>438 遠野志貴 vs 邑輝一貴(M) 「銀と蒼」
低く跳んだ勢いそのままを利用し、低い体勢で邑輝に足払いをかける。
仰向けに倒れる邑輝。
俺はナイフに飛びつき、引き抜いた。同時に邑輝の身体の『線』を視る。
前腕部に、一筋の『線』。
倒れた時に背中を強く打ったのか、邑輝の反応がない。
――――俺は躊躇無く。
その『線』にナイフを走らせ。
左腕の前腕部を『切り』、未来永劫にわたって邑輝から左手を奪った。
後に跳びすさり、俺は邑輝の様子をうかがった。
「――はあ」
息が漏れ、緊張に身体がこわばっていることがわかる。
俺自身が、やってしまったことに。