吸血大殲29章「流血の驟雨」

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1ドラキュラ・ヴラド・ツェペシュ
このスレは、吸血鬼や狩人、あるいはそれに類する者が闘争を繰り広げる場である。
無論、闘争だけではなく、名無しの諸君の質問も随時受け付けておる。
気軽に質問をして欲しい。
なお、新規の参加者は下記の『吸血大殲闘争者への手引き』でルールに眼を通した上で、
テンプレを用いて自己紹介をせよ。
テンプレは>2を参照するがよい。
 
■『吸血大殲闘争者への手引き』
http://www.geocities.co.jp/Milkyway-Orion/4504/vampirkrieg.html
 
■専用JBBS(闘争の打ち合わせなどはこちら)←旧板
http://jbbs.shitaraba.com/game/163/vampirkrieg.html
 
■専用ふぁるがいあBBS(雑談・闘争の打ち合わせなどはこちら)←真板
http://fargaia.hokuto.ac/html/vampbattle/index2.html
 
以下は、関連リンクである。
 
■参加者データサイト『吸血大殲 Blood Lust』(左手作成・過去ログも全てこちらにあり)
http://members.tripod.co.jp/humituki5272/taisen/index.html
 
■『闘争記録保管所』(緑川淳司作成・各闘争ごとに整理された記録)
http://members.tripod.co.jp/tajuunin/taisen.html
 
■吸血大殲本家サイト
『From dusk till dawn』
http://www.uranus.dti.ne.jp/~beaker/
 
『戦場には熱い風が吹く』
http://ha7.seikyou.ne.jp/home/hagane/index.html
 
■前スレ
吸血大殲28章『仄き鮮血の舞踏』
http://cocoa.2ch.net/test/read.cgi/charaneta/1023292545
 
■太陽板の質問スレ
吸血大殲/陰 其の15 混沌屋敷『眩桃館』地下 〜大殲資料の間〜 
http://www.alfheim.jp/~narikiri/narikiri/test/read.cgi?bbs=TheSun&key=1021881487
 
■吸血大殲専用チャットルーム入り口
http://3nopage.com/~vamp/
 
■感想スレッド(闘争の感想などはここに)
真・吸血大殲感想スレッド
http://fargaia.hokuto.ac/html/test/read.cgi?bbs=vampbattle&key=1019409630

2以上、自作自演でした。:02/06/15 23:30
どりちん
出典 :
名前 :
年齢 :
性別 :
職業 :
趣味 :
恋人の有無 :
好きな異性のタイプ :
好きな食べ物 :
最近気になること :
一番苦手なもの :
得意な技 :
一番の決めゼリフ :
将来の夢 :
ここの住人として一言 :
ここの仲間たちに一言 :
ここの名無しに一言 :
4小此木烈人(M):02/06/15 23:45
アルカイザーVSアセルス 「追憶の果てに! 針の城・悲劇の決戦」
導入

近年、世間を騒がせている一つの事件があった。
「連続美女誘拐事件」である。
都市型リージョン「シュライク」で一人の美人保母が突如
その消息を絶ったのをきっかけに、
シンロウ、マンハッタン、クーロン、ドゥヴァン・・・
各リージョンで同様の事件が頻発したのだ。
マスコミはこの謎めいた事件をセンセーショナルに報道し、
各界の住民達を恐怖と混乱に陥れた。

事態を重く見たIRPO(Inter Region Patrol Organization)は、
早速事件の調査に乗り出したが、そもそものIRPOの人材不足に加え、
残されている情報が余りに少ない事で、捜査は難航していた。
マスコミや世間の無責任な噂では、この誘拐事件は犯罪組織「ブラッククロス」
と何らかの関連があるのでは、とされたが、IRPOはそれに関して
正式発表すら行おうとはしなかった。

そして、此処にもう一人、事件の調査に乗り出した者がいた。
小此木烈人。リージョンシップ「キグナス」所属、機関士見習い。
だがそれは彼のあくまで表の顔に過ぎない。
その正体は、彼の家族を崩壊させた、巨大犯罪組織「ブラッククロス」
と日夜人知れず闘い続ける、正義のヒーロー、「アルカイザー」である。

彼はその時、キグナスの乗務員としての仕事の傍ら、
この誘拐事件に関しての綿密な調査をしていた。
事件の起こった各リージョンで地道な情報収集を続け、
あるいはIRPO隊員であり、彼の知り合いである「クレイジー・ヒューズ」こと
ロスター隊員から秘密裏に情報を掠め取り。

全ての情報を総動員し、烈人は次第に核心へと近づいていった。
そして20件目の誘拐事件が起こった頃、
烈人は事件の背後に、とあるリージョンの存在を感知した。

「ファシナトゥール」。

代々を「妖魔」によって統治されてきたそのリージョンは、
他のリージョンやトリニティの関与を完全に拒み、
孤立した環境で動いている、奇異な場所であった。

此処まで調査した時点で烈人は、この事件がブラッククロス絡みの
ものではない事を薄々感づいていた。
だが彼の性格上、乗りかかった船は降りられない。
それにヒーローならば、この事件を放って置くわけにはいかない・・・。
という奇妙な使命感にも捕らわれ、彼は単身ファシナトゥールへと
乗り込む決意を固める。

その選択が、彼に巨大なる悲劇と懊悩をもたらす事になるとは、
夢にも思わずに・・・。
5小此木烈人(M):02/06/15 23:48
>4続き 
アルカイザーVSアセルス 「追憶の果てに! 針の城・悲劇の決戦」


そもそも殆ど他リージョンと交流をもたないファシナトゥールには、当然通常運行の
シップ便は出ていない。当のファシナトゥール自身が他リージョンからの入国を拒んでいるのだから、
当然と言えば当然の話だが。
その為、かの地へ行く為には、専門の運び屋を利用するより他に無かった。
数百クレジットを支払い、烈人は固有シップを持っている運び屋と話をつけ、
何とかそのシップへと潜り込む事に成功していた。

そして数時間後、彼はファシナトゥールの大地を踏みしめ、真っ先に感想を口に出した。
「いろんなリージョンを見てきたけど・・・こりゃまた、随分変わった形してるなぁ」

「根っこの町」と呼ばれる、町とは名ばかりの小さな集落、
そして、その眼前に聳える巨大な建造物・・・「針の塔」。
それが、このリージョンの全てであった。

シップの発着はこの「根っこの町」の地下から行っているのだが、
その場所は既に魔物の巣となっており、とても人の生活できる場所ではなかった。
つまりはこの微小な集落と、巨大な建造物が、人々の生活圏の全てであった。

「噂には聞いてたが・・・閉鎖的って言うか、なんつうか」
当然の如く、町の殆どの家の扉は、住民自らの手によって、
固く閉ざされている。幾ら自分が余所者だとは言え・・・、
噂以上の住民の反応に、烈人は困惑したように頬を指で掻いた。
これでは、この場所での情報収集は期待できそうに無い。

「しゃあない、後は、この城の主に直接問いただすとすっかな」
嫌が応にも目に留まる、巨大かつ荘厳な建築物を見上げ、彼は
ポツリと呟いた。

実は事前の調査で、「針の城」が誘拐事件に深く関与している事は、
ほぼ烈人の知る所となっていたのだ。ならば、協力する気の無い
町の住人を今更問いただす必要性もない。烈人はそう判断をつけると、
「針の城」へと続く階段をゆっくりと上り始めた。
6小此木烈人(M):02/06/15 23:57
>5続き 
アルカイザーVSアセルス 「追憶の果てに! 針の城・悲劇の決戦」


「こんちわー、小此木ですけどー! ・・・つっても開けてくれるわけないよなぁ」

「針の城」城門前。美しく咲き誇る薔薇をあつらえた、彼自身の背丈の
数倍以上ある巨大な柵を、首が痛くなるほどいっぱいに見上げ、
烈人は嘆息した。

このリージョンに来て、独り言が増えてるよな・・・
そんな事を一人思いながら、烈人はただぼんやりと、
巨大な門を見つめる。

その優美な佇まいとは相反して、門の内側からは形容のつけ難い、
異常な気が漂っている。烈人はその事を鋭敏な感覚で察知していた。

「ま、どのみちまともな城じゃねえのは確かみたいだしな」
どこか間の抜けた、軽い口調で烈人は呟き、静かに奇妙な構えを取る。

「今なら誰も見てねえし・・・手っ取り早く行くか!」
そして一声。

「変身!」
次の瞬間、烈人の全身を、眩い光が取り囲んだ。
全ての闇を払拭するかのようなその輝きは、
薄暗く陰気な「針の城」の一角を一瞬だけ照らし出す。

そして閃光が収まった時、そこには小此木烈人ではない、
一人の純然たる「ヒーロー」が立っていた。
真紅のスーツに身を包み、「悪」と呼ばれるべき全てを断罪する、
小柄な身体に強固な意志と信念を備えた、その姿は正に皇帝。
「アルカイザー」の降臨である。

「行くぜ、アル・ブラスタァァァァ!!」
アルカイザーの掛け声と共に、彼の両手に拳大の光球が出現する。

「せぇいっっ!!」
裂帛の気合と共に、光球が放たれた。
それは凄まじい勢いで加速し、的確に巨大な柵の格子を捕らえた。

爆発。

その小さな光の球弾に、どれほどの威力が込められていたのか。
巨大な柵は見る影も無く、無残に砕け散っていた。

「よっしゃあ! ドンドン行く・・・・・ぜ?」
勢い勇んで城門をくぐったアルカイザーが見た物は・・・
群れをなしてこちらを睨み据えている有象無象の魔物達であった。
魚人、獣、妖魔、魔鳥・・・ありとあらゆる種類の怪物が、
アルカイザーを直視している。
彼らにとって、アルカイザーの存在はこの「針の城」の侵入者であり、
かつ新たなる餌であるのだろう。殺意と飢えの感情が、
彼の身に注がれている。

「さすがに唯じゃあ通してくれそうもない・・・かな?」
呟いてアルカイザーは、腰に提げた愛用の光線剣、レイブレードの柄に
手をかけた。
7アルカイザー(M):02/06/15 23:59
>6続き 
アルカイザーVSアセルス 「追憶の果てに! 針の城・悲劇の決戦」

「針の城」下層部は、野放しとなった魔物達で溢れかえっていた。
前後左右から迫り来る敵を、アルカイザーは叩き斬り、
蹴り飛ばし、あるいは光弾で焼き尽くした。

「くそっ、キリがねえ!」

倒しても、倒しても、魔物は勢い込んでアルカイザーを攻め立てる。

「ええい、雑魚にかまってられるかよ!!」
レイブレードを闇雲に振り回しながら、アルカイザーは魔物の群れの中を
突っ切っていく。

途中、休める部屋を見つけては束の間の休息を取り、襲い来る怪物を退けながら、
アルカイザーは「針の城」を上へ上へと登って行った。

そして、ようやく彼は、この城の「王の間」と思われる場所まで、
辿り付いたのだった。
階段を上りきったその場所に立って彼は一言、呟いた。

「うわっ、趣味悪い」

それは、一言で言い表わすならば巨大な「薔薇」だった。
いや、正確には薔薇の形に誂えられた石なのだが。
およそ玉座と思われるような椅子は存在しない。
城の主は、この場所に「立つ」事で、その威厳を示したのだろうか。

「それは、ともかく、誰もいないよな、こりゃ・・・」

周囲を軽く見渡すが、誰かがいる様子は皆無だ。

「もう高飛びしちまった後とか、な。笑えないぜ」

一人ぶつぶつと呟きながら、巨大な薔薇の上を右往左往するアルカイザー。
だがふと、その足が止まった。

「! 誰か・・・いる」

意識を周囲に集中させると、どこからかか細く話し声が聞こえた。
その音からして、声の主は恐らく女性。
それも、複数・・・。

この「王の間」には二つの階段が取り付けられていた。
その一方はアルカイザーがこの部屋に入ってきたときのもの、
そしてもう一方は・・・

「どうやら、外に通じてるらしいな」
意識的に小声で呟いて、アルカイザーは慎重にその階段を降り始めた。
8アルカイザー(M):02/06/16 00:08
>7続き 
アルカイザーVSアセルス 「追憶の果てに! 針の城・悲劇の決戦」


階段を下りた先は、確かに屋外に通じていた。
ファシナトゥール全体を覆う生暖かい風が、アルカイザーの着用している
マントをゆったりとはためかせる。

猫の額の如く狭いファシナトゥールという世界・・・その全てを一望できる、
「針の城」最上階テラス。此処はそういう場所らしかった。
そして空中と城とを隔てる手すりの際に・・・二つの人影があった。
双方共に「城」の外側を向いていて、後姿しかアルカイザーには見えない。
一つは小柄だが、身に纏った美しい衣装と透き通った蒼い髪、
そして全身から溢れる気品が、それを見るものを何処か別の世界に
連れて行くような魅力があった。後姿だけでもこれだ、
真正面からその姿を見たとしたなら、果たしてどれだけの人間が
正気を保っていられるだろうか。
小柄で華奢な身体つきは女性を連想させるが、凛とした姿勢と佇まいは、
そのイメージを真っ向から否定している。
そう言う意味で、性別が全く判別できない姿だった。

もう一人は、明らかに女性だった。その立ち姿から、容易に想像できる。
こちらも綺麗な衣装を身に纏ってはいるものの、それが何処か
完全にフィットしていない印象を受けた。
だが弱々しくも可憐なその姿は、どこか見る者の本能的な部分を
くすぐる所があった。
彼女は、もう一つの小柄な人影に、しなだれかかるようにして
共に薄暗い空を見据えているらしい。
9アルカイザー(M):02/06/16 00:10
>8続き 
アルカイザーVSアセルス 「追憶の果てに! 針の城・悲劇の決戦」


「どうしたんだい? こんな所に迷い込んで」
突如、小柄な方の影が大きく声を発した。
その声も微妙なメゾソプラノで、声の主が少年であるのか少女であるのか
判別がつけ難い。
その声に驚いたのか、隣の女性らしき人影が、ひっと短い悲鳴を上げて、
アルカイザーの方へと向き直った。
その顔も後姿と同じく、とても可憐で、触ると容易に壊れてしまいそうな
美しさを備えていた。ただし、今は突然の侵入者に対する警戒と不安の表情に
彩られてはいるが。

「此処は君みたいな人間が来る所じゃないよ。さあ、早くお帰り――――」
言いながら、人影がゆっくりと振り返る。


瞬間、アルカイザー・・・いや、小此木烈人の時間が停止した。

そして、彼の記憶が急激に過去へと遡り始める。
かつて、故郷であるシュライクで。
彼と彼の家族が、何の不自由もなく、平和に日々を過ごしていた頃。

「彼女」は彼の側にいた。

(全く、ホントに甘えん坊なんだから、烈人くんは)

彼の頭をくしゃくしゃに撫でながら、優しく微笑む。

(そんなんじゃ、藍子ちゃんやお母さんを守れないぞ? キミは男の子なんだからね)

そう言って、彼女はいつも、彼の、烈人の手を強く握り締めた。


忘れようとしても忘れられない。平和だった日々の記憶。
目の色も、髪の色も、現在その人影から受ける印象も、
全てがあの頃とは違う。
だが、見紛う筈もない。彼女の事を、忘れた事はない。
現れたその顔は、紛れもなく―――

「アセルス・・・姉・・・ちゃん?」
完全に茫然自失の声色で。アルカイザー、いや、小此木烈人は
辛うじて言葉を紡いだ。
>4>5>6>7>8>9 アセルスVSアルカイザー
 
その、少し前。
 
「―――侵入者、か」
 
城の門が破壊された音を聞き、私はそう一人ごちた。
傍らに寄り添うジーナが不安げな表情を浮かべる。
 
「ふふ・・・大丈夫だよジーナ。君は何も怯えなくていい」
 
彼女の美しい髪を撫でながら、なだめるように彼女を見つめそう言ってやる。
 
あの戦いで、私はあの人―――オルロワージュを倒し、その力を奪って
私は完全な妖魔に・・・“妖魔の君”になった。
そしてその力を使って何人もの少女、美女を虜にしてきた。
・・・私の体に流れる血の求めるままに。
 
おそらく、階下で騒いでるのは『行方不明』となった彼女たちを探しにきた人間だろう。
少々無粋なやり方だが・・・まあいい。後で丁重にお帰りいただこう。
 
そんなふうに考えながら、私はその人間がやってくるのを待った。
そして・・・程なくしてやってきた足音の主に声をかける。
 
「どうしたんだい? こんな所に迷い込んで。
 此処は君みたいな人間が来る所じゃないよ。さあ、早くお帰り――――」
 
言いながらその人間のほうを振り返ったそのとき・・・その声は、聞こえた。
 
 
『アセルス・・・姉・・・ちゃん?』
「―――え?」
 
その声の主は、奇妙な赤いスーツを身に纏った青年。
だが・・・私は、「彼」のその声を知っていた。
いや、声だけじゃない。
私を“アセルス姉ちゃん”と呼ぶ者は、ただ一人しか、いない―――
 
「―――烈人くん? 君、烈人くんなの・・・?」 
11アルカイザー(M):02/06/16 01:07
馬鹿な。 そんな、馬鹿な。
何故、どうして、アセルス姉ちゃんがこんな所に―――?
頭の仲で次々と疑問が湧き出ては、言葉にならないまま
泡のごとく弾けては消えていく。
とにかく、何かを問わなければならない。
焦燥だけが募り、口は動かない。
何とか自らを落ち着かせようとしながら、烈人は頭の片隅で、
再び追憶に身を投じていた。


一ヶ月ほど前、アルカイザーこと小此木烈人は、キグナスで起こった
海賊襲撃事件の際に、偶然乗り合わせていた、彼女、
アセルスと再会を果たしていたのだった。

その際は状況が状況であったため、感動の再会、などしている暇もなかったが・・・。
あの時の彼女と、今目の前で驚愕の表情を浮かべている少女とは、
明らかに印象が違っていた。

先ず、あの時とは髪の色が全く違う。あの時の彼女は、かつて烈人と
いた時と全く同じ、鮮やかな緑色だった。

だが目の前の彼女の髪は、薄い蒼色をしている。
そしてその色と同様、彼女の全身から溢れ出る気品も、
どこか冷たい、突き放すような印象を彼に与えていた。
今まで出会ったどの彼女とも違う、凍りつくようなイメージ。
それに違和感を感じながら、烈人はゆっくりと意識を
引き戻す。

「あ・・・」
ゆっくりと、声を出してみる。・・・ようやく唇が開いてくれた。
続いて、問い掛ける。

「アセルス姉ちゃん・・・どうなっているんだ? 何で、何で姉ちゃんが、こんなところにいるんだよ!?
それに、その格好、その髪の色は・・・?」

一挙に疑問が口をついで溢れ出た。だがそれを自制する事はできなかった。
結局はまだ整理がついていない・・・心のどこかで、それを嘲笑っている自分がいる。
だが、一旦戒めを解かれた彼の口は、止まる事を知らない。

「何がどうなってるんだ? おれにはさっぱりわからねえよ!!」
その声は、最早問いかけではなく、叫びに変じていた。
12アルカイザー(M):02/06/16 01:17
悪い、>11はなし。

>10
アルカイザーVSアセルス 「追憶の果てに! 針の城・悲劇の決戦」


馬鹿な。 そんな、馬鹿な。
何故、どうして、アセルス姉ちゃんがこんな所に―――?
頭の仲で次々と疑問が湧き出ては、言葉にならないまま
泡のごとく弾けては消えていく。
とにかく、何かを問わなければならない。
焦燥だけが募り、口は動かない。
何とか自らを落ち着かせようとしながら、烈人は頭の片隅で、
再び追憶に身を投じていた。


一ヶ月ほど前、アルカイザーこと小此木烈人は、キグナスで起こった
海賊襲撃事件の際に、偶然乗り合わせていた、彼女、
アセルスと再会を果たしていたのだった。

その際は状況が状況であったため、感動の再会、などしている暇もなかったが・・・。
あの時の彼女と、今目の前で驚愕の表情を浮かべている少女とは、
明らかに印象が違っていた。

先ず、あの時とは髪の色が全く違う。あの時の彼女の髪は、
鮮やかな緑色をしていた。
だが目の前の彼女の髪は、薄い蒼色をしている。
そしてその色と同様、彼女の全身から溢れ出る気品も、
どこか冷たい、突き放すような印象を彼に与えていた。
今まで出会ったどの彼女とも違う、凍りつくようなイメージ。
それに違和感を感じながら、烈人はゆっくりと意識を
引き戻す。

「あ・・・」
ゆっくりと、声を出してみる。・・・ようやく唇が開いてくれた。
続いて、問い掛ける。

「アセルス姉ちゃん・・・どうなっているんだ? 何で、何で姉ちゃんが、こんなところにいるんだよ!?
それに、その格好、その髪の色は・・・?」

一挙に疑問が口をついで溢れ出た。だがそれを自制する事はできなかった。
結局はまだ整理がついていない・・・心のどこかで、それを嘲笑っている自分がいる。
だが、一旦戒めを解かれた彼の口は、止まる事を知らない。

「何がどうなってるんだ? おれにはさっぱりわからねえよ!!」
その声は、最早問いかけではなく、叫びに変じていた。
>12 VS近所に住んでた烈人くん
 
「そっか・・・やっぱり、烈人くんなんだ・・・」
 
よほど混乱してるのだろう、目の前の青年・・・小此木烈人くんは
次々と私に疑問を投げかけた。
 
「何がどうなってるか、って? うん、実はね・・・
 私、妖魔になったんだ」
 
一拍おいてから、言葉を続ける。
ゆっくりと、噛み締めるように。
 
「あの時は詳しく話さなかったけど・・・私ね、12年前のあの時に半人半妖の存在になっちゃったんだ。
 髪の色が変わってたり、歳を取ってなかったのはそのせい」
『半妖・・・!?』
「そう。私はもう人間じゃなかったんだよ。もう戻れなかったんだ。
 だから・・・私、妖魔となって生きることにしたんだ」
 
言いながら、ふっと笑みを浮かべる。
彼がどんな気持ちで私を見ているか考えながら。
 
「・・・ところで烈人くんこそ、どうしてそんな格好を?」
>133
 
 できるだけ余裕の表情を取り繕って、あたしは振り返る。
 内心、かなりドキリとしたが、どうやらこいつは存外に芝居がかかった行いが好きらしい。
 確かにかなりクールな演出だ。今度、あたしもやってみよう。
 
 そんなどうしようも無いことが考えている間にも、吸血鬼の口は流暢に動く。
 お喋りな奴だ。ヤジの一つでも飛ばしてやろう。
 そう思い口を開きかけた直後、
 
                    轟音
 
 吸血鬼が床を貫くかのような踏み込みと同時に、銃弾の如く迫り来る。
 
 「――――ッ!?」
 
 かなりの距離が空いていたはずなのに、その距離を一瞬で半分も詰めやがった。
 こいつにとってのこの距離は、一呼吸であたしの懐に潜り込める距離なんだ。
 
 寒気を憶えるよりも速く右腕が跳ね上がると、そのまま戦慄する己の感情をうち消すかのように発砲。
 放たれた銃弾は計4発。 全弾命中する軌道だ。
 無論、吸血鬼が避けようとしなければ、の話だが――――
 
 なら、避けたらどうするか。避けたところにも銃弾を置けば良い。
 吸血鬼はこの4発の銃弾をどう捌き、どう避けるか……。
 高速の計算処理が、あたしの脳内で行われる。
 吸血鬼が歩む軌跡、未来視とも言えるその線が、あたしの頭の中で無限に広がっていく。
 次瞬、
                               ――――見えた!
 
 無限の広がりが広がりきるまえに……再度、二回引き金が絞られる。
 実質、6連射と言える射撃が、必殺の思いを胸に秘めて吸血鬼を襲う。
 あたしは、少しだけ……ほんの少しだけ、勝利の予感を感じた。
15アルカイザー(M):02/06/16 02:28
>13
アルカイザーVSアセルス 「追憶の果てに! 針の城・悲劇の決戦」

妖魔? アセルス姉ちゃんが、妖魔だって?
そんなコトが・・・。

言葉では理解できる。更にそれならば、キグナス襲撃事件の際に、
彼女が12年前と全く変わらぬままの姿で、烈人の前に姿を現した事も
辻褄が合う。妖魔は人間種族よりも、ずっと長命であるからだ。

だが、烈人は心のどこかで、アセルスの言を受け入れられずにいる。

そんな筈はない。アセルス姉ちゃんが・・・もう、人間じゃないなんて。

脳内で整理をつけられないまま、アセルスから問いが返ってきた。
「・・・ところで烈人くんこそ、どうしてそんな格好を?」

言われて、はたと気付く。
そうだ・・・今の俺は、「アルカイザー」。
正義を護り、打倒ブラッククロスを誓うヒーロー・・・。

「あ・・・そ、そうだったな・・・」
しどろもどろになりながらも、やっとの事で返事をする。

「そう・・・今のおれは、小此木烈人であって小此木烈人じゃない。
ヒーロー、アルカイザーだ」

そう、12年の月日は彼の姉を妖魔に変えただけではない。
彼自身の周囲をも、劇的に変化させていたのだ。
ブラッククロスの襲撃により、奪われた平和な暮らし。
そして得た、この強大な力・・・。

「詳しい事は言えないけど、今おれは、この格好で、正義の為に戦っている」

ここに来た本来の目的を、アルカイザーは完全に思い出した。
だがそれを彼女に告げる事は・・・彼に多大な躊躇いをもたらした。
開けてはいけない禁断の扉を開けるような、そんな感覚が彼の脳裏に
イメージとして張り付く。

言うな・・・そのまま、帰るんだ。

響く声。

今すぐここから立ち去れ・・・そうすれば、楽になれる。

彼の中の「弱者」が、甘い誘惑を囁きかける。

だが彼は・・・アルカイザーは、止まる訳には行かなかった。
彼の中のヒーローとしての熱き心が、誘惑を跳ね除ける。
そして、アルカイザーは遂に「それ」を口にした。

「今、全リージョンで起こっている誘拐事件・・・知ってるだろ?
おれは、その調査のためにここに来た」
一旦言葉を切り、・・・僅かに躊躇いがちに、続けた。

「アセルス姉ちゃんは・・・何の関係もない、そうだよな?」
>15 VS弟のようだった烈人くん
 
ヒーロー・・・
確かにそれなら、彼の格好にも辻褄は合う。
・・・まるで、彼の幼き日の再現みたいだけど。
 
「そう・・・だから君は、ここに来たってわけだったんだ。
 正義のヒーローとして、誘拐事件の調査に」
 
一瞬、ほんの一瞬目を伏せてから、私は彼の問いに答える事にした。
 
「―――私だよ。彼女たちを連れ去ったのは。
 なぜなら私は・・・」
 
きっぱりと、私は言い放った。
 
「このファシナトゥールの支配者、妖魔の君だから」
 
三度、彼が驚愕の表情を浮かべる。
その顔を眺めながら・・・私は傍らのジーナを抱き寄せた。
 
「彼女たちが欲しかったんだ・・・この体に流れる妖魔の君の血が欲しがるんだよ。
 彼女たちの体を、声を、眼差しを・・・そして、血を」
 
言って私は、牙を見せて微笑み・・・ジーナの首筋に、その牙を突きたてた。
17アルカイザー(M):02/06/16 03:36
>16
アルカイザーVSアセルス 「追憶の果てに! 針の城・悲劇の決戦」

一瞬目を伏せた後、彼女は―――アセルスは、よく通る声で、
その残酷な言葉を口にした。

「―――私だよ。彼女たちを連れ去ったのは。
 なぜなら私は・・・」

「このファシナトゥールの支配者、妖魔の君だから」


頭の中が真っ白に塗り潰された。
アルカイザー、いや、烈人の思考がその瞬間完全に途切れる。

だがそれも刹那の事。時は残酷にも、彼の思考を再び明確に引き戻す。
そのまま何も考えずにいれたほうが、どれだけ彼にとっては幸福であったろう。

そして彼の瞳は、そのまま彼にとっての最悪の現実を映し出した。


アセルスが傍らにいた女性を優しく抱き寄せ、その首筋に齧り付く。

彼女が女性の血をゆっくりと嚥下するごくっ、ごくっという生々しい音も、
周囲に漂い始める、薔薇の香りに混じった鉄分臭も、
艶かしく上下する彼女の喉も、痛がるどころか恍惚の表情さえ浮かべている
女性の表情も。
その全てを、鋭敏になりすぎた五感は無常に脳へと伝えてくる。

目まぐるしく動く彼の思考、そして記憶。


(強くなって、烈人くん)

泣きべそをかく幼い彼の顔を、透き通った瞳で覗き込む彼女。

(今よりも、ずっと、ずっと。そしたら、今度はキミがわたしを守ってよね)


記憶の中の、晴れやかな微笑み。
その顔に、今、無数の亀裂が入っていく。
そして、崩壊―――――

「う、うわああああああああああああーーーーーーーーっ!!!」

絶叫。

「もう、もう、止めてくれ! これ以上―――おれに何も見せないでくれ!!」

恥も外聞もなく。まるで子供に戻ったかのように。
烈人は全身を震わせ、彼女に、アセルスに訴えかけた。
オーフェンvsレイオット
前スレ>465

 男の――魔術士の体勢が崩れゆくその瞬間。
 全力で駆動する筋肉は、刹那だけレイオットを風へと変える。

 ……実際には、そこまでの速度ではなかったのだろう。
 だが、明らかに戦闘訓練を受けていると思しきその魔術士に生まれた、
 このわずかな空隙に飛び込むには――それだけで事足りた。

 視線が。
 呼吸が。
 お互いの呼吸までもが重なり、一秒にも満たない一瞬が停滞する。
 
 復活した聴覚に届いたのは、重く、沈み込むような音。
 金属の鋳型に包まれた自らの脚が、大地に鋭く突き刺さる音。
 全身の力を爆発させるような踏み込みが、戦場となった空間に寒々しく木霊する。

 腹から吐き出されるのは、ふ、という音を伴う呼気。
 同時に繰り出された右腕は、半ば吸い込まれるように。
 男の腹部へと打ち込まれていく――
19オーフェン:02/06/16 14:33
>18
オーフェンvsレイオット

戦術魔術士―――鎧が勢いを上乗せして右腕を突き出す。
突き出された右腕は、とっさの判断で身をよじりかわそうとした、俺の腹を抉るように掠り。
後ろへと流れていく。

焼けるような激痛が掠った部分から流れだす。

歯を食いしばり、その痛みを耐える。
瞬間―――攻撃をギリギリでかわされた鎧は無防備となった。

頭で理解するよりも早く体が動いた。

鎧の膝―――性格には膝の近くの革で作られた部分―――に向けて全力で足を踏み下ろす。

――――ギシ

骨がきしむ嫌な音が踏み下ろした靴を通して伝わってくる。

戦術魔術士の表情はその鎧―――モールドに隠され見えないが、かすかにうめくような声が聞こえる。

俺はその部分を支点に跳び、鎧の後ろに回り込み。
そして、瞬時に鎧に向かい振り返る。
前スレ>456
吸血姫美夕vs仮面ライダーゾルダ

「ぐわぁ!」
2人のコンビネーションに対処しきれず、ゾルダは男の爪をまともに受けてしまう
慌てて、マグナバイザーを乱射するが男の動きは美夕よりも速い
何とか距離をあけ、体勢を整えたいのだがなかなか許してくれない。

銃弾では止められないと判断したのか、ゾルダはまた新たな武器を召喚する
『ストライクベント』
ゾルダの右腕に猛牛の角状の武器ギガホーンが装着される

「パワーなら俺の方が上だ!」
ゾルダは男の爪を受けとめると、そのまま弾き返しさらに一撃を与えようとするが
スピードは相手が上のため、決定的なダメージは与えられない。

(このままでは・・・埒があかないな)

ふらつく足取りでゾルダは考える。
もはや打つ手はアレしかない・・・しかしこの状態では使えない
アレは文字通り最後の切り札だからだ。 

(せめて、わずかでもこいつらの注意がそれてくれれば・・・)
 
ゾルダが祈るような心境になったそのとき
不気味な咆哮と共にもう一匹のモンスターが出現するのが彼の視界に入った
そいつは手にした槍を振りかざすとまっすぐに美夕の方へと突進していこうとしている。 
  
(俺は余程ツイているらしいな・・・・)
21死神(M):02/06/16 16:17
死神vsぺトルーシュカ
〜導入〜
 
雨が降る。
黒く、分厚い雲から降り注ぐ雨が。
ここ上海の雨は有害物質をたっぷり含んだ死の雨だ。
わざわざ毒を浴びに外を出歩くような馬鹿は居ない。
 
だが、一つの人影が雨の中を歩いていた。
人影は、雨を意に介さず、ゆっくりとした足取りで進む。
闇から滲み出したような漆黒の外套と甲冑。
さらには髑髏の如き仮面を被り、大鎌を携えている。
その姿は正しく、『死神』と言うに相応しい。
 
サイバネティクス部品メーカー、『上海義肢公司』。
その門前で死神は立ち止まった。
そして睨み付けるようにビルを見上げ――――視線をガラス張りの扉へと移す。
 
水滴を滴らせながら死神はその大鎌を振るった。
轟音と共に、ガラスの扉が破片を撒き散らしながら砕け散る。
突然の出来事に驚いた無数の目線が死神へと注がれる。
 
鳴り響く警報。
雲霞のように集まってくる軽機関銃を構えた警備員。
そして、勿体ぶった様子で奥から現れる人間とは少し違ったシルエット。
 
奴等は、あるべき命の形を捨て、歪んだ生命の力を掴んだ者。
『武』の研鑽を放棄した武人……サイボーグ武芸者。
 
サイボーグとなった時点で、既に奴等は人間として生きることを放棄している。
だからこそ、死神は此処へ来た。
奴等に命の終わりを告げるため、死神は黒い疾風となって室内を駆ける。
銃弾より疾く、サイボーグの反応速度をも超えた速度で。
 
次瞬――――警備員もサイボーグ武芸者も区別無く、全ての人間が両断された。
その場に居た誰もが、避ける事も、防御する事すら出来ず死神の大鎌に斬られたのだ。
思い出したように噴き上がった赤黒い液体が室内を赤く染めていく。
その真っ只中に立つ死神は紅く濡れた鎌を掲げ、最上階に向かって歩き始めた。
 
愚かな命を、全て刈り取る為に。
22呉榮成(M):02/06/16 16:22
>21 ペトルーシュカVS死神 導入
 
「侵入者だぁ!? 何とかくい止めろ!」
『無理です! ば、ばばばばけケケ化物ォ! ギィヤアァァァァッ!』
「化物? 一体何言って……おい!」
 
 上海義肢公司社長、呉榮成は電話の向こう側にそう怒鳴った。
 だが、それに対する返事はなく、今は向こう側が騒然となっている様しか聞こえてこない。
 状況を掴もうにも、多くの者が恐慌を来しており、情報伝達がまともに機能していない。
 今の状況を、呉は掴みかねていた。
 
「くそっ、何だってんだ一体」
 
 毒づきながら、うろうろと社長室を歩き回る。
 もちろん、お気に入りのガイノイドであるペトルーシュカもそこにいる。
 人形――ガイノイドである彼女は苛立つ主を見て、どうすればいいのか迷っている。
 その様は、普通のガイノイドしか知らない者から見れば奇異に映っただろう。
 プログラムされた感情にはあり得ない挙措、それは魂魄注入されているからこそ。
 いわば倫理を冒涜し尽くした極みにこのガイノイド――ペトルーシュカはいた。
 
 監視システムを動員して社内をくまなく探査した呉が見たモノは……屍累々たる惨状。
 一体、何が起こればこれほどの惨劇がと思わせるほどの地獄。
 生者などいはしない、ただ死者だけがそこにあった。
 
「何だ、何だってんだこれ、は……!?」
 
 ゴクリと、唾を飲む音がした。
 叫びと共に振り向いた呉が見たモノは、部屋の隅で静謐にわだかまる影。
 いつの間に、いつからそこにいたのかを全く伺わせない。
 ただ自然に、当たり前にそこにいるかのよう。
 それを何と形容するかと言われれば、答えは一つしかなかった。
 
 ――つまり、死神と。
 
 自らの業の深さは理解しているつもりだが、まだお迎えを受け入れるつもりはない。
 懐から銃を抜いて死神に向け、ペトルーシュカを自分の方へと招き寄せた。
 『死神』を睨み付ながら問い掛ける。
 
「コレは、全てテメェの仕業か?」
 
 返事は聞くまでもない、期待したワケでもない。
 問いの答えは自明だったから。
 じっと、『死神』の動きを待つ。
 何かおかしなことをした時には――!
23死神(M):02/06/16 16:57
>22
死神vsぺトルーシュカ
 
ごく当然のように、闇と同化していたかのように佇む影がそこに『居た』。
何時からそこに居たのか。
答えはあるはずがない。
彼は、死神。『死』そのものなのだから。
 
呉の絶叫と共に、影が揺らいだ。
死すべき者に、死すべき時に死を。
ただそれのみを宣告する存在が動く。
 
狼狽する呉の問いも、突きつけられた銃口も無視して死神は歩み寄る。
 
この男は、命を弄んだ者。
 
怒りを抑え、死神は強く鎌の柄を握りしめる。 
 
『生』の意味を失わせた者。
 
空ろな闇だけが在る死神の仮面。
その眼窩に光が宿る。
暗く、熱い憎悪の炎が。
 
大鎌が空気を裂く轟音とともに振り下ろされる。
許されざる大罪を犯した者に、罰を与えるために。
オーフェンvsレイオット
>19

「――――!」

 声なき呻きが、仮面の内側から零れ出る。
 繰り出した拳は、相手の身体を掠め――その引き替えとして停滞したこちらの動きは、
 レイオットに更なる対価を要求する。
 ほんの刹那の間に、膝へと突き立てられる一撃。
 肉体を介し、軋むような砕けるような――そんな不快な音が脳へと伝達される。
 それに僅かに遅れて、全身を支配する激痛。完全にバランスを崩し、重い音を立てて、
 黒いモールドが地面へと倒れ込む。

 仰向けになった視界に映るのは、空と。周囲を埋めつくしている木々と。そして――
 こちらを見下ろすようにしている、黒ずくめの魔術士の姿。

(これは――拙いっ!)

 肘を地面に叩き付け、その反動で一回転。
 同時に、腰のホルスタから拳銃――<ハード・フレア>カスタムを引き抜いていた。
 更に回転。再び仰向けになったところでレイオットは銃を構える。
 
 黒々と穿たれた銃口は、真っ直ぐに魔術士へと向けられ。
 引き金と連動した撃鉄が二回、装填された銃弾へと振り下ろされた。
 
25ホル・ホース(M):02/06/16 17:41
ホル・ホースvsアルカード 導入
 
コインが1つ、宙を舞った。
くるりと回転しつつ、地面に吸い込まれて行く。
そこに、銃声が響いた。
 
コインは空の星屑のように砕け散り、夜風に流れた。
粉と化したコインの後ろに、1人の男が立っていた。
西部劇のガンマンのような姿をした、銜え煙草の男だった。
 
「弾丸は杭より強し。ンッン〜名言だなこれは」
 
ガンマンの前には、赤いコートの男がいた。
男は、ガンマンの口上を皮肉げな表情で聞いていた。
 
「俺の名はホル・ホース。あんたを始末してこいって金で雇われたってわけさあ」
 
ホル・ホースは名乗りとともに、手で銃を持つような形を作り、赤コートの男に向けた。
そして、そのホル・ホースの手には生じたのは……「銃」だった。
ホル・ホースの精神力の具現、『スタンド』だ。
 
「じゃあな、吸血鬼アルカードさんよ」
 
言うと、ホル・ホースは口の煙草を吹き落とした。
刹那、ホル・ホースのスタンド『エンペラー』から、弾丸が撃ち出された。
銃声が、夜に戦いの始まりを告げた。
26アルカード(M):02/06/16 17:41
ホル・ホース(M) vs アルカード(M)   
>25 
 
 鉛弾が頭をぶち抜いて、血と脳漿を散らしめた。 
 眼球が零れ落ち、白く濁った表面に硝煙と男の姿が映る。 
 
 その眼差しが、時代錯誤のガンマンを射抜いた。 
 
 半分に欠けた口が歪む。 
 笑い、怒り、喜び。 
 相反するはずの感情が混じり、吸血鬼の砕けた顔を染め上げた。 
 
「知ってるか、小僧」 
 
 ゆっくり、ゆっくりと白木のクイを撃ち出すライフルを赤い袖が掲げた。 
 
「吸血鬼を殺したければ、ここだ。ここを潰しな」 
 
 左手で軽く心臓を指さしてから・・・赤い吸血鬼、アルカードは狙う。 
 黒い鋼の顎を開き、死を求める長物で。吐き出す無骨なカシのクイで。 
 
「さて、ルールは示したよ。あとはせいぜい上手く足掻きな」 
 
 撃爪を引く。 
 薬筴が落ちる。 
 銃弾が飛ぶ。 
 
 暗い空に響く銃声は、図らずも返答のように折り重なって響き渡った。
27高原万葉 ◆MAYOUdAo :02/06/16 17:49
<遠野秋葉vs高原万葉>『矛盾輪廻』
 
「『神剣の御使い』ですか?」
 
やれやれ、まったくこの娘は…。
話す気など無かったのに、何故このような話しの流れになったのか?
…わしも気づかぬ内に飼われる側であったのか、まあ問題などあるまい。
この琥珀と言う名の少女が『退魔』と係わる事などありえる事ではないのだから…
 
「まあ神話伝説の類じゃな、魔を退け人を導く神剣を選ばれた者に与える天の使い…」
 
「それが、その方なんですか?」
 
尾ひれの付いた伝説の類じゃな、かつて混乱を極めた人の世を救う為、天より使わされた一人の天女、
しかし天に背き、然るべき相手にその神剣を与えず、自らの恋した一人の男にその神剣を与えたと言う。
その罪により永遠の転生を繰り返し…その罪を償うまで生まれ死に続ける罪人の伝説…
 
「退魔組織の馬鹿どもが、そう思いこんでいるだけじゃ」
 
「はあ、そうなんですか…」
 
人が抗う術がない純粋なる『魔』に付け狙われ、子供の頃に家族を全て全て殺されながら
唯一人生き延び、現在も『魔』を退け続けている。
それがどれ程非常識な事なのかは、かつて退魔組織から身を引いた老いぼれにも解る。
…が、神剣『天叢雲剣』が本当に存在するなど夢物語だとしか思えぬ。
 
「ふむ、まあ縁が在ってな、浅上の学園を紹介したのじゃよ」
 
「秋葉さまと同じ学校ですか、…相性が悪そうですねー」 
 
まあ、構わぬだろう浅上女学園はもともと退魔四家の『浅神』の創設した学院だ。
その目的が失われて久しいが、あそこが『魔』に対する隠れ蓑になるのは間違い無いしの。
あの娘も一時の平安を得られる筈だ。
 
「さあ、持っていけ、奴の薬が出来たぞ」
 
「ありがとうございます、これで暫くは志貴さんのお体も安定しますね」
 
「で、未だに秋葉の嬢ちゃんは帰ってこないのか?」
 
「はい、そうなんですよー。アレは意地を張っちゃって、志貴さんが戻られるまで帰ってこないおつもりですね、
いじらしいじゃないですか。くすくす…」
 
暇潰しに使ったこの話題がこれからどのような悲劇を生むのか…天ならぬ身に解る筈も無かった。
わしは所詮、時南宗玄は闇医者にすぎん未来など知る術もないのだから。

 
28オーフェン:02/06/16 17:49
>24
オーフェンvsレイオット

銃口が向けられる。
引き金を引くだけで簡単に命を奪える道具が自分に向けられている。

―――反応できない。

銃弾を受けた時のために治療のための魔術の構成を編む。
だが、とっさにできたのはそれだけだった。

そして、引き金が引かれる。

二度、銃声が響く。

その瞬間、体がばらばらになるかのような衝撃が全身を襲った。

治療のための魔術の構成が霧散する。

そして、気がつけば地面に倒れていた。

反射的に立ち上がり、怪我の具合を確かめる。

奇跡的に銃弾は、体を掠っただけで直撃はしなかったらしく。
掠ったと思われる部分からの鈍痛以外に異常は見受けられなかった。

そして、相手に視線を移す。

すでに鎧は立ち上がり体勢を整えていた。

俺も構えをとり、魔術の構成を編み、相手と相対する。

(まずは、あの銃を何とかしねえとな)
29高原万葉 ◆MAYOUdAo :02/06/16 17:52
>27
 
―― 浅上女学院 ――
 
冬の大気は澄みわたり、空は抜ける様に高い。
浅上女学園、雑木林に囲まれたその場所は何処か懐かしく美しい所だと思う、
けど、今の私にはそれを楽しむ余裕は無いのだろう。
 
「鷹久…、貴方はきっと私が……」
 
隣県で起こった、犯人のしれない連続殺人事件そこに鷹久の影を求め流れてきた…
それが無駄に終ったのは、喜ぶべきか…、悲しむべき事なのか…
 
どちらせよ、今は落ちついて情報を集め無ければ動きようが無いだから…
両親の古い知り合いだという時南のおじさまの口利きで、このような中途半端な時期に
編入がなったのは感謝すべきだろう。
30遠野秋葉 ◆La2AKIHA :02/06/16 17:55
<遠野秋葉vs高原万葉 矛盾輪廻>
>29
 
「転校生……?」
 
 冬休みの気だるい午後、蒼香たちの会話で唐突に出た話題がそれだった。
 
『ああ、遠野、お前さんは知らなかったのかい? まあ、昨日、いきなり来た話だから、無理も無いか」
 
『秋葉ちゃんに似た物凄く綺麗な人だよ。確か、名前は……』
 
『高原万葉だったかい?』
 
『そうそう、そんな名前〜! 蒼香ちゃん、凄い。よく、覚えているね〜!』
 
『というかだな、今、あたしたちの部屋の前にいる彼女がその本人なんだけどさ……』
 
 蒼香に言われて、はたと気づく。
 長い黒髪の私に似た(スタイルはどう見ても、私より全然良さそうだけど)女性―高原さんが、
 私達の部屋を開けっ放しのドアから私達を見ていた。
31『泡沫の宴』:02/06/16 17:58
>30
秋葉「あら、はじめまして、高原万葉さんですわよね? 遠野秋葉と言います。宜しくお願いしますわ」
 
蒼香「で、あたしが月姫蒼香。で、このぼーっとしたのが三澤羽居。ああ、羽ピンで結構だ」
 
羽居「蒼香ちゃん、ひどい。わたしにも自己紹介を……」
 
万葉「はじめまして、私は…ご存知みたいですね」
   (冬休みは無人だと聞いていたけど、以外に人は残っているのね)
 
秋葉「…漫才みたいで申し訳ありませんわね。ああ、よろしければこちらに来て、お話しません? 折角ですから」
 
万葉「…そうですね、少し退屈していた所です、甘えさせていただきますね」
   (本当は人は係わるべきでは無いけど…無視する訳にもいかない…)
 
秋葉「しかし、こんな時期に転校とは唐突ですわね? 何か事情でも?」
 
万葉「……色々ですね、この学園を紹介されたのは偶然ですから」
 
蒼香「まっ、そこらにつっこむほどあたしたちは不粋じゃないさ。で、高原、おまえさん、いける口かい?」
 
万葉「いける口ですか……?」
 
羽居「ええとね、お酒のことだよ。ホントはいけないんだけどね〜。秋葉ちゃん、物凄く強いんだよ」
 
万葉「まだ未成年ですのから、………嗜む程度ですけど」
 
蒼香「固いこと言うなよ、遠野なんかザルだぜ。加えて、絡み酒と来たもんだ。性質が悪いったら、ありゃしない」
 
秋葉「……コホン。まあ、この2人の言う事ですから、話半分に聞いておいて結構ですわよ。
   まあ、折角の機会ですし、歓迎会ぐらいはしたいと思いますけど……」
 
蒼香「遠野、素直にいえよ。呑みたいんだろ?」
 
秋葉(ギロリ!)
 
蒼香「おお、怖っ!」
32『泡沫の宴』:02/06/16 17:58
>31
万葉「先ほど先生方から聞いた話と随分違うような気がしますけど…」
  (門に在った『この門をくぐるものは、一切の青春を捨てよ』と書いてあったような気が…)
 
蒼香「気にするな、コイツは生徒会の役員様だ…なんとでもなるさ」
 
羽居「じゃの道は蛇なんだよ、秋葉ちゃんわね〜…実は蛇なんだよ〜」
 
秋葉「…間違ってはいませんけど、その言葉の後ろに悪意が見え隠れするのは何故です?」(ギロリ!!)
 
万葉「うふふ、仲がいいんですね…羨ましいです」
 
秋葉「………まあ構いません、折角の歓迎会を血で汚す事もないでしょう」
 
羽居(じょうだんだよね、…もしかして本気で言ってる?)
 
蒼香(もちろん冗談さね、最近血に餓えてないみたいだしな)
 
万葉(仲が良いの…よね、何でも話せる友人って、こんな感じなのかしら?)
 
秋葉「……流石に本気で取られると頭に来るのですけど?」
 
蒼香「悪いな、自分に嘘がつけなくてね」
 
羽居「秋葉ちゃんはかわいいよ〜、こわいなんて思ってないよ〜」
 
秋葉「…貴方達!」
 
万葉「楽しみです、本当は宴会って初めてなんです」
 
秋葉「…まあ、良いでしょう、それでは夜に迎えに行きますわ」
 
万葉「はい、楽しみにしていますね」
   (これぐらいは許される…、ほんの少し夢を見るぐらいは…)
33『泡沫の宴』:02/06/16 17:59
>32
蒼香「さてと、新しい友人も迎えたことだし……」
 
羽居「かんぱーい!」
 
万葉「かんぱーい…って、良いんですかこれは?」
 
(ウイスキー、ブランディ―、ビール、日本酒…etc)
 
秋葉「何を言っているんです、問題ありません」
 
羽居「じゃの道は蛇だよ〜」
 
万葉「この場合少し用法…」
 
蒼香「だ か ら 、飲め!!」
 
万葉「え、はい…」
 ・
 ・
 ・
羽居「所で、万葉ちゃんは趣味はなに?」
 
万葉「趣味ですか?」
 
蒼香「私なんかはロックだな、ライブは最高だぜ」
 
万葉「そうですね、趣味というより実益を兼ねていますけど…和弓ですね」
 
秋葉「……弓道? なかなか良い趣味ですけど…うちに在ったかしら?」
 
羽居「あるよ〜。設備は立派だよ。実質、休部状態だけどね〜」
 
秋葉「あら、羽居、詳しいのね」
 
羽居「えっへん! この三澤羽居に任せて〜!!」
 
秋葉「あまり、当てにしたくないけどね。……ところで実益って狩りでもするんですか、高原さんは?」
 
万葉「ふふ、違いますよ。……精神修行を兼ねてという意味です」
 
蒼香「枯れてやがる、秋葉もたいがい詰まらない習い事ばかりだけどな」
 
秋葉「淑女の嗜みです!」
 
万葉「………(趣味か、私には……)」
34『泡沫の宴』:02/06/16 18:00
>33
秋葉「あら、高原さん、全然、お酒が進んでいませんわね? もしかして、苦手ですか?」
 
万葉「いえ、そう言う訳ではありませんけど……。秋葉さんこそ、お酒強いですね……」
 
秋葉「そう? ストレートで飲んでいるわけじゃないんだから、このぐらいは普通だと思いますけど?」
 
万葉「ええと、その、未成年してはアルコールに慣れて……」
 
秋葉「これくらい普通だと思いますけど……?」
 
羽居「うーん、もう、だめえ〜」
(ぱたり)
蒼香「……あちゃ、羽居がダウンしたか。遠野、羽居を寝かせてくるよ」
(あたしも、脱出だ。相も変わらず、出鱈目なペースだよ……。ウイスキーボトル3本……)
 
秋葉「ええ、宜しく頼むわね」
 
秋葉「しかし、高原さん、何か悩みでもあるんですか?」
 
万葉「いきなり……。どういう意味です?」
 
秋葉「あまり、心の奥底から笑っている気がしないな思っただけですわ。
   ……私も長い間、心の奥底から笑ったことはありませんでしたので」
 
万葉「……気のせいでしょうね、私は楽しんいるわ」
   (ウイスキーのダブルを一息で煽り、返杯する)
 
秋葉「そうかしら?、未だに本当の顔を見せてもらってませんわ」
   (当然の様に一気のみ、そして注ぎ返す)
 
万葉「では、私が笑えないと思った理由を聞いてもいいですか?」
   (ストレートに変更…一気のみ、そして逆襲)
 
蒼香(おいおい、ぶっ倒れるなよ…面倒みないぞ)
 
秋葉「そうですわね……。あくまで感覚的なモノでしか言えないんですけど……。
   何か高原さんが仮面をかぶっているような気がしたんです」
 
万葉「感覚的ですか…、理由としては弱いですね、それとも貴方も仮面をかぷって生きてきたと?」
 
秋葉「おっしゃる通りですわ。私は遠野家当主として、自由も与えられることも無く、
   想い人からも離されて、生きていくことを要求されました」
 
万葉「選ぶ道が無かった…そう言いたいのですか?少なくとも貴方は人を好きになる事は許されたのでしょう?」
 
秋葉「選ぶこともできたでしょう。第三者から見れば……」
 
万葉「それに…家を捨てる気なら、他の道も選べます、貴方の想い人と共に歩む事も出切るはずです」
 
秋葉「けれど……、そのようなことを考えることさえ実際許されなかったら? あなたはどうしますか?」
 
万葉「それは甘えです、人は自らの道を選ぶからこそ人である意味が在ります」
 
秋葉「甘え? …そのような理想論が通用しない現実など幾らでも在ります!」
 
蒼香(こいつら結局の所…鬱憤が溜まってるのか? …血を見るなコレは)
 
万葉「…それとも貴方は、」
35『泡沫の宴』:02/06/16 18:01
>34
羽居「んっとね、秋葉ちゃんの想い人はお兄さんなんだよ」
   (何事も無かった様に、復帰♪) 
     
蒼香「因みに名前は、志貴って言うんだそうだぜ」
 
万葉&秋葉「……………」
 
秋葉「羽居……、起きていたの……!? 蒼香まで。……確かに私は兄さんが」
 
万葉「起きてらしたのですね……、私は別に…」
 
秋葉「今、現在は生死不明で行方不明ですけど……。きっと、何処かで生きています」
 
万葉「私は……を捜しているのです、……は必ず何処かに…だから」
 
秋葉「私の中にわずかながら、兄さんの鼓動を感じるから……。そう、きっと……」
 
万葉「だから、私は…、私も…解ります…貴方の気持ちが」
 
蒼香&羽居(やっぱり色々溜まっているんだ…似たもの同士?)
 
秋葉「……そうですか。深くは詮索しませんけど、見つかると良いですわね。
   ……湿っぽくなりましたわね。さて、景気直しにどんどん呑みましょうか?」
 
万葉「そうですね、手加減はしませんよ」
   
蒼香&羽居『えええーー、まだ飲むの?』
 
秋葉&万葉『これからが本番です!』
 
万葉「ええ、所で……お兄さんなんですか? …実の?」
(ウイスキーをお酌しながら) 
 
秋葉「いえ、血は繋がっていませんわ。けれど、兄さんは兄さんです」
(ウイスキーをコップ一杯ストレートで一気のみ)
36『泡沫の宴』:02/06/16 18:01
>35
万葉「いえ、血が繋がっていても構いません、好きなら相手が誰であれ許される筈です!」
(同じく一気のみ)
 
秋葉「ええ、全くですわね! 気が合いますわね!!」
(5本目のボトルを空ける)
 
万葉「だいたい、鷹久は何時も私の事を忘れて…、他の女と……」
(ブランディーを開ける) 
 
秋葉「ええ、全く! 私自身、身を削ってまで、兄さんを救ったというの…。今、どこかで他の泥棒猫と
仲良くやっていた日には……」
(ボトル一本一気のみ)
 
万葉「残念ながら、そう言う時に限って、悪い予感は当たるのです!いま志貴さんは絶対に他の女と居ます!!」
(同じく一気のみ)
 
秋葉「そうですわね、貴方の想い人も他の女と宜しくやっていますわ!!」
 
万葉「…覚悟の上です! 私はあんな妹みたいなあの女性に負けたりしません!!」
 
秋葉「いいえ、貴方は負けます…身近に居る事の強さは私が証明しました!!」
 
万葉「その上で逃げられているなら無意味です、問題は女性的な魅力です!!」
 
羽居(魅力か…、秋葉ちゃんはかわいいよ、…少し小さいだけで)
 
蒼香(…禁句だよな、魅力はいいんだよ。頭に『女』って付けなければ)
 
秋葉「胸は関係無いでしょう!!」
 
万葉「私はそんな事は言っていません!!」
 
秋葉&万葉(ギロリ!!)
 
蒼香「言ってない!! なんでこっちに来るんだよ」
 
羽居(酔っ払いの勘? …テレパシーかも?)
 
万葉「まあ良いです、私のは関係の無い事ですから」
 
秋葉「………敵ですわね(ボソ)」
37『泡沫の宴』:02/06/16 18:02
>36
秋葉「……ああ、もう人がこんなにやきもきしているというのに! 兄さんという人は!!」
(側にあった日本酒一升瓶一気呑み)
 
万葉「鷹久だって、私が出会う時は何時も何時もあの女性が側にいるんだから!!」
(秋葉の日本酒を奪い取って一気呑み)
 
蒼香(つーか、何時まで呑んでやがる、…空が明るいぞ、まったく…)
 
羽居(くー、かー、すー、うみゃ…)
 
蒼香(寝てやがるしな…、まあ休みで良かったよ本当に…)
 
秋葉「……兄さんの馬鹿」
(ばたっと倒れる)
 
万葉「………鷹久」
(秋葉さんの隣りに倒れこむ)
 
羽居(むにゃむにゃ〜)
 
蒼香「…あ!? なんだ…私か?後始末をするのは私だけなのか?」
 
見回りが来る前に、三人をベットに放り込んで、大量の酒瓶を片付け、換気して証拠を隠滅する。
…誉められて良い働きの筈だ。
 
「別に、誉めて欲しい訳じゃあないどな…虚しいぞ」
38ホル・ホース(M):02/06/16 18:22
ホル・ホースvsアルカード 
>26
 
弾丸は吐き出された煙草を掠め、ガンマンの口元に戻す。
的確にアルカードの脳を砕き、銃弾は飛び去った。
だが、生きていた。
色々なモノを頭から流しつつ、吸血鬼は笑ってさえみせた。
その笑みを見て、ガンマンは感嘆したように煙を吐いた。
 
「アイ!アイ! サー」
 
心臓を狙え、との吸血鬼のお言葉に、ホル・ホースは軽口で応じた。
背中にびっしょりと冷や汗が流れているのは気付かれてないだろう。
同時に放たれた杭に合わせ、『皇帝』の名を持つ銃の引き金を引いた。
 
その銃弾は、ただ杭を打ち砕くためだけに撃ち出された。
本命の一撃は、遠くからやって来る。
頭を潰して飛び去ったはずの弾丸が、アルカードの背に迫る。
 
弾丸もまた、ホル・ホースのスタンド。
彼の思惑通りに動くという寸法だ。
 
(お言葉通りに背後から心臓を貫いてやるぜ――――ッ!! ヒヒヒ)
39呉榮成(M):02/06/16 18:33
>23 ペトルーシュカVS死神
 
 まっすぐに、ただまっすぐに呉目掛けて歩いてくる『死神』。
 無貌の中で、それだけははっきりと憎悪に光る目を向けて。
 正しく死神であるそれは、ただ呉だけを目標に定めているらしかった。
 
 ――ダメだ、銃なんかじゃ何にもならねぇッ!
 
 直感、というよりは半ば焦燥に駆られて叫んだ。
 
「ペトルーシュカッッ!!」
 
 その叫びに呼応してか、ペトルーシュカが小さく呻く。
 急激な発作に襲われたかのように、両肩を抑えながらへたり込む。
 
「う、ぐ、うぅぅぅ……ッ!」
 
 そんな事実に委細構わず振り下ろされる死神の鎌。
 間違いなく、呉を頭頂から真っ二つにすると思われたそれは、しかし横合いから繰り出された一撃に弾かれた。
 甲高い金属音が辺りに響き渡る。
 それは、ペトルーシュカが放った一撃。
 
 鎌が、死神のそれとは多少趣を異にする鎌が、少女から繰り出されていた。
 だが、それはペトルーシュカが手にした獲物ではない。
 さっきまで右肩があった場所からは、細く長い腕節が伸び拡がり、鎌はその先端に直付けされている。
 そう、ペトルーシュカの腕そのものが展開し、内蔵されていた刃を露わにしたのだ。
 
「ひぃぃぃぃッ!!」
 
 絶叫、そして今度は左腕が縦にはぜ割れる。
 ドレスを裂いて現れたのは、右と同じ腕節と鎌。
 このガイノイドは内蔵武装を偽装した戦闘型だったのだ。
 ボディを徹底的に改造して武装化し、更に元々の有機メモリとは別に戦闘ドローン用の戦略AIを搭載。
 有事には割り込み制御させる。
 最前までの挙動とは明らかに違う直線的な動きは、まさにドライバプログラムの交代を意味していた。
 
「あぅぅッ!! あぐぅッ!!」
 
 新たに展開された鎌が、死神に振るわれる。
 頭部は髪を振り乱し、愛くるしかった美貌を歪めて涙を流している。
 別プログラムに制御を譲った今も、痛覚だけはそのままにしてあるのだ。
 相手の油断を誘う為の処置だったが、果たしてこの敵に対して有効かどうか……。
 
(何でもいい、俺が逃げられるだけの隙を作りやがれ!)
 
 戦況を見つめ、死の恐怖に脅えながら胸の中で呟いた。
40アルカード(M):02/06/16 18:39
ホル・ホース(M) vs アルカード(M) 
>38 
  
 弾けたクイを、吸血鬼の両眼は静かに見つめた。 
 サングラス越しの暗闇の中、カシの木は銃弾に撃ち抜かれて砕ける。 
 
「いいねぇ」  
 
 身を屈め、長物を突き出す。 
 腕と銃身を直線に構えると、ライフルは槍の様相を成した。 
 その穂先越しに、アルカードの双眸は男を射抜く。 
 
「実に、いい」 
 
 不意に、喉に血溜まりが生まれた。 
 開いた風穴からは絶え間なく血が溢れ、コートをより赤く黒く染め上げる。  
 背後からの銃弾は頸骨さえも砕き、双眸を支える頭が視野が揺らいだ。 
 
 だが、それでも。 
 
 吸血鬼は腕を翳す、銃を伸ばす、死をふるう。 
 間合いは瞬く間に零になり、伸びる銃口は新たなクイを解き放った。 
41死神(M):02/06/16 19:17
>39
死神vsぺトルーシュカ
 
右肩から現れた刃が死神の鎌を弾く。
 
悲鳴。
 
左腕の中からおぞましい音と共に新しい刃が滑り出す。
それを咄嗟に掌中で柄を回転させて構えなおした大鎌で迎え撃つ。
 
絶叫。
 
一目見れば分かる。
彼女―――ぺトルーシュカ、と呼ばれたモノは精巧に作られた人形だ。
あくまで作り物。命など宿るハズが無い。
 
だが、痛みに身を捩り泣き叫ぶ彼女は確かに生きている。
そこに脈動は無くとも、暖かい体温は無くとも。
彼女には『心』がある。
そして、『命』が。
 
――――どうする。
 
彼女から『命』を奪うべきなのか、どうか。
死神は迷った。
せめて武器を取り去るだけでも、と鎌を腕の付け根へと振るう。
だが、その鎌に断罪者の冴えは無い。
ほんの少しの迷いが、死神の鎌を鈍らせたのだ。
42ホル・ホース(M):02/06/16 19:18
ホル・ホースvsアルカード 
>40
 
主が喉から濁濁と滝のように血を流すが、アルカードの銃は揺るがなかった。
杭は再び、ホル・ホースを貫くべく飛び出した。
冷や汗はさらに流れ出し、肌着がガンマンの背中にへばりついた。
 
(気持ち悪い。さっさと仕事を終わらせてシャワーを浴びてーぜッ!!)
 
切な思いとともに、ガンマンは、己自身でもある銃を泳がせる。
死を呼びかねない杭の先端を見て、ホル・ホースの汗は逆に止まった。
彼の眼は正確に、目標を捉えていた。
 
初弾が放たれ、杭を微塵と化した。
そして、続けて3つ、銃声が轟いた。
 
1つは再び、アルカードの頭部を襲う。
眼くらまし程度にはなるはずだ。
残り2つは螺旋のようなダンスを踊る。
ホル・ホースの意志による捕えがたい動きと共に、心臓へと旅立った。
43ペトルーシュカ(M):02/06/16 19:55
>41 ペトルーシュカVS死神
 
 迷いを含んだ鎌の一撃を、新たに展開された腕節が滑り出す黒い筒状の武器が弾き返した。
 それは、放熱ジャケットを被せた銃身。
 数多ものそれが、銃口に火花を咲かせて無数の弾丸を吐き出す。
 
「ぐぅぅぅッ!」
 
 そのいちいちに、ペトルーシュカの心は痛みを感じる。
 果たして、それが心と呼ぶに相応しい代物なのかは分からないが。
 ――否、その是非など神にしか論じられない事であろう。
 命を弄ぶ事を覚えたばかりの人間に何が分かるというのか。
 
 そんな彼女の痛みをあざ笑うかのように足がはぜ割れ、節足を構成する。
 何度目かの絶叫を少女のなれの果てが張り上げた。
 大きく見開いた目から流される涙は、絶えることなく苦痛を訴えている。
 そして、それを裏切るかのように大きく跳躍し、節足と鎌を駆使して天井へ張り付いた。
 
 眼下に、漆黒の銃身が無慈悲な光を向け――。
 
 次瞬、赤い光を放ちながら、銃声と爆音、銃弾が狂い咲いた。
44死神(M):02/06/16 20:35
>43
死神vsぺトルーシュカ
 
腕から出現した銃口が、咆哮と共に無数の弾丸を吐き出した。
銃弾を前にして、死神は何を思ったか避けもせずマントを大きく翻すのみ。
風を纏って黒の幕が死神を覆い、その勢いに巻き込まれた銃弾は床へと落ちてゆく。
 
そのまま死神は飛び退き、苦痛にもがきながら泣き叫ぶぺトルーシュカを見つめる。
彼女は、泣いている。叫んでいる。
『心』を苛む激痛に涙を流している。
それは……彼女が生きている、という証明に他ならない。
彼女は生きるべきなのだろうか、死ぬべきなのだろうか?
 
そんな葛藤など知らず無数の弾丸が死神へと殺到。
死神は銃弾の軌道を見切り、人間では考えられぬ神速で鎌を振るって払い落とす。
 
一際大きな絶叫が、室内に響いた。
見ればぺトルーシュカは足すらも変形を始めている。
もはやヒトという概念から大きく逸脱した姿。
そのまま天井へと跳躍、移動する様は蜘蛛の化物としか思えなかった。
 
――――辛いか、生きる事が。
 
涙が、床に触れて弾ける。
 
マズルフラッシュと共に、銃弾が降り注ぐ。
 
死神は銃弾を巧みに掻い潜り、床を削りながら大きく鎌を振り上げる。
 
――――せめて、安らかな終わりを。
 
髑髏を模したその仮面は、怒っているようにも、泣いているようにも見えた。
45ギルバルス(M):02/06/16 20:56
◆鬼哭嵐vsギルバルス◆
―黒貴族―
司教府の権威が弱まった際、魔によって魔を制す為の存在。
オレのような大吸血鬼(ヴァンパイア・ロード)や死霊ザムライ。そんなバケモノどもが爵位に封ぜられてなる。
別段飼われてる訳じゃねぇ。気が向いたらいつでもトンズラこける。

東京、そこは世界有数の都市にして、龍脈の集う都市でもある。
俺は、司教府の指令が面倒くさいので他の奴に押し付け、
のんびりだらだらと、都内のあちこちを観光していた。
CLAMP学園とか言う、でかい学園もあったが、霊的防御を堅めまくってたので入れなかった。
まあ、そんな事もあるだろうと、気にせず、刀隠神社と言う所へ行ってみたら…。
霊気をたぎらせた女…、いや、娘がいた。
なんか、ビリビリ来ているらしく、周囲を調査していたらしい。
こちらを見かけた途端、突っかかってきやがった。

俺の気を感じ、邪悪として認定されちまったようだ。
46鬼哭嵐:02/06/16 21:09
鬼哭嵐vsギルバルス
>45
神剣が何者かに奪われ、数日が経った。

今だ、その場所は特定できず翻弄する日々が続き、丁姫の夢見も場所の特定に苦労している。
私は個人で様々な調査を続けているが、何も手がかりを得る事が出来ずにいる。

もう、神剣が何らかの信号のようなものを神威に送るのを待つしかないと思い。
そこで捜索を打ち切ることにした。

「ふぅ・・・。」

気が付けば、私は刀隠神社の境内の前まで歩いてきた。
ここが神剣が奪われた場所・・・。

もう諦める事を決意した私だったが、自然に足が刀隠神社の中へと進んで行った。


―――そこで私が感じた物。

それは強い妖気だった。
これだけの妖気を放つのは『地の龍』が放った式神レベルではない。
・・・一つの強力な妖怪の放つ妖気がびしびしと肌に伝わって来る。

私は不安を感じ、急ぎ足で境内の中に入りこむ。
土足なのと不法侵入罪を心の中で家の人間に謝りながら。


中にいたのは一人の少年。

少女のような顔立ちに眼帯をつけ、
何もすることなく、ただ空を見つめてそこで佇んでいた。

本来ならばこの様な魔物の排除は私の使命では無いのだが、神宮の
隠し巫女という肩書きが私の闘争心を掻き立てられ、私は左手の掌からずるずると御神刀を取り出す。
取り出すと言うよりも端から見れば、刀が『生えてくる』と言う表現の方がしっくり来るだろう。

刀を取り出す間、私は気配を消し、気取られぬようゆっくりと忍び足で男に近づく。



そして―――――私は御神刀を振り落とした。
47ペトルーシュカ(M):02/06/16 21:09
>44 ペトルーシュカVS死神
 
 ペトルーシュカ目掛けて振るわれる鎌。
 自律戦闘AIは、それに対して更なる腕節、節足を展開。
 直付けされた新たな鎌と銃口が無数に滑り出る。
 一体、元があんなに華奢な体の何処にこれだけの武装をしまっておけたのかと思うほどに。
 新たに現れた無数鎌が『死神』の鎌を絡め取り、更に手から奪おうとして捻りを加える。
 その間も絶叫は続き、涙は落ち続け、それは真下にいる『死神』の無貌へと降り注いだ。
 
 ドレスは千々に乱れ、幼い肢体が外気に晒されている。
 だが、その姿があまりにも非人間的なモノへと変じてしまっている為に、嫌悪感しか抱き得ない。
 今やその体を彩るのは、鎌と銃口、無数の刃鳴りと腕節、節足がこすり合わされる音のみ。
 ブルネットの髪も振り乱され、綺麗に整っていた頃の面影すらない。
 
 四方八方から、限界まで伸びた腕と足が鎌を死神へと振るう。
 少しずつタイミングをずらしながら、早く、力強く。
 鎌が空気を裂く音は、彼女自身が上げる絶叫にかき消されていた。
48片倉優樹 ◆Y.K.lIyA :02/06/16 21:39
片倉優樹/遠野四季 「彼の名は、殺人鬼」  
前スレ >460    
  
『・・・俺の名は、殺人鬼』    
  
なんて、奇妙な名前だろう。  
勿論、額面どおり取った訳じゃない。・・・名が実を表すとはよく言った。でも、 
名を実に近づけるというのは、本当に「アヤカシ」にはない発想。  
人が「化け物」と呼ぶ存在には絶対にありえない執念だ。それも、悲しい、寂しい執念。 
  
闇夜にも紛れることを知らない「どうでもいい」私の頭髪を美しいと言うこの人。  
この人の髪の色の方が、私は良かった。・・・本当に、寂しそうだから。  
私の体は目の前の男に対し、『殺人犯』という認識を未だに持てずいいた。 
  
「では、『殺人鬼』さん。その人を殺して。殺して・・・その後は、どうするのかな」 
  
手提げの半透明のビニール袋からビールを取り出し、プルタブを空けた。 
そして、『殺人鬼さん』にも一つ、ビールを投げて渡す。  
彼の瞳に宿る明確な殺意には欠片も気付かずに。  
  
「それを聞かせて貰うまでは・・・あなたを捕まえたく・・・ない」
49ギルバルス(M):02/06/16 21:41
◆鬼哭嵐vsギルバルス◆
>46
霊気に満ちた場所は魔法の力が上がりやすい。
こう言う曰くありげな神社なら、特にだ。
境内の中、空を見上げ、魔力の補給をする。
曇天の空、今にも降ってきそうな気配があったが…。
これはこれで悪くないな、と思ってた。
 
不意に強い霊気、神格化されているような何かの気配を感じた。
短縮した詠唱、ハミングするように呪文を唱える。
魔の楯―地領域の術アーマーシールドを。
短い時間で唱えた割には上出来の効果だったらしい。
 
浅く、服が裂けながらもかろうじて刀を避けられた。

「ちっ、日本も治安が悪いな…。観光客にいきなり刀で切りかかるのか?
イラつくぜ…、トマトジュース…あるか?」
隻眼で俺は娘を睨み、持っていた荷物を降ろしてファイティングポーズをとった。
50死神(M):02/06/16 21:47
>47
死神vsぺトルーシュカ
 
刃と刃が擦れ合い、軋む。
一本一本が生き物であるかのように死神の鎌へと絡み付く鎌の群れが起こす音だ。
サイボーグを容易に両断した死神の力をもってしても、尋常ならざる膂力を持つ機械とは拮抗状態に陥るのみ。
 
一滴、涙が仮面へと落ちた。
 
ぎし、と軋む音が大きくなる。
 
絶え間ない叫びを死神はただじっと、聴く。
 
ぎしぎし、という軋轢音はよりその強さを増していく。
 
仮面に落ちる涙を全て受け止め――――
 
死神は、吼えた。
声こそ発してはいなかったが、周囲の空気を震わせるような威圧感が膨れ上がる!
 
凄まじい勢いで振り切った鎌が絡み付いていた刃の群れを粉砕。
破片が舞う空中で、更に死神は暴風の如く鎌を振るった。
 
襲い掛かってきた多方向からの刃が、死神の鎌に触れるたび破壊されてゆく。
絶叫と入り乱れる風切り音、破壊音。
地面に降り立った死神は鎌を一振るいし――――
 
静かな怒りを燃え上がらせたまま、両手で鎌を構えた。
51美夕 ◆MIYU.g96 :02/06/16 21:53
吸血姫美夕vs仮面ライダーゾルダ

>20

「!!」

突然現れたのは、先刻砲撃で粉砕された物によく似たもう一体の怪物。それが二又の槍をかざし
襲い掛かってきた。

「・・・つがいだったのね!」

瞬時にラヴァが美夕の防御に回る。長く伸びた爪が槍の穂先を食い止める。
美夕は怪物に炎を飛ばしながら横目で様子を見るが――

『っ!・・・やられたわ!』

美夕の射界から外れた鋼の巨牛は、その主人であろう鎧の男―変身した北岡秀一の元へと向かって
いた。美夕の戦いの勘が、本能的にそのことの危険を察知する。
思わぬ伏兵に気を取られ、倒すべき相手への注意が逸れたのだ。これは戦いにおいて致命的な失策。

ラヴァの貫手が怪物の頚部を貫いた瞬間、鎧の男はあのカードを収める銃をかざしていた。
52鬼哭嵐:02/06/16 22:02
>49 鬼哭嵐vsギルバルス

「普通の方は刀で切りかからないでしょうね・・・失礼しました」

私は少年を見つめ、刀を握り締めたまま深く頭を下げ、非礼を詫びた。
どうやら外見通り、この少年には人並みの知力はあるようだ。

私が刀で斬りかかったのも本気ではなく、あくまでも相手の反応を確かめる為。
もし、相手がグールのような知性のない化け物であれば私の気配も感じることなく、
そのまま切り裂かれていただろう。変わって彼のような知性のある妖怪の場合
何らかの霊力や空気の流れを感じて回避行動に出ていた。

そして、答えは後者の方に出た。
彼が人間と同程度の知性があれば話し合いもできる。

「すみませんが今、ここにトマトジュースはありません・・・」

私は刀を右手に持ったまま彼との交渉を始める。

「それよりも、貴方にここから一刻も早く立ち去っていただきたいのです
 貴方は見た所、日本の妖怪ではありませんね?」

私は彼の外見からそう判断した。
確かに彼は日本の言葉を話しているが、日本の妖怪独特の妖気を放ってはいない。
むしろ、人間に近いような気。
おそらく・・・吸血鬼やゾンビの類。

「この日本から離れ、母国へと帰ってください・・・さもなくば」

私は刀を両手で掴み、中段の構えを取る。
そして彼へと刀の先を向けて―――


「貴方を消します」
オーフェンvsレイオット
>28

 放たれた銃弾に込められていたのは、殺意でもなく。また敵意でもない。
 こちらが立ち上がるまでのわずかな間――それを捻り出すための、ただの牽制。
 時間稼ぎでしかない。
 ろくに狙いをつけていない銃弾は、やはりというべきか。命中せずに、男の至近距離を掠める。
 だが、45口径マグナム弾の叩き付ける衝撃が、にわかに彼のバランスを崩し――

 その間にレイオットは立ち上がる。
 刹那――脳髄に激痛激痛が突き刺さる。ぐ……という呻きが零れた。
 痛みの源は、踏み抜かれかけた右膝だ。わずかに力を込めてみる。
 
 …………動く。
 だが、それだけだ。とても戦闘に耐える状態ではない。
 機動力の消失――それはそのまま、敗北へと結びつく。
 キャリアに戻れば、応急処置用の呪文書式板が数種ほど用意しているのだが――
 などと、愚にもつかない思考がよぎる。
 どのみち、この状況から抜け出せなければ意味のない話ではあった。

 構えを取る相手を見据え、レイオットは考える。
 この状況を打破するためには――――
 
「……我・法を破り・理を越え・破壊の意志をここに示す者なり――」

 無音詠唱。
 それに続くように、仮面の奥から小さく言葉を紡ぐ――いや、詠唱する。
 口頭詠唱によって追加されている補助呪文は、すでに構成済みの魔力回路に文字通り
 追加していく形で、より緻密な、より強力な魔力回路を造りだしてゆく。

「爆炎よ・爆炎よ・敵を焼け・敵を焦がせ・敵を滅ぼせ・我が勝利をここに導け猛き業火!
 ベルータ・エイム・クイファ・クイファ――――!」

 構えるスタッフの先端には、赤く明滅する魔法陣。
 虚空に輝く赤い影となって現れた魔力回路を魔術士に対し示しながら、レイオットはその引き金を引く。
 撃発音声――

「<マグナ・ブラスト>――イグジストッ!」
54ギルバルス(M):02/06/16 22:20
◆鬼哭嵐vsギルバルス◆
>52
なんだか失礼な事を言われたような気がしたが、
とりあえず、切りかかられたことは詫びられちまった。
そこまではいい。
「いや、トマトジュースは比喩で言っただけだが…」
素直に言われると流石に困る。
だが…。

『それよりも、貴方にここから一刻も早く立ち去っていただきたいのです
 貴方は見た所、日本の妖怪ではありませんね?』

「だから?俺は俺のやりたいようにやってる。
 テメーに指図される謂れはねぇ」

この娘を放ってとっとと帰っちまってもいいが…。
コケにされたままなのはムカツク。

止めにこんな台詞まで来やがった。
『貴方を消します』

「やってみろよ。その尻ひっぱたいてやるぜ」
決定的なことを抜かしてくれやがったのでひょい、と懐に飛び込む。
むかついても、女の顔は殴る気はねえ。

ボディにワンパンチ。それで片がつくだろう。

予備動作を消し尽くした動き、見切れるか?
55ペトルーシュカ(M):02/06/16 22:55
>44 ペトルーシュカVS死神
 
 呉は、その一部始終をただじっと見ていた。
 多脚起動モードでの天井からの多段攻撃。
 その全てをいなし、なおかつ鎌のほとんどを破壊し尽くしてみせた『死神』。
 その様は、まさしく戦慄を禁じ得ないほどの光景であった。
 
(クソッ、このままじゃヤベェ! 何か手はねぇのか、何か!)
 
 手の中の銃を意識する。
 だが、あの機銃掃射をいなしてみせたアレに、ただの拳銃が何の役に立つというのか?
 肝心のペトルーシュカは、全ての鎌を砕かれ、天井で体を支えることが困難になって床に着地している。
 鎌は封じられた、機銃はかわされた、もう手はない。
 此処にいたって呉は、惨めなほど無力な自分を痛感せざるを得なかった。
 
 だが、それでもペトルーシュカは機銃を死神に向けて発射し続ける。
 銃声に絶叫を織り交ぜながら。
 例え無駄だとしても、それを受け入れる知性は彼女にはない。
 
「……クソォォォッ!!」
 
 驚くほど頼りなく、非力な銃口を『死神』に向けて引き金を引く。
 機銃の爆音に紛れて、その銃声はあっさりかき消された。
 機銃に比べて、あまりにも無力な銃弾が二発、三発、四発……と続けて送り出される。
 全弾撃ちきってもなおその手は引き金を引いていた。
 
 それに応えるなどあり得るはずもないが、ペトルーシュカから更なる銃口が送り出された。
 飽きることなく、銃口は火を噴き、弾幕を張り巡らす。
 今や、室内でペトルーシュカの射程に捉えられていない場所など存在しなかった。
 
 銃声、絶叫、銃声銃声絶叫絶叫銃声銃声銃声絶叫絶叫絶叫銃声銃声絶叫銃声銃声絶叫絶叫
 絶叫銃声銃声絶叫絶叫絶叫絶叫銃声銃声絶叫銃声銃声銃声銃声銃声絶叫絶叫銃声絶叫銃声
 銃声銃声銃声銃声絶叫絶叫銃声絶叫絶叫銃声銃声絶叫絶叫銃声銃声銃声銃声絶叫絶叫絶叫――!
 
 もはや涙も枯れ果てたのか、大きく見開かれた目はただ苦痛を訴えながら『死神』を見やるのみ。
 室内は朦々たる硝煙に覆われ、て視界が限りなくゼロに近くなっている。
 だが、それでも『死神』の熱源を追ってペトルーシュカの首は巡らされていた。
56鬼咒嵐:02/06/16 22:59
54鬼咒嵐vsギルバルス

これで引いてくれれば・・・。

そう願っていた。
正直、海外は愚か、国内での対魔物の戦闘経験は多くは無かった。
確かに私が弱いとも思ってはいなかったが、始めての戦闘となれば多少は戸惑う。

しかし、私の願いは天に通じなかったようだ。

彼の答えは否。
帰るつもりは毛頭無いらしい。
これで、私と彼が戦う事は決定された。
私の刀を握る強さはいっそう強まり、緊張で流れる汗は頬を伝って床へと落ちた。


『やってみろよ。その尻ひっぱたいてやるぜ』

刹那―――

彼の姿は私の目の前から消えた。
逃げたわけでもない、まして瞬間移動など・・・。

と・・・思う暇もなく腹部辺りに味わった事の無い激痛が走った。
私は、遠のく意識を必死に留めようと歯を食いしばる。
しかし、体の方はその意志に反し、力なく崩れ落ちた。

私が意識を失わなかったのは攻撃を受ける瞬間、反射的に後ろへと飛びあがっていたからだろう。
もしそうでなければ、私は今の一撃で意識を失い、この少年を取り逃がしていた事だった。
私は腹部を中心にした電気が走るような痛みを必死に堪えながらゆらゆらと立ち上がる。

「それは・・・私の意見を聞き入れて下さらないと言う事ですね・・・」

私は彼にそう告げると掌に小さな結界を作り出す。
その小さな結界は徐々に・・・数cm・・・数m・・・数kmと
刀隠神社を中心に立体型の結界が広い空間を覆い始める。
これは私達のような力を持つ物が回りの被害を押さえる為の結界。
私が結界を解かない限り、結界内の建物を壊そうが何をしようが実際の空間には影響はない。

つまりは完全な戦闘態勢に入る訳だ。

私は刀に霊力を集め、ゆっくりと頭上に構える。


         そして――そのまま―――振り下ろす――


刀から放たれた衝撃波は扇状に空気を切り裂き、神社の天井と地面を真っ二つに切り裂きながら
少年を襲った。
57オーフェン:02/06/16 23:03
>53
オーフェンvsレイオット

相手の持つ銃を無効化するため、魔術を放とうとした瞬間。

『……我・法を破り・理を越え・破壊の意志をここに示す者なり――』

鎧が呪文を唱えはじめた。
先ほどまで一言で魔法を発現していたのにわざわざ呪文を、だ。

そのことは、つまり・・・

(・・・まさか、今までよりもでかいのが来るのか!?)

今まで鎧が使用してきた魔法を越える威力のものが使用されるということだ。

瞬時に今まで編んでいた魔術の構成を霧散させ、防御の魔術の構成に入れ替える。

『爆炎よ・爆炎よ・敵を焼け・敵を焦がせ・敵を滅ぼせ・我が勝利をここに導け猛き業火!
 ベルータ・エイム・クイファ・クイファ――――!』

構成を防御のものに入れ替える。
その間にも鎧の詠唱は続いていく。

(間に合うのか!)

赤く明滅する魔方陣がスタッフと呼ばれるチェーンソーもどきの先端に浮かぶ。
そして、防御の魔術が完成する。

「我は編む―――」

叫び、魔術を発動させる。

(相手の魔法の威力がこれで防ぎきれることを願うぜ)

「―――光輪の鎧!」
『<マグナ・ブラスト>――イグジストッ!』

鎧の魔法が発動し、自分と相手の中間の地面が爆発する。

それとほぼ同時に自分の魔術も効果を発し、前方に無数の光の輪を築き、爆風を防ぐ。

「―――くっ!」

想像を越す爆風の勢いにその場に縫いとめられ、粉塵に視界が遮られた。
58遠野四季 ◆17thMv4s :02/06/16 23:21
前スレ>461
>48 片倉優樹/遠野四季

 殺人鬼は言う。自分には返るべき家がある。自分には守らねばいけない人がいる。
 自分には在るべき場所があるのだ、と。

「だが、そこには今、別の奴がいるんだ。オレの名を騙り、オレの部屋を奪い、オレの愛する者を守っていやがる。
本当はオレがその名を名乗り、その部屋で眠り、その女を守るはずなのに、だ」

 弧を描いて飛んで来たビールを、右手で受け止めようとして殺人鬼は気付いた。
 右手には先程まで使っていた匕首がある。仕方が無しに、利き手ではないほうの手で受け止めると、
そこで彼は初めてそれがアルコール飲料だと気付いた。

「おまえ、大人だな」

 殺人鬼は頭を下げ、ギラリと少女を上目使いに睨む。
 酒なんて好んで飲む奴は、大人しかいない。そして彼は大人では無い、殺人鬼だ。
 だが、突き返すのも悪いと思い、缶を片手で弄びながら、彼は話を続けた。
 
「奴はオレという存在を奪いやがった。だから、殺す。殺して、オレはオレに戻るんだ」

 一歩。彼は少女の方向へと、歩を進めた。パシャリ、と血が跳ねる音を聞きながら、更にもう一歩。
 血の池が途切れ、アスファルトの大地を踏み締めると、そこで殺人鬼は歩くのを止めた。
 あと、二、三歩ほど歩けば、少女へと届くであろう距離だ。

「言ったぜ。さぁ、どうする? オレを殺すのか? それとも、貴様が殺されるのか?」
59ギルバルス(M):02/06/16 23:21
◆鬼哭嵐vsギルバルス◆
>56
正直、この娘は只者じゃないと思ってたが、やっぱり変な奴だ。
お寝んねしてくれれば適当に尻をはたいて、
そのまま宿に帰ろうかと思ってたが根性をキメて立ち上がった。
『それは・・・私の意見を聞き入れて下さらないと言う事ですね・・・』

立ち上がりながら健気にも言ってくれる。
 
「だからさ、交渉の仕方を知らねえのか?
 大層な剣を持った割にはよ」
  
逆鱗に触れちまったらしい。
娘の掌に凝縮された魔力が一気に拡散する。
俺のクニでも滅多に見ない別空間を作り出す術…。
結界。
俺の動作に反応しきれなかったところを見るとサムライではなさそうだが…。
面白くなってきた。
 
「テメェ、これは結界か?閉鎖空間、いや別空間を作り、
 俺を自分もろとも閉じ込めたか…。
 名前、聞いておこうか、俺はギルバルス。
 黒貴族の大吸血鬼だ」
 
興奮のあまり、牙が伸びてきた。
少し乾いた唇を舐め、続いて迫ってきた衝撃波をギリギリまで待ってから、
娘ッ子へと地を蹴るようにして避ける!
60死神(M):02/06/16 23:41
>55
死神vsぺトルーシュカ

銃声、絶叫、硝煙、悪意、悲しみ。
 
室内はこれだけで埋め尽くされた。
もし感情に色があったならば、気味の悪いマーブル模様のような様相を呈していた筈だ。
ぺトルーシュカの機関銃。
呉の拳銃。
狂ったように撃ち続けられる二つの銃弾が死神を襲う。
しかし、共にデタラメな照準で放たれたものだ。
死神ならば避けようと思えば容易に避けられる。
 
だが、死神はその銃弾を避けようとはしなかった。
 
絶叫と同時に放たれる弾丸。
その弾丸に篭もった、悲しみすらも掬い取ろうとするように。
甲冑を撃ち抜かれ、血を流しながらも足取りに澱みは無い。
ゆっくりと、ゆっくりと一歩ずつ歩み寄る。
 
そして、ぺトルーシュカの一歩前で死神は立ち止まった。
硝煙の霧の中で、鎌を高く掲げる。
 
――――。
 
何か、呟きのような声が聞こえたと思った瞬間、鎌は振り下ろされていた。
微風が吹きぬけるような、優しげな一閃がぺトルーシュカの首を切断する。
途端に止む銃声と絶叫。
床に転がったぺトルーシュカの首を死神は持ち上げる。
 
――――苦しかっただろうな。
 
偽りの、死よりも辛い『生』を与えられた人形。
その『生』を与えたのは誰だ?
運命を、命を歪めたのは――――誰だ?
 
再び、死神の眼に漆黒の炎が宿る。
首を片腕に抱え、死神はもう一つの銃声の先へ向かって歩き始めた。
命を冒涜した者。
奴に、裁きを与えるために。
オーフェンvsレイオット
>57

 魔法発動――スタッフの先端から、虚空に向けて不可視の何かが迸る。
 それはそのまま対象に向けて突き刺さると、ぽつりと小さな穴を穿ち――
 瞬間、轟音と共に閃光が辺りを埋めつくした。

 爆裂したのは、両者の中間点――その大地。
 地中から巻き上げられた土砂や、溢れ出した爆炎が視界覆い尽くし、ほんの数秒。
 お互いの姿を遮った。

(――――っ!)

 ――行ける。
 呟いて、レイオットは即座に新たな呪文を無音詠唱。
 装填位置に固定された呪文書式板には、零番の刻印。すなわち――
 
「……顕」

 囁くように撃発音声を唱える。
 同時に全身に襲いかかったその感覚は――一言で表現すれば、覚醒に近い。
 胸元から弾け飛んだ拘束端子の動きすらも、正確に認識できていた。
 身体中の筋肉が膨張し、モールドに縛りつけられたレイオットに鈍い痛みを――
 否、半ば壊れかかった膝から、気絶しかねないほどの激痛が襲いかかる。

 ぎり――奥歯を噛み締めながら、レイオットは低く身構える。
 低く、低く。
 力をため込むように。
 弓矢の弦を引き絞るかのように――

「ふっ――――!」

 吐き出された呼気が、封じされていた全てを解放する。
 異常強化された筋肉によって生み出された跳躍は、まるでレイオット自体を黒い砲弾と化し。
 未だ燃え続けている爆炎の中へと叩き込む。
 熱い――と感じる間すらなかった。

 わずかな一瞬のあと、開けた視界には――魔術士の姿がある。

「は――ははっ!」

 この戦いの中で、レイオットは初めて笑いを上げていた。近づいてくる男の表情。
 そこには、いまだ攻撃の意志は消えてはいない。
 男へと接敵するその瞬間、金属の塊による一撃を加えようと――
 レイオットは大きく、スタッフを振りかぶっていた。
62片倉優樹 ◆Y.K.lIyA :02/06/16 23:56
片倉優樹/遠野四季 「彼の名は、殺人鬼」  
>48>58   
  
彼の話を聞いて、初めて気付いた。  
-----ああ、この人、子供なんだ、って。  
  
勿論年齢についてだけじゃない。心理学者まがいの人が読みやすく書いた本で 
言う所の「アイジョーガケツジョシタカンキョウデソダテラレタニンゲン」。  
・・まぁ、私が「大人」かどうかは人に判断を委ねるところだけれども。  
  
話をよく咀嚼し終えたところで、ビールを口に含む。  
彼が血を引き摺るように接近してくる事も構わずに。  
気化した血液の匂いがこびりついていて、味はサイアクだった。  

「君の努力は、取り合えず、みとめよう。でも・・・君は、君には戻れない。 
それにここは、人の世界だから・・・。私は君の手段が誰かを悲しませるから止めなさい、 
なんて言わない。志は立派でも手段がすべて正当化される場所じゃないんだよ」  
  
神経の制御には自信がある。  
それにもかかわらず、私の手には袋が張り付くほどの汗が滲んでいた。 
相手も人を超越した存在である事が自然にわかり、戦慄しているんだろうか。 
  
「刑法第・・・199条。殺人罪。私はその罪を犯したあなたを”逮捕”します」 
  
取り合えず、地面に押さえ込もう。  
そう考え、私はぬかるむ地を蹴り、彼の襟元を抑えに入った。
63名無しクルースニク:02/06/17 00:05
Nameless Kresnik vs Count Vardalek
“The Party Of The Children Of Night”
>前スレ450
 
「……減らず口はイイ加減にしとけよ、このクソ馬鹿が――
 テメエ等を主が愛する? バカ力と頑丈さだけが取り得のテメエ等を!?」
 
 その場からでも必殺の突きを送り出せるだろう伯爵は、しかし動かない。刹那の意識の空白
は、二筋の閃光の侵入を許した。
 弓手から逆風。馬手から袈裟。世で最速の獣をして尚速い、黒い閃光が二つ。
 出鱈目を通り越した、姿さえ霞む兜割と逆袈裟――型も構えも素人に毛が生えた程度だが、
吸血鬼の膂力はその一撃を必殺と変える。
 ――フェイント。
 その思考は、0.05秒ばかり遅い。
 二つの悪意は、既に体を舐めんばかりに接近している。
 
 膂力で打ち合うは愚考。
 青年は柄に右手を添え、全身を風と変えて弓手の吸血鬼へと踏み出した。
 跳ね上がるレイピアの内側へと潜り込み、鞘ごと柄を突き出して正面の吸血鬼の鼻を潰す。無様に
怯んだ所に背を向けて、その場で反転して抜刀。肉を立つ音も無く、冗談の様な鋭利さで吸血鬼の胴が
両断される。
 さらに反転。青年の袈裟懸けの一撃が、鼻を抑える吸血鬼の耳上から侵入。口から首、胸から脇腹へ
と刃は抜け、湯気を上げる臓物が一気に漏れ出した。
 
「……の糞馬鹿共がぁ……汚ねえ血ィ付けやがって――」
 
 純白の法衣を斑に主で染め、青年は笑いながら瞳に嚇怒を宿した。
 鞘に帰る事も無く翻る白刃が、消え行く炎の煌きを映し込んで踊る。
 驚愕に沸く吸血鬼達へと嘲笑を送り、青年は再び白い風となる。
 鮮血の颶風が吹き荒れた。驚愕と恐慌の中、統制を失った吸血鬼達の群は、ヘンツォーを除く悉くが
血肉の塊となって散って行く。
 
 茎に退魔の九字を彫り抜いた古刀は、退魔の意思を持って打ち上げられた破邪の剣。
 瞬き数度の内に同輩を悉く失ったヘンツォーへと向き直り、青年は何処までも冷たい瞳で睥睨した。
 
「――全く――哀れだな。お前達は結局、何も解っちゃいなかったんだ。
 主の愛を理解出来なかったお前達は最初から生きている意味なんて無かった。
 ……狂夢の終焉だぜ、ゴミ共。主の御名に於いて、テメエ等は一人残さず裁き尽くしてやる」
>51
吸血姫美夕vs仮面ライダーゾルダ

モンスターの出現からその最期までわずか数秒
しかし、ゾルダにとってはその数秒だけで充分だった。

『ファイナルベント』

マグナギガはその両腕と両足の砲門を2人に向けて構え攻撃姿勢をとる
2人はようやくこちらに気がついたようだが・・・・・・

「遅い」

ゾルダがマグナギガに装着したトリガーを引いた瞬間
マグナギガの全身に装備された砲門が一斉射撃を開始した。
空間に飛び交う砲弾、銃弾、熱線
さらに追い討ちをかけるように、マグナギガの胴体部分から
無数のミサイルが襲いかかる。
攻撃が終わったそのとき、戦場はもうすでに焦土と化していた。

エンド・オブ・ワールド
まさに最終兵器にふさわしい破壊力。

「終わったな」
もはや結果を確かめる必要など無い
ゾルダは勝利を確信し、戦場を後にした。
65ヴァルダレク伯爵(M):02/06/17 00:36
Nameless Kresnik vs Count Vardalek
“The Party Of The Children Of Night”
>63

 ヘンツォーはせせら笑った。紅白の衣から立ち昇る狩人の剣気にも臆した様子はない。
 
「馬鹿を吐かすものだ、温血者風情が。我ら夜族は終わらんよ、終わる訳がない。
 時の果つる時まで我らの、夜の子らの宴は続く。――しかし貴様」
 
 嘲笑に歪んだ顔が少しくひそめられる。

「その増長慢、どうやらこの城におわす御方について何にも知らんと見えるな」

 すぐにその面は嗤いを取り戻した。

「まあここまで暴れたのだから当然か。ふふん、憐れよなあ、無知とは。
 自分が何に挑んだかも知らんとは、な!」

 言葉の最後は搾り出した呼気に変わる。
 刺突の体勢はそのまま、床を滑空するかの様にヴァンパイア剣士は狩人へ飛び掛っていた。
 そして矢継ぎ早に走るは光芒、全てが必殺の意と力を込めた妖剣の突き。
 吸血鬼の速度と達人の体技を複合した異形の業が、狩人目掛けて炸裂した。
66遠野四季 ◆17thMv4s :02/06/17 00:44
>58>62 片倉優樹/遠野四季

 少女が地面を蹴ったと同時に、殺人鬼は“消えた”。音も無く、何の挙動も無く、だ。
 常人には、どう見ても消えたとしか思えないだろう。まぁ、常人には、だが。

 次の瞬間、少女の視界の端に現れる白い影。
 コンクリートの壁に両足を付き、白い頭を垂直に少女へと向けているその姿勢は完全にニュートンを馬鹿にしている。
 だけど、それも一瞬。殺人鬼は再度消える。
 次に現れたのは、彼が最初に佇んでいた位置。――血の池の中央。

 激しい運動のせいか、殺人鬼はゼロコンマ一秒ほど肩で呼吸をすると、少女を睨み据える。
 先程とは比べものにならない。視線で相手を殺さんとするほどの勢いだ。

「女、貴様に教えてやるぜ――――殺人鬼はな、人を殺すから殺人鬼なんだよ!」

 握っていたビールが、音を立てて粉砕する。怒りのせいで腕に込められた力が、缶を握りつぶしたのだ。
 そんな左腕で起こった事件を気にも留めず、殺人鬼は言葉を続ける。

「またか? またオレはオレという存在を奪われるのか? 『シキ』としてのオレだけでは無く、
『殺人鬼』としてのオレも奪われるのか?」

 ――この女は、あいつと同じだ。オレからオレを奪っていく。
    オレというオレを奪って、オレになる気だ。
    そして、オレはオレじゃなくなり、また一歩オレじゃないオレにオレは支配される。
    そうして、結局オレすらもオレじゃないオレに乗っ取られて、オレというオレはどこにもいなくなるんだ――
 
「……殺す」

 彼が殺人鬼になったとき、そう決めた。
 もう、二度と自分を奪われないために―――彼は殺人鬼となったんだ。
67ペトルーシュカ(M):02/06/17 00:51
>60 ペトルーシュカVS死神
 
 『死神』の鎌、それは遅滞なく、確実にペトルーシュカの首を狩り取った。
 力無く、ゴロリと床に転がる首。
 静寂が部屋に蘇り、煙が次第に晴れていく――。
 
 切断された首が浮かべる表情は、直前までの苦悶をそのまま刻み込んでいた。
 死してなお救われない魂の残骸がそこにあった。
 
 その様を、ただ呆然と見つめる呉。
 もう、何もない、何も残ってはいない……。
 手の中には、呆気ないほど軽い、弾が込められていない拳銃のみ。
 
 視線の先には、唯一人『死神』が――。
 
「来るな……」
 
 呟き。
 
「来るな、来るな……!」
 
 言葉。
 
「来るな来るな来るな来るな来るな来るな来るな来るな来るな来るな来るな来るな来るな来るなァァァァッッ!!」
 
 絶叫。
 
 空の拳銃を向け、無駄に無意味に引き金を引き続ける。
 撃鉄が空しくガチガチと音を立てる。
 意味不明の言葉が口から漏れる。
 股間が、濡れている。
 涙が、涎が、鼻水が顔をぐしゃぐしゃにしていた。
 
 『死神』が、鎌を手に歩いてくる――。
 後のことは、闇に落ちるまで何も覚えていなかった。
68美夕 ◆a2Ps4FGc :02/06/17 00:58
吸血姫美夕vs仮面ライダーゾルダ

>64
鋼の巨牛の胸が開き、砲門が顕わになった瞬間美夕は叫ぶ。

「しーなっ!!」

この空間ではいつもの転移が使えない、鏡神魔の死無に現実世界との通路を開けてもらう必要が
あった。そして、空が光る。

しかし次の瞬間、美夕とラヴァを襲ったのは圧倒的な破壊の嵐だった。
無数の熱線、光弾、銃弾、砲弾、ミサイル。それら全てがあたり一面を舐め尽くす。
凄まじい破壊の暴風が吹き荒れた後は、何も残っていなかった。
緑川淳司&花村雅香 VS 弓塚さつき(27祖)
前スレまとめ『ttp://cocoa.2ch.net/test/read.cgi/charaneta/1023292545/476
 
【走る吸血鬼、追う吸血鬼】

(どうやらこちらに引き付ける事はできたらしい。)
淳司は全力で走りつつ、後ろを振り返ってさつきが追いかけてきている事を確認する。
しかし……、
(これからどうするか、だな。)
危機的な状況のはずだが、思わず苦笑する。

雅香には策があるように言っていたが、実際のところ淳司にはそのようなものは無かった。
後ろから迫ってくる彼女の様子を見る限り、今の段階では交渉などとても無理であろう。
ボロ布の様に殺されるのが関の山だ。となると…、
(やはり公園に逃げ込んで、向こうが落ち着くのを待つのが得策だな。)
ポケットの中の硫化アリルのカプセルを確かめ、公園に向かって淳司は足を動かし続けた。

彼にとって幸運だったのはさつきがまったく攻撃をせずに追いかけている事だ。
吸血鬼―死徒―が投げるのだ。小石程度のものであっても十分致命的な威力である。
しかも今は、走る事に意識を向けている。後ろから来る時速数百キロの飛行物体など避けられる訳が無い。
いくら、淳司が先天性吸血鬼であっても。


この町にある唯一の公園はかなり広さを誇る。
中心には噴水と時計台があり休日の昼間となれば家族連れなどの姿を多数見かける。
もちろん今は夜であり、事件の影響もあるのか人はまったくいないが…。

公園の入り口でポケットの中の硫化アリルのカプセルを3個、地面に叩きつける。
たいした時間稼ぎにはならないだろうが、やらないよりかはマシだ。
そして淳司の姿は薄暗い公園の中に消えていってしまった。
70片倉優樹 ◆Y.K.lIyA :02/06/17 01:28
片倉優樹/遠野四季 「彼の名は、殺人鬼」 
>62>66

彼を捕まえるはずの私の腕は、闇と自分自身を抱くように交差していた。  
 
-何処? 思考と五感は目まぐるしく回転し、現状把握を要求する。  
私の認知把握能力を弄ぶように、彼は俊敏な移動を重ねいて。  
結局私は、最良にして最悪の対処療法的な認知を行う事を決意した。  
簡潔に言うと、私に攻撃を書ける瞬間以外の行動を無と見なす、ゼロサム認知。 
私の認知能力は自画自賛できるレベル。それでも、無駄に神経の負担を増やしたくない。 
    
  
自ら流したような血だまりの上に彼は気付くと静止していた。  
なぜ?---迷ってるのだろうか?私を殺すのに。 
まるで自分の殺意を確認するかのように語りつづける彼の言葉。--それに対する私の反論。 
  
「人を殺すから殺人鬼なんじゃない。人を殺すようになったから、殺人鬼なんでしょうが」 
  
口にしてから、思った。  
そんな事は誰にだってわかってる。殺人鬼としてしか自分を規定できない彼に自分が 
かけられる言葉の力は、余りに小さい。 
   
「不安なんだね、君は」  
  
自分を規定していかないと知的生物は生きていけないらしい。  
私が警察に所属してるのも・・・勿論浦さん達の頼みもあるけど、所属による安心感を 
求めた側面は否定できないから。   
  
彼の死刑宣告を私は聞かなかった事にして最後に話す。  
  
「世の中、好きな事をやってても上手くいかない。もう一回、もう一回やり直そう。 
その執念があるなら、出来るはずだよ・・・」  
  
私は何時だって白状だ。自分でもそう思った。
71名無しクルースニク:02/06/17 01:32
Nameless Kresnik vs Count Vardalek
“The Party Of The Children Of Night”
>65
 
 殺意が、光に解けた。
 吸血鬼の身体能力をして、達人の域にまで高められた剣技は、もはや人間の物と
は異質にして凶悪。数メートルの距離は、一瞬で即死圏へと変わる。
 
 が――せせら笑って、青年は半身になって飛び退る。
 ぢん、と。
 音高く鋼が打ち合い、燐火が散った。
 青年は垂直に立てた刀の棟に左手を添え、レイピアを脇に流すように受け止めていた。
 擦り落とそうとする両手の力に抗い、切先は尚も伸びようと異常な力が刃に触れる。
 短く息を吸い込んで、青年の重心が一気に落ちた。
 
「ここのホストが誰か? ああ、勿論勿論――よぉく知ってるぜ。
 カウント・ヴァルダレク。少年趣味のクソホモ変態野郎だな」
 
 力の束縛から解放されたレイピアが伸びるより早く、その全身は細い刃の下へと滑り
込み――限界まで絞られた弓の身体が、一気に羽根を開放した。
 澄んだ音を立てて、レイピアが中を舞う。数度の回転を見せたそれは、石柱の一つに
ブチ当たって砕け散る。
 境界線かのように、折れた刀身が二人の間に突き立った。
 
「……ただ踏み込めよ、後は極楽。切り結ぶ、刃の元こそ地獄なれ――ってな。
 剣術のケの字も知らねえか? 一度、日本で修行するべきだったよ、お前等は」
 
 袈裟掛けに虚空で兼定を払い、青年は嘲笑する。
 だらりと右手に提げた刃が、ガラスの奥からの月光を浴びて煌いた。
 月光を背負い、白刃を握り、青年は伯爵を見据える。
 
「俺は主の僕。絶対の断罪者――これより、テメエを地獄に送る」
72ウピエル ◆Upielb0Y :02/06/17 01:53
ウピエルVSファントム
>14
 
突進しながらドライの状態を確認する。
ツァーレンシュベスタンには、なるべく傷を付けずに、時間稼ぎだけしておけと言っておいたハズだが・・・
どうやらマヌケな出来損ないの肉人形どもは、それさえも出来なかったらしい。
 
ドライは満身創痍、特に失血が酷い。気力で立っている様だが、気を抜けば今にも倒れそうだ。
だが、殺気は充分。まだ戦えそうだ。少しくらいは――楽しませてくれ!!
 
ドライが、人間としては最高クラスの反応で拳銃の銃爪を引く。
俺の動きを読んで、素晴らしい弾道計算をしての射撃。
だが。
ツヴァイと決定的に違う点。
自分の能力に絶対の自信を持つ故の失敗なのか。
結局、コイツは俺の『速さ』を理解していない。
 
どれほど予測しようと、どれほど計算していようと、ドライは銃爪を引いてからの弾道に干渉する術を持たない。
弾丸が発射される瞬間さえ、銃口の向きさえ認識していれば―――見てから反応しても充分に間に合うのだ。
ツヴァイはそれを理解し、手を尽くして発射の瞬間を悟られない様にした。逃げ、隠れ、反撃の機会を覗い、罠を仕掛けた。
ドライは、ただ反射的に反撃した。
だから――
ドライは、ツヴァイに及ばない。最初にツヴァイを選んだのは、間違いではなかった。
怒りと失望を感じつつも、行動に移る。
 
「遅ぇ!!」
 
1発目の弾丸を、軽く体を捻って避ける。
2発目の弾丸を、牙で噛み受けとめて見せた。そのまま弾丸を口に含む。
3発目と4発目の弾丸を、銃剣の切っ先で弾き飛ばす。
 
ここまで来て、ドライの狙いの精度が、反射速度が向上する。
少しだけ、背筋が寒くなった。まだまだスリルを味わう事は出来そうだ。
 
ぞくぞくする快感に酔いながら、大きく息を吸う。
5発目の弾丸を、ギター部分が受けとめ、
6発目の弾丸。口から弾丸のような勢いで2発目の弾丸を吹き出す。6発目と空中で衝突。叩き落した。
 
この間、僅かに1.5秒。
完全に格闘の間合い。
銃剣の切っ先が、ドライの持つ拳銃に、いや、拳銃ごと腕を真っ二つにするかのように閃く!
73ヴァルダレク伯爵(M):02/06/17 01:59
Nameless Kresnik vs Count Vardalek
“The Party Of The Children Of Night”
>71
 
 剣の残骸を投げ捨て、ヘンツォーは吼えた。
 雄叫びに合わせて躯が内部から膨れ上がっていく。タキシードのあちこちが破れた。
 牙が伸び口がせり出し、外気に触れている部位から剛毛が体表を覆う。
 ほんの数秒で、ヘンツォーは直立した狼に変身していたのであった。
 
 前屈みになりながら、両腕を胸の前で×の字に組む。
 切れ切れにへばり付いた上着の肘が裂けた。
 肘頭が凄まじい勢いで肉を突き破り、それでも止まらず更に伸びる。
 四十センチ程に達して止まった骨は最早別の形を取っていた。
 それは既に、湾曲した刃を持つ剣であった。
 
 獣は月に照らされた狩人を見返した。
 口から忍び笑いと、幾分くぐもった人語とが洩れる。
 
「だから愚かだと云う。賢しい人の技術など、真の夜族の前では児戯に過ぎん」
 
 いきなりヘンツォーはくる、と身を翻した。勢いに乗り、舞い踊るかのように回転する。
 犬科というより猫属の敏捷さでもって旋回しながら、人狼は左右の骨剣を交互に叩き込んだ。
74美夕 ◆MIYU.g96 :02/06/17 02:00
吸血姫美夕vs仮面ライダーゾルダ

>64 >68
(a>uで美夕の勝利)

疲労困憊して浴室の鏡から出てきた北岡。
しかし、その前にいたのは学校の制服姿の美夕だった。後ろには黒衣の青年、その肩にはピンクの
兎を載せて。
 
「残念でした・・・♪」
 
こいつらは何をしたか知らないが、あの爆発の中を逃げ延びたのだ。
北岡は絶望のあまり、腰から砕けてへたり込んだ。
 
「しーなが間一髪鏡の中から引っぱり出してくれなかったら、今ごろ挽き肉よ」
 
「あぶなかったわさ」
 
美夕は『しーな』と呼んだピンクの兎と言葉を交わしている。そうか、そういうからくりか―
 
「で・・・」
 
美夕は北岡の顔を覗き込む。その表情からは何の感情も読み取れない。対する北岡は、もうどうに
でもしてくれ、と言わんばかりの脱力しきった顔をしていた。
しかし、美夕の口から出た言葉は、北岡の予測とは大きく異なっていた。
 
「あなたには永遠なんかあげない。・・・あなたはこれからも戦って、戦い続けて・・・
 
 ぶざまに絶望して死になさい。―――――――――――これがあなたの、敗北者の罰」
 
そう言うと、美夕は北岡を置いて歩み去っていった。あの青年は、こちらをちらりと見やると目礼
して彼女の後に続く。
 
北岡は、乾いた笑い声を上げた。それしか、今は出てこなかった。
75遠野四季 ◆17thMv4s :02/06/17 02:35
>70 片倉優樹/遠野四季

「オレは――――オレはいつだって奪われる側なんだ!」

 遠野家の血に、自分の場所を奪われ。
 シキに、自分の存在を奪われ。
 『もう一人のオレ』に、自分自身を奪われた。

 確かに人の命は奪う。でも、彼は『殺人鬼』だ。
 血を吸わなければ生きていけないし、人を殺さなきゃ殺人鬼では無くなってしまう。
 
「……そうだ。オレは何も悪く無い。悪いのはオレからオレを奪った奴等だ!
オレが『遠野シキ』のままだったら、オレは『殺人鬼』にならなくてもすんだのに……!」

     ――――全部、全部貴様等が悪いんだ!――――

 斬!

 刃が疾り、刃音が響き、鮮血が衣装を朱に染める。
 殺人鬼が振るった刃は、   という対象を容赦なく切り裂いた。

「あぁ、もう殺す! これ以上貴様を生かしておくと、また奪われちまうからな! それは御免だ! だから死ね!」

 空白に埋まる言葉は、『殺人鬼』――――

 少女を殺すために、殺人鬼という存在を守るために、彼は自分の左腕にナイフを突き立て、抉り、切り裂いた。
 肩から手の甲まで、ざっくりと切り裂かれた腕から、血が滝のように溢れ出す。
 そんなとめどなく溢れ出る血を気にもせず、殺人鬼は叫び続けた。殺す、殺す、と叫び続けた。
76琥珀 ◆Amber97g :02/06/17 02:38
>37 《遠野秋葉 vs 高原万葉『矛盾輪廻』》

―――窓の外に広がるのは、灰色の風景。
     冬の曇り空特有の、低く立ち込めた雲。
     それは同時に、自分のの心象風景でもあるかも知れない。

     『あの日』から決して晴れる事の無い 、わたしのココロ………。

それでも、脳裏には幾つかの色付いた場景が残っています。
 何も知らずに、ただ見上げた真夏の青空。
  お別れの日に手渡した、白いリボン。
   そして、赤い。紅い、朱い―――――


     ヒトのカタチを脱ぎ捨てて、異形へと変貌する『遠野四季』と呼ばれた存在

          射竦められたように、呆然と立ち尽くしたまま動けない『異形』の妹

        『妹』を庇うように立ち塞がる、兄になろうとした少年。

          ――――飛び散る、鮮血

                       誰かの、悲鳴――――


………あの『赤い』光景の役者のうち一人は、既に退場しました。
予定では、四季さまだけでなく秋葉さまも退場する筈だったんですが………。
どうやら見通しが甘かったようです。

先日まで行方不明だった志貴さんが帰って来られる、という連絡がありました。
この事ををお知らせすれば、秋葉さまは浅上の寄宿舎には戻らないでしょう。
時南先生には薬の調合の為に連絡を取りましたが、そちらから話が漏れるとは思えません。
けれど―――寄宿舎の方へも、同じ連絡が行った可能性はあります。

―――――時間がありません。
もう、手持ちの駒はありません。

それでも。それでも、わたしの『復讐』は終われないんです………。
だって、それしかわたしの生きている『理由』が無いんですから………。

―――――『神剣の御使い』

時南先生のおっしゃった言葉が頭に浮かびました。
…『魔』を退ける。それはつまり、秋葉さまの敵にも成り得る存在。
それならば、上手く誘導すれば駒の一つになってくれるかも知れませんね。
ですが、タイムリミットは近付いています。少々強引な方法ですが、仕方ないでしょう。
意を決して受話器を取り、ダイヤルをプッシュし―――――

「学院内……、遠野……、人喰い……、魔物……」

目的の相手が電話に出たのを確認して、一連の単語を羅列します。
『彼女』なら、きっと動いてくれるでしょう………。

『―――――』

『彼女』がなにやら聞き返しているようですが、それを無視して受話器を置きました。

――――舞台の幕は、切って落とされました。
      さあ、踊って下さいな。
      わたしの為に、『人形』を生かすために―――――
77死神(M):02/06/17 16:37
>67
死神vsぺトルーシュカ
 
ぺトルーシュカの首を見せ付けるように掲げて死神は呉へと近寄る。
 
呉は無様に泣き喚き、ただ自分の命の終わりに怯えている。
いくら他人の命を軽く扱おうと、結局自分の命が一番惜しいのだ。
それが人間。
それが命。
 
生きようとする意志は愛すべきもの。
だが、死神には呉を許す道理が無い。
じわじわと、死の恐怖を与えながら歩を進める。
 
そして、死神は呉の眼前へとやって来た。
 
例え様も無く醜く歪んだ顔。
『死神』に怯え、半狂乱で死を拒絶する。
死神はただ激しい怒りと、深い悲しみを湛えた視線で無慈悲に呉を射るのみ。
 
空気を切る鋭い音と共に、大鎌が振り上げられる。
 
―――死すべき時に、死すべき者に―――
 
渾身の力を籠めた、袈裟懸けの一撃が呉を斜めに二分割。
死神はそのまま刃を翻して一閃、恐怖に歪んだ表情が貼りついたままの首を刈り取る。
 
―――死を。
 
無残な二つの屍を残し、死神はまた何処かへと消えた。
救いの無かった、彼女の『生』に心を痛めて。
78クロウ ◆DsxKUROU :02/06/17 18:29
樟賈寶(M)vsクロウ 

『理由の無い戦い』

導入

空気を抉りながら飛んでくる右腕を、半歩左に下がりながら身を屈めて躱す。
僅かに掠っただけの髪の毛が数本引き千切られる。
そのまま後方に跳び、5メートルほど離れた所に着地。

 ――ちっ。

刀を正眼に構え直しながら、何でこんな事になったのか考え様として、止める。
大層な理由など有ろうと無かろうと最早関係無い。
こうなった以上終わるまで止めないし、止める気も、無い。
それは、向こうの方も同じだろう。
――無論、決着はどちらかの死、のみだ。
必要なら終わった後で考えれば良い・・・生きていれば、だが。

「・・・・」

くだらない思考を振り払って目の前の相手に集中する。
余計な事を考えていて勝てる相手では無いのは十分に判っている。

「どうした?来いよ、木偶の坊」

小さく、手の中の刀が音を立てた。
79樟賈寶(M):02/06/17 18:54
樟賈寶(M)vsクロウ 

『理由の無い戦い』
>78
 
(気に食わねぇ……)
 
 奴の印象は最初から最悪だった。
 どこのどいつか知らないが、チンケな体格で不敵な態度……。
 しかもそんな野郎が俺の剛拳をかわしていた。
 樟賈寶の一番嫌いなタイプである。
 こういう輩は力で叩き潰してやるに限る。
 
「ケッ…… その減らず口、後悔する暇が有るといいなぁ」
 
 樟賈寶の片腕22.3kgの凶悪なマニピュレーターが、不気味な機械音を立てる。
 
「喰らいやがれ!!」
 
 【丹鳳朝陽】 樟賈寶の右手が空気の壁を叩き割りながら、クロウへと迫る!
 秒速260m、銃弾並みのスピード、その威力は対戦車兵器にも匹敵する。
80死神(M):02/06/17 19:09
(死神vsぺトルーシュカ戦纏めだ)
 
>21>22>23>39>41>43>44>47>50>55>60>67>77

(感想があるなら、こっちだ)
http://fargaia.opt.hokuto.ac/html/test/read.cgi?bbs=vampbattle&key=1019409630
81クロウ ◆DsxKUROU :02/06/17 19:10
樟賈寶(M)vsクロウ 

『理由の無い戦い』

>79

 ・・・!!

速い。その巨体からは想像も出来ないほど。
たが、単純に過ぎる。
ヒトの形をした物の軌道など自ずと限られてくる。読むのは容易い。

左前方に踏み込みながら腕の下を潜り、
すり抜けざまにがら空きの胴に一閃。

距離を取って振り向く。

 やったか?
82樟賈寶(M):02/06/17 19:38
樟賈寶(M)vsクロウ 

『理由の無い戦い』

>81 
 
 クロウの放った胴への一撃―――――。
 確かに樟賈寶を捕らえたその斬撃だが、その手ごたえは、生体を切り裂く感覚とは
 全く異質な物だった筈だ。
 
 纏った布は大きく口を開け、その下の可動層に食い込みはしたものの、その奥に
 潜むのは鋼とカーボンの複合ボディ……。
 
 両腕程の強度では無いにせよ、一度や二度の斬撃でどうなる物では無い。
 
「ちょこまかと鬱陶しい!!」
 
 樟は振りぬいた右手を戻しざま、傍のコンクリートの柱を叩き壊し、破片をクロウの
 方へと吹き飛ばす。
 
 同時に突進しながら繰り出す左腕【左穿花手】の掌打!!
 大気を震わすその衝撃の、煽りを受けただけでも脳震盪を引き起こす。
 まともに喰らえば文字通り、ペシャンコに潰れて果てるだろう。
83クロウ ◆DsxKUROU :02/06/17 19:54
樟賈寶(M)vsクロウ 

『理由の無い戦い』

>82

やはり、強化されているのは腕だけでは無かった。
手応えは硬く、斬線が浅くついているだけ。

 ・・・ちっ。

力馬鹿で打たれ強い。
その上かなりの速さを持っている。面倒な相手には違いなかった。

右腕の一振りで柱を破壊、破片を追いかける様に左の掌打。

 早速力馬鹿の本領発揮か。

破片を避ける様に左右に跳びながら、
飛んできたそれを左の掌打に、顔面に弾き返す。

「おつりだ。受け取れよ」
84樟賈寶(M):02/06/17 20:21
樟賈寶(M)vsクロウ 

『理由の無い戦い』
 
>83
 
 弾き返されるコンクリートの破片、顔面へのそれはほんの僅かに首を逸らすと
 頭部に命中し、人工の皮膚を引き裂いて、内部の構造物をさらけ出す。
 
 ガイノイドや一般のサイボーグに用いられるファイバー製の頭蓋骨とは全く違う、
 戦闘用重サイボーグの超合金の骨格には傷一つついてはいない。
 
「やってくれるじゃねぇかっ!」
 
 そして左の掌打に飛んだ破片は、当った瞬間にその姿を失い、液体かと見まごう程
 粉々になった細片は左腕を伝う様に飛び散った。
 破片を生み出した右腕と変わらぬ威力の左手が、それで軌道を逸れる筈も無い。
 
 重力さえクロウの方向に向って働いているのかと思う程に加速したそれは、
 既にクロウの眼前へと迫っていた。
 
 そしてクロウが避けるであろう空間に向って、右腕の殴打を加える。
85片倉優樹 ◆Y.K.lIyA :02/06/17 20:46
片倉優樹/遠野四季 「彼の名は、殺人鬼」 
>70>75
  
殺人鬼は殺人する鬼だから、人には優しくなれないんだ。  
壮絶な自傷行為に走る彼の姿はおよそ、正常とはかけ離れており、寧ろあたしは冷静になった。 
  
そう。殺人鬼は自身をも殺す。  
  
殺す、殺す。殺す。  
その言葉にあたしは、本当に(人にとっては)恐ろしい理屈に行き着いてしまう。 
  
-ああ、君はそのまま、そのまま・・・消えていければ、きっと幸せなのにね−  
なんて。でも・・・人の世の中と今日のあたしは容赦がない。  
死んだ人には寛容を、生きる人には束縛を強いるんだ。  
  
  
---神経融合。  
空間が圧縮されたような主観速度の元に、私の小さな手は彼の刃を握り締めた。 
二人の血液が混沌と混ざり合い、刃毀れしかけた先端部に纏わりつく。  
5本の指から走る鈍い痛みは敢えて痛覚遮断をしないで取っておく。それが彼への礼儀だと思った。 
   
  
「・・・痛い、でしょう?あたしは痛いな。殺された事って、流石にないけれど、 
きっとこの何十倍も痛いんだと思う。きっと泣いても足りないくらいにね。  
君は人の何十倍も痛さを知ってるはずだよ。だったら、どうして人を傷つけられるの」
86アルカード(M):02/06/17 20:50
ホル・ホース(M) vs アルカード(M) 
>42 
 
 つくづく、この男はクイがお嫌いらしい。 
 再び銃弾に砕かれる白木を見ながら、アルカードは曲がった首の奥で笑う。 
 その、潰れた喉と口から声にならぬ言葉が溢れた。 
 
「ますます、クイをくれてやりたくなるねぇ」 
  
 銃身が更に伸びる。 
 鋼が腕を借り、暴力の伝道者となる。 
 黒の銃口は軟らかな肉を喰らわんと、顎を開く。 
 
 長物が剣となって男に突き刺さる間際―――― 
 
 鉛弾が胸に穴を穿ち、頭を割った。 
 また眼球が零れ、脳漿が溢れ、血が噴き出す。 
 胸からは幾重もの朱の筋が生まれ、鼓動に合わせてコートを重く湿らせた。 
 
 だが。
 
「足りないね」 
 
 ライフルが伸びる。 
 
「全然、足りない」 
 
 喉笛が繋がり、声が明瞭に響く。 
 
「殺意も意地も執念も、何もかも足りない」 
 
 零距離まで、あと僅か。 
 
「吸血鬼を舐めちゃあいけないよ。これでもいっぺん、死んでるんだからさ」 
 
 引き金に力が微かと加わった。
87クロウ ◆DsxKUROU :02/06/17 20:53
樟賈寶(M)vsクロウ 

『理由の無い戦い』

>84

 だめか・・!!

頭へ飛ばした方は表面への人口とおぼしき皮膚を裂いたが、
左腕は直撃しても小揺るぎもしない。

追撃の右腕が躱す動きを潰そうとしている。
どちらかにでも当たったら、それこそ挽肉だろう。

 思ったより頭が回るんだな・・・

だが、俺は100年以上こんな事をやってるんだ。
そのくらいで当たってやるわけにはいかない。

急制動。
大きな破片だけを弾きながら股下へ向けてスライディング。
抜けざま、ついでに膝裏に肘打ちをくれてやる。
88オーフェン:02/06/17 20:59
>61
オーフェンvsレイオット


『は――ははっ!』

爆炎が一瞬盛り上がり、そこから信じられない速度で笑い声とともに鎧が飛び出す。

(なんだと!?)

鎧のごとき甲冑を身につけた人間の―――いや、人間の出せるものとは思えない早さで鎧が近づく。
そして一瞬にして距離が無くなる。

(反応できない―――殺される!?)

それは眼前に迫る、絶対的な死の化身・・・
その瞬間、オーフェンの中で何かが変わった。

全身に急速に寒気を覚え、視界が暗くなり、音が消える。
だが、それでも周囲の状況が今までよりもはっきりと理解できる。
そして、先ほどまで視覚すら困難だった鎧の動きが、はっきりと見えていく。

(―――なんだ・・・?)

今まで体験したこと無い感覚―――いや。

(俺は―――この感覚を知っている!)

それは五年前に幾度か味わった感覚。
キリランシェロだった自分が圧倒的な相手と闘うための、唯一の武器。

意識を鎧へと戻す。

鎧はゆっくりと見える動きで、手にもっている鉄塊―――スタッフをこちらに向けてきた。

(―――この距離であの早さの奴の攻撃を防ぐのは無理だな)

信じられないくらい冷めた頭で冷静に判断を下す。

それは一瞬にも満たない時間の出来事だった。
89オーフェン:02/06/17 21:02
>88
オーフェンvsレイオット


一瞬にも満たない、わずかな時間でオーフェンは最適と思われる手段を選択した。

(間に合うのか!?)

相手はゆっくりと動いているかに見える。
だが、そう見えるだけで実際には、鎧は自分をはるかに超越した速さで動いている。

スタッフが振り上げられていく。

―――魔術の構成が完成する。

そして、スタッフが完全に振り上げられる。

―――魔術を開放する。

スタッフを振り下ろすための力が込められる。

―――もどかしいくらいゆっくりと口が開く。

ゆっくりと自分に向けて凶悪な鉄塊が振り下ろされていく。

―――肺から空気が口に流れ、声となっていくのを感じる。

「我は砕く―――」

目前にスタッフ―――死が迫る。

―――声を媒介に魔術が具現化していく。

「―――原始の静寂!」

ほぼ紙一重で自分に触れるところまで、確実な死を約束する鉄塊が迫る。

―――そして魔術の効果が発動する。
90オーフェン:02/06/17 21:03
>89
オーフェンvsレイオット


自分の周囲に存在する空間が、歪んで跳ねる。
そして空間を歪めたことによる爆発が起こった。

当然、目前に迫っていた鎧は爆発に飲み込まれ、爆風にもてあそばれ宙を舞った。

だが、それは自分も同じ―――
爆砕する空間の中心にいた自分も爆風に飲まれ宙を舞う。

空間を歪めたことによる爆発が連続して鳴り響く。

そのたびに空中で様々な方向へともてあそばれる。

地面と空が一瞬ごとに入れ替わる。

地面に激突するまでの長い一瞬―――

爆発に飲み込まれるまでの情景が脳裏をよぎる。

(・・・・・・・そういえば俺、なんで戦術魔法士なんかと殺し合いをしてんだろう?)

・・・そんなことを考えたりもしたが。
だからといって今の状況が変わるわけも無く。

何か硬いものにぶつかったと思った瞬間、鈍い音が聞こえ、衝撃が全身を貫いた。

急速に視界が闇で埋まっていく。

視界に写った妙に青い空と、重い金属が落下したような音を最後にオーフェンは意識を失った。
遠野志貴 vs 邑輝一貴(M) 「銀と蒼」
 
【前スレのまとめ】
ttp://cocoa.2ch.net/test/read.cgi/charaneta/1023292545/466
 
(前レスttp://cocoa.2ch.net/test/read.cgi/charaneta/1023292545/464の続き
 
 
 背中から地面に叩きつけられる。
 衝撃に動きが止まる。
 私はただ、
 頭上の赤い月と、
 『死』を宿した蒼い瞳を見上げる。
 
 仰向けの視界の中で、
 直死のボウヤが、動く。
 蒼眼が、私の身体をなぞる。
 右腕からナイフが引きぬかれる。
 月明かりを切り裂くようにナイフが振われる。
 
 斬と。
 音を立てて、左腕が断ち切られた。
 
「……はっ」
 
 私は、
 
「はっははは、はははははははははは!」
 
 抑えきれぬ感情のままに笑う。
 左腕のあった場所に手を当ててゆっくりと立ちあがる。
 ボウヤは身構えながら私を行動を見つめている。
 
「酷い事をしますねェ、君は」
 
 断ち切られた腕を見せつけるようにして私は言った。
 
「これではもう今までのような生活は送れない。
医師としての仕事も捨てるしかないでしょう」
>91 続き 
 
「………自業自得だ」
 
 苦しげに、吐き捨てる彼に、
 
「そうですね」
 
 うなずいて私は笑う。
 意外そうな顔をする彼に、私はさらに言葉を重ねた。
 
「今回は不覚でしたよ。
まさかおとぎばなしの化物を見れるとは思いませんでしから。
ですが……次はこうはいきません」
 
「次なんて―――!」
 
 叫び声。ボウヤが跳びかかってくる。
 だがそれよりも私の術の方が早い。
 
 触媒の羽が散る。
 空間が歪む。
 周囲が白光で満たされる。
 
 呆然とした顔のボウヤと、
 自分の左腕を置き去りに、
 私は自室の魔法陣へと転位した。
93樟賈寶(M):02/06/17 21:23
樟賈寶(M)vsクロウ 
 
『理由の無い戦い』
 
>87
 
 不意をついた膝裏への肘打ちの強打に、さしもの樟賈寶もバランスを崩して倒れる。
 無論突撃の勢いは止まらず、そのまま壁へと激突し、それをぶち抜いて廊下へと
 飛び出した。
 
「ヤロォ……!!」
 
 初めて樟賈寶の顔に明白な怒りが表れる。
 壁の裏側を対人レーダーで走査してクロウの位置を掴むと―――――。
 
 次の瞬間クロウの傍らの壁が爆発した様に弾け飛ぶ!
 
 砲弾の直撃を受けたかの様に、破片は部屋中に飛び散り、粉塵はもうもうと充満して
 視界さえ遮る。
 
 人型に壁をぶち破って現れた樟賈寶が、あらかじめ狙いをつけていた空間に繰り出す、
 【闖少林】――――。
 
 左右から間髪を置かず、縦横に軌道を変えて放つ連続突き!!
94鬼咒嵐:02/06/17 21:32
>59 鬼哭嵐vsギルバルス

『名前、聞いておこうか、俺はギルバルス。
 黒貴族の大吸血鬼だ』

刀から放たれた衝撃波をかわしながら少年は自らの名を名乗り、私の名を尋ねる。
敵に当り損ねた衝撃波は行き場を失い、神社の屋内を切り裂き、そのまま空へと向かいのビルへと
飛んで行った。
支えを無くした神社は徐々にバランスを崩し、違いの半分に縋る様に折り重なって倒れて来る。

私は横の壁を斬り、庭を飛び越え道路に出る。
倒れた建物の木材の煙を撒きあがらせる神社だった瓦礫の山に向かって、
私は少年―――ギルバルスに自らの名を告げた。

「本来ならばあなたに名乗る名などありませんが・・・いいでしょう。」

私は刀を両手で持ち替え、切先を地面に向けて構える。

「私は鬼咒嵐。伊勢の隠し巫女です」

再び刀に霊力を集中させる。
地面が唸り、空気がゆれ、建物も震え出す。
私は握った刀を下から上に打ち上げる様に振るう。
扇状の衝撃波は煙の中へと消え、再び衝撃波を肉眼で確認することなく、
瓦礫の山が吹き飛び、神社の背後のビルが切り倒された。


「・・・・・・こんなものではないのでしょうね。あなたの力は」
95遠野四季 ◆17thMv4s :02/06/17 21:47
>85 片倉優樹/遠野四季

 ここに来て、殺人鬼のテンションは最高に高まる。口は狂気の笑みで歪み、真紅の瞳はどんよりと濁っていた。
 ヒヒヒヒヒ、と不気味な笑い声を上げながら、殺人鬼は流れ落ちる大量の血液を、
何か愉快なものでも見るかのように、見つめている。
 だけど、そんな愉悦の時もすぐに終わりを迎えた。
 
「――――ッ!?」

 いつの間にか、少女が殺人貴の匕首を握りしめている。

「貴様……」

 先刻まで浮かべていた狂気の笑みはいったい何処へ行ったのか。
 殺人鬼の形相は静かに、しかし十二分な殺気を孕ませた瞳で、少女を睨み据えている。
 その表情は、至って真面目。悦びの感情は、もう見えない。

「オレがヒトを殺す理由。それは貴様には一生理解出来ないだろう。だが、そうだな。
分かりやすく言うと……“運命“が一番しっくりと来る言い回しだ」
 
 この少女は、人という常識から大きくかけ離れた殺人鬼ですらも知覚できないほどの神速で動いたのだ。
 その事実が、殺人貴を冷静にさせた。
 
「遠野家としてのオレの存在は消えたのに、この殺人衝動だけは消えやがらねぇ。
 分かるか? オレが人を殺し続けるのは、オレが生まれたときから決められていることなんだ」

 殺人鬼は、そっと右手の力を抜いた。匕首の柄は自由となり、その殺人武器に触れているのは少女だけとなる。
 そして、

「もう良いだろ。そろそろ黙って殺されてくれよ」

 同時。殺人鬼は少女の腹に、足で刺し殺すかのような勢いの蹴りをぶち込んだ。 
96クロウ ◆DsxKUROU :02/06/17 21:49
樟賈寶(M)vsクロウ 

『理由の無い戦い』

>93

男はバランスを崩し派手に転倒、壁を突き破って廊下へと転がっていった。
外装の強度はともかく関節の作りはやはり、同じらしい。

 問題はどう倒すか、だ。

転んだぐらいではダメージなど有りはしないだろう。
と、その時。
爆音。粉塵が視界を白く染める。

 壁越しに!?

続けざま、左右の連撃。
先程までの一撃よりはその分軽いが、それでも貰っては拙い。
後ろに飛んで――躱し切れない。
咄嗟に、伸びてくる拳に足を掛け膝のクッションを使って限界まで衝撃を殺し、
それを足場に更に後方に跳躍。

 時間を・・・

視界が悪い。足も、痺れが取れない。
オーフェンvsレイオット
>88-90

 ――突如。空間が、爆ぜた。
 何が起こったのかもわからぬままに、為す統べなく不可視の爆発の中に叩き込まれる。
 まるでミキサーの中に叩き込まれたかのように、うねる空間を縦横無尽に跳ね飛ばされていた。
 モールドの内側に包み込まれていた肉体が悲鳴を上げる――だが、爆発はまだ終わらない。

「く、お――――」

 魔法を使おうにも――スタッフはすでに彼の手の中にはない。
 かろうじて魔力誘導管がモールドとスタッフとを繋いでいたが、それを手繰って手元に引き寄せるなど、
 この状況にあっては出来るはずもなかった。そして何より――
 
 びしり――という音がやけに生々しく耳へと届く。瞬間、彼は自分の敗北を悟った。

 …………モールドの損壊。
 偶然視界に入った胸部装甲には、なんの誤魔化しも出来ないほどに、ふかふかと幾筋もの亀裂が走っている。
 途端、レイオットは全身から力を抜いていた。やれやれ――そんな言葉を呟いてみる。
 それから数秒、レイオットは更に空間爆砕の中にその身を委ねる。痛みは……もはや感じてはいない。
 
 どのくらいの時間が経っていたのだろうか。
 地面に叩き付けられる衝撃で、ほんの一瞬だけ、もうろうとしていた意識が蘇る。
 すでに、指一本動かすことも出来ない。苦笑すらも出来ずに、彼は多大な労力を払って小さく嘆息した。
 と――視線の先に、何かが見える。それは、こちらと同じ世に。力無く地に崩れ落ちた魔術士の姿だ。
 何かよく分からないが、途端に笑い出したくなる。
 
(――――あー。くだんねー)

 そんな言葉を最後に。
 レイオットは大人しく、最後まで握りしめていた意識の手綱を、あっさりと手放していた。
98樟賈寶(M):02/06/17 22:16
樟賈寶(M)vsクロウ 
 
『理由の無い戦い』
 
>96
 
 樟賈寶は笑う、手ごたえは有った。 完全な物では無いが……。
 後方へと飛んだクロウ――――― 視界は悪いがその位置はレーダーが確実に
 掴んでいる。
 
 ロックオンされたミサイルの様に、樟賈寶の巨体が疾る―――――!
 
 双手から挂拳、蓋拳、拠拳、横拳の6段式を一斉に放つ!
 
―――――必殺の、 【阿修羅憤怒弾】
 
 それは既に連撃ですら無く、無数の豪腕と化してクロウへと襲い掛かる!
99片倉優樹 ◆Y.K.lIyA :02/06/17 22:16
片倉優樹/遠野四季 「彼の名は、殺人鬼」 
>95
  
生まれながら、人を殺す事が宿命付けられている存在。  
彼はそう言った。・・・それは嘘なのに。平和に生きるための手段だって言ったのに。 
   
  
戦場での一瞬の油断は命取りになる。  
彼による強烈な前蹴り。・・・鮮痛。突然の衝撃に九の字に折れかける身体を叱咤。  
0.02秒で思考を纏め、両足を筋力増強。  
  
・・・両足への血流が倍増し、あたしの定規のように細い足が丸太のように膨れ上がり。  
自然と地面に向いた視線が補足したモノ(あたしが買った半ダースの缶ビールが入った 
袋)を次の破壊行動へのモーションへと入っていた彼へと蹴り上げた。  
100ギルバルス(M):02/06/17 22:39
◆鬼哭嵐vsギルバルス◆
>94
とんでもねぇ破壊力で神社がぶっ壊された。
「喰らってたら、焼いてないピザになってたな、こりゃ…」
崩壊の波がこっちに来そうなんで、慌てて道路の方へ壁を蹴り飛ばし飛ぶ。
(さて、あの娘の能力は…、結界と衝撃波か?
 衝撃波は縦から、横から放ったりできるだろう
 まあ、あの剣もただの剣じゃなさそうだ。
 斬られたら最悪、その場で…だな)
ステップとハミングをしつつ、娘の答えを聞く。
『私は鬼咒嵐。伊勢の隠し巫女です』

「ほう、ありがとよ。ま、最低限の礼儀だなぁ?
 巫女さんよ」
ダメ押しに挑発を入れると巫女さんも気合を入れてくれた。
空気がビリビリ震えてきやがった。

ハミングを続ける。
俺の腕じゃたいした術は使えないが、
まあ、ここの霊気があれば何とかなるだろう。
一瞬、この世界から完全に消える。
 
―魔領域の術、ブリンク―
 
一回消えると何処に出るかは分らないギャンブルだが…。
アレをまともに凌ごうとするよりはマシだろう。
消えながら、ここに来る前に秋葉原でやった、
シューティングゲームをふと思い出した。
運が良ければいい位置に出られるだろうが…。
 
『…なものではないのでしょうね。あなたの力は』
 
意識が戻ると、真後ろからその声が聞こえた。
うわ、こう言うナイスな位置かよ!
 
「ま、そうだな」
これぐらい言うのも礼儀だろうな。  
驚くのを尻目に提案する。

「まあ、待てよ。この間合いだと、どっちにとってもすぐケリがついちまって面白くねぇ。
西部劇とか見たことあるか?」
おれはそう提案する。
 
「背中合わせに二十歩歩いて、そこから勝負を決めようぜ?
 おれは術は使わねぇ。ステゴロの速さと、そっちの剣の速さ。
 それで勝負を決めようぜ」
そう言って俺は背を向けた。
このまま斬られた所で文句は言えねえが、それはそれで面白い 。
101オーフェン:02/06/17 22:40
>97
オーフェンvsレイオット
オーフェン側エピローグ

―――意識が戻る。

最初に感じたのは目に入る妙に清々しい青空と、全身を苛む鈍痛。

起き抜けのためか記憶が混乱し、なぜこんな怪我をしたのかが思い出せない。

なにかきっかけになるものが無いかと何気なく周囲を見渡す―――

・・・周囲には何か火事でもあったのか焼け落ちた屋敷の残骸が散らばっており。
そして、すこし先には鎧が倒れていた。

「・・・なんだ鎧か―――って鎧!?」

瞬間、先ほどまで何が起こっていたのかを急激に思い出した。

(っと、そうだった。俺はさっきまであの鎧と戦ってたんだった)

自分がまだ生きていること。
そして鎧はあからさまに落下したまま気絶したというような状態であること。
このことから考えるに、鎧も空間爆砕によって気絶したらしい。

(・・・とりあえず、誤解を解いて説明をしなければ)

「我は癒す斜陽の傷痕」

傷を癒しながら、ゆっくりと鎧に歩いて近づく。

「おーい、生きてるか?」

とりあえず、ぴくりとも動かない鎧に声をかける。
102オーフェン:02/06/17 22:45
>101
オーフェンvsレイオット
オーフェン側エピローグ〜2〜


『ん……ああ、まあ。なんとか』

鎧から、無事とはいいがたい声音だが返事が返る。
・・・・どうやら殺人者にはならないですんだらしい。

よく見ると鎧―――モールドの胸部には幾筋もの亀裂が走っていた。

(・・・やばっ、危うく魔族化させちまうとこだった)

下手をすれば鎧は魔族化させてしまうところだったという事実。
その事実に、今更ながら薄ら寒いものを感じながら。
そうならなかった自身の幸運―――というか悪運に感謝しつつ、鎧に向けて更に声をかける。

「あー、俺はもうあんたと戦う気は無いから安心してくれ」

そして、そのまま鎧のすぐそばまで近寄り。

「・・・・・・悪かった!」

開口一番にまず謝罪した。
(自分の勘違いで攻撃してしまい、これだけの怪我を負わせてしまった。
謝ったくらいでどうにかなるものでは無いが、謝罪はしなければ)

そして一息すって。

(・・・まずは、ここでなにがあったかの説明から始めるか)

そのまま、たたみつけるかのように鎧―――倒れたままの戦術魔法士に。
ここで起こったすべての出来事を説明し始めた。
自分が最初に攻撃した理由も含めてここであった全てを・・・
>74
吸血姫美夕vs仮面ライダーゾルダ

北岡との戦いからしばらく経って
美夕は何者かの気配を自分の周囲に感じるようになっていた
神魔とは違う、もっと異質な・・・・・これは確か

美夕が『はっ』と振り向いたとき、何時の間にか男が立っていた
まるで背後のガラスケースの中、いやガラスそのものから抜け出してきたかのように唐突に

すかさずラヴァが鎌を振るうが、男は軽々と避ける
そしてその男、神崎士郎はにやりと笑い、美夕と向かい合う。

「北岡との戦い・・・見せてもらった」
美夕の指先から炎がほとばしるが、士郎はまるで動じない
「俺には分かる、お前の力の源は理不尽な運命への怒りと悲しみ」

「その怒りと憎しみ、寂しさ、悲しみをもって戦え・・・・勝ち残ったそのとき
何者もお前を縛る事は出来ないだろう、掟も宿命も運命さえも」
士郎は美夕へとデッキケースを差し出す。

「これを手にしたときから、お前の新たな戦いが始まる、真の望みをかなえるためのな
信じるのも決めるのも自由だ・・・・・束縛から逃れたいと願うか、このまま猟犬として永遠に生かされ続けるかは」

美夕はしばらく考えるそぶりを見せていたが、意を決したように士郎へと・・・・・・・・


go to next battle?
104遠野四季 ◆17thMv4s :02/06/17 23:08
>99 片倉優樹/遠野四季

 殺人鬼は、あまり近接戦闘が得意では無い。というか、中距離戦になって始めて絶大なる力を発揮するタイプだ。
 そのために、少女を蹴り飛ばし、自分の間合いを確保しようと思ったのだが……。
 そんな稚拙な策を粉砕するかの如く、鉄板をもやすやすと貫くかもしれぬという殺人鬼の蹴りを、
この少女は踏ん張った。

「女ぁ、そんなに苦しみながら死にたいか……!」

 左腕から際限なく溢れ出す血を纏いながら、殺人鬼は跳んだ。高く、闇夜に消えるぐらい高く、彼は跳躍した。
 その下を、遅れて何かが飛び抜けていくが、殺人鬼は気付かない。
 地上から10メートルは数えるだろう、そんなところに位置する殺人鬼に、それは意識する必要も無いことだ。

「おぉ!」

 落下が始まる直前に、殺人鬼は吠える。その怒声に続くかのように、少女へと向けて左腕を薙ぎ払った。 無論、いくら少女へと向けたからと言って、縦に数メートル開いたこの間合いでは、届くはずも無く、
その一撃は虚しく弧を描く。
 だが、左腕から溢れ出す血は、バケツに入った水をぶちまけたかの如く、少女へと降り注いだ。
 
 ――――次瞬、殺人鬼の鮮血が、爆砕した。
 
 正確に言えば、爆砕では無い。霧散だろう。血が真紅の霧となり、少女の眼前に広がったのだ。
 鮮血の霧。極限まで密度を減らしたそれは、大きく広がり、風に揺られ、少女の視界から殺人鬼を消していく。
 僅かな時間もかもしれないが、それは少女の知覚から殺人鬼という存在を完全に消す――――
 
 そして、その僅かな時間が殺人鬼に必殺にチャンスを与える。
 血液の霧を切り裂いて、無数の真紅の槍……血刀が今度こそ少女を貫かんと降り注ぐ。
 
 これが、殺人鬼が間合いを開いてやりたかったことである。彼は、少女の必殺を確信した。
105鬼咒嵐:02/06/17 23:12
>100 鬼哭嵐vsギルバルス

私は道路側から鳥居の下の小さな階段をゆっくりの上り、再び境内だった場所へ戻って行く。
建物が崩れ、撒きあがった土煙が徐々に薄れると共にギルバルスの影が見えてくる。
手を翳し、指の間を通してギルバルスの影を見ると、彼の周りには魔術の類の気配が見え隠れする。
何かの術を使い、私の攻撃を逃れたのだろう。

私は土煙が消えぬ内にギルバルスの元へと気配を消しながら近づき、
背後に回り、早々にケリをつける為に刀を頭上に掲げて振り下ろそうとする。

すると、彼は私が背後に回るのをわかっていたかのように淡々と語り始めた。

『まあ、待てよ』

私は振り上げた刀をその場で保ったまま彼の話を聞くことにする。

『どっちにとってもすぐケリがついちまって面白くねぇ。西部劇とか見たことあるか?』

「ありませんが・・・それが何か?」

私は無機質に彼の問いに答えた。
西部劇と言う物を私は見た事もないし、興味もなかった。
ただ、西部劇と言うジャンルの時代劇のようなもの、そして銃で互いに打ち合うと言う
合っているかもわからない微妙な知識を持っていた。
しかし、それが今の戦闘となんの関わりがあるのだろう。
私は振り上げている刀を持つ手に力を込める。

『背中合わせに二十歩歩いて、そこから勝負を決めようぜ?
 おれは術は使わねぇ。ステゴロの速さと、そっちの剣の速さ。
 それで勝負を決めようぜ』

・・・この時、時間にしてほんの数秒だったが、かなりの思考錯誤を行った。

このまま彼の要求を受け入れてよい物なのか。
刀を振り下ろせばそれで決着がつくはずなのにわざわざ振り出しに戻すのか。
なにか罠があるのではないのか。


結局―――私が決めた結論は―――

「・・・・・・・・いいでしょう」

私は彼に背中を向け、明後日の方向を向く。
背中を向けながら、私は自分の甘さをほんの少しだけ憎み、そして彼が何故か信用に足る人物
なのではないかと、少し思い始めていた。

理由はない。
ただ、彼の妖気は決して邪気などではなく、単に強い妖怪の気。
そして、彼が何か悪さをした訳でもない・・・。
それでは戦う理由など無いのではないだろうか。

そんな戸惑いを残し、私はゆっくりと一歩目を踏み出した。
オーフェンvsレイオット
>101-102

 ……ふと、目が覚めた。
 同時に襲いかかってくるのは――猛烈な苦痛と、全身にのしかかる耐え難い疲労感。
 例の爆発で攪拌されたから……というのもあるのだろうが。
 それ以前に、この苦痛の正体をレイオットは知っていた。<アクセラレータ>の副作用だ。
 傍目にもはっきりわかるほどに弛緩しきっている肉体は、四肢を投げ出したまま、微塵も動くことはない。

 ふと――そんな彼の視界を影が覆う。仮面の内側から、視線だけをそちらに向けた。
 立っているのは……魔術士?
 彼もこちらと同様、あの爆発の中に巻き込まれたはずなのだが。少なくとも、怪我らしい怪我は見られない。

(やれやれ。こっちは満身創痍だってのに)

 苦笑――たったそれだけの動作が、レイオットにさらなく苦痛を与えていた。
 そんな肉体を疎ましく感じつつも、彼は魔術士を見上げ――
 
「……悪かった!」
「…………は?」

 思わず、声を上げる。ほんの一瞬、苦痛を忘れてしまうほどの衝撃。
 その後続けて話された内容は、実のところ半分も頭に入っていなかったのだが。
 とりあえず、はっきりとわかることはひとつだけ。
 
(――――誤解、だったのか? まったく)

 意識を失う前に憶えた、あの感情が再び浮かび上がってくる。
 いまだ魔術士が話を続けていたが、もはやそんなことはどうでも良かった。
 ただひたすらに――馬鹿馬鹿しい。
 とりあえず、相手が敵で得ないことにわずかな安堵を覚えつつ、レイオットはまぶたを閉じた。
 すぐさま、猛烈な睡魔が彼の意識を塗りつぶしていく。耳には……魔術士の声。
 子守歌にしては少々あれだが……襲い来る眠気には勝てそうもない。
 目が覚めたとき、多少でも身体が動くようになっていればいいのだが。
 
 そんなことを考えながら。レイオットは静かに、眠りの中へと落ちていく――――
 
 END
>17 VSヒーロー・アルカイザー
 
人間には味わうことの出来ない甘美なジーナの血をゆっくりと啜る。
快楽さえももたらすその味に酔いしれる私の耳に、烈人くんの絶叫が響いた。
 
「ふふっ・・・そんなに、今の私を見るのが辛い?」
 
ジーナの首筋から牙を抜き、絶叫する彼に微笑みかける。
 
「私もね、半妖だと知らされたころは辛かったんだよ。
 吸血衝動を押さえつけて・・・ね。
 ―――でもね」
 
一旦言葉を切り、抱いていたジーナを放す。
快楽のあまりへたり込む彼女を尻目に、私は幻魔を手に取り言葉を続けた。
 
「誰もね、助けになんか来なかったんだよ。救ってくれたのは白薔薇だけ。
 そして彼女も・・・もう、いない」
 
―――幻魔を抜く。私の意思を示すように。
 
「ましてや人間は、私を忌み嫌うばかりだった。
 だから私は、妖魔として生きていく。
 妖魔の君として全てを奪って、永遠に生きていくんだ。
 私にはその力がある」
 
抜き身の幻魔を、彼に向ける。
人間だったころにはするはずもなかった、そして今では当たり前の行為。
なぜなら・・・
 
「邪魔するなら・・・殺すよ、烈人くん」
 
―――今の彼は、私の、敵。
108遠野志貴 ◆sikiXlKk :02/06/17 23:24
>91>92 遠野志貴 vs 邑輝一貴(M) 「銀と蒼」

『今回は不覚でしたよ。
まさかおとぎばなしの化物を見れるとは思いませんでしから。
ですが……次はこうはいきません』

 その台詞を聞き、俺は叫びつつ飛びかかった。
 しかし、邑輝の身体が光につつまれ、同時に羽が俺の視界を白く覆う。


 ……光がおさまり、羽が空気に溶けるようにして消えた後、邑輝の姿は無かった。

「…………」

 俺は無言で立ちつくす。
 目の前にあるのは、邑輝の残した血痕。
 振り返ると、気絶した女性。

 頭を二、三度振って、ゆっくりと歩き出す。
 早めに帰ろう。
 そう思って歩き出したはずだったが、足もとがふらつく。思った以上に疲れたみたいだ。
 さっきは一瞬にして跳ね上がった階段を二段だけ下りて、腰掛けた。

「ハァ――――」

 深呼吸して、空を見上げた。


 いつもの通り、月はそこにある。いつものように美しく。


 ふと思った。アルクェイドの部屋に寄っていこう。この時間なら起きているはずだ。
 いなかったとしてもそれでいい。外に出かけるほど元気だということだから。

 そう思って、俺は立ち上がった。

「あ――」

 そこで気付いた。門限、ぶっちぎっている。

「ま、いいか」

 そう一人呟いて、俺は歩き出した。
オーフェンvsレイオット
レス番纏め
前スレ分
ttp://cocoa.2ch.net/test/read.cgi/charaneta/1023292545/467

今スレ分
>18 >19 >24 >28 >53 >57 >61 >88 >89 >90 >97
>101 >102 >106

……やれやれ。
なんでこんな目にあってるんだ、俺は?

ん? ああ……なんか言いたいことでもあればこっちに頼むよ。
いまは、えらく疲れてるんでね。
ttp://fargaia.opt.hokuto.ac/html/test/read.cgi?bbs=vampbattle&key=1019409630
吸血姫美夕vs仮面ライダーゾルダ 〜エイエンハドコニアルノ

<前スレ分>
>366 >367 >368 >369 >370 >371 >372 >373 >388 >391 >392
>395 >397 >400 >403 >437 >456
(まとめはhttp://cocoa.2ch.net/test/read.cgi/charaneta/1023292545/469

<今スレ分>
>20 >51 >64 >68 >74 >103


この番組のご意見・ご感想はこちらのあて先へ。
http://fargaia.opt.hokuto.ac/html/test/read.cgi?bbs=vampbattle&key=1019409630

作りかけのレス番まとめ。
>110
最後の1行が余分だった
レス番まとめはちゃんと完成しているのであしからず
◆鬼哭嵐vsギルバルス◆
>105
『ありませんが・・・それが何か?』
ときやがった。人間のみでここまでの能力を発揮できるんだから、
これぐらいの欠陥はあるんだろうなと思った。
 
「ま、『後で』見てみな。面白いぜ」
 
多少イヤミをいれてみる。
あ、怒りで少し赤くなってる。これ以上の挑発は無意味だな。
 
お互いに緊張しまくってる。
おいおい、チェリーじゃねえんだから、ドキドキしてんじゃねぇよ。俺。
 
しばらくの硬直があった後…、
『・・・・・・・・いいでしょう』
と、答えがあった。
 
「サンクス。じゃ、やろうぜ」
 
そのまま背を向け、一歩、一歩と歩を進める。
チェリーみたいに気持ちが浮き立つ。
渇きもさることながら、この娘は最高だ。
仲間にできたら…いいかも知れねえなと、ふと思った。
そして二十歩目に来た時、
俺は振り返り、巫女さん…嵐に目掛けて地を蹴って走る!!
 
(トリップ判定!7つの封印から、
 7文字目のトリップにてどちらが決定打を与えられたか判定する。
 7文字目が同じだった場合、大文字の多いほうが勝つ)
113鬼咒嵐 ◆JlfK40wk :02/06/17 23:59
>112 鬼哭嵐vsギルバルス

一歩、一歩が―――とても重く感じられた。


木々が揺れ―――強い風が立ちこめ―――黒い雲が空を見せる事無く流れて行く―


私は――敵に背中を向けながら歩く―――


しかし―――――


不思議と不安は無かった―――


ジャリ―――ジャリ―――ジャリ―――


踏み出すたびに――耳に届く――――砂利と靴が擦れる音――


私は歩く―――

眼を瞑り―――

全ての意識を―――御神刀へと集中させ―――


手に汗が篭る―――

唇が乾き―――微かに震える足―――


恐れているわけではない―――

しかし―――


20歩目を踏み出した瞬間、私は背後に私と同時に振り向こうとする気配を感じる。
私も、足を力の限り地面に食い込ませ、限界まで押しつぶしたバネのように強烈な勢いで
振り向いた前方の方へと飛び出す。

空中で刀を腰の辺りに鞘に収める様にして、刀を持つ逆側の手で押さえる。
お互いに黙視できないようなスピードでぶつかり合う。

その瞬間、私は刀を押さえた手を離し、居合斬りのようにして横へ
綺麗なラインを描く様に刀を振るった。


結果はどうであれ、これは運命なのかもしれない。

彼と私がこうして戦う事が。
山城友香vs祁答院マコトvsミッドバレイ・ザ・ホーンフリーク
〜I still haven't found what I'm looking for(仮)〜

OPENING

雨上がりの独特の冷えた空気。黒く濡れた路面。雲の流れる深夜の街。
薄い月明かりが照らしている。その中を友香はスクーターを走らせていた。

また親友の奈々の家で長話してしまった。奈々といると時間のたつのが早い。
友香の友達の斎木奈々。称号は“千早巫女”だが、そんなこと特別なことはない。いたって普通の女の子。
でも彼女もまた、宿命の落とし子。組織は違えど、親友のような二人。偶然が引き合わせた必然。

ただ、今夜は一つだけ不安なことがある。昼間にメディナに占ってもらったタロットの結果。
アレクサンドラ・メディナ、称号は“塔”、メディナは奈々とは少し仲が悪いが、よく遊びに行ったりする三人。
さて、その占いの結果だが………

『運命の輪の逆位置………ね、暗示の内容としては“逃れられない運命”。
 今夜は家にこもっていることを進めるわ。下手に外に出れば巻き込まれるだけ。
 まあ、そうならないのが“逃れられない運命”って暗示なんだけどね………』

メディナの占いの的中率は高い、特に悪い占いは。嫌な予感に心臓が早鐘をうつ。
「メディナの占い、こういう時は当たるんだよな〜」
とりあえず家まではもう少しだ。家に着けば不安も少しは解けるだろう。

深夜の道路はさすがに車の通りも少ない。そんな中から一台のバイクが友香に近づいている。
バックミラーに映るその影がどんどん近づいてくる。
「私………追われてる?」
何か、そういう殺気を秘めているのだ。奈々はスクーターのスピードを上げた。

友香の“逃れられない運命”の歯車が回り始めた………
115祁答院マコト:02/06/18 00:20
山城友香vs祁答院マコトvsミッドバレイ・ザ・ホーンフリーク
〜I still haven't found what I'm looking for〜
 
 OPENING -Phase:Makoto-
 
 冷たい夜気が身体の上を滑る。
 雨のあとの空気は、いつもの夜のそれよりも遙かに冷たく、硬質だ。
 そんな益体もない事を考えながら、バイクを走らせる。
 
 一人、夜の街を走る目的はただ一つ。
 無論、夜族の駆逐だ。
 
 
 
 火者の里から来た指令……いつもの抹殺指令。
 その標的を知った時、マコトの心は一瞬、揺れた。
 
 資料として添付された写真。そこで笑っているのは、同級生の少女。
 山城友香……と言ったか。
 仲の良い友達といつも一緒にいる、白子の少女。
 外見の異質さを気にもさせない、どこか抜けていて憎めない、そんな娘。
 
 だが、彼女が人でないのなら。
 ……滅ぼすしか、無い。それが、火者の宿命。
 
 
 
「……出て、来たか。」
 
 ずっと張っていた友人宅から、友香がスクーターに乗って出ていくのを見つけた。
 いや、家に帰るつもりなのだろう。
 
 好都合だ。
 一人でいる時であれば、他に累も及ぶまい。
 
 ゆっくりとバイクを発進させる。
 まずは気付かれないように尾行する。
 そして、大通りに出たあたりで、逆に気付かれるように、少し前に出る。
 僅かずつ、車間を詰めるように、プレッシャーをかける。
 こちらの思惑通りに動くように。
 
 右に逸れそうなら、右をブロックするように車体を振る。
 左でも同様。
 スピードを上げて振り切るのも不可能。750ccのバイクにスクーターが敵うワケもない。
 
 目的地は、人気のない倉庫街。
 そこなら、被害が出てもなんとでもなる。
116アルカイザー(M):02/06/18 00:20
>107
アルカイザーVSアセルス 「追憶の果てに! 針の城・悲劇の決戦」


何を言っているんだろう、アセルス姉ちゃんは。


最早彼の耳に入ってくる言葉は、記号としてしか意味を為していない。
そしてその内容を、彼は理解できない。いや、しようとしない。

彼女のこれまでの苦しみも辛さも、彼は分け合えることができなかった。
結局彼は、彼女との約束を果たせなかった。
側にいることが、叶わなかった。


守れなかった。


今、第三者が此処にいて、全ての事情を知っていたとしても。
誰も彼を、アルカイザーを責めることはできないであろう。
だがしかし、彼の本質が優しすぎる故に。
彼は変貌してしまった彼の姉を前にして、
自分を責める事しかできなくなっていた。

だから、その目の前に剣の穂先が向けられても、
アルカイザーは身動き一つとろうとはしなかった。

「邪魔するなら・・・殺すよ、烈人くん」

向けられた明確な殺意も、今の彼にとっては何かの冗談としか思えない。
ただ、無気力に立ち尽くすのみ。
それが、今の彼・・・「小此木烈人」にできる全てだったのだ。
山城友香vs祁答院マコトvsミッドバレイ・ザ・ホーンフリーク
〜I still haven't found what I'm looking for〜

導入〜ミッドバレイ〜

人気の無い倉庫街……
目の前に積まれた麻薬の山……
そして、眼や鼻から血を吹き出した男……
そんな光景を見ても、俺の心は平静そのものだった。
当然だ。この男は、たった今俺が殺したのだから。
同情の心は無い。世界規模の麻薬シンジケートを敵に回したときから、命を失う覚悟はできていたはずだ。
ターゲットの死を確認すると、俺は足早にその場を立ち去ろうとする。
誰かに見られる可能性があるし、何よりこの湿って冷たい空気が気に入らなかったからだ。
しかし……

「………!?」

近付いてくるエンジン音を聞き、手近な物陰に身を隠す。

「距離は1Km余り……スクーターの後をバイクが追っている……」

聞こえてくる音から、状況を判断する。
何のためにここに来たのかは知らないが、このままではまずい。
このまま死体が見つかれば、現場を離れる余裕が無くなる。何より、姿を見られたら終わりだ。

「止むを得んか……」

都合が悪くなればすぐに動けるよう、俺は愛用のサックスに手を掛けた……
 
118ギルバルス(M):02/06/18 00:23
◆鬼哭嵐vsギルバルス◆
>113
(トリップ判定:w>9 鬼咒嵐の勝利!)
お互いに最高にノッてると信じたい。
好きなように生きてきた。好きなように死ぬのもまたいいだろう。
最高にハイな気分で嵐へと走る。
サムライの居合。
神域の速度で振られた剣圧は、完膚なきまでに俺をぶち壊してくれた。

俺の体をバラバラに引き裂き、まるで、群島のように撒き散らしてくれた。
あ、海みてぇだな…。俺から出た血はよ…。
 
とりあえず、負けは負けだ。
勝者に一言言ってからくたばってやろう。
「よう、おめでとう。嵐、お前さんの勝ちだ」


この状態では再生もままならねぇ。
ま、いい人生だったとでも思うか。
 
不意に、ヴィジョンが浮かんだ。
二人の男が同じ剣を持って斬りあっている。
その横で嵐も剣を振るっている。
ああ、そうなのか。
そのまま、大笑いをつい上げちまった。

「ああ、そうなのか、天の龍か、がんばれよ」
>117

山城友香vs祁答院マコトvsミッドバレイ・ザ・ホーンフリーク
〜I still haven't found what I'm looking for〜

振り切れない………友香は直感的に感じた。
右に動けば、右を封じられ、左に動けば、左を封じられる。
スピードはもとより運転技術の問題だ。気がつけば、倉庫街に誘導されていた。
ただ、倉庫街のような細い道なら小回りのきくスクーターにも勝ち目はある。
まずは突然左に曲がる、攪乱戦術かどうかは解らないが………

とりあえずは振り切れた。あとは、家に向かって一直線。
と、思ったのだが、ここで友香は迷っていることに気がついた………

「どうしよう………、迷っちゃった」

一旦、スクーターを止めて、あたふた、おろおろ。
しかし、いつまでもこうしているわけにはいかない。追われている………
確証はないのだが、胸の警報機がガンガン鳴っている。闇の本性なのかは知らないけれど。
ただ、迷っていても此処は倉庫街。目の前には無機質な倉庫の迷路。
どうも、初めてきた場所は苦手らしい。目の前の広がるよどんだ都会の海。

「あれ?何でだろう〜………?!」

ライトの前に人影、どうやら倒れているようだ。おそるおそる近づいてみる。
ただでさえ白い友香の肌から血の気がひいてゆく………男の息はすでにないようだ。

「きゃぁぁぁぁぁあああああああ」

突然のことに友香は悲鳴を上げていた。追跡者に気づかれることも忘れて………
120祁答院マコト:02/06/18 00:27
山城友香vs祁答院マコトvsミッドバレイ・ザ・ホーンフリーク
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>119
 
 ……しくじった……
 倉庫街に追い込んだはいいが、上手い具合に撒かれた。
 小回りの利くスクーターならではの逃げ方だ。
 
(さて、と……どうするか)
 
 能力を持たないマコトでは、追跡もままならない。
 それでも、追わなければならない。
 
 そんな事を考えていると、悲鳴が聞こえた。
 ……山城友香の声だ。
 
(……何があった? いや、それはいい。わざわざ位置を知らせてくれるとは……ありがたい!)
 
 悲鳴のした方へバイクを走らせる。
 そう離れていない、倉庫の一つが悲鳴の発信源。
 
 バイクのライトが、倉庫の闇を明るく照らす。
 そこに浮かんだのは、立ちつくす白い少女とその足下に倒れ伏す男。
 男の頭部からは、じわじわと血が流れ、広がっていく。
 
「……堕ちた、か……」
 
 ぽつりと呟く。
 人と魔の間にあるものが、人を殺す。
 それはすなわち、目の前の少女が、人に仇なす道を選んだ証。
 
 ヘルメットを脱ぐ。
 長い髪が、ぱさりと広がる。
 ……暗殺者が顔を見せる。それは、死の宣告と同じ。
 
「……山城友香……お前を滅ぼす」
 
 拳を固めながら、言い放った。
山城友香vs祁答院マコトvsミッドバレイ・ザ・ホーンフリーク
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「最悪だな……」
 
今考え得る最悪の事態に、俺は思わず毒づいた。
突然倉庫に飛び込んできた少女は、思いっきり死体を見てしまった。御丁寧に、大声で叫び声まで上げてくれる。
 
「これ以上放っては置けんか……」
 
少女を始末するため、大きく息を吸い込む。だが、その呼吸はバイクの爆音によって遮られた。
あろうことか、もう一人大柄な女が入ってきたのだ。
 
「クソッ、バイクのことを忘れていた……!」
 
女が何やら言っているようだが、焦っている俺の耳には入らない。
俺は頭をフル回転させると、打開策を考え始めた。
 
「衝撃波を指向性を持たせたまま拡散させれば、その分威力は落ちる……だが、この状態では二人同時に始末しないと拙いことになる……止むを得まい!」
 
決断を下すと、俺は物陰から二人に向かってサックスを吹いた。
ただ吹いただけではない。息の加減とキーの操作によって、衝撃超音波(ウルトラ・ショック・ソニック・ウェイブ)を脳に向かって放ったのだ。
並みの人間なら、さっきの男のように脳が中から爆裂して死ぬだろう。
何の関係も無い、しかも少女を巻き込んでしまったことにわずかな後悔を覚え、俺は目を閉じた。
しかし……
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>121

悲鳴を上げて友香はやっと気づく。そうだ、追われているのだ………
バイクの音が近づいてくる。目の前には死体。当然のように、あたふた、おろおろ。
パニック状態の友香を無視して、無情にもバイクは刻一刻と友香に近づく。
そして、バイクから体格のいい同じ年の頃合いの少女が降りてくる。
さて、友香の目の前には………死体。

「堕ちたか………」

ぽつりとつぶやく目の前の少女がつぶやく。………勘違い?
ヘルメットをはずすとシャギーの入った洗いざらしの髪がサラリと流れる。
友香に向かって放たれる殺気、冷たいまなざし………そして、勘違いを決定づけるとどめの一言。

「………山城友香………お前を滅ぼす」

拳を固め、構えを取る少女。もう友香には何がなんだか理解できない。
すでにメディナの占いのこともすっかり頭の中から消えていた。

が、しかし、次の瞬間に二人を襲ったものは予想外のものだった。
突然流れる“ぶおん”と言う轟音に空気が揺れる。風のようなものではない。衝撃波だろうか。
一つ救いだったのはその威力が弱かったこと。これなら、吹き飛ばされるぐらいですみそうだ。

吹き飛ばされる友香、その先には例の少女が待っているわけだが………
123祁答院マコト:02/06/18 00:34
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>122
 
 拳を固めた瞬間。
 
 ぶおん!
 
 まるで、空気そのものが発したかのような轟音が響いた。
 それと同時にまるで身体全体を揺らすような衝撃。
 吹き飛びそうになる身体を必死で支える。
 
 何とか耐え抜いたそこに、山城友香が吹き飛ばされてくる。
 
(な、なんだと!?)
 
 困惑しながらも、身体は勝手に動いた。
 
 山城の身体を抱きとめる。
 しかし、衝撃の余波か、バランスを崩す。
 
「うわぁっ!?」
 
 そして、二人は絡まりながら地面を転がる。
 先に気が付いたのは、やはりマコトの方だった。
 腕の中には、無防備な姿で山城がいる。
 
(……ここで、拳を振り下ろせば、終わりだ)
 
 判ってはいても、身体が動かない。
 甘い、と断じられるかも知れないが、これが人としての感情。
 祁答院マコトがまだ『殺人機械』でないと教えてくれる唯一のもの。
 
「……山城、とりあえず、散開するぞ。固まっていてはいい的だ」
 
 言って、山城を放り出し、自分は逆方向に走る。
 まずは、牙を剥く気配のない山城よりも、先程の衝撃波の主を倒すのが先決だ。
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>123
 
「なんてことだ……!」
 
目を開けた瞬間、あってはならない事態に俺は顔をしかめた。
プロの暗殺者が、ターゲット、しかも素人を殺し損なったのだ。
動揺して放った衝撃波は本来の威力を大きく削がれ、二人を吹き飛ばすのみに終わってしまった。
悪いことは続くもの、背の高い女は俺を捜し始めたようだ。
 
「こうなったら、正面から一気に仕留めるか……」
 
あまり好きではないが、姿を晒しての戦いを決意する。背の高い女はかなり喧嘩慣れしているようだが、まさかサックスから衝撃波が出るとは思わないだろう。
覚悟を決めると、サックスを抱えて物陰から飛び出した。
 
「お嬢さん方、こんな所で何をやっているんだ?」
 
相手を驚かせて動きを止めるため、極力明るく声を掛ける。
 
「ああ、俺のことは気にしないでくれ。しがないジャズミュージシャンだから……!」
 
二人の何か言いたげな視線に答えると同時に、サックスに息を吹き込む。今度は迷いも動揺も無い、すこぶる良好な演奏だ。
圧倒的な質量を持った空気の波が、二人に襲い掛かった。
 
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>124

………闇の眷属とはいえ、元は女子校生だ。目の前の少女のように鍛えているわけでもない。
簡単に吹き飛ばされる。さて、その前には先の女子校生がいるのだが。
………友香を受け止める。しかし、衝撃波の余波だろうか、バランスを崩して二人は地面を転がる。
なんとか、取り直して、二人が立ち上がる。ただ、彼女の顔が少し曇ったのが気がかりだが

「いてて〜、助かりました。ありがとうございます」

友香はそんなことも気にせず制服に付いた砂を払ってぺこりと礼をする。
それに対して、再び彼女の顔が凍りつく。しかし、すぐに臨戦態勢に入った。
この身のこなし、先刻の殺気から察してアサシンだろう。しかし、当の友香が気づいていないが。
そして彼女は、衝撃波が来た方に向き直した。そして、友香にとって意外な一言が彼女の口からでる。

『……山城、とりあえず、散開するぞ。固まっていてはいい的だ』

そういって、友香を追ってきた女子校生は走って音の方向に向かっていった。
しかし、友香の頭をよぎったのは………

(なんで、私の名前を知っているんだろう………)

全く、お気楽な友香ちゃんである。アサシンなら抹殺対象の名前を知っていることぐらい当たり前だ。
しかし、普通は全く普通の女子校生として暮らしている友香の頭にはそこまでの思考力が働かない。
もう一つの原因は、闇の眷属の血を本能的に魔力で押さえているせいでもあるのだが………
全身からの気力と思考力が落ちるらしい。友香の天然はそこから来るらしい。まあ、ボケは天性なのだが。

そして、二人の目の前にまた場に似合わない男が登場する。走っていた彼女の足が止まる。
首からバリトンサックスをぶら下げた、白いスーツの男。そして、一言

『ああ、俺のことは気にしないでくれ。しがないジャズミュージシャンだから……!』

明らかに場違いな発言だ。怪しさ爆発である。だが、しかしその言葉を信じきる友香。
全く、戦場には不向きの普通の女子校生である。闇の眷属の血さえなければ………
そして、男はサックスをくわえて、息を吹き込む。がッ、その刹那………

『……ッ……雷、穿ッ!!』

その叫びと共に友香を助けた彼女が地面を叩く。コンクリートの地面が轟音を立てて爆発する。
爆発から生み出さたる衝撃波が友香を襲う。再び、吹き飛ばされた友香が宙に舞う。
今度は誰も助ける手立てはない。地面に叩きつけられる友香。運悪く頭から………
頭から、蒼い血が流れる。そして………友香の瞳の色が赤から蒼に変わる。
友香にの中に眠る忌まわしい狂気の血“ブルーブラッド”が、ついに、 覚 醒 し た … … …
126祁答院マコト:02/06/18 00:39
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>124>125
 
 サックスを持った、白いスーツの男が、物陰から現れた。
 こんな倉庫街に不似合いな男。
 
 サックスを、持った……?
 
「……貴様、ミッドバレイ・ザ・ホーンフリーク……『音界の支配者』かっ!?」
 
 聞いた事がある。
 その超人的な音感を以て、世界に満ちる音を読み取り……それを武器に変える暗殺者。
 『音界の支配者』ミッドバレイ・ザ・ホーンフリーク。
 
(だと、したら……今のヤツは、バズーカをこちらに向けているも同じ……!)
 
 だが、気付くのが遅すぎた。
 既にミッドバレイは、死の息吹をサックスに吹き込んだ。
 
(ヤツの衝撃波が『音』ならば……打ち消す事が出来るのはやはり『音』!)

 迷っている暇はない。
 
 背後に庇った山城を、左手で突き飛ばす。
 
 素早く、右の雷穿甲の装薬を全て炸裂部に流し込む。
 通常量の十倍近い量の火薬が、雷穿甲の隙間から溢れる。
 
 そして、その右拳を床に叩きつけた。
 
「……ッ……雷、穿ッ!!」
 
 怒轟ッ!!
 
 床が、爆発した。
 常の数十倍の爆音があたりに木霊する。
 
 音は波紋であり、波紋はより強い波紋にかき消されるもの……
 衝撃波は、爆発の轟音の前に乱され、消えた。
 しかし、完全に消滅したわけではない。
 衝撃波の残滓が、マコトの身体をシェイクする。
 
「が、ぐふっ……!!」
 
 口元から、血がしたたり落ちる。
 
 その上、無茶をした右拳はボロ布のようになっている。
 ヘタをすれば、右肩までイッているかも知れない。
 
 ……だが、祁答院マコトは死んでいない。
 拳の痛みも、身体全体の痛みも全て押し潰して、前に出る。
 
 その時、背後に凄まじく禍々しい気配を感じた。
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>125>126
 
衝撃波を放ち、俺は今度こそ全てが終わったことを確信した。
生物の脳に振動数を合わせた衝撃波は、脳のみを破壊し尽くす。どんな防御方法を取ろうと無駄だ。
だが、その確信は程なくして驚愕に変わった。
背の高い女が拳を地面に打ち付けた瞬間、強烈な爆発が起こったのだ。
 
「なんてことだ……!」
 
空気を揺らす爆風に吹き飛ばされながら、俺は己の不運を嘆いた。
『音には音で』
誰もが思い付くが実現の難しいこの方法を、あの女はやってのけたのだ。衝撃波は爆音と爆風に撹乱され、またしても威力を削がれてしまう。
この女、喧嘩慣れどころか、かなり戦い慣れているようだ。それに、俺のことを知っていた……?
 
「なるほど、“火者”ってわけか……実物を見るのは初めてだな」
 
起き上がりながら呟く。
日本に化け物を狩る一族がいるってことは、話には聞いていた。あの女が火者なら、今の迅速な対応も頷ける。
だが、衝撃波を相殺するために起こした爆発で、女の右腕は使い物にならなくなったようだ。
今なら始末できる……
サックスを構え直したところで、俺は一つの事実に気付いた。
 
「待てよ……あの女が火者だとすると、追われていた奴は……」
 
その瞬間、背中を強烈な悪寒が駆け抜けた。ヤバいものが近付いた時の、あの独特の感覚……
俺は、今日が日本で言う「厄日」であることを確信した。
 
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>127

頭から流れる蒼い血は、紛れもない闇の眷属の証明。
赤から蒼へと変わる瞳の色、友香の中の魔力が解放される合図、すなわち覚醒の証。
これがメディナの占いの暗示“逃れられない運命”なのだろうか。

「あはははっ、あははははははっ………」

際限のない狂気に満ちた笑い声。闇の眷属本来の狂気、本性。
まあ、それも人間に言わせればなのだろうが………

しかし、最近は“ブルーブラッド”が覚醒することが増えた。
友香の中に眠る闇。いつか、友香もそれに飲み込まれてゆくのだろうか………
思考力が上がる…というか、本来の状態に戻った友香の心の中にはそれに対しての怯えもあった。
しかし、それを振り払うほどの狂気の奔流、衝動。まるで流れていくように………

「いいわ、そんなに贄になりたい?………………はあぁぁあ、發ッ」

一言の後に友香の口から、梵語による呪文が紡がれる。本能の領域の記憶。
空間が曲がり、拳大の鈴のついた錫杖が現れる。友香がそれを手に取る。
“ヴァジュラ”インドラ神、帝釈天の稲妻を呼び寄せる錫杖。空には雨雲、都合がいい。
シャンッという鈴の音と共に空から、両者に無数の稲妻が放たれる。

「あははははははッ」

友香の瞳は自らの恐れていたはずの闇の眷属の狂気と快楽に満ちていた………
129祁答院マコト:02/06/18 00:48
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>128
 
 轟音、そして落雷。
 もうもうと土煙が上がる。
 
 土煙が晴れるにつれ、その中央に二つの影が見て取れる。
 マコトとミッドバレイ、二人とも健在だ。
 
 落雷の直撃を受けながら、何故無事だったのか?
 
 答えは、二人の周りに突き立った何本かの鉄パイプ。
 倉庫の荷の中から引っ張り出したそれが、避雷針の役目を果たしていたのだ。
 
「……ミッドバレイ、提案がある」
「この場限りだが、手を組まないか?」
 
 魔に覚醒した山城は、雷すら自由に操る化け物だ。
 これを確実に滅ぼすには、一人では力不足なのは間違いない。
 そうであれば、手を組める相手とは手を組むのが得策だろう。
 酷く打算的ではあるが、他に手はあるまい。
 
「……援護を、頼む」
 
 マコトは一方的にそう言って、ミッドバレイの返事を待たずに、低い姿勢で飛び出した。
 その様は、まさに弾丸。
130鬼咒嵐:02/06/18 00:49
>118 鬼哭嵐vsギルバルス

手応えはあった。確実に。

しかし・・・とても喜ぶ気にはなれなかった。
私は刀を急いで手から体の中へ戻し、辺り一面を覆っていた結界を解いた。
振り向くけばそこには何事も無かったかのよう仁元通りになって佇んでいる神社と建築物。
そして、痛々しいほどの地の海と、私の手で斬り話されたギルバルスの肢体が転がっていた。

『よう、おめでとう。嵐、お前さんの勝ちだ』

何かのゲームでも楽しんだ後のように軽い声で私に話しかける。
その少年の姿が私には辛く、彼の姿を直視できずに俯いていた。

思えば私の勘違いから始まった戦いだった。
偶然に刀隠神社へ通り、彼の妖気を感じ、何もしていない彼をこんな姿にしてしまった。
全ては私の責任・・・。
だというのに彼は、その事を怨みもせずにこうして私を祝福する。
その気持ちが私にはとても耐えられない物だった。

不意に涙が零れ落ちる。

そうか―――さっきのは戦いの恐怖だと思っていたけれど―――



         この悲劇が怖かったのね


『ああ、そうなのか、天の龍か、がんばれよ』

彼が息も絶え絶えに私に話しかける。

このまま彼を死なせるわけにはいかない。
そう思った私は彼が妖怪だと言う事も忘れ、彼の肢体を抱えて
近くの病院へと運ぶ、屋根の上を飛び、回りの視線も気になる。

しかし、このまま何もせず、彼が息を引き取るのを待っているのだけは嫌だった。


何もしないで、そこにいるよりも無駄とわかっていても何かをしたい。

自分勝手に戦いを始め、そして自分勝手に彼をこんな姿にした私が・・・

・・・自分勝手に必死に足掻いた。


近くの総合病院へと彼を運び、そのまま治療室へと運ばれる姿を見届けた私は、
彼の無事を祈りながら国会議事堂へと足を運ぶ。
彼の安否を確認もせずに立ち去るのは嫌だった。
しかし、私にはやらなければ行けない事がある。
だから、私は行かなくてはいけない。


今度、彼に会うときには人の世界のある地球の上で謝りたいから・・・。

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>128>129
 
生き残るための、本能のようなものだった。
咄嗟に鉄パイプを掴むと、地面に突き刺して自分は離れる。ふと横を見ると、女の方も同じ策を取っていた。
 
轟音と閃光
 
目がチカチカするが、自分と女の心音は確認できる。
 
『……ミッドバレイ、提案がある』
『この場限りだが、手を組まないか?』
 
女が意外なことを言ってきた。
確かに、目の前の化け物は俺の手に余る存在だ。だが、さっきまでターゲットにしていた奴と手を組むのは……
俺の答えを待たずして、女は飛び出していった。例えるなら、風か弾丸か……
 
「迷ってはいられんか!」
 
今優先すべきは、何よりも生き残ること。
飛び出した女を援護すべく、俺は衝撃波を放った。
 
>116 VS臆病者のヒーロー
 
・・・動かない。
私が剣を向けても、彼はまったく反応を示さない。
 
「どうしたの? 君はヒーローなんでしょ?
 愚かな人間たちを守るんじゃないの? 君は私の寵姫となったあの子達を救い出すために
 ここまで来たんじゃないの?」
 
そう言ってみても、彼はやっぱり動かない。
 
・・・なぜだか、ひどくイライラしてきた。
 
 
(『うん、おれ強くなるよ』)
 
 
下で、あんなに派手に門を壊すぐらいなんでしょ?
 
 
(『強くなって、母さんも藍子も、アセルス姉ちゃんも守る!』)
 
 
なのになんで黙ってるの? 君は私の敵なんだよ?
・・・ああ、もう面倒くさい。
面倒くさいから―――死んで。
 
 
剣を振り上げ、一気に間合いを詰める。
そのまま、彼に向かって振り下ろす。
 
・・・気がつけば、そんなことをしていた。
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>131

響き渡る無数の鈴の音と共に繰り出される上空からの無数の落雷。
これで贄、二人………しかし、友香の目に飛び込んできた光景は意外なものだった。
無数の鉄パイプ、そしてそれらから上がる土煙。その中央には、二人が立っている。

「無事………?まあ、いいけど、楽しめそう」

友香の手からヴァジュラが消滅する。無論、故意に……だ。
そして、友香の口はついに禁呪を紡ぎ出す。魔剣を呼び出す禁呪………と、その時。

『……ミッドバレイ、提案がある』
『この場限りだが、手を組まないか?』

………共闘宣言だ。友香にとっては、もはや都合がよかった。二人まとめて贄にしてあげる………
そう言った直後、アサシンが動いた。早さは弾丸並み。
しかし、攻撃はこれだけにあらず。白スーツはもう一度サックスを構える。
………衝撃波ッ。多少の再生能力はあるとはいえ、まともに受ければ、ひとたまりもないだろう。
まあ、一時のことだが、この場合では致命傷。次に来るアサシンの攻撃でThe_End………のはずだった。
一瞬諦めかけた、その時……衝撃波が………消えたッ?
メディナが友香に手渡していた7枚の護符があたりに散らばる。

『“逃れられない運命”だから、回避策はないとしても、とりあえず持ってきなさい。
 何もないより、ましなはずよ。はいっ、友人の忠告は素直に聞いておくものよ………』

最初は、ドジな友香を守るはずだったメディナが手渡した7枚の護符“ソロモン王の七つの鍵”
しかし、メディナの予想に反して、化け物と化した友香を救う結果になろうとは………
だが、友香に迷いが生じているのも事実。覚醒したとはいえ、記憶は此処にあるのだから。
メディナと奈々、そして私がいる、そんなありふれた日常の記憶が………

しかし、無情なアサシンの攻撃は友香に迫る。このままいけば、二人は容赦なく私を殺すだろう。
何故って?二人は殺し屋だから。覚醒した友香ならそこまでの頭も回る。
私が死ぬ?そしたら………奈々ちゃん、メディナ………きっと悲しむだろうな………
だったら、この二人を倒す。倒して日常に帰る。私には、帰る場所があるんだから。
待っててね………奈々、メディナ。いま、行くから。

アサシンの素早い攻撃………友香の身体が消える。ゼロ距離テレポート。
たとえ、闇の眷属の力が強くなったからとはいえ、超能力集団E.G.O.の端くれ、このくらいの芸当は出来る。
そして、友香は目の前と後ろの二人に向かって叫んだ。

「ごめんなさい、覚悟決めたから………私は帰るわ、自分の居場所に。
  そのためにあなた達には贄になってもらう、私が日常に帰るための贄に!!!」

そして、友香は再び禁呪を紡ぐ。魔剣、ストームブリンガーを呼び出す禁呪を………
134ギルバルス(M):02/06/18 01:07
◆鬼哭嵐vsギルバルス◆

闘争纏めだ。
>45>46>49>52>54>56>59>94>100>105>112>113>118>130
 
ん?あの後、俺がどうなったかって?
大変だったぜ?
思いっきり語ってやりたいが、そいつは別の話にしておこうか。
ああ、頬を思いっきり張り飛ばされたのは秘密だ。
 
感想、その他はこっちのアドレスの場所で頼む。
http://fargaia.hokuto.ac/html/test/read.cgi?bbs=vampbattle&key=1019409630
135祁答院マコト:02/06/18 01:08
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>131>133
 
 弾丸の如き疾走。
 そして、その疾走のエネルギーをそのままに拳が振るわれる。
 撃滅の意志を込めた拳が、山城の身体を捉えた……
 
(……なんだ、軽い……!?)
 
 空気に拳を打ち込んだように、まるで手応えがない。
 勢い余って、走り抜けてしまい、たたらを踏む。
 だが、その勢いを生かして、方向転換、山城に向き直る。
 
(……まさか、零距離テレポート……?)
 
 能力者の中には転移能力を持つものもいる。
 彼らがよく使う回避手段が零距離でのテレポートだ。
 それとよく似た感覚。
 
 頭の中で、山城友香のプロファイルを繰り直す。
 
(そうか、E.G.O.の一員でもあったか)
 
 超能力集団であるE.G.O.……その構成員であれば転移能力があっても不思議ではない。
 そのことを思い出し、気を引き締め、拳を構え直す。
 
 そのマコトに対して山城が叫ぶ。
 それは宣戦布告。
 生命を賭けた戦いの始まりを告げる宣言。
 
「……いいだろう。私も、手加減は、しない」
 
 かちり。
 
 マコトの中で、スイッチが入った。
 人であって、人でない……魔を滅するもの『火者』となるスイッチが。
山城友香vs祁答院マコトvsミッドバレイ・ザ・ホーンフリーク
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>133
 
俺の衝撃波と女のコンビネーション。即席にしては完璧な連携。
並みの人間……いや、並みの化け物であろうと、これをかわすのは不可能なはずだった。
だが、俺が見たのは化け物が倒れる光景ではなく、何らかの方法で音を消して攻撃をかわす光景だった。
 
勝てっこない……
 
想像を遥かに超えた力に、足が震えてくる。
しかし、化け物の放った言葉が俺の震えを止めた。
 
『私は帰るわ、自分の居場所に』
 
帰る……?
そうだ……俺も帰りたい。自分の場所へ……あのジャズバーへ。
そして、また音楽を楽しみたい……!
 
「結局、やりたい事はお互い同じってわけだ……」
 
目の前の化け物に対して、俺は共感さえ感じ始めていた。
しかし……
 
『そのためにあなた達には贄になってもらう、私が日常に帰るための贄に!!!』
 
「悪いが、それはこっちのセリフだ」
 
二つの意志がぶつかった時、生き残るのはより強く信じた方……!
たとえ相手が化け物だろうと、それは変わらないはず。
生き残るため、帰るため……
俺は懐の45口径拳銃を引き抜き、照準を化け物の頭に合わせた。
奴は今、呪文か何かの準備中……恐らく、あの消える術は使えない。
弾丸にひるんだところで、本命の衝撃波だ……!
頭を吹き飛ばしてやる!
 
137アルカイザー(M):02/06/18 01:36
>132
アルカイザーVSアセルス 「追憶の果てに! 針の城・悲劇の決戦」


アセルスの剣が風を切り裂き、アルカイザーの眉間を目がけて振り下ろされる。
此処に来て彼の脳裏に現れる、明確な死のイメージ。

死ぬ。このままおれは死ぬ。
死んで全てが終わる・・・。

『・・・・・・ド!』

アセルス姉ちゃん、ゴメン。

『レ・・・た・・て・・・!』

おれは結局、守れなかったんだ。

『た・・・レ・・・ド!』

大切な人一人守れなくて、何がヒーローだ。

『ちょ・・・まち・・・いよ、 レ・・・』

おれが死んだら、姉ちゃんはおれを許してくれるかな?

『ちょ・・と・・・聞いて・・・』

もし許してくれるんなら、こんな命なんて――――。

『待ちなさいよ、レッド!!!』

よく通る声が、烈人の脳裏に響き渡った。

「ゆ・・・ユリ・・・ア・・・?」

『あなた、こんな所であきらめちゃうの!?』

本来、ここに在る筈のない声。聞こえるはずもない声。
だが、事実として彼女の声は、彼の頭の中で反響している。

『あなただけでかってに自己完結して、それで死ぬって? 何様のつもりよ!!』

嘘だ。彼女が、こんな事を言うはずはない。
そもそもユリアは、アルカイザーの・・・彼の正体を知るはずがない。
烈人は、そう自分に言い聞かせた。
これは、自分の中のかってな妄想に過ぎない。
だが、声は止まることなく響く。

『ちょっとは残された人の気持ちになって、考えてみなさいよね!』

(そう・・・か。ユリア・・・。)
彼の脳裏に、懇意になったキグナスの乗務員の顔が浮かぶ。
ユリア・・・ホーク船長・・・そして、みんな・・・。
自分にはまだ、待ってくれている人がいる。

「それにあなたには、やるべきことが残っているんでしょう!? それすら果たさないで死ぬつもりなの!?」

そう、やるべきことがある。自分から全てを奪った、ブラッククロスを潰す。
そして元の、平和な暮らしを取り戻す――
138アルカイザー(M):02/06/18 01:57
>137続き
アルカイザーVSアセルス 「追憶の果てに! 針の城・悲劇の決戦」


「おれはまだ、死ぬわけには行かない!!」

叫びは自然と、発せられていた。
後は半ば自動的に、身体が動いた。

腰元から銃の早撃ちよりも素早い仕草で、長い箱状の物体を取り出す。
それを強く握り締めると、瞬時にして光の刃が生まれ出た。

彼の専用剣・・・「レイブレード」である。

そして、一瞬の交差。

真紅の妖しい輝きと、眩いばかりの閃光が交わり、
華々しい色のコントラストを生み出す。

正に間一髪でアセルスの剣撃を受け止め、烈人、否、ヒーロー・アルカイザーは
明確な意思を込めて言った。

「そうだな・・・姉ちゃん。なんだかんだいっても、俺はやっぱり死ねないよ」

ぎりぎりと、剣を握る手に力を篭めながら、更に告げた。

「できれば、手を引いてくれないか・・・? おれは・・・姉ちゃんを殺したくない」
>138 VS綺麗事を言うヒーロー
 
私が振り下ろした剣は、間一髪で彼の生み出した剣に阻まれた。
・・・やっぱり死ねない、か。
 
でも、私に手を引けだなんて・・・甘いよ、烈人くん。
私はもう、後には引けないし・・・引くつもりもないんだから。
 
「・・・ねえ、烈人くん。藍子ちゃんは元気?」
 
剣を合わせながら、不意に言葉を切り出す。
彼の問い・・・いや願いには答えずに。
 
「あのころから可愛かったよね、藍子ちゃんは。
 きっと今じゃとびきりの美人になってるんだろうねぇ・・・」
 
剣を押しもせず、だからといって引くこともせずに合わせたまま、
言葉を切ってクスクスと笑ってみせる。
あえて口の端に、牙を覗かせるようにしながら。
 
言葉の意味を、彼は理解できただろうか。
どちらにしても、私はただ剣を合わせるだけ。
彼が私に殺意を向けるのを待ちながら・・・あるいは、祈りながら。
140アルカイザー(M):02/06/18 02:51
>139
アルカイザーVSアセルス 「追憶の果てに! 針の城・悲劇の決戦」


「・・・ねえ、烈人くん。藍子ちゃんは元気?」

藍子?  藍子・・・だって?
何でその名前が、今姉ちゃんの口から?

小此木藍子。小此木烈人の愛すべき家族の一員。
彼と血を分けた、実の妹。

何が言いたいんだ? 姉ちゃんは。
そもそも、藍子はあの時―――

そう、あの日。ブラッククロスの襲撃により焼け落ちる家屋とともに、
藍子は、母親共々姿を消した・・・そのはずだった。
だが、もし、彼女が生きていたとしたら?
そして今、このファシナトゥールで、生きているのだとしたら?
全ては推測の域を出ない。当然、彼の家族の事をよく知っているアセルスが
仕掛けた妄言である可能性もある。
だが―――

「・・・どういうことだよ? アセルス姉ちゃん」

静かな声とともに、アルカイザーは突然レイブレードの柄を握る
左手を外した。
突如力の均衡が崩れ、両名の剣が大きく横へ流れる。
その隙を見逃さず、アルカイザーは素早く空いた左手で、
アセルスの利き腕を掴む。

アセルスの剣を片手で受け止めながら、掴んだ腕を、尋常ではない握力で
締め上げながら、アルカイザーは押し殺していた声色を、突如張り上げていった。
溢れる感情の波を抑え切れないかのように。

「藍子が・・・藍子が生きているのか!? 答えろよ、姉ちゃん!!」


そう、アセルスの言を世迷い言と聞き流せるほど、今のアルカイザーは
冷静ではなかったのだ。
141カンパ:02/06/18 03:17
Nameless Kresnik vs Count Vardalek
“The Party Of The Children Of Night”
>73
 
 笑いながらトリガーを引く。絶え間無く火箭を迸らせる両手のギターは、真の死を機械的
かつ大量に、確実に量産する。
 トリガーを引く。背から侵入した弾丸が、臓物を破壊して腹から抜けた。
 トリガー。腹部で踊る弾丸が、腸管をゼリーに変えて噴出させた。
 トリガーを引いた。顔面が弾ける。眼球が破裂する。虚と化した眼窩に尚も叩き込まれ
る弾丸は、カンパの目の前に立つ最後の吸血鬼を判別不能の肉片に、変えた。
 硝煙。
 死臭。
 ゼリーだったのか何だったのか、生ゴミ以外の何にもなりそうにないボロ布に埋もれた
無数のミンチは、未だ硝煙を上げてブザマに転がっている。
 
 視線を錯綜させる。
 死して尚動く、存在価値の無いクズの気配。
 無い。殺した。殺し尽くした――後は、アイツとキーノが相手をしている連中が、
 
「――!?」
 
 金属を高く打ち合わせるような音に、痙攣したように振り返った。
 行動の一切を忘れ、脊椎反応で目を見張る。
 見た。
 砕けたシャンデリアの奥、死体の山の境界に区切られた血の闘技場の中心で、白僧衣の
青年へと襲い掛からんとする異形の狼の姿。
 
 速い。圧倒的なスピード。アイツが危ない。油断するなと言ってるのに、全く――!
 だから、カンパの両手は――正確かつ迅速に、狼の動きよりも早くギターを振り上げた。
 精密機械よりも正確に、仲間の命と邪悪の意思の間隔を縫って、ただただ早く、正確に――
 死を演奏する虚が、狼を補足した。
>140 VS妹思いの烈人くん
 
剣を持つ腕を掴み上げられながら、烈人くんが声を張り上げて詰問してくる。
・・・その口ぶりからすると、藍子ちゃんはどうやら行方不明の状態らしい。
 
「君のところにいないの? 藍子ちゃんは」
 
腕を掴み上げられながらも、先程と同じ調子で言葉を紡ぐ。
 
「だったら、私が探し出すよ。
 だって私・・・藍子ちゃんが欲しくなったから。
 彼女の喉に牙を埋めて、その血を味わいたくなったから・・・・ふふ」
 
彼の手が一瞬止まり・・・より強い力で締め上げてくるのを感じた。
そう、もっと。もっと私に敵意を向けてよ・・・
 
「彼女は、永遠に私のものにしてあげる。
 だからね烈人くん・・・」
 
不意に、掴まれていた腕に力をこめる。
確かに、ヒーローだけあって彼の力は常人のそれを超えていた。
だが・・・妖魔の君たるこの私に、振りほどけないものではない!
 
「君は安心して・・・死んでいいよ!」
 
叫ぶと同時に振り払い、間を置かずに剣を突き入れる!
143クロウ ◆DsxKUROU :02/06/18 06:48
樟賈寶(M)vsクロウ 

『理由の無い戦い』

>98

踏み込む――と言うより飛んでくる、というべき速さで正確にこちらを追ってくる。
どうやら、センサーでも積んでいるらしい。
だが、こちらも隠そうともしない気配、『匂い』で奴の位置は掴んでいる。

微かに不満の声を上げる足を強引に動かし、障害物を挟む様に更に後退。
距離と、奴がそれをぶち抜くほんの僅かの時間を稼ぐ。

六連撃がほとんど同時に柱に炸裂、中程からへし折れ、粉々になる。
手の刀を男の下腹部に槍の様に投擲、自身は相手の左肩を掠める様に跳躍。
首を刈る様に右腕を巻き、背後を取ってスリーパーの様な体勢を取る。

後は、左手のナイフを眼球に抉り入れるだけだ。
流石に頭蓋骨の中を掻き回せば、殺せるだろう。
『伯林の紅い雨』〜ベルガー&ヘイゼルvs天草四郎時貞
吸血大殲28章『仄き鮮血の舞踏』
>http://cocoa.2ch.net/test/read.cgi/charaneta/1023292545/377
 
天より降り注ぐ瀑布を霧と換えたその術を目の当たりにし、
今まで信じられぬほどの怪奇を見てきた四郎も思わず、
――ば、ばかな!
と、心中にうめき出さざるを得なかった。
 
その視界に、男がその白刃をひかめかせ、
瓶の破片を打ちこむのを認めるや、
戞然とその破片を叩き斬ったのはさすがというべきか。
 
「まったく、こうも化け物が多くては、遊びもろくに出来ぬのう・・・・・・」 
 
と、天草は声もなく笑った。
 
「こうとなっては致し方ないか―――うぬも死ね」 
 
そして怪鳥の如く再び宙に舞うと、石造りの壁を向け跳んでいった。
そのまま、街灯をその髷で切り払っていく。
辺りは次から次へと闇に支配されていく中を怪鳥のように舞いながら、
四郎の眼は闇の中白く蠢く女の首へ向けて、
死を呼ぶ黒き環を放った。
145樟賈寶(M):02/06/18 18:27
樟賈寶(M)vsクロウ 
 
『理由の無い戦い』
 
>143
 
 クロウの刀の軌跡を追って弾いたが為に、動作が一瞬遅れた。
 樟賈寶とて男だからだ。
 眼前を飛翔するクロウの身体に反応できず、組み付かれる。
 
「お……おい、嘘だろ……
 そりゃあねえぜ、フェアじゃないって……おい」
 
 圧倒的優位を一瞬で崩され、情けない声で樟賈寶は狼狽する。
 と見せかけて、次瞬―――― 双腕がクロウ目掛けて動いた!
 
―――――ズブリ―――――
 
 ナイフが右目を貫いて差し込まれる。
 
「お……ぉあごぁ……ぉ!?」
 
 眼窩の底に開いた、ニューロン系の通路を貫いて脳髄まで刃が至り―――――。
 思考が混乱しつつも樟賈寶の腕は動き、頭上の異物を引き裂く。
 クロウの一部がちぎり取られ、頭上から浴びる鮮血のシャワーが全身を赤く染める。
 
「……へぁ〜ぁはぁ〜〜 」
 
 人工声帯から無意味なノイズを吐き出しながら、ゆっくりと脳は機能を停止し、
 かつて凶悪な戦闘マシーンだった物体は、動きを停止した。
 
 やがてスローモーションの様に巨体が倒れ、頑健な床をも振るわせる。
 残されたのは破壊し尽くされた部屋と、歪な人型オブジェだけだった。

 
146クロウ ◆DsxKUROU :02/06/18 19:31
樟賈寶(M)vsクロウ 

『理由の無い戦い』

終局

>145

ナイフが眼窩に吸いこまれる様に埋まっていく。
根元まで刺さった。
思い切り抉った。
耳を、喉を掴まれたが、ただ抉り続ける。

ぶち。
ぐちゃ。

耳が引き千切られ、喉が半分握り潰された。
紅い滝が流れ、飛沫が飛ぶ。
そこで、伸びてきた腕が止まった。

 殺し合いに卑怯も糞も有るか。

フェアであろうが無かろうが、死んだ方の負けだ。
だが、もうそれも終わった事だ。どうでも良い。
――そんな事より、血が必要だった。

血を流しすぎてふらつく身体を引きずる様に、部屋を後にした。
147クロウ ◆DsxKUROU :02/06/18 19:33
樟賈寶(M)vsクロウ 

『理由の無い戦い』のレス番纏めだ。

>78 >79 >81 >82 >83 >84 >87 >93 >96 >98
>143 >145 >146

感想が有るのならここだな。
http://fargaia.hokuto.ac/html/test/read.cgi?bbs=vampbattle&key=1019409630
148片倉優樹 ◆Y.K.lIyA :02/06/18 20:49
片倉優樹/遠野四季 「彼の名は、殺人鬼」 
>104    
  
赤い。あたしは真紅の硝子球に幽閉された心地だった。   
彼の「殺す」という言葉に何処までも拡大解釈が許されるなら、夜の世界がエマージェンシー 
コールを出してるみたいな色。  
  
「ああ、でも、ゴメン。・・・嫌なんだ。あたしは死ぬのが好きじゃない・・・」 
  
臭気に囲まれ、五感が遮蔽されていてもあたしは迷子の赤子になった訳じゃない。 
生臭い血の海から一歩、二歩、海面へ顔を出すように。  
血の槍が注ごうとも、あがいて、あがいて。  
  
-----考えろ、優樹!  
  
あたしは彼の世界を否定する。殺人の世界を打ち砕くんだ。  
そうだ・・・。  
彼は「殺人鬼」だったっけ・・・。これに、賭けよう。  
  
  
神経融合。あたしは瞬時に壁際へと転進。  
・・・神経融合により、痛覚遮断が途切れ、痛みが前進を貫く。  
  
「くぁああぁ・・・」  
  
思わず苦悶のうめき声を漏らし・・・壁にもたれ、そのまま地に臥せった。  
余裕があるふりをして、今のあたしを描写してみよう。  
頬の骨が削られ、肩の肉がスライスされていて、ついでに右足首から下がない。  
どうみても・・・絶体絶命。・・でも。  
  
彼が、あたしを普通に殺す事で満足するなら、彼は所詮「臆病な異常者」にすぎないし・・・ 
そうじゃないなら・・・皮肉にも、あたしにはまだ、チャンスがある。
149ホル・ホース(M):02/06/18 21:30
>86
ホル・ホース(M) vs アルカード(M) 
 
ぼたりぼたりと地面が音を立てた。
彼は標的の心臓を確かに貫いた。
しかし、標的はしっかと立っていた。
 
ホル・ホースの魂が恐怖に飲まれていく。
流れ出す冷や汗は、もう、止まらない。
 
「殺意だ?意地だ?そんなの持ってたら殺し屋なんて仕事、体が保たねーぜッ!!」
 
引き攣り笑いを浮かべながら、それでもガンマンは軽口を叩いてみせた。
その引き攣り笑いも、しかし間もなく消えた。
肩に来訪した杭が激痛を呼び、その痛みがホル・ホースの表情を奪ったのだ。
 
汗と血が、ぼたりぼたり。
その音を聞きながら、ガンマンはくるりと後ろを振り向いた。
駆け足の音が響いた。
 
(『一番よりもNo.2!』のオレ様が、こんな奴に一人で相手したのが間違いだったぜェーッ)
150名無しクルースニク:02/06/18 22:16
Nameless Kresnik vs Count Vardalek
“The Party Of The Children Of Night”
>141
 
「……形まで人間止めやがったか、デクが――」
 
 青白い骨が形作った剣が、左右から絶え間無い猛火となって襲う。視認不可に近い速度
で繰り出される一閃は、触れるだけで石柱を裂き、樫の机を両断した。
 青年は静かに刃を動かし、異形の剣の間合いを外す。
 
 ――ただ、冷静であれ。
 
 足運びに注意を払いつつ飛び退り、それ以上の注意を刃を握る両手に込めた。
 打ち払いを最小限に、大半を見切りに任せ、白刃と骨剣の向こうの異形を見据える。
 隙を――一瞬で良い。奴の、隙を。
 
 焦る必要は無いし、それは明らかな愚行。
 ただ、静かに。今は奴の全てを見据えて。
 ――俺は、このクズをブチ殺す。
151アルカード(M):02/06/18 22:18
ホル・ホース(M) vs アルカード(M) 
>149 
 
 踵が返る。 
 血の跡が残る。 
 無様さに嘲笑と落胆と怒りが起こる。 
 
「せっかちなこった」 
 
 長物を右手に絞る。 
 構え、振りかざし、投擲。 
 鋼のライフルは、己が身を凶弾へと変えた。 
 
「まだ夜は長いぜ?」 
 
 そして、駆ける。 
 血を散らし身を震わせ靴音を鳴らし殺意を滾らせ声を挙げながら。 
 黒と赤とが飛礫となり、赤の残滓が空間を朱に染めた。 
 
 白い手が暗い闇を裂いて男へ伸びる。 
 その姿に色無き死を宿らせ。 
 
「ちょいと早すぎる幕引きだね、そんなものかい?」 
 
 迫る、足音が重なりアスファルトに砂が埋まり響いた。 
 掴む、汗と鉄の匂いを鼻腔に強く感じる中で。 
 撃つ、左の手刀が禍々しく歪み男を貫いた。 
 
 深く深く、刃が肉を裂き血を散らす・・・ 
 
「クッ、クククッ、ハハハハハハッ――――――――――――」 
 
 男から吸血鬼の腕が生えた時、堪えきれなくなった笑いが溢れる。 
 夜の静寂、月の輝き、その元で吸血鬼は嗤った。 
 自らの血に沈み、未だ癒えぬ傷に抱かれながら。 
152遠野四季 ◆17thMv4s :02/06/18 22:40
>>148 片倉優樹/遠野四季

 数多の血の槍がアスファルトの大地に突き立つと同時、それは元の不定型な液体へ姿を戻す。
 それに続くかのように、空間に充満していた紅い霧も、雨となりて大地を叩く。

「!?」

 殺人鬼はそこで驚愕する。そこで自分の血に貫かれ、絶命しているはずの女がいない。
 今の一連の攻撃は、必殺を念頭に置かれたものである。回避されることなど……考慮の範疇に無い。
 
 自由落下を始めた殺人鬼の身体は、完全に無防備だ。回避行動どころか、防御もままならない。

(殺られる……)

 そう思いながら重力に身を任せる数瞬。死の恐怖は、いつも殺人鬼に新鮮な感動を与えてくれる。
 だが、肝心の死は彼が地面に足をついても、訪れることは無かった。

 おかしいな、と思いながら殺人鬼は辺りを見回す。少し、高く跳びすぎた。足が痺れている。
 そんな悠長な思考を巡らしているうちに、それは殺人鬼の真紅の眼光に納まった。
 
「……ハ――ハハ」

 殺人鬼は嗤う。口の端を釣り上げ、今夜何度目かの狂気の笑みを浮かべる。
 その口から覗くのは―――白い、白くて鋭い牙。

 殺人鬼の瞳は、血まみれの少女から一時も離れない。傷を負い、息も絶え絶えなこの少女。
 その姿はとても美しく。魅力的だ。彼は、そんな美しい少女の姿を観て、一つの感想を憶えた。
  
        ――――血ガ、欲シイ――――

 殺人鬼は、ゆっくりと少女へと向かって歩み始める。 
Nameless Kresnik vs Count Vardalek
“The Party Of The Children Of Night”
>141>150

 渇いた音は噛み合う刃と刃の狭間から湧いた。
 
 破魔の一刀は右の骨剣に半ばまで食い込み、しかし断つ事敵わず受け止められたのである。
 両刃から焦げる様な臭いと煙が立つ。
 ヘンツォーは唸り声を上げた。
 聖剣が、邪悪な刃を灼いているのであった。
 
 人狼は僅かに躯を沈めた。空いている方の左手を、そろそろと後ろへ向ける。
 その一の腕が、ついで二の腕が太さを増す。
 倍程まで盛り上がった筋肉ごと、肘が背後のもう一人の狩人に向けられ―― 
 骨剣は大気を切って射出された。
 
 相手の左胸に走る軌跡を確認せず、ヘンツォーはたわめた下半身のバネを一気に開放し、
鍔競り合いの二刀を払いながら宙を舞っていた。
 まだ空中にある両足は二回ずつ跳ね上がり、四段蹴りの妙技と化して白い狩人を襲う。
 
154アルカイザー(M):02/06/18 23:04
>142
アルカイザーVSアセルス 「追憶の果てに! 針の城・悲劇の決戦」


「なんでだ・・・アセルス姉ちゃん」

再び迫り来る、彼女の殺意が篭められた剣撃。
それを目の前にして、アルカイザーは呟いた。

「なんで、こうなっちまったんだよっ!!」

突き入れられた剣を、左方向へのスウェーバックで辛うじてかわす。
彼のスーツと、剣の擦れ合う金属音が奏でられるが、
彼自身にダメージはない。

そしてそのまま、左横手から、アセルスに向けて回し蹴りを放った。
アルカイザーの左足が、それ自身が纏う光とともに、綺麗な曲線を描いて
アセルスの脇に向けて吸い込まれた。

そして一瞬。
彼女の身体は、大きく宙を舞っていた。

「もう・・・本当にやるしかないのか? その衝動は、止める事が出来ないのか?
もう姉ちゃんは、おれの知ってる姉ちゃんじゃないのかよ!?」

蹴り足を元に戻して・・・アルカイザーは、倒れ伏すアセルスへと言葉を続けた。

「もう遅いのかよ・・・何もかも」
155片倉優樹 ◆Y.K.lIyA :02/06/18 23:31
片倉優樹/遠野四季 「彼の名は、殺人鬼」 
>152   
  
・・・赤い霧を抜けると、そこは地獄なのかもしれない。  
彼はなんて顔、してるんだろう。  
あの表情(カオ)は、知っている。その表情を向けられた総ての生き物が恐怖して止まない 
自然のおきて・・・「純粋なる支配欲」   
  
どくん、どくん、どくん。想像するだけで・・・どくん。  
どくんどくんどくんどくんどくんどくん・・・・身体制御が・・どくん、 
うまく・・・どくん・・・機能・・・どくんどくん・・・しない・・どくん。  
いや・・・あたしを・・・とらないで・・・・はいってこないで・・・どくん。 
  
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−  
『優樹。駆け引きというのは自分のカードを如何に相手にさらさないか、その事に 
かかっている。しかし君は身体制御に優れる分、それに頼りすぎるようになった。  
生まれた感情はそのものとして押し殺すのではなく、一度解釈しなおして、納得するのは 
どうだろうか。さて、例えば・・・優樹が普段口にしているお酒だが肝臓に・・・・・  
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−  
先生?  
何故か先生の言葉が頭をよぎる。  
その冗長な言葉にあたしは急に冷静さを取り戻せた。  
  
あたしは・・・自分が相手に取り込まれるのが怖い。相手に規定されるのが嫌。 
そのくせ、あの人には「人間」の価値観を押し付けた。  
「人間の考えをした」怪のあたしが「怪」の考えをした人を捕縛する。  
それは怪の友人を持つあたしにとっては奇妙な事なのかもしれない。 
でも後悔はない。彼には人として生きて欲しい。  
怪の倫理は人には、重すぎるんだよ・・・。  
  
きっと、こうして倒れていたら、彼はあたしなんかを欲望の対象として、捕食に走るのだろう。 
「人間」のつよさっていうのは多分、逆境にある。チャンスは一瞬。  
  
白髪が焔のように夜に揺れ・・・あたしの白髪に交わろうと接近したとき。 
あたしは常飲し、体内に大量にあるアルコール分を濃縮し口腔から相手の顔面目掛けて吐瀉。  
・・・・・・同時に、筋力増強&神経融合!!!  
あたしは自分の背をカオ2つ分くらい大きい彼に再度、襲い掛かった。  
彼の二本の腕を掴み、へし織れれば僥倖。
山城友香vs祁答院マコトvsミッドバレイ・ザ・ホーンフリーク
〜I still haven't found what I'm looking for〜
>136

空間がねじ曲がる。空に稲光が走る。そして、友香の身長の四分の三ぐらいの大剣が、
古より語り継がれる滅びの魔剣“ストームブリンガー”が姿を現す。
使用者の精神をそして、体力をも蝕み、敵の魂を喰らう最狂の剣。
少しでも迷いや理性があれば、負ける。理性を捨ててでも、目の前の敵を贄にする覚悟の証。
忌み嫌っていた、闇の血よ。私に力を貸して、これまで散々迷惑かけたんだから。

そして、友香は魔剣に手をかける。奈々がいて、メディナがいて、そして、私がいる。
そんな、ありふれたいつもの日常に還るために………修羅になる

そのときッ、白スーツの弾丸が友香のこめかみを貫く。蒼い血が飛び散る。
しかし、すでに修羅と闇の眷属の血に目覚めた友香の前では、銃弾など無力。
みるみるうちに、傷は癒えていき、友香の髪の毛が逆立つ。

「まずは、貴女から贄になりなさい………」

友香は、後ろを振り返りアサシンにストームブリンガーで斬りかかる。
その細腕からは想像できない剣圧がアサシンに襲いかかった………
157祁答院マコト:02/06/18 23:54
山城友香vs祁答院マコトvsミッドバレイ・ザ・ホーンフリーク
〜I still haven't found what I'm looking for〜
>156
 山城が、空間をねじ曲げ、中空から剣を取り出す。
 禍々しい気配を漂わせた、黒い刀身の大剣。
 命と心を喰らう魔剣『ストームブリンガー』……山城が抹殺対象となった最大の原因。
 
(……くっ、剣を振るわせる前に、ケリをつける!)
 
 魔剣の放つ鬼気に恐怖を覚えながらも、先程開いてしまった間合いを詰める。
 山城がこちらに背後を見せている、今が好機。
 
 ぞくっ!
 
 背筋を冷たいものが走る。
 その正体が何かわからぬまま、マコトは地を蹴った。
 前に、ではなく、上に。
 
 宙に舞ったマコトの足下を、黒い魔剣が吹き抜ける。
 
(……気付かなければ、殺られていた……!)
 
 だが、その一撃を躱した今が、真の好機。
 
 マコトの身体が空中で回転する。
 両足の踵が、唸りを上げて山城の肩口めがけて落ちる。
 
 踵の命中を確認もせず、マコトは叫んだ。
 
「今だ! ミッドバレイ、来いッ!」
山城友香vs祁答院マコトvsミッドバレイ・ザ・ホーンフリーク
〜I still haven't found what I'm looking for〜
>156>157
 
化け物は、何も無い空中からとんでもない物を取り出した。
どす黒い大剣……霊感とかそういうのとは無縁な俺にも、あの剣のヤバさは理解できた。
あれに斬られたら、終わる……!
化け物が剣を取り出し終えると同時に、俺の弾丸が奴の頭に直撃する。だが、それはさしたる効果をもたらさなかった。
それは予想済みだ。元より、拳銃で化け物が殺せるとは思っていない。
奴が俺を斬ろうと踏み込んでくる瞬間に、俺の衝撃波が奴を砕く!
 
だが、俺の予想は裏切られた。
化け物は、振り返りざまに女に斬りかかったのだ。
 
「援護するか……?」
 
いや、あの女ならかわせる!そして、かわした後の隙を見逃す奴でもない。
今度こそ俺の予想通り、女は斬撃を跳躍でかわした。
そのまま、化け物の肩に踵落としを決める。
 
『今だ! ミッドバレイ、来いッ! 』
 
「応!!」
 
女に答えると、俺は化け物目掛けて衝撃波を放った。
狙うは、奴の両肩!
まずはあの物騒な剣を封じる!
159遠野四季 ◆17thMv4s :02/06/19 00:23
>155 片倉優樹/遠野四季

「ヒ、ヒィィィィィィィィィィッッ!?」

少女へと顔を近づけ、その白い首筋に牙を突き立てようとしたとき、事件は起こった。
 眼前で放たれたそれは、殺人鬼の脳が何かを理解する暇さえ与えず、顔に、眼に突き刺さるように降りかかる。
 
 ――なんだ!? なんだこれは眼が!? 眼がぁぁぁぁ!! 何も……何も視えない!!
    あの女か? あの女が、オレを殺すためにやったのか? オレの大事な大事な眼を、潰したのか?
    クソッ! クソッ! クソクソクソクソクソ! 殺す! 殺す殺す殺す!――
 
 ――――この女は……塵、殺、ダ。

「がぁぁぁぁぁァアァぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 純粋な殺人衝動の塊となりて、殺人鬼は吠える。だが、彼が取れた行動は吠えるだけであった。
 凄まじい衝撃が身体中を駆けめぐる。両腕に伝わるこの感覚。――――折られる!
 殺人鬼は焦った。このままじゃ、この少女を殺せない……。
 
「がぁぁたぁァぁくゥらァぁぁアァァぁぁぁッ!!」

 再度、咆吼。
 殺人鬼の衣服を、肌を汚す全ての血が悲鳴をあげる。
 同時、血刀発動。
 彼の身体の所々から突き出た真紅の剣が、片倉優樹という殺人対象を満遍なく突き刺ささんと襲いかかる。
 
 殺す――。殺人鬼は久しぶりに純粋な殺人衝動に身を任すことが出来た。
160アルカード(M):02/06/19 00:26
ホルホース(M) vs アルカード(M) 
 
 男の死体を担ぎ上げると吸血鬼は街の闇に消えた。 
 残るは砕けた無数のクイと、大量の血痕。鬩ぎ合いの跡を新たな血が撫でて行く。 
 二つの亡骸が生む赤い舗装路は消えることなく、霧の街をひっそりと彩るのだった。

「さあて、本日のお仕事はっと」 
 
 >25 >26 >38 >40 >42 >86 >149 >151 
 
「ここらを覗いてくれれば、おおよそわかる」 
「あ、あと良けりゃ、一筆何かもらえると有り難いねぇ」 
 
 http://fargaia.hokuto.ac/html/test/read.cgi?bbs=vampbattle&key=1019409630
 
「ま、お疲れさん」
>154 VS・・・弱虫
 
「・・・ふ、ふふふ・・・」
 
蹴りを受けて倒れたまま、薄く笑う。
 
「この期に及んで、まだそんなことを言うの・・・?」
 
脇の痛みを無視して立ち上がる。
・・・骨までいっているか・・・いや、そうだとしてもじきに再生する。
今の私は、そういう存在。
今の私は・・・
 
「言ったでしょ・・・私は妖魔の君なんだって。
 ・・・あのときからずっと、私は人間じゃなくなったんだって思い知らされてきた。
 だから私も―――脆弱な人間なんか、見限った」
 
剣を手に取る。
骨までいっていようがいまいが、脇の痛みは苛立たしい。
 
「人間なんかに、私の行く手は阻ませない。
 ―――君にもだよ、アルカイザー!」
 
再び、叫ぶと同時に駆け出す。常人離れしたスピードで。
狙うは―――彼の脇。払い抜け。
162カンパ:02/06/19 00:27
Nameless Kresnik vs Count Vardalek
“The Party Of The Children Of Night”
>153
 
 どすん、と。
 胸に衝撃。
 
 ――何だ、今の。
 
 ギターを狼に向けたまま、カンパはその行動を静止した。
 何で、クソ、胸が焼ける。俺は――今、何をやってる。
 あの狼の頭を吹き飛ばしてやるんだろ。引け。トリガーを。
 腕が重いんだ。畜生。引け。関係無い筈だ、そんな事。あの狼の頭にポイントして、
トリガーを引く。死の演奏。
 簡単じゃないか。
 なら、何で出来ない。
 
 視線を腹へと落として、納得した。
 矢鱈に鋭く青白い――受けたら死ぬ、とバカでも解る凶器が、当然のように胸から
生えている。冗談の様に後から後から噴出す血が、容器が破裂したケチャップのよう
に脚までをも濡らしていた。
 ……何だ、そんな簡単な、事。
 
 ――つまり俺は。
 残りカスのような力を振り絞って、ギターを固定した。胸から毀れる大量の血液が、
僧衣を胸から順に濡らして落ちる。
 ――今、死ぬ。
 
 トリガーに触れて、薄れる視界の中に青年を捕らえて、思った。
 ……お前は生きろ。
 トリガーを強く握る。
 狼――テメエは付き合えよ。一人はちょいと、寂しいから。
 
 ホワイトアウトする視界。
 笑いながらトリガーを引き――意識は、そこまでだった。
163アルカイザー(M):02/06/19 00:52
>161
アルカイザーVSアセルス 「追憶の果てに! 針の城・悲劇の決戦」


アルカイザーの蹴りを受けても、アセルスは平然と立ち上がった。
今の攻撃には、常人であれば即座に気絶しかねない威力が込められて
いたはずである。にもかかわらず、彼女は未だ意識がはっきりとしている。

その事は、彼女が既に人間ではなく・・・「妖魔」の耐久力を
手に入れている事の証明だった。
そして今の攻撃は、アルカイザー自身にその事を再認識させたに
過ぎなかったのである。

「姉ちゃん・・・人間を、憎んでいるのか」

真っ直ぐにこちらを見据え、駆け出してくるアセルスを、
同じく真っ向から迎え撃つ格好で、アルカイザーは構えを取った。

「何故だよ・・・姉ちゃんはいつも、教えてくれたじゃないか。
『人は誰かを守ることで、いくらでも強くなれるんだ』って」

腰を低く落とし、引いた右拳に、アルカイザーのヒーローパワー、
そして烈人自身の闘気を収束させていく。

「そんな人間を、あんたは脆弱だって、切り捨てるのかよ・・・?」


アセルスの身体と剣が間近に迫ってくる。


「『本当の強さ』ってやつを一番よく知ってるのは、姉ちゃん自身じゃなかったのか!!」

剣の軌道と交差させるかのように、アルカイザーは右拳を突き出した。
自らの身体が傷つく事も厭わずに。

「フラッシュ・スクリュー!!!」
164キーノ:02/06/19 01:20
Nameless Kresnik vs Count Vardalek
“The Party Of The Children Of Night”
>162
 
 会場内の事は、頭の隅にでも置いていけ。
 アイツ等が死ぬ筈は無いし、負ける筈が無い。
 だから、俺は――この連中を殺し尽くす事だけを考えろ。
 
 ギターケースを担ぐ長身の黒衣は、ゆっくりとした足取りで庭園に足を踏み出し、
その位置で立ちはだかった。
 誰一人、逃がすつもりはない。
 口元を歪めて、キーノは全身を深く落とす。
 
 白煙の軌跡を残す弾頭が、深淵の夜を紅く染める。
 限界まで低く落とした体制で、腕力だけで反動を殺す。
 逃げ惑うクズ。逃さない。
 トリガー。
 耳を劈く爆音の中に、幾重にも悲鳴が重なった。
 
 薄ら笑いを浮かべて歩むキーノの十字架が、蒼い光を映し込んで鈍く煌いた。
 新円の月下――天を覆う黒雲の隙間から、無慈悲な女王は惨劇を睥睨する。
 
 月明りに浮き上がった無数のクズの一塊へと、無造作にトリガーを引いた。反転
させてリロード、更にトリガー。
 接地された噴水を砕き、庭木を叩き降り、膨れ上がる爆炎は一気に全てを焼く。
 背を向けていたケルナッシ伯爵は、弾頭エネルギーに直接頭部を吹き飛ばされ、
着弾後の爆炎に撒かれ、原型すら止めずに肉片に変わった。
 
「ハ――ハハッ! ハハッ! ハハハハハハハハッ!」
 
 まだ――何処かしこにも隠れているクズがいる。
 退路を完全に断った事を確認して、ギターケースは断罪の劫火を吐き散らした。
165片倉優樹 ◆Y.K.lIyA :02/06/19 01:34
片倉優樹/遠野四季 「彼の名は、殺人鬼」 
>159

そうなんだ。いつもそう。  
話し合いなんて、結局偽善で飾りで、無力なんだ。あたし自身も実はそろそろその事に 
諦めを感じているのかもしれない。  
  
わかってたじゃないか?片倉優樹。  
うん。わかってたよ。・・・自問自答。救えない。救えないね・・・  
結局鬼に人は救えない。ただ、切るのみなのだろうか。結局は。  
  
あたしは体温を徐々に上昇させる。表皮が朱に染まり、強烈な熱を帯びる。 
彼の出す血の刃も結局は液体に過ぎず、主要成分が水である以上蒸発した。  
ヘモグロビンの赤がさらさらと宙を飛び交って、砂漠の嵐みたいだ。  
   
・・・できれば、こんな真似、したくなかった。  
  
右腕、左腕。あたしの両腕が剛毛に覆われ、研ぎ澄まされ、隆々と筋肉が脈打つ。 
筋力増強ではない・・・部分的な「鬼化」。  
   
彼の闇に響く悲痛な叫び。痛みと衝動のマーブル。  
「だから・・・言ったのに。痛いって。・・・君も痛いのはいやでしょうが」 
(彼の両手両足鷲掴み・・・)  
「ごめん・・・。でも全部結局あたしの不手際なんだ・・・・」  
(ばきばき。シンメトリーに彼の両手足が妙な方向へとへし曲がる)  
  
あたしは何処か覚めた目で、地面に転がった彼を見る。  
法は彼を裁くだろう。それもきっと・・・極刑クラスで。  
でも、脱獄する位、彼には容易なはず。  
  
「君は・・・人を殺すのがやめられない。それは分かったよ。最初からわかってた 
のかもしれない・・・。でも。それなら・・・今度からは先ずあたしを狙いなさい」 
  
そう言って。あたしは骨が見える肩口から滴る血液をビールの空き缶へと注ぎ、 
彼の口元へと、押し当てた。  
・・・こういう飲まされ方は食人、吸血種には屈辱らしい。   
きっと以降、まずあたしを襲うに違いない。  
自分がこんな人の為に忙殺されるのは正直、嫌。しかし、何故かこの人を放って置けなかった。
>163 VS戯言しか言えないHERO
 
光り輝く拳が、彼の胴を斬り払わんとしていた私を打ち据える。
だが私もとっさに手首を捻り、拳が命中するよりも早く彼の体に剣を走らせた。
 
もろに食らった私はまたも吹っ飛ばされ、
彼の体からは血が吹き出た。
 
「・・・・・る・・さい・・・」
 
立ち上がろうとしながら・・・無意識に言葉が口から漏れた。
 
「・・るさい・・・うるさい、うるさいうるさいうるさい!!」
 
感情が爆発するまま、叫ぶ。
 
「私は・・・私は、守れなかったんだ!
 きっと、きっと私が弱かったから!
 ・・・でも今なら負けない。みんな捻じ伏せる。
 人間も何もかも、みんな、みんな・・・っ!」
 
叫びながら、剣を―――幻魔を握る。
人の血を吸ったかのような真紅の刀身。私の力を証明するかのような剣。
その剣が、魔の力を帯び始める。
 
「・・・もう、話すことはないよね。
 終わりにしよう・・・私が、終わらせてあげるよ・・・」
 
静かに構え・・・駆け出す。
私の負の感情を幻魔が吸い、力となって私を突き動かす。
 
―――幻魔相破と呼ばれる力。
私を傷つけるものを、須らく滅するために―――
Nameless Kresnik vs Count Vardalek
“The Party Of The Children Of Night”
>164

 只一人地に影を落とし、惨劇の渦中にある狩人。
 蒼月に照らされる足元で、しかし徐々に狩人自身の影がその濃さを増し始めた。
 その事に、狩人は気付いたかどうか。
 
 突然噴き上がった闇の奔流は瞬時に人型を取り、長髪を振り乱した男の姿に変わる。
 長生者の重鎮、サー・フランシス・ヴァーニーとなって。
 
 すっくと立ち、狩人の眼前に立つ。
 親指以外を立てた右手を後ろに引いて溜め、抜き手を繰り出す。
 この動作をヴァーニーは一秒とかからずにしてのけた。
 ついでに嘲笑を送るのも忘れない。
 
 薄紙を破る様に、吸血貴族の手刀は狩人の左胸を貫き徹していた。
168琥珀 ◆Amber97g :02/06/19 01:59
>108 『遠野志貴 vs 邑輝一貴(M) 「銀と蒼」』 ――エピローグ――

―――『吸血鬼事件』
     そう呼ばれる事件が再び起こったのは、
     二週間ばかり前だったでしょうか――――

 以前起きた『吸血鬼事件』、その当時の事ははっきりと覚えています。
 だってそれは、志貴さんが遠野家にお戻りになられた日。
 そしてわたしの、『琥珀』の時間が再び流れ始めた時でしたから………。

 あの時は大変でした。
 志貴さんもその事件に関係があったたらしく、連日の門限破り、秋葉さまの癇癪、
翡翠ちゃんの心配そうな眼差し…。
 えっ、わたしですか?
 もちろん心配でしたよー(にっこり)
 ………誰に話しているんでしょ、わたし…。

 まあ、とにかく。
 再び似たような事件が起き始めて、わたしは覚悟していました。
 多分、秋葉さまも翡翠ちゃんも。



―――ああ、志貴さんはまたこの事件に巻き込まれるのだろうな、と。

 ★ ★ ★
169琥珀 ◆Amber97g :02/06/19 02:00
>168

 ………予感は見事に的中しました。
 その日、街の施療院から倒れた志貴さんを保護している、という電話を受けて、
ここ数日苛々しつつ志貴さんの遅めの帰宅を待っておられた秋葉さまは、脱兎
の勢いでお屋敷を飛び出して行きました。
 わたしと翡翠ちゃんは呆気に取られて見送るのみです。



――――そして、その夜。
 案の定、志貴さんはこっそりとお屋敷を抜け出しました。
 はい、解ってましたとも。遠野志貴という人間は一度首を突っ込んだら、それが
一段落するまでは決して諦めない方だというコトは。
 ですから、あえてそのまま見過ごす事にしました。
 大丈夫、志貴さんならきっと事件を解決してくれる。
 そして無事な姿で帰って来てくれる、と信じて―――――



――――深夜。
 いつものようにお屋敷の見回りです。
 志貴さんは―――まだ帰って来ていませんか。
 翡翠ちゃんにも言っておきましたが、警報機器は切ってあります。帰ってこられて
騒ぎになってはいけませんからね。

     …カタン…

 …あら?
 どうやら志貴さんがお戻りのようです。
 そのまま見逃しても良いのですが………、うふふふふ。

「おかえりなさいませー、志貴さまー♪」

 そっと背後に忍び寄って、明るく挨拶してみました。
 ビクッ! と震えて恐る恐る振り返る志貴さんに、にっこりと笑顔を向けます。

「あ、その、えっと…。これには深い、ふかーいワケがありまして………」
「はい、了解してますよ。でも、こんなコトが続いたのでは、わたしも遠野家の管理を
 任されているモノとして、申し訳が立ちませんしねえ」
「…ああ、その事なら大丈夫だよ。もう良いんだ、全て終ったよ―――」
「………え?」

 志貴さんは真っ直ぐにわたしの目を見て、曇りのない笑顔を向けてくれます。
 それは、ここ数日思いに沈んでいた表情とは打って変わったものでした。
 ………だから。
 だから、わたしはその言葉を信じる事にしました。
 そして安堵を心にしまい込んで、志貴さんに労いの言葉を贈り、暫しの平穏な日常に
還る事に致しましょう。

「…そうですかあ? でも志貴さんの『大丈夫』は当てになりませんからね。とりあえず
 今夜の外出のコトは秋葉さまには内緒にしておきますから、ゆっくりお体を休めて下
 さいね?」

 最後に、お休みなさいませ、と告げて絶句している志貴さんをその場に残して
見回りを続けます。
 また明日から何気ない、だからこそ大事な日々が繰り返される、と思い描きつつ――――

【END】
>168>169 遠野志貴 vs 邑輝一貴(M) 「銀と蒼」
――エピローグ・邑輝側――
 
 自室に戻った私が始めにしたことは執事の榊を呼びつけることだった。
 いつも冷静なあの男が表情に驚きを露にしたのは正直見物だった。
 
「旦那様、その腕は……」
 
「子犬に噛み千切られた……油断したよ、まったく」
 
 肩をすくめる。
 それだけで彼はほぼ状況を察したようだ。
 てきぱきと治療の準備を始める。
 
「治療は私が致しますか?」
 
「頼む。それと……『人形師』に連絡を取ってくれ」
 
「橙子様に、ですか?」
 
「ああ、どうやらこの腕は繋がりそうにない」
 
 私の言葉に榊が怪訝の表情を浮かべる……なんだ?
 
「失礼ですが……楽しそうですね?」
 
 意表をつかれる。
 だが顔は笑みを浮かべる。
 ああそうだ、たしかにそうだ。
 
「楽しい……そうだな。あのボウヤでどうやって遊んでやろうか。
考えると楽しくしょうがないよ」
 
 喉の奥から溢れてきた声のままに笑う。
 そんな私を見て榊は、
 
「ほどほどになさって下さいね」
 
 諦めたようにため息をついた。
 
【END】
171遠野志貴 ◆sikiXlKk :02/06/19 02:16
遠野志貴 vs 邑輝一貴(M) 「銀と蒼」

レス番纏め
前スレ分
ttp://cocoa.2ch.net/test/read.cgi/charaneta/1021741941/551
ttp://cocoa.2ch.net/test/read.cgi/charaneta/1022485313/476
ttp://cocoa.2ch.net/test/read.cgi/charaneta/1023292545/466

今スレ分
・闘争 >91>92>108

・エピローグ >168>169>170

何とか――終わらせられたかな?
邑輝……まだ狙うのなら、秋葉じゃなくて俺を狙え。何度でも相手をしてやるから。
俺は、この日常を守り続ける。

ああ、もし感想があったら、こっちに書き込んで欲しい。
ttp://fargaia.opt.hokuto.ac/html/test/read.cgi?bbs=vampbattle&key=1019409630
172アルカイザー(M):02/06/19 02:17
>166
アルカイザーVSアセルス 「追憶の果てに! 針の城・悲劇の決戦」


アルカイザーの放った拳は、的確にアセルスの腹部を捉え、
その内包するエネルギーを余す所なく叩き付けた。

だが同時に、彼女が横薙ぎに変化させた剣もまた、
アルカイザーの脇腹を、そのスーツごと大きく切り裂いていた。
ぶしゅ、という小気味すら良い音と共に、大量に血が吹き出る。

耐え難い苦痛をヘルメットの奥の表情に隠しながら、
アルカイザーは辛うじて体勢を立て直す。
立膝を付かない様に、必死で足を踏ん張らせつつ、
アセルスを真っ直ぐに見据えて、言った。

「それは『本当の強さ』じゃない・・・もうとっくに分かってるはずだ、姉ちゃんなら」

アセルスの握る剣の刀身に、異常な力が収束しつつあるのを感じる。

「人間を棄ててまで得た強さで、姉ちゃんは何を得た? 何を見つけた?」

恐らく次の一撃は・・・彼女の渾身の力を込めた一撃となる。
ひとたび食らえば、彼自身の死はほぼ確定するだろう。

「そうだな・・・もう、止めよう。終わらせるんだ、おれの手で」

先程の一撃で彼女が気絶してくれたら。
戦意を喪失してくれたら。
だがそれは、儚い幻想でしかなかった。
彼女が必殺の一撃の準備に入ってしまった以上、もう止める事は叶わない。

(やるしか、ないんだ)

意を決して、彼は自分のヒーローパワーを完全に解放した。

「はあああああああああああああああああああっ!!!」
裂帛の気合と共に、アルカイザーの全身から、全ての闇を
照らし出すかのような、強烈な光の渦が吹き上がった。
それらはうねり、舞い上がりながら次第にアルカイザーの全身に纏わりつき、
一個の弾丸のような形状に定着した。


(さようなら、姉ちゃん・・・)


「うおおおおおおおおおおおっ!! アル・フェニックゥゥゥゥゥゥゥゥゥス!!!!!」

地面を蹴る。


闇を貫き、消し飛ばす大いなる光。
アルカイザー最強の必殺技、アル・フェニックス。

一条の矢の如く、アルカイザーの身体はアセルスに向けて飛翔した。
173キーノ:02/06/19 02:30
Nameless Kresnik vs Count Vardalek
“The Party Of The Children Of Night”
>167
 
 トリガーを引き絞って、収束する爆炎を見送って――
 視界に捉える範囲のクズ共は、例外無くブチ殺した。
 
 なら――このクソッタレな阿呆面が目の前に有るのは、どういう訳だ。
 このバカが笑ってるのは、どういう了見なんだ。
 何様のつもりで、コイツは俺に手なんか突き刺して――
 
 血の塊を吐き出して、意識が霞み出しているのに気付いた。
 胸郭の中に埋まっている冷たい異物の感覚が、堪らなく不快だった。
 どうやら駄目らしい。駄目だ。腹立たしいが、コレまで。
 ――ああ、だけど。
 
 天を仰いで、蒼光を瞳に落とした。
 ぐらりと傾く身体は、糸の切れた操り人形となって意識と共にゆっくりと崩れ落ちて行く。
 闇。
 深淵。
 ――主よ。願わくば、良き子等に愛を。
 ブラックアウトする視界。混濁する思考――
 不意に、思った。
 ――ついでに、主よ。……中にいる馬鹿二人をお守り下さい。
 
 意識を至高の御名の元へと送る寸前、静かにギターケースを上向けた。
 先に行くと思えば、辛くもない。……精々――ゆっくりこっちに来い。
 微笑んで、トリガーを絞る。
 
 ――何とも――愉快な道行だった。
174遠野四季 ◆17thMv4s :02/06/19 02:33
>165 片倉優樹/遠野四季

「ヒィィィ!! ヒヒヒヒヒヒヒ!!」

 勝負は一瞬でついた。圧倒的だった。四肢はひしゃげ、骨は粉砕している。
 敗北。負け、だ。彼は負けた。殺人鬼としての彼は―――死んだ。

「ヒハハハハハハハハハハハハハ!! ……ごほぉッ!」

 無理矢理口内に血を注がれ、咳き込む。息が吸えない。この血を飲むほか、道は無い。
 大体、こんな上等な血を『彼』が口にしないはずが無かった。
 
「……」

 沈黙の数秒後、彼は缶の中の血液を一滴残らず飲み尽くす。

 その表情は先程とまったく変わっておらず。
 相も変わらずギラギラと光る真紅の瞳は、少女の瞳を――――

 ―――そう、眼が開いている。潰れたはずの眼が、僅か数十秒で再生したのだ。

 彼は何も語らない。静かに少女を見つめている。
 あと数分もすれば粉砕した四肢も治るだろう。遠野シキの『不死』と吸血鬼の再生能力は伊達じゃない。
 だが、彼はもう……どうでも良くなっていた。

「……分かった。他の奴で遊ぶのは、貴様を殺してからにしよう」

 静かに、今までの彼からは想像も出来ないほどに静かに言うと、それっきり彼は黙り込んでしまった。
>172 VS・・・烈人くん
 
彼の体が光を帯びて向かってくる。
私は、それを切り刻まんとして―――
 
 
 
・・・気がついたときには、私は床に横たわっていた。
彼の渾身の技を食らったはずなんだろうが・・・もはや、痛みは感じない。
―――すでに私の体は、消滅をはじめていたから。
妖魔は、死体を残さない。
 
烈人くんは、ズタズタになりながらもそこに立っていた。
 
 
(『おれ、強くなるよ』)
 
 
「・・・ふふっ」
 
彼を見て・・・自然に、笑みがこぼれた。
 
「そっか・・・本当に、強くなったんだ・・・烈人くんは。
 約束どおりに・・・」
 
体の感覚が、どんどん無くなっていく。
・・・意識も、薄れていく・・・
 
私の得た強さが正しいかどうかなんて、もうわからない。
でも・・・なぜだか、彼がうらやましくなった。
 
「・・・君になら、守れるかもしれないね・・・
 うん・・もう、わた、しが・・・いなく・・・ても・・」
 
私がいなくても、もう大丈夫だよね・・・甘えん坊“だった”、烈人くん。
・・・私も、彼みたいに強くあれたら・・・白薔薇・・・
 
 
薄れ行く意識の中で、彼と白薔薇を想った・・・
Nameless Kresnik vs Count Vardalek
“The Party Of The Children Of Night”
>173

 ヴァーニーは血に塗れた右手を口元に持っていった。太い舌が顔を覗かせ、手を這う。
 己を狩りに襲来し、そして果たせなかった狩人の血を美味そうに舐め取る。
 
 何かに気付いた様にヴァーニーは辺りを見回した。甲高い音が尾を引いている。
 ヴァンパイアは顔を上げた。まだ嗤いをこびり付かせたまま。
 笑みは凍った。
 口と一緒にOの字を作った眼に映るもの。冷たい夜を切り裂いて落ちてくる細長い円筒。
 それは、狩人が最期に放ったロケット弾であった。
 
 ヴァーニーは飛び退こうとはした。勿論もう遅過ぎた。
 閉じ忘れた口の中に火を噴くロケット弾が飛び込んだのである。
 
 天を突く爆音は地もまた揺るがした。
 炎と風はおぞましき数百年の歳月を、発射した狩人の死骸もろとも撃ち砕く。
 
 舞い上がった土砂が、ヴァーニーの手首と一緒に地面に落ちる。
 続いて落下して来た焼け焦げた十字架は、その後を追う様に二、三度跳ねた。
 
177ベルガー&ヘイゼル:02/06/19 14:33
『伯林の紅い雨』〜ベルガー&ヘイゼルvs天草四郎時貞
>144

街灯が、明かりが消えていく。

「・・・これで見えないと相手は思っているのでしょうが・・・」

ヘイゼルは遺伝詞を詠む事に集中し・・・
相手の殺気のこもった真っ赤な遺伝詞と
ベルガーの相手の動きに集中している黄色の遺伝詞
そして・・・

「私に向かってきている、真っ赤な細い遺伝詞!!」

首に向かってきている黒い環を”純皇”で切断。
そしてベルガーはそれに安心すると”運命”の柄尻から単三の精燃槽を外し、

「そろそろ決着をつけよう。俺は世界で2番目に夜に弱い男なんでね。」

単二の精燃槽に付け替えた。
『伯林の紅い雨』〜ベルガー&ヘイゼルvs天草四郎時貞
>177 
 
「なんともはや・・・・・・うぬらも化け物よな」 
 
闇の中で天草は言う。
 
「その力をして、人の守護者たらんとするか?偽善もいいところじゃ。
 人に守る価値などあるものか!」 
「わしは度重なる重税とキリシタン弾圧への反発から起こった乱を指導した。
 それの結果は何だと思う?城にこもった三万七千皆殺しじゃ。女子供の区別なく討ったのだぞ」
 
天草の声が低く、凄惨なものに変わる。
その時の光景を思い出したのであろうか、その声はときに掠れることすらあった。
 
「この世には神も仏もおらぬ。居るのは悪鬼羅刹のみよ・・・・・・・」 
「だから貴様らの偽善振りには虫唾が走るわ!!」 
 
その声と共に、髷は大きく揺れた。
それ共に起きるは、付近一帯の石造りの壁の崩壊。
恐るべきはその力であった。二人目掛けて落ちる瓦礫を恐れもせず、
一息に迫る天草の顔には、地獄の鬼のような笑みが張り付いている。
 
「貴様らにも味わわせてやるわ!地獄の鬼の責め苦の苦しさをなあ!」 
 
白刃を閃かせ、黒き鎌を振りかざし、死神の環を飛ばしながら、
天草は修羅と化して踊りかかった。
179アルカイザー(M):02/06/19 20:15
>175
アルカイザーVSアセルス 「追憶の果てに! 針の城・悲劇の決戦」
エピローグ 1


(いいかい? 烈人くん)

再び追憶の中。泣く事を止めようとしない幼い烈人に向けて、
アセルスは優しく、力強く語りかける。

(人は誰かを守ることで、いくらでも強くなれるんだよ。
そしてキミには、守るべき人がいるじゃないか)

烈人の両肩に、アセルスの暖かい両手が置かれる。

(だから、どうかキミは、力を持ってもそれを間違った方向に使っちゃダメだ。
人を守るための力、それこそが何よりも尊いんだから・・・)

恐らく当時の彼には、彼女の言っている意味の半分も分かってはいなかったろう。
ただ、強くならなければならない彼が、これ以上べそをかいているのは
いけない。そう思って彼は、涙を拭いた。そして、無邪気にこう答えただけだった。

(『うん、おれ、強くなるよ』)

小さな握りこぶしをふりかざし、目の前の姉に誓う。

(『強くなって、母さんも藍子も、アセルス姉ちゃんも守る!』)


そして、白い闇が彼の記憶を包んだ――――
180小此木烈人(M):02/06/19 20:36
>179
アルカイザーVSアセルス 「追憶の果てに! 針の城・悲劇の決戦」
エピローグ 2


現実へと意識を引き戻され、アルカイザー・・・いや、小此木烈人は、
その場に立ちすくんでいた。

彼女の必殺技によるダメージがスーツの耐久性の限界を超えたのと、
全身全霊を篭めたアル・フェニックスによりそのヒーローパワーの殆ど
全てを使い切った所為だろう。 彼の「変身」はとうに解けていた。

全身と、大きく切り裂かれた脇腹から盛大に血を流しつつ、
彼はゆっくりと、倒れ伏すアセルスへと歩みを進める。
一歩づつ、一歩づつ。
見ると、彼女の身体は既に足元から崩壊を始めていた。
既に脚の殆どは、風化して塵と化している。
この異常な事態も、彼女が人ならざる種族―――妖魔であることの
証なのだ。

そして遂に、烈人はアセルスのもとへと辿り付いた。
その時には、彼女の下半身全体が塵と化し、消えていたが。
ゆっくりと手を伸ばし・・・アセルスの手を握り締める。

「姉ちゃん・・・。」

くしゃくしゃに歪み、顔中を血塗れにした顔を見て。
彼女は、心底おかしそうに、笑った。
あの時の、笑顔のままで。

「そっか・・・本当に、強くなったんだ・・・烈人くんは。
 約束どおりに・・・」

「そんな・・・俺は・・・俺は、あんたを・・・」

守れなかったんだ。そう言いたかったのだが・・・言葉が紡げない。
本当に満足げな笑みを浮かべ烈人を見つめている、彼女を前にして。

「・・・君になら、守れるかもしれないね・・・
 うん・・もう、わた、しが・・・いなく・・・ても・・」

そして、弱々しく握り返されていた、その両手が・・・静かに力を失った。

「姉ちゃん!! 姉ちゃん、行かないでくれ!!」

強く、上半身だけとなったアセルスの身体を抱きしめる。
だが、崩壊は既に、全身に広まっていたのだ。

きつく抱き寄せた彼の両腕から。塵となった彼女の身体は、
容赦無くすり抜けて、ファシナトゥールの外気に乗って消えていく。

「アセルス姉ちゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!」

絶叫。嗚咽。

あたかも、幼い子供のように。
延々と泣き続ける、小此木烈人。
それは今この瞬間、ヒーローであることを捨てて。
彼が悲しみに身を浸す事を許された・・・そんな時間だったのかもしれない。
181小此木烈人(M):02/06/19 21:19
>180
アルカイザーVSアセルス 「追憶の果てに! 針の城・悲劇の決戦」
エピローグ 3


一ヵ月後。 某リージョンエリア、ブラッククロス本部基地。

「くっ、まさか、これほどのものとは・・・!」
本部に待機していたブラッククロスの首領は、苦りきった声で
現状を監視していた。

彼等の母艦的リージョンシップ、「ブラックレイ」に
戦闘員に成りすまし潜入していたアルカイザーとその仲間。
彼等の存在を確認してからわずか数十分。
基地に残っていた戦力は、最早半数にまでその数を減らしつつあったのだ。

「おのれアルカイザー・・・やってくれるわ。
だが、せいぜい体力を消耗して来るがいい。わが前に現れたその時が、
奴にとっての死の時間よ!!」

やけに多弁になった首領が、威厳を示すかのごとくマントをはためかせた。

                        ※

「キキイイイイイ!!」

「あーもー、キイキイうっとおしいってんだよっ!!」

次々と襲い掛かる、赤青緑、色とりどりの戦闘員をレイブレードで
薙ぎ払いながら、小此木烈人・・・アルカイザーは本部内を突き進んでいた。
遂にこの日が来た。 彼の復讐と、そして平和な暮しを取り戻す、その機会が。

「ちっ、いい加減拉致があかねえぜ。一気に行くか、ヒューズのおっちゃん!!」
「お、おい、一気にって、おまえ・・・うおっ!?」

IRPOの標準装備兵器・・・ハンドブラスターを構え、戦闘員達を相手にしていた
「ヒューズ」ことロスター隊員を巻き添えに吹き飛ばしつつ、
アルカイザーは噴出したヒーローパワーを纏い一挙に疾走する。

「キイイイイイイイイッ!?」
まるで紙くずの如く飛んでいく戦闘員達を横目に見ながら、
アルカイザーはそのまま一挙に走り抜けた。

空中を舞っている黒いジャケットの男が、なにやら大声で喚いている気もするが、
敢えて聞こえないふりをする。
その時彼の脳裏には・・・一ヶ月前の記憶がありありと浮かび上がってきていた。

(アセルス姉ちゃん・・・俺は遂にここまで来たぜ)
そう、あの時、彼は改めて心に誓った。
(もう、誰も死なせやしねえ。みんなは・・・人類は、おれが守ってみせる)
誰かを守れなかった・・・そんな思いは、もうしたくなかった。
だからこそ彼は戦う。自分と同じ思いを、させないためにも。
数々の悲しみを乗り越え、彼自身も心に傷を負いながら。


(そして、取り戻すんだ。平和を!!)
彼の戦いは、もう少しだけ続く。
すべてに決着を付ける、間近に迫ったその瞬間までは。

END
182小此木烈人(M):02/06/19 21:28
アルカイザーVSアセルス 「追憶の果てに! 針の城・悲劇の決戦」

レス番纏めだぜ!
>4>5>6>7>8>9>10>12>13>15>16>17>107>116>132>137>138
>139>140>142>154>161>163>166>172>175>179>180>181

感想は↓こちらまで!!
http://fargaia.opt.hokuto.ac/html/test/read.cgi?bbs=vampbattle&key=1019409630

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みんな、どしどし応募してくれよな!!

(注:嘘です。感想を書いて、たとえ商品が届かなかったとしても、
当方は一切の責任を負いません。)
183片倉優樹 ◆Y.K.lIyA :02/06/19 21:53
片倉優樹/遠野四季 「彼の名は、殺人鬼」  Epilogue1  
>174  
  
その後の彼は、どうなったんだろう。  
浦さんは、あたしの無茶な頼みを快く了承してくれた。だから、黙って特遺研の連中 
なんかに弄ばれている筈もなく、当然、「人」として刑に服している訳もない。 
  
・・・それなのに、どうして?  
  
こんな時の一人の時間は余計な事ばかり考えられて辛い。酒に酔うことが出来ないあたしは 
この時ばかりは無責任に酔っ払える人を羨ましく思った。  
・・・今日も何もない平和な一日。あたしの平穏な暮らしは数ヵ月後、山崎太一朗なる青年 
がここを訪れるまで、変化はなかった。  
  
・・・・・・  
彼女は知らない。あの時、あの後の会話を。彼らの目論みを。 
184片倉優樹 ◆Y.K.lIyA :02/06/19 22:01
片倉優樹/遠野四季 「彼の名は、殺人鬼」  Epilogue2  
>183  
  
■内閣府 特異生物管理委員会■  
  
「浦さん・・・だから、彼を出来れば・・・彼にチャンスを与えて欲しい・・・」 
「いえ、彼は非常に興味深い。勿論、『司法府』に死刑などさせませんよ。 
優樹さまの頼みとあらば、『実験』にもまわさないよう尽力いたしましょう」 
「浦さん、ありがとう。本当に・・・」  
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−がちゃっ  
「浦木・・・しかし、Ωサーキットとヴァチカンの協約を忘れたわけではあるまい。 
お嬢様が、悲しむ」  
「おや、飯田。あなたはそう『主』に進言されましたか?」 
「いや・・・」  
「なら、それまでです。おや?お出かけですか?」  
「意外と議員の仕事は骨が折れる」  
  
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・がちゃっ   
  
「人間というのはまったく、興味深い。自らを如何様にでも規定できる汎用性を持ちながら 
・・・何故それに囚われ得るのでしょう」  
  
強度に聖別された硝酸銀水溶液の入った水槽に浦木は目を細めて語りかけた。 
暗紫色の溶液の中は外からは良く見えないが、水槽の縁にはくすんだ白い糸・・いや、 
髪の毛がくたびれてはみ出している。  
  
「しかし・・・遠野の紅赤朱、古代の魔術師。吸血鬼・・・ヴァチカン。  
人間の欲の深さの極み。『主』の仰られるように計画は難航しそうです」  
  
その言葉に答えるものは、ここにはいない。  
・・・・・・ただ、闇が、笑った。            Fin.
パウルマン先生&アンゼルムス(M)vs孔濤羅
〜導入1〜

 「次は何処へ行く? パウルマン」

煌びやかな光。
夜通し消えないネオンが灯るカジノ街。
その中でも一際大きなカジノの一室で話声がする。
しかし、部屋に居るのはたった一人。
温度の感じられない笑みを張り付けた男が椅子に座っているだけだ。
よく見ると、男は滑稽な腹話術の人形を持っている。
 
まさか、この人形が?
 
 「そうだなぁ……アンゼルムス。
 たまには遊びで決めてみるか」
 
男が人形に向かって喋る。
 
 「ひひひひひ! 何時だって遊びじゃねぇかよ!!」
 
アンゼルムスと呼ばれた、腹話術の人形が口を大きく開けて笑う。
やはりただの人形では無かったのだ。
この人形がアンゼルムスならば、先ほどのパウルマンというのはこの男の事らしい。
 
 「よし、これで決めてみるか?」
 
そう言うと男はダーツを取り出した。
そして、壁に貼られた世界地図へと狙いを定める。
 
 「次はこいつが当たった所へ移動と行こうじゃあないか?」
 
 「そいつはまた適当だなぁ!」
 
楽しげに唇の端を歪めるパウルマンとアンゼルムス。
ひとしきり笑った後、ダーツを振りかぶって投げる。
 
どっ、音を立ててと壁にダーツが深々と突き刺さる。
ダーツの針が指した場所は――――
パウルマン先生&アンゼルムス(M)vs孔濤羅
〜導入2〜
 
ざ、ざ、ざ。
 
深夜の街、誰も通らない道路を歩く者たちが居る。
白い服に身を固めた一団が、横一列に並んで歩く。
その足音に乱れは無く、隊列が崩れる事も無い。
その一団を率いるのは、先程のパウルマンとアンゼルムス。
 
 「なぁ、パウルマン」
 
 「どうした? アンゼルムス」
 
腹話術の人形―――アンゼルムスが後ろを指差す。
後ろに並ぶのは、無表情の男たち。
見る限りは普通の人間のようだが、動きが少々緩慢だ。
 
 「ふむ、血が必要か」
 
一瞥しただけでパウルマンはそう判断した。
血とは一体どういう事だろうか?
確かに顔色が悪いようだが、輸血が必要なほどとは思えない。
 
 「クヒヒヒ……人間のフリをするのはカジノの中だけで十分だろう?」
 
アンゼルムスが哄笑と共に言葉を紡ぐ。
パウルマンはそれに応じて深々と頷き、前方の街を指差す。
そこは天を突くビル群が立ち並ぶ――――魔都、上海。
 
 「宜しい、ではあそこで授業を始めようじゃないか?
  なぁ……生徒達よ!!」
 
芝居じみた仕草でパウルマンが大きく手を広げる。
それに呼応して、後ろに控えていた“生徒”と呼ばれた男達は一歩前に出た。
そして、そのまま行進を始める。
“生徒達”は表情も変えずに一定のテンポで歩き続ける。
まるで、そう――――人形のように。

暗く、錆付いたような空気が漂う路地裏。
ここを“生徒達”は徘徊していた。
ぎし、と木が擦れて軋むような音を立てて“生徒”の一人が首を回す。
視線の先に居るのは闇に溶け込むような黒衣に身を包んだ男。
 
次瞬、獲物に喰らい付く獣のような素早さで、“生徒”は男へと飛び掛った。
187孔濤羅 ◆SIDenZTQ :02/06/19 23:22
パウルマン先生&アンゼルムス(M)vs孔濤羅
>186
 
その日も孔濤羅は街を歩いていた。
目立つ表通りを避けて、暗い裏路地をひっそりと行く。
 
今の濤羅は青雲幇に狙われる身。
組織自らが動いていないとはいえ、こうして出歩くことが
危険なのには変わりない。
 
だがそれでも為さねばならないことがある。
目指す仇の三人目。上海義肢公司の社長、呉榮成。
あの男を狙って本社ビルを偵察しつづけ、数日が経っていた。
ところが危険を察知した榮成はビルにこもり、一歩も動こうとはしない。
 
いかに腕に覚えがあるとはいえ、濤羅も人間である。
電子機器と武装した警備員で守られる「砦」に単身挑んで、
その主の首をとるのは不可能だ。
 
策を探しながら歩くうち、うつむき加減になっていたらしい。
ふと、気配を感じて濤羅は顔を上げた。
見た目には普通の男。ただしその挙動は何処かぎこちない。
まるで十分な運動エンジンの入っていない機械人形のようだ。
 
と、こちらに気付いたか男は首を回す。
次の瞬間には先ほどのぎこちない動きが嘘のような速さで
男は跳びかかってきた。
 
濤羅は慌てず男を迎え撃つ。
相手の踏み込みに合わせてこちらも前進。
倭刀の間合いに入るや抜き打ちに刀身を走らせ、頭部への一刀を見舞った。
>187
パウルマン先生&アンゼルムス(M)vs孔濤羅
 
頭部を割られた“生徒”の一人は脳漿を飛び散らせ―――ない。
代わりに、頭から飛び散ったのは銀色の粘りを持った液体だ。
見ようによっては水銀に見えない事も無い。
 
先程まで確かに生きていた筈の“生徒”は糸が切れた人形のように崩れ落ちた。
がしゃん、という人間にあるまじき音を立てて地面に激突。
頭からはみ出したのは電子部品や歯車……
そう、彼らは人間では無かった。
 
人の形をした者、人形だったのだ。
異常を察知したのか、他の“生徒”達が次々に集まってくる。
ある者は屋根の上に。
またある者は、退路を断つべく黒衣の男を挟み込む。
 
彼らの腕は花弁のように開き、その中から刃を覗かせている。
特に合図があった訳でもない。特に示し合わせた訳でもない。
だが、彼らは全く同じタイミングで、一斉に黒衣の男へと斬りかかった。
189孔濤羅 ◆SIDenZTQ :02/06/20 00:11
パウルマン先生&アンゼルムス(M)vs孔濤羅
>188 
 
やはり、と散らばった部品を見て濤羅は思う。
 
この男は機械人形。
命なき器に過ぎない。
 
だが、なぜ人を襲う?
プログラムにバグでも有ったのだろうか。
その答えが与えられることはなく、濤羅は再び戦いの場へと呼び戻される。
 
何かに呼び寄せられたかのように集まってくるニ体いや、三体の人影。
ニ体は挟撃のポジションを取り、残る一体は上から奇襲をする構えだ。
 
彼らが人間でないことはその腕を見れば明かだ。
今斬った機械人形の仲間か。
濤羅は調息し、戦闘に備える。
 
と、まるで示し合わせたかのように人形たちが同時に動いた。
その動きを、濤羅は三体まとめて捕らえていた。
 
目に頼らずとも、音が、そして何より彼らの発する殺気が
濤羅にそれを伝える。
 
まずは正面。
はぜ割れた腕から覗いた刃で斬りかかってくるのを
かわしざまに頭部へと斬撃をいれる。
 
濤羅は止まらずそのまま前へ進んだ。
上から降ってきた人形は目標を外し、虚しく着地する。
隙を突いたつもりが当てが外れたか、逆に隙だらけだ。
 
その機を逃す濤羅ではない。
瞬時に踏み込み人形の顎の下から頭部を貫く。
 
そいつを抱え上げて残る一体に突進。
互いの間合いに入る一歩手前で抱えた人形を突き飛ばした。
 
それをかわすために出来る一瞬の挙動の乱れ。
それだけで濤羅には十分だった。
 
水平に薙いだ倭刀の刀身はあやまたず人形の首を捕らえ、
それは己の紛い物の血に塗れて大地に伏した。
>189
パウルマン先生&アンゼルムス(M)vs孔濤羅
 
 「いやいや、お見事お見事……」
 
気の無い拍手とともに、物陰から一人の男が姿を現した。
手に腹話術人形を抱えた異様なまでに面長な顔の男―――パウルマンだ。
 
 「きひひひひ、でもそいつらは『下級生』だぜ?
  その程度の奴等なら誰にだって倒せらぁ」
 
腹話術人形―――アンゼルムス―――が饒舌に喋る。
先程の人形達は、“生徒達”の中でも弱い部類の者だったらしい。
 
 「では、出てきなさい『上級生』の諸君」
 
パウルマンの呼びかけに応じて、全く同じ白い衣装の男達が後ろから歩み出る。
現れた四体の人形の動きには先程の『下級生』のような鈍さが無い。
かなり人間に近い挙動をしている。
 
 「そこの君。これから授業を始めようじゃあないか。
  『人間はどうあがいても我々に勝てない』という、証明をね!!」
 
そのパウルマンの言葉を合図に、『上級生』達の腕が割れる。
ある二体の腕の中から覗くのは鋭利なブレード。
他の二体は葡萄のように腕の内側に手榴弾がぶら下がっている。
 
 「証明、開始」
 
開始の合図に手榴弾を抱えた人形は動かない。
どうやら、二体だけで黒衣を始末するつもりのようだ。
 
ブレードを持った二体が大きく飛び上がる。
すると腰がスライドし、中から噴射機が滑り出した。
そのままジェット噴射を開始。目にも止まらぬスピードで襲い掛かる!
191孔濤羅 ◆SIDenZTQ :02/06/20 01:09
パウルマン先生&アンゼルムス(M)vs孔濤羅
>190
 
突然現われた男の声とともに人形ニ体が飛来する。
人間の耐久力ではその勢いだけでも十分な凶器だ。
常人ならその動きを見ただけで諦める所だろう。
 
やむを得ず濤羅は防御に専念する。
人形だが、こいつらには殺気がある。
ならばいかに速くとも濤羅にとっては避けることは可能だ。
地に転がり壁に身を寄せ、濤羅は突進をかわす。
避け切れなかった刃はコートを、そして身体を浅く傷つける。
 
傷を受けるのは覚悟の上。
こうでもしないとやつらの動きを見極められない。
 
人形たちの幾度とない急降下と急上昇の繰り返し。
やがて濤羅にはその動きのパターンが読めてくる。
 
“それでは、今度はこちらの番だ”
 
濤羅は路地の中央で人形を待ちうける。
凄まじい勢いで突進する人形。
一体の作る死角にもう一体が隠れる布陣は何度目に出たのだったか。
 
ともあれ濤羅は跳躍した。
軽功を用いて、常人には及ばぬ高さに。
 
目標を外した先頭の人形が急上昇する。
それに続くニ体目、それが濤羅の目標だ。
 
空中で身体を捻ると濤羅の視界が反転した。
天地を逆さまにした姿勢のまま相手の速度を計算して壁を蹴りつける。
自由落下を超える勢いで移動する濤羅は再び身体を捻った。
 
そうやって濤羅が着地したのは、今まさに上昇せんとしたニ体目の
背中の上。
速度が落ちるその隙を濤羅は突いたのだ。
 
招かれぬ乗客を振り落さんともがく間を与えず、濤羅は倭刀を
人形の頭部へ突きこむ。
 
機能停止したそいつから飛び降りつつ、濤羅はもう一体に備える。
頭上で人形の残骸がビルに激突した音を聞きながら、
再度の跳躍に備えて濤羅は調息を開始した。
192遠野四季 ◆17thMv4s :02/06/20 01:18
ふん、ロアであるこのオレが一番畏れ、恋い焦がれているてのが誰かも知らずに、呑気な奴等だ。
まぁ、良いさ。
オレの存在にさえ気付かぬ奴等など、眼中に無い。
いや、もともとオレの眼中にあるのは彼女だけか――――

ふん、オレが死んでも、彼女の約束は守れる。
次の転生体が何処かは知らねぇが、片倉優樹。――お前を殺すまでは、誰も殺さねェ。・
これだけは確かだ。
その証明として、以下のものを捧げる……。

片倉優樹/遠野四季 「彼の名は、殺人鬼」

28章途中経過>461
29章>48>58>62>66>70>75>85>95>104>148>152>155>159>165>174

エピローグ >183>184
>191
パウルマン先生&アンゼルムス(M)vs孔濤羅
 
 「ハハハハ! 中々やるじゃあないか人間!!」
 
“生徒”の一人を失ってもパウルマンに動揺は無い。
むしろ喜色さえ浮かべている。
相棒を失った人形が空中で旋回、再び急降下の構えを取る。
 
 「ひひひひ、アイツ一人じゃ荷が重そうだぜ? パウルマン」
 
気味の悪い笑いを浮かべるアンゼルムス。
人形の無表情が歪む、というのは悪夢の光景ですらある。
それを聞いたパウルマンが無言で手を掲げる。
 
 「では、お前達も手伝ってやりなさい」
 
控えていた手榴弾持ちの人形が二体とも跳躍。
じゃらじゃらと手榴弾が互いにぶつかりあって音を立てた。
そして二体の人形は黒衣へと迫る。
 
だが投げるには手頃な距離だというのに奴等はまだ手榴弾を放さない。
一気に近づいて間近で爆発させるつもりらしい。
何の疑いも無く、自爆を選べるのは命が惜しくないからだ。
どうせまた修理すれば直る。
それに、もともと人形に命など存在しない。
194孔濤羅 ◆SIDenZTQ :02/06/20 02:02
パウルマン先生&アンゼルムス(M)vs孔濤羅
>193
 
一気に接近する手榴弾を抱えた人形たち。
頭上には先の人形が控え、二段構えの布陣だ。
下手に手榴弾をかわせば上の人形が、上に気を取られれば手榴弾が、
それぞれ濤羅を襲うだろう。
 
それだけ見て取ると濤羅は跳躍した。
普通なら後ろに下がる所を、逆に前、つまり手榴弾を抱えた人形たちの中へ。
 
その動きに反応して人形たちが手榴弾のピンを抜く。
だが投擲するために作られた手榴弾は爆発までに数秒の猶予がある。
その数秒が勝負だ。
 
濤羅の死を確実なものにせんとしがみつこうとする人形たちを蹴り飛ばす。
普通の蹴りとは違い、横ではなく下へ向かって。
その蹴りに渾身の内力を込めた。
大地を蹴ったかのように濤羅の身体はさらに上空へと逃れる。
 
軽功の達人は水に浮かべた紙片ですら足場にしてのけるという。
それには及ばぬまでも驚愕すべき濤羅の軽功だった。
 
叩き落された人形たちが大地へと激突する。
そして抱えた手榴弾が爆発。
破片が幾つか、身体のあちこちに食い込んだ。
だが今は傷の具合を気にしている時ではない。
爆風が思わず目を閉じてしまった濤羅の身体を上へと押し上げる。
 
それでも感じる。
仲間を破壊されたことにも動じない人形の気配。
目を見開けば相手はもう目の前だった。
 
爆風すらも移動に利用するとは、さすがに予想外だったか。
その人形が動こうとしたのは濤羅の倭刀がその身体を半ばまで
切り裂いた時だった。
当然のことながら、すでに遅すぎる。
その人形は結局反撃することの出来ぬまま、尻から頭まで真っ二つに
切り裂かれて動きを止めた。
 
落下の衝撃を一回転して殺して着地。
荒い息を吐きつつ、この人形の頭目らしき男に向き直った。
195名無しクルースニク:02/06/20 02:13
Nameless Kresnik vs Count Vardalek
“The Party Of The Children Of Night”
>176
 
「……え」
 
 ゆっくりと崩れ落ちて行く、ギターケースを握った黒い影。
 凶器にしか見えない白い塊は、胸に深々と突き立っている。
 
 ――何、やってるんだよ。
 
 刃を縦に構えたまま、押し込むように蹴り飛ばされた。何て馬鹿力。
 身を丸めても衝撃を殺し切れない。激痛と共に体を包む浮遊感。
 ――でも、そんな事はどうでも、
 盛大な破砕音が聴覚を切り裂いた。
 硝子片が体のあちこちを切り刻みながら、転がった中庭で周囲に散る。
 血のカタマリを吐き出しながら起き上がって、目の前に転がった十字架に
気付いた。黒く焼け、地金の露出した――
 視線の端で、見覚えのある指輪を嵌めた手首を捉えた。
 
「あ」
 
 いつかの酒場。人の金だからって、遠慮なく酒を啜る馬鹿二人。
『……今度会った時には――お前が奢れよ』
『――次、ね。話半分に聞いとく』
『同感。――お前も飲めよ、勿体無い』
 
 ――奢るって言った馬鹿は、誰だ。
 
 炭化寸前の手首を拾い上げて、十字架を拾い上げて、手首が灰になってごとりと
落ちた。まだ熱を持った十字架は、掌の表面を焼きながら自己主張する。
 つまり、
 ――アイツは、死んだ。
 
「ああ、ああぁ、あ、ああああああ、あああああ」
 
 意識が害意に腐食される。ムシクイのココロ。穴だらけの理性。
 砂漠の砂は水を吸収しない。即座に鉄砲水へと姿を変える。
 意識の防壁が決壊する。
 
「あ――」
 
 硝子の奥、パーティー会場からゆっくりと近付いてくる異形の狼。
 殺せ、と心のどこかが叫んだ。殺す、と全ての意識が同意した。
 紅い。広がる血溜り。脳内を狂奔する殺意。
 刃を杖に、ゆっくりと起き上がる。両手で柄を握り直す。
196名無しクルースニク:02/06/20 02:14
Nameless Kresnik vs Count Vardalek
“The Party Of The Children Of Night”
>195
 
「は――は、ハ」
 
 コイツは死ぬ。だって、俺と踊ってる。だから、死ぬ。
 ――待てよ。そうじゃない。そうじゃないんだ。
 どうして、お前は生きてるんだよ。死んでるクセに。死んだクセに、殺した。
 ヘカテー――お前は何を考える? こんなクズの管理も出来ないのか。
 売女め。売女め。売女め。売女め。売女め。売女め。
 ふざけるな。そうだ、だから、コイツは生贄。
 思い知れ、クソ売女。
 コイツはペルセポネの元に葬送ってやる。お前になんか渡さない。
 鋼鉄の天使が剣を握って腹の中を駆け回る。炎上する第七の天国。
 不死を求めた理由は? 生を否定して、仮初めの命を享受した理由は?
 好奇心? 可愛げの無いアリスは、トランプの兵隊に壊されるのがオチ。
 ハンプティ・ダンプティ、落っこちた。堕落した馬鹿は、死ね。
 
「ハンプティ・ダンプティ、塀の上に座ってた。ハンプティ・ダンプティ落っこちた。
 王様のお馬と王さまの家来、みんな寄っても、ハンプティ・ダンプティ、元に戻せなかった。
 ハンプティ・ダンプティ、ハンプティ・ダンプティ――」
 
 柄の握り方を忘れそうだった。もう、どうでも良いような気もした。
 考える事なんて、もう、一つだけ。
 ――この馬鹿を、早く壊そう。
 白衣と肌を朱に染めて、青年は刃を構えた。
Nameless Kresnik vs Count Vardalek
“The Party Of The Children Of Night”
>195-196
 
 マザー・グースの詩を詠いながら白い狩人は剣を構え直す。
 その様子を見遣った人狼は、妙に人間臭い素振りで肩をすくめた。
 
「こいつ、イカレおった。いやいや、元からか。
 正気で我らに刃向う阿呆はおるまいしな」 
 
 頬が歪みかける。決してそれは嘲笑の所為ばかりではない。
 脇腹辺りの体毛が黒く染まっているのだ。そこから鮮血が止めどなく滴り落つ。
 左の骨剣で仕留めた狩人が断末魔に放った銃撃、身を捻って避けたつもりが、どうやら
かわし切れていなかったらしい。
 
 噛み縛った歯が嫌な音を立てて鳴ったその一瞬。
 今の今まで立っていた場所に、既にしてヘンツォーの姿はない。
 それは別の所にあった。即ち狩人の遥か頭上、月を臨む夜空の中に。
 強靭な筋肉での踏み込みにより、人狼は一気に七メートルの高みまで跳躍していたのである。
 
 人狼の躯が空中で一回転する。
 垂直に落ちるスピードに、空気を足場代わりにして蹴った勢いも上乗せして流星が降り掛かる。
 人外の魔技が狙う先は、只ひたすらに白い狩人。
 鉄を斬り得る鋭さで風を切りながら、右手が振り被られた。
戦え! 正義と愛と勇気の使徒、小早川奈津子!!
                         作詞:小早川奈津子
                         作曲:小早川奈津子
                           歌:小早川奈津子
アタクシは北半球で一番
美しくて賢い女ラララ〜♪
 
極悪無道の化け物どもが
罪も無い人々を脅かす〜♪
 
おりしも輝く破邪のヤイバ
か弱いその手ににぎりしめ
愛と正義の為に戦うの〜♪
 
嗚呼、ナツコ・ザ・ミディアンハンタ〜♪
雄々、ナツコ・ザ・ミディアンハンタ〜〜〜♪
(主題歌をバックに登場)
 
をーっほほほほほほほほほほほほほほほっ!!
 
その耳をよぉくすまして、お聞きなさいな、化け物共!
アタクシの名は小早川奈津子、愛と正義と地球の為に日夜戦い続ける美女戦士ですわ。
 
極悪非道のドラゴン共を打ち倒して、地上に平和をもたらすのがアタクシの本来の目的。
されど、ココに溢れかえっている、化け物共を放置することなど、
多国籍軍が赦しても、正義の使徒たるアタクシの、この魂が赦しませんわっ! 
 
アタクシがココに来たからには、貴方達も、これまでのような非道無道は
許されないとお思いなさいな。 さぁ、覚悟は出来まして?!
 
嗚呼、天国のお父様っ!
奈津子は、奈津子は、世界平和と人類の為、粉骨砕身の決意で戦っております。
どうか、どうかそのままアタクシを、天上から暖かく見守って下さいませっ!
 
……参戦のルール? まったく面倒な話ですわね。
本来ならば高貴なるアタクシが、貴方達みたいな下種に合わせる理由は無くってよ?
 
をほほほほ、まあ、これも戯言ですわ。大海のように広い心を持ち合わせている、
このアタクシが、貴方達の習慣に付き合ってやろうではありませんの。
 
人類の代表者にして絶対の正義であるアタクシのカテゴリは、もちろんAですわ。
当然の事ですわね、をほほほ。
 
あとは、テンプレートですって? 
乙女の秘密やプロフィールを知りたいだなんて、
なにやら、良からぬ事を考えているのではないのかえ?
 
じゃあ、そのお目目を大きく見開いて、とっくりと御覧なさいな。
アタクシのヒミツを大・公・開いたしますわね、をーっほほほほほほほ!
出典 : 講談社刊行『創竜伝』ですわ。真ヒロインたるアタクシは7巻以降の出演になりますわね。 
    むしろ6巻までは、アタクシを引き立てるための壮大なるプロローグに過ぎませんわ。
 
名前 : 高貴なるアタクシの名は「小早川奈津子」ですわ。
 
年齢 : んまぁ〜あ! 妙齢のレディに年齢を尋ねるとは、なんたるセクハラ!!
     けれど、ヒント程度なら差し上げてもよろしくってよ?
     日中戦争初期の生まれと言えば、貴方達の鈍い頭でも理解できるかしらね?
 
性別 : この魅惑の体を見て、アタクシの性別が判らないなんて事は、まさか有りませんわよね。
 
職業 : 表向きは北京でクラブ『蓬莱』を経営しておりますの。
     而して、その実体は人類を守護し、平和を維持する、
     愛と正義の美女戦士ですわっ! をーっほほほほほほほ!
 
趣味 : 可愛らしい美少年達と戯れる一時こそが、美しき戦士の休息の時ですわね。
恋人の有無 : をほほ、ご想像に任せますわ。
好きな異性のタイプ : 最上級の美少年なら特にえり好みはしませんわ。
 
好きな食べ物 : そうですわね、食べ物と言っても慎ましやかな物ですわね。
         せいぜい満漢全席を一人でたいらげて、
         ドンペリを日に一ダースほど空ける程度の物ですわ。
        
最近気になること : お父様の仇にして、人類の敵! 
           悪逆非道の極道者、竜堂四兄弟の行き先ですわっ!!
           あやつらは、凶暴にして悪辣、邪悪にして不逞、
           まさに、まさに許しがたい連中ですわ!!
         
一番苦手なもの : をーっほほほほ、正義の使徒たるこのアタクシに苦手な物などありませんわ。
 
得意な技 : 技? 技などと言う物は力の足りないものが、アタクシのような、
       生まれながらのエリートに対抗する為の手段ですわ。
       よって、アタクシには技などと言う物は必要ありませんわね。
       この美しい肉体と身を包む鎧さえあれば、クトゥルー神話の邪神でさえ
       倒して見せますわ!
 
一番の決めゼリフ : アタクシの台詞はどれも傑作ですから、どれか一つになんて絞れませんわね。
 
将来の夢 : をっほほ、よくぞ聞いてくれましたわ。
       アタクシの夢、それは富士山の麓に牧場を作り、多数の美少年を裸で放牧する事っ!
       名づけて「富士山・愛のまほろば」計画ですわ、をーほほほほっ!
 
ここの住人として一言 : さァ、化け物共、覚悟おし! おしおし!
ここの仲間たちに一言 : をほほ、むろん、アタクシの手足となり、無償で働いて下さいますわよね。
ここの名無しに一言 : あら? ココで名無しを見かけることなど滅多とないと思いますけど?
201毒島(M):02/06/20 16:02
クロウvs毒島
導入
 
「んー、もうちょびっと、あとひとふんばりだっつうのに、うまくいかなくなっちったよ! くっそー、
ムカツクぜー!
せっかく不死身になっても、その反動で寿命が短くなっちゃあ意味ナッシングじゃん!ああ、天才のこのオレ様が、
こんなトコで行き詰まっちまうなんてことがあっていいんだろうか?
いんや、いくない!人類の永遠の夢、完全な不老不死を実現させるのは、このボクちん以外にゃありえませんね。
頑張れオレ様!ファイトだハジメちゃん!諦めちゃあ、ダメのダメダメなのだ!
 
・・・・ひとつ発想を転換して、<獣人>以外の方面に可能性を求めてみるべ?そ、例えばいっぺん死んだ連中だあな。
ゾンビとかミイラ男とか吸血鬼とか、あーゆー連中はトシとんないよね、とっくに死んでんだから。
あ、でもゾンビはヤだなー、臭いもん。ミイラも不許可っすよ、火気厳禁だもんネ!
そーなると残された可能性は、きゅーけつき!やっぱ不老不死っつーたらコイツらっしょ!
吸血鬼をオレ様が大改造して、首ちょんぱされよーが、心臓に棒切れがブッ刺さろーが、日光浴しようが平気の、
究極の存在にしちゃう!やっぱオレって天才!オレ様冴えてる!
さー、そうと決まれば早速、実験材料を確保しなきゃに。おっと、その前にまず、情報を集めなきゃなんねえか。
愛しの吸血鬼ちゃーん待っててよー、すぐに迎えに行くかんねー、うひょひょひょひょ・・・・」
202クロウ ◆DsxKUROU :02/06/20 19:59
クロウvs毒島

導入

>201

起きて、食事をする。
赤帝の所に顔を出す。
散歩がてらに街を見まわる。
酒に酔った連中の小競り合いが起こる。

ごくありふれた風景。
今日も、昨日と同じ。

退屈を、持て余している。
三日ほど前、食料を奪おうとして町に侵入したチンピラどもが女を殺して逃げた。
そいつらを追って皆殺しにした。
殺し合いにすらならなかったが、こうしているよりは遥かにまし。
そう、思った。

 戻るか。

昨日と同じ今日も、そろそろ終りだ。
踵を返し、自身の部屋へ向う。
ベットに潜り込んで、今日と同じ明日を迎えるはずだった。

――「終わりかけた今日」が奇妙な乱入者に破壊される直前まで、そう思っていた。
>72

「チィッ!」

 罵声を吐く暇さえ与えず、吸血鬼は間合いを詰める。
 この間合い、このスピード。もう、あたしに出来ることなど僅かもない。

 ――――だから、その『僅か』の中から最良の行動を選択する。

「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

 一瞬で覚悟を決め、あたしは駆けた。駆けるとは言っても、吸血鬼とあたしの距離は大して空いていない。
 一歩踏み出した所で、眼前一杯に吸血鬼の焼けただれた顔が写る。

(こんな化け物相手に、玲二はよくもまぁ、こんなダメージを与えられたもんだぜ……!!)

 吸血鬼の残った一本の腕が一瞬ぶれたかと思うと、銀の軌跡があたしの右腕へと走り寄る。
 その一撃は、あたしが今から回避運動を始めるために筋肉を動かすよりも速く、あたしの腕を切り裂くだろう。
 だけど、あたしだって利き手を何の代償も無しにくれてやるほど、お人好しじゃない。

「この……化け物がぁぁぁぁ!!」

 銃声。吸血鬼が繰り出した銃剣があたしに届くよりも、ベレッタの引き金を三度引くほうが速かった。
 逆に言えば、三度しか引かせてくれなかったのだが、あまり我侭が言える状況でも無いから、仕方が無い。

 これはゲームだ。賭けだ。あたしはろくに狙いもつけず、三発の銃弾を吸血鬼の腕へと撃ち放った。
 もし、吸血鬼がこの距離からの発砲もかわせるような化物だったら、あたしの負けだ。
 だけど、少しでも喰らい、その銃剣の軌道を逸らしてくれれば……まだあたしにも可能性はある!
出典>都市シリーズ・機甲都市伯林1〜5(電撃文庫/川上稔)

名前>へ:「自分はへラード・シュバイツァーだ」
レ:「私はレーヴェンツァーン・ネイロルよ。近い内に、シュバイツァーに変わるかもしれないけど」
へ:「…黙秘する」

年齢>へ:「ベルガーはオヤジと言うが、まだ29だ」
レ:「24よ。よく考えたら転輪後の救世者より年下なのよね私って。なんかラッキー」

性別>へ:「無論、男だ」レ:「もちろん、女よ。」

職業>へ:「G機関空軍部大尉だ。字名は”音速裁断師”」
レ:「力は無いけれどG機関の長である”速読歴”よ。私の方が上司なの。これって有る意味逆玉よねー」
へ:「黙秘する」

趣味>へ:「特に無い」
レ:「私は結構料理作るの好きよ。後は、オルガンをちょっと弾けることかな」

恋人の有無>へ:「レーヴェンツァーンだ」レ:「…へラード大尉よ」

好きな異性のタイプ>へ:「レーヴェンツァーンだ」
レ:「意味が通らない上に台詞が変わってないわよ、大尉」

好きな食べ物>へ:「…特にない」
レ:「大尉の好物は小エビのフライよ。後、好きなものは後に残しておくタイプだから」
へ:「む…」

最近気になること>へ:「連合軍の動向だな。仏蘭西を解放し、勢いに乗っている」
レ:「大尉が浮気しないかどうか、かなー」
へ:「そのような事、するわけがない」
レ:「…大尉の良いところは何言っても自信ありげに聞こえるところよねー」

一番苦手なもの>ヘ:「無い」レ:「特に思いつかないわね。畑の手入れは忙しいけれど」

得意な技>へ:「強臓式義腕”英雄・改”の仮発動による攻防自在の結界術だ」
レ:「強臓式心臓”新世界”の仮発動による強臓式装備の加減圧及び操作…ね。格闘も人並みにこなせるわ」

一番の決めゼリフ>へ:「”英雄”の詞、だろう」
レ:「私が、どんな嘘をついても信じていてね――ってこれ決め台詞なのかしら?」

将来の夢>レ:「しあわせ家族計画よ」へ:「黙秘する」

ここの住人として一言>へ:「主に傍観者となるだろうが、闘争は受け付けよう。宜しく頼む」

ここの仲間たちに一言>レ:「此処では珍しい防御系よね…助けが要るなら、いつでも言って」

ここの名無しに一言>へ:「都市世界に関する質問、解る範囲で何時でも答えよう」

レ:「カテゴリは一応傍観者。2ch初心者だけど、仲良くやっていきたいわね」

へ:「諸事情により頻繁には参加できないが、魅せる戦いが出来るよう善処する」
夜の街には霧が立ちこめている
《霧が唐突に晴れた》
其処には二つの影。
一つは黒い軍服を着込み右腕が巨大な戦闘用義腕の長身の男。
もう一人は、男物にも似た給仕服を纏った黒髪の女。
女は辺りを見回して
「…大尉、此処だったっけ?救世者と運命が居るのは」

「そうだ…が、どうやら訪問するだけでは済まなそうだな」

男は辺りの気配を探る。
「…異族、特に、吸血種が多いようだな」

「大丈夫?」

「安心しろ。…キミは自分が護る」

そう言って、男は歩き出す。それに続くように、女も。
《再び霧が立ちこめる》
《二人の姿はもう見えない》
206ホル・ホース:02/06/20 20:39
『銃は吸血鬼より強し』 ンッン〜名言だなこれは。
ホル・ホース。おれの名だぜ。
『皇帝』のカードを暗示するスタンド使いってわけよォ。
 
オレのスタンド『皇帝』の能力は拳銃(ハジキ)だ。
弾丸もスタンドで、オレの思うままに動くぜェ―――ッ!!
 
出典 : ジョジョの奇妙な冒険・第3部
名前 : ホル・ホース
年齢 : 忘れたなァ――ッ。30ぐらいか?
性別 : 男
職業 : 殺し屋ってトコさあね。
趣味 : ナンパ
恋人の有無 : たくさん
好きな異性のタイプ : ブスだろうが美人だろうが女を尊敬してる!!
最近気になること : ジョースター一行の動向と、DIOの能力だあな。
一番苦手なもの : ポルポル君
得意な技 :『皇帝』による暗殺
一番の決めゼリフ :「『一番よりもNo.2!』これがホル・ホースの人生哲学モンクあっか!」
 
ああ、カテゴリはDってことで頼むぜ。
>194
パウルマン先生&アンゼルムス(M)vs孔濤羅
 
三体の人形が瞬時に破壊された。
それを見て取ったアンゼルムスはパウルマンの腕から飛び降りる。
 
 「二体の手榴弾を凌ぎ、尚且つ一体を仕留めてみせるとは……」
 「こいつは、久々に楽しめそうだな」
 
二人の唇が三日月形に醜く歪む。
その笑顔はひどく、何か不快な物を感じさせる。
キリキリと歯車が回る音と共に、パウルマンが首に手をやる。
 
 「では、応用編と行こう」
 
ずるり、と何か悪い夢のようにパウルマンの首が取れる。
中から滑り出したのは、闇の中でさえ輝くほどの鋭利な刃。
 
 「けけけけ、ドギモ抜かせてやろうじゃねぇか!」
 
何か、歯車を組み替えるような音が微かに聞こえる。
そして――――次瞬、アンゼルムスの腕は二倍、いや三倍の長さへと伸びた。
 
 「行くぜ、黒尽くめ!」
 
アンゼルムスの両手がパウルマンの脚を掴む。
そしてそのまま、アンゼルムスは大きく振り回し始めた!
風が唸る轟音が響く。
パウルマンの刃は周りの建物の壁をあっさりと切り裂き、まるで障害物など無いかのように振るわれる。
それは、小型の竜巻と言って差し支えないほどの威力を誇っていた。
周りを破壊し尽くした後、大きく勢いをつけて黒衣の男へと刃の突風が吹きつける。
208『シェル』着用者:02/06/20 22:59
ミズー・ビアンカ戦(導入)

「ひ――ひはっ。ひははははっ!」

――――笑い声。その周囲を埋めつくしているのは、凄惨な――『破壊』だ。
 道々のアスファルトは無惨に剥がれ、車両は粉砕され――立ち並ぶ建造物にはことごとく罅が入り、崩壊寸前の様相を呈していた。
 巨大な瓦礫があちこちに散乱し、その隙間からは、幾筋もの赤黒く濁った液体が、いまも筋を引いて流れている。

 その、破壊の中心部分に。奇妙な人影が佇んでいた。どこか歪な、人の形から微妙に逸脱したその姿。
 頭からつま先まで――否、肉体の全てを覆うそれは、金属と革布と、そして樹脂と――
 そんなもので構成された、一種の『鎧』とも言える代物だ。

 全体的に灰色の印象を受けるその姿は、一見……中世の騎士を連想させる。
 だが、そこから発散される禍々しい気配は、その想像を容易に打ち消ししていた。
 
「どうした――どうしたよおい? 急に黙り込んじゃってさ。ほら……何か言えよ。それとも、そんなに僕が怖いのか?」

 地面に転がるそれを、頑強なブーツで包まれた脚で踏みにじりながら、彼が言う。
 次々と零れるように紡がれる言葉は、すでに正気を失っていた。解放された執着――あるいは怨念――に突き動かされるように。
 彼の行動は、止まることを知らず――

「なんとか言えよ――言えって言ってるだろ。散々僕を――僕を、虐めておいて。謝れよ、なぁ――これっぽっちのことで、
 許してもらおうだなんて思ってないよな? まだ駄目だ。君は僕に謝ってない。さあ、謝るんだ――今まで悪かったと。
 頭を地面にこすりつけて。もうしないと誓うんだ。さあ、言え――誓えよ。――――誓えって言ってるだろぉ!?」

 癇癪を起こしたように、彼は力任せにブーツを叩き付けた。
 ぐきゃ、という鈍い音と共にそれは砕け――内部から、赤と灰色の入り交じった、奇妙な液体を垂れ流す。
――脳漿と、血の入り交じった液体を。

「――痛いか? 痛いだろ? 僕はもっと痛かった。もっと辛かったんだ。毎日毎日毎日毎日毎日毎日毎日毎日毎日毎日――――!」

 叩き付けるように、彼はその思いを、恨みを。脚の下のそれ――死体に向けて全てを吐き出していた。
 脚が振り下ろされる事に粘着質の音が周囲に響き、それがますます、彼の心を苛立たせる。

――何故。どうして。ここまでしても。

「謝らないんだ、お前は――!」

 つい先程、自分の手で殺したその死体に向かい、彼はもう一度脚を叩き付けた。
 砕けかけた頭部が、更なる打撃に負け、その内容物をぶちまけながら完全に崩壊した。
 眼球がぽろりと転がり落ち、濁った血にまみれた顔の下半分が、どこか出来の悪いオブジェような、作り物めいた印象を与えている。
 相変わらず物言わぬそれ――死体に業を煮やした彼は、ぬめる襟首を掴み上げ……
209『シェル』着用者:02/06/20 23:00
>208
「――――」
 
 どちゃ――無言で死体を手放した。姿勢を真っ直ぐに伸ばして、右を向く。
 破壊され尽くしたストリートの向こう側から、ひとり。赤い――赤い人影がゆっくりと、こちらへと近寄ってきていた。
 女――そう、女だ。それも、まだ若い。だが、彼女は破壊され尽くした周囲には目もくれず――いや、こちらにも。
 そして、足下に転がっている死体にすら興味がないように、虚空を見据えたまま真っ直ぐに歩いている。

「――――おい」

 それが、気に障った――という訳でもないのだろうが。静かに。低く、呻くような声で。彼は彼女に呼びかける。
――だが、彼女は答えない。恐らくは、聞こえていないのだろう。
 しかし彼の脳の中では、それは……彼を侮辱する行為だった。
 無視された。無視された。無視された無視された無視された無視された無視された――――!

「……おいって――言ってるだろ、お前っ!?」

 爆発するような怒声が、ようやく女の足を止める。
 だが、彼女の表情に浮かんでいるのは、恐怖でも困惑でもない。ただ、迷惑だといわんばかりの、そんな表情。
 いままで彼がさらされてきた……彼を否定するその表情が。
 壊れかけた意識の中に、止めとなって突き刺さる。

 ゆらり――と、彼が動いた。それは、彼にしてみれば相手に恐怖を演出するための動きだったのだが。
 端から見れば、壊れた玩具のような、ぎこちない動きに過ぎない。どこかおどおどした動きに、彼女が軽く溜息をつく。
 そこで――完全に、切れた。

「顕れよ・見えざる鉄槌・破壊の波紋・押し寄せて砕け・純粋なる力……」

 殺してやる。壊してやる。僕を否定した奴は――みんな、死ねばいい。みんな殺した。
 殺せる。僕には殺せる。僕には――これがある。この鎧があるのだから!

 彼が誇らしげに身につけているその鎧は、この国に住む者ならば、誰もがこう答えるだろう。

 「モールド」だ、と。

 それは、人を人の形に収めるための鋳型。魔法使い達が、己が身を縛るために着用する拘束衣。
 しかし、本物の魔法使い――魔法士や、ある程度の知識を有する者ならば誰もがこう答えるに違いない。
 これは、ただの紛い物だ、と。
 
 それは、殻だ。
 自らを守り、包み込むための――欺くための固い殻。
 それは――違法に製造された簡易的な『鋳型(モールド)』
 それは――『殻(シェル)』と呼ばれている。

「……ウェラ・ザン・ヨーロン・クオン・マルク・マルク・ファイヴァン……<インパクト>――」

 真っ赤に染まった視界。すでに、女は見えていなかった。ただ激情の命じるままに、彼は唱える。
 呪文。魔法の言葉。仮想を現実へと転化する引き金。
 すなわち――撃発音声。

「イィィィイグジストォォォォッ!」

 瞬間――現実事象に、彼の望みが上書きされる。
 指定したポイントを中心として発動した不可視の魔力は、そのまま周囲に、破滅的な衝撃波を発生させる。
 これこそが、この場に満ちる破壊の原因だろう。崩壊寸前だった諸々の物体は、止めとばかりに衝撃波を叩き付けられ――
 為す統べなく、無惨に粉砕されていく。その光景を、哄笑と共に見つめながら――
210『シェル』着用者:02/06/20 23:01
>209
 唐突に。
 変化が起こった。
 
 びじ。びじびじびじびじびじびじびじ――――――
 裂ける。裂けていく。殻が――無惨に裂けていく。金属がねじ切られ、革が引きちぎられ――
 しかし、壊れ、そして崩れていくのは、それだけではなかった。
 
「げらげらげらげらげらげらげらげらげら――――――!」

 紡がれる笑い声。そこに含まれる要素は、正しく狂気――
 裂ける殻。その内側から現れたのは、正しく異形――
 それは、限界を超えて魔法を使いすぎた人間のなれの果て。心も身体も、人の形から崩れ堕ちた人類の天敵。
 それは――魔族と呼ばれている。
 
「げらげらげらげらげらげら! おねえさあああああんっ! こォォォっちを、見ろオオオオオオおっ!」

 喜声から、唐突にその言葉は怒声へと変化する。『堕ちる』前に彼が抱いていた記憶。
 無視された――排斥されたという、強力な強迫観念。

 それを深く意識に刻みつけた化物――魔族は、女に向かい、その新たな一歩を踏み出した。
211孔濤羅 ◆SIDenZTQ :02/06/20 23:02
パウルマン先生&アンゼルムス(M)vs孔濤羅
>207
 
それは竜巻に等しい破壊力を有していた。
鋭い刃は全てを切り裂き、速い回転は近づくのを躊躇させる。
 
それでも普段の濤羅ならば懐に飛び込むのは不可能ではないだろう。
長い得物や回転の勢いを利用した攻撃は、内部に入りこまれると脆い。
ゆえに下がらず、思い切って跳びこむのがこういった手合いに対する定石だ。
 
だが手榴弾の破片で受けた傷が、濤羅の脚力を著しく削いでいる。
竜巻のごとき連撃をかわしざまに跳びこむには十分な見切りと脚力の
両方が必要だが
今の濤羅には見切りしか果たせない。
やむを得ずに濤羅は、路地の奥へ奥へと後退する。
 
あと一手。
この状況を覆すには何かあと一手あればいい。
あの回転を、ほんの一瞬止めるだけの何かが。
 
藁にもすがる思いで濤羅はその一手を探しつづけた。
>210 ミズー・ビアンカVS魔族        シェル・ブレイク (脱皮)

そこにあるのは、ただ、破壊。
それだけだった。

何もかもが罅割れた通りを、彼女は悠然と闊歩する。
周囲の状況が彼女に見えていないわけではない。
それは単純に、彼女自身に興味そのものが欠落しているからだ。

だからこそ、その破壊の主――――非合法モールド「シェル」の
着用者に声をかけられた時も、彼女―――ミズー・ビアンカは、
何の感情の色も浮かべなかった。

(最近は多いらしいわね・・・こういう事件は)
その男の顔を見返す。もちろん、鎧に隠され、
表情は確認する事はできないが。

(まあどのみち、面倒な事に変わりはない、という事かしら)
短く嘆息する。

それが彼の引き金になったらしい。
堰を切ったように、男の口から呪文の詠唱が開始される。

「イィィィイグジストォォォォッ!」

撃発音声と共に、魔法が発動。
だが、そもそもの狙いがつけられていない。

巻き起こる衝撃波を、ミズーが回避することは、容易かった。
だが。
>212

男の身体が突然爆ぜた。
全身の肉が弾けるように脈動し、うねる。
あたかも、それ自体が別の意思を持っているかのように。

(魔法中毒者――――魔族!)

「シェル」と呼ばれるその鎧だけではない。文字通り、人間という存在の「殻」を破り、
その生物は、今正にこの世に生まれ出でようとしていた。
魔族。人間に対する冒涜そのものの存在。
その生物がもつ凶悪性については、最早知らぬ者などいないだろう。

(流石に厄介ね・・・間に合えばいいのだけれど)

一歩前に踏み出す魔族。
それに応じて、ミズーもまた、一歩前へ踏み出した。
距離は適度に保ってある。これは彼女の間合いだ。

更に一歩。同時に、抜剣。
剥き身になった剣を大きく掲げ、一気に振り抜く。

横向きに放たれた一撃は、かつて人間の「頭部」であった部分を、
その身体から切り離していた。

結果を確認する前に、彼女は次の行動へと移っていた。
意識を即座に集中させ、そして―――念の道を開く。

悲鳴を上げる暇すら与えられず―――魔族になりかけの頭部は、
ごろごろと地面を転がった。
それを追うかのように、解き放たれた念糸は真っ直ぐに伸びる。
そして、その冗談のように容貌を歪められた、肉塊に絡みついた――

一瞬の後。
ぼっ、といういかにも軽い音とともに。
転がった頭部は、炭素の塊と化していた。
>211
パウルマン先生&アンゼルムス(M)vs孔濤羅
 
 「ほれほれ、どうしたどうしたぁ!!」
 「ハハハハハ、早く逃げないと真っ二つだぞ!?」
 
アンゼルムスの哄笑に、首の無い筈のパウルマンの声が続く。
明らかに“生徒達”との戦いで奴はダメージを受けている。
若干精彩を欠いた動きから彼等はそう推測……いや、確信しているらしい。
じわじわと嬲るように追い詰めていく。
 
 「ほれほれ、追いついちまうぞ!」
 
狭い路地に入ろうとも回転速度は僅かにしか緩まない。
歯車のように無慈悲に、残酷に。
範囲内の物全てを切断しながら刃の竜巻が迫る。
 
 「そろそろ飽きたな――――」
 
アンゼルムスがそう言うと、横の回転軌道が僅かに跳ね上がり、斜めに大きく回転。
刃が上方へと振りかぶられた形になる。
 
 「死ねや! 黒尽くめェッ!!」
 
先程まで猛威を撒き散らしていた竜巻が一点に集中。
黒衣の男へと必殺の刃が襲い掛かる。
215キル・レイン(M):02/06/20 23:39
キル・レインvs馬呑吐&レイレイ
 
『お前が、キル・レイン(殺しの雨)か……?』
 
 俺は軽く頷く。
 ノックをしたのは恰幅の良い―――というよりはむしろ、肥満と言って良い老人だった。
 護衛であろう屈強な黒服たちが周りを固めている。
 ドアを叩いたその老人は、少し怯えた様子だった。
 まぁ、怯えるのも仕方が無いと言えば仕方が無い。
 目の前に居る白髪の青年(つまり俺だ)は本来居ない筈の人間。
 俺は死んだと噂されていた殺し屋、キル・レインなのだから。
 
 『それで、依頼だが……』
 
 机を挟み、ソファに腰掛けて老人の話を聞く。
 老人は書類や写真を机の上に投げ出し、指差しながら熱っぽく説明して来る。
 だが、依頼の内容など聞かなくても分かる。
 最近ここらで激化してきたマフィア同士の抗争。
 そいつが自分達に有利に動くよう、相手のボスを殺してくれというものだ。
 
『奴のアジトは―――』
 
 老人は尚も喋り続ける。もっとも、俺はその大半を聞き流しているのだが。
 周りの男達は怪訝そうな目で俺を見ている。
 “本当にこいつはキル・レインなのか?”とでも問いたげな目だ。
 どうせ一度死んで魔族として転生した、と言っても信じないだろう。
 それに、一々説明するのも面倒だ。
 
『相手は腕の立つ用心棒を雇っているらしい、十分注意してくれ』
 
 何時の間にか説明は終わっていたらしい。
 分かったような返事をして、適当にあしらっておいた。
 置いていった書類に一通り目を通した後で、机に放り投げる。
 
 仕事が何だろうが、殺すのが誰だろうが、やる事はいつもと変わらない。
 地上に蔓延るクズを掃除する。ただそれだけだ。
216<子爵級>魔族:02/06/20 23:40
魔族vsミズー・ビアンカ
シェル・ブレイク (脱皮)
>212

 ぽんっ……といった擬音でもつきそうな勢いで、彼の――彼であったものの頭部が、あっけなく宙を舞った。
 途端にその場に響いていた狂笑は途切れ、その異形は一歩踏み出したままの状態で停止する。
 傍らには、まるで冗談の如く変異した頭部らしきものが、虚空をにらみつけたままころころと転がっている。
 それは、一瞬の後には元の姿もわからぬほどに焼き尽くされ、炭化した別の物体としてそこにあった。

――対魔族戦闘の基本。一撃必殺。迅速な一撃にて、脳を構成する肉体組織の五割以上を破壊すべし。
 見事なまでにそれに乗っ取った女の攻撃は、魔族が具体的な行動を起こすその前に、全てを決着させたかに見えた。

 だが――――
 
「い」

 声。
 声が零れる。
 頭部を失い、その動きを停止していた魔族から――歪みきった一音が零れ出る。
 それは、次瞬には。

「い・で・え・よ・お・お・お・お・お・おっ!?」

 なんの前触れもなく、腹――であった部位――に刻み込まれた一本の線。
 それはばくん、と上下に開くと、そのまま巨大な口を形成する。
 そこに覗くのは、歯としてはまるで役立ちそうもない異様に鋭い牙の群れだ。
 口にした対象をただ引き裂くためだけに存在するようななそれを見せつけるように、魔族はにたり……と笑みを浮かべた。

 頭部を破壊されたにもかかわらず、魔族は生きている――だが、頭部に脳があるというのは、人間の常識にしか過ぎない。
 そう。彼女が跳ね飛ばした頭部。そこには、すでに脳は「なかった」のだ。
 女を嘲笑うかのように。魔族は愉快そうに、笑いを上げた。

 蠢いているのは、六本の腕――肩から、脇から、そして背から。
 それぞれに生えている腕は、その全てが歪で、見るものに、根本的な生理的嫌悪感を与えるだろう。
 もっとも……それを見つめる女に、それを期待することも出来まいが。

 止めていた歩みを再開する。
 腹に浮かび上がった顔には、先程までの笑いは何処にもない。
 人間であった頃のそれを大きく上回る、純然たる憎悪――変わる前の意識と、今し方受けた攻撃と。
 そのふたつを以て、彼女――ミズー・ビアンカは彼にとって殺すべき相手と認識されている。空間が歪んだ……ような気がした。
 事実、足下を満たしていた汚濁が、魔族を避けるかのようにぞわり、と引いた。
 魔力圏――それを展開している。主を守る盾にして武器。全てを超越する絶対の力。魔法による鎧。それが……魔力圏。

「がああああああああっ!」

 耐えかねたように、魔族が叫びを上げた。
 同時に、展開されていた魔力圏が活性化。現実事象に干渉し、あらゆる物理法則をねじ曲げ――主の意志を顕現する。
 生み出されたのは爆発だった。炎も何もない、ただの爆発。
 己の破壊衝動を叩き付けるかのように轟く叫びは、魔族を中心とした半径数メートルの空間に、ただ「爆発」という現象のみを発生させていた。
 あらゆるものがそれに飲み込まれ、微塵に粉砕されていく。
 そしてそれは――ミズー・ビアンカに対しても及ぼうとしていた。
217レイレイ:02/06/20 23:41
キル・レインvs馬呑吐&レイレイ
>215
 
話は数日前に遡る。
闇に囚われた母の魂を救うため、闇の眷属を追う旅を続けるレイレイ。
持っていた僅かばかりの路銀は、既に尽きていた。
 
その日も空腹を抱えながら、打工(あるばいと)先を探して
この繁華街を徘徊していたのだった。
 
「ラクしてる姐姐(お姉ちゃん)に言われたくないよ!」
 
空腹とストレスが重なっていたレイレイが、
旅の遅れを心配したリンリンに感情を爆発させる。
旅に出てこのかた、何度となく繰り返してきた喧嘩が始まった。
と言っても、半日もすればどちらからともなく折れて収まるのであるが
その日だけは違った。
 
街角で一人大声を張り上げるレイレイの素性を
一目で見抜いた影がいたことが、彼女達の不運であった。
218馬呑吐 ◆TUNtujd6 :02/06/20 23:47
キル・レインvs馬呑吐&レイレイ
>217 
 
 開いた自動ドアから、冷気と共に二人の人物が入って来た。
 広い玄関ホールにたむろしていた男たちは、慌てた様に平身低頭し始める。
 どこからどう見てもヤクザにしか見えない男たちにも似合わぬ恐慌振りであったが、
入って来た片方、でっぷりと太った中年男は一瞥もくれず、無言で中に進む。
 歳にしては妙に脂ぎった顔と躯は黄色の中国服に包まれている。
 
「やれやれ。『幽棲道士』ともあろう者が、下らん仕事を引き受けてしまったものだ」
 
 男――邪悪かつ高位の道士として斯界に名高い馬呑吐は、溜息混じりにひとりごちた。
 ここ香港でも最悪を謳われる黒社会(マフィア)、『14K』。
 馬に依頼されたのはこの幇の用心棒であり、その為、気は乗らないながらこうして
本部ビルまで出向いた所なのであった。
 
 馬はちらと後ろに眼を遣った。
 もう一人、黙々と少女がついて来る。
 濃い青と紫に彩られた道服の少女だ。両袖が地面に付きそうな程長く垂れ下がっている。
 十分可愛らしいと云って通る、しかし異様に蒼褪めた面差しは、額に貼られた道教の霊符によって
遮られていた。
 馬は口唇を歪める。あからさまな嘲笑であった。
 
「ふん、黒暗猟手(ダークハンター)などと奢る跳ねっ返りが。
 こうなっては無様極まるな」
219キル・レイン(M):02/06/20 23:50
>218
キル・レインvs馬呑吐&レイレイ
 
 轟音が、空気を震わせる。
 
 過剰なまでに手を加えた6インチ・コルトパイソン。
 それは既に鉄板を撃ち抜く事すら出来る凶悪な兵器と化している。
 常人が撃てば良くて肩が脱臼。運が悪ければ腕を骨折する事すらあるだろう。
 発射された弾丸は、遺憾無くその威力を発揮して壁ごと人の頭を粉々にした。
 
 銃声を聞きつけてワラワラと集まってくる人間達。
 その手に武器を持って、人が殺せるという期待に笑みを浮かべている。
 
 ――――クズが。
 
 此処はクズ共の吹き溜まり。
 クズのような人間の中でも最低の部類に入る奴等が集まっている。
 異常な破壊力を持つリボルバーが三連続で咆哮。
 銃弾は一つも狙いを外す事無く、クズ共の頭を三つ、木っ端微塵に撃ち砕いた。
 
 ――――やはり人間は救えないクズばかりだ。
 
 罪を罪とも思わない愚かな生き物。
 こんな奴等ですら、神は愛していると言うのか……ふざけるな!
 怒りと共に放たれた弾丸が再びクズを撃ち抜く。
 胴体に冗談のような大穴を空けて、軽機関銃を構えていた男が崩れ落ちた。
 まだまだ奥から人間は湧いて来る――――
 
 いいだろう。全て殺してやる。
 お前が全ての人間を愛するというのなら俺は全ての人間を殺してやる。
 そして最後に貴様を殺してやる。
 これが俺の復讐だ。
 
 それぞれ手に様々な種類の銃を持った男達が俺に向けて銃弾を浴びせ掛ける。
 俺は踊るようなステップで身を屈め、捻り、一気に男達へと肉薄した。
 魔族のスピードは人間が視認出来る速度などとっくに越えている。奴等には残像でも見えた事だろう。
 俺の繰り出した拳がクズの肋骨を圧し折り、内臓に突き刺さってあっさり命を奪う。
 まずは一人。
 貫手が心臓を貫き、蹴りが頚椎を砕き――――
 二人、三人と次々に葬ってゆく。
 
 そうやって――――俺は暫く、殺戮に酔っていた。
>216 魔族VSミズー・ビアンカ      シェル・ブレイク (脱皮)


――――止まらない。
魔族は、頭部を完全に破壊されても、活動を続けていた。
素早く飛び退いて間合いを離しながら、ミズーは内心で舌打ちする。

(やはり遅かった―――脳が拡散している)

魔族の死滅の為には、脳組織の5割以上の破壊が必須とされている。
だが、こうなってしまっては、魔族は弱点を失ったも同然である。
最早全身を、余す所なく破壊するしかない。

身体中からいびつな形の腕を生やしつつ、その口に笑みを張り付かせている魔族。
異形を正面から見据えながら、ミズーは考察する。

(さて・・・どうしたものかしらね)

逡巡している内に、魔族が、吠えた。
その狂った意志のままに、爆発が周囲で荒れ狂う。

先程飛び退いて稼いだ距離のおかげで、近距離から直撃を
食らうことは避けられた。
それより更に一歩。
大きく跳びずさり、爆発の範囲から辛うじて逃れる。

地面が足につくと同時に、ミズーは通りを回りこむようにして、駆け出した。
これ以上の接近戦は、対魔族戦においては無謀に極まる。
魔力圏にその身を捉えられた場合、待つのは死ばかりなのだから。

魔族の周囲を遠巻きに走りこみながら、ミズーは再び意識を集中させ、
二度目の念糸を解き放った。

意志の力の通り道。その延長。
念糸は、魔族の身体を捉えるべく直線上に伸びていった。
221馬呑吐 ◆TUNtujd6 :02/06/21 00:16
キル・レインvs馬呑吐&レイレイ
>219
 
 轟き渡る絶叫と断末魔の最中、渇いた音がした。
 拍手である。
 何時の間にか黒い殺戮者の十メートル程前に立ち、馬は小馬鹿にした拍子でその動作を続けた。
 
「いやはやご苦労さん。殺りも殺ったり、だな。
 屑が大量に消えて、私も実に清々しい心持ちで一杯だ」

 ぽん、と最後に合わせた両手の指を、人差し指と中指のみを立てて組む。
 
「そして貴様のような有象無象相手に、人もあろうにこの私が狩り出されようとは。
 どうにも世知辛いねえ、世の中は――」
 
 サングラスの向うで細めた両眼に邪気が光る。
 両手で「剣指」を取り、馬は声高に呪願文を詠えた。
 
「横尸は以って葬る無し! 我と我が血脈に従わんことを! 
 急急如律令! 勅!」
 
 傍らに立つ僵尸の少女・レイレイに帰命し、馬は地を蹴って躍り上がった。
222孔濤羅 ◆SIDenZTQ :02/06/21 00:26
パウルマン先生&アンゼルムス(M)vs孔濤羅
>214
 
あと一手。
それを探すために濤羅の思考は回転する。
揶揄するような人形たちの言葉すら、もはや耳を通り過ぎるだけ。
目は刃の竜巻に向けたまま後ろ向きに後退する。
人形の残骸を踏み越え、後ろへ後ろへ。
 
これが人間相手なら間合いを詰めるのもさほど難しくはない。
多少強引にでも前に踏み込めば勝機はある。
確かに一撃を受けた瞬間は衝撃に耐えるために足が止まる。
だが相手の武器はただひとつ。
足の止まった隙を突いてくることは不可能に近い。
 
だが、自立稼動する人形がもう一体を振りまわすこの戦法相手に
その手は使えない。
振りまわされる人形には手も足もある。
刃を外して受けても手か足が追ってくるだろう。
つまり受ける側には、一瞬たりとも足を止めることは許されない。
止まればその瞬間に追撃を食らう。
 
そのとき濤羅の足が地面とも人形とも異なる、硬い感触を伝えた。
からん、という乾いた木の音。
それを踏み越えた所で音の正体が分かった。
最初の人形を切り捨てた時、邪魔にならぬように投げ捨てた倭刀の鞘だった。
探し求めた一手、パズルの最後の1ピースがようやく見つかり、
濤羅の脳裏に必殺の図面を描き出す。
 
そのとき不意に刃の軌道が変わる。
これまでの嬲るような動きから殺すことのみを意図した軌道へ。
上から下へ、真っ向から切り下ろす動きだ。
 
“間に合うかッ!?”
 
逡巡する間もなく、濤羅は地を蹴った。
右手の倭刀を逆手に持ち替え、迫る白刃の真下へ身を投げ出す。
大地を転がりながら倭刀の鞘を掴み起き上がりざまに目の前に立てる。
天を向いた鞘の先端。
そこに振り下ろされた人形の胴体が激突した。
 
内力を込められた倭刀の鞘が、それでも衝撃に耐えきれず砕けるまでの
ほんの一瞬。
それを作ることこそが、濤羅が望んだ最後の一手。
その一瞬さえあれば、足を止めることなく間合の内へと我が身を
運ぶことが出来る。
それが濤羅が見出した、たった一度の勝機だった。
223レイレイ:02/06/21 00:42
キル・レインvs馬呑吐&レイレイ
>221
 
今まで微動だにしなかった符印の少女の小柄な身体が
馬呑吐の声が届くや否や、忽然とその姿を消す。
次の瞬間、彼女の巨大な三爪抓が白髪の殺戮者を捕らえ、
軽々と宙空に投げ上げた。
 
「・・・・・・」
 
投げ上げた相手を見ようともせず、最小の動きで隠し持った刃を投げつける。
数本の飛剣が、投げ上げられた男の身体を追って空を走った。
落下しかけた白髪の男に、馬呑吐とレイレイの暗器が襲い掛かる。
224<子爵級>魔族:02/06/21 01:02
魔族vsミズー・ビアンカ    シェル・ブレイク (脱皮)
>220

 ……るうううぅぅぅ――――
 低く――魔族が唸る。
 唐突に大きく避けた口の上に出現していたふたつの眼は、
 その拳大ほどの大きさを持つ眼球をぎょろぎょろと動かしながら、
 ひたすらに、ミズーの動きを追跡していた。
 爆発に巻き込まれることもなく、こちらに向かってくる彼女。
 沸き上がる苛立ちと共に、辺りの残骸を蹂躙しながら、魔族は怒声を上げていた。

「にげ、げ。げ。にげ、にげるなああああああ! まってぇえええぇよおおおお!」

 そうだ……と、彼は思った。彼女には、謝って貰わなければならないのだ。
 彼女は僕を無視した。
 否定した。
 攻撃した。
 殺そうとした。
 それは……とてもとても辛いことなのに。
 排斥され、拒絶される。それは、とてもとても悲しいことなのに。

(そうだ。彼女には謝って貰わないと。話を聞いて貰うんだ。そのために、脚をもごう――
 逃げられないように。腕を切り落とそう。また剣を投げられないように。眼を潰すんだ。
 あんなふうに僕を見ないように――)

 蛙のようにはいつくばる彼女の姿を想像して、魔族は愉しそうに笑った。
 嬉しそうに声を上げる。各々が独立した動きをする眼球には、走り続ける彼女の姿。
 健康的な太股が、彼の視界にしっかりと焼き付いている。
 あれを壊してやれば……それはきっと、とても愉しいに違いない――――

「ほう、ほう、ほおおおおおおおうっ!」

 歓声を上げて、魔族は背中に生えた二本の腕を、彼女に対して突き出していた。
 腕は真っ直ぐに伸びきっているが――到底、彼女には届かない。だが、それだけでは終わらなかった。

「げ――げへへへへへへへへえええええ!」 おねえさああああああん! 
 つううかまああえたああああああ!」

 瞬間。伸びきっていたはずの腕が、更に伸びる……いや、裂ける。
 まるで元々が折りたたみ式になっていたとでも言うように、肉や骨を無理矢理に変形させながら、
 凶器としか言いようのない鉤爪をはやした腕が、彼女に向かって伸ばされる。
 まるで鞭のようなしなりすらも見せて、猛烈な速度で腕は彼女へと迫っていた。

――――そこに、ちょうど「念糸」と呼ばれている何かが伸ばされていることに。
 魔族は気付くことはなかった。
>222
パウルマン先生&アンゼルムス(M)vs孔濤羅
 
 「な―――」
 「に!?」
 
二体の人形から同時に声が上がる。
アンゼルムスは驚愕し、目を大きく見開く。
鞘で止められた一瞬、その一瞬の隙に奴は刃を潜り抜け迫ってきた。
 
小賢しくも、人間如きが必殺の一撃を避けた。
この事実が二体の自尊心を傷つける。
 
 「ちいい〜〜〜! パウルマン!!」
 
焦燥しきった様子で叫ぶアンゼルムス。
その叫びだけでパウルマンは何らかの意図を読み取ったらしい。
 
 「任せろ!!」
 
答えを聞くを、アンゼルムスはあっさりとパウルマンを手放した。
凄まじい迅さで接近して来る黒衣を、アンゼルムスは歯を剥き出しにして迎え撃つ。
後ろではパウルマンが体勢を立て直して突進してきている―――
 
この間、僅かに一秒足らず。
 
人間を超越した人形と、
人間を超越した人間の攻防であった。
 
ぎらぎらと獰猛な光を放つ歯を備えた口を大きく広げ、アンゼルムスが跳ぶ。
首から生えたブレードを敵の背中に突き立てんと、パウルマンが跳ぶ。
 
二つの凶器が黒衣の男へと殺到する!
226<子爵級>魔族:02/06/21 01:12
(>224 の修正)魔族vsミズー・ビアンカ    シェル・ブレイク (脱皮)
>220

 ……るうううぅぅぅ――――
 低く――魔族が唸る。
 唐突に大きく避けた口の上に出現していたふたつの眼は、
 その拳大ほどの大きさを持つ眼球をぎょろぎょろと動かしながら、
 ひたすらに、ミズーの動きを追跡していた。
 爆発に巻き込まれることもなく、こちらに向かってくる彼女。
 沸き上がる苛立ちと共に、辺りの残骸を蹂躙しながら、魔族は怒声を上げていた。

「にげ、げ。げ。にげ、にげるなああああああ! まってぇえええぇよおおおお!」

 そうだ……と、彼は思った。彼女には、謝って貰わなければならないのだ。
 彼女は僕を無視した。
 否定した。
 攻撃した。
 殺そうとした。
 それは……とてもとても辛いことなのに。
 排斥され、拒絶される。それは、とてもとても悲しいことなのに。

(そうだ。彼女には謝って貰わないと。話を聞いて貰うんだ。そのために、脚をもごう――
 逃げられないように。腕を落とそう。また剣で斬られないように。眼を潰すんだ。
 あんなふうに僕を見ないように――)

 蛙のようにはいつくばる彼女の姿を想像して、魔族は愉しそうに笑った。
 嬉しそうに声を上げる。各々が独立した動きをする眼球には、走り続ける彼女の姿。
 動き続ける脚が、視界に焼き付いている。
 あれを壊してやれば……それはきっと、とても愉しいに違いない――――

「ほう、ほう、ほおおおおおおおうっ!」

 歓声を上げて、魔族は背中に生えた二本の腕を、彼女に対して突き出していた。
 腕は真っ直ぐに伸びきっているが――到底、彼女には届かない。だが、それだけでは終わらなかった。

「げ――げへへへへへへへへえええええ!」 おねえさああああああん! 
 つううかまああえたああああああ!」

 瞬間。伸びきっていたはずの腕が、更に伸びる……いや、裂ける。
 まるで元々が折りたたみ式になっていたとでも言うように、肉や骨を無理矢理に変形させながら、
 凶器としか言いようのない鉤爪をはやした腕が、彼女に向かって伸ばされる。
 まるで鞭のようなしなりすらも見せて、猛烈な速度で腕は彼女へと迫っていた。

――――そこに、ちょうど「念糸」と呼ばれている何かが伸ばされていることに。
 魔族は気付くことはなかった。
227毒島(M):02/06/21 01:16
クロウvs毒島
>202

 悪臭漂う路地の奥、暗がりの中から姿を現したのは奇妙な外見の男だった。

 190センチはあろうかという長身は、ひどい猫背と蟹股のせいで実際よりも低く見えた。
 その歪んだひょろ長い体躯を、蝿を象った模様の入った、悪趣味な青いアロハシャツと、
膝上まで切り詰められたズボンに包んでいる。
 
 服装以上に異様なのは、その頭部、その容貌だった。
 頭髪の大半は刈り込まれていたが、額の生え際付近に残された頭髪は緑に染められ、
そそり立つ壁のごとき形に固められていた。
 伸ばされた顎髭も頭髪と同じく、緑に染まり、下方に突き出される形で固められている。
 その顔貌といえば、左右に離れ吊り上がった二つの眼、低い鼻梁、歯を剥き出しにして笑う大きな口、
そのそれぞれが平板な顔面に貼り付いていた。
 それはどこか、人間以外のものを連想させる相貌だった。
 
 男は、雪駄履きの足を引きずるようにして歩きながら、その場にいるもう一人の男、クロウに向かって進んでいく。
 数メートルの距離をおいて、唐突に歩みを止めた。
 男の大きな口がさらに大きく開き、陽気な、しかし嘲りの込められた声が発せられた。
「キミが噂の『不死のクロウ』ちゃんかね?オレ様はプロフェッサー・ブスジマ、三十六歳、独身、
世界一の大天才。
んで、タントーチョクニューに本題に入っちゃうんだけど、キミには科学の発展、人類の進歩のために、
ボクの研究に協力してもらいたいんだわ。
だ・か・ら、クロウちゃんのその体、実験に使わしてくんない?だーいじょぶ、痛くしないからさー」
 毒島と名乗ったその男は、身勝手な内容を早口で一方的にまくし立てた。
228ウピエル ◆Upielb0Y :02/06/21 01:16
ウピエルVSファントム
>203
 
 加速した意識が捉えるのは、コマ送りのような世界。
ベレッタを持つドライの動きは、まるでスローモーションだ。
銃口をこちらに向ける動きが、銃爪を絞ろうとする指の動きさえも、酷くゆっくりとして見える。
 
「Bitch!!Fuck Your Ass!Baby!」
 
嘲笑の声が響く。
哀れな羊。自分が相手にしているのがどれほどの化物だか理解しているのだろうか。
この距離では外しようも無いだろうが、ロクに狙いもつけない3連射。全て弾き飛ばせる。
 
そのはずだった。
 
だが、銃口に迫る銃剣が初弾を弾いた瞬間、俺の脚から力が抜けた。
ツヴァイの放った銀の弾丸による傷のせいだ。
ドライを見出し保護したのはツヴァイだと言う。ツヴァイはドライを守ることを望んだのだろうか。
だとしたら、こんな所まで俺の邪魔をするとは、今更ながらツヴァイの人間離れした執念に一種の尊敬を感じる。
 
バランスを崩したのは一瞬。いや、一瞬にも満たないごく僅かな時間。
だが、それは致命的な時間だ。
銃剣の切っ先の向きを修正する。
鋭く突き込まれた銃剣―指先から肩の付け根まで真っ二つにするはずだったその銃剣は、ドライの上腕部を深く抉るだけだ。
 
そしてドライの弾丸は、全て叩き落すはずだった銃弾の内の2発は、銃剣を握った右腕を続けざまに穿つ。
皮肉にも、お互いに武器を握った腕にダメージを与え合ったのだ。
元々深く傷ついていた右腕が、ついに千切れ飛んだ。
100分の1秒に満たない時間。傷口を一瞥する。最早、傷口から流れ出す血すら弱々しい。
 
意識の何処かが獰猛な咆哮をあげた。
 
足元に落ちるスクリーミング・バンシーを蹴り上げる。
そのままドライを軽く―とは言ってもヘビー級キックボクサー並の―蹴り飛ばし、反転。
後方宙返りをしながら、空中でスクリーミング・バンシーを口に咥え、再び距離を取った。
 
限界はとうの昔に超えた。ならば。
口にギターを咥えたまま、器用に声を出す。
 
「そろそろ終りにしようぜ。何もかも、なぁァ!!」
 
両腕を失ってなお、そう叫んだウピエルのその顔には、血の気も生気も失ったその顔には、
獰猛な野獣の笑みが浮かんでいた。
>226 魔族vsミズー・ビアンカ     シェル・ブレイク (脱皮)

異常に巨大な眼球を光らせ、魔族はミズーの動きを追っている。

そして、唐突に叫び声を上げ、身体から出鱈目に生えている
腕の内の二本を突き出してきた。
精いっぱいに突き出しても、それは大きく間合いの外。
当然、届くはずもない。

だが、その腕が突如大きく伸びた。
完全に人間の骨格を無視した動きで、それは
大きくリーチ自体を延長させた。

素早く身を捻り避けようとするが、間に合わない。
二本ある腕の一本が、彼女の肩口に届き、
無骨な形の鉤爪で、肉を大きく抉り取った。
赤みががった剥き出しの肉と、白い骨が露出され、
その両方が瞬間的に血に染まる。

凄まじいほどの激痛に耐えつつも、ミズーは念糸を操るだけの精神力を、
紙一重で残していた。一瞬その動きを止めつつも、活動を再開した糸は、
そのまま魔族の全身に絡みつく。


「・・・・・気軽に、お姉さんなんて呼ばないでくれる?」


念糸を通じて、一挙に強大な熱量が解き放たれた。
230孔濤羅 ◆SIDenZTQ :02/06/21 01:42
パウルマン先生&アンゼルムス(M)vs孔濤羅
>225
 
倭刀の鞘がこなごなに砕け散った。
その破片を浴びながら、濤羅はなおも止まらない。
人形たちも動きを止めない。
動きを止めるのは死んだときだけだ。
 
歯と刃。
挟撃されたのは今日2度目だが、こいつらの動きは最初に相手した
人形のそれをはるかに上回る。
だが間合いという有利を奪った今、濤羅には十分な勝機がある。
 
足を踏みかえ馬歩となる。
倭刀を地に置き己が双腕を左右に開く。
身体は半身になり、背後から突き込まれた刃をその動きでかわした。
右の掌はパウルマンと呼ばれた人形へ、
左の掌はアンゼルムスという名らしき人形へ、それぞれ走る。
 
機械である以上、彼らの身体に電子部品が使われているのは間違いない。
ならば濤羅には、倭刀に匹敵する武器がある。
 
外法の練気によって横隔膜で発生したEMPパルスが体内を走り、
濤羅の両の掌に集約される。
 
サイバー殺しの電磁発勁、双撃紫電掌。
二体の人形に向けて放たれた、それは必殺の一撃だった。
231キル・レイン(M):02/06/21 01:43
>223
キル・レインvs馬呑吐&レイレイ
 
 道士と思しき男が、突然現れる。
 成る程、腕の立つ用心棒とはコイツの事か。
 傍らに立つゾンビ……いや、僵尸と言った方が正しいか。
 どちらもかなりの力を持っているらしい。
 
 先程まで悠々としてた男から殺気が放たれる。
 やる気満々と言う事か―――来るなら、来い。
 俺は構えを整えて迎え撃つ体勢を取った。
 奴の大陸独特の呪文が響き渡る。
 
 ――――消えたッ!?
 
 そう思ったのも一瞬、あの僵尸は既に俺の頭部を掴み放り投げていた。
 俺が反応出来ないか……面白い!
  
「Shield!!」
 
 俺の唱えた言葉と共に、腕に不可視の力場が現れて暗器を弾き飛ばす。
 まさか魔術を使う事にになるとはな……
 やはり、感じた気配通りこいつも只の僵尸では無さそうだ。
 
 空中で不安定なまま、銃口を飛び掛る道士の胴体にポイント。
 引き金を引く。
 そのまま反動を捻じ伏せて女の僵尸へと狙いをつける。
 発砲。
 たなびく硝煙もそのままに、弾丸の行き先を確認もせず着地する。
 
 この程度でくたばるような奴等ではない。
 どうやら一筋縄では行かないらしいな―――
 
 仕掛けてみるか。
 着地後、親しげに男へ話しかける。
 
「名前ぐらい言ったらどうだ? なぁ長生者(エルダー)」
 
 俺には判る。
 この独特の人間を思わせる気配は間違いなく、吸血鬼のものだ。
 相手を動揺させる意味もあるが、さて―――上手く行くか。
 
「同じ化物のよしみだ。 教えてくれてもいいだろう?」
>230
パウルマン先生&アンゼルムス(M)vs孔濤羅
 
ばちん、と電流が弾ける音が二つ。
 
奴はただ掌を触れただけの筈だ。ただそれだけの筈だったのに。
二体の人形の体を激痛が走り回った。
彼らの体に流された電磁パルスが電子部品という電子部品を焼き尽くす。
それは人間で言えば痛覚を剥き出しにした状態で内蔵を抉り出すような痛みだ。
 
更に、彼等の体の中に流れる擬似体液は『気』に極めて弱い。
電磁パルスと同時に『気』を流された人形達の穴という穴から銀色の液体が噴出す。
 
 「「ッギャァァァァァァァァッ!!?」」
 
二つの断末魔が響き渡る。
奇しくも同じような声を上げながら、腹話術師と、その人形は重なるように崩れ落ちた。
粘性を持った、銀色の液体が広がってゆく。
 
人間ならば血が流れているであろう凄惨な光景。
しかし倒れているのは人形。流しているのは擬似体液。
この光景はむしろ―――滑稽ですらあった。
233孔濤羅 ◆SIDenZTQ :02/06/21 02:16
パウルマン先生&アンゼルムス(M)vs孔濤羅
>232
 
自分の体液に塗れて人形たちは地に伏した。
もはや彼らが動くことはない。
それを確認して、濤羅は残心を解く。
 
不意に痛みが、胸の奥からこみ上げてきた。
電磁発勁によって負った内傷の痛み。
調息を行って内気を整える。
また寿命が縮んだようだ。
 
だが濤羅はそのことを悔いはしない。
瑞麗の仇を討ち、引き裂かれた彼女の魂を再びひとつに返す。
そのためならば己が命など惜しくはない。
 
今の濤羅は抜き身の剣。
帰るべき所を持たず、ただ死をもたらすだけの剥き出しの刃だ。
ちょうど今、その手に持つ倭刀と同じように。
 
呼吸が整うと踵を返して、濤羅は路地裏の暗がりに消えた。
手に持った白刃のきらめきも闇に消えると、
後には人形たちの残骸だけが残された。
234孔濤羅 ◆SIDenZTQ :02/06/21 02:17
パウルマン先生&アンゼルムス(M)vs孔濤羅

>185 >186 >187 >188 >189 >190 >191 >193 >194
>207 >211 >214 >222 >225 >230 >232 >233

感想などがあったらこちらへ頼む。
 
http://fargaia.opt.hokuto.ac/html/test/read.cgi?bbs=vampbattle&key=1019409630
235馬呑吐 ◆TUNtujd6 :02/06/21 02:44
キル・レインvs馬呑吐&レイレイ
>231 
 
 巨弾は馬の腹部を貫いた。
 血汐が飛沫く。
 向こう側を見通せそうな大穴を開けられ、だが馬も相手と同じに危なげなく着地した。
 銃弾を避けたか当てられたか、レイレイもその背後に降り立つ。
 
 致命傷を負った筈の馬の貌に浮かぶのは、それでも苦痛より憎悪の方が濃かった。
 その色を保ったまま笑い、白い牙を見せる。
 
「おう、これは失礼した。私もこれで紳士で通っているのでねえ」
 
 別段夜族と見抜かれた事に驚きの色は見られない。
 当然ではある。馬はその辺りの成り立て(ニューボーン)とは文字通り桁の違う歳月を生きて来た
『真祖』の一人なのだから。
 
「塵芥に等しい小僧ッ子にも礼は尽くしてやらんといかん。
 私は馬呑吐と申す者。
 知っているかどうかは知らんが、これでも『幽棲道士』と云えばそれなりに名は通っておるよ」
 
 云いながら首に掛けたマフラーを外す。
 軽く振っただけで、それは凄絶な唸りを発して空を切った。
 
「で、君の名を伺ってはおらんが。
 ああ、覚える気はないがね。くびり殺す時位は呼んでやろう――と云っとるんだよ」
236<子爵級>魔族:02/06/21 02:56
魔族vsミズー・ビアンカ    シェル・ブレイク (脱皮)
>226

 鉤爪が、肉を抉る――手を濡らす生暖かい感触と、掴み取った肉片。
 そして、苦痛に歪む彼女の顔に、魔族は満足の笑みを浮かべていた。

「けええ――けけけええ! けええええええ!」

 ひゅん……と、鞭をしならせるような動きで、魔族は血に濡れた腕を引き戻す。
 それが握りしめたままの肉片を開いた口に放り込み――見せつけるように、くちゃくちゃと咀嚼する。
 おおよそ「噛む」という動作に適していない歯の隙間から、ぼろぼろと唾液のような液体をこぼしていた。
 先程まで思い描いていた考えは、すでにない――相手が苦痛にのたうつ様。
 それを想像して、大きく開いた口の中から、異様なほどにざらついた大きな下を伸ばし、虚空に向けて蠢かせている。
 
 興奮した魔族は、ミズーから更なる肉を引きちぎろうと、再びその腕を伸ばした。
 ひゅん……という音と共に、それは伸ばされ、後一歩で彼女に到達する――その、瞬間だった。

 いったい何が起こったのか――魔族にはわからなかった。
 全身に唐突に襲いかかる、猛烈な熱量。それを知覚した瞬間、熱に負けた肉体から、いきなり炎が暴れ出す。
 それは瞬く間に広がり――足下に広がる汚濁にまでその熱の効果が及び、魔族自身はおろか、その周辺の残骸をも
 焼き付くさんとする業火にまで成長する。

「ぎょええええええええっ!?」

 一転して、魔族の口から絶叫が迸った。
 炎から逃れるように身体をのたうち回らせるが、すでに魔族そのものを苗床として発火しているそれは、少しも衰えることはない。
 そして何より、魔族自身には見えていなかったが――全身に張り巡らされた糸が、それを許そうとはしなかった。
 次々に表面を炭化させていく魔族。それは、ゆっくりとその動きを止め――

――――ほおおおおおおおお

――ようとしていた、その時だった。炎の内側から、そんな音が聞こえてくる。
 歌詞のない歌――とでも言えばそれらしい、そんな旋律。
 半ば炭化した魔族から静かに奏でられるそれは、破壊された空間へと響き。そして――――

「ろおおおおおおおおおおお――――――!」

 叫びと同時。猛炎と、そして焼き尽くされた肉体が、一気にその内側から弾け飛んだ。
 粉塵の内側から現れたのは、魔族――だが、その形状は一回りほど大きい。
 それ以外に特秘とすべきは、背中に貼り付いている干し首のような、小さな顔だった。
 それは裂け目のような口をいっぱいに広げ、先程からの旋律を延々と紡ぎ出している。
『謡うもの』――そう呼ばれる、撃発音声専用の複顔。そして、それが魔族に顕れていると言うことは。

 …………ほおおおおおお
 
 低く染み渡るように響く魔族の声。その周囲には、魔族を守り続ける不可視の鎧が、消滅することなく存在している。
 恒常魔力圏。中級以上の魔族にのみ発現するそれが示すとおりに。
 彼は一気に、その等級を一段階引き上げていた。
237クロウ ◆DsxKUROU :02/06/21 11:42
クロウvs毒島

>227

ぱっと見は普通の人間だった。
変わった格好をしてはいるが、その生き物をなんと呼ぶか、
と言われればそれは間違いなく人間だった。

――微かな違和感を除いては。
近づいてきて、好き勝手に喚き散らす。

 癪に障る声だ。

「あんたの聞いた噂がどういう物か知らないが・・・
 科学?人類?研究?
 挙句の果てに人を実験材料にするだって?
 気に入らないね。そんな事を言われて飲むと思うか?
 大体自分の事をオレ様だの大天才だの呼ぶ奴は碌でも無い連中に決まってる。
 おまけにそいつが科学者なら尚更だ。
 ・・・お断りだ」

これ以上話す事も無い。
目の前の男の顔を、これ以上見ているつもりも無い。
無視して、歩き出した。
238ベルガー&ヘイゼル:02/06/21 14:44
『伯林の紅い雨』〜ベルガー&ヘイゼルvs天草四郎時貞
>178

崩れてくる壁。
その中を踊るようにこちらに向かって来る修羅にベルガーは言った。

「人の守護者ね・・・悪いが俺達2人とも人じゃないんだ」
「更に言うとな…その言葉は俺達に世界で2番目に似合わない言葉だ」

ベルガーは苦笑を浮かべ、先ほどつけた単二の精燃槽の下にさらに9つ同じものをつける。
合計10個の精燃槽がついた"運命"は剣というより槍に見える。

「あんたの言ってることはただの言い訳にしか聞こえん」
「偽善?違うね。俺達は前に進むために生きてるんだ。それの邪魔をされては困る」
「それに・・・今死んだら、俺達の後の代が『壁』を壊すこともできんしな」
「ヘイゼル!!」

ベルガーが崩れていく壁の中相手に向かい…飛ぶ。

崩れてくる壁を風水で整調化させつつ、
ヘイゼルは思いを詞にした。

<<救世者は運命を信じるもの>>

"救世者"の仮発動により"運命"の黒い刃の厚みが増す。

<<運命を断てるものなどなし>>

急所ばかりを狙った環をすべて断ちつつ、
ベルガーはさらに相手の方へ。
そして相手の目の前、白刃と"運命"がぶつかる!!

<<他人の道を譲らぬもまた運命>>

"運命"は相手の武器を真っ二つにし、
その勢いのまま男の腕を音を立てぬまま切断。
一瞬遅れてきた音と共に2人の顔に血が付く。
動きが止まる…ように見えた。

「ベルガーさん!!」

叫ぶヘイゼルの目の前、
残っていた髷で作られた鋭い鎌が、
ベルガーの左手をやはり切断する。
しかし…ベルガーは表情を変えず、

「すまんね、左腕は義手なんだ。」

仮発動。

<<運命とは己で掴み取るものなり>>

「…それじゃあな」

"運命"は男の心臓を貫いた。
『伯林の紅い雨』〜ベルガー&ヘイゼルvs天草四郎時貞
>238 
 
胸に深々と突き刺さる黒き刀身。
血反吐を吐きながら、なおもその刀身を身に埋め、
男に近づき、その喉へと手をかけた。
だが、もはやその手には入る力も残っては居ない。
 
「”運命”とは―――かくも残酷なものか。やはり、神なぞいないとみえる」 
 
天草はその口からどす黒い血の塊を噴き出しながら、
呪詛の言葉を一語ずつ紡ぎだす。
その顔には、この世のあらゆる悪の華が咲いたような、
凄惨な笑顔が張り付いていた。
 
「せいぜい、”救世者”を気取るがいい。人は永遠に壁など破れぬ。
 同じことの繰り返し、死んでいくだけよ。せいぜい、足掻き、もがき続けるがいい―――
 わしは地獄で貴様らの様を嘲笑ってやろう。早う、うぬらも来ることを楽しみにしておるぞ」 
 
口から溢れる血でくぐもりながらもこう言い残し、
天草四郎は醜怪な笑顔のまま絶命した。
240レイレイ:02/06/21 22:19
キル・レインvs馬呑吐&レイレイ
>235
 
撃ち出された弾丸が、地面に穴を穿つ。
一瞬早くレイレイの身体は両足で地を蹴っていた。
再び消えた彼女の姿が、左右に飛び退りながら馬呑吐の背後に着地する。
とはいえ、その姿が見えたのは地面を蹴る一瞬だけである。
 
馬呑吐の傷口から白髪の殺人者の姿を確認できるという異常な状態でも、
符で隠された彼女の表情には何の変化もない。
今の彼女は、ただ馬呑吐の命を受けて動く下僕の一人に過ぎなかった。
 
圍巾(まふらー)を振り回す馬呑吐の背後で
冗談めいた大きさの爪が持ち上がった。
241キル・レイン(M):02/06/21 23:05
>235>240
キル・レインvs馬呑吐&レイレイ
 
 どうやら道士の方は誘いに乗ったらしい。
 余裕たっぷり、という仕草で話に乗って来た。
 
「馬呑吐……『幽棲道士』か。
 成る程。納得がいったよ、お前の腐った気配にな」
 
 あの程度の挑発に乗るようでは三流だ。
 適当に流し、こちらも軽く挑発する。
 
「しかし、解せないな。 何故人間如きに使われる?
 お前ほどの力の持ち主ならクズなど気にせず、気ままに生きていればいいだろうに」
 
 拳銃を軽く振り、ホルスターへ戻す。
 化物相手には気休め程度にしかなるまい。もっと強力な攻撃で無ければ。
 脅しめいた挙動を見せる二人を尻目に、言葉を続ける。
 
「俺の名前か?
 俺の名前はキル・レイン。
 本名では無い。名前は捨てた」
 
 そう、名前など捨てた。
 俺は人間では無い、悪魔だ。人の生などとっくに捨ててしまった。
 にしても、わざわざ話に付き合うとは酔狂な奴だ。
 やっている事といい、まるで人間のような―――
 狙いはそろそろ完成する……行くか。
 
「出よ! アンドラス!!」
 
 奴等は全く気付かなかっただろう。
 今までの話の中に微妙に違った韻律の言葉―――召喚呪文を含んでいた事が。
 呼び声に応じて、奴等の背後に空間の扉が開く。
 僅かに開いた異界から、召喚された悪魔が躍り出た。
 カラスと人間を足したような、狼に跨った異形。その手には炎が宿った燃える大剣を握っている。
 コイツがソロモン72柱の一体―――アンドラス。
 破壊と殺戮のみを思考するアンドラスは、命令せずとも眼前の二人へと襲い掛かった!
242馬呑吐 ◆TUNtujd6 :02/06/21 23:53
キル・レインvs馬呑吐&レイレイ
>241

「何ィ!? き、貴様、一体何時そんなものを!?」

 遅い掛ってきた異形を大きく飛び退いてかわし、馬は驚愕の叫びを上げた。
 と、着地して一転、その顔には再び人を馬鹿にした様な笑いが戻る。

「……などと驚いてみせれば満足かね、小僧。
 端々に言霊を混ぜとるから何を喚ぶかと思えば、また古臭い魔鬼だな、ええ」
 
 云いながら馬は口をすぼめた。押し出された鋭い呼気が、魔界の戦場に木霊する。
 長い長い尾を曳く甲高い音。それは瞬時に音の領域を超え、空間と時間そのものを振動させ――
 突然、轟音と共に玄関付近の壁がぶち破られた。
 同時に巨大な、青黒い何かが飛び込んで来る。
 輪郭は鳥、但し大きさと細部は狂気の沙汰だ。
 羽毛の代わりに蛇状の鱗に身を飾り、差し渡し七メートルはある四枚の翼を羽ばたかせ、
六つの眼で眼下を睥睨する。
 
 これこそ、中国古代の地理書『山海経』は北山経に記された妖鳥・酸与(さんよ)であった。
 
「嘯を知っているか? 化物を呼ぶのに手間隙をかけるなら、これ位の事はやってみせるが良い!」 
 
 馬の指差す先、狼に跨った悪魔に向かい、酸与は胸の悪くなる様な鳴き声を立てると
一気に急降下した。三本ある足の爪が閃く。
 
 嘯、それは一名を長嘯とも云い、中国古代に存在した音声の技芸だ。
 しかしこれは本来、巫祝や呪術者が鬼神・妖物・風雲雷雨などの異類異物を召集する呪法であり、
馬はそれを現代にまで伝える数少ない道士であったのである。
>236 魔族vsミズー・ビアンカ    シェル・ブレイク (脱皮)


(殺しきれなかった――――!)
絶望に近い感情が、一瞬ミズーの精神をよぎった。

炭化した表面の肉を剥げ落とし、魔族は新たな姿へと進化を遂げている。
そして、朗々と流れる、忌まわしき旋律。
「謡うもの」。

(中級魔族ですって―――? 迂闊だったわ・・・)

念糸の一撃で殺す。そのはずだった。だが、現実として魔族は其処にいる。
更に、「恒常魔力圏」という最悪の「鎧」さえも纏って。

食いちぎられた右肩から夥しく流れ出る出血は、容赦無く
ミズーの意識を薄れさせ、闇に溶かそうとする。
もう一刻の猶予もない。思考があるうちに、目の前の魔族を
完全に死滅させねばならない。
ミズーはともすれば消え入りそうな意識の中で、そんなことを考えた。

(結局は、頼るしかなさそうね)

自分の愚かさに顔を顰めながら―――残っている集中力を掻き集め、
今日三度目の念糸を紡ぎ出す。だが、今度は目の前の敵を焼く為の
ものではない。彼女の最強の武器―――精霊を解放するために。


そして紡がれた念糸が、緩慢な動作で・・・左肩のマント留めに巻きついた。
244レイレイ:02/06/22 00:46
キル・レインvs馬呑吐&レイレイ
>242
 
玄関ホールにおいて馬呑吐に召び出された異形の化け物が
けたたましい鳴声を上げて襲い掛かったその時、レイレイは二匹の頭上数階上の通路に立っていた。
彼女にとって壁を抜けることも天井を抜けることも大差はない。
 
高く持ち上げられた長大きな袖から覗いていたはずの爪が消え、その内部が垣間見えている。 
それは墨で塗りつぶしたとしか言いようのない、黒い裂目。
あるいは常世へと通じているのかもしれないそこから、死の万刃が放たれるのである。
だが、放たれるのは刃だけとは限らない。
 
「・・・・・・」
 
悪趣味な色の絨毯が敷き詰められている床を凝視する
彼女の目に彼女の目に、一瞬だけ光が戻った。
馬呑吐の咒符に身体の自由を奪われても、闇の眷属を狩るという使命を思い出したのであろうか。
しかしそれはすぐに消え失せ、次の瞬間にはその目がつ、と細められる。
 
 
場面は一階ホールに戻る。
激しく争う二匹の天井が、派手な音と同時に突如砕けた。
破片が飛び散るよりも速く、巨大な質量を持つ漆黒の塊が落下する。
予想外の方向からの攻撃に反応できなかった二匹の異形は
その桁違いの質量の前に為す術もなく圧殺され、辺り一面に血と体液をばら撒いた。
 
彼女の、レイレイの道服の袖から巨大な質量をもった黒い分銅が出現し、
ビルの床板を苦も無く破壊しながら、目にも止まらぬ速さで落下したのだった。
遥か上の階で分銅の鎖を軽々と巻き上げた彼女は、再び姿を消す。
山城友香vs祁答院マコトvsミッドバレイ・ザ・ホーンフリーク
〜I still haven't found what I'm looking for〜
>158

「まずは、貴女から贄になりなさい………」

虚をついて後ろのアサシンを狙った、友香の攻撃はアサシンのジャンプによって、外される。
やはり、身長の四分の三もある大剣だ。生じる隙は大きい。
アサシンは空中で回転、次の瞬間………、友香の肩に完璧な踵落としが決まる。

「がぁっ……あ………」

叫び声をあげて友香は大地に膝をつく。そして、その刹那

『今だ! ミッドバレイ、来いッ! 』
『応!!』

白スーツへの合図。そして、衝撃波ッ!友香の両肩から、大量の蒼い血が噴き出す。
剣を杖のように持ち、身体を支え、友香は息を荒げる。
だけど、ここで負けるわけにはいかない。帰りたい場所があるから。
傷が癒えていく、もう一度友香はストームブリンガーを構えて、次で決める。
友香には次で確実に決めねばならない理由があった。限界。
ストームブリンガーの持つ魔力は友香を確実に蝕んでいるのだから。

構えて、再生を待つ。次の瞬間、二人まとめて刻んでしまえばいい。
でも、あの音で動きを止められては厄介だから………

「先に貴男から贄にしてあげる………」

友香は渾身の力とスピードで白スーツに斬りかかった。
ストームブリンガーに全て、喰らい尽くさせればいいだけ。そうすれば、私は帰れるから………
246<伯爵級>魔族:02/06/22 00:57
魔族vsミズー・ビアンカ    シェル・ブレイク (脱皮)
>243

――対魔族戦闘に於いて、時間が重視されているのには理由がある。
 それが、たった今彼が見せた「成長」だった。魔族は、その時間の経過と共に次の段階へと進化する。
 より大きく、そしてより強大に魔法を行使する更なる魔法生物へと。

 だが……それにしても、彼の成長速度は異常だった。
 わずか数度の魔法の行使で、あっさりと中級までに成長する魔族など、そうはいない。
 恐らくは、彼にはよほどの「才能」があったのだろうが。

 復元した眼球で、彼は彼女を捜す――ぐるり、と踊るように回転。
 まるでルーレットの如き異常な回転を続けて――唐突に、ぴたり、と動きを止める。――居た。

「へえ――へえへえへえへえへえっ!」

 再び視界の中に復活した彼女は、いまだ動き続けている。
 しかし、えぐり取られた肩から流れ出していく血液が、はっきりとわかるほどの勢いで、彼女から力と、体温と、そして意識と。
 その全てを奪い去っていくのがわかる。
 その姿と、そして言動に対し魔族は決して馬鹿ではない。

 やがて動きを止めかける彼女に対し、彼は追いつめた獲物をいたぶるように、ゆっくりと近寄っていく。
 その表情に浮かんでいるのは、純粋な笑み。
 だが、それ故にひたすらに――邪悪な笑みだ。
 彼の脳裏に浮かぶのは、この美人の「お姉さん」とどうやって遊ぶか……ただ、それだけ。
 

(お姉さんはもう動けない――だったら、もう逃げ出さない。だから、一緒に遊んでくれる。
 ここには、僕と彼女しか居ないから、彼女は僕を無視しない。なんて――なんて、愉しいんだろう。
 お姉さんが、僕と一緒に遊んでくれる――)

 近づくに連れて、彼の目に宿った輝きに、変化が起こった――
 目の前には、荒く息をつきながらも、こちらをにらみつける彼女の姿がある。
 そして、彼の視線が注がれているのは……その、肉体だった。
 マントで覆い隠されているために、正確な形は判別は付かなかったが。
 そんなことは、彼にとってはどうでもいいことだった。過去、女性に縁の無かった彼は、この機会にそれを爆発させる。
 すなわち……情欲である。

「へ、へ、へえ、へえええええ……おねえ、さああああん……」
 
 巨大な舌を伸ばしながら、魔族が言う。一歩ごとに、魔力圏の最外周部に触れた彼女の衣服が、少しずつに切り刻まれていた。
 にいいいいと、魔族の表情に、更に深い笑みが刻まれる。後もう数歩で、彼女の身体に手が届く――
247祁答院マコト:02/06/22 00:58
山城友香vs祁答院マコトvsミッドバレイ・ザ・ホーンフリーク
〜I still haven't found what I'm looking for〜
>245
 
 マコトの踵と、ミッドバレイの衝撃波が、山城に炸裂した。
 しかし吸血鬼である山城は、この程度ではくたばらない。
 一瞬後、傷が再生。
 そして、ミッドバレイに向き直り、魔剣を手に駆ける。
 
(なるほど、やはりミッドバレイの衝撃波の方を脅威と認識したか)
 
 狙い通りの展開に、ニヤリと笑みを浮かべる。
 今、山城はこちらに背を見せている。
 それを確認する間もなく、山城の後を追うように、真っ直ぐに飛び出す。
 
 山城の背後、拳が届く間合いに入った瞬間……ピタリ、と停止する。
 急制動に、身体が軋みを上げる。
 それを無視して、砕けた右拳を山城の背中、ちょうど心臓のあたりに当て……雷穿甲の火薬を爆発させる。
 
 轟ッ!
 
 そして、拳を以て、衝撃を全て山城の身体……それも心臓に向かって叩き込む。
 凄まじい衝撃に山城の身体が一瞬動きを止める。
 
 雷穿・楔……急所を打ち抜き、相手の動きを止める魔技。
 
 しかし、壊れた右拳で放った雷穿は、その拳すら破壊する。
 叩き込んだのと同等以上の衝撃に拳が悲鳴を上げ、びちゃりと血がしぶく。
 通常であれば堪えられないような痛みさえも、アドレナリンで麻痺した脳髄には何の影響も及ぼさない。
 
 空いている左手で、ベルトに手挟んだナイフを抜く。
 銀光が奔る。
 狙いは、山城の頸椎!
248キル・レイン(M):02/06/22 01:19
>242>244
キル・レインvs馬呑吐&レイレイ
 
「チ、流石に知識量が違うか―――」
 
 いくら魔族に転生し、力を得たと言ってもこちらはまだまだ成り立て。
 技巧では永遠の時を生きる夜族には勝てんか。
 だが、召喚したコイツは囮だ。この隙に―――奴へ接近する!
 
 俺が地面を蹴り、奴へ向かって走り始めた瞬間。
 先刻の僵尸が居ないことに気が付いた。
 何処だ? 後ろか?
 いや、近くに気配は無い―――
 
「上かッ!!」
 
 上階から感じ取った僅かな殺気を頼りに走る軌道を逸らす。
 少々遠回りになるが何を仕掛けてくるかわからん。
 慎重になってなりすぎる事は―――
 
 次瞬、耳を劈く轟音が建物全体を震わせた。
 
 空から降りてきた巨大な鉄塊……そうとしか表現出来ない物が争っていた二体を押し潰す。
 室内を支配してゆく血と肉片と粉塵。
 アンドラスは役には立たなかったが―――これは目眩ましとしては上等だ。
 腕で視界が塞がるのを防ぎ、一気に駆け寄る。
 
「現世の浮かばれぬ魂よその憎しみを光に変え……」
 
 接近戦だけで奴を仕留められるとは思っていない。
 呪文の詠唱を口内で呟きつつ、跳躍。
 俺は奴の頭部目掛け、空中で回し蹴りを繰り出した。
山城友香vs祁答院マコトvsミッドバレイ・ザ・ホーンフリーク
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>245>247
 
俺の衝撃波を受け、化け物の両肩から青い血が吹き出る。
人間にとっては致命傷になりかねないその傷も、奴にとっては動きが止まる程度だったようだ。
 
「化け物め……!」
 
毒づきつつ、次の手を考える。
もう手の内は少ない……次で決める必要がある!
しかし……
 
『先に貴男から贄にしてあげる………』
 
化け物は、再生の終わった腕で剣を振りかざすと俺に向かって突っ込んできた。
デタラメに速い!
 
「うおおおおおおおおおお!!」
 
咄嗟に俺は、地面に向かって衝撃波を放った。
コンクリートの地面が砕け、その反動で俺の身体は宙を舞う。
奴の攻撃を避けることはできたが、衝撃波の余波が容赦無く襲いかかる。
 
「がッ……クソッ!」
 
身体が悲鳴を上げるが、なんとか空中で態勢を整える。
あの女がこの機会を逃せば、二度と地面に下りることはできない。
女の方を見ると、化け物に向かって駆け出すところだった。
よし、それでいい!
 
女は拳で化け物の動きを止め、ナイフで首を掻き切った。
そう言えば、昔話じゃ吸血鬼は頭を潰せば死ぬんだったな……!
 
「終わりだ!消えろ!!」
 
空中から、俺は化け物の首目掛けて最後の衝撃波を放った。
これで消えてくれよ……!
250毒島(M):02/06/22 01:33
クロウvs毒島
>237

「あんりゃまあ、プロポーズ大失敗ですかー?ボクちん嫌われちゃったかにゃ?」
 クロウの進路を遮るように回り込むと、異様な風体の男、毒島は、おどけた口調でそう言った。
 目を細め、口の端をさらに歪める。
「キミの噂は、いろいろ聞いてるよん。普通ならオダブツもんのケガしてんのにピンピンしてたとか、
実はどえらいお年寄りじゃないんかとか・・・・ネ!」
 毒島の声には、あからさまな悪意と驕慢さが含まれていた。
 
「オレ様は、そーゆー特殊な人材を求めちょるわけよ。完全な不老不死をつくっちゃう、偉大な研究のためにねえ。
お願いだから、おとなしく実験材料になってチョーダイな。
こんだけ頼んだのに、まだイヤだっつったら、オレ様の鉄拳で説得するしかなかんべ?
肉体労働はしたくないんだけどなー」
あいかわらず早口でまくし立てる毒島の目に、凶暴な輝きが現れた。
「ふーむふむ、結局、理解を得られなかったみたいだわさ。そんじゃ、しゃーねーなあ・・・・・・
お前をブチのめしてから、連れ帰るとしよっか!」
 その言葉と同時に毒島は一歩踏み込むと、右拳をクロウの顔面めがけて振り回した。
 格闘技とは無縁の乱雑で粗暴な拳だが、その速さだけは、常人には真似しえぬ一撃だった。
 
 暗い路地で、人ならざる力を持つ者たちの闘いが始まった。
251ラルヴァ ◆LARVAIdY :02/06/22 01:35
伊藤惣太(ヴェドゴニア)VSラルヴァ(吸血鬼) 導入
 
たまにはいいだろうと街に「食事」に出かけたのは失敗だった。
ニコチンとアルコール、ドラッグにまで冒されて、
素顔がわからぬ程の化粧をした少女達には全く食指が動かない。
 
それでも、何とか一人の少女を見つけた。
塾帰りらしい少女は参考書に目をやっていたが…
私が声を掛け「目を見つめて」話しをすると、すぐに顔を朱に染めて付いてきた。
 
二人連れで路地裏に移動し、数時間ぶりに喉を潤す。
熱い血の流れの舌触り、匂い、喉越し。
満点ではないが充分に合格点といったところか。
 
血の気を失った少女を静かに寝かせる。
つれて帰ろうか? ここに置いていこうか?
思案している私の第六感に呼びかけるものがあった。
 
これは、念話のようだ。
そして、記憶にある「声」だった。
既に脳髄の片隅に押しやっていた記憶。
 
……そして、消し去る事ができない思い出。
 
                        ―――惣太。
>251 ヴェドゴニアVSラルヴァ
 
 ――それは、長い長い旅の始まり。
 俺が自分で選んだ道程に転がっていた小石程度の出来事だった。
 
 リァノーンを燦月から助け出し、共に永遠を生きることを誓った。
 そして始まるはずだったあてどのない旅。
 だが、燦月の残党が執拗に追っ手を出してリァノーン奪回を狙ってくる。
 奴らもこのままじゃイノヴェルチ内部で立場がないんだろう。
 そんな所詮は小石に過ぎない奴らでも、たまにはつまづきもする。
 どうってことのないキメラヴァンプに油断した俺は手傷を負い、リァノーンとはぐれてしまった。
 
 はぐれたといっても、俺とリァノーンには切っても切れない血盟がある。
 これがある限り、俺とリァノーンは何処にいても繋がっているようなモンだ。
 念話によって、互いの居場所をいつでも掴めるんだからあせる必要はねェ。
 そう考え、俺はリァノーン探索を開始すべく念話を解放した。
 
(何処だ、リァノーン? 返事をしてくれ!)
 
 ……妙だ。
 念話は確かに発せられ、そして受け止められたと確信できる。
 だが、返事がない。
 というか、受け止めたのがリァノーンじゃない気がする。
 何処がどうとは言えないが。
 
 ――何故か、懐かしさを感じた。
 その正体を掴めぬまま、俺は再び、三度とリァノーンとの会話を試みる。
 だが、それはことごとく正体不明の失敗を遂げるにすぎなかった。
 
 胸騒ぎがした。
 
 あり得ない事態に対して焦燥を募らせ、俺の念話を受け止めたと思われる何かに向けて走り出す。
 その先にあるモノなど想像もせず、ただ分からないことを分からないままにはしておけなかったのだ。
 それが、どのような結末をもたらすかなどまったく考えもせずに――。
253馬呑吐 ◆TUNtujd6 :02/06/22 01:48
キル・レインvs馬呑吐&レイレイ
>248

 一息で距離を詰めた空中で、黒衣の男は蹴りを放ってきた。
 旋風を起こして薙ぎつけられる蹴撃は、常人など造作なく断首する筈だ。
 
 だが、その猛撃は虚しく大気の中を通り過ぎた。
 
 馬はその場から一歩も動かず、一撃をかわしてのけたのである。
 上体のみを後方へ仰け反らせて。
 床と平行になるまで反り返った躯の上を黒衣の脚が通り過ぎる。
 それを確認した瞬間、左足で床を蹴った馬は背後に一回転する勢いに乗せ、右足刀を跳ね上げた。
 
254ラルヴァ ◆LARVAIdY :02/06/22 01:52
伊藤惣太(ヴェドゴニア)VSラルヴァ(吸血鬼)
 
>252
 
念話の主が近づいてくるのが感じられる。
伝わってくる感情は……焦燥。
 
当然の事だが、念話は私に向けられたものでは無い。
おそらくは、ロードヴァンパイア…「夜魔の森の女王」リァノーンに呼びかけるもの。
 
ギリ、と歯を鳴らす。
「それ」を、つまらない感傷と切り捨てる事ができない。
 
―――それもいいだろう。
もはや、感情を偽る必要など無い。
 
腕の中の少女に、改めて牙を突き立てる。
喉に広がる暖かさは、私の冷たい闘志に注ぎ込まれる滑らかな燃料。
 
惣太が私を見ていないのなら……目の玉を抉りだしてでも
見ざるを得ないようにするだけだ。
 
私は、念話を逆にたどり始めた。
>246 魔族VSミズー・ビアンカ    シェル・ブレイク (脱皮)

悠然と、ミズーへ向けて歩を進める魔族。
魔力圏に触れ始めた彼女自身の衣服が、ぼろ衣と化していく。
情欲に濡れた、巨大な瞳で見据えられる気配に、肌が粟立つ。
しかし、彼女は集中する事を止めない。止めてしまえば、そこで終わってしまう。

後は最短の開門式。たった一言だけで事足りる。
消えかかる意識を必死に繋ぎとめながら、彼女は途切れ途切れに
言葉を紡ぐ。

「気軽に呼ばないでって・・・言っているでしょう」

そして、告げた。その一言を。

「・・・出よ」


炎風が吹き荒れた。周囲の気温が一挙に上昇し、
その絶大なる力は顕現する。

巨大な炎の獅子。獣精霊。

それはミズーと魔族の間に瞬時に形を作り、
まさしく獣の素早さで、魔族へと踊りかかった。
256レイレイ:02/06/22 02:08
キル・レインvs馬呑吐&レイレイ
>253
 
分銅を落下させた階から姿を消したレイレイは
まさに馬呑吐の蹴りを捌こうとするキル・レインの背後に現れるや
その身体を押さえつける。
 
一瞬動揺したキルの足元には、一抱え以上もある大きさの爆弾が、
その導火線の根元で火花を散らしていた。
それがレイレイの物であることは疑うべくもない。
 
骨を粉砕する馬呑吐の蹴りで受けて床に這えば、
キル・レイン一人、木っ端微塵の肉片となって吹き飛ぶのは確実である。
火花が爆弾の中へと吸い込まれようとしていた。
>254 ヴェドゴニアVSラルヴァ
 
 ――分かる、念話を受け取った奴も俺のほうへと近づいてきている。
 近づくにつれて存在を強く感じるようになり……その感覚の正体に気付いた俺は愕然とした。
 
 ラルヴァ……俺が血を吸った、そしてパートナーだった女。
 なるほど、それなら俺の念話を彼女が受け取るのもうなずける。
 だけど……。
 
(何で……何で今更!?)
 
 彼女は、勝手に俺の目の前から消えたんじゃなかったのか?
 何を考えてたのかなんて知らない、詮索するつもりもない。
 きっと、彼女には彼女なりの理由があったんだろうと思えたから。
 それが、何で……何でよりにもよって今!
 
 新しい道を歩こうって時に!
 
 そんな俺の思考に構わず、感覚はどんどん近づいてくる。
 夜も更けてきたというのに、夜を駆逐しようかとするかのようなネオンの光。
 そして、人、人、人、その中に……。
 
 確かに、いた。
 懐かしい、忘れようとしても忘れられない顔が。
 
「ラルヴァ……」
 
 俺は、何を言えばよかったんだろう?
 口からは、ただ間抜けのように彼女の名前しか出てこなかった。
 呆然と、そこに立ち尽くす。
 
 人の波は、まるで俺とラルヴァを避けるように――実際、避けてるんだろう――流れていく。
 たまにこちらを胡乱げに見る者もいたが、そんな奴らはたいてい足早に去っていく。
 二人の間の障害は消え去り、真正面から向かい合う形になった。
 俺は……どうすればいい?
 答えが出ないまま、俺はじっと彼女の反応を待った。
258キル・レイン(M):02/06/22 02:35
>253>256
キル・レインvs馬呑吐&レイレイ
 
 クソ、本当に神出鬼没だなッ!!
 胸中で突然現れ、俺を羽交い絞めにした僵尸を毒づく。
 背後から拘束する僵尸に、下から迫る蹴り。
 オマケに足元には爆弾。
 ハハ、良く出来たピンチだ……脚本に書いたようなピンチじゃあないか。
 
 だからこそ、こんな事でくたばってやるものか。
 
「我に―――与えよ!!」
 
 突進の間に詠唱しておいた呪文を完成させる。
 ついさっき死んだばかりの死霊が掌に凝縮。光の球体へと変化する。
 奴の足へ狙いを付け、死霊のエネルギーを開放。
 凝縮した霊体は光の束になって奴の足を撃ち抜いた。
 
「おぉぉぉぉぉぉっ!!」
 
 魔術の反動を加えた人間離れした膂力でもって、僵尸を引き剥がす。
 そのまま袖を掴み、背負い投げの形で手前に引く。
 すると、先程の俺と僵尸の位置は、そっくり入れ替わっていた。
 爆風は、貴様だけで浴びろ。
259<伯爵級>魔族:02/06/22 02:40
>255 魔族VSミズー・ビアンカ    シェル・ブレイク (脱皮)
 
 彼女の身体に手が届く――その、瞬間だった。
 鋭く囁かれる一言。鋼の意志を持ってこちらへと突き立てられる一言が、ほんの一瞬、魔族の動きを止めていた。
 
 それは、ほんの刹那の間隙――――
 
 そこに滑り込むように、彼女の正面に「それ」は顕れた。
 空隙を埋めるかのような速度で瞬間的に膨張したそれは、炎で構成された獅子。
 
「ほ? ほおおお? ほおおおおおお?」
 
 理解できない現象を叩き付けられて、魔族は明らかに混乱していた。
 彼女のことなど忘れたように、その奇妙な炎へと意識を向ける――だが、遅い。
 
「きょおおおおおおおおおお!?」
 
 次の瞬間、魔族を襲ったのは――あらゆる物体を灰燼へと帰する、冗談じみた熱量だった。
 先程こちらを包み込んだ熱など、比較にもならない。炎が接触した先から次々に肉体が「消滅」していく。
 だが、ここまでの攻撃を受けているというのに、彼を守るはずの恒常魔力圏は、その反応を見せてはいない。

 精霊――それは、世界から生まれるものであるということを、彼は知らない。
 魔法によく似た性質を持つそれは、魔力圏にとっては排除するべき対象とは認識されていなかった。
 
「があああああああっ!?」
 
 魔力圏にすら捕らわれないその「獣の形をした炎」を、魔族は明確に敵だと認識していた。
 すでに、その肉体のかなりの部分が焼き消されている――
 だが、『謡うもの』をはじめとした魔法を紡ぐために必要な器官は、未だ深刻なダメージを負ってはいない。
 怒りにまかせ魔族は、魔法を紡ぎ出していた。
 
『凍気を伴う衝撃波』――魔力圏内に生み出されたそれは、その動く炎の内部に、次々と炸裂していく。
260ラルヴァ ◆LARVAIdY :02/06/22 02:49
伊藤惣太(ヴェドゴニア)VSラルヴァ(吸血鬼)
 
>257
 
「お久しぶりね。元気だったかしら?」
 
別に、内心の思いを押し殺している訳ではない。
惣太に会えた事は純粋に嬉しい。
 
サングラス越しではなく、真っ正面から惣太の目を見つめる。
別れた時と全く変わっていない顔だが、
微妙に印象が違うような気もする。
 
だが、変わったのは……私の方かもしれない。
 
 
不意に、背中を叩かれた。いや、誰かがぶつかったようだ。
 
「あ? んなトコで突っ立ってるんじゃねーよ!」
 
その若い男達は少し酔っているようだ。アルコールの臭いが身体から立ち上っている。
 
「御免なさい、今取り込み中なの。
 邪魔をしないでくれる?」
 
右手を軽く振るうと、私にぶつかった男は静かになった。
もっとも、顔面を半分以上なくしては永遠に喋る事はできないだろうが。
 
一瞬遅れて、周囲から悲鳴が上がる。
目の前の光景が理解出来ず呆然と立ちつくす者。
理解が早かったのか、必死に逃げようとする者とがぶつかり合い、
周囲に喧噪が入り乱れる。 
 
―――まったく、人が大事な話をしようと言うのに騒がしい事だ。
261馬呑吐 ◆TUNtujd6 :02/06/22 03:08
キル・レインvs馬呑吐&レイレイ
>256>258

 右膝から鮮血をたなびかせて馬は地に降りた。
 左脚一本のみである。
 黒い男が放った光の球は、馬の右膝から下をもぎ取っていたのであった。
 
 呻く間も無く手にしたマフラーを振った。
 途端に周囲で渦を巻いた布の流れは、有り得ぬ長さで巨大な球体へと形を変じ、馬を包み込んだ。
 大怪球はそのまま回転しつつ、位置を逆転させたレイレイと黒衣の男に向け突撃する。
 
 少々の爆風程度なら、特別に呪を施したこの布を破る事は出来ない。
 幾ら立場を入れ替えたとは云え、この距離で爆風を受ければ相手とて堪りはすまい。
 その隙をついてレイレイごと黒衣の男を叩き潰す。
 
 レイレイには特に注意を払ってはいない。僵尸の代わりは幾らでもいるのである。
 
 魔人たちの足元では、火花がようやく爆弾本体に達し、そして――。
 
山城友香vs祁答院マコトvsミッドバレイ・ザ・ホーンフリーク
〜I still haven't found what I'm looking for〜
>249

一撃で葬り去る、容赦はいらない。容赦すれば、私が殺られるのだから………
修羅の形相とスピードで友香が白スーツを切り払おうとしたその刹那、閃光と轟音が走る、
背中から心臓に突き抜ける感じ………たぶん、アサシンの攻撃だろう。友香の動きが止まる。
そして、アサシンのナイフが友香の頸椎を捉える。人ならざる蒼い血がとどまることなく噴き出る。

『終わりだ!消えろ!!』

そして、白スーツの衝撃波が友香の頭を貫いてゆく。
この感じ………消える。
二つの見事なコンビネーション攻撃、そして、何よりも決定的だったのは、
使用者の魂を、肉体をも蝕む、最狂の魔剣、ストームブリンガー。
友香の動きが止まると共に、友香の魂を、肉体を、淡く、儚く、まるで、粉雪のように、消し去る………

(奈々、メディナ………ごめんね、私帰れそうにないや………)

消えゆく意識の中で親友の顔を思い浮かべた………
淡い季節はずれの粉雪が風に舞った。それを雲から気まぐれに顔を覗かせた月が照らしていた。
>259 魔族VSミズー・ビアンカ    シェル・ブレイク (脱皮)


出現した獣精霊――――ギーアは、その燃え盛る身体から
放出される熱量だけで、魔族の肉体を凄まじい勢いで焼却していく。

だが突然、獣精霊の腹部に当たる部分が、爆ぜた。
内部に直接叩き込まれた魔法――――
それは、精霊の全身を大きく傾がせ、その全身を
一挙に吹き散らしていった。


「ギーア!!」


その情景を目撃したミズーが、強い意志で精霊に命ずる。
精霊が、それに応じるかのように、声なき咆哮を上げた。
身体の殆どを消失しながらも、残った頭部で、天を向く。
そして、同じく被害を受けなかった前足を、大きく振り上げた。

爆音が轟く。
ミズーの視界が一瞬深紅に染まり、そして・・・正常に返る。


そこに残っていたのは、魔族の足と呼ばれる部分のみ。
炸裂した獣精霊の巨大な爪は、狙い違わず、魔族の肉体の殆どを
抉り取り、消失させていた。
264<伯爵級>魔族:02/06/22 03:35
魔族VSミズー・ビアンカ    シェル・ブレイク (脱皮)
>263

「るううううおおおおおおおおおっ!」

 『それ』の内部に於いて炸裂した魔法は、魔族の目論見どおりに『それ』を構成する炎を削り取っていく。
一撃、二撃、三撃、四撃――

 焦がされ、燃やされ――だがそんな状況にあっても、魔族は笑っていた。
 自らの――紛れもな自分の力で他者を蹂躙する喜び。
 鬱積していた感情が、魔族化したことにより解き放たれ――その光景に、必要以上に魔族は酔った。

 ただでさえ薄かった周辺への注意が、更に緩慢になる。だが、それでも何ら問題はない。
 魔族を包む恒常魔力圏には、何人も立ち入ることは出来ない。
 それを犯すことの出来るのは、それと同質の力を持つ魔法だけだ。
 例外的にこの炎があったが、それはまもなく完全に消滅する。
 その後で、改めてあのお姉さんと遊べばいい。こんな痛いことをしてくれたお返しをしないと行けない。
 とりあえずは……

 げらげらと笑いながら――魔族は魔法を発動させ続けている。
 これから訪れるであろう愉しい時間、それに思いを馳せながら。
 
 だから――――彼は。
 
 彼女が発した、その声に。最後まで、気付くことはなかった。
 
――轟音。それすらも、魔族に届くことはない。
 変化に気付いた、その時にはすでに。
 
「………………げえ?」
 
 魔族のその肉体は、大きく削り取られていた。――そのうちに収められた脳すらも。
 
 いきなりなにも見えなくなったことに、魔族は困惑していた。
 復元を試みるが――瞬時に構成されるはずの魔力回路は瞬く間に霧散し、その意味を失っていく。
 次いで、猛烈な痛み――

「な――なん。なんで、で、で――なん、でえええええ――――」

 残された口が、言葉を紡いでいく。
 なんで。
 どうして。
 最後に意識に昇った言葉を、そのまま吐き出していく。
 その疑問が、一体何に向けられたのかもわからぬままに。

 絶対の脅威として君臨するはずだった魔族は、あっさりと。
 周囲に転がる、物言わぬ肉塊の仲間入りを果たしていた。
>260 ヴェドゴニアVSラルヴァ
 
「なッ――」
 
 一瞬、目の前の光景が理解できずに思考が空転する。
 ラルヴァの振るった腕が、見も知らぬ男の頭を吹き飛ばした。
 それを理解し、納得するまでに数秒の時間を要し、驚愕に変わるのには時間がかからなかった。
 
「ラルヴァ、何をやってるんだ!」
 
 辺りの人間達は既に恐慌をきたしていた。
 悲鳴と怒号が入り乱れ、逃げ出す者達と野次馬根性を出した奴らが衝突していざこざが起こっている。
 阿鼻叫喚っていうのは、こういう状態を言うのかと愚にもつかない思考を振り払う。
 ラルヴァ……まさか?
 
「吸血鬼化したのか……!」
 
 理性なき行動、それは吸血鬼であることの証の一つ。
 そして、口元から覗く剣歯。
 何より、今こうしても伝わってくる彼女の気配は……。
 
 ……俺の、せいなのか?
 去っていく彼女を捕まえていれば、この未来はあり得なかったのか?
 分からない、分かるワケがない。
 IFの話をしても仕方ない。
 俺は、俺なりに正しいと思える選択をしてきたはずだ。
 それが間違いで今があるとしても、それもまた俺の選択であり、ラルヴァの選択だったんだ。
 
 その結果がこれだとしたら……俺はそれを受け止めて立ち向かうしかないんだ。
 そのためにパニック状態の人間達を横目に見ながら、レイジングブルを抜く。
 銃口をを空に向けて引き金を引いた。
 轟音が辺りに響き渡り、次いで静寂が、ほんの僅かの静寂が訪れた。
 
「死にたくない奴らは逃げろ」
 
 その隙間に言葉をねじ込む。
 頼むから聞いてくれ……!
 空いている手にサド公爵の愉悦――ナイフを抜きながら願った。
 視線はまっすぐにラルヴァに向けられている。
 少しでもおかしな動きをすれば、すぐに反応できるようにだ。
 今の彼女の行動は俺にも予測できない。
 二人の間に流れる空気が、どんどん張り詰めていくのを感じる――。
 武器を持つ両手に、汗がにじんだ。
266レイレイ:02/06/22 03:46
キル・レインvs馬呑吐&レイレイ
>261
 
火花は炸薬に届き、床の爆弾が轟音を発して炸裂する。
ついで爆風をものともせず、巨大な球体へとその身を変じた馬呑吐が
二人の居た場所を薙ぎ払った。
 
爆発の余波と馬呑吐の突進でホール中の埃や破片が舞い上がり、
視界は数メートルもない。
変化を解いた馬呑吐の頭上から、
レイレイのかぶっていた帽子の残骸らしきものが落下してきた。
それには、彼自身が作り今まで僵尸であるレイレイを服従させていた
「奪身操魄」と書かれていた咒符の切れ端がついている。
 
興味なさげに視線を外したその時。
 
ホール全体に重苦しい殺気が満ち溢れた。
地中に篭る陰気全て解放されたようなそれは
半壊したホールから、ビルから溢れ出し、周辺の風水を変容させるほどであった。
 
濛々たる煙の中で、その元凶たる何かが起き上がる。
>264 魔族VSミズー・ビアンカ    シェル・ブレイク (脱皮)


僅かに残った魔族の両足は、そのままくたりと地面に崩れ落ち、
そのまま動かなくなった。
脳組織どころか、身体の殆どを失ってしまったのだ。
再生できないのも、当然の結果と言える。

そして、一面が焦げ付いた通りの只中に。
同じく身体部分の殆どを希薄にさせ、四肢と頭部だけで
佇む精霊の姿。

(わたしは、決して負けない)

朦朧とする意識の中。精霊が起こした破壊の結果を、次第に狭まる
視界で確認しながら、ミズーは独りごちた。

(どんなに傷つこうとも・・・最後には、必ずわたしは勝つ)

残った精神力を全て振り絞り、彼女は念糸を紡ぎ、水晶檻の門を開く。

「もどれ・・・」

一言と同時に、四肢と頭部だけの獣精霊は、忽然と姿を消す。
短い閉門式と共に、精霊は檻の内部へと再封印された。

そこまでが、限界だった。
深く沈んでいく自分の意識を、繋ぎ止める事が出来ない。
そんな中でも、彼女はまだ、辛うじて残った思考能力で、漠然と考える。
いや、それは既に、夢の中のことだったのかも知れないが。

(意味がない・・・こんな戦いは、意味がない)

とっくに二本の足で立つ事できなくなっていた。
顔が地面に当たり、ざらついた感触を彼女の頬に伝える。

(奴に、アマワに、近づく為には)

全身の力が、流れ出る血液と共に抜け出ていく。

(立ち止まっては、いられない―――)

そして、遂に彼女は、完全に意識を失った。
268名無しクルースニク:02/06/22 04:05
Nameless Kresnik vs Count Vardalek
“The Party Of The Children Of Night”
>197
 
 黒雲を押し退ける月を翳らせたのは、異形の狼。
 青年は、動かない。
 相対距離は2メートル――自由落下速度を遥かに超越した、流星を思わせる勢いで、異形
の巨体が降臨する。衝撃波さえ伴いそうな速度が、風を束にして身に纏う。
 見上げて、青年は動かない。
 
 青年は、爪を。
 狼を。
 敵を。
 じっと、見上げる。
 
 ――コイツは、
 何処か胡乱な頭は、その姿を静かに見詰めている。
 ――コイツ等は、何をしたんだろう。
 下げられた刃は、地に掏る程に切先を垂らし、樋の間を毀れた血が柄元で固まり始めていた。
 ――ああ。
 
 見上げて思った事は、一つ。
 ――どうしてこんなに、コイツは遅いんだろう。
 避ける必要も無いじゃないか。こんなに遅いんじゃ、ノロマなアリでも避けられる。
 避ける必要なんて、無い。
 だって――爪はもう肩に触ってる。
 
 派手に、血が飛沫いた。
 気違い染みて鋭い爪が、狂気染みた角度で鎖骨から胸までを裂きながら抜け、脇腹まで浅く抉
っていた。
 鎖骨を抜けて筋肉を抜けて、左腕は落ちそうな位に、爪が入り込んで――何だよ、痛いな。
 腕が落ちるだろ。骨に当たってる。離せよ。
 痛い。
 空から爪を突き出した狼の姿を、瞳と脳は、コマ送りのように認識していた。
 
 痛くて、遅い。
 身体は機械的な反応で柄を握り直す。脳の命令が、全身に隈無くトレースされた。
 余計な思考はノイズとなって押し潰された。身体は、目の前のモノを殺す為だけのパーツと
なって、キリキリと全身を起動させる。
 脳は、既に目の前のモノの排除命令を下し終えていた。
 
 目の前に、無様な狼の顔。……あぁ、思い出した。
 ハンプティ・ダンプティ、落ちて壊れて戻らない。
269名無しクルースニク:02/06/22 04:07
Nameless Kresnik vs Count Vardalek
“The Party Of The Children Of Night”
>268
 
 その場で僅かに身を撓めた青年の身体が、爆ぜる火薬と化した。
 後数十センチで大地を踏み締める狼へ、青年は下方から上方へ駆け抜ける。
 濁りを帯びた刃が、月光に閃いた。
 下らない躊躇いも、欠片ほどの逡巡も無く、踏み込みと同時に、脇構えにされた両腕が疾った。
 華麗さも緩やかさも無い、刃が耐えたのが奇跡とも言える、力任せの斬撃だった。
 樫の板でも断ち割るような異音を響が、虚空へと抜ける。
 狼の腹の中程までが、吹き上がる鮮血に彩られて一気に寸断された。
 腹へとぴしり、と走った横一文字の傷は腹圧に耐え切れず、堤防が決壊するように弾け飛ぶ。
 夜気に凍える臓物が緩く湯気を立ち昇らせ、ピンク色の腸管が大地に毀れた。
 そして――無理な体勢で振られた刀身も、振った青年の姿も、既にそこには無い。
 
「ハンプティ・ダンプティ壁の上、ハンプティ・ダンプティ大墜落、
 王さまの馬も家来も手も足も出ず――」
 
 上空へと駆け抜けた青年は、痩身を月に重ねて、眼下の狼を冷たく睥睨する。
 ただ静かに呟き、逆手に握り替えた刃を掲げ、自由落下に身を任せ、
 
「――ハンプティ・ダンプティ、一巻の終わり」
 
 どず、と。
 首切り人より冷静に、滑稽なほど呆気無く――兼定は狼の額を背後から貫通する。
 ぎち、と両手に込められた力は、刃を半回転させて頭蓋の中を掻き混ぜ、脳漿と頭蓋の破片とを
巻き込みながら、そのまま外へと、抜けた。
270ラルヴァ ◆LARVAIdY :02/06/22 04:29
伊藤惣太(ヴェドゴニア)VSラルヴァ(吸血鬼)
 
>265
 
「吸血鬼化? 当然じゃない」
 
私は惣太に微笑んで見せた。
 
「リァノーンは生きてるんでしょう?
 そして、貴方も此処にいる。
 私の吸血鬼化がとまるわけないじゃない」
 
それは簡単な論理。
惣太も私も、あえて目を逸らしていた、単純な事実。
 
「でも、それはいいのよ。私、今はとても気分がいいし」
 
―――そう。今この瞬間。かつてない程の充実感にあふれている。
 
惣太を傷つける。
惣太に傷つけられる。
惣太の血を吸える。
惣太に血を吸われる。
 
想像しただけでも身体中の血が熱くなる。
 
私は惣太に血を吸われて、再び殲鬼となった。
あの瞬間に感じた感覚は、首の咬み跡が消えた今となっても
私の中の奥底に深く刻みつけられて残っている。
 
 
天に向けられたレイジングブルを視界から外さず、
私は惣太の背中に向けて、かすかに頷いて見せた。
 
そこに居たのは、先程私が血を吸った少女。
完全に吸血鬼化しているかどうかは、私の知った事ではない。
少女は、私の指示通りに惣太の腕にしがみついた。
 
その一瞬を逃さず、スーパーレッドホークとアーミーナイフを抜き放つ。
 
「惣太。今もカスールの弾頭は銀にしてあるの?
 もしそうでも外しちゃうと大変よ? こんな風にね」
 
轟音は2回。照準は適当だ。
一応は惣太の方を狙ったが、弾丸が何処に飛んだかすらも私の知った事ではない。
大体、この程度で終わってもらってはつまらない。
 
夜は始まったばかりなのだ。
魔族VSミズー・ビアンカ    シェル・ブレイク (脱皮)
>267

「――――なんとも。派手にやったな、これは」

 のんびりと呟きながら、破壊されつくした通りを、黒い鎧が歩いている。
 否、それは鎧ではない――それよりも遙かに洗練され、ひたすらに機能性を追求した先にある実用品だ。
 モールド。そう呼ばれる人間の鋳型。それは、魔族化した誰かが身に纏っていた『殻』とは違う。
 着用者を覆うためではなく、人の形に縛り上げるための――拘束衣。

「ふむ。この分だと、生存者は絶望的か」

 魔法によるものだろう破壊痕を眺めて、そんな感想を漏らす。だが、そこにはなんの感情も込められてはいない。
 事実を淡々と口にする――ただそれだけの動作でしかない。
 ひとたび魔族事件が起こってしまえば、このような被害はさほど珍しくはないからだ。
 そこには、今さら込めるべき感慨も存在しない。

「ま――仕方ない。さて。お仕事お仕事――と」

 呟いて、軽く肩を竦める。それに合わせるように、装甲が微妙に音を漏らした。
 やがて、立ち止まる。周囲には、先程のそれよりもさらに激しい破壊があった。どうやら、この辺りが中心部らしい。
 背中のマウントからスタッフを取り外す。
 それを構えつつ、慎重に索敵を開始したその時――彼の視界に、動くものがあった。

「――――!」
 
 反射的にスタッフを向ける。――だが、そこにいたのは。
 
「――人間?」

 生存者――?
 言葉には出さずに呟く。ここまで辺りが魔族に蹂躙されている状況で、生きている人間が居るとは。
 恐ろしく運がいいか、あるいは――

「……女、か」

 恐ろしく運が悪いかのどちらか。
 周囲と――そして女とに気を配りながら、ゆっくりとそちらへと近寄っていく。肩口に引きちぎられたような傷痕が見えた。
 そこからは、いまだ出血が続いている。衣服が包帯変わりになってはいるものの、このままでは遠からず失血死するだろう。
 他には……幸いなことに、異常は見られなかった。少なくとも、死ぬよりもおぞましい目にはあわされなかったらしい。
 小さく嘆息。と――――
魔族VSミズー・ビアンカ    シェル・ブレイク (脱皮)
>271

「――なんだ?」

 呟いて、顔を向けた。一瞬、見たもの理解できなかったからだ。
 そこには、猛烈な熱が叩き付けられたのだろう……黒々とした痕跡が、そこにぽっかりと空白を生み出している。
 そこに、それはあった。

 巨大な口を貼り付かせた、「異形」という言葉をそのまま形にしたような何か。
 すなわち――魔族。だが、それはいい。
 問題は――その魔族は、彼の到着を前に、ただの肉となってそこに横たわっていたということ。
 肉体の殆どを刮ぎ取られているそれは、元々がどんな姿であったのかすら、想像することが困難だった。
 
「――――死んで、いる?」
 
 事実を噛み締めるように、彼は呻いた。確かに、魔族は死んでいる。
 死という結果。何者にも覆せない決定的な結末が、そこに存在している。
 だが……誰が、この魔族にそれを与えたのだ?
 
「おいおい――また、手違いか?」
 
 連絡の不行き届きによる魔法士の重複投入。
 真っ先に思いついたのはそれだ。だが……そうなると、この女を放置していった理由がわからない。
 
「……どうなってんだ、一体?」
 
 だが、誰もその疑問には答えない。もしかしたら……彼女が知っているのかも知れないが。
 彼女――――思い出したように、彼は倒れたままの彼女に視線を戻した。時折、思い出したように身じろぎしているが。
 その顔色は、恐ろしく白い。
 
「……拙いな、こりゃ。とっとと病院なりなんなりに連れていかねえと――」
 
 スタッフを背に戻し、彼は慎重に彼女を担ぎ上げた。
 さすがに痛むのか、意識を失っている状態でも、動かすたびに呻きを上げている。
 反応があるうちは大丈夫だ――そんなふうに結論づけて、彼は来た道を足早に引き返す。
 一度だけ、半ば炭化した魔族を見やる。この場合――依頼料はどうなるんだろうか。
 そんな思考を最後に、レイオットはその場から静かに離脱していく。



――――数日後。

 彼女を救急隊へと引き渡した後。
 彼の脳裏から、彼女のことはすっぽりと抜け落ちていた。
 
 その彼が彼女のことを思い出すことが出来たのは。
 顔見知りの監督官から、その彼女が病院から突如姿を消したという話を聞いてからのことである。

End
ミズー・ビアンカVS魔族        シェル・ブレイク (脱皮)

レス番纏めよ。
>208>209>210>212>213>216>220>226>229
>236>243>246>255>259>263>264>267>271>272

感想、意見はこの場所で受け付けているわ。
ttp://fargaia.opt.hokuto.ac/html/test/read.cgi?bbs=vampbattle&key=1019409630


わたしは立ち止まらない。そう、決して。
274クロウ ◆DsxKUROU :02/06/22 09:03
クロウvs毒島

>250

 腕ずくで連れて行く?この俺を?

笑えない冗談を言う。
気配。足の運び。そしてこの攻撃。
素人そのものだ。
唯一、そのスピードだけは人を超えた物だったが、十分に反応できる。

「おい、あんた・・・噂を聞いてるならその程度でどうにかなると思うのか?」

半身になって右の拳を躱す。
目の前を通り過ぎていく手首を掴み、引く。
泳いだ身体に蹴りをくれてやる。
その隙に距離を取る。

「黙って帰るなら何もする気は無かったが、始めたのはそっちだ」

左手の太刀の鯉口を切り、大きく踏み込む。
抜きざま、横に薙ぎ払う。
白刃が男の胴へ流れる様に走った。
275毒島(M):02/06/22 11:13
クロウvs毒島
>274

 毒島の胴を断ち切らんと、横薙ぎに繰り出されたクロウの一太刀は、暗くよどんだ空気を切り裂くのみにとどまった。
 毒島がその長身を瞬時に、さながら地面に張り付くかのように低く屈めたためだ。
 彼のもつ、常識外れの反射神経のなせる技だった。
 毒島は、屈むというよりも、伏せるといったほうが相応しい体勢から、跳ね起きつつ拳を振り上げる。
 クロウの顎を狙ったその拳はたやすくかわされたが、続けざまに突き出された前蹴りは、
がら空きの胴に次なる斬撃を加えようとしたクロウの右肘に当たり、出鼻を挫くこととなった。
 互いに数歩後退し、両者の間合いが開く。

「おいおい、素手の相手にポン刀振り回かね、フツー?」  
 毒島は、命のやりとりの場に相応しからぬ暢気な口調で呼びかけ、言葉をつづけた。
「ま、オモチャの使用は楽しいから、オレ的にゃあ一向に構わんぜ。そいつでズバっとやってみっか?」
 相変わらず歯を剥き出しにした笑顔を浮かべながら、クロウとの距離を一歩詰める。
 力を入れずに垂らしていた左腕をゆっくりと上げ、大きく振りかぶった。
 拳で打ちかかるにはもちろん、剣を振るうにも僅かに遠い間合いだ。
 相手の奇妙な行動にクロウが反応したその瞬間、毒島の腕が振り下ろされた。
 伏せたときに手にとった、一掴みの砂利がクロウの顔に向かっ
て飛ぶ。
 
 即席の目潰しを投げつけた毒島は、電光のごとき速さでクロウに駆け寄り、左右の手刀を連続して打ちこんだ。
276クロウ ◆DsxKUROU :02/06/22 17:36
クロウvs毒島

>275

水平に走る刃の下に奴の姿がある。
獣じみた速さで四つん這いになるより低く身を屈めた姿は、
どこか人で無いものの雰囲気を感じさせた。

跳ね上がってきた拳を躱し伸び切った胴に返す一刀を送るが、前蹴りで潰される。
再び間合いが開く。

「始めたのはあんただ。文句付けるくらいなら自分も獲物を持ってくればいいのさ」

その時。
男が何かを投げつけてきた。

 砂利!?

そう判断する前に身体が動く。が、躱し切れなかった数粒が左眼を瞼の上から叩く。
霞む視界の向こうで左右の手刀が迫ってくるのが見えた。
この視界では見切れない。
あえて踏み込んで両腕の肘の辺りを抱え込む様に受け止める。
絞り上げる様に固定しながら顔面を背後の壁に叩き付けにいく。
277キル・レイン(M):02/06/22 17:39
>261>266
キル・レインvs馬呑吐&レイレイ
 
 咄嗟に危機を感じ、僵尸の体を手放し飛び退いた。
 それでも爆風を避け切る事は出来ず、熱気が肌を灼き衝撃が内臓を叩く。
 視線を上げると見えるのは布で出来た球体―――くそ、あれで防いだのか。
 頭の中でほぼ反射的に戦法を組み立てる。
 
 底冷えするような殺気。
 
 地に落ちた咒符を見れば大体の状況は理解出来た。
 咒符を失った僵尸は制御できない、殺戮機械と化す……。
 これも貴様の脚本の内か? 『神』よ!!
 いいだろう。俺を窮地に追い込むのがお前の脚本ならとことんまで逆らってやろうじゃないか。
 
「火焔の中に棲む、灼熱の精霊よ……」
 
 次の一手の為に召喚呪文を唱える。
 どちらを相手にする事になるかは知らないが―――両方とも消せばいい。
 魔力を織り、呼び出すモノの居る異界の門へと手をかけた。
 
「汝が舌で我が敵を焼き尽くせ」
 
 詠唱途中に掲げた腕から、轟と炎が噴き出す。
 僅かに開いた門から溢れ出す炎だ。
 そう、俺が呼び出すのは炎の化身―――
 
「来い! サラマンダー!!」
 
 掌から三匹の蜥蜴が現れた。
 蜥蜴と言っても、一匹一匹が人間の子供並みの大きさだ。
 更に、体を構成しているのは肉でなく紅蓮の炎。
 火焔を纏った二匹の蜥蜴達は、それぞれの目標へ向かって突進を始めた。
 
 そして残った一体は俺の周囲に漂わせたままにして、僵尸の元へと走る。
 奴を相手にする間、ちょっかいを出されると面倒だ。
 ―――先に片付けてやる。
>270 ヴェドゴニアVSラルヴァ
 
 単純な、あまりにも単純な事実。
 殲鬼になった者は、永遠に殲鬼でいられるワケじゃない。
 吸血鬼化はどんどん進行していき……最後には身も心も吸血鬼へと堕ちてしまう。
 俺は自らの闇を殺すことで自分自身を保っていられたが……。
 彼女には、俺の継嗣である彼女にはそんな力はない。
 
 ……当たり前じゃないか、彼女が今こうなってるのは。
 そんなことにも思い至らなかったのか、俺は?
 いや、知っていながら見ようとしていなかったのか、その事実を……?
 そう、きっとそうなんだろう、見ようとしなければ楽だから。
 見てしまえば、無視できなくなってしまうから。
 
 そんな感傷を妨げるかのように、俺にすがり付いてくる人影。
 思考を止めてそちらへと首を向け……一目でその正体に思い至った。
 目が、朱い――。
 
(ラルヴァの下僕か!)
 
 同時に獲物を抜き放つラルヴァ。
 その冗談のようなロングバレルから、凶暴な454カスール弾が俺めがけて吐き出された。
 再び場を轟音が支配し、殺気が辺りに立ち込める。
 照準は適当らしく、一発は見当外れの方向に飛んでいき、もう一発も急所には当たりにない。
 放っておいても致命傷にはならないだろうが、喰らってやる義理もない。
 身をかわそうとして、しかし腕にすがりついている少女がそれを許さない。
 所詮はなりたての少女、鍛えられているワケでもない。
 強引に振り払おうと思えばいくらでもそうできた。
 
 ――だが、俺は僅かに躊躇してしまった。
 少女の瞳が僅かに正気を訴えかけてきたような気がして。
 朱い瞳が、助けを求めてるような気がして。
 
 気のせいだったのか、それは分からない。
 躊躇が焦りを生み、焦りが短絡的な行動へと狩り立てる。
 このままじゃ喰らっちまう!
 そう思った俺はとにかく体を捻った――すがりつく少女をそのままにして。
>278続き

 銃弾は命中しなかった、が……大輪の朱い花を咲かせてみせた、俺の隣で。
 少女の頭部が、銃弾を喰らって吹き飛んでいる。
 血と脳漿が、俺の顔に、拘束衣に斑模様を描いた。
 力をなくした体が、俺の腕からずるずると地面へ落ちた。
 
 その事実に呆然とする間もなく、誰かの金切り声が響き渡った。
 目を向けた先には、それた銃弾を喰らい、腕を吹き飛ばされた少年が絶叫している――。
 さきほどのラルヴァの言葉……これを狙ってたのか?
 俺をけん制するためだけに、これだけのことを?
 これが、あのラルヴァなのか!?
 
 
 ――目を伏せ、そしてゆっくりと顔を上げて、俺は覚悟を決めた。
 
 
 あれはもうラルヴァじゃない、『ラルヴァだったモノ』だ。
 少なくとも、俺の知ってるラルヴァじゃない!
 
 頭を失って死んだ少女も、泣き叫ぶ少年も全て頭の中から振り払い、ラルヴァの方へと走り出す。
 レイジングブルの銃口が、今度こそラルヴァの心臓をポイントする。
 吐き出す銃口が、ネオンを反射して銀色の尾を引く。
 それは、この銃弾に銀が使用されてることを示していた。
 
 できれば、こんな風には使いたくなかったが。
 
「あァ、おかげでおまえを俺の手で殺してやれるな!」
 
 レイジングブルの轟音に負けじと声を張り上げながら、まっすぐに走る。
 忘れろ、全て忘れるんだ……!
 考えたら戦えなくなるから、全てを忘却に沈めて、目の前のラルヴァを殺すことだけを考える事にした。
280毒島(M):02/06/22 19:42
クロウvs毒島
>276
 
 繰り出した両腕を押さえ込まれた毒島は、その体勢のまま振り回され、その平べったい顔面を
壁に叩きつけられることになった。
「いでえぇ!」
 甲高い苦悶の声と、壁面のあげた低い悲鳴が同時に響いた。
 
 その直後、さらなる追い打ちをかけようと力を込めたクロウの腕のなかから、関節を極められていたにもかかわらず、
毒島の腕は蛇のようにすり抜けていた。
 僅かに驚きの表情を見せたクロウを両手で突き飛ばすと、毒島は腰を低く落とした構えをとり、声高に叫んだ。
「てんめー、オレ様自慢のナイスなヘアスタイルが乱れちゃったじゃねえか!」
 鼻血の滴る顔面と、傷んだ箒を思わせる緑の頭髪に、交互に手をあてながら言葉を続ける。
「それにしても、『ブスジマチョップ』をかわすたあ、思ってた以上にやるじゃん。
こりゃあ、ボクもとっておきの秘密兵器を使わんといかんなー」
 幾らか低くなったその声は、怒りと憎悪を含むものだった。
「こっからがマジだあ!よーく見ててな!」
 その叫びとともに、毒島の姿が大きく歪み、別のなにかへと変わっていった。
 
 左右それぞれが別個に周囲を探る、突き出した大きな目。
 三つ以上の突起がひとつにまとまった、奇妙な鼻面。
 歯をもたぬ、途方もなく大きく裂けた口。
 不恰好なほど大きな頭にこれらが配置され、緑の鱗に覆われたその顔は、まぎれもなく
爬虫類のものだった。

 顔だけではない。
 盛り上がった背中、鈎爪の生えた手足、弛んだ胴体、さらには渦を描くように巻かれた長い尻尾、
そのすべてが鱗に覆われていた。
 それはまさに二足歩行の巨大な蜥蜴であり、数秒前まで人間だった名残は、身に着けた
衣服にのみ残されていた。
  
 これが<獣人>のもつ特殊能力<獣化>であり、毒島はその<獣化>を研究する科学者だった。
 人工的に<獣人>を製造する研究に取りつかれた彼は、自らの肉体をも、自然発生の極めて稀な
爬虫類型の<獣人>に改造してしまったのだ。
 
 カメレオンの<獣人>へと変化を遂げた毒島は、クロウに向かって歩み寄った。
 本物のカメレオン同様、ひどく緩慢に。
 それは、獲物を狙う動きだった。
281ラルヴァ ◆LARVAIdY :02/06/22 19:59
伊藤惣太(ヴェドゴニア)VSラルヴァ(吸血鬼)
 
>278>279
 
「ふふっ…」
 
惣太の突き刺すような視線が心地よい。
思えば、私達はいろいろなものから目を逸らして生きてきた。
今この瞬間ぐらいは現実を真っ直ぐに見据えさせるべきだろう。
 
銃口がこちらを向いた瞬間に、心臓が一つ高鳴った。
もしも殺意が目に見えるならば、真っ直ぐに私の胸に線を引いているに違いない。
 
惣太の意志を受けたレイジングブルが吠える。
同時に、私はステップを踏み始める。
不意を付かれでもしない限り、お互いに銃弾をかわすことは不可能ではない。
 
それは、嗜虐と被虐が入り乱れる死の舞踏。
最後にステージに立っているものはどちらだろうか。
 
「へえ、貴方に私が殺せるの? 立派な狩人になったわね、惣太。
 まるでフリッツみたいよ、あははっ―――」
 
そこまで侮蔑の言葉を浴びせた後、言葉を切って惣太を睨み付ける。
私の歯がギリギリと音を立てているのは……何故なのだろう……
 
「リァノーン以外はこの世にいらないってワケね。
 本当にフリッツと同じ…!」
282???:02/06/22 20:24
導入


『技術として確立された魔法』
いまいち現実味を帯びた響きでは無いが、そういう物が存在するらしい。
一口に魔法と言ってもその種類は多岐に及ぶだろうが、
必ず軍事目的で開発された魔法も存在するはずだ。
それが戦場に投入された場合、どれほどの効力を発揮するのか。
B.O.Wはそれにどれほど対抗できるのか。
これらをはっきりさせた上で、データ次第では必要な措置を取らないと
B.O.Wの商品価値は急落、これまでの研究も水の泡になってしまう。
よって、データ収集にはタイラントの廉価版試作量産型バンダ―スナッチ4体プラス
ネメシスT型を実戦のトライアルも兼ねて投入、交戦記録から詳細の分析を試みることになった。


某日、24:00時。
トリスタン市上空で4機の黒塗りの輸送ヘリがホバリングしている。
驚くほど小さいローター音や星の見えない曇り空もあいまってヘリの存在に気付く者はいない。
そして、4機の内の三機の下では大混乱が発生していた。

混乱の中心にいるのは黄色く変色した外皮と肥大化した右腕を持つ人型の化物。
バンダ―スナッチと呼ばれるそれは、突然現れた化物に逃げ惑う人々を
自在に伸びる右腕で掴み、引きずり倒し、裂き、食いちぎる。
返り血で身体を紅く染めながらなお、その行為をやめようとはしなかった。
壁に叩き付けられて動かなくなった青年がいる。
腹部を千切り取られた母親に縋る少女がいる。
喉笛を裂かれ、血を撒き散らしながら痙攣している女性がいる。

――辺りには、血の匂いと悲鳴が溢れていた。
>281 ヴェドゴニアVSラルヴァ
 
 何を、言っているんだ、ラルヴァは?
 意味は分からないが、一言一言に明確な棘を感じる。
 思考を意識の奥深くに沈めようとしても、まるで刺さった棘が気になるように集中しきれない。
 
(フリッツ? 何であいつの名前が出てくるんだ?)
 
 俺が、あいつと一緒だって?
 それはどうあっても否定したい考え方だ。
 俺はあいつみたいな人でなしでも、目的のために手段を選ばない奴でもない。
 何より、俺はあの二人とは決別してきているんだ。
 陽のあたる人間の生活を捨て、リァノーンと共に生きることを選んだから。
 
 後は、極力考えないことにした。
 俺にラルヴァが殺せるのか?
 それを考えたら、俺の手は、足はきっと止まってしまうから。
 引き金を引くことも、ナイフを振るうことも出来なくなってしまうから。
 
 だから、ありとあらゆる感情を押し殺し、殺意だけを瞳に載せてラルヴァへと向ける。
 俺の銃弾はラルヴァにかわされ、空しくネオンに暴かれた闇へと吸い込まれていった。
 ――幸いにも、その銃弾は誰かの命を奪うことはなかったらしい。
 
「何とでも言えッ! おまえは俺が殺す!」
 
 ただ一言そう告げ、至近距離まで近づいたラルヴァに左手に持ったサド公爵の愉悦を振るう。
 同時に、右手のレイジングブルからバヨネットを送り出し、アッパースイング気味に斬り上げた。
 それでも走ってきた勢いを殺さずに、体当たりするくらいの気持ちで突っ込む。
 接近戦なら、銃弾で余計な被害者を出さずに済む……!
284オーフェン:02/06/22 21:06
オーフェンVS祁答院マコト
我が血に染まれ戦鬼


その日はなんでもない一日だった。
地人を追ってトトカンタから離れ、ある街についてから数日。
それまではいつもどうりの日常だった。

そんなある日。

それは深夜に起こった・・・


・・ふと目が覚める。

シーツを放り出しながら、部屋の中を見渡す。

何も無い、狭い部屋―――
まあ、手持ちの金といつまで滞在するかわからないのだから仕方ないといったら仕方ないが。
とりあえず、適当に放り出していた黒いシャツに腕を通す。
顔をあげ、近くにある革の上着とバンダナ、そして銀製のペンダントを手早く身に付け。
そして近くに置いておいたブーツに足を入れ、窓のほうを向く。

「さてと・・・そんなとこにいないで入って来いよ」

そして、声をかける―――窓の外にいる気配に。
はっきりと相手の人数はわからないが、声をかけたことにより部屋の中に踏み込まれるのを牽制する。

「入ってこないならこちらから行くぜ!」

そして、相手が躊躇している間に。
その声を合図に俺は窓を一瞬であけ、外に飛び出た。
285祁答院マコト:02/06/22 21:07
オーフェンvs祁答院マコト
我が血に染まれ戦鬼
>284 
(……気付かれたか)
 
 窓から飛び出してくる黒ずくめの男……あれが「鋼の後継」か。
 胸元に揺れる銀のペンダント……最高峰の魔術士である事を示す、牙の塔のペンダント。
 正直言って、やりあいたい相手ではない。
 しかし……
 
(嬢たちを狙うというのであれば……仕方あるまい)
 
 火者の里を経由して手に入れた情報。
 暗殺者キリランシェロが、光狩に雇われ、大津名市にいる火者を狙っているという情報。
 
 キリランシェロ……かの最強の暗殺者チャイルドマンの秘蔵っ子「鋼の後継」
 師無き今、最強の暗殺者と言っても間違いではあるまい。
 しかも、彼は魔術士なのだ。
 
 魔術士といえば、魔術もさることながらその暗殺能力は折り紙付き。
 普通の火者たちでは、殺された事にも気づけまい。
 だが、同様に暗殺訓練を受けたものであれば、対抗も可能。
 
(だから、何としても……)
 
「殺す!」
 
 言葉と共に、踏み込む。
 5メートル近い間合いを一瞬にして詰め、拳打を放つ。
 雷穿は使わない。
 対魔術士であれば、大振りの攻撃は危険だ。
 連撃、連撃、連撃。
 
 魔術士に魔術を使わせる暇を与えるわけにはいかない。
286オーフェン:02/06/22 21:21
>285
オーフェンvs祁答院マコト
「我が血に染まれ戦鬼」

外に出た俺の視界に最初に入ったのは。
殺気とともに襲い掛かってくるコートの女だった。

『殺す!』

その言葉とともに、息もつかせぬ拳の連撃がコートの女から放たれる。

「くっ!」

何故自分が襲われるのか、そしてこの女は何者なのかという疑問はあったが。
だが女から放たれる拳には間違いなく本物の殺意がこもっていた。

「っこの!」

拳の連撃の一撃を紙一重でかわし、一歩踏み込む。
そして、女の膝目掛けて足を振り下ろした。
287クロウ ◆DsxKUROU :02/06/22 21:29
クロウvs毒島

>280

腕の間からするりと抜け出して、相変わらずの調子で喚く。
そして――

 獣じみた、とは思ったがまさか――

本当に化物だとは思わなかった。瞬く間に身体が変化していく。
その姿は二足歩行のカメレオンの様で、全身に鱗が光っている。
しかもどうやら自らの意思で身体を変えられるらしい。

良く見る亜人と外見は似ていたが根本的に違う。
理外の出来事に意識が一瞬空白になった。


奴がゆっくりと動き出した。動物が、獲物を狙う時の動き。
得体の知れない相手に正面から仕掛けるのは愚の骨頂。
だが、構う事は無い。

 どうせ、向こうは素手だ。

低く下段に構えて、全速で間合いを詰める。
地を這う様に走った銀光が、逆風に抜けた。
『悪夢顕現〜Code:Tristan〜』 フィリシス・ムーグvsB.O.W.
 
魔族事件はさして珍しい事件というわけではない。
いうなれば通り魔事件のようなものだ。
もっとも、その被害は桁外れに大きいというだけの。
そしてそれに対処するために居るのが、戦術魔法士。
魔族と闘うために存在する、諸刃の剣。
 
私のもとに出動要請が来たのは深夜の0時過ぎだった。
同時に三件の魔族と思しき存在が市内に出現したのだという。
その知らせを受け、すぐに私はトレーラーに乗り込み、現場へと急行した。
その間、私はトレーラー内で自らの体に蛮族の戦化粧にも似たパターンを施す。
 
トレーラーはゆっくりと止まり、伝声管から到着したという声が響いた。
その声を聞くと、私は己が身をくぼみへと沈める。
その周囲に配置された蝶番や発条、歯車。
体を横たえると、いつの間にトレーラー内に入ってきたのか、
ファーゴが横にたたずんでいた。そしてゆっくりと壁のレバーを引く。
響く発条のはじける音。蝶番がきしみ、螺子の締まる音。
そして、苦痛に耐える吐息。
 
その全てが終わったとき、天井から一体の人方の物体が床へと落ちる。
傍らに立てかけてあるスタッフを手に取ると、
首をファーゴにゆっくりとまわす。
 
「それじゃ、行ってくるね」 
『行ってらっしゃいませ、お気をつけて』 
 
まるで近くへ買い物に行くような気軽さで声をかけ、
私は戦場へと足を踏み入れた。
導入その二
 
そこは、地獄の釜が開いたような凄惨な光景が広がっていた。
飛び散った肉、泣く子供、そして血だまりにたたずむ、
黄色い化け物―――
 
ただ、そこに私は妙な違和感を覚えた。
胸の魔力計に目をやる。
そこには、魔力感知を示す針はぴくりともふれていない。
魔族じゃ―――ない? 
ただ、頭ではそういうことを考えながらも、
体はいつも通りの動きを行う。
スタッフを黄色い魔族もどきへと向け、右手で操棹を動かす。
重い金属音が場に響く。
私は<ブラスト>を選択する。
呪文書式板に書かれた基本呪文に詠唱は必要ない。
後は一言、唱えるだけ。
 
「――顕!」 
 
胸から弾け飛ぶ拘束子と共に、強烈な爆炎が襲い掛かった。
その爆炎が収まった後に残っていたのは、
ぴくぴくと痙攣する、魔族もどきの下半身だけだった。
 
「これだけなの?呆気なさ過ぎだよ、これ・・・・・・」 
 
私はその時、まだ知らなかった。
鋭い牙を持った猟犬が、私に向けて放たれていたことに―――
290祁答院マコト:02/06/22 21:41
オーフェンvs祁答院マコト
「我が血に染まれ戦鬼」
>286
 こちらの連撃をすり抜けるキリランシェロ。
 そして、蹴り。どう見ても何か仕込んであるであろうブーツでの一撃だ。
 狙いは膝。
 ……まともに喰らえば間違いなく膝が壊れる。
 
「くっ!」
 
 左の半身を後ろにずらし、蹴りの狙いを外す。
 僅かにかするが、この程度なら問題無い。
 
 そのずらした勢いを活かして右の肘を打ち込む。
 そのまま、くるりと回って、左の後ろ回し蹴りを繋ぐ。
 
 肘は躱せても、そこから繋がる蹴りまでは読めるか?
291馬呑吐 ◆TUNtujd6 :02/06/22 21:59
キル・レインvs馬呑吐&レイレイ
>266>277

「ちぃええ、この出来損ないが! 元が元だと矢張り駄目か」
 
 全身を覆う呪布を解き、馬は己が制御を離れ出たレイレイに毒突いた。
 襲い来る焔の蜥蜴を前に、再び右手でマフラーが躍る。
 振ったのは只一度きりなのに、呪布は宙を大蛇めいてのたくり、旋回して円を描く。
 剣指を結んだ左手で目まぐるしく呪印を刻み、馬は早口で呪を叫んだ。
 
「夜鐘残月、告げるは空言! 西方に至れば灰燼に委す!
 況や復た黄泉(こうせん)の客をや! 急急如律令!」
 
 唱えている最中からマフラーに異変が生じた。
 マフラーと云うより、その円の軌跡の中にある空間で。
 黒い広がりが滲み出る様に宙空を汚し、それでもマフラーの外には溢れない。
 既に黒穴と化した空間からは曰く云いがたい悪臭が噴きつける。
 
「ハハハハ! 己が棲家、冥界に還りおれ!」
 
 馬に飛び掛った火蜥蜴は、哄笑に弾かれる様に黒穴へ――現世に開いた地獄への門へと
吸い込まれて消えた。
 
 布をしごいただけで異界を奇麗さっぱりと無し、馬はついさっきまでの僕に腕を振るう。
 それに導かれる様に呪布は疾り、レイレイを両断せんと一条の妖刃と成って迸った。
292ラルヴァ ◆LARVAIdY :02/06/22 22:06
伊藤惣太(ヴェドゴニア)VSラルヴァ(吸血鬼)
 
>284
 
惣太の右手のレイジングブルに集中していたせいか、
私の肩口に禍々しい形のナイフが突き刺さる。
 
傷は浅い。
今はベルトがゆるめられ「拘束」などしていないが
昔と同じように着ていた拘束衣の金具のおかげで腱も骨も無事なようだ。
 
同時に繰り出されたバヨネットはナイフで受け流し、
私に向けられないよう手首を押さえつける。
零距離で射撃をされては、吸血鬼の肉体といえども危険なのだから。
 
「痛い―――」
 
演技のつもりだった。
こんな泣き言を言うような甘い心は、とっくの昔になくした筈だ。
 
「何故、そんな目で私を見るの―――?
 どうして、私を殺すなんて言うの―――」
 
だが、私の口から出る言葉は…… 意図した以上にかすれていた。
 
「そうよ… 私はもう人間でも殲鬼でもないわ。
 でも、貴方だってそうじゃない!」
 
私の力は全ての面で惣太には及ばない。
こんな力任せの闘いは圧倒的に不利だ。
 
それでも一度退こうという考えは浮かびすらしない。 
それは、私の周囲を染める血に酔っているから。
 
 
 
                   他の理由なんて―――ありはしない。
293ネメシスT型(M):02/06/22 22:20
『悪夢顕現〜Code:Tristan〜』 フィリシス・ムーグvsB.O.W.
(>282はB.O.W.側導入)

>289
バンダ―スナッチは歩いてくる白い人影に気付いた。
振り向いて腕を伸ばそうとした時、白い人影は既に金属の塊――スタッフを
こちらに向けており、

「――顕!」 

という声と共に巻き起こった爆炎に飲み込まれた。
上半身が綺麗に吹き飛び、残ったのは小さく痙攣する下半身のみ。

騒ぎはそれで終わった・・・かに見えた。

ビルの上に見えるのは黒ずくめの影。
それは、何の躊躇いも無く3階建てのビルの屋上から惨劇の場へ降り立った。
人の形はしている。が、その顔には所々皮膚が無く赤い筋肉が覗いている。
右の肩口~背中に掛けては触手のような物が這っている。
剥き出しの歯茎から生えているのは歯ではなく牙だ。

拘束服のようなコートに身を包んだそれは右手に持ったランチャーを無造作に
白い影――フォルテシスと呼ばれるモールドに向け、トリガー。
白煙を引いて、弾頭が飛翔した。
294オーフェン:02/06/22 22:26
>290
オーフェンvs祁答院マコト
「我が血に染まれ戦鬼」

踏み降ろした足は半身を後ろにずらされ、かわされた。

そして女はそのずらした勢いを使い、肘をこめかみ目掛けて打ち出してくる。

「―――っ」

とっさに頭をずらし肘をかわし、そのまま女に触れるかのごとくまで接近する。

こめかみを女の肘が掠り、血が吹き出した。

こめかみの辺りから流れる血は無視し。
そのまま、後ろ回し蹴りを放とうと、片足立ちになっている女の軸足を刈るように蹴りを放った。
295毒島(M):02/06/22 22:26
クロウvs毒島
>287

 クロウが斬撃を放ったその瞬間、緑の怪物と化した毒島は後方に飛び跳ね、退いた。
 その動きは、カメレオンが獲物めがけて放つ伸縮自在の舌の速さ、目にも止まらぬ速さだった。
 斬撃をかわして着地するや否や、毒島の攻撃がクロウに向かって伸ばされた。
 
 非常識きわまりないことに、伸ばされたものはカメレオンの「舌」ではなく、鱗に覆われた「腕」だった。
 従来の脊椎動物の皮膚や骨格の構造を無視するかのごとく、毒島の腕は一瞬のうちに、数メートル先にいる
クロウの胸元へと到達していた。
 そして、その腕の先端、そろえた指先には刃物のように鋭い爪が生えていた。
296レイレイ:02/06/22 22:41
キル・レインvs馬呑吐&レイレイ
>291
 
幾筋もの亀裂の入った階段を、黒社会(マフィア)『14K』の構成員が
その手に手に銃器を持って駆け下りてくる。
戦闘の凄まじさに泡を食った幹部が、馬呑吐の助太刀にと走らせたのだった。
その人間の群が、五臓六腑を押し潰さんばかりの殺気に立ち止まる。
20を軽く上回る眼が、そこに立つ小柄な少女に釘付けになった。
 
旅の資金どころか日々の糧を稼ぐことに吃苦していた姉妹は
そのすぐ側に狩るべき母の仇、闇の眷属がいることに気づかなかった。
先の見えない焦燥から、姉妹は喧嘩を始めたその時を
左道魔術を極めた馬呑吐が見逃すはずも無い。 
 
僵尸であるレイレイは、それのみでは理性も持たず、殺戮を繰り返すだけである。
その力の暴走を抑え、理性を保たせているのが
姉のリンリンの変化した符であることを見抜いた馬呑吐は、
姉妹の乱れを突いてその符を引き剥がし、苦も無くレイレイを自らの下僕とする。
それ以後のレイレイは、皮肉にも自らが追うべき闇の眷属、馬呑吐の忠実なる下僕となっていた。
 
そのための符が、今、飛塵と化した。
身を起こしたレイレイの口からは、もはや犬歯とは呼べない長さの牙が伸び、
両眼は赤とも青ともつかぬ形容しがたい色を浮かべ、
その姿は、殺気騰々として見る者に戦慄を感じさせずにはおかない。
 
主命に従い、標的を焼きつくさんとキル・レインの召喚した炎霊が、
そして馬呑吐の投げかけた妖刃が襲い掛かる。
再びレイレイの姿が消えた。
次の瞬間には、三爪抓が人間達の集団の中で竜巻となって荒れ狂う。
瞬く間に、片手の指に余る人間が、幾百の肉片となって飛散する。
さらにその暴風に炎霊が飛び込むと火焔と暴風は相乗効果を為し、残った人間を飲みこんだ。
 
竜巻が収まる。
煙霧と紅塵の中、新たな殺戮を求める両眼が、マフラーをかざした馬呑吐を捉えた。
297祁答院マコト:02/06/22 22:52
オーフェンvs祁答院マコト
「我が血に染まれ戦鬼」
>294
 肘を躱し、キリランシェロが踏み込んでくる。
 そして、軸足を刈るような蹴り。
 後ろ回し蹴りの体勢に入っているマコトは躱せない。
 
「くぉっ!」
 
 軸足を刈られながら、蹴りは止めずにそのまま放つ。
 当たるかどうかよりも、止める事でバランスを崩す事を恐れて、だ。
 
 蹴り抜いて、そのまま蹴り足から着地。
 
(小技では、勝てないか)
 
 かといって大技は危険。
 だが、ここは仕方あるまい
 
 瞬時にそう判断し、雷穿甲を構え直す。
 踏み込んで、無造作に拳を放つ。
 
 無論、ただの拳ではない。
 
「……雷穿ッ!」
 
 轟!
 
 爆音と共に、拳が加速する。
 雷穿甲に仕込まれた火薬がその爆圧で、拳の速度と威力を増加させたのだ。
298クロウ ◆DsxKUROU :02/06/22 22:57
クロウvs毒島

>295

またしても躱された。
先程までとは比較にならないスピードで、だ。

間髪入れずに反撃が来る。
伸びてくるのは・・・

 腕、だと?!

舌ならともかく腕が伸びるなんてのは出鱈目に過ぎる。
ゴムで出来ているかのような腕の先には鋭い鉤爪。
それを刀の鍔元で受けるが、勢いに押されて爪が胸元を浅く抉ってゆく。

縮もうとする腕を左手で掴んで、引きずられるように走りながら刃を叩き付けた。
>292 ヴェドゴニアVSラルヴァ
 
 ……クソッ、クソクソクソクソクソクソッ!
 そんな目で俺を見るな!
 そんな声で俺に問い掛けるな!
 何で……何で俺の前に現れたんだおまえはッ!?
 おまえさえ現れなければ……俺はただまっすぐに歩いていけたのに!
 リァノーンと、何百年と生きていくつもりだったのに!
 
「五月蝿い五月蝿いッ! こんな時に泣き言を言うなッ!」
 
 首を振りながら、サド公爵の愉悦を眼下のラルヴァへと振り下ろす。
 片手を封じられてるので、今はナイフで勝負するしかない。
 それでも、この状況なら力の強い俺の方が有利なはずだ。
 
 ラルヴァも必死にナイフで応戦するが、力の差は明白だった。
 少しずつ、少しずつ勢いに押されてラルヴァのナイフが後手後手になっていく。
 このまま……このまま心臓にナイフを埋め込んで……。
 
(塵になる時は同じ!!)

 ダメだ、考えるな!
 感情に流されそうな自分を必死で制御しようとする。
 これから千年の時を生きようってのに、そんなことに構ってられるのか、俺は?
 それこそ、いくらでも別れを経験しないといけない……そんな別れの一つと割り切るんだ!
 
 感情を押さえつけようとする、一瞬の隙。
 俺の手は、ほんの一秒、しかし致命的に一秒遅れた。
300キル・レイン(M):02/06/22 23:06
>291>296
キル・レインvs馬呑吐&レイレイ
 
 くそ、やはり道士には足止めにもならんか。
 既に崩れつつある歪な床を蹴りながら双方の状況を確認する。
 あの僵尸は制御が無い為力は有り余っているが……その分動きが甘い!
 
「弾けろ!」
 
 命令に従い、俺の傍らに浮遊していたサラマンダーが爆裂四散。
 俺と僵尸の間に炎の膜を作り出した。
 空気が歪み、距離感が失われる。
 だが、これこそが俺の狙いだ!
 
 そこで一際力を強く地面を蹴って接近。
 腕を伸ばし―――奴の腕を掴む。
 紡ぐのは、死の呪文。
 
「Die(死ね)!!」
 
 人間であろうが化物であろうが全てを死に至らしめる強力な言霊。
 音声に乗った強力な魔力は腕を伝い、最終的に肉体を完全に破壊する。
 これが決まれば防ぐ術は無い―――死ね! 死ね! 死ねェッ!!
301オーフェン:02/06/22 23:29
>297
オーフェンvs祁答院マコト
「我が血に染まれ戦鬼」


想像以上にバランスと下半身が鍛えられているのか。
刈り取るような蹴りを軸足に受けたにもかかわらず。
そのまま足を振りぬき、女は体制を整えた。

(ちっ、なんて足腰してやがんだよ)

女は足を下ろすと同時に一歩後ろに下がり。
そして―――拳を放った。

(―――なんでこんな見え見えの攻撃を?)

その答えはすぐにわかった。

女が着けていた、金属のついた手袋らしきものから爆発音がしたかと思うと。
女の拳が異様な速度で加速し、獲物を狩る狩人のごとく突き進んだ。

(なんだと!?)

瞬間。

ある魔術の構成が反射的に編まれた。

そしてそれを発動させる。

「我は駆ける天の銀嶺!」

―――重力制御の魔術。

拳がぶつかる瞬間。
己を縛っていた重力が重力制御の魔術により解け、重力の楔から開放される。

そして、拳が命中する。

だが重さを失っていた俺にはダメージはなく。
そのまま、ふわりと後ろに吹き飛び着地した。

着地と同時に構成を編み、女めがけて魔術を放つ。

「我は呼ぶ破裂の姉妹!」

並みの人間なら簡単に気絶させられる威力の衝撃波が、女目掛けて突き進んだ。
302ラルヴァ ◆LARVAIdY :02/06/22 23:38
伊藤惣太(ヴェドゴニア)VSラルヴァ(吸血鬼)
 
>299
 
自ら誘った筈の惣太の動揺。
それに共振するかのように、私の心も揺れ動いている。
だからこそ、その一瞬の隙……絶え間ないリズムに刻まれた一瞬の不協和音を
私は見逃さなかった。
 
惣太のナイフを自分から迎え入れるように身体を捌き、脇腹に肘を叩き込む。
加えて、左方向から渾身の膝蹴りを入れる。
 
いつの間にか、自分の右手の銃は意識の外にあった。
 
こんな物で惣太を傷つけるわけにはいかない。
惣太を傷つけるのは私の手だ。
 
銃では、惣太の温もりが伝わらない。
惣太の苦痛が伝わって来ない。
 
「泣き言?」
 
あざ笑おうとしたが、唇が硬直して上手く動かない。
 
「あんな辛そうな目をして私を見ていたくせに―――」
 
私が血の渇きに苦しんでいた時… 惣太はずっと側に居てくれた。
惣太の思いがリァノーンに在ったとしても、私はそれだけで良かった。
惣太が側に居てくれるだけで、あの苦しみに耐える事ができた。
303ラルヴァ ◆LARVAIdY :02/06/22 23:40
伊藤惣太(ヴェドゴニア)VSラルヴァ(吸血鬼)
 
>302
 
それでも、私を見つめる惣太の目はいつも辛そうだった。
私が人に戻るには、惣太が人に戻るか、死ぬかしかないのだから。
 
前者はリァノーンを殺す事。
そんな事は惣太にできる筈がない。
 
そして後者は―――リァノーンも私も、考えもしなかった。
 
惣太の苦しみと悩みは、私にもリァノーンにも痛いほど伝わって来る。
私の心までが締め付けられる痛み。
念話などなくても、心の痛みを共有し続けていたのだ。
 
だから、私は去った。
お互いの存在が、お互いを傷つける事に耐えきれずに―――
 
 
「誰かが…人が苦しむのを見るのが嫌だって……
 そんな泣き言をずっと我慢していたのは、貴方の方じゃない!!」
 
絶叫と共に、爪を振るう。
惣太を傷つけているのは、私の爪だろうか?
それとも、私の言葉だろうか?
 
「そんな貴方を見るのは私だってもう嫌よ。 だから―――だから―――」
 
私はやっと笑う事ができた。
自分が何をしたいのか、理解したのだ。
 
「貴方の苦しみも、私の苦しみも、今此処で終わらせてあげるわ」
304毒島(M):02/06/22 23:40
クロウvs毒島
>298
 
 クロウの叩き付けた刃は、毒島の肩に喰いこんだ。
 鱗に覆われた外皮が裂け、青いアロハシャツが血に染まる。
 
 しかし、刃はそこで止まった。
 不安定な姿勢から繰り出した太刀は、<獣人>特有の強靭な筋肉を切り裂くには至らなかったのだ。
 太刀を肩口に食い込ませたまま、毒島は両腕を振り回してクロウに襲いかかった。
 刀の間合いの内側、至近距離からの乱打である。
 人間の姿だった時と変わらぬ素人の拳とはいえ、<獣化>によって増強された怪力に、
鋭い爪の斬撃までもが加わった。
 拳が、手刀が、引っ掻きがクロウを襲う。
 
 巨大な裂け目を思わせる口が、爬虫類にはありえぬ笑みを浮かべたかのように、歪んだ。
305馬呑吐 ◆TUNtujd6 :02/06/22 23:54
キル・レインvs馬呑吐&レイレイ
>296>300

「机会(チャンス)!」
 
 密着しかけた二つの影に向かって馬は宣言する。
 両袖から二本ずつ、二十センチ程の柳の葉に似た刃を持つ短刀が現れた。
 その名も正に柳葉飛刀と云い、暗器の一種である。

「干戈落落、万周年、風塵回風、浮雲を散ず! 
 征旗倒れて人莫きは、万里遍く虚陣が備え!
 急急如律令!」

 一本足のバランスの悪さを毫も見せず、馬は呪願文ごと計四本の刃を投じた。
 黒衣の男と僵尸へ、ではない。ホールの天井の四隅へ、である。
 天井へ突き刺さるかと思われた四本の剣は、寸前で見えぬ糸に操られるかの様に停止した。
 くるり、と刃が後ろを向く。その研ぎ澄まされた尖端が指し示すのは二人の魔人だ。
 馬は両の剣指を振り下ろした。
 それが合図だったのか、四本の短刀は先に倍する速度で敵たる二人に迫る。
 
 怪異はその瞬間に起こった。
 風を巻いて走る刃が増えていくのだ。
 一本からずれる様にもう一本、その二本からまた二本。際限なく、幾つも幾つも幾つも。
 増殖するその総数は、数秒を待たず三桁に達した。
 最早刃に埋め尽くされた空間ごと、黒衣の男とレイレイに剣雨が降り注ぐ。
306祁答院マコト:02/06/23 00:00
オーフェンvs祁答院マコト
「我が血に染まれ戦鬼」
>301
 
 雷穿が炸裂した。
 それを受けて、キリランシェロが後ろに吹き飛び……着地する。
 
(……手応えが、無い?)
 
 その意味を考えもせず、ただ身体が反応する。
 だん、と地を蹴り、横っ飛びに跳ぶ。
 
 先程までマコトのいた辺りが爆ぜる。
 
(衝撃波!?)
 
 しかし、躱してしまえば関係ない。
 
 そのまま着地し、再度地を蹴り、低い姿勢で前へ。
 
 間合いに入って、狙うのは無論キリランシェロの足。
 腕を地面につき、その腕を軸にして蹴りを放つ。
307オーフェン:02/06/23 00:13
>306
オーフェンvs祁答院マコト
「我が血に染まれ戦鬼」

衝撃波は女が横に跳んだことにより、かわされた。

そのまま女は低い姿勢で俺に近づくと、腕を大地につき、その腕を軸にして蹴りを放った。

(甘い!)

俺はこちらの足を狙い放たれた蹴りと当たるように蹴りを放った。
相手の足を靴で受け止めるかのような蹴りを。

普通なら相打ちとなっただろう。
だが、オーフェンの靴は鉄骨を仕込んだ特注品。
そして相手の足とぶつかる部分を鉄骨以外の部分で受けるほど、オーフェンはうかつではない。

そして、互いの蹴りがぶつかり合った。
308祁答院マコト:02/06/23 00:35
オーフェンvs祁答院マコト
「我が血に染まれ戦鬼」
>307
 こちらの蹴りを迎え撃つように、キリランシェロは蹴りを放ってきた。
 そう、鉄が仕込んであるブーツで。
 
(はっ!……これは拙いか)
 
 しかし、勢いのついた蹴りは止められない。
 そのまま蹴り抜くだけだ。
 
 めきゃ。
 
 鈍い音が響く。
 
(骨が……逝ったか)
 
 常であれば堪えられないような痛みさえも今のマコトは感じない。
 脳内のアドレナリンが痛みをも一時的に消し飛ばしているのだ。
 
 地面にもう一方の手もつく。
 両手で身体を支えながら、頭を狙って突き上げ気味に蹴りを放つ。
309レイレイ:02/06/23 00:40
キル・レインvs馬呑吐&レイレイ
>305
 
炎霊の発した爆炎を隠れ蓑にレイレイの袖を掴んだキル・レイン。
その口より死の呪文が放たれる刹那、掌から彼女の腕の感触が消えた。
抜け殻となった道服の中を、彼の発した死の呪文が破裂する。
空気が振動した。だが、それだけであった。
 
レイレイの袖は内部もさることながら、それ自体さえも
この世にあってこの世にあらざる存在である。
ある時は空に倣い、ある時は水の如く、彼女の意志一つで現世での振る舞いを変える。
そこに放たれたキルの言霊は、内部の空間別の世界へと運び去られた。
 
その虚を突く形で無数の飛刀が驟雨の如く襲い来る。
いかに早く捌けようとも刃で雨は凌げない。
為す術も無く、二人に剣の雨が突き刺さったかに見えた。
 
きん、と高い音が響き、千刃は弾かれて虚空へと消え去る。
後には四本の飛刀だけが残った。
驚くべきことに、雨を刃で凌いだのである。
長い袖子が轟然とうなりを上げ、キル・レインを軽々と振り回し、壁へと投げ飛ばす。
だがレイレイの腕はすでにその袖の中にはなく、肩口から青白い肌を見せていた。
 
大人しく垂れ下がっていなければならない筈の袖は、
しかし新たな腕として武器を構え、独自の動きを示している。
そして袖から抜け出した細い両手には、柄口に穴のあいた剣と、双頭の鑓が握られていた。
 
驚くべきことに、彼女は四臂を顕していた。
その四手の刃を回転させ、巨大な楯として剣雨を弾いたのだった。
 
今や四臂となったレイレイは、投げ飛ばしたキル・レインには目もくれず
馬呑吐の背後に出現する。
振り向く間もあらばこそ、先程の返礼とばかりに狂風の如き刀戟の雨を見舞った。
310オーフェン:02/06/23 00:47
>308
オーフェンvs祁答院マコト
「我が血に染まれ戦鬼」

めきゃ。
鈍い音ともに骨が砕ける嫌な感触が靴を伝わってくる。

そしてそれに―――相手の骨を砕いてしまったことに気をとられる。

気がついたときに、突き上げるような女の蹴りが頭のすぐ傍まできていた。

(くそっ!)

とっさに突き上げてくる蹴りを止めようと両手を足に向けて突き出す。

だが勢いを殺しきれず、そのまま手ごと突き上げられ。
顎を蹴り抜けられる。

「がっ!」

痛みはたいしたことは無かったが。
顎を蹴られたことにより脳が揺さぶられ一瞬意識が飛ぶ。

だが、反射的に女を蹴り飛ばすための蹴りが放たれた。
311エレン ◆Elen1cxc :02/06/23 00:53
ウピエルvsファントム達
27章 >466 玲二
「……っ………ぁ…」
 
 声にならない叫びが少女の口から零れた。
 肉体を通り越し、脳まで融かしそうなほどの快感。
 そんなエレンに覆い被さったまま、玲二は人間離れした腕力で少女を押さえつけると、
その服を剥ぎ、皮を裂き、肉を抉った。
 あらゆる刺激が快感へと変換され、少女へと襲い掛かる。
 
 しかし、肉体への刺激が強くなればなるほど、快感が深くなればなるほど、
エレンの精神は、肉体からズレてゆく。
 
 それは意識しての行動ではない。
 刺激を受けた亀が甲羅に身体を引き込むような、反射的な崩御行動。
 嘗て彼女がアインと呼ばれていた頃、本能的に身につけた生存術。
 
 精神から切り離された肉体は、与えられた外界からの刺激に対して従順に反応する。
 肉体をまさぐられる手にあわせて、少女の口から嬌声が上がる。
 
 そんな行為がどれだけ続いたのだろうか?
 不意に、少女の肉体が今までと異なる音を捕らえた。
 ポキンという何処か小気味良いその音を聴いた瞬間、脳内麻薬の防護壁さえ貫く激痛が、
少女に襲い掛かった。
 
「がっっっ!!」
 
 少女の口から苦痛の悲鳴がもれる。
 ポキンポキンと、さほど間を置かず再び音が、今度は連続して届いた。
 同時に激痛も。
 
『その激痛が、ズレた少女の肉体と精神を矯正していく』
 
 そんなエレンが最初に目にした光景は、自らの右手。
 しかしその人差し指と小指、そして親指は本来有り得ない方向を向き
ドス黒く腫れ上がっていた。
312エレン ◆Elen1cxc :02/06/23 00:54
ウピエルvsファントム達
>311 続き
 
 その時既に、エレンの右手をそう変えた本人は、彼女の左手へと手を伸ばしていた。
 少年は、まるで恋人同士がするように、一度エレンの左手に自らの右手を重ねると、
そのまま自分の眼前へと引き寄せる。そして手を組みかえると、自らの親指の腹を
少女の薬指の根元へとあてた。
 
―――ポキン
 
 また小気味良い音が小さく響く。
 エレンが苦痛の呻きを上げるが、それを気にした様子もなく、
少年はその左手に、優しく頬をすり寄せると、不自然な方向に曲がった薬指を
自らくわえ込んだ。
 
 直後、肉の千切れる音と、骨の砕ける音が響いた。
 
「―――っっっ!!」
 
 ビクンとエレンの身体が跳ね上がり、声にならない悲鳴が上がる。
 彼女が見上げた視界の先には、まず薬指を食いちぎられた自らの左手があった。
 
『錆付いた音を立てながら、ズレていた精神と肉体がだんだんと融合していく』
 
 なぜ、薬指なのか? エレンの頭に疑問が過る。
 親指、人差し指、小指を折られた右手は、完全に手としての機能を破戒されている。
 しかしそれに対して、何故左手は薬指なのか?
 
「……左…手の………薬ゆ……び……?」
 
 そういえば……なにかその指には意味が有った気がした。
 確か、その意味を教えてくれた人が居た。
 
 
 それは………一体、誰だったのだろう………
 
 
 ………………………誰……………………誰……………………誰……………
 ……………誰……………………誰……………誰………………………………
 ……………………誰……………………………………誰……………誰………
 ……誰……………………誰………………………誰……………………………
 …………………………誰……………………誰……………………あれは、誰?
 
 ぼんやりと、人の顔が浮かぶ。
 
『融合を最後まで阻んでいた楔が、音を立てて砕け散った』
 
「……怜……二……?」
 
 左手の先に、少年の泣き顔があった。
313祁答院マコト:02/06/23 01:01
オーフェンvs祁答院マコト
「我が血に染まれ戦鬼」
>310
 蹴りが顎先に命中。
 そのまま、蹴り抜いた足を戻して、キリランシェロの首に絡める。
 それを追うようにして、折れた方の足も首に絡みつける。
 
 今度はそこを支点にして、身体を引き上げる。
 結果として蹴りは外れた。
 
 そして、足を使ってキリランシェロの首を締め上げる。
314キル・レイン(M):02/06/23 01:17
>305>309
キル・レインvs馬呑吐&レイレイ
 
「ク、ソッ!!」
 
 死の呪文は然程効果を発揮しなかったらしい―――
 あの僵尸の顔には何のダメージも見られない。
 飛来する無数の白刃に対処する間も無く、俺は虚空へと放り投げられた。
 
 かと言って刃が動きを止めてくれる訳では無い。
 出来る限り早口で呪文を詠唱する。
 
「神に見捨てられし嘆きの女よ、
 その悲しみで我が身を包め!アルケニーッ!!」
 
 血涙を流す女の幻影が俺の後ろに浮かび上がる。
 その幻影が叫ぶ悲痛な絶叫は建物を震撼させ、人の神経を磨耗させる。
 叫びが作り出す特殊な力場が俺の周囲に球状に展開。
 迫り来る短剣を全て砕き、鉄の破片へと変える。
 
 連続召喚でかなり消耗しているが――――退く事は出来ん!
 
 この戦いが運命で、俺を殺す物ならば。
 俺は抗ってやる、生き延びてやる。
 まだ俺の復讐は終わっていないのだから。
 
 右手で、懐からナイフを引き抜く。
 見た目は只のコンバットナイフと変わらないが、その柄には悪趣味なアクセサリーのように手榴弾が付属している。
 気休めにしかならんかも知れんが―――このまま終われるか。
 
 ナイフを逆手に持ち替え、僵尸と挟み撃ちになる形で道士へと一気に肉薄。
 どんな化物だろうが、脳を潰されて生きていられる訳が無い。
 右手は奴の頭へとナイフを突き刺す為に振り下ろす。
 左手は―――平手のまま、その掌の中で魔力を溜めて背中に隠したまま。
>302>303 ヴェドゴニアVSラルヴァ
 
 打撃のダメージはそれほど大きくない、だが、俺の戒めから脱出するには充分すぎた。
 するりとすり抜け、言葉を、爪を叩きつけてくる。
 ――苦しみ。
 
 そう、俺は苦しかったのかもしれない。
 自らが背負うモノ、背負わせたモノがあまりにも大きすぎたから。
 我慢もしていただろう。
 少しでも俺以外が背負うモノを減らしたかった。俺が苦しいだけならいくらでも我慢できたから。
 でも、それは間違いだったのか?
 そんなモノはエゴでしかないって言うのか?
 
 ……分からない、俺には分からない、血が出るほどに歯軋りする。
 だけど、それでも俺は。
 
 これから、辛い道を歩きつづけると決めたんだから。
 
 だから、まだまだ俺の苦しみは続くんだろう。
 それは、もしかしたらリァノーンにも苦しみを強要することかもしれない。
 俺がラルヴァを見る時に感じた事を、リァノーンも感じるとしたら……。
 それは確かに辛いことだけど。
 リァノーンが苦しいのなら、俺が少しでも肩代わりできるかもしれない。
 同じように、俺が苦しいときはリァノーンにすがるかもしれない。
 ラルヴァには、もっと自分にすがってほしかった。
 
 人は一人じゃ生きられない。
 二人でも辛かったことが、一人で支えきれるワケがないじゃないか!
 ラルヴァが去った後の、俺の気持ちなんか誰にもわかるワケがない!
 隣に彼女がいないことに耐えられるようになるまで、俺にどれだけの時が必要だったか……!
 
 そんな心中を全て飲み込み、ラルヴァのかぎ爪を受ける。
 肩口の肉に食い込み、血がしぶく。
 この程度……痛みのうちにも入らない、俺とラルヴァが共有していた痛みに比べれば!
 
 かぎ爪を受けながら、俺も右手のかぎ爪を振るい返す。
 同時に旋風の暴帝の三つ刃を払って展開し、左手に持つ。
 
「俺は……まだ楽になるワケにはいかねェ!!」
 
 絶叫は、俺の意思に反して喉から出てきた。
 いや、俺の意思をこの上なく明確に反映していた。
316オーフェン:02/06/23 01:47
>313
オーフェンvs祁答院マコト
「我が血に染まれ戦鬼」

「ぐァ…」

足で首が締められ、息が詰まる。
息が詰まったことにより、薄れゆく意識を必死で繋ぎ止める。

そして、頭を前後に揺らしほんのすこし―――ほんのすこしだけ足による拘束を緩める。

拘束が緩んだ瞬間、打ち上げるように拳を自らを締め上げている足に叩きつける。

それにより、足が首から外れる。

そのまま女は地面へとずり落ちた。

「はァ…はァ…」

跳び去るようにその場から離れ、喉を抑え、荒く息をつく。
無論、地面に落ちた女からは意識を離さずに。
317馬呑吐 ◆TUNtujd6 :02/06/23 01:48
キル・レインvs馬呑吐&レイレイ
>309>314

 初撃の剣風は馬に振り返る暇を許さなかった。
 だが即座にうねったマフラーが主人の背で弧を描き、乱れ撃つ刃を受け止める。
 剣撃は確かに受け止めた。しかし衝撃までは殺せなかった。
 結論として、馬は無様に前に叩き付けられた。
 
 飛ばされた先、前方からは黒衣の男が大振りのナイフを閃かす。
 ナイフは馬の頭部ではなく、突き出した左手を抉った。
 掌を貫き刃は止まる。
 
 口の端を歪めた邪悪な笑いに誘われる様に、馬の背が異常に盛り上がる。
 千切れ飛ぶ中国服の中からせり出したのは巨大な人の顔面――額と両目に霊符を貼られた
人面瘡であった。
 大口を開けた貌が背後のレイレイに襲い掛かる前に、馬は男の腹部に右拳を放っていた。
318祁答院マコト:02/06/23 02:03
オーフェンvs祁答院マコト
「我が血に染まれ戦鬼」
>316
「くっ!」
 
 キリランシェロの首を絞めていた足が外された。
 そのまま無様に地面にずり落ちる。
 
「まだだ、まだ……」
 
 折れた足を庇いながらも、無理矢理に立つ。
 痛みはなくとも、純粋に物理的に不可能なはず。
 
 だが、それでもなお、立つ。
 
 今のマコトを支えるものは、二本の足だけではないから。
 守るべき仲間たち、守るべき生活。
 そのために、マコトは立つ。
 
 立って、闘う。
 
「お、おおおおおおおおおおおおおおお!!」
 
 一歩踏み込み、拳を振り下ろす。
 雷穿甲の火薬が炸裂する……雷穿。
 
 この程度、キリランシェロであれば対処可能だろう。
 だが、この一撃が一撃でなければ?
 
 振り下ろす拳から一拍遅れて、逆の拳が突き上がる。
 あたかも獣が獲物に食らいつくように。
 
 雷穿・顎……その名の如く、拳という名の顎がキリランシェロに襲いかかる。
319吾妻玲二 ◆phantom2 :02/06/23 02:06
ウピエルvsファントム
>311 >312
 
 エレンの心をが壊れてゆく、人の心が悲鳴を上げ、知らず、涙が頬を濡らす。
 だが押さえようとする理性すら、逆にエレンへの想いが邪魔をして思う様に働かない。
 吸血鬼の衝動は、元から心の奥底に潜む欲望を暴き立て、白日の下へと晒け出す。
 これが男の性だと言うのなら…… 男になど生まれてきたくは無かった。
 
 捻じ曲げられ…… 増幅された、破壊的なまでの雄の衝動に突き動かされる。
 支配し、奪い取る快楽…… 淫らにうごめく肉体を、内から、外から貪り尽くす。
 
 柔らかな肉に押し入れば、強く圧迫しつつも自らを割り、絡みつくように迎え入れ、
 戻ろうとすれば吸い付く様に引き止める。 その軟禁状態にも似た快美感を味わう度、
 エレンは、嫌々をするように首を振り、悲しげな鳴き声を上げる。
 
 あまりの心地良さに頭の中は沸騰し、昂ぶりは留まるところを知らず上昇し続け、 
 ……早くも奥底から這い上がってくる、堪えきれない衝動。
 もはや、衝動と欲望、愛情さえも区別がつかず ……ただ、その名を叫ぶ。
 
「……エレン!!」
 
――――言葉は引き金となり、ケダモノの咆哮と共に激情が爆発する!!――――
 
 奥深く、何度も、何度も欲望を叩きつけ、意識が飛ぶ程の快感が襲う!
 煮えたぎる情欲の脈動…… その全てをエレンの、女の中心に撒き散らし、
 本能の赴くまま、一層強く、深く、突き入れる。
320ラルヴァ ◆LARVAIdY :02/06/23 02:14
伊藤惣太(ヴェドゴニア)VSラルヴァ(吸血鬼)
 
>315
 
旋風の暴帝がその名に相応しい唸りをあげる。
その響きに負けぬ程の咆哮が惣太の口から発せられている。
 
当然、惣太の持つ武器の事は知り尽くしている。
旋風の暴帝の弱点は、回転の中心。
投げるにせよ、手に持って振るうにせよ、そこを抑え付ければ物の数ではない。
 
……だが、惣太のスピードと技量では、それは至難の技だろう。
 
「楽になれないのは…リァノーンが居るからなのね」
 
答えが分かり切った質問を聞く。それは虚しくも愚かしい行為。
 
私の口調は驚くほど静かだったが、
惣太の叫びにかき消される事はなかった。
 
それさえ確認してしまえば、後はもうどうでもいい。
 
結局、惣太がリァノーンを愛する程真っ直ぐには、私は惣太を愛せなかった。
リァノーンが惣太を想うほどには、惣太を信頼出来なかった。
 
二番以下ならば、順位など無いも同じだ。
 
 
それならば……
 
そう、それならば。誰よりも惣太に憎まれてやろう。
誰よりも惣太を憎んでやろう。
 
そうすれば、きっと他の誰よりも惣太の心に残れる筈だから。
321ラルヴァ ◆LARVAIdY :02/06/23 02:16
伊藤惣太(ヴェドゴニア)VSラルヴァ(吸血鬼)
 
>320
 
旋風の暴帝の回転に合わせ、無理矢理にスーパーレッドホークを突っ込む。
火花が散り、鋼と鋼が擦れ合う。
台風のごとき暴帝の回転を止める事ができた。
 
代償に払ったのは、スーパーレッドホークと私の右腕。
もらった報酬は、骨まで食い込んだ刃が抜けるまでのわずかな時間。
 
左手の爪を、惣太の喉にめがけて放つ。
 
「貴方も私も、もう充分に苦しんだわ。
 ……だから、終わらせてあげる」
 
爪は惣太の筋肉に阻まれて、突き刺さらない。
だが、そんな事に構わずに惣太の首に手を回し、ギリギリと締め上げる。
 
そして……唇を惣太の喉へと近づけていく。
 
「さよなら、惣太。貴方はリァノーンには渡さない。
 吸血鬼として永遠になんか生きさせない。
 ここで狩人として―――血に飢えた吸血鬼に殺された、吸血殲鬼として死になさい」
322レイレイ:02/06/23 02:29
キル・レインvs馬呑吐&レイレイ
>314>317
 
とても布とは思えない、あたかも金属同士のような音を立てて
レイレイの四臂による疾風怒涛の刃が遮られる。
彼女の連撃のあまりの速さに、それは一つの音のように響いた。
 
床に倒れ伏した馬呑吐を睨みつける彼女の全身からは鬱々とした陰気が生じ、
それは今やホール全体で渦を巻きながら慟哭を続けている。
その叫びに促されたかのように、不気味な色を浮かべた双眸が見開かれ、
無数の菱剣が止めとばかりに投げ下ろされる。
 
だが、投げつけられた無数の菱剣は馬呑吐に届くことは無かった。
否、届かなかったのではない。
突如馬の背中に出現した人面瘡の巨大な口が、
暗器ごとその小柄な身体をを飲み込んでしまったのだ。
 
後には、彼女の腰帯の一部だけが残された。
323キル・レイン(M):02/06/23 03:06
キル・レインvs馬呑吐&レイレイ
>317>322
 
 最早戸惑っている暇すら無い。
 ナイフから素早く手を離し手榴弾のピンへと手をかけ、引き抜く。
 爆発までの数秒―――その永遠とも思える時がもどかしかった。
 
 のろのろと動いているようにしか見えない自分の腕に苛立つ。
 もっと速く動け、速く、迅く、疾く!!
 奴の拳が俺の腹部に食い込み、骨を軋ませる―――
 だが、もう遅い。
 俺の左手は―――奴の脇腹に触れている。
 
「Die(死ね)!!!」
 
 殺人的な魔力が奴の脇腹で炸裂。
 死の呪文が体を駆け巡る、が、この程度では温い。
 槍のような前蹴りで奴を大きく吹き飛ばす!
 
 今日何度目かの、爆風、爆音。
 
 悪夢のような怪物はこれでも死にはしない―――いいだろう。
 俺はお前をますます始末したくなった。
 
「死なないなら、消すしかない、か」
 
 誰にともなく呟き、右手のナックルガードを外す。
 その下から現れた魔法陣に秘められた魔力が胎動する―――
 
「その尾の揺らめく様は香拍の如く、その腿の筋は互いに絡み合い
 その骨は――――」
 
 今までで一番長い詠唱を始める。
 俺が呼べる中で最上級の悪魔(デビル)……『奴』を、呼ぶしかない。
 意識を召喚にだけ集中し、俺は右手に集まる魔力の制御に努めた。
>320>321 ヴェドゴニアVSラルヴァ
 
 ……そう、だろうか?
 俺は、もう充分に苦しんだんだろうか?
 この両手で奪った命に償えるほどに?
 リァノーンと永久を生きると誓ったのを忘れてもいいほどに?
 
 ――違う! 絶対に違う!
 
 罪も、罰も背負って俺は生きていける。
 それが苦しみであっても、永久の時を掛けて苦しみを癒してみせる。
 だけど、死んで逃げるのだけは違う!
 
 首筋へと牙を剥くラルヴァ、だが、俺はその姿を見ていない。
 視線はその向こう側――ラルヴァと取っ組みあったときに取り落としたレイジングブルを見ていた。
 その銃口は、ラルヴァの方向を向いて地面に転がっている。
 
 皮と肉と骨が軋む音をさせて食い込んでくるラルヴァの爪。
 それに委細構わず、俺の意識は地面に落ちたレイジングブルへと集中していく。
 今だけは、ラルヴァのこともリァノーンのことも、何もかもを忘れて――。
 
 意識が、レイジングブルの引き金に指を掛けた。
 そのまま引き絞るイメージを鮮明に思い描く。
 少しずつ、少しずつ押し込まれていく。
 これを引ききれば、俺はラルヴァを……。
 
 何処か他人事のように、決して他人事ではあり得ないレイジングブルの絶叫を聞いた。
 454カスールの銀光は、ただまっすぐにラルヴァの心臓を背後から狙っている。
 
「さようなら。君のことを永遠に背負って俺は生きていくよ」
 
 別れの言葉。
 コレが、永遠を生き続ける俺の最初の別れだった。
325導入:02/06/23 03:34
ここは戦いの場。
何の理由も、意味もなく・・・。
さあ、戦え!!
さァ・・・来いィィィィィ!!
血を吸わせろッ!!
人間どもォッ!!
さーてとっ………(賞金首リストをめくる)。
どんな人がいるのかなー。
328頼往凱(M):02/06/23 03:39
>325
気がついたら、ここにいた。
誰か、大事な奴を守る為に動いていたはずなのに、思い出せない。
そのくせ、闘うための術なら嫌になるほど覚えている。
 
ここは――――、ヘモ中どもがうじゃうじゃする気配に満ちていた。
 
「さて、テメェら、虚無すら切り裂く妖斬剣術のサビになりやがれ!」
 
俺はひょっとしたら血に目覚めちまったのかもしれない。
329アスラ(M):02/06/23 03:41
>325>326
「強者よ……その腕、見せてもらうぞ」
 
 何時の間にかブラフォードの背後に立っていた中華服の巨漢。
 鉄槌の如き拳が男に向かって突き出される!!
330桃生封真:02/06/23 03:41
一人、そこに神の威を狩る者がいた。

地球の為の変革の為などではない。
ただ、ここに闘争を、戦いを、殺し合いを求めるものの願いを叶える為に。
平和や秩序など無駄なもの。
なぜならば、ここでは戦いこそが秩序であり、ルールでもある。

そして・・・自らの破滅を願い者がいる。

「ならば・・・その願い、俺が叶えてやる」
>330
あ、この人確か…。
「神の威を狩る者」の添え星ですかー………。
まあ、手ごろですかねー。

私のYOYOのトリック、見ていってもらいますよー!
332結城稔弘(M):02/06/23 03:44
>325
「……幽閉空間か?」
 
木刀のような剣を持った長髪の男が一人。
あたりに漂う殺気に満ちた空気。
 
「……全く因果だな、これも」
 
剣を構える。
全身から、清冽な「気」が溢れる。
333頼往凱(M):02/06/23 03:44
>330封真
―――くだらねぇ、まったく持ってくだらねぇ…。
 
「神だ?テメエのは電波って言うんだよ、このクソッタレ!」
 
『金票』を続けざまにすかした奴へ投げつける。
 
「俺の望みか?テメェみたいな奴をズタズタに引き裂いてぶっ殺す事だ!」
居合刀を小脇に抱え、やつまで迫る、迫る、迫る!
334ナハツェーラー(M):02/06/23 03:46
(フン、踊れ踊れよ、愚劣な者どもよ)
 
今日もとっても良い月夜。
ナハツェーラーはご機嫌です。
 
(私の掌で、せいぜい良い声をあげるが良いわ)
 
遥か高みから皆を見下ろし、まるで自分が偉くなった気分です。
 
(いや、そうとも。私はエライのだ)
 
いつまでも高笑いを続けます。
だって、ナハツェーラーはこんなにも頭が良いのだから。
もっとも、余裕綽々で皆を見下ろす
彼の瞳に、貴族の気高さなど微塵もありませんけど。
335馬呑吐 ◆TUNtujd6 :02/06/23 03:47
キル・レインvs馬呑吐&レイレイ
>322>323

 ひっ裂ける様な絶叫を喉から絞り出して馬の巨体は蹴り飛ばされた。
 躯の隅々までを『死』の効果が駆け巡る。それは既に“死んでいる”馬にすら痛撃を与える
ものであったのだ。
 
 床を転がる勢いを利して起き上がりかける。
 怒気混じりの息を吐いて左手に刺さったままのナイフを抜こうとし――
 馬の顔は凍った。
 ナイフの柄にぶら下がっているいびつな球体。手榴弾に気付いたのである。
 
「アイヤァァァァァァァァ!!」
 
 鈍い音がした。
 馬は右手で左手首を引っ掴み、肘辺りから腕を引き千切ったのだ。
 そのまま前方に投擲するのに少し遅れ、手榴弾は爆発した。
 背後に逃げなくとも、吐き出された火炎と爆風が三たび馬を後方へ叩きつける。
 
 収まりかけた噴煙の向うで、ゆら、と影が立ち上がった。
 左腕と右脚を失った馬呑吐である。
 血走った右眼が吊り上がり、同色の左眼は細められる。
 空を切る摩擦音が聴こえて来そうな勢いで剣指を結んだ右手が指差された。
 呪文を口ずさむ黒衣の魔人に向けて。
 と、向けた右と肘から先がない左と、両袖から黄色い紙切れが噴出した。
 全て道教の呪符であった。
336桃生封真:02/06/23 03:48
>331>333

「来たか」

封真-------『神威』は敵の動きを読むや否や、空へと飛びあがり、そして
敵を見下ろす。

2人。

「いいだろう」

手に気を集め、エネルギー波を地上の連中へとぶつける。

「死が望みなら・・・それを叶えるのが俺の定め」
>329
「WRYYYYY!!」
拳が鎧の奥の肉を抉る。
黒騎士は、引き裂くような絶叫をあげる。
その叫びに応じるように、夜の闇よりなお深い、黒き塊がアスラを襲った。
 
それは髪の毛。
髪に掴まれた銀光は剣の姿を見せ、アスラの頭部をグザグザに砕くことを渇望した。
338結城稔弘(M):02/06/23 03:50
>334
「なるほど、吸血鬼か」
 
念を込めた剣を振るう。
距離など関係ない。
 
「はぁっ!」
 
念の矢が空を引き裂き、飛ぶ。
>336
「あぶないじゃないですかー!?糸が痛んじゃいます…」
とっさにペンタグラムをストリングで描き、防御しました。
でも、完全に防げたわけじゃないのが辛いです。

「こっちからも行きますよー!――スリープします!」
『ロングスリープ』。すべてのトリックの基本となるトリックです。
高速回転を維持したYOYOは魔法の媒体としても使えるのです!

「回します!」

空高く飛び上がり、ルーピングプレイでYOYOをぶつけるのです!

340ナハツェーラー(M):02/06/23 03:52
>338
(クク、私をその瞳に治めたのが運の尽きよ!)
 
なんと!
ナハツェーラーは今夜のために新たな策を弄していたのです。
 
(ゆくぞ! バイクル!!)
 
彼が呼び寄せたのは――――――吸血鬼キメラヴァンプ。
その容姿はまさにそのうちでも異様の極み。
頭から生えたハンドル。腰から生えたマフラー。
 
なんて――――――バイク。
 
ナハツェーラーはバイクに跨り、一目散に駆け出しました。
痛いのは、苦手です。
341アスラ(M):02/06/23 03:52
>337
「フ……やるでは――――ないかッ!!」
 
髪の毛に貫かれながらもその体からは一滴の血も流れない。
アスラは構わずにそのまま右足で上段の回し蹴りを繰り出した。
 
傷口からは、金属質の光を放つ体が僅かに覗いていた。
342頼往凱(M):02/06/23 03:53
>331鰤
この“気”は女じゃねぇな、男か。
―――弁天小僧、菊乃助か?
 
ガキに構っている暇はねぇ。
「先に行く」 
それだけを言って奴目掛けて走る!

>336封真
「スカした事を抜かしてんじゃねぇ!」
空へ飛び上がった奴へ俺は再び『金票(ヒョウ)』を放つ。
 
奴の手から“気”が漲り、波動となって襲い掛かって来た。
 
「ヘン!虚無すら切り裂いてやるぜ!」
居合刀を抜き放ち、波動を切り裂く。
 
ついでに、空を飛ぶ奴に剣圧が襲い掛かってゆく。
 
「最高にハイって奴だな!」
343レイレイ:02/06/23 03:54
キル・レインvs馬呑吐&レイレイ
>323>335
 
馬呑吐の人面瘡に飲み込まれたレイレイは消えてしまった訳ではなかった。
だがその内部は杳々冥々として天地もなければ前後左右もない。
この世ならざる異次元の空間であった。
 
その夢幻の空間で、彼女は必死に自分が放り込まれた裂目を探していた。
いかに幻の空間といえど、入ることが出来るのなら出ることも出来る。
万物は太極図の示すように陰陽の表裏一体で成り立っているのである。
 
しかしその険路が何時開くかは皆目見当もつかなかった。
それは落された者の感覚では数秒後かも知れず、あるいは数百年後と感じるかも知れない。
時さえも狂ったこの空間においては無理からぬことである。
 
だから、彼女は待った。
344結城稔弘(M):02/06/23 03:58
>340
「逃げるか……だが、逃がすわけには」
 
右手の剣を左手に突き立てる。
不思議な事に左手からは血も流れない。
それどころか、左手の中に剣先が収まってしまったかのよう。
 
そして、バイク型キメラヴァンプの前に剣先が現れる。
剣先は違うことなく、キメラヴァンプの中枢を貫いた。
 
「念法……甘く見るなと言う事だ」
345桃生封真:02/06/23 03:58
>339

一人の少女らしき人影が、『神威』に向かって飛びあがる。
その手には玩具のヨーヨーのような武器が握られ、彼女の思うが侭に
操られている。

そうして、『神威』の攻撃も防がれた。

「なかなかやるものだな・・・」

誰とも似付かない笑顔でそう呟くと、攻撃を防ぐ為のエネルギーの結界を
自らの回りに張り巡らせた
>341
闇のように黒い光が、散った。
蹴りを受けた鎧が砕け肉が砕け骨が砕け。
いやな音がめきめきと。
 
だが、ブラフォードは倒れない。
剣を掴んだ髪を、アスラの首筋へと疾走させる。
同時に腹めがけ、拳を連打した。
>345
「あれれ?……なるほど、一筋縄では行かないですねー……」

――防御結界。なかなかやりますねー。
でもっ!

「ロジャー!」
空中に停滞させたYOYOにくまのロジャーを宿し、あの人をロックオンです!
これぞブリジット・オリジナルトリック『ロジャーハグ』です!
348アスラ(M):02/06/23 04:03
>346
 
 どご。どご。がつ。
 金属か岩を殴っているような鈍い音が辺りに響く。
 髪によって振り下ろされた剣は首筋で魔法のように止まっている。
 
「成る程。この力、只者では無いな……」
 
 金属質の音が中華服の中で蠢いた。
 
「では本気を出させてもらうか」
 
 次瞬、服を突き破り六つの鋭い金属の腕が現れる。
 するとそれはそのまま貫手の形となって―――
 ブラフォードへと稲妻の如き速さで一斉に襲い掛かる!
349ラルヴァ ◆LARVAIdY :02/06/23 04:03
伊藤惣太(ヴェドゴニア)VSラルヴァ(吸血鬼)
 
>324
 
あと数mmで惣太の首に私の牙が届く。
私は惣太の血を吸った事はない。
だが、リァノーンは惣太の血を最初に吸ったのだ…
そんな澱のような嫉妬心が、私の心を炙る。
 
惣太を下僕にする気はない。
だから、最後の一滴まで全ての血を吸い尽くそう。
 
―――リァノーンには渡さない。
 
次の刹那、かつて味わった事のない衝撃が全身を打ち振るわせる。
背中から突き抜ける、熱く、激しい迸りが私の全身に広がっていく。
 
「あ……」
 
そして、その瞬間が過ぎ去った後、私の全ての感覚が消え去り始める。
身体中が冷えていく。 全身から、私の何もかもが抜け落ちていく。
殲鬼になるために血を流した時の、数十倍、数百倍の喪失感。
 
それでも、私の心には後悔はなかった。
 
『さようなら。君のことを永遠に背負って俺は生きていくよ』
 
本当に……優しいんだから。
私の顔には、苦笑さえうかんでいるだろう。
 
声は既に出ない。私が惣太に送る、最初で最後の念話を意識に乗せる。
 
 
 
      ―――馬鹿ね、本当に。何もかも背負って―――
 
私の全身を風が吹き抜けていく。
 
 
              ―――でも―――
 
 
この風は……惣太が起こしたものだろうか。
 
 
      ―――貴方のそういう所、嫌いじゃなかったわ―――
 
 
 
その言葉を最後に……私の身体と魂は、風に乗って空気に溶け込んでいった。
350桃生封真:02/06/23 04:05
>342
『神威』に剣圧が襲いかかる。

『ヘン!虚無すら切り裂いてやるぜ!』

「そうか、それは凄いな」

無力化が出来ない事を悟った『神威』は空中で剣圧を器用かわすと
神威は地上へ降り立つと、瞬時に剣圧を放った男へと走り出す。
振り上げられた拳には『気』のような物が纏われ、見るだけでも威力があることがわかる。
そして、一瞬で男の元へと駆け寄ると心臓に向かって手刀を突いた
351ナハツェーラー(M):02/06/23 04:06
>344結城
(くっ・・・・・・貴様! なんとつまらん奴だ! 私がせっかく・・・・)
 
中枢を打ち抜かれた所で、キメラヴァンプはシネマ船。
でも、元々ちえおくれだったから。
バイクと化したキメラヴァンプは、
微塵の見境も無い修羅と化しナハツェーラーすらも襲うでしょう。
 
(いかん・・・・・バカには催眠術は効かんのだ・・・・・・・)
 
しかたない。
バイクルは、頭に取り付けられた竿にぶら下がった
輸血用血液のパックにて動いています。パックから漂う匂いによって、
パックのある方向へ走り続けるのです。
 
ナハツェーラーは、パックを投げ捨てました。
 
さて、対峙するは一と一。いたち果つるは剣か牙か。
さあさあ皆々御立会い。魔人と魔物の円舞に御座り。
>325 >346
幽鬼のような男。コートの中には神父服を着込み、 
目深に被った帽子の奥には炯々と眼光が光る。  

「おれが…腐った肉の匂いをたどることなど…容易いからな…」 
 
ブーツに着けたスパーが音を立てる。 
 
歩みを進めつつ、両の手に握られるのは、 
銃身を半ばまで切り詰めた水平二連ショットガンと 
ドラムマガジン付トンプソン短機関銃。 
 
「主よ…我はたとえ…死の谷を往くとしても…」 
 
聖句を口にしながら、男はショットガンを吸血鬼らしきモノに向け、 
トリガーを絞る。 
>348
ごぼ、り。
肺が、口腔が、血で満たされている。
かりそめの呼吸とともに、吐き出されるは紅の赤。
全身を刺し貫く、貫手という責め苦。
しかし、痛みはない。
命がないのだから。
 
髪は剣を解放し、地に金属音を呼んだ。
そのまま大きく髪の黒は広がる。
アスラを飲み込むための闇として、魔髪は蠢く。
354頼往凱(M):02/06/23 04:12
>350封真
空中で器用に剣圧を避けると奴は地上に降りてきた。
 
『そうか、それは凄いな』
“気”で手を包み、俺の心臓目掛けて貫こうとしてきやがった。
 
「速ぇッ!?」
瞬く間に奴は俺の体を貫いた―――はずだった。
 
「思い切りの良さは認めてやるよ。
 我執流妖術と、剣術の融合…。
 幻に引っかかってくれる奴でよかったぜ。
 じゃあな」
 
そう、奴が貫いたと思ったのは俺が作り上げた幻だ。
剣閃が三つ唸り、奴の両腕を落とそうとする!
355北條透(M):02/06/23 04:16
<寝落ち祭り>

「ふふふ・・・」
 
その場に立つ、白銀の装甲に身を包んだ男。
刑事、北條透。
 
「この私のV1システム・改の力で、雑魚な吸血鬼など一掃ですよ・・・」
 
北條は仮面の奥で、冷たく笑う。
が、次の瞬間には笑みが消えた。
 
「なに!?この完璧なはずのV1にエラーが!?」
 
それが北條の最後の言葉となった。
爆音が轟く。
V1システム・改は、中身の北條ごと爆発したのだった・・・。
 
(北條透・死亡)
356結城稔弘(M):02/06/23 04:16
>351
「……で、戻ってくるか」
 
バイク型キメラヴァンプがこちらに向かってくる。
その様はまさに暴走。
 
「はぁぁ……」
 
全身の「気」を「念」に聖化させる。
その「念」を剣に込め……
 
「はっ!」
 
斬!
 
キメラヴァンプが二つに裂けた。
357桃生封真:02/06/23 04:17
>347

少女に向かい飛びあがり、攻撃をしようとした瞬間、その場にあったヨーヨー
から、クマのぬいぐるみらしきものが飛び出し、『神威』を襲う。
不意を突かれた『神威』はその攻撃を受け、その場に倒れこむ。

「く・・・ここまでだな」

そう自分に言い聞かせると、『神威』はその場に倒れこんだ。
致命傷でこそ無かったが、かなりの出血をしている。

このままでは死ぬことすらありうるだろう。

「だが・・・それでもいいだろう」

そして、『神威』は目を閉じた

【桃生封真:戦線離脱】
358アスラ(M):02/06/23 04:18
>353
 夜の闇の如く広がってゆく髪。
 それを時には緩やかに受け流し。
 時には剛力で弾き飛ばし。
 六本の節足と二本の腕でアスラは的確にそれを捌いてゆく。
 
「強いな……だが、甘い!」
 
 身を沈ませ、懐へと潜り込む。
 肩がブラフォードの体に密着し―――
 
「墳ッ!!」
 
 轟音とともに、その体を吹き飛ばした。
>357
「あやや…、あっけなかったですねぇ」
しょうがないので(>351)、ちょこまか逃げるあのおじさんを狙いましょう。
そこそこの賞金がついていたはずですし。

「YOYOに死角はないんですよ!」

『キックスタート マイ ハート』。
YOYOに乗っかって、突進します!
360頼往凱(M):02/06/23 04:21
>357封真
 
斬撃をかまそうとした時、菊乃助(名前を知らん)からの攻撃で奴は吹っ飛ばされた。
 
「――――チッ…。次の相手は何処だ?」
 
そして、六本の節足を持った異形を見つけた。
 
>358アスラ
「お前の方が楽しめそうだな!」
奴に呼びかけてから、『金票(ヒョウ)』を奴に3本投擲する。
>358
アスラの一撃が―――
 
砕いた。
肉体を。
意識を。
完全に。
 
満足感。
 
強い相手と戦えたという満足感だけが、ブラフォードの最後の、唯一の「感情」だった。

 (黒騎士ブラフォード・死亡
362ナハツェーラー(M):02/06/23 04:26
>356結城
策士は天才です。
もしも判断を誤る事があるとすれば、
次の日には血の雨でも降るところでしょう。
大事なバイクを投げ捨てて、己はとうに逃げ出して。
 
二つに裂けたバイクルは、見えぬ焔に炙られて、半身爛れて崩れ去る。
過ぎ去る者之日々に疎し。仲の良かったご主人と、
仲を裂かれて身までも裂かれ。
ああ、無念。無念や無念。恨みや此処に極まれり。
 
(私ははじめて――――――判断を、誤った・・・・・・)
(最も大事な・・・・・・・・私のバイクを・・・・・・・・・)
(私は絶対に・・・・・・・・自分自身を許さん!!)
 
あまりに激しく頭を掻き毟るナハツェーラー。
おかげで少し、禿げますた。
363アスラ(M):02/06/23 04:27
>360
 ギギィン、と軽い音がして顔面の皮膚を突き破る。
 しかしそこから見えたのは骨などではなく、無表情な目。
 
「いいだろう、楽しませてもらおうか!」
 
 そう叫んだアスラは鬱陶しいとばかりに顔の皮膚を引き剥がす。
 中から現れたのはアメンボにも似た底冷えのする作り物の顔。
 
「殺(シャア)ッ!!」
 
 複雑な軌道を描いて六本の刃と化した腕が躍りかかる!
364通称吉野家を語る者:02/06/23 04:31
よう! おまえら俺が皆やっつけてやるぜ!
全員に殺伐とした視線をおくる。
365頼往凱(M):02/06/23 04:32
>363アスラ
「ハン!拳神と湛えられた奴でも老いは怖いってか?
 その奢り…断ち切ってやるぜ!」
複雑な軌道を描く節足の一本一本を、
引き抜いた刀でそっと受け止め、または弾き飛ばす。

「戴天流じゃねえが、これぐらいはできるんだよ!」
 
じりじりと、奴の近くまで迫る。
刀で受け止め、弾き、胴体をぶった切ろうと…。
366結城稔弘(M):02/06/23 04:33
>362
「さて……残るは貴様か」
 
剣を構え直す。
再度念が満ちる。
 
そして、吸血鬼に向かって剣が振り下ろされた。
367アスラ(M):02/06/23 04:35
>365
「奢り? 違うな―――」
 
 節足の刃を潜り抜けてきた凱を悠然と眺めながらアスラは少し深く構える。
 そして、丸太のような腕を拳に固める。
 
「正しき道だ」
 
 突き出した拳は砲弾の速度と威力でもって、凱の体を破砕せんと迫る。
>361 >362 >366  
吸血鬼らしきモノは、対峙していた男の手によりその体を砕け散らした。 
 
「災いを恐れない…主がともにいるならば…」 
 
その光景に、次なる獲物を探す。 
 
「その鞭と杖が…我を鼓舞し慰めん… 
我が仇の眼前で……我が晩餐を整え…」 
 
ショットガンをコートの中のホルスターに納めると、 
その隣に吊った銀製の短剣を抜く。 
 
「我が魂に油を注がん…」 
 
短剣を手に、男は駈けた。
369ナハツェーラー(M):02/06/23 04:39
>366結城
気がついたときにゃあもう遅い。
肩口から横腹にかけて、バサリ。
 
ああ、痛い。痛い。
何ゆえ私が、こんな事に―――――
 
策士が選択を見誤るとき、それは本来、ありえない。
きっと、次の日にゃ何か降る。雨降る雹振る石が降る。
 
ナハツェーラーからdだ皿は、天の上まで駆け上り。
血の雨となりて降り注ぐ。
 
その身尽きても魂死なず。
人形使いヴォルフガング・フォン・ナハツェーラー、此処に眠る。
370頼往凱(M):02/06/23 04:39
>367
――まだ、間合いが届かない。

幻術は既に見切られていると思っていいだろう。
 
丸太のような腕が迫る。
 
だが、こんな時なのに、俺は微笑んでいた。
 
「正しき道とやらに言って置くんだな、拳だろうがなんだろうが…。
 己の天命に背いた時点で間違ってんだよ!」
迫り来る拳に神速の域の斬撃を放つ!
371通称吉野家を語る者:02/06/23 04:41
スタンドで>>368を殴る。射程距離内に入るのは大変だったが、俺は強い!
「吉野家の牛丼をよろしく!」
>369
あれれ?目標に到達する前に倒されちゃってました。
急停止しました。そのとき飛んだ火花が>366に飛んじゃっても問題ないですよね?

そして、>367に向けて、YOYOを爆発させる「メンテナンス中の悲劇」を
撃ってみます、えい。
373アスラ(M):02/06/23 04:44
>370
「ハッ、小僧が!」
 
 ぎゅん、と風を切って六本の節足は内側へとその刃を向ける。
 両方から串刺しにするつもりだ。
 
「舐めた口を叩くなぁっ!!」
 
 拳の速度が更に加速する。
 拳と剣が刹那の間で交錯する!!
374頼往凱(M):02/06/23 04:51
>373アスラ
前へ前へ進む。
 
風が唸って俺の体を槍が、節足が貫く。

――ご丁寧に、"気”が篭ってやがる。
 
それは俺も同じ事。
 
奴の眉間を切っ先が貫く。
渾身の気を込め、そして頭部で解放する!
 

―――ああ、そうだ、俺は誰を守ろうと思ったのか…。
 
そう、ここに来た瞬間、何故忘れていたのだろう。
 
「―――――――仁・・・、ナオ、悪い・・・。
 血がとまらねぇや・・・・・・」
 
あふれ出る血が地を朱に染める・・・。
 
               頼往凱【死亡】
<寝落ちたら負け祭り>

すらり、と刀を引き抜く。
月光をうつした白刃が闇夜に映え、
それを右手に携えた人影―――

―――――両儀式が現れた 

尤も、その人格は式ではなく、織なのであるが。

張り詰めた空気を身に纏い、(>366へと)歩みを進める。
Nameless Kresnik vs Count Vardalek
“The Party Of The Children Of Night”
>268-269

 地面の上を苦鳴が這っていた。
 両断され、眉間を貫かれ、ヘンツォー伯ルパートが猶も真に死せずに呻いているのである。
 顔から獣毛が抜け落ち始める。皮膚の下で頭蓋骨が蠢き、いびつながら人間の顔が戻って来た。
 尤もこれだけの重傷を受けては、如何な長生者とて待っているのは確実な滅びだ。
 
「ひひひひひ……。大莫迦者が、この私を斃しちまいやがった……」
 
 この期に及んでまだ嘲笑の響きを込めつつ、ヘンツォーの声が洩れた。
 死に瀕しているには違いないが、はっきりとした発音である。
 
「それに免じて一つ褒美をくれてやる。ヴァルダレク様の事を教えてやろう。
 おい、貴様らは我々があの御方の膝下に跪いたと思っているんだろう。クク、戯けが。
 あの御方は、いいや奴はこの城へ封じられていたのだよ。我々の手でな。
 何故か判るか、ええ、この愚かしい温血者の小僧」

 そこまで云うとヘンツォーはむせた。血混じりに咳き込む度、躯が歪む。
 残った半身が灰に還ろうとしているのだ。それを遮る様に、ヘンツォーは怒気を荒げた。
 
「放って置けば手当たり次第に吸いまくるからだ! 奴の食欲に際限はない。
 ついでに欠片も知性なんぞ残っちゃいない。
 永く生き過ぎて、頭の中に残ったのは純粋な吸血衝動のみなのさ」
 
 両手が土に食い込む。あっけなく指が千切れた。
 
「適度に食餌を与え、適度に放し飼いにする。それで奴は満足してきた。
 代わりに我々は、長年に奴が築き上げてきた闇のネットワークを利用させてもらったがね。
 猛獣を飼育してやってるんだからな、当然の報酬だ。だが、それももう終わりだ」
 
 はみ出た臓腑が崩れる。胴体も後を追った。
 
「枷を嵌める者はもうおらん。奴は外界に迷い出すぞ。
 そうして地の果てまでを喰い尽くす!
 奴は、ヴァルダレク伯爵は数少ない神祖の直系の、そして尤も最悪の子(ゲット)だ。
 滅ぼす事など出来はせん。アレはそう云う生き物なのだからな。
 欧州は、大陸は、そして世界は死の翼に覆われるのだよ。
 ハハハ、判るか。貴様は自分の手でパンドラの函を開けちまいやがったのさ!」
 
 最後に残った貌が嗤い声を上げる中、ヘンツォーの全てが溶ける様に白い粉に変わっていく。
 後に残ったのは、人型の灰の中に突き立つ狩人の一刀のみであった。
377名無しクルースニク:02/06/23 04:53
>ALL
 人の生命とはこの上なく尊く――バケモノの命など、文字通りにクズ以下でしかない。
 
「ハ――こりゃまた。クズが大量だな」
 
 誰が何だろうと、知った事じゃない。解っている事は――一つだけ。
 ――この場の全てのバケモノを、殺そう。
 ヒップホルスターからグロック17二丁を引き抜き、青年は口の端を歪めた。
 
「踊れ――死ぬまで踊れよ、バケモノ共!」
 
 眼前の全てへと、9ミリパラベラムのフルオートめいた連射が殺到する――
378通称吉野家を語る者:02/06/23 04:54
>>374
引きずって吉野屋に連れて行く。
--------『再起可能』 to be continued....
379結城稔弘(M):02/06/23 04:56
>372
「くっ!」
 
足下に火花。
後ろに跳んで避ける。
 
「……敵では、無いのか?」
 
>375
「……これは」
 
近付いてくる少女。
その全身からは凄まじいまでの殺気。
 
「くぉっ!」
 
叫びと共に、斬りかかる。
……それは恐怖ゆえの攻撃。
380アスラ(M):02/06/23 04:56
>373>374
 砕け散る破片。
 傾ぐ巨体。
 だが、その異形はまだ戦うことをやめようとはしなかった。
 
「久しく感じていなかった感触よ……これだ! これでこそ!!」
 
 歓喜に震える体もそのままに、くるりと足元の小爆発の先を振り向く。
 
「小僧。それを汚した罪は重いぞ」
 
 頭からはみ出した電気部品のスパーク。
 それすらも置き去りにするような素早さでアスラは跳躍。
 滑空するジェット機のように飛び蹴りを繰り出す!
>377
銃弾を弾く金属音。
紫の、蛇を思わせるフォルムをした仮面の騎士の手元から響く。
騎士の手元にあるのは蛇の牙、それを模した剣。
それで銃弾を叩き落しているのだ。
 
「お前は・・・おれのイライラを消してくれるか?」
 
問いとともに、騎士・・・仮面ライダー王蛇は男に駆け寄っていく。
仮面の奥に、凄惨な笑みを浮かべ。

>377
「やがて…我が杯は満ち溢れん… 
この命の続く限り…慈愛と恵みは尽きず…」 

その体に銃弾を浴びつつ、それでも男は倒れない。 
胸に9mmの穴を空けながら、男は短剣を納め、 
両手に短機関銃とショットガンを構え直す。 
 
「我は…永遠に主の家の…住人である…」 
 
二丁の銃が、突然の闖入者に向けられる。 
383アスラ(M):02/06/23 05:01
>380は
>372>374だ。
384カズマ(M):02/06/23 05:02
俺はケンカが好きだ。 俺はケンカが好きだ。
 
俺はケンカが大好きだ。
 
>376クルースニク
 
そのケンカの横合いから銃をばら撒く奴を見つけた。
普通なら、ほっとけばいい。
  
だが――――
 
「その弱さに反逆する!」
右腕をアルター化し、ヤツ目掛けて加速する。
 
「トリプルフィンモーション!
 攻速ノォオオオオオオッ!シェルブリッドォオオオッ!!」
 
最高速度でヤツに殴りかかった。
385名無しクルースニク:02/06/23 05:03
>381
「ああ、救いを与えてやる――救いだ! 主の御許に送ってやるよ――」
 
 奇妙な鎧をまとったバケモノ――バケモノだから、殺すべきだ。
 9パラは温い。
 口元を歪めると、青年は身を沈め――
 白い風となって、鎧のバケモノへと一散に駆け出した。
 振り出される両手が、寸前でカソックの内側へと伸びる。
 抜き出した両手にグレネードピストルを構え、鎧の眼前に突きつけた。
 
「――Amen――だよ――く、ハハハハハハハハッ!」
386通称吉野家を語る者:02/06/23 05:04
>>382
>>371
を見直してくれっ!
>380
あ、ものすごい怒ってます。
飛んできました。でも、すでにYOYOは配置済みです!

「ロジャー!お願いっ!」
『 う ぬ で は 役 不 足 だ ! 』

これこそウチの究極トリック―――炎の自転車に乗ったロジャーをYOYOに宿す、『俺とキルマシーン』!

そして、ウチも迎撃すべくYOYOを構え、振り回します!
「サービスしちゃいます!」
『スターシップ』で相手の速さを利用したカウンターを狙うのです!

>372
片手で構えた刀に、左の手を添える。
飛び来る銃弾を、横に飛び跳ね回避する。

>379
男の一太刀を軽く飛び退り、寸での所で―――
否。動作を見切った上で回避する。
かちゃり、と音を鳴らし刃を相手の胴に向けると、
そのまま横一文字に薙ぎ払った。
389名無しクルースニク:02/06/23 05:07
>384
「……あぁ――小煩いクソが――」
 
 状態を撓めて拳の内側へと――速い。
 受けるつもりはなく、懐へと入り込むと同時に、カソックを大きく開き開けた。
 耐久力は――知った事じゃない。
 
 ――死ねよ、クソ野郎。
 
 閃く右手が、ソウドオフされたショットガンを男の顔面に突き付けていた。
 至近距離。
 外さない。
 弾頭はOOB。
 
 ――ああ――ああ、あぁ、ああ!
 
「安らかに眠れよ――ふ、ハハハハハハッ!」
 
(メール欄)
390通称吉野家を語る者:02/06/23 05:11
ここは、にチャンの『闘技場』でたたかいてぇが、
ぶんしょうりょくがたりねえから、こわくてできねえよ!
となげいてるしょしんしゃのための『れんしゅうよう』だ。
『れんしゅうよう』の『とうぎじょう』なだけに、オリキャラもキャラハンもじゆうよ!
こういうのは、たたかってみて、はじめてみにつくものだ!
やりかたとかもここでおぼえるといいぜ!
なお、なぜかひらがなとカタガナしかねえかというとだ。
いちねんせいふうにかいた、いわば「ネタ」ってやつだ!
こまかいこと、きにするな!
まあ、ふひょうなら、もとのかきかたにじかいからするがな!
じゃ、はじめてくれやー!
 
ttp://jbbs.shitaraba.com/movie/bbs/read.cgi?BBS=413&KEY=1023821707
>385
至近距離での弾丸。
それは破壊を招く鉄槌のような衝撃を呼んだ。
衝撃と痛みに、王蛇の体は大きくのけぞる。
だが、決して癒されなかった喉の渇きのような感覚までも、その衝撃は吹き飛ばした。
 
「戦いはいい・・・ゾクゾクする」
 
恍惚とした口調が漏れる。
男と王蛇の間に、疾風が吹きぬけた。
王者の渾身の蹴りが、生み出した風。
 
頭部を狙いすまし、蹴りが男を砕かんとする。
 
>384
そこに拳の風切り音。
消えかけたイライラがまた燻り出す。
 
「イラつか――せ、るな」
 
蹴り足は止めずに、拳に剣を合わせようとする。
392アスラ(M):02/06/23 05:11
>377
 銃弾は鋼の体に僅かに傷をつけるのみ。
 決して致命傷にもならず、足を止める事も出来ない。
 
>387
 
「役不足だと―――? 吠えるなッ!!」
 
 何の悪ふざけか、炎の自転車に乗って迫る熊のヌイグルミ。
 それを見てアスラは激昂した。
 飛び蹴りの直前節足を大きく広げる。
 
 暴風雨の如く視界が霞むほど高速で振り回される節足―――
 
 アスラは飛行する、竜巻と化して突進する!
393名無しクルースニク:02/06/23 05:12
>382
「……吠えるな。主の御心を伝えるのは、」
 
 ショットガンとSMG。
 脳の判断に任せて、姿さえ霞む程の速度で、青年は男の周囲を円に駆け抜けた。
 ゴルフバッグからベネリM3を抜き、セミでトリガー。
 当たっていようが何だろうが、それはどうでも良い事だ。
 
 右手の中にスイッチナイフを落とし、男へと風の速さで駆け寄った。
 ただ、一散に、ナイフは標的の心臓を求めて駆け抜ける――
394反逆者カズマ(M):02/06/23 05:14
>389クルースニク
ヘッ、吼えてくれやがる。
 
自分から拳の前に出てくれた。
 
オレのアルター、シェルブリッドは魂を込める拳だ。
 
シェルブリッドが内臓を砕く感触をものともせずに、
ヤツはショットガンをぶちまけようとしてくれた。
 
「いいぜ―――最高だ。その一撃、みごとな反逆だぜ!
 オレは・・・負けねぇ!sCRYed!」
周囲の物質を分解、再構成するアルター能力・・・。
その力でショットガンの弾を取り込み、全身を覆わせる。
 

これがッ!オレの『凄いアルター』だ!
>349 ヴェドゴニアVSラルヴァ
 
 レイジングブルの銃弾は、狙いを外すことなくラルヴァの心臓を貫いた。
 致命傷だ、彼女はもう助からない。
 首に掛かっていた腕が落ちる、牙を突き立てようとしていた首が俺の肩の上に落ちる。
 力なく俺にもたれかかっているその背中を、やさしく抱きしめた
 
 念話によって送られてきた最後の言葉を、確かに脳裏に刻み付ける。
 手の中のラルヴァが少しずつ冷たくなって灰になり……風が彼女をさらっていく。
 数分と待たず、そこにラルヴァがいた証はなくなっていた。
 後には無残に壊れたスーパーレッドホークとアーミーナイフが残っているだけ。
 無言でそれらを拾い上げてじっと見つめる。
 しばらくそうした後、ナイフは腰の後ろに携え、スーパーレッドホークは懐にしまった。
 無理にでも直せば、まだ使えるはずだ。
 彼女がいた証として、俺はこの銃とナイフをつかうつもりでいた。
 
 辺りは完全な静寂。
 人っこ一人いない、風の音しかしない。
 しばらくは、ここでラルヴァの為に跪いていたかった。
 だが、そうもいかない。
 誰も警察に通報してないとは考えにくい、直に警察官が来るだろう。
 最後に一度だけ振り返って、闇の濃い方へと走り出した。
 
 今はただ走り続けよう、罪に染まったまま。
 リァノーンとの誓いを俺は果たす。
 その先に断罪が待っているのなら――俺は甘んじて受け入れよう。
 だけど、それは今じゃない。
 何処まで走れるのか分からない、だけど今は……。
 
 俺は改めてリァノーンへと念話を飛ばした。
 二人で永遠を走り続けるために。
 
(BGM:MOON TEARS)
396結城稔弘(M):02/06/23 05:15
>388
「なにっ!?」
 
剣閃はいとも容易く躱された。
地面を叩いた剣は、周囲を陥没させる。
……が、それだけだ。
 
少女の刀が奔る。
銀色の残像を残して……刃が、結城の胴を両断した。
 
「ぐはっ!」
 
口から血が噴き出す。
そして結城の意識は闇に落ちた。
 
 
【念法士・結城稔弘……死亡】
397通称吉野家を語る者:02/06/23 05:17
長い文であればいいってわけじゃねえし短ければいいってわけでもねえ。やりかたを練習した方がいいぜ!
>>390
>392
足の多いおじさんと、ロジャーが激しく火花を散らします。
そして、ウチは『スターシップ』でどうにか相殺しましたが…。

まずいです。こうなったら…!
「ループ・ザ・ループです!!」
ロジャーとぶつかりその速度を弱めてもなお、その威力を落とさないおじさん。
ならば―――変化球です!

『 蛙 よ 、 大 海 を 知 れ !』
巨大化したロジャーは、竜巻のように回るおじさんの頭上めがけて落下します!

399反逆者カズマ(M):02/06/23 05:18
>391王蛇
「紫色のごてごてした格好しやがって、テメェはどこぞの着ぐるみか?」
 
アルター能力とは違うその殺意。
 
―――極上だぜ。
 
『凄いアルター』は全身を覆う。左手で強引に剣をへし折ろうとする!
400名無しクルースニク:02/06/23 05:19
>391
 
「ああ、存外に頑丈だ! 最高に――クソッタレだよ、テメエは――!」
 
 ハンマーのような蹴りが、ガードした左手を千切らんばかりに痺れさせる。
 脳が軋む。
 血が、哭く。
 ――早く。
 
 右手を振り出す。
 口元を歪めると、青年はカソックの中に両手を突っ込んだ。
 走る両手が、一気に五つの手榴弾を引っ掴み、即座に全てのピンを引き抜く。
 人間離れした速度で低空にバラ撒かれた手榴弾は、衝撃起動タイプ。
 接地する瞬間、青年の姿はそこには無く――
 
「……さあ、一杯楽しく遊ぼうぜぇ!?」
 
 鎧の背後、ベネリを構える青年が高々と叫んだ。
401ラルヴァ ◆LARVAIdY :02/06/23 05:20
伊藤惣太(ヴェドゴニア)VSラルヴァ(吸血鬼)
―――レス番まとめよ。
 
導入 >251>252
 
>254>257>260>265>270>278>279>281>283>292>299>302>303>315>320>321>324>349
 
エピローグ >395
 
感想があれば…こちらにお願いするわ。
ttp://fargaia.opt.hokuto.ac/html/test/read.cgi?bbs=vampbattle&key=1019409630
>393
「仇の眼前で…我が晩餐を整え… 
彼らの血で…我が杯を溢れさせ給え…」 
 
ショットガンの銃撃にあわせて両の手に構えた銃が咆吼する。 
弾着を確認することもなく右手のトンプソンを落とす。 
 
腰の短剣を抜刀するために。 
 
歯をむき出し、獣の微笑をたたえつつ、 
迫る白い僧衣の青年を迎え撃つ。 
403名無しクルースニク:02/06/23 05:24
>394
 
「……」
 内心で苦笑した。
 
 ――阿呆か、コイツは。
 
 どうでも良い。早くコイツを殺せ。
 殺せ、早く。
 ゴルフバッグを脇に構えると同時に、ジッパーを親指で押し上げる。
 黒鞘が僅かに覗き――
 
 刹那、眼前を視認不可の銀光が半円を描く。
 
 閃く右手が、断罪の一刀を疾らせていた。
404アスラ(M):02/06/23 05:24
>398
 激しく激突。
 一進一退の攻防が繰り広げられる。
 
 ただし、相手は熊のヌイグルミだが。
 
 その事実がアスラを焦らせる―――
 頭部の破損。
 それに伴う性能の低下。
 
 そして―――眼前の相手。全てが気に喰わない。
 
「喝ァァァァァッ!!」
 
 地面を炸裂音と共に大きく蹴り踏み込む。
 頭上から何が降ってくるのかも気付かず―――
 
 がし。
 
 剥き出しの部品に致命的な打撃―――視界がノイズで染まる―――
 
「オ、オォォォォォォッ!!!」
 
 凄絶な絶叫を上げ、闘神は一旦、その戦いを打ち切った。
 
【アスラ:死亡……?】
405通称吉野家を語る者:02/06/23 05:28
書き込みtest
406名無しクルースニク:02/06/23 05:31
>402
「お前は鉄の杖で彼らを打ち、陶工が器を砕くように砕く――
 ……黙れ――主の御名を語るな――ゴミが!」
 
 SMGを落とした瞬間、その右手が懐に走るのを視認した。
 ベネリを構えるのは間に合わない。
 抜刀したままの兼定を腰溜に、低空を疾走する影が、変形の居合となって疾った。
 銀光が、残像すら残さない半円を描く。
>399>400
爆音、銃声。
脳が軋む。耳鳴りがする。死んでいいし、殺していい。
ただそれだけのシンプルな関係。
なんて、素晴らしい。
 
音が止み、静かに煙が引いていく。
そこに立ちつくしていたのは――――
カズマ。
 
カズマを突き飛ばし、その背後から王蛇が姿を見せる。
彼を盾にして、王蛇は爆破の衝撃を和らげたのだ。
 
「近くにいた、お前が悪い」
 
蛇のような指の動き。
蛇のような口調。
そうやって、王蛇は倒れたカズマに告げた。
 
すぐにカズマに興味を無くし、王蛇は再び青年(クルスニ)へ向かう。
胸元を払うように剣を走らせる。
血が迸らせる様を見たい。
きっとそれはとても苛立ちを収めてくれるはずだから。
とてもとても気持ち良くなれるはずだから。
>406
男の血飛沫を受け、全身を朱色に染める。
口の端を吊り上がらせて、更なる獲物を求め視線を走らせると――

―――居た。

白いカソックを着た男。
ソレを次の目標に定め、音よりも早く走り寄る。
409反逆者カズマ(M):02/06/23 05:34
>403クルースニク
斬!という銀の閃きがオレの右腕を切り落とした。
 
「くっ、―――――――――――ハハハハハハハハ!!」
痛ぇ、とてつもなく痛ぇ・・・・・・。
 
膝をつき、許しを請いたくなるほどに。
 
だが――――。
 
「オレは反逆者だ。この痛みに反逆する!」
切られた腕を再び、オレのアルターとして再々構成する。
 
断ち切られた腕で再び拳を作り、
 
「喰らえ!処撃の『凄いアルター』!!!」
最高の力を込めてヤツの全身を打ち砕こうとする。
   読めますか
411反逆者カズマ(M):02/06/23 05:42
>407王蛇>409オレ
 
「処撃の『凄いアルター』!!!」
とかまそうとした時、銃撃がオレの全身を襲った。

アルター化した身体に銃弾が突き刺さる。
『近くにいた、お前が悪い』 
 
ヤツはそう言い放った。

「テメェだけは・・・決してゆるさねぇ・・・」
遠ざかる意識の中、君島がオレをどうにか、
家まで運んでいってくれたらしいことだけは分った。
 
「―――かなみ、待っててくれよ・・・」
 
 
        “反逆者”カズマ『退場』
>406 
 
青年の剣は脇腹を抜け、背骨にまで達する。 
迫る剣風が、男の帽子を薙ぎ飛ばす。 
 
その額には、十字の刻印。
闇と結んだカインの刻印が、深々と刻まれている。 
 
千々に乱れる髪もそのままに、
男は更にその笑みを深くする。 
 
呪え。 
戦え。
呪え。
 戦え。
呪え。戦え。呪え。戦え。 
 
青年の首に左の手を伸ばし、ショットガンを突きつける。 
 
 
銃声。
413名無しクルースニク:02/06/23 05:44
>407>408>409
  
「……あぁ、モテるな、俺はこういう連中に限ってよ――!
 ああ、ああ、ああ! 遊ぼうぜ! 最高だ! 死に尽くせ!」
 
>407
 死体を盾に――?
 口元を歪ませて、青年は笑う。
 
「ああ、成る程――クズの所業だ。
 死体もクズだったから――一向に構わんがな」
 
 幽鬼の用に歩み寄る男を、冷静に見ながら――
 脳は、周囲の連中へと意識を飛ばした。
 
>408
 脳は、一人の少女を知覚した。
 速い――速い。
 だから、どうするか――考える必要なんてない。
 早く、殺せ。
 
 少女の疾走に合わせて、青年はその姿を風と変えた。
 兼定を八双から蜻蛉へと移し変え、ただ、少女へと――
 
「死ねよ――バケモノ」
 
 裂帛の気合も無く、ただ、一散に。
 示現流の一刀にも似た袈裟懸けの一撃が、少女へと見舞われた。
 
>409
 
「笑わせるなよ――叛逆者!?
 主の御心に背いた時点で、テメエ等に生存の権利は失われた!」
 
 弾丸と化した男を、脳はヤケに冷静に見ていた。
 こいつがどんな能力者か?
 知った事じゃない。
 
「……眠れよ。今度こそ」
 顔面に向けたグレネードピストルを、躊躇無く引き絞った。
414名無しクルースニク:02/06/23 05:50
>412
 
 意識が、抜けた。
 散弾の群が、ヘビー級ボクサーのストレートを思わせる感覚、を、
 
 コイツ、
 
 この、クソが。
 殺、
 殺す――殺す殺す殺す殺す殺――
 あ、ああ、あああああ、ああああああああああああ!
 ――あああああああああああああああああああああああああああ!
 
 精神の狂乱が、激痛を鎮痛して脳を沸騰させた。
 目の前のこの阿呆を、早く、
 
 青年の全身が、薄蒼い燐光に包まれた。
 光が収束し、四散する。
 
 トレーラーをも上回る巨大さを持って、白い体毛を棚引かせる白狼が、男を睨み据えた。
 どこまでも澄んだ瞳に殺意だけを宿して――
 狼は、男を喰らい付くさんと――跳んだ。
>413
違和感が走る。
鎧に包まれた体が、砂のように溶けていく。
 
「ちっ・・・時間切れか」
 
ライダーが活動できる時間は限られている。
それを過ぎれば、モンスターのエサだ。
死ぬのは怖くないが、戦えないのは・・・酷くイラつく。
 
「また次、だ」
 
ああ、次もあるはずだ。
そう確信して、王蛇は姿を消した。
 
(仮面ライダー王蛇・撤退)
>413
眼前に迫る、一閃。
しかし、少女にとってそれは遅い、あまりにも遅い。
足を半歩ずらし、刀が横に抜けるのを見やって、
そのまま刀を振り上げようとした、そのとき。
(>414)
男の姿が、獣へと変わる。

「なんだ……お前のほうが、よっぽどバケモノじゃないか」

心底嬉しそうに織が呟く。
背を向ける獣に向かって斬撃を繰り出さんとすべく、再度大地を蹴り跳ねる。
はあ………
>404と、どうにかなったみたいですけど…。
もう、力が残ってません………………。
オヤスミナサイ。

(ブリジット:疲労により戦闘不能)
>414

青年の体が、蒼い光を放つと、目の前には一頭の白狼。 
その顎には、曲刀さながらの牙が列をなす。 

         跳ぶ………巨躯が、重力すらも振り解く。

「死は……救済ではない……
それは…悪魔の領域……
そこでは誰も……救われることはない…」 
 
左手に握られたショットガンをブレイクオープン。
リロードしつつ、虚ろへと誘う口腔を見据える。

ばしゃり

薬室を閉鎖しつつ、右手に握られた短剣は虚無の中へ。

深々と、上顎へと向けて突き出される。
419名無しクルースニク:02/06/23 06:05
>416
 
 温い。
 ――脳は、そう知覚した。
 遅い。
 ――それが限界か、と脳はせせら笑う。
 
 刀身を振り被った少女を中空で見下ろし、狼は自由落下速度を無視するような加速で
大地へと疾った。
 主の御名、の、元、に。
 
 コイツ、を。
 早、
 
 大地を踏み締めた狼は、一瞬だけ、上空の少女を見上げる。
 大きく歯を軋らせ――
 
 ――食い殺そう。
 
 一条の閃光が、少女を背中へと翔けた。
420名無しクルースニク:02/06/23 06:11
>418
 
 ――バケモノへの救済は、無い。
 
 意識の欠片が、そう次げた。
 
 ――せめてもの救いを――安らかな滅びを。
 
 男の姿を視認。
 ナイフが走る。ショットガンは――
 
 殺した方が早い。
 
 閃く銀光。
 ならば――と、脳は思考するまでもなく、その巨躯を風に溶かした。
 白い風が、一筋の弾丸と化す。
>419

真後ろに感じる殺気。
くんっ、と身体を捻り、袈裟懸けの形に斬り付ける。
―――が、浅い。

そのまま、背中に鈍い衝撃が走る。
地面に激突し、獣に圧し掛かられた状態のまま。
真一文字に、切り上げる。
422名無しクルースニク:02/06/23 06:24
>421
 
 体毛と筋肉を抉り、血飛沫と燐光が散った。
 黒髪の少女の瞳には、微塵の恐れも無い。
 綺麗だ、と――思ったのだろうか。
 
 だとしても、関係の無い事だった。
 圧し掛かられた不安定な一撃――だが、早い。少女の一閃は、感嘆する程に見事。
 
 ――だから、なんだ。
 巨躯をズラして、急所への直撃を避ける。
 骨まで達した一撃が、脳内に憤怒を凝縮させる。
 顎を大きく開き――その顔面へと、ナイフよりも鋭い歯が走った。
>420 
 
男の背後で、闇が蟠る。
闇に熔けるような、黒衣、黒髪。
その容貌だけが、白蝋の如く。

呪え。戦え。呪え。戦え。違う。呪え。戦え。
呪え。戦え。呪え。戦え。呪え。違う。戦え。
呪え。違う。戦え。違う。呪え。違う。戦え。
違う。呪え。違う。違う。戦え。違う。違う。
違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う

「違う!ベシエル!!これはお前の戦いではない!!!!」

一条の疾風と化した巨狼は、男の躯を呑み込む。

ジェ………

「…………ジェ……ナ…………」 

闇と契約した神父は、最期に救われたのか…?
>422

暗い。
闇が迫る。
真っ暗闇。

何故か獣の牙はスローモーションのようにゆっくりと見え、
今にも気が狂いそうな、現実味のない死。


ざぐ、ずぶり、ぐしゃ。
鋭すぎるその刃は、痛みを伴わずに身体に侵入してくる。
刀が、手から離れる。
全身に襲いかかる倦怠感。
きっと、あと数秒もすれば死の世界へと落ちていくのだろう。

ただ、そんな事を考えながら。
織のココロは朽ち果てた―――

【両儀織、死亡】
425ナハツェーラー(M):02/06/23 06:49
【吸血大殲29章 夢の島祭り エピローグ】
 
ふと、ナハツェーラーは目覚めた。
燦月製薬本社奥の自室にて、である。
>369と、まったくの同時期に。
 
ナハツェーラーのように、数千年を生きた吸血鬼は
深い眠りにつき、その意識は昏睡よりも深い闇へと沈む事がある。
【夜魔の森の女王】リァノーン然り。そして、彼もまた然り。
彼がいなくなった場合の、燦月製薬、いやイノヴェルチへの影響は
組織崩壊にまで至らせるだろう、そう考えたナハツェーラー苦肉の策だ。
彼は自らの老衰を見越していた。
 
バイクヴァンプ、シネマヴァンプ、船ヴァンプに続く更なるキメラヴァンプ。
その名も、【ヴォルフヴァンプ・フォン・ナハツェーラーEx型】。
 
そして彼は自室、すなわち呪術的/物理的封じ込めのなされた
実験用チェンバーにて、目覚めの時を待ち、治療法が見つかるまで
眠り続けるはずだった。
それが、目覚めた。消え行く半身の痛みが、共感魔術に似た
作用により、母体へ伝わったのか。原因はわからない。
――――――それとも、神が再び彼を選んだのか。
 
悪魔は目覚めた。
この世の闇を支配し、いずれは
光をも克服せんとする悪魔の頭脳を持つ男が。
だが、その事実を知るものは、あまりにも少なすぎた。
 
端正な眉を吊り上げ、再び世にあいまみえた事への歓喜を彼は顕にする。
 
また、夜が来る。闇が来る。その奥で跳梁し、世を覆い尽くす者。
まだ誰も知らぬ闇を、彼だけが知っている。いずれ皆々知ることとなる地獄を。
426名無しクルースニク:02/06/23 06:49
 血溜りから、顎を持ち上げた。
 ぎちぎちと咀嚼を繰り返す。
 口の端から血の糸を垂らして、白狼は周囲を見回す。
 
 ――主の御意志への叛逆者、は。
 
 どこ、だ。
 何処に――何処に、殺した、俺は――殺した。まだ、まだ――何処かに。
 
 首を大きく振って、白狼は朝日を望む。
 瞳に朝靄を映し込んで――高々と、彼は吠えた。
427名無し纏め人:02/06/23 06:55
【吸血大殲29章 夢の島祭り 大雑把に言うと闘争纏め】
 
>325-426

です。
お疲れ様でした。
428クロウ ◆DsxKUROU :02/06/23 07:30
クロウvs毒島

>304

浅い。
腕を落とすには体勢が悪すぎる。
肩口に僅かに食い込んだ刃を通して感じるのは硬質なゴムの様な手応えは、
目の前の男の肉体の強靭さを証明していた。

男は刃を払う事もせず、至近距離からの乱撃を放ってくる。
それを刀身で流し、鍔で受け、柄尻で弾く。
捌き切れなかった爪撃が腕を抉り、拳打が頬を掠め、手刀が脇腹を打つ。

 ちぃぃっ!!

このままでは尻貧だ。
上体を丸める様にして更に至近距離へ跳びこみ、肩口の辺りから胸板にタックル。
それに隠れる様に刀で足の甲を突き刺しにいった。
429毒島(M):02/06/23 12:47
クロウvs毒島
>428

 どこか、軽快なリズムで乱打を浴びせかける毒島に、クロウは肩からの体当たりを仕掛けた。
 毒島の上体が揺らぎ、攻撃の手が止まったが、その巨体に与えた影響は微々たるものであり、
太く逞しい両脚はよろめきもしない。
 懐に飛び込んだクロウを引き裂こうと掴みかかったそのとき、毒島は鋭い痛みを覚えた。
 毒島の大きな目がぎょろりと下方に向けられ、彼は、自らの右足の甲が刀身に貫かれ、地面に
縫い付けられている光景を目にすることになった。
 
 巨大な口から悪臭とともに、苦悶と怒りの呻きが洩れた。
 毒島の腕が電光の速さで振るわれ、頑強な手の甲がクロウの顔面に叩きつけられた。
 弾き飛ばされた男を見ようとももせず、毒島は足に突き立った刀を強引に引き抜く。
 そのまま手にとった刀を眺めていたが、突然、それをクロウめがけて投げつけた。
 回転する刀身の輝きが、その主人に迫る。
『悪夢顕現〜Code:Tristan〜』 フィリシス・ムーグvsB.O.W.
>293 
 
色々と腑に落ちない思いはあったけれど、
とにもかくにも、これで私の仕事は終わり。
トレーラーに戻ろうとした私の前に、それは現れた。
 
人の形をしたモノ。悪夢から抜け出したような造形のそれは、
無造作に右手のランチャーを私に向ける。
 
「な!?」 
 
驚きはしたものの、すぐさまスタッフを向け、
<デフェレイド>を選択。
 
「―――顕!」 
 
私の眼前に不可視の盾が形成され、拘束子が一個、胸から弾ける。
ロケットはその盾に阻まれ、爆炎の蛇が盾の表面を踊る。
 
「いきなりこれって、レディに対して失礼だよ?少し、私がレディへの接し方、レクチャーしてあげるね」 
 
私は仮面の下で笑みを浮かべ、黒コートの化け物と対峙した。
431クロウ ◆DsxKUROU :02/06/23 14:13
クロウvs毒島

>429

刀を突き立てた瞬間、顔面に衝撃。
カウンターの裏拳をまともに食らって身体が浮く。
軽く三メートルは吹っ飛び、道端に積み上げられたがらくたに背中から叩き付けられる。

「がぁっ・・・」

まったく、呆れた反応の早さだ。
内心うんざりしながら起き上がろうとした時、奴が手にした刀を振りかぶるのが見えた。
縦に回りながら宙を舞う刀を膝立ちになって待つ。

 ――今!!

ぱん、という間の抜けた音が響き、刃は合わされた両の掌に止められていた。
立ち上がりざま左手のがらくた――ひん曲がった鉄パイプを投擲、
自身も後を追って疾走し、続けざまに三度刺突を放った。
432ネメシスT型(M):02/06/23 14:19
『悪夢顕現〜Code:Tristan〜』 フィリシス・ムーグvsB.O.W.

>430
弾頭は標的の眼前の空間で炸裂、爆炎はモールドを避ける様に四散した。
不可思議な力で砲撃を凌いで見せた標的が、何事か話し掛ける。

――が、それは第一射が防がれた事にも話し掛ける声にも反応しない。
外見からは想像も出来ない滑らかさでランチャーを操作、第二射の準備の整った
それを再び標的に向ける。

開いた距離のまま対峙する。と、唐突にその巨体が動いた。
右へ、左へと動きながら間合いを詰めようとする。
その動きは、向けられたスタッフの前にいるのを避けようとする動き。
重火器を操り、攻撃を避けようとする。バンダ―スナッチとは違う高い知性が
それを可能にしていた。

先程の半分程度まで間合いが詰まった時、トリガー。
自身をも巻き込む距離を、まるで意に介していない。
すべき事は、目標の殲滅。それ以外、それには存在しない。
『悪夢顕現〜Code:Tristan〜』 フィリシス・ムーグvsB.O.W.
>432 
 
「これは・・・・・・魔族以上に厄介だねぇ」 
 
右に左に位置を変えながら迫りくる敵を見て、
私は思わず舌打ちをした。
魔族が相手の場合、向こうは遊び半分で攻撃してくる分、
付け入る隙が十二分にある。
だけど、こいつは違う。
隙がない。遊びなんて考えてない。
 
そして再びランチャーを私に向けてくる。
そうか、私と遊ぼうって言ってるのか。
いね、遊ぼうよ。そういうの、私も嫌いじゃないよ。
 
スタッフを向け、操棹を握る。
 
「スーテム・ルゲール・マルクワ・オン・マルクト・トウ――」 
 
私は補助呪文を詠唱する。
「<マグナ・ライトニング>イグジスト!」
 
掛け声と共に再び胸から拘束子が二つ弾け飛ぶ。
空気そのものが弾けるような音と共に、
魔方陣の中央に青白いプラズマが発生する。
高速回転するそれは激しい発光と共に十数本の稲妻を吐き出す。
それは蛇のように絡み合いながら、
一本の光条となって黒コートに向かい飛んでいく。
 
ロケットは稲妻に触れ、爆発を起こす。その爆炎と爆風を隠れ蓑に、
私は右へ回り込むように移動すると、再びスタッフを構える。
<ブラスト>を選択。
 
「イグジスト!」
  
その爆炎に向かって、小型爆弾並の火球をを叩き込む。
あれだけの威力の攻撃を叩き込めば、
カウント級の魔族並の化け物だって灰になるはず――
434毒島(M):02/06/23 15:24
クロウvs毒島
>431
 
 飛来する鉄パイプを煩わしそうに払い除けようとしたそのとき、クロウの突きが毒島を襲った。
 最初の一突きが、鉄パイプを払い除けようとした腕をえぐる。
 次なる突きが、巨大な頭部を浅く切り裂く。
 最後の突きは、毒島が身をよじったことによって空を切る結果に終わった。
 血に濡れた毒島の巨体から、おぞましい咆哮があがった。
 
 間をおかずに斬りつけようとするクロウに、突然背を向ける。
 その動きは逃走の構えとも見えたが、違った。
 それは攻撃の構え、人間にはどうやっても不可能な、奇手を繰り出す構えだった。
 風を切って振り回された太く長い尾が、クロウの足元を薙ぎ払う。
 強烈な足払いを受けて、仰向けに倒れたクロウが起き上がったときには、毒島の奇怪な
姿は消えていた。 
435ネメシスT型(M):02/06/23 15:54
『悪夢顕現〜Code:Tristan〜』 フィリシス・ムーグvsB.O.W.

>433
稲妻に打たれて弾頭が誘爆する。中空で巻き起こった爆発を貫いて
稲妻は更に走る。腹部に直撃。コートの生地が焼き切れ、全身を
電撃が全身を蹂躙する。
幾らそれでも流石に動きが止まり、地面に膝を突く。
そこへ、横合いから追撃の<ブラスト>と呼ばれる魔法。
膝立ちのコート姿が、火球に飲みこまれた。

――が、それは止まらない。
拘束服であり、高い防護性能を持つ防具でもある黒いコートは吹き飛び、
焼け落ちていても。その下の斑に変色した皮膚がぶすぶすと焼けていても。

拘束を脱した触手が蠢く。肉の中を虫の様に這い、右腕が歪む。
浮き上がった筋が膨らんで、弾けた。
形容しがたい音を立てて突き出てきた七本の触手は蛇の様にそれに絡み付いていた。

跳ねる様に立ち上がり、活動を再開。
疾風の様に間合いを詰めて、溶けて変形したランチャーの残骸で殴りかかる。
更にスタッフに向って触手を伸ばした。
436クロウ ◆DsxKUROU :02/06/23 16:21
クロウvs毒島

>434

突きはどれも浅い。
決め手に掛ける焦燥が、僅かに思考を曇らせる。

追撃を送ろうとした時、奴はいきなり背を向けた。

 何を・・・?

構わず、無防備な背中に袈裟切りの一刀を振り下ろ――
その時、景色が90度ほど横に回転した。
何が起こったのか認識する間も無く仰向けに転がる。
跳ね起きて間合いを取った時、二足歩行のカメレオンの姿は消えていた。

 まさか――

いや、間違い無い。
流れてくる奴の匂いが、奴がここにいることを証明している。
周囲の風景に溶け込む保護色・・・カメレオンなら有り得る事だ。

目を閉じて聴覚と嗅覚に神経を集中する。
どこから来ても反応出来るように。
437毒島(M):02/06/23 16:58
クロウvs毒島
>436

 壁際の、何も存在しないかに見えた空間が、わずかに揺らめいた。
 
 毒島は、自らをより強力な<獣人>へと変えるべく自己改造を重ね、本来のカメレオンには
ありえぬ様々な能力を持つにいたった。
 それこそがゴムのように伸縮する手足であり、遥かに強化された体色変化能力である。 
 
 毒島はほとんど視認不能に近い、完璧な保護色を使いクロウの隙を窺っていた。
 息を殺し、心臓の鼓動の音すら小さくなっていく。
 巨大な眼球には瞼がかかり、目標を睨む目は、指先ほどの大きさにしか見開かれていない。
 垂らされた両腕をそろそろと持ち上げ、大きく振りかぶった。
 透明な材質で構成されているかのような両腕が、クロウの頭を破砕せんと伸ばされた。
>287

「がぁッ!」

 腕の肉を抉るかのように突き立つ銃剣。痛い。
 もう、限界だ。左手から流れる血は相変わらず止まらないし、右腕は、今の一撃でこの有様。
 まぁだけど、限界なのはお互い様だぜ。この吸血鬼なんて、両腕無くなってやがるからな。
 
「はは、こいつは仕方がねぇな。さて、どうやってケリを――――ッ!」

 衝撃。為すがままに吹っ飛ぶあたし。
 数瞬、宙を浮いていたかと思うと地面に叩き付けられ、その勢いでもう一度跳ねる。
 吹っ飛んだ先は、劇場のホールだった。一体、何メートル蹴り飛ばされたんだか。
 
 遠くから、オルゴールの音が聞こえる。ペースがかなり落ちてるみたいだ。
 そろそろ……終幕……か。
 しかし、あのおっさん……両腕失っても、まだ殺る気かい……元気、だ……ねェ。
 
「はは……はははは……!!」

 悪かった。悪かったな、吸血鬼。ちょっと、あたしはどうかしてたみたいだ。
 自分の命を惜しんだお上品な闘い方なんて、あたしには似合わないよなァ。
 そんなあたしを相手にしていても、面白くも何とも無いよなァ。
 
 よろよろと立ち上がりながらあたしは嗤う。ゴポリ、と口から血の塊が流れ出るが気にしない。
 もう、自分の血で汚れていない場所なんて何処にもねェ。
 
「はぁ……ははははははは……はーっははははは!!」

 未だに右手に握っていた拳銃を投げ捨てると、両腕をジャケットに突っ込み、
肩吊り式の鞘からナイフを抜き放つ。左手に一本。右手に一本。
 どちらも奇妙な波紋を生んでいる肉厚の刃は、ナイフと呼ぶには大きすぎる。
 
 正直、この傷じゃナイフなんて満足に扱えない。右手に握られたナイフなんて、指が無いせいか酷く不安定だ。
 だから、我侭は言わない。ナイフとフォークが持てる身体なんて望まない。
 せめて……せめて、この殺し合いのときだけは……!! 頼むよ、あたしの両腕さんよォ!!
 
「はははははははは! 殺す! 殺してやるぜぇ、吸血鬼野郎!!」

 さぁ、ファントム・ドライ一世一代の晴れ舞台だ!
 ここで成功しなきゃ、ファントムを名乗る資格はねぇからな!
>438は>228宛て、だな。
『悪夢顕現〜Code:Tristan〜』 フィリシス・ムーグvsB.O.W.
>435 
 
爆煙の中から現れた異形の姿を見て、
私は思わず嘆息交じりの苦笑をもらす。
 
「そうそう簡単には、問屋がおろしてくれなかったねぇ。
 しぶとさも魔族並かぁ、キミは・・・・・・ほんと、厄介だねぇ」 
 
そう言いながらも、体はすでに動いている。
ランチャーの棍棒の一撃を転がるように脇に飛ぶことで回避し、
膝をつきながらスタッフを操作し、無音呪唱。
擬似詠唱端子が読み込んだ呪文は<スパイラル>。
まだ物理的に存在しない能力を確認した後、私は短く声を発した。
 
「イグジスト!」 
 
撃発音声と共に、また一個、私の魔族化から守る蝋燭の灯火が消える。
だが、確実にその力は敵を捕らえる。
不可視の巨人に握りつぶされたが如くに、
異形の下半身は捻り潰されていく。
 
「ファーゴ!」 
 
私の声に呼応するように、彼はゆっくり<ヘッジホッグ>の銃口を異形に向ける。
オブルドン社製M49連装銃身式汎用機関銃――通称<ヘッジホッグ>
毎分三千発の銃弾の雨を降らし、まとまった『面』として破壊力を叩きつけるモノ。
それが水平に振る紅い雨のように、重厚な機械音と共に怒涛の火力をぶつけていく。
その弾丸がランチャーの弾倉を打ち抜いたのだろう、
鈍い爆発音共に異形は爆発に包まれた。
 
「さすがにこれだけ破壊されたら――立ち上がっては来ないよね?」 
 
立ち上がり、ある程度距離をおきながら、私はその爆発に見入っていた。
441クロウ ◆DsxKUROU :02/06/23 18:55
クロウvs毒島

>304

あえて視覚を断つ事で他の感覚を研ぎ澄ませる。
暗く閉ざされた視界の向こうで奴が動いた。

 ・・・来る!!

流れてくる匂いがタイミングを、風を切る音が方向を教えてくれる。
電光の速さでそちらに振り向き、地を這うような姿勢で走る。

見えない何かが右側頭部と左肩を掠めて、紅い飛沫が飛ぶ。
右手の刀でそれを薙ぎ払いにいき、
左手で抜いたナイフを前方の陽炎の様に揺らぐ空間に飛ばした。
442クロウ ◆DsxKUROU :02/06/23 18:57
>441は>304ではなく>437宛て、だな。
443ネメシスT型(M):02/06/23 19:43
『悪夢顕現〜Code:Tristan〜』 フィリシス・ムーグvsB.O.W.

>433
横へ跳んだ標的を追い、触手を振るおうとした動きが急停止した。
見えない螺旋に捕らえられた足が歪み、捻れ、潰れていく。
絞った雑巾の如く変形した下半身からどす黒い体液を流し地面へと突っ伏した
巨体に、他方から熱く焼けた鉛の雨が降り注ぐ。
それは、手に持ったランチャーの残骸も叩き、残っていた弾薬を貫く。
低く響く爆発音と共に、炎が再びその身を飲みこんだ。


――炎が四散した。
焼かれ、貫かれてずたずたになった身体が痙攣している。
盛り上がり、膨らみ、生えて、伸びて。
それは、人の姿を完全に捨てた。

化物は、そう呼ばれるにふさわしい跳躍を見せて銃弾の飛んできた方向――モールド
キャリアの上に着地して、吼えた。
辺りに液体が飛び散る。鉄を溶かし、コンクリートを穿つ酸の雨が。

――それは、まだ止まらない。
444オーフェン:02/06/23 20:53
>318
オーフェンvs祁答院マコト
「我が血に染まれ戦鬼」

・・・なんだかなぁ。


異様な気配をまとい、執念で立ち上がる女を見て、ふとオーフェンは思った。

首を締められたため先ほどまで荒げていた呼吸は、すでに通常に戻っている。
―――その顔が赤いのは、先ほどまで首を締められていた所為だけではなさそうだが。

まあ、それはともかく立ち上がり。
凄まじい殺気を自分に叩きつける女を見つめ、オーフェンはふと思う。

(・・・なんで俺こいつに襲われてんだろ?)

それは女に最初に襲撃されたときに浮かんだ疑問でもある。

ただ平穏に。
時たま地人を吹っ飛ばすときに。
建造物などを地人もろともふっ飛ばしてしまったりしている程度の。
極めて平穏な暮らしをしていただけなのに・・・

(・・・襲われる理由に見等なんて無いんだけどな)

強いて言うなら前にいた街で。
金貸しの元締めのオストワルドのシマで勝手にモグリの金貸しをしていたということが思い当たるが・・・
それだとすると、この女の異様ともいえる執念の発生源がわからない。

(ったく、一体なんだってんだよ・・・)

いつの間にか思考にはまっていたらしい。
嘆息しつつ女のほうを向くと、なにやら構えを取っていた。

(とりあえず、今はこいつを何とかしねえとな)

襲われる理由はわからなくとも、女から発せられる殺気は本物。
気を抜けば、次の瞬間には自分は死体となって転がることになるだろう。

肘により切られたこめかみから、タラリと流れる血は無視し。
胸中で呟きながら女との距離を詰める。
445オーフェン:02/06/23 20:54
>444
オーフェンvs祁答院マコト
「我が血に染まれ戦鬼」

女が雄叫びとともに拳を振り下ろした。
爆発音とともに女の拳が異様な速度で加速する。

だが―――

(甘いんだよ!)

たしかに一度目は見切ることができず、魔術の発動によりギリギリのところで無効化した。
だが、それはタネを知らなかったから。
爆発により拳を加速させるというタネを知っていれば、こんな技は簡単に避けられる。

(たしかに人間に避けられる速度じゃねえけどな―――外部の力で加速させるからどうしても軌道が直線になるんだよ!)

わずかに頭を動かし、掠る程度で拳をかわす。
切っていたこめかみに拳が掠り、更に血がしぶく。

だが、その瞬間にはオーフェンは既に女の懐に入っていた。

(これで、終わりだ!)

そして、腹を目掛けて勢いを上乗せした拳を打ち放つ。
拳が女の腹へと吸い込まれていく。

どごっ。

「ぐ・・・が・・・」

だが、拳が届く寸前。
爆発音とともに脇腹に信じられない激痛が走った。

激痛のした場所に体勢を変えず視線を向ける。

そこには女の先ほどかわした拳とは別の拳が深々とめり込んでいた。

自らの肋骨が砕ける異音が響く。

(ぐっ、しまった・・・)

激痛の中でオーフェンは自らの失敗を悟る。

(あの手袋らしき物は、片手のみではなく両手に着けられていたのだから。
反対側の手でも同じことができることは、予想していて当然だった・・・)

そして、ぽすん、と気の抜けた音を立てて拳が女の腹を叩いた・・・
『悪夢顕現〜Code:Tristan〜』 フィリシス・ムーグvsB.O.W.
>443 
 
それは、まさに悪夢の光景だった。
もはやヒトですらないモノと化したそれは、
キャリアの上で咆哮を続ける。
周囲にはヤツがはいた酸で鼻をつく臭いに満ち始めた。
 
まったく、でたらめな話だ。
だけど、でたらめだからこそ、面白い。
でもね、何事にも限度ってものがあるんだよ―――だから―――
そろそろ終わりにしよう。
いい加減、私も疲れてきたし。
 
私はヤツに背を向けて駆け出した。
その間に、私はスタッフの呪文選択装置に手を伸ばし、
<デフィレイド>を選択する。
 
ヤツは必ず私を追ってくる。
押して駄目なら、引いてみろ―――昔のヒトは、良いことを言ったもんだよね。
447祁答院マコト:02/06/23 21:29
オーフェンvs祁答院マコト
「我が血に染まれ戦鬼」
>444>445
 右の拳が、すんでの所で躱された。
 鋭い踏み込みのあとに、拳が迫る。
 
 だが、牙は一本ではないのだ。
 
 もう一本の牙……左拳の雷穿が、キリランシェロの脇腹に突き立った。
 
 肋骨が折れる異音が響く。
 キリランシェロが口から血を吐く。
 
(……取ったッ!)
 
 ぽすん。
 
 気の抜けた、小さな音。
 その音と共に、勝利を確信したマコトの笑みが凍り付いた。
 
(なんだ……この衝撃は……)
 
 キリランシェロの一撃が、大して力の入っていないはずの一撃が、マコトの身体に凄まじい衝撃を伝播する。
 限界を既に超えていた肉体は、その一撃でもはや指一本動かす事も出来なくなる。
 
 だが、マコトの身体はそれでも動いた。
 それを可能にしたのは、信じられないほどの精神力。
 限界を超えてなお闘う意志。
 
「……あ、く、くぁぁぁ……わ、私は……負け……られ……ないん……だっ!」
 
 ぎし、ぎし、ぎし。
 
 拳をゆっくりと振り上げる。
 それすらも、信じがたいほどの重労働。
 通常の万倍ほどの時間を掛けて、拳が上がりきる。
 
 だが、それが限界だった。
 
 拳は振り下ろされることなく、マコトの意識は闇に落ちた。
448キル・レイン(M):02/06/23 21:53
>335>343
キル・レインvs馬呑吐&レイレイ
 
「―――青銅の管の如く硬く、その肋骨は鉄の棒の如し……」
 
 手の甲に描かれた魔法陣。
 それが光を放ち魔力を増幅、制御する回路となる。
 
「神が造りし第一の獣よ、神が剣を持ち歩み寄る者よ……」
 
 粉塵越しにも分かる程の力の奔流が向こう側で溢れる。
 奴も大規模の術で来るつもりか―――面白い。
 叩き潰してやる。
 
「獣を従え山を覆い、河を呑む者よ!
 その獣を捕らえることは適わず!!」
 
 唐突に、奴の周りに石板が出現した。
 奴を囲むように配置された石板からは鎖が伸び、奴を絡め取る。
 拘束は完全だ。逃がしはせん!
 
「出よっ! Behemoth(べヘモス)!!」
 
 地面を割り、闇夜よりも尚深い闇を湛えた裂け目が現れる。
 聖書にも名を残す全てを喰らう獣―――べヘモス。
 これなら奴とて殺し尽くせるハズだ……!
 
「 消 え 失 せ ろ ォ ッ ! ! 」
 
 一際大きな俺の叫びに応え、無数の牙が揃った顎が開く。
 消えろ――――異界の、果てにッ!
449ネメシスT型(M):02/06/23 21:57
『悪夢顕現〜Code:Tristan〜』 フィリシス・ムーグvsB.O.W.

>446
眼下を睥睨するのは、複数の半透明の器官――それがこの化物の眼。
無作為に撒き散らした酸を自らも浴びながら吼え続けた。
粘膜を刺激する異臭が漂い、怖気を振るう咆哮が響く。

唐突に、それが絶えた。
背を向けて走る白い影を複眼に写した化物は、それにに誘われる様に跳躍した。
本能のままに。己が身を焦がす苦痛に知性すら焼かれ、与えれた命令も
その行動を支配する事は出来ない。
無論、もはや標的が操作するスタッフの事など認識しても、それが
何を意味するか判断出来はしない。

虚空で、再び吼える。
酸を撒き散らしながら、その背中に嘴を突き立てる為に。
動く物全てを襲う、生きた災害となって。
『悪夢顕現〜Code:Tristan〜』 フィリシス・ムーグvsB.O.W.
>449
 
かかった―――とりあえずは七割がた成功したようなもんだね。
背後から迫るヤツの気配を察知し、仮面の下でにっこり笑った。
同時に回れ右して空中に居るヤツとの中間地点に位置をセット。
 
「イグジスト!」 
 
胸の拘束子は弾け、我が身を護る不可視の盾が出現、
私に降りかかろうとする酸を遮る。
空中に居るヤツも、さすがに方向転換は出来ない。
そのまま不可視の盾に衝突する。
あはは、蛸みたいだねぇ。でも、ごめんね、私蛸って嫌いなんだ。
だから―――私の目の前から消えてね。
 
「イタカ・エームス・サティードセイブ――」 
 
私は呪文を詠唱する。目の前の敵を完膚なきまでに消し去る呪文を。
 
「ソード・オーファ――<コンプレックス・アサルト>イグジストッ!」 
 
胸元から三つの、そして最後の拘束子が弾け飛ぶ。
その弾体は蛸に潜り込む。そこで――
 
「ブレイク!」 
 
私は歌うように一声を上げる。その声と共にそれは弾けて、
幾つもの<アサルト>に分裂した。不可視の小さな砲弾が所狭しと駆け回る。
それは次々と破裂し、衝撃波を体内に撒き散らした。
 
ヤツは絶叫した。触手が、足だったと思しき箇所が、左のわき腹が――
ありとあらゆる場所が内部からの圧力に耐えかねて吹き飛び、
身体が幾つもの部品となって転がり落ちる。
大量の酸が撒き散らされ地面を灼き、
元が何だったかも分からない程にちぎれた肉塊が酸の海に落ちていく。
 
「ふぅ、さすがにここまで破壊したら、復元とかしないよね?」 
 
ふと、脳裏に4年前のあの事件の光景がよみがえる。
だが、さすがにあれだけのレベルの化け物はいないらしい。
それはもはやただの肉塊になって、地面に転がるのみ。
それを確認して、ようやく私は大きく息を吐いた。
 
「状況、オールグリーン。戦術魔法士、フィリシス・ムーグ、これより帰投します」 
 
型ばかりの状況報告を行うと、私はキャリアへと足を向けた。
私の仕事はこれでおしまい。後は警察と魔法管理局の管轄。
仮面の下で大きく欠伸をした。
とにかく疲れた――早く屋敷に帰って、汗を流して寝よう――
戦術魔法士は健康が一番大事、だからね――
451馬呑吐 ◆TUNtujd6 :02/06/23 22:29
キル・レインvs馬呑吐&レイレイ
>448

 幾重にも鎖で縛されながら、馬は動じた風も無く声高に呪文を詠唱し始めた。
 音声に押される様に霊符が散乱する。
 その中に一枚だけ、元々馬の持ち物ではなかった符が混じっていたのだが、馬は気付かない。
 
「中原の四辺に存せし四凶に頼み奉る。また崇山の蕃神たる彊奪に頼み奉る。
 天地の日月は斜めにして、人間(じんかん)既に黄昏(おうもう)の際!
 竜鱗を犯し百姓(ひゃくせい)を乱し、此に慙たり瘴雨蛮煙!
 太乙の時を破り、おらび猛りて現身せんことを! 急急如律令! 勅、勅、勅!!」

 誦し終えた直後、邪道士は大地の顎に飲み込まれて消えた。
 だが床はまだ小刻みに振動を続けている。猶も止まらず、それは次第に激しさを増す。
 地面から出ずる魔神の目の前の床が、突然隆起した。
 土砂を振り落とし、黒く大きく、そして何より禍々しい何かが立ち上がる。
 全体像は牛、だが角は無く体毛は羊のようでもある。
 頭部は人、但し乱杭歯を光らせた口がだらしなく開き、顔面の下半分を占めている。
 双眸は脇の下に幾つもある眼と共に、紛う事なき知性を湛えて地獄の魔神を見据えた。
 
 中国古代の聖帝・舜が中華の四方の果てに追放した四柱の悪神、これを称し『四凶』と云う。
 それらの内、江南に放逐された邪神こそがこの彊奪(きょうだつ)であり、一般には広く知られた
別名を以って呼ばれる。
 即ち“全てを貪る”の意を持つ貪婪なる魔怪・饕餮(とうてつ)。
 
 馬によって招かれた饕餮の口から叫声が発せられる。赤子の泣く声に似ているのに、
比べ物にならないくらい汚怪で、かつ猛悪だ。
 凶神は魔神へ圧し掛かり、その躯に歯と爪を立てて肉を噛み千切り出した。
452ネメシスT型(M):02/06/23 23:10
『悪夢顕現〜Code:Tristan〜』 フィリシス・ムーグvsB.O.W.

>450
それは、逃れられない罠に掛かっていた。
空中に発生した力場の壁に無様にぶつかり、動きが止まる。
その数秒間が、戦闘の終焉を導いた。

朗々と響く呪文が魔法に更なる力を与え、落下し始めた化物に炸裂する。
一瞬の間を置いてその肉体は内側から四散した。


その上空。
四機目のヘリにて。

「ネメシスの反応が消滅しました」

「他のポイントに送りこんだバンダ―スナッチも同様です」

「データは?」

「三箇所のポイントにおける全ての戦闘は完全に記録されています」

「なら構わん。撤収開始だ。・・・まさかあれが殲滅されるとは、な。
 とんでもない戦闘力だ」
詳細は以下の通りです。
>282 >288 >289 >293 >430 >433 >435 >440 >443 >446 >449 >450 >452
(>443の参照先は>440になります)

なお、結果を鑑みて戦術魔法士のサンプル確保、及び魔法の研究の必要性が有る
事を提言しておきます。

分析結果などは以下へお願いします。
http://fargaia.hokuto.ac/html/test/read.cgi?bbs=vampbattle&key=1019409630
454エレン ◆Elen1cxc :02/06/23 23:21
ウピエルvsファントム達
>319 玲二
 
 エレンの呼びかけに対しても、玲二は表面上何ら反応を示さなかった。
 ひたすらに少女の身体を貪り、そして、破戒していく。
 今まで掴んでいた左手を放すと、自由になった右手を、
少女の身体を嬲るように滑らせ、その鋭く延ばした爪を下腹部に突きたてる。
 体内へと潜り込んだ指先が、少女の内臓を愛撫する。
 
 エレンの体を、奥歯が砕けるほどの激痛が襲う。
 同時に、脊髄が沸騰するほどの快楽も。
 
 直後、身体の深い場所に、なにかが入り込んできた。
 その一番深い場所を、何かが存分に満たしていく。
 叩きつけられるような、荒々しい衝撃とともに、突き上げるような快楽が
下腹部から脳天までを一気に駆け抜ける。
 
 快楽とも、苦痛ともつかない絶叫が、エレンの口から迸る。
 同時に焼き切られそうになる思考を、必死に繋ぎ止めていた。
 それは地獄に垂らされたただ一筋の蜘蛛の糸に、亡者が縋る様に良く似ている。
 苦痛から逃れるために、あさましく足掻く亡者の姿と。
 
 しかし、それでもエレンは足掻く事を止めなかった。
 如何に醜くとも、足掻く事の大切さを知っているから。
 足掻かなければ何も変らない事を知っているから。
 例え今が、一切先の見えない地獄だとしても……
 
―――足掻いた先には、光が見える事を知っているから
                           そう教えてくれた人が居るから……
455幽祢 ◆LIA8jfYw :02/06/23 23:32
幽祢 vs アセルス
〜導入〜
 
私は、眼下に城を眺めていた。
『針の城』。
妖魔達の長、オルロワージュの居城。
もっとも、今は別の者が治めているようだが・・・・・・。
 
「ふぅん・・・・・妖魔じゃない・・・・・人間でもない・・・・・・
 『半妖半人』か・・・・・・面白いわね・・・・・」
 
クスっと、私は微笑んだ。
そして、ふいと空間転移で城の中へと転移する。
 
 
「はぁい♪はじめまして、お姉ちゃん♪」
 
突然現れた私に驚くかとおもったが―――意外にも彼女―――
この城の主たる半妖半人・・・・アセルスは落ち着いていた。
 
もっとも、彼女の夜伽のお相手であろう妖魔の少女は、困惑していたが。
 
「お姉ちゃん、あのオルロワージュのお兄ちゃん、やっつけたんでしょ?
 ねぇ、私と一緒に遊ぼう?
 お姉ちゃんとなら―――楽しく遊べそうだもの♪」
 
私は、手を顔の前で合わせてニコニコと微笑んでみせる。
さぁ――はじめましょうか―――『お遊戯』を、ね?
456レイレイ:02/06/23 23:57
キル・レインvs馬呑吐&レイレイ
>448>451
 
杳々冥々とした夢幻の空間に突如揺らぎが生じる。
この空間に変化が起こるとすれば、それは外部からの干渉以外ありえない。
いたる所に毛髪よりも小さな穴が無数に開いた。
 
その点のような穴の一つにレイレイの身体が触れるや否や、その姿は消える。
ならばこの場所より出られるかと思えば、再び現れた空間もまた
以前と変わらぬ夢幻の空間であった。
そもそもこの無数の穴のどれかが現世への径であるという確証はない。
 
手当たり次第に触って見ても、抜けた先は今まで通りの漠とした空間の繰り返し。
彼女は焦りだした。
この変化が何時までも続くはずがない。
外部からの干渉が途絶え、径が閉じてしまえばそれまでである。
 
その時、彼女の袖の中で鐘の音が鳴った。
鐘は断続的に続き、徐々にその音量を増してくる。
一瞬で何かを察したレイレイは、自らその巨大な袖をがぼ、と引被る。
 
 
レイレイは現世に戻っていた。
足元には姉、リンリンの変じた姿である「随身保命」符がある。
空間を隔てても双子の間で交わされるという、ある種の電波のようなものが
鐘の音という形をとってレイレイを導いたのだった。
 
この世に生れ落ちて以来、数日前に馬呑吐によって引き裂かれるまで
片時も離れた事の無かった姉妹は、今ここで数日振りの再会を果たした。
リンリンの咒符が宙に浮かび上がり、レイレイに貼りつく。
レイレイは正気を取り戻した。
 
「・・・あれ?」
 
あたりを見回すまでも無く、目前で人面牛躯の巨大な魔怪が同じほどもある
大きさの怪異を貪っていた。貪っている方は彼女も知っている伝説通りの姿をしていた。
その邪悪な姿が、何よりも先に彼女に己が使命を思い出させた。
 
「異形め!!」
 
異形は狩らなくてはならない。それがダークハンターたる彼女の使命。
両袖を砕けた床に振り下ろすと、目に見えない波紋のような物が一瞬で広がる。
床が、壁が、天井が、地に通じる全てが歪み、ホールの内壁に
人間一人が十分通れる程の穴が開く。
その数は優に30を数えた。
 
一瞬の間をおいて開かれた黒穴より、矢のような勢いで巨大な剣が飛び出す。
飛び出した大剣は、レイレイを除くホール全体の空間をその鋭利な刃で貫いた。
部屋の中央で剣と剣が交叉し、激しい火花を散らした。
457オーフェン:02/06/24 00:06
>447
オーフェンvs祁答院マコト
「我が血に染まれ戦鬼」


「はァ…はァ…我は癒す斜陽の傷痕」

脇腹に手を当て治療のための魔術を使う。
傷が治っていき痛みがすっと引いていく。
もっとも砕けた肋骨だけは完治できなかったようだが。

足元に倒れている女を見下ろす。

あの瞬間。
とっさに女の腹に当てた手で寸打を放っていなければ。
おそらく、ここに倒れていたのは自分だっただろう。

(だが…勝ったのは俺だ)

寸打をまともに食らって、まだ動こうとした女の執念に内心感嘆する。
だがそれと同時に、なぜ自分に対してそれほどまでの執念と殺気を向けていたのかについての疑問が生じたが。

(考えてもわかることじゃないか…)

そのまま女はそこに放置しておき。
踵を返し部屋へと戻っていく。

そしてオーフェンの姿が完全に闇に消えたとき。
まるで影が肉体を持ったかのように一人の男が現れ。
そして男が倒れている女に近づいて行った。

『…予想どうり鋼の後継者が勝ったか』

男は懐から短剣を取り出し。
そして、気絶している女に向けて話し掛けた。
458オーフェン:02/06/24 00:07
>457
オーフェンvs祁答院マコト
「我が血に染まれ戦鬼」

男が気絶している女に話し掛ける…

『嘘の情報に、お前が引っかかるかは正直、賭けだったが。
まさか、こうも簡単に騙されるとはな……
今、ここでお前を殺しても、鋼の後継者に罪をなすりつけることができる。
…鋼の後継者の存在を知ったお前が奴に戦いを挑み、そして敗北し殺された。
里にはそう伝えておいてやるよ。
もっとも、お前が勝ったとしても無事ではすまなかっただろうから、同じように殺してやったがな』

そして、男がゆっくりと短剣を振り上げる。

『お前の顔が恐怖にゆがむのが見れないのは残念だが、まあ気絶していてはしょうがないか』

男が短剣を振り下ろす。

その瞬間。

「我は放つ光の白刃!」

先ほど、オーフェンが消えた方向から飛んできた熱衝撃波が、男を横殴りに吹き飛ばした。

『ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁあ!』

服についた火を消そうと男がのた打ち回る。

そして…

「ずいぶんと物騒なことをしようとしてるじゃねえか、ああ!」

オーフェンがゆっくりと姿をあらわした。

『き…貴様!帰ったんじゃなかったのか!?』

驚愕もあらわに男が叫ぶ。

オーフェンはそれを鼻で笑い飛ばし。

「こいつと戦っているときから、なんか誰かに見られているような気がしたんでな。
かまかけてみたら大当たりだったって訳だ。
さてと、これは一体どういうことか、詳しく説明してもらうぜ」

指をバキバキと鳴らしながら獰猛な笑みを浮かべ、ゆっくりと男に近づいていく。

『あ…あ……あぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあああ!!」

数秒後、まるで地獄を形容させるような絶叫が夜の闇の中に響き渡った。
459祁答院マコト:02/06/24 00:08
オーフェンvs祁答院マコト
「我が血に染まれ戦鬼」
>457>458
 ……目が覚めて、最初に見たのは見知らぬ天井。
 そして、身体に走る鈍痛が、意識を覚醒させる。
 
「くっ、つぅぅぅ……」
 
 だが、痛みは生の証でもある。
 
「私は……生きているのか?」
 
(何故、キリランシェロは私を殺さなかったのだ?)
 
 湧き上がる疑問。
 だが、その答えは出ない。出るはずもない。
 人を殺すための技能を磨いた、最強の暗殺者が最大の好機を見逃す理由など……判るわけもない。
 
 がちゃ。
 
 思考の迷路に落ち込んでいる中、扉が開く。
 入ってきたのは……キリランシェロだった。
 
 
 キリランシェロ……今はオーフェンと名乗っているらしい……から聞いた事情は、驚きだった。
 全ては里の者、同じ火者の一人がマコトを妬んで仕組んだ罠であった事。
 そして、それを仕組んだ者はオーフェンが叩きのめした事。
 
 
「すまん、本当にすまない……!」
 
 事情を全て聞いたマコトは、即座にオーフェンに陳謝した。
 それこそオーフェンが対処に困るほど。
 
 
 ……こうやって、二人の暗殺者の死闘は幕を閉じたのだった……
460伊藤惣太 ◆VJEDOGOs :02/06/24 00:10
吸血大殲30章 薄暮の月/黎明の十字軍
http://cocoa.2ch.net/test/read.cgi/charaneta/1024844742/
 
次スレだ、順次移動してくれ。
緑川淳司&花村雅香 VS 弓塚さつき(27祖)
28章での纏め
ttp://cocoa.2ch.net/test/read.cgi/charaneta/1023292545/476

このスレでの経過
>69

物凄くまったり進行でごめんなさい。
次スレに続きます。
462祁答院マコト:02/06/24 00:23
山城友香vs祁答院マコトvsミッドバレイ・ザ・ホーンフリーク
〜I still haven't found what I'm looking for〜
 
中間纏めだ。
>114>115>117>119>120>121>122>123>124>125>126>127>128
>129>131>133>135>136>156>157>158>245>247>249>262
463馬呑吐 ◆TUNtujd6 :02/06/24 00:24
我々の闘争、一旦纏めて置くアルヨ。
雌雄を決スルは次スレヨロシな。


キル・レインvs馬呑吐&レイレイ(途中経過纏め)

>215 >217 >218 >219 >221 >223 >231 >235 >240 >241 >242 >244
>248 >253 >256 >258 >261 >266 >277 >291 >296 >300 >305 >309
>314 >317 >322 >323 >335 >343 >448 >451 >456
464オーフェン:02/06/24 00:26
オーフェンVS祁答院マコト
「我が血に染まれ戦鬼」

闘争の纏めだ。
>284>285>286>290>294>297>301>306>307>308>310>313>316>318>444>445>447
>457>458>459

感想はここに頼む。
ttp://fargaia.opt.hokuto.ac/html/test/read.cgi?bbs=vampbattle&key=1019409630
(黒い棺の中でカリカリと音がする)
(内壁を引っ掻きながら、それは渇いていた)
(次スレまで持ち応えられるか如何かと云う程の――――赤い紅い飢えにさいなまれながら)
 
Nameless Kresnik vs Count Vardalek
“The Party Of The Children Of Night”
(途中経過纏め)

前スレ 二十八章
ttp://cocoa.2ch.net/test/read.cgi/charaneta/1023292545/l50
>468 途中経過纏め
 
本スレ 二十九章
>63 >65 >71 >73 >141 >150 >153 >162 >164 >167 >173 >176 >195
>196 >197 >268 >269 >376  
466 ◆aDolFrR2
吸血大殲29章「流血の驟雨」インデックス
 
>80 死神vsペトルーシュカ
>109 オーフェンvsレイオット
>110 吸血姫美夕vs仮面ライダーゾルダ 〜エイエンハドコニアルノ
>134 鬼咒嵐vsギルバルス
>147 樟賈寶(M)vsクロウ『理由の無い戦い』
>160 ホルホース(M) vs アルカード(M)
>171 遠野志貴 vs 邑輝一貴(M)「銀と蒼」
>182 アルカイザーvsアセルス「追憶の果てに! 針の城・悲劇の決戦」
>192 片倉優樹vs遠野四季「彼の名は、殺人鬼」
>234 パウルマン先生&アンゼルムス(M)vs孔濤羅
>273 ミズー・ビアンカvs魔族        シェル・ブレイク(脱皮)
>401 伊藤惣太(ヴェドゴニア)vsラルヴァ(吸血鬼)
>453 『悪夢顕現〜Code:Tristan〜』 フィリシス・ムーグvsB.O.W.
>464 オーフェンvs祁答院マコト「我が血に染まれ戦鬼」
 
>427 【吸血大殲29章 夢の島祭り】
 
中間纏め
>462 山城友香vs祁答院マコトvsミッドバレイ・ザ・ホーンフリーク〜I still haven't found what I'm looking for〜
>463 キル・レインvs馬呑吐&レイレイ
>465 Nameless Kresnik vs Count Vardalek“The Party Of The Children Of Night”