2
勝手に立ててみますた。これで良いでしょうか……
即死回避は50レスくらいでしたっけ?
若虎紅白戦好きなのに忘れてた……dクス。
>>8 40レスか50レスのどっちか(汗)
即死は嫌なのでもう一回カキコ。
保管庫掲示板に選手の現状がまとめてあったので容量増やしがてらはっておきます。
5 名前: 112 投稿日: 2005/01/08(土) 17:41
選手の現状・まとめ1
ドラゴンズ 生存者(158章時点)
福留 荒木と共に井端を追いかけていたが、はぐれてしまう。現在は山本昌・岩瀬と情報交換中。
荒木 福留とはぐれながらも、平井のユニフォームを着た井端を見つけ、追いかけている。
立浪 親友・片岡、後輩・石川の死を乗り越えて、生きなければならないと考えている。落合・柳沢と共に行動中、重傷。
井端 三輪を殺害し緒方・由伸らを襲う。そんな自分に迷いを抱いていたが、平井との出会いによって「誰でもない」存在になる。
渡邉 川相にひたすらついていく。川相の演技に気づいているようだ。由伸から川相と自分を守りきる。
川相 狂った振りをし、怒りや悲しみを抑えながら「蛇の巣」目指して進んでいる。
井上 関川と行動していたが、大西、由伸との交戦を経て一人に。出会った桧山に関川を侮辱され、交戦中。
川上 たどりついた病院で「特別戦」に巻き込まれ、中里に殺意をぶつけられる。正津と共に飛び込んだ海でゴメスに救われ島を離れる。
岩瀬 山本昌と行動中。選手会キャンプを訪れた際に山北に襲われ、右腕と両足に怪我を負う。
正津 病院で「特別戦」に巻き込まれ、川上の勘を信じて海に身を躍らせる。脇腹を負傷しており、ゴメスに救われるが意識不明の状態。
柳沢 野口、川崎の死を目の当たりにして「自分を置いて死なれること」を極端に恐れている。落合、立浪と共に行動している。
落合 柳沢、立浪を救い共に行動している。霊感があり、様々なモノが見えている。
山本昌 岩瀬と共に行動中。多くの選手に出会い、手をさしのべる辺りはさすがにエース。それでも内心はかなり疲れている。
小笠原 英智と共に行動中。尊敬していた川上が探知機に表示されないことを知り、探している。
英智 桧山との二回の交戦を経て、小笠原と共に行動中。平松の死体から探知機を見つけ、川上を捜す。
中里 ライバルを殺し、エースの座を手に入れようとしている。岩本・前田章・高橋聡を殺したが、3度目の黒木との交戦で絶体絶命。
6 名前: 112 投稿日: 2005/01/08(土) 19:30
現状・まとめ2
ドラゴンズ 死亡者(158章現在)
高橋光 スタート直後、オーナー側に脅されて仮面を付けられたところを片岡に射殺される。
森野 川相と別れた後、疑心暗鬼に陥った大西に出会い、銃を奪われ射殺される。
岡本 朝倉の死を看取った後、スタート地点の廃校に仕掛けられた高圧電流のトラップにかかって死亡。
平松 巨人へのトレードを条件にオーナー側につき、川崎を殺すが用済みとされ首輪を爆破される。
紀藤 「特別戦」に巻き込まれ負傷した黒木を助けるが、当の黒木によって射殺される。
朝倉 選手会との戦いを拒み、岡本に形見のロケットを託して自殺、同時に首輪を爆破される
久本 山北によって射殺される。
川崎 野口の死を見て柳沢と行動。オーナー側についた平松に射殺される。その魂は残された柳沢を案じて彷徨っているようだ。
関川 ライバルを殺してレギュラーを奪い返そうとしていたが、偽悪だったようだ。井上を庇って由伸に撲殺される。
谷繁 かつてのチームメート、石井琢郎と交戦するがとどめを刺せず。石井の危機だと判断したデニーに射殺される。
石川 負傷した立浪を守ることで大きく成長。立浪を庇って山北に刺殺される。
幕田 一人マクー空間を展開していたが、オーナーの仕込んだ特別支給品でトランス。山北と相打ちに。
平井 三輪の死体を海まで運んだところで井端と出会い、彼の罪や迷いを引き受け、井端に撃たれて崖下へ。
土谷 外野のポジションを得るため、関川を襲うが返り討ちにあい銃殺される。
野口 全幅の信頼を置いていた中村に出会い、戦うことが出来ずに首輪を爆破される。魂は柳沢の側で彷徨っている。
山北 殺しを楽しむ魔物と化し、久本と石川を殺害し立浪、岩瀬を傷つける。豹変した幕田と戦い相打ちに。
前田章 紀藤と二人のんきに過ごしていたが、「特別戦」に巻き込まれ、中里に惨殺される。
大西 平松に襲われたことから疑心に陥り、片岡と森野を殺害。死の瞬間まで何も信じなかった。
高橋聡 迷い込んだ病院で「特別戦」に巻き込まれ、水口を銃殺。中里と交戦し刺殺されるが、その怨念が中里を追い込むことに…。
長峰 傷心の黒木を見つけ銃撃するが、逆に銃を奪われて銃殺される。
7 名前: 112 投稿日: 2005/01/08(土) 20:09
現状・まとめ3
選手会 生存者(158章時点)
古田 選手会キャンプで中村・清原と打ち合わせ中。山本昌以外のドラゴンズ選手にはまだ未遭遇。
清原 立浪の説得を試みるも失敗、後輩の片岡を死なせてしまう。
緒方 高木のハッタリ(選手会役員の体内に爆弾)を信じ、殺人衝動操作を受け、槌を持ってキャンプを出る。
高木 西武オーナー・堤の指示を受け、選手会を中から潰す役目を果たす。緒方・桧山に殺人衝動を植え付ける。
桧山 英智を殺すことに執着していた。無線機による殺人衝動操作にかかり、松中を殺害。井上に攻撃をかける。
小久保 由伸と行動していたが考え方の違いから別行動。キャンプに戻る途中で桧山に松中を殺される。今岡と共に新キャンプに向かっている。
黒木 岩本を殺されたことにより豹変。繊細な性格が災いして不安定な精神状態に。長峰と紀藤を殺し、中里を追いつめたが…
高橋由 オーナーを殺すことを目標とし、邪魔する者は殺す、という考えで動いている。オーナーに与する佐伯と交戦、重傷を負い武器をなくすが逃走に成功。
佐伯 砂原の推薦によりナベツネの指示下にある。石井を射殺したが、それが原因で砂原から切り捨てられ、その現場を由伸に目撃される。報われないのは現実と同じか。
今岡 オーナーの仕掛けに気づき、正常な思考をとりもどす。豹変した桧山を目の当たりにしながら、それでも桧山を信じている。
中村 佐伯の要請により島へ。ドラゴンズの選手の説得が目的だったが果たせず、野口を目の前で死なせてしまう。あとから島に来たせいか、冷静な物の見方が出来るようだ。
即死防止カキコ。
仲澤と中里が気になる今日この頃。
8 名前: 112 投稿日: 2005/01/08(土) 20:29
まとめ・4
選手会 死亡者(158章時点)
石井 谷繁を説得しようとするが、果たせず。
友を射殺したデニーにわだかまりを抱いていたが、それが晴れたところで佐伯に射殺される。
岩本 黒木を励まし、共に行動していた。仲間を殺してエースになろうとした中里に射殺される。
死に目を井端に看取られ、黒木への伝言を託した。
片岡 高橋光を殺し、石川を銃撃したが立浪に体を張って止められる。清原と離れた隙に大西に銃殺された。
水口 井上・関川と交戦した後、黒木と共に特別戦の行われる病院へ侵入。高橋聡の襲撃にあって銃殺される。
デニー 谷繁を銃殺したが、そのことを引きずって後悔していた。
石井と話しわだかまりが解けるが、その直後にペットボトルの水に仕込まれていた青酸カリにより死亡。
三輪 選手会最初の死者。井端に襲われ、抵抗もせずに銃殺される。死後、本拠地神戸を彷彿とさせる海辺へ運ばれた。
松中 中村に励まされ、尊敬する小久保の危機を救う。
その後小久保と二人キャンプに戻る途中で豹変した桧山を止めようとして射殺される。
10 名前: 112 投稿日: 2005/01/09(日) 00:18
まとめ5 オーナーほか
ナベツネ 全ての黒幕。中日の衰退と古田の死を望んで暗躍している。
このバトロワは近鉄とオリックスのバトロワのためのデモンストレーションのようだ。
白井 ナベツネの指示のままにバトロワを実行するが、自チームの選手を助けたいと思い、
西川に指示して助っ人を呼ぶ。それがばれて殺される。
堤 ナベツネを追い落として球界の盟主になることをもくろんでいる。
高木を使って選手会を内側から崩そうとしている。
宮内 堤と組んでナベツネの追い落としを図っている。現在はナベツネのお守り。
バトロワのシステムはこの人が握っているようだ。
砂原 急遽「解説」として呼び出され、佐伯が自分の思う動きをしていないことを知って切り捨てる。
松田経由で脱出を落合に依頼したが、その真意は…?
松田 紀藤と緒方を巻き込まれたことからナベツネに反抗。武器を提供したり、砂原の伝言を落合に伝えたりしている。
堀江(?) バトロワのシステムに密かに進入。いつでもその制御を奪い取れる状態にしている。
西川 白井の指示により助っ人を呼ぶが、そのため監禁されている。
落合 ナゴヤドームにとらわれていたが脱出。松田から武器と情報を受け取り、都内某ホテルのバトロワ本部へ向かっている。
ゴメス 西川の要請によりドラゴンズ選手を助けにいく。島にたどり着き、川上と正津を救う。
中澤ら2軍選手17人 ナゴヤドームにとらわれていたが脱出。名古屋港で軍艦を奪取し、島に向かっている。
島が見えてきたところでオーナー側の船(日テレのカメラ付き)に追いつかれ、
一人だけを殺す「バトルロワイアル・ネガ」に巻き込まれている―
自分ばっかりレスしててスンマセン○| ̄|_
あとは今夜中に4-50レスいけば即死はないかな。
捕手ー
>>17 今までのおさらいができて良かったですよ。
ありがd
20 :
112:05/01/19 18:46:54 ID:OKSpJ4jJ0
>1
乙です。
地図と選手の現在位置が決まり次第次スレを、と思ってましたが
立て直してくださったんですね。
ありがとうございます。
即死回避カキコ。
>>1さん乙です!
生存者も約半分か・・・
即死回避。>1乙。
ネタスレ受難の時代に生き残れるか…。
>1さん乙です!
>>1さん乙
いつの間に落ちてたんだ(´・ω・`)
>>1さんありがとうございます!
職人さん、楽しみにしています。
ほっしゅ
落ちてたの知らなカタヨー
>1さん乙ですよ!
>1さん乙です。
即死だけは回避したいなー。
32 :
358:05/01/19 22:54:49 ID:tUBsYoEO0
>>1 乙です。
自分も保管庫でちゃんとおさらいして続き考えないと
>1さん乙!
あと112さん、358さん、その他の職人さんも乙です。
応援してるのでがんがってください。
それまで保守!
即死回避支援
ageてみる。
…つーか40-50までって、今夜中に行かないと即死?
6時間以内に40-50つかないと即死なのか、最後のレスから6時間レスがないと
即死なのかどっち?
前スレは222まで取得してあるがどこまでいったんだろう?
>>35 後者(40or50レスいくまでは、最後のレスから6時間レスがないと即死)ではなかろうか。
予測でスマン。ホシュということで。
>>37 分かった。1から6時間立ったしきっと後者だね、サンクス
>>36 一応保管庫に最新までうpされてるよ
40 :
126:05/01/20 00:37:52 ID:vtEq4QYh0
>1さん乙です
ネタスレには厳しい規制がかけられてる現状ですが、
せっかく立ててもらったスレなので無駄にしないようにがんばります。
てことでまずは保守。
ドラバト復活待ってました!
てなわけで保守
制限厳しいな
寝る前に落ちるな保守
寝る前に捕手
支援
保守がてら今までの話の中で特に好きなキャラを挙げてみる。
怖いの以外は皆好きだけど(←)、絞るならドラで関川、選手会で松中かな。
生存者限定なら中村。
ほっす
おはよう捕手
>>45 他球団ファソだからあんまり知らなかったけど、ここ見て石川が好きになりますた。
職場からコソーリ捕手
ヨイショ
50
捕手
これで即死は免れたかな?
一応捕手
不安なので保守
56 :
代打名無し@実況は実況板で:05/01/21 23:59:15 ID:r2eoCBB50
野口ガンガレ・落合監督
寝る前に保守
ほすゅ
ホッシャ
不安なので保守
保守
tanisige
ほっしゅ
捕手
65 :
代打名無し@実況は実況板で :05/01/24 22:56:10 ID:uEhuU/MH0
☆ チン
☆ チン 〃 ∧_∧ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
ヽ ___\(\ ・∀・) < フカーツマダー?
\_/⊂ ⊂_ ) \_______
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ /|
| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄| |
| CDBR |/
20時間近く放置されてたが大丈夫だったな。
職人さん達、気長にがんがって下さい。
てことで捕手だゴルァ!!
45みたく保守がてら好きなキャラ書いてみる。
中日なら山本昌と岩瀬、選手会なら今岡。
あと死んでしまったが石川。
石川の話はマジで泣いた。
じゃあ俺も捕手しつつ好きキャラage
中日・・・川相(がんがれ超がんがれ)、正津(ちゃんと生きてる?)、落合英(威風堂々)
選手会・・・黒木(エースとは何かを語るくだりがかっこよかった)
松田オーナーとピーコもなんかツボw
>>69 選手は皆気になってしまうんで誰が好きかは決められん。
なんで、オーナー組のピーコ達が同じく気になる。
俺も保守がてら好きキャラを。
中日なら山本昌と岩瀬。
選手会なら黒木と死んでしまったが岩本。
動向が気になるのは川相・佐伯・今岡と脱出した憲伸・正津。
あと中里は2002の時といい悪役が妙に似合う気が。
>>68 俺も本気で泣けた。
現実のほうはべつに好きでも嫌いでもないけど
このドラバトの中の清原は好きだ、かっこよすぎる
73 :
45:05/01/28 23:03:03 ID:+Pd6SSM20
おおなんか感想が盛り上がってる(゚∀゚)
>>68 石川の時もめちゃめちゃ辛かったけど、関さんの時も辛くて泣いたんだよね。
他にも例えば形見を託された岡本の死も辛かったな。
でも、そのおかげで川上達が助かったんだもんな、(つД`)
先は一つだけあげるなら井上vs桧山が気になる。
関さんの為にも井上には生き残って欲しいし、今岡の気持ちを考えると
再会するまでは桧山にも生きていて欲しい気するし。
でも普通に考えて、やっぱりどちらかは死ぬのかなぁ・・・ヽ(`Д´)ノ ウワァァン
74 :
68:05/01/29 01:29:37 ID:7VhFl0bRO
石川の話は結構同意見多いね。
職人さんが投下するまでただ保守すんのも何だから
保守がてら感想語るのも手だな。
>>73 実はのぐちんが死んだ時も泣きますた。
関さんの時も泣いたし、岡本が死んだ時も泣いてしまた…。
誰かが死んで誰かが助かるなんて…泣ける。
確かに井上vs桧山気になるな。
出来れば二人共死なずにいてほすぃが…
無理なんだろうな。(つД`)
桧山は元に戻れるのかなぁ。
75 :
代打名無し@実況は実況板で:05/01/29 12:32:35 ID:bEFZp6JHO
山山
漏れは井端、三輪、平井の流れが最強だと思った
>>76 ドウーイ
俺は平井の「中日の頼れる選手会長井端弘和は〜」のくだりで、背中がゾクゾクした。
そんな自分が好きなのは井端、平井、三輪、落合英、松田元オーナー、岩瀬、川上、黒木、関川。
後、川崎と水口、中村さんかな。
全部の話が心に残ってるけど、その中でも特に残ってるのが、
『エゴイスト』、『儀式』、『心の傷』、『偽悪の末に』、『優しさは死なない』、『猛牛魂』、『会えて良かった』、『野口と川崎』。
これからどうなっていくのかが楽しみであり、怖いなぁ・・・・。
職人さん、頑張ってくださいね。応援してます!
松中を失った小久保と、桧山に去られた今岡の下りもよかったな。
昌と岩瀬のコンビも好き。
>>76 禿同。
『儀式』は読んでて鳥肌が立った。
三輪さんを殺したことにそんな伏線があったとは…って感じだ。
エースの定義を読んだ時も鳥肌もんだったが。
職人さんがんがれ。
80 :
623:05/01/30 09:37:01 ID:FFJpk0EQ0
159.殺せなかった自分
「井端さん…?」
荒木は視界から消えてしまった背番号36を再び見つけることができず、林の中で途方に暮れていた。
茂みに引っかかってしまったユニフォームに気を取られている間に、すっかり見失ってしまったのだ。
「井端さん…井端さんどこです!!?井端さんっ!!!」
「いいかげんにしろ、荒木!」
敵に見つかる危険も省みず大声を上げ始めた荒木を制したのは、確かに荒木がずっと追い続けた
人物の声だった。
だが相変わらず姿を見ることは叶わない。
「井端さん!どこです?何故逃げたりするんですか!?」
「その名はもう捨てた。お前こそ、なぜ追ってくる?」
冷ややかなその声音にも、荒木はめげる事なく言葉を紡いでいく。
「心配だからです!決まっているでしょう!?」
「…心配されるべきなのは俺じゃない。俺の目の前に現れる奴だ…例えば……」
その言葉と共に荒木の目の前にひとつの影が現れる。
それを知覚する間もなく荒木は地面に引き倒されていた。
「次に殺されるのはおまえかもしれないぞ。2人殺すのも、3人殺すのも一緒だ…」
急に引き倒された驚きと向けられた銃口に一瞬だけ息を呑んだ荒木だったが、次の瞬間には
逆に目の前の人物に掴みかかり、伝えたかった言葉をぶつけていく。
「井端さんにそんなことができるはずありません!そんなことをして平気な人でもありません!」
「勝手に…「それに…それに俺は昌さんたちと約束したんです。人殺しじゃなくて、
もっと別の俺にできることをやるんだって!!」」
「……」
「それなのに今までは自分の無力さを思い知ることしかできなかった…だからあなたを助けたい!
俺は自分で言った言葉を、約束を果たせないままで終わりたくなんてないんです!!」
「約束か……」
81 :
623:05/01/30 09:38:01 ID:FFJpk0EQ0
井端は荒木の言葉に、ふいにポケットに手を忍ばせた。その手に1枚の板ガムが触れる。
―あれは約束なんてものじゃなかった。
ただ岩本の死に際にたまたま立ち会っただけだ。言葉を交わして、ガムを受け取って…
そこまで思い返して、井端はひとつの違和感を覚えた。
このガムを、黒木への遺言を岩本から託されたのは“自分”殺しの前。
そう、あの場にいて岩本の言葉を聞いたのは井端弘和という人間ではなかったか?
『だったら、俺にはもう関係の無い話のはずだ…』
だが井端には、このガムを捨ててしまうことはできそうもなかった。
岩本が託した言葉を脳裏から消し去ってしまうことも。
「荒木…俺は一体誰なんだ?」
その問いは井端としても無意識に発したものだったのだろう…
自分で自分の発した言葉に驚いたかのように視線を彷徨わせたかと思うと
荒木の視線から逃れるかのように井端は目を閉ざしてしまった。
だが荒木は、その問いの重要さを理解したかのようにひとつ息を呑むとまっすぐ井端を見つめ
淀みなくこう答えた。
「あなたは中日ドラゴンズの選手会長、俺が尊敬する井端弘和さんです。」と。
「……そうか」
荒木のその言葉に井端は自分自身を完全には殺しきれなかったことを悟らされた。
罪を犯した井端弘和は、確かにまだここに生きているのだと。
だが井端の胸に三輪の遺体と再会したときに感じた、理不尽な怒りや焦燥が湧いてくることは無い。
代わりに言い知れぬ悲しみと純粋な後悔の念が押し寄せ、涙となって井端の頬を濡らしていた。
平井が黄泉の国へ連れていってくれたもの―それは井端の罪そのものではなく
犯した罪の重さに目を背け続けていた井端の弱さだったのかもしれない……
その証拠に涙を拭い顔をあげた井端の目には、ついに平井が見出すことができなかった
いつもの輝きが戻っていた。
『罪は自分自身の手で償うものだよな……その為になら俺は俺のままでいてもいいはずだ。
そうだろ?平井……』
82 :
623:05/01/30 09:38:24 ID:FFJpk0EQ0
「荒木……探しにいくか?」
「何をです?」
井端は荒木が起き上がるのに手を貸してやりながら、しばし言葉を捜すかのように黙っていたが、
次の瞬間には顔をあげ今度はしっかりと荒木を見据えて答えていた。
「人殺しじゃなく、もっと別の俺達にできることってやつをさ。」
その言葉を受けて荒木の顔によろこびが溢れていく。
「はい…行きましょう!井端さん。」
「だから、大声をあげるなよ…ったく、お前は小学生かっつーの。」
「す、すみません……」
思わぬ小言を受けて、大きな身体を縮込ませて恐縮する荒木の様子を見て
井端は堪えきれず数日ぶりの笑い声をあげていた。
【残り16人・選手会11人】
投下、キタ━━━(゚Д(○=(゚∀゚)=○)Д゚)━━━!!
井端良かったー
荒木もかっこいいよ!
>平井がヨミに連れてった…
のくだり、めちゃゾクゾクした
職人サン、マジ乙です!!!
ヽ[^_^]人[ー。ー]ノキテタ━━━!!
この続き待ってたんだー!職人さん乙です。
荒木はほんとに小学生みたいだ。って、前にそんなレスがあったような気がする。
アライバの話、キタ━━━(゚∀゚)━━━!!!!!
職人さん乙です。
会長に笑顔も戻ってきた…
この二人、今後の動きが気になるよ。
何か重要な役目を果たしてくれそうだ。
新作キタ━━━━(゚∀゚)━━━━ !!!!!
ガムの話、ずっと気になってたんだが、やっぱり1つの鍵になったなあ。
井端はこのまま完全に殺人鬼と化すか・・・と思ってたがいい意味で期待を裏切ってくれた。会長ー!
荒木がカッコよかったがそれ以上に元に戻すきっかけを作った平井に改めてぐっときて、あのシーンを読み返してしまった。
>>85に禿同。
「できること」が何なのかが・・・気になる。
待っていた甲斐があった!
職人さん乙です!!
新作キタ━━━(゚∀゚)━━━!!!
荒木は良い意味でも悪い意味でも子供だなw
ホシュ
捕手
会長立ち直ったぞ保守
保守
よく持ったな、保守
職人さん乙です!
井端がいい人に戻ってよかったー。
ほんとに完全に立ち直ったかな?とかかんぐってしまうけどね。
一度背負った十字架はなかなか下ろせるものではないし…
イヤ、立ち直ってほしいけどさ。
>>94 お!なんか深読み意見だなw
でもその意見も分からんでもないな。
ほっしゅ
ほす
ほすりますね
いったん上げます
ホシュ
桧山が気になるホシュ
昨日、少し読み直してて思ったんだが、
このバトロワって他チームのバトロワと違って、
本来ならチームメイト同士で戦う必要ねえんだよな。
そう、ふと思った。
でもチームメイト同士、選手会同士で戦う方が多い気がする・・・
104 :
358:05/02/06 02:31:09 ID:GuG9t8PH0
60,分岐
ぼそぼそという陰鬱な声が止むと、急に柳沢の背後にある二つの光が、
やけに暗くなった。落合は、魂が遠ざかったのかと目をこらしたが、即座に後ずさった。
(違う、これは……いけない)
ちょうどそこで柳沢が顔を上げたが、視線がぶつかってしまった立浪は鳥肌を立てた。
「そうだ……」
ゆらりと立ち上がったその姿を、黒ずんだ霞のようなものが覆っている。
咄嗟に、落合は腕をあげて身構えた。足の震えが止まらない。異様な気が柳沢から放たれているのだ。
「みんな、一緒に死ねばいいんだ…」
「柳沢――」
「一緒だったら、怖くないですよね」
口だけが引きつった笑みをたたえ、不気味な表情を形成していた。
陽炎のようにゆれる黒い霞に意識を集中すると、誰の物ともつかない呻き声が混じり合い、
耳の奥で気持ち悪く鳴り響く。頭痛がしてくる。あわてて首を振り、音を払った。
(無理だ、自分一人では到底……祓えない)
「よせ!」
立浪の声で我に返ったとき、柳沢は落合のナップザックを物色していた。
柳沢を取り巻くものに気を取られていたため、荷物に意識がいってなかったのだ。
「やめろ」
後ろから羽交い締めにしようとしたが、無遠慮に振り上げられた左腕が鼻梁を強打し、
その衝撃で数歩よろめいた。
「う……」
「立浪さんだって、そんな怪我しても生きてるの、辛いでしょ」
痛む鼻を手で押さえ見上げた先では、川崎の遺品、ニューナンブが鈍く光っていた。
105 :
358:05/02/06 02:31:37 ID:GuG9t8PH0
「やめるんだ柳沢!」
もう一度、立浪に銃を向ける彼に飛びかかった。しかしその腕を軽く受け流され
今度は右膝が落合のみぞおちを捉えた。叫び声もはき出せないまま、柳沢の
足下に崩れ落ちるしかなかった。躊躇のない全力の攻撃は、まるで落合を仲間どころか
一つの生命とさえ見なしていない風である。
「まず、一番、辛そうな、立浪さん、から、」
一語つぶやくごとに一歩、立浪に向かって近づいていく。地面に腰を下ろしていた立浪は、
立ち上がることもできずに柳沢を呆然と見つめていた。
(このままでは止められない)
痛みで混濁する意識を何とか保ち、目の前にあった自分のナップザックに手を伸ばす。
探るとすぐ、己の支給武器ブローニング・ハイパワーが指先に触れた。
「すぐに、楽に、なり、ます、から」
体勢、距離、標的、撃ってはならない部分……さまざまな事が頭を駆けめぐるが、
柳沢は立浪のすぐ目の前で、銃口を左胸に向け立ち止まった。ためらう余裕はない。
(柳沢、許せ――)
引き金を引くと、轟音と激しい反動が襲いかかってきた。弾丸の行き先を確認するまでに、
ほんの少し間があいた。銃身の向こうにある人影に焦点を合わせると、それは無表情で、
じっと落合を見つめていた。右肩は赤く染まっていた。狙ったとおり右腕に当たったらしいが、
危ないところだ。少し逸れれば顔か首を撃ち抜いていただろう。その事実が、また身震いを起こさせた。
「悪い、こうするしか他に……」
体を起こしながら言いかけた詫びは、柳沢が見せた口だけの笑顔で遮られた。
反射的にまたピストルを彼に向けたが、彼はだらりと腕を下げて言った。
「どうぞ」
力の抜けた手から、銃がすり抜けて落ちた。
106 :
358:05/02/06 02:32:49 ID:GuG9t8PH0
「柳沢……」
「次は、ちゃんと、一発で、終わら、せ、て、下さい、よ」
また一歩一歩、今度は落合に向かって近づいてくる。足を出すたび、黒い霞がふわりと舞った。
「立浪さん、お先に、失礼、しま、す」
至近距離まで来ると、彼は一度振り返って、事態を見守るばかりの立浪に挨拶をした。
「さ、どうぞ」
近づいてみると、否が応でもあの呻き声が聞こえてくる。
しばらく目をつぶって意識を統一した。そして瞼をあげて、落合は言った。
「すまん」
台詞と同時に、下腹部を思い切り殴った。
幸いにもあっさりと、柳沢は意識を失いその場に倒れた。ただ、その禍々しいものは消える気配もない。
――死に向かおうとする、気の滅入ってる奴か
立浪は二人の姿に目をやったまま、何もしゃべれずにいる。
――生きようとする意志のある、重傷を負った奴か
このまま、3人で行くのがもう無理なのはわかっていた。
(どちらについて行けばいいんだ、俺は)
落合は、選択を迫られた。
【残り16人・選手会11人】
柳沢ー!?
やなぎ、やなぎ・・・・・・゚・(つД`)・゚・
職人さん乙です!
ヤバイ…ヤバイよ!
柳沢…ついに壊れましたか。_| ̄|○
落合はどっちか選ぶことになるのか。
柳沢を置いて行ったら…
立浪を置いて行ったら…
あんまり考えたくないな。_| ̄|○
109 :
代打名無し@実況は実況板で :05/02/06 14:52:32 ID:rO6n1FRQ0
やなぎ怖いよやなぎ
ガクブル捕手
初めて来たんですが…凄くいいですね。個人的には井端の話が…。
職人さん、続き期待してます
捕手ー
捕手
ほす
…なにそのアンヴィヴァレンスな状況。英二、生き残って先発してくれ
ホッシャ
ほっしゅ
ほす
120 :
126:05/02/09 23:06:11 ID:iqk4/yKA0
161. 輝ける場所は遠く
血にぬめった己の手から凶器がこぼれ落ちた瞬間、中里の意識を覆ったのは言葉にならない
焦燥、だった。
「……っあ……」
膝で突かれた鳩尾からこみあげるものが、呼吸を詰まらせる。仰向けに倒れた姿勢から上半身を
起こしはしたものの、三たび向けられた銃口を見るや、ざっと血の気が引くのがわかった。
(死ぬ)
比喩でなく、冗談でなく、フィクションでもなく。
死ぬ? こわばった喉の奥で中里は繰り返す。
自分の後方に蹴り飛ばされたメスが、からからと音を立ててどこかにぶつかり、止まった。
まるで最後通告のようだと思った。
目前に在るのは疑いようもなく、死神の姿。その身から放たれる殺気に、体中が粟立つ。
今まで無遠慮にまき散らしていた殺意を、自らが浴びる羽目になって初めて、中里は死への
恐怖にかられた。 ── 見栄も矜持もかかわりなくただ、怖かった。
── お前を殺す、と、死神が呟く。
(いやだ)
わななくばかりの唇から、意味のない呻きがこぼれる。
いやだいやだいやだ、死にたくない、死にたくない!!
本能からの衝動だった。床についた左手を反動に、中里は立ち上がった ── 否。
立ち上がろうとして、目の前がぐるりと回るのを自覚した。
浮遊感ののち、唐突に訪れる落下。これと同じ感覚を、前にも味わったことがある。
……そう、あれは確か……。
── 焦らないで。
── 一緒に頑張っていきましょう、中里さん。
誰の言葉だったろう。誰だっけ………章宏?
暗く染まった視界に、ぼんやりと誰かの笑顔が見えたような気がした時、それを吹き飛ばす
破裂音が中里の両耳をつんざいた。
世界の、終わる音。
121 :
126:05/02/09 23:06:56 ID:iqk4/yKA0
── 八月。久しぶりに訪れたその場所は相変わらず、埃っぽい空気に満ちていた。
ぐん、と腕がしなり、突き出した右手の指先から放たれたボールが、キャッチャーミットに
吸い込まれていく。
視線の先にいる前田章宏が、ミット越しに伝わるボールの感触を確かめるように、構えの姿勢を
解かないまま、マスク越しにこちらを見た。
「この感じ、久しぶりです。いいですよ」年若い女房役の笑顔につられて頷いてみせ、中里は
ぐるんと右肩を回した。違和感はない。
(でもまた“ふりだし”だ)
ここはナゴヤドームではなく、ナゴヤ球場 ── 二軍のブルペン。三年前、一軍のマウンドに
一度立ったきり、自分はまた入団時と同じスタートラインに戻ってしまっていた。
悪夢の怪我さえなければ。そんな思いが、中里の心に鬱とした影を落とす。
『焦ったら負けだぞ。一歩ずつ進んでいったらいい』
お前はいずれエースになれる ── 紀藤のその言葉にも、前田の励ましにも、素直に頷く
ことはできなかった。
焦る? そんなんじゃない。ただ不条理なだけだ。
あの輝ける場所に立つことのできない、現実が。
天才右腕。その肩書きが示す通り、チャンスはいつだって才能ある自分の元へ集まってきた。
追いかける必要も、がむしゃらになる必要もなかった。
だから、掴みかけたエースの座が掌をすり抜けた時、それを再び追う気にはなれなかった。
そんな折、この『ゲーム』に放り込まれた。
その時、自分は確かに心の闇からの声を聴いたのだ。追うよりも簡単な方法があることを。
追わずとも、自動的にエースの座が手に入る方法を。
そして自分はそれを選んだ。引きかえに、失うものがあるとも知らずに ──
122 :
126:05/02/09 23:07:45 ID:iqk4/yKA0
両膝が固い床の上に落ちた。傾ぐ身体から、ぱたたっと散るものがあった。赤。
ぐらぐらと頭が揺れるたび、白い床を赤の点が汚した。
それが己の口からこぼれているものだとは、気づかなかった。
「 ─── 」
苦しい。喉の奥でひゅうひゅうと鳴る音は、喘息の発作を連想させた。肺が機能していない
ことを認識するよりも、口腔に広がる鉄錆の味がすべてを物語っているように思えた。
鎖骨の下、胸郭のあたりに手をやれば、どろりと生温かい感触が指の間を伝う。
おさまらない耳鳴りが、鼓膜を貫いた銃声を思い出させる。
撃たれた。そう、撃たれたんだ。
(死ぬ ── んだ)
ユニフォームの目地から、とめどなく血が染み出していくさまを、どこか他人事のように
中里は見つめる。
視野がぼやけ、虚ろな目がやがて焦点を失う。
123 :
126:05/02/09 23:08:28 ID:iqk4/yKA0
── なぜ。不意に心の底から湧きあがった、自分への問い。
(なんで僕、章宏を殺しちゃったんだろう)
後悔とは少し違った。けれど悲しかった。
一緒に頑張ろうと言ってくれた後輩さえ、簡単に殺してしまえる自分がここにいる。
最初は、エースになるための布石であるはずだった単純な殺意が、いつしか無差別めいた
無軌道なものに変わっていた。
堕ちるところまで堕ちたとは、こういうことを言うのかもしれない。
エースになれない ── 黒木の言葉が重くのしかかるように蘇った。
それを認めたくはなかったけれど。
末期の意識で、中里は唇を動かそうとした。
後輩へ、たった三文字。せめてもの。
(ごめん)
何かに引き寄せられるように、中里の身体はゆっくり、前のめりに倒れていった。
頬に触れた床の冷たさが最後の記憶となった。
欲しかったエースという称号。歓声の中心。闇の向こう、あざやかに映る光。
だが手を伸ばしても、その光はつかめない。
悲しいほどに遠く感じた輝ける場所は、やはり遠いままだったのだ。
【残り15人・選手会11人】
124 :
112:05/02/10 01:16:30 ID:0X2nE/9R0
162.走馬燈
「なんだよ、これ。たいした傷じゃないだろ…?」
思うように動かない体を引きずりながら、悪態をつく。
前日に負った脚の傷。
弾丸が食い込んだままの右腕の傷。使い物にならない腕が揺れるたび、新たな痛みが身を苛む。
そして、酷い出血が続く、脇腹の傷。
どれも決して軽い傷ではないが、命に関わるような怪我ではないはず、だった。
佐伯の追撃を警戒し、とにかく早くキャンプに戻らなければ、と考えた由伸は
立ち止まって手当をすることなく走り続けた。
激しく動いたことで出血はより酷くなり、体力が削られる。
体力の低下は速度の低下に繋がり、焦りを呼ぶ。
焦りが正常な思考を奪い、傷の処置など思いつきもしない。
結果―由伸の体からは既に、生命を繋ぐことができなくなるほどの量の血液が
零れ落ちてしまっていた。
125 :
112:05/02/10 01:17:41 ID:0X2nE/9R0
遂に動けなくなり、大きな木の根本に崩れ落ちるように座り込む。
スーツと木の幹がこすれて、ざざあっと大きな音を立てた。
見上げた空は、薄暗く曇り、糸のように細い雨が落ち始めていた。
いつか見た光景が、由伸の前を通り過ぎていく。
―入団して間もない頃、広島ベンチを複雑な表情で見つめていた二岡。
―ナベツネの暴言を伝え聞いて、ロッカールームで涙を流していた清原。
―スクリーンに映されるホークスの試合経過を、真剣な表情で見つめる小久保。
「あの人達の無念、はらしてやりたかったのに…」
そのためなら、中日の選手を殺すことも躊躇わない。そう決めて、その通りに行動してきた。
その結果が、これだ。
「オーナーを倒すために来たのに、裏切り者にやられるなんて情けねえなぁ…」
力無い笑みを浮かべる由伸の前に、また違う光景が現れる。
ストライプの、日本代表のユニフォームをまとったチームメートが、笑っている。
(これが死ぬ前に見る「走馬燈」というやつだろうか)
ぼんやりとそんなことを考える由伸の瞳から、一筋の雨が流れ落ちた。
126 :
112:05/02/10 01:19:38 ID:0X2nE/9R0
―ほんの数日前まで、俺たちは日の丸を背負って戦っていたのに。
アテネでの日々は、ひどく遠く感じる。まるで、夢の中の出来事だったかのように。
走馬燈の中の仲間達は、メダルを手に誇らしげに笑っている。
その中の二人は、自分と同じように、この殺し合いの中に放り込まれているはずだ。
「ほかの連中はアテネでメダルで、俺たちはオーナーの手のひらの上で銃、か。
くだらねーよな」
なあ岩瀬さん、福留…と続けようとしたところで、ふいに目の前の光景が変化した。
日本代表のユニフォームではなく、ドラゴンズのユニフォームを着た福留と岩瀬が、
必死の形相で駆け寄ってくる。
「由伸!」
「由伸さん!何でこんな酷い怪我を…」
その二人の、二人の後から走ってくる山本昌の目を見たとき、小久保の言葉が
―別れの時に否定した言葉が―由伸の心にしみこんでいった。
まるで、乾いたスポンジに水が吸い込まれるように。
『目を見ればわかる。こういう、極限状態だから余計にな』
(小久保さん、あなたの言葉…正しかった)
由伸は天を仰いだ。
空は曇り、雨という涙さえ流している。
それでも何故か、アテネで見上げたあの空のように、輝いて見えた。
【残り15人・選手会11人】
中里も由伸も…言葉に出来ない・゚・(ノД`)・゚・。
>>120-123 “世界の、終わる音”って表現スゲーイイ!
そして“ごめん”で泣いた つД`)・゚.
ヤベェ・・職場なのに涙出そうだ・・・
。 ∧_∧。゚
゚ (゚ ´Д`゚ )っ゚ちょっとトイレで泣いてくる
(つ / ここの職人は毎回泣かせるなぁ
| (⌒)
し⌒
...ウワァァァァン
やばい、中里…泣ける、ごめんに涙とまらねぇ。(つ´Д`)・゚.
由伸は続きが気になる。
ドメと昌兄達が合流してたの意味あったんだなぁ。
>129
こら、職場で見るなよ。
とにかく見つからないようにトイレで泣いて来い
自分も泣いてくる
中里・・・由伸・・・・・(つ´Д`)・゚.
後から後から泣けてきた。
朝読んで泣いてから出かけたら、思い出して電車の中でまた泣きかけた・・・
ほしゅ
落ちそうだからあげますた。ごめんアゲ
こんな昼間からなかせるなー。・゚・(ノД`)・゚・。
中里のごめんもアテネ組もせつないよーTT
いつもいつも職人様GJです!!!!!!
俺、中里がいちばん好きなキャラだた・゚・(つД`)・゚・
職人さんありがとう。
137 :
代打名無し@実況は実況板で:05/02/11 19:18:41 ID:6UW7x7IL0
ドラHPの掲示板の質問コーナー、クラブ管理人謝罪してます
保守しつつまた泣く。
ほっしゅ
捕手
霊感ガンバレ保守
ほっす
ほしゅします
ほしゅします
145 :
代打名無し@実況は実況板で :05/02/15 21:39:01 ID:jkrQLX4d0
ホッシャ
捕手
ほっしゃ
ミリオネア見たあとに捕手
150 :
358:05/02/18 01:06:37 ID:uVqdNii+0
163,発覚
「ふん……」
中里が倒れたのを見届けると、渡辺は小さな呻り声を立てた。ゲームセットを迎えたときのような
淡い徒労感と安堵感が来たのかも知れない。生存者の位置を示すモニタに目をやると、
病院内にはもうどの数字も無くなっていた。特別戦は終了したのだ。
しかし、後ろで見ていた宮内の心は安まらなかった。11と21の問題は解決していない。
本来なら特別戦はまだ続いているはずだというのに――
「おい」
「なんでしょう」
渡辺の言葉に返事をしたのは砂原。一連の経緯を聞いて取り乱すかと思いきや、
気持ちの悪いくらい落ち着いている。余計なことは一切口にせず、時折佐伯の映っている
画面を見つめていた。
「ここのトラップはどうなっている?」
指さした先には、廃校の建物を示す枠がある。数時間前のような誤作動を警戒しているのだろうか。
あの時彼が口走った台詞についても、追及できていない。
「切ってあるそうですが。選手の人数にかかわらず、作動しないはずです」
「…そうか。まあ即死は面白くないからな」
どういう意味かと思ったが、廃校の近くに5と、そして彼が目の敵にしている7があったので納得した。
中日の選手は半数以下になったというのに、7はしぶとく生き残っている。
正気であったなら、もっと早くに死んでいたように、宮内には思えた。
二人は廃校の前で一度止まった。校門近くのカメラにその姿が映っている。
『ここって……スタート地点ですよね』
音声を切り替えたのだろう、5番の男の声が聞こえてきた。
『…あれ、なんだろう。あ、ちょっと』
門の方を向いて5番は言ったが、7番はそれとは逆方向に歩き出した。それをあわてて追いかけている。
「ここも封鎖できるようになっているな……」
「ですが、あまり――」
宮内が口を挟んだが、渡辺はうるさそうな顔をした。
「一人はどうせこのザマだ。心配あるまい」
ちょうど、今度は校舎裏のカメラに二人が現れた。前を歩く7は、ふらふらとしていて頼りない。
やがて敷地のまわりを一周して、また校門に戻ってきた。
151 :
358:05/02/18 01:06:59 ID:uVqdNii+0
『雨宿りですか?』
『どうしよっかなあ』
『どうしましょうね。あ、そうだ…』
5番は門柱に近寄ると、そばにある黒い固まりを見つめた。その表情が露骨に歪む。
『これ……』
彼が何か言いかけたところで、小さな衝撃音が鳴った。
『痛っ!ちょっと、うわっ』
画面を見れば、7番が5番…ではなく黒い固まりに向かって石を投げつけていた。
それが5番に当たったらしい。
『やめてくださいって!どうしたんですか?』
5番は7番に駆け寄り、その手をつかんだ。7が何かわめいているようだが、
なんと言っているのかははっきり聞き取れない。どうやら、あれは毒虫か何かだと
主張しているらしい。
『動かないでしょ、大丈夫ですってば!あー、どこ行くんですか!』
門に背を向けて走り出した7を見て、渡辺は呟いた。
「園児のようだな…。良いわ、病院に近づいたときまた切り替えろ。他を映せ」
「…高橋君が危ないようですよ」
「何だと?」
宮内は二人のやりとりを遠いものとして聞いていた。5と7の丸数字は病院の方角へと移動している。
『雨宿りですか?』
5番はそう言った。今島では雨が降っている。退行しているらしい7番は、
どうして素直に建物へと入らなかったのか……『毒虫』がいたから――
何かひらめきかけたところに、事務員が大きな声を上げて飛び込んできた。
「わかりました!」
「どうした」
「海水です。首輪は、海水に浸かるとショートします。機能しなくなるんです」
返事をしたところで、まとまりかけていた考えは完全にバラバラになったがそれを惜しむ気は
起こらなかった。それよりも、11も21も生きているという確信が、宮内の中で起こった。
「この資料を……」
「それは後でいい、11と21を探しだすんだ、早く!」
事務員を追い返してふと振り向くと、砂原がつまらなさそうな表情でこちらを見ていた。
【残り15人・選手会11人】
キタ━━(゚∀゚)━━!!
相変わらず爺の行動は気になるね!
そしてついに首輪の故障がバレたー!
どうなるんだ!?続きが読みてぇ!
保守。
うわぁぁ!ついに首輪のことがぁ!!Σ(゜Д゜;
川相さんも気になるけど、
憲伸と正ちゃんも探されてどうなるんだ?!
hosu
ほしゅ
保守
158 :
代打名無し@実況は実況板で :05/02/20 17:51:02 ID:NHdCQkF80
159 :
126:05/02/21 00:08:19 ID:4apK8lMa0
164. cloud
おさまりつつあった足の痛みが、また疼き出してきた。持ち上がらずに引きずる形になった片足を
ひねりそうになり、舌打ちとともに小久保は顔をしかめる。
ぽつ、と目の下あたりに冷たい雫が当たった。
「大丈夫ですか」
数歩先にいる今岡が、こちらを振り向いてきた。彼の上着の肩にもいくつかの水滴が落ち、じわりと
染みをつくる。
「…どうだろうな」
ぼそぼそと押し出した言葉は独白に近かった。昨日銃で撃たれて(弾が貫通していることが幸い
だったが)ろくに処置もせずにいる負傷箇所がどのような状態になっているのかなど、できれば
考えたくはない。加えて、予想通り崩れた天候にも苛立ちを覚える。
「足痛むんは、雨のせいでしょう」
分厚く青空をさえぎる灰色の雲を眺めやり、大真面目に口を開いたのは今岡。
「頭痛持ちの人とか、雨降ったら痛いのが酷くなるって言うやないですか。あれと同じですよ」
ちょっと待っててくださいと、彼は一度視線を左右に向かわせ、駆け足(と言うにはどこか緩慢な動き)で
進行方向のゆるやかな坂道を上がって行く。しばらくして戻ってくると、坂の向こうを指し示した。
「あっち上がったとこに木があるから、そこでひと休みしませんか」
雨よけついでに。そう言った彼を見て、しかし小久保はふとした違和感に眉をひそめた。
「……キャンプって、この坂の向こうじゃなかったか?」
「でも坂上ってからもだいぶ歩きますよ」
地図を思い描いて言った小久保に対し、今岡は相変わらず意図の見えない表情で返す。
「雨強くなってから動けんようになったら洒落になりませんよ。我慢は良くないと思いますけど」
160 :
126:05/02/21 00:08:55 ID:4apK8lMa0
一種の屁理屈のように聞こえなくもなかったが。それを押しのけてキャンプに急ぐ理由もなかったので、
あえて反論はせずにおいた。
「俺も疲れたし」
それは、思わずこぼれた本音だったのだろうか。伏し目がちに続けた今岡の引き結ばれた唇を見た
小久保は、わずかに考えを巡らせたあと、「じゃあそうしよう」と頷いた。
本気なのか冗談なのか、おぶって行きましょうかという彼の申し出に唖然としつつ(もちろん断ったが)、
代わりに肩を借りて共に歩き出す。
今はまだ小雨程度だが、雨脚が強くなるようなら厄介だ。重く垂れこめるばかりの雨雲を仰ぎながら
溜め息をつく。降りかかる水滴が、スーツの色をまだらに濃くした。
「キツネの嫁入りちゃうかったんやな…」
ぽつりとした呟きが耳に入った。今岡の方を見やると、彼は何でもないと言いたげにこちらを向き、
かぶりを振るだけだった。
【残り15人・選手会11人】
職人さん乙です!
GJです!
今岡の描写が素敵だ…
ほしゆ
乙乙乙!保守
乙です!
今岡相変わらずだw
hosyu
ほっする
保守
ホシュー
保守しときますか。
保守
ほす
hosyu
保守
177 :
代打名無し@実況は実況板で :05/02/28 19:19:07 ID:z3RfPD/C0
178 :
代打名無し@実況は実況板で:05/02/28 19:26:27 ID:ueU5qESa0
うんこ球団
ほしゅ
保守
ホシュ
保守
183 :
623:05/03/02 19:37:23 ID:Odjk24pO0
165.恐怖と希望を運ぶ音
英智と小笠原は川上の手掛りを見つける前に、もうひとつの確かめるべきことを確かめる為に
歩いていた。いや、歩いていたのだが…
「おい、オガサ…止まるなよ。」
「だって…」
二人の足は遅々として、なかなか前には進まない。
(これから向かう先にあるものが絶望だったら?)
いくら振り払おうとしても振り払いきれないその考えが、
明らかに先程から降りだした雨のせいだけではない足元の泥濘の憂鬱さが、
二人の足を鈍らせていたのだ。
「やっぱり確かめなきゃ駄目なのかな?」
立ち止まったまま俯いてしまった小笠原の背中を押しながら、英智は言葉を選ぶ。
「だって、大怪我をして助けを待っているかもしれないだろ?」
―もしも生きているのなら…
最後のセリフを飲み込んだのは、英智としても最悪の事態を受け入れるだけの覚悟が
できているわけではない証拠でもあった。
二人は目の前で消えた23番の元へ向かっていた。
探知機の数字が消えたのは何かの間違えだと、その機械はきっと壊れているのだと
その数字が示す人物に笑い飛ばしてもらいたかったから。
もし23番に…関川に出会えたのなら川上ともきっと再会できる。
それは淡い期待であり、切なる願いでもあった。
だからこそ『壊れているかもしれない』探知機は荷物の中にしまいこんだままだった。
それはある意味、彼らにとっては幸いな事だったのかもしれない。
あれから更に三つ…
関川のあとを追うように力尽きた大西の58が、味方であるはずのチームメイトの手に掛かって
若い命を散らした高橋聡文の67が、そしてたった今、中里の70が次々と消えていくのを目の当り
にせずに済んだのだから。
184 :
623:05/03/02 19:38:28 ID:Odjk24pO0
「そうだよな…待ってるかもしれない。」
自分に言い聞かせるように呟く小笠原を励ますように、英智は小笠原の背中を二、三回軽く
叩いてみせる。
「うん。だから、ちゃんと確かめよう。」
大きく頷いてみせたのは、自らをも納得させるためだ。
そんな二人の元に、雨音に紛れて目指す方角から爆発音が届いたのは
再び歩き始めてから数分経った頃のことだった。
聞き覚えがありすぎるその爆発音に英智の顔が思わず歪む。
脳裏に浮かんだのは、先程 自分達を銃で狙撃して来た二人の人物の顔だ。
襲われたときの恐怖が甦り身体が竦んだ。
『あの人達とは、これ以上関わり合いにならないほうがいい』
本能のようなものが、警鐘を鳴らし英智の足を止める。
だが小笠原の呟きを聞いた瞬間、その恐怖は別のものにすり変わっていた。
「やっぱり誰かいるんだ…」
「そうか…そうだよな。」
―交戦をしているということは、誰かが生きてそこにいるということ。
もしかしたらそれは、今探している関川なのかもしれない…いや、例えそうでなくとも…
「英智、どうする?」
「行こう…関川さんでも他の誰かでも、もし仲間が襲われているのなら助けなきゃ!」
小笠原が頷いたのを確認すると、正義感に支配された英智は音がした方角へ自らの不安を
振り払おうとするかのように、ただがむしゃらに走り始めた。
【残り15人・選手会11人】
新作乙です!
同級生二人がんがれ超がんがれ
新作キタ━━━(゚∀゚)━━━!!!!!
乙です。
探知器しまってる間にあんなことやこんなことが。(ノД`)
捕手
ほす
189 :
126:05/03/05 00:16:37 ID:XO3Uyh770
他の書き手の方々、乙です。
突然すいません。
BR内でドラゴンズの選手が着てるユニって、ビジター用のなんでしょうか?
話の中では「青い」っていう描写が目立っている印象があるので、ふと思ったのですが。
どっちでもいいとは思うんですけど、
自分だけホーム用のつもりで「白い」って書くのも不自然な気がしたもので。
190 :
623:05/03/05 07:31:50 ID:RWzQ6G+30
>>189 中日の選手が拉致されたのが8月29日(28日?)だとすると本来ならナゴドで横浜と試合していた日なので、
ホーム用のユニフォームを着ていたと考える方が普通ですね。
ホーム用だと確かに青よりも白の方が目に付くような…
自分もドラゴンズの選手の姿を『青い』と表現した一人なので、拙ければ修正文を用意します。
191 :
358:05/03/05 22:45:52 ID:EfWk94B00
>>189 自分はホーム用のユニフォームを着てるつもりで書いてました。
623氏のおっしゃるように拉致日から考えてホーム用ユニでしょうから、
それで統一した方が良さそうですね。
192 :
112:05/03/05 23:17:09 ID:bb4Z4lSQ0
>>189 ホーム用ユニのつもりでいましたが、「青い」って連呼してました…。
広島の赤白ストライプを「赤い」というのと同じノリです。
「白い」に統一した方が良ければまとめてなおします。
自分は読んでてビジターユニを想像していた。
所詮レフドラ…。・゚・(ノД`)・゚・。
チームカラーとしての青というイメージで、表現は「青い」でいいんじゃない?
と一読者が申しております。
>193
ヨシヨシ( ´・ω・)ノシ(ノД`)・゚・。
195 :
126:05/03/06 00:26:21 ID:rtFLL8fV0
>194
あ、そうか。チームカラーってのは意識していませんでしたorz
112氏の挙げられた、赤白ストライプ=赤という解釈の仕方も成程と思うし、
中日のチームカラーが青というのも踏まえて、「青い」のままがよさそうですね。
しょうもないこと言い出してすみませんでした。皆さんレスありがとうございます。
では、ホームユニということで書いていきます。
196 :
代打名無し@実況は実況板で:05/03/06 01:34:34 ID:Kci4lCO8O
レイプたつなみ氏ね
保守
捕手
ほーしゅ
200 :
126:05/03/08 00:56:28 ID:eX0N5eYB0
166. 鏡面に映る者の名は
── やめろ!!
叫ぶ誰かの声を黒木は聞いた。不確かな、曖昧な意識の狭間で。
その声の主を、自分はとてもよく知っていた。いや、知っていたからこそ、問わずには
いられなかった。
(何をやめろっていうんですか)
あなたの仇だ ── 声にならない叫びが喉元までこみあげる。
(あなたを殺した、70番を、俺は)
それなのに「やめろ」と、彼が言う。何を今更。そう、今更すぎる。
もう、引き金は引かれてしまったというのに。
何度耳にしたか知れない、軽すぎる、空気の割れる音。
手に馴染みすぎて ── 重みを感じない銃の先から立ちのぼる、硝煙の匂い。
コマ送りのごとく映る、血飛沫。鮮明すぎるその色。
さまざまな事象が、時間差で五感を刺激していく。
ごと、と血まみれの床が鳴った。
操り糸を切られたマリオネットのごとく、目の前で床にくずおれた人物の立てた音。
命ある者から、そうでないものに成った瞬間の ── 音。
その瞬間、黒木の右腕はふいに重力に従い、垂れ下がった。
あんなにも軽かった拳銃が、急にその存在感を増したかのようだった。
ねばつくような闇の気配がずっと、心の底に巣食っている。
胃をせり上げる嘔吐感は、決して室内に蔓延する血臭のせいだけではなく ──
「……!」
反射的に口許を手で覆った黒木は、指先にぬるりとした何かを感じ取った。
そのままそろそろと頬をなでると、ぱっくりと皮膚の割れている部分を指が探り当てた。
激痛に顔をゆがめ、慌てて手を離す。開いた左手は、真っ赤な血に濡れていた。
ちりっ。脳の奥で火花が散った。同時にいくつかの映像が、瞬いた瞼の裏をよぎる。
201 :
126:05/03/08 00:57:05 ID:eX0N5eYB0
額の銃創から血を流し、のけぞり倒れていく何者かの姿。
視野いっぱいに納まった『17』 ── その青い数字の中央に開いた穴。
不鮮明なそれらは、瞼を上げ下ろしする間隙にカットインし、ノイズに荒らされ、消えた。
そして黒木は視線の先に見る。じわじわと足元にまで迫る、血の海を。
見てしまう。血溜まりに伏す、ユニフォームの背中の数字を。
「70」
わずかに開いた唇から洩れ出た声は、自分のものではないように、ひどく嗄れていた。
“NAKAZATO 70” ── 中里。70番をつけたあの人物は、確かそう名乗っていたのだったか。
彼は先発の柱になりたいと言い、チームメイトを殺そうとしていた。
選手会役員を殺さなければオーナー達に殺されるからと、自分と岩本に銃を向けた。
岩本は自分をかばって中里と戦い……殺された。
今、足元に伏しているこの死体(なのだろう、おそらく)は、岩本の仇だ。
だから自分は追っていたのではなかったか。仇を討つために。
なのに、なぜ?
黒木の視線は死体の背に釘付けになっていた。背番号と、床を満たす赤い血に。
── これをやったのは誰だ? 殺したのは誰なんだ?
(俺だよ)
ざわ、と総毛立つ感覚が全身を駆けめぐった。
右手の銃が重かった。それなのに、手を離れない。指と同化しているかのように。
トリガーにかけられたままの人差し指を、確かに引いた記憶がある。
引いた。そして、あの音を聞いたのだ。軽々と人の命を奪う、あの音を。
黒木は確信する。そうだ、自分が撃った。
202 :
126:05/03/08 00:59:49 ID:eX0N5eYB0
(俺が)
がたん。後ずさる背中が引き戸に当たった。割れた磨り硝子の残骸がその振動で崩れて落ち、
かしゃん、かしゃんと、断続的な音を響かせた。
身体が震えていた。上半身だけでなく、足も。
いまさらのように思い出した満身創痍の痛みと、説明のつかない心情にかられて。
『こんなん間違っとる』
── 選手同士で、なぜ殺し合わなければならないのか。そう洩らした岩本の表情が脳裏に甦った。
殺したくないと、自分はあの時考えたはずだった。だが、現実はどうだ。
『お前を殺す』
己の告げた声を憶えている。復讐の虜と化した自分は、心に堆積した溶岩の堰を壊してしまった。
取りついた負の感情の果て、命を奪う音を鳴らした。
すべては同行者を殺した70番を討つため。それだけのために。
「……70だけじゃないだろう」
(!)
黒木はぎょっとして顔を上げた。想像の生み出した声が己の内に聞こえたのではない ──
ただでさえ危うい足元が、さらに現実感を失くしていくようだった。
目の前。ガラスが割れ、無残に中身を溢れさせている幾つかの戸棚以外、水平に保った視界に
おさまるものは他に無い。 ── 無い、はずなのに。
「70だけじゃないだろう。あと二人、殺した」
持ち上げた片手の指を二本立てて、見せつける、自分自身の姿を黒木はそこに認めた。
【残り15人・選手会11人】
ジョニー…(つд`)
205 :
112:05/03/09 04:05:30 ID:VpsxGZx40
167.なすべきこと
一通りの情報交換が終わった後、3人は荒木を追いかけることになった。
武器を持たない山本と、怪我を負った岩瀬。戦力にはならない。
しかし、単独行動よりは複数の方が、危険は少ないだろうから。
辺りに警戒を払いながら、福留はぼんやりと考える。
『俺に出来る事があると思うんです。人殺しじゃなくて、もっと別の』
今探している友の、荒木の言った言葉が思い出される。
荒木は明確な目標を持って、その為に行動していた。
自分はどうだ?
この2日間ずっと、状況に流されていただけではなかったか。
今は荒木を追っているが、その後はどうする?何が出来る?
―この血塗られた島で、俺がなすべきことは、一体なんだ?
真っ先に思い浮かんだのは、石井とデニーの死体。岩瀬を傷つけたという山北。
ドラゴンズと選手会が戦うことになるのは仕方がない。そうなるように仕向けられているのだから。
だが、私利私欲のために仲間を裏切ったものがいる。
(許せない。デニーさん達を殺した奴も、山北も。だから)
206 :
112:05/03/09 04:06:28 ID:VpsxGZx40
福留の思考は、突然視界に飛び込んできた赤い色で遮られた。
森の奥から続く、赤い筋。
赤い絵の具だけを筆につけて、力任せに捌いたらこんな感じの線ができるだろうか。
―もちろん、目の前の赤は絵の具などではなく、夥しい量の、血液。
ほぼ同時に岩瀬と山本も気づく。
立ち止まって見合わせた顔は一様にこわばっていた。
「まさか―」
荒木が。そう続けようとした福留を、山本が手で遮った。
最悪の可能性は口にするな。そう言いたそうな山本の顔を見て、福留は口をつぐんだ。
「…この出血量じゃ、そんなに遠くにいないはずだ。…探そう」
目をそらしたい気持ちを抑えながら、赤い線を辿る。
(もしかしたら、この先で、荒木が血まみれで倒れているかもしれない)
そう思うと胸がむかむかする。こんな不快な気分は初めてだった。
だから、木の下に座り込んだ人影がスーツ姿であることに気づいたとき、福留は確かに安堵したのだ。
(荒木じゃない。井端さんでもない。…ドラゴンズの選手じゃ、ない)
―岩瀬の口から、高橋由伸の名が呼ばれるまでは。
「昌さん!由伸さんの手当て、なんとかできませんか? 立浪さんや岩瀬さんを助けたみたいに」
山本は由伸の傷を確かめ、…首を振った。
「ちゃんとした設備があって、医者がいればどうにかなるかもしれないが…すまない。俺では無理だ」
「そんな…」
治療ができない、つまり、由伸は死ぬ。
山本は目を伏せた。重苦しい空気が落ちる。
それを破ったのは由伸だった。
207 :
112:05/03/09 04:29:15 ID:VpsxGZx40
「気にしないでください、山本さん。俺が油断したのが悪いんですから」
ふう、と息を吐き出して、由伸はしっかりと3人を見つめた。
「…古田さんに伝えてほしいことがあるんです」
ドラゴンズの人に頼むのは間違ってるかもしれないなぁ、と呟く由伸の顔色は、いつもよりもずっと白い。
「佐伯さんがオーナーと繋がっています」
「佐伯さんにやられたのか?」
「ああ。あの人はオーナーと電話してたんだ。そこを見つけて、それで」
福留の知っている佐伯は、マスコットと戯れたり、オフの番組ではしゃいだりしながらも、
野球では妥協せず、ファンを大事にする―そういう人間だったはずだ。
佐伯がオーナーに与しているなんて。
目の前で由伸が死にかけていなければ、とうてい信じられなかっただろう。
「…わかった。古田さんに伝えるよ」
山本が頷いたのを見て、由伸が微笑んだ。その笑顔は、あまりにも頼りなかった。
「よろしくお願いします。…それから、小久保さんに」
「由伸さん?!」
由伸が倒れそうになり、慌てて福留はその体を支えた。
「小久保さんに、伝えてくれないか。あなたのいったこと、やっとわかった、間違ってなかったって」
福留の腕にかかる重みが増していく。
命の消えていく重みに耐えきれず、福留は怒鳴りつけた。
「ふざけないでください!俺はそんな伝言、預かりませんよ?!」
由伸が目を丸くした。山本と岩瀬も驚いて福留を見る。
208 :
112:05/03/09 04:31:14 ID:VpsxGZx40
「死ぬなんて、冗談じゃない!小久保さんに言いたいことがあるんなら、自分で言ってください!
…北京で金メダル取って、長嶋監督を胴上げしようって、そう決めたじゃないですか!」
「…そうだ、由伸。死ぬなよ。オリンピックの借り、返さないままで逝くつもりか?!」
岩瀬も怒鳴りつける。左腕が震えているのは、悲しみか、それとも怒りか。
「由伸、死ぬな。生きて、また野球しよう。こんなくだらないことで死ぬなんて、もったいない」
山本も、怒鳴りこそはしなかったものの、強い口調で言った。
「岩瀬さん…福留…山本さん…ありがとう…」
3人を見つめて、由伸は微笑み、瞳を閉じる。
「ああ…やっぱり、俺も、死ぬときは、笑うのかぁ…」
由伸を埋葬して、3人は立ち上がった。
「…俺は、選手会の所に行こうと思う。由伸の伝言を届けに」
「俺も一緒に行きます。場所はわかっているし」
そういった岩瀬に頷いて、山本は福留を見た。
「お前はどうする?福留」
福留は軽く目を閉じる。
―俺のなすべきことは。
閉じた瞳を開いて、山本をまっすぐに見つめた。
その目に、迷いはない。
「…俺は、佐伯さんを探します」
【残り15人・選手会10人】
よしのぶー!
職人さん乙です
ホシュ
211 :
代打名無し@実況は実況板で:05/03/10 20:58:36 ID:BR7lmSnc0
長峰も高橋聡もピンチだな。
レベル高すぎ。
捕手。
職人さん乙です!
ほす
保守
捕手
泣ける展開が続くよ・・・ホシュ
保守
ごめん。いったんアゲ
( ・д・)ヨシノブ・・・
職人さん乙です
保守しときますね〜
保守
ほす
ホシュ〜〜〜!
ホシュ。
新鯖でも60日ルールがあったらそろそろ次スレの準備が・・・
あ
保守
ほす
hosyu
そろそろ60日ルールか・・・?
テンプレは保管庫の現在状況と現行スレ・過去スレを改変して使えばいいんだよな
捕手
即死判定もn日ルールも厳しくなったみたいだな。
n日は6時間から4時間になったみたいだし…。
ネタスレには厳しい時代だな。
237 :
代打名無し@実況は実況板で:05/03/20 03:48:42 ID:JylMvqPS0
捕手
頑張って保守
239 :
112: