1 :
名無しさん@初回限定:
エロゲー全般のSS投稿スレです。あなたの作品をお待ちしています。
エロエロ、ギャグ、シリアス、マターリ萌え話から鬼畜陵辱まで、ジャンルは問いません。
そこの「SS書いたけど内容がエロエロだからなぁ」とお悩みのSS書きの人!
名無しさんなら安心して発表できますよ!!
【投稿ガイドライン】
1.テキストエディタ等でSSを書く。
2.書いたSSを30行程度で何分割かしてひとつずつsageで書き込む。
名前の欄にタイトルを入れておくとスマート。
なお、一回の投稿の最大行数は32行、最大バイト数2048バイトです
3.SSの書き込みが終わったら、名前の欄に作者名を書きタイトルを記入して、
自分がアップしたところをリダイレクトする。
>>1-3みたいな感じ。
4.基本的にsage進行でお願いします。また、長文uzeeeeeeと言われる
恐れがあるため、ageる場合はなるべく長文を回した後お願いします。
5.スレッド容量が470KBを超えた時点で、
ただちに書き込みを中止し、次スレに移行して下さい。
保管サイトはこちら
http://members.jcom.home.ne.jp/enseteku/ 過去スレ
>>2-4辺り
鯖が何か不安定っぽいけど
>1乙
乙彼。
また落ちたら笑う。
乙
落ちる程度の需要しかなかったって事だなwwwwwwww
まあ2連続で新スレ即死というのも物悲しいので保守っておく。
流石にまた落ちたらヤヴァイので保守
落ちたスレのSS勝手に貼っていい?
おつかれー
保守っとこう!
乙。
今度は寿命まで生きられますように・・・
さすがにまた落ちるのはアレなんで保守
10書いた後即貼ろうと思ってたのにそのまま寝てましたw
んじゃ貼る。
11 雨音 1/14 sage 04/05/25 00:21 ID:Htd8ZrI1
夜明けの雨音に、僕は目を覚ます。
昨日からそのまま降り続いているのだろう。
夏だというのに少し肌寒いくらいだ。
僕に抱きつくようにして、アリスはまだ眠っている。
その愛らしい寝顔を見ながら僕は、
彼女を起こさないように気をつけて、そっと髪を撫でてみた。
「ん……」
眠っていてもわかるのだろうか、アリスは擦り寄るように動くと、
僕の首筋に顔を埋めてくる。少し寝息がくすぐったいけど、やはり可愛いと思う。
思わず抱き締めたくなる衝動を堪えて、僕はそっと彼女の髪を撫で続けた。
雨音に包まれて、まるで二人きりの世界のように思える。
この雨がきっかけで、昨日は……
…………
突然の激しい雨音に、僕は顔を上げる。
「夕立かな? すごい降り方だな」
僕は読みかけていた本を閉じると、窓が開いていないかを確かめようと部屋を出た。
アリスも気がつけば閉めてくれるだろうけど。
「アリス?」
窓を確認しながら、僕はアリスを呼んでみた。
……いないみたいだな。
そう言えば、少し前に買い物に出かけるって言ってたっけ。
あ、アリス、傘持って行ったのかな?
玄関の傘立てを確かめてみると、案の定アリスのお気に入りの傘が立っていた。
迎えに行ってあげたほうが良さそうだな。多分どこかで雨宿りしてるとは思うけど。
傘を手に表に出ると、思った以上に肌寒かった。
これは、早くみつけてあげないと、風邪をひくかもしれないな。
でも、焦ってすれ違いになったんじゃ意味が無い。
僕は焦る心を押さえて、アリスを探しながら、少し早足で商店街を目指すことにした。
12 雨音 2/14 sage 04/05/25 00:22 ID:Htd8ZrI1
道のりの半ばを過ぎたあたりに、小さな児童公園がある。
ここには木立や、トンネル状の遊具なんかもあるから、もしかするとここに。
そう思って覗いてみると、やっぱり!
一番大きな木の下、足元に買い物袋を置き、寒そうに身体を抱き締めるようにして、
不安そうな顔で空を見上げているアリスをみつけた。
「アリスー!」
僕は急いで呼びかけながら駆け寄る。
「あ、透矢」
アリスは明らかにほっとした顔で僕を見た。
「もしかして、迎えに来てくれたの?」
「うん、みつかって良かったよ。ああ、こんなに濡れちゃって」
いきなりの大雨で、服も自慢の髪もぺったりとからだに張り付いている。
僕は着ていた上着を脱いで、アリスに着せ掛けた。
「ありがとう、助かったわ」
「さ、風邪ひかないうちに帰ろう」
アリスに傘を渡して、足元の荷物を持つ。
「ふふ」
「? どうかした?」
「ううん、やっぱり透矢だなって」
「僕が、何?」
「迎えに来てくれないかなって思ってたら、ちゃんと来てくれるんだもの」
「はは、まあいきなり降ってきたし、アリスが傘を持ってないのはすぐにわかったからね」
「うん、しつけた甲斐があったわ」
「あ、ひどいなぁ」
「あはっ」
「ははは」
じゃれ合いながら帰る道のり。アリスは僕に寄り添うと、
「荷物、半分持つわ」
「えっ? ひとつしかないけど」
「だから、こうして一緒に持つのよ」
13 雨音 3/14 sage 04/05/25 00:22 ID:Htd8ZrI1
そう言って、僕の手を握ってきた。
「……実は、手繋ぎたかったとか?」
「もう、そういうことは気が付いても言わないの」
アリスは照れたように下を向く。
「はは、ごめんね。でも、これなら傘はひとつでよかったかな」
「馬鹿……」
言葉とは裏腹に、まんざらでもなさそうに見える。
「ずいぶん濡れちゃったね。帰ったらすぐにお風呂に入ったほうが良さそうだね」
「ええ、そうさせてもらうわ」
こんなふうに話していれば、道のりも短く感じるものだ。
あっという間に帰り着く。
「アリス、タオル持ってくるからちょっと待ってて」
「うん、お願い」
僕は、急いでバスタオルを取りに脱衣所に行き、
そのついでに風呂の準備もしておく。
玄関に戻ると、アリスは濡れた靴下と格闘していた。
「はい、お待たせ」
「ありがとう」
タオルを渡すと、アリスは長い髪を丁寧に拭い始めた。
「こんなとき、髪長いと大変だね」
「ううん、それほどでもないわ」
髪を拭き終わるのを待って、一緒に居間に向かう。
「あ、これ、ありがとう」
そう言ってアリスは、着ていた僕の上着を脱ごうとする。
「まだ着てたほうがいいよ。本当は、着替えたほうがいいんだろうけど」
「いいわ、どうせすぐお風呂入るから」
「そう、でもそのままじゃ寒そうだね。そうだ」
居間に着くと、僕はアリスを抱き寄せて、そのまま膝の間に座らせた。
「ちょっと、いきなりどうしたのよ」
「こうしていれば、少しは暖かいでしょ?」
14 雨音 4/14 sage 04/05/25 00:23 ID:Htd8ZrI1
僕は、包み込むようにして彼女のからだを抱き締めた。
「もう、あなたまで濡れちゃうじゃない」
そう言いながらも、ちょっと嬉しそうだ。
そんなアリスが可愛くて、僕は抱き締めながら、首筋に顔を摺り寄せる。
アリスのからだの柔らかさと、濡れた髪の良い香りに、いたずら心が刺激される。
「大丈夫。せっかくだから、僕も風呂に入るつもりだし」
「そう、まあそれならいいけど……。って、まさか一緒に入る気じゃないでしょうね?」
「背中流してあげるね」
「ば、馬鹿ぁ! 絶対に嫌!」
「どうして? 寝るときはいつも裸で抱き合ってるじゃない」
「それとこれとは別なの!」
「そうかな? 多分同じだと思うけどなぁ」
「違うー」
アリスは逃げようとして、じたばたと暴れ始める。
「はは、やっぱり恥ずかしい?」
「当たり前でしょう?」
「アリスは恥ずかしがり屋だからね」
「わかってるなら言わないでよお」
初めは冗談のつもりだった。
でも、恥ずかしがるアリスを見ているうちに、
本当にお風呂でアリスとじゃれ合いたい気分になってきた。
「そうだ、じゃあ寝るときと同じにすれば問題無いんじゃない?」
「えっ?」
「寝るときみたいに、お風呂でじゃれ合うのって、恋人同士らしくていいと思うな」
「馬鹿ぁ……、変態……」
「ひどいなぁ、ベッドが風呂場に変わるだけじゃない」
「違うわよ! ……だって、お風呂場は明るいし」
「たいして違わないよ。それに……」
「それに?」
「アリスのきれいなからだをよく見せて欲しいからね」
15 雨音 5/14 sage 04/05/25 00:24 ID:Htd8ZrI1
「ちょ、ちょっと、やだぁぁ」
僕は、暴れるアリスを抱き上げると、風呂場に向かった。
「もう、わかったから降ろしてよ」
「はは、そう言ってる間に、もう着いちゃったよ」
僕は、脱衣所でアリスを降ろす。
「そんなに一緒に入りたいの」
「うん」
「はあ、しょうがないわね」
手早くタオルで髪をまとめると、
アリスはしぶしぶといった感じで、服を脱ぎ始める。
と、視線を感じたのか、こっちを向くと、
「あっち向いててよ」
「なんで?」
「脱ぐところ見られるのは恥ずかしいの!」
「はは、ごめんね」
今更な気もしたけど、機嫌を損ねてもしょうがない。
僕は、後ろを向くと服を脱ぎ始めた。
「私、先に入ってるから」
そう言って、さっさとアリスは浴室に入って行った。
すぐに掛かり湯を浴びる音が響く。
服を脱ぎ終わり、浴室の戸を開けると、アリスは既に湯船に浸かっていた。
僕も掛かり湯を浴びて、湯船に浸かろうとする。
「アリス、少しそっちに寄ってくれる?」
「あ、うん」
声を掛けると、アリスは場所を空けてくれた。
ゆっくりと湯船に浸かると、大量にお湯が溢れ出た。
「さすがに二人だとちょっと狭いね」
「あなたが大きいんだから仕方ないわ」
「アリスは小柄なんだけどなぁ」
「家庭の湯船じゃこんなものよ」
16 雨音 6/14 sage 04/05/25 00:25 ID:Htd8ZrI1
「はは、でもお風呂に凝る人の中には、広いお風呂を作る人もいるみたいだけどね」
僕は、先日テレビで見かけた家のことを思い出していた。
「それって、効率悪そうね」
「どうだろうね。……そう言えば、アリス」
「何?」
「もう恥ずかしいのは治まった?」
「ええ、変態の誰かさんがあんまり熱心に口説くから、混浴の温泉だと思うことにしたわ」
「はは、でも、温泉ならもっとゆったりできるだろうね。あ、そうだ」
「きゃっ」
僕は、試しにアリスを抱え上げて、膝に座らせた。
「ほら、これなら狭くない」
「なんだか子供みたい」
「アリスが子供じゃないことはよくわかってるからね。ほら」
僕は、軽く胸を撫でてみる。
「ひゃう」
「こんなに感じやすい子供は、多分いないと思う」
「くすぐったかっただけよ。大人も子供も関係無いわ」
「じゃあ、さっき言ったとおり、大人らしく恋人同士としてじゃれ合う?」
「初めからそのつもりだったくせに」
「はは、面目ない」
「でも、そういうのは、ちゃんとからだ洗ってからにしてよね」
「じゃ、さっそく背中を流してあげるよ」
「? 別にいいわよ」
「いや、是非してあげたいんだ」
「……また何か企んでるわね」
「それは、やってみてのお楽しみ」
「ぅぅ、こうしてだんだん変態に染められて行くんだわ」
僕は、先に湯船から上がると、アリスを呼んだ。
「アリス、おいで」
「あ、あんまり変なことしないでよ?」
17 雨音 7/14 sage 04/05/25 00:26 ID:Htd8ZrI1
「大丈夫だよ」
ちょっと恥ずかしそうに湯船を出たアリスを、背中を向けて座らせる。
目の前に、アリスの背中。本当に綺麗な肌をしていると思う。
僕は、ボディソープを手にとると、その背中に塗り付けた。
「きゃっ」
手の感触か、ボディソープの冷たさに、思わず背中を反らせるアリス。
「な、なんなの?」
「うん、こうしてね」
僕は、肩から背中、そしてまた肩へと掌を滑らせる。
「こうすると、マッサージみたいで気持ち良いでしょ?」
「確かに気持ち良いけど、ちょっとくすぐったいわ」
「はは、でもこれからだよ」
「えっ?」
今度は背中から脇へと手を進める。
「ひゃっ」
肩をすくめ、脇を締めるアリス。でも、ソープの滑りで僕は手を動かし続ける。
「く、くすぐったぁ。もう駄目ぇ」
よっぽどくすぐったかったのか、アリスはからだを揺すって逃げようとする。
「まだまだ」
脇から、更に前へと手を伸ばす。ちょうど、背中から抱き締めるような形になる。
「前は自分でするぅ」
「いいからいいから」
「やぁっ」
柔らかなお腹、可愛い胸を何度も撫でまわす。
からだを洗うと言うより、ほとんど愛撫に近い行為。
そうしているうちに、アリスの敏感な胸の先っぽが、硬くなってくるのを感じた。
「ん……、くっ」
気が付けば、アリスの口からは、何かを堪えるような声が漏れ始めていた。
僕は、小さいながらもつんと尖った乳首を摘まむと、転がすようにしてみる。
アリスは、僕にもたれかかるようにして、快楽を受け入れ始めているようだ。
18 雨音 8/14 sage 04/05/25 00:27 ID:Htd8ZrI1
「ぁっ……、ぁん……、乳首気持ちいいよぉ……」
とうとうアリスの口から、切なそうな快感を訴える声が漏れてきた。
僕は、アリスを膝に乗せ、横抱きのような体勢にした。
「透矢ぁ……」
潤んだ瞳、切なげな声。僕は、そのままキスをした。
「ん……」
アリスも、僕の首に腕をまわして、抱きついてくる。
「んっ、ん……」
舌を絡め合わせる。
空いている手を、下腹部に滑らせ、更に内腿をを愛撫する。
「んっ!」
一瞬、脚を閉じようとするアリス。抱きついている腕にも力が入る。
僕は、そのまま内腿からひかがみへと滑らせた手を、今度は逆に上へと滑らせて行き、
アリスの最も敏感な部分へと到達する。
「ん〜」
今度こそ、僕の手はアリスの太腿に挟まれてしまった。
しかし、ボディソープのぬめりは、そのいましめを無効にする。
僕は、アリスの敏感な縦筋に沿ってすっすっと指を滑らせてみた。
「んあぅっ」
キスを解き、僕の首筋に顔を埋めるようにしがみついてくる。
いつしか力が抜けたように、脚が開いてきた。
自由になった指を、縦筋に埋め込むと、ゆっくりと中を掻き回す。
「ふ……、あ、あん」
途切れることの無い、愛らしい快楽の声。
僕は、指先にボディソープとは違うぬめりを感じていた。
縦筋の中を、飽きることなく捏ね回す。
そして、流れ落ちる愛液を追いかけるように、
後ろの窄まりへと中指を進める。
「っく」
きゅっと締まるのを感じると、そこをゆっくりと円を書くように撫でまわす。
19 雨音 9/14 sage 04/05/25 00:27 ID:Htd8ZrI1
「あぅぅ……、変になっちゃうよお」
アリスは快感に耐え切れないように、ふるふると体を震わせた。
僕は仕上げに、一番敏感な部分を親指でノックし、捏ねる。
人差し指を膣口へ、中指をお尻の穴にぬるっと挿入する。
「ふ、ぁ……、あぁぁぁぁぁ!」
アリスのからだが仰け反り、やがて力が抜ける。
そして、ちょろちょろという音とともに、僕の膝に暖かい流れが感じられた。
アリスは荒い息をしている。
僕は、ソープの泡と、おもらしの跡をシャワーで流してあげると、
アリスが落ち着くまでぎゅっと抱き締めつづけた。
お風呂から上がり、アリスは居間でぐったりしている。
結局夕食は、僕が作ることになってしまった。
僕は、料理なんかしたことがない――かもしれない――のだけれど、
アリスと暮らし始めて、しっかりと仕込まれたおかげで、
多少はできるようになっていた。さて、今日のできは……。
「この野菜炒め、ちょっと焦げてる」
「精進します」
「まあ、味は悪くないわ」
「アリスにはまだまだ及ばないけどね」
「当然よ。年期が違うわよ」
「アリスはずっとマリアちゃんと交代で食事当番してたからね」
食後も、居間でお茶を飲みながら、そんな話を続ける。
「このまま冷夏にでもなったら大変ね」
「どうして?」
「だってお野菜やお米が不作になったりしたら、一気に家計に響くわよ」
「はは、なんだかずいぶんと所帯じみた話だね」
「はぁ、本当にお気楽なんだから」
呆れ顔のアリス。
「まあ僕としては、大好物が食べられれば粗食でも不満は無いけどね」
20 雨音 10/14 sage 04/05/25 00:28 ID:Htd8ZrI1
「大好物って?」
「アリス」
「ば、馬鹿ぁ」
「さっそくいただこうかな」
「い、今食事したばかりじゃない。食べ過ぎは良くないわよ」
「大丈夫、アリスは別腹だから」
「それは甘い物でしょう?」
「だってアリスは甘いからね」
「も、もう、甘いわけないでしょう!」
「どうかな」
僕は抱き締めると、キスをして背中を撫でてみる。
「んむぅ」
舌を絡ませて、唾液の交換。
ぴちゃぴちゃと音がする。
「ほら、やっぱり甘かった」
「あん……、馬鹿……」
「もっと甘いところがあるんだけど」
「ちょっと、まさか、さっきお風呂であれだけしておいて、まだするの?」
「あれは前菜ということで」
「……その調子でデザートまで食べる気じゃないでしょうね?」
「いや、せっかくだし食後のコーヒーまでいただこうかな」
「あきれた」
「はは、まずはメインディッシュのテイクアウトということで」
僕はアリスを抱き上げ、寝室に連れて行くと、ベッドに横たえた。
「ねぇ透矢」
「なに?」
「お風呂場じゃないんだから、お尻に変なことしないでよね」
「はは、じゃあお風呂でならしてもいいんだね」
「馬鹿ぁ! もう絶対一緒に入らないから!」
「じゃ、やっぱり今するしかないね」
21 雨音 11/14 sage 04/05/25 00:29 ID:Htd8ZrI1
僕は、ころんとアリスのからだをひっくり返す。
「駄目ぇ、変態!」
アリスはお尻を手で隠そうとする。
「アリスが気持ちいいなら、僕はいくらでも変態になるよ」
僕は、そっと手をどかせると、柔らかいお尻に頬を摺り寄せた。
「嫌ぁ!」
可愛いお尻がぴょこんと跳ね上がる。
ちょっといじめ過ぎかな?
「ごめんね、ちょっとやり過ぎだったね」
アリスのからだを解放して、こっちを向かせる。
「馬鹿、もうしない?」
「うん」
「……本当に、しないの?」
「う、うん」
「……」
「なんか、残念そうだね」
「ち、違うの! どうしても透矢がしたいなら、ちょっとだけならしてもいいかなって……」
「はは、じゃあそういうことにして、させていただこうかな」
「もう」
そう言うと今度はアリスが、自分からうつ伏せになってくれた。
激しく、甘いひと時の余韻に浸り、僕はアリスの髪を撫でながら、
ふとさっきの会話を思い出していた。
「透矢、何考えてるの」
「さっきのことなんだけど」
「さっきのこと?」
「確かにアリスの言うとおり、いつまでもお気楽ではいられないのかもしれないな」
「あ、そのこと……」
「うん、庄一でも見習って、バイトぐらいしてみるのもいいかな」
「あなたにできるかしら」
22 雨音 12/14 sage 04/05/25 00:29 ID:Htd8ZrI1
「できなくても、できるようになるさ。アリスのためにもね」
「私のため? そういう考え方って感心できないわね」
「いや、そうじゃなくてね」
僕はアリスのお腹を優しく撫でてみる。
「きゃっ、な、何?」
突然お腹を撫でられて驚いたアリス。
「まさかデザートを御所望?」
「はは、それもいいけど、そうじゃなくて」
「?」
「いつかはアリスに僕の子供を産んで欲しいなって」
「えっ」
「それで、その子にとって自慢の父親になれたらなって」
「それって、もしかして……」
「うん、今すぐは無理だけど、近い将来『瀬能アリス』になって欲しいな」
「もう、鈍感! 私はとっくにそのつもりだったのに」
「! 本当に?」
「でも、はっきりと言ってくれたことはうれしいわ」
「ははは……、はぁ」
「? どうしたの?」
「何気なく言ったつもりだったんだけど、結構ドキドキしてたんだ」
「透矢らしいわね」
「はは」
僕は相変わらずアリスのお腹を撫でている。
ちょっとくすぐったそうなアリス。
でも、その柔らかな感触が心地よくて止められない。
「ふふ、くすぐったい」
どことなく嬉しそうな響き。
「ねえ透矢」
「なに?」
「あなたの気持ちはうれしいわ」
23 雨音 13/14 sage 04/05/25 00:30 ID:Htd8ZrI1
「うん」
「でもね」
アリスは微笑を浮かべると、僕の手を見つめた。
「変態の父親は自慢できないと思うわ」
「う、それは確かに」
「あはっ、じゃあデザートはおあずけね」
「はは、さすがにあれは冗談だよ」
「本当に?」
僕は改めてアリスを抱き締めて、背中を撫でてみる。
「本当は、こうして抱いているだけでも僕は充分気持ちいいんだよ」
「そう、ならいいけど……」
「……」
「……」
「ね、ねえ」
「?」
「本当にデザートいらないの?」
……なるほど、そういうことか。
「くすっ」
いかにもアリスらしいおねだりに、思わず笑ってしまった。
「勘違いしないでよね! プロポーズのご褒美なんだから!」
「大丈夫、わかってるから」
「わかってないー」
……デザートどころか、結局食後のコーヒーまで味わってしまった。
夜が更けて、静かな闇に雨音が響いている。
僕は、アリスの肩に夏がけをかけてあげる。
そして、頬を寄せ合い眠りにつく。
「さっきの約束……、一緒に幸せになれるように、がんばるから」
「私は……、今でも充分に幸せ……」
さすがに疲れたのか、眠そうな声。
24 雨音 14/14 sage 04/05/25 00:31 ID:Htd8ZrI1
「じゃあ、その幸せがずっと続くように、ね」
「うん……」
…………
夜明けの薄明かりの中、アリスはまだ眠っている。
触れ合う肌の温もりと、柔らかな感触。
誰にも邪魔されることの無いこのひと時を、
もうしばらく味わっていたいと思う。
雨音に包まれた、二人きりの世界を。
おしまい
25 砂糖まみれ ◆Sugar/dYrs sage 04/05/25 00:32 ID:Htd8ZrI1
>>11-24 「雨音」
ご無沙汰です。去年の某トーナメント以来、久々に一本書いてみました。
なんか、水月ばかりですが、アリスものです。
透矢が若干ケダモノ入ってる気もしますが、
アリスって妙にいぢめたくなるというか……。
ご賞味いただけましたら幸いです。
御目汚し失礼しました。
保守。
今度は落ちませんように。
>16 代理うぷ乙
>砂糖まみれ氏
相変わらずの萌え仕事っぷりですな。ハァハァゴロゴロさせていただくとともに、
またもや透矢への殺意が。とうとうアリスのアナルにまで手を伸ばしやがって。
ところで、ずばりのシーンを書かなかったのはわざと?
読み手の妄想にお任せというのも悪くはないですが、
次回は是非ねっとりとしたエロシーンをおながいします。
できれば雪さんかななみんでひとつ
干し
>16
わざわざ貼りなおしていただいたみたいで、お手数をおかけしました。
>33
感想ありがとうございます。
えと、わざととかそんな御大層な理由じゃないです。(^^;
単に冗長な気がしたもんで。
エロSS書いててエロシーンを省略するなんて、本末転倒でしたね。反省。
ねっとりとしたエロは、精進します。
保守守守
ほしゅ
保守ついでに提案(ってほどのモンでもないか)。
前スレの「発売後一ヶ月のネタバレ禁止期間」は正式に廃止しようと思う。
現状だとメリットが無くってデメリットばかりだし。
ちょっとFateに関しては自分の過剰反応だったかなと、今になっては反省してます。
気分悪くされた人がいたらスンマセン。
>>38 インジャネーノ?
別に過剰な措置だとは思わなかったけどね
スレ運営自体に関わるぐらいの大事かもしれないと漏れは思っちゃったぐらいだし
まぁこのスレの微妙な過疎ップリのお陰でそういう自体にはならんかったけどね
即死チェックは一週間続くって話なんで保守
保守ついでに質問。
今、SSを読みたいタイトルって何かある?
それ散る うたわれ SHUFFLE LikeLife ロビー・キーン
デポルティボ
パラダイスロストと蒼色輪廻。
今年プレイした中で面白かったやつなんで。
Fateも面白かったけどこれは他でも沢山あるし、
ここではあまりSSを見ないマイナー物を読んでみたいかな。
うたわれ
今年のエロゲは全然やってないからナー
CANNONBALL〜ねこねこマシン猛レース〜
微妙に書くのが難しそう。
今年は Fate と LikeLife しか買ってないからなあ
巣作りドラゴンのSSは激しく書きたいし読みたいが
巣作りドラゴンって面白いのか。買おうかな。
レベルジャスティスはかなり好きだが。
あー、レベルジャスティスの葉月SSきぼー。
葉月エンド(鬼畜でも純愛でも)に繋がりそうな話考えたことあるなあ。
漏れの文章なんか厨房レベルだから書けもしないけど。
というかセーフスターの4人はどれも好きなんだよなぁ。ほんと、EDないのが悔やまれるよ。
2ももうすぐ出るし、ここはひとつ 姉、ちゃんとしようよ!のSSがよみたいっす。
今年はー、Fate以降はてこいれぷりんせす!待ちなのでー。
SSが見てみたいですねー。
ソフトハウスキャラはレベルジャスティスで知ったんだけど、いいゲーム出すよな。
次回作の巣作りドラゴンも期待いしてる
SSにするかはわからないけどなー(w
ほっしゅ
保守。
hosyu
保守
>>49 姉しよは専用のなりきりネタ&SSスレが既にあるぞ(しかもここと同じエロゲネタ板)
ほしゅ
豪軍
保守。
ん? 圧縮が近いわけでもなし、
そんな頻繁に保守の書込みしないでもいいんじゃない?
前スレが即死だったからな。
割と過敏になってるんだろ。
保守。
つーか10MのHDDごときでぐだぐだ抜かすヤツは童貞。
ゲッ……
>>63の誤爆を訂正し忘れてる………OTL
保守。
また即死しそうなペースでやばいなぁ・・・
前あった駄文墓場って消えた?
保守。
>また即死しそうなペース
なんか、やばい感じになってきたね……
保守。
保守だけじゃ暇なんでちとアンケート。
このスレの住人が今後買う予定のエロゲは?
SS書く書かないとかは関係無しに。
巣作りドラゴン
>>69 巣作りドラゴン
後、某スレ住民の義務として突撃天使かのん
SSはネタはあるけど、オチが思いつかんものばっかり溜まっていく……
ナイトウイザード欲しいが保険代で金が無い。
・・・みんなここを見てはいるんだな。
巣作りドラゴンやナイトウィザードに興味はあるが、
ランス6の入金が来てしまったので余裕が無い。
とりあえず確定してるのはXchange3とランス6。
ナイトウィザード待ちですが、本当のこと言うとエンゼルg(ry
巣ドラは勿論買うが、その前にLJのSSが全然進まなくて欝。
ナイトウィザードやったらシナリオ書く気満々だが
それをここに投下する訳にはいかんしなぁw
>>78 投下するわけにいかんって新作制限はなくなったからいいんじゃないの?
>>79 SSじゃなくて、TRPGのナイトウィザードのシナリオって事じゃないか?
黒愛と姉しよ2、
しかしこれを終わらせるより先にPSデモベがくる予感。
時間がねぇ…
で、期待の巣ドラ他が発売されたのだがSSのネタとしてはどうよ?
>>82 発売日の翌日だからな。
今頃は猿のようにプレイしているかも知れん。
してないかも知れん。
出遅れたら巣ドラどこにも売ってねえ orz
俺も近くの店に行ったら巣ドラ、目の前の客が持っていってたorz
で、代わりに買ってきた英伝6をプレイ中と。
保守っと。
んー。巣ドラはなかなか好感触だがSSは出るだろうか………
書いてみたいとは思ってるよ。
時間と相談だが。
今日さ、何気なくBSのチャンネル回してたら「永遠のアフリカ」って映画やってたんだよ。
んで、冗談交じりに永遠のアフリカ予告編作ってみようかなって思ったんだけど
俺、永遠のアセリアってやったことないのよ。
でもあらすじの文章をちょちょっと弄ればそれっぽいの出来るかな〜って
HP行ってあらすじ見たら既出だろうけどちょっと気になる一文を発見したんだよ。
↓
スピリットたちの背負った業を解放することで、ピロインの物語が展開していきます
・・・誤植なんだよな?
>>89 ネタバレになるが、覚醒した主人公の名前が「ピロイン」なんだ
>>80 エロゲネタ板だから許されると思うなタコ。
ネタバレスレに帰れよ
?
姉しよのSSスレを見てみた
・・・・なんであっちはあんなに埋まってるんだ OTL
見て分かるとおり、超級の神が二体いる。
保守。
他に投稿する場所があるとどうしてもこっちに投下されずらいね。
専用スレのあるゲームは当然だけど、OHPに図書館があるアリスとかも。
保守
|
| Λ
|ω・) 誰もいない……
⊂) 予告ネタやるなら今のうち
|/_|
|'ノ
コイツ
「……まさか、死んだ後も銃が手放せないとはな」
―――ツヴァイ
「アンタはただ漂うだけの未練だ」
―――ヴィム
Shadow in the Dark.
Know true fear.
Fanatics make noise.
「闇の世界に関わるんじゃない」
――大十字九郎
「もう、どっぷりと首まで浸かってるさ」
――伊藤惣太
「だったら、僕の前から消えろ!化け物が!」
――匂坂郁紀
Don't look away.You will be tried.
「……花?」
――友永和樹
「ようこそ、いらっしゃいました。貴方がはじめてのお客様ですわ」
―――瑞麗
Alone in the Night.
Know hidden truth.
It's worse than death.
花が舞い散る楽園。電脳の園。対峙する二つの影。
片や内家拳の深淵により生み出されし、気により編まれた電磁パルス。
片や戦闘用に用意されたボディをオーバーロードさせ生み出す電撃。
共に必殺の紫電が体内で蓄積され、今こそ放たれ……
Open your eyes. Open your heart.
まったく、ついてない。
よくわからん肉塊に憑かれてる男を追い詰めてみれば、今度は銃弾を弾く怪人だ。
ふざけた話だ……が、そういった連中を狩る為の方法なら心得てるし、切り札もある。
この左腕に。
始まりが終わりへ続いていても
死んだ後にも2丁拳銃の天使相手に銃撃戦か。
まあ、いいさ。相手が天使なら
「この一発に悪魔の加護を」
終焉が未来を描くから……
『ニトロvsニトロ』
Coming soon?
| サッ
|)彡 と言うことで、毎度保守レスばっかでもなんなので書いてみました。
| お目汚し失礼しました。
|
>>101 イイ!
つーか、発売前の奴まで入ってるしw
>>101 >「だったら、僕の前から消えろ!化け物が!」
> ――匂坂郁紀
これで茶を吹いた
なるほど、斧を片手にジェイソンモードの郁紀 ですか(w
>>102-104 |
| Λ
|ω・) 感想ありがとうございました。
⊂) 呼び水を呼ぶ水ぐらいになれば幸い。
|/_|
|'ノ
| サッ
|)彡
|
|
保守
|
| Λ
|ω・) 誰もいない。
⊂) もう一回やるなら今のうち?
|/_|
|'ノ
遠野にては山中の不思議なる家をマヨイガという。マヨイガに行き当たりたる者は、必ずその家の内の
什器家畜何にてもあれ持ち出でて来べきものなり。その人に授けんがためにかかる家をば見するなり。
女が無慾にて何ものをも盗み来ざりしが故に、この椀自ら流れて来たりしなるべしといえり。
柳田国男「遠野物語」
その椀は
「これなる椀は、さる者より召し上げたものに御座います。伝え聞く所によりますと山中にて迷いしおり
まるで雪女の如き美しい女に助けられ、山奥とは思えぬほどの大家に招かれたとか……」
米を入れれば黄金に変えるとも
「よってらっしゃい!みてらっしゃい!なんとこの天下泰平のご時世に、真剣での御前試合ときたもんだ。
しかも勝ち残った猛者には、どんな願いを叶える不思議な椀を与えるとのお達しだ!
参加者の条件だの詳しいことは、この瓦版に書いてある。さあさあ、買った!買った!」
あらゆる願いを叶えるとも伝えられた
「願いを叶える椀か……真贋は解らんがもしやと言うこともあるか」
――――二つ影・双厳
「なに、私はただ燕を斬る程度の能しかない男だ」
――――名無し
武士道に於て分別出来ればはや後るるなり
「このような場で、お主のような戦士と死合えるとは!」
――――ティトゥス
「見てみるか? 無刀取りの真髄を」
――――柳生十兵衛三厳
集まり来るは、いずれ劣らぬ剣豪、剣鬼
百鬼夜行の死合の果て、マヨイガの椀を手にするは
唯一人
正気にて大業ならず
『聖杯戦争』
忠も考も入らず 武士道に於ては 死狂いなり
「透矢さん、ここにあったお椀しりませんか?」
「さあ?」
Coming soon?
| サッ
|)彡 性懲りもなくまたやってしまいました。
| お目汚し失礼。
|
柳生だけに水月ですか。
聖水だけに聖杯ですか。
みんなに忘れられてしまうから椀ですか。
ああ、雪さん強でお願いします。
Fateに二重影、デモベに水月、水夏か
本編書かないからって無茶し放題だな
最高
映画を楽しむには予告編だけ観ることだ、って奴やねー
すんげえ面白そうだよ〜
>みんなに忘れられてしまうから椀(ONE)ですか。
これは気付かなかったなー、芸コマ!
115 :
名無しさん@初回限定:04/07/11 00:52 ID:qXbJipVi
「どうだ小僧、見ての通り、満たすものがあっての杯よ」
「溢れております! 師匠! おびただしい量の虚無が!」
「肉のデルタに涌きいでるあれこそが真の黄金よ、小僧、飲み干すがいい、アレがお前を何者かにするだろう」
ウヒャー!双厳サマキター!!
雪さんの聖水が入ったお椀ほすぃ
遠野といわれて真っ先に月姫浮かんだ漏れは負け組…_| ̄|○
琥珀さんがなんかたくらんだのかと思ったんだYO
>>113 水夏どこで出てきた? プレイしたはずだがわからん……
120 :
名無しさん@初回限定:04/07/13 20:48 ID:aLN9OZdu
>>119 名無し(小次郎)を名無し(お嬢)と間違えただけかと思われ
121 :
120:04/07/13 20:49 ID:aLN9OZdu
sage忘れた…
済まんかった○| ̄|_
>120
でも、その割にはFateってちゃんとカウントしてる
123 :
113:04/07/13 21:23 ID:joLjUFGY
まぁ、無理矢理「名無し」を二重に読んだわけよ
作品は多い方が良いからな
保守
〜冬の花が咲いた〜
突如世界中で謎の奇病が発生した。
人類だけでなくこの地球上のありとあらゆる生命体が侵されていく、
哺乳類、爬虫類、両生類、魚類、貝類、菌類、藻類、原生生物、シダ植物、裸子植物、被子植物、ウィルス。
一切の区別無く、遺伝子を持つ生命体全てに異常が見受けられた。
大学病院に勤める若い医師はその不可解な病変を見て学生時代の封印した怪奇極まる記憶を解き放つ。
奥外教授の引き起こしたバイオハザードマウス事件、
今世界で蔓延する奇病は名状し難い変化をしていたあのラットにあまりにも酷似していた。
彼は失踪している同期の医師を捜す旅に出る。
その名は丹保凉子、あの事件を今に至るまで執拗に追いかけていた唯一の人物だ。
とある山奥で見つけ出した彼女の口から、事件の衝撃的な真相が明かされる。
彼が見出すのは絶望か、それとも……
「冬ノ花ノ咲イタ後」
魔法戦士スイートナイツ2ネタで書きます。ひたすら行為シーンの拙文ですが。
ヒロイン調教の様子
└>宮守麻由希
└>悌毛調教する
「メッツアー様、準備しておきました、それではごゆっくり。」
「ああっ! メッツアー…こ、こんな恥ずかしいカッコさせて…最低! おぼえてなさいよ!」
ココノに命じてスイートパッションを拘束させておいた。それも、下半身を露出させ、M字に大きく開脚させてイスに固定した屈辱的なポーズだ。
秘部もアヌスも、可憐さを残す淡いヘアーもすべてまるみえのポーズは、さすがに恥ずかしいと見えて耳までまっ赤だ。
だが、スイートパションの目はまだ強い光が宿っており、こちらのスキをうかがっている。うかつに近づけば怪我をしかねないといったところか。
「フフフ、元気がいいなスイートパッション。そんな破廉恥な格好で強がりが言えるとはたいしたものだ。」
「大きなお世話よ!たとえどんな辱めを受けても、悪に屈したりはしないわ・・」
「それでこそ堕としがいがあるというもの・・。今日はお前の調教のために、特別な協力者をつれてきたぞ。はいってこい!」
手にした鎖をひっぱり、首輪につながれたスイートリップをひきだした。手枷足枷をゆるめの鎖でつなぎ、自由を封じてあるが、
今ではスイートリップは口では反抗するものの、ほとんど命令に抵抗しない。もはや性奴隷寸前の状態だ。
「スイートリップ! メッツアー! スイートリップを離しなさいよ!」
「フフフ、さ、スイートリップ。言われたとおりやるんだ。」
「は、はい…。ま、麻由希ちゃん、ごめんね…。」
スイートリップは、おずおずと拘束椅子にあゆみより、スイートパションのむきだしにされた股間の前にしゃがんだ。
突然自分の秘部の間近に顔をよせられ、スイートパションの息をのむ様子が感じられる。
スイートリップは、クリームを陰毛に塗り、かみそりをスイートパションの陰毛に そっとあてた。
「ああっ、スイートリップ!凛々子さん!ど、どうして? お願いッそんなことしないで」
「ご、ごめんなさい、麻由希ちゃん。逆らえないの…いうことを聞かないと、貴女にもっと酷いことするっていわれてるの…。だから、いまはガマンして…ね?」
ショリ・・・ショリ・・スイートリップはぎこちない手つきで、スイートパッションの恥丘を剃り上げる。
それはそうだろう。他人の下の毛を剃る経験など、そうそうあるものではない
「ククク…尊敬する戦士に剃毛される気分はどうだ?屈辱か?それとも快感かね」
冷たい刃物が恥丘をなぜる怪しい感触に、唇をかんで耐えるスイートパション。しかし段々と呼吸が乱れ始めた。
「メ、メッツアー…凛々子さんにこんなことさせて…クッ…ゆるさないんだから…」
「その強がりがどこまでつづくかな。それにスイートリップは最早お前の知る正義の戦士ではないぞ。フフフ」
「え…それはどういう…きゃあっ!」
挿絵>>
ttp://kigaruni-up.ath.cx/~kigaru/cgi-bin/clip-board/img/10434.jpg 「まゆきちゃんのココ…赤ちゃんみたいになって…可愛い.....。ちゅ…」
同姓の陰毛を剃るという背徳的な行為がスイートリップを興奮させたようだ。剥き出しになった恥丘に、スイートリップの唇が触れた。
はじめはおそるおそる。そして今度は吸い付き、ねぶりはじめた。どうやらすっかり発情しているらしい。
予想外の刺激を、敏感になった秘所に受けたスイートパッションは、思わず叫び声をもらした。その嬌声が、スイートリップの子宮に火をつけたようだ
「ご、ごめんなさい、麻由希ちゃん・・貴方のココが愛しくて、キモチが抑えられないの・・・んちゅッ・・ちゅ・・」
スイートリップはもはや俺の目も気にならない様子で、スイートパッションの性器にむしゃぶりついた。舌で陰唇をなめ上げ、口をつけて密をすする、
と同時に左手は柔肉を捏ね上げ、もみしだく。じらすように淫核まわりを指先でなぞり、充血したとみるや摘まみ上げて激しく擦り上げる。見事なテクニックだ。
スイートパッションは、尊敬するスイートリップの淫らな変貌に混乱し、スイートリップの与える強烈な快楽にまるで無防備になってしまった。
「ね・・・ゆ、ゆび 入れてもいいかしら・・。真由紀ちゃんのココ、ひくひくして、つらそうだし・・・」
「はあっ・・あっ・・やめて・・クッ、もうしないでぇっ。わ、わたし、おかしくなっちゃうっっ!」
スイートリップの舌が丹念に恥丘をま探り、剃り残しを見つけてはかみそりを滑らせる。愛液と唾液で、もはやクリームも必要ないようだ。
スリットのまわりから蟻の戸渡り、さらにはアヌス周りにまで移動し、細心の注意を払ってかみそりを当てる。その合間に、膣やアヌスを指で刺激し攻め続ける。
「よし、もういいだろう、そこまでだスイートリップ」
スイートパッションが寸前にまで高められたのを見計らって、首輪をひっぱり、スイートリップを引き剥がした。
「あぐっ、、」
「ああっ、そんな・・」
思ったとおり、残念そうな声をあげるスイートパッション。ここからが調教の肝心なところだ。
「どうだ、イかせてほしくてたまらないだろう。性奴隷として懇願すれば、絶頂を与えてやるぞ・・。」
「くっ、そ、そんなこと・・言えない・・ダメ・・ああっ」
「ようし・・言わねば、スイートリップがどうなっても知らんぞ・・」
そういうと、俺は再び首輪の鎖を引き絞った。
「んぐっ・・ケホッ、ケホッ・・」
「ああっ、や、やめてっ・・・凛々子さんにひどいこと・・しないで・・」
「やめてほしければ、こう言うんだ・・・・・・」
耳に顔を寄せ、卑猥な言葉をささやく。それだけでスイートパッションは、拘束された腰を無意識にくねらせるほど発情していた。
彼女の強い精神力を崩すため、罪悪感を軽減させるいい訳を用意してやったのだ。始めは本心からでなくとも、奴隷としての言葉を口に出させることが大事だ。
言葉に対して快楽を与える条件付けを繰り返すことで、戦士の心を徐々に堕としめていくのだ。
「こ、これは貴方に脅されて・・、スイートリップのために仕方なく言うんだから・・か、勘違いしないでよ・・。」
「分かっているよ、さあ」
「ま、麻由希は・・」
一言口にするたびに、剥き出しにされた陰唇が痙攣し、愛液をほとばしらせるのがはっきりと見える。口では反抗していても、被虐の喜びを感じているのだろう。
「ま・・麻由希は、つるつるの・・・お、オマ○コを・・見られて喜んでいる・・・性奴隷ですっ・・。はしたない・・私を・・あ、貴方の指で・・・い、イかせて・・ください・・お願い・・します・・。」
「ようし、いい子だ。褒美をやろう。そらッ!」
膣に指を二本突き入れて、Gスポットを刺激する。と、同時に充血したクリトリスを親指で擦りあげ、おしつぶす。
散々じらされていたスイートパッションは、拘束された体をのけぞらせて、一気に絶頂へと上り詰めた。
「ああっ・イク・・あ、あ・・・きゃああン!」
・
・
「はぁ・・はぁ・・あン・・。」
「どうだ・・気持ち良かったか?」
「は・・はい・・」
放心状態のスイートパッションは素直に返事を返した。
「ふふふ、可愛いものだ・・ん?。」
ふと気がつくと、スイートリップが部屋の隅で自慰を始めている。後輩の淫らな姿を見てますます発情したようだ。ちょうどいい、俺の息子は、まだ満足してないからな・・
「スイートリップ」
「あ・・・その、これは・・」
「これから、お前の部屋に戻って、俺の相手をしてもらうぞ。」
「・・・」
さすがに素直に返事はしないが、スイートリップはわずかにうなずいた。
彼女にそっとささやく。
「いずれスイートパッションの目の前で、思い切り犯してやるよ・・・」
スイートリップの肩がピクリと震るえた。その時を思い胸躍らせているであろう奴隷を連れ、おれはスイートパッションの調教部屋を後にした。
To be continue..
>>126 グッドジョブ!
挿絵まであるとわ。
ゲームはやったこと無いのだが、エロの攻め方が俺好みでした。
ゲームもこんな感じ?興味わいてきた。
この調子で、ここも少しは活性化するといいね。
そういえば、巣ドラやLJのSS書いてるって言ってた人はどうなったんだろう。
密かに期待しているのだが。
133 :
126:04/07/18 22:17 ID:116ghVNK
>>131 どうも。スイートナイツ本編もあんな感じです。ただ、今回のSSの舞台はスイートナイツ2ですが、
スイートナイツ2では、二人の魔法戦士シーンで、一方がもう一方を攻めるというシチュが少なかった
ので、今回こうしたネタで書きました。
本編のテキストはあえぎ声が非常に多く、1シーンの尺がもっと長めになっております。
ゲーム性は少々低いですが、キャラのかわいさとエロ度に関してはかなり良作だと思います。
>>132 LVのSSは書けば書くほど「戦う変身(以下略」スレSSになっていく……
なんか勢いで、コゾーンが「着衣陵辱マダー(AA略」とか言い出しちまうし
>>134 それはそれで、面白そうですなw
でも、ヴァルキルの皆さんは(ドクター以外)
ほのぼのしていてほしい気もする。
悪の組織として陵辱しようとするも、
内容が小学生のスカートめくりレベルとか。
で、見るに見かねたドクターが本格陵辱開始。
今LJ物書いてるんだけど、ここってエロ必須?
エロは凄く苦手なんだが…
>>1を読む限り必須ではないはず。
LJ物待ってます。
139 :
126:04/07/21 01:52 ID:vAhH4T9p
むしろエロを書いた私がなんか場違いな感じ・・・。
保管庫みたら健全多いように思いマスタ。
えーと・・・興味持った。とりあえず1作目を今日買いに行ってくる。
(戦闘機AA略)
>>139 場違いなんて事は決してない。
俺の愚息がそう主張していますよ?
「おはよう、おばあちゃん」
村の片隅に立てられた小さなお墓にいつもの日課。
墓標に刻まれた文字はおばあちゃんの名前―――トゥスクル。
「え……うん、アルルゥも元気だよ。ちょっとやんちゃ過ぎるけどね」
クスクスと小さな笑いが零れる。
「そうそう、おばあちゃん。あのね、アルルゥが……」
ここにくると心が休まる。
おばあちゃんと他愛もない会話をして他愛もないことで笑ったりして。
おばあちゃんはもういない……いないけど常世から見守ってくれている気がする。
「あ、もうこんな時間!アルルゥにご飯作ってあげないと……。
それじゃあ、おばあちゃん。また来るね」
振り返って駆け出そうとした時、ふと声が聞こえた気がした。
その中に含まれた単語にピタっと足が止まってしまう。
「……うん、そうだよね。きっと、きっと帰ってくるよね」
胸をギュッと掴む。
そこにあるのはたった一つの大事な―――仮面。
サァッと暖かな風が吹き抜けた。
…………ド………ドド………
………?
「……気のせいかな。なんだか地面が揺れてるような」
…ズ……ドド……ドドド……
む〜?なんだか遠くのほうで土煙があがっているような。
…ズドドドドドドドドッ……
段々こっちに向かって来ているような、それに―――白い塊。
「……ムックル!?」
ズドドドドドドドドドドッ!!
真っ白な体毛を持つムティカパがもの凄い勢いで走ってくる。
「え?なに?なに?」
おろおろと左右を見渡す間にもどんどん距離は近づいて……。
衝突―――寸前で盛大な土煙をあげながらスライディングストップ。
ズザザザーと綺麗な音を立てて止まったムックル。
辺り一面もうもうと立ち込める土煙。
「う〜、ゴホっ……ゴホッ」
涙目になりながら手で口を覆う。
もう一度ふいた暖かな風に土煙は流されて―――。
「こらっ!アルルゥ!」
やっぱり予想通りの影がムックルの背に乗っていた。
尻尾をパタパタ振りながら、けれど不機嫌そうな顔でこちらを見ているアルルゥ。
肩にのったガチャタラが『キュッ?』と小さく首を傾げる。
「危ないでしょ!ムックルを暴れさせちゃ駄目だってあれほど……」
怒られたムックルが『キュフ〜…』と小さくなる。
そんなムックルを小さく撫でながらアルルゥが一言。
「…………ごはん」
「だから―――え、ごはん?」
面食らったエルルゥ―――が先程の目的は思い出したらしい。
「あ、ごめんアルルゥ!すぐに仕度するからね。」
慌てて家のほうに駆け出そうとしたエルルゥ。
「…………エルンガー、ごはん」
聞こえた声にピタリが止まる。
さすがは獣の主か、命の危険を感じ後ずさり始める。
「アルルゥ……?」
ニコニコ笑っている顔とは対照的に声は絞り出すよな―――。
ビクッ!!
ガチャタラ、アルルゥの胸元へ緊急避難。
ムックル、力の限り全力疾走。
アルルゥ、ムックルにしがみつきながら寝たフリ。
「こらぁーーー!!待ちなさい!!」
この村では毎度毎度お馴染みになった光景が繰り広げられる。
「ああ、今日もいい天気ですなぁ」「そうですなぁ」「元気ハツラツ」
村人は一人として我関せずを決め込むのである。
「ハクオロさん……」
夜、柔らかな月光の下で小さな溜息。
ぐりぐりと指先でいじるのは大事な仮面。
今はもう眠りについてしまった大事な人の事を想う……。
ヤマユラの村はすっかり元通りになりました。
けど、ここまでするの結構大変だったんですよ?
崩れた家の片付けをしなくちゃいけないですし、人もいませんでしたから。
それでも一生懸命頑張ってやっと元通り……おばあちゃんの愛したヤマユラに。
おばあちゃんの後を継ぐ形になるのかな?村長にもなりました。
本当は、わたしなんかに無理だなーとは思ったけどなんとか頑張ってます。
住む人は変わっちゃったけど広がる自然やこの風景はちっとも変わっていません。
毎日アルルゥやムックルを追いかけまわしたり、薬草を取りにいったり……。
あの頃と何も変わってない。
けれど時々、時々想ってしまいます―――あなたがいない、と。
本当はあの時お別れするのは嫌でした。
無理言ってでも……わがまま言ってでもあなたを引き止めたかった。
でも、そんなこと出来るはずもなくて……
あなたを……あなたを本当に想っていたから
多くの罪を背負ってきて、苦しんでいたハクオロさん。
もう、これ以上苦しまないように眠らせてあげてもいいんじゃないか……。
そう思って、あの時あなたの手を手放したのに―――。
やっぱりわたしは駄目みたいです。
ハクオロさんがいなくなった後心に大きな穴ができちゃいました。
痛くて、苦しくて、切なくて……けれど愛おしかった。
こんなにも心を占めて―――そして唐突に消えてしまったあなたがちょっぴち恨めしいです。
でも、きっとハクオロさんがいれば「それは契約のせい……」と悲しそうに笑うんでしょうね。
確かに、ハクオロさんを想う気持ちは偽りかもしれません。
けど、それでもいいんです。
あなたのことが……あなたのことが好きだから。
契約を一方的に破棄された後もあなたのことが好きだから。
偽りであろうとなかろうとわたしは―――ハクオロさんと一緒にいたかった。
「なのに……なのにどうしてっ」
不意に目の前が霞んで大事な仮面がぼやけて見える。
頬を伝う暖かな雫が一滴零れ落ちた。
「あれ、確かここは……」
気付けば蔦の生い茂る森の奥に立っていた。
夜の森、けどいつもは煩いほどの虫の音や木々のざわめきが全く聞こえない。
まるで森自体が気配を押し殺しているように……。
けれど、エルルゥが気にしたのはそんなことではなく―――。
「ここって確か……ハクオロ…さんに会った場所?」
キョロキョロと辺りを見渡す。
暗くてよく見えないが確かにここはあの場所。
アルルゥが死に掛けて……、そしてわたしがハクオロさんに全てを捧げた場所。
どうしてここに……。
疑問が浮かぶ、が不意に何かの気配を感じて顔を上げた。
暗闇の中でゆっくりと浮かび上がる影。
そこにあったのは―――白と青の巨体、ウィツァルネミテア。
「え?」
驚きで目を丸くする。
どうして?何故?どうやって?あなたは?
何か言わなければいけない、と思うのだが声が出ない。
そんなエルルゥを見下ろしながら巨体が喋る。
『汝ノ願イハ何ダ』
竜の顎、居並ぶ鋭い牙の奥で低く、重い声が響いた。
「え?」
一瞬だけ思考が止まる。
願い……?
『汝ノ願イハ何ナノダ、小サキ者ヨ』
何も喋らないエルルゥに焦れる事無くウィツァルネミテアが言葉を続ける。
『願イガアルカラ汝ハココニイル、願イガアルカラ我ハココニイル』
重々しくゆっくりとした喋り……けれどどこかに優しさを含む。
ハクオロ……さん?
ズキンと胸の奥が痛む。
聞いてはいけない、聞いてはいけないと思うが想いは止まらない。
「ハクオロさん……なんですか?」
震える声を必死で絞り出し期待を込めた眼差しで問いかける。
けれど―――。
『ハクオロ……?我ハウィツァルネミテア』
心のどこかで違うと思っていたのかショックは少なかった。
でも、やはり頬を流れる雫を止めることは出来ない。
噛み合わせの違った歯車がギリギリと不協和音を奏でる。
俯き黙ってしまったエルルゥ。
けれどウィツァルネミテアは言葉を続ける。
『小サキ者ヨ、願イガナイノナラバ我ハ行クゾ』
その言葉に弾かれたように顔を跳ね上げるエルルゥ。
行ってしまう……ハクオロさんとの最後の繋がりが行ってしまう。
また、あなたを手放すなんて―――イヤ。
「ま……待ってください!!」
既に後姿を見せて立ち去ろうとしていた巨体が動きを止める。
「ハクオロさん……ハクオロさんを返してください!」
悲痛な叫び、本心からの精一杯の呼び声。
しかし、ウィツァルネミテアは動かない。
沈黙だけが場を支配する。
が、ゆっくりとウィツァルネミテアが頷く。
半分だけ振り向くと―――
『汝ノ願イ確カニ承ッタ』
その特徴的な重々しい声で呟くとそのまま歩き去ろうとする。
焦ったのはエルルゥだ。
「ま……待ってください!」
木立に消えて行くウィツァルネミテアを慌てて呼び止める。
寸での所でその巨体がピタリと動きを停止する。
『何ダ』
重々しい声。
その声に押されないようにゆっくりと深呼吸する。
「あの……契約……代償は?」
声が震えているのが自分でも分かる。
契約は双方何かしらの代償が必要となる。
しかし、ウィツァルネミテアはその代償を聞かずに去っていこうとする。
言わなければ良かったとも思うがそれではハクオロさんが帰ってこない気がするのだ。
どんな代償でも受け入れるつもりだった。
ハクオロさんが帰ってくるのなら―――。
けれどウィツァルネミテの反応は予想外のものだった。
何も言わずにまた歩みを再会したのだ。
「え?あの!ちょっと!」
叫ぶ、けれどウィツァルネミテは歩みを止めない。
しかし、森の暗闇に消えていこうとする瞬間に確かに呟いた。
『代償ならばもう貰っている』
それは懐かしいあの人の……優しい声。
反射的に足が走り出していた。
「ハクオロさんっ!!」
走る、走る、走る。
だが、どんなに走ってもその巨体に追いつけずどんどん離されていく。
「やだ……やだ!ハクオロさん!!」
靴が脱げ裸足になり…葉が足を傷付けても走った。
折角会えたのに……折角帰ってきてくれたのに!
木の根に躓き、大地に叩きつけられた。
「あうっ」
打ち付けた体の節々が悲鳴をあげる。
けれど、一時でも見失いたくなくて……。
涙で濡れた顔をあげればそこにもうウィツァルネミテの姿はなかった。
「ハクオロさんっ!!」
ガバッ!と跳ね起きる。
はぁはぁと荒い息をつき辺りを見回せば―――自分の部屋だった。
チュンチュンと小鳥が囀り明かり取りの窓からは陽光が差し込む。
「夢……?」
慌てて足を見てみる、けれど怪我などない。
ちょっと気だるい感じを除けばいつもと同じ体調。
「夢……本当に夢……だったんだ」
少しだけ視線を巡らせば机の上に無造作に置かれた仮面。
手を伸ばして手に取ると確かな重みが返ってくる。
「そっか……夢、だよね。そうだよ……ね…っ」
また、視界が歪む。
緩やかに頬を流れた雫が仮面の上にポツリと落ちる。
一粒、また一粒と仮面を濡らしていく。
押さえられない、押さえられるはずもない。
ただ悲しくて、嬉しくて、やっぱり悲しくて……。
「ハクオロさん……」
ギュッと仮面を抱きしめ久しぶりに涙が枯れるまで泣いた。
「おはよう、おばあちゃん」
今日も今日とて日課。
薬草取りのついでに取ってきた花を添える。
エルルゥとアルルゥ、姉妹の名前と同じ花。
「うん、アルルゥも大丈夫。今日はね……」
また他愛もない話。
けれどあの夢のことは話さない。
話せばそれだけ辛くなるから―――また泣いちゃいそうだから。
「ん、じゃあ、おばあちゃん。また明日」
墓前を離れて空を見上げれば快晴、快晴。
今日は洗濯日和かな?
「〜♪〜〜♪〜♪」
鼻歌交じりに家に向かう途中に、村の人たちが話しかけてくる。
「あら、エルルゥ様。今日はご機嫌ですね?」
「何かいいことありました?」「元気ハツラツ」
「良かったらこれどうぞ」「この前はありがとう御座いました」
あはは、何でもないですと笑って誤魔化しながら歩いていく。
そんなこんなでようやく家についたと思ったら―――
「………すー……すー」
アルルゥが居間でお昼寝中。
ガチャタラもムックルも寄り添うように眠っている。
「まったく、アルルゥ。こんなところで寝たら風邪引くよ?」
ゆさゆさと揺すってみるが起きる気配なし。
小さく溜息をつくと上から毛布を持ってきてそっと掛けてあげる。
もぞもぞと潜り込むアルルゥ。
何か安心した顔つきになり―――
「………すー……おとう……さん」
少しだけ胸に痛みがはしる。
ゆっくりと息を吐いてトゲのような痛みを抜く。
「ふぅ……ハクオロさん、早く帰ってこないと嫌いになっちゃいますよ」
小さく胸の中のモノを握り締める。
「あ、お洗濯しなくちゃ……」
慌てて洗濯をし始めるも考えるのは……。
「いけないいけない。」
小さく頭を振って考えを追い払う。
ひたすら、じゃぶじゃぶごしごし……。
そのせいか早く終わって、次は洗濯物干し。
「〜♪〜〜♪〜〜〜♪」
てきぱきと干していく。
と、カランと足元に何か落ちる。
少しだけ声をあげそうになってしまった。
仮面……唯一あなたとわたしを繋いでくれるもの。
それが地面に寂しく転がっていた。
「どう……して?」
そっと拾い上げてみる。
陽光に当てられたせいか人肌の温もりを持った仮面。
それは今の今までつけられていたようで……。
また視界が霞んだ。
けれど、頬を流れそうになる涙を必死で堪えた。
「だめだめ、わたし村長ですから…」
村長になった時に誓った、涙は見せないって……。
泣くなら一人の時に。
村長が泣けばそれだけ皆に心配を与えるから。
でも、それでも―――
「だから、うっ……く……だめ…」
涙を押しとどめるたびに悲しみが胸に突き刺さる。
心が潰されそうで―――
「エルルゥ、無理をしなくていい」
不意に聞こえたその声に心臓が止まりそうになる。
「一人で何でも抱え込もうとするな。」
懐かしくて、切なくて、優しい声。
「楽しいときには笑い、辛いときには泣く。それが人だろう」
それは、ずっと待ち焦がれていた、待ちわびていた声。
「だから……もう我慢する必要はない」
我慢しきれず振り向けばそこにいるのは―――
「ただいま、エルルゥ」
村長になったときに人前で泣かないと決めた。
けれど……今だけは今だけは泣いてもいいよね?
大好きな人を抱きしめて、大好きな人の胸に身を預けて。
「おかえりなさい、ハクオロさん……」
152 :
風変わり:04/07/22 15:47 ID:tt+RjP65
うたわれるもの……最近プレイしたのですが泣きましたです。
ううぅ、ハクオロー、カムバーック!
というわけでED後の話を妄想してみたわけなのです。
……え、面白くない。そうですか。
はて、そういえばここってLeafネタは良かったのでしょうか
………((((;゚Д゚)))ガクガクブルブル
悲しいけど、アウトなのよね
「好き、嫌い、好き、嫌い、好き、嫌い、好き……」
ぷちり、ぷちりと花びらが散る。
花の名前は車輪花。占い花とも呼ばれるこの花は、ほぼ同数の確率で十七枚、もしくは
十八枚の花びらをつける。
「嫌い、好き、嫌い、好き、嫌い、好き……」
だからこそ、と言うわけではないのだろうが、昔から恋占いによくこの車輪花が使われ
る。いわゆる花占いだ。好きな人の姿を思い浮かべ、「好き」、「嫌い」と交互に数えな
がら花びらをちぎる。最後の一枚が「好き」であればその恋は成就し、「嫌い」で終われ
ば実らないとされる。
「嫌い、好き、嫌い……」
十六枚目を「嫌い」でちぎって、ひくりと手が止まった。残る花びらは二枚。どうカウ
ントしても、最後は「嫌い」で終わる。
「す……好き」
震えるたおやかな指先が、十七枚を引く。途中から切れてくれないかな、とか後ろにも
う一枚隠れてないかな、とかそういう期待を裏切って、花びらは根元から、ぷちりと取れた。
「……き、き、き…………」
「姉さん、いいかげんやめようよ」
「なによこれ! ちっとも当たらないじゃないの!!」
花卉を根元から引きちぎり、リュミスは吼えた。まさに火でも吹き出しかねない勢いだ。
「ね、姉さん。そもそも当たるとか当たらないとかって問題じゃ……」
「なんでよ! 確率二分の一なのに、なんで一回も上手くいかないのよ! ああもう!
腹立つわね!!」
ばつん、と物凄い勢いで花卉を地面に叩きつける。とんでもない勢いだ。爆風じみた一
撃の煽りを受けて、すでに引きちぎられた花びらが舞い上がった。うずたかく積まれた花
びらの山は、すでに千や万の数ではない。吹き上げるその様は、まるで花びらの竜巻だ。
「毎年毎年毎年毎年! 山丸裸にするまでやってんのに、どうして一回も当たりが出ない
わけ!? ちょっと責任者出しなさいよ!」
「せ、責任者って……」
ぶちり、とどさくさまぎれにさっきの花卉を踏み潰す。これで占いは反故にしたつもりだ。
「まったく。次、駄目だったら承知しないわよ。マイト」
どっかと地面にあぐらをかいて、ふたたび車輪花を一輪引きちぎる。目に浮かぶのは怒
りと焦りと……それに、彼女らしからぬ恐怖の心。一息ついて、勇気を振り絞り、最初の
一輪を摘んだ。
「き、嫌い……」
「姉さん、それ十七枚だよ」
「うっさいわね! アンタは黙ってなさい!!」
口うるさい弟に一喝加え、リュミスはふたたび花を叩きつける。邪魔が入ったからやり
直し。と、自分を納得させて、リュミスは新たに花を取る。
「えっと。今度は、好き……」
「いちいち毎回変えたりしないで、全部「好き」から始めればいいのに」
十七枚になる確立が二分の一ならば、手当たり次第に「好き」から始めれば、いつかは
必ず「好き」で終わる。そのはずだ。だが、答えたリュミスの顔は、やはり烈火の如く怒
っていた。
「そんなのとっくの五百年前にやったわよ! やったら、千年だったか一万年に一度の異
常気象とかで、山中全部十八枚の花しかなかったのよ! 悪い!?」
思わずマイトは天を仰ぐ。ここまで来ると、運命の神が彼女を目の敵にしてるとしか思
えない。そして間違いなく、それが誰か分かった瞬間、この姉は天界全土を焦土に変える。
なにしろ彼女は、竜族史上においても最強にして最凶にして最狂の存在なのだ。
「っていうかさ、ほら。占いなんて意味ないじゃないか。ブラッドだって、巣づくり頑張
ってるじゃないか。この間行ったけど、あんなに感じのいい巣は滅多に見ない……」
「あれは、私が強制したからじゃない! それにあの竜殺しの小娘と毎日毎日毎日毎日イ
チャイチャイチャイチャイチャイチャイチャイチャイチャイチャイチャイチャ!!」
キィィィィィ! と超音波じみた声で叫び出す。
傍若無人、極悪非道、最強無敵。様々な悪名高名を欲しいままにするリュミスも、惚れ
た男の前では普通の娘と変わらない。
惚れた男はブラッド・ライン。マイトやリュミスのような純血種に比べると、はるかに
見劣りするような雑種の竜だ。特に美形と言う訳ではない。素晴らしい人徳を備えている
わけでもない。何かを為しうる可能性に満ちているわけでもない。その男に、リュミスほ
どの女がどうしてここまで惚れたのか、マイトどころかリュミス自身も分からない。
前に一度、マイトは訊いたことがある。
「ブラッドのどこに惚れたのさ?」
「全部」
即答だった。
「恋って言うのはそういうものなのよ」
そう頬を赤らめる姉の顔は、弟ながら嫉妬するほど綺麗だった。
「……竜殺し。なんであんなの飼ってるのよブラッド。そんなに私が怖いわけ?」
リュミスがぼそりと呟く。泣きそうな声だった。
ブラッドの元には、召使という名目で獣人の血が混じった竜殺しがいる。丁度、リュミ
スが「立派な巣を作りなさい。出来なきゃ死なす」と脅した直後から。
竜殺しが怖いわけではない。彼女の炎は神すら焼き尽くす。たとえ竜族の天敵であろう
とも、定命の者でそれに耐え切る事は不可能だ。猛禽が蛇の天敵であろうとも、同体重以
上の大蛇に対しては手も足も出ないのと同じで、リュミスほどの規格外ともなれば、竜殺
しは決して勝てない天敵ではない。
ただ怖いのは、そんなものを手元に置いているブラッドの意図だ。
もしもそれが、リュミスへの害意によるものだったら。それほどまでに、彼女が嫌われ
ているならば……
(そんなの……悲しすぎる)
「……姉さん」
唇を噛んで、リュミスは空を見上げた。涙がこぼれそうだったから。最強最凶の竜の女
王に、涙なんかは似合わないから。
「あー。女の子泣かしてる〜! いけないんだ〜!」
その沈黙を、愛らしい声が破った。
「誰!?」
厳しく響くリュミスの声。見れば、山一面に広がる車輪花の花畑に見慣れぬ人影が立っ
ていた。
「えへへ」
子供だった。近所の村娘だろう。簡素なつくりの木綿の服に、宝物のように真っ赤なリ
ボンをつけている。くりくりとした愛らしい顔を微笑みで輝かせ、娘はリュミスの元へと
駆けて来る。
「ねえ、お姉ちゃんが女神様なの?」
「……なによそれ?」
いきなりの質問に、リュミスは眼を丸くする。
「お姉ちゃん知らないの? 恋占いの女神様」
何が嬉しいのか、少女はケラケラと笑う。
「この山はね、ずうっと、ずうっと、ずぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅっと前から毎年春になる
と女神様が降りてくるの。黄金の髪に紅玉の瞳。白雪の肌に真っ赤な唇。それはそれはう
つくしい女神様なのよ」
唄うように少女は言った。
「それでね、女神様は車輪花を手に取って占いを始めるの。最初はお姫様のため。
『あの可愛いお姫様がお婆ちゃんになる前に、素敵な王子様と恋させよう』
「それが終わったら、次は国一番の美女のため。
『あの美しい娘に相応しい、美しい男と出逢わせよう』
「それから次は、平凡な街の娘のために。
『あの喋り好きの娘のために、話を良く聞く恋人をあげよう』
「それからそれから、村に住む働き者の娘のために。
『よく働く関心な娘には、立派な旦那様を探してあげよう』
「この世界にいる女の子、みんなの恋を占って、素敵な恋を探してくれる。とっても素敵
な女神様なの」
えへんと少女は胸を張る。
「知らないわね、そんなの」
そんな女を見たのなら、頭から食ってやるとリュミスは口をへの字に曲げる。ここまで
占いに当たりが来ないのも、多分絶対その女のせいだ。
「それでね、世界中の女の子の恋を占い終わると、女神様を迎えに竜が来るの」
「……竜が?」
「そう、竜。金色の、とってもおっきい、とっても綺麗な竜が、女神様を乗せてぶわって
羽ばたくの。そうするとね、世界中の女の子のために占った車輪花の花びらが吹雪みたい
に舞い上がるの。すっごく綺麗な光景なんだから」
「……それって……」
うめくようにリュミスが呟く。
山一面の車輪花を占いに費やす女。女を迎えるという金色の巨竜。意味するところは一
つだけだ。
「それでね、その花びらの吹雪の中でお願いすれば、どんな恋だって叶うんだよ!」
「それはウソよ」
即答。
「ウソじゃないもん!」
「ウソよ。絶対ウソ」
「ホントにホント! 絶対ホント!」
「ウソウソウソウソウソ! 絶対にウソ!」
「ホントだもん! お母さんもお姉ちゃんも、おばちゃんも、お母さんのお母さんも、お
母さんのお母さんのお母さんも、みんなみんなお願いしたもん! みんな幸せになったも
ん!」
「じゃあ、私は……」
ごぅ、と吹き鳴る風がリュミスの声をかき消した。
空を翼が覆っていた。金色の巨大な翼。春の陽光を反射して鱗がきらきらと輝く。積層
した占いの花びらが、羽ばたく翼の風に嵐のように舞い上がる。
「……竜、だー」
それは、黄金と言うには血が混じり過ぎていた。巨大と言うには少々小柄で貧相だ。ど
こにでもいるような、雑種の竜。
「……ブラッド……」
でも、リュミスにとっては誰よりも待ち望んだ竜だった。嵐のような風を巻きながら、
竜はリュミスの前にふわりと降り立つ。
「リュミス。その、えっと……」
竜の姿そのままに、ブラッド・ラインは彼女に囁く。照れているような、怯えているよ
うな声色。風に舞い、ひらりひらりと視界一面を覆う花びらの吹雪。
『その花びらの吹雪の中でお願いすれば、どんな恋だって叶うんだよ!』
ごくりと、リュミスは喉を鳴らす。喉がカラカラに乾く。全身が震える。締め付けられ
るような胸の奥で、彼女はただ、祈っていた。
「リュミス。準備が、できた」
まだ、何の準備か分からない。喜びよりも不安と恐怖の方が、ずっと大きい。
「俺の巣を見て欲しい」
巣を見て、それで……
「俺と、結婚、してくれ」
花びらはまだ散っていた。
春の陽光を遮るような花びらの竜巻。どんな恋でも叶うと言う、女神が起こす魔法の嵐。
不意に、リュミスの瞳から涙がこぼれた。
「リュ、リュミス!? どーしたんだ!?」
「何よ、眼にゴミが入っただけよ。それで求婚に来たわけね。よくもまあ待たせてくれた
わね。さぞかし立派な巣が出来たんでしょうね? 私の眼に叶うか楽しみだわ」
涙眼で微笑んだ。答えなんてもう、ずっと前から決まっていた。
「行きましょう。乗せていってくれるわよね?」
ブラッドの答えを待たず、その肩に飛び乗った。もう、二度と離さないと太い首を両手
でしっかりと抱きしめる。
「そこの娘、運が良かったわね。花吹雪が見れて」
これが最後の花吹雪だから、そうリュミスが振り返る。しかし、少女の姿はもう、どこ
にも無くなっていた。
「……? マイト、あの娘どこ行ったの?」
「娘? 娘って、誰?」
マイトは首を傾げた。現れた村娘の存在など、最初から知らないと言った風に。
「ははん、なるほどね」
「何がなるほどなんだ?」
「別に。女の子の秘密よ」
「……女の子って歳でも――あうぎゃqwせdrftgyふじこlp。ごめんなさいごめ
んなさいごめんさない」
生意気をぬかす年下の旦那に、軽く睨みを効かせてやって、リュミスは優しく微笑んだ
。
「今回だけは許してあげるわ。だけど、次舐めた真似したら許さないわよ?」
晴れ晴れとした彼女の声は、遠く遠く、空の彼方まで響いて消えた。
〜 HAPPY END 〜
>>155-161 タイトル:恋占いの女神様
元ネタ:巣作りドラゴン(ソフトハウスキャラ)
アキバ中かけずり回ってようやくにも手に入れた巣ドラSS〜
しかし、リュミスは萌えますな。ツンデレ姉さん女房ハァハァ。
個人的にちょっと残念なのは、びみょーにリンクしてるらしいキャラの前作
(アルフレッドとかブラウン通りとか)をやってないモンで、お節介役をオリキャラに
頼らなくちゃあかんかった事。
やってりゃもうちょい深みが出来たかなぁ、と。
>>152 個人的には問題ないとは思うけど、噛みついてくる人がいたらイヤだなぁ。って感じ。
まあ、こんなに廃れてるスレだから、ウザイ言われるほど連投しなければいいんじゃないかと
思うけど
>>162 GJ!! おまけシナリオやってから、もうリュミスしか見えません。眼福。
「最強」であるという矜持すら捨てて、ライアネの次に甘んじようかというほどブラッドの
ことが好きなのに、肝心の思い人はそれに気づくどころか、竜殺しを手元に置くほど
恐れおののいているなんて、切なさ炸裂ですよね、自業自得だけど。
たかが占いにまで気を揉み、少女と同レベルで張り合う最強ツンデレ竜、ご馳走様でした。
>162
>個人的にちょっと残念なのは、びみょーにリンクしてるらしいキャラの前作
>(アルフレッドとかブラウン通りとか)をやってないモンで、お節介役をオリキャラに
>頼らなくちゃあかんかった事。
と,言いつつもオリキャラが「名無しさん」であることに誠実さを感じますた
「恋占いをするリュミス」の姿をイメージするのが
小林亜星や中島梓が正解できないほど難しいことが難点ですね
・・・・・・ウソです、エロ抜きでも面白かったです。乙〜
165 :
風変わり:04/07/24 03:03 ID:VD89kAsm
うぐ、やっぱり駄目でしたかΣ(゚Д゚;)
すいませんすいませんすいません
何分初めてSS投稿したのもこのスレで他のスレを知らないものですから……
本当ご迷惑かけてすみません(´・ω・`)
>>165 別に迷惑って事はないような。
我等一同SSに飢えているのでネタができ次第投下してもらえると嬉しいです。
ツンデレドラゴン
よかったですよぉ。
リュミスらしさがよく出てます。
>>165 おお、やっと出たよ、やっと出たマン。
雑魚スピスレでもガンガッテくださいな
hosh
…満身創痍だった。
全身から流れ出す血は、勢いを弱めつつも決して止まろうとはしない。
壁にもたれる、と同時に、ずるずると腰が落ちる。
背を付いた壁には真っ赤な跡が残った。
吸い込まれそうな床の冷たさが心地良い。
自然、右手が胸元から煙草を抜き出し、それを銜えて火を点けていた。
「…ドジっちまったなぁ…」
紫煙と共に、声が空気に溶けていく。
濃密な血と硝煙の臭いが少しだけ攪拌される。
見開いた透の瞳から、次第に光が失われつつある。
ぼんやりと、部屋の光景が薄れてゆく。
が、その不明瞭な視界が、ひとつの、そして唯一の像を結んでいく。
「…香澄…?」
幸せそうな香澄の笑顔だった。
彼にだけ見せる、少しはにかんだような、困ったような笑み。
それでいてまっすぐに透を見つめるその視線に、自然、彼の頬も緩む。
「ゴメンな…。約束、破っちまった。」
瞼の裏に浮かぶ笑顔を抱きしめつつ、こんな終わりもありかな、と、彼は思う。
「…幸せに、なれ…誰よりも。香澄…。」
最後にそう考えて、透は意識を手放した。
最上の笑みを添えて。
…愛して、いるよ…香澄…。
「…遅いね、透。せっかく今日はごちそうなのに。」
300マイル程離れた部屋で、少女は猫に話しかける。
テーブルの上には大きめケーキとシャンパン、
所狭しと置かれた皿には、少女の手からなる、
数々の料理が綺麗に並べられていた。
ケーキには“HappyBirthday とおる”の文字。
「とおる、まだかなぁ…」
名前だけ見てねがぽじだと思った漏れ(吊
巣作りドラゴン、初期H練習の、貴族の娘のその後の話をキボン
>>176 …完全自作でした。
スレ汚し堪忍…もうしません。
趣旨に合わぬ投稿、ゴメンナサイゴメンナサイ。
保守を兼ねて目をつぶろう。しかしキャラ名を他から借りてくるのはいただけないな。
そのゲームのSかと思ってしまうじゃないか。
>177
ぽこぽこ
SじゃなくてSS、やね。
保守
>>178 君に話を書く力があることはよくわかった。
次は二次小説を書いてくれ。
183 :
ある独白:04/08/03 01:42 ID:0QA1fRmA
…透、ボクはね。
君に会えて、君と話ができて、君を…その…受け入れる事ができて、
本当に幸せだったんだと思う。
「草原の狼」の透。
ボクが、初めて女の子として接した、大切な、大切な、ともだち。
短い間だったけど、君に会えて、
ボクは初めて「生きてる」って思えた。
君のいる光景が何よりも大事で、
君さえいれば、他に何もいらないとさえも思えた。
君に会って、どんどん弱くなっていくボク自身に戸惑うこともあったけど、
弱くなったと同時に、別の強さも手に入れていたんだよね。
今までは決して持つことのできなかった強さ。
こんな状況だからこそ、初めて気が付いたんだ。
184 :
ある独白:04/08/03 01:43 ID:0QA1fRmA
ボクは、負けない。
ボクが折れても、ボクの中のこれだけは、折れない。
例え、ボクがどんなに汚されても、
ボクの形が、この世に残らなかったとしても、
ボクのこの気持ちだけは、かけがえのない真実。
たったの10数年しか生きてないボクだけど、
これだけは、胸を張って言うことができる。
透、愛してる。
…だから、泣かないで。
…ゴメン…ね…。
…ホントに………ゴメン…。
-了-
>>183-184 今更ですが『BALDR FORCE』より。
ひかる、バッドの独白て感じで。
173です。
初めてSS書いてみました。
保守
hoshu
今ドラえもんとSHUFFLEのクロスオーバーSS書いてるんですけど、完成したら
投下してもいいでしょうか?結構長いものを書く予定のうえ、まだ冒頭部くらいしか出来てないけど、頑張って9月末頃までに
完成させるつもりです。
一発ギャグ物じゃなくて、大長編ドラテイストになる(はずです)。
オリキャラとかオリ設定は、多少は出しても大丈夫でしょうか?
自分のHPなりブログなりに書いた方がいい気もするが…
まあ保守の代わりにはなるし批評も聞けるかもね。
一つ言っとくと、慣れてないのに長編なんか書いても完結できないので
単作をいくつか書いていったほうがいいと思うよ。
便乗質問!
昔他スレで書いた未完成SSを加筆修正して落とすのはアリですか?
独自設定入れる以上、
ある程度の批判は必ず入る、過ぎると罵詈雑言もかなり飛ぶ、
それでも続けられるんなら良いのではないかと思われます。
>189 >191
アドバイスありがとうございます。
SSを書いたことはそれなりあるので、書ききる自信はあるんですが、
独自設定やらオリキャラでしゃばり過ぎでなにもかも台無しになっちゃったSSとかも結構知ってるから、
自分の書いてるのもそうなる可能性は結構あります。
周囲の人をそんなふうに不快にさせるのはさすがに申し訳ないので、
終わりまで書いてみて、読み返してから投下するかどうか決めようと思います。
>>193 その自覚がある限りは問題なし(問題を起こす手合いは自覚もないから)
GO
嘘予告。
――いつも通りの桃園で、男は偵察ドローンの録画画像を切った。
男にいつも通りの涼やかな笑みは無い。表情はただ静かに硬い。
だが、卓の対面に座す男は更に硬く、かつ重い。
「……サイバネ外家拳士を含む68人がこの有様だ。塞主はお前を指名したよ、“紫電掌”」
――ロシアの首都モスクワ、夜の闇には雪が舞う。
そして駆けるは紅の影――そして追うは異形の群。
やがて影から二挺の轟雷。対する異形共の返答は数百数千の殺意の雷鳴。
だが影は弾雨を潜り、彼らの頭を正確に吹き飛ばす。唯の一匹も洩らさずに―――…否。
一匹だけが弾幕を越え、右手に搭載した超振動アームを起動、影に襲い掛かる。
しかし影の大剣が怪物を両断する方が速かった。
「――やれやれ、悪魔にもスターウオーズ世代てのが有るのかね」
紅の影は一人ごちた。
――肉と鋼のミサイルの群が黒衣の男に襲い掛かる。
「馬鹿野朗!!逃げろ!!!!」
紅衣の男が二挺拳銃を抜き、叫ぶ。―――だが、
「喝!!!!!」
その一喝と共に、ミサイル達は標的を見失う。
そしてその中の一つ―――異形のヘリに向かう一発に黒衣の男は飛び乗った。
「―――名を名乗れ悪魔狩人(デビルハンター)、明日には忘れてやる」
「―――先に名乗れ武芸者(ファイティングアーティスト)、以下同文」
クロスオーバーSS 「CROSSING OF Red&BLACK]
……誰か書いて。
……吸血大殲ぽ。と思ったのは漏れだけじゃないはず。
Releafの後日談SS書こうと思ってプロットこねくり回してるけど、
どうしても「鬼の学び舎」と似たり寄ったりになってしまう……
脳内補完or改変設定を盛大に投入してもいいもんだろうか。
別にオリキャラを投入しようってわけじゃなくて、
郁美と良門の知己関係を多少親密にする程度なんだが。
SS書く上でみんな結構考えてるんだなぁ……
実際の所、話やキャラクターの本質部分を外しさえしなければ、何書いても
全然問題ないと思う。
ありがたい事に好評いただいた巣ドラSSだって、細かい所を指摘すればキリ無いし、
話回してるのはオリキャラだし。
まあ、タオローが極道兵器になったり、ツヴァイがパニッシャーになってるSS書いた人間の
言うことだけど(w
正直、にちゃんなんで書き捨てOKだし、失敗SS書いても、遠慮無く批判受けて、
段々上手になってくれればいいと思うし。
だけど、荒らすのだけは勘弁な。
祭典帰りのバーニングエナジーをこのスレにぶつけようという猛者はいないのか?
保守
>>199 アセリアEXなんかの話題は盛り上がってるみたいだけど、
アレのSSは雑魚スピスレ行きだからなぁ・・・
保守
どなたかめじょくの主人公×まりものSS書いてくれる人いませんかね?
宜しくお願いします。
保守。
祭典の熱はここまで届かなかったか orz
ダンジョン
「地下迷宮を作ろうかと思うんだが」
すべては一人の竜の思いつきと
「……ご理由は?」
「…………」
「……とりあえず、ダンジョンでしたらこちらのプランがおすすめですが」
「ほう」
「いまこちらに申し込むと1フロア分丸ごと異世界から召喚する装置がセットに……キャッ!」
一人の竜の嫉妬から始まった
「ねえ、クー。ブラッドに直接話しかけたら……殺す、って言わなかったかしら?」
※※※
「本当に綺麗な街よね。ねえ、知ってる?
この街ってさ竜の巣攻略隊が作ったキャンプがはじまりらしいんだけど」
賑わう街。
隣で観光ガイドのようなことを延々と話し続ける彼女の言葉を聞き流しながら、
ゆっくりと歩みをすすめる。竜の巣の近くに町ができるケースは知っているが、
ここまで整った街は少ないだろう。
「ねえ?よかったら私と組まない?」「ドゥエルナだっけか?あんたが凄腕なのは分かるが
ずいぶんと急……ッ!」「ハイド!!その女の人、誰!?」
などという冒険者の町とは切っても切れない喧しさはあるが、数少ない店の休日に
美人と散策するには悪くない場所だ。
ここが店から徒歩で一月かからなければ
「……でね。いまではこの国の財源のほとんどがこの街に来る冒険者のお金で成り立ってるそうよ
……聞いてるの?ジャック」
「聞いてるよ……で、だ。マーチェリッカ、いいかげんこの街に連れてきた理由を教えてくれないか?」
「もう……せっかちね。いいわこの街……というか、ここのダンジョンに来た理由はね」
「あなたに取ってきて欲しいものが。銀の元リーダー金目のジャックに」
※※※
混血の竜が待つ迷宮の最奥で
「大丈夫か?」
「ああ、上の街で……待ってる人がいるんだ。そう簡単に死ねないさ」
「手を貸すぜ。俺はハイド、あんたは?」
「ジャック、ジャック・ゴールドアイ」
彼らが手にするものは
「ねえ、カイト……ここどこだと思う?」
「どこって……ダンジョンのなかじゃないか?」
「そういうこと聞いてるんじゃないわよ!ばカイト!」
「ああ……また現地の人巻き込んでる。
あの装置思いっきり不良品じゃない……管理部に文句言わなきゃ」
「連隊長ファイト!」
財宝と名誉か
「ねえ、ブラッド。このダンジョン……消し飛ばしてもいいかしら?」
死と略奪か……
『竜王の試練場』
〜Proving Grounds of the Dragon lord〜
「ご主人様、近くまで侵入者が来ているようです」
「ほう、どんなやつだ?」
「……裸に刀一本を所持した人間が複数です」
「…………は?」
「ですから、裸に刀です!」
「…………クー」
「そんな顔をされてもどうしようもないですよ……」
Coming soon?
判るのは、巣作りドラゴンとブラウン通りと…ぱすてるチャイムに…最後ナニよw
(NINJAなのか? しかしあれって武器装備しても駄目じゃなかったか…?)
名前もイイね。続編がたくさんでそうだ。
>>209 しまった。武器もだめだったorz
wizやらなくなって久しいから……
うろ覚えはいかんですね。
裸のデミヒューマンがイパーイ攻めてくるのか………
嫌すぎる
あと、ディヴァイン・ラヴも入ってるな。
NINJAは、漁師のおっちゃんなら可かと。あんなのが複数いたらたまらんわけだが。
銀の元リーダーて、
銀のリーダーは英雄騎士ガーランドだろう
竜違いで、間違ってエトランジェ&スピリット御一行様が竜退治にやってきたりして
竜王の試練場ワロタw
くそっ、竜繋がりでくれそんが入ってくると思ったのに、妄想は外れたかw
>>197氏 個人的にはガンガン変えてくれて結構、と言いたいです。
自分もレリーフSSはやろうとして挫折した経緯があります。後日談を
書くのなら多少、辻褄あわせは必要だと思っていました。
待ってます!
竜王の試練場おもしろすぎ
妄想が膨らみますな
フェイが全裸忍者×6に取り囲まれた図とか
全裸忍者×6がベトの首を切りまくったりとか
全裸忍者×6がメイド隊の店にアイテム売りつけて、店のリストをコンプしたり
全裸忍者×6が『宿屋と罠』で馬小屋に泊まったあげく罠を解除しまくったりとか
全裸忍者×6が宝箱の罠で跳ばされたあげく
『竜の間』の壁に下半身丸出しでめりこんだりとか
>>218 マーフィーの隣の部屋が宿屋と商店だったりすると…………
クリック連打で高Lv-Evilキャラが大量生産されるわけだ
怪しげなコインで盗賊のレベルが一気に倍加したりするのかw
ささやき いのり えいしょう ねんじろ!
罠部屋「カント寺院」
死亡した侵入者を生き返らせる施設・・・と思わせておいて、
実際には蘇生費用を奪い、かつ復活不可能にしてしまう凶悪な罠です。
パイになりました
>>224 なにその名前、ふざけてるの?
赤 盗賊ああああx50 が進軍してくる。
しかし入り口のコボルトが落とした宝箱から毒ガス噴出、あえなくご臨終DEATH
保守。
ランス6が楽しくて他の事に手が付かねぇ・・・
保守
ただ今祭りになっているエロゲのSSってやつを、医大学生視点で書こうとかと
思っているんだけど、ココに書き込めばいいのかな?
それ以前に、読みたい人とかっているのだろうか・・・
寝取られ住人的には激しく希望する(w
某エロパロスレに誘導するのも何なので、静かに待ちます。
書いてください。
233 :
230:04/08/31 20:19 ID:UKn+6klm
レスを下さったみたいでどうもです。
例のスレ見てきました。あっちの方は、エロオンリーって感じだったんで、こちらに投下させて
貰おうかなと思っています。(あ、勿論エロありのつもりデス。)
一応基本的なストーリラインは決まってきました。
全体では想像以上に長くなりそうな・・・
更に主人公視点やタマ視点でのストーリーとかも膨らんできたりも・・・
とりあえず今週中には、初めてやられちゃうまでを投下させて貰おうかなと
思っています。
234 :
230:04/08/31 21:00 ID:UKn+6klm
書き込みに慣れていないんで、間違えてageちゃってすいませんです。(汗
主人公視点の導入的な所が先に書きあがっちゃいました。
これが微妙に医大生のストーリの前振りというか、ヤられるまでの間主人公が何をしていたか
って言う話の部分だったりして、多少繋がりがあるんで、先に投下しても大丈夫なんですかね?
いつでも歓迎するYO
236 :
230:04/08/31 23:55 ID:bzcOEUW7
それではお言葉に甘えさせて貰い、超短い・エロなしですが、導入辺って感じで、
とりあえず投下の方、行きます
あと、何分SS自体が初めてなんで、文体が堅苦しいかなとか思いつつ・・・
見苦しい所などありましたら、突っ込み等をお願いしますね。
4月4日・今日は18才の俺の誕生日。
この日、俺は一生を決めるであろう断行の為にこの場所、
幼馴染の家が少し見え、そして子供の頃その子とよく遊んだ思い入れのある
公園に立っていた。
その場所で俺は、数時間前の出来事を思い出していた。
いつも行く喫茶店のマスターに俺と幼馴染『たまき』の関係を細かく話していた。
俺が始めてたまきの事を『タマ』って言うあだ名で呼び始めた日の事から、話し始め
あいつのいつもしてくれている事、
幼馴染というだけなのに、よく朝起こしに来てくれたり、弁当を飯を作ってくれたり
そして更には、「あんた、何するか分からないから目を離せない」と言って俺の学校
でのクラブのマネージャまでしてくれている。
しかも週末だけだと言え、バイトまでして忙しいのに、わざわざ俺の事をかまってくれて
いる毎日を・・・
一方的に俺が話し続け、気がつけば2時間程の時が過ぎていた。
その長い時間の間、マスターは、今日に限ってお客さんが少ないせいもあり、殆ど俺の前に
立っていて優しく相づちをうっているだけだった。
そして最後に一言、質問を付け加えた。
「タマって俺の事、男しても好きですかね?」
「とにかく、あなたの事が異性というカテゴリーの中では一番大切な人だと思っているはずですよ。
本人自身はその事に気づいてないかもしませんが。
詰まるところは、きっかけですよ。きっかけ。」
「やっぱ、キッカケだよな。」
客観的に見ても、タマの俺への接し方は深い好意があると思うし、なにより俺自身も
タマに対する愛情は誰にも負けていないという自信があった。
そして思春期に入った頃から、日を重ねるごとに、このままのあやふやな幼馴染と
いうだけの関係は嫌だという思いがが膨らんでいった。
俺はその関係をハッキリする計画は2年前から立てていた。
俺が18才になる年、つまり今年の4月4日に行動を起こす事を・・・
そんな事だったりして実を言えばマスターがなんと言おうとも、俺は今日の行動を取る気であった。
ただ単純に誰かに背中を軽く押して貰いたかっただけ、そしてその役をマスターに求めたのだ。
そのマスターという人物は、昔から俺とタマの事をよく知っているし、俺にとって数少ない尊敬の
出来る大人の一人だったんで、その役にはうってつけのだった。
「あの人は、俺とタマ事なんて、話さなくても全部知っているのにな・・・
サンキュ、マスター」
マスターは、今日俺が決断している事に何となく気付いていて、その役を進んで買ってくれた事を、
俺は理解していた。
数時間前の出来事、そして今までの『あいつ』との大切な出来事を思い出しながら、その一歩を
踏み出すために俺はこの場所にいる。
「あいつ、覚えているかな・・・」
俺は小さくつぶやきながら、手の中に小さな箱を軽く握り締めていた。
その中には、子供の頃の約束を果たす為の指輪、そしてその思いを伝える為の手紙2枚が入っていた。
・・・しかし、帰って来てもおかしくない時間を幾ら過ぎても彼女は帰ってくる事は無かった。
それから俺は色々と手を尽くしたが、結局タマと連絡を取ることは出来ず、公園に来た時から
既に5時間以上が過ぎてしまった。
そして結局、その日の間中に俺とタマが出会う事は無かった。
240 :
230:04/09/01 00:02 ID:j59Yfkj2
取り敢えずこんな感じになりました。
次から、そこの裏で医大生とタマちんが何をしていたかを書いて行こうと思ってマス。
GJ! いいかんじです。
ランス6のアイスフレーム3人娘、イベント少ねぇ・・・
某雑魚スピのように誰かSSで補完してくれんだろうか。
230様すっごく良かったです!主人公が知らない裏で進んで
いそうでドキドキしました。ラブホで色々されちゃのかな。
続きを楽しみに待っています。
>>228 いや、「そこ(エロパロ板)から独立させよう」とか
「その際エロゲ板とかのSSスレもこっちにもらおう」とか
あれこれ勝手に意見が出てたのよ。
いまは落ち着いたけど、ほんとに二、三レスで新板ができたりしてたから。
でもまあ、その有名作品だったらエロパロの方でやった方がいいかもしれんが。
大ブレイク中だしな。
有名だからとかブレイク中だからという問題じゃない気が。
だいいち「エロパロ板」なんだから
「エロパロ」つまり18禁エロじゃない
「エロゲのSS」を描きたくなる場合もある。
第一起こってるのはブレイクじゃなくて単なる2ch的叩きの祭りなんだろうし。
>>245 ブレイクと言えば、確かにブレイク(壊す)しまくりだな。修復不可能なほどに(笑)
エルフも話題提供しすぎ。見てる分には楽しいけど。
──アーカムシティ。
又の名を『トンでも都市』と言われているとか何とか……、それはともかく、今や世界中が最も注目している
都市である。
巨大ロボットが暴れたり、キ■■■やら電波が入った奴らが暗躍していたりと何かと破壊や騒動とは縁が
切れない地域なので、そう周囲の国々から思われてもしょうがないだろう──
ガゴォォォォォッッ!!
深夜。
裏通りの一角。
静寂を破るような轟音が響く。
もうもうと土煙を上げる中、俺──大十字九郎は石畳を砕いた異形と対峙していた。
無論、今の俺はマギウスへと変身している。
「おい、アル!奴の正体は検索出来たか!」
「ああ、魔法薬や毒薬について書かれた項が奴の正体だ…気をつけろ、どのような攻撃をしてくるのか予想
がつかん」
肩の上に乗っているアルと会話しながら、再び襲い掛かる触手をマギウス・ウイングで切り裂いた。
──抜け落ちてしまったアルの断片を探していた俺達は、ある場所で起きていた化け物騒ぎの調査をする
事になったのがそもそもの始まりだ。
まあ、予想通り、その化け物は断片が実体化したモノだったのだが……。
しかし……
俺は改めてその異形を見つめる。
細長い、ドドメ色の表皮は粘液に包まれ、頭のてっぺんからは無数の触手が蠢いている。
そして、顔?の辺りには巨大な目。
鋭い牙が生えた口は収縮を繰り返している。
なんか腐ったソーセージというか、ウィンナーというか……
うへ、しばらくソーセージ類が食べられなくなりそうだ。
「!避けろ!!」
「くっ!」
アルの鋭い声がしたと同時に後ろへと飛ぶ。
と同時に、『巨大ウィンナー』が吐き出した唾液が足元に吐き出されると。
ジュッ!という音と共に、石畳が溶け出す。
「強酸の一種か!」
唾液を避けると今度は触手が襲って来る。
チッ、意外と素早い!
「汝!早く何とかしろ!」
うるせえ!
俺だって避けるのに必死なんだ!
……しかし、この状況は少しヤバイ。
何とか一瞬でも気をそらせれば……!
その時。
遠くから聞こえるサイレンの音に、一瞬だけ『巨大ウィンナー』の意識がそちらへ向けられる。
…今だ!!
「アトラック=ナチャ」!
魔力で編まれた捕縛糸が、『巨大ウィンナー』をがんじがらめにする。
これで俺の勝ちだ。
そう思ったのだが──
「ぐああ!!」
「汝?!」
口から伸びた太い触手……その先端に付いている牙。
それが俺の右手に牙を立てていた。
「この野郎!」
俺はソレを掴むと、渾身の力で引き千切った。
「ごおおおこおおおおおおおおおおおぐうう!!!!!」
耳障りな声を上げてもだえ苦しむ『巨大ウィンナー』。
止めを刺そうとしたその時。
「…ぐああっ!」
噛まれた跡から全身へと広がる痛み。
「汝……!」
俺は石畳へ膝をついた。
集中力が途切れる。
すると、弱まった「アトラック=ナチャ」を引き千切り『巨大ウィンナー』がこちらへと顔を向けたが──
「な、何!」
一陣の風が吹くと同時に、元の魔術書の頁へと戻ると、あっという間に飛んでいってしまった。
「く…待て……」
「無理をするな!今は退却するぞ!!」
「くそ……」
「…う……」
「気がついたか、汝」
「て・てけり」
俺が目を覚ますと──最初に目に飛び込んで来たのは、不安げな色を翡翠色の瞳に浮かべたアルと、ゼ
リー状ナマモノのダンセイニだった。
俺は少しの間考えて……昨日の事を思い出す。
例の『巨大ウィンナー』に噛まれた俺は、何とか事務所へたどり着くことは出来たんだが──
部屋に入って、ソファーに腰掛けた所で意識を失ったのだ。
右手の方を見ると、包帯が巻かれている。
「これ…アルが手当てしてくれたのか……?」
違和感。
俺の声はこんな声だったのだろうか?
眉を寄せた俺を見上げると、アルは至極真面目な表情でこう言った。
「…汝よ、驚くなよ」
そう言うと、おもむろにアルは手に持った鏡を俺に向けた。
…………………………………………………………………………………………………………
…………………………………………………………………………………………………はい?
鏡に映っていたのは──一人の女だった。
黒に近いダーク・ブラウンのショートヘア。
紫紺の瞳。
通った鼻梁に、桜色の唇。
細い首から肩にかけてなだらかなラインを描き、シャツの上からでも豊満な胸が目立つ。
ややきつい眼差しだが、『美少女』といっても過言ではない。
凍りついた思考のままで、俺は右手を上げてみる。
と、鏡の中の女も右手を上げてって……だあああっっっ!
俺は慌ててズボンと下着を下げた。
無い。
そりゃ綺麗にさっぱりと。
密かに自慢だった俺の●●●で●●●●(検閲により削除)な天上天下無敵砲(仮)が……
「な…ななななな……」
イマイチ状況を理解していない俺。
そして二人(?)は俺の肩を叩くと。
「どうやら汝、女になってしまったようだの…ま、気を落とすな」
「て・てけり」
あ……
あああああああああああああああああっっっ!!
「ぎゃあああああああああああああああああああああああああああああああっっっ!!!!!!!!!!」
良く晴れた青空の下。
俺の絶叫が響き渡った──
>>248-253 題「大十字九郎の非日常的な災難・序章」(斬魔大聖デモンベイン)
なんとなく九郎が不幸なギャグを書きたくなり、つい……。
一応序章ということで。
キャラ掴みや文章構成はアレな出来ですが。
>>254 天上天下無敵砲(仮)ワロタ。
続きに期待してます。
むしろアジフフォース+デモンベイン波動砲といった具合だったなアレは。
あ、デモンベイン先を越されちゃったw
ところでダンセイニは「てけり・り」だと思うのよ九郎ちゃん?
>257
ずっと「て・てけり」だと勘違いしてました……テキストをきちんと読め、自分。
「て・てけり」→「てけり・り」に脳内変換して下さい。
230様の続きはまだかな。
保守
再会したアルの細い肩を抱きながら、ゆっくりとアーカムの街を歩く。
「あ、ニグラス亭・・・こっちの世界にもあったんだ」
「ふむ・・・ここで食べたことはなかったな。当時の九郎の経済状態では致し方ないが」
「悪かったな・・・今度はここで何か食うか」
ときどき、今まで気づかなかった思い出の建物の横を通り過ぎたりして感慨に耽る。
評判のアイスクリーム屋。映画館。裏路地の市場。
この世界に戻ってから、今までだって見ていたはずなのに
何故か気づかなかった思い出の場所。
アルと並んで歩くことで、その場所が急に息づき、色を持ち始める。
俺一人では、味気ない灰色の街だったアーカムシティが
命と活気にあふれる世界に変わっていくような気がした。
いろいろと回り道をして、ようやく我が家にたどり着く。
「・・・まだこの、薄汚い部屋に住んでおったのだな」
「悪かったな、薄汚くて・・・」
「まったくだ。薄汚いだけでなく、相変わらずろくな調度品もないし、物資も枯渇しておるのだろうな」
当たりだよ、こんちくしょう。
俺一人だったんだからそんな色々揃える必要なかったっつーの。
「だが・・・懐かしい・・・帰ってきたのだな、妾は・・・」
「ああ・・・お帰り、アル」
もう一度、しっかりとアルを抱きしめた。
つもる話は尽きることがない。
「そういえば、ウェストの野郎に出くわしたぜ。エルザも一緒だった。相変わらず破壊ロボで暴れてやがってさ」
「ほう。それで汝、どうしたのだ?」
「一発かましてやったさ。まあ、俺がいるからには好き勝手させねえよ」
「この世界でも、汝とあやつは腐れ縁で繋がっておるようだな」
そんな世界は激しくご免こうむりたい。
「他にも、縁のあった者はほとんどこちらの世界にもおるのではないか?」
「ん?ああ、そうだな・・・ライカさんやガキんちょどももちゃんといるし、覇道の姫さんや執事さんにも会ってるし」
「む。あの小娘、まだ汝にまとわりついておるのか」
「おいおい・・・そもそも、お前を捜すきっかけだって姫さんから事件調査の依頼があったからなんだぜ?」
「余計なことを。そのような依頼などなくとも、いずれは我らは巡り会うはずなのだ」
「いずれ、じゃなあ・・・姫さんの依頼のおかげで一日でも、一時間でも・・・早く出会えたんなら、やっぱり感謝だぜ」
「うつけ・・・真顔で恥ずかしい事を言うでないわ・・・」
「それにしても、なんか妙な感じだよな」
「何が妙なのだ?」
「お前とはこうしてまた出会えた。ウェストの野郎も相変わらず暴れてる。なのにブラックロッジは存在しない。変じゃねえか?」
「別におかしくはなかろう。この世界にはマスターテリオンがおらぬのだから」
「奴がいないから、奴が組織したブラックロッジも結成されてないのはわかるよ。でも、そのメンバーは・・・いてもいいのか?」
「そうだ。マスターテリオン以外の者は、ブラックロッジの信徒でなくなっても、この世界に存在する可能性がある」
「・・・ウェストみたいに、か?」
「はなはだ不本意で迷惑だがな・・・」
「ちょっと待て・・・それじゃ、アンチクロスの奴等もこの世界にいるかもしれねえのか!?」
「汝と縁があるという点では、かなり因縁があるからな。ブラックロッジが存在せぬ以上、アンチクロスとは呼ばれておらぬだろうし
徒党を組んでもおらぬだろうが、また汝の前に何らかの形で立ちはだかるやもしれぬぞ」
「げげっ!?」
いいことばっかりじゃねえってわけか・・・
「ああいう連中はこの街のようなところに潜んでいることが多い。汝、魔術の修行は怠ってはおるまいな?」
「え?ああ、そりゃまあ・・・でも、あいつらがまた鬼械神とか出してきたら対抗できるのか?デモンベインはもうないんだろ?」
「ふふん」
「・・・なんだよ、その思わせぶりな笑いは」
「マスターテリオンが存在しない世界では、覇道鋼造はデモンベインを用意する必要はない。だが・・・」
「・・・だが、なんだよ?もったい付けるなって」
「マスターテリオンが存在しない世界では、妾が本来リンクしていた鬼械神、アイオーンは破壊されていない」
「なるほど・・・じゃ、そのアイオーンってやつなら呼び出せるってわけか。デモンベインじゃないのは残念だけど」
「そうだな・・・明日にでも顔合わせで「召還」しようと思うが、どうだ?」
「ん・・・また操縦とか覚えなきゃなんねえしな。いいぜ、やってやるよ」
新しい・・・いや、アルにとっては元々の鬼械神であるアイオーンを召還するため
久しぶりのマギウス・スタイルになった俺達は、人気のない海岸までやってきていた。
「ここらでよかろう・・・召還の呪文は妾が唱える」
「わかった」
「では・・・始めるぞ!」
青白く光り輝く魔法円を描きながら、アルが呪文の詠唱を始める。
「憎悪の空より来たりて・・・」
・・・え?
「正しき怒りを胸に・・・」
おい。ちょっと待て・・・
「我らは魔を断つ剣を取る!」
待てよ・・・それは・・・それは・・・!
「汝、無垢なる刃・・・・・・デモンベイン!」
呆気にとられる俺の前に
そびえ立つ鋼鉄の巨体が衝撃波とともに顕現する。
懐かしい戦友の姿が、そこにあった。
「デ・・・デモンベインじゃねえか!ちきしょう、なくなったんじゃなかったのかよ!」
「一度はな。妾がこの世界に帰還したとき・・・一度、デモンベインは消えた。
始めから存在しなかったように、消え失せてしまったのだ。
だが、すぐに妾は気づいた。なくなっていた、妾本来の鬼械神とのリンクが復活していることにな。
そして、それが・・・デモンベインとのリンクであることに。
そうだ九郎・・・デモンベインは、正しく汝と妾の鬼械神になったのだ!」
「騙しやがったなアル!・・・ちゃんと・・・ちゃんといるじゃねえか!デモンベインがよ!」
「騙したとは人聞きの悪い。感動の再会は、意表を突いたほうがより感動的であろう?妾の気配りに感謝して欲しいものだな」
「ああ・・・ちきしょう、嬉しいぜ!また・・・また此奴に・・・戦友に会えるなんてよ!」
「・・・汝、妾と再会したときより嬉しそうだな?」
「ああ、お前みたいな性悪との再会より、デモンベインにまた会えたことのほうがよっぽど嬉しいぜ!」
「ぬかしたな?・・・まあいい・・・さあ、乗り込むぞ!」
「応よっ!」
誰もいない海岸にそびえ立つ機械の神が
互いの帰還を祝福するように今、声無き声で咆吼をあげる。
今、俺達は帰ってきた・・・
なんとなく気になっていた「デモンベイン」のその後を書いてみました。
あのまま宇宙空間や砂漠に放ったらかしじゃ、あんまりですもんね。
◆Rion/soCys氏、GJ!
デモンベインも九郎達の仲間ですからな、やはり一緒でないと〜
アンチクロス(元)の連中が立ちふさがる、と言われても。
モデルのテリオン、タコヤキ屋のティトゥス、エアブラシアーティストのクラウディウス、やきそば屋ののアウグストゥス
弾き語りのリューガ、大道芸人のティベリウス、カラーひよこ売りのカリグラ、ホットドッグ屋のウェスシパシアヌス
といった面白アンチクロスしか思い浮かばない罠。
タコヤキの売り上げ勝負とかホットドッグの大食い勝負を挑まれるとしか思えん!
テリオンは嫌みな美形金持ちキャラのスタンス。
土曜日に訓練失敗するとバカにしに来るのだ、300回電話をかけるとフラg(ry
漏れは無理やり契約させた、
本物の覇道鋼造を脅して回収させたと妄想してたが。
GJ!
>感動の再会は、意表を突いたほうがより感動的
確かに。4レス目ではBGMが聞こえてきそうですな。
マジレス。
最初の一行目でもう警察にしょっぴあqwsでrftgyロリコlp
―――夜の闇に舞う白い雪、深々と降り積もる白雪が全てを覆い隠す。
白と黒とが交じり合った山道を二つの影が歩いていく。
静まり返った世界に、ただ雪を踏み締める軽い音だけが響く。
一方の影は片方よりも背が高く、艶のある黒髪に僅かに積もった雪が歩くたびに零れ落ちていく。
筋肉質の身体にはベルトが規則的に張り巡らされた拘束具のような黒のレザースーツ。
その上に闇に溶け込むような黒のコートを着込んでいる。
歩くたびにコートの下から金属の擦れる音が響く。
まだ少しあどけなさが残る相貌は今はやや沈み、固い。
「後悔……していますか?」
寄り添うようにして隣を歩いていた影が問う。
鈴を転がしたような涼やかな声、はらりと雪が舞い散る。
腰まで届く青緑色の髪を揺らめかせながらこちらを見つめる僅かに潤んだ瞳。
美しい、という言葉さえも陳腐に思える、まさしく美の象徴のような女性だった。
心配そうに八の字細められた眉、彼女の吐く息が白い靄となって虚空に溶ける。
そっと、決め細やかな白い指先が頬に触れた。
その感触で見とれてしまっていた意識が戻ってくる。
「後悔はしていないさ……」
頬を撫でる感触はそのままに影は呟いた。
そう、後悔はしていない。
あの時……彼女の憎しみを、悲しみを全て背負った紅の騎士を葬った時から。
俺は彼女と生きる道を選んだ、永久の時を生きる道を―――……吸血鬼として。
あれから二年、時というものはあっという間に過ぎていった。
『イノヴェルチ』は滅び、『夜魔の森の女王』―――リァノーンを狙うものもいなくなった。
いや、正確にはまだハンター達はリァノーンを狙っている。
最古の吸血鬼であり、最強最悪の吸血鬼である彼女を滅ぼすのは彼らの使命だからだ。
幸いにして、今のところはハンターに会わずにすんではいるが……。
二年、長いようで短い二年。
失踪当初は何かと取沙汰されていた俺という存在も少しずつ風化し始めている。
香織や弥沙子、鏡子……彼女たちの記憶からも徐々に薄れていくのだろう。
自分という存在が忘れ去られていくというのが恐怖を感じるものだと初めて知った。
しかし、今傍らにいる最愛の……リァノーンはこれを二千年も繰り返して来たのだ。
人が生まれ、成長し、生活し、そして死ぬ。
幾度となく、彼女はその瞳で見続けて来たのだろう。
ならば、この程度の恐怖で足が竦んでいては彼女と共にあるなど出来ないだろう。
なにより、自らの選んだ道、最早後戻りは出来ないのだから。
そっと首筋に手を当てる。
何かを探すように手をゆっくり上下させるが返ってくるのは寒さで強張った皮の感触。
リァノーンに噛まれた噛み傷はもう存在しない。
それは吸血鬼化が完全に進行してしまった証でもある。
今リァノーンを失ったとしても人間には戻らず、哀れな吸血鬼が一人残るだけだ。
「……どうかしましたか?」
黙り込んでしまった姿にまたもや心配そうに顔を曇らせるリァノーン。
「いや、なんでもないよ。」
大切な人に何度も心配な顔をさせては置けないと小さな笑みを浮かべ答える。
訝しげな顔をしていたリァノーンも静かに、ゆっくりと笑みを形作る。
どことなく、あどけない少女のような可憐な笑みだった。
それきり会話もなく、また二人はゆったりと歩き始める。
沈黙が返って心地よかった、何も話さなくても分かり合えるそんな感じがして……。
顔を上げる、雲の切れ目から覗く白い満月が綺麗だった。
どことなくリァノーンを思い出させるその情景にリァノーンの方へと顔を向ける。
と、その瞬間、闇夜を切り裂く鋭い風切り音が聞こえた。
吸血鬼としての動体視力が捉える情景、薄暗い木立の間から飛来する銀の煌き。
ほとんど反射的に虚空へと腕を突き出し―――握り締めた。
拳の中に感じる確かな感触。
その円柱は拳に収まりきらず、両端からはみ出た風切羽と鏃が存在を主張していた。
ほぼ、こちらの心臓一歩手前、リァノーンの顔が険しくなる。
「どなたか知りませんが、惣太に危害を加えるつもりなら容赦しませんよ!」
彼女の透き通るような髪がゆっくりと持ち上がる。
それと同時に彼女の周りの大気に乱れが生じる、降る雪が重力に逆らい上昇する。
『ロードヴァンパイヤ』特有の念動力、彼女を最強足らしめる所以だ。
静かな怒りを放つ彼女を横目に握り締めた矢を観察する。
そう、見覚えのあるこの矢、普通のボウガンの矢よりも一回り大きな銀矢。
もしも、この推測が正しいのならば来るべくして来た時が来たのだろう。
そう、なぜなら彼らはハンター―――……吸血殲鬼なのだ。
ゆっくりとコートの下から引き抜くはハンドガード付のナイフ……『愉悦の侯爵』。
それを待っていたのかどうか定かではないか装着すると同時に木立から現れる人影。
にやけた口元に瓢けた雰囲気、鋭利な眼差しを獲物を狩る愉悦に歪めた男、『フリッツ・ハールマン』。
その手には無骨にカスタマイズされたフリッツ愛用のカービン銃。
「おーおー……やっと見つけたぜ、ヴェドゴニア」
冷たい冷笑を浮かべながらフリッツが喋る。
破壊の意思を込めた銃口はピッタリとこちらをターゲットしている。
それを見て、攻撃の意思を見せるリァノーンを片手で制した。
フリッツがいると言うことは近くにモーラもいるはずだ。
ここで戦闘を始めれば相手の思うツボになりかねない。
「すっかり吸血鬼らしくなりやがって……ナイト様気取りか?」
心底楽しそうに嘲るフリッツ、カチャリとボウガンの矢が装填された。
「まあ、元々お前は気に食わなかったんだ。
しかし、これでお前を狩ることが出来るようになったわけだ」
「奇遇だな、俺もあんたのことは気に食わなかったんだ」
お互いに邪悪な笑みを浮かべ、片方は引き金に力を込め、片方は足に力を込める。
一触即発の空気のなか、不意にフリッツが溜息と共に銃口をあげる。
予想だにしなかった展開に困惑する。
「ちっ、やめだやめ。俺だって命は惜しいからな。
『ロードヴァンパイア』二人相手に勝てるわけねえだろ」
珍しく諦観の念を見せたフリッツの姿に少々唖然とする。
「あの時殴られた借りは最初の一発でチャラにしといてやるよ。」
あの時とは二人を人質にリァノーンの居場所を聞きだそうとした時のことだろう。
後で鏡子が無傷だったことを確認し、多少は反省したりもした。
「……モーラは?一緒じゃないのか?」
さっきから周辺の気配を探ってみたりもしたが潜んでいる様子はない。
「あん?てめえには関係ねえだろ」
ちょっと……いやかなり不機嫌そうにフリッツが呟く。
と、不意に視線を感じ、振り向けばリァノーンが困惑顔で佇んでいた。
本来は敵であるはずのハンターと普通に会話しているのだから困惑もするだろう。
が、リァノーンに何か言おうとする前に足元に耳障りな金属音を立てミリタリー模様のバックが落下した。
「お前らのことは多くのハンターが狙ってる。だがな、てめえを狩るのは俺だ」
狩人の顔に戻ってフリッツが宣言する。
ショルダーバックの中身は音で判断する限り銃器の類だろう。
「今度会った時は迷わず狩ってやる。灰は灰に塵は塵に…だ」
それだけ告げるとフリッツは踵を返し、木立の中へと歩き始めた。
背中に二対の視線を受けながら最後に小さく呟く。
「あばよ、相棒」
先程の山道から幾分か離れた国道、道路の半分を占拠しながらハマーが止まっていた。
「おかえり」
フリッツがドアを開け、その巨体をハマーに押し込むと助手席から声が掛かる。
見なくても誰だかわかる、もう十年以上一緒にやっているパートナー。
「あれで良かったのか?敵に塩なんか送って……」
珍しく歯切れの悪い言葉を受けてモーラが小さく笑みを浮かべる。
「いいのよ。『イノヴェルチ』を潰せたお礼とすれば安いものでしょ?」
「だがな……」
まだ口ごもるフリッツ。
確かに『ロードヴァンパイア』を狩ることは全てのハンターの悲願と言っても過言ではない。
彼女の指先一つで国家が滅亡することとてあるのだから。
だが、今彼女には彼がいる、悠久の時を共に生きていく連れ添いが。
自分には手に入らなかったものだ、小さく溜息をつく。
「フリッツ、次はアイルランド?」
それを誤魔化すかのように声をあげるモーラ。
「ん?ああ―――」
車道を占拠していたハマーは大きく白い息を吐き出すと重々しく走り始める。
車内から漏れる声はどことなく吹っ切ったような気配を漂わせていた。
やがて走り去った後の痕跡も深々と降り積もる白雪に消え去っていった。
「良かったのですか?」
深々と降り積もる白雪の中を二つの影が歩く。
「ん?何が?」
背の高い方の影が答える。
その拍子に肩から提げたショルダーバックが甲高い金属音を奏でた。
「あの方たちと行くという選択も―――」
「あ……」という小さな声と共に、ふわりと青緑色の髪が宙に舞う。
すっぽりと腕の中に納まった身体をしっかりと抱きしめながら耳元で囁く。
「俺は、君とずっと一緒にいる。ずっと……」
こちらを見上げる紅玉の瞳は溜まった涙で潤んでいた。
一拍、鼓動の音が跳ね上がる。
深々と降る白雪、白と黒とコントラストの中、二つの影は確かに重なった。
277 :
風変わり:04/09/14 23:14:39 ID:n9vNUhDG
誰もいない……投稿するなら今のうちヾ( ゚д゚)ノ゛
というわけでヴェドゴニアですね、はい。
あのEND、誰も知る人がいなくなった……
ですけどモーラは生きてるのではと思い、なんとなく別れ……
………フリッツのキャラが違うよorz
誰かに見つかる前に逃走です
次は……レベル・ジャスティスでも書きましょうか……
リァノーン様至上主義の私なのでした(`・ω・´)
ああ、どこからかカエレ!カエレ!コールが聞こえる
良いと思うよ、うん。
リァーノンED、いきなり80年飛んじゃうから、
その間には色々あったんだろうなあ。
イイね、ヴェド。
ところでヴェドSSってリァノーンED後かモーラED後しか無いような・・・
後二つばかりEDがあった気もするんだけど気のせいですか?
香織を馬鹿にするな!
メインヒロイン(?)のはずなのに扱いがうっうう(泣
弥沙子はどうでもいい
>>280 弥沙子を粗末に扱うな!
リァノーンエンドでは(推定年齢98歳ながら)おいしいところを掻っ攫ってるし、
香織ルートでは恋する吸血乙女を演じきってるんだぞ!
凶暴化した惣太に体を差し出す弥沙子タンハァハァだ!
「何、ランバ・ラルか」
斉藤の絶体絶命の危機に
グフに乗ったランバ・ラルが現れた
ほしゅ
夏。蝉が鳴き、線路が焼け、陽光が踊る季節。
緑は眩しさの中で木漏れ日を作り、林道を走る子供達に万華鏡のような風景を恵む。
見上げればそこに蒼の清艶さと白の雄大さ。何もかもが美しく在った。
しかし、景色は時と共に色褪せる。
学び舎は虚空。帰る場所は虎穴。その狭間を過ごす、学校の屋上。
そこは特等席だった。いや……隔離所や独房と言った方が適切なのかもしれない。
たった一人世界から孤立したかのような錯覚を味わえる場所。
罪を犯した訳じゃない。生まれた事が罪などと思った事もない。
けれど、いつもこの場所にいる。
そして今日も――――
………
………………
………………………………
「……」
暗闇に光が混ざり、波紋のように広がっていく。
そう感じた瞬間、空気の感触と鼓膜が揺れる実感とが微量に湧いてきた。
「あ……」
聞き覚えのある声が耳に入る。まだ起きたばかりの意識は瞬発力に欠けていて、
物事を把握する速度が遅い。誰の声かも、今自分がどういう状態なのかさえもわかってない。
寝ていたのだろうか?
昔の映像が影灯籠のように映し出されていたような気がする。あれは――――夢?
……わからない。
曖昧な脳内をゆっくりと活性化させながら、ふと目を開け――――同時に自分が
目を瞑っていた事を自覚した。やはり寝ていたようだ。
静かに息を吐く。そしてぼやけた視界を整準させ、網膜に映る像を視神経を通して
後頭葉の視覚中枢に伝達した。
――――見えたのは、空。何処までも深く、それでいて淡い一面の蒼と白。
そして鼻腔をくすぐる芝草の匂い。ここは……そうだ、河原の芝生の上。
末莉を連れて散歩に出たついでに寄ったんだっけ。
「んーっ」
上体を起こす。視線が90度の弧を描いて風景を回す。
そして声のした方に顔を向けると、末莉の姿に照準が合った。
頭には俺の渡した帽子。視線に気付くと、末莉はニッコリと微笑を浮かべた。
「……あー」
今度はハッキリ把握できたその声に間延びした返事をする。と同時に、身体の
全感覚が完全に目を覚ました。寝汗をかいたらしく、背中の辺りが少し冷たい。
帰ったら風呂にでも入るか。二十歳の男が外で昼寝して寝冷えした挙句風邪……なんて
シャレにならんからな。
――――なんて事を考えていた所為でもないだろうが。
突然、少し強めの風が河原に迷い込んできた。
「っ……と」
末莉は慌てて帽子を押さえる。そこまでするほどの強風ではないんだが、
宝物を守る用心さでそれに抗っていた。
どうやら大事に思ってくれているようだ。あげた方としては悪い気はしない。
風が止み、末莉はホッとした顔で俺を見やる。と同時に俺の視線が帽子へ向いてる
事に気付いたらしい。はにかみながら笑い、おずおずと問いかけてきた。
「あの、これ……わたしに似合ってるでしょうか?」
「ん……」
少し言葉を濁す。何故か本心を言うのが気恥ずかしかった。
「あはっ」
末莉はどうやら肯定と受け取ったらしい。帽子を脱いだり被ったり、
まるで玩具を与えられた子供のようにはしゃいでいる。
……ま、いいけど。
「ところで、前から聞きたかったんですけど……この帽子、
いつごろご購入なされたんですか?」
「……」
質問の意図がいまいちわからず、目でそれを伝える。アイコンタクトとか言う奴だ。
「うあっ、すいませんもう聞きませんお許しをっ」
受信相手はガンを飛ばされていると受け取ったらしい。
「いや、全然怒ってないからいちいち謝るな。ちなみに買った訳じゃない。
こういう帽子、普通男は買わないだろ」
「はあ、そういうものなんですか……?」
「……それは貰い物だ。中学時代の先生からの」
「先生から……ですか? であれば、とても大事な物なのでは……」
「いや、いいんだ。もう俺が使う事もないからな」
と言っても、使った事はほとんどないんだが。
「どのような先生だったのですか?」
「んー……そうだな、静かな先生だったよ。中三の時の担任で、現国を教えてた。
50過ぎた女の人で、怒った事は一回も無かったな」
「へえ……」
末莉は興味深げに俺の話を聞いている。そんなに関心を引くような話でも
ないと思うんだがな……。
「ま、俺が出会った中じゃ唯一いい先生だったよ。ちょっと白髪交じりで、目が細くて、
結構痩せてたっけ。いつも笑顔を浮かべてたな」
半分独り言のような感覚で呟きながら、空を仰ぐ。
そうだ……あの日の空もこんな色だった。
「先生は俺が家庭の事情とかで捻くれていくのを心配してくれて……
いつも俺の事を気にかけてくれてたな。その帽子を貰った日も――――」
太陽のある方に目をやる。すぐ傍にあった薄い雲がちょうど間に割って入ろうとしていた。
「今日みたいな、暑い日だった」
「……」
末莉は黙っていた。
それは多分、俺がそうさせてるんだろう。懐古の念に囚われた所為か、
妙にしんみりした雰囲気になってしまった。
「……ま、そんなとこだ」
適当に話を締める。こんな陽気にわざわざ空気を重くする事もあるまい。
「素敵な先生だったんですねー」
「ああ」
躊躇なくそう言える。
「……ちょっとうらやましいです」
「お前の学校にはいないのか? いい先生」
「今の担任の先生は、HRを三回に一回の割合でサボります。
去年の先生は、たまに私を視聴覚室に呼び出して……」
「……職員室じゃないのか?」
「はい。そして私の写真を何枚も取っておられました。
たまに体育着を着て来いとか不可解な事も言われたり」
「……」
おいおい、そこまで病んでるのか現在の教育機関は。
「……一応確認しとくけど、変な事はされてないだろうな?」
「あ、それは大丈夫です。ただその先生は去年限りで退職されました」
世の中に悪は栄えているものの、淘汰する動きが消えた訳でもないらしい。
何となくホッとする。
「さてと、それじゃそろそろ帰るか。ちょっと長居し過ぎたな……原因は俺だけど」
「司さんの寝顔、可愛かったです」
「……」
「うあっすいません! そんな怖い目で見ないでください〜」
今度はれっきとした眼力の行使で黙らせる。
しかし我ながら無防備だったな……引き締めんと。
「……」
……けど、なんとなくこのままでいい気もした。
少し前までは人間不信とまでは言わないが、他人、或いは形式的には家族と呼ばれる
人間でさえ、俺にとっては忌避すべき存在……嫌いなものだった。
けど、今は……。
「……違うのですね?」
「はい、多分」
……?
思わず答えたその言葉にも、投げかけられた言葉にも疑問が生じる。
末莉、お前……そう紡ごうとした言葉は音にはならない。
空では雲が太陽を覆っており、麦藁帽子が影に染まっている。
俺はその帽子を被った『彼女』をただ呆然と見つめていた。
「そうですか。なによりです」
彼女は優しく微笑んだ――――いつもそうであったように。
「では、ごきげんよう」
え……?
刹那。
雲に覆われていた太陽が姿を現す。
遮られた光が眩しさと共に視界の輪郭を一瞬だけ奪った。
「……司さん?」
その声は、末莉のそれだった。
「……」
不可思議なものを見るように、俺は目の前の少女をまじまじと見つめる。
何もおかしなところはない。何も……。
「きゃーんっ!? そ、そんなっ、そんなにわたしに寝顔を見られた事が
屈辱だったのでしょうかっ!? 申し訳ございませーんっ!」
小娘は何故か取り乱していた。
「おい、何を訳のわからない事言ってる」
「し、しからずんばっ、その……」
然らずんばの用法が間違ってるぞと指摘しようとした瞬間。
ス――――
目の下に熱い感触が伸びていった。
「え……?」
これは……涙?
慌てて頬に手をやる。確かに一滴、涙が頬を伝った跡が確認できた。
どうして――――欠伸をした訳でもないし、涙腺を刺激するような出来事は
何一つないのに。
「……」
もしかして、過去の事を思い出した事でセンチメンタルに?
……馬鹿な。そこまで感傷的なものでもないというのに。
きっと無意識の内に欠伸が出てたんだろう。そう思う事にした。
ただ、思い返した過去の一ページが心に残ったまま、妙な感情に囚われていたのは
事実だった。既視感にも似た記憶の連鎖。
もし――――あの日の未来が今日だとしたら。
「……本当だったって事か」
「ふえ?」
「ああ、いや。何でもない。ちょっと欠伸が出ただけだ」
「欠伸……ですか」
末莉はホッとしたような、何か納得できないような複雑な顔でそう呟いた。
「じゃ、今度こそ帰るぞ」
「あ、待ってくださーいっ」
先生があの日言った事。それは俺にとって半信半疑だった。
そんな簡単にいく筈はないと。
実際、俺は苦労した。毎日が苦闘の連続で息つく暇も無い。
でも昔とは違う。少なくとも空虚ではない。そう思える事が何よりも違う。
そう導いてくれたのは、もしかしたら――――
「ありがとう……ございました」
「はい?」
「いや、お前に言った訳じゃない。気にするな」
「でも、わたしの方を見て」
「ま……な」
「……?」
訝しげな顔をしながらも歩き出す末莉に続きながら、俺は少しだけ大きく息を吐いた。
今度母校に顔を出してみるか。
先生がまだいるかどうか定かじゃないが、連絡ぐらいは取れるだろう。
やっぱり礼は直に言わないとな。
近況を報告した時、先生はどういう顔をするだろうか。
落胆? 叱咤激励?
いや、きっと微笑んでくれる。そんな気がする。
いつもそうだったから。
……そんな事を考えながら、家路に着いた。
それから暫く経ったある日――――
俺は先生の訃報を知った。
………………………………
………………
………
一学期の終業式が終わり、HRも終わり、子供達は皆開放感と期待感で胸を躍らせる。
教室ではこれから訪れる夏休みのスケジュールを肴に楽しく談笑してるだろう。
でも俺は、いつものようにここに――――屋上にいる。
当然だ。息子の通知表に一喜一憂する親も、
一緒に遊ぶ計画を立てる友人も……俺にはいないのだから。
今日はいつもと同じ一日。だから俺はここにいる。
「……あらあら」
背後からのその声に、突然であるにも拘らず俺は微塵も驚きを覚えなかった。
先生の声だったからだ。
「こんな暑い日にここで寝そべってはいけませんよ。日射病になりますから」
俺がこの先生に心を許しているのは、多分間違いない。
それでもこのお節介には少しだけ辟易していた。
「大丈夫です」
「……ふふ」
先生は穏やかに笑う。
「沢村君は、夏休みに何か予定はあるんですか?」
「いえ、何もないです」
「そうですか」
同情も揶揄もない。ただ優しいだけの旋律が耳に心地いい。
「……暑いですね」
そう呟きながら、先生は遥か上空を見上げた。
「沢村君、夏は好きですか?」
「え……?」
「私は日光と相性が悪いようでして、子供の頃はよく日射病で倒れたりしました。
だから夏は嫌いでした」
まるで語り部のようにそう呟く。俺はそれをじっと聞いていた。
「けれど、それは間違いでした。そう気付かせてくれたのは、これです」
その言葉と同時に、俺の顔に何かが被さる。
顔よりもちょっと大きいそれを手に取って視界に納めてみると――――麦藁帽子だった。
「沢村君。嫌いなものと言うのは、ほんの些細な何かを得るだけで
案外そうでもなくなるものです。私にとっての、その帽子のように」
「……」
帽子を見る。少し古そうだが汚れたりはしていない。大事に使っていたのだろう。
「それは貴方に差し上げます。日射病予防に強い味方ですよ。私が保証します」
「……麦藁帽子を被るような歳でもないですけど」
「ふふ……そうですか」
先生はいつもそうであるように、優しげに微笑んでいた。
「では、ごきげんよう」
「あっ」
踵を返した先生を呼び止める。
「あの、帽子……ありがとうございます」
先生は微笑みのまま微かに頷いて、屋上を後にした。
それを見送りながら、俺は貰った帽子をかぶってみる。
暖かい感触が頭を覆い、暖かな気持ちになった。
足元では俺の影法師がほんの少しだけ伸びている。
それはきっと――――先生がくれた、未来への架け橋。
「ありがとう……ございました」
果たして言葉は何処まで届くのだろうか。
先生がくれた未来まで辿り付いて欲しい。そう願いながら目を瞑った。
夏。燕が飛び交い、水飛沫が舞い、子供達が笑い合う季節。
青は境界線の下で疎らに散らばり、帰り道を走る子供達に躍動する未来を恵む。
耳を澄ませばそこに蝉時雨の儚さと夏風の清爽さ。何もかもが刹那の中に在った。
決して色褪せない景色と共に。
先生。
今日も暑くなりそうです――――
299 :
馬面:04/09/18 18:22:54 ID:YIs/4DHU
>>284-298 題「かげぼうし」(家族計画)
久し振りの投稿です。
需要があるようなお話ではないかもしれませんが
読んでもらえたら嬉しいです。でわでわ。
GJだ。
しんみりしていて良いね。
末莉にもーちょっと焦点があってくれると好きだが。
支援しなきゃダメだったのか
230様はどうしたのだろう?下級生2小説とても楽しみにしているのですが
保守
俺も保守
24時間以内に誰かが書かないのなら俺が書く
>306
期待してます
保守
前スレのあれ、寸止め…?
――――キィコ――キィコ――キィコ――
ブランコが軋んだ音を立てていた。
最近の児童はTVゲームにでも忙しいのだろうか。児童公園に設置された遊具は永らく使
われた形跡もないまま、風雨に朽ち果てようとしていた。このブランコもその一つだ。昔
は子供たちが先を争って遊んだ遊具も、錆付き固まって、揺れるたびにキィキィと甲高い
音で鳴いていた。
――――キィコ――キィコ――キィコ――
見上げれば、満天の星空。
深夜の公園は独特の空気がある。静かで、空虚で、ひどく寂しい匂いがする。
懐かしい匂いだった。この世界に現れ出でて、多分最初に感じた外気の匂いだ。匂いの
記憶は、苦闘と栄光の日々を思い起こさせる。もう、ずっと過去になってしまった初陣の
日。その日から繰り返された血と、鉄と、そして勝利。その全てが自分のものだと思うほ
どには傲慢ではないけれど、その礎を確かに担っていたはずだった。
その全てが朽ち果てようとしていた。
時の流れは過去の栄光を不要と断じ、その存在を亡きものへと追いやってしまった。
死ぬ事は怖くは無い。
ただ、生きていたという証が。あの、血と鉄と苦闘の日々が否定されるというのは、す
こし、寂しかった。
――――キィコ――キィコ――キィコ――
いつまでもこうして、錆付いた遊具の中で朽ち果ててしまいたい。そんな想いが生まれ
て、消えた。その時だった。
――――ィィィ――
闇の向こうから、遠雷のような響きがした。
静かな夜気には嗅ぎ慣れた匂いが混じり初めていた。
熱い呼気の、鉄を打ち合う火花の、流れ出る血潮の―――戦いの、匂いだ。
「―――グルゥ」
”彼”は、小さく唸りを上げると、ブランコに腰掛けた体を起こした。
闇の中に黒々とした巨躯が立ち上がる。屈めたような姿勢でなお、頭の位置はどんな遊
具の登頂よりも高い。顔はシルエットの時点でヒトのそれとは大きく違う。黄色い、閉じ
ることの無い両の目が、トカゲじみた平べったい顔の横で隆起している。全身を鱗で鎧っ
た身体は、星明りにてらてらと輝いていた。
彼はこの世界の住人ですらない。異界の術により、魔力によって造りだされた存在だ。
二度、三度、二又に割れた赤い舌が空気を舐めた。蛇のそれに酷似したその器官は、空
気に混じる微細な匂いをも知覚する。レーダーのように匂いの源を探り出し、そしてのそ
りと歩き出した。
「ぬぁ〜〜はっはっは。深夜遅くに失礼しますっ。我等は秘密結社ヴァルキルっ!」
戦いは、すぐそこにあった。
在る死者のものがたり
「メッツァー様、ご報告いたします!」
豪奢なつくりのドアを押し開けて、ココノ・アクアはメッツァーの居室に飛び込んでき
た。よほど慌てて来たのだろう。元より癖の強い髪は大いに乱れ、唇から漏れる吐息は切
れ切れになっている。有能な彼の奴隷にしては珍しい。
「どうしたココノ。何をそんなに慌てている」
「はい、申し訳ありません。先日、廃棄が決定した下魔ですが……」
メッツァーが従える魔物には大きく二種類に分けられる。
片方は魔界から直接召還する比較的強力な上魔。他方は魔力を用いて有機物から合成す
る下魔だ。
魔界のものとは言え、元より生命体であった上魔に対し、下魔は大量生産の利く”もの”
だ。全て同じ設計図から作られたそれらには、外見も能力も個性というものは存在しな
い。全てが同じ二本足で立ったトカゲのようなその姿をしており、戦闘や単純労働に使い
潰される。
必要ならば造られ、不要ならば削除される。それだけの存在だ。
「ああ、あれか。それがどうした?」
「その……。その内の一体が逃亡いたしました。申し訳ありません、私の管理不行き届き
です」
下魔が脱走したのはこれで二度目だ。一度目は、よりにもよってメッツァーが赴任した
その日。マナ収集の際はぐれた一体が諜報活動に出ていたメッツァーを襲ったのだ。無論、
その時は事なきを得たが、同じ失敗を二度繰り返した者を許すほど、メッツァー・ハイ
ンケルという男は甘くは無い。
『死ね』そう命令されるのをココノは胸の奥で覚悟する。
(大丈夫、私は死ねる。この人の命令なら)
意を決して正面を向き直り、そして見たのはいかにも面倒そうな主人の顔だった。
「何だそんな事か」
些事に心を砕かせるな。そう表情が言っている。
「え?」
「構わん。上魔の大量召還が可能になった今、下魔などどうなろうと知ったことではない
わ。むしろ処分する手間が省けた。逃げたものが暴れれば、スイートナイツや本国の連中
への牽制にもなる。放っておけ」
「で、ですが。脱走したのは最初期から下魔ですし、戦闘経験もずば抜けて多いですから
……」
画一的に造られる下魔であっても、後天的な原因で個体間には差異が生じる。成長と言
っていいだろう。実戦を生き抜いた下魔は、作成直後のそれに比べてかなり高い戦闘能力
を有するようになる。十数度の戦闘を生き抜き、女王騎士団の魔力を啜った個体ならば、
スイートナイツの必殺技の直撃すら耐え切る生命力を有するまでに成長する。
「とは言え所詮は下魔であろうが。よもや、情が移ったなどと言う訳でもあるまいに?」
「まさかそんなこと! 私は、ただメッツァー様の……」
もじもじと、恥ずかしげにするココノを、メッツァーは笑みすら浮かべて見つめていた。
愛らしい彼の奴隷は、剥き出しにした太股をすり合わせ、悶えるような仕草で畏まる。
怜悧な仮面の下に隠した欲望が、むらむらと湧き上がるのを彼は自覚した。
「まあ、それほどまでに下魔どもを気にしていると言うならば、下魔どもの巣に裸で放り
込んでやろうか? きっと貴様の愛しいバケモノどもが、たっぷり可愛がってくれるだろ
うよ」
「そ、そんな!?」
一転蒼白となったココノに、メッツァーの笑みは益々歪に広がってゆく。
「ココノ。貴様は何者だ?」
「は、はい。私はメッツァー様の奴隷……」
「違うな。ただの奴隷であるはずが無い。そうだろう?」
魔王じみた微笑に、ココノの身体は震え出す。背筋は凍るほどに寒いのに、頭はぼぅっ
とするほど熱くなる。これから起こることを期待して、胸がどくどくと高鳴っていた。
「……は、はい。ココノは、メッツァーさまのいやらしい肉奴隷です。いつも、メッツァ
ー様にして欲しくて、見つめられただけで……濡れてしまう。いやらしい肉穴です」
愛らしい顔立ちに似合わないむっちりとした太股をすり合わせると、淫らな汁音が聞こ
えた。恥知らずなくらいに切り上げられた下穿きは、もう垂れ落ちそうなほどいやらしい
汁に濡れそぼっていた。
「そうだ。元女神騎士団だと言うにも関わらず、恥知らずに汁を垂れる肉穴だ」
「……そ、そうです。ココノは、アップルナイツの誇りも、忠誠も、メッツァー様のが欲
しくて、全部裏切りました。メッツァー様のをいやらしいところに入れられたら、全部わ
からなくなってしまうダメな奴隷ですっ!」
「その裏切り者の肉奴隷が二度も同じミスをしたわけだ。どうすべきだと思う?」
「ば、罰を。罰を与えてください! いやらしいココノにたっぷりと、罰を与えてくださ
い!」
「よかろう。服を脱げ」
荘厳ですらある命令に、いそいそとココノは従った。熱っぽく浮ついた手つきで自ら衣
服を剥がして行く。最後に残った股布は、ぬめる粘液にを染み込ませて、重い水音を立て
て床に落ちた。
「ぬ、脱ぎました」
何一つ覆うもののない白磁の肌が灯りを受けて浮かび上がる。均整の取れた体つきはま
るで一つの芸術品だ。柔らかく隆起した胸のふくらみは、これからの事を期待するように、
硬く先端を勃起させていた。
「まずは、下魔の巣に行くぞ。これから処分されるものどもに、せめて最後の悦びをくれ
てやろうではないか」
「は、はぃ」
主人の後を歩くココノの足取りは、まるで熱病に浮かされたようだった。
* * * *
「セーフスターハケーン!」
「つーか、発見されたのこっちじゃん!」
二人の男が駆けていた。
白い仮面に黒装束。タイツとブーツとグローブとベルト、古式ゆかしいシタッパ装備を
身に付けて、背には膨れ上がった風呂敷包みを担いでいる。包みに入りきらなかった物品
が街灯の光を受けてきらりと黄金に輝いた。
彼らは秘密結社ヴァルキルの戦闘員コゾーン。仮面の下は普通の一般市民と変わらない
が、これでも立派な悪の組織の尖兵だ。
「待ちなさいっ!」
そして、それを追いかける少女。
長く艶やかな黒髪が印象的な美少女だ。青を基調とした変形セーラー服に、手にした武
器は段平だ。濡れたように光る刃先は、素人目にもいずれの名刀かと思わせる迫力がある。
ミニスカートをはためかせ、同時に段平を煌かせながら追いすがるその様子は、凛とい
うより物騒なものを思い起こさせる。政府直営の正義の味方ホワイトラブリースターこと、
唐紅葉月だ。
「待てと言われて待つヤツいるか!」
「つーか、なんでセーフスターが俺たちみたいな下っ端追ってるんだよ! 怪人は何やっ
てんだ!?」
「あんた達のせいで全員深夜出動よ! 絶対、ぜぇったい逃がさないわよ!」
「キリッサ様。たーすーけーてー」
泣きながら助けを叫ぶ。が、無線から返って来たのは無情なものだった。
『あー、ごめんごめん。こっちも緑色の人と交戦中でさ。自力で何とかしてね』
「マジか〜!?」
「ウーリンはどうしたんだよ!」
「現在二ブロック先でレッドと交戦中! ドクターはピンクと一緒に反応消えたってさ!」
「あああああああああっ! あの野郎どっかにシケ込みやがったな! うらやましいぞ畜
生っ!」
「俺もピンクタンハァハァしてぇーッ!」
「馬鹿な事言ってないで、黙って捕まれー!」
追うも逃げるも、深夜の街に大声を響かせて走り続ける。人気の絶えた深夜のオフィス
街だ。真っ黒に林立するビルの谷間に、お互いの声がうわんうわんと反響する。
道は、まっすぐ続く二車線道路。追いかけっこの勝敗は純粋な脚力にかかっている。方
や普段鍛えた若い娘のカモシカのような脚。こなた、元リストラ組の中年男性二人組。し
かも、背中には余計な荷物。
「ダメじゃん」
「逃げ切れないな」
彼我の差に思い至り、二人は後ろを振り返る。
「観念したのかしら? おとなしく投降すれば罪は軽くて済むわよ」
一気に間合いを詰めようと速度を上げる葉月。その手が二人に届く、その一瞬前。
「てや!」
あろうことか、二人は戦利品をぶちまけた。
「え、あああああ!?」
金貨やインゴット、貴金属に宝石類。目もくらむような高価な品々が、キラキラと街灯
の光を反射しつつアスファルトの地面にばら撒かれる。
「はい、パス」
一瞬の混乱。そのさ中、いかにも高価な壷が葉月目掛けて飛んで来た。
「わ、っとっと!」
思わずそれを受け取る葉月。咄嗟の事にバランスを崩したその足が、堆く積まれた金塊
の山に引っかかる。無意識に壷を庇おうとしたのが致命傷だった。壷を抱えた姿勢のまま
、彼女は見事に地面にコケた。
「逃げロー!」
「アラホイサッサ!!」
その隙に、コゾーン二人は逃げた。全力疾走だ。みるみるその姿が遠くなる。
「ま〜ち〜な〜さ〜い〜!!」
慌てて葉月も立ち上がる。投げつけられた壷(時価数千万円也)の破片を振り払い、目
を血走らせて追跡する。
「あー、あー。こちらコゾーンと‐二十四号。逃亡のためキヌガサビル前で戦利品をぶち
まけました〜。手が空いてる人がいたら回収お願いします」
追いつくと、コゾーンの片方が通信機片手にそんな事を言っている。慌てて葉月は振り
返る。しかし、援軍らしい者の姿は無い。取り返した分捕り品を確保するか、それとも追
跡するか。迷っている間にも、コゾーンはどんどん距離を離していく。
「ぅく……むむむむむっ!」
二秒迷って、葉月は駆け出した。追跡を優先したのだ。三度、逃げるコゾーンに肉薄す
ると、聞こえよがしに通信機の音がした。
『こちらコゾーンぬ‐三十二〜四十七号。インターセプト完了〜』
「乙〜。こっちはホワイトタソに追われてますー」
『後ろから確認しますた。今から合流するわ』
どどどどど、と怒涛のような足音が追ってくるのを葉月は聞いた。
「……うそ」
どこから現れたのか、背後にはコゾーンの集団がいた。一人や二人ではない。数にすれ
ば十五人。前にいるのを合わせると十七人になる。相手をするとなると、ちょっと覚悟が
必要だ。
「こちらコゾーンと‐二十四号。ホワイトタソをカコみました。手が空いたコゾーン、もし
くは怪人がいたら集まって下さい〜」
しかも、その数はまだまだ増える。
「……面白いじゃない」
吹っ切れたように、葉月を眦を上げる。ぞろぞろと彼女をとりかこむ白い仮面の群れに、
月光を背にした段平がきらりと輝きを発した。
* * * *
むせ返るほどに濃い、牡の臭い。
「ぁぁ、ふぁぁ……」
いきりたつ牡器官の臭いを嗅ぐ度に、ココノは自らがどれほどいやらしくなってしまっ
たかを自覚させられる。
「どうした? 早く満足させてやれ」
”穴”の上で彼女の主人が見下ろしていた。地面をくりぬいただけの殺風景な巣穴にい
るのは、一糸纏わぬココノと十数体の下魔。明日にも処分させられるものどもは、早くも
欲望を滾らせて彼女の周囲を取り囲んでいた。
「は、はい。いますぐに……あむむ、んぐ……」
花びらのような可憐な唇が躊躇無く肉棒を咥える。舌から直接染みこんで来るいやらし
い味。先端から滴り出した粘液が、ぴりぴりと彼女の脳を痺れさせてゆく。
「おぶふ。あむ……ぁふ、おいひぃ……」
てらてらと濡れる肉の塊が彼女の口腔を犯してゆく。下魔の体液は強烈な媚薬だ。触れ
た部分すべてを性器に変え、身体の芯まで染み込んで女をいやらしい肉へと堕としてしま
う。麻薬と言ってもいい。禁断症状は薬そのものではなく、肉棒の感触だ。肌に塗りこま
れる度、胎内に注ぎ込まれる度、いやらしい事しか考えられなくなっていく。
「おいひぃよぉ。もっといっぱい、おいしいの。臭くて熱いお汁、ココノに飲ませて!」
舌が熱い陰茎に触れるたび、ココノの背筋がびくびくと震える。淫核のように敏感にな
った舌は、淫らな感触を得るたびに、彼女を軽い絶頂に突き上げる。しかも、それで終わ
ることは無い。絶頂の上にさらなる快感が降り積もり、どんどんと、何も考えられなくさ
せられる。
「あぶ、おむ。んぷ、ぁはあっ! すごぃぃ、ココノ、犯されてます。卑しい下魔のおち
んちんで、ココノのお口、犯されてますぅ」
舌を筒状に丸めて、口一杯に含んだの肉棒を喉まで擦らせる。唾液と先走りが喉から乳
房まで滴り落ちてゆく。柔らかな乳房の先端は、触れてもいないのに今にもはじけそうな
ほどに張り詰めていた。
「早くしろ。他の連中も、もう待ちきれんぞ。ほうれ、口ばかりでなくそのいやらしい身
体すべてを使って満足させてやれ」
肉を咥える柔らかな頬に、別な肉棒が押し付けられる。つんと、きつい臭いのする汁が
ココノの可愛らしい顔を汚す。迫ってきたのはそれ一本ではない。あるものはココノの手
に握らせ、あるものは柔らかな尻に擦りつけ、あるものは張った乳首に肉棒を突き立てる。
「んはぁぁぁぁぁ、くはぁ。だめぇ、お尻こすれちゃう。たくさんの肉棒が、ココノのお
尻をぐにぐにって犯してますぅ。ぁあん、脚も、おなかも、太股も、犯されてるのぉ。い
やぁ、乳首を硬くて熱いのでぐりぐりしたらぁ……臭い下魔のにおいが、ココノの身体に
染み付いちゃうのぉ」
びゅくびゅくとココノの口を犯す陰茎が吐精した。凄まじい量だった。熱い、臭い汁が
あっと言う間に喉から溢れる。小さな口からこぼれた粘汁は、彼女の顔を、胸をどろどろ
に汚してなお、びゅくびゅくと噴き出し続けていた。
「ふぁぁぁぁぁ。出てる、出てますぅ。熱いぬるぬるが、ココノの顔にかかってます……
ぁぁ、飲みきれない。まだ、出てるぅ……」
震える肉棒が射精を終えても、彼女は開放されはしない。すぐさま次の肉棒がココノの
唇に突っ込まれる。全身にふりかかる精液を潤滑液にして、全身を犯す肉棒は動きをさら
に早めてゆく。既に、乳だ尻だという見境すらない。背中であろうと、腋であろうと、彼
女の肌ならばどこでも良いとばかりに、いきりたつ肉棒が這い回る。そのたびに、ぬめる
媚毒が皮膚から染み込み、ココノの身体をどんどんいやらしくしてゆく。溺れるほどの精
液が、絶えず彼女に降りかかり、全身性器と化した肌をごつごつとした肉棒が犯していっ
た。
「あひぃ、はぁぁぁ。出てる、精液出てますぅ。おっぱいにそんなぁ、三本も……はぁぁ。
すごいよぉ、ぬるぬるしたのが、乳首に絡んで。ああああああ、背中がぬるぬるでぇ…
…お尻にびゅくびゅくかかってるぅ……」
壊れてしまったのかとすら思える。陸に上がった魚のように口をぱくつかせて、ただ快
楽を貪る事しか出来なくなったようにすら思える。しかしまだ、この先がある事を彼女は
知っていた。舐められ、弄られ、擦りつけられて、大輪の花のようにぱっくり開いたその
性器も、雄を誘う器官へと調教された尻穴も、まだ一本の肉棒も咥えてはいない。
ただの肌がここまでの快楽を生むのなら、雄を向かえるためのこの器官はどれほどきも
ちいいのだろう。考えただけでココノの鼓動が跳ね上がる。壊れるかもしれない。だが、
この快楽の中で壊れるなら、それは幸せな事かもしれない。
「さぁ、ココノ。尻を上げろ。お前のいやらしい所をよぉく晒して、して欲しい事を言っ
て見ろ」
心臓を鷲掴みにされるような主の声。それだけで、ココノはいやらしい汁を垂らして達
してしまう。肉体を弄ばれるのとは桁の違う甘美感。声を聞くたび実感させられる、自分
は、とうの昔に壊れてしまったのだと。
「はぃ……。ココノのこのいやらしい穴を、どうか皆様の逞しいもので塞いでください。
裏切り者の元アップルナイツの胎を汁まみれにして、卑しい下魔の子供を孕ませてくださ
ぃぃぃ……」
満足げに微笑む主を見て、ココノはもう一度達した。
* * * *
「てやぁぁぁぁぁっ」
裂帛の気合がビルの街に木霊する。
雲霞のごとく詰め寄る仮面の男達。立ち向かうはただ一人、冴え冴えと輝く刀を手にし
た少女。高く舞い上がり、スカートを翻し、手にした刀を振り回す。その動きは達人の域
に含まれてしかるべきものだ。数で勝る仮面の男も、おいそれとは距離を詰められない。
睨み合いに似た攻防が、幾たびと繰り返される。何度ともなく見た光景だった。
「おい、怪人の応援はまだか?」
「中央銀行で粘られてる。こっちにはしばらくかかりそうだ」
「やるなぁ、あっちも。じゃ、こっちはこっちでホワイトスターの足止め&SAFEの応援が
来たら逃げるって事でおk?」
「同意」
「陵辱マダー? チンチン(AA略」
「怪人が間に合ったらナー」
「半脱ぎ輪姦マダー?」
「触手孕ませマダー?」
「だ、黙んなさいっ!」
わめく男達に少女の刀が切り込んで行く。風を切り裂く剣先から、こりゃたまらんとば
かりに仮面の男達は逃げ回る。逃げ回りつつ、背後の迫った連中はじわりじわりと包囲を
狭めて行く。寄せては返し、気づけば背後に迫ってくる仮面の男たち。集団そのものが、
まるで一つの生き物のような光景だった。じわりじわりと体力を削られながら、少女は無
謀な突撃を続けさせられる。
攻め手は彼女でありながら、追い詰められているのもまた、彼女だった。
(援軍が来るまで、何とか……)
組織力なら彼女の属するSAFEも負けてはいない。セーフスターの他の面子も助けに来て
くれるはずだ。それまで耐え切る事ができれば彼女の勝ちだ。勝敗はまだ、五分に見える。
「お、何だよ。怪人来てるじゃん。早く言えよなー」
それが、あっさりと覆された。
並み居るコゾーンの最中に、一際大きい姿があった。身長は2mを優に超えているだろ
う。全身をぬめぬめと光る鱗で覆った二足歩行のトカゲといった風情だ。瞼の無い黄色い
眼球が空ろに葉月を見つめている。
「てぃやぁぁぁぁぁぁぁっ!」
先手必勝、とばかりに葉月は一気に踏み込んだ。構えは蜻蛉。全力を傾けた初撃は、何
者だろうが止められない。そのはずだった。
「グルゥ?」
キィンと、鉄が擦れる音がした。それだけだった。必殺のはずの一撃が、鱗に弾かれ傷
一つつけることもできなかった。
鱗は予想を遥かに上回るほどに硬い。その下には分厚い皮膚の層、そして生ゴムを幾層
にも圧縮したような筋肉が埋まっていた。例え全身の力を込めたとしても、すべて阻まれ
吸収される。
「……くっ、たぁぁぁぁあっ!」
再び葉月は構えなおす。斬撃が駄目なら刺突だと、斜め正眼に構えた段平が怪人の喉下
目掛けて飛んでいく。渾身の一撃。必殺の剣先が喉元に届こうかとしたその瞬間、それは
あえなく鱗まみれの手の平に阻まれた。
「グル、ガァァッ!」
怪人が吼えた。片手で葉月の身体を振り回す。受け止めた段平ごと彼女を掴み上げ、ア
スファルトの地面に容赦なく叩き付けた。
「おいおい。圧倒的じゃないか」
「新型怪人か? ドクターもすげえの作ったな」
「そうなると、そろそろ新必殺技が出る頃か」
「最近だと新メンバーだったりもする」
「俺、ツインテールの小悪魔系キボソ」
「漏れはショートカットのボーイッシュが……」
「むしろ女装ショタというのも……」
「否! ショタに女装させるなど、極上のケーキに蜂蜜をぶちまける行為だ!」
「蜂蜜プレイハァハァ」
コゾーン達が無駄話ができるほど、その力は圧倒的だった。一撃加えられただけで、葉
月は反撃の力を失ってしまった。肋骨の二三本は折れているだろうか。全身を襲う激痛に
、得物を手放さないのが精一杯だった。
「……くっ、そぅ」
鉤爪のある大きな手が、軽々と葉月の身体を持ち上げる。朦朧とする視界に、開きっぱ
なしの黄色い目玉が近づいてくる。ぼふぅと、生臭い吐息が彼女の顔に降りかかる。
「な、にを……する……むぶっ。おうぅっ!」
小さな愛らしい唇に、赤い肉の塊が突っ込まれた。舌だ。並の男性器よりもはるかに長
く、太いその舌が、ぬとぬととした唾液を垂らしながら彼女の口を犯していた。
「んぶっ、あむむ……むぷ、ふひぃっ」
(……ふ、太、激し……噛み切れ、ない)
二又の舌先が葉月の舌に巻き付いた。感覚の鋭敏な舌裏をしごくように這いまわり、わ
ななく舌先を尖った先端が弄ぶ。顎は限界まで開かさせられ、ぬとぬとに濡れた赤い肉が
唇を犯すように往復していた。
口腔はもう甘い匂いの唾液に溺れていた。滾々と垂れ落ちる粘汁は口から垂れ落ち、純
白のコスチュームをいやらしく濡らしている。決して呑むまいと閉じた喉を押し広げられ、
ぬめった汁が滝のように食道を流れ落ちて行く。
「はぶぅ。むぷぁっ、むぁぁぁ……」
びくり、と葉月の身体が震えた。背筋から脳髄から、全身が灼けたように熱くなる。ぬ
める唾液が染み込んだ唇が、擦れるたびに電撃のような快感を生み出す。舌に至っては、
しごかれるたびに男性器のようにびゅくびゅくと痙攣する。
「は、ひゅご。ほひゅぁぁぁああああああっ!」
喘ぎが喉を震わせた。びりびりと響く振動は、そのまま喉を、口腔を、舌を、唇を震わ
せて、葉月の身体に快楽を刻み付ける。一声出してしまったら、もう止まらない。声の生
み出す快感に、喘ぎ声が零れ落ち、彼女をさらに責め立てる。
「はひぃっ……ひぁぁあああああああっ!!」
ごぼりと、触れられてもいない淫部から濁った愛液が噴き出した。
(……ィ、いっちゃ……た? こんな、事で……)
まるで小便のような量だった。どくどくといった勢いで垂れ落ちる粘液は、あっという
間に股布から染み出して、ロングブーツの内側に滴っていく。
(濡れ……足、きもちわる……)
「おぶぅぅぁはあああ。んちゅ、んぷぁ。はぁぁぁぁ……」
考えていられたのはそこまでだった。一瞬止んでいた怪人の舌が再び蠢き始める。
内頬に硬い肉の感触が触れた。それだけで、葉月は二度目の絶頂に達していた。口の中
はもう、どこに触れても悪魔じみた快感がどくどくと湧き出すいやらしい器官に成り果て
ていた。
その中を蛇のような舌があます所無く犯しつづける。唇から喉奥までを淫部に見立てて、
太い肉が往復する。ごつごつと隆起した表面に、媚毒を混じえた唾液をまぶして、上あ
ごを、唇を、食道の中までもを犯しつづける。
口腔が女性器であるなら、舌はまるで陰茎のようだ。葉月の意志に反して硬く突き出さ
れたその舌に、細く鋭い二又の下が幾重にも絡みつく。きりきりと、緊縛するように締め
付けながら、何度も何度もしごき続ける。最も敏感な舌先は、針のように鋭い先端が突き
刺さるほど強く吸い付き、弄ぶ。
「あぶぅ。ふひゃぁ、んむむむ……ぷふぁ、あむぅぅぅううう……」
達した回数を数えるどころではなかった。舌が擦れるたび、肉が往復するたび、喘ぎが
喉を震わせるたびに、より高い絶頂へと追い立てられていく。気づくと、頬を涙が濡らし
ていた。だらしなく開いた足からは、じょぼじょぼと黄色い液が流れ続ける。乳首は破裂
しそうなほどにびちびりに張り、全身が弛緩したまま痙攣していた。呼吸すらままならな
い。心臓がまともに動いているのが不思議なくらいだ。
(舌、有り得な……何か、原因……媚薬?)
スパークし続ける脳の中、途切れ途切れに思考が働く。他に感じられるのは、ただただ
快感だった。
何も見えない、何も聞こえない。ただ、口の中から生まれた快感が、暴風のように葉月
の全身を弄んでいた。
「グ、ルゥ?」
その動きが、突然止まった。霞みきった視界に、きょろりとした黄色い目玉が困ったよ
うにきょろきょろと動いていた。
「な、に……よ」
口は、いつのまにか開放されていた。出した声に喉が震えて、びしゃりとまた淫部が汁
を噴き出す。もはや気持ち悪いだのと言っていられる状態ですら無くなっていた。
「なに、してんのよ……」
周囲はコゾーン達で埋め尽くされている。このバケモノが終われば、次の相手はこの連
中だ。犯されて、穢されて、それでも今の彼女の身体は、それを悦んでしまうだろう。そ
れが悔しくて仕方ない。
「犯れば、いいでしょ……早く犯んなさいよ、この……」
葉月の声を待たずして、灼熱の剛直が彼女の身体を貫いた。
「ふひゃ、きゅあああああああああああっ!」
(太、大きぃぃぃぃぃぃぃ!)
考えられたのはそれだけだった。後は、爆発のような快感だけが脳を満たした。
今まで、葉月は一人の男しか知らなかった。敗北した彼女を何度ともなく犯した敵、Dr.
ヘルナイトのそれは、千切れるほどに太く長かった。しかし今、彼女を犯すそれは、彼の
ものすら比較にしない。
太さは、ともすればそれほど変わりは無いかもしれない。みちみちと膣口を押し広げる
感触は近いものがある。しかし、長さは比較にすらならない。一刺しで子宮の奥まで満た
された。犯され得る一番奥の感触を覚える間も無く、肉の凶器はさらに奥へと進入する。
押し上げられた子宮が、ぼこりと腹に浮かび上がる。まるで、子宮の上から内臓そのもの
を犯されているようだった。
「くはぁぁぁぁぁ、きゃあああああああああああああっ!」
びゅくり、腹を犯す陰茎が震える。粘りけのある熱い液体が、僅かに残った子宮の隙間
を埋め尽くす。白濁とした媚毒が膣内から直接快感神経に流れ込んでくる。
「あがぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ。おぶお”お”お”お”お”お”お”お”お”お”っ!」
心臓が弾けた。目は白眼を剥き、腰は有り得ない方向に向かってギシギシと人形じみた
動きをしている。口からは、もやは涎どころか泡が吐き出されている。
「い、いかん!」
遠くで誰かの声がした。
「やめろ! やりすぎだ!」
「引き離せ! 死んじまうぞ!」
「心臓マッサージするぞ! 誰か人工呼吸を頼む!」
「誰かドクター呼んで来い! 緊急事態だ!」
「聞こえるか!? 意識をしっかり持て! 返事しろ! おい!!」
遠くで聞こえる誰かの声。必死に呼びかける声の中、葉月の意識はゆっくりと闇に落ち
て行った。
* * * *
生温い液体の海にココノは浮かんでいた。
「……しょっぱい」
茫洋と定まらない頭の中で、口に残った味覚だけが妙にはっきり知覚できた。
(なんだろう? 懐かしい味)
精液の味ではない。あれはもっと苦くて、ぼやけたような後味がある。これはもっと鮮
烈な味だ。幾度となく味わった、それだけははっきりと分かった。
「ココノ。いつまで寝ている」
主の、メッツァー・ハインケルの声がした。それでようやく目が覚めた。
「は、申し訳ありませんメッツァー様」
すぐさま跳ね起きると、淀みなくその場に跪く。
ココノは裸身のままだった。下魔どもに犯された姿そのままだ。ただし、彼女を浸す液
体は違う。ぼやけた白濁ではなく、目が覚めるような真紅。部屋一面を覆う血化粧が、裸
のココノを飾っていた。
「……これは、いったい?」
「処分を行った。それだけだ」
一段高みから見下ろすメッツァーに感情らしい色はない。
「処分……では、この血は下魔どもの?」
「ただ処分するのも無駄だからな。新規に召還した上魔のエサにくれてやったらこのザマ
だ。食事のマナーぐらいは教えておく必要があるようだ。ココノ、清掃用に二、三体下魔
を作成しておけ」
そして、作り出された下魔はその日の内に削除されるだろう。元より、メッツァー・ハ
インケルという男は、夥しい屍の山を築き上げ、ここまで登りつめて来た。たかが道具が
どれほど無残な姿を晒そうが、今更何の感慨も無い。
「ご命令のままに。メッツァー様」
ぞくりと、ココノの背中に走った震えが、はしたない肉奴隷が感じる官能なのか、一人
の配下が思う怖気なのか。それはココノ自身にも区別はつかなかった。
* * * *
「グルォォォォォォォォッ!」
雄叫びを上げる。
戦いだけが生きる意味だった。戦い、打ち倒し、犯し……ただ、そのためだけに彼は生
み出された。それだけが悦びだった。
奪われ、打ち捨てられ、そして今一時手に入れたその悦びに、彼は打ち震えていた。身
を打つ痛みも、全身に蓄積する疲労も、熱い肺が吸い込む冷たい空気も、何もかもが愛し
い。
「だぁっ、洒落になんないぞこいつ」
「制御効かない怪人なんて作んなよっ」
「無駄話は後にしろ! 総員戦闘フォーメーション!」
取り囲む黒衣の男達を、まるで玩具のように放り投げる。優に二十人はいるだろうに、
ただただ圧倒的な力の前に振り回されるばかり。背中にしがみつく男を片腕で投げ捨て、
群がる敵を蹴り足で追い払う。振り下ろした右腕の一撃で、人工樹脂の仮面が砕け散る。
仮面ごと頭蓋骨を砕かれた男は、そのまま3mほど吹き飛んだ。
「フォロー!」
「いえっさー!」
鋭く響く誰何の声。すぐさま新手が穴を塞ぎ、倒れた男に応急処置を施す。流れるよう
な手際の良さだ。十分に訓練された兵士でなければ出来るはずもない。
「ルグ、ォォォォォォォォ!」
雄叫びは悦びだ。相手にとって不足は無い。一体一体の能力が人間並みであろうとも、
訓練された軍団は一つの強力な戦力単位として機能する。先ほど倒した娘よりも、事によ
っては女神騎士団よりも、危険な相手となるだろう。
さらなる一撃を加えようと両腕を振り上げた、その時だった。
「皆の衆、待たせたでござる〜!」
地上に銀月が煌いた。
女だ。まだ年端も無い少女だ。硬質な銀の髪、狼を思わせる耳と尾、四肢の先端は獣毛
と爪すら備え、唇の下には鋭い牙が見え隠れする。鍛え上げた真銀(ミスリル)のような
その四肢を、獣のように躍動させて少女は真っ直ぐに駆けて来る。
「待ってました! やっちまえウーリン!」
「とああああああああああっ!」
「グロォォォォォォ!」
上げた拳を振り下ろす。全体重を込めた呵責の無い攻撃だった。それが、あっさりと空
を切る。目標を見失った拳はそのまま直進し、アスファルトの地面につきささる。
月光に銀色の髪が煌いた。白銀の肢体が疾風のように吹き上がる。宙に少女が舞ってい
た。一跳びで攻撃を飛び越しかわし、打ち下ろした拳の上に着地する。鱗まみれの腕を肩
まで駆け上がると、トカゲのようなその頭を蹴り上げた。
「ちぇすとぉっ!」
愛らしいくらいの気合だった。しかし、威力は桁が違った。意識が後頭部から吹き飛ん
でいくような一撃だ。日本刀の斬撃も、スイートナイツの必殺技すら耐え切るその身体が、
一撃で崩れ落ちる。焦点の合わない眼球が中空を見上げた。
銀色の少女がいた。中空に輝く月に届けとばかり、白い肘を振り上げていた。
「とりゃああああああっ!」
硬く分厚い頭蓋を肘と膝が挟み打つ。みしりと、骨が砕ける音がした。狼の牙じみた一
撃、2mを超える巨体がぐらりと傾く。しかしまだ、死が彼を捉えるには時間があった。
「ゴゥルォ、オオオオオオオ!」
倒れつつ少女の脚を鷲掴む。柔らかい、良い感触がした。最後になるであろう女の肌の
感触を愉しみながら、その腕を我が身もろとも振り下ろす。道連れが彼女ならば、十分以
上に幸福だった。
少女が受身を取ろうと身体をひねる。だが、僅かながら間に合わない。焦りと恐怖が交
錯する少女の顔を、満足げに彼は見つめていた。
「とぅりゃあああああああああっ!」
その鼻面目掛け、フルスイングの鉄パイプが飛んだ。砕けた頭蓋を突き抜けて衝撃が直
接脳を打つ。僅かの所で脚を掴む握力が途絶えた。自由になった少女の身体がふわりと宙
に舞いあがる。
「布開け〜。受け止めろ〜!」
「了解!」
大きな布を開いた一団が、落下する少女を待ち受ける。空中で姿勢を合わせて、少女は
布の中心に降り立った。ぼふん、と軽い音をたてて布がたわむ。落下の衝撃はすべて受け
止められていた。
「かたじけない」
「防災訓練が役に立ったな。さて、さっさとバケモノ退治と行くか!」
「悪の組織の台詞じゃねえなー」
「正義の味方はノびてるもん」
四方八方から縄が飛ぶ。両腕に、両足に、首に、腰に、投網のごとく巻き付いた縄はみ
るみる身体を覆い尽くす。脱出しようと足掻いたその瞬間、もう一発、フルスイングの鉄
パイプが顔面にめりこんだ。
「ガ、ゲァァ!」
反撃しようと腕を振り上げると、それより早く狼少女の一撃が入った。衝撃が身体の芯
まで突き抜ける。膝が力を失って崩れ落ちる。縄がきりきりと首を締め上げていた。
「……ごぉ、ぁ……」
いい死に方だ。意識が暗転する直前、彼は思っていた。
戦いだけが生きる意味だった。戦い、打ち倒し、犯し……ただ、そのためだけに彼は生
み出された。だから、戦いの中で死にたかった。不要物と棄てられるのではなく、戦って、
死んでいきたかった。
棄てられ、廃棄されるのは”もの”だ。生きたものではない。
生きる意味があった。そして、死ぬ事ができた。”もの”として生まれた彼には、それ
はとても幸福な事だった。
夜気を含んだ冷たい風が吹いていた。
生まれて初めて感じた外気と、同じ匂いの風だった。
* * * *
「ゲマだな、これは」
ウーリン到着より十数分後、遅れて現れたDr.ヘルナイトはそう言った。
部隊はほぼ、撤収状態に入っている。この場で応急処置が必要なのは数名。特に重態な
のは先の怪人に犯られたホワイトラブリースター。つまり、敵である唐紅葉月だ。
「ゲマ? って、なんですかそれ」
「俺もシアシアに分析を頼まれただけだから詳しい事はよくわからん。どこぞの組織の怪
人らしい。まあ、何にせよ念のため血清作っておいたのが役に立った。ちょっと腕を抑え
ていてくれ」
元救急救命士のコゾーンの応急処置の甲斐あって、危険な状態は脱してはいた。しかし、
体内に注入された体液は今も彼女の身体を蝕んでいる。体温の上昇、心拍数の異常増加、
呼吸困難、自律神経系は無茶苦茶にされていると見て間違いは無い。時折発作的に起き
る全身痙攣は、現在鎮静剤で治まっていた。
「『こんな事もあろうかと』ってヤツですね」
にやりと笑うコゾーンに、同じくDr.ヘルナイトもにやりと返す。
「残念ながらそうでも無い。なにせアレは最後の最後にしか言ってないんだからな。そう
そう言っていい台詞では無いのだよ」
無駄口を叩きながらも、注射器を扱う手つきは鮮やかなものだった。マッドサイエンテ
ィストの例に違わず、『どちらかと言えば天才』たるDr.ヘルナイトもまた、貴様の専門は
何だと問いただしたくなるほど何でも出来る。怪人生成の生物学、遺伝工学から、負傷者
や病人の治療、作戦で使用する機材の開発、はては社内備品の修理に至るまで、すべて一
人でやってのける。それが天才の天才たる所以なのかもしれないが。
「よし、後はSAFEに連絡入れてその辺に転がしておけばいいだろう」
「後遺症とかは大丈夫ですかね?」
「まあ、当分は男が欲しくなって悶々とするくらいだな」
「ドクター! 自分はホワイトラブリースターの監視任務を志願したいものであります!」
「よし、任せた。デジタルビデオカメラと盗聴器は忘れるな。ダビングしたブツはDVDに編
集してやるから一番に俺の所に持って来い。尚、被写体に手を出すのは禁止だ。分かった
な!」
「了解であります!」
がっし、と男二人が腕を組む。その二人を中心に、仲間達が一人、また一人と集まって
くる。朗らかに微笑み合う男達を、天空に浮かぶ満月が煌々と照らしていた。美しい光景
だった。
「あのー。友情を分かち合っている所申し訳無いのでござるがー」
輪に入れないウーリンが、困った顔をして立っていた。
「どうした?」
「こやつの処分をいかにすべきでござろうかと」
彼女の足元には、ゲマがひくひくと痙攣しながら倒れていた。まだしばらく起き上がる
気配は無いが、放っておけば息を吹き返すだろう。驚くべき生命力だった。
「やはり、持ち主の所へ帰すべきでござろうが……」
「それはやめておけ。送り返しても殺されるだけだろう」
「どういう事でござるか?」
信じられないと目を見張るウーリンを、Dr.ヘルナイトは優しく撫でる。彼女が落ち着く
まで逆立った白銀の毛を撫で下ろし、それから、溜息をつくように言った。
「最近、こいつを作った組織は大量の肉片を廃棄してる。その肉片をDNA鑑定をしたが……
99%の確率でゲマのものだった」
「な、何故そのような事を!?」
「連中はこいつら以外に主力となる怪人を所有している。ゲマはまあ、戦闘員と言った所
だ。主力怪人一に対し、ゲマを三、四体というのが基本的な戦闘単位となっていた。が、
最近それが変化してきた。恐らく、主力怪人の量産が可能になったのだろうな。怪人2に
ゲマ2。場合によっては怪人四〜五体で現れる事も増えてきたらしい」
ここまで言って、Dr.ヘルナイトは忌々しげに奥歯を噛む。彼にしても、我が子とも言う
べき怪人が同じ目にあっていたら。そう思うだけで怒りが込み上げてくる。
「不要ならば棄てる。必要で無いものは殺す。そういう奴等なのだろう」
悪の秘密結社としては、それが正しい選択なのだろう。だがしかし、正しくても許せな
い事と言うのは存在する。
「……それ、リストラって事ですよね」
静かに、コゾーンの一人が言った。
「そうだな」
彼は、営業効率が悪いと言う理由でリストラされた会社員だった。彼だけではない。元
請けの締め付けで閉鎖に追い込まれた小工場の職工もいる。院内の勢力争いに負けて放逐
された研究員もいる。不要と断じられ、闇の中へと投げ捨てられ、社会的に殺された者達
が行き着く所、それが秘密結社ヴァルキルだった。
「じゃあこいつ、俺たちの仲間じゃないですか」
「そうだな」
面倒な事になったぞと、Dr.ヘルナイトは苦笑する。なんとも嬉しそうな苦笑だった。
「ドクター。なんとかなんないですか?」
「こいつ、俺たちの仲間にしてやってくださいよ」
「あんた、天才じゃないですか」
「拙者からもお願いするでござる。こやつをお助け下され」
口々に声が上がる。彼らはみんな弱者だ。だからこそ、弱い立場の気持ちがわかる。
「技術体系がかなり異なった怪人だ。恐らくはかなり強固な洗脳が施されているだろうし、
会話が成り立つように知能も上げてやる必要がある。それに知識や常識、ヴァルキルへ
の忠誠心も教え込まねばならんだろうな。ほとんど再改造だ」
一つ二つと指折り数えて、やらねばならない作業を上げる。聞くからに困難そうな仕事
だった。Dr.ヘルナイトは一つ息をつき、それからにやりと不敵に笑う。
「面白そうな仕事だ。是非やらせてもらおうか」
答えなど、最初から決まっていた。
* * * *
大音響の宣戦布告が遠雷のように轟いていた。
「ぬぁ〜〜はっはっは。深夜遅くに失礼しますっ。我等は秘密結社ヴァルキルっ!」
びりびりと震える大気、緊張と興奮が混じった呼気、鉄を打ち合う火花の匂い、流れ落
ちる血潮の香り。今ここに、戦いの空気が渦巻いていた。
「我らは悪である! 秩序を破壊する悪である! しかし、秩序の名の下に、弱者をいた
ぶる巨悪を殺す悪である! 巨悪を倒し、新たなる秩序を敷いた時、人は我らを何と呼ぶ
か? そう、正義である! 繰り返す! 我らは悪である! すべてを引っ繰り返し、正
義に孵る悪である!」
渦巻く血と鉄と戦いの匂い。ひゅうと吹き抜けた空気が、ひどく懐かしい匂いを運んで
くれた。静かで空虚、ひどく寂しく懐かしい匂い。夜の外気の匂い。
静寂に沈む深夜の空気を、膨れ上がる熱気が侵食して行く。
「出番だ、新入り!」
戦うために彼は生まれた。
のそりと立ったその身長は2mを優に越え、強靭な筋肉と骨格の身体は翡翠の鱗に鎧わ
れていた。骨格からして人間の物ではない頭部には、黄色い閉じることの無い目玉がくっ
ついている。
顔の半ばまで裂けた口から、二又に割れた蛇の舌が中空を探るように顔を出した。
「ゆけい! ヴァルキルの新たなる怪人ヘルゲマー! 貴様を捨てた連中に、貴様の強さ
を見せてやれ!」
「ギギィ!」
戦うために彼は生まれた。まだ戦えると生まれ変わった。
夜空に響く産声を上げ、彼は冥王の戦列に加わる。並び立つのは屈強な死者達。いずれ
も、社会に殺された哀れな生ける屍だったものたちだ。
「目標、秘密結社ゼーロウ! 行くぞ!」
そして戦いは、すぐそこにあった。
>310-333
タイトル:「在る死者のものがたり」
登場作品:「魔法戦士スイートナイツ」「レベルジャスティス」
あー。書きたいことが多すぎて散漫になった感があるけど保守程度に作品投下〜
とりあず次あたりはエロエロなのを書きたいなー。ネタがあればだけど
GJ!
Dr.ヘルナイトとメッツァーの対比が面白いなぁ。
メッツァー様も好きだけど如何せん野望だけの人だからな……ドクターと戦わせるとどうしてもヴァルキル側を応援してしまう。
あと、自動的に行くぞ→征くぞと脳内変換していることに気づく。少佐に影響受けすぎだorz
で、前スレのアレ。
教えろー気になるじゃねーかーヽ(`Д´)ノ
……なんか唐突にSAN値下げてくれてありがとう。
埋め乙。
なんだなんだ、前スレ現スレともいい作品が投下されてるじゃないか。
特にこっちのはエロ成分がココノと葉月、ギャグ成分にヴァルキルと
(名乗りも笑ったし、Drがピンクとしけこむってことは全員陥落済みか)
両方の意味で非常に興奮させてくれました。
しかしコゾーンほぼ全員2ちゃねらーかよw
前スレのやつ、1レスごとにすごい時間の開きがあるんだが
考えながら書いてたんだろうか?
連投制限でも掛かってるのかも。
一昔前と違って、めっきり少なくなったな
元々こんな感じのペースじゃねぇ?
SS書きの人が出来上がったのを好きなときに投下する場ってスレだし。
デモベやアセリアのときの盛り上がりが特殊だったんじゃ。
コゾーン連中面白すぎw
やっぱ反応が少ないと書き手も創作意欲がわかないのかもね
そろそろデュアルセイヴァーのSSでも降って来ないかと期待してる、
あかほり世代としてはアレあんまり抵抗感じなかったし、
でも、ゲームとしてアレだから書く意欲わく職人の人いないかもな…orz
そんなに酷くは無いだろ、デュエルセイバー。
バルドの方が良かったのは確かだけど。
とりあえずリリィのツンデレぶりだけはバルドに勝ってるし。
>>343 まぁマンセーされたいなら2ちゃん外でやれという思いもありますが
いや、2chでマンセーされることに意味があると思う
率直な意見が聞けるというのが2chのいい所だと思うが
ここの住人はSS職人に逃げられたくないせいか
何でもマンセーしてしまうよな。
それがいい事なのか、そうでないのかはまた別の話しだが
マンセーしてるかな。オレには他のとこより厳しいように思えるのだが。
ここしか見てないからわからなかった
これでも厳しいほうなのね
やっぱSSに自信のある人しか投下しないのかな……?
漏れもそう多くのスレを見ているわけではないけど、2ちゃんでは否定的な意見が少ないと思う。
否定的な感想がきっかけでスレの雰囲気が悪くなってお気に入りの書き手がスレを離れてしまう
という展開を嫌ってのことだと思うけど。
強いて言えば反応がないのが否定的意見の代わりみたいな部分があるけど
ここみたいに幅の広いパロスレだと元作品やった人間の多寡が関わってくるからそうも言えないかと。
メーカースレやキャラスレだともっとマンセーの嵐。創作者が相対的に少ないから。
特にキャラスレだと、そのキャラが出てる(っぽい口癖が書かれる)だけでOKって人もいる。
比べたら厳しい方だと思うよ。…まあ外部の批評用のページに投稿するのとでは段違いだけど。
気にいりゃマンセー、気に入らなきゃスルーって感じじゃねぇの?ここの場合。
元ネタが判らなくてスルーってパターンもあるだろうけど。
変に叩きあいになるよりは良いと思うけどね。
というかここの人基本的に上手くない?
いや漏れは普段本と言えばラノベしか読まないダメ野郎だけども。
気にいりゃマンセー、気に入らなきゃスルーってのはそうなんだけど、
このスレはそのハードルが高い気がする。
対象作品が多岐にわたってるだけに書いてくれってんじゃなくて、
書きたい奴が書けばっていうスタンス。
読み手の意識がそんな感じなので取りあえずGJなレスがつかない。
その分だけ他のスレより厳しく感じるんじゃないかと思った。
あと、荒しじゃないちゃんとした否定的な意見って意外に書くのしんどいよ。
マンセーするよりモチベーションいるし、反論される可能性もあるし。
そういうのを書き手は知ってるからスルーされるよか否定的意見がついてる方がスレを離れないと思われ。
>否定的な意見って意外に書くのしんどいよ。
なんか2chとは思えない(´Д⊂
では俺も便乗して語るか。
「荒しじゃないちゃんとした否定的な意見」つーのは批評のこと。その作品が
どこがよくて何が悪いかをできるだけ他人が納得できるよう客観的に書く必要が
あるので、誤字脱字なんてレベルじゃなく、起承転結、伏線の貼り方からオチまで
それが足りないものを指し示す必要がある。言い換えれば、作者よりも見えている
必要があるんだ。だから、批評する人は作者と同じくらい読みこなす力がいる。
しかも勘違いってオチがあったりするしね。以上、駄文でした。
んーまあひたすらマンセーせずに悪いとこもきちんと探すってのは難しいわな
悪いところてのが単に好き嫌いだったりするからな。
ぶっちゃけプロの批評家だって嫌われるでしょ。
批評が役に立つことって、読者・ユーザーの側が批評家の発言全体的にみて自分と感性似てるやつの意見を例えば購入の参考にしたりするくらい。
で思ったけど書き手が批評家参考にしたりってことあるんかね。
読者の好き嫌いを参考にしてここは次はこうしてみようとか思うかもしれんが。
そして読者が2,3人であれ大勢であれ振り回されて好評を博す方向にいくこともあれば、
貶される方にいくこともあると。
ようは批評家や批評家ぶるやつっておれは嫌いってだけだが。
もちろん批評って褒めたり批判したり、てだけじゃなく「この作品はこういう解釈やこういう読み方もできますよ」
ていう新しい視点を提示したりすることでもあるけど。
書いてる側からすると、批評は欲しい所です
もっと言うと批評をしてくれるくらい読み込んでもらえる事が嬉しい。
さらに言うと、お互いに批評しあえる相手が欲しい
……と、言うのがみんなそうだと思って必死に他の人の作品読み込んで批評を入れてたら
怖い人って言われたり、荒らし扱いされた事があったな。あの頃は若かった。
それはともかく、このスレはノンジャンルだから一つの作品やメーカーで需要が出来たら
専用スレが立つので、固定メンバーって言うのが出来にくいんだよね
自分はそれでいいと思うし、書き捨てSSやメーカースレのSS貼り付けなんかも
どんどんやってくれていいんじゃないかなー、と思ったりもしてる
もちろん、違う意見の人はいると思うし、そういう人を否定する気もないけど
361 :
七瀬と香月:04/10/14 00:35:07 ID:p4zC+KZy
19:30 BOOKSHOP 蔵の中 18禁書籍コーナー
(これと・・・・この本も使えそうかしらね?・・・後は・・・)
蔵の中の18禁コーナーで女性雑誌を物色する高遠七瀬の姿があった。
(私、どんどん悪い子になっちゃうわ・・・でも浪馬君のためだもの)
先日生まれて初めて男に、浪馬に抱かれた七瀬は浪馬への想いをますます
強くしていた。
(この前は痛くて気絶しちゃったけど、次からは・・・・・・・・)
(エッチなこともちゃんと勉強して、浪馬君を喜ばせてあげたいの)
七瀬は、要するにどうしようもなく真面目な少女だった。たとえそれが
不慣れな性行為であろうとも、満点を取ろうと考える性格だった。
『18歳未満及び高校生への販売は禁止されています』の張り紙にチクチクと
良心を痛めつつ、それでも七瀬は中身を確認しながら雑誌を選んでゆく。
(これだけあれば・・もう十分ね・・・・でも問題はこれからよ)
七瀬は顔をあげ、遠くに見えるレジを凝視する。
(だ、大丈夫よね? バ、バレないわよね?)
362 :
七瀬と香月:04/10/14 00:37:28 ID:p4zC+KZy
私服に着替えた七瀬は、元々大人びた顔立ちのせいもあり、知らない者が見れ
ば十分女子大生で通じるだろう。しかし人一倍モラルを重んじる彼女は、哀れ
なほどに緊張していた。
(じょ、条例違反よ、条例違反、私条例違反するのよ)
(でも行かなくっちゃ。浪馬君との未来のために!)
(ルビコン川を渡るの!)
大きく一つ深呼吸すると、七瀬はレジへ向かって足を踏み出した。
そこへ
「あれ? 高遠さん・・・・だよね?」
背後から声をかける者がいた。
363 :
七瀬と香月:04/10/14 00:38:45 ID:p4zC+KZy
七瀬「ひゃ!?」
突然名前を呼ばれて七瀬は思わず硬直する。慌てて振り向くとそこにまだ
中学生とおぼしき少女がニコニコしながら立っていた。
七瀬「・・あ、あなた誰? ど、どこかで合ったかしら?」
少女「うぅ・・ヒドイなあ、高遠さん。忘れちゃった? 香月、沢村香月だよぉ!」
七瀬「あ、さ、沢村先生? お、お久しぶりです・・・」
今年の初夏、頼津学園にやってきた実習生を七瀬は思い出した。
香月「実習も終わったし、今はもう先生じゃないけどね」
七瀬「す、すいません気が付かなくて」
香月「短い付き合いだったから、仕方ないよね。
そういや、高遠さんはまだ自治会頑張ってるの?」
七瀬「はい」
香月「エライエライ。ところで何の本持ってるのかな?」
七瀬「え?」
七瀬が胸に抱えている雑誌を香月は興味しんしんで指差した。
七瀬「あの、こ、これは・・・」
(ど、どうしよう? まさか先生に見つかるなんて)
香月「隙あり! とりゃ!」
七瀬「あっ」
香月は素早く雑誌を一冊七瀬の手から奪い取ると、パラパラとめくりだす。
子供っぽい外見どおり、やることも子供っぽいのが香月だった。
香月「特集・・彼が貴女から離れられなくなる口技ぃ?・・高遠さん?」
七瀬「は、はいっ?」
七瀬の声が裏返った。
香月「むふふふふふふ、高遠さんもこんなの読むんだ?」
七瀬「あぅぅぅぅぅ・・・」
365 :
七瀬と香月:04/10/14 00:44:08 ID:t8cezoWI
香月「意外だなあ・・・でもいくら何でももこれは刺激強すぎない?」
ちょっぴりどぎつい性技指南のページを開いて七瀬に見せると、
香月が苦笑した。
七瀬「・・・・・・・・・」
七瀬は羞恥のあまり身がすくんだ。
香月「興味あるのはわかるけど、高遠さんが買っちゃいけない本だよ?」
七瀬「・・・・・・はい」
香月「実習は終わったけど、さすがにちょっとこれは放置できないよ」
七瀬「・・・・・・はい」
香月「ほら雑誌を本棚に返しなさい。それで見なかったことにしてあげるから」
366 :
七瀬と香月:04/10/14 00:45:41 ID:t8cezoWI
七瀬「せ、先生・・・・」
香月「ん? なに?」
香月が正しく、間違っているのは自分。そんなことは百も承知だった。
しかし七瀬には今、是が非でも本を手に入れたい切実な理由があった。
(ろ、浪馬君のためなら)
七瀬「お、お願いです! 見逃してくださいっ!」
香月「え?」
七瀬「悪い事なのはわかってます。でも、でもどうしても必要なんです!」
香月「こ、こんな雑誌が?」
七瀬「そうですっ!」
香月「高遠さん・・・」
七瀬「先生・・お願い・・・お願い・・・お願いします・・・・」
七瀬は自分の胸ほどの背丈の香月に何度も頭を下げた。
周囲に他の客がいなかったのが幸いといえば幸いだった。
367 :
七瀬と香月:04/10/14 00:46:39 ID:t8cezoWI
七瀬の必死の嘆願にあっけに取られていた香月は、
それでも年上らしい気配りを見せた。
香月「そんなに頭下げないでよ。うーん・・・何かワケがあるのね?」
七瀬「は、はい・・・」
香月「でもこんなモノいったい・・・あ・・・ああ、そっか」
七瀬「先生?」
困惑顔の香月の表情がニヤニヤ笑いへと急変する。
香月「えへへへへへへへ、高遠さん?」
七瀬「な、なんでしょうか?」
香月「いい人できたんでしょ?」
七瀬「・・・・・・!」
香月「それでこんな雑誌が欲しくなったんだ?」
七瀬「あ、あの、あの、あの、あの・・・」
香月「むふふふ、自治会の副会長さんもなかなかやるじゃないの」
香月は満面の笑みを浮かべ、肘で七瀬のお腹をツンツンと突いた。
七瀬「あうぅ」七瀬は顔をあげられなくなった。
368 :
七瀬と香月:04/10/14 00:50:34 ID:t8cezoWI
香月「ね、高遠さん」
うつむいたままの七瀬の顔を覗き込むと、香月は優しく言った。
「教師を目指す者として見過ごすわけにはいかない事だけど、
女としては貴女の気持ちもよくわかる。今日ここで合ったのも
何かの縁かもね。だから協力してあげるよ」
七瀬「先生・・?」
香月「ほら高遠さん、残りの本も貸しなさい」
七瀬「え?」
香月「あなたが買っちゃいけない本だって言ったでしょ?」
七瀬「は、はい」
香月「私が代わりに買ってあなたに渡すから」
七瀬「え?」
香月は有無を言わせず雑誌を奪い取ると、さっさとレジに向かう。
七瀬「あ・・・先生・・・」
香月「あなたはそこに居なさい。後でお金だけ返してねー」
369 :
七瀬と香月:04/10/14 00:52:10 ID:t8cezoWI
(先生・・・・・・・)
七瀬は意外な香月の行動に驚きながら、感謝の気持ちでいっぱいになった。
(外見は子供みたいな人だけど、私なんかよりずっと大人なんだわ・・・・)
(え?・・・外見が子供・・・・?)
七瀬は、ふと恐ろしい現実を思い出し、慌てて香月の後を追いかけた。
「せ、先生! 待ってください」
しかし既に遅かった。レジの方から香月のお子チャマなキンキン声が
声が響いてくる。
「なんですって?! わ、私はもう大人だってば!」
370 :
七瀬と香月:04/10/14 00:53:30 ID:t8cezoWI
七瀬が駆けつけると、既にレジの前で香月と店員の珍問答が繰り
広げられていた。
香月「だから、私はもう大学生で・・・」
店員「そんな嘘言っちゃダメだよ、お嬢ちゃん。ママはどこかな?」
香月「マ、ママ?」
店員「この本はね、もっと大きくなってからにしようね」
香月「し、失礼ね。大学生の私に向かって何てこと言うの!」
だがレジの前でブンブンと腕を振り回す香月は、大学生どころか小学生
にしか見えない。
店員「大学生? 難しい言葉を知ってるんだね?」
香月「あ、あのねえ」
371 :
七瀬と香月:04/10/14 00:55:13 ID:t8cezoWI
七瀬「先生っ!」
香月「あ、高遠さん。言ってやって言ってやって、私が大学生だって」
七瀬「えーっと・・・」
(い、言ったって無駄よ。私から見ても小学生だもん・・あ、そうだ)
七瀬「先生、免許か何かお持ちじゃないですか?」
香月「あ、そうそう。ほらこの学生証を見なさい!」
香月がバッグから学生証を取り出す。
店員「顔写真のところに犬の写真が張ってあるけど・・よくできたオモチャだなあ」
香月「だからそれは私の友達が張ったの! ちゃんと下には私の写真が!」
372 :
七瀬と香月:04/10/14 00:57:03 ID:t8cezoWI
20分後 BOOKSHOP前
七瀬「はぁ・・・」
香月「ひぃ・・・」
散々すったもんだした挙句、なんとか店員に納得してもらった二人は、
ようやく雑誌を手に入れて、店の外に出た。
七瀬(大騒動になってしまったわ。し、しばらくはこの店に来れないかも)
香月「ったく・・・いつもこうなんだから。私の何が悪いっていうの?」
七瀬「・・・・・・・」
その外見では仕方ないと思いつつ、香月が気分を悪くするだろうと考え、
七瀬はコメントを控えた。
香月「このレディを捕まえて中学生だ、小学生だなんて、ホント失礼
しちゃうでしょ?」
七瀬「・・・・・・・・・」
七瀬は、やはり何もいえなかった。嘘が言えない性格なのだ。
香月「高遠さん、ほら早く行こうよ。店員のヤツ、まだこっち見てるよ」
七瀬「あ、はい」
373 :
七瀬と香月:04/10/14 00:59:08 ID:t8cezoWI
駅前広場
二人はとりあえず近くの駅前広場まで移動した。
七瀬「先生、お代金です」
香月「ありがと。じゃあこれがあたなの本だから」
七瀬「すいません。ご迷惑かけてしまって」
香月「え? うん、平気平気いつものことだから」
七瀬「でも・・・」
香月「気にしない気にしない・・あ、そうだ、お礼といっちゃなんだけど」
七瀬「はい」
香月「高遠さんの彼氏の名前、教えてよ、えへへへへ」
七瀬「あ、あの・・あ・・それは・・・」
香月「むふふふふ、やっぱ恥しい? じゃあ・・・私が当ててみようかな」
七瀬「え・・・」
(実習でほんの少し学園にいただけ、そんなことがわかるのかしら?)
374 :
七瀬と香月:04/10/14 01:00:29 ID:t8cezoWI
香月「ほらバスケ部に格好イイ子がいたよね。えーっと、雨堂クンだっけ?」
七瀬「え? ち、違います」
香月「外れたか。美男美女でお似合いかと思ったんだけど・・・じゃあ・・」
七瀬「せ、先生、もう止めてください」
香月「そうそう、本命を忘れてたわね」
七瀬「え? 本命?」
香月「織屋浪馬クン」
七瀬「えっ・・・・・・!?」
香月「えへへへへへ、当たった?」
七瀬「・・・いえ、あ、あんないい加減な人なんて私は・・・」
(ど、どうして? どうしてわかったの?)
香月「これもダメか。私の勘は結構あたるんだけどなぁ」
七瀬は驚きながらも、香月が浪馬と思った理由を尋ねたくなった。
七瀬「あの・・・せ、先生・・どうして織屋君だと思ったんですか?」
375 :
七瀬と香月:04/10/14 01:01:47 ID:t8cezoWI
香月「そうね、あなた達二人は縁がありそうだったから」
七瀬「縁・・・・・?」
香月「短い実習期間だったけど、二人の噂は沢山聞かせて貰ったよ?」
七瀬「・・・・・・・」
香月「いつも衝突してたみたいね。でもそれも縁なんだよ」
七瀬「縁・・・・・・私と浪馬君の・・・・・」
香月「そ、今日偶然私と高遠さんが再会したのも何かの縁。あなたが
織屋君の天敵になったのも縁。何か繋がりがりがあるのね」
七瀬「・・・・・・・縁・・・・・」
香月「どうしたの? 急に考え込んじゃって?」
七瀬「い、いえ・・・何でもありません」
香月「ふーん。ま、いいや。これ以上聞かない方がいいみたいだし、むふふ」
376 :
七瀬と香月:04/10/14 01:03:27 ID:t8cezoWI
夜の頼津町 交差点
七瀬「先生、今日はありがとうございました」
香月「いいの、いいの。このくらい」
七瀬「では失礼します」
香月「えへへへ、彼のために頑張ってお勉強するんだよ?」
七瀬「あ・・・・・はい・・・・」
香月「じゃあ行くから。バイバイ高遠さん。またどこかで会えるといいね」
七瀬「縁があったら・・・ですか?」
香月「うん、そうだね!」
香月は手をヒラヒラと振ると、トテトテといかにも
子供っぽい走り方で去ってゆく。
377 :
七瀬と香月:04/10/14 01:04:44 ID:t8cezoWI
(本当に子供にしか見えない人よね。でも浪馬君を私の相手に連想する
なんて凄い観察力だわ。ひょっとして良い先生になれる人なのかもしれない)
七瀬は香月見送りながら、ふとそう思った。
(そうね、第一印象で決め付けちゃいけないのよね。そもそも浪馬君だって)
七瀬はクスリと一人笑った。
入学以来ずっと目の仇にしてきた浪馬を、今は愛しくてならない自分なのだ。
(不思議な話・・先生の言うとおり浪馬君と私には縁があったのかも知れない)
(・・・・先生のお蔭で、私何か大切なことを知った気がする)
七瀬は香月が消えた方角に、もう一度ぺこりと頭を下げた。
そして家路へとついた。
七瀬と香月 END
素晴らしい。
文才あるなー。
GJ!!!!
誤字脱字、描写抜け結構ありました。スイマセン。
七瀬とろーま
七瀬と浪馬の主観が随時入れ替わります。
入れ替え時は【七瀬】と【浪馬】で示しておきます。
なお、()のなかはそれぞれの手前に書かれた人物の
主観に置き換えて読んでください。
【七瀬」】
ある11月の土曜日の夕方、河原にて。
七瀬「風が気持ちいいね。今日は秋らしく晴れているし」
ろーま「へぷちっ」
七瀬「あら?寒いの?執行部で淹れた紅茶を持ってきたから
一緒に飲みましょう」
ろーま「……」
七瀬「飲まないの?ダージリンの香りが嫌いなのかしら。
まぁいいわ。私はひとりで飲んでいるから」
ろーま「…」
七瀬「・・・」
後ろから何かが近づいてくる音。しかし七瀬は気がつかない。
七瀬「それにしてもあなたとこういう風に過ごすことになるなんて
ついこの間までは考えもしなかったわ。それが今では
こんな風に過ごす時間が何より大事。人を好きになるって
本当に素敵な事なのね」
【浪馬】
時間は若干戻って頼津学園キックボクシング同好会部室。
浪馬「さて、そろそろロードワークに出よう。河原まで行って戻るとするかな」
河原へ向かう浪馬。そこには…
浪馬(あれ、あそこにいるのは七瀬じゃないか?後ろから脅かして
やろうかな。ん、でも誰かと話しているみたいだぞ)
七瀬「それにしてもあなたとこういう風に過ごすことになるなんて
ついこの間までは考えもしなかったわ。それが今では
こんな風に過ごす時間が何より大事。人を好きになるって
本当に素敵な事なのね」
浪馬(なんだって…一体誰と話してるんだ?好きって言ってたよな。
相手は誰なんだ?でも流石にこの場で確かめるわけには
いかないし。とりあえずここは退散しなくっちゃダメだよな)
【七瀬】
七瀬「あら?誰かいたのかしら?ひょっとして聞かれちゃってたかな?
どうしよう、ろーま」
ろーま「ワン」
七瀬「ワン、じゃないよう。どうしよう、恥ずかしい」
【浪馬】
夜、浪馬の自宅にて。
浪馬(やっぱりあれ、男だよな。でもじゃあ何で俺とキスなんかしたんだ?
さっぱりわからにぞ。とりあえず七瀬に聞いてみなくちゃダメだよな。
七瀬の携帯は…)
【七瀬】
七瀬の自室。
七瀬(あ、浪馬君から電話だ。明日のデートのことかな?)
七瀬「あ、浪馬君。どうしたの?」
浪馬「七瀬に聞きたいことがあって。今日河原で誰かと話してたよな?
あれ、誰なんだ?それに好きって…」
七瀬「ちょ、ちょっと待って。その話、どのあたりから聞いてたの?」
七瀬(あれ浪馬君に聞かれちゃってたんだ。どうしよう)
浪馬「あなたと過ごすのが云々ってあたりからだけど、ひょっとして…」
七瀬(それにしても何か勘違いしてるみたいね。嫉妬してくれてるみたいだから
嬉しいような、浮気を疑われているみたいで腹立たしいような。このまま
あっさり教えちゃうのもつまらないわよね。疑った罰にちょっと焦って
もらおうかしら。上手くお芝居できるといいんだけど)
浪馬「なぁ、黙ってられるとわからないぜ」
七瀬「そうね、いずれ浪馬君にも紹介しなきゃいけないって思っていたし。悪いんだけど、
今から河原まで来てもらえるかな」
浪馬「…わかった」
ガチャ、電話が切られる。心なしか乱暴な切り方だった気がする。
七瀬(なんかちょっと話し方が変になっちゃった気がするわ。上手く行ったのかしら。
焦ってはいたみたいだけど…
あ、あぁー!!ちょっと待って、浪馬君は来てくれるって言ってたけど、
もし本当に勘違いをして、来てくれなかったらどうしよう。このまま終わり、
なんてことになっちゃったら…ダメ、そんなのダメよ。落ち着いて高遠七瀬。
あなたは頼津学園学生自治会執行部副会長。落ち着けばいいアイデアが
浮かぶはずよ。まずは浪馬君の携帯に…って浪馬君携帯持ってないし。
あー焦っちゃだめ。まずは深呼吸。スー、ハー。そうだ、まだ家にいるかも
しれないわ。電話してみないと)
トゥルルルルルル…トゥルルルルルル…
七瀬(ダメだわ、出てくれない。河原に行かないと)
【浪馬】
電話終了後の自宅。
浪馬(七瀬が紹介したいって…そういうことだよな。とりあえず行ってみないと、だな)
自宅から河原へ向かう途中
浪馬(しかし出ては見たものの気が進まないな。追試なんかよりよっぽどきついな。
とはいえ、決着はきちんとしないとな)
【七瀬】
夜の河原。街灯もまばらで周りはあまりよく見えない。
七瀬「ハァ、ハァ、やっぱりまだ来てない。ひょっとして呆れてどこか行っちゃったのかな」
5分後
七瀬(まだ来てくれない。でも5分しか経ってないし)
10分後
七瀬(まだ…そうだ、ろーまを探しておかないと)
【浪馬】
七瀬に遅れること約15分。河原に到着。
浪馬(着いたけど七瀬は?)
七瀬「ろーまぁ〜。ろーまぁ〜。どこなの〜?」
浪馬「ちょっと七瀬、どうしたんだよ?そんなに呼ばなくったってもう来たよ」
七瀬「あ、浪馬君。どうしよう、ろーまがいないの」
浪馬「ちょっと待てよ七瀬。意味がわからないぞ。少し落ち着けって」
七瀬「う、うん。あそこにね、ろーまがいるはずなのに、いないの」
浪馬「あそこって…ダンボールがあるだけで」
七瀬「うん。ろーまの犬小屋。そこで飼ってたんだけど、いなくなっちゃってて」
浪馬「犬?七瀬が犬飼ってたのか?ここで?」
七瀬「うん。お願いだから浪馬君も探して」
浪馬「わかった。とりあえずその辺を探してみるよ」
七瀬「お願い」
10分後
浪馬「ったく、手こずらせがって。危うく夜の川へダイブするところだった」
七瀬「はい、浪馬君。コーヒー」
浪馬「ところで、何でコーヒーなんだ?七瀬だから紅茶かと思ったんだが」
七瀬「紅茶好きからすると缶の紅茶はね」
浪馬「ところで、紹介したいって言ってた人はどこにいるんだ?こんな状況で
七瀬を放っておくなんておかしいんじゃないか」
七瀬「ごめんなさい、そのことなんだけど、浪馬君が勘違いしているみたいだから
ちょっとからかってみようかと思って」
浪馬「ってことはそんな人はいない?」
七瀬「いないって訳じゃないのよ。紹介するまでもなく、もう会っちゃったけど」
浪馬「というと…」
七瀬「うん、ろーまのこと。私、紹介したいのが人だなんて言ってないよ」
浪馬「そーいえばそうだな。でもまだ聞きたいことがあるんだけど」
七瀬「その前に私からも言わせて。浪馬君、私がここで男の人と会ってると
思っていたでしょう。私はそんなこと、しないんだからね」
浪馬「う、ごめん」
七瀬「謝ったって許してあげない。執行部副会長として罰を与えます。
そこで目をつぶって裁きを待つように」
浪馬「ちょっと待てって、執行部は関係ないだろ」
七瀬「問答無用。覚悟なさい」
浪馬(ここで七瀬を怒らせてもしょうがない。仕方ない、おとなしく
叩かれておこう…ってえぇ!?)
七瀬「んっ」
浪馬(えぇ?キ、キス?それにしても長いな)
七瀬「っ。どう?苦しかった?」
浪馬「いや、どっちかというと気持ちよかった」
七瀬「バカっ」
浪馬「でもとりあえずこれで七瀬があの時言ってたことの謎も解けたかな」
七瀬「もうっ。そのことは言わないの」
浪馬「ハハハ。しかし、あの犬はいつから飼い始めたんだ?なんで名前が
浪馬になったかは、身をもって理解させてもらったけど」
七瀬「浪馬、じゃなくてろーま、よ。飼い始めたのは、駅前で変な人たちに
絡まれていたのを浪馬君に助けてもらったことがあったでしょ。
あの次の日に考え事をしながら河原を歩いていたら捨てられているのを
見つけて、構ってあげたらなついちゃって。その時からこの調子
だったんだけどね」
浪馬「なるほど」
七瀬「ねぇ浪馬君、さっき私が言ってたこと聞いてたのなら、私の気持ちは
わかってるよね。浪馬君は…」
浪馬「俺も、七瀬のこと好きだよ」
七瀬「よかったー。ちょっと意地悪してみようと思ってあんなことを言ったけど
もしそのせいで来てくれなかったらってすごく不安だったから」
浪馬「俺だって七瀬に彼氏がいたら、と思ってすごく焦ったんだぜ」
七瀬「そう…だったんだ」
浪馬「だからここまで来るのもかなり時間かかっちゃったし」
七瀬「こっちのろーまもトラブルメーカーってことね。ふふふ。でも、その
おかげでお互いの気持ちも確かめられたんだし、ろーま様々、かな」
浪馬(うーん、こうして笑ってる七瀬はすごくかわいいぞ。そうだ、さっきの
仕返しをしてしまおう)
浪馬「なぁ七瀬」
七瀬「どうし… !?」
浪馬(やっぱりあわててるぞ。これは上手くいったかな)
七瀬「ろ、浪馬君、いきなりキスするなんて反則よ」
浪馬「じゃあさっきの七瀬は退場どころか永久追放にでもなるんじゃないか」
七瀬「ふーん、浪馬君は私を永久追放しちゃっても平気なんだ」
浪馬「そんなわけないだろ。七瀬が反則だ、なんて言うから、ちょっと
言ってみただけだって」
七瀬「それならいいんだけど。ね、ねぇ浪馬君」
浪馬「ん?どうしたもう一度キスしたい、とか?」
七瀬「う、うん。今日は2回とも突然だったし」
浪馬「そうだな」
七瀬「浪馬君」
浪馬「七瀬」
浪馬(ん、足元に何か…)
チー
浪馬「うわぁぁぁぁぁ」
七瀬「ちょ、どうしたの、浪馬君?」
浪馬「ろーまがおしっこひっかけて逃げた…」
七瀬「えぇー。こらっ。ろーま、待ちなさい」
ろーま「きゅーん」
七瀬「きゅーん、じゃないわよ。ダメじゃない、そんなことしちゃ」
浪馬「ひょっとしてこいつ、俺に嫉妬したのかな」
七瀬「え?」
浪馬「いや、なんとなくそう思っただけなんだけどさ」
七瀬「そうなの、ろーま?」
ろーま「ワン」
浪馬「やけに力強いワンだな。こりゃーホントに俺たちが言ってること
わかってるのかもしれないぞ」
七瀬「そうみたいね」
浪馬「残念ながら、キスはお預けか」
七瀬「いいじゃない。これからずーっと一緒なんだから数え切れないくらい
何度でもキスしましょう」
浪馬「…いやー、何とも情熱的。男冥利に尽きますな」
七瀬「な、何で急に老けたようなしゃべり方になるのよ」
七瀬(それにしても、私なんて大胆なこと言っちゃったんだろう。口に出す
つもりなんてなかったのに)
浪馬「しかし、これは明日の植物園行きは中止かな」
七瀬「え、どうして?」
浪馬「そんな不安そうな顔するなって。ただ、こいつと遊んでやったほうが
いいんじゃないかと思ってね」
七瀬「あぁ、そういうことね。そうね、それがいいわ」
浪馬「じゃあ明日はここに9時ってことで」
七瀬「うん」
浪馬「ところでこいつはどうする?七瀬のうちでは飼えないんだろ」
七瀬「うん、お母さんはいいんだけど、お父さんが…浪馬君は?」
浪馬「うちで飼えないことはないんだけど…こいつは鍵かけておいても
とんでもないところから逃げ出しそうだからな。そうなって廃材
置き場に紛れ込んで大騒ぎに、という光景が目に浮かぶよ」
七瀬「やっぱり暫くはここに居てもらうしかないみたいね」
浪馬「そうだな。でもお互いがちゃんと世話してあげれば大丈夫だろう」
七瀬「そうね」
浪馬「さて、寒くなってきたし、そろそろ帰るか。って、七瀬何だよその格好
めちゃめちゃ寒そうじゃないか」
七瀬「あわてて家から出てきちゃったから…」
浪馬「俺のコート貸すから着て帰れよ。風邪ひいたら大変だ」
七瀬「でも、それだと浪馬君が」
浪馬「心配ご無用。俺はそんなにやわじゃないから。人の好意は素直に
受けるもんだぜ」
七瀬「わかったわ。ありがとう。ちゃんと明日返すから」
浪馬「おう、それじゃあまた明日」
七瀬「うん。おやすみなさい」
浪馬「おやすみ」
【七瀬】
帰宅途中。
七瀬(必死だったから、言われるまで気がつかなかったけど私の格好、
どう考えても11月の夜に外に出て行くようなものじゃないわよね。
かなり冷えちゃった。浪馬君にコートを借りられて良かった。
風邪を引いてデートできないなんて嫌だもの)
七瀬(それにしても男の人のコートって大きいのね。でもすごくあったかい。
浪馬君と一緒に居るみたい。このコートなら二人でくるまれそう。
ってなに考えてるの私。少し前ならこんな破廉恥な事を言う人が居たら
すごく軽蔑していたのに…誰かを好きになるとみんなこういう気持ちに
なっているのかな)
七瀬(でも、誤解したまま変なことになっちゃわなくてほんとに良かった。
それだけじゃなく、お互いの気持ちも確かめられたし。そう考えると
ろーまは恋のキューピッドなのかな。天使って言うには少しやんちゃ
過ぎるかもしれないけど。ふふふ。ありがとうね、ろーま)
七瀬(いけない、もううちの近くまで来ちゃった。コートを脱いでおかなくっちゃ。
お母さんに見つかったら何を言われるかわからないし。玄関のあたりには
誰も居ないわよね。よし!)
七瀬ママ「ナナちゃん。どこに行ってたの?」
七瀬「お、お母さん。ちょっとその辺に散歩に…」
ママ「こんな時間に?部屋にコートを置いて?」
七瀬(もう、こういうところは変に鋭いんだから)
七瀬「部屋で勉強してから、外の冷たい空気に当たって気分転換をしようと思って」
ママ「浪馬君に会っていた、と」
七瀬「!!」
ママ「ふふふ、後ろに隠してるつもりなのかもしれないけど、コートの袖が
尻尾みたいに垂れてるわよ」
七瀬「あ、あのこれは」
ママ「いいわよ、私もこうやって夜抜け出してよくパパと会っていたし。懐かしい
わぁ。でもね、ナナちゃん、ナナちゃんは女の子なんだから、そこのところは
きちっと考えてね」
七瀬「はい。ごめんなさいお母さん」
ママ「うん。それじゃあお部屋に戻りなさい」
七瀬「はい。おやすみなさい」
ママ「おやすみなさい」
七瀬自室にて。
七瀬(はー、もう何もかもお見通しだったのね。やっぱりまだお母さんには
勝てないな。私ももっと精進しないと。あ、もうこんな時間。
デートなんだし早く寝ないとダメよね。浪馬君のコートを掛けて…そうだ、
これを着て寝たら、浪馬君の夢、見られるかな。でも皺になっちゃうし
明日返すなんて無理よね。ああ、でもクリーニングに出すからって言えば
大丈夫かな?うん、大丈夫。多分、きっと。ごめんね、浪馬君のコート。
私、夢の中でも浪馬君に会いたいんだもの。今夜だけ許してください。
さぁ、そうと決めたらもう寝ないとね)
七瀬「おやすみなさい、浪馬君。大好きだよ」
書きながらストーリーが二転三転したので、変なところが
いくつかあるかもしれませんが見逃して貰えると幸いです。
10月17日(日) 夜 高遠家 七瀬自室
机に向かう七瀬は何度も溜息をついていた。
「こんな気の重い誕生日は生まれて初めてじゃないかしら?」
チンピラ達にあわや暴行を受ける寸前の危機。偶然通りかかった浪馬の行動。そして
普段とは立場を逆にした浪馬のお説教。昨夜の事件以来、七瀬は一種の混乱状態にあっ
た。不安と恐怖、驚きと安堵、喜びと困惑、感謝と反発・・様々な感情が荒れ狂い、彼女は
ひどく高ぶっていた。
(な、なによ、織屋君ったら偉そうに。私は間違ってないわ。あの人たちが悪いから注意
しただけなのに、どうして私を怒るの? お、おかしいわよ! ちゃらんぽらんでいい加
減で、いつも私に注意されるくせに、あんな・・あんな・・真剣な目をするなんて・・)
(そもそも織屋君に助けて貰わなくったって・・・織屋君がいなくたって・・・・わ、私はちゃ
んとあの人達を説得して・・・・ううん、私は震えてただけだった。怖くて足が竦んでた。
もうダメだと思った。織屋君がいなかったら私は今頃・・・・・・)
(で、でも織屋君って、やることなすこと二枚目半なのよね。助けてくれるにしてももう
少しスマートにできないものかしら? 不器用というか、今ひとつ決まらない人なの
よ。その・・昨日はちょっと・・か、か、カッコイイと思わないでもなかったけれど。
で、でも私への注意の仕方はやっぱり納得できないわ! 織屋君のバカ!)
七瀬は昨夜からずっとこの調子で堂々巡りをしていた。浪馬とはあれ以来合って
いない。掛かってきた電話も居留守を使って出なかった。
(今は織屋君と話をする気分じゃないわ) その癖、彼女はこうも思った。
(ここに様子を見に来てくれてもいいのに。ほら、恋愛小説だとよくあるじゃない?
それで二人の気持ちが一気に燃え上がるのよ・・・あ・・私別に織屋君の恋人じゃない
んだっけ・・・でも、友達ならそれくらいしてもいいはずよ? ホント織屋君って気配
りができない困った人ね。もう呆れちゃうわ)
自分で避けてる癖に、相手には会いに来いという滅茶苦茶な理論で浪馬を責めながら、
七瀬はとうとう机に突っ伏してしまう。溜息がまた出た。
(明日はせっかくの誕生日なのに。自治会のみんなが何かしてくれるって言ってたわね。
母さんもご馳走用意するって張切ってる。でもこんな気分じゃ嬉しくないわね・・・あ)
突然ガバと七瀬は身を起こした。(織屋君は・・・覚えてくれてるかしら?)
(ふ、ふんだ。もしプレゼントくれても私は受け取らないわ。そうよ、私に偉そうにお説
教する人から貰ったって嬉しくないもの。その場でつき返してあげる。絶対受け取る
もんですか! 頭下げたってダメよ。織屋君なんか、織屋君なんか・・)
完全に意地っ張りモードに入っている七瀬は、やっぱり心の中で浪馬に悪態をついた。
しかし体は正直なもので、彼女の顔は真っ赤だった。
(で、でも・・もし・・・・・織屋君が何も言ってくれなかったら・・・・)
確かに浪馬が七瀬の誕生日を覚えている保証はない。その事実を思い出した七瀬は、
また机に突っ伏す。長い長い溜息をまた一つついた。
(覚えてくれてなかったら、私やっぱり悲しいと思うのかな・・・・・あ? で、でも)
七瀬は、またたま身を起こす。起きたり突っ伏したりと実に忙しい。
(お、織屋君には私の誕生日を祝って、プレゼントを贈る義務があるはずよ!)
どこをどう思考が飛躍したのか、七瀬はまた妙な理屈を思いついたらしい。
(春先から毎日のように話しかけてくるし、どれだけ断ってもしつこく誘うし、しかた
ないから一緒に行ってあげれば何時間も引っ張り回すし! 私が貴重な時間をどれだ
け割いたと思ってるの? 近頃じゃ、わ、わ、わ、私の・・を触ろうとしたこともあっ
たわね。ホントエッチなんだから。あげくに昨日はお説教までするのよ?)
最近は浪馬に誘われるのを心待ちにしているのも忘れて、七瀬は一人憤然とした。
もっとも顔はやはり真っ赤だ。それどころか耳まで赤くなっている。
(これで私の誕生日を忘れてたり、プレゼントを渡さないなんて許されるはずないわ!)
浪馬のくれる誕生プレゼントは断固拒否するが、浪馬にはプレゼントを贈る義務がある。
際限なく暴走する無茶苦茶理論に、むろん七瀬自身は気づいていない。
(と、いうことは・・・・) 七瀬の無茶苦茶理論は、更に発展するらしかった。
(お、織屋君には義務があるんだから、無理に断ったら可哀想ね。そ、そう言う理由
があるなら、私も受け取ってあげてもいいわ、うふふふ。じゃなくて・・・織屋君に義務を
果たして貰うにはそうするしかないのよ。織屋君が私にプレゼントを渡して私が受け取
る・・うん、簡単なことじゃない。それですべてうまく行くのよ!)
結局七瀬は浪馬のプレゼントを受け取るつもりになった。いや、彼女の理屈からする
と、浪馬がプレゼントを渡し自分が受け取るのは、既に確定した未来のようだ。
恋する乙女心は、酷く回り道したり、時には後戻りするものの、それでもやはり、落ち
着くところに落ち着くものである。ただ七瀬は、人並みはずれて迂回路が多かった。
要するに意地っ張りなのだ。
「ふあ・・・・」
ふいに七瀬が欠伸をした。
他人から見みれば支離滅裂な理論展開ではあったが、一つの結論にたどり着いたことで、
張り詰めていた気持ちが落ち着いたのだろう。思えば、昨夜はほとんど一睡もしていなか
った。
「ふう・・今日はもう寝ましょうか?」
「明日は織屋君に寝不足の顔なんて見せられないものね!」
七瀬はつぶやくとイスから立ち上がり、ベッドにもぐりこむ。
横になるとたちまち激しい睡魔が襲ってきた。全身にしびれるような感覚が走り、
彼女は急速に夢の世界に引き込まれてゆく。
途切れ行く意識の中、七瀬は再び浪馬のことを想った。
朦朧としているせいだろう、今度は素直な気持ちがあふれ出た。
(織屋君・・・・明日・・楽しみにしてるからね・・・・・)
(言って欲しい。他の誰よりも、織屋君におめでとうって言って欲しい・・・)
(忘れてないよね? 覚えてくれてるよね?)
(もし忘れてたら、私泣いちゃうからね・・・・)
(・・・織屋君・・・・ありがとう・・助けてくれて・・・・・)
(あの時のこと・・・明日会ったら謝りたい・・・謝りたいの・・・・)
(織屋君・・・織屋・・・クン・・・・・私の・・織・・屋・・・・)
後には七瀬の静かな寝息だけが残った。
END
題材「下級生2」
キャラ:高遠七瀬。
前日駅前チンピライベント発生 翌日七瀬宅で会話しない前提でのネタ
日付はゲーム中ではなく、リアルのほうに合せてあります。
ずっと"りょうま"だと思ってた"ろうま"だったの?
だね
(゚ε゚)キニシナイ!!
ええかげん保守
保管サイトの方はそろそろ更新する時期だな……今月はリアルで忙しいので
来月頭くらいに
保守。
408 :
名無しさん@初回限定:04/10/30 09:49:48 ID:jZpatgK4
すまん、sage忘れた・・・。
頼子さんの様子がおかしいのに気づいたのは3日前のことだった。
明らかに生気のない顔、酷く緩慢な動き。
―あの頼子さんのことだ。また昨夜遅くまで料理の勉強をしていたのだろう。
そのようにしか考えられなかった自分に、情けなさを通り越して憤りを感じる。
食が細くなり、楽しそうにやっていた家事が苦行のようにしか見えなくなったのが2日前。
さすがにおかしいと感じた俺は、頼子さんに病院に行くのを勧めた。
しかし頼子さんはそれを拒んだ。今考えると、頼子さんはもう自分が長くないということを
この時わかっていたのかもしれない。
血を吐いたのが昨日。床に大きな水溜りができるほどの大量の血が、
頼子さんの小さな口から溢れ、零れ落ちた。
俺は慌てて救急車を呼ぼうと思ったが、もう手遅れだということは俺でも感じ取れた。
そして今日の朝、日の出とともに頼子さんは還らぬ人となった。
最後に残されたほんの小さな力でそれでもなお病院を拒んだ頼子さん。
頼子さんは最後は俺の腕の中で死ぬことを選んだ。
「純一さん、短い間でしたけど、私、幸せでしたよ」
頼子さんはそんな言葉を残して日の出とともに逝った。
やっぱりネギを食べさせたのがいけなかったのだと思う。
断腸の様子がおかしいのに気づいたのは3日前のことだった。
明らかに生気の満ちた顔、酷く緩慢な動き。
―あの断腸のことだ。また昨夜遅くまでコスの女の子とセクースをしていたのだろう。
そのようにしか考えられなかった自分に、情けなさを通り越して憤りを感じる。
食が太くなり、楽しそうにやっていた曲芸商法が快楽のようにしか見えなくなったのが2日前。
さすがにおかしいと感じた俺は、断腸にK札に行くのを勧めた。
しかし断腸はそれを拒んだ。今考えると、断腸はもう自分がタイーホされるということを
この時わかっていたのかもしれない。
札束をばら撒いたのが昨日。床に札束の海ができるほどの大量の札束が、
断腸のふくよかな腹から溢れ、零れ落ちた。
俺は慌ててK札を呼ぼうと思ったが、もう手遅れだということは俺でも感じ取れた。
そして今日の朝、日の出とともに断腸は還らぬ人となった。
最後に残されたほんの小さな力でそれでもなおK札を拒んだ断腸。
断腸は最後はK札の檻の中で死ぬことを選んだ。
「人生サーカスだ」
断腸はそんな言葉を残して日の出とともに連れて行かれた。
やっぱりD.C.に頼りすぎたのがいけなかったのだと思う。
412 :
408:04/10/30 21:31:14 ID:jZpatgK4
保守
414 :
名無しさん@初回限定:04/11/05 11:29:02 ID:7FE2BRyD
age
nullpo&haert;
haert w
417 :
名無しさん@初回限定:04/11/10 22:12:58 ID:pSisyqJu
ほっしゅっしゅ
ここ最近SS人気の出るようなソフトが出てないんじゃないのか?
そうだな。
ランス6なんかは面白かったけど、鬼畜王と違ってシナリオに幅が無いから
二次創作は作りにくいのかもしれないし。
あと、作品別板が出来たからそっちに流れてるのかも。
ランス6はシィルの影があまりにも薄いからロッキーかリズナで。
>197 『鬼の学び舎』、今さっき読みました。あちらの作品と被っても、
その後なんらかのイベントを入れるのであればまったく問題ないでしょうし
そうでなくても文体とかノリとかがあるでしょうから、是非とも読みたいです。
もし余裕があるのなら、書いてくれると嬉しいです。
保守。
落ち着け……ここは保守でいい……(ざわ……)
保守
年末まで待つしかなさそうですな
ヲトメ ボ ク
漢女はお兄様に恋してる
とか一発ネタが浮かんだ。たぶんどっかでもう既出。
実は買い確定だったりするソレ………
ほっしゅ
「ピンク色の夢」
*『秋桜の空に』(marron)より
土曜の夜。
半日の授業の後、忠介の家に寄ってから帰宅したため、日は既に暮れていた。
「ぬう……家に灯りがついている。すずねえがいるのか……」
心配なのはカバンの中身だった――カバンの中には、ある意味危険なものが入っていた。
忠介の部屋。
「忠介、これは何だ?」本棚にずらりと並ぶ書籍の中から、俺は雑誌を引きぬき、その表紙をまじ
まじと見つめた。
「ほう。さすがに目が高いね、キミは。それらは貴重な研究資料なのだよ……。ホムンクルスを造ろう
と思っていてね」
相変わらず訳の分からんものを……。
『ぶちトマト』『メロンピープル』『AlisaClub』……俺は、抜き出した雑誌を次々にパラパラとめくっ
てみた。
小学生の女の子が、裸であんなポーズやこんなポーズを取っている写真がいっぱいだった……。
「むむっ……これは危険、善悪で言えば明らかに悪。これはいかんっ!」
「では、どうするのかね?」
「家に持ち帰り、研究したい。悪を倒すには悪を知らねば……」
「ふむ……よかろう。頑張って研究してくれたまえ」
……というわけで、俺はそれらの雑誌を持ち帰ってきたのだった。
その結果、普段は軽いカバンはパンパンに膨らんでいた。
家に入ったら、カバンを置くため部屋に直行だっ……そう思いつつ、俺は玄関をそっと開けた。
「オミくん、帰ってきたら『ただいま』だぞっっっっっ?」
玄関では、すずねえといつものお説教が待っていた。
「いや、アメリカだとマム、アイムホームとか……」
「ここは日本よ?」
「いや、俺アメリカ人だし」
「オミくんは日本人、どう見ても……」
「本当は金髪なんだ」
「オミくんの金髪なんて見たことないぞっっっっ?」
「実は、陰毛が金髪」
がんっ!
「いてっ!」頭をグーで殴られた。
「オミくん、殴るわよっ?」
殴った後に言われても……。
「オミくんっ。お姉ちゃんはオミくんをそんな下品な子に育てた覚えはないぞっっっ?」
「…………」
「ごめんなさいは?」
すずねえ、恐っ……すずねえの剣幕に怖れをなして、俺は謝る。
「ごめんなさい。ごめんなさい……」
……2回言うな、俺。
「はい、始めからやり直し」
「はい……」
「えっと……ただいま、お姉ちゃん」
「おかえりなさい、オミくん」
エプロンをつけたすずねえ……ずずねえは、まるで若奥様のようだった。
「今日は大変だった? ご飯にする? それともお風呂にする? ……なんか新婚さんみたいね、
くすくす」本人もそう思っていた。
すずねえが俺に向かって両手を差し出す。
「はい」
「?」
「オミくん、カバン貸しなさい。お姉ちゃん持ってあげるから」
そうきたか。
「いや、これはいいんだ……父さんの会社の重要書類が入っているんだよ、マイハニー」
「じーっ…………………………………………………」
すずねえは、疑いの眼差しを向けていた……。
「…………………………………………………………」
「…………………………………………………………」
ばしっ。
「あうっ……」
俺の不意をついたすずねえに、カバンを奪われた。
「おねえちゃんっ、みたらやだようー。はずかしいよう〜……」
「オミくんっ。お姉ちゃんに隠しごとしちゃ、駄目だぞっっっっっ?」
幼稚園の子に諭すように言うと、すずねえは俺のカバンを開け、その口を下に向けた。
バサーっ……どさどさ。廊下に雑誌が広がった。
本を拾い、すずねえはぱらぱらと頁をめくる……。
「……オミくん?」
「うん。なあに、涼香お姉ちゃん?」とりあえず可愛い子ぶってみる。
対して、俺に尋ねるすずねえは、ニコニコしながら目は笑ってなかった。
「あのね……このぶちトマトって、何かな?」
「農協の機関紙」(にっこり)
「そんなわけないでしょうっっっっっっっ! ほっぺたぎゅーーーーーーーーー」
思い切り左頬をつかまれ、引っ張られる――すずねえは、激怒して顔を紅潮させていた。
「この本のどこを、農家の方が、参考にして農業をなさるというのっっっっっっっ!」
そして、すずねえは見開きの頁を目の前に示した――貧乳の女の子がお座りしながら、無毛の立て
すじから放尿している写真だった。
「げふっ!」
今の状況は開き直りようさえなかった。
「…………………………………………………………」
「…………………………………………………………」
「………………………………………………しくしく」
すずねえがさめざめと泣き出し、ぺたりと廊下にへたりこむ。
「お姉ちゃん……オミくんの育て方、間違えたのかなぁ……。オミくんの、エッチな小説や、エッチな
写真集や、エッチな雑誌や、エッチなビデオや、エッチなアニメや、エッチな同人誌や、エッチな
ゲームをみんな……隠したり、没収したり、燃やしたり、ゴミに出したりしたのが悪かったの……?
大人の女の人の裸を見せてあげなかったから、小さな女の子の裸に興味を持っちゃったのかしら……?」
すずねえ発言の前半部には同意だが、最後の発言には同意できなかった。
「どうして、こんなことに……。私がオミくんに性のてほどきをしてあげていれば良かったの
かな……。ごめんねオミくん……小5の4月で精通があったの、お姉ちゃん知ってたのに……、
恥ずかしいかなって私、知らん振りして、お祝いもしてあげなかったよね……オミくん頑張った
のにね……」
いや、それは別に頑張った結果ではない……。
「その後、変に抑圧せずにお姉ちゃんが毎日……を……して抜いてあげてれば、こんなことに
……ちっちゃな女の子が大好きなオミくんにならなかったのよね、きっと。
ごめんね……私がもっとしっかりしていたら……。オミくんのこと、放っておいたお姉ちゃんが
悪いよね。こんなんじゃ、お姉ちゃん失格よね……」
なんだか話が勝手にこじれて……すずねえが凹んでいく。
まずい、なんとかしよう……。
「ちがうんだ、お姉ちゃん。聞いてくれっ」
「もう、普通の女の人じゃ……オミくん、駄目なんだね……」
うつろな目で遠くを見るすずねえの肩を持ち、がくがくとゆする。
「すずねえ、すずねえ……俺の話を聞いてくれっ」
一瞬、すずねえの瞳に理性が戻る。今だっ。
「違うんだ。俺はちっちゃい女の子が好きというわけじゃないんだ」
「じゃあ、どうして…………!?」
「今日、子鹿のことを、ふと思い出したんだ……」
口からでまかせだった。
「子鹿……? ああ、子鹿ちゃんね……」
「そう……あいつ、今ごろ元気でやってるかな? 友達できたかな? 寂しいなんて思ってないよな……。
そんなことを考えていたら、俺の方が却って、何か寂しくなっちゃって……ははっ」
我ながら、感動路線まっしぐらの良い話だと思った。
「それで……子鹿ちゃんが懐かしくて、オミくんはその本を持って来た……の?」
「うん、そうなんだ。あいつ、無邪気で、明るくて、天使みたいに可愛くて……だから、
子鹿みたいな女の子たちの写真を見たいと思って」そう言って、俺はさわやかに微笑んだ。
「ああっ、真性……」すずねえはそう言うと、がくりとうなだれた。
――状況が悪化したようだった。
「…………………………………………………………」
「…………………………………………………………」
「…………………………………………………………」
やがて、ずずねえが顔をあげた……涙を流したのか、少し目が赤かった。
しかし、その表情は怒っているわけではなく、何か決意をしたかのような表情だった。
「……すずねえ?」
「あ、うん……もう平気。ちょっと……驚いただけだから」
そう言って、すずねえは目の端の涙を指でぬぐった。
そして、立ちあがると、すずねえは俺の両肩に手を置き、力強く言うのだった。
「大丈夫だぞっっっ、オミくん……お姉ちゃんがなんとかするから。何があってもお姉ちゃんはオミ
くんを見捨てたりしないわよ。……オミくんを犯罪に走らせたりしないんだからっっっっっっっ!」
「う、うん……?」
どうも良く分からない展開だった。
「じゃあオミくん。晩御飯食べちゃいなさい……ここはお姉ちゃんが方付けておくから」
「はい……」
あれらの本は没収・焼却される定めとなろうが、この決着で良しとせねばなるまい……。
気まずい雰囲気の中、俺は食堂でしんみりと食事を始めた。
「モグモグ…………」
「オミくん」
雑誌を方付け終わったらしいすずねえが、食堂に戻ってきた。
「モグモグ……ごちそうさま」
「あのね」お茶を入れ、すずねえが俺の前に湯のみを置く。
「うん」
すずねえは、テーブルの向かい側に座り、俺に話を続けた。
「さっきのことだけど……お姉ちゃんに任せるんだぞっっっ」
「すずねえ……?」
「オミくんが大変なことになっちゃう前に、お姉ちゃんがなんとかしてあげるからね」
すずねえが本気で俺を心配しているということはわかる……が、何をしようと言うのか。
「うん、オミくんの為だもんねっ……」
力強く頷くと、こわばった顔をしたすずねえは、すっくと立ちあがって……どこかに電話を
かけ始めた。
「あ、夜分遅く申し訳ありません。楠さんのお宅ですか、私、桜橋と申しますが……。
若菜ちゃん? そう涼香です……」
カナ坊の家に電話をするとは、はて……?
「あのね、お願いなんだけど、明日、お昼にオミくんの家に来て――」俺は猛ダッシュして電話を切った。
「あっ、駄目じゃない。電話切ったりしてっ」
「今、何を言おうとしたの……?」
「さっきのことで……若菜ちゃんにお家にきてもらって、オミくんの性的欲求を――」
……この人は、弟のためには何だってする、だだ甘の姉だった。
「すずねえー、やーめーてー……」
すずねえの腕に幼児のようにすがりつき、俺は懇願した。
「あっ、安心して。おうちに来てもらえさえすれば大丈夫だぞっっっ」
その自信はどこから出るんだ?
「お姉ちゃんがお願いしてあげるから」
……どこから突っ込んでいいものやら。
「もし、若菜ちゃんが嫌がったときは、お姉ちゃんが押えといてあげるぞっっっっ!」
――それって犯罪じゃないカナ?ないカナ?
「カナ坊に迷惑をかけてるってっ。すずねえ落ち着いてようっ!」
「オミくんは、お姉ちゃんに任せておけばいいんだぞっっっ?」
すずねえがいい感じに壊れていて、止まらない……最後の手段だ。
「うわぁぁぁあああん。そんなことする涼香おねえちゃんなんて、嫌いになってやる〜〜〜っ!
お姉ちゃんのバカ、バカッ。大っ嫌いだあ〜〜〜〜!!!」
「え、オミくんっ!?」
「うえええええええええええん!! お姉ちゃんがいじめるよぅ〜……うぐっ、えぐっ……」
「あ……そ、そうよね……!? わ、私、何を……? 悪いお姉ちゃんでごめんね。
うん、ごめんね、オミくん……」
俺の発言に、しょんぼりするすずねえ……どうやら犯罪は阻止できたらしかった。
「でも、でも……、オミくんが大変なのに……私、どうしたら……」
すずねえは椅子に座り、そのまま物思いにふけり始めた。
……。
…………。
………………。
「あっ、そうよっ!」すずねえが何か閃いたようだった。
そして、俺に向かって真面目な顔をして言った。
「いい? 大丈夫だからね……お姉ちゃんに任せておくんだぞっっっ。だから、オミくんも頑張るのよ?
……ぐすっ」
「う、うん。わかった……」……分からないけど、俺は頷いておくことにした。
しばらくして、すずねえは帰ると言い、没収した本とともに自分の家に戻っていった。
「うーむ……」俺はハンモックの中で首を捻っていた。
今日の危機はクリアしたのだろうか……多分、したんだよなあ? ……しかし、何かこう釈然としない
ものが残るのだが……。
そんなことを考えているうち、いつしか俺は眠りについていた……。
……。
…………。
………………。
「オミくん、起きて」
ぐるん。世界が回る。
ごちん!
「……頭がずきずきする」
「起きた、オミくん?」すずねえだった。
「……。あー……今日、日曜だよな?」
「いいから、起きるのっ」
何か起きなければならない事があったか、俺? ……もしかして何か忘れているのかもしれん。
そう考え、起きることにした。
「ご飯できてるから、すぐ降りてくるんだぞっ?」
「うん」
10時か……もう少し寝かせてほしかった……。
もそもそと俺は着替え、それから1階に降りたのだった。
食後。
俺がお茶を飲みながら新聞を読んでいたところに、片付けを終えたすずねえが台所から戻ってくる。
どさっ……。
その音に俺は顔を上げた。
昨日の夜、没収された本がテーブルの上に置かれている。
まだ、昨日の話は終わっていなかったか……。
「あのね……オミくん」
「うん……」
「いろいろ考えたんだけど、やっぱりこういうのはいけないと思うの」
「はい……反省してます。ごめんなさい、お姉ちゃん」
「あ、いいのいいの、謝らなくていいのよ。オミくんが悪いわけじゃないのよ。ただ、こういう趣
味で人様に迷惑かけるようになっちゃわないようにって……」
その後に、すずねえの言うことは唐突だった。
「だからね、私がそういうことをしてあげればいいのよね……?」
すずねえは頬を染めながら、ぎごちなく微笑む。
「……?」
「お、お姉ちゃん、昨日の夜……そ、その本読んで、オミくんの好きなタイプ良く勉強したんだ
から……」
勉強したって……これをか?
「支度してくるから、待ってるんだぞっっっ……」
すずねえは、部屋の隅に置いてあった紙袋3つを持つと、緊張した面持ちで食堂を出ていった。
取りつくしまもなく、すずねえは出ていってしまった。
しかし、「支度してくるから」とは何のことだ? ……良く分からなかった。
……。
…………。
………………。
しばらくして。
すずねえが、入り口から顔を覗かせていた。
「いい、オミくん……?」
「ん? いいよ」……何がだ?
食堂にすずねえが入ってきた――体育着で。
俺の顔をじっと見た後、すずねえが尋ねてきた。
「どう……オミくん。こういうの……?」
「あーいや……学校の体操着だよね、それ……」
俺はまじまじとすずねえを見つめた……が、学校で見慣れているので、とりたてて問題は無い。
「あ、そうなの……てっきりオミくんは体操着で、その……『ハアハア』ってするのかって……」
残念そうに言うすずねえ。
あー……あの雑誌、確かにそういう写真があったなあ……。
「ま、待っててね。次に着替えてくるからっっっっ」
そう言うとすずねえは、部屋を出ていってしまった。
パタパタ……。
……なるほど、話がみえてきた。
ロリ雑誌を見たすずねえは、その格好を真似て俺に見せているということか。
……しかし、体操着というところがすずねえらしく健全だった。
まあ、実害はなさそうだし、様子を見てみよう。
……。
…………。
………………。
また、しばらくして。
「オミくん、オミくん。行くよ?」
すずねえだった。
「うん」
「これなら、どうかな?」
食堂にすずねえが入ってきた――水着だった。
「あーいや……学校の水着だよね、それ……」
俺はまじまじとすずねえを見つめたが、学校で見慣れ――。
「!?」
下から上に視線を自然に動かし……すずねえの頭に釘付けになっていた。
「ネコミミだよ〜。ほらほら……『にゃわーん』」
すずねえは照れながらそう言うと、今度は後ろ姿を俺に見せた。
――突き出した水着のお尻のところにはネコ尻尾が付いていた。……確かに雑誌の中に、そういう
写真もあったっけ。
再び前を向き、すずねえが俺に尋ねる。
「どう、かな?」
「うん」
「……オミくん?」
「ああ」
「オミくんてばっ?」
「はっ」……俺はいったい? ……俺はぼーっと、すずねえに見とれていた。
「もしかして……気に入った?」
こくこく。俺は無言で頷いてしまっていた。
「良かったあ……よしっっっっ」すずねえは小さくガッツポーズを取る。
「恥ずかしいけど……お姉ちゃん、頑張るぞっっっっっっっっっっっっっ!」
すずねえはそう言うと、再び部屋を出ていった……。
パタパタ……。
「しかし、ネコ耳スク水で来るとは……」
やるな、ずずねえ。もしかして、俺はすずねえを侮っていたのか。
……すずねえの次の格好に期待している俺だった。
……。
…………。
………………。
さらに、しばらくして。
「オミくん……?」
すずねえの声が、入り口からするが姿は見えない。
「良いよっ」
食堂にすずねえが入ってきた。――小学生だった。
黄色い帽子、赤いランドセル、名札、真っ赤なミニスカート、ご丁寧にもランドセルには縦笛だ。
「それに、えっと……小学生だから、ノーブラなんだよ……」
「わあ」……どっから突っ込んでいいものやら。
「ランドセルなんて久しぶり……」俺の目を意識しながら、ずずねえがその場でクルリと回る。
その拍子にスカート宙に舞う……パンティはつけていなかった。
「す、すずねえ………………」
「もしかして……興奮した?」
「……………………………………」俺は二の句がつげなかった。
が、顔を赤らめている俺を見て、すずねえは俺の答えを察していた。
「えっと、それから………………………………」
俺をちらちらと見ては、すずねえがモジモジと何かを躊躇っていた。
「?」
「その……あのう…………………………………」
「どうしたの、すずねえ?」
「あ、あの本だと……この格好でお座りして……おしっこするんだよね?」うわずった声ですずねえが言った。
あー……雑誌の中に、確かにそういう写真もあった……。
「でも、その……それはここじゃできないから、お座りするだけね……」
スカートを持ち上げ……すずねえは、俺に良く見えるようと少し離れてお座りした。
そして、それは――丸見えだった、つるつるだった。
それゆえ、俺の目は一点に集中してしまう……俺の視線に気づき、すずねえは恥ずかしそうに
つぶやく。
「あのね……剃ったんだよ。こういうの、オミくんが好きって分かったから……」
「あ、うん……」俺はその姿を飽かずに見つめてしまっていた。
……。
…………。
………………。
やがて、頬を染め潤んだ目をして、すずねえは俺に言った。
「ね、オミくん……もう大丈夫よ……ね? それじゃこれから、お姉ちゃんしてあげるからね――」
その言葉を聞いたとき、俺はふと我に帰る……。
――お姉ちゃんに甘えて、俺は何をしてもらうつもりなんだ?
今、俺がすずねえに甘えてしまうことは、この人を利用するだけのことに変わりはない。
お姉ちゃんの優しさにつけ込んで、お姉ちゃんの心をもてあそぶ――それは、自分に許せなかった。
俺は、ありったけの理性を呼び起こした。
「お姉ちゃん、ありがとうなっ。でも、もういいぞっっっっ!!」
そう言って、俺はすずねえに近づき、その両脇に手を入れ立ちあがらせる。
「え、でも……」すずねえが悲しそうな顔をする。
「お姉ちゃんの可愛い姿を見て、俺のロリコンは治った。断言する。ありがとう、僕のお姉ちゃんっ」
そう言って俺は、すずねえをひしと抱きしめた。
「え……!? あ……本当に?」
「本当だっ……俺がお姉ちゃんに嘘を言うわけがないだろう? お姉ちゃんの愛の力のおかげだ
よう。ぐすっ……涼香お姉ちゃん」俺は涙を流す……嘘泣きだが。
「うん……オミくんはお姉ちゃんに嘘なんかつかないもんね……」
「ごめんね、すずねえ。嫌な事させちゃって……。ひっく……」
「うん、良かった……お姉ちゃん、心配しちゃったんだから」
「うぐっえぐっ……お姉ちゃん……」
そして、そんな俺に、すずねえは優しく言葉を続けた。
「でもね、オミくん……本気のお姉ちゃんは、オミくんの為なら何でもできちゃうんだよ?
お姉ちゃん、オミくんの為なら全然嫌じゃないんだからっ……忘れちゃ駄目だぞっっっっ」
――この人は、弟のためには何だってする、だだ甘の姉だった。
「……………………………………」
俺は、そんなすずねえに何も言えず……ただ、より強く、すずねえを抱きしめた。
ぎゅっ……。
「きゃっ、オミくん? あ……。うん……」
気がつけば、俺はまだ涙を流していた……嘘泣きだったはずの涙を。
……。
…………。
………………。
しばらくして、俺たちは抱擁を解いた。
「じゃあ、この件はこれで終わりにしよう? で、この後どこかに出かけようか、2人で」
俺は、照れ隠しにすずねえを外出を誘う。
「え!? うん。じゃあ私、まず着替えてくる……」
俺はその辺を片付けはじめ、すずねえは着替える為に隣室に――。
そのとき、玄関から女の子の声がした。
「こんにちは。あのっ……楠です」
「はーいっ」パタパタ。すずねえが玄関に向かう。
「!?」――待てすずねえっ、着替えが済んでないぞっ。
俺は急いで玄関に向かう――。
「桜橋先輩……はうっ!」
「きゃあっ……若菜ちゃん!」2人の叫び声が玄関先から起こる。
駆けつければ――玄関先でカナ坊がへたり込んでいた。
「すずねえ、早く着替えてきて」
「う、うん……」カナ坊を助け起こそうとしていたすずねえを、急いでその場から立ち去らせる。
へたり込むカナ坊の目は点状態だった。
「お、おう、カナ坊。元気か?」
「や、靖臣くんっ靖臣くんっ!」
「今日はどうした? あ、昨日の電話できてくれたんだな?」
「そ、そう――ううん、そうじゃなくてっ。涼香先輩、変だよ。小学生だよ、おパンツ履いてないよ、生えてないよっ?」
息も継がずにカナ坊が俺に訴えた。
「そ……それは、きっと気のせいだぞっっっっっっっ! お熱があるみたいね、若菜ちゃん?」
「わたし、正気正気」
カナ坊がぶんぶんと首を横に振り……そして、ふと何かに気づいたように脅え出した。
「涼香先輩と靖臣くん……コスチュームプレイなのカナ、コスチュームプレイなのカナ?」
俺に尋ねるカナ坊は半泣きだった。
「落ち着けカナ坊」
「もしかして、わたしも小学生の格好させられて、大人になるお注射されちゃうカナ……」
脅えるカナ坊が、上目づかいに俺を見ていた。
「カナ坊、今日は栗を食べに行こう、な。お兄ちゃん奢るから、いっぱい食べて良いんだぞっっっっ」
「わたしが栗を食べて、靖臣くんがわたしを食べる……これって食物連鎖食物連鎖」
言ってることが、よく分からなかった。
そして、カナ坊は俺の袖をつかむと、目に涙をためて哀願を始めるのだった。
「痛いお注射は嫌だよ 痛いお注射は嫌だよ……」
――何かトラウマがあるらしかった。
あーもう……何をどうしたらいいものやら……。
俺の日曜日は、まだ終わりそうもなかった。
おおっ久しぶりの良作!
萌え笑い転がりつつハアハアさせてもらいました。GJ!
>>446 いや、おもろかったよ。
「農協の機関紙」にワロタ。
…コスモスってこういうゲームなのか…笑えるゲームスレで紹介されているのもわかるなあ。
…見かけたら買うとしようか。
おつおつ
未プレイ者にも作品中のふいんきを伝える好いSSですた。
>>449 俺も俺も〜
禿ワロタ。
作者様グッジョブ。
>>449 ドラマCDもおすすめ。
声のイメージも割と合ってると思う
いいのきたなあ
エロゲ作品別板巣作りドラゴンスレからすれ違い誘導を頂き流れてまいりました。
以前あちらに上げちゃったネタとかをこちらに張りなおしてもいいものでしょうか。
むこうの221です。文章書けない人間が言うのもなんですが、いいと思いますよ。
ここは流れもゆっくりだし。
私はフェイ。今日はご主人様から入り口の警護を命じられた。
本当はご主人様の御傍を守りたいのだが、その、あの…。まぁ、なんだ。
入り口の警護も同じくらい重要な任務なのは理解しているつもりだ。
モンスターと一緒に戦うのも慣れれば気にならない。むしろやりやすい位だ。
この機会に、彼らを皆さんに紹介しようと思う。
「ふぉっふぉっふぉ…今日はお嬢ちゃんが相棒じゃな。頑張るのじゃぞ」
そう言って笑うのはマーリン先生。ダークウィザードだ。ブラッド様いわく、
『必殺無効がないからアレだけど、初レアだから愛着がわいてさぁ』
だそうだ。よくわからないが、ずっと後ろに下がっていて剣が鈍ってしまった私より
席次は大分上。強いのだろう。たぶん。
「よろしくおねがいします」
「うむうむ。おお、敵じゃぞ」
ぞろぞろやってくるのは黒衣の竜狩り隊だ。
『嫌な敵だ。強いし、うるさいし、個別H練習シーンが無い』
…理由はともかく、ブラッド様が嫌がる敵ならば排除あるのみ。
「ここの後ろには一人も通さぬ!」
とはいえ、私の剣では一度に相手できるのは一人二人。半分は先生に向かっていく。
「ほれ、必殺の究極魔法じゃぁー」
物凄い威力に敵があっさりと倒れた。さすがだ。
「究極魔法じゃー ほれ、もう一個じゃー」
いや、究極なのだからもう少し相手を選んだ方が…。究極魔法は己の体力を代償に
相手を倒すスキルだったはずだし。
「むぐぅ!」
くぐもった声に、嫌な予感がして横を見ると、ぎっくり腰を再発したらしい先生が
メイド部隊の担架で退場していくところだった。HP低いんだから無理はしないほうが
いいのに。
しかし、敵の流れはまだ途切れない。孤軍奮闘する私の横に、新しく援軍が現れた。
「がんほー! がんっふぉー!」
新人の護衛隊だ(名前はまだ無い)。うるさい。竜狩り隊よりもうるさい。
「がん…ふぉー…」
そして、弱い。
『これじゃあ必殺無効スキルがついても防御が無いと入り口には向かないな…。うむ』
『ご主人様? 試行錯誤をするのはHだけにしてください』
どこか呑気な会話が聞こえたような気がした。それはいいから早く援軍を!
私の声が届いたのか、今度の援軍は早かった。
「がおー」
合成体のぽちだ。剣呑極まりない外見だが、案外人懐っこく、非番には、メイドに
混じって私やユメも餌をやりにいっている。噂では、クーさんも時々手製料理を持って
現れるそうだ。
『……それで再生肉体に、不死身のスキルか』
ご主人様が、感慨深げに呟いているが、戦闘の時のぽちは頼りになる仲間だ。
「必殺! 竜狩りきーーっく!」
……これさえ食らわなければ。
『ハラミボディは魔界でも有数の打たれ強さです』
『うむ。奴まで出さないと止められないとは思わなかったぞ』
次に出てきたのは見上げるような巨体。私はこのハラミボディが苦手だ。強いのは
分かる。それに、牛頭人身の見かけほど凶暴なわけではない。が。
「時にフェイどの。主が最初から攻略サイトを見て知識を得て我等を育てたならば、
もっと早くゲームが進んだであろうとは、思わぬか?」
「は、はぁ…」
「しかして、古の賢人曰く、知識ありと言う物がそれを真実知っているとは限らぬ」
叡智を湛えた目で牛頭のモンスターは物憂げに槌を一閃した。ちなみに、彼の名前は
考える牛。ブラッド様的にはジョークなのだそうだが、正直笑いどころがわからない。
「主はあえて無知の知を実践されたのであろう。さすがは我らの主である」
『いや、めんどくさかっただけなんだがな』
「それはさておきフェイどの。こういう話がある。古代の…」
「……うぅ…」
誰だ、牛に賢者などという特技をつけたのは。
なんとか今日も巣を守りきることができた。捕虜も、どうやらお金もたくさん手に
入ったらしい。しかし、やはり私はブラッド様の横で戦いたいと、切実に思う。
タイトル:龍剣士の巣作り日記:部隊の仲間
>>456-458 *『巣作りドラゴン』 フェイ、雇用モンスター
私はフェイ。開始早々ですまないが、今回は生々しい話になる。その、なんだ。
***CAUTION***
ネタをネタとわからない人や、リアルで彼女が最近物欲しげに宝飾店の前で立ち止まったり
する男性には、スルーをお勧めする。遠くて近い未来の話かもしれないゆえ。ふふふ。
………つまり、来ないのだ。アレが。
しかも、妙に酸っぱい物が食べたくてしかたがない。これはつまりアレだろう。
「えぇ〜。おめでとうございますぅ〜。ブラッド様もぉ、きっとお喜びですよぉ〜」
なんで人の顔を見るなり分かったのか突っ込むべきか、それともその妙に間延びした
喋りを突っ込むべきか。とはいえ、彼女はここでの私の近しい友人の一人だ。
『無粋な言葉を使えば、棒姉妹…』とはご主人様がいつかの夜に言っていたことだが、
意味は知らない。本当に知らぬ。知らぬといったら知らぬ。
「妊娠中はぁ〜。あまりしないほうがいいと思うのでぇ。私が代わりに頑張りますねぇ」
友人というか、彼女との危うい関係はご主人様の強壮極まりない精力の上の綱渡りで
あるのは言うまでも無い。まぁ、私とユメとをまとめて相手してもまだ捕虜の所に
通えるご主人様のことだ。私たちの友情は永遠のものだろう。
「ところで…、私はどうしたらいいのだ」
「出産ですか? 私の村ではぁ…」
間延び会話を要約すると、イコインカルとかいう呪術師が一切合財を行うので
彼女はよく知らない、と言うことらしい。それにしても、会話スキップというのは
優秀な機能だとご主人様がおっしゃっていた意味がわかるような。
「あ、でもぉ。私とブラッド様は結婚したわけではないのでぇ。私の場合はぁ、
どうするんでしょう? 今度ぉオサに聞いてきますねぇ〜」
龍へ差し出した生贄が子供を生んだ場合の儀式手順までが定まっていたら、私は
先見の明のありすぎる獣人族の先人を尊敬する。かなり本気で。
「ふむ。妊娠したのか」
と、羨ましげに人のおなかを眺めているのはルクル様。まだ平たいから見て分かるもの
でもないだろう。…そういえば、姫様とはいえ、ご主人様の巣で会う時に様はいらないの
だろうが、どうも身に付いた癖は抜け切れないようだ。
「はぁ…どうしましょう」
「馬鹿を申せ。おぬしに産まぬ理由があるか? …私ならそう簡単にはいくまいが」
そういえば、婚姻によらぬ不義の子とあれば、普通は産むか産まないかで悩むのか。
まして王族などとなれば、出産は自分の意のままにはなるまい。そう思うと、羨ましそうな
目つきにも、ただご主人様の子を為した事を羨むだけ、ではない意味を感じてしまう。
「産むのであろう?」
「は、はい」
力強く頷くと、ルクル様は何故か目線をそらされた。
「…頑張るのじゃぞ。しかし…、ブラッド様のお子とあれば、きっと風当たりも強かろうが、産む
決意は変わらぬな?」
「はいっ」
そう聞いて、ルクル様は気遣わしげに、一言付け加える。
「おなかの内側から蹴られるのはそれはそれは辛いと、乳母が申しておったが…産む決意は
変わらぬな?」
「ええ、それくらいでは」
「それに、龍の子ともなれば…、人の場合の知識は役に立たぬやもしれぬ。大きさが龍並だと
したら、お主の身も危ないぞ…。それでも産む決意は変わらぬであろうの?」
「ブラッド様の為ならば、例え身が裂けようとも構いませぬ」
それからも、心配げにあれやこれやと危ない可能性を数え上げてくださるルクル様の
心遣いに、私の感謝の念は絶える事はなく、私の心はますます強くなっていった。
……ルクル様は、最後には涙目になって去っていかれた。そんなにも心配してくださる
とは、父は心優しき良き方におつかえできたのだな。そうだ、今度ご主人様にお許しを
頂いて墓参と報告に行くことにしよう。
…とはいえ、龍の子、という一言は頭にひっかかる。そういえば、龍と人の間の子は
一体どのように産まれるのだろう。備えなくしては戦にならぬ。まずは情報を集めねば。
「龍と人の間の出産がどうなるか、ですか? 申し訳ありません、龍族の村は魔族の間でも
最後の秘境と名高い場所でして…、子供の龍は見たことないんです」
メイドの間の入り口で呼び止めたメイドは、心底すまなさそうに答えて去っていった。
よく考えれば彼女達とて人間ではない。そういえば、魔族と人間とか、魔族と龍だと子供は
どうなるのだろう。
「あ、フェイ様。最近はご活躍されているそうですね」
更衣室で見た限りでは、人間と変わらないように見えたが…、一箇所だけ目に見えて違う。
彼女達は総じて胸が我々より薄い。クーさんなど、目を疑ってしまうくらい薄かった。
「……あの?」
つまり、これは彼女達が授乳しなくてもいいということなのではないか? そっくりな
外見のメイド達が多いところからするに、魔族は卵生なのかもしれない。これですべての
説明が付く。つまり、世界は滅亡s
「フェイ様? 何かものすごぉぉおく、素敵な考察をされているようですね」
いつの間にか現れていたクーさんに心を読まれたのだろうか、一週間はおやつ抜きだった。
不思議だ。
…私とてさすがにリュミス様に聞くほど愚かではない。
「へぇ? 子供? ブラッドもちゃんと練習してるのね。感心感心」
しかし、先方が見つけてしまうのはどうしようもないではないか。
「そんなに怯えなくても大丈夫よ。人間相手に練習しても構わないと言ってあるし。
いわば、犬に噛まれたようなものじゃない?」
それは何かが大幅に間違っているような気もするが、指摘するのはやめておこう。
「とはいえ…ちゃんと上手にできた? ブラッド」
………背後に視線を感じる。ちらーっと見るとそこにはご主人様が物凄い姿勢で
椅子の背にへばりついて隠れていた。何やら首をぶんぶんと振ったり目をぐるぐる
させたりされているが…。
ふふふ、ユメ、ルクル様、私をはじめお情けを頂いている者達はこのような場合の
対処法マニュアルを作成済み。ご心配には及びませぬ。とりあえず、ご主人様が
リュミス様の視界に入らぬように、さりげなく位置をずらして。
「いえ、正直ご主人様とだと、痛いばかりです」
「そ、そうなのか?」
眉を寄せて恐ろしそうにする乙女のリュミス様を見ていると逆に優越感を感じるの
だから、女というのは不思議なものだと思う。少し前ならば、私もああだっただろう。
「それに、まだ使い込まれていないので皮もついたままで、可愛いものですが…
まだまだダメですね」
「そ、そうなのか?」
直接的な言い方に頬を真っ赤にしながらも、ごくりと唾を飲むリュミス様。
ふふ、ちょろいものだ。こうやって私たちは今の生活を守っているのだ。女の戦は
厳しい。
「…あー、リュミス様。ようこそいらっしゃいました」
「あら。…ブラッド」
…ご主人様が自らリュミス様の前に現れるのは珍しいが、リュミス様が
「早く立派に修行するように」
としか言わずに足早に去ったのはもっと珍しい。ご主人様の心労はきっと常よりも
少なかっただろう。お手柄のはずだ。
…なのに、何故か一週間は閨に呼んでいただけなかった。不思議だ。
そうそう、妊娠したと思っていたのは、結局、想像妊娠という奴だったらしい。
運動が激しいと一ヶ月や二ヶ月アレが来ない時もあるし、娯楽室横の白衣の人に
聞いたところ、単にビタミンC不足ですっぱいものが欲しくなっていただけなのだそうだ。
今度果樹園を作るようにユメと二人でお願いに行こう。
『ヤった女性キャラの中で、フェイだけはどうやっても孕ませられなかった。
子作りドラゴン一世一代の不覚なので、ネタだけでも子作りしたかった。
フェイならなんでもよかった。今は反省(ry』とかいうご主人様の声が聞こえた。
そうそう、それから一ヶ月くらい過ぎて、マイト様が遊びに来た折に、リュミス様が
来ていた折の話題が出たらしく、また一週間は閨に(中略)。不思議だ。
タイトル:龍剣士の巣作り日記:出産騒動
>>460-464 *『巣作りドラゴン』 フェイ、ユメ、ルクル、ティエ、クー、リュミス
ぎゃああああ!このスレ困るよ!読むと欲しくなるのに読まずにいられない。
それはそれとしてG・J!キャラ(メーカーでなく)が生き生きしてますな。
GJ!
久しぶりに判るネタのSSキタヨーw
心の声がだだ漏れのフェイにワロタ
作者さん、GJです。
フェイもしたたかになったなぁw
469 :
名無しさん@初回限定:04/12/08 23:55:31 ID:wvSdR1Jd
賑わってますのであげてみる。
フェイENDが一番心に残りましたねえ。
>447-453、他
面白いと思ってくれた方、THXです。
>456-464
巣作り〜は、書こうと思ったこともありましたが、結局私には書けませんでした。
お疲れ様でした。
なんか、一杯感想ついてるー。このスレはレスつけてもいいのですかね。えい。
>>感想いただけた皆様
ありがとうございます。最初の奴は、作品別スレで編成を晒す流れだった時のものなので、
今読み返すとゲームやってない人にはなんのことやらサッパリポ・・・。
フェイがしたたかなのは、作者の願望の反映です。きっと。また思いついたらなんか書きます。
>>470 すみません。そこはかとなく名前をぱくってみますた。
実はエロゲ暦は人から薦められた奴だけというヘタレなので、知らないゲームのSSですが
非常に面白かったです。もう売ってないのか…。残念。
さて買いに行くか、巣作りドラゴンとやらを。
昼は物陰に潜み
夜になると暗がりで獲物を漁る。
病院に閉じこめられた郁紀と別れてから
こんな暮らしを続けながら、私はお父さんを探して旅を続けていた。
最初に立ち寄ったのは、お父さんと一緒に暮らしていた家。
でも、そこにはお父さんはいなかった。
ずっと誰も使っていない、がらんとした家の中。
ここでお父さんを待っているべきだろうか。
いや。
郁紀は誰もお父さんの居場所を知らないようだと言っていた。
それは、お父さんが誰にも居場所を知られたくなかったということだ。
誰もが知っているこの家に、お父さんが帰ってくる可能性は低そうだ。
あまり知られていない場所。
人があまり行かない場所。
思い当たるのは、お父さんの別荘だった。
住所は覚えている。家の中から地図を探し、該当する場所を見つけた。
・・・遠い。
私の足では、どれくらいかかるだろうか。
それでも、私は行かなければならない。
元の世界に帰るために。
結局、別荘にたどり着くのに1ヶ月ほどかかってしまった。
深い山の中、茂みに埋もれかけた小道を探り当て、急な斜面を登っていくと
廃屋寸前のその建物はあった。
ここに・・・お父さんがいるのだろうか。
建物に入る。
人が暮らしていたわずかな痕跡はあったが
それはかなり古いもので、お父さんの姿はなかった。
いないのだろうか。
もし、ここにもいないとすれば、私にはもうお手上げだ。
別荘の中をあちこちを探して回るうちに
かすかなお父さんの匂いを嗅ぎ当てる。
やっぱり、ここにいたんだ!
だとしたら、どこ?
必死に探し、とうとう隠された通路を見つけた。
なんとかこじあけ、奥へと進む。
だんだん、お父さんの匂いは強くなってくる。
だけど
それとともに、嗅ぎ慣れた匂いも感じ取れてきた。
古くなった、死体の匂いを。
隠された部屋の片隅で、お父さんを見つけた。
正確には、お父さんだった物を見つけた。
椅子に腰掛け、拳銃で頭を撃ち抜いて
お父さんは死んでいた。
今はもうすっかり干からびていて、ミイラのようになっていた。
自殺。
なぜ?
理由はわからない。
わかっているのは
この世界に私を呼んだお父さんがいなくなって
私が元の世界に戻る望みがなくなってしまったということ。
疲れた。
もう、疲れてしまった。
お父さんの亡骸の前で
私はただうずくまっていた。
寿命、というものがない私でも
食事をせずにずっといればいつか朽ち果てるだろう。
もう、それでいい。
もう、それでいいはずなのに・・・
なぜか郁紀のことを思い出していた。
もう、会わないと
この姿で、今の郁紀には会えないと
わかっているはずなのに
もう元の世界に帰れないとわかった今
どうしようもなく郁紀に会いたかった。
もう一度、話をしたかった。
また抱きしめてほしかった。
郁紀と。ただ郁紀と一緒にいたかった。
一度はさよならを言ったけれど
郁紀はいつでも戻っておいで、と言ってくれた。
ずっとここで待っている、と言ってくれた。
あの言葉だけが
あの時の郁紀の言葉だけが
今の私を何とか支えていた。
戻ろう。
郁紀のところに行こう。
郁紀のいるところが、私の戻るべき場所。
だから
私は、決断した。
今の私に出来ることはいくつかあった。
一つは、この世界の「人間」という生き物を
私と同じに変えてしまうこと。
郁紀からもらった遺伝子情報でそれはすでに可能だった。
だけど、郁紀はあの時「元に戻りたい」と言った。
それは、この世界を変えて欲しくないということだ。
だから、これはできない。
もう一つは、もう一度郁紀の脳を操作して
また私を怖がらないような姿で見てくれるようにすること。
でも、二度目の脳の操作に郁紀が耐えられない可能性があった。
だから、これもできない。
世界を変えられない。
郁紀も変えられない。
だから、私が変わるしかない。
元々やろうとしていた生体操作を、逆の方向に私自身に働かせる。
それは、本来の私の種としての目的の逆の行動だ。
うまく行かないかもしれない。死ぬかもしれない。
だけど
郁紀に会えないままでいる事を考えれば
そんなことは些細な問題だった。
また長い時間をかけて、郁紀が閉じこめられている病院に向かう。
途中、いろいろと必要な物を入手して
それを運びながらの旅だったのでよけいに時間がかかってしまった。
病院に忍び込み、天井裏にはい上がると
郁紀の部屋の上まで進む。
思った通り、壁に比べれば構造は脆弱だった。
おそらく、用意した工具類で穴をあけることができるだろう。
壁と天井の間に、小さな隙間を見つけた。
中の様子を伺う。
・・・いた。郁紀だ。
その姿を見つけただけで
私は幸せな気持ちでいっぱいになる。
もう少し待っててね、郁紀。
二人で、ここから逃げようね。
どこか遠いところで
誰にも邪魔されずに
二人きりで暮らすために
今から私・・・人間になるから。
肉体を変成させる際には、多分大きな苦痛が伴う。
うめき声をあげてしまって、それを郁紀に聞かれてしまってはいけないから
郁紀の部屋の真上から少し遠ざかる。
変身が完了するまでには、予想では2週間。
ここに来るまでの間に、十分な栄養はとっている。
変身が完了した後の、人間としての生活に必要になる物を確認して
私は、それを始めた。
苦痛。
絶え間ない、苦痛。
全身の細胞が全て崩れていくような・・・
いや、実際崩れていくのだ。
古い細胞が、新しい細胞を生み出しながら
そのたびに壊れていく。
痛い。
痛い、痛い。
痛い痛い痛い痛い痛い痛い!
だけど
耐える。耐えていける。たとえどんな痛みでも、耐えていける。
この痛みの先に
郁紀が待っているから。
何度も痛みで気を失い
目覚めてはまた痛みに身もだえする。
どれくらいの時が過ぎたのだろうか。
体の構造が、変わっていっていることに気づいた。
体の中に、硬い骨格ができている。
触手はもうなくなっていて
替わりに、細くて関節でしか曲がらない手足が伸びていた。
体表面からは保護粘液も出なくなって
なんだか乾燥した表皮で覆われている。
郁紀と、同じだ・・・
よかった。
まだ体中痛いけれど、泣きたくなるほど、嬉しかった。
もう少し、我慢。
郁紀の脳に触れたときに見た
郁紀の記憶の中の私の姿になれるように
郁紀の記憶の中の私の声で喋れるように
強く念じながら
私はまた、痛みに耐えてうずくまった。
変身プロセスが、終わった。
用意した時計を見る。
予定通り、ほぼ2週間がたっていた。
体を動かしてみる。
あまりうまく動かない。
それでも必死に、用意した荷物の方に這っていく。
いま一番私に必要な物は
鏡だ。
鏡で、今の自分の姿を確認しなければ。
うまく変われただろうか。
祈るような気持ちで、鏡を覗き見る。
・・・変わっている。
郁紀の記憶の中の
郁紀が愛してくれた私の姿に
変わっていた。
小さく、声を出してみる。
「・・・うみおい・・・」
ふみのり、と言いたかったのに
慣れない発声器官で、ちゃんと言葉にならない。
それが何かおかしくて
私は笑いながら、嬉しくて泣いた。
今、私は郁紀と一緒に暮らしている。
病院から助け出したときには、郁紀は本当に驚いていたけれど
今では新しい私との暮らしで本当に幸せそうだった。
追われる身ではあったけれど
日本という国を出てしまえば、もうあまりそれを気にする必要もなかった。
問題があるとすれば・・・
私の痛みが消えていないこと。
郁紀には隠しているけれど、変身プロセスが終わっても
私の全身の痛みは消えていなかった。
たぶん、この体では私はそう長くない。
10年先か、1年か、1ヶ月か・・・
明日かもしれない。
だけど
今、郁紀と一緒にいられるのなら
そんなことは些細なことだ。
新しく住処にしたこの家に、出かけていた郁紀が帰ってくる。
「ただいま、沙耶」
私は出迎えて、微笑みかえす。苛む苦痛を耐えながら、それでも微笑む。
微笑むことができる。郁紀のためなら。
「おかえり・・・郁紀・・・」
OHPの「おかえり」に繋がるような話にしてみました。
GJ!
投下乙
漏れは沙耶唄やってないんだが
なんとなく悲しげな話だなぁ・・・
グッジョッ!!せつねえ、せつねえよ沙耶タン。
>>485 すこしグロいがフィルター選択があるんで大丈夫、自信を持ってオススメできる。
欠点は短いことだが(俺はコンプまで4時間)安いし過不足の無いテキストだから
ちょうどいい。
俺を信じて買ってみてくれ。
沙耶はいい話だッツ!
……ただまあ、夜中トイレに行くとき、
ちょーっと背後とか天井が気になるよーになるけど。
最後の最後で泣かされた・・・ ・゚・(つД`)・゚・
読んだあと、OHPに行って「おかえり」を聞いたらもうね・・・
GJでした!
全身の苦痛に耐えながら、それを隠して郁紀に微笑む沙耶タン・・・せつないなぁ・・・(TT)
GJ!
なんだか久々に良作が投下されてた模様。
あーコスモスはやっぱええのぅ
もしかしても何も…
タイトル書いてあるから。
保守。
新年明けましておめでとう。
http://members.jcom.home.ne.jp/enseteku/ 新年あけましておめでとうございます。
保管サイト久々の更新です〜
新年と言うわけでは無けど、サイト構成を2ch関係サイトっぽく修正
「こうした方が使いやすいよ〜」ってのがあるならよろしく
更新内容は以下
沙耶の唄
○ジャンル:沙耶の唄
龍剣士の巣作り日記:出産騒動
○ジャンル:『巣作りドラゴン』(フェイ、雇用モンスター)
龍剣士の巣作り日記:部隊の仲間
○ジャンル:『巣作りドラゴン』(フェイ、雇用モンスター)
「ピンク色の夢」
○投稿者:nayukifan
○ジャンル:『秋桜の空に』(靖臣、すずねえ、カナ坊)
素直になれない
○ジャンル:下級生2(高遠七瀬)
○前日駅前チンピライベント発生 翌日七瀬宅で会話しない前提(完結)01/05更新
七瀬とろーま
○ジャンル:下級生2
七瀬と香月
○ジャンル:下級生2
【更新作品続き】
在る死者のものがたり
○投稿者:へたれSS書き
○ジャンル:「魔法戦士スイートナイツ」「レベルジャスティス」
『かげぼうし』
○投稿者:馬面
○ジャンル:家族計画
『悠久の時を…共に』
○投稿者:風変わり
○ジャンル:吸血殲鬼ヴェドゴニア
デモンベイン・アルTrueEnd後日談
○投稿者:◆Rion/soCys
○ジャンル:斬魔大聖デモンベイン
【更新作品続き】
大十字九郎の非日常的な災難
○投稿者:三上かずら
○ジャンル:斬魔大聖デモンベイン
下級2
○投稿者:230
○ジャンル:下級生2
ある独白
○投稿者:なきうさぎ
○ジャンル:BALDR FORCE』
恋占いの女神様
○投稿者:へたれSS書き
○ジャンル:巣作りドラゴン(ソフトハウスキャラ)
帰らざるもの
○投稿者:風変わり
○ジャンル:うたわれるもの
スクリプトなりCGIなり使って、作者名や作品名で検索とか出来るようにはしたいんだけど……
本職が忙しすぎてちと時間が足らんですたい
あけましておめでと〜ございます。
きちんとまとまってるだけでも十分ってモンですよ。
保管、乙でありますっ! お手すきの時で結構なのですが、以下の修正をお願いいたしたく。
拙作の、出産騒動の方、登場人物を(フェイ、ユメ、ルクル、ティエ、クー、リュミス)で。
>>498 了解です。修正しておきました。
とりあえず、投稿も一段落してるみたいだし、点呼ついでによさげなゲームとかSS希望とか
上げてみるかね
自分は今更ランス6にハマり中。 マジック可愛いよマジック
しかしSSは書かないだろうなーと言う予感が……
次はユニゾンシフトのぴす@ぴすでもやるかなー。本スレだと評判いいみたいだし
アリスの館7はしまいまが割と評判いいようで。
俺は野望の王国の短編話の方が好きだったけどな〜。
保守
保守
落ちてないよな?
504 :
名無しさん@初回限定:05/01/24 01:23:49 ID:TfnLnAn/
初心者可、評価要相談
505 :
水死体:05/01/26 12:34:59 ID:BKuJKRHT
はじめまして、ここって投稿SSはエロゲならなんでもいいんですか?
陵辱もありなんですよね?
>505
エロゲが題材なら凌辱もアリですよ。
投稿お待ちしております。
507 :
水死体:05/01/27 12:34:13 ID:5jxCoGmV
こげな感じでいいのかな・・・?
「空白の妄想」という某ホームページチックに書いてみました。
今はもう閉鎖されていてキャッシュすら残っているかどうかあやしいですが。
知人の家に遊びに行くと、Canvasの桜塚恋が
素っ裸で天井から鎖で繋がれていた。
だが、なんだか様子が変だ。
息が乱れ、膝立ちした股の間からは蜜が溢れて
床まで糸を引き、水たまりを作っていた。
目もトロンとしている。
モジモジと太股を擦り寄合わせながら、だらしなく涎を垂らした顔でこっちを見つめていた。
最初の頃は暴れたり反抗的だったりしたが、今ではずいぶん従順になったと奴は言った。
手が恋の股間に伸びる。
少し触っただけなのに、もの凄い水音がした。
ビクビクと震え、恍惚の表情で喘ぎだした。
パタパタと粘質の液体を落としながら腰を振る。
奴は自分のモノを取り出して挿入した。
もの凄い声が上がる。
男を待ちわびた、メスの悦びの声が。
快楽を貪ろうと、恋は必死に腰を振り立てた。
雄のペニスを奥へ奥へとくわえ込もうとする。
なんだか悪い夢でも見ているような気分になって視線を逸らした。
その先には机があり、上には何かのアンプルと使い捨ての注射器が何本か散らばっていた。
脱脂綿には、小さくてきれいな朱色の花が咲いていた。
一際、恋から大きな声が上がる。
どうやら2人共果てたようだ。
絶頂を迎え、恋の僅かに残っていた心の欠片が瞳に宿る。
余韻に喘ぎながら小さな声で呟く。
「ぁ・・・ぁぁ・・ぅ・・赤ちゃん、赤ちゃんが・・・ぁ・・・」
それを聞いた奴はにこやかな笑顔で言った。
これで何度目かな、まあまた堕ろせばいいよ、と。
85のCカップ、その張りつめた胸の頂からは、乳白色の液体が滲んでいた。
キャラクターの名前だけ使ったのはなんか違うと思い。
この方法は結構好きなんだけど、個人的な妄想の割合が強くて置いてきぼりになっちゃうのも確か。
キャラスレ向けの書き方だと思う。
逆に良いところは、読みやすくって、キャラ知らなくても勃起すること。
ていうかエロゲである必要ないじゃん。これ。
この手の設定が駄目とは言わんけどこの話じゃ「Canvasの桜塚恋」が「クラスの委員長」でも同じだ。
キャラの口癖を出すとか、そのキャラらしさをアピールすれば良いかも。
512 :
水死体:05/01/28 12:54:12 ID:QY4YDQ9M
皆様、いろいろな感想ありがとうございます。
より一層精進いたしまする。
ここって結構人がいたんですね、なんか恥ずかしいです・・・
ああ、穴があったら入れた・・いや入りたい。
ウホッ
>>512 まぁ、頑張れ。
文章を見るに、書けば書くだけ伸びていく余地はある。
まずは書いてUPする意思と行動が第一だ(自戒
517 :
水死体:05/01/31 12:41:34 ID:Ox3WUciE
すみません、性懲りもなくまた投稿したいんですが良いですか?
DCの音夢ネタで此度はちょっと長いんですけど。
>>507の恋SSは失敗でしたね。
知る人ぞ知る閉鎖されたサイト「空白の妄想」チックに書いたつもりだったのですが。
元ネタがわからないと、単なる危ない人の危ない妄想にしか見えないですから(笑)
>>514 自分のケツの穴は嫌や〜〜〜
他の男の尻も嫌ですが、あ、でも女の子のアナノレならいいかな・・?
>>515 邁進いたしまする。
書けば書くだけ恥を掻かなければ良いのですが(笑)
>>516 私ごときの文章で抜けるとは・・・ありがとうございます。
やはりエロSSは抜けるものでないとダメということですね。
そういえば、昔ムーミソの同人小説で触手に襲われるムーミン谷というのがありました。
男も女もムーミン族も関係なく、あのニョロニョロが穴という穴を犯し尽くすのです・・・
一番最初に読んだ同人小説がそれで、その日の夢見は最悪でした。
捨てずに置いておけばよかったかな。
皆さんが読んだ一番最初の小説って覚えてますか?
518 :
水死体:05/02/01 12:39:44 ID:yI7EWCS8
学校帰りの並木道。
一年中枯れないという特異な桜が咲き誇る初音島の、彼女にとってはなんて事のないいつもの通学路。
音夢「ハァッ、ハァッ、ハァッ・・・・っハァッ!!」
必死に逃げていた。
そのすぐ後ろを、一人の男が追いかけていた。
いや、人の姿こそしていたが、人を人たらしめる何かが欠けている顔をしていた。
男の目は血走っていた。
本能に突き動かされ、獲物を追いたてる焦燥に駆られ、涎を垂れ流しながら追いすがる。
並木の出口が見えた。
後少し・・・・20メートル・・・・・10メートル・・・・・
もう少しのところで、少女の華奢な肩に手がかけられる。
そしてそのまま、力任せに真横の草むらに引き倒された。
音夢「キャッ・・・」
短く、小さな悲鳴を上げて柔らかな芝生の中に顔から倒れ込んだ。
痛みに耐え、体を起こすいとまもあらばこそ、男がその足首を掴んだ。
荒い息を吐きかけながら、足首から上へ上へと這い上ってくる。
突然の恐怖に声も出せず必死に引き剥がそうとするが、雄の性衝動の前にはあまりにも儚い抵抗だった。
叩く、蹴る、引っ掻く。
しかし引き剥がす事ができない、止まらない。
それどころか、か弱く非力な抵抗はより一層の興奮を与えるばかりだ。
男の口の端から垂れた涎が音夢の頬に落ちる。
大きな体で少女の小柄で柔らかな身体にのし掛かる。
乱れた髪から見え隠れする白いうなじに唇を寄せ、くさい息を吐きかけながら時折吸い付いた。
音夢はあまりの気持ち悪さに鳥肌が立ち身体を堅くする。
男はそのスキを見逃さず、スカートの中へと手を突っ込んだ。
グリグリと清潔な下着越しに秘所をまさぐる。
敏感な部分に触れられて驚いた拍子に、大降りな抵抗を見せる。
爪が男の頬を深く抉った。
519 :
水死体:05/02/01 12:40:52 ID:yI7EWCS8
その一撃にカッとなり、音夢の頬に平手打ちをかます。
頬を叩く音が少女の中でやけに大きく響いた。
実際にはたいした音も、さしたるダメージも負ってはいないのだが、平手の痛さに抵抗が止まった。
諦めた。
男はそう捕らえ、涎で汚れた口の端を歪めてゆっくりと音夢に覆い被さる。
制服の胸をはだけさせる。
その拍子に1つのボタンが外れ、2つのボタンがちぎれ飛んだ。
シンプルな柄のブラをずり上げると、まだ成長途中の堅さの残る双丘が露わになる。
大きいとは言えない胸を揉む、というより周りの柔肉を集めて捏ねる。
少女独特の柔らかな感触を手の平に感じ取り、興奮に拍車がかかる。
第二次性徴期まっただ中の少女の胸は、触られると性感よりも痛みの方が大きい。
痛さと、脂ぎった大きな手のおぞましさに喉の奥で悲鳴を飲み込む。
手足は恐怖で動いてくれない。
顔を必死に逸らし、堅く眼を瞑る。
眼を逸らすことで現実を否定しようとする。
さりとて、自身に今起きている事実は変わりやしない。
それどころか、視覚を閉ざすことで胸部をまさぐる手の感触に自然と意識が行ってしまう。
ゴツゴツした指が桜色の先端部を押しつぶす感覚も、当社比2.5倍ぐらいに思える。
ひとしきり胸の感触を味わった男は、攻撃目標を次へと移した。
折り目の乱れたスカートを捲り上げ、その下に隠れていた下着に手をかける。
その途端、今までなすがままになっていた音夢の腕が下着を押さえた。
震える細い腕で必死に抵抗する。
それに苛立った男は、もう一度頬を叩いた。
今度は往復で。
下着を掴む腕から、身体全体から痛みと恐怖で力が抜ける。
口を切ったのか、唇の端から一筋の鮮血が伝った。
男はその血に興奮したのか、目標を下半身から上へと移す。
520 :
水死体:05/02/01 12:41:47 ID:yI7EWCS8
見え隠れする縦長のヘソ。
乱暴にはだけられた胸。
白くて細い首筋。
そして、端に血の付いた桜色の小さな唇。
臭くて荒い息を吐き出す乾いた唇を舌で舐め、男は音夢の口唇にむしゃぶりついた。
口を閉じる間を与えず、舌を捻り込む。
内側の頬粘膜に舌を這わせた。
音夢「んむっ!? んんーーーーーーーーっっ!!!」
ファーストキスは、ケモノの臭いと血の味だった。
鉄臭くて唾液とは異なるぬめりを帯びた味が、男の舌と唾と共に口の中いっぱいに広がった。
ぷっくりとして柔らかな唇をケモノ臭い舌が這いずり回り、口の周りがベタベタになるのも構わずに唾液をぬたくる。
再び口腔へと侵入し、少女の小さな舌を引きずり出そうと口内で暴れ回る。
やがては見つけだされ、強引に絡められた。
ヌトヌトした生臭い唾液を舌に載せて口内に運び込み、それを相手の舌に擦り込むように蠢く。
ナメクジのような舌の気持ち悪さと、否が応でも口の中に垂れ流される涎に気が遠くなる。
吐き気を堪え顔を振るが、柔らかな両頬を男の手がガッチリと挟んでいるため逃れることができない。
次第に口内に溜まった男の唾液が喉の奥まで押し寄せてくる。
息が出来ない。
段々と苦しくなる。
目尻に涙がたまる。
窒息しないためには吐き出すか飲み下さねばならない。
当然前者は不可能だ、やがて。
ゴ・・クッ
音夢の喉が鳴る。
男が吐き出した排水溝のゴミ溜めの味のような液体を嚥下した。
咽頭や胃袋、身体中を犯された気がした。
もっとも、犯されるのはこれからが本番なのだが。
521 :
水死体:05/02/01 12:44:24 ID:yI7EWCS8
男は音夢が自分の唾液を飲み下したことを知り、唇を解放する。
二人の口の間には濁った滴の橋が生まれ、途切れたそれは少女の顎を汚した。
プハァと生臭い溜息を付き、口元を薄汚れたシャツの袖で拭う。
少女の様子を見る。
肩で息をし、それにつられて膨らみかけの双丘が上下していた。
眼は開いていたが、放心した音夢には何も見えてはいない。
抗う気力も体力もすでに無くなっていた。
男はそれを見て取り、ニタリと笑った。
よれたスカートをめくり上げ、股の間に割って入る。
白地にワンポイントのリボンが付いた、風紀委員の鏡とも言えるような地味な下着だった。
それをずり下げる。
少女の匂いのするその部分は僅かに震えていた。
薄い痴毛はまだ生えそろっておらず、触るとショリショリとして手触りが良かった。
顔を近づける。
性の匂いとオシッコの臭いが近づく。
男はフンフンと臭いを嗅ぎ、一本のスジしか走っていないスリットにおもむろに舌を這わせた。
ベチョッ
「・・・・ひうっ!?」
音夢の喉の奥で悲鳴が上がる。
カラダが大きく波打つ。
太股をしっかりと押さえつけ、何度も何度も入り口を舌でなぞる。
その度にビクビクと女体が反応を示す。
男の頭を押しのけようとするが、うまくいかない。
舌はなおも溝に沿って上下し、その奥に入り口を作ろうと掘り下げる。
しばらくすると、峡谷の上の方にある包皮に護られた敏感な突起を探り当てた。
それに触れられると、音夢の反応が激しくなる。
男はほくそ笑み、肉芽を重点的に刺激しだした。
522 :
水死体:05/02/01 12:45:26 ID:yI7EWCS8
舌でねぶる。
執拗に。
これでもか!というぐらいに。
舌と歯で挟んでコリコリしたり、甘噛みしたり。
充血しだした陰核をなぶり続ける。
包皮の先端部から舌を尖らせてつつく。
最も敏感な部分を直に触れられ、ひときわ大きく、激しく全身が揺れた。
グリグリと包皮に舌を捻り込む。
その度に大きく鋭い痺れが脳髄へと掛け登った。
直接神経を鷲掴みにされたような快楽は耐え難く、メスの本能が突き動かされる。
性への衝動を激しく刺激され、オスとの交尾を身体が望んで行く。
全身が熱く火照り、何も考えられなくなる。
心のどこかで「もうどなってもいい」と思う自分が居た。
しばらくクリトリスに気を取られている間に、そのすぐ下では大変なことになっていた。
身体の奥から泉のように滾々と湧き出した蜜が膣を潤し始めていた。
クレバスも広がりだし、胎内への入り口が見えはじめていた。
膣孔から溢れ出た陰液はトロトロと引力に引かれて垂れ、下にある排泄用の穴まで濡らしていた。
身体は着々と準備を始めている、これから起こりうるだろう初めての性交のために。
少女が自分の与える愛撫に股を濡らしていることに気づき、舌をそちらの方に滑らせる。
ベチョベチョ、ぢゅるるるぅぅ〜〜〜っと下品なまでに音を立てて啜りあげた。
開いてきたピンク色の花弁をはみ、奥へ奥へと舌を侵入させて行く。
まだ誰にも触れられたことのないその部分はヒクヒクと蠢き、男を知らないながらも期待に満ちた動きをしていた。
ピッチリと生えそろった肉襞は、侵入してきた舌を奥へ奥へと導くように絡み付こうとしてくる。
愛液を啜り飲み、唾液を膣壁に擦り込むように流し込んだ。
少女の匂いから、発情した雌のニオイに変わる。
頃合いと見た男は、股間から顔を離した。
男の舌と淫水が染み出す胎内への入り口の間を糸が引く。
その糸は無色透明ではなく、少しばかり白く濁っていた。
523 :
水死体:05/02/01 12:46:48 ID:yI7EWCS8
ズボンとパンツを一緒に下ろし、天を仰ぐ剛直を取り出す。
興奮に息を荒げ、音夢に覆い被さる。
少女の身体は糸が切れた人形のように動かない。
しかし音夢のオンナの部分は、まるで男を誘うかのように淫靡に蠢いていた。
十分にほぐれた粘膜に自分の逸物を宛う。
チュクリ・・・
いやらしい水音が立つ。
淡いピンク色をした陰唇を手で押し開き、膣口まで押し進める。
その先には、押しつけられた男根とは不釣り合いなぐらいの小さな肉の洞窟があった。
ミチミチミチミチミチ・・・・メリッ!
亀頭の部分がめり込んだ。
「ひぐっ!?」
体内に侵入してきた異物が与える痛みに身体が硬直する。
これから行われる性の暴力に全身がガクガクと震えだし、双眼が恐怖に見開かれた。
音夢の秘洞は濡れぼそっていてもなお狭く、男が侵入するたびに柔肉がゆっくりと裂けてゆく。
ズググググ・・・・グ
男の先端に何か当たるものがあった。
膣肉とは少し異なる柔らかさと弾力を帯び、男の侵略を頑なに拒むもの。
それが何なのかを悟り、より一層狂気の笑みが濃くなる。
舌なめずりをし、一気にブチ抜くことにした。
・・・・ブツッ、ズブズブズブズブッ!!
少女を護っていた皮膜はボロ布のように一瞬で破り捨てられた。
そのまま最奥まで貫く。
「あ゛・・・グ、かはぁ・・・っ!!」
ゴリッと子宮口を突き上げる音が、少女の中で響いた。
鋭い痛みが、耐え難い痛みが下腹部を襲う。
引き裂かれた汚れのない身体、引き裂かれた汚れのない心。
護り育むのは数多の時間を費やすのに、失うときは一瞬であった。
意識が沈んで行く。
辛い現実から、ガラスのように繊細な心を護るために。
524 :
水死体:05/02/01 12:48:17 ID:yI7EWCS8
男は腰を振る。
ケモノのように。
相手の事などお構いなしだ。
男にとってこの行為は、気持ちがいいからとか単なる暇つぶし程度の軽い物でしかない。
ただただ、快楽を貪り続けた。
腰を振り立て、大きなストロークで抜き差しする。
水音と肉のぶつかり合う音が、夜の並木道にやけに大きく響くような錯覚にとらわれる。
男の腰の動きに合わせるように、音夢の首に巻かれたチョーカーの鈴が鳴っていた。
チリン、チリンと。
音夢はそれを手で押さえた。
鳴らないように。
幼い頃自分が迷子になると、この鈴の音を聞きつけて兄が必ず探しに来てくれた。
だからこそ、必至に押さえた。
どうか兄の耳に届きませんように。
こんな姿を見られませんように。
混濁した意識の下で、そんなことを考えていた。
堅く閉ざされた瞳には何も写らない。
脳裏にも何も浮かばない。
しかし、誰かに見られている気がした。
嫌悪感を覚える視線。
うっすらと笑う嫌な視線だ。
芳野さくらが、あの魔女が、すぐ近くで笑っているような気がした。
その嘲笑う視線のまとわりつく中、音夢の胎内に熱い何かが注がれた。
この後、音夢シナリオ以外では中○校を卒業すると本土にある医療系の学校に進学することになる。
そんな彼女には、本土に渡ってまず最初にしなくてはならないことがあった。
この春、音夢は初めての堕胎を経験した。
乙〜
ラストから3行目「シナリオ以外で」は無いほうがいいかも。
でもこういう黒い話大好きw
あ、前よりも面白くなってる。
頑張れ、超頑張れ。
こういう風にキャラの特徴を取り入れる(ゲームやってないからそれっぽいと思っただけだが)自体は悪くないんだけどなあ…
「ゲームの二次創作」ではなく「キャラクタのみの二次創作」はどうにも。
ま、この辺は好みもあるしただの愚痴だと思ってくれ。
ああ、エロ含めて描写は良いと思ったよ。GJ!
528 :
水死体:05/02/02 12:38:28 ID:7ZljX7U8
うう、ありがとうございます。
なにか他に悪い点とかはなかったですか?
ここの書き方がダメとか、しつこいとか逆に足りないとか。
細かいところいうときりがないんだけど
陵辱系はこれでもか、というぐらいしつこいほうが○
一般人が読んだら吐き気を催すぐらいでちょうどいい
>528
よく書けてると思うよ。一文の短さで、テンポとれてるし。
ただ、シリアス(陵辱)な雰囲気って、言葉ひとつの選び方で吹き飛ぶ場合があるかもね。
自分の場合
>当社比2.5倍ぐらい
で、「え? なに? ギャグ? 狙ったん?」って思ったよ。
なんか、周りの文体にそぐわないというか。
あくまで個人的な感想だけど。
あとは、すでにつっこまれてる『音夢シナリオ以外では』かな。
閉じてた世界を、いきなりぶち抜いた印象を受けたよ。
531 :
水死体:05/02/03 12:48:33 ID:7caHp+OS
なるほど、文体を統一してしまうべきなんですね。
でもってラストが蛇足と、勉強になります。
今度は何を書こうかな〜
一般人が吐き気もよおすぐらいを心がけましょう。
待って、待って〜。ラストはとても黒い感じがして良いよ。
あくまでも「音夢シナリオ以外では」の一節のみだよ〜。
533 :
水死体:05/02/04 12:24:59 ID:cq2Wj03A
そういうことでしたか。
あくまでお話の中、であるようにとの事ですね。
フラグがどうとか、ルートがどうとか言うのではなくて。
次はこれの続きで音夢に中絶させちゃおうかな〜
何故か2chに家から書きこみができません・・・うぐぅ
あえて苦言を呈するなら
シーンではなくストーリーを書いてホスィ
>水死体
× 芳野
○ 芳乃
これ結構間違える人多いな
排泄を強制され、倉敷親娘は「心」に刻印を刻まれ牝豚へと堕ちた。
その手助けをした看護婦・みちるが健一へと話しかかける。
「ねえ健一君?」
「うん?」
「やっぱり私にもやらせてくれない?」
みちるの提案に健一がやや意外そうに言う。
「うん、もともとこの館でこれはみちるさんの専門なんだしいいけど……
どういう風の吹き回し?」
「だってさっきのあんなちゃんて、とっても可愛かったんですもの」
母親と向かい合わせで吊られている少女を、医務室で自分の患者に向け
ていた、あのねめつけるような目線で見ながら応える。
それを聞いた母娘が思わず顔をあげる。
「え、みちるさんがっ!?……いやあっ!!」
「お願い! あんなにそんなことしないで!!」
館の主だった二人は、みちるの責めがいかに屈辱的かを知り抜いているのだ。
(だからこそ、やらせがいがあるだろう。)
健一はそう考えると、同意した。
「よし。ひとつ頼むよ。俺も今後の参考にしたいしね」
「ふふ。まかせて」
館の新しい主と、熟練の雇用者が微笑みあう。一方でかっての主たちは悲痛な
叫びをあげた。
「いやあーっ!!」
「やめさせてえっ!!」
みちるは嬉しげに準備をはじめた。これが何よりの彼女の生きがいなのだ。
「さっきのグリセリンと酢酸の混合液はもちろん最高なんだけど……これも、
なかなかよ。ほらさっき、よしのさんに使った」
そう言ってみちるは業務用の口内洗浄液の大瓶を再び取り出して続ける。
「特にあの混合液の後だと、すごく沁みて痛いと思うの」
「やだぁーっ!!」
みちるの解説にあんなが怯える。
みちるは先程、何度もよしのに使用していた巨大な浣腸器に瓶の中身を
吸い上げると、あんなの背後に回って言った。
「はい、いくわよ、あんなちゃん」
あんなの小ぶりな尻たぶに浣腸器の先端が挿し込まれ、シリンダーが押し込
まれる。
「いやぁーーーっ!」
休む間も無い連続しての浣腸にあんなが悲鳴をあげる。
一方、向かい合わせで縛られている泰江は、今度は娘と苦しみを共有する
こともできず、目の前で繰り広げられる惨劇に目を背けるばかりだ。だが、
たとえ目を塞いでいても、悲鳴を遮断することなどできはしない。
(それにしても、よしのの奴もよくあんなに入ったな)
健一はペットボトルさながらの浣腸器の大きさと、それに耐えた元恋人に
あらためて関心していた。だが、体の大きさを考えると、あんなはさらに
その何倍もの苦しみを味わうことになるはずであった。
シリンダーが押し込まれるのに比例して、あんなの薄い下腹が膨らんでいく。
「いたいっ! いたいよぉっ!」
グリセリンと酢酸で爛れた直腸に、さっそく口内洗浄液の刺激が効果をあら
わしはじめたのだ。みちるはその悲鳴をBGMに、楽しげに作業を続ける。
「はい、おしまい。どう、あんなちゃん、気分は?」
シリンダーを最後まで押し切ったみちるは満足げに問いかける。
「おなか、おなかいたいよぉっ!」
もっと幼いころから、館の客たちに与え、苦しむ様を見物してきた痛み。
それがいまあんな自身を苛んでいる。
「いたいっ! いたいっ! いたいっ!」
あんなの細い直腸だけではおさまりきらず、大腸までもが薬液で一杯に満た
されていた。激流となって、あんなの体内からいまにも溢れ出さんばかりだ。
「ああっ、あんなぁ!」
あんなが激しく体を揺すり、排泄を堪えているのが、泰江にも直に伝わって
くる。しかし、いまの泰江にはどうしてやることもできない。
「また、またでちゃうよーーーっ」
そう叫ぶと、その小さな体が限界に達したあんなは、今度は一人で床に
噴出させていった。それはさきほど母娘で出したものの上を覆っていく。
ミントの香りで、多少、床の匂いが中和されていった。
えーと・・・終わったのかな?
540 :
水死体:05/02/07 12:47:38 ID:wGrFVw8F
調教モノ大好き!
でも食事中に見ないほうがよかった・・・
ええと、これは何のキャラでしょうか?
俺は536じゃ無いが説明
536の名前欄がタイトル、メーカー名になってる
かなり古い作品だから、知らない人も多いんだろうな
もしかして、これの前作のGRなんて知ってる人探す方が難しいかも
ガンツ先生好きだったのに…
あと遅れたが>536GJ
ブツの描写が多いわけでもないので漏れは食事中でも平気だった。
内臓を痛がってる描写だけなら自分的に問題ないようだ。
>538が536、537と同じくらい長かったらやヴぁかったけど。
おっと。>536乙。
>>536 ん〜・・・まず、読みやすいような改行からですかね
544 :
536:05/02/07 22:54:30 ID:gWLhJ196
>543
あ〜、改行ね。
うん、昔からただのレスをするときも、手ごろな改行箇所は
どこかで考えちゃうんだ。
コツとかガイドライン、あるいは理想的な改行をしている
他SSとかがあったら教えてくれると嬉しい。
縦書きだとラノベで見慣れてるから適当な改行でいいけど
横書きだといまいち難しいよな。
コツというほどのことはないけど
せめて単語の途中で改行はやめたほうが
547 :
水死体:05/02/08 12:23:43 ID:mKuRAaKi
ああ、天津堂のWAVERということですね。
メーカーの名前しかわかりませんでした。
でもガンツ先生はPC98時代に聞き覚えが・・・
私は書き方とかってイマイチよくわかってませんが、
改行のしかたはエロゲのそれと同じでいいんじゃないですか?
読みやすいように「、」や「。」で行を改めるとか。
というかまず半年ROMれば?
とりあえず、ちゃんと起承転結のある話キボンヌ
業務連絡〜
三月から住居が変わりまして、今まで入り口にしていたJ−COMのアドが使えなくなります
向こうの方にもリンクを張っておきますが、保管サイトへのブックマーク他は以下のURLに
変更を願います
http://yellow.ribbon.to/~savess/index.html 後、三月以降、半年くらい更新が出来ない可能性があります。
「そんな間待ってられっか〜。漏れが代わりに保管サイト更新してやるZE!」
って人がいるなら、保管サイトの引き継ぎをいたします。
いや、いないなら続いて私がやりますが。
一応、その半年間にも休みがあるはずなので、機会を見て保管作業はしたいと考えています
以上、業務連絡でした。
保守
552 :
名無しさん@初回限定:05/03/04 13:07:27 ID:FO+jBlM9
新人さん歓迎!
SSスレはやる気のある人間を募集しています!
新人さんでもまったくOK!経験者は優遇します!
準備中
明日運が良ければ何か投下したいと思います
ノシ
「それでは、これより会議を始めたいと思います」
青空荘地下の会議室。悪の組織『ヴァルキル』のアジトの一画で定例会議が開かれようと
していた。
私のこの組織での仕事は、怪人の作成と研究である。
悪の組織といえば怪人。怪人なくして悪の組織なし。つまり、この悪の組織『ヴァルキル』の
存在意義の一翼を担っているのが、どちらかと言えば天才である私、柳川千夜といえよう。
だがどちらかと言えば天才であるこの私は慢心はしない。組織あってこその私であり、
ヴァルキルの為に、私こと『Dr.ヘルナイト』が存在するのである。どちらかと言えば天才は、
謙虚さも忘れない。それが明日への高感度UPへとつながるのだ。
だから、私の作成した怪人が大活躍をして多大な成果を上げたとしても、戦闘隊長に
恩着せがましくしてお腹に三日消えない痣をもらったりなんかしないし、満を持して調整した
怪人が作戦の不備により敗北して帰ってきたとしても、戦闘隊長に嫌味を言ったりして
頬の腫れが一日引かなかったなんてこともない。決してない。
「――ですから、先の戦闘では、怪人とコゾーンたちとの連携不足により、部隊が
分断されてしまったことが敗因だと思われます」
会議では、作戦部部長であり、戦闘隊長である魔将キリッサが先の作戦における失敗の
言い訳をしていた。しかもなぜか殊更こちらに強調するように。まるで私が悪いと
言わんばかりに。失敬な奴だ。
「責任の押しつけはみっともないぞ。実行部隊長」
「なっ、あんたも少しは責任を感じなさいよ! 怪人と直接コミュニケーション取れないん
だから、どうしても不測の事態に対処が遅くなるのよ!」
「そのためにウーリンとアーネウスを作ってやったろう」
冥獣ウーリンと冥獣アーネウスは、私が作戦部の要望にしたがって開発した人との対話による
コミュニケーションが可能な画期的怪人だ。本人たちは、他の怪人たちとの意思疎通が
可能なため、その通訳に成り得る。
「ウーリンはあのとき別部隊を展開していたし、アーネウスは緊急事態にさっさと
あんたのところに行っちゃったじゃないっ!」
「非常事態においては、御主人様の安全の確保が、私の最優先事項ですので」
私の背後に控えるアーネウスが、済ました顔でしれっと応える。
うむ。作成した私が言うのもなんだが、主思いのいい怪人だ。
「こらっ! にやけ顔でなに頷いてるのよ!」
「キリッサ、落ち着いて。いまは、責任の追及より、今後どうすべきかの方が重要です」
真っ赤な顔で机を叩いて、こちらを指さすキリッサをなだめる冥将シアシア。
実質この組織の運営の切り盛りをしているNo.2だ。
「は、はっ! すみません。シアシア様」
「それで問題は、いまの戦力と状況だと、不測の事態が起きやすく人員も必要な、
大規模な作戦は難しいということかしら」
「はっ、はい。駒だけ揃っていても、それを巧く動かせないことには……」
「ドクター、なにかよい案はないのか?」
いままで上座で黙って聞いていた冥界真帝ヘルオー様が、私に問いかける。ヘルオー様は、
見かけは子供っぽい……、いや、中身も子供っぽいが我々のボス、この組織のリーダーである。
そのボスに全幅の信頼をおいて訪ねられている立場の私としては、そこで、否、と答えよう
はずもない。
「ひとつ。宜しいですか」
「うむ。許す。なんだ」
静かに手を上げ、ヘルオー様に伺いを立てる私を急かすように、ヘルオー様が頷く
「この問題は、単純に、人との対話によるコミュニケーションが取れる怪人が増えれば、
解決するでしょう」
「うん。そうだな」
「ただし、このような怪人を生成するのは、膨大な予算と時間がかかります。いままでの
怪人を作成するよりもずっと。それに、そのような怪人を一度作成できるようになったから
あとは量産、というわけにもいきません」
「つまり、それは現実的な解決案ではないということか?」
「いえ。私だから可能だ、と言うことを知っておいていただきたいための前振りです。
簡単にぽんぽん作り上げてるように思われては心外ですから」
「ほんとかしら?」
疑惑の目を向けるキリッサを尻目に、シアが質問してくる。
「それは、ほかにも人との会話ができる怪人を作れる、ということかしら?」
「ええ、というより、すでに作り上げています」
「なに? でかしたぞ、ドクター! あれだな? 『こんなこともあろうかと』という
やつだな? やはり技術者たるものこの台詞が言えなくてはな!」
なぜか手足をばたばたさせて興奮するヘルオー様に、悪役らしくにやりと笑みを浮かべると、
指を鳴らす。
その合図とともに、背後に控えるアーネウスが会議室の扉を開くと、その怪人が姿をあらわす。
「ね、ねこ……?」
ぽてぽてという擬音が似合いそうな歩みで入ってきた怪人を見たキリッサの第一声が
それだった。たしかに、この怪人の形態はねこっぽい。それにサイズも他の怪人に比べて
二回りほど小さい。
「おお、なんか可愛らしいな」
「しかし、これで戦闘に出しても問題ないのですか?」
疑問を呈するシア。
まあ、たしかにこの外見を見ると、その心配もわからないではない。もっとも、私の心配は
また別のところなのだが。
「いえ、この怪人は、いまはこんな態(なり)をしてますが、人と対話できるという特徴を
最大限生かせるよう変態能力を備えています」
「な、なに? そいつは変態なのか? それは流石に放映上まずいのではないか?」
「ヘルオー様、おそらく、その意味の変態ではございません。トランスフォームの意味では
ないかと」
顔をやや赤らめながら「ねこ」怪人を指さすヘルオー様に、こちらもまた、やや顔を赤らめ
静かにつっこみを入れるシア。
そんなつもりはないが、セクハラでもしてるような気分。
「トランスフォーム? どのような意味だ?」
「ヘルオー様、英語の勉強をしっかりしてしておいてください」
「英語? 変態は、英語でもHENTAIではないのか?」
「ですから、その意味ではありません! なんでそのような知識だけあるのですか!」
辞書の猥語だけに赤線を引っ張っていたずらした生徒を叱る教師のようなシア。
ヘルオー様もそういうお年頃なのだろう。しかし、このままではHENTAIだけで会議が
終わってしまうので、話を進めることにする。
「ヘルオー様、「なりかたち」を変えることができるという意味です。つまり、誰かに
成りすまして、その人間の振りをすることができるということです」
「な、なんと! それは素晴らしいではないか! シアも意地悪な奴だな。最初から
そう言ってくれればよいではないか」
「へ、ヘルオー様が、常日頃からしっかりと勉学をなさっていれば、このようなことには!
ですから、私はいつも組織の上に立つものとしての自覚と鍛錬を、
とあれほど口を酸っぱく――」
「ま、まあまあ、シアシア様」
会議そっちのけで、すっかり母親モードになってヘルオー様に説教を始めたシアを
なだめるキリッサ。先程と立場が逆転している。シアは、常に冷静沈着だが、ヘルオー様の
こととなると人が変わったようになってしまう。
「とりあえず、怪人の紹介をしてもらいましょう」
「う、うむ。そうだな。それがよい」
怪人を紹介するように促すふたり。ヘルオー様はシアの気をそらせればなんでもいいようだ。
「ええ。ただ、ちょっと、この怪人の学習環境に少し問題があったようで……」
「ん? なんだ?」
「まさか、アーネウス以上の変な性格に育ってないでしょうね?」
「失礼なことをおっしゃらないでください。年中ほとんど裸でうろうろしているような方に
『変』だなどと言われたくありません」
「なっ! こ、これは衣装なのっ! 制服なのっ!」
「その割には随分嬉々として、着用していらっしゃるようですけど? 嫁入り前の肌を
顕に露出させるような『 制 服 』を。 ご自身に素直になったところで、いまさら
失墜するような尊厳など存在しないのでは?」
「いっ、言ったわねっ! あんただってねえっ――」
鼻で笑うアーネウスに、キリッサが言い返そうとしたそのとき。
「藻舞いら、もちつけ。 煽りもスルーできない香具師は厨房w」
しゃべった。
「ねこ」が。
「は?」
一瞬で静まり返る会議室。おそらく言われた言葉を理解できなかったのだろう。
頭を抱える私に、おそるおそるシアが当然の疑問を呈する。
「あ、あの? ドクター? この怪人は、日本語による意思疎通は不可能なのですか?」
「いや、このどちらかと言えば天才の私が、そんな欠陥品を作ったりしない。日本語、広東語、
北京語、ハングル、ベトナム、ヒンズーはおろか、英語、フランス、ロシア、イタリア、
ドイツまで理解できる。そして、喋ることもできる」
「では……?」
「↑(゚Д゚)ハァ? 藻舞いDQN? 一度で理解しる!」
「…………」
うあ。シアの握った拳が震えてるよ。初めて見たよ。言葉の意味はほとんど理解できてない
はずなのに。あのシアをたった一言でここまで追い込むとは、ある意味恐ろしい怪人だ。
生
背筋に流れる冷や汗を感じとっていると、我に返ったキリッサが捲し立てる。
「ちょ、ちょっとちょっと! なんなのよ! この怪人は! 片言の日本語しか話せない
じゃないっ! それもほとんど意味の判らないような!」
「DQNのすくつになってるスレはここですか? 悪の組織って(プゲラ」
「っ! 意味は判らないけど、無性に腹のたつ言いかたね!」
「……いや、だから、先刻も言ったが、この怪人の学習環境として、幅広い知識と
情報検索能力、収集能力、取捨判断能力を養うために、ネット環境を提供してみたのだが」
「それが、なんでこんなになってるのよ!」
「いや、それが、そのうちある特定のサイトに入り浸るようになってだな――」
「巨乳(;´Д`)ハァハァ」
「きゃーっ! な、なんなのよっ! ちょ、ちょっと抱きつかないでってばっ!
こらっ! ドクター! こいつやっぱり変態じゃないっ!」
「いや、テストの結果こいつの知能はかなり高い。ま、環境次第で天才でもどうとでもなる
という見本だな。その点、私なんかは、正常に育った天才といえよう」
「正常に育った天才が、こんな変態つくるわけないでしょっ! こいつをなんとかしなさい
ってば!」
胸に顔をうずめている「ねこ」怪人をなんとか引き剥がそうとするキリッサ。
テストの結果では、運動能力、身体能力も高いので、そう簡単には引き剥がせないだろう。
「し、しかし、これでは、使い物にはならないのでは?」
「う、うむ。しかし、街に混乱を引き起こすためには、使えそうであるが」
そりゃそうだろう。ここでさえ、この有様なのだから。敵を引っ掻き回すのにはいいかも
しれんが。その前に味方が全滅しそうだ。
「藻舞いら、安心汁! そこのょぅι゙ょの言うとおり、漏れは、敵にするとこれ以上
怖いものはない存在だが、味方にするとこれ以上頼りないものはない存在でつ」
「全然ダメじゃないっ!」
抱きつきから解放されたキリッサが、大きな溜息とともにつっこむ。少し会話に慣れて
きたらしい。
「うむ。だから、はじめに言ったであろう。人と対話できる怪人を作り上げるのは、
私の才能をもってしても奇跡的に近いものだということを。しかも、こいつは能力的には
最高クラスの怪人なんだ」
「いくら能力が高くても、性格が破綻してたらどうしようもないでしょ!」
「↑粘着Uzeeeee!! 空気嫁!」
「あんたは黙ってなさいっ!」
「自治厨晒しage」
「だいたい、こいつなんでこんなねこみたいな格好してるのよ!」
「どうも、本人のお気に入りらしい。宜しく頼む」
「(=゚ω゚)ノぃょぅ」
「じょ、冗談じゃないわよ! と、とにかく、私は自分の下にこいつを置くつもりないからね!」
_____
/_ |
/. \ ̄ ̄ ̄ ̄|
/ / ― ― |
| / - - |
||| (6 > |
| | | ┏━┓| / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| | | | ┃─┃| < 正直、スマンカッタ。
|| | | | \ ┃ ┃/ \________
| || | |  ̄  ̄|
「きゃっ! び、びっくりした! いきなり姿変えないでよ。そ、それに、いまさら
謝ったってダメだかんね!」
「(´・ω・`)ショボーン」
「な、なによ。そんな顔したって……」
「ヽ(`Д´)ノウワァァン!!」
泣き叫び(?)ながら、ヘルオー様のもとに走りより、すがりつく「ねこ」怪人。
「キリッサ、これはちょっと可哀想ではないか? この怪人も生まれたてで、
精神的に幼いのかもしれんし」
「し、しかし、ヘルオー様」
「このヴァルキルは、他者から虐げられたもの、疎まれたもの、不必要と烙印を押された
ものたちで構成しているんだ。その我々が、他者をこうも邪険に扱ってもよいのだろうか」
意外にしっかりした意見を述べるヘルオー様。シアも、目を見開いて「へ、ヘルオー様……」
と、まるで娘の意外な成長ぶりに驚く親のように感動しているようだ。
「わ、判りました……」
しぶしぶ頷くキリッサに、ヘルオー様に抱きついていた「ねこ」怪人が、振り返る。
「( ´,_ゝ`)プッ 」
ヘルオー様と、シアに見えない角度で。
「ああああ! いま、こいつ鼻で笑いましたよ! 私のこと! やっぱりこんな奴おいたら、
組織の規律の維持に差障りがでます!」
「キリッサ、なにを言っておる。おまえが因縁をつけるから、よけいしょぼくれておるでは
ないか」
「(´・ω・`)ショボーン」
「キリッサ、たしかに私も不安だけれど、試験的に作戦部へこの怪人を配属させては、
どうかしら?」
ヘルオー様に支持する形で、キリッサに提案するシア。
ただ、これは意外だった。組織とヘルオー様のことを第一に考えるシアが「こいつ」を
容認するような発言をするとは。
先刻この「ねこ」怪人は、シアから見えない角度で嘲笑したはずだが、あれでヘルオー様は
ともかく、シアまで騙されるとは思えない。
そのあざとさからこの怪人の知能を感じ取ったか?
「ょぅι゙ょ(;´Д`)ハァハァ」
「シ、シア様! い、いまの見ましたか! こいつ!」
「(´・ω・`)ショボーン」
「どうした、キリッサ。先刻から変だぞ。こいつはずっとしょぼくれておるではないか」
「キリッサ。お願い」
そうキリッサに頼み込むシアは、すでに怪人の様子を気にしていない。やはり、感づいた
らしい。シアがなにを考えているかまではわからんが、私も純粋に研究対象として、
こいつがどこまでやれるのかには興味がある。反対する理由はない。
「う……わ、判りました。私はなにがあっても知りませんからね」
そうしてこの「ねこ」怪人の配属が決まった。
>555-565
『レベルジャスティス』から。
一発ネタのつもりが長げえYO!状態に。
>561
援護(か判らんが)、とりあえずthx
567 :
名無しさん@初回限定:05/03/06 19:52:51 ID:xFfBdqj8
>>566 乙!生でずっと読んでて続きの書き込みが待ち遠しいほど面白かったぜ!
で、続くのコレ?
こういうのをリアルタイムで見たのが初めてだったので
一言にまとめてみました。
続きを読んでみたいのですが、予定はないのですか?
GJ!ぜひ続きを。つか葉月と絡ませてホスイ
GJ!
激しくワロタw
すげぇ変則ネタだな、ギガワロスw
元ネタ知らんが面白かった
GJ!
しかし、イヤな怪人だなw
「ちょっと、ドクター!」
午後の休憩の一時。ヴァルキル本部地下の研究室で、優雅にティータイムを過ごしている
私の元へ、キリッサが怒鳴り込んできた。
まったくもって騒々しい。お茶に、埃が入るではないか。
「あの怪人、少しは大人しくさせなさいよ!」
あの怪人とは、私が人との対話によるコミュニケーション可能な怪人第三号として、
作り上げた怪人のことだ。学習環境にネットを与えてみたら、あるひとつのサイトによって、
極めて個性的に育て上げられてしまった。
ちなみに、その怪人は、私があらかじめ名前を与えていたのだが、気に入らず、
無理矢理「ナナシサソ」と呼べと言い張った。あまりに呼びにくいので、みんな「ナナシ」と
省略して呼んでいる。
「どうした。また、ナナシがなにかやったのか?」
「ええ。やったわよ! 私の命令もないのに、勝手に街にでて騒ぎを起こしてくれたわ!」
「それで被害はどうなってます? シアシア様」
キリッサより遅れて、キリッサとは対照的に静かに研究室に入ってきたシアに、被害の状況を
確認する。
「はい。今回は、商店街における牛丼屋でのトラブルです」
傍らに持っていた報告書に目を通すシア。
「まず、牛丼屋に来ていた親子連れ一家四人に対して、百五十円を渡し、無理矢理席から
どかせようとした被害が一件」
「さらに、Uの字テーブルの向かいに座っていたお客と、喧嘩を起こしています」
「加えて、大盛りつゆだくを注文した隣りのお客に対して、ぶち切れたそうです」
「最後に、大盛りねぎだくギョクを注文して、店員にマークされたようです」
シアの報告が終わる。
「なんだ。可愛いものじゃないか。そのぐらい多めに見てやる度量も、上に立つ人間には
必要だぞ」
「アナタは直接あいつを管理してないからそんなこと言えるのよっ! 少しは、管理職の苦労を
理解してよねっ!」
「判った判った。ナナシに言っておこう」
「言っただけじゃ利かないでしょ!」
「まあ、待て。一度、会議で諮って、あいつを実践で使ってみてから、また、その後を
相談しよう」
というわけでナナシを使うための作戦会議。
「それでは、これより、臨時会議を始めたいと思います」
「うむ。今回は、あの怪人、ナナシの出撃についてだな」
「はい。私は、あまり気が進みませんが」
「まぁ、キリッサ。そう言わないで。あの怪人の能力を、量っておくことも大事なのでは
なくて?」
「……はい」
「ドクター。あの怪人は、変た……変身能力があるのだろう」
「はい」
「ならば、やはり、ここは、その能力を活かした作戦がよいのではないだろうか」
もっともな意見を発するヘルオー様。なにかもう既に考えがあるのだろう。だって、やけに
そわそわしてるから。まるで、なにかを楽しみにする子供のように。
「ヘルオー様、それはたしかに良い案なのですが、あのナナシの変身能力が如何ほどのものか、
我々は全然把握していません。本番で全く役に立たないとあっては……」
キリッサが当然の不安を表明する。
それもそうだ。ナナシは、まだ、一回もちゃんとした「なりすまし」を見せていない。
だから、今回、会議を開いた理由には、そのことも含まれている。ナナシの能力の一端を
見せるという目的が。
「では、キリッサ。こうしてはどうかしら? ナナシに、我々の中の誰かに変身してもらって、
実際に騙されるかどうかを、実験するというのは?」
「は、はい。それはいいと思いますが、あらかじめ誰に化けるか判っていると、先入観が
生じるのでは?」
流石に作戦部部長をやっているだけはある。評価する側にとっては、それは当然考慮すべき
問題である。どちらかと言えば天才の私には及ばないが、キリッサも結構よく頭が回る。
「そうね。でも、この実験方法そのものに対しては、有効性を認めるかしら? キリッサ」
「はい。実験そのものは」
「では、実験は成功ね」
シアがニッコリと微笑む。
「え?」
「チャイナщ(゚ロ゚щ)カマン!!」
突然、本人に似つかわしくない言葉を発するシア。
それと同時に、会議室の扉が開き、『本物の』シアが現れる。
「え……? シ、シアシア様!?」
「ど、どうなっておる!? シアが二人いるぞ!?」
驚きの表情を見せる二人。このことは、私とシアしか知らなかったことだ。ヘルオー様と
キリッサに、ナナシの変身能力の性能を見せるために、シアにだけ協力を仰ぎ、きょう一日
隠れていてもらっていた。
いままで、シアの姿をしていたナナシの姿が、従来の「ねこ」型にもどる。
「ヘルオー様、キリッサ、ふたりがきょう接していたのは、私に変装した『ナナシ』です」
「この怪人の変身能力、ご理解いただけましたか? ヘルオー様」
「う、うむ。素晴らしい! 私は、シアシアと付き合い長いのに、全然気づかなかったぞ!
きょうもしっかり朝から小言をくらっていたぞ」
「ヘ、ヘルオー様……」
ヘルオー様の自分に対する認識に、すこし凹むシア。
「そ、そんな……」
信じられない、と言いたげなキリッサ。あの怪人が、ここまでできるとは思っても
いなかったし、思いたくもないのだろう。まあ、その気持ちは、少し判らんでもないが。
そんな呆然とするキリッサに向かって、
「m9(^Д^)プギャー 釣られてやんのw」
『いつもどおり』のナナシ。
「…………」
「ぉぅ……」
こちらもいつもどおりに戻って、震える握り拳で、腹を殴りつける。なぜか私の。
机の下から見えないように。
本気で痛い。
その後、ナナシがクマの格好で、釣り糸を咥えて会議室をずり回るというトラブルがあったが、
なんとか作戦会議は無事終了した。
作戦決行の日。
ナナシとヴァルキルの構成員であるコゾーン隊を従え出撃するキリッサに、当然ながら私も
同行した。
今回の作戦では、セーフスターを誘き寄せることが目的なので、なるべく派手に、
目立つように、活動するよう命令が出ている。
セーフスターは、予備も含めた犯罪を取り締まる政府の秘密組織『SAFE』が、新たに設けた
広報と犯罪検挙を兼ねた部隊である。
……まあ、ぶっちゃけると、戦隊ヒーローだ。いや、この場合女性なので、ヒロインか。
とにかく、我々悪の組織ヴァルキルにとって、厄介なことこの上ない。
「どうだ、キリッサ、状況は?」
「ええ。これだけ派手に行動すれば、敵にもなにかしらの動きはあるわ。ただ、それで、
セーフスターが誘き寄せられるかどうかは判らないけれど」
「いや、奴らはヴァルキルを目の敵にしてる。きっと来るさ」
作戦会議では、シアたち情報部が事前にSAFE側に、こちらの情報を意図的に流すという案も
出た。しかし、ヘタを打った場合、つまり、意図的に流された情報だと気づかれた場合、
それを逆手にとられる危険性があったので、取りやめになった。黙っていてもセーフスターが
出張ってくる確率は高いので、わざわざ余計な小細工を弄する必要はない。
「でもねぇ。でてきたらでてきたで、また、心配なのよね……」
傍らで、自分は一切行動せず、周囲を煽動しているナナシを、見やるキリッサ。
アナタも行動しなさいよ、と命令したところ、「(゚Д゚)ハァ? 口だけで行動が伴わない
ところが、漏れの特徴だろうが! ヴォケ!」と返されたらしい。逆切れもいいとこだ。
「しかし、こいつの能力の高さの一端は、見ただろう?」
「ええ。それは、たしかに認めるけど。でも、もの凄く博打性の高い賭けに、自分の全財産を
つぎ込むような気分だわ」
ある意味言いえて妙だ。鬼がでるか蛇がでるか。
苦笑を浮かべたそのとき。
「キ、キリッサ様! ヘルナイト様!」
コゾーンのひとりが、こちらに駆け寄ってきた。
周囲に流れる空気が、変わる。不穏の色を帯びる。
「ふふふふふふふふふっ……」
「はははははははははっ……」
「くすくすくすくすくす……」
「あーっはっはっはっはっ……」
街中に高らかに響き渡る四つの笑い声。キリッサの顔にわずかに緊張が走る。
「この笑い声は……」
「 .\ イチ ! ニ ! サン ! アイン ツバイ ドライ ./
\ . ∧∧ .∧∧ .∧∧ /
\ (,,゚Д゚) (,,゚Д゚) (,,゚Д゚) ./
\ と つ.と つ.と つ .∧∧ /
ナ、ナカデダセ !\(_つノ〜(_つノ〜(_つノ (;´Д`)./ _ ∩
コノヘンタイヤロウ !.\し' し' し' ダメポ…./( ゚∀゚)彡 オハナ ! オハナ !
∧_∧∩__∩ \ アン ! ドゥ ! トロア ! ./ ( ⊂彡
( `∀´)´Д`;) .\ ∧∧∧∧∧ / | |
ノ へつ⊂ノ \< セ >./ し ⌒J
(_(⌒)へ_ノ < | >
――――――――――< の .フ >――――――――――――
_ ∩ .< 予 .ス > ∧_∧_∧
( ゚∀゚)彡 オカネ ! オカネ !< 感 タ > (`∀(;..´Д`) ダレカキタラ
( ⊂彡 /< !! . | > (つ⊂ .(⌒) ミセツケレバ
.| | ./ .∨∨∨∨∨\ /.ゝ 〉,'__,,ノ イイノヨ……
.し ⌒J /ヨニンソロッテ、 \(_(__)_)
/ セ、セーフスター…… \
./ ∧∧∩∧∧ \
/ ∩゚Д゚,,)ノ(゚д゚,,) ∧∧ \
. /∩∧∧.ヽ | ヽ つ (゚д゚,,) \
/ .ヽ(゚д゚,,)⊂_ ノ ヽ ⊂ ⊃ .\
./ .ヽ つ し し`J | _. | \
/ O-、つ (/ J . \ 」
「言われなくても判ってるわよ――って、アナタいま、もの凄い変形しなかった?」
「(゚ε゚)キニシナイ!!」
「ま、まあ、いいわ……。それよりも、いまはアイツらよ!」
小さな建物の屋上。傾きかけた太陽と青空を背景に。
お決まりのコスチュームに身を包んだセーフスターこと葉月たちが、いくらか慣れたように
颯爽とポーズをとりながら叫ぶ。
「愛と希望の公務員戦士! ラブリーホワイトスター!」
青を基調とした葉月。
「愛と勇気の公務員戦士! ラブリーレッドスター!」
赤い巫女服をモデルにしたような神代美香。
「愛と安らぎの公務員戦士! ラブリーグリーンスター!」
緑を基調に、花をイメージさせる衣装の涼屋綾奈。
「愛と正義の公務員戦士! ラブリーピンクスター!」
派手なピンクの衣装を纏う間崎千早。
「愛と肉欲のガシャポン戦士! バブリーリンゴスター!」
…………。
「五人揃って――え? 五人?」
「五人揃って! デーブ・スペクター!!」
余計なのがひとりいた。ついでに隊の名前まで変わっていた。
っていうか、いつのまに移動したんだ、ナナシよ。
「ちょ、ちょっと貴方! なんなのよ! 貴方、いまなにをしたか判ってるの!? 戦隊モノの
お約束をぶち壊したのよ。正義の味方の変身中や、登場シーンでは、敵は黙って指を咥えて
見てる! 一切攻撃しないっ! 邪魔しないっ! それをあろうことか、貴方は、
大事な登場シーンを汚したのよ!」
ものすごい剣幕でナナシに喰ってかかる間崎千早。ナナシの襟元を掴んで、がくがくと。
「そうですよー。危険なところに、少しは伏字を使ったほうがいいと思いますよ?」
「ちょっとグリーンスター! 追及すべきは、そんなところじゃないでしょ」
「間崎さん。もう、そんなことどうでもいいじゃない。それよりも、この怪人、ひとりで
いきなり私たちのところに飛び込んでくるとはいい度胸じゃない! 私が、一刀両断に――」
「どうでもよくない! それに、わたしは、いまはピンクスター! 正義の味方は、本名で
呼んじゃいけないの!」
「うわー。オタク……」
小声でぼそっと呟く、神代美香。あからさまに引いている。
「それに、貴方たち、自分たちの登場シーンを汚されて、どうしてそう平然としてられるの!?」
「だって……ねぇ?」
頷きあう葉月たち。
ひとり正義の味方に熱を入れ揚げている間崎千早と、その他三人、という構図が
できてしまっている。
作戦にはなかったことだが、早くもセーフスターのチームワークを分断してる。
「こうして改めてみると、恐ろしい怪人ね。ナナシ」
私のとなりで呟くキリッサ。
「ああ。それよりも、キリッサ。そろそろ例の作戦、いけるんじゃないのか?」
「え? あ、ええ。そうね。コゾーン隊、準備はいい?」
本来は、囮となるコゾーン隊の一部が、セーフスターの気を引いているうちに、
セーフスターの現れた場所に準備を完了させるはずだったが、ナナシの思わぬ活躍(?)により、
その手間が省けたらしい。
「はっ! 準備OKです」
セーフスターの登場と同時に、キリッサが準備開始の合図を送ったコゾーン隊のひとりが
報告する。
「それじゃ、煙幕部隊いくわよ!」
キリッサが、無線でセーフスターの建物に侵入した煙幕部隊に指示を送る。
「オペレーション、スタート!」
その合図と同時に、建物の屋上にいる葉月たちの四方から、煙幕用の煙がものすごい勢いで
噴出し、葉月たちを包み込む。
「な、なによこれ!」
「くっ! しまった。敵の罠よっ! 視界を奪って、奇襲するつもりよ! みんな、構えて!」
葉月の号令とともに、戦闘体制に入るセーフスターの面々。
だが、そのときにはもう煙幕が屋上全体をほぼ覆い、彼女たちの視界は、限りなくゼロだ。
それに、この作戦は、煙幕に乗じた奇襲ではない。
煙の噴出と同時に、我々は、彼女たちの位置が見渡せるビルの屋上へと急ぐ。
彼女たちの視界を奪って、約二分。ビルの屋上到着後、隣で時間をカウントしていた
キリッサが無線を通し命令を下す。
「三……二……一……。煙幕解除!」
屋上の煙が風に流されていく。
「ドクター。本当に大丈夫なんでしょうね」
作戦の行き先を心配するキリッサ。たしかに、この作戦は、ナナシが巧く動いてくれないと
お話にならない。ナナシに作戦の成否がかかっている。ナナシに。
…………。
先程の、大博打というキリッサの言葉も頷けるというものだ。
「うむ。奴も乗り気だったから、それに期待しよう。おお、ここからなら、奴らの状況が
よく見えるぞ」
「……はぁ」
葉月たちがいる建物の屋上の視界が戻る。
「あっ……」
キリッサが、隣りで小さく声をあげる。彼方の屋上の状況を把握したらしい。
「ふっ……」
とりあえず、第一段階は成功といったところか。
「みんな、無事?」
向こうでは、視界の戻った葉月が、他のメンバーの無事を確認していた。
「ええ。私は、攻撃を受けなかったわ」
「私も」
「私もです」
「え? どういうこと? あいつらは、なんのために煙幕を……?」
「とにかく全員無事なのね? ホワイトスター、レッドスター、グリーンスター、
ホワイトスター……、うん、全員いるわね? って、え?」
驚愕の声を洩らす、間崎千早。
「え? 葉月ちゃん……?」
「ふたり……?」
そう、煙の晴れた屋上には、ホワイトスターこと唐紅葉月が、ふたりいた。ひとりは、
ナナシが変態した偽モノである。
これぞ、戦隊モノのお約束、「偽ヒーロー作戦」である。
「な、な、な、あ、貴方、誰よっ!」
もうひとりの唐紅葉月をプルプル震える声と指でさす葉月。
「唐紅葉月ですが、なにか?」
「貴方、偽モノねっ!」
間崎千早が、偽葉月に向かって、攻撃態勢をとる。
顔も声も姿形も、そっくりなのに、たった一言でばれるナナシ。流石だ。
「まあ、もちつけ。簡単に疑うの(・A・)イクナイ!! 」
「……アンタ、私に成りすます気あるの?」
俯き加減で、必死に怒りを抑えようとしているように見える葉月。
まぁ、いろいろと怒りたくなるような気持ちは判るが。自分の偽モノが現れて「やばい!」と
思った途端、これだからな。
偽葉月ことナナシは、それを全く意に介さないように、神代美香のもとに歩み寄る。
「ああ、そうだ。美香、これ普段お世話になってるお礼、十万円、受け取ってくれるかな?」
「あ、あなた葉月ちゃんねっ!」
買収にかかっていた。
「こらぁっ! 美香っ!」
「綾奈。私ね、急にお花のことに目覚めたの。こんど一緒に語り合ってくれるかな?」
「あら? あなた、もしかして葉月さん?」
「あ、綾奈っ!」
「間崎さん。こんど一緒にコスプレパーティに行かない?」
「ええ、行きましょう。葉月さん」
「ア、アンタたちねぇ……って、え?」
怒り心頭、爆発寸前の葉月を他所に、口調とは裏腹に、それぞれの獲物(ぶき)を持って、
ナナシのそれぞれ三方取り囲む三人。
「あら? 皆さん。どうして、武器なんか? 偽モノはあちらですよ?」
「キミ、姿形はそっくりだけど、本当に変装が下手糞だね。葉月ちゃんは、ケチだから、
そんなに気前よくないよ」
「それに、お花を慈しむよな慈愛の心も持ち合わせていません」
「そうそう。おまけに、人付き合いも悪いしねー。なんてったって、私の歓迎会、『宿題が
あるからパス』だもんね」
「……ア、アナタたち、私に喧嘩売ってるわけ?」
「それよりも、こいつを片付けるわよ。 ホワイトスター」
「え、ええ……ん?」
なにかの気配に気づく葉月。流石に、頭がよく、勘が鋭い。
「ま、まずい。そいつよりも先に、先刻の煙幕装置をっ――」
破壊しろ。その言葉よりも早く、再び屋上に煙が吹きだされる。ナナシを取り囲んだ三人は、
一端、装置の破壊に向かおうとして、手遅れなことに気づく。
煙幕装置の稼動に気づかずに、あの時点で同時に攻撃を仕掛ければ、最悪、ナナシを始末する
ことはできたかもしれない。機転の良さが逆にアダになったようだ。
「くっ、そいつを捕まえてっ! 逃げる気よっ!」
自分の周りを取り囲む三人から解放されたナナシが、葉月の姿のまま煙の噴出す方向へ走る。
わざと葉月の横を抜けて。
「くっ、逃がさないからっ!」
ナナシを追って、走り出す葉月。
「待って。ホワイトスター! 深入りしたら……」
その言葉と同時に煙の中に見えなくなる葉月。
「きゃっ」
葉月の悲鳴。
「葉月ちゃん!?」
それきりなんの音も聞こえなくなる。
「は、葉月さん?」
この煙の中、どんな罠があるか判らない三人。無闇に動けないらしい。
その煙が三人を取り囲む前に、煙幕の噴出は止まり、屋上の煙が風に流れだす。
「え? どういうこと?」
煙の晴れてゆく屋上、そこに現れたのは、床に座り込む葉月ひとりだった。
「大丈夫!? 葉月ちゃん!」
葉月に駆け寄る三人。
「ええ。躓いただけ。大丈夫だけど、あの偽モノは?」
「逃げたみたいね。結局、あいつ、なにしにでてきたのかしら? こんな大掛かりな装置まで
用意して」
「ほーんと。あんな下手糞な演技で私たちを騙せると思ったのかな?」
「でも、わたしたちのチームワークにヒビを入れることに成功したのではないでしょうか?」
冷静に判断を下す涼屋綾奈。的確だ。
「…………」
沈黙する間崎千早と、葉月。心当たりがあるらしい。
「ま、まあ、みんな無事でよかった。それに、あいつ演技は下手糞だったけど、姿形は
私にそっくりだった。それだけ、あいつらの技術力の高さを表しているのだから、
油断はならないわね」
「そうね。ヴァルキルの奴らもいなくなった見たいだし。とりあえず、私たちも撤退しましょう」
引き上げていく、セーフスターの四人。
いや、三人と一体と言うべきか。
「んーっ! んーっ!」
彼女たちから見えないように私たちが潜む屋上。その私の傍らで、冥獣ネトに拘束された
葉月が、呻き声を上げる。
そう。あの三人と一緒に帰還していったのは、葉月ではなく、ナナシだ。
二回目の煙噴出と同時に、その煙に身を隠しながら、ゲル状の怪人ネトが、煙幕の中に
飛び込んできた葉月を、その体全体で拘束し、ここまで運んできた。
「ネト」
セーフスターたちが完全に見えなくなったのを確認した私は、ネトに葉月の口だけを
解放してやるよう合図をする。
「あっ、貴方っ!」
「よう。いい格好だな。思わず抱きたくなるぞ」
「くぅ! 初めから、罠だったのねっ! あの下手糞な演技すらもっ!」
「ああ。そうだ。相変わらず、頭の回転が速いな。人は、一度空だと確認した箱の中身を、
もう一度確かめようとはしないものだ」
そう。一度、あの怪人の演技は、下手糞だ、と先入観を持ったあとで、本物らしい葉月を
見れば、偽モノと疑うことは、まずしない。
SAFE中枢部へのスパイの潜入と、邪魔なSAFEの人間の拘束、これが今回の作戦の目的だ。
「ふん。いつまでも騙しきれるかしら? いつか、正体が露見するに決まってるんだから!」
「露見しなかったら?」
「え?」
「そうしたら、本物の唐紅葉月はいらないってことにならないか?」
「…………」
口の端を吊り上げて、悪役らしく笑みを浮かべる私を、憎悪と若干の怯えを含めた表情で
睨みつける葉月。
「その場合、私のペットにでもなるか? 私は、頭の切れる人間は嫌いではない」
「誰がっ……!」
「ほう。ならば、誰が、偽モノを見抜いてくれると思う? 唐紅葉月という『存在』ではなく、
唐紅葉月『そのもの』を求めてくれる人間はいるのか? おまえに周りに?」
「…………」
黙りこむ葉月。
「ドクター! 私たちも引き上げるわよ!」
作戦の後始末の指揮をしていたキリッサが、こちらに呼びかけてくる。
「まあ、よく考えておくのだな。SAFEにおまえが求めるほどの価値があるのか」
その三日後。
不本意ながら、葉月はあっさり解放された。
ナナシの正体がばれたのではない。ナナシ自身が葉月のなりきりに飽きて、ヴァルキル本部に
戻ってきて、あろうことか、こんどは、ヴァルキルに拘束されている葉月のふりをしようとした。
そのときに、勝手に葉月を解放してしまった。
流石に、どちらかと言えば天才な私は、ナナシに騙されなかったが。決して、葉月を
抱こうとしたときの「ウホッ」という台詞で、初めて気づいたなんてことない。絶対無い。
「作戦、成……功……でしょうか?」
「う、ううむ」
「……はぁ」
>573-590
『レベルジャスティス』から。再び。
>567-568
基本的に、予告、宣言はしない人間なんで。
気を悪くせんといてね。
GJ.
7/18で吹いた。ナナシすげえ
イイヨイイヨ、GJ
姿はモナーとギコのどっちなんだろうか…キャラじゃないよな
いや、マジウマー。もと寝たし欄がやりたくなったヨ!
>592
同意。8/18みるまで誰かの支援だと思ったw
GJ!
GJ!
オチのウホッにワロタ
保守!
599 :
名無しさん@初回限定:2005/03/24(木) 20:36:57 ID:PIb+XEeI
新入部員募集中!
600 :
(1/4):2005/03/29(火) 19:26:48 ID:ob88h4Hx
「ねぇ。ボクぅ、はじめて?」
「え? あ、あの……その……」
「おねぇさんねぇ、もう、二週間以上アレされてないのぉ。もう我慢できなくて……」
「え? ええ? ア、アレって……?」
「もぅ、判ってるクセにぃ。それとも、それをおねぇさんのクチから言わせるのがボクの趣味?
『S』で始まる、ア・レ! ねぇん、おねがい。してちょうだい!」
「だ、だって、ぼ、ぼく、初めてだし……」
「大丈夫。誰にでも『初めて』はあるの。あなただって興味あるでしょ?
ほら、手ぇ貸して?」
「ちょ、ちょっと。そんな。ひ、引っ張らないで……。ああ!」
「ほらぁ。あなたの左手の人差し指、いまどこ触ってる?」
「…………」
「あンッ! そんな撫でまわすように触って。初めてのクセにどこでそんなこと覚えたの?
もう。ふあッ、つ、強すぎ!」
「……ご、ごめんなさい」
「いい? ここは、とっても敏感で繊細なトコロなんだから、乱暴に触ったらダメ。
軽くノックするようにするの」
「こ、こう?」
601 :
(2/4):2005/03/29(火) 19:27:46 ID:ob88h4Hx
「そう、上手よ。右手は、ほら、こっち。優しく触れて」
「ああ! な、なにか、突起物がついてるよ」
「ココに触るのも初めて? これはね、とっても大事なものなのよ」
「ね、ねえ! つ、次はなにをしたらいいの?」
「あなたの欲望の赴くまま指を動かしてみて。優しくよ? 乱暴にしたら
コワれちゃうんだから」
「ああ! もう我慢できないよ! 入れたい! ね、入れていいっ!?」
「焦っちゃダメ。おねぇさんにも準備が必要なんだから」
「だ、だって、もう、ぼくのこれ、こんなに……」
「あらあら、もうパンパンね。ふふっ。いいわよ。じゃ。あなたの熱いの入れて」
「こ、ここかな……?」
「あンッ! そこは違うの。ほらぁ、こっち」
「ふぁあ! き、きもちいい!」
「ゆっくり動かしてね。ゆっくりよ」
「ああ! もう、ぼく出そう! いい? ねえ、このまま出していい?」
「んぅ! も、もぅ、しょ、しょうがないわね。あンッ! でも、こ、これで終わったりしたら
イヤよ?」
「ああ! イくよ? イくよ!」
「ふあぁん!」
602 :
(3/4):2005/03/29(火) 19:28:32 ID:ob88h4Hx
「……と、まあ、こんな具合に新人さんを勧誘すれば、お嬢ちゃんは安泰に違いない」
「な、なななな、なに言ってるの! こ、こんなことできるわけないでしょっ!
第一、これのどこがSS投稿の勧誘なのっ!?」
「立派にSS投稿の勧誘だろう?」
「だ、だって、二週間以上アレされてないとか、『S』で始まるアレとか!」
「二週間以上されてない『S』S投稿、だろう? おんやぁ? お嬢ちゃんは、
なにを想像したのかなぁ?」
「あぅぅ……。じゃ、じゃあ! 敏感で繊細なトコロとかはっ!?」
「左手人さし指は『F』キー。右手人さし指は『J』キー。キー打つときの基本的な
ホームポジション、だろう? 乱暴に叩けばキーは壊れちまう」
「じゃあじゃあ! 突起物って!?」
「キーボードによっては、両人差し指のホームポジションに触っただけで判る印しが
ついてるんだよ」
「うぅぅぅ! じゃあ、パンパンになってるとか!」
「欲望の赴くままSS綴ったら、一レスの制限容量いっぱいになって。
んで、間違えてそれをメール欄に突っ込もうとして注意されて、書き込み欄につっこんだあと、
マウスをゆっくり動かして、書き込みボタンを押して、そいつのSSを吐き出すってことだろ。
そして、途中で投稿を止めたりせず、最後まで投稿しろ、と。
ま、自分の妄想を具現化するっつーのは、人によっては気持ち良いだろうな」
「…………」
603 :
(4/4):2005/03/29(火) 19:30:46 ID:NMfsFodM
「まあ、泣くな。お嬢ちゃんが、いやらしい妄想で頭がいっぱいだってことは、判ったから」
「ち、ちちち、違うもんっ!」
「まあ、落ち着け。圧縮ラインが変わって保守がほとんど不必要になってからこっち、
俺もすっかり商売あがったりだしな。『保守』だけじゃ、食ってけねえんだ。お嬢ちゃんも、
すこしは新しい芸風取り入れんとな」
「なんで芸風なの!? 私、芸人違うよっ!」
「まあまあ。取りあえず、俺とふたりでさっきのリハーサルと行くか!」
「い、いやーーっ!」
と新人勧誘してみる。
604 :
名無しさん@初回限定:2005/03/29(火) 19:40:01 ID:i/08x3Ns
乙&とりあえずage
なつかすぃなぁ………オツカレ。
お、久しぶりのSSだなぁ。GJです。
>>606 うまいっ!前回も良かったけど、続くとは思わんかった。GJ!
お嬢ちゃん萌え
パルフェSSマダー
ゆのはなSSマダー
ATSSマダー
自分で書こうというやつはいないのか?
エロ文章を書いてる奴の50パーセントが童貞、30パーセントが処女、
15パーセントがアナル処女、5パーセントが全穴貫通済みらしいぜ。
アナルのみ貫通済みはいないのかよ!
それはともかくエロ文章は妄想力に縁ると思うので、童貞の方が多分エロく書ける。
ついでに言うとそれを読むのも童貞だから描写の間違いにも気付かないし。
童貞ライターが経験したらとたんに情熱が失せた文章を書くようになるというのはありがちだ。
スレの流れと関係なくて申し訳ないが、
蓮海才太は偉大だ。ロベスピエールやニュートンに比肩しうると思う。
いやホントに流れと関係ないんだけどね!
ここって更新無いのね……。
俺も何か書こうかなあ……
ゆのはなとか書けそうだけど難しいな。
「主人公が金持ってたら」ルート誰か頼む
620 :
名無しさん@初回限定:2005/04/30(土) 13:20:07 ID:zaBrjbwF
保守?
>>619 なにも始まらないだろ
ってーか、前回の大学生ルートかよw
「主人公が金は持ってたが筋金いりのロリコンだた。
ゆのはピンチ!」ルートなら問題ないですな。
いっそ「賭博堕神録ゆのは」を。
よくわからないけど脱衣麻雀みたいなもんか?
「ハァハァハァハァ・・・・」
俺は今、ものすごくかったるい状況に陥っていた。
「コラ〜ッ!!待ちなさい、この変質者ぁ!」
後ろから俺を追う音夢の声が聞こえる。
「ハァハァハァ・・・くそっ、杉並の奴はどこいっちまったんだ・・・?」
そうだ、杉並――――― 事の発端は奴のある発言から始まった。
時は5日程前にさかのぼる。
「ふっふっふっふ・・・・・」
「何一人でにやけてやがる。はたから見ると危ない人間だぞ」
いや・・・・コイツは普段でも十分危ない人間なのだが。
「おお、いいところに来たなMy同士朝倉。今出来上がったばかりのこの書類を見てくれ」
そう言って杉並は「最重要機密」と書かれた書類を手渡してくる。
「・・・・・『あの娘の寝顔をスナイパーショット大作戦in風見学園』・・なんじゃこりゃ?」
「朝倉よ、今週の日曜日に学園祭が行われるのは知っているな?それに伴い、準備前日は学園に泊り込みで作業をするのが認められている」
「ああ、それがどうかしたのか?」
「そこでだ。我々非公式新聞部は他校にも定評のある風見学園女子生徒の寝顔写真を、学園祭で売り出すことに決定した!!」
「なるほど・・・って、そりゃ犯罪じゃねぇか!」
「何を言う。一般民衆に必要な情報を流すのはメディアの重要な役目だぞ」
「どこが必要な情報なんだよ」
「でだ朝倉。お前にスナイパーショッターとしての任務を授けることにする」
「ハァッ!?」
いきなり何をのたまいやがる、コイツは!何故俺が犯罪行為に手を貸さねばならんのだ
「そんなかったりぃ企画にはのらん。他をあたれ」
「ほう。ならばこの写真を朝倉妹に見せてもいいという事だな?」
「なっ・・・!!それは・・・!?」
杉並の手には、幼少時代の俺がさくらと【お医者さんごっこ】をして遊んでいる写真が握られていた。
「な・・・なななな、なぜ貴様がそれを持っているっ!?」
「朝倉妹というものがありながら、さくら嬢とも蜜月時を過ごしているとは案外お前も 隅に置けんな?朝倉よ」
くっ・・・もし音夢がこんなものを見たら・・・。 考えるだけでもゾっとした。
どうやら俺に拒否権はないらしい・・・。
「まあ、お前がそこまで拒むのなら仕方がない。骨は拾ってやるぞ。朝倉」
「わぁーったよ!手伝えばいいんだろ手伝えば!!」
「おお、お前ならそう言ってくれると信じていたぞ!」
俺は半ばヤケになって杉並の企画に乗ることにした。それがこんなかったるい事になるとはその時は露知らず。
そして学園祭前日。学園祭の準備も一段落した俺たちは、今宵行われる作戦の 最終打ち合わせをしていた。
「よし、作戦の最終確認だ朝倉。まずここが俺たち男子生徒の寝泊りする2階校舎。
標的がいるのは4階の校舎だ。」
「ああ、分かってる。」
「今回の作戦のメインターゲットは当然、学園のアイドル白河ことり、そして朝倉妹に わんこ、水越眞子だ。」
「了解・・・・って、音夢も撮るのかよっ!?」
「朝倉妹は白河ことりに次いで人気があるからな。標的には外せないだろう?」
ばれた時のことを考えるとあまり撮りたくはないが・・・確かに音夢は学園では
それなりに人気があるので撮らなければならないのだろう。
「まず最初の関門は4階に渡る際に通る3階の校舎。ここには見張りの講師陣が常に
監視体制についている」
「はぁ!?そんなこと初めて聞いたぞ」
「安心しろ。既に手は打ってある。」
そう言って杉並は話を続けた。
「そして第二関門は4階の警護にあたっている風紀委員の面々だ。」
「ん?風紀委員が見張りしてるって事は、音夢と美春も起きてるってことなんじゃないのか?」
「いや、俺の掴んだ情報によると朝倉妹とわんこは、午前1時に他の風紀委員と見張りを交代することになっている。よって作戦決行時間を午前2時30分に変更することにする。」
「ここは風紀委員に見つからないようにして目的の教室に入ればいいんだな?」
「うむ。恐らく標的は全員同じ1−Bの教室にいるはずだ。後は写真を撮って誰にも見つからずにこの教室まで戻ってくれば任務完了だ」
「はぁ・・・・かったる・・・」
作戦決行までしばし英気を養う俺たち。やがて夜もふけ、時刻は午前2時15分を指していた。
(そろそろ時間だ、朝倉。出撃準備は整ったか?)
声のした方向を振り向くと、全身黒タイツで身を纏い、銀行強盗で使うような覆面をした男が立っていた。
「おわっ!?誰だ、お前は!!」
(馬鹿者、大声を出すな!他の連中が起きてしまうだろう!)
覆面を外す男から現れたのは杉並の顔だった。何を考えてるんだコイツは?
(つーかお前、なんでそんな怪しい格好してんだよ!)
(怪しいも何も俺たちはこれから敵地へ潜入するのだぞ?もしもバレた時の事を考慮してこれくらいの武装は施さねばなるまい。お前も早く戦闘服に着替えろ)
そう言って杉並は、俺にお揃いのタイツと覆面を放り渡してきた。
(・・・・・まじでこの格好で行くのか?)
(任務成功率を上げるには迅速な行動が必要だ。制服では機動性に欠けるからな)
そして俺は、全身黒タイツに覆面をして首からカメラをぶら下げるという 親が見たら間違いなく泣くような姿で出撃することになった。
父さん・・・母さん・・・・生まれてきてごめんなさい・・・。
(何をしている朝倉。そろそろ出撃するぞ)
(・・・・・あぁ、そうだな・・)
軽く影のかかった声で返事をし、俺たちは教室を後にした。
教室を出て階段を上り、まずは第一関門・三階の踊り場に到着していた。
見張りには我らがクラスの担任 暦先生が、かったるそうに踊り場に設置された椅子に座っていた。
「ここは杉並が何とかしてくれるんだったよな?」
「ふふふ、まかせておけ」
なにやら持ってきた鞄の中を漁る杉並。
「にゃっ!」
中から出てきたのは一応生物学上はネコと称される謎の生命体だった。
「うたまるじゃねぇか!?」
「さあ行け!未知なるネコよ」
そう言うと杉並は暦先生の方角にめがけて、にぼしを放り投げた。
「ん?なんだ、このにぼしは・・・?」
暦先生がにぼしに気付いて席を立とうとした、その時
にゃっ、にゃっ、にゃっ、にゃ♪」
うたまるは幸せそうににぼしに喰らい着いていた。
「お前は・・・!!いつぞやの謎のネコ!?」 「にゃにゃ〜ん?」
「ふ・・・ふっふっふっふ・・・」 唐突に笑い出す暦先生。
「今日こそ捕まえて研究材料にしてくれる!」
「にゃにゃっ!?」
普段のん気なうたまるも野生の勘がヤバイと告げたのか、一目散に廊下のほうへ 逃げ出していった。それを追うようにして暦先生は廊下の闇へと消えた。
「第一関門突破だな」
「・・・そうだな」
その場でうたまるに合掌した俺たちは更に上へと階段をあがっていく。
「見張りの風紀委員は2人か」
「うむ。情報通りわんこと朝倉妹ではないようだな」
しかし目的の教室に行くには、どうしても彼らの前を通らなくてならないようだ。
「よし、ここからは別行動を取るぞ、朝倉。俺は奴らを引き付ける役目と退路の確保に回る」
「え!?俺一人で写真撮るのかよ!」
「あの厳重な警戒態勢を突破するにはそれしかなかろう。」
「・・・かったりぃな」
「では、健闘を祈るぞ。お互い生きて会おう、My同士よ」
杉並はそう言うと4階の廊下に飛び出した。
「!! 誰だお前は!?」
いきなり現れた黒タイツ覆面男に驚く風紀委員の方々。無理もないだろう・・
「貴様らに名乗る名などないわ!」
質問の答えになってないことを言って杉並は屋上への階段を上がって行った。
「なっ・・・!?ま、待てっ!」
杉並を追って屋上へと消える風紀委員たち。というか、屋上って逃げ場ないんじゃないか?
まぁ・・・杉並だしな。なんとかやるだろう。そう思い、俺は自分の任務をこなす事にした。
目標の教室に辿り着き、俺は静かにドアに手をかける。
ガラガラガラッ・・・・・ 中を覗くと規則的な寝息が所々から聞こえてきた。
(ふぅ・・・どうやら全員眠っているみたいだな)
これで誰か起きてました なんて事だったら、その時点で作戦はおじゃんだからな。
俺は音を立てないように教室の中に入る。
(さてと・・・まずは誰から撮るかな・・・)
とりあえず教室の入り口から一番近い奴に標的を定めた俺は、そいつに向かってカメラを覗く。
(おっ、最初の獲物は眞子か)
杉並が用意したこのカメラは、赤外線なんちゃらでどんな暗い場所でも
まるで昼時のように明るく見えるらしい。というか、見えた(眞子が)。
しかもフラッシュをたかなくても鮮明な写真が取れるという実に都合のいいものだった。
(さてと・・・んじゃ、さっさと撮って次行きますか)
シャッターを切ろうとしたその時・・
「ん・・・ん〜・・・あさくら〜・・・・」
(!!)
まずい!起きたか!起きてしまったのか!? 動揺する俺をよそに寝返りをうつ眞子。
どうやらただの寝言だったらしい。
(ふぅ〜・・驚かせやがって・・・)
体中から嫌な汗が出たが、気を取り直して照準を眞子に合わせる。
(・・・・・・・コイツ、普段はあんな男勝りなくせに、寝顔は可愛いじゃねーか・・・)
はっ!違う違う!今は作戦中だ。さっさと撮って次の標的に移らなくては。
(はい、チーズ) 純一は小声でそんなことを言いながら眞子をカメラに収め、次なる標的に移る。
(さて、次はどいつかな?)
眞子の隣で寝ている奴に照準を合わすと、我が妹 音夢だった。
(おぉ、ぐっすり眠ってるな。そういえばいつも寝るの早いのに、今日は1時まで風紀委員の見張りしてたんだっけか)
(ふふふ、今から寝顔を撮られるとも知らずに口まで開けてちゃって)
カシャッ
(さてと、次は・・・っと、おお!ことりだ!)
さっさと撮ってしまおうと思っていたが、俺はフレーム越しに映ることりに見惚れていた。
(流石に学園のアイドルと言われるだけあるよな・・・・何つーか・・人形みたいだ)
そして、知らない間に自分の手がことりの髪に伸びようとしてることに気付く。
(おわぁ!何やってんだ、俺は!こんな格好でそんなことしたら言い逃れは出来んぞ・・)
(くだらん考えを起こす前に撮っちまうか。) カシャッ
(ふぅ〜・・・後は美春を撮って終了だな。)
(え〜っと、美春は・・・・・あ、いたいた。)
美春はバナナの抱き枕を抱いてグッスリ眠っていた。
(流石美春だな。寝ているときまでバナナと一緒なのか)
幸せそうに微笑む美春の寝顔に照準を合わせ、シャッターを切る。
(バナナの夢でも見てんのかもな・・・)
(よっしゃっ!!これにて任務終了だぜ!)
最初はかったるさ全開だったが、やり終えてみると妙な満足感が湧いてきていた。
(後は、無事に教室まで戻れば・・・)
純一が、そう思ったときだった。
「バナナ・ボンバ―――――ッ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
(ッ!!)
今まで幸せそうに寝ていた美春が大声で叫び始めた。
「ん〜・・・むにょむにょ・・・」
(ね・・・寝言かよっ・・・・) ため息をつく純一。
「ん・・・・・・美春?どうしたの?」
「ん〜・・・?何か今変な声が聞こえた気がする」
ヤバい! そう思った純一だが、入り口は今の声で起きた眞子に封鎖されていた。
「ごめん、みんな。ちょっと電気つけるね〜」
といって眞子は入り口付近にあるスイッチを入れる。 パチッ パチッ
「あれ?美春寝てるね」
「ん?どうかしたんですか?」
「あ、ごめんね白河さん。起こしちゃったかな?何か美春がうなされてるみたいで」
「そうなんだ?でも、その割には幸せそうな顔で寝てるっすね」
「・・・・確かに」
「ん?」
「どうしたんです?眞子」
「何か美春ちゃんの布団、妙に膨らんでない?」
ビクッ!!
「きゃぁ、何か動いた!」
「な・・・な・・・何よぉ。お、お化けとかじゃないわよねぇ?」
「眞子ってお化けが怖いんですね」
「え?こ、怖くなんかないわよっ!?」
「じゃ、じゃあ眞子。美春の布団を調べてきてくれませんか?」
「うぅ〜・・・・・分かったわよぉ」
恐る恐る美春の布団に近づいていく眞子。この時、純一には近づいてくる眞子の足音が
死のカウントに聞こえたと言う・・・。
そして時は冒頭部分に戻る。
マズイ。非常にマズイ事態に陥っていた。
美春の布団に隠れていた俺は眞子達に見つけられ、一目散に4階の教室から退散した。
とにかく階段を下りようと踊り場へ向かうが、杉並に振り切られた風紀委員とそこで鉢合わせてしまう。
そして今俺は4階の廊下を眞子、音夢、風紀委員に追われながら疾走していた。
「ハァハァ・・・ち、ちくしょう、杉並の野郎っ!!何が退路を確保する だ!おもっきし塞がれてんじゃねぇか!」
やがて校舎の端に着き、廊下は行き止まりとなってしまう。
「おいおい・・・まじかよ・・」
「待ちなさい変質者〜!!」
拳に炎を纏った眞子が近づいてくる。俺は捕まった時のことを想像して身の毛がよだった。
「くそっ!かったりぃ!!」
俺はとっさに近くにあった教室に身を隠した。
「入ったはいいけど・・・隠れるところがないじゃねぇか!?」
くっそ・・・どうする?どうするよ俺!?諦めて自首するか?
いや、捕まったら最後。五体満足ではいられないだろう・・・
一生離乳食しか食べられなくなるかもしれん!
そんな考えを巡らせていると、教室のドアが勢いよく開け放たれる。
「追い詰めたわよ!」
眞子と音夢が教室に入ってくる。
「年貢の納め時ですね。大人しく縄にかかってください」
「くっ・・・・」
「では、このような状況を四字熟語で何というか?分かる方いますか?」
「はい、和久井先生!」
「お、では朝倉君」
「絶体絶命です」
そう、俺は絶体絶命な状況に立たされていた。徐々に教室の隅に追いやられていく。
もう逃げ場はなかった。 諦めよう。思えばそんなに悪い人生でもなかった――――
「こっちだ!」
そう思ったとき、掃除用具入れの中から声が聞こえてきた。
何故掃除用具入れの中から――――?そのときの俺はそんなことを考える思考能力はなく、無我夢中で掃除用具入れの中へ飛び込んだ
「えっ!?」
眞子たちは目を疑った。ついさっきまで確かに追い詰めていたはずの変質者が、掃除用具入れに入って消えてしまったのだ。
「何?どうなってるの?」
「た、確かにこの中に入ったはずなんだけど・・・・」
掃除用具入れの中は空っぽであった。
「や、やっぱり幽霊だったんじゃない?ほ、ほら。この学校幽霊出るって噂あるし・・」
「でも、あんな変な格好の幽霊なんておかしいですよ」
「確かに・・・そうかも」
「とりあえず見失ったものはしょうがないですから、一度先生方に報告して警備を強化してもらいましょう」
「ハァハァハァハァ・・・」
「間一髪だったな。朝倉よ。」
「ふざけんな・・ハァハァ・・・・お前のおかげで寿命が10年は縮まったつーの!」
「まぁまぁ、最後はきちんと助けたのだから結果オーライだろう」
俺は掃除用具入れに入った後、用具入れの床が突如開き、そのまま2階の掃除用具入れまで自由落下していた。
どうやら杉並が用具入れに小細工を仕掛けていたらしい。
「しかし俺があそこに追い詰められなかったらどうする気だったんだよ?」
「ん?階段は風紀委員が塞いでいただろう?お前があの部屋に逃げ込むことくらいは予測済みだ」
「それは何か?もし俺が音夢たちに見つかってなくても、風紀委員に見つかって
追いかけられることを前提にした退路だったわけだ?」
「その通りだ。流石は朝倉、察しが良いな。その方がスリルもあって面白かっただろう?」
「・・・・・・・・・・・・。(コイツはいつか絶対消す。)」
「ところで朝倉よ。例の任務は無事遂行できたのか?」
「ああ、ほらよ」
杉並にカメラを放り投げる。
「おお、そうかそうか!流石俺の見込んだ男だ。現像を楽しみにしてろよ朝倉?お前には一番最初に拝ませてやろう」
「分かったから、もう教室帰るぞ・・・・。何か俺はドッと疲れた・・・・」
無事任務終え、教室に戻る俺たち。精神的にも疲れていた俺は、死んだように眠りについた。
一夜明け、学園祭当日。
「う〜す、杉並いるか〜?」
「おお、来たか朝倉!見よ、この麗しい天使達の寝顔を!!」
「おぉ・・・」
自分で写真を撮っておいて何だが、かなりいい感じに仕上がっている。
モデルがいいからか、雑誌に載っててもおかしくないくらいだ。
「しかし、朝倉妹だけ口をあけているのが残念だな」
そういえば音夢だけ変な寝顔を撮ったんだった。
「まぁいい。これはこれで、その手のファンが買っていくだろうからな」
「そういうもんなのか?」
しばらく俺と杉並は4人の寝顔について熱く語り合っていた。
そう、熱く語り合っていたから気付かなかったんだ。悪魔がそこに近づいてる事に・・・
「しかし白河ことりは流石だな。何と言うか、寝てるときまで完璧だ」
「美春なんて寝るときバナナ抱えて寝てるんだぜ?」
「ほう、普段凶暴な眞子も寝てるときだけは可愛げがあるな」
「・・・・・・・・随分楽しそうな話をしてますね?兄さん、杉並君?」
「あたしたちも混ぜてもらっていいかしら・・・?」
時が止まった――――
背後から聞こえてくる悪魔の声に、俺と杉並は壊れたブリキ人形のように首をカタカタならして振り向いた。
悪魔なんて可愛げのあるものじゃない。そこには魔王と鬼神の姿があった。
「待ちなさいよ〜朝倉〜っ!!」
「兄さん〜!待ちなさ〜い!」
眞子と音夢の叫びを背中に聞きながら、俺と杉並は廊下を疾走していた。
「はぁ・・・だからお前と関わるのは嫌なんだよ」
「そう言うな。これも青春の1ページと思えば楽しいものだろう?」
「どこがだっつの・・・・かったりぃ・・・俺はもっと普通の青春を望む」
「ふっ、とりあえずこれからも青春を謳歌したければ、今日と言う日を生き延びねばなるまい?」
「・・・・だな」
そして今年も、俺と杉並は風になった。
こんなかったるい日常がいつまでも続けばいい――――
今年の学園祭はそう思えるような、学園祭だった。 END
初めてSS書いてみたので貼ってみました。後から気付いたんですが、
625-626はそのまんま貼り付けて書き込んじゃったので、字が飛んだりして見にくい所もあります。
補足としてD.C.のバッドエンド(杉並エンド)後 という設定になってます。
GJ!
朝からいいもん拝ませて頂きました。
乙!( ゜д゜)ゝ ビシッ
MW3、2.5やっただけに幸広で攻略出来るの二人だけだったなんて…せめてサラや雪花エンドはあると思ってたのに
職人さん誰か幸広×サラまたは幸広×雪花希望っす
このスレのことじゃなくて、
二次創作系のサイトのことだけど、
塵外魔京とあやかしびとのクロスオーバー物って大量に出てきそうな気がする。
そんな明白のことをいちいち指摘されてもね
ホシュ
レベルジャスティス物誰か書いてくんねーかなぁ
魔界天使ジブリールネタできぼん
つまりLJのメンバーとジブリールが戦うんだな
>>639 シナリオにもよると思うぞ。
あやかしびとはともかく、塵外は未知数だからな。
内容が良くなきゃSSなんぞ書かれない。
後、あやかしびとはSSとして取り扱われるほど売れるか疑問。
厨設定させ満たされてればU-1物好きな人たちが喜んでSSを書くよ
そういう言い方は……
設定はいいのにシナリオがヘボな方が、意欲が湧く人も稀にいますよ。
というか設定が良くて、肝心なところが描写されていないものの方が二次作家は燃えるだろう。
エンディングの無いあのキャラとか、途中から行方不明なこのキャラとか。
その辺は人によるのでは
めぐり、ひとひら。というゲームのSSを生まれて初めて書いてみた。
設定をほとんど無視して、自由に書いてみたんだが……投下してもよいのだろうか?
ヒロインは妹キャラ(麻生こま)で、エロなしのシリアスもの。
家でネットができないので学校でネットをやってるから、いつ投下できるかわからないんだが。
まさか、高校じゃないよね、ね。
高専だけど……。
普通、21才にはなってないよな
ここは21才以上未満は来ちゃ駄目なんだが
高専には専攻科ってのがあるんだ。中卒から5年通って、更に2年通う制度。
今21だよ
そうか、それはスマン
マイナーだから仕方ないよ、専攻科。
投下してもいいなら、月曜にでも投下してみるんだけれど。
是非投下してくれ
>設定をほとんど無視して、自由に書いてみた
せっかく書いてくれたのに申し訳無いんだが・・・正直、こういうのはあんまり好きでは無い
嫌なら読まなければ良いだけ。
レスがつくかは出来次第になるが、
それでもいいなら投下してみてくれ。
その昔、のび太が色んなアニメやゲームのキャラを犯しまくるエロ同人シリーズってのがあってね・・・
女の子を差し替えるだけでいくらでもシリーズ続けられそうなヤツ。
キャラクターの名前を借りてくるだけの話なら特に読みたいとは思わない。
書きたい内容に本編との矛盾が発生して、それでも力技で納得させようってタイプは結構好きかも。
>653がどこまでを以って「設定をほとんど無視」と言っているかは本人にしか分からないが
とりあえずアップしてみるのが良いかと・・・というかお待ちしておりますw
U-1とか最低SSに属するような設定無視なら俺も止めて欲しい
555
669 :
リンダSS:2005/06/15(水) 23:25:52 ID:AAauInbT
【続きからになります。軽くあらすじいれておきます】
山本悪司との抗争に敗れヒラカタを去った幼いリンダとその執事ハイネ。それから十年後、桃山の家を継ぐべく人間に成長し、リンダは再び帰ってきた。
しかし、その矢先に起こった大地震。リンダは市民の救済に奮闘するが、自分の理想通りには行かず、己の小ささを思い知ることとなる…
軽トラの助手席に座るリンダが隣で運転している元子に声をかけた。
「あの、どこに向かってるんですか?」
「ん?私もアエンに呼ばれて来ただけだから今からセンリに帰るんだけど?」
「えっ!?センリに!?」
センリといえばわかめ組の長屋がある。当然ながらそこにはあの憎き山本悪司がいることだろう。
かって河東を牛耳っていた桃山組の跡取りが地元の救済そっちのけに仇敵に顔を見せにいくのは恥ではないか。
途中で降ろしてもらおう。そうしよう。
そうリンダが元子に頼もうとする前に、無線が入った。
「はい、こちら加賀元子ですが…ガッ」
「今どこにいる?…ガッ」
リンダは耳を澄ませた。
この愛想のない、淡々と事務的な物言いは確か島本のものだろう。
「えーと、丁度オオアナに入ったところです…ガッ」
「迂回しろ。オオアナだけは通るな…ガッ」
「?…ガッ」
とりあえず元子は指示通りオオアナ地域から出ようとした。
だが、後ろから物凄いスピードでダンプカーやタンクローリーが何十台もが軽トラを追い越し、更に取り囲んでいた。
「な、なに!?」
「ハニー土木のようですが、どうしてオオアナに?まさか仮設住宅をこんな危険地帯に建てるわけではないでしょうし…」
二人が訝しんで周りの大型車を眺めていると一つの車体の運転席の窓が開き、中からハニー土木社長が顔を出した。そして、すかさず何かを二人の顔めがけて投げた。
「デコ眼鏡キター!!美少女眼鏡キター!!」
「なによ、コレ…」
「あれ?外れないっ!?」
「ほーほっほっほっ!その特注眼鏡は使用者が絶頂に達しないと外せない仕組みよ!しかも淫靡薬付き!」
言われてみると体が火照る。リンダが元子を覗きみると、元子も同じような状態らしく呼吸が荒い。
「度があってないから目が痛いでしょ!長時間つけていればいずれ本当に眼鏡が必要な体になるわよ!しかーし、実は眼鏡をつけて自分こそが本来の自分であって、それはむしろ天命とも(ry」
社長など目に入らずリンダは下半身の疼きを抑えようとする。
ふと、元子と目が合った。
(元子さん、綺麗だなぁ…)
「元子さん…」
「リンダ…」
見つめあううちに二人の体温が上がっていく。頬は上気し、股間が湿ってきた。
先に動いたのは元子だった。
片手を伸ばし、リンダの両足の間に滑り込ませる。
リンダは元子の方に体を向け、元子の手のなずがままになっていた。
「はぁ…、元子さん、そこぉ、気持ちいいです…」
「ふふ、わかるわ、こんなに濡れてるもの。あぁ…、かわいい…」
元子の手のまさぐる動きが速くなる。それに合わせて淫猥な液体の音が大きくなる。
リンダは両手で自らの右足を持ち上げ、股を元子に露わにする。
下着越しに触れていた元子の指が直に入っていき、リンダは更によがる。
とどめに元子がリンダの唇を求め、唾液が音を立てるほどに口内をかき混ぜた。
「ああぁっ!!いっちゃうー!いっちゃうーーーーっ!!」
果てたリンダから元子は指を抜き、付着していた愛液を舐めとる。
リンダの指を手に取り、元子は口に含み指フェラをする。唾液で十分に濡れたそのリンダの指を自分のぐしょぐしょになった恥部に持っていく。
「あぁんっ!」
長い指が元子の奥まで入ってくる。次第にリンダ自身もその指を動かし始める。
のろのろとリンダがハンドルの下に潜り込んでいった。
(元子さん、綺麗だなぁ…)
「元子さん…」
「リンダ…」
見つめあううちに二人の体温が上がっていく。頬は上気し、股間が湿ってきた。
先に動いたのは元子だった。
片手を伸ばし、リンダの両足の間に滑り込ませる。
リンダは元子の方に体を向け、元子の手のなずがままになっていた。
「はぁ…、元子さん、そこぉ、気持ちいいです…」
「ふふ、わかるわ、こんなに濡れてるもの。あぁ…、かわいい…」
元子の手のまさぐる動きが速くなる。それに合わせて淫猥な液体の音が大きくなる。
リンダは両手で自らの右足を持ち上げ、股を元子に露わにする。
下着越しに触れていた元子の指が直に入っていき、リンダは更によがる。
とどめに元子がリンダの唇を求め、唾液が音を立てるほどに口内をかき混ぜた。
「ああぁっ!!いっちゃうー!いっちゃうーーーーっ!!」
果てたリンダから元子は指を抜き、付着していた愛液を舐めとる。
リンダの指を手に取り、元子は口に含み指フェラをする。唾液で十分に濡れたそのリンダの指を自分のぐしょぐしょになった恥部に持っていく。
「あぁんっ!」
長い指が元子の奥まで入ってくる。次第にリンダ自身もその指を動かし始める。
「ぬるぽ………ガッ」
そうリンダが元子にぬるぽうとする前に、制裁が入った。
ここは温度差が激しいスレですね。
クークラックスクランだな君は
ぱすチャCのSSが大横行しそうだな
なんで? そんなに書きたくなる内容だったのか?
サブキャラのエチとかエンドが無いとか聞くから、それの補完かな?
1.メインヒロイン4人のうち、3人がシナリオがグダグダとケチをつけられる
2.サブキャラの小イベントがイイ出来=キャラが立ってる、スバラスィ。
3.サブキャラは小イベント中にはかなりときめいてる展開だが
いざエンディングとなると、今時エロゲじゃありえねぇほどのときめかねぇ友情エンド。
4.当然エロもない、キャラによっては一枚絵もない。
5.人気投票(局地的ではあるが)で上位三人をサブキャラが占める始末………
6.会社の経営方針的にビッグなFDもいまいち期待できず。
こんな感じ。
サブキャラのためだけにエロゲを探し続ける俺としては
生殺しにもほどがあるゲームだった。
「そうね、そろそろ自分でも書いてみたらどう?」
イベント三度目参加の帰りにぼたんに言われた台詞だ
「自分でって………何書けばいいのかサッパリで」
「自由に書けばいいのよ、こうだったらいいのに、みたいな内容で」
「うーん……なるほど」
「あ、でもあんまり無茶なのは駄目よ
U−0みたいなネタはPTAに即殺されるわよ」
「うへぇ、意外と制約大いな」
「じゃ、明日までにコンテ、完成させてきなさい」
「ちょwwwww明日かよ、鈴木急ぎすぎ」
そうは言ったが鈴木はもう寮の方に歩いて行っていた
止めてもよかったのかもしれないが
自分も少しは興味があったし
アシスタントのようなことを何度かして自分の実力がどれほどのものかも知りたかった
寮に帰り早速考え始めた
自由に考えろ、とはいうものの簡単には思いつかない
思い付いたと思えばすぐに矛盾点に到達するのだ
「ハァ…何書くかなぁ」
考えても思いつかない
創作って大変だなぁ、と感じた
書きたいものを書けばいい
その鈴木の言葉(鋸じゃないよ)が頭をよぎった
「そうか、そうだよ……もっと簡単に考えればよかったんだ」
俺は軽快にペンを走らせ始めた
その時時刻は深夜2時だった………
〜放課後〜
「眠そうね」
「まぁ……昨日は頑張ったからな、見てくれこれが俺の
書きたい、こうだったらいいのに、だ」
そういい、俺は自信満々、まんまんみてちをちんおっきおっきの原稿を渡した
……………
………
……
3P程読んだあたりで鈴木の顔が赤くなってきた
「ちょっ…………何よコレは」
「は?俺とぼたんの愛のストーリーだが
あ!そうか実名出したのが悪かったのかスマンスマン」
そう、内容は俺とぼたんの愛のストーリーだ
全72Pにも及ぶ超力作インド人真っ青の感動的内容だ
「ハハハ安心しろ60P以降にはこれから、SO!ベットシーンもばっちりさ」
「ななななななな!!!」
急ぎページを飛ばし60Pまでいったぼたんの顔は究極に赤くなっていった
「どうだぼたん!完璧だろ二人の性癖を考慮し………ヘブァ」
そこまで言って鉄拳がとんできた
「馬鹿!馬鹿!カバ!河馬チンコ!!何描いてんのよー」
その言葉は気絶した俺の耳に入る事は無かった
ただその日の空は蒼く澄んでいた
〜完〜
(´・ω・`)これが俺の妄想イベントその3さ
萌えるかどうか以前にエロに繋がらないかなと思って書いたんだ
確かに至らない所は多々あるよね、だけど怒らないでほしい
仏の顔もっていうだろ
このSSを読んでときめきみたいなものを感じてくれたらこれ幸かな
さぁ、注文を聞こうか……
地の文をもっと出せ。
〜本を読んでいるうちにぼたんの手はだんだんと下腹部へと下がっていった………
とか、そういう文を書き殴るんだ。
シチュだけで萌えられるのは初等読者だ。
頬を赤らめて恥じらう描写で萌えるのはよく訓練された読者だ。
シチュと描写と会話とが複雑に絡み合ったSSなら、萌えないヤツはイナイ!
>>685 (´・ω・`)Thank you
ありがとう
次回からはそれも考慮して頑張るよ
それにしても………
カイ「早い、早いよ
>>685中尉」
発見。
815の思いはよく伝わるSSだった。
次はさらに一歩踏み込んでよろ
あやかしびとのSSマダー?(・∀・ )っノシ凵⌒☆チンチン
書いている最中だよ。
小ネタでいいなら。
○月×日
今日、ぼくはにっきをかくことにしました。
というのもさいきんぼくはゆめを見ることがおおいのですが、
あさになるとぼんやりとしかおぼえてません。
なつかしいかんじだけはおぼえているのですけど。
そのことをえんがわで横になっていたすずおねえさまにおはなししたら、
「にっきをかけばおもいだすかもしれないわよ」
と、すずおねえさまはこたえてくださいました。
「にっきとはなんでしょうか?」
ぼくがたずねましたら、
ぼくとすずおねえさまにおちゃをもってきたかかさまが
「にっきとは、きょうおこったことや、たいせつなことを
いちにちのおわりにかくじぶんのためのほんのことですよ。
かかさまも、ととさまのすてきなことをまいにちかいてますよ。」と
おしいれにいれてあったやまのようなのーとをみせてくださいました。
小(ネタバレ伏字)キタ━━━( ゚∀゚ )━(∀゚ )━(゚ )━( )━( ゚)━( ゚∀)━( ゚∀゚ )━━━!!!!
すずおねえさまは、くちをぽかんとあけて
「とうこ!7ねんかんでこんだけかいたの〜」とおどろいてました。
かかさまはかおをあかくしながら、
「だってそうひちさんとのすてきなひびをわすれたくありませんの〜」
とこたえました。
りょうてをほほにあてて、かおはまっかです。
ぼくは、かかさまがまたかんどうしすぎて、かべにひびをつくるのではないか、
しんぱいしました。
ひびがはいったかべをなおすのは、いつもととさまとぼくなのですから。
それにこうなってしまうと、なかなかへんじをくださらないので、すこしこまります。
でもなんだかとてもすばらしいことみたいなので、
ぼくもにっきをかいてみたいなとおもいました。
しかしそのためにはかかさまのへんじがひつようです。
かってにものをかってしまったら、ととさまにおこられてしまいます。
どうやったらもとにもどるのでしょう。
ととさまみたいにかかさまからうまくなげられるじしんは、ぼくにはありません。
ととさまも3かいに1かいはうけみをとりそこなって、きぜつしてしまいます。
ぼくもととさまからくんれんをうけているとはいえ、
かかさまから、きぜつせずにうけみをとれるのでしょうか?
ぼくがなやんでいると、すずねえさまはかってに
「じゃあ、とうこ。わたし、しゅうげんくんのためののーとをかいにいくわね」
せんげんしてしまいました
かかさまは、ぽやんとしながら。
「ああ、いいです〜そこ、いいです〜」
さっきより、かおまっかにして、めをうるませながらへんじをしました。
「とうこがゆるしたからね。いこう」
でも、すずねえさま。あのへんじはぼくたちにむけたものではないようなきがします。
しかしかかさまをもとにもどすには、ととさまがいないとできません。
ととさまは、いまおしごとにでかけてますので、かえりがよるになってしまいます。
しかたがないので、ぼくはすずおねえさまにてをとられて、
まちへいっしょにかいものにでかけることにしました。
一応ここまで、眼鏡がこわれたんで続きは明日です。
GJ!
刀子エンドアフターですか、
続き期待してます。
子会長キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!!!
GJ!
いまから続きを投稿します。ひらがなだらけの上に読みにくいと思うけど
ゴメン
すずねえさまのてはやわらかくて、ととさまのてとも、かかさまのてともちがいます。
すこしどきどきしました。
しょうてんがいにはいりますと、とーにゃさんとうらじみーるさんにあいました。
とーにゃさんもうらじみーるさんもだんぼーるをむすびつけているかーとを、
ころころところがしてます。
すこしこわいかおをしたすずおねえさまが、とーにゃさんにあいさつをしました。
「あら、ごきげんよう。とーにゃさん。おかいものですか?」
「いえいえ、あにのしごとのてつだいです。いべんとがおわったので、
そばでもたべようかとおもいまして。
すずさんはあいかわらず、こどもあいてにばかすれんしゅうですか?」
「いえいえ、こどものきょういくのために、にっきちょうをかいにいくのですよ。
そこのたぬきむすめみたいにせいかくがわるくならないように」
「そうですか〜おばさんというのはたいへんですね〜」
すずおねえさまととーにゃさんのこめかみに、あおすじがうかびます。
いつもとーにゃさんがそれでちょうはつしているのに…なれないのでしょうか?
それにぼくとすずおねえさまがおばになるのはじじつなのですけど…
でもまえにぼくがすずおばさまといったら、しっぽとみみをだすほどしょっくをあたえてしまいました。
それよりもすずおねえさまが、ものすごくかなしそうなかおをしてしまったので、
おばさまとよぶのをやめることにしました。
あとでなぜかととさまがぼろぼろにさせられましたし。
それにしても、とーにゃさんとすずおねえさんのふたりがいつもであうと、
くうきがゆがんだようなきがします。ととさまとくきせんせいがれんしゅうしあいしているときや、
かかさまと、ととさまがいっしょにれんしゅうしているときよりもゆがみがはげしいです。
ただ、ととさまがうちのりょうにいるおんなのひとにみとれているのをかかさまがみつけたときはべつですけど…
それからいつものように、くちげんかをすずおねえさまととーにゃさんがつづいていると、
うらじみーるさんがぼくにはなしかけてきました。
「おう!にっきちょう!そのためののーとがひつようね。
いべんとでかったびんせんとかどうね!」
あめりかんなちょうしで(うらじみーるさんはろしあじんなのに)、
うらじみーるさんはだんぼーるのなかをごそごそさぐりだしはじめました。
きれいなうすっぺらなほん(あとでききましたが”どうじんし”というそうです)をかきわけて、
いらすとがたくさんはいったしろいのーと(ぐっずというそうです)をいろいろだしてきました。
「どのこにもえるね?ま○ち?え○ん?ゆ○さん?あると○ねっと?」
どれもぼくよりとしうえの、そのわりにはかわいらしいおんなのかたのいらすとがはいったのーとです。
なんとなく、じをかくばしょがせまくなっているのがきになりますけど…
いろいろとみせてもらったもらったのですが、どれもぼくがいまほしくなるようなものはありません。
それにもえって、なんでしょう?
ぼくがかんがえこんでいると、とーにゃさんが
「いたいけなこどもをじゃあくなみちへとみちびこうとするな!!」
といって、すごいあっぱーをうらじみーるさんにくらわしました。
かえるぱんちのあおきせんしゅもびっくりです。
うらじみーるさんはおほしさまになってしまいました。
それでもうらじみーるさんは、ながれぼしになってもどってくるのでしょう。
そのそうどうですずさんもどくけがとれてしまいました。
「やっぱまともなのーとをはやいところみつけなくてはだめね」
すずおねえさまはためいきをつきます。
「ええ、そうですね。できればへんなみちへとすすまないようなのーとがいいとおもいます」
そんなにへんだったのかなあ。きれいなのーとだとおもいますけど。
でもおふたりをしんぱいさせたくないので、くちにだすのはやめときます。
なるほどにっきにはふだんおもっていても、くちにだせないこともかけるのです。これはべんりです
わかれるときにとーにゃさんからぶんぼうぐやさんをおしえてもらったので、さっそくいくことにしました。
「すみません。このこのためのノートをみせてほしいのですが?」
そうするとてんいんさんは、
「ええ、よろしいですよ」
といって、のーとおきばののーとをみせてもらうことになりました。
そこには、たくさんののーとがあります。
じどうしゃがかかれているのーと、ひこうきがかいてあるのーと、
うらじみーるさんがぼくにみせてくれたようなあにめやまんがのいらすとがかいてあるのーと、
ほんとうにたくさんあります。
どれもよさそうなきがするのですけど、まよってしまいます。
すずおねえさまならぜんぶかってしまいそうですけど、それはとてもわるいきがします。
やっぱりどれかひとつにきめないといけません。ま
よっていると、ふとめについたのーとがあります。
きつねのしっぽつけたおんなのことにんげんのおとこのこがまりつきをしているえがひょうしののーとです。
なんだかこれをみていると、すずおねえさまとあそんだひとかをおもいだしそうです。
きめました。
「すずおねえさま、これでよろしいです」
「あら?そんなこんなかわいらしいのでいいの?しゅうげんくん?」
すずねえさまは、いがいそうなかおをしてました。
「ええ、いいのです。にっきとはきょうおこったいろいろなことをかくのですから、
このひょうしのようなたのしいことをかきたいのです。
それにこのひょうしのおんなのこはすずおねえさまににてますので、これでいいのです」
なんだかはずかしくなったので、ぼくはかおがあかくなってしまいました。どうしてでしょう。
ただのーとをえらんだわけをはなしているだけなのに。
「あのね、しゅうげんくん。わたしはこのこよりもかわいいわよ!それにこたろうみたいなことをいわない!!」
でもすずおねえさまもかおがまっかです。
そしてあわてたようにのーとをもってれじにいってしまいました。
ぶじにのーとをかえましたので、じんじゃのもとにかえりました。
げんかんのくつをみてみると、ととさまのくつがありました。おもったよりもかえりがはやかったようです。
でもただいまといったのに、へんじがありません。
いつもならおかえりなさいと、ととさまかかかさまがこたえますのに。
すずねえさまもふしぎそうなかおをしてます。いったいどうしたんでしょうか?
ぞくがしのびこんだのでしょうか?
ぼくとすずおねえさまはきんちょうします。
これでもぼくは”いちのたにりゅう”と”くきりゅう”をしゅぎょうしているみです。あいてにすきをつくることができるはずです。
でもととさまとかかさまにかてるようなぞくにぼくはかてるのでしょうか?
いまでなにやらひとのこえがします。ぼくはちからでもぞうとうをとりよせます。
すずおねえさまもこわいめでいつでもことだまをだせるように、じゅんびします。
あしをひそめて、いまをのぞきます。どうやらぞくはいないようです。ほっとしました。
でもなぜ、ぼくとすずおねえさまのきたくにきづかなかったのでしょう?
ととさまがかかさまになにかのーとをよんでいるようです。
「『そうひちさんがやさしくわたくしのなかにいれてくださると、わたくしはまるでてんにのぼるかのようなきがします。
なんどもなんどもけいけんしても、あきることがなく、すばらしいのはなぜでしょう…』」
「やめてください!やめてください!」
かかさまはととさまをぽかぽかとなぐっています。よかった。かべにひびがはいらなくて。
あ、かかさまがととさまからのーとをうばいとりました。
「もう、しゅみがわるいですよ、あなた。いじわるなんですから」
「ごめん、ごめん。でもうれしかったよ。こんなにおれのことをおもってくれるなんて。
とうこさんがかんじていることをおれはこんなふうにあらわすことはできないから…」
「あなた…」
ふたりとめをうるませています。なんとなくかかさまのかおもあかいですけど、いやがっているかんじではありません。
こんなときにはどうすればいいのでしょう?
ととさまとかかさまのわざをみきるよりもむづかしいです。
そんなことをかんがえているうちに、すずねえさまがずかずかとはいってきます。
「ただいま!とうこ、そうひちくん!!」
「「どぅわ!!」」
ととさまもかかさまもかたまっています。
「あらあら、ふたりきりのほうがよかったのかしら〜
やたがらすのいえでしゅうげんくんでごはんをたべてきたほうがよかったかも〜」
「す、すずさん!すぐにごはんのじゅんびにとりかかります!!」
かかさまはあわてて、だいどころにむかいました。
ととさまはかんがえこんでいるぼくをみつけると、くしゃくしゃとぼくのあたまをなでました。
「おかえり、しゅうげん。すずになんかかってもらったのか?」
うれしくなったぼくは、
「はい!!すずおねえさまに、にっきちょうをかってもらいました!
たのしかったこと、おぼえておきたいことをたくさんかきたいとおもいます!!」
そうこたえました。
「うれしいこと、おぼえておきたいことか…たくさんかけるといいな…」
ととさまはそういうと、なみだぐみます。ぼくがたのしそうなことをすれば、いつもです。
いつものようにととさまがなく。それはあたりまえのことなのに。
なぜかぼくは、にっきにかかないといけないとおもいました。
なぜなんだろう?おおきくなれば、ぼくにもわかるのかな。
へやがかかさまのにっきちょうにちらばっているので、
ととさまと、すずおねえさまで、かたづけることになりました。
すずおねえさまがかかさまのにっきをのぞこうとすると、ととさまはすずおねえさまにちょっぷをします。
「おい、いくらなんでもまずいだろ」
「そうひちくんをよめがどうおもっているかをしるのは、あねのぎむでしょ?」
「なら、すずもにっきをかけよ」
「めんどくさいから、いや」
「だー、それなのにしゅうげんにはかかせるきなのか!むじゅんしているぞ!」
そんなことをいいながらかたづけます。
そのあいだに、ぼくは、じぶんのへやでかってもらったのーとにきょうあったことをかいていました。
やがておしいれににっきをかたづけると、かかさまのおりょうりのじゅんびもできたようです。
ばんごはんはととさまとぼくのこうぶつのにくじゃがに、きゅうりのさんはいず、あじのひもの、みそしるにごはんでした。
わいわいと、ととさまとかかさまとおねえさまときょうあったことやこれからのことを、
たべながらでおしゃべりをしました。
どうやらそとからのりゅうがくせいさんがうちのりょうをつかうことになりそうです。
かんげいかいのじゅんびもしなくてはいけないようです。
かかさまもりょうりのうでのふるいがいがあると、うれしそうです。
わがやはじんじゃのほかに、けいないのはなれにりょうもけいえいしてますので、りょうせいがおおくくるのはありがたいことです。
ごはんをたべておわりますと、からすさんがすずおねえさまをむかえにきました。
どうやらこんばんは、おかしらさまのところですずおねえさまがおとまりになるようです。
「しゅうげんくんもくる?」とたずねましたが、
ととさまが、
「こいつもおれもしゅぎょうしなくちゃいけないからな。そうだろう?しゅうげん?」
とへんじをします。
そうです。いまはまだよわいですけど、ぼくはおいえげいのいちのたにりゅうをおさめなくてはいけません。
「はい、しゅぎょうさせていただきます!」
と、げんきよくへんじをしました。
ちょっとざんねんそうなかおをすずおねえさまはしましたけど、ほほえんでぼくをだきしめると
「そう、がんばってつよくなるのよ。おやすみ!」
といって、りむじんにのっていきました。
それからぼくは、じゅんびうんどうののちいちのたにりゅうのかたのひとりげいこをおこないます。
ぼくはひとよりちからはつよいですけど、まだかかさまほどつよくはありません。
それにれんしゅうようのいあいとうがぼくがじょうずにふると、いあいとうがたのしそうにわらうのです。
「がんばれ、がんばれ。そのちょうし。ぼくをじょうじにまわして」
ぼくがうまいかたをすれば、わらってくれるようです。
きょうはちょっとぼくがうかれているため、あまりわらってくれませんでした。すこし、はんせい。
れんしゅうがおわったあと、ととさまももうひとつのしごとにくぎりをおえたようです。
どうやらととさまはそつぎょうしたりょうせいのおいていったものをなおしていたようです。つなぎをきてましたから。
「しゅうげん?おまえもいっしょにふろにはいろうか」
「はい!わかりました」
ふろのなかでは、おたがいのせなかをながしたり、
ととさまがなおしてくれたおもちゃのみずでっぽうでうちあいをしたりします。
でももうすぐぼくはしょうがくいちねんせいです。こどもっぽいなあというきもします。
そうこうしているうちによるの9じです。こどもはねないといけません。
でもにっきののこりをかかないといけません。
あわてて30ぷんぐらいでのこりのにっきをかきおえました。
あしたのれんしゅうはねむくならないといいな。
以上です。なんだかとても読みにくい文章ですみませんでした。
>>706 GJ!ほのぼのした。
キャラが頭の中で動いてたよ
ここに来て人の暦で1ヶ月ほど経ちました。
あれから一度も飛んでいませんが僕は今の暮らしに満足しています。
他の物達とお話ししながら過ごす月日は優しく穏やかで、自分が何物であるのかさえ忘れてしまいそうです。
でも、最近…彼を見ていません。初めて僕を飛ばしてくれた人。
週に一度は僕を磨いてくれてたのに、今週はまだ一度も来てくれてません。
その時、不意に彼の声が聞こえた気がしました。
「みんなの力を貸して欲しい。世界を人を守るために」
周りの物達にも聞こえたようです、いつもは静かな物達がざわつきます。「人を守る?」
「人を守る!?」
「人を守る!」
「人を、世界を守る!」
彼の言葉が真摯な気持ちに溢れているのが解ります。彼の心が悲しみに溢れているのが解ります。彼の心に意志があるのが解ります。僕は…
「彼の元に飛びます。一緒に行きますか?」
「行く」
「行く」
「行く」
「では行きましょう、彼と共に人を、世界を守るために。」
僕の心を彼の心に合わせて、さあ、行きましょう。彼の元に。
さあ逝きましょう彼と共に。
僕はロケット、再び彼と共に空を飛ぶ。
>>699 > 「どのこにもえるね?ま○ち?え○ん?ゆ○さん?あると○ねっと?」
元ネタがわからねぇ……
俺はえ○んだけがわからん。
そしてクドリャフカいいよクドリャフカ。本編でもこんなシーンがあったら俺はきっと泣いた。
んー。
左から、る、れ、き、わでいいのかな。
正解です。
景品として、ととさまがのぞいた刀子さんの日記を
書きます。
>>713 当たってましたか。
俺もワクテカしつつ待ってます。
>706
GJ
ただ一つ気になったのがあるんだが…
双七は「そうひち」じゃなくて「そうしち」
つか、「ひち」という読み方は割とローカルな読みだと思うんだが…
>>716 (間違えて覚えてる)子供っぽさの演出じゃない?
子供のころ『わ』を綺麗に書けなかったり『せ』が左右逆になったりとかしたこと無い?
本スレに降臨してた作者さん曰く
「刀子の発音だと『そうひちさん』に聞こえることがある」との事なので
意図的なものではなかろうか。
719 :
716:2005/07/05(火) 01:01:35 ID:lGyru2a/
>717-718
なるほど、そういうことですか。。
境内が「けいない」になってたりと、それっぽいかなぁとは思ってたんだけど…
教えてくれた方々、どうもありがとうです。
ああ、漏れが関西系でついその音に聞こえ勝ちだったせいです。
けいだいはたんなる漏れのミスです。結構区切りミスや打ち間違いが
あるんでスマンかったです。
江戸っ子は「ひ」と「し」が区別できないらしいね。
うちの婆ちゃんもコーシーって言う。
――目が覚めた。
あれよりどれほどの月日が流れたのだろう?
十年ということは無い。では、百年?
いや、躯の回復状態から見てそこまでは経っていない。
いかな神域に封じ込められようとこの世に人の悪心が尽きるはずが無い。
百年経っているならばもう少しばかりの回復は見込めるだろう。
「まあ、良い」
今があの日より何年後であろうと、あの憎き鴉と静珠の娘は生きているだろうし
いまいましいが、如月双七と一乃谷刀子の関係を考えれば血が続いてもいるだろう。
いや、この目覚めの速さなら、ひょっとすれば本人が生き残っているかもしれない。
「楽しみだ」
この身を否定した如月双七、この身を封じる原因となった一乃谷刀子。
再びこの身を封じた鴉共、目の前にありながら壊せなかった静珠の娘。
「犯して、壊す、殺して、喰らう、壊して、殺す、喰らって、犯す……」
解放の喜悦に身をゆだねながら、ふと違和感を覚える。
「人の臭いがない?」
目が覚めたばかりとはいえ、この身は人の悪意を食らうもの。
餌である人の臭いにはことさら敏感な鼻がある。
たとえ人が立ちいらぬ未開の聖地に封印されようとも
封じた者の残り香をまったく感じぬことなどありはしない。
しかし、
――嗅ぎ取れるのは如月双七の中で嗅いだものと似た濃い赤錆の匂いだけ。
「おかしい」
どいうことだ?考えれば考えるほどおかしい。
鴉はなんといっていた?
「安心しなよ。逢難。今度の封印は物理的なものだから。
君、っていうか世界中のどんな生物でも絶対に解けないも
のにするから、さ」
仮にも神鳥と呼ばれた鴉がそういった。
ならば何故。こんなにあっさりとこの身が自由を取り戻す?
体を震わせ瘴気を放つ。この身を封じる枷を壊す。
あせる。
前回の封印を破るのに九百年を費やした。
なのに今回は。今回は……
「何故こんなあっさりと封印が壊れる!?」
封印が破れる。
気が急くに任せて動こうとして、やけに軽い躯に体勢を崩す。
今までとまったく違う感覚に、あせりがさらに加速してゆく。
どうにか体勢を立て直し、今や遅しとこの身を封じていた箱より
外の世界へと這いずり出す。
――目に入った世界は赤く、何も無かった。
嘘予告「火星の狐」または「今日逢難がはじめて火星についたよ」
ノリと勢いに任せて書いてみた。あまり反省していない。
あと逢難萌え。
逢難様復活キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!!!
GJ!さよなら人類ワロタw
これはいいゴーテス様でつねw
火星人に取り付いてマーズアタックか
そして「狐の惑星」になるんですね。
さて、どうしたものか。
九鬼耀鋼は難しい顔をして考え込む。
場所は神沢高等学校の廊下、時刻は恐らく12時半前後。
「大体、あなたがた大人が率先して分別を示すのが筋というものでしょうに、何を子供みたいに――」
頭の上から降ってくる叱責を意識から遮断。
ちらと隣に目をやると、ひょろりとした眼鏡の中年がうつらうつらと舟を漕いでいた。
この野郎、何をのうのうと――!
思わず腰を浮かしかけた瞬間、冷ややかな声。
「聞いていますか、九鬼さん」
「ああ、聞いている」
腰を落として、脚を組みなおす。
鍛え上げた肉体は正座程度でどうこうなるほどやわではないが、周囲の学生たちから向けられる好奇の視線はいかにも痛い。
「放課後ならまだしも、昼休みに大人二人で双七さんを取り合って喧嘩とは……。それが分別のある大人のやることですか」
煙突から跳躍して高速道路上の車を叩き斬る女に言われたくはない。
「それはルートが違います」
ぴしゃりと。
取り付くしまも無かった。
溜め息を一つ。
731 :
説教される中年二人(あやかしびと):2005/07/06(水) 05:09:03 ID:IAT31yFi
この女がいっそ敵なり何なりならば話は簡単なのだが。
こと殺し合いにおいてであれば、一乃谷の化け物女が相手でも遅れをとることはないだろう。
だがしかし、この説教というのは宜しくない。
なまじこちらに非があるだけに強くも出にくい。
せめて第三者からの取り成しでもあれば……とそこまで考えてふと気付く。
「……双七はどこいった」
「双七さんは授業開始が近いので教室に戻られました」
ばっくれやがった。
覚えてろ、あの馬鹿弟子。
だが、今の一言には希望も含まれていた。
「お前も、そろそろ教室に行った方が良いんじゃないのか」
「自習です。加藤先生の授業ですので」
そこまで言って、ようやくその視線が加藤に向かった。
一人居眠りでやり過ごそうとした罰だ、今度はお前が矢面に立ってみろ。
嘲笑の混じった安堵の溜め息。
瞬間。
風をまいて文壱の鞘が走った。
ごっ、という鈍い音。
一撃で綺麗に意識を刈り取られて、壁に激突する加藤。
骨は折れていないな、などと冷静に分析する俺。
一切表情を変えないままで化け物女は視線を俺に戻す。
「そもそも、ついこの間の日曜日も双七さんは私との先約があったにも関わらず加藤先生に拉致されて麻雀に――」
何故俺が加藤の分まで説教されなくてはならないのか。
「聞いていますか」
「……ああ」
あと一時間。
絶望の長さだった。
すまん、ageちゃった
刀子外だしENDだと思いねぇ。
「双七さんはいらっしゃいますかっ!?」
時刻は放課後。生徒達は軽く談笑をしながら帰宅したり部活動に明け暮れたりしちゃったりする時間帯である。
そんな時にずばばーん、と生徒会室の扉をかなり激しく開けて一人の女性が開口一番にそう叫んだ。
彼女の名前は一乃谷 刀子。この学校の生徒会会長である。艶のある黒い長髪とふくよかな胸とかがチャームポイント。
普段御淑やかで清楚でほわわん(語弊あり)とした空気を持っている彼女だが何故か今は殺気立っていた。
その殺気に当てられたのは生徒会室にいた彼女と同じく三年の上杉 刑二郎とその彼女である新井 美羽。そして愛野 狩人であった。
ちなみに狩人は刀子の一喝により絶命した。蘇生するには暫し時間がかかるだろう。
というわけで嫌が応にも矛先は先の上杉 刑二郎と新井 美羽へと向けられる。
「い、いや来てねぇぜ。なぁ、みゅう」
「は、はいです」
そう答える二人は多少どもっている。まぁ突如現れ怒りを露にしてる刀子を前にしてそうならない方がある意味変ではあるのだが。
しかし答えを聞いた刀子はそれでは納得しないらしく生徒会室を見回してからクンクンと鼻を動かした。
(……臭い、あるんでしょうか?)
(……さぁなぁ)
普段は冷静沈着ともいえる刀子だが暴走――主に双七が関わる――するとこのように見境がなくなるというかタガが外れるというか。
とにもかくにもクンクンと鼻を鳴らしてから刀子は一言うぅむと唸り、暫し考えてからポツリと呟いた。
「双七さんの隠し持つ卑猥な本は実は単純でベッドのし」
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁ刀子さんストーーーップ!?」
と、その刹那刀子の呟きをかき消すように、ズバーンと生徒会室にあった掃除ロッカーから一人の男が飛び出した。
ツンツンと逆立った髪の毛にある程度整っているであろう顔つき――今にも泣きそうな表情で酷く情けないことになってるが。
そして案外しっかりと作りこまれた体躯を持つ彼の名前は如月 双七という。
734 :
名無しさん@初回限定:2005/07/06(水) 17:07:35 ID:DMnXLUin
さて飛び出したはいいものの如月 双七は自分のミスを呪った。美羽は双七を憐れむような目で見つめ、刑二郎は「南無南無」と呟いて両手を合わせていた。
そんな刑二郎と視線が合った。
――助けてください、旦那。
――無理。
「もう一度聞きますよ双七さん…」
まぁ当面双七が解決しなければいけないのは眼前に笑顔で立っている刀子である。
表面上は笑顔だがその額には青筋が浮かび噴火する火山を背景差分としてしょっている。まるで薔薇を背負う狩人のようだ。
「双七さん”は”! 私が双七さんの家に泊・ま・り・に! 行くことに不満はありませんよねっ!?」
「却下却下却下却下却下却下却下却下ーーーーー!!」
そんな鬼気迫る刀子に背後から跳び蹴り(正確にはドロップキック)を食らわせつつ唐突に一人の少女が現れた。
ちみっこい少女だがその立ち振る舞いには何処か優雅な部分が現れ――今はまるで獣のようにフゥフゥと息をしているが――ている。
少女の名前は如月 すず。一応双七の妹…否、正しくは姉という立ち位置にいる女性である。詳しくは本編を見れ。
「認めないわよ刀子! そんな爛れた生活を送らせてなるものですかっ!」
「ま、爛れたなんてそんな破廉恥ですわ義姉さま。私はただ双七さんと二人で愛を確かめ合いたいだけですよ」
「はっ! じゃあ何で”私”の家に泊まりに来る日が! 私がさくらの家に泊まりに行く日と同じなのかしらねぇぇぇぇ」
「あらあらそんな事まで説明しませんとわかりませんか?」
「随分とやり口が露骨ね刀子。今までみたいにひっそりとするなら見逃してあげなくもないわよ?」
「おほほほほほほ」
「あはははははは」
こえぇよ。とその場に居る全員は静かに思った。狩人も一度蘇生したが気に当てられてまた死んだ。ゴメンな狩人。
ばくばくと高鳴る心臓と背中に流れる嫌な冷たい汗を感じつつ如月 双七は思案した。
はて、何でこんなことになってしまったのやら――
のっけから回想へと至る。事の始まりはそもそも昼休みの時の話であった。
『明日の昼食なのですけど、一緒に食べませんか?』
勿論、と双七は返答した。断る理由も何もないし、第一最も愛している女性からの提案を飲まないわけがなかった。
しかしふと疑問に思う。そんな風に言わないでもずっと一緒に食べてきたではないか。そう問うと彼女は頬を赤らめてこう答えた。
『…双七さんと二人っきりで食べたいのです』
昼食時はいつもすずや生徒会の面々が一緒にいて確かに二人きりではなかった。
たまに二人きりになっても何処からかすずが飛んで来て(比喩ではない)いつの間にか一緒に食事を取ってることがしばしばである。
『双七君は二人きりになると何をするかわからないからね!』
けだものだから! と叫んですずは一緒に食事をとる。
だけどなすず、俺もそこまで分別がないわけじゃないぞと呟くがすずも刀子も視線を逸らすだけで答えはしなかった。何故。
それはさておきそんな刀子の台詞を聞いて頭の中が真っ白になってしまった双七。阿呆のように首をカクカクと上下に振った。そして、
『よかった』
といいながら華の咲くような、本当に愛らしい笑顔を浮かべる刀子を見て更に赤くなるのであった。
ここまでなら美談である。更に双七が本当に刀子と二人っきりで食べていたのならまさしくいい話だ。萌えイベントだ。
事実如月 双七は刀子と一緒に食事を取った。二人きりで、である。だが何故か刀子は終始不機嫌であった。
『何かあったの? 刀子さん』
無論双七は問うた。そりゃ気になるだろう。彼女が少し不機嫌だからだ。
しかしそんな双七の問いにも『何でもありません』なんてちょっと頬を膨らめつつそっぽ向かれては追求するわけにはいかなかった。
ここまで、まだここまでは普通だった。予定通りだったのだ。
問題は昼休みももう終わりそうな時間帯。屋上から校内に入り談笑する二人の前にすずが現れてこう言ったのだ。
『ねぇ双七君。私、今度の土曜日と日曜日にさくらの家に遊びに行ってくるね』
それを聞いた双七は泣きそうになった。人間を嫌ってた彼女が他人の家に泊まりに行くといったのだ、嬉しくないわけがない。
そんな涙ぐむ双七を見て『もうしょうがないなぁ』なんていうすずは苦笑いを浮かべつつも何処か嬉しそうだった。
それ故に横で何事か思案し、そして閃いて、何やらとんでもなくいい笑顔を浮かべる刀子に気づかなかった。
『じゃあ私は土曜日と日曜日に双七さんのお家に伺いますね?』
無論、泊まりで――
別にいいんじゃないか、と双七は思う。確かに最近…その、なんだ、どれだ。そう、刀子さんとえっちぃな事もしてない。ご無沙汰である。
だからまぁ刀子さんの提案は嬉しかった。大手を振って「勿論」といいたかった。
そんなよこしまな思いを見抜いたのか、すずが吼えた。
「ぜぇぇったい認めないからねっ!」
「お付き合いを認めてくれたじゃないですか」
「それとこれとは別っ!」
言い切った。ちなみに「置いといて」のジェスチャー込みである。
「いい、刀子。付き合うのは認めるけど私の眼が黒いうちは節度ある付き合いをしてもらうからね!」
「節度あるだなんてそんな……あの夜の双七さんはまるでけだものみたいで」
思い出したのかくねくねする刀子。
「双七君っ!?」
「はいぃっ!」
すずが刀子から視線をはずさず叫ぶ。誰も特に見てないのに姿勢を正す双七。冷や汗が止まらない。
「それにその日の朝も双七さんが急に…まるでけ・だ・も・の」
「双七くぅぅーーーん!?!?」
「はいぃぃぃー!?」
背中に九尾を背負ってすずが吼えた。ちなみに刀子はその時のことを思い出したのか両手を頬に添えながらくねくねしている。
「ぬぬぬぬぬ……」
と、暫く唸っていたすずだが何か閃いたのか腕を組んでふふん、と笑った。
「…ふん、刀子って意外と淫乱なのねぇ」
ゾブリ、と笑顔のまま刀子さんの背中に刃が突き刺さった。比喩だが。
「……すずさんも随分とブラコンみたいですねぇ」
反撃、といわんばかりに刀子も少々いやらしい笑みを浮かべてすずを見る。だがとうの本人はきょとんとした表情を浮かべた。
「…? 双七君、ブラコンって何?」
「えぇ!? えっとだな、それは…」
「”言え”」
「ブラザーコンプレックスの略称で弟、ないし兄に完全依存しその人がいないと生きてられないとかそんな感じだったと思います、サー!」
あくまで双七的見解ではあるが。
「ふーん…違うわね刀子」
双七の説明を受けたすずは暫し考えてから妙に自信満々の表情を浮かべ、ふふんと笑った。
「双七君が寧ろ…姉ってシスターよね…えぇと、シスターコンプレックスよ!」
ざわざわざわざわ。いつの間にか集まっていたギャラリーの間を「如月 双七はシスコンである」という情報が駆け巡る。
「だぁぁ誤解! それは誤解だぁぁ!?」
「そうです! 双七さんはシスコンなんかではありません!」
毅然とした様子で刀子が一喝。即座に静まる一同。
視線が集まるのを感じながら刀子はポッと頬を赤らめて両手を添えた。
「私に依存しているんです」
あ、勿論私もですよ? キャッ。
いや。キャッ、じゃなくて。
「如月てめぇぇぇぇぇーーー!!」
「ふざけんなよお前よぉぉ!」
突如ギャラリー(主に男子生徒)から怒りの声が上がった。双七に掴みかかり捻りあげギリギリと血の涙を流しながら叫ぶ。
「ち、違う! それも誤解なんだよぉ!」
両手をわたわたと振って慌てる双七。そんな様子を見て刀子がぐっと涙ぐんだ。視線はちょっと下。
「誤解…なんですか?」
「いえそういう意味でなくてですね」
その言葉にパッと華の咲くような笑みを浮かべる刀子と対照的に、今度はすずが切れた。
「双七君!? それってどういう意味!?」
「だぁぁぁもう何をどうすればいいんだよぉぉぉー!?」
とりあえずその場は双七が大分いじられる事で多少の決着はついた。
帰宅時。夕食時共に当たり前のようについてきた刀子とすずが常に言い争っていたのは此処だけの秘密である。
「っていう事があったんですよ、加藤教諭」
「お前も苦労してるなぁ」
何故か慈愛に満ちた表情で肩を叩かれた。
その後とりあえず麻雀でもやって気を晴らそう、な? と言われた。
丁重にお断りしておいた。
「どうすればいいんでしょうか九鬼先生」
『ほう…涼一、お前も随分と成長したな』
「は?」
『一乃谷 刀子と如月 すずか…ふむ、いい事を教えてやろう、涼一』
「ほ、本当ですか九鬼先生!」
『両方とも手篭めに』
電話を切った。
またかかってきたので加藤教諭が麻雀の面子を探してることを話しておいた。
少し弾んだ声で九鬼先生は面白い、と言っていた。
「来たぞ、虎」
「来たか、鬼」
そんな会話が何処からともなく聞こえた気がしたが双七はスルーしておいた。
ちなみに結局刀子は双七の家に泊まることになった。土曜日と日曜日である。
何があったか詳細はあえて書かないが月曜日の双七はそれはそれはやつれ、刀子はとてもとてもつやつやしてたという。
そんな日常。如月 双七が望んだ何処にでも在る暖かい日常の一幕である。
――無駄に綺麗に終わる――
と、突発的に書いてしまいました。
途中で一回あげてしまい申し訳ありません
話としてはなんというか投げっぱなしジャーマンになってしまった…
次があればもちっとまともなのを書きたいと思います。では
何で肝心なエロスを省くねんなー、
ってまぁこれはこれでいいものだ。
ちょっと状況説明がうるさすぎる気がした、
素人の感想だが
744 :
名無しさん@初回限定:2005/07/06(水) 18:52:24 ID:u5XnbJS+
>>743 批評あり。次回作からは気をつけて書いてみます
あーでも、自分はこの説明的書き方が本編の感じが出ててイイと思ったんだが……(汗
何にしろ、GJ。
Endの中ではこのルートが何気にafter書き易いよね。楽しい日常とか。
会長のことを思うとなんだけどね。
会長の葬儀はどうしたんだろうなあ。
>>747 よし、その話題を持って本スレに帰還しようぜ。
>>733-739 超乙
俺はこの書き方もありだと思う
SSって色んな書き方あるし
鬼と虎ワロタ
緊迫した空気、そこに響く声
虎「ポン」
八詫雷天流とは即ち神速を持って相手を打ち倒す業なり、それつまりいち鳴き、即リー。
虎「ロン、白のみ」
鬼「セコいぞ虎」
緊迫した空気、相手はすでにリーチの場面。
鬼「くっ(危険牌…)…安牌出し」
九鬼流とはまず捌き
鬼「うっ(また危険牌…)…安牌出し」
捌いて捌いて勝機を待つ
数巡後
虎「天牌」
狐「天牌」
双「ノーテン」
鬼「流し満貫」
「「「なにぃっ!」」」
九鬼流とは即ち捌きの極め。
緊迫した空気、そこに響く声
狐「あれ?上がってる。あはは、双七くん。あたし上がってるよ♪」
虎「な…」
鬼「バカな…」
双「嘘だろ…」
狐「えーと、天和てやつだよね、18000オールと役満賞二千円ずつね。」
しかしどんな理も天然には勝てず。
おしまい。
>>750 乙であります。ワロタよー
でも×天牌→○聴牌
あと親の役満は16000オールだぜよ
鳴いてリーチてなんやねん
すいません解りづらいですね。
鳴ける時は即鳴き、リーチ掛けれるならば回さず即掛けるというわけですね。<八侘雷天流の理
もうちょい頑張ります。
ぬう、流し満貫オチは読めなかったw
放課後、少し遅れて生徒会室に入ると双七くんのおでこに眼鏡があった。
「双七くん、それどうしたの?」とりあえず聞いてみた。
「ん?ああ、眼鏡?」
こくんと頷く。
「さっきそこの消火器と話してたら、さくらちゃんにちょっとキモイですって言われて」と、ちらりとさくらを見る。
「だって」さくらが少々困り顔で話しに加わった。
「流石に壁際で消火器に向かって話ししている姿はちょっと…」
そういえば、最近双七くんは虚空に向かってぶつぶつ言ってるね、たしかにキモイわ。
「ということで、生徒会のみんなにならともかく、一般生徒に見られたら示しがつかないのではないかと思いまして。」
ふむふむ、で、何故眼鏡?
「呪文を唱えて眼鏡をかければ」
「゙待て゛」つい言霊使ってしまったわよ。さくらが口パクパクさせて焦ってるわね。
「なによその呪文を唱えてって」言霊を解除しつつとりあえずの疑問点を聞いてみる。
「えーとですね、その昔呪文を唱えて眼鏡をかけると<物>とお話し出来る人が居たんですよ。」
ふむふむ、わかったわ。その人の真似すればとりあえず双七くんは危ない人扱いわされないわけね。
「そうですそうです。」
ふーん、まあいいわ。で、その眼鏡はどうしたの?
「ん、ハルバード分解して作った。」
分かり易い答えだわね、つうかそんな器用な真似も出来るようになったのね、双七くんのくせに。
「という訳で、学園の見回りついでに話ししに行ってくる。」
あ、私も行くわ。待ってよ双七くん。
2人が去った後の生徒会室──書類整理する会長と机に突っ伏す副会長
「なあ、刑次郎。やはり私が突っ込むべきだったんだろうか?」
問われた副会長は眠そうに答える
「んー、面白そうだしいんじゃね?」
「──そうか。」しばし考えて書類整理に戻った。
日常の一幕、世は全て事も無し。おしまい。
>>756 でこでこでこりんかww懐かしいな
ワロタ。GJ!
N○K教育かよ!
わかりづらいよ!
おもしろいよ!
「刑二郎!早くしな!!後輩の皆さんがまっているわよ!!」
階下から自分の母の怒鳴り声が聞こえている。
「お袋、すまん!まだ喪章がみつからねぇ!!」
「まったく、お前はいつもそうなんだからねえ〜」
そういうやりとりをしながら、上杉刑二郎は自室の押入れのをひっくり返す。あまり整
理されているとはいえない自分の部屋だ。しかし狭い部屋の押入れのどこかに喪章はある
のだろう。問題はどの箱にいれたかである。
おそらく下にはみゅうや伊緒がいて、自分が来るのを待っているのだろう。
親にたのめば、喪章ぐらいは買ってくれるだろう。だがそれを頼むような気にはなぜか
なれなかった。
そうだ。親友の葬式なんだから、きちんと自分の喪章で決めないといけない。
上杉刑二郎という男は、がさつなようでそういったことには結構まめな男なのである。
ただそのための準備がいささか下手なだけである。
刑二郎はとりあえず目に付いたものを押入れからだした後、外にに出る
自分の喪章を最後に使ったのはいつのことだっただろうか。そういえば小学生高学年の
伊緒のおばあさんが亡くなったとき以来ではないだろうか。
そのときには愁厳が落ち着いて、喪章を貸して…
記憶が戻る。思わず幼馴染がもっと落ち着いて探すように促しにくるのではと思った。
「そっか、愁厳はもういねえんだな…」
親友の妹から、そしてその恋人である双七から親友が死んだ事実をつげられても、刑二
郎は現実感をもてなかった。
片方がいないときにも、片方がいるということに慣れすぎてしまったからだろうか?
その事実を告げたあとで耐え切れずに、すすり泣きながら双七の胸に抱かれた刀子の姿
を見て、刑二郎はそれが事実であると、頭の上では認識せざるえなかった。
だが刑二郎の実感は、なかなかそれが現実であるということを拒み続けていた。
刑二郎の母や伊緒の母や生徒会の他のメンバーの手助けで葬儀の準備をしている間でも、
そうだった。
しかしこうやって手間取っていると、別な意味でやっぱり友人がいなくなったのだなと
実感する。
押入れの中身である大小の箱がちらかった自室の惨状をみて、憂鬱になる。独り言をつ
ぶやきながら、整理箱のの中身をチェックするべく、足を進めた。
「本当、しゃーねぇーな…おわった!!」
急にバランスを崩した。刑二郎は頭から箱へと突っ込む。箱の中身が散らばった。
「っ痛え!」
毒づきなが体を起こす。さらに物が散らばったことに刑二郎はますます憂鬱になった。
「あーあ、これも片付けねぇと…」
うんざりしながら、視線をおとそうとすると、黒い布が目に入った。
確かにすこし皺がよっているとはいえ、探し物の喪章であった。
「あった、あった!」
後輩達や親を待たせずにすむと、刑二郎は安堵した。怪我の功名というやつであろうか。
余裕を取り戻した刑二郎は、幸運の元にして痛みの原因となったものをみる。
どうやら古くなった野球のボールに足を取られたらしいことに気づいた。だがそのボー
ルをみて、少しショックをうけた。
「このボールって…」
そう古い軟式野球のボールだった。ところどころ手垢で黒ずみ、使い込まれている。し
かもボロボロだ。
記憶が想起させられる
間違いない。愁厳とよくキャッチボールをした軟球だった。
自分が野球を辞めると愁厳にいったとき、愁厳はただ
「そうか」
と答えた。理由は聞かなかった。
ただ最後に俺とキャッチボールをしようといった。
なんでといぶかしむ刑二郎を部屋から道具一式を持ち、むりやり一乃谷神社境内へ連れ
だしたのち、刑二郎はグローブを渡した。
いつになく強引な態度にいぶかしみながらもしぶしぶながらもキャッチボールを始める。
愁厳の体力に合わせた速度だ。これでも平均的な中学生が相手にできるのは少ない。
だがそれにもかかわらず
「もっと速く投げろ!」
滅多にいわぬ挑発を愁厳はする。
人が辞めようとしているのに、何故無理やり投げさせようとするのか、刑二郎は腹がたっ
た。親友だったはずなのに、未練があるのに、何故傷口に塩をかけるようなことを行わせ
るのか。
平均より上の愁厳の力に合わせて投げていたつもりだったが、力の制御ができなくなっ
た。
よし、投げてやろうじゃないか!俺の力の限りを!
投げた!鈍い音がする。ボールが返る。受け取る。
こんな球を受け取れるのは大の大人でも無理がある。ましてや人妖の力を使ってのこと
だ。受け取れるかどうかは人妖でないかぎり無理だ。
だがその球を
「もっと速く投げろ!!」
と、挑発する
激昂する。力の限り投げる。鈍い音。ボールが返る。受け取る。
「もっとだ!もっとだ!」
投げた、もっと鈍い音がした。それでもボールが返った。刑二郎は受け取った。
「もっとだ。いい球を出せ!」
繰り返す。
投げた、投げた。投げた。返った。返った。返った。
投げている内に、だんだん刑二郎も怒りがおさまってきた。すると周りがみえてくる。
愁厳のグローブはぼろぼろだった。手から血もでているらしい。だがそれでも愁厳は痛
みを訴えず、ボールを受け取り、返した。
大人でも受け止めるかどうかわからぬ球である。大丈夫なはずがない。
ようやく刑二郎は理解した。おそらく愁厳は刑二郎の苦悩をしっていた。全力を出せな
い哀しさを。
だから刑二郎の全力を受け止めようと決心したのだ。未練はあるかもしれないが、自分の今ある力を出してみろといっているのだ。
いいだろう。これが俺の本当の球だ。
「いくぞ!愁厳!!これが俺の本気だ!!」
宣言する。
「来い!!」
受け止めた。
今までの自分ができた最高のピッチングをイメージする。それに伴って体が動く。ただ
ただ投げる。そのことがうれしかった。
白球が手を離れた。
ズドム!!
綺麗に愁厳のグローブの中に白球は入った。焦げた匂いがする。
「刑二郎はいい球を投げれるじゃないか!」
親友はそういって微笑んだ。
「おい!!愁厳!はやく七海病院へ行こうぜ。頭に血がめぐりすぎていた!!」
「刑二郎、俺は大丈夫だ。それと俺のグローブが壊れたな。当分キャッチボールができな
くなったな」
剛速球を何度も受けているはずである。苦痛に顔を歪んでも、おかしくない。だがいつ
ものように友人は冷静な顔のままであった。
「いや、野球辞めたからよ。俺に付き合う必要はもうないからさ」
「そうか、野球を辞めたとしても、俺はお前の本気の球をいつでもみたいからな。もしキ
ャッチボールがしたくなったら、いつでもよんでくれ。相手になるからな。さて刀子が風
呂に入りたかっているようだから俺は失礼する」
そういって愁厳は離れへと姿を消した。
愁厳が去った後、境内で手にボールを持ちつつ、刑二郎は泣いた。悲しみもあった。未
練もあった。だがよろこびもあった。そしてこれで別れられることも悟った。
そうしてその次の日、正式に野球部を辞めた。その日以来、刑二郎はボールを自分から
は手にしない。
想起がとまる。
「愁厳、お前か?」
ボールは答えない。
だが刑二郎は親友が心配させてしまったような気がしてならなかった。
「ありがとよ、いつも相手になってくれて。だから心配するなって…後輩を助けないとい
けないからな。お前が気になっていることも、みゅうや刀子や皆でするからさ」
喪章をつけながら、ボールに少し話しかけた。偶然かもしれないが、こうやって話しか
けてくれた親友に感謝した。
「刑二郎!!」
今度はもう一人の幼馴染からだ。自分の準備はできた。
「見つけたぞ!今行く!」
どなりかえしながら、扉をあける。そして部屋を少しだけ振り向いて、白球に少しだけ
目を向けたのち、扉を閉めて後輩達の元へと刑二郎は向かった。
遺体なしの葬式ってのも悲しいだろうな。。。
GJ。
愁厳って何気に人気出そうなキャラだよなー
死んだ分、美味しい所持っていた感じがするし。
GJ。
ほろりと来た。
愁厳先輩の死に様にも泣いた。
でも、照れてる会長を可愛いと思ったのは内緒だ。
終わクロ読者の俺は両方いただくルートがほしかった。
刀子さんといちゃつきながら内部で照れる会長とか、
会長とウホりながら内部で悶絶する刀子さんとか見たかった。
それだと精神世界で壮絶な兄妹喧嘩する予感
何度殺されても不屈の精神で勃ち上がる兄
むしろ双七を精神世界に引きずり込んで3P
途中ですけど、約束『にっき』の別バージョンを
投下します。
やや焦り気味の足を押さえながら、一乃谷双七は家路を歩んでいた。
日は傾きつつはあるが、まだ暮れるまでには時間がある。たぶん今日も叔母がわりのす
ずと刀子と一緒に愁厳は遊んでいるのだろう。それには付き合えるかもしれない。
いまいちすずは愁厳にたいして甘くなり勝ちだ。それを抑えるためにも自分がついてや
らねばならないと思う。
だがそのための一貫として愁厳にすずおばさまと呼ばせたら、すずはショックで耳と尻
尾を出してしまった。そのくせ、刀子とすずは共同で自分をボコってきた。
ボコられながら、双七は
「しかたがない、じょじょに愁厳をしつけるしかないか」
と、改めて思った。
しかしながらそういったことに双七は、ここ最近、なかなか付き合えないでいた。神沢
市動乱の後、市内と市外の規制がいささか緩和されたとはいえ、それにまつわる妖達が海
外レベルでの交流がさかんになり、それらの事務処理にたいし八咫鴉にこき使われること
が多くなっていた。妻の刀子は神社の事務や寮の経営で忙しく、どうしても婿である双七
がその他の雑務に従事せざるえない。
休日にもかかわらず八咫鴉邸に呼び出されたのも、新しく海外からくる留学生とその世
話に寮が使われることになることの通知とその打ち合わせに費やされた。
どうやらロシアからの組織解体後の子供達が、そろそろ高校に進学しつつあるのでその
受け入れ先として、神沢学園に選ばれたらしい。前もってチェックはしておいたがある程
度、様子を見て欲しいとのことである。
もっとも肝心要の神沢学園側の代表である虎太郎は、金領学園代表でもある自分のもう
一人の師匠と麻雀を打ちにいったようで、もう一人の姉である薫がこめかみを抑えながら、
タバコをくわえながら会議中に報告してきた。だからこそ今日は早く事務を終えることが
できたのだが。
そんなことを考えながら歩いていると、自宅である一乃谷神社にたどりついた。
「ただいま!!」
引き戸をあける。愁厳とすずの靴はない。
タイミングが悪かったか。残念に思う反面、不振に思う。
いつもなら刀子がよく通った声で、
「おかえりなさい。あなた」
と返事をするはずである。
靴を確かめる。たしかに刀子の歳のわりに可愛らしい靴はある。
賊であろうか?足を忍ばせながら廊下を歩く。全ての器官を開放する。音、匂い、触感、
視覚、空気の味。すべてが機能する。
ただ甘くくぐもったような音だけが聞こえた。
「ま、まさか!」
心中に、妻である刀子の陵辱シーンがフラッシュバックする。
『クククッ、旦那でもこんなこと、してもらったことはないだろう?』
後手に縛られ、たわわな胸を強調するかのような亀甲縛りにされた妻の刀子が昼下がり
の和室にあられもなく転がされている。秘所にバイブを突っ込まれ、くぐもったような、
濡れたものを動かすような音を立てていた。
『そんなこと…ありません。こんなこと、で…感じるものですか…』
顔はほの赤く、気丈に賊へ応答する刀子。だがどこかしら甘い声であった。
『その、強がりがどこまで持つものかな。まあいい、じっくりためしてみてやろう』
『ああ、双七さん…』
そんなシーンが頭を瞬間的によぎった。
いかん。軽く首を振って気を引き締める。
手は綺麗に、心は熱く、頭は冷静に。たとえそうなっても、賊を一撃倒す。それだけを
考えよう。
そもそも刀子と真っ当にわたりあえるような賊がいるのかどうかということを忘れてい
る時点で、冷静でないと思うのだが、それを現時点で双七に求めるのは酷というものであ
ろう。
居間の前に着いた。甘い、浮かされたような愛する妻の声が聞こえてきた。
『んっ…ああっ…、はぁぁあああ』
手は綺麗に、心は熱く、頭は冷静に。まず様子をみなくては。音をださずにふすまを開
ける。どんな光景でも大丈夫なように心を凍らせる。
しかしそこから覗いた風景はまったく双七が想像していたものとはちがうものであった。
とりあえずはこれだけです。
双七がみた日記は次回のお楽しみに。
「双七くんのチカラってさー」
すずが脈絡もなく聞いてきた。
「んー?」
「フォー」
「違うぞ」不穏当なことを言い出しそうだったので途中で止めてみた。
「だってさー、いろいろ引き寄せるじゃない。」たったそれだけでっ?
「あとたまに暗黒面に堕ちるし」
「逢難と融合してただけだろっ、つか今は何ルートのいつなんだよっ」
「もう、双七くんたら訳解んないこと言い出してごまかすつもりね。」
「いや、まあいいや。俺のチカラは鉄類を引き寄せたり話し出来たりするだけだよ。」
「じゃあ光の剣でヴォンとかできないの?」
「出来ないよっ、つうかやっぱりアレを見たからそんなこと言い出したんだな?」
「うん、さくらがDVD全巻かしてくれたわよ」
「後で俺にも貸してくれ」
「で、やっぱり違うのね?九鬼が眼帯はずしたら実は父親だったとかいう展開は無いんだ?」
「眼帯外して分かるくらいなら最初から分かるよ」もう突っ込むのが疲れてきたので普通に返した。
「むう、双七くんのくせに連れない。もういい、さくらんとこ行ってくる。」
──数時間後
「それじゃバイト行ってくるから」すずの携帯に電話を入れて病院に向かう
「あ、そうそう」電話越しにすずの声
「暗黒面に捕らわれないように心を強く持つのよ」
「まだ続いてたんかい。まあがんばるよ、心配してくれてありがとう。」
今日も今日とて日常、世は事もなし。おしまい。
一時、暗黒面に肩までどっぷり漬かってた香具師が(略
まぁ、しかし、やっぱり島の外だと今までと情報量が段違いだし
慣れるにつれてどんどんいらん事覚えそうだよな>すず
この場合、天がヨー○?
あやかしびとって個別スレ作った方がよくねぇ?
もう100レスぐらいそればっか。
エロパロあたりに立てるかね?
おとぼくは元々作品スレからの独立だし、ここから独立したのはアセリアくらいか
昔のデモベの時もそうだったがこの程度の量じゃいらんだろ
いや、ずっと同じ作品ばっか続いてたらウザイかなと思っただけ。
いいんなら別にいいよ。スレ汚し失礼。
ただ感想や批評、雑談はそれぞれの本スレに行くべきかもしれんな
正直たてたほうがトラブルは少ないと思う。
SS書きにしても感想は欲しいだろうし、本スレで感想書くのも本スレ住人にしたら「他スレのことは他スレでやれよ」という感想を持つ人もいるだろうし。
SS書きやすい作品が出ないと過疎り、書きやすい作品が出るとそれ一色に
分離がどうとか言ってる間に波が去って再び過疎or新作
いつもの事だが、ままならないな
いっそ感想だけ別にスレ作るとか。
こんな本筋から離れた議論で持ってるスレで何を言いますかw
どうせ過疎気味なんだからいいよ。
んじゃまぁ
今の旬は「あやかしびと」だし、しばらくそれ一色でも悪くは無いか
それ散るとかの時もこんな感じだったし、別にこのままで良いんじゃないの。
この程度なら、分けるほどの量じゃない。
毎日SSが出続けるような状況ならともかく。
新スレ建ててもそのうち話題がおさまって過疎化…十分あり得る。
そんなわけで気にせず職人さん投下ドゾー
トントントントン──
私の身体がリズミカルに動く、この時間はとても気持ちがよかった。
私は包丁。寂れた中古の金物屋からあなたが連れて行ってくれました。
あなたの元で、私は再び自らの存在意義を全うしました。
牛肉豚肉鶏肉、ジャガイモ人参玉ねぎ(ふふっ、涙を流してましたね。)
大根ピーマンお魚、果物等々。
あなたの元で私は「生きた」そして、あなたと一緒に私も逝きます。
あなたの身体が人で無くなろうとも、あなたの心が人であるならば、あなたは人。思い出して、あなたが守る者たちを。あなたを守る物たちを。
あなたが守る全てのモノを。
あなたはまだ戦える。私はまだ戦える。私達はまだ戦える。
勝率上昇──
敵は九尾の鬼ただ一鬼、私達は無数の絆、なにを恐れることがあろう。
最終決戦一幕。
お前はまさか件の出刃包丁w
>>772-774 なにその神ルート
ヒロイン勢ぞろいかよコンチクショー
GJ!
むしろ神ジョブ!
>>790 待て、それ散るの名前を出したお前にはSSを書く義務が発生した。
さあ書け!
800のリクエストを受け付けようか。
と言ってくれる猛者キボン。
>>796 よし、やってみようか!
ただし、エロゲはそんなに数をこなしてないんで
「あやかしびと」「MinDeadBrood」「パルフェショコラ〜secondbrew」「おとぼく」「です☆めた」限定
頑張れ。
過疎すれで
SSを投下してみたら
無反応で返された
そんな悲しみを
僕は知ってしまった
知ってしまったんだ
カトレアでおねがい
801 :
797:2005/07/14(木) 08:44:24 ID:TckqJC2t
802 :
797:2005/07/16(土) 01:31:37 ID:omjjXO6o
保守
この板のスペックは知らんけど
丸一年ほっといても落ちないのできにすんな
804 :
名無しさん@初回限定:2005/07/16(土) 19:02:05 ID:UMhHZ4Em
圧縮か980越え1日放置で落ちるじゃん
このスレのこと 時々でいいので思い出してください
圧縮ライン970前後らしいよ。
807 :
797:2005/07/17(日) 22:56:33 ID:gD5NZ0vj
今夜もまだ完成の目はみないようです
とりあえず再プレイで設定のチェック…玲愛が何月何日から由飛や仁の呼び方を変えたか、とか…からやってたからなあ
(ついでに酒飲んで寝てしまったり)
>>807 ガンバ。
さて俺も何か書いてみようかな。
あやかしびとをもう一本、とか思ってたけど別のやつの方がいいかもわからん。
大した物はかけないがリクエストあったらどぞ。とりあえず日常一幕書いた奴です。
>>809 できればあやかし以外が…と思ったけども、がんばります。
明日にはUPできればいいなぁ
車内に鈍い打撃音が木霊する。
肉を打つ、という音ではない。何かを「捩じ込む」ような、そんな音。
円転自在にして球転自在。
それが、九鬼耀鋼という男の戦闘の論理(ロジック)である。
(九鬼の旦那が車外に上がってもう五分)
バックミラーを見る。車内にはターゲット――少女が一人。後方にはバイクに乗っている男子生徒が一人。そして。
彼にブン投げられた男子生徒―――武部涼一である。曰く、「九鬼耀鋼唯一の弟子」
二人とも車上で何かを喋っているようだが…あまりよくは聞こえない。まぁ、そんなことはどうでもいい。
比良賀渉は考える。
(足場を崩すべきか?)
九鬼耀鋼にはそれが大した障害にならない、と判断してのことだったが、一応隊長には許可を取った方がいいだろう。
「車…揺さぶった方がいいですかねえ?」
比良賀の言葉に助手席に乗っていた薫が首を横にふった。
「……いや、武部涼一の能力を考えると、それをきっかけに車を止めにかかるかも知れん。彼の能力がどれほどのものかはわからないが、そういう可能性もある。今ならまだ九鬼さんに任せておいたほうがいいだろう」
「そうですかい」
言いながら、バックミラーを再度伺う。依然こちらに併走しているバイク。不可解だった。
彼も当然人妖だろう。先ほどの武部涼一を投げたのが彼の能力であることは明白だ。そこはいい。しかし。
(神沢市から「出られる」ってのはどういうこった?)
比良賀は首を捻った。彼の本来の権限――公安の権限を使えば容易いが、一般市民が、それも学生がおいそれと出られるような所ではないはずだ。
(考えるな)
自分に言い聞かせる。敵は、いる。いるはずが無い、と自分が駄々をこねても、現実が変わるわけでもないのだから。
途端、一段と鋭い打撃音が響いた。車の屋根をブチ抜かれると思ったほどの衝撃が、二人を襲う。
「…………っっっっ!!!!!」
「……が……っっ!!!?」
とっさに後方を確認。すると
(やったか…!?)
車から転げ落ちそうになっていた武部涼一を、バイクの男子生徒が受け止めようとしている所だった。
このチャンスを逃す比良賀ではない。
体勢を何とか立て直し、スピードを落とさないよう走行する。このあたりの技術は他の人間に負ける気はしない。
すぐに九鬼耀鋼が窓から入ってきた。だが、様子がおかしい。
「…がっ…はぁ……」
「どうしたんですかい?」
「いやなに…ぐ…馬鹿弟子も腕をあげやがって嬉しい限りってことさ」
どうやらダメージを多少負っているらしい。彼にとっては珍しい話だ。
それでも九鬼耀鋼は仕事を完遂する。
バイクがバックミラーの中で小さくなってゆく。当然だが、人間大の物体を受け止めて慣性を殺しきれるわけもないだろう。
「このままドミニオンまでこの娘を連れ帰れれば任務完了だ。…いやなに、追ってくるにはまだ時間がある。なら、迎え撃つまでに時間があるだろうさ」
九鬼耀鋼の予想が久方ぶりに外れたのはこの360秒後だった。
「!」
今日は、面白い日だ。そう直感的に比良賀は思った。九鬼耀鋼のこんな表情を見るのは初めてではないか。バックミラーに見える、九鬼の表情には一見の価値がある。驚愕?焦燥?それとも―――他の何かか。そんなことに気を取られたのが間違いだった。彼は運転中であったのだ。
「比良賀!!気をつけ―――」
そもそも。
「え―――――」
彼は。
「ん――――?」
何に対して。
「――――――――ど阿呆が」
そのような表情をしたのか。
「そんな、バカな――――?」
この一瞬、比良賀渉は珍しく混乱していた。予測不可能の事態。とはいえ。誰がそのようなこと予想できるだろう。
「白い何か」が降ってきた。それは人のカタチにも見えて―――いや、紛れもなく人だ。
文字通り、掛け値なしに。何もない中空から?―――そんな、神沢防壁を越えてくるなどと…?
“彼女”はそのまま大きく刀を振りかぶって――――
(刀!!!?)
「はあああぁぁぁぁッッッッ!!!!!!」
ハンドルが切られる寸前。
「一乃谷流、――――鋼獅子ッッッ!!!!」
彼女の刀が易々とボンネットに食い込んだ。
ハンドル操作が効かない。キキキキキィという金属同士が悲鳴をあげる音。左右に揺れる車。―――それでも折れることのない肉厚の刀。彼女の肩越しに見える刀はなおボンネットを食い破り…
「比良賀ッッ!!」
薫が叫ぶ。彼女も事態の急転には混乱しながら、それでも現状を把握していた。
「車はもう使えんッ、降りるぞっ!」
手段はどうあれ、追いつかれた。事実を認識する。逃避から自分を無理矢理引き戻し、応える。
「へいッッ!」
九鬼耀鋼は…心配するまでも無かったが、それよりも件の少女が気にかかった。彼女を連れて帰らなければ今回の任務は失敗なのだ。自分の本来の任務にも支障が出る。
結論から言うと、比良賀の心配は杞憂だった。半分は。つまり、件の少女は九鬼耀鋼が小脇に抱えて車から飛び降りる所だったから。ただし。心配が必要ないはずのもう半分。
(九鬼の旦那が、嗤ってる?)
自分の元弟子と戦って?それともあの女子生徒の手際を見て?あるいは―――両方だろうか。
心配――というのとは少し質は異なるが、これは。
(悪い兆候かもしんねぇっすな)
比良賀はそう思いながら、運転席の扉を開けた。
初SS 。ちなみに>797でも>810でもありません。いやぁ、あのシーン好きなモンで。
拙作失礼。
激しくGJ
いや遅れている漏れがいうことじゃないけど。
シリアス物ははじめてですな、
こういうのもいいねGJ!
816 :
797:2005/07/20(水) 01:12:00 ID:29nbqdyH
>>811-813 GJ!上手いなあ〜。SS初めてってのが本当にしても、文章は書きなれてそう!
あ、ちなみにいま3000文字ほど進んでて、中盤(汗
このあたりのシーン好きなんだよ。
裏ではこんな会話がされてたんだろうな。
>816
期待してる。
>814-818
感想アリ。欲を言えば、批評が欲しいかなーとか。
習作程度なら2,3本くらいあるけど、こういう形で出したのは初めてなんで。
自分こういう「間を補完するもの」が好きだから、今後もこんなカタチで書くとオモ。
とりあえず、トーニャ萌えなんで、トーニャ関連書ければ、とか思ってる。
じゃあ言う。どうせなら、1レス目で徹頭徹尾シリアスで行って
2レス目は刀子さんのパンツ見えたお。のギャグ文にしてでオチつけてほしかったお
まぁやおいってやつだね
>>819 批評というか、単なるいちゃもんになるけど。
「それでも折れることのない肉厚の刀」と「それでも現状を把握していた」、
割と近い文章で同じ「それでも」が繰り返されているところが気になった。
あと最後の「結論から言うと〜」のあたりが若干テンポが悪いかと。
時制を先取りしないで普通に「比良賀の心配は杞憂だった」で良かったと思うし、
杞憂じゃなかった「心配の半分」というのが「必要ないはずの」「少し質は異なる」と二度も
否定的なニュアンスで語られているんで結局何なのか分かりにくくなっている。
全体は良かった。原作やった人なら光景が目に浮かぶと思う。
822 :
819:2005/07/20(水) 17:34:28 ID:vMeJXuwi
>821
thxです。…推敲不足、かな。一晩くらいかけたつもりだったんですが。
注)本当に投下するか迷っていたヘタレとも言う。
>820
ギャグは……正直苦手。まぁ、課題ではありますが。
ガラガラッ…
私は引き戸を開けると、ゴム草履をツッカケてベランダへと出た。
12月23日深夜。雪こそ降ってはいないものの、冬真っ直中の風は冷たく頬を切る。
もちろん風邪をひく訳にはいかないから、普段着の上から厚い綿の入ったどてらを着込んで私は外の冷気に備えた。
問題なのは、そのどてらが私に全く似合わないものだということか。だけど別にどてらに責任がある訳じゃない。むしろ似合わない原因は私のほうにあった。
頭の後ろでしっかりと結わえられた…仕事の邪魔になるのが嫌だからだけど…金色の髪と白い肌は、とても純和風の服装が似合うはずもなかった。まあ、それはフランス人の母方の祖父の遺伝であって、仕方のないことだし私自身それを疎ましいと思ってるわけじゃない。
私の名前は花鳥玲愛。今年駅前に新設された巨大ショッピングセンター「ブリックモール」のに店を構える喫茶店「キュリオ」のチーフを務めている。
いまは仕事を終えて帰ってきて、あくまで「いつも通りの日課」として夜風にあたりにベランダに出たところ。
チン…
隣のベランダから、仕切りのボード越しにオイルライターの蓋が弾かれる音が聞こえてきた。そしてそのまま煙草に「彼」が火を点ける気配が伝わってくる。
私達二人の距離は、たぶん50cmも離れてはいない。「非常の際にはここを破って隣へ脱出できます」と書かれた、たかがそんな程度の仕切りが二人を分かってはいたけれど。
「偶然ね」
私は隣人に声をかけた。彼がベランダに出てきてたのは物音でわかってはいたけど、彼が出てきた時間に「偶然」私もベランダに出たくなったのだから、まあ、嘘ではないと思う。
「そだな」
彼は…隣人にして同じブリックモールでのライバル店「ファミーユ」の店長の高村仁は、そのあたりには突っ込むことなく返事を返してきた。
「いよいよ明日ね…」
私の言葉の一つ一つが、白い霧になって夜空に吸い込まれていく。明日は12月24日。クリスマス=イヴ。私や彼の店のようなケーキがメインの喫茶店にとって、一年で一番忙しい一日。
「ああ。…花鳥も今夜は早く寝ておいたほうがいいぞ」
彼は当たり前のようにそう答えた。
「………」
私の沈黙を、仁はどう受け止めたのだろう?
「…おい?」
訝しげな彼の声が聞こえてくる。
「…『花鳥』って、いったい誰の事かしらねぇ〜!ファミーユの店長〜!」
私は声に目一杯険を含ませた。実は彼の店には私の義理の妹の花鳥由飛がいる。それが紛らわしいからと名前で呼び合うようにと約束したのが、ほんの一時間前のキュリオ店内でのこと。
まあ、本当に「紛らわしいから」という理由以外のなにものでもないはずだから、どうでもいい事には違いないんだけど、さ。
「…悪かった、玲愛」
仁は大人しく負けを認めた。以前とは違ってここから言い争いにならないのが、少し寂しいような気もする。
「まっ、いいでしょ。許してあげる」
ちょっと茶化して言ってみたけど、今の私は相当に意地悪な顔をしているに違いない。
私達は帰りもずっと一緒だった。もちろんその間中喋り通してたし、名前でも呼び合い続けた。でも…互いの顔が見えるから話せないこと、互いの顔が見えないから話せることというのも確かにある。
「…ねぇ…仁…」
夜の闇に流れていく紫煙が鼻孔をくすぐる。煙草の匂いは正直好きじゃない。でもこの匂いが隣にあるのも、すでに今の私の日常の一つだった。
「ん…?」
煙を吐ききったタイミングで彼は答えた。
「『あの人』のことだけど…」
そこからは言葉が出なかった。私の視界では遠くを電車の明かりが時を刻むかのように右から左へと流れていく。
仁は私の言う「あの人」が姉の由飛を指していることを知っている。なぜ私が「由飛」とも「姉さん」とも呼べないかということも…。もちろん私と由飛がそんな関係となるにはいろいろあったんだけど、一番の原因は、私自身。
仁は…続きを促すようなことはしなかった。ただ黙って紫煙をくゆらす。
「………なんでもない」
私は今更何を訊くつもりだったのだろう?いや、逆に訊きたいことがありすぎたのか…。
仁は由飛に魅かれてる。それは事実。だってさっき店内でそれを尋ねたときに彼は否定をしなかった。
それは仕方のないこと。だって由飛は私なんかと違って他人を魅きつける魅力にあふれてたから。…昔っから!
だから…私は、逃げてきた。逃げるしか、なかった!憎むこともできずに、ただそんな義姉が羨ましくって妬ましくて、そしてそんな自分が大っ嫌いだったから!
なのにこいつは…隣のベランダでのんきに煙草なんかふかしてるこの馬鹿は、私に逃げることを許さないのだ!
眼下に点在する小さな灯り達が他人顔でクリスマスイヴの前夜を祝っている。遠い…それらは私からは酷く遠い…。
「玲愛…寒くないか?」
仁が声をかけてきた。たぶん、知らずに時間が経っていたのだろう。
言いたかった。そう思うなら抱きしめてよ!って。由飛じゃなくて私を!って。
…言えるわけがない。
「寒いに決まってるじゃないのよ!」
急くようにそれだけ投げつける。
「なら、寝ろ。明日は倒れるわけにはいかないんだから」
相変わらずの落ち着いた口調が、妙に小憎たらしくて…愛しい。以前私が風邪で倒れて看病してくれた時と変わらぬ物言い…。
「…寝るわよ。おやすみっっ!」
言い捨てて私は踵を返した。そして部屋に帰ろうとして…何故だか数瞬だけ躊躇う。
「…ああ。また明日な。おやすみ」
その言葉を聞いて初めて私の足は仕事を始めた。
照明を消してベッドに潜り込む。…何も考えないようにと思えば思うほど、不安が胸の中に染み渡っていくようだった。
明日、すべてが決まる。私と、由飛とそして仁の関係が明日変わってしまう。
それは、逃げられない戦い。そして多分…ううん絶対、私の負け戦。
それでも…。
「仁ぃ…眠れないよ…」
私は頭から布団をかぶりながら、漏れ聞こえないようにそれだけ呟いた…。
作:797 表題:クリスマスイブ前夜
>>823-825
貴様はどうするつもりだ?
我が問いに人は答えない。
主…元主と言った方がよいのか?ともかく、あの鬼はすでに悪鬼といえる範囲を超越しておるぞ。
それでも人は答えない、聞こえてはいるはずだ。
そうか、未だに悩むか。いや、悩むであろうな。
人を辞めるか否かの瀬戸際なのだから。あの鬼はすでに最強、倒せる個体は地上にはおるまいて。
だが人よ、貴様が妖に立ち戻ればあるいは勝機もあるであろうな。
まあいい。考えて答えのでる問いではあるまいて。
では我は眠るぞ、必要とするなら我が身を持って行くがいい。
──廃港
投げ捨てたか、悪鬼を目の前にして良くぞその行動をとれたものだな、貴様の覚悟しかと聞き届けたぞ。
さあ取り出せ、さあ振りかぶれ。我が名は貫く者カンフュール!!
悪鬼を貫き、我が主の元へと貴様の意志を届けてやろう!
さあ主よ、共に参ろう。残り少ない時間ではあるが、主の弟子が帰りを待っておるぞ。
…ふむ我が仕事は果たしたな、では先に逝っておるか。
最終決戦一幕。
827 :
797:2005/07/21(木) 00:32:16 ID:y2W2NqXZ
いやあ、久しぶりの一人称でかなり手間取ってしまいました
>>819 んと、俺からは文句のつけようが無いです
むしろ「固定視点の三人称」の見本として保存すべきと思うくらい
俺がとある場所でカキコしたのを引用すると
>一人称は、描写が一方からの視点である程度固定されてしまうので、客観的な描写が難しいんですが、反面感情移入しやすく読みやすい
>三人称は、コツと言うかタブーを破らないようにするのが大事かな?
>例えば、一番やってはいけないのは、同じ現場にいる複数の視点をこまめに追ってしまうこと。これをやってしまうとゴチャゴチャしてわかりにくい文章になってしまいます
>AとBが例えば公園で話をしてたとします。この場合は両方の内面を表現するのは避けて、心理描写はあくまでAのみ。Bの心理描写は表情や態度などから表現します
>逆にAとBが喧嘩して別れた場合、文章の目的にもよりますが、場面を切り替えて心理描写するのも可でしょう
>まあ、小説だけじゃなくてむしろ映画的手法ですが…
これの理想形ですね
あと、やっぱり「読みやすい」ってのが一番でしょう
まあ、俺の評価基準もかなり偏ってるとは思いますけど
例えば話題になってるラノベがあって、それを本屋で開いてみた時に
「なにさ」
「なんだよ」
「けれど」
みたいに「かぎ括弧」が3つ並んでるのを見た瞬間に読むのをやめてしまう、そういう人間ですから、俺
うお、かぶってしまうとこでした。申し訳ナサス
ちゃんとリロードはしないとあかんね。
829 :
797:2005/07/21(木) 00:42:53 ID:y2W2NqXZ
>>828 こちらこそ。引用先引っ張り出すのにかまけててリロード忘れてました…(汗
>>819 あ、あくまで上のは「ラノベ」に対する基準ね。SSでは他の板でもそうですけどそのあたりは気にせずに脚本形式のだって読んでますから
「まぁいいか。それじゃ---------死、ねぇっ!」
一奈の手から炎のツララが投擲された。
巨大な質量と凶悪な破壊力を秘めたソレは真っ直ぐに九鬼耀鋼の顔面へと吸い込まれていき・・・
グシャリ
九鬼の頭部が消滅した。
「アッハハハハハハ!終わり終わり、終わっちゃたねー、くきよーこー!!」
一奈は笑う。
先ほどまで自分を殺すと言っていた人間が、自分を息子の仇だと言っていた人間が、復讐のためだけに生きてきたと言った人間が、結局自分に傷一つつけることができずに力尽きたのだ。
これ以上の喜劇が存在するだろうか、と。
「フ、フフフフフフ・・・。全く本当に見かけ倒しだったわね!何が、殺すぞ、よ。殺されてるのはアンタじゃない。キャハハハハッ!!!」
笑う、笑う、笑う。
手が鉄板に溶接されているせいで、頭の無い九鬼の体は力なくそのまま機体にぶらさがっている。
それが余計におかしかった。
おかしくておかしくて涙が出そうだった。
笑うことに夢中すぎて、一奈はソレに気付かなかった。
鉄板に溶接された九鬼の手、そこにわずかな力が込められていたことに。
「キャハハハハ、・・・ぇ?」
笑いながら振り返り、その場を離れようとする。
その時、ベリッ、と溶けた穴から耳障りな音が響いた。
反射的に視線を下げた一奈は信じられないものをみたかのように凍りついた。
ベリ、ベリ、ベリ。
既に動かないはずの九鬼耀鋼の手が鉄板からはがされ始めているのだ。
そして・・・。
手は完全に鉄板からはがされ、頭の無い九鬼耀鋼の体が自らの力で機体の上に這い上がってきた。
「何よ・・・アンタ、人じゃなかったんだ?」
当初の衝撃からはすぐに立ち直り、心底おもしろそうに一奈が言う。
床に降り立った九鬼の体は、その手を頭部に持っていくと、自分の頭が無いことを確認する。
その体が震えたかと思うと、消失した部位からは肉が盛り上がり、骨が形成され、九鬼耀鋼は正に一瞬で再生していた。
「・・・そのようだ。なにぶんここ数年間は自分が人だろうと妖だろうが、そんなことはどうでもよくてな。成り行きに任せた結果とでも言おうか。」
「ふ〜ん、まあいいや。考えようによってはコレって結構面白いことよね。なんたって・・・何度でも殺せるんだから!!」
吼えて一奈が炎のツララを放つ。
しかし、次に一奈の顔に張り付いたのは驚愕だった。
九鬼は放たれたツララをかわそうともしなかったのだ。
ジュウジュウと、肉の焦げる音が聞こえる。
体を貫いたツララは決して溶けず、そのまま九鬼の体を炎で侵食しつづけている。
本来ならば激痛が襲うどころか即死してもおかしくない傷である。
にもかかわらず、九鬼耀鋼は笑っていた。
「ハ、ハハハッ!いいぞ一奈!!その殺意、どんな状況であろうと自分の勝利を確信し続けるその自信!!やはり復讐の相手はこうでなくてはいけない!!こうでなくてはオレが報われない!!」
体にツララを突き刺したまま九鬼耀鋼が前進する。
「さぁ、一奈・・・。もっと殺しあおうじゃないか!」
右手でツララをつかんで引き抜く。
右手は炎に侵されることもなく、そのままツララを投げ捨てる。
「行くぞ!!」
九鬼が鉄板を蹴った。
一奈はツララを形成しようとして、停止。
妖となって向上したのは身体能力だけではない。
瞬時に自分のツララを形成してから発射までの一連の動作が完了するよりも相手の間合いへの接触のほうが早いことを計算。
有効な対抗手段として近接戦闘を選択。
炎を纏った貫手を放つ。
「ハッ!!」
しかし相手は人間の身であったころからその身一つで妖を打ち倒してきた魔人である。
力任せに放たれた技など物の数には入らぬといわんばかりに、抜き手は容易に捌かれ、体勢を立て直すまもなく顎を狙った一撃が繰り出される。
とっさに首を後ろにそらすことで回避。
そのまま後ろへ思い切り跳躍する。
追撃。
九鬼耀鋼の動きは速かった。
一奈の足が地面に触れると同時に九鬼の右足が振るわれる。
回避は不可能、一奈はとっさに腕を交差させることでの防御を試みた。
まるで丸太で殴られたかのような衝撃が一奈を襲い、体は背中から壁に叩きつけられた。
「く、カハッ・・・!?」
衝撃で肺の中の空気が搾り出された。
目の前が一瞬真っ暗になる。
視界が戻ると同時に目の前からせまる巨大な圧力を確認。
体をひねり、そのまま壁を離れる。
寸前までいた場所には九鬼の掌が打ち込まれていた。
接近戦では分が悪いと判断した一奈は、距離をとって自らの間合いでの戦いに持ち込もうとする。
が、九鬼がそれを許さない。
もとより狭い機内での戦いである。
距離をとろうにも少し下がればすぐに壁に背をつけることになる。
「チィ!?」
いまさらながらに自分にとっての戦闘条件の不利を悟った一奈であったが、もう遅い。
間合いはとれず、苦し紛れに放つ攻撃は全て捌かれ、蛇のような一撃は致命傷にならないようにするのが精一杯だった。
妖となって爆発的に向上した身体能力と体力であっても、それは無限ではない。
九鬼の一撃が触れるたびに、その限界は近づいていた。
「ッ!?何よ、アンタ!しつこい男は嫌われるんだから!!女の子にはやさしくしなさいよ!!」
苦し紛れに一奈が叫ぶ。
九鬼耀鋼は唇を歪ませそれに答える。
何度目になるかわからない苦し紛れの攻撃。
それが九鬼のこめかみを掠めた。
衝撃が脳に伝わったのか、一瞬九鬼の動きが鈍る。
そこで一奈は距離をおくことを選択するべきだった。
しかし彼女は追撃を選択した。
思い出さなくてはいけなかった。
九鬼耀鋼は近接戦闘においては一奈の数段上に存在することを。
疑問を抱くべきだった。
今まで触れることすらできなかったはずなのにという問題に。
気付かなくてはいけなかった。
体勢を崩したはずの九鬼耀鋼の瞳に宿る獰猛な光に。
「アハッ!も〜らい!!」
そして一奈は無邪気に笑い
「阿呆が・・・。」
九鬼の双掌に腹部に食い破られた。
「九鬼流絶招 肆式名山 内の壱 焔螺子。」
両の掌から伝えられた衝撃は一奈の内部に響き渡り、その全体をすさまじい破壊で蹂躙した。
「ガハッ!?あ・・・グエェ・・・!!」
腹部を押さえその場に崩れ落ちる一奈。
目からは涙が、鼻からは鼻水、口からは血と涎がとめどもなく零れ落ちている。
そんな状態の一奈に上から声がかけられる。
かろうじて顔を上げた一奈の目に入ったのは九鬼耀鋼の顔。
そこに浮かんでいる表情は、この世のものとは思えないほどに歪んだ喜びだった。
一奈は初めてこの男を怖いと思った。
「さて、一奈。決めたのか?」
九鬼耀鋼はそういった。
しかし一奈はそれが何に対する決定を指しているのかわからなかった。
時折嗚咽をもらしながらも沈黙していると、再び声がかけられる。
「決めたのか、と聞いたんだ。最初に選択肢は示してやっただろう?」
そこで一奈は体に電流が流れたかのよう体を硬直させた。
最初、この男はなんと言っていたのか。
思い出したくない記憶を無理に探ろうとしたとたん、九鬼耀鋼が動く。
最初に投げ捨てたカンフュールを拾い上げた。
機内のとっかかりにひっかかっていたおかげで飛ばされずにすんだようだ。
「決めていないなら今決めろ。決められないなら一つずつ試してやる。」
そしておもむろに、一奈の太ももにその先端を突き刺した。
「ギッ、ア、アアアアァァーーー!!?」
機内に絶叫が響いた。
九鬼はそんなことは全く意に介せずに、突き刺したカンフュールに体重をかける。
ズブズブと先端が一奈の足に埋もれていく。
「ヒグッ!痛いいたいイタイイタイ痛い!!」
「これが刺殺だ。次は・・・。」
目の前で苦しむ一奈に九鬼はゾっとするほど穏やかな声でつぶやき、その喉に手を伸ばす。
「絞殺だな。」
グシャリ、と一奈の喉が握りつぶされた。
「カッ!?・・・ッ・・・ッ!!」
喉を潰された一奈は叫び声すらあげることができなくなった。
ビクビクと痙攣する一奈に対し、九鬼の破壊は続いていた。
「その次はなんだったかな・・・あぁ・・・。」
今度は一奈の背中から異音が響く。
上から思い切り拳を叩きつけられたのだ。
ハンマーのような拳は筋肉を断裂させ、肩甲骨を叩き割った。
「撲殺だったな。」
連続する激痛に、もはや一奈は明確な意識を保てなくなっていた。
目は白目をむき、口は何かを求めるようにパクパクと開閉を繰り返している。
「さぁ、選べ一奈。選択肢はまだまだあるぞ・・・!」
それでも九鬼耀鋼は止まらない。
裂き、潰し、抉り、毟り、砕き、貫き、千切り、穿ち、そしてまた・・・。
ありとあらゆる破壊が一奈の体に行使された。
九鬼耀鋼がその動きを止めたとき、もはや一奈の体はところどころが骨と筋と腱と皮でつながれた肉の塊と化していた。
「・・・?」
それを掴み、目の前まで持ち上げると九鬼は信じられない、といった顔をした。
「なんだ・・・一奈。もう終わってしまうのか!?」
床に叩きつける。
「おい!こんなに簡単に死ぬんじゃない!ダメだ、ダメだ、ダメだ、ダメだ!!お前はまだ死んではいけないんだよ!もっとオレを痛めつけなきゃいけないんだよ!オレに血を流させなきゃいけないんだよ!!」
叩き付けた肉塊を足で何度も踏みつける。
「お前は強くなくちゃいけないんだよ!そうじゃないとオレはなんのために生きてきたんだ!?これじゃあ、あんまりじゃないか!この程度の結果を認められるわけがないじゃないか!」
九鬼耀鋼は狂っていた。
機内の隅で一部始終を見届けていたすずは震えが止まらなかった。
人とは・・・これほどまでに壊れるものなのだろうか、と。
で、あとは最高にハイってやつだモードの先生が「こんな弱いやつが仇のわけがない、仇でいいわけがない」とか言いつつ一奈の死体をポイ。
乗り込んできた双七君に「もっと強いやつが仇でなくてはいけない。お前はどうだ?」とか言って悪鬼モードであとはゲームストーリーの通りという妄想でした。
GJ。
双七君遅れて到着の巻、ですな。
とりあえず、突っ込み。どうでもいいっちゃいいんだが、中は?
確か、すずを抱えてたはずなんだが…
GJ!個人的に足りなかった先生VS一奈を補完できたので嬉しいよ。
超蛇足だが
>「ヒグッ!痛いいたいイタイイタイ痛い!!」
で沙耶の唄(の瑶)がフラッシュバックしたw
面白かった。
双七に事故死させられるぐらいならこっちのほうが見せ場があていいな。
まぁ、零奈が悲しげに一奈に止めを刺したりしたら最高なんだが。
839 :
797:2005/07/21(木) 15:54:33 ID:y2W2NqXZ
GJ!
なんか本編っぽい文章だなあと思ったら、「回避。」とか「確認。」みたいな動詞を名詞化した体言止めが共通してるんですね
>797
続きが気になるがこれで終わりなのかな
841 :
797@携帯:2005/07/21(木) 19:56:12 ID:DPXORepv
>>840 ごめん。おしまいですm(_ _)m
そのつもりで署名とアンカーつけました
続きはゲーム中でのみなさんの24日の選択次第で
蛇足ながら俺の選択は「ブリックモール外(玲愛)」ですが…
「私は頭から布団をかぶりながら、漏れ聞こえないようにそれだけ呟いた…。 」
男はダンボールの脇にしゃがんだまま、手に取ったノートを読んでいる。
「仁っ!なにサボってんのよ!男手はあんたしかいない……って、ああ〜!」
金髪の女性…高村玲愛(予定)は、大声で叫ぶと仁の持っているノートを取り上げた。
「あんたっ!なに勝手に人の日記読んでるのよっ!」
彼女は怒りと恥ずかしさで身を震わせながら、涙目で抗議した。
「あ…いや、えっと…」
仁は必死で言い訳を考えた。そして…諦めた。
「……読んだわよね?」
彼女の背中から、黒いオーラのようなものが立ち上る。少なくとも仁にはそう見えた。
「………うん」
げしっ!
仁の顔面に、玲愛の靴底がめり込んだ。
「さっさと荷物持ってくるっ!早くっっ!」
今日は郊外に新規に立てた喫茶ファミーユ本店への引越しの日。仁と玲愛が手を取り合って必死で頑張って築き上げた夢の、その第一歩となる記念すべき日。
玲愛は手に持った古ぼけたノートに視線を落とした。
「…まだ捨ててなかったんだっけ、これ」
でももういらない。私達はこれから一緒に新しいページを書き込んでいくんだから…。
せっかくだったので、即興でオチをつけてみました
でも一応
>>823-825で完成には違いないので、あくまで付け足しと思ってください
続きわざわざすまねっす。
やっぱ同名の主人公はいいね、こっぱずかしいー。
844 :
797:2005/07/22(金) 22:15:06 ID:fyjLL+Lz
>>843 いえいえ。こちらこそ拙いものを…
ってか、久々に「書き込みフォーム直書き」やっちゃいました
同名って「高村玲愛(予定)」の部分?そういえばあれって(予定)で良かったんでしたっけ…?(汗
>843はひとし君、って事でわ?
ボッシュートされるが運命(さだめ)?
847 :
797:2005/07/23(土) 21:36:33 ID:PB5G9Bap
848 :
819:2005/07/25(月) 21:14:56 ID:jtO0I5xP
トーニャルート補完書了。
投下したいんだけど、470KB越えちゃいそ。どうしませう。
……一瞬、470KB超のSSが来るのかと思ってビビった。
>830
ちと遅いがGJ
九鬼先生好きだからすずルートのあれは可哀想だったよ
まあ復讐が出来たから幸せって訳でも無いんだろうが
「ではさっそく。おでこのめがねででこでこでこりーん」
「えっと、あの…ぼくは…」
「やあ、自転車くん。今日も元気かい?」
「うん、きみが頑張って直してくれたから。ほんとにありがとうね」
「そうか、良かった。じゃあ、また今度一緒に走ろうな」
──物陰のすずとさくら「やっぱりキモイわね」
「ていうか、怪しげな呪文とめがねのせいでキモイさ爆裂ですね」
「あんたが勧めたんでしょうが…」
「あははは〜、あ、別のとこ行きますよ追いかけないと」
「おでこのめがねででこで(ry」
「…」
「やあ、こんにちは…?」「…」
「どうしたの?ちょっと話したかっただけなんだけど?」
「…黙れ、そして聞けっ!!我が名は斬妖刀文壱!!あやかしを断つ刀也!!!」
「え?あ、うん知ってる」「ならば斬らせろ」
「いやいやいやいや、俺妖怪チガイマース」
「ならアレを斬るから身体貸せ」
「え?」
──再び物陰のすずとさくら
「あれって会長の刀ですよね?」
「そうね、どうやって持ってきたのかしら」
「なんか慌ててますよ?」
「あっははは、片言になってる─あれ?」
「あ、こっち見ましたよ?見つかっちゃいましたね─なんか、ちょっと殺気が…」
「おおお落ち着きなさい、双七くんっ!えと、えと、あ、あいむゆあし
852 :
名無しさん@初回限定:2005/07/26(火) 21:55:52 ID:C1fFnZ7V
──自転車置き場
「ではさっそく。おでこのめがねででこでこでこりーん」
「えっと、あの…ぼくは…」
「やあ、自転車くん。今日も元気かい?」
「うん、きみが頑張って直してくれたから。ほんとにありがとうね」
「そうか、良かった。じゃあ、また今度一緒に走ろうな」
──物陰のすずとさくら
「やっぱりキモイわね」
「ていうか、怪しげな呪文とめがねのせいでキモイさ爆裂ですね」
「あんたが勧めたんでしょうが…」
「あははは〜、あ、別のとこ行きますよ追いかけないと」
──校庭の隅っこ
「おでこのめがねででこで(ry」
「…」
「やあ、こんにちは…?」
「…」
「どうしたの?ちょっと話したかっただけなんだけど?」
「…黙れ、そして聞けっ!!我が名は斬妖刀文壱!!あやかしを断つ刀也!!!」
「え?あ、うん知ってる」
「ならば斬らせろ」
「いやいやいやいや、俺妖怪チガイマース」
「ならアレを斬るから身体貸せ」
「え?」
──再び物陰のすずとさくら
「あれって会長の刀ですよね?」
「そうね、どうやって持ってきたのかしら」
「なんか慌ててますよ?」
「あっははは、片言になってる─あれ?」
「あ、こっち見ましたよ?見つかっちゃいましたね─なんか、ちょっと殺気が…」
「おおお落ち着きなさい、双七くんっ!えと、えと、あ、あいむゆあしすたー!!」
「駄目です、すず先輩。なんかフォースにでも目覚めないとそれは信じられません!」
校庭はさながら地獄絵図、木々は斬られ(すずが避けた)、グランドには穴が空き(さくらがかわした)、正しき姿を留めてる物はなにもない。
「きゃー、惣七くんのバカー、姉不幸ものー!!」
──一方会長室、刀に見ほれる愁厳と仕事する伊緒
「見たまえ伊緒君。やはり小烏丸の刃筋は見事だぞ、繊細ながらも心強さを感じる。双七君に代わりにと渡されたがやはり素晴らしいな。」
「どうでもいいですけど校庭の修繕費は自腹でお願いしますね。」
多分これも日常、日々は事も無し。おしまい
会長なにげにひでぇw
あともうすこしで次スレなのだが
ネタを投入しようにも今一微妙だ
>854はGJ。しかし妖なら神沢市内全員では。
>>856 神沢市民は人妖
妖なのは鴉か烏かすずくらいなもんだ
>>750 遅レスですまんが、大好き。テンポ良くて良いなー。
このノリのをまたキボリ。
保管サイトがなくなってる…
個人的にはありがたい。すきな作品があったから。
でも管理人さん大丈夫かな。
sir,
海兵隊で殺したり殺されたりする訓練をしております!!
sir!!
ってのはともかく、ご無沙汰してますが保管サイトの管理人です。
もうちょいで自由な時間もとれるようになるんで、サイトの更新も近いうちにできるように
なるかと思います。
まあ、暇ができたらボチボチ自分もSSでも書こうかねぇ。……その前に、エロゲー自体
ここんとこやってないけどさ(w
後、保管サイトの方は当然見てもらってナンボっすからばんばん誘導してやってください
ということで、本格復帰は近いうちに。今は血と鉄と硝煙の中で露助と殺したり殺されたり
してますんで
エロゲ作品別の「あやかしびと11」
>>288-289が元ネタ
ああ、嗚呼。もう嘆く事すら出来ない。もう涙も流れない。
代わりに出来たのは殺すことだ。代わりに流れたものは血だ。
ざぁざぁ、ざぁざぁ。
豪雨。降りしきる雨の中で、彼らは、彼女らは戦っていた。
ざぁざぁ、ざぁざぁ。
雨音を切り裂くように嗤い声が響く。男の笑い声。雨のせいで垂れてしまっているが、普段はつんつんとした髪型の男の、嗤い声。
彼の名は武部 涼一だった。そして如月 双七だった。今はただの妖。名もなきあやかしが笑っていた。
それに相対するは四人の男女だった。
一人は教師。眼鏡をかけたどこか人のよさそうな男だ。草臥れたスーツはところどころ切れており、身体は満身創痍に近い。
一人は師匠。隻眼で白髪の大男。わき腹を何かで抉られたのかどろどろと血を流している。傘を支えに、彼は立っている。
一人は老人。だが既にその身は戦える状態ではなく。血にまみれ雨にまみれ泥にまみれ、大地に臥している。
一人は恋人。かつて如月双七であったものを愛し、今も彼を愛し、それでも、それでも――決意した、女性。
その四人――正確には三人だが――を見据え、名もなき妖は疾った。その手に持つは螺旋双剣。狙うは、隻眼の男、九鬼 耀鋼。
「魔刃――」
「させんっ!」
凶刃が九鬼を穿つ寸前、まるで疾風の如くその真横に教師――加藤 虎太郎が現れ、人妖の能力にて鉄板すら貫く拳をまっすぐに振りぬいた。
軽く舌打ちしてそれを避ける妖。その動きは人にあらず。止まれる筈のない速度だったのだが、その足から奇怪に生える刀の刃が大地を抉り、止まった。
865 :
864:2005/07/31(日) 00:24:36 ID:PAbbpRWh
って新スレ立ってた。
そちらに最初から載せます
自「今日は僕たちが適当にしゃべっていいらしいよ」
ク「でも、なにしゃべっていいかわからないよ」
包「いいじゃないですか、私たちが喋れることなどそうないのですから。」
傘「それなら我は言いたいことがあるぞ」
包「なんですか?」
傘「うむ、我が主にだ。」
ク「ああ、あの怖い人ですか?」
傘「そうだ、我は常々考えておった。我はなんだ?」
自「なんだ?って、刺突武器じゃないんですか?」
ク「あとは耐火バリア?」
包「なんかいつも刺さりたそうにしてますよね?」
傘「我は傘だ!!なんだ揃いも揃って人(物)を危険物扱いしおってからに!」
自「といわれても、危険物ですよどう考えても。」
傘「それだ!何故危険物扱いされるのかというと」
包「使い手の問題ですね」
傘「だろう?我は傘らしく晴れの日の駅のホームでゴルフのスイング練習でもしてほしいのに」
ク「普通に雨の時にさされるんじゃダメなんですか?」
傘「濡れるのはイヤだな、錆びたら刺さり具合も悪くなるし」
全「やっぱり危険物ですよ。あなた。」
どこかの異次元での日常。おしまい。