吸血大殲27夜 ――Lunatic Dance――

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緑川淳司&花村雅香 VS 弓塚さつき(27祖)
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 妙な二人組み。
 この状態でわたしが睨めば、大抵の素面の人間は逃げ出すと言うのに。
 
―――キニイラナイ
 
 特に女のほう。
 ただの人間の癖に、わたしに牙を剥くなんて。
 
 べきっ、という音。
 知らず知らずのうちに力が入っていたようだ。
 手の中の男の腕が、おかしな方向に曲がっている。
 
 更に続く相手の言葉に視線を上げると、目前に迫っている小瓶。
 男の身体を盾にして、正体不明のソレから身を守る。
 しかし、予想に反してソレは割れただけ。
 燃えたりとか、爆発したりとか、そう言うことは一切ない。
 そのまま男を投げ捨てて、いつの間にか姿を消した二人を探す。
 
―――いた。わたしに背を向けて逃げ出す二人組み。
  逃がさない、わたしの食事の邪魔を―――
 
「何!? この臭い……」
 
 吸血鬼になってから、幾度となく感じた不快感。
 それがニンニクのものだと気づいたときには、物凄い嫌悪感を抱いた。
 その感情は今でも変わることなく、わたしの中に根付いている。
 
 もう既に視界から消えようとする二人を追いかける。
 人間風情がわたしを怒らせたことの意味、わからせてやるんだから。