>426 ヴェドゴニアVS仮面ライダーアギト
――マズった!
そう思った瞬間にはもう遅い、槍の刃が俺の腹を深々と抉っていた。
引き抜かれた傷口から血が、内臓がはみ出す。
吸血鬼の俺にとっては致命傷じゃねェ、致命傷じゃねェが……。
血が、血が失われて、俺が流れ出して――――
右腕が、その手の中にレイジングブルを抜いて発砲する発砲する発砲する。
化鳥の様に跳躍し、上空から下に見える化物に鉤爪を振り下ろす。
地面に蜘蛛のようにへばりついて着地し、そのまま聖者の絶叫――槍をまっすぐに顔面目掛けて突きだした。
血だ、血が足りない……血を寄越せ寄越せ寄越せ――寄越せェェェェェェッ!!
◆吸血殲鬼ヴェドゴニアvs仮面ライダーアギト◆
『誰が為に牙は振るわれる』
>427
ヴェドゴニアの腹を抉り、真紅の装甲が返り血でさらに赤く染まる。
レイジングブルによる銃撃がアギトの装甲を突き破り、鮮血を吹き出す。
だが、まだアギトの戦意は尽きず、むしろ燃え上がる。
「ハァアアアアアアッ!!」
振り下ろされた鉤爪を受け、左の首筋の装甲が砕け、生身をさらけ出す。
地を蹴って突き込まれた槍を同じく槍で払い、地に落とす。
超接近状態でヴェドゴニアの首筋に自らの牙、クラッシャーを埋めようとする!
>428 ヴェドゴニアVS仮面ライダーアギト
首に食い込んでくる牙、それが俺の狂気を加速させる。
テメェだけ俺の血を吸う気か?
ただ奪っただけじゃ飽きたらず、それを味わい尽くそうってのか!?
冗談じゃねェ……俺にも寄越せェッ!
「ガアァァァァァァァァァァァァァァァァァァッ!」
拘束具越しにも聞こえる絶叫を張り上げた瞬間、辺りに不可視の力が渦を巻き始める。
その力が向かう先はただ一点……俺の牙を戒める拘束具だ。
見えない腕が拘束具に掛かり、凄まじい力で左右に引っ張る。
ギシ……メキ……。
あまり耳に心地いいとは言えない音をさせながら拘束具が軋み、歪み――壊れていく。
ベキッと、一際大きい音の後拘束具が開ききり、ガランと床に落ちた。
今や、その牙は血を求めて口からはみ出さんとするほどに伸びている。
俺の目の前には、装甲が破れて素肌が覗いている首筋しか見えていない。
――あそこに、あそこに牙を突き立てて血を血を啜って味わい尽くして殺し尽くして喰らい尽くせ!!
衝動に従い、口を開いて首筋へと牙を振るい突き立てる。
互いの牙が、互いの首筋へと。
すぐさま頸動脈を食い破って血が溢れだし、俺の口腔を、鼻を、食道を、胃を血が駆けめぐる。
血だ、血だ、血だ血だ血だ血だ……!
俺はただただ衝動の権化と化してソレを啜り続けていた。
衝動が、流れ込む血に反比例して薄れていく。
同時に、ヴェドゴニアである俺自身も……。
◆吸血殲鬼ヴェドゴニアvs仮面ライダーアギト◆
『誰が為に牙は振るわれる』
>429
超音波で破砕する牙、クラッシャーをヴェドゴニアの首筋に埋めたと同時に、
ヴェドゴニアの牙もまた、アギトの首筋を襲う。
お互いに傷つけあい、喰らい合う。
あれだけ激しく燃え上がっていた激情が、血の流れと共に失われてゆく。
―遠くで誰かが呼んでいる―
互いに抱き合い、求め合う。闘争により、深く深く、結びつく。
―ああ、呼んでいたのは・・・、君だったんだね・・・―
ヴェドゴニアの意識が薄れようとしていく時、アギトは沢木哲也に戻ろうとしていた。
アギトに備わる無限の力の源――賢者の石と、
その力を制御するワイズマンモノリスが、アギトの生命を維持しようと懸命になっていた。
――遠ざかる意識の中、変身が解ける。
沢木は、こちらに走り寄って来る少女を見たような気がした。
《涙、果つることなく〜ガロン vs 弓塚さつき(死徒27祖)》
>419
途端走る激痛。
今更こんな痛みなんて、どうってことないけど。
状態を起こし、わたしは狼男の申し出を一蹴する。
「だから、いったでしょう?
わたしはここで終わるわけには行かないんだから」
ぐにゃりと一瞬、世界が歪む。
「もっとあの人に近づいて、迎えに行くの」
ココロを世界に解き放つ。
圧迫されたソレを広げるのは、世界にとっても、わたしにとっても苦痛。
「そうしないと………」
あの人が、さらに遠くへ行ってしまうから―――
今になって、ずきんと痛む腕。
こんなんじゃ、集中が、乱れちゃうよ。
もっと、より強く対象を意識するために、狼男の姿を凝視する。
―――――じゃあね、ばいばい
(トリップ判定)
>430 ヴェドゴニアVS仮面ライダーアギト
血が、奴の血が、俺の中の衝動と化物を洗い流していく。
少しずつ、少しずつ理性が浮上してくる。
今の状況を認識した俺は、腕の中にいる異形の姿をみようとした。
だが、取り戻した理性と入れ替わるように、ダメージによって意識が薄れていく。
目の前が昏くなっていく、肉体が人間のそれへと戻っていく――。
「いったい、何だったんだ……」
薄れゆく意識の中で、異形が人間の姿へと戻っていくのを見たような気がした。
俺の姿も人間に戻っているんだろうなというのが、最後の思考だった。
それを奴が見ていたのかは確かめる術もなく――。
意識が、闇に落ちた。
アルカード(M)vsモリガン・アーンスランド(M) 『月下、狂艶』
>412
・・・霧に!?
己が身を霧へと変える力。それは、力持つ吸血鬼なら持っていて当たり前の力。
間近に見えた勝利に酔って、油断したのか。
再び姿を現したのは、ライフルの元。
「くっ・・・!!」
遠い間合いでは決め切れない。
両の翼を前面に展開し、走る。自らの手で心臓を抉りだし、首を落とす為に。
撃発音が、三度。
一発目。右翼で辛うじて弾く。
二発目。左翼で受け・・切れない。翼を貫いた杭の先が覗く。
三発目。先の二発で空いた隙間を縫って左肩を抉る。
左右の翼を後方に打ち払って、視界確保と同時に杭を振り払う。
――もう、目の前だ。
往生際が悪いのは好きじゃないの。
右の貫手が、正面から胸に。
ギロチンの様な翼が、左右から首に。
風を巻いて、殺到した。
◆吸血殲鬼ヴェドゴニアvs仮面ライダーアギト◆
『誰が為に牙は振るわれる』〜エピローグ〜
>432
沢木が気付いた時、ハマーには幼い少女と、顔に火傷を負った男、
そして、意識はないが、拘束衣に身を包んだ少年がいた。
「おれは・・・、一体?」
問おうとする沢木を遮り、火傷の男がクロスボウを突きつけ言う。
「質問するのはこっちだ、お前は一体、何なんだ?
変身して、キメラヴァンプどもを、ヴェドゴニアと戦えるような奴なんて、
そうはいないぞ?」
「おれは・・・、沢木哲也、アギトをやっています・・・」
そして、かつての戦いを、今ここに至るまでの事をぽつりぽつりと話し出す。
「・・・・・・まったく、頭の痛い話ね・・・」
今まで事態を静観していた少女が口を開く。
「あなた、この事件を調査しているんでしょ?
私達に、力を貸しなさい。
それがあなたの務め、なによりも、
その助けられなかった女の子への贖罪になるわ」
そう、少女が言うと同時に火傷顔の男が反論する。
「おい、モーラ、俺は反対・・・」
「フリッツ、黙ってて」
だが、少女――モーラに遮られ、火傷の男――フリッツは頷く他なかった。
じっと少女の言を聞いていた沢木は答えを出す。
「おれは・・・」
A Ω
Ω A
涙、果つることなく〜ガロン vs 弓塚さつき(死徒27祖)
>431
視界が歪む。風が歪む。歪んだ世界の中で、モノが次々と死んでいく。
渇いた世界。歪んだ世界。そして―――ドラキュリーナがすむ世界。
歪んだ想いは断ち切らねばならぬ。
死者は黄泉に帰らねばならぬ。
ならば、俺に出来るのはただ一つ。
「深き森の奥駆ける狼の王よ・・・・・・赤き炎となりて・・・・・・我が敵を討て!!ドラゴンキャノン!!」
大気を鳴動させ、大地を揺るがし、太古の昔、地上を支配した炎の狼が、
幾条もの業炎となって世界を切り裂き、どらきゅりーなをへとその顎を剥く。
「塵は塵に、灰は灰へ戻れ!」
(トリップ判定)
>403
吸血姫美夕vs仮面ライダーゾルダ
「そうさ人間なら誰だって寂しいし、怖いのさ・・・だからこそ戦うんだよ!!」
ゾルダは盾を構えさらに肩に二門の大砲ギガキャノンを装着すると
火炎を防ぎながら美夕に攻撃を開始する
だが相手も宙を舞うようにゾルダの攻撃をかわしてゆく、お互い膠着状態で炎と砲弾の撃ち合いが続く。
一方背後ではマグナギガと黒衣の男との戦いが繰り広げられている
しかしパワーはあるが機敏とはいえないマグナギガの動きでは男をとらえる事はできない
だが一方で男の攻撃もマグナギガの装甲には大してダメージを与えているとはいえなかった。
(5分と5分か・・・・・いや)
そろそろタイムリミットが気になり始めていた
ライダー同士なら時間切れで今回は手打ちといったところだが
目の前の相手は許してくれそうもない
それに、鏡から脱出したところで、生身では戦う術がない。
(まだ余裕はあるが・・・・なんとかしないとな)
>407 遠野志貴 vs 邑輝一貴(M) 「銀と蒼」
発射された弾丸は虚空を穿った。
撃ち抜かれるはずだったボウヤは、女と一緒に地面に転がっている。
「が……っ!」
痛みに銃を取り落とす。
見れば右腕にボウヤの投げたナイフが突き刺さっている。
眼の端にボウヤが女を振りほどくのが映る。
反射的に印を結ぼうとして――失敗。
両腕の負傷の状態はよくない。
最早これ以上の戦闘は不可能。
――侮りすぎましたか……
体勢を整え、跳び下がろうとする。
だがそれも遅かったようだ。
目の前にボウヤがいた。
オーフェンvsレイオット
オーフェン側〜導入〜
「・・・・・・あばよ、フォノゴロス」
俺はそれだけを言い。
フォノゴロス―――自らを異形の化け物であるクリーチャーに改造した狂人に背を向け。
地下室から外へと出て行った。
地下室から外に出た瞬間、陽の光が目を突き刺す。
そして、俺は見た。
瓦礫の上にいる、鎧を・・・
その鎧はまるで中世の騎士を連想させる姿をし。
そしてなにより・・・・・・
(俺が地下室に行ったときにはこんなものはなかった・・・となるとこいつは!?)
つい先ほどまでこんな鎧はここには存在していなかった。
そして、その姿は前に倒したクリーチャーの中の一体―――鎧のクリーチャーを連想させる。
更に、それからはまるで生きている存在であるかのような感じを受ける。
ならば、考えられる一番確立の高い可能性は一つ。
(こいつは、クリーチャーの生き残りか!?)
それは十分にありえるように思えた。
クリーチャーの確実な数を知っているものは誰もいない。
もしかしたら、生き残りが一匹残っていたのかもしれない。
ひょっとしたら、どこかの物好きが曰くつきの鎧を、わざわざ持ってきて置いていったのかもしれないが。
だが、それでもこんな“この鎧がまるで生きている”かのような感じを覚えることはないだろう。
この鎧がクリーチャーであるなら自分のとるべき行動はひとつ。
(・・・・・・ここで倒すしかねえな)
俺は瞬時に構成を編み。
クリーチャー―――――と思われる存在に向けて放つ。
「我は放つ光の白刃!」
クリーチャーらしき鎧に向けて光熱波が突き進んでいく。
オーフェンvsレイオット
>439
「……なんだ、これは?」
疑問。その視線の先にあるものは、その肉体の半分を吹き飛ばされ、
苦悶とも怨嗟とも取れる呻きを発しながら蠢く――生き物らしき何かだった。
まずまともな生き物ではあり得ないその異形。
真っ先に彼の脳裏に浮かんだものは、魔法を使いすぎた人間のなれの果て。
――すなわち、魔族。だが……その異形は、びくびくと何度か痙攣を繰り返したあと。
力尽きたように、あっさりとその活動を停止した。
そう――魔法を使うこともなく、あっさりと。
「――魔族じゃ、ない?」
無論、こちらの放った攻撃魔法が一撃で相手の脳組織の5割を破壊した可能性もあるのだが。
だが、これは――やはり、違う。
明確に表現することは出来ないが、いままで幾度と無く魔族と相対してきた彼には、なんとなくわかった。
これは――魔族ではない。しかし非常に魔族らしい、何か。
「……つまり、こいつか。俺が呼ばれた原因は。他にも何体か見掛けるって話だが――はて?」
まあ、なんにせよ。敵が魔族でないのならば、仕事のほうはえらく簡単になってくる。
この奇妙な生き物が、魔族以上の化け物である可能性も無論あるのだが、少なくとも<アサルト>の
一撃で沈黙している以上、倒せない相手ではない。
「さてと。ここで突っ立ってても仕方ないしな。ちゃっちゃと片付けるか――」
呟いた――その、瞬間だった。目の前に、突如として男がひとり。
よく見れば、その足下には穴がひとつ。どうやら、地下室から現れたようだが――
彼が全身から放っている気配は、お世辞にも友好的とは言えない。
彼はすぐさまこちらの姿を認めると、その表情に敵意を乗せて。鋭くこちらを見据えている。
――おい、ちょっと待て――
いやな予感。それを感じて、レイオットは男に対し口を開いた。
しかし、言葉が音となる前に、鋭く囁かれた言葉と共に――
「――我は放つ光の白刃!」
彼の掌の先から、白く輝く熱衝撃波が迸る。
「――――!?」
それは、殆どカンに近い。声が聞こえたと判断した瞬間、全力で右に跳躍。
轟音。後に残っているのは、もはやそれがなんだったのかすら判別できない、何かの残骸だけだ。
「勘弁してくれよ――」
うんざりと呻きつつ、レイオットは手にした長大な機械――スタッフを、男に向けて構えていた。
>440
オーフェンvsレイオット
クリーチャーらしきものに向けて放った光熱波は。
右に跳躍したクリーチャーらしきものによって避けられ。
一瞬前までクリーチャーらしきものがいた場所を通り抜けた。
「ちっ、重そうなもん着けているわりにゃ動きが早いな」
毒づき、次の相手の行動に備え、構えを取りクリーチャーらしきものと対峙する。
―――その時。
クリーチャーらしきものが信じられない言葉をはいた。
『勘弁してくれよ――』
・・・それは今までの倒したどのクリーチャーの放った言葉よりも人間らしく聞こえた。
―――もっとも、明確に人の言葉を話したのは大本であるフェノゴロスを除いては、一体だけだったが。
(なんつーか、何かに疲れた男が言った言葉ような感じがしたな)
なにはともあれ、この事実からはこのクリーチャーらしきものが人間に近い精神構造をもっているのか。
それとも、こいつはクリーチャーではないのかという可能性が考えられる。
改めて相手を観察すると、相手は手にもった。
巨大なチェーンソーらしきものをこちらに向けていた。
(んな!?)
猛烈に嫌な予感がし。
次の瞬間には、オーフェンはその場から飛びのいていた。
オーフェンvsレイオット
>441
「――顕!」
撃発音声。文字通りそれを引き金として、虚数界面下で稼働中の魔力回路が現実世界に上書きされる。
<アサルト>――「猛撃」と名付けられた戦術魔法がスタッフの先端に顕現。
それは瞬時に、目の前に構える男に向けて打ち出された。
――もっとも、不可視の砲弾とも称されるそれが、直接男に視認できるはずもないが。
もとより、殺すつもりなど無い。収束率は通常の半分程度に止めてある。
そのためか、胸元から弾け飛んだ拘束端子はひとつだけだ。残り拘束度数――10。
だが、着弾のその瞬間。
男が盛大に飛び退いた。ターゲットを見失った<アサルト>はそのまま直進。
その先の残骸に命中に、内に封じ込められた衝撃波をそのまま残骸へと叩き付ける。
「――――ちっ」
やはりというか……そう簡単にはいきそうもない。
楽な仕事かも知れないと言う予想を打ち砕いてくれたその男に対し苦笑しつつ、
続けざまにスタッフ操作……無音詠唱。
「顕!」
<フリーズ>発動。
事象界面に発生した冷気の塊は、その動きを阻むかのように、黒ずくめの男を包み込む――
>442
オーフェンvsレイオット
『顕!』
と鎧―――便宜上これからは鎧と呼ぶことにする―――が叫んだ瞬間。
先ほどまで俺がいた場所に不可視の何かが叩きつけられた。
(魔術!?いや、違う構成は見えなかった。一体こいつは?)
瞬間的に頭の中で今までの情報を整理する。
クリーチャーとはおもえないくらい人間くさく動く鎧。
そして、鎧のかけ声と同時に放たれた衝撃波。
その他、色々な情報を頭で整理し、考える。
そして、それにより導き出た答えは。
(あれは魔法・・・技術としての魔法か!)
以前、話に聞いた技術としての魔法とそれを扱う魔法士に思い当った。
鎧(に見えるもの)を着ていること、クリーチャーの発生地と思われるところをわざわざ訪れたこと。
その他さまざまなことに対する謎が、その説明に当てはまり解けていく。
(・・・てことは、あの一見鎧に見える物はモールドという魔族化を防ぐためのものだな。
だとするとあいつは・・・)
明らかに戦闘用だと思えるモールドを着て、戦いに適した魔法を使う。
そのことから推測できる鎧の正体は・・・
(TS・・・・・戦術魔法士か!!)
>443
オーフェンvsレイオット
戦術魔法士・・・
それは対魔族を生業とする、戦いのエキスパート。
(クリーチャーを魔族と勘違いして要請したってわけか)
あのクリーチャーたちの外見からして。
それは十分にありえることだろう。
(さてと、問題はどうやってここを収めるか・・・)
ふと、相手を見ると。
既にこちらに、チェーンソーらしきもの―――たしかスタッフというらしい―――を向けていた。
(って、ちょっと待て!?)
身の危険を感じ瞬時に擬似空間転移の構成を編み上げる。
『顕!』
と鎧が叫んだ瞬間。
俺も魔術の構成を解き放ち、擬似空間転移を発動させた。
「我は踊る天の楼閣!」
擬似空間転移が発動し一瞬、視界がブラックアウトする。
そして先ほどまでいた場所から、数メートル離れた場所に出現した。
一瞬前まで自分がいた場所が何かに包まれていた。
(・・・だが、どうにもこれじゃ穏便に収められそうにねえな)
自分が勘違いして攻撃をしてしまったことが原因であるのだが・・・
まあ、それは置いておき鎧に向き直る。
(・・・しょうがねえ、手っ取り早く相手の戦闘能力を奪うか!)
瞬時に魔術の構成を編み。
解き放つ。
「我は呼ぶ破裂の姉妹!」
モールドを破壊しないよう威力を落とした衝撃波が、鎧の頭部を目掛けて弾き出された。
アルカード(M) vs モリガン・アーンスランド(M)
『月下、狂艶』
>433
三つ、クイは撃ち込まれた。
だが、魔は撃ち滅ぼせなかった。
三本の白木を払い、女は手をかざす。
翼を刃に変え、長銃を落とした首筋に躍りかかる。
右手は吸血鬼の凍える心臓を貫いた。
翼は歪む表情を首ごと切り落とした。
不死者の脈動は断たれ、全身より溢れた血は更に激しく撒き散らされる。
「いやいや、まったく」
刎ね飛ばされ、宙を舞う首は息無き声でそう呟いた。
「無様だねぇ」
転がる。
冷たいアスファルトに黒い髪を広げて。
サングラス越しに見える月は高く、血に濡れる犬歯は微笑んで、零れる血は広がり・・・
紅い紅い吸血鬼は、紅い紅い血となって消えた。
残るただ、クイを仕込んだ長物と血に染まったようなコートが一着。
ノイズ混じりの叫びを上げる、ヘルシングからの無線ばかりだった。
オーフェンvsレイオット
>443-444
「――――!」
消えた。
文字通り――言葉を放つと同時、男の姿がその場から消失する。
発動していた<フリーズ>は誰も居ない空間を飲み込んで、空気や、そこに残る水分を次々に凍結。
きらきらと輝く個体が、澄んだ音を立てて地面へと落ちた。
男は……居た。距離にして、ほんの数メートル程度。
一瞬、照準を誤ったかと錯覚させるほどに、その姿には微塵の違いも見られない。
(瞬間――移動……?)
半ば呆然とした脳裏に、そんな単語が浮かび上がる。
魔族でも……そんな馬鹿げた芸当は出来ない。では……これは一体なんだ?
いましがた視認した事実を咀嚼できないまま――だがレイオットの肉体は半ば自動的に動き続けている。
相手の正体がわからないという事実が、わずかな苛立ちとなってレイオットを覆っている。
そして――
「我は呼ぶ破裂の姉妹!」
男の叫び――全身に走る猛烈な悪寒。声と共に生み出された先程の熱衝撃波の姿が意識を走り、
レイオットの手を迅速に稼働させる。呪文書式選択、無音詠唱。
「イグジストッ!」
<デフィレイド>発動。展開と同時、虚空に生み出された波紋状の力場平面を不可視の何かが叩き付けた。
これは……まるで、魔法――――
そこまで考えて。
(そうか――)
ようやくレイオットは、目の前の男の正体に行き当たる。
(――『魔術士』か!)
胸中にて理解の叫びを上げる。なるほど、これが――噂には聞いていたが、実際に会うのは初めてだ。
だが、それでも。その魔術士と戦わなければならない理由が、今ひとつわからない。
(くそったれ……どうする? 手数じゃ、明らかにこちらが不利だ)
吐き捨てつつ、周囲に視線を配る。軽い混乱――自覚はしていなかったが、それに陥っていたらしい。
敵を前にして、レイオットは一瞬、その動きを止めていた。
アルカード(M)vsモリガン・アーンスランド(M) 『月下、狂艶』
エピローグ
>445
貫手が心臓を貫き、背中に抜ける。
ギロチンが左右から首に食い込み、落とす。
壊れたスプリンクラーの様に血を撒き散らしながら崩れ落ちる身体。
宙を舞う首が何事か囁いた様に見えた。
「くっ・・・ぁ」
左肩の杭を抜き、血溜まりに残る朱いコートに微笑む。
「90点・・・てとこかしらね 。それなりに楽しかったわ」
これで滅んだのか。
「まあ、縁が有ればまた会えるでしょう・・・じゃあ、ね」
金切り声を張り上げる無線機を踏み砕いて、背を向ける。
振り返らない。
終ってしまった事を想っても虚しさが深まるだけだ。
次の遊び相手を探し、月の輝く夜空へと飛び立っていった。
>446
『イグジストッ!』
と鎧が叫ぶと空間が波打ち、壁のようになって衝撃波を防いだ。
(ちっ、防がれたか)
だが、話に聞く戦術魔法の威力が本当だとしたら、それは当然だろう。
もしも、話に聞いたとおりの威力なら、それは自分の魔術の威力を軽く上回っている。
もっとも技術としての魔法には、唯一にして、最大の弱点である回数の制限が存在しているが。
(俺が勝つには奴の意表をついて魔術を当て戦闘不能にするか、それとも奴の魔法を使い切らせるか・・・)
もっとも、後者は相手が魔族化する恐れもあるため問答無用で胸中で却下しておく。
魔術を当てる場合でも、モールドをなるべく破壊しないように気をつけなくてはいけない。
(・・・厳しいな。だが、やるしかないか・・・)
しっかりと相手を見据える。
(さてと・・・それじゃ行くぜ!)
相手に隙を作るため。
地面に手をつき、魔術の構成を編み、解き放つ。
「我は歌う破壊の聖音!」
連鎖する自壊が地面に流れ。
そして、手をついたところから鎧に向かい地面が崩れていく。
(まずは足を止める)
Nameless Kresnik vs Count Vardalek
“The Party Of The Children Of Night”
>423
視界を蹂躙する、冗談のような数とスピードのクズの群――死の気配を刃に乗せて、悪夢のよう
な速度で貴族達は迫り来る。一人、二人、三人――数えるのは止めた。全方向から強襲する暴威は、
無傷で避け切る事など出来はしない。
――どうする? 弾数は足りない。突っ立っていれば斬り殺されるのがオチだ。
だが、と心のどこかが呟いた。
――主の僕は、悪魔に背を向けはしない。
イングラムとグロックの残弾を正面の数人に掃射。ホールドオープンしたグロックとイングラムを
投げ捨て、包囲網の欠損へと身を躍らせる。
走る剣閃。細身の刃が頭蓋に食い込むか否やの刹那、体は風の様に半歩引いている。
前髪を、凶悪な膂力から生み出される一刀が掠めて過ぎた。
返り血が薄く口紅を塗った口元が、凄惨な笑みに彩られる。
「大人しく逃げてれば――死なずに済んだかも知れないのにな」
左手に下ろしたゴルフバッグのジッパーの隙間から、日本刀の柄頭が顔を覗かせる――流れる
動作で親指が鯉口を切り、右手が添えるように柄巻に触れた。
刹那、右手の閃きが銀の軌跡を描く。
鞘走る刃すら視認出来ない、神速の抜打ちだった。
叫ぶ間もなく、地へとサーベルを叩き下ろした貴族の首が宙を踊る。
脳からの信号を失った両手がサーベルを手放し、刀身が床を削りながら跳ねて転がった。
「……いや――やっぱ、どのみち死んだわ、テメエ等。
刻むは祓いの九字、これぞ和泉守藤原兼定の業物――ってな」
果たして己の絶命は感じたのか――切断面で絨毯を赤く化粧する首をブーツで磨り潰すように砕き、
血刀を緩やかに納刀した。
鞘に納めた兼定を静かに携え、青年は無数の白刃と向かい合う。
「主の御名に於いて――我は、全ての邪悪の種子を打ち払わん」
ヤハベvsフィオ
『LA SALIDA DEL SOL』
>381
がつん、がつん、という音がエリの意識を覚醒させた。
「う、く・・・」
胸が痛い。
身体を起こす過程でチィンという音がしてヤハベに撃ち込まれた弾丸が床に落ちた。
(運がいいなあたしは・・・・)
弾丸はベストの内に収めていた手斧に着弾したらしい。着弾時のショックがエリの意識を飛ばしたのだ。
(ところでこれ、なんの音だ?)
エリが音のする方を見ると、フィオがヤハベの頭を叩きつけているのが見えた。
「フィオ!?」
ただひたすらに、ヤハベの頭を床に打ち付けていたフィオの手が止まった。
「・・・エリ・・・ちゃん・・・・」
フィオが手を離すと、ごとり、とヤハベの頭が落ちた。
「って! エリちゃん! 生きてたんですか!?」
立ち上がりエリに駆け寄るフィオ。
「勝手に殺すな。・・・まぁ自分でも生きてるのは僥倖な気がするけどね」
エリは頭のバンダナを外し、フィオの鼻に当てた。
「んっ! エリひゃん・・・」
「あぁ、あぁ。 あんたこそ大丈夫?」
フィオが痛くない程度に血を拭きながらエリ。
「大丈夫、です。骨は折れてないみたいです」
「ったく女の顔やりやがって・・・」
「それだけじゃないですよぉ。 クラシック壊されたし、シャツ破られたし、帽子も、メガネも・・・。 ・・・あと胸掴まれましたぁ」
「ゲス野郎が・・・。 !? まだ生きてやがる。 ゴキブリかこいつは・・・」
「どうします?」
「あんたその表情でいうか? ブチ殺すって顔に書いてあったくせに。 ベストの前閉じてマルコ達のとこに行きな。あとはあたしがやるから」
自分のベストもフィオに預け、エリは手のヘビーマーダーを握り直した。
「それじゃ、あとは頼みますね」
「あいよ」
エリは撃鉄を起こし、残弾全てをヤハベの頭部にぶち込んだ。
死体に一瞥をくれ、部屋の隅でガタガタ震えている頭目をひっ掴んだ。
「抵抗すんじゃねえよ? あんな風になりたくなかったらな」
頭目をずるずると引きずりながらエリは別荘をあとにした。
MISSION COMPLETE!
−月のない夜は、静かにそのまま闇を抱こう。
そして、そのまま、そのまま・・・消えていければ、きっと幸せなのにね−
片倉優樹/遠野四季 「人の世・生きる事・倫理」 片倉サイド 導入
街頭の灯りに照らし出された光。
その光の領域は日向の午後よりも生命の存在感を際立たせる。
「光と闇」「善と悪」「生と死」。遍く二元論の根源がここにあるから。
でも、眼前に繰り広げられる光景には、それすら当て嵌まらない。
捕食・・・ですらない、殺戮・・・ですらない。言わば、ゲームで、狩猟で、暇つぶし。
それは、5日前を狂狂繰り返したような・・・。
そう。夜中の散策は今日で5日目だった。
それは無為に等しい私の生活に、偶然加わった珍奇な習慣。
いて欲しくない相手、合って欲しくない事件を探す空ろな散策。
------------------------------------------------------------------
5日前。
血。 血。 血。 路地裏は、この世の黄昏。
私は只、24時間営業の店でワンカップの日本酒を買い、横着に近道をしようと思っただけ。
それだけで、私の自称、平穏な暮らしはその光景に朱に染められた。
視界に入る固形物は犯人と辛うじて赤い靴からのみ、性別を判定できる女子の部品、残骸のみ。
私は只徒、動けなかった。
きっと。自分に重ねて憐れに思ってしまったから。
「社会」という人間が作り出した擬似空間から弾き出されたニンゲンの悲哀とそれでも
人の社会に居直りつづけなければならない犯人の心身の「正気」の残滓について。
そして、勝手に期待、いや、夢想した。二度と、こんな事は起こらないよね、って。
------------------------------------------------------------------------
犯人(私と同じく白髪で着物姿の男)の正面に回りこみ。デッドエンドの壁を背に
私は告げた。我侭で尊い命を犠牲にした自分の愚かさを嘲いながら。
「警視庁刑事部捜査第六課 片倉優樹。殺人の現行犯で・・・貴方を、逮捕するよ」
オーフェンvsレイオット
>449
ずぶり――と。
足下が、崩れた。今この瞬間まで確かなカタチを保っていたはずの大地が、
レイオットと、そしてモールドの重量に破れたかの如くあっさりと崩壊していく。
「な…………!」
沈んでいく足を引き抜こうとするが……それが出来ない。
崩れていく大地には、踏みしめるべき足場は存在していなかった。
力を込めるたびに、沈むスピードが増していき、レイオットの身体はすでに膝までが地面に埋まっている。
「――くそったれ!」
何が起こったのかはわからない――が、これが相手の魔術の効果であることは明白だった。
視界には、地に手を付けたままの男――魔術士が居る。
崩しかけたバランスを無理矢理に維持。スタッフ操作、無音詠唱――
「顕ッ!!」
撃発音声、魔法顕現。
だが、その発動対象は魔術士ではない。
真下――足下の更に下を中心点として<インパクト>が炸裂した。
生み出された衝撃波は地面と、そしてレイオットとを等しく吹き飛ばす。
「ぐ――――!」
Nameless Kresnik vs Count Vardalek
“The Party Of The Children Of Night”
>450
踏み潰されるミッターハウスの首が白煙を上げて塵と為る。
先に乱射を受けたヨルガ将軍らも、同様の運命を辿っていた。
中枢部を一挙に失い、この国の軍部は煮え油をぶち撒けた様な騒ぎに包まれるのだが――。
それは後日の話である。
白い狩人と相対するヘンツォーの顔からは、先程までの怒りの色が消えていた。
持ち前の人を馬鹿にした様な冷笑を貼り付け直している。
滅び逝く同族の惨状に却って冷静さを取り戻したのだろうか。
「主の御名において、か。そう云えばさっき、主の恩寵だとか吐かしてたな、ええ」
左手は腰の後ろへ、右手の剣尖は狩人へ付け、ヘンツォーは嘯いた。
「だが貴様らの神はこうも云ってたんじゃあなかったかね。
罪びとを愛せ、とな! 真に神に求められているのは我らと云う訳だ!」
そのまま突きかかるかと見せかけて、ヘンツォーは剣先を振って合図を送った。
それを受け、何時の間にか間合いを詰めていたヴァケル・パシャとエル・シュパドールが、
それぞれ白い狩人の左右から斬り掛かる。
ヴァケルは上段からの振り下ろし、シュパドールは下段からの跳ね上げである。
天地の間を鋏み込むが如く、二刀が唸った。
吸血姫美夕vs仮面ライダーゾルダ
>437
「くっ・・・!」
ちりちりと外気が肌を刺す。ここは本来あり得べからざる鏡の中の世界。
いかに鏡神魔の魔力でこの空間で活動する力を得ていても、ここでの自分たちは異分子だ。
世界が、それを排除しようとしている。いつまで無事でいられるやら――
砲撃で削り合う美夕と鎧の男、そしてお互いに有効打を与えられないラヴァと鋼の巨人。
『だったら、こうしてみようか』
ラヴァと美夕は、じりじりと追い詰められるようにお互い背中合わせの構図を作る。そして。
「はいっ」
軽やかにハイタッチを交わすと、二人は入れ替わる。
美夕の炎が雨あられと鋼の巨牛に降り掛かり、電光石火の速さでラヴァは鎧の戦士の光弾を
かいくぐって爪を振るう。
巨牛の振るう鋏のような爪は、幻舞のような美夕の動きに触れることもできず空を切る。
光弾が掠めることを厭わず踏み込むラヴァの爪は、盾で凌ぐには追いつかない。
『ここは我慢くらべよ・・・先に音を上げた方が負け』
美夕は侵食してくる鈍い痛みを、つとめて顔に出すことなく熱波の旋律を奏で続ける。
>454
オーフェンvsレイオット
『顕ッ!!』
という、かけ声とともに突如、地面が爆発でもあったかのように弾け飛んだ。
そして、その中心地にいた鎧が地面と同様に吹き飛び、宙を舞う。
(自分もろとも地面を吹き飛ばして脱出したのか!?)
相手のとっさの判断に驚嘆し、一瞬動きが止まる。
だが、次の瞬間には相手を迎撃すべく魔術の構成を編む。
そして、空中を舞う相手に向けて魔術を放つ。
「我導くは死呼ぶ椋鳥!」
破壊振動波が、鎧の頭部目掛けて突き進む。
(頭にんなものかぶっていて、これを食らったらさすがに気絶するだろ)
《涙、果つることなく〜ガロン vs 弓塚さつき(死徒27祖)》
>435
(トリップ判定:D>E、わたしの負け)
噴きつける熱風、目前に迫った猛炎。
そこにある、視えない何かを、枯渇させ―――――
―――なんて、圧倒的。
こんなに近くで見るまでわからないなんて。
見ることなんてしなくてもわかっていたのに。
なんで、今まで気がつかなかったんだろう。
わたしのセカイが、為す術も無く破壊され、
わたしのカラダが、瞬く間に焼き尽くされていく。
ああ、カラダが灼けるっていうコトは、
アツイんじゃなくって、イタイんだ―――
何故か、口元が勝手に微笑みを浮かべてしまう。
これでまた一つ、貴方に近づけたね。
志貴、くん―――――
吸血大殲28章『仄き鮮血の舞踏』
闘争のインデックスだ。
>43 オーフェン&鏡花VSシグマ「我が魂屠れ来訪者」
>77 オーフェン VS ぺトレスク神父 の纏めです。
>164 サカキ VS ガンスリンガー 『銃士、双月の下』
>176 鈴鹿御前 vs アルカード(M)
>182 アーカードVS遠野志貴@死徒
>186 レイオット・スタインバーグvs『復讐騎』エンハウンス
>216 ユージン VS バイロン(ブルーソルジャー)
murderer is in the world without redemption 〜cage〜
>243 クロウvs祁答院マコト(M)「朧月夜」
>270 トニー・レッドグレイブvs雷泥・ザ・ブレード
>293 ジェニー・バートリー VS ペトレスク神父
>340 ロゼット&クロノ VS レッドアリーマー
『紅の闘志』『DEMON,S CRUSEIDE』
>355 遠野秋葉vsアセルス
>405 ◆ロゼット・クリストファ&クロノ&アズマリアvsモリペス・オクティペス◆
『仄暗い海の底から』
>436 ヴェドゴニアVS仮面ライダーアギト
>449 アルカード(M)vsモリガン・アーンスランド(M) 『月下、狂艶』
>453 ヤハベvsフィオ『LA SALIDA DEL SOL』
次スレ
吸血大殲29章「流血の驟雨」
http://cocoa.2ch.net/test/read.cgi/charaneta/1024151370/
>452 片倉優樹/遠野四季 殺人鬼側導入
血の海の中央に佇むは一人の青年。
街灯の明かりに照らされる青年の表情は、光によって生まれた影のせいで、見ることは適わない。
ただ、影の奧でギラギラと光る真紅の瞳だけは、青年を呼び止めた少女へと向けられている。
青年はまず簡潔な自己紹介を始めた。
少女――片倉優樹は名前を名乗ったのに、自分が名乗らないのは失礼だと思ったからである。
「オレの名は――――」
青年は“殺人鬼”と名乗った。本当はちゃんとした自分の名前があるのだが、
それはある男に奪われてしまったらしい。
そいつを殺し、自分を取り戻すことが当面の生き甲斐だと、殺人鬼は言った。
そして、最後に一言。
「――おまえ……髪の毛、綺麗だな」
と、優しく言った。
少女の髪の色は殺人鬼と同じ白だが、彼の灰色に近い白と比べ、少女の白は銀色に近い。
月明かりに照らされたその髪は、まるで宝石のようだ。
殺人鬼は知らない。少女が放った言葉の意味を。少女の瞳に写る憐れみの意味を。
ただ、殺人鬼にも一つだけ決意がある。美しい者を見たときは、いつも必ず憶える想い。
この女は、殺そう――――
遠野四季vs片倉優樹途中経過
>452>460
オーフェンvsレイオット
>457
小規模とはいえ、人ひとりを浮かび上がられるだけの衝撃波だ。
それを至近距離で喰らった為に、ほんの一瞬――宙を舞ったまま、レイオットの意識が空白になる。
それは、瞬き一回にも満たないほどの一瞬。だが――
「――我導くは死呼ぶ椋鳥!」
男の声。呪文だ。だが、体勢は今だ崩れたまま。
身体が中にあるために、回避行動を取ることすら出来ない。
このままでは――
「―――――!」
直撃だ……と判断した瞬間、レイオットは咄嗟に無音詠唱していた。
重量十数kgにも及ぶスタッフを片手で男に向かい振り上げ、
「イグジスト!」
そのまま<デフィレイド>を発動させる。
タイミングをほぼ同じくして男の放った破壊振動波が展開された力場面に直撃。
そのまま拡散、無力化させる。その間にレイオットは空中で身を捻り――そのまま体勢を立て直していた。
鎧を着込んでいるとは思えない滑らかな動作で着地。
そのまま――仮面の内側で笑みを浮かべつつ、レイオットは男に向けて向き直る。
オーフェンvsレイオット(>462 修正)
>457
小規模とはいえ、人ひとりを浮かび上がられるだけの衝撃波だ。
それを至近距離で喰らった為に、ほんの一瞬――宙を舞ったまま、レイオットの意識が空白になる。
それは、瞬き一回にも満たないほどの一瞬。だが――
「――我導くは死呼ぶ椋鳥!」
男の声。呪文だ。だが、体勢は今だ崩れたまま。
身体が中にあるために、回避行動を取ることすら出来ない。
このままでは――
「―――――!」
直撃だ……と判断した瞬間、レイオットは咄嗟に無音詠唱していた。
重量十数kgにも及ぶスタッフを片手で男に向かい振り上げ、
「イグジスト!」
そのまま<デフィレイド>を発動させる。
タイミングをほぼ同じくして男の放った破壊振動波が展開された力場面に直撃。
そのまま拡散、無力化させる。その間にレイオットは空中で身を捻り――そのまま体勢を立て直していた。
鎧を着込んでいるとは思えない滑らかな動作で着地。
そのまま――仮面の内側に笑みを浮かべつつ、男に向けて一気に走り出した。
>438 遠野志貴 vs 邑輝一貴(M) 「銀と蒼」
低く跳んだ勢いそのままを利用し、低い体勢で邑輝に足払いをかける。
仰向けに倒れる邑輝。
俺はナイフに飛びつき、引き抜いた。同時に邑輝の身体の『線』を視る。
前腕部に、一筋の『線』。
倒れた時に背中を強く打ったのか、邑輝の反応がない。
――――俺は躊躇無く。
その『線』にナイフを走らせ。
左腕の前腕部を『切り』、未来永劫にわたって邑輝から左手を奪った。
後に跳びすさり、俺は邑輝の様子をうかがった。
「――はあ」
息が漏れ、緊張に身体がこわばっていることがわかる。
俺自身が、やってしまったことに。
>463
『イグジスト!』
鎧の叫びとともに、波打つ空間が展開され、それに破壊振動波が直撃し、霧散する。
そして、その波打つ空間は、そのままこちらに向かい突き進む。
(なんだと!?)
とっさに身をひねりかわしたが、無理な動きでバランスが大きく崩れる。
(―――っやばい!)
それは、再び体勢を整えるまでの、本当にわずかな時間のことだった。
だが、体勢を整え。
着地した相手のほうを構えを取りつつ向くまでのわずかな時間、空白が生まれた。
そして相手は、それを見過ごすほど愚かではなかった。
鎧が着地したと思われる場所に目を向ける。
すでに、そこには鎧の姿は無く。
―――魔術を使う暇など無いくらいの距離に、鎧は迫ってきていた。
遠野志貴 vs 邑輝一貴(M) 「銀と蒼」 途中経過
>218>245>321>322>323>364>407>438>464
……もう少し、もう少しなんだ!
絶対に、こいつを止める。
下賎な温血者(ウォーム)ども、我らの闘争を一時纏めて置いてやったぞ。
では、次スレにて会おう。
Nameless Kresnik vs Count Vardalek
“The Party Of The Children Of Night”
>248 >249 >250 >251 >252 >253 >284 >285 >288 >291 >294 >297
>302 >314 >317 >325 >328 >329 >342 >343 >346 >348 >349 >359
>360 >394 >398 >406 >409 >423 >450 >455
吸血姫美夕vs仮面ライダーゾルダ 〜エイエンハドコニアルノ
<今スレ分まとめ>
>366 >367 >368 >369 >370 >371 >372 >373 >388 >391 >392
>395 >397 >400 >403 >437 >456
戦わなければ、生き残れない・・・か。ふふ。
>456
吸血姫美夕vs仮面ライダーゾルダ
「ぐわぁ!」
2人のコンビネーションに対処しきれず、ゾルダは男の爪をまともに受けてしまう
慌てて、マグナバイザーを乱射するが男の動きは美夕よりも速い
何とか距離をあけ、体勢を整えたいのだがなかなか許してくれない。
銃弾では止められないと判断したのか、ゾルダはまた新たな武器を召喚する
『ストライクベント』
ゾルダの右腕に猛牛の角状の武器が装着される
「パワーなら俺の方が上だ!」
ゾルダは男の爪を受けとめると、そのまま弾き返しさらに一撃を与えようとするが
スピードは相手が上のため、かすりもしない。
(このままでは・・・埒があかないな)
ふらつく足取りでゾルダは考える。
もはや打つ手はアレしかない・・・しかしこの状態では使えない
アレは文字通り最期の切り札だからだ。
(せめて、わずかでもこいつらの注意がそれてくれれば・・・)
ゾルダが祈るような心境になったそのとき
不気味な咆哮と共にモンスターのもう一匹が出現ずるのが彼の視界に入った
そいつは手にした槍を振りかざすとまっすぐに美夕の方へと突進していこうとしている。
(俺は余程ツイているらしいな・・・・)
涙、果つることなく〜ガロン vs 弓塚さつき(死徒27祖)
エピローグ
>458
歪んだ世界を貫いて、轟炎が彼女を包む。
浄化の炎の中で、彼女は微笑を浮かべながら、
その体は灰へと戻っていく。
その時、俺の耳は彼女の今際の際の言葉を捕らえた。
そう、ただ一言。だが、それだけに重い言葉。
シキ―――
そうか、それがお前が想ってやまなかった、ヒトの名か・・・・・・
俺とは大違いだな―――自嘲をこめて笑う。
俺は全てを捨てた。そう、あの時も―――
想いを寄せた彼女をも、俺は捨てたのだ。
その時点で―――俺はヒトでも魔物でもなくなったのかもしれん。
闘い続けるのが俺の運命というのなら、せめて勝利で染めてやろう。
それが―――俺に出来る、せめてもの強がりだから―――
Fin
『伯林の紅い雨』〜ベルガー&ヘイゼルvs天草四郎時貞
今章でのレス番纏めじゃ
導入
>257 >258
闘争
>269 >274 >276 >278 >335 >336 >337
>337 >374 >375 >376 >377
続きは次章にて・・・・・・
私としたことが…、レス番指定を間違えていたようですね…。
◆ロゼット・クリストファ&クロノ&アズマリアvsモリペス・オクティペス◆
『仄暗い海の底から』
導入:>345
>347>350>351>353>356>357>358>361>393>396>399>401>402
エピローグ:>404
…人間の、言う『ホラー映画』のような終わりになりましたね…。
Nameless Kresnik vs Count Vardalek
“The Party Of The Children Of Night”
>450
「……減らず口はイイ加減にしとけよ、このクソ馬鹿が――
テメエ等を主が愛する? バカ力と頑丈さだけが取り得のテメエ等を!?」
その場からでも必殺の突きを送り出せるだろう伯爵は、しかし動かない。刹那の意識の空白
は、二筋の閃光の侵入を許した。
弓手から逆風。馬手から袈裟。世で最速の獣をして尚速い、黒い閃光が二つ。
出鱈目を通り越した、姿さえ霞む兜割と逆袈裟――型も構えも素人に毛が生えた程度だが、
吸血鬼の膂力はその一撃を必殺と変える。
――フェイント。
その思考は、0.05秒ばかり遅い。
二つの悪意は、既に体を舐めんばかりに接近している。
膂力で打ち合うは愚考。
青年は柄に右手を添え、全身を風と変えて弓手の吸血鬼へと踏み出した。
跳ね上がるレイピアの内側へと潜り込み、鞘ごと柄を突き出して正面の吸血鬼の鼻を潰す。無様に
怯んだ所に背を向けて、その場で反転して抜刀。肉を立つ音も無く、冗談の様な鋭利さで吸血鬼の胴が
両断される。
さらに反転。青年の袈裟懸けの一撃が、鼻を抑える吸血鬼の耳上から侵入。口から首、胸から脇腹へ
と刃は抜け、湯気を上げる臓物が一気に漏れ出した。
「……の糞馬鹿共がぁ……汚ねえ血ィ付けやがって――」
純白の法衣を斑に主で染め、青年は笑いながら瞳に嚇怒を宿した。
鞘に帰る事も無く翻る白刃が、消え行く炎の煌きを映し込んで踊る。
驚愕に沸く吸血鬼達へと嘲笑を送り、青年は再び白い風となる。
鮮血の颶風が吹き荒れた。驚愕と恐慌の中、統制を失った吸血鬼達の群は、ヘンツォーを除く悉くが
血肉の塊となって散って行く。
茎に退魔の九字を彫り抜いた古刀は、退魔の意思を持って打ち上げられた破邪の剣。
瞬き数度の内に同輩を悉く失ったヘンツォーへと向き直り、青年は何処までも冷たい瞳で睥睨した。
「――全く――哀れだな。お前達は結局、何も解っちゃいなかったんだ。
主の愛を理解出来なかったお前達は最初から生きている意味なんて無かった。
……狂夢の終焉だぜ、ゴミ共。主の御名に於いて、テメエ等は一人残さず裁き尽くしてやる」