【とらドラ!】大河×竜児【モフモフ妄想】Vol12

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1名無しさん@お腹いっぱい。
ここは とらドラ! の主人公、逢坂大河と高須竜児のカップリングについて様々な妄想をするスレです。
どんなネタでも構いません。大河と竜児の二人のラブラブっぷりを勝手に想像して勝手に語って下さい。
自作のオリジナルストーリーを語るもよし、妄想シチュエーションで悶えるもよし、何でもOKです。
次スレは>>970が立ててください。 もしくは容量が480KBに近づいたら。
    / _         ヽ、
   /二 - ニ=-     ヽ`
  ′           、   ',
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まとめサイト
ttp://tigerxdragon.web.fc2.com/

前スレ
【とらドラ!】大河×竜児【ワクワク妄想】Vol11
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【とらドラ!】大河×竜児【ラブラブ妄想】(1スレ目)
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【とらドラ!】大河×竜児【ニヤニヤ妄想】(2スレ目)
http://changi.2ch.net/test/read.cgi/anichara2/1234443246/
【とらドラ!】大河×竜児【デレデレ妄想】(3スレ目)
http://changi.2ch.net/test/read.cgi/anichara2/1236695653/
【とらドラ!】大河×竜児【イチャイチャ妄想】Vol4
http://changi.2ch.net/test/read.cgi/anichara2/1237819701/
【とらドラ!】大河×竜児【ベタベタ妄想】Vol5
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【とらドラ!】大河×竜児【スキスキ妄想】Vol6
http://changi.2ch.net/test/read.cgi/anichara2/1240317270/
【とらドラ!】大河×竜児【ドキドキ妄想】Vol7
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【とらドラ!】大河×竜児【アツアツ妄想】Vol8
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【とらドラ!】大河×竜児【フワフワ妄想】Vol9
http://changi.2ch.net/test/read.cgi/anichara2/1243354181/
【とらドラ!】大河×竜児【クネクネ妄想】Vol10
http://changi.2ch.net/test/read.cgi/anichara2/1244280781/
2名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/04(土) 19:52:28 ID:NUezE//+
【※CAUTION※超重要事項!※CAUTION※】

非エロ(ギシアンレベルまで)はここに投下

ガチエロは避難所に投稿、ここへは告知誘導のみ

アク禁に巻き込まれたなど直接投下できなかった
非エロ作品の代理投稿は作者が望んだ場合に可

※避難所はまとめサイトにあります

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http://changi.2ch.net/test/read.cgi/charaneta/1241841788/
3名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/04(土) 19:53:33 ID:NUezE//+
まとめサイトより

Q、1話の机が吹っ飛ぶシーンどういうこと?超能力?
A、ちがいます。ラブレターを鞄に入れてたら人が来たので、ロッカー隠れようとして凄い勢いで移動したんです。

Q、とらドラ!ってどんな作品なの?
A、とらドラ!は高校生特有の『思春期』という限られたひとときの中、
 友達と過ごしながら楽しいと感じたり、ある時は落ち込んだり、
 またある時は恋に悩んだりしながら、毎日を過ごしていくという作品です。
 (雑誌インタビューより)

Q、何クールですか?
A、2クール25話(DVD8巻構成)です。

Q、会長とあーみんの区別がつきません。
A、川嶋亜美(あーみん・ばかちー):前髪が朝倉風、ややたれ目、胸がおおきい、モデル
  http://www.tv-tokyo.co.jp/contents/toradora/images/chara/ami.gif
  狩野すみれ(会長・兄貴):前髪ストレート、ややつり目
  http://www1.atwiki.jp/toradora?cmd=upload&act=open&pageid=19&file=up49532.jpg

【一目でわかるとらドラ!一話】
@猛獣が襲い掛かってきた
Aお腹がすいていたのでご飯をあげた
B「気に入った。これからも飯つくってくれ、毛づくろいとかも頼むわ」
C襲われそうだし、ほっといたら死にそうなので、しぶしぶ飼うことに
Dご飯あげたら、ちょっと尻尾ふった ←今ここ
実際は竜児を犬扱いしている大河こそが
飼われている側っていうのが面白い

とらドラ! まとめwiki
http://www1.atwiki.jp/toradora/
とらドラ! AA保管庫(仮)
http://monabase.net/toradora

4名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/04(土) 19:57:05 ID:NUezE//+
この板の設定

1レスあたり最大4096バイトで改行は60行まで可能
半角で4096文字・全角で2048文字です

Samba24規制は40秒です
一度書き込んだら40秒は書き込めません

バイバイさるさん規制は40秒以上開けて投稿しても
スレッドに同時に書き込む人数が少ないと発動します
ROMってる人は割り込みを遠慮せずむしろ支援する方向で

●を持っていると上記の規制は無効化されます
ただし調子に乗ってSamba24規制無視して連投しているとバーボンハウスに飛ばされます
たっぷり二時間は2ちゃんねる自体にアクセス出来なくなるので注意
5名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/04(土) 19:57:21 ID:NUezE//+
            _, :‐-_、
          '"´ : : `: : :⌒ヽ、
        /: : : /: : : : : : : : :丶:\
      /: / : : {: : : : :ヽ: : \: : ヽ':、
      ,': /: {: : :ト、: : : : }: : : :}l :l: !
      |: l: : :|\:| ヽl\|\/l:| :l: |
      |: l : T≧心、_  ィ匕≦T: : :l: |
      |: l ヽ代i::ソ    弋i:ソ/ : /小
      |:人: :ゝ ー      ー 厶イ : | ヽ
       j: : :ヽ >  __⌒__ ,.イ : !: : : ト、:丶
.     /: : /: : :l:〃^く〈〉>`ヽ: : :|: : :│ 〉: 〉
     /: : /|: : : |i{ >┴rく }i : |: : : ∨: /
.    /: : / .|: : : |:∨   _|人/: :│: : : : :/
   〈: : 〈 /: : :.:|:/`ー≦ァー'{: : ∧ : : : 〈
.   \ ∨: : : 〃7\_/\∧: ': : \: : : \
    ∠:_:_:_: ノ└L,___」L斗ュヘ : : : /: : : /
      r‐': :_:_:/:::::/  ヽ:::::∨{:_:.〈⌒>: 〉
         //      | |
        // Λ_Λ | |
        | |( ´Д`)// <新すれ記念だ!大河ぶつけんぞ!
        \      |
          |   /
         /   /
     __  |   |  __
     \   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄   \
     ||\            \
     ||\|| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄||
     ||  || ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄||
        .||             . ||
6名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/04(土) 19:57:28 ID:NUezE//+
新スレは前スレ埋まってから使いなさいよ!
 ̄ ̄ ̄V ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                        ______
                        \        \
     _, -、                  |,.\        \ <すいましぇ〜ん
.  〃´ ^⌒ヽ               /   \        \
.  i{ /{八人}i              /    ,. i \_______\
  八ハ#゚ 、゚ノハ  パンパン       |    /.| |\||_______||~
  ノノ ノ)iてと八    ..         | .|   | | |  ||          ||
 ( (く/_j」〉ノ )   .  _./⌒..───' | / | | .||          ||
     (_ハ_)     ..  __/⌒ 二二ニニ ノ  U ||        ||
7名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/04(土) 20:03:55 ID:NUezE//+
新スレ乙って書くと大河の胸が永遠にAカップになるので注意!!
8名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/04(土) 21:06:57 ID:N5EuSBXl
新スレ乙新スレ乙新スレ乙新スレ乙新スレ乙新スレ乙
これで永遠のAカップだな

新スレ乙新スレ乙新スレ乙新スレ乙新スレ乙新スレ乙
9名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/04(土) 21:38:13 ID:RObWkuCb
>>1

>>5
やっぱこのAAのインパクトスゲーw

10名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/04(土) 23:08:24 ID:SY4lxQBT
>>1[新スレ 乙]
前スレで「メルト」ってカキコあったけど、動画で
あみ、みのりにそれぞれ「WIM」と「初恋オワタ」曲付PVがあったな
11名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/05(日) 04:12:40 ID:/Ie1Y7pz
      ある日>>8の靴箱に
       手紙が届きました・・・
          _____
         / ヽ____//
         /   /   /
        /   /   /
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       ̄ ̄ ̄ ̄ ̄


       | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|
       |                    |
       |                    |
       /    ̄ ̄ ̄ ̄      /_____
       /              /ヽ__//
     /  夜道に気をつけろ  /  /   /
     /   2−C 高須    /  /   /
    /   ____     /  /   /
   /             /  /   /
 /             /    /   /
  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄/   /   /
12名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/05(日) 22:18:19 ID:DN+a/dE6
前スレ埋め職人乙
13名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/05(日) 22:29:18 ID:NbFxGGjB
前スレ、埋め立てなんていうにはMOTTAINA過ぎる。 激しく乙です。
糸とオーナメント? 落っこちるってとこ? いかん俺も竜児並みの鈍感か?
もいっかい7巻読んでくる
14名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/05(日) 22:46:05 ID:tI7yoW2G
面白かったぜぇ
15 ◆askgvpoGB. :2009/07/05(日) 23:08:30 ID:oOEeQZ1y

埋めネタ書いて頂いた方、本当に本当にありがとうございました。
アドバイス頂いた方もありがとうございます。

思えばGW頃にこのスレを知って居座るようになったのは、
あなたを始め他の素晴らしい作者様と暖かいスレの空気のおかげです。

それでは、次レスより投下させて頂きます。
16【 - た い が - 】 54 ◆askgvpoGB. :2009/07/05(日) 23:09:55 ID:oOEeQZ1y


「どうしたんだ? そんな突っ伏して……わざわざ布団から出るなんて、いよいよ分からないぞ?」
「なんでも……ないの…………何でもない……」

こちらを見る竜児の顔がまともに見れない。身動きが出来ない。
そんなに暗い顔しないでよ……お願いだから……自分勝手なお願いだけど……
それでも、お願いだから、そんな目で私を見ないで……怖いよ……

「何かあったのか? それとも、何か俺に言えない事でもあるのか?」
「………………」

言いたいのよっ! もうずっと言いたくてたまらないの! でも……怖いの……
だから……もっとちゃんと言いたいの。普通に話してる時に言いたいの。楽しく笑ってる時に言いたいの。
こんな、こんなふうに……問い詰められるようにして言いたくないの……

「大河……おまえ、本当にどうしたんだ?」

俯いてしまった私の顔をのぞき込むように、竜児が私のすぐ横に片膝を付いた。

「だから……何でも……ないって言ってんでしょっ!」
「いいや、うそだね。おまえと何年一緒にいると思ってんだ? すぐ分かるんだよ、そんなの」
「………………」
「ひょっとしたら、何か……病気だったりするのか?」
「ううん……そんなことない……」

「……だったら……俺の事が……嫌いになったとかか?」
「ちっ、違う! 全然、嫌いとかじゃなくって、だから………ええと………」
「大体おまえに、その……断られた事なんかねえし……何かずっとおかしいし……」
「だっ! だから……ね……そんな、そんなことじゃなくって……」
「何だよ? だったら何だよ? わけ分かんねえよ!」
「それ……は………………」

こんなつまらない事でこれ以上竜児を傷付けちゃいけない……そう思うのに……
でも、こんな……叱られてるみたいな体勢で……こんな怒鳴りあって……言いたくないよ。
17【 - た い が - 】 55 ◆askgvpoGB. :2009/07/05(日) 23:11:05 ID:oOEeQZ1y

「大河、お願いだ」

肩を掴まれて竜児の方に向かされる。
竜児の瞳に……その強い光に引き寄せられるように目が離せない。

「聞かせてくれ。頼むから。もし俺が嫌だっていうなら、直せるところは直すから」
「嫌じゃない……よ、竜児……」
「何か……心配事とか悩みがあるなら、俺に相談してくれよ」
「……で、でも……それは……だって…………」

言いたいの……言いたいのよ。でも……でも怖いの……怖いんだもん!

「……あるよな? 俺が帰ってきてから、お前はずっと何か言いたそうにしてたもんな?」
「そんなこと……ない……それは…………違う……」
「またおまえは自分だけで抱え込んで、苦しんでるんじゃないのか?」
「ち、違うよ……ちがう…………そんなの違う!!!」

「大河、俺たちは夫婦だろう? 誓っただろう!?」
「――っ!」

私の指を、竜児の指先がぎゅっと握り締めた。そして指に感じる硬い感触……

それは――――あの病院を出てから一度も気に留めなかった左手のくすり指。

あまりに自然で、指と同化してるようで、意識する事がなかった大切な……大切な指輪。

「そっ……それは…………誓った。……うん…………誓った……」
「ああ、俺も誓った。だからおまえが何を言おうとも、俺はちゃんと全力で応えるから。な?」

「ずるい……あの時の誓いを持ち出してくるなんて……ずるい……ずるい……」
「ずるくたって何だって、おまえが泣いてるよりはマシだ!」
「な、泣いてないもん! 全然泣いてなんかない!!」
「泣いてるのと一緒だ。そんな顔して、どの口が泣いてないなんて言うんだ?」
「だって、全然悲しいことなんか無いもん! 泣くわけないでしょっ!」

「だったら言ってくれよ! 俺を信じろ!」

――!?……信じろ…………うん。信じてる…………信じてる……

「だ…………だか……ら…………」

「大河!!!」
18【 - た い が - 】 56 ◆askgvpoGB. :2009/07/05(日) 23:12:07 ID:oOEeQZ1y



「だからっ! わたし赤ちゃんが出来たのっ!!!!!」



言ったぁっっ――――!!!
心臓がぎゅっと縮まって、まるで止まってしまったみたいに苦しい。
まぶたが震えて閉じそうになるのを必死で抑える。
怖くてたまらない……けど……それでも目を逸らさない。

「………………えっ?」

竜児は「驚」の文字がそのまま貼り付いてしまったみたいに固まってる。
さっきの勢いで、そうかよっ! とか言われたら死んじゃう。そんなのいやだ……いやだよ、竜児。

「……ほ、ほんとう…………なのか?」
「こんなこと冗談で言わないわよっ! ずっと、ずっとずっとずううううっと言いたかったの!」

叩き付けるように叫んだ声が反響して、消えて、そのまま時間が止まったみたいに感じる。
竜児の瞳だけが私を見つめたまま、表情も何もかも固まったまま……動かない。

なんで……何でこんなふうになっちゃうの……
もっと、普通に言いたかったのに……何で、何で私たちっていつもこうなんだろうね……
大事な事を、静かに……穏やかに……迎えられた事なんかほとんど無くってさ……

「…………………………」

あああ、怖い……怖いよ、竜児。
うそでもいいから笑って! 喜んで! お願い!
おめでとうって言ってくれるよね? 嬉しいぞって言ってくれるよね?

ねぇ、竜児…………りゅうじっ!!!
19【 - た い が - 】 57 ◆askgvpoGB. :2009/07/05(日) 23:13:43 ID:oOEeQZ1y



「うおおおおおおおぉぉ!」
「きゃあああっ!?」

――――次の瞬間、私は空にいた。
竜児が私の脇の下を持って、勢いよく……ぐわあっと立ち上がった。
あっという間に畳が遠のいて。照明がまぶしくて。……私は……高い高い……されてる?



「やっったああああああああああぁぁ!」 


――――え?

「たいがああぁ! やったなああああああぁぁ!」

釣りあがった目をまん丸にして……口もおっきく開いて……

「何だよ大河! 何だよ……もう! 心配させんじゃねえよ!」

「……だって…………だって、さ…………」
「すげえよ! すげえよ大河! すげえええええぇ!」

……こいつ……こんな顔で笑うんだ……
こんな……プレゼントをもらった小さな子供みたいに……笑うんだ……

「なに……よ。何かもっと……素敵な言葉とか言ってくれたっていいじゃないのよ……」
「ばっかおまえ! 言葉なんか出ねえよ!
 何かもうさ……全然すごくって何言ったらいいか分からねえよ!!!」


……やったーってバカじゃん……バカよ……何よそれ……
どんだけ嬉しいのよ、あんた…………どんだけ……喜ん……でる……のよ…………

「……っ! りゅ……う……じっ…………」

涙がどんどん溢れて来る。こらえようとしても……止まらない、止まらないよ……竜児……

「おう! すげえよ! すげえよ、大河! おうおう、やったな! やったなぁ!」

……何を心配してたんだろうね……こんなに……こんなに喜んでくれたじゃない。ホント、私ってバカだ。
溢れた涙は瞳から零れて、私の頬すら濡らさずにポロポロと下に落ちていく。

「おう? 何だよ! 泣くなよ!」
「だって……だってええぇぇ…………っく……りゅうじいいぃぃ――っっ!!!」

顔をぐしゃぐしゃにして……赤ん坊みたいに……泣き喚いてしまう。
こみ上げる感情に身を任せるしかなくて、両の瞳が壊れてしまったみたいに、止めどなく涙が零れる。
……竜児がこんなに喜んでくれてよかった。こんなに喜ばせられる私でよかった。心からそう思う。

「りゅうじっ! りゅうじぃぃっ! うわあああぁん!」
「嬉しいじゃねえか! 最高じゃねえかよ! だから泣くんじゃねえよ、大河!」

大きな涙も、小さな涙も、ポロポロポロポロ、零れ落ちていく。

それは……優しい雨のように竜児に降り注いで……竜児の顔を濡らしていく。
20【 - た い が - 】 58 ◆askgvpoGB. :2009/07/05(日) 23:14:37 ID:oOEeQZ1y


「泣くなって! な? 泣きやめって、大河! ほーら!」
「う、わあっ!? やだっ! 揺らさないでよ、竜児っ!」

腕を曲げたり伸ばしたりして、本当に高い高いされてるみたい。
しかも、たいがー! たーいーがー! なんて言いながらその場でゆっくり回り始める竜児。

「もう! 変な声ださないでよっ! きゃー危ないっての!」

ポロポロ、ポロポロ、涙がどんどん落ちる。
次から次へ溢れて、それでも止まらなくって、竜児に揺らされて零れて落ちる。

くるくる、くるくる、竜児が回る。いつかのクリスマスみたい。
私が天井の照明を遮ってるから、竜児の顔に光が差したり、影が落ちたり。
さっきの公園みたいだな、なんて思う。

「やだぁ! そんなに回っちゃ危ないよ! だから、お腹に赤ちゃんがいるって言ってんでしょ!」
「おう! そうだったな! 男の子か?」
「まだ分からないって!」
「じゃあ……女の子か!?」
「だからっ! まだまだ分からないよ、そんなのはっ!」
「うわー! 楽しみだなー! どっちだろうなー?」
「そう……だね。うん。楽しみだね…………竜児。あははっ」

そんなことを言いながら、がに股でヘンテコな踊りを踊ってるみたいな竜児。
私はそんな竜児を見ながら泣き笑いみたいなヘンテコな顔してる。

ホント……カッコ悪い……私たち。

ステージは6畳のリビングで、スポットライトの代わりは天井の照明で……
ドレスもタキシードも無くって、ただのパジャマで、そんでもって2人ともヘンテコで……
でも……でも、こんなに楽しいならいいよね、こんなに嬉しいならいいよね、竜児っ!



◇ ◇ ◇ ◇ ◇
21【 - た い が - 】 59 ◆askgvpoGB. :2009/07/05(日) 23:16:03 ID:oOEeQZ1y


「ねぇ……竜児」
「おう?」
「そろそろ……下ろしてよ……」

そう言って竜児に手を伸ばす。脇の下を支えられてるから竜児に届かない。
フラフラと宙を掴むように手を揺らしていると、ようやく、伸ばした腕を曲げていってくれる。

「おう、そうだな。ゆっくり下ろさないとな」

と言いながら、本当に本当にゆっくり腕を曲げていく竜児。

「そんなに……ゆっくりじゃなくても大丈夫だよ……」
「ダメだダメだ。ゆっくりに越したことはない」

梯子の上に乗った臆病な私を……怖がらせないように、大切に、ゆっくりゆっくり下ろしてくれてるみたい。
そうね……私は怖がりで……ずっと、ずっと一緒にいるのに……また心配かけちゃって……ごめんね。

何度、気付かされただろう……もう怖いことなんかない……おまえはもう1人じゃない。
――そう言って竜児は、何度もこの手を掴んでくれたよね。

私の伸ばした手が、指先がようやく竜児の頬に触れた。

「いっぱい、濡れちゃったね……」
「……そんなことは気にするな」

手の平で竜児の顔をいっぱいいっぱい撫でる。
そうしてる間にもどんどん竜児の顔が近付いてくる。
それでも、もどかしいくらいに、ゆっくりゆっくりと梯子を下ろしてく。

私はもっと早く下ろして欲しくて、
竜児にキスがしたくて、どうしてもしたくって、
イヤイヤをするように身体を動かして竜児を困らせた。

「ねぇ……ねぇ……りゅうじぃ…………りゅうじぃっ……」
「おう? 大河、たいがーたーいがー」
「ぷっ。何よ、変な呼び方しないでよっ」
「はははっ」

しがみ付くみたいに、竜児の首に手を回す。
おでことおでこがくっついた。
溢れてくる涙に思わず目を閉じる。

「ほら……竜児……幸せが降ってきたよ?」
「ああ、本当だな……本当に幸せだぞ、俺は」
「私も……幸せ……」



そうして、愛しい人の唇に、唇で触れた。



◇ ◇ ◇ ◇ ◇
22 ◆askgvpoGB. :2009/07/05(日) 23:16:49 ID:oOEeQZ1y

本日はここまで。ありがとうございました。

このスレに投下できてよかった。このスレの人達に読んでもらえてよかった。

心からそう思います…………が、ちょっと息切れ気味なので、次回は未定で数日中には。
23名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/06(月) 00:08:47 ID:YLHEG76E
AT-X実況から帰って参りました

>>16-21
やっと言えたー!!良かったのであります

>>22
ゆっくり書いてってね!(AA略
24名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/06(月) 00:16:53 ID:Gkw5llmW
ご苦労様です!
自分のペースを保って書いてくださいね。
楽しみに待ってますから。

25名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/06(月) 01:50:22 ID:OwnbYFS0
>>22
泣いた! もらい泣きしましたよ!!
なんか幸せを分けてもらったような気分だなー ふふふん
26名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/06(月) 05:44:49 ID:RwTPZCX3
GJだぜ……毎日このスレ覗くのが俺の今の楽しみだ
27名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/06(月) 12:40:45 ID:zOhcBcHV
>>26
禿同
昼休みの楽しみだぜ
28名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/06(月) 12:56:21 ID:/htscwhn
4時間に一度覗いてる僕はおかしいですか
29名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/06(月) 14:06:47 ID:qrT6mZL4
2時間に一度の俺は(ry

実際に自分の時を想定しても、やった!
って言えるほど純粋に喜ぶってなかなか難しいよな。
せちがれぇ世の中だぜ、おい。

つーわけで、もっと竜虎の2828をくれ!
30名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/06(月) 14:27:04 ID:gqdIdmaL
拙者は30分に一度でござる
31名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/06(月) 17:13:53 ID:IXSJH9by
「竜児、野球拳をしよう!」
「また川嶋辺りに何か吹き込まれたのか?踊らされやすいやつだなお前…」
「そんなのどうでもいいから、するの?しないの?」
「おう、もちろんやるぜ。ルールはどうする?」
「そりゃもちろん裸になった方が負けよ。そして、今から着替える事は許さないわ!」
「だからそんな厚着してるのか、この暑い中ご苦労なこってすな」
「ふん、なんとでも言うがいいわ。後でほえ面かくのはあんたなんだから。あと、負けた方は勝者の言う事をなんでも一つ聞くこと! さぁ行くわよ!」
「「や〜きゅう〜す〜るならぁ〜こ〜ゆ〜具合にしやしゃんせぇ〜」」
「アウト!」「セーフ!」
「「よよいのよい!」」
「ぐぉぉ負けた!ではシャツから」
「やった! ね、勝ったほうが相手の何を脱がすか決めるってのはどう?」
「ふむ、それも面白みがあっていいな。何脱げばいい?」
「んじゃね、ハーフパンツから脱いで貰おうかしら」
「オーケーオーケー。…じゃ、行くぜ」
や〜きゅう〜ry
「おぉ勝った!」「く、犬のくせに結構やるわね…」「勝った!」「………チッ」「おぉっとまた勝っちまった、悪いな大河」「………」
「(こいつ…もしかして…。俺が出したやつに勝つやつを出してきてるのか…?)」
「竜児!あんたなんかズルしてるでしょ! 白状なさい!」
「…お前俺が出したやつに勝つやつを出してるからアイコか負けるんだぞ。同じの二回出すと思ってるのか?」
「…ハッ」
「まぁいい。こんだけ勝ってまだ俺より一枚多いんだ、続けるぞ」
「…コクッ」

……そんなこんなあって……

「はーっ、はーっ、はーっ」
「はぁはぁ…、次の一手で決めるわ!」
「俺もお前も下着のみ…次で勝負が決まる!行くぞぉぉ!」
「「や〜きゅう〜す〜るならぁ〜こ〜ゆ〜具合にしやしゃんせぇ〜」」
「アウト!」「セーフ!」
「「よよいのよい!」」
「…おぉ。おおお!勝った、俺は勝ったんだ、やったぞぉぉぉ!」
「何言ってんのかしらね、この妖怪赤面お化けは。私はまだ一枚あるわよ?」
「お前ブラとパンツしかねぇだろ、この勝負は俺の勝ちだと思うが?」
「だから、二枚あるじゃないの。さぁどっちを脱がせるか決めるがいいわ」
「…本気か…。じゃあ上で」
「…変体…」
「そう言いつつちゃんと脱ぐ所は尊敬に値する。ん?手で隠すのはダメなんじゃないかな大河さん?」
「……うぐ」
「さぁ手を退けるんだ、俺だって身に纏ってるのは下着一枚、別に隠してはいない。さぁ、さぁ!」
「…分かったわよ…」
「おう、随分と可愛いんでちゅねー。さぁ続きと行こうか?」
「…ふん…ばかいにゅ…」
や〜きゅう〜ry
「なん、だと…」
「やった、やったわ!1時間にも渡る死闘の末、私は勝つことが出来た!テテテテーレーテッテテー!」
「何か勘違いをしていないか?俺のバトルフェイズはまだ終了してないぜ、これを見よ!」
「…まさかの近藤さん…?そそそそれは衣類じゃないわ!反則よ!」
「あんだけ着て、靴下も片方ずつしか脱がなかったお前がよく言えたもんだな…」
「…わかったわよ! やりゃぁいいんでしょやりゃぁ!行くわよ!」「おう!」
や〜きゅう〜ry
「どうだ、これが力の差を言うものだ。いつも我侭を押し付けてきた分のつけが回ってきたんだろう」
「…はいはい。負けたわよ、私の完敗。これでいいんでしょ? さ、寛大で慈悲深い大河様が犬ッコロの言う事を何でも一つ聞いてやるわ。そちは何を願う?」
「…お前は真っ裸。俺も裸で近藤さん装備済み。あとは分かるな?」「…エロいにゅ…」


ギシギシアンアン
32名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/06(月) 17:24:43 ID:RwTPZCX3
>>31
「どうだ大河、気持ちいいか?」
「ザ・ワールド!(カッ)」
「…あれ?突然めちゃくちゃ気持ちよくなったぞ……まるで近藤さんが無いみたいだ…」
「ほら竜児ちゃんと集中しなさいよ」
「お、おう……も、もうだめだ……うっ」
「ニヤリ」
33名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/06(月) 17:41:03 ID:pXUEpM4P
これはひどいwww
いいぞもっとやれ
34名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/06(月) 17:50:23 ID:IXSJH9by
ごめん>>31は最後ギシアンだけど
一応SSかシチュって事にしておいてくださいです。>まとめ人様
35名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/06(月) 18:03:27 ID:hB2yDDUq
>>31
>まさかの近藤さん
つまり竜児は大河が野球拳を言い出す前から装着済みで、しかもその後ずっと臨戦体勢、と……

なに かんがえてんだ!>竜児
36さかるぜ:2009/07/06(月) 21:21:04 ID:oH4kMKdx
まだ一回も見たことないネタなんで早い者勝ちっつーことでやっておきます

竜児「盛るぜー!超盛るぜ〜!!」

大河「ちょっあんたやめなさいよ!!ってあふん」

ギシギシアンアン

<蛇足>
あーみん「こらバカ虎!人前だっつうの!マジ止めろって!」
みのりん「へへっあーみん、実は混ざりたいんじゃないかい?いやぁ、おいちゃん妬けちゃうねぇ〜」
あーみん「んなワケねーだろ!!(やだ、あんな太いの亜美ちゃんに入っちゃうわけ?マジでありえないから!!)」
みのりん「ニヤニヤ」
37名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/06(月) 21:39:45 ID:qZqsfGdx
盛る @もる
   Aさかる
38名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/06(月) 22:06:04 ID:/htscwhn
解説キボンヌとか言ってみる
39名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/06(月) 22:56:26 ID:oH4kMKdx
>>38
ヒント:名前欄
40名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/06(月) 23:04:55 ID:WjGJeXrt
>>34 ssなめんな
41名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/06(月) 23:34:23 ID:qrT6mZL4
>>34
いや、これはギシアンにまとめてしまうのは惜しい。
つーか、まとめ人の事だ、素敵な名前を付けてくれるさw

あと、このスレを携帯で見る時にシーク通したい場合はどうしたらいいんでしょう?誰か教えて下さい。
42名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/06(月) 23:58:59 ID:gqdIdmaL
>>41
ファイルシーク通して使うと使いづらいだけなんだが

携帯用2chメニューはいろいろあるがな

べっかんこ
http://ula.cc/

c.2ch.net
http://c.2ch.net/

orz
http://orz.2ch.io/

クラシック
http://i.i2ch.net/

それともこのスレに張られたリンクをファイルシーク通して見たいということかね?
その場合はまず一番下に[設]というリンクがあるからそれを踏む
そしたらいろいろ項目あるので「ime.nu」というのにチェック
ついでに「デフォルトAAS」にもチェック入れとくと良いだろう
そしたらページの下の方にある「設」ってボタン押すと
c.2ch.netだと設定しましたってページに出るからそのページのclassicメニュってリンク踏んで開いたページのURLをブックマーク
そうしないといちいち設定することになって面倒臭いことになる
orzの場合は設定後はすぐスレッドなり板なりに飛ぶからそこをブックマークすればよい
こうすればリンク踏んだらime.nuに飛ぶようになり携帯用に変換するメニューをいろいろ選ぶページが出る

べっかんこの場合はデフォルトでime.nuに飛ぶようになっている
そしてスレッド閲覧履歴も見れるからそのページをブックマークすればよい

以上だ
蛇足だが携帯だけで2chやるのはあまりおすすめ出来ないので
PCでもやっておいて慣れておいた方が良いだろう
43名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/07(火) 00:07:10 ID:qrT6mZL4
ありがとうありがとう、本当に感謝します!!
教えてもらった中から使いやすいの探してみます
44名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/07(火) 03:16:28 ID:QpQ6jZgG
「ねぇ竜児。雨の色って何色だと思う?」

この天気で洗濯物はいつまで経って半乾き、乾燥機がない我が家ではアイロンで仕上げるしかない。

背中合わせでユラユラとアイロンの動きに合わせて揺れていた子虎が、夢見る少女みたいなことを言い始めた。

「う〜ん、そうだな…」

ここは現実的に答えるべきか、それとも幻想的に答えるべきか…

「やっぱり、雨ってのはその人の今によって感じ方は違うんじゃないか」

「例えば?」

「そうだな… 俺は一人っ子だから雨が降ると外で友達と遊べなかったから、子供の頃は灰色ってイメージだったな」

「わたしも。私も一人だったから雨は暗い色だった」

「でも、今は大河が居るからそんな事ないけどな」

「うん、そうだね。雨の色も昔みたいに暗いイメージじゃない」

ウゥッ… シクシク ヒッ シクシク…
「何だ?」

バン!
「ゴベンネ りゅうぢゃん」ウァァ〜ン

「やっちゃん!」

「ごめんね〜 やっちゃんがお父さんに置いてかれたから、竜ちゃんは一人ぼっちで」

「そんな事は気にしてないから!」

「えぇ〜 だって家族が二人きりで寂しかったでしょ?」

「そんな事は無かったから、それに今は大河も居るし」

「そうよ!寂しくなんかないよ、やっちゃん!」
「私が竜児と結婚して子供をポンポン産むから、これからは家族はドンドン増えるから!」

「……バトミントが出来るくらいに?」

「オイ!!そこは普通、野球とかに例えるだろ!」

「えぇ〜そんなに産んでくれるの!大河ちゃん?」

「いや、さすがに野球はちょっと…」
45名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/07(火) 06:12:45 ID:jWSm2ZLX
昔何かの映画で「将来の夢は野球ができるくらいの数の赤ちゃんを生むことです」
って言った子供に「ゴキブリかお前」
って突っ込んだの思い出した。
大河の場合サファリパークが開けるな!
46名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/07(火) 06:21:27 ID:S4i3+MtY
アイロン掛けしてる竜児に背中合わせで座ってる大河ですか?!w
何かいいなぁwそういうのw
47名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/07(火) 08:39:36 ID:Oik9E+4S
>>44
こういうのいいなあ
梅雨にぴったりだ
48奥さまは虎女:2009/07/07(火) 13:05:25 ID:P+YRwNDi

 奥さまの名前は大河。そして、だんな様の名前は竜児。
 すごく微妙なふたりは、しごく異常な恋をし、ごく普通の結婚をしました。
 でも、ただひとつ違っていたのは、奥さまは虎女だったのです……なんて読むんだよ!?


「ただいまー。大河……大河ぁ?」
「わぁ……っ! おかえりなさぁい、竜児っ!」
 だだだだっどん!ごん!
「痛ぇ……っ! お、おまえさあ、抱きついてくれるのは嬉しいんだけど、突進してくんのやめねえか?
 後頭部の形、変わっちまうよ……」
「っ!? も、もう、愛は冷めたのね……?」
「いやだから、抱きつかれるのは嬉しいって言ってんだろ? 加減ってものをだなおまえ……」
「いやっ! 離婚しても私離れないから! ずっと一緒に暮らすんだから!」
「ひとの話聞けよ!? だいいち離婚の意味ねえだろそれ!?」
「うぐ……っ」
「わあ泣くな泣くなおまえ! 愛してるよ、大河!」
「っ! ほ、ほんとう?」
「ほ、ほんとだほんと。ちょー愛してる。冷めてねえ。激アツだ。特に後頭部のあたりが」
「ん……じゃあ、ただいまのちゅう、して?」
「おう……ただいまのちゅう……」
「そ。いつもみたいに、して?」
「……」
「……なに? なにあんた、きょろきょろしてるわけ」
「あ、いや、なんか今すごく、どこかから見られているような感じが……」
「はあ? なに言ってんの。やだもう竜児ったら、ネット中継でこれを見ているおまえの脳を
 逆にハックして北村くんの全裸画像まみれにすることも可能なんだぞスキャナーのこの俺には
 みたいな目してきょろきょろするんじゃないの! だいいち私は誰に見られたって平気よ!
 だって……竜児と、だもん……」
「おう……だが俺は嫌だぞ? そうしてるおまえすげえ可愛いから、誰にも見せたくはねえ」
「は、はう……」
「おうなんだ、まだおまえ震えるのか。慣れねえもんだな……」
「りゅ、竜児が悪いんでしょ! か、可愛いとか、言うから……」
「……ただいま、大河」
 ちゅ。
「っ! お、おかえりなさい、竜児……っ。えと……こ、これだけ……?」
「これだけ? ってなんだよ」
「ちゅ、ちゅう……これだけ?」
「っ! そ、そうだよ、今はこんだけ。これ以上はだめだ」
「ど、どうして……?」
「どうしてもこうしてもねえよ。が、我慢できなくなるだろ?」
「わ、私はべつに……いいけど。こ、ここでも……」
「うえぇっ!? た、大河……?」
「っち、違うの! べつにあのっ、いつもそのっ、帰ってきた竜児にいきなり玄関でとかっ、
 か、かかか考えたこともないから! そ、想像したりあああ憧れたりなんてしてないから!」
「……あ、いや、そこはつっこまねえ。あぶねえ。と、とにかくだ、大河。ここはだめだ。
 ここではすっごいまずいって俺のゴーストがささやいてる。な、大河、とにかく……そうだ!
 メシにしよう! な?」
49奥さまは虎女:2009/07/07(火) 13:05:29 ID:P+YRwNDi
「っあ、う、うん! そうね! ご飯ね! 腹が減っては夜の戦もなんだかだって、言うし!」
「そっから離れねえかな……まあいいや。さ、ご飯にしよう、大河」
「うん! で、どこ食べに行くの?」
「へ? どこに?」
「そう、どこ行くの? だってウチ、ご飯ないよ? お昼にあんた、夕飯の用意はいらないぜ大河
 竜にゃん愛でお腹がいっぱいだからはぁと、なんてメールくれたから」
「竜にゃん以降の記憶はねえが……まあそれでいいんだよ。ほら」
「あっ、エコバッグ! ……でも竜児、エコは食べ物じゃないよ? あと袋も」
「俺おまえのそういうとこほんっとに大好きだけど、概念も布も食わせる気はねえ。
 食材買ってきたんだよ。今夜は俺が作る」
「えぇ!? わーいっ! 竜児のごっはんーごっはんーっ♪ ……あ、でも、すっごく嬉しいけど……
 お仕事で、疲れてるでしょ……? 朝食だって、いつも竜児だし……」
「朝飯作るのはその方が目ぇ覚めるからだ。それに、たしか料理はそれ自体がストレス解消になる、
 って話も聞いたことがある。あと、あらかじめ言っとくが、俺はおまえが毎日4時間くらいかけて
 作ってくれてる夕飯が大好きだ。死ぬほど嬉しくて腹が下る時もあるが毎日楽しみにしてる。
 今夜もおまえの手料理を食べられないこと自体はまあ、残念なんだが、俺が作りたいんだから
 仕方がない。というわけだ、今夜は俺が作る」
「う、うん! えっと、あれ? きょ、今日、何の日だっけ……?」
「は? 何の日?」
「ご、ごめん竜児! 私、忘れちゃって……な、何の記念日だっけ?」
「おう……い、いやだな、大河。おまえと一緒にいれば、ま、毎日が記念日だよ」
「それは嘘!」
「早っ!」
「みえすいたご機嫌とりなんていいからさ。ね、竜児、何の日だっけ?」
「ご機嫌とりじゃねえんだけどな……今日はべつに、何の日でもねえぞ、大河」
「そ、そうなの? なんだ、よかった……」
「そうなの。よかったの。記念日でもねえけど、とにかく俺が作りたくなっただけなの。
 てか、大河。そろそろ抱きつくのやめねえか? いいかげん上がらせてくれよ、俺を」
「あらやだ。そうね。さ、どうぞどうぞ、お上がりになって? いやねえもう遠慮なんかしないで……」
「遠慮しねえよ俺たちの家なんだから……てか抱っこしたまま移動なのかよ!?」
「竜児ったら、エコバッグも私も抱えて大変ねえ?」
「わかってんじゃねえか……何の二人四脚だこれ……ドアあけるぞほら……おう、ナイス誘導だ大河、
 だいぶコツがつかめて……そっちベッドだろこの野郎!? ちっ、じゃねえよ、ちっ、じゃ……
 ソファでもいいとかじゃねえ!? キッチン行くのキッチン! この変態とか言うなおまえが!?
 料理しかしねえよ!?」
「ちっ」
「ち、じゃねえよだから……はー、ようやく着いた。すげえ疲れた」
「……」
「ん、どした?」
「……疲れた、だけ?」
「……そんなわけあるか。楽しいよ、大河……」
「竜児……」
「って、うちゅー、じゃねえよタコちゃんが。それは後。ぶーぶーじゃねえ。さ、メシ作るから。
 上だけ脱ぐわとりあえず……だからさ、大河……わかるだろ、な?……いいかげん腕ほどけって!?」
「やーだ」
「こらぁ、大河……いい子にしろよお願いだから」
「やーだ。私悪い子だもん」
「ったく……ほら、いい子にしてくれたらさ、後でたっくさん、可愛がってやるから」
「は……っ」
「よしふるふる来た。力抜けた。ほーら、抱っこおしまい」
「ひ、卑怯者……っ」
「おう、なんとでも言え。さ、エプロンとってくれ大河」
50奥さまは虎女:2009/07/07(火) 13:05:32 ID:P+YRwNDi
「もぅ……はい、竜児、エプロン」
「おう、サンキュ。……おー、落ち着くわ。で、一応聞こうか、大河。何が食べたい?」
「っ決まってるでしょうが! チャーハン!」
「おまえね……インプリンティングもたいがいにしろよ? チャーハン俺のベストメニューじゃねえんだぞ。
 おまえって奴は俺の潜在能力の1%も使わせちゃあくれねえ」
「だってしょうがないでしょ!? あ、あんたが私をチャーハン漬けにして手込めにしたんだから……」
「チャーハンやばい薬みたいに言うな!?」
「あんた薬混ぜてたの!? 最低!……でも、もう私、それでもいいの……」
「混ぜてねえよ!? あとなんか堕ちたけど幸せオチみたいな言い方やめろよ!? ……てかさ、
 どっちにしろ、買ってきた食材で制限されるんだよ、作れるものも」
「えーっ!? チャーハン作れないの?……なによ、ニヤニヤしちゃって。キモいよ、大好きだけど。
 他のひとに向けちゃだめ。特に女の子には、感じちゃうから」
「俺はバンコランか」
「ううん、性犯罪の気配を」
「やっぱそっち系か……作れるよ、作るよ、チャーハン」
「えっ!? 作れるの? 作ってくれるの? やたっ! ……てか、それならそうと最初から言いなさいよね、
 竜児の意地悪……」
「おまえの拗ねた顔が見たい程度にはな」
「っ!……」
「……よし、満足した。でもチャーハンだけで満腹はさせねえ。あと二三、作らせてもらう。
 ホイコーロー、卵とトマト炒め、ピータン豆腐サラダ、ワカメの中華風スープ、そんな感じでどうだ?」
「えっ!? そんなの作れるの?」
「作れるよ。3秒だよ。3秒は嘘か、まあ、10分でいける」
「わあ、竜児ってすごーいっ!」
「そうだよ。わりとすごいんだよ。だからたまに作らせろよ、な? 冷凍のご飯はあるよな。
 解凍頼むわ」
「はーい!」
「さて、キャベツとレタスから行くか……」
 ジャー、バタン、ガラガラ……、ジャッ、ジャッ!
「おお……ねぇ竜児、あと手伝うことある?」
「おう、解凍終わったら、レンジに豚バラかけてもらう。強で2分。また後で言う。それまでは、
 まあ、俺の後ろにいてくれ」
「うん、わかった!」
 トントントントン……
「……初めてだね、こうして竜児に夕食作ってもらうの」
「だろ?」
「うん……引っ越してきて、一緒に暮らすようになって、初めて」
「だろう? やっぱいいよな」
「うん……」
「これがやりたかったんだよ……ようやくここまで来たって感じ、するわ……」
「うん……」
「やっぱいいよ……俺が夕飯作ってて、おまえが後ろにいてくれて」
「うん……」
「俺たち、告白もしねえで、いきなり家族になったようなもんだったよな……」
「うん……」
「……ようやく、ここに、戻って、これ、た……」
「竜児……っ」
51奥さまは虎女:2009/07/07(火) 13:05:34 ID:P+YRwNDi
 トン、トン……カチャ
「ごめん、大河。10分も嘘だわ……おまえを、抱きしめさせてくれ……」
「竜児っ……竜児っ!」
 ぎゅう……っ
「大河……ああ、大河……長かったなあ……」
「うん……でも、あっという間だったよ……」
「そうだな……でも、めんどくさかったなあ……」
「うん……でも、簡単だったよ……」
「結婚なんて、くそくらえだよ。なあ、大河……」
「うん、うん……」
「結婚なんてしなくてもひとは幸せになれるって、俺たちは知ってる……」
「うん、うん……」
「結婚してても、ひとは幸せになれないことがあるのを、俺たちは知ってる……」
「うん、うん……」
「結婚なんざ、方便だ……俺たちのまわりに関係があるだけだ……ほんとはどうでもいい。
 俺はただ、おまえと一緒にいたいだけなんだ……大河、おまえさっき、いいこと言ってたよ。
 結婚なんざ、しようがしまいが、俺はずっとおまえの傍にいたい。一緒に暮らしたい。
 一緒に生きて行きたいんだよ……大河」
「竜児……っ」
「ただな、大河……そんな俺が結婚するとしたら、おまえしかありえねえ。ありえなかったよ」
「竜児っ、私も……っ」
 ピーッ!
「と、あらやだ、ご飯解凍できた……竜児、豚肉……ほら、うちゅーとか、してないでさ」
「え? えぇ……? キスくらい、いいじゃねえかよ……?」
「だめだめ。キスだけで済む流れじゃないでしょ? キッチンがエロくなるよ、油断大敵!」
「……敵はおまえだけどな、この場合……ま、いいや、豚肉な? 切るわ……なんだ?
 なんだよおまえ、エプロン引っ張るなよ。肩ひも伸び」
 ちゅ。
「っ!」
「……こんだけで、我慢してね?」
「お……おう……」
「あんまニヤつくんじゃないの。ほら、レンジ壊れるよ?」
「ねえよ……てか、おまえが笑ってるからつられたんだろうが……」
「っそうだ! ね、やっちゃん呼ぼうよ!」
「お、おう! そうだな、帰ってきてるかな。メシまだかな。おまえちょっと連絡して……
 てか、いいのか、大河?」
「もちろん! ……だって、あのころにようやく戻ったっていうなら、やっちゃんもいないと」
「おう……あ、いや、そりゃあそうなんだが。そうじゃなくて、つまりその、メシ食ったら、
 なんてかその、すぐに……ってわけには、いかなくなるぞ?」
「あらやだ。竜児ったらすっかり発情期。この新婚エロス犬!」
「どっちがだよ!? 理不尽きわまるわ……」
「……私は、いいよ。今夜はやっちゃんにいて欲しい。大事なことだもの……それも」
「大河……」
「あとね、竜児。私はね、べつにいいの……やっちゃんの目の前で、しても……」
「俺がよくねえよ!?」


***おしまい***
52名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/07(火) 13:08:55 ID:jWSm2ZLX
「ねぇ大河、この間のいい線行ってた?」
「な、何言ってんのみのりん!私達がいくら付き合ってるからって一線を越えたなんてそんな!
…でも、竜児がしたいって言うなら…別に考えてあげない事も…」
「落ち着け大河!一線じゃなくていい線だ!テストの合計点…って、いいのか、大河?」


ギシギシアンアン
53名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/07(火) 13:45:01 ID:jWSm2ZLX
ああ、代理投下に被らなくてよかった、気付かなかったw
GJ!!
54名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/07(火) 13:52:26 ID:QupZ0XKq
かぶっても気にしない気にしない
55名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/07(火) 17:26:32 ID:QpQ6jZgG
「せっかくの七夕なのに雨かぁ…」

「そうだねぇ〜 かめはめ波でも打ち込んで雲を払い退けたいね〜」

「…なるほど、かめはめ波か」ブン! ブン!

櫛枝の一言で大河は例の構えで腕をブンブン突き出す、不思議と大河だったら打てるのではと思ってしまう。

「なかなか様になってるじゃないか、本当に打てそうだ」

「でしょ!何か体中の気?みたいなものが手に集中してる!」

「オイオイ…」

「竜児離れて… 次は本気でやるから」

足を肩幅に広げ目をつぶる…… 良い感じに力が湧いて来る。

良し!今だ!!「か・め・は・めぇ〜」

大河は目を閉じたまま呟き始める、出せるのか?本当に出しちゃうのか?

「みんな〜 今日は七夕だ『波ァァー!』」

「ウボッ!!」

   『春田死亡』
56名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/07(火) 17:58:51 ID:QupZ0XKq
大河ならかめはめ波どころか元気玉ぐらい使えそうだよ
57名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/07(火) 18:05:35 ID:5+c1dolL
電車の中だったのに、不覚にも春田でフイタw
58名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/07(火) 20:39:52 ID:E6hbQ+mg
大河「いいのよ」
59名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/07(火) 20:58:48 ID:jWSm2ZLX
「織姫と彦星、ちゃんと会えたかしら…」

「会えたさ、きっとな」

「だとしたら今頃、え、えええっちとかしてるのかしら」

「…お前可愛いな」


ギシギシアンアン
60名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/07(火) 21:13:19 ID:5+c1dolL
「織姫と彦星、ちゃんと会えたかしら…」

「会えたさ、きっとな」

「一年に一度だもんね、きっとすごく……その……あの……ももも盛り上がっちゃうのかな?」

「俺は一日に一度でも……すごく盛り上がるぞ?」

「わ、私も…………///」


ギシギシアンアン
61 ◆QHsKY7H.TY :2009/07/07(火) 21:35:17 ID:n7wAtR6q
お久しぶりです。
新スレ乙です。
まとめ人さんシュミレーションゲームのリンクありがとうございます。
以前調子扱いて予告なんぞやったやつをちょこちょこ書きためたので投下しようと思います。
全部投下後はまた亀更新になるかもしれませんが暖かく見守って頂けると嬉しいです。
今回はそんなに長くならない予定……のはず。
62【逢坂大河〜Remember竜児〜】 ◆QHsKY7H.TY :2009/07/07(火) 21:37:01 ID:n7wAtR6q
ゆっくりと瞼を開く。
「ん……」
まるで開くことが久しぶりだと感じるほどにその瞼は重い。
体を動かそうにも億劫になってしまっているし、一言で言って体が鈍っている。
そんな自分の体たらくさが許せなくて、むっくりと起きあがる。
周りは、見たことの無い部屋。
白いカーテンが天上にはぶら下がっていて、しかしそれだけ。
「……ん?ここは?あら?綺麗な娘……何だ、鏡ね。あれ?……じゃあこれ私?私は、……私は?」
今鏡に映ったのは自分。
長いふわりとした髪に、シャープな顎。
細い肩に小さい体。
起伏は……まぁ無いわけじゃない。
そんな自分の姿に、見覚えが全く無い。
いや、『全ての事に覚え』がない。
そして……気付く。
自分の名前すら、わからない。
「私……誰?」
コンコン。
自分に対して、部屋に対して、それぞれに疑問を抱いた所で部屋の戸がノックされる。
「大河……入る……大河!!気付いたんだな!?心配したぞ!!」
返事をする前に開かれた扉からは、見たことも無い男が入って来た。
恐らく、私が起きているとは思わなかったのだろう。
返事を聞かずに開いたドアを閉めるのも忘れて私に急ぎ足で近寄ってくる。
って何コイツ?
何でそんなに目がつり上がってるの?
「……なんだよその顔は?嫌がらせか?心配したってのに……」
そんな私の心情を察したのか、目の前の男は少し顔を曇らせながら愚痴る。
「……アンタ誰よ?」
まず最初に気になった事を聞く。
だいたい、心配したなどと言われても私には何のことかさっぱりわからない。
いや、今の私にわかることなんて殆ど無い。
「は?何言ってんだ大河?」
「だからアンタ誰なのよ?馴れ馴れしい」
ホント馴れ馴れしい。
こいつは私のなんなワケ?
「……おいおい、悪ふざけにしてもやりすぎじゃないか大河?」
「だから本当にわかんないって言ってるじゃない」
「え、そんな、まさか……」
どんどん目の前の男の表情が青ざめていく。
「ちょっと待っててくれ大河!!」
男は焦ったように部屋から出て行った。
そんな後ろ姿を見ながら思ったのは、
「大河……って私の事、よね……?」
自分のらしい「大河」という名前を覚えることだった。
63【逢坂大河〜Remember竜児〜】 ◆QHsKY7H.TY :2009/07/07(火) 21:38:29 ID:n7wAtR6q
***

「記憶喪失!?」
さっきの目つきの悪い男が医者を食い殺さんばかりの形相で睨み付ける。
うわぁ、医者が怖がってるわよ?気付いてないのかしら?
……まぁこの男にしたらアレよね、そんなつもりは無いんだろうけど。
医者が早口で説明して、逃げるように出て行った後、
「その、大丈夫か、大河?」
心配気げに尋ねてきた。
尋ねてくるのはいいが、その前にいくつか確認しておきたい事がある。
「待って、その大河ってのは私の名前で良いのね?」
「お、おぅそうだ。お前は逢坂大河、大橋高校の2年で俺と同じクラスだ」
「ふぅん、でアンタは?」
「俺は高須竜児、まぁ友達だな。知り合ったのは高校からだが、お前は俺の家と隣同士で、お前が一人暮らしなのもあって俺の家によく飯を食いに来てたんだ」
「友達、ねぇ。で、私は何で一人暮らしなワケ??」
「……それは……」
ここに来て高須竜児が口ごもる。
「何?言いずらいことなの?」
「……まぁその話はおいおい話すとして、体の方はもう大丈夫なのか?」
話を逸らされた。
まぁいいか、重要なことなら言うだろうし。
「体?何ともないけど私怪我でもしたの?」
「いや、お前はインフルエンザに感染して入院したんだ。ずっとうなされて寝てたんだが、今日ようやく目が覚めたと思ったら記憶喪失、というわけだ」
「ふぅん」
「ふぅんってお前……」
「だってしょうがないでしょう?覚えて無いんだから、今は出来る事をやるべきよ」
「おお、たまにはまともなことを言うじゃないか」
「何よ、私ってそんなにまともな事を言わない奴だったの?」
そう、私は私を知らないのだ。
「あ、いやそういうわけじゃねぇんだが……すまん」
「どうして謝るのよ?私はどっちかっていうとアンタに助けられてる側よ?」
「お、お前……」
「?何よ?」
「いや、本当に記憶をなくしてるんだな、って。お前が素直にお礼を言うなんて、そう考えられなかったから」
……私って一体どんな奴だったのよ。
「まぁいいや。お前体調がいいなら退院できるそうだが、どうする?不安ならもう少し入院していてもいいが……」
「退院する」
「おおぅ、即答か」
だって、こんな消毒液臭い場所にいるなんて気分悪い。
「まぁいいや、じゃあ手続きしてくっから」
そう言って高須竜児は部屋を後にした、と同時、入れ替わるように、
「大河ちゃぁん!!」
染めた髪の長い、自分のと見比べてその膨らみの神秘に思わずめ目眩を覚えるようなプロポーションをした女の人が入ってきた。
「えっと?」
「大河ちゃんやっと目が覚めたんだね?よかったぁ〜♪」
ちょっとお酒くさい。
「でもでも、やっちゃんとーっても心配したんだからね?」
「え、あ、うん……」
心配してくれたのはまぁ嬉しいんだけど、この人誰?
「大河ちゃんまだ辛かったら無理しなくても良いんだよ?ちゃんとやっちゃんが面倒見て上げるから」
面倒を見る?あ、まさか……。
「えっと、お母さん……?」
「?……うん、そうだよ?やっちゃんはスーパーお母さんなのだ!!」
その瞬間、私は歓喜に満ちあふれる。
なにせ、なにせ目の前の女性の胸は、例えるならメロンなのだ、ボブ・サップなのだ。
そんな人が母となれば私のこの起伏が感じられ……もとい無いワケじゃない胸も期待できるというものだ。
「ああ、お母さん!!」
私は目の前の母に抱きついた。
「ん〜?今日は大河ちゃん甘えんぼさんだね〜」
よしよしと頭を撫でられる。これが家族、親子の愛なんだと『初めて』感じた。
64【逢坂大河〜Remember竜児〜】 ◆QHsKY7H.TY :2009/07/07(火) 21:40:00 ID:n7wAtR6q
***

「……何やってんだ?」
目つきの悪い男、もといヤクザ……もとい高須竜児が戻って来て開口一番、呆れたように呟いた。
「見てわからない?親子の愛を感じてるのよ」
自信満々に告げてやる。
ああ、いつかこの胸が自分のものにもなると思うと楽しみでしょうがない。
「はぁ?お前何言ってんだ?頭大丈夫か?」
「大丈夫だったらここにいないし、自分のことだって覚えてるわよ」
「あ、そうか……」
高須竜児がガクンと肩を落とした。
何よコイツ。
そんなナリしていながら心はナイーブなの?
「あ、いっけない!!やっちゃんこれからお仕事なんだ、竜ちゃん、大河ちゃんお願いね」
「おぅ、ああ泰子、これ持って行け」
高須竜児はいつの間にか手にしていた紙袋からお弁当箱を取り出した。
「あ〜竜ちゃんいつもありがとう!!それじゃ行ってくるね!!大河ちゃん、お大事にね!!」
バッと駆け出すようにお母さんが出て行く。
さて、
「何アンタ?お母さんを名前で、しかも呼び捨てで呼んでるの?」
「お母さん?ああ、まぁお母さんだけど……何て言うか、昔っからだからなぁ」
コイツ、昔から人の母親を名前で呼んでるの?変なの。
「まぁいいわ。んじゃちゃっちゃっと帰りましょうか。もう退院出来るんでしょう?」
「おぅ」
これでようやく、私はこの消毒液臭い部屋とオサラバ出来る。

***

「これが……私の家?」
ボロい。
なんだここ。
「いや、ここは俺ん家だ。……そんな嫌そうな顔をするな」
「じゃあ私は隣のこのマンション?」
「ああ、丁度家の窓向かいの窓がお前の部屋なんだよ」
「げ……」
最悪。
そんなの、この極悪面になにされるかわかったもんじゃないじゃない。
「お前、何か失礼なこと考えてるな?」
「べ、別に?」
「嘘つけ、お前がそうやって吹けもしない口笛を吹く素振りで顔を逸らす時は大抵嘘だとわかってるんだ。ほらいい加減荷物も重くなってきたしお前の部屋に案内してやるよ」
「あ、うん……ありがとう……」
「いいって」
そんな、何でもないことのように言って、凶悪な面をさらにつり上げる。
普通の奴なら怖がる所なんだろうけど、
─────ドキン─────
胸が、何故か熱くなった。
何だろうこの気持ち。
忘れていたような、知っていたような。
体の奥底のほうから込み上げてくるコイツの優しさ。
今までにも、こんなことがあった気がする……。

***
65【逢坂大河〜Remember竜児〜】 ◆QHsKY7H.TY :2009/07/07(火) 21:42:42 ID:n7wAtR6q
「ここがお前の部屋だ」
「へぇ……」
一言で言って広い。
無駄に広くて、閑散としすぎていて、何処かもの悲しい。
急に、胸がきゅんと締め付けられそうになった。
「ちゃんと掃除はしておいてやったから綺麗なままだ、こっちが……大河?どうかしたか?」
「ううん、何でもない……」
覚えてはいないが、体が知っているのだろう。
ここは……独りの部屋だ。
「……大河、腹減っただろ?飯作ってやるよ」
「アンタに作れんの?」
「失礼な奴だな、少なくともお前よりは料理上手なつもりだぞ」
そう笑いながら高須竜児は私を連れて高須家へと向かう。
どうやら、気を使ってもらったみたいだ。
「まぁ、今日はあり合わせだな」
「食えるもん作りなさいよ」
「お前……本当に記憶が無いのか……?」
不思議そうに私の顔を見つめてくる。
何よ?私ってそういうことばっか言う奴だったの?
そんな私の内なる疑問を知ってか知らずか、高須竜児はキッチンに立って包丁を取り出す。
ニヤリとしたその口元は、まるでこれから「タマ取ったらぁ!!」とでも言わんばかりの顔だ。
しかし、そんな顔とは逆に、まな板の上を包丁は丁寧に行き来する。
ザクッザクッ、トントントン。
聞いたことのある音。
狭いキッチンをあっちへこっちへ移動するその後ろ姿は、懐かしさを醸し出していた。
ジュワァァ!!とフライパンの油の音がする。
あれはタマネギとカブだろうか、炒めて塩こしょう、次いでご飯を……炒飯か。
ぷぅんと漂う匂いが鼻腔をくすぐり、空腹のお腹が悲鳴をあげる。
「ぷっ!!まぁもうちょっとだから待ってろ大河」
私の腹の虫を聞いて、「やっぱ大河だなぁ」と小さく呟きながら嬉しそうにフライパンを持ちあげる。
「よっと!!」
何度かフライパンのご飯をかき混ぜては宙に浮かす定番をこなした後、皿に盛りつけられたそれが目の前に出された。
「ほれ、あり合わせの炒飯だが……ああ、少し冷やしてから食べろよ?」
「何で?」
「いいか?この手の料理は作ってすぐのホッカホカの時はほんの少し味が薄いんだ。冷めるまでとは言わないが少しだけ熱を逃がすことでよく味が回るんだよ」
「へぇ、アンタって無駄に知識多いわね」
コイツ、顔とは正反対な性格してるのね。
そんなどうでも良いことを考え、止めた。
目の前の炒飯から漂う『ただならぬ気配』とでも言える『食』への欲求に、体が早くと急かしてやまない。
「いただきます」
私はスプーンを手に取り、一口パクンと……!!
「美味しい……!!はむっ、んぐっ、あむっ!!」
「おい、落ち着いて食えよ、炒飯は逃げねぇから」
そんな私を諫めるような言葉も、今は耳に残らない。
美味しい、美味い……嬉しい、懐かしい。
「私、これを食べたことある……」
「おぅ、それは結構何回も作ってるし、お前が俺の料理で最初に食べた奴だからな」
途端、何かがフラッシュバック。
『これ、良かったら使って』
あれは封筒。
何か重要なものだった気がするけど、あの封筒が何だったのか……思い出せない。
それに私は何故か木刀を持っていて、
『じゃあね、竜児』って……。
りゅうじ。
りゅうじ。
りゅうじ。
「竜、児……」
気付けば、名前を口に出していた。
66【逢坂大河〜Remember竜児〜】 ◆QHsKY7H.TY :2009/07/07(火) 21:44:29 ID:n7wAtR6q
「ん?呼んだか?」
頬杖ついて私の食べっぷりを鑑賞していた竜児が私の呟きに反応してこちらを見つめる。
「……呼んでない」
私は、目の前の炒飯を食べる事に集中した。
集中せざるを得なかった。
「はむっ、もぐもぐ……」
この味を、この炒飯を忘れてしまったことが、何故か無性に悲しかった。

***

「しっかし、よく食うなぁ」
スプーンを置いたところで、ポツリと言われる。
「あ、ごめん。アンタの分は?」
「いや、気にすんな。泰子の夜食作るついでにでも作り直すよ」
「……アンタ、お母さんのまで作ってるの?」
「またお母さんって……間違っちゃいないが、いつもどおり『やっちゃん』って言われないと何か調子狂うな」
「?……私、お母さんのこと名前っていうか愛称、やっちゃんって呼んでたの?」
意外だ。
でも、仲の良い親子だったのかもしれない。
友達感覚?みたいな。
「けど、お前が俺の分の心配するなんて、明日は槍が降ったりしてな」
柔らかく笑うその目は、釣り上がっていてもどこか優しい。
「……ん?まーたお前は……、記憶がなくなってもこういう所は変わらないのな」
そう言って竜児は……そう、私はこいつを竜児と呼ぶことにしっくり来てる。
目が覚めて、違和感だらけの、何も知らない世界でただ一つ、色を持って存在しているのがこいつは『竜児』であるということ。
『高須』でも『高須竜児』でも、『男』でも『竜ちゃん』でもない。
こいつは私にとって『竜児』
それ以外の……!?
唐突に、口元に布を押し当てられる。
「○×▲□!?!?」
言葉にできない不思議な……何か。
恥ずかしいような、腹が立つような、嬉しいような、心苦しいような。
目が覚めてからこんなのばっかりだ。
知らないのに、勝手に心だけが反応する。
「お前、いっつそうやって米粒つけるんだから……大河?」
「じ、自分で出来るわよっ!!」
「おぅそうか、そいつは失礼」
言いながら竜児は立ち上がって洗い物に取りかかる。
「あ、手伝うわ」
何もしないなんて、何か悪いし。
「……は?」
だというのに、なんでこいつはこの世に天変地異でも起こって今にも世界崩壊しそうな顔してんのよ。
「今なんつった?」
「だから手伝うわよ、って。アンタにただ食べさせて貰うだけなんて悪いし」
「お前……この世に天変地異でも起こす気か?いや、それは言い過ぎだとしても俺のキッチンを崩壊に導くつもりなのか?」
「はぁ?」
何か、たかだか手伝いの名乗りを上げただけでこの態度ってのが、非常にムカツクんだけど。
67【逢坂大河〜Remember竜児〜】 ◆QHsKY7H.TY :2009/07/07(火) 21:47:46 ID:n7wAtR6q
「何?たかだか洗い物が私に出来ないとでも言うの?」
「いや……けどその、まぁ何だ、気持ちだけ受け取っておくよ」
竜児は口ごもりながらも手を動かす。
「何?ハッキリしないわね、私に出来ないと思ってるならハッキリそう言いなさい」
「……じゃあ言うが、お前は記憶をなくす前に洗い物をしたことがあった」
「当然ね」
「そりゃあ酷かった。手際が悪いし、水は流しっぱなしだし、飛ばすし」
「………………」
「小さい器の上に大きな器を乗せてアンバランスなことこの上なかったぞ」
ウンウンと竜児が頷く頃には、
キュッキュッ。
水は止まり、洗い物籠に全ての洗い物が綺麗に収納されていた。
竜児は手をエプロンで拭きながらこちらを向く。
確かに今の私に……聞くところによると以前の私でもここまでの手際を披露することは無理なようだ。
だが、それが無性に腹が立つ。
「何よ、記憶が無いと思って好き放題言ってくれちゃって!!そこまで言われては女が廃るわ!!何でも言ってみなさいよ!!私がやったげる!!」
「いや、廃るって言われても……」
もう終わったし、と。
だがそれでは私の気が収まらない。
「うるさいわね、何か考えなさいよ!!私が今のご飯の代金を体で払うって決めたのよ!!」
「お、おい……体ってお前……」
竜児が困惑したような顔になる。
「参考までに、どのへんまでならOKなんだ?」
竜児は妙に力が入りながらも、そわそわしてるような、不思議な雰囲気を醸しながら尋ねてきた。
参考?全くそんなのも想像がつかないの?これだから駄犬は……駄犬?あら、妙にフィットするわね。
とまぁそれはおいといて。
「そうねぇ、皿洗いとかが妥当だったんだけど、終わっちゃったし……」
うぅむと私も悩む。
考えてみると、そう多くは無いような……何よその目。
竜児は呆れ顔で私を見つめ、溜息を吐いてから、
「お前な、そういう時は『体で返す』って言わずに『働いて返す』って言ってくれ」
脱力したように言う。
何言ってるのコイツ?
「はぁ?」
「いや、わからんのならいい。いやわからんほうがいい。すまん、俺がどうかしていた。だからこの件は忘れてくれ。記憶の彼方から消去してくれ」
「う、うん」
「それよりもう随分遅い時間だし……っと、大河」
「え?何?あ……」
それは、よく見なければわからないほどの汚れ。
それを竜児はめざとく見つけ、拭いてくれる。
幸い汚れはすぐに取れた。
「よし、取れた。で、そろそろ帰ったほうが良いんじゃないか?」
「う、うん。そうする」
「送って行こうか?」
「ううん、大丈夫。竜児、今日は……ありがと」
私は今日初めて、きとんと面と向かってこいつの名前を呼んだ。
竜児は一拍おいてから、「あれ?」と意外そうな顔をする。
「じゃあね、竜児」
そんな竜児に、気付かないふりをしながら、私は記憶の片隅にある台詞とともに高須家を後にした。
布が被さった籠から聞こえ始めた不思議な鳴き声は、空耳だろうと決めつけた。
68【逢坂大河〜Remember竜児〜】 ◆QHsKY7H.TY :2009/07/07(火) 21:49:39 ID:n7wAtR6q
***

家に入って教えてもらった私のベッドにダイブ。
天蓋付のベッドは、大きくギシッと軋んだ。
今日はいろんなことがありすぎた。
記憶喪失になったからかもしれないが、今日の情報量が多すぎて全てを処理仕切れ無い。
「竜児、か」
今日知った、いや前から知ってはいたんだろうけど今の自分にとっては初めてになる知り合い。
アイツに今日はいろいろと助けられた。
退院手続きや夕食。
他にも身の回りのことなど、親切に教えてくれた。
そしてそれを不思議に思わない自分がいる。
そこにそうやってアイツがいることに違和感を覚えない。
ふと窓を見ると、隣の家の明かりはまだ点いている。
「私……アンタのこと、知ってる気がする」
自分以外誰もいない部屋で、隣の部屋に向かってポツリと呟く。
返事は返ってこない。
当然だ、聞こえるわけが無いんだだから。
ゆっくりと目を閉じる。
何かを忘れ、何かが胸で燻っている不思議な感覚に包まれながら、意識は深い闇へと誘われていった。

***

「で、何処に向かってるの?」
「ああ、お前の記憶を戻すためにも会ってもらいたい人がいるんだ」
朝早くに起こされ、寝顔を見られた事に対し顔面パンチをくらわせた後、何故かお母……やっちゃんが竜児の家で寝ていた事に首をかしげ、ブサイクで名前もおかしなインコとの睨み合いも早々に外に連れ出された。
「会ってもらいたい人?誰それ」
「お前の一番の友達、まぁ俺から見ても親友だと思う人物だ」
「ふぅん、で、名前は?」
「櫛枝実乃梨だ」
「櫛枝さんね」
「………………」
「何よ?何か変?」
「いや、お前はいつもは……」
私のいつも。
その言い方が何か勘に触った。
こいつは結局、こいつの知る私を見ていて、今の私をちっとも見ていない。
それが普通で当たり前で当然なことだと頭で理解していても、『今の私を見ていない』ことに無性に腹がたった。
「うるさい。わからないんだから仕方ないでしょ!!」
怒ったそぶりで無理矢理会話をぶった切る。
「……何怒ってるんだ?」
別に、怒ってるわけじゃない。
腹が立ってるだけ。
それは同じようで違う。
胸がムカムカする。
「……そんなことより、これからその櫛枝さんの家に行くの?」
「あ、いや違う。そもそも俺は家を知らねーし」
「はぁ!?じゃあどこに向かってるのよ」
「櫛枝のバイト先だ」
「ああ、成る程、でも今日ってバイト入ってるか確認してあるの?行くって言った?」
「いや、それは……」
「……?」
どうにも、竜児の歯切れが悪くなった。
まるで、触れられたくない部分でもあるかのように。

***
69【逢坂大河〜Remember竜児〜】 ◆QHsKY7H.TY :2009/07/07(火) 21:51:09 ID:n7wAtR6q
結局私はそれ以上の追求をせずについていった。
『ジョニーズ』
やがてそう書かれたファミレスに着き、中へと入る。
席に着くと、ウエイトレスが近寄って来た。
「はい、ご注文は?」
コトンと水を置き、元気な笑顔での接客。
印象の良い子だと思った。
「櫛枝、今日バイト終わってからでもいいから時間あるか?」
「……高須君、まだあの時のこと……」
うん?どうやらこの娘が櫛枝さんらしい。
ないやら笑顔が陰ったようだ。
「い、いや違う!!それはもう……今日は大河のことで来たんだ」
「大河?」
ふっと私を見られる。
「大河が私に用なの?携帯にでも電話くれればいいのに」
「えっと……貴方が櫛枝さん?」
「ほえ?何言ってんの大河?いつもみたいにみのりーん♪って呼んでおくれよ、そんな他人行儀な」
みのりん?ああ、実乃梨だからみのりんか。私そんなふうに呼んでたんだ。
「すまん櫛枝。今大河は記憶が無いらしいんだ」
「……へ?ええーーーーっ!?嘘?マジマジ?え?え?え?私のこと、わかんないの?」
驚いたように顔を近づけられながら聞かれる。
「えっと……ごめんなさい」
私の謝罪に、
「ガッデェェェムゥゥゥゥ!!!!!!認めねー!!大河が私を忘れるなんて認めねー!!」
櫛枝さんは頭を激しく振りながら叫び声をあげる。
「お、落ち着け櫛枝。お前今バイト中だろ」
「はっ?私としたことがつい取り乱して……」
ようやく櫛枝さんが正気を取り戻した所で、
「大河がインフルエンザで入院したってのは知ってるだろ?やっと目が覚めたと思ったら記憶がなくなってたんだ」
「そっか……大河、もう一回聞くけど私のことは覚えてないんだよね?」
「あ、そのごめんなさい。ここに来る途中で竜児から聞いた貴方の名前、貴方が櫛枝実乃梨さんっていうことくらいしか……」
「でも高須君のことは覚えてるの?」
「ううん、昨日目覚めてからよくしてくれてるだけ。竜児っていうのは名前を聞いた時になんかしっくり来たからそのまま呼んでる」
「そっか……で、高須君」
「おぅ、できれば櫛枝にも大河の記憶を取り戻すのに協力して欲しいんだ」
「う〜ん、そしたいんだけど今日明日とフルタイムでバイト入ってて、その次の日からおばあちゃんの家に家族で行く予定だったから……」
「そっか……」
「ごめんね、出来る限りのことはするよ、親友のためだもん。バイトは結構遅くまでやってるけど後でアルバムかなんか持って行くから」
「ああ、すまない」
竜児と櫛枝さんがトントン話を進めていく。
何処か、入って行きがたい雰囲気。
私は何故か胸がチクリと痛みながら水で喉を潤した。

***
70名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/07(火) 21:56:53 ID:5+c1dolL
支援
いるかな?まー念のため
71【逢坂大河〜Remember竜児〜】 ◆QHsKY7H.TY :2009/07/07(火) 22:02:34 ID:n7wAtR6q
結局たいした収穫も得られないままジョニーズを後にする。
「大河、櫛枝のことは全く思い出せなかったか?」
「うん、サッパリ」
全くもって初対面のイメージしかなかった。
相手は自分を良く知ってるのに私は知らないなんて何か変な感じだ。
「まぁ、これでダメならあとはショック療法か……」
竜児は何か呟くと携帯から電話をかけ始める。
「あ、北村か?おぅ、実は頼みがあって……ああ、ああ。今会えるか?……河川敷?わかった、これから行く」
電話を切って、少しの間、竜児は私を見つめる。
「……何?河川敷に向かうの?」
「おぅ、そこにもう一人お前にとって重要な人物がいる」
「誰それ?」
「会えば、きっとわかるさ」
竜児はそう言って歩き出す。
その後ろ姿を見ながら、ふと思う。
このまま記憶が戻らなかったら、私はずっとこいつとこんなふうにして一緒にいられるのだろうか。
こんなことを考えていて、だったら戻らなくても……と思ってしまう。
こんなことじゃいけない、こんなんじゃ戻るものも戻らない。
「私……記憶がちゃんと戻るのかな」
つい、口にも出してしまう。
そんな私の小さな小さな呟きに、竜児は反応してくれた。
「お前は、何も心配するな」
俺が、何とかしてやるから。
そう言った竜児の背中が、なんだかとっても大きく見えた。
「……うん」
竜児なら、本当に何とかしてくれそうな安心感がある。
前にも、こんなふうに感じたことがあった気がする。
けど、何も思い出せないし、もどかしさで一杯になる。
記憶って、そんなに大事なんだろうか。

***
72 ◆QHsKY7H.TY :2009/07/07(火) 22:05:54 ID:n7wAtR6q
これでとりあえず書きためてた奴は投下完了です。

>>70支援感謝!

あと一つってとこで規制にひっかかって、
もどかしこの気持ち、ただあふれかえってく
って感じだった。
73名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/07(火) 22:35:39 ID:jWSm2ZLX
おぉ、新連載だw
流れ的にはとらPかな?続き楽しみにしてまっす。
74名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/07(火) 23:04:49 ID:5+c1dolL
>>72
乙です。大河セツナスで面白かったー
続きをwktkして待ってます!
75名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/07(火) 23:29:37 ID:v4tuvtnC
>>72
乙です。

とらP大河サイドにどんなエンドがあるだろうと想像して、竜児(誤認)逮捕エンドとか北村逮捕エンド(公然猥褻罪)を想像した俺は大河に襲われるべきだ。
76名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/08(水) 00:36:12 ID:vaFiFqdW

Rememberをゆっくり読ませてもらう前に、先に投下されたものへの感想

>>44
GJ!
出だしから6行目ぐらいまでの雰囲気がすごくイイ!
なんか、パァっと情景が浮かびました。

>>51 虎女
なかなか下に降りない抱っこ大河萌えー
竜児のいきなりの攻勢っぷりがワロタ
(しかし攻殻成分はいってくるとわ…w)
77ツンデレの方向性を間違えてるような気がするツンとら!:2009/07/08(水) 00:55:44 ID:tM+724do
ガラッ

「大河〜ちょっといいか?」

「なによ、わざわざ人の教室まで来て。くだらない用事ならファイナルマスタースパークかますわよ」

「いや、あのな、ちょっと弁当作り過ぎちまってよ」

「作り過ぎた…って何これ!?アタッシュケースじゃない!」

「ファミリー用サイズだそうだ。安売りしてたからつい…」

「いくらなんでも限度があるわよ…」

「まあ中身を見てくれ。こいつをどう思う」

カチャ

「すごく…大きいです…って何この大容量!しかもお肉いっぱい!」

「ポイント倍増セールだったんでつい買い溜めしちまった」

「(ジュルリ)……はっ!? ここここれを私に食べて欲しいっていうの?」

「いや、出来れば俺も一緒に食べたいんだが。ほら、スープもあるんだぞ。ポットに入ってるから温かいままだ」

「ふ、ふん。べ、別に食べたいわけじゃないけど残すとMOTTAINAIし、私が食べてあげるから、あ、あんたも一緒に食べなさいよ!」
78名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/08(水) 09:25:05 ID:a9dfGUYO
朝から2828
79名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/08(水) 14:04:45 ID:keb23+g3
文化祭でプレパレード流して踊ってきたよ\(^o^)/
イケメンだろ?
80名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/08(水) 16:58:09 ID:XAc7uy/8
ブレンパワードにしとけよ
81名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/08(水) 17:00:58 ID:zUuH9Ut2
大河「りゅうじ……(くぱぁ)」
竜児「た、たいが!?」
82名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/08(水) 17:21:10 ID:keb23+g3
大河「所で竜児、これをどう思う?」
83名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/08(水) 17:56:54 ID:PUh+Gtt3
竜児「いいから口を閉じろ。お前は雛鳥か。てか飯はまだだ。」
84名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/08(水) 18:15:53 ID:zMptNQ09
大河「えー、おなかすいたー。なんかおやつー」
85名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/08(水) 18:18:09 ID:1jMjgrvy
竜児「別にどうも思わねえよ。さあメシ食った食った」
86名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/08(水) 18:20:49 ID:JCqxbaev
大河「あーん」
87名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/08(水) 20:18:31 ID:G79XTIqQ
大河「くぱぁ」
竜児「くぱぁ、って一体なにが言いたいんだよ」
88名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/08(水) 20:33:30 ID:Rpow/U/k
大河「あのね・・・あーんだけじゃだめなの・・・」
竜児「どうしろって?」
大河「竜児のね・・・・・竜児の口から食べたいの」
89名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/08(水) 20:53:06 ID:HN/7ihNI
90名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/08(水) 20:59:21 ID:pbIdttS+
既存のSSの流れをベースにさらに別の話になっていくってのを頭の中で考えているんですが
作者さんに見てもらってよければ書いてもらうって方法はできないだろうか?
こうしたらどうだろうか? っていう案です
私が書いてしまったら作者さんに悪いし許されることじゃない
悩んでます
91名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/08(水) 21:05:10 ID:HN/7ihNI
ここ、唯一神ゆゆこの書いた「とらドラ!」のSSだらけだぞ。
SS書きが「俺のSS書くな」なんて、どの口で言うと。

エログロとか茶化しじゃなければいいだろ。

つか、
>私が書いてしまったら作者さんに悪いし許されることじゃない
>悩んでます
ゆゆこはいいのかよ(w
92名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/08(水) 21:14:30 ID:s+IcncW2
大河みてるとエッチなことしたくなる
93名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/08(水) 21:16:24 ID:pbIdttS+
>>91
以前元のSSがある作品を元に書かれた作品が強く非難されていたケースが
あったもので・・・
94名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/08(水) 21:18:34 ID:2sfNU9nH
そんなのあったっけ?
95名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/08(水) 21:26:16 ID:pbIdttS+
既存SSの途中からスタートという作品があったと思います。
それが問題視されていたと思います。
96名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/08(水) 21:27:31 ID:keb23+g3
kwsk
97名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/08(水) 21:29:38 ID:zUuH9Ut2
全スレ見直してみたけどそういう事は無かったわ
他アニメのSSスレのを勘違いしたようだね
98名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/08(水) 21:33:59 ID:s+IcncW2
他人の作ったSSの作者を騙って続き書いたなら問題だが
99名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/08(水) 21:41:43 ID:tXqwDFO8
>>93
それエロパロ板での出来事だ

こっちでは特に無かったような気がするけど一応確認してくる
100名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/08(水) 21:48:07 ID:2sfNU9nH
これかw
今のエロパロ板を物語るレスだよな


770 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2009/06/24(水) 12:24:00 ID:E2deoAFQ
>>765
GJなかなか読みやすくてのめり込んだ。
だが一つだけ言わせてください。
職人にとって作品ってのは手間暇掛けて書いたもんだ。
なによりプロットというか他人の作品の設定を流用は…。
そして事後承諾で濁すはどうかな〜と思う。
もし書くなら事前に了解を取っておくべきかと。
一人の書き手としては複雑な気持ちだ。
空気読まずに長々とスマンかった。
このレスは荒しみたいなもんだからNGにしといてくれ。
101名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/08(水) 22:00:45 ID:pbIdttS+
>>100
ああ、それです。エロパロの方だったんですね。失礼しました。
内容的にエロでなかった気がしたので
こちらかと誤解していました。
102名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/08(水) 22:06:21 ID:2sfNU9nH
二次創作の書き手がこんなこと言い出したらかなり末期だよ
103名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/08(水) 22:38:38 ID:HN/7ihNI
分岐は、スレ的にはありとされるだろうな。だって、原作のifが許容されている。

ただ、今更気づいたのだが

>>90
>作者さんに見てもらってよければ書いてもらうって方法はできないだろうか?

これを本気でやりたいなら、自分でそれなりの作品を投稿して、相手に認めて
もらった上で、意気投合するくらいまで持っていく努力を最初にすべき。
共作を持ちかけるのはそれから。
104名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/08(水) 22:38:40 ID:Rpow/U/k
大河「気にしないでさっさと投下する!わかった!?」

以下いつもので。
105名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/08(水) 22:40:49 ID:HN/7ihNI
竜児「馬鹿、何が投下だ。ちゃんと『いただきます』と言え。それから『あーん』だ」
106名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/08(水) 23:00:35 ID:PjD1E9AE
書いてもらうってのはなかなか難しいんじゃないか?
その書いてもらいたい内容が書き手を刺激して自発的に書いてくれるならまだしも、
こんな感じの流れがいいと思いませんか?だから書いてくださいってのは無理があると思う。

現実的なのは、書き手が現存してれば許可をもらって(正直いらないと思うけど)
>>90自身が書くことじゃないかなあ?後は元の作品を壊さないとか気配りがあれば。

ごめん、以下いつもので。
107名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/08(水) 23:26:57 ID:tXqwDFO8
>>101
携帯か
108名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/09(木) 00:12:44 ID:mRC0GxTB
あらゆるサイト、掲示板で昔から言われてることだけど、三次創作は鬼門
やっちゃいけない理由はないけど、避けた方がいい理由はたくさんある
109名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/09(木) 00:41:56 ID:490Fo41l
「つまり大河が俺の料理を真似して作ることだな」
「あんた…覚悟は出来てるんでしょうね…!」
110名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/09(木) 00:58:47 ID:B2k2gz5X
>>108
特にダメ!って理由はないけど反感買いやすくてかなりの確率で荒れる原因になるんだよな
個人的には楽しければいいとは思うんだが
111名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/09(木) 01:15:49 ID:zxTXSteh
先スレだったかに書いた劇場版とらドラ!の予告編をどなたかが実現してくれるっていうなら俺は大歓迎なんだがなーw
112名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/09(木) 02:09:15 ID:B2k2gz5X
http://www.youtube.com/watch?v=2wGu8YMyMQY&feature=related

知ってるかも知れんが。本来はttp://www.youtube.com/watch?v=BaG6YkqklNA
なんだが音ずれがひどすぎるので上がいい
113名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/09(木) 02:10:33 ID:B2k2gz5X
ぎゃー、上のh消し忘れた・・・
114名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/09(木) 02:17:00 ID:n/bjkl9A
>>50
>……なによ、ニヤニヤしちゃって。キモいよ、大好きだけど。


おう・・・ワンショット・ワンキル
115とらドラ!で三題噺 ◆Eby4Hm2ero :2009/07/09(木) 02:22:30 ID:AObLeLK2
お題 「手」「雰囲気」「駅ビル」



「あれ〜?」
「どうしたの、摩耶ちゃん?」
「あれ、高須君じゃね? ほら、駅ビルの前、妙に人の少ないあたり」
「あ、本当だ。誰かと待ち合わせかな?」
「高須君と待ち合わせっていったら……あ〜、ほら、やっぱりタイガーが来た」
「なんか楽しそうに話してるね」
「タイガーってばなんか気合入った格好してるし、デートかな」
「あの二人ってなんだかんだ言っても仲いいもんね」
「あ〜、あたしもラブした〜い。ひと夏のアバンチュールとかでもいいから〜」


「ごめ〜ん、竜児、待った?」
「いや、全然。それより大河、今日はいつにもまして可愛いじゃねえか」
「ありがと。実はね、この服選ぶのに時間かかっちゃったんだ。ホントごめんね」
「……」
「……」
「……なあ大河、デートの練習ってのはいいけどよ、セリフまで決めてやるのはやめねえか?」
「……そうね。私もあんたの面に似合わないセリフ聞いたら背筋に寒気が走ったわ」
「……ともかく今日の予定を確認するぞ。まず映画、それから食事、最後に公園で散歩でいいな?」
「基本というかベタだけど、まあ初めてだしこんなとこよね」


「おう、これがシネコンってやつか……」
「あんまりキョロキョロするんじゃないわよ、恥ずかしい」
「初めてなんだからしかたねえだろ。へえ、けっこう色々やってるんだな……
 なあ大河、今日はどれ見るんだ?」
「今日私達が見るのはコレよ」
「おう、ホラーか。嫌いじゃねえが、俺はこっちのSFが見てみたいな」
「竜児……忘れたの?今日はデートの練習なのよ」
「お、おう」
「デートで映画といえば恋愛物かホラーじゃないの」
「そうか? 櫛枝だったらアクションとかが好きそうな気がするが……」
「でも私、甘ったるい恋愛物って嫌いなの。だから今日はホラー」
「結局お前の趣味かよ。というか、練習だったらそこまでこだわらなくてもいいんじゃねえか?」
「甘いわね竜児。練習で出来ないことが本番で出来ると思うの?」
「そりゃまあそうだけど、なんか違わねえか?」


「……大河、お前ほんとによく食うな」
「なによ、このぐらい普通じゃない」
「いや、デート中の女子としては多すぎるだろう、明らかに。
 俺は慣れてるからいいけどよ、普通の男ならそんなにガツガツ食べてる姿見たら引くんじゃねえか?」
「……北村君なら優しいから大丈夫だもん。多分……」
「お前、川嶋と弁当食った時に北村の『よく食べるなあ』の一言にショック受けてたじゃねえか」
「う、うるさい。今日は練習だからいいの」
「おい、さっきと言ってる事が逆じゃねえかよ」
116とらドラ!で三題噺 ◆Eby4Hm2ero :2009/07/09(木) 02:23:33 ID:AObLeLK2
「……ねえ竜児」
「おう、なんだ?」
「デートで散歩って、どうなのかしら」
「いや、どうって言われてもな……」
「一緒に居てドキドキしたり嬉しかったりするのはわかるのよ。でもそういうのって、恋人になったら普段からあることじゃない。
 わざわざデートの時にする必要あるのかなって。それならもっと色々遊んだほうが良くない?」
「うーん……俺も経験無いからわかんねえけどよ、二人で一緒に何かをするってのはもちろん楽しいけど、
 ただ一緒にいるそれだけが目的というか、二人でいることの雰囲気を感じるというか、そういうのはまた別の楽しさがあるんじゃねえかな」
「そういうもの、なのかな……」
「隣にいるだけで嬉しいとか傍にいるだけで楽しいとか、そういった事を二人で再確認するとか……
 うーん、自分で言っててやっぱりよくわかんねえかな。悪い」
「ううん、なんとなくわかったような気がする。
 ねえ竜児。竜児は私と一緒にいて楽しい?」
「おう? 改めて聞かれるとどうなんだろうな……なんか一緒にいるのが当たり前になっちまってるし。
 そうだな、お前がメシに来なかったりするとなんか落ち着かなかったり……
 まあ少なくとも、つまらなかったり嫌だったりってことだけは絶対にねえ」
「ふーん……ま、いいか。
 ねえ竜児、手、繋ぎましょ」
「……へ?」
「ほら、デートの練習なんだから、一応それっぽいことはしないと」
「お、おう。それじゃ……」
「……竜児の手、おっきくて暖かいね」
「……大河の手はちょっと冷たくて気持ちいいな」
「うわ、なんか変態っぽい。やっぱりあんたはエロ犬だ」
「お前なあ……それが練習とはいえデート中に言うセリフか?」
「なによ今更。結局今日はデートっぽい会話なんて全然してないじゃない」
「その責任の半分は大河にもあることを忘れるな」

 そんないつものような会話を続けながら、繋がれた手はそのままで。
117名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/09(木) 05:05:52 ID:UI2pePtI
大河が好きでたまらないんだが、俺ってロリコンかな?
118名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/09(木) 06:04:53 ID:ugOpOfga
>>108
やったもん勝ちだろ?分岐とかバリエーションってのは許されないからな
そういうふざけた真似はするなってことだ
119名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/09(木) 06:58:28 ID:Xqrxxk4c
>>116
おぉいいねえ、このシリーズ大好きだ。
この時点で着実に大河ルート行ってるね。

>>117
ばかやろうこのスレに居る全員ロリコンさんだ。

>>118
かなり前に「おっぱいバレー」書いた者だけど、ギシアン後の2人を例のあの人に
書いて貰えたときは涙でちゃったよ。まあ受け取り方は人それぞれだけどやっぱり確認取るのが一番だね。
120名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/09(木) 09:42:28 ID:Aro2RDBQ
×摩耶
○麻耶
◎能登の嫁

「摩耶」が第一変換候補に出てくるMS-IMEが悪いのでマイクロソフトジャパンに抗議してくる
121名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/09(木) 09:44:16 ID:Aro2RDBQ
>>115-116
(*´Д`)ポワワ
122名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/09(木) 09:46:55 ID:Aro2RDBQ
>>117
大河と何歳差があるかによる
声が好きだと言う場合は違う病気の可能性があるので巨乳さんを見て対処しよう
123名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/09(木) 12:28:25 ID:nJGN6nD2
>>113
「ここ、このエロ犬!」
「なんだよ、h消し忘れた程度でそんなに責めなくたっていいじゃないか!」
「YouTubeにまであんたのエロさが伝わると思うと責められずにはいられないのよ!」
「安心しろ大河。今の2chはime.nuを間に挟むからリファラが2chだとわからない仕様だ。
 そして専用ブラウザだとアドレスバーに直接打ち込まれたと判断されるから
 どっちにしろGoogle社には俺のエロさなど伝わらない。
 2chのサーバ負担だって高性能化で閉鎖するような事態にはならない」
「ふえ?そうなの?」
「そうだ。だからそんなに気をもまなくていいんだ」
「はぁ〜そうか〜。じゃあ向こうに伝わらないなら早速…」

ギシギシアンアン
124名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/09(木) 12:31:56 ID:nJGN6nD2
◆eaLbsriOas@避難所です。代理投稿歓迎。
感想いつも拝見しています。ありがとう!
暑くて寂しい夜に書いてみた。
125初夏のベランダ:2009/07/09(木) 12:33:15 ID:nJGN6nD2
 ガラガラ……
「ふう……さすがに夜になると外は涼しいな……てかマシか……おう、大河」
 カラカラ……
「なに? まだ起きてたの、あんた」
「そりゃこっちのセリフだよ。もう2時だぞ、大河。早く寝ろ」
「だって、あんま眠くないんだもん……」
「あれ? おまえ眠いからって帰ったんだろうが。12時前だっただろ、たしか」
「うん……だけど、シャワー浴びたら、目が覚めちゃって……竜児こそ、どうしたの?
 あんたもあくびしてたじゃん」
「いや、それがさ。俺もシャワー浴びたら……なんて、おまえみたいに優雅な理由じゃなくてさ。
 おまえいなくなったし、まだ早いだろってエアコン切ったんだよ。省エネ。でさ、駄目だ。
 どうにも暑くて、寝苦しくてさ。窓開けててもほら、ウチ換気悪いんだよ。キッチンの方の網戸、
 ねえし。だめだな片面だと。ちっとも空気抜けていかねえ」
「じゃあ、エアコンつければ?」
「いやあ、もうちょっと我慢するわ。どうしようもなくなるのはまだ先だ」
「……ウチ、涼しいよ?」
「おう、またおまえ、エアコンがんがんつけてんだろ」
「がんがんじゃないよ、寒いもん。28度くらい」
「おう、おまえにしちゃあ、そりゃまた適正な……そうか。まあ、いいんじゃないか? 
 おまえんとこのエアコンにまで文句はつけねえよ。てかさ、でもさ、そんな風に窓開けてたら、
 冷気逃げるぞ。閉めねえとさすがにMOTTAINAI」
「大丈夫だよ。冷気、逃げてないもん」
「逃げてんだよ。閉めたほうがいいって」
「いや。閉めない。逃げてないもん」
「おまえも強情だなあ……よっ、おっ」
「っ! ……なにしてんのあんた。手なんか、こっちに伸ばしちゃって」
「おまえの窓の下から逃げてるはずなんだよ、冷気が……おう、ほら、ほら! 涼しいぞ!
 やっぱ逃げてんだよ、冷気……っ!?」
 ぎゅ。
「た、大河……なんで、握手だ……?」
「な、なんか、つかんだだけ……手、あるから」
「おう……そうか。おまえ、あんま身ぃ乗り出すなよ。気をつけろ。あぶねえぞ」
「う、うん。大丈夫……あのっ! りゅ、竜児も、気をつけてね……?」
「お、おう。ありがとよ」
「……竜児の手、熱いね……」
「そうだろ? 俺はおまえの手、冷たくて気持ちいいもん」
「っ!」
「おまえ熱くて嫌じゃないか? 手、離そうか? そろそろ」
「い、いいの。嫌じゃ、ないもん……あんた、気持ちいいんでしょ? え、遠慮せず私の冷気を
 奪うがいい……」
「おう……ありがてえ、のかな。なんだそれ……。おまえ、顔赤いぞ? 結構、落ちねえように
 ふんばってないか?」
「だ、大丈夫。ふんばってないから……あ、じゃなくて、その、ふ、ふんばってるから……」
「どっちなんだよ……結局なんだ、ふんばってるんだろ? じゃあもう、握手おしまいにするぞ」
「やだ」
「なんでだよ。だっておまえ」
「い、や、だ」
「おう……でもさ、やっぱあぶねえよ。おまえちっこいから、落ちそうに見え」
「シャワーで目、覚めたんじゃないもん!」
「……え?」
126初夏のベランダ:2009/07/09(木) 12:34:10 ID:nJGN6nD2
「っ……あの、あのね、竜児。わ、笑わないでよ? 笑っちゃいや、なんだから……」
「お、おう。笑わねえよ。なんだ、どうした? 大河」
「あ、あのね……なんか、その……さ、寂しかったの……」
「大河……」
「……ひどい。あんた笑った」
「笑ってねえ。これは微笑んでんの。笑ったうちに入んねえの」
「……じゃあ、なんで微笑んでるわけ」
「それはさ、俺も寂しかったからだよ」
「っ! ほ、ほんとう……?」
「おう、ほんとほんと。……俺さ、ほら、泰子は夜の仕事だろ?
 だからさ、夜はずっとひとりだったんだよ、物心ついてからは」
「うん……うん、わかるよ」
「おう、そうか、おまえも……そうか。でさ、まあ、正直ガキのころはさ、寂しかったけどさ。
 小学の終わりころになったら、さすがにいいかげん慣れて。逆にひとりで過ごす楽しみとかも、
 わかるようになってさ」
「うん、うん……」
「わかるのか。なんか嬉しいもんだな……微笑んでんだぞ? 笑っちゃいねえぞ? まあ、というわけでさ、
 それからはずっと、ひとりの夜に慣れてたんだ。寂しいからって、もう泣いたりなんかしねえ……
 しまった。そう、ガキのころは泣いてたんだよ、ときどき。いや、笑っちまうな、さすがに……」
「ううん……うん……」
「でさ、まあ、慣れたんだよ。ひとりの夜に、慣れた、はず、だった……あれ? ちくしょう、
 見るな……」
「竜児っ……な、泣かないで……っ」
 ぎゅう……っ
「っはあ。あぁれぇ〜っ? ……っ大丈夫。心配すんな。おまえは泣くなよ……」
「うんっ、うんっ。な、泣かないよ?」
「ほんとか……? うわ、やべ、涙目……いや! 泣いてねえ! おまえは泣いちゃあいねえ!
 大丈夫! 泣き虫は俺!」
「……ふふ……っ」
「よし、笑ったな。大丈夫だ。えっと、どこまで話した……ああ、だからつまり……駄目だわ俺!
 ぜんぜん慣れてねえ! ガキのまま! だから……寂しくなっちまったんだよ、お、おまえが
 帰っちまってから……」
「っ! ほ、ほんと……?」
「ああ、ほんとだよ……ああ、いや、だから、違うぞ? おまえのせいとか、言ってるんじゃねえんだ。
 おまえが帰っちまったせいで寂しくなったとか、そういうんじゃ……ねえ。……あれ? ちょっと、
 わかんねえけど、なんだ? どういうこった、何が言いたかった、俺……?」
「竜児っ!」
「たい、が……?」
「私はっ! ……私は、ね? 帰ってきたら、寂しくなったの……あんたの家から帰ってきたら、
 寂しかったの……」
「おう……そりゃあまあ、そうだよな。おまえの家、だだっぴろいし、ひとりだもんな……
 あ、いや、なんだ、その、悪ぃ……」
「謝んなくていいよ……それに、違うの。私も慣れてるの。この家にひとりは、慣れてる……
 だから、そうじゃなくて……寂しくなったのは、そうじゃなくて……あ、あんた、が……」
「おう、そうだ! それだよ! 俺が言いたいのは!」
「竜児……?」
127初夏のベランダ:2009/07/09(木) 12:34:41 ID:nJGN6nD2
「おまえがいてくれて、よかったよ、大河」
「りゅ、竜児……っ!」
「おまえのせいで寂しさがぶり返したとか、俺は言いたいんじゃねえ。……逆だ。
 おまえがいるから、俺は寂しくなくなったんだ……本当に。おまえがウチに来てくれるから、
 もう俺は、寂しくなんかねえぞって、カラ元気出さなくて済むようになった。本当に、
 寂しくなくなったんだ、俺は、おまえがいるから……だから、おまえがいてくれて、よかった……
 いてくれて、ありがとうな、大河……」
「竜児っ、竜児……っ! わ、私も、なの! 竜児、いてくれて、よかった……」
「おう……そうか。……馬鹿だなあ、泣くなよ、おまえ」
「うぐ。う、うるさい。先に泣いたのはあんたでしょ。馬鹿とか言うんじゃないよ、馬鹿犬……」
「そうだった。馬鹿は俺だ。すまんすまん……なあ、大河」
「な、なによっ」
「……ベランダに出たの、俺、ちょっと期待してたんだよ。おまえの部屋、電気ついてたからさ。
 おまえ、起きてるんじゃないかって」
「っ! ほ、ほんとう……?」
「ああ、本当だ。だから……嬉しかったよ。おまえ、起きててくれて。窓に出てくれて」
「竜児……っ」
「まあ、というわけだ。なあ、大河……俺たち、寂しくなんかねえぞ、な?」
「うん、うん……っ」
「おまえが帰っても、おまえと俺はすぐ傍にいる。ほら、こうやって、手だって伸ばせば届く」
「うん、うん……っ」
「な? 大河」
「うん、竜児……」
「っふあ〜ぁ……さて、寝るか……おう、あくび、移ったな。ちゃんと手あてろよ、おまえ」
「……っあ、あててるでしょ!? ちゃんと!」
「ちょっと遅かったぞおまえ……はいはい、俺うるさいうるさい。さて、じゃあ、寝ようか、大河」
「うん!」
「よし、いい返事だ。さて……じゃあ、手、離すぞ」
「う、うん……ね、竜児……?」
「ん、なんだ?」
「もうちょっとだけ、手、つないでて……」
「……おう。わかったよ。いいよ、大河……微笑んでんだぞ? 笑ってんじゃねえぞ?」
「うん、わかってる。ありがと、竜児……」
「おう……」
「……」
「……」
「……」
「……」
「……」
「……なあ、もうそろそろ、よくねえか?」
「やだ」


***おしまい***
128 ◆QHsKY7H.TY :2009/07/09(木) 17:07:10 ID:IMYGpBze
>>127
そして二人は朝まで……?

>>73-75
ありがとう。
続きはちょっと……いや、たっぷり待ってね(汗)
by仕事の合間
129名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/09(木) 17:23:50 ID:tx6NK8gH
>>125-127
GJ!!
続きに期待してます
130名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/09(木) 17:59:54 ID:Xqrxxk4c
>>129
おわりという文字があってだな…

>>128
お仕事頑張って下さい、続きまってるよ
131丁度一月ぶりになります:2009/07/09(木) 20:30:36 ID:Gde0jHNl
久しぶりに来たらすごい置いてきぼりなことに。
ああでも今更だけどお礼は言わねば。

まとめ人様拙作にきちんとタイトルまでつけていただきありがとうございます!
絵師様、画像ありがとうございました!ちゃんと制服が寸足らずなとこまで再現
されててトシちゃん感激って感じです。

久しぶりですしちょいとネタ投下させてくださいませ。
132※あくまでシャレですので!:2009/07/09(木) 20:37:29 ID:Gde0jHNl
【お題:とらドラPやってないとわかんないネタで攻めてみる】

 夕食後、行儀悪く寝そべって携帯ゲーム機をいじっている大河に、洗い物を終えた竜児は手を
拭きつつ傍に座り込んだ。

「なにやってるんだ?『絆』だったら久しぶりに俺もつきあおうか」
「アンタのヘボいGMキャノンはお呼びじゃないのよ」
「お前の猪突猛進そのままのグフカスタムよりはなんぼかマシだ。COM相手にいつも突っ込んで
袋叩きされてるくせに」
「うっさい。トリントンじゃてんで役に立たない中距離支援機の何が良いんだか」
「…タクラマカン砂漠なら結構使えるぞ。いいじゃねぇかジムキャノン。ジムでキャノンだぞ?」
「うざい喋るな空気が減る。…とにかく『絆』じゃないから」

 そう言い捨ててゲームに戻る大河の手元を見つめると、ゲーム機――PSPの画面には、見慣れた顔が映っていた。

「なんだ俺らのゲームか。……そうか、今回は批評ネタか」
「身も蓋もないわね。その通りだけど」
「なんだ?何か気に入らない点があるのか?まあ身贔屓といえばそれまでだが、俺はそこそこ楽しめたぞ」
「そこそこ、ね」
「…棘があるなあ。一体なにが不満なんだお前」
「ほら、昔から言うじゃない。
 連載があまりに長期に亘った漫画で、記憶喪失ネタまたは人格交換ネタが来た時は、作者はネタ切れ
起こしてる末期症状だって。
 なのにこのゲームときたら両方一緒に――」
「待て―――――――――っ!
 お前は今、いろんな人を敵にまわしているような気がする!!」

 顔を青くして冷や汗をダクダク流して震える竜児を一瞥し、大河は小さなため息をついた。
 視線を虚空に向けて、呟く。

「しかも人格交換ネタは夢オ」
「隠しシナリオだから!ネタバレになるからあああ!!」
「攻略本も出てるんだし、もう解禁でしょ」
「そうかもしんないけどよー…」

 まだ早鐘のような勢いの鼓動を鎮めようとしながら、竜児は話の流れを戻すことにした。
133※あくまでシャレですので!2:2009/07/09(木) 20:42:12 ID:Gde0jHNl
 まだ早鐘のような勢いの鼓動を鎮めようとしながら、竜児は話の流れを戻すことにした。

「それで、結局なにが気に入らないんだ?
 この手のゲームの基本とはいえ、画像はきれいで豊富だし、ミニゲームも盛りだくさん。特に
会話シーンではTORAシステムを導入、スムーズかつ表情豊な表現を…」
「…そうね。そういえばそのTORAシステムとやらも気に入らない点の一つね。…ほら、ちょっとこれ見てて」
「川嶋の会話イベント…プールの時のか」
「しばらく見てて?ほら、まばたきするでしょ…」

 ぱ ち く り

「「うぎゃあああああああああああああああ!!?」」
「な、なんじゃこりゃあああ!い、いま一瞬、川嶋がすごい半漁人顔というか微妙なキモ顔に!」
「キモいでしょ!?キモいよね!?目蓋ばっかり動かして瞳はそのままだからこんなことになるのよ!
 しょ、しゅ、出演者として私こんなキモ顔耐えられない!」
「おおう…これが大河だと…」
「想像するな!見るな!確認しようとロードするなぁ!
 ああもう、変に新技術使わなくてもいいじゃない!
 PC−FXのブルーブレイカーみたく会話シーンは立ちキャラ全部アニメさせればいいじゃない!」
「お前はまた微妙な例えを…。
 それはともかく、これが一番の嫌いな理由じゃないんだよな?一番は何なんだよ?」
「……グ、グラフィックモードで…」
「ふむ」
「あ、あんたが私にリップ塗ろうとしてる画像で…」
「うん?」
「…PSPの画面にぶちゅ〜っってしたのに、私があられもない痴態をさらすエロエロルートがオープンしなかった…」
「やったのかよ!騙されたのかよ!ってか俺がナレーションで嘘だぞって注意してたろ!?」
「だってだってみのりんが言うことだから…」
「櫛枝は基本的に良いヤツで正直者だが、ウケと笑いを取るためなら割と容赦しないぞ!?
 というか!
 お前…その…そーゆールートが存在していいわけないだろ!?」
「わかってるわよコンシューマー機で成人指定なんて…
 ちっ、セガサターンがまだ健在ならあるいは…」
「そこじゃねぇ!そうじゃねぇ!
 お前、そんな…ルートが本当に欲しいのかよ!?
 俺は嫌だぞ!いくらプレイヤーの皆さんとはいえ、お前のその、えっと…肌をさらけだした
姿をお見せするようなことはだな…」
「竜児……アンタ今、すっごく恥ずかしいこと言ってる」
「うるさい!っていうかお前まさか…北村みたく裸族に目覚めブgyァ」

 素晴らしくきれいに入った右拳に顔面を張られ、竜児の身体は三回転ほど回ってすっ飛んだ。

「おおおおおお乙女に向かってなんてこというのよこのエロ駄犬!
 わ、私だって竜児以外の男にそんな姿見せるつもりはないわ!」
「おおう…愛が痛いぜ大河…。
 じゃあなんなんだよ?その、年齢制限入りそうなルートが欲しいってのは」
「それは…その………し…」
「あ?ハッキリ言えよ」
「だ、だから…ゲーム本編でもっと竜児とラブラブイチャイチャしたいから!」
「………はい?」
134※あくまでシャレですので!3:2009/07/09(木) 20:49:05 ID:Gde0jHNl

 大河の言わんとするところの意味が今一つ把握できず、固まる竜児の前で大河は
堰を切ったように喋りだした。

「そりゃ私としてもあの結末そのものはそれもアリかなって思ってる!
 子供だってできるし…幸せな未来だし…。
 でもみのりんやバカチーに較べるとコミカルな割に話の流れが今一つ悪いっていうか…
 何より竜児、サービス悪い!愛情表現が足りてない!!
 正面から強く抱きしめてよ!頭なでて私の顔を胸に埋めてよ!
 愛してるってささやいて、私のこと大好きだって言って、そして…キキキ、キスしてくれたっていいじゃない!
 それくらいのことはしてくれないと、報われないよ!」
「…報われない?」
「あ…」

 バツの悪そうな顔をして、大河は黙り込んだ。
 しかし沈黙は長くは続かない。
 視線を竜児から逸らし、トーンダウンしながらも言葉を続ける。

「……こんなこと、自分で言うのはすごく、すっごく格好悪いけど。
 クリスマス前の頃、ゆりちゃん先生が言ってたよね?努力したんだから、報われなきゃって」
「ああ。そういった意味のことは言ってたな」
「私たちの物語りで、やっぱり一番辛くて痛いのは…あのクリスマスの夜のことなんだよね」
「そうだな。…辛いことは他にも色々あったけど、あの夜のことはもの凄く辛くて痛くて、悲しかったことだと思う。
 でもそれは必要なことだから、大事なことだから、あの夜があるから、今の俺たちがあるから…」
「うん。私が本当に好きなのは竜児だってことを認めることができたのは、あの夜があったから。
 私達にとって、あの夜は必要なことだった。
 それでも、とても辛かったことは確か。
 辛いから、悲しいから、報われて欲しいって思ってくれる人たちがいる。
 だからクリスマスを題材にしたIFストーリーは多いし、このゲームだってあの夜から始まってる」
「確かにな。…冬休み中ということで区切りもいいし、大きな節目の時期だからゲーム的にも話を作りやすいし。
 …そうか、俺の選択次第でいろいろな結末があるとはいえ、基本的には「あの夜」のやり直しが大きな主題の
一つになってるんだよな」
「まあね。…記憶喪失って設定のアンタと違って、私的には『やり直し』じゃなくて『繰り返し』になりかねないんだけど。
 実際…記憶の無いあんたはある意味お気楽でいられるけど、私やみのりんはすっごく苦しくて、泣きたくなることだって
たくさんあるんだから。
 なのにアンタときたら…!」
「待て!落ち着け!落ち着いてください!だから木刀取り出すな!」
「だって!だってだって、記憶無くてもアンタはやっぱり優しくて私のこと大事にしてくれるから!
 思い出が無くてもアンタはやっぱり私の大好きな竜児だから!
 あきらめたくないって思っちゃうじゃない!
 でもあきらめなきゃいけないんだって!
 好きになるなって!好きになっちゃいけないんだって自分に言い聞かせて!
 この気持ちを忘れなきゃって!
 こんなやり方は卑怯だから、竜児が本当に好きなのはみのりんなんだから、そのことを竜児に思い出させなきゃ
いけないんだからって!
 それが竜児の幸せだから!
 でも…それでも…そう分かってても…どうしても私、竜児のことが好きだから…」

 だからあきらめたくなんかなかった。
 どんなに浅ましくても、卑怯でも、親友を裏切ってでも、
 どうしたって竜児のことが好きだから、

 報われたかった。
 流した涙の数だけ、喜びが欲しかった。
 そんな醜い自分に嫌気がさして、自分の身勝手さが憎らしくて、
 自分を殺してしまいたかった。
 そんな気持ち全て、悪態と減らず口で覆い隠して、竜児の傍に居続けた。
 竜児のためになにかしたかったから。
135名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/09(木) 20:49:08 ID:/HDprwov
2828展開だぜ
136※あくまでシャレですので!4:2009/07/09(木) 20:54:36 ID:Gde0jHNl
「ああ…そうか。そうだよな」
「ちょ…」

 世界は、とても不公平にできている。
 いつも自分以外の人の幸せを考えている女の子、
 誰かのためにがんばってる子がいる。
 その子の優しさに誰も報いてくれない世界なんて、間違っている。
 誰がなんと言おうと、そんなことは許せない。
 絶対に。

「人の気持ちは本当、とても難しくて複雑だ。
 何をどうすれば、どうしたらいいのかわからなくなる事もある。
 迷って、悩んで、わからないなら。
 複雑だから、難しいから。
 簡単なことから、単純なことから、考えていこう。
 一番大事なことを、忘れないように」

 抱きしめた、大河の背中に回した手に力を込める。
 もっと傍にいてくれるように。
 もっと近くにいてほしいから。

「俺にとって大事なことはただ一つ。
 俺が好きなのは大河だってことだけ。
 これだけは、譲れない」

 頤に手を添えて、唇を寄せる。
 腕の中で、一瞬抵抗するかのように震えた身体は、でも拒まずに受け入れてくれた。
 報われたっていいんだって。
 世界は不公平で、サンタクロースはいないけれど。
 俺と大河のクリスマスは、まだ終わっていない。
 終わっていないなら、幸せになりたいと心から思う。
 クリスマスは皆が幸せになれる日なのだから。

「――――と、まあこのくらいのラブ度数が欲しかったわけだな?」
「ふにゃあ…」

 そんなことを言いながら、竜児が顔を真赤にしてぐでんぐでんになった大河をようやく解放した。
 
「なんつーかさ。俺も実は同じようなことは考えてた。
 トゥルーエンドじゃないが、弁当食って眠くなったお前に膝枕してやるくらいしか、お前のがんばりに
報いてやれてなかったからな。
 結局、何がおもしろいかどうかなんて個人の尺度で幾らでも評価は分かれると思う。
 ただ物足りなさを感じてる人は多いんじゃないかと思うんだが…って大河?」
「や…」
「うん?」
「ヤられたら、犯りかえすっ!!」
「いやあああああああああああああああっ!!?」

 ギシギシアンアン

「くらわせてやらねばならん!然るべき報いを!」
「ビ―――ティ―――――――!?」

 若人置いてきぼりー、という竜児のツッコミは、ギシアンの流れに埋没して、消えた。


 分かる人だけわかってー!終われ。
137名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/09(木) 20:56:41 ID:/HDprwov
最後はギシアンかよ!
おつかれまさでした
138名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/09(木) 21:00:56 ID:wAhxDPOY
>>136
まずはお帰りなさい!そしてGJ!
竜児が遠距離、大河が近接の時点で盛大にフイタw
そして最後はしっとりと思いきやw オモロカタヨー
139名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/09(木) 21:22:19 ID:tKrGOvNe
「く、負けた…」

ベッドの中で丸くなって呟く大河を、あきれ顔で竜児が見下ろす。

「なぁ、こう言うのまで勝ち負けで考えるのはやめろよ」

ちなみに二人とも全裸。>>136 の流れで熱く愛し合ったばかりである。

「だって、しかるべき報いをって思ったのに」

ぶつぶつ呟き続ける大河をみて、竜児は苦笑する。まぁ、毎日メソメソされるより、こうやって少々
馬鹿馬鹿しい位が自分達らしいと言えばらしいのだが。

「大河、何してるんだ?」

上掛けをまとってずるずると引きずりながら、大河がベッドを離れる。引っぱがされた竜児はあわてて
下着装着。大河は素知らぬ顔で三面鏡の前に座り込み、(うれし)涙でぐちゃぐちゃになった顔を整えて、
リップを薄く引く。

……………ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ…………………

「うわ、どうした大河!なんだかプロポーションがゴージャスな感じに…」

なって見えたのは、単に竜児の贔屓でしかない。しかしそんなボケは華麗にスルーして、
大河は三面鏡の後ろにどうやって隠していたのか、懐かしい木刀をズラァァァッと引き抜く。

「わたし、残酷ですわよ」







「お、おう。知ってるぜ。残酷なのは」

140名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/09(木) 21:39:48 ID:TCnARp0h
こんなスレがあったとは…

女の子はもしも学校でSEXの実技が必修になったらどうする?
ttp://news23vip.blog109.fc2.com/blog-entry-1818.html
141シャレにはシャレで ◆QHsKY7H.TY :2009/07/09(木) 22:00:14 ID:Lc/zdgS4
>>136

ネタ切れ、だと?
今もせっせと記憶喪失ネタ書いてるが、その俺がネタ切れだと……?
他にも2、3個プロット 作りながら時間なくて執筆してない俺がネタ切れだとォォォォォォ!?
前に書いた手錠記憶喪失ネタもネタ切れと言いたいのかァァァァァァ!?
くそう、悔しくなんかないんだから!

うわぁぁぁぁぁん(泣)
142名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/09(木) 22:29:34 ID:Xqrxxk4c
>>141
餅つけ!ペッタンペッタン!
ん?ペッタンといえば大河……
143名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/09(木) 22:35:06 ID:tKrGOvNe
      ある日>>142 の靴箱に
       手紙が届きました・・・
          _____
         / ヽ____//
         /   /   /
        /   /   /
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       /    ̄ ̄ ̄ ̄      /_____
       /              /ヽ__//
     /  夜道に気をつけろ  /  /   /
     /   2−C 高須    /  /   /
    /   ____     /  /   /
   /             /  /   /
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  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄/   /   /









このAAが再利用されたのは嬉しいが、正直わかってくれた人は
少なかったんじゃないかと思う。
144名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/09(木) 22:50:08 ID:wAhxDPOY
>>143
俺は分かったぜ!
大河ぶつけられる5秒前ってやつだな
145名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/09(木) 22:53:50 ID:jbk9R4HE
>>139
ゴージャス☆アイrン by 荒木飛呂彦かよ
146名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/09(木) 22:59:30 ID:jbk9R4HE
147名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/09(木) 23:26:09 ID:tKrGOvNe
>>146
おお、こんなすばらしい作品があったのか。おれがこのスレに居着く前のだ。
サンキュー!
148名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/09(木) 23:38:22 ID:Xqrxxk4c
新スレ乙新スレ乙ってこのスレに書いたの俺だけど過去のも
合わせて計3通だ\(^o^)/これは死ねるw
149名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/09(木) 23:41:25 ID:wAhxDPOY
>>148
このヒンヌー好きめw
誰か大河ぶつけてやれ!

おれ? 俺は・・・AA貼ったこと無いんだ・・・orz
150名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/09(木) 23:42:07 ID:0HIvUwNM
さらにマジレスすると原作2巻の幸福の手乗りタイガー伝説が元ネタ。

しかし竜児は優しいなあ


151名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/10(金) 00:20:06 ID:7HCJbGAw
http://up2.viploader.net/pic/src/viploader1078933.jpg

 頭上で聞こえる話し声。そして不意に複数の手にカラダを押さえつけられ大河は目を覚ました。
「ッ…だ、だれ?」 
「あらら〜お目覚めですかぁ、お姫様」 
 少し頭痛がするからと保健室で休んでいた大河だったが、そんな彼女をぐるりと囲んでいるのは
名前も知らない様な男子生徒達だ。しかも彼らはニヤニヤとイヤらしい笑みを浮かべて自分を見下ろしている。
「な…なによ、アンタ達!」 
 まだぼんやりする脳を叱咤しながら状況を把握しようとする。
普段の彼女ならこんな男たちなど持ち前の毒舌と凶暴さで退けるのだが。
「オレたち、大河ちゃんの大ファンでぇす!」
 いやらしい笑みを貼付けたままの彼らは大河の小柄な体を拘束したまま、ぐいとその顔を覗き込んだ。
「へへへ、やっぱ近くで見ると超可愛いよなぁ…」
「や、やだ…」
「覚えてないかなぁ?入学式の日、俺、君にコクったんだけど?」 
 生暖かい息が首筋にかかり、大河はついに大声を上げた。
「…いい加減にしなさいよぉおッ!」
 しかし、彼らは笑みを濃くするだけで一向に怯む様子も無い。そのうち大河の両足を押さえつけていた
男の手がそのままするすると制服のスカートの中まで這い上がってくる。
「ひっ…ぁあッ…嫌…なにするッ…」
「何って…ナニに決まってんだろ!!」
 そう言うと勢い良くパンティーを引きずり下ろされ、大河の淡い色をしたヴァギナが男子生徒達の前に曝け出された。
「えッ…や、やぁああッ!!」
 驚愕のあまり大河は顔を真っ赤にしてスカートを押さえ込もうとするが、逆にその手を捻り上げられ、
あっという間に制服の合わせを左右に引っ張られる。
「うは〜、やっぱ幼児体型だなぁ!小せえおっぱいだぜ」
 まだ膨らみの小さな乳房を代わる代わる覗かれては鼻で笑われ、大河は涙目で男たちを睨みつけた。
「もう…十分でしょ…っ!さっさと退きなさいよ!」
 しかしそんな大河の様子さえも彼らの欲望を煽るだけに過ぎず、男の一人が背後から
抱きかかる様に大河の乳房を揉み始めた。
「ほーらほら、大河ちゃんのおっぱい大きくなあれ!」
 親指と人差し指を器用に動かし大河の乳首を乳輪ごと擦り合わせると、大河は初めて感じる刺激に
ビクビクと両肩を震わせた。
「んぁあッ…や、痛ッ…は…やめて…ん…ああアッ…!」
152名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/10(金) 00:20:52 ID:7HCJbGAw
 何とかその感覚から逃れようと大河は懸命に身を捩るが、
その両足を捕えられ、それをM字に開かされてしまう。
「ひ、ひぃい!みないでよぉッ…ぁ、そんなにッ…んぁ!開かないでっ…やあああッ…」
 日頃はつんと済ました大河が泣き叫ぶ様子はとても滑稽なのだろう。
彼女を見下ろす男たちは鼻息が荒くして目を輝かせた。
「大河ちゃんのおまんこはどんな味なのかなぁ?」
 大河の股間に顔を埋めていた男は、太い指先で小さな肉襞を左右に掻き分けると
無遠慮に肉穴の中へ指を突き射れてゆく。
 濡れてもいない肉壺をほじられ、得も言えない痛みが大河を襲った。
「いぎぃいッ…ぁあッんっ…やめてよぉおッ…指…出してよぉおッ!」
 乳首と膣壺への慣れない刺激に大河はいよいよ大きな瞳からぼろぼろと涙をこぼし始めた。
けれども男たちは自分たちの欲求を満たす事に専念しているため、大河の気持ちなどお構い無しに
それぞれの良い様に行動を続ける。最後の一人がパンパンに膨れ上がったペニスを
ぬ、っと大河の目の前に押し付けると、大河は引き攣ったような悲鳴を上げた。
「大河ちゃんを見てるとこんなにチンポが大っきくなっちゃってさぁ…もちろん舐めてくれるよな?」
「はッ!?…ば、ばっかじゃないの?…そんな汚いもの見せないでよっ!!!!」 
 てかりを帯びた赤黒く大きな肉棒に大河はぷいと顔を背ける。
しかし興奮しまくっている男は強引に大河の顎を掴むと、
「いいからしゃぶれよっ!」
 そう言って無理矢理小さな口の中に己のペニスを突っ込んだ。
「んががががっ…ぁっ…やっ…んぅううふぅッ…はッ…ぁあむぅうッ…!」 
「喉奥に当って気持ち良いぜっ!そのままチンポをちろちろって舐めてくれよ!」
 男は大河の小さな頭を鷲掴むとずんずんと腰を押し進めた。その度に口内に太い肉棒が蠢き、
大河は顎に痛みを感じてしまう。
「ふぐぅうっんっ…ぁあぃっ…ひぃいんっ…やめッ…ぁっ…ちゅッ…ぁあっ!」
 気持ち悪い。今すぐにでも吐き出したい。それなのに思い通りにはならず、大河はそっと目を伏せた。
が、すぐに今度は下半身に新たな刺激を感じ、閉じていた瞳を大きく見開いた。
「大河ちゃんのマン汁…すげえ美味いぜ。全部啜ってあげるからね?」 
「んっ…ぁッ…あひぃいっ…んっぁあっ…やめッ…だれかぁあッ…んんんんっ」 
 愛撫によりドロドロと溢れて来た大河の愛液を男が美味そうに啜っている。じゅるッ…じゅるッ…と卑猥な音が
保健室に響き渡り、ますます大河の羞恥心を高めていった。
(誰か…助けてよッ…竜児っ!)
 大河は心の中で必死で竜児の名前を呼んだ。しかし、それを見透かす様に背後から
大河の乳房を弄んでいた男が彼女の耳元で厚く囁きを落す。
「残念だけど、高須は来ねえよ」
153名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/10(金) 00:21:41 ID:7HCJbGAw
 そして別の男が大河のヴァギナから顔を上げたのと同時に、
代わりにそこへ己のペニスを一気に挿入させた。
「んんんんっ…んんがぁあッ…ふぅっ…ぁあああッ…!」
 奥の方で何ががぶつりときれた感触に、大河の声にならない絶叫がこだまする。
痛いと言うよりも熱くて視界が真っ赤に染まる。
「ひぃいいい…ぁあッ!…やだぁあッ…んっ…はがががッ…んぐぅうっ…」 
「きっついなぁ…高須とヤってんのかと思ったら…大河ちゃんってバージンなわけ?」
 溢れかえる愛液のお陰で比較的スムーズに膣内へ埋め込んだものの、処女の締め付けに男は眉を顰めた。
「ああくそ、大河ちゃんの初おまんこは俺だったのによぉ…」
「どうでもいいから早くハメ撮りしろよ」
 はぁはぁと荒い息を吐き出しながら、男は結合部がよく見える様に大河の両足をさらに大きく開いた。
「やめてぇっ…あっぃいっ…んんん…おねがいぃいっ…やだあぁっ…!」



ここまで書いて飽きた
154名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/10(金) 00:24:58 ID:siM8f7fA
ちっ!厄介なのが来やがった
155名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/10(金) 00:26:37 ID:XR9XyMiX
>>151-153
  ∧_∧
 ( ;´∀`)   ちんこ勃った
 人 Y /
 ( ヽ し
 (_)_)
156名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/10(金) 00:43:56 ID:XZMWfCQM
いいぞもっとやれ
157名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/10(金) 01:02:37 ID:WgtlyFsv
>>153
一回このネタで荒れたよね?
ここではこうゆうの望んでる人少ないと思うから止めて欲しい。
158名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/10(金) 01:42:29 ID:ggh/Zgtc
全く同じものを持って来た上に省略してないのが更に悪質だな。
とりあえずNGにして触れないのがベスト。

ほら、あれだ、以下いつもの流れで
159名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/10(金) 02:32:34 ID:DGEM/l8Y
『血の雨が降る5秒前』

 ぎゅっ
「お、おう!? 急に後から抱きついたりして何なんだ!?」
「あ、あててんのよ」
「……何を?」


《どこでネタを拾ってきたのかは不明》



『血の雨が降る3秒前』

「いい竜児、重要なのは曲率なのよ」
「何の話だ?」
「一般的に巨乳・貧乳と言われるおっぱいの、その曲率から本来の球の大きさを考えれば、
 貧乳というのは目に見えない超巨大なおっぱいの一部なのよ」
「いや、その理屈はおかしい。
 この場合判定の基準になるのは非物理的な論理的存在じゃなくて、実際の脂肪や組織の量だろ」


《大河必死だな》
160名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/10(金) 03:02:47 ID:pnn2EkMq
>>22
大河言えて良かったなあほんと
言えなくて影で泣いてる姿が想像ついちゃうからほんとそう思う
言えたら言えたで幸せの涙雨のちハッピーって感じの描写でいいなあと
161名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/10(金) 07:15:49 ID:CH8J0Apw
めとめ人さん前みたくこいつらはまとめないで下さいね。
>>151-153

>>159
貧乳はステータスだぞ。ある物がないとグッと来る。
162名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/10(金) 08:01:29 ID:Ey9SZPNJ
またロリータチャンネルのクソったれSS貼ったのかよ
どうしてもやりたけりゃ角煮でやれ
このスレでやるんじゃねえ
163名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/10(金) 08:08:29 ID:onBmQ6Th
>>161
突き詰めると貧乳の萌えポイントとは「乳が小さい」ことではなく、「乳が小さいことを恥じらう」こと。

結論:水着話の大河の破壊力は異常。
164名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/10(金) 09:08:47 ID:I47UeqBg
世の中には『くぎゅに乳生えたら捨てる』という輩がいるが
男の中の男である高須竜児は大河に乳生えたとしても変わらず受け入れるはずだ!
165名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/10(金) 11:22:17 ID:ggh/Zgtc
いつだったか忘れたが、
大河がCカップになったというSSがあった気がする
あれの続きが読みたいと思う俺は異端なのか・・・
166名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/10(金) 11:47:52 ID:sDjfF/p/
大河が可愛すぎて他の男に狙われないか
心配してる俺は末期。竜児以外に渡さないのはある意味親心
ちょっとUSBケーブルで首吊ってくる…
167名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/10(金) 12:38:56 ID:6s32Nh9U
>>165
「天使のキセキ」ですな
あれを皮切りにCカップタイガーシリーズを書くつもりではあるが
ダラダラ過ごしてたらいつの間にか7月になってしまいました
反省して少しずつ書いておく
168名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/10(金) 14:36:07 ID:x4/Kq3xk
増えたといってもCというところが奥ゆかしくていいな。
今のCって一昔前のBちょいプラスだからなぁ( ´ー`)y-~~
169名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/10(金) 14:46:43 ID:S2itj6mY
大河がプリプリ怒ってる、可愛いヤツめ。何をそんなに怒ってるのかなぁ〜?

「どうしたんだい?大河」

「みのりん!聞いてよ、竜児たらさぁ…」

あぁ、また高須君か…
悪い人じゃないんだけど少し鈍チンだからねぇ。

「もう今回は謝っても許してあげないんだから!」

「まあまぁ、そんなに怒んないで」

「何で竜児なんか好きなったんだろ、本当に後悔するわ」

「………そんなこと言ちゃダメだよ」

「えっ、何?みのりん」

「好きになって後悔するとか言わないでよ、大河」
「そんな事を言われたら悲しいよ ……高須君は私の初恋だったんだよ」

「…ごめん、みのりん」

「大河にとって高須君はその程度だったの?そんな筈ないよね?」

「うん、竜児は私の初恋じゃないけど運命の人だと思ってる」
「私はいろんな事があって一度全てを諦めたの… まるで海に沈んでゆくみたいだった、徐々に光は無くなって暗闇に呑まれる感じ」

「でも呑み込まれる寸前、最後に伸ばした手を竜児は掴んでくれた」
「だからその時に誓ったの。竜児が私の隣に居てくれる限り、掴んだこの手を絶対に離さないって」

「だから、その…」
170名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/10(金) 14:48:05 ID:S2itj6mY
「それで十分だよ、大河」
「それだけ大河が高須君の事を想ってるなら、私は報われる」

「でも、羨ましいよ。そんなに深く想える人が居るなんてさぁ、いつか私にもそんな人が現るのかな?」

「大丈夫だよ!みのりんは可愛いし、スタイルだって良いだから」

「そんな事ないよ〜 ダイエットに明け暮れる毎日だしさぁ」

「そんな事ない!身長もあるし、ウエストも締まってる、それに私より……も大きいし」

「えっ、なに?」

「…わたしより胸も大きいし」

「何だそんなことか、大丈夫だよ!大河もまだ大きくなるよ」

「そうかな?」

「……無理かもね」

「そんなぁ…」

「嘘だよ〜ん。大丈夫さぁ!胸は揉む程に大きくなる!」

ちょっと言い過ぎたかな?
さっきの仕返しさ!
でも、これが私から大河への最初で最後の意地悪。

私と大河は一人の男を巡って物語を共にした戦友だから。
まぁ今回は主役は逃したけど、私には次の物語ががきっとある筈だから。

「高須君、発見!オーイ高須く〜ん」

「何だ?櫛枝」

「キーワードは『揉むチチ』だぜ!」
171名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/10(金) 16:11:58 ID:I47UeqBg
>>168
あの身長でC以上だと異様にでかく感じるんだよ
しかも大河は細くて華奢だからCでも巨乳に見えてしまいそうだ
まあ亜美や奈々子や泰子に囲まれたら相対的に普通乳に見えるかもしれない
つまりこういうことだ

 _   ∩
( ゚∀゚)彡 <おっぱい!おっぱい!
(  ⊂彡
|   |
し ⌒J
172名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/10(金) 16:16:10 ID:I47UeqBg
実は揉んでも大きくはならぬ!!

しかし相手が心底惚れてる男なら話は別
物理的な刺激よりも好きな人に触られてまさぐられているという精神的なものにより
女性ホルモンが分泌されたりなんかしたりするらしい
そして主人公補正がかかるから竜児が毎日もみもみすればきっと大河もおっぱいおっぱい!

>>169
(*´Д`)ポワワ
みのりんにも素敵な彼氏作ってあげてくださいと願わざるを得ない
173名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/10(金) 16:54:09 ID:CH8J0Apw
大河のおっぱいは正義。亜美のおっぱいは悪。
てかお前らおっぱい語るくらいなら告知しろww


◆eaLbsriOas氏のSS「竜虎並び寝る」15章、投稿されました。
ラブエロス注意! ですので、読みたい方だけ
まとめサイトの新避難所のリンクから、どうぞ。
174名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/10(金) 17:32:30 ID:5GMTprp2
>>166
よう同志。 俺も一緒に吊っていいか?
175名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/10(金) 19:32:12 ID:XZMWfCQM
ナカーマ
176名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/10(金) 22:21:34 ID:+s8QyXAP
「あの小さくて怖い人、なぜか高須先輩にだけはなついてるんだよな」
177名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/10(金) 22:57:20 ID:sDjfF/p/
「きっと薬漬けにでもされたか誰か人質に取られてるんだよ」
178名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/10(金) 23:48:50 ID:rXe8kLC9
乳でか大河っていうと、イソノボンボン過剰摂取大河を思い出す
179名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/11(土) 01:30:09 ID:pUYx8nPQ
貧乳はステータスなんだよ
需要高いんだよ
180名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/11(土) 01:47:34 ID:uWQbIeex
「ここが私が一番お気に入りの場所だよ」

そこは村が一望出来る場所だった、夕日が栄えてスゴく綺麗な景色だ。

「私はここから見る雛見沢が凄く好きなんだ」

「綺麗な景色だね」

竜児の腕に身体を預けた、この雰囲気は恋人達には刺激が強よ過ぎる。

「ありがとう。2人はもう少しここで甘い時間を過ごしな」
「私はお風呂の準備とかしとくから」

「うん、ありがとう」

みのりんが居なくなると竜児は後ろから包み込んでくれた、私は竜児の手を握り2人で景色を眺める。

「綺麗な景色だな」
「うん。」

この雰囲気は私の乙女心を刺激する、少し身体を竜児に向けて顔を見上げる。

「…キスして」

優しく私の身体の抱きしめながらキスをくれた、こんな時間が永遠に続いて欲しい。

唇を離して顔を上げると優しい微笑みが私を見てる。

キスの余韻に浸りながら見つめていると竜児の肩越しに何か動く物が…

それは昼間に見た女の子だった。
木の陰から顔を真っ赤にして口をパクパク動かし、こっちを見ていた。

よく見ると体が透けてる……幽霊?
でも怖い感じはしない、それにずっと何かを言っている。

「……あうあう?」
「どうした」
竜児の声で我に帰り

「竜児あそこに女の子が…」

指を差すと元の場所に女の子は居なかった。
181名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/11(土) 01:49:33 ID:8B8+L8A3
>>179
そういう風に開き直ってる貧乳は好きになれんな
やっぱコンプレックスになって悩んでないと
182名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/11(土) 01:53:31 ID:uWQbIeex
ごめんなさい超誤爆しました。
すみませんでした。
183名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/11(土) 02:20:07 ID:/MXhOURY
甘い竜虎モノなら謝る事なんかない。
と俺は思った。
184名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/11(土) 02:59:43 ID:04vnOjWa
竜「ここが俺の一番のお気に入りの場所なんだ」
大「なに胸見てんのよ、スケベ、変態」
185名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/11(土) 03:07:15 ID:pUYx8nPQ
竜「た、大河さん・・・む、胸が当たってるんですけど」
大「当ててんのよ」
186名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/11(土) 08:02:05 ID:+tIda+Um
虎のなく頃にで新連載フラグ…?
187名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/11(土) 13:22:25 ID:KTp4AQLw
>>184
WAROTA
188名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/11(土) 13:31:15 ID:IMur6jf/
◆QHsKY7H.TYさんの
『とらドラ!〜もしもラブレター事件が無かったら〜』の設定を元に
スタートさせて、文化祭まででくっつけてしまうものを書きました。
具体的には文化祭前で分岐ということになります。

第2部は家族問題をより強く出して、互いに悩み、壊れかけながらも、
より強く結束していくようにしました。クライマックスはクリスマス。
都合よくするため、原作と異なる設定に変えた部分が多くあります。
大河の母親の設定も勝手に考えています。

ラブレター事件、不法侵入、傷害未遂は発生しない。
大河はそもそも恋愛を知らない。
恋の戦線にサブキャラクターが絡まない。あくまでサポート役。
さっさと文化祭でくっつけてしまう。
大河を作中から前向きな姿勢に変化するように見せる。
その後に家庭問題と現実に直面させる。両者。
大河はさらに強くなるように見え、むしろ竜児は停滞している。
大河の不自然な変化には隠された理由。
泰子の失踪はクリスマス前。二人はもっと深刻に。
壊れかけながらも互いに繋ぎとめようとする。
はっきり攻めの姿勢で問題に向き合うことに。
泰子問題の解決は原作そのまま。
夜のシーンは泰子と三人での会話でキスはありません。
大河が旅立つのは状況的に仕方ない。
別れ方は異なる。
母親と話し合った大河は3学期の始業式の日に戻ってくる。が…。
大河とその母親はいろいろとよく似ている。

◆QHsKY7H.TYさんの許可、ならびのこのスレッドの方々の許可が
いただければ投下します。たとえ始めることができたとしても
反対があれば即中止します。
一応、最後まで書き上げています。
189名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/11(土) 14:20:24 ID:+tIda+Um
許可するぅぅ!
しかし、TYさんがこのスレに居なかったら…?
190名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/11(土) 14:22:06 ID:+tIda+Um
あ、すまん。
「もしも大河がおとなしかったら〜」
の人と勘違いしてた。
しかし許可するぅぅ!
191名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/11(土) 14:32:29 ID:RQRPCT1U
許可する。発射したまえ。
192名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/11(土) 15:43:26 ID:9s1Yf/zn
「竜児、高校三年生の性交経験率50%なんだって!」
「最近のやつらは恥じらいとかを知らねぇからな。不潔だよな…」
「だよね。初めてを簡単に上げちゃうなんて気軽すぎるわよ」
「…だよな」
「…だよね」
「……で、俺達はどうなんだ…?ほぼ毎日で近藤さんもストック5箱ある訳だが」
「私達は結婚するからいいのよ。あーこんな話してたらムラムラしてきちゃった」
「奇遇だな、俺もだ」

ギシギシアンアン
193名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/11(土) 16:18:22 ID:O1hKHwzC
許可しないィィィィィィィィィィィィィ!!!!!!!!!!!


う・そ♥
194名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/11(土) 16:28:36 ID:O1hKHwzC
195名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/11(土) 16:29:48 ID:/MXhOURY
普通に考えて反対は無いと思うけど、TYさんの返答と周知に数日待ってから投下とかがいいんでね?
んで、その数日が過ぎたら変な言い掛かり付ける奴がいても中止しないで欲しい。
俺は応援するぜっ!
196名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/11(土) 16:36:54 ID:9s1Yf/zn
>>194
大河の柔らかプリン型に合うやつは竜児にしか作れないと思うよ
それ以前に竜児がMOTTAINAIとか言って買わせてくれなさそう。

>>195
確かに荒らしみたいなのが出てくるかもしれないから
そう言うのに反応して中止するのはいやだよね
197名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/11(土) 16:46:02 ID:IMur6jf/
>>195
了解です。判断がいただけるのを待ってからにします。
198名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/11(土) 16:46:41 ID:Kkv3KgPz
http://www.kingdom.or.jp/nanchie/html/06/07_00.html

スナップで止めただけの偽乳パット第一号はやっぱり危険みたいだな
199名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/11(土) 17:55:09 ID:3wANvBOV
「大河がおとなしい女の子だったら」の人も…オレ、待ってますからね
200名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/11(土) 18:27:27 ID:KTp4AQLw
>>199
有原栞菜が℃-uteに復帰するぐらいの確率だろうけどね
201名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/11(土) 18:28:41 ID:KTp4AQLw
>>192
竜児なら本当に入籍するまで性交しなさそうだ
202名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/11(土) 18:35:28 ID:kZKs1zux
大河が「こんなものつけんな!」と怒鳴り散らして近藤さん全部ゴミ箱に捨てる様子が見える
203名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/11(土) 18:43:26 ID:KTp4AQLw
大河はカトリック系の小中学校だったから有り得る
204名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/11(土) 19:34:16 ID:NZcR3wbA
竜児「こちら、コードネーム「ドラゴン」、櫛枝に似た女優がでるAVを入手したこれより視聴に入る」
205名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/11(土) 20:04:56 ID:+tIda+Um
大河「了解した。これよりドラゴンの暗殺任務に入る」
206名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/11(土) 20:06:24 ID:vovqTkFr
大河「竜児、あんたに自殺願望があるとは知らなかったわ」
207名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/11(土) 20:30:24 ID:uWQbIeex
「……何それ?」
「オッオハヨウ、川嶋」
「イヤ、挨拶はいいから… 何でその小っこいのは後ろにくっつて半ベソかいてるのよ…」
「イヤ、何かその… 怖い夢を見たらしくて」

今朝、いつもの如く弁当を作っていると大河から電話が入った。

「おはよう大河。こんなに朝早くに珍しいな、何かあったのか?」
「…良かった」
「どうしたんだ!?お前泣いてるのか?」
「大丈夫」
「全然大丈夫じゃないだろ!すぐにお前の家に行くから、学校には行けそうか?」
「うん、待ってる」

迎えに行くと大河は扉を打ち壊す勢いで飛び出し、俺に見事なタックルを決めて胸に顔を埋めてる。

「どうした大河!何があったんだ?」
「………」
「オイ、大河!」
「おはよう、高須君」

顔を上げるとお母様が冷ややかな目で見ている。そりゃそうだよな、朝から玄関先で娘が男に抱きついてたらあんな顔になるよな…
とりあえず、謝っとくか。
「おはようございます!えっと、何かすみません」
「良いわよ別に、家の娘が勝手にやってる事だから」
「はぁ… あの、何かあったんですか?」
「夢を見たんですって」
「夢?」
「そう、夢。夢の中で高須君が居なくなったんだって、ウフフ」
「そうですか…」
「笑い事じゃないわね、大河にとっては一大事なんだから」
「ハイ、鞄。後は宜しくね高須君、いってらっしゃい」バタン!
「宜しくねって… とりあえず学校に行くか、大河もう大丈夫か?」

しがみつく大河を見るとコクリと頷くだけ、不謹慎だが弱ってる大河は何時もより数倍可愛いい… イヤ、今は安心させないとな。

「俺は大河の前から消えたりしないから」
「…本当に?」
「あぁ当然じゃないか、大河を置いてどっかに行ったりしない、だからそろそろ学校に行こうな」

頷く大河の手を引いて学校に向かう。流石に手を繋いだままで校内を歩くのはマズいので、なんとか説得して袖を掴むで妥協してもらった。

「そう、怖い夢ねぇ… それでくっつてるの」
「まぁな」
「可愛いとこあるじゃない。大切にしてあげないねぇ」
「からかうな、川嶋」
「あら、私は本気よ。それじゃねぇ〜」
やっと行ったか、一番厄介なのはクリアした。
「教室に行こうな、大河」
208名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/11(土) 20:32:01 ID:uWQbIeex
教室に着いてからは気を使ったのか袖も放してくれ、隣に椅子を持って来て座るだけだった。
休み時間の度に来ては隣にちょこんと座り、話し掛けても首を動かすだけ。
結局、放課後までその繰り返しで殆ど大河の声を聞くことは出来なかった。

帰り道、いつもより繋いだ手に力を感じる。
そんなに不安なのか大河?
でも夢を見ただけでこんなに落ち込むってのもな、こりゃ他に原因があるな。

「大河。俺はどこにも行かないから、それに今朝のは夢なんだから少しは元気になってくれよ」

「…うん。夢って解ってるんだけど」

「他に何か不安にさせる事でもあるのか?」

「……寂しかったの」
「だって恋人になる前はずっと一緒だったのに、恋人なったら一緒に居る時間が減ったんだよ」

「そうだな。いま思えば、あれは贅沢な時間だった。MOTTAINAIことしたな」

「でしょ!もっと竜児の側に居たい!」

「気持ちは嬉しいけどな…」

俺だって大河の近くに居たいが、こればかりなぁ。
悩みつつ歩いてると雑貨屋にディスプレイしてある犬のぬいぐるみに目が止まる。

「なぁ大河。家に居る間はあの犬のぬいぐるみを俺として可愛がるってのはどうだ?」

「う〜ん」

あれ?もっと喜ぶと思ったんだけどな。

「とりあえず中に入らないか?」
209名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/11(土) 20:33:52 ID:uWQbIeex
中に入ってからも大河はぬいぐるみにあまり興味を示さない、うろうろ他を見てまわる。
俺はぬいぐるみを手に取り黄昏た。
今朝の弱った可愛らしい大河にピッタリだと思ったのは俺の妄想か?勝手に少女趣味をオプションとして付けたのか?

やっぱり、どこまで行っても大河は大河か… こんな事なら肉でも喰わせて元気にするか?

諦め気味に大河を見るとショウケースの前で目を輝かせて居る。
オォ!あれは俺の求める可愛らしい大河!

「どうした?欲しい物でもあるのか?何でも買ってるやるぞ!」

若干、危ないオヤジみたいな言葉を吐きつつ近づくと、大河は指輪を見ていた。

「竜児!わたし指輪が欲しい!」

「指輪?」

「そう、指輪!婚約指輪にするの!」

「婚約指輪って、だったらこんな安いのじゃなくて…」

「ううん、これで十分。値段とかじゃなくて気持ちの問題だから」

そうか、婚約って言っても言葉だけだったもんな。目に見えないと不安になることもあるし。

「良し!じゃあ俺にも選ばせてくれ」

「うん、選んで!選んで!」

俺が選んだ四千円の指輪を手にして大河は大喜びした。
結局、大河を不安にさせてたのは夢でも現実でも俺だったか。
やっぱり鈍犬なんだな、俺…

「うわ〜 綺麗だなぁ」

公園で一休みしながら大河は指輪を夕日に透かして喜んでくれてる。
俺は己の鈍さに少しへこむ、やっぱり俺の感性は犬程度なのか?鈍犬並みか?

「ありがとう、竜児」チュッ!

大河は笑顔でキスをくれた、でもへこんだ俺の心は曲解する。

「…今のキスは俺へのご褒美か?俺は鈍犬だしな」

「違うよ〜 ちゃんとしたお礼だよ」
「だって、竜児は私の素敵なご主人様だから」

泣きそなくらい嬉しかった、こんな俺を素敵な旦那様なんて…
ありがとう大河、俺はこのままお前をお持ち帰りしたいよ。

嘘です、すみませんお母様。

「さぁ、もう暗くなるから送ってくぞ」

「………このまま帰っちゃうの?」

「えっ!?」

―おわり
210名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/11(土) 20:38:20 ID:uWQbIeex
昨晩は超誤爆失礼しました、今貼ったのが正解です。

あれは下書きなので誤字など直してなく、尻穴を見られるくらい恥ずかしかったです。

本当にすみませんでした。
211名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/11(土) 20:40:22 ID:kt+sJJAK
>>210
うんうん、よかったです。GJ
ほんわかしたのいいねぇ。
212名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/11(土) 20:49:31 ID:/MXhOURY
ほんわかしたGJした。
昨日のは気持ちは分かるw
213 ◆QHsKY7H.TY :2009/07/11(土) 20:56:58 ID:EofPQmn8
日課の毎日竜虎スレチェックに来てみれば……。
えっとちよっと待ってね、今グラサン付けてテーブルに肘ついて両手の甲で顎支えて、

「反対する理由は無い、存分にやりたまえ」

っつーわけで私本人が許可します、っつーかむしろありがとうございます。

前に、
「まだまだ物語は終わらない」
っての俺が書いた時に続きを書いてくれた人がいたんだけど、その時に言った通りじゃんじゃんやって下さい。

楽しみにしてます。
あー、二つ出来たらでいいんでお願いが。
もしよければ勘違いタイガーネタがあると嬉しいっす。
コピペでも構わないんで。
もう一つは直接的な性交渉表現は避けて欲しいかな。
どうしても、って時は避難所の方にその部分を投下して貰えると助かる。ただラブコメ的なノリはオールオッケー!!

さぁ、無限に繰り広がる竜虎ワールドを見せて、いや魅せてくれ!


>>210

そこで終わるのかぁ!?
いやいやらしい意味じゃ決してないぞ?
214名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/11(土) 21:01:43 ID:+tIda+Um
>>210
犬からご主人に主従逆転w
弱った大河いいな。昨日誤爆したのは別の作品に見えるのは気のせい?




おぉ投下許可がとうとう出ましたな。フォッフォッフォッ。
215名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/11(土) 22:01:08 ID:inme0Ysh
>>301
作品、楽しみにお待ちしていますね。

ところで、今日投下する予定ですか?
自分もそろそろ投下しようと思っていたのですが被るとあれなので、
ご返答頂いてから投下しようかなと思ってます。
216名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/11(土) 22:03:42 ID:inme0Ysh
ああ、ミスった。
避難所宛てだったのが何故かこちらに……

>>188さんの返信がこちらに来てますのでどうぞ

ttp://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/anime/7850/1245088864/301
217名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/11(土) 23:39:59 ID:uWQbIeex
長文失礼します。

自分は『大河がおとなしかったら』を書いて者です。

以前は自分の我がままな意見にみなさんで真剣に話し合いをしてもらいありがとうございました。
自分の発言で書き込めなくなった方には大変申し訳なく思います、すみませんでした。

もうバレてると思ってましたが、自分は偶にssを貼らせてもらってます。書き込めなくなった人がいるのに自分だけ書くのもなと思い黙ってました、すみません。
これが匿名掲示板の良い所であり悪い所ですね。

1話ifさん、まとめ人さんあとレスをくれた方々辞めると言った時に頂いた言葉は大変嬉しかったです。

偶に自分の駄文を読みたいとゆう方が居て本当に有り難いです。
もう黙って書くのも流石に悪いと思い挨拶をさせてもらいました。

本当に申し訳ありませんでした。
218 ◆askgvpoGB. :2009/07/11(土) 23:59:21 ID:inme0Ysh

>>217
自分は何も言えない立場ですが、少しだけ。
以前、もしかしたらと思った事がありましたが、やはりあなただったんだと知って、
このスレからいなくなってなくて本当に良かったと思います。
個人的な意見ですが……今は完全に住み分け出来ていて、どちらのスレも空気が良いですよね。


>>188 >>215
自己レス気味で恥ずかしいのですが、
前回から大分経ってしまってるのでお先させて頂きます。すみません。

>>23 >>24 >>26 >>160
感想と応援どうもありがとう。返信遅れてごめんなさい。
>>25
そう言って下さると本当に書いてきて良かったと思えます。
「そういう風に読んでくれる人がいると……報われるよな」的なw

では、次レスより投下させて頂きます。
219【 - た い が - 】 60 ◆askgvpoGB. :2009/07/12(日) 00:00:28 ID:inme0Ysh


「………………」

名残惜しそうな唇同士が離れる、

「へ、へへ……しょっぱい……ね、竜児……」
「……全部、おまえんだ」
「うそ。竜児だって泣いてたでしょ?」
「なっ! 泣いて……ねえよ……」
「ほんとう?」
「っ…………泣いてねえ……」
「そういう事にしといてあげるわ……」
「うっせ……」

くすくす笑う私。竜児の顔が真っ赤で面白い。

「大河、降りるか?」
「やだ……このままがいい……」

すぐ目の前にある竜児の瞳を見つめる。すごくすごく近い。
お猿さんみたいに、両足を竜児の背中に巻き付けるようにして意思表示する。

「…………しゃあねえな」

って言って、リビングの電気を消して寝室に向かう竜児。
ベッドサイドライトは薄いオレンジのお気に入り。別荘にあったのと似てるかな。

「………………」
「そんなに……近くで見てんじゃねえよ、大河……」
「いいじゃん。減るもんじゃないし」
「前が見えないだろう……ほら、危ない。って、だから俺の視線を塞ぐんじゃねえって」
「……だって、嬉しいんだもん。しょうがないじゃない」
「ったく……」

竜児はふっと優しくため息を付いて、私を抱えながらベッドの真ん中に胡坐をかく。
私はしがみ付いたままだから、そのまま女の子座りで竜児の上に乗っかる。
220【 - た い が - 】 61 ◆askgvpoGB. :2009/07/12(日) 00:01:53 ID:fH2aXByt

「なぁ、大河。……そう……遠い未来でもなかったんだな。もうすぐ……なんだな」
「なあに、それ?」
「おう、さっきさ、公園で言ったじゃねえか。子供が出来たら、みたいな事をさ」
「……ごめん。聞いてなかった」

「おいおい…………まぁ……何か変だったもんな、おまえ。何考えてたんだ?」
「んっと……もうね、ほんっとうに…………つまんない心配してたの。それだけよ」
「もう大丈夫なのか?」
「うん。もう……全然ね、心配なんかする事無かったんだって分かったの……」
「そっか」

「なんかね、いきなり考える事が増えちゃって、頭の中がぐるぐるーってなっちゃったの!
 いきなりあなたは母親ですって言われて見なさいよ。もうね、どっひゃーって気持ちになるから!」
「ははは、そうだよな。……大河は……その、母親になるんだもんな……」
「そう……なんだけどね。何かまだ、よく分かんない。
 この子が大切だって思うのはもちろんだけど、それ以外はまだ、正直よくわかんないや……」

そう言って苦笑いする。
竜児の言うように、そう遠くない未来のイメージばっかりたくさん浮かべててて、
夢見る少女みたいにはしゃいじゃってて、具体的な事なんか何も考えてなかった事に気付く。



「さすがに、俺も……いきなりで驚いたな。」
「何よ、冴えない顔して。竜児だってパパになるんだからしっかりしてよね?」
「お、おう。そうだな。そう……だけど。
 なぁ、大河?…………パパになるって、どうすりゃいいんだろうな?」
「……えっ?」
「どうやったら俺は……父親になれるんだろうな?
 気持ちっていうか、心構えっていうか、上手く言えねえけど……俺は、親もあんなだし、さ……
 正直どうしたらいいか分からなくて……それでパパになれる……のかな?」

――いつかのファミレスで見た男性の顔が浮かんでくる。
そうよね……悲しい過去は消えないもんね。あんたも私もさ……
でも、いつか聞かせてもらった……あんな……悲しい未来なんか訪れない。

「…………バカね……そんなの簡単じゃない。
 っていうか、もうあんたはね、しっかりパパになってるわよ?」
221【 - た い が - 】 62 ◆askgvpoGB. :2009/07/12(日) 00:02:36 ID:inme0Ysh

ちょっと伏し目がちの竜児の頬を、両手で挟んでこちらに向ける。

「もう……パパになってる?」
「そうよ……私のお腹にこの子がいるのを知って、生まれてくるのを知ってね、
 それを喜んだ時から……もう、きっと、ちゃんと、竜児は立派なパパなんだよ……」

竜児はあんなに喜んでくれた、笑ってくれた、この子の事を望んでくれた。
だから……ここから続いていくのは、幸せの連鎖なんだよ……

「だから……大丈夫だよ、竜児……」
「……それだけで、いいのかな? そんなもんで、パパって言えるのか?」

「それは……そんなの私だって分からないわよ、自分だってまだ混乱してるっていうのに」
「……そうだよな。2人とも初めてのことだしな……言ってみれば、見習いパパに見習いママってやつか?」
「そうそう、そんな感じじゃない? だから、そうやってすぐに自信を無くすんじゃないわよ。
 これから考えていけばいいのよ、さっきも言ったようにまだ時間はあるんだし……ね?」
「お、おうっ! そうだよな、頑張らないとな!」

「ふふふ。それにね、きっと竜児はいいパパになるよ。私ずっと考えてたもん……」
「そうか? どこらへんがだ?」
「……さっき言ってたじゃない。たくさん遊びに連れてってくれるんでしょ?」
「ああ、そうだな。そうだった。3人で遊びに行ったら、きっとすげー楽しいぞ!」

「そう……だね、竜児…………絶対、楽しいよ。ねっ」
「公園、だったよな? 俺、毎日公園に連れてって一緒に遊ぶぜ?」
「あんたは仕事でしょうよ…………」
「おう……無理か…………そ、それなら毎週だ! 毎週どっか遊びに行こうな!」
「あっはは! そんなこと言っちゃっていいのー? 疲れたって言っても聞いてやんないわよ?」
「任せとけって! 手を引く子供が2人になったって大して変わらないだろ?」

「……って、ちょっとあんた……どういう意味よ?」
「そのまんまの意味じゃねえか」
「なんですってー!?」
「い、痛い! 痛いって大河、俺の上で暴れんなよ! おいコラ!」
「あんただってガキじゃないのよ、もう! 『どうしたらいいんだーたいがー!』 とか喚いてたくせに」
「ひでっ! そんなこと言ってねえだろう!?」

そんな事を言い合いながら、どつき合いながら……殴ってるのは私だけだけど……
なんだか楽しくなってきて笑いあう。心配そうだった竜児の顔もどこへやら、だ。
結局、こいつも……私も……まだまだガキだって事よね……



◇ ◇ ◇ ◇ ◇
222【 - た い が - 】 63 ◆askgvpoGB. :2009/07/12(日) 00:03:18 ID:fH2aXByt


「たいへん…………竜児……」
「どうした?」
「私ね、今まで色んな事考えちゃっててさ、一番大事なこと……忘れてたみたい」
「大事な、こと?」

「私ね…………赤ちゃんが出来て……嬉しいの……」
「……ああ、そうだろうな」
「違うの。そんなもんじゃなくってね、竜児の……あんたの子供が出来て……すっっっごく嬉しいの!!!」

そう言って竜児に満面の笑みを向ける。

「お……おう。そんなにでっかい声で言われると……なんだ……照れるな……」
「あんたにどうやって伝えようかな、とか、喜んでくれるかな? とかね、
 そんな事ばっかり考えてたら……忘れちゃってたんだね、きっと。自分で自分に驚いちゃった!」
「まぁ、おまえらしいって言うか……」

「ずっとね……竜児が竜児が竜児が、ってあんたの事しか考えてなかったの。
 ううん。後はね、この子がこの子が、ってそんなことばっかり考えてた。
 こんなの、私の感情はどこに置いてきたんだって感じよね……
 あーもうやんなっちゃう! これじゃあんたにしっかりして、なんてとても言えないわ」
「そんなことねえさ……本当に……おまえらしいよ」
「そうなのかな? でも、でもね……」

お腹に手を当てると……まだあるはずないのに……鼓動のようなものを感じる。
ドクン、ドクンってそれが動いて、全身に血が巡る度に体温が上がっていくみたい。

「そういうのが終わって、落ち着いて、ふと気付いたらさ……こう……お腹が熱くって……
 なんかね、なんかよく分かんないけど……ぶわーって嬉しさが込み上げて来たの。
 ようやく実感できたっていうか……そんな感じ……なのかな?」
「何となく……だが、俺にも分かるぞ」
「竜児にも伝わればいいんだけどね……お腹の奥の方にね、ポワポワと光が灯ってるみたいで、
 それが暖かくて……熱くて……そんで胸もすごく熱くって…………なんか……すごいんだ……」
「大河……」
「この子の事を、すごく大切にしてあげたいって思うの……すごく幸せにしてあげたいって……思う」
「おう」

「だから……ね……竜児……」
「ん、何だ?」
「竜児は……ううん。……竜児に、ね……この子のサンタさんにね……なって欲しいの……」
「ああ……もちろんだ」
「毎年、毎年ね……プレゼントを……渡して……くれる?」
「当たり前じゃねえか。ずっとずっと、俺はこの子のサンタであり続ける。だから心配するな」
「……うん。良かった………………良かったね……」

私にとっては、やっぱり特別なんだろうなって思う……だって、こんなに嬉しいんだもん。
……良かったね……きっと…………すごく楽しいクリスマスが待ってるからね……
223【 - た い が - 】 64 ◆askgvpoGB. :2009/07/12(日) 00:03:59 ID:fH2aXByt

「お、おい? 何だよ。また泣くんじゃねえだろうな? うるうるしてんぞ?」
「なっ、泣いてないわよ、ばばばかじゃないの!? あくびしただけよ、それだけよっ!」
「ほんっと、素直じゃねえよな、おまえは……」
「う、うるさいな……」
「それに、さ……大河?」
「何よ?」

「おまえのサンタでもあり続けるからな」
「……っ!」
「おまえと、この子のサンタだよ、俺は」
「い……いいわよ、私は……」
「ダメだ。大河が恥ずかしいって言っても止めてやんねえ。ずっと、ずっとだ」
「…………ばか……なんだから……」

そう言って、竜児の首に腕を回して軽く引き寄せるように背伸びをする。

「何だよ、いいじゃねえかよ。両手にプレゼントを抱えて帰ってくるパパなんて、いいよな、何かいいよな!」
「……………………」

私は黙ったまま、竜児の瞳を見つめながら、顔を寄せていく。
唇はゆるく半開きにしておいて、どんな衝撃も受け止められるように……って、全然ゆっくりだけど。
ゆっくりゆっくり顔を近付けて行って、でも……逃がさない自信はある。竜児は逃げられない。

「え? お、おいっ…………」

竜児は本当に私の接近に気付かなかったみたい。
ビックリした声を出したけど、そんなの聞こえなかったみたいに、そのまま竜児の唇を塞いだ。

胸がいっぱいになって……そうしたくなったから……そうした。

竜児の頭を抱きしめるようにして、そのまま体重を掛けてベッドに倒れこむ。
音もなく静かに倒れて、ほんの少しの衝撃はお互いの唇の柔らかさで受け止める。

「……………………」

ただ……唇を触れ合わせるだけ、それ以上先を求めないし、求められない。そんなキス。
竜児の唇の感触を感じて、その暖かさを感じて、吐息を感じて、ただそれだけのキス。
言葉なんかいらない。こうしていれば伝わるものがある……今は、私にも分かる。

「…………ちょっと……待て……」

そう言いながら、少しだけ唇が離れた隙に竜児が顔を横に向ける。

「……だめ…………」

囁くように声を出して、竜児の唇を追いかけて、もう一度唇を塞ぐ。
竜児は何か言いたそうに口を動かして、途中で諦めて、手探りで布団をめくったみたい。
もぞもぞ動いて、私の頭を支えて、ゆっくり身体を入れ替えながらベッドに寝かしてくれる。

少しまぶたを開けると目が合った。それを合図みたいにして微笑みながら腕の力を抜くと、
竜児も微笑むようにしながら唇を押し付けてくる。だから私はそれを受け止めるだけ。

ベッドの柔らかさと竜児の体温に包まれてるのが暖かくて心地よい。
竜児の手の平と唇に導かれるように、されるがままに、ゆらゆらと顔を動かしていると、
暖かな日差しの中で浮き輪を付けて波に揺られているような……そんな気分。
224【 - た い が - 】 65 ◆askgvpoGB. :2009/07/12(日) 00:04:47 ID:fH2aXByt



――そんなふうに、長い……とても長いキスが終わって、見つめ合う。

「竜児……途中で逃げた……」
「逃げてねえよ……ほら、身体を冷やしちゃ良くないだろ?」
「……そうだね…………でも……逃げたもん」

少し拗ねるように竜児を見上げる。
今までずっと緊張してたのかな? 今のキスで身体中から力が抜けたみたい。



「悪かった……って、よっと……」

そう言いながら私のすぐ横で頬杖を付く。
いつものように、空いた手で髪の毛を撫でようとする竜児に声を掛ける。

「……ねぇ、ちょっと手を貸して?」

そう……私の大好きな手の平を貸して、竜児。
この子にね、紹介してあげるから……

竜児の手を取って、私のお腹に当てる。その上から私の手を当てて、

「ここ……だよ? ここに……いるの」
「……おう」
「ねぇ、竜児。この時期の赤ちゃんってね……たいが……って言うんだって……」

そう言って傍らの竜児を見つめる。

「胎児の芽で胎芽……なるほどなぁって感心したんだ、わたし……」
「……初めて知ったな、それは」

「今はね、私と同じ名前なの。私と同じ命なのね」
「ああ」
「でもね、私の中で別の……もう1つの命になっていって、それで生まれてくるんだね」
「……そうだな」
「すごいよねぇ。何かもう、あんたじゃないけど、言葉が出ないっていうか……」
「俺も……そう思う。すげえな、本当に」
225【 - た い が - 】 66 ◆askgvpoGB. :2009/07/12(日) 00:05:41 ID:inme0Ysh

「でも……でもね、竜児?」
「おう?」
「今の……私のね、お腹の中には……竜児の命もいるんだよ?」
「そうだな……2人の命だな」
「……そう……だから、2人で……この子の名前を考えてあげようね」

「おうっ! パパとしての初仕事だな!」
「あはは。何よ、すっかりパパしてんじゃないのよ。さっきはあんなに不安そうだったのにね」
「……そういじめんなよな、大河。……つっても名前か、どうやって考えような?」
「私はね、1つね、これがいいんじゃないかなーってのがあるの」
「へぇ。どんな名前だ?」
「えっとね…………あ、やっぱりまだ内緒……」
「何だよ? 教えてくれよ」
「いーやーだっ。 ふふっ、竜児も1つ候補を考えてよ」
「ん?」
「それで、一緒に言いあいっこしよーよ、ねっ?」
「なるほど。そりゃいい考えだな」

「私はね、男の子の方を思い付いたんだ。
 まぁ別にどっちでもいいんだけど……竜児は女の子の方を考えてくれる?」
「おう、いいぞ。でも、そんなすぐに思い浮かぶかどうか……」
「別にいつでもいいわよ? 焦らないでさ……ゆっくり決めていけばいいじゃない」
「それもそうだな……よし、それじゃ考えたら俺から言うからな」
「うん」

ふあああぁっと本物のあくびが出る。いつの間にか眠くなってたみたい……

「ね……」
「……おう」

いつものキス。お休みのキス。
もう反射的に眠りに落ちそうになっちゃうから不思議よね、これって……
竜児の手と私の手が重なるようにお腹に乗せられていて、それがとても暖かい。

これからも……こうして守っていくからね……なんて。




◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇
226【 - た い が - 】 67 ◆askgvpoGB. :2009/07/12(日) 00:07:07 ID:fH2aXByt



何度も、何度も、私の前髪を優しい風が通り過ぎているみたい。
でもそれは……少しだけ暖かくて、まだ半分眠ってる私にも分かる。
これは竜児の手。私の大好きな竜児の手の平。

ふっ、と目を開けると、やっぱり目の前には竜児。
何も言わないのに、優しい口付けをくれる。

「今な、おまえの顔をずっと見てて、1つ思い付いたんだ。女の子だった時の名前をさ……」
「何よ……ずっと見てるなんてずるいわね。私が先に起きた時は覚えておきなさいよ?」
「はいはい。……ったく、お前の寝顔はいまだに赤ん坊みたいだからな……
 いろいろ浮かんできたぞ? 頭の中で考えてるより何倍も浮かんできた。
 大河に似た子だったらどんな名前が似合うかなって思ってたらさ」
「ほんと、バカね……あんたは……」

なんて言いながら微笑みあう。とても穏やかな時間。
今日は晴れみたい。この部屋はちゃんとお日様の光が差し込んでくる。
その眩しさに目を細めながら起き上がって竜児と向かい合う。

「それじゃ、いっせーのっ! で言いましょうか?」
「そうだな。おまえはどんなのを考えたのか楽しみだ」

「……すぐに分かるわよ。……さ、準備はいい? 竜児」
「おう……いくぜ? 大河」




「 「 いっせーのっ! 」 」










――ふわふわとカーテンが揺れる。

少しだけ開いた窓の隙間から聞こえてくる。

それは、とても楽しそうな笑い声。

それは……2人分だろうか? それとも3人分?




【 - た い が - end - 】
227 ◆askgvpoGB. :2009/07/12(日) 00:08:00 ID:inme0Ysh

今回もかなりの長編になってしまいました。
長い間スレをお借りしましたが本日で終わりです。ありがとうございました。

では、ちょっと長めですが、あとがき的なものつらつらを。


大河と竜児がこんな感じで、ごく普通の日々の中で幸せになっていければいいな
と思ってここまで書いてきましたが、皆さまの目にはどう映りましたでしょうか?
ドラマティックな展開もなく、一部期待されてたかもしれない描写もなく、退屈でしたらすみません。

感想を頂いた方、本当にどうもありがとう。あまりレス出来なくてごめんなさい。
投下途中は作品に集中して欲しいので、自分の色をあまり出したくないって思って控えてました。
とは言っても、一つ一つの感想がとても嬉しくて、思う存分レス出来ないジレンマにいつもくねくねしてましたw

特に、いつも草付きでウケてくれたあなた。切なさとか幸せのお裾分けを受け取ってくれたあなた。
すごく励まされました、ありがとう。おかげでモチベも上がって頑張れたと思います。


というわけで、長編2つ終わってネタも枯れたので、しばらくはお休みします。
前作と同じような「これはひどいafter」を気が向いたら書くくらいかな。

それでは、またいつか。
228名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/12(日) 00:29:55 ID:+K3c/191


また楽しみにしています
229名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/12(日) 02:11:05 ID:RwZTLqtj
>>185
竜「た、大河さん・・・当たるはずのモノが全然あたらないんですけど・・・」
230名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/12(日) 02:44:49 ID:iv8s8saD
>>229
大「……」ギュッ
竜「うごっ?!ギブギブ!ヘッドロックはやめてくれ!」
大「あら?私は当ててるだけよ?」ギリギリ
231名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/12(日) 03:47:08 ID:STmGVy/Y
>>227

流石の一言に尽きる

終わり方も幸せになりきったって感じだったので、心に広がったのが余韻じゃなく爽やかな、気を緩めたら思わず笑ってしまいたくなるような感覚だった
232名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/12(日) 07:34:41 ID:flGq7NJe
謝罪のみ…でしか。。。
続きは書かない、書いてくれない
ってことなんですかねえ…

(おとなしい)大河かわいいよ(おとなしい)大河
233名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/12(日) 07:45:00 ID:em2cDIht
>>227
本当にお疲れ様でした。
ここまでの良作が作れちゃうのは嫉妬してしまう…。
また機会があれば是非!
234名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/12(日) 09:16:16 ID:QIWJkAa/
>>227
いやぁよかったですわぁ。
ポコアンの幸せで満ち溢れますなぁ。
長編ご苦労様でございました。GJ!!
235名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/12(日) 09:42:01 ID:EcvID6uQ
>>207-209
(*´Д`)ポワワ
236名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/12(日) 10:18:54 ID:EcvID6uQ
>>227
充分ドラマティックだったぜ!
ひとりで抱え込んじゃうのは大河らしいやと
237名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/12(日) 11:00:33 ID:teuX3ocM
>>227
お疲れさん。

ちょっと臭いタイトルだと思っていたが、最終回でやられたよ。お見事。参った。
238名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/12(日) 19:34:36 ID:em2cDIht
「竜児、あと買うものない?ないならお菓子売り場行こ?」
「おう、まてまて。確かあと一つ買うもの…は、ゴムかな」
「へ!?別にこんな大きなスーパーで買わなくても、いいいんじゃ…?」
「…? あぁ、まあ確かにコンビニとかのほうが安いかもな、泰子のヘアバンド」
「あ、なんだそっちか。コンドームかと思った…」
「は!?聞こえなかったからもう一回言えって!」
「いい、いい!いーやーだー!」
239 ◆Tw0dVfiTgMyj :2009/07/12(日) 20:02:42 ID:BA2jkNzS
『大河がおとなし〜』を書いてた者です、今回からトリップ付けました。

>>227 ありがとうございます。作品は素敵な話で大好きでした、お疲れさまです。

>>232 いま書いてますのでしばらくお待ち下さい。
自分は貼ったら全部消すので過去ログ見て思い出しながら書いてます。

>>235 あなたは毎回自分が書いたやつに『ポワワ』とレスしてくれますよね、ずっと同じ人なんですか?
書く度に返ってくるので、同じ人なら凄いなと驚いてます。
感謝してます、ありがとう。
240名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/12(日) 20:14:48 ID:em2cDIht
>>239
なにぃ!?
「大河がおとなしかったら」
の続きを書いていると…?
241名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/12(日) 20:52:40 ID:QTMyeyMt
竜児「波動拳!!波動拳!!波動拳!!」
大河「タイガーショット!!タイガーショット!タイガーショット!!」
竜児「波動拳!!波動拳!!竜巻旋風脚!!」
大河「タイガーショット!!タイガーショット!!タイガーきゃああ!!」
242 ◆QHsKY7H.TY :2009/07/12(日) 20:55:58 ID:3P5Z32km
避難所でウレシイ書き込み見ました。
ありがとう、君の為に更新早めたよ。

次より>>71続きを投……何ぃ!?おとなし大河復活かぁ?楽しみに待ってます!
243【逢坂大河〜Remenber竜児〜】 ◆QHsKY7H.TY :2009/07/12(日) 20:58:57 ID:3P5Z32km
「おーい、こっちだ高須ーっ逢坂ーっ!!」
河川敷についてキョロキョロしていると、川のすぐそばから声が聞こえてきた。
「北村、悪いな、自主トレ中に」
「いや何、他でもない高須の頼みだ、それにやることが無いから自主トレしてるようなものだからな」
「そうか」
「うん?どうした逢坂?先程から俺の顔をじっと見て……」
「お?おおお?どうだ大河、何か思い出したか!?」
竜児が期待したような目で私を見る。
「思い出す……?何をだ?」
目の前の眼鏡男が疑問に思ってるがとりあえず無視。
こう、最初にこの男を見たときから何かが引っかかっているのだ。
「うぅ〜んうぅ〜ん、何か出てきそうなのよね」
「おお!?」
竜児が、それもう一息だと私に喝をいれる。
「うぅ〜ん、うぅ〜ん」
悩む、考える、深呼吸する。
何かが、出掛かっている。
考え、空を仰ぎ、仰ぎすぎて後ろに頭から落ちそうになって、冷えた八宝菜よろしく「起こせ〜」とか言う前に竜児に支えられる。
っていうか、普通頭からこけたら死ぬわよね。
死ななくても命に関わるって言うか……冷えた八宝菜って実は凄いのかしら……?
「どうだ大河、思い出したか?」
「冷えた八宝菜って……」
「は?冷えた……何だって?」
「なんでもない」
余計な事を考えている場合じゃない。
「うぅ〜ん」
「お、おい悩みすぎて今朝の飯をもどすなよ?お前結構食ってたからな。ワカメの味噌汁もたっぷり飲んでたし」
「……ワカメの味噌汁?」
その瞬間、私はまさに天啓とも言える雷を感じ、一つの事柄を思い出した。
「あ、ああ、ああああーーーーっ!!!!ワカメ、そうよワカメ!!この人ワカメの霊の人!!」
あれは……できれば思い出したくなかったのだけれど。
「おおぅ、そりゃまたなんて言ったらいいのか……」
竜児が顔を引きつらせている。
「何がどうなってるんだ?」
眼鏡男が私に近づいてくる。
瞬間、今朝見たブサ鳥の時並に鳥肌が立った。
頭に入るのは、黒いもじゃもじゃ……ワカメ(パオーンと象が……)
「ああああああ!?アンタあん時はよくも私にあんなもんを!?」
がぎゅぼどがぁっ!?
あら?いい音。
思いっきり前に突き出したストレートパンチは、眼鏡男の顎にクリーンヒットした。
「ぐほっ……げほっ……な、なかなかいいパンチだ逢坂、しかしせめて殴るなら殴ると言って欲しかったぞ」
わりとすぐに眼鏡男は復活する。
「お、お前、何ていう事を……」
竜児がひくひくしながら呆れている。
何よ?こいつが私にとってなんだって言うのよ。
「す、すまん北村、大丈夫か?」
「あ、ああ。しかしこれも因果応報というやつかな。まぁあの旅行の時の事を怒ってのことならこれぐらい仕方ないさ」
「本当にすまん!!こいつ実は今記憶が無いんだ、だからお前に会えば何か思い出すかもと思ったんだが……」
「何?そうなのか逢坂?」
眼鏡男は驚いたように私を見る。
「本当だけど……こんなことは忘れたままでいさせて欲しかったわ」
「いやーすまんすまん。しかし記憶が無いとは大変だな、よし、俺も逢坂の記憶探しを手伝おう!!」
眼鏡男がやる気になった。
私への謝罪の気持ちもあるのだろう、しかし。
「じゃあ、後は頼むよ北村」
ここで竜児がいなくなるのはどういう了見だ?
244【逢坂大河〜Remenber竜児〜】 ◆QHsKY7H.TY :2009/07/12(日) 21:00:57 ID:3P5Z32km
「ちょっと竜児、あんたどっか行くの?」
「あ、ああ。俺ちょっと用事があるから……悪いが二人で記憶を探してみてくれ」
そう言って竜児がそそくさといなくなろうとする。
─────ドキン─────
何か、嫌だ。
前にも似たような事があった気がする。
ううん違う。
前は私から離れた、そんな気がする。
私はそれが嫌で、とんでもなく後悔して、涙をたくさん流して……。
フラッシュバック。
竜児の臭いのするマフラー。
それに顔をうずめながら泣く私は……。
「じゃ「竜児!!」あ……どうした大河?」
気付けば、私は竜児の名前を叫んで、服の裾を掴んでいた。
─────あの時も、こうやって掴んでいれば……あの時って……いつ?
「……何処、行くの?」
「いや、ちょっと用事が……」
嘘つき。目が泳いでる。
一瞬よぎった事はさておき、なんで私をこの人と二人にさせようとするの?
「……高須、きっと逢坂は記憶が無くてまだいろいろ不安なんだと思う。傍にいてあげたほうがいいんじゃないか?お前の用事、俺で事足りるなら俺が代わるが……」
「あ、いやそんなたいしたことじゃねぇから……」
「なら逢坂に付き合ってやったらどうだ?どうやら俺ではダメらしい。だが俺の助けが必要な時はいつでも言ってくれ」
「あ、おぅ」
「ではな、高須」
そう言い残し、眼鏡は走って行った。
そういや自主トレ中なんだっけ。
「あーあ、お前せっかくチャンスを作ってやったのに」
眼鏡が見えなくなってから、MOTTAINAIとばかりに竜児が言い出した。
「何が?」
「アイツは……北村はお前にとって重要な人物なんだよ」
「北村?」
「北村祐作。それがあいつの名前だ」
そういや私名前すら聞いてなかったわね。
「ふぅん、まさか私がその北村君と付き合ってたとか言うわけ?」
「いや、まだそこまじゃないが……」
「まだ?じゃあ可能性はあったってこと?」
「あ、それは……」
「ハッキリしないわね」
「そ、そんなことより!!何で俺を引き止めたんだよ!?」
急に話をずらされた。
「そ、それは……」
「あいつなら信用できる男だったのに」
信用?……それは無理な相談だ。
今の私には、知ってる奴が……信用たる人物は一人しかいない。
「……できないの」
「おぅ?」
「今の私には、アンタ以外信用できる奴なんていないの!!」
「おおぅ!?」
それを言葉にすることで、竜児は機械のように固まった。
245【逢坂大河〜Remenber竜児〜】 ◆QHsKY7H.TY :2009/07/12(日) 21:02:44 ID:3P5Z32km
「だいたいね、付き合う一歩手前だかなんだか知らないけど、今の私にとってはアンタの方がよっぽど魅力的よ?」
次いでだから思っていることを言っておく。
「み、魅力的?俺が?」
驚いてる驚いてる。
でも、それは本当のこと。
「あんまこういうの言いたくないけど、アンタ優しいし、料理上手いし……なんとかしてくれそうって、安心できるの」
「おおぅ……」
竜児が赤くなって背を向ける。
ちょっと言い過ぎたかしら?
でも、私の言葉で照れてる竜児って、なんかいい。
「そーよ、アンタもっと自分に自信持ちなさい、顔は恐いけど」
「おおぅ、やっぱ顔はダメか」
あら?ヘコんじゃった、めんどくさい奴ね。
「でもそれを補って余りある気遣いが女にはぐっとくるのよ、男は顔じゃないって」
「そう、そうか、そうだな」
良し、感謝の気持ちも込めてもっと言ってやろう。
「そーよっ!!元気出して自信持ちなさい!!ほら、あれよ、アンタを知った奴相手だったらどんな奴でもイチコロよ!!誰かに告白してみなさい?一発OK間違いなしっ!!」
「………………」
「あ、あれ?」
おかしいな、急に竜児が暗くなった。
もしかして、地雷踏んじゃった?
「なぁ、大河」
「な、何?」
「どんな奴でもって……お前も入るのか?」
「え……?」
─────ドキン─────
胸が、一際高く鼓動する。
ぼっと頬に熱が生まれる。
私……?
私がコイツに告白を受けたら……?
「わ、私は……」
246【逢坂大河〜Remenber竜児〜】 ◆QHsKY7H.TY :2009/07/12(日) 21:05:13 ID:3P5Z32km
「………………おい、冗談だぞ?」
「え?……あ、そうよね、あー驚いた」
たっぷり間が相手から言われ、急に脱力する。
と同時に、ドキドキの代わりに寂寥感が生まれる。
つまり、私には冗談でしかそう言うことを言わないってことで、それは私に本気になることが無いってこと。
それが無性に、悲しい。
「俺この後買い物があるんだが、お前どうする?」
「ん、先に帰ってる」
「そうか」
こんなことがあったばかりでは、流石に一緒に居づらい。
でも、『わ、私は……』の後に私はなんて言おうとしたのだろう。
自分で自分がわからない。
きっとこれも記憶喪失のせいだ。
「じゃあ、後でな」
「うん」
そう言って竜児と別れる。
竜児の背中が見えなくなって、ポタリ。
足下に水が一滴垂れる。
「あれ……?」
空を見上げるが、雨は降っていない。
降っていないのに、視界が歪む。
「ううっ……ぐすっ……」
いつの間にか、私は涙を流している。
でも、理由なんてわからない。
これもきっと、記憶喪失のせいだ。
きっとそうだ。
絶対そうだ。
……とりあえず、そういうことにしておこう。

***

そうして私が家に歩き始めて数分、泣きやんだ頃に声をかけられた。
「大河!!」
「えっと……」
確か、櫛枝実乃梨さん。
「櫛枝さん……?」
「んもう、その呼び方やめておくれよ〜」
でも、そんなこと言われたって、今の私にとっては殆ど知らない人だし。
「あれ?今日は一日中バイトなんじゃ……?」
「うん、店長に無理言ってニ時間休憩もらったんだ。だから家からアルバム持ってきたぜぃ」
にこやかな笑顔で私に分厚いアルバムの表紙を見せてくれる。
「あ、ありがと……」
「ん?大河今……泣いてた?」
「う、ううん泣いてない!!」
「嘘、私にはわかるよ大河、そう言えば高須君は?」
「竜児は買い物に行った。ついてくるかって聞かれたけど断った」
「……大河、高須君と何かあった?」
「何かって……何が?」
「ううん、何でもない。はいこれ」
アルバムを手渡される。
パラパラとめくってみると、どれも私と……竜児の写真ばかり。
「……これ」
そのうち、違和感を覚えた。
殆どが櫛枝さん本人が写っていない。
でも一つだけ、
「あ、それは……!!」
櫛枝さんが慌てる。
そこには、竜児と手を繋いだ櫛枝さんがマラソンか何かのゴールをしているところだった。
247【逢坂大河〜Remenber竜児〜】 ◆QHsKY7H.TY :2009/07/12(日) 21:06:51 ID:3P5Z32km
「竜児と、仲が良いんだね」
ふと出たのは、そんな言葉。
「いや、違うの大河。これは……」
「それに、この竜児、とっても必死な顔してる」
ああそうか、と納得した。
私は、及びじゃないんだ。
「これ、借りてもいいの?」
「あ、うん……」
何処か笑顔が曇った櫛枝さんはそれでも私にアルバムを貸してくれた。
「ありがとう、みのりん」
だから、彼女が呼んで欲しい名前で彼女を呼んでその場を後にした。

***

独りの部屋で独りになる。
そう言えば私は一人暮らしって聞いた気がする。
あれ?でもじゃああのお母さん……じゃなかった、やっちゃんは?
竜児の家にいた気がするけど、何でだろう?
考えてもわからない。
私は何も覚えていない。
ベッドの上でアルバムをペラペラめくると、そこには今の私じゃない私と竜児がたくさん写っていた。
めくるたびに、悲しみが増える。
新しい私と竜児を見るたびに、きゅっと胸が締めつけられる。
そして、何度も竜児と櫛枝さんの繋がった手を見てしまう。
私は、どうしたというのだろうか。
これも、記憶喪失のせいなのだろうか。
この苦しみも、悲しみも、モヤモヤも……ドキドキも。
「はぁ……」
溜息が出る。
私は何を思って、何を考えているのだろう?
記憶が無いのに、何を悩んでいるのだろう?
「わかるわけ、ないじゃん」
自分に自分で突っ込む。
危ない人みたいだけど、知ったこっちゃ無い。
枕を抱きかかえ右へ左へゴロゴロしながら悩む。
何を悩んでいるのか悩む。
「ああーもうっ!!わかんないっ!!」
わからないのにイライラして、一際大きく横へ移動した時、私はドスンという音とともにベッドから転がり落ちた。
「痛たた……あれ?」
怪我の功名とはよく言ったものだ。
私はベッドの下に隠すように置かれているダンボール箱を見つけた。
「何かしら、これ」
中を見てみると、靴下、パスポート、ガラクタ……。
統一性の欠片もない。
私って一体どんな奴だったのよ……ん?
その中で一つ、封筒にも入っていない便箋が一枚折りたたんであるのがあった。
「なにかしら、これ」
手にとって、開く。
そこには、ただ一行文字が書かれていた。

『貴方が、好きです』
248【逢坂大河〜Remenber竜児〜】 ◆QHsKY7H.TY :2009/07/12(日) 21:08:13 ID:3P5Z32km
この手紙を見て、急に頭が痛くなる。
何か、何か忘れている。
いや、気付いていて、気付かぬふりをしている。
「私、何か大事なことを忘れて……この気持ちは……これ?手紙?」
手に持った手紙に目をやって、忘れていたのはこれじゃないかと思う。
途端、目覚めて最初に見たフラッシュバックを思い出す。
「私、そう言えば竜児の家で、『封筒』渡してた……まさか、これその中身?」
???????!?!?!!!!!!!!!!!!!!!!?!??!?!!!!!!!
思わず言葉どころか文にすらなっていないことに気付く。
なんていうことか。
前の私は竜児にラブレターを出し損ねていたのか。
気持ちを、伝え損ねていたのか。
つまり前の私『も』竜児が好きなのか……。
そのまま月日が経って、櫛枝さんと竜児が良い感じになっちゃったのか。
「私、なにやってんだろ……」
口に出しても、本気でそうは思わない。
きっと、私ってばそういう奴だったのだと思う。
それにまだそうと決まったわけでは……ん?さっき私『も』って考えなかった?……ズキッ!!
急に奔る脳の根幹への激痛。
頭が割れるように痛い。
まるで『思い出してはいけない何か』触れ、記憶回帰を避けているように感じる。
痛いいたいイタイ痛イいタいいたイ。
頭痛で頭が割れそうだ。
痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い。
痛い痛い痛い痛イ痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛イ痛い痛い痛い痛イ痛い痛イ痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛イ痛イ痛イ痛イ痛イ痛イ痛イ痛イ痛イ痛イ痛イ!!!!
おかしくないそうなぐらい痛い。
しかし、いつの間にか自分の胸を強く掴んでいる事実に気付いて、始めて脳が感じた。
痛いのは、頭よりも胸だ。
いつかサイズが大きくなる予定のこのちっぽけな胸だ。
気付いた途端、急に頭の痛みが引いて……息が出来ぬほど胸が苦しくなった。
苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい。
『ピロピロピロピロリン♪』
胸の痛みにもがきながら、耳は携帯の着信音を捕らえる。
必死に携帯を手繰り寄せてディスプレイを見つめ……一気に痛みも苦しみも引いた。
ディスプレイには……、

『みのりん』
249 ◆QHsKY7H.TY :2009/07/12(日) 21:11:14 ID:3P5Z32km
今夜はここまで。
続きはまたたっぷり待ってね(汗)
250名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/12(日) 21:22:33 ID:flGq7NJe
>>239
ものすごい勢いで待ってます
是非とも納得いく物を最後まで投稿してくださいね


諦め切れなかったので、とてもうれしいお知らせです
待ってますね!
251名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/12(日) 23:46:17 ID:7YzfMQI0
マンコに指入れてあげておなか側にトントンして
気持ちよくさせてあげて慰めてあげたい
252名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/12(日) 23:52:58 ID:/t/pUHjL
CAUTION!警告!CAUTION!警告!CAUTION!警告!CAUTION!警告!CAUTION!警告!

CAUTION!警告!CAUTION!警告!CAUTION!警告!CAUTION!警告!CAUTION!警告!

ここから先にはオリジナル設定・オリジナルキャラがそれなりに詰め込まれています!
もしこんなんやだあという場合にはIDをNG登録してもらえれば結構です
携帯の場合は…まあ頑張って読み飛ばしてください

IEなどのウェブブラウザの方はこの機会に専用ブラウザを導入してください
こちらにいろいろ紹介されてます
http://www.monazilla.org/

具体的には大河がCカップだったりします
ていうか一応Cカップタイガーシリーズのひとつです

それでも良い!と言う方はどうぞ
253名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/12(日) 23:53:08 ID:/t/pUHjL
「おーい高須ー」

「ん?なんだ?」

「ちょっと、頼みたいことがあるんだけど…」
254名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/12(日) 23:53:51 ID:/t/pUHjL
「い・や・!」

「そこをなんとか、頼む」

「やだ!なんで私が絵のモデルなんかしなくちゃいけないわけ!?」

「いや…その…」

「何よ!はっきり言いなさい!」

「ほら、お前綺麗じゃん。だからどうしてもってお願いされたんだよ」

「ふぇ…私、きれい…ってだめーっ!!」

「…なんでそんなに嫌がるんだよ」

「だって!だって!竜児にだって見せたことないのに!!」

「何をだよ…?」

「わわわ私の裸体よ!!」

「………………………………ゑ?」

「ヌヌヌヌードモデルなんでしょ!?そうに決まってる!このエロス!」

「誰がギリシア神話の愛の神だよ…ってお前思いっきり勘違いしてるぞ」

「ゑ?」

「いくらなんでもヌードモデルなんかしたらこの御時世、犯罪だぞ
 それに…もしヌードやるなんて言ったら絶対許可しねえ
 …大河の裸、みんなには見せたくねえし…」

「竜児…」

「………………」

「やっぱあんた、エロの権化ね!」

「なにぃ!?なんでそうなんだよ!」

「そうじゃない。私がCカップになったからって裸を独り占めしたいなんて…どうしようもないわね!」

「お前なあ…」

「ふん!で、でも別にいいわよ!りゅ、竜児にだったら…私の裸、み見せてあげても…いいかな…」

「ちょ…おまっ…」
255名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/12(日) 23:54:38 ID:/t/pUHjL
「あれ〜?二人とも何楽しく赤面させてるのー?」

「おぅ川嶋。実は美術部の田中に頼まれてな。大河にぜひ絵のモデルになって欲しいって。
 そんで大河に頼んでたんだが、何か勘違いされてな」

「ふ〜ん、私を差し置いて絵のモデル?亜美ちゃんちょっとジェラシー」

「はん!誰もやるなんて言ってないわよ!」

「あ、そう。じゃあ代わりに亜美ちゃん立候補しちゃおうかな〜。
 そこのちんちくりんなお子様よりもこの私の方が芸術と呼ぶにふさわしいし
 なんならヌードだって全然構わないし。
 そうだ!高須くんも立ち会ってもいいわよ〜」

「くぉら待てこの発情期!」

「なぁに?何か問題でもあるの?」

「大ありよ!人の彼氏つかまえて何寝言ほざいとんじゃあーっ!
 竜児が見ていいのは私の裸だけなんだから!」

「おい大河!お前何言ってんだよ!」

「ううううるさいうるさいうるさい!だいたいあんたがエロス満載な…」

ぎゅっ
「よしよし、そのへんにしとこうな、大河」

ナデナデ
「…うう〜、竜児の馬鹿・・・」

「はいはい、馬鹿で結構ですよ」

「あんたら一応私が目の前にいるってこと忘れてないでよね。まったく…」

「すまん」

「まあいつものことだけどね。私はこのへんで退散〜」

「おぅ」

「ぅ〜〜〜!ぅ〜〜〜〜!」

「ああ悪い悪い。苦しかったか?」

「もう竜児ったら!知らない!」

「はいはい」

「ジュースおごってよ。のど渇いた」

「オレンジでいいか?」

「んー、それでいい」
256名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/12(日) 23:55:23 ID:/t/pUHjL
「そうだ。そういえばこんなことも言ってたぞ」

「(チュー、ゴクン)ん、なによ?」

「モデルしてくれたらお礼として紅茶と手作りお菓子でもてなしてくれるそうだぞ」

「行くわよ竜児」

「へ?」

「美術室に行くっつってんのよ。グズグズしない!」

「おい待てって…ハァ、最初っからこうすりゃ良かったな」
257名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/12(日) 23:56:05 ID:/t/pUHjL
ガラッ
「失礼するわ。お菓子はどこ?」

「ゑ!?」

「て、手乗りタイガー!?」

「よ、よう、田中」

「高須!オッケー貰えたのか!!」

「ああ。ティータイムの話をしたらな」

「そっか…あの、逢坂さん」

「今はもうその名字じゃないけど」

「あ、申し訳ない。あの、モデルやっていただけるそうで…」

「そうよ。さあ早くしなさい。そしてちゃっちゃとお菓子で私をもてなしなさい!」

「りょ、了解。じゃあそこのソファに座ってくれるかな?」

ポフッ
「ふんっ!座り心地は悪くないわね!」

「さて…ところでどんくらいで終わるんだ?」

「デッサンだけで彩色はパソコンでやるから30分から40分くらいかな」

「そっか。すまん大河、俺これから課外出なくちゃならないんで一緒にいれないんだ」

「ええ〜っ…まあいいわ。あんたの分までお菓子はいただいておくから
 安心して課外でもなんでも受けてきなさい」

「おいおい。それじゃ田中、あとはよろしく頼んだ」

「りょーかい。じゃあまた後で」
258名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/12(日) 23:56:53 ID:/t/pUHjL
「終わった終わった。さてと…失礼しまーす」

「あっ、りゅーじー」

「お疲れ」

「おう、そちらこそお疲れさん」

「お菓子どうだ…と言いたいところだがもう残ってなくてな、すまん」

「すみません高須先輩。もっと作ってくれば良かったですね」

「いやこちらこそ。うちの嫁が遠慮もせずに失礼した」

「いいじゃない!美味しかったんだもん!」

「そう言っていただけると嬉しいです」

「絶叫ちゃんの作るお菓子は本当、美味しいもんね」

「やだ、ヤスくん、そんなお世辞はいいから〜」

「いやでもお世辞抜きで美味しいぞ」

「田中先輩までもう〜」

「さりげなくキャラ紹介してるような気がするのはさておき、絶叫ちゃん?」

「ああ、彼女のあだ名。由来は…」

「キャ─────────ッ!先輩やめてください!」

「ちょっとあんた、うるさいわよ」

「すみませ〜ん…」

「いいよ、聞かれたくないことなら無理には聞かないから」

「そうだな。正直すまんかった。ところで紅茶ならあるんだが」

「おぅ、ありがたくいただこう」
259名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/12(日) 23:57:35 ID:/t/pUHjL
「じゃあ一週間後くらいには完成するから」

「おぅ、楽しみにしてるぞ」

「あんたたち、変な風にしたら許さないからね!」

「ひぃ、ちゃ、ちゃんとします!」

「こら大河。後輩をあまりいじめるんじゃない」

「ふん。まあ、スコーン美味しかったから許してあげるわ」

「ま、また作ってきますから。高須先輩もそのときはご一緒に」

「ああ、楽しみにしてるよ。それじゃ」

「じゃあまた」
260名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/12(日) 23:58:20 ID:/t/pUHjL
「ふわぁ〜あ」

「だいぶ疲れたようだな」

「まったくよ。じっとしてなきゃいけないからつらかったわ」

「ご苦労さん。菓子も旨かったみたいだな」

「そうね。あれでまずかったら大暴れしてたところよ」

「頼むから問題は起こさないでくれよ」

「冗談よ」

「お前が言うと冗談に聞こえないんだよ」

「でもね、竜児」

「ん?」

「竜児が作ってくれたクッキーの方がもっと美味しかったかな…」

「大河…………よし!今度はクッキー作って持っていってやろう!」

「たくさん作ってよね。でないと私の分が足りなくなっちゃう」

「むしろ美術部のみなさんの分が足りなくなるんじゃないか?」

「やっぱり?」

「どう考えてもそうとしか」

「…やだ、もう////」

キャッキャッウフフ
261名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/12(日) 23:59:25 ID:/t/pUHjL
ガラッ
「というわけで絵が完成したので見に来たのだ」

「誰に説明してんのよアンタ」

「あ、高須先輩」

「完成してるぞ。さっそく見てくれ」

「どれどれ…おぅ!!」

「へぇ〜〜〜結構いいじゃない」

「田中のは特徴ちゃんととらえてるな。ちょっとクセっ毛なところとか大きな目とか」

「こっちはずいぶんファンシーな絵柄ね」

「あ、それ僕のです」

「ヤスが描くと瞳がやたら大きくなるんだ。ついでに手足も長くなる」

「そのへんは仕様なんで勘弁してください大河先輩」

「結構かわいいから許すわ」

「こっちは…おぅ、すごい美少女だな」

「それは私が描きました」

「アホ毛が無くて目と眉毛の間が狭いな。それに髪の毛のふわふわ感がよく表現されている」

「どれも結構描けてるじゃない」

「そうだな。作風は違うけどどれも特徴をちゃんとつかんでるし」

「それでな、高須。どれがいい?」

「ん?どれも良かったぞ?」

「気に入ったのがあれば携帯の待ち受けにしてあげたいんだが…」

「おう!?いいのか?」

「彼女さえ良ければ、の話だけど」

「いいわよ、竜児。もらっときなさい」

「うーむ。三つともじゃダメか?」

「あんた欲張りねえ」

「だってよぅ、どれも本人そっくりで可愛いんだからしょうがねえじゃねえか」

「ばっ/////竜児のえっち!!!!」
バシッ

「いてて、やめろよオイ」
262名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/12(日) 23:59:40 ID:/t/pUHjL
「おいおい痴話喧嘩は帰宅後にしてくれ。じゃあ三つとも待ち受けにしよう」

「おお助かる。ありがとう」

「直接高須の携帯に送信しとくよ。さてお茶にするか」

ギラッ
「お茶!お菓子!」

「きょ、今日はたくさん焼いてきましたから遠慮なく」

「言われなくてもそうするわ!」

「実は俺もクッキー焼いてきたんだが」

「ありがとうございます!」

「おっ悪いな。ありがたくいただくとしよう」

「口に合うかどうか…」

「バカね。アンタのクッキーは世界一美味しいのよ!」

「やれやれ、ご馳走様」

キャッキャッウフフムシャパクゴクリ
263名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/12(日) 23:59:44 ID:/t/pUHjL
「あーお腹いっぱい」

「紅茶もなかなかの味だったな。しかしお前晩御飯大丈夫か?」

「平気よ。恋する乙女は別腹なんだから」

「意味がよくわからんがお前なら大丈夫そうだ」

「何よ」

「いいやなんでも」

「ぶー」

「よしよし」
ナデナデ

「ねえ竜児」

「なんだ?」

「私も竜児の待受欲しいな…」

「そうだな。俺だけ大河の待受じゃ不公平だもんな。今度田中に頼んでみるよ」

「うん!!」

終わり。
264名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/13(月) 00:06:12 ID:NVsiSFIo
>>239
長文になりすぎてまとまりがなくなる感想よりも顔文字の方が端的に感情を表せるものでな
ちなみにAA登録機能使って呼び出せる
ttp://sakuratan.ddo.jp/uploader/source/date114752.jpg
携帯の方には定型文で登録してるぜ
265名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/13(月) 00:08:47 ID:amEG9gvv
>>249
ここで、それを、そう使って、そう勘違いするのかー!って感じがオモロカタw
あと、大河がしがらみが無い素直な感じで切なかった。続き期待してます。

>>263
キャラデザの田中さんも、とうとうこのスレに登場ですねw
266名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/13(月) 00:10:14 ID:NVsiSFIo
>>243-248
(;´д⊂ヽヒックヒック
267名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/13(月) 00:10:55 ID:DE/m/tIZ
>>263

GJ

このくらいのオリジナルストーリーなら、神経質になる必要はないよ。せっかく、
登場人物でニヤニヤできるのに、読者を最初から構えさせてはもったいない。

竜児の似顔絵は永井豪に描かせたいなぁ。
268名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/13(月) 00:17:37 ID:OV9nBnIR
>>竜児の似顔絵は永井豪に描かせたいなぁ。

石川賢だろ。どこの虚無戦記から紛れこんだとでw
あと当然グルグル目でw
269 ◆fDszcniTtk :2009/07/13(月) 01:07:24 ID:DE/m/tIZ
>>268
石川もいいなぁ。目の狂い方で言うなら、俺は藤田和日郎にも竜児を描いて欲しいな。

スレがいい感じに暖まってきたので俺も短編投下

「あんたなんかに」
270あんたなんかに ◆fDszcniTtk :2009/07/13(月) 01:08:11 ID:DE/m/tIZ
「あんた、ちょっと待ちなさい」

門のところで、後ろから冷え冷えとした声を掛けられた。振り返ると、玄関にお母さんが立っている。声の調子とは別に、目つきはギンという音を発しそうに鋭く、あくまで俺のことを嫌い抜いた目で見ている。それはいい。どうも嫌われているらしいというのはわかっていたから。

それはいいのだが、どうやら俺は、ちょっとまずい状況に陥っているらしかった。というのは、お母さんが肩に何か担いでいるのだ。逆光でよく分からないのだが、形からするに、俺が知っている中で一番近いのは木刀だ。

そんなわけあるか、と自分につっこむ。娘さんをくださいと頭を下げに来た男を木刀で襲う親がどこにいる。

「何でしょう」

おかあさん、とは継げなかった。スタスタと歩いてきたお母さんと、向き合う。横から竜河が

「ちょっとお母さんやめてよ」

と制する。

いやまて、やめてよって何だよ。それってまるで、これから何か嫌なことが起きそうじゃないか。心配しすぎなんだよ。娘の恋人が挨拶に来ただけだ。話し合いで解決できないことなんか、あるわけ

「馬鹿娘は黙ってな!」

その場に雷でも落ちたような一喝と同時に、びっと嫌な音がして顔の前を空気が走った。あっと思ったときには、鼻先に木刀の切っ先が突きつけられていた。とすると、アレは木刀が空気を切り裂いた音らしい。背中はいつの間にか嫌な汗でびっしょりになっている。

そんなはずはない、そんなはずはない。俺は必死に自分に言い聞かせていた。だってそうだろう。ちゃんと挨拶して、お父さんにもいい返事をもらったのだ。いくらお母さんから嫌われていても、ここで暴力沙汰という展開は無いはずだ。

自分にそう信じさせるために、俺は木刀の切っ先越しにお母さんを見つめながら、今日の出来事を反芻していた。記憶に間違いがあった場合、さっきの食事が人生最後の食事になるかもしれない。

◇ ◇ ◇ ◇ 

下手は打っていないはずだ。

お母さんの手料理はおいしかったし、お父さんとも話は(それなりに)弾んだし、やっちゃんさん(たぶん竜河の父方のおばさん。おばあちゃんは留守だった)も、終始ニコニコしていた。

もちろん、大盛り上がりとは行かなかった。何しろ恋人の家にお邪魔するのも初めてなら、結婚を願い出るのも初めてだ。お父さんは予備知識を遙かに超えて怖い顔だったし、お母さんは終始横で不機嫌そうにしているし、内心ガクブルものだった。

それでも、ちゃんと挨拶して、ちゃんと「娘さんをください」とお願いできた。

そして、お父さんは「娘をよろしく頼むよ」と言ってくれたのだ。目が潤んでいたのは、たぶん見間違いではない。

だから、やっとこれで結婚できると思ったのだ…

◇ ◇ ◇ ◇ 

「私はね、あんたのこと、認めたわけじゃないのよ」

お母さんは俺をねめつけながら、教師が手に負えない落ちこぼれの生徒に説教をするような嫌そうな口ぶりで話を続ける。

「うちの竜河にボーイフレンドがいることぐらい、前から知ってたわよ。どうやらそれがいけ好かない奴の血筋だってことも知ってた。それでも別に口をはさまなかった。あたりまえよ。いちいち娘の彼氏選びまで口を出すほど、こちとら暇じゃないのよ」

ごくり、と唾を飲む音がお母さんに聞こえたのではないか。それが妙に恐ろしかった。

うちのオヤジや母方の伯母さんと、竜河のお母さんの間で何かあったらしいというのは、事前に竜河から聞いている。だが、オヤジもオフクロも何も教えてくれなかった。なんとなくだが、二人とも、かなりびびっている様子だった。

アメリカに居る伯母さんに聞いてておきたかったのだが、タイミングの悪いことに、今は連絡が取れない。

「でもね、結婚となると話は別よ。あんたのオヤジ、狩野屋の養子は、あのクソ縁起の悪い黒猫男だって言うじゃない。ということは、なんだ、あんたはうちの娘をスーパーマーケットに閉じ込めて不運な人生送らせるつもりなんだ」

「お母さん、僕は」
「黙れ」
271あんたなんかに ◆fDszcniTtk :2009/07/13(月) 01:10:01 ID:DE/m/tIZ
ぴしゃり、と低い声で命令された。蛇に睨まれた蛙という言葉が頭をよぎる。ふと、明日その辺に自分の死体が転がっていても違和感がないな、と他人事のように思った。

「わたしはね、あんたなんかにうちの娘をやりたくない。でもね」

と、苦痛に耐えるように顔を歪めて、お母さんが言葉を切る。

「でもね、うちの大黒柱は竜児なのよ。些細な話ならともかく、大事なことは竜児がヨシといえばヨシ。ダメと言えばダメ。それがうちの掟なのよ」

だから、と言葉を継いで

「竜児がいいって言ったんだ。嫁にくれてやる」

低い声で、少し悲しそうな調子だった。

「必ず、幸せに」
「あんたの話なんか聞いてないんだよアンポンタン!」

急に大きな声を出されて身がすくむ。

「いいかい、その軽そうなおつむによく叩き込んでおきな。くれてやるったって、猫の子をくれてやるんじゃないんだ。その子は世間知らずの馬鹿な娘だけど、私と竜児の間にできた、たった一人の子供なんだよ。できたって分かった時には二人して泣いて喜んだんだよ。
何日も何日も悩んで名前を付けたんだよ。 贅沢こそさせてやれなかったけど、二人で大事に育ててきた一人娘なんだ。粗末にするんじゃないよ」
「はいっ」

そう、返事をするのがやっとだった。

「泣かすようなことがあったら、殺すからね。言葉の綾だなんて思ったらあの世で後悔するよ」

そう言うと、ピクリとも動かなかった切っ先をようやく俺の鼻先から離してくれた。右肩に担いで胸を反り返らせ、顎を上向けてながら傲岸な目つきで俺を下から見下すと、ふんっ、と鼻から息を吐いて玄関へと戻って行く。

ピシャリと扉が閉められて、ようやく息をつめていたことを思い出す。

と、同時に玄関のなかから、うえーんと泣き声が上がった。

「りゅーじぃーっ!」
「おお、おお、よしよし。わかってるから。わかってるから」
「えーーーーーん!」

絵に描いたような茶番劇に声を失う。

「ごめん、うちの家族、変でしょ」

はっと気づいた。そうだ、竜河も一緒だった。

「いや、その。変わっているけど、変じゃないよ」

あわてて、とりつくろうが、竜河はぷっと吹き出す。

「同じだよ」

◇ ◇ ◇  ◇ 

そういうわけで、竜河は今、俺と、俺の両親に囲まれて、忙しいお嫁さん生活を送っている。両親が年をとれば、俺と二人で店を切り盛りすることになるだろう。大丈夫。心配ないさ。
あの、とてつもなく運の悪いオヤジと、とてつもなく要領の悪いオフクロのせいで何度も経営危機に陥った店を、子どもの頃から共に立て直して来たのだ。女の子にモテそうなことには縁はなかったが、俺の経営術は現場仕込みだ。竜河が横にいてくれれば、怖いものなんかない。

きっとうまくいくさ。

そういえば、高須の家ではキジトラの仔猫を一匹飼い始めたらしい。まだ、名前でもめているとか。

(おしまい)
272名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/13(月) 01:13:32 ID:NVsiSFIo
>>270-271
(*^-^*)ホッコリ
273名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/13(月) 03:32:55 ID:yZ//tE7P
こんばんわ。
皆さんお休みの中コッソリと3週間振りの幼児化竜児を投下します。
遅れてゴメンね。
今流行りの携帯ウイルス系になり1日軽く30回は電源落ちるんだ(´・ω・`)
もちろんSS書いてる途中にも落ちる訳で…私ブチギレて何度も放棄してたら時間かかったw

私語ゎここらで次からどうぞ( ・∀・)つ
274名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/13(月) 03:34:32 ID:yZ//tE7P


****

再び俺たちはここ,商店街に戻ってきた。
およそ2時間はたってたので爺さんがいるか心配されたが…
「おや?おチビちゃん達また来たのかい?」
KYG(空気読めないジジイ)未だ在籍中であった。

「チビって…達って…竜児は分かるけどなんで私まで…」
どう見たって私の方が高いでしょ!!
などと根本的にズレた突っ込みを入れてる大河の横では
「まぁ落ち着けって!てか爺さん!この姿見たら来た意味分かるだろ!?」
隣の猛獣を軽く宥めつつKYGに言葉を放つミニマム竜児。

商店街のド真ん中で朝からギャーギャー騒いでいたせいなのか?
顔を覚えられてるのであろう。
俺たちを見た瞬間,周りのお店の人達からの冷ややかな目が突き刺さる。
そんな過酷な中で必死に先ほどの出来事を説明する竜児は
「…ふむ。なるほど」
無事爺さんに報告する事が出来た。

「つまり高須君の好きな子にキスしてもらったけど元に戻れてない,と」
説明した事を丸々復唱すんなよと突っ込みをいれたいが「そうだよ」と頷いておく。

「ふむ。…高須君」
「なんですか?」
「その子は本当に君の好きな子かい?」
…えっ?
「ちょっと!!何言ってんのよクソジジイ!!」
いや…さっきもだけど何故大河が噛みつくのだ?
竜児は驚く暇もなく大河を宥め落ち着かせ,そして爺さんは言葉を続ける。

「ワシは本当に好きな子からキスしてもらうと戻ると言った…それは嘘じゃない,真だ。」
「…はい」
「だが君は戻ってない。つまりそれは本当に好きな子じゃない」
「………」
「ちょっと!!そんな訳ないじゃない!!竜児の好きな人はみのりんなのよ!!」
大河は訳分かんないと喚き散らかす。

そんな大河を爺さんはチラリと横目に見てすぐ俺に視線を戻し
「…高須君。君はもう分かってるんじゃないのかね?」
「!!」

そう。俺は薄々気付いてた。
275名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/13(月) 03:35:35 ID:yZ//tE7P


爺さんが言いたいこと。
竜児が感づいていること。
元の体に戻す方法。
それは全て繋がっていて一つの場所にある答えを示している。

「…高須君」
「あぁ…。分かってるよ。ありがとう爺さん」
「ちょっと!!竜児どう言うこと!?」
俺と爺さん2人だけが事の行き先を分かってる中,1人だけ理解出来てない大河が俺の視線に目を合わせ両肩に手をかけ揺さぶり聞いてくる。
そんな大河に俺は優しく微笑みかけ
「…大河。帰ろう」
とだけ言葉を放つ。
大河は困惑した顔のまま動かない。

「爺さん。あのジュース失敗作だ」
もう配るなよ。と試供品の感想を述べ
「ワハハ。そうじゃな。肝にめいじておくよ」
そう言って俺たちは爺さんと別れを告げた。


*****


「なぁ大河」
「なによ?」
「晩飯なにがいい?」
帰り道。いつもと変わらない会話をしながら2人は歩いていた。

「あんた、そのちっこい体で何か作る気なの?」
遺憾だわ。と睨み付けてくる大河。
「おう。大丈夫だよ。お前が協力してくれるならいつも通りになるから…さ」
竜児は俯いて顔を軽く赤らめて呟く。
「??はぁ??あんた私に手伝えっての!?散々私のドジ振りを見ながらも手伝えって?」
嫌そうな顔をして話すのも束の間
「まぁあんたがどーしてもと頼むなら、やや、やぶさかではない」
フハハハハっと調子に乗り出した。

そんな大河に何か突っ込むでもなく
「今の言葉。マジで信じるからな。てか本当に頼むわ」
竜児は真剣な表情で改めてお願いした。
276名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/13(月) 03:37:31 ID:yZ//tE7P


***

時間は過ぎ時刻は夕方5時半。
爺さんと別れたのが昼1時くらい。
昼飯を食ってなかった俺たちは大河の要望で晩飯は「肉」と一点張りだった為安上がりにカップめんを食べた。
竜児にとってはかなり久しぶりに食べたものだった。

先ほど俺たちは狩野屋へ買い物に行き高須家へ帰ってきたばっかり。
因みに今日の晩飯は黒豚の豚カツにするつもりだ。
「にーくー♪肉,肉♪きょーのおかずは豚カツだぁー♪」
ヘンテコな歌を歌うのは久しぶりの豚カツで上機嫌真っ盛り中な大河である。
「おう!しかも黒豚だからな!味わって食えよ」
「当たり前じゃない!それよりもあんたがまともに作れるかが問題でしょ」
まぁ私が手伝ってあげるんだから美味しくできるのは当然ね。
…などと言ってくれるよこいつは。
買い物も無事終了し高須家。
さぁ,ここからが勝負だ!

***

取り敢えずコンロ,油などこの体のままでするには危険な事以外の下拵えを全て済ました。
大河も…まぁ皿にキャベツを盛り付けるという手伝いをしてくれた。
卓袱台の下に沢山のキャベツ達が散らかっているのは…まぁ目を瞑ってやろう。
MOTTAINAI事してすみません。と俺が代わりにキャベツに謝ってやったかんな!

「さぁ次は何するの!?」
キャベツを盛り付けた事で自信をつけたのか,大河は張り切って次の指示を待っている。
「おう!あとはこの黒豚ちゃんを油で揚げるだけだ」
「オッケー!あんたじゃ背丈が足りないから届かないでしょ?」
「えっ…?あぁ…まぁ」
「なら私がこの油の中に黒豚をぶち込めばいいのね?簡単よ♪」

…ん?今なんと?
油の中にぶち込む?何を?…黒豚を。
誰が?…大河が。
「…ちょっと待て」
「なによ?」
「それはダメだ!危険だ!お前の事だ。絶対油が飛び散り大変な事になり怪我するのが目に見えている!」
「なによそれ!!じゃあどうすんのよ!?」
277名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/13(月) 03:38:57 ID:yZ//tE7P

どうすんのよ!?と言われましても…。
どうすんだ,俺?言っちゃうのか?ついにあの頼みをお願いするのか?
そんな事…そんな事…
「恥ずかしくて言えるかぁぁぁ〜〜!!!」
あぁぁぁ……あれ?
声出ちゃったじゃねぇか…。

あぁ…そして大河よ。そんな今にも「はぁ!?」って言いそうな顔は止め…
「はぁ!?」
…て,って思う前にやっぱり言っちゃったよ。
「あんたなに急に訳分かんない事叫んでんの?」
ばかなの?死ぬの?
と続けざまの罵倒ありがとうございます。

「うっうるせぇよい!気にすんな!」
俺はこの時相当テンパってたんだと思う。
「あ〜えっとぉ,さ…さっきの続きだけど〜」
だからこんな言葉をつい口走ってしまったんだ。
「大河が俺を抱っこしてくれたらいいと思うんだ!」
…ほらね。俺,テンパってるでしょ?
「なっ!?なななななに言ってんの,ああ…あんた!?」
ついでに大河もテンパったし。

「ち…ちがっ!!今のは言い方が悪かった!抱っこじゃなく抱き上げて高さ調整をと言う頼みで…」
必死に言い訳をする竜児。
しかし大河は竜児の声など耳に届いていないのか1人でごにょごにょと呟き「よし!」と何かを決心したみたいで顔を上げた。

「わわわわかたわ!なんかよくは知らないけど,りゅっ…竜児をだだ抱っこすればいいのね!?」
「おうっ!?」
この竜児の口癖でもある「おうっ」を大河は「その通りだ!」と解釈したようだ。
因みに竜児にとっては大河のまさかの発言に対してビックリして出た声でしかない…。
278名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/13(月) 03:41:21 ID:yZ//tE7P


「ちょっ…ちょっと待て大河」
まさかの展開で困惑してる竜児。
「なっなによ?あんたが言い出した事なんだからね!」
決心した大河はそれに突き進み引かない。
なんだかまんざらでもなさそうに見えるのは俺だけか?
それでも2人とも肌の色は耳まで真っ赤だ。

「いや…大河。お前は何か誤解をして…」
「だー!!うるさい!!逃げんな!!おおおとなしく抱っこされろ!!」
ふんぬっ!っと言う掛け声とヒョイッと言う効果音と共に俺は宙に浮いた…のは一瞬でボフッと俺の体は何かに預けられた。
と次の瞬間

――ギュッ――

「……っ!!?」
抱きしめられた。

それは優しくて,でもどこか力強くて…暖かい。

「………」
「………」
だから俺も

―ギュッ―

と大河の首に腕を回して抱きしめ返した。
「…!!……なっなんなのよ。この状況は…?」
一瞬ビクッと体を震わせた大河だったが,何のこれしきとばかりに軽くドモリながら聞いてくる。

なんなんだろな?本当に…。
俺にも分かんねぇよ。分かんねぇけど
「さぁな。俺,今一応5歳児のガキだから甘えたくなったのかもな」
気持ちいいから。もう少しこのままでいたいから適当な事を言ってしまう。
「……なによそれ」
顔は見えないが口調からして怒ってる感じではないだろう。
ttp://imepita.jp/20090713/121920

頬と頬が触れ合う程に近くお互いがお互いの熱を感じる程抱きしめ合う。
もし俺が小さくならなければこんな抱きしめ合うイベントはなかったかもしれない。
こんな心地よい感覚を知らないままで過ごしてたかもしれない。

そう思ったらこのまま…5歳児のままでもいいかもしれないと思った。
279名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/13(月) 03:43:03 ID:yZ//tE7P
本当に?

『…れは……ゅう…』

このままで

『…ま…は……ら…』

いいのか?

『俺は竜,お前は虎』

!!

『虎と並び立つものは,昔から竜だと決まってる』

あぁ…

『だから俺は,竜になる』

そうだよ

『お前の傍らに居続ける』

このままじゃ大河の隣には居られないじゃねぇか!!

「…うじ!ちょっと竜児ってば聞いてるの!?」
「…えっ!?何っ!?」
暫く1人で想い老けてた竜児は今までずっと話しかけてたであろう大河の声なんて聞こえてなかった。

「ったく!!なんなのよ?さっきからボーっとしちゃって」
「わりぃ。ちょっと考え事を…」
「はん!まぁいいわ。で!これからどうすんのよ!?」
これから…。
そう。このままではいられないから。
これから戻らなくちゃいけないから。
戻る為には
「大河」
お前が必要なんだよ。

「なに?」
「もう一つお前に頼みたい事がある。てかこれが一番重要なんだ!聞いてくれるか?」
「一番重要ならさっさと言いなさいよね!!まぁいいわ。私になんでも言いなさい。優しいご主人様が飼い犬駄犬の為に手伝ってやろうじゃないの」
フフン♪と鼻高々と威張ってた大河は
「キス…してくれないか?」
「……へ?」
ネジの切れた人形みたいにゆっくりと停止しました。
280名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/13(月) 03:48:40 ID:yZ//tE7P
以上です。
多分次で終わると思いますん(´_ゝ`)

あとちゃんと皆さんのコメント見てますん。
ホントに嬉しいです。
他の書き手さんの作品も見てますん。
素晴らしいし勉強になります。

次の投下も遅れるかもだけどウイルスに文句をどうぞ(`・ω・´)w
気長に待っててくれるとありがたやm(_ _)m
281名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/13(月) 04:55:51 ID:VkvEbEge
>>280
GJ!
282名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/13(月) 07:18:44 ID:6wEAXVIE
>>263
竜児なら!竜児なら断ってくれると思ったのに!
まぁ断ったら3行で終わるんですけどね^p^ GJ!

>>271
竜児は大河と逃避行したから断りたくなかったんだろうなぁ。
大河の娘を大事に思う姿勢が素晴らしい。

>>281
豚の次は携帯ウイルスか。このスレの住民は年中虎ウイルスですがw
挿絵萌えたw続き楽しみにしてます。



俺エロパロに竜虎物が減ってて悲しかったけど
よくよく考えたら専用スレあったって事に気づいた。数ヶ月入り浸ってようやく納得した。
俺低脳乙
283名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/13(月) 09:27:05 ID:dtQXXjul
>>273
対策

・修理に出す(無料)
・端末代金支払い期間終了後ならば機種変

以上
284名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/13(月) 12:33:08 ID:W6pFWz2V
>>271
母としての強さと弱さの両面がよく描かれててさすがです。
後は、おつむのくだりが何気に嬉しかったりw
>>280
大河可愛いなーいいなー。
次回とても楽しみに待ってます。
285名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/13(月) 12:51:28 ID:6wEAXVIE
◆eaLbsriOas@避難所です。代理投稿歓迎。感想いつも拝見しています。ありがとう!
暑いので、ぬるめのSSをと思ったら……
286・今年の夏なの:2009/07/13(月) 12:52:09 ID:6wEAXVIE
「暑……ちょっと、近寄んないでよね、あんた」
「……近寄ってねえだろ? 1メートルは離れてるだろ?」
「じゅうぶん近いのよ、あんた犬赤外線出すから。5メートルは離れて」
「遠赤外線みたいに言うな。てか、それじゃ居間の外じゃねえか……仕方ねえ、じゃあ俺、
 自分の部屋行くわ」
「駄目。却下。居間にいろ。許す」
「……ったく。こんくらい離れりゃいいか? はいはい、おありがとうございますっと……」
「……」
「……」
「……あーつーいーっ! もーっ、竜児なんとかしてよ! エアコンエアコン!」
「そんな暑っ苦しい格好してっからだろ。ったくしょうがねえな。窓閉めるか……ほれ」
 ピッ……ブーン……
「ひゃあ! 竜児っ、風向っ、真下向けて真下! ……おっけー! さあ来い冷気! 苦しゅうない!
 ……来た来た、来たよ竜児っ!」
「それはそれは姫、良うござんした」
「うんっ!」
 ……ブーンウンウンウン……
「……なにこれ、うるさ……ねぇ竜児、あんたんとこのエアコン、壊れてない?」
「おう、どうした。冷たい風、来ないか?」
「ううん。冷たいのは来てるけど……ブーンブーンうるさくない?」
「ああ、そりゃ今年からのウチの仕様だ、うるせえのは。掃除もなんも、いろいろしたけど
 だめだった。やっぱ古いんだよ、ウチのエアコン」
「え? なに? ちゃんと聞こえなかった」
 ……ウンウンウン……
「おう……ウチのエアコン古いの! だからうるせえの!」
「へー、古いのってそうなんだ。私の家のって、あれでもかなり静かなのね……」
「は? なんつった? 微妙に聞こえねえぞ?」
「っんもぅ! だから……! いいや、めんどくさ。竜児っ、ちょっとこっち来て!」
「なんだよ、犬赤外線はいいのか?」
「いいの! もう涼しいから! 早くこっち!」
「へいへい……ほら来た」
「そんなとこじゃあんた、涼しくないでしょ? もっと近う寄れ! 苦しゅうない!」
「……はいはい。ほら来た……おう……涼しい……」
「でしょでしょ! うっさいけど!」
「おう、涼しい……な……」
「ん……ねぇ、竜児」
「な、なんだ? 大河」
「……抱っこ、して?」
287・今年の夏なの:2009/07/13(月) 12:53:08 ID:6wEAXVIE
「おう……なんだ、もういいのか?」
「うん、去年ごっこはもうおしまい。ね、竜児……だから、抱っこ……きゃっ!」
 ひょいっ
「ほらよ、膝の上っと」
「わ、腋、持っちゃだめだってば、もぅ……えっ!? 嘘っ!? 嗅いだ!?」
「嗅いでない嗅いでない……でも、こっちは嗅いでいいだろ?」
「えっ……首筋?」
「いや、耳の後ろのとこ」
「えーっ……でも、汗かいてるし……っ!」
「……いい匂いだよ、大河。大好きだよ、おまえの匂いも」
「りゅ、竜児……っ。ね……その、暑くない? くっついて……」
「熱いよ、おまえは。小鳥みたいだ」
「ご、ごめんね。竜児、暑がりだもんね……。でも、くっつきたかったの。離れてるの……いや」
「……いや、俺こそごめんな、大河。さっきは、暑いからくっつくな、なんて言って。ちょっと……
 照れちまったんだよ」
「っ! ほ、ほんとう?」
「ああ、本当だ。辛かったな、去年ごっこ。くっつかないなら去年と同じじゃないの、って、
 おまえに言われて。じゃあ去年と同じにしてみるか、なんてやってみたけど……」
「うん……でも、もう、同じじゃないの……も、もう、変わっちゃったの……」
「……そうか? 俺は、なんてか、そんなに変わってねえ」
「えーっ!? そこは変わってよ、あんた。せめて変わったって言いなさいよね。もーっ!
 竜児ったら、あいかわらず鈍犬ちゃんなんだから……」
「おう……すまねえ。でもさ、ほんとにあんま変わってねえんだよ。その、なんて言ったらいいのか」
「うう! まだ言うかこの……っ。ひ、ひどい……わ、私はこんなに変わっちゃったのに……
 あ、あんたのこと、大好きで……大好きなの、わかって。両想いになれて、こ、こんなに……っ」
「大河……泣くなよ、泣くな……な? ……ふー……これ、問題あるから今まで黙ってたけどさ。
 だから……変わってねえってのは……つまりさ、俺、おまえと出逢った頃から……なんてか、その、
 駄目、だったんだよ……」
「うっく……だ、駄目? 駄目って、なによ……っ」
「……つまりさ、俺、おまえに触りたくてたまらなかったんだよ……出逢ったころから、ずっと」
「え……えぇっ!?」
「ああやべ! やべえよな、やっぱ! 駄目だったか!? 言うんじゃなかったか!?」
「そ、そそそそんんあの、やあ、や、やばっ、やばばああいに、っき、きま、決まっってるるう」
「お、落ち着け大河! どもり方まで変わってるぞおまえ!? ショックだったか。ほら、どうどう……」
「すーはー、すーはー……っすうううっ……はあぁ……おっけー、もう平気。喋るれ……れる……」
「おう、大丈夫か。大丈夫かあ?」
「だっ、大丈夫じゃないっ! さあ続き! 聞かせなさいよ!」
「おう、続き……だからな、ああもう言うわ! ずっと我慢してたんだよ! 最初のころから、
 おまえに触りたくて、くっつきたくて! おまえの寝顔見て、キスしたくなって我慢したことも、
 何度もある! ん、だ、よ……ずっと、しちゃいけねえって、ぜんぶ、我慢してたんだよ……俺は」
「あっ……あっ、あっ、あっ、あんた! あんた、だって、みのりんのこと好きだったんでしょ!?
 そ、それなのに! それじゃあ、あんた、あんた、ふ、ふま、ふまたた!」
「ふ、ふまたた……?」
「ち、違うっ! ふ、ふた、ふたまま!」
「ふ、蓋ママ……?」
「わわわわかってるでしょ? あんた! だから、そのっ、みのりんのこと好きで、そ、それで、
 わ、私のことは……え? 寝顔で……え? 寝てて、触りたくて、くっつきたくて、キスしたくて……
 えぇ!? あ、あんた、ずっと、最初っから……最初……えぇ!? さ、最初っから、ずっと、
 あんた、私のこと、やっぱり、そんな、え、え、えええ、えっちな目で見てたわけ!?」
288・今年の夏なの:2009/07/13(月) 12:53:58 ID:6wEAXVIE
「おう……えっちってか……まあ、そうだよ」
「そうだよって、あんた……こ、このっ! えっち!変態!ドスケベ!エロ犬!ふたまた野郎!
 あ、言えた……じゃなくて、なんで!? なんであんたそうなのよ!?」
「な、なんでって……おまえが可愛いかったからに決まってんだろ」
「え……えーっ……そ、そんな、そんなの。だ、だって私、ち、ちびだし……」
「なんだそれ。可愛いじゃねえか」
「うう……む、胸も無いし……」
「好み変わっちまったじゃねえか、おまえのせいで」
「えーっ、ど、どしよ……く、口、悪いし」
「声が可愛いんだよ、おまえ卑怯なんだよ」
「ら、乱暴者だし……」
「マゾじゃねえがどうしても嫌いになれねえ」
「わーん! ど、どうしよ……ど、どうしても、駄目。どうしても、どうしたって、う、嬉しいの……っ!」
「大河……」
「さ、最初からなんて、あんた、ただのえっちで、ドスケベで、ふたまた野郎で、最低なのに……
 さ、最初から、なんて、私、嬉しい……」
「ただのえっちって、おまえね……。俺はさ、櫛枝のことだって本気だった。でも、どうしてもおまえのこと、
 可愛いって思うのもやめられなかった……やめられるわけがねえ、おまえ可愛いんだから。
 だけどおまえは北村のことが好きで、だから、俺は我慢したんだ……おまえに触りたくても、
 キスしたくなっても、我慢した。ずっと、なんとか我慢し続けた……」
「竜児……」
「もちろん、櫛枝のこともある。北村への俺の思いもある。でもな、大河。俺が俺の欲を我慢できたのは、
 きっと、たぶん……結局は……おまえのことが大事だったからだ。おまえの想いを大事にしたかったからだ。
 他の誰かのことよりも、俺の欲よりも、おまえの……あれ? おかしいな……そんなこと、あるのか?
 そんなことだったのか……? あれ? いくらなんでもおかしいぞ。だって、だけど、それじゃあ……」
「りゅ、竜児……?」
「だけど、それじゃあまるで……俺、おまえのこと、最初から……」


 最初から、愛していたのか……?


「っ!……う、そ。……嘘っ! 嘘っ! 嘘っっっ!」
「……なあ? 嘘っぽいよなあ? さすがにそんなの、出来すぎてるよなあ。でも、でもさ、考えたら
 そうなった……どうしても、そうなる。おかしいのに、ありえねえのに……俺、おまえが可愛くて、
 だけど俺、おまえが大事で、だから俺、ずっと我慢できて、だから俺、最初から、おまえのこと……
 あ、愛してたんだ、大河……っ!」
「りゅ、竜児……っ! わ、私もっ、私も、なの! きっと、最初から……っ」
「……と思ったけど、そういやそんなことして単純におまえに嫌われたくないって俺の欲もあったな。
 落とし穴だ」
「ズコー!」


***おしまい***
289名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/13(月) 12:56:50 ID:VkvEbEge
>>288
投下乙です
今日は暑苦しいのにさらに暑くさせられた……
290名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/13(月) 14:11:10 ID:qQb02SVm
「暑いな……」
「暑いわね……」
「今日のメシはカレーにするか。暑い時には辛いものって言うしな」
「ねえ竜児、それってよく聞くけど……なんで?」
「よく知らねえけど、汗かくとちょっとした風でも涼しく感じるとか、そんな所じゃないか?」
「ふーん……私は辛いの苦手だし、別の方法で汗かこうかしらね」

ギシギシアンアン
291 ◆Tw0dVfiTgMyj :2009/07/13(月) 15:11:45 ID:q6LRhRtB BE:513806843-2BP(1500)
『大河がおとなしい女の子だったら』の続きを書いたので貼ります。

今までのあらすじ

竜児と大河、家は隣同士だがその事は大河しか知らない。
竜児の家から漏れる声を聞いては想像を膨らませ楽しむ、それが大河の日課になっていた。

そんな竜児とクラスメートになり大河は興味津々で話し掛ける、竜児はみんなに怖がられていたのに最初から笑顔で話す大河に驚きそして惹かれていった。

そんなある日、大河は偶然を装って買い物中の竜児に会いに行く。しかし緊張のあまり竜児を見て逃げ出した。
もしかして逃げる時に竜児に気づかれたかもしれない、心配になった大河は翌日竜児に尋ねると見てないと言われる。

安心した大河はまた竜児の買い物中に会いに行った、しかし今度は大河に気づいた竜児が逃げ出した。
竜児は見てないと大河に嘘をついていた。
292 ◆Tw0dVfiTgMyj :2009/07/13(月) 15:14:11 ID:q6LRhRtB BE:1370151348-2BP(1500)
昔、何かの本で読んだことがある。
人間は恐怖を感じると血液が筋肉に集中し、素早く動作を起こせるらしい。
あれは嘘だな。
走り去る逢坂を見て俺は動けなかった。

逢坂が俺を見て逃げ出した、いつも笑顔で話し掛けてくれる逢坂が…
オレ避けられてるのだろうか
考えるのも嫌だ、そんな現実は見たくない。
それなら見なかった事にしよう、気づかなかった事しよう、俺は何も知らない。

だから昼に逢坂が尋ねても嘘をつき、そして今も逃げ出した。

逢坂が走り去るのを見たあの日、泰子を送り出してレシピ本を見ていたら自然と涙が落ちた。
拒まれるのが怖くて、悲しくて涙が出た。

『話せるだけで十分だ』言い聞かせるように何度も繰り返す、不用意に近づいて拒絶されるより遥かにマシだ。
逢坂がそう望むなら、涙はまだ止まってくれない。

 +×+×+×+
293 ◆Tw0dVfiTgMyj :2009/07/13(月) 15:16:19 ID:q6LRhRtB BE:2312129669-2BP(1500)
「櫛枝。逢坂が早退したって、本当か」

「大河は大丈夫って言ってたけど、朝からあんまり元気じゃなかったから」
「そうなのか」

逢坂が早退したと聞いたのは昼休み。
今朝も逢坂はいつもの笑顔で挨拶をくれた、まるで昨日は何もなかったみたいに。
嬉しくもあり、悲しくもあった。でもこれが俺が選んだ日常だから。
今は何も考えたくない。

「昨日は帰るまで凄く元気だったんだけどね」
「単なる寝不足だから大丈夫って言うんだけど、顔色が悪かったから私が帰るように言ったの」

昨日、逢坂は俺に声を掛けてくれるつもりだったんだろうか、俺が無言で立ち去ったのが寝不足の原因なのか。
…無駄な期待は止めよう。

それに逢坂のおかげで櫛枝とも話せるようになった、今はこれで十分だ。
あとは逢坂の体調が回復するのを願うだけ。


「あのさ、高須君は何となく信用出来そうだからさ、少し私の話しを聞いてくれない」

櫛枝はいつもの陽気な雰囲気を消して表情は少し悲しげだ。

「私からは詳しく言えないけど、大河は1年の時に凄く辛いことがあってずっと落ち込んでたの」

「でも最近は少し元気を取り戻したんだよ。」
「私ね、昔から大河の笑顔が好きなんだぁ。だから最近は嬉しかったの、少しでも元気になってくれて」

「…だけど今日は昔の大河に戻った感じでさ、わたし心配なんだ」

いつも笑顔の逢坂が辛い事って、あの笑顔の裏で今も心を痛めているんだろうか。
それなのに今朝も笑顔で挨拶してくれたのか、逃げ出す事しか出来ない俺に。

「なぁ、櫛枝。俺にも逢坂の為に出来る事ってあるか」

自ら人と関わる事を避けて来た俺だが、無理みたいだ。
あの笑顔は失いたくない、もう少し深く関わっても良いな逢坂。

「ある」
櫛枝の気迫の隠った眼が返事と共に返って来た。
294 ◆Tw0dVfiTgMyj :2009/07/13(月) 15:18:54 ID:q6LRhRtB BE:3082838898-2BP(1500)
「私は高須君と話す大河は、昔の様に心から楽しくて笑ってる気がするの」

嬉しさが込み上げると同時に後悔がそれを消す、あの笑顔を曇らせる原因が俺かもしれない。
昨日、声を掛けていたら逢坂は今日も笑顔でいてくれたかもしれない。

「別に愛だ恋だの、そんなこと言ってるんじゃないの」

「大河は信頼をできる人と思ってるじゃないかな高須君のこと、だから高須君の前では
安心して無邪気に笑ってられると思うの」

認めてくれてるのか、逢坂は俺のこと。
櫛枝も俺を認めてくれるから話すんだ、嘘を言ってるとは思えない。

逢坂が俺を信頼してくれるならそれに答えるだけ、後悔なんかしてる場合じゃない。
今は逢坂に元気になってもらうのが先だ。

「だから大河にはその…… 私も何て言ったら良いのか解らないけど」

「ありがとう櫛枝。俺、明日は逢坂と話してみるよ」

「頼むよ。でも私はお礼を言われるようなことは」

お前に言われなかったら、俺はいつまでも殻の中でビビってたさ。
俺はお前の真っ直ぐなところに憧れる。

「櫛枝、いつまでもビビってたら駄目だな」

「オゥよ!時には当たって砕けるのもアリだぜ」

櫛枝は笑顔でグッとサムアップを返した、その笑顔は俺の背中を力強く押してくれる。

  +×+×+×+
295 ◆Tw0dVfiTgMyj :2009/07/13(月) 15:20:21 ID:q6LRhRtB BE:1027612883-2BP(1500)
今日はみのりんに心配かけたからちゃんと寝ないと。

やっぱり高須君はあの時気づいてたんだ。
何で嘘をついたんだろ、何で私を見て行ってしまったんだろ、学校では普通に話してくれるのに。

寝心地の悪いソファーの上で寝返りを打ちながら同じ事を何度も考えた。
ベットルームには行きたくない、もしあの声が聞こえたら泣いてしまうかもしれないから。

泣きたくない、泣いたら負けて全てが終わる気がするから。
一人暮らしを始めたあの日決めたこと、絶対に泣かないって。
泣かない事で強くなってやるって。

でも、泣きそうだ。

『高須君、謝ったら許してくれるかな。』

何度も呟きながら私は眠りに落ちた。

+×+×+
296 ◆Tw0dVfiTgMyj :2009/07/13(月) 15:22:16 ID:q6LRhRtB BE:513806843-2BP(1500)
逢坂は俺の話しを聞いてくれるだろうか、話して以前の様に接してくれるだろうか。
不安で眠れずに朝を迎えた。

現在朝の5時、台所に立って二人分の弁当を作っている。
逢坂は俺の弁当を見て美味しそうと言ってくれたのでお詫びに作ることにした。
貰ってくれるかな、逢坂。

+×+×+

朝起きたら両頬に乾いた跡が、私は認めたくないので急いで顔を洗った。

体調は悪くない、やっぱり単なる寝不足か。
心は不安でいっぱいだけど、私は学校に行くことにした。
登校中も高須君に謝ることだけを考える、その先を考えると不安になるから。

昇降口に行くと高須君が居た、思わず私は目を伏せる。
多くの人が行き交う中、近づく足音だけが大きく聞こえた。

「おはよう、逢坂」
声は少し震えている。
顔を上げると高須君は緊張気味に言葉を出した。

「少し、話しがしたいんだ」
頷くだけで精一杯。
人目がない所が良いと言って校舎裏に向かう。
前を歩く背中は強い意志を感じさせる、それは私を更に不安にさせた。
297 ◆Tw0dVfiTgMyj :2009/07/13(月) 15:24:08 ID:q6LRhRtB BE:3082839089-2BP(1500)
時折舞い散る花びら。
桜の花びらが舞い上がる度に私も一緒に逃げ出したかった。

校舎裏に着いても高須君はしばらく無言で背を向けていた、私は逃げ出さないように全身に力を込める。

何度か大きく肩で息をして、迷いを消した眼が私を捕らえた。

「逢坂、本当にすまなかった」

私の身体は更に力を込めて強張る。

「逢坂に嘘をついたり、逃げ出したりして悪かった」
「言い訳はしない、だけど本当の理由を聞いてもらいたい」

高須君は緊張気味にゆっくりと話す。
話しが進むに連れて私が大変なことをしたのが解ってきた、私は自然と俯てしまう。
涙が出そうだった、立ってるだけで精一杯だった。

「……情けないだろ」
自嘲気味に笑いながら高須君は言った。

『そんなことない』私は直ぐに声に出して言いたかった、だけど声が出ない。

「本当にすまなかった」何も言わない私を見て、高須君はそう言って立ち去ろうとする。
強張る身体を無理やり動かし、必死で高須君の両袖を掴んだ。
顔を上げて眼を見る「ごめんなさい」声が出せた。

「私が高須君を傷付けたんだよ、本当にごめんなさい」

「逢坂は悪くないから」
「そんなことない、私が悪いの」
298 ◆Tw0dVfiTgMyj :2009/07/13(月) 15:26:12 ID:q6LRhRtB BE:513806843-2BP(1500)
押し問答を繰り返してたら少し困り顔の高須君が
「じゃあ逢坂。仲直りをしよう、ちょっと手を離してくれないか」

そう言うとカバンから小さな巾着を取り出し
「前に俺の弁当が美味しそうって言ってくれたろ、だから逢坂の分も作ってみた」

少し照れながら私の前に差し出した。
「良かったら食べてくれ、俺からのお詫びだ」

何で私にお弁当作ってくれたの、何で私が悪いのにお詫びなの
「……本当に良いの?」

「あぁ、これは逢坂の為に作ったんだ」

優しく微笑んでくれた、いつもの高須君だ!。
私を許してくれるんだ!。
「嬉しい… 嬉しいよ!すごい高須君が私にお弁当作ってくれた!」


喜ぶ逢坂を見て俺は大きく息が漏れた、本当に良かった。
弁当も喜んでくれたし、いつもの笑顔に戻ってくれた。
「喜んでもらえて、俺も嬉しいよ」

話す前の不安は消え今は健やか気分になる、背中を押してくれた櫛枝にも感謝しないとな。

だが穏やかな気分を逢坂の一言が一変させた。

「これで高須君と私は友達だね!」

……複雑な気分だ。
素直に喜べない、でも今は肯定の意志を伝える。
「あぁ、俺と逢坂は友達だ」

高須君は苦笑いをしながら答えた、嬉しくないのかな?。
私は友達になれて嬉しいんだけどなぁ ……そうだ!

「それじゃあさ、お昼は一緒に食べよ!」

「いや、それはちょっと…」

また苦笑いだ、友達なのに何でかな?
でも諦めない。

「ダメなの?」

「ほら周りの目とかも有るしさ、逢坂も誤解されたら大変だろ?おかず一緒だし」

高須君は何度言っても『うん』とは言ってくれない。
楽しいと思うんだけどなぁ、一緒に食べたほうが。
299 ◆Tw0dVfiTgMyj :2009/07/13(月) 15:28:08 ID:q6LRhRtB BE:3082839089-2BP(1500)
無事に和解を済ませ教室へ向かう二人。
一人は複雑な表情をし、一人はむくれている。

和解を済ませた様には見えないが、只のクラスメートから友達までランクアップを果たしていた。

逢坂大河、不思議な子だ。
最初は優しいから偏見など持たずに俺と接してくれると思っていたが、何かが違う気がする。
少し疑問に思うことを聞いてみるか。

「逢坂は俺のこと怖いと思わないのか?」

逢坂は言葉を選ぶように話し始めた。

「…私も高須君の噂は聞いたことあるけど、嘘だってわかるの」

「何で分かるんだ?」

逢坂は少しビクッとして困っている、困らせるのも可哀相だし質問を替えるか。

「だったら、俺と一緒に居るところを誰か見られて困るとか思わないか?」
「なんで?」

即答だった。逢坂大河、凄く良い子だ。
逢坂ならいつか俺の気持ちを伝えられるかもしれない。

+×+×+
300 ◆Tw0dVfiTgMyj :2009/07/13(月) 15:32:52 ID:q6LRhRtB BE:899161373-2BP(1500)
続きは夜に貼ります、約7レス分くらいです。
あと、この話しのコンセプトはベタな展開でベタな恋愛を書くです、本人も忘れてました。
301名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/13(月) 16:18:52 ID:OgwV86Te
>>300
おおお遂に続きがああ!
待ってましたよ!
夜の分楽しみにしてます!

まとめ人さん、一度消した物の場合はどうするのでしょうか。
以前「保存してある」と伺いましたが、もし残っておりましたら
前のも復活させて頂きたいです。どうか、どうか…。
302名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/13(月) 17:15:02 ID:W6pFWz2V
>>300
いやー乙女ちっくでいいです!
303名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/13(月) 18:11:26 ID:tUbPB6/6
>>301
消すといってもリンク外しただけでファイル自体はサーバ上にそのままあるんでしょうよ
ファイルごと消したとしても専ブラのログだってあるわけだし
304名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/13(月) 19:21:33 ID:M7B2GopV
小学生体型の高校生でも生理は来るのだろうか?
305名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/13(月) 20:18:45 ID:tUbPB6/6
小学生で初潮始まる時代ですよ
まあ大河は竜児と出会うまで栄養バランス偏ってて生理止まってた可能性もありますが
306名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/13(月) 20:27:52 ID:VkvEbEge
「大河がビクンビクンッな女の子だったら」を書きます

大河「り、りゅうじー!!」
竜児「た、たいが…もうだめだ」
大河「あふーん(ビクンビクンッ)」

ギシギシビクビク
307名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/13(月) 20:51:27 ID:TOBC8V/3
あふーん
308 ◆Tw0dVfiTgMyj :2009/07/13(月) 21:21:42 ID:q6LRhRtB BE:428172825-2BP(1501)
>>264 同じ方だったんですね、いつもありがとうございます。

>>301さん >>302さん ありがとうございます。

まとめ人さん、確か見えなくしてるだけと言われてましたよね、忙しいでしょうから時間がある時にでも戻してもらえますか?本当にいつでも結構ですから。
あなたには迷惑ばかりかけてすみません、宜しくお願いします。

『もしも大河がおとな〜』の続き貼ります、さっきは連投規制に引っ掛かったので少しゆっくり貼ります。
では、宜しくお願いします。
309 ◆Tw0dVfiTgMyj :2009/07/13(月) 21:25:10 ID:q6LRhRtB BE:428172252-2BP(1501)
昼休み、前に座った春田と能登が何やら話してるが俺の耳に入ってこない、俺の神経は少し離れた逢坂に向いている。
俺の持てる技術を全て注ぎ込んだ弁当、口に合ってくれるか。

今日の大河は朝から元気だ。
聞いても『嬉しいことがあった』の一点張りで内容は教えてくれない。
まぁ大河が元気になってくれるなら何でも良いだけどね。
やるなぁ! 高須竜児。

「みのりん!お弁当を食べよ」

元気者がやって来た、嬉しそうに弁当箱を抱えて ………ん?

「珍しいね、大河がお弁当を持って来るなんて」

「うん!高須君が作ってくれたの!」

時が止まったかと思った、逢坂の声だけがコダマする教室。

その声が消えると同時に時は流れだす、ラジオのボリュームを上げる様にいつもの喧騒に戻る筈だった。
しかし昼休み特有の笑い声や叫びは無く、みんなが顔を寄せ呟くように話してる。

眠っている猛獣から逃げ出す様に、ゆっくりと周りに気づかれないように振り向く。
実際はみんな俺に大注目だがな、心境はそんな感じだ。

振り向くと櫛枝がこちらを見ていた、哀れむ様に俺を見て顔には『ドンマイ』と書いてある。
逢坂は美味しそうに食べてくれてる、良かった。
まあ逢坂が喜んでくれてるなら良いか、あとは知った事ではない。
これが惚れた弱みってヤツか。


そんなに強靭な心なんて俺は持ってない、春田と能登が何か言ってたが無視。
ただ昼休みが早く終わるのを願って、机に出来た染みをじっと見つめていた。

「高須君」

ゆっくり顔を上げると櫛枝が申し訳なさそうな顔をしていた。

「ちょっと考えたら解る事だったよね。ごめんなさい、高須君」

流石は体育会系少女、頭を下げるのもビシッとしてる。
でも櫛枝は恩人だからな、これはマズい。それにまた周りの注目を集めても困るしな。

「いや、大丈夫だから。早く頭を上げてくれ」

「本当にゴメンよ」

「気にしてないから本当に。それより何か飲みに行かないか、俺が奢るから」

櫛枝にはお礼も言いたかったし、何より此処から逃げ出したかった。

「うん、良いよ」

了解を貰い、出来るだけ周りを見ない様にして教室を出て自販機へと向かった。
310 ◆Tw0dVfiTgMyj :2009/07/13(月) 21:28:08 ID:q6LRhRtB BE:1712688858-2BP(1501)
自販機の前では二人の男子生徒が談笑している、しかし俺の姿を見ると足早に去って行った。
また俺の中がざわめく、こればっかりは心が慣れきない。
でも横を見るとニィーと笑う櫛枝の顔でざわめきは消えた。

「高須君、ではゴチになるよ」

「あぁ、どうぞ」
「今朝な、逢坂と話した。それでいろんな誤解が解けたよ」

「いや〜 本当に良かったよ、大河も元気になったしね」

「これも櫛枝のおかげだ感謝する、ありがとう」

良し、ちゃんと言えた。
逢坂と櫛枝のおかげで俺は変われる気がする、やっぱり本音で話せるのは嬉しい。

「じゃあ、大河と仲良くなった高須君に私から良いことを教えてあげよう!」

「何を」

「大河は鈍いよ」

「えっ?」

「さっきので解ったと思うけど、大河は男女の仲ってのに鈍いんだよ」

……やっぱりか。朝の会話で何となく解っていたが、前途多難だな。

「…何となく解る気がする」

「だから誤解されるんだよね」

誤解って、もしかして俺も勘違いしてるのか?
でも俺が逢坂を好きなのは本気だし…ってそれが誤解してるってことか?

「でも安心して、しつこい奴らは私が蹴散らしてきたから」

「…どういった意味でしょうか」

「いや〜 高須君も大河と一緒で態度に出て分かりやすいねぇ、でもそんな事を言ってて良いのかな〜」

「何故ですか?」

「よし! 高須君に現実ってヤツを見せてやろう」

現実? 訳も解らず案内されるまま後ろを付いて行く。
311 ◆Tw0dVfiTgMyj :2009/07/13(月) 21:31:09 ID:q6LRhRtB BE:3468193799-2BP(1501)
櫛枝に案内されて着いた所は渡り廊下。
この先は音楽や美術などの専修教室だけ、まだ昼休みで人気も無い。
現実を見せるって何のことだ?。

「ほら、あそこ見て高須君」

指差した先は音楽室の前、そこには逢坂と見知らぬ男が立った居た。

「あれが現実。今、大河は告白されてるんだよ」

頭の中が真っ白だ。
だが間髪入れず白くなった頭の中に次々と流れ込む。
逢坂は告白されてる、つき合うのか?断るのか?俺は直ぐにあそこに行くべきなのか?見届けるべきか?

―――混乱した。

「大丈夫だよ、大河はつき合ったりしないから」

櫛枝はそう言うが、まだ冷静にはなれない。

「大河は今まで一回もOKした事ないから。どんなに格好良い人でも、優しい人でも断るからね」

「…何でだろう」

「さぁね、私にも解んない。おっと、終わったみたいだね」
「たいが〜!」

何故つき合わないんだろか。
好みの問題でもない様だし、興味がないのか?それとも他に理由があるのか。
それに櫛枝は何故これを俺に見せたんだ?頑張れよってことなのか?

ともかく俺も少しは積極的に行かないと駄目だな。

「二人とも何してるの?」

「参考にしようと思って、愛の告白ってヤツを見学に来たのさ!」

「やめてよ、恥ずかしいから…」
「あっ!高須君。お弁当ありがとう、美味しかったです」

「そうか、作ったかいがあったよ」

「お弁当箱は洗って返すね」

今だ!今なら自然に言える筈だ、積極的になる第一歩を!

「あの… 逢坂は今日も帰りは買い物に寄るのか?」

「うん、夕食を買いに行く」

「良かったらなんだけど。一緒に行かないか、買い物に」

「うん、行く!」

やった!なんだこんな簡単な事だったのか、今まで結果ばかりを恐れて行動してたのが虚しくなる。
前に泰子が言ってた様に言葉にしないと解らない事もあるんだな、今日だけで思い知らされた。
312 ◆Tw0dVfiTgMyj :2009/07/13(月) 21:34:08 ID:q6LRhRtB BE:1498602757-2BP(1501)
+×+×+

今日は嬉しい事ばっかりだなぁ。
告白してくれた人には悪いことしたけど、彼氏とか出来るより今は高須君と友達になれる方が嬉しいもんね。

今だってお買い物して一緒に帰ってるし、お話しもいっぱいできた。

「でもびっくりだよな、家が同じ方向なんて。今まで一度も会った事ないのに」

「そうだね、びっくりだよね。偶然だね!」

どうしようかな… 本当は大問題に直面してるだよね、言っちゃおうかな『隣に住んでるの』って。
この道順で行けば私の家の方が先に着いちゃうんだよねぇ…
あぁ緊張してきた、本当にどうしょう、どうしょう、どうしょう。

「逢坂」

「ひゃい!?」

「俺はそこを右に曲がるんだけど、逢坂は?」

「私は… その、そこを真っ直ぐです」

やっちゃた… でもね、高須君とはもうお友達だからまた機会はある筈よ。
そう、大丈夫よ!

「そうか、ここでお別れだな。今日はありがとう、凄く楽しかった」

「私も楽しかった」

積極的に、積極的に。
逢坂も楽しかったと言っている、これで終わらせない為に言わねば。

「そうか。じゃあさ、また一緒に帰っても良いか?」

「うん、いつでも良いよ」

泰子、今日の晩飯は豪華だぜぇ〜 お祝いだ、お祝い!
積極的に生まれ変わった高須竜児の新誕生祭だ!。

「ありがとう、それじゃな」

「うん、バイバイ」

嬉しいような、悲しいような…
結局、あと2分で帰れる筈が20分かけて家に帰った。

  +×+×+×+
313 ◆Tw0dVfiTgMyj :2009/07/13(月) 21:37:12 ID:q6LRhRtB BE:2098043377-2BP(1501)
「おはよう、高須君」

「オォ、香椎。おはよう」

「最近、逢坂さんと仲良いのね、昨日はスーパーでも見かけたし」

見られてたか、香椎もあのスーパーに来る事すっかり忘れてたな。

「もしかして、つき合ってるの?」

「イヤ、違うぞ」

「本当に?前は一緒に買い物したり、お茶にも付き合ったりしてくれたのになぁ」
「奈々子、悲しい」

頼むから止めてくれ、只でさえお前は目立つんだから。
ほら男子が凄い顔でこっちを見てるだろ。

「本当にお前は… もう止めてくれ、誤解される」
「逢坂さんに?」

「うっ!?お前な…」

「怒らないでよ、じゃあね」

あぁ、面白かった。
昨日のスーパーでの2人を見たら、からかいたくなったのよね。
高須君は緊張気味だったし、逢坂さんは無邪気に笑ってた。
意外な2人の急接近ね。
314名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/13(月) 21:39:21 ID:yvgXzjzj
支援!?カキコ
早速の連続投下ありがとう
楽しく読ませてもらってます
大河、なかなか攻略大変そうw
とはいえみのりんの援護、無意識下の大河の竜児に対する意識
がんがれ竜児!決して孤立無援じゃないぞw
315 ◆Tw0dVfiTgMyj :2009/07/13(月) 21:40:08 ID:q6LRhRtB BE:599440872-2BP(1501)
「高須、今のはなんだ?お前、最近美味しすぎだぞ」

「黙れ、能登。それに朝は『おはよう』の挨拶から始めるべきだ」

「おはよう。でっ?今のは何だ」

「お前も、しつこいな…」
「香椎とは買い物するスーパーが一緒なだけだ。それとお茶をしたのは
いろいろあって、香椎がお礼したいって言うから行っただけだ」

「いろいろって?」

「何でお前に俺のプライバシーをすべて話さないといけないんだ」

「きたむら〜! 高須が俺に冷たくするよ〜」

やっと行ったか。
お前がしつこいから逢坂が来たのに挨拶にも行けないじゃないか。
もう他の女子と話してるし、今日は土曜日で話せる時間も限られてるんだ。
能登の奴めぇ〜。

「奈々子、おはよー」

「おはよう、麻耶」

「どうしちゃたの、朝から考え事?」

「うぅん、何でもない」

高須竜児か、わたし的にはアリだったんだけどな。
顔も結構好みだったし、性格も良し、私しか本当の高須君を知らないって思ってたから油断したな。

逢坂さんも気づいたんだろな、本当の高須竜児に。
316 ◆Tw0dVfiTgMyj :2009/07/13(月) 21:43:15 ID:q6LRhRtB BE:1198881874-2BP(1501)
香椎さんと仲良かったんだ、知らなかった。
良いなぁ、私も高須君に朝の挨拶してお話したい。
でも他のお友達も邪険に扱えないし、お弁当箱の事で話したいのにな。

+×+×+

「では、ホームルームを終わります。」

結局、逢坂と話せなかった。こんなに土曜日を恨めしく思うのは初めてだ。
積極的にとは決めたが毎日帰りに誘うのもな。
俺は良くても逢坂にも都合があるだろうし、今日は挨拶だけして帰るか。

「逢坂、それじゃな」

昨夜の『今日の反省会』で解った。
私は考えて行動すると良い結果にならない、それなら望む通りに行動しようじゃない!。
言葉や行動に表さないと、思ってるだけでは願いは叶わない昨日の高須君との事で解った。

今日の望みは『高須君の家に行ってみたい』だ!。

「高須君!あのね、わたしお弁当箱を持って来るの忘れちゃったの」

「あぁ、いつでも良いぞ」

「あの、それでね」
「今日、高須君の家に返しに行って良いかな?」

「えェェ!!!」

「だめ?」

「いいえ!!大歓迎です」

逢坂が家に来る!
これは大変だ、掃除だ、掃除、片付けなければ。
ダアァ!それより泰子だ、普段の格好はマズイ。ちょっとは母親らしい格好をさせねば。

「じゃあ、3時頃で良いかな?」

「あぁ、大丈夫だ。待ってる!」

急いで帰らねば、ダッシュだ!3時ならお菓子の用意も出来る。
317 ◆Tw0dVfiTgMyj :2009/07/13(月) 21:47:17 ID:q6LRhRtB BE:770709492-2BP(1501)
>>314さん、支援ありがとうございます、助かりました。

本日分は以上です。
今度は途中で投げ出したりしないので、皆さんお付き合い宜しくお願いします。

では、ありがとうございました。
318名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/13(月) 21:59:39 ID:W6pFWz2V
>>317
夜の部も面白かったよー大河が積極的でいいね!

既出だけど、連投規制は連続9回か10回目で引っ掛かる事が多かった。
夜中0時を挟まないと投稿の時間を空けても意味が無かった気がする。
間に他の人が書き込めばリセットされるから、それを待つ意味ならアリかと。
自分の時は10レスを越える時は0時前後に投下してたなぁ。

319名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/13(月) 22:09:43 ID:yvgXzjzj
本日はおすまいですか…orz

再開いただいてとてもうれしいです
急がすじっくり納得いく物を投下くださいね
勝手ながら長く楽しみたいのでw

このお話にはあーみんも絡んでくるのかな!?
奈々子様はやはりその手きのキャラですかw
最近お気に入りの麻耶も出て来てウテシス♪

またの投稿まてますね

今日はありがとうございました
320名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/13(月) 22:48:59 ID:DE/m/tIZ
>>316
おちつけ竜児、あの部屋の何を片付ける気だ…
321めとめ人 ◆SRBwYxZ8yY :2009/07/13(月) 23:07:11 ID:tIpNpn2q
>>308
「大河がおとなしい女の子だったら」のリンクを復活しました。
忙しくて更新する暇もないのですが、とりあえずこれだけ…
<!-- --> のタグを取っただけなんですがね!

今週末には何とか更新を…
322名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/13(月) 23:36:32 ID:NCsMHwxT
めとめとな
323名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/13(月) 23:42:30 ID:ZXyP5R0y
めおと(夫婦)と見えた俺は末期

>>317
おぉ!復活嬉しいです。
普段の大河もいいけど
おとなしい大河もいいなぁ続きwktk


>>321
まとめ人さんいつも乙です

324 ◆Tw0dVfiTgMyj :2009/07/13(月) 23:50:16 ID:q6LRhRtB
長文失礼します。

>>320 まとめ人さん、早速ありがとうございます。
あなたには何度も助けてもらって感謝!感謝!です。

>>318 そうなんですか知りませんでした、勉強になりました。
ありがとうございます!

>>320 好き子が初めて来るんだし、それに竜児はあんな性格だから。
ありがとうございます。

自分も暫くこの話しにノータッチだったので本人もどこに向かってる分かりません、ごめんなさい。
でも刺激になりました、ありがとうございます。

正直、再開して荒れたり、誰も相手してくれなかったらとビビってました。
このスレのみなさんは本当に良い人ばかりで感謝します、ありがとうごさいます。
もし名乗らなかったら弱った大河をシリーズ化しようかなとか超誤爆したクロスオーバーを書こうかなと馬鹿な事を考えてました。

本当にみなさんありがとうごさいます。
325名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/14(火) 00:18:31 ID:1Lh0x8xX
>>227
週末ここにこれなかったので、随分と遅いレスですが、一言
「涙は流れているけど、心の底から温かくて、にっこり笑顔」
そんな感じの気持ちが浮かびました。

子供が産まれた時よりも、子供を授かったと分かった時の方が、世界が変わった気がする。
竜虎の2人なら、この気持ちを忘れずにいてくれるでしょう。

書いてくださって、有難うございました。
326名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/14(火) 00:23:12 ID:1Lh0x8xX
>>324
お帰りなさいませ。
その後も凄くいいですよ。新鮮な気分で読めて、ドキドキ度が高いです。
「恋に鈍い大河」もカワイイ

クロスオーバーの方も興味ありますが、スレチになるので自重
327名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/14(火) 00:33:32 ID:1Lh0x8xX
>>271
大河のちょっと芝居がかったセリフと、扉が閉まってからのギャップがいいっす。

>>269
>俺は藤田和日郎にも竜児を描いて欲しいな。
そういえば、ここにもとらがいましたねw

感想に3レスも使ってしまった。まとめろよ俺orz
328 ◆askgvpoGB. :2009/07/14(火) 00:42:22 ID:LlzXGuZt

こんばんは。投下後は反応が気になってなかなか来れないヘタレです。
最後にこんなにレスを頂けて本当に光栄です。

>>228 >>233 >>234 >>236 >>239
感想どうもありがとうございます。楽しんで頂けたみたいで自分も嬉しいです。
>>237
自分にはまだ縁遠い話ですが……いずれ来た時に思い出してもらえるといいなと思います。
>>231 >>325
そう言って頂けると本当に書いた甲斐があるというものです。
こちらこそ、素敵な感想をありがとう。



で、こんなに素敵な感想を頂いた直後でアレなんですが……

前回は作り損ねた人生初のギシアンが出来ました!というか、結構前に出来てはいたんですが、
設定が自分の作品と微妙に被ってたので、何となく投下しにくくて延ばしてたやつです。

ではでは、長文失礼しました。
329名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/14(火) 00:44:09 ID:LlzXGuZt

「ねぇねぇ、りゅーじー?」
「おう、どうした?」
「今ね、ネット見てたら面白い記事があったの」
「ほうほう」
「しかもね? 私達にとってもすごく重要な話なのよ?」
「マジか!? それは読むしかないだろ……どれどれ?」

「あっ、待って!」
「おう?」
「ちょっと恥ずかしい記事なの、だからね…………」
「な、何だよ?」
「だから、竜児はその記事を読んだら、必ず私の言う事を聞くようにね?」
「おまえの言う事? 何か変な事考えてるんじゃないだろうな?」

「そんなことないよ。すっっっっっごく真面目な事だから安心して」
「ま、まぁ……そこまで言うなら」
「じゃあいいよ、見てみて」
「よし、やっと見れるな……どれどれ」



ttp://jp.reuters.com/article/mostViewedNews/idJPJAPAN-38808720090701
『毎日の性交渉で精子の質改善、妊娠の可能性高める』 by ロイター

「………………………………………………」

「ねぇ、りゅーじー?」
「おっ、おう?」
「文章の最後のところを読んでみて」
「ああ……『性交渉の回数が増えると精液の量は減少するが、多くの男性にとってそれは問題にはならない』……」


「うふふふふふふ」
「おい、大河……まさか……」
「そのまさかよおおおぉっ!」
「やっ! やめっ!」



ギシギシアンアン



◇ ◇ ◇ ◇ ◇
330名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/14(火) 00:46:16 ID:LlzXGuZt



「ふう……毎日ってのは……さすがにあれだな、俺も歳食ったかな……」
「あんた何言ってるの? 研究結果にあったでしょ、回数は問題じゃないって」
「……………………」
「つまり、よ。これからは日に何回やっても大丈夫ってことじゃない」
「あ、あんまり出ないからさ……いくら子供が欲しいって言っても……ほら、限度ってものが……」
「だーかーらー!」
「ハヒ」

「『問題にならない』わけよ、分かる? あぁ、なんて素晴らしいのかしら! これからは思う存分……ぐふふ……」
「おい……そこに俺の体力とか、もっと大事な何かは……考えに入ってるのか?」
「よいしょ……よいしょ……」
「なにをしてるんでしょうかたいがさん?」

「つーまーんーでー♪ おーこーしーてー♪」
「聞けよ!? おい、俺の上に跨って何をしてるんだ?」
「竜児。私ね、あんたの事いつまでも『駄犬』呼ばわりじゃ可哀想だから、違う名前を考えたのよ」
「ど、どんな名前だ?」

「『種馬』、よ」
「まんまじゃねえか!!!」
「うるさぁい! キリキリ働けえええええええええぇ!」
「いやああああああああぁ!」



ギシギシアンアン!! ギシギシアンアン!!




な・・・何かが違う気がする・・・すいません。
331名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/14(火) 00:57:42 ID:1Lh0x8xX
>>330
感想へのレスとのギャップに吹いたじゃねぇか!

「大河、 ギシアンと子供を授かるのとのどっちが大事なんだ?」
「当然でしょ、どっちもよ。一石二鳥、一挙両得。なんて素晴らしいのかしら!!」

勝手に繋いでしまった…

ちなみに定説は「3日間溜めましょう」 これ豆知識な。あ、竜虎の2人は無理そうだが…
332名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/14(火) 01:41:29 ID:4W871tpK
>>329-330
いや、イイヨイイヨー
GJ
333名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/14(火) 02:08:49 ID:u/WBn8zM
とりあえず衝動的に書いてみた。最終回の一場面の補完。



帰りの電車の中でずっと考えてたことがある。
ううん。もしかしたらその前からそう思っていたのかもしれない。
昨日の夜、竜児とやっちゃんの姿を見た時から、ずっと。

竜児の家の前、目の前にもう何度も昇った階段が見える。
私はもう、あの階段を上がらない、大河は昨日からずっと温めていた決意に火を付けた。
「夕食、家で食べてくだろう?」
今夜はとんかつにすると張り切る竜児の声が今の大河には辛く聞こえた。
「うん、着替えたら・・・行くから」
「おま・・・大丈夫かよ、家にはおふくろさんが」
大丈夫と大河はわずかに笑みを浮かべて竜児を見つめた。
なおも心配して家まで付いて来そうな竜児を大河は押し留め、マンションのエントランスへ向かって駆け出した。
マンションの入り口で大河が後ろを振り向くと、つい数秒前まで大河いた場所で竜児が心配そうにこっちを見ているのが見えた。
ごめんね、竜児。
大河は心の中でつぶやくと、最後に自分の持てる限りの記憶回路に竜児の姿を焼き付け、伸びたロープを引きちぎるようにエントランスのガラスドアへ飛び込んだ。
エレベーターが降りて来るまでの短い時間、大河は泣きたくなるのを必死に堪えていた。
少しでも気を抜くと涙がこぼれて来そうで、顔を上に向けエレベーターの階数表示をにらみつけた。
エレベーターを降りてから、玄関までの廊下がやけに長く、大河には感じられた。
可笑しい、こんなに家って遠かったけ?
見慣れた玄関ドアがどこか見知らぬ異世界へ繋がっている様にすら思えて、大河はドアノブを引くのをためらった。
334名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/14(火) 02:10:03 ID:u/WBn8zM
大河は軽く深呼吸をして、もう一度決心を確かめるかの様にひとりうなづいた。
あれ?
大河の予想に反して、玄関は施錠されていた。
仕方なく鍵を取り出し、ドアを開けて入った家は静まり返っていて、人の気配がまったく感じられなかった。
「おかあさん」
リビングへ入りながら、居るはずの母親へ声を掛ける大河に帰って来たのは静寂だった。
・・・いない。
半分、ほっとしながら大河は窓際の椅子に身を任せると、昨日から放置したままになっていた携帯電話の着信を記録を見ていった。
その中から大河は留守番電話のメッセージを順番に再生し始めた。
耳慣れた電子音に続いて、聞き慣れたヒステリックな母親の声がスピーカーから漏れて、大河の耳に響いた。
最後まで聞かないで、大河は次へ次へとメッセージをスキップしていった。
「いい加減にしなさい・・・か」
何回、言われたんだろう、もういいよ、ママ。
大河が、再生を止めようと、最後のボタンを押した時だった。
今までとは違った異質の声が大河の耳を打った。
大河は始めて聞いた母親の本音に、目を見開いた。
私・・・ママのところに行っても良いんだね。
大河はそう思うと、そっと目を閉じて、母親の声を聞き続けた。
ほんの少しだけど、大河は心に安らぎを感じていた。
ふいに、メッセージが途切れた。
大河が不審を覚えた、次の瞬間、携帯電話から今までで最大級の音量が解き放たれた。
「もう、知らない、勝手にすれば!!」
とうとう逆切れした母親の大声の後に、付け加えられた子供のような捨て台詞が大河に笑みを与えていた。
私、帰るから、ママのところ。
ずっと、邪魔だと思われてきた自分が、こんなに心配されていたことに大河は気づかされた。
みんな周囲のせいにして、自分から何も変えようとしなかったことを後悔しながらも、まだやり直せることに大河は希望を抱いた。
335名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/14(火) 02:11:17 ID:u/WBn8zM
「さて・・・と」
大河はおもむろに立ち上がると旅立ちの為の荷造りを始めた。
時間は限られている。
もしかしたら・・・竜児が様子を見に来るかもしれなかった。
今、ここで竜児を見たら、大河は決心が崩れそうで怖かった。
「急がなきゃ」
手近にあったかばんや手提げバッグを取り出すと、いろいろな物を詰めては取り出しの作業が繰り返された。
持って行ける物は限られてるのに、ついあれもこれもと詰め込みすぎて、かばんは大きく膨れた。
取り出した洋服一枚に竜児との思い出が詰まっていた。
クローゼットの中の一着が大河の目に付いた。
・・・これ、竜児が選んでくれたやつだ。
その時の様子を思い出し、大河はくっくっと喉を鳴らして笑った。
嫌がる竜児を連れ出して、出かけたブティックで何着も何着も試着して選んでくれた服だった。
大河は手を伸ばすとそれをハンガーから抜き取り、今着ていた服を床に散らした。
鏡の前で衣装を合わせていると、大河の耳元で「似合うんじゃね」と言った試着の時のぶっきらぼうな竜児の声が蘇り、大河は我知らず、服を抱きしめていた。
「りゅ・・・じ」
1分間だけ・・・たった1分だから。
大河は自分に泣くことを許した。
336名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/14(火) 02:12:26 ID:u/WBn8zM
黙って行ってしまう自分を許して欲しい。
竜児ならきっと分かってくれる。
大河はそう信じて、書置きをしたためた。
今夜か、明日、きっと竜児はこれを見る。
その時の竜児の気持ちを考えると、大河の胸は張り裂けそうだった。
でも、これが本当の幸せへの道だから、だから、待ってて・・・竜児。
メモ用紙の最後に逢坂大河と書き印すと、大河は万感の想いを込めて椅子から立ち上がった。
寝室へのドアを開ける。
明かりはつけず、リビングから漏れる光を頼りに部屋の奥に足を踏み入れた。
カーテンの閉まる北側の窓。
あの窓の向こうに竜児が居る。
今頃、台所でとんかつを揚げてるんだろうな。
大河の足が窓へ向かいかけて、止まった。
その窓を大河は見つめた、始めは強い視線で、そして最後は柔らかい視線で・・・
バイバイ、竜児。
大河は住み慣れた寝室を後にしようとして、それに気が付いた。
それは椅子の背もたれに無造作に掛けられたままのエンジ色の制服だった。
もう、2度と着る事は無いんだ。
見た瞬間、大河は痛切に感じた。
大河がこれから取ろうとする行動はこの制服に別れを告げることだった。
私立の中学校で高等部への進級を断られて、仕方なく選んだ高校だったけど、そのおかげで私は竜児に出会えた。
大事な親友も出来た。
だから、ありがとう。
大河は制服を手に取ると今までしたことがないくらい、丁寧に制服をたたんだ。
そして、そっとそれをベッドの端に置くと立ち上がった。
大河の表情は獲物を狙うタイガーの様に前をまっすぐ見ていた。
もう、振り返らない。大河はそう告げていた。

夜空は暗く、星は見えない。
でも、よく目を凝らすと、小さな明かりがひとつ見つかった。
今はひとつでも・・・今度帰って来る時はたくさんの星で飾ってあげる。
携帯のカメラを星に向け大河はシャッターを押した。
カシャ。
シャッター音がスタートの合図。
大河は新たなゴールを目指して走り始めた。
337名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/14(火) 02:38:55 ID:lh9j49u8
>>292
やばい、すれちがいっぷりがベッタベタでニヤニヤしながら涙が出たw
大好きなんだよこういうのw
でもすれちがいを長く引きずらないで緩急良かったと思う

>>300
とか思ってたらコンセプトからベタベタだったのねw
どストライクっす!
338名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/14(火) 03:54:49 ID:SWEiJrA7
>>333-336
339名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/14(火) 06:30:08 ID:/LfA95/g
大河側の視点いいね
補完できて
340名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/14(火) 06:59:23 ID:Q86rXn6I
GJ!
341とらドラ!で三題噺 ◆Eby4Hm2ero :2009/07/14(火) 07:28:45 ID:8B2Wj0/C
お題 「頬」「主役」「ストーカー」



 はあはあと、情熱が吐息となって漏れ出でる。
 視線の先には淡くグレーにけぶる栗色の髪。
 ミルク色の頬。意思の強さを示す輝く瞳。しなやかな肢体。
 逢坂大河――その全てが理想だった。
 彼女でなくてはいけない。彼女以外には考えられない。
 だから、一歩踏み出さねばならないのだ。
 理想を現実にするために。


「なあ大河、なんか落ち着かないみたいだけど、どうかしたのか?」
 上履きを下駄箱にしまいながら、竜児は周囲をキョロキョロと見まわす婚約者に問いかける。
「うーん……なんか最近、やたらと視線を感じるのよね……」
「おい、まさかストーカーとかじゃないだろうな」
「わかんない……もしそうだったら見つけ次第ぶっとばしてやるんだけど」
「気をつけろよ。本気でアブナイ奴は刃物持ってたりすることもあるっていうぞ」
 と、二人の前に一人の男子生徒が飛び出して来る。
 咄嗟に大河を庇うように立つ竜児。
「あ、あの!逢坂さん!お願いがあります!」
 その男子は叫びながら――竜児と大河の目前で土下座。
「映画の、主役になって下さい!」
342とらドラ!で三題噺 ◆Eby4Hm2ero :2009/07/14(火) 07:30:11 ID:8B2Wj0/C
 夕食後。
 以前のように毎日入り浸るわけにはいかない以上、恋人同士が二人きりでいられる貴重な時間のはずなのだが、
 今日の高須家には奇妙に重苦しい空気がたちこめていた。
「……ねえ竜児。なんでそんなに機嫌悪いのよ」
「何の話だ。俺は機嫌悪くなんかねえぞ」
「だって、ずっとムスっとしてるじゃない」
「目付きが悪いのは生まれつきだ」
「目付きの話じゃなくて……ああもう、やっぱり機嫌悪いじゃない」
「大河の気のせいだ」
 大河は溜息ひとつ。
「映画の話聞いてからよね、そんなになったの。
 竜児が嫌なら、私、断るわよ?」
「映画って言っても文化祭用の短編だし、受験勉強には支障が出ないように配慮するっていうし、
 何より映研の部長があそこまでして頼むんだ、断る理由がねえだろ。
 それに大河も喜んでたじゃねえか。やりてえんだろ?」
「それはまあ……そうだけど」
「だったら変な勘違いで俺に気を遣う必要なんてねえ。めったにできる経験じゃねえんだ、楽しんでこいよ」
「でも竜児がそんなにイライラしてたら……」
「イライラなんてしてねえって言ってるだろ。しつこいな」
「しつこいのはどっちよ!」
 目を合わせようとしない竜児を睨みつける大河。
 が、突然大河が小さく噴き出し、そのままクスクスと笑い出す。
「た、大河?」
「だって、一年前とちょうど反対なんだもの」
「一年前というと……おう、川嶋のストーカー事件の頃か」
「そう。ここで竜児とばかちーがくっついてて。私ったらその後しばらく、明らかに機嫌悪いのに怒ってないって言い張って」
「おう……確かに今とは俺と大河の立場が逆だな」
 竜児の顔にも笑みが浮かぶ。
「ねえ竜児……さっき楽しんでこいって言ったけど、私一人で楽しんでも……
 ううん、竜児も楽しんでくれなきゃ私は楽しくなんかなれないし、映画にも集中出来ないわ。
 だからお願い。きちんと話を聞かせて」
 大河はそう言いながら竜児を真っ直ぐに見つめる。
 竜児は大きな溜息をつくと、大河の方へ向き直る。
「……ぶっちゃけ、恥ずかしい話なんだけどよ……
 映画を文化祭で上映するとなると、校外の人間含めてけっこうな人数が見るわけじゃねえか。
 その中に、大河に惚れる奴が出てきたらどうしようって……
 もちろん大河が浮気するなんて毛ほども思ってねえけど、なんか他の男が大河に言い寄ってくるのを想像しただけで嫌な気分になって……
 そんな自分の器の小ささが嫌でさ、それにそんな事話したら大河は映画に出るのを止めるって言いかねねえだろ?
 だから大河には言いたくなかったんだ。
 だけどそれで大河を嫌な気持ちにさせてたら意味ねえよな。すまなかった。
 ……って大河、何でそんな赤くなってるんだ?」
「だって、い、今のって結局、竜児が、冷静さを失うぐらい、私のことが、す、すす、好きって言ってる、わけよね」
「……お、おう、考えてみると、そう、なるかな」
 二人共真っ赤な顔で、気恥ずかしさから視線をそらす。
 と、大河の顔ににんまりとした笑みが浮かぶ。
「ねえ竜児、いいこと考えたわ」
「おう、何だ?」
「映研部長に頼んで竜児も映画に出させてもらうのよ。主演女優のお願いなんだもの、嫌とは言えないはずよ。
 もちろん私の恋人役で、キスシーンなんかも入れちゃったりして……」


 数年後、結婚式にてこの時の作品が上映されて二人を大いに赤面させるのだが、それはまた別のお話。
343とらドラ!で三題噺 ◆Eby4Hm2ero :2009/07/14(火) 07:32:58 ID:8B2Wj0/C
>>120
>×摩耶
>○麻耶

おう、痛恨のミス……
まとめ収録時に修正していただけるとありがたいです。

344名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/14(火) 07:33:35 ID:iiewidlN
>>342
大河「りゅうじ……」
竜児「大河、きれいだぞ」
大河「今すぐ孕ませて!アンアン」
竜児「いくぞ…大河」

会場にいる人達「まだ式の途中なんですけど……」

ウェディングギシアン
345名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/14(火) 07:56:50 ID:O3yDqnVD
「ねぇ、竜児。最近よく一人で出かけるけど、どうかしたの?」
「別に…。買い物とかいろいろあるからな」
「買い物なら一緒に行くのに、なんで誘ってくれないの?」
「………」
「あんた、最近私に冷たくない?話しかけても気づかないフリする時もあるし…」
「じゃあ正直に言おう。大河…俺、実は他に好きなやつができたんだよ」
「へ?」
「綺麗で思いやりがあって料理もできて、何に関しても万能なんだ。そいつを好きになっちまった…」
「うそでしょ…?」
「正直、料理も掃除もろくにできないお前とこの先一緒に生きていける気がしないんだ、別れよう、大河」
「そんな…ね、嘘でしょ?全然面白くないよ…。今なら忘れてあげるから、今の言葉取り消して。お願い」
「…………」
「竜児ぃ…なんとか言いなさいよ、竜児ぃ!!」

***

がばっ!

「竜児ぃ!!…はぁはぁ…あれ?夢…?」
「ん…どうかしたのか、何か怖い夢でも見たか?」
「あ…う…竜児ぃ…ひぐ…」
「おうっ!? 大丈夫か…?」
「りゅうじぃ…お願い、どこにでも行かないで…捨てないでよぉ…」
「捨てるぅ?何言ってんだ…。少し落ち着け、抱きしめててやるから」
「ふにゅ…」

「落ち着いたか?」
「うん…ごめん」
「いいよ。それより何があったんだ?辛くなかったら話してくれよ」
「あのね、竜児が他の子を好きになって、私から離れようとするの」
「ほう」
「一緒に帰ってもくれないし、買い物も連れてってくれないの。家に帰っても私ほったらかしにして、すぐにどっか出かけるの」
「……」
「それで、問い詰めたら別れよう、って…。そんなのヤだよぉ…竜児ぃ…」
「安心しろよ、俺は絶対別れようなんて言わねぇからさ」
「じゃあ一つ聞いてもいい…?竜児、浮気とかしてないよね?」
「んー…。その前にいくつか質問していいか?」
「何で答えてくれないの…?」
「落ち着け、睨むな睨むな。絶対答えるから、その前に質問だ。大河は朝起きて一番に見る人間は誰だ?」
「竜児」
「そうだな、一緒のベットで寝てるもんな。で、朝飯作って弁当作って手ぇ繋いで一緒に学校行くのは誰だ?」
「竜児」
「大正解。で、同じクラスで勉強して昼飯食って一緒に帰るのは誰だ?」
「竜児」
「ご名答。では一緒に買い物して同じ部屋で喋って夕飯食べるのはどこのどいつだ?」
「竜児」
「ピンポン。じゃあ一緒に風呂入って後は寝るだけだ。この間に浮気ができると思うか?」
「竜児。…じゃなかった、できないよね」
「なぜそこが疑問系なのかは知らんが、普通できねぇな。離れるのはトイレの時くらいだ。トイレで逢引ができるか?」
「できないね」
「臭ぇもんな。普通したくねぇよ。休日はデートとかして、丸一日一緒だ。つまり浮気をする暇がない。その気もないんだよ、大河」
「…りゅうじぃぃぃっ!!」
「よしよし、いい子だな。このまま抱きしめててやるから、もう寝ろ。明日…まぁ厳密に言うと今日だが、遊園地行くんだろ?デートなのに眠いのは御免だぞ」
「うん…うん…ありがと、竜児。ずっと一緒に居てね?」
「離れろって言われても離れる気はねぇよ。じゃあおやすみ、大河」
「うん…お休み、竜児…本当にありがとね、竜児ぃ…」
346名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/14(火) 08:03:58 ID:O3yDqnVD
>>342
うほっ、投下が被らなくてよかったw
このシリーズ大好きだ、いいぞもっとやれ!
347名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/14(火) 09:14:05 ID:t2bfKJAf
全員まとめて(*´Д`)ポワワニヤニヤ
348名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/14(火) 09:39:14 ID:dTXEOi4U
>>330
>「つーまーんーでー♪ おーこーしーてー♪」

ワラタ 大河w

思い起こせば>>227のシリーズも竜児に会うまでおっこらせー!したり
ふと妄想したりするような日常の描写がうまいなあと引き込まれました
タイトルで落とすところも含めて(予想外)、随所随所がとらドラらしい本当に大スキな話です
これからも見返す時があると思いますが、長い間ドキドキさせていただいてありがとうございました。おつかれさまです☆
349名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/14(火) 11:38:17 ID:0ZZxhZ54
>>342
GJ!今日も良かったわぁ

怯える大河もカワイイヨ
350名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/14(火) 13:36:57 ID:Q86rXn6I
「生温い風に室温。生温い床に座布団」
「…何が言いたいんだ、大河?」
「クーラーつけようよ!さては竜児、このまま私を弱らせて食べようなんて思ってるんじゃないでしょうね?」
「…ダメか?」
「…ううん」


ギシギシアンアン


竜虎のバカ妄想に当てられて今日も暑いですね。
地球温暖化も竜虎の仕業なんじゃね?
351名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/14(火) 13:46:37 ID:iiewidlN
>>350
竜児「なあ大河、俺達地球温暖化させてるらしいぜ」
大河「そ、そうなの?じゃあ……資源を無駄遣いしないようにしなきゃね」
竜児「おう」
大河「それじゃ今晩からさっそく温暖化対策するわよ」

竜児「大河……」
大河「りゅうじ……来て」
竜児「あれ?ゴム買ってこなかったのか?予備もきれてる」
大河「何言ってんのよ。資源の無駄遣いしないって決めたでしょ」
竜児「そ、そういえば」
大河「はいそのまま入ってらっしゃい」

ギシギシアンアン


これで竜虎は温暖化対策に貢献しているはず
352名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/14(火) 20:31:54 ID:O3yDqnVD
大河「ち、ちちちんこと貨物列車をかけます」

竜児「その心は?」

大河「どちらもえきをとばします」

竜児「おぉー!」パチパチ


ギシギシアンアン
353名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/14(火) 22:11:31 ID:w20Rj73K
>>352
噴いたwwww
354名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/14(火) 22:47:36 ID:LlzXGuZt
>>348
見返してくれるなんて作者冥利に尽きます、ありがとうございます!

まぁ方向性が違うといつもやり過ぎる訳ですが・・・
355名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/14(火) 22:49:12 ID:LlzXGuZt
>>331続き

◇ ◇ ◇ ◇ ◇


「ったく……大河のやつ……一石二鳥は分かるけど、限度ってものを考えてだなぁ……」
「りゅーーーーーじーーーーーーっ!」

どどどどどどどど、ベチッ!

「うおう!? い、痛い……痛いぞ大河……」
「りゅうじりゅうじっ! わたし怖い!」
「何が怖いんだ? つーか、おまえまだ裸だったのか、俺はシャワー終わったからおまえも入れよ」
「そんな事どうでもいいのっ! ちょっと、ちょっとこっちに来てよ!」

「な、何だよ? っておい! 裸のままリビングに引っ張ってくんじゃねえ!」
「あぁもう、うるさいな! 一大事なんだからそんなのどうでもいいのっ!」
「……何なんだよ……大体、怖いって何の事だ?」

「いいから、これ見て! これ! さっき見付けたの!」
「ああ? またネットかよ……大河も好きだな……どれどれ」




ttp://10e.org/mt2/archives/200907/022330.php
『前立腺の検査に行ったら間違ってパイプカットをされちゃった男性』

「………………………………………………」
356名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/14(火) 22:50:36 ID:LlzXGuZt

「ねぇ……竜児?」
「おっ、おう?」
「明日は……確か……健康診断だったわよね?」
「ああ……そう…………だけど……」

「たいへん! たいへんだわ! 竜児のもちょん切られちゃう!」
「無い無い。さすがにそんな事ねえよ」
「分からないじゃない! この人だって絶対安全って思ってたに違いないわ!」
「それはそうかもしんねえけど、だからってモノを出すわけじゃないし……少し落ち着けって」

「落ち着いてらんないわよっ! 今日が最後のチャンスかも知れないのよ!? こうしちゃらんないわ!」
「おい、大河……まさか………………また?」

「当たり前よおおおぉっ!」
「むっ! 無理だああああぁあぁぁ!」



ギシギシアンアン






「まだまだあああぁぁ!」
「や、止めてくれえぇええええぇ!」



ギシギシアンアン!






「もぅいっちょこおおおおおぉい!」
「た…………たす……け……」



ギシギシアンアン!!!



◇ ◇ ◇ ◇ ◇

反省なんてしない。
357名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/15(水) 00:16:52 ID:m3wf1OV1
>>356
少しはしろwww
358名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/15(水) 01:47:05 ID:EhDFv2yS
>>336
いいねぇ。
とらドラは、アニメも原作も何度泣いたことか・・・
得に、10巻はボロボロ泣いたの思い出すよ。
大河が行ってしまうシーンは、原作もアニメも強い決意を感じられるよね。
GJでした。

341>>
よくお題がでてきますなぁ。すごいです。

>>357
まぁ、なつやし、いいんちゃいますか?
359名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/15(水) 01:51:45 ID:n5QXM9e0
>>338-340
ありがとうございます。
シリアス過ぎたので、今度は軽い感じでこんなものを書きました。



高須竜児は人生最大の危機を迎えていた。

竜児は自分の部屋の真ん中にどかりと座り、己の目の前に置かれた物体を凝視していた。
何度、目を凝らしてもそれは見間違いようがないシロモノ。
間違いであって欲しいと言う願いも虚しく、それはさっきから竜児の部屋に存在し続けていた。
うお〜っと竜児は頭をかきむしった。
こんなものを俺が持っているなんてバレたら・・・それはすなわち自分の身の破滅を意味した。
証拠隠滅を図れば、ちらりと竜児を掠めた誘惑。それが手っ取り早い解決方法だと分かっていながら、竜児はその手段がとれなかった。
MOTTAINAIが信条であくまでも物を大事にする男、それが高須竜児の生き様だからだ。
捨てるわけにはいかねえ、ちくしょう、俺はどうすればいいんだあ!
身もだえしながら、竜児は部屋の中をぐるぐると転げ回った。
それほどまでに竜児を悩ませるブツとは何なのだろうか。それは竜児の部屋の畳の上にちょこんと置かれた薄くて、小さくて白いモノ。
コットン100%素材で構成された布製品。
それは逢坂大河の下着だった。
360名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/15(水) 01:53:07 ID:n5QXM9e0
どうしてこんなことになったのかと言えば、話は半日前に遡る。
晴天に恵まれた日曜のお昼前、竜児は溜まった洗濯物を洗うべく、ベランダの洗濯機の前に立っていた。
ふんふんと鼻歌交じりにご機嫌な竜児。このところ雨続きで洗濯が出来ず、かなり洗い物が出ていたのだ。
それがようやく片付けられて、家事労働のスケジュールが進むと気分が良いのだ。
そんな竜児の表情が曇った。どうしたことかスイッチを押しても洗濯機は微動だにしない。
「おーい、洗濯機ちゃん、寝てないで起きてよ」
ちなみに竜児が飼っているインコの名前はインコちゃん。よって竜児の家の家電製品は全てこの法則により命名されている。
竜児は洗濯機を撫でたり、叩いたり、土下座したりと思いつく限りの手段を講じた。
しかし、それは竜児一家が引っ越して来る前から置きっ放しになっていた洗濯機。
恐らく前の住人の置き土産だろうが、推定年齢15歳と思しき時代物の洗濯機は見事に昇天していたのだ。
「はあ、マジかよ。でも、十分働いてくれたよ、お前は」
ため息をつきながら、竜児は目の前の洗濯機の労をねぎらった。
「うるさい、朝から」
カラカラと窓の開く音に続いて降って来たのは隣家の大河の声だった。
そいつはパジャマのまま今起きましたと言わんばかりの姿で、寝癖付き放題の髪のまま、目をこすり、小さなあくびをした。
「よお、言っとくがなもう昼だぞ」
「誰が決めたのよ」
「見ろ、太陽があんなに高く」
「見えないじゃない」
竜児が指差した空は大河のマンションの壁しか見えなかった。
「くっ」
竜児はがっくりとその場にうずくまった。
「ふああ、どうしたのよ?いったい」
のどの奥まで見えるんじゃないかと言うくらい大きな口を開けて、大河はあくびをしながら竜児に問いかけた。
「手くらい当てろよ。みっともねえ」
「いいじゃない、別に。竜児しかいないんだし」
悪びれた様子もなく、大河は平然と言い切った。
「洗濯機がさ、壊れたみたいなんだ」
「え?ああ、あんたの家の洗濯機、道路工事みたいなすごい音出してたもんね」
それは壊れるわ・・・と大河は付け加え、笑った。
「冗談じゃねえぜ、この天気に洗濯が出来ないなんて」
竜児は空に向かって嘆いて見せた。
「私の家の使ったら」
「いいのかよ。確か大河の家のって、全自動だろ?」
「うん。乾燥もやってくれるよ」
それはなんて素晴らしいんだと竜児は飛び上がる気分だった。
「そうだ、大河の家の洗濯機を借りてる間、お前の家で朝飯、作ってやるよ」
いつもなら、着替えて竜児の家に上がり込んで来る大河を待って、竜児は昼飯、大河は朝兼昼飯を食べるのだが、今日は予定を変更しようと、竜児は思った。
「すぐ、そっちへ行く。何が食べたい?」
「しゃけ」
「了解、待ってろ」
大河のリクエストを聞くと、竜児は洗濯物を籠に仕舞い始めた。

361名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/15(水) 01:54:21 ID:n5QXM9e0
「着替えないのか?」
「いいの、面倒だから」
竜児が大河の家に行くと、驚いたことに大河はパジャマのままだった。
「だらしがない」
さすがに髪にはブラシをあてたらしく、いつものように栗色の髪がふわりと大河の腰の辺りまで伸びていた。
「いいじゃない。日曜日だし、ご飯食べるだけなんだし・・・それに」
「それに・・・何だよ?」
「パジャマのまま食卓に付きたかったの」
「お前、そんなの前にもやってるだろう」
初めて竜児が大河の家に来た朝も、大河はパジャマ姿で竜児が用意した朝食の席に着いたのだった。
「あ、あれは、私ひとりだったし、竜児の家にこのまま行けないし」
不満そうに大河は頬を膨らませた。
「ま、いいか。そんなことより、洗濯機、借りるぞ」
全自動、全自動と意味不明な節回しを付けながら、竜児は勝って知ったる他人の家、大河の家の水回りスペースに向かった。
そんな竜児の後姿にぶつけるように大河は小声でつぶいやいた、竜児のバカ・・・と。
大河のささやかな願いを知ってか知らずか、竜児は念願の逢坂家に鎮座まします、最新式の洗濯機の前で固まっていた。
今まで使っていた二層式洗濯機とは様子が全然異なり、使い方がさっぱり分からないのだ。
「どう、使うんだよ?」
こうか?こうか?ドアを開けたり閉めたり、上から覗き込んでみたりと竜児は傍から見たら滑稽な動きをしていた。
「なあ、大河、これどうやって使うんだよ!」
とうとう音を上げて、竜児は大河に助けを求めた。
「ダメ犬、こんな簡単なことも出来ないの」
廊下をドスドスと足音を立てながらやって来た不機嫌モードの大河は竜児から洗濯籠を奪うと、洗濯物の中身をドラム式洗濯機の中に投げ込んだ。
その時に洗濯物がひとつ籠から床に落ちた。
「げっ!あんた、こんなものも洗うの」
大河が目を丸くして、それを凝視した。
「こんなものとは失礼な。由緒正しき正統派だぞ」
「どこがよ」
竜児が床から拾い上げて、洗濯機に放り込んだ物は竜児の色柄トランクスだった。
362名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/15(水) 01:56:21 ID:n5QXM9e0
「ボタンを押すだけかあ」
操作方法のあまりの簡単さに竜児は拍子抜けした。
脱水は?すすぎは?竜児の矢継ぎ早の質問に大河は何それ?と理解不能な様子を示した。
「ボタンを押すだけ、2時間で終わるわよ」
「へえ、便利になってるんだなあ、世の中」
丸いガラス越しに回転する洗濯層を竜児はうっとりと眺めた。
「そんなことより、朝ごはん」
大河の催促と同時に空腹を訴えるようにお腹が鳴る音がした。
「おう、任せろ」
竜児は腕を折って力瘤を作って見せた。

対面式キッチンの中で自宅から持って来たエプロンをつけて、竜児は手早く食材を調理してゆく。
大河は食卓の椅子に座って、足をブラブラさせながら、そんな竜児の姿をぼんやりと見つめていた。
ずっと最近は竜児の家で食事をすることが日課になり、大河の家で竜児が食事をすることはごく最初の頃に数回あっただけだった。
だから、こんなシーンがすごく今の大河にとって新鮮だった。
「ほら、茶碗」
律儀なことに竜児は自宅から大河専用の茶碗を持って来ていた。
大河が竜児の家に入り浸りになった頃、適当な茶碗を使っていたのだが、それじゃ都合悪いだろうと、竜児が大河と一緒に寄った学校帰りのスーパーで選んで買ってくれた茶碗だった。
大河専用茶碗・・・思えば竜児が大河に買って上げた唯一の物かもしれない。
初めて異性からもらったプレゼントが茶碗だなんてと大河は少し可笑しくなった。
363名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/15(水) 01:57:48 ID:n5QXM9e0
「満足、満足」
大河は満ち足りた朝食を終え、充足感を感じた。
でも、ほんの少し何かが足りない、そう大河は覚えた。
「ごろ寝」
大河ははたと思いついた。
竜児の家では食事の後、すぐごろ寝が出来たのだ。それは畳とちゃぶ台でする食事・・・大河が今まで決して味わったことのない食事スタイル。
食べ終わるとそのまま、バンザイしてすぐ横になれた。一度やってしまうと大河はその余りにもラクチンな姿勢がやめられなくなった。
牛になるぞと竜児に何回言われても、大河はやめるつもりはなかった。
「ごろ寝がどうしたって?」
「聞こえたんならちょうどいいわ。二度寝してくる」
さすがにフローリングの床に寝転ぶ気になれず、大河はついさっきまでいた寝室へ取って返した。
「4時からスーパーのタイムサービスだぞ」
「うん、それまでに起して」
やれやれと竜児は大河を寝室へ見送った。

そのまま大河の家で食器の後片付けをしていた竜児は排水溝の流れの悪さに気が付いた。
パイプ掃除が必要だな。これは。
こと、掃除に関して妥協の知らない竜児は時間のあることをいいことに逢坂家の排水溝掃除を始めてしまった。
何かに取付かれた様に竜児は掃除に没頭していた。
どのくらい経ったのか、どこかで鳴ったチーンという音で竜児は我を取り戻した。そして何気なく時計を見て驚く。
4時じゃねえか!
たっぷり4時間、掃除でトリップ状態になっていた竜児だった。
「大河〜」
大慌ててで大河の寝室に駆け込む竜児は、ベッドの中の眠り姫にクッションをぶつけた。
「いつまで寝てんだ!」
「ん・・・んっ・・・え、4時」
クッションの衝撃で目を覚ました大河はその時間に驚いた。
おかげで大河はとんでもなく長く寝ていたことに注意が行ってしまい、乱暴な竜児の起し方に文句を言うのも忘れていた。
364名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/15(水) 01:58:52 ID:n5QXM9e0
ギリギリで間に合ったスーパーのタイムサービスのおかげで、予定通りの献立を作れて竜児は満足だった。
「ごちそうさま」
お腹を抑えて大河も満足そうだった。
「また、寝るなよ」
「うるさいわね、牛になんかならないから平気よ」
竜児の忠告を無視して大河はどてっと横になった。
「何だか、また眠くなってきちゃった」
「寝るな!」
「じゃあ、テレビ点けて、寝ないで見るから」
「はあ、どんだけだらしないんだよ」
そう言いながらもリモコンでテレビのスイッチを入れてやる竜児。
そのまま腹ばいになって大河はテレビに向き直った。
「ありがと・・・これつまんない、別のチャンネルがいい」
「でえ、自分で変えろ」
竜児はついに切れてリモコンを大河の背中へ放り投げた。

やがて竜児の母が出勤してしまい、いつものようなグダグダ状態のまま大河は竜児の家に居座った。
時計が夜遅くなるのに従って、時々、眠そうに大河があくびをするのを見て、竜児は「そろそろ、帰れよ。明日は学校だぞ」と大河に告げた。
「うん、そうする」
もそもそと大河が起き上がった時、竜児は大声を出した。
「びっくりするじゃない」
「洗濯物、お前の家の洗濯機の中」
「明日、取りに来れば・・・」
「いや、ダメだ。明日使う物がある」
「だったら、取ってくれば、私まだ残ってるから」
戸締りして行くのも面倒でしょと大河に言われて竜児はその言葉に甘えた。
「悪い、すぐ戻って来る」
365名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/15(水) 02:01:09 ID:n5QXM9e0
大河を送り出した後で、竜児は取って来た洗濯物を一枚一枚、たたみ始めた。
これは俺の・・・これは泰子の・・・。
手早く仕分けしながら、竜児の手の動きによどみはない。
その動きが残り数枚となった時、不意にぴたりと止まった。
見慣れない洗濯物が一枚、出現したからだ。
何だ?こりゃ?
竜児は手を伸ばすとその洗濯物を目の前で広げた。
白、一色でワンポイントの付いたそれ・・・くつした・・・違う・・・げっ!!
や、泰子のだよな。
・・・そんなはずはなかった、あきらかにサイズが小さい。
じゃあ、俺の・・・わけないだろ。
もう答えはひとつしかなかった。

大河の・・・かよ

竜児の目の前で純白のそれがたたみの上にぽとりと落ちた。
どこで混ざったんだよ〜!


366名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/15(水) 02:03:13 ID:n5QXM9e0
大河を送り出した後で、竜児は取って来た洗濯物を一枚一枚、たたみ始めた。
これは俺の・・・これは泰子の・・・。
手早く仕分けしながら、竜児の手の動きによどみはない。
その動きが残り数枚となった時、不意にぴたりと止まった。
見慣れない洗濯物が一枚、出現したからだ。
何だ?こりゃ?
竜児は手を伸ばすとその洗濯物を目の前で広げた。
白、一色でワンポイントの付いたそれ・・・くつした・・・違う・・・げっ!!
や、泰子のだよな。
・・・そんなはずはなかった、あきらかにサイズが小さい。
じゃあ、俺の・・・わけないだろ。
もう答えはひとつしかなかった。

大河の・・・かよ

竜児の目の前で純白のそれがたたみの上にぽとりと落ちた。
どこで混ざったんだよ〜!


367名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/15(水) 02:06:53 ID:n5QXM9e0
二重投稿スマソ

続きはそのうち書きますです。
力尽きました。

>358
ありがとうございます。
このラスト直前が一番、見ていて辛かった。
368とらドラ!で三題噺 ◆Eby4Hm2ero :2009/07/15(水) 03:08:04 ID:aGmR7qpm
>>358
>よくお題がでてきますなぁ。すごいです。
いや、お題は『目をつぶってとらドラ!のどれかを開いて指で押さえた場所の単語』というランダム選出ですので。
むしろお題決まってからが悩む悩むw

>>359-367
これはまた続きが楽しみな。
どうするんだ竜児w


さて、珍しくさくさくと書けたんでまた投下します。今回ラブ成分少なめですが。
369とらドラ!で三題噺 ◆Eby4Hm2ero :2009/07/15(水) 03:09:52 ID:aGmR7qpm
お題 「メシ」「マカロン」「お金」



「大河、悪いが明日から一緒には帰れねえ。こうやってメシを食うのも無しだ」
「そう……あんたは私よりお金を取るのね」
「そうじゃねえ。そうじゃねえが、それも要因の一つであることは認める」
「まあ、仕方ないわよね。でもその前に一つだけ聞かせて……
 竜児のクラスの展示は何をするの?」
「おう、うちは喫茶店だ。それもコスプレで客寄せするようなイロモノじゃなくて、味で勝負する本格的なやつな」
「でも、それだと地味じゃない?」
「その辺にぬかりはねえよ。広報班が学校中で試食用のマカロンを配る計画だ。
 今年の文化祭は二日間開催だから、口コミの効果は去年以上に期待できるしな」
「料理とかお菓子とか、作るのが竜児だけだと大変じゃない?」
「焼き菓子やケーキのスポンジはある程度作り置きができるし、軽食やデコレーションとかは明日から調理班に特訓してもらう予定だ。
 調理室の使用許可も取れたから、設備もスペースも問題なしだぜ」
「調理室って……よくそこまでできたわね?」
「サンプルにケーキ焼いて先生の所に持っていって、『こういったものを出すつもりです』って言ったら意外にあっさりとOKでな。
 ところで大河のクラスはどうなんだ?」
「……秘密」
「何!?」
「ふ、甘いわね竜児。情報を制する者が世界を制す。戦いは既に始まっているのよ!
 恋人だからと油断してあんたがだだ漏れにした情報……うちのクラスの優勝のために有効に活用させてもらうわ」
「糞、負けねえ、負けねえぞ。今年もかのう屋の割引券は俺の物だ!」
「……それを最大の目的にしてるのはあんただけだと思うわ、多分」

「ところでだな、大河。そういうわけだから弁当のメニューのリクエストがあったら昼休みにでも言ってくれ」
「わかったわ。とりあえず明日は……そうね、なんかデザートもお願い」
「おう、ちょうどいいから喫茶店用の試作品を入れとくな。よかったら感想くれよ」
370名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/15(水) 03:14:22 ID:TpVWylfm
ほう、白か…
371名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/15(水) 04:14:12 ID:TpVWylfm
寝落ちした!?
372あんたなんかに ◆fDszcniTtk :2009/07/15(水) 06:30:43 ID:vJwVWvvT
>>366
ワンポイントなんだな。ワンポイントなんだな。
373名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/15(水) 06:32:04 ID:vJwVWvvT
あーっ!
名前欄消すの忘れてた orz
374名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/15(水) 06:35:48 ID:4wSJ6QdG
www
375名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/15(水) 06:53:44 ID:LLdoYqch
>>372
萌えた
376名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/15(水) 07:05:36 ID:eZ+60Y5z
>>372
IDに盛大に笑われてるな
377名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/15(水) 08:41:10 ID:sLUh+Jl7
>>372
本名で別板で書いてる俺に比べたら大したことではない
378名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/15(水) 09:29:59 ID:TpVWylfm
竜児ならショーツぐらい自作しそうだ!
379名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/15(水) 12:16:29 ID:WQbVR8eS
>>372見た後に
>>366見て盛大に吹いたwww
380名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/15(水) 13:05:01 ID:96oiS/0s
久し振りに小ネタを幾つか。
何か見たことあるネタもあるけど気にしない。



【自然の摂理】

大河「竜児ぃ、イチゴ牛乳買ってこーい」
竜児「それぐらい自分で行けよ、横着者」
大河「ちっ、じゃあジャンケンしましょ。これなら公平だしあんたも文句ないでしょ?」
竜児「別に俺は喉が渇いてるわけじゃないから行ってもらう必要もないんだが……まぁ、良いか」

竜児&大河「「最初はグ〜……ジャンケン、ポン!」」


竜児「おっし、俺の勝ちだな」
大河「だーっ、もぉ! あんた如きに負けるとは癪だわ。まぁ、仕方ないわね、はい、二人分のお金」
竜児「おうっ」
大河「イチゴ牛乳よろしくぅ。あんたも好きなもの買ってきなさい」
竜児「そうだな……、無難にコーヒーで良いか。じゃあ行って来る」


竜児「ほらよ」
大河「投げて渡すな!」
竜児「そこまでドジじゃないだろ……。でさ……」
大河「あによ?」
竜児「何で俺が買いに行ってんだ?」
大河「地球が周ってることに対する疑問と同意義よ、それ」チュー


【指きりげんまん】

大河「良い!? 約束破ったらどうなるか判ってんでしょうねぇ〜?」
亜美「ひつこい、ちびとら。そこまで何度も確認されると破りたくなるっつ〜の」
大河「そ〜いうこと言うから何度も確認するんだ! あったまきた、こうなったら……」
亜美「ちょっと、何させる気よ? どうせあんたのことだから誓約書に判を押させるだとか、約束したことを携帯にでも録音――」
大河「指切りげんまんしろっ!」
亜美「……はぁ?」
大河「はぁ?って、まさか、 あんたその年にもなって指切りげんまん知らないの? とんでもない無知ね……」
亜美「……勿論知ってるわよ」
大河「じゃあ、やんなさいよ、ほら」
亜美「…………」

亜美&大河「「ゆびきりげんまん、うそついたらはりせんぼんの〜ます! ゆびきったぁ!」」

大河「破ったら針千本だ! 絶対だかんね!?」タッタッタ
亜美「…………だからちびとらは苦手なのよ……、好きになれないけど、完全に嫌いにもなれないから」
381名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/15(水) 13:05:52 ID:96oiS/0s
【ツーリング】

大河「バイク乗ってみたいなぁ」
竜児「突然なんだ」
大河「だってさぁ気持ち良さそうじゃん、びゅーんってスピード出したら」
竜児「これまたとんでもなく危ない発想だな。スピード制限は守れよ」
大河「それにさぁ、色んなところに行って、色んな場所を見て、色んな人に出会うのって面白そうだし」
竜児「確かにそうかもな……」
大河「ねぇねぇ、ツーリングしよ、ツーリング!」
竜児「おうっ……これまた無茶難題を寄越したもんだ……」
大河「良いじゃん! 行きたい!」
竜児「まず第壱に免許を取らなければならない。第弐に免許を取りにいく時間が無い。第参に免許を取るにもバイクを買うにも金が掛かる」
大河「第壱は一夜漬けで勉強すれば十分。第弐は学校をサボればクリア。第参は余裕があるからクリア。よしっ! そうと決まれば……」
竜児「全然クリアしてない! お前なぁ、もうちょっと考えてから行動しろよな……」
大河「あ〜、もう! ツーリングしたい〜、色んなところ行きたい〜!!」
竜児「駄々をこねるな! ったく、仕方ねぇなぁ……」


大河「僕らの自由を〜♪ 僕らの青春を〜♪ 大げさに言うのならば〜きっとそういう事なんだろう〜♪」
竜児「自転車だって立派なツーリングだと言ったら、文句垂れてた癖に現金な奴だな……。まぁ、遠出はしていないけど」
大河「竜児ぃ〜、もっとスピード出せ〜!」
竜児「はいはい、振り落とされても文句言うなよ! おら〜!」
大河「ひゃ〜!」


竜児「ブレーキが効かねぇ〜〜!!!」
大河「ひゃ〜〜〜!!!!」


【ジレンマ】

亜美「あんた達見てるとさぁ、『ヤマアラシのジレンマ』って言葉がピッタリかも」
大河「……なんだ、それ?」
竜児「『自己の自立』と『相手との一体感』、このふたつを満たしたいけど満たせないこと、だっけか?」
亜美「そうそう」
大河「『自己の自立』は認めるけど、こいつと『一体感』を得たいわけがないっ!」
亜美「そ〜お〜? ふたりとも、『何か』を共有して、『何か』を得ようとしてるんじゃな〜い?」
大河「な、な、何を根拠に言ってる!」
竜児「…………」
亜美「大体これって悪い意味だけじゃくて、良い意味では『紆余曲折の末、両者にとってちょうど良い距離に気付く』ってことでもあるわけ。
   驚くほどピッタリね。まっ、そんな風にぬるま湯に浸かってるから、お湯の温度が上がってることにも気付かずに大火傷するわけだけど」
竜児「またそれか、その言い回し好きだな……」
亜美「べっつにぃ。忠告よ、忠告」
大河「…………」
亜美「あら、沈黙するってことは、ちびとらには思い当たる節があるのかしら?」
竜児「川嶋、あんまり大河を刺激するな」
亜美「言っとくけど、これはふたりに対しての忠告よ……。本当に」

大河「……ねぇ、ばかちー」
亜美「なによ?」
大河「『山嵐』でどっからそんな言葉が生まれたわけ? 投げる側と投げられる側ってそういう気持ちが生まれるの?」
亜美「だぁ! 人が折角良いこと言ったのに、そこ考えてたのかよっ!? しかも全然ちげーしっ!」
竜児「……責任持って、最初から教えてやれよ」
382名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/15(水) 13:06:44 ID:96oiS/0s
【失態】

大河「りゅーじぃ、りゅーじぃ!」
竜児「おうっ、どうした、泣いたりなんかして!? なんかあったか!?」


大河「今日のわんこ、見逃したぁ!」
竜児「……明日から録画しといてやるよ……」


【ラッキースケヴェ】

大河「さてと……、そろそろ帰るわ」
竜児「おうっ。って、言おう言おうとしてたことがある」
大河「もう帰るって時になによ?」
竜児「帰る時だから言うんだよ。ベランダから窓にジャンプ帰宅するの禁止だ」
大河「はぁ? 何で?」
竜児「危ないからに決まってるだろ、いつか落ちるんじゃないかと冷や冷やしてんだ」
大河「そんなドジするわけないでしょ」
竜児「今まで歩んできた自分の人生を振り返れ、愚か者。とにかく禁止!」
大河「やっだっ! 楽だもん」
竜児「お・ま・え・なぁ〜……!」
大河「んじゃ、帰るわよ」
竜児「だぁ〜、待て、止めろ! だからな……あ〜……、そうそう! そうやってジャンプ帰りするとある1点問題があることにお前は気付いていない!」
大河「ひつこいわね、何よ?」
竜児「その、なんだ……。お前、たまにスカート短いの履いてるだろ、今みたいに。でだ、その格好でジャンプすると、ほら、なんだ……下着が……。
   ……あっはっは! どうだ嫌だろう? 俺なんかに下着を見ら―――」
大河「あっそっ」ピョーン
竜児「…………」


大河「ねぇねぇ、見えた? 何色だった? 顔赤くしてないで教えなさいよ」
竜児「っるさい! 寝ろ、さっさと寝ろ! 馬鹿! ってか、お前も顔を赤くするぐらいならするな!」
383名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/15(水) 13:07:44 ID:96oiS/0s
【だび☆すた】

大河「なにこのゲーム?」
竜児「ああ、シミュレーションだ。馬のな」
大河「しみゅれーしょん?」
竜児「つまりは、経営……か? あと育成もあるか」
大河「馬の?」
竜児「馬の」
大河「面白そう、これ貸して」
竜児「別に構わんが……、お前がどうこうではなく、興味がなければまったく詰まらないと思うんだが……」

数日後

竜児「そう言えば、前貸したゲーム、どうだ?」
大河「ああ、あれ? 順調よ、順調。どんどんお金も貯まっていってるわよ」
竜児「おう、お前が続けて遊んだことにも驚いたが、ちゃんと上手くやれてるってことにもビックリだ。しかし、知識がないのに良く遊べたな」
大河「失礼ね、馬券ぐらい知ってるわよ。いやぁ〜、最初の頃は全然当たんなかったけど、最近は勘が働くのか、万馬券もがっつりヒットよ」
竜児「お前、それ本来の遊び方と違う! 」


【結構困るんですよ、実際】

大河「究極の選択!」
竜児「おうっ!」
大河「あなたはビデオで録画をしようとしています……、3倍で録れば6時間ほどの録画が可能、しかしそれではテープが直ぐ駄目になる……」
竜児「…………」
大河「ならば標準で録ろうとする、けれど今度は2時間しか録画が出来ない……」
竜児「…………」
大河「さぁ、貴方ならどうする!?」


竜児「俺には……俺には……選べない……!」
大河「ごめん、竜児。そこまで悩むとは思わなかった……、ってか泣かないでよ、ほら、もうビデオの生産は中止されるんだし」

384名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/15(水) 13:10:01 ID:96oiS/0s
【孔明の罠】

竜児「ああ〜、インコちゃんどこいったんだ!?」
北村「おお、高須。どうしたんだ、そんなに慌てて?」
竜児「おうっ、北村! お前、インコちゃん見なかったか?」
北村「いや、見ていないが……。もしかして逃げたのか?」
竜児「ああ。どうやったのかは判らんが籠の扉が開いた状態で、既にインコちゃんがいなかった……」
北村「ふむ、親友が困っているんだ、ここは俺がなんとかしてみよう」
竜児「すまん、北村……」


竜児「……で、あれは何だ?」
北村「何って……罠だろう、どう見ても」
竜児「このご時世、大きな籠に、点々と散らばる米粒の罠はないだろう……」
北村「初心忘れるべからず、だ。まぁ見ていろ、直ぐに結果が―――」

ピリリリ! ピリリリ!

北村「むっ、携帯に反応! 罠が作動したぞ!」
竜児「なんでそこだけハイテクなんだよ……大体、初心はどこ行ったんだよ……」
北村「どれどれ、中身は……っと」


大河「くそっ、何だコレは!? 何なんだ、一体!?」
竜児「……お前は食べ物だったら何でも有りなのか……?」


【やっぱ気持ちでしょ】

大河「ねぇ、竜児。これ、なに?」
竜児「おうっ!? お前勝手に人の部屋漁るなよな……」
大河「もしかしてみのりんへのプレゼント……?」
竜児「いや、ちが……って全然違うってわけじゃないんだが……その……」
大河「……まぁ、別に良いけどさ、もうちょっとみのりんらしいの選んだ方が良かったんじゃない?」
竜児「げっ!? もしかしてセンス悪かったりするわけか?」
大河「別にこういうのは気持ちの問題でしょ。センスの良し悪しじゃあないわ」
竜児「いやいや、そうは言うが気になる! って言うか突っ込んできたのはお前じゃねぇか……。
   まぁ、そんなことは置いといて……大河、お前はどう思う!?」
大河「……じゃあはっきり言うわ、ダサイッ!」
竜児「おうっ!? やっぱりか……だぁ〜! しくったぁ〜!」
大河「……大体こういうの買うなら私に相談ぐらいしなさいよ、そしたらもう少しマシなやつ選んだわよ」
竜児「いや、お前が選んじゃ意味ないだろ」
大河「はぁ!? 何でよ!?」

竜児「それお前へのプレゼントなんだから」

大河「…………えっ?」
竜児「お前、来週誕生日だろ、驚かそうと思ってたんだがなぁ……。しかし、センス悪いかぁ〜! まさか?もしや?と思ってたが……。
   ああ〜もう、こんなことなら泰子に頼めば良かった……、完全俺のミスだ……、すまん、大河。それ交換――――」
大河「竜児!!」
竜児「おうっ!?」

大河「…………一生大切にする」
竜児「…………おう」



以上。
他の人でラヴ要素分は十分なので基本的にギャグ分に走ってしまう。
385名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/15(水) 13:32:33 ID:TpVWylfm
【体感温度】

生徒А「暑いなしかし」
生徒Б「なんか最高33℃になりそうだって」
生徒А「マジかよ!?ああ学校行くまでがだりぃ」

竜児「今日はいい天気だな」
大河「そうね。カラッとしてて涼しいし」
竜児「過ごしやすくて何よりだ」

生徒А「………」
生徒Б「…なんであの二人は平気なんだ?」
生徒А「あの二人の放つ熱に比べたら今日の暑さなど大したことではないのだろうか」
生徒Б「信じられないが実物を目の当たりにするとなあ」
生徒А「おそるべしバカップル…」
386名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/15(水) 14:19:48 ID:n+xPv5sC
生徒А「暑いなしかし」
生徒Б「なんか最高33℃になりそうだって」
生徒А「マジかよ!?ああ学校行くまでがだりぃ」
生徒Б「教室入ったらたぶん40℃超えるぜ」
生徒А「そうだな…」



生徒Б「…暑いなぁ」
生徒А「…そうだなぁ…」


新ジャンル: 竜虎なし
387名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/15(水) 15:45:40 ID:eZ+60Y5z
>>380−386
GJだ…
388名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/15(水) 15:56:28 ID:eZ+60Y5z
アンカーできてないし…。
避難所より入電


◆eaLbsriOas@避難所です

>>384
おかえりなさい。待ってました! GJ!


>>372が不意にパンツ祭りを始めたと聞いて、本スレ代理投稿用に書いてみたら、
どうにも微妙に本スレにはあげられないシロモノになった気がする、そんな夏。

微エロ注意、読みたいひとは新避難所へ。大丈夫かもしれないけど自粛する。あと、
親父、先に涅槃に行く。タイトルは「洗濯こわいの」
389名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/15(水) 16:08:52 ID:TpVWylfm
>>387
英数字記号は半角が基本だぜ
390 ◆Tw0dVfiTgMyj :2009/07/15(水) 16:10:52 ID:tg7fvdzx BE:1541420249-2BP(1501)
皆さんの作品を読んで毎日刺激を受けてる『もしも大河がおとなし〜』です。
時間が出来ましたので8レス分貼ります、宜しくお願いします。
391 ◆Tw0dVfiTgMyj :2009/07/15(水) 16:12:20 ID:tg7fvdzx BE:513806562-2BP(1501)
3時は遅すぎたかな。

現在2時15分
お気に入りの服に着替えたし、入念に髪も解いた、準備はバッチリ。
でも普段着の方が良いかな?でもなぁ、お母さんに会うかもしれないし。
う〜ん… やっぱり初めてなんだからキチッとしてた方が良いよね。

まだかなぁ、張り切って早く用意しちゃったな。
でも楽しみだ、お母さん居るかな?あと昨日聞いたペットのインコちゃん、可愛いんだろうなぁ。

+×+
「泰子!泰子、起きてるか!」

「どうしたの?リュウちゃん。帰って来たら『ただいま』だよ」

「起きててくれたか、今から話す事をしっかり聞いてくれ」

ジャージでも良いからとにかく露出の少ない格好をして、大人しくしてる様に伝えた。

「なんで?」

「友達が遊びに来る」

簡潔に要件を伝え、作業に取り掛かる。
時刻は1時を過ぎたくらい、ケーキを焼く時間はあるそして焼きに入ったら片付けだ。

「リュウちゃん。やっちゃんも手伝おうか」

「あぁ、助かる。ええと、埃を上げるのはマズイから。テーブルを吹いて、玄関を流してくれ」

「ハイ、了解!」

+×+
2時50分か、もう行っても良いかな。
でも緊張するなぁ。お弁当箱も持ったし、お土産も持った。
良し!行こう。
392 ◆Tw0dVfiTgMyj :2009/07/15(水) 16:14:43 ID:tg7fvdzx BE:1926774959-2BP(1501)
+×+
何とか間に合った。
片付けも終わったし、お茶の準備OK。
あとは逢坂が来るのを待つだけ。

表で待ってた方が良いか、でもあからさま過ぎるな。

「ねぇリュウちゃん。ちょっとは落ち着いたら」

「オォ!?そうだな、落ち着かないとな」

「でも誰が来るの?」

「新しくできた友達だ」

トン!トン!『ごめんください』

来た!ついに逢坂が家に来た。

「女の子だったんだ!」
「あぁ、まぁな。出迎えて来る」

玄関で迎えた逢坂はそれは可愛いらしかった。
首周りとボタンラインに控えめに装飾されたレイヤードフリルのブラウス、
膝上丈のスカートも清楚な雰囲気で良い。
この家に迎えるには不釣り合いな客だな、まるで良家のお嬢様だ

でも、こんな日が来るなんてな。
俺は誰に対してか分からないが、とにかく『ありがとう』と感謝の意を述べたい。

「おじゃまします」

遂にこの日が来た、憧れの高須家を訪問する日が。
インコちゃんに会える、お母さんは居るのかな?。
ドキドキだ。
393 ◆Tw0dVfiTgMyj :2009/07/15(水) 16:16:40 ID:tg7fvdzx BE:642258353-2BP(1501)
「狭い家だけど、ゆっくりしていってくれ」

「ハイ」

「泰子、クラスメイトの逢坂大河さんだ」

お母さんだ!
「初めまぁアァァ!?」

「なに!リュウちゃん!この可愛い子!!」
「リュウちゃんの彼女?」

突然、飛びつかれた。
顔に胸をグリグリ当てられて息ができな…

「違う!それに離れろ!」

高須君が無理やり剥がしてくれて、やっと息ができた。
凄い胸だ。これぞまさしくボイン!おなじ人間の物とは思えない…

「名前はなんて言うの?」

「お前、ちょっとは人の話しを聞け!それに落ち着け!」

最悪だ。心配した通りになってゆく、頼むから大人しくしてくれ、泰子。

「初めまして、逢坂大河です」

「大河ちゃんかぁ」
「リュウちゃんのお母さんのやっちゃんで〜す。『やっちゃん』って呼んでね」

本物だ!想像してたのより可愛い感じだ。
高須君のお母さんなんだから30歳は超えてるんだよね、童顔だからかな。
でも、どうしても胸に目がいっちゃうなぁ、羨ましい。

「ギュエェィー」

「おぉゴメンねぇ、インコちゃん。逢坂に紹介しないとなぁ」
「これが我が家のインコちゃんだ」

うわぁ〜 すごい… 半開きの目でヨダレ垂れながらこっち見てる。
インコって近くで見たことないけど、こんな見た目だったかな?。
高須君は赤ちゃん言葉になってるし、凄く可愛いって言ってたしな。
私の素直な感想は言えないよね。

「すごくかわいいね」
ちゃんといつもの通りに言えたかな、動揺したのバレてないよね。

「だろう!インコちゃんは大切な家族なんだ」
「グェエィ」

良かった、高須君は気づいてないみたい。
394 ◆Tw0dVfiTgMyj :2009/07/15(水) 16:19:08 ID:tg7fvdzx BE:899162137-2BP(1501)
面白くない!せっかく逢坂が我が家に来たのにまったく話が出来ない。

泰子がすっかり気に入ってしまい離さない。
お前は一人息子の将来を決める大事な日かもしれないのに、何て事してくれるんだ。
もうちょっと、思春期の息子に気を使え!

「そうなんだ、大河ちゃんの家は近所なんだ」

お母さんと話すのは楽しいんだけど、さっきからちっとも高須君が話しに加わってこない。
話しかけても『あぁ』とか『そうだな』だけだし、今日はもう帰った方が良いかな。

「私、そろそろ帰ります」

「えぇぇ〜 大河ちゃんもう帰っちゃうのぉ? …そうだ!夕飯、食べていきなよ」

「オイ!泰子。いきなり言われても家の都合があるだろ」

凄く魅力的なお誘いだけどなぁ。
お母さんはノリノリだけど高須君はあんまり乗り気じゃないみたいだし。
でも高須君が作る夕飯も食べてみたいなぁ。

「あの、本当に良いんですか?」

「うん、全然大丈夫だよ〜 ねぇ、リュウちゃん」

「オォ!逢坂さえ良ければ全然問題ない、でも家の方は大丈夫なのか?」

「うん、大丈夫」

本当のこと言おうかな、高須君も家の事心配してくれてるし。
とりあえず、安心してもらえる様に少しだけ話そう。

「高須君、あの私…」

「どうした、やっぱり都合が悪いのか」

「そうじゃなくて、私は一人で暮らしてるから…」

「えぇぇ!大河ちゃん一人暮らしなの」

「…はい。実家を出て、今は一人で住んでます」

逢坂は一人暮らしだったのか。
どうりで昼飯はいつもコンビニのパンか弁当、昨日の帰りも料理は苦手だからって弁当買ってたしな。
てっきり親が共働きとかそんな理由かと思ってた、だから弁当もあんなに喜んでくれたのか。

よし!俺の料理で喜んでくれるなら張り切って作ろう。

「じゃあ、逢坂の為に美味しい晩飯を作るからな。」
「俺は料理にはちょっと自信があるんだ、楽しみ待っててくれ」

「ありがとう」
395 ◆Tw0dVfiTgMyj :2009/07/15(水) 16:21:07 ID:tg7fvdzx BE:513806843-2BP(1501)
高須君が料理をしてる間、お母さんと話してたけど一人暮らしの理由は聞いてこない。
やっぱり、大人なんだな。
きっと事情を察してくれたんだ、嬉しいけど後ろめたくもあるなぁ。

+×+×+

三人で食べるご飯はすごく美味しかった。
高須君の料理が美味しいの当然だけど、やっぱり雰囲気が良かった。
一人で食べるご飯とはやっぱり違うなぁ。

食事を終えて高須君が入れてくれたお茶を飲む、窓を見ると暗い私の部屋が見えた。
この時間も終わりか、外も暗くなったしあの家に帰らないといけないのか。
本当に楽しい時間はアッという間は過ぎるんだなぁ、帰りたくはないけど帰らなくちゃあの家に……あの家に?家?…家に帰らないといけないんだ!!

「大河ちゃん、明日も来なよ。何か予定ある?」
「…いいえ、別に用事はありません」

ありがとう泰子、これで逢坂と明日も逢える。
でも逢坂は優しいからな、泰子のペースに呑まれるだけかもしれないから一言尋ねたほうが良いよな。

「本当に用事はないのか?無理しなくても良いだぞ」

「大丈夫、本当に明日は何もないから」

「じゃあ、決定!大河ちゃん待ってるからね!」
「ハイ…」

「じゃあ、竜ちゃん。もう暗くなったから大河ちゃんを送って行ってね!」

やっぱり、そうなるよね…… 私はどうすれば良いだろ。
送ってもらったら1分で着いちゃうよぉ!!

+×+
396 ◆Tw0dVfiTgMyj :2009/07/15(水) 16:23:09 ID:tg7fvdzx BE:1541420249-2BP(1501)
いつもだったら楽しい会話ができる筈の高須君と2人の時間。
でも今は『あっち』『こっち』としか言えない。

高須君の家を出て宛ても無く歩いて10分は経つ、私はどうしら良いんだろ…

「ここはどっちに曲がれば良いんだ?」

「…こっちです」

家を出てから逢坂は全く元気がない、俺は何かしたのかな… それとも俺が何かすると思われてるのか?
確かに1人暮らしの女の子が自宅を知られるのは心配になるよな、家の近くまで行ったら帰るとするか。
それなら逢坂も安心するだろ。

「逢坂、近くになったら言ってくれ」
「その… 逢坂は1人暮らしだから俺に家の場所が分かると嫌というか… 
心配だろうし、もちろん中に入ったりする気は全くないからな」

「…違うの」

「何が違うんだ?」

「………」

遂に立ち止まって俯いてしまったか。

「どうした?逢坂」

出来るだけ優しく尋ねるが逢坂は俯いたままだ、一体どうしたんだろうか。
俯く逢坂の姿を見てると庇護欲が湧いてくる、そう肩の一つも支えたくなる。

「逢坂、大丈夫か?」

そう言って出来るだけ優しく肩に手を乗せるとビクッとしたが嫌な素振りは見えない。
初めて触れた、俺は逢坂を肌で感じてみたかった。
でも肩に乗せた手が微かにリズムを刻む、泣いてるのか?
悪いと思いつつ顔を覗くと涙は流れていない、でも悲しげな表情をしてる。
そんな顔をされたら俺は…

「ウチの大河に何する気じやあぁ!!」

「えっ?!すっスミマセン!」

突然の声に手を離して振り向き、頭を下げた。『家の大河』って、もしかして親なのか?
平身低頭の体で首だけを僅かに動かして確認する、制服?
397 ◆Tw0dVfiTgMyj :2009/07/15(水) 16:25:17 ID:tg7fvdzx BE:513806843-2BP(1501)
「なぁ〜にやってんの?お二人さん!」
「櫛枝!」「みのりん…」

何だ櫛枝かよ、びっくりして変な汗が出たぞ。
でもそんな正直な感想を口に出したら2人に誤解されるな、ここは平静を装って。

「こんな道端で何してたのかなぁ〜」

「何もしてない。それより櫛枝は何してるんだ?」

「バイトの帰りだよ、家はこの近所だし。いやぁ〜何か、ごめんね!」

イタズラっぽく微笑みながら近づいて来る『ダメだよ、こんな所で』すれ違い様に呟いて行った。
誤解してるぞ!櫛枝、まだ何もしてない。

「どうしたの大河、そんな顔して。怖かったの?」

「あの、櫛枝?」

神様がくれたチャンスなのかな?みのりんが助けてくれるのかな?もしかしてみのりんが神様なのかな?

コソコソ「みのりん、ちょっと向こうに」

「どうしたの大河、そんな小声で。もしかして本当に怖かったの?」

「お願い!早く」

逢坂は櫛枝を引っ張って離れてく、もしかして本当に身の危険を感じていたのか?
俺はそんなつもりなかったのに…

「えぇ〜ぇっ?!」

「みのりん!声が大きい」

凄い驚いてるな櫛枝、何を話してるんだろか?
もしかして『高須君に肩を捕まれて、わたし本当に怖かったの』とか言われてないよな。

「大丈夫だって!私に任せて」
「高須くーん」

「…なんだ」

「隣だよ、大河の家は」
「みのりん!!」

「へぇ、この一軒家が逢坂の家か。立派な家だな」

「違うよ!その隣じゃなくて!『高須君の家』の隣に大河は住んでるの!」

「ハァッ?」

「…分かんない人だなあ、高須君も。だから高須家の隣にマンションがあるでしょ!」

「あぁ、あるな」

「そこが大河の家!」

「…本当なのか?逢坂」
398 ◆Tw0dVfiTgMyj :2009/07/15(水) 16:28:07 ID:tg7fvdzx BE:1156065539-2BP(1501)
バレちゃった… みのりんは神様じゃなかったの?助けに来てくれたんじゃないの?もぅ〜!!

でも正直に話すしかないか、話したら高須君は怒るだろうな。
やっとお友達になれて側に行けたのに、馬鹿な事したな私。

「ごめんなさい、高須君。本当なんです、私は隣のマンションに住んでます」

「何で言ってくれなかっだ〜 恥ずかしかったのか?」
「泰子か!泰子があんなだから言い辛かったのか?」

必死でごまかしてるな高須君、本心じゃないことばかり言って。
あれだけ大河のことを話したのに、心配する事なんかないのになあ。
大河の態度を見てたら分かると思うだけどねぇ、高須君もあれだな。

「恥ずかしくて言えなかったんだよね!大河」

「…うん」

よかった〜。もし『知られたくなかった』とか言われたら立ち直れなかったぞ。

「なんだ恥ずかしかったのか!言ってくれよーって言えなかったのか!」ハハハハ

よかったぁ〜。高須君は怒ってないみたい、でも何か変。
偶にあるんだよね、高須君を理解できない時って。

「大河」ボソボソ

「なに、みのりん」

「高須君と仲良くなった大河に、良いこと教えてあげるよ」

「なに!良いことって何を教えてくれるの!」

「鈍いよ、高須君は」

「??…どうゆうこと?」

「…まあ今は解らなくても良いから、覚えておいて損はないよ!」

「…わかった、覚えておく」

「それじゃ、私は帰るから」

「ありがとな、櫛枝」
「ありがとう、みのりん」

「仲良くするんだよ、二人とも!」
399 ◆Tw0dVfiTgMyj :2009/07/15(水) 16:31:07 ID:tg7fvdzx BE:599441827-2BP(1501)
みのりんはやっぱり神様だったんだ、私を助けてくれた。
今度からキチンとあがめなくちゃ、そうだなぁ… 『神りん!』ちがうなぁ、友達に神って付けたら変だよね。
『ゴッド・みのりん!』長いかぁ、略して『ゴミりん!』うわっ?!嘘です、嘘!ごめんなさい。

でもすごいな、困ってたことを簡単に解決してくれた、ありがとう!みのりん。
ここは感謝の気持ちと高須君に本当の事が言えた記念に拝んどこ。

櫛枝にはまた助けられたな、この借りは必ずいつか返すから。
しかし立ち去る櫛枝の後ろ姿に逢坂は手を合わせて拝んでいる、いったい何だろうか?

「帰ろうか、逢坂」

「うん!」

それからの逢坂は憑き物が取れたみたいにニコニコ笑ってくれる、やっぱり笑顔の逢坂は可愛い。

「でもMOTTAINAIない事したな、逢坂が隣に住んでるならもうちょっと早く知り合いたかったな」

「ありがとう! …私も高須君と仲良くなりたかったの」

ダメだぞ!逢坂、こんな暗い夜道でそんなこと言ったら。歌にも有ったろ『男は狼なのよ、気をつけなさい』って。
俺は健康な男子なんだ、保証はできないぞ。

「どうしたの?」

「えっ?!いやっ!俺は何もしないぞ!」

「なにが?」

やっぱり高須君が何を考えてるか解らない、でも私に秘密はもう無い。
だからこれはもっと高須君のこと理解できるし、私のことも知ってもらえる。
1年前はこんなこと想像もできなかった、ありがとう高須君。

「ここだったんだな、逢坂の家」

「うん、ごめんなさい」

「いや謝らなくでくれ、別に気にしてないから」
「それに逢坂がこんなに近くに居て、俺は嬉しいから」

「私も高須君の近くに居れて、すっごく嬉しいよ!」

だから、ダメだぞ!逢坂。一人暮らしの女の子が可愛いらしい笑顔でそんなこと言ったら、それも自宅の前で。歌にも有った《以下略》

「どうしたの?」

「いやっ?!「「俺は何もしないぞ!」」えっ?!」

「やったー!!高須君が言おうとしたことが分かった!」

ハシャぐ逢坂を見て、三白眼な俺でも目尻が下がった気がする。これは好きならないのは無理だろ。
でも意味は解って言ってるのだろうか?

「明日は何時頃に来れるんだ?」

「何時でも大丈夫だよ」

「それなら12時にしよう。昼には泰子も起きるから一緒に昼飯にしよう」
400名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/15(水) 17:37:09 ID:tg7fvdzx
9レス分でしたね、失礼しました。
今日は予告+本文=10レス投下でさるっちゃいました、参考になればと。

感想を書いてくれた方々ありがとうございます、大変嬉しく思っています。また時間が空いたら貼ります。

では皆さんありがとうございました。
401名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/15(水) 17:45:20 ID:5EgzV50a
はいおつかれさん
402名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/15(水) 18:14:41 ID:D5BpCV8T
乙!段々とお互いの気持ちが盛り上がってきてるねーいいねー
403名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/15(水) 18:59:07 ID:LLdoYqch
いいねえいいねえGJだねえ
404名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/15(水) 19:27:18 ID:vJwVWvvT
>>372
作品投稿時より好評でメゲタ。なんたるドジっ子 > 俺

おまけにIDにまで笑われる始末 orz
405 ◆QHsKY7H.TY :2009/07/15(水) 19:49:37 ID:uzSDm19O
>>399
おとなし大河wktk。

>>265-266
ありがとう、その為にあの手紙を用意したのです。
書いてる方もヒックヒック。

>>404
どんとまいんど。

では続き。
406【逢坂大河〜Remember竜児〜】 ◆QHsKY7H.TY :2009/07/15(水) 19:51:28 ID:uzSDm19O
「……はい」
電話を取る。
『あ、大河?どう?何か思い出せた?今バイトの休憩時間なんだ』
「……えっと」
言葉に詰まる。
今彼女相手に出てくる言葉など、雀の涙程度しか思いつかない。
『何?調子悪そうだね、大丈夫?』
「……大丈夫」
嘘では無い。
携帯のディスプレイを見ると同時に、私を悩ませる痛みは吹き飛んだ。
その代わり、身を駆けめぐる理由のわからない後ろめたさが、私を妙にイライラさせた。

『その、さっきのアルバムの写真なんだけど……一枚だけ、あんま見ないで欲しいんだ』

「一枚だけ……ってどれ?」
何となく、想像はついているが。
『ほら、私と高須君が手を繋いでいる奴。あれはその、文化祭の時にさ、私と高須君が大河の事で喧嘩しちゃって、その仲直りの瞬間みたいなものなんだ』
私の事で喧嘩?
『あんまり大河の記憶回復には役に立たないと思うし、それに……』
そこで、電話の声が少し途切れる。
「それに?」
『な、なんでもない!!とにかくその写真は無い物として扱っておくれよ。高須君と私のツ−ショットなんて大河が見ても気分が悪くなるだけだろうし……』
なんだソレ?
イライラする。
「ねぇ、何で逃げるの?」
『……え?』
「何で竜児から逃げるの?」
『なっ!?逃げてなんか……!!』
「逃げてるよ、櫛枝さん。もしかして櫛枝さんは竜児が『違う!!』」
急に大声を上げられる。
『違うんだよ大河!!私はそんなんじゃない!!』
必死に、必死に私の言葉を否定して、櫛枝さんは最後まで私の言葉を言わせようとはしない。
「櫛枝さん、私に遠慮してるなら『だから違う!!』」
涙声。
『違うんだよ大河!!』
電話の奥の彼女は……泣いている。
『いいかい!?大河』
─────ドクン─────
嫌な、予感がする。
『聞いておくれよ、大河と高須君は……』
「……いや、止めて」
─────ドクン─────
ダメだ。
それを聞いてはいけない。
『いいや、やめないよ!!』
─────ドクン─────
聞いたら、聞いてしまったら私は……。
『大河、あんたは!!』
─────ドクン─────プツッ……。
『ツー……ツー……』
気付けば、電話を切っていた。
液晶にはすでに文字は無く、無機質な音を立てて、そのバックライトで私の顔を照らす。

ハラリと、床に落ちる手紙。

『貴方が、好きです』

その文字を見て、何だか無性に泣きたくなった。

***
407名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/15(水) 19:51:42 ID:CkVnMTW8
期待しすぎてビクンビクン
408【逢坂大河〜Remember竜児〜】 ◆QHsKY7H.TY :2009/07/15(水) 19:52:58 ID:uzSDm19O
『ピンポーン……』
玄関からチャイムが聞こえる。
でも、今は誰とも逢いたくない。
坂から転げ落ちたように、体全体に力が入らない。
『ピンポーン……』
もう一度チャイムが鳴る。
『………………』
二度鳴らして不在だと思ったのか、はたまた諦めたのか。
ようやくチャイムの音は鳴りやみ、
「何だ、いるんじゃねぇか」
竜児が目の前に現れた。
「え……?」
りゅうじのせんせいこうげき。
わたしのなみだをふく。
「あ……」
こうかはばつぐんだ。
「どうした?何かあったのか?」
竜児はストンと私の隣に腰を下ろす。
肩が触れあって暖かい。
先程までの鬱屈とした刺々しい気持ちが霧散していくようだ。
「お前、こんな時間に電気も点けずに何やってたんだ?」
「……なんでもない」
「なんでもないってお前、泣いてたじゃねぇか」
「なんでもないから、それ以上聞かないで」
「……腹減ったろ?お前が中々家に来ないから心配したぞ?」
「……うん」
耳に届く竜児の声が優しくて、心が穏やかになる。
「ん?これ何だ……?……貴方が、好き……?」
「あ、それは……!!」
慌てて鷲づかみで便箋を胸元に奪い取る。
「お、おい、今クシャっていったぞクシャって」
読まれた、完全に。
「それ、お前が書いたのか?」
視線を外されながら、竜児は尋ねる。
「……前の、記憶をなくす前の私が書いた物、だと思う」
「そうか」
しかしそれだけ。
誰に、などとは聞かれない。
どうでもいいのか、はたまた差し出す相手は知っているのか。
もしそうだとしたら今の自分はさぞかし滑稽で、情けない顔をしているのだろう。
「早く思い出して、渡して、上手くいくといいな」
「……うん、そだね」
さらに、私の顔は情けなくなる。
何故かは、いくら取り繕ろうが聞きたくないと耳を塞ぎ電話を切った時点で、理由はもうわかりきっている。
だから、こうした。
「はい」
立ち上がって手紙を竜児に渡す。
「はい、ってお前……俺にこれをどうしろと?」
「あげる」
「いや、あげるって……」
「今日もし竜児が告白したらって言ったよね?もし告白されたら、今の私なら付き合うよ」
「は……?」
竜児はポカンと間抜けに顎を落としている。
「だから、今のうちに私から『告白だけ』しとく」   
竜児は驚いて、すぐに顔を真っ赤にした。
409【逢坂大河〜Remember竜児〜】 ◆QHsKY7H.TY :2009/07/15(水) 19:54:16 ID:uzSDm19O
「お、お前自分が言ってる意味わかってるか!?」
「うん」
「それに『だけ』ってなんだ『告白だけ』って!?」
「ああ、それは」
やっぱり気付かれたか。
「私は竜児の返事を聞かないから」
「はぁ!?いやそもそも……」
「うん、返事する気が無いならそれでいい」
「あ、いや、そういうわけじゃなくてだな、いやそもそも……そうだ、お前は記憶喪失だ!!」
「うん」
「そんな状態でこんな重要なことを決めるのは一体どうなんだ?」
「どうって?」
「いや、どうってって……そもそもなんで返事は聞かないんだよ?」
「竜児には、櫛枝さんがいるから」
「っ!?」
竜児は驚いたように黙った。
ああ、やっぱりそうか。
「な、何言って……」
「隠さなくて良いよ、さっき櫛枝さんにも同じ事言ったんだ」
「なっ!?」
まぁ、櫛枝さんは全然素直に話してくれなかったけど。
「ほら、今日櫛枝さんから借りたアルバムにも証拠」
そう言って、例の写真を見せつける。
「ごめんね、彼女がいるのに私結構アンタにべったりだったね」
「……櫛枝は彼女じゃねぇよ」
「まだ、とは言わないの?」
「……お前、告白しといてそれか?」
「まぁアレよ、気持ちの整理みたいなものよ」
「何だそりゃ?」
「さっきまでは何が何だかわかんなかったけど、ようやくわかったわ」
「何が?」
「私は遺憾なことに目が覚めて最初に見たアンタに刷り込みのごとく惚れてしまったのよ」
「なっ!?」
竜児はもう驚きすぎて何度驚いたかわからないくらいに驚く。
「刷り込みって恐いわねぇ」
それを見て、逆に私は落ち着いてきた。
「まぁ、そんなわけで、アンタを好きになったわけだけど、竜児に迷惑はかけたくないし、櫛枝さんもいることだし、私は潔く身を引こうというワケ」
「お前……」
少し、面白可笑しくしすぎただろうか。
でも、こうでもしなきゃ立ってすらいられない。
「ああ、私ってなんて良い子なのかしら」
「っ!?」
あれ?竜児が怪訝そうな顔してる。
「お前、記憶が本当に無いのか?」
「え?ええ。そりゃもう綺麗さっぱり」
あったらこんな苦労も、こんな気持ちにも、こんなばかげた芝居めいた口調もしない、と思う。
そうか、と竜児は再び納得して、一瞬考え込み、意を決したように宣言した。
「わかった、本当に記憶は無いんだな」
「うん」
「だったら、今日から俺はお前の彼氏だ」
「うん……は?」
「今日から俺とお前は恋人同士だ、大河」
あれ?え?え?え?いまりゅうじくんはなんていったのかしら?
…………………………。
たっぷり間を取り、息を吸うのに5秒、吐くのに5秒、考えを租借するのに一分、正しく言葉を理解するのに30秒、もう一度考え直すのに20秒、計二分を要して私は声を発した。
「えええええええええええええっっっっっ!?」

***
410【逢坂大河〜Remember竜児〜】 ◆QHsKY7H.TY :2009/07/15(水) 19:56:24 ID:uzSDm19O
「大河起きろ、朝だぞ」
「……もう起きてる」
「寝てない、の間違いだろ?」
そう突っ込まれ、わかってるなら言わないでよ、と思う。
昨日、竜児はなんと私の部屋に泊まると言い出した。
「お前を一人にさせない」とかなんとか。
彼氏になった(自称)その日に彼女(自称)の部屋に泊まるとか(でも結局認めてるのは私がいるのは内緒)どういう神経してるのよ。
それに返事は聞かないって言ったのに、「そんなもん知るか」って一言でばっさり。
何を考えて良いのかわかんなくなって、気付けば朝。
一睡もせず、時々隣で、正確にはベッドの近くに敷いた布団で眠る竜児の寝顔見るを繰り返しているうち、朝。
アサ─────ッ。
心の中で叫んでも現状に一切変化は起きない。
いや、日が昇るのって早いや。
……って今はそんな世界の心理に感心してる場合じゃない!!
「アンタ、正気?」
昨晩から何度と無く問いかけた言葉。
「何だ大河、お前はそのために俺に告白してくれたんじゃないのか?」
「いや、そうだけど……」
どうも釈然としない。
全てが上手く、それもスピーディに行き過ぎている。
そして何よりも釈然としないのは、
「ほら大河、朝飯にしよう。泰子が待ってる」
そう言って私の手を取る竜児の顔が、本当に慈愛に満ちているように感じることだった。

私の胸が、本当にこれで良いのかと問いかける。
良いとは思いたい。
間違いなく、竜児は私を見ている。
間違いなく、竜児は私を裏切らない。
しかし、だからこそ、『そんな竜児』を私は貰っていいのかと不安になる。
この男の愛を、ポッと出の私なんかが独占してもいいものか。
竜児には前の私がいて、櫛枝さんがいる。
記憶を失う前の私と今の私が同一人物でも、今の『私』にとってはそれは別人にすら感じられる。
その別人が、『ダメだ』と言ってる気がしてならない。
このままでは『ダメだ』と。
喜びと嘆きの狭間で、どうしていいのかわからない。
ただ、今できることは、私に差し伸べられた手を掴んで起きあがることだけだった。
「何だったら着替えも手伝ってやろうか?折角恋び……ぶふぉっ!?」
……とりあえず、殴る、も今出来ることに加えておこう。

***
411【逢坂大河〜Remember竜児〜】 ◆QHsKY7H.TY :2009/07/15(水) 19:57:55 ID:uzSDm19O
私が着替えるのを竜児は待ってくれていた。
別にこれは不思議じゃない。
それぐらいの気配りは竜児に取って普通だろうし、私だってそれぐらいは待つ。
だけど……だけど!!
「手、繋ぐか?」
たった数メートル先の竜児の家に行くのにこれはどうかと思う。
いや、しっかり繋いだけど。
自分の意志とは裏腹に、やっぱり目の前に餌があると食いついてしまう。
それに竜児がこんなに積極的なんて珍しい。
ん?珍しい?私はそこまで竜児を知らないのに?
……そうだ、私はまだ竜児のことをそんなに知らないんだ。
それでも、一歩二歩歩くたびに、手から感じる感触が気持ちいい。
これは、私が『知らない』情報だ。
今まで、『なんとなく』というのはあったけど、これはまるっきり『知らない』
忘れたんじゃなく、知らない。
それが、どうしようもない優越感を私に与える。
前の私では出来なかったことをしている。
そんな些細な物を得るたびに、私の心は大きく波打ち、満たされていく。
同時に、恐怖を覚えながら。
何故、竜児は私と付き合う気になったのだろうか。
これを失うのは恐いし、何より、『記憶が戻る』のが恐い。
記憶が戻れば、私が私でなくなるかもしれない。
この関係も無かった事になるかもしれない。
竜児はあの手紙の返事をする前に何度か記憶の有無を聞いた。
それはもしかすると、記憶が無いから付き合っている、ということにもなるのではないだろうか。
そんな、嫌な予感がするのと同時に竜児の家についた。
竜児はやっちゃんがまだ起きていない事に安堵し、急いで食事の支度にかかる。
「ほら、大河」
竜児はあっという間に塩ジャケを焼き上げ、みそ汁と卵焼き、キスの和え物を用意し、茶碗一杯に盛られたキラキラと輝く白い白米を私に差し出す。
「今日は飯食ったらちょっと出かけようぜ」
受け取って食べ始めていると、そんなことを言われる。
「いいけど出かけるって何処へ?」
ぱくぱくむしゃむしゃ。
決して箸の動きは止めない。
「お、おう。そ、そそそそれはだな、デッデデデデ……」
「デデデ?何?カービィ?プププランド?」
「デッ、デートに行こう!!」
ポトッ。
不覚にも箸を畳に落としてしまった。
デート?日付?そりゃDATEだ。
あれ、でもデートも同じスペルだっけ?って今はそんなこと考えてる場合じゃない!!

「……デート?」
「そ、そうだ」
頬をつねり「痛い」何度も瞬きして、もう一度確認する。
「……デートってあ、逢い引き?」
「………………」
竜児は無言で赤くなって頷く。
それを見てたっぷり一分は経ってから、私はで決してそれだけ離すものかと掴んでいた茶碗をテーブルに置いて立ち上がった。
「……大河?」
「……き、着替えてくる」
右手と右足が一緒に前に出る。
「お、おい別に食べてからでも……」
「ま、待ち合わせは……私場所がほとんどわかんないから30分後にマンションの前で、それじゃ」
竜児の言葉は聞かずに、私は自分の部屋へと駆けだした。

***
412【逢坂大河〜Remember竜児〜】 ◆QHsKY7H.TY :2009/07/15(水) 19:58:55 ID:uzSDm19O
急がなければ!!
私は部屋中引っかき回してあらゆる服を試着した。
着ては投げ、着ては投げを繰り返した。
なんでこうフリフリなものばかりなんだろう?
嫌いじゃないが、私に似合うだろうか?
ああヤバイ!!
30分じゃなくて1時間にすればよかった。
でもそうするとデート時間が単純に30分短くなってしまう。
ダメだ、急げ私!!
ああ、もうここにシェンロンがいたら、本当にドラゴンボール作ってもらってシェンロン呼び出して、私に一番似合う、ううん竜児の気に入る服を出してもらうのに!!
気が動転して何が何だかわからなくなってきたが、残り時間はあまりにも少ない。
次の服を、と手を伸ばそうとして、雷が自分に落ちたような衝撃を受けた。
一瞬目に付いたのはショーツの引き出し。
「い、一応、選んでおいた方がいいのかしら?」
ギギギ、と油が切れたロボットのように首を回し、次いで右手右足を一緒に動かしながらショーツを手に取る。
小さい三角のそれを、手にとっては思い悩む。
真っ白がいいか、淡いピンクか、飾りは無しか有りか。
ここは思い切ってノーパ……それは流石に無いわね。
ああっ!?もうこんな時間!?
ヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイ!!!!!!
服はさっきので良いとして下着が決まらない!!
あ、靴下は……流石に普通でいいか……本当に?
悩んでたら時間が無くなってきたし……ええいままよ!!
ショーツは……もうこれにしよう!!
シルク純白飾り無し。
前に何処かで聞いた事のあるフレーズな気がするが、とりあえず無視。
急いで着替えなきゃ!!
その後髪もセットして……ああっ!?
竜児がどんな髪型が好きなのか聞くの忘れた!?
ええい、こうなったらいつもの私をアピールだ!!
竜児との初デート、絶対上手くいくように……初デート?
……本当に初デートなのかしら?
─────ドクン─────
心臓が、跳ねた。
でも、時計を見るともう気にしていられる時間じゃない。
散らかした部屋を無視して、急いで玄関に駆けだし、
─────ズキッ─────
頭に、痛みが奔った。
「……っ!!」
あまりの痛みに玄関を前にして倒れ込む。
「あ、れ……?」
ドン、と衝撃。
瞼が、重く……なって……いく。

***
413【逢坂大河〜Remember竜児〜】 ◆QHsKY7H.TY :2009/07/15(水) 20:00:29 ID:uzSDm19O
「……ん、痛……」
目が覚めた。
随分と長く眠っていたような錯覚が鈍痛を伴って頭を襲う。
「……ここ、玄関?」
……どうやら私は転んで頭を強く叩きつけたらしい。
いろいろ記憶が混濁してるが、とりあえず何をしようと思っていたのか、ゆっくりと思い出して……『ピンポーン……』……誰か来た。
ガチャリ。
「……はい」
「おう大河、随分待ったけど来ないから……どうかしたのか?」
「あ、竜児……待ったけど来ない……あれ?」
記憶が戻ってくる。
『デッ、デートに行こう!!』
そうだ、それで……あれ?
『俺は竜になる、竜になって大河の隣に傍らに居続ける』
あれ?
『竜児は私のだぁーーっ!!』
あれれ?
『お前泣いてたじゃねぇか!!』
あれれのれ?
『殴り込みじゃあーーっ!!』
……これってまさか……。
『エンジェル大河様は……』
インフルエンザ。
記憶喪失。
やっちゃん。
みのりん。
北村君。
竜児。
竜児。
竜児。
竜児。
竜児。
竜児。
デッ、デート。
あ、ああああああああああああ!?
ばっと竜児を見る。
「どうした?、もう行けるのか?」
さっと手を差し伸べられる。
私の、とは言い難い記憶が、今朝にもあったことしてて、その映像を駆けめぐらせる。
「大河?」
顔を覗き込まれる。
「あ……」
私は今、ほんとたった今、記憶が全部……。
『記憶が戻ったらこの関係も無かった事になるかもしれない』
……そうだ、もし今記憶が戻った事を言ったら今回のデートは……!!
私自身が自分の意志で作ったわけでは無いチャンス。
でもみのりんは竜児が、竜児はみのりんが……。
「行かないのか?」
「………………」
思い悩む中、尚も竜児は手を差し伸べてくる。
そんな竜児の声に、私は俯きながらも……悩みに悩んだ末、竜児の手を取った。
「ううん、行こう」
そうして、私は竜児と家を後にした。

***
414 ◆QHsKY7H.TY :2009/07/15(水) 20:02:33 ID:uzSDm19O
今日はここまで。

>>407
【逢坂大河〜Remember竜児〜】のことか?
ならありがとう!

今回パンツに少しのっかってみたW
415名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/15(水) 20:25:11 ID:LLdoYqch
GJ!
しかしこのままではパンツスレになってしまうな…うむ、素晴らしい
416名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/15(水) 21:53:36 ID:mXQjgi87
>>384
面白かったー乙です。ネタ大放出がすごいね。

>>400
GJ!大河の脳内が可愛すぎる!

>>414
なるほど。こういうシチュで来るんだーと唸らされました。
次回のデートが待ち遠しいですw
417名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/15(水) 22:07:23 ID:WEEvlavZ

ここの書き手はレベル高いね
尊敬するよ
418名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/15(水) 22:31:37 ID:4wSJ6QdG
>>400
無事やっちゃんにおひろめされましたね♪
やっちゃん嫌うはずないけど!
やっちゃんはやっぱり大河ちゃんでしたね
この大河なら料理もしそうですが…
なかなか自分のためだけにってできないですねぇ
ってすっかり自炊がご無沙汰な40オヤジが言ってみる
こちらの大河はかのう屋に惣菜買いに行ってるのかなあ
自炊もできそうだけどね
大河
419名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/15(水) 22:37:53 ID:KTS2Rv/Y
パンツ=ズボンと思えばセーフだ!
420名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/15(水) 22:39:22 ID:LLdoYqch
突っ込んではいけないのか…
421とらドラ!で三題噺 ◆Eby4Hm2ero :2009/07/15(水) 23:01:45 ID:aGmR7qpm
お題 「気持ち」「目」「背」



「さて、そろそろ昼飯にするか」
「高須君、何か手伝おうか?」
「いや、すぐ出来るから櫛枝は座っててくれ」
「受験勉強を手伝ってもらった上にご飯までごちそうになって、悪いねぇ」
「気にするなって。自分の復習にもなってるんだし」
「そうよみのりん。竜児は奉仕が生き甲斐みたいな男なんだから、やらせておけばいいのよ」
「大河はもうちょっと気にしろ」


「ところで知っているかね大河。今大河と高須君が下級生になんと呼ばれているか」
「……『手乗りタイガー』とか『ヤンキー高須』とかじゃないの?」
「いやまあ、それもあるんだけどね。実はセットで『美女と魔獣』などと言われているのだよ」
「……『魔』?」
「そう、『野獣』じゃなくて『魔獣』」
「……なんか納得できてしまうのが哀しいわ」
「そうだ大河、高須君の好きな所と嫌いな所、一つずつ挙げてみろって言われたらどうする?
 あ、性格はナシね、あくまで外見のみで。全部とか全く無しってのも禁止。
 大丈夫、高須君には内緒にしとくからさ」
「そうね……好きな所は目かな」
「……目……なのかね?」
「そう。竜児って、あんまり人の顔を直視しない癖があるのよ」
「あー、なんでそうなったかは想像できるねえ……」
「そのくせ真面目だから、人と話をするときはきちんと相手の目を見ようとするの。
 だもんで、普段竜児と話してるとこっち見たり視線逸らしたり、ちょこちょこ細かく動くのがなんか可愛いのよ」
「はー、そんなもんですか……」
「それだけじゃなくてね、真剣な話をする時はものすごくかっこいいの」
「いやまあ、確かに高須君の顔のつくり自体は悪くないけど……」
「じっと見つめられるとなんか気持ちの奥まで見通されるみたいで、心臓がきゅんってなっちゃうの。もう怖いくらい」
「……あー、大河、それじゃあ嫌いな所はどこかね?」
「う〜ん……あえて言うなら、背の高さ、かな」
「一般的には、背の高い彼氏ってのは人気あるもんだけどねえ」
「だって、私から竜児にキスするのが大変なんだもの。別れ際に不意打ちでキスとかやってみたいのに。
 ……あれ? みのりんどうしたの?」
「……いやー、熱いなーって思ってね……」
「ほんと、最近暑いわよねー。でも大丈夫。今日は竜児がデザートに自家製のシャーベット用意してるって」
422とらドラ!で三題噺 ◆Eby4Hm2ero :2009/07/15(水) 23:02:42 ID:aGmR7qpm
   ※ おまけ ※

 いかに真面目といえども、竜児とて年頃の男の子。
 恋人とその親友の会話に自分の名前が出てくれば、思わず聞き耳をたててしまおうというもので。
 断片的に聞こえてくるその会話は、
「……高須君……下級生……呼ばれ……」
「……『ヤンキー高須』……」
「……『魔獣』……」
「……納得……」
「……高須君……嫌いな……外見……」
「……目……」
「……顔のつくり……」
「……見つめられる……心臓……怖い……」
「……嫌い……」
「……背の高さ……」


「……ねえ竜児、さっきからなんか元気無いけど、どうしたの?」
「いや、なんでもねえよ……はは……」


 誤解が解けるまでには数日かかったとか。
423名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/16(木) 00:02:53 ID:KTS2Rv/Y
>>421-422
282828282828282828
424名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/16(木) 00:24:58 ID:r3R/Cw9E
>>422
大河「慰めてあげるわよ」
竜児「おう……」

ギシギシアンアン

竜児「ってこういう慰め方かよ!」
大河「嬉しくないの?」
竜児「うれいしです(*ノノ)」

ギシギシアンアン
425名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/16(木) 00:47:56 ID:Vz55U8dr
>>419
パンツじゃないから恥ずかしくないもん!
426名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/16(木) 00:57:56 ID:PqxGYvLh
>>422
馬鹿すぎる(w
ナイス!
427名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/16(木) 01:11:31 ID:z7neIWTV
>>366
昨夜の続きです。
パンツはやっぱり白です。


大河の白いショーツを前に、竜児は悩み抜いた末、こっそり返してしまおうと決心した。
幸い、と言っては語弊があるが竜児は大河の下着置き場を熟知していた。
なお、竜児の名誉のために言っておくが決して彼にのぞき癖があったわけではない。
単なる偶然から、竜児はそれを知ってしまったのだ。
竜児と大河の奇妙な付き合いが始まって間もない頃、竜児は逢坂家の掃除に何度も出向いていた。
大河には家を掃除すると言う考えが抜け落ちており、竜児が面倒を見ない限り1週間で元のごみ屋敷に戻ってしまうのだった。
仕方なく、竜児は大河にごみの分別だの、掃除機の掛け方だのを指導したのだが、大河が全然優秀な生徒ではなかった。
寝室の掃除の時もそうだった。
「部屋の隅にほこりが溜まるんだからな、きちんと掃除機をかけろよ」
「こう?」
大河は大きく蛇行しながら、掃除機を部屋の片側から掛け始めた。
「違う、そうじゃねえ。ああ、もう」
竜児はじれったくなってきた。
あまりにも手順が悪すぎるのだ。
「はい。終わり」
大河は一仕事終えたプロみたく得意気にふふんと鼻で笑った。
「どう?完璧でしょ」
どんなモンよ、と胸をそらしVサインをまで出していた。
はっきり言って、幼稚園児のお手伝いレベルだと竜児は評点を付けた。
竜児は頭の中で大河のおでこに「もっとがんばりましょう」と言うスタンプを押してやった。
「いいよ、後は俺がやっておく」
「私が完璧にやったんだもん、もう竜児の掃除するとこなんてないわよ」
それより、あっちの部屋でさっき買って来たマフィンを食べようよと大河は竜児におねだりした。
「簡単に片付けてから行くから、あっちの部屋で待ってろ」
元気よく返事をして出て行く大河に竜児はお皿くらい用意しとけよ、と声を掛けた。
ちゃっちゃとやるか。
大河が行ってしまった後で竜児はポイントだけ重点的に掃除をすることにした。
家具の下とか、ほこりが溜まり易いんだよな、と竜児は部屋を見渡し、掃除機の先端を細目のノズルに変え、家具のすき間に差し入れた。
作業は順調に進み、もう残すところあとわずかと言う時だった。
竜児は足の長い家具の下に置かれた大きなバスケット状の箱に気がついた。
「しょうがねえな」
掃除の邪魔だと手で引っ張り出そうとして、竜児はうっかりふたを開けてしまった。
竜児の眼下に広がる秘密の花園。一枚一枚、丁寧にたたまれて、整然と並んでいた。
吸い込まれるように、竜児は視線を向けてしまった。
白が多いな・・・。
竜児はぼんやりとそれを見つめた。
「竜児、まだ」
「お、おう、今、行く」
「私、先に食べてるからね」
竜児は慌てて、ふたを閉めると、元の場所にそれを返した。

428名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/16(木) 01:12:26 ID:z7neIWTV
竜児が大河の下着の収納場所を知っているのはこういうわけだった。
明日は月曜日、間違いなく大河は寝坊する。
朝飯を作ったら、大河を起こしに行き、大河を起す前に例のブツを仕舞ってしまえばいい。
完璧だ。竜児は己の立てた作戦に満足した。
そうと決まれば、例のブツを、どこかに隠しておかなければいけなかった。
酔って帰って来る母の泰子は、しばしば部屋を間違えて、竜児の部屋で寝てしまうことがある。
そんな時に、何かの拍子にこれを見つけられてはたまらない。
結局、竜児は最も安全と思われる場所にそれを隠して、寝床にもぐり込んだ。



りゅーじ。
遠くで誰かが呼んでいる。
誰だ?
竜児!!
今度ははっきりと聞こえた。
ネボスケ!!!
両手で頬を叩かれ、竜児がぽっかり目を覚ました。そしてなぜか視界全体に広がる大河のドアップ。
「やっと、起きた」
「んん・・・大河かあ」
寝起きの少しぼうっとした頭でなぜここに大河が居るのか竜児は理解しようとした。
「何時だと思ってんのよ」
朝から大河は機嫌が悪い。
珍しく、起こして貰うこともなくひとりで目を覚まし、完璧に余裕を持って竜児の家に来たのに、当の竜児が未だ夢の世界に居たからだ。
勝手に家に上がりこみ、竜児の寝顔を眺め、最初のうち、大河は幸せそうだった。
もう少し、寝かせて置いてあげよう、と大河は高須家の居間へ戻り、ノンキにテレビを見始めた。
たまたま、あわせたチャンネルでついうっかり面白い番組が流れていたのが大河と竜児に不幸をもたらした。
あはっ・・・面白かった、夢中になってテレビを見ていた大河は「もうすぐ8時です」と言うナレーションに驚いた。
遅刻寸前だった。
そして、竜児はまだ、起きて来る気配がなかった。
429名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/16(木) 01:13:32 ID:z7neIWTV
朝ごはんはあきらめるしかない。
名残惜しそうに、炊飯器を見つめる大河の瞳が揺れた。
「愛しのご飯、一杯だけえ」
「しかたねえ」
「ごはん?」
大河はもし自分にしっぽがあったら、今なら振ってしまってもいいとさえ思った。
「いや、走りながらだ」
竜児の返事は冷たい。
きゅーんと大河のお腹がせつなく鳴った。
竜児は素早く、おにぎりを2個作ると、大きな方を大河に渡した。
「食べながら、行くぞ」
「え〜おにぎり、1個」
うらめしげに大河は竜児を見上げた。
「仕方ないだろう、俺が寝坊したんだから」
竜児、一世一代の不覚だった。
昨夜はあれこれ思い悩んで、寝るのが大幅に遅かったのだ。
「しかし、お前は良く起きたよな」
「すごいでしょ」
7時前には竜児の家に来ていたという。
「だったら、早く起せ」
「だって、竜児、気持ち良さそうに寝てるから」
起すのがかわいそうでと大河は続けた。

お互いにぶつぶつ言いながら通学路へ出た竜児は、何気なく大河に目をやって、視線が大河の
肩から背中、そしてスカートに向けられた時、ある大事なことを思い出した。

大河の白いショーツ・・・かばんの中だ。
たった今、竜児が持っている学校の通学かばんの中に入っているのだ。
昨夜、母親に見られないようにと隠した先が学校のかばんの中だったのだ。
竜児、新たな危機の幕開けだった。
430名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/16(木) 01:16:49 ID:z7neIWTV
続きはまた明日以降に投下する予定です。

いいのかな・・・こんな話でw
431 ◆Tw0dVfiTgMyj :2009/07/16(木) 01:18:29 ID:Z0ItxFVG
>>401さん >>402さん >>403さん >>416さん
感想をありがとうございます。

>>404 Remember竜児の作者さんありがとうございます。
あなたの独特な書き方と言葉使い好きです、楽しみに待ってます。

>>418さん 自炊しなくていいなんて素敵な方が居るんでしょうね、幸せじゃないですか。
ありがとうございました。

>>421 三題噺さんGJ
相変わらず展開が上手いですよね。
確かこの話の一番最初?の時に投下が被ったのは良い思い出です。

読んでくれてる方々もありがとうございます、次は何時になる分かりませんがその時は宜しくお願いします。
432名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/16(木) 01:47:04 ID:OrPCSb6X
>>430
よろし
433名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/16(木) 02:13:32 ID:ypbDOaBU
>>422
ナチュラルにのろける大河が自然過ぎてワロタw

>>430
これは先が気になるw
次回も期待してまーす!
434名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/16(木) 02:42:38 ID:565zUCwu
「やあやあ大河、高須君」
「おう、櫛枝」
「みのりん、どうしたの?」
「否!今の私は櫛枝実乃梨ではな〜い!
 このソフト部の母、ミノリ〜ヌ☆櫛枝がお主達の運命を占ってやろう!」
「く、櫛枝?」
「みのりん、占いって?」
「うむ。まず、高須君は大河を、大河は高須君を見ながら二桁の数字を思い浮かべる。
 次に、その数字の一の位の数字と十の位の数字を足した数を元の数から引く。
 最後に得られた数字をこの表で見て、対応する文字を確認するのだ」

1:愛 2:好 3:友 4:無 5:嫌 6:憎 7:離 
8:好 9:愛 10:憎 11:嫌 12:離 13:無 14:友 
15:憎 16:友 17:好 18:愛 19:無 20:離 21:嫌 
22:友 23:無 24:離 25:好 26:嫌 27:愛 28:憎 
29:無 30:嫌 31:愛 32:好 33:友 34:憎 35:離 
36:愛 37:憎 38:無 39:友 40:嫌 41:離 42:好 
43:離 44:友 45:愛 46:憎 47:無 48:嫌 49:離 
50:嫌 51:好 52:憎 53:離 54:愛 55:友 56:無 
57:憎 58:嫌 59:無 60:離 61:友 62:好 63:愛 
64:離 65:無 66:嫌 67:愛 68:好 69:友 70:憎 
71:離 72:愛 73:好 74:憎 75:嫌 76:無 77:友 
78:好 79:友 80:嫌 81:愛 82:離 83:憎 84:無 
85:友 86:無 87:憎 88:好 89:嫌 90:愛 91:離 
92:嫌 93:憎 94:友 95:愛 96:好 97:無 98:離 

「それで、もし二人が同じ文字だった場合、それがその二人の運命の関係を表わすのだよ!」
「え〜っと……足して……引いて……あ、私『愛』だ」
「お、おう、俺も『愛』だな」
「おお、なんと素晴らしい!深き愛で結ばれた若き二人に祝福あれ!」
「えへへ……竜児、『愛』だって」
「おう、よかったな。俺も嬉しいぜ、大河」
435名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/16(木) 06:40:19 ID:uPo9OhAW
>>431
20年ほど独り暮らしの418です
松澤も相馬もあーみんもみのりんも麻耶も奈々子様も魅力的ですが
今は氏が書かれる大河に夢中です
なので再開してくれたことが非常にうれしいです

そんなオヤジに少し
>>399の〆で何がどう問題ないのかちっとよくわかりません
何か言葉が抜けてる様に思うのですが…
私が理解力の問題ならすみません。。。


あぁ大河みたいなかわいい彼女がいたらなぁ
436名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/16(木) 06:48:33 ID:W5KeYdZ4
全部愛じゃねえかww
437名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/16(木) 07:18:25 ID:yAAZUMb4
昨日好きな子をいじってたらその子の友達にアッパー食らわされた。
左の顎下を捉えられて一瞬多分気絶してたと思う。気づいたら床に転がってたし。
竜児もあんな感じだったのかな、数分起き上がれなかったぞ…
スレチすまそ
438名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/16(木) 09:16:36 ID:KbyznkSU
>>435
俺の場合、実際に大河みたいな彼女がいたら殺し愛になりそ

>>437
はっはっはっ
それなんてエロゲ?
439名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/16(木) 12:04:10 ID:yAAZUMb4
◆eaLbsriOas@避難所です。代理投稿歓迎。感想いつも拝見しています。ありがとう!
1年目の夏もこいつら楽しくなかったわけがない
440・扇風機の恩返し:2009/07/16(木) 12:05:26 ID:yAAZUMb4
「ね、竜児……暑くない?」
「……」
「ねぇ、竜児ぃ……もーっ、あーつーいー!」
「わあだからおまえ大の字になって畳バタバタすんな! 下大家なんだぞ、ったく」
「無視するあんたが悪いんでしょ! うぅ、もっと暑くなった……」
「自業自得だろ……」
「ねー竜児ー、エーアーコーンー!」
「まだ午前中だろ。早ええよいくらなんでも。ウチ一番暑くなるの4時だぞ」
「ちぇ、このエコバ街道まっしぐらの犬っころめ……」
「……仕方ねえ」
「えっ? なになに、エアコンつけてくれるの?」
「いいや。だけど……よっと……これをおまえにやろう」
「なになに? ……えー、扇風機ぃ?」
「おう、おまえ今、こいつを馬鹿にしたな? 覚えとけよ……コンセント届くか……よし。ほら」
 カチッ、ブィーン……
「ひゃあ! 涼しーい!」
「そうだろそうだろ……なにやってんだ、おまえ?」
「えっ、だ、だって、この子、首、振る、んだもん……」
「それで扇風機の前をあっちこっちと膝歩きか……ちょっと見ていたい気持ちがムラムラと湧き起こって
 俺さまも複雑な気分を持てあまし気味だが、かわいそうな気もするから言おう。大河、首振りを止めろ。
 ……いやおまえは首振ってない。扇風機の方だ、そっち止めろ」
「え、止まるの? ……どうやって止めるの、これ」
「おう、マジか。なんちゅうお嬢様だおまえ、どこの姫だ、ったく。これ、引っぱんだ、よっと」
「おお、止まって、わー、涼しーい!」
「そうだろそうだろ。いらん運動をして汗かいた分、涼しかろう」
「別にあんたが威張ることないでしょ。偉いのはこの子」
「その偉い子を最初、馬鹿にしたのは誰だったかねえ?」
「……さあ?」
「……いや、まあ、べつに今さらおまえに何も期待しちゃいねえ。すまんな扇風機くん、かわりに俺が謝る」
「……」
「なんだ、大河。わかってる。おまえのやりたいことは。さあやれ」
「……」
「存分にやれ」
「ワ〜レ〜ワ〜レ〜ハ、ウチュ〜ジンダ〜アヨ〜〜〜〜〜〜〜っとこれ。きゃは!」
「……ぷっ」
「……ア〜ン〜タ〜ハ〜ワ〜ラ〜ウ〜ナ〜」
「マイクかそれは、おまえの」
「うん、そう。コ〜ノ〜バ〜カ〜イ〜ヌ〜ガ〜」
「ったく、幸せそうな、おまえ……」
「うん、楽しい……っそうだ、竜児! あんたもこっちきてやんなよ! 宇宙人!」
「おう? お、俺はいいよ」
441・扇風機の恩返し:2009/07/16(木) 12:06:10 ID:yAAZUMb4
「なによ、私見てニヤニヤキモく笑ってたじゃんよ。うらやましいんでしょ? さ、ほらほら!」
「お、おいおい。手、ひっぱんなって」
 ブィーン……
 ぶわ……っ!
「っ!」
「おう……」
「っみ、みみみみ、見た!?」
「み、いや、え? なに、見たよ、スカートがぶわって広がったのは」
「りゅ、りゅうじいいいいいぃぃぃぃ……っ!?」
「な、なんだよ、そんだけだよ! 俺が見たのは!」
「う、嘘つけっ! あ、あああんた、っみ、見たでしょ、そんだけじゃなくて、わ、っわわわ、私の……!」
「っ!? ば、ばか! 見えるわけねえだろ!? おまえこっちに頭向けてよつんばいになってんだぞ!?
 俺から見えるわけねえだろうが!?」
「……ほんとぉ?」
「ほ、ほんとだ、ほんと。この目を見ろ、な? ほら、嘘ついてる目に見えるか?」
「……見えない、けど。性犯罪者の目にしか……顔も赤いし」
「嘘つき越えてるじゃねえかそれ……か、顔赤いのは、なんだ、なんてか、ほれ……関係ねえけどおまえ、
 そろそろ、手、離さねえか? か、関係ねえけど。手、熱いし」
「っ!?」
 ぱっ。
「……エロ犬。手が腐る」
「腐んなよ。腐るもんそんな大事そうに抱えんなよ」
「……もーっ! あー暑っ!」
「おう、あたれあたれ。今こそ存分に風にあたれ」
「もぅ、余計な汗かいちゃったじゃない……はりついちゃって……はー、涼し……」
 ぱふぱふ……
「っいっ!? 胸……っ」
「は? っ!? み、見た!?」
「み、見てねえ見てねえ!」
「嘘っ! なんか今あんた言ったでしょ!? む、胸とか!」
「見てねえってだから! 見えそうでやばいって意味だよだから! だいたいおまえが悪いんだろが!?
 胸元とか指でぱたぱたすっから!」
「うぬぅ〜……っ。こ、こっち見んな!」
「あ、ああ、ああ! 見ねえよ! ほら、後ろ向いて座ればいいだろ!? これで完璧! 見えねえ!
 ったく……」
「な、なによ。私が悪いみたいに……ふんっ!」
「……」
 ブィーン……
「……ふーんだ……」
「……」
「りゅ〜う〜じ〜の〜ば〜か〜……」
「……」
「……ねぇ、竜児……」
「……なんだよ」
442・扇風機の恩返し:2009/07/16(木) 12:06:40 ID:yAAZUMb4
「あんた、暑いでしょ」
「暑くねえよ」
「嘘。だって、シャツの背中、びっしょりだよ。汗でべったり」
「……」
「こっち来て、扇風機あたんなよ……涼しいよ?」
「……いいよ。おまえ、あたってろよ。涼しいんだろ?」
「うん……涼しい、けど……」
「……」
「……もうっ! あったま来た! うるあああっっっ!」
「え!? わあばか、おまえっ!? やめろ、扇風機投げ……」
 どす。
 ブィーン……
「……どうよ、涼しいでしょうが」
「……ああ、涼しい……」
「至近距離で背中直撃だもんね、風」
「おう……」
「どう? 気持ちいい? 竜児……」
「ああ……でも、おまえ、つっ立って。今度はおまえが汗びっしょりじゃねえか……なのに、
 なんで笑顔だ、おまえ……?」
「……」
「……な〜ん〜で〜わ〜ら〜って〜る〜ん〜だ〜?」
「クス……ッ」
「宇宙人」
「宇宙凶悪犯」
「うるせえよ……な、大河。おまえも風、あたれよ」
「いいの、私は。あんたあたってろ」
「……じゃあ、ふたりであたるか」
「えっ……な、並んで? そ、それとも……」
「ばか。何赤くなってんだ。そのためにこれがあるんだろ、っと」
 ポチ。
 ブイィ〜ン……
「わあ、首振り!」
「そーだよ、これで風もおまえに……!」
 ぶわああああぁぁぁ……っっ!
「っひい!?」
「おう!?」
「……み、見たね……?」
「……す、涼し……」
「見たわよね、か、完璧に、今、あんた……!」
「す、涼し……げな、水色」
「っ! 見たね……!」
「……と、白」
「どぅあからっ! 見たんじゃんよおおおおおぉぉぉぉ――――――っっっ!!」
「わあおまえ飛びかかってくんな!? そ、そこにつっ立ってたおまえが悪いんだろが!?
 いでっ、いでえっ! 耳取れる! 耳無罪だろ!? わ、だからおまえ、ケツそっち向けたら……!」
 ぶわああああぁぁぁ……っっっ☆
「っひいいいいいぃぃぃぃ――――――っっっ! もぅ、あんたも殺しておまえも死ぬううううっっっ!!」
「死ぬの俺だけじゃねえか!? うっぎゃあああああぁぁぁぁ――――――――っっっ!!」


***おしまい***
443名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/16(木) 12:59:24 ID:hZtvOQ6A
しましまなのかー!?
444名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/16(木) 13:43:45 ID:JUY0uJ7G
しまぱんは男の浪漫だからな
445名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/16(木) 13:54:12 ID:KbyznkSU
シマヘビならうちの周りにいっぱいいる
446名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/16(木) 14:43:10 ID:yAAZUMb4
>>444
「マロン!?どこ!マロンはどこ!?」
「浪漫だバカ」
447名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/16(木) 15:14:01 ID:KbyznkSU
>>446
「バカとは何よ!今すぐマロンケーキ買ってきなさいよ!」
「マロングラッセならあるぞ」
448名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/16(木) 15:37:43 ID:fRCZ72yJ
≫442面白い
449名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/16(木) 15:50:25 ID:PGaDItZa
>>447
「栗きんとんなんていらない」
「ん、マロングラッセとどう違うんだ?」
「どっちも栗を使ってるんでしょ」
「ああ、だからそっクリなのか」
「寒いわ、竜児」
450名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/16(木) 15:50:43 ID:W5KeYdZ4
「やっぱりとらドラのEDの入り方はやっぱり最高だな。
『どうしたって…竜児の事が…好きなんだもん…『デレッデッデー』』
の所なんて鳥肌もんだぞ」
「ED?あんた勃起不全なの!?早急に!早急にED治療を!」
「…お前可愛いな」


ギシギシアンアン
451名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/16(木) 17:00:17 ID:KbyznkSU
>>450
EDとは無縁だな…
452 ◆Tw0dVfiTgMyj :2009/07/16(木) 17:25:27 ID:Z0ItxFVG
>>435さん
単に自分の力量不足です、すみません。
二次創作って自分が望む事を書くから一人よがりな文になるんですよね。
せっかく読んでもらってるので、次は納得してもらえる文が書けるように気をつけます。

貴重な感想ありがとうございます。

これ以上は雑談でスレ違いになりますので、失礼させてもらいます。
453名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/16(木) 19:53:33 ID:svOoI69M
妄想スレだからそんなに堅苦しく考えずともいいんだよ
454名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/16(木) 20:00:20 ID:PqxGYvLh
その通りだ。

堅苦しく考えるな。妄想しろ。
455名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/16(木) 20:26:40 ID:svOoI69M
「こんなに堅くしちゃってまったく…この駄犬!」
「お、俺だってたまにはこういうことあるんだよ!」


クッキーを作ったら堅くなりすぎちゃったという話
456名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/16(木) 20:53:26 ID:KbyznkSU
「りゅうじ!何よこんなに堅くして!」
モミモミ
「いてて…もっと優しく…そうそう…あ〜気持ちいい…」


竜児の肩を揉む大河
457名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/16(木) 21:19:17 ID:uPo9OhAW
あなたたちの妄想力に万歳www
ホントスゲーよ☆
458名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/16(木) 22:19:30 ID:ECH1U+ed

「どうしたんだよ、大河。今日はなんか背が高いじゃねぇか」
「竜児と同じ高さで、見てみたかったの。街とか、人とか。」
「なんで急にそんなこと……」
「同じ高さで見たら、もっと竜児のこと、わかるのかなって思ったの!察しろ鈍犬!」
「おう!?いや、無理だろそれは!」
「なっ……!私は竜児をもっと知りたくて努力してるのに……」
「そっちじゃねぇよ!」
「……」
「おぅ……いや、お前が色々と考えて、それで努力してるのはわかってる」
「……」
「それは素直に嬉しい」
「……うん」
「俺もお前の事はもっと知りたいし、分かり合いたいと思ってる」
「うん」
「しかしな、お前が怪我とかしたら嫌だから、無理はして欲しくねぇんだ」
「うん……?」
「ドジなお前が慣れないものを履けば、足を挫くのは予想がつくだろ?」
「はぁ!?失礼な!ちょっと普段より高いくらいのっ痛ぁ!」
「ほら、いわんこっちゃねぇ。大丈夫か?」
「うぅ〜……竜児、おんぶぅ〜」
「おう。ほら、いいぞ。荷物は自分で持てよ」
「うん」

「なぁ、大河。俺と同じ高さで世界を見てみたいんなら、これでも良くねぇか?」
「……悪くは、無い」
「おう、そうか。俺もそう思う」
「あ、けど、やっぱダメ」
「あぁ?なんでだよ?」
「眠くなっちゃうからダメ!」
「なんだそりゃ。意味わかんねぇぞ」
「……りゅ、竜児の背中、暖かくて、優しいから……」
「おう!?」
「う、うるさい!何も喋んな!ほらほら!キリキリ歩け鈍犬!」
459名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/16(木) 22:58:59 ID:ILV/xaWT
(*´Д`)ポッ
460名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/17(金) 00:05:34 ID:jMjujF8S
>>429
昨日の続きです。


「何、じろじろ見てんのよ」
大河は険のある目線で竜児をにらんだ。
さっきからどうも竜児が自分の腰の辺りばかりを見ているような気がして、ひとこと言いたくなったのだ。
「気のせいだ、きっと」
あきらかにとぼけた風に竜児は顔を背けた。
「うそ。食い入るように見てた」
大河の度重なる追及に竜児はあくまでも白を切り通そうとした。
「それはお前の身を心配してだな、つい見てたと言うか、なんだ、つまり、そう言うことだ」
全然、説明になっていないことを釈明する竜児に飽きたのか大河は追及の手を緩めた。
「は〜お腹すいた」
机に上半身を突っ伏して大河は力なく、空腹を訴えた。
実際、お腹が減り過ぎて大河は燃料切れ寸前だった。
「お昼休み、まだ?」
「まだ、2時間目が終わったところだ」
いつもなら、チョコのひとつもかばんに忍ばせている大河であったが、今日に限って何も持って来てはいなかったのだ。
「竜児、あんた、何か食べる物、持ってないの?」
「ない」
遅刻寸前のあの状態でコンビニも寄れず、そのまま学校へ直行して来てしまった身ではなにひとつ、食料の用意は出来ていなかった。
「大河あ、元気ないよ」
机の上で伸びたままになっている大河を見つけて櫛枝実乃梨がやって来る。
「みのり〜ん。どうしよう、私飢え死にしちゃう」
「それは緊急事態だ。国際救助隊発進」
櫛枝実乃梨はそう叫ぶと、自分のかばんからお弁当を取り出して、大河に差し出した。
「食べてよ、大河」
「そんなの悪いよ」
「背に腹は変えられねえZE」
「みのり〜ん」
と大河は櫛枝実乃梨に抱きついた。
大丈夫だからとお弁当は櫛枝実乃梨に返し、大河は竜児を指差した。
「だいたい竜児がいけないのよ。使えないんだから」
461名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/17(金) 00:07:08 ID:jMjujF8S
この空腹の原因を作った竜児としては大河に何を言われても一切、反論できなかった。
いつもならこの後で駄犬呼ばわりされるのであるが、今の大河にはそんな気力も残っていない様だった。
「いい、あんたに最後のチャンスをあげる」
「お、おう」
「この任務をまっとうできたら今朝の件はチャラにするわ」
「どんとこい」
「昼休み、購買部で焼きそばパンとチョコ掛けクロワッサンを買って来て」
「わ、わかった、何とかする」
不人気のコロッケパンとは違って、この2品は真っ先に売り切れる人気商品だった。
チャイムが鳴る前に教室を出れば争奪戦に勝利は可能だろうと、竜児は計算し大河に請け負った。
「はあ、お腹が・・・せつないよぉ」
大河は悲しげな声を出し、くてっと頬を机の天板に押し付けて、片手でお腹の辺りを撫でている。
弱っている大河というのも意外と可愛らしいと竜児は見ていた。
「ジュースでも飲む?」
「ん、そうする」
櫛枝実乃梨に言われて、大河は力なく立ち上がった。
そのままフラフラと通路の両側に並ぶ机にぶつかりながら、大河は教室の外へ向かった。
「ちょっと,大河」
その後を慌てて櫛枝実乃梨が追い駆けて行く。
さらに、その後を竜児も一緒に付いて行こうとして、足を止めた。
大河の後姿を見るのだが、視線がつい、スカートの辺りに伸びてしまうのを今日の竜児は止められなかった。
まったくと竜児は自分の机の脇に掛かるかばんに目をやる。
こんなものを持っているから意識して仕方がねえ。
昨夜から竜児のかばんに入りっ放しになっている大河のショーツ。
今、それはかばんの中で数Uの教科書とノートに挟まれているはずだった。
大河はあんな小さいのを穿いているかと、思ったのが始まりで、それから今何を穿いているのだろうと思考が飛躍するのにさして長い時間は必要ではなかった。
竜児とて健康な男子高校生、清らなかな聖僧ではない。
そういったことに興味があって当然で、でも、大河をそんな目で見るのには戸惑いがあって、と極めて複雑な心境なのだ。
おかげで、知らず知らずのうちに視線が大河のスカートの辺り漂うことになり、さっきの様な事態を引き起こしてしまったのだ。
462名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/17(金) 00:08:19 ID:jMjujF8S
今朝の夢見が悪かったのもまずかった・・・いやいい夢だったのかあれは?
3時間目の英語の授業を受けながら、竜児は今朝見た夢を思い出していた。
夢の中で竜児は犬になっていた。
犬になって町を歩いていると、大河がいた。
その大河が近づいて来る。
犬というのは視線の位置が低い。
ちょうど目の前に立つ、大河のスカートの中が上を向けば、丸見えと言うポジションだ。
なんという拷問。
上を向きたいのに、竜児は上を向けなかった。
そのうち、ひざをこっちへ向けて大河がしゃがんだ。
もう目の前は禁断ゾーン。
竜児はたいがあ〜と鼻先ごと、スカートの中に・・・
覚えているのはそこまでだった。
実際問題、大河のそう言う場所を見たことがあるわけないのだから、想像しようにも想像できなくて当たり前だった。
かくして、今日の竜児はかばんの中身の心配と大河へ向けてしまう邪な視線の中和処理という作業に追われている。

はあ、大河、今日は何色だ。
463名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/17(金) 00:11:04 ID:jMjujF8S
さらに続くかな・・・。
続きは明日以降で。

>>440-442
こういうの大好きですw
464名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/17(金) 00:15:26 ID:O/OnffZg
パンツキテター
なんかもういつ竜児がばれてしまうのかと思うとドキドキだぜ
465名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/17(金) 01:16:09 ID:5zDNjWOF
>>463
パンツ妄想がどんどん膨らんでGJ!
466とらドラ!で三題噺 ◆Eby4Hm2ero :2009/07/17(金) 01:20:39 ID:o07Wn/yS
お題 「血管」「竜児」「十五メートル」



 もはや轟音と化した雨音の中に、ガンガンと階段を駆け登る音が混じる。
 大慌てで玄関に転がりこんだ竜児と大河の姿は、まさに濡れ鼠。
「……最悪」
「ゲリラ豪雨ってやつだな。糞、ものの十五メートルぐらいでこの有り様かよ」
「うわ、下着までびっちゃびちゃ」
「し、したっ……」
「想像するんじゃない!このエロ犬!」
「お、おうっ、すまんっ! と、とにかく大河は風呂、シャワー浴びてこいよ!」
「そうね、いくら夏でもこのままじゃ風邪引いちゃう」
 スカートを軽く絞ってから、大河はぱたぱたと風呂場へと向かう。
 竜児もアイスをコンビニ袋ごと冷凍庫に放り込んでから自室へ。
 タオルで体を拭いて着替え、濡れた服はとりあえず流しで絞って、雑巾で床の水滴を拭く。
「そうだ、大河の着替え用意しなきゃな……泰子の服だとサイズ合わねえし……」
 去年ならば隣のマンションに取りに行けば済んだが、残念ながら今はそういうわけにはいかない。
「しかたねえ、俺の服で袖と裾と捲ってもらうしかねえか。腰周りはベルト締めればなんとかなるだろう」
 タンスからワイシャツを取り出し、
「……」
 一瞬頭をよぎった邪悪な妄想を打ち消しながらスラックスも。
 と、突然その動きが止まる。
「……ど……どうしよう……」 


 コンコン。
 脱衣所の扉をノックしてから呼びかける。
「あー、大河、ちょっといいか?」
 少しの間の後、大河の張り上げた声が返ってくる。
『なによ竜児! ま、まさか一緒に入るとかいうんじゃないでしょうね!』
「入るか! そうじゃなくて、お前、濡れた服どうした?」
『そんなもの、もう洗濯機回してるわよ!』
「あー……そうか」
『なによ、着替えならあんたかやっちゃんの服貸してくれればいいでしょ!』
「いや、そのつもりなんだが、一つ問題があってな」
『問題!?』
「いやまあ、その、なんだ、ほら、お前さっき、し、した……」
『……あーっ!』
467とらドラ!で三題噺 ◆Eby4Hm2ero :2009/07/17(金) 01:21:22 ID:o07Wn/yS
 曇りガラス一枚を隔てた向こうには、バスタオルを纏っただけの恋人が。
 竜児も男であるからしてドキドキしないといえば嘘になるが、事態はそれどころではなかった。
「……どうするのよ」
「うーん……ちょっとでかいが、俺のトランクスを履くってのはどうだ?
 上からスラックス履くわけだがら、なんとかなるだろう」
「……それは、なんとなく嫌」
「……まあ、そうだよな」
「竜児がコンビニ行って買ってきてよ」
「……む、無理だ、それは」
「なによ、このヘタレ犬」
「この面で一人で女性物の下着なんて買おうものなら、変質者扱いで通報されちまうよ」
「それもそうね……やっちゃんに電話して買ってきてもらうってのは?」
「今日は土曜だから忙しいはずだ。店長が途中で抜けるわけにはいかねえだろ」
「洗濯途中だけど、すすいで脱水してアイロンで乾かせない?」
「それは、出来ないこともないけどよ……いいのか?」
「何が」
「だってよ、その、俺が、お前の、ぱ、ぱん…」
「駄目駄目駄目駄目絶対駄目!」


「ほんと、みのりんのおかげで助かったわ」
「いやー、高須君から大河のパンツ買ってきてくれって電話があった時は鼻の血管切れるかと思ったよ」
「……いや、本当にすまなかった」
 卓袱台を囲んでアイスを食べる三人。
「ところでさ、この状況でホントのホントに何もなかったのかね?」
「な、何もって、何のこと?」
「お、おう、別に変わった事は無いぞ、うん」
 実乃梨はじ〜っと大河と竜児を見つめ、
「ふ〜ん……ま、いいか。ところで大河、『はだワイ』って知ってるかね?」
「……何それ?」「く、櫛枝!?」
「詳しくは後で高須君に聞いてくれたまえ。それじゃ、私は帰るから」
「えー、もうちょっとゆっくりしていけばいいのに」
「そうしたいのは山々なんだけど、これからバイトが入ってるんでね。ではお二人さんはごゆっくり〜」
 呼び止める暇もあればこそ、さっさと立ちあがって部屋を出てしまう。
「……ねえ竜児、はだわいって何のことなの?」
「う、そ、それは……」
「何よ、教えないつもり? みのりんとあんたはわかって私だけ除け者? そんなの許さないからね」
468とらドラ!で三題噺 ◆Eby4Hm2ero :2009/07/17(金) 01:22:56 ID:o07Wn/yS
ぱんつ祭り便乗w
だから実質四題噺?
469名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/17(金) 06:01:09 ID:7LKCuN04
何気にみのりんヒドスw
でもGJと言わざるを得ない

竜ちゃんは「男のロマンだ」で通せばいいと思うよ<はだワイ
470名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/17(金) 09:18:31 ID:LNu0JERe
お前ら大変だ!
なんか今日は全国的に一学期終業式らしいぞ!




……………今日中に書き上げよう
471名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/17(金) 10:37:11 ID:LNu0JERe
ところで竜児みたいに生真面目な男って付き合う前ならいざ知らず
自分の彼女のおっぱいとかお尻とか太ももとか触りたいとか思わないのだろうか
相手が大河だから違う意味で触りたくても触れないとも言えるが
472名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/17(金) 11:22:37 ID:ceNNCU7A
ばかだな、誘う前に誘われるから誘えねえだろ?
それに街中でいえーい☆もみもみなんてしようものなら弱みに漬け込んで何も言えない少女にセクハラかます若頭にしかみえないし。
473名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/17(金) 12:14:31 ID:Irlg7H1c
>>468
毎度毎度GJです。

>>470
kwsk


ところで「もしラブレター事件が無かったら〜」の設定で
書いてくれてる人いたよな。マダー?
474名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/17(金) 12:26:21 ID:DnXevU74
確かほとんど書き上げたとか言ってた気がする。
againも続きが気になるところ。
どちらも楽しみにしてまっせー
475名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/17(金) 13:37:16 ID:LNu0JERe
>>473
夏といえば水着!乳!尻!谷間!太もも!ですよあなた
つーか大橋高校はプール開き6月だし
リアル時間で夏休み前に書き上げないとまずいにゃあと思うたのさぁ


あといい加減Cカップになった理由書かないとね
476しゃせいかい:2009/07/17(金) 15:20:45 ID:unzG6Pjh
最初に言っておくっ!!オチはギシアンだっ!!パート2!!

空は快晴。
雲一つ無く澄み渡る空は今日のこの日にはうってつけだ。
最近雨ばかりが降っていたので少し不安だったが、天気予報の太鼓判通り、今日は久しぶりの快晴となった。
「随分晴れたなぁ」
そう呟いて竜児は辺りを見回す。
草木が生い茂る気持ちの良い公園。
ここは大橋からそう遠くない自然公園だった。
ニヤリと、悪巧みでもしそうな笑みを竜児は浮かべる。
天気が良いというのはそれだけで気分を良くしてくれるものだ。
洗濯物の乾きも早いし。
その例に漏れず、竜児も今朝からご機嫌だった。
最も、そんな竜児の機微を理解出来る人間は少ない。
「ねぇ竜児」
「おぅ何だ大河?」
「随分機嫌が良いね?」
しかし、逢坂大河は数少ない竜児の機微を理解できる人間だった。
「おぅ、そりゃなんてったって晴れだからな。今日は晴れてないと意味が無いだろ」
「まぁ別にアンタの天気の好みなんてどうでもいいんだけど。狙いは別でしょ?」
「おおぅ、なら聞くなよ」
竜児は少し傷つきつつも、今日使うものを手に取った。
画板と鉛筆。
「あ〜あ、絵を描くなんてめんどくさい。なぁ〜にが大橋高校絵画コンクールよ」
そう、今日は学校総出で絵を描きに来たのだ。
生徒会が急遽企画した絵画コンクール。
優秀賞にはスーパー狩野屋の割引券がもらえることとなっている。
その為、竜児は今日この日を楽しみにし、あわよくば割引券をゲットするためにいい絵を描きたいと思っていた。
だからこそ快晴を心から喜び、かつやる気が漲っているのだ。
「まぁアンタがやる気だしてるのは良いけど、私は正直パスしたい気分だわ。メンドイし」
「まぁそう言うなよ大河。生徒会も必死なんだからさ」
「?どういうこと?」
竜児は、この間友人の北村祐作、現生徒会長から聞いた話をしだす。
「北村から聞いたんだけどよ、大橋高校伝統の行事がどんどん減っていってるらしい。実はウチの高校、昔は合唱コンク

ールもあったらしいんだが、今は知っての通り無い」
「そういやウチの高校、体育際とかも無かったわね」
「ああ、文化祭が一日なのもそうだ。昔は二日開催だったらしい」
「へぇ」
「まぁそれでだ。減らした理由はいろいろあるにしろ、このままではたいした学校行事が残らないと北村は危惧して、今

回の企画を前面に押し出したそうだ」
「なるほど。行事を残すための足がかりとして、というわけね」
「ああ。今回はコンクールという名文になってるが、これはもともとウチの高校でやってた写生会の復活の一歩だそうだ


「……なん、ですって?」
それを聞いた途端、大河は驚きワナワナと震えだした。
「?……だから写生会を復活させるんだと」
「なんてこと……そんな会があったの……」
「大河……?」
「竜児、今すぐズボンを脱ぎなさい。始めるわよ『射精会』」
「は?……いやまてお前。絶対勘違いしてるだろ!?」
「問答無用!!これも狩野屋割引券の為よ!!」

ギシギシアンアン


今日いたいけな少年少女達が写生会してるのたまたま見て思いついた。
ごめん死んでくる。
477名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/17(金) 16:30:21 ID:Irlg7H1c
最近のいたいけな少年少女は野外射精会をしているのか?
けしからんな…。GJ!

それにしても変わった改行だなw
478名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/17(金) 16:32:49 ID:WLDV0H8r
死なんでいい!
見ていてすがすがしいわ。
479名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/17(金) 16:39:55 ID:unzG6Pjh
>>477
すいません、改行はメモ帳に書いた奴をコピペしたら何故かそうなってた。
いや写生会ですよ?

>>478
おお、ありがとう。
480名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/17(金) 19:22:56 ID:b15ZX5ma
>>479
書式を右端で折り返すにしてるとそうなる
なにはともあれ乙
481とらドラ初心者:2009/07/17(金) 20:52:09 ID:+rm/Gw85
私は2チャンネルがはじめてなのでよしくおねがいします。
482名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/17(金) 22:52:57 ID:dOYOHtxU
書き込む前にSG(セキュリティ・ガード)に登録しないと危険です。

SGに登録せずに書き込んだ場合、あなたのPC内の情報が他人に見られる恐れがあります。
初期の頃から2chにいる方達は、殆どSGに登録しています。
リモートホストを抜かれ、住所まで公開された人も数多くおり、社会的に抹殺されてしまう
それが2chの隠れた素顔でもあります。
SGしておけば、どんなスキルがある人でもリモートホストを抜く事が不可能になります。
登録する方法は名前欄に『fusianasan』と入れる。これだけです。
一度登録すれば、電話番号を変えない限り継続されます。
fusianasanは、正式にはフュージャネイザン、又はフュジャネイザンと読みます。
元々は、アメリカの学生達の間でチャットの時のセキュリティを強化する為に開発されたシステムです。
fusianasanを掲示板に組み込むのは結構面倒なのですが、2chにカキコしてたら個人情報が漏れた、等の
抗議がうざったくなったひろゆきが、仕方なく導入しました。
悪意のある人間にクラックされる前にSGを施す事をお薦めします。
483名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/17(金) 23:04:47 ID:gSdBqv7Q
とらクエ!の続き誰かモノ好きがいたら書いてくれ。DQ9でたことだし
俺にはもう書けない
484名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/17(金) 23:10:38 ID:5zDNjWOF
>>481
楽園へようこそw

ちなみに>>482は無視しておくんだ。どうしても気になるならググればいい。

好意的に捉えれば2ch初心者への注意喚起と取れなくもないが
やっぱりこのスレには似合わないと思う。
485名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/17(金) 23:22:20 ID:gSdBqv7Q
すまんこっちじゃなかった
486名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/18(土) 00:08:58 ID:eaeC1UKr
2chで最初に来た板が狼だったのでfusianasanでリモホ晒すかと思いきや
名前欄に何か入れるのが習慣だったので律儀に名無しをコピペしてた7年前の夏
あの頃はSamba24もバイバイさるさんもバーボンも無かったなぁ
487フュージャネイザンまとめ人 ◆SRBwYxZ8yY :2009/07/18(土) 00:19:49 ID:AGfbdieX
>>482こうですかわかりません!

あ、まとめサイト更新しました。


幸福屋更新ktkr!
まとめサイト読んでる場合じゃねえ!ダッ!(AA略
488名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/18(土) 00:49:53 ID:28tLyj86
>>487
おつです!
48905004016930319_gc:2009/07/18(土) 00:57:48 ID:2xjhuRaM
登録
490名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/18(土) 00:58:33 ID:VC0K+Xru
やっと規制が解除されました。
>>473
期待していただいているのに申し訳ありませんが、
私の部分はまったくゴミでした。何の驚きも無く、独自性も無い、
パクりを都合で組み替えただけの情けなさ。突っ込みどころが山ほど。
なによりまず…。
◆QHsKY7H.TYさん
作品を汚すことになってしまい申し訳ありませんでした…。

完成していたものの、酷すぎて投稿するかずっと悩んでいました。
量が多すぎることもありますが、こちらへの投稿は差し控えます。
別の置き場にアップします。
ttp://kaoru2222.blog5.fc2.com/
お願いとして、これは『まとめには保管しないでください』。
後々荒れる原因、問題になりますのでそれだけはお願いします。
批判や叩きは覚悟していますので、どうかそれは置き場の方にして下さい。
スレッドが荒れるのだけは勘弁願います。
それでは、皆様さようなら。とらドラ! にありがとう。
491名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/18(土) 01:12:49 ID:eaeC1UKr
>>487
おつかれっす!!
492名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/18(土) 01:47:42 ID:eaeC1UKr
実はレッドタイガーと天使の〜二作品は同じ独自設定の世界観の話なのだ
「Cカップタイガーシリーズ」とでも備考に入れておいていただけたら嬉しい
493名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/18(土) 02:08:36 ID:0BuuXjAm
>>462
続きです。

「ほらよ」
竜児は激戦の末に獲得して来た戦利品を大河の机の上に置いた。
「約束どおり、ゲットしてきたぜ」
机の上で伸びていた大河がピクリと動く。
空腹を通り越して、もはや息も絶え絶えと言った姿は見ていて痛ましい。
「早く、食えよ。腹空いてるんだろ?」
「食べさせて」
「何だよ、パンの袋を開ける力も残ってないとか言うなよ」
コクコクと大河があごを動かす。
「マジか」
大河に限って言えば、ありえないことではなかった。
「しょうがねえな」
口ではうるさいことを言いながらも竜児は大河の面倒をみるのが嫌いではなかった。
パンの袋を破り、中身を半分出して、大河の口元へ持って行く竜児。
「これじゃ、食べられない」
どうやら大河はご不満な様子で竜児にちぎって食べさせるように要求する。
「どこまで、ぜいたくなんだよ」
「うるさい」
「ったく、食べさせてもらってよく言うよ」
文句を言いながらも竜児は焼きそばパンを一口サイズにちぎって大河の口へ運んでやった。
「あ〜ん」
竜児の掛け声に口を開ける大河。
その大河がごっくんと飲み込むのを待って、竜児は次を運んでやる。
「ほら、あ〜ん・・・って、痛っ!」
竜児はタイミングを誤って大河に指を噛み付かれた。
「・・・フランクフルト」
「ば、俺の指は食い物じゃねえ」
「だって、おいしそう。ほら」
大河はそのまま竜児の指をしゃぶった。
「焼きそばのソース味がする・・・んふふふ」
チュッチュと赤ちゃんのように無邪気に竜児の指を大河は吸った。
「子供みたいだぞ」
「いいの、子供でも」
「ああ、そうだ、大河。ひとつ言い忘れた」
494名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/18(土) 02:09:43 ID:0BuuXjAm
「何よ?」
「さっき、トイレに行って、手を洗うの忘れてた」
「ぶっ・・・なんて物、舐めさせるのよ!!」
大河は竜児の指を口から慌てて離すと跳ね起きた。
「何だ、起きる元気でたじゃねえか」
「まあね。次、寄越しなさいよ」
「自分で食え」
竜児は残っていた焼きそばパンを大河の口に押し込んだ。
「もご、もご・・・ごくん・・・んぐ・・・ぐぐ」
大きすぎるパンを無理やり飲み込もうとして大河は見事に喉に詰まらせた。
「んん・・・んんん」
蛙みたいな声を出してもがく大河に竜児は急いで背中を叩いた。
「くはっ・・・あ、あんた私を殺す気!」
「飲み込んだのは大河だろ」
「飲み込めると思ったんだもん、これくらい」
「どんだけ食い意地張ってるんだよ、お前は」
「しょうがないでしょ。・・・お腹空いてるんだから」
少し赤面しながら大河は竜児に抗議する。
大河らしくていいじゃないかと竜児は思う。本当にお腹を減らしている時の大河の食べっぷりは料理の作り手として嬉しくなるからな。
「なに、にやついんてんのよ。ほら、次」
大河は次のパンを催促した。
「ああ、今度は自分で食えよ」
そう言いながら竜児は新たなパンを大河に手渡した。
大きな口を開けて半分くらい、パンをかじったところでさっきから食べているのは自分だけだと大河は気が付いた。
「竜児のは?」
「俺は・・・いい」
「どうして?」
竜児だって自分と同じでまともに朝ごはんを食べていないのに・・・お腹すいてるはず。
「大河の分しか手に入らなかったんだ、パン」
その理由は大河のリクエストは他人を押しのけて買ったが、自分の分は列に並び直し、買おうとして無情の売り切れになってしまったというものだった。
大河は手に持ったパンをかじるの止め、竜児を見た。
「いいから食えよ」
「やる」
急に大河は持っていたパンを竜児に押し付けて、教室を出て行った。
後に残された竜児。
「なんだ、あいつ」
大河の歯形が残る、食べかけのパン。
竜児はしばらく見つめた後、それを一気にほおばった。
495名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/18(土) 02:10:50 ID:0BuuXjAm
午後の授業が始まり、竜児は少し緊張が解けるのを覚えていた。
いくらなんでも俺が通学かばんに大河のショーツを隠し持ってるなんて、誰も思うわけがない。
事実、この瞬間まで何も起きていない。
このまま、なんともなければ2〜3日中に大河の家に行って密かに返せそうだな。
おかげで竜児は少し余裕が出ていた。
つまらない授業のせいもあったが、かばんの中に手を入れて、つい感触を確かめたりなどと、変態行為一歩手前の行動を取っていた。
このまま、コレクションにしてしまおうかなどと不埒な想像をしてみたり、ここに大河の右足が・・・などと危ない妄想を始めた。
おかげで竜児の表情はいつもの3割り増しの怖さで、教壇の教師をビビらせていた。
授業終了のチャイムで竜児は妖しい白昼夢から目を覚ました。
俺は・・・なんて・・・ひどいこと。
竜児は自分で自分の頭を殴った。
それから同じ教室にいる大河の様子を見ようと視線をやった。
目が合う。
目で「竜児」と呼んでいる気がした。
大河はどうやらさっきの授業中、寝ていたらしく前髪に寝癖が付いていた。
ジェスチャーで竜児は大河に指摘してやる。
数回のボディランゲージで通じたらしく、大河は隣のクラスメートにコンパクトを借りていた。
鏡を覗き込んだ大河はすぐに「げっ」という表情を浮かべ、足早に教室を飛び出そうとして、机の足につまづいてバランスを崩し、教室のドアに顔面から激突していた。
鼻を押さえながら走り去る大河。
その姿に、竜児は大河を見る視線が少し変わった事に気づかされた。
496名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/18(土) 02:12:44 ID:0BuuXjAm
ホームルームの時間だが、始まる気配がない。
おまけに北村までいない。
「高ちゃん、北村大先生は?」
「俺もしらねえ」
「早く帰ろうぜ、ってか俺帰りたい」
春田がぶつぶつ言っている。
教室全体がざわつき始めた頃、悲痛な表情の担任が北村を従えて教室へ入って来た。
「どうしちゃったの?ゆりちゃん先生」
北村も深刻そうだ。
「みなさん、席についてください、大事なお知らせがあります」
「みんな、席につけ」
北村の号令に全員が席に着いた。
「何かあったの?」
「うん、これから説明する・・・盗難事件が発生した」
「それが、どう関係すんのさ?」
「2ーCが疑われている」
「え〜!!!」
「先生は一生懸命、潔白を訴えました。でも、でも、独身・・・もうすぐ30の主張なんて、誰も聞いてくれなくて・・・」
「そこで、潔白を証明するために持ち物検査を行う」
「冗談じゃねえぜ!!」
教室中、ブーイング。
「静かに!俺だってそんなことはしたくない。でもこれしか方法が無いんだ。みんな協力してくれ」

嘘だろ・・・銅像の様に固まる高須竜児がそこにいた。

497名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/18(土) 02:17:45 ID:0BuuXjAm
今日はここまで。
いいのかな、こんなので。

>>487
乙です。

>>466-467
こう言うのも大好きですw
498名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/18(土) 02:50:53 ID:BFTKaL/s
>>497
いやぁ、わくわくどきどきですなぁ。
たのしみにしとりますぞぉぉぉぉぉ
499 ◆Tw0dVfiTgMyj :2009/07/18(土) 03:36:36 ID:y8FFTgxE
「なんだ、居るじゃないか。インターホンを押しても返事は無いし、昼飯も食いに来ないで」

「あぁ、もうそんな時間か。絵を描いてたら夢中になっちゃて」

目の前には髪を後ろで束ねて、手の平を黒くした小さな画伯が居た。

「へぇ、よくこんな物が有ったな。何て言うんだっけ確か、イー?」

「イーゼル」

「そうそう、それだ」

「昔、習ってたのよ」

「へぇ〜」

画伯はテーブルに果物を盛って、それを描いているようだ。
どれどれ、拝見させてもらおう。

「……………」
「何?気持ち悪いわね。なに人の後ろで固まってんのよ」

「……キュビズム?」

「へぇ、よく知ってたわね」

「…中学で習った」

確か、平面に立体を表す絵画の手法だったっけ?
画伯は果物を手に取り、眺めてはキャンバスに鉛筆を動かすを繰り返して忙しそうだ。俺は台所でも片付けるか。

「これ剥いて」

しばらくすると画伯はリンゴを片手に台所に現れた。

「もうリンゴは使わないのか?」

「飽きた」
「……………」

画伯はもう飽きたらしい。
注文の品を持って行くと、あっという間に完食し満足されたようだ。
それから2人でキュビズムを代表するピカソやブラック、
そしてその影響を受けたアート作品について語ることは無く。
先日2人でフリマに出掛けた際、画伯が大層気に入られて購入した
ぶたミントンで白熱した勝負を繰り広げた。

「やっぱり、これは掘り出し物だったわ」

「そうだな、想像してたより熱くなるな」

「疲れたから少し寝る、片付けといて」

そう指示するとソファーに寝転び丸くなった、画伯が本気で寝る時の体制だ。
黙ってる時の画伯は可愛い、怒ってる画伯は嫌いだ。
つい、眠りに堕ちて行く画伯を眺める。

「……変な事したら、みのりんに言うわよ」

警告を受けて片付けに入る、画伯はいつになったら俺の想いに気がついてくれるのだろか。
500名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/18(土) 06:36:15 ID:BSDgT7PW
>>497
はっはっは。悪友と好きな女子の体操服をクンカクンカした時の事を思い出すな。
501名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/18(土) 07:30:38 ID:PZvZot5g
>>487
まとめ乙!

>>490
今から読んできます。
502名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/18(土) 08:00:07 ID:qQWlWqDV
「大河……すげぇ締まってる……なんだか気持ち良くなってきたぜ……」
「なによ、このエロ犬!」
「さっきからチョークスリーパーがキマって……」
「あらやだ。落ちちゃった」

反省はしていない
503名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/18(土) 08:16:59 ID:l/jOkVzU
>>497
続きにwktkするぜ!
土器が胸胸するぜ!
504名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/18(土) 08:18:27 ID:l/jOkVzU
>>500
通報しませんでした
505名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/18(土) 13:00:28 ID:Kcxrr6zs
◆eaLbsriOas@避難所です。代理投稿歓迎。感想いつも拝見しています。ありがとう!
タイムリーとかどだい無理。
506・七夕なの:2009/07/18(土) 13:01:16 ID:Kcxrr6zs
「おう大河、短冊書いたか」
「もっちろん! われながら名文よ。ぷくくっ、あんた聞きたい? 吊るす前に知りたい?」
「聞かなくてもわかるよ。どうせあれだろ? 『北村くんの恋人になれますように』とかだろ?」
「こぉんのドスケベまんじゅう蟹があっっっ!」
「おうっ!? あっぶね! おまえいきなりローリングソバット繰り出すのやめろよ!?
 本物すぎるんだよおまえの!」
「いきなりだからローリングソバットなんじゃないよ。あ、あんたがこっこここ恋人だなんて
 破廉恥なこと言うから悪いんでしょ! この公然ワイセツ野郎! 刑法175匹ワンちゃん大行進っ!」
「おまえの中で恋人ってどんな言葉なんだよ……じゃあおまえなんて書いたんだ?」
 ひょいっ。
「あっ、こら! 巧みに取り上げるな! 勝手に見るな! 竜児のくせに!」
「勝手にゃ見ねえよ。見ていいだろ?」
「えっ……うん、いい」
「よし、じゃあ見るぞ。なになに『北村くんと突きあえますように』……いいのかこれで? おまえ」
「は? なに? いいに決まってるじゃないよ。名文でしょ!」
「名文もなんもねえだろ……」
「え? 竜児、どうしてそんな顔するの……? っや、やだ! ご、誤解しないでよ?
 すぐじゃないのよ、すぐじゃ! き、北村くんとはゆっくり仲良くなれればいいのよ! 
 それまで、あ、あんたにもちゃあんと手伝ってもらってさ! ゆっくり……なんての? そう!
 もうね、一生かかってもいいの! す、素敵よね? そんな恋も! だからその、それまで
 ずっと、一生、あ、あんたにも手伝ってもらって、その、ついでに美味しいご飯も作ってもらって、
 えと、ずっと、傍にいてもらって、ずっと、一緒にね?……あれ? なにそれ意味わかんない……」
「俺だっておまえの言ってることの意味わかんねえよ……」
「どうしてわかんないのよっっっ!?」
「どわっ!? あっぶねえ! だからソバットやめろって!? おまえのタイガーマスクばりなんだよ!」
「私はマスクじゃなあいっっっ!!」
「おおっ!? すげえ俺3度かわした……いやだから、タイガー……あーまぎらわしいっ!?」
「はあ、はあ、つ、次は逃さないわよ。あんたのレバーをもらう……」
「あげねえよ!? だから落ち着けって、なあ、すげえな、完全猛獣モードだ。なんだ? こりゃあ一体、
 どうすりゃいいんだ……?」
「い、イケニエ!」
「ひいっ!? い、イケニエ……?」
「そうよ! イケニエをよこせ! あんたの短冊! よこしなさいよ!」
「うわ、いいけどよ。おまえなんか、歯ぁむき出して、俺の短冊渡したら食っちまうんじゃねえだろな……?」
「だれが食べるかそんなもん! 私は虎! 羊じゃないっ! 見るだけよ! さあよこせ!」
「見るだけでなんでここまで凄まじいんだ……? ま、まあ、イケニエな? イケニエ。
 これで俺のレバーは無し。な? よーし、どうどう……わ、渡すぞ? 俺の短冊……ほら」
「ぐるるるる……なになに『櫛枝と恋人になれますように』……………………………………?」
「……ふ、普通だろ? な?」
「……ぅ」
「……た、大河?」
「うぎゃ――――――――――――っっっ!」
 バツンッ!
「うわあ食った!?」
「もぐもぐもぐもぐもぐ……うぇ、マズ……ぺっ!」
「わあぺっした!? 俺の願いごと……」
507・七夕なの:2009/07/18(土) 13:02:29 ID:Kcxrr6zs
「あんたが悪いのよ!? みのりんとこここ恋人とか、この私を差し置いてあんただけドエロ
 決めようったってそうはいかないっての! さあ、とっとと書き直すがいい!」
「だからおまえの恋人の定義おかしいよ!? ああくそっ、なんてわがままでひどい女なんだ、
 おまえって奴は……う、唸るなよ……か、書くよ。新しいの、書けばいいんだろ?」
 サラサラ……っ
「よし、書けた」
「よこせ!」
「なんでおまえのチェックがいるんだよ!? ……だから唸るなって。わかった。ほら、見ろよ」
「ぐるるるるる……なになに『櫛枝を彼女に出来ますように』……………………………………?」
「ま、まさか……?」
「うぎゃ――――――――――――っっっ!」
 バツンッ!
「わあまた食った!? もぐもぐぺっした!? なんでだよ!?」
「『彼女』なんて言葉はこの世にはぬぁーいっっっ!! 次っ!」
「あるよ!? くっそー、ええもう……さらさら……じゃあいいよこれで!」
「……『櫛枝と付き合えますように』……うぎゃ――――――――――――っっっ!」
 バツンッ! もぐもぐぺーっ!
「なんでだよ!? おまえと同じだろ!? うぅ、ひどい、あんまりだ……も、もうどうすりゃ
 いいんだよ……っ? お、おまえ、お互いの恋を支援しあうんじゃなかったのかよ……?」
「するわよ、支援! してるよ、すでに! ほれ!」
「なに、なんだ、おまえ、もうひとつ短冊作ったのか……なになに……
 『竜児とみのりんが恋人になれますように』……!」
「……っく」
「大河……ってか、こっちは恋人でいいのかよ?って、うわあ!? なんでどばどば泣いてんだおまえ!?」
「うぐ……し、知るかっ! 身体の事情なんて! 勝手に出るんだっ! 気にすんな、このっ、
 ば、ば、か、犬……りゅ、竜児……竜児っ、竜児……っ。ねぇ、ど、どうして、私、泣くの……?」
「大河……」
「ちゃ、ちゃあんと、応援、するよ? 竜児と、みのりんのこと……短冊に書いたの、本当の気持ちだよ
 ……め、名文、でしょ……?」
「っ! た、大河……っ!」
「竜児のことも、ね、お願いしてやろうって、思ったの……短冊、書こうって……じゃあ、って思って、
 私、迷わずそう書いた……そしたらね、私、泣くの……泣いてたの。あれ、あれ? って、
 わけわかんないのに、涙が止まらないの……お、おかしいよね? なんで、だろね……?
 ん……短冊も、ごめんね、竜児。た、食べちゃって……」
「大河……」
「お、おかしい、よね……? 私が書いたら、泣いちゃって。竜児が書いたら、怒っちゃって……
 ご、ごめんね、竜児。七夕、台無しにして……私の、せいだね。私が、変な子なだけ。でも、もう、
 気にしないで。私、なんだか、おかしいから、帰る……」
「お、おう……」
「ん……じゃあ、竜児……さよなら……っ」
「おう……」
 ガチャ、バタン。カンカンカンカン……
508・七夕なの:2009/07/18(土) 13:03:48 ID:Kcxrr6zs
「……って何がさよならだあの馬鹿っ!!」
 ガチャッ! ガンガンガンガン……ッ!
「大河っ! ちょっと待ておい、大河っ!」
「りゅ、竜児……っ!? は、離してっ!」
「いいや離さねえ。おまえ取り消せ」
「はあ? な、何を……?」
「っさよならをだよこの馬鹿っ! 何がさよならだ、二度と言うな! またねって言え大河! またね!
 おまえの挨拶はまたねしか受けつけねえ。受けつけねえぞ、俺は!」
「りゅ、竜児……ま、またね……?」
「おう、またな、大河」
「……いいでしょ? これで。じゃあ、手、離して」
「いいや離さねえ」
「なんでよっ!? 私帰るの! 手、離し」
「離さねえし、帰さねえ! おまえ放っとけるかよ!」
「なんで!? 放っといてよ!」
「放っとかねえよ! そんな、おまえ、そんなに泣いているおまえ……俺は、放ってなんか、
 いられねえんだよ……」
「竜児……。いいよ、大丈夫だから。すごく、泣いてるけど、変なだけ。意味なんか、ないから……
 変な子な、だけ……同情なんて、しなくていいから……同情、もう、私、ど、同情じゃ……」
「同情じゃねえよ、馬鹿たれ。同情なんかしてねえ。俺が帰って欲しくないだけだ、おまえに」
「っ!」
「帰って欲しくねえんだよ。俺が一緒にいたいだけなんだよ、大河。ただ、そんだけなんだよ……」
「りゅ、竜児……っ」
「……だから帰るな、大河。まだ、帰んないでくれよ。まだ、一緒にいようぜ、な? 七夕とか、
 どうでもいいからさ。いらねえからさ。捨てちまおうぜ、あんなの、くそくらえだ」
「竜児……」
「大河……おまえの言うとおりだよ。恋人とか、知るかよ。彼女とか、ねえよ。今はどうでもいいんだよ。
 今はどうだっていいんだ。大河、今は俺、おまえと一緒にいたいんだよ……」
「竜児……っ。……ね? そろそろ、手、離して」
「っ! い、いやだ、離したくねえ……」
「竜児……大丈夫だから、ね? 手、離して……」
「……」
「……ちょっと、痛いの」
「おうっ!?」
 ぱっ
「す、すまん……」
「……クスッ」
「……あ、くっそ。おまえ騙したろ。痛くねえな?」
「ぬるいね、馬鹿犬……あっと、待って。近寄らないで。離れて。……まだ、3メートル守って。
 ……そう」
「な、なんなんだよ……ったく」
「そんなに怒んないでよ、竜児……だって離れないと、私、あんたに抱きついちゃいそうなんだもの……」
「っ! た、大河……」
「駄目、手のひらも見せないで。そう……おかしいでしょ? それこそ……だって……
 抱きついちゃうなんて、おかしい……ほんとは、今だって、3メートルなんて、こんなの、
 私になら、すぐ……」
「大河……」
509・七夕なの:2009/07/18(土) 13:04:51 ID:Kcxrr6zs
「……顔赤い。エロ犬。ん……じゃあ、私、やっぱり帰るね?」
「っ、そ、そんな、大河」
「だっておかしいもん。おかしくなっちゃうもん。私、抱きついちゃいそうで、あんた、エロ犬で。
 今夜、一緒にいたら、おかしくなっちゃう……だから、帰るの」
「そんな……べ、べつに、なんもしねえよ、俺は」
「……して欲しかったら、どうする? 私が」
「っ!……」
「……ほらね、やっぱりあんたはエロ犬。しちゃうぞ、って、顔に書いてある」
「おうっ!?」
「隠しても無駄。ん……じゃあ、竜児、また明日」
「お、おう……また、明日……」
「……また明日、だけど。明日、この続きはしないよ? して欲しいとか、嘘。冗談だから……
 冗談に、なるから……」
「っわ、わかってるよ馬鹿……っ!」
「どうだか……ま、揺れる笹の葉の音でも聞いてせいぜいエロ犬脳みそを冷ますことね」
「くそっ……すっかり調子取り戻しやがって……」
「うん……ありがと、竜児」
「た、大河……」
「……じゃあ、またね、竜児」
「お、おう。またな、大河……まただぞ? またな、だぞ? またな! 笑ってんじゃねえよ!?
 確認させろよ! またな!」


「……またね、竜児……」


 大河の後姿を見送って。竜児はひとつ、ため息をしてふり返り、夜もぬるい空気の中をとぼとぼと歩いて、
 階段をのぼる。ドアはなんと開けっぱなしだった。いろいろやばすぎだ、俺は。
 ひとりの居間。ベランダに笹が揺れている。
 捨ててしまおうかと悩んでいるふり、ベランダに出た竜児は大河の部屋の明かりがともるのを待つ。
 窓に出てくれなどとは思わない。竜児はただその光が欲しい。けれど。
 恋しい光はなかなか灯らないから、竜児は大河の短冊を二つとも笹にくくりつけた。もちろん誤字も直してやった。
 少し考えて、竜児は自分の短冊を作ることにする。
 迷いなく願いを書きつけて、それも笹に吊るした。その時。
 大河の部屋の明かりが灯り、竜児の目は殺意の光と照り返す。嬉しいだけだ。
 これで安心、安らかに眠れると竜児は思う。
 竜児も安らかに眠るだろう。


 ふたりの家の光が落ちて、星ぼしだけがかすかに煌く。
 夜の下で矛盾した三つの願いの短冊たちが、ぬるい風の中で仲良く笹の葉と揺れている。
 「ずっと」で始まる竜児の願いを大河が知ることはない。


 その願いだけが、本当になったのだ。


***おしまい***
510名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/18(土) 14:42:48 ID:BSDgT7PW
いいねえ青春してるねえ。俺が高校生だった頃を思い出す…。
あ、高校の時彼女なんて居なかったっけ。
511名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/18(土) 14:49:54 ID:dMFosMBj
何だ?

ここは・・・・
512名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/18(土) 15:26:02 ID:BFTKaL/s
>>509
よいねぇ。
7月時点で、竜児がそこまで大河のことを思っていたかはちょっと疑問だけど
作風は大好きです!! GJJJJJJJJJぉぉぉぉぉぉぶ


>>511
>>1 の説明のとおり。。。。
みんながギシアンをみて2828するところです。
513名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/18(土) 17:22:36 ID:8lFwAvvC
>>510
俺もだよ……
でも野郎達で群れてカップルに嫉妬するってのも、十分楽しいよな
514名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/18(土) 17:25:26 ID:id557ELU
誰かが嫉妬に狂うときしっとマスクを呼ぶ合図
さ、このマスクを受け取りたまえ同志よ
515名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/18(土) 17:49:48 ID:PZvZot5g
何せ俺達が目指す本当の職業は…

516名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/18(土) 17:57:45 ID:JuaPQ42k
       ____
     /      \
   /  _ノ  ヽ、_  \
  /  o゚⌒   ⌒゚o  \  また今日も逢坂大河の胸が成長していないか
  |     (__人__)    |  監視する仕事が始まるお…
  \     ` ⌒´     /
517名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/18(土) 19:52:23 ID:SpzKs55Z
ところで巨乳大河の話ってまとめのどれなのかな?
探しきれなかったorz
518名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/18(土) 20:14:21 ID:7M1pGJ4n
>>509


ずっと…
ずっと…


明日も、明後日も、来週も、再来週も、来月も、来年も、その次の年も



『ずっと大河のソバットをよけられますように』
519名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/18(土) 20:25:34 ID:PZvZot5g
>>517
…そんなのあったか?

Cカップの事じゃないよな?もしそうなら12スレ目から「天使のキセキ。」に飛べるが。
520名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/18(土) 21:23:06 ID:wRw4wSjG
>>517
Cカップのリクエストをしたものだけど、それ以上大きいのは無かったような・・・

ところで、ゆゆこスレを読んでいて大河成分が足らなかったら、ここのまとめを見返すのがベストだよな。

というわけで>>487いつも乙!
521名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/18(土) 23:14:34 ID:0BuuXjAm
>>496
続きです。

「男子は俺が、女子は先生がチェックする。前の席から順番に見ていくから、かばんの中身も見えるように机の上に出してくれ」
北村が持ち物検査の手順を説明するのを竜児はほとんど聞いていなかった。
今、ここでそんなことをされたら例のブツが白日の下にさらされてしまう。
女性用の下着をかばんに隠し持っている男子高校生。
この状況を万人に納得させる理由があったら、ぜひここで教えて欲しいものだ。
「よし、じゃあ、次の列」
北村はだんだんと竜児の机の列に近づいて来る。
北村はこれを見てどう思うだろう?
・・・高須、悩みがあるなら相談してくれ、俺で出来ることなら何でもするぞ。
真顔で言われそうだ。
・・・た、高須くん、思春期の男の子には良くあることなのよ。だからね・・・。
担任にまでそんなことを言われそうだ。
いや、待て。普通にそう思われるなら、まだ耐えられる。
竜児はかばんに入っている大河のショーツの形状を思い出していた。
シンプルなデザイン、それはシックとは正反対で、悪く言えば子供っぽい。それにサイズが小さい。
あきらかに幼児体型向けのもの・・・これが意味するところは・・・。
・・・ロリコン。
竜児の額を汗がさっと伝う。
高須竜児はロリコン・・・恐ろしいレッテルが貼られてしまう。
ぬぉ〜、想像したくない。
このままではとんでもない事態になると竜児は頭を抱えた。
危ないロリコン野郎にならずに済むには、これがそういうものじゃないと証明しなければならない。
そうだ、これはれっきとした大河のだ。
・・・違うんだ、これは大河ので、小学生とか違うんだ。なあ、大河も言ってくれよ。私のだって・・・
言えるか!!!!!
口が裂けてもそんなことは言えない。
教室の大河の方を竜児は見た。
ちょうど担任がチェックしているところだった。
大河は疑われていることに腹が立つのか、不機嫌さ丸出しで担任を威嚇していた。
522名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/18(土) 23:15:35 ID:0BuuXjAm
それを見て竜児の心は決まった。
汚名を着ようとも、大河の秘密は守る。
たとえ、今、穿いていなくても、何度か大河が穿いていたであろう、この純白の白さを汚すわけにはいかねえ。
大河のを見ていいのはこの俺だけだ。
クラスの他の男子になんか、見せねえ。
「お、次は高須の番だな。かばんの中身を出してくれ」
いつまにか北村が竜児の前に来ていた。
「おう!」
竜児は気合を入れて返事をするとかばんを机の上に置き、中身を取り出すように中へ手を入れた。
竜児の手に触れる大河の秘密。
俺は守り通して見せるぜ。
竜児はかばんを抱えたまま、教室を脱出するつもりだった。
持ち物検査拒否・・・すなわち窃盗犯の疑いという汚名を受けてもという覚悟だった。
「どうした、高須?」
竜児の動きが止まったのを見て北村が声を掛ける。
「俺は・・・」
続けて、持ち物検査は受けねえと竜児が叫ぼうとした時、教室の入り口のドアが開いて、数名の教師が教室へ入って来た。
クラス全員の視線がそっちへ集まる。
慌てた様に担任を呼び、何やら釈明している。
「見間違い・・・あったんですよ、勘違いで・・・」
断片的に聞こえて来る声から、どうやら問題が解決したらしいことがうかがわれた。
他の教師が教室を去ってしまうと、担任は事件が終わったことをみんなに告げた。
「みんな、聞いたか。どうやら疑いは晴れたようだ。だが、みんなに不快な思いをさせてしまったことは事実だ。この件は生徒会でも問題にしたい」
北村が上手く締めくくって、ホームルームは解散となった。
523名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/18(土) 23:16:21 ID:0BuuXjAm
竜児は全身脱力の余り、椅子から立てなかった。
北村にかばんの中身を取りだそうと見せかけた時の姿勢で動けなくなっていた。
今の竜児は死刑執行寸前で釈放を言い渡された受刑者の心境を味わっていた。
はは、助かった。
「まったく、不愉快、遺憾だわ。何なのよ、もう」
怒りが収まらないのか、牙をむき出しにした大河が竜児の机までやって来て、気勢をあげる。
「竜児もそう思うでしょ・・・って、ひどい汗」
「ああ、汗」
極限状態にいた竜児は額に大きな汗を浮かべていた。
「ハンカチ、ハンカチ」
大河がスカートのポケットをまさぐって自分のハンカチを取り出そうとして。
「あれ?ない」
とぼけた事を言う。
大河は注意していないとカーテンで鼻をかむようなやつである。
ハンカチもティッシュもろくに持ち歩いてはいないのだが、最近は竜児が細かくチェックしているので、忘れたことがなかった。
今朝が遅刻寸前だったので竜児は大河の持ち物をチェックし忘れていたのだ。
どうやって、今日一日手を拭いていたのやら。竜児は嘆息した。
汗を拭くべく、竜児は額に手を当てた。
この時の竜児が注意力散漫になっていたことを誰が責められよう。
「ねえ、竜児」
氷のように冷たい大河の声。
「何だよ?」
竜児は額の汗を拭いていた手を止めた。
「それは一体、何?」
大河の目がすっと細くなった気がする。
「何って・・・ハンカ・・・」
竜児が手にしていた物は・・・。
はは・・・穴がふたつ開いたハンカチなんて無いよな、普通。

・・・終わった。
524名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/18(土) 23:19:53 ID:0BuuXjAm
これにて終わりです。
長々とお付き合い下さいましてありがとうございます。

でも、やっぱり、白だなと最後までこだわってみる。
525名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/18(土) 23:36:09 ID:L0oiQC8q
>>524
GJ & 乙でした!
緊張と緩和とオチが一気にきて、楽しめましたwww
いやー、白い布一枚でひろがるひろがる!

このあとの惨劇や、もし北村が見つけてしまったら、のリアクションも見てみたい気もw
526名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/18(土) 23:42:22 ID:BSDgT7PW
無実という意味で白だと信じたい。
GJ!!
527名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/19(日) 00:03:31 ID:qSefZ/8A
>>524
このあとどうなっちゃったのかが気になるぜ!
528 ◆VW.RtTKf1E :2009/07/19(日) 09:55:50 ID:apQ2SRML

少し間が開いてしまいましたが、「とらドラ, again」の続きを投下させて頂きます。
前スレでモチベーションのことや楽しみと声を掛けてくださった方々、本当に有難うございました。
やる気は全く衰えてませんが、忙しかったのと筆力がついていけず、投下が遅くなりました。

>>474
覚えてくださっていて、光栄です。

今回の投下では、このスレでお知恵を頂いた大河の弟の名前が出てきます。
原作にはないオリジナルですが、良い名を頂いたのでいい感じにすることができたと思います。
名付けてくださった方、ずいぶん時間が経ってしまいましたが、改めて有難うございます。

では次レスより7つ程行きます。
529とらドラ!, again ◆VW.RtTKf1E :2009/07/19(日) 09:58:28 ID:apQ2SRML
前スレ 516 続き

[道]


「わっ!」
建物内の巨大な吹き抜けに出た瞬間、大河はあんぐりと口を開き、もう少しで衆人環視の下、
よだれを垂らすという、レディにはあってならぬ大惨事を引き起こすところであった。

「おい大河! 垂れるっ」
絶妙なタイミングで竜児がタオルで拭ってやったが、大河はそんな救いの神には一瞥もくれずに叫ぶ。
「スゴイ、凄い、すごぉおおーーーーーい。あっちも、こっちも、イルミネーションだらけ!! 
みんな、みんな、キラキラしてるっーーー!!」

笑顔がみるみるうちに、大河の表情を覆い尽くしていく。
パァッと大きく見開かれた瞳は、イルミネーションの光を宿し、いつもの10倍増しの輝き。
さらに頬は上気して赤みがさし、大河の可愛さも10倍増し。

「お、おう、すげぇな。きれいだよな。好きなだけゆっくり見ろよ」
「ねぇ、あそこ、サンタさんだ。あ、トナカイもかわいい!! こっちに雪だるまもいるよ!」
そう言うと大河はいきなり駈けだした。

「あいつ俺の存在、忘れてねぇか…?」
先輩に聞いてきたのは、回転寿しだけではない。竜児はクリスマスで最も輝いているこの場所に
大河を連れてきたかったのだ。

周りを見ると、1年で最大の恋人同士のイベント。あちこちで手をつないだり、腕を組んだり、
肩を寄せ合うカップルがそこここに見られる。
そして自分の恋人と言えば、あっちのオブジェ、こっちのイルミネーションと
「カワイイ!!」と歓声を上げながら、今度は両手を広げてくるくると回っている。

「ひょっとして、作戦失敗? 一緒に冬の海でも眺めたら、もっとくっつけたかな? ま、いいよな。
あんなに喜んでるんだし」
竜児は独りごちると、恋人を追って駆け出した。
「おい大河、あんまりはしゃぐと人にぶつかるぞ。まったく、どこがレディだよ!」
「え?なに?聞こえない! ねぇ竜児、こっちに大きなツリーがあるよ、行こっ!」
「おい、ちょっと待てよ。大河!」

そうして、竜児は大河を追いかけて、館内中を走って巡る羽目になるのだった…


「ねぇ竜児、ここ、まるで雪が降ってるみたい… ホントにきれいだね。ありがとう、連れてきてくれて。
私、こんなの知らなかったよ!」
ようやく大河の足が止まり、竜児は追いつくことができた。

「ハァ、ハァ、ハァーッ…、よ、喜んでもらえて何よりだ… ハァ、が、俺は、喉がカラカラだ。
な、どこかで、ハァ、お茶にしねぇか?」
「あら、ほんとだ。はしゃいだらお腹すいちゃった。ねぇ竜児、私、ケーキが食べたい」
「ハァ、ハァ…だから、昼メシ足りてねぇっていったろ。ま、いいか。じゃ、ケーキはあっちだ」
肩で息をしながら、行く方向を指し示した。大河は息一つ切れてない。手乗りタイガー、まだまだ健在じゃねぇか…

「アンタ、運度不足じゃない? ちょっと走っただけで」
「ハァ…、この屋内クロスカントリーのどこがちょっとだよ。なぁ落ち着いて、ゆっくり歩いていこうぜ」
そう言って、大河に手を差しのべるが、まだ興奮が冷めないのか、大河は「あっちね!」と叫んで、
また駆け出していってしまう。
「なんなんだあいつは。てか俺、避けられてないよな…? これ、上手く渡せるのか?」
竜児はジャケットに忍ばせた小さな箱をポケットの上からそっと撫でてみるのだった。

530とらドラ!, again ◆VW.RtTKf1E :2009/07/19(日) 10:00:32 ID:apQ2SRML

施設に併設された高級ホテルのラウンジは、クリスマスイブを楽しむカップル達で占められ、
席待ちの列が長く延びていた。でも、2人でなら待つのはちっとも苦にならない。
互いの日常のこと、大学のことを話し、話題は友人達のことになった。

「櫛枝と川嶋から、最近連絡あるか?」
「みのりんは、体育大のソフトボール部で『もう少しでレギュラーだぜ!』って言ってたよ。凄いね。
日本で一番強い大学なんでしょ?」
「ああ、なんか先輩に日本代表がいるって言ってたな。すげえよな櫛枝は。夢にむかって突き進んでいて」
「うん! あ、ばかちーは、英語の勉強してるらしくて、最近、学習法とか何の本読めばいいかとか
やたら聞いてくるよ。私、英文科に行けなくなったのに」
「ま、女子の中で、英語は大河がダントツだったからな。川嶋、海外に進出する気かな? モデル業。
それとも女優を目指すとか?」
「うーん、わかんない。尋ねても『亜美ちゃん、存在自体がミステリアスなんだから、教えてあ・げ・な・い』
だってさ、何様のつもりよ」
「ま、多分照れ隠しだな、それは。そう言えば、北村はアメリカで頑張ってるぞ。狩野先輩と同じMITには
行けない、なんて言いながら、ハーバードだぜ? すげぇよな。どれだけ凄いかも分からねぇぐらいだ。
なんか、学部卒業したら、お前と同じで法律を勉強するってさ」
「私は地元の大学で入り込めるとこがそこしかなかったんだから。一緒にしちゃ、北村君に失礼だよ」
「いや、お前だってちゃんと勉強頑張ってんだろ、偉いな。いい子いい子してやるぞ」

よし、やっと自然な流れで触れられる。竜児は大河の頭のてっぺんに手を伸ばしたのだが…

「へっ?」竜児の手が空を切る。
「はっ!」大河が頭を動かして、避けたのだ。
「おいっ」慌てて、手で大河の頭を追いかける。
「おりゃ」大河が身をよじって、また避けた。
「なに?」竜児はさらに頭を追った。
「なんの」大河が今度は逆の方向に身をよじった。

2人は行列に並んだまま、「へ」「ほ」「は」「よ」と奇妙な掛け声と共に、手と頭の追っかけっこ。
大河はくねくねと身をよじらせ、竜児はモグラたたきのように、大河の頭を追う。
端から見ると、危ない人達か、さもなくば即興パフォーマーだ。

「あ、あの… お客様… お話中、ま、誠に恐れ入りますが、お、お席のご用意ができました…」
ラウンジの若いウエイトレスが、『要注意人物』に接する時のマニュアルに則って、2人に声を掛けてきた。

「たく、お前、なにやってんだよ、恥ずかしい…」
「はははー、新しい体術の訓練だよ、明智君」
「明智君って、櫛枝かよ。お前ヘンだぞ」
「まぁ、良いではないかー、オヤツの前のよき運動となったでござろう」
「どこの侍だよ」

ぶつぶつ言い合いながら、2人は壁際のテーブルに通され、向かい合って席に着く。
「ねぇ、ケーキどんなのがあるかな? 楽しみっ」
「昼メシ、食い足りてねぇんだろ。いいぞ、好きなだけ食え」
「ホント? やたっ!」

それから数十分。悶々と悩む大河のケーキ選びと暴れ食いを眺め、大河の肘があたる前にティーカップを
避難させ、自分のケーキを半分以上大河に食われたりしながら、竜児は大河のはしゃぐ姿を堪能したのだった。
531とらドラ!, again ◆VW.RtTKf1E :2009/07/19(日) 10:03:33 ID:apQ2SRML

「ああ… おいしかった。満腹。久しぶりだわ、こんなにケーキ食べたの」
大河は椅子の背に身を預けながら、満足げにお腹をさすっている。

「そうか、良かったな。てか、そのポーズ、おっさんみたいだぞ」
「え? あ、い…いいじゃない。幸せな気分なんだから…」
慌てて身を縮こまらせると、その精緻な顔を赤く染めて俯いた。
「そうだな。すまん、楽にしていいぞ。緊張すると消化に悪いからな。で、あのさ大河…」

竜児は大河に聞いてみたいことがあった。メールや電話ではなく、面と向かって、大河の顔を見ながら。

「い、今のウチどうだ? その後うまくいってるか? 新しいお父さんと弟と、とか…」
「え、なに? うまくって…… ああ、心配してくれてんのね。ありがと」
大河はにっこりと納得したような微笑みを浮かべた。
「アンタ、最近電話切る時、何か言いたそうだったのはこれだったんだね」
「バ、バレてたのか?」
「バレバレよ。竜児、嘘つくのヘタだもん。そこがいい所なんだけど… でも変に気を使わくていいのに。
恋人でしょ? フィアンセでしょ? まったくもう…」

今度はちょっぴりしかめっ面。でもすぐ柔らかな笑顔に戻って、
「うん、大丈夫だよ。新しいパパとはうまくいってる。パパはね、いきなり高校2年の娘ができたのを、
喜んでくれたのよ。“自分にこんな可愛い娘ができるなんて!”って、本心は複雑だったかもしれないけど、
一番最初に会った時、そう言ってくれた。あ、これは話したっけ?」
「ああ、聞かせてもらった」

「じゃあねぇ、弟の名前を私に付けさせてくれたんだよ。今のパパにとって初めての子供なのに、
『何がいいかみんなで出し合おうよ』って言ってさ。で、私が言った名前に決めてくれたの。
でも、最初から私のに決めようと思ってたみたい」
「それはまた勇気がいる行為だな…」
「…私のセンスに対する挑戦状と受け取っとくわ」
「そう言えば今まで聞いてなかったよな、弟の名前。ま、新しいお父さんがいいって言うぐらいだから、
マトモなんだろうけど」

「へへっ」
大河は照れくさそうに、ちょっと俯いてから言った。
「ちょっと恥ずかしかったから言ってなかったんだけど、恵児って言うんだ」
「けいじ?」
「そう“めぐむ”って言う字に、アンタの、竜児と同じ“児”」
「俺と同じ? ちょ、いいのかよそれ」
「いいの。確かにママには反対された。でも今のパパは『いい名前じゃないか』って言ってくれたの。
私、高校まであんなだったじゃない、だから弟は幸せに恵まれますようにって思ったの。
あとは説明しなくてもいいよね。竜児みたいに優しい、イイ子になって欲しいから…」

「な、なんか照れるな… 嬉しいけど」
「アンタが照れてどうすんのよ! でもね、私、あの子にはとても助けられたと思う。
勇気を出してママの所に飛び来んでいったけど、もし、ママとパパとの3人だけの暮らしだったら、
やっぱり居場所が無かったと思う。でもあの子がすぐ産まれた。赤ちゃんって凄いのよ。周りの人間を
変える力、動かす力があるの。みんなでわーわー言って大騒ぎして毎日の世話をしてたら、いつの間にか
私も家族として馴染んでた。恵児のこと大好き。そして感謝してる。勿論、今のパパにも」

大河は弟の顔を思い浮かべるように、遠くに視線を向けて、慈しみに溢れた表情をみせるのだった。

「あ、2才半の男の子って無茶苦茶可愛いんだから。私、弟の写真撮るのにハマっちゃって、もう大変なの…
あ、写真て言えばさ…」
そう言って、はしゃぐ大河を見ると、ほんの少しだけ竜児の心の奥底がチクリと痛んだ。
自惚れていたわけではないが、大河が本当に安らげるのは自分と泰子だけじゃないかと勝手に思っていた。
だから、こんなに楽しげな大河を見ると、安心と同時に言いようのない淋しさも感じてしまう。
でもそれは身勝手な、いけないことで……

532とらドラ!, again ◆VW.RtTKf1E :2009/07/19(日) 10:07:33 ID:apQ2SRML

「どうしたの竜児? 聞いてる?」
「へっ? あ、ああスマン、なんだっけ?」
「もう! だからー 私、竜児のところに間違って写真送ってなかった?って、高校の時のアルバムとか」
「ねぇぞ、そんなもん。ウチの中に俺が所蔵物を把握できていない魔界は一切ねぇ」
「そうよね… 東京の大学に行こうとした時、一度引っ越しの荷物を送って… また送り返してもらって」
「なんだそんなことしてたのか。そりゃ、どっかに紛れ込んでんじゃねぇのか?」
「うん、そうかもしれない。もう一度、探してみるね」
「おう、大切なものだもんな。あ、あとさ、大河。お母さんの身体の具合はどうだ? 良くなりそうか?」
「え、ママ? う…うん だ、大丈夫だよ」

大河の声のトーンが少しさがり、さっと視線が手元に落ちる。その瞬間、瞳にほんの僅かな影が
かかったのを竜児は見逃さなかった。心を重ね合わせた竜児だからこそわかる、ほんの小さな変化。
それは良い予兆だったことは少なく、むしろ悪いことを隠そうとする…

「大河。ちゃんと話してくれよな」
「え?」
「あるんだろ。気になることがお母さんのことで」
「う…うん…」
「隠すなよ」
「そ… そだね。竜児には話さなきゃね… うん。あのね、ホントに些細なことなの。
ママがね、具合が悪い時は部屋で寝てるんだけど、飲み物とか食事を持っていった時にね。
私のことを凄い目で睨みつけるの。でもすぐに我に返って、泣き出して、その後『ごめんね』って
何度も繰り返すの。そんなことが何回かあった… 私、どうしていいか、わかんなくて…」

竜児の背に冷たい汗が一筋流れた。
なにやってんだよ、大河の母親は。大河にこんな心配をさせて… あのクソ野郎との件だって、
まだ終わってないし、大体、大河と一緒にいられないのは俺達のせいじゃなくて、親の都合で…

『大河んちの親ってのは、基本的に…』いつか櫛枝が言おうとして呑み込んだ言葉が甦る…

「ねぇ竜児。やっぱり私がこのウチに来たからかな? 私が来なかったら、アイツにも見つからず、
ママはあんな風にならなかったのかな? やっぱり私の…せい…」
消え入りそうな声で大河が俯きながら、つぶやく。

ダメだ。俺がこんな風に思ったらダメだ。さっきの淋しいっていう身勝手な気持ちも。
今、大河に必要なのはそんなものじゃない。前を向くことだ。俺達は前に進まなきゃいけない。
ここで引き返したり、足踏みする訳にはいかない…

竜児は1つ大きく息を吸い、ゆっくりと吐き出すと同時に気持ちを落ち着ける。

「大河、聞いてくれ。お前、今の自分がやってることで、何かやましいことはあるか? 
勉強を頑張って、弟とお母さんの面倒をみて、新しいお父さんともうまくやってるんだろ。
他に足りないと思っていること、何かあるのか? 」
「え…? それは…ううん、無いよ… うん。胸を張って言える。でも…そういうんじゃなくて、
私がいることが…」
「だったら、そんな風には考えるな。いいか大河。俺たちはあの駆け落ちの日、何が一番大切なのか、
それに気づいた。そうだろ?」
「う…ん」
「俺には大河がそしてお前には俺が、何よりも大切な、かけがえの無いものだ」
「うん…」
「そして、自分のことを否定するのをやめようと思った。『自分がいるから』『自分なんかが』って
考えるのをやめにしようって決めた。時間が掛かってもいいから、みんなで、家族で幸せになろう。
そう誓っただろ」
「う…ん、そう…だね」

533とらドラ!, again ◆VW.RtTKf1E :2009/07/19(日) 10:10:59 ID:apQ2SRML

もし、大河の手がテーブルの上に置かれていたら、竜児はそっと取って暖かく包み込んだだろう。
しかし今、その両手はテーブルの下、たった1人の膝の上で固く握りしめられているはず…
竜児はテーブルの向こうから、精一杯心の手を伸ばし、大河の気持ちを掴み取ろうとした。

―大河が見るべきなのは、暗い洞窟の奥じゃない、光射す出口だ。歩んでいけば、外には世界が広がるんだ―

「お母さんは大河のことを否定している訳じゃない。『ごめんね』ていうのは、自分がうまくできて
いないから、そう言ってるんだと思う。訳を聞いてみたか?」
「だめなの…何も答えてくれないの…」
「そうか… 社長にまでなった人がそんなに悩むなんて、きっと複雑なことなんだろうな…
俺が泰子に逆らったのは17才のあの時が初めてだ。大河はお母さんと再び暮らし始めて、まだ数年か… 
自分の気持ちや本音をうまく伝えられないのかもしれない… これまで離れていたこともあるしな。
でも大河は嫌じゃないんだろ? 今のウチも、お母さんも」

「うん… 心配なのはそれだけ。ママと今のパパもケンカとかしてないし。時々話し込んでるけど」
「だったら、『自分のせい』なんてのは止めだ。大河はお母さんを恐れるんじゃなくて、むしろ支えて
あげなきゃいけないんじゃないか? 可愛い弟もいるんだし。家族ならいつかきっと分かり合える。
お互いに手を伸ばしあってる限り、な」

ゆっくりと大河の顔があがり、竜児をまっすぐに見つめる。その眼差しに光が戻ってくる…

「そ、そうだね。ごめん… ちょっと気弱になっちゃった。昔の悪い癖。駄目だね、私は」
「コラ、また駄目とか言ってる。そうじゃないだろ」
「うん、ありがとう竜児。竜児に話して気が楽になった。そうだよね。私達はまだこれからだし、
焦らなくても、いつかママの心配事を全部聞けるように頑張る。家族なんだもんね」
「ああ… まず、こっちが信じることから始めようぜ」
「そうだね。うん… もう大丈夫! 大丈夫だから。 あ、聞いて! 私、ずいぶんお料理できるように
なったんだ。竜児にコツをいっぱい教えてもらったけど、レパートリー増えたんだから」
「本当か? そらすげぇな!」
「そうよ。ママの代わりに家事もやってるし、いつまでもドジ、ドジって言われないんだから!」
「でも頑張りすぎるなよ。気になることがあったらいつでも言ってくれ。飛んでくるからさ」
「えへ。竜児、ありがとう! ねぇ、私、もう1回イルミネーション見たいな」
「ああ、じゃ、行こうか」

大河は立ち上がって、スキップするようにラウンジの出口に跳ねていった。
その笑顔にはもう曇りや影は無い。
「また先に行きやがって…」
支払いを済ませると、竜児は大河のあとを追いかけていった。

大河が長年負ってきた『1人でいる』ことの痛み。どれだけ目の前に道が示されても、つい後ろを
振り返ってしまうのを責めることはできない。多分何度も繰り返しながら『大丈夫」なことを
心に刻んでいって、自分のものにできるのだろう。今の竜児には、大河に道を指し示し、
支えとして居ることしかできないけれど…
「やっぱ、傍にいてやらないと…な…」
534とらドラ!, again ◆VW.RtTKf1E :2009/07/19(日) 10:13:59 ID:apQ2SRML

「ホント、きれいよね…」
大河は相変わらず、周りのイルミネーションを見上げながら、また口をぽかっと開けている。

「大河、俺たち恋人だよな? フィアンセだよな」
「なによ 今更何言ってんの? まさかアンタ疑ってんの?」
「じゃあさっきのお返しだ。遠慮せず言うぞ。なんかお前、俺が触ろうとするのを避けてねぇか?」
「へ? は、はは、そ、そんなこと無いよ… やだもう竜児、ちょっと手を繋ぎたいからって、
そんな真面目な顔してさ、このヘンタイ。そんなことあるわけないじゃない!」

そう言いながら大河は身をクネクネよじらせて、おどけてくるくる回ってみせる
「大河」
「ふ、ふふ、はは。やっぱり、バレちゃったね。竜児には隠し事できないね。ごめん、嫌とか
そういうのじゃないんだ」

ーこいつ、あれでごまかせていたと思っているのかー
竜児は閻魔大王のような目つきで大河を睨むが、内心は『やれやれ』と思っているだけ。
大河は竜児の方に顔を向けると、そんな目つきを恐れもせず、ちょっと複雑な笑みを浮かべた
「今、竜児に触られると、ダメになりそうだから」
「ダメ?」
「バス降りてきてすぐ、頭、撫でてくれたじゃない。あの時ヤバイって思ったの。
顔がぶわーって赤くなってもう胸がドキドキ。全身に電流が流れたかと思った。あんなにメールや電話で
話してるのにやっぱり本物って凄いね」
「ああ、俺も思ってた」
「ホント? 竜児もそう思ってたの? もし手を握られたら、私、このまま竜児と一緒に行きたい、
離れたくないって、きっとガマンできなくなっちゃうと思ったの」
「大河…」

「でも駄目だよね。2人で決めたんだもんね。みんなで幸せになるって… 
うん、やっぱりさっき話せてよかった… もうすぐ私も20才だし、そしたら親権とか関係なくなって、
自分の意思で今のパパとママの姓になれる。そしたらママも元気になって、来年には竜児の傍に行ける」
「ああ。ホントはすぐ“高須”になって欲しいけどな」
「その話は解決済みでしょ。大学卒業して1人前になってからって。時間掛かったっていいって」
「そうだったな。スマン、忘れてくれ」
「でも… そうだね。早くその日が来るといいな…」

そう言うと、大河は建物の間から見える夕暮れの空に向かって、右手を真っすぐ伸ばした。
太陽の光に隠れて、まだ見えない星を掴もうとするように、白い、小さな手を一杯に広げて。

その右手の細い薬指に、竜児はポケットに隠し持っていた指輪を取り出し、そっとはめた。
ハート形にカットされた小さなクリスタルが付いたシルバーリング。

「えっ? なに…?」
「クリスマスプレゼント。たいしたものじゃないが、大学卒業して、結婚するまでの、な」
「竜児…」
「サイズ、どうだ?」
「ぴったり。どうしてわかったの?」
「隠してもどうせバレちまうから言うけど… 川嶋に聞いた」
「ばかちー?」
「ああ。昔、川嶋にネイルアートやってもらってた時に聞かれただろ?」
「あの時! あ、だから先月ばかちーからのメールで『あんた高校の時から、痩せたり太ったりした?』
って聞かれたのね。変わってないって答えたけど。ふーん…」
「い、いいだろ? アドバイスぐらいもらったって。それより、どうだ?」
「ありがとう。うん、とっても可愛いよ。大事に…する」

大河は俯き、祈るようなポーズで指輪がはめられた右手の薬指に左手を重ねた。

「ありがとね。竜児…」
「ああ」
535とらドラ!, again ◆VW.RtTKf1E :2009/07/19(日) 10:21:07 ID:apQ2SRML

竜児は大河に近づくと、その身体をギュッと抱き締め、耳元で囁いた。
「大河、似合ってるぞ」
「うん。竜児が選んでくれたんだもん、間違いないよ」
「気に入ってくれて、ありがとな」

大河もおずおずと両腕を竜児の腰に回しながら、竜児の顔を見上げた。
「あ、私やっぱりドジ治ってないや」
「え?」
「竜児へのクリスマスプレゼント。用意するの忘れてた。前はあんなに時間掛けてたのに、
最近ちょっと考えることが多くて、ね。 ごめん…」
「俺へのプレゼントなら、もう貰ったよ」
「えっ?」
「こうして大河と会えた。どんなモノよりも最高のクリスマスプレゼントだ」
「りゅうじ…」

竜児は少し大河から身体を離すと、背を丸めて、唇をそっと大河の唇に重ねた。
大河が一瞬身を固くしたのが、腰にまわした両手から伝わってきた。

―周りには人が大勢いるけど、構うもんか。クリスマスイブだ恋人の日だ大河の日だ―

久しぶりに触れる大河の唇。それは冬の冷気にさらされて、少し冷たかった。
大河の身体からこわばりが抜けていき、2人の触れている部分から熱が全身に広がっていった。

「電流、流れたな…」
「う…ん、流れた」
大河が上気した顔で答える。その瞳にもう迷いはなく、真っすぐに竜児を見つめている。
竜児は、大河のその小さな身体に、熱を、力を注ぎたかった。大河と共にありたい気持ちを刻みたかった。

「ね、もういち…」
あの夜と同じに、大河が求めるより早く、竜児は再び唇を重ねる。
大河もブーツの踵をあげて、背伸びして、唇を押し付けてくる。熱がさらに溢れてくる。
2人は互いの存在を身体で記憶するように、強く、深く、唇を重ね合った。

その時

“カラーン カーン コローン”

館内に夕暮れの時刻を告げるチャイムが鳴り響いた。

「いけないっ、弟を迎えにいかなくっちゃ!!」
「お、もうそんな時間か?」
「じゃあね竜児、またね。私、頑張るから。早く竜児の傍に行けるように頑張るから」
「ああ、俺も頑張る。大河も頑張れよな。また来るよ、こっちに」
「うん!」

離れ際に、竜児はやっと大河の手を握った。その手はさっきのキスの初めと同じように冷たかった。
「ごめん竜児。私、行かなくっちゃ」
大河は手を離すと「バイバイ」と軽く振りながら、地下鉄の駅の方に駈けていった。
「あぁ、またな…」

竜児も軽く手を振り返した後、掌に残った大河の手の冷たさを揉み消すように、
強くその手を握りしめた。

―「頑張るから」「頑張れよな」―
大河と自分が繰り返した言葉が、いつまでも耳に残っていた……

536 ◆VW.RtTKf1E :2009/07/19(日) 10:26:09 ID:apQ2SRML
今日はここまでです。
ちょっとボリュームの多い投下となってしまいました。
スレがホンワカムードなのに異色な感じで恐縮ですが、バリエーションの1つとして
見ていただけると幸いです。

週1ぐらいで投下できると良いのですが、今週はちと忙しいかも。
頭の中は書きたいことでパンパンだぜ!なんですが…
537名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/19(日) 10:31:18 ID:7pQSAJ4M
>>524
GJ!! いや、GP(ぐっどぱんつ?)

>>536
GJ!!
ちょっとほろ苦いのがいいねぇ。GJです。
つづきをたのしみにしているZE!!
538名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/19(日) 10:50:15 ID:/SxIlU65
さて気付けばもう容量426KB
このへんで次スレタイトル決めておこうか…

前スレまでのストックは
【とらドラ!】大河×竜児【ゴロゴロ妄想】Vol13
【とらドラ!】大河×竜児【ユラユラ妄想】Vol13
【とらドラ!】大河×竜児【ニコニコ妄想】Vol13
【とらドラ!】大河×竜児【フニャフニャ妄想】Vol13
【とらドラ!】大河×竜児【モジモジ妄想】Vol13
【とらドラ!】大河×竜児【クスクス妄想】Vol13
【とらドラ!】大河×竜児【モグモグ妄想】Vol13
【とらドラ!】大河×竜児【ハフハフ妄想】Vol13
【とらドラ!】大河×竜児【ハラハラ妄想】Vol13
【とらドラ!】大河×竜児【アマアマ妄想】Vol13
【とらドラ!】大河×竜児【ウトウト妄想】Vol13
【とらドラ!】大河×竜児【キラキラ妄想】Vol13

ですが!!!!!!!!!!!!
夏休み突入したということで

【とらドラ!】大河×竜児【ナツナツ妄想】Vol13

なんかどうですよ!?
539名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/19(日) 11:25:45 ID:o4AOa0Lb
>>536
素敵なキスシーンでしたGJ!
会話も将来に向き合う感じが出てていいね。
540名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/19(日) 12:40:06 ID:iV5N8een
アゲインの人いつもお疲れ様です。
無理せず頑張ってください

【とらドラ!】大河×竜児【モジモジ妄想】Vol13 に一票で
541名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/19(日) 13:38:53 ID:+kdZ/g3F
「竜児、今日は土用の丑の日よ」
「おう、もちろん鰻は用意してあるぜ」

「ご馳走様でした」
「おう、しかしまた今日はいつにも増して食ったな……」
「ところで竜児、知ってる?土用丑ってのは夏場売上げが落ちてる鰻屋に頼まれた平賀源内が、
 店先に『本日土用丑の日』って貼り紙をしたことから鰻を食べることが習慣になったの。
 実は本来、『う』のつく何かを食べる日だったのよ。」
「へー、そいつは知らなかった」
「でね、りゅ『う』じ、もほら、『う』がついてるでしょ?」
「おい、まさか……」
「鰻でたっぷり精もつけたことだし……」

ギシギシアンアン
542名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/19(日) 13:43:09 ID:mAliZ44D
【とらドラ!】大河×竜児【ぬぷぬぷ妄想】Vol13 に一票
543名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/19(日) 15:00:46 ID:wuZC/Upr
>>539
精を付けたのに搾り取られてしまいましたというお話
544名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/19(日) 15:06:13 ID:9kUZJcsp
>>536
最初はシリアスっぽくて読むのためらってたけど、今は後悔してる。最初から読み直してくるぜ!

>>541
これはw
このスレでは大河が竜児を誘うのがデフォだけど案外竜児も…
545名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/19(日) 22:41:33 ID:KBw00W0T
「りゅうじぃ〜」
「おう。どうした?」
「りゅうじ……にへへ」
「おい、大河、なんか顔赤いぞ?」
「それはぁ、竜児が近くにいるからじゃないかにゃあ?」
「おう!?」
「竜児ったら、おう!?だって。可愛い〜」
「お前、酔ってるだろ。一体どこで酒なんか飲んだんだよ。っていうか、未成年だろお前!」
「お酒なんか飲んでないわよー。あっちに置いてあったコーヒー牛乳飲んだだけー」
「あれは、泰子が貰ってきたカルーアだ。思いっきり酒だ。」
「そうなのぉ?」
「つーか大河よ、わざわざ牛乳で割って飲んだのかお前!」
「牛乳で割るとおいしいって書いてあったから、カルピスみたいなもんだと思った」
「甘党の大河が濃いめにした結果ってことか。お前って奴は……」
「ねぇ……りゅうじ」
「おう、なんだ。そんな伏し目がちにこっちを見て」「私、脱いだらすごいんだからぁ!」
「お、ちょ、待て!」

ギシギシアンアン


例によって酔ってる。反省はしてない。
546名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/19(日) 23:05:09 ID:PGtrzkjU
>>538
ナツナツ妄想良いと思います(・∀・)
547名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/20(月) 00:32:20 ID:GiIjpStR
竜児「あっついな」
大河「あっついわね」
竜児「あっついよな」
大河「あっついわ」
竜児「なあ」
大河「なによ」
竜児「ならちょっと離れろよ」
大河「嫌」
548名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/20(月) 06:25:47 ID:M87sxtco
竜児「(ムクムク)」
大河「ん…?何これ…(ガサゴソ)」
549名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/20(月) 07:07:12 ID:+MGiqf8+
ギシギシ妄想に1票
550名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/20(月) 07:39:55 ID:D7/9sW6o
ナツナツ妄想に一票
551名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/20(月) 09:45:02 ID:xiiC79Oj
既出、スレチだったら申し訳ないが、
DVD8巻特典スピンオフのソースは↓

ttp://shop.at-x.com/item_detail.command?item_cd=KG0810012
ttp://www.7andy.jp/dvd/detail/-/accd/R0377886

何が言いたかったかというと、ナツナツ妄想に一票
552名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/20(月) 12:07:26 ID:wQG01JOo
ナツナツに俺の息子の分も合わせて2票
553名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/20(月) 15:43:23 ID:6C66MUid
>>551
あああもう最終巻か…寂しいね

まあその寂しさはこのスレがあるから昇華出来るんだがな
554名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/20(月) 23:33:23 ID:Yxn74cW0
「竜児」
「おう」
「世の中は夏休みですって」
「俺たちも夏休みだろ」
「どこか行きたいな」
「川嶋の別荘行くだろう」
「行くけど…どこか行きたいな」
「北村さそったらどうだ」
「デデデデート?」
「意外にOKでるかもしれないぞ」
「そそそそうかな?」
「さらっと言ってろ」
「なんて言えばいいんだろう」
「『映画の券もらったんだけど一緒に映画見に行かない?』とか」
「券持ってないよ」
「嘘付くんだからお前が二人分買え」

◇ ◇ 二日後 ◇ ◇ 

「ほら、泣くな」
「だって北村君予定一杯って」
「仕方ないだろう」
「映画の券買っちゃったのに」
「なんで先に買うんだよ。もう」
「どうしよう」
「俺でよければ付き合うぜ」
「…うん」


◇ ◇ 上映当日 ◇ ◇ 

「ちけっと代、ほら」
「いいわよ、どうせ余ったチケットだから」
「いいのか?」
「たまにはおごるわよ」
「おう、サンキューな」
「お菓子は竜児の奢りね」
「ぐわーっ、絶対足が出る!」

555名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/20(月) 23:41:52 ID:gfZfWbPT
>>554
wktk
556名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/21(火) 09:01:09 ID:e1qyDiMQ
次スレ立てる場合は>>1の関連スレ更新してくれたらありがたい
557名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/21(火) 12:21:58 ID:R/x/LaBX
「すっかり夏ね……」
「そうだな……」
「どうすんのよ、これ? 今年はパット無しで水着が着たかったのに!」
「これって…おい、胸出して何やってんだ?」
「遺憾だわ。あんたの言う通りいっぱい揉ませたってのに、ちっとも大きくならないじゃないの!」
「それは…きっと…足らなかったんだ」
「そ、そうなのかな?」
「それじゃ今日はそっちを重点的に…な?」
「もう、竜児ったら…」


ギシギシアンアン
558名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/21(火) 12:23:52 ID:R/x/LaBX
久しぶりにアニメ1話見返したんだが、ずっと2828してた俺きもいww
いやー本当に好きなんだなーと思った。何週目か分からないが完走してくる!
559名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/21(火) 12:45:47 ID:xksZJbbM
>>557
「大体、大河は自分の胸にコンプレックスを持ちすぎなんだよ。貧乳がなんだ、巨乳がなんだ?
同じ胸には大して変わりないだろ?確かに男は巨乳好きなやつの方が多い。でも、少なくとも俺は小さい方が好きだぞ?
巨乳は年をとれば垂れて、ブラとかで補強しないといけないし重くて腰が凝わで最悪。違うか?」
「ちょっと待て。何あたかも俺が喋ったように見せかけてんだよ?」
「いいじゃない、別に。あ! もしかしてあんたもばかちーみたいにボン!キュ!ボン!なのが好きなの!?」
「別に、妄想で寄せて両成敗☆みたいなのを考えた事もあるがそんな事はないぞ?」
「両成敗…?あぁ、二つ同時にって何言わすんじゃエロ犬!えぇ悪かったわね、どうせ私は片方ずつしかできませんよ!」
「だから俺は小さかろうが大きかろうがどっちでもいいって言ってるんだよ。好きな女子のならなんだって美しいんだぞ」
「どうだか!だってあんた最近全然胸に興味示さないじゃない!下のほうばっか慰めてないで上もなさい!」
「ん?こうして話している間も胸を責めてるって事分かってるか?」
「…あ…っ」

モミモミアンアン
560名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/21(火) 12:56:34 ID:1bLIBYnc
>>558
はっはっは、俺なんか6巻以降のDVDのCM見る度にちょっと泣きそうになるぜ
561名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/21(火) 16:26:40 ID:xksZJbbM
『ちょっと奥さん聞いた?なんでもこの家の主人がDVしてるって噂!』
『えぇほんと!?そういえばこの前人相見たけど交番の横にこの顔にピンと来たら、の所に乗ってそうな顔だったわね…』
『そうそう、そんな感じそんな感じ。奥さんは小さくてとっても可愛らしいのに…脅されてるのかしら』
『きっとそうよ。文句も言えない無垢な少女を手篭めにして思い通りにするなんて非道よね〜』
『あの顔は絶対どこかの組の若頭よ…そのうち墓穴を掘ると思ってたら…』
『こうなったらここ一帯の住民と一致団結して抗議しに行きましょう!』


「竜児!こんな時間までどこ行ってたのよ!浮気?やっぱり浮気なのね!?うわああん!!」
「ちげーって、先輩と上司との付き合いなんだって。俺だって好きで行ってるわけじゃないぞ!?」
「問答無用!食らえデストロォォォイ!!!」
「ぎゃああああああ!!!」
ドンガラガッシャーンパリーンパリーンバキバキゴキッメキィィィィ
562名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/21(火) 17:44:46 ID:/XTz/wfI
ドンガラガッシャーンパリーンパリーンバキバキゴキッメキィィィィギシギシアンアン
563名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/21(火) 17:46:59 ID:tjGXd3PW
>>561
DVしてるのは大河のほうかよwww
564名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/21(火) 18:18:23 ID:xksZJbbM
◆eaLbsriOas@避難所です。代理投稿歓迎。感想いつも拝見しています。ありがとう!
そんな日ごろの感謝を込めて……
565・お礼するの:2009/07/21(火) 18:19:12 ID:xksZJbbM
「なんだよ」
「なによ」
「お礼言えよ、おまえ」
「はあ!? なんで私がお礼言わないといけないわけ」
「ありがたいことなんだぞ、こうしてもらえるの。とにかくお礼言わないといけねえんだよ」
「なによそれ偉そうに。お互いさまでしょ? むしろあんたがお礼しなさいよ」
「まあ広い意味じゃお互いさま……なのかあ? いやもちろん俺もするけど。
 おまえのお礼が欲しいんだよ、たぶん」
「……じゃあふたりともお礼する、ってことね。まあいいわ。なんの?」
「おう、なんの、っておまえ。そりゃあれだろ、日ごろの感謝というか……」
「日ごろの感謝ぁ? 駄犬のくせによくもまあ……仕方ない、いいわよお礼、
 してやろうじゃない、先に。あんたも後からかならずお礼しなさいよ!」
「おう、するする。必ず後でする。ささ、どうぞ」
「……」
「……どした? ほら、早く」
「……」
「そこまで赤くなる必要なんかねえから、ほら……待ちくたびれちまうぞ?」
「……」
「……言えねえんなら、俺が先に言っちまうぞ?」
「うるっさいっ! 言えるっての! 私が先に言う! あんたは後!」
「おう……じゃあ、ほら、言えよ」
「……」
「……頑張れ、大河」
「っ! ぅるあっ! 言ったらあっ! そこで耳かっぽじってよっく聞くがいい!」
「おまえよくそんなこと言えるな……」
「うっさいっ、竜児っ! いっ、いいいいつも、その、あっ、ありがと……」
「えっ? ……いや、そうじゃねえだろ」
「えぇ? なに? もっと、ちゃんとしろっての? うぐ……わ、わかったわよ!
 なによ、わ、私だってちゃんとお礼くらい言えるっての! なめんな!
 だからそのっ! き、きき聞いて、竜児……っ」
「た、大河。聞くけどよ、いやだからそうじゃ」
「い、いいいつも、その、や、優しくしてくれて、ありがと……だっ、だからその、ね?
 ま、毎日、朝、起こしてくれて、その、お、美味しい朝ごはん、作ってくれて、
 お、お弁当も、美味しくて、その、ば、晩ごはんも、美味しいものいっぱいで……
 えと、あと、っそう! こぼしたら、すぐ染みぬきしてくれて、えっと、あと……
 私がドジしたら……あっ! こ、転ばないように、助けてくれて……んと……待って、
 いっぱいあるの、まだいっぱい、嬉しいこと、楽しいこと、っそう! 悲しくて、
 私が泣いたりしたら、一生懸命、慰めてくれるの……お、怒ったら、止めてくれて……
 ど、どうしよ、まだいっぱい、あるはずなのに、ほ、ほんとに! いっぱい、
 いっぱい……なのに、わ、わた、し……」
「た、大河、泣くなよ、な? いや、だからさ」
566・お礼するの:2009/07/21(火) 18:19:56 ID:xksZJbbM
「待って! うぐ……待って、竜児、い、言えるの! 言える、はずなの!
 い、言えないと、だめなの……なのに……駄目。もうさっきから、ひとつくらいしか、
 思い浮かばないの……同じことばかり、思っちゃうの……同じことしか、ひとつだけしか
 ……だから、もう、これ、しか……」
「た、大河……?」
「ん……竜児、竜児、竜児……っ。いつも、一緒にいてくれて、ありがと、竜児……
 私、嬉しいの……幸せ、なの……」
「大河……おう、どういたしまして。俺も、おまえと一緒にいれて、楽しいよ。嬉しいよ、
 大河……」
「りゅ、竜児……っ!」
「おう……あー……そこでだ、大河。俺はまことに言いにくいことを言わなくちゃならねえ」
「な、なに? なによ、言いにくいことって……。っ!? や、やだ! 竜児、どこか
 行っちゃうの!? いなくなっちゃうの!? や……いや、そんなの、急に、そんなの、
 いやっっっ! 駄目えぇ――――――――っっっ!! 一緒にいて! 置いてかないで!
 竜児っ、竜児っ! ずっと一緒にいてったら! あんた、ずっと一緒にいてくれるって、
 約束したじゃない! 竜とか、虎とか、言ったじゃない! やだ! ずっと一緒にいるの!
 いや! いや! やだよ、竜児、私、ずっと、一緒に、いるの……っ」
「っ落ち着け大河! どこにも行かねえし、置いていきもしねえって!?」
「っ!? ほ、ほんと? ほんと……? よ、よかった……」
「あー、しかしますます言いにくくなったぞこりゃ……なあ、大河、いいか、落ち着いて、
 今から俺が言うこと、よーく聞けよ」
「うんっ、うんっ」
「いいか。大河。おまえが、お礼を、言わなきゃいけねえのは、俺じゃ、ねえ」
「うんっ、うんっ……へっ?」
「おまえが、いやおまえと俺とが、お礼を言わなきゃいけねえのは、いっつも俺たちのこと
 見守ってくれてるすべての人たち、今この瞬間も、優しく微笑んで見てくれてるはずの、
 すべての人たちに、なんだよ……俺じゃあなくて」
「……すべ、ての……はあ!? なにあんた、騙したわけ!?」
「騙してねえ。ばっちりおまえの早とちり、ドジだ。ドジだおまえは。途方もないドジだ」
「うるっさいっ! あんたわかってたんでしょ!? なんで早く止めてくんなかったのよ!」
「止めようとしたよ!? おまえが無理くりぜんぶ言ったんだろが!?」
「うう、ちぐぞぉーっ……か、返せ! あんたにしたお礼、ぜんぶ返せ! てか嘘!
 あんなの、ずぅええええぇぇぇ……っんぶっ! 嘘! 嘘なんだから! ぜんぶナシ!」
「嘘なわけねえだろどうみても。あと返すわけがあるか。てか、いーやーだーねー。
 そうかそうか、おまえは日ごろ、そんなに俺のことを想ってくれていたのか。
 いやあ、ありがたい。ぜんぶまるごと、美味しく頂きました」
「っひ――――――っっっ! 死ぬ! 死んじゃう! 死んじゃうんだからっ!」
「こらこら、死ぬな死ぬな。死なない死なない。そんなに髪もわやくちゃにするな。
 さてと……というわけで、どう見てもいいものでした、どうもありがとうございました」
「あんた誰にお礼してんのよっっっ!?」


***おしまい***
567名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/21(火) 18:40:49 ID:5w2OQ6kX
>>2のテンプラ作ったよ
http://sakuratan.ddo.jp/uploader/source/date115251.txt

よく考えたら●持ち氏がスレ立ててあとから俺がテンプレート貼れば良いということに気付いたけど別にいいや
568名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/21(火) 18:53:29 ID:vyt1OJ5r
>>567
おお乙です!
569名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/21(火) 19:59:25 ID:1DvjwJwy
>>566
GJした。相変わらず大河が可愛いねー
570名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/21(火) 21:35:04 ID:rYA01DC4
571名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/21(火) 22:24:42 ID:9N1u+Ibz
>>566
GJ!
大河いいよ〜

>>567
乙であります!

>>570
上の画像がスマッシュヒット
572名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/21(火) 22:30:04 ID:1DvjwJwy
>>562詳細

「待て! 落ち着け、大河! あぶ!」――ドンガラガッシャーン
「このっ! コラ逃げるな竜児っ! おらぁ!」――パリーン
「浮気なんかしてねえって! 聞けよ! うわあ!」――パリーン

「嘘おっしゃい! それなら証拠を見せなさいよ! このっ!」――バキ
「どどどうやって見せるんだよ!? おい、すげえ音がしたぞ!」
「浮気してきたんだから立たないでしょっ! ホラ、さっさと出しなさい!」――バキ
「おおおい! 家が壊れるって! しゃ、しゃあねえな、今出すから……あぶねっ!」――ゴキッ
「フン! 脱ぐ時くらいは止めてやるわ。さぁ、しおれたのを晒しなさい、竜児」

ズルっ!――――メキィィィィ

「――――っ!?!?」

「ふ、ふふふふ……どうだ! 大河! これを見ても浮気してきたと言えるのか?」
「な……なんて大きいの……っていうか、何でもう立ってるわけ? あんたまさか……」
「いや、別に興奮したわけじゃないぞ? ほら、あれだ、種の保存本能ってやつだ」

「……な、何でもいいけど……それ、そのままじゃ……あああああんまりよね?」
「おう? 分かってくれたなら別にいい。しまうから待ってくれ」
「待って!」

ズルっ!

「……へ?」
「逃さあああああぁん!」
「おわああああぁ!?」



ギシギシアンアン




◇ ◇ ◇ ◇ ◇

ちょっと反省した。
573名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/22(水) 04:09:23 ID:LocctaQf
とらドラ!三題噺「歯」「苦労」「大豆」



「おかわり」
 目の前にずい、と突き出されるマグカップ。
「おい大河、いくらなんでも豆乳飲み過ぎじゃねえか?」
「いいから早くおかわり」
「お前なあ……ここんとこ毎日最低1リットル、下手すりゃ2リットル飲んでるじゃねえか。まあそんだけ言われるままに作った俺も俺だけどよ。
 お前のその……コンプレックスはわかるけど、腹壊しでもしたらどうするんだよ」
「あんたには関係ないでしょ」
「関係無いことあるか。大体、そんな急に大量に飲んだからってどうこうなるもんじゃねえだろ。
 何があったんだよ?」
「うるさい黙れ」
「……わかった、大河がそういう態度をとるなら、しばらくおやつにアイスは無しだ」
「それぐらい自分で買うからいいわよ」
「あいにくだが大河、それも無理だ。なぜならうちだけでなくお前んちの冷凍庫もアイスを保管しておくスペースが残ってねえからな」
「……何よそれは!」
「何って……大豆煮てミキサーかけて絞って豆乳作れば、当然おからが残る。消費しきれないそいつがたっぷり冷凍保存されてるってだけのことだ。
 普通に食べる以外にもハンバーグや餃子の挽肉に混ぜたりクッキーに入れたり、けっこう苦労して使ってるんだが、やっぱり三人だと限度があるしな。
 もちろん豆乳はもう泰子の分しか作らねえが、おからを無理して使うのもやめるからな」
「ぐ……卑怯な……」
「卑怯だろうが何だろうが、大河の行動が明らかに異常なのを放置しておくよりマシだ」
「……あ……」
「あ?」
「あんたのせいじゃないのよ!この馬鹿犬!」
「……へ?俺?」
「忘れたとは言わさないわよ……この間テレビで巨乳アイドルに見とれて『いいなあ……』とか言ってたじゃないの!」
 ……正直心当たりが無い。だが聞き返そうものなら確実に大河はキレる。
 そして間違い無く暴れる。そりゃもう俺じゃ歯が立たないぐらいに。
 必死で記憶を検索……類似事項は一件。だが……
「ちょ、ちょっと待て大河、そいつは誤解だ」
「何が誤解よ。私はこの耳でしっかり聞いたんだからね」
「いや、俺がいいって言ったのは、その前に出てたゴスロリの方でな……」
「嘘! 完全に巨乳が出てからだったわ」
 ……ええい糞、こうなったらもう自棄だ。
「実はだな、あの時俺は、テレビ画面なんてまともに見てなくてだな、
 ……その、ゴスロリ衣装をだな、大河に着せたら似合うんじゃねえかって……
 つまり、妄想してたんだよ! ああもう、変態とでもエロ犬とでも呼びやがれ!」
「……嘘」
「こんな恥ずかしい嘘をついてどうする。
 ……って大河?どうした?」
 一発殴られるぐらいは覚悟してたんだが……何故大河は俯いてもじもじしてるんだ?
「り、竜児がそんなに見てみたいって言うなら、一度ぐらい着てやるのも、や、やぶさかではないわよ」
「お、おう……本当にいいのか?」
「か、勘違いするんじゃないわよ!そう、あんたがアイス駄目とか卑怯なこと言うから!
 アイスのために、しかたなくなんだからね!」
「おう、意地悪言ってすまなかった。おからは何とか工夫して消費するから、嫌なら無理に着ることないぞ」
「べ、別に、嫌ってわけじゃないから。一度着るって言ったからには着るわよ。
 そうね、主人としてたまには犬にご褒美あげないといけないものね」
「だけどお前、真っ赤じゃねえか。そんなに恥ずかしいなら……」
「ああもう人がせっかく着るって言ってるんだからそれ以上グズグズ言うんじゃないこの駄犬ー!」
「何でそこでキレるんだよっ!」
574とらドラ!で三題噺 ◆Eby4Hm2ero :2009/07/22(水) 04:11:06 ID:LocctaQf
コテ付け忘れ&タイトル書き換え忘れorz


お題 「歯」「苦労」「大豆」


でお願いします。
575名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/22(水) 04:15:18 ID:jKgi/Hqd
>>574
GJっす・
576名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/22(水) 06:12:02 ID:MywVg0hO
>>572
IDだけにDVってか?誰が上手い事を言えと…

>>574
ヤチモチタイガー可愛いよヤチモチタイガー。
577名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/22(水) 08:55:41 ID:Gv7VbTr/
>>570
一枚目の画像の詳細を…。
578名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/22(水) 10:41:49 ID:Luf/Qi0i
大変だ!日食の影響で大河のおっぱいが90%OFF!
579名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/22(水) 11:19:00 ID:Gv7VbTr/
「竜児、日食よ日食!」
「なんだ?日清食品ならないぞ?体に悪いし」
「違うわよバカ。皆既日食!まぁこっちでは多分部分日食だけど」
「太陽が月によって隠される…滅多に見れるもんじゃないよな。どれ、テレビでも」
「あ! いいのテレビはいいの。私が言いたいのは…その…」
「言いにくい事なのか?」
「違う…けど…。えっとね、月が太陽に覆いかぶさるんだよね」
「おう?」
「いつか、ばかちーが言ってたよね。竜児が月で、みのりんが太陽だって」
「あぁ、随分と前に聞いたことがあるな。近すぎると燃え尽きちまうとかなんとか」
「そうそう。でも、結局竜児は私と結ばれた。でね、言わば今は私が太陽って事じゃない?」
「んー…まぁそうだな。明るいのが取り得みたいなもんだし」
「でしょでしょ。それで、月…竜児が、太陽の私に覆いかぶさる所を想像してみて?」
「…まさか…」
「その通り!だから今からあんたは今から太陽の私に覆いかぶさって燃え尽きるのよ!」
「お前日に日に口説くの上手くなってねぇか?」

ギシギシアンアン
580名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/22(水) 12:22:20 ID:GnpyXzCq
                        ______
                        \        \
     _, -、                  |,.\        \
.  〃´ ^⌒ヽ               /   \        \
.  i{ /{八人}i              /    ,. i \_______\
  八ハ#゚ 、゚ノハ  パンパン   >>578 |    /.| |\||_______||~
  ノノ ノ)iてと八    ..         | .|   | | |  ||          ||
 ( (く/_j」〉ノ )   .  _./⌒..───' | / | | .||          ||
     (_ハ_)     ..  __/⌒ 二二ニニ ノ  U ||        ||
581名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/22(水) 17:58:24 ID:TCsn21sf
歯磨き中

「なぁ、大河?」
「はひよ?」

「竜河さ、勉強頑張ってるみてえだけど、何かあるのか?」
「ふん。あひたひけん。ならいごこの」

「へー明日習い事の試験か。やる気だしてんなぁ」
「ほーみたい」

……ぎゅっ
「……?」

「いや、おまえ……抱きしめてって言うから……」
「ふふ……なんでほこだけえいごはのよ」
582名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/22(水) 18:09:07 ID:MywVg0hO
不覚にも萌えた
583名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/22(水) 19:52:51 ID:Luf/Qi0i
HOLD ME TIGHT wwwww
584名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/22(水) 22:05:06 ID:ssVhDegx
>>581
ワロタwww
その発想はなかったw
585とらドラ!で三題噺 ◆Eby4Hm2ero :2009/07/22(水) 22:51:52 ID:LocctaQf
お題 「後頭部」「寝坊」「仁王立ち」



 竜児の意識がゆっくりと浮上してくる。
(重い……何だ?)
 側頭部から後頭部にかけてずっしりとした重量感。
 頭を動かそうとしてみるが、がっちり押さえられたように動かない。
(まさか、金縛りか?)
 恐怖で一気に意識が覚醒する。
 自分の状態は……どうやら卓袱台に突っ伏したまま寝ていたらしい。
 頭は横を向いて、両手はそのこめかみの下に。指は……動く。体も身じろぎ程度なら出来る。
 頭を中心に何かが覆い被さっているようだ。
(何かが……何が?)
 目を開ければわかるのだろうか。だが例えば、恨めしげにこちらを見つめる女の顔があったりしたら……?
(いや、そうとはかぎらねえし)
 恐怖をこらえてそろそろと目を開く。
 はたして、竜児の顔の数センチ先にあったのは女の顔であった。
 すやすやと眠る逢坂大河の。

(……何だこれは?)
 何とか眠る直前の記憶を呼び起こす。
 夏休みに入ってからというもの、寝坊の心配が無くなったせいか、大河のみならず竜児も少々だらけ気味であった。
 夜遅くまでB級映画のDVDを見ていて、たしか大河は先に床に転がったまま寝ていたはずだ。
 竜児もそのまま寝入ってしまったのだろうが……
(何で大河の顔があるんだ?)
 自分の顔の向きを考えると、大河の頭は上下が逆で……
 つまり、大河が竜児の頭に覆い被さったまま寝ているわけだ。
(えーっと、つまり……)
 大河が一度目を覚ました。それで半分寝ぼけたまま竜児を起こそうとした。
 そして、そのまま倒れこむように二度寝に突入したのだろう……多分。
 状況がわかれば落ち着きも出てくる。
 考えてみれば頭に乗っている物は暖かくて柔らかくて、明らかに生きているモノの感触なわけで。
(何だ、大河を起こせば問題は解決じゃねえか)
「おい、たい……」
 名前を呼びかけてふと気付く。
 大河の顔は竜児の顔の数センチ先で。
 大河は上半身を竜児の頭に乗せていて。
 つまり、竜児の顔の横にあたっている感触は……
(大河の、む、胸……か?)
 布越しとはいえ、明らかに存在感があるのだ。
 それは、腕とか背中とか、今まで竜児が触れたことがある部分より間違いなく柔らかくて。
(……畜生、哀れなんかじゃねえじゃねえか……)
 ともかくこの状態で大河を起こしたりしたら……
『竜児……覚悟はできてるんでしょうね?』
 炎だとか虎だとかのオーラを背負って仁王立ちの大河の姿が幻視される。
(……どうしよう)
 幽霊のほうが遥かにマシだったかもしれない。
586とらドラ!で三題噺 ◆Eby4Hm2ero :2009/07/22(水) 22:53:11 ID:LocctaQf
 ともかく、大河を起こせない以上竜児に出来ることは何も無い。だが、
 目の前数センチに(姿勢はともかく)とんでもない美少女の寝顔があって、
 すうすうと健やかな寝息に、時折「ん……」とか鼻にかかった声を漏らしたりして、
 シャンプーだか体臭だかほんのりミルクのような甘い匂いがしたりして、
 暖かくて柔らかい感触がぎゅっと押しつけられていて、
 五感のうち4つ、目をつぶったとしても3つまでもが大河の存在を強烈に伝えてくるわけで。
 無論再び眠れるわけもなく、心臓はドキドキしっぱなし。
(……おちつけ、おちつけ、こいつは手乗りタイガーで、北村が好きで、俺には櫛枝がいて……)
 僅かに開かれた、小さくて柔らかそうな唇。
 ほんの少し頭を前に動かせば、それに……
(……っ! 何考えてるんだ俺! というか何も考えるな俺!)
「……ん……竜児ぃ……」
 ついぞ聞いたことの無い、大河の甘えたような声。
(……寝言! 寝言なんだこれは!)
「……おねがぁい……」
(……きっと夢の中でメシかなんかねだってるんだ! そうに違いない!)
 本当に?
 こんな姿勢で寝続けてるなんて不自然じゃないのか?
 実は大河もとっくに起きていて、寝たふりをしていて……誘っているんじゃないのか?
(そんなわけねえだろ! 大河だぞ!?)
「……ねぇ……早くぅ……」
 肩に首に力を入れて、ほんの少しだけ頭を浮かせて、
「ただいまぁ〜」
 響いた泰子の声に、咄嗟に目を閉じて寝たふりを。
「あれぇ〜? ダメだよ大河ちゃん、こんなところで寝ちゃ〜」
 頭の上から重さが取り除かれる。
「……んむ……あれ?……やっちゃん?」
「はぁ〜い、やっちゃんでぇ〜す」
「えっと……そうだ、竜児、起こそうとして……」
「竜ちゃん? 竜ちゃんならそこで寝てるよ〜」
「あ、うん……私、帰るね。おやすみなさい、やっちゃん」
「は〜い、おやすみなさ〜い。気をつけてね〜。
 ほ〜ら、竜ちゃんも起きて起きて〜」


「ねえ竜児、朝からやけに豪勢じゃない?」
「いや、たまにはいいだろ、そんな日があっても」
 まさかヨコシマな気持ちを抱いたことへの一方的な罪滅ぼしなどとは言うわけにもいかず。
「まあ、いいけどね……ところであんた、さっきからなんか顔赤いけど」
「あー、なんか熱っぽくってさ。ちょっと風邪ひいたかもしれねえ」
「やだ、夏風邪? うつすんじゃないわよバカ犬」
「……おう」
(……やっぱり大河は大河か……)
587名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/22(水) 23:40:38 ID:t8whuD2m
    _  ∩
  ( ゚∀゚)彡
  (  ⊂彡
   |   | 
   し ⌒J
588名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/22(水) 23:44:46 ID:wBzDykYg
>>574 >>586
合わせて乙でした!
俺も大河布団で寝たい・・・でも、夏だと暑そうw
589名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/22(水) 23:59:36 ID:HwDIQpwH
>>586
(2828)×10
乙でした。
590名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/23(木) 00:16:32 ID:t9z2MY/3
掛布団タイガー……うっ…ふぅ……
591名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/23(木) 01:05:09 ID:tTwsoDN/
掛布 タイガース……うっ…ふぅ……
592名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/23(木) 01:42:26 ID:5OZdDN98
>>591

その発想はwwwww
593名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/23(木) 01:59:55 ID:iFgvxV7H
前に誰かが書いてたけど
ルーツPのキャスティングは最高だな!
594名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/23(木) 08:25:40 ID:H8ZeyTsd
>>586
いいねいいね。
やっぱりおっぱいなんだね。
そうだと思ったよ!
595名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/23(木) 10:53:12 ID:Z5AQUbDU
常夏の島とかけまして大河と竜児の仲と解きます
そのこころは!?
596名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/23(木) 11:35:07 ID:H8ZeyTsd
アツアツですか?わかりませんw
597名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/23(木) 12:11:53 ID:Z5AQUbDU
正解は次スレで
598名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/23(木) 13:12:11 ID:Y7sML5jB
>>595
飽きが来ない(秋が来ない)
599名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/23(木) 18:26:55 ID:IxpCDL9s
やばい、最近過疎気味になってきてる…

いや、いつもが活気すぎるだけか
600名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/23(木) 18:50:30 ID:5yaLZ8xw
>>595
皆一様に焼(妬)きます
601名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/23(木) 19:03:30 ID:J6vGFAg+
>>599
俺もそんな気がする・・・ちまちま投下してんだけどねぇ
かと言って、ブツ切り投下は某スレ見ると良くないらしいしなぁ
602名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/23(木) 19:06:10 ID:3vSXo/z1
よし俺も投下するか
投下しあって遊ぼうぜ
603名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/23(木) 19:17:01 ID:IxpCDL9s
小ネタとか書いたりしてるんだけどねぇ
書きたくてもネタがないよ!
604 ◆QHsKY7H.TY :2009/07/23(木) 19:38:56 ID:ksjdqKnL
お久しぶりです。
ようやくRememberの続き投下します。

ネタはあるんだがリアルが忙しくて時間がとれぬ。

では次より続き。一気に行くぜぃ。
605【逢坂大河〜Remember竜児〜】 ◆QHsKY7H.TY :2009/07/23(木) 19:40:28 ID:ksjdqKnL
「………………」
「………………」
家を出て数分。
私は話さないし離さない。
竜児も離さないし話さない。
私たちは手を取って家を出た後、そのままなし崩し的に手を繋いだまま歩いていた。
どちらからも離そうという意志は感じられない。
そんな空気を壊したくなくて、言葉も発しない。
このまま、何処までも行けたら、それはどんなに……。
─────幸せだろうか─────
ドクンと心臓が跳ねる。
予想以上に驚いてしまったのだ。
それは、自分が幸せを求めた事に対して。
自分は幸せなどとは無縁だと思っていた。
いつしか、諦めてすらいたはずなのだ。
自分は幸福とは無縁であるから、と。
しかし、求めた。
それも竜児に。
ここで再び驚愕。
私は竜児に幸せを求めている。
飽くまで片思いと思っていた相手、北村祐作を差し置いて竜児との未来を渇望している。

私は、自分で言うのもなんだが、飽きやすく気が変わりやすい。
だが、決して北村君に飽きたとか、気が変わったとかでは無い。
それは、私の心を占める割合の問題なだけ。
今は、竜児が私の心の容量の大半を占めている、ただそれだけ。
プロパティから調べれば、恐らく空き容量はありませんと表示されるくらい、一杯一杯。

そこにさらに驚き。
私の中で、竜児がそこまで大きくなっていたことは、考えたことなど無かった。
……否、断じて否。
考えたことは……ある。
気付いたというべきか。
ああ……だから私は記憶をなくしたのだろう。
あの晩、竜児を送り出して、私は涙の海に沈んだのだから。
気付くのが遅すぎて、いや、気付きたくなくて、いや、気付いてはいけなくて……だから封印した。
心と一緒に、記憶を。
そんな私が、みのりんをさしおいて竜児とデートなんてしていいのだろうか。
そんな不安がよぎった時、
「大河」
名前を呼ばれた。
606【逢坂大河〜Remember竜児〜】 ◆QHsKY7H.TY :2009/07/23(木) 19:41:43 ID:ksjdqKnL
でも、名前を呼んだのは竜児じゃない。
「あ……」
目の前には、みのりん。
「大河、昨日はなんで電話を切った?アンタらしくないじゃないか」
みのりんは肩で息をしている。
「電話を切った?」
竜児が首を傾げている。
「悪いけど高須君、ちょっと大河を借りるよ」
みのりんは私に手を伸ばそうとし、「高須君?」出来なかった。
「悪いな櫛枝、今日はダメだ。それにお前バイトじゃなかったのか?」
「……大河には言わなくちゃいけないことがあるんだ、手を離して」
みのりんは竜児に腕を掴まれ、私に肉薄できない。
「悪いがダメだ。今日の大河は、俺と用事がある」
「またにしてよ、私は急いでるんだ」
「いや、生憎俺も昨日からこと大河に関しては譲れない立場だからな」
「?どういう意味?」
「俺は、大河の彼氏になった」
「「っ!?」」
私と、みのりんが驚く。
まさか竜児、みのりんにそのことを言うなんて。
「……高須君、それは卑怯じゃないのかい?今の大河は……」
「大河に、告白されたんだ」
「!!本当なの?大河」
二人の間に険悪な空気が流れる。
いけない、これ以上はダメだ。
やっぱり、私が幸福を望むとこうなる。
ここは……。
「ううん、竜児が勝手に言ってるだけだよみのりん」
そうしておくべきだろう。
「大河はこう言ってるよ高須君」
「た、大河……?」
竜児が驚いたように私を見る。
潮時だ。
「だって、私は竜児とみのりんの応援をしてるんだから。あの晩だって……」
「待て大河、お前……」
「あ、うん。ついさっき記憶が戻ったの」
あっさりと、できるだけ何でもないように言い放つ。
「だから安心してよみのりん。昨日電話を切った時はまだ記憶がなかったけど、みのりんと竜児の邪魔はしない『パァン!!』……」
じぃんと痺れたように痛む頬。
目を真っ赤にして、私を睨むみのりん。
叩かれた、と気付いたのは、みのりんの涙が重力に従って地面に落ちてからだった。
607【逢坂大河〜Remember竜児〜】 ◆QHsKY7H.TY :2009/07/23(木) 19:42:28 ID:ksjdqKnL
「大河、あんたは全然わかってないっ!!」
私の首を捕まえて、みのりんは怒鳴る。
「私の昨日の話しを聞いていた?何で最後まで聞いてくれなかったのさ!?私たち親友だよね?」
一気に捲し立てるみのりんの怒声。
けど、今の私は右から入って左へ抜ける状態だった。
みのりんに叩かれた、それだけがぐるぐると頭を巡る。
「聞いてる大河!?私言ったよね!?そんなんじゃない、違うって!!」
ただ、最後のそれだけは聞こえた。
『パァン!!』
今度は、私が叩き返す。
「な……!?」
よっぽど意外だったのか、みのりんは叩かれた頬に手を当てて私をぼーっと見ている。

「みのりんこそ、私を信じてないの?私が気付かないとでも思った?みのりん、私は嘘は何一つ言ってない、でもみのりんは今嘘をついた!!」
「ち、違「違わない!!みのりんは間違いなく竜児に惹かれてた!!」……でも大河が……」

カチンとくる。
「私が何?みのりんは私に同情して嘘ついたの?そんなの、冗談じゃない!!」
「だって!!それは大河が高須君を好きで、高須君は大河が好きだから!!」
「違う、竜児が好きなのはみのりんなの!!」
もうヤケだ。
思いの丈をぶちまける。
竜児の気持ちまでぶちまけたけど、そんなもの今更知ったことか。
『パァン!!』
再び頬を叩く音が高鳴る。
今度は私が叩かれた。
「アンタも今嘘をついた!!高須君は私じゃなくアンタが好きなのに!!」
カチンとくる。
「嘘じゃない!!竜児はみのりんが好きだって言ってた!!だから私たちは一緒にいたんだから!!」
『パァン!!』
私も手をあげ返す。
「くっ!!このわからず屋!!」
みのりんがもう一度私に手を挙げようとして、その手を竜児に掴まれた。
「もういい、櫛枝、もう止めてくれ。大河も」
叩き合っていたのは私たちだというのに、一番痛そうな顔をして竜児は嘆願する。
「だったら高須君!!大河にあの晩のことを言いいなよ!!」
あの晩、とは恐らく私が竜児の背中を押したあの晩だろう。
正直聞きたくはないが、それでこの二人が上手くいくのなら、それも仕方のないことだろう。
「そうね、竜児、みのりんに告白したってことを隠す必要は無いわ」
だから、竜児の口を促す。
竜児はそれを聞いて、私を見つめ、いいんだな?と目で訴えてから口を開いた。
「俺はあの日……櫛枝に告白した」
608【逢坂大河〜Remember竜児〜】 ◆QHsKY7H.TY :2009/07/23(木) 19:46:16 ID:ksjdqKnL
それを音、声として認識し、理解するのと同時、私を構成する世界が音を立てずに砕け散っていく。
わかっていたことでも、ダメージは大きい。
これで私はもう竜児とは関われない。
立つのがやっとというこの状態で、竜児はさらに続ける。
「俺は、大河が好きなっちまったと、櫛枝に告白したんだ」
………………………………はい?
イマナンテイッタノリュウジ?
言葉が上手く理解できない。
ただ、さっきより自身を支える足には力が入っていた。
「俺は、櫛枝が好きになって、大河とつるむようになって、たくさんの大河を見て、櫛枝より大河を好きなことに気付いたんだ」
砕け散った何かが、まるで巻き戻しのように高速で元に戻っていく。
「え……?あれ?……それって……」
先程、いくらみのりんに叩かれても流さなかったソレが溢れてくる。
「お前の記憶が戻ったら、俺から告白しなおそうと思ってた」
竜児が私を真っ直ぐに見つめ、近づき、私の視界は竜児の服だけになる。
手が添えられ、まるで離さないとばかりにきつく抱きしめられて、か細い声で一言。
「……好きだ」
そう、言われた。
私は、震える体を上手く制御できず、それでも竜児の背中に手を回す。
そのまま時が止まったように竜児の温かみを甘受していて、「コホン」……咳払いに慌てた。
「……で、大河」
みのりんはもう怒っていない。
「ち、違うのみのりん!!こ、これはその……!!」
「はいはい、さっき嘘吐いたって怒ったのはどっちだい?」
「私、だけど……」
「全くもう……まぁいいか。私はバイトに行くよ。あちゃあ、完全に遅刻だぜよ」
みのりんは私たちに背を向ける。
きっと気を利かせてくれたのだろう。
「じゃね」
そう言って、みのりんは駆けだした。
残される私と竜児。
「えっと……」
私がゆっくりと竜児をのぞき見ると、竜児も全く同じ動きで私を見た。
言葉が出ない。
目が合うと同時に顔を背けてしまう。
それを繰り返して三度目、ようやく竜児が口を開いた。
「……いつから記憶が戻ったんだ?」
「……家にアンタが迎えに来る少し前」
「何だよ、だったらもっと早く言えば良かったじゃねぇか」
「うるさいわね、タイミング合わなかったのよ、混乱してたし」
「そっか」
竜児は納得したように頷き、
「でもよ、お前は俺で良いのか?お前は北村が……」
そう言おうとした竜児の唇を、背伸びして人差し指で止める。
「アンタは言ったわよね?虎と竜は並び立つから私の傍らに居続けるって」
「……?……おぅ」
「いい?居る、じゃなくて居続けるって言ったのよアンタ。そして私はそれを認めたの。ちゃんとその意味理解してる?」
「……?あ……」
わかったようね。
つまり、アンタは私の傍らに居続けなくてはならない。
故に、それは逆説的に表現すると、
「だからね、竜児。私が並び立つのは……」
竜児の傍らだけ、と未来の立ち位置を私は決定づけた。
私は二度と忘れない、自分のその立ち位置を。
変わることの無い、竜児との距離感を。

FIN
609 ◆QHsKY7H.TY :2009/07/23(木) 19:47:15 ID:ksjdqKnL
これで終わりです。
短いって言いながらだらだら長くなって、しかもたっぷり間を開けてごめんなさい。
お読み頂きありがとうございました。

さて、その後をオマケでちょっと……。


「でもよ、ちょっとおしかったな」
竜児が感慨深そうに言う。
「何が?」
「記憶のないお前も、結構可愛かったんだけど。素直でさ」
「なっ!?」
プスプス音を立てて煙が立ち上る。
私はオーバーヒート寸前だ。
でも、まてよ?
「ちょっと、それって今の私が素直じゃないみたいじゃない?」
「おぅ、そうだな。素直ではないな」
「……言いたいことは多々あるけどまぁいいわ。おしかったと言えば私も一つあるし」
「何がだ?」
「記憶が戻ってMOTTAINAIってコト。私さ、やっちゃんを私のお母さんと勘違いしてたのよ」
「?ああ、なんか言われて見ればそんな感じも……」
「だからね、お母さんがあんなに胸がおっきいなら私もいつかって希望が見えてたの」
「おおぅ、それは……」
「だから、記憶が戻って、またこんな絶望を味わうくらいなら、胸のことに関してのみ忘れたままでいさせて欲しかったわよ」
「ま、まぁ気にすんなよ、胸のでかさぐらいで」
「ぐらいってアンタねぇ……ハッ?前にばかちーが男に揉んでもたったら大きくなるって言ってた、あの時はまだ彼氏もいないし聞き流してたけど……」
「た、大河?」
「今は晴れて物語終盤で恋人同士になってるのよね私たち」
「おーい大河?聞いてるか?」
「ということは何も問題無いわけよね?うんそうよ問題ないわ。また>>516のような変態監視者が来る前に対策を取るのよ」
「ダメだ、何か完全自分の世界に入っ「竜児っ!!」……おぅ?」
「その、えっと……なさい」
「は?」
「……みなさい」
「……何言ってるかよく聞こえんそ?」
「だから!!私の、その、むむむ……」



Tobecontenued?
(続きません(汗))
610名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/23(木) 20:30:38 ID:J6vGFAg+
>>609
イイ!これぞ青春って感じ!
おつでした。次回作も首を長くして待ってますね。

>>602
投下しあって遊ぶとは?w
611名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/23(木) 20:31:26 ID:IxpCDL9s
おおおおおおお
激しくGJ&乙です!実は一番楽しみにしていたり。
◆QHsKY7H.TY 氏の作品は胸になんかこう込み上げてくるものがある。凄いなぁ
櫛枝と大河が誤解して相手に譲り合って殴りあうシーン…鳥肌ものでした。
また何かアイディアがありましたら、是非、是非!
612名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/23(木) 20:46:43 ID:3vSXo/z1
>>609
よし乙!
613名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/23(木) 21:01:40 ID:8z/CqJtw
>>609
おまけわろたw
てかおっぱいネタ書いてるけど難しい…
614名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/23(木) 21:44:02 ID:3vSXo/z1
>>610

大河「竜児!大変よ!?」
竜児「どうした!?」
大河「これを見て!」
竜児「こ、これは!」

続きヨロ
615名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/23(木) 21:57:58 ID:J6vGFAg+
>>614

大河「ね、ね! ほら、ホックが留まらないの!」
竜児「あ……ああ、すごい、すごいぞ大河!」
大河「いやったー! ついに、遂にこの時が来たのね!」
竜児「大河……俺は感動してる……あの涙ぐましい努力は無駄じゃなかったんだな……」

ヘイへイパース!
616名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/23(木) 22:11:58 ID:3vSXo/z1
>>615

祐作「何やってるんだ櫛枝」
実乃梨「大河たちを覗いてる」
祐作「それは犯罪じゃないのか。で、どんな様子なんだ?」
実乃梨「高須君が大河のスカートをめくって下着を脱がせてる……」
祐作「櫛枝、俺にも見せてくれ」
617名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/23(木) 22:15:44 ID:tTwsoDN/
>>616
「何するんだ櫛枝!目がーっ目がーっ!」
「いやぁ、ごめんごめん。あんまり北村君が興奮しているから目つぶししちゃったよ。生徒会長が覗きだなんて感心しないなぁ」
「くっ、目の裏まで行ったぞ」
618名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/23(木) 22:52:24 ID:H8ZeyTsd
康子「あー、大河ちゃんと竜ちゃんがエッチな事してるでがんす〜☆」


ヘイ、パスパース
619名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/23(木) 22:57:22 ID:3vSXo/z1
メガネ「俺も混ぜろよ」
620名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/23(木) 23:05:18 ID:mg56GAcB
メガネって誰ww
621名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/23(木) 23:45:08 ID:q3UAeWtQ
能登じゃね
622名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/24(金) 00:08:45 ID:alMCutT5
「ねぇ、竜児ぃ。そろそろ埋めた方がいいのかしら」
「いや、次スレが立つまで自重しろ」
623名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/24(金) 01:02:43 ID:gI+3DqPL
>>609
GJ&乙です。

1作品書いてみたが、容量が12Kくらいありそうだ。
残り7Kか
次スレで投下かな、これは。
624名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/24(金) 01:11:38 ID:Z4G8NwTb
>>623
いや残りは17Kだしギリギリ大丈夫
625名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/24(金) 01:21:56 ID:gI+3DqPL
それじゃ 最後の穴埋めに投下します。
途中で切れたらスマソ。
626名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/24(金) 01:23:07 ID:gI+3DqPL
逢坂大河は朝から不機嫌だった。
新学期早々、礼拝堂での朝の拝礼をさぼって、学校の敷地内にある花壇の中をうろついていた。
別に大河に花を愛でる趣味があったわけではない。
単に人が来ないからと言う単純な理由でそこに居たに過ぎない。
道端の小石を蹴り飛ばし、その石が思わぬ方向へ飛んでしまったことが大河の不機嫌さに拍車をかけた。
「ちっ!」
女の子にあるまじき舌打ちをもらすと、大河は花壇のそばにあった水まき様のじょうろをおもいきり蹴飛ばした。
じょうろは派手な音を立てて、ひな壇に並んでいた植木鉢に当り、陶器の割れる音と混ざり合った。
大河が不機嫌になる理由はふたつあった。
ひとつはひどく空腹なこと。
なにしろ夕食、朝食と2食抜かしているのだ。食べ盛りの身にとってそれはひどい拷問に等しかった。
そしてもうひとつはまたやりあってしまったことだ。
誰とやりあったのかと言うと大河の父の再婚相手。大河から見れば義理の母親にあたる女性だった。
実の両親の離婚によって大河は父方に引き取られたのだが、これとて大河が積極的に選択したわけではない。
離婚時点で母は既に新しいパートナーが決まっており、そんな男と暮らすのはまっぴらだと大河が主張したせいである。
大河の母はあっさりと手を引き、父親と大河だけの生活が始まったのだが、それは長続きしなかった。
すぐに大河の父は新しい女性を家に迎え入れた。
事業の都合だとか、耳障りのいい理由を並べ立てる父親に「好きにすれば」と素っ気無く大河は答えていた。
最初から上手く行かなかったわけじゃない。
大河なりに努力した部分もある。
相手も歩み寄ろうとした。
でも、最初からあったわずかなズレは時が経てば経つほどその綻びが大きくなり、もはや修復不可能なほど広がっていた。
もはや、顔を合わせれば耳をふさぎたくなる様な言葉の応酬が当たり前になり、お互い相手と極力、接触しないように努めていた。
大河の父もそのパートナーも仕事が忙しいのか、家を開けることが多く、逢坂家の家事労働全般は週に数回やって来るハウスキーパーが掃除や、食事などを用意していた。
昨日も、本来ならハウスキーパーが来て、大河の夕食を用意するはずだった。
それが、予定変更で突然帰宅した大河の父とパートナーはハウスキーパーを帰してしまったのだ。
あんな女の作った物なんか、食べてやるもんかと、大河は夕食の席にも出なかった。
いや、例え出たとしても大河の分は食卓には並んでいなかっただろう。
いつの頃からか、作った食事に手をつけない大河に業を煮やして、大河の世話を焼くのを一切、放棄していたのだ。
大河がそれでも飢え死にしなかったのは週4回、来てくれるハウスキーパーさんが居てくれたからこそである。
不幸中の幸いというべきか、大河の父は娘に愛情を注ぐ代わりに、その不足分を金銭であがなうと言う手段を構築していた。
そのため大河の持ち歩いている財布の中身はクラスメートに比べて、桁の違うお札がいつも入っていた。
だから、大河は父親がパートナーと一緒に帰って来る日はコンビ二で食料を調達して来ていたのだ。
昨日はその予定が狂ったせいで空腹のまま、大河は登校して来ていた。
627名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/24(金) 01:24:09 ID:gI+3DqPL
・・・朝のお祈りか・・・祈って願いが叶うなら、私は何度でもそうしてやる。
礼拝堂の鐘の音色を聴きながら大河は音のする方角を鋭い視線でにらみつけた。
「ふん」
一声、吐き出すと大河は花壇脇にあるレンガに腰を下ろし、登校途中に調達してきた朝食を食べ始めた。
冷え切ったおにぎりと生ぬるいお茶。
・・・おいしくない。
半分、食べたところで大河は食べる手を止めてしまった。
お腹空いてるんだから、おいしいはずなのに、大河はそう思った。
なんでおいしくないんだろ・・・あれ?
不意に込み上げて来た感情に、大河は堪えきれず小さく嗚咽を漏らした。
そっと目じりに手を伸ばし、わずかに濡れる大河の指先。
その時、ツキンと大河はお腹に痛みを感じた・・・。
まただ・・・。
数日前から続く体の不調が大河を精神を不均衡にした。
泣きたくなんか無いのに、そう思っても抑え切れず、そのままの姿勢で大河はじっと動けないでいた。

がさ・・・

急にした物音に大河は身を堅くした。
音のした方を見ると大河と同じ制服を来た少女がひとり、大河の方を見ていた。
・・・見られた?
「何?」
立ち上がり、尖った声で誰何する大河。
「ごめんなさい、邪魔するつもりはなかったの」
それから少女は大河の足元にあるコンビニの袋に気が付いた。
「今から、朝ごはん?」
「そうよ、いけない」
「逢坂・・・大河さんよね」
「誰よ、あんた?」
「う〜ん。一月くらいになるのにクラスメートの顔をも覚えてくれないなんて、ちょっと悲しいかも」
と、その少女は泣き真似まで始めた。
「バカじゃないの」
遠慮会釈も無い大河の声に傷つく風も見せず、少女は笑顔を作った。
既に優等生から正反対に位置していた大河の生活態度、それでも成績は良く、欠席もほとんど大河はしていなかった。
単に、そう言った点を親に連絡され、あれこれ言われるのががまんならなくて、大河は頑張っているに過ぎなかった。
従って、それ以外で大河は自分を飾り立てたり、良く見せようなんてこれっぽっちも考えていなかった。
だから、集団生活の中で大河は孤立していた。必要を感じなかったからクラスメートの名前も顔も覚えようとはしなかったのだ。
「あんたもさぼったの?」
「苦手なんだ、あれ」
カトリック系の学校へ通っているくせに妙な事を言うやつ。そう思いながらも大河は警告だけはしておこうと思った。
「そう、でもひとつだけ忠告しておいてあげる」
「何かな?」
「私にこれ以上、近づくな」
「どうして?」
大河を取り巻く噂は芳しい物ではなかった。
その大半は憶測と伝聞で、人から人へと伝わる過程でおもしろおかしく捻じ曲げられていった。
そんな大河に近づこうなんて考えるのは無謀以外の何物でもなかった。
「とにかく平穏無事に過ごしたいのならね」
大河はそれだけ言い捨てると、来た道を引き返した。
628名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/24(金) 01:26:25 ID:gI+3DqPL
帰りのホームルームも終わり、下校しようと大河はかばんを手にした。
その時、今朝、大河が会った少女が小さく手を振っているのが目に付いた。
大河はそれを無視するように足早に教室を出た。
・・・変なやつ。
帰りの電車の中で流れる景色を見ながら大河はぼんやりとそんなことを考えていた。

自宅への最寄り駅の改札を通り、高台にある家へ帰ろうと坂道を歩いていた大河は急に違和感を感じた。
その直後、さっきからずっと続いていたお腹の不快感が急に酷くなり、大河はその場にうずくまってしまった。
・・・何、これ?
初めての経験に大河は訳がわからず、表情を苦しげにした。
そして自分の足元を見て、白いハイソックスが赤くにじんでいるのを見つけ驚愕した。
出血してる・・・怪我したの私・・・あ、れ?・・・!!。
その血の源流が身体の中心部から出ていることに大河はその時、気が付いた。
スカートの中に差し入れた手に付いた赤いぬめり・・・。
訳が分からず、その場で大河は震えが酷くならない様にぎゅっと両手で身体を押さえつけていた。


身体中が気だるいまま、大河は夜明けを迎えた。
微熱感がつきまとい、気分がすっきりしなかった。
昨日はあれから汚れてしまった下着を見つからないように処分し、浴室で身体に付いた血を洗い流そうとシャワーを浴び続けた。
そしてそのまま、夕食もとらず倒れるように眠ってしまった。
朝、起きてからも大河は自分が変な病気にでもかかってしまったのではないかと酷く、不安になった。
よっぽど家庭医学大全集でも見てみようと思ったが、何が書いてあるのか怖くなり、結局、見ないまま登校した。
授業中も昨日から続く、お腹の痛みに悩まされ続けた。
「逢坂」
そして3時間目の国語の授業で大河は指名された。
大河は椅子から立ち上がろうとして失敗し、そのまま前のめりに倒れた。
教室中に広がる悲鳴も喧騒も大河の耳には届いていなかった。
629名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/24(金) 01:27:27 ID:gI+3DqPL
目を覚ました大河が最初に見たのは白い天井だった。
安っぽいパイプベッドにここが保健室であることを知らせていた。
あれ?・・・そうか私、教室で倒れて・・・。
むくりと大河は起き上がった。
その物音にベッド脇のカーテンが開いて修道衣を来た養護教諭が顔を見せた。
「気分はどう?」
ふるふると大河は頭を振った。
「貧血ね。もう少し休んで行くといいわ。何か飲める?」
大河は大人しく首をたてに動かした。
「ちょっと待ってね」
養護教諭はそう言うと、手早くホットココアを造り、大河の手にカップを手渡した。
「熱いから気をつけてね」
大河はカップへふうふうと息を吹きかけ、中身を口に含んだ。
温かみと甘さが大河にちょっぴり安らぎを与えた。
「初めて・・・よね。逢坂さんは?」
大河は何のことか分からず、養護教諭をまじまじと見つめた。
「ちょっと汚れちゃったみたいなんで、洗って、今乾かしてるから・・・ちょっとサイズが合うの無くてごめんなさいね」
言われて大河は今穿いている下着が自分のものではないことに気が付いた。
あれを見られた・・・そう思った瞬間、大河は羞恥心を感じ、真っ赤になった。
目の前の養護教諭に殺意すら覚え、手近な武器を物色しようと視線を左右に動かした。
あれだ・・・と大河が手ごろな武器に目をつけた時、養護教諭が大河にとって意外な台詞を言った。
「おめでとう」
・・・めでたい?
ポカンとする大河。
あらあらと言いながら養護教諭は保健体育で習ったでしょ・・・と笑った。
大河がさらに混乱する素振りを見せると、「まさか、逢坂さん・・・何も知らないの?」とびっくりした様子で大河の身に起きた一連の出来事を説明した。
「・・・だからね。これは赤ちゃんを産むための準備が出来ましたよって言う合図なの。今日から逢坂さんは子供じゃなくて本当のレディになったのよ」
・・・だから、おめでとう。
養護教諭は軽く大河の肩を抱いて大河の顔を覗き込んで付け加えた。
「あなたと未来のハズバンドに祝福を」
630名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/24(金) 01:28:16 ID:gI+3DqPL
大河は自分が余りにも無知だったことに自分であきれていた。
そう言えば・・・そんなような事をやっていた授業があったなと、思い返していた。
その時、大河はクラスメートがきゃあきゃあ言うのをうるさいと思いながら寝ていたのだった。
これから、大事なことはちゃんと聞いておこう・・・逢坂大河は今日、人生でひとつ教訓を学んだ。
・・・ハズバンドね。
さっきの台詞が蘇る
大河はまったく想像できなかった。
・・・いつか、私も好きな人が出来て・・・結婚して・・・子供を産むのか・・・。
遠い未来予想図。

学校帰りのドラッグストア。
・・・どれがいいんだろう?
多すぎる種類に圧倒されながら、大河はふと思った。
・・・ちょっと相談してみよう。
昨日、手を振ってくれたクラスメートに・・・
・・・名前、何て言うんだっけ?

その日、生まれて初めて大河は生理用品を買った。




お馬鹿な話で申し訳ありません。

しかし、「たいがのちち」って入力すると大河の父にならず大河の乳に一発変換される俺のパソコンってorz
631名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/24(金) 01:29:43 ID:gI+3DqPL
これでおしまいです。

中学時代の大河を書いてみました。
真面目なんだか不真面目なんだか良く分からない話になってしまいましたが、どうも消化不良な感じです。

次はもうちょっとまともな物をと・・・。


次スレ 誰かお願いします。
632名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/24(金) 01:38:01 ID:cUXzVfbo
>>631
こうゆうのもいいんじゃないかな
とおもいました。
633名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/24(金) 03:18:31 ID:A+K0ESlF
>>609

話の持ってき方がうまいなー
いい意味で予想外で最後テンションだだあがりだった
634名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/24(金) 03:39:03 ID:D732BMH6
規制解除来た!


「……はっ!
 竜児!規制解除されたわよ!」

「おぉ、そいつは良かったな……書き手が書き手なだけに良作は期待出来ないが」

「こうしちゃ居られない!私達も規制解除よ!」

「お前っまだゴム着けて――!」



ギシギシアンアン



……ゴメン、やっぱりROMっとく
635名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/24(金) 06:47:43 ID:ORQhdkf7
>>631
おつー。これは斬新なアイデアだなw
面白かった!次回作にも期待!

次レスはまだなんだろうか。以下書き込み控えめに…。
636名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/24(金) 07:36:27 ID:wi9otCKy
久しぶりに来たらここも笑えない下品なギシアンばっかりになってるな
書き手も減ってるしなwww
637名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/24(金) 07:39:15 ID:alMCutT5
638名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/24(金) 07:48:29 ID:3BPQvx9u
>>637
乙!
639名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/24(金) 07:50:30 ID:Av49c0id
>>637
おつー
640名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/24(金) 08:11:17 ID:ORQhdkf7
>>637
おつー!
641名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/24(金) 09:34:24 ID:255jE2X9
「みなさん、3週間のご無沙汰でした」
「おう、誰に言ってるんだよ」
「誰って、スレ読者に決まってるじゃない。新スレ立ったんだから、早いところ誰も読んでないこのスレ埋めるわよ」
「読者が居ると思ってるのか居ないと思ってるのかどっちなんだよ」
「どっちでもいいの。はいはい、竜児も何か挨拶して」
「お、おう。よ、よろしくな」
「…」
「なんだよ」
「ごめん、竜児。私が悪かった。もう、あんたには挨拶させないから。安心して」
「なんだよその冷ややかな口調。却って傷つくから止めてくれよ!」
「ま、竜児が挨拶も出来ないショボ犬って話は置いといて、埋めネタを考えましょう」
「ショボ犬…」
「なんでもいいのよ。で、何か考えてきた?」
「何を?」
「ネタよ!」
「え、いや。何も」
「あんたね、自覚あるの?ちゃんと埋めないとギギギギシアンばかりで長編描いてもらえないのよ」
「ギギギギシアンルーレット」
「な・ん・で・す・っ・て・?」
「いてててて、やめろやめろ、毛が抜ける!」
「まったくもう。どうして竜児はこうなのかしら。プロポーズするために河に飛び込んでくれた竜児はどこへ行ったの?」
「俺は飛び込んだんじゃない、突き落とされたんだ」
「どっちでもいいじゃない。同じよ」
「全然違う」


「たった今調べたら516文字だったわ」
「1KBか。厳しいな」
「ねぇ、何でもいいから話してよ」
「ぐは、難しいな。中国産のウナギ、結構売れてたぞ」
「去年あんなに大騒ぎしたのに」
「まあ、中国産だから危険って決まってるわけじゃないからな。日本産だから安全ってわけじゃないし。リスクの高低はあるだろうけど」
「お店で食べたら安全なのかしら」
「お店次第だろう」
「どこで食べればいいのよ!」
「大河、お前の分だけは俺が全力で作ってやる。やれるだけのことはやって、なるべく安全で、なるべく栄養のバランスの取れた飯を作ってやる」
「にゃー」
「どうした」
「幸せ過ぎて力が入らない」

「お願い、竜児。もう何でもいいから話して」
「おう…あ、アニメの最初のOP、櫛枝の歩き方変だな」
「そうねぇ。ちょっと変よねぇ」
「すごく変だよ。あれさ、変な奴だからそう描かれているのかと思ったけど、そうじゃなくて早足でトレーニングしているイメージなのかな」
「なんで?」
「なんとなく」
「却下」
「じゃ、この話これで終了だ」
「待って、嘘、嘘。却下しない。これじゃ埋まらないよ。みのりんってあんな風に歩いてたっけ」
「どうだろう。どっちかというと、走ってないか?スピン・オフの『虎、肥ゆる秋』によると、飯食ったら1時間全力疾走、トイレに立ったら1時間全力疾走してるぞ。あと部活2時間全力疾走だ。家に帰るときは駆け足だ」
「…あの設定だもんね。みのりん変だよ」
「だけど、あのスピン・オフの設定はちょっと本編と合わないんだよ」
「どう合わないの?」
「5巻の福男のシーンでさ、校庭で俺が櫛枝にぶち抜かれるんだけど、『スタミナで劣る実乃梨の背がわずかに近づく』ってある。ありえねぇだろ」
「あり得ない、あり得ない。2時間全力疾走とか笑って言ってるみのりんがスタミナで竜児に負けるわけ無いよ」
「ま、深いツッコミは無しだな」
「それにしても、竜児よく見つけたわね。さすが粘着犬」
「うるせえ」
642名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/24(金) 09:36:46 ID:255jE2X9
「あとは、あとは何かないの?」
「ねぇ。残念だが、ねぇ」
「嘘嘘!竜児お願い。お話してぇ!」
「くっ…お前はねぇのかよ」
「私?私は…不満しかないよ」
「なんだそれ」
「あとは竜児のお嫁さんになるだけだから、深いことは考えないの。竜児が好き。世界には何も期待してない。世界に対して抱くのは不満だけ」
「おう、頼むからもうすこしポジティブになってくれ」
「だって」
「じゃ、わかった。不満聞かせろ。何が不満なんだよ。俺で解決出来ることは解決してやるからさ」
「そう?じゃぁわかった。言う」
「よし、言ってみろ」
「このスレ嫌い」
「おま、何てことを!」
「だって、このスレの私って馬鹿みたいじゃない。なによ」
「なによって、お前。せっかく書いてもらってるんだから」
「書いて貰ってるって。このスレの私、なあに?わがまま撒き散らしてして竜児と喧嘩してしがみついて泣いて仲良くなって終わりって話ばっかりじゃない」
「やめろ、今の話なかったことにしよ。な、な」
「ヒロイン泣かせば読者が喜ぶって、どんだけ頭悪いのよ」
「大河、頼むやめてくれ」
「『宇宙戦艦ヤマト』と同じよね。困ったら一人ずつ殺すんでしょ。とらドラ!のSSでも困ったら私を泣かせばいいのよ」
「大河、落ち着け」
「何よ!どうせ私は『よく泣く生き物』よ。悪かったわね!」
「わーっ!大河!俺が悪かった」
「だって…だって…りゅうじーーーーっ!」
「おう、よしよし。わかったから。わかったから。泣きやめ、な、な」

「それから、あまりにも私の頭が悪すぎるわよね、このスレ」
「続くのかよ」
「酷いのがとんかつネタよ」
「流行ったな。この作者も書いてたぞ」
「殺してやろうかしら」
ごめんなさい
「どれを読んでも、私の頭が悪すぎる設定になってるわよ。なによ『あーん』って。ピーじゃないっての。あれ?」
「どうした?」
「いや、今ピーって言おうとしたら。あれ?」
「たぶん、その言葉つかっちゃまずいと思うぞ。いや、婚約者的にもどうかと思う」
「そ、そう。とにかくとんかつネタは嫌いなの!」
「とんかつは?」
「…好き。でも竜児が作ってくれないと嫌」
「お、おう」
643名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/24(金) 09:38:35 ID:255jE2X9

「どうしよう竜児。ほんとうにどうしよう」
「あああ、ネタがねぇ」
「ねぇ、もう無理して埋めなくていいんじゃないかしら」
「俺はいいけど、たぶんギシアンだらけになるぞ。いいのか?」
「う、何て答えればいいの?私は嫌、でも、スレ否定したら私達のSSを書いてくれる人も居なくなるわよね」
「さっきお前、全力で否定してたけどな。まあ、そうだ」
「ううう嫌ぁ!竜児なんとかして!」
「仕方ない、あれを放出するか」
「え?何かあるの?」
「ある。しかし無い」
「どっちよ?」
「プロットだけ考えて、まったく手が付けられなかった話がある。少々反則気味だが、SS作者の苦悶的な話にまとめれば、埋めネタとしては許容範囲だろう」
「ああ、あれ。でもスレ的にはどうかしら。荒れない?」
「『こういうプロットを考えました。誰か書いてください』ってのは駄目だな。重大なマナー違反だ」
「『こういうプロットを考えました。もう駄目です』だったらどうかしら」
「いっしょだろう、しかし、埋め立て中だと許される気がする」
「そうよね。どんな駄文突っ込んでも『埋め立て職人』とか呼んでもぐぐぐ」
「大河、頼むから不用意な発言だけは慎んでくれ」
「不用意って…竜児がそう言うなら、そうするけど」
「よし、じゃぁ投下するか」
「本当にやるの?荒れない?」
「しゃれが通じると信じよう」
「竜児、通じなかったら、私達どうなるのかしら」
「わからねぇ、わからねぇけど。もう、俺たちにはこの選択肢しかねぇ」
「わかった。ねぇ竜児、つかまってていい?」
「おう、しっかりつかまってろよ。じゃ、投下するぞ」

バレンタインデーの夕刻、バイトに泰子が現れなかったら。

顔を真っ赤にして、震えながら竜児に想いを告げる大河。竜児からも好きだったと言われ、驚く大河。
竜児が自分の気持ちの流れを大河に打ち明け、大河も竜児に苦しかった自分の気持ちを打ち明ける。
これから新しい日が来るんだと告げる竜児。泣きながら、もう苦しまなくていいのねと言う大河。震えながら、初めての口づけ…

『という、流れを想像していたんだが、まさかお前達がその頃駆け落ちをしているとは思いもしなかったぞ、
高須。まったく人生というものはどう転ぶかわからないな』


「投下しちまった」
「しちゃったわね。どうなるのかしら」
「わからねぇ。しかし」
「酷いわよね」
「おう。なんかこう、妄想炸裂だな」
「しかもなに、この夢落ちみたいなの」
「北村妄想落ちか。これ書いてる奴、ifは書かないとか言ってたからな」
「何それ、if作者に喧嘩売ってるのかしら」
「書くなって言ってるわけじゃないから勘弁してやれ。それにしても、if書かないからって、これは無いよな」
「無いわよね。これでifじゃないってどんだけ屁理屈こねてるのよって感じ」
「自分でも納得できねぇだろ。先にすすまねぇはずだ」
644名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/24(金) 09:39:18 ID:255jE2X9
「竜児大変。ここまで3300文字にしかなってない」
「がーっ!プロット投下した意味がねぇ」
「プロットが薄すぎるのよ。投下するしないの話の方が文字数多いんじゃない?」
「くそ、あんな恥ずかしい思いをしてプロットを投下したのに。なんだったんだ」
「ねぇ、竜児。あれどうかしら」
「あれって何だよ」
「書きかけのSSがあったわよね」
「馬鹿、やめろ、マジでスレが荒れる。作品ってのは、書き終えたか、書き終えるつもりじゃないと投下しちゃいけないんだ」
「でも…書き終えるつもりで書き始めたのよね」
「お、おう」
「起と承の後半は書き終わってるじゃない」
「結は短いから、承の前半と転が問題だな」
「ねぇ、書き終えるの前提で起、だけでも投下したらどうかしら。作者もやる気が出るかも」
「いや、無理じゃねえか」
「でも…あ、ほら、承の出だしも書いてるじゃない。先頭から1万文字ですって!竜児、1万文字よ!」
「20kBか。正直言って喉から手がでるほど欲しい数字だな」
「そうよ、だからさ、コピーしてペーストっていうの?あれを」
「やめろやめろ!あぶねえ。やっぱりSS書きの倫理にもとるぜ」
「ぎしぎしあんあん言わせて喜ばせてるスレだから、そんなに堅く考える必要ないのよ。なにがパンツよ」
「うわーっ!だから不用意な発言するなって」

「ねぇ、竜児、やっぱり投下出来ないかしら」
「だめだ。とても書き終えると思えねえ。あんなものを投下するわけにはいかねぇ」
「書き終えられないかな」
「無理だな。書き始めて5週間経つのに全然筆が進んでない。しかも今週長編を一本書き上げてしまった」
「そうよねぇ。5週間で1万文字しか書けないんじゃ終わってるわよね。ていうか、社会人なのに高校生の恋愛小説のSSをそんなに必死に書いてどうするのかしら」
「言ってやるなよ。てか、これ書いてる奴以外にも泣く奴いるからよせ」

「竜児、投稿できない作品って、どうして筆が止まったのかしら」
「いろいろ問題はあったと思うけど、設定時期が悪かったな」
「いつ?」
「夏の旅行のあと、文化祭の前」
「そんなに悪い時期かしら」
「SSってだけならそれほど悪くないんだけどな、この作者原作改変しないとか言ってるから」
「ああ、if書かない。どんだけ偉そうなのよ、駄文しか書けないくせに」
「志だけ汲んでやれよ」
「ねぇ、竜児。どうしてこの時期だと書きにくいの?」
「ああ、それって俺が説明するのか?前回だと俺がわかって無くてお前が得意になって説明してたぞ」
「あら、いやだ。本当だわ。どうしましょう」
「話題変えよう」
「そうね」

「つーか、もはや『とらドラ!』と関係ないじゃねぇか。あああ、スレが荒れる叩かれる」
「まって竜児…OK。もう大丈夫よ。安心して」
「なにしてたんだ?」
「竜児の台詞に『少々反則気味だが、SS作者の苦悶的な話にまとめれば、埋めネタとしては許容範囲だろう』って付け加えてきたの」
「そうか。もう、メタすら超えて時間もぐちゃぐちゃだけど、いっか」
「そうよ、どうせ埋め立てよ」
「そうだな」
645名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/24(金) 09:40:01 ID:255jE2X9
「ねぇ、竜児。新作あるならそれ投下しましょ」
「だめだ」
「どうして?埋め立てに使いたくないから?」
「そうじゃねぇ。推敲が終わってないんだよ」
「推敲って、これ書いている奴なんていくら推敲しても駄文じゃない。とっと投下すればいいのよ」
「言ってやるなよ。なぁ大河、あまりおいしくないカレーだって、一晩寝かせばおいしくなるだろう」
「そうだっけ。おいしいカレーを一晩寝かせるとさらにおいしくなるってのは、わかるけど」
「わからないか?」
「だって竜児のカレー、最初からおいしいじゃない」
「そ、そうか。おう。またカレー作ってやるからな」
「うん!」
「えーと、SSもカレーといっしょだ。書き立てのSSはあちこちギクシャクしているものだが、寝かせて推敲すれば、まろやかになる」
「ふーん。竜児がカレーと同じだって言うなら、そう言うことなんでしょうね」

「お願い、竜児。もうなんでもいいから書いて。埋め立てて、私のために………………竜児ぃぃぃぃぃーーーーーっ!」
「うわ、馬鹿止めろ。それトラウマなんだ。死にたくなる!」
「ばーかーいーぬーがーっ!」
「そっちかよ!仕方ねぇ。これ書いてる奴のSS執筆環境でも書くか」
「もう、SSに関係あるなら何でもいいわ。何使ってるの?Windowsのメモ帳?」
「ワープロもエディタも使ってない。Google Docsだな」
「ぐるぐる犬…竜児のお友達かしら」
「ぐーぐるどっくす!『どっぐ』じゃなくて『どっく』だ」
「あらま、遺憾だわ」
「ブラウザで動くオンラインワープロだ。OSを選ばないし、ネットが使える環境ならどこでも編集できる。昼休みにネタを思いついたらすぐアクセスして書いておける。家に帰ったら自分のPCでアクセスして書き続ければいい」
「何度も言ったけど、いい大人が高校生の恋愛小説のSSにそこまで必死になるってどうなのかしら」
「何度も言ったけど、言ってやるなよ。OSを選ばないってのは、ふだんWindows使っていて、たまにLinuxとかMac使う奴には朗報だな」
「そうね」
「短編ならこれで十分だ、長編の場合文字数が増えると急激にレスポンスが悪くなるから、2万文字くらいで分割した方がいい。ま、長編になるとわかってるなら、文書を起・承・転・結にあらかじめ分けておくと便利だな」
「そうね」
「これ書いてる奴は、Chromeブラウザ使ってる。IEとかFirefoxは遅いから注意が必要だな。ただ、Fireforxは3.5でものすごく改善されてるぞ」
「そうね」
「自分の作品として公開したいときには、そのままGoogle Docs文書として公開できるのもいいところだ。沢山書いてる奴は、サイト立てるのもいいけど、これ使うと面倒がなくていい」
「そうね」
「あと、Google Docsは、ブラウザを閉じなければオフラインでも使える。たとえば飛行機に乗る前に文書を開いて、飛んでいる間中オフラインで編集することも出来る」
「そうね」
「さらにGoogle Gearsをインストールしておくと、ブラウザを閉じてもオフライン中に編集した内容が保存される。再度オンラインになったときには自動的に同期されるぞ。まさに未来の編集環境だ」
「そうね」
「大河、退屈か?」
「寝そう」
「アナグラムかよっ!ほれ、じゃぁ座布団枕にしろ」
「うん」
「ほら、腹冷やすぞ、タオルケットかけてやるからな」
「ありがとう」
「疲れたら昼寝が一番だ。お前が居ないと埋め立て出来ないからギシアンで埋まるけど仕方ねぇ」
「大変!」
「おう、起きたか」
646名無しさん@お腹いっぱい。
「もう無いの?ネタはないの?」
「逆さに振っても出てこねぇ」
「じゃぁ、アニメでも原作でもいいから何か語ってよ」
「く、作品語りか。スレ違いなんだよな」
「埋め立てだからいいんじゃないかしら。たとえばこんな感じのAAでよく埋めてるわよね。誰もスレチだなんて怒らないじゃない」

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                  !:.i: : : :./\: ハ:.!: : :.!ハ:.ハ: : : : :!
                  ,': :!: : : :孑‐ミト-リ : 厶≦z ∨: : :|
                  !: :|: : : :|  ヒ}  |/  ヒリ 〉|: : : ハ    /^}
                 __| : !、: :ト:.ゝ¨¨¨   ,  ¨¨¨厶イ/ リ    / /
         ,. -‐f1¨ ̄ ̄ ∧: | \ハ    ,.----z   /^X_      / /
       /   |.|      ヽ|   \  《   ノ , イ /  欠二.V  {‐、__ 
      /  \ | | \     i      ミ 、_ ,. イ 〈  /  / ーV  ! }-、
    /    / | |   \    |      | ミ==イ  ハ { r‐‐'¨  ヽ/ / ノ }
   /  ,. '   └――ァヘ  |      |   /  / | ト、 ̄¨¨〉--<_∠∠/
 /  /         | : :\ |        /     ∨  ̄,フ
. |  <         /V:_:/ |             i 代.//
/ ぇ }        〈: : : :|   !             |/ {: :/\
ヾミリー'        ∧::/   |       /      |  ∨ヽ: |
            〈: :リ    |      /       |   〉: :/


「そうだな。それにしても、良くできたAAだな。くぎゅの声が聞こえて来るみたいだ。大河、ちょっと言ってみろ」
「『ちょっ、ちょっ、北村君が変な女と!どういう事よ!』こんな感じ?」
「おお、ぴったり。うぉっ!くー、誰が鳩尾までやれって言ったよ。ぐぐぐ」
「あら、痛かった?遺憾だわ」