァ
497名無しさん@ピンキー:02/07/15 01:46 ID:BwVyltj/
神達よ、数々の素晴らしいSSを今日もありがとうございます(;´Д`) ハァハァ
498王子萌えヘタレ:02/07/15 01:49 ID:iXOWT8ns
ヘタレです・・・。書きますた・・・。貼って逃げます・・・。
落ち手前あたりがシオシオになってしまいました。
お待ちいただいた方に、申し訳なさでいっぱいです。
長いモンはかくもんじゃないっすねえ・・・。精進します・・・。
499インデックス職人:02/07/15 01:50 ID:GQCV2JAS
この前のインデックスは>>424です。

モリリン
>434>435(>>434-435)
>444>445>446>447>448(>>444-448)
バカ
>436>437(>>436-437)
バイト
>438>439(>>438-439)
>485>486>487>488>489>490(>>485-490)
ワカメ
>440>441(>>440-441)
主人公(独白)
>>454
バカVSバイト
>397>398>463>464>465>466(>>397-398>>463-466)
王子
http://www2.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1025465341/720-724
>475>476>477>478>479>480>481>482>483(>>475-483)

>493
最近は寝る直前にインデックス貼ってます。
なので貼る直前にリロード確認した時
素敵SSがうpされるとそのまんま浸ってしまうので(w
当方も最近寝不足でつ…(w
神々の皆様、何時もありがとうございまつ…。
500王子×主人公・標的 15:02/07/15 01:50 ID:iXOWT8ns
「…店に電話したら、店長が出て、教えてくれた。あいつら…店に行ったんだな」
珪に知られてしまった。私は全身の緊張が抜けていくのを感じた。
「…店でのこと、少し聞いた。この前バイト早退したの、あいつらのせいだって」
少しの間、沈黙が流れる。
「…俺、知らなくて。電話でひどいこと…言った」
「それは私だって、同じだよ。…ごめんなさい」
もうこれ以上、何も隠すことはできない。
「…全部、話すよ、珪」
私は、今日までにあったすべてのことを、珪に打ち明けた。
珪は少しの間何も言わず、髪を乱暴にかき掴んだ。
そして立ち上がり、レターラックから数枚の封筒を取り出すと、テーブルに放り投げた。
「…お前には、見せるつもりなかったんだけど…」
「何…これ」
「…お前が、ここに泊まった次の日に、こういうのがときどき…届くんだ」
奇妙な手紙だった。住所が書かれ、切手も貼ってあるけれど、消印だけが押されていない。
「…郵便受けに、直接、入れているんだと思う」
その中の1通に、見覚えのある封筒があった。
「これ…この前私が、廊下で拾った…」
背中がゾクリとする。あんなタイミングで手紙を郵便受けに入れられる人、
それはやはり、この部屋をずっと監視している、そんな人ではないのか。
脳裏に、あの髪の長い彼女の顔が、思い浮かぶ。
「また、家がバレたのかって…その程度に思ってた。…覗かれてるとは、な…」
「読んで、いい?」
珪は首を横に振る。
「…読まない方が、いい。ひどいこと、書いてある」
「いいよ、読みたい。ううん、読まなきゃいけないと思う」
あの日拾った封筒を手に取り、便せんを広げる。

『珪、どうしてあの女と付き合ってるの?』
『昨日も、あの女、泊まらせたんだね』
『あんな女の、どこがいいの? 珪には釣り合わないのに』
『…あんな女、死んでしまえばいいんだ』

「…ひど…い」
怒りで、手紙を持つ手が震え出す。
「…だから読むなって、言っただろ…」
私の手から手紙を取り上げ、珪はその手でビリビリと破いて、言った。
「…ごめん」
501王子×主人公・標的 16:02/07/15 01:51 ID:iXOWT8ns
「…俺が、悪いんだ」
そうやって話し出す珪の声は、苦悩に満ちているように聞こえた。
「…こんなのが届いてたのに、黙って…隠して…。お前にいやな思い…させたくなくて」
破いた手紙の破片を、憎々しげに手で握りしめる。
「…だけど、俺が守ってやれば大丈夫だって…甘く考えて…
待ち合わせしたり、送ったりして、それだけで守った気になって…
結局、お前をひどい目に合わせた…。…俺が、悪いんだ。…ごめん」
それだけ言うと、珪は私から顔をそらし、唇を噛みしめる。
まるで、泣いているかのような横顔。

「謝っちゃ、ダメだよ、珪」
切ない横顔を見ているのが悲しくて、私は、珪に言った。
「珪は…ううん、私たちは…何も悪いこと、していない。
悪いことしているのは、彼女たちなんだよ…だから…
珪が責任感じることなんか、何もないんだよ…」
両手で珪の手をはさみ、私の方に向ける。
「珪は、私のこと心配して、一生懸命がんばってくれたんでしょ?
…だから、ダメだよ、悪いなんて…言っちゃ…ダメ」

気が付けば、私の目から、涙があふれていた。
悔し涙なのか、それとも悲しみの涙なのか、自分にも分からない。
ただ、珪を悲しませているこの状況が辛くて、涙が止まらない。
「…泣くなよ」
珪の腕が、私の背中に回る。
「お前の言う通りだ。…俺たちは、何も悪いことしてない」
押し付けられた珪の胸に、私の涙が移り込み、シャツにしみを作る。
「…俺、あいつらに言う。これ以上バカなことするなって」
自分に言い聞かせるように、珪はつぶやく。
「お前はもう気にするな。俺が絶対に、やめさせるから…
だから…もう、泣くなよ」
珪はそう言って、抱きしめる腕に力を込めた。
502王子×主人公・標的 17:02/07/15 01:51 ID:iXOWT8ns
潮風に煽られた珪が、乱れた髪を手で押さえ、最後のポーズを取る。
カシャカシャと、シャッターの音が、岸壁に打ち付ける波の音に重なる。
臨海地区の遊歩道を使った撮影は、いつものファンの他、人気モデルの撮影ということで
通りすがりの見物客もギャラリーに加わり、かなり雑然としていた。
「はーい、じゃこれで今日のロケ、終了で〜す! お疲れ様でした〜」
撮影を終え、珪はロケバスの中で着替えを済ませると、マネジャーに声をかけた。
「…俺、今日ちょっと用事があるから、ここで失礼していいですか」
「あらそう、ええ、今日はもうこれで終わりらから、いいわよ。
でも送らなくていいの? 今日はバイクじゃないんでしょ?」
「…この近くに用があるんで、このまま出ます。車は…いいです」
「外ねえ、ファンの子結構いるから、適当にあしらって帰るのよ」
「…分かってます」
サングラスをかけ、珪はロケバスを出る。集まっていたファンが、わっと周りを囲む。
平日の昼だからだろうか、思ったほど人数はいなかった。
「…やっぱり、来てるか」
周囲を見回した珪の視線の先に、あの3人組がいた。
ファンの間を縫うように通り過ぎ、珪は、3人の前で足を止める。
「…ちょっと、話がある…いいか?」
髪の長い彼女に、珪は感情の入らない声で、声をかける。
「え…、私…に?」
彼女は、驚いたように珪を見つめ、大げさに笑みを浮かべる。
「うれしい! 珪が声をかけてくれるなんてぇ!」
周囲の、他のファンたちに自慢をするかのように、彼女は大きく声を上げる。
「じゃあ、喫茶店にでも行きましょうかぁ」
「…いや、すぐ済むから…ここでいい…」
「えぇ? でもここ、人がいっぱいで、お話できる感じじゃないですよぉ」
「…じゃあ、向こうの方へ行こう。…そっちの2人も一緒に…」
珪は人気のあまりないビルの陰に、彼女たちを伴って歩いていった。
「お話ってなんですかぁ?」
媚びて見つめる彼女に、珪は胸のポケットから封筒を取り出し、突きつけた。
「…これ、返す。こんなのもう、俺に届けるのはやめてくれ」
503王子×主人公・標的 18:02/07/15 01:52 ID:iXOWT8ns
彼女の顔色が、変わった。
「な、なんですか? これ」
「…とぼけるな。あんたの手紙だ。俺の家の郵便受けに直接入れた…な」
「私…知らな…」
「なら、それでもいい。ひと言言っておく。俺の部屋を覗くのは…やめろ」
強い珪の口調に、彼女は狼狽しながら、それでも偽りの言葉を吐く。
「私、そんなことしてない!」
「…ウソ、付くな」
普段の様子からは想像も付かないほどの低く重い声で、珪はさらに続ける。
「それと…俺の周囲に…俺以外の奴に迷惑をかけるのも…やめろ」
俺以外の奴、その意味に嫉妬を感じたのか、彼女は珪に向かって激昴する。
「…あの女ね。あの女が珪に言ったのね!」
「あの女って、誰だ」
「とぼけないで! 珪の部屋に図々しく泊まる、あの女のことよ!」
「…やっぱり、俺の部屋覗いてるんじゃん。あんた…最低」
墓穴を掘った彼女を、嘲るような笑みを浮かべて、珪は睨む。
「…これ以上、何もしないと誓うなら、俺はこれ以上あんたにどうこう言うつもり、ない。
…追っかけでもなんでも、やればいい。…でも」
淡緑の瞳に冷たく蔑んだ光を含ませ、珪が強く、言い放った。
「…もし、これ以上、俺以外の奴に…あいつに何かしたら…
俺はあんたに何をするか…わからない。それだけ、覚えとけ…」

珪が去った後、呆然と立ちすくむ彼女に、仲間の2人が声をかける。
「…ちょっとアンタ、覗きなんて、そんなことやってたの?」
「それって、ルール違反だよ…。いくらなんでもマズイでしょ…」
「珪にあんなこと言われちゃったら、もう追っかけできないよぉ」
「どうしよう…私たちも仲間って思われちゃったかなぁ」
自分たちも嫌がらせしていたことを棚に上げ、2人は彼女をなじり、自分の身を案じる。
「悪いけど、アンタとつるむのやめるわ。アンタ、ヤバいし」
そうして2人は、今まで仲間だったはずの彼女を、あっさりと見捨てた。

残された彼女は、唇の端を噛みしめて、つぶやいた。
「…あの女……!」
504王子×主人公・標的 19:02/07/15 01:52 ID:iXOWT8ns
「…今日、あいつに言ったから…」
夕方、バイトの休憩時間に携帯が鳴った。珪からだった。
「…そっか。大丈夫だった? 何かされたりとか、しなかった?」
「安心しろ。子供じゃないんだし、何もされちゃいないさ…」
私の心配に、珪は軽く笑う。
「お前…今日は何時に終わるんだ、バイト」
「えっと、午後9時」
「…迎えに行くから、一緒に帰ろう。店で待ってろ」
「でも、珪今日は外で撮影だったんだよね。疲れてるでしょ」
「バカ…心配すんな。スタジオにバイク、置きっぱなしだし…行くよ」
「ん、分かった。じゃあ、また後でね」
これで、納まるのかな…。電話が切れた後、私は心の中にまだ少しの不安を抱えながら、
とりあえず、珪が少しでも安心できる状況になってくれたらいいな、と祈った。

「今日はもうあがっていいよ」
午後9時まであと30分近くあるというのに、突然店長が言い出した。
「ええ? だってまだ上がりまで時間がありますけど…」
「今日はお客の入りも少なくてヒマだし、他の子も入ってるし…
それに、ほら…一昨日のことが、ね。だからあまり遅くなっても、と」
コーヒーをかけられた日のことを、店長は気にしているらしい。
「すみません…ご心配おかけして…。でも…もう多分大丈夫です」
私は、珪から彼女に、きちんと話をしてくれたことを報告した。
「だから…あんなことはもう、ないと思います」
「そうか、よかったね…。でも今日くらいは、もう帰りなさい」
店長の言葉に甘え、私は少し早めに店を出た。

店の前で珪を待とうとして、ふと珪のバイクのことが気になった。
昨日、今日と置きっぱなしになっているはずだけど、大丈夫だろうか。
待ち合わせにはまだ少し時間がある。私は撮影所の横の道を入り、駐輪場へ向かおうとした。
暗がりの中、人影があった。撮影所の窓からこぼれる薄灯りに、
人影の姿がぼんやりと浮かぶ。長い髪、少し尖った顔、すらりとした姿。
彼女だった。
505王子×主人公・標的 20:02/07/15 02:00 ID:iXOWT8ns
「…珪に、告げ口してくれたわね」
彼女の目は、怒りで燃えていた。
「真実を…話しただけです」
「あんたのおかげで、珪に嫌われちゃったわ」
「…いい加減にしてください」
身勝手な彼女の物言いに、私は我慢できなくなって、声を張る。
「私のせいなんかじゃないって、分かってるんでしょ本当は! 
あなたが彼に嫌われたのは、あなたがした行為のせい。あなた自身のせいです!」
この数週間の思いがあふれ出し、止まらない。
「うるさい! あんたのせいだって言ってるでしょ! あんたさえいなかったら…!」
突然、彼女は狂乱状態になって、私へと向かってきた。
彼女の片手が私の胸ぐらを掴む。その目をじっと見て、私は言った。
「…私のこと逆恨みして、それで気が済むなら、いくらでもどうぞ。 
私が憎いなら、殴ってくれて構わない。
だから、彼を…珪を苦しめるようなことは、もう、しないで!」
「かっこつけてんじゃねえよ!」
かあっとなった彼女の、もう片側の手が私の頬に向かって振り下ろされる。
そのときだった。

「…何、やってんだ…!」
珪が、大通りの歩道からこちらを見ていた。その姿に、私の服を掴む彼女の手が、一瞬ゆるむ。
私は彼女の前から逃げ、珪の元に走り寄り、その胸に飛び込んだ。
「珪!」
私を受け止めた珪は、私の顔をのぞき込む。
「…お前、店の前にも、中にもいないから、俺、探して…。そしたら、こっちで物音、したから…」
「珪…」
彼女がつぶやいた。それがあの髪の長い彼女だとだわかると、珪の顔に怒りが浮かぶ。
「…何やってる。…こいつに、何した!」
珪は私を守るように後ろにやると、彼女の胸ぐらを掴む。
「…言ったよな…こいつに何かしたら、あんたに、何するかわからないって…」
「…そんなに、あの女が大切なの?」
「…ああ、大切だ。悪いけど、あんたなんか足元にも及ばない。俺の一番大切な、女だ」
そう言うと珪は彼女を掴んでいた手をゆるめ、そして静かに言った。
「だから頼む…これ以上、こいつにひどいことするの、やめてくれ。…憎むなら、俺を憎め」
珪の言葉に、彼女がぼそりとつぶやく。
「…何よ、2人して、同じこと言って…」
そのまま、彼女は大きな声で泣き出した。
506王子×主人公・標的 21:02/07/15 02:00 ID:iXOWT8ns
結局その夜を境に、あの髪の長い彼女を、珪の仕事先で見かけることはなくなった。

珪は相変わらず人気があって、撮影のたびに撮影所の前にはファンが集まるけれど、
彼女と珪のいざこざが、ファンの間で伝説となっているらしく、
追っかけといってもせいぜい仕事と仕事の合間を追いかける程度で、
家までチェックするような輩は、ほとんどいなくなったようだ。

私は相変わらず喫茶店のバイトを続けていている。
喫茶店はいつの間にか葉月珪ファンの集う場所となりつつあり、
彼の仕事がスタジオであろうがなかろうが、
彼が頼むのと同じ銘柄のコーヒーを頼んでは、ファンがたむろしている。
私が珪の彼女だと言うことは、どうも暗黙の了解となっているらしい。
ときどき、小さな声でそのような話をしている人たちもいるが、
今のところ、あのときのような荒れたファンは来ることはない。

すべてが、あの事件の前に、いや、それよりも平穏に戻った気がする。

今日は、久しぶりに珪と2人で森林公園に出かけた。
夏の日差しが降り注ぐ中、木陰でノンビリと過ごすのが、私たちのお気に入りだ。
「そう言えば、珪。昔この公園で、ファンに見つかりそうになって
草むらに隠れたこと、あったよね」
私の膝の上に頭を乗せて、気持ちよさそうに寝ている珪に、私は聞いた
「…そういえば、あったな、そういうの」
珪は下から私を見上げて、そう言った。
「今、同じことが起こったら、どうする? やっぱり草むらに隠れちゃう?」
「…しないな、多分」
「どうして? 騒がれるの、今でもキライでしょ?」
「ああ、好きじゃない。…でも」
「でも?」
珪は体を起こして、私に軽くキスをした。
「ちょっ、珪、人が見てるよ?」
「…別に…構わないだろ」
「でも…」
ためらう私に、珪は軽く笑いながら、こう言った。
「…こうやって見せつけていれば、そのうちみんな飽きるだろ。
そしたら、誰も騒がなくなるし、部屋を覗こうなんて奴も…きっといなくなるだろ」
そうして、もう一度、人前だというのに、キスをされた。

今回のこの事件で、一番変わったのは、意外にも珪だったようだ。

(終)
507王子萌えヘタレ:02/07/15 02:02 ID:iXOWT8ns
あああ、本当に長いだけで、終わりがもう・・・。
脳内で考えたときは、もっと燃えた展開だったハズなんですけどね・・・。

昔2ちゃんのジャニ板にあった「キムタクと工藤静香の子供に対するスレ」
のカキコを思い出しながら、コレを書きました。
そのカキコ、こんな内容でした。
「私たちの願いは、あなたとともにお母さんが死んでくれることです」
((((((((;゚Д゚))))))) ガクガクブルブルガタガタブルガタガクガクガクガクガク
こえーーよーーーー!!! 芸能系のイッタファンって恐ろしいなあと思いますた。
それを念頭に置いて、追っかけ3人組を書いてみたのですが、
それに比べりゃ、こんなのたいしたファンじゃないっすね。
あまりにステレオタイプな憎まれ追っかけちゃんになっちまいました(w。
もしここに、リアル追っかけ様がいらしたら、申し訳ない。
いきすぎなければ、追っかけもいいと思いますよ、私は・・・。

では、とりあえず今夜はこれにちぇ。
508名無しさん@ピンキー:02/07/15 02:04 ID:FACIS2uJ
>>507
ハラハラしながら読ませていただきました。すごく良かったです!!
イッタファンて怖いんですね。ぜひまた新作をお待ちしています!!
509インデックス職人:02/07/15 02:05 ID:GQCV2JAS
あわわ、リロード確認したのですが…(汗)

王子萌え様、長編本当にお疲れ様です。
楽しく…というか、2人が平和に戻れて良かったでつ…
インデックスには明日加えさせて頂きますね。
510名無しさん@ピンキー:02/07/15 02:08 ID:zyWZcCsP
神よ、ありがとう。寝ずに待った甲斐がありました。
葉月の男らしい守ってくれ方に胸がキュッとなりました。

>芸能系のイッタファンって恐ろしいなあと思いますた。

本当に恐ろしいですな
でも今回の作品を拝見していると、少しだけ追っかけの子の切なさも感じました。
大好きな人に、自分じゃない誰かを絶対的に愛されるのって、
本当に切ないことだろうな・・・って。
でも、だからって許されないことですが!!

本当にお疲れ様でした。お陰で、葉月のステキな夢が見られそうです。
これからも作品のこと胸に大切にしまっておきまつ!!
511名無しさん@ピンキー:02/07/15 02:12 ID:j6O/Izot
485-490書いたものです。
度々のお目汚しをば。
491.492.494.495.496の皆様、ありがとうございます。
前投稿から結構経つので繋がるも何もないですが(w
バイトスレ556という名で再びみたびでございました。
512名無しさん@ピンキー:02/07/15 02:29 ID:Ztam02Y2
インデックス職人サマいつもお疲れ様ですー!!
今日も素敵SSをたくさん読めて幸せー。
513名無しさん@ピンキー:02/07/15 05:05 ID:PtWj1mE/
>507
3夜にかけて長々とご苦労様でした。
この3日間これが楽しみで…(w
いやぁ…実際こーゆうおっかけいますよね、本当。
知り合いで好きなバンドマンの家に何度も何度も行ったら5回目位で
とうとう顔面殴られて前歯折れた子いましたけどね(w
あと今まで行ったライブのチケ代全額返されて「もう来ないでくれ」とか。

本当良かったです。是非また書いてくださいねー。
514名無しさん@ピンキー:02/07/15 08:30 ID:0v8chcv8
>511神
やはりバイトスレ556様の降臨でしたか。
実は「同じ方ですか?」と聞こうか否か迷っておりました。

神の書かれるバイトは、一見軽そうに見えて、実は
自分の将来や主人公のことをすごくしっかり考えている
人間的に超男前な人なので、大好きでつ。
ぜひまたSS落としていただければ、と思います。

もしや、サイト等お持ちではないですか?
もしあればコソーリ ヒントを教えていただけるとうれしいです。
515渉SS職人:02/07/15 12:00 ID:a9a5jkkX
今日も昼から良いものが読めました。
ありがとう。
516名無しさん@ピンキー:02/07/15 12:30 ID:EnxDDga1
渉SS職人さま
出会いシリーズ(・∀・)イイ!!
まだクリアしてないワカメとバカの分を必死で我慢しました。
個人的にはゴローの出会い編が読みたい!! と言ってみるテスト。

バカ子さま
バイトとバカのB&Bコンビ最高です!!
正反対の二人なのに、彼女に対しては同じように奥手という設定が禿しく
萌えまつ(;´Д`)ハァハァ
「イチゴミルクとカフェオレと牛乳」シリーズ化してホスィくらいでつ。
続き期待してマス。ガンガレ!

>>475-483 の神さま
ほ、保健室萌えー(;´Д`)ハァハァ
続きを禿しくキボンヌ!キボンヌったらキボンヌ!!

>>485-490 の神様
旦那とのリアル遠恋を思い出して泣けますた( ´Д⊂
離れてる時と一緒にいるときの気持ちのズレとか、
焦燥感とかメチャメチャよく書けてたと思いまつ。
不安を飼いならす騎乗位まどか イイ!!(・∀・)オトコ でつね。
私も末期って、言われたい(;´Д`)ハァハァ

王子萌えヘタレさま
今までのSSの中で一番感動しますた!!
あー、hotな王子にメロメロ〜。カコ(・∀・)イイ yo!!
完結するまで読むの我慢してて本当によかった(w
一気に読むと感動もひとしおでつ。
本当に爽やかでえぇ話でした・・・。
次回作をドカンと期待しております(;´Д`)ハァハァ

皆様お粗末な感想でスマソ。
517渉SS職人:02/07/15 13:09 ID:t7jo8Cid
不安ですが、“出会い”シリーズてんてー編、できました。
彼が今までの七人のなかで一番難しかったです。
教師モードなので、一人称“私”にしてみました。

次からUPでよろしい?
一分待ってから書き始めますよ。
518出会い〜零一1/3:02/07/15 13:10 ID:t7jo8Cid
 今日のスケジュールは全て終了した。
 予定より少し早かった、か。
 思ったより理想に近い学級になったためだろう。
 はばたき学園に赴任して四年、やっと職員としての私の意見も通るように
なった。
 さりげなく希望を出しておいたおかげか、素晴らしい成績を持った生徒たち
が氷室学級に集まった。
 大変喜ばしい。
 これから、もっと伸びていって欲しい。
 そのためにも、私がきちんと指導する必要がある。
 私自身も、気を引き締めなおさなければなるまい。
 それにしても、惜しいと思うこともある。
 守村桜弥と有沢志穂だ。
 この二人がいれば、氷室学級の期末試験の平均点が上がること間違いなし
だったのだが。
 それと、鈴鹿和馬と紺野珠美。
 この二人は、学力に期待はできないが、体育祭に限っては大変期待できる
生徒たちだったのだが。
 私もまだ若い。仕方がないことだろう。
519出会い〜零一2/3:02/07/15 13:11 ID:t7jo8Cid
 誤算だったのは、葉月珪である。
 この生徒は学力、運動能力ともに大変優れている。しかし、いついかなる
ときでも眠くなったら寝るという、大変不可解な思考の持ち主だ。
 この生徒が、この氷室学級に在籍することになるとは……。
 いざというときに眠ってもらっては困る。
 なぜなら、氷室学級に一位以外の文字はないからだ。断じてない。……ない
はずだ。
 不安だ。大変不安だ。この生徒の中等部での生活態度を当時の担任に尋ねて
みたが、気がつくと寝ていることが多かったようだ。
 これは、私が指導する必要があるだろう。
 あとひとり、私の調査が足りなかった生徒がいる。
 外部から入学してきた女子生徒だ。
 彼女は、私のことを怖いものか何かを見るような目で見つめていた。スカーフ
が曲がっていることにも気づかずに。
 だが、私が注意をすると、素直に直した。
 大変結構である。
 彼女の入試時の成績は可もなく、不可もなく。あえて言葉を用意するなら、
普通以外の何ものでもない。
520出会い〜零一3/3:02/07/15 13:11 ID:t7jo8Cid
 これから、どういった成長を見せるのか。
 ふふ。指導のしがいがある。
 交友関係も追って調査するとしよう。
 人間というものは、側にいる者に影響される確率が大変高い。
 私が常にチェックし、もし彼女に相応しくない人物が近づいたときには、
私が注意するべきだろう。
 ……。いけない。
 彼女の人生に立ち入るわけにはいかない。彼女は彼女自身で友人を選ぶべき
だ。成長のためなのだから。
 教師である私らしからぬ考えだ。改めなくては。
 だが、彼女が間違った道に進みそうになったときに軌道修正を促すことは
必要だろう。
 よし。常に監視するとしよう。
 これは、氷室零一に与えられた義務だ。
 ……なぜだろう。私は少し浮かれているようだ。
 今夜の私の精神状態は正常ではないようだ。

終了。
521渉SS職人:02/07/15 13:13 ID:t7jo8Cid
あ、ゴロー編は書くつもりでした。ダンディ編も。
でも、大人チームって学生チームより難しいです。私にとって。
ちーくんも難しいけど、書きごたえありそうですね。
522名無し、、、好きだ。。。 :02/07/15 13:32 ID:3Iqp7Q1u
>521 渉SS職人さん
正直、>518-520はイメージ違いました。
私のイメージする先生は、出来のいい有り物を持ってきて
チームを組み立てるわけでなく、長所を伸ばして最善の氷室学級を
作り上げる人たからです。
平均点を上げたり一位をとったりするのも、その過程であって、
生徒にそれを目標として目指させることはあっても、
最初からそれを目的として、成績のよいものを特配してもらうような人が、
先生らしいかといわれれば疑問です。
もちろん、上記は全て私の受け取り方で、
他の意味を込められたのかもわかりませんが、
読んでいてザラついたものを感じたのは確かです。
523渉SS職人:02/07/15 13:52 ID:t7jo8Cid
その辺も悩んだりはしたのですよ。
私の在籍した学校はそういったことが当たり前だったので、
みんなそういうものなのだ、と疑問も抱かずにきてしまったので。
一度逝って考え直してきます。
524堅苦しくてすみません:02/07/15 14:49 ID:smlu7zuj
>522さん
職人さんが作った作品を上げているだけで、
それを他の人にも求めているワケではないんですよ。
私なんか、それで脳内あぼーんした作品が多々ありますw
特に…私はあるキャラ×主人公の職人なんですが、
自分以外が書くその作品はなかなか受け付けることが出来ません。
でもね、それは心の中にしまっておくべきだと思うのですよ。
それを言うことによって伸びる人がいるのも確かですが、
言われて凹んでしまって、それ以降全く作品が作れなくなってしまう人もいるのです。
あの文章はこうしてみると雰囲気が出るんじゃないかとか、そういうのは
大変結構(w)だと思うんですけど、冷たい言い方をすれば
「職人さんはあなたを満足させる為にSSを書いてるわけではない」のです。
キャラに対してのイメージは、1つだけではないのです。

>渉SS職人さん
気にすることはないと思います。逝く必要も全くありません。
これからも頑張って下さいね。
525名無しさん@ピンキー:02/07/15 14:50 ID:Ztam02Y2
バイトスレ556です。
>514、516さん、ありがとうございます〜。

すみません、サイトもちなんですがGSコンテンツないんですよ…
萌えが溜まるとここで吐き出しております(w
(´Д`;≡;´Д`)イマノウチ?
コソーリエチ無しうp逃げしまつ


街灯がひんやりと照らす道を、私は独り歩いていた。
特に意味なんて無い。
でも強いて原因を挙げるなら、それはきっと今日買ったばかりのCDだろう。
昔からずっと好きだったアーティストの、アルバム。
私はその中に収録されているとある曲の歌詞にのっとって、微かに蒸し暑い夏の夜に
こっそりと家を抜け出していた。
空を見上げるとうっすらとだけど、千切れた雲が見えた。
夜でも雲って見えるんだなぁ、と小さな発見に少しだけ感動した。
わけもなくちょっとどきどきしながら夜道を歩いていると、いつの間にか森林公園についていた。
……そういえば、この公園って芝生があるんだったよね。
と、思い出すのとほぼ同時に、緑の絨毯の所へと走っていた。
公園には私以外の人の姿は無くて、さわさわという草木が風にそよぐ音だけがその場を支配していた。
私は緑の絨毯の上にどさっと勢い良く寝転んだ。
歌詞だと本当は『ふたり』で寝転ぶんだけど、そこんとこはしょうがないよね。
私はうっすらと瞳を伏せた。瞼越しに月の光を感じる。
背中は本当にしっとりと心地良い冷たさで、下手したらこのまま気持ちよくて寝ちゃいそう。
っていうか、本当に、眠く…なって、き、た、かも……。
夢と現の境界線がぼやけていき、それが完全に消えて意識が眠りという海の底に沈んでいく。
527渉SS職人:02/07/15 15:21 ID:cLKQOo1E
>>524
そうですね。
思い出したんですが、生徒争奪戦は場合によってはすさまじいこともあるものです。
それが、“氷室先生らしくない”ということなのだと思います。
すみません。一瞬ゆかりせんせいのイメージが光臨したみたいです。
でも、>>522さんの意見も考慮すると、前半をそっくり書きかえることも
できなくはないですが。
一回UPしたものを大幅にイメージ変えてUPし直すのはいいことなのでしょうか。
いいのであれば、別バージョンとして書きなおしてみますが。
今は人が少ないので、決断は急がないことにします。
「――もう起きる時間だよ、眠り姫」
とても優しい声が、私の意識をそっと掬い上げた。
まだ少し重い瞼を開くと、月の光を受けて白金に縁取りされた彼の姿があった。
だけどその姿は夢みたいに幻想的だったから、私はまだ自分が寝てるんじゃないかって思った。
「……本当に、色くん?」
私は確かめるために、彼の頬に触れようと手を伸ばしたけれど途中で掴まれ、
そのまま彼は手を口許に運んだ。
「まだ、寝惚けているね?」
彼は微笑んで、そっとキスをしてくれた。首にかかる彼の髪の毛がくすぐったい。
「王子様のキスは、いつだって姫を目覚めさせるためにあるんだよ」
そう言って、彼は私を抱き起こしてくれた。
どうしてこんな所にいるの、と訊ねようかとも思ったけれどなんだかそんなことを
聞くのは野暮ったい気がした。
それに彼ならきっとこう言うよ。『僕は時間にも場所にもとらわれない。ミューズが
囁けば美しいものを求めるために僕はいつどこにでも現れるんだよ』ってね。
「――世界って綺麗だよね」
私は唐突に言った。
そして月を見上げてメロディーを口ずさむ。
『美しき世界』
何度もその曲だけをリピートして聴いていたから私は歌詞を完璧に覚えていた。
「もしかして、君もその曲に誘われて?」
「君“も”って……色くんも?」
「そうだよ」
空に高らかと響くテノール。
ああ、やっぱり男の人が歌ったほうがいいなぁ。
色くんの歌う姿は少し意外で、凄く新鮮だった。
「……でも、世界にはまだたくさん、この美しさに気付けない人たちがいる」
すごく、悲しいことだけれどね。
彼の表情に、胸を締め付けてくるような暗い翳が生まれる。
だけどすぐにそれを振り払うかのように、
「だから僕はきっかけになる。世界中の誰もが美しい心を取り戻すきっかけに」
感受性が強くて傷つきやすい、だけど決して挫けることのない、強い人。
ああ、やっぱり私はこの人のことが好きなんだ。
頭じゃない、心が私にそう告げる。
「私、ずっと待ってる。色くんの帰る場所になるから……」
彼は卒業と共に世界へと飛び立ってしまう。
本当は止めたい。ずっと一緒、ずっとそばにいて欲しい。
でもそうやって彼の羽根を手折ってしまえば、彼は彼でなくなってしまう。
風のように自由でなければ、私の好きな彼じゃないもの……。
「“三原 色”は世界中みんなのものだけれど、
今君の前にいる“僕”は、永遠に君だけのものだよ」

――今が、永遠に続けばいいのに。

私は囁く。今だけの、ちょっとしたわがままを。
だけど彼は微笑んで、こう言ってくれた。

「今が、僕にとっての永遠だよ――」
530渉SS職人:02/07/15 15:28 ID:cLKQOo1E
すみません。
UP途中で書きこんでしまいました。

それにしても、「美しき世界」って、どのキャラにもあてはまりそうな
歌ですよね。
これを読んで、“ワカメソングか、ワカメソングだ”と思ってしまいました。
今まで王子が一番近いと思っていたので。
531522:02/07/15 15:55 ID:3Iqp7Q1u
>524
その辺りは見解の相違と申し上げるほかにありません。
私も何本かこちらに貼らせてもらっていますが、
正直、現在の何を書いても「神、神、マンセー」の馴れ合いでは
作者が試行錯誤する以上には成長の機会が無く、
あまり意味のある環境とは思えません。
私は、筆者が自分の書いたものについて責任を取るとしたら、
それは、周囲の批評批判を真摯に受け止め、
もう一度作品を見つめなおすこと以外にないと考えています。
もちろん、筋違いと判断した批判に関しては意に解する必要はありませんし、
以降の作品に、そうした意見を反映する必要もないでしょう。
>「職人さんはあなたを満足させる為にSSを書いてるわけではない」
とのお言葉ですが、では、何故このような場所で発表するのでしょうか?
様々な人の目に触れる場所に作品を発表する以上、
それに対して批評が行われるのは当然です。
>キャラに対してのイメージは、1つだけではないのです。
当然です。
だからこそ、渉SS職人さんの受け取り方があり、私の受け取り方があるのです。
書かれた物を、絶対として受け取るのではなく、双方の意見の交換で
より深いものに到達できるというのが、私の考えです。
ですから、こうして意見しました。
インターネットは書籍ではありません。
双方向の意見交換が容易な環境なのですから、それを有効に利用したいと思っています。

さて、ここまで書いて、私の作品を明らかにしないのは問題がありますね。
前スレの2本は現在、保管庫に保存されています。
作者名 レス番号478 の 「無題」(バイト物)
作者名 レス番号849 の 「昨日の僕と明日の僕と」(モリリン物)
今スレでは >149-160 の 「究極と至高」 が私の作品です。
身になるような厳しい批判をお待ちしております。
532524:02/07/15 16:08 ID:smlu7zuj
>531
責任感があり、ご自分の作品をとても大切にされている方なのだと思います。

えーと、なんか難しいことはあんま好きじゃないんですが、
私の場合はぶっちゃけ、書きたいから書く。見せたいから見せる。
ある意味オナニーです。
ここに作品を上げることで成長しようなんて微塵も思っちゃいませんし、
そもそもここはエロ萌えするためのスレなんじゃないんですか?
「神、神、マンセー」で何が悪いのでしょうか。
気に入らない、イメージに合わないものは脳内あぼーん、好きなものは褒め称える。
私は今までのマターリした雰囲気が好きなので、このスレが>522さんの言われるような
趣旨のスレだとしたら去らざるを得ません。

こんなこと言うようなヤツの正体は先生萌えでしたw
あぁ、匿名で議論(?)するのは楽なのに、名前出した途端に重くなる…。
533名無しさん@ピンキー:02/07/15 16:15 ID:QrbYnpnK
>527
別バージョンで書きなおすというのでしたら、私は読んで見たいです。
>531
一読者として言わしてもらえば、「神マンセー」との事ですけど、
別に信者でもなく、楽しい、もしくは素敵なお話を読ませてくださった
お礼と受け止めては駄目ですか?

私は、いいなぁと思ったお話にしか、レスつけてません。
試行錯誤との事ですが、読者の立場から、少しイメージが違ったとしても、
「違う」とは言えないものです。

私は、こう言ったSSは一種のパラレルワールドと捉えています。

これからも、神様達がお書きになる作品楽しみにしています。
534名無しさん@ピンキー:02/07/15 16:20 ID:A6mMsRX1
私はもっといい作品も書きたいし読みたいから色んな意見有ってもいいと思うよ。
マンセーしか受け付けない人はそれでいいと思うし厳しい意見を糧にして
もっと良い物を書きたいなら厳しい意見も受けとめればいい。
今回の様に私はこうじゃないって言う意見もひとつの感想なのだから感想に対して作者以外が口を挟むべきではないと思います。
挟むから議論になる訳でして。
私は色んな作品も色んな意見も全て読み応えあるからどんどんすべきだと思う。
535名無しさん@ピンキー:02/07/15 16:36 ID:WsARt44r
正直書いてるほうとしては何もレスないのが一番痛いな
指摘も大いに結構だと思う
たしかにそれで書きたくなくなるって人もいるかもしれないけど
まぁそれならそれで。
536先生萌え:02/07/15 16:41 ID:smlu7zuj
>534
うーん、それも一理あるけど、
でも「イメージが違う」なんて言われたら
作品全てを否定されているようなものじゃないですか?
職人さんみたいだから、今回のあの意見に対しては
私の言いたい事も伝わるかと思ったんですけど……。

う〜ん。でも口を挟まなければ…というのには確かにと思いました。
すみません、余計なレスでした。一段落したら逝ってきます。
537名無しさん@ピンキー:02/07/15 16:43 ID:Ztam02Y2
……とりあえずスレの雰囲気が悪くならないなら何でもいいや……。
最初からここ見てるので、そろそろ色んな問題が出てくる頃なんだとは
思いますが、特定の神、特定のキャラ、特定の設定のみをマンセーせず、
皆がなによりこのスレ好きだから今までいい雰囲気だったと思うのね。
バランス取りが難しくなってきてるけど、まあそこは皆さん21歳以上(w
ということで、見てる人みんなが楽しめるようにちょっとだけ気を遣いながら
ってのは無理でしょうか?
流れのようなので私も一応。バイトスレ556でした。
538名無しさん@ピンキー:02/07/15 16:50 ID:JuPDX8HB
534さんのマンセーしか受け付けない人はそれでいいと思うし厳しい意見を糧にしてもっと良い物を書きたいなら厳しい意見も受けとめればいい。って意見には賛同。
私は正直、2ちゃんは厳しい意見も糧にして力を伸ばせ、って事を要求する場所じゃないと思ってる(^_^;
読者として出来るだけいい作品を読みたいのは山々なんですけどね。厳しい意見を受け付けられない作者が誉めてもらう事を望んで作品投稿するような慣れ合いばかりの場になったらその時はこちらから去ってそのスレの存在を脳内あぼーんするまでのこと。
レベルの低いスレは自然とお客さんも減ってやがて埋もれていきますよ。
でもとりあえず、作品は見る人がいて初めて作品になり得るんだって事だけは、忘れない方がいいと思います。
539名無しさん@ピンキー:02/07/15 16:51 ID:EnxDDga1
今522さんの作品を読み返してきたけど、どれもしっかり構成されていて
作品として質は高いと思った。言ってることも一理ある。
それだけに他の神にも同じ物を求めるのも分かる気がするがそれでは
「敷居が高く」なって他の神が降臨し辛くなるのも確か。
ここの来る人は皆GSの(エロ)SSが読みたくて来てるわけだし、522さんの様な
質の高い(;´Д`)ハァハァだけじゃなくて、シチュエーション萌(;´Д`)ハァハァ
なSSがあったって良いと思う。
522さんのような向上心のあるタフな神は、文末にでも批判OKと書いてみては?
その場合、534の意見のように横から口を挟まなければ良いんじゃないかな?
内気な神もおわすことだし、ケースバイケース、ちゃんぷるー精神で
これまで以上にスレを盛り上げていきましょう!(*´Д`)
540コギャル&中高生:02/07/15 16:51 ID:ptcMS/B8
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541名無しさん@ピンキー:02/07/15 17:18 ID:ZQ6Sxg8a
私もSS書きですが、ちょっと違うなーというのを読むと、ますます
SS書くのに力が入ります。もっといいSS書いちゃうぞーって。
批判的な意見書くよりも、SS書きさんにとって「ヤラレタ!」と
思われるようにいいSS書くようがんがります。
542王子萌えヘタレ:02/07/15 17:22 ID:i+s1hbXI
ヘタレ@会社です。
私も>532>534の、先生萌えさんと全く同じ意見です(ケコーンしたいくらい)。
私もオナーニですからもう(w。
でも、話の運びがどうとか、文体がどうとか、そういうところでの
キビチー意見に関しては、それはそれで私は励みや参考になりますので、
ガソガソ言っていただいてかまわないです。

でも「イメージが違う」というのは、そういう部分と別物のところではないかと。
この手のSSってのは、書き手の脳内のイメージの放出だし、
その部分が違うからこそ、いろんなタイプの作品ができるわけで。
そこを「違う」といわれても、じゃあどうしろというのか、と。
イメージの違いって、たぶん意見交換や論議しても、ループですよ。

あと、渉SS職人さん。
ご自身のイメージがあるなら、書き直すという必要はないのでは。
543王子萌えヘタレ:02/07/15 17:26 ID:i+s1hbXI
いかん、>532>536ですた・・・。
仕事に逝ってきます・・・。
544渉SS職人:02/07/15 17:37 ID:cLKQOo1E
冷静になろうとしつつROMってましたが。
>>542さんの言うとおり、書いているときはそのイメージでした。
頭の片隅には違うっていう人もいるだろうな、とは感じていました。
しばらくいろんな意見を読んでいてわかりました。
それは、イメージがまだ確立していないうちに書いたことが原因です。
冒頭、迷ったのです。悩んだのです。先生のキャラをつかみかねていて。
で、出てきたのが、私の中の教師像でした。
別バージョン(といっても後半はほとんど同じになりそう)の
前半のイメージが出てきましたので、これからどうしようか、
もう少し考えてみます。
でも、一回でもUPしたのですから、一応あれは“ひとつの作品”
として数えられるべきだと思います。

ちなみに、最近自覚したうっとおしいかもしれない癖。
○○、〜〜〜。
が多くなりがちということ。
しかも、○○がでも、とか、とりあえず、とかどうでもいい言葉、
というか私自身の書き言葉の癖が多いです。
執筆活動を数こなしていくと、意外に自分の考え方や癖が
見えてきますね。

>>542
よって、今検討中なのです。
ちなみに、バイトとワカメのも結構悩みました。
でも、彼らの場合は書いたことによってイメージが固まりました。
先生はまだ手探りです。
近いうちにもう一周プレイしてみます。
545名無しさん@ピンキー:02/07/15 17:41 ID:suRCT87y

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546先生萌え:02/07/15 17:46 ID:smlu7zuj
>542の王子萌えへタレさまが私の言いたい事を言ってくださいました・゚・(ノД`)・゚・。

最初に伝えたかったのは
>でも「イメージが違う」というのは、そういう部分と別物のところではないかと。
>この手のSSってのは、書き手の脳内のイメージの放出だし、
>その部分が違うからこそ、いろんなタイプの作品ができるわけで。
>そこを「違う」といわれても、じゃあどうしろというのか、と。
この辺です。(引用させていただきました)
もう私の最初のレスにこれっぽっちも入ってない辺り恥ずかしい限りです。

あと、悪意からではなかったと言え、スレの雰囲気を悪くしてしまってごめんなさい。
批評希望の人は一言書いておく、と言う方向で纏まればと思ってます。
547 :02/07/15 17:47 ID:iFIDLVIj
524さんの文章を読みすすめてて、「先生萌えさん」かな?と思ったら
最後にそう書いてあってなんか嬉しかったです (藁

私も先生萌えさんみたいなポリシーで(といっても萌えさんは
「ちょっと」なんてもんじゃない文章のうまさであらせられますが)
「ちょっと書いてみようかな」程度だったので、一連の文章を読んで
正直うぷしづらくなったなーと思ってしまいました。
適度に一生懸命書いたので、反応があればもちろん嬉しいです。
でも、レスがなくてもまぁいいやと思っています今の所。それが答えだと
思うんで。


という私は>>355(前スレ403=583)です。こうなって、続きを書くべきか正直迷っています。


私信ですみませんが、前スレの主人公G行為SSからの
先生萌えさんのファソです。サイトも知りたい位です。
新作心よりお待ちしております  (;´Д`)ハァハァ  
548名無しさん@ピンキー:02/07/15 17:50 ID:P7nrem2G
やはり迷い等が有る時は作品自体にも迷い等が出る訳で。
私は渉SS職人さんの先生の王子への感情は吹き出してしまったよ。
こう言うのも有りだなぁって思いました。
549先生萌え:02/07/15 17:50 ID:smlu7zuj
>547
申し訳ない、うちの主人公はGしてません(汁
あの神様は私も尊敬してますので、恐れ多いです。
神様のためにも、これだけ訂正させていただきたいです。

でも嬉しいです。ありがとうございます。励みになります・゚・(ノД`)・゚・。
550名無しさん@ピンキー:02/07/15 18:08 ID:Ztam02Y2
とりあえず萌えてもいないキャラだけど反応
あるから〜みたいな理由では書いて欲しくない。
面白い、つまんない、マンセー、批判以前の問題として
好きなキャラをそういうオモチャにされるのは嫌。
読みゃ判る。賞賛目当てか好きで書いてんのかはね。
微妙に話題違いでスマソ。
551名無しさん@ピンキー:02/07/15 18:20 ID:cqUWBrMb
>550
死ぬほど禿同。
愛があればあまり上手くなくても読んで楽しい。
愛がなければどんなに上手くても読んでつまらない。
552名無しさん@ピンキー:02/07/15 18:27 ID:FACIS2uJ
>550
そうですね。愛情がなく、ただ延々と濡れ場が続くのは読んでいて気持
ちよくないですね。それだと官能小説の登場人物の名前をときメモキャ
ラに変えればすむことですし。
553名無しさん@ピンキー:02/07/15 18:29 ID:aACq1yLm
むし返し&長文スマソ
私の書くSSも正直オナーニです
ゲーム中で語られてない部分を個人の感性で勝手に捏造して愉しんでます
文章を構成する能力なんて二の次で、ほぼ感性のみで書き殴ってますので
見返すとえらい稚拙であぼーんしたいくらいなんですけどね
イメージが違うのは当たり前のことだと思ってます
むしろイメージが違うことでいい意味で裏切られたいと
批判については多くの方が仰っているように、文末でも文頭にでも一言その旨を
書き加えておけばいいと思います
ちなみに私はスレ2だと>84-85、>341、>526-529、スレ1の方では節操無く
色々手を出していたlazuliと申します

私個人の意見としては、こういった議論も皆さんのナマの意見が聞けて
わりと好きなんですけどね

>渉SS職人さま
ちゃんと人いないのを確認せずにうpした私がいけないので気にしないで下さいね
最初にワカメエンド見たためにうちの脳内では『美しき世界』は
ワカメソングに決定されとります(w
というかどのエンディングでも合うので流石B'z!!って感じです
554渉SS職人:02/07/15 18:41 ID:sXmkqmT1
>>550-552
一応、全員好きではあるのですよ。
苦手なキャラは今回もいません。
でも、みなさんの“好き”にはかないませんね、やっぱり。

今までいろんなドジンシ買いましたけど、愛が足りないとわかりますね。
でも、自分の書き上げたという熱が冷めないうちは愛があふれてるのか、
ひっこんでるのか判断できないのです。
ジブンマンセー病のようで。
555名無しさん@ピンキー:02/07/15 18:51 ID:QE76pQdJ
いい雰囲気でここで進んでいるのに蒸し返して悪いが
ここで書けないからと言って他所で「対処に困る」と書くのは頂けない。
そっちの方が余程性質悪いと思うんだな。
対処に困るなら困るなりに胸に秘めておけばいいのでは?
ここは金払って本買う場所じゃないんだしイヤならスルーするか
ここで言うべきだと思います。
556名無しさん@ピンキー:02/07/15 18:59 ID:7PjSN1mz
>531さんとほぼ同じ考えですが、何と言いますかここでは
イメージが多少違う作品があっても、批判をしようとは思えないのです。
すごく好きで書いてるんだな、という気持ちは痛いほどわかるし。
そして本当に批判や感想が欲しい方ならサイト作るかな?って。
SS発表場というよりも、愛と萌えの共有スレみたいな感じがして。
だからオナーニで全然結構、むしろもっと書いてくれ、と思いますね。

でもって、私は文章のうまさよりも、
その方のキャラ観とか全体の雰囲気で読んでます。
キャラに対する愛がひしひしと伝わってくるのとか萌えっていうかむしろ嬉しくなる。
濡れ場ばかりのSSでも、書き手の愛さえあれば全然OKだと思います。
むしろ今までのものよりもっと激しいエロでも構わない(w
それから>550さんにも禿げ上がるほどに同意ですね。

長文スマソ。
557551:02/07/15 19:07 ID:3dwVgwH8
>556 あなたにも死ぬほど禿同〜。
萌える気持ちを吐き出して、分かち合うスレというのが私の感覚です。
558名無しさん@ピンキー:02/07/15 20:13 ID:K2A+n6jT
>555
おーちーつーけー。
気持ちはわかるが本当にそれは向こうで直接言ってやってくれー。
向こう読んだけど対処に困るの流れがよくわからんかったのよ私なんかには。

今日はこんな感じかなあ…深夜にはマターリ?
559547:02/07/15 20:17 ID:x57kLBrm
ああああ、すいません。お二人をごっちゃにしてしまって
大変失礼をいたしました>G神様と先生萌え神様

でも両神様ともファソなので、うpされた
あかつきにはこっそり(;´Д`)ハァハァ させていただきます。がんがれ〜
560名無しさん@ピンキー:02/07/15 20:32 ID:UmY5481K
ビクッ. ∧ ∧ ∧ ∧   / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
  Σ(゚Д゚;≡;゚д゚) < うお!なんかすごいところに迷い込んじまったぞゴルァ!
     ./ つ つ    \______________________
  〜(_⌒ヽ ドキドキ
     )ノ `Jззз
561名無しさん@ピンキー:02/07/15 20:35 ID:x57kLBrm
>>526神さま

∬゜∀゜∬ イイ!  おとついワカメクリアしたばっかりだったから
ひたっちゃった・・・。ジーンときました。あはれなり。萌えです〜
ワカメってクリア前クリア後と
全然印象違うよねぇぇ (;゚Д゚)ハァッハァッ
562名無しさん@ピンキー:02/07/15 21:04 ID:FACIS2uJ
>561
ワカメのEDはイイですよね。ここのワカメSSもすごく好きです。
563インデックス職人:02/07/15 21:33 ID:O324C6/F
…いつでもたくさんの方がいらっしゃるスレですよね、こちらは。
マターリ感を崩したくないと思われる方が多いのが個人的に嬉しいです。

色々思う所も無いでもないんですが、他の方がほぼ結論書いてくれてるし
むしかえしになるしなんかくどくなるしなので…結論だけ簡潔に。

たくさんの住人がいる中では、もちろんある程度のルールやマナーは
守るべきでしょうが、皆の意志を完全に統一するなんて無理な話。
ただ、住人に一致するはずの『GSエロを読み書きしたい』という意志を持った人が
1人でも締め出されるような空気になるのは18禁スレ初期から
楽しませて頂いてた身としてはちと悲しいでつ。

これはもちろん>522さんも、渉SS職人さんも一緒です。
次の作品にインデックス貼るのを楽しみにしております。

今日の分のインデックスはまた深夜に。
564名無しさん@ピンキー:02/07/15 21:35 ID:RyMmIXtu
>547
G神様とかスゴイお名前を戴いてしまいましたよ(ワラ
んでも褒めて下さって有難う。馴れ合いスマソですが御礼だけ言わせて。
漏れにとっても、ここで書き殴ってたSSは、あくまで萌え衝動を吐き出すための、
排泄的なオナーニと同じものですが。
でも誰かが読んでくれて、それを楽しいと言ってもらえると、それはもう
ホントウに単純に嬉しいです。有難う。
ちなみに前スレでは159-(溜息Gモノ)249-,541-,今スレでは>249が漏れの吐瀉物でつ。
意見されてる皆様が名乗ってらっしゃるので漏れも流れで名乗っちゃいますが。
倉庫ではtomo-zouと名乗っております。自サイトは持っていませんので
探さないで下ちい(ワラ 文体が似ててもそれは本当に別人よ(w
何かイロイロ思う事はありましたが、それでも読んで喜んで下さった方が
いたから頑張って来れました。モチーフに対する違和感や、漏れの文自体が
嫌いな方につきましては、スルーして戴けると大変に有難いなぁ、と一書き手と
しては思いますが、文の上手い下手に関しては、私自身は批評オッケーです。
言いたい事は、どこででも吐き捨てて下さい。有難く受け止めます。
もう書くの辞めようかと思ったけど、でも書いてと言って下さった方もいたから
またヤっちゃう事にしました。てか萌えなんて吐き出さないとやってられません(w
また貼り逃げしに来ますからよろしければ読んでやって下さいませ。

私は書き手であると同時に、他の神様のSSに萌えさせていただいてる
読み手でもありますから、誰でもが気兼ねなく書き込み出来るように、
敷居の低い、居心地のいいスレであって欲しいなぁ、と切に思ってます。
なのでこんなマジメなレスは今回が最後にするぞ(゚Д゚)ゴルァ!!!(w
565名無しさん@ピンキー:02/07/15 21:39 ID:O324C6/F
これだけでは何ですから名無しで感想を(w

ワカメSSは何時もロマンティックというか文学的というか、
当人のイメージにピターリあっててカコイイでつ(*´Д`)ハァハァ
(ひょっとして同じ書き手さん混じってるのかな?)
566バイトモエー:02/07/15 21:55 ID:DT3LpBCP
胸がちくちく痛むので私もカキコおば。難しい話からは、逃げますが。

エロだけって、評判よくないのは解ってるんですよ。
でも、コレだけは信じてほしい。バイトへの愛はホンモノです!!
∩ ∩ ←こういう目で笑うバイト(解りにくい)が、愛しくてたまらなくて、幸せにしてやりたくてしょうがないんですよ。
不安などに苛まれずに、お互いの気持ちを信じあった幸せなバイトを書きたい、と。
ただ、私が書こうとすると……エロしか思いつかないだけで……(w
というか、エチが好きなんです。(鬱

ここには、神がいっぱいいらっしゃるので、素晴らしい話は他の方に任せて、
んでその中で、こそっとこんなエロ好き女がいたっていいよな……という考えで書いてますた。
……エロスレだしいいかなって。
とりあえず、濡れ場しかないですが、バイトへの愛はこんもりあるので見逃してくらはい……!!
567名無しさん@ピンキー:02/07/15 22:02 ID:9hglGWkg
そうか、やっぱりエロのみはまずいですか…
愛が無いわけではなくて、濃いエロ描写を書くのが好きなので
つい突っ走りがちになってしまうんです。
もう漏れは逝ったほうが良いでつね…
568王子萌えヘタレ:02/07/15 22:02 ID:iXOWT8ns
昨日までイッパイイッパイでレスもおっつかない状況だったので、
改めてお礼参り(オイ)に参りました。まとめレス長文スマソ。
ウザと思われる方も、スルーでよろしくです。

>338>339>343>412>414>423>425>426>427>430>493のみなさま
(だぶってる方もおるかと思いますが)。
ダラダラと3日間もお待たせ続けてしまってすみませんでした。
しかも長い割に最後が尻つぼみくさくて申し訳ない!
流れ的にまずい矛盾も見つかったので<バカ、
いつか改訂して、どこかでお見せできればと思います・・・。
あと、これからは全部書いてからウpするようにします(w。

>376 前スレ720神
本当に、あなたの芸能人王子がなければ、こないなものは書けませんでした・・・感謝です。
うちの王子と主人公は、大学生の設定なのでなんかサツバツとした上
最後バカップルになってしまいましたが(いや私結構バカップル好きなモンで・・・)、
あなたの方の高校生王子と主人公の結末がめちゃ気になります。
続き、楽しみにしております!!!

>508>509(インデックス神)>510>513>516のみなさま(さらにだぶっている方もおられるかと思いますが)。
名前通りのヘタレっぷりにおつきあいいただき、ご感想までいただき感謝します。
今後も精進します。
しかし>513さま。あなたの教えてくださったバンドメーンの追っかけ話、
正直大笑いしました(w。歯ぁ折れるほどって、すごい殴られ方だよ・・・。
そして>510さま。追っかけちゃんってのも確かにかわいそうかも。
追っかけから彼女に昇格することって、あるんですかねえ・・・。

芸能界とその追っかけ界については、昔「キャー!」というマンガを読んだ程度の
ほぼ無知な私なもんで、おかしいぞ?と思われる部分も多々だったかと思います。
芸能関係の方がもしいらしたら、怒らずにスルーしてください。
原稿用紙で換算してみたら、400字詰めで80枚らしいです・・・。
オイラ仕事でもそんなに書いたことないっす・・・。
569名無しさん@ピンキー:02/07/15 22:03 ID:RyMmIXtu
雰囲気変えて欲しい方いるみたいだから、貼りますぞ。
貼ってダッシュで逃げちゃうからな。もーいいや。イっちまえ。
tomo-zouの駄作です。エロ無し。漏れのがキライな方はスルーして。お願い。

10分後にまた来ますのでヨロシコ。
570名無しさん@ピンキー:02/07/15 22:08 ID:2qTeTRSD
神が光臨してきていろんな意見が読めて嬉しいひとりです。

あれれ?そんな話になっていたんですか?<エロのみは去れ
いやいや、そんなことはないのでは?
少なくとも私はどのSSも楽しく読んでますし、そういう主旨で
やってこーYOみたいな流れになっていたのにー。

まぁとにかく戻ってきてくだされ、神よ。>>566>>577
571名無しさん@ピンキー:02/07/15 22:08 ID:DT3LpBCP
>>567
むしろ書いてくれと小一時……。
私は濃いエロが大好きです。萌える……? いやむしろ濡れる。

>>569
今うpしてくれるあなたこそ、本当の神!
というか、あなた様のSS、素晴らしく感情移入するんですが。なつみんのなんか特に。
おまちしております!
572名無しさん@ピンキー:02/07/15 22:09 ID:Yp3R+lh3
エロのみ、個人的にではありますが大歓迎です。
ていうかなんでエロ板でそういう描写まで規制する必要がある?いやない!マジで!
苦手な方のためというのなら、最初にちょこっと注意文をつければいいだけだと思いますが。

あとバイトモエー様のSS、もの凄くツボです。
私もエチー好きなもので(;´Д`)ハァハァハァ
573名無しさん@ピンキー:02/07/15 22:16 ID:iXOWT8ns
エロのみは去れ、なんすか?
そんなー。自分が書けない分、人様のを楽しみにしてるのに(w。
つーかエロパロ板でエロのみ去れっていうのも(w。
とにかく、みんなマターリしたいっすね。
574名無しさん@ピンキー:02/07/15 22:19 ID:CcK9xHd9
えと。仕切やでスマソですがとりあえず、いったん。
この話題を向こうの18禁スレに持って行きませんかね?
あそこなら書き込み規制もないし、SSのうp邪魔にもならんので。
575名無しさん@ピンキー:02/07/15 22:22 ID:RyMmIXtu
tomo-zouでち。戻ってきたけど、お話中?
今って貼ってもいい?
576名無しさん@ピンキー:02/07/15 22:24 ID:CcK9xHd9
貼ってくらさい>tomo-zou神サマ
577名無しさん@ピンキー:02/07/15 22:25 ID:l0zsJ2YO
OKだと思いまつ。
神様降臨ヤターヽ(´∀`)ノ
578-adolescence-(1/10):02/07/15 22:26 ID:RyMmIXtu
んじゃいくー。エロ無しの長文よー。好みじゃない方は逃げてねー。

--------------------------------------------------------------------

彼女は、私の受け持っているクラスの、大切な教え子のひとり。
意志と知性の強い光を湛えた透明な瞳を持った、向学心溢れる聡明な少女。
教え甲斐のある、私のクラスの自慢の生徒。
ありとあらゆる賛辞がとても似合う完璧な、しかしそれを鼻に掛けひけらかす
事もない素直な心根の彼女は、誰からも愛され慕われているようだ。
常に人に囲まれていた。
私に対しても物怖じせずに率直に意見を言い、時には勉学の事以外の雑談なども
話しかけてきたりするところから察するに、彼女はあまり人見知りしない、
人懐こい性質でもあるのだろう。
いつも、私の姿を見つけると、肩までの髪をさらさらと揺らして、
真っ直ぐに私の元に駆けて来た。
そして、あの双眸で私を見上げ、私に呼びかける──

その視線は遍く全ての事柄から
たったひとつの真実を見抜かんとするが如くに強く真っ直ぐで。

──私は、ずっと其処に居たいような、居たたまれないような、
何とも不可思議な気持ちになるのだった。
579名無しさん@ピンキー:02/07/15 22:28 ID:KL5z4FvS
>>575
おかえりなさいでつ!待ってました(w
是非ともおながいします。
580-adolescence-(2/10):02/07/15 22:28 ID:RyMmIXtu
だが、近頃彼女は、少し変わったように思う。

ごく偶に、ではあるが、溜息をついたり、友人に話し掛けられてはっと我に返り、
それを誤魔化すように無理に笑顔を浮かべたりするようなことが見受けられた。

そして、その瞳に、強い意志の光の代わりに、空を映すことが多くなった。
時折、意識を彷徨わせているのか、ぼんやりと何処か遠くを眺めている。
そんな時の彼女は、ひどく透明で、触れれば壊れ消えそうな、
儚く脆い雰囲気を漂わせていた。

その危うさに目が離せず──

気付けば、彼女は自分にとって常に気掛かりな存在になっていた。


──いや、そんな些細な変化に気付く程に、
常に彼女を気に掛けている自分に気付いた、というべきか──
581-adolescence-(3/10):02/07/15 22:29 ID:RyMmIXtu
どうして、彼女ばかりを気に掛け、目で追ってしまうのだろう。

教室で、ふと職員室の窓から見下ろしたグラウンドで。
──瞬時に、見つけてしまう。其処に居ない時は、その姿を延々探してしまう。

初めは、私の受け持つクラスの中で唯一の、外部からの転入者だったから
それで特に厳重に監督しなければならない、そう思っての事だった。
……その筈だった。

だが、彼女はとても優秀で、人付き合いもよく、非の打ち所のない生徒だった。
監督などすぐに必要が無くなった。
それでも私は、『彼女は時折注意力散漫で、うっかりして凡庸な失態をしてしまう
ことがある』というもっともらしい理由を見つけ──それは確かに間違いなく
真実でありはしたのだが──彼女を特別に気に掛け続けていた。

今考えれば、それはすでに監督とは別の意味合いを持っていたが、
愚かな私はその時には本当に気付くことが出来なかった。
582-adolescence-(4/10):02/07/15 22:31 ID:RyMmIXtu
だが次第に私は、自分が、自分自身でも理解できない、制御できない
感情と身体機能を抱えている事に気付いた。気付いて、しまった。

彼女が笑えば私も不思議と心が和み、
彼女が悲しめば何故か私の胸も痛みその原因を調べ万難を排してやりたいと願う。
彼女が困っていれば何を差し置いても手を貸さずにはいられない。
──そして、守り慈しみたい衝動に駆られる。

時折彼女を「社会見学」に連れ出すのも、その感情の顕著な発露か。


確かに、彼女は標準女性の平均よりも優れた容姿をしているように思う。
……それは事実である以上、認めざるを得ない。
だが、彼女以上に一般的に綺麗だと判断できる容姿の女生徒は
この学園の中にも他にも何人も存在している。

それなのに何故。彼女だけが眩しく、目が離せない。

それに、自分は教師で彼女は生徒だ。
ひとりの生徒だけを気に掛け、贔屓目で見るような事など
決して許されない、あってはならない事だ。
生徒には、皆に対して公平でなくてはならない。
それが教師という職に就いた者の務めだ。

だが、そう理解し警告を発する理性とはうらはらに、
やはり私の目は彼女の姿を探し、追い求めるのだ。
583-adolescence-(5/10):02/07/15 22:32 ID:RyMmIXtu
そして、彼女と同じく、近頃の私もまた、以前とは変わってしまった。
彼女が関わる全ての事柄に対して、冷静な判断が下せなくなった。
彼女に接する際、ひどく不自然な態度を取るようになってしまった。

体温の上昇、脈拍の増加。心身の緊張から由来する言語機能の低下。
それらを認識しながらも、私はそんなことはあり得ないと自分を偽り言い聞かせ、
彼女にそれが伝わらないよう心掛けながら、彼女に接する。
出来るだけ、冷静に。事務的に。もしかすると他の生徒に対するそれよりも冷淡に。
最大限に心を配り、理性を総動員させて、とにかく表面を懸命に繕う。

私の教師としてあってはならない執心を、表情に、声に表してしまわないように。
この心の理解しがたい動揺を、その眸に強い視線に見透かされてしまわないように。
─軽蔑、されないように。


しかしそうしなければならない理由を考える事はずっと避けていた。
ひどく困惑するような、あってはならない結論を導く事になりそうな、
そんな予感がしていたからかもしれない。
584-adolescence-(6/10):02/07/15 22:33 ID:RyMmIXtu
私が変化するに到った最初の契機を思い出す。
そう──あれは、一年前の出来事だ。


─あの日、放課後。めずらしい事に、僅かに空いた時間が出来た。
ふと気が向いて、私はピアノを弾くことにした。
ドビュッシー。ショパン。リスト。
誰もいない音楽室で、私は気の赴くままにメロディを紡いでいった。

心地よいピアノの音色と、どこか軽くなるような開放感に酔いしれ、
すっかり演奏に夢中になってしまった私は、途中で現れた彼女の存在に
全く気付かなかった。

かたん、とひとつ物音がした。
その音に反射的に手を止め、顔を上げると、そこに彼女が居た。


彼女はその双眸を大きく見開いて、私を見つめていた。
その顔には、驚きの表情。わずかにひらかれた、唇。
心なしか、眸が潤み頬が赤いように見えるのは、窓から差し込む夕陽のせいか。
その様がとても綺麗で──目が、離せなかった。
585-adolescence-(7/10):02/07/15 22:34 ID:RyMmIXtu
すぐに、私ははっと我に返った。驚きの感情を認識したのはその直後。
生徒が─いや、彼女が。こんな時間、こんな場所に居るなどとは思いもしなかった。
どうして今ここに彼女が。何故。

「…………」

思わず、彼女の名を呟いてしまう。
自分がひどく動揺し、狼狽している事に気付く。羞恥を覚えたのは何故だろう。
警戒心を失していたせいで、ひどく無防備に素を晒していたからだろうか。
それとも──束の間彼女に見とれた事に対する──

「すみません! お邪魔するつもりはなかったんですけど……。」
彼女が申し訳なさそうに、今にも泣きそうな顔で詫びた。

ああ、そんな顔をしないでくれ。そんなに辛そうに私に詫びなど。
さらに動揺してしまいそうになる自分を必死に押し殺す。
努めて冷静に、ここに居る理由を彼女に尋ねようとした。
「……なんだ?」

無理矢理に狼狽を押さえ込んだ声は、ひどく無愛想で厳しい響きをしていた。

「はい……あの、音楽室の戸締まりを……。」
私が声をかけると、彼女はさらに居たたまれなさそうに、申し訳なさそうに
顔を赤くさせながら恐縮した。
「……もう、そんな時間か……。」
迂闊だった。今思えばなんと私らしくもない愚かな失態か。
586-adolescence-(8/10):02/07/15 22:35 ID:RyMmIXtu
「………あの………」
彼女が遠慮がちに、小さく声を掛けてきた。
「どうした?」
「すごくきれいな演奏でした。」
その身は萎縮しながら、だがその瞳の光は強く、嘘が無かった。

「……そうか、ありがとう。」
湧く喜び。胸の奥で灯る、小さく暖かな光。

「あの……。」
「戸締まりは私がしておく。早く帰りなさい。……もう遅い。」

彼女を心配して出た言葉だったが、響きはやはり無愛想だった。
本当は「送って行こう」と言いたかった。だがそれは形にならず私の中で霧散した。

彼女が「…失礼します」と小さく会釈して出ていった。


これ以上一緒に居れば、冷静な自分を保てないから。
だから自らの手で先に帰した筈だったのに。

彼女が出ていった後に感じたのは、彼女が目の前から居なくなった喪失感。
自分の無愛想さが彼女を傷つけたかもしれないという罪悪感。

私はひどく空虚で寂しい気持ちに襲われた。


───これが、私の──の始まりだったかもしれない。
     あってはならない、決して許されない───
587-adolescence-(9/10):02/07/15 22:36 ID:RyMmIXtu
────!!今、私は何を考えていた。
その思考は、結論は、極めて危険だ。あり得ない。あってはならない。

そう。駄目なのだ。

違う事を考えねば。違う事を───


それでもあてもなく散漫に思考の森に足を踏み入れ彷徨えば、
どの道を選択しても、結果いつでも彼女に関する事柄に辿り着いてしまうのだ。


そういえば、彼女に変化の兆候が顕れたのも、あの出来事の後ではなかろうか。

同じ時期から始まった兆候。偶然、だろうか。
確率から言えばそれは間違いなく偶然の可能性が高い。奇跡的な天文学的な数値だ。

だが、自分の心がそれを否定し訴える。
彼女の変化には、自分が関連し影響を与えていると。

まさか。ありえない。だがしかし。

彼女は何を想い浮かべ、溜息をつくのだろう──それが私の事ならばいい──

───いや!!これもあり得ない!!そんな莫迦な。
彼女が私の事で思い悩み考えるなど……
……あるとすればそれは、私が取る不自然で冷淡な態度のせいだろう。

彼女を傷つけ、思い悩ませているかもしれない。

自分で思い到った仮定の推論に、どうしようもなく背筋が冷える。
ひどい後悔に襲われる。だが、どう対処していいのか、どれだけ考えても
そのうまい解決の方程式は見つけられない。
588-adolescence-(10/10):02/07/15 22:41 ID:RyMmIXtu
自分でも自分の事が解らず混乱しているから自分が制御出来ない。

かといってその原因と結論を明確にするのは、とてもまずい気がする。
それは避けるべき思考。あってはならない結果。
ならば混乱し制御出来ない自分であってもそちらを選ばねば。

私は今夜も自分自身を騙し、気付かぬ振りをする。


就寝予定時刻など、既に大幅に超過している。
だが近頃は毎夜の事だ。いっそ予定時刻を改めて設定しなおすべきか。
グラスに氷を入れ、液体を注いだ。琥珀色の、芳醇な薫りの生命の水。
宿る火の神に、私の愚かな思考を薙いでもらうために。


それにしてもこの私が、昔から周囲の誰からも沈着冷静だと評されていた私が。
このように、たったひとりの、しかもひとまわりも歳の離れた少女の存在に
心乱され振り回されるとは。きっと誰も想像出来なかったに違いない。
──私自身でさえ、そんな事は思いもしなかったのだから。

ひとりの女性の態度が仕草が、存在自体が気になって仕方ない。
それに一喜一憂し、混乱し困惑し振り回される自分は。
ああ。まるで莫迦で愚かな、未熟な思春期の子供のようだ。

苦い想いに、一気に琥珀色の液体を流し込む。
それすらも嚥下するように。

今夜は、眠れるだろうか。

                           (end)
589名無しさん@ピンキー:02/07/15 22:47 ID:w+0rClXv
tomo-zou神さまーーーーーーーーーーーーーー!!

wwヘ√レvv~(゚∀゚)─wwヘ√レvv~─ !
キタキタキタキタ━━━(゚∀゚≡(゚∀゚≡゚∀゚)≡゚∀゚)━━━━!!!!!!!!!!

す、スマソ、とりあえず流し読みで 感激をレスしてしまいました。
さーてゆっくり読むか・・・ (爆
590名無しさん@ピンキー:02/07/15 22:49 ID:DT3LpBCP
>>tomo-zou神
制御できない身体機能を抱えている事に……

この分にワラてしまいました。うわぁてんてぇらしい……(w
591名無しさん@ピンキー:02/07/15 22:50 ID:UmY5481K
tomo-zou神様…
てんてーの気持ちの描写凄く(・∀・)イイ!!
感動しました。( ´Д⊂ヽ
592名無しさん@ピンキー:02/07/15 22:59 ID:fHrNfBBk
て…てんてぇ…(;´Д`)ハァハァ
てんてぇの一人称でこんなに萌えたのは初めてでつ!!
ってゆーかもう萌えなんて言葉では到底…っ。
よ、読んだーっって感じです。(何だそりゃ)
私の大っ好きなイベントが主体になってるので、余計に…
なんかこう…。…げ、言語機能が・゚・(ノД`)・゚・。
593579:02/07/15 23:00 ID:KL5z4FvS
>>tomo-zou神様
途中割り込む形になってしまいごめんなさい。
しかもsage忘れ…逝ってきまつ。

お疲れ様でした。読ませていただいて胸にズガーンときました……
実は漏れ、tomo-zouさんのSS大好きだ〜
今日もまた先生萌え度アップ…ちょっと軽く泣いてしまいそうです(w
594名無しさん@ピンキー:02/07/15 23:02 ID:WtHiDw4e
先生に萌えてるところ失礼しますー。
昨日の続き(>>475-483)を貼り付けても宜しいでしょうか?
雷と腹痛で死にそうなので貼り付けて就寝します。

先生SSナナメ読みしました。ステキ♥
明日ゆっくり読ませていただきます。
595名無しさん@ピンキー:02/07/15 23:05 ID:CcK9xHd9
死ぬ前に…貼って!!>594神
596箱の中の狂気10:02/07/15 23:06 ID:WtHiDw4e
「お疲れ様でした。」
「おつかれ。また来週宜しく頼むね。君が居ると売上があがるよ。」
「マスターそんな事ないですよ。」
「いやいや、冗談抜きで。君のコーヒー目当ての人も多いしね。」
「そうですか?有難うございます。また来週も期待に添えられるよう頑張ります。」
「心強いね。もう暗いから気をつけて帰ってね。」
「ハイ。それじゃ、お先に失礼します。」
「お疲れ様。」
今日は凄く仕事も上手くいった。
なっちんと珪くんの優しさをしみじみ実感して落ち着きも取り戻せたし。
ヴォンヴォンと妙な振動と共に微かな電子音がロッカーから音がする。
1回鳴ってはまた切れて。それの繰り返し。
(携帯だよねぇ?何なんだろう?)
慌ててロッカーを開けて鞄から携帯を取り出すと着信有り表示。
「誰だろ・・・?珪くんかな?」
着歴を見ると数十分刻みで非着信通知の履歴が埋め尽くしていた。
メールの履歴もやけに広告とか友達になって下さいなんてヤツがヤケに多い。
(これって・・・ひょっとして・・・。)
ひょっとしなくてもどう見ても悪戯のようだ。
そうこうしてる間にも着信は止まらずメールも止め処なく入ってくる。
携帯を持つ手が震えてきた。膝も次第に笑い出した。
とっさに非着信通知は拒否にしてメアドを変更した。
携帯は途端に動きを止めた。
胸に手を当てて珪くんから貰ったペンダントを確認する。
少し不安が和らいだ。
「と、とりあえず・・・帰らなくちゃ・・・。」
慌てて身支度を整え店を後にした。
怖くて周りなんて見る事も出来なくてガムシャラに家まで走った。
597箱の中の狂気11:02/07/15 23:07 ID:WtHiDw4e
電気も点けず机の前にただ座った。
珪くんのくれたペンダントを握り締めても怖くて脂汗が出る感覚だけは分かった。
まだファンの子の仕業だと決め付けるのには早い。
事を確認しなくちゃ・・・。震える指先がPCの電源を押すのを躊躇する。
怖い。怖い。怖い。でも、ここで怖がっていても先には進めない。
意を決して電源ボタンに手をかけた。
ディスプレーの明かりだけが部屋を照らし出す。
PCが警告音を発する。
『ウイルスが発見されました。』
慌てて調べるとメールボックスに送り主のない巨大な添付ファイル付きの
メールが30件近くも受信されていた。
表題は全て同じだがメールヘッダーを調べると
全てバラバラの物であった。
それでもこれだけで決め付けるのは良くないって思って恐る恐る掲示板を閲覧した。
相変わらず同じ展開を繰り広げていた。
不必要に煽る人、煽りに乗る人。
そしてソレをあざ笑っている人。
私の行動や珪くんの行動とか。
嘘も混ざってはいるが真実味を帯びているかのように見えるように
延々書き綴られている。そしてそれを信じてしまっている人も居るであろう事は否めない。
恐らく書いているのは数人であろうけど人数の問題ではない。
全てが敵じゃないのは良く分かっている。
怖い。これがファンって言うものなの?
598名無しさん@ピンキー:02/07/15 23:07 ID:fHrNfBBk
>594
うわーい、葉月SSの神様もご光臨だーぃ!ヽ(゚∀゚)メ(゚∀゚)メ(゚∀゚)ノ
すごく楽しみにしてました。
というか、体調大丈夫ですか?お大事に…。
599バカ子:02/07/15 23:08 ID:4/0IPtvR
516様、
ありがとうございまつ!
感想めちゃくちゃ嬉しいでつ。
「いちごミルクとカフェオレと牛乳」、イイですね!(w
そして今日もそのシリーズ(と言っていいものか…)の番外編みたいなの
書きますた。
毎日毎日飽きずにスマソ。
楽しくってとまらんでつ。うpしちゃっていいでつかね?
600箱の中の狂気12:02/07/15 23:09 ID:WtHiDw4e
あれから一週間。怖くて家から出られなくなってしまった。
都合よく熱も出たし布団の中で色々考えてみた。
考えても勿論答えも出る筈もなく思考回路は空を切るばかりだった。
携帯の電源も1度も入れる事もなかった。
この一週間誰とも連絡を取らず余計悶々と考えてしまった。
全てを受け止められるにはまだ私は子供過ぎて出来る筈もない。
コンコン、とドアと叩く音がした。尽か・・・。
尽とでさえ顔を合わせる気も起きなかった。
「居ないの?アタシ、奈津実だけど。」
「なっちん?い、居る。どうぞ。」
カチャっと遠慮深そうにドアが開いた。
「おじゃましまーす。オヒサ。具合どう?」
「うん、もうだいぶ良くなったよ。来週には出られるかな?」
「そう?ならいいんだけど・・・。それにしても随分顔色悪いけど。」
「あはは、気にしないで。ただの知恵熱みたいなものだし。」
「気にするよぉ。あ、そうだ。これ、お見舞い。ヨーグルトだよ。一緒に食べよ。」
「そんな気を使わなくていいのに。」
「気なんか使ってないよ。それに予想通りアンタ何も食べて無さそうだし。」
「ちゃんと食べてるよ。大丈夫。」
「じゃ、コレも食べよう。言うなって言われたけどコレ葉月からだから。」
「え?」
601バカ子:02/07/15 23:10 ID:4/0IPtvR
あっ?王子神!割り込んでしまいますたか?!
お体お大事に!!
602箱の中の狂気13:02/07/15 23:10 ID:WtHiDw4e
「何か栄養になるものでも買って持っていってって言われてお金渡されたの。
アタシもさ、最初は『自分で行け』って言って拒否ったんだけど
アンタに迷惑掛けるといけないから見舞いに来られないからって言ってたのよ。」
「・・・。」
「ホラホラ、そんな神妙な顔しないで。愛がタップリ詰まったヨーグルト食べて元気出して。
ま、選んだのはアタシだけどさ。で、アタシはそんな愛のお裾分けいただいてあやかります。」
「なっちん・・・。」
「ん?まぁ、気にするなって。気にるなって言っても気にならない方が無理か。」
「別に気にはしてないけど。頭で分かっていてもでもやっぱりダメみたい。」
「アンタの感情は普通だよ。ヤツらはそこを突いて精神的にアンタの事追い詰めて
別れさせるなり何なりさせるのが目的なんだから、思う壺にはまっちゃダメだよ。」
「うん。やっぱりなっちんと話をしていると俄然勇気が湧いてくるよ。有難う。」
「そうそう、その意気!じゃ、とっとと食べちゃおう。もうおなかペコペコだよぉ。」
「じゃ、私も。頂きます。」
「あ、そうだ。アンタ携帯のメアド変えたでしょ?教えなさいよ。
電話も通じないし。連絡とれなくて益々心配したんだからね。」
「そうだった。連絡忘れててごめん。」
「じゃ、後で送ってね。」
「OK。イッパイ書いてメール送るから。」
603箱の中の狂気14:02/07/15 23:12 ID:WtHiDw4e
月曜日に学校へやっと行けるまでに回復出来た。
結局復活までに10日以上もかかってしまった。
しかし、いつもより足取りが重い。
「おはよう。もういいのか?」
昇降口で隣に人影を感じた。ふと視線を上げると珪くんが横に立っている。
「おはよう。うん、もう大丈夫だよ。ずっと寝てたし。
あ、お見舞い、有難う。しっかり食べたよ。美味しかった。ご馳走様。」
「そうか。ずっと連絡取れなくて心肺したよ。」
「ごめんね。携帯の音で目が覚めたくなかったから切ってたの。」
「メール、返ってきたけど。アドレス変えただろう?」
「あはは、なっちんにも言われた。ごめん。後で送る。」
「学校、サボろう。」
「へっ?」
「後1日くらい多く休んだって平気だろ?行こう。」
そう言うなり有無を言わさず手首を掴んでイキオイよく珪くんが走り出した。
勿論男の人の腕力とかに敵う筈もなくただ引きずられるように走るだけだった。
「く、苦し・・・い。珪くん、ダメ・・・だよ・・・。」
病み上がりの体にはやはり走るのはキツイ。
いつもならどうって事ない速度だけど一気に息が上がってしまった。
「あ、ごめん。つい。」
その場に立ち尽くして呼吸をゆっくり整えた。
「・・・ふぅ。もう大丈夫。それより制服で日中フラフラしてたら補導されちゃうよ。」
「そうか?じゃ、着替えに帰ろう。」
「い、いや、いいよ。わざわざそこまでする事ないよ。」
「それじゃ、森林公園行こう。」
「いいよ。珪くんお昼寝するんでしょ?」
「ああ。勿論。おまえもゆっくりした方がいいよ。」
「そうだね。うん、緑の中でゆっくりもいいね。」
「行こう。」
珪くんが私の右手を取った。指と指を絡ませて、離れないように手を繋ぐ。
私の歩調に合わせてゆっくりと歩き出した。
604箱の中の狂気15:02/07/15 23:13 ID:WtHiDw4e
「流石に平日だな。人が殆ど居ない。」
「ゆっくり出来て昼寝日和なんじゃないの?」
「確かに。おまえともゆっくり話が出来るしな。」
「珪くんが話したがるなんて珍しいね。」
「10日近くもおまえと会ってなかったし話もしてなかったからな。」
「じゃぁ、募る話でもしますか?」
「そうだな。」
珪くんの手が私の首元に伸びてきて髪をゆっくり掬っていく。
じっと見詰められて深い緑の瞳から目がそらせなくなった。
「指輪、ちゃんと付けていてくれたんだ。」
「勿論だよ。珪くんだと思ってかた時も手放さなかったんだから。」
「オレ、ずっとおまえの傍に居られたんだな。」
「当たり前だよ。珪くんが居なかったら、私・・・。」
珪くんの呼吸と私の呼吸が自然と重なり合った。
目を閉じても珪くんが傍に居るのが感じられる。
唇が互いの思いを言葉なんかよりも一番分かり易く伝えてくれる。
ゆっくりと距離が離れてゆくのと引換に
ひんやりと心地良い冷たさの手が私の頬をゆっくりと撫でてゆく。
「珪くん・・・。」
「もう心配させるなよ。」
「うん。約束するよ。」
「約束。」
差し出された小指に小指を絡める。
「バイト、明日から出るの?」
「今週一杯まで休みを貰ったけど。」
「そっか。じゃ、また来週からおまえの淹れてくれたモカ飲めるのか。」
「そうだね。腕が落ちていなければいいけど。」
「楽しみに待ってるから。」
「期待に添えられる様、今日から家で特訓するね。」
「頼もしいな。サンキュ。」
「珪くんのためだよ。」
「オレもおまえの為に何か努力してみるよ。」
「そう言ってくれると嬉しいな。」
「それじゃ、お笑いから極めるかな。」
「あはっ、いいかも。いつか舞台でやってね。」
「うん。そうするよ。」
段々珪くんののんびりとした雰囲気に乗せられて行き
いつの間にか普通に笑える様になってた。
珪くんは本当にいつでも一番に私の気持ちに応えてくれる。
もう何もかも忘れてこのまま行けるって私は思えた。
605箱の中の狂気16:02/07/15 23:15 ID:WtHiDw4e
昨日サボった事は先生には上手く誤魔化せたようだ。
珪くんも仕事の都合で珍しく朝から欠席していたし。
なっちんもバイトでとんぼ返りで帰宅していった。
体調もまだ完全には戻っていないのでとりあえず寄り道せず帰路に着いた。
ベッドに寝転びぼーっとしてみる。外から車の音や鳥のさえずり、
そしていつもの生活の音が溢れ返っていた。
机の上に置いてあった携帯が激しい振動と電子音と共に机の上を動き回った。
「ひゃっ。ビックリした〜、携帯か。」
慌てて携帯に飛びついた。ディスプレーを見ると「葉月珪」の文字が浮かんでる。
「けっ、珪!?」
『ああ、勢いいいな。どうした?』
「ボーっとしてたから着メロにビックリしただけ。」
『驚かせて悪かったな。今、暇か?』
「うん、暇。暇すぎるかも。」
『俺の家来いよ。今から迎えに行く。』
「う、うん。分かった。じゃ、角で待ってる。」
『ああ。それじゃ。』
「うん・・・、待ってます。」
プツッとちょっと乱暴に電話は切れた。
何処から来るのか分からないけど慌ててしたくして玄関へ飛び出した。
「ねーちゃん、これから出掛けるの?」
「あ、尽。調度いい所に。なっちんと出掛けて来るから。」
「ふーん。ま、せいぜい頑張ってよ。」
ニヤニヤと含み笑いの尽。コイツにはとっくにお見通しって訳か。
「後でいい所連れて行くからね、それじゃ、宜しく。」
「OK。あまり遅くなるなよ。」
尽との売買契約はこれで完了した。人の足元見やがって。
ま、でも可愛い弟だから許せるんだけどね。
慌てて家の角まで出ると既に珪くんは待っていた。
「ごめん、待った?」
「今来た所。じゃ、行こうか。」
「うん。あ、ねぇ、夕食作ってあげるから買い物して行こうよ。」
「あ、うん。おまえの味、好きだから嬉しいよ。」
「有難う。かいわれ君もしっかり食べてね。」
「鬼・・・だな。」
「まぁまぁ、そう言わないで。かいわれ君は入れないから安心してね。」
「そうしてくれるとありがたいかな。」
606名無しさん@ピンキー:02/07/15 23:19 ID:WtHiDw4e
以上。体力の限界でここまでです。
昨日レス下さった方々にお礼を個別に入れたいのですが
今から逝きたい場所があるのでお許しください。
明日全部付けたいと思います。
多分明日最終回っす。
やはり会社で書いて自宅までネタひっぱるとくるしいものが・・・。

>バカ子様
気になさらないで下さい。こちらこそはじめる前に予告しないでスマソ。

毎度ながらのお目汚しすみませんでした。
マンセーから批判まで何でもお待ちしてますので・・・。
607バカ子:02/07/15 23:21 ID:4/0IPtvR
王子神、本当ごめんなさい!
お体大事にしたってくだちぃね。
続き待ちに待ってましたので今からじっくり読みたいでつ。
乙彼さまですた!
608名無しさん@ピンキー:02/07/15 23:25 ID:fHrNfBBk
>王子神様
すみません、自分も割りこんでしまいました(;´Д`)
でも、期待通りの出来の良さ…なんて書いちゃうと何様な感じですが、
今回もとても楽しませていただきました。
お身体の具合もよろしくないのに、ここまでのものが書けるなんて…。
今からお出かけとの事ですが、くれぐれもご自愛ください。

さて、最終会の次回も楽しみですが、どうかお元気になられてからに
してくださいませ。神様のお体の方が大切ですからね。
「おっはようさん♪鈴鹿くん」
朝の登校。ばんっと強い力で背中を叩かれ、半分寝ぼけ眼の和馬は、
そのいきなりの衝撃に目を見開いた。
「なんだ、てめぇかよ。姫条。」
「あ〜。今日もええ朝やねぇ」
不気味なくらいの笑顔で思わず引いてしまうくらい、まどかはご機嫌であった。
「なんだ、朝っぱらから気持ち悪ィ」
「んん?そんなことを言っていいのかね?」
そう言って、まどかはふっと前を見る。
つられて目線をそちらに向けるとそこには愛しいあの子の後ろ姿。
「んじゃま、先に朝のご挨拶してくるわ。」
にんまりと笑いながら足早に彼女の元へと急ぐ。
「あっ、ちょっと待て!」
和馬も慌ててまどかの後を追う。
まどかは、すれ違う女の子に軽く挨拶はするものの、目に映っているのは一人の赤い髪の女の子。
心地よく吹く風にサラサラとなびく髪。
後ろ姿でもすぐ分かる。
ここは軽く肩でも抱きながら朝の挨拶を・・・。
多少の邪な考えをめぐらせてまどかは声をかけようと今一歩彼女に近づく。
「おは・・・」
だが、それは隣にいる男にすぐさま邪魔されることとなる。
「昨日も仕事だったの?葉月くん」
「ああ」
すらりと伸びた背、金茶頭に、整った顔立ち。
この学園なら知らない者はいないというくらい有名な男。
(なっ、なんで葉月と一緒に登校なんてしとんねん!!)
声にならない叫びを心でして、話し掛けるタイミングを失ったまどかは、
思わずその場に立ち尽くす。
さっきまでの幸せな気分から一転して、まどかは奈落の底に突き落とされた気分になってくる。
(えーい、そんなくっつくな!)
いきなり立ち止まったまどかを和馬は不審に思った。
「何やってんだよ、姫条」
振り返ったまどかの顔はあからさまに不機嫌で。
「な、なんだよ、その顔・・・」
「・・・前見てみぃ。」
くいっと、頭をその方向へと促す。
「なっ・・・。」
予想していなかったその光景に和馬は慌てる。
「な、なんだよ、あれって、葉月珪だろ?」
「ああ。そうみたいやな。」
こそこそと話しながら、一定の距離を保ちながら歩く。
「今度はその雑誌にのるんだ。楽しみだな。」
にこにこと笑いながら彼女は言う。
「いや、いい。買わなくて・・・」
「どうして?絶対買うから。」
楽しそうに会話をする二人に対して、うしろの二人はイライラが募るばかりだ。
「もう我慢できん。」
「お、おい、ちょっと待てよ」
邪魔をするだのやめろだの、後ろでこそこそ言い争う。
その様子に気がついた葉月はちらりと二人を見てから。
「おい・・・」
「ん?なに?」
「頭・・・虫ついてる」
「えっ!?うそ、やだ!!」
次の瞬間、反射的に彼女は葉月にしがみついた。
「!!!」
二人の怒りゲージがマックスに達したのは言うまでもなく。
「・・・嘘」
「・・・もう!!葉月くんの意地悪!」
しっかりと彼女の肩を持ちながら、葉月は怒りで震えている二人に顔を向け、
ふっ・・・と軽く微笑んだ。
しばし呆気に取られた二人だったが、すぐにはっとし、二人に近づく。
「おはようさん。こないなとこで何しとるん?葉月くん」
怖いくらいの笑顔でまどかは二人の間に割って入る。
「別に、何も・・・」
「あ、姫条くんに鈴鹿くん。おはよう・・・。・・・?」
誰が見ても分かるくらい、不機嫌な顔と態度の二人に彼女はどうしたのだろうと不思議がる。
「おはよう。自分、今日もかわええなぁ」
「よ、よう・・・」
いつもの軽口のまどかと、いつものぎこちない和馬と二三言葉を交わしてから、
「あ。私週番だから、先に行くね。」
またあとで、と手を振りながら小走りに去って行く彼女。
それを見送ったあと、まどかと和馬は葉月に迫り寄る。
「何。用があるなら早くしてくれ。」
あからさまにけんか腰な二人に対して、葉月はとても面倒くさそうに言う。
「おまえ・・・、まさかとは思うけど・・・よ」
「あのこと付き合ってたりせんよな?」
「・・・・・・」
しばし沈黙の後。
「付き合ってない」
一言だけそう言うと二人は安堵のため息をもらす。
「もう行っていいか?」
「あ、ああ。」
葉月はくるりと回れ右をし、その場から去っていく。
「あ。そうだ、言い忘れてたけど。」
ちらりとまどかと和馬の方を見ると。
「俺もだから。」
一言だけぽつりともらしながら、葉月はさっそうと歩っていく。
それは葉月珪からの宣戦布告。

「なっ・・・なんやねん、あいつ!!」
「完璧、喧嘩売ってんじゃねぇか!!」



恋する男児二人の前に現れた最大のライバル。
二人の受難はまだまだ続くのであった。
613バカ子:02/07/15 23:36 ID:4/0IPtvR
今日は王子が加わった番外編みたいなの書いてみますた。
相変わらずお粗末な文章で申し訳ないでつ。
自分はエロースがうまく書けないもので、いつもこんな感じでつが、
楽しんで頂けてるみたいで幸せでつ。
これからもがんがります。オチが似たようなのばっかでスマソ(汗)
614名無しさん@ピンキー:02/07/15 23:41 ID:iXOWT8ns
>バカ子神

シリーズ化感謝感激! (・∀・)イイ!!
かわいくてよいっすよ〜。続けてねっ。
615名無しさん@ピンキー:02/07/15 23:42 ID:EnxDDga1
>バカ子さま
モカキタ━━(゚∀゚)━( ゚∀)━(  ゚)━(  )━(゚  )━(∀゚ )━(゚∀゚)━━!!!
イイ!今回も最高です!
B&Bを挑発してホクソ笑むダーク王子萌え!!
バカ子さまのSSはいつも笑わせてもらって、最近は明日への活力になっております。
これからも楽しみにしてますので、がんがってください!!
あ、言い遅れましたが先の516でした(w
616名無しさん@ピンキー:02/07/15 23:42 ID:DT3LpBCP
>>609-612
か、かわゆいでつ……。
でも私はあのキャラに頑張ってほすい。
奪え! 攫え! 抜け駆けしろ!! と思いながら読んでますた。(w
617名無しさん@ピンキー:02/07/16 00:04 ID:qTEal43V
>615
B&Bて、いい呼び名でつね(w >バイト&バカ
618名無しさん@ピンキー:02/07/16 00:11 ID:Y9t8SAu0
はじめまして。
実は、GSのH小説サイトを作っているのですが…初めてここを見に来ました。
熱い〜!すっごく熱くて面白いです!
バイトって言う呼び名にも腹がよじれるほど笑ってしまいました(w
また読みに来ます。楽しみにしてます!
619名無しさん@ピンキー:02/07/16 00:15 ID:OQhf/Xty
>>609-612
ヨカタです!!みんな、可愛い・・・頑張れ!!

ところで、わたしもつたないものではありますが、書いてみたんですが
うPしてもよろしいでしょうか・・・?
いまのとこ王子と主人公ちゃんのお話で、ラブラブものではなく主人公
ちゃんが可愛くないです・・・おまけに長くなりそうな予感・・・。
そういうのが厭な方もいらっしゃると思うので、書いてはみたもののうP
するのを考えてしまって・・・。
620名無しさん@ピンキー:02/07/16 00:19 ID:dSOG3Pe0
>618さん
いらっしゃいませ〜。サイトにもおけないものがあったりしたら
ぜひここで吐き出していってくだちぃ。

>619
まずはそう前置きして書き込みしてみては?
お待ちしてまつ。
621名無しさん@ピンキー:02/07/16 00:19 ID:s9lrx1jk
>>619
ようし、まずはメール欄のsageは半角だぞ☆

基本的には何でもOKだと思うよ〜。
そうやって最初にいってくれてるから、苦手な方は
ちゃんと避けてくれるだろうし。
622619:02/07/16 00:33 ID:OQhf/Xty
>620>621
ぎゃ!?ご、ごめんなさい、半角半角・・・

ありがとうございます。それでは遠慮なくうPさせていただきたい
と思います。
もう一度、断っておきますが、王子と主人公のお話ですが、ラブラブ
ものではありません。幸せな二人がみたいんだー!という方、主人公
ちゃんは純情で一途で可愛いだー!という方々はお手数で、申し訳
ありませんが飛ばしちゃってくださいませ。
623共犯者1:02/07/16 00:35 ID:OQhf/Xty
「だって明日こそ大丈夫って云ったじゃない!?」
思わず声を張り上げてしまう。
「・・・だから、急に仕事が入って・・・」
電話越しに聞こえる珪の声が、微かに困惑に歪んでいるのが判った。
「その前もそう云って約束破った!この間だって公園に行くって約束してたのに・・・!」
「・・・悪かった。俺だって明日はオフのつもりだったんだ。けどマネージャーが・・・」
「勝手に仕事入れたって云うんでしょ?聞き飽きた!」
「・・・・・・」
密やかに、珪の溜息が小さく伝わった。
わたしの態度に困っているみたいだけれど、わたしだってそこまで聞き分けのいい大人にはなれない。
出てくるのは、珪を困らす批判の言葉ばかりだ。
「明日すっごく楽しみにしてたんだよ!?最近、全然まともに会ってもないのに」
「・・・だから、仕事だって何度云えば判るんだ。我儘、云うな」
「!!もういい!珪くんの馬鹿!!」
勢いに任せてそう叫ぶと、そのまま携帯の電源ごと切る。
掛け直してきてくれるかもしれない、なんていう甘い期待さえ今のわたしには無かった。
624共犯者2:02/07/16 00:37 ID:OQhf/Xty
はばたき高校を卒業して約半年。
それはわたしと珪が「恋人」と呼べる関係になってから経過して経った月日でもあった。
卒業式の日・・・珪があの幼い頃に約束を交わした王子様だということが判って、珪からの想いを受けた。
学園の王子様が、まさかわたしなんかを選んでくれるなんて思ってもみなかったから、はじめは
夢じゃないかとさえ思った。生まれて初めて「恋人」と呼べる人、それが葉月珪だった。
彼はとても優しくて、わたしのことをとても大切にしてくれた。
けれど・・・最近になってどんどん大きくなっていく不安な心を、わたしは抑えることが出来なくなっていた。
珪は、中学生の頃からモデルをしている。
はじめは代役という話で、只のバイト気分だったみたいだけれど、仕事の数をこなす度に、彼の人気と知名度は
みるみる上がっていった。その上高校を卒業したことで、仕事の数は以前よりもずっと増したみたいだ。
わたしと約束をしていても、仕事が入ったといって何度キャンセルさせれたか知らない。
元々、モデルの仕事は珪が好きで初めて訳では無いけれど、頼まれると断れない。一度、引き受けた以上は
最後までこなす、というのは以前云っていた彼の言い分だ。
わたし自身、珪にモデルを辞めて欲しい、とかそんなことは思ったことは無い。客観的に見ても、やっぱり
彼はとてもかっこいいし、綺麗だ。あの容姿はひとつの才能だとも思う。
けれど・・・こう毎回約束を破られると、やっぱりさっきみたいに声を上げずにはいられない。
わたしたちは大学も違うし、高校生の頃のように毎日そこへ行けば会える、といった確実な場所も無い。
625共犯者3:02/07/16 00:42 ID:OQhf/Xty
珪のことが、好き。だから、会いたい。
それは当然の欲求な筈なのに、最近ではそれすら叶えられない。
もうここ一ヶ月程まともに会ってもいない。
この夏だって、海へ行こうとかいろいろ約束してたのに、結局約束だけで夏は終わってしまった。
会えない時間が愛を育てる・・・なんて昔聞いたことがあるけど、そんなの嘘だ。
育っていくのは不安ばかりで、自分でもどうしようもなくなってきている。
モデルという華やかな世界では、わたしなんか比べ物にならない程綺麗な女の人たちが沢山いるの
だろう。珪ほどかっこいい人が、何でわたしみたいな平凡な子を選んでくれたのか今でも分からなくなる。
だからこそ、わたしは珪の前では、少しでも可愛い女になりたい。優しくて、素直なそんな女の子で
いたい、そう思っているのに。実際にはさっきみたいに我儘で聞き分けも無い、どうしようもない人間に
なってしまう。
珪に嫌われたくない・・・そう思ってるのに。何てわたしは可愛くないんだろう・・・。

わたしはベットに倒れこむと、そのまま目を閉じて無理矢理眠ってしまうことに決めた。
626619:02/07/16 00:45 ID:OQhf/Xty
すすすすいません・・・とりあえずここまでです。
なんつー中途半端な・・・(;´Д`)
皆様さえよろしければまた続き、書きたいと思います。
627名無しさん@ピンキー:02/07/16 01:08 ID:s9lrx1jk
>623-625
読みましたが、私には主人公可愛く映りましたよ。
本当の女の子ってこんな感じじゃないかなぁ。
個人的で申し訳ないんですが、共感できました。
私は続き読みたいです。楽しみに待ってますね。
628名無しさん@ピンキー:02/07/16 01:16 ID:nn4293gz
>623〜625様
うああああ〜萌え死にそうです・・・・
はやく・・はやく続きを(><;;;
主人公ちゃんがとっても、共感できて最高です!!
629名無しさん@ピンキー:02/07/16 01:27 ID:nomUA/54
>623-625
主人公の気持ちがすごく伝わる良いSSです。
タイトルの共犯者のイミが気になります……。
>618
もしよかったらサイトを紹介してください。
>>609-612
王子がイイ!!可愛すぎます!!
630名無しさん@ピンキー:02/07/16 02:39 ID:dSOG3Pe0
この前のインデックスは>>499です。

王子
>327>328>329>330>331>332>333>334>335
>416>417>418>419>420
>500>501>502>503>504>505>506(>>327-335>>416-420>>500-506)
>475>476>477>478>479>480>481>482>483
>596>597>600>602>603>604>605(>>475-483>>596-605)
>623>624>625(>>623-625)
先生
>518>519>520(>>518-520)
>578>580>581>582>583>584>585>586>587>588(>>578-588)
ワカメ
>526>527>528(>>526-528)
バカVSバイト
>397>398>463>464>465>466
>609>610>611>612(>>397-398>>463-466>>609-612)

うああ…間違えてかちゅのログ消しちゃったよ(;´д`)
前スレのチェックどうしよう…
631名無しさん@ピンキー:02/07/16 02:40 ID:dSOG3Pe0
うわああ、かちゅの調子悪いから久しぶりにブラウザ使ったら
さっそくコレかよ!アホ〜アホ〜

逝ってきまつ…(涙)
632名無しさん@ピンキー:02/07/16 03:14 ID:WS56qCg0
>619
私も主人公ちゃんにとても共感できましたよ。
続き、期待しています。

633渉SS職人:02/07/16 13:22 ID:nRECzthk
考えてきました。
「イメージが違う」というのは、あって当たり前です。
でも、ひとりの意見に振りまわされる必要はない。
でも、ひとりが発言したということは、あとから同じ意見がでる可能性もある。
でも、自分の作品を作品とするなら、直す直さないは作者の自由。

「作風の好みの違い」
これは、私にもあります。
文章のつづり方であったり、物語のもっていきかただったり。
私は、文章のつづりも気になりますが、物語のほうを重視して
読むことにしています。
気軽に書くスレなので(同人屋ばかりではないし)、
文章のアラをつつくのは野暮かもしれないと思ったので。

あと、
「萌えキャラじゃないなら書かないでほしい」とのことですが。
私の場合、“萌えたから書きたい”ではなく、
“気になるキャラができた”⇒“いろいろ妄想してみる”⇒“作品になる”
⇒“萌えの完成”
なので、ここの皆さんとはスタンスが違うようです。
そして、私がやっている“出会い”シリーズは“ときメモGS”そのものが
好きだから、全員のパターンを出してみて、より萌えたかったんです。
いつも私はテーマが先に思い浮かぶのです。

自サイトもサークルも持っているので、いつでもROMに戻ることはできます。
ここの作品はいつも楽しみに読ませていただいております。

私が原因だと思ったので、顔を出してみました。
批判がありましたら、夜になって人が多くなる前にお願いします。
長文失礼しました。
634渉SS職人:02/07/16 13:45 ID:nRECzthk
スマソ。
逝ってきます。

でも、三段落目だけはまだ語られてなかったような気がしたので。
そういう性格の人もいるということを知っておいて欲しかったのです。
635名無しさん@ピンキー:02/07/16 13:46 ID:7sitIno+
では、一応このスレでの議論は昨日ある程度こなしたかと思いますので、
この先の話は避難所の18禁スレでという形にいたしませんか?

もともとがSS貼ってエロ萌え話して、というスレですので。
よろしくお願いします。
636名無しさん@ピンキー:02/07/16 13:47 ID:7sitIno+
あ、議論そのものがという話です。
勿論この場で意見は色々出てきて構いませんが、レスの消費が激しいので。
637名無しさん@ピンキー:02/07/16 17:56 ID:MgG4td7b
夏といえば花火大会。しかし先生との社会見学には何故か花火大会が入ってない罠・・・
ってなフラストレーションの赴くまま先生の花火大会SSを書いてみました。
今回でSS2回目なのでしょぼへぼな作品です。へっぽこはイヤソな方はスルーしてくださいませ。
また、こんな私の作品を評価して下さる神をお待ちしております。
まだひよっこなので、甘口でお願いしまーす(Pー子のファッションチェックみたいだな)
「ちょっと、ママ!早くして、もう遅れちゃうよぉ!!」
夏の夕暮れ。窓の向こうからはまだ遊び足りないって感じの子供たちの声に混ざって、夏虫の声が聞こえてくる。
「ほら!あんたがそう落ち着き無く動くから上手く出来ないんじゃないの。
そのくせ座っても型崩れしない帯結びしろって、ほんっと我侭なんだから。親の顔が見てみたいもんだわよ。さ、もう少しだからじっとしてなさいよっと!!」
そういうと母はぎゅっと帯を引き上げる。ぐぐ、くるしい・・・。
「姉ちゃん、待ち合わせまでもう50分切ったぜ。そんなんで間に合うのかよ」
呆れ顔で尽が茶々をいれてくる。う、うるさい。そんなの分かってるわよ。・・・えーん!
「さてと、これで出来上がり!髪は自分でやんなさいよ。」
最後に襟を手直ししてから母は台所へ消えた。
私は急いでドレッサーの前に座り、ようやく肩まで伸びた髪をアップに纏めはじめた。
「ちぇ、たまに帰って来たかと思ったら、可愛い弟は無視してデートの準備かよ」
こぼれてくる後れ毛を必死で直しながら少しふてくされている尽を適当にあしらう。
「今それそころじゃないのよ。ごめん、次に来たときはゆっくり遊んであげるから」
(セーフ!間に合った。そろそろ来てもいい頃だけど)

巾着に留めてある懐中時計は、約束の時間の16分前。
私は高校を卒業して一流企業に就職し、一人暮らしを始めた。
「社会見学」から「デート」に変わって4ヶ月。したがって彼の呼び方も「先生」から「零―さん」へ変わった。
久しぶりの自宅前での待ち合わせに、あの頃の事を思い出して少しどきどきしてしまう。

(あの頃も、こうやって零一さんが来る方を見ながら家の前で待ってたっけ。)

そうすると見覚えのある車が近づいてきて家の前で静かに止まった。
「早いな。」
濃紺の絣柄の浴衣を涼しげに着こなし、一本独鈷もイナセな男が降りてくる。
「れ、零一さん?!」
いつもはキッチリ後ろに流している髪も緩くサイドに流しているだけで、メガネこそ掛けてはいるものの、いつもとの違いに驚きを隠せない。
「私以外に誰がいると言うんだ。・・・おかしいか?」
私があんまりびっくりしてるせいか零一さんは少し不安そうに聞いてくる。
「そんなことありません!その、すごくカッコいいです・・・。」
ほんとにカッコいい。ラフに開いた胸元からのぞく首筋や鎖骨に、ドキドキして後半うつむきながら言う。
「・・・そ、そうか。・・・コホン、君も、よく似合っている。では、出発する」
そういうと彼はドアを開けて私を車内へ促した。

続く
640名無しさん@ピンキー:02/07/16 18:06 ID:MgG4td7b
まだここまでしか書けてません。ごめんなさい。
出来ればエローイのを書いてみたいと思います。がんばるぞ!
641名無しさん@ピンキー:02/07/16 18:33 ID:utMQK+8x
浴衣のせんせぇに(;´Д`)ハァハァ
その上この後はエロ……(;´Д`)ハァハァ(;´Д`)ハァハァ
続き楽しみに待ってるから頑張って下さい!!
642名無しさん@ピンキー:02/07/16 20:08 ID:XsKF+Xx/
夕べ腹痛でへたれて退散した者です。
人が居ないうようなのでヒッソリ貼り付けて去ります。
何様と博様も目的地に着いたので私も目的地へと向かいます。
最終回の割に尻切れトンボでスマソ。
それでわ、逝きます。5分後に貼り付け開始します。
643箱の中の狂気17:02/07/16 20:14 ID:XsKF+Xx/
「ご馳走様でした。おいしかったよ。」
「ンフフ。今日はいつもよりも上手く出来た自信有ったの。」
「へぇ。調度いい時にオレ食べられたんだな。」
「やっぱり好きな人のために作るから。それがスパイスかな。」
「おまえ、クサイ事言うな。大丈夫か?」
「ははは、やっぱりクサイ?とりあえず片付けちゃおうよ。」
「そうだな。」
「・・・珪くん、何か話が有るんでしょ?」
「話っていうかただ、会いたくなっただけ。」
「・・・。」
あまりにもストレートすぎる珪くんの言葉に恥ずかしくなって言葉が出なくなった。
食器の重なる音と水の音だけが部屋に響く。
自分からネタを振るにもどう振っていいのか分からなくなってしまった。
すっと横から手が伸びてレバーを引き上げる。
勢いよく流れていた水が急に動きを止めた。
「ちょっと、まだ食器洗い終わってないよ?」
「おまえの事壊したい。」
「え・・・っ、何?いきなり・・・。」
「オレの事も壊して欲しい。」
「そんな事急に言われても・・・。」
「おまえが誰かに壊されるくらいならオレが壊す。」
「や、やだなぁ。私なら大丈夫だってば。一体どうしたの?
今日凄く変だよ。電話の切り方だって荒々しかったし。何か仕事で有ったの?」
「何も無い。」
『何も無い』って、その一言に何か有った事は私にでさえ分かった。
「いいよ。珪くんがそう望むなら。」
レバーから手を離して両手で後ろから私を抱きしめてきた。
ただ、ゆっくりと呼吸する音だけが私の耳に残る。
「・・・ゴメン。オレ、どうにかしてた。」
「・・・。」
言葉が出ない。
でも、何かを言っても無言で居ても責めてるようで仕方が無かった。
精神的に追い詰められていたように思えたけど、
本当は私の方が珪くんを精神的に追い詰めていたのかもしれない。
644箱の中の狂気18:02/07/16 20:15 ID:XsKF+Xx/
「私・・・今日は帰らないから。」
「おまえ何言ってるんだよ?」
「そのまんまだよ。他に何か意味なんてあるの?」
「無い・・・けど、いいのか?」
「私の事壊して。私も珪くんを壊したい。」
私を抱きしめていた腕に力がこもる。
「部屋に行こう。」
「うん。」
引力に導かれるまま場所を移した。
ただ、言葉もなく、見詰め合って、唇を重ねて。
優しく、深く、熱く。唇や手のひとつ、ひとつの動きが
『愛してる』って語ってるような気がする。
いつもよりも熱っぽい珪くんの動き。
私の中をひたすら珪くんが掻き乱してゆく。
「おまえの跡をつけてくれ。」
「そんな事したら仕事に差し支えるじゃない。」
「何とでも誤魔化せるから気にするな。」
「ん・・・。分かった。その・・・、下手だと思うけど・・・。」
「おまえがするんだからそんなの関係ない。」
「アハハ、恥ずかしいな。」
珪くんはたまにこうやってストレートにモノを言うけど
今日はいつに無くストレートに色々言ってくるので凄く恥ずかしくて仕方無い。
「・・・それじゃ、いい?」
「うん。」
ゆっくりと珪くんの首筋へと唇を落としていく。
ちょっと戸惑いながらも珪くんが私にしてくれた事を思い出し、
それを模倣するように首筋から胸元へと唇を這わせていく。
これで、いいのかなぁと思いながらも時々こぼれる珪くんの吐息を感じ
なんとなくいいのかぁと思いながら妙に冷静になってしまった。
冷静になった途端、どうしていいのか分からず動きが止まってしまった。
「どうした?」
「ご、ごめん、その・・・。あの・・・。」
「こっち来いよ。」
戸惑ってる私の事を既に見透かしている様で
私が冷静で居られないように色々と愛してくれた。
こんな激しい珪くんを見たのは本当に初めてだった。
645箱の中の狂気19:02/07/16 20:19 ID:XsKF+Xx/
「お先に失礼します。」
「お疲れ様。明後日も宜しくね。」
いつもの会話をして店を後にした。
バイトにもようやく復帰出来ていつもどおりの生活が始まった。
店にも珪くんのファンの子も来なくなったみたいで
復帰後第一日目はとても気分良く仕事も出来て
コーヒーを淹れる腕の方も心配なんて何処吹く風で落ちる事も無かった。
そう言えばまだ8時だし珪くんも撮影やってるんだろうな。
って、事は表通りには親衛隊の人居るんだよね・・・。
まぁ、珪くんとブッキングするよりはマシか。
まだ親衛隊の数もこの時間じゃ少ないだろから大丈夫だろう。
いそいそと着替えて裏口から出る。
やはり表通りにはいつも通りに親衛隊の人がたむろしている。
(やっぱり顔を合わせたくないなぁ・・・。)
表通りに差し掛かろうとしたその時、親衛隊の一人がこちらに気付き
思い切り目が合ってしまった。向こうもこちらも一瞬顔が強張ったにのが分かった。
そして何も見なかったかのように顔をそらし、また仲間で楽しそうに話始めた。
表通りに出るとさすがにみんな私に気付いてこっちを見るも
いつものような人嘗め回すような目線や雰囲気ではなくなるべくなら
関わらないようにしようって腫れ物を触るような感じの雰囲気になっていた。
どうしてもその雰囲気が逆に異様に感じて仕方なかった。
646箱の中の狂気20:02/07/16 20:21 ID:XsKF+Xx/
「そう言えば全然PC立ち上げてなかったな。
メールボックスパンクする前に受信しなくちゃ。」
久しぶりにPCに手をかけた。
あの時はもう二度と触れられないかもと思ったけど
今日はあの時のような切迫感も無かったので
なんとなく大丈夫な気がした。
PC相変わらずウイルス警告を発しつづける。
「はぁ〜やっぱりかぁ・・・。」
結局この3週間で200通近いメールを溜め込んでいた。
あまりにもの量なので途中反応がなくなったりして
削除しながら受信してたので全部受信するのに30分もかかってしまった。
受信履歴を見るとほぼ定期的に送りつけられていた。
最後にウイルスメールを受信していたのは先週の火曜日だった。
とりあえずはばたきネットが更新していたので確認する。
この3週間途絶えていた情報収集を順繰りにして
最後に例の掲示板の所でマウスが止まった。
確認すべきか、それとも・・・。
もう精神的に追い詰められて寝込むなんて事は無いと思うけど
やはり人間の深層心理というかやはり自分の事を言われていたら
気にならない訳ではない。珪くんからもらったペンダントを強く握り締め
マウウをクリックしてみた。相変わらずの文字の羅列。
ただ、この間見た事よりも少し雰囲気が変わってた気がした。
相変わらず他人を罵声したりする書き込みは続いていたけど
私と珪くんとの事については一切触れられていなかった。
逆にそれが怖いくらいに思えた。
過去ログを遡って気付いた事と言えばメールと同じく
先週の火曜日以降、私へ対しての書き込みがなくなってた事だ。
先週の火曜日に一体何かが有ったのだろうか?
一生懸命先週の事を思い出そうと思って手帳を眺めた。
自分がこう言う事をマメにつけていて良かったと思える瞬間だった。
先週の火曜日、珪くんから電話が掛かってきて会った日だ・・・。
思い起こせば珪くんの様子はいつもと違うものだった。
きっと珪くんと親衛隊の子との間に何か有ったに違いない。
でもそれを珪くん本人が私に言わなかったのだから
あえて問い正せない。一体どうすればソレが分かるのだろう。
647箱の中の狂気21:02/07/16 20:22 ID:XsKF+Xx/
携帯の着メロがどこからともなく鳴り響いた。
「ん?どこどこー??」
慌てて探し出してディスプレーを見ると「藤井奈津実」の文字。
「もしもし、なっちん?」
『もしもーし。こんばんわー。今大丈夫?』
「うん、大丈夫。暇って言えば暇してたから。」
『じゃ、ちょっと聞いてよー。今日もヒムロッチに戦いを挑んだんだけど
アッサリかわされちゃってさぁ。悔しくて悔しくて。』
「あの先生に勝つのは不可能に近いかもよ。常に冷静だし。」
『だよねぇ。あーん、もう悔しくて。悔しくて誰かに言わないと
眠れそうにもないから思わず電話掛けちゃった。ゴメンネぇ。』
「いやいや、大丈夫だよ。私も考え事していて眠れそうにもなかったから丁度よかった。」
『んー?何か有ったの?』
「あっ、ううん、なんでもない。気にしないで。」
『あんたの気にしないでは何か有った証拠だよね。何?白状しなさい。』
「あー、そうだねぇ・・・。実はさ。」
『実は?』
「メールとか掲示板での嫌がらせが先週の火曜日でプッツリなくなってるのよね。」
『そうなの?嫌がらせなくなって良かったじゃん。』
「うん、まぁねぇ。今日のバイトの帰りもいっぱい親衛隊居たんだけど
どうにも私の事を見る目が今までと違う風になってたっていうか。」
『何かあったのかな?』
「そう思うよね。心当たりがないから考えてたの。」
『そっかー。まぁ、じゃぁ、私も何かさりげなく友達に聞いてみるよ。』
「そうして頂けると嬉しいです。なっちん、有難う。」
『いやいや、困った時はお互い様だよ。その代わり、何かヒムロッチを
ギャフンと言わせられる案が有ったら教えてね。』
「あははー。分かった。考えておきます。」
『それじゃ、早速聞いてみるから。また明日ねー。おやすみー。』
「うん、おやすみなさい。また明日ね。」
とりあえず消化しきれないけどなっちんが何とか
調べてくれるだろうと信じて寝る事にした。
648箱の中の狂気22:02/07/16 20:24 ID:XsKF+Xx/
「ちょっとそこのおねーさんっ。」
「なっちん、おはよー。」
「おはよー。それよりさっ。ちゃんと収穫有ったわよ。」
「えっ。本当に?」
「勿論!やっぱり奈津実様には不可能はないのだ。」
「流石なっちん。頼もしいです。」
「でしょー?コレで後はヒムロッチとの戦いのみっ。」
「あはは・・・。氷室先生頑張ってギャフンと言わせてね。」
「もう頑張っちゃうよー。それより。ちょっとこっちにきて。」
「えっ?」
なっちんに腕をがっと捕まれて廊下の人気の無い所まで引っ張られていった。
流石にチアリーディングやっているだけあって腕力が強い。
「アタシさ、今まで葉月の事めっちゃくちゃ印象悪かったけど考え変えるわ。」
「やっぱり何か有ったの?」
「うん。火曜日に仕事早く終わったからって出の時に親衛隊集めてはっきり宣言したってさ。」
「何を?」
「アンタの事に決まってるじゃん。プラベについてのネットでの書き込みや
実生活での介入は一切許さないし、今ちゃんと自分には付き合ってる人が居て
自分が選んだ人だから絶対に口出ししたり何かしたりしないで欲しいって言ったんだって。
それで、今後何か実害が有ったら仕事場に来る事も一切許可しないって言い切ったって。」
「う・・・嘘!?」
「まぁ、アタシも概要しか聞いてないから詳しい事までは知らないけどね。」
「・・・。」
「葉月の事だから何かあってもずっとだんまり決めてるかと思ったけど見直したよ。」
「そ、そうなんだ・・・。なっちん、有難う。」
涙が後から後からこぼれてきた。もう自分でも何が何だか分からなくなってきた。
嬉しい気持ちとそんな事を言わせてしまった情けなさが混同した。
「ホラ、泣かないの。笑ってないと葉月にアタシが怒られるからさ。」
「うん。ごめん。」
「授業始まっちゃうからさ。こっちがヒムロッチにギャフンって言わされるから行こう。」
「そだね。」
649箱の中の狂気23:02/07/16 20:27 ID:XsKF+Xx/
「珪くん、ちょっといい?」
「何?授業始まるけど。」
「1時間目は自習だから大丈夫だよ。」
「ならいいけど。」
とっくに始業の鐘は鳴っていたので廊下は既に静まり返っていた。
私はひたすら廊下を歩いて、珪くんはただその後を着いて来るだけで。
「どこまで行くんだよ?」
「校舎裏。」
「何?呼び出し?」
「そんな所。」
校舎裏までがやけに遠く感じた。
歩いている間も手に汗を握ってちゃんと立っていられるかが不安だった。
無意識のうちにひたすら歩いていてやっと校舎裏まで辿り付いた。
「で、話って何?」
「先週の火曜日の事。」
「え?」
「メールも火曜日で止まった。掲示板も火曜日以降私へ対する書き込みがなくなった。」
「・・・。それで?」
「珪くんは火曜日いつもと違う様子だった。」
「おまえ・・・。」
「・・・ファンの子に言ったんだってね。聞いた。」
「そっか。おまえに知られたくなかったけど。知ってしまった以上仕方ない。」
「け・・・い・・くん・・・。」
また訳も分からず涙があふれ出た。
「ごめん、泣くなよ。」
「私、聞いた時凄く嬉しかった。でもそんな事を言わせた自分の不甲斐無さに頭にきた。
でも、でも・・・。私、私・・・。」
もう何が言いたいのか分からなくなりただ泣くしか出来なかった。
ハンカチで拭っても拭っても止め処なく溢れ出てくる。
珪くんの指先がそっと髪に触れ私の頭を、髪を撫でてゆく。
「ごめん、おまえの事これ以上泣かせたくなかったのに。
オレ、おまえの事こんなに泣かせてる。」
首を横に振って違うって一生懸命訴えた。
「オレ、あいつらに言ったからおまえにまた何かあるんじゃないかって不安だった。
言わなければよかったって後で後悔したよ。
そうしたら、訳も分からずおまえに会いたくなって、触れたくなって。」
「あ・・・りがと・・・。ごめん・・・ね・・・。」
「もう、泣かせるような真似はしないから。」
「うん。」

―完
650173:02/07/16 20:31 ID:ZGOkaZcF
>642神サマ〜!
うう…感動しまスタ…!護る王子(・∀・)イイ!!
幸せェェェ〜〜〜vv
651名無しさん@ピンキー:02/07/16 20:36 ID:XsKF+Xx/
こんなくだらないものに23分割にもわたる纏まりの無い長編書いてスマソ。
今度長々書きたくなったら自分でサイトでも立ち上げてジコマンいたしまつ。
どうしても最後の言葉が思い浮かばず尻切れトンボもいい所だ。
倉庫入りする事があるならばその時はきっちり直します。お許しを。
こんなにスペース消耗して本当に申し訳有りませんでした。
後でまたレスでも入れにきます。とりあえず人が居ないのでうpしにきました。
ああ、言い訳も長くてスマソ。
甘甘意見から辛口意見までもし有るならばお待ちしてます。
652名無しさん@ピンキー:02/07/16 20:39 ID:An5zUzO6
最近王子ものが多くてウレスィ〜
王子書きの皆様ありがとう。
653渉SS職人:02/07/16 20:55 ID:7kZIl5yE
戻ってきました。
ダンディーとゴローです。
九時過ぎにUPしにきまつ。
654名無しさん@ピンキー:02/07/16 20:58 ID:OQhf/Xty
>>642
お疲れさまでした!!(・∀・)
王子も勿論素敵ですが、私がそれ以上に惚れたのは奈津実タンです!
すっごく主人公タンと仲良しで友達思いのいいコですね。
あと「箱の中の狂気」というタイトルがカコイイです。

655渉SS職人:02/07/16 21:03 ID:7kZIl5yE
では、次からダンディーとゴローを続けます。
656出会い〜一鶴1/2:02/07/16 21:05 ID:7kZIl5yE
 今日もとても天気が良かった。
 青い空の下に建つ教会がとてもよく映えていた。
 そこに降り立つ天使がひとり。
 私の目を釘付けにした。
 彼女はひとりで、あの教会を見つめていた。
 何かを思い出そうとしているようだったが……。
 私もときどきそういうことがある。
 あの教会を見ていると、何か不思議な力によって別世界に引き込まれるような
感覚になるのだ。
 この学園は我が父の代で建てられた。
 そして、あの教会は、父の知人の手によって建てられた。彼は大変腕のいい
ドイツ人のガラス職人だったという。
 だが、残念なことに、彼のステンドグラスは中に入らないと見ることができない。
あれほど美しい物はないというのに。
 だが、美しいからこそ、鍵をかけなければなるまい。心ない者から守るため
には……。
 彼女は、ふと足を出した。見る角度を変えるためだろう。
 思ったより、彼女は早く動いたらしい。
 私の肩にぶつかったのだ。
 彼女は私が近くまで来ていたことに気づいていなかったようだ。
 それだけ、あの教会に見入られていたということだろう。
 つい、私は冗談を言ってしまったのだが。
 彼女は真面目な顔でそれを受け取った。
 あの表情を見ていると、こちらまで和んでしまうような気がした。
657出会い〜一鶴2/2:02/07/16 21:09 ID:7kZIl5yE
 しかし、彼女はとても素質がある。
 素晴らしいレディになれる素質が。
 私の手で、完璧なレディに育てることができればいい。そう思ってしまう
のだ。
 この学園には、初等部、中等部、高等部と合わせて、大勢の女子生徒が在籍
している。だが、彼女ほど私の目を引く者はまだ見たことがない。
 これは、どう解釈すればよいのだろうか。
 今までも素晴らしい生徒は大勢見送ってきたが、今日ほど心を揺さぶられる
ことはなかった。
 今日が初めてなのだ。
 こんなに、ひとりの女子生徒の成長を手助けしたいと思ったことは。
 いや。考えすぎだろう。
 今日の出会いがあまりにも美しすぎたから、想像の翼が広がっているだけ
だろう。
 明日になれば、またいつもの私に戻っているかもしれない。
 でも、なぜだろう。
 そうなってしまうのが少し怖い。
 また、彼女に会えたらいい、と願う私もいる。

終了。
658出会い〜吾郎1/2:02/07/16 21:10 ID:7kZIl5yE
 あらあらまあまあ。
 アクセス数、結構イイカンジじゃない?
 この調子で、みんな、アクセスしてちょーだい。
 でも、アクセスするだけじゃダメよ。ちゃんと、アタシのホームページを
隅から隅までしっかりと読んで、おしゃれ道を極めるのよ。
 それにしても。今日のテレビ取材、少し疲れたワ。あのインタビュアー、
ちょっとズレてるのよね。ホントにアタシのこと知ってるのかしら。取材するなら、
ちゃんと取材対象のことを勉強してから来て欲しいワ。
 そういえば……。
 テレビ取材の前にはばたき学園の高等部に寄ってみたのよね。
 ちょっと時間があったから、次の作品のアイディアを求めにね。
 そのときに会った子。
 ちょっとボケボケした感じだったけど。
 なぜかしら。
 アタシの中の何かがはじけたのよね。
 あの子、きっと原石だワ。これから、とっても素敵になれるワ。
 そう思って、アタシの名刺をポケットに入れておいたけど……。
 ちゃんと気づいたかしら。ちゃんとホームページを見てるのかしら。ちゃんと
おしゃれについて考えているのかしら。
 なぜかしら。
 ちょっと気になっちゃうのよね。
 まあ、いいワ。あそこの生徒みたいだし。また会えるかもしれないわね。
 それに、近所に住んでる子だったら街でも会えるワ。そのときにおしゃれ
してるかどうかチェックすればいいのよ。
659出会い〜吾郎2/2:02/07/16 21:10 ID:7kZIl5yE
 アラ、やだワ。すっかり忘れていたワ。
 ブティックジェスと雑貨屋シモンの店長たちに、バイトの人数が足りないから
補充したいって言われていたんだったワ。
 広告、出さなくちゃね。
 可愛い女の子を採用したいわよね、やっぱり。
 あの子……。
 うちの店に興味ないかしら。
 うちの店でアルバイトしたい、とか思ってないかしら。もしそうなら、速攻で
OK出しちゃうワ。
 なんて、今からそんなこと気が早いわね。
 でも。
 アタシ、さっきからあの子のことばっかり考えちゃってるワ。
 ンもう、新しいデザイン、そろそろ出さなくちゃいけないのに。
 アタシの仕事のジャマしないでちょうだい。
 なんて、当たってもしょうがないのにね。
 今日のアタシ、少し変ね。

終了。
660渉SS職人:02/07/16 21:12 ID:7kZIl5yE
一瞬重かったんですが、なんとか書きこめました。
ゴローの口調のカナをどこで変えればいいのか困りました。

あとはちーくんか……。
661619:02/07/16 22:42 ID:OQhf/Xty
>>627さん>>628さん>>629さん>>632さん
皆様、暖かいお言葉本当に有難うございます。
自分の書いた文章に感想いただけたのってはじめてだったので、涙でそうな
程、嬉しいです。
おまけに女の子の一人称を書くのは初めてで・・・とても不安でした。

完結にはまだ遠いのですが、とりあえず続きを書きましたので、僭越ながら
うPさせていただきたいと思います。
662共犯者4:02/07/16 22:46 ID:OQhf/Xty
次の日、わたしの心と裏腹に空は見事に晴れ、持て余った休日を、ひとりで過ごしていた。
友達を誘おうかとも思ったけれど、急な話だし、皆それなりに予定もあるだろう。
家にいても尽が余計なちゃちを入れてくるだけだし、それに外へ出てこの厭な気持ちを変えたかった。
ひとりきりで、あても無く街中をぶらぶらと歩く。
休日の街中は、カップルが多い。楽しそうに歩く男女の二人組みを横目で見る度に、自分が惨めになる。
ほんとだったら、わたしだって珪と・・・
やっぱり外なんかでるんじゃなかった、と小さく後悔をはじめる。
ふと、今は何時だろうと気になり、鞄の中を覗いて気付いた。
「・・・あ、携帯」
忘れてきた。おまけに電源も切りっぱなしのままだ。
・・・まぁ、いいや。どうせ珪からの連絡なんてないだろう。あったとしても今のわたしではまた
喧嘩になってしまうだろう。
ぼんやりともう帰ろうかな・・と考えはじめた時だった。
その声が聞こえてきたのは。
「ちょっと、そこの姉ちゃん」
663共犯者5:02/07/16 22:49 ID:OQhf/Xty
背後から聞こえる軽そうな男の声。昔から何故かナンパやらキャッチやらに掛かりやすい
わたしは、どうせまたその類の誘いかと単純に思った。
どうやって断ろう・・・。?ちょっと待って。今の、声は。
「姫条くん!」
振り返ると、聞き覚えのあるその声の主は、やっぱり姫条まどかくんその人だった。
「やっぱり・・・!なんや、よう似たような娘がいるなと思たんやけど、自分やったか!」
「うわー久しぶり!元気だった!?」
「当たり前やで!それだけがオレの取柄やからな!!」
そう云って豪快に笑う姫条くんは、高校生のあの頃とちっとも変わっていない。
「・・・なぁ、立ち話もなんやし、良かったらどっか店でも入らへん?」
姫条くんのその提案に、わたしは勿論二つ返事で頷いた。
664共犯者6:02/07/16 22:52 ID:OQhf/Xty
近くに在ったそんなに大きくない喫茶店。初めて入る店だったけど、店内は新しく綺麗で、
雰囲気も悪くない。
姫条くんの前にはエソプレッソ。わたしはミルクティを頼んだ。
「相変わらず、珈琲好きなんだね」
「ああ、まぁな。・・・よぅ覚えてるな。オレが珈琲好きやって」
「覚えてるよ。何度か、ご馳走になったじゃない」
「・・・せやったな」
些細なことだけれど、姫条くんが高校生の頃と変わっていない証みたいで、何だか嬉しかった。
「ほんとに久しぶりだよね・・・」
改めてわたしがそういうと、姫条くんはカップから手を離し少し考え込むような仕草を見せた。
「卒業式以来やな。・・・せやから、もう半年か」
「そんなに!・・・早いね、時間が経つのって。でも姫条くんちっとも変わってない」
「そうか?・・・まぁ、半年で変われっていわれても困るんやけど・・・」
「あはは!それはそうだけど」
久しぶりだけど、相変わらずの姫条くんに声を上げて笑ってしまう。
・・・なんだか、久しぶりに笑った気が、する。
「・・・けど、自分は・・・変わったな」
「え?そうかな?」
「ああ・・・前よりもっと綺麗になった」
「もう!そういうとこも全然変わらないんだから、姫条くんは!おだてたって何も出ないよー?」
「はは、かなわんなー自分には」
半年ぶりに会ったのに、つい昨日会ったみたいな感じで話せる。
なんだか、高校生の頃に戻ったみたいだ。
665共犯者7:02/07/16 22:57 ID:OQhf/Xty
「葉月も・・・変わりないか?」
「うん、元気だよ!・・・ていうか、仕事凄く忙しいみたい」
「そうみたいやな。なんや、あいつの顔いろんな雑誌で見るで。相変わらず売れっ子さんみたいやん
・・・ん?」
思わず下がったわたしの言葉のトーンを、姫条くんが聞き咎めた。
「・・・なんや?忙しい、みたいって?」
・・・そういう、変なところに鋭いところも・・・変わってない。
「・・・ほんとは今日だってデートだったんだよ?けど仕事でキャンセルされちゃって・・・こういうのがもう
ずっと続いてる・・・」
「・・・・・」
「やだ、愚痴っちゃった!ごめん、忘れて忘れて!!」
わたしはわざと大きく笑うと、すでに冷め切ったミルクティを飲み干して誤魔化した。
「ね、そういえば奈津実は元気なの?」
話題を変えたい。わたしは出来る限り明朗と問い掛けた。
姫条くんと奈津美が付き合いだしたのは、確か卒業も近い3年生の終わり頃だったと記憶している。
「あぁ、変わりないで、あいつも。っていうか、自分、奈津実とも会ってへんのか?」
「んーまぁね。奈津実も忙しいみたいだし。メールとかはたまに・・・」
・・・そういえば。
わたしはふと突然思い出した。奈津実から、いつだったかライバル宣言、みたいなことを受けたことが
あることを。
その頃、わたしと姫条くんは結構仲が良くて二人で何度か遊びに行ったことがある。
それで・・・ああ、そうだ。奈津実はわたしが姫条くんのことが好きなんじゃないかって勘違いして・・・ほぼ
絶交状態、みたいな感じになったんだ。
わたしは、奈津実とのそんな関係がイヤで、それまで頻繁に遊んでいた姫条くんとも何となく気まづくなって
しまった。それから結局、奈津実と元の関係に戻るのには結構時間が掛かってしまったけれど・・・。
変なの・・・今になって思い出した。
666共犯者8:02/07/16 22:59 ID:OQhf/Xty
「・・・どうしたん?」
急に黙り込んだわたしに姫条くんが、不思議そうに声をかける。
「え?ううん、何でもないよ」
わたしは首を振って笑ってみせたけれど、姫条くんの表情は何処か曇っている・・・気が、した。
「なぁ!自分これからなんか予定あるんか?」
と思ったのも一瞬のことで、また一瞬後には姫条くんはいつもどおりの明るい表情だった。
「え・・・何もないけど」
「そうか!ほんなら飲みに行こうや!二人だけの同窓会や!」
云いながらわたしの返事も待たずに、姫条くんは既に伝票を持って立ち上がっている。
時々、少し驚いてしまう程強引になるところもやっぱり変わってない。
そう思ってわたしはまた少し、笑ってしまった。
667619:02/07/16 23:04 ID:OQhf/Xty
とりあえず以上です・・・。あわわわわ。バイトの関西弁わからなすぎます。
エセ関西弁とさえ呼べない・・・。スマソです・・・。
668651:02/07/16 23:34 ID:/6GIZX7q
戻ってまいりました。
作品解説をしようと思ったがあまりにも長すぎるので止めておきます。
レスの中にでも匂わせておきますので・・・。
つーか、分かる人にはえらく分かる内容になってしもうた・・・。
末恐ろしい作品だ・・・。くわばらくわばら。
まぁ、その辺は適当にスルーしてくださるとありがたいです。
個別にレス入れたら長いと弾かれたので割愛させていただきます。

レスをくれた皆様へ。本当にどうも有難う御座いました。
またロムッ子の皆様でお気に召してくださった方がいらっしゃいましたら
こちらについても大変感謝しております。
また機会が有りましたらうpしたいと思います。
でも自分、アイドル王子葉月珪がダイスキなので
アイドルネタが無くなったらネタもないのでもう無いと思いますが。
こんなにレスもらえたのはじめてなので感無量です。

それでわ。
669バカ子:02/07/16 23:37 ID:DwqEmHCf
また書いてきました。(懲りないやつでスマソ)
いつもと同じノリでつ。
それでもよろしければ読んでくだちぃ。
「あ〜。あつい・・・」
7月もなかば。
本日のはばたき市の気温、35度。
風もほとんどなく、からっとした青空が広がっている。
「屋上なら涼しいと思ってきたんだけどな・・・」
その予想は見事に外れて、和馬とまどかはうだるような暑さの中、
弁当を広げつつ青空を眺めていた。
「あ〜・・・。何が悲しうてこないなむさくるしい奴と二人で弁当食わなならんねん・・・」
「そりゃこっちのセリフだ!」
和馬は母親に作ってきてもらったであろう弁当を食べ終わると購買で買ってきた
ヤキソバパンとコロッケパンを開け頬張る。
「しっかし、この暑いのによくそんな食えるなぁ・・・」
パタパタと下敷きで扇ぎながらまどかは言う。
「このくれぇ食わねぇと部活でバテちまうんだよ。」
「あっそう・・・」
まどかはすでに温くなってしまったいちごミルクを一口飲むと。
「今日はもう来ないんかなぁ」
「ああ。一応誘ってみたけど昼休みは氷室に勉強教えてもらうんだとさ。」
「氷室ー?!なんや、それ。じゃあ今ごろ二人きりで弁当食っとんのか?!」
「うっせぇなぁ。そうなんじゃねぇの。」
暑さで呆けていたまどかは急に慌てふためいた。
「くそ〜。氷室のやつ・・・。あの子になんかしたらただじゃ・・・」
「はぁ!?おまえいきなり何言ってんだよ。」
「アホ!あんな可愛い子と二人っきりなんやで。いくらあの氷室でもぐらっとするに
決まっとるやろ!俺やったらする!
あ〜。俺も無理矢理ついて行くんやった〜。」
勉強はやらへんけど、と言いながら頭を抱え、一人勝手にいらない心配をするまどか。
「お、おい!そりゃやべぇじゃねぇか!今すぐ助けに・・・」
お前と一緒にするなよと心でツッコミをいれつつ、そしてそれを鵜呑みにする和馬。
「氷室のような奴に限って実は柔道で段持ってましたーなんてオチがあるで、きっと。
飛び込んで行ってもきっとやられてまうで、俺たち」
「ばっかやろう!こっちは二人いるんだぜ。やられてたまるかよ!」
話はどんどんと飛躍していって。
馬鹿な二人のその喧騒にたまりかねて第三者が口をはさむ。
「おまえら・・・うるさい。」
「「ああ!?」」
振り返ると、日陰に座り込んでいる不機嫌そうな葉月珪。
「昼寝してんだ・・・。もう少し静かにしてくれ・・・」
「なんや、葉月!俺の可愛いあの子がピンチなんやで!」
「いつからてめぇのもんになったんだよ!」
「だから、うるさい・・・」
いつまでたっても静かにならない二人に葉月はひとつ大きなため息をもらす。
「おまえらがライバルなのかと思うと・・・」
そこでいらん一言を言う葉月。
「「なんだと!!」」
その瞬間。
「ごめんねー!」
明るい声とともに屋上のドアが開かれる。
「「「あ・・・」」」
現れたのは、可愛いあの子。
「良かったー。まだ居た!少し早く終わったから来ちゃった。
あれ?葉月くんも一緒なんだね」
実はまだお昼食べてないの、と言いながら座ってお弁当を広げ始める。
「ひ、氷室センセは・・・?」
「え?氷室先生がどうかしたの?」
きょとんとした顔で見上げられたが、さきほど繰り広げられた憶測話など、
到底できるはずもなく。
「???どうしたの?」
「い、いや、なんでもねぇ!なんでもねぇよな!姫条!葉月!」
「あ、ああ!」
「実はな・・・」
「「葉月!!」」
二人は慌てて葉月の口を抑える。
最後までわけがわからなかったのは彼女一人だけだった。

本日の収穫。
葉月珪。結構いい性格をしていること判明。
673バカ子:02/07/16 23:48 ID:DwqEmHCf
毎度、毎度同じノリでスマソ。
この3人が仲良くしてるとこなんて想像つかないでつが(w)
みんな性格がアレで申し訳ない・・・。
主人公しか見えてない3人てことでよろしくお願いします。
674名無しさん@ピンキー:02/07/16 23:54 ID:MgG4td7b
バカ子さま
今日のB&Bも面白かったです。3人の特徴が本当によく出てて、モニター見ながら
グフフと笑ってしまいました。
強敵を前にして結束を固めるB&B。かわいすぎ。こういうの読むと、高校生に戻りたくなりまつ。
イチゴミルク持参で(w
675名無しさん@ピンキー:02/07/16 23:54 ID:54/q4dB+
>バカ子さん
いつも楽しみにしてます!
牛乳・カフェオレ・モカの次はレモネードからのちょっかいが!?
萌え〜
676名無しさん@ピンキー:02/07/17 00:05 ID:gCbwnNLP
バカ子さま

今日も素敵なSSをありがとうございます。
王子イイ性格ですね……。
B&B、王子に負けずに頑張って欲しいですよ〜!
677名無しさん@ピンキー:02/07/17 00:49 ID:HvSlFpp2
うわぁぁんバカ子さーん
もう素敵すぎですっ弟子入りしてぇ…
ダーク王子がたまらないっす。萌えv
678618:02/07/17 00:53 ID:XogxTmrG
>バカ子さん
いかにも高校生らしくって微笑ましいデス。王子はやっぱ一騎当千っすね(w

あと常連(?)のみなさまにお聞きしたいのですが、こちらって自前URLのうPは禁止なのでしょうか?
実は私もGSの小説など書いたのですが、ちょっと長いのでサイトに上げてしまいました…。
普段別ジャンルでweb活動してるので、周りにGSで萌えてる人がいなくって寂しいです。
もちろん、読んで欲しいというワガママな心からのものなので、ルール的に×なら一切書き込みません。
すみませんがご教授の程お願いします
679名無しさん@ピンキー:02/07/17 01:05 ID:jUHBd4jo
ダメじゃないと思うyo!っていうか読みたいです。
でもここが2ちゃんだってことは忘れないほうがいいかもね。
いろいろ(URLとか)晒すことで万一何が起こっても自己責任が取れるなら、
私も読みたいですしURLうpしてもらいたいです。
680名無しさん@ピンキー:02/07/17 01:41 ID:G2QLpP97
すいません! エロ全く皆無の長文ですが、景気づけに貼ります!
次回からはエロエロ魔神になるつもりですので、見逃して〜。
「あっつーーーーい…!」
炎天下のアスファルトから跳ね返る熱気を帯びた空気に、私はたまらなくなって声を上げた。
8月最後の日曜日、森林公園の駐車場は、大勢の人々と、彼らが運び込む大小さまざまな荷物でごった返している。
「まだ、午前中だからな。…昼過ぎるともっと暑くなるぞ」
荷物の入った、大きな袋を抱えて、私の先を歩く珪が言う。
「うーん、そうかも。焼けちゃうかなあ。日焼け止め塗らないと」
「一応…ビーチパラソル、持ってきたから」
「用意いいね、珪」
「…まあ、何回か参加してるしな。ほら、急ぐぞ」
「うん」
いつもはたくさんの車が止まっているはずの駐車場に、今日は色とりどりの
レジャーシートが敷かれ、その上にたくさんの品物が並べられている。
その中を、私と珪は縫うように、自分たちにあてがわれた場所へ向かう。
今日はフリーマーケットの日。
私は、ここで自分の作ったシルバーアクセサリーを売るという珪の
手伝いをするために、いっしょに来ている。

きっかけは、7月のある日のことだった。
海開きの数日後、私は珪を誘って海へ出かけた。
暑い日差しに、潮の香りのする湿った風が乗ってきて、素肌をくすぐる。
珪とは、何度かこうして海水浴に来たけれど、
彼はいつでも「お前は好きにしろ。俺は寝るから」なんて言って
パラソルの下にビーチベッドを広げて、本当にのんびりと寝ている。
「たまにはさあ、海に浸かろうとか思わないの? 珪は」
ひと泳ぎして、珪のところへ戻った私は、ちょっとつまらなくって、彼に聞いてみる。
「…寝てる方が、いい」
「えー? じゃあ何のために海まで来てるの?」
「…お前が、誘うから…」
「ん? 何?」
「…なんでもない」
「ね、ちょっとでいいから、いっしょに泳ごうよ、ね、ね?」
1度くらいは、2人で海を泳いでみたい。そんな思いで私は珪に何度もお願いする。
「…あんまり焼けると、まずい。仕事あるし」
「あ、そうか…。でも大丈夫! 私日焼け止め持ってきてるよ。すっごいよ、これSPF154だよ。
絶対焼けないってウワサだよ。ほら、私塗ってあげる!」
「よ、よせ…。自分で塗るから…。分かった。少しだけ、だからな」
ちょっと強引な私の誘いに負けて、珪は重い腰を上げると、私と並んで海に出た。

「…気持ちいいな」
少し波の荒い海の中に身を沈めると、珪は気持ちよさそうに言った。
「でしょ? やっぱ海に来て海に入らないのは、もったいないと思うよ」
「ああ、そうかもな」
珪は軽く笑って、それから濡れて乱れた前髪を左手ですいて直した。
その指には、いくつかの指輪が光っている。
「その指輪、シルバー?」
「あ、ああ」
「シルバーって、潮水に濡らすと、白っぽく変色しちゃわない?」
「…ああ、そういうときもあるな」
「いいの? その指輪外さなくて」
「…別に…かまわない。磨けば戻るし、そうなっても味が出ることもあるし」
珪は学校以外の場所だと、いつもすてきな指輪を決まった指にしている。
こうして遊びに行くときも、そしてモデルとしてカメラの前に立つときも、
その指輪は必ず、珪のすらっとした指を飾っていた。
もはや、彼のトレードマークのようなものだ。
「珪って、いつもその指輪してるよね」
本当に、ほんの少しだけ海に浸かってパラソルの下に戻ると、私は珪にたずねた。
「すごくかっこいいよね、それ。どこで買ったの?」
「…買ったやつじゃない」
「じゃあ、プレゼントか何か?」
「…違う。ハンドメイド」
言われてみれば、市販のものとは違って、どことなく趣があるように見える。
「へえ、もしかして知り合いのデザイナーさんが作ってくれた、みたいな?」
珪は首を横に振って、ちょっと照れくさそうに小さな声で言った。
「…俺が、作ったんだ」
「え…ええっ!」
あまりの意外な答えに、思わず大声を出してしまった私に、珪があわてる。
「…そんなに騒ぐな。たいしたことじゃないだろ」
「そんな…たいしたことだよ! すごい! 珪、こんなの作れるなんて!」
思わず珪の手を取って、私はその銀の輪に見入ってしまう。
「…そんなに、見るなって」
「あ、ご、ごめん。あんまりかっこいいから、つい…」
無意識にギュッと握っていた手を、私はあわてて離した。
「…宝飾…シルバーアクセサリーとかののデザイナーに…なりたいんだ、俺」
珪が、海を見つめながら、独り言のようにつぶやいた。
「だから、いろいろ作ってる…自己流だけど、な」
「そうなんだ…。うん、きっとなれるよ! こんなにすてきな指輪作れるんだもん!」
「…そんな甘いもんじゃねえよ。お前、気楽なやつだな」
軽くため息を付き、珪は少しあきれたような、でも楽しげな声で言った。
「そ、そうかな?。…ねえ、よかったらだけど…私、他の作品も見てみたい…な?」
「…別に…かまわないけど…。なら、お前、手伝うか?」
「手伝う? 何を?」
「…ときどき、フリーマーケットに出て、売ってるんだ、小物」
「フリマに? 珪が?」
あの無口な珪が、フリーマーケットに出て、アクセを売っている…、
そのギャップが信じられなくて、私はもう一度、驚いた。
「8月にも出るつもりだから…手伝うなら、そのとき、見せてやる」
「うん! 手伝うよ。おもしろそう」
「…誰にも、言うなよ…俺の夢の話。…お前にしか言ってないんだから」
「…2人だけの、ヒミツですね?」
お前にしか言ってない。その一言がなんだかうれしくて、私は少しおどけて言った。
「…そういうこと。じゃ、8月31日、フリマの予定入れとけよ」
「…暑い、ね」
「…ああ」
太陽が、空の一番上に差しかかる。フリマ会場に降り注ぐ、絶好調のその日差しの強さに、
私も珪も、交わす言葉が少なくなっていた。
いや、理由はそれだけではない。
店を開いて、すでに3時間は経っている。けれど、目の前に並べられた
銀細工のアクセサリーは、ただのひとつも売れていない。
それもそのはずだ。ここに座ってから、珪はひと言も客引きをしない。
他の店の人たちは、大きな声で人を呼び込み、口八丁手八丁という感じで、
お客と交渉をし、どんどんと品物を売っている。
そんな人たちの間で、これだけひっそりとしていては、通り過ぎる人たちは、
珪の小さな店に気が付くはずもない。
「…ねえ、珪。私思うんだけど」
この状況に、少ししびれを切らし始めた私は、思い切って珪に言い出した。
「…なに?」
「もっとこう、宣伝っぽいことした方が、売れると思うんだけど、な」
「…どうやって?」
「まあ、まずは呼び込みじゃない? 大きな声で『いらっしゃ〜い』とか言って、
お客さんの目を引くのなんか、オーソドックスだよね」
「…桂三枝か」
「え?」
「いや…なんでも…。俺、あんまり好きじゃない、そういうの」
そう言われてしまっては、元も子もないけれど、それでも私は食い下がる。
「でも、それじゃ、売れないよ?」
「俺は…別にここで儲けようとか思ってるわけじゃないから」
「もちろん、それは分かってるよ。けど…」
「…興味を持った人だけ見てくれれば、それでいい」
納得しかねている私に、珪は素っ気なく言う。
「だけど、それにはまず、注目してもらわないと…。これだけたくさんの人が
参加してるんだもん、アピールしないと、だれも気が付いてくれないよ?」
「なら、俺のデザインが、それだけのものってことだ」
「そ、そんなあ…」
信念があると言うべきか、それとも覇気がないと言うべきなのか。
なんともマイペースな珪らしい言葉ではある。
デザイナー兼店の主がそう言っているのだから、単なるお手伝いの私は
ただため息をついて、隣でおとなしくしているしかなかった。
かっこいい指輪、大人っぽいバングル、かわいいチョーカー。
私のひいき目なんかじゃない、本当にすてきなアクセサリーがこんなに並んでいるのに、
前を通り過ぎる人たちは、気が付かないで去っていく。
呼び止めたい、腕をつかんで引っ張ってきたい、珪の作品を手にとって欲しい。
そしたら、そしたら、絶対みんな、気に入ってくれるのに!
−…もう、我慢できない−
私は心の中でつぶやいて、立ち上がった。
「…どうした?」
「あ、うん、ちょっと。のど乾かない? 私お水買ってくる」
「…ああ、俺の分も、頼む」
「分かった。じゃあ行ってくるね」

そう言って珪のそばを離れたものの、私はどうしたものかと途方に暮れた。
「あの様子じゃ、絶対呼び込みなんかさせてくれないだろうなあ…」
かといって名案がすぐ浮かぶわけもなく、私の足取りは重くなる。
売れなければ売れないで、珪はそれなりに納得するのだろうけれど、
それでは、あまりにもつまらない。
1つでも、ううん、2つでも3つでも、ううん、たくさん売れれば売れるほど、
珪は自信を持って、もっとたくさん作品を作りたいと思うに違いない。
「…にしても、暑いなあ」
もうすぐ9月だというのに、日差しは夏の最中とまったく変わらないように感じる。
「帽子、買おうかな…。これじゃ熱中症になっちゃうよ…」
幸い、ここはフリーマーケットの会場だ。辺りを見回せば、さまざまなものが売っている。
すぐそこに、つば広のかわいい帽子が売っているのを見つけた。
「これ、いくらですか?」
「100円だよ。お買い得でしょ? こんな日にぴったりだよ」
売り子のお姉さんは、ニコニコと愛想よく売り込んでくる。
うん、コレ買おう。そう思って私はふと、この店の品物を改めて見てみる。
ハデな色のTシャツ、薄手のロングスカート、チープなサンダル…
結構かわいい服や小物が並べられている。それに加えてゴーグルみたいなサングラス、
それになぜかロングのウイッグといった、おもしろいものも置いてある。
しかも、驚くほどの安さだ。
「どう? 他に何か買う? このヅラなんかいいよ〜。変装にいかが? なんてね」
お姉さんはウイッグを手にとって、軽口を叩く。
「変装、ですか…」
ん? 変装…? 変装…。そうだ! 変装だ!
「…お客さん? 引いちゃった?」
黙ってしまった私に、お姉さんが声をかける。
「…買います…帽子…それから、あれと、これと、それと…ウイッグも!」
「ま、毎度…」
思い付きに気が焦り、早口でまくし立てた私に、お姉さんはちょっとビックリした様子で、
あわてて紙袋にすべてを詰め込んだ…。

「怪しすぎる…かも」
駐車場の隅に止めてあった車の、ドアミラーに自分の格好を写した私は、思わずあきれてしまった。
派手な色のTシャツに、薄手のロングのスカート、チープなサンダル、
そして頭には明るすぎる栗毛のロングのウイッグ、顔にはサングラス、とどめは、大きなつば広帽…。
着てきた服の上に、さっき買った服を重ね着したその姿は、
はっきり言ってちぐはぐで、自分でも情けないほどに笑える。
「まあ、いいか。このくらいやった方が、ばれないよ…ね」
勢いを付けるためにひとりごち、私は会場へ、珪のいる場所へと足を戻した。
少し遠くから、珪の店を眺める。やっぱり相変わらず、人が来ている様子はない。
「よし!」
決心をして、私は珪の前へと歩み寄った。
「ちょっと見せていただいて、よろしいかしら?」
つとめてさりげなく、私は珪に声をかけた。
「…? …あ、はい…どうぞ」
初めて寄って来た客にとまどったのか、珪が少し愛想なく返事をする。
私は品物を手に取り、品定めをするふりをしながら、作戦を遂行するタイミングを計る。
(あ、このバングル、やっぱり素敵だな。今買っちゃおうかな…)
そんなことを考えていると、店の少し向こうからターゲットたちが歩いてきた。
若いカップル、女子高生、おっしゃれーなお兄さんやお姉さん方。
まさに、こんなアクセが好きそうな、人たちじゃないの…。
私はすうっと深くひと呼吸した。よし、作戦発動だ!


「わあ〜!! カワイイー!! ステキー!!」
「…は?」
突然の私の大声に、珪はぽかんと口を開けて、私を見ている。
「これ、おいくらですかあ?」
「…え、あ…、下に、書いてある…」
「え〜!? そんなに安いんですかあ? いや〜ん、もう全部欲しい〜!!!」
精いっぱい、甘ったる気な声を出し、私は珪のアクセを褒めちぎる。
「…ど、どうも…」
珪はもう、どうしていいのかわからないという顔をしている。
「あ、ホント、カワイイ!!」
後ろから、私以外の声が、珪のアクセにかかった。
ターゲットの女子高生だ。
「それ、おいくらですか?」
「あ、ああ…そこに、書いてあるけど…」
珪が示した値段を見て、女子高生は私よりも大きな声で、勝手にしゃべってくれる。
「やっす〜い!! これください! あ、こっちのも!!」
「あ、あのペアリング、ステキ!」
さらに、横の方から別の声がする。若いカップルが珪のアクセを手に取っていた。
「ねえ、買おうよ!」
「お、いいじゃん、お兄さん、これちょうだい」
「…はい、どうも」
集まった人たちの声を聞いて、通り過ぎようとした人々が続々と立ち止まり、店を覗く。
「わー、この指輪、めちゃカッコイイ!」
「これって、もしかしてハンドメイド?」
アクセを手に取りながら、みんなが珪に聞いてくる。
「あ、ああ…俺の、手作り…です」
「すっげ! ハンドメイド? マジカッコイイよお兄さん! 俺、これ買う!」
「このネコのチョーカー、カワイイねー。買っちゃおうかなあ」
いったんお客が付き出すと、その様子を見て、さらに人が覗き込む。
珪の店には、こうしてだんだんと人が集まりだして来た。
その様子を見ながら、珪が客とのやり取りをしている隙に、私は店を離れた。
そして大急ぎで着込んだ服を脱ぎ、ウイッグと帽子を取り、サングラスを外して袋にしまう。
早く戻らなきゃ。きっと珪、今頃お客さんの対応に追われて、大変なはず。
近くの売店でミネラルウォーターのボトルを2本買うと、私は走って店に戻る。
「お待たせっ。遅くなってごめんね。ちょっと買い物しちゃって…
うわ、どうしたの、お客さんいっぱいじゃない!」
「あ、ああ。なんか、突然…。お前も早くこっち来て、応対してくれ。頼む…」
「うん! 私、がんばるよ!」
そうして私は珪の横に並んで、珪のアクセを売りに売りまくった…。

「すごい…全部、売れた…」
結局、その後お客さんが切れることはなく、夕方前にして、アクセはすべて売れてしまった。
信じられない、といった表情の珪に、私はお疲れさま、と声をかけた。
「すごかったね、いろんな人が買っていったし。それにみんな、ほめてたよ、
すてきなデザインだって」
「…ああ、俺も…少し言われた」
「…うれしい?」
「…そうだな。ちょっと、うれしいかもな」
照れくさそうな顔で、珪は素直にうなずいた。
「それにしても」
「ん?」
「夕日が、まぶしいな」
突然珪が、脈絡のないことを言い出す。
「…そう? 私は、そんなに感じないけど…」
「いや、まぶしい…お前のサングラス、貸せ」
そう言うと珪は、私が後ろ手に隠していた紙袋から、さっき買ったサングラスを取り出した。
「あっ! そ、それは…」
サングラスをかけ、珪は私の方を向く。
「…お前、はっきり言ってバレバレだったぞ…さっき」
少しあきれたような口調で、珪が言う。私の変装は、すっかり見破られていたらしい。
「う…」
「…まったく、お前にはいつも驚かされるな。まさか変装して、サクラなんて」
「だって…珪は呼び込み、イヤだって言うから…だからつい…」
「…もういいよ。悪かったな、変に気、遣わせて」
「気を遣ったんじゃないよ!」
すまなそうな珪の顔に、私は思わず大きな声で言ってしまう。
「私がしたかったの。珪は、興味持った人だけ見てくれればいいって言ったけど、
でも、見てもらわなければ、興味だって持ってくれないじゃない…だから…」
まくし立てるように言ってから、私は少し恥ずかしくなって、口をつぐむ
「…ごめん、すごく自分勝手な言い分だね…」
「いや…。やっぱりお前、おもしろいやつだ」
そう言うと珪は、サングラスを外して、微笑んだ。
「とにかく、いろいろな人に見てもらえたし、参考になること、言ってくれる人もいたし…。
お前のおかげで、今日は、大収穫だ」
「そっか。よかったね…って、あーーー!!!」
珪の笑顔に少し見とれた私は、ハっと大事なことを思い出して、叫んだ。
「じゃあ、アレも売れちゃったんだ…細くてきれいなバングル…」
「…どうした? 何かまずかったのか?」
「ううん…ただ私があれ、ほしかっただけ…。あー、やっぱあのとき、買っておけばよかった!」
「……じゃあ、代わりにこれ…やるよ」
珪はそう言うと、左手の小指から指輪を引き抜いて、私の手に乗せた。
「手伝ってくれた、お礼。…中指とかになら、お前にもできるだろ」
「お礼って…いいよ、これ珪のお気に入りなんじゃないの?」
「いいから、やる。…受け取らないなら、捨てるぞ」
「捨てるって…。じゃあ、もらうよ? うわあ、うれしいなあ」
まだ、ほのかに珪の体温が残るリングを、右手の中指にはめてみる。
「うん、ちょっとだけゆるいけど、大丈夫。かっこいいね! ありがと!」
「ああ。…いつか作ってやるよ。お前に、ぴったりのやつ…」
「え、なに? 珪」
「…なんでもない。…今日は、サンキュ」
こうして、フリーマーケットが終わった。
「あれー、葉月いつもより指輪少ない〜」
10月の日曜日、冬物の洋服をチェックしたくなって、雑誌を買おうと書店へ入った私は、
甲高いそんな声を耳にした。ファッション誌が並べられた棚の前で、女の子2人が、
メンズファッション誌を広げている。
「葉月珪? 見せて見せて。ホントだ〜、小指のがないじゃん」
「なんだー、あれかっこいいし、ブランド知りたかったのになあ」
「どうせクロムハーツとかレナード・カムホートあたりじゃないの? モデルだし」
「でもなんでしてないのかな〜。あれオキニだから外したことないって、前なんかで言ってたのに」
「大方、もう飽きたんじゃないの?」
「言えてる〜」
あのね、それはクロムハーツでも、レナード・カムホートでもないんだよ。
未来のジュエリーデザイナーの、一品ものなんだよ。
そう、女の子に教えてあげたい気持ちでいっぱいになったけど、もちろんそんなことは言わない。

右手の中指に光る、少し大きな銀の指輪に目をやって。私はフフ、と微笑んだ。
だってそれは、2人だけのヒミツだから。
691名無しさん@ピンキー:02/07/17 01:55 ID:G2QLpP97
王子の8月フリマイベントの、脳内ノベルです・・・。
だって王子、いつも「今度のフリマ手伝え」って言うくせに、
誘ってくださらないんですもの・・・。

なんかコバルト文庫みたいなお子ちゃま話でスマソ。
次は、エロの星となって帰ってきます・・・。
692名無しさん@ピンキー:02/07/17 01:59 ID:lrjQZrFV
>691
すごい面白かったです!
ゲームでのイベントをこういうふうにアレンジするのって新鮮でヨカター!!
エロも楽しみにしてます(w
693名無しさん@ピンキー:02/07/17 02:03 ID:j0agNLut
>>691
私は楽しめましたよ。
694名無しさん@ピンキー:02/07/17 02:20 ID:+e3G87Xp
この前のインデックスは>>630です。

先生
>638>639(>>638-639)
王子
>475>476>477>478>479>480>481>482>483
>596>597>600>602>603>604>605
>643>644>645>646>647>648>649(>>475-483>>596-605>>643-649)
>623>624>625
>662>663>664>665>666(>>623-625>>662-666)
>681>682>683>684>685>686>687>688>689>690(>>681-690)
ダンディー
>656>657(>>656-657)
GORO
>658>659(>>658-659)
バカVSバイトVS王子
>397>398>463>464>465>466>609>610>611>612
>670>671>672(>>397-398>>463-466>>609-612>>670-672)

昨夜かちゅの前スレログをうっかりミスでデリってしまったのですが、
あちらのスレでご協力頂き、無事復活。
こんなところでついでになってしまうのも何ですが(あまりスレ資源を消費
したくないのでつ)、ご覧になっていたら…本当に有難うございます。多謝。
695618:02/07/17 03:30 ID:XogxTmrG
>679
レス&アドバイスありがとうです。
メインジャンルと切り分けたサイトので、どきどきもんですがうpします。
ちょいエロです。
tp://www.honey.ne.jp/~jelly/habataki/index.htm

>694
お疲れさまです 何て便利なんだー(w
696名無しさん@ピンキー:02/07/17 12:32 ID:94R+GkZY
>>385 >>409

ありがとうあなたたちのお蔭でついに見つけた。
すごい。あれ、全部ひとりで書いてるの?
先生萌えじゃないからbbsもメールもためらわれるけど
あのひとはマジ神かも。
697(先生×主人公)ズキズキ 1/19:02/07/17 14:31 ID:OfmmMF3w
思いっきり叩かれそうなネタをコソーリうP。

ズキズキ

 蝉が鳴いている。
 久しぶりに、高校の近くを通りかかった。この信号を渡ってあの路地を抜ければ、校舎が見えてくる。
 夏休み中の日曜日だけど、職員室はカラではないはずだ。卒業式以来会っていないかつての担任教師は、きっとあの暑い部屋でそれでも汗一つかかずに書類に向かっているだろう。
 行ってみようかな……。
 ちょっと迷っている間に、青信号を逃してしまった。
 まあ、いいか。だって会ってどうしようって言うんだろう?
 そう考えてちょっと悲しくなってしまう。
698(先生×主人公)ズキズキ 2/19:02/07/17 14:32 ID:OfmmMF3w
 わたし達のあの学校にはちょっと素敵な言い伝えがあって、裏庭に位置する『開かずの教会』でお姫様は運命の王子様に出会うんだと言われていた。
 馬鹿馬鹿しいと思いつつも、わたしは試さずにいられなかった。
 卒業の日、わたしの足はその教会へ向かっていた。一縷の望みをかけて。もしかしてあの人が、これを限りに会えなくなってしまうかも知れないあの人が、わたしを探しに来てはくれないかと。
 彼は現れなかった。
 わかってる。ただ待っていて手に入るものではなかった。これは、わたしの弱さ。一度だって自分で想いを告げようとしなかったわたしの怠慢。
699(先生×主人公)ズキズキ 3/19:02/07/17 14:32 ID:OfmmMF3w
 なんだか落ち込んできたので、わたしはものすごい勢いで学校とは反対方向へと歩き出した。少しでも早くあの学校の面影から遠ざかろうとして。
 けれど。
 ―――あれ。
 信号待ちをしている車がわたしの視界に飛び込んできた。見覚えのあるあのフォルム、いつもながら洗車したてみたいに磨き上げられたボディのあの色、語呂合わせみたいに暗記してしまったあのナンバー。
 そのまま脇を通り過ぎてしまうことなんてできなかった。わたしはゆっくりと車に近づき、運転席を確かめずにはいられなかった。
 目が、合った。ウィンドウガラスが静かに下げられ、驚いた顔の運転手がわたしの名を呼んだ。
 やっぱり。わたしは一卒業生として違和感がないように、そして努めて明るく楽しげにお久しぶりですと声をかけた。ええ、これから帰るところです。先生もお元気そうですね。あ、信号変わりますよ。それじゃあ、失礼します。
「待ちなさい」
 先生は後続車を気にしながら、早口で言った。
「次の角を左折した所で待っている。乗って行きなさい」
 返答する隙は与えずに車は走り出し、ウィンカーが上がった。宣言通り交差点を左へと消えてゆく姿をわたしは追った。ハザードを出して止まっている、乗りなれた車。
 久しぶりの助手席は懐かしく、だけど凭れ掛かるとなんだか違和感を覚えてしまった。
 時間が経つってこういうことなんだ。毎週のようにここに座っていたあの頃は、まるでわたしのために用意された場所みたいに感じていたのに。
700(先生×主人公)ズキズキ 4/19:02/07/17 14:34 ID:OfmmMF3w
「シートベルトは締めたな」
 いつもと同じ台詞。ハイと頷くと、滑るように車が動き出す。
「元気そうだな」
「ええ」
「同級生とは連絡をとっているのか?」
「あ、ハイ、女の子チームで小旅行に行ったり。地元に残らなかったコとも、メールのやりとりをしてるんですよ。皆元気です」
「そうか。それは結構。…………その、彼とは?」
 うっかりこぼしてしまった、という風に先生の口から漏れた名前は、高校時代仲の良い友人として過ごした男子生徒のものだった。同じ学校に通わなくなってからは、ほとんど顔も合わせなくなってしまったけれど。どうして先生が彼の名前を挙げるんだろう?
「あ、そう言えば先月偶然会いましたよ。元気みたいでした」
「……うまくいっていないのか?」
「はい?」
「いや、だからその。つ、つまり、覗き見るつもりはなかったんだが」
「……は?」
 はぁ、と観念のため息をつき、先生は弁明を始めた。
「すまない。卒業式の後、君を追って彼が教会へ入るのを目撃した。
それで、そっその、意図したわけではないんだが、会話が、聞こえてしまったんだ」
「……え?」
 卒業式、教会。ふたつの単語がぐるぐる回った。
701(先生×主人公)ズキズキ 5/19:02/07/17 14:35 ID:OfmmMF3w
 そう、教会に現れたのはわたしの待ち望んだ相手ではなかった。
 あの日重たい扉を開けて現れた彼は、驚くわたしを前に真摯に語ってくれた。
どんな風にわたしのことを想っていてくれたのかを。これからも傍にいたいと、そう言ってくれた。
親しくしていた友人のひとりではあったけれど、いや大切な友人のひとりだったからこそ、わたしはどうしても彼の気持ちを受け止めるわけにはいかなかった。
 だってわたしはあの場所で、違う人を待っていたのだから。
 正直に、精一杯誠実な言葉でそのことを告げると、彼は小さく笑って頷いた。そしてわたしを残して教会を後にした。
 待って。
 先生が、あの場に居た?あれを、聞いていた?どうして?どうしてあんなところにいるの?
「ま、待ってくださいっ!!」
 掴みかからんばかりの勢いで、思わず大声を上げてしまった。驚いた先生はハンドルを切り損ねそうになる。
「運転中になんて声を出すんだ!危険だろう!」
 先生に怒られるなんていつ以来だろう。ふと時間が巻き戻ったように感じて、
怒鳴られたはずなのに何故だか少しだけほっとする。
「あ、いや、すまない。言い過ぎた」
「いえ、わたしが悪かったです、ごめんなさい」
 素直に頭を下げる。先生は怒りながら照れてるみたいな、あの懐かしい表情をしている。
今でも、わたしはこの人に見とれてしまう。ああ未だに、わたしはこの人を諦めていないんだろうか。
702(先生×主人公)ズキズキ 6/19:02/07/17 14:36 ID:OfmmMF3w
「先生」
「何だ」
「―――誤解、です」
「?」
「最後まで聞いてはいらっしゃらなかったんですね、あの会話」
「私はそこまで悪趣味ではない」
「わたし、お断りしたんです、彼のこと」
「何?」
「わたしはあの日あの教会で、待っていたんです。
彼のことをじゃありません。もしかしたら来て下さるんじゃないか、って。
もしかしたらわたしが見ていたのと同じように、わたしのことを見ていてくれたんじゃないだろうか、って」
「それ、は、まさか」
「わたし、先生を待っていました。わたしが好きだったのは、先生なんです」
 予告なしに車が停まった。交通量の少ない路地。風すら吹いていない今、動いているものは何ひとつ見当たらない。
先生は片手をハンドル、もう一つの手をサイドブレーキにかけたまま微動だにしない。表情が読めない。
 まだ、間に合うだろうか。手を伸ばせばまだ、届くだろうか。こうして望めばまだ、手に入れられるだろうか―――
703(先生×主人公)ズキズキ 7/19:02/07/17 14:37 ID:OfmmMF3w
 ゆっくりと先生がこちらを向いた。表情が無い。いや、顔色が無いと言った方がいいかも知れない。
元々決して血色の良い人ではないけれど、今の先生には蒼白に近い色が張り付いている。
 つられたかのようにわたしも言葉と表情を失った。予測、できたから。
「すまない」無表情のまま言い渡される言葉を、わたしも無表情のまま受け止める。
「私には―――今の私には、応えられない」
 その言葉に被さるように蝉が鳴き出した。ほらみろと笑われているようで、退場を促されているようで、
わたしは笑うことも泣くこともできなかった。
「いいんです。謝らないで下さい。わたしが、勝手に」
「そうじゃないんだ!私、は」
「ムリしないで下さい。困らせてしまってごめんなさい。卒業しても問題児ですね」
 これ以上問題児になってしまう前に、去らなければいけないと思った。
シートベルトを外す音に反応し、先生の顔に表情が戻った。わたしは目を逸らしドアに手をかける。
「一人で帰ります。本当にありがとうございました」
 名前を呼ばれたような気がしたけど、空耳だったことにしてわたしは足早に立ち去った。
704(先生×主人公)ズキズキ 8/19:02/07/17 14:40 ID:OfmmMF3w
 三年間。三年かけてゆっくりゆっくり好きになっていた。
 あの三年に比べて、そして諦め切れなかったこの数ヶ月に比べてさえも、
失うのはなんて一瞬で容易い作業なんだろう。
まだ間に合うかも知れないなんて虫の好いことを、考えてしまった自分すら可笑しい。
 帰ります、と言ったくせに足は自宅へ向かってはいなかった。やっぱりまた学校だ。
無意識にたどり着いてしまうくらいわたしはここが好きなんだろうか。
手に入らないと分かった今でも、あの人に出会うことができたこの建物が。
 とてつもなく暑い。
 野球部の掛け声がチアリーダーの笛の音がプールから響く水音が女生徒の嬌声が夏の日差しが草の香りが生ぬるい風が渦を巻く。校舎が、揺れる。
 あ、やだ。貧血かも。
 わたしはふらふらと校庭の大木に近寄り、凭れ掛かって座り込んだ。
 部活動なのか補習でも受けるのか、生徒の出入りは割とあった。
あのセーラー服も短いスカートも、もうわたしの世界には属さないんだ。
まだあの群れの中にいられた頃から、その制服が違和感を帯びる日をぼんやりと恐れていた。その日がこんなにも早く来てしまうなんて。
「あら?どうしたの?」
 声をかけられた。顔を上げると見覚えのある女性が見下ろしていた。図書館の司書をしているおねーさんだ。
朗らかで話し好きで、ときどき、ちょっと口が軽いと言われている。
「あ、ちょっとフラっとして」
 立ち上がろうとするわたしをおねーさんは手で制し、自分も木陰に座り込んだ。
705(先生×主人公)ズキズキ 9/19:02/07/17 14:42 ID:OfmmMF3w
「大丈夫?今日暑いものね。学校に用事だったの?」
「いえ、なんか何となく来ちゃったんです」
「うん、そういう卒業生割と多いわよ、夏休み。職員室行ってみた?」
「いいえ。でも、いいんです。もう帰ろうと……」
「そう?あなたよく担任の先生と図書室で予習してたでしょ。会って行けば
……ああ、今日はもう帰られたかしらねえ」
 そのはずです。だからもう職員室に用は無いんです。心の中でそう呟いた。
おねーさんはそう言えば、と切り出した。
「聞いた?先生の話」
 聞いてはいけないような気がした。けれど聞かずにはいられなかった。
「何、ですか?」
「ご婚約が近い、って話」
 案の定、おねーさんの台詞はわたしに致命傷を与えた。血の気が引いた。
けれど彼女はわたしの声が震えていることにも気付かない。
「嘘」
「あ、やっぱりそう言った。生徒さん、間違いなく同じ反応をするのよね。
あの先生じゃもっともだと思うけど。あのね、理事長が勧めたお話らしいんだけど。
って理事長もご自分の心配を先になさればいいのにねえ。
ともかく、先生春ごろちょっとおかしかった時期があるのよ」
「おかしかった?」
「うん、故障だなんて言われてたけど。春休みに大失恋したらしいって話もあって
――これは未確認なんだけどね。で、いつもなら突っぱねるお見合いの話も、断りきれなかったらしくて。
それからもう数ヶ月経ってるし。ある意味理事長の作戦勝ちよね」
706(先生×主人公)ズキズキ 10/19:02/07/17 14:48 ID:OfmmMF3w
 おねーさんの話はまだ続いていたが、聞いているどころではなかった。
わたしは座っているのに立ちくらみを起こしたみたいで、
おねーさんの声も目に入る花壇も蝉の声も浮かぶ雲もすべて一緒くたになってぐるぐる回っているようにしか感じられなかった。
 どうやって話を切り上げて挨拶をして立ち上がったのか覚えていないけど、
わたしはかつての通学路を駅に向かって歩いていた。日差しに刺されそうだ。見上げたらきっと目を潰される。
潰して欲しい。刺して欲しい。太陽でも雷でも獣でも闇でも何でも構わないから、わたしを壊してしまって欲しい。
 失うってこういうことなんだ。
 手に入らないだけじゃない。あの人はもう、他の誰かのものなんだ。
 助手席の違和感。あれはもうわたしの場所なんかじゃない。制服の違和感。わたしはもうあの人の生徒ですらない。
もうわたしはあの人の過去。あの人の今にわたしはもう入り込めない。
―――怖い。
 キャミソールから覗く剥き出しの肩を自分で強く抱く。血が滲むほど爪が食い込む。
ちっとも痛くない。ただ恐ろしい。
 誰でもいい何者でもいい。
 お願いだからどうか、今すぐわたしを壊してください。
707(先生×主人公)ズキズキ 11/19:02/07/17 14:51 ID:OfmmMF3w
 やけに人通りが激しい。皆同じ方向に歩いてゆく。意味も無くわたしも人波に流される。
妙に浴衣姿が多いことで、今夜は浜辺の花火大会なのだとようやく知る。
 花火、見て行こうかな。何も考えずに何も感じずに見上げていればいいから。
部屋に帰ればきっと考えてしまうから。
 会場にたどり着いたわたしは、ひしめき合う観客からほんの少し離れた所に立っていた。
もうそろそろ始まるはずだ。
 不思議なくらい何も感じない。ワクワクもしないしちっとも楽しみじゃない。
 花火、あんなに好きだったはずなのに。
 と、若い男の子に名前を呼ばれた。俺のコト覚えてる?
 ごめん、覚えてない。え?三年のとき隣のクラス?ああ、見たことあるような気がした。
今日?うん、一人。そっちは。え?いーよ、別に。絶景ポイント?へえ、詳しいんだ。うん、行く。
708(先生×主人公)ズキズキ 12/19:02/07/17 14:53 ID:OfmmMF3w
 連れられて行った場所は確かに絶景ポイントで、誰にも知られていない本当の穴場だったらしい。
わたしはそこで名前も思い出せない同級生と並んで腰掛け、色づく空を見上げた。
ああ、赤い、青い、それだけ。だけどわたしはわざとらしくキレイだねなんて言ってみる。
彼の手がわたしの肩に伸びる。わたしは抵抗しない。背中に草がささって少しちくちくする。
彼の手がわたしの胸元を這い回っていて、顔は目の前にある。
あの人に誰より先に触れて欲しかった場所に、ほとんど見ず知らずの少年が触れる。
痛くも痒くもないしくすぐったくもキモチヨクもない。丹念にあちこちを撫で回した手がやがてスカートの中に入り込む。
わたしは腰を軽く浮かし、そのまま下着が剥ぎ取られる。長くはない彼の指を感じたとき、
初めて軽い痛みがあった。声を上げてしまったのかもしれない。
彼は怪訝そうな顔を向けて言った。
もしかして、初めてなの?アンタ周りに色んなオトコいたから、絶対やってると思ってた。
じゃあ、ヤサシクしてやるからさ。
 いいよ、ヤサシクなんかしなくて。どうかどうか、わたしを壊して下さい。
もう完全に痛みも感じなくなるくらいまで壊してしまって下さい。
ここがどこであなたが誰なのか、何を求めていて何を失ったのか、
何も思い出せなくなるくらいまでボロボロにしてしまって下さい。
709(先生×主人公)ズキズキ 13/19:02/07/17 14:55 ID:OfmmMF3w
 けれども彼はその方面の技能に長けていて、そしてきっと本来『ヤサシイ』人間だった。
多分彼はわたしが彼自身に何の興味も持っていないことを見抜きながら、
それでもまるで大切な存在であるかのようにわたしを扱ってくれた。
わたしが望んだのは何も感じないほど打ちのめされることだったのに、
彼は細心の注意を払って、少しずつ、わたしの感覚を呼び覚ましていった。
まず感じたのは彼の温かさ。
そうして痛みとは別のものに起因する声が覚えず自分の喉から漏れてくるようになった頃、
彼の肩越しに咲く花火の美しさに気付いて、私は涙を流した。
花が開き、名残惜しそうにしながらも散って行く。美しいと心から感じた。
それに引き換え今日一日の自分がものすごく厭な奴だったと思い返して、
涙を止めることはできなくなった。どこまでもヤサシイ目の前の少年は、
こぼれる度にわたしの涙を指で唇で拭ってくれた。
 ごめんなさい、ごめんなさい。わたしのためにこんなにしてくれなくていいのに。
泣きながら言った。巧く言葉にできていたかどうかわからないけれど。
でも多分彼には届いていた。困ったように微笑む彼の顔が見えたのが最後。
あとはよくわからない。全身が、痺れた―――――。
710(先生×主人公)ズキズキ 14/19:02/07/17 14:56 ID:OfmmMF3w
 電話が鳴ったのは秋が始まった頃だった。
 わたしはその間、すぐにでも屍になりたがる自分と世界を取り戻そうともがく自分の
両方に苛まれ、結局簡単に両方を打ち砕く方法として勉強に没頭していた。
友達の誘いも全部断り、とにかく一人で図書館へ通いつめていた。
花火大会の少年とはあれ以来会っていない。ついに名前すら聞かず仕舞いだった。
 夕刻、市立図書館からの帰り道で、鞄の中から存在を主張するメロディが流れ始めた。
「もしもし?」
 耳を疑った。返ってきたのは懐かしい名前を名乗る声。
「せん、せい?」
『今から出られないか?君に話がある。会ってくれ』
 この期に及んでさえも、いいえと言うことができない。断ることができない。
わたしは分かりましたと答え、迎えに行くと言う先生に自分の居場所を告げて電話を切った。
 程なく現れた車にわたしは乗り込んだ。やはり拭いきれない違和感。
ここはもう他の誰かのテリトリーなのだ。わたしこそが今この車内では異端者なのだ。
 安全確認と発進の宣言が行われた以外、終始車内は無言だった。
先生はやっぱり無表情で、窓の外を見慣れた景色が流れ、行先に察しがついても
わたしは声をかけることができなかった。
 下校する生徒の群れを逆流し、わたし達――いや先生の車は職員駐車場へと向かった。いつもの位置。
駐車場番号もわたしが覚えている通りだ。
711(先生×主人公)ズキズキ 15/19:02/07/17 14:58 ID:OfmmMF3w
「降りなさい」
「はい……」
 車を降り、わたしは早足で先生を追いかけた。
駐車場を抜けたら花壇を横切って校舎を離れ、裏庭へ。
「先生?」
 わたしの呼びかけには答えず、先生はまっすぐに教会へ向かう。
扉の前で立ち止まり、わたしが追いつくのを待って手をかける。扉が、開いている。
「理事長に無理を言って開けて頂いた。この所あの人には頭を下げてばかりだ」
 後半部分は独り言だったようだ。まだ何か呟いたようにも思えたが、聞き取れなかった。
先生はわたしの背をそっと押して、中に入るように促した。
本当に軽く触れられただけなのに、それだけで電流が走る。
 中には誰もいなかった。先生は後ろ手に扉を閉め、
ステンドグラスから入り込む明かりを頼りにパイプオルガンに近寄った。
けれど蓋を開ける気配も、かと言ってわたしに向き直る気配も無くじっと立っているだけなので、
わたしはついに声をかけた。
「あの、先生?」
「ああ、待ってくれ。やはりもう少し落ち着きたい。話を始める前に一曲弾いていいか?」
「ええ……」
 私は木製の長椅子に腰を降ろした。先生もオルガンの前に腰掛けガタンと音を立てて蓋を開けると、
何と言う部品だろう、ノブのようなものを捻ったり引いたりして音色を調整し始めた。
芸術家の背中を私は見つめた。
712(先生×主人公)ズキズキ 16/19:02/07/17 14:59 ID:OfmmMF3w
 やがてその指先から荘厳な音色が流れ始めた。ああ、聴いたことがある。
バッハの、何だっけこれ。そうクリスマスだ。軽やかにジャズアレンジされたものを、
先生はピアノで弾いてくれた。あの曲のオリジナルだ。
もちろん原曲を聴いたこともあるけれど、こんなにも厳かで悲しげな印象だったっけ。
 演奏が終わると先生はオルガンを降り、歩み寄って私の隣に腰を降ろした。
「覚えてます、今の曲」
「そうか。ありがとう」
 ふわりと先生は笑う。胸が痛む。
「話が、あるんだ」
「はい」
「…………端的に言おう。つまり、その、前回君と会ったとき、
君は私の勘違いを指摘しただろう」
 ちっとも端的じゃない。あんまりにも以前と変わらないので、あの頃に戻ったみたいに思えてしまう。
わたし達の関係もわたし自身も、もう取り返しがつかないくらい変わってしまったと言うのに。
「……端的ではないな。すまない、性分なんだ。その、それで、だな。
あのとき君は私に好意をもっていると言ってくれた」
 きっと先生は気に病んでいると思っていた。
けれどそのことはもう聞きたくも話したくもなかった。
713(先生×主人公)ズキズキ 17/19:02/07/17 15:00 ID:OfmmMF3w
 わたしは首を左右に振った。先日あんな風に口走ってしまったことを、後悔していた。
「もう、いいんです。混乱させてしまったんだったらすみません。忘れて下さい。
ご婚約、なさるんでしょう?」
「違うんだ!」
「いいんです、わたしに気を遣って下さらなくて」
「違うんだ、本当に。そういう話があったのは事実だ。だが断った」
「え?どうして?」
 思えば間の抜けた質問を、わたしはしてしまっていた。
それこそ『端的に』答えられる類のものではないだろうに。
「一時期……ひどく自暴自棄になっていた頃に、理事長に半分丸め込まれて彼女と会った。
だが何度彼女と過ごしても私は何も感じなかった。彼女ではダメなんだ。
そんなこと、会う前からわかっていたはずなのに。
――彼女には昨日、正式に非礼を詫びてお断り申し上げた。そして理事長にも」
「先生……?」
「この教会で君達を見かけたと言っただろう。何故私がこんな所にいたかわかるか?
私もあの日ここへ君を探しに来たんだ。彼と同じことを君に告げるために。
だが彼に、そう先を越されて、私は逃げてしまったんだ」
「え」
「あの日逃げ出さずに、彼を押しのけてでも君に伝えれば良かったんだ。
これは私の弱さであり怠慢だ。今からでも間に合うだろうか。
どうしても伝えたいんだ。君を愛してる」
714(先生×主人公)ズキズキ 18/19:02/07/17 15:02 ID:OfmmMF3w
 打ちのめされる、ってこういうことを言うんだろうか。
わたしは口を開くことも身動きすることもできずに、ただ呆然と先生の顔を見つめるだけだった。
「今更、と言われることはわかっている。しかしどうしようもないんだ。
この数ヶ月、君の居ない世界を生きた。もうこれ以上耐えられない。
私の生活に、戻って来てくれ」
 わたしはいつの間にか泣いていた。だって何か言わなくてはと開きかけた唇の端を、
涙が伝って降りて来る。拭おうとして頬に伸ばした手が先生の綺麗な指にぶつかる。
おそらく同じことを思って先生もわたしの頬に触れようとしていた。
長い指がわたしの指先を捉える。先生の指はキレイ。長くて冷たくて、とてもキレイ。
「ダメ……だよ……」
 搾り出すようにわたしは言った。
 ダメだよ。だってわたしは、先生を失ったと思って自棄になって、
名前も知らない行きずりの男に体を開いてしまうような女だよ?
先生のこのキレイな指で触れてもらう資格なんてないよ。
わたしは、周り中全部を傷つけて、それでもなお自分のことすら守れずにいるような女だよ?
先生のことも教会に来てくれた彼のことも花火大会で出会ったあの男の子のことも、
多分、わたしを気遣ってくれている女友達のことまでもみんなみんな傷つけて。
 ダメだよ、もう。もう遅いよ。
 間に合わなければ次の電車に乗ればいいって以前は思ってた。
だけど待合室にいる間に、あまりにも全てが変わってしまうこともあるって知ってしまった。
 もうわたしは、どの電車を捕まえても目的地にたどり着く自信がないよ。
715(先生×主人公)ズキズキ 19/19:02/07/17 15:04 ID:OfmmMF3w
 ズキズキする。涙の伝う頬が、触れられている指先が、ズキズキする。
痛くて苦しくて大好きでズキズキする。振り解かなくては息ができなくなる。
 だけど先生は手を放してくれない。わたしがどれだけ引き剥がそうとしても指を解放してくれない。
「ダメ、だよ、せんせい」
「そんな返答は聞こえない」
 ぐい、と手を引かれ、そのまま抱きすくめられた。目の前でタイピンが光った。
ぼろぼろこぼれる涙で、先生の上着にはあっと言う間に染みが広がってゆく。
 髪を撫でる手のひらを感じる。この場所は居心地がよくて、なのに息苦しくて、
ずっとこうしていたいけど今すぐにでも去ってしまいたい。
怠惰で弱いわたしは、自力で逃げ出すことも留まることもできないから、
ただこうやって涙を流し切ってしまうしかない。
 どこへ向かって動き出せばいいのか、決めることもできない。
どのみちもうここには居られないけど、居られないから、この涙が乾いてから考えよう。
ここは余りにも心地よくて、今すぐに振り払うことはできそうもないから。
 今はただこうやって包まれている体中がズキズキして、甘くて、とてもあたたかい。
716名無しさん@ピンキー:02/07/17 15:22 ID:P7jk0nse
>697さま。
感動しました。
切なくて…

先生、幸せになってホシイ。

717名無しさん@ピンキー:02/07/17 16:17 ID:eyeQYdY2
>697さん

すごーーーーい、良かったです。
切なくて、どきどきして、ぼおっとしてしまった…感動しました!
みんな幸せになって欲しいとオモタヨ(つД`)・゚・。
718名無しさん@ピンキー:02/07/17 16:49 ID:ff8HIL1h
>697様
読んでいて、思わず引き込まれました。
うまく言えないのですが、全てがエクセレントです!(w
私は、てんてー最萌えですが、てんてーを見ているとなぜか
“幸せになりにくい”体質のように感じるので、
(もちろん幸せになってもらいたいけれど、あの瞳を見ているとそんな気がするのです。)
この様なストーリーも、てんてーにはよく合っていると思いました。
この後、二人がどうなったのか、とてもに気になります。できれば、続きを読んでみたいです。
二人がボロボロになっていく様は、ある意味、エロチックだと思います。
719名無しさん@ピンキー:02/07/17 18:43 ID:HpMeqQM9
>697さん
よかったでつ・・・。
ちと涙目。
720名無しさん@ピンキー:02/07/17 23:37 ID:9CNEGhZc
( ̄□ ̄|||)がーーん!!・・・・ 誰もいない??
今夜は静かで寂しい・・・゚・(ノД`)・゚・。ウワァァァァァァァァン
721名無しさん@ピンキー:02/07/17 23:46 ID:gbFGxwnh
>697さん。
良かった…。二人が壊れてく過程も、教会での卒業式以外の告白も。
涙しつつ、拝見致しました。
722名無しさん@ピンキー:02/07/17 23:52 ID:7VPyWNxA
罪滅ぼし即席うpです。1発勝負だからヘボでスマソ。
王子以外愛せないのでヘッポコ王子です。

「ねぇ、珪。今日は私の事抱いてくれないの?」
そうやって彼女は芝生に寝転んでいるオレの上に乗ってきた。
「やけに積極的だな?どうした。」
「女だって欲情するのよ。」
「オレ今眠いからパス。それに外だし。」
「嘘吐き。嫌いじゃないくせに。」
彼女の白く細い指がネクタイを外しボタンをひとつひとつ解いてゆく。
「おい、止めろよ。」
「止めない。全然抵抗しないし。」
そう、眠さの所為か体が動かず抵抗も出来ない。
シャツのボタンを途中まで外すと襟元に顔を埋めてきた。
舌で首筋を舐めたり吸ったりしてきてその時の
アイツの呼吸にあわせて息が首元に掛かるので妙な快感を生み出す。
「・・・んっ。」
「珪もそう言う声だすんだ。初めて知った。もっと聞きたいなぁ。」
耳元で息をふぅっと吹きかけるように囁いて
首筋からお臍までを人差し指ですぅっとなぞる。
「・・・ハァ・・・ん・・・。」
「珪ったらすごく敏感なんだね。ウフフ。」
子悪魔っぽく笑うと今度はシャツの胸倉を掴み胸に顔を埋めてきて
乳首を口の含み舌で執拗なまでに転がしたり
時には歯を立てて甘噛みをしたりする。
「・・・んあぁぁ。」
オレが声をあげるとわざと舌を巻くように舐めてピチャピチャと音を出す。
そしてずっとシャツの胸倉を掴んでいた腕が下に伸びてきて
オレ自身に手をあてがった。
「珪、私をこんなに感じてくれるのね。嬉しい。」
カチャカチャとベルトを外す音とズボンのファスナーを下げる音がする。
「お、おい、こんな所で、もういい加減止めろよ。」
「ダメ。もっと珪を愛したいの。」
723名無しさん@ピンキー:02/07/17 23:54 ID:7VPyWNxA
止めさせたいのに体が言う事を聞かない。
アイツがオレの下着に手をかけて
遂にオレ自身を舌で舐めたり口に含んだりし始めた。
「ん、ぁぁ。おい、おまえ・・・。」
「ン、フゥン・・・。」
アイツも感じ始めたのかオレ自身を含んだ口から
僅かに漏れる声が妙に艶っぽい。
ダメだ、もう限界だ・・・。このままいくのか?
どうしようも無くなった時アイツは急に行為をやめ
また再びオレの顔や首筋をぴちゃぴちゃと音を出しながら舐め始めた。
「本当に、もう止めろよ。」
「ンフゥ。ンン・・・。」
オレの言葉は無視でひたすら舐めてくる。
こいつをどかしたいのに体が動かない。
必死に何度も腕に力を入れてそしてふっとした瞬間に腕が動いた。
「止めろって言ってるだろう!」
怒鳴った瞬間急にはっとした。
そして、オレの視界にはアイツじゃなくて猫の一家がいた。
ふと頬や首筋を拭うと濡れているのが分かった。
オレを舐めていたのはアイツじゃなくて猫だった。
そして言うまでもなくオレの下半身はそれに反応していた。
変な夢を見てしまった。アイツの顔をまともに見られるか不安になった。
ひょいっと、あいつと同じ名前をつけた子猫を持ち上げた。
「ごめんな。おまえ、許してくれるか?」
「ミャー。」
優しい笑顔で一声鳴いてくれた。
「サンキュ。おまえが言ってくれたから安心したよ。
アイツにも詫びないとな。さて、これから行くか。」
子猫をそっと下ろしてアイツの居る教室へと歩き出した。



それでは、失礼しました。
724名無しさん@ピンキー:02/07/17 23:56 ID:kXdtqwUD
>722
キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!!!
ネコの下に反応しちゃう王子萌え〜〜
725名無しさん@ピンキー:02/07/18 00:00 ID:UTT/nkw6
>>723
落ちが予想以上ですごいワロタ!
こりゃまたえらい子悪魔な主人公やなーっと思ってたところだったもんだから・・・・
726名無しさん@ピンキー:02/07/18 00:02 ID:iLWJOpqR
>722
待ってました・・・待ってました!!
王子萌え〜(;´Д`)ハァハァ
727名無しさん@ピンキー:02/07/18 00:21 ID:anBb6hKF
すごい前に言ってたお風呂エチ、バカ×主人公うpしちゃっていいでしょうか?
ヤパーリぬるいんですが・・・。
728バスタイム1:02/07/18 00:23 ID:anBb6hKF
「あ、あんましくっつくなよな。」
そう言ってカズくんは浴槽の端にぴったりとくっついている。
「そんなこと言ったって、こんな狭い浴槽じゃ・・・」
私が少し身体をずらすだけで足が湯船の中でくっつく。
「ば、ばか!動くなよ!」
無理な注文ばかり言ってくるのは、恥ずかしいからって分かっているけど。
そりゃあ、「一緒に入ろう」って言い出したのは私だし、嫌がるカズくんを引っ張っ
てきたのも私だけど。
もう何回も抱き合っているのに、こうゆう風にいつまでも照れたりするところが、
可愛いというか、なんと言うか・・・。
言ったら怒られるから言わないけど。
だから私にはいつも悪戯心が生まれてしまう。
いけないって分かってるのに、カズくんを困らせたくてしょうがない。
「カズくん。」
「な、なんだよ・・・」
さっきからそっぽを向いてしまっていたカズくんは、ちらりと目だけでこっちを見た。
「ね。抱っこして。」
そう言って両腕を広げる仕草をすると、カズくんは真っ赤になって、よりいっそう浴槽の端に密着した。
「なななな、何言ってんだ!」
「だって、そのほうが広くなるよ?」
「だ、だからって・・・」
「・・・いや?」
私は少し上目遣いにそう問う。
729バスタイム2:02/07/18 00:24 ID:anBb6hKF
こうやって言われると断れないってこと知ってるから。
「・・・・・・わ、分かったよ。・・・ほ、ほら、来いよ。」
そう言われて私はカズくんに跨るようにして抱きついた。
ぴったりとくっついて、身体からカズくんの心臓の音をリアルに感じていた。
「・・・カズくん、ドキドキいってるよ?」
和馬の首に腕を絡ませてぎゅっと抱きついてからかうみたいに言ってみた。
「ば、ばか。おまえだって・・・」
ふいに顔を上げるとすぐ側にはカズくんの顔。
視線が絡み合って、どちらからともなく口づけた。
「う・・・ん・・・」
軽い口づけはだんだんと深いものになっていき、カズくんの手も何時の間にか私の身体をまさぐっていて。
反射的に私はそれから逃げようとしてしまう。
けれど逃げ場なんて、その狭い浴槽にはあるはずもなくて。
「・・・逃げんなよ。おまえが・・・悪ィんだからな。」
そう。
カズくんを挑発したのは私。
「あはは。・・・逃げないよ。」
そう言ってまた目を閉じる。
ちゃぷ、と浴槽のお湯が跳ねる音がして、カズくんはより一層私を強く抱き締める。
唇に、頬に、首筋に、胸に。
たくさん口づけられて、私はたまらず声をあげた。
「・・・響いちゃうね。声・・・」
「・・・しょうがねぇだろ・・・。もう、移動なんて出来ねぇぞ。」
「・・・そうだね」
私もカズくんも限界だってことは言わなくたって、密着している身体を通して、痛いくらいに感じている。
730バスタイム3:02/07/18 00:24 ID:anBb6hKF
お湯と一緒に指が入ってきて、今までに感じたことのない感覚に腰をひいてしまう。
「・・・な、んか・・・へん」
「そ、そうか?」
「う、うん・・・。あっ・・・」
初めての感覚に、初めての場所に、私はひどく興奮していた。
自分の声が嫌に反響して、耳に届く。
指が抜かれて、私はぼうっとした頭をたたき起こして、体勢を変える。
「はー・・・」
息を深くはいて、私はゆっくりと腰を降ろした。
「ん、んっ・・・。あっ」
お湯が入ってくる感覚に慣れない私は、途中何度も腰を降ろすのをためらってしまった。
その度にカズくんは背中をさすりながら、「大丈夫か?」って聞いてくる。
あのね。カズくん。
私、カズくんのそうゆう優しいところにたまらなくなってしまうの。
すごくきもちよくなって、頭がおかしくなりそうになるの。
カズくんが奥深く入って、私はゆっくり動き出す。
湯船が揺れて、声と音が浴槽に響く。
「あっ、あっ・・・。カズくん・・・っ」
動いていたのは私だったはずなのに、気が付いたら、私はただカズくんにしがみついていることしかできなくなっていた。
カズくんが耳元で私を好きだと言ってくれて、私は一際大きく喘いだ。
731バスタイム4:02/07/18 00:25 ID:anBb6hKF
「お、おい。大丈夫か?」
「うん・・・。だいじょうぶ・・・」
気が付いたら私はカズくんの布団で寝ていて、額には冷たいタオルがのっていた。
どうやらあのままのぼせてしまったらしい。
「なんか飲むか?牛乳くれぇしかねぇけど・・・」
さっきから、カズくんは立ったり座ったりで落ち着きがない。
「ううん。いいよ。もう、だいぶよくなったから。それに・・・」
「それに?」
「・・・・なんでもない」
私は布団に潜り込む。
だって、こうなったのは私のせい。自業自得というもの。
それなのに自分が悪いと思ってるカズくん。
優しいカズくん。
私は頭だけ布団から出すと。
「カズくん、大好き」
それだけ言って、また布団をかぶった。
きっと、まっ赤になってるんだろうなと布団の中でひっそりと思った。
732名無しさん@ピンキー :02/07/18 00:28 ID:anBb6hKF
小悪魔主人公、小悪魔主人公・・・と思いながら書きました。
でもなってないですね。すいません。
エロは精進あるのみですね。が、がんがります・・・。

あと、もう一個、エロなしなんですけど、後でうpしにきちゃっても
いいですかね?それとももうここではうpしない方がいいでしょうか?
733名無しさん@ピンキー:02/07/18 00:39 ID:UTT/nkw6
>>732
ぜんぜんおっけーですよ。是非うpしてください。
734名無しさん@ピンキー:02/07/18 00:41 ID:PY0bjVVB
>>732
神様!!お願いします。アップしてください。ーヽ(´∀`)ノ
735名無しさん@ピンキー:02/07/18 00:45 ID:GpPazxfS
そろそろ次スレ立てたほうがいいみたいだね。
たしか500KBで書きこみができなくなるから。
736名無しさん@ピンキー:02/07/18 00:49 ID:GMH2z8xg
ちょっと長めのをupしたいのですが、次スレのほうがいいでしょうか?
737名無しさん@ピンキー:02/07/18 00:55 ID:GpPazxfS
>736
そのほうがいいと思う。
スレ立て誰かできる人いる?
このまえスレ立てしちゃったから私は多分できない。
738名無しさん@ピンキー:02/07/18 01:02 ID:GMH2z8xg
>737
ありがとうございました。了解です。
スレ立て挑戦してみます。上手く出来るかな・・・ドキドキ
739バカ子:02/07/18 01:04 ID:anBb6hKF
そろそろ次スレなんですね。
そ、その前にいつものあれをうpしちゃっていいでつか?
今日でここにうpするのは最後にしまつ。
違う場所でシリーズは続けられたらいいなと思ってます。
今日だけ目をつぶってやって下さい。
すいませ・・・!
今日の体育はバスケット。
男子と女子は別れてミニゲームをしていた。
「・・・今日もかわええなぁ・・・」
「おう・・・」
「・・・」
ゲームの終わってしまった、まどかと和馬と葉月は体育館の隅に座り込み、
今ちょうどゲーム中である、彼女の姿をぼんやりと目で追っていた。
葉月の宣戦布告から、何かと3人でいることが多くなり、集まれば話題に出てくるのは
当然、彼女のこと。
「なんであんなスタイルええんやろ・・・。」
「ば、ばか。どこ見てんだよ。見るんじゃねぇ!」
和馬に思いきりヘッドロックをきめられても、やっぱり目線は彼女へといってしまう。
「あ。せや、葉月と鈴鹿に聞きたいことあったんや。」
和馬の腕を押しのけ、倒れかけていた態勢を直す。
「なんだよ、聞きてぇことって・・・」
「・・・」
まどかはひとつ咳払いをすると。
「おまえら、あの子のどこを好きになったん?」
いきなりの質問に和馬はうっ・・・と詰まり、葉月は何の変化もなく。
「俺はなぁ。あ、鈴鹿には言ってあるんやったな。でも葉月にはまだ言っとらんから
言うわ。」
「・・・これ始まると長いぜ。」
ぼそりと葉月に忠告する和馬。
「ああ・・・。なんとなく分かる。」
それを分かっている葉月。
「そこ、うるさいで。」
まどかはちらりとボールを追う彼女を見てから話し始める。
「まず、性格やな。明るくて、話もおもろくて、へんに媚びてへんし、
意外とさっぱりしてるとこもええな。ぱっちりしてる目もかわええし、
あの笑顔もたまらん。俺の腕で全部包み込めそうなくらい小さい体も・・・」
「おい、おかしなこと言ってんじゃねぇぞ。」
「同感」
「ええから、黙って聞けって。まぁ、何が言いたいかっちゅうと、
全部好きやっちゅうことやね。」
満足そうにそれだけ言うと、次は鈴鹿や、と言い出す。
「お、おれか?俺は・・・その、あ、あれだ、あれ・・・。」
「・・・なんやねん。全然わからへん」
「もっとはっきり喋れよ・・・」
しどろもどろに話し始める和馬に二人は顔をしかめる。
「う、うっせぇなぁ。苦手なんだよ。こうゆうの・・・。
だ、だから、その・・・理想の、女に出会ったっつうか・・・」
聞こえるか聞こえないか位の小さな声で和馬は言う。
「はぁ?聞こえないっちゅーの・・・」
「ふーん・・・」
まどかには聞こえなかったようだが、葉月には聞こえてしまったようで、和馬はさら
に顔を赤らめる。
「よ、ようするに!俺も全部だ!」
次!葉月!と自分の話を無理矢理切り上げる。
しばし沈黙のあと。
「・・・・・・・・おせっかいなとこ・・・。」
「・・・なんや意味深な言葉やないか?それ・・・」
「そうか?・・・俺も簡単に言えば全部だけど」
一番あっさりしていたにも関わらず、一番二人に不信感を持たせたその回答。
「・・・結局全員一緒か。」
最初から大体予想はついていたけど。
そう思いながら3人は再び彼女へと目線を戻す。
走り抜けていく彼女を目で追い、ゴールをきめて嬉しそうな彼女の笑顔に思わず見惚
れる。
「「「かわいい」」」
3人は顔を見合わせた。
まどかと和馬は笑い転げ、葉月はやれやれと肩の力を抜く。

以上、ある日の3人の雑談。



お粗末さまでした。
本当ダラダラとすいませんでした。読んで下さった方達に感謝です。
スレ消費しちゃってすいません!